衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 牧島かれん君

      衛藤征士郎君    國場幸之助君

      宮下 一郎君    逢坂 誠二君

      長妻  昭君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    早稲田ゆき君

      青柳 仁士君

   兼務 櫻井  周君 兼務 足立 康史君

   兼務 稲津  久君 兼務 長友 慎治君

   兼務 宮本 岳志君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 岡田 直樹君

   外務副大臣        山田 賢司君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          松元 照仁君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    堀内  斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  藤田 仁司君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     國場幸之助君

  本庄 知史君     早稲田ゆき君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     衛藤征士郎君

  早稲田ゆき君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     本庄 知史君

同日

 第二分科員櫻井周君、長友慎治君、第三分科員宮本岳志君、第四分科員稲津久君及び第五分科員足立康史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (内閣府(内閣府本府、消費者庁)、デジタル庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

牧島主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆき君。

早稲田分科員 おはようございます。立憲民主党、早稲田ゆきでございます。

 今日は、予算の第一分科会ということで、小倉少子化担当大臣、そしてまた財務、文科の方の政務官にもお越しをいただきました。よろしくお願いいたします。

 それでは、私たちは、まず、昨日、二月の二十日に、立憲民主党と維新で共同で、衆議院に児童手当の所得制限撤廃法案を提出をいたしました。これにつきましては、野党の国対間で、野党全党で、この方向性について、所得制限を児童手当で撤廃しようという合意をしております。その中でありますから、しっかりとこれは政府の方でも御検討、そしてまた前向きに進めていただき、何としても成立を目指したいと私たちは思っております。

 自民党の中からも、茂木幹事長を始め、この所得制限撤廃については非常に積極的な御意見もあるわけで、その前のことを言うと批判で時間が取られてしまいますのでここでは割愛いたしますけれども、やはりやるべきはやるということを少子化担当大臣としてはしっかりと言っていただきたいと思います。

 この概要は、一番の資料にございますけれども、これは百六十五万人の児童が対象となります。そして、百四万世帯であります。これが早期に、五月末までに成立をすれば、二月から五月分までの四か月分を六月に速やかに支給することもできます。

 実は、これは、昨年の十月から特例給付の一部廃止が成り、そのときにも大変議論をさせていただいた内容でありますけれども、所得制限をすることで、対象となる高所得者の方々ばかりではなく、子供を育てている、そして共働きで一生懸命子育てをしている、頑張っている、そういう若者、若い子育て世代に対する非常に悪いメッセージとなったと私たちは思っています。いわゆる、社会が子育てに冷たい、子育て罰という言葉まで言われるような、そういうメッセージを払拭するためにも、是非、異次元の少子化対策と総理がおっしゃっているわけですから、ここのところは異次元でも何でもないですね、グローバルスタンダードですから、しっかりと少子化担当大臣としてはこれを成立させるという意気込みをお聞かせ願いたい。

 是非、与野党を超えて、超党派でこれを成立させましょうと私は思っているわけですけれども、大臣のお考えを伺います。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 まずは、子供政策の充実について、各党で熱心に御議論をいただいていることを歓迎を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、早稲田委員もよくよく御承知かと思いますが、御指摘の法律案は議員立法でありますことから、まずは国会において御議論をいただくべきものであるというふうに考えております。

 お手元にも要綱を用意していただいておりますが、地方団体の皆様方とも御議論を重ねられた上での要綱かもしれませんが、対象者が拡大するということになると、システム改修にかなり手間暇がかかります。二月以降の分、遡及適用をということでありますが、三、四月の分、三、四月は引っ越しの時期でありまして、かなり転出入が多くなります。そうすると、本則給付と特例給付の差額分、実際に転出差も含めて、全居住地の自治体が追跡をして差額を給付しなければいけない、そんな可能性も出てきますので、こういった実務上の様々な点については留意が必要なのではないかなというふうに思っております。

 いずれにしても、今、私の下で開催しております関係府省会議の下でも児童手当を中心とした経済的支援の充実ということが議論されておりますので、三月末を目途にしてたたき台をしっかりと作ってまいりたいということでございます。

