衆議院

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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      島尻安伊子君    平沢 勝栄君

      重徳 和彦君    市村浩一郎君

二月十五日

 島尻安伊子君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 島尻安伊子君

      小森 卓郎君    後藤田正純君

      鈴木 英敬君    平沢 勝栄君

      重徳 和彦君    市村浩一郎君

   兼務 五十嵐 清君 兼務 中川 貴元君

   兼務 柳本  顕君 兼務 小山 展弘君

   兼務 階   猛君 兼務 中島 克仁君

   兼務 長妻  昭君 兼務 庄子 賢一君

   兼務 福重 隆浩君 兼務 鈴木  敦君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 仁木 博文君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)

   (デフレ脱却担当)    鈴木 俊一君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (領土問題担当)

   (国家公務員制度担当)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (女性活躍担当)

   (こども政策担当)

   (孤独・孤立対策担当)  野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)

   (共生社会担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   内閣府副大臣       石井 正弘君

   内閣府副大臣       務台 俊介君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   衆議院事務総長      岡田 憲治君

   参議院事務総長      岡村 隆司君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 鈴木 千明君

   裁判官訴追委員会事務局次長            澁谷 美保君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   会計検査院長       森田 祐司君

   最高裁判所事務総長    中村  愼君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小川 康則君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            米田 健三君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       八神 敦雄君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         野崎 雅稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 江島 一彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       高橋 謙司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    植松 龍二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

   衆議院調査局第三特別調査室長           吉田はるみ君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     小森 卓郎君

  平沢 勝栄君     鈴木 英敬君

  市村浩一郎君     和田有一朗君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     北村 誠吾君

  鈴木 英敬君     平沢 勝栄君

  和田有一朗君     山本 剛正君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 剛正君     小野 泰輔君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 泰輔君     岬  麻紀君

同日

 辞任         補欠選任

  岬  麻紀君     市村浩一郎君

同日

 第二分科員中川貴元君、小山展弘君、階猛君、仁木博文君、第三分科員柳本顕君、赤嶺政賢君、第四分科員庄子賢一君、福重隆浩君、第五分科員長妻昭君、第六分科員五十嵐清君、鈴木敦君及び第七分科員中島克仁君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

島尻主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。池田宮内庁次長。

池田政府参考人 令和四年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の令和四年度における歳出予算要求額は、七十三億八百万円余でありまして、これを前年度当初予算額百二十四億二千百万円余と比較いたしますと、五十一億一千二百万円余の減額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十七億二千四百万円余、皇族に必要な経費二億六千万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費九億二千五百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十七億九千八百万円余でありまして、前年度に比較して五十一億三百万円余の減額となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で令和四年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 令和四年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百六十五億四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十二億一千二百万円余の減額となっております。

 これは、情報システム関係経費の増額がある一方、給与改定に伴う人件費及び総選挙関係経費等の減額によるものであります。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百三十億八千六百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百十一億一千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十六億八千六百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として六億六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、令和四年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

島尻主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。岡村参議院事務総長。

岡村参議院事務総長 令和四年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百十三億一千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四億四千百万円余の増額となっております。

 これは、主に、第二十六回参議院議員通常選挙の実施に伴う経費が増額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百四十六億九千四百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十四億九千二百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十一億一千八百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議事堂本館等の施設整備に必要な経費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、令和四年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

島尻主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。吉永国立国会図書館長。

吉永国立国会図書館長 令和四年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百二億四千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十六億四千百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度補正予算(第1号)に計上されました所蔵資料のデジタルアーカイブ整備に関する経費の増額相当分が減少したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等百二億三千万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等七十六億三千万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十一億四千二百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十二億四千万円余を計上いたしております。

 以上、令和四年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

島尻主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。鈴木裁判官弾劾裁判所事務局長。

鈴木裁判官弾劾裁判所参事 令和四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千四百九十九万円でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五百七十六万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、令和四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

島尻主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。澁谷裁判官訴追委員会事務局次長。

澁谷裁判官訴追委員会参事 令和四年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千四百三十七万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三百十九万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、令和四年度裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。中村事務総長。

中村最高裁判所長官代理者 令和四年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百二十八億一千四百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百五十三億六千八百万円と比較いたしますと、差引き二十五億五千四百万円の減少となっています。

 次に、令和四年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 一つ目に、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百三十六億五千五百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判手続等のデジタル化関係経費として七億千七百万円を計上しております。この中には、民事、刑事、家事の各デジタル化関連経費、情報基盤整備関連経費が含まれております。

 第二に、民事事件関係経費として二十六億九千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第三に、刑事事件関係経費として四十一億二千七百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費、法廷通訳関連経費等が含まれております。

 第四に、家庭事件関係経費として六十一億千二百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 二つ目に、庁舎の耐震化等のための経費として百四十五億五千七百万円を計上しております。

 次は、定員の関係でございます。

 事務処理の支援のための体制強化及び国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進を図るため、家裁調査官を二人、事務官を三十九人の合計四十一人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力等として六十七人の減員をすることとしております。

 なお、この増員等の中には、速記官から事務官への振替二人が含まれております。また、近年の事件動向、判事補の充員状況を踏まえ、判事補を四十人減員することとしております。

 したがいまして、裁判所全体で、差引き六十六人の純減となります。

 以上が、令和四年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取します。森田会計検査院長。

森田会計検査院長 令和四年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の令和四年度予定経費要求額は、百六十九億二千八百万円余でありまして、これを前年度予算額百六十六億一千百万円余と比較いたしますと、三億一千六百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百四十九億八千四百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十九億四千三百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 以上、会計検査院の令和四年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。松野内閣官房長官。

松野国務大臣 令和四年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の令和四年度における歳出予算要求額は千七十一億七千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額千七十八億一千八百万円に比較をしますと、六億四千五百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百七十六億一千七百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億一千八百万円、人事院には、人事行政等のための経費として八十五億三千八百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の令和四年度における歳出予算要求額は四兆七千二百八十五億五千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額四兆七千二百四十六億四千九百万円に比較しますと、三十九億三百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として四兆三千七百八十五億六千九百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百二十億六千百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百四億八千七百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千八百七十三億三千百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十一億二千九百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十五億二千二百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融政策推進等のための経費として二百二十六億三千五百万円、消費者庁には、消費者の安全、安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百八億一千七百万円を計上いたしております。

 以上をもって令和四年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。牧島デジタル大臣。

牧島国務大臣 令和四年度デジタル庁予算について、その概要を御説明申し上げます。

 デジタル庁におきましては、昨年末に閣議決定いたしました新しいデジタル社会の実現に向けた重点計画に沿って、デジタル化による成長戦略、地域の活性化、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指すための予算としてデジタル庁所管の歳出予算要求額を総額四千七百二十億二千六百万円計上しております。

 これを前年度当初予算額の三千九十六億二千四百万円に比較いたしますと、一千六百二十四億二百万円の増額となっております。

 以下、要求額の内訳について御説明申し上げます。

 第一に、デジタル庁における情報システムの整備、運用や、各府省庁のシステムについて、各府省庁と連携しつつ、年間を通じた一元的な統括、監理を実施し、国民にとって使い勝手のよい行政サービスを実現するために必要な経費として四千六百億五千三百万円を計上いたしております。

 第二に、デジタル社会形成の推進として、健康・医療・介護、教育等の準公共分野のデジタル化に向けて、府省庁連携による分野横断的な取組を進め、また、デジタル庁におけるコンプライアンス、調達改革等を推進し、デジタル人材の知見も活用するために必要な経費として百十九億七千二百万円を計上いたしております。

 以上、令和四年度デジタル庁予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。西銘復興大臣。

西銘国務大臣 令和四年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁におきましては、第二期復興・創生期間において必要な取組を精力的に進めるため、地震、津波被災地域において、被災者支援など、きめ細かい取組を着実に進めるとともに、原子力災害被災地域では、帰還環境の整備、生活再建など、本格的な復興再生に向けて取り組み、また、これらに加えて、福島始め東北地方が創造的復興を成し遂げるための取組を進めるための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額五千七百九十億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、避難生活の長期化や恒久住宅への移転に伴う被災者の心身の健康の維持、住宅や生活の再建に向けた相談支援、コミュニティーの形成、生きがいづくり等の心の復興など、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援等に必要な経費として二百七十八億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興のまちづくりについては、住まいと町の復興に向けて、災害公営住宅に関する支援を継続するほか、住民の安全、安心の確保等のために事業を進める必要があることから、災害復旧事業等について支援を継続するための必要な経費として五百八億円を計上しております。

 第三に、産業、なりわいの再生については、ALPS処理水の処分に伴う対策として、被災県への水産に係る加工、流通、消費対策や、福島県農林水産業の再生、原子力災害被災十二市町村における事業再開支援、避難指示解除区域等における工場等の新増設支援等の取組に必要な経費として三百四十七億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、特定復興再生拠点区域外への帰還、居住に向けた避難指示解除の取組を進めていくため、意向確認支援等の実施や、避難指示が解除された区域での生活再開に必要な帰還環境の整備、帰還困難区域の特定復興再生拠点の整備等を実施するとともに、中間貯蔵施設の整備等を着実に推進するほか、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組の強化に必要な経費として四千四百五十二億円を計上しております。

 第五に、創造的復興については、単に震災前の状態に戻すのではなく、創造的復興を実現するため、以上の取組に加えて、福島国際研究教育機構の設立準備、福島イノベーション・コースト構想の推進、高付加価値産地の形成等に係る取組に必要な経費として百五十七億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など二千六百二十三億円を計上しており、全体では八千四百十三億円を計上しております。

 以上、令和四年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いをいたします。

島尻主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。岸防衛大臣。

岸国務大臣 令和四年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和四年度予算においては、周辺各国が軍事力を強化し、我が国周辺で軍事活動を急速に活発化させるなど、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、必要な防衛力を大幅に強化し、各種事業の実施をより一層加速することとしております。

 具体的には、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域における能力を獲得、強化するほか、従来の領域における能力を強化するとともに、弾薬の確保や装備品の維持整備に必要な経費を確保しております。

 また、防衛分野での技術的優越の確保のため、研究開発や防衛産業基盤を強化するとともに、人的基盤の強化、日米同盟、諸外国との安全保障協力の強化にも配意しております。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は五兆三千六百八十七億二千五百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、四百五十一億七千九百万円増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で一千四十五億六千七百万円、潜水艦建造費で七百三十九億七千五百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で二兆八千三百八十三億七千七百万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、領域横断作戦に必要な能力の強化です。

 優先的な資源配分や我が国の優れた科学技術の活用により、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における能力を獲得、強化します。

 また、従来の領域における能力を強化します。

 具体的には、航空機、艦艇、ミサイル等による攻撃に効果的に対処するため、海空領域における能力、スタンドオフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動展開能力、無人機の活用、対処を強化します。

 さらに、持続性、強靱性を強化します。

 特に、継続的な運用に必要な弾薬を取得するとともに、装備品の可動確保のための取組を推進します。

 第二に、防衛力の中心的な構成要素の強化です。

 人的基盤を強化するため、より幅広い層から多様かつ優秀な人材の確保を図るとともに、全ての自衛隊員が高い士気を維持し、自らの能力を十分に発揮できる環境の整備に向けた取組を推進します。

 また、防衛生産、技術基盤を強化するため、ゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を始めとする重要技術に対して重点的な投資を行うとともに、サプライチェーンの維持強化、情報セキュリティーの強化等に向けた取組を推進します。

 さらに、政策判断や部隊運用に資する情報支援を実施するため、情報の収集、分析の各段階における情報機能を強化します。

 第三に、大規模災害等への対応です。

 各種の災害に際して、十分な規模の部隊を迅速に輸送、展開して初動対応に万全を期すとともに、対処態勢を強化します。

 第四に、日米同盟強化及び地域社会との調和です。

 沖縄県を始めとする地元の負担軽減を図るために、在日米軍の兵力態勢の見直しについての具体的な措置を着実に実施します。また、基地周辺地域との調和を図るとともに、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支え、日米同盟の抑止力、対処力を強化します。

 第五に、安全保障協力の強化です。

 自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、安全保障協力を戦略的に推進するため、防衛協力、交流のための取組を推進します。

 以上の防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百十七億九千七百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されています。

 これをもちまして令和四年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

島尻主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま岸防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

島尻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

島尻主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

島尻主査 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎さん。

小森分科員 自由民主党、石川一区、昨秋初めて選出をいただきました小森卓郎と申します。

 不慣れではございますけれども、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 本日、小松基地F15戦闘機の墜落の事案について質問をさせていただきます。

 報道もされているところでもございますけれども、一月三十一日の夕方、航空自衛隊の小松基地に配備をされておりますF15戦闘機が墜落して、搭乗しておられた二人のパイロットの貴い命が失われたところでございます。

 お二人は、航空戦術教導団飛行教導群というところに所属する、戦闘機のパイロットを指導する立場にある大変優秀なパイロットであったわけでございますけれども、今回、このような大変残念な事態になってしまったところでございます。お二人の御冥福を心よりお祈りいたします。また、御家族、御親族、関係の方々に対しても、心よりお悔やみを申し上げたいと思っております。

 このような痛ましい事故が起きてしまったところではございますけれども、本件は、自衛隊機の飛行の安全性、そして周辺の自治体や住民の方々との関係などについても大事な問題を含んでいるものだというふうに考えておるところでございまして、岸防衛大臣を始めまして防衛省の方々に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、事案の概要と経緯についてお尋ねをしたいと思います。本件墜落がどのような経緯で発生したものか、御説明をお願いします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 一月三十一日十七時三十分頃、航空自衛隊航空教導団飛行教導群のF15DJ戦闘機一機が、訓練のため小松基地を離陸した直後、基地の西北西約五キロの洋上において、レーダーから航跡が消失しました。

 この状況を受けて、当日速やかに、防衛大臣から、付近の船舶等への被害の有無の確認、当該機の速やかな捜索、自治体への迅速な情報提供について指示し、その後、全ての自衛隊の航空機に対して飛行前後の点検を入念に実施するとともに、全ての操縦者に対して安全管理や緊急時の手順について教育を実施するよう指示がありました。

 また、事故発生当初より、関係者の御協力をいただきながら、陸海空自衛隊及び海上保安庁が懸命な捜索活動を続けてまいりました。

 その結果、機体の一部を回収するとともに、水中に主要部品等を発見したことなどを総合的に判断し、二月十日、当該機は墜落したものと判断したところでございます。

 その後、二月十一日及び十三日に操縦者二名を海中から発見、収容し、田中公司一等空佐及び植田竜生一等空尉であることが確認されました。

 事故当日から、航空幕僚監部に設置された事故調査委員会による調査が行われておりますが、引き続き、海中で発見された物品を引き揚げるためにサルベージ船による回収を行うなど、捜索活動を継続していき、今般の事件に係る原因究明を進めていきたいと考えております。

小森分科員 ありがとうございました。

 今御説明もいただきましたように、離陸した直後の事故だということでございます。

 今回、直後であったということもあるのでしょうか、異変が起きたときに緊急脱出をしたりすることができるはずではございますけれども、本件、そのようなことが起きなかった。また、救難信号の発出ですとか、異変について連絡が地上に対してなされたというわけでもないのだろうというふうに報じられているところでございます。

 また、本件、二人乗りの戦闘機だというふうに報じられております。二人とも優秀なパイロットで、それぞれ操縦をすることができる構造の機体ではなかったかというふうに思いますけれども、もし確認していただけるようであれば、よろしくお願いいたします。

増田政府参考人 事故に遭いましたF15DJ戦闘機、この機体は、縦列複座型の機体でございまして、戦闘機としての主要用途に加えまして練習機としての機能を備えているものでございます。

小森分科員 ありがとうございました。

 先ほどの答弁におきましても、三自衛隊そして海上保安庁における捜索について言及があったところでございます。

 先ほども少し言及いただきましたけれども、この捜索活動の規模ですとか、あるいは搭乗員、航空機の機体部品の発見の状況についてお尋ねをいたします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 一月三十一日の本件事故の発生当初から、航空自衛隊、海上自衛隊、海上保安庁の航空機、艦艇等により、現場周辺での捜索を行ってきました。また、海中の捜索活動を海上自衛隊の掃海艇等が、また、海岸線での捜索については航空自衛隊に加え陸上自衛隊の部隊も参加して行ってきたところでございます。

 航空自衛隊では、地上の捜索で約千八百名強の人員、また車両は百六十台以上、航空機も固定翼、回転翼合わせまして延べ百機以上の航空機を投入してございます。陸上自衛隊につきましても、地上捜索で四百人程度、海上自衛隊も艦艇を延べ四十隻以上投入してございます。海上保安庁につきましても、延べ十七隻の巡視船艇が捜索に当たっていただきました。それ以外にも、ドローン等も投入しているところでございます。

 その結果、これまで、航空機の外板や救命装備品の一部などを回収しております。

 また、操縦者二名につきましても、二月十一日、十三日に、海中から発見、収容しているところでございます。

 飛行隊のマーク及び機番が確認できる垂直尾翼など海中で発見された物件を引き揚げるためにサルベージ船による回収に着手するなど、引き続き懸命な捜索活動を行っていきたいと考えております。

小森分科員 ありがとうございました。

 真冬の日本海でございまして、大変厳しい、荒れた天候の中でございます。こうした中、行方不明になった仲間を捜そうということで、皆さん、必死の捜索の活動をされたものだというふうに思っております。特に、当初、一週間以上、搭乗員が発見されなかったということでございまして、大変心配された中でございました。残念ながら生還というのがかなわなかったわけではございますけれども、必死の捜索の結果、先ほどおっしゃっていただいたように、搭乗員もようやく確認できたという状況だと思っております。

 他方、サルベージについてお話がありましたけれども、昨日も荒れた天候だということで、まだ着手、実施には至っていないというような状況でございます。また、事故の原因、これから大事になってくると思いますけれども、それをはっきりと示すような物品の発見にはまだ至っていないのではないかというふうに思っております。

 これまでどおりの規模かどうかは別にいたしまして、機体等の捜索活動というのは今後も続けられる見通しだというふうに考えてよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 機体の関係の捜索でございますけれども、海上、そして波により海岸線に打ち寄せられました部品等の捜索は継続するとともに、先ほど申し上げましたように、海中に多数の機体の一部と思われる物件が発見されておりますので、それらにつきまして、サルベージ船による回収も行っていきたいと思っております。

 委員先ほど御説明ありましたように、日によっては、波が高く、そしてまた雪も降るという大変過酷な環境の中でございますけれども、部隊、それからサルベージ会社の御協力を得ながら、全力で機体の収容等に当たっていきたいと思っております。

小森分科員 ありがとうございました。

 捜索される方々の安全にも十分配慮していただいた上で、また活動を続けていただきたいというふうに思います。

 さて、この墜落がなぜ起きたのか、現状、まだ分かっていないことが大変多いわけでございます。墜落の原因の究明につきましては着手したところであるというようなことで、冒頭も御答弁があったところでございます。現時点で、なかなか確たることは言えない状況ではないかというふうに思います。

 一方で、F15という戦闘機は、日本やアメリカのみならず、世界各国で使用されてきている戦闘機でございます。今回の墜落は、離陸の直後、乗員が緊急脱出をできず、また連絡もせずに墜落が起きたという、なかなかないような事案ではないかというふうに思われるところでございますけれども、各国におきましてもこのような類似の経過をたどった事例というのは報告、確認されているのかについてお尋ねしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事故に係る原因究明及びその見通しについては、事故当日から、航空幕僚監部に設置されました事故調査委員会による調査が行われておりますが、委員御指摘のとおり、決定的な物品等、例えばフライトレコーダー等はまだ発見されておりませんので、現時点において、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 また、航空自衛隊にF15戦闘機が配備されたのは昭和五十五年度でございまして、これまでに約四十年間飛行を続けておりますが、この間、墜落した事案は、今回を含め十一件ございました。墜落したこの十一件の状況及び原因は様々でありますが、今般の事故のように離陸直後に墜落するに至った事例はございませんでした。

 また、F15戦闘機は、我が国だけではなくて、米国含め様々な国で運用されておりますのは委員御指摘のとおりでございまして、その墜落事故の逐一は把握しているわけではございませんが、いずれにしましても、航空自衛隊において、今般の事故のように離陸直後に墜落するに至った事例はございませんでした。

小森分科員 ありがとうございます。

 本当に、事故の原因の究明が待たれるところではございますけれども、答弁もいただいているとおり、客観的な事実また証拠などに基づきまして真相に迫っていただきたいというふうにお願いを申し上げるところでございます。

 さて、この墜落でございます、そしてまたこの二人のパイロットの安否につきましては、小松基地のある石川県あるいは小松市などでも大変に心配をされていたところでございます。

 これまでに、これらの自治体に対してどのように説明を行ってきているか、そしてまた自治体側からどのような要望や意見などが伝えられているか、教えていただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が活動するに当たりましては、地元の自治体及び住民の皆様からの御理解と御協力を得ていくことが何よりも大切だと思っております。

 本件事故につきましても、発生直後から、小松基地の周辺自治体には、逐次、状況に進捗がある都度、対面又は電話でお知らせするなど御説明をしてきているところでございます。

 例えば、二月二日から三日にかけましては、航空自衛隊小松基地司令や近畿中部防衛局の幹部などが、石川県、小松市、加賀市、能美市、白山市及び川北町を訪問いたしまして、各自治体の首長等に対しまして、本件事故と訓練飛行の状況などにつきまして御説明を行ってまいりました。

 これまで、周辺自治体の皆様からは、操縦者二名の安否をお気遣いいただきますとともに、事故原因の究明、また、安全が確認されるまで飛行訓練を行わないことなどについて要望を承っているところでございます。

 引き続き、地元の自治体や住民の皆様に対しましては丁寧に説明をしていきたいと防衛省・自衛隊としては考えております。

小森分科員 ありがとうございました。

 自衛隊による国の防衛というのは、本当に崇高で重要な任務でございます。一方で、この任務の円滑な遂行には、基地等の周辺の自治体、住民の方々の理解が非常に重要なのも事実であって、御答弁いただいたとおりでございます。今後も、基地の所在する地域の関係者の一層の理解に丁寧に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、戦闘機による国防の重要な任務として、スクランブル発進、対領空侵犯措置、領空侵犯のおそれのあるような飛行に対してこれを追い払ったりするような緊急発進というのがございます。

 この緊急発進について、最近の動向を教えていただきたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 航空自衛隊全体での緊急発進の実施の状況についてでありますけれども、今年度における状況を申し上げますと、令和三年四月から令和四年の一月までの航空自衛隊による緊急発進の回数でございますが、八百三十四回でありまして、既に、昨年度の年間全体での緊急発進回数が七百二十五回であったわけですけれども、これを上回っておりまして、今年度における緊急発進回数は高い水準で推移をしてございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、引き続き、国際法及び自衛隊法に従いまして、領空侵犯措置に万全を期していく考えでございます。

小森分科員 今ございましたように、昨年度を既に超えるようなスクランブルの回数の増加でございます。厳しさを増す安全保障の環境を反映いたしまして、過去最多に迫るようなペースで進んでいるものというふうに認識をしております。そしてまた、小松基地に配備されております戦闘機によるものもこの回数に含まれているものでもございます。

 こうした、国防上どうしてもやらなければいけない必要な任務を背負っている中でございますが、一方でまた、冒頭よりございましたように、墜落の原因究明がこれからという状態でもございます。F15戦闘機の飛行の実施について、防衛省はどのような考えを持っており、そしてどのような対応をしてきているのか、お尋ねしたいと思います。

増田政府参考人 今般の事案を踏まえまして、防衛大臣から、全ての自衛隊の航空機に対する点検等の御指示をいただいております。

 これを踏まえまして、任務機を優先した全ての航空機に対する飛行前及び飛行後の点検並びに全ての操縦者に対する夜間飛行及び計器気象状態下における離着陸時などの各種緊急手順に係る教育をやっておりまして、この教育、点検が終了したものから、順次、訓練飛行を実施しているところでございます。かかる点検や教育が終了したものにつきましては、逐次、地元自治体にも御説明した上で、訓練飛行を実施しているところでございます。

 小松基地所属のF15戦闘機につきましては、今後、点検や教育が終了したものから、地元自治体を初めとする関係者の御理解を得ながら、訓練飛行を実施していきたいというふうに考えているところでございます。

小森分科員 大変重要な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 点検、そしてまた教育、また地元の理解というようなキーワードがあったと思います。基地の活動を支えていただいている地域の理解は重要であるというのは、これまでの答弁にもあったとおり、もちろんでございますけれども、仮にそれをおいたといたしましても、防衛省・自衛隊としても大変難しい苦渋の判断を現在迫られているというような状況ではないかというふうに思っております。

 先ほどお尋ねしたスクランブル発進といった、国の防衛上、どうしても行わないということが許されない任務もあるところでございます。しかし、それ以外にも、こうした任務に当たるパイロットの練度の維持あるいは技量の向上といった要素もゆるがせにはできないところでございます。訓練飛行をやらないままでいいというわけにもいかないという現状でございます。

 先ほど、小松基地以外では、順次、様々な対策を行いながら訓練飛行を行っているということでございました。

 他方で、原因究明は今後行われていくということでございます。確たる原因が究明されるというのは、どうしても時間的にしばらく先の話になるのではないかというふうに思います。しかし、それだけではなく、それらしい事故原因について述べることができるという段階にもまだ至っていないというのが現状ではないかというふうに思っているところでございます。戦闘機の飛行の安全性、あるいは大事なパイロットの安全にも関わるような問題でもあると思っております。

 この二つの問題、任務ですとか訓練、そして飛行の安全性、この二つに折り合いをつけるというのは本当に大変に難しいことだと思います。とにもかくにも、御答弁いただきましたように、現状としては、この点検と教育を通じて安全の確保というものには万全を是非期していただきたいというふうにお願いをいたすところでございます。

 そしてまた、一つ、できればというお願いでございますけれども、確たることを言えるようになる前の途中の段階におきましても、もしできればということではございますけれども、推定されるような事故原因などにつきまして発信をしていただけないかというふうに思っているところでございます。それは、心配を抱えている地域の方々へのメッセージにもなるのでないかというふうに思っているところでございます。

 さて、防衛大臣にはこれまでやり取りをお聞きいただきました。大臣、昨日の記者会見につきましても本件について発信をしていただいておりますけれども、この予算委員会の場におきましても是非お言葉をいただきたいと思います。御家族、御親族、そしてまた小松基地を始めとする全国の隊員がおります。同僚のパイロットがいたり、あるいは戦闘機の整備を任されてきている隊員もいます。そしてまた、捜索活動に当たっている隊員もいるところでございます。また、さらに、周辺の自治体、住民、それぞれへ、簡単でも結構でございますけれどもお言葉をいただけないかというふうに思います。

岸国務大臣 今般の痛ましい事故でございますが、事故発生当初より、関係者の御協力をいただきながら、陸海空の自衛隊を挙げて懸命なる捜索活動を行ってまいりました。しかしながら、死亡という報に接しまして、防衛大臣としては痛恨の極みであります。

 操縦者二名に対しまして謹んで哀悼の意を表しますとともに、御家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 お二人が所属していた飛行教導群は、日本の空を守る戦闘機パイロットを指導する役割を担っております。最精鋭のパイロットが集う部隊でありまして、その中でもこのお二人は極めて優秀なパイロットでありました。先輩や後輩からも慕われて、また極めて信頼され、活躍しておられたわけです。そのようなかけがえのないパイロット二名を失ったことは、私を含めた、小松基地等の隊員においても、筆舌に尽くし難いものであったと思います。

 地元の皆様には、御心配をおかけし、御不安をおかけしていることでもございますが、今般の事故において二人の命を失ったという重大な結果を防衛省としても重く受け止めております。

 事故原因の究明と再発防止、これに全力を挙げるとともに、今後の自衛隊機及び任務体制に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

小森分科員 大臣、大変どうもありがとうございました。

 多くの皆さんが、それぞれ、つらく悲しい思いをし、そしてまた、心配したり落ち着かない気持ちを抱えている状態なのではないかというふうに思っております。その一方で、起きてしまったことを現実として受け止めて、これから前に向かって進んでいかなければならないという葛藤をなさっているところだというふうに思います。このお二人の尊い犠牲というものを決して無にすることなく、そしてしっかりと弔いを行った上で、国の防衛に当たっていただきたいというふうに思います。

 原因究明がこれからではございます。また、国防上の問題もあってお話しいただける内容に制約が多い状況におきまして誠実に御答弁いただきまして、本当にどうもありがとうございます。

 この墜落原因の究明ですとか、そして、こうした墜落といったようなことが再び起きることがないこと、今後の任務の安全の確保についてお祈りを申し上げたいと思います。

 このF15の事案につきましては、これで終わらせていただこうと思います。

 残りました事案、ウクライナをめぐる軍事動向について、短い時間ではございますけれども、取り上げさせていただきたいと思います。

 これも連日大きく報道されているところでございますけれども、ウクライナの国境の付近に大規模なロシア軍が集結をしております。そしてまた、日米などから、自国民に対してウクライナからの避難について勧告がなされているような状況でもございます。

 ウクライナ周辺でのロシア軍のこれまでの動きについて、簡潔に説明をしていただきたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、ウクライナの国境周辺地域ではロシア軍の増強等によりまして緊張感が高まっていると承知しており、我が国として重大な懸念を持って注視しているところでございます。

 今後の展開について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、関係国による外交努力の動きが続いている一方で、ウクライナ周辺に約十五万人を超えるロシア軍が所在するとの指摘もございます。また、ロシア軍がウクライナ隣国のベラルーシにおいて共同演習を実施するとともに、黒海、地中海等にロシア海軍艦艇が集結するなどの動きが続いておりまして、今後、事態が急変する可能性もあるところでございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、ウクライナの主権及び領土の一体性を一貫して支持しているところでございまして、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携し、適切に対応していく所存でございます。

 また、防衛省といたしましても、ウクライナ国境周辺地域におけるロシア軍の増強の動きにつきまして、重大な懸念を持って注視してまいります。

小森分科員 ありがとうございました。

 極東地域におきましても、軍事的な行動、動きといったようなものも報じられているところでもございます。

 もし心配されているような事態の急変というようなことになりますと、ロシアによる力による現状変更の試みというものがなされるのではないかというような、大変差し迫った状況でございます。我が国日本にとっても決して他人事ではなく、今後の東アジアにおける安全保障環境に間接的にも影響が及びかねないような事態だというふうに思っております。

 今答弁いただいたとおりでございますけれども、こうした認識の下に、情報の収集や分析を含めまして、国の安全、防衛といった対応に是非万全を期していただきたいというふうにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 大変どうもありがとうございました。

島尻主査 これにて小森卓郎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 米軍が那覇軍港で行った軍事訓練について質問をいたします。

 米海兵隊は、二月八日から十三日まで、市街地に所在し、那覇空港に近接する那覇軍港で、MV22オスプレイやCH53Eヘリなどの軍用機を投入し、兵員約二百五十人が参加する軍事訓練を行いました。

 今回の訓練は、地元自治体、住民の意思を真っ向から踏みにじって強行したものです。

 昨年十一月、オスプレイやヘリが何の連絡もなく突然軍港に飛来し、多くの県民を驚かせました。かつてなかった運用がなされたことに対して、沖縄県の玉城デニー知事や城間幹子那覇市長は、二度と繰り返すことのないよう、厳重に抗議をしました。

 ところが、米軍は、こうした要請を全く意に介さず、訓練を強行しました。しかも、提供施設・区域内で行われる運用だから自治体の要請は受け付けないという姿勢であります。断じて容認できるものではありません。

 前回は、米軍機のメンテナンスで米本国に輸送するためだと説明していましたが、今回は正真正銘の訓練です。今後も繰り返され、常態化されるのではないかという不安の声が上がっています。

 まず、防衛大臣の基本的な認識を伺いますが、那覇軍港は、多くの県民、観光客が行き交う国道五十八号線に面し、すぐ近くには、沖縄の空の玄関口である那覇空港や、プロ野球の読売ジャイアンツもキャンプを張る沖縄セルラースタジアム那覇があります。様々な商業施設やホテル、観光関連施設、学校、病院、バスターミナル、官公庁などが密集している地域です。

 那覇軍港が市街地に所在しているという認識は、防衛大臣、お持ちですか。

岸国務大臣 米海兵隊は、令和四年二月八日から十三日の日程で、那覇港湾施設において人道支援や非戦闘員退避等の訓練を実施し、MV22オスプレイやCH53Eなどの航空機や、海軍の輸送艦艇が使用されたと承知をしております。

 一般論として申し上げますと、在外自国民保護を始め、緊急時における非戦闘員の退避においては、航空機や船舶など様々な手段を用いてこれに対応し、その過程において港湾や活動の場所として使用されることが想定されております。

 今般の訓練に際しても、米側の説明によれば、一般的に港湾施設の使用が想定される運用に係る訓練と考えられ、那覇港湾施設の使用主目的に沿ったものだと考えております。

 なお、米軍の訓練に際しては、公共の安全に妥当な配慮が払われるのが当然のことであり、防衛省としては、引き続き、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してまいります。

赤嶺分科員 質問に答えてください。

 私が聞いたのは、那覇軍港が市街地にあるという基本的な認識を、防衛大臣、持っているのかどうかであります。様々な施設が密集している地域であり、自明のことだと思いますが、改めてこの点、大臣の認識を聞いているのであります。

岸国務大臣 御指摘のとおり、那覇の港湾施設、国道が隣接して通っているということ、あるいは、隣接する民有地は商業等様々な用途のものが多数所在していること等を承知しておるところでございます。

赤嶺分科員 市街地だという認識を持っておられるということでしたけれども、こういう市街地で軍用機を使用した訓練を行い、何らかのトラブルが起これば、直ちに重大な事故に直結いたします。この点は普天間基地と同じなんですね。

 政府は、これまで、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は避けなければならない、このように強調してきました。同じように市街地にある那覇軍港での訓練になぜ反対しないんですか。

岸国務大臣 米軍は、その任務遂行能力を維持し、我が国の防衛など日米安保条約の目的を達成するために必要な訓練を行っているものと承知をしております。

 他方で、米軍の訓練に際しては、公共の安全に妥当な配慮を払うのが当然であります。防衛省としても、地元の皆様に与える影響が最小限となるように、適切に対応してきておるところでございます。

 本件に関し、防衛省としては、二月七日の午前中に現地米軍より情報提供を受けながら、継続的に情報提供を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限となるように、米軍への申入れを行う等の対応を行ってまいりました。引き続き、米軍の訓練に際して、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 公共の安全に配慮していない市街地の訓練だからみんな怒っていらっしゃるんですよ、知事も、那覇市長も、市民も。

 政府は、今回の訓練が、米軍基地の使用条件を取り決めた五・一五メモに反しない、このように強調しています。那覇軍港の使用主目的は港湾施設及び貯油所とされており、これに沿ったものだ、このように強弁しております。

 しかし、昨年十一月末までは、航空機を使って訓練が行われるなどということはありませんでした。それどころか、ほとんど使われておらず、半ば遊休化している状態でした。

 防衛省は、過去に那覇軍港で航空機を使用した訓練が行われた事例、これを把握しておりますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇港湾施設への米軍の航空機の飛来については、防衛省として常時確認しているものではなく、その全てを把握しているものではございません。

 ございませんが、その上で申し上げますと、今般、米海兵隊は、MV22オスプレイやCH53Eなどの航空機、海軍の輸送艇を使用し、人道支援や非戦闘員退避等の訓練を那覇港湾施設において実施したものと承知しておりますが、防衛省において把握している範囲において、同施設でこのような訓練が行われたのは初めてであると認識をしております。

赤嶺分科員 外務省に伺いますけれども、日米合同委員会の議事録などで、那覇軍港の使用目的に航空機の運用が含まれることを明示した文書を示すことはできますか。

金井政府参考人 御答弁申し上げます。

 那覇港湾施設に関しましては、その提供に関します昭和四十七年五月の日米合同委員会合意におきまして、使用の主目的といたしまして、港湾施設及び貯油所と記載されてございます。これは、同施設の使用の主たる目的を定めたものでございまして、米軍の活動が主目的としての形態に反するものでない限り、同施設での航空機の運用を排除しているとは考えてございません。

赤嶺分科員 外務省、私が聞いたのは、那覇軍港の使用目的に航空機の運用が含まれることを明示した文書、あなた方の解釈ではなくて、そういう文書を示すことができますか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 日米合同委員会におけます具体的なやり取り、協議内容に関しましては、外交上のやり取りでございますことからお答えを差し控えたいと存じますけれども、いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたとおり、那覇港湾施設の使用主目的は、ただいま御説明したとおり、港湾施設及び貯油所というふうに記載されているところでございます。

