衆議院

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第1号 令和5年2月20日(月曜日)

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本分科会は令和五年二月十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      衛藤征士郎君    平沢 勝栄君

      牧島かれん君    宮下 一郎君

      逢坂 誠二君    本庄 知史君

      青柳 仁士君

二月十七日

 牧島かれん君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年二月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 牧島かれん君

      石橋林太郎君    衛藤征士郎君

      斎藤 洋明君    塩崎 彰久君

      鈴木 貴子君    平沢 勝栄君

      穂坂  泰君    宮下 一郎君

      保岡 宏武君    逢坂 誠二君

      菊田真紀子君    本庄 知史君

      山岡 達丸君    山岸 一生君

      青柳 仁士君

   兼務 小森 卓郎君 兼務 浅川 義治君

   兼務 吉田久美子君 兼務 鰐淵 洋子君

   兼務 仁木 博文君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)

   (ワクチン接種推進担当) 松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (領土問題担当)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (共生社会担当)

   (女性活躍担当)

   (孤独・孤立対策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (スタートアップ担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)

   (国際博覧会担当)

   (行政改革担当)     岡田 直樹君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府副大臣       太田 房江君

   内閣府副大臣       小林 茂樹君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   デジタル大臣政務官    尾崎 正直君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   衆議院事務総長      岡田 憲治君

   参議院事務総長      小林 史武君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 鈴木 千明君

   裁判官訴追委員会事務局長 中村  実君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   会計検査院長       森田 祐司君

   最高裁判所事務総長    堀田 眞哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  成田 達治君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)

   (内閣府大臣官房アイヌ施策推進室長)       吉井  浩君

   政府参考人

   (内閣官房孤独・孤立対策担当室長)        山本 麻里君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室長)       渡辺由美子君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       英  浩道君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       塚田 益徳君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山本  仁君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    太刀川浩一君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 足達 雅英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 馬場  健君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本  圭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           吉田 幸三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田村 公一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 新垣 慶太君

   政府参考人

   (気象庁大気海洋部長)  野村 竜一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     斎藤 洋明君

  平沢 勝栄君     藤井比早之君

  本庄 知史君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     石橋林太郎君

  藤井比早之君     塩崎 彰久君

  野間  健君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     保岡 宏武君

  塩崎 彰久君     穂坂  泰君

  近藤 和也君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     鈴木 貴子君

  保岡 宏武君     衛藤征士郎君

  山岡 達丸君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     平沢 勝栄君

  山岸 一生君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     本庄 知史君

同日

 第四分科員仁木博文君、第六分科員浅川義治君、第七分科員吉田久美子君、鰐淵洋子君及び第八分科員小森卓郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

牧島主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。池田宮内庁次長。

池田政府参考人 令和五年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の令和五年度における歳出予算要求額は、六十七億八百万円余でありまして、これを前年度当初予算額七十三億八百万円余と比較いたしますと、六億円余の減額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十一億二千三百万円余、皇族に必要な経費二億六千万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費九億六千四百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十一億五千九百万円余でありまして、前年度に比較して六億円余の減額となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で令和五年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 令和五年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百七十一億八千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、八億六百万円余の増額となっております。

 これは、議案類印刷費等の減額がある一方、主要国下院議長会議の開催に必要な経費、給与改定に伴う人件費等の増額によるものであります。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百四十億六千五百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百八億二千万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十六億七千二百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として六億一千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、令和五年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。小林参議院事務総長。

小林参議院事務総長 令和五年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百九億一千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億一千万円余の減額となっております。

 これは、主に、第二十六回参議院議員通常選挙の実施に伴う経費が減額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百四十四億三千九百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十三億四千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十一億一千八百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議事堂本館等の施設整備に必要な経費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、令和五年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。吉永国立国会図書館長。

吉永国立国会図書館長 令和五年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、百九十八億七千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五十七億七千万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度補正予算(第2号)に計上されました所蔵資料のデジタルアーカイブ整備に関する経費の増額相当分が減少したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等九十九億一千二百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等七十六億二千九百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十二億四千二百万円余を計上いたしております。

 以上、令和五年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。鈴木裁判官弾劾裁判所事務局長。

鈴木裁判官弾劾裁判所参事 令和五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千八百二十万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一千十五万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、令和五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。

中村裁判官訴追委員会参事 令和五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千五百三十一万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一千八十二万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、令和五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。堀田事務総長。

堀田最高裁判所長官代理者 令和五年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和五年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百二十二億一千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百二十八億一千四百万円と比較いたしますと、差引き五億九千七百万円の減少となっております。

 次に、令和五年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 一つ目に、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百八十三億五千六百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判手続等のデジタル化関係経費として五十五億六千九百万円を計上しております。この中には、民事、刑事、家事の各デジタル化関連経費、情報基盤整備関連経費が含まれております。

 第二に、民事事件関係経費として二十六億八千六百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第三に、刑事事件関係経費として三十九億九千百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費、法廷通訳関連経費等が含まれております。

 第四に、家庭事件関係経費として六十一億一千万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 二つ目に、庁舎の耐震化等のための経費として百四十六億三千百万円を計上しております。

 次は、定員関係であります。

 事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進を図るため、事務官を三十九人増員することとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力等として七十人の減員をすることとしております。

 なお、この増員等の中には、速記官から事務官への振替五人が含まれております。

 また、近年の事件動向、判事補の充員状況を踏まえ、判事補を十五人減員することとしております。

 したがいまして、裁判所全体で差引き四十六人の純減となります。

 以上が、令和五年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。森田会計検査院長。

森田会計検査院長 令和五年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の令和五年度予定経費要求額は、百五十八億二千四百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十一億四千七百万円余と比較いたしますと、十三億二千二百万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百四十五億八千七百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十二億三千六百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 以上、会計検査院の令和五年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。松野内閣官房長官。

松野国務大臣 令和五年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の令和五年度における歳出予算要求額は千六十四億四千三百万円でありまして、これを前年度当初予算額千七十一億七千二百万円に比較しますと、七億二千九百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百六十七億三千三百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億三千万円、人事院には、人事行政等のための経費として八十六億八千万円を計上しております。

 次に、内閣府所管の令和五年度における歳出予算要求額は五兆七千四百三億七千三百万円でありまして、これを前年度当初予算額四兆七千二百八十五億五千二百万円に比較しますと、一兆百十八億二千万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として五千七百五十二億三千四百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十五億七千七百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百十一億三千二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千九百一億六千九百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十四億二千五百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十六億二千五百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融政策推進等のための経費として二百三十一億九千三百万円、消費者庁には、消費者の安全、安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百十五億九千三百万円、こども家庭庁には、子供の視点に立った司令塔機能の発揮、子供の健やかな成長の推進等のための経費として四兆八千百四億二千五百万円を計上いたしております。

 以上をもって令和五年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。河野デジタル大臣。

河野国務大臣 おはようございます。

 令和五年度デジタル庁予算について、その概要を御説明申し上げます。

 デジタル庁におきましては、デジタル社会の実現に向けた重点計画等に沿って、デジタル化による新しい付加価値を生み出し、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指すための予算としてデジタル庁所管の歳出予算要求額を総額四千九百五十一億四千七百万円計上しております。

 前年度当初予算額より二百三十一億二千二百万円の増額となっております。

 以下、要求額の内訳について御説明申し上げます。

 第一に、マイナンバーの利活用や公金受取口座の登録を促進するとともに、デジタル原則を踏まえたアナログ規制の横断的な見直しやデジタル推進委員等の取組を強力に進め、また、社会全体のデジタル化の司令塔となるデジタル庁の体制強化に必要な経費として百三十九億五千九百万円を計上しております。

 第二に、デジタル庁における情報システムの整備、運用や、各府省庁のシステムを整備するため、年間を通じた一元的なプロジェクト監理を実施し、デジタル庁で整備するシステムやネットワーク等の共通基盤の利活用を前提としたシステムの統合、共通化、情報連携を実現するために必要な経費として四千八百十一億八千八百万円を計上しております。

 以上、令和五年度デジタル庁予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。渡辺復興大臣。

渡辺国務大臣 令和五年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁におきましては、第二期復興・創生期間において必要な取組を精力的に進めるため、地震、津波被災地域において、被災者支援など、きめ細かい取組を着実に進めるとともに、原子力災害被災地域では、帰還環境の整備、生活再建など、本格的な復興再生に向けて取り組み、また、これらに加えて、福島始め東北地方が創造的復興を成し遂げるための取組を進めるための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額五千五百二十三億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、避難生活の長期化や恒久住宅への移転に伴う被災者の心身の健康の維持、住宅や生活の再建に向けた相談支援、コミュニティーの形成、生きがいづくり等の心の復興など、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援等に必要な経費として二百四十九億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、住まいと町の復興に向けて、災害公営住宅に関する支援を継続するほか、住民の安全、安心の確保等のために事業を進める必要があることから、災害復旧事業等について支援を継続するために必要な経費として四百七十六億円を計上しております。

 第三に、産業、なりわいの再生については、ALPS処理水の処分に伴う対策として、被災県への水産に係る加工、流通、消費対策や、福島県農林水産業の再生、原子力災害被災十二市町村における事業再開支援の実施に必要な経費のほか、避難指示解除区域等における工場等の新増設支援等の取組に必要な経費として三百三十九億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、避難指示が解除された区域での生活再開に必要な帰還環境の整備や、帰還困難区域の特定復興再生拠点の整備、特定復興再生拠点区域外への帰還、居住に向けた避難指示解除に向けた取組等を実施するとともに、中間貯蔵施設の整備及び管理運営等を着実に推進するほか、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組の強化に必要な経費として四千百七十億円を計上しております。

 第五に、創造的復興については、単に震災前の状態に戻すのではなく、創造的復興を実現するため、以上の取組に加えて、福島国際研究教育機構の構築、福島イノベーション・コースト構想の推進、高付加価値産地の形成等に係る取組に必要な経費として二百三十六億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など千七百七十八億円を計上しており、全体では七千三百一億円を計上しております。

 以上、令和五年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 令和五年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和五年度予算においては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、今後五年以内に緊急的に防衛力を抜本的に強化するために必要な取組を積み上げ、防衛力抜本的強化元年予算として、新たな防衛力整備計画の初年度にふさわしい内容及び予算規模を確保することとしております。

 具体的には、将来の防衛力の中核となる分野について、スタンドオフ防衛能力、無人アセット防衛能力等について大幅に予算を増やすとともに、統合防空ミサイル防衛能力、宇宙、サイバーを含む領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靱性、防衛生産・技術基盤等について必要な経費を確保しております。

 中でも、現有装備品の最大限の活用のため、可動数向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、隊員の生活、勤務環境の改善もこれまで以上に推進すべく、所要額を確保しております。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は六兆七千八百七十九億六千五百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、一兆四千百九十二億四千万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で一千百八十四億二千九百万円、潜水艦建造費で八百十四億一千八百万円となっております。

 また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で七兆八千六百二十一億二千七百万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、我が国の防衛力の抜本的な強化です。

 隊員の安全を可能な限り確保する観点から、相手の脅威圏外からできる限り遠方において阻止する能力を高め、抑止力を強化するため、スタンドオフ防衛能力を強化します。また、多様化、複雑化する経空脅威に適切に対処するため、統合防空ミサイル防衛能力を強化します。

 万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、スタンドオフ防衛能力と統合防空ミサイル防衛能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中、海上、空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保します。このため、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力及び指揮統制・情報関連機能を強化します。

 さらに、迅速かつ粘り強く活動し続け、相手方に侵攻意図を断念させる必要があります。このため、機動展開能力・国民保護や、弾薬、燃料の確保、可動数の向上、施設の強靱化等の持続性・強靱性を強化します。

 第二に、同盟国、同志国等との協力です。

 我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による共同抑止・対処を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。

 第三に、いわば我が国の防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤です。

 力強く持続可能な防衛産業を構築するため、予算関連法案として、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を提出するほか、新たな利益率の算定方式の導入など、防衛産業を取り巻く様々なリスクへの対処や防衛産業の販路の拡大等に向けた抜本的な強化策を推進します。また、将来の戦い方に直結し得る分野に集中的に投資するとともに、他国に先駆け先進的な能力を実現するため、民生先端技術を幅広く取り組むことなどにより、早期の技術獲得、装備化を実現します。

 第四に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化です。

 自衛隊員について、事務官、技官等も含め、必要な人員を確保し、宿舎の建て替えを含め、全ての隊員が遺憾なく能力を発揮できる環境を整備します。また、衛生機能について、有事において隊員の生命身体を救う組織へと変革します。

 以上の防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百三十九億三千三百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。

 これをもちまして令和五年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

牧島主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま浜田防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 デジタル庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 自由民主党の斎藤洋明です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重な時間でありますので、早速質問させていただきます。

 デジタル庁関連でお伺いをいたします。

 昨年九月に、河野デジタル大臣に対して陳情を行わせていただきました。一般社団法人新潟県私立幼稚園・認定こども園協会と一緒に行ったもので、内容は、幼児教育、特に行政に提出する様々な書類の手続のデジタル化ができないかという要望でございました。

 幼児教育の現場では、様式がばらばらであったり、そもそも紙での提出を求められていたりですとか、これを、当然、幼児教育の現場でも電子的に既に情報は全て整理しているんですが、わざわざ指定の様式に打ち直して紙で提出をしているというような実態があります。

 こうした報告事務をデジタル化して、かつ合理化していくことによって現場の事務負担を軽減すべきと考えておりますが、河野デジタル大臣の所感をお尋ねいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 昨年の訪問、よく覚えております。

 申請や届出などにおける書面規制を一掃していくことは、これは非常に重要だと認識をしております。行政のデジタル化やデジタル技術を用いた業務改善に向けた取組、これはしっかり推進をしているところでございます。

 これまで、保育所あるいは認定こども園への入所申請の手続、これは就労証明書が必要となりますが、昨年の十二月、2プラス1、岡田規制改革担当大臣と私で、小倉少子化対策担当大臣と議論をさせていただきました。

 就労証明書の様式の統一化、オンライン化、これを進めていきたいということで、議論の結果、二〇二四年度の入所申請分に間に合うように、内閣府において就労証明書の様式を統一化いたします。また、内閣府とデジタル庁が連携をして、企業が就労証明書をマイナポータルを通じて市区町村に直接オンラインで送ることができるように、システムの構築を行うことといたしました。

 また、昨年の十月、閣議後の閣僚懇談会におきまして、各府省庁において企画、提供するサービスについては、紙を介在せず、デジタル完結したものを実現し、国民の皆様にとって生活が便利になったと実感いただけるよう、各大臣に要請をしたところでございます。

 幼児教育、子育て支援の分野で、書面での補助金申請、報告書の提出などの課題があるのはよく認識をしておりまして、まずは規制、手続を所管する各府省に主体的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、デジタル庁としても、そういうものを見つけ次第、各府省にしっかり対応するように申入れをし、また、必要な支援をしていきたいと思っております。

斎藤(洋)分科員 大臣、ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 各幼児教育の現場へ行きますと、その園で一番能力のあるというかベテランの先生が、一生懸命パソコンに向かってばあっと打ち込みをやっているというような場面を多々見ます。それをわざわざ打ち込んで紙で提出して、提出を受けた行政機関はどうしているかというと、また打ち直しているというのが実態だと思います。

 大臣おっしゃったとおり、各府省に主体的にやっていただかなければいけないテーマですし、これはデジタル化だけで済む話ではないんですが、合理化を是非進めていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、関連してお伺いいたします。

 紙の提出を求められるという意味では、国の発注業務、請負を受託した場合に、事後に大量の紙の提出があるという実態がまだあります。こうした実態を調査して改善するお考えはないか、デジタル庁の所感をお伺いいたします。

山本(和)政府参考人 お答えいたします。

 国の発注業務におきましては、成果品を納品することが一般的でございまして、その際、仕様書などの制約により、紙での提出を求めていることがあることは承知してございます。

 我々デジタル庁におきましては、一般会計の国の情報システム予算につきまして、これをデジタル庁で一括計上をしております。そのデジタル庁での情報システムの調達におきましては、仕様書のひな形を作っておりまして、このひな形におきまして、成果品を電子データで求めるようにしておるところでございます。これを原則としているところであります。

 紙での提出は事業者への負荷にもつながることから、デジタル庁での取組等を各省へも共有いたしまして、情報システム調達におけるペーパーレス化を関係省庁とともに連携しながら推進してまいる所存でございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 是非、提出物、成果物の提出はデジタルを原則としていただくというのを徹底していただきたいと思いますし、また、関連して、例えば公共工事なんかで、事後に大量の書類の提出が求められているという実態もあります。聞いてみると、既にそれは提出不要ということにはなっているんだけれども、念のため出してくれと。それが段ボール箱二箱分とか、そういう実態もあるようでございまして、是非、幅広い目線で調査をお願いしたいと思います。

 次に、三点目、お伺いをしたいと思います。

 デジタル化で行政手続をどんどんスピード化していただきたいんですが、その上で障害になっていると思っている点があります。それは何かというと、セキュリティーのことなんです。

 本人認証、これは絶対に必要です。ですけれども、本人認証を過度に求める、例えば、添付書類を幾つか出すようなオンラインの手続のときに、書類を添付するたびに一々パスワードを入れるということが、私は、合理的なのかどうかというのは、ちょっと疑問があります。

 それで、デジタル化、デジタル手続を進めるに当たって、セキュリティーと利便性のバランスというのは必要だと思うんですけれども、この辺りはどういうふうにお考えでしょうか。デジタル庁として見解をお示しいただく考えはないか、お尋ねします。

山本(和)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、デジタル改革を進めるに当たっては、行政サービスにおきまして、国民目線に立った利便性の向上の徹底と、行政サービスを安定して安全に提供するといった観点を含めたセキュリティーの確保の両立が不可欠でございます。

 デジタル庁におきましては、情報システムの整備及び管理の基本的な方針を策定しておりまして、これを国、地方自治体、独法にお示ししておるわけでありますけれども、その中に、「「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」の実現のためには、国民目線に立った利便性向上の徹底とサイバーセキュリティの確保の両立を政府情報システムにおいても実現することが必要」と記載しているところでございます。

 具体的には、サイバーセキュリティーを強化するため、システムの設計、開発段階からサイバーセキュリティー対策の実装を求める、いわゆるセキュリティー・バイ・デザインのアプローチを進めております。

 この取組は、前提として、まずはリスク評価を実施いたしまして、このリスクに応じたセキュリティー対策を講じることとしています。リスクに応じたセキュリティー対策を講じることで、過度に利便性を低下させず、利便性とセキュリティーのバランスを図るところでございます。

 また、行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン、このガイドラインにおきましても、認証方式の強度とコスト及び利便性が一般的にはトレードオフの関係にあるため、むやみに上位レベルの対策基準を採用するのではなく、コストや利便性等の多様な観点による総合的な判断が求められるという旨を記載しております。

 今後とも、利用者視点の行政サービスの提供とセキュリティーの確保の両立に努めてまいる所存でございます。

斎藤(洋)分科員 是非お願いします。

 かつて、行政機関同士でメールで情報をやり取りするときに、ジップファイルを送って別メールでパスワードを送るというのがあって、何かそれも不合理ではないかという話がありましたけれども、是非、ちょっと第三者的な目線で、そういったことについては不断のチェックをお願いしたいと思います。

 デジタル庁関連は以上といたしまして、防衛省関連について何点かお尋ねをしたいと思います。

 まず、次期主力戦闘機の開発につきまして、英国、イタリアとの共同開発を行うというお話を伺いました。概要について簡単に教えていただけますでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に公表いたしました次期戦闘機の共同開発は、日本、イギリス、イタリアの三か国の技術を結集し、コスト等を分担しつつ、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発するものでございます。

 また、量産機数の増加や、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成等を通じまして、我が国の防衛生産、技術基盤を維持強化していきます。

 さらに、基本的価値観を共有し、共に米国の同盟国である日本、イギリス、イタリアの三か国の協力は、今後何世代にもわたり、両国との幅広い協力の礎になるものと考えております。

 防衛省といたしましては、二〇三五年度までの開発完了を目指し、三か国の共同開発を着実に推進してまいる所存でございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 お願いしたいことは全て触れていただきました。感謝申し上げます。

 我が国、国産も非常にいいんですけれども、国産でやると、今回の戦闘機でいえば、せいぜい八十機とか百機とかのロットになると思います。それではコストが非常に高くつきますし、また、エンジニアの育成ということも触れていただきましたが、国際的な技術の交流を行って、ガラパゴス化していかないということも非常に重要だと思います。是非、この共同開発を実らせていただきたいと思います。

 二点目にお伺いをいたします。

 航空機、艦船、車両等の、調達もそうなんですが、特に維持管理が大きな問題になっています。ここで数字をお尋ねすることはいたしませんが、可動率が低下しているのではないかという懸念も指摘をされています。かといって、正規の自衛官が自前で、複雑化、高度化していくこれら装備品の可動率をキープしていくというのは非常に大変な部分もあると思いますし、部品の調達、半導体もそうですし、部品をふだんからそろえておくというのも大変な負担であると思います。

 そこで、パフォーマンス・ベースド・ロジスティクス、PBLを積極的に活用していただきたいと思いますが、お考えをお尋ねいたします。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、効率的な維持整備に資する取組として、取得した装備品に係る高い可動確保のため、維持整備に係る成果の達成に応じて対価を支払う契約方式、委員御指摘のPBLの拡大を図っておるところでございます。平成二十四年度から航空機を対象としたPBL契約を締結しており、令和三年度から艦船用ガスタービン機関のPBL契約を締結するなど、航空機以外にも対象範囲を拡大しているところでございます。

 今後とも、効率的、効果的な維持整備を実現するために、費用対効果を検証しつつ、委員御指摘の装備品の可動向上につながるPBLの適用対象の拡大に取り組んでまいる所存でございます。

斎藤(洋)分科員 是非お願いします。

 米軍なんかではかなりPBLの活用範囲、拡大していると伺いますし、民間事業者に、可動率を向上することによってインセンティブも与え、民間事業者自身が、例えば消耗が激しい予備部品はあらかじめ用意していただくですとか、そういったことをどんどんやっていただくことによって、自衛隊が活動しやすくするのは非常に重要だと思いますし、可動していないところから部品を取ってきて動かせるものを増やすといういわゆる共食い整備ですとか、そんなことが現場で行われないように是非お願いしたいと思います。

 続きまして、防衛費の増についてお尋ねいたします。

 この使い道ですけれども、例えば給与や勤務環境の改善などの隊員の処遇改善ですとか、あるいは基地とか駐屯地のハードの整備ですとか、あるいは被服等の正面装備品以外の物品にもしっかり予算を投じていただきたいと考えておりますが、見解をお尋ねいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛力の中核は自衛隊員であることから、国家安全保障戦略を始めとする三文書には、人的基盤の強化の施策を盛り込んでおります。

 隊員の生活勤務環境の改善に関して、令和五年度予算案においては、宿舎の改修、整備等に約九百四十三億円、隊舎、庁舎等の整備に約一千四百六十四億円、被服等の整備に約二百三億円を計上しており、特に、隊員の健康にも直接影響があり、部隊からのニーズも高い空調に係る経費を大幅に増加させるなど、全体として、前年度比二・七倍となる約二千六百九十三億円を計上しております。

 また、艦艇やレーダーサイト等で厳しい任務に従事する隊員を含め、自衛官の給与面の処遇の向上を図るべく、自衛官の超過勤務の実態調査などを行い、適正に処遇していきます。

 防衛省・自衛隊としては、今後、全ての隊員が高い士気と誇りを持ちながら個々の能力を発揮できる環境を整備してまいります。

斎藤(洋)分科員 是非お願いします。

 ほかの国の、先進国で志願制を取っている国の現役の軍人の方々の処遇をよく調べていただいて、それに負けないような環境を是非実現していただきたいと思います。

 関連して、今、自衛官候補生制度というものがあります。最初から二等陸士、空士、海士に任官するのではなくて、まず候補生として採用されて、研修を終えた後に任官するという制度ですけれども、これは、やっていますと、自衛官候補生の間は処遇が低いという問題があります。最初から二等陸士、空士、海士とすべきではないかと考えますが、見解をお尋ねいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 任期制士となる自衛官候補生は、自衛官に任官する前に基礎的な教育訓練に専念させるため、自衛官の身分を持たず、自衛官としての任務を付与しておりません。

 他方で、非任期制士である一般曹候補生は、入隊の時点で自衛官に任官するため、入隊当初は教育訓練に専念しつつも、自衛官としての任務が付与されます。任期制士と非任期制士は、このような身分の違いから処遇の差が生じております。

 少子化の進行により、自衛官等の募集をめぐる環境はますます厳しくなることが予想され、特に任期制士は、近年、採用計画数に達していない年が生じております。これらを踏まえ、防衛力整備計画において、任期制自衛官の魅力を向上する観点から、自衛官候補生の在り方を見直すこととしております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 是非、見直して、廃止をしていただきたいと思います。自衛官候補生制度、昔からあったわけでもありませんし、また、最初は教育訓練に専念するといっても、それは自衛官になっていただくことを前提に採用されるわけですから、例えば、事務官で採用されても、いきなり戦力になるわけではありませんけれども事務官候補生とは言わないのと同じで、候補生制度は是非廃止していただきたいと思います。

 実務的に見ても、高卒で入って、警察や消防士との処遇を比べれば、候補生としてみると低いんですよね、給与面でも。ですから、非常に現場で誤解を生じやすい制度となっていると思います。せっかく志を持って自衛隊に入っていただけるわけですから、最初からしかるべき処遇をすべきだということを重ねてお願い申し上げます。

 次に、今度は退職後のお話です。

 現役自衛官の方々、自己完結が原則の組織ということで、現役の自衛官が何でも内部業務をやるというのが原則になっておりますけれども、定年が早い自衛官のキャリアパスを安定させるという意味でも、また、現役自衛官の力を本来の任務になるべく生かしていくという観点からも、部隊の内部業務、例えば経理ですとか、そういったことについては退職直後の自衛官に担っていただくことが最も合理的ではないかと思いますが、この点についてお考えをお伺いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 少子高齢化の進行により自衛官の採用環境がますます厳しくなる中、人材の有効活用を一層推進するため、高度な知識、技能、経験等を備えた定年退職自衛官の再任用を進めています。自衛隊の任務の性格上、組織を精強な状態に維持する必要があるため、自衛隊は若年定年制を取っていますが、体力への依存の度合いが比較的低いと考えられる会計業務、人事業務などで再任用を行っており、令和三年度末の時点で千二百名の再任用自衛官が在職しています。

 防衛力整備計画においては、再任用による退職自衛官の活用を強力に推進するとされているところであり、現在、船舶乗組みの一部、航空機操縦業務の一部を再任用自衛官が従事できる業務とする方向で検討を進めています。

 今後とも、防衛省としては、再任用も含め、人材の有効活用に一層取り組んでまいります。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 私の地元も、駐屯地もありますし、また、新潟県には三自衛隊全て拠点がありますので、OBの方々がたくさんいらっしゃいます。一般の職種においても物すごく活躍していただいていますし、援護協会の方にもOBの方をどんどん紹介してほしいという依頼があるようですけれども、でも、やはり、せっかく自衛隊の仕事ができて、しかも、なかなかアウトソーシングというわけにいかない仕事がたくさんあるというのは非常によく分かりますので、私は、まずは、退職直後の自衛官の方には、自衛隊の内部業務を含めて、関連する仕事をやっていただくのが一番合理的だと思っています。また、それが、キャリアパス全部通したときの処遇が、より担っていただいた仕事の重さに見合ったものになっていくというふうに思います。

 OBの方々は非常にやはり現場の知識も物すごくありますし、今、私の地元でも災害がいっぱいあって、本当に自衛隊のお力をいっぱいおかりする場面もあったんですけれども、災害出動なんかが非常に増えていて、現役、特に若い方々が、本来習熟に使いたいような時間も現場に駆り出されることがあるというのが実態です。

 かといって、やはり現役でないと、若い方でないとできないことがたくさんあるということもこれは非常によく分かりますので、OBの方々の力を活用することで補えるところはどんどん補っていただきたいと思います。

 もちろん、その後、一般社会でも活躍していただきたいんですが、それは、健康寿命も延びた現在、第二、第三、第四の人生でも十分ですので、是非、まずはこういう自衛隊の内部業務をどんどんOBの方に手伝っていただくようなことを進めていただきたいと思います。

 次に、ロシアによるウクライナ侵攻の教訓等に鑑みましてお伺いしたいことがあります。

 まず第一点は、ドローンです。

 ドローンが非常に現場で存在感を増しているということがあると思います。また、例えば、今、中国の気球が問題となっていますけれども、あの気球のような超高空を超低速で飛ぶ物体を、しかも、ミサイルは極めて高価なものでありますが、その高価なミサイルで相対的に安価な気球に対処してよいのかどうかということもあると思います。

 今は一つの例ですけれども、要は、陸海空それぞれにおいてドローンが活躍する場面が非常に増えてくるのではないかと思いますが、このドローンを増強していくべきではないかということが一点あります。

 それからもう一つ、ウクライナ侵攻の教訓として、第一線というか、最新ではないとされている、これはウクライナの話なので兵器と申し上げますが、最新鋭ではないとされる兵器が活躍をしているという状況があります。これは、諸外国との連携におきましても、我が国も、今、中期防の別表で正面装備品の数量は厳格に管理していると思いますけれども、その別表の管理とは別に、旧式化したといっても、直ちに廃棄するのではなくて、一定期間保管すべきではないかと考えますが、この点について防衛省の見解をお尋ねいたします。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。御答弁申し上げます。

 まずはドローンの方から。

 今般のロシアによるウクライナ侵略等におきまして、無人機が効果的に使用されたことが指摘されております。近年、軍事分野におきます各国の無人アセットの活用が急速に拡大しておりまして、無人アセットを駆使した新たな戦い方への対応が急務となってございます。

 このため、防衛省・自衛隊といたしましては、無人アセット防衛能力を強化することにより、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、万一、抑止が破られた場合に、非対称的な優勢の確保に資する能力を獲得する必要があると考えてございます。

 この観点から、今後五年間で約一兆円の経費を計上いたしまして、陸海空自衛隊の各種無人アセットを早期に整備し、二〇二七年度までに無人アセットの実践的な運用能力を強化することとしてございます。

 具体的には、陸上自衛隊におきましては、情報収集機能に加えまして、火力、電磁波による攻撃機能を保持した多用途のUAV、それから、海上自衛隊におきましては、広域におきます常時継続的な洋上監視に資する滞空型のUAV、航空自衛隊におきましては、相手の脅威圏内において目標情報を継続的に収集し得る偵察用のUAVといった無人アセットを整備していくこととしてございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、隊員に対する危険や負担の局限と効果的な任務遂行を両立しつつ、既存の装備体系、人員配置の見直しも考慮しながら、最適な形で無人アセット防衛能力の強化を実現できるよう可及的速やかに必要な取組を進めてまいるつもりでございます。

 また、あわせまして、装備品に関する御質問がございました。

 今般のロシアによりますウクライナ侵略におきまして、ウクライナがその友好国等より提供を受けました旧式の、旧ソ連製の兵器などなどを用いましてロシアに対し粘り強く戦いを続けています。継戦能力向上等の観点から、旧式装備品に一定の有用性を認める指摘があることは承知してございます。

 他方で、旧式化した装備品を保管し続けることは、一般的に、最新の装備品に比べ性能が劣るにもかかわらず可動状態の維持にコストがかかるといったことから、効率的ではないのではないかという考えもございます。

 防衛省といたしましては、今般、新たに策定いたしました防衛力整備計画におきまして、継戦能力の観点からは、旧式装備品の保管ではなく持続性、強靱性の強化、これを重視しておりまして、可動率向上や弾薬、燃料確保、防衛施設の強靱化の加速、こういったことを今後五年間の最優先課題とし、計画整備等以外の装備品が最大限可動する体制の確保、あるいは所要弾薬の早期確保等の取組を着実に進めることによって、これを実現してまいる所存でございます。

 以上でございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。ドローンについては、是非お願いします。

 旧式装備品は、確かにほかにコストもかかりますし、とはいえ、私は検討していただきたいと思っています。例えばイスラエルは、相当旧式な装備であったりとか、それから鹵獲した敵対勢力の兵器を有効活用して中東戦争を戦いました。そういったことも含めて、是非研究をしていただきたいと思います。まあ、我が国は高温多湿なので保存もコストがかかりますから。アメリカみたいに砂漠に置いておくわけにはいかないと思いますので。とはいえ、研究はしていただきたいと思います。

 最後に、お尋ねをいたします。

 防衛産業からの撤退が非常に大きな問題になっていて、我が国防衛産業の育成という話も出ていますが、私は、全てを国産で賄うよりも、優位性を持つ分野では徹底的に純国産と海外輸出に力を入れつつ、そうでない分野、我が国が必ずしも優位性を有しない分野については共同開発とか海外調達も入れて、ミックスでやっていくべきではないかと思いますが、見解をお尋ねいたします。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の国産かどうかという点に関しましては、個別具体的に検討してまいりますが、一般論として申し上げれば、防衛装備品の取得に当たりましては、まずは、必要な性能、コスト、スケジュール等の条件を満たした上で、有事の際の継戦能力の維持や平素からの運用、維持整備の観点から不可欠なもの、機密保持の観点から外国に依存すべきでないものなどにつきましては、国内基盤を維持強化する観点を一層重視することは重要であると考えております。

 一方で、我が国にない高性能な装備品を早期に導入するために米国からFMS調達等を行うほか、開発コストやリスクを分担しつつ、将来の防衛所要を満たすために米国や同志国との共同開発を実施することも必要であると考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛産業は、いわば防衛力そのものであり、防衛省といたしましては、将来にわたって必要な装備品を適切に取得できるよう、国内の防衛生産、技術基盤の抜本的強化に取り組んでまいる所存でございます。

斎藤(洋)分科員 時間になりましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

牧島主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩崎彰久君。

塩崎分科員 おはようございます。愛媛一区の衆議院議員の塩崎彰久でございます。

 今日は、まず、河野大臣に、ウェブ3政策に関する政府の考えについてお伺いしたいと思います。

 河野大臣といえば、永田町きってのインターネット通でございまして、初当選、一九九六年と伺っておりますけれども、たしか、近所の方に国会議員の出社時間は何時なんですかと聞かれたことをきっかけに、国会議員の活動を分かりやすく説明しようとメルマガを始められたと伺っております。私も学生時代の頃から、「ごまめの歯ぎしり」を楽しく読ませていただきました。

 国会議員がホームページを持つこと自体が珍しかったあの当時をウェブ1・0の時代だとすれば、二〇〇七年にアップルのスマートフォンが発売されて、スマートフォンが急激に広がったこの十五年間がウェブ2・0、そして、数年前からブロックチェーンを使った新しいトークンエコシステムが広がってきたこのウェブ3の時代が、今、世界から大きな注目を集めております。

 自民党においても、昨年十月に、デジタル社会推進本部の下にウェブ3PT、こちらを立ち上げまして、昨年の十二月に中間提言を発表させていただきました。

 その中で我々が申し上げたことは、実は、昨年の中頃にウェブ3の熱狂と言われる時代は一つ転換期を迎えたのではないかということでございます。アメリカの利上げが進んだり、又は、世界の大手の暗号資産の取引所であるFTXが破綻をする、こういったことによって潮目が変わり、今、世界の暗号資産市場はクリプトウィンターと呼ばれる冬の時代を迎えていると言われております。

 ただ、一方で、我々としては、この世界的な冬の時代というのは、日本にとっては、ウェブ3の真価を問い直し、そして新たな革新の芽を育てていく好機ではないかと思っております。まさに「疾風に勁草を知る」、こういうタイミングではないかと思っております。

 特に、今、FTXの破綻によりまして、各国は規制の強化に追われておりまして、イノベーションを後押しするような政策はなかなか打ち出せない、こういう状況にあります。そうした中で、日本は早くから顧客資産の分別管理を徹底してきた。そのことによって、FTXの日本のお客さんは、今年の二月から、もう間もなく返金が受けられ始める、こういう状況にございます。

 先日来日しましたアメリカの専門誌コインデスクのエミリー・パーカーさん、こちらの方は、各国政府がこのクリプトウィンターに身をすくめる中で、日本だけはウェブ3についてポジティブな姿勢を維持していると驚きを持って世界に発信をいたしました。世界が今冬眠をしている中で、世界中のウェブ3関係の投資家、起業家の目がこの日本に集まっていると言っても過言ではないと思っております。日本が、遅れた分を取り戻すだけじゃなくて、今こそ世界に一歩先んじる、そうした好機がやってきているのではないかと思っております。

 そうした中で、デジタル庁においても、昨年十二月二十七日に、Web3・0研究会報告書を発表されました。その中では、ブロックチェーンを用いた新たなテクノロジーがどのような発展を遂げていくか、これはまだ未知数です、こう言いつつも、これまでにない形態での共創が生まれることにより、コンテンツ産業や地域活性化につながっていくことが期待できる、こういうふうに述べておりまして、ウェブ3推進に向けた環境整備を進めていく、こういったことがうたわれております。

 そこで、河野大臣に伺いたいと思います。

 まさに、細かな政策以上に、政治の決意、政治のメッセージがとても大事な時期ではないかと思っております。今年四月にはG7でデジタル大臣会合を主催される河野大臣に、ウェブ3分野での今後の日本政府の取組についてお考えを伺いたいと思います。

河野国務大臣 おはようございます。ありがとうございます。

 デジタル庁が一応ウェブ3の政府の司令塔ということになっておりますので、昨年、研究会を立ち上げまして、今後の基本的な方向性についての報告書を取りまとめ、また、議論の中で出てまいりましたDAO、これもやってみようじゃないかということで、研究会を中心にDAOを組成して、いろいろとまだそういう議論を続けているところでございます。デジタル庁として、自治体あるいは事業者からの相談窓口というものをしっかりとつくりながら、世の中の動きを見ていきたいというふうに思っております。

 ただ、今年の一月にダボス会議、それからその前後にG7各国に出張いたしましたが、ウェブ3という言葉はほとんど出てきませんでした。むしろ、AIとか量子コンピューターというのが盛んに議論になりました。

 今委員からお話がありましたように、ウェブ3の熱狂は過ぎ去って、ようやく落ち着いて、何が勁草なのかというものがようやく見られることになったんだろうなというふうに思います。NFTアートのような、何かやたらと金額がつり上がった投機的なもの、あるいは詐欺的なもの、これが一掃されて、根づいていくものは根づいていくんだろうと思いますし、ブロックチェーンの技術を使って、恐らく、いろいろなトラストというものがこれから発展していくことになるんだろうというふうに思います。

 私は、基本的に、こういう新しい技術は、やはり民間のアイデアと努力、若干の運というものが物事を前に進めるんだと思っておりまして、政府としては、しっかりと、必要な規制をやる、不必要な規制は取り除いていく、また、どっちへ転ぶか分からないものについては、どっちに転んでも公平になるようなレベル・プレーイング・フィールドというものをつくっていくというのが政府の使命なんだろうと思っておりますので、今、残念ながら、ウェブ3の関係のスタートアップ、日本からシンガポールへ随分移動されてしまったというところがございますが、税制を改めていく、あるいは様々な規制を適合したものにしていくことによって、日本の国の中で新しいウェブ3のサービス、技術、こういうものがしっかりと根づいて、逆に日本から世界に向けて発展してもらえるように、そこはしっかりと目配りをしていかなければならないと思っております。

 ウェブ3については、党が日本の国の中でも最先端の政策の議論をやって、委員にもその先頭に立っていただいておりますので、しっかりとその議論をこれからも注視しながら、デジ庁として、政府の司令塔として、必要なことはしっかりやってまいりたいと思っております。

塩崎分科員 河野大臣、ありがとうございました。

 各国政府の中でも、政府の中でDAOをつくっている国というのはなかなかないんじゃないかと思います。これから税制の点も含めてしっかりと環境整備を進めていっていただくという今の河野大臣のお話を伺って、世界の中でも日本がいち早くクリプトウィンターから立春を迎える、そんな予感がしております。

 ありがとうございました。

 さて、ウェブ3に対するこの強い思いの裏側には、ウェブ2時代の苦い反省がございます。

 iPhoneが登場したのが二〇〇七年でございました。そこから十五年近くたちまして、今やスマートフォンの保有率は九五・三%。私たちは、今、一日平均二時間以上スマートフォンで過ごしている、こんな時代になっております。スマートフォン経由の市場規模も爆発的に拡大しておりまして、EC市場は国内で七兆円近く、オンラインゲームなどデジタルコンテンツも二・七兆円、さらに、ウェアラブル端末や音声スピーカー、どんどん拡大しているのが、このモバイルエコシステムでございます。