早稲田分科員 システム改修の大変さということを大臣はおっしゃいましたけれども、そんなことを言っていては始まらないわけですよね。コロナのときも、いろいろなことでシステム改修をしていただきました。不具合のものもありましたけれども、それでも、しっかりと前に進めていくという姿勢が大切だと思っています。

 是非、大臣、そんな後ろ向きなことをおっしゃらないで、予算の倍増ということも総理はおっしゃっているわけですから、これからこの後質問いたしますが。だったら、五月末までに間に合わないなら、いつならできるかということです。是非、自民党内からも強い御意見があるわけですから。

 しかも、私が問題と思っているのは、この十年間、旧民主党政権時代に所得制限をなくして児童手当も全員にということでやりました、これをひっくり返したのは自民党政権であります。その中で、非常にいろいろなことが少子化対策として小規模であって、進んでこなかった結果が、八年も前倒しで少子化が進んでしまった、もう既に八十万人を割ったという出生数であります。

 こういうことで、今やらなければ前に進みません。こうして自民党内からも、社会全体で育てていく、子供たちを応援していくことが社会の未来につながるという御意見も出ている、そうやって変わったわけですから、是非、大臣にはこれを前向きに検討していただきたい。そしてまた、この三十年間、あるいは自民党政権が復活してからの十年間のその少子化対策が、やはりこれは失政があったということも認めていただきたいと私は思います。

 そこで、財務政務官に伺います。

 五百五十三億円の特例給付、これをやめるに当たり、真に子育てに必要な施策ではないと、財政審で八幡主計官が当時発言をされています。こういう考え方ですと、本当に、子供たちの育ちの、それからまた学びの保障につながってまいりません。そのときには待機児童というお話でしたけれども、これも、何もこれを充てる必要はなかったわけで、ほかにも財源はあったはずです。しかも、自然減で、児童手当の特例給付の減少もあったはずです。そんなことも説明をしないままこうしたことをやってしまうという、その財務省の姿勢を是非変えていただきたいと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

金子大臣政務官 おはようございます。

 ただいま御指摘を賜りました二〇一九年十月の財政審での検討状況ということの御質問だったと思いますけれども、当時の財政制度審議会では、国の予算について様々な提案を行った上で議論をされておりまして、今回の御指摘を賜りました児童手当の特例給付五百五十三億円の見直しにつきましてもその一つでありまして、給付が真に子育てに必要な施策になっているのか、改めて検討するべき時期が来ていると指摘をされたものと承知をしております。

 なお、特例給付の見直しに関しましては、予算編成過程で議論を行った上で、ただいま御指摘いただきましたとおりの、当時課題でありました待機児童問題の解決を図ることと併せて、子育て支援全体のバランスとニーズを踏まえて政府で決定をさせていただいたものであると承知をしております。

 他方で、今般の子供政策の強化に関しましては、社会経済情勢が大きく変化している中で、現状をしっかりと受け止めつつ、また支援の内容を具体的に、その議論の中で、また子供手当の在り方についても判断していくものと承知をしております。小倉こども政策担当大臣の下で具体的な検討を進め、三月末をめどに具体的なたたき台を取りまとめていくものと承知をしておりまして、財務省としても、こうした共通の認識に立った上で、こども家庭庁また厚労省などとよく議論してまいりたいと考えております。

早稲田分科員 金子政務官、そういう考え方では困るんですね。ニーズが変わったとおっしゃいますけれども、そんな半年で変わるんですか。舌の根も乾かないうちに、今になって茂木幹事長が、積極的にやっていくべきだ、所得制限もやめようとおっしゃるというのは。半年ですよ。経済的ニーズも変わっていません。子育て世代のニーズも変わっていません。

 そして、このとき、特例給付の減で三百七十億円の財政が生み出されたわけですけれども、もう既に二〇一八から二〇年の三年間で七百六十億円ほど児童手当が自然減で減っているわけです。そういうことも私たちは強く申し上げてきたのに、全く聞く耳を持たなかった。これは反省をしていただきたい。そして、今、異次元で、二倍増にしていこうということなんですから、そういう考え方を是非改めていただくように、私から強く要望をさせていただきます。そして、政府一丸となって、財務省に押し切られることなく、担当大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、この反省に立ってですけれども、先般、総理は、我が党の馬場議員の質問に対して、家族関係社会支出は二〇二〇年度の段階でGDP比二%を実現した、それを更に倍増しようというふうに答弁をされました。そして、その翌日、磯崎副官房長官は、将来的な倍増を考える上でのベースとして、家族関係社会支出のGDP比に言及したわけではないと答弁の修正をしたと報道されております。そしてまた、その後、予算委員会で松野官房長官は、修正していないと答えています。