赤嶺分科員 今まで一度も航空機を使った訓練はしたことない、そして、航空機を使った訓練が認められる文書はあるかといえば、それは答えない、秘密だと。しかし、実際には航空機を使った訓練が行われている。

 那覇軍港の使用条件は、先ほど説明がありましたように、沖縄が本土に復帰する際、日米合同委員会で合意したものです。五十年前のものです。

 これは、防衛省あるいは外務省、どちらでもいいんですが、この五十年の間に那覇軍港の使用条件が改正されたことはありますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会合意、いわゆる五・一五メモでございますが、これにつきまして、当該合意以降、那覇港湾施設の使用条件がこれまでに変更されたという事実はございません。

赤嶺分科員 五・一五メモというのは、七二年に作られ、秘密でした。なぜ沖縄の基地の使用目的が秘密にされているのかと、一九九五年の少女暴行事件の直後に県民の怒りが爆発して、一九九七年に五・一五メモは公開をされました。こういう歴史を持つものであります。一度も改正をされず、半世紀前のままということであります。

 その一方で、日米間では、米軍機の飛行については、人口密集地域上空を避けるという方針は繰り返し確認されてきています。

 一つは、一九九九年の、米軍機の低空飛行訓練に関する合意です。在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を、安全かつ実際的な形で回避し、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、学校や病院等に妥当な考慮を払うと、航空機の運用について九九年の合意があります。

 さらに、二〇一二年の、沖縄へのオスプレイの配備に当たって交わした合意も同じです。低空飛行訓練について、原子力エネルギー施設、史跡、民間空港、人口密集地域、学校、病院などの上空を避けて飛行する。米軍施設・区域周辺における飛行経路について、周辺住民への影響を最小限とするため、進入及び出発経路を可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるよう設定する。このように明記しています。

 那覇軍港の主目的は港湾施設なわけですから、航空機の使用も想定される、このように強弁しておりますけれども、こうした航空機の運用についての日米間の合意は踏まえる必要があると思いますが、いかがですか。

金井政府参考人 御答弁申し上げます。

 繰り返しの御答弁で大変恐縮でございますが、先ほど来御示唆いただいております那覇港湾施設に関しましては、昭和四十七年五月の、累次御答弁申し上げております日米合同委員会合意におきまして、使用主目的として、港湾施設及び貯油所と記載されているところでございます。

 繰り返しで恐縮でございますが、この施設の使用の主たる目的の形態に反するものでない限り、同施設での航空機の運用を排除しているとは考えてございません。

赤嶺分科員 外務省、今私が質問したのを聞いていなかったんですか。

 その主目的、あなた方が強弁するものであったにしても、我々はそれを認めないんですけれども、しかし、その後五十年の間に、航空機の運用については、市街地上空は飛ばない、こういうことを、一九九九年やその後、オスプレイの配備のときにも、これは日米合同委員会合意として発表されているんですよ。

 五十年前の五・一五メモに加えて、この合意と併せて考えてみた場合に、市街地上空での航空機の運用はやめるべきではないか、このように考えるんですが、また、そのように合意されていると思うんですが、いかがですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど外務省の方から答弁があったことに補足的に、また、大臣からも、防衛省として、引き続き、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう適切に対応してまいりたい、申入れを行ったというようなことも申し上げたところでございます。

 その中で、これは二月七日でございますけれども、沖縄防衛局から沖縄の海兵隊に対しましては、航空機の運用に当たっては安全面に最大限配慮することということに併せて、MV22オスプレイの飛行に関する日米合同委員会合意を始めとする日米合同委員会合意にのっとること、そして、本件訓練に関する情報を引き続き提供すること、こういった申入れを行っているところでございます。

赤嶺分科員 合同委員会合意に基づけばその訓練は中止すべきであるということを日本政府は申し入れるべきですよ。配慮してくれなんて、米軍は配慮なんかしないですよ。はっきり物を言わないと駄目ですよ。那覇軍港では、合意に基づけば中止すべきものであると。

 この那覇軍港は、沖縄戦のいわゆる一〇・一〇空襲で破壊された那覇港を、その周辺の那覇市垣花町などの集落と一体で米軍が接収して、構築したものです。垣花の人々は、今でも、接収された軍事基地を前に、周辺に住んでおられます。静かな漁村でした。

 沖縄は一九七二年に本土復帰を果たしましたが、日米両政府が推し進めた沖縄返還は、県民の願いにも反して、占領下で構築した基地を存続させるものでありました。県民の怒りの高まりの中で、それから二年後の一九七四年に返還合意をしたのが那覇軍港です。本来であれば、とっくに返還されていなければいけない基地であります。ところが、移設条件をつけたために、いまだに返還は実現していません。

 遊休化していた基地の無条件返還を求めるのが政府のやるべきことであるにもかかわらず、これまで行われてこなかった、しかも、航空機を使用した訓練まで容認し、基地負担の拡大に手をかす、こういうことはあり得ないことですよ。

 日本政府は、県民の側に立って、二度と訓練が繰り返されることがないように、毅然とアメリカ側に申し入れるべきだ。配慮してくれじゃ駄目ですよ。やめろ、中止しろということを申し入れなければ駄目だと思います。このことを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、在日米軍のコロナ対策について伺います。

 まず、米軍が昨年九月以降に免除したのはどの検査なのかという点から確認をしますが、外務大臣は、昨年十二月二十二日の記者会見で、アメリカ側に照会した結果として、アメリカからの出国時と日本への到着直後の双方で検査を実施していないことが判明したと述べています。ところが、その二日後の二十四日の会見以降は、実施していないことが判明した検査として出国時のみを挙げるようになっています。入国直後の検査を挙げなくなったのはなぜですか。

本田大臣政務官 答弁申し上げます。

 御指摘のように、昨年十二月二十二日に行いました、林外務大臣からラップ在日米軍司令官に対する申入れ後の記者会見におきましては、林大臣から、キャンプ・ハンセンにおいて感染者が発生した部隊に関して、米国からの出国時と日本への到着直後、共に検査を実施していないことが判明したと述べました。その上で、出国時も到着直後も両方検査をしていないという運用は日本側の措置とは整合的だとは言えないということを述べたわけでございます。

 その上で、十二月二十二日の申入れにおきましては、林大臣からラップ司令官に対して出国前及び入国時の検査の実施を徹底するよう求めたことに対しまして、司令官の方からは、出国前検査を行うこととしたということ、また、入国時の検査については、入国後に実施していた検査に追加して何かほかにできないか検討することとしたという説明がございました。

 他方で、十二月二十四日の記者会見における林大臣の発言は、在日米軍が以前から実施していた出国時の検査について新たな事実が判明したわけでございます。昨年の九月三日から免除していたのは、キャンプ・ハンセンにおいて感染者が発生した部隊のみだけではなくて、全世界を対象とした米国防省の方針に基づいて、ワクチン接種者については、昨年九月三日以降、出国前検査を免除していたということが確認されましたので、そのことについて焦点を当てて説明をしたということでございます。

 その上で、在日米軍は、昨年十二月二十二日の林大臣からの強い申入れを受けまして、昨年十二月二十六日からは出国前の検査を再開するとともに、より一層日本側の措置と整合的となるように、昨年十二月三十日以降は入国後二十四時間以内の検査も実施するということにしたわけでございます。

赤嶺分科員 つまり、入国直後の検査は、これまでずっと米軍では行われていなかったという理解でよろしいですか。

金井政府参考人 事実関係でございますので、私より御答弁申し上げます。

 先ほど政務官からも御答弁申し上げましたとおり、昨年十二月三十日以降、林大臣を含めまして私どもからの強い申入れを受けまして、在日米軍といたしましては、入国後二十四時間以内の検査を実施することとしたものでございます。

赤嶺分科員 前はやっていなかったわけですよね。出国時の検査は九月に緩和されたけれども、入国直後の検査というのはそれ以前からずっとやっていなかったわけですよ。

 出国前だけでなく入国直後の検査が義務づけられております。そもそも日本側の措置と整合していなかった、そういうことではありませんか。

金井政府参考人 重ねて御答弁申し上げます。

 御照会の入国直後の検査の件でございますけれども、在日米軍関係者は、軍用機等で在日米軍施設・区域から直接入国する場合につきまして、米国からは、米軍の部隊がワクチン接種済みであること、さらに、入国後に、行動制限期間を終了するまで施設・区域外に出ないことを含む厳格な行動制限に置かれるということを前提といたしまして、入国後五日目に検査を実施しているという説明を従来から受けておりました。

 いずれにいたしましても、昨年十二月以降の感染者の拡大を踏まえまして、私どもからの強い申入れを受けまして、昨年十二月三十日以降は入国後二十四時間以内の検査を実施することとしたものでございます。

赤嶺分科員 今日はちょっと時間がなくなってしまっているんですけれども、米軍の検疫体制が一層拡大悪化したのが、一九九六年のSACO合意のときに結ばれた日米合同委員会合意であります。ここでも、極めて屈辱的で、主権のない状態があります。

 それで、最後に一問、ちょっと聞きますけれども、米軍関係者の検疫について、日米地位協定でどのように取り扱われているかということについて確認します。

 日米地位協定九条は、米軍関係者が外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外されることを規定しています。過去の政府答弁でも、地位協定上は何ら規定がない、このように答弁してきました。管理に検疫が含まれるという説明は聞いたことがありません。

 外務省は、報道にあるように、管理に検査が含まれるという見解ですか。これまでの政府見解を変えたということですか。

島尻主査 金井大臣官房参事官、質疑の時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

金井政府参考人 御答弁申し上げます。

 一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えております。

 以上は、日本に駐留する米軍についても同様でございまして、このような従来の見解に変更はございません。

赤嶺分科員 終わります。

島尻主査 これにて赤嶺政賢さんの質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭さん。

長妻分科員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。

 今日、木原副長官にもお出ましいただいて、本当に木原さんは内閣の要で、機動力が売りなんですから、コロナ対策で木原さんがいながら後手後手に回っている、ちょっと残念でなりませんので、本来の持ち味の機動力を十分発揮していただきたい。本当に、期待しているんですから、お願いします。

 今日は、安全保障ということでございまして、まず、ウクライナ情勢が緊迫しております。今日十六日にも侵攻があるのではないかと言われておりますけれども、木原副長官は情報収集の担当でもあるということでございますので、質問させていただきます。

 まず、米国は、二〇一八年に国家防衛戦略を策定して、今日、二正面作戦は大変困難であると。つまり、例えばウクライナで何か起こった場合、そこに軍事力がある程度割かれる。そうしたときに、その空白を狙って、日本近海、日本海周辺の、尖閣を含めて、いろいろなところで他国が何らかの行動を活発化するのではないかという懸念を私も非常に持っているところでございます。

 ウクライナ侵攻があるかどうかは別にして、いずれにしても、そういう状況が仮にあったときにというか、今の段階で、他国が空白が起こる可能性を見ながら日本近海で動きを活発化している、そんなような情報というのはどれだけ入っておりますでしょうか。

木原内閣官房副長官 ウクライナの情勢については、予断を持って申し上げることは避けたいというふうに思います。

 その上で、委員から御指摘いただいたとおり、我々の周辺の国際環境は極めて緊迫している、そして不安定さを増している状況でありますので、常日頃から情報収集に全力を挙げているところであります。その一つ一つについてここでお答えすることは差し控えたいというふうに思いますが、様々な情報に接しているところでありますので、緊張感を持って対応してまいりたい、このように思っております。

長妻分科員 ちょっと余りお答えいただいていないんですけれども。

 これは、防衛大臣、米国の軍事力の空白を狙って、日本海周辺、日本周辺で、中国など、動きが活発化する予兆などというのはつかんでおりますでしょうか。

岸国務大臣 ロシアの海軍が各管区で演習をしております。その中で、我が国周辺においては、オホーツク海において二十隻を超える艦船が活動をしていると承知しております。

長妻分科員 私が聞いたのは、尖閣とか、東シナ海を含めて、そういうところでの中国の活動については、今時点でどんな現状でございましょうか。

岸国務大臣 東シナ海、とりわけ尖閣の周辺におきましては、中国艦船については恒常的に活動しておるところでございますから、こういったことに対しまして、防衛省・自衛隊としては、しっかり注視をしてまいりたいと考えております。

長妻分科員 そして、木原副長官にお尋ねしますが、仮にロシアがウクライナ侵攻をしたとすれば、日本はどんなような制裁を科そうというふうに考えているのか、概要ぐらいはちょっとお示しいただければ。

木原内閣官房副長官 ウクライナの情勢について、予断を持って申し上げることは避けたいというふうに、控えたいというふうに思いますが、他方で、一月二十一日、バイデン大統領と岸田総理の間で会談を行われた際には、いかなる攻撃に対しても強い行動を取るということについて、米国あるいは国際社会、その他の友好国との間で緊密に調整をしていくということを申し上げておりますので、しっかりとした対応をしていきたい、このように思います。

 その中身については、まさに今調整中ということでありますので控えたい、このように存じます。

長妻分科員 強い行動を取る中の経済制裁についても、今からというか、もう相当詰めていただいていると思いますけれども、是非、厳重な形で実施していただきたいというふうに思います。

 そして、インテリジェンスについては、私自身は、日本は特に専守防衛ということなので、専守防衛の国だからこそ、インテリジェンス能力は世界有数のものをやはり持つ必要があるんじゃないかと。世界の比較を、いろいろな資料を見ますと、残念ながら、日本のインテリジェンスは人員も予算も最低レベルなんですね、先進国で。本当に残念なことでございます。

 巨大な装備に比べて、人件費中心のインテリジェンス予算というのはそれほど大きいものではないので、効果は相当大きいわけですから、何でこれを日本はきちっと増強しないのかなというのは、私も、当選以来、インテリジェンス研究会のような形でいろいろ勉強会をやっておりますけれども、再三再四申し上げておりますが、なかなか。まあ、少しは進んでいるんですけれども。

 これについて、今後の意気込みを副長官に。

木原内閣官房副長官 冒頭、長妻委員から御指摘いただいたとおり、我が国にとって、情報、インテリジェンス機能というのが極めて重要だということは、全く思いは一緒でございます。

 そうした中で、我が国を取り巻く国際環境はますます厳しくなっておりますし、そして不確実性も増していますので、我が国の国益を守り、また国民の安全を守っていくためには、情報収集、分析、集約、これが極めて重要であります。

 今回も経済安全保障面のインテリジェンス機能の強化に取り組ませていただいておりますけれども、更に内閣として体制の強化そして能力の強化に努めてまいりたい、このように考えております。

長妻分科員 是非、本当に本気でお願いしたいと思います。

 それでは、木原副長官、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。よろしくお願いします。

 そして、敵基地攻撃能力について質問をいたします。

 限界事例で考えると、例えば、日本が物理的に他国から攻撃された、攻撃を受けた、つまり我が国の領域内にミサイルが着弾した、その後、連続してミサイルが我が国に飛んでくる、あるいはミサイルの飽和攻撃がある場合、日本の、あるいは米国と合同のミサイル迎撃体制では防御が難しい。こういう場合、難しいから撃たれっ放しだ、こういうわけにはいかないわけでございます。国民の命を守るために、そういう場合、どう防御するのか、これは私は議論する必要はあると思うんですね。

 ただし、その際には、私は、大きく三つの留意点があると思う。一つはまず日米の役割分担、自衛権発動の三要件の中の必要最小限度、そして三番目に技術的限界。この三つに留意して、整合的に議論する必要がある。

 私は、こういう議論の中で一番よくないのは、議論をごまかすということだと思います。きちっと議論を明確にしながら、その是非を含めて議論していくという姿勢が重要だというふうに考えているところでございます。

 その脈絡の中で幾つか質問をいたしますと、まず、この敵基地攻撃能力といったときに、その手段ですね。いろいろな選択肢があると思うんですが、具体的に言うと、兵器。これは検討の対象外だというような兵器については、具体的にどういうものがありますでしょうか。

岸国務大臣 今委員御指摘のとおり、我が国の周辺には多数の弾道ミサイルが配備をされております。そうしたところに対して、我が国としてもしっかり守りを固めていかなければいけない。

 そういうことで、弾道ミサイル、BMDの体制をこれまでも取ってきたところでございますが、ミサイルを撃ち落とすということだけで我が国の防衛を全うできるかという問題意識の中で、先般から、いわゆる敵基地攻撃能力を含めたあらゆるオプションを検討していきましょう、もちろん、国際法や憲法の下で、日米の基本的な役割分担を変えない範囲で検討していきましょうということがございました。

 その中で、当然ながら、必要最小限度ということになります。そういう意味で、武器としては、例えばICBMとか攻撃型の空母とか、そういった、それだけで相手方をせん滅するような攻撃的な武力というものは保持をしないという考えであります。

長妻分科員 そうすると、敵基地攻撃能力を持つと選択した場合でも、ICBMとか攻撃的空母、例示だと思いますが、これは兵器の選択肢から除外する、つまりそれは持たないと。

 この中には長距離戦略爆撃機も入りますか。

岸国務大臣 長距離戦略爆撃機も入ると考えております。

長妻分科員 敵基地攻撃能力を持ったとしても、長距離戦略爆撃機は入れないということでございます。明確な答弁だと思います。

 もう一点、排除する兵器、手段として、これはどうなんでしょうか。

 相手国の領空内に戦闘機が入って、その戦闘機から爆撃をする、爆弾を落とす。相手国の領空に我が国の戦闘機が入って、もちろん自衛権の三要件を満たした上でですよ、それは当たり前ですが、戦闘機が相手国に入って爆撃する。これについては排除するのかしないのか、いかがでございますか。

岸国務大臣 従来から、武力の行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきておるところですが、一方で、昭和三十一年の統一見解で示されたように、誘導弾等による攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置を取ることは、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的に自衛の範囲内に含まれ、可能であると解してきているところでございます。(長妻分科員「それは分かっているんです。航空機による爆撃は排除するんですか」と呼ぶ)

 これは、もちろん、三要件は重要ではございますけれども、その上で、排除されないものだと思います。

長妻分科員 排除されないということですね。

 つまり、世間は、敵基地攻撃能力というと、ミサイルを発射して相手国の敵基地を破壊するというようなイメージを持っておられる方も多いと思うんですが、それだけではなくて、選択肢としては、相手国の領空内に我が国の戦闘機が入って爆弾を落とす、こういうことについても検討の選択肢としては排除しない、こういうことでよろしいですね。

岸国務大臣 まず必要最小限度、それから他に手段がない場合、このような条件はもちろん、三要件の下で考えなければなりませんけれども、あと、そのことについては、全体の状況によって判断してまいらねばならないと考えております。(長妻分科員「排除しないということか」と呼ぶ)排除しないと考えております。

長妻分科員 こういうふうに明確にいろいろ議論をしていかないといけないと思います。

 次に、これも難しいところがあると思うのが、存立危機事態での、我が国の自衛権の事態になったときの敵基地攻撃能力だと思うんです。

 武力攻撃事態の場合、これは、我が国が攻撃を受けて、更にミサイルが飛んできたときに的確にミサイル迎撃だけでは防御できない場合、これはやはり何らかの能力を持たなきゃいけないというようなことについて、当然、アメリカの打撃力というのが不十分だという前提があると思うんですけれども、いろいろな議論はそこで出てくると思うんです。

 ただ、存立危機事態の場合は、我が国が物理的には攻撃を受けていないが我が国に危険がある、こういう状況ですよね。存立危機事態、さんざん議論しました。その場合、我が国が物理的に攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカからの要請で、敵基地を我が国のアセットで攻撃をしていくというのは、ここら辺になると、国民的合意というのがなかなか、個別的自衛権と集団的自衛権で相当違いが出てくるんじゃないかというふうに大臣も思われませんか。

 という意味では、検討するとき、存立危機事態下の自衛権発動の敵基地攻撃能力と、武力攻撃事態、つまり個別的自衛権の中での敵基地攻撃能力と、おのずから違いが出てくるんじゃないかと思うんですが、そこら辺はいかがですか。

岸国務大臣 武力の行使という点において、基本的にやはり新三要件の下で行われるという判断でありますから、いかなる事態であってもその部分は変更はない、変わりはないというふうに認識をしております。

 その上で、検討の結論を予断することは差し控えさせていただきます。いわゆる敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢をこれから議論してまいります。国家安保戦略策定の中で、我が国憲法と国際法の範囲内でしっかりと議論してまいりたいと考えております。

長妻分科員 もう一つ、今回の敵基地攻撃能力の議論を始めるきっかけ、契機なんですが、これは、ありていに言うと、米国の打撃力が相対的に弱くなっている、これが一つの契機になっている。大臣、別に全部答弁書を読む必要はありませんので、基本的なことでやり取りをしたいので、米国の打撃力が相対的に弱くなっている、こういうことも一つの契機になっているということでよろしいわけですね。

岸国務大臣 米国の力の相対的な低下というよりは、私は、むしろ、全体的な技術力の進歩とかそういった面でのことで検討していかなければならないんだと思っております。

長妻分科員 これは私は相対的という言葉だと思うんですよね。別に米国の絶対的な打撃力は落ちてはいないけれども、他国が相当技術的に進歩すると米国の打撃力が相対的に弱くなってくる、そういうことではないんでしょうか。

 これは、配付資料の一ページ目でございますが、過去、船田国務大臣が答弁をされているんですね。つまり、「他に防衛の手段がある場合に敵基地をたたくということはない」ということをおっしゃっておられるんですね。他に防衛の手段というのはどういうことかというと、船田答弁によると、日米安保条約、共同作戦、米国の軍事力。つまり、それが他に防衛の手段があるということなので、それは「いわゆる他に方法があるということになるかと存じます。」ということで、この当時、これは昭和三十一年の答弁ですので相当昔ですから、米国の打撃力があるからこれは他に防衛の手段があるんだ、だから敵基地をたたくということはない、こういう答弁があるんでございます。

 そうすると、他に防衛の手段というのが今まではあったから敵基地攻撃能力は我が国は保有しない、こういうことにもつながるわけでございますが、他に防衛の手段としての米国の打撃力がなくなってきた、もちろんゼロか一〇〇じゃないですけれども、弱くなってきたということがこの答弁を変える契機になっているんじゃないでしょうか。いかがですか。

岸国務大臣 他に手段がないというところですけれども、我が国としていかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかということについては、実際に発生をいたしました武力攻撃の規模や態様といった個別具体的に判断されるものであるというふうに考えておるところでございます。米軍の支援の有無といった限られた与件のみをもって判断されるものではないと考えております。

長妻分科員 これは、そうすると、我が国が仮に敵基地攻撃能力を持ったとした場合、日米の役割分担というのは変わると思うんですよ。大臣、そう思いませんか。日米の役割分担というのは、その場合でも全く変わらないんですか。全く変わらないということでいいんですか。

岸国務大臣 二〇一五年のガイドラインに基づきますと、日本の防衛については、自衛隊が主体的に日本の防衛に当たる、米国はあくまでもそれを支援するという立場でございます。こういう基本的な役割分担を変えないで議論をしたいと考えておるところでございます。

長妻分科員 基本的な役割分担を変えないというのは今おっしゃったんですが、ただ、役割分担は全く変えないということではないですよね。これは、変更は一定程度、もちろんありますよね。

岸国務大臣 これから議論をしていくことでございます。予見をするようなことは避けたいと考えております。

長妻分科員 だから、基本的には変えないというふうにおっしゃいましたが、全く変えないわけじゃない、そういう選択肢もあるということですよね。

岸国務大臣 今本当に申しましたように、これからしっかり、様々なオプションを、あらゆるオプションを含めて議論をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

長妻分科員 これは、米国と相当厳密にすり合わせていただかないといけないというふうに思います、我が国が独りよがりの議論を進めていくわけにはいきませんので。

 そして、最後に、タイミングというのが難しいと思うんですね、敵基地攻撃能力。もちろん、先制攻撃は国際法的にも国連憲章でも許されませんので、先制攻撃と取られないようにしないといけない。ここが私は心配なところです。

 一つは、着手。つまり、武力攻撃事態というのは、武力が物理的に発生していなくても、武力攻撃の着手があれば、自衛権発動の三要件がそろっていれば武力行使できる、これが我が国の解釈でありますが、ただ、着手の段階で我が国が敵基地攻撃能力を発動するということは非常に難しいところです。

 今までは、着手については、どういう場合かというのは厳密にそれほど日本では議論されていなかったんですね。

 この配付資料でも、二ページ目の上でございますが、幾度となく答弁がありますが、例えば、令和二年の七月八日の河野太郎国務大臣の答弁。着手については、どういう時点かというと、何を見ながら判断しなきゃいけないかというと、その時点の国際情勢、相手側の明示された意図、攻撃の手段、攻撃の態様などによるものであり、個別具体的な状況に即して判断すべきものだと。ちょっと抽象的なんですよね。

 これは、実際にどのタイミングでできるのかというのが非常に分かりにくいところでありますので、果たしてその着手の段階で日本が反撃して耐え得るのかどうかというようなことも相当議論しなければいけないというふうに思うんですが、この着手の基準というのを厳密にもっと、こういうアバウトではなくて、考えていくということも併せてやらなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでございましょう。

岸国務大臣 我が国に対する武力攻撃の発生は、委員御指摘のとおり、着手の問題であります。

 そして、その着手については、今御指摘のとおり、その時点の国際情勢とか相手方の明示された意図等々、個別具体的な状況に応じて判断していくものでございます。(長妻分科員「もうちょっと基準を研究していただけませんか。基準を明確化してもらえませんか」と呼ぶ)非常に、これは事態に即して判断していかなければいけませんので、難しい問題だと考えております。(長妻分科員「明確に。もうちょっと基準を研究してもらえませんか、研究」と呼ぶ)この時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

長妻分科員 これは、着手の段階で敵基地攻撃能力を発動するとすれば、相当いろいろ考えてやらないと、ちょっとどういう状況か、もちろんアメリカとの共同作戦になると思いますが、相手方は、もう現実には我が国を攻撃する形で着手をしていたにもかかわらず、攻撃されてミサイル等が破壊された場合、仮に、向こうの国は、いやいや、それはそういうつもりはなかったのに先制攻撃だ、こういうふうに国際社会に訴えた場合、我が国は、きちっとそれに対して反論するための証拠なり根拠なり基準なりを持っていないと、国際社会の中から先制攻撃とそしりを受けかねないと思います。

 存立危機事態についても、米国側が武力攻撃を受けた、それも、米国側が物理的に受けていなくて、米国が、自分たちに武力攻撃の着手があったという前提で、我が国に対しても、敵基地攻撃能力、協力してほしいと言われたときに果たしてどういう対応をするのか、どういう検証、確認をするのか、これは相当精緻な議論をしなければいけない。

 冒頭私が申し上げましたような、日米の役割分担、必要最小限度、技術的限界、こういうものを、議論をごまかさずに、精緻な形で議論をしていくということをお願いいたしまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

島尻主査 これにて長妻昭さんの質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木英敬さん。

鈴木(英)分科員 自民党の新人、鈴木英敬でございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず、質問に入らせていただく前に、先日、航空自衛隊小松基地所属のF15戦闘機が墜落した事故で、搭乗していた男性操縦士二名の貴い命が失われました。心から御冥福をお祈りをいたします。

 また、厳冬の中、捜索活動に当たっていただいた皆様に敬意と感謝を申し上げつつ、関係者の皆様におかれましては、痛恨の極みであったろうと思います。改めて、今後このような悲しい思いを皆がしないようにするためにも、防衛省・自衛隊におかれましては、徹底した原因究明と再発防止に取り組まれることを切に願います。

 さて、ウクライナ情勢が緊迫度を増す中、岸防衛大臣始め防衛省の皆様におかれましては、あらゆる事態に備えて緊張感を持って対応していただいていること、心から敬意と感謝を申し上げます。

 また、今年は、今のウクライナ情勢もそうですけれども、戦略三文書の改定、秋の中国党大会、米国中間選挙を始め、我が国の安全保障にとって命運を左右する分水嶺となる一年であり、私も、本日、緊張感を持ちながら議論をさせていただきたいと思います。他方、防衛関連の質問をさせていただくのは初めてでありますので、至らぬ点ばかりだと思いますが、御容赦いただければと思います。

 では、まず、木原副長官が御多忙の中お越しいただいておりますので、少し順番を入れ替えて、最初に質問させていただきたいと思います。意思決定権者の実践力の向上ということを、知事の体験からさせていただきたいと思います。

 実は、私は、東日本大震災の翌月に知事に就任しました。就任五か月後には、紀伊半島大水害という、三重、奈良、和歌山で三十名の死者・行方不明者が出る災害に見舞われました。また、南海トラフ巨大地震が三十年以内に七〇から八〇%起こる、そういうような状況の中、常に万全を期す、そういう対応を取ってきました。

 我が国の安全保障のことと比べれば全くレベルの違う話で大変申し訳ないんですけれども、共通することもあると思います。それは、人間は万能ではない、訓練でできないことは本番で絶対にできないということであります。したがって、様々な事象に備えて、政治家、トップリーダーも率先して訓練を行うことが大事です。

 現在のウクライナ情勢もそうです。また、台湾海峡のこともそうです。我が国や国民を守り抜くための備えを怠ってはならず、特に、最終的に重大な決断を下さなければならない意思決定権者は怠らず練度を高めることが必須です。

 木原副長官始め政権幹部の皆様に大変口幅ったいことを申し上げて恐縮でありますけれども、お尋ねしたいと思います。

 各種有事対応、万が一の事態に万全を期す観点から、想定されるシナリオに対処するため、防衛省や各部隊のみならず、政治家である政府首脳自らが率先して図上訓練や演習等を、非公表でも構わないので、継続的かつ積極的に行い、そこから抽出された課題を順次改善していくという不断の努力を行うことが必要であると考えますが、木原副長官の御所見をお伺いします。

木原内閣官房副長官 まず、委員が知事時代に意思決定権者として、まさに練度を高めるための様々な努力を積み重ねられたこと、敬意を表したいというふうに思います。

 そして、まさに政府も全く同じだというふうに認識をいたします。事態が発生したときに、時間的な制約がある中で的確な判断を行うということが政府して最も果たすべき責任であるということでありますので、様々なレベルの参加者を含めた常日頃からの訓練の重要性について強く認識をしているところであります。

 政府としては、平素より様々な事態への対応を想定をしながら各種の訓練等を実施しているところでございまして、今後とも不断に検討、訓練等を行い、対処に万全を期していくとともに、我々自身の練度をしっかり高めていきたい、このように思っております。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 岸田総理の最側近でいらっしゃる木原副長官から、政治家としても練度を高めていく、そういう力強いお言葉をいただきました。大変ありがたく思います。

 木原副長官におかれましては、退席していただいて結構です。ありがとうございます。

 続いて、国家安全保障戦略の改定に関連してお尋ねをします。

 現行の戦略が策定されましたのは平成二十五年です。当時と比べて我が国安全保障を取り巻く環境が変化していることは自明であり、その変化を踏まえた改定が必要です。

 例えば、国益の定義についてです。政府文書で国益が初めて定義され、画期的な取組でしたが、その後、経済安全保障、インド太平洋に関する取組の進展、あるいは中国、韓国の歴史戦の展開、安全保障分野で見ても、宇宙、サイバー、電磁波などの新たな領域におけるリスクの高まり、また、ハイブリッド戦による守るべき対象の拡大や複雑化、国益自体の定義を左右するような大きな変化もあると私は考えており、国益の定義も今後の安全保障状況に目を向けながら見直していく必要があると考えております。

 戦略の三要素は、目標、手段、方法であり、特に目標に関わる守るべき国益をしっかり再定義しておくことは根幹的に重要であると認識しています。

 そこで、お伺いをいたします。

 今回の戦略改定において、見直す部分は多岐にわたると考えますし、取りまとめは国家安全保障局で行われますが、現時点において、防衛大臣として、今回、改定に臨む基本姿勢等についてお伺いしたいと思います。

岸国務大臣 今、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しております。

 北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されることではありませんし、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできないと考えます。

 こうしたミサイルの問題や、一方的な現状変更の試みの深刻化、そして軍事バランスの急速な変化、宇宙、サイバーといった新しい領域や経済安全保障といった課題もあります。これらの現実から目を背けることなく、政府一丸となって、我が国の領土、領海、領空を、そして国民の生命と財産を守り抜いていかなければなりません。

 新たな国家安保戦略の内容について、現時点ではお答えを差し控えますが、我が国の防衛の任に当たる防衛大臣として、国民の命、暮らしを守るために、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく、そういう観点から、しっかりと政府内で議論を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 今、大臣から、当然、今は検討過程で、政府としてワンボイスで答えていかないといけないところがありますから、詳細をおっしゃっていただけないのは当然だと思いますけれども、岸大臣から、抜本的に強化をする、あらゆる選択肢を排除しない、そういうことをおっしゃっていただきましたので、大変心強く感じているところであります。

 続きまして、在外邦人の保護についてお尋ねをしたいと思います。

 今般のウクライナ事案に際しましても、昨日、岸田総理もウクライナ大統領と電話会談を行うなど、関係者一丸となって邦人退避に全力を尽くされていること、心から敬意を表する次第です。

 他方、台湾有事について、万が一のことが発生しないよう、まず努力するのが大前提ではありますが、識者の中には、中国軍は一貫して台湾侵攻に余念がないとの見解を示す方もいらっしゃいます。台湾が侵攻されれば、先島諸島は紛争に巻き込まれます。危機管理の要諦は、空振りはあってもよいが、見逃しはあってはならない。万が一への備えを怠るわけにはいかない、そう考えます。

 台湾には在留邦人が約二万人おり、有事の際、邦人救出となれば、規模で見ても、同時に起こる事象を想定しても、国家的なプロジェクトとして取り組まなければならないものであり、そのためには、平素からの連携や体制整備が必要なことは明らかです。即応性がない態勢は有事には機能しません。

 米軍が、昨年、アフガンから約十二万人超の救出作戦を実行する際、約六千人の米軍部隊を送り込み、約二週間かけて救出したと言われています。また、朝鮮半島有事が発生した際には、韓国における邦人輸送体制も、関係機関が連携して万が一の場合に備えるとも聞いております。

 そこで、お伺いします。

 台湾有事の際の邦人救出に備え、防衛省として、外務省始め我が国の関係機関との連携はもとより、同盟国である米軍との事前協議、台湾の公的機関との連携も含め、あらゆるリソースを活用した対応の準備を行っておくべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

岸国務大臣 まず、台湾をめぐります基本的な我が国の立場でございますが、対話により平和的に解決することを期待するというのが我々の一貫した立場であります。

 その上で、防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態において適切に対応できるように不断に検討しているところですが、事柄の性質上、その内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えます。

鈴木(英)分科員 平和的解決を大前提にということであるのは当然であると思っておりますけれども、是非、万が一に備えて準備を怠らない、空振りはあっても見逃しはあってはならない、そう思っています。岸大臣におかれては、台湾の友人、仲間も大変多い先輩でいらっしゃいますので、是非、そういう思いも込めて準備の方をお願いをしたいと思います。

 続きまして、今回のメインの一つでもあります防衛産業基盤の強化についてお尋ねをしたいと思います。

 実は私、経済産業省勤務時代、安全保障貿易管理課で武器輸出三原則の担当をしておりましたので、装備品や防衛産業の強化について大変思い入れを強く持っております。

 日本の防衛産業は自衛隊の任務遂行と密接不可分であり、有事において、防衛産業の能力を確保できていなければ、我が国や国民を守り続けることはできません。したがって、防衛産業の基盤強化は国家の責務であります。

 しかし、近年の防衛費増にもかかわらず、FMSによる米国からの購入割合が増加をし、国内防衛産業からの調達額が横ばい又は減勢傾向にあり、また、企業が得る利益率が低水準にあることなども影響し、防衛部門から撤退する国内企業が出始めています。これでは国内防衛産業が衰退しかねず、装備品の開発整備等に深刻な影響が出かねません。

 そこで、お伺いします。

 現行の防衛大綱や中期防において、産業基盤の強靱化というのが盛り込まれていますが、先ほど私が述べた現状認識を踏まえつつ、取組の進捗状況等についてお伺いしたいと思います。

岸国務大臣 防衛省は、大綱や中期防に基づいて、産業基盤の強靱化のための、企業間の競争環境の創出に向けた契約制度の見直しやサプライチェーンのリスク管理強化、装備品の海外移転推進等の政策に取り組んでまいりました。

 近年、今委員の御指摘もありましたとおり、FMSの調達が高水準で推移をしている、複数の企業が防衛事業から撤退するといった、防衛産業基盤の現状が非常に厳しい状況に陥っているという状況だと思います。

 厳しさを増す安全保障環境や技術革新の急速な進展等の状況を踏まえれば、我が国の防衛を全うするためには、防衛産業、技術基盤の維持強化への重点的な取組が不可欠であります。

 特に防衛産業は、自衛隊のオペレーションに不可欠な装備品の研究開発、生産、維持整備を担っている、我が国の防衛力の一部であります。基盤強化が急務であるというふうに考えておるところでございます。