 この巨大なモバイルエコシステムのゲートウェー、まさに玄関として機能しているのが、スマートフォンを動かしているモバイルOSと、そしてその上のアプリストア、この二つになっています。ここを通らないと、モバイルではビジネスができません。そして、この玄関をがっちりと押さえているのがアップルとグーグル、アメリカのIT二社でございます。アップルのiOS、国内では四六%のマーケットシェア、グーグルのアンドロイドは五三%で、両方合わせれば九九%でございます。ほぼ寡占状態となっております。

 日本の企業が一生懸命スマートフォン用のアプリを開発してこれを販売しようとすると、アップストアかグーグルプレー、ここを通じて販売しなくてはいけません。その場合には、一五から三〇%の高い手数料を両社に払わなければいけない、こういう仕組みになっているわけでございます。アプリベンダーからすれば、アップルやグーグルに対して価格交渉力は全くない、こういう状況になっているに等しく、スマートフォンビジネスをしようと思ったら、モバイルOSメーカーのほぼ言い値で取引をしなければなりません。

 こうした市場状況につきまして、今年の二月、公正取引委員会がモバイルOS等に関する実態調査報告書を発表されました。この報告書、私も大変注目しております。

 そこで、まず公正取引委員会に、競争法上、このモバイルOSの寡占状況はどのような問題があるのか、説明をお願いしたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会が先般公表いたしました実態調査報告書におきましては、御指摘のモバイルOS市場及びアプリ流通サービス市場につきまして、現状、消費者によるスイッチングが起こりにくく、グーグルとアップルとの間の競争が限定的である点、また、新規参入の余地も限定的である点なども踏まえ、グーグル、アップルがそれぞれ提供するモバイルOS及びアプリストアに対して十分な競争圧力が働いていない、このように評価しております。

塩崎分科員 今説明がありましたが、十分な競争圧力が働いていない状況が、今、日本のモバイルOS環境でも生じております。

 お手元に資料をお配りしております。こちらが今回のモバイルOS等実態調査報告書のポイントでございますが、ここに示してありますように、モバイルOSというのは、iPhoneとかアンドロイド、この端末のレイヤー、その上にモバイルOSのレイヤー、そしてアプリストアのレイヤー、そしてアプリそのもののレイヤー、少なくとも四つの階層構造でできておりまして、グーグルとアップルの二社がこの下から三つの階層をほぼ占めている、こういう状況になっているわけでございます。

 こうした競争圧力が働いていない状況ということになりますと、まさにベンダーとしては非常に弱い競争環境に置かれるわけでございます。

 例えば欧州では、欧州委員会が、グーグルが、自社の検索サービスを使う中でアプリを選ぶときに出てくる順番、自社サービスの方が優先的に出てくるようにしているのではないか、こうしたことで二十四億ユーロの制裁金を課す、こうした判断が出たりしております。

 今回、公正取引委員会が行っていただいた事業者向けのアンケートの中でも、国内でも三割近いベンダーが、アプリストアで表示をされる自分のアプリが、元々のグーグルやアップルの純正のアプリの方が有利に、優遇されて表示されているのではないか、こうした不満、不安を表明しているところでございます。

 また、例えば、頻繁な仕様変更がなされれば、こうしたことについてもベンダー側では非常に大きな負担が発生してくる。しかし、なかなか、文句を言うというか、それに従わざるを得ない、こういう力関係になっているわけでございます。更に言えば、手数料についても、ある日突然引き上げますと言われれば、それに従わざるを得ない、こういう力関係があるわけでございます。

 こうした行動が仮に日本でも行われているとした場合に、こうした行為については現在の独禁法上はどのような問題があると言えるのか、公正取引委員会にお伺いしたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会の実態調査報告書におきましては、グーグルやアップルが十分な競争圧力が働いていないモバイルOS市場やアプリ流通サービス市場における立場を利用して自社のアプリなどを優遇する行為などについて、独禁法上の考え方を整理しております。

 報告書において挙げられている、独禁法上問題となるおそれのある具体的な行為としましては、先ほど御指摘のありましたとおり、例えば、グーグルやアップルが自らと競合するアプリ提供事業者から高額の手数料を徴収することや、アプリストアのランキング表示などにおいて自社のアプリを競合事業者が提供するアプリに比較して消費者に訴求しやすい位置に表示すること、こういった行為などにより、競合するアプリ提供事業者の取引機会を減少させる場合又はこれらの事業者を排除する場合には、私的独占や競争者に対する取引妨害などとして独禁法上問題となるおそれがある旨、実態調査報告書において指摘しております。

 また、同じく御指摘ございましたけれども、グーグルやアップルが自己の取引上の地位が他のアプリ提供事業者に優越している場合に、モバイルOSの仕様変更を頻繁に、かつ十分な準備期間を与えることなく行うこと、また、一方的に著しく高額な手数料を決定することにより、他のアプリ提供事業者に対し正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には、優越的な地位の濫用として独禁法上問題となるおそれがある、このように整理をしております。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 まさに今説明をいただきましたように、例えば、自社優遇を通じた競争者の排除をした場合、例えば、アプリの優先的な表示をするですとか、又は、競争者に不利なアップデートをして何か競合するサービスを使わせないようにするですとか、又は、アプリのプリインストール、こういったところで優先的に自分のサービスを使わせる、ブラウザーはこれしかできません、こういった形を取るとか、又は、他社のアプリから生成されたデータを自社が使って自分のサービスを有利に使っていく、こういったことについては、独禁法上は私的独占又は取引妨害、こういった様々な問題が出てくる行為類型に当たるというふうに今回の公取の調査報告書では示されております。

 なかなか、もやもやっとしていたモバイルOS市場のこうした競争上の問題について具体的に例示をして、また、事業者の声をアンケートの形で拾いながら今回の問題点を整理したという意味においては、これは大変意義のある調査報告書であるのではないかと思っております。

 さて、こうした取組について問題となっているのは日本だけではありません。御案内のとおり、iOSそしてアンドロイドの寡占状況というのは世界各国で今課題となっております。先ほども申し上げましたように、EUにおいては巨額の制裁金がベンダーに、メーカーに対して課せられたり、また米国でも、司法省による調査、こういったものが検討されているような報道も出ているところでございます。

 また、各国においては、規制の在り方についても、いろいろな見直し、そして強化、こうした取組が行われているところでございまして、日本もそうした海外の取組に遅れないように、負けないように、随時、適時に規制をアップデートしていく必要があるというふうに考えております。

 この問題については内閣官房のデジタル市場競争会議の方でも検討をしていると理解しておりますが、公取委又は内閣官房の方で、海外のこうした取組についてどのような事例があるか、説明をしていただけますでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルプラットフォームをめぐる競争政策上の課題につきましては、委員御指摘ありましたように、その対応につきまして各国でも活発に検討が進められております。各国におきましては、これまでの競争法による対応ではなかなか限界があるのではないか、こういった問題意識から、一定の行為を義務づけたり禁止をしたりといった、いわゆる事前規制を含むルール整備が行われ、あるいは検討がなされているところであります。

 幾つか事例を申し上げます。

 まず、具体的に、EUにおきましては、昨年十一月にデジタル市場法と呼ばれる法律が発効しております。この法律におきましては、一定の要件を満たすゲートキーパーというものに指定される大規模なデジタルプラットフォーム事業者は、自社以外のアプリストアを利用できるようにすることや、あるいは、アプリ事業者に対して自社以外の決済、課金システムを利用できるようにすること、こういったことなどが義務づけられることとなっております。また、韓国におきましても、二〇二一年九月に、自社以外の決済、課金システムを利用できるようにすることを義務づける法律が施行されております。

 この問題はグローバルに対応する必要があるものと認識しておりまして、各国政府ともよく連携をしながら、我が国における対応につきまして検討してまいりたい、このように考えております。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 今、EUの事例、そして韓国の事例の紹介がありました。デジタル市場法、ゲートキーパー機能を持つ会社に対して、どういう課題、義務づけをしていくのか。また、韓国で行われましたように、決済を外部で行わせるような、そういった取組ができないのか。やはり日本においても、海外の取組、こうしたものと平仄を合わせながら、またしっかりと日本の健全な競争環境を守っていく、そういった取組をしていかなければならないというふうに思っております。

 他方で、アップルやグーグルがかねてより重視しておりますセキュリティーの問題、そして安全保障、こうした観点も、決して我々としては忘れてはならないと思っております。いいかげんなアプリや違法なプログラムがスマートフォンに入ってきてセキュリティーが侵されるというふうなことがあってはならない。そして、差別的な取扱いをしていない、自社ルールでそういったことをちゃんと守っています、こういった事業者側の言い分、取組、こういったものについてもそれなりに評価されることが大事ではないかと思っております。

 ただ、問題は、それぞれの、アップル又はグーグル、そうしたモバイルOS提供者の社内での取組が十分に可視化されていない、ここにあるのではないかというふうに思っております。

 また、通常は、こういった場合、例えば、アプリベンダーの方から苦情や不満、こういったものが出てくる、そうしたことを通じて取引実態における問題に気づく契機となるわけでございますけれども、少し話を聞きますと、やはり、アプリを審査して認めてもらえるか、これは多分に、OSサプライヤーの二社の裁量が非常に大きいということで、アプリがアップストアとかグーグルプレーで売れなければビジネス的に大変大きな影響を受けてしまう、まさに生殺与奪を握られてしまっているアプリベンダーにとっては、なかなか怖くて声が上げられない、こんな声も聞いているところでございます。

 日本の若いやる気のある起業家の皆さんが知恵を絞って、そして徹夜を重ねてすばらしいアプリ製品を発売しても、大地主の機嫌をうかがい、そして延々と高い地代を払い続けなければいけない。こんなことでは、次のグーグルやアップルが日本から生まれてくる、こういったことは望むことは難しいのではないか、こういうふうに思っております。

 やはり、それぞれの取引実態、ここは取引透明化法という新しい法律もありますので、グーグル、アップルそれぞれからしっかりと報告をしてもらい、透明化を図っていく、このことも大事ですが、それと同時に、健全な競争環境を取り戻すために、現行法が十分でないなら、これを明確にする新たな法制度も必要ではないかと思っております。公取の報告書の中でも、必要な範囲で法律による制度整備により担保することが有効であるというふうに記載をされております。

 内閣官房の方での検討の中で、まさにこうした健全な競争環境を取り戻していくための新たな法制度の整備にしっかり踏み込んでいくべきではないかと思いますが、お考えを聞かせてください。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房におきましては、モバイルエコシステムにおける競争環境についての評価を現在進めてきておりまして、昨年四月に中間報告を取りまとめ、公表したところでございます。現在、パブリックコメントで得られました御意見やヒアリング等を踏まえて、最終報告の取りまとめに向けて検討を行っているところでございます。

 委員御指摘ございましたように、公正取引委員会の実態調査報告書におきましては、実効性を確保するため、必要な範囲で法律による制度整備により担保することが有効との指摘もなされているといったことも踏まえ、内閣官房における競争評価におきまして、競争上問題があるとされる場合には、現行の法的枠組みの制約にとらわれずに実効的に対応することができる方策を検討してまいりたい、このように考えております。

塩崎分科員 ありがとうございます。

 現行法上で対応できない場合には新しい制度づくりにも取り組むという踏み込んだ回答をいただきました。やはりこれだけ大事な問題でございますので、しっかり、そうした形での実効性ある制度づくりが大切なのではないかというふうに思っております。

 まさに、今日振り返りましたように、ウェブ1・0の最初の時代、やはり、ウィンドウズ95が出てきて、OSの部分をアメリカのマイクロソフトが握っている、こういう時代でございました。ウェブ2・0になって何か局面が変わったかといえば、引き続き、アップルそしてグーグル、プラットフォームの部分が米国の巨大なIT企業によって握られる、そうした中で、その土俵の上で日本の企業はビジネスをせざるを得ない、こうした環境が続いてきたのではないかと思っております。

 であればこそ、また新しくゲームのルールが変わっていくウェブ3の時代には、今度こそ日本がそのプラットフォームの一角にしっかりと食い込んでいけるような政府としての取組、支援、こうしたものがとても大事ではないかと思っております。

 そうした部分で、河野大臣のますますのリーダーシップに期待したいと思っておりますし、更にその先、先ほどAIのお話もございましたが、自民党では今年一月に、AIプロジェクトチーム、こちらも立ち上げておりまして、チャットGPTであるとか、お絵描きAIであるとか、まさに今世間をにぎわせている、新しい、AI新時代と言われるこうした技術についても、率先して、競争の観点から日本の政策立案、こうしたものについて提案をしてまいりたいと思っております。

 引き続き、こうしたテクノロジーをしっかり日本の経済成長力につなげていけるように取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

牧島主査 これにて塩崎彰久君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。石橋林太郎君。

石橋分科員 おはようございます。自由民主党の石橋林太郎でございます。

 本日は、久しぶりでありますけれども、質問の機会をいただきまして、先輩また同僚の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。また、日頃より私の活動を地元広島でお支えいただいております後援会の皆様、支援者の皆様にも心から感謝を申し上げながら、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 当局におかれましては、明確な御答弁を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 さて、上皇陛下の御譲位に際しましては、天皇の退位等に関する皇室典範特例法が定められました。この法律には附帯決議がなされております。附帯決議には、政府は、女性宮家の創設など、安定的な皇位継承のための諸課題について、皇族減少の事情も踏まえて検討を行い、速やかに国会に報告するとあります。

 この附帯決議に関する有識者会議によりまして、令和三年十二月に報告書が取りまとめられました。その報告書の中では、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるというふうに記されているところでもあります。

 現在の皇族数の減少の問題でありますけれども、そこにつきましては、私は、大東亜戦争後の占領下における旧宮家の方々の皇籍離脱の影響が大きいというふうに考えているところであります。

 そこで、本日は、この皇籍離脱の背景、また当時の事情等につき、事実関係を確認しながら質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めにお伺いをしたいと思いますけれども、政府がこれまで、十一宮家の皇籍離脱につき、その事情や背景をどのように答弁してこられたのかをお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 昭和二十二年十月の皇籍離脱につきましては、その皇籍離脱を審議した同年十月十三日の皇室会議におきまして、議長でありました片山哲内閣総理大臣から、今次戦争が終結しました直後より、皇族のうちから、終戦後の国内国外の情勢に鑑み皇籍を離脱し一国民として国家の再建に努めたいという御意思を表明せられる向きがあり、宮内省におきましても事情やむを得ないところとしてその御意思の実現を図ることとなり、この後、途中省略いたしまして、これに必要な準備が整いましたので本日皇室会議の議に付することとなった次第でありますと説明されたと承知しておりまして、これまでも答弁を申し上げているところでございます。

石橋分科員 御答弁ありがとうございます。

 今御答弁をいただきましたけれども、私も確認しましたところ、今の御答弁のとおり、これまで政府は、専ら皇族方の御意思の実現を図るという意味で皇籍離脱を進めてきたということであります。この片山議長の発言の引用ですけれども、もちろん間違ってはいないんですけれども、確認をしましたところ、この続きもあるということであります。

 この続きの発言があるということで間違いないでしょうか。

 では、続きを御答弁お願いします。

池田政府参考人 先ほどお答えいたしました説明の続きとして、片山議長から、皇籍離脱の御意思を有せられる皇族は、この後、途中省略いたしまして、これらの方々が、これまで宗室を助け、皇族として国運の興隆に寄与してまいりました事績は誠に大きいものでありましたが、戦後の国外国内の情勢、なかんずく新憲法の精神、新憲法による皇室財産の処理及びこれに関連する皇族費等諸般の事情からいたしまして、この際、これらの方々の皇籍離脱の御意思を実現いたしますことが適当であるという状況にあると考えられるのでありますと説明されたと承知しております。

石橋分科員 今御答弁いただきましたとおり、実は、片山議長は、皇籍離脱の理由として、先ほどの最初の答弁の、皇族方の御意思の実現に加えまして、戦後の国内外の情勢にも言及をされ、そして、その中でも特に、なかんずく、新憲法の精神、新憲法による皇室財産の処理及びこれに関連する皇族費等諸般の事情を理由として挙げているわけであります。

 そこで、次の質問でありますけれども、ここで理由として挙げられております、戦後の新憲法下における皇室財産に対して取られた措置について、御説明をお願いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 戦後、皇室の財産に取られた措置、これを三つに分けて申し上げますと、まず一つ目に、皇室から各宮家に贈賜されていた歳費等を打ち切り、昭和二十二年五月の日本国憲法の施行後は、皇族費は国庫から支出されることにしたこと、二つ目は、昭和二十二年三月末までに、課税対象となる皇室財産の約八九%に当たる約三十三億五千万円が財産税等として納付され、皇室財産の廃止縮小がされたこと、三つ目に、日本国憲法の施行により、若干の御私有財産を除く皇室財産は国に移管され、また、全ての皇室の費用は予算に計上して国会の議決を経なければならないとされるなど、皇室財産の国有化等がされたことがあると承知をしております。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 確認ですけれども、各宮家の歳費等の打切りがされたということ、また、当時の皇室財産の約八九%に当たる約三十三億五千万円が国庫に納付をされたということ等々を御答弁いただいたところであります。財産の約八九%という非常に大きい金額でありまして、これが納められたということは、もちろん皇族方の生活に対しての影響は甚大であったというふうに容易に想像がつくわけであります。

 私が一点残念だと思うのが、今まで政府がそういった答弁を余りしてきていらっしゃらないということは少し残念だなというふうに思うわけでありますけれども、今ありましたとおり、非常に厳しい措置が取られたということを確認させていただきました。

 そこで、もう一点御質問ですけれども、当時、我が国は占領下にございました、GHQの占領下であったわけでありまして、こういう皇族費等の処分をするに当たっては、占領軍の意向というものが無視できなかったのではないかな、むしろ占領軍の意向もあったのではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、こうした措置を取るにつき、GHQの方針を示す資料があったのかどうか、お示しをいただきたいというふうに思います。

池田政府参考人 戦後の皇室財産に関する連合国最高司令官総司令部、GHQの主な覚書といたしまして、昭和二十年十一月の、日本帝国政府は総司令部の事前の許可なく行われた皇室財産を含む一切の取引を無効とするために必要な措置を直ちに講じることなどを内容とする、皇室財産に関する件、いわゆる皇室財産凍結に関する指令や、昭和二十一年五月の、皇族に対して一切の金銭、財物の賜与、貸付けをしてはならないことなどを内容とする、皇族に関する件、いわゆる皇族の財産上その他の特権廃止に関する指令があると承知をしております。

石橋分科員 今御答弁をいただきましたけれども、やはりGHQの方針もあったということでありますし、また、先ほど、皇室財産凍結に関する指令のところでは、総司令部の事前の許可なく措置をしてはいけないというようなこともあったということであります。

 ですので、先ほども申し上げましたけれども、皇族離脱におきましては、これまでの政府答弁にあるとおりの、専ら皇族方の御意思の実現ということだけではなく、こうした財産の処分、そしてそれによる皇族方の生活に対する影響というものもやはり加味すべきではないかなというふうに私としては思うところでありますし、主権がない状態において様々なことがGHQの許可がなければ進めることができなかった当時の状況を思いますと、今を生きさせていただいている日本国民として、当時の方々の御苦労に対して、非常につらい、やるせない思いを持つような次第でもございます。

 重ねてでありますが、政府におかれましては、もし今後またこうした皇籍離脱の理由や当時の背景等を尋ねられるようなことがありましたら、皇族方の御意思の実現ということだけではなく、GHQの許可を得た上ではありますが、その皇族費等の処分についても是非言及をしていただいて、当時の事情をしっかりと国民の皆様にお伝えいただくようにお願いをしたいというふうに思うところであります。

 続けて、次の質問をさせていただきます。

 旧十一宮家が皇籍離脱をされて、その決定間もなくでしょうか、昭和天皇と旧宮家の方々が、当時の週刊誌報道で言うところの、いわゆる最後の晩さんという食事会が開かれたというようなことが報道にあると承知をしております。その席で昭和天皇が旧宮家の方々に対してお言葉を賜られたというふうに聞いておるわけでありますけれども、そのお言葉がどういったものであったか、教えていただければと思います。

池田政府参考人 昭和天皇実録によりますと、皇室離脱した成年以上の元皇族等との昭和二十二年十月十八日の晩さんにおける昭和天皇のお言葉でございますが、皇族としての皆さんと食事を共にするのは今夕が最後であります、しかしながら、従来の縁故というものは今後においても何ら変わるところはないのであって、将来、いよいよお互いに親しく御交際をいたしたいというのが私の念願であります、皆さんもよく私の気持ちを御了解になって、機会あるごとに、遠慮なく、親しい気持ちでお話においでなさるように希望いたしますであったと承知をしております。

石橋分科員 御紹介いただきまして、ありがとうございます。昭和陛下から旧宮家、旧皇族の皆様に対して、食事を共にするのは今夕が、今日が最後であるけれども、これからも親しい気持ちでお話においでをいただきたいというようなお言葉があったということを教えていただきました。

 先ほども申し上げましたけれども、主権が奪われている中でのこうした状況ということを思うと、非常に切ない気持ちにもなりますし、今を生きる日本国民の一人として、これからもしっかりと御皇室をお支えしなければならないなということを改めて私自身は強く感じさせていただいたところでございます。

 次の質問でありますけれども、冒頭申し上げましたとおり、有識者会議報告でも皇族数の減少が喫緊の課題であるというふうに言われておりますので、ここで改めまして、皇籍離脱が行われた前と後、そして現在の皇室の構成人数についてお示しをいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 昭和二十二年十月十四日に五十一方が皇籍を離脱されましたけれども、当時の皇室の方々は、離脱前におきましては六十七方、離脱後は十六方でございました。また、現在の皇室の方々は十七方でございます。

石橋分科員 ありがとうございました。

 皇籍離脱の前後で人数が減ってしまっているということでもありますし、また、私が確認をした資料のこともちょっと申し上げたいと思うんですけれども、当時、全体で十一宮家五十一方の方が皇籍を離脱されたと承知をしております。その十一宮家五十一方のうちの二十六方の方が皇位継承資格者でいらっしゃったそうであります。二十六方、非常に大きい数字だというふうに私は感じたのでありますけれども、この皇籍離脱に占領軍、GHQの意向があったということを考えますと、あえてこうした方々を資格者から外したのではないかなというようなことも考えるところであります。

 有識者会議の報告書におきましては、喫緊の課題である皇族数の確保を図るため、三つの方策を示して、そのうちの二つの方策について、今後、具体的な制度の検討を進めていくべきではないかというふうに記されております。その一つ目の方策は、内親王また女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすることとあります。そしてもう一つの方策は、皇族には今現在認められておりません養子縁組を可能として、皇統に属する男系の男子を皇族とすること、これが二つ目の方策として挙げられております。

 個人的な思いで大変恐縮ではありますけれども、男系の男子で連綿とつないできた、紡いできたこの歴史の重みを考えるときには、また、先ほど来申し上げるとおり、我が国に主権のない状態で行われた皇籍離脱等が現在の皇族数の減少という問題に非常に大きな影響を与えていることを考えるとき、私としては、後者の養子縁組の案が今後議論の俎上にしっかりと上がっていったらいいなということを思っているところでございます。

 報告書には、会議のメンバーの皆様が議論に臨むに当たりまして、歴史や伝統に対する謙虚な気持ちを抱きながら、真摯な、慎重な姿勢で臨んだということが書いてありました。また、議論を行うに当たって、歴史や制度に対する正確な知識が必要不可欠だと改めて認識したということも記されておりました。

 どちらも非常に重要なことだというふうに思うわけでありますけれども、しかしながら、なかなか、私たち一般の国民がそういった正しい歴史の制度等を正確に学ぶ、体系的に学ぶというのは非常に難しいのかなとも感じているところであります。それを学んでいこうという気持ちを持ってもらうためには、まずは、御皇室に対して親しみを持っていただいたり、また関心を寄せていただくことが大切ではないかというふうに思います。

 その観点から、現在、皇室の広報についてどのような取組をされているのか、お答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 天皇皇后両陛下始め皇室の方々には、皇居における行事や、都内や地方の行事にお出ましになりまして、社会の中で弱い立場にいたり苦労をされている人々にお気持ちを寄せられ、また、社会のために力を尽くされている人々をおねぎらいになるなど、国民に寄り添い、国民と苦楽を共にしておられます。

 宮内庁では、象徴でいらっしゃる天皇陛下と皇族方がお務めを果たされているお姿や御活動についての国民の理解が深まることが重要であると考えており、宮内庁ホームページの運用や、皇室紹介ビデオの制作などの広報や、報道機関への取材機会の提供に取り組んでいるところでございます。今後も、社会の変化なども勘案しつつ、広報の充実に努めたいと考えておりまして、今年四月には広報室を設けることとしております。

石橋分科員 ありがとうございます。現在の天皇陛下また皇族の皆様が地方に行かれたり、皇居での御活動等々をしっかりと広報していただいていることは本当にありがたいなというふうに思うところでありますし、また、そうした活動の中で、私たちに常に寄り添ってくださっている、そうしたお姿を示してくださっているということも非常に心強いなというふうに思うところであるんですけれども、実は、一点、お願いといいますか要望といいますかがございます。

 と申しますのは、今お答えいただいた広報活動に関しましては、主に、現在の天皇陛下、御皇族の活動に対しての広報活動だというふうに承知をしておりますけれども、御承知のとおり、天皇陛下はアマテラスオオミカミの直系の御子孫であります。そして、その起源を神話に求める天皇陛下の御存在というものが宮内庁のホームページ等々ではなかなか見受けられませんし、また、残念ながら、戦後の我が国の学校教育におきましても、そうした点は十分には子供たちに伝えることができていないというふうに私は理解をしているところであります。

 宮内庁のホームページでは、天皇の系図や歴代天皇陵の案内、また皇室に伝わる文化の紹介等はありましたけれども、今申し上げた、肝腎の、神話に連なる御存在である天皇についての説明というものはないように私は見受けました。

 そこで、現在の取組を続けていく中で、国民の間に天皇、皇室に対する親しみ、関心はしっかりと育まれていると思うんですけれども、そこに更にもう一歩深く入っていくために、神話に連なる御存在としての天皇を知っていただくような広報活動、取組ということもこれから重ねていただきたいということを、これは一点要望させていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、拉致問題について一点お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 昨年、北朝鮮が多くのミサイルを発射したこともそうでありますし、本日もまたミサイルを発射したということがございます。もちろん許すことのできない暴挙だと思いますし、日本国政府としてもしっかりと、毅然とした態度で対処をしていただきたいことは重ねて申し上げます。

 この拉致問題というものは、言うまでもなく、私たち日本人にとって、絶対に解決をしなければいけない重要な問題であります。人権侵害であり、また我が国の主権を侵す行為でもありますし、そして何より、現在進行形の犯罪だというふうに私は捉えております。

 強く解決を望むわけでありますけれども、実は、昨年末に地元の広島で、同志の地方議会の先生方、仲間とともに街頭活動をさせていただきました。昨年に限らず、都度都度、街頭活動をさせてもらうわけでありますけれども、それをするたびに感じますのが、やはりこの拉致問題を絶対に風化させてはいけない、啓発がとても重要だということを街頭活動をするたびに強く感じてまいりました。この拉致問題を決して風化させることなく、国民一人一人に解決に向けた強い思いを抱いてもらうためには、政府による広報活動、啓発活動というものが必要不可欠であるというふうに考えております。

 今、岸田政権においても最重要課題である拉致問題でありますけれども、この拉致問題の解決に向けた啓発活動につき、現在の取組状況をお示しいただきたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致問題の解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要であります。

 国内における啓発については、例えば、毎年、全国の教育委員会に対して、アニメ「めぐみ」の教育現場での活用をお願いしております。また、地方公共団体との共催によりまして、拉致問題啓発舞台劇を開催しております。さらに、SNSを活用した発信の多様化に取り組んでおりまして、令和四年度においては、若年層向け動画広告を作成し、配信したところであります。

 また、これらの活動に加えまして、中高生を対象とした作文コンクールの実施や、初等中等教育に携わる教員を目指す大学生を対象とした拉致現場の視察や模擬授業の実施、学校現場における拉致問題に関する理解促進を一層強化することを目的とした、教育委員会の指導主事及び教員を対象とした拉致問題に関する研修の実施等も行っているところであります。

 拉致問題の啓発については、引き続き、どのような手段が有効かとの観点から、啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 様々な啓発活動をしてくださっていることは大変ありがたく、心強く思うところであります。しかしながら、先ほど申し上げていただいた、例えば「めぐみ」の学校現場での上映等も、私も以前広島で確認をしましたところ、なかなか思うようには進んでいないかなというような感覚も持っているところであります。上映を実施したといっても、実は、子供たちではなく先生だけが見ていたというようなことも上映ということでカウントされていることも承知をしておりますので、是非、一人でも多くの子供たち、そしてまた子供たちを育てていく先生方に対しても、しっかりとこの問題が重要な問題であるということをお伝えし続けていただきたいというふうに思うところであります。

 質問は以上でありますけれども、最後に一点、所感を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 今日は、御皇族数の減少の問題について取り上げさせていただきました。

 私は、日本の国というのは長い歴史、伝統を持つ国だと思っておりますし、そして、その我が国の歴史、伝統の中心にいらっしゃるのが天皇陛下であるというふうに思っています。しかしながら、戦後、占領下以降、様々な教育現場等の規制といいますか占領政策の結果、子供たちに我が国の歴史の中心である天皇陛下のことがきちんと教えられていない、伝えられていないということに対して、非常にじくじたる思いを持っている一人であります。これからも我が国が綿々とした歴史を受け継ぎ、次の世代に豊かで強い誇りある日本を伝え続けることができるように、御皇室の問題も大切でありますし、そのことをしっかりと広報していただく、国民の皆様にお伝えいただくということも重要であるというふうに考えています。

 皇位継承、御皇族数の減少の問題については、議論はもう国会に委ねられているというふうに理解をしておりますので、私も、地元の皆様に送り出していただいた衆議院議員の一人として、これからもこの問題に真摯に取り組み、我が国がこれからも力強くあるように頑張っていきたいということを申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。

 御清聴、誠にありがとうございました。

牧島主査 これにて石橋林太郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。穂坂泰君。

穂坂分科員 自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、こういった質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 私の方から、本日は、子供の居場所づくり、居場所について少し御質問をさせていただければなというふうに思います。

 この居場所についてなんですけれども、今、各議員の先生方の地元で、子供食堂であったり、また学習支援を行う場所、こういった場所が非常に増えてきたな、そんなふうに思っているところだと思います。これは善意の広がりであって、ありがたいなと思う一方で、本当に、この社会では厳しい、生活が苦しい、そういった方々が増えてきたな、そんなことを地元で回っていると感じさせていただく次第です。

 まず、こうした厳しい方々への支援、しっかりやらなければいけない、そのように思っておりますが、こういった厳しい方が出ない社会をつくったり経済をつくっていったり、そういったことがやはり国会議員としては大きな仕事だな、そんなふうに思っておりますが、当然これもやっていかなきゃいけない、そういったことを前提に踏まえつつ質問させていただければというふうに思います。

 まず、子供食堂、子供の居場所、やはりこれをしっかり活用してもらえる仕組みを地域につくっていきたいなというふうに思っています。本当に善意での動きでありますから、マーケティングをしっかりやるだの、また広報をしっかりやるだの、こういったことまではやはりなかなか手が回らないということも聞いております。私にも、もっともっと、穂坂君、宣伝してよ、そのようなこともよく聞くところであります。善意の中で、こういったマーケティング、広報、本当に苦手という声を聞いておりますので、是非とも国の方もこういった支援をお願いしたいなというふうに思っております。

 備蓄米であったり、いろいろな食材、こういったものは回るようになってきました。でも、これをいかに一人一人本当に必要な人に届けていくのか、そういったことがまず問題だというふうに思います。

 質問といたしますが、まず、この子供食堂、子供の居場所、こういった広報の部分、もっともっと国で御支援をいただきたい、そう思っておりますが、御質問とさせていただきます。よろしくお願いします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ありましたように、子供食堂は、子供にとって単なる食事の場というだけではなくて、大切な居場所ということになっておりまして、その取組を国としても後押ししていくということが大変重要だと思っております。これまでも各府省で、子供食堂についての様々な支援の仕組みがございます。

 まず、内閣府におきましては、これは政府の事業としまして、地域子供の未来応援交付金というものがございます。これを大幅に拡充をいたしまして、子供食堂を始めとする支援団体と関係行政機関との地域ネットワークの形成支援を強化しています。この中で、先生御指摘のありました、子供食堂を知っていただくというようなこともしっかりやっているところでございますし、また、個人や企業などの寄附を原資とした子供の未来応援基金というものがございます。これによる支援等も行っているところでございます。

 また、あわせまして、厚生労働省におきましては、支援の必要な世帯の子供たちを対象とした子供食堂などへの支援を行います、ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業などを行っているということを承知しておりまして、こういった各府省の様々な支援施策の中で、子供食堂ということの認知度を高めるといいますか、そういうこともしているところでございます。

 また、私ども、こども家庭庁準備室におきましては、子供の居場所づくりというものを進めていこうということで、この四月のこども家庭庁設立後に、子供の居場所づくりに関する指針というものを策定することとしております。これに先立ちまして、令和四年度の補正予算におきまして、NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業というものを計上しておりまして、各地域におけるモデル的な取組を支援することとしております。

 こうした取組も踏まえまして、全体の居場所づくりの中で、この子供食堂ということについてもしっかりと支援をしていきたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。様々な支援が充実してきたなというふうに今感じさせていただきました。是非とも、こういった周知、広報の部分でも力を入れていただければ大変ありがたいなというふうに思っています。

 こういった中で、やはり、一義的には自治体がしっかりやっていかなければいけないところもあるのかなというふうに思っています。

 特に、学校というところに着目したときに、やはり学校現場で、どこにどんな子供食堂があって、ここに行けばどういった支援を受けられるよ、こういったことを子供たちにもしっかり伝えていくことが必要なんだというふうに思います。学校においては、教員の皆様、そしてまたソーシャルワーカー、地域の方々、たくさんの方々が入っていますので、やはりこういった情報をみんなで共有をしながら、子供たちへのアプローチをしていくことが必要だなというふうに思っています。

 そんな中で、現場の方々と話をしていて、学校にPRをしていきたいんだ、そんな話を受けたときに、学校側ではやはり、どんな子供食堂なんだか、どんなパントリーなんだか、そういったところが分からない。少し言い方は悪いですけれども、本当にどんな人がやっているのか分からないような、そんな不安も感じている、そんな声も聞かせていただきました。

 なので、もちろん、皆さん、しっかりやっている子供食堂、パントリーなんでしょうけれども、やはり頑張っているところには、認定制度まではいきませんけれども、しっかりと自治体なり行政が後押しをする、そういった、ある意味勲章のようなものをつけながら、ここは大丈夫ですよということをやはり社会全体でやっていかなければいけないのかな、そんなふうにも思っております。

 こういった子供食堂、まだまだ悩みがあるというふうに聞いているんですけれども、これが食材の置場であったり、また場所であったり、やりたくても借りるお金がない、このような声もたくさん聞いております。自治体から見れば、空き家対策にもつながっていくでしょうし、もちろん、子供に対する直接的な支援、これにもつながっていくので、私はこういった場所の支援もしっかりと自治体なり国なりがやっていくべきではないか、そのように考えております。

 貧困対策も含め、子供の居場所として大変役立っておりますが、こういった運営面への支援、ちょっと重なる質問かもしれませんが、もっともっとしていただきたいと思います。質問とさせていただきます。よろしくお願いします。

渡辺政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、現行でも様々な支援の仕組みがございますけれども、私ども、この子供食堂も含めました子供の居場所への支援の在り方ということを今調査研究事業も行っておりまして、実際、こういう居場所づくりを継続的に進めていくために、先生御指摘のありました、まさに物理的な場所ですとか、あるいは、様々な支援をコーディネートする人材の確保の必要性とか、どういった形で子供食堂も含めた居場所を継続的に実施できるのかということを、様々な課題の今洗い出しといいますか、そこをやっておるところでございます。

 年度内にもその報告をまとめることにしておりまして、これを基に、来年度以降、先ほど申し上げました、居場所づくりの指針も作っていきますので、そうした中で、こういった活動を継続的に進めていけるためにどういった形で支援をしていく、どこに支援をしていくのがいいのかということも含めてしっかりと検討していきたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 いろいろな支援があって、それを来年まとめられるということですので、そういったものができ上がったら、私もそれを持っていろいろなところに広報していきたいというふうに思いますし、本当に善意で頑張っているのに、やはり運営が苦しい、続けられないというところが出ないように、しっかりと後押しをしていければというふうに思います。

 続きまして、子供の居場所で、放課後子供教室、これも重要な子供の居場所だなというふうに思っています。

 今は共働きが当たり前の社会になってきています。ですので、預けられる場所、これがまた、放課後の校舎というものもしっかり活用していくべきだろうというふうに思っています。

 学童保育というものもありますけれども、私の地元の学童保育も、もう入り切らなくて、新しい建物が幾つも建っているような状況で、何でそんなに必要なのかなというのを感じさせていただいています。

 先生の方に質問をしに行ったら、言われたのは、学童というのはちょっと管理が違うから分からないという先生もいたんですよね。学童に誰が入っているのかということも知らない、こういったケースがよくありました。

 新しい校舎をわざわざ建てるんだったらば、現在ある空いている教室、もう放課後なんて人がいないんですから、それをもっともっと活用すべきじゃないか、そういうふうに思っている中で、やはり、管理者が違う、そしてまた、アウトソーシングをしているから、業者さんがやっているから分からないという、そんなような状況になってしまっている。

 そういったところで御質問なんですけれども、学校の管理者、あと学童保育の管理者、これは分けなければいけないものなのか、そしてまた、学童保育の受入れの際、学校の校舎や校庭を使ってはいけない、こういった決まりがあるのかどうか、現状を教えていただければと思います。

里見政府参考人 お答えいたします。

 まず、お尋ねの学校の校舎や校庭を放課後児童クラブ、学童保育でございますが、に活用することでございますが、こちらは可能となっております。

 平成三十年に文部科学省と厚生労働省とで作成いたしました新・放課後子ども総合プランでは、安全、安心な居場所を確保するため、余裕教室等の学校施設を活用した放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の実施に取り組むということにしておりまして、令和四年五月現在で五三・一%が学校の余裕教室や校庭などの学校敷地内で実施をされているところでございます。

 また、お尋ねの二点目の学校と放課後児童クラブの管理運営上の責任という点でございますけれども、放課後児童クラブが学校施設を活用する場合には、学校と放課後児童クラブとの間で管理運営上の責任の所在を明確にするということで、現場の実態に応じた円滑かつ柔軟な対応が可能になってまいります。

 そこで、文部科学省では、厚生労働省との連名で令和元年に、関係部署間での取決めが行われやすくするように、協定書のひな形を示しておりまして、全国の地方公共団体に通知をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、関係省庁と連携をいたしまして、各自治体や学校現場において教育関係者と福祉関係者の協議を促すということによりまして、学校施設の活用を一層推進をしてまいります。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 是非とも、その連携、非常に重要だというふうに思いますので、多分、国の方が通達を一生懸命やられていると思いますが、なかなか現場がついていっていない部分もございます。是非とも後押しをしていただければと思います。

 一つ、事例なんですけれども、私の地元、埼玉県は新座市で、ココフレンド事業というものをやっています。全小学校でやっているんですけれども、子供の居場所をつくっている、こういった取組なんですが、放課後の空いたところを利用して、子供たちが自由に遊んでいます。自由といっても、やはり、地域のおじさん、おばさんたちが入ってきて、時には宿題を教えていったり、時には外で思い切り駆けて遊んだり、そのようなことをしています。やはり、地元のお母さん方に聞くと、こういった事業があって本当に助かると。

 ココフレというんですけれども、このココフレというのは、一年中開いていて、一年間で何回でも使っていいものになっています。体験交流活動、こういった機会もたくさんありますし、地域社会の中で豊かな経験がある人たちもいっぱい集まってきておりますし、毎日毎日五十人から百人ぐらい、いつもこのココフレを利用している状況になっています。これは一校でです。一校でも五十人、百人がいつも遊んでいるような状況になります。