 この国会で総理がおっしゃった答弁、これがいとも簡単にころころと翌日に変わって、また、修正していないとも言われる。そんな簡単なものなんでしょうか。これでは国会審議は何なんでしょうか。真剣に議論をされている、大臣もそうだと思いますが、それが記者会見で変わるんですか。

 政府として、少子化担当大臣として、このことについて、修正したのかしないのか。総理のこの意図はそのまま家族関係支出ということだろうと思いますけれども、政府としての説明をお願いします。

小倉国務大臣 先ほどの答弁ですが、決して後ろ向きということではなくて、子供政策は、国と自治体が車の両輪になって、実際の実務は自治体が担っておりますので、自治体の実務の重要性を申し上げただけであって、決して後ろ向きではないということは御理解いただければと思います。

 その上で、御質問の件であります。

 二月十五日の予算委員会での岸田総理の答弁は、松野官房長官が二月の十七日の予算委員会におきまして、防衛力強化への取組との比較を問われた際に、政権交代以降、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、必要な支援を進め、子供予算をしっかり拡充してきたことを説明する中で、その一つの例として、国際比較可能な家族関係社会支出、対GDP比という指標で見ると、十年前の二〇一二年度の一・一%から二〇二〇年度には二・〇%まで増えてきたというこれまでの取組を紹介をし、子供予算を更に強化することにより、防衛費との関係においても決して取組が見劣りするわけではないとの趣旨で申し上げたものと答弁されたと承知をいたしております。

 したがいまして、一部報道にありますように、将来的な倍増を考える上でのベースとして、家族関係社会支出、対GDP比に言及したわけではないと承知をしております。ですから、官房長官が申し上げたように、総理の答弁を官房長官自身が修正したものではないということも承知をいたしております。

 私自身は、繰り返し委員会の場で申し上げているとおり、まずは、期限、規模ありきではなく、三月末を目途として、子供、子育て施策として充実する内容を具体化すべく、しっかり議論を進めていきたいということには変わりございません。

早稲田分科員 規模ありきではなくと大臣は繰り返し答弁をされていますけれども、防衛費の方は規模ありきでぽんと決まりましたよね。そして、消費増税まで、そういう議論も出てまいりました。それに比べると、本当に国家の危機であると言いながら、また、少子化が最大の課題だと言いながら、非常にそこのところが見えにくい。

 そしてまた、じゃ、大臣に伺いますが、大臣の考える予算倍増というのは何を基準にしているんでしょう。OECDの基準の家族関係社会支出なのか、少子化対策大綱の少子化対策関係予算なのか、それともこども家庭庁の予算なのか。今大臣がこの時点でお考えになる予算倍増についてのお考えを聞かせてください。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 今るる挙げられた数字、家族関係社会支出以外にも、少子化対策関係予算が国費で六・一兆円、こども家庭庁の関連予算、令和五年度でありますが、国費ベースで四・八兆円、様々な整理がございます。

 様々な整理があるところでありますが、岸田総理も申し上げているように、規模、期限ありきではなく、子供の視点に立ってまずは必要な予算が何かをしっかりと積み上げて議論した上で、将来的に倍増を目指していくということでございますので、引き続き、そういった線に沿って議論を進めていきたいということでございます。

早稲田分科員 大変、少子化担当大臣としては残念な答弁だと私は今受け止めました。

 もちろん、子供に対して何が必要かということでありますけれども、今、金子政務官から御説明いただいたように、その時々でこうやって変わってはならないと思うんですね。それを決めているのが今なんだとおっしゃりたいのかもしれませんけれども、もし家族関係支出、社会関係支出であるならば、やはりそこをきちんと進めていくということは、今、二%にやっとGDP比でなったとはいえ、まだまだOECDの先進国の平均にも達していないわけです。そして、フランスなどのように、少子化が改善してきている国は三%以上ということもあります。是非、そうしたところを一番よくお分かりの小倉担当大臣が、これはリーダーシップを取って総理に進言をしていただくような、そういう積極性を見せていただきたいということをこの質問では申し上げておきたいと思います。