鈴木(英)分科員 岸大臣から大変力強いお言葉と、一方で、大変、防衛産業基盤、厳しい状況を迎えている、そういうお話もいただきました。

 続けてお伺いします。

 私が述べましたような現状を踏まえた上で、令和四年度予算に盛り込まれた組織体制の強化も含め、当面の主な具体的取組と、今般の防衛大綱、中期防改定において検討するべき主な課題等について、防衛省の見解をお伺いします。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの当面の具体的な取組でございますけれども、防衛省は、令和四年度予算案におきまして、防衛産業支援などの中核的な機能を果たす、防衛産業政策室と称しておりますが、これの新設を組織的にやるということと、予算上のものとしましては、防衛産業のサイバーセキュリティーの向上、製造工程の効率化、米軍調達への参入などといった防衛産業基盤の強化に必要な措置を促進していくための経費を増額いたしまして、三十二億円確保しているというところでございます。

 また同時に、自衛隊の任務遂行に必要な機能を見据えた研究開発の実施、あるいは生産技術基盤の将来にわたる維持強化、装備移転の推進を図るための施策としまして、昨年の十一月ではございますが、防衛装備庁長官の下に、研究開発、取得、あとは企業の利益率に係る検討、装備品の海外移転の推進というこの三つのものを検討するワーキンググループを設置しているところでございます。

 もう一点、今後検討すべき点といたしましては、例えば、企業の競争力、技術力の維持強化でございますとか、新規参入の促進、強靱なサプライチェーンの構築、サイバーセキュリティー対策、装備移転の促進等があると考えております。

 これらにつきまして、新たな防衛大綱等の策定の検討を進めてまいりましたが、これに際しまして、防衛生産、技術基盤の在り方に焦点を当てて議論をいたしまして、防衛産業活性化のための抜本的な対策を検討してまいりたいと考えてございます。

鈴木(英)分科員 担当セクションも新設していただいたり、あるいは予算も増額していただく、またワーキンググループも設置をしていただいているということですし、大綱あるいは中期防の改定に臨むに当たり、抜本的に強化をしていきたいという力強い言葉をいただきました。

 防衛技術について少し述べますが、この防衛技術は、自衛隊員の命はもとより、国民の命を守る技術です。にもかかわらず、我が国の科学技術予算は安全保障分野と遮断されているとともに、防衛省の研究開発予算は他国と比べても少ないと言っても過言ではありません。国家全体として産学官の連携強化の下、デュアルユース技術の研究開発にも力を注いでいく必要があると認識しています。

 そこで、お伺いします。

 先ほど来述べました防衛産業基盤の強化やデュアルユース技術を含めた研究開発は、一朝一夕に果たすことはできません。そこで、戦略三文書に基づきつつも、それとは別に、より具体的な政策展開を行うための戦略やプランの策定を行うべきであると考えております。これは既存戦略の改定も選択肢としてあり得ると思いますが、いずれにしましても、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

岸国務大臣 防衛省はこれまで、平成二十六年の六月に策定されました防衛生産・技術基盤戦略に示されました防衛生産、技術基盤全体の将来ビジョンを踏まえて、基盤の維持強化に関する様々な施策に取り組んでまいったところでございます。

 防衛産業は、我が国の防衛力の一部であり、基盤強化が急務であるとの認識の下で、新たな国家安全保障戦略等の策定の議論と併せて、防衛生産、技術基盤全体の将来ビジョンについても徹底的に見直し、その維持強化のための抜本的な対策を検討してまいります。

鈴木(英)分科員 大臣、ありがとうございます。

 平成二十六年の戦略も踏まえながら、抜本的な強化についてしっかりと検討していくという前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。

 続きまして、宇宙、電磁波、新たな領域における対策強化についてお伺いをします。

 まず、宇宙です。

 宇宙空間における自国の軍事的優位性を確保するための能力を各国は急速に開発をしていますし、他国の宇宙利用を妨げる能力も重視され、宇宙空間における脅威が増大をしています。二〇一七年に、習近平国家主席は、建国百年の二〇四九年頃までに宇宙強国になると宣言をしたりしている状況も生まれています。宇宙安全保障の基盤は死活的に重要な課題となっており、宇宙空間の安定的利用の確保に全力を挙げていく必要があります。

 そこで、二点続けてお伺いをします。

 一点目は、今国会に提出されました防衛省設置法等の一部を改正する法律案における宇宙作戦群に関し、改編の目的及び役割、機能について。二点目は、宇宙空間の状況を常時継続的に監視するため、より充実した体制を構築する観点から、防衛分野における衛星に関し、米国との連携はもちろんのこと、民生用人工衛星の活用や積極的な連携を図ることにより冗長性を確保することも重要であると考えますが、現在の取組状況と今後の方向性についてお伺いをします。

岸国務大臣 令和二年度に自衛隊初の宇宙領域専門部隊として宇宙作戦隊を航空自衛隊に新編し、令和三年度末には宇宙作戦群を新編します。その上で、令和四年度においては、この宇宙作戦群を改編し、宇宙領域に係る体制を強化することとしております。

 具体的には、令和四年度においては、SSA運用システムの運用を開始することによる宇宙状況監視体制の整備、衛星に対する電磁妨害の状況を把握できる体制の整備等を行うこととしております。

 引き続き、我が国の防衛を全うするために、積極的に宇宙領域における能力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 それからまた、通信の抗堪性確保のため、防衛省が自ら保有するXバンド防衛通信衛星に加えて商用の通信衛星も活用してまいります。また、商用の小型衛星コンステレーションによる通信についても、今後、部隊で活用することができないか確認するため、実証を行ってまいりたいと考えております。

 さらに、情報収集体制の強化のため、これまで継続的に取得してきた高分解能商用衛星画像等に加えまして、令和三年度より、多頻度での撮像を可能とする商用小型衛星コンステレーションの画像を取得するとしているところであります。

 このように、防衛省・自衛隊では、通信の抗堪性確保や情報収集体制の強化のため商用衛星を活用しているところですが、今後とも、その活用の拡大に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 民生用人工衛星、商用のものも活用して連携を進めていくということで御答弁いただきました。ありがとうございました。

 それでは、今日、上杉外務政務官に来ていただいております。ありがとうございます。

 既存の国際約束では、宇宙物体の破壊禁止やスペースデブリの発生原因となる行為の回避等に関する直接的な規定がなく、近年、ガイドラインの策定の議論も進められると聞いておりますが、我が国としましても、宇宙利用に関して、先ほど述べたような現状である中、宇宙空間における戦略的国際ルールの構築を急ぐことのみならず、それを同盟国や友好国等と連携し、主導権を握っていくことが喫緊の課題と考えておりますが、上杉外務政務官の御見解をお伺いします。

上杉大臣政務官 外務省に対しまして御質問いただきまして、ありがとうございます。

 宇宙空間におきましては、対衛星破壊実験や多様な妨害手段の開発等安全保障上の懸念が増大していると認識しております。先生御指摘のとおり、宇宙空間の安全保障分野における国際的なルール作りは極めて重要な課題であると認識しております。

 そのため、我が国といたしましては、これまでも国際的な議論に積極的に参加してきておりまして、その一環として、同盟国や同志国と連携して、各国に対し、宇宙空間における責任ある行動を求めてきているところであります。

 特に、去年の国連総会におきましては、我が国が英国等と共同で提案いたしました関連決議案が百五十か国の支持を得て採択となりまして、同決議によって、宇宙空間における責任ある行動について更に議論を深めるためのオープンエンド作業部会が本年から明年にかけて設置されることとなったところであります。

 我が国といたしましては、先生の御指摘も踏まえまして、同盟国や同志国と緊密に連携しつつ、同作業部会への積極的な参加も含めて、宇宙空間の安全保障分野の実効的なルール作りに引き続き精力的に取り組んでいく考えであります。

鈴木(英)分科員 既に、英国と連携して百五十か国の賛成を得てやっていただいていると聞いています。積極的にというお言葉がありました、是非、引き続きよろしくお願いします。

 電磁波につきましては、済みません、ちょっと時間がありませんので、平時、グレーゾーン段階での電磁波の活用について、防衛省と総務省の連携を是非よろしくお願いしたいという要望にとどめたいと思います。

 続きまして、今日聞きたかった一つでもあります、情報戦への対応強化についてであります。

 二〇一四年のロシアのクリミア侵攻や中国が掲げる三戦等を踏まえれば、情報戦のための対応強化は必須であります。我が国でも、フェイクニュースに対して、速やかにファクトチェックやカウンターで正しい情報を発信するなど、統一的かつ戦略的な情報戦への対応強化が必須であると考えております。

 そこで、お伺いします。

 一部報道でもありましたが、来年度新設を検討しておりますグローバル戦略情報官の役割や機能について、中曽根政務官にお伺いしたいと思います。

中曽根大臣政務官 お答え申し上げます。

 近年、国際社会において様々な形で国家間の競争が顕在化しております。偽情報の流布を含む様々な宣伝工作等が行われるなど、いわゆる伝統的な安全保障領域にとどまらない動きが指摘をされております。

 委員御指摘のとおり、ロシアのクリミア併合に際しては、偽情報やプロパガンダの流布、サイバー、電子戦による攻撃等を行ったとの指摘がなされておりますけれども、今般のウクライナ情勢においても同様の手法を用いている等の指摘があります。また、中国は、いわゆる三戦、世論戦、心理戦、法律戦、こういったことで、軍事力以外の要素も注視しているとされております。

 このように、国際情勢が複雑化しつつある状況においては、政治、経済、軍事、技術等の多様な側面を横断的に情報収集、分析する必要がありまして、そういったことを踏まえて、令和四年度予算案においてグローバル戦略情報官を新設することとしております。

 防衛省としては、このような取組に加えて、関係省庁、関係各国との連携等を通じて、情報収集、分析能力の強化を図っていく所存でございます。

鈴木(英)分科員 中曽根政務官から大変力強いお言葉をいただきました。

 最後におっしゃっていただいたように、最初は自衛隊や防衛省にとどまることであったとしても、関係省庁と連携して進化していってほしいと思いますし、配置される人材の専門性向上も是非お願いしたいと思います。

 最後の質問です。これを是非聞きたかったので、御質問したいと思います。防衛予算の増強についてです。

 安全保障環境が一層厳しくなっている中、岸大臣の御英断で防衛予算も増加しており、改めて敬意と感謝を申し上げます。

 防衛予算はこれまで、やむを得ない部分もありましたが、効率化、人員削減、こういうものにも取り組んできましたが、しかし、現下の情勢を鑑みれば、それも限界で、国益を毀損しかねない、そういうふうに危惧をしています。したがいまして、今回の中期防改定においては、防衛予算の増強に向けた道筋を何としてもつけていく必要があると考えております。

 この十年間で日本の防衛費の伸びは一・〇八倍。その他、NATOはGDP比二%を目標にしていますし、世界の軍事費が世界のGDPに占める割合は二・二%となっており、二%未満はドイツと日本のみであります。数年かけてでもよいので、予算を増強していくということが大事だと思います。

 そこで、お尋ねします。

 現下の安全保障環境に鑑み、中期防改定における防衛費総額の目標など、防衛予算の増強に向けた大臣の見解をお伺いします。

岸国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が極めて速いスピードで厳しさを増している、そうした中で、必要な防衛力を抜本的に強化していく考えであります。

 その上で、新たな国家安全保障戦略、そして、大綱、中期、これをおおむね一年かけて策定することとしております。

 厳しさを増す安全保障環境の中で、防衛力の強化には一刻の猶予も許されません。そういった認識の下で、必要な予算についてしっかりと確保してまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 大臣から、一刻の猶予も許されない、しっかりと予算確保に向けて取り組んでいく、そういう力強いお言葉をいただきました。我々も、強い危機感の下、そういう予算の確保に向けて力を尽くしてまいりたい、そのように思います。

 最後、これは質問しようとしたんですが、要望にとどめたいと思います。

 実は、私、知事時代、紀伊半島大水害からの復旧や豚熱の対応、あるいは平時からの防災面での連携など、県内の自衛隊の皆さんに大変お世話になりました。今でも感謝に堪えません。我が国の平和、国民の生命財産を守るために昼夜分かたず鍛錬をしていただいている、そういう隊員の皆さんに日々頭の下がる思いでした。

 その現場の隊員の皆さんが士気を高め、任務に精励できる基盤や環境を整え、もってそれを防衛力の底上げにつなげていくことが必須だと思いますので、隊員が任務に精励できる基盤たる各駐屯地の老朽化した隊舎改修や生活環境の改善、こういう予算の計上も是非していただきたい。これは要望にとどめたいと思います。

 防衛関連は初めての質問でありましたが、大変よい答弁をいただきました。感謝申し上げます。

 ありがとうございました。終結します。

島尻主査 これにて鈴木英敬さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。仁木博文さん。

仁木分科員 改めまして、有志の会の仁木博文と申します。

 今日は主にコロナワクチンの内容について質問していくわけでございますが、要は、私、予算委員会の方に立たせていただきまして、今、堀内大臣所管の例えばワクチン接種、あるいは山際大臣担当のもろもろの政策、そして場合によっては厚生労働省の一部の機能等を一括して組織化するような日本版CDC、疾病予防管理センターの創設というのが望ましいということも訴えております。そういう観点で、今、特に今日はワクチンの接種についてお尋ねしたいと思います。

 実は私、地元でも、今回当選する前にワクチン接種をやっていました。まさに未曽有の、この分からない、いわゆる正体がはっきりしなかったコロナウイルスに対する、その当時、今もそうだと思いますけれども、最大の切り札であったワクチン接種をしてきたわけでございますが、現場にいて、例えば、この東京、この永田町で、あるいは行政のお立場でおられる方々と最前線でやっている者とではやはり温度差があったり、いろいろな形で、こういう形で、こういうふうなシステム、あるいはこういう状態があれば、より円滑に進んでいくんだろうなということを思ったので、そういう経験も踏まえて今日は質問したいというふうに思います。

 さて、まず、全国のワクチン接種、この接種状況というのは、よく、ネット等、メディア等が報道されますけれども、堀内大臣、これは冒頭の質問ですけれども、どういった形で把握されていらっしゃいますか。

堀内国務大臣 三回目の接種状況については、デジタル庁が所管するワクチン接種記録システム、いわゆるVRSにより把握しているところでございます。

仁木分科員 堀内大臣、VRSということについても御存じだと思います、デジタル庁所管だと思いますけれども。実は、これは現場で接種を行った医療機関が中心となって入力していくわけですね。場合によっては、例えば職域接種、私たちもやりましたけれども、この接種の方々の情報を入力するのに、ラグタイムというか、かなり入力してから時間がたつわけでありまして、全く、カレンシーというか、今の、あるいは昨日の状況とか、そういうのが反映されていないこともあるわけでございますけれども、そういうのでいうと、場合によってはかなり入力が遅れてしまった経緯もあります。特に一回目、二回目、まだまだ体制に慣れていなかった、そのシステムのことをよく分かっていなかった医療現場でございますので、入力に苦労したことがあるわけでございます。

 これは、今、このことを把握されて、結局、ワクチンの分配、いわゆる配給の按分というかをされているんでしょうか。お願いします。

堀内国務大臣 委員御指摘のように、いわゆるVRSに記録していって少しタイムラグがあるとおっしゃっていることも確かでございます。そういった意味で、接種の進捗状況や各自治体における個人の接種記録の迅速な把握のためにも、速やかな入力ということは重要であると思いますし、皆様方にお願いしているところでございます。

 そして、三回目のワクチンの接種に当たりましては、接種券を二次元コードを読み取っていただく仕組みにするなど、現場の負担の軽減のためには様々な改善も行ってまいりました。

 また、先ほど、分配をそれの記録に基づいてやっているかといった御質問でございますが、二回目接種完了者の方々の記録を基に、各地域、配分ということもしっかりと決めさせていただいているところでございます。

仁木分科員 今、例えばファイザー社のワクチン、コミナティがいわゆる現場で不足している、一回目、二回目のデータを基にして、一回目、二回目接種した人のほぼ四割ぐらいの量が医療機関に流れている、配給されているという現実があります。

 これは実はネット等で流れていますけれども、当初は例えば半年以内に打ってくださいということが医療の現場にありました。ところが、解釈が変わりまして、九か月になったということで、そういった、いわゆる添付的な文書シールを、接種した証明書、いわゆるワクチン接種証明書の根拠となる接種券にシールを貼って今やっているという現場があります。

 そういったことを、四割ということは残りの約六割ぐらいが、まあ一回目、二回目打った人は多分三回目打つであろうということを想定して、残りの六割はモデルナ、今はスパイクバックスになっているわけですけれども、そういったことの把握というのはどういうふうにされているのかというのが一点。

 そして、足りない分のモデルナに関しての埋め合わせ、これは今後ずっと続けていらっしゃるのか。つまり、最近、千万回分の増量、ファイザーのコミナティの増量を発表されましたので、それぞれの、今こういう弾がこれだけ国にある、ワクチンがある、そして、自治体の方に配給するスキームが、用意ができているということの、その準備というのはどのようにされていらっしゃいますか。

堀内国務大臣 まず、ワクチンの有効期限について御質問がありました。

 ワクチンの有効期限においては、厚生労働省において御対応いただいているところでありますが、適宜、各自治体に対してその取扱いを周知しているものと承知しております。お願いしているところでございます。そして、私からも、閣議後の記者会見などにおいて、有効期限が延長されているということをお伝えしているといったところでございます。

 また、ファイザー、ファイザー、モデルナといったこと、打たれる方がどうしても出てくるといったお話でございましたよね。そのことにつきましても、やはり、こちらもワクチンの配分量をお示し申し上げておりますが、なかなか、一回目ファイザーを打たれた方が、特に初期の段階では多かったので、どうしても、ファイザー、ファイザーと来てもモデルナを打っていただく、そういった御選択をなされる場合も多くございます。けれども、ワクチンというのは、種類に関係なく早く打っていただくことが必要だと今の状況では思っておりますので、モデルナでもファイザーでも安心して打っていただけるようにということを今御説明申し上げているところであります。

 もう一点ございましょうか。その二点でよろしいですね。(仁木分科員「配分は」と呼ぶ)ファイザーとモデルナの配分。昨日、ファイザーワクチン一千万回分の追加購入をして、それは一昨日において後藤厚生労働大臣から発表させていただいたところでございます。

 政府といたしましては、今回の追加購入もしっかりと活用しながら、各自治体に対して、ファイザーとモデルナ社合わせて十分な量のワクチンを配送させていただくこととしておりまして、昨日、私から、新たに二千二百万回分の配分量について公表したところでございます。

 これによって、いわゆる接種対象となる方々、安心して打っていただけるように、約一億人になられますが、その方々全ての方が接種できる量のワクチンの配分は公表させていただいたというふうに思っております。

仁木分科員 済みません、後半の部分の説明、私の質問の内容がちょっと悪かったと思うので、もう一度聞き直します。

 いわゆる接種状況はVRSで分かりますよね。そうすると、今既に、現場、自治体の方、あるいは医療機関に届いているワクチンは、その対象となる、約一億人分とおっしゃったんですけれども、そこまでないわけですよね。それで、今までのVRSの読み込み、いわゆる分析によって、それと、その地域地域の感染の広がり、まだピークがアウトしていないのか、そういう状況も踏まえながら、そういったところに重点的に、この限られた一千万回、例えばコミナティを配分していくとか、あるいはそういった戦略というのはVRSを活用してやられているような配給ではないんですか。そういうことです。

堀内国務大臣 その地域がどのぐらいの発症者がいるとか、そういった話とはまた別にこの……(仁木分科員「いや、もう一度再問します」と呼ぶ)はい。じゃ、もしよろしければ委員の御質問をもう一度お願いします。

島尻主査 もう一度質問をお願いいたします。

仁木分科員 済みません、再問します。

 VRSで、例えば、コミナティ、そしてスパイクバックスがどれくらい消費というか接種されているかという状況が自治体ごとに出てくると思うんですね、医療機関の入力によって。それは把握されています。

 そうすると、この地域は、大臣が広報をされてワクチン接種が進んでいるけれども、やはり副反応が多いようなスパイクバックスよりコミナティを選ぶ人が多いというふうなところでしたら、コミナティの方が減っているから、そうした一千万回入った部分をそちらの自治体の方に重点的にというか、感染症も広がっている地域であるならば重点的に配分するとかをやられているのか。

 つまり、VRSと感染状況を加味して配給を決められているのか、それとも機械的に、こういった、百万回を一番最初のファイザーを配給したようなスキームでやられているのか、それはどちらなんでしょうか。

堀内国務大臣 確かに、VRSには、どなたがいつファイザーを打ったか、モデルナを打ったかということが記録されております。そして、それをこちらで情報として集積しているわけでございますが、配分につきましては、地方自治体の大規模接種会場は例えばモデルナ、あと、自衛隊さんのところもモデルナ、職域もモデルナとか、そういった部分は決めておりますが、それ以外の地方自治体さんに配分する分につきましては、VRSの人数、それをしっかりと把握させていただいた上で、満遍なく、ファイザーとモデルナ、そういったバランスはきちっと取りながら配分させていただいているところでございます。

 この地域が例えばクラスターが多いからどちらの種類を多くしようとか、そういったことはしておりません。

仁木分科員 分かりました。

 そういう、せっかくVRSというシステムがありますし、今、私たちの、例えば、ちっちゃな医療機関におきましてもファイザーが打てませんので、いわゆる六割近く足りないわけですから、当初打った方に対して、最初優先接種であった方は大体ファイザーを接種された方が多いわけでございますけれども、それでもモデルナを打っています。ですから、モデルナの入力をしています。そういう形であるということをまず御理解いただきたいということが一点目ですね。

 今、交互接種の話もされましたが、当初、そうはいっても、やはり三回目もより安全な、一回目、二回目に打って副反応が余りなかったファイザーの方がいいという高齢者も結構多かったと思います。

 そういう中で、岸田総理も交互接種をされましたし、交互接種をした方が、海外文献におきましては、より有効性が高い、より免疫がつくというようなこともありまして、そういうのがいいという方も増えてきているのも現実だと思います。

 私が堀内大臣の今のお立場で要望したいことは、リスクコミュニケーションといいますか、やはり、大臣が、広報はされたとおっしゃいますけれども、それぞれの交互接種の安全性、そして有効性、そういったことをどんどんと発信していっていただきたいと思うんですね。

 私も一期目のときにワクチン行政の方をさせていただき、子宮頸がんワクチンの公費助成につながるようなことをさせていただきましたが、打つとがんにならないようなワクチンがあるということは画期的な、そういうワクチンであったわけですけれども、それが広まりはしましたが、副反応が出て、一時期止まってしまいました。

 やはり、各国も、ワクチン行政というのは国民に対して政府やあるいは保険者がしっかりと広告、いわゆる説明、PR、啓発をして接種につなげているというふうな実績があります。

 そういう形で、やはり、例えば交互接種のことも申しましたが、例えば打たないことのリスクとか、そういうのは余り言われていないと思うんですね、こうこう打つとこうなる。

 ですから、私は、例えばVRSに、今オミクロン株というのは、いわゆる感染者数は多いけれども、多くの方がリカバーされています。重症化する人ももちろん増えて、一日の死亡者数も二百人を超えるような状況が生まれていますけれども、やはり、その一方で大多数の方が回復されていますから、自然免疫もついているわけですね。そういった履歴も併せて、医療の現場で、例えば診療報酬の基となる電子カルテ等々と連携するということもあれば、また利便性が広がるわけでございますが。

 そういった様々なデータを駆使した中で抽出して、どういう情報を国民に発すればワクチン接種が上がってくるのか、しかも安全で安心な形で上がっていくのか。そしてまた、地域によってはVRSの状況と感染状況を加味して、まだピークを迎えていないような地域におきましては、堀内大臣が自治体の首長さんなり知事なりに、そういった地域でワクチン接種を受けたい方がすぐ受けられるような啓発活動をより重点的にやっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

堀内国務大臣 委員御指摘のように、啓発活動というものは大変大事だと思っております。

 特に、三回目については交互接種していただく方も増えてまいります。そういった皆様方に、三回目、モデルナを打っていただいてもファイザーを打っていただいても、その効果、それについても、十分に両方とも免疫のいわゆる回復ができ得るということをしっかりとお伝えするとともに、副反応について御心配の方々も多いと思います。その安全性についても、ファイザーを打っていただいてもモデルナを打っていただいてもほぼ同じぐらい安全性が担保されているというようなことも、もっともっとお伝えしていってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 特に、モデルナにつきましては、三回目は半量になりますので、いわゆる発熱などそういった症状の出現は少ないというふうに言われております。それをリーフレットにいたしまして配布させていただいておりましたり、例えば皆様方がよく御存じの医療関係者の方々、例えば尾身茂先生とか脇田所長とか、そういった皆様方に動画に出て実際にお話しいただいたり、また、三回目、御自身がモデルナをお打ちになった、そんなにその後の副反応が強くなかったということをお話しいただいたり、様々な工夫を重ねております。テレビCMもさせていただいております。

 そしてまた、これから先も、小児も始まります。そういった皆様方、接種していただく方が御心配ないように、安心して受けていただけるような環境づくりをしっかりと政府一丸となって努めてまいりたいというふうに思っております。

仁木分科員 堀内大臣、ありがとうございます。

 まさにそういったリスクコミュニケーション、そして現場に安心、安全のワクチンを届け、結果として、このコロナ感染症を乗り越えていくことが大切だと思っています。

 啓発活動の一環として、先ほど大臣もちょっと触れられたんですけれども、今後、五歳から十一歳、特例承認を得たワクチン接種が始まります。

 これは、子供に対してワクチン接種となると、大臣もお聞きになっている情報かもしれませんが、より何か多くの方が慎重であったり、例えば自治体の首長さんが集会をしたりして、子供へのワクチン接種をやめるようにとか、そういった動きもあるんですけれども、そういうことでいうと、まさに、エビデンスに基づいた、いわゆる、大臣もおっしゃっていましたが、安全性そして有効性、そして、私が申し上げましたが、それでも打たないというデメリット、打たないメリットはもちろん副反応がないということですけれども、打たないというデメリットも含めて、これは発信していくべきだと私は思っております。

 そういうことで、こういった情報を、どういった情報をかいつまんで、つまり要約して、特に、例えば現場の医療機関、これは、ドクターというのは意外に情報が厚労省あるいは医師会等々から入ってくるんですけれども、いわゆるコメディカルというか、看護師とか、場合によっては医療事務とか、あるいは自治体のそういったワクチン担当者等々、あるいは保健所、まあ、保健所は忙しいですけれども、そういった、市民、いわゆる国民がその方々を通じてそういった情報を聞く機会のある、そういう方々には抽出した情報を提供していくべきだと思うんですね。

 そういうのは厚労省の仕事内容と重なるかもしれないんですけれども、どのように今されていますか。いわゆるメディアを通じてだけでしょうか。

堀内国務大臣 委員御指摘のいわゆるコメディカルの方々、先日、看護協会の方々ともお話をして、やはり、皆さん、国民の方が一番親しみやすくて、そして、いろいろなことをお伺いしやすい看護師の先生方が、接種を迷っていらっしゃる方とか接種前に御心配の方々に情報を伝えてください、こんなリーフレットを作っております、こんな動画を作っておりますといった御紹介もさせていただいたところでございます。看護協会の方々にも、いろいろな意味で助けていただいたり、お話をさせていただいたり、逆に、どんなような状況かという情報も共有させていただいたりしているところです。

 また、自治体の方々にも、いろいろとお話を直接して、電話、又はリモート、又は直接面会させていただいて、そして、そういったときには、例えば首長さんがいらっしゃるときにも近くに自治体の担当者の方がいらっしゃったり、そういった中で情報交換をしながら、より一層、お一人お一人にこのワクチン接種を安心して受けていただける環境づくりができるように、お力添えをいただいたりしているところであります。

 しっかりと、情報発信、丁寧に、お一人お一人に届くようにやらせていただいているというふうに思っております。

仁木分科員 改めて、ワクチン接種においては、その啓発活動も重要だと思いますので、そういったファクトに基づいた、エビデンスに基づいた情報発信、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、子供の接種が始まった場合、過去には学校での集団接種というものがありました。私は、ある意味、保護者のいろいろな負担を軽減したり、あるいは、学校の例えば体育館とか保健室とか、そういったところに学校医あるいは地域の医師及び看護師が来て、そして副反応に対応し得る体制を組んでやるということも一つの案だと思います。

 これは、いろいろ過去の経緯もあって、私も、中止になったというか、今なされていないことも存じてはいますが、今、大臣、そのことに関しましてどういう、今後そういう展開があるのか、あるいは大臣はそのお考えを、イエスかノーなのか、どうお考えでしょうか。

堀内国務大臣 委員御指摘の学校での集団接種についての考え方につきましては、文部科学省と厚生労働省において対応していただいているというふうに承知しております。

 具体的には、学校での集団接種というのは、その実施方法によっては、保護者への説明機会が乏しくなって、また、接種への個々の意向が必ずしも尊重されず、同調圧力を生みがちであるなどの理由により、現時点で推奨するものではないというふうに承知しております。

 個別接種の体制の確保が困難である場合など、特に地域の事情により市町村の判断において適切な対策を講じる場合に限り実施できることが、厚生労働省とそして文科省の連名の事務連絡によって示されているところであります。

仁木分科員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、大切な、未来の日本を担っていく子供さんたちに対するワクチン接種、本当に、エビデンスに基づいて、安全があって、しかも有効性があるなら受けたいという保護者あるいは子供たちのために、そういった啓発活動を頑張っていただきたいと思います。

 それで、ちょっと話題を変えますが、私は、かねてより、このワクチン、最前線でいまして、やはり打つ瞬間に至るまでの、ワクチン接種計画ともいいますけれども、例えば大臣も、河野太郎大臣が始めたときに、いろいろ引継ぎで情報は申し送り等されていると思うんですけれども、その予約ですね。多くの国民が、最初、予約ができない、電話がつながらない、ネットが使えない、そういうふうなことも言われました。接種計画というのは、そういった国民、打ちたい方が医療機関に予約する、そして、医療機関はその方が例えば何月何日の何時頃来るということ。

 そして、おまけにワクチンの制約があったんですね。例えば、ファイザー社のコミナティ。これは、当初は五日間で使い切らなければいけない。この五日間というのは、ディープフリーザーから出して、現場の普通の低温保存できるような冷蔵庫に保存してから五日間。あるいは、一旦、生理食塩水一・八ミリリットルで溶解して、それを分けていくんですけれども、その一・八ミリを、ファイザー社のコミナティのアンプルに針を刺してから六時間以内とか。

 しかも、一バイアル六人でした、最初。そういう規約の中で、例えば、希少なワクチンをいかに六人に確実に打つかということで、医療従事者側もすごく苦労しました。途中で、例えば、どうしても行けない用事があったということで、五人になったり、あるいはもう一人、体調が悪い、感染症とは違う理由で熱がある、それで打てなくなる、そうしたら二人分余っちゃうとか、それで、ほかの予約の人にまた電話して、空きが出ましたけれども打ちませんかとか、そういうことをやっている医療現場がございました。そういうこと。

 そして、今回、モデルナ。これは安全性の観点を踏まえまして、一回量〇・五ミリから、この筋肉注射の量が〇・二五ミリになったわけですね。そうすると、モデルナのスパイクバックスは、分注する際に生理食塩水で溶解しませんから、抜くだけでいいんですけれども、ただ、一バイアル十人分だったものが、今〇・二五ということは、五ミリリットル入っていますので、二十回分、二十人分、一バイアルで打てるわけです。

 本当は、厚労省の方からは、十五から十九人分というふうになってはいますが、針を刺す際に、コアリングといって、いろいろ、針を刺すたびに、顕微鏡で見ると、この針の穴に蓋の部分、そういう部分が入っていってしまうかもしれないという、まさに一時期、製造段階でしっかりしているはずのモデルナが沖縄等々に配給された分に不純物が入っていて回収になったというふうなことも情報は御存じだと思うんですけれども、そういうのをイアトロジェニックというか、いわゆる医原性に、針を刺して、もしかしたらマイクロチップみたいな形でワクチンの中にそういったチップみたいなものが入っている可能性もあるかもしれないし、それを二十回も刺すことによってもっとそういう確率が上がってしまうわけですね。

 いろいろ、そういうことを防ぐ意味でマニュアルも出ています。針の刺し方、らせん状にずっと入っていくとか、縦にずっと行って、円のところの面積を、同じところを二回刺さないようになっているわけですけれども、そういう非常に大変な状況があるわけです。

 私は、そういう今の予約のワクチン接種計画のことも申しました、大変さ。そしてまた、かつ、そういった、実際打つときの、分注含めた、一バイアル何人分ということの大変さ。実際、コアリング等々の、まあ、副反応というか、副作用というか、それもあることも申し上げました。

 そうすると、一人に対して一つのワクチン、これはプレフィルドワクチンという形で、インフルエンザのワクチンではあるんですけれども、そういったワクチンを製造してはいかがかと。これは、もちろん、ワクチンそのものの原液は、ライセンス、いわゆる免許がファイザー社とかモデルナにあるわけですけれども、今、日本国内でも五つのグループがこういったワクチンの開発、私たちの税金を使ってやっています。

 ところが、今みたいなことを簡単にするためには、一人に対して一プレフィルドワクチンがあれば全然違うんですね。予約もすごく簡単です。いつ来ても大丈夫、保管だけしておけば大丈夫ですし、そういったコアリングみたいな、マイクロチップが入るような針刺しのこともしなくていいんです。もうワクチンをその中に充填していて、一人一人のキットがあるわけですね。

 だから、そういうふうなコストは今かかるかもしれないけれども、そういう生産体制、グッド・マニュファクチャリング・プラクティスというのがありますので、そういうGMPをクリアした、そういったプレフィルドワクチンを作ってはいかがかと思います。

 国産のそういうものができればベストですけれども、時間がかかりますので、今後、四回目、五回目、場合によってはこういった事業が、いわゆるコロナワクチンを接種する事業が継続する可能性も高いわけですので、そういったプレフィルドワクチン、つまり、一人の国民に対して、打ちたい人に対して一つの容器でワクチンという形で打っていく、そういった製造化に対しての御意見というか、もし前向きな御回答をいただけたらありがたいと思います。

島村大臣政務官 委員、御質問ありがとうございます。本当に、先生は医師の立場で現場を見ていただき、また対応していただいている御質問だと思っております。

 今御質問の、一人一つのプレフィルドキットワクチンに関しましては、現場の声からすると、先生からだと、そういう御質問があるのは私も理解をさせていただいております。

 ただ、今お話ありましたように、現時点は、世界中から今ワクチン供給が求められている中、一日でも早く我々日本も国民のために接種させていただきたい、それを第一に考えさせていただいておりますので、委員が御質問のように、もし四回目、五回目が必要な場合には、今委員がおっしゃっていることをしっかりと踏まえながらも、これはやはり、日本の国内で生産とか、今お話ありましたように、ファイザーとかモデルナの生産されたものを、どうそれをいわゆる今お話ありましたプレフィルドキットにするかということは、製薬会社また企業とも議論しながら、ここは引き続き緊密に連携していきたいと思っておりますので、そこは議員のお気持ちもよく分かりますので、引き続きやっていきたいと思っています。

 以上です。

仁木分科員 島村政務官、本当に前向きな回答をありがとうございました。

 私は、ワクチン後進国にはしたくないと思っていますし、むしろ、日本が健康で世界をリードする国にしたいというふうに思っています。

 この間、やはりファイザーとか、あるいはモデルナを含めて、こういった全世界的に猛威を振るう病原体に対するいわゆる切り札であるワクチンを作るメーカー、あるいはその国というのはすごく存在感が出てきたと思います。

 我が国も、こういったバイオテクノロジーというか、バイオヘルスというか、そういった分野でも世界をリードしていく国にしていきたいと思いますけれども、そういう中で、やはり一つの国産のワクチン、これも重要だというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、これで質問を終わりたいと思います。今日はありがとうございました。

島尻主査 これにて仁木博文さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

島尻主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。五十嵐清さん。

五十嵐分科員 自由民主党の五十嵐清でございます。

 当選一回、初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私の選挙区は、栃木二区、日光市に代表される選挙区であります。県議時代は栃木県の人口の比較的多いところで活動しておりましたが、候補者公募によりまして、県議時代とは縁もゆかりもない別の選挙区で衆議院議員の選挙に当選をさせていただきました。

 栃木二区は栃木県の中でも人口減少が激しく、そして、私の元々の地元であった小山市、野木町には観光産業というものがほとんどありませんでしたが、日光市の世界遺産二社一寺に代表されるように、新たな選挙区では、まさに観光が地域を支えている、そういう選挙区でございます。