 また、金額を見ても、年間で千円、そして、そのうち八百円が保険料でありますから、非常にリーズナブルで、お母さんたちも安心して預けられる。安全面も、一人で帰っては駄目で、やはり集団で帰らせる、また、親御さんに迎えに来てもらう、こういった安全面での配慮もされているところであります。

 非常に地元でも評判がよく、こういった取組、是非とも全国的に展開をしていった方がいいのではないかと、ちょっとおこがましいんですけれども。そのことについても、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

里見政府参考人 ただいま御紹介いただきました新座市のココフレンド事業では、ICTを活用した読み聞かせ、地域の歴史学習など、地域の方々の参画による様々な教育活動が行われていると承知をしておりまして、こうした取組は、子供たちが安全、安心に集える居場所となるとともに、地域の皆さんが集う交流の場としても極めて意義のある取組だと考えております。

 このため、文部科学省では、地域学校協働活動推進に係る文部科学大臣表彰におきまして、令和元年度に大和田小学校の大和田ココフレンド、この活動を表彰させていただきますとともに、全国のこうした優良事例につきまして、ホームページで掲載するなどして周知等を行っているところでございます。

 また、こうした地域学校協働活動の取組を行う自治体に対しまして、必要な経費を支援しているところでございまして、令和五年度予算案には、前年度比約二億円増の約七十一億円に拡充して計上をさせていただいているところでございます。

 文部科学省といたしましては、こうしたすばらしい取組が全国津々浦々で行われるように、引き続き取組を進めてまいります。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 このココフレの前提にコミュニティースクールが、新座市も早々に始めています。やはり学校というのは、先生方だけでやるのではなく、地域の人たちを多く巻き込んでやっていこう、そういった取組の土台の上にこういったココフレンド事業が成り立っているということがあります。

 かねてから私もずっとコミュニティースクールは推進をしていった立場なんですけれども、そのときにやはり思ったのは、まちづくりなんだというふうに思います。学校をつくることはまちづくりであって、今まではみんなで学校をよくしようという感覚が、学校を使ってこの町をもっともっと活性化しよう、こういった考え方に変えていくのが私はコミュニティースクールであるというふうに思っています。地域の高齢者の皆様もそこでまた活躍する場というものもできますし、また、そういった人との触れ合いが、今までにない触れ合いが子供たちをより心豊かな大人にしていくんだろう、そのように思っておりますので、是非ともこういった事業をどんどんまた後押しをしていっていただければ大変ありがたい、そのように思っております。

 続いての質問に入ります。

 子供の居場所で、プレーパークの推進について少し御質問させていただければと思います。

 小倉大臣になられまして、プレーパーク、今回非常に力を入れていただいて、大変感謝をしているところであります。小倉大臣もかねてより外遊びの重要性を非常に推進をされていて、私も勉強会に何回か参加をさせていただきました。空間、仲間、そして時間、この三つの間が不足していることであったり、また、外遊びが、基礎体力の向上であったり、また視力の向上であったり、こういったものにもつながって、またコミュニケーションの向上にも非常に役立っているということ、こんなことも学ばせていただきました。

 今、世の中を見ると、本当に子供の居場所というものがなくなってきているなというのを非常に感じています。昔は、マンションの下で、広場で遊べたところが、張り紙が貼ってあって、ここでは遊んでは駄目、当然ボールを使っては駄目、中には声を出して遊ぶなという、そんな張り紙まで出るような、どんどんどんどん子供の居場所がなくなって、遊び場所がなくなって、そしてまた子供も遊び方が分からなくなっている、私もそんな危機感を少し感じているところであります。

 そうした中で、このプレーパークというものは、自然の中で、自然の様々なものを遊び道具に変えていくという、そういった取組であります。また、自然の中で子供たちの自由な遊び、自由に遊んでいるんですけれども、実は裏には大人のしっかりとした見守りがあって、指図するわけでもなく子供たちが自主的に遊べるような、遊び方を探れるような、そんな温かい後押しがある中でこのプレーパークが行われているということ、これは私も実際に現場を見て分かったところであります。

 今言ったプレーパークの中で、そういった見守る大人、プレーリーダーになりますけれども、私は、このプレーリーダーの役割というのは本当に重要だなというふうに思っています。子供に対しても当然いろいろやっていかなければいけませんし、周りに来ている大人に対しても、プレーパークというものはこういうものなんだということをしっかりと周知させていく役割もあると思いますし、また、地域のつながりということも意識しながらプレーリーダーは役割を担っていかなければいけない、そんな重要なポジションにあるのがプレーリーダーだというふうに思っています。

 私が懸念をしているのは、どの分野でもこういったキーマンはいると思います、プレーパークのキーマンは間違いなくプレーリーダーでありますけれども、やはり自分のキャリアプランが描けないと辞めていってしまうんだなというふうに感じさせていただきました。幾つかのプレーパークに行って、いろいろインタビューをさせていただいたんですけれども、やはり一番困っているのは、人が育っていかない、なかなか定着をしてくれないんだ、やはり好きだけじゃ続かないということをよく聞かせていただいております。

 例えば、学校のスクールソーシャルワーカー、これも私は非常に重要な役割だと思いますけれども、これもやはりなかなか育っていかない、辞めてしまうということも聞かせていただいております。

 やはり、こういったプレーパーク等を進める、子供の居場所を進めるに当たってキーマンであるプレーリーダーがやはりしっかりとキャリアが描ける、そんなことを是非とも後押しをしていただきたいと思いますが、現在のところ、考えているものをお聞かせいただければと思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘のありましたプレーパーク、様々な定義があろうかと思いますが、例えば、全国冒険遊び場協会というところのホームページを拝見しておりますと、全国で三百四十五件、こういったプレーパークがあるということも承知しております。

 その中で、御指摘のございました、自由に外遊びの機会を提供する上で、それを継続的に行っていくためには、御指摘のプレーリーダーといいますか、人材の育成というのは非常に重要なことだというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたが、現在、こういったプレーパークも含めまして、子供の居場所、様々な居場所がございます。こういった居場所について、これを広げていくためのどういった指針を作っていくかというのを今検討しておりまして、その調査研究の中でも、御指摘のありました人材確保、人材育成の重要性ということについては議論されているところでございます。

 ただ、こういった、ある意味かなり自由な中で、またしっかりと見守っていくという、ある意味非常に難しい人材育成でございまして、余りかちっとした資格みたいなものを作ってしまうと、逆にこれがまた狭めてしまうというところもありまして、こういった辺り、具体的にどういうふうに進めていったらいいのかということについては、実際の現場をやはりよく見ることが必要だろうということで、先ほども申し上げましたが、今年度の補正予算事業で、居場所づくりの支援のモデル事業ということを行うこととしております。

 こういう中で、御指摘のようなプレーパークなども含めまして、具体的に現場でどういった方々がどういう関わりをしているのかという辺りの実態もしっかり把握しながら、先ほど申し上げました、四月以降の子供居場所づくり指針の中で、人材育成についての基本的な考え方というものを示していきたいというふうに思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 しっかり考えていただけるということで、本当にうれしく思います。やはり、見ていると、本当に好きなんですよね。子供が好きだし、そういったところで遊ばせる、遊んでもらうことがすごい好きな人たちが集まっていると思います。そんな方々がこの仕事でいいんだというふうに思えるような、そんなプランを是非描いていただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 これから、プレーパーク、私は非常に重要な地域のインフラになってくるなというふうに思います。恵比寿のプレーパークも行きました。また、川崎のプレーパークも見させていただきました。子供たちが生き生きと遊んでいる姿、本当にうれしく、ほほ笑ましく思っていた次第です。また、そこで本当に頑張っている人たち、この方たちが本当に美しいなというふうに思いました。

 最後になりますが、小倉大臣から、プレーパークの今後の展望と、またそして、そこで頑張る皆様に、特に私の地元の朝霞市、志木市、和光市、新座市、今、全ての市でプレーパークが始まりましたから、是非ともそういった方々に応援のメッセージをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小倉国務大臣 ありがとうございます。

 プレーパークは、プレーリーダーの下で誰でも自由に遊ぶことのできる場として、公園などを活用し、主に自然の中での外遊びの機会などを提供されていると承知をしております。全国でプレーパークを運営をされている穂坂議員の御地元の関係者を始め、全国の関係者の皆様方に敬意を表し申し上げたいというふうに思います。

 例えば御地元の朝霞市におきましては、屋外での自由な遊びを通して得られる様々な体験や交流によって、子供たちに自主性や主体性、社会性やコミュニケーション能力を育んでもらえるようなプレーパークを実施をしていると伺っております。こうした取組は、まさに子供たちの外遊びの機会が議員御指摘のとおり減少する中で、強く健康な体の育成や健全な心の育成といった子供たちの健全な成長に極めて重要な役割を担うと同時に、社会で活躍するのに今後ますます必要となる能力の育成にも大きく寄与するものではないかと考えております。

 先ほど来議論にありましたように、子供たちの居場所づくりの指針というのは、再来月発足をするこども家庭庁にとって極めて重要な事業の一つだというふうに思っております。

 こども家庭庁の役割は、子供政策に関して、省庁に存する縦割りを排して、横串を刺して子供たちのために政策を実現をする新たな組織でありますが、まさに子供たちの居場所、学童もありますれば児童館もございます。公園もありますれば子供食堂もありますし、多岐にまたがっております。省庁が異なるものもあれば、そもそも所管自体はっきりしない居場所もございます。そういったものを横串を刺して、子供ごとに様々な状況にあると思いますが、それぞれの子供にとって最善な居場所を提供するということにもなろうかと思いますし、重要なのは、やはり居場所というのは大人が押しつけた子供の居場所であってはならないということであります。

 子供にとって、それが自分たちにとって居心地のいいと思ってもらえるような、そのような居場所でなければいけないと思っておりますが、そういう意味でも、再来月発足をするこども家庭庁は、子供や若者の意見をしっかり受け止めた上で、大人目線ではなく政策を実現をする組織でありますので、そういった意味では、子供たちが自発的に居心地がいいと思っていてくれるような、そういう居場所をしっかりとつくってまいりたいというふうに思っております。

 そうした中、一昨年末に閣議決定をした基本方針におきましては、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや多様な体験活動、そして外遊びの機会に接することができることが重要とされているところでありまして、こども家庭庁におきましては、その意味で、プレーパークも含めた子供の居場所づくりにしっかりと私の下で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

穂坂分科員 ありがとうございました。是非ともよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、やはり次元の異なる少子化対策と子供の政策、これから走っていくというふうに思います。私も、ずっと取り組んでいるのは、やはり高等教育に関する子供たちの無償化、これも図っていきたいなというふうに思っています。これにはお金がかかることだというふうに思いますが、どのデータを見ても、やはり子供に対してのお金というのは、後でのリターン、これも非常に大きく返ってくるというふうに言われています。

 様々な課題があるかと思いますが、思い切って、これは投資だということで、是非とも走っていただきたい、そのように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

牧島主査 これにて穂坂泰君の質疑は終了いたしました。

 次に、保岡宏武君。

保岡分科員 自民党の保岡宏武でございます。

 本日は、小倉大臣、尾崎政務官、そして政府参考人の皆様方には、お時間を割いて答弁いただきますことをまず心から御礼申し上げます。そして、第一分科員の先生方におかれましても、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 では、早速、質問に入る前に、昨日から続いております北朝鮮のミサイル発射について、強く抗議と、また遺憾を申し上げたいというふうに思います。このようにしか今申し上げられないということ自体が非常に悔しいところではございますが、国民の皆さんの思いも代弁をして、一言まずは申し上げたいというふうに思います。

 それでは、本日の質問に入りたいと思います。

 一つ目は、少子化対策、子育て支援についてでございます。

 先ほどのミサイル発射のように内憂外患を抱えている日本でございますけれども、内憂の最たるものは、一つは急速に進む人口減少社会だというふうに考えております。

 岸田総理が、施政方針演説で、少子化対策を、児童手当などの経済支援の拡大、子育てサービスの充実、働き方改革の三本柱で進めるというふうに御発言をされておいでです。

 一つ目の経済的支援というのは、出産、育児を支援する各種給付金制度の拡充というふうに理解をしておりますが、この度、出産一時金に関しては、来年度から四十二万円が五十万円に増額をするなど、早速の手当てというか方針どおりの行動をお示しいただきまして、私も、四人の子供を持つ親として、子育て世帯として、非常に強く心動かされている一人でございます。

 そのほか、児童手当の所得制限の廃止であったり、これから議論が進む分野もございますが、特に地方自治体が先行をしている経済的支援というのも多くあることは御承知のとおりかというふうに思います。例えば、子供医療費の無償化、給食費の無償化、保育、幼児教育の無償化、私立高校の無償化、不妊治療の助成のプラスアルファの分であったり、様々な、地方自治体が先行をして取り組んでいる経済的な支援というのがございます。

 全国の知事会や市長会並びに議長会からも、このような地方で先行している例を国としてできるところは取り組んでもらいたいという要望が上がっているかのように伺っておりますが、現状のこのような地方が先行しているような経済的支援、今後国の方でどこまで支援をするか、今検討されているところがありましたら教えていただきたい、そして、それがどのような予算規模となっているのか、概算でも分かれば教えていただければというふうに思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 少子化対策、子供政策の具体的な実施を中心的に担っているのは、先生御指摘のとおり、地方自治体であり、国が地方自治体の取組状況を把握し、取組を促進するための必要な支援等を行うとともに、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組を横展開し、必要に応じて制度化していくことは大変重要であるというふうに考えています。

 少子化対策、子供政策に関し、地方自治体との連携を強化するため、四月に発足するこども家庭庁において、国と地方との定期的な協議の場を設けることとしておりますが、これに先立ち、先日、準備会合を開催しております。

 現在、子供、子育て政策の強化について、小倉大臣の下、関係府省会議において議論を進めております。いろいろと先生から御指摘いただきましたが、そういったことを踏まえて、今後、幅広く議論を進め、様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として、子供、子育て政策として充実する内容を具体化すべく、力を尽くしてまいりたいと考えております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 是非、地方の声をすくい上げていただきまして、地方だけの負担ではなくて、国全体としてそれを後押しするという姿勢を政府としてお示しいただきますようによろしくお願いをいたします。

 次に、少し話は変わりますが、人工中絶のことについて御質問をさせていただきます。

 ここで人工中絶の是非を私は論ずるつもりはございません。人工中絶の数というところに少し注目をしていただきたいと思いまして、この質問をさせていただきます。

 人工中絶の数、去年又はここ三年ぐらいの統計をお示しいただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 衛生行政報告例によりますと、人工妊娠中絶の件数、総数でございますが、令和元年度十五万六千四百三十件、令和二年度十四万一千四百三十三件、令和三年度十二万六千百七十四件でございます。

 年代別に申し上げますと、十代以下、令和元年度一万二千六百七十八件、令和二年度一万三百九件、令和三年度九千九十三件でございます。二十代にいきますと、令和元年度七万一千百九十七件、令和二年度六万四千五十六件、令和三年度五万六千九百六十九件でございます。三十代以上になりますと、令和元年度が七万二千五百三十二件、令和二年度六万七千六十四件、令和三年度六万百十件となってございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 今お話にありましたように、年代別の数字もお伝えをいただきました。多くの皆さんは、人工妊娠中絶は、十代、若年層の問題だというふうに捉えている方も多いかと思いますけれども、今の数字のように、十代はほぼほぼ一万人ぐらい、残りの十一万から十四万のうち、半分が二十代、そして半分が三十代以上というような統計の数字になっております。

 私の妻は、鹿児島で、鹿児島いのちを大切にする会という会に所属をしております。この会は、予期せぬ妊娠、望まぬ妊娠をしたお母さんとその子供の命を守ろうという会でございます。もちろん、一方で、心痛い事情で予期せぬ妊娠があった女性であったり、母体に対する影響で産めない女性もいることも承知をしておりますが、このように、様々な経済的な理由であったり、本当は産みたいが産めない命というのもある。この数字の背景に政治は思いをはせていただきたい、そのような気持ちを持ちまして、この質問をさせていただきました。

 非常にセンシティブなテーマでございますので、ここでその是非をすることは、冒頭にも申し上げましたように、いたしませんが、是非、この数字の裏側にある、いろいろなお母さん方やその生活の背景に思いをはせていただきますように、よろしくお願いをいたします。

 次に、少子化対策というのは、少子化対策プラス少子化社会への対策なのではないかということを大臣に御質問させていただければというふうに思います。

 少子化対策、少子化社会への対策というのは、例えば、高齢者の再雇用制度の整備であったり、外国でいえば、欧州などでいえば、外国人労働者の受入れであったり、様々なこのような施策があるかというふうに思います。

 そもそも、なぜ少子化対策が必要か、少子化は悪いことなのかというふうに考えたときに、例えば人口が減っていくだけでいえば、私は、決して悪いことだというふうには思っておりません。

 例えば、私は、今年五十歳、団塊ジュニアでございます。私の親の世代、母や父の世代がいわゆる団塊の世代でございますが、その時代は、その後、人口抑制の政策が取られていたかというふうに思います。急速に人口が増える中で、需要と供給のバランスが悪くなって、供給の方が圧倒的に足りない時代が昭和の最初に続きました。それから、失われた三十年、平成の時代を経て、今、令和に入り、急速に人口が減っていくという時代に入っています。

 ちなみに、私の父も政治家でございましたが、私自身も十八年、父の下で秘書をしておりました。そのうち十七年、十八年のうちの十七年は地元の秘書でありましたけれども、一年間だけ、二十五歳のときに東京で秘書を経験しております。その当時、自民党の部会でもやはり少子化対策の部会がございました。ただし、私の記憶が正しければ、そこまでまだ先生方の意識も今ほど活発ではなく、入れ替わりも激しく、そしてまた当時の私のような秘書のオブザーバーが多かったような印象を持っております。

 二十五年前、私、団塊ジュニアの世代のそのときに、ど真ん中の少子化対策や子育て支援などの対策が打てていれば、若しくは経済的な対策が打てていれば、二十五年後の今このような状況が来なかったかもしれない、そのような危機感を持って、この質問をさせていただきたいというふうに思います。

 具体的に申し上げれば、私は、合計特殊出生率と出生数ということを小倉大臣に御質問させていただきたいというふうに思っております。

 合計特殊出生率というのは、子供を産める年齢の女性が生涯に何人子供を産めるかというような数値でございまして、この母数は毎年変わっていきます。要は、国民の皆さんにとって分かりづらい数字だろうなというふうに私が思っているということでございます。一・四から一・一になったときに、これが少子化のスピードが速くなるというふうに思う国民の方はそんなに多くないというふうに私は思います。

 一方、出生数といった場合にどうなるか。例えば、一年間に百万人の出生数、これは目標値にできないことは承知しておりますけれども、仮に百万人の出生数ということであれば、八十年後の日本は、押しなべていけば大体八千万人ぐらいの日本国だというふうにイメージができるかと思います。

 今の日本の国土の面積と同じぐらいの国土の面積で八千万人の人口の国、ドイツがまさにそうであります。今一億二千万の人口がある日本が八十年後に八千万になっても大丈夫だよというような、国民の皆さんが一つは安心感を持てる数字かなというふうに僕は思います。

 そして、もう一つは、先ほど申し上げましたけれども、人口のピラミッドでいうと、団塊の世代が日本の場合はぽこっと大きなこぶができて、それからしばらくまた少なくなり、その団塊の世代の半分が私たち団塊ジュニアの世代で、ぽこっと半分になります。ここで少子化対策、子育て支援若しくは経済的な支援ができなかったために、その後、団塊ジュニアの下の半分ぐらいのぽこっというこぶがない、ピラミッドがいびつな状態になっている、社会を支える人たちが少なくなっているというのがそもそも人口減少の一番の問題でございまして、押しなべて大体百万人がずっと続くということであれば、支える側、支えられる側、社会としては、構造としては成り立っていくだろうということも含めて、出生数百万人というのは一つの目標になるのかなというふうにも考えております。

 このような考えを私は持っておりまして、例えば、今現状、八十万人を切ったということであれば、八十万をどうやって、これはもう一年目も二年目も三年目もずっと変わりませんので、その分をどうやって補っていこうかというような議論もできるかと思います。

 何が申し上げたいかと申しますと、異次元の少子化対策、人口減少対策ということであれば、このような難しい議論にも真っ正面から取り組む、今この時代に取り組まなければ二十五年後の日本の未来はどうなっているのかという危機意識、問題意識をお持ちであるかと思いますけれども、是非、大臣におかれましては、国民の皆さんを安心させるという意味でも、数値目標というか、合計特殊出生率に常に出生数を加えて皆さんにお示しをいただくということを進めていただきたいと思いますが、今日の少子化対策の全ての私の質問も含めて、御意見や御感想、また御答弁などをいただければ大変ありがたく存じます。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 まず、少子化の影響でありますが、少子化の進行、人口減少は、労働供給の減少、将来の経済や市場規模の縮小、経済成長率の低下、警察や消防などを含む地域社会の担い手の減少、さらには社会保障制度における現役世代の負担の増加や行政サービスの水準の低下など、結婚しない人や子供を持たない人を含め、社会経済に多大な影響を及ぼすものであり、国民全体で危機感を共有すべき課題と認識をしております。だからこそ、総理も再三再四、先送りの許されない、少子化対策は待ったなしの課題ということを申し上げているわけであります。

 他方で、きちんと認識をしなければならないのは、委員御指摘の出生数や出生率というのは、あくまでも子供政策、子育て支援策の結果であって、目標であってはならないということであります。当然、お一人お一人がどのような人生を歩むのか、どのような家族を持つのかというのは、お一人お一人の自由であり価値観に基づくものでありますから、そういったこともしっかりと踏まえながら子供政策や少子化対策というのをやっていかなければいけないとも思っております。

 そうした中で、政府としては、より有効に施策を打ち出せるように、委員御指摘の出生数や合計特殊出生率などの少子化関連データは非常に重要でありまして、常にその動向を注視しながら少子化対策を推進してきたところであります。

 少子化の背景には様々な要因が絡まっていると認識をしておりまして、これらの要因を一つ一つ分析した上で取り除いていく必要があると考えております。こうした要因の分析を行うに当たりましても、出生動向基本調査や少子化社会対策に関する意識調査などの調査を実施、活用すると同時に、これもまた委員御指摘のように、その数字の裏にある個々人の思い、これもしっかりと受け止めるべく、若者や子育て当事者、子育て支援者などから直接お話を伺い、生の声を聞く機会も積極的につくっているところであります。

 今るる申し上げたような観点を重要視しながら、引き続き、マクロの統計データやアンケート調査、さらにはミクロの個々人の意見を共に丁寧に拾いながら施策を推進してまいりたいと考えているところでございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 今、小倉大臣が御答弁いただきましたように、これは、子を持つ親であったり、若しくは産みたいと思っていらっしゃる今の若者世代だけではなくて、多くの国民に影響を与えることだ、私もそのように思っております。ですので、少子化対策への対応というのを国民の皆さんがイメージしやすい、未来をイメージしやすい、安心をしてこの国で子供を産み育て、そして暮らしていけるんだというようなイメージを持てるような啓蒙というか、そのような取組を政府でもより発信していただければというふうに思っております。

 昨日、岡山県の奈義を総理と一緒に大臣は御訪問されたというふうに伺っております。昨日、ツイッターでもその発言を拝見いたしました。総理も社会全体の意識を変えていくことが大事だというふうにおっしゃっていましたが、そのためにも、より分かりやすいメッセージを国民の皆さんに発信していただきますように、そして、それは、こども家庭庁がこの四月からできる、そこの担当大臣になられる小倉大臣のまさに真骨頂だというふうに思いますので、私も子育て世代の議員としてしっかり応援してまいることをお約束いたします。

 今日は、御答弁を本当にありがとうございました。

 よろしければ御退室いただいて結構でございます。

牧島主査 どうぞ。

保岡分科員 続きまして、二つ目の質問に入らせていただきます。

 私が議員になって、今、一年と三か月がたちます。まず初めに素朴に疑問に思ったことは、何て紙が多いんだろうということでございます。

 予算が成立したときに、議員会館に行ったら、机の上にこれぐらい書類がありました。これをみんな見ているのかなというのが率直な感想でございました。そのときに私は、財務省のお持ちいただいた職員の方に一本電話を入れました。この紙の束にもう一枚紙を足してもらえませんか、その紙には、次からもこのように紙で下さい、次からはメールで結構です、どちらかにチェックを入れる紙をもう一枚つけ足してもらえませんか、そのように申し上げました。このことをずっと、来られる各省庁の職員の方にもお伝えしています。

 私、これは紙がもったいないというだけではなくて、この紙を運ぶ官庁の皆さん、特に若手がされると思うんですけれども、こんなことをするために僕は、私はこの省庁に入ったんじゃないんだろうなと思いながらされている方もいらっしゃるのではないかなというふうに思いました。

 そこで、一つ質問でございます。

 これはなかなかまだ取られていないかもしれませんけれども、あえて質問させていただきます。国会全体で省庁の紙にかける予算はどれくらい一年間であるのか、もし分かれば教えていただきたいんですけれども、分からなければ分からないということでも結構でございます。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 どれだけの紙を使っているかということは、各省庁のいわゆる文具費といいますか、そういうものの中の内数ということになっておろうかと思います。

 紙として行っていかなければならないものもありましょうけれども、委員御指摘のように、本来ならデジタルで置き換えられたのではないかというものも多々あろうかと思います。

 そういうことで内数でございますので、いわゆる集計という形にはなっていませんけれども、やはりこの視点は非常に重要な視点ではないか、行政のデジタル化を進める、非常に重要な視点だ、そのように考えるところです。

保岡分科員 ありがとうございます。

 大体どれくらい削減できるかということがイメージできれば、一つ削減の推進に寄与するかなということも含めまして、今この質問をさせていただきました。

 続きまして、マイナンバー、マイナンバーカードについて質問をさせていただきます。

 今、マイナンバーカードを多くの方が取得されていらっしゃいますが、どちらかといえば、ポイントがつくということが先行をして国民の皆さんが取得をされているように感じます。

 私、これは自民党の側で言っていいのかどうか分かりませんが、昨年の秋口に五万円の給付を住民税非課税世帯にされたというふうに承知をしております。これは、住民税非課税世帯への五万円給付の八割近くは六十五歳以上の御高齢の方だというふうに記事が載っておりました。

 何が申し上げたいかというと、七十歳で資産が一億円ある、しかし収入はないという方、五百万円収入はあるけれども、子供が大学生や高校生で通っていて、私みたいに四人子供がいるという御家庭、どっちにこの五万円給付が本当に必要だったかということを考えたときに、明らかに、多くの国民の皆さんは後者であっただろうというふうに思われるというふうに私は思います。

 なぜそうなるか。住民税非課税世帯というのは、収入によってそれが確定をされます。ありていに言えば、収入がなければ住民税非課税世帯。そこに資産はひもづけられていません。

 今、岸田総理が成長と分配というふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、成長の果実を税収で国民の皆さんにまた分配していくというときに、分配というのは、必要な人に必要の額、物が必要なタイミングで行くというのが一番ベストだというふうに私は思います。それができるのは、私はマイナンバーだというふうに考えています。

 そのような観点から、例えば、不必要な社会保障を減らすということも十分に考えられます。マイナンバーカードと保険証が一体となったマイナ保険証に移行することによって、例えば、たくさん湿布をもらっているおじいちゃん、おばあちゃんが百枚ぐらい一か月に使う、そんなに使わないだろう、三十枚ぐらいでその症状だったら十分じゃないかみたいなときに、マイナ保険証を使って、ちょっとこれ以上はできませんよということも可能です。

 成長と分配プラスこのような社会保障においても、マイナンバーの活用、マイナンバーカードの活用というのは非常に有益なものであるというふうに考えておりますが、今後、十年を迎える二〇二六年でマイナンバーカードの見直しも検討しているというふうに伺っておりますので、この際でございますので、どのように今後このマイナンバー、マイナンバーカードを利用して国民生活を豊かにしていくのか、そのような利活用のことを、政務官には、できるだけ具体的に何かイメージができるようなものをお答えいただけたら大変ありがたく存じます。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のように、このマイナンバーカードでありますけれども、今後、デジタル社会を実現していくに当たって、パスポートとも言えるような基本的なツールであろうかと考えております。現在、累計有効申請件数が八千七百万件を超えておりまして、今や最も普及した本人確認のためのツールともなろうとしているところです。

 そういう中で、委員御指摘のとおり、このカードを持っているとこのように便利だというメリットを増やしていくということ、そしてそれを国民の皆様によくお伝えしていくということ、このことが非常に重要だと考えているところです。

 これまでの段階では、まず健康保険証としての利用を令和三年十月から本格運用を開始いたしました。そして、この結果、こういうこともあり、今、薬剤情報や特定健診情報の閲覧利用ができるようになった、さらには医療費の情報の閲覧利用が可能となった、これはマイナポータルなども通じて可能となったわけでありますが、更に言えば、国内外で利用可能なワクチン接種証明書の取得なんかも簡易にできるようになり、更に言えば、確定申告の際の医療費控除とか、ふるさと納税の手続のオンライン完結とか、こういう形で利用シーンも拡大をしてきているということであります。

 健康保険証としての利用を行っていくことができるようになれば、先ほど申し上げたような薬剤情報について共有することができる、結果として重複投薬を防ぐことができるなどという形で、患者御本人の健康医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けていただくということが可能となってくるわけでございます。これは、マイナンバーカードのメリットとして是非お伝えをしていきたいと思います。

 ただ、今後大事なこととして、更なる利便性向上を図っていくということも大事だと考えておるところでございまして、そういう観点から、マイナンバーカードの機能、特に電子証明書としての機能をスマートフォンに搭載すること、さらには運転免許証と一体化をすること、国外でも国内向けに利用することができるようにすること、さらには在留カードと一体化をすることなど、今現在、関係省庁と鋭意準備を進めておるところです。

 マイナンバーカードを通じて様々なメリットが享受できるということを国民の皆様に実感していただけるように、引き続き、カードの利活用を推進し、デジタル社会を実現してまいりたい、そのように考えるところでございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 もう質問時間を過ぎましたので終わらせていただきたいと思いますが、最後に、ICチップにいろいろなデータが入っておりますので、成立過程で今入っている事情もよく分かりますが、見直しの十年ということで、顔写真であったりマイナンバーのナンバーがそこに記載されていたり、できるだけ、国民の皆さんの不安、個人情報の漏えいも含めて不安がないような措置も含めて利活用を進めていっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ質問を考えておりましたけれども、もう時間となりましたので終えさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

牧島主査 これにて保岡宏武君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮下主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鰐淵洋子君。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。

 小倉大臣におかれましては、今、我が国における重要課題である少子化対策、また子供政策、そして共生社会を担当されております。激務かと思いますけれども、我が党としましても、小倉大臣をしっかりとお支えいたしまして、具体的に提案をさせていただきながら、共に取組を進めてまいりたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めに、多様性を認め合う共生社会の実現の取組について大臣にお伺いをいたします。

 私は、二月十日、山口代表とともに、プライドハウス東京レガシーを訪問いたしました。そこで、LGBTなど性的少数者の方から直接話を伺ってまいりました。

 元総理秘書官の発言に対しまして、強い憤り、怒り、そして深い悲しみ、苦しみに打ちのめされている、また一方で、冷静だったという方もいらっしゃいました。それは、またかとあきれている、また、諦めのような心境だったと思います。これは、これまでどのようにつらい思いをしてこられたか、悲しい思いをされてきたのか、私自身が伺ったのはほんの一部ではございましたけれども、お一人お一人の声を伺う中で、改めて、胸が苦しくなり、この問題はしっかりと今国会で前進をさせていかなければいけないと決意を新たにしたところでございます。

 そして、ある方から、この問題に対しまして、私たちの命に向き合ってほしい、そういったお話もございました。この問題は、一人一人の人生、人格、生き方に関わることでございますので、それを否定されるということになります。ですから、どれだけ重大な問題かということを改めて私たちも自覚させていただいた上で、多様性を認め合う共生社会の実現、一日も早く実現をしていかなければならないと思います。

 また、二月十日、内閣委員会で、國重議員と小倉大臣の質疑、答弁を拝見させていただきました。大変に勉強になりました。

 その質問と質疑の中で、このようなことがございました。まず、そもそもなぜ差別や偏見が生じるのか、それは、性的指向や性自認は生まれながらの個性、個人の性質であるということなど、性的指向、性自認の多様性に関する正しい理解が普及していないから、そういったことがございました。また、そのほか、この課題は、少数者に権利を認めるとか与えるという視点ではなく、元々同じ権利があることを前提に、人権保障を阻む障害を除去するという視点で取り組むべきものである、こういったこともございました。

 このような認識に立ちまして、真の共生社会の実現に取り組んでいかなければならないと思っております。

 小倉大臣御自身も、二月十七日に、当事者の方から直接声を伺われております。改めて、多様性を認め合う真の共生社会の実現へ政府としてどのように取り組んでいかれるのか、その対応と大臣の御決意をお伺いいたします。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 まず、大前提として、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないということでございます。

 私が担当いたします共生社会というのは、委員も御指摘いただいたように、全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利、あるいは人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利が尊重される社会だというふうに認識をいたしております。

 先週の金曜日、私もLGBTの当事者の方々の御意見を直接お伺いいたしました。その中に、御党の山口代表と鰐淵議員がお会いされた方も含まれておりました。家族に理解されず誰にも相談できない、心が許せる人間関係がつくれず孤独にさいなまれるといった事例ですとか、性的マイノリティーの方は自殺におけるハイリスク層であるというようなお話を伺いまして、メッセージの中には、自ら命を絶った友人の分までメッセージを届けに来た、こういう話もございました。そういった中で、私としてもこの問題の重要性を改めて確認したところであります。

 私が担当する担務の中に孤独・孤立対策がございます。その対策におきましては、一つの番号からNPOなど関係団体が連携をして相談を受け付ける窓口対策、いわゆるシャープ九九九九でございますが、の試行を行ってございます。これまでの試行におきましては、利用者が選択できる分野の一つに、性別の違和や同性愛に関して相談したい方を設けて試行を行い、孤独、孤立に悩む方が声を上げやすい環境整備に取り組んでいるところでございます。

 政府といたしましても、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けて、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 大臣御自身が面会をされて伺ったお声を受け止めて、取り組んでいただけることだと思います。

 私自身の話で恐縮ですけれども、文部科学大臣政務官をさせていただいたときに、ハンセン病の元患者の方また御家族の方とも関わらせていただきまして、人権教育の充実に取り組んでまいりました。そういった中で、コロナが発生いたしまして感染が広がる中で、コロナに感染した方に対して差別をする、そういったこともある中で、この人権の問題、差別、偏見をなくすという取組、いろいろな分野でいろいろな方々が尽力しておりますが、なかなかこれを根絶することは本当に難しいということを改めて私も実感させていただいております。

 今回、元総理秘書官の発言があって、今こういった注目をされておりますけれども、改めて、だからというわけではございませんが、こういった日本社会にはびこる偏見、差別を根絶させていくことは難しいことではありますが、絶対に根絶させる、これは悪いことなんだ、その認識に立って取組を続けることが重要であると思っております。

 今、孤独、孤立の観点からもということでお話がございました。多岐にわたる問題にもなってまいりますので、是非とも、引き続き、大臣のリーダーシップの下、共生社会の実現ということでしっかりとお取組をお願いしたいと思います。

 これは要請になりますけれども、先ほども申し上げました私が訪問させていただきました施設、プライドハウス東京レガシーですけれども、ここは、当事者の方の情報発信の場所だったり、また相談体制が組まれていたりということで、こういった方々にとってはなくてはならない場所になっていると伺いました。今後の課題にはなるかと思いますが、こういった拠点、居場所づくり、これも大変に重要な課題、取組になってくるかと思います。これをしっかりと我が党としても取り組んでいきたいと思いますが、そういった課題があるということも是非とも大臣には御認識をしていただいて、お取組を進めていただきたいと要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、少子化対策、子育て支援に取り組む上での教育の重要性について大臣に伺わせていただきたいと思います。

 少子化対策、子育て支援に取り組む上で、その方向性の一つに、子供の幸せを最優先する、こどもまんなか社会の実現がございます。子供たち、若者一人一人が個性や能力を生かし活躍できる社会をつくることがひいては日本社会の安定と繁栄につながる、そういった観点からも、少子化対策、子育て支援に取り組む上で、子供や若者の幸せを実現するための教育の充実、これが大変に重要であると私は考えております。

 しかし、今、多様な子供たちの置かれている環境また抱えている課題は、先日も予算委員会で触れさせていただきましたが、不登校だったり、また虐待、いじめ、貧困等、多様化、複雑化しております。先ほど大臣からもお話がございましたLGBTなど性的少数者の皆様から私も伺いましたが、性的指向、性自認が理解されなくて、それが背景にあって、いじめ、不登校、自殺につながっている、そういったお話も伺いました。

 このように、子供たち、若い方々が抱えている課題また問題というのは様々ではございますけれども、だからこそ、誰一人取り残さない、また、子供、若者一人一人が自分らしく活躍することができるように、一人一人に光を当てた教育、一人一人の個性や能力を引き出すための教育が今こそ求められていると思っております。

 具体的な施策につきましては、これも先日の予算委員会で私からも取り上げさせていただきました。例えば、GIGAスクール構想の推進だったり、少人数学級の推進、多様な教員の確保、また先生方の働き方改革を進めていく、こういった様々な施策に一つ一つ取り組む中で、子供たちのための教育を実現することが重要であると思っております。

 そこで、改めまして、大臣に、少子化対策、子育て支援に取り組む上で、教育施策の重要性について大臣のお考えをお伺いいたします。

小倉国務大臣 委員御指摘のとおり、教育の振興を図ることは、子供の成長を学びの側面から支えていく上で大変重要だと考えております。

 こども家庭庁の設置に当たりましては、教育については文科省の下でこれまでどおりその充実を図り、こども家庭庁は子供の育ちを保障する観点から必要な関与を行うことといたしておりまして、こども家庭庁と文部科学省が密接に連携することにより、子供の健やかな成長を保障してまいりたいと考えております。

 こども家庭庁の発足を待たずして、既に、委員御指摘のいじめや不登校の問題につきましては、私と永岡文科大臣の下で、必要に応じて関係省庁会議を開催いたしましたりとか、連携をしているところであります。しっかり、教育と育ちのところの連携を図ってまいりたいと思います。

 また、少子化対策の観点で教育施策を捉えた場合、少子化の主な要因として、やはり、子育てや教育にかかる費用負担の重さが指摘されているところでありまして、教育費の負担軽減は重要な論点であるとも考えてございます。

 そういった中で、いずれにしましても、様々な意見に耳を傾けながら、今日も関係府省会議を開催させていただきまして、総理の御臨席も仰ぐ予定でありますが、来月末を目途として、子供、子育て施策として充実する内容の具体化を図ってまいりたいと思っております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 どうしても、少子化対策といいますと、その中における教育の政策の充実は、やはり教育費の負担軽減が主にクローズアップされるかと思います。ただ、繰り返しになりますが、子供たちの幸せ、子供たちを真ん中に置いた社会をつくる上で、子供たちがどう成長していくのか、活躍をしていくのか、そう思ったときに、やはり教育の充実、質の確保、これが大変に重要になってくるかと思います。繰り返しになりますけれども、負担軽減と併せて、こういった一人一人のための教育の充実ということで、これはしっかりと文科省も頑張らなきゃいけないと思っておりますが、連携を取っていただいて、充実にしっかりと取り組んでいただきたいと、改めて、重ねて要請をさせていただきたいと思います。

 その上で、ちょっと関連になりますけれども、今、教育の重要性につきましても大臣からも答弁をいただきましたが、教育施策の充実を具体的に進めていく上で、私として改めて大臣に御要望というかお願い申し上げたいのが、先ほども申し上げたような一つ一つの施策を充実させていく、教育についてもしっかりとやっていくことはもちろんでございますが、子供に関係する、そういったほかの施策もあります。

 例えば、文化芸術だったりスポーツ。これも、学校教育の中におきまして、例えばクラブの地域への移行がこれからございますけれども、クラブ活動も、やはり子供たちが成長する上で文化芸術だったりスポーツも関わってきておりまして、子供の心の部分、また体の成長も含めて、また、協調性を育んだり、そういったことを学ぶ上でも部活動も大事であって、その部活動に文化芸術やスポーツも関わってまいります。そういったことから、教育と一言で言いましても、文化芸術だったりスポーツ、また科学技術、こういったことも含まれてくるかと思います。