 児童手当の所得制限撤廃につきましては、私たちは、所得制限撤廃だけではありません、立憲民主党としては、児童手当を高校生まで一万五千円に拡充する、それからまた、この法律案の検討条項に入れております児童扶養手当、それから障害児の福祉サービスへの所得制限の撤廃、それから高校授業料の無償化の所得制限撤廃、こうしたことも実際やっていくべきだということを申し上げておりますので、是非、この法案を成立させていただけるように、大臣からもよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 教員に対する日本学生支援機構の奨学金返還免除制度の復活について、伊藤文科政務官に伺いたいと思います。

 今、大変教員不足で、担任もいないというようなところまで来ている地域もございます。そのことを、もうずっと文科省でも、いろいろ抜本的な対策、長時間労働であるとかそうしたことの改善に向けてはやっていただいていますけれども、もう今の、現実の課題ですから。

 琉球新報によれば、担任不在で、児童がほかの学級と振り分けて県内でやっているところが二十一件だそうです。そして、沖縄は、三十人学級というのを国の基準よりも更に改善してやっているわけですけれども、三十人学級ができないから四十人学級に限定的にしなければならないかもしれないというような教育委員会の説明もあるようで、非常に現場は混乱をしています。そして、何より、一年間担任が不在だったという保護者の方は、子供の学びの保障、これを何とかしてほしいという非常に深刻な声が届いております。

 その意味からも、私はありとあらゆる方策をやっていくべきだと思いますので、この奨学金の返済免除制度、これは、小中学校の教員向けに昭和二十八年度に創設をされた長い歴史があって、そして、この間に小中学校の教員養成には大きな役割を果たしてきたと理解をしております。

 文科省の見解、それからまたどれだけ実績があったと考えるのか、こうしたことについてお答えください。

伊藤大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の旧日本育英会における教育・研究職の返還免除制度につきましては、昭和二十八年度の創設以来、令和三年度末までに約六十八万人に対し返還免除を実施をしてまいりました。

 本制度は、廃止までの間、教育・研究職の人材確保に一定の役割を果たしたものと考えておりますが、特定の職種のみ返還免除することへの不公平感などの指摘を受け、大学、高等専門学校は平成十年度の入学者から、大学院は平成十六年度の採用者から廃止をされたところです。

早稲田分科員 文科省はまだ不公平だと思っていらっしゃるんでしょうか、今の教員不足のこの現状でも。

 財務省に伺います。

 資料二と三などを御覧ください。これは、返還免除制度が廃止をされたその経過が書かれておりますが、これは全て財政審における指摘なんですよ。そして、財務省の方がおっしゃっているわけです。この八年の財政審の方でも、少数の者に特典を与える不公平な制度と指摘されているが、誰がどのような意見で、どのようなエビデンスがあったのか、それから、今でも財務省はそのような見解なのか、伺いたいと思います。

 更に続けて二問いたしますが、文科省は、平成十四年、検討会議で、教員の処遇改善や需給構造の変化等により人材の誘致効果が減少したとありますけれども、これも、今の文科省の状況にあって、教員不足の状況にあってもこの見解を維持するんでしょうか。是非私は復活していただきたいと思いますので検討していただきたいのですが、この二点、お二人、両政務官に伺います。

金子大臣政務官 ただいま御指摘を賜りました教員に対する奨学金の返済免除制度、平成八年、二十七年前だと思いますけれども、の財政審におきまして、研究職また教育職に就いた者に対する奨学金の返済免除制度、そのときに出た意見としまして、今文科省の方からも返済完了人員に関しましては人数の報告がありましたけれども、昭和五十年代前半には二割を超えていたと聞いておりますけれども、当時、平成八年直前には一割となっており、そのときの議論として、少数の者に特典を与えるのは不公平ではないだろうかという意見があったと聞いております。また、返済免除制度の廃止により返還金が増えれば奨学金事業の事業拡大に使えることなどから、見直しを検討する必要があると考えられたとされております。