 そういう中にありまして、今回のデジタル田園都市国家構想、まさに、日光市そして私の栃木二区にとっても、起死回生、人口減少からいま一度地方が活気を取り戻す、そういうきっかけになってほしいという大きな期待を感じているところでございます。

 私の地元日光市、かつては国際観光都市とも言われた時代がありましたけれども、今回のコロナ禍もありまして、非常に今は寂しい、閑散とした状態になっております。一日も早くデジタル田園都市国家構想の進展によりまして活気を取り戻したい、こういう地元の強い意向を背に、若宮大臣に改めて本構想に係る意気込みをお伺いさせていただきます。

若宮国務大臣 今、五十嵐先生から御地元の切実なる状況をお伺いさせていただきました。また、五十嵐先生におかれましては、長年秘書をなさっておられたり、あるいは地元の県議会議員を長年にわたってやっておられたということで、御地元に関する様々な思い入れと、そしてまた愛情というのは並々ならぬものがあろうかというふうに思っております。

 御質問のデジタル田園都市国家構想は、今、五十嵐先生がお触れになりましたけれども、高齢化、それからまた人口流出によります過疎化などの社会課題に直面するまさに地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあるというふうに私自身も考えているところでございます。例えば、今後、自動配送ですとか、ドローンの宅配ですとか、あるいは遠隔の医療、またオンラインの教育、リモートワークなど、デジタル技術を使いました、その上で個性を生かした形での地域の活性化、これが望ましいのではないかな、その上で、持続可能な経済社会をしっかりと実現していこう、こういった考えの下にこの構想を進めているところでもございます。

 今委員が御指摘になりました日光市、本当に、昔からの観光の名所であり、観光が非常に大きな収益の元にもなっている地域だというふうに認識いたしているところでもございますが、観光についても、スマホアプリを活用した経路の検索ですとか、あるいは旅行自体のいろいろなプランの提案ですとか、そういった新しいサービスの提供や、あるいはワーケーションの推進、また、デジタル技術を使いました文化芸術、日光には非常に、それこそ徳川時代を含めた形での伝統文化は様々なものがあろうかと思います。そうしたものの魅力化をした上で、さらに、それを海外に発信することによって、海外からもお客様をどんどん観光のインバウンドで呼び込もうということも含めて考えることができるんじゃないかというふうにも思っております。

 こうした形のものを御支援させていただくことによって、その地域ごとが経済的な自立、稼ぐことができる地域になっていければ、そしてまた、地域にお住まいの方々の新たな雇用、仕事の創出にもつながればというふうに思っております。何よりも地域経済の発展につなげてまいりたいというのが、この構想の根本的な考え方でございます。

 今後、このデジタル田園都市国家構想、今、実現会議というのを開催いたしてございますけれども、ここにおいて更に議論を深めてまいりまして、この春には具体的な構想を取りまとめてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府一丸となりまして、この実現に向かいまして、取組に全力を挙げていく。そしてまた、今、五十嵐先生もお話しになられたように、コロナ禍でかなり業種によっては傷んでいるところ、あるいは、観光業は押しなべて厳しい状況かと思いますので、こういった地域活性化にしっかりとつなげてまいるよう全力を尽くしてまいりたい、そんな思いでございます。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 本来であれば、地元の有権者に若宮大臣の今のお話を直接聞かせてあげたい。本当に夢のある、期待の持てるお答えで、大変ありがたく思います。

 私の選挙区、栃木二区ですけれども、栃木県は五つの小選挙区がありますが、私の選挙区だけで、面積が栃木県の全体の三五%を占めます。それだけ広い選挙区だけに、本当に地域の課題が山積をしておりまして、デジタルによって社会課題を解決していく、そして地方と都市部の格差を埋めていく、本当に、期待を持たせていただきたいというふうに思っております。

 来年、我が国でもG7サミットが予定をされておりますが、栃木県そして日光市は、その際の閣僚級会議の誘致に手も挙げてございます。そういうものを一つの契機にいま一度国際観光都市としての立場を取り戻したいという強い思いがありますので、具体の政策について、引き続き質問させていただきます。

 デジタル田園都市国家構想を実現するためには、まずはデジタル基盤の整備が何より重要だと思います。私の感覚では、5Gについては、都市部を中心に整備が進んでおり、都心では使えるところが非常に増えてきていることを実感いたしますが、同時に、地元の日光市を始め地方では遅れているというのを率直に感じております。

 政府としては、二〇二三年度に人口カバー率を九割に引き上げるとのことですが、地方でも5Gの恩恵が実感できるよう、早期の基地局整備が必要だと思います。

 そこで、地方での5G基地局整備にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

野崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方における5Gなどのデジタル基盤の整備は、地方の活性化につながり、デジタル田園都市国家構想を実現するために非常に重要でございます。

 こうした観点から、総務省では、過疎地などの条件不利地域における基地局整備のための補助金、5G導入促進税制などの支援措置を講じまして、携帯電話事業者の5G基地局整備を後押ししているところでございます。

 このうち、5G基地局整備のための補助金については、令和三年度補正予算及び令和四年度政府予算案におきまして、補助対象地域を条件不利地域の全域に拡大したほか、複数の携帯事業者で共用する基地局などを設置、運営する事業者、いわゆるインフラシェアリング事業者と呼びますけれども、こういう事業者も新たに補助対象として追加することとしております。

 また、昨年末には、携帯電話事業者に対して、5G基地局の整備の加速化に関する要請を行ったところでございます。総務省では、二〇二三年度までに人口カバー率を九割に引き上げることを目標としておりますが、要請の結果を踏まえて、これを上回る新たな整備計画を今年度中に策定し、公表する予定でございます。

 こうした取組を通じまして、5Gネットワークの都市と地方での一体的な整備に取り組んでまいります。

五十嵐分科員 都市部だけではなくて地方にも、そして、間口を広げてしっかりと整備をしていただける、そういう答弁をいただいて、大変心強く思います。

 私の選挙区には、いまだにテレビ放送でさえ共同視聴組合を立ち上げてテレビを見ている、人口減少してその共聴組合を二世帯でやっていかなければならない、そんな話も聞きますし、選挙区内のあちこちで、観光地に行くアクセス道路の途中で携帯電話がつながらない、こういうところもあります。そういう地域だからこそ、今回の5Gの整備を心待ちにしている、そういう現実がございます。

 答弁の中でも、人口でのカバー率だけではなくて、しっかりと間口を広げた整備、私は、そのことがないと、産業用の用途で、例えばスマホによって農業用施設を管理するとか農業機械を操作する、こういうものには、面的に、広域で整備をしない限りは実用化ができませんので、しっかりとした計画を立てていただいて、着実に進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。

 デジタル田園都市構想において、もう一つ私が重要だと思うのは、まさに通行手形ともなり得るマイナンバーカードの取得を更に加速をさせるべきだというふうに思っております。対面でもオンラインでも安全確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤、このことをしっかりと国民の皆様にも改めて理解をしていただいて、特に、地方の方々にも利活用の機会が拡大できるような取組が今後とも必要だと思いますが、今後のマイナンバーカードの利便性の向上に関する取組についてお伺いをさせていただきます。

村上政府参考人 お尋ねいただいてありがとうございます。

 御指摘のとおり、対面だけでなくオンライン上でも、あなたは本人ですか、これを確認する手段としては今日本で一番優れている、これがマイナンバーカードであると思っております。

 やはり、持っていただくためには、持って便利というところが重要ではないかということで、去年の十月には、健康保険証との連動、薬剤情報、特定健診情報、医療費、そういったものが引き出せるようになってございますし、年末には、ワクチン接種証明を、マイナンバーカードを持っていれば、あなたは本人ですということでお渡しをできる。やはりこういった仕組みを広げていくことが大きく重要かなと。

 今後につきましては、スマートフォンにその機能を乗せるでありますとか、令和六年の運転免許証、それから国外利用の実現、さらには在留カードとの一体化といったようなことにつきましても、各省と連携をいたしまして、どんどん便利に、持っていいカードにしていきたい。また、これを御存じない方も正直多いものですから、これについての広報活動ということについても、各種媒体や様々な立場の方々に向けて広くやっていきたい、このような形でますます努力をしてまいりたいと思ってございます。御指導よろしくお願いいたします。

五十嵐分科員 私も、県議時代から、国が利活用の場を着実に確実に拡大をしていただいている、このことは承知をしております。

 また、第一弾のマイナポイントの事業によって四割近くにまで取得の割合が高まり、第二弾が心待ちになっているところですけれども、やはり、しっかりと一〇〇%に限りなく近づけるという意味では、取得の割合が低い層というものをしっかりと調査分析して洗い出して、そこにターゲットを絞ってのPRあるいは働きかけ、こういうものも是非地方自治体と連携をして進めていただければありがたいというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 このデジタル田園都市国家構想ですけれども、地方の自治体からは、やはりなかなか大変だということで、不安の声も上がっているようでございます。令和七年度を目標時期とする自治体情報システムの標準化、共通化の取組を進めるに当たっては、システムの移行に対する財政支援が本当にこれで足りるのだろうかというような不安の声も上がっております。

 総務省としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 国が用意する予定になっておりますガバメントクラウド、その上に構築される標準準拠システムへの移行でございます。

 これに要する経費につきましては、これを補助するため、これまで合計一千八百二十五億円を計上しておりまして、補助率十分の十で国費による財政支援を行ってございます。具体的には、準備経費としまして、現行システムの分析調査や移行計画策定に係る経費等について、また、実際のシステム移行の経費につきましては、ガバメントクラウドへの接続でありますとかデータの移行作業に係る経費等につきまして、補助の対象としてございます。

 総務省としましては、令和七年度の移行目標に向けまして、各自治体が円滑に移行できるよう、今後とも、自治体の実情や意見を丁寧に伺いながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

五十嵐分科員 総務省の話を聞けば、しっかりと財政的にも対応していただけそうだ、そんな実感は受けますけれども、やはり基礎自治体には漠然とした不安というのがあるのだと思います。

 これは後段の質問にも関わりますけれども、デジタル人材そのものが地方自治体にもいないということで非常に不安に思っている。そしてまた、誤解を恐れずに言えば、この分野についてはややもすると業者の言い値になってしまうのではないかということを考えれば、やはり、地方自治体で財政運営を担っている方々からすれば非常に不安を覚えている部分があるということも御理解をいただきたいと思います。

 是非、スケジュールの進展によっていろいろと明確になってくる部分があると思いますので、地方自治体との情報共有、指導についても引き続きお願いを申し上げて、次の質問に移ります。

 地方において、地方大学等でデジタル人材の育成を進めるとともに、地方のニーズと人材が適切にマッチングできるようにするなど、育成した人材がきちんと地域に定着できるようにすることも併せて重要と考えます。

 どのような取組を考えているのか、お伺いをいたします。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想の実現に向けましては、その担い手となるデジタル人材の育成、確保が不可欠であり、地方大学等の果たす役割は大きいと考えております。

 地方大学等におけるデジタル人材の育成を進めるために、全国の大学等による数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムを形成し、全国九つのブロックの代表校を中心に、各ブロックにおける数理、データサイエンス、AI教育を推進することとしております。

 また、地域の企業、産業のDXに必要なデジタル人材の育成、確保に向けまして、産学官金が連携する地方のDX拠点の整備をしたり、地域や企業の現場で実際の課題に取り組む研修プログラムへの学生を含む人材の提供等を通じて、地域のニーズとデジタルスキルを学ぶ人材の適切なマッチングを促し、地域への定着を図ってまいります。

 デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、地域一丸となって、デジタル人材の育成、確保を進めるための体制を構築してまいりたいと考えてございます。

五十嵐分科員 今までそのような人材の育成に関与していないところの協力も得ながら人材を育成するということで御苦労もあるかと思いますが、同時に、必要なのはその人材の定着でございます。

 今までも、物づくり県、栃木県と言われながらも、やはり、大学を目指して上京してしまって人が戻ってこない、あるいは、いろいろな教育とか技術を身につけると大都市部に流出をしてしまう、そういう苦い経験が我々地方の者にはあります。デジタル人材も、せっかく地元で教育をして、教育を受けていただいたのに、条件のいいところ、環境のいいところ、待遇のいいところに流出をしない、そういう仕掛けというのは、やはり省庁横断的に、仕組みというものも引き続き検討をいただきますようにお願いをして、次の質問に移らせていただきます。

 地域においてのデジタル実装を進めるに当たっては、やはり地場の企業をしっかり巻き込んでいく、このことこそが重要と考えております。デジタル田園都市国家構想推進交付金において、そうした工夫が是非行われるべきだと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度補正予算におきまして二百億円措置されましたデジタル田園都市国家構想推進交付金でございますが、この交付金は、意欲ある地域による自主的な取組を応援するため、デジタル技術を活用した地域課題解決等に向けて、他地域の優良モデル等を活用して迅速な横展開を図る事業や、地方への新たな人の流れを創出するためサテライトオフィスの施設整備等に取り組む地方公共団体を支援するものでございます。

 委員御指摘のとおり、地域におきましてデジタル実装を進めるに当たっては、前向きな地場の企業を巻き込んでいくということは大変重要な視点だというふうに考えております。

 今回、サテライトオフィスの整備等に取り組む地方公共団体を支援いたします地方創生テレワークタイプ、これは先生御地元の日光市でも御活用いただいております。

 この地方創生テレワークタイプでございますけれども、サテライトオフィス等に進出いたしました企業と地元企業が連携して行う、地域資源を活用した取組を支援する事業といったものを新しい事業類型として追加をいたしております。こういった地域の企業を巻き込む工夫を講じております。

 本交付金を有効に御活用いただき、地方におけます先導的なデジタル実装の取組を支援してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 今回の交付金を使ったいろいろな事業、取組によって、成功したものを横展開させる、横展開のスピードを上げる上でも、やはり、地元に根差した、地域に根差した企業を巻き込んでいくことが必要だと思います。

 ただ、私の感覚では、地元の商工会、商工会議所の会員企業などは、まだまだそのレベルに達していないような気がします。制度はつくっても、地場企業、地元の企業のやる気を引き出すようなこと、それはやはり、市町村であったり都道府県レベルで、いろいろな問いかけ、情報提供、あるいは講習などの機会もつくっていかなければならないと思っております。

 そういう意味では、やはりこれも、国の省庁を横断する取組とともに、地方自治体にもそのような意識を持っていただいて、しっかりと、地方独自で、将来的には自立的にデジタル社会にどんどん進んでいけるような、そんな環境づくりに御配慮を、心を砕いていただければありがたいというふうに思っております。

 それでは、最後の質問に移ります。

 デジタル田園都市国家構想推進交付金について、地元自治体からは、十分な申請期限を設ける、あるいは柔軟な運用を求める要望が私のところに寄せられております。また、交付金を受けた次年度以降、地方が自走体制を確保できるようにどのような対応を考えているのか、改めてお伺いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想推進交付金につきましては、令和三年度補正予算で措置されたものでございますので、単年度かつ早期の執行に取り組む必要がございます。

 委員御指摘の点でございますけれども、他地域の優良モデル等を活用して横展開を図るデジタル実装タイプにおきましては、一月の十四日に制度の周知及び事前相談を開始しておりますが、これはなお一か月程度の相談期間を設けることとしております。また、申請に当たりまして、自治体の参考となるような事例集、そういったものを作成、公表するなどの工夫をしているところでございます。

 また、二点目の、自走体制の確保という御質問でございますが、事業の持続可能性を確認するために、複数年度にわたりまして事業の効果を測るための明確なKPIの設定、複数年度にわたります実施計画の策定、各事業年度終了時の事業の進捗状況の報告を求めることとしており、本交付金が真に有効に活用され、自治体において実装できるよう、しっかりと取り組んでまいります。委員の御指摘も踏まえて、更に使いやすい制度となるよう、改善を工夫してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 ただいまの御答弁の中で、複数年のKPIであったり計画、そして報告も求めていくということで、私としては大変安心をしましたけれども、そういうことが必ずしも地方自治体にしっかりと下りていない現実もあるんだと思います。恐らく、推測するに、コロナの影響もありまして、いろいろな形での情報共有とか説明会も、思ったようにはできていないのかもしれません。

 そういう状況の中にあっては、先ほど申し上げたとおり、地方自治体にもこの分野について精通している方がまだそれほど多く存在しないという部分もありますので、より丁寧な説明であったり情報の共有には引き続き意を用いていただければありがたいというふうに思っております。

 今回、初めての質問となりまして、時間の配分がうまくいかずに少し余っているところではありますけれども、本当に、地方というのは、これまで、人口を何とか流出させない、あるいは少しでも増やそうというような取組、私も県議会に十八年いましたけれども、ずっとその取組をやっていましたけれども、実を結ばなかったというのが事実だと思います。

 今回のデジタル田園都市国家構想、かつての田園都市国家構想ですかね、そのイメージにデジタルが加わるだけで、本当に期待を持って待ちわびている、そういう国民も地方にはたくさんいるということを大臣始め政府の皆さんも認識をしていただいて、引き続きの取組をお願いしたいと思います。

 私も、一年生議員ですけれども、このことによって我が国がいま一度地方を含めて全体で元気が取り戻せるように、活気のある国、国家となることに一生懸命取り組むことをお約束して、国会議員になって初めての質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

島尻主査 これにて五十嵐清さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柳本顕さん。

柳本分科員 自由民主党、大阪の柳本顕でございます。

 私の方からも、この第一分科会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、二〇二五年大阪・関西万博について質問をさせていただきます。若宮大臣、御出席ありがとうございます。

 昨年、一年延長して、多くの関係者の皆様方の御尽力の下で東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本中はもとより世界中に大きな感動を与えたというふうに思っております。

 そして、今現在は北京で冬季のオリンピック・パラリンピックが開催されまして、連日、アスリートたちの雄姿をニュースなどで目の当たりにするに当たりまして、コロナ禍の中にあって非常に厳しい中ではありますけれども、乗り越えていくことに対する勇気や元気をそのニュースからいただいているようにも感じております。

 また、その一方で、今、UAE、アラブ首長国連邦の方では、こちらも二〇二〇年からの一年遅れではありますけれども、ドバイ国際博覧会が開催されています。世界的な感染拡大状況、パンデミックの下ではありますけれども、三か月で九百万人の来場、そして十六週で一千万人の入場者数ということで、徹底した感染症対策を行って、今まさに開催の途上であります。

 二〇二五年に開催される大阪・関西万博は、我が国への誘致に向けては、自民党としても全力で、政府とともに力を合わせて誘致に向けて取り組んでまいりました。そういった国家プロジェクトであります。ドバイ万博からしっかりと謙虚に学んで、その上で、岸田総理の施政方針演説にもあったように、この機会を最大限に活用しながら、内外から観客を、お客さんをお迎えして、科学技術やイノベーションの力で未来を切り開いていく日本の姿を、そして日本の魅力を世界に向けて発信していく機会にすることができればと考えております。

 そのためにも、まずは、より多くの国々が参加をしていくことが重要であると考えます。ドバイ万博の開催自体が一年遅れたこともありまして、海外への招請活動も少しずれ込んでいるという状況もありますけれども、現時点で参加表明を行っているのは何か国か、そして参加招請活動の戦略をどのように考えているのか、お伺いをいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博には、現在、七十八か国、六国際機関から正式な参加の表明をいただいております。また、それ以外にも多くの国や機関から積極的な参加に向けて強い関心の表明をいただいているところでございます。

 参加招請活動につきましては、新型コロナウイルスの影響など厳しい制約もございますけれども、駐日大使への働きかけのみならず、首脳レベルあるいは閣僚レベルの会談の機会なども活用しまして働きかけを行っているところでございます。

 今後も、在外公館による働きかけも含め、あらゆるチャンス、チャンネルを駆使して、オール・ジャパンで引き続き積極的に進めてまいりたいと考えてございます。

柳本分科員 ありがとうございます。

 今後、いろいろな機会があろうかと思いますので、そういったところをしっかりと活用していただきながら、参加に向けて呼びかけをしていただきたいと思います。

 各国のパビリオンなどで魅力ある会場内にすることはもちろん大切なことではあるんですけれども、来場者の方々に、大阪、関西はもとより日本の町の文化を感じていただきながら、快適に会場に足を運んでいただくことが重要であると考えております。

 約二千八百万人の来場者を想定する上で、会場へのアクセス、周辺インフラの整備を着実に実行することが必要でありますけれども、政府としてどのように周辺インフラの整備を進めていくのか、お聞かせください。

高科政府参考人 周辺インフラ整備につきましては、昨年八月に、万博を支える周辺インフラ整備の具体的計画となります大阪・関西万博に関連するインフラ整備計画を国際博覧会推進本部で決定いたしました。

 このインフラ整備計画は、計画に位置づけられた事業につきまして、万博までに整備されること、あるいは万博後の地域の社会経済活動の基盤となることを目指して、関係省庁がオール・ジャパンで着実に取り組むことを確保するものでありまして、会場へのアクセスの向上に加えて、安全性の向上、にぎわいや魅力の向上、さらには、開催後の大阪、関西の成長基盤ともなります広域的な交通インフラの整備が盛り込まれております。

 大阪・関西万博の開催に向けまして、これらの周辺インフラの整備について、地元自治体を始めとする関係者とも協力して、着実に進めてまいりたいと考えております。

柳本分科員 開催後も含めて、インフラ整備を積極的に進めていただけるということで、ありがたいことではあるんですけれども、まずは、二〇二五年の開催が決まっているわけですから、その開催に向けてのアクセスを着実に、確実に進めていただかなければなりません。

 しかしながら、今、全国的に建築資材などの高騰ということで、工事費などが上振れ傾向にあるのも事実であります。また、淀川左岸線などの周辺インフラにおいては、個別事案として、少し対応が必要な、お金、費用が必要な事象も出てきているとお聞きしております。そういった意味では、万博に向けて、これは万博協会だけではなく、国交省など、自治体にも協力を求めていかなければならない、あるいは主体的に行っていただかなければならないところでありますけれども、万博開催ということで特段の御配慮をいただくように、着実に進めていただくように要望をしておきます。

 二〇二五年に開催されるのは、何度も申し上げさせていただいておりますけれども、大阪・関西万博であります。決して大阪万博ではないわけですよね。新聞等では、大阪万博といった間違った表記を多数見かけます。大阪・関西万博は、開催地のものだけでなく、一エリアのものだけでなく、まさに国家プロジェクトです。開幕までの残すところ三年強、今後は、大阪、関西のみならず日本全国でその機運を醸成していくことが大変重要となってきます。

 一昨年ですかね、決定したロゴマーク、それが今バッジなどになっていますけれども、これも、決まった当初は話題になって、どうなんだろうか、これがちゃんと広まるんだろうかなというような声もあったわけですけれども、一年がたちまして、すっかり定着してきたように思います。また、今年春頃には新しいマスコットキャラクターもお目見えするということで、私自身も楽しみにしております。

 そういったことで、政府として今後の機運醸成についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

高科政府参考人 委員御指摘のとおり、大阪・関西万博を成功させるには、大阪、関西のみならず日本全国で開催に向けた機運を醸成することが重要でございます。

 先ほどお話にもありましたように、そのロゴマークや今後決定してまいります公式キャラクターなども活用して、全国的な機運を醸成してまいりたいと考えております。

 また、機運を盛り上げるためには、日本全国の様々な企業などに参加していただくことも重要だと考えております。パビリオンへの出展のほか、催事、イベントですね、そういったものへの参加、会場などを活用いたしました実証、実装事業の実施、あるいはテーマ事業への協賛など、積極的な参画を促進してまいりたいと考えております。

 国民の皆様に命輝く未来社会の具体的な姿をお示しし、新しい時代への希望を万博に見出していただけるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。

柳本分科員 ありがとうございます。

 まさに、そういった取組を通じて、国民一人一人が一緒になって、二〇二五年に向けて万博開催を盛り上げていこう、やっていこうというような、そんな意識も持てるような取組へとつなげていただけたらと考えております。

 昨年十二月に、政府として、万博のコンセプト、未来社会の実験場の具体化に向けたアクションプランを策定されました。ここでは、単なる展示の集合体だけではなく、これからの日本の産業の在り方を見出し、一人一人の意識やライフスタイルや行動に変化をもたらすことを目指すのであれば、ここにそういうことが書かれてあるんですけれども、そういうことを目指すのであれば、アクションプランの実現に当たっては、国家プロジェクトとして、他省庁とも、とりわけ経済産業省とも連携した上で推し進めていく必要があるというふうに考えます。

 今後、どのような方法でアクションプランを充実され、その内容を実現していくのか、お伺いをいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博のコンセプトであります未来社会の実験場、この具体化に向けまして、各省の予算要求や地元からの要望を踏まえた取組、検討状況をまとめた二〇二五年大阪・関西万博アクションプラン・バージョン1、これを昨年十二月に策定したところでございます。

 このアクションプランにおきましては、モビリティー、エネルギー・環境、デジタル、健康・医療、観光・食・文化、科学技術等、この六つの分野別に整理しているところでございます。

 このアクションプランは、現時点における取組、検討状況についてまとめたもので、今後、最新の技術やサービス、そしてイノベーションの動向なども踏まえて、新たに追加し得る施策の検討も含め、幅広い視点で検討を行って、少なくとも半年に一回改定していくこととしております。

 引き続き、成長戦略や各分野の戦略、構想、実施計画などとも連携いたしまして、また、当然、各省間でも連携をしまして、あるいは企業や自治体の御要望、御提案や具体的な検討の進捗なども踏まえて、アクションプランの具体化をてことしてイノベーションを進めていくべく、必要な措置を順次講じてまいりたいと考えております。

柳本分科員 今現在、昨年十二月に出されたものがバージョン1であるけれども、半年ごとに見直していくということで、これがバージョン一・五になるのか二になるのか分かりませんが、どんどんブラッシュアップをしていただくということであります。

 私どももこれを拝見させていただきまして、非常に未来に向けてわくわく感が呼び覚まされるような内容であるものの、じゃ、目玉は何なんだといったときに、何か、これというものがちょっと出てきていないような感じもありますので、そういったこともまさにこれから、幾つか多岐にわたる項目を出していただいておりますので、そこから絞り込みながら、目玉というようなものも一つ、二つ見出していただけたらと思っています。

 後ほどの質疑のスタートアップのところでも少し触れさせていただくんですけれども、関西には、医療や、あるいは医薬創薬、健康医療など強みがありますし、また、最近では木材加工技術であるとか、ずっと続いていることでありますけれども水素とかロボットとか、そういった強みもありますので、そういったものを生かしながら、一歩先取りした技術が会場で見られるように、体験できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして、そういった、バージョンアップしていきますよということも、昨日、若宮大臣はおっしゃっていたんですけれども、昨日はネットでも、大阪・関西万博二〇二五で見えてくる社会の未来予想図フォーラムというものが開催されました。私も質疑の準備をしながら拝聴させていただいた次第でありますけれども、若宮大臣も、小学三年生の頃というふうにおっしゃっていたかと思いますが、一九七〇年万博に訪問されて、携帯電話などの新しい技術を目の当たりにされたことを印象として伝えておられました。また、一九七〇年万博といえば、太陽の塔はいまだにシンボルとして現在も大阪にそびえ立っております。あるいは、ドバイ万博でも、アメリカ館で月の石が展示されているというような話もあります。

 先ほどのアクションプランの実行とも関わることなんですけれども、万博の跡地利用についてはいまだ明確になっているわけではないんですけれども、形で見えるものであるか、あるいは、それ以降の未来に向けて、ああいったものが具体的にこういう技術になったなというようなものであったとしても、そういった意味で、万博開催のレガシーを残していくということが非常に重要であるというふうに思うんですね。そう考えたときに、万博は一過性のイベントにするのではなくて、開催のレガシーを後世に残していってこそ万博の意義が深まるというふうに思うんです。

 そこで、二〇二五年大阪・関西万博のレガシーをどのように残そうとされておられるのか、お聞かせください。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、万博は日本の技術やアイデアを世界中に示す機会であって、半年間の一過性のイベントに終わらせることなく、三十年先、五十年先を見据えて、価値観や生活スタイルを変化させるきっかけにしていきたいと考えております。

 一九七〇年の大阪万博を振り返りますと、先ほどお話にもありましたように、携帯電話ですとか電気自動車、そういった新しい製品が登場して来場者を驚かせましたが、それらの多くは今の社会においても実装されて、生活の一部となっております。

 五十年後に、新しい産業の種は大阪・関西万博から始まった、大阪・関西万博が日本の競争力を取り戻すきっかけになった、そういったように語り継がれるような万博とするべく、オール・ジャパンでしっかり取り組んでまいります。

柳本分科員 是非、よろしくお願いをいたします。

 二〇二五年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。コロナ禍を経て、ウィズコロナあるいはポストコロナの新しい生活様式と価値観を世界に示すことが求められていると考えます。

 コロナ禍で衰退したインバウンドの回帰の流れをつくっていくということも重要です。質が高く、安全、安心な日本の食材、食べ物ですね、日本酒なんかもそうかもしれません、多彩な魅力を持つ地方の様々な文化などを海外に発信できる絶好の機会であるというふうにも考えるわけであります。

 そこで、最後に、若宮大臣にこの点についてお伺いをいたしたいと思います。

 冒頭にお聞きをした招請活動や機運醸成に向けては、若宮大臣を先頭に、政府関係者が国内外の各地に赴きPRをしていただくことも重要であります。若宮大臣に、国家プロジェクトとしての大阪・関西万博開催に向けての御決意をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

若宮国務大臣 まず、柳本先生には市議会時代から大変に御活躍いただき、また、同僚の皆様方、そしてまた自民党の大阪府連の皆様方におかれましては、この大阪・関西万博が大阪の地に招致できたということに大変な御尽力をいただきましたこと、感謝と敬意を申し上げたいと思っております。

 そしてまた、今日も御質疑の中でも多々お触れいただきましたけれども、非常に熱意を持ってこの万博の成功に向けて御尽力をいただいていることにも改めて感謝申し上げたいと思っております。

 委員御指摘のように、この大阪・関西万博、まさに、昨年、一年遅れで開催されました東京オリンピック・パラリンピックに続きます、本当に国家全体で取り組むべき大プロジェクトだというふうに私も認識をいたしているところでございます。

 まさに、日本のよき文化ですとか、伝統ですとか、あるいは新しい技術ですとか、そういったものを世界に向けて発信して、また、今議員もおっしゃりましたけれども、世界からのインバウンド、このコロナが収まった状況を見ながら、三千万人を超えて更に増やしていけるような形に持っていければなというふうにも思っているところでございます。

 参加招請につきましては、確かに、御指摘のとおり、新型コロナの影響を受けまして、今、厳しい制約のある中ではございますけれども、私自身、大臣を受けたときから精力的に動いておりまして、チーム全体で、招致国また国際機関も増やしているところでもございますので、これから更に力を入れてまいりたいというふうにも思っております。

 また、委員のお話の中でもありましたけれども、ロゴマーク、そしてまた公式キャラクターなどもこれから決まってまいりますので、様々なイベント等を活用いたしまして、国内全体の機運の醸成というのも力を入れてまいりたいなというふうに思っております。地方自治体ですとか、あるいは、大きな企業、中小企業を含めて、企業のサイズにかかわらず、いろいろな方々が御参画いただけるような形での、今、内容を考えて、盛り込ませていただければなというふうに思っているところでございます。

 そしてまた、何よりも、このコロナの中で、やはり生活スタイル、あるいは人々の働き方ですとか、もしかすると、幸せ、幸福観とか生き方というのがどうも大きく変容してきているようにも思っております。そうした中で、日々、技術革新、様々な技術がどんどんどんどん革新をされてきて、いろいろな意味での、これから世界に向けて、この先がどういう社会であるのか、十年後、二十年後、あるいは前回の万博から考えればやはり五十年後の社会が具体的に今後どうなっていくのかということをこの大阪・関西万博を契機に日本が発信する中で、ある意味では、日本が逆にプラットフォームをつくれるぐらいまでの勢いで、世界の中、国際社会の中で活躍ができる状況まで持っていければいいなというふうにも思っております。

 半年間の開催期間でありますけれども、この半年間のためにあるわけではなくて、その半年間がまさにスタートラインだということの位置づけをもって、これから先、全力で取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

 委員におかれましても、更なる御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

柳本分科員 ありがとうございます。

 若宮大臣の決意をお聞かせいただいて、改めて私自身も、一国民として二〇二五年に向けて盛り上げていきたい、そして成功させていきたいというような思いを新たにさせていただきました。そして、二〇二五年の大阪・関西万博が、改めて、日本、国全体のものであり、国家プロジェクトであり、それが開催された後に、その六か月間だけのものではなくて、未来に向けて提言、提案ができるような、そんな万博となるように、力を合わせて取組を進めていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。若宮大臣、ありがとうございました。

 それでは、続きまして、残りの時間でスタートアップ支援について質問をさせていただきます。

 先ほどの万博もそうなんですけれども、未来社会の実装を示していくためにも、スタートアップの支援は必須であると考えています。

 政府においては、スタートアップエコシステムの形成をすべく、令和二年七月に、グローバル拠点都市と推進拠点都市というものを選定しました。

 選定から一年半が過ぎた現在、拠点都市のエコシステム形成の進捗をどのように捉えているのか、全体を概観した進捗状況をお聞きいたします。

米田政府参考人 お答えいたします。

 成長戦略の第一の柱でございます科学技術立国を実現し、成長と分配の好循環を実現するためには、イノベーションの重要な担い手であるスタートアップが次々と生まれ成長するエコシステムを、都市を中心に、自治体、大学、民間が連携して形成していくことが重要であると考えてございます。

 内閣府では、世界に伍するスタートアップエコシステムを我が国に形成すべく、委員御指摘のとおり、その拠点となる都市を令和二年七月に選定し、様々な支援を行っているところでございます。

 こうした中、選定後一年半がたちますが、各拠点都市のKPIは全体として順調に推移していると認識しておりまして、例えば、スタートアップ企業が育ちやすい都市の世界ランキングで、東京都は二〇二四年に世界で十位となる目標を設定していたところでございますけれども、昨年九月に発表されたランキングで九位とランクアップいたしまして既に目標を達成するなど、成果が見られ始めているところでございます。

 内閣府としましては、引き続き、関係省庁と連携して拠点都市への集中的な支援を行い、スタートアップの創出と成長のための環境整備をしてまいりたいと考えてございます。

柳本分科員 ありがとうございます。

 具体的な目標を定めながら成果を上げているということで、大変期待が持てるところなんですけれども、ただ、東京だけじゃ駄目なんですね。やはり、グローバル拠点都市なりで選ばれた四か所、あるいは推進拠点都市などにおいてもその広がりを見せていかなければなりません。

 グローバル拠点都市ということで、大阪、京都、兵庫、関西コンソーシアムは、東京に次ぐ経済力を背景としておりまして、万博もある中で、その潜在力を世界に対してアピールしたいところであります。

 大阪、京都、神戸の三都市が連携してのスタートアップエコシステム形成の進捗についてお伺いをしたいと思います。各都市の個性を生かす実質的な連携というものが進んでいるのか、万博を契機として社会の実装を関西コンソーシアムでどのように進め、それを国としてどのように進めるのか、お伺いをいたします。

米田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、大阪市、京都市、神戸市が中核となって運営する大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムについては、大企業の所在と資金力、人材に強みを有する大阪、それから京都大学を中核とした基礎研究のシーズを有する京都、医療、ヘルスケア分野や社会実証実験の推進等に強みを有する神戸が、それぞれの強みを生かし、経済界も含めた京阪神一体となった取組を推進していると承知してございます。

 具体的には、三都市を中心とするコンソーシアムにおきまして、月二回程度、情報共有の場を設けまして、ピッチイベント等の相互の支援プログラムの共有を図りますとともに、来年度の海外連携機能強化に関する事業の三都市での共同実施を検討するなど、連携を深めていただいていると承知してございます。

 こうした取組を通じまして、大阪、京都、神戸の三都市が、連携を図りつつ、それぞれの強みを発揮することで、二〇二四年度末までに五百四十二社のスタートアップを創設する目標を設定しているところでございますけれども、一昨年七月の拠点都市認定からの約一年間で既に百三十八社のスタートアップが新たに生み出される等、エコシステムの形成が順調に進捗しているものと認識してございます。

 大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムの目指す万博に向けたスタートアップ支援の取組も含めまして、拠点都市がスタートアップを創出する機能を更に強化できるよう、国としてもしっかりと支援していきたいと考えてございます。

柳本分科員 ありがとうございます。

 自治体間での連携が進められているということでありました。

 ただ、課題としては、自治体間連携のみならず、海外に対するアピール、そしてさらには、何といっても資金調達というところがこのスタートアップの大きな課題というかハードルになっていると思うんですね。