 ですから、是非とも、今後、少子化対策また子育て支援の議論をいろいろ進めていく上で、教育と併せましてこのような文化芸術、スポーツ、幅広くしっかりと議論をしていただいて、施策をしっかりと検討していただいて打ち出していただきたいということを考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 子供、子育て施策の充実につきましては、総理から示された、児童手当を中心とした経済的支援の強化、幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、さらに、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実の三つの基本的方向性に沿って議論を進めているところであります。

 出生動向基本調査によれば、理想の数の子供を持たない理由といたしまして、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答した方が五割を超えておりまして、教育費の負担軽減は重要な論点であると考えております。

 そういった意味では、文化芸術、スポーツ等に関する施策につきましては、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む障壁を取り除くという少子化対策との関係の整理など、慎重な検討が必要であるとは認識しておりますが、ただ、こういった文化芸術、スポーツといった子供の健やかな成長を促すものについては、こども家庭庁そのものにおける重要な役割だと思っております。

 そういう意味では、こども家庭庁が発足をして、今年の秋にはこども大綱を策定する予定でありますので、先ほど委員から御指摘をいただきました、いじめや不登校といった支援を必要とする子供の様々な施策と併せて、文化芸術やスポーツをこども大綱の方にしっかり検討事項として盛り込んでいきたいというふうにも考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 直接的な少子化対策につながらないかもしれませんが、今大臣がおっしゃっていただいたように、健やかな子供たちの成長を思ったときにやはり関わることでもあると思いますので、繰り返しになりますが、幅広く御検討していただきたいと重ねて要請させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今大臣からも、少子化対策、子育て支援の上で、やはり教育の分野では経済的支援ということでお話もございました。そこで、改めて、高等教育の経済的支援について大臣にお伺いをしたいと思います。

 学ぶことを希望する人たちが家庭の経済状況にかかわらず学べる環境をつくることは、子供や若者が自分の夢や希望を実現する、また、自分らしく活躍することができるためにも取り組むべき重要課題でございます。また、子供が大学生になったときに教育支出が大幅に増加することがデータでもはっきりと示されておりますので、先ほど大臣におっしゃっていただいたとおり、子育て支援、少子化対策という観点からも、特に高等教育の負担軽減は大変に重要な政策であると考えております。この点につきましては、こども政策の強化に関する関係府省会議の有識者の方、また、先日行われました予算委員会の中央公聴会の公述人からもその重要性を意見表明されているところでございます。

 我が党としましても、これまでも希望する人が学ぶことができるようにということで、奨学金の充実に一貫して取り組んでまいりました。その上で、昨年、更に充実を求めさせていただいておりまして、特に負担軽減の必要性の高い多子世帯と理工農系の学生を始めとする中間所得世帯まで拡充すること、これにしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 あわせまして、奨学金の返還制度につきましても見直しを要請させていただいておりますが、この件につきましては、若い方々から、奨学金の返還が重くのしかかって、結婚することや子供を持つことにためらってしまう、また諦めてしまった、そういった声も数多く伺っております。このような若い方々の声を受けまして、奨学金の減額返還制度につきましても、ライフイベントを踏まえて柔軟に返還できるように見直しに取り組んでいただきたいと要望させていただいております。また、その際には、月々の返還額を減額することによって返還期間が長引いたとしても、利息の負担が増えることがないように、重ねて要請をさせていただきたいと思っております。

 この件、総理の方にも質問させていただきましたが、改めて、給付型奨学金の拡大と減額返還制度の見直しについて、その重要性と取り組む決意を大臣にお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 先ほどから委員御指摘いただいておりますとおり、教育費の負担軽減は重要な論点であると認識をしております。

 現在、文科省では、御党からの御指摘なども踏まえまして、給付型奨学金について、令和六年度から御指摘のように多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大する、こうした見直しの作業を進めていると承知をしております。また、奨学金の減額返還制度につきましても、ライフイベントを踏まえた柔軟な返還が可能な具体的な枠組みを検討しているとこちらも伺っているところであります。

 現在、総理から指示をいただいております子供、子育て施策として充実する内容の具体化につきましては、たたき台の取りまとめを今しているところでありますが、これについては、社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなくライフステージを通じた施策のパッケージを示す必要があるとも考えております。そうした観点で今後幅広く議論を進めていくことから、現時点では個別の施策の是非を述べる段階にはないと考えておりますが、いずれにしても、様々な意見に耳を傾けながら、来月末に迫っておりますので、来月末までに、子供、子育て施策として充実する内容を具体化してまいりたいと思っております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 是非、早期に決定をしていただいて、周知することも重要になってまいりますので、御対応よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、子供を事故から守る対策について質問させていただきたいと思います。

 昨年十一月に、子供がマンションから転落をして亡くなるという事故が相次ぎました。千葉市のマンションの二十八階から、また大阪の豊中市で四階から、いずれも二歳の男の子、また、青森の八戸市で十階から四歳の男の子が転落をして亡くなったという本当に悲しい事故がございました。

 このようなマンション等からの転落事故につきまして、私は、五年前、平成三十年の十一月、消費者問題に関する特別委員会で取り上げさせていただきましたが、それ以降も残念なことにこのような転落事故が続いております。また、これから気候がよくなりまして、窓を開ける機会が増える春、転落事故というのは特に春と秋に七割を占めているということでございまして、これから春に向けてしっかりと事故防止に取り組む必要があるということで、改めてこの問題につきまして質問させていただきたいと思っております。

 まず、消費者庁に確認をさせていただきたいと思いますが、マンション等からの子供の転落事故について、現状やその原因について伺いたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 住居などの窓やベランダからの転落事故につきまして、厚生労働省の人口動態調査では、平成二十九年から令和三年までで九歳以下の子供の死亡事故が二十三件、それから東京消防庁の緊急搬送データでは、平成二十九年から令和三年までで五歳以下の緊急搬送が六十二件報告されております。

 子供の中でも三歳から四歳の転落事故が多く、ベランダに足場になるものが置かれていた事例、それから、窓の網戸に寄りかかった際、網戸が外れて網戸ごと落ちてしまった事例などが報告されてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 やはり転落事故は依然減っていないということと、また、具体的な原因といたしまして、ベランダに踏み台があってそれに乗ってしまったとか、網戸に寄りかかってしまったとか、今、いろいろ具体的な原因等もお話しいただきました。そのほか、年齢別で見ると三歳とか四歳が多いということでございます。

 また、これはお話ありませんでしたが、季節、時期を見ると、五月から六月、また七月、八月、要するに気候のいいとき、窓を開けるとき、そういった時期が多いということを私も伺っております。

 そういった中で、転落事故につきましては、なぜ続くのかということは、どうしても、こういった事故が他人事になってしまう、我が家ではそういったことが起きない、そういった認識がやはりどこかにあるのではないかと思っております。改めて、防げる事故ということを私たちも認識をして、関係者の皆様にも周知していくことが重要であると思っております。

 そもそも、ベランダなんですけれども、高さは建築基準法で一・一メートル以上となっておりまして、それに対して、四歳児、事故の多い四歳児ですけれども、男の子の身長は、厚生労働省によりますと百三・七センチメートル、女の子が百二・九センチメートル。ですから、ベランダの前にテーブルとか椅子、そういった踏み台になるものを置きますと、それに子供が上ることによって柵から顔を出して下をのぞき込むことができる、そういった危険な状況になってしまいます。

 また、これは東京都の検証実験なんですが、四歳の子供が、柵に少しでも足をひっかけるところがありますと、自分でよじ登ってしまう、八割の子供がよじ登ってしまうことができた、そういった報告もございました。

 ですから、このような事故は我が家でも起こり得る、それはしっかりと認識を持っていただくこと、そして、防ぐことができるということも改めて周知していく必要があると思っております。

 その上で、事故を防ぐ上で、当たり前のことなんですが、ベランダにテーブルとか椅子を置かない、そういったことはもちろんですが、そもそも一人でベランダ、窓の外に行かせない、そういった取組も重要ではないかということで、専門家の方のお話でございますが、具体的な事故防止策といたしまして、窓枠に補助錠を設置する、こういったことが効果的であると伺っております。

 この補助錠の設置に当たりましては支援策があるということで伺いましたので、これをしっかりと活用していくことも必要であると思っております。まず、この支援策について国交省の方にお伺いしたいと思います。

楠田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、安全、安心が確保された子育てしやすい共同住宅の整備等を推進する観点から、令和三年度補正予算において、子育て支援型共同住宅推進事業を創設いたしまして、共同住宅における子育て環境の充実に取り組んでいるところでございます。

 この事業では、共同住宅における子供の安全、安心の確保に資する設備の設置等を対象としておりまして、先生御指摘のベランダ等からの子供の転落防止の観点からは、小さなお子様が一人でベランダへ入れないように、ベランダに面する窓の高い位置に補助錠を設置することでありますとか、子供が容易によじ登れないように、足がかりのない形状の手すりを設置することなどを補助の対象といたしております。

 この事業につきましては、令和五年度予算案におきましても所要の経費を盛り込んでいるところでございまして、引き続き、共同住宅における子育て環境の整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 五年前にこの質問を取り上げさせていただいたときにはこういった支援がなかったと思いますので、是非、こういった事故防止を進める上で後押しとなるものだと期待をしております。

 改めて、消費者庁と国交省にお願いしたいと思いますけれども、こういった事故は防ぐことができるものですので、特に消費者庁は、これまでも、パンフレットを作っていただいたり、ポスターを作っていただいたり、周知徹底していただいておりますが、これから春になりますし、そういったことも踏まえて、今国交省に説明をしていただいた補助錠の設置も有効的である、こういったことを御家族、保護者、また関係者の皆様にしっかりと周知をしていただきたいと思っております。

 国交省の方にも是非そういった周知徹底をしていただきたいと思いますが、お取組について、それぞれお伺いしたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がありましたように、消費者庁では、これまで、累次の注意喚起を行ってきておりますほか、メールマガジンそれからSNSなどの媒体を用いた消費者への注意喚起も、随時、事故が起きるたびに行ってきているところでございます。

 委員からも御指摘がございましたけれども、出入口の施錠、補助錠、ストッパーの活用、窓やベランダに足がかりになるものを置かないことなど、保護者が注意すべきポイントを示してきているほか、事業者団体の取組として、手すりへのシール貼付けによる注意表示、それから、安全に配慮した製品として、子供の手が届かない高さに鍵を設置した窓サッシであるとか、あるいは、足がかりにならない工夫をした手すり等の製品などの紹介もしてきているところでございます。

 また、今御説明ありました国交省の支援策についても、昨年七月の子どもの事故防止週間では周知をし、自治体にも情報提供してきているところでございまして、これからも、まさにこれから春、五月と九月に事故が多いということもございますので、改めて周知徹底を図ってまいりたいというふうに思います。

楠田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、マンションのベランダ等からの子供の転落事故を防止していくためには、居住者等に注意喚起をいたしまして、必要な対策をしっかり進めていただくということが大変重要だというふうに考えてございます。

 このため、国土交通省におきましては、今月の九日に、マンションの管理でありますとか賃貸とかに関する関係団体に対しまして通知を発出いたしました。その中身として、ベランダ等からの子供の転落防止に関する注意喚起、そして子育て支援型共同住宅推進事業を活用いたしました転落防止設備の設置の促進といったことについて、所属の管理組合、管理会社、居住者等への周知啓発を依頼したところでございます。

 今後とも、居住者等への注意喚起を繰り返し行いますとともに、補助事業を活用いたしました転落防止対策を促進するなど、子供の転落事故の防止にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 子供たちの貴い命を守ることができるわけですので、こういった事故が起こらないその日までしっかりと取組を続けていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 この問題につきまして、前回の質問の際に、高所平気症ということも取り上げさせていただきました。大臣、この言葉を聞かれたことはありますでしょうか。高所恐怖症の反対の高所平気症、そういったことが関係するのではないかという専門家の方の御指摘もございました。今、高層マンションが増えている中で、幼いときからこういった高層マンションに住んでいることによって高さの感覚がつかめない、ですから、高いことが怖いということが感じられないという子供が増えてきているのではないか、そういった指摘もございました。

 こういった問題がありますので、消費者庁につきましては、こういった観点も踏まえた上で、今後、子供たちの命を守るための対策をしっかりとやってもらいたいということで質問させていただきましたけれども、今日はちょっと時間の関係で、また次回にさせていただきたいと思っております。

 その上で、改めて、子供たちを事件、事故から守る上で、大臣に最後に質問させていただきたいと思いますが、いろいろ、このように環境や時代の流れの中で子供たちの環境も変わってきていますので、今申し上げたような高所平気症とか、そういった現象も考えられるかと思います。そのほか、今、様々な、発達する中で、例えばパソコン、メールがそれぞれ皆さん使えますので、そういった中で、やはり子供たちが、例えば闇バイトとか出会い系とか、そういった事件、事故に巻き込まれる、そういったことも増えてきております。

 そういった中で、子供たちを守るという上で、総合的に子供たちを守るための対策をしっかりと取り組んでいく必要があると思います。しっかり、政府を挙げて、大臣の下で取り組んでいただきたいと思います。最後、御決意をお伺いしたいと思います。

宮下主査代理 小倉大臣、簡潔によろしくお願いします。

小倉国務大臣 答弁にもありますように、子供の安全を守る取組は各省庁において的確に実施をされてきたと思います。

 その上で、再来月発足をするこども家庭庁は、子供政策に関する司令塔として、子供の安全に関する課題についてもしっかりと総合調整機能を担ってまいりたいと思います。

 委員御指摘のような子供を取り巻く環境変化をしっかり踏まえつつ、全ての子供が健やかに成長できる安全、安心な環境を提供していくことが子供政策の基本であると思っておりまして、引き続き、子供の命と安全を守るために、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

宮下主査代理 これにて鰐淵洋子君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田久美子君。

吉田(久)分科員 公明党の吉田久美子でございます。

 まずは、先ほどの我が党の鰐淵議員とも重ねてになりますけれども、LGBT理解増進法についてお伺いしたいと思います。

 総理は、本年一月、今国会の施政方針演説におきまして、多様性が尊重される社会、包摂的な経済社会をつくる意思を力強く表明されました。

 私は、四年ほど前、主催する会でLGBTのシンポジウムを企画し、当事者の方たちと打合せを兼ねた面談をしたことがありました。自らの性自認と性指向について、幼い頃から混乱し苦悩してこられたことをお聞きして、本当に胸が痛みました。また、公明党の後押しでパートナーシップ制度が各自治体で進むのはありがたいけれども、本当に望むのは法的な結婚であり、性的少数者である自分たちは結婚という制度を使うことが許されない下等国民に位置づけられているんだというふうに感じると本音を吐露されたときには、はっとしました。私にとって、当事者に直接お会いしてこそ得られた重大な気づきでした。

 公明党は、性的指向と性自認に関するPT、また同性婚検討ワーキングチームにおきましてこれまでも議論を深め、先日、我が党の山口代表も当事者と会って切実な声をお聞きし、岸田総理にも直接お会いされることを提言しましたが、先日、十七日に、総理と、小倉大臣も同席されて、当事者の方々との面会が実現したこと、これは高く評価したいと思います。

 元総理秘書官の性的少数者に対する差別発言は、政府の目指す共生社会とは全く相入れない内容であり、総理も、当事者団体の方に、極めて不適切で多くの方に不快な思いをさせたことをおわびしたと報道されております。

 三か月後の五月には我が国はG7議長国としてサミットに臨むわけですが、LGBTについて法的制度を持っていないのは日本のみであり、G7開催の前にLGBT理解増進法の成立を目指すべきだと強く主張いたします。

 そもそも、LGBT理解増進法は、一昨年の超党派の議員連盟で合意したものの、法案成立が見送られた経緯があります。今こそがタイミングではないでしょうか。早期の理解増進法成立を入口に、今後、差別禁止法、さらに、同性婚の法制化についても前向きに議論を進めるべきだと思いますが、小倉大臣に、当事者の方々とお会いして感じられたことを含めて、政府としての、LGBT理解増進法、G7前の早期成立への思い、できれば決意をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 お答えさせていただきます。

 LGBT理解増進法につきましては、各党においても提出に向けた準備が進められていると承知しておりまして、政府としては、まずはこうした議員立法の動きを尊重しつつ見守っていきたいと考えております。

 その上で、当然、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えております。

 先週金曜日、私も総理とともに、LGBTの当事者の方々の御意見を直接お伺いすることができました。家族に理解されず、誰にも相談できない、心が許せる人間関係がつくれず孤独だといった事例を紹介をしていただきまして、この問題の重要性を改めて確認したところでありますし、当事者の皆様方の苦しい真情を吐露していただいて、私自身も胸にぐっと迫るものがあったわけでございます。

 そういった中で、先ほども申し上げたように、孤独・孤立対策担当大臣として、そういった方々が孤独、孤立にならずにしっかりと声を上げられる、相談できる環境整備にも努めてまいりたいと思っておりますし、正しい理解をしていただくための普及啓発活動も重要だというふうに認識をいたしております。

 そうした取組を進めた上で、政府といたしましては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、G7サミットや関係閣僚会合の場を捉まえまして、政府のこうした姿勢、しっかりと理解していただけるようにも努めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)分科員 是非推進していただきたいと思います。

 続いて、女性の経済的自立と年収の壁の問題についてお伺いしたいと思います。

 我が国は、G7の中での立ち位置でいうと、ジェンダー平等、男女格差の解消が、政治参画そして収入の面で大きく遅れております。給与の男女間格差については、フルタイム労働者の比較でG7最下位であります。

 女性活躍推進法の改正によって、昨年七月からは、男女賃金格差の開示が従業員三百一人以上の企業に義務づけられたわけですが、そもそも女性は、令和四年で見ても、二十五歳から二十九歳間の五九・七%、およそ六割をピークに正規雇用比率がL字カーブを描いて下がっており、つまり、結婚、妊娠、出産を機に、離職して無職になったり、非正規雇用化している割合が多いことが最も大きな原因であると思われます。令和元年までの五年間のデータでの妻の就業変化、これを見ますと、第一子出産前後での出産退職は三割、また、妊娠時に既に無職の方を足すと四割を超える方が仕事を離れております。

 かつて、専業主婦というと、高収入の夫の扶養の中で比較的裕福な生活をしているというイメージが強いわけですが、二〇一八年、子育て世帯全国調査において分かったことは、約十四人に一組の専業主婦家庭は貧困であるということです。

 この貧困専業主婦の存在を、このタイトルの著者である周燕飛氏によって私も初めて知りました。周氏の調べでは、専業主婦と短時間のパートや非正規雇用での働き方を行ったり来たりしている準専業主婦という方を足すと、全体の三分の二を占めるというふうに言われております。確かに、コロナの影響前の二〇一五年の国勢調査によると、本格的に正規雇用で働く女性は、年々増加傾向にあるとはいえ、いまだに三三・一%、三割しかおりません。

 日本の主婦パートは四低一高と言われているそうです。低賃金、低要望、低意識、低組織化、そして高能力。企業にとっては大変ありがたい存在で、コストカットが必要なときには解雇も簡単、事業拡大のときだけ使える。しかし、この貧困専業主婦、準専業主婦という存在が、今後、貧困女性高齢者を大量に生むかもしれない。超高齢化社会を迎える日本が、これまで都合よく、安く利用してきた女性をどう社会で包摂していくのか、大変大きな課題であると思います。

 女性の経済的自立を国としてしっかりと後押しし、そこがあってこそ子供を安心して産み育てられる社会になっていくと思いますが、この女性の経済的自立の重要性について、小倉大臣の見解をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 吉田議員からは、貧困専業主婦や四低一高という言葉を紹介をしていただきまして、今の女性を取り巻く厳しい現状を御指摘をいただきました。

 女性の経済的な自立は、人生百年時代を迎え、高齢期を含め、女性が長い人生を通じて経済的困窮に陥らないようにするために極めて重要だと考えております。また、全ての女性が、四低一高という話もありましたが、その意欲と能力に応じて活躍できる環境の基盤となり、ひいては安心して子供を産み育てられる社会の実現につながるものであるとも考えております。

 これまでの取組によりまして、女性の就業者数は増え、M字カーブの問題は解消に向かっておりますものの、御指摘いただきましたように、男女間の賃金格差ですとか、L字カーブに象徴されるような構造的な課題はまだ残されておりまして、女性の経済的な自立の実現は道半ばだ、こういう認識でおります。だからこそ、岸田内閣では、目玉施策である新しい資本主義の中核に女性の経済的自立を位置づけ、政府一体で取組を進めているところであります。

 女性の経済的な自立が遅れている背景といたしましては、非正規雇用労働者に女性が多いことや、家事、育児等の無償労働時間が女性に偏っておりますこと、長時間労働などの労働慣行、女性の就労の壁となっている諸制度、さらには固定的な性別役割分担意識など、様々な問題が存在をしていると認識しております。

 このように、女性の置かれている状況というのは様々でございますので、そうした女性の経済的自立に向けた取組を更に強化する方策といたしましては、女性に多い非正規雇用労働者の待遇改善や正規化の促進、リスキリング、女性デジタル人材や女性起業家の育成、男性の育児休業取得の促進、仕事と子育てを両立できる環境の整備、女性の視点も踏まえた社会保障制度や税制等の検討など、あらゆる角度から取組を進めてまいらねばならないというふうに考えております。

吉田(久)分科員 年収の壁についてお伺いしたいと思います。

 最近、年収の壁について御意見をいただくことが大変増えました。この壁があることで、給料は上がっても、年収が壁を越えないように就業調整をせざるを得ない。小規模事業者さんからも、年末の忙しいときに人手不足に拍車がかかる、もっと働けるように、特に、百六万、百三十万の壁と言われる社会保険料の加入を義務づける壁を、年収の壁を高く設定してほしいというお声さえ少なくありません。

 その方々に、私は、負担ゼロで国民年金満額もらえるという第三号被保険者のメリットよりも、むしろ、その壁を越えて年収をアップしていただき、税も納めて、また、厚生年金を受け取れる社会保険料を負担する第二号被保険者に移行された方が生涯収入では一億円から二億円の差がつくという説もありますけれども、そういうことをお知らせして、実ははるかにお得なんだというお話をすると、多くの方が驚きつつも納得していただけます。

 百三万とか百三十万という年収の壁を越えたらデメリットしかないと思い込んでいらっしゃる方が多いこと、社会保険に入りやすくなって、女性の経済的自立を後押しする制度であることがよく知られていない、浸透していないことをとても残念に思います。

 実は、就業調整実施者の八割は、働き損にならなければ今より多く働きたいと答えているというデータもあります。確かに、壁を少し越えるだけでは負担が増えて手取りが減るわけですが、厚生年金に入れば、生涯受け取れる年金が増えるだけでなく、傷病手当金や出産手当金もつく等々、大きなメリットが知られていない。せっかくの時給アップが収入増になっていない現下の状況を変えること、貧困専業主婦を増やさないことが重要だと思っております。

 私は、壁を越えるメリットを、勤務時間や増える年金額また収入額、もっと具体的な数字にして分かりやすくお示しすることが必要ではないかと。壁を越えることが、家計の今だけではなく、長い将来にわたって得るものが大きいとのお得感をしっかり知っていただくこと、その努力をもっと行政が力を入れてすべきではないかというふうに考えますが、政府の見解をお尋ねいたします。

朝川政府参考人 御指摘いただきましたとおり、短時間労働者が労働時間を増やしまして被用者保険の適用基準を満たした場合、将来、基礎年金に加えて、厚生年金による報酬比例部分、二階部分が上乗せされましたり、医療保険から傷病手当金が支給されるなどのメリットがございます。現在、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大を進めており、国民の方々にこうした老後の所得保障充実のメリットなどを分かりやすく説明し、理解を得ていくことが非常に重要であると考えております。

 厚生年金による年金額の増額につきましては、増加する年金額の目安をケース別にイメージできるよう、特設サイトでありますとかガイドブック、動画の公開をしております。また、個々人の年金加入記録を踏まえて、年収の変化により将来受給可能な年金額が幾らになるのか簡単に試算できる公的年金シミュレーター、こちらを今年度より運用を開始して、広報に努めているところでございます。

 引き続き、具体的なメリットの周知を進めてまいります。

吉田(久)分科員 「貧困専業主婦」の著者である周氏によれば、個人の選択を尊重しつつも、行政が情報などを提供して国民を賢い選択に軽く誘導すること、英語でナッジというそうですが、これを推奨しておられます。行政による軽いおせっかいとも言えますが、このナッジの手法を取り入れて、本人と家族、そして社会の持続可能性を高めるためにも、第一子出産で仕事を辞めてしまうことを防ぎ、また、第二号被保険者への加入者を増やすこと、的確な選択に必要な分かりやすい情報に触れやすくすることが今行政に求められていると思いますので、またその工夫を是非重ねてお願いしたいと思います。

 続きまして、働く女性の更年期について質問をさせていただきたいと思います。

 今、厚労省では、女性の更年期障害の実態について、公衆衛生の観点から、三年をかけて専門家による医学的調査に取りかかったと聞いております。学術的な研究であり、これも重要な取組であると理解はしているところであります。

 ただ、それだけではなくて、女性特有の、子供を出産することを担う性として生まれ持つホルモンの激変期に女性が人生に何度もさらされることについて、社会がそれを理解し、寛容であることが求められていると思います。

 生理の貧困という言葉が示すのは、経済的な困窮によって生理用品が買えないというだけではなくて、女性が毎月ホルモンバランスが乱れるという身体的つらさを抱えて生きているという事実が見えていない職場や環境が多いということも含むと思います。社会の認識の貧困です。したがって、生理休暇の制度を整えても、実際取れないという声を多く聞きます。四人に一人が生理中は痛み止めが手放せないにもかかわらず、この取得率も〇・九%という現状です。

 更年期については、更に認識の貧困度は大きいと思います。今まで見過ごされてきた更年期の女性の抱える問題を明らかにし、社会の側が認識を深めていけるような環境整備が女性活躍という視点でも極めて重要だと思います。

 小倉担当大臣が女性活躍を担う上で、更年期等についての認識、御見解をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての大前提だと考えております。

 なかんずく女性につきましては、個人差がありますものの、その心身の状況が年代に応じて大きく変化することから、女性の健康に関する知識の向上や社会的関心を喚起することが必要です。また、女性の就業率が上昇する中で、仕事と女性特有の健康課題との両立が重要となってきていると認識しております。

 こうした中、更年期の女性は職場や社会において多くの役割を担う世代であり、その活躍は地域及び社会経済にとっても重要です。更年期障害の程度や症状には個人差がありますものの、症状が重い場合であっても就労継続やキャリア向上が妨げられないよう、更年期に関する理解や治療の普及を促進することが求められております。

 男女共同参画担当大臣といたしましては、関係省庁と連携をしながら、更年期を含む女性の健康に関する知識の向上ですとか社会的関心の喚起のほか、更年期を迎えても働き続けられるような職場環境の整備などに引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 実は先日、お声をいただきました。ある独身女性で、長年看護師としてハードワークをして、夜勤とかも含めてですね、頑張ってこられた方でしたけれども、更年期障害が重くて思うように働けなくなった。最初は休暇を取りつつも頑張って働いていらっしゃいましたけれども、結局は、ハードワークに耐え切れない、皆さんに迷惑をかけてしまうといって離職をされたとお聞きしました。それで、大変困ったということでお声をいただいたわけですけれども、これからの生活設計が見通せず、大変苦悩、苦労されているということでありました。本人にとっても社会にとっても大変大きな損失であると思います。

 このような事例は少なくないと思います。先ほど言いました、健康面での実態調査はされているようですけれども、医学的な調査はされていると思いますけれども、是非、そういう面での実態調査についても一日も早く着手していただきたいと思います。

 昨年も更年期のことは厚労委員会でも質問をさせていただき、厚労大臣からも前向きな御答弁をいただきましたけれども、女性が安心して働き続けるためには、更年期を含めて、健康を守るための休暇を取りやすくすること、更年期は男女問わずありますけれども、その時期、職場を離脱しなくてもいいような環境整備、今大臣も言ってくださいましたけれども、希望すれば一旦は軽めの仕事に部署異動して、そして更年期が明けたら元の部署に希望があれば戻れて経験や知見をまた発揮していただく、そのような柔軟な働き方を許容する職場環境整備を進めていくことが、人生百年時代、本当に極めて大事だというふうに思います。

 令和五年度の東京都の施策に、ある女子短大のゼミの学生二人が立案した働く女性のウェルネス向上事業が、都民の応募した六百八十四件の事業提案があった中で都民投票第二位となり、採用されることになったということを報道で知りました。

 この事業は、生理や更年期障害、更年期の症状など、女性特有の健康課題について普及啓発を図り、企業の取組などの情報収集、分析をし、その結果を活用し、普及啓発を実施する。好事例の発信等によって、女性が健康を保ちながら働き続けやすい職場環境の推進を目指すもので、都政の喫緊の課題を解決することを目指すにふさわしい提案だということで、四千九百万円の予算がついたそうであります。

 東京都が喫緊の課題だとして令和五年度に取り組むわけでありますけれども、国としても、その認識に立って、いち早く実態調査を行い、働く女性の健康課題に寄り添った施策に早急に取り組んでいただきたいことを強く要望したいと思います。

 厚労省として、今後どう取組を考えていらっしゃるのか、具体的にあれば、是非お伺いしたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 更年期を含め、女性が安心して健康で働き続けられるようにするためには、更年期障害等に関する労働者本人や職場の理解を深め、必要な制度を活用しやすい職場環境を整備することが重要であると考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、働く女性の健康応援サイトなどにおきまして、働く女性向けに、更年期に表れる不調の原因や症状等を紹介し、生活に支障が出る場合には婦人科への受診を推奨するなど、健康管理に関する様々な情報を提供し、周知啓発を図っております。

 また、企業に対しましては、更年期障害を含め、女性の健康への理解と配慮をしていただけるよう、女性の健康相談窓口の設置を行う企業などの好事例を、取組を進めている企業の担当者の方々や女性従業員のお話を伺った上で取りまとめ、周知しております。

 さらに、独立行政法人労働者健康安全機構が各都道府県に設置した産業保健総合支援センターにおきまして、事業主や人事労務担当者、産業医などの職場の産業保健スタッフ等に対し、女性の健康課題に関する知識の向上を図るための専門的な研修を行っているところでございます。

 加えまして、更年期に関する休暇につきましては、更年期における体調不良の際に利用できる休暇制度の導入が従業員の離職防止や安心につながっている企業の事例などを紹介する導入事例集を作成し、これを広く周知するなど、特別休暇制度の導入促進を図っております。

 先生御指摘のように、当事者の声を伺いつつ取組を進めることは重要であると考えております。厚生労働省としては、引き続き、当事者や企業の実態把握に努めつつ、女性特有の健康課題も含め、様々な環境にある労働者が安心して働き続けられる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 まだまだそういう制度が整っていることを知らないで離職してしまう方が多いのが現状だと思いますので、本当にそういう周知を工夫もしていただきたいですし、また、より早い段階で、教育の面でも、そういう時期があったときに婦人科を受けることができるような、そういうハードルを低くすることの事前の教育ということも重要かと思いますので、是非これは国として、百年時代にふさわしい制度が進むように取り組んでいただきたいと思います。

 ちょっと時間が余りましたけれども、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮下主査代理 これにて吉田久美子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)分科員 ふだん予算委員会で使われているこの部屋でこんなにもぜいたくな質疑をさせていただけることを大変うれしく思いながら、限られた時間でありますので、是非とも、有意義な、実りある質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、小倉大臣、孤独・孤立担当大臣であられますが、まさにこの孤独・孤立対策室もそうでありますし、大臣が設置されて丸二年となったところであります。まず、これまでの二年間の歩みといいますか取組の評価、大臣のお言葉で是非述べていただければと思います。

小倉国務大臣 長引くコロナ禍の影響などによりまして、孤独、孤立の問題がより一層社会問題となっております。こうした中で、鈴木議員にも御尽力いただきましたが、令和三年二月より、孤独・孤立対策担当大臣が司令塔となり、孤独・孤立対策を政府一体となって推進しているところであります。

 孤独・孤立対策を始めてから約二年間の間の振り返りをということでありましたが、例えば、政府として初めての孤独、孤立の実態把握調査、孤独・孤立対策の重点計画の策定とそのリバイス、国における官民連携の体制構築と地方における官民連携体制のモデルの構築、さらには一元的な相談支援体制、シャープ九九九九を始めとした相談窓口の試行など、様々な政策を実施してきたと考えております。

 今後、単身世帯や単身高齢世帯の増加などにより、孤独、孤立の問題の更なる深刻化が懸念される中、総合的な孤独・孤立対策に関する施策を更に推進するため、孤独・孤立対策推進法案を今通常国会に提出したいと考えてございます。こうした取組を通じまして、孤独、孤立に悩んでいる方に必要な支援が行き届くよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 まさに、このコロナ禍で孤独・孤立担当大臣が設置されたというのは、私は非常に意義があると思っています。この孤独・孤立で取り扱っている様々な事案というのは、決して何か新しい事案、課題ではなく、このコロナ禍でより顕著になった、浮き彫りになってきた、つまり、脆弱な皆さん、支援が必要な人たち、若しくは我々が支援を届けるべき人たちというものがより明るみになったんだと。そういう意味では、アウトリーチ、こういったものにも、我々がより積極的に実のあるものにする上でも、このタイミングでできたというのは非常に貴い取組である、私はこのように思っております。

 その上で、ただ一方で、政府がまさに今進められている孤独若しくは孤立対策、なかなか社会一般に、国民の皆さんにまだまだ行き渡っていないのではないか、この理念というものが、若しくは掲げる社会像というものが。

 というのも、先般も様々な雑誌を見ておりましたら、孤独と大きくテーマが書かれておりました。しかしながら、読んでいきますと、孤独は大人のたしなみであるだとか、心が強ければ孤独は妄想と知っているであるとか、孤独と、一方で孤高というんでしょうか、こういったものが混同されてしまっているのではないのかなと。

 ゆえに、なぜ今政権が国民の皆さんの血税たる税金を使ってこの問題をやるんだというようなところ、一部といいますか、ある程度の批判、厳しい御意見もあるのは、そういった孤独、孤立というものの概念が伝わっていないのではないのかなと、私自身、危惧しております。

 是非、この時間を使って、大臣が思い描く、孤独・孤立政策を通じて描く社会像、つまりこの政策の着地点、到達点、こういったものを御紹介いただければと思います。

小倉国務大臣 政府の孤独・孤立対策におきましては、対策を始めた当初から、当事者等が望まない孤独と孤立を対象として取り組んでいるところであります。

 また、実態調査結果によりますれば、孤独感がしばしば、常にある人の割合が三十代や二十代で高いこと、孤独感に至る前に経験した出来事として、例えば人間関係による重大なトラブル等があること、孤独感がしばしば、常にある人の主な属性として、例えば、仕事がない、低収入、相談相手がいない等があること、分析結果によりますれば、男性や中年層に孤立の傾向があることなど、どのような層が孤独、孤立であるかが見えてまいります。

 こうした調査結果も踏まえて、関係府省の施策を含め、孤独・孤立対策の施策を総合的に推進していきたいと考えています。例えば、若い世代を含む身近な相手と相談できるような仕組みの在り方について、サポーターのような仕組みを設けることや、ゲートキーパーの養成等の充実を始め、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム分科会の検討結果に沿った具体的な取組を進めていくこととしております。

 鈴木委員御指摘のとおり、孤独は大人のたしなみ等々、まだまだ世間には誤解が大きいように思っておりますし、この孤独、孤立の問題に関する理解を深めていただくことは大変重要だと思っております。

 孤独、孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものであって、実際に、調査結果では、全く孤独を感じていない人の割合は全体の二割にとどまるというような結果もございます。

 そうした中、予防の観点からも、孤独、孤立に対する国民一人一人の理解、意識や機運を高めるための普及啓発、日常の様々な分野における緩やかなつながりを構築できるような多様な各種の居場所づくりなど、重点計画に沿って取組を進めることによって、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を全体像として目指して施策を進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 やはり、望まない孤独に政府として向き合っているんだというのが、非常に端的で分かりやすいのではないのかなと。例えば、一人でラーメンを食べに行くとか、一人で余暇を使ってキャンプに行くとか、こういったことを決して否定しているわけではないんだ、しかしながら、孤独を感じたとき、寂しいと思ったとき、もやもやしたとき、若しくは支援が必要なときにしっかりと声を上げることができる、そしてまた、その支援というものがその人、当事者にしっかりとダイレクトにつながっていく、こういったことが重要なんだという意味でも、望まない孤独というこのフレーズ、非常にメッセージ性として分かりやすいと思いますので、是非、大臣におかれましては、この望まないというワーディングをしっかりと御活用といいますか使っていただければ、国民の、社会全体の理解増進にも資するものではないのかなと思っております。

 加えて、今、誰一人取り残さない社会の実現とありました。一方で、我々、孤独、孤立の予防の観点でも必要なのは、誰一人取り残されない、取り残さないというのと取り残されないという双方の支援というか見方というものが非常に重要なのではないのかな、こんなふうにも思っております。

 大臣、途中で退席されるということなので、大臣に是非もう一問聞かせていただきたいと思います。

 虐待死でありますけれども、これは年間五十件を超える、六十件程度で横ばいというところで、大変大きな、社会的にも耳目を集め、様々な対策を政府としても講じていただいております。これは大体、年間五十人というと、一週間に一人の子供が命を落としているという計算になります。

 そんなこともありまして、二〇〇九年には十桁でスタートした相談窓口、電話相談でありますけれども、一八九、「いちはやく」、三桁にもなりました。そして、二〇一九年からは、これがまた無料通話にもなったところであります。

 一方で、質問でありますけれども、子供の自殺です。

 二〇二〇年の速報値では四百九十九人でした。今年の速報値では、その過去最悪、最多と言われた四百九十九人を超える五百十二人の子供たち、児童生徒たちが自ら死を選んだということが数値として出ています。私は、既に、この五百十二人もそうでありますし、年間約五百人以上の子供たちが自殺をしているというこの現状は国家としての緊急事態である、このように認識をしております。

 大臣としてはこの現実に対してどのように感じられるか、率直な感想といいますか御意見というものを聞かせていただければ幸いです。

小倉国務大臣 先日、厚労省から令和四年の自殺者数の暫定値が公表され、小中高生の自殺につきましては、五百十一人と過去最多になったものと承知しております。子供が自ら命を絶つことはあってはならないことであり、そうした報道に私自身も触れますたびに、身内や友人を亡くされた方の悲しみを考えると、いたたまれない気持ちになります。

 子供の自殺の問題というのは、大変重要な、重い課題だと思っておりまして、例えば、孤独・孤立対策担当大臣といたしましては、先ほど申し上げたシャープ九九九九において、まず最初に、未成年か否かというようなダイヤルを設けて、子供や若者にリーチするような仕組みにしてございますし、もちろん、今の若い世代に対してSNSを通じた相談をされているようなNPOの皆様に対しても支援をさせていただいているところであります。

 また、こども政策担当大臣でもございますので、今年の四月に発足をするこども家庭庁におきましても、子供の居場所づくりや、困難を抱える子供に対するアウトリーチ型、伴走型の支援、いじめの防止に向けた地方自治体における体制づくりなど、厚労省や文科省の取組と相まって、子供の孤立を防ぎ、自殺予防に資する取組を推進していきたいというふうに強く思っております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 あえて、比較といいますか、虐待の話に冒頭触れさせていただきました。年間約五十件を超える虐待の案件で、相談窓口も三桁にもなりましたし、無料にもなりました。様々な対策というものが、矢継ぎ早にといいますか機動的に講じられたと思います。

 やはり、数字から考えても、五百人を超える子供たち、まさに未来と可能性の塊たる子供たちが自ら自殺をしている。これからこども家庭庁が創設をされます。なぜかといえば、子供というのは国の宝である、そして、いついかなるときに、どんな環境で生まれても、あなたの命は貴いんだ、あなたのことを社会全体でしっかりと守っていく、支えていくというメッセージをしっかりと出していく。そういった意味でも、子供の自殺対策は、今まで以上にギアを上げて、集中して取り組むべきだと強く感じています。

 大臣、この点について、私は、緊急事態宣言だ、これを発動して、やはりこれは社会全体で取り組んでいく、強いメッセージが必要だと思っています。大臣、いま一度、この点に関して、大臣のお言葉で結構ですので、子供の自殺対策の必要性、取り組む姿勢について、お言葉を頂戴できればと思います。