 その点でいうと、やはり資金面ということになってくると東京に行くわというような状況も出てきますけれども、そういった課題について内閣府としてどのように考えておられるのか、その課題解決に向けての取組と併せ持ってお答えください。

米田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、内閣府としても、自治体間の連携や海外へのアプローチの強化、資金調達の強化等がスタートアップエコシステム拠点都市の課題であると認識してございます。

 自治体間の連携や海外へのアプローチ強化については、拠点都市内の関係自治体間の連携や海外のエコシステム拠点との関係を強化する観点から、各拠点都市が推進する海外への情報発信や海外のアクセラレーターの招致等の取組を支援する新たな事業を創設したところでございまして、これらの事業を活用いたしまして、各拠点都市の取組を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。

 また、資金調達については、大きな課題でございますが、解決に向けてしっかり取り組むことが必要と考えているところでございます。総合科学技術・イノベーション会議の下にイノベーション・エコシステム専門調査会を設置いたしまして、成長資金の拡大等の必要な施策の検討をこれから進めていくということにしてございます。

 内閣府としては、これらの取組によりまして、各拠点都市がスタートアップ創出に向けた機能を強化できるよう、引き続きしっかり支援してまいりたいと考えてございます。

柳本分科員 たくさん支援策があるのはよく分かるんですけれども、その支援策が、自分たちが今困っているときにどういう支援が当てはまるのか、あるのかないのかというのがなかなか分かりにくいというお声も聞きますので、その辺り、いろいろしていただいているのはありがたい、ただ、分かりやすく、その支援策にアプローチできるように、アクセスできるように取組を進めていただくことを求めておきます。

 スタートアップエコシステムの形成において、もう一つ大切な柱は、テック系のスタートアップの成長促進であると考えます。

 世界での勝ち筋は、日本の大学や研究機関が世界に誇る技術シーズを素早く実用化してグローバルに発展させることだと考えます。その意味では、内閣府が司令塔となって、各省庁が連動して、テック系のスタートアップの創出から政府調達や民生利用、一般的に活用されるような状況まで一気通貫で支援するSBIR、スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ制度に注目するところなんですけれども、民間人材活用、省庁統一ルールでの運用であるとか、あるいは政府調達の促進などを中心とするSBIRの取組の状況と今後の事業強化の見通しについて、最後にお伺いをいたします。

米田政府参考人 お答えいたします。

 日本版SBIR制度につきましては、スタートアップによるイノベーション創出を促進するため、本年度から、内閣府を中心とした省庁連携による新たな体制の下で取組を進めているところでございます。

 昨年六月には、政策ニーズに基づき国が研究開発課題を設定して交付する補助金の公募、執行に関する統一的なルールや、政府調達の促進等を盛り込みました指針を閣議決定いたしまして、この指針に基づきまして、開発成果の創出に向け、現在、着実に取り組み始めているところでございます。

 さらに、科学技術に関する知見やスタートアップビジネス経験など豊富なバックグラウンドを有する民間人材をプログラムマネジャーとして採用いたしまして、これらの方々の知見を最大限活用しつつ、SBIR制度のより効果的な運営を図っているところでございます。

 今後とも、これらの取組を着実に進めまして、イノベーションの担い手であるスタートアップの支援を強力に推進してまいりたいと考えてございます。

柳本分科員 ありがとうございました。

 スピード感ある答弁をいただきましたけれども、まさに、スタートアップですから、スピードを上げて取組へとつなげていかなければなりません。

 まずは、本日の質疑で、私、冒頭、大阪・関西万博の話をさせていただきましたので、そこも日本におけるスタートアップを盛り上げていく絶好の機会であるというふうにも思いますので、そういったところを捉えながら、二〇二五年大阪・関西万博を捉えて、そこで実りある成果を世界に向けて発信できるように、そして、その上で、日本においてもスタートアップ頑張っているなと言っていただけるような結果を残していただくようにお願いをいたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

島尻主査 これにて柳本顕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、中川貴元さん。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。自由民主党、愛知二区の中川貴元でございます。

 この度は、コロナ対策について質問の機会をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。

 私は、名古屋の市会議員を七期約二十七年務めさせていただきました。この間、指定都市の議長会の会長として大都市問題に取り組ませていただきましたり、あるいは、新型コロナウイルス感染症が発生してからというものは、自民党市議団の新型コロナウイルス対策本部長として、第一波から第五波にかけて、その対策に奔走をしてまいったところでございます。

 そこで感じたことは、コロナ対策というのは、もちろん広域的な対応が求められる一方で、陽性者は大都市に集中していることから、感染者の多いところから早期に抑え込んでいく、そういう視点をもう少し持ってはどうだろうかということを感じてまいりました。同時に、関連法やあるいは運営が都道府県を中心とした全国一律のものであるところにも課題がありはしないかとも感じてまいりました。

 例えば、一月二十四日時点の数字でありますが、全国の累計陽性者約二百二十一万人余のうち、指定都市と東京都を合わせた陽性者数は、約百八万九千人余であり、全国の陽性者の半分近く、四九・二%を占めています。さらに、全体の六割の百三十二万人余が指定都市の所在する道府県内の陽性者であり、その約半分、全体の約三割弱、二八・一%に当たる六十二万人余が指定都市の陽性者となっております。

 新型コロナ対策の要諦は、人口、産業が集積する大都市で、効果的な感染対策を実施する、特に感染初期の対応をいかに迅速にしていくか、これが大事なことではないかというふうに思っています。

 また、感染のスピードや内容は関連法の想定を超えている面もあるということ、さらには、予算措置、運用面においても、もっとスピード感を持って対応できるようにすべきだとも思います。

 要するに、現行法のまま、あるいは今のやり方のままでは迅速な対応ができない、二年に及ぶこれまでの対策の中でこうした局面を多く経験してきたということを私たちは再認識して、そして、将来に向けてその対策を講じていく必要があるのだというふうに思います。

 そこで、今日は、どうしたらスピード感を持った対応ができるのかを議論させていただきたいと思います。新型インフルエンザ等対策特別措置法を始め、感染症法、その他の予算措置、また運用面などの問題点について、私なりの考察を交えながら質問させていただきたいと思います。

 特に、今日は、山際大臣、そして島村政務官共に、指定都市には大変造詣の深い、そして思いをお持ちのお二人から御答弁をいただけるということで、楽しみにしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、感染症法に関連してでありますが、軽症者宿泊療養施設について伺いたいと思います。

 軽症者宿泊療養施設は、入院を必要としない方に適切な療養環境を提供する施設で、感染症法では、都道府県知事が必要な宿泊施設の確保に努めなければならないとされています。

 例えば、名古屋市では、第一波から第二波の際、陽性者の急増に備え、国内各地で設置され始めていた軽症者宿泊療養施設の市内への設置を愛知県に求めてきましたが、残念ながら、その設置は遅れ、第二波のピークを過ぎた後での開設となりました。また、東京、大阪に比べ設置数が少ないために、第六波に備えて増設が望まれていたところでありますが、新たに二か所増設されたのは本年の一月の下旬から二月にかけてのこととなりました。もう少し早く開設ができたらという声を本当に多くの皆さんからいただいたところでもあります。

 しかし、これは決して県が悪いわけではありません。県の立場からは、県内全域への対応やあるいはバランス、こうしたことも考えていかなければならないことは重々承知をしているつもりであります。

 そこで、これらに対する対策として、自らが確保できる体制がある指定都市にその設置の役割を担わせてはいかがでしょうか。あわせて、スピード感を持って設置していくために、権限を財源とともに移譲すべきだと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

島村大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 中川委員に関しましては、名古屋市の市議として御経験長く、そして今日御質問していただいたと御理解をさせていただいております。

 まず、感染法に関しましては、現行法は、業務の多くは専門性、広域性を要するため、一般市町村ではなく、保健所を有する都道府県及び保健所設置市、特別区が担うこととされております。都道府県が広域的な調整機能を発揮すべき業務については、都道府県知事のみが権限としているところでございます。

 宿泊療養施設については、新型コロナウイルス感染症の患者の病状や、県内全域の感染者数、医療提供体制の確保の状況等を踏まえつつ、広域的に調整することにより、過不足なく効率的に確保できると考えられることから、感染法上、現在は、都道府県知事が必要な宿泊施設の確保に努めなければいけないとさせていただいております。

 一方、地方自治体の御判断により、政令都市等の保健所を設置している自治体が宿泊施設の確保を行うことは可能でございます。例えば、政令都市である千葉市、神戸市そして相模原市においては、現在、宿泊療養施設の確保や運営がなされていると承知をさせていただいております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。

 続いて、コロナに関連して、酸素ステーションの設置についても併せてお伺いをしたいと思います。

 愛知県では、第五波の感染爆発を受けて、令和三年九月に酸素ステーションが設置されました。会場の調整や医療スタッフの手配、また医療機器の配置など、それなりの準備が必要であったかとは思いますが、設置されたときには既に第五波の感染のピークを過ぎていました。

 また、患者搬送を行う消防救急業務は、県ではなく各市町村が担っており、こことの調整ができないと酸素ステーションとしてうまく機能いたしません。結果として、この酸素ステーション、利用者はゼロでありました。

 酸素ステーションを、消防救急隊との調整も含めて、指定都市が自ら設置することで、命を守る迅速な対応が可能となるとともに、これは実は県の負担軽減にもつながると考えますが、こちらについてはいかがでしょうか。

島村大臣政務官 今の御質問、入院待機ステーション、又は、委員は酸素ステーションとおっしゃっていただきましたが、入院待機施設におきましては、政令指定都市等の市町村による設置も可能でございます。例えば、大規模な例としましては、北海道において、指定都市であります札幌市が運営する入院待機施設が今現在もございます。

 そして、国としましては、臨時の医療施設、入院待機施設の更なる稼働を呼びかけているところでございまして、引き続き、必要な人が必要な医療を受けられる体制を進めてまいりたいと思っております。

中川(貴)分科員 続いて、特措法に関連して、臨時の医療施設についてお尋ねをしたいと思います。

 従来株に比べてデルタ株の感染力は一・八倍、そして、デルタ株に比べてオミクロン株は二・七七倍と言われております。変異するにつれて感染力が強くなってきているわけであります。今後の新たな変異株の発生も見据えると、よりスピーディーに、大都市から感染を抑え込むことができるような体制の構築が求められていると思います。

 ここでも指定都市のポテンシャルを活用し、消防救急隊の患者搬送の調整を含め、自らの判断で軽症者宿泊療養施設や酸素ステーションを臨時の医療施設に転用することができれば、いち早く治療に結びつけることができ、重症者や死亡者を減らすことができると思います。

 そのためにはこの特措法の見直しが必要となってまいりますが、この点についてはいかがでしょうか。

島村大臣政務官 委員の今の御質問でございますが、臨時の医療施設に関しましては、都道府県全体の医療の逼迫状況を踏まえて設置の必要性を判断する趣旨から、新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十一条の二の第一項に基づき、地域の医療提供体制の確保を担う都道府県において設置するとしております。

 一方で、都道府県が設置した臨時の医療施設については、市町村が運営しているケースもあるとお聞きしております。都道府県が市町村において運営されている宿泊療養施設や入院待機施設を臨時の医療施設として開設し、当該施設の運営を市町村に委託することも制度上は可能となっております。

 いずれにしましても、国としましては、臨時の医療施設、入院待機施設の更なる稼働を呼びかけているところでございます。引き続き、必要な人が必要な医療を受けられる体制の整備をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。

 では、次に、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、こちらについてもお伺いをしたいと思います。

 この交付金は、感染防止対策やあるいは医療提供体制の整備などについて、都道府県の取組を包括的に支援するための交付金であり、市町村は都道府県から受け取る、そういう仕組みになっているわけであります。

 しかしながら、県から市町村へ交付金が配分されるまでに数か月を要するケースもあるのも事実であります。そして、市町村において、地域の実情に応じ、柔軟かつ機動的に活用することが困難なケースも生まれているところであります。例えば、愛知県においては、令和二年度、コロナ対策について、市町村に相応の財源負担を求めている一方で、多額の交付金を国に返還するという事態が発生をいたしました。このことは、指定都市の市長会からも度々要請が出ているところでもあります。

 指定都市などの大都市部で新型コロナの陽性患者が多数発生している状況を鑑みれば、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金などの感染症対策に係る緊急的な交付金は、指定都市等に直接交付した方が高い効果が見込まれると思います。

 そこで、これまでの全国におけるこの交付金の活用状況と、市町村ではなく都道府県に交付する仕組みに関する課題について認識を伺いたい。そして、その課題を乗り越えるためにも、指定都市を直接交付の対象にした方がいいのではないかとも考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

島村大臣政務官 令和二年度の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の医療分でございますが、令和三年五月三十一日時点で、全国において約二・五兆円の交付が行われております。そのうち約二・二兆円が執行され、都道府県から国への返還額は約二千四百億円となっております。この交付された金額のうち、執行額と返還額を除いた差額は、都道府県が次年度の繰越しとさせていただいております。

 また、新型コロナウイルス感染症の患者に対する医療提供体制の確保等については、広域的な観点が不可欠であり、入院調整を始め、都道府県が大きな役割を担っており、緊急包括支援交付金は都道府県に交付することとしております。

 市町村は、都道府県からの間接補助により事業実施者となる可能性があり、都道府県と市町村で連携して新型コロナウイルス感染症の患者に対する医療提供体制の確保等に取り組んでいただいております。

 また、都道府県によりその早期執行を強く要請しており、できる限り速やかに市町村に支援が届くよう努めていってまいりたいとお願いをしております。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止や医療提供体制の整備に向け、必要な予算を確保した上で支援策を講じていきたいと思っております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。

 それでは次に、医療提供体制について、とりわけ治療薬の配備についても伺いたいと思います。

 この治療薬である中和抗体薬それから経口抗ウイルス薬などは、都道府県の選定した医療機関や薬局に配備をされます。

 これもまた、名古屋市は、愛知県に医療機関のリストの共有など早期の情報提供を求めていましたが、県全体での取りまとめができるまで行われなかったとも聞いています。

 治療薬の配備についても、直接、指定都市が窓口になれば、より迅速に、地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会の皆さんの御協力の下、感染拡大をいち早く抑えることができるのではないかと考えますが、こちらについてもお答えをいただきたいと思います。

島村大臣政務官 新型コロナウイルス感染症の治療薬については、全世界向けの総供給量は限られており、日本への流通量も限られたものとなっていることから、本剤による治療を必要としている患者様の皆様に公平に配分するため、供給が安定するまでの間、国が買い上げて、医療機関等に無償で提供する仕組みをさせていただいております。提供に当たりましては、厚生労働省が委託している製造販売業者を通じて、医療機関等へ直接送付しております。

 現在は、これに関しまして卸の方々に御協力いただきまして、例えば、経口薬、モルヌピラビルについては、原則、必要なところには翌日お届けできるような仕組みになっております。

 現在の感染状況に鑑みると、政令指定都市の業務が逼迫している中、医療機関等への治療薬の配付を担っていただくことは自治体の業務負担の増加につながるとともに、現状の取扱いを変更することにより、自治体だけでなく医療機関等においても混乱が生じる可能性があると思い、現行の枠組みで適正に供給してまいりたいと思っております。

 以上です。

中川(貴)分科員 そうしましたら、また、ワクチンについてもお聞かせをいただきたいと思います。

 昨年の一、二回目のワクチン接種のときですが、東京や大阪では国が大規模接種会場を設置してワクチン接種を加速させようとする中で、愛知県も大規模接種会場を設置いたしました。ただ、私は、この東京、大阪の例を見て、やはり、愛知県の設置する大規模接種会場だけでは足りない、不足をするのではないか、こういうことから、名古屋市も独自の大規模接種会場を設置できるように、こういうことで奔走してまいりました。

 その中で、市が設置する大規模接種会場へのワクチン供給を、国へ要望を何度かさせていただいて、本当におかげさまで、国の協力を得る中で二か所の大規模接種会場の設置を実現させていただくことができました。しかし、それでもやはり、多くの皆さんからは、もっと早く何とかならないのか、もっと早くワクチンの接種をしたいんだという声を本当にたくさんたくさん頂戴してまいりました。

 現在、新型コロナのワクチンは、国から都道府県に供給され、そこから市町村に配分される仕組みとなっていますが、従来から、小児のはしかなどの各種ワクチン接種は市町村の業務とされており、地域医師会との調整能力やノウハウも指定都市では十分に持ち合わせています。そして、集団接種、個別接種、また大規模接種を組み合わせながら、現場において最適となるような取組を探求しつつ、このワクチン接種を推進していると思います。

 こうしたことを生かして、一日も早く、スピーディーに全国的な感染を抑えていくためにも、ワクチン配分を希望する指定都市が国と直接調整を行えるようにするとともに、ワクチン流通等の調整の権限も指定都市に移譲をし、最適かつ迅速化を図る工夫が必要と考えますが、この点についてもお尋ねをさせていただきたいと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナワクチンの接種につきましては、今委員御紹介ございましたように、都道府県あるいは市町村のそれぞれの工夫の中で、この間取組を進めてきていただいたものと考えております。大変感謝をしております。

 この接種に関しての都道府県、市町村の役割につきましては、住民に身近な市町村に接種の事務を担っていただく一方で、都道府県には、広域的な観点から必要な調整や市町村への支援をお願いしているところでございます。

 ワクチン接種をより効率的に行うためには、例えば、複数の市町村で協力して接種体制を確保していただいたり、都道府県民の全員の方を対象とする大規模接種会場、先ほど御紹介ありましたけれども、そのような取組をしていただいたりなど、地域において様々な工夫をいただくということをお願いしております。

 国としては、こうした広域的な観点から必要な調整を都道府県に担っていただいて、その結果を踏まえてワクチンの配分や配送を行うことが適当と考えておりまして、これまでそのような取組で進めてまいりました。

 もちろん、都道府県が広域的観点からの調整を適切に行えるように、市町村、都道府県でよく御相談をいただいて、引き続き接種の促進に御協力をいただきたいと考えているところでございます。

 なお、特に市町村の側からは、スケジュールをきちんと示して、それぞれで接種の取組を計画的にやっていくということが重要だということで常々要望をいただいておりますので、三回目の接種に関しましては、昨日、五月までの配分のスケジュールをお示ししたところでございます。昨日までに、総量で一億回を超える十分な量の配分量をお示ししたところでございまして、こうしたお示しさせていただいた供給スケジュールを基に、都道府県、市町村で連携をして、追加の接種、三回目接種に計画的に当たっていただきたいと考えているところでございます。

 どうぞよろしくお願いします。

中川(貴)分科員 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 これまで、様々、各論についてお尋ねをさせていただきました。コロナの感染を一日も早く抑えていくためには、こうした課題をまさにスピード感を持って解決していくことが必要不可欠だというふうに思っています。

 さっき、袖で島村政務官に言われました、気持ちは分かるぞと。気持ちは分かるぞと言っていただきましたが、これは、もし本当にこれまでの対応が百点満点とするならば、多くの国民の皆さんからはきっと何一つ不平不満もないでしょう。しかし、現実には、重症化する方あるいはお亡くなりになられる方、そういう方もたくさんいらっしゃいます。私の知っている高齢者施設でも、救急車に乗って、搬送をするところがない、したがって、そのまま据置きになってしまった、そして、結果、お亡くなりになられた方もいらっしゃる。こういう命を私たち政治家は絶対に見逃しちゃいけないというふうに思うわけです。

 そのためにも、本当に多くの国の皆さんやあるいはそれぞれの市町村の皆さんも、昼夜を問わず本当に懸命になって働いていただいている、しかし、なおそれでも足りないところを私たちは謙虚に受け止めて、そして、一人の死者も出さないような、そういう強い決意が私たちには必要なんだというふうに思っています。

 ここは山際大臣の出番かというふうに思いますが、やはり、希望する指定都市が一元的な対応を可能とする特措法、感染症法の改正、また、予算措置、運用面についての見直しが、私は、大臣、本当に必要なんだというふうに思っています。

 今回のこの感染症法は、私たちにとっても初めてのことですから、どれだけ一生懸命やったとしてもなかなか百点満点の答えはないかもしれない。でも、私たちは、その足らざるを常に補っていく、そういう試みが必要なんだというふうに思います。

 そこでお尋ねをいたしますが、コロナ対策においては広域的な対応が求められることは重々承知をしていますが、しかし、人の命は一刻を争うわけでして、スピード感を持った対応も必要だというふうに思います。そういう中で、行政能力を有し、自らその対応を希望する指定都市については、国、県と協力をして責任ある対応を取っていく。すなわち、希望する指定都市が一元的な対応を可能とする特措法、感染症法の改正、また、予算措置、運用面についての見直しを行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、大臣のリーダーシップが本当に必要だと思います。

 そして、災害救助法の改正のときは、これも実は、当時は、県、知事さんたちとあるいは指定市の市長さんたちの間でいろいろ議論があったと聞いています。しかし、そこを内閣府がリーダーシップを取って、幾度となく協議の場に着いていただいたというふうにも聞いています。どうか、大臣の強力なリーダーシップ、そしてスピード感ある対応を求めますが、いかがでしょうか。

山際国務大臣 感染症対策において、一刻も早い、スピーディーな対応が必要だということは、これはまさしくおっしゃるとおりで、そのとおりだと思います。

 それを行っていく上で政令指定都市の役割をどのように考えていくかというのは、おっしゃるように、政令指定都市に任せた方がスピーディーで、かつ、そこにお住まいの方々に対して十分な様々なサービスを提供できるという部分もありますし、また、県を通した方が利便性があるということもある。これは委員が御指摘になられたとおりですね。

 ですから、災害救助法の場合は、まさに政令市に任せた方がそこにお住まいの方々にとって利益が大きいということで、政治的にそう動いたわけです。

 この感染症対策に関しては、もちろん政令市に動いてもらった方がいいところもありますから、そこに関して政令市に動いていただけるような仕組みにつくり変えていくということは私たちは柔軟にやらなきゃいけないと思いますので、この六月までに、そのことを議論しながら、司令塔をどのような形で機能させるかという中に盛り込みたいと思っております。しかし、それが特措法を変えなくてはいけないことなのかどうかというのは、少し検討させていただければというふうに思っております。

 いずれにせよ、委員のお持ちの問題意識は完全に共有させていただいておりますので、また、お互い政令指定都市選出議員だということもありますから、政令市が抱えている問題もよく分かった上で、みんなにとってプラスになるような解を何とかして導き出したい、努力をしたいと思います。

中川(貴)分科員 時間となりました。

 御答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。

島尻主査 次に、中島克仁さん。

中島分科員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 貴重な機会をいただきましたので、質問させていただきます。私からは、新型コロナウイルス感染症と経済安全保障との関連、特に、国産ワクチン、また治療薬に関連して質問させていただきたいと思います。

 小林大臣には、私、医者でもございますけれども、現状の国産ワクチン、治療薬の進捗について、問題意識を是非受け止めていただいて、御自身のお言葉で御答弁いただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 コロナウイルス感染症は、今、オミクロン株が蔓延している状況、予断を許さないという状況でございますが、約二年にわたり蔓延長期化、国民の多くの皆様、これは医療従事者、介護従事者もそうですけれども、飲食、観光業、さらには重症化リスクの高い基礎疾患を持つ方、また高齢者は、目に見えないウイルスを相手に、強いストレスの中で、本当にもう限界が来ている。

 そういう状況の中で、私も医療者としてなんですが、今、ワクチンはファイザー、モデルナを中心に三回目の接種が進められておりますけれども、やはり遺伝子ワクチンということに懸念を持たれる方も多いですし、また、治療薬に関しても、現在、塩野義製薬が条件付承認で今月中にもというふうに言われておりますが、やはり安全性、信頼性の面で国民の皆様の多くが切望している国産のワクチン、治療薬の登場は、このコロナパンデミック発生において、現在、各国がワクチン、また治療薬の確保を図っていく中で、我が国の経済安全保障上も私は重要な局面ではないかと。これは、感染対策上という意味と、やはり、海外のワクチン、治療薬、国産がなかなか登場してこないことによる経済への影響ということも大事な局面というふうに私は考えています。

 小林大臣は、二月四日、内閣委員会で、国産ワクチン開発について、令和三年度補正予算で平時からのワクチン開発、生産体制を強化する予算を確保し、新たな創薬手法による産学官の実用化研究の集中的な支援を行い、また世界トップレベルの研究開発拠点を形成していくと御答弁をされました。

 大臣にお尋ねしたいんですが、大臣のおっしゃる新たな創薬手法、また集中的な支援、世界トップレベルの研究開発拠点とは具体的にどのようなことなのか。この言葉、実は私も、このコロナ禍の二年近く、厚生労働委員会を中心に、このワクチン開発課題についてずっと求めてきたんですが、今までと一体何が違うのか、具体的に御説明いただければと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、委員におかれましては、現役の医師という資格で様々な現場の知見を共有していただきまして、まずは、その点について敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 また、お尋ねの点についてですけれども、今回の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを契機といたしまして、昨年の六月に、政府が一体となって長期継続的に取り組む国家戦略として、いわゆるワクチンの戦略を取りまとめたところでございます。

 この戦略におきまして、これまでの開発支援についてですけれども、やはり研究費の規模が小さくて、結果として公募による個別研究の域を出ていなかったという指摘もございましたし、また、政府と一体となった戦略的なワクチン開発を牽引できなかった、そういう指摘もなされているところであります。

 こうした指摘を踏まえまして、委員今御指摘いただいたとおり、平時から有事に備えた継続的な取組を進めていく、そういうことといたしまして、新たに、AMEDにおきまして、先進的開発戦略センター、政府としてはSCARDAと呼んでいますけれども、これを創設して、例えば、メッセンジャーRNA、こうした新たなモダリティー、創薬手法による産学官の実用化研究の集中的かつ弾力的な支援を可能とすることとして、今後脅威となり得る感染症に対するワクチンのより迅速な実用化を目指すこととしているところでございます。

 また、感染症有事の際に迅速なワクチン開発を行うために、アカデミアだけではなくて、平時から産業界あるいは臨床現場と連携をした形で新たな手法を含めたワクチンの基盤研究などを行う、世界トップレベルの研究開発拠点を構築することとしています。

 これは、口で言うほど多分簡単ではなくて、本当に頑張らなきゃいけないという思いでおりますけれども、関係省庁一丸となってワクチン戦略を迅速かつ着実に実行して、そのことによって、経済安全保障上もこれは極めて重要だと思っておりますので、国産ワクチンのいち早い実施に取り組んでまいりたいと考えております。

中島分科員 大臣がおっしゃった内容は、二月の厚生科学審議会感染症部会で示された感染症対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会の報告書にも同様の内容が示されていて、恐らく、大臣、この内容を踏まえて今御答弁されたというふうに思います。

 先ほども申し上げたんですが、一体的な取組であったりとか弾力性ある運用とか、これは当初から、この国産ワクチンの課題として挙げられていた。今おっしゃっていただいて、またこの報告書の内容を見ていても、それはそうだろうという内容。問題は、これをいかに実効性を持って早く対応できるか、ここが問われているんだと思います。

 大臣の意気込みは、内閣委員会のときも拝聴しておりまして、今も御答弁いただいて、非常に心強く、力強く思うわけでありますが、絵空事だけではなくて、先ほど言ったように、今まさに国民の多くの皆様が国産のワクチン又は治療薬を切望している状況の中で、これをいかに実効性を持たせるかということが重要なんだというふうに御指摘をさせていただきます。

 一方で、大臣、そのときに、今も平時からというお言葉がございましたが、平時から有事に備えて継続的な取組を行うことが極めて重要、パンデミックの際にはなかなか、ほかの国をやはり頼るということを前提にすることは、私は違うと思っておりますので、できる限り我が国自身の意思と能力によって国民の皆様の命を守っていくと御答弁をされ、私も聞いていて、全くそのとおりだと共感をしております。

 ただ、平時から備えるといいますが、平時における日本の製薬業界の状況は、世界と比較して、防戦一方、防戦一方どころか敗戦状況、こういうことが言えるのではないかということで、資料の一枚目でございますが、これは昨年十二月の日経新聞の一面記事、私、見ていて、大変ショッキングだった内容です。

 この内容は、医療敗戦、バイオ出遅れという見出しになっているんですが、医薬品等の貿易赤字が二〇〇〇年代後半から膨らみ始め、貿易赤字額は二一年では初めて三兆円を超える見通しとなっていること、ここ二年は特に、新型コロナウイルス感染症の蔓延長期化によって、海外からのワクチンの調達、治療薬もそうでありますが、更にこの赤字が膨らんでいる、こういうことだと思います。コロナ以前より赤字額は膨らみ続けている、現在進行形。これが、平時、またコロナ禍での我が国の現状。

 大臣にお尋ねしたいんですが、この医薬品の開発について、平時における備えの一環として、医薬品等の貿易赤字に表れているような我が国の国産医薬品等の開発能力、国際競争力低下の状況を大臣はどのように受け止めておられるのか、また分析されているのか、確認をさせていただきたいと思います。

小林国務大臣 今委員御指摘の、貿易赤字のかなり巨額に上っておりますその原因や分析につきましては、厚生労働省の方に詳細な分析はお答えいただきたいと思うんですけれども、一般論として申し上げますと、まず、今委員の御指摘の記事の内容というのは、私も拝読を当時しておりまして、非常にショッキングな内容だと受け止めました。

 ただ、この要因というのは一体何なんだろうと。これは、私自身の私見ですけれども、これは、企業の産業競争力も一因としてあろうかと思いますが、それだけではなくて、法人税率を含めた、製造立地としての競争力や競争条件によって、例えば、日本でいえば、国内の企業がどんどん海外に製造拠点を移してしまっていて、結果として本来輸出できるものが減ってしまっている、そういう要因もあると思いますので、この赤字額の拡大につきましては、やはり様々な要因を複眼的な視点から見ていく必要があると思っています。

 ただ、さはさりながら、やはり我が国の研究開発、産業競争力というものを高めていかなければいけませんので、今、私のこの健康・医療戦略担当の立場からは、やはり研究開発の支援というのは極めて重要だと考えております。また、そのための対策についても、やはり複眼的に考えていかなければならないと考えています。

 別途、私、経済安全保障担当の大臣でもありますので、その観点から見たときに、日本の創薬力を磨いていくということは、何かあったときにしっかりと国民の命を、先ほど私の発言を引用していただきましたけれども、しっかりと国内の供給に回していくという意味で、日本の自律性の向上にこれは確実に貢献すると思います。また、更にその強みを磨いて、例えば海外に輸出していくことができれば、それは国際貢献になるのは当然、また国際社会にとってその意味で不可欠な存在となっていくんだろうと思います。

 それは、当然、日本の国益にもかなうと思いますし、これだけではないと思いますけれども、結果として、そういうことができれば、貿易赤字の額のやはり縮小の方に寄与していくのではないかというふうに考えますので、そうした意味で、この創薬力の強化に国としても取り組んでいきたいと考えています。

中島分科員 要因について、複合的な、様々絡み合っているということは理解できます。

 ただ、今の現状は、特にこのコロナ禍で、例えば、ワクチンに関して言えば、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカも特例承認されておりますけれども、海外。そして、治療薬ですね。昨年八月は、抗体カクテル、これは一回当たり三十一万円、当時の報道ですが五十万回で一千五百五十億円。さらに、先日、経口薬として特例承認されたメルクのモルヌピラビル、これも百六十万回分調達ということで一千三百七十億円。現在、またファイザー製薬、これも海外の薬ということ。

 これは厚労省に答えていただいていいと思うんですが、このコロナの二年間で、当初はマスクもそうですが、感染防護品、そして今言ったワクチン、治療薬など医薬品、海外依存率が非常に高いということで、このコロナ禍で海外依存による我が国の経済損失は一体どのぐらいになると試算されておるのか。これは厚労省に答えていただいていいんでしょうか。どうぞ。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、今回のコロナにおきましては、医薬品のみならずいろいろな物資、こういったことに関しましても、様々、国内だけで賄えない部分が多かったということは承知をしております。

 その上で、そのような金額の損失というものを直ちに想定として見積もることは困難ではございますが、こういった海外に依存している状況、こういったことの原因としては、先ほど小林大臣申し上げましたように、医薬品の場合でありましたら、その立地ですとか人件費ですとか、国内企業であっても海外に拠点を置いていることが影響しているという御指摘がございまして、事実、日本企業は、この十五年間で、海外売上高は約四・五兆円ほど増加をしております一方で、日本から、国内から海外への輸出額というのが〇・五兆円にとどまっている。

 こういったことからまた差分というものも発生しておりまして、国内ではなく海外で製造がしやすい状況にあるということ、またそれから、加えまして、先生御指摘のように、今般のコロナワクチン、治療薬、バイオの医薬品の基盤がやや弱いというところもあろうかと思っております。

 したがいまして、直ちに損失額ということでは見積もることは難しいのですが、そういった技術、拠点の整備、こういったことを支援してまいりたいというふうには考えております。

中島分科員 損失額を出すのはなかなか難しいと思うんですが、想像しただけで、例えば、ファイザー、これはアメリカがワープスピード作戦で莫大な投資をしている。我が国とは桁違いという状況。しかし、それを海外、日本が調達することで、言い方は悪いんですが元が取れる、こういう状況なんだと思うんです。

 だから、どちらが先かは別としても、我が国は、この二年間、感染防護品からワクチン、治療薬、そもそも論ですが医薬品の原材料も含めてほぼほぼ海外依存ということで、これによる経済損失、これは反転攻勢せにゃいかぬのじゃないか、私は、そういう気概を持って取り組んでいただきたいなと思うわけです。

 先ほどの一枚目の資料にも、今るる創薬力という話が出ましたが、この記事の中でも同じように要因が挙げられております。日本企業が海外に生産拠点を移したこと、また、日本企業の創薬力が落ちたこと、低分子薬が主流だった創薬がバイオ創薬に移った、ここからトレンドに立ち遅れた、こういったことも要因ということで、一概にこうだからとは言えない。

 ただ、現実は、この右側にある図を見ていても分かるとおり、日本企業は、研究開発の規模でも効率でも、海外企業に見劣りするどころか、大きく水を空けられている状況。売上高を見ても、日本企業の存在感そのものが薄れている、そんな現状だ。

 コロナの感染蔓延はまだ予断を許さない状況ですから更にこういった状況は広がっていく、これを何とか食い止めなきゃいけない。こういった観点から、平時でもう既にこういう状況、具体的な、医薬品の貿易赤字の改善ですね。まあ、貿易赤字だけを改善すればいいということではないんですが、ただ、現実としてこういう数字が表れている以上、私は、医薬品等の輸出に関して、農産物のように輸出額などに一定程度の目標を定め、計画を策定するなどして、国が積極的に国産医薬品等の輸出に注力するべきであって、その前に、医薬品、医療機器等の国産化、具体的な目標設定、これは是非明確にするべきだと私は考えますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 まず、今委員が言及されたアメリカのトランプ政権のワープスピード作戦、あれも、私は非常に、同盟国ではありますけれども、いろいろな思いを持って見ておりました。

 こうした、国が、あるいは国民が危機に接したときにおいて、産学官がいきなりコンソーシアムをどんと組んで一気に進めていく、やはり、そういう動きというのが私もこれから日本に求められていくんだと思います。その意味で、産学官の連携というものを強化する取組というのを進めていこうとしています。

 今の委員の目標設定につきましては、これは政府の方で、今私の立場からどうこうというよりも、しっかりと、厚労省を含めて、その設定の是非も含めて検討していかなければならないと思っています。

 先ほどの経済損失の話で申し上げますと、仮定の話はなかなか難しいんですが、委員おっしゃったとおり、一般論として申し上げますと、医薬品に限らず、国内企業が製品を開発、生産した場合に、当該開発企業の収益から生まれる税収入ですとか、あるいは、国内での開発、生産体制への再投資もあるでしょうし、雇用も生まれるでしょうし、そうした意味で、またそこから海外への輸出につなげることができれば、別に貿易赤字縮小のためにやるわけではありませんけれども、やはり、国富を増大していく観点からは、この医薬品の輸出というのは私は重要だというふうに思っています。

 これを本当に強みに変えることができれば、外交戦略の一つのツールとしても当然使うことができると思いますので、そういう幅広い視点でこの輸出の促進、輸出するためにはやはり国内での創薬力の強化というものが大前提になってまいりますけれども、その委員の問題意識は共有しておりますので、引き続き、国内企業の創薬力の強化に向けて全力で邁進していきたいと考えます。

中島分科員 是非、その気概を、今日厚労省さんも来ていますが、もう二年近く前から、この件、もっともっとそういう姿勢を見せるべきだということですが、なかなか進まない。今回、大臣、力強い御発言もありましたとおり、これはリーダーシップを是非発揮していただきたいと思います。

 資料の五枚目、これは、ワクチン開発のボトルネックということで、東大医科学研の石井先生が御指摘している内容です。多くは先ほど言った共有されている課題なんですが、この一番下の赤字の下から二行目、予算の規模、また産学官の連携、これはもう大臣おっしゃっていただきました。最後に、やはり、国防、外交としての対応欠如。

 これは、今も大臣おっしゃいましたが、ワクチン外交であり、そして、医療そのものが安全保障だという概念。そして、今回のコロナパンデミック、このワクチン、治療薬の調達の状況というのは経済安全保障にも資する。私は、これは全てシームレスな観点だと。

 そういった意味から、ちょっともう時間がないので一問飛ばすというか一緒に答えていただければと思うんですが、改めてコロナで浮き彫りとなった課題ですね。私は、海外と我が国の科学技術の違いというよりは、我が国がちょっとワクチン、治療薬で出遅れている、科学技術の差ではなくて安全保障上の対応の違いが今の現状につながっているんじゃないかと。

 改めて、これまでのコロナ対策は国防としての観点、国家安全保障としての位置づけ、この観点が欠如している、この観点が非常に重要なんだと石井先生も挙げておられる、このことについてちょっと端的にお答えを。

小林国務大臣 ありがとうございます。

 石井先生とは私も議論をさせていただいたことがございます。

 今回、アメリカの動きを見ていて、正直、アメリカの中では以前から安全保障としてこの問題を位置づけた上で、何が違いだったかというと、やはり平時からどれだけ有事を意識して準備をしていたかということだと思います。

 したがって、日本としてもそれをやっていかなきゃいけないと思っておりますが、具体的に申し上げれば、ワクチン、治療薬を、委員先ほどから主張されているとおりだと思います、国内で開発して生産できる体制を確立しておくということは、国民生活に不可欠な物資を危機時に短期間に必要とする全ての国民に供給しなければならない事態におきまして、極めて重要である。そういう意味で、経済安全保障上重要だと申しております。

 今回の令和三年度補正予算におきまして、平時から、ワクチンの開発、生産体制の強化のための予算、治療薬開発のための予算の確保を行いまして、開発、生産に向けた政府一丸となった取組を進めているところです。

 具体的には、もう時間があると思いますのでちょっと短くさせていただきますけれども、先ほど申し上げた、産学官の実用化研究の集中的な支援ですとか、世界トップレベルの研究開発拠点の形成などに取り組みまして、そこはしっかりと進めていきたいと思います。

 重要なのは、平時から有事に備えた継続的な取組をどれだけ進めることができるのかということであって、パンデミックの際に、でき得る限り我が国自身の意思と能力によって国民の命を守るということでございます。

 現行の国家安保戦略につきましても、感染症という言葉に触れられておりますけれども、私は、やはり今回、多くの国民が、医療のある意味安全保障というのは、まさに国家の安全保障そのものだという認識がかなり共有されたというふうに私は感じておりまして、委員のその問題意識を共有させていただきながら、国民の命をいついかなるときであってもしっかりと守っていく、その体制を確立するという意味での安全保障という視点をしっかりと持って、この政策に取り組んでいきたいと考えます。

中島分科員 時間がなくなってきちゃったんですけれども、要するに、肝腎なことは、我が国の国民の命と健康を守るために、医療的観点以上に国家安全保障としての観点。

 例えば、九〇年代に地下鉄サリン事件がございました。今、バイオテロも懸念されている中で、若しくは、今回のコロナウイルス、変異株が我が国で変異して、突然、強毒性の変異株になった。これは、現在の状況ですと、海外は何もやってくれない。そのときに、司令塔として、それこそ、大臣が我が国の製薬企業のトップを呼んで、そして、我が国の国民の命と健康を守るためにあなた方がやるんだ、手挙げ方式かどうかは分かりませんが、やらせる。今のような企業任せでは、本当にいざというときに国民の命、健康を守れない。

 資料の四枚目、これは、利用可能確保の全体像ということなんですが、例えば、先ほど、アメリカのワープスピード作戦ということがございました。これは、米国の研究開発、基礎研究のところ、BARDAの一方で、いわゆる国防総省管轄のDARPAは平時からこういうプラント整備のために支援をしていたり、いわゆる国家安全保障として、日本でいえば防衛省ということになるのかもしれませんが、国防としてこの感染症対策に踏み込んでいたということ。これは、やはりそういう観点を持って今後取り組んでいく必要があるということ。

 一方で、やはり一般の製薬企業からすると、このパンデミック、先ほど言ったように、国からやれと言われても、それは企業ですから、優位性というものがあります。やはり強い創薬インセンティブというものを具体的に示さないと、なかなか、これは新型インフルエンザ、二〇〇九年のとき、プラントはつくったものの、そのときには国費が使われたけれども、その維持費は企業側が持たなきゃいけない、そういう状況では思い切って創薬に労力を注げない、こういう意見も聞いています。

 この創薬、継続的に国内企業の創薬インセンティブを維持できる支援が私は必要だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国が世界有数の創薬国としての地位を維持し続けていくためには、アカデミア、企業が力強く創薬、新薬開発を推進できるような国内の創薬環境の整備が必要だと考えております。

 こうした中で、健康・医療戦略本部の下に設置されております医薬品開発協議会におきまして、関係府省あるいは関係機関が連携して議論を進めまして、昨年の三月に、当面優先して議論すべき課題というものを取りまとめまして、現状における課題というものを抽出したところです。

 その中で、アカデミアと企業とのギャップを埋めるための仕組みですとか、先ほど来出ているメッセンジャーRNA、あるいは中分子、抗体医薬品などの新たなモダリティーへの支援、体制の整備、また創薬支援研究を支えるレギュラトリーサイエンスや人材育成、基盤の整備、こうしたものに関係省庁一丸となって取り組んでいるところでございます。

 その中でこれをしっかりとやっていかなきゃいけないですし、また、一つ例を出しますと、今回、補正予算におきまして、デュアルユース設備ということで、これは経産省が担当しておりますけれども、やはり平時から施設そのものを有事に備えてずっと維持しているというのはなかなか難しいので、ふだんはそれぞれの企業が作りたいというバイオ医薬品を作っていただいて、それで、本当に有事になった際にはワクチンの製造に切り替えていただく、瞬時に切り替わるというわけには当然いかないですけれども、そこをしっかりとうまくやっていくことによって、できる限り企業に研究開発、また製造のインセンティブを与える形で、政府として手を打っていきたいというふうに考えております。

中島分科員 もう終わります。

 ちょっと時間は終わりましたが、二枚目、三枚目に、今回、政府提出の閣法、薬機法の改正の想定内容と問題点、私が作りましたので、是非、大臣に見ていただいて、そして、加えてもう一点だけ、私は、とにかく、国産、メイド・イン・ジャパンの薬、私の大先輩、大村博士のイベルメクチンも含めてですが、国が主導して国民の皆様にお届けする、その力を精いっぱい張っていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

島尻主査 これにて中島克仁さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘さん。

小山分科員 立憲民主党の小山展弘です。

 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、ちょっとローカルなことから質問をさせていただきたいと思いますが、静岡県内を通る国道三百六十二号線という、災害時の第二次緊急輸送路に指定されている道路がございます。ただ、この道路、現在も大変道路幅が狭く、整備が進んではおりません。一方で、新東名ができ、国道一号線も四車線化が進み、大変当時とは道路状況が変わってはまいりましたが、かつて東名高速道路日本坂トンネル事故があった際には、迂回路としてこの国道三百六十二号線に車両が集中して、トラックが立ち往生しちゃったというようなこともございました。

 まさに内陸部を通る国道ですので、沿岸部、原発もありますけれども、様々なリスクがある中で、内陸を通る三百六十二号線というのは非常に重要な道路であると思っておりますが、この三百六十二号線の現在の整備状況、今後の整備方針についてお伺いをいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国道三百六十二号は、愛知県豊川市から静岡県静岡市に至る延長約百五十五キロの幹線道路であり、愛知県、静岡県、浜松市、静岡市がそれぞれ整備、管理をしております。

 このうち静岡県内の国道三百六十二号につきましては、生活、防災面で重要な役割を担っており、県が緊急輸送道路にしております。しかし、一部の区間では、幅員が狭く、防災上の危険箇所も多く存在するなどの課題があるものと承知しております。

 このため、静岡県では、川根本町小長井から富士城間において、社会資本整備総合交付金を活用して、延長十キロのバイパスの整備を進めているところであり、これまでに六・八キロメートルが開通しております。

 さらに、静岡市葵区においては、静岡市が社会資本整備総合交付金を活用して、延長二キロの羽鳥安西拡幅の四車線化事業を実施しているところであり、これまでに一・四キロメートルが開通しております。

 今後も、三百六十二号の整備に当たっては、この道路が災害対策上も重要なことであることから、それぞれの道路管理者である各自治体の御要望をお聞きしながら、交付金等により適切に支援を行ってまいります。

小山分科員 今の御答弁、以前に質問したときと状況も変わっていなくて、ある意味よかったなと思っておりますが、特に浜松市天竜区から川根本町にかけてが狭いところも多いですので、また自治体の方からそういった要請、要望がありましたら、是非御対応を検討していただきたいと思います。

 次に、厚労省さん、今日お見えかと思いますが、不妊治療についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 現在、不妊治療を行う産婦人科医の中には、不妊の原因の半分は男性にあると。その中でも主要な、大宗を占める原因は精索静脈瘤というもので、加齢に伴うものだということで言われておりますが、産婦人科医さんの中には、こういった男性の側に検査をやって、原因があるよ、治療したらどうですかというようなことを余り勧めずに、女性に対する治療ばかり勧める、そういうお医者さんが実際におりますし、また結構いると聞きます。

 早期に泌尿器科への受診をアドバイスするなどの連携を取れば、御夫婦の身体的な負担、経済的な負担も、また、公的保険適用になりましたが、これも軽減される可能性があると思いまして、極めて重要だと思いますが、この点についての政府の認識を伺いたいと思います。

川又政府参考人 お答えします。

 男性不妊の原因につきましては、精巣、精管、性機能など多岐にわたっておりまして、男性不妊の原因に応じて治療を行うためには、泌尿器科医と連携した診療が重要と考えております。

 この点につきましては、日本産科婦人科学会の診療ガイドラインにおきましても明記をされておりまして、男性不妊症の原因を知るための検査等については、泌尿器科医と連携して行うことが勧められるとされているところでございます。

 厚労省においては、令和三年度より、不妊症等への理解を深めるための普及啓発事業の一環といたしまして、男性不妊についても普及啓発を行っているところであり、引き続き、正しい科学的知見を理解し、男女とも適切な治療を受けられることができるよう、周知啓発に取り組んでまいりたいと考えております。

小山分科員 今のお話にありましたとおり、ガイドラインが策定されているということではあるんですが、なかなかこのガイドラインのとおりに診療をしていないと思われるケースも多々あろうかと思っております。これも、義務づけるということになると医師の診断のところに入ることになるので難しいと思いますが、是非、こういった泌尿器科との連携について、公的保険財政の負担の緩和にもなると思いますので、厚労省さんとして対策を進めていただければと思います。

 もう一つ不妊治療について。

 私は、不妊治療の保険適用とか、あるいは休暇制度というのをつくったのは、菅さんの実績だと思います。選挙中もそうやってはっきり申し上げました。むしろ、与党の先生方の方が九月の末頃なんかは大分批判が多かったようですけれども、これは本当に実績だったと思っております。

 公的部門では、特に、年間五日の不妊治療休暇取得ができる、また、体外受精、顕微授精などグレードの高い治療については更に五日を追加し十日の休暇を取得できるということで伺っておりますけれども、それでもまだ日数として少ないという声をよく聞きます。グレードの高い顕微授精、体外受精が一回で成功するということから考えますとこの十日ということで十分かと思いますが、なかなか一回で成功できるとは限りません。また、遠隔地に住んでいる方などでは、その前後の休暇の取得というようなこともあって、なかなか負担も重たい。

 不妊治療に対するものは、人口問題、少子高齢化対策にもひいてはつながるものであって、非常に重要な視点でもあると思いますが、是非、公務部門において、民間部門も公務部門の休暇取得制度の状況を見ながら企業の制度をつくっていきますので、もう少しこの日数を拡充するというようなことは検討できないんでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 一般職の国家公務員を対象といたします不妊治療に係る通院等のための休暇、通称、出生サポート休暇でございますが、これは、昨年十二月にこの休暇を新設する改正人事院規則を公布いたしまして、本年一月一日から使用可能となっております。

 この休暇の日数は、原則として一年につき五日といたしまして、頻繁な通院が必要とされる体外受精や顕微授精を受ける場合は更に五日を加えた合計十日の範囲内としておるところでございます。また、この休暇は一日又は一時間を単位として使用できるということにしております。

 不妊治療の受け方というのは個々人様々でございまして、通院日数につきましても、医師の判断、個人の状況、体調等により増減する可能性があるものでございます。

 今般、休暇の日数をどうするかということを検討するに際しましては、有識者の意見、厚生労働省の資料、地方自治体の措置状況等を参照し、さらには、両立支援の目的で導入しております既存の休暇との均衡をも考慮して決定したところでございます。

 個々のケースによってはこの出生サポート休暇の日数が不足するという場合もあるかとは考えられますけれども、不妊治療のために利用可能な制度としては、この出生サポート休暇以外にも、例えば、フレックスタイム制それから年次休暇等があるところでございまして、これらの制度も利用することによって対応していただくということになるかとは考えております。

小山分科員 この制度もできたばかりの中でいろいろと工夫をしていただいているということは十分に存じ上げております。不妊治療に対する、先ほどの厚労省さんの答弁にもありましたが、国民的な認知、理解というのがまだまだ乏しいところがありまして、年休を取るというと、不妊治療で取っているのか全くのプライベートで取っているのかというのがなかなか分かりにくい、実際の仕事をする際にはやはり不妊治療休暇という名目で取りたいという声もありまして、現時点でいきなりというわけにはいかなくても、また制度の拡充に向けて進めていっていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、ガソリン税の税率について伺いたいと思います。

 ガソリン税は、揮発油税、石炭石油税に商品代を加えたものに消費税が課税される仕組みとなっております。まさにタックス・オン・タックスでありまして、税金に税金がかけられているという状況です。

 このことについては、国際的にはそういうルールになっているということも先日伺いましたけれども、なかなか、納税者の理解というものや納得感というものには、どうしても、税金に税金がかかるというところは違和感を感じるところがあろうかと思います。

 そこで、今ガソリン代も大変値上がりもいたしておりますので、例えば消費税の課税については商品代部分に限るとか、あるいは、これは課税のやり方が違うということでございますけれども、軽油の場合には石炭石油税プラス商品代の部分に消費税が課税されるようになっておりまして、こういった、いきなり商品代のみということでなくても、消費税を軽油税並みに、軽油に対する課税並みにするということはできないんでしょうか。

江島政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税が揮発油税等にもかかり二重課税となっているという御指摘につきましては、揮発油税等の個別間接税、これは原価の一部を構成するものでございまして、消費税の課税標準であります価格に個別間接税を含むという取扱いは国際的に確立したルールとなっているといったことを踏まえますと、このこと自体に特段の問題があるとは考えてはいないところでございます。

 また、消費税に関しまして揮発油税と軽油引取税とで差が生じておりますのは、課税方式の違いによるものでございます。揮発油税の課税方式でありますいわゆる庫出課税は、納税義務者の数が少なく、執行上も納税コストの面でも効率的であるというメリットがございまして、主要先進国においても、酒類、たばこ、ガソリン、こういった大量かつ広範に消費されるものを対象とする個別間接税におきましては庫出課税が原則となっているものと承知しておりまして、現行の課税方式が適当であると考えております。

小山分科員 課税の方式の違いというようなこともございましたが、なかなか、税という、簡素で、また公平で納得感のあるものであってほしいと思っております。

 そういった点からしますと、消費税の存在しない米国などではこういう問題は発生しておりませんでして、ですので、やはり納得感というところで違和感が生じていることは、今のようなお話を一人一人の国民にしていくというのは、なかなか、認知を上げていくところでは難しいところもあるのかなと思いますけれども、是非、またそういった制度的な工夫をできる範囲の中で検討していただければと思っております。

 次に、内閣府に質問をしたいと思います。

 二〇一〇年に設置をされました「新しい公共」、この新しい公共というのは、当時、民主党政権のときに、企業部門がやるには営利目的として利益を取れない、だけれども、昔だったら地域の共同体の中でやっていた共助の部分、あるいは公的な部門がここをサポートしていく、セーフティーネットを張っていく、こういうことができればいいんですけれども、今なかなかそれも財政赤字でできない。例えば独居老人の方々の問題であったり、全然別な観点からしますと、中山間地域のガソリンスタンドの運営、維持であったりとか、こういったものについて、非営利の事業体を起こしていくことで、収支とんとんでやっていく、営利目的ではないけれども、赤字は出してはいけないけれども、だけれども、非営利でやっていくことで、多少の経済、お金を介入することでこういった問題を解決していくということを、実はこの新しい公共というのは掲げております。

 平成二十七年三月十日に甘利大臣が答弁の中で、この新しい公共の概念を受け継いで共助社会づくり懇談会を設置したという答弁をいただいております。

 岸田政権におきましては、この新しい公共やあるいは共助社会づくりといったものについてどのように取り組み、また、今後どのような展開をしていく方針でしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 多様な主体が共に助け合い、支え合うことによって、地域や社会にある課題を解決することを目指す共助社会に関しましては、委員御指摘いただきましたとおり、内閣府に共助社会づくり懇談会を設置いたしまして検討を進め、平成二十七年三月に報告書を取りまとめて公表したところでございます。

 この報告書に掲げられた課題につきましては、これまで、例えば、共助社会において大きな役割が期待されるNPOに関する施策、あるいは「新しい公共」推進会議でも提言された休眠預金活用制度などにつきまして、内閣府を始め政府部内の各関係部局において施策の推進に努めてきたところでございます。

 岸田総理の施政方針演説でも触れられたとおり、新たな官民連携を進めるに当たってはNPOなどの支援が重要である、このように考えておるところでございまして、共助の重要性が高まる中、野田担当大臣の下、内閣府においても引き続きこの施策の推進に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

小山分科員 今、「新しい公共」で議論をされた休眠預金の活用とか、あるいはNPOへの支援といったようなところが受け継がれているというようなことを伺いまして、大変心強く思いました。

 ただ一点、実は、新しい公共であったり、あるいは共助社会の担い手というところで、NPOだけではないと思うんですね。特に、二〇二〇年十二月四日に成立をいたしました労働者協同組合法、まさにこの労働者協同組合も、NPOと異なって財務も持っていて、出資をして、みんなで経営方針を議論をして、話し合って決めて、そして自ら働いていくというようなものですけれども、この労働者協同組合も大変、この共助社会あるいは新しい公共を担うアクターとして認識をされております。

 あるいは、労働者協同組合にかかわらず、協同組合というのは、本来、こういった非営利の事業を主として、農協法で営利を目的としないという文字が消されましたが、本来は収支とんとんでやっていく非営利の事業体である。

 JCAに加盟する協同組合の全てが、中長期ビジョンや経営計画の中で地域に貢献するということをうたっておりまして、この協同組合も、是非、与党さんの言うところの共助社会の担い手、私どもでいえば新しい公共の担い手として位置づけていただけるように、また、できれば、協同組合は各省庁にばらばらに所管があるんですけれども、これを横串で貫くような、実は二〇一七年の質問のときにもそういう発言をしておりますが、協同組合政策ともいうべき政策を担当する部署を是非政府部内に設けていただきたいということを御要望申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次からは、経済安全保障について伺ってまいりたいと思います。

 実は、二〇一七年の四月に、東芝のNANDメモリーの売却のことが大変焦点が当たりまして、このときに、不用意に外資に売却するべきではない、そういった考えから、与党の衛藤征士郎先生を会長に、経済・技術安全保障を考える議員連盟というのを発足いたしました。私もそのとき事務局長を務めておりましたが、この四年間、余り活動もできずにおりましたけれども、今回、こういった経済安全保障、あるいは、その中に含まれる軍民両用技術の移転を防いでいくというようなことが、大変、政府の認識も世間的な認知も広がってきたと感じております。

 この経済安全保障という概念について、経済何とかというと非常に曖昧さが伴うと思います。実際、東大の鈴木教授によりましても、この経済安全保障という中には、技術安全保障的な部分やサプライチェーンを確保していくという部分や、いろいろな要素があると。

 以前、ちょっとこの場で出すのもなんですが、農協改革の際には、経済事業と。じゃ、経済事業の中に指導事業を含めるのかどうかということで、随分、単語の使われ方でギャップがあったと記憶しております。

 立憲民主党のPTでは、あえて概念を明確にしないとの内閣官房からのコメントもございましたが、やはり国民が明確に意識して認識できるような経済安全保障の概念について、国が定義するなりあるいはコメントを出すということが必要かと考えますけれども、小林大臣はどのようにこの経済安全保障の概念についてお考えでしょうか。

小林国務大臣 経済安全保障というのは、ある意味新しい概念でもあって、新しい課題であるとも考えています。その概念や定義につきましては、様々あると思っておりまして、我が国を含めた主要国において経済安保の定義というものが何か確立したものがあるとは、私は承知をしておりません。

 その上で、一般論として申し上げますと、絶えず国際情勢が変化をしていく、また、安全保障の厳しさは増していく。その中において、私が考えるのは、我が国として、やはり現行の国家安全保障戦略に国益というものが幾つか明記をされているんです。それをちょっと短く申し上げると、まず我が国自身の主権と独立を維持していくこと、そして、経済発展を通じた更なる繁栄を追求していくこと、そして、普遍的価値、ルールに基づく国際秩序の維持や擁護、こうした国益を守っていくことがますます重要になってきていると捉えています。

 こうした中で、国際情勢は複雑化していく、またデジタル化を含めて社会経済構造は変化をしていく。そうした中で、外交、防衛というのは当然のことなんですけれども、経済上の措置を講ずることによって、この幅広い様々な課題に対してどうアプローチしていくのか、そこが重要になってきていると考えているんです。

 その上で、変化が非常に速くなってきている、また広がりを持つ変化となってきている。その中でしっかりと対応していくためには、経済構造の自律性をしっかりと確保していくこと。また、今委員がおっしゃった技術というものも重要なファクターだと思っています。我が国の技術などの他国に対する優位性をしっかり確保していく。それを更に磨いて、国際社会にとって不可欠な存在となっていく。そして、この自律性を確保し、優位性、不可欠性を獲得することによって、我が国が基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化に主体的に参画していくこと。こうした、今三つ申し上げたんですけれども、それを大きな目標として取組を推進していくことが重要だと考えています。

 そうした方向性を持ちながら、経済政策を総合的かつ効果的に、また、当然、全てを一緒くたに、全て一気にやるわけにはいかないので、ちゃんと時間軸を意識しながら進めていくことが、現在取り組んでいる経済安全保障の中心にある考え方であることは申し上げておきたいと思います。

小山分科員 今の答弁の中にもありましたが、特に変化ということが言われておりまして、また、確かに新しい法案を出すということは変化ということ、あるいは、新しい環境ということがよく強調されます。

 ですけれども、一方で、例えば民生技術が軍事用に転用される、こういうことは過去からもありまして、例えば東芝ココム事件なんというのは、スクリューの研磨機を売ったら、そうしたら、ソ連の当時のSLBMの潜水艦の研磨に使われたらどうするんだということで大変な対日批判ということにもつながっておりまして、こういうような、ほかにも、パワーショベルの輸出事件だとか、あるいは北朝鮮の核ミサイルであるとか、これも、テポドンについては日本の大学の留学生が開発したのではないかというようなことも言われております。こういうような部分、変わっていない部分もやはりあるのではないだろうか。

 その中でも、特に究極的には、何をもって軍民両用技術とするか、何をもって軍事転用可能な技術としてそれをどう防ぐかというところは、これは経産省の貿易管理部が主にマターとしているところかと思いますが、変わらない部分で、常に議論がある部分ではないかなと考えております。ちょっと余分なことを申し上げたかもしれませんが。

 日本の自律性を確保するという今の答弁のお言葉がありましたけれども、これは、海外からの供給がストップした際に国民生活やあるいは経済に大きな影響が出ないようにこの対策を取っていくかと思いますが、そうしますと、経済安全保障の中には概念上は食料安全保障やエネルギー安全保障、こういったものも含まれる、ただ、今回の法案についてはその部分は、食料であれば備蓄をしているし、エネルギーであれば少なくとも石油については備蓄もしているし、ですので、そこは今回は手はつけませんよ、ただ、なかなか安全保障が意識されていない分野については今回法案で整備をしていきます、そういう理解なのかなと思っておりますけれども、この点について大臣に確認的にお尋ねしたいと思います。

小林国務大臣 まず冒頭、今回、法案の制定に向けて、まさに今、有識者会議の提言を踏まえて作業を進めているところなんですけれども、経済安全保障というのは本当に多岐にわたる分野に関わる話だと思っていますので、必ずしも法案が全て、イコール経済安全保障というわけではないということは冒頭申し上げておきたいと思います。

 今委員が御指摘されたエネルギーや食料というのは、当然その重要な物資であって、必要なときに確実に必要な国民の手に届くようにならないと、そうした備えをするということは当然必要だと思っています。

 その上で、近年、世界各国が戦略的物資の確保あるいは重要技術の獲得にしのぎを削る中で、我が国としての経済安全保障を確保するためには、今申し上げたとおりの自律性、あるいは優位性、不可欠性をしっかりと確保していく、また同志国としっかりと連携していくということが重要になってきています。

 その際に重要なことは、単に他国に追随するのではなくて、まず、我が国としてどうするかという基軸をつくらなければいけない、私はそういうふうに思っておりまして、そのためにはまず、基軸をつくるためには、我が国自身の弱みと強みというものをしっかり把握していく作業が必要なんだと思っています。

 その意味で、今、基幹産業、産業といってもたくさんありますけれども、本当にやはり基幹産業ってあると思うんですよ。そうした産業について、課題の点検みたいなものはやっておりまして、当然そこには食料ですとかエネルギーというのも入ってきます。

 例えば食料安全保障については、ただ、委員御指摘のとおり、従来からもう重要課題として捉えられていますので、農水省を中心として様々な具体的な取組というのが現に進められてきています。経済安保の観点から、当然、その食料安保の中に重要なものは含まれていますけれども、今、私、経済安保担当大臣の立場としては、全部重要なんですけれども、やはり全て一気に進められるわけではないので、今、技術を含めて新しいものがどんどん出てきて、今おっしゃったデュアルユースの技術であってもどんどん広がっている中で、じゃ、本当に新しい課題に重点的に向き合うということが今私がやらなければいけないことだというふうに思っておりますので、まずは、我が国としての立ち位置を明確化した上で、必要な取組を総合的、効果的に進めていきたいと思っています。

 詳細は申し上げませんけれども、委員も御案内のとおり、今回、法案整備を進めている中で、四つの柱というものを立てさせていただいて今検討を進めておりますけれども、これは別に食料とかエネルギーを排除するというものではなくて、当然、例えばサプライチェーンの部分でも関係してくるものというのは出てき得るというふうに考えておりますので、そこは余りその対象範囲を、そういう意味での、産業の分野を別に限定するわけではなくて、できるだけ複眼的な、幅広い視点でこの経済安保というものを捉えていく必要性があるんだろうと考えています。

小山分科員 答弁ありがとうございます。

 食料安全保障なども概念としては含まれるということで、このことから私感じましたのは、耕作放棄地がどんどん増えた場合に、更なる食料自給率の低下が懸念されている、特に、今、水田活用の直接支払交付金について、農水省でも交付金の条件強化なども議論されておりますが、更なる耕作放棄地や離農者を増やさずに食料自給率が低下しないような政策をする、それをまた財務省もある程度後押しをする。これが全てかどうかというのはもちろんそれぞれ関係者で議論をして決めることですけれども、少なくとも、経済安全保障という観点も政策決定の際にやはり入れていくべきではないだろうか、農水省さんや財務省さんも。そんなことを少し感じました。

 最後の質問になろうかと思いますが、今回の経済安全保障法案について、メディアでは、中国やロシアといったような、名指しで、念頭に置いているのではないかというような報道があります。経済安全保障というと、地経学に近い概念だということで、経済を手段とした争いというふうに地経学などでは、船橋洋一氏などは述べておりますけれども、だとすると、この経済安全保障法案を作るに当たって、あるいは経済安全保障の概念で、軍事安全保障でいうところの仮想敵国というのは存在するんでしょうか。対象国ですね。

島尻主査 小林国務大臣、質疑の時間が終了しておりますので。

小林国務大臣 はい、簡潔に申し上げます。

 我が国の経済安保を確保する取組としましては、特定国を念頭に置くのではなくて、まずは、先ほど申し上げたとおり、我が国としての立ち位置というものをしっかり明確化しながら、必要な取組を総合的、効果的に、また時間軸を意識しながら進めていくことが重要であると考えておりますので、そういう受け止めをしていただければと思います。

 以上です。

小山分科員 質問時間を超過しまして済みません。以上で質問を終わります。幾つか残余の質問がありまして、申し訳ございませんでした。

島尻主査 これにて小山展弘さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。福重隆浩さん。

福重分科員 公明党の福重隆浩でございます。

 私は、昨年の衆議院選挙で初当選をさせていただき、この分科会での質疑が初めての質問となります。機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 私は、二〇〇三年から十八年間、群馬県議会議員を務めさせていただきました。これまでの地方議員としての経験を生かし、地方の声を国政につなげる、届ける、形にするということを自身の使命として、精いっぱい努めてまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 さて、限られた時間でございますので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 近年、気候変動に伴う激甚化する気象災害や、将来の起こり得ると言われている巨大地震など、自然災害が毎年のように発生をしております。

 その中で、国民の命を守るハード、ソフトの対策は待ったなしの状況であり、ハード面については、国の防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策として十五兆円の予算を確保し、国と地方が連携し、取り組んでおります。

 今回の質問につきましては、第一分科会でございますので、ソフト面、災害対策基本法と災害発生時の避難所の運営についてお伺いをしたいと思います。

 昨年五月、政府においては、災害対策基本法の改正を行いました。主な改正点として、非常災害対策本部長を国務大臣から内閣総理大臣に変更し、災害発生時、総理大臣の陣頭指揮による人命救助を最優先にしっかりと取り組んでいくことを明確化し、併せて、災害が発生するおそれがある段階での災害対策本部の設置が可能となりました。

 そこでお伺いをいたしますが、広域避難に対応できるよう、災害発生のおそれがある段階での災害対策本部の設置について、具体的な設置の基準についてまずお伺いをいたします。

    〔主査退席、後藤田主査代理着席〕

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年五月の災害対策基本法の改正により、災害発生のおそれの段階から国の災害対策本部を設置できるようになったところです。

 本部設置の基準でございますが、災害の態様は様々であり、本部を設置する基準をあらかじめ設けることは困難でございますが、いずれにせよ、広域避難の実施の調整が必要となる場合など、自治体や関係機関との総合調整が必要となる場合にはちゅうちょなく設置すべきものと考えております。

 例えば、特別警報級の勢力を維持した台風が上陸するとの予報が示され、広い範囲で大きな被害をもたらすおそれがある場合等には、本部を設置することが想定されます。

福重分科員 ありがとうございました。

 そういった災害発生時、被災自治体は様々な混乱が予測されます。国として、被災自治体に対してどのような運用をもって支えていくのか、お伺いをいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害が発生した場合において、特に災害対応の経験の少ない市町村や職員数の少ない市町村には、支援が不可欠であると考えております。

 このため、政府といたしましては、発災後速やかに被災地に向けた内閣府調査チームの派遣などを行い、被災地の被害状況、課題、ニーズ等の収集に努めますとともに、国と被災自治体との連携体制の構築を図っております。

 例えば、昨年七月には、土石流の発生した熱海市に内閣府調査チームを派遣し、静岡県や熱海市と連携し、被災者支援に対応したところです。

 引き続き、被災自治体の実情を十分に踏まえながら、国と地方が連携し、災害対応に当たってまいります。

福重分科員 ありがとうございます。

 やはり、被災自治体は職員数も少ないというようなこともございますので、そういった意味で国との連携は不可欠だというふうに思っております。しっかりと被災自治体をお支えいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、洪水などの水害の発生時、又はそのおそれがある場合、地方では多くの方が自家用車に頼ることが多くなると思います。

 そこでお伺いをいたしますが、自家用車での広域避難について、国としての見解をお伺いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 広域避難を必要とする地域では、浸水が想定されるエリアが広範囲に及ぶため、多数の住民等が浸水しない他の自治体へ長距離の移動を行う必要がございます。

 このため、十分な避難時間を確保した上で効率的に避難することができるよう、その地域での広域避難を要する人数に応じて有効な移動手段を選択することが重要です。

 例えば、公共交通機関が発達している地域では鉄道やバスを利用した避難が、公共交通機関が発達していない地域では自家用車を利用した避難が有効であると考えられます。

 いずれにいたしましても、広域避難では、想定される災害の規模、広域避難の対象人口、交通手段などを勘案して、地域ごとに自家用車を含めた避難手段を検討し、関係者間で合意しておくことが重要となります。

 内閣府といたしましても、関係自治体等と連携し、こうした地域における広域避難の取組が円滑に進められるよう支援してまいりたいと存じます。

福重分科員 今、その被害の想定に応じて自治体ごとに取り組んでいかなければならないということでございます。

 ただ、一気にそういった災害が発生するおそれがある、そして、皆さんが自動車でということになると、私は、元々群馬でございますけれども、自動車社会の中にあって、やはり渋滞が発生したりだとか、様々な混乱を来す場合があると思います。

 そういった意味においての移動手段のシミュレーション、想定というようなものが地元自治体でしっかり行われるように、国としてもサポートしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に、行政、そしてNPO、社会福祉協議会の三者の連携、協働の促進についてお伺いをいたします。

 災害発生時、被災者支援に当たる流れが、近年着実に進展していると思っております。特に、多様な支援団体が被災地で活動するようになり、それらの活動を支え適切な支援活動がなされるよう調整する、中間支援組織の役割も重要視されるなど、連携の形が大きく進化してきていると思っております。

 その意味におきまして、この三者の連携、協働の重要性についてどのような見解を政府が持っておられるのか、二之湯大臣にお伺いをいたします。

二之湯国務大臣 お答えいたします。

 災害時には、個人やあるいはボランティアなど、国や行政などの手の届かないところにそういう方たちが駆けつけていただきまして、非常にきめ細やかな活動を実施していただいているわけでございます。

 一昨年の令和二年の七月の九州の豪雨でも、約四万九千人の個人ボランティアや約二百団体のNPO等が被災地に入って、そして被災地支援のために精力的に活動いただいたわけでございます。その際、現地では、関係者の間でやはり情報共有会議が開催され、そして様々な調整が行われた、このようなことを聞いているわけでございます。内閣府としては、このように、三者間で連携の取れた被災者支援活動を実施することが非常に重要だと考えております。

 このため、ガイドブックの作成や研修を通じて、ボランティアやNPO等との連携を促進するための情報共有会議の開催を支援するとともに、大規模な災害時には、ボランティアの偏在など全国的な観点から必要な調整を行うために、全国レベルの情報共有会議を開催するなどの取組を現在行っているところでございます。

 今後とも、行政とボランティア、NPO等との連携強化についてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

福重分科員 大臣、御丁寧なる答弁、大変にありがとうございます。

 大臣は、お聞きしますと、昭和六十二年に京都市議会議員におなりになられて、五期連続当選をされて、そして国政に参画をされて、今大臣をされている。ある意味で、私自身も、県会議員の経験、そして今、国政に籍を置かせていただいているわけでございますけれども、地方のことを熟知されている大臣が、やはりそういった地方の実情に沿って、この三者連携もしっかりと進めていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、三者連携の必要性について、もう一度、この三者連携体がある都道府県の最新の状況はどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。また、あわせて、設置されていないような状況の中では、今、国としてはどういうふうに思っておられるのか、支援しているのか、お聞かせください。

    〔後藤田主査代理退席、主査着席〕

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時に、行政、社会福祉協議会、NPO等の三者が円滑に連携するためには、平時からこれら関係者の間で顔の見える関係を構築しておくことが重要であります。

 内閣府といたしましても、地方公共団体職員向けの研修の実施などを通じて、各都道府県におけるこれら三者の連携体の設置を促進しております。

 こうした取組の結果、令和四年一月の時点で、四十七都道府県のうち四十三の都道府県において連携体が設置をされております。連携体が設置されておりません四つの県におきましても、一つの県では設置に向けた準備が進められており、残りの三つの県におきましても、連携体は設置されておりませんが、災害が発生した際には関係者間で情報共有会議を開催し、連携を図ることとしていると承知をしております。