小倉国務大臣 思いを申し上げる前に、先ほどの答弁で、私自身、五百十二人と小中高生の自殺者数を申し上げたつもりですが、五百十一と聞こえたらしいので、五百十二ということで、正確な数字を申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、子供の自殺に対する認識やいかんということであります。

 先ほども申し上げたように、非常に我が国にとって大きくて重たい課題だと思っておりますし、こども家庭庁といたしましても、支援の必要な子供に対して、子供の最善の利益を第一に考えつつ施策を進めるということを使命といたしております。

 子供の自殺にまつわる課題というのは、様々な原因があると思います。いじめの問題もあれば、不登校の問題もあれば、御家庭の問題もあると思います。そういったものをまさに網羅的に、包括的に対応できるのがこども家庭庁だというふうに思っておりますので、四月のこども家庭庁の発足の暁には、今悩んでいらっしゃる子供たち、若者たちに、我々はしっかりとサポートしていくんだという安心感を持っていただけるような、そんな組織にしてまいりたいと担当大臣としては強く思う次第であります。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 まさに今、自殺対策となれば、これは厚労省所管になっている。そして、子供の自殺者数、これは文科省も独自に、学校との連携といいますか、報告によって、自前の数字を持っている。自殺全体でいえば、もちろん警察庁が、それぞれの各都道府県警から集約されたものを持っている。

 それで、文科省と警察、実は、子供の自殺者数においてそれぞれ統計がありまして、その数というものに、ずれ、差異が生じています。この理由は何なのか、そしてまた、そのずれに対してはどのように考えておられますか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 警察庁の統計、これは検視の結果、自殺と判断されたものでありまして、一方で、文部科学省の統計、これは遺族から文部科学省ないし学校関係機関に対して申告のあったもの、その差異でございます。

鈴木(貴)分科員 今副大臣から御答弁あったように、まさにそういうことでありまして、御遺族の判断によって報告がない場合にはそこはカウントがされない、まさにそこでずれがある。

 このずれというものは必要なのかということを是非伺いたいと思います。

寺門政府参考人 御答弁申し上げます。

 両統計の相違につきましては、先ほど内閣府の副大臣から御答弁があったところでございます。

 特に、私どもが調査している学校の調査におきましては、自殺の背景につきましては、先生御案内のとおり、家庭、健康といった学校外の要因があるケースがありますので、学校が遺族から情報を得られないことなどから、統計にこういった差が生じてございます。

 このずれにつきまして、見直し等についての御下問でございますけれども、文科省としても、これまで、可能な限り正確な実態を把握するように努めてまいりましたけれども、更なる改善につきましては、政府全体での議論というものを踏まえる必要があると考えてございまして、関係省庁と連携を図りながら、必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

鈴木(貴)分科員 必要な対応を検討していくということなんですけれども、まさに、自殺というのは個人の問題ではなくて、社会全体の課題である。そして、自殺を予防するという意味でも、やはり、これは国というか、関係省庁、社会を挙げて取り組まなくてはいけない課題だと思っています。

 そういった中で、文科省の方でその数字が取れていない。一方で、警察庁としては、これは検視の結果ですから、ある種、間違いのないというか確定された数字があるわけです。であるならば、この警察庁の数字を基にしっかりと対策を行っていくということが必要であって、文科省が文科省独自の数字を持っているということに合理的な必要性というものは私は見受けられません。

 文科省、もう一度、改めて聞きます。このずれについて、合理的な必要性というものはあるんでしょうか。私はないと思っています。是非とも、統計の在り方というか取り方、若しくは、警察庁の統計を基にして文科省としても連携を図っていく、こういった答弁をいただけないでしょうか。

寺門政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど御答弁したところでございますけれども、改めまして、関係府省と連携を図りながら、その点については検討を深めてまいりたいというふうに考えてございます。

 私どもが統計を取っておりますのは、全体像の正確な統計というものは、もちろん、自殺問題を所管する省が一義的には対応するものでございます。私どもが行っておりますのは、そこから得られた貴重な教訓を、あってはならない教訓を学校の生徒指導に生かすという趣旨で取ってございますので、そういった調査の本来の目的等々を総合的に考えまして、改善に向けて、引き続き、関係府省との連携を踏まえて対応を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

鈴木(貴)分科員 審議官、まさにそうなんです。対策を取るためにということなんです。あくまで、文科省が持っている数字というのは、遺族がそれを学校と共有するということを認めた、了解をした場合のみ文科省に報告がされるわけですよね。

 一方で、警察の場合には、これは客観的に、事件性があるかないか等々の捜査を含めて持っているわけですから、対策を取る、連携を取るという意味で、まさに、この統計のずれというものは、私はここに合理性がないと思っておりますし、この点、引き続き、また議連等でも、そしてまたこの委員会等でも取組をさせていただきたいと思っておりますが、審議官おっしゃったように、必要な連携というものをしっかりと進めていただきたいと強くお願いをさせていただきます。

 そして、チャットボットをこの孤独、孤立で進めていただきました。これからデジタル庁もあるわけでありますし、デジタル庁であるとか、若しくは自治体と連携をして、様々な、今約百五十の制度というものをこのチャットボット上で示しているわけでありますけれども、もうちょっと幅広くこのチャットボット上で支援を周知する、若しくはまた自治体と連携をしていく、こういったことが必要だと思っておりますが、このチャットボットの現状、活用状況と、また今後の展望について、是非教えてください。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 孤独、孤立で悩む方に支援制度や相談先の情報を届けることは極めて重要であり、孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」では、チャットボットにより、悩みに応じた支援制度等を案内する機能を有しているところでございます。

 孤独・孤立対策ウェブサイトについては、公開以来、これまで延べ二百三十八万人の方が閲覧をしております。また、チャットボットについては、公開後、これまでに八つの支援制度や相談先の情報を追加しているところでございます。

 さらに、孤独、孤立で悩む方にスムーズに必要な支援を届けるためには、チャットボットの利用結果のページから各自治体の支援制度の手続ページにつなげて申請できるようにすることが必要と考えられ、デジタル庁の運営するマイナポータルと連携して、この仕組みを実現するべく取り組んでいるところでございます。これまでに、支援制度の所管省庁やデジタル庁で必要な作業を終え、現在、各自治体に対し、マイナポータルに手続に関する情報を登録するよう依頼をしているところです。各自治体における登録の状況を踏まえつつ、今年の春をめどに、チャットボットとマイナポータルを接続し、孤独、孤立で悩む方に必要な支援が届けられるように取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 まさに、自分の住んでいるところの郵便番号を打ち込んで答えていけば、必要な支援というものが表示をされる。特に引っ越し、これは先ほど大臣からもあったように、実態把握の中でも、引っ越しをしたとき、生活環境が変わったときにやはり孤独、孤立に陥りやすいという結果も出ています。

 そういった意味では、郵便番号を入れて必要なことをぽんぽんぽんと入れていけば、プッシュ型で自治体の支援の、同じ支援であっても、制度名が自治体によって違ったりとかすると、それはやはり当事者にとって、その差というものがある種非常に煩雑というか分かりづらいことも多々ありますので、是非とも、引き続き、今春をめどにということでありますけれども、マイナポータル、デジタル庁との連携、また自治体との連携を更に進めていただきたいと思います。

 このチャットボット、そしてまた、十八歳以下には相談窓口の表示がされているわけでありますけれども、学校現場には周知がされているものと思いますが、例えば、図書館であるとか児童館であるとか、子供が集まりやすい場所、若しくは学習塾、こういったところにも周知を呼びかけるということが極めて重要だと思っておりますが、いかがお考えでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 十八歳以下向けの孤独・孤立対策ウェブサイトのチャットボットでは、子供たちの悩みに応じた相談先を案内しているところでございます。

 学校教育現場に対しましては、悩みを抱える子供たちが活用できるよう、一人一台端末にウェブサイトをブックマークに登録するなど御配慮いただいている点について、文科省を通じて通知をしているところでございます。

 また、自殺予防週間に際しては、子供たちに悩みや不安について話してみるよう文部科学大臣のメッセージが送られており、チャットボットを含め、相談先のリンクを紹介しているところでございます。

 さらには、学校教育現場以外にも、児童養護施設、子供食堂や子育てひろばに取り組む全国団体など、子供が関わる施設に周知をしてきたところでございます。

 引き続き、議員の御指摘を踏まえつつ、学校教育現場や子供が関わる様々な施設に対して、関係省庁と連携し、十八歳以下向けのチャットボットの周知を推進してまいります。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 まさに相談者の目線に立った周知また広報というものは非常に重要だと思っておりますので、是非積極的に、こういったものがありますという通達ではなくて、こういったものをまさにプリントアウトして、かつQRコードを付した形で子供の目につきやすい場所に掲示をしてくださいという具体的な通達、また推進という取組をお願いしたいと思います。

 子供の、相談者の目線に立ったという観点でもう一問なんですけれども、相談が一番多いとされるのは、やはり日中ではなくて夜間であると言われています。柔軟な対応というものをやはり取るべき、柔軟というか現実に合った対応というものを取るべきだと思っております。

 例えば、多くの相談窓口というものが、平日の月曜から金曜日、そして、朝の九時から五時までというような形で、夜間の対応というものが十分に取られていません。若しくは、文科省で二十四時間子供のSOSというのがありますが、実際に本当に二十四時間つながるかというと、まだまだ課題が多い。若しくは、都道府県に任せられているので、とある都道府県では、学校に在学をしている児童生徒しか対象者ではない。つまり、退学をした子供、中退をした子供、ごめんなさいといって返しているというような、そういった結果も出てきています。

 私はこれでは本来の目的を果たしていないと思うんですけれども、そういった意味で、夜間帯、若しくは月曜日、よくブルーマンデーとも言われますけれども、大人もそうです、大人の自殺も、一番多いのは男女共に月曜日の朝だとも言われています。

 そういったことを考えても、土曜、日曜又は祝日の相談窓口を開いておく、アクセスを確保しておくということが非常に重要だと思いますが、この点、いかが考えていらっしゃいますでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 孤独、孤立で悩む方が一人一人の多様な事情やニーズ等に合わせて相談支援を受けられるようにすることは、極めて重要であります。チャットボットで案内される窓口のうち、公的な対面相談を行う窓口については、議員御指摘のとおり、夕方まで受け付けている例が多く、これらの窓口が可能な限り対応する時間帯や曜日等を拡大することは大切なことであります。

 他方、相談対応に当たる人材の確保には課題があることから、その育成や資質向上を支援するとともに、電話やSNSによる二十四時間体制の相談対応の体制整備と相まって、多元的な相談支援体制の整備を推進することにより対応してまいりたいと思います。

鈴木(貴)分科員 まさに、それぞれの地域が二十四時間できていない理由というものは、人員配置に困難を抱えている、若しくは、それがまさに予算的な要素で人員が抱えられないというのであれば、これはやはり政府がしっかりと、必要な、適正な予算配置をしていく、これが必要になってくると思います。是非、ここの適正評価を含めて、適正な予算配分というものもお願いをしたいと思います。

 防衛省副大臣にわざわざお越しをいただきました。質問させていただきたいと思います。

 今、孤独、孤立、そしてまた自殺の問題を質疑させていただきましたが、やはり、これは防衛省の中においても、自殺であるとか各種ハラスメントは非常に大きな課題であると思っております。

 そういった中で、高等工科また防大、これからの幹部、若しくは中核を担っていく人材を育てる、その局面からしっかりと教育を行っていくということが、まさに防衛省のあしき文化を、うみを出し切るためにも必要だと思っております。

 具体的に注視されている課題点であるとか、若しくは取組について、教えていただければ幸いです。

井野副大臣 鈴木先生には、防衛大臣政務官時代からこの問題に大変取り組まれているということでありました。

 まず、防衛大学校においてですけれども、学生の悩み相談に当たる臨床心理士などの派遣日数の増加、また、学生に対して学期ごとに実施している心理テストの結果の解析の部外専門機関への委託、また、部外講師による指導教官などに対するコミュニケーション技法などの教育の実施など、部外力を活用して、より丁寧な学生の心情把握と不安払拭に努めているところでございます。

 また、高等工科学校においても、陸幕長のビデオメッセージを用いた生徒や学校教員への服務指導、臨床心理士など相談窓口の設置等、生徒の心のケア、サポートなどに努めているところでございます。

 いずれにしても、ハラスメントは、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものでありますので、そういったことがないよう自衛隊員は改めて認識し、いじめを許容しない組織環境を構築してまいりたいと思っております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 いじめは、まさにどこの環境においてもあってはならないことでありますし、そしてまた、自殺というものも、あってはならないものであります。

 特に、防衛省の制服組といいますか、自衛隊の皆さん、国民の命を守る、財産を守るというその崇高な思いとともに自衛隊に入ってこられたその人たちが自らの命を落とすというようなことは、私はあってはならないと思っております。そして、我々政治家も、これまた国民の皆さんの生命と財産を守るという意味では、防衛省の、自衛隊の皆さんの命を守っていくのも我々の責任だと思っております。

 副大臣、是非とも、人的基盤の強化、様々まだ課題はあると思いますが、副大臣のイニシアチブでしっかりと取り組んでいただきますように心から期待をさせていただきまして、質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下主査代理 これにて鈴木貴子君の質疑は終了いたしました。

    〔宮下主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸君。

山岡分科員 衆議院議員の山岡達丸でございます。

 本日は、官房長官に質問の機会をいただきました。緊急の事案から、まず質疑をさせていただきたいと思います。

 本日午前、北朝鮮からミサイルが発射されたということが明らかになりました。この行為には厳重なる抗議の意を表するところでございます。

 一方、日本政府でありますが、三回にわたって発射されたという情報が海上保安庁から出されましたが、その後、実際の発射では二回だったことが明らかになりました。この原因として、内閣官房が海上保安庁に三回発射情報を提供したことが原因ということで、今、お話によりますと、二回目の発射情報が海上保安庁に届いているかが確認できなかったため再度送信したという説明をされたということでございます。

 隣国のミサイル発射という国民の生命に関わる大変重大な問題に、正しい情報発信というのは非常に重要でありますけれども、政府内の連携ミスということがあるというのは国防への不信につながるもので、大変ゆゆしき問題だと考えますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 海上保安庁によるミサイル関連情報は、航行警報や海の安全情報として、船舶運航者等の安全確保に資するよう、発射情報や落下推定情報等を随時発出しているものであり、当該情報の発出回数等が北朝鮮からのミサイルの発射数等を表しているものではないと承知をしております。

 国民の皆様にミサイル関連情報を政府としてお知らせする場合には、内閣官房や防衛省から適時適切に情報提供しているところであり、また、事態に応じて、私や防衛大臣などから、記者会見を通じて、その時点で把握している情報をお伝えしているところであります。

 今回、海上保安庁から三回情報が発出された点について申し上げますと、内閣官房から海上保安庁に対し、三回発射情報を提供したことによるものであります。内閣官房事態室においては、二回目の発射情報が海上保安庁に到達しているか直ちに確認できなかったため、再度送信を行い、これが結果的に三回目の情報発出となったものと承知をしております。

山岡分科員 私は、事実関係は先ほども申し上げましたが、政府内で情報共有がきちんとされないという状況がゆゆしき問題ではないかということを思いますが、官房長官、いかにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 北朝鮮による発射事案については、官邸危機管理センターに設置している北朝鮮情勢に関する官邸対策室において情報を速やかに収集するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行うなど、政府一体となって適時適切に対応に当たることとしています。

山岡分科員 政府一体となって適切に対応していないことが今回の連携ミスなのではないかということを思うわけであります。

 ミサイルが発射された後の情報共有すらままなっていない。政府が今考える、ミサイルが発射前の着手段階で反撃能力を行使して阻止する、このようなことがおよそ可能なんでしょうか。官房長官、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 弾道ミサイルが、我が国の領域における人命また財産に対する被害を防止するため、自衛隊法第八十二条の三に基づき、弾道ミサイル等に対する破壊措置を実施できるほか、武力攻撃事態に該当する場合には、防衛出動を下令して適切に対処することとなります。

山岡分科員 私は、今のていたらくの状況で、それが本当に可能なのかということを問うたんですが。

 もう一度伺いますが、今の情報共有のような連携ミスがある状況で、こういうことが可能なんでしょうか。官房長官、伺います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 国民の生命財産を守り抜くため、引き続き防衛収集、分析及び警戒監視に全力を挙げてまいる考えであります。

山岡分科員 およそ不信感が広がるような御答弁のような、その受け止めでございます。

 この件につきましては、会派を通じてまた質疑をさせていただいて、そして、本当に国民の皆様の信に足る防衛の体制をつくっていくという議論を深めていかなければならないと思っておりますので、そのときまた真摯に御答弁をいただきたいと思います。

 本日は、官房長官に質疑ということで、私、北海道選出でございますけれども、いわゆる、北海道に多くの居住者がおられますけれども、アイヌ民族の皆様のことについて、この機会にお伺いをしたいと思っております。

 まず、このアイヌ民族をめぐる問題についても、つい最近、本当に残念な事案がございました。北海道大学のとある教授が、アイヌは先住民族ではないことは確かだというような趣旨の発信をインターネットのSNS上で行ったと。この方はこういう発信を繰り返していたということも報道で明らかになっています。

 大学側は、このことを受けて、この投稿を削除させるということでありますけれども、言うまでもありませんけれども、国会では、二〇〇八年六月に、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議を全会一致で可決して、同年に、国は先住民族と認めるということで、もう方針が決定しているわけであります。

 先日成立したアイヌ新法においてもそのことは明記されていますし、さらに、ここの第四条には、何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他権利利益を侵害する行為をしてはならないということも規定されているわけでありますが、よりによって学問の府である大学の関係者からこうした発信がなされるという状況になった。このことについて、アイヌ政策の推進に当たっておられる官房長官の見解を伺いたいと思います。

松野国務大臣 先生の今の御質問にお答えさせていただく前に、さきの私の答弁の中において、情報の収集と申し上げるべきところを防衛の収集というふうに発言したということでございまして、訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。

 先生からの御質問に対しまして、御指摘の報道は承知をしております。

 政府としては、平成二十年に衆参両院で決議されたアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議や令和元年に施行されたアイヌ施策推進法を踏まえ、アイヌの方々が我が国の先住民族であるという認識の下、差別のない共生社会の実現に向けて、アイヌ政策を総合的に推進しているところであります。

 個別の言動や表現の是非についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げますと、アイヌは先住民族ではないといった趣旨の言動は、こうした政府の方針とは相入れないものであると認識をしています。

 政府としては、引き続き、アイヌの人々に対する差別や偏見の解消に向けて、アイヌの歴史や文化などを国民に一層理解していただくための取組をしっかりと行っていく必要があると考えています。

山岡分科員 今月十四日には、内閣府がアイヌに対する理解度に関する世論調査というのも公表していますけれども、アイヌ民族への差別や偏見があると答えた割合は二一・三%ということで、二〇一六年の前回調査に比べても増えている。もちろん、調査方法が違うので一概に比較はできないかもしれませんが、しかし、依然としてあるという認識が広がっている中で、法律にも差別はしてはならないということがあり、過去の国会答弁では必要に応じて法務省とともに対応していくということも言っているという中で、こうしたことについては更なる対策が必要だということを私の立場からも申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、公益社団法人の北海道アイヌ協会が官房長官にも要請している事案について、この場でもお伺いさせていただきたいと思います。

 アイヌ民族のエカシ、フチ、いわゆる御高齢者の方々の生活に関して伺います。

 この北海道アイヌ協会で長らく理事長を務められました加藤忠さんの後を引き継がれた大川勝理事長が、二〇二一年の十一月二十四日、就任間もない頃だと思いますが、官邸の総理応接室、そして官房長官応接室において、総理と官房長官に面会をされておられます。

 この中で、大川理事長は、御自身の家庭も大変な貧困の中で、食事に困る日々も暮らされ、学業に専念することもかなわなかった、そうした苦労の中で育ってこられたこと、そして、アイヌ民族の皆様の生活の厳しさは百五十年たっても変わりがないんだということ、特に、エカシ、フチと言われるいわゆる高齢者の方々が大変悲しい思いをこれまでもされてこられた、最後の一瞬でもいいから日本の国に生まれてよかったと思えるようにしていただきたい、そういう趣旨のお話をされたということであります。

 切実なる気持ちとともに、特に高齢者の方の生活向上への施策ということを求められてきたわけでありますが、ここで総理、官房長官は、そうしたお話を受け止めて努力していきたいということ、そして、アイヌ政策の推進に意思疎通を図っていきたいということの趣旨も御回答されたということが記録にも残っているところでございます。

 今日伺いますけれども、こうした北海道アイヌ協会の大川理事長の話を受けて、政府ではどのようにこれに対応しているのか、官房長官からお話しいただけますでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 アイヌ高齢者の方々への支援につきましては、アイヌ政策推進会議の場でもアイヌの委員の方から御意見をいただいており、大変重要な課題であると認識をしております。

 このため、アイヌ施策推進法で創設された内閣府所管のアイヌ政策推進交付金を活用し、アイヌ高齢者の方々による文化伝承活動の支援や、アイヌ高齢者の方々の過去の経験を次世代に語り継ぐといったコミュニティー活動への支援を行っていく方向で検討をしています。

 具体的な支援内容については、内閣府がアイヌ関係者や関係市町村から個別に御要望を伺い、できるだけ幅広い内容で支援を行うべく丁寧に対応しているところであり、関係者の御要望をしっかりと聞いて、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

山岡分科員 今、官房長官からお話しいただきました、高齢者の皆様の経験を次世代につないでいく、このことが非常に重要であるので、このことを評価する形で事業を行っていくという趣旨で御発言いただきましたが、これはこれで、御高齢者の大変厳しい思いを次世代に伝えていく意味もそうですし、それが評価という言い方をしていいか分かりませんが、一定の政府の事業としてそれが認められていくということは非常に前進だということで受け止めるわけであります。

 一方で、高齢者の方々におかれては、もう人前に出てお話しすることも難しいという方もいらっしゃる。身体的な状況もそうですし、あるいは精神的な状況も、そういう方もいらっしゃるし、いろいろな事情があって人前に出られないという方もいらっしゃる。こういう方々も、アイヌ民族のお一人として、今大変厳しい思いをしながら暮らされている。

 こういう方々に対しても、どのようにその方たちが経験した様々な苦しい状況を次世代に伝えていける、そういう枠組みをつくっていけるのかという形で幅広くしていただきたいという思いでございますが、官房長官、お考えがあれば伺わせてください。

吉井政府参考人 現在、内閣府で、現場で取り組んでいることをちょっと御紹介させていただければと思います。

 先ほど官房長官からの答弁にありましたとおり、アイヌ政策推進交付金を活用し、アイヌの高齢者の方々による文化伝承活動への支援や、過去の経験を次世代に語り継ぐといった高齢者コミュニティー活動への支援を現在検討しているところでございます。

 その際、山岡先生御指摘のとおり、様々な御事情により自ら会合に参加することが難しい方々がおられるところでありまして、市町村がそれらの方々へ出向いてお話を伺うことも認めるなど、あるいは、いろいろな事情がある場合には、現地のアイヌの方々と市町村が連携しながら進めていくなど、現場での様々な御意見を踏まえながら、できる限り柔軟に対応するような取組を、現在、内閣府としては進めているところでございます。

山岡分科員 答弁ありがとうございます。

 大川理事長が就任されて、このことは是非実現したいという思いでございました。

 そういう意味で、今、官房長官からの御答弁と政府のお話の中で、できるだけ幅広く柔軟にというお話がありました。これから実施の段階に入ってくると思いますけれども、是非この実施状況もきちんと把握していただきながら、適切な状況がちゃんと行われているかどうかも是非皆様もまたきちんと把握をしていただいて、私自身もまたこの国会でも問題提起をさせていただきたいと思いますので、大きな前進が図られているという御答弁をいただいたことは心強く思わせていただいているところであります。

 先ほどお話ありましたけれども、アイヌの皆様の政策推進の交付金のことについてもお話を伺いたいと思います。

 毎年、この交付金を活用する市町村が増えているという現状でもあります。令和元年の時点では十四市町村だったのが、現在は三十五市町村まで拡大しているということで、アイヌに関する理解を深める様々な事業が日本全体で行われていくというのは、これ自体はすごいよいことであるということを感じるわけでありますが、事業の内容もそれぞれの市町村で様々な形があるわけでありますけれども、どうしても、新規に参加される市町村の中には、建物の新設であったり改修といったハード事業、そうした事案も目立ちますと、限られた財源の中で非常に大きな金額がかかることも、皆さんの申請の中に入ってくる。

 一方で、北海道も、私の地域もそうですが、アイヌ民族の皆様と共生するための政策というのに市町村の力を入れてきたところにつきましては、様々な整備が進んだ上で、今度はいわゆるソフト事業というんでしょうか、人を育てるための事業であったり、人の力で森を育てるための事業であったりとか、私の地域でも平取町という町であったり、あるいは阿寒、釧路とか、多く後継者などを育ててくるとか、そうした事業も力を入れてくることであります。

 この交付金が五か年計画で進んできた事業ですから、ちょうど五年ということで、この取り組みたい事業は非常に長い時間がかかることに対して、この五年という一つの区切りが来る中で今後どうなっていくのか、そしてまた、長期にわたって人を育てるというようなことの視点も是非評価もいただきながら、交付金の更なる拡充、そして継続をしていただきたいということを強く要望いたしますが、官房長官、お答えをいただけますでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 アイヌ政策推進交付金は、アイヌ施策推進法に基づき、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができる社会の実現及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、文化振興や地域振興等を含めた市町村の取組に対して支援を行うものであります。

 先生から御指摘をいただきました、地域のアイヌ文化を担う人材育成事業や、アイヌの方々の活動に欠かせない自然素材を育てるような事業についても、各地域のアイヌ関係者や関係市町村の御意見を丁寧に伺いながら支援をしているところであります。

 今後とも、アイヌ施策の適切な推進に必要な予算がしっかり確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

山岡分科員 今、官房長官から、そうした様々な取組に対して必要な予算が確保されるよう努めていくというお話をいただきました。心強く思いますし、是非、そうした事業の広がりが更に広がりながらも、長くこういう事業が継続できるようなことを考慮いただきながら対応いただきたいということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 北海道白老町には、アイヌの民族をテーマとしたナショナルセンターということで、ウポポイ、これが二〇二〇年七月にオープンをしているところであります。二年半が過ぎました。来場者の総数は二年半で七十五万人ということになっているところでございます。

 これは、前政権の時代に定められた目標でもありますけれども、ウポポイの来場者数、目標は年間百万人だということを高らかにうたったわけであります。しかし、コロナとか、様々厳しい状況もあり、休館した時期もありました。この二年半は仕方ない状況もあったということも言えるわけでありますが、これは是非伺いたいんですけれども、これからまた社会が平常化していく、今後の目標、政府としてこのウポポイの来場者数、年間百万人を掲げるということでよろしいんでしょうか、官房長官のお考えを伺います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 アイヌ文化の復興、創造等の拠点であるウポポイについては、政府として、一人でも多くの方々に訪れていただき、アイヌ文化のすばらしさを体験をし、民族共生の理念に共感していただくことを期待して、閣議決定により、年間来場者数、百万人という目標を設定しており、この目標に変わりはありません。

 その目標の達成を目指し、岡田アイヌ施策担当大臣の下で、昨年十一月にウポポイへの誘客促進に向けた連絡会議を立ち上げ、冬季の誘客施策の強化や道外客に向けたPR等の検討を行っているものと承知をしております。

 引き続き、ウポポイのコンテンツの充実や誘客に向けた広報活動等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

山岡分科員 今のお話に関連して政府にも追加して伺いたいと思いますが、今官房長官の話にもありましたが、そういう意味で、百万人ということは堅持していただいているということは心強く思う中であります。

 その中で、マスクをしなくてもよいのではないかという環境が近づいている、そして空港の水際対策も時勢に合わせて緩和される中で、外国人の観光客も非常に増加してきたという中で、打てる手はたくさんあるんだと思います。

 官房長官は、今、その概要は言いましたけれども、具体的にどのようにお考えか、お答えください。

田村政府参考人 お答えいたします。

 アイヌ文化の復興、創造等の拠点でございますウポポイには、先生御指摘のとおり、令和二年七月の開業以来、約七十五万人の方々に御来場いただいております。

 ウポポイへの来場者数につきましては、開業以来、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてきたところでございますが、令和四年度に入りましてからは、前年度を大きく上回るペースで御来場いただいているところでございます。

 国土交通省におけるウポポイへの来場促進に向けた最近の取組につきまして申し上げますと、例えばでございますが、季節に応じた特別イベントやドローンショーなど、家族連れあるいはリピーターを引きつける体験プログラム、イベントの実施、ユーチューブ等を活用したウポポイの御紹介、先般のさっぽろ雪まつりにおけるウポポイのPR広告の掲示、さらには海外のインフルエンサーの方を活用させていただいたプロモーションといったことなどを実施させていただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、インバウンドを含めた今後の旅行需要の増加も見据えまして、国内外のより多くの方々にウポポイを訪れてアイヌ文化に触れていただけますよう、コンテンツの充実、誘客に向けた広報活動等にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山岡分科員 もう一度答弁をいただきたいと思いますが、これまでの取組のお話をいただきました。今後打てる手がたくさんあるかと思うんですけれども、今後についてどのように考えているか、お答えください。

田村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど官房長官から御答弁いただきましたけれども、去る十一月に岡田アイヌ施策担当大臣の下に連携会議を設けさせていただいておりまして、ウポポイの更なる誘客促進に向けた政策の具体化につきまして検討をさせていただいているところでございます。

 例えば、申し上げますけれども、これまでウポポイにつきましては、夏季あるいは秋季につきましてはかなり堅調でございますけれども、他方、残念ながら、雪深くなります冬季につきましては御来場者が減少してしまう傾向がございます。

 こうした中で、先ほど申し上げましたさっぽろ雪まつりであるとか、あるいは、近郊の地域におきましてスキーでいらっしゃる方もおられると思います。こうした方々にウポポイに更に来ていただくような効果的な取組というのはどういったものなのか、こういったことなどにつきまして、現在、関係省庁等で連携をして検討させていただいているところでございます。

山岡分科員 間もなく、本当に多くの人が更に来るという時期を迎えていますので、是非、詰めて、また実施をしていただきたいということを強く望むところであります。

 今、道内外、各地から人を呼びたいというお話もいただきましたけれども、一方で、そのウポポイ自体を支えている地域というのもあります。もちろん地元白老町もそうですが、その周辺自治体、室蘭であったり、登別であったり、苫小牧であったり、伊達であったり、あるいは胆振という地域全体でもこの施設を支えていくという状況であります。

 こうした地域との連携について今後どのように考えていくか、このことも御答弁いただけますか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 特に北海道外からウポポイへ来訪される観光客につきましては、周辺の観光地の周遊と併せてウポポイを訪問されることが多いと考えられますので、先生の御地元の白老町を始め、近隣の登別温泉や洞爺湖などの観光地、さらには苫小牧市や室蘭市などの都市部と一体となった地域の魅力の発信が重要であると考えております。

 このため、国土交通省におきましては、ウポポイと周辺地域が連携した広報資料の作成、配布等によるPR、さらには各地域のアイヌ古式舞踊保存会によるウポポイでの踊りの披露などに取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁とも連携いたしまして、近隣の関係自治体、さらには関係団体等と緊密に連携を図りながら、地域の魅力を発信し、ウポポイへの誘客を図ってまいりたいと考えております。

山岡分科員 今、この会場に逢坂先生もおられまして、ニセコ、函館という地域も含めて、やはり全体の連携が必要だというお話もいただきました。本当に、地域全体で、政府が連携しながらこの発信を強めていく、あるいは大変な盛り上がりをつくっていくという答弁は心強く思いますので、是非今後もまたしっかりと進めていただきたいということも申し上げさせていただきたいと思います。

 最後に、官房長官に改めて伺いたいと思います。

 アイヌ民族をめぐる多くの課題、本当に先人の皆様の多くの御労苦の中で今日を迎えているわけでありますが、ここ最近においては、アイヌ新法の成立、ウポポイの開業、そして、オリンピックが開かれ、そこでも発信という機会があって、これまでの著しいアイヌ民族の地位の確立に向けた動きや、あるいは国際的な発信について目覚ましい前進があったんだということは、多くの関係者は感じているところであります。

 しかし、これからが本番、これからが本番ということを多く言われるわけでありますけれども、この大きな山のイベントを越えてしまって、これから、政府の取組も含めて華々しさがなくなっていくのじゃないかという心配。国際的な発信というのが特に重要になっていくという中で、この政府としてのアイヌ民族の地位確立と共生のための政策の推進、国際的な発信、どのように取り組まれるか、官房長官からの見解を伺いたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 令和三年八月に札幌で行われた東京オリンピック競技大会の競歩及びマラソン競技の際に、アイヌ舞踊を披露し、インターネットなどを通じて国内外にこれを発信したところであります。こうした国際的なイベントなどの好機を捉えてアイヌ文化を発信することは、アイヌ施策推進法に掲げる共生社会の実現に向け、重要な取組であると考えています。

 このため、昨年十二月に改定された二〇二五年大阪・関西万博アクションプラン・バージョン3においても、アイヌ施策と国際博覧会双方を所掌する岡田内閣府特命担当大臣の主導の下、アイヌ文化の対外発信を位置づけたほか、本年四月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合でもアイヌ文化を発信することを予定しています。

 今後とも、こうした機会を捉え、アイヌ文化の国際的な発信に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

山岡分科員 最後に一言だけもう一度伺いますが、是非、官房長官、先頭に立って対応していただきたいと思いますが、一言お願いできますでしょうか。

松野国務大臣 アイヌ施策の推進に政府一丸となって取り組んでまいります。

山岡分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

牧島主査 これにて山岡達丸君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)分科員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日は、憲法、三権分立、そして議院内閣制といったことについて、政府の見解をお伺いしたいと思っております。

 まず、それに先立ちまして、これは、ふだんの政策とか法律の議論で国会と政府との間でここでやり取りが行われるわけですけれども、それをちょっと超えた話という形にも思えるわけですが、そういった中で、政府の定義及び認識を確認するに当たって、正式な答弁者というのは、総理は当然関係するんでしょうけれども、総理でない場合は官房長官という理解で正しいかどうかということ、それからまた、政府の担当部局としては、今日お呼びしていますけれども、内閣法制局ということでよろしいか、まずはその前提を確認させていただければと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 国会における政府側の答弁者は、時々の内閣の方針等により異なり得るものと認識しており、お尋ねの正式な答弁者についてお答えすることは困難であります。

 その上で申し上げますと、三権分立や議院内閣制について政府としての見解を国会において問われた場合、総理大臣や官房長官、内閣法制局長官が答弁している例があるものと承知をしています。内閣総理大臣や官房長官が答弁する際、必要に応じて、内閣法制局が、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つといった観点から意見を述べているところであります。

青柳(仁)分科員 私の理解が正しければ、正式な答弁者というのは定まっているわけではないものの、政府の見解は誰かがやはりしゃべらなければならないというところでいきますと、少なくとも、今回、私の通告に対して内閣官房長官がお答えいただいているということですので、これが政府の見解であるというふうに受け止めさせていただきます。

 その上で、衆議院とそれから総理官邸のホームページを拝見しますと、そこに、日本は三権分立であるというふうに書かれております。これはかなり明確に書かれておりますので、是非確認をいただければと思うんですけれども、一方で、様々な論文だとか学説を読んでおりますと、必ずしも日本が三権分立であるというふうに言っている識者ばかりではないということを承知しております。

 そういった際に、あえてホームページ上に衆議院もまた総理官邸も書いているということは、少なくとも、政府の見解として、国会、衆議院ですから国会もそうです、それから内閣、政府、双方の共通認識として、日本は三権分立が成立している、こういう認識であるということでよろしいか。この点をお伺いできればと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 三権分立とは、一般に、国家の作用を立法、司法、行政の三権に分け、各々を担当するものを相互に分離独立させ、相互に牽制させる統治組織原理のことを指すものとして使われており、日本国憲法の定める統治組織もこの原理を基本原理としているものと考えています。

 なお、国会の御認識については、お答えする立場にはありません。

青柳(仁)分科員 国会に関しては、衆議院でそのように書いてあるので、そういう認識なんだろうと一般的に解されると思うんですが、政府に関しては、今おっしゃったようなことだと思います。

 今、三つの権利が分離独立しているものであるとか牽制をしているというようなお言葉がありましたけれども、政府が、先ほど申し上げたとおり、必ずしも日本で三権分立が成立しているという学説ばかりではないという中においてあえてそういうふうに書いているということは、何か政府としての三権分立の定義というものがあって、そこに今の政府の運営の実態が、日本の行政、司法、立法の実態がそれに即したものである、こういう判断をしているからこそホームページ上にそのように書かれている、こういうふうに考えております。

 その際、例えばモンテスキューの言っている三権分立の定義というのは、国家の統治権を立法、行政、司法の三権に区別をし、そのうち二つ以上が一つの機関によって独占されないような政治体制、これを消極的原理といいまして、それが成立していること、又は、それに加えて、この三権が相互に監視、牽制し合い均衡が保たれている状態、これは積極的原理ということで、でき得ればここまで保たれていることというふうに解釈されるのが一般的であるというふうに私が調べた限りでは認識しております。

 日本政府が、ちょっと繰り返しになりますが、あえて日本は三権分立が成立しているというふうに書かれている以上は、何らかの三権分立の定義というものがあって、そこに現在の運用実態が当てはまっている、こういうことで判断されているものと理解しますが、日本政府の具体的な三権分立の定義というのはどういうものであるか、教えていただけますでしょうか。

木村政府参考人 先ほど官房長官から御答弁ございましたとおり、三権分立とは、一般に、国家作用を立法、司法、行政の三権に分けまして、各々を担当するものを相互に分離独立させ、相互に牽制させる統治組織原理のことを指すものとして使われておりまして、日本国憲法の定める統治組織もこの原理を基本原理としているものと考えております。過去の国会におきます答弁あるいは質問主意書に対する答弁におきましても、同様にお答えしているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府の憲法解釈自身は、政府として論理的な追求を行った結果示すものでございますけれども、こうした三権分立についての考え方は、各国の近代憲法において広く採用されております三権分立の一般的な考え方に合致をするものであるというふうに考えておるところでございます。

青柳(仁)分科員 今、最後の方の答弁がちょっと曖昧で、一般的に各国で採用されている考え方に合致しているものとおっしゃいましたけれども、今聞いているのがまさにその一般的に採用されているものの定義は何かということ、そして、それに合致しているとはどういう状態であるかということを聞いているわけですので、最後の答弁はちょっと答えになっていないかなというふうに思います。

 ただ一方で、ちょっと次に進ませていただきますが、政府の認識として、三権分立というのは、憲法の四十一条、六十五条、七十六条、これは「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」ということ、そして「行政権は、内閣に属する。」「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」ということですけれども、ここによって憲法上で定められている、そういう認識でよろしいでしょうか。

 ほかに、憲法又はその他の法律によって日本の三権分立の定義とか内容というのを定めている法的根拠というのはあるんでしょうか。ある場合、それは具体的には何でしょうか。お答えください。

木村政府参考人 日本国憲法におきましては、第四十一条で立法権は国会に、第六十五条で行政権は内閣に、第七十六条第一項で司法権は裁判所にそれぞれ属することとされております。御指摘のとおりでございます。

 また、それらの間には、衆議院の内閣不信任決議権が六十九条でございます、内閣の衆議院解散権が七条、それから内閣の裁判官任命権、これは最高裁判所につきましては七十九条の一項、下級裁判所につきましては八十条の一項だと思いますけれども、それから最高裁判所の違憲立法審査権が八十一条等、相互にほかを抑制し均衡を保つ仕組みが定められております。

 このような仕組みから、分離の面とそれから抑制均衡の両面から、日本国憲法は三権分立を基本原理としているというふうに考えているところでございます。

青柳(仁)分科員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げた四十一条、六十五条、七十六条というのが主に分離の面を定めているというふうに思うんですが、今おっしゃった部分というのは主には均衡の部分というふうに理解しております。これは後ほどまた戻らせていただきます。