 引き続き、地方公共団体への働きかけとフォローアップに努め、平時からの行政、ボランティア、NPO等の連携体制が全国各地で確保されますよう努めてまいります。

福重分科員 御答弁ありがとうございました。

 今、平時から顔の見えることが大事というような御答弁がございました。まさにそういったところの信頼関係を構築していくことが、この万が一の災害が起こったときにやはり円滑に進むかどうかという、私は、分かれ道になるというふうに思っております。是非、そういったところの支援をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、災害発生時の避難所の具体的な運用についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 平成に発生した災害において災害関連死と認められた方は、少なくとも四千九百五十八名に上ると言われております。そのうち、劣悪な避難所生活に起因すると言われる死者は、東日本大震災では約半数に達するとの報告がなされ、熊本地震では直接死の四倍に達したと言われております。

 災害関連死について、私は、避難者の健康被害を防ぐことによって防げ得る死であると考えております。国において避難者の健康を維持するために避難所運営についていかなる具体的な取組をお持ちなのか、二之湯大臣にお伺いをいたします。

二之湯国務大臣 避難所における生活環境の改善は、政府としても、被災者を支援する上で極めて重要であると認識をいたしておるところでございます。

 内閣府としては、避難所の運営が円滑に行われ、良好な生活環境が確保されるよう、ガイドライン等を定めて、自治体に適切な対応を求めておるところでございます。

 現在、避難所の生活環境の改善に向けて、先進的な取組を進めている自治体のよい例を収集しているところでございまして、今後、全国の自治体に共有を図ることといたしております。

 また、発災時においては、災害救助法が適用された自治体に対しまして、食料、飲料にとどまらず、段ボールベッドや、さらにはパーティション、さらにはまた冷暖房器具等を整備した場合の費用について国庫負担の対象とするなどの支援を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁や自治体と連携しながら、避難所の環境改善のために一生懸命取り組んでまいりたい、このように思っております。

福重分科員 ありがとうございました。

 本当に環境改善が大事だということで大臣の答弁がございましたので、しっかりとそういった問題に取り組んでいただければと思います。

 具体的にもう少しその後でちょっとお話をさせていただきたいと思うんですが、災害が発生した場合、避難所の運営について、実施主体は基礎自治体である市町村が担うこととなりますが、自治体ごとの取り組む姿勢については、財政上や人材面などの観点から、自治体間格差が大きいと思っております。

 そこでお伺いをいたしますが、国と地方との連携及び国の責務についてはどのように捉えておられるのか、お伺いをいたします。また、あわせて、災害時対応業務のデジタル化についても御答弁をいただければと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 内閣府では、被災自治体に円滑な避難所の運営を促すばかりでなく、関係省庁や他の自治体と連携して、人的、物的支援を行うこととしております。

 大規模な災害が発生した場合には、被災自治体への他の自治体からの応援職員の派遣、災害救助法に基づく国庫負担、必要な物資等についてのプッシュ型支援、自衛隊による給食支援や入浴支援など、避難所運営等に必要な様々な支援を行っているところであります。

 また、プッシュ型支援を実施する際には、物資に関する情報を共有する物資調達・輸送調整等支援システムを活用し、自治体における物資のニーズを迅速かつ的確に把握するなど、デジタル技術の活用にも努めております。

 いずれの自治体におきましても避難所における良好な生活環境が確保されますよう、国といたしましても必要な支援を積極的に行ってまいります。

福重分科員 今御答弁の中で、ほかの自治体の応援というようなこともございました。

 やはり、被災されている自治体の規模にもよると思います。災害の規模にもよります。そういった意味では、その被災自治体の備蓄量がどういうものなのか、また、職員のマンパワー等によっても応援体制とかそういったものを、やはり政府がしっかりと目配りをして対応していくということが重要になってくるのではないかというふうに思っております。こういったことも本当に今国ではデジタル化を様々進めておりますので、こういったものがしっかりと見える化するような一元管理をやっていくことが重要だと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、コロナ禍において、もし災害が発生した場合、避難所の運営管理について感染対策の視点が不可欠であると考えますが、政府としていかに考えておられるのか、お伺いをいたします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の現下の状況におきましては、避難所における三つの密の回避など、新型コロナウイルス感染症の感染防止に十分留意する必要がございます。

 内閣府といたしましても、これまで、避難所の避難だけでなく、安全な親戚宅や友人宅などへの避難や、ホテル、旅館の活用など可能な限り多くの避難所の確保、あるいは、マスク、消毒液等の用意など避難所の衛生管理、パーティション等を活用した避難者スペースの十分な確保など、コロナ禍における避難所の運営等について、自治体への助言や指導に努めてきたところであります。

 引き続き、感染状況等も踏まえながら、関係省庁や自治体と連携しつつ、今後の災害対応に万全を期してまいります。

福重分科員 先ほども申しましたとおり、私、群馬県議会議員を十八年務めていたものですから、そういった意味では、このコロナ禍においての分散避難、これがやはり一つの大きな、改善をしなければならないということから、群馬県は、今もお話のございました旅館、ホテル、そういったところと県が協定を結んで、そして市町村が実質的な契約を結ぶというような形の中で、ホテル、旅館の百四十施設、そしてまたゴルフ場のクラブハウスなんかの五十五施設がこういったことで協定を結んでいるというふうになっております。

 こういったことは、今お話がありましたとおり、政府の方からも都道府県にそういったことを推進してほしいという話はされているんだと思いますけれども、これは観光庁が主導でやっているのかもしれませんけれども、やはり避難所において健康被害、感染症を起こさせないというためにもこの分散避難という視点は大事だと思いますので、是非そういったところを推進していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 私は、以前、避難所・避難生活学会を主宰しておられる新潟大学の榛沢和彦先生の講演で、避難所におけるエコノミークラス症候群の発生頻度は、男女で見た場合、圧倒的に女性が多いとのお話を伺いました。その具体的な理由については後で述べさせていただきたいと思いますが、災害時の避難所運営について、特に女性の場合、男性以上に気を使う場面が多くあると思います。その意味からも、女性の視点での避難所運営は最大限考慮されるべきと思いますが、国としての御見解をお伺いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所運営における女性の視点は重要であり、内閣府が策定しております自治体向けのガイドライン等において、避難所の責任者や避難者による自主的な運営組織に女性の参画を促すとともに、避難所について、女性の視点に立って必要かつ十分な備蓄を行うこと、男女別の更衣室や洗濯干し場の設置など生活環境の改善対策を講じることなどについて各自治体に周知をしているところであります。

 発災時には、災害救助法が適用された自治体に対し、女性用の着替えスペースを確保するためのパーティション等のための費用を国庫負担の対象としております。さらに、被災地のニーズや課題を把握し、生理用品など女性特有の物資についても、プッシュ型による支援を実施しているところであります。

 こうした取組につきましては、内閣府の中に設けました防災女子の会からも提言をいただいているところであり、内閣府といたしましても、引き続き、避難所運営における女性の視点に配慮しながら、きめ細やかな支援に取り組んでまいります。

福重分科員 引き続き質問を続けさせていただきますけれども、私が御指導いただいている榛沢先生や、避難所・避難生活学会の皆様は、避難所の運営について、TKB、これはTがトイレ、Kがキッチン、食べ物、Bがベッドということで、この準備を災害発生時から四十八時間以内に整えることが重要だというふうに御指摘をされております。

 先ほど大臣からの御答弁の中でも、食事だとか、それから段ボールベッドだとか、そういうような具体的なお話をいただいたわけでございますけれども、この避難所運営において先進的に取り組んでいるイタリア、アメリカ、カナダなどでは、少なくとも人口の〇・五%程度のベッドを国において備蓄していると言われております。

 群馬県では、段ボールベッドの備蓄数は五百個であり、私自身、まだまだ少ないというふうに思っております。当初、私が議会で提案させていただいたとき、すぐに協定を結んでいただいて、まずは百個備蓄していただいたんですけれども、それでは少ないのではないかということで、昨年、五百個まで増やしていただいたんですけれども、まだそれでも足りないと私自身は思っております。

 私は、国の責務として購入し、各地に分散備蓄を行う必要があると考えますが、国としての備蓄数及び今後の対応について、政府の御見解をお伺いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 段ボールベッドにつきましては、各自治体において、公的備蓄や、事業者との優先協定等により適切に確保いただいているものと承知をしております。

 大規模災害によって自治体における備蓄や調達の不足が見込まれるような場合には、国がプッシュ型支援により、被災地に向けて必要な物資支援を行うこととしております。

 このため、国におきましても、二千の段ボールベッドを備蓄しており、迅速な支援ができるよう準備しているところであります。

 また、国の備蓄分による支援で不十分な場合には、関係省庁等とも調整し、速やかに必要数を調達いたしますとともに、被災していない自治体の備蓄を調整して融通するなど、総力を挙げて支援に取り組むこととしております。

 今後とも、関係省庁や自治体とも適切に連携を図りながら、必要な支援に努めてまいります。

福重分科員 ちょっと二千というのは、私は、関連の団体、そしてまたほかの自治体から、総力を挙げて頑張るというお話でございますけれども、やはりそういった部分ではどうもまだ厳しいのではないかなというふうに思っております。

 熊本地震が発生した折に、榛沢先生から、被災地に段ボールベッドを送ってほしいとの要望を私がいただきまして、すぐに公明党として当時の安倍総理に対して、緊急支援物資十一品目の中に加えていただきまして、プッシュ型支援の一つとして段ボールベッドを二千五百個、現地に送っていただきました。しかし、当時は、受入れ自治体に段ボールベッドの有用性が理解されていなかったことから、一部の自治体では、残念ながら利用されなかったこともあったと伺っております。

 このような経験から、避難所運営に当たって、全国統一のマニュアルが必要と考えますけれども、御所見をお伺いいたします。

榊政府参考人 政府におきましては、以前から、避難所の段ボールベッドについて、防災基本計画等により備蓄を促してきたところであります。さらに、近年は、大規模災害時に段ボールベッドを国からプッシュ型支援で支援を行ってきたこと、また、コロナ禍の中、段ボールベッドを活用した避難所のレイアウトの例を示し、段ボールベッドの備蓄費用について新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用が可能であるといったことを周知したことなどから、段ボールベッドの活用は着実に進んできているものと認識をしております。

 内閣府におきましては、来年度の早い段階で、より効率的で質の高い被災者支援の仕組みづくりを中長期的に検討することとしておりますが、この中で、段ボールベッドの活用につきましても御議論をいただき、その結果も踏まえ、避難所運営ガイドラインの見直し等についても検討してまいりたいと考えております。

福重分科員 ありがとうございました。来年度、その検討をしていただけるということでございます。

 私も、この避難所運営ガイドラインを読ませていただきました。この一ページ目に、東日本大震災の海外からの多くの支援者から、避難所の生活環境については国際的な難民支援の基準を下回るという指摘があったことを重く受け止めなければならないという記載がございまして、支援についても、初動、これは発災当日、応急期、三日まで、復旧期、一週間まで、復興期と、災害フェーズごとに対応を明確にしております。

 私は、災害支援は時間との闘いであり、経過時間イコール被害拡大だというふうに思っております。そういった意味では、やはり、こういった災害が起こったときに、このBTK、ベッド、こういったものをいかに緊急に備蓄、そしてまた数を用意できるかということが大事だと思いますので、しっかりとそういったところに御対応いただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に、トイレの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど、避難所におけるエコノミークラス症候群について、圧倒的に女性が多いと述べさせていただきましたが、その原因はトイレであると言われております。

 避難所において、トイレの数が少なく、また汚いことから、女性の方々は、トイレの利用回数を減らすために水分を我慢していることが多く、そのため脱水症状となり、血栓ができやすくなってしまうということでございます。

 欧米では二十人に一個のトイレを備蓄することが常識であり、群馬県では、昨年まとめました群馬県避難ビジョンにおいて、二十人に一個のトイレを準備することを目標に掲げ、その一環として、トレーラートイレを購入することを行うこととなりました。政府の避難所ガイドラインでは、発災直後については五十人に一個、慢性期については二十人に一個と書かれております。

 そこでお伺いをいたしますが、国において災害時におけるトイレの確保についてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害により水洗トイレが機能しなくなりますと、排せつ物の処理が滞り、衛生環境の悪化をもたらすおそれがございます。また、排せつを我慢しようとして水分等の摂取を控え、健康被害を引き起こすおそれが生じてまいります。

 こうしたことから、内閣府におきましては、災害時におけるトイレの環境が改善されますよう、市町村に対し、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを示しているところであります。

 具体的には、過去の災害における仮設トイレの設置状況や国連等における基準を踏まえ、災害発生当初は避難者約五十人当たり一基、その後、避難が長期化する場合には約二十人当たり一基を一つの目安といたしまして、災害用トイレの確保を求めております。

 また、自治体におきまして簡易トイレ等の備蓄やマンホールトイレの整備を行おうとする場合には、財政措置を行っています。

 さらに、災害時に災害救助法が適用された自治体に対し、仮設トイレ等の費用について国庫負担の対象としておりますほか、大規模災害時にはプッシュ型支援にも取り組んでいるところであります。

 災害時におけるトイレ環境が改善されますよう、自治体と連携して取組を進めてまいります。

福重分科員 申し訳ございません、この後、大臣に、専門人材の研修制度、こういったものを今後国が進めるというふうになっていることをお聞きしたいと思っておりましたが、時間が参りましたので、またこういった機会をいただいたときにしっかりと質問させていただきたいと思っております。

 今日はお時間をいただきましたこと、大変にありがとうございました。これで質問を終わります。

島尻主査 これにて福重隆浩さんの質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一さん。

庄子分科員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 大綱三点にわたりましてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず最初は、いわゆる国連世界防災会議にまつわります二点、お尋ねをさせていただきます。私、地元が仙台ということもございまして、まず冒頭、この質問を申し上げたいと思います。

 国連世界防災会議は、国際的な防災戦略について議論する、国連主催の会議であります。第一回目が、一九九四年、横浜市、第二回は、二〇〇五年、神戸市で開催されました。そして、直近では、第三回、二〇一五年、仙台市で開催をされております。

 この仙台市での会議には、国連に加盟をしております百八十五の国から二十五人の首脳級を始めとする百人の閣僚が参加したのを始め、国連機関の代表者あるいはNGOの関係者などなど、計六千五百人以上が本体会議に参加をするという規模でございました。そのほか、周辺の会場で開かれました三百五十以上のシンポジウムやセミナー、また二百以上の展示、さらには二十五コース四十二本のスタディーツアー、こういった関連事業への参加者も含めますと、延べ十五万人もの人々が国内外からこの会議に参画をするという、日本で開かれました国連関係の国際会議としては過去最大級のものとなったわけであります。

 この会議で得られた成果も大変大きくて、二〇三〇年までの仙台防災枠組が策定されたことを始めといたしまして、我が国が幾多の災害から得てきた知見、防災、減災のノウハウ、そして復興への取組を世界中に発信することができたと思っております。そして、何よりも被災地の復興と活性化に大きく寄与したことは意味が大きかったというふうに思う次第であります。

 私は、現在、国際社会や地方公共団体が基本とすべき、最も権威ある最新の防災の指針ではないか、こう思っておりまして、その意味から、持続可能な開発目標、いわゆるSDGs、そして気候変動問題に関する国際的枠組みのパリ協定、そしてこの仙台防災枠組を加えた三つのアジェンダ、これが今世界の大きな潮流だというふうに考えております。

 ただ、残念なことに、この仙台防災枠組の認知度は国内では非常に低く、期限の二〇三〇年までに、何を、どのように、どれぐらい推進するべきか、認識がされていないのではないかと思います。災害国家であり、同時に防災国家でもあります日本が本来リードするべき重要なアジェンダではないかというふうに考えるものであります。

 改めて、同枠組を推進するため、一般市民や学術機関など防災に関わる様々な主体に対し仙台防災枠組の認知度を向上させるなど、国を挙げて普及啓発に取り組んでいただきたいと思いますが、認識を伺います。

二之湯国務大臣 仙台防災枠組は、平成二十七年、仙台市で開催されました第三回国連防災世界会議において採択された、国際的な防災の取組の指針であるわけでございます。

 我が国は、災害多発国として、また国連防災世界会議の開催国として、仙台防災枠組の推進を主導すべき立場にあるわけでございます。

 このため、我が国の知見や教訓を世界と共有するとともに、国内においても枠組に基づく取組を現在進めているところでございます。

 特に、仙台防災枠組については、防災に関わる様々な主体の連携が重要とされていることから、例えば国内最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい」を開催、昨年も釜石市で開催されました。私もこれに参加をさせていただいたわけでございます。

 そういうことで、この仙台防災枠組、提唱された取組については、全国、世界に紹介をしているところでございます。

 今委員おっしゃいましたように、二〇一五年から三〇年の、本年はこの折り返し時期に差しかかるわけでございますから、今後とも、仙台防災枠組の認知度の向上も含め、国民の防災意識の向上に真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。

庄子分科員 ありがとうございます。是非、その取組の強化、お願いを申し上げたいと思っております。

 また、それに関連をいたしまして、国際会議の誘致についても一点お尋ねをしたいと思います。

 防災グローバルプラットフォーム会合という会合がございますが、これは、国連防災世界会議で策定されました行動枠組を一層促進させること、また、そのモニタリングを行うことなどを目的に、世界中の関係者が一堂に会し議論を進める重要な会議であると認識をしております。今後、二〇二五年のジュネーブ開催までは決まっておりますけれども、二〇二八年の開催地はまだ未定であります。是非、会議を東北へ誘致し、仙台防災枠組の仕上げに向けた取組を一層加速することにつなげたい、こう思います。

 加えて、アジア太平洋防災閣僚会議も極めて重要な会議体であるということに触れさせていただきます。

 その上で、私は、第四回となります国連防災世界会議を是非福島へ誘致することを提案したいと思います。東日本大震災と原発事故という未曽有の災禍を経験した場所で開催してこそ、世界に我が国の防災、減災の技術と知見を発信することになり、東日本大震災からの復興を広く知らしめ、風評の払拭にもつながることは明白であります。

 是非、国としてこれら防災関連の国際会議を積極的に誘致していただきたいと考えますが、御所見を伺います。

二之湯国務大臣 我が国は、これまで、横浜、神戸、そして仙台と三回にわたって国連防災世界会議を開催してきたわけでございまして、国際防災協力の中心的な役割を果たしてまいったわけでございます。

 仙台防災枠組の決定後も、世界津波の日の国連での採択を主導するなど、東日本大震災の教訓を踏まえた世界の啓発活動に尽力をいたしておるわけでございます。

 そして、本年は、国連防災グローバルプラットフォーム会合やアジア太平洋防災閣僚級会合が開催される予定であります。

 これら国際会議の場を通じて日本の知見や教訓を世界に共有し、委員御指摘の仙台防災枠組の着実な実施に貢献をしてまいりたい、このように思っております。

 ただ、防災に関する国際会議を東北地方を含め日本で開催することは非常に重要だと考えておりますけれども、国際会議の誘致につきましては、国連等による開催地決定の手続、さらにはまた会合開催の効果や開催地の財政的な負担、そして新型コロナウイルス感染症の状況など、様々なことを考慮する必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、国際会議を含め様々な機会を通じて日本の知見や教訓を世界と共有するとともに、東日本震災からの復興についても国際社会に発信をしてまいりたい、このように思っております。

庄子分科員 私は、個人的には、次の世界の防災会議は、福島以外に開催地はあり得ないと思っておりまして、これは粘り強くお訴えを申し上げてまいりたいというふうに思います。

 この項の最後に、国の防災を担う重要な役割を負っております内閣府防災担当でありますけれども、国内外の業務が非常に多岐にわたってもおりまして、負荷の増大を懸念する一人であります。

 例えば、いわゆる防災担当内に国際課を設置し、国の内外の業務を切り分ける、分散するとか、あるいは、今大変懸念が強まっております、南海トラフ対策推進室を新たに設置するなど、予算と人員を拡充し、今後の災害に十分な体制をしいて備えていくべき、こう思いますけれども、所見を伺います。

二之湯国務大臣 委員御指摘の激甚化、頻発化する風水害や切迫化する大規模地震への対応など、防災体制の充実強化は極めて重要な課題であると考えております。

 このため、内閣府防災部局の組織・定員については、東日本大震災が発生した平成二十二年度と比べまして、定員は、人員は約八割、そして課長クラスの参事官を倍増させるなど、毎年度着実に増強を図ってきたところでございます。

 また、予算につきましても、南海トラフ地震対策の推進や災害対応におけるデジタル化の推進など、喫緊の課題に対応できる予算を計上しているところでございます。

 大規模災害時には、政府として、内閣総理大臣の指揮の下、内閣府防災を始めとする関係省庁が適切な役割分担の下で一体となって、迅速な復旧と早期の復興に取り組んでいるところでございます。

 国民の生命と財産を守るため、今後とも、内閣府防災部局の予算、組織・定員の充実を含め、万全の防災体制の確保に努めてまいりたいと思っております。

庄子分科員 我々公明党は、以前から、防災、減災を政治そして社会の主流に、こう訴えておりまして、そのための司令塔であります内閣府防災担当、一層の強化をお願いしておきます。

 大綱の二点目でございますが、災害救助法制についてお尋ねをいたします。

 大臣から先ほど来ございましたとおり、近年激甚化し頻発化している自然災害から国民の生命財産を守っていくために、災害対策関連法制の不断の見直しが重要だと思います。

 同法は、被災者の救助、避難所の設置、応急仮設住宅の供与、住宅の応急修理、食品や飲料水の提供、あるいは死体の捜索や埋葬など、実に幅広くカバーをしている法制でございます。

 昨年二月に発生した福島県沖を震源とする地震では、災害救助法が適用された県がある一方で、隣県の自治体では、同じ程度の被害があったのにもかかわらず適用されないというケースがありました。法の理念でもあります平等の原則という観点から、同程度の被害が生じても、都道府県が違うといったことの理由で自治体への支援の格差が生じないよう、災害救助法の適用が行われるべきだと思いますが、見解を伺います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法が適用されれば、被災市町村に代わって都道府県知事が救助を行うことになります。

 このため、都道府県知事が災害救助法の適用を判断するに当たっては、現場の市町村の被災の程度や避難状況等を迅速に把握し、現場の市町村と緊密に連携を図った上で判断していただく必要があると考えております。

 内閣府といたしましては、救助法による救助が適切に行われますよう、国として知り得た市町村の状況や隣県の法律の適用状況を都道府県にお伝えすること等により、都道府県知事がちゅうちょなく救助法の適用について判断できるよう努めてまいりたいと存じます。

庄子分科員 ここはもう少し議論が必要かなというふうにも思います。

 重ねてになりますけれども、同じ例えば自然災害で同等程度の被災を受けて、結果、この法律の適用になるならないという格差が生まれるというところには、何らかやはり運用上の問題があるのではないかというふうに思っております。これは、知事が判断するということを言われればそれまでなんですけれども、是非、国民が法に基づいた救助をきちっと受けられるように、不断の見直しを改めてお願い申し上げたいというふうに思います。

 同法の適用基準につきましては、市町村の人口規模におけます住家の滅失世帯数で判断をする施行令一号から三号基準に加えまして、四号基準というのがありますけれども、この四号基準では、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合に該当する際にこの四号が適用される、こうなっております。

 国は、地方に対しまして、判断ができないときにはちゅうちょなく内閣府へ相談をと通知を出されておりますけれども、昨今の災害の広域化、あるいは被災状況の多様化に鑑みまして、一号から三号のような、住宅の被害が生じた場合による人数重視の考え方を緩和し、速やかに全ての被災者が法に基づいて救助に結びついてまいりますように、より一層、四号基準の弾力的な運用を図っていく必要があると考えますが、御所見を伺います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法は、都道府県知事が、一定程度の災害が発生した市町村に代わって、災害により被害を受け、現に救助を必要としている方に対して救助を行う旨、規定をしているところです。

 災害救助法を適用する災害の程度の基準でございますが、市町村や都道府県の区域内において住家が一定数以上滅失してしまった場合に加えまして、まだ住家に被害は生じていなくても、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合であって、避難して継続的に救助を必要とする場合には、災害救助法の適用は可能であるとされております。

 内閣府におきましては、この規定を踏まえ、各都道府県に対して、災害により多数の者が生命、身体に危害を受け、又は受けるおそれがある場合にはちゅうちょすることなく災害救助法の適用を行うよう助言してきているところです。

 引き続き、都道府県と意思疎通を図りながら、災害に応じて弾力的な運用が図られますよう対応してまいります。

庄子分科員 恐らく、平時において、国と都道府県、あるいは都道府県と市町村、ここの連携強化、あるいはコミュニケーション、こうした努力が必要ではないか。そうした平時のやり取りがありませんと、やはり大きな災害が起きて混乱している役所では的確に国に報告や連携を取ることが難しくなるんだろうなというふうにこの間の災害を経験して思っているところでございまして、今の御答弁を了とさせてはいただきますけれども、是非、取組を強化していただきたいというふうに思います。

 住宅の応急修理制度につきましても、これは東日本大震災でもそうでしたが、課題が幾つかございました。

 この住宅の応急修理制度の完了期間につきまして、国の一般基準と実際の工事完了期間には大きな乖離が見られておりましたほか、修理の範囲が限定的で、被災者の自己資金も足りないために、不完全なままおうちを直して、その不完全な環境で生活を送るという被災者も実際おられました。

 被災者の皆様にとって、より使い勝手のいい制度となりますよう、一層の見直しが必要ではないかと思いますが、御所見を伺います。

榊政府参考人 災害救助法による住宅の応急修理は、災害のため住宅に被害を受け、そのままでは住むことができない状態にあるものの、破損箇所に手を加えれば何とか日常生活を営むことができる場合に、必要最小限の修理を応急的に行うものであります。

 住宅の応急修理制度につきましては、令和元年十月に、それまでは住宅の損害割合二〇%以上の半壊までしか対応とならなかったものを、これを引き下げて、損害割合一〇%以上の準半壊につきましても必要な修理ができるよう、制度の見直しを行いました。

 また、応急修理ができる期間でございますが、実際に工事にかかった期間などを踏まえまして、令和三年六月に、それまでの一か月から三か月に延ばしますとともに、大規模な災害では六か月にまで延長することができることとするなど、実態に即した見直しを行ってまいりました。

 さらに、被害の状況等によっては、こうした一般基準では対応できない場合もございます。その場合には、例えば令和元年東日本台風では約一年七か月にまで延長するなど、個々の被災状況に応じて弾力的な対応を行ってきているところです。

 被災者の方が住宅の応急修理制度等を活用し、安心して自宅に戻ることができますよう、今後とも、地方自治体としっかりと連携を取り、必要な支援を行ってまいります。

庄子分科員 今の御答弁は、この後私がお尋ねをする災害ケースマネジメントにも実はつながっているんです。

 要するに、一か月だったものを三か月に延長、あるいは特例的には半年まで延長するといったような弾力的な運用が、実は、被災者にきちっと大規模な災害時こそ届きにくいということで、例えば、それが三か月だというふうにどこかで誤った情報を聞いた被災者の方々が急いで応急修理を使ってしまって、であるがゆえに、例えば水害のときなんかはその後カビが発生したというような問題も実はあったわけであります。個別具体に、どうやって、今いろいろ見直しをしていただいたこの期間の延長だったら、こういったことを情報としてちゃんと届けるかということ、これが極めて重要になってくるというふうに思っておりますので、是非、その点も加味をした上でお願い申し上げたいというふうに思います。

 最後に、災害ケースマネジメントの質問をさせていただきます。

 被災者生活再建支援法という法律があります。災害救助法というのは、発災時からの短い期間、どうやって被災者を救助するかという法律です。被災者再建支援法は、そこから中長期的に被災者をお支えするというための法制度でございますが、この再建支援法では、発災時にたまたまそこに住んでいた御自宅の壊れ具合あるいは浸水具合のみを基準にし、その方の支援内容が決定をされるために、社会的な脆弱性を抱える方々が、本来その方にとって必要とする支援になかなかつながっていかないという実態もあります。

 こうした被災者に対しては、伴走型で支援をいたします、いわゆる災害ケースマネジメントのようなきめ細かい対応が必要だというふうに考えるわけですが、この点について認識をお尋ねいたします。

二之湯国務大臣 災害ケースマネジメントは、被害者の方が抱える多様な課題が解消されるよう、一人一人の被災者の状況を丁寧に伺って、そして関係者が連携して必要な支援を行う取組であるわけでございます。

 国としては、これまでも、被災者の方が自らに適した支援制度を活用して、そして生活再建に取り組むことができるよう、見守りや相談の機会、そして被災者台帳を活用し、きめ細かな支援等を行ってきたところでございます。

 今後、更に効果的な被災者支援を実施できるよう、先進的な取組を進めている自治体による災害ケースマネジメントの好事例、いい例を収集して、本年度中に、全国の自治体と一緒になって、情報共有を図ることといたしておるわけでございます。

 今後とも、被災者一人一人に対してきめ細かな支援が進むよう、国としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

庄子分科員 ありがとうございます。

 東日本大震災の最大被災地でもあります石巻で、今大臣がお答えをいただいたように、先行的に、弁護士の皆さんや民間のNPOの皆様がこのケースマネジメントに取り組んでおられて、その課題、今後の展開については、我々もいつも連携を取らせていただいております。法的にこの災害ケースマネジメントが定義づけられるということが極めて重要だと私は認識をしておりまして、お取組をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、一点伺います。

 この災害ケースマネジメントという取組につきましては、発災直後から、住家等に係る支援制度に詳しい弁護士あるいは建築士、社会福祉士等が被災世帯を戸別に訪問、各種支援制度に速やかにつないでいくことで、一人一人に合った生活再建を実施する、いわゆる伴走型支援の形態でございます。その必要性につきましては、さきに岸田総理も国会で答弁をされており、また、今、大臣にもお答えをいただいたとおりであります。

 よって、国においては、これまでの災害で実施された伴走支援、災害ケースマネジメントの取組を分析し、その課題などを整理した上で、必要な支援を検討していただきたい。重ねてお聞きをさせていただきます。よろしくお願いします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまでの災害におきましては、例えば、東日本大震災の際には、仙台市におきまして、仮設住宅に入居していた全ての世帯を対象に戸別訪問等を実施し、個別支援のためのカルテを作成するとともに、このカルテに基づき、計画的に戸別訪問し、問題解決に取り組んだと伺っております。

 また、平成二十八年鳥取県中部地震の際には、鳥取県におきまして、被災された方を戸別に訪問し、実態調査を行い、生活復興プランを作成するとともに、このプランに基づいて、支援チームの派遣を行い、対応に当たったと伺っております。

 現在、災害ケースマネジメントにつきましては、大臣からも御答弁申し上げましたとおり、全国的な取組事例の調査を行っているところであり、先進的な取組を進めております自治体による事例を収集、分析し、本年度中に全国の自治体に共有を図ることとしております。

 加えて、来年度の早い段階で、より効率的で質の高い被災者支援の仕組みづくりを中長期的に検討する場を設置することとしておりますが、この中でも、災害ケースマネジメントの取組について検討してまいりたいと存じます。

庄子分科員 大臣からも、被災者台帳の活用というお話がございました。今取り得ている支援、これはフル活用していただくといたしまして、やはり、経験として、発災直後から、避難困難な方、あるいは自力だけでは再建が難しい方をどうやって支援の政策につないでいくか、この発災直後の取組が非常に大事であります。

 したがいまして、それは仕組みとして、災害弱者と言われる方々をフォローアップできる仕組みが制度として必要だというふうに思っておりまして、この災害ケースマネジメントにつきましては、我々もしっかり研究をさせていただきますが、是非、御当局におかれましても積極的な検討をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

島尻主査 これにて庄子賢一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木敦さん。

鈴木(敦)分科員 お疲れさまでございます。国民民主党の鈴木敦です。

 災害大国日本と言われて久しいわけでございますが、こんな中で、防災担当として大臣をお務めの二之湯大臣、大変お疲れさまでございます。この重責に大変敬意を表したいと思います。

 我が国においてたくさんの地震が今後発生するという予想がある中で、本日は、特に幾つかを取り上げてお話をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、首都直下地震についてお伺いをさせていただきます。

 つい昨年の十月でございますが、千葉県の北西部を震源とする地震が発生をいたしまして、私の地元の川崎市でも震度五弱、非常に大きな揺れを観測いたしました。私は、当時、電車に乗っておりまして、途中で止まってしまいまして、家に帰れなかった、このようなことがございました。折しも、次の日、私は出馬会見で、記者会見の前日だったものですから大変困ったんですけれども、この際にも、帰れなくて困っていた皆さん、俗に言う帰宅困難者というものが大量に発生した。これは、私の地元だけでなく、東京でも当然に起こったことでございます。

 それを受けて、内閣府が、首都直下地震帰宅困難者等対策検討委員会、このようなものを設置して、この帰宅困難者対策をどのようにするのか、検討をされているところだと思います。

 ただ、申し上げれば、帰宅困難者という概念や、そういう方々が発生すること自体は、三・一一の東日本大震災でも起こっていたわけです。そのときからスマートフォンが普及したり様々な技術が変わったりしても、帰宅困難者の発生を未然に防ぐことができなかった。このことを事前に申し上げた上で、現在、その中で、どのような課題が委員会で提起をされ、また、どのような方策が検討されているのか、そして、最終的にどのようなタイミングでこの方策を取りまとめられるのか、教えていただけますか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 首都直下地震の発生に伴う帰宅困難者等対策につきましては、東日本大震災以降、一斉帰宅を抑制するため、関係機関と連携して、一時滞在施設の確保などの対応に取り組んできているところです。

 一方で、委員御指摘の昨年十月に発生いたしました千葉県北西部を震源とする地震を受けた駅周辺の滞留者への対応に加え、近年の鉄道等の公共交通機関の耐震対策の進展など社会状況の変化を踏まえ、昨年の十一月に、有識者などを構成員とする検討委員会を新たに開催いたしました。

 この検討委員会では、被害状況や公共交通機関の状況等に応じた帰宅抑制方策や、駅の周辺における滞留者への対応方策などについて検討を行っているところであります。まだ議論は始まったばかりですが、委員からは、千葉県北西部を震源とする地震に引きずられ過ぎることなく、発災直後の混乱を最大限防ぐという大原則をしっかりと踏まえつつ、首都直下地震における帰宅困難者等対策を検討すべきであるといったことや、一斉帰宅抑制の実効性を向上させるためにはまずはこの方針をしっかりと認知してもらう必要がある、こういった御指摘をいただいているところでございます。

 今後、今年の夏頃をめどに対応方針を取りまとめていただくこととしておりますが、こうした検討を通じ、帰宅困難者等対策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)分科員 夏頃をめどということでございますけれども、昨年のことを例に申し上げれば、昨年十月の地震の際、総理から指示があったのは、鉄道事業者に協力を求めるというような内容でした。

 鉄道事業者にも家庭はありますし、一人の労働者であります。そういう方々だけに協力を仰いで、電車が動いていない間に駅に滞留した方々を深夜までかけて輸送して家に帰す、それが本当に正しいことなのか、そういう意見はないんでしょうか。

榊政府参考人 昨年ございました千葉県北西部を震源とする地震の震度の分布でございますが、地域によって様々な震度分布がございまして、鉄道の被害につきましてもすぐには分からなかったんですが、点検をして運行再開も可能な状況であるといったところが分かってまいりましたので、終電の時刻は過ぎていたわけではございますが、運行再開のお願いなどをさせていただいたところでございます。

鈴木(敦)分科員 それは私も実際に見ましたのでよく知っておりますが、これについて異論は出なかったのかということをお伺いしたいんです。実際に運行するのは人であって、機械ではないんです。どうでしょう。

榊政府参考人 鉄道といった公共交通を担っていただいている方々から、私、アンテナが低いかもしれませんけれども、大きな異論は伺ってございません。

鈴木(敦)分科員 私もかつて労働者だった身としては、確かに公共交通を担っているという重責はありつつも、人として、そこは考えていただきたいと思っております。

 続いて、住宅の耐震化についてお伺いをいたします。

 住宅の耐震化が進んでいる、そして、数値上は確かに九〇%を超えている自治体が多いんですけれども、ほとんどが新築のマンションであるというデータもございます。これについて、個人宅、特に高齢化している個人宅について、耐震化を推進するために国として支援をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅の耐震化は、地震の際の国民の生命財産を守るという上で大変重要な課題でございます。このため、住生活基本計画に目標を掲げて、着実に取り組んでいくということにしてございます。

 支援という御指摘でございますけれども、予算によりまして、防災・安全交付金というものを活用いたしまして、地方公共団体が耐震診断あるいは改修工事に対して補助を行う場合にこれを国から支援するという仕組みを設けてございまして、先生御地元の神奈川県におきましても活用されているというふうに承知をしてございます。