 もう一つ、憲法上の解釈について確認したいんですけれども、これも総理官邸のホームページを見ますと、現行憲法は、第六十七条第一項、第六十八条第一項ただし書、第六十六条第三項、第六十九条、第七十条において、日本は議院内閣制であるということを定めているというふうに書かれています。

 これは政府の認識として正しいかということ、それから、それ以外に日本の議院内閣制の定義や内容を定める法的根拠というのはあるのか、また、ある場合、それは具体的に何かということについてお聞きしたいと思います。

 ちなみに、先ほど、憲法以外でそれを定める法的根拠はあるか、ある場合、それは具体的に何ですかとお聞きしたんですけれども、お答えがありませんでしたので、それ以外のものはないというふうに理解させていただきます。もしも違うのであれば御指摘ください。

木村政府参考人 議院内閣制についてのお尋ねでございます。

 議院内閣制は、御承知のとおり、議会と政府とを分立させつつ、政府の存立を議会の信任に依存させる、そういう統治制度のことであると考えておりまして、憲法六十六条第三項におきまして、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」旨を明文で定めているところでございます。

 そのほか、議院内閣制を具体化する詳細な諸規定につきましては、一般的に指摘されるものにつきまして先生御指摘の総理官邸のウェブサイト等にも列挙されているということでございまして、六十七条第一項、六十八条第一項ただし書、六十六条第三項、六十九条、七十条等を列挙しているというところでございます。

青柳(仁)分科員 ありがとうございます。

 私が列挙した内容でおおむね正しいということで確認をさせていただきました。

 もう一点、ちょっと憲法の条文上の確認ですけれども、憲法の条文には、先ほど申し上げた四十一条、六十五条、七十六条で、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」というふうに書いてあります。それから、「行政権は、内閣に属する。」と書いています。それから、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と書いてあります。これの意味するところは限定されているのかということをちょっとお聞きしたいんですね。

 立法権というのは国会のみが、これは「国の唯一の立法機関」と書いてあるので恐らくそういうことだと思うんですが、行政権は内閣のみが、また、司法権は裁判所、ここで言うところの「最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所」ということですが、のみがそれぞれ持つということで、政府の認識として正しいか。その他の主体がこの三権のいずれかを持つことは憲法上認められていないという認識でよろしいか。これを教えていただけますでしょうか。

木村政府参考人 日本国憲法におきましては、御指摘のとおり、第四十一条におきまして「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」、第六十五条におきまして「行政権は、内閣に属する。」、第七十六条第一項におきまして「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」とされております。

 他方、実質的な作用という面で見ますと、例えば、内閣には政令を制定することが認められておりますけれども、これは立法の作用でございますし、また、最高裁判所が下級裁判所の裁判官の名簿を作成するといったことも定められておりまして、これは司法の作用ではなく行政の作用に属するとも考えられております。こうした例外がそもそも憲法自身が認めるものとして存在しているということは事実でございます。

青柳(仁)分科員 その話になりましたので、ちょっと戻らせていただきますと、先ほどお伺いした話の中で、政府の考える三権分立の定義は何かとお聞きしたときに、国家の三つに分けられた作用、国家の作用という言い方をされたんですね。

 今も作用という言い方をされたんですが、元々の三権分立の定義は、これは統治権なんですね。国家の統治権を立法権、司法権、行政権に分けている。これは非常に明確です。統治権ですから、権利の話、権力の話をしているんです。権力を三つの権力に分けました。権力を三つの作用に分けましたというのはおかしいですね。最初の単位は権力だったのに、分けたら作用になってしまった。これはおかしいと思うんですね。

 元々、モンテスキューはそういうことを言っていないわけですけれども、これは政府のオリジナルの解釈ということでよろしいか、それから、その場合、それはどういった法的根拠を持ってそういう解釈をしているのかについて教えていただけますでしょうか。

木村政府参考人 立法権、行政権、司法権という、それは、統治権の側から見て三つに分割するとそういう言葉になるんだろうというふうに思いますし、また、その中で特に行政権でございますけれども、行政権と申しますのは、通常、国家の統治権の中から司法権と立法権を除いた残余の部分であるというふうに考えられておりまして、その外延、非常に明確にお示しすることが難しいものでございます。

 実際に、立法の作用、まあ、作用という言葉を使いましたが、それについては非常に雑多なものが、多様なものがその中に含まれているということは事実だろうというふうに思っております。

 したがって、私どもとしては、立法権につきましては、いわゆる法規を定立する作用、それを行う権力といいますか権限、権能といったものが立法権だろうと思いますし、司法権の場合は、具体的な事件、争訟について法を適用し、これを裁定、裁断する作用であるということかというふうに思いますけれども、それを除いた残余のものをいわゆる行政権として観念し、ただ、それは、実際の執行の場面においては行政の作用として表れるわけでございますので、それを行政の作用ということで申し上げている、そういうことでございます。

青柳(仁)分科員 その権力と作用ということの違いと、どういう関係性にあるのかというのをもう少し教えていただきたいんです。

 今のお話だと、要するに、作用に関しては、立法作用も司法作用も行政作用も一つの機関が持ち得るということをおっしゃっているというふうに理解するんですけれども、何度も申し上げるとおり、モンテスキューの元々の三権分立の定義というのは国家の統治権ですね。これはクリアですね、統治権です。権力を三つに分けます、立法、行政、司法。先ほど来からお話があった、立法と司法の残余の部分を行政、あるいは執行と訳されるときもありますが、こういうふうに言っている部分、そこはそのとおりです。別にそれについては特に聞いておりません。

 そのうち二つ以上が一つの機関によって独占されないことが重要であると言っているんですね。これは何でかというと、やはり独裁国家をつくらないため、また権力を過度に集中させないため、絶対的な権力は絶対的に腐敗する、こう言われますけれども、そういうことが起こらないようにするための人類の知恵なわけです。

 ですから、今のお話だと、一つの機関が立法作用も行政作用も司法作用もやってしまう可能性があるというか、ある意味、それを許容しているというふうにも聞こえるんですけれども、もしそうであるならば、やはり三権分立というのは成立していないのではないかと思うんです。

 私のこの理解が間違っているようであればちょっと教えていただきたいのと、また、最初に戻りまして、権力と作用の関係性というのはどういうふうに政府の認識として捉えているのか、その辺を教えていただけますでしょうか。

木村政府参考人 権力と作用の関係性というのは、非常に深遠な御質問かなというふうに思います。

 恐らく権力があって初めてその作用が可能になる、そういう意味でいいますと、個々の行政作用なりを行う上での根拠となるものが権力あるいは権能といったようなものかなというふうに思っております。

 それから、先ほどの、三権の中の二権を一つの、例えば行政府なら行政府が持つということになると、純粋に三権分立とは言えないんじゃないかというような御質問かなというふうに思いましたけれども、現実問題として、憲法上例外が認められているということは事実でございますし、それから、場合によっては立法によって行政作用を内閣の所管、所轄の外につくるということも可能かもしれませんけれども、そういったことがあるからといって、三権分立と言えないというのはやはり飛躍があるのではないか、やはり三権それぞれの本質、立法府の担うべき本質あるいは行政府の担うべき本質、司法府の担うべき本質というのが損なわれているとまで考えるべきでは恐らくなくて、そこは、政府としてはそのような考え方には立っていないということでございます。

青柳(仁)分科員 最後にそこまで損なわれていないと言っていたんですけれども、やはり損なわれていると思うんですね。

 これは何度も申し上げますが、三権分立というのは、国家の統治権を三つに分割して、そのうちの二つ以上が一つの機関に属さないことという定義なんです。そういう定義でないというんだったら、別にそれはそれで構わないんですが、それだとすると、非常に国際的にも特殊な定義を日本はしているんだなというふうに思います。

 それから、もう一つ、先ほど深遠とおっしゃいましたけれども、全く深遠でも何でもなくて、権力があるから作用があるというのであれば、三つの作用をやっているということは、その三つの権力を持っている、あるいは行使しているということになりますので、やはり三権が分立していない、一つの機関が二つ以上の権力を行使しているということになるのではないかと思うんです。

 その辺をまずもう少し詳しく教えていただきたいのと、もう一点、憲法上例外が認められていると今おっしゃっていましたが、それはどういう意味ですか。

木村政府参考人 立法府、いわゆる国会が例えば行政権に属するようなことをなさる、そういったことはあると思いますし、それから、我々、行政におる人間でございますけれども、行政府が政令の制定といった立法的な作用を行うことはあるということで、これは、少なくとも政令制定につきましては、憲法が自ら認めているものであるというふうに思います。

 ただ、政令の制定をする権限規定が内閣に憲法上付与されているからといって、必ずしも、行政府が何か立法府であるかのように認識されるといいますか、あるいはそういったものとして観念されるということは恐らくないというふうに思いますし、司法府におきましても、例えば司法行政でございますとか、あるいは規則制定権のようなものも憲法上認められているわけでございまして、それを行使するから、司法権の本質、司法権の一番重要なところを担うべき裁判所という機能そのものが何か損なわれるといいますか、そういったことにはならない、また、三権それぞれが抑制と均衡の体系の中に存在しているという事実自身も変わらないものというふうに私どもとしては考えるわけでございます。

青柳(仁)分科員 ちょっと、ますます分からなくなってしまったんですけれども、要するに、憲法上認められているというのは、憲法が行政に政令を作ることを認めているというふうにおっしゃりたいということですかね。それはちょっと端の話なのでさておき、政令というのは、別に、行政権の執行の範疇であるというふうに考えればいいだけの話だと思うんですけれども。

 というのは、先ほど来から言っている三権分立の定義というのは、一つの機関が二つの権利を持たないことということですよね。それは何でかというと、一つの機関にそういう権利を集中して、権限を集中してしまうと腐敗が起きる、独裁が起きる、こういうことですよね。だから、司法行政を行うこと、これを裁判所が行ったから行政権、そういうことではないと思うんですよね。衆議院の事務局が衆議院の運営についてのことを行うのは別に行政ではないですよね。それは一つの衆議院という機関が行っている立法の作用の中として考えるのが元々の定義なんだろうというふうに思いますけれども、そこを何か作用というふうに無理に分けているのがよく分からない。ちょっとそこの観点をまず教えていただきたいんです。

 加えて、今のお話で、作用はもう自由にやっていいんだという話ですよね。だとすると、何が分かれていたら分かれていることになるんですか。では、どういう作用はしてはいけないんですか。

 要するに、三権分立ですから、司法権、立法権、行政権、それを司法作用、行政作用というふうに言い換えていますけれども、じゃ、政令はオーケーなんですね、政令という立法は行っても、それは三権分立ということですね。では、何をやったら駄目なんですか。どういう作用は、やった場合に三権分立とは言えなくなるんですか。その政府の認識を教えてください。

木村政府参考人 三権、国会、内閣、裁判所がそれぞれなし得ることというのは、基本的にはやはり憲法上枠づけられているのではないかというふうに思います。

 例えば、ちょっとこれは済みません、完全に詰め切ったわけではございませんで、一つの物の考え方としてお聞きいただければと思うんですけれども、行政機関は終審として裁判することができないという規定が司法権の中にございますけれども、終審として裁判することができないということは、前審としては、裁判、裁判という言い方をあえてしないで審判というような言い方をしておりますけれども、そういうことは憲法上許されているわけですね。そういうことが、憲法上、幾つかの例外はあるんですけれども、それがあるからといって、やはり、国会がお持ちになっている立法権、あるいは裁判所がお持ちになっている司法権、それの本質的な部分が何か覆されるような、そういう大きなマグニチュードを持ったものではないのではないかというふうに思っておりまして、あくまでも、原則と例外の関係に立つ。

 三権分立といいましても、憲法上何か明確に定義をされたような概念ではなくて、歴史的に生成され、あるいは、国際的にも幾つかのパターン、例えばアメリカ型、フランス型といったようなものが言われておるようでございますけれども、幾つかのバリエーションがあるものだと思います。

 だから、その中で、やはり、大局的に理解しますと、日本が三権分立の制度を取っているということはもう疑いもない事実であるというふうに私どもとしては考えておりますし、原則と例外の関係ということで御理解いただければと思います。

青柳(仁)分科員 余り疑いの余地がなくないので、今日わざわざ聞いているわけなんですけれども、原則と例外というのは分かりました。その中で読めるものだと政府として認識しているのは分かりました。今聞いているのは、だから、その原則というのは何かというのを聞いているわけです。

 先ほど来から、本質的な部分に立ち入るものではない、そういったマグニチュードがあるものではないというお話がありました。つまり、終審の裁判はできない。

 では、例えば、司法権においては、裁判というものが司法権の本質的なものあるいは原則であるというふうに今捉えていらっしゃいましたね、そういう見解だったとします。そして、立法に関しては、法律の採決ということに例えばしましょう。だとした場合に、それが作用なんですけれども、立法作用あるいは司法作用なんですけれども、その作用をしてしまった場合は、本質的なところ、原則的なところに立ち入ってしまった、今の御説明だとそういうふうにしか理解できないわけですが、その場合、行政の本質的な部分、原則的な部分、行政のこの部分をやってしまったらこれは行政権を行使してしまったことになるというのは、どういう部分なんですか。

木村政府参考人 行政権を行使してしまうということが、済みません、私、よく分からないと申すべきか、ちょっと難しいんですけれども、あくまでも、憲法なり、そういったもので許容された枠組みの中で、許された範囲で、例えば行政府が立法作用を営む、あるいは司法府が行政的な作用を営むといったようなことがあるということでございますし、それを超えて、何の制度的担保もないのにそういうことをやるということはないわけでございます。

 ですので、お尋ねは、恐らく、立法論としてそういったことが許されるのかというようなお尋ねかと思いますけれども、行政の本質そのものというのはやはり控除説的に捉えておりますし、国家の統治の作用、統治権かもしれませんが、それを三つに分けたときに、立法権でも司法権でもない、立法作用でも司法作用でもない残余の作用、それを担うものが行政であるということでございますので、その中には非常に多様なものが含まれますし、それの中に何を入れ、何を出すべきかということにつきましては、やはり、政府と国会の間のある種の共働といいますか共に考える枠組みの中から生まれてくるものではないかなというふうに思います。

青柳(仁)分科員 時間が来ましたので、ちょっと最後の質問まで行けなかったんですけれども、先に通告しているので簡単な確認の質問はさっと答えていただきたいなと思いました。

 制度的担保があるからこういうふうになっているというようにおっしゃっていましたけれども、今、私もいろいろな資料を読み返してみて、制度的担保がないから、あるいは法的根拠がないから、わざわざこの三十分を使って聞いているわけです。そういったことをしっかり踏まえた上で、もう少ししっかりとこの国会に政府の方も対応していただきたいなというふうに思います。

 私からの質問は以上で終わります。

牧島主査 これにて青柳仁士君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岸一生君。

山岸分科員 練馬区からやってまいりました立憲民主党の山岸一生です。今日はよろしくお願いいたします。

 少し順番を変えまして、まず、防衛大臣からお尋ねをしてまいりたいと思います。

 予算委員会でも、この間ずっと防衛予算の議論をしてまいりました。私は、今、この防衛予算の問題は様々問題がありますが、まずその前にやることがあるだろうと一つ考えていることがございます。自衛隊の働き方の問題でございます。自衛隊員といえども、一人の生活者であり一人の労働者であって、安全に働ける環境ということが大前提だろうというふうに思います。

 そこで、この間、様々、防衛省に対して数字の開示をお願いしていましたらば、今回、防衛省の方から、傷病休職者の数の推移ということで数字の開示をいただきました。多分、これは初めて開示される数字じゃないかなと思います。済みません、資料を用意していませんけれども、ネットを御覧の方は、私のツイッターに上げておりますので御覧いただければなというふうに思います。

 自衛隊の傷病休職者がここ数年間で急速に増えているという現状がございます。平成二十九年度からで、六百七十九人、六百三十八人、七百三十人、七百四十八人と来て、一昨年、令和三年度は八百九十人へと増加をしている、こういう数字が出てきております。

 まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、この増加の原因をどういうふうに分析されていますか。

浜田国務大臣 今委員からお話ございましたけれども、防衛省・自衛隊においては、令和三年度に心身の故障のため休職した自衛隊員は八百九十人であり、令和二年度の七百四十八名と比べて百四十二名増加をしております。この増加は、うつ病等の精神疾患が主な要因であると認識をしております。

 防衛省・自衛隊では、令和四年四月、防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針を策定し、メンタルヘルス関連の施策を推進しております。具体的には、メンタルヘルスチェックやメンタルヘルス教育、部外カウンセラーの招聘やカウンセリング体制の充実などによって、隊員の心のケアをしっかりと取り組んでいるところでございます。

山岸分科員 大臣の方から、メンタルの関係が寄与度が大きい、こういう説明をいただきました。ありがとうございます。これは非常に深刻だと思います。

 実は、この数字が増加しているのは二つの見方がありまして、つまり、職場環境が悪化してどんどんどんどん健康を害している人が増えているという側面と、あるいは、見方によっては、これまで休めなかったけれども、様々な取組によって休職を取ることがしやすくなっているから急速に増えている、様々、可能性はどちらもあるんだろうなというふうに思います。

 そこで、一つの見方として私が考えていきたいと思うのが、職場全体の数に比べて休職を取っていらっしゃる方が少な過ぎるんじゃないかという問題なんでございます。大臣、お手元にあると思うんですけれども、防衛省の休職者の数を見ますと、さっき八百九十人と御紹介しましたけれども、内訳を見ると、自衛官が六百九十三人、事務官が百九十七人、大体、自衛官と事務官で三倍ぐらいの違いがあるわけです。でも、じゃ、その母集団になる職員全体はどのぐらい違うかといったら、自衛官はたしか今二十四万ぐらいですか、事務官が二万人ですから、十倍以上開きがあるにもかかわらず、休んでいらっしゃる方は三倍しか違わない。これは、だから、人数当たりで見れば、自衛官は休職者の数が極めて低いということなわけなんです。

 では、事務官が多いのかなと思う方もいると思うので申し上げておくと、事務官は極めて平均的でございまして、やはり、大体、どの公務職場でも一%から一・二%ぐらい休職者がおられます。事務官は二万人のうちの二百名ですから、まさに平均的な数字ということで、やはり、人数当たりで見るときに、自衛官の休職者の数が非常に少ないということがあるわけなんでございます。

 ここで、時間がないので二問まとめてお聞きしますけれども、自衛官と事務官の人数当たりの休職者の違いの原因がどういうところにあると分析をされているのか。それに関連をして、恐らく背景には、自衛官が特に休職をしづらい職場環境があるのではないか。具体的には、例えば、休職をしたい、休みたいということを希望すると、じゃ、退職をしろというふうに促されるような職場環境というものが背景にあるんじゃないかと僕は推測しますけれども、この点をどういうふうに大臣は見ていらっしゃいますか。

浜田国務大臣 自衛官と事務官では業務内容や勤務環境など多くの面で異なることから、お尋ねのような差異を単純に比較することはできませんが、いずれにせよ、防衛省・自衛隊では、心身の故障の未然防止に可能な限りきめ細やかな対応を講じる努力はしておるところであります。

 自衛官については、厳しい環境下で、規律を保持し、任務を遂行することが求められることから、良好な勤務環境を維持し、メンタルヘルスにも資する取組として、近年、勤務環境が過酷な海上自衛隊の潜水艦部隊や航空部隊においては、若手隊員が気軽に相談できる相談員を指定するANIKI制度、陸上自衛隊の各部隊においては、勤務時間の終了時に上司を交えて業務の進捗状況や体調管理などを確認する解除ミーティングなどの取組を導入させていただきました等々ございます。

山岸分科員 今、取組を御紹介いただきましたけれども、やはり私は、そろそろこの自衛隊の働き方というものを真正面から見詰める時期に来ていると思います。一昔前なら、自衛官は若い元気のいい方が多いから多少はむちゃをしてもというふうなことがもしかしたらあったかもしれませんけれども、もはやそれが通用する時代ではないということでございます。

 現場の担い手を粗末にする軍事組織というのは必ず衰退していく。これは旧日本軍のことを持ち出すまでもないわけでありまして、自衛隊といえども一つの働く現場であって、担い手を守ることなくして、どれほど高い兵器を買い求めても意味がない。軍事産業栄えて自衛隊員すり減るということは決してあってはならないということを申し上げて、大臣に関しては以上でございます。ありがとうございます。

牧島主査 大臣、どうぞ。

山岸分科員 続きまして、鈴木内閣府政務官に関してお伺いしていきたいと思います。

 私、新聞記者時代に、政務官には実は三重に取材にお邪魔したことがあって、当時、本当にはつらつたる知事でいらっしゃいましたので、こういうお金の話で疑惑が出るというのは非常に残念な思いがいたします。

 順次伺ってまいります。

 政務官、まず、株式会社平野組、三重県紀北町にあります会社ですけれども、こちらは、政務官がこの間献金を受けて返金をされた十三社のうちの一社で間違いありませんか。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 御質問をいただきました企業につきましては、令和三年の政党支部の収支報告書において、寄附を受けたことが記載をされています。

山岸分科員 それで、今回問題になっている当該十三社のうちの一社で間違いありませんね。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 法に触れるなどのない中で、個別企業名をこういう場で明示、列挙することは極めて慎重であるべきと考えておりまして、先ほど申し述べましたとおり、令和三年中に御質問の企業から寄附を受けていることは収支報告書に記載されているとおりであります。

山岸分科員 なぜ、ここまで出ている話をお認めいただけないのかと思いますが。

 お伺いしますが、当時知事だった政務官は、二〇二一年三月二十八日に、今私が申し上げた平野組さんが施工をされた国道四百二十二号志子工区という道路の開通式がありましたけれども、この開通式に来賓として御出席をされましたか。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 一昨年の行事でありますけれども、記録を改めて確認しましたところ、参加をしております。

山岸分科員 私も平野組さんのホームページを拝見しましたら、ばっちり写真入りで載っておりました。祝開通と大きな看板の前で知事がスピーチをされていて、その看板には、大変大きな字で、発注者、三重県知事鈴木英敬、施工者、株式会社平野組と書いてあるわけでございます。

 こういった式典は、もちろん知事はたくさん参加をされるとは思いますけれども、これはおととしの三月の話ですから、まさに知事がその後寄附を受ける半年ぐらい前の話でございます。

 政務官はせんだっての予算委員会で、国からの公共事業を受注していたことは全く知らなかったと御答弁されていますが、こうした会合にも出席をされているわけであって、これはあり得ないと思いますよ。寄附を受けたときに、あ、地元の国道を造ったあの会社だなということは、当然、知事をやっておられれば分かっているはずであって、政務官、この答弁に関しては虚偽答弁じゃありませんか。撤回すべきじゃありませんか。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、そもそも、寄附については事務所担当者が受けておりまして、その他も含めて、私自身が寄附に関する細かな事実関係まで把握をしておりません。

 しかしながら、今回御質問をいただきましたので確認をいたしましたところ、御指摘の事業につきましては、御案内だと思いますけれども、三桁国道は県管理のものが多くて、まさにこの路線は県管理でありまして、県発注の公共事業でありまして、本事業においては、施工企業は国との契約関係にはないと認識をしております。

 その上で申し上げれば、公職選挙法第百九十九条の契約の当事者とは現在契約を結んでいる場合を指し、したがって、契約している間の寄附が禁じられているものと承知をしております。御指摘の企業から寄附がありましたのは、収支報告書によれば令和三年十月十五日でありまして、御指摘の事業は令和三年三月十九日に完成し、その後、契約満了となっておりますので、そもそも関係はないものと認識しております。

 よって、二月十七日に全く知らないと答弁したことと整合しないものではありません。

山岸分科員 今政務官は新しいことをおっしゃいましたけれども、担当者が受けたので個別の企業名等はそのときは知らなかったという御答弁に変更になったということで私は理解して、話を進めていきたいと思います。

 もう一個論点がございまして、選挙、選挙活動との関係ということなんでございます。

 政務官は、先般、これも委員会で、政党活動への支援である、したがって違法ではないんだというふうな御見解を表明されておりましたが、総務省にお伺いしたいと思うんですが、今政務官からも発言があった公選法百九十九条の解釈なんでございますけれども、これは、当該選挙に関し寄附をしてはいけない、こういう規定になっていますけれども、この当該選挙に関しの解釈ですけれども、選挙運動に対する寄附のみを指すのか、あるいは、更に広い、もうちょっと幅の広い概念であるのか、この点、説明してもらえますか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 公職選挙法百九十九条の第一項の一般的な解釈として申し上げますと、お尋ねの、選挙に関しについては、選挙運動に関しという概念よりは文言上広義でございますが、選挙に際し、選挙に関する事項を動機としてというふうな意味というふうに解されております。

 いかなる寄附が選挙に関する寄附であるかということにつきましては、寄附の趣旨、寄附者や受領者の真意、寄附金の取扱いなど、個別具体の事情を総合的に勘案した上で判断されるものというふうに考えられていると承知をいたします。

山岸分科員 まさに、総務省さん今御答弁があったように、選挙運動そのものよりははるかに広いものであって、個別具体に総合的に判断するということなので、政務官、政務官がおっしゃっていた、政党の支部にもらった政党への寄附だから大丈夫なんです、セーフなんですということは、直ちにはそうならないんじゃないかな。

 これはもう一回総務省に確認をお願いしたいんですけれども、政党の支部に献金をしたから自動的に合法になる、そういうふうに判断できるものなんでしょうか。もっともっと、私は、個別具体の要件に照らしてこれは合法か違法かということが決まってくるんじゃないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 選挙に関しにつきましては、先ほどから申しているとおり、選挙に際し、選挙に関する事項を動機としてという意味と解されておりますので、一般的には、寄附の趣旨、寄附者や受領者の真意、寄附金の取扱いなど、個別具体の事情を総合的に勘案した上で判断されるものと考えられていると承知をしております。

 私ども、当てはめはやりませんけれども、あえてというお尋ねでございますので、一般の政党につきましては、常時、諸般の政治活動を行っておられるものでございますので、ある時期にその政党の支部に対して寄附が行われたとしても、寄附が行われた期間のみによって選挙に関して寄附が行われたと認定することができるのかどうかといった点は、なかなか困難な点があるのではないかというふうには思います。

山岸分科員 まさに、非常に評価は難しいわけですよね。何が違法か、何が合法か。まさに、時期であったり狙いであったり目的、そういったことで決まってくるわけです。

 そこで、政務官、この間、違法なものではないと明快に言い切っておられましたけれども、今の総務省の話を聞く限り、そう簡単に言い切れるものではないと私は理解していますけれども、これは解釈を誤っているんじゃありませんか。いかがですか。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでるる申し上げておりますけれども、専門の方などにもいろいろ御相談したりしている中でありますが、当該寄附は、あくまで、立ち上がったばかりの支部の政治活動用としていただいたものでありまして、法に触れるものではないというふうに認識をしております。

 なお、先ほどの答弁のことで山岸委員からありましたが、全く知らなかったというのは事務所のメンバーも含めてということでありますので、そこは何か私が言葉足らずだったのかもしれませんけれども、そのように答弁させていただきます。

山岸分科員 政務官、つまり、事務所のスタッフの方も含めて企業名を把握していなかったというのが今の御答弁の趣旨でしょうか。確認をお願いします。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 十三社が国の公共事業を受注しているということを全く知らなかったということであります。

山岸分科員 答弁を重ねれば重ねるほど、政務官の知事時代の職務がそんなに地元の企業のことを知らないのかなというふうに、私はむしろ不安になってしまう御答弁だと思います。そういったことで、今、政務官の職務が果たして続けられるのかということは真摯にお考えいただく時期に来ているんじゃないかなということを私は申し上げて、政務官に関してはここで結構でございます。ありがとうございます。

 残された時間で、東京外環道の問題に関して国交省の方と議論をさせていただきたいというふうに思います。

 調布での陥没事故から一年余りが経過をいたしまして、昨年末から、事故が起こっていなかった方、北側、大泉側の掘削が再開をいたしております。実は、何を隠そう、私の地元、東京都練馬区の事務所もこの掘削予定地の今直上にございまして、先週チラシが入っておりまして、恐らく今週か来週に、トンネルが、シールドマシンが地下を通過していくんだろうというタイミングでございます。やはり、調布の事故を踏まえて、不安がないと言えばうそになります。私自身も当事者の一人として、地域の声を届けて、確認をしていきたいというふうに思います。

 まず、この間の調布の事故を受けて、今、外環道が事業としてどういう状況にあるのか。費用対効果、BバイCの分析がございますけれども、これは事故前の時点で一・〇一と、本当にぎりぎりのところでございました。

 国交省へ確認をお願いしたいのでございますけれども、陥没事故の対策費用とこの間工事が止まっていることによるランニングコストの増加ということを含むと、外環道全体のBバイCは一を割り込む、こう理解してよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 調布市での陥没、空洞事故を受け実施する陥没、空洞地域周辺での家屋補償や地盤補修、さらには、有識者委員会で取りまとめられた再発防止対策の確実な実施などは事業費の増加要因となる可能性があると認識しております。一方で、今後ともコスト縮減に努めることとしており、現段階では総事業費や費用便益比を見通せる状況にはありません。

 今後、この事業を進める中で、現場状況の変化などにより事業費の変更が見込まれる場合には、BバイCも含め、適切に事業評価をしてまいります。

山岸分科員 その数字を早めに出すべきだと思うんですよ。

 というのは、一・〇一とさっき申し上げましたけれども、これは実額にしたら百四十九億円なんですよね、プラス分で。これを超えれば一を割り込むという非常に単純な計算で、これが出せないというのは、もう既に実質的には大きく一を割り込んでいることを出したくないから数字を隠しているんじゃないかと取られても私は仕方がないと思います。

 今お話があったように、コストの縮減をするとおっしゃっていましたけれども、私が知っている限りでは、ダンプの運用の効率化みたいな話はお聞きしたことがありますけれども、到底、数百億円という根本的な改善にはほど遠いと思います。

 今現在で考えている費用の縮減策の具体的な内容と見込まれる縮減の金額を教えてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 東京外環のコスト縮減につきましては、令和二年九月に実施した事業評価監視委員会の委員からも、今後の工事実施段階においても段階的に施工方法を見直すなど、コスト縮減、厳格なコスト管理を行いながら工事を進めるべきとの御指摘をいただいており、今後施工する全ての工事を対象に検討を行っているところです。

 検討の内容が高度な施工技術に関するものであり、その数も多いことに加え、調布市で陥没、空洞事故が発生したこともあり、検討に時間を要しており、現時点で縮減内容や金額をお示しすることは困難です。

山岸分科員 金額すら示せないという中で、到底、この事業の根本的な採算自体が今大丈夫なのか。私は、外環道全体がそろそろ根本的な立て直しが必要な時期に来ているんじゃないかなというふうに考えております。これは、いずれ将来という意味ではなくて、もう現実的に目の前の課題になっているということを今日お話をしたいと思います。

 国交省にお伺いいたしますが、先ほど僕が冒頭お話をした掘進を再開している大泉側のシールドマシン、この最新の日進状況は何メートルですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 大泉側から掘削を進めている北行き車線の本線シールドの掘進速度は、今月の掘削実績では一日当たり約五メートルになります。

山岸分科員 一日五メートル、月進百五十メートルという計算になるわけでございます。ただ、これはもちろん、今はいわば慣らし運転で、これから加速をしていくという状況ですので、順調になれば、私は月三百メートル可能というふうに承知をしております。そうなると、年間で四キロ近く掘進をしていくわけです。

 そこでお伺いしますが、じゃ、今掘り始めている大泉側のシールドマシンとこの先予定をされている青梅街道インターチェンジ予定地、更にその先の中央ジャンクションの予定地の間の距離を教えてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、大泉側から掘削を進めております北行き車線の本線シールドと青梅街道インターチェンジとの距離は約三・三キロメートル、それから中央ジャンクションとの距離は約七・五キロメートルとなります。

山岸分科員 三・三、七・五。つまり、これからシールドマシンが順調に掘削をしていけば、もう年内には青梅街道に到達をして、来年若しくは再来年には中央道までトンネルが到達するという局面を迎えているわけです。もちろん、シールドマシンの掘削は、調布の事故を受けて、地域への丁寧な補償とそして地域の納得、さらには事故防止、これは大前提ですけれども、現実的に今そういうところに工事が進んでいるわけです。

 一方で、じゃ、事故を起こした東名側、こちらは全く見通しが立っていない上に、今僕が触れた練馬区の青梅街道インターチェンジ、こちらは地上部分の用地買収がほとんど、大部分進んでいないという状況なわけです。そうしますと、いつかではなくて、もうこれは来年か再来年ぐらいには、掘り抜いたシールドをどうするんだという課題に向き合わざるを得ないわけでございます。

 そうした中で、気になる議論がございました。これは、昨年十一月、皆さんがやっていらっしゃる事業連絡調整会議の第十一回の議事概要に出てきますけれども、こういう表現があるんです。経済界からは、中略、大泉側本線シールド工事及び中央ジャンクションランプシールド工事において、中略、シールド工事の推進と外環道の早期開通を求める要望がある。こういう要望をわざわざ記載されているわけですね。

 これは、私、素直に読んだら、この要望の趣旨は、できたものから使っていこう、こういう趣旨に読み取れるわけなんです。つまり、言い換えれば、大泉ジャンクションから中央ジャンクションまでの先行的な開通、供用ということを求めている趣旨かのように読み取れますけれども、その考え方を排除していない、こういう理解でよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 東京外環の大泉ジャンクションから東名ジャンクションまでの約十六キロメートルが開通すれば、首都圏の慢性的な交通渋滞が解消されるなど、大きな経済効果がもたらされるものと考えております。

 お尋ねのとおり、経済界からも整備促進の御要望をいただいており、直近では、令和四年十一月に、東京商工会議所等から成る東京外かく環状道路(関越道〜湾岸道路)整備促進連絡会議から要望書をいただいております。

 御要望の趣旨が大泉インターチェンジから中央ジャンクションの先行供用を排除していないかどうかは、御要望者のお考えに関することでありますのでお答えすることはできませんが、国土交通省といたしましては、全線開通を目指して事業を進めていく考えでございます。

山岸分科員 お認めになったのかなっていないか、分からないんですけれども、つまり、実質的に既に国の一部あるいは経済界の中にそういう意見があるということじゃないかと思うんです。現実的に、今、青梅街道インターチェンジを造って、いわばフルスペックで外環道の開業を近い将来に行うということが、私は相当困難になっているということを言わざるを得ないんじゃないかなと思います。

 今、青梅街道の用地買収は進捗四〇%です。当然、一年、二年では済まないという中で、今の答弁を踏まえて、これは政務の方にお伺いした方がいいと思うんですけれども、国の考えをもう一回整理してほしいんですけれども、本線シールドが来年、再来年通過していくという状況になって、しかし地上部分が進捗をしないということであれば、何年も何年も放置をしていく。そこまでして、国としては、青梅街道インターチェンジと外環本線を一体的に供用する、同時に開業させます、こういう方針で臨まれるということなんでしょうか。

清水大臣政務官 お答えいたします。

 青梅街道インターチェンジ部では、一般道と高速をつなぐランプを施工し、本線と合流させるための地中拡幅工事を行うこととしております。

 地中拡幅工事については、有識者委員会において、地中拡幅部の施工時の安全性や品質の確保、コストの観点から工法に対する考え方が取りまとめられており、この考え方に基づき、現在、国土交通省において設計を進めているところであります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、本線と青梅街道インターチェンジを一体的に供用開始できるよう進めてまいりたいと考えております。

山岸分科員 一体供用という言葉にこだわられるということでした。

 しかし、再々申し上げているように、これは、私、仮定の話じゃなくて現実的な数年後の話を申し上げているわけなんです。本線シールドは通過するけれども地上部は一向に進まない、東名側のトンネルも掘り進めないというときに、もちろん外環事業の在り方全体にいろいろな意見がありますけれども、既に完成をしている本線シールドというものをいつまでもいわば塩漬けにするということが、国民負担が膨らんでいく中でどこまで許容され得るのか。こういうことを含めて、私は、そろそろ、抜本的な外環道事業の見直しということに着手していく時期を迎えているというふうに考えています。

 もう一度、政務官にお伺いしたいのでございますけれども、百歩譲って、国の立場に沿ってとにかく早期開通するんだとおっしゃるのであれば、むしろそのためにこそ、青梅街道インターチェンジの見直し、凍結ということに着手をしていく考え方はありませんか。

清水大臣政務官 お答えいたします。

 現在、杉並区、練馬区、武蔵野市などにお住まいの方々にとって、環状八号線は首都圏の北部へ移動する際の幹線道路でありますが、同道路は慢性的な渋滞となっております。また、本来環状八号線を通るべき通過交通が地域の生活道路にまで入り込んでおりまして、交通事故がほかの市町村と比べても高いなど、様々な課題を抱えているところであります。

 このため、青梅街道インターチェンジを整備し、外環道に交通を転換していくことが重要であると考えているところでありまして、国土交通省といたしましては、引き続き、東京都の協力を得ながら、同インターチェンジの用地取得を進めるとともに、必要な設計を行うなど、整備を進めてまいりたいと考えております。

山岸分科員 私も地元の人間ですから、通過交通の問題はよく分かります。しかし、青梅街道インターチェンジがある場合でもない場合でも、大幅に環八の交通量が減るということに変わりはないわけでございます。

 先ほど来、再々のお話になりますが、どうしても、国の皆さんは、この話はあくまで仮定の話だろう、東名のトンネルが進まないのも仮定の話だろう、全てこういうおっしゃり方で切り捨てられるわけなんですけれども、何度も申し上げるように、これは現実的な未来の話で、イフではなくてウェンの話、来年、再来年どうするんだという話になってくるわけでございます。

 先ほど議事録を御紹介したように、私は、経済界であったり地域であったり、あるいは皆さん方、国の一部にも、既に私が御紹介したような考え方というものが芽生え始めているんじゃないかと推測をしています。一方で、我々区民を含めて、練馬区も地元の方々も何も知らされておらないという状況でございます。

 私は、国としてしっかりとこの外環道の事業の抜本的な立て直しを早めに立てていただいて、地域の皆さん、自治体の皆さんに対して説明を尽くされるべきだということを求めて、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて山岸一生君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、宮下主査代理着席〕

宮下主査代理 次に、浅川義治君。

浅川分科員 日本維新の会を代表しまして、浜田防衛大臣中心にお伺いいたします。

 二〇二〇年六月と二〇二一年九月に東北の上空に滞空した、プロペラのようなものがつり下げられているバルーンの問題、既に防衛省の方で、中国からの気球だったということで、外交的な抗議もされておりますけれども、今日は、この問題と、先般アメリカで発生しました同様のバルーンの撃墜の事件について、国防上の観点からお伺いしたいと思っております。

 この質疑に入る前に、今日、速報のニュースで、漫画家の松本零士さんがお亡くなりになったという訃報が入ってまいりました。私が宇宙や天文に関心を持ったり、あるいは憲法第九条に関心を持ったのは、松本零士さんが作られた「宇宙戦艦ヤマト」、こういったアニメーションが非常に大きかったと思っております。

 「宇宙戦艦ヤマト」は、大臣御存じか分かりませんけれども、デスラー総統率いるガミラス帝国が地球を侵略してくる、そのときに、イスカンダルの方から、コスモクリーナーというものを取りに来てくださいということで、宇宙戦艦ヤマトの建造のデータが来るわけですね。それで、宇宙戦艦ヤマトが発進して取りに行くんですけれども、そもそも、子供の頃はよく分からなかったんですが、もし地球の軍が宇宙戦艦ヤマトと同じような戦力、武力を最初から持っていたら、ガミラス帝国が地球を侵略してくることはなかったのではないかと、その後、政治とか軍を少し研究するようになって、思うようになりました。

 というのは、今日の神奈川新聞、地元の神奈川新聞の「照明灯」というところに、やや左寄りの見解と私は思っているんですけれども、「政府与党の先生方は、「危機」に乗じて未曽有の軍拡に突き進もうとしている。武力は何も解決しないという愚かさにいつ気付くのか。」というような一文があるんですね。

 確かに、私たち日本維新の会も、政府・与党よりやや右じゃないかというような意見もあるんですけれども、私たちは、現実に即して防衛力の整備というのを進めていかなければならない。まして、今回政府が発表している五年間での防衛力の増強、個々に細かいところでいえば、増税なしでとか、いろいろ論点はあるかと思うんですけれども、基本的には、今の日本周辺諸国を考えると、防衛力として増強していかなければいけないというふうに考えております。