鈴木(敦)分科員 続けてお伺いをいたします。

 東日本大震災の際は、長周期地震動という極めて珍しい地震が発生をいたしました。これと同じようなもので、震源地から遠く離れた地域でも大きな揺れが発生をする、このような特殊な地震でございますけれども、相模トラフ及び南海トラフにおいてもこの地震対策について検討会が設置されたと承知をしておりますが、両方について、内容の御説明を伺いたいんです。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 東日本大震災では、地震の揺れの周期が長くなる長周期地震動により、高層ビルが大きく揺れ、壁や柱の損傷、家具の転倒などによる負傷などの被害が発生をいたしました。

 このため、南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動について、同様の被害が発生しないよう、三大都市圏における高層建築物の揺れの推計や建築物の構造躯体の対策などの検討を行ったところでございます。

 相模トラフ沿いの巨大地震につきましては、南海トラフ地震よりも震源が首都圏に近く、長周期地震動による揺れを推計する際に地盤の構造の影響を受けやすいことから、より詳しい地盤構造などの調査検討を行う必要があり、平成二十八年一月に有識者による検討会を設置し、検討を重ねてきております。現在、地盤の構造などの調査検討がおおむね完了し、関東地域での長周期地震動による地表の揺れを推計しているところです。今後、高層建築物の揺れの推計や、建築物の構造躯体の対策などについても検討する予定であり、引き続き、しっかりと検討を進めてまいります。

鈴木(敦)分科員 今、続けて耐震対策と長周期地震動についてお伺いをいたしました。

 これは、なぜこの二つを連続してお伺いしたかといいますと、首都直下地震対策特別措置法という法律に基づいて首都直下地震緊急対策区域に指定された場所においては、特定緊急対策事業推進計画というものを作ると、重油の貯蔵量を超えても貯蔵ができるですとか、あるいは建物内の様々な制限が緩和されるという特例がありますけれども、これがほとんど活用されていない、特に神奈川県や川崎市においては全く活用されていないという現状がございます。

 なぜこれが活用されないかといいますと、事前にもう自治体の方では都市計画ができているわけです。自治体がその計画を作っているにもかかわらず、後から国が当てはめて計画を立てなさいと言っても、白紙にするわけにいかないので運用ができない、こういうことなわけです。そして、実際に国が作ってくれた計画に沿って自治体が計画をしても、具体的に何ができるのか説明が足りないという声が実際に自治体から出ています。

 国として、これについては説明をするべきだと思いますし、更なる財政支援もするべきだと思いますけれども、御所見を伺えますか。

榊政府参考人 御指摘をいただきました特定緊急対策事業推進計画でございますが、御指摘のありましたとおり、これまで活用実績はございません。

 この計画でございますが、例えば、避難施設に非常用電源用の燃料として重油を貯蔵する場合に、建築基準法の用途地域における用途制限で定められております貯蔵量を超えて避難所のために貯蔵することができる、あるいは、廃校となった学校を避難場所として使う、あるいは備蓄倉庫に転用する、こうした場合に、この計画の認定があった場合には補助金適正化法の承認があったものとみなすなどの特例が設けられているものでございます。

 首都直下地震は、今後発生する確率が非常に大きくて、また、一たび発生すると甚大な被害が想定されておりますので、こうしたメニューも含め、様々なメニューを地方公共団体の皆様に御活用いただき、巨大地震対策を講じていただきたい、こういうふうに考えております。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 制度はそういうふうになっています。

 ただ、是非、二之湯大臣、分かっていただきたいんですが、重油を貯蔵する設備は外にはありません。その辺に置いておいてタンクで貯蔵できるものではないんです。建物の中に既に重油の貯蔵タンクはあるんです。なので、建物が建ってからこの計画を立案しても、もう遅いんです。一度取り壊して、重油のタンクをつけ直して、新たに建物を建てる。例えば市庁舎を新たに建築するとか、そういう場合にはこれが適用できるんでしょうが、そうでない場合に自治体がこの計画を実際に当てはめようとすると、できないというのが現状なんですね。

 そして、お話もありました廃校となった小学校、この周辺に廃校になった学校が幾つあるのかということです。首都圏直下と言っているのに、首都圏は子供の数が増えているわけです。つまり、廃校になった学校を運用するという構想自体が余りケースに合っていないのではないか。

 そして、話が戻りますが、この重油に関しても、是非事務方の皆さんにもお伺いしたいんですが、果たして、重油の貯蔵量を増やしたところで、これがどれぐらい運用されると見越してこの制度をつくられたのか、ちょっとお教え願えますか。

榊政府参考人 首都直下地震が発生した場合には大変甚大な被害が発生するおそれがあり、改めて、地域の防災対策を含め、国といたしましても、地元の市町村などとしっかりと連携をして、対策を講じていく必要があると考えております。

 建物の更新はなかなかないではないかといった御指摘でございますが、建物の更新などがあったような場合には、これも防災対策を進めていく上での一つのメニューといたしまして御活用を検討していただければ大変ありがたく存じます。

鈴木(敦)分科員 今後のための仕組みだというふうに理解をいたします。

 実際に御紹介いたしますと、生命を救うためのリミットとされる七十二時間、この七十二時間、市役所の機能がもつぐらいの重油の貯蔵量がある自治体はどれぐらいあるか、御存じですか。ちなみに言うと、私の地元の川崎市は七十二時間もたないと回答しています。大都市ですらそういう状況ですから、小さなところに行けばもっと貯蔵は少なくなってくると思いますので、ここについては、改めて再検討していただいた方がよろしいかと思います。

 さて、次の質問に移らせていただきます。これが本日の私のメインでございますが、内水氾濫についてお伺いをしたいと思います。

 令和元年東日本台風、台風十九号でございましたが、この台風は非常に大きな台風でございまして、私の地元は浸水の被害を受けました。神奈川県ですよ。

 大臣は遠く離れたところの方でございますので、御紹介しておきますと、今回、内水の氾濫が起こった多摩川という川は、非常に昔から、治水をするまでは氾濫の多い川でございました。そして、一九一八年に治水が始まりまして、今は大分落ち着いているんですけれども、この川で、過去一度、一九七四年に洪水の被害ですとか浸水の被害が発生したことがあったんですが、実に四十五年ぶりにこの川が氾濫をした、そしてそれが内水によるものだった、これがありました。私は、議員になって必ずこれを言わなきゃいけないと思っていましたので、是非この際言わせていただきます。

 この内水氾濫というのは、今まで余り想定をされていなかった災害なんです。地震や津波あるいは火災ですとか、そういったものは広く皆さんも身近にあるもので、想像もしやすいところだと思いますが、内水氾濫、つまり、逆流してきた水が町を水浸しにする。私もここまで水につかりました。まさか神奈川県でなると思っていませんでしたけれども、実際にこういうことが発生をする。そして、近年、毎年のように線状降水帯が発生する国ですね。西日本では、毎年のように、残念ながら水害が発生をしています。

 ここまで来ると、この内水氾濫という一つの災害を国としても改めて再検討して、どのように対応していくのか真剣に考えなければいけないと思いますが、御所見を伺えますでしょうか。

二之湯国務大臣 近年、気候変動によりまして、内水氾濫が全国各地で頻発していることから、抜本的な対策強化が必要であることは委員御指摘のとおりでございます。

 そこで、政府といたしましても、内水対策については、将来の降雨量増加を考慮した下水道の効率的な整備とか、そして河道掘削だとか、川の中にある樹木伐採などの河川の水位を下げる対策もしております。また、民間や自治体による雨水貯留対策の支援ですね。こうしたハード対策と併せて、ハザードマップなどを活用して住民や地域の防災意識を高めて、そして円滑で迅速な避難につなげるソフト対策など、流域治水の考え方に基づいて総合的な取組を推進する必要があると思うわけでございます。

 私も、京都でございますけれども、おっしゃっているような内水氾濫はございませんけれども、かつて、昭和三十年代初頭に伊勢湾台風というのがございまして、あの地域も水が逆流して多くの町が水浸しになり、多くの犠牲者が出ました。せんだって、防災担当大臣として現場を視察してまいったわけでございまして、そういうことで、決して私も無関心ではないわけでございます。

 したがいまして、防災・減災、国土強靱化五か年計画を着実に推進して、内水対策を含む流域治水対策を推進していきたい、このように思っております。

 また、先ほど、なかなか地域の実態がよく分かっていないんじゃないかという御指摘もございました。国としても、それぞれの地域の実態に合ったような、きめ細かい治水対策というか内水対策をしていかなきゃならぬということを改めて思い知ったわけでございます。委員、大変いい御指摘をいただきました。

鈴木(敦)分科員 実態が分からないというのは実はこれは当然でございまして、幾つか質問を飛ばさせていただきますけれども、内水ハザードマップというのを、実は、川崎市も災害があってから作ったんですが、ほとんど作られていないんです。

 今、データがありますけれども、この内水ハザードマップを作って実際にその対応をしようというところは二割強、ハザードマップ未公開だったりとか作られていないところが様々多いんですね。なぜかといいますと、実際に川が近くには余りなかったりとか、大臣がおっしゃったとおり大臣は身近に感じておられます、ただ、身近に感じておられない自治体も間々あるということなわけです。

 これについては、国としても、積極的に内水ハザードマップを作ってください、川から離れた地域でも是非それを策定してくださいと。そして、それを国に上げていただければ、国がそれを把握できるわけです。そして、把握できれば、すぐに支援をできる可能性も高まるわけです。どうか、国からの後押しでハザードマップの普及を進めていただけませんでしょうか。

二之湯国務大臣 今議員御指摘のことがございましたけれども、よく検討してまいりたいと思います。

鈴木(敦)分科員 ハザードマップだけにかかわらず、様々な面で、実際に当事者とならなきゃ分からないことが様々あると思います。私は、実際、内水氾濫で家も大変なことになりまして、まざまざと台風あるいは自然災害というのはすごく恐ろしいものだということを感じましたので、その当事者として、是非、大臣にそれを申し上げたかった次第です。

 そして、元の質問に戻らせていただきますが、内水氾濫が発生をする、あるいは発生をする可能性のある場合には、下水道を通して水を元に戻す必要があります。そして、川崎市の沿海部の部分では海抜が大変低いので、下水をポンプで戻したり、そこまでして水を排出している地域も間々あります。

 そして、何より一番恐ろしいこと、それは、多摩川から地域に水が戻ってきそうだというときに樋門を閉じます、その閉じるのは手動なんです。当時、その周りで大雨が降っていたり、あるいは風が吹いていたり、もう水が大変なことになっているという状況の中で、下水道管理者は直接行って閉めなければならない。

 ここについては、事前に、もうここまで来たら下水の樋門を閉めてくださいとか、あるいは機械化していくような仕組みを国としても後押しするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

植松政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の下水道法の一部改正において、樋門等の操作を安全かつ確実に実施し、浸水被害の発生を防止するため、河川等からの逆流を防止するために操作を行う樋門等について、操作規則の策定を義務づけたところでございます。

 改正に合わせて、国土交通省としましては、下水道管理者が操作規則を策定するに当たって参考となるような策定指針を公表し、下水道管理者向けの説明会等によって周知徹底を図っております。

 また、水位計や流向計などの観測機器の設置、あるいは樋門等の自動化、遠隔操作を財政的に支援するなど、樋門等の操作を安全かつ確実に実施するための取組を引き続き推進してまいります。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 このような仕組みがあるということはお分かりいただけたと思いますが、問題なのは、水を元に戻す、川に戻すわけです。そして、その川は一級河川、つまり国の管轄になります。これは、自治体の下水道管理者と河川の管理者の連携がなければなりません。

 どのような連携がされているのか、そして、どういう課題が今見つかっているのか、分かる範囲で教えていただけますか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 多摩川におきましては、令和元年東日本台風によりまして、河川からの氾濫や内水氾濫によって甚大な被害が発生したところでございます。

 この被害を踏まえまして、東日本台風と同規模の洪水でも再度災害を防ぐことを目標に、河川管理者である国が河道掘削、樹木伐採などの本川の水位を下げる対策を実施しております。また、下水道管理者である市区などが雨水貯留施設の整備などを実施しておるところでございまして、両者が連携して浸水被害の軽減に取り組んでいるところでございます。

 関係機関が協力体制を構築し、連携を密にしてこれらの対策を進めていくため、多摩川流域協議会等の流域治水を議論する場を設けておりまして、常日頃の情報共有はもちろんのこと、二か月に一回の頻度で関係者が一堂に会しまして、進捗状況の共有や課題解決に向けた調整などを実施しているところでございます。

 引き続き、河川管理者と下水道管理者の連携を密にすることによりまして、一日も早い地域の安全確保に向けて取組を進めてまいります。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 ここについては密に是非やっていただきたいと思います。実際に起こってから、この話は詰めていなかったという話に必ずなるんですね、こういう話は。なので、今分かるところだけでも確実に整備を進めていっていただきたいと思います。

 そして、台風に関連して申し上げますが、避難情報の発信基準についてお伺いをしたいと思います。

 私がその災害に遭った際には、避難情報があって、至急避難してくださいという緊急速報が来たときには、もう既に前の道は水浸しでございました。そのときにはもう手遅れなわけですね。

 内水氾濫に対して、避難の規則が今までなかった、基準がなかった。そして、報道によりますと、今年度に内水氾濫の避難情報を発信する基準の見直しに着手をする、こういうふうになっております。

 ただ、これはあくまで平地面のことなんだと思います。川崎には地下街もあるんですね。地下街に水が入り込んだ場合にどうするのか、そこの避難基準をどう規定するのか、ここまで含めて基準の見直しを検討されているのかどうか、確認させてください。

植松政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道の能力不足等に起因する浸水に係る避難情報については、これまで、地下街を有する地域を念頭に、下水道施設内の水位情報を周知する取組を推進してまいりました。この結果、先生の御地元の川崎市においても下水道施設の水位情報を周知する取組を行っているものと認識しております。

 また、昨年の水防法の改正においては、原則、下水道による浸水対策が実施されている全ての地方公共団体さんにおいて内水ハザードマップを作成することとしておりますが、更に効果的な対策となるよう、浸水が想定される区域においては、下水道の水位情報や下水道のポンプの操作状況、また雨水情報等を活用して避難に資する情報を発信することが重要であると考えております。

 今年度、公共団体の取組について事例集を作成したところですが、さらに、来年度においては、避難に資する情報の効果的な設定方法等について検討する予定であり、住民等の確実な避難を促し、被害の防止、軽減を図ってまいりたいと思います。

鈴木(敦)分科員 ですから、ハザードマップはないんです、ほとんどの自治体で。これは是非理解していただきたいと思います。

 さらに、要望事項にもなるかもしれませんが、水位あるいはポンプの作動状況等について、せっかくデジタル庁ができたんですから、デジタルで管理をするというような方向まで話は持っていっていないんでしょうか。

植松政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御説明させていただきましたけれども、樋門とポンプ等についてICT等を活用した遠隔操作等もありますので、まさしく執行体制がなかなか厳しい状況等を踏まえて、しっかりDXを使いながら効率的な操作を推進してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)分科員 私が伺ったのは、国が管理する気があるのかないのかということなんです。ここについては継続して検討していただきたいと思います。

 そして、時間の都合上、最後に、大臣にお伺いします。

 今まで、るる、いろいろな災害についての各論を申し上げました。そして、次も必ず災害は何かしら発生をいたします。残念ながら、今年も恐らく何かが起こってしまいます。そして、そういうときにいつもいつも国会で議論になるのは、早期に開いて、そのときに災害に対する様々な法案を作って、提出して、審査して、審議の上で成立をさせて皆様にお届けをしています。これは非常に私は非効率だと思います。

 これだけ毎年毎年様々な災害が発生する国において、その地震や災害の名前を冠した法律を毎回立てる必要があるのか。我が国として、国が管理する部分は恒久法として、災害対策の法律、基本法ではなくて、どういうふうなときにどうします、大きい条文でも構わないと思います、多府省にわたっても構わない、そういう法律を是非防災担当の観点から立案をしていただいて、国全体で国を災害から守っていくんだ、こういう決意を是非いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 災害にはいろいろな災害がございますね。大雨、あるいは豪雪、さらには地震、津波、そして噴火など非常に幅広いものがございますから、災害対策についても、予防から応急対策、あるいは復旧復興までの様々な段階があるわけでございまして、また、対応に当たる関係省庁も非常に多岐にわたっているわけでございます。

 このため、災害法制についても、これまで、災害が発生したたびごとに様々な法制が制定されてきて、今委員御指摘のとおり、いろいろな法律があるということでございますね。実際のところ、今までそういう法制が多岐にわたったことは、なかなかこれを否定することはできないわけでございますけれども、しかしながら、個々の法令によりきめ細かな対応もまた必要な面があるわけでございます。

 こういう場合、緊急事態で大きな法律を作って強権的にやるということもまたいろいろな抵抗があるわけでございます。だから、なかなか一朝一夕に行えるものではございませんけれども、何が効率的であるかということも、やはりそういう観点を忘れてはならないわけでございます。

 委員御指摘の点も踏まえて、災害法制が広く理解されるようにひとつ勉強してまいりたい、このように思っております。

鈴木(敦)分科員 災害は必ず発生いたしますので、是非よろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

島尻主査 これにて鈴木敦さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

島尻主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。階猛さん。

階分科員 立憲民主党の階猛です。よろしくお願いいたします。

 最初に、日銀の金融政策について日銀総裁にお伺いします。

 今国会で二度ほどやり取りさせていただきました。今日お配りしている資料の左側に前回の質疑で使った資料を縮小してつけさせていただいていますけれども、貸出残高は伸びているにもかかわらず業務粗利益が減っている、これは地域金融機関の業績なんですけれども、この点について、私が、二月二日の予算委員会では、地域金融機関の利益が減少している一因となっているのは異次元金融緩和ではないかということを尋ねました。それに対し、日銀総裁は、強い声で、認めませんという答弁でした。

 しかし、異次元金融緩和の下でこれほど長く超低金利が続いてこなければ地域金融機関の利益が減少することはなかったのではないかというふうに考えます。この点、もう一度総裁の考えをお聞かせ願えればと思います。

黒田参考人 地域金融機関の預貸利ざやは長期的に低下傾向にありますけれども、これは、第一に、地域の人口減少を背景とした趨勢的な借入れ需要の減少やそれに伴う金融機関の間の競争激化といった構造要因、第二に、低金利環境の長期化が影響していると思います。

 一方、二〇一三年以降の大規模な金融緩和は、昨年三月の点検でも確認したとおり、経済活動を明確に押し上げ、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない状況を実現しました。このことは、前向きな設備投資のための借入れ需要の拡大を通じて貸出量の増加につながったほか、企業の財務改善や倒産の減少を通じて信用コストの減少に寄与してきたと考えています。さらに、金融資本市場の改善が有価証券関連損益にもプラスの影響を及ぼしてきたというふうに見られます。

 仮に、二〇一三年以降の大規模な金融緩和が行われなかった場合を想定しますと、経済の停滞が長期化し、デフレも継続していたと考えられるため、金融機関経営にも相応のマイナスの影響を及ぼしていたと推察されます。

 日本銀行のイールドカーブコントロールは、従来から申し上げているとおり、金融仲介機能への悪影響をできるだけ抑制しつつ、経済、物価へのプラス効果が大きくなるよう最も適切なイールドカーブの形成を実現するための金融政策の枠組みであります。

 日本銀行としては、イールドカーブコントロールの下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが、二%の物価安定の目標を目指す上で最も適切であるというふうに考えております。

階分科員 確かに、量的緩和でお金が市場に供給されて貸出残高が増えたというところはあったかもしれませんが、にもかかわらず、業務粗利益が減っているということがこのグラフから明らかなわけですよ。これはやはり、超低金利が二年と言っていたものがずっと長く続いてきた、その悪影響だと考えます。これはもう紛れもない事実だと思います。

 逆に、そういうことが分かっているからこそ、最近では、マイナス金利とは裏腹に、地域金融機関の経営を支えるような手だても講じていますよね。

 例えば、今日掲げています三ページ目にありますけれども、最近始まった気候変動対応オペですか、この気候変動対応オペ、いわゆるグリーンファイナンスに対して日銀がゼロ%で資金調達をできるようにする。そして、かつ、ゼロ%で調達した金額に対応する部分について当座預金についてマイナス金利がつかないような配慮もする。こういった内容ですよね。

 これは、本来であれば、グリーンファイナンスを後押しするというのであれば、新規にグリーンファイナンスを行った部分についてこういった特別な優遇措置をすればいいと思うんですけれども、右側を見ますと、二〇二一年九月末の残高に対してこうした優遇措置を講じるわけですね。既に貸出しが行われたものに対して優遇措置を講じても、新たなグリーンファイナンスを引っ張ってくる、そういう効果は期待できないわけですよね。

 何で過去のものについてこういう優遇措置を講じなくちゃいけないんですか。これは、あたかも、過去の超低金利で経営的にダメージを被った金融機関に対する支援というふうに受け取れるんですけれども、どうでしょうか。

黒田参考人 御指摘の気候変動対応オペというものは、気候変動問題への金融政策面への対応として導入されたものでありまして、金融機関の収益支援とか金融緩和のいわゆる副作用対応として行っているものではありません。気候変動とそれへの対応というのはかなり中長期にわたるということで、これは、経済、物価、金融情勢に極めて大きな影響を及ぼし得るわけでございます。

 そこで、気候変動対応オペを昨年から始めたわけですけれども、これは、民間における気候変動対応を支援するという趣旨に鑑みまして、金融機関から我が国の気候変動対応に資する投融資の残高の報告を受けて、その金額の範囲内で資金供給をする仕組みとなっております。

 先ほど申し上げたように、気候変動対応は長期にわたるということで、その投融資も長期である場合が多いわけでして、本オペは二〇三〇年度まで利用可能な仕組みとしております。投融資の実行時点にかかわらず、長期にわたりバックファイナンスを提供することは、民間の継続的な取組を促すことにつながるというふうに考えております。

 実際、本オペの導入を機に、気候変動対応に資する投融資を積極化する金融機関も、もう見られております。本オペがそうした民間の取組を後押しする呼び水としての役割を果たすということも期待しているわけでございます。

階分科員 だから、呼び水としてこれをやるのであれば、バックファイナンスをやるのであれば、九月の二十二日に気候変動対応オペの概要というのは発表されていますけれども、右側に、十二月二十三日に実際にオペレーションの実施結果というのがあって、ここに対象投融資の残高、真ん中下辺りに書かれてあって、九月末のものなわけですよ。

 要は、このオペが始まるずっと前からやっていたものに対してなぜかバックファイナンスをしてゼロ%の調達を行わせ、かつ、マイナス金利の当座預金を減らす、そんなことをやるわけですね。要は、いろいろおっしゃいましたけれども、地域金融機関の経営を助けているということは紛れもない事実でしょう。それは否定できないと思いますよ。いいですか。こういうことをやらないと回らなくなっているというのが、今の異次元金融緩和です。

 それで、この異次元金融緩和は、金融機関の経営を苦しめているだけではなくて、日銀自らの経営も苦しめていると思いますよ。異次元金融緩和で日銀のバランスシートはどんどん肥大化して、昨年九月末時点の段階では、日銀が持っている保有国債は簿価ベースで五百二十八兆というふうに聞いています。しかも、その五百二十八兆の簿価のうち、保有長期国債の平均利回りは〇・二二六%というのが、昨日、財務金融委員会で総裁が答弁されていました。我が党の野田議員への答弁だったと思います。

 そうすると、五百兆ぐらいで〇・二%の利回りということであれば、大体、年間の運用益が一兆円ぐらいですよね。一兆円ぐらいで、今、当座預金も大体五百兆以上あるわけですよ。五百兆以上あって、今は、マイナス金利とか、ほぼ、トータルで見ても、当座預金で日銀は金融機関に対して利息を払わなくて済んでいるわけですけれども、これが、仮に政策金利を上げて政策金利が一%ぐらいになったら、五百兆の一%といったら五兆円ですからね、運用益が一兆円しかないのに、五兆円の当座預金利息を払ったら、これだけで四兆円の赤字ですよ。一%の利上げだけで済まないかもしれません。しかも、それが何年も続くとなると毎年毎年多額の赤字が出るということで日銀の経営がどんどん厳しくなって、これでは、いざというときに、金融引締め、金融正常化どころか、何もできないんじゃないですか。

 結局、今の金融緩和状態をだらだら続けないと日銀自体がもたない、そんな状況をつくっているんじゃないですか。お答えください。

黒田参考人 金融政策は、基本的に、二%の物価安定目標を実現するという観点から行っているわけでありますけれども、足下では物価上昇率は〇・五%程度にとどまっておりますし、政策委員会の委員の中央見通しでも、二二年度、二三年度とも一・一%程度という見通しになっておりまして、現時点で、いわゆる出口、バランスシートの調整とか政策金利の調整を検討するという段階にありません。

 したがいまして、今の状況で云々するわけではありませんが、仮に出口ということになれば、御指摘のように、日銀当座預金に対する付利金利の引上げなどによって支払い金利が上昇するということも考えられます。

 もっとも、そうした局面においては、経済、物価情勢の好転とともに長期金利も上昇していくというふうに考えられますので、日本銀行の保有国債がより高い利回りの国債に入れ替わることで受取金利も上昇していくというふうに見込まれます。

 このため、支払い金利が受取金利を上回る利ざやの逆転が起きるかどうか、起きる場合に日本銀行の財務にどの程度の影響をもたらすかについて、現時点で予測するということは非常に難しいというふうに思います。

階分科員 そんなこと、シミュレーションできるでしょう、皆さん、プロなんだから。

 大体、皆さんの持っている保有国債の平均残存期間って、今、何年ぐらいなんですか、七年ぐらいですか。五百兆を持っていて七年で入れ替わるということは、年間七、八十兆円ずつ入れ替わって、確かに、金利が上がってきたら、七、八十兆円はそのときの高い金利に置き換わるけれども、それ以外は古い、低い金利なわけですよ。他方で、当座預金の金利は、いざ金利を引き上げると、一遍に五百兆、一%とか二%上がるわけですよ。どう考えたって赤字になるわけじゃないですか。赤字になった影響はどうなるんですかということを聞いているわけですよ。

 赤字になって、それが続いていくと、日銀は自分の首が絞まりますよ。そんなことを皆さんはやってきたんですよ。二年で終えていればこんなことはなかった。日銀が自分の首が絞まるようなことはなかったけれども、もう今、日銀自らが危うくなっているわけですよ。

 それに加えて、今度、指し値オペというものをやっていますよね、二月十四日。海外の中央銀行が金融の引締めをやっている中で、日銀だけが逆行しているわけですよ。海外は金利を上げようとしているのに、日銀は金利を抑えようとしている。かなり無理なことをやっています。かなり無理なことをやるということは、金利を抑えるためには相当多額の市場介入をしなくちゃいけない。今回、二月十四日の指し値オペは、幸いなことに応札する人がいなかったので日銀はお金を使わなくて済みましたけれども、もしこれが指し値オペにどんどん申し込んでくる人がいたら、大変なことになりますよ。

 過去の指し値オペの実績というのが二ページ目の右下の方に書いていますけれども、過去にある程度長い期間の国債を指し値オペで買ったケースが大体、今回を除くと、六回あるわけですね。六回あって、トータルでも七兆円ぐらいですよ。一番多い買入れ額でも、一回当たりの一番多い買入れ額でも一兆六千億というふうに聞いています。ただ、今回はそれと全く桁違いの大きな指し値オペになる可能性があるんじゃないかと見ています。

 これは総裁にお聞きしますけれども、長期金利が〇・二五%を上回りそうな状況になれば、何度でも無制限の指し値オペ、やるつもりなのかどうか、これをお尋ねします。

黒田参考人 現在、日本銀行が実施しておりますイールドカーブコントロールは、ゼロ%程度という長期金利の操作目標をプラスマイナス二・五%程度の一定の変動を許容しつつ実現するために……(階分科員「今、二・五%と」と呼ぶ)プラスマイナス〇・二五%程度の一定の変動を許容しつつ実現するために、上限を設けず必要な額の長期国債の買入れを行うという枠組みであります。

 コントロールに必要な実際の買入れ額は、御指摘の指し値オペによる買入れ分も含めて、国債の需給環境あるいは市場動向に応じて変わり得るわけであります。その結果として、日本銀行の保有国債残高が増加することも十分あり得るわけですけれども、イールドカーブコントロールの下での国債の買入れは、やはり二%の物価安定の目標の実現のために必要な政策であるというふうに考えております。

階分科員 質問に端的にお答えください。

 そうすると、イールドカーブコントロールで、上限、長期金利〇・二五%を守るためには、この指し値オペ、何度でも金額無制限で実施するということでよろしいですね。

黒田参考人 先ほど来申し上げていますように、イールドカーブコントロールの下では必要な額の国債の買入れというものを行うわけですから、それは国債の需給環境とか市場動向において変わり得るわけです。

 今回の場合は、御案内のとおり、海外の長期金利上昇の影響を受けてやや急速に上がったということで、異例の状況ではあったんですけれども、そういう状況に対応して、指し値オペという形で、ゼロ%程度というイールドカーブコントロールの状況を維持するようにしたということであります。

 ですから、今後もそういった状況があれば当然こういうツールを使うということになると思いますけれども、基本は、先ほど申し上げたように、イールドカーブコントロールの下で十年国債の市場金利がゼロ%程度、プラスマイナス〇・二五%という範囲内で収まるように必要な国債の買入れを行っていくということが中心だと思います。

階分科員 要は、プラスマイナス〇・二五に収まるように幾らでも介入はするということなんですが、そうだとすると、現在の海外の金融情勢などを見ていますと、この買入れ、指し値オペによって、日銀の保有する低金利の国債がますます増加して、更に日銀の金融政策が正常化する余地が遠のくのではないかと考えております。

 私は、長期金利の〇・二五%という縛りをある程度緩めて、少し市場実勢に応じて上げる余地を残した方が、日銀の財務リスクの拡大を防げるし、冒頭申し上げましたとおり、地域金融機関の経営を助ける、つまり、金利のイールドカーブが少し立ってくる、スティープ化するということで、収益機会が広がって金融機関にとってもいいんじゃないかと思うんですね。

 この長期金利の上限〇・二五%というのは見直す余地はないのか。ないとすれば、それはなぜなのか、教えてください。

黒田参考人 先ほど来申し上げていますとおり、我が国の金融政策も、また諸外国の金融政策もそうですけれども、物価の安定、具体的には、先進国はほとんど全て二%の物価安定目標を掲げて金融政策を運営しております。

 そうした中で、米国の場合は七・五%ぐらいのインフレになっていますし、欧州大陸でも五%ぐらいということですが、先ほど来申し上げているように、我が国の場合は〇・五%程度の物価上昇率ということで、こういった状況の下で、我が国がイールドカーブコントロールの金利を上げるという必要があるとは考えておりません。

 ただ、イールドカーブコントロールを入れたときからそういうふうに申し上げているんですけれども、適切なイールドカーブ、つまり、二十年債とか三十年債の金利が下がっても、それが設備投資とか消費とかを刺激する効果というのは余りなくて、むしろ、年金基金とか、そういうところの収益を悪化させるという可能性がありますので、イールドカーブは適切な形で、極度にスティープ化する必要があるとは思っていませんが、一定の傾きを持って、長期のものほど金利が高いという形にする必要があるということは私どももよく理解をしておりまして、適切なイールドカーブをつくる、その適切さというのは、一方で、経済、物価に対してポジティブな影響を与えつつ、他方で、例えば、国債市場の機能度を過度に損なうことのないようにするということを念頭に挙げて運営していますので、もちろん、〇・二五%というのが未来永劫、絶対変わりませんと言うつもりはありません。

 ただ、ゼロ%程度でやってきたところ、非常にマーケットが、プラスマイナス〇・一%ぐらいでほとんど動かなくなっていったものですから、それはイールドカーブコントロールの趣旨からいって適切でない、一定程度の変動で国債市場の機能度というのを残しておく必要があるということで始めたわけですので、今、そのプラスマイナス〇・二五%を変えるというつもりはありませんが、未来永劫、絶対変えられないというものではないと思います。

階分科員 もう長過ぎるわけですよ、異次元の金融緩和。二年の約束がもう九年やって、しかも、今後も当面、物価は上がらないだろうということで、御自身の任期満了、来年の四月ですか、それまでは出口戦略は議論しないと、先日、毎日新聞のインタビューに答えられていました。

 これは、昨日、野田議員もおっしゃっていたことなんですが、自らの失敗のツケを後任に回すことになると思うんですよ。大変なツケだと思いますよ。日銀の後輩の人たちも大変苦しむと思うんですね。そういうことについて、自責の念に駆られたりということはないんですか。

黒田参考人 私どもは、経済、物価の動向を見て、二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するために必要な措置というものをずっと考えてやってきたわけであります。

 したがって、それが間違っているというふうには思っておりませんし、そもそも、私の任期との関係で何か出口を取らなければならないということはないわけで、あくまでも、物価安定の目標を達成する状況になれば、当然のことながら、出口戦略について具体的に議論していくということになると思いますが、そういうことについて、何かそれ以上のことを、責任を取れと言われても、そういう立場にはない。あくまでも、その時々の経済、物価情勢を見て最も適切な金融政策を執行していくというのが政策委員会の義務であり責務であり、それを全力を挙げてやってきたということであります。

階分科員 失敗を認める必要があると思いますよ、いいかげん。何となく、二%目標を達成するために異次元金融緩和をやっているんじゃなくて、異次元金融緩和を継続すること自体が目的になっている。そうなっていますでしょう。

 だって、一頃までは必ず、四半期ごとの物価見通しでは、二年後ぐらいには二%になるような見通しを出していたのが、最近は、何年たっても二%に達しないかのような見通しを出して、異次元金融緩和、出口戦略を議論しなくてもいいような見通しをつくっていますよね。本当にこれは無責任だと思いますよ。失敗を認めないし、かつ、出口戦略を議論しないことによって難しいことから避けている。非常に問題だと思います。こういうことだと、やはり日銀の信用も危ういのかなと思っています。

 本当に私は、もうずっとこのことを議論してきましたけれども、普通の企業だったらあり得ないですよ。二年でやるということを掲げて、十年たってもできないけれども何も私は悪くありません、こんなことは一般社会では成り立ちませんからね。おかしいと思いませんか。何をいつまでも同じことをだらだら続けているのか。本当に改めて申し上げたいと思います。

 日銀総裁、帰って結構です。

 時間がなくなってきましたが、二之湯大臣にもお越しいただいているので、公務員制度担当ということでお尋ねします。

 公務員制度も大変なことになっていて、いわゆるキャリア官僚、志願者が激減しているんですね。昨年も激減しましたけれども、ピークに比べると約三分の一ですよ。昔は三十倍ぐらいの競争倍率があったけれども、今はもう八・五倍とか、そんな形です。このままだと、本当に、優秀な人がどんどん公務員にならなくなって、公務の持続可能性が危うくなってしまいます。

 これをどうやって立て直すんですか。大臣のお考えをお聞かせください。

二之湯国務大臣 今委員御指摘になりましたように、一九九九年は三十二・四倍の総合職の競争率があったんですね。それが今やもう八・五倍になった。若い優秀な人が国家公務員を志さなくなったということは、大変我が国にとってもゆゆしき問題だ、このように思っているところでございます。

 私は、国家公務員というのは大変やりがいのある仕事だと思いますけれども、なぜ若者がそういう公務員離れをしたのかということをいろいろと大臣になってから考えますと、やはり、非常に、若い職員が長時間労働だ、こういうこともございますし、そして、仕事にやりがいが感じられない、こういうことが言われているところでございますので、そのために、若い優秀な職員の能力を最大限に発揮できるような職場づくりをしていかなきゃいかぬ、このように思っているところでございます。

 このために、やはり、職場の管理職一人一人が、意義が乏しくなった非効率な業務、いわゆるルーチンワークの廃止やまた仕事の効率化、さらにはまた、部下の成長を促すための日々の業務を通じた助言、指導の徹底などを通じて、若手職員が意欲と能力を遺憾なく発揮できる職場の環境をつくっていかなきゃいかぬじゃないか、このように思っております。

 そのために、現在、内閣人事局と人事院の若手職員が集まりまして、そして、率直な議論を展開して、公務員の未来の働き方、あるいは公務員とは何ぞやというようなことを今議論して、私と人事院総裁に近く提言をいただくことになっておるわけでございます。

 そういう提言を無にすることなく十分に生かして、そして、いわゆる若い優秀な人が、憲法十五条二項に明記されているように、国民の全体の奉仕者として頑張れるような、そんな環境をつくっていきたいし、そういうことに努めていきたい、このように思っております。

階分科員 時間が来たので終わりますけれども、そういう若い人の模範となるように我々もしっかり身を律していくべきだというふうに思いますので、大臣、また次回、答弁よろしくお願いします。

島尻主査 これにて階猛さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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