 そういった観点から、実は、さっきお話ししました、二年、三年前、四年前にもあったようなんですけれども、中国から来たと思われる気球が偵察をしていたのではないかというふうに考えられるんですけれども、その当時のことで、先に、今日、気象庁さんにもお越しいただいていますが、気象庁の気球ではないかというような意見もあったんですけれども、当時は、気象庁は観測気球を上げたり、あるいは似たようなものというのはあったんでしょうか。

野村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二〇二〇年及び二〇二一年の東北地方における事例においては、場所と時間から、いずれも気象庁の高層気象観測はその辺にはございませんで、我々の観測ではないというふうに考えております。

浅川分科員 ちなみに、国交省さんにも今日お越しいただいていますけれども、事前のレクでもいろいろ、航空上のレーダーのこともお伺いしましたが、当時は国交省のレーダーで捕捉されていたんでしょうか、この二年前、三年前のバルーンについて。

新垣政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省が運用する航空路監視レーダーは、航空機から発信される信号を基に航空機の位置などを把握しております。

 したがって、御指摘の飛行物は信号を発信していないため、航空路監視レーダーでは把握をしておりません。

浅川分科員 そうなんです。私は、てっきり、航空管制官の、飛行物体の映るレーダー画面にそういう発信機のないものでも映るものだと思っていたんですが、どうもそうではないと。今回、防衛省が、政府が、航空の安全の観点からも、中国に対して、あるいは領空を侵犯する物体について、今まで以上に強い態度を取るということを言われていますが、それは、一つは航空上の、保安上の問題というふうに発表されているかと思います。

 ところで、今回のアメリカが撃墜した気球、それについては、気象庁の方が見て、撃墜したバルーンというのはどのようなものというふうに見ていらっしゃいますでしょうか。

野村政府参考人 まず、我々がいつも日常行っている観測でございますけれども、世界気象機関、WMOの取決めに基づいて、一日に二回やっております。世界標準時の零時と十二時、日本でいうと九時と二十一時でございますけれども。大きさが、大体、水素ガスを充填したゴム気球が上空三十キロメートルまで行くんですが、膨張しても七メートルから八メートル程度ということ。それから、気球は六百グラム、センサーは五十グラムという非常に軽い状況でございます。風船の下に気温と湿度を測るセンサーをつるして上げるんですけれども。

 今般、アメリカでございました案件でございますけれども、大きさも非常に大きいということでございまして、あとは、何をぶら下げているのかちょっとよく分からないというのがございます。いずれにしましても、我々の気球とは全く違うということ以外、ちょっと情報がございませんので、何とも用途につきましては判断が困難であるということでございます。

浅川分科員 世界中で同じような基準で気象観測をしているということで、それほど日本の気象庁が使っているようなバルーンあるいは観測機器と大きくかけ離れてはいないだろうというふうに私も考えるところです。

 ところで、当時、二〇二〇年六月、二〇二一年九月の東北の上空に滞空したバルーンについて、自衛隊としてはどのような対応を取られたのか、大臣、お伺いします。

浜田国務大臣 個々の自衛隊の対応の詳細については性質上お答えができないことは御理解していただきたいと思いますけれども、防衛省としては、平素から、警戒監視に万全を期すとともに、大きな関心を持って気球の情報収集、分析を行ってきております。

 一方、御指摘の事例を含め、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体について、その所属を含めた詳細については所要の分析を得る必要があり、分析を継続をしているところであります。

 今般、更なる分析を重ねた結果、この飛行物体は中国が飛行させた無人偵察気球と強く推定されます。これを受けて、本件について、外交ルートを通じて、中国政府に対して、事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないように強く求めるとともに、外国の無人偵察気球等による領空侵犯は断じて受け入れられない旨を申し入れたところであります。

浅川分科員 その分析なんですけれども、どういった材料を分析されたのか、そして、防衛省の中ではどの部署の方たちが分析をされていたのか、教えてください。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年十一月、二〇二〇年六月、そして二〇二一年九月のものを含めて、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型飛行物体につきましては、防衛省の中では、情報本部、そして統合幕僚監部、そして防衛政策局の方で更なる分析を重ねてきたところでございます。

 特に、これは、空を飛んでおります気球を実際見るということだけじゃなくて、様々な情報収集を重ねている、インテリジェンスも含めた、そういうものも含めた分析を重ねてきたところでございます。

浅川分科員 その様々な情報収集というのは、見る以外ということだったんですけれども、確かに、こちら側の探知能力がばれてしまうから詳しく言えないというのはあるかと思うんですが、当時、最初の段階で、海外から来たのではないか、少なくとも日本国内で打ち上げているものじゃないんじゃないかというふうにはお考えになりませんでしたでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の過去の事例、個々につきましては、その時点時点で、明確に、一回一回どうだったかということについてはなかなか明らかにならなかったところでございますけれども、過去の事例を積み重ね、また、我々がその後情報を集める中で様々なことが分かってきたということでございます。

浅川分科員 多分、多くの国民は、アメリカが発表したので、防衛省としても、当時、中国からのものだったということを強く推認という言葉で肯定しているのかなと思うんですけれども、もしかしたら、これは、ある意味、外交的な配慮をしていたために今になって中国のということになったのかなと思うんですが、その辺は、大臣、いかがでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、一般に言われております過去の三つの例を含め、それ以外もあるわけですけれども、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体、これについて更なる分析を重ねてきた結果、今般、確かに、アメリカの方で撃墜したという事案があったわけですけれども、今般、我々として分析を重ねた結果、当該気球は中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されるとの決断に至ったということでございます。

浅川分科員 分かりました。

 ちなみに、今後、こういった領空侵犯の物体があった場合には、自民党さんの中でも考えがあったり、私たちもこれから検討しなければなりませんけれども、法改正ないしは法律以下の規制を検討し直しするということで、撃墜することもあり得るということなんですけれども、そのときに、国籍不明のまま、つまり、どこから飛んできたものだか分からないまま撃墜する可能性というのはどうでしょうか、大臣。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊法第八十四条の「外国の航空機」というのは、日本国籍を有する航空機以外の航空機を意味すると解釈されております。

 したがって、所属不明の航空機であれば、日本国籍を有するものであると判別されない限りは、外国の航空機とみなして警告などの対領空侵犯措置を取ることになるというふうに考えます。

浅川分科員 ところで、今回、米軍が撃墜した四機の物体、一つは大型のバルーンで、もう一つも小型のバルーンだったんじゃないかということなんですが、残りの二機については、国防長官あるいは米軍の関係者等の会見で、八角形のものあるいは円筒形の物体であって、気球ではないというようなことが言われております。また、NATOで会見した国防長官は、この物体の研究をNASAやFBIと行うというふうに発表もされております。

 まず、この八角形や円筒形の物体が宙に浮いていた場合、領空侵犯していた場合というのは、どのような対応を自衛隊としてはするんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な状況によるため一概には申し上げられませんけれども、一般論として申し上げますと、自衛隊法第八十四条に規定する航空機は、国際民間航空条約を踏まえたものでありますところ、有人であるか無人であるかを問わず、同条に規定する外国の航空機に該当すれば、対領空侵犯措置として適切に対応することとなります。

 なお、領空侵犯する航空機に対して武器を使用するに当たっては、無人であるかも含めて、対象の航空機の状況をしっかり確認した上で行うことになると考えております。

浅川分科員 領海の上だったらまだいいんですけれども、本土の上空でこの物体を確認したときに、もし、今後の解釈の変更あるいは法改正で撃墜するということになった場合、地上に落下することを考えるかと思うんですけれども、その辺というのはどのように考えていらっしゃいますか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基本的なことを申し上げますけれども、これまでの対領空侵犯措置におきます武器の使用と申しますのは、有人で軍用の航空機を対象とすることを念頭に、結果として撃墜する、このときに武器使用しますと結果として撃墜するという形態になる蓋然性が極めて高いことから、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されると解してきました。これは、地上の国民の生命及び財産の保護と航空路を飛行する航空機の安全の確保といった武器の使用によって守ろうとする保護法益と、領空侵犯する航空機のパイロットの人命などという武器の使用によって侵害される保護法益との間で厳密に均衡を図るためでございました。

 領空侵犯する無人の気球や飛行船につきましては、武器の使用によって侵害される保護法益は無人の気球や飛行船という財産だけでございまして、今後、危険なものを搭載している危険性でありますとか、警告等に従うことなく領空を漂い続ける危険性があるという特徴を踏まえますと、例えば、そのまま放置しますと他の航空機の安全な飛行を阻害するという可能性がある場合、地上の国民の生命及び財産の保護と航空路を飛行する航空機の安全の確保といった武器の使用によって守ろうとする保護法益のため、正当防衛又は緊急避難に該当しない場合であっても武器を使用することができる、今般そういう結論に達したところでございます。

 今後のことにつきまして、様々な御指摘もあるわけですけれども、法制面を含め、領空を守り抜くための方策について不断に検討を行っていくということがまず一点。そして、二点目としましては、仮に武器の使用を無人の気球等にする場合、それが領空の、領土の上の場合でありますと、それは地上に対する危険というものも考慮しながら、どの時点で武器を使用するかということを考えなくてはいけない、こういうことで考えております。

浅川分科員 そもそも、八角形の物体とか円筒形の物体が宙に浮いているという、米軍は多分、写真撮影等をしていると思うんですが、もし自衛隊がそういったものを発見した場合、領空侵犯をしていて、昔、河野大臣の通達もあったと思うんですけれども、撮影等はするということで、その物が何であるかということを解析をするわけですよね。

大和政府参考人 一般に、領空侵犯対処のために上空に上がって行動する我が方の戦闘機は、きちっとしたチャンスがあれば、ちゃんと対象物、対象の航空機等の写真あるいは動画というものを撮るということにしているところであります。

浅川分科員 このような物体が、一般的には気球だと思われるんですけれども、徐々に降下してきて、そこにもし細菌兵器とか生物兵器を積んでいたら、ばらまかれるかもしれない。もちろん、偵察するということは容易にできると思うんですけれども。そういった恐れが自衛隊の情報収集の中であった場合の対応というのは、どういうふうに考えていますでしょうか。

大和政府参考人 事態の個別具体的な状況に即して判断することになるため、一概にお答えすることはなかなか難しいことは御理解いただきたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げれば、搭載物の有無とか外形上の特徴、あるいは外交ルートを含む各種手段により収集した情報、そういったことを総合的に勘案して、対領空侵犯措置における具体的な措置を決めていくということになろうかと存じます。

浅川分科員 そうすると、発射したところで生物兵器等を積んでいたというふうに分かっていても、領空侵犯するまでは対応というのが難しい、現状ではそうじゃないかなと思うんですけれども、ということでよろしいんでしょうか。

大和政府参考人 今の御質問は、当該の問題となる気球等が我が国の領海の外にあるときに対処することがということでございましょうか。(浅川分科員「はい。分かっていた場合です」と呼ぶ)

 八十四条に基づく領空侵犯対処というのは我が国の領域の中で行うものでございますので、領空の外にいるときに、今御示唆されているような、武器使用等をするというのはちょっと難しいということであります。

浅川分科員 今の法体系の限界かと思いますが、今後についてはそれについても何らかの対応というのを考えていった方がいいかと思っております。

 また、先ほど、アメリカの国防長官がNASAやFBIと研究等をするということを言っていたんですけれども、我が国では、そういう、何であるか分からないような物体というのが分かったときには、防衛省としては、日本でいうと警察庁とかJAXAとか、そういった機関と連携するということは考えられるんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省は、一般論で申し上げますけれども、警察やJAXAを含め、様々な関係機関とは平素から緊密に連携し、情報共有等を行っております。もし仮に先生が御指摘のようなことが起きたときには、あらゆる事態に対応するべく、関係省庁と必要な連携をきっちりと進めてまいりたいと思っております。

浅川分科員 私もこれまでの委員会等の質疑でも訴えているんですけれども、私は、想定外を想定することこそが政治家の責任であって、官僚の皆さんは優秀な方たちだと思うんですが、我々議会で作った法律あるいは政省令、大臣の指示の下で、法に基づいて仕事をされる。つまり、想定される範囲のことをきっちりとされるというのがお仕事だと思うんですね。

 つまり、想定外のことを想定して、特に防衛、国家の安全というのは考えなければいけないんですけれども、今回のバルーンの事件というのは、今まで大臣個人としては想定されていましたでしょうか、こういうことが将来起きるんじゃないかなということを。大臣、この道のある意味専門家でいらっしゃいますけれども、五年前、十年前に、中国等からバルーンが飛んでくるというようなことは考えていらっしゃいましたでしょうか。

浜田国務大臣 今委員がおっしゃったように、我々はそういったことを想定しながら対応しなければ、いつも言われるのは、やはり、政治の判断というのが遅れるというのが一番問題ではないかということを言われるわけであります。

 しかし、今回の気球については、私としては、想定しないというよりも、いまだに、気球というのがそういった使われ方をしている、どういうふうに使われているか分かりませんけれども、何を意図しているのかというのはよく分かりませんが、そういったことが起こり得る可能性というのはあったかもしれないというのを予測するところでありますが、しかし、それが実際に今こういった形で出てくるというのは思っておりませんでした。

浅川分科員 では、アメリカや中国は、今、浮力を得るのはヘリコプターとか気球とかジェット機の推進なんですけれども、物理法則を考えた上で、最新の科学技術で宙に浮くような技術というのを研究されている、米軍の研究所等で。中国でも行われているらしいんですけれども、それが成功しているかどうかというのははっきりと分かりませんが、もし、そういうような先端の物理現象あるいは科学技術というところの、論文等は出ているようなんですけれども、日本の防衛省の、装備庁ですか、技術の関係するところ、あるいは、日本国内の国公立の大学等でそういった研究あるいは検討とかというのがされているのかどうか、今の時点でちょっと確認したいと思うんですね。

 今日、文科省からも来ていただいているんですけれども、文科省の方でそういった研究とか技術というのは何か把握されていますでしょうか。

原(克)政府参考人 お答えいたします。

 物体を浮かす原理といたしましては、委員御指摘のように、例えば、飛行機あるいはバルーンといったもの、あるいは鳥や昆虫の飛行に利用されている空気力学、あるいはリニアモーターカーに利用されている電磁気学を用いたもの、それからロケットエンジンに利用されている推進剤の反動などが知られていると承知しているところでございます。

 一般的に知られているこれら以外の物体を動かす原理については、私どもとして現在のところ承知しておりません。

浅川分科員 大臣、いかがでしょうか、防衛省としては。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問に関しまして、物体を浮かす原理につきましては今ほどお答えがあったところでございますが、一般に使用される航空機の類型に当てはまらないような技術という視点で見た場合におきましては、例えば、鳥や昆虫の飛行に必要な機能等を模倣しました生物模倣技術といったものがございます。

 防衛装備庁におきましては、生物模倣技術も将来の防衛用途に大きな可能性があると考えておるところでございまして、平素から情報収集、分析を行い、活用の可能性を不断に検討しているところでございます。

 また、防衛省の安全保障技術研究推進制度におきまして、平成二十七年度から、生物模倣技術に関連する研究テーマの公募もしてきたところでございますが、応募があった研究の見通しがまだその時点においては不十分であったことから、研究の着手には至っていないのが現状でございます。

 他方、議員御指摘のございましたアメリカのDARPAなどでは既に研究を進められておるものと承知もしてございまして、私どもといたしましても、急速に民生技術が進展していく中、今後、防衛省といたしましても、国内外の研究開発の状況も注視しつつ、防衛力強化に資する画期的な装備品等の実現に向けた取組を強力に推進していく考えでございます。

浅川分科員 今おっしゃっていただいたアメリカの国防総省の関連の研究所、DARPAでしたか、そこではそういう浮遊させるような技術の検討とか理論的な研究等をされているというふうに出ています。ここは全部国費で、全面公開されていると思うんですけれども。

 そういった先端の技術が本当に実用化されるかどうかは別ですが、是非、防衛力の強化という側面からは、日米間での情報共有、特に先端技術、戦闘機の開発等、どうしても日本は、アメリカの方から制限されるのか、あるいは独自開発がどこまでいけるのかという問題もあるんですけれども、日本のやはり優秀な研究者の方たち、民間にもたくさんいますし、そういう方たちと防衛省として是非連携して、先端の技術、もしかしたら、こういうふうに宙を浮いてしまうものが開発されてしまってからでは日本は遅い、ガミラス帝国に滅ぼされてしまうかもしれないと思うんですけれども、大臣、最後に、いかがでしょうか、その点について。

浜田国務大臣 委員御指摘の点について、我々とすれば、当然、これからは最先端の技術というのに対して大いなる興味を持って、しっかりとそれを取り入れるということが今後の我々の役目だというふうに思っていますので、装備庁の方でも、いろいろな形で先端技術の導入というのを図るべく努力していきたいというふうに思っております。

浅川分科員 どうもありがとうございました。期待しております。

宮下主査代理 これにて浅川義治君の質疑は終了いたしました。

 次に、小森卓郎君。

小森分科員 金沢選出の自由民主党の小森卓郎です。

 昨年に引き続きまして、予算委員会分科会で防衛省に質問させていただきます。

 今日は、浜田防衛大臣、そして私が防衛省勤務時代にお仕えした方やお世話になった方々からも御答弁をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 一昨日の大陸間弾道弾の発射に続き、今朝も、北朝鮮は短距離弾道ミサイル二発を発射しました。先ほど十五時から自民党の合同会議が緊急に開催されまして政府から詳細な説明を受けましたので、ここでは質問をいたしませんけれども、国連決議を踏みにじることを当たり前のように繰り返す、そして今日は、金正恩委員長の妹である金与正副部長が、今後の米軍の行動次第で太平洋に撃ち込む、すなわち、日本列島を越えるミサイルの発射について言及をするなど、言語道断と断じざるを得ない振る舞いでございます。米国始め国連や国際社会と連携して、毅然として対応していただきたいと思います。

 本論に戻ります。

 北朝鮮にとどまらず、他の国の動向も含め、近年の東アジアの地域の安全保障環境は誠に厳しいものとなっております。

 そうした中、昨年末の国防三文書の改定は、安全保障政策の戦後最大の転換と呼ぶにふさわしい内容でした。

 私自身も、国家公務員の時代に、主計局で防衛省の予算の査定を二年間担当いたしましたし、また、一昨年夏までの二年間は防衛省の会計課長として防衛省予算の要求にも携わりました。一昨年十月に衆議院議員に初当選して以降、すぐに自民党安全保障調査会で三文書改定の議論に参加をさせていただきました。

 今回の安全保障の大転換は、不十分なところが全くないとまでは言えないものの、反撃能力の保有、充実に踏み切ったり、五年間の予算規模四十三兆円も含めて本当に画期的な内容であり、浜田大臣始め関わった皆様に心より謝意を表したいと思います。

 ただ、心もとないのは、こうした防衛力の抜本的強化の具体的な内容やその意義などがどれだけ国民の皆さんに伝わっているだろうか。

 防衛省に伺います。

 防衛力の抜本的強化や国防三文書の内容などについて国民の皆さんに伝えるためにどのようなことを行っているか、また今後どのような活動を予定しているか、答弁を求めます。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、防衛力の抜本的強化や戦略三文書につきまして国民の皆様に説明していく重要性は、防衛省としてもしっかりと認識しております。

 防衛省・自衛隊の取組につきましては、これまでも、国会での質疑を通じて御説明させていただくことはもとより、ホームページやSNSなどを通じて情報発信をしてきたところでございます。

 今般の防衛力の抜本的強化はこれまでにない大きな取組でありますところ、厳しい安全保障環境や自衛隊の現状、そして今後整備していく防衛力の内容につきまして、説明、発信の機会を増やせるよう工夫していく必要があると考えております。

 この点、防衛力の抜本的強化について国民の皆様に幅広く御理解いただくための更なる方策を省内で英知を絞って検討しているところでございまして、防衛省として、これまで以上に丁寧かつ分かりやすい説明に努めたいと考えております。

小森分科員 ありがとうございます。

 これまでの約五兆円の水準の予算もそうですが、今後上積みがされる四兆円の予算についても、現在の国民の皆さん、若しくは将来の国民の皆さんから負担をいただくわけであります。防衛関係費の使い道やその意味合いなどについて、もっともっと国民の皆さんによく理解をしていただく必要があります。

 答弁にもありましたが、今回、安全保障政策の大転換が行われたわけでありますので、広報や啓発も、これまでどおりの水準にとどまっているわけにはいかないと思います。また、国民の皆様が説明に耳を傾けやすい環境にもなってきているとも思います。先ほど、英知を集めて検討なさっているという答弁でありましたが、国防の広報面での大転換はまだまだ不十分ではないかというふうに思っておりますので、今後の取組に対して強く期待、そして御要望をいたします。

 次に、現場で働く自衛官に関わる問題について、幾つか質問をいたします。

 今回の政策の大転換に伴い、これからの五年間は、例えば、防衛装備品の研究開発、あるいは今指摘した広報の問題なども含めて、これまでの仕事と比べると量の面でも大きな増加が見込まれますし、仕事のやり方など質の面でも、従来よりも高い内容が求められます。

 その一方で、仕事の担い手である自衛官の定数は増やすことにはなっていません。具体的には、新しい防衛力整備計画において、二〇二七年度末の常備自衛官定数については、二〇二二年度末の水準を目途とするとされておりまして、現在の二十四万七千百五十四人が今後も自衛官の定数となります。定数は増えないのに仕事量などは大きく増え、その上に、今後、自衛隊でも働き方改革を更に進めていくわけであります。今後自衛隊がやっていけるのか、正直心配にもなります。

 大胆な無人化や省人化などの工夫が必須だと思いますが、どのように取り組んでいかれますか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の定数は、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等において、あるべき自衛官の人員数を積み上げたものでございます。現在、二十四万七千百五十四人でございます。人口減少と少子高齢化が急速に進展し、募集対象の増加が見込めない中、防衛力整備計画では、この総定数を維持することとしてございます。

 こうした中、防衛力の抜本的強化に向けて、新たな装備品の取得のほか、サイバー、宇宙分野等の要員の増強が必要となるところ、その対応には防衛省自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えてございます。

 このような状況も踏まえまして、既存の部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえました旧式装備品の用途廃止、早期除籍、あるいは戦車、火砲の数量減、さらには省人化、無人化装備の導入の加速等による所要人員の削減などの取組を推進することで、現在の自衛官総定数二十四万七千百五十四人を維持したまま、防衛力の抜本的強化に対応していく考えでございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 大胆な最適配分に取り組まれるという御答弁がございましたけれども、是非よろしくお願いします。また、自衛官の募集においても、質のよい人材を確保することもお願いしたいと思います。

 なお、自衛官定数とは別に、駐屯地等で自衛官とともに働いている事務官等の定員が定められていますが、こちらは、長年の減少傾向から、令和二年度、私も防衛省にお世話になっていた時期でありますけれども、令和二年度から増加に反転をしております。令和五年度では、前の年度から七十五人の増員となる合計二万一千四十一人と承知をしておりますけれども、令和六年度以降も引き続き事務官等の増員に向けて頑張っていただきたいと思います。

 先ほどからお伝えしている定数、これは自衛隊法で定められているものですが、この定数のほかに、実員という不思議な概念が自衛隊の人件費に存在します。これまで、十分な数の自衛官を確保できなかったなどの事情を反映して、定数よりも少ない人数分の予算しか措置されていないわけであります。

 これは法律には出てこない、目には見えない、予算上のガラスの天井のような存在ですが、この実員が定数に対してどれくらいのものなのか、答弁をお願いします。

川嶋政府参考人 お答えいたします。

 自衛官の定数は、先ほど申し上げましたとおり、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等において、あるべき自衛官の人員数を積み上げたものでございます。自衛官の実員の向上により自衛官の充足率を一〇〇%に近づけていくことが、自衛隊の体制強化の観点から望ましいと考えてございます。

 このため、第一線を担います自衛官の充足率の向上に優先的に努力をしておりまして、昨今の自衛官の年度末充足率について申し上げますと、令和元年度九三・四五%、令和二年度九三・七一%、令和三年度九四・〇〇%、令和四年度九四・四一%と、継続的に充足率を向上させてきてございます。

 また、令和五年度予算案におきましても、サイバー領域、宇宙領域における防衛体制及び南西地域における防衛体制、あるいは周辺海空域の防衛体制等の充実強化に向けまして、実員の千七百六十九名の増員を行い、年度末充足率を九五・一三%に向上させ、更なる乖離の解消を図ることとしてございます。

 防衛力を発揮するに当たりましては、必要な人材を確保することが不可欠であり、国家防衛戦略等に基づきまして、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じまして、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えてございます。

小森分科員 今、令和五年度で九五・一何%という御答弁がありました。定数が二十四万七千百五十四人でございますので、二十三万五千百十人が実員でございまして、実に、この間には一万二千四十四人の隙間がまだ存在しているわけであります。

 答弁のあったように、定数は増加しませんが、予算を獲得して新規隊員の募集や採用後の教育などの数量を充実させれば、この実員を今後増加させることはできます。令和五年度予算では、千七百六十九名という、何十年と例のない大幅な増加を実現したわけでありますけれども、この一万二千人の隙間を今後も埋めるべく、令和六年度以降も実員の大幅な増員の実現を期待いたします。

 次に、昨年、自衛隊はハラスメントの事案で世間を騒がせました。自衛隊は、その性質上、上意下達が必須の組織であり、セクハラだけでなく、パワハラも含め、気をつけないと、ハラスメントが起きやすい背景をはらんでいるとも言われます。

 しかし、そうだからハラスメントが起きてもやむを得ないということになるわけはありません。逆に、防衛省では世間一般の会社や官庁などよりも丁寧なハラスメント防止対策が必要だと考えますが、防衛省の認識と取組について答弁を求めます。

町田政府参考人 お答えいたします。

 ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものです。

 そのため、現在、浜田防衛大臣の指示に基づき、全自衛隊を対象としたハラスメントに関する特別防衛監察を実施するとともに、防衛省ハラスメント防止対策有識者会議において、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント防止対策を、外部からの客観的な視線で多角的かつ入念に検証していただいているところであります。

 防衛省・自衛隊といたしましては、防衛力整備計画に基づき、有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、全ての自衛隊員に徹底させるとともに、さらに、時代に即した対策を行うよう不断の見直しを行い、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいります。

小森分科員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 自衛隊では、今後の女性自衛官の登用方針を明確にしており、現在の全体の八・三%、一万九千百六十名から、七年後の令和十二年度までに一二%以上に増加させる目標を持っております。増加する女性自衛官も含めて全ての自衛官が働きやすい生活環境や勤務環境をつくるべく改善を進めることが、限られた人数の中でも仕事のパフォーマンスを上げることにつながりますので、この取組もよろしくお願いします。

 次に、順番を変えまして、老朽化した建物への対策をお聞きします。

 自衛隊の駐屯地などを訪れた経験のある方は実感としてはっきり分かることですが、自衛隊の建物は相当古いものが数多く存在しており、一般の国家公務員の庁舎や官舎に比べても、更新がはるかに遅れています。お手元の資料一には、約二万三千棟の建物のうち、約四割の九千八百七十五棟が四十年前の耐震基準をまだ満たしていないなどのデータが記されております。

 国防三文書の改定も行われた現在、老朽化した建物の更新についても期待が高まりますが、今後の建物の建て替えの方針を伺います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省は、ただいま御指摘がありましたように、庁舎、隊舎など、約二万三千棟の建物、ビルディングを保有してございます。このうち、昭和五十七年以前に建てられました築四十年以上の建物、これは耐震基準が古うございます、古い方の耐震基準が適用されるものでございますが、これが現在、九千九百棟、全体の約四割存在いたしてございます。このため、自衛隊施設の老朽化対策につきましては、全国の各基地、駐屯地の整備計画を策定いたしまして、集中的かつ効率的に整備を進めていく必要がございます。

 この整備計画の策定につきましては、各基地、駐屯地の施設の現状を調査し評価した上で、耐震性能など構造物の基本的な性能を確保するとともに、爆発物や生物化学兵器に対する施設の重要度に応じました防護性能を付与しつつ、施設の集約化、再配置の検討を行い、あわせて、太陽光発電設備の設置や省エネ化など環境への配慮も行いつつ、さらに、民間活力の導入を含めて検討等を行っていくこととしてございます。

 工事の実施につきましては、整備計画策定後、施設の老朽状況や駐屯地、基地の運用等を踏まえまして順次整備していく考えでございますが、耐震性能あるいは防護性能につきましては、おおむね十年後に全ての施設に対して措置できるよう進めてまいりたいと考えてございます。

小森分科員 今の答弁の中にありました、防護性能の付与が必要な九千百四十二棟も含めますと、全体の八割の約一万九千棟が、建て替えを中心とする構造強化が必要な状況にあるわけでありまして、今後、建て替えラッシュとでもいうべきものが起きるわけであります。

 十年かけて建て替えを行う方針であると答弁がありましたけれども、それでも既に莫大な量であるため、令和五年度から、例年の数倍以上の予算が計上されております。担当する職員の数は予算に比例して増えるわけでもないため、業務の質を維持するためには、知恵を出しながら、是非取り組んでいただきたいと思います。

 関連して、令和五年度予算から、いわゆる建設国債を自衛隊の施設の建て替えなどにも使用できるようになりました。防衛予算に長く関わった経験からも、今回の変更は画期的だと評価をしております。この取扱いの変更については、説明が少ないこともあり、理由やロジックが世間に十分理解されておらず、一部の論調では誤解に基づく混乱が見られると思っております。

 これまで建設国債の対象とされてこなかった防衛省の建物等が今のタイミングで対象とされることになった理由について、今日は財務省から金子政務官に来ていただいておりますけれども、御説明をよろしくお願いいたします。

金子大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 小森先生は、まさに財務省の主計局で防衛担当の主査もやっていただきましたし、防衛省で会計課長もやられた、また、自民党内でも積極的に議論をリードしておりますので、若干釈迦に説法かもしれませんけれども、お答えをさせていただきたいと思います。

 令和五年度予算案においては、御指摘賜りましたとおり、防衛省・自衛隊の施設整備、また艦船建造に係る経費四千三百四十三億円に関しまして、建設公債の発行対象と整理をさせていただいております。

 これは、今般新たに策定をさせていただきました国家安全保障戦略などにおいて、防衛力の抜本的強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携や、また公共インフラなどが明確に位置づけられた中で、海上保安庁の船舶、空港、港湾などの公共インフラ整備が建設公債の発行対象であることを踏まえて、安全保障に係る経費全体で整合的な考えを取る観点から、防衛省また自衛隊の施設整備、艦船建造費についても同様に建設公債の発行対象として整理をさせていただくことにしたものであります。

 なかなか説明不足という御指摘は真摯に承り、また、国民に分かりやすい説明に努めたいと思います。

小森分科員 どうもありがとうございました。

 国家安全保障戦略等の改定を機に、これまで海上保安庁で行われてきた取扱いとそろえるように見直したという趣旨の御答弁を明確にいただきまして、本当にどうもありがとうございます。

 これまで建設国債の対象ではなく、そして、そのために経済対策などの補正予算の対象になることがほぼ皆無であったことが、防衛省の施設の老朽化対策が遅れてきた大きな要因の一つだと考えております。今回の改正は、この状況を大きく改善するものであります。

 先ほど四千三百四十三億円という御答弁もいただきましたけれども、自衛隊の施設の老朽化更新の遅れを取り戻すには、今後も建設国債の発行を通じながら取り組む必要があると考えております。

 政務官はもうこれで大丈夫です。ありがとうございました。

宮下主査代理 どうぞ、退室いただいて結構です。

小森分科員 さて、決して起きてほしくないことですが、いざ有事に対応しなければならない事態についても、丁寧な想定が必要です。有事において、自衛隊が自ら行うことだけでは対応に限界があります。ウクライナの現状を考えれば想像しやすいですが、有事における住民の方々の避難などについては、国民の皆さんに理解や協力をいただいて、できることはできるだけ自ら対応していただく、あるいは、場合によっては国民の皆さんのお力もかりながら、よりよい対応をしなければなりません。

 我が国の安全保障の状況や万一のときの備えなどについて、平時から国民の皆さんの理解を進め、意識を涵養していく重要性が高まっているのではないかと考えますが、浜田防衛大臣の御認識を伺います。

浜田国務大臣 自衛隊は、武力攻撃事態においては、主たる任務である武力攻撃の排除をする必要があるところであります。武力攻撃に十分に先立って住民の迅速な避難を実施することが何よりも重要であると考えております。

 そのために、政府全体として、円滑な避難に関する計画の速やかな策定、官民の輸送手段の確保、空港、港湾等の公共インフラの整備と利用調整、様々な種類の避難施設の確保、国際機関との連携等を行っていくとともに、国民保護措置の重要性について、平素から、教育や学習の場を含めて様々な機会を通じて広く啓発に努めていくこととされております。

 防衛省・自衛隊としては、こうした政府全体の取組にしっかりと協力しつつ、民間の船舶、航空機に加え、自衛隊の各種輸送アセットも利用した国民保護措置を計画的に行えるよう調整、協力していくとともに、民間企業を含めた国民保護に関する訓練の場を通じ、国民の理解と意識の涵養に努めて、協力していきたいと考えております。

小森分科員 ありがとうございます。

 私の地元の石川県では、防災士という資格の認証を受けた人の数を増やすように熱心に取り組んでおりますが、この防災士として認証された方からお話を伺いました。その方によれば、防災士の勉強や講習を受けることにより、それまで認識が薄かった、災害発生時に何が足りないのか、日頃からどのような備えが必要なのかといったことが思っていた以上にはっきり分かるようになり、災害発生時の対応も円滑に行えるようになったということであります。

 国防についても同じようなことが言えるかもしれないと思います。現在は、答弁にございましたように、国民保護法において、避難訓練への参加など平素からの国民の協力が定められていると承知をしておりますが、今後、国民、住民の自発的な取組であることを前提に、更に取組を進め、深めることができないか、様々な工夫を行っていただきたいというふうに思います。

 最後に、私からも、気球への対応について質問をいたします。

 大々的に報道もされましたが、我が国に飛来する気球等への対応について、先週、防衛省は大きな変更を行いました。二月十四日、二〇一九年から二〇二一年に我が国領空内で確認された三件の気球について、中国による無人偵察用気球であると強く推定されるという判断を行い、その旨を公表しました。そして、このような領空侵犯は断じて受け入れられないと中国政府に申し入れましたが、これとともに、領空侵犯に対する武器使用についての解釈の変更を行い、無人気球についても、我が国の人の生命や財産など保護すべき法益のために必要があれば、武器を使用することも可能との新たな解釈といたしました。

 資料二には、領空侵犯に関する措置に関する自衛隊法第八十四条の条文などがあります。今回はこの条文の解釈を改めたものですが、国防に穴があってはならず、今回、解釈の幅を広げて対応することは、当面の措置として適切なことだと受け止めております。

 他方、気球やドローン、無人機などの無人飛行体は、これまでに想定されていた有人の戦闘機等による領空の侵犯とは、脅威の態様や対応に用いる措置の内容などで質的に異なる点が多く存在するのではないかと考えられます。

 無人の飛行体については、今後更に綿密な検討を行い、自衛隊法八十四条の対領空侵犯措置とは別の法律的な根拠を定め、漏れのない形でより適切な措置を講じることができるようにすることが次の課題だと思いますが、浜田防衛大臣の御見解をお伺いします。

浜田国務大臣 政府は従来から、自衛隊法第八十四条に規定する対領空侵犯措置の際の武器の使用は、同条に規定する必要な措置として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されると述べてまいりました。これは有人かつ軍用の航空機を念頭に置いたものであり、武器を使用した場合には、結果として撃墜という形態になる蓋然性が極めて高く、領空侵犯機のパイロットの人命等との関係を考慮する必要がある趣旨で述べたものであります。

 これに対し、今回のように、領空侵犯し高高度を飛行する気球等については、武器の使用を行っても直接に人に危害が及ぶことはないことから、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために必要と認める場合には、正当防衛又は緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許されると考えております。

 今回の整理により、正当防衛又は緊急避難の要件に該当しない場合であっても、今回のように領空侵犯し高高度を飛行する無人の気球等については武器を使用することができるようになり、運用の幅が広がったと考えております。

 その上で、今回の整理を踏まえ、必要な規則類を適切かつ速やかに見直し、部隊がしっかりと対応できるようにするとともに、委員御指摘のとおり、時代の変化、我が国に対する脅威に合わせて、自衛隊法を含む国内法令について不断に検討を行っていく必要があると考えております。

小森分科員 ありがとうございます。法令の不断の検討も必要だという御答弁も、本当にありがとうございます。

 今回、安全保障政策の大転換が行われ、これから五年間、急ピッチで体制を整えていくことになります。立派な大方針ができましたが、本日の質疑で取り上げた問題も含め、一つ一つの各論の問題に適切な解を与えていくことがこれからの大きな課題です。

 そしてまた、それだけでもなく、ほかにも今後前に進める必要がある課題も多く残っているというのが私の正直な思いであります。最後に取り上げました無人機への対応もしかりですし、サイバー防衛の強化についても、能動的な防衛、民間部門のサイバー防衛への協力などが課題として残っております。また、防衛装備品の海外移転、機微な情報を取り扱う資格であるセキュリティークリアランスの問題もあります。今後ますます厳しくなっていく東アジア地域の安全保障環境に対応して日本の安全と平和を守るためには、歩みを止めているいとまはありません。

 防衛省の担う責務は一層重くなっておりますが、浜田大臣始め防衛省や政府の皆様の御奮闘を心より期待しております。

 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

宮下主査代理 これにて小森卓郎君の質疑は終了いたしました。

    〔宮下主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田分科員 立憲民主党の菊田真紀子でございます。

 今日は、雪、雪害への対応について取り上げさせていただきたいと思います。

 私の地元新潟県は大変な豪雪地帯でございまして、雪国の宿命とはいえ、毎日の雪かき、除雪、本当に負担が大きくて、春が来るまでほっとする日はほとんどございません。今日も東京は春を感じさせるようなお天気でございましたけれども、今この瞬間も、北陸、東北、そしてまた北海道などでは雪が降って、今夜から再び寒波到来ではないか、こんな状況になっております。

 毎年、除雪に関する死亡事故が相次いでおります。昨冬は、日本全国で七十六人もの方がお亡くなりになりました。消防庁に確認をいたしましたところ、この冬も、昨日までに全国で四十二人、新潟県内では全国最多の十三人の方の貴い命が失われました。

 私は、雪国生まれ、雪国育ちの国会議員として、初当選以来、党内議論や国会質疑などを通しまして、積極的にこの問題について取り組んでまいりましたが、除雪などで死亡する冬場の事故がなくならない現状に、政治の責任を大変強く痛感しているところでございます。

 政府としましても、除雪に関する死亡事故の防止や豪雪地方対策に取り組んでいただいているところでありますが、現状、どこが足りていないのか、どう取り組んでいくつもりなのか、星野防災担当副大臣と国交省に伺いたいと思います。

星野副大臣 お答えいたします。

 我が国では、雪崩や暴風雪のほか、積雪による都市機能の麻痺、交通の障害といった雪害が毎年発生をしております。

 このため、内閣府におきましては、これまでの大雪により発生した立ち往生車両への対応等を踏まえ、災害対策基本法の改正や防災基本計画の見直しなどを進めてきたところでございます。

 また、人命の保護を第一に、中央防災会議会長である内閣総理大臣から、関係省庁、都道府県などに対しまして、防災態勢の一層の強化等のための通知を毎年発出をしております。

 さらに、降雪による被災経験が少ない市町村の職員に向けた降雪対応の手引を策定、周知等をするとともに、除雪作業中の事故防止に向けた住民に対する普及啓発、注意喚起を行っております。

 大雪等が想定をされる場合には、関係省庁災害警戒会議などを開催するなど、警戒態勢に万全を期すとともに、実際に大雪となった場合には、被害状況等を踏まえ、関係省庁と密接に連携をし、政府一体となって災害の応急対応に当たっているところでございます。

 引き続き、関係省庁や関係地方公共団体、関係機関と協力、連携をし、雪害対策に取り組んでまいります。

吉田政府参考人 国交省より、豪雪地帯についての対策についてお答えさせていただきます。

 豪雪地帯におきましても、依然多くの課題を抱えているというふうに十分認識しております。

 このような状況で、令和四年三月に豪雪地帯対策特別措置法の改正をしていただきました。この改正を受けまして、豪雪地帯における雪害の防除ないしは生活環境の整備、改善等々を含めます、対策の基本となります豪雪地帯対策基本計画を令和四年の十二月に閣議決定したところでございます。

 この基本計画におきましては、豪雪法の主な改正点でもある国土強靱化を踏まえた克雪対策の充実、それから親雪、利雪の推進、それから除排雪の担い手の確保、体制の整備といったものを盛り込ませていただきました。

 今後、関係省庁それから各豪雪の地方自治体の方々とも連携しながら、国交省といたしましても、この豪雪地帯の対策の推進に取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

菊田分科員 短期集中的な降雪や記録的な寒波に加えまして、労務単価、資材、燃料等の急激な上昇により、令和四年度の道路除雪費は、過去最大となった令和三年度を上回ることが見込まれています。

 さらに、除排雪作業などに伴う道路施設の維持管理費も大変かさんでいるために、地方自治体の負担が一層増大し、非常に厳しい財政運営を強いられています。

 新潟県内でも雪が多いところで知られる長岡市にこの冬の状況を確認しましたところ、市内中心部の最大積雪深は九十八センチとなり、令和三年度に引き続き、道路の除排雪が増加する見込みとのことであります。ちなみに、長岡市内を全域一回除雪するだけで七千五百万円もの経費がかかるということでございました。

 いわゆる雪寒法に定める補助率三分の二を充足する国庫支出金を確保して、道府県単独費による超過負担が発生しないようにするとともに、市町村の道路除排雪経費についても、交付金の追加配分や臨時特例措置などにより負担軽減するようにしていただきたいのですが、国交省は現在どのように考えているのか、お答えください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、委員御指摘のとおり、雪寒法に基づき、道路除雪に要した費用の一部を支援しているところでございます。

 具体的には、年度当初に配分している防災・安全交付金に加えまして、地域の降雪状況に応じて、道府県には道路除雪費補助を、市町村には防災・安全交付金などを追加配分することとしております。

 この冬は、十二月中旬から年末にかけて日本海側を中心に大雪となったほか、年明け後も北日本や日本海側を中心に降雪が続いたため、大雪となった昨年と同様に、一月から地方公共団体に対し降雪状況や除雪費の執行状況などの調査を行っております。

 引き続き、地域の状況を丁寧に把握し、除雪費の執行状況に応じた支援ができるよう努めてまいります。

菊田分科員 この交付金の追加配分や臨時特例措置などの財政支援については、新潟県十日町市の関口市長も二月十日の衆議院予算委員会新潟公聴会で強く要望されておられましたので、是非しっかりと受け止めて対応していただきたいと考えます。

 また、公共施設や高齢者の方々を始めとする要援護者世帯等に対する雪下ろし、除排雪支援などによりまして、関係自治体による特別な財政需要が発生しています。

 発生した財政需要を特別交付税で十分手当てするとともに、特別交付税の前倒し、繰上げ交付などによって、地方自治体の資金繰りについてもしっかりと配慮していただきたいと考えますが、総務省の対応を伺います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年以来、各地で大雪となっており、多額の除排雪経費が生じていると承知しております。

 自治体の除排雪経費につきましては、国土交通省の所管する補助事業があるほか、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置しているところでございます。加えて、実際の所要額が補助金の交付額や普通交付税の措置額を超える場合には、特別交付税により更に対応することといたしております。

 今後とも、自治体が財政事情でちゅうちょすることなく、道路の除雪など大雪に係る対応を迅速に行えるよう、必要に応じ、特別交付税の交付により財政支援を行ってまいります。

 以上です。

菊田分科員 これまで申し上げました臨時特例措置や特別交付税による道路除排雪経費への支援については、国がきちんと手当てしてくれるんだろうかと、毎年のように雪国の地方自治体は心配をしております。そして、国への要望書を作成して、わざわざ上京して関係省庁などを回って要望活動をされているわけでございます。

 国からの手当て、財政支援を得るための大事な活動ではありますけれども、事務負担や経費の面でも、この要望活動自体が雪国の自治体にとって負担になっているのではないかと私は思います。

 毎年こうした要望活動をわざわざ行わなくても、国は必要な手当てをちゃんとするんだと明言していただけないでしょうか。国交省と総務省に見解を伺います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が管理する道路の除雪費への支援については、年や、それから地域によって降雪の状況が様々であることから、地域の状況を踏まえた対応が必要であると考えております。このため、地域の実情を要望として直接お聞きすることも重要と考えておりますが、毎年、地方公共団体に対する降雪の状況や除雪費の執行状況などの調査をしっかり実施した上で、追加の支援を行うこととしております。

 この冬についても、大雪となった昨年と同様に、一月から調査を行っているところであり、地域の状況を丁寧に把握した上で、除雪費の執行状況に応じた支援ができるよう努めてまいります。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 特別交付税の算定に際しましては、従来より、都道府県を通じまして基礎数値を把握するということになってございます。現在、三月の交付に向けまして作業を進めておりますが、自治体の皆様の除排雪経費の実態を事務的に丁寧に把握して、自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいりたいと存じております。

菊田分科員 自治体もどこも財政は大変厳しいですし、なかなか見通しが立たないということもございますので、しっかりとスピーディーに対応していただきたいということを御要望申し上げます。

 続きまして、近年の大雪では、自動車や列車の立ち往生が度々発生をしています。この冬も、昨年十二月二十日の大雪で、新潟県の柏崎市では最大約八百台、長岡市では最大千台の立ち往生が発生しました。さらに、今年一月二十四日からの寒波の影響では、全国各地で立ち往生が発生し、滋賀県と三重県の県境の新名神高速道路では、最長で三十四キロメートル、最大約二千六百台もの立ち往生が発生しました。ほかにも、岡山県や長崎県の国道でも、大雪によって数千台が動けなくなったわけでございます。

 鉄道についても、JR西日本では、二十四日から二十五日の朝にかけまして、大阪府と京都府の間の列車の十五本を含む十八本が立ち往生し、七千人以上が最長九時間五十分列車内に閉じ込められてしまうということとなりました。

 政府としてこれからこうした問題にどのように取り組んでいくのか、星野防災担当副大臣と国交省に伺います。

星野副大臣 お答えいたします。

 十二月十七日からの大雪では、国道八号の新潟県柏崎市、国道八号、十七号の新潟県見附市から長岡市において大規模な車両滞留が発生をいたしました。また、一月二十日からの大雪では、新名神高速道路の四日市ジャンクションから亀山西ジャンクション、亀山ジャンクションから甲賀土山インターチェンジにおいて、渋滞による大規模な車両の滞留が発生をいたしました。JR西日本の京都線などにおいて駅間停車が発生をし、大勢の乗客が長期間にわたって車両に閉じ込められるといった事案が発生をいたしました。

 政府としては、大雪による近年の被害等を踏まえ、中央防災会議会長である内閣総理大臣から、あらかじめ関係省庁、都道府県などに防災態勢の一層の強化等のための通知を発出をしたほか、大雪等が予想される場合には、関係省庁災害警戒会議や関係閣僚会議等を開催をし、政府一体となって対応をしてまいりました。

 私自身、先月二十三日の関係省庁災害警戒会議では、最新情報の確認や大雪への十分な備えを先頭に立って呼びかけてまいりました。

 この冬の大規模な車両滞留や駅間停車については、それぞれ、道路管理者、鉄道事業者等において検証が進められていると承知をしております。

 政府としては、今後とも、関係省庁と緊密に連携をし、引き続き対応に万全を期してまいります。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路などの幹線道路における冬期の道路交通確保は、地域経済や社会生活を支える観点で大変重要だと認識しております。

 このため、一昨年度の関越自動車道や北陸自動車道での大規模な車両滞留の発生などを踏まえ、除雪体制の強化、出控えなどの行動変容を促す呼びかけの実施、同時通行止めと集中除雪による早期の交通確保などに取り組んできたところでございます。

 しかしながら、この冬も、記録的な大雪などにより、新潟県内の国道や宮城県内の高速道路などで、解消までに長時間を要する大規模な滞留が発生いたしました。こうした大規模な滞留事案では、状況把握や並行する道路管理者を始めとした関係機関との情報共有などに課題があったものと考えております。

 国土交通省では、こうした事案を踏まえ、関係機関が連携した状況把握や情報共有の徹底、並行する高速道路と国道の同時通行止めを基本とする運用の徹底、車両滞留が発生した際の利用者への情報提供及び関係機関からの応援を含めた乗員保護体制の充実など、関係機関が連携した取組を強化してまいります。このような取組により、冬期の交通確保に努めてまいります。

奥田政府参考人 列車の立ち往生についてお答えいたします。

 国土交通省では、平成三十年にJR東日本信越線で発生した事案を踏まえまして、長時間の駅間停車が見込まれる場合、運転再開と乗客救出対応を並行して行うこと、自治体等への支援要請や乗客への情報提供を適切に行うこと等を鉄道事業者に対して指導しているところです。

 しかしながら、委員先ほど御指摘のあったように、本年一月二十四日から二十五日にかけて、JR西日本東海道線において、京都近辺のところでいいますと、最大十五本の列車が駅間停車をしまして、乗客の救出までに長時間を要した事案が発生しております。このため、同社に検証、再発防止等の報告を行うよう指示をいたしまして、せんだって、二月十七日に報告を受けております。

 同社の検証結果を踏まえまして、今回のような事案を繰り返さないようにするため、全国の鉄軌道事業者に対して、四点などを改めて周知しております。

 四点、申し上げます。十年に一度等、ふだんと異なる予報時は特に事前の備えを十分に行うこと、著しく車内環境が悪化するおそれがある場合は、必要な措置を適切に講じた上で、一定の時間を目安に希望者に対して降車誘導を行うこと、自治体等との協力体制を強化すること、実践的な訓練を実践すること、こういったところを改めて周知してございます。

 国土交通省としては、引き続き、降積雪時における輸送の安全確保に向けて取り組んでまいります。

 以上です。

菊田分科員 車の長時間立ち往生で、ふと気になった点がございます。果たして、電気自動車を運転していて大雪に遭い、立ち往生に巻き込まれたら、一体どうなってしまうんだろうかということでございます。

 近年は、爆弾低気圧とか線状降雪帯というものが同じ場所に集中して、かつてないほど短時間に大量の雪を降らすことが多くなってまいりました。つまり、雪国だけではなく、九州や西日本など温暖な地域でもあっという間に雪が降り、立ち往生や事故が発生してしまうということでございます。

 電気自動車は、ガソリン車より燃料切れが早く生じる可能性がありますし、ガソリン車のガソリンスタンドに比べて充電スタンドが少ない、さらに急速充電器の設置も十分とは言えません。

 そういう中で、昨年十二月と今年一月の大寒波による長時間の立ち往生で、実際にEV車が巻き込まれたケースはあったのかなかったのか、お聞かせいただきたいと思います。さらに、万一巻き込まれてしまった場合は、どのように対処したらよいのか、伺います。冬の大渋滞、立ち往生に巻き込まれたときのEV車の状況や対処の仕方について、きちんと国民に知らせるべきだと考えます。経産省に見解を伺います。

恒藤政府参考人 昨年十二月及び本年一月に発生いたしました長時間の立ち往生につきまして、関係機関にも確認いたしましたが、経済産業省といたしましては、電気自動車が電池が空になって動けなくなった、いわゆる電欠が生じたという事案は把握はしてございません。

 こうしたリスクへの対応につきましては、まずは長時間の立ち往生が発生しないようにするということが重要でございますが、それに加えまして、仮に電気自動車が長時間の立ち往生に遭遇してしまった場合への備えといたしまして、電源車あるいは可搬式のポータブルバッテリーを整備していく、さらには充電インフラを充実していくということで、重層的に給電の体制を整備をしていくということが重要というふうに考えてございます。

 既に、高速道路の各拠点におけますポータブルバッテリーの配置など、電気自動車の電欠への備えは始まりつつはございますが、現時点ではまだ途上であると認識してございます。

 経済産業省といたしましても、今年度の補正予算あるいは来年度の予算案に盛り込みました充電インフラ整備の予算を活用いたしまして、充電設備の更なる整備などを進めてまいります。

 その上で、大雪への対策は、何よりも不要不急の外出を控える、そしてあらかじめ満タンに充電をしておくといった取組の徹底が重要でございまして、関係者とも協力しながら、ユーザーへの周知活動にもしっかりと取り組んでまいります。

菊田分科員 大雪で車の立ち往生が発生しているようなときに、もし原子力発電所に事故が発生した場合、住民が大雪の中、安全に避難することは非現実的だと私は考えます。

 現に、柏崎刈羽原発がある柏崎市は、昨年十二月に記録的な大雪に見舞われ、原発事故時の避難ルートである国道八号と北陸道が同時に通行止めとなりました。つまり、もし原発事故が起きても、上越方面に避難できない事態だったのであります。柏崎市長は、後に、この状況で原発事故が起こらないでほしいと祈っていたというふうにおっしゃっておられましたが、原発を抱える自治体とそこに暮らす住民にとって深刻な問題だというふうに考えます。

 現実的には、先ほど申し上げましたように、大雪時における避難計画の策定など、私は不可能であり、柏崎刈羽原発の再稼働はあり得ないと考えますが、経産省に確認します。

山田政府参考人 お答えいたします。

 万が一に備え、避難計画は、稼働するしないにかかわらず、地域住民の安全、安心の観点から策定することが重要だと考えております。

 柏崎刈羽原子力発電所に関する豪雪時の原子力災害対応については、関係省庁や関係自治体が参画する柏崎刈羽地域原子力防災協議会の枠組みの下で検討を行っております。

 具体的には、豪雪時における除雪計画、広報計画の調整等を実施するために情報を一元化する情報連絡本部を設置することや、除雪能力が不足する場合等においては、自衛隊などの実動組織に対して除雪支援の要請を行うこと、また、暴風雪や大雪時は安全確保を優先し、屋内退避を優先し、安全に避難できる環境となった時点で避難を開始すること、また、自家用車避難が困難な場合には、除雪が行われた経路を活用し、バス等により避難することといった、緊急時における対応について協議を重ねているところでございます。

 また、昨年末に長岡市及び柏崎市で発生した集中降雪を受けて、北陸地方整備局において、今回の対応で明らかとなった課題等を踏まえて、今後同様の降雪があった場合にも、道路交通の混乱を最小限に抑えるような対策も検討しているものと承知をしております。

 引き続き、地域原子力防災協議会の枠組みの下、関係省庁、関係自治体と一体となって避難計画の策定に取り組んでいくとともに、国として、立地自治体など地元の理解を得られるよう、前面に立って原子力の必要性や意義について丁寧に説明してまいりたいと考えております。

菊田分科員 この問題については、我々新潟県民の意識と全くかけ離れているというふうに思いますし、本来であればもっと議論を深めたいんですけれども、今日はせっかく岡田大臣にお越しいただいておりますので、地方創生移住支援事業について伺いたいと思います。

 この事業は、東京二十三区に在住又は通勤の方が地方へ移住して起業や就業等を行う場合に支援金を支給する事業ということでありまして、令和元年度から始まり、令和三年度までの累計で、件数では千五百件、人数では約三千人の方の移住に活用されました。私の地元新潟県でもこの制度を活用して移住する人が大変増えておりまして、既に百五十人の方が移住しております。

 私もこの制度を是非応援していきたいというふうに思っているんですけれども、ただ、少し課題があるというふうに思います。申請期間が地方へ転入後三か月以上一年以内というふうになっているんですけれども、例えば三月に東京から新潟県内に移住して、七月に支援事業を申請してみたら、その市町村の今年の予算枠は既に使い切ってしまったので、断られてしまったという事例が出ています。市町村では、そのような場合、融通を利かせて、来年もう一度申請してくださいというような対応をしているんですけれども、こういうケースが全国的にあるのかどうか、把握をされているかどうか、お聞きしたいというふうに思います。

 そして、本当にお金がかかるのは移住の直前直後でありますので、引っ越しのこの時期にせっかく百万円もらえるのであれば少しでも早くもらいたいし、それから、申請できるのは移住してから三か月以上先というのはちょっと実態に合わないのではないか、さらに、申請したら予算枠がなくなってしまってごめんなさいというようなケースが出ないように、国として制度を見直す必要があるのではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生移住支援事業は、事業主体である都道府県及び市町村が支給する移住支援金に対して国が支援するものでありまして、その負担割合は、国二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一を基本といたしております。

 菊田委員御指摘のように、市町村の予算の制約により移住支援金が支給できなかったケースがあることは承知をいたしております。また、様々なケースがあるようでございまして、市町村だけでなく都道府県側に予算上の制約要因がある場合もあると聞いておりますが、いずれにせよ、道府県や市町村の予算の制約により支給できなかったケースはあると承知しています。

 その上で、国の予算については、昨年十月に、予算が不足したという六つの県に対して増額変更を実施しておりますが、事業主体である道府県や市町村においては、移住支援事業の実績を踏まえて適切な予算を確保していただくとともに、申請期限である移住後一年以内に間に合うのであれば、先ほどもお話がありました、本年度予算で対応できなかった方について翌年度予算での対応を柔軟に行うなど、国とも御相談いただきながら、移住支援事業の実効性を高めるための対応をしていただきたいと考えております。

 また、道府県や市町村がどのような見通しを立てて予算措置を講ずるかも含めて、国もしっかり相談に応じてまいりたいと考えております。

 また、支援金の申請時期の件でお尋ねがございましたけれども、地方に移住する際には経済的な負担が生じるために、その負担を軽減するのもこの事業の目的の一つであります。

 現状、就業証明書の取得期間に一定の期間を要すること、また、定住していることを確認する趣旨から、移住してから三か月後から申請を受け付けておるわけであります。しかしながら、テレワーク移住ということが増えてきておりまして、例えば東京で就業を継続しながら新潟に移住するという場合も増えているわけで、こうした場合は、就業証明書の取得は事前にもできるのではないかと私は思っておりまして、御指摘の申請時期については、テレワークによる移住が増加していることなども踏まえて、早めることについても検討してまいりたい、このように存じます。

菊田分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。是非、更なる制度の拡充、よろしくお願いします。

 せっかく農水省からも来ていただいたんですけれども、今回、地方に移住するときに、中小企業に就業してもらうというのが条件なんですけれども、第一次産業、農業とか水産業とか、担い手がなかなかいない、こういうところに従事してくださる方もこの制度の対象にしていったら、私は相乗効果が生まれるというふうに考えておりますので、是非農水省としても、こうしたことをまた地方創生局と連携しながら取り組んでいただくことを御要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

牧島主査 これにて菊田真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木分科員 有志の会の仁木博文と申します。

 谷大臣、そして政府参考人の皆様方、今日はよろしくお願いします。

 私は、今日、大きく言いますと、今、国会のいろいろな委員会で、セキュリティー、いわゆる安全保障ということが議論されておりますが、あえて今回は、リージョナルというかローカルセキュリティーについてお話をさせてもらいたいと思います。これは私が作った造語に近いので、御理解はといいますと、いわゆる地域の住民の命と財産を守るための具体的な内閣府所管の事項でございます。

 例えば、災害対策基本法というのがございます。これに基づいて、例えば個別の避難計画というのがございまして、高齢者でありますとか障害者でありますとか、こういった方々の、実際に自然災害、大きなものが発災して、いわゆる警戒レベル三以上になったときに、どのようにその災害弱者が命をサバイブするために、生き抜くために行動をしていくのかという計画でございます。

 大臣、これは実は結構計画作成が大変でして、実際、地域におきましては、ケアマネであったり、あるいは民生委員であったり、あるいは消防職員であったり消防団員であったり、そういう各地域でそれぞれの方々がその災害弱者に入っていって、個別の避難計画、災害が起こったらどのように逃げていくのか決めていくわけでございますけれども、これは結構計画の作成率が低いわけでございます。この辺、大臣はどのように捉えられていらっしゃいますか。御答弁いただきたいと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 個別避難計画のお話で、防災と福祉の関係者が参画して、実効性のある個別避難計画を作成することは大変重要なことだと思っております。

 この策定状況、委員御指摘のように、昨年一月一日現在で、着手している市町村は約三分の二、六七・〇、しかし、未着手、全く着手していない市町村は約三分の一、三三・〇%あるという状況にございます。

 国においては、この作成経費を交付税で措置をきちんとするとか、どういう作成手順であるとか留意事項をまとめた指針とかいうものを作成するとともに、市町村に対して、防災と福祉関係者の連携とか、御指摘のケアマネジャーなどの福祉専門職や民生委員など多様な関係者の参画、あるいは福祉避難所への直接避難などを促したところでございます。

 また、これらの取組を全国的に広げていくため、令和三年度からモデル事業を実施して、できる限り横展開、すぐれた事例の横展開を図っているところでございます。

 委員御指摘のように、何とかこの計画がしっかり策定できるように、国としても引き続きしっかり頑張ってまいりたいと思います。

仁木分科員 ありがとうございます。

 御案内のように、実態としては、まだまだ作成率が低いと。作成するのも大変で、着手している三分の二の自治体におかれましても、一律約七千円ぐらいの、一例に関しての報酬というか対価という形になっております。されど、例えば高齢者が認知症であったりしますと、なかなか、働いている御家族の方と連絡を取って、例えば九時―五時の間に行って、そういったいろいろな状況を、地域の地の利も把握した上で、安全な避難所へどういう方法で避難していくかという個別の避難計画を作っていくのは非常に難しいという実態があるのも、大臣、改めてここで把握していただきたいと思いますが。

 おっしゃったように、交付税で措置する在り方とか、あるいはその指針、それも改めて省令で、ここで徹底していただいて、この災害対策基本法にのっとった形でのこの法令の施行というのを改めて大臣のお立場で進めていっていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、こういった地域の命と財産を守るためには、やはり予防的な取組も必要でして、よく防災教育というのがあります。これを、例えば今、防犯ということと組み合わせて私はやっていただきたいということを希望したいと思います。

 私の地域でも、例えば避難訓練をしても、その地域で、自主防災組織でありますとか、消防団、消防職員とか、あるいは見識の高い方々は、そういったところに参画していただけます。ところが、やはり、ふだん仕事をして、あるいは若い世代の方々というのは、なかなかそういうところに集まっていただけない実態もありますので、大臣、教育の現場においても、例えば防犯教育というのを、座学のみならず、より実践に近い形の、そういった教育もお願いしたいということで、私の知り合いのNPOで、そういった防犯スポーツ教室というのをやっていまして、子供さんがそこの指導員と一緒に鬼ごっこや隠れんぼうをして、防犯、いわゆる犯罪に巻き込まれないような子供さんにしていくような、そういう取組をしていることもあります。

 そこで、重要なのは、授業の中でもあるんですけれども、防犯マップとか防災マップを、子供と保護者と、そして、そういう方々が一緒に、先生も一緒になって作っていくというような取組もございます。

 私は大臣に質問したいのは、ライブカメラというのが今ありますよね。例えば、各種犯罪を取り締まったりするのに、ストリートビューみたいな名前であるのもあります。その地域地域に固定されたカメラが犯罪者を、容疑者を見つけたり、容疑者をトレースしていく。あるいは、その地域の取組を反映する、リアルタイムで。例えば国交省の川の情報におきましては、大臣、氾濫間近になったような川の水面の高さとかをリアルタイムで分かるようなシステムもございます。

 これは、民間で、ストリートに関しては、通りに関してはライブカメラという形であることが多いんですけれども、こういったことを、例えば何か法律を作った上で、災害とか犯罪の抑止に使えないかなということを思うんですけれども、この辺の展開はどのように、私の、今の実態、大臣も兵庫県で把握されていると思いますけれども、そういった御地元の、地域の方の命と財産を守るために、地域にあるライブカメラ、これを活用していくというような形は、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

谷国務大臣 お答えいたします。

 まず、防犯と防災の組合せでございますけれども、確かに、できる限り若い方、若い世代の参加を促すという意味でも有効だと思います。

 現に、高知県黒潮町において、地域住民と地元の中学生が一緒になってブロック塀の点検や高齢者の戸別訪問を実施するなど、防災と防犯を組み合わせた取組がなされている例もございます。

 ですから、こういう優良事例の把握に我々としても努めるとともに、こういう横展開といいますか、そういったことにも努めてまいりたいと思います。

 また、次の御指摘の防犯カメラ、これは公的な、例えば河川のそういうカメラであれば、いろいろな災害から国民を守るために、これは問題ないかと思いますが、民間の防犯カメラを御了解を得られれば防災なり防犯に使うことができますけれども、それが無条件に、了解なしに使えるかというと、委員御指摘のとおり、なかなかこれは難しいところがございまして、またその辺もいろいろ勉強しながら、しかし、視点としては、防災、防犯から、国民の命と暮らしを守るためにはどういうやり方が大切かということを常に念頭に置きながら、今後検討してまいりたいと思います。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。

 今回、コロナ感染症、これによって行動変容という言葉が一般国民に浸透しました。しかし、私たち人間は、情報を得てどういう動き、行動に移そうかという形で、ビヘービアチェンジという行動変容が起こるわけです。その根本は、やはりリアルタイムな情報が大きいと思うんですね。

 大臣、御案内でしょうか。三・一一、東日本大震災のときの当時報道されなかった様々な、例えば津波にのまれて流されていくような人の映像がSNSで今結構流れております。そういうことで、もし、ああいう実態をリアルタイムで見た人が、あるいは国民が見ることが可能になったら、行政主導でですね、そうしたらもっともっと早く行動変容を起こして逃げていく、そして命を長らえた人がいたかもしれないんですよね。

 私も阪神・淡路大震災で様々なこと、ボランティア活動もした経緯もあります。ああいったことから始まった防災に対する意識、大臣も御地元は兵庫県です。それで、まさに災害というのは予防的なことも含めて、今あるいろいろな技術的な、日本国が持っているいろいろな資産を活用して、一人でも多くの命を守る、財産を守る、これは国の責務として非常に大きいことだと思います。

 そういう意味で、大臣おっしゃったように、例えばライブカメラの情報は個人のものだから使いにくい。されど、例えばいろいろな重要犯罪を起こした方の情報、逃亡者がどのように逃げているかという情報は、それぞれ例えばコンビニのカメラの所有者さんの方に、令状を持っていなくても、場合によっては協力していただけるような形があります。されど、これは間違っていることもありますので、その逃亡者の事実関係が。ですから、個人情報と公益的な情報の扱いということも非常に大きく絡んでくるわけでございまして、大臣が今御指摘のことは、是非立法化する必要も私はあると思うんですね。

 ですから、今回の大臣と私の質疑を通じて、具体的に言うと、今、本当に公益性のある情報の利活用に関して、ライブカメラの活用、これは是非とも大臣、岸田政権でもDXとおっしゃっていますので、DXというのは、迅速性と正確性、DXというのはデジタルトランスフォーメーションですね。情報化社会に向けて、特に行政が、デジタル行政とおっしゃるのであるならば、迅速性と正確性、これはやはり大切ですけれども、これを裏づけするような法律、特にさっき私が申し上げたライブカメラの利活用に関しては必要だと思いますので、改めて大臣、その辺に関しての御答弁をお願いしたいと思います。

谷国務大臣 委員の方から大変大事な御指摘をいただいたかと思います。

 ただ、これはなかなか難しい問題もまた含んでいるということも事実でございまして、今、牧島先生が委員長席に座っておられますが、サイバーセキュリティーの問題でも積極的な対応を取るということを年末に閣議決定させていただいたんですけれども、それを具体的にどういうふうに法制的に個人のプライバシーなりあるいは表現の自由と調整していくかということは、難しい問題があろうかと思います。

 しかし、個人情報保護法も改正したところでございますし、今までは地方団体の条例でばらばらにいわば定められているのを、本年四月からは国の法律でその運用が統一されるということになったわけでございます。ですから、できる限り民間も含めて協力できるような、そういう雰囲気づくり、まず協力していただけるというのが何よりも大切でございますので、努力してまいりたいと思います。

仁木分科員 私は、実は、二期目に当選して、様々な、予算委員会や内閣委員会、そして厚生労働委員会においても、例えば、たまたま岸田政権はDXとおっしゃっていますが、私はすごくそれの推進論者なんですけれども、基本的には情報というのは国民のものである、法人のものである、それをやはり、究極、行政が扱うにしても、公益性のため、つまり個人のためであったり国民のためである、そういった情報基本法なるもの、情報に関する基本法というのは今までの議論を聞いていて必要だということで、様々な委員会で言ってきているところなんです。

 ですから、大臣の、いろいろ、そういった情報に関しての基本的な理念から含めて、例えば子供にも教育していく、そういうことを踏まえると、これは、大きなこういった情報基本法なるものができ上がると、情報教育とかそういうことも相まって、先ほど大臣が言ったような、より民間ベースになってきても、あるいは実用ベースになってきても協力していただける。あるいは、これはセンシティブな、本当に個人情報、例えば、行政の場面では匿名加工しなきゃいけないような情報かもしれないけれども、この情報はこの局面では出していいよというふうな、いわゆる情報の利活用がより進む、真の意味でのDXを用いた国家、DXが日本の国益になっているような国家につながると思うんですけれども、大臣、ちょっとそういうふうな考え、今日、これは通告に入っておりませんが、そういう形の、私と共有しているというふうな御認識でよろしいでしょうか。

谷国務大臣 大変大事な、大きな御指摘をいただいたというふうに思っています。

 我々が若い頃と違って、大変、今は誰でも情報を手軽に入手できて、また、情報を発信することができる、偽情報も含めて。そういう時代の中にあって、情報というのを小さい頃といいますか、若い方たちにあるいは子供たちに正しく理解してもらうということは大変重要なことだというふうに思っております。それを具体的に、情報基本法ですか、どういう形でこれからそういうことを制度化していくかというのも、今私も即答できる立場ではございませんけれども、また勉強させていただきたいというふうに思っております。

仁木分科員 大臣、ありがとうございました。全く否定的ではなくて、前向きな御答弁だというふうに認識させていただきたいと存じます。

 さて、そういうことで、ちょっと具体的な話を災害対策基本法に戻したいと思いますけれども、こういうのに基づいて行う避難訓練の話ですけれども、実は、大臣、冒頭申し上げたように、コロナ禍で避難訓練の規模が縮小したりというのはよくある話で、大臣も御案内だと存じますが、実践に近い避難訓練をすればするほどコストがかかるんですね、コストが。そうすると、やはり、例えば夜間にやるとか、この日にやりますと言いますけれども何時に行うかということを言わない、そういった形の訓練、こういうのをやろうとするとお金がかかる。そして、その財源は自治体ですよね。

 私は、これは要望したいんですけれども、例えば広域に、私の徳島県もそうですけれども、南海トラフ大震災を想定している区域である、そういった区域で行う実践に近い避難訓練の財源、これは国が補助金を出していただくというような考え方はいかがでしょうか、大臣。

谷国務大臣 災害に遭った場合、ふだんから実践的な防災訓練を行っているということは大変有効なことだと思います。

 私も反省を込めて思うんですけれども、二十八年前、神戸で大震災に遭いました。全然それまで実践的な訓練なんかやったこともありませんでした。ですから、ふだんそういう備えなり訓練なしに、いざというときに役に立たないということは骨身にしみて感じたところであります。

 ですから、国の方でも、中央防災会議で、夜間の訓練とか、あるいは自動車を使った津波避難訓練とか、NPOとかボランティアなどとの連携訓練などを、地域の実情に応じた実践的な訓練を行うように指導しているところであります。

 また、実際、現在、内閣府としても、津波防災の日、十一月五日を中心にして、全国十か所程度の地方自治体とともに地震・津波防災訓練を実施し、また、その中で、国としても、専門家の派遣とかアンケートの実施などの経費を負担しているところであります。今年度、委員の御地元の徳島市においても十一月四日に、市民や企業、自主防災組織等が参加して訓練を行ったところです。国としても、できる限りの支援は今後ともしていきたいと思っております。

 ただ、委員、基本的には、自治体が自ら主体的に、積極的な意思を持って、やはり行わないと、防災訓練は本当に身についたものにならないと思っております。ですから、そういう自治体の取組を促すようなことも併せてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。

 私、その十一月四日の訓練の方に行ってまいりました。コロナ禍でしばらくなかったところで、ありました。

 ただ、大臣、これが冒頭申し上げたように、すごく意識の高い方々は一生懸命その訓練も取り組むけれども、場合によっては、ルーティン化、余りにも陳腐化しちゃうと、やはりこれが緊張感のない訓練になってしまいますし、まさにそういった意識の低いというか、そういった方々もより参画してもらうような訓練にするということも大切なわけです。

 私が心配していますのは、大臣、そういう自治体は大切ですよね。首長さんは、そういう意識を持っていれば旗を振りたい。でも、やはり必要な、さっき申し上げましたように、お金、財政的に厳しい自治体も全国多々ありますよね。そういう中で、やはりこの自治体、財源がいい、そして首長さんもそういう意識が高い、すごい旗振りをして、いい訓練ができている自治体があれば、隣接する自治体が、真逆の自治体があって、そういう実践に近い訓練ができない、おざなりの訓練だけで終わってしまっている。そういうときに、ばんと一気に本番、いわゆる本当の震災が起こったときに、本当にそういった命の格差があってはいけないと私は思っておりますので、そのことも、大臣、そういう御答弁をされましたが、改めて私の発言を聞いてお考えいただきたいと思います。

 そういう意味で、私が今日申し上げた冒頭のローカル、場合によってはリージョナルセキュリティーというのは、やはり地域のきずなが大切だと思います。お互い顔が見える関係にあって、いざというときにつながっている、きずながある、こういうのも犯罪においては非常に大きな抑止力、そして防災という観点においては命を守っていく大きな力になっていくと私は思っております。

 そういうことで、訓練も、よりそういう地域と地域の関係をつなげていくことにも、きずなを強くしていくことにもつながりますし、また、そういった災害対策基本法に基づく個別の避難計画を策定するプロセスにおいて、いろいろな人間関係が構築されるし、またいろいろなセクターでそういった災害弱者を、場合によっては共助という形、公助という形で守っていかなきゃいけない方々にとっても、その弱者との人間関係ができる、そういうふうに思っておりますので、大臣、そういう認識も踏まえて、私の今の発言に対して何かありましたら御発言をお願いしたいと思います。

谷国務大臣 まず、防災訓練の話から少しお話ししたいと思いますけれども、私は、基本的には自治体が主体となって行うべきだし、また、自らそういう積極的に取り組まなければ、なかなか身についたものにならないと思っております。そして、国としても、できる限りそういった取組を支援もしたいというふうに思っております。

 それで、話はコミュニティーなりきずなの話に移るんですけれども、確かに、実際、例えば二十八年前、私が神戸で経験した阪神・淡路大震災でも、よく淡路の例が出ました。淡路の消防団がそれぞれ震災の後、見回って、このうちは二階のこの場所におばあさんが常に一人でいる、そういうことが地域の方、特に消防団員がその辺も熟知していた、よく知っていた。ですから、相当それによって地域の方も助けられたのではないかという実例もあります。

 それは淡路という地方ならではの出来事であったかも分かりませんけれども、しかし、それは神戸においても、大都市においても、コミュニティーなり、あるいは地域のきずなというのがいかに大切かということを多くの方も知ったかと思います。

 ですから、そういう意味で、先ほど来委員が言われていますように、様々な防災訓練、あるいは防犯と併せたような取組、そういったことも含めて、こういうコミュニティーがより活発になることも含めて、我々は防災を所管するものとしてしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。本当にありがたい御発言であると思います。

 そして、その上で、大臣、お願いしたいことがもう一点あります。

 災害対策基本法で警戒レベルが見直されましたが、例えば三ぐらいで、実際、高齢者とか、あるいは災害弱者がそういった避難所に避難しているかというと、そうでない、結構避難された率が低いようなことも報告されておりますので、大臣、この際、いろいろな過去の実態を踏まえた上で、やはり各行政的な省庁においては内閣府というのは広報が比較的得意な方だと思いますので、私はやはり、このコロナ禍で、大臣が言われたようなきずなも、ちょっと昔と違う形もあります。私のような徳島、田舎においても、従来だったら、かなり多くの方を知っているというのがありましたが、最近はもうコロナで、人と人との挨拶から始まって出会いも減っているんですね。

 そういう意味で、きずながちょっとおろそかになっているかもしれない、そういうふうな実態の中で、改めて喚起して、具体的には、そういった、大臣がおっしゃった、例えば十一月四日の徳島市の避難訓練のように、これから避難訓練もまた、コロナの、五月八日以降はかなりされていくような状況に変わっていくと思います中で、やはり、地域でそういった防災意識がスリープしているような住民に対しても、内閣府の方で改めて、災害対策基本法に基づいてそういった広報もしていただければいい、お願いしたいと思います。これは要望です。

 それで、ちょっと最後の質問ですけれども、私、今日は、例えば、東京都豊島区の池袋の事故とされているような高齢者の事故、これが社会問題になっておりまして、十七日にも、横浜市の方の金沢区でかなりの多くの人を巻き込んだ、高齢者、七十八歳男性の事故が起こりました。こういった事故の要因を、認知症だ、これは医学用語でMCIといいますけれども、認知機能がちょっと傷んでいる、そういうことで片づけられている事案があると思うんですね。

 これはもちろん、被害に遭った方々からすると、もう本当にいたたまれない、憤りしかないことでございまして、七十五歳以上になったら、免許証を返納するかもしれない認知機能チェックをしっかりとして、認知症の疑いのある人はそういった免許証を返納すべきだ、これは国民の大きな世論だと思います。私も、それがぶれることはありません。

 ところが、皆さん、地方においては、実は、認知症において、あるいはその認知症が少しあるということで免許証を返納した人のその後のクオリティー・オブ・ライフを見てみると、免許証を返納していない方に比べてかなり認知症自体が進んでしまっているというふうな実態もあります。

 関東圏、あるいは大都市だと、公共交通手段が結構ありますので行けるわけでございますけれども、私のような四国、徳島においては、ほとんど車で、高齢者、九十を超えた方々も車を運転しているというのが実態でございまして、本当になくてはならないものでございます。

 そういう中で、私の徳島大学の医学部の大先生が、糖尿病の先生でございますけれども、そういった高齢者の事故のブレーキとアクセルを踏み間違える事案において、認知機能が低下するような要因に、認知症のみならず低血糖というものが起こっているのではないかということを指摘する先生がいらっしゃいまして、この間、レクの方で申し上げたんですけれども、その先生一人の、nが一という臨床研究をして、論文もアクセプトされているんです。

 改めて私が申し上げたいのは、免許証更新時にチェックするんですけれども、そのとき、そういった説明する免許センターの方々、講師の方々に一言、事故の調査を取るとランチ前とか夕食の前が非常に多いという実態もありますので、高齢者が運転するときは甘いものを口にしてとか、そういった低血糖にならないようなことも、ひとつ免許証更新の受講者に対して言ってもらえないかと思うんですけれども、これはちょっと質問を用意していましたので、いかがでしょうか。

太刀川政府参考人 高齢の運転者は他の年齢層と比較して交通死亡事故を起こしやすいこと、これが統計上明らかとなっておりまして、その事故防止対策は警察としても重要な課題と認識しています。

 特に、加齢による認知機能や身体機能の低下に伴う運転操作の誤りが重大な事故につながることのないよう、道路交通法に基づいて、免許証更新前の認知機能検査や運転技能検査を効果的に運用しているところでございます。

 お尋ねの低血糖についてでございますけれども、国立国際医療研究センター糖尿病情報センターのホームページにおきまして、「低血糖を起こしやすい方は、空腹時の運転は避けるか、何か糖分を含むものをとってから運転するとよいでしょう。」という注意喚起がなされています。

 低血糖の傾向を自覚されている方には、これは運転に限らないことでありますけれども、まずは、食事療法や摂取する薬の量を含め、医師の指導に従っていただくことが肝要と考えますが、こうした注意喚起の内容については、都道府県警察の免許関係事務を担当する職員にも共有して、必要に応じて活用してもらうようにしてまいります。

仁木分科員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 ですけれども、要は、免許証更新時、高齢者の講習等々で、できるだけそういう、法改正が必要とか、予算が伴うものではありませんから、ちょっとしたアドバイスで、さっきおっしゃったように、実際、医学的なエビデンスとして低血糖の方の認知機能低下というのがあるわけでございますから、ブレーキ、アクセルの踏み間違いを減らすため、特に高齢者の方々に一言、そういった、甘いものを食べてとか、空腹にならないような対策を講じて運転してくださいということを言っていただけたらというふうに認識させていただきます。

 委員長、今日はありがとうございました。そして、大臣、政府参考人の皆様方、ありがとうございました。

牧島主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日火曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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