 なお、現在の財務省の見解について御質問も賜りました。

 御指摘いただきましたように、教員の確保というものは重要な課題であるというふうに財務省は認識をしております。令和五年度予算におきましても、教員業務支援員などの外部人材活用などの予算も計上させていただいておりますけれども、先ほど早稲田委員がおっしゃっていたとおり、教員の負担を軽減し、また教員職の魅力を高める効果も期待していただいていると承知をしております。

 その上で、奨学金の返済免除制度につきましては、文科省から予算要求がなされた場合に関しましては、財務省としても、財政の制約はもちろんございますけれども、しっかりと十分な費用対効果が見込まれるか等々の観点も踏まえて議論し、また検討していくと考えております。

 以上であります。

伊藤大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど御指摘をいただきました見解につきましては、当時の有識者会議によるものではありますが、教師不足が指摘される中、教職志望者を増やすための施策に取り組むことは重要であると考えております。

 教育・研究職の返還免除制度につきましては、特定の職種のみ優遇することの公平性の観点などから廃止された経緯があるため、再度実施をすることは様々な角度からの検討が必要であると考えております。

 文部科学省としましては、先般、中教審において取りまとめられました令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方に関する答申の内容も踏まえながら、教師の人材確保にしっかりと取組をしてまいります。

早稲田分科員 財務政務官は文科省からそういう予算の要求があれば検討するとおっしゃっているわけですから、是非それも考えてください。

 そうでないと、今、有識者の会議とおっしゃいますけれども、これは官僚の方が言っているわけですよね。有識者の方が不公平だとか言っている記録は、私の手元には届いておりません。これは全部官僚の方が言っていらっしゃるんでしょう、特定の職のみ返還免除することの不公平感。そして、三の資料にもありますけれども、大きな部分は教員であります、現状においてそこまでやる必要があるのだろうかと。

 二割が一割に減ったということですけれども、百年の計と教育は言われているわけですから、そういうことを地道に重ねてきて、教師の方が、やはり負のスパイラルでどんどんどんどん、長時間労働で更に辞めていく方、精神的に病まれる方、そういう方たちが増えていくという負のスパイラルが今もこうやって、これも一つの原因であると私は考えます。

 こうしたことをやめていくことによって、なかなか教師の職というものが確立をされていないのが今の現状に至っているのではないかと思います。不公平感ということはないと思います。やはり、子供たちを育てていく、学びの保障をしていくということが、今、本当に残念ながら、せっかく三十人学級と言っているのにそれが崩れているわけですから、抜本的にこのことも含めて検討していただくように政務官には強く要望させていただきます。時間がないので要望ということにしておきますが、今こそ復活させるべきだと私は要望をいたします。

 次の質問に移ります。

 次の資料を御覧ください。これは、子供医療費の助成制度の創設についてです。これも大変議論が、今までも自治体からほとんど総意で、国が子供医療費の助成制度の創設をしてほしいという要望が出ておりまして、今回は、一月三十一日、大臣のお手元にも届いていると思います。神奈川の県知事、市長会、町村会連名で届いているはずであります。

 これについて、まず、多くの自治体で医療費の助成というものをやっていて、これを是非国の制度にしてほしいというのは当然のことだと思います。なぜならば、自治体間競争になってしまっているんです。こちらが高校までになった、さあ、うちもやらなきゃということで、それはいい意味で切磋琢磨ということもありますけれども、そうではなくて非常に負担にもなっている、小さな市町村にとっては。だからこそ、国が一律の医療費助成制度の創設をしていただきたいと思います。

 それと、もう一つは、ペナルティーということで、市町村で実施をされている医療費制度、これは、市町村がやれば、国は、窓口負担を無料にすると医療費が増えるという理由で、国民健康保険への減額調整措置を講じています。未就学児までは減額調整が廃止されているのは知っておりますけれども、それ以降は、小学生以上のペナルティーというのは相変わらず行っている。これも大変自治体から評判が悪い。とにかくこれは、一生懸命頑張っているとペナルティーを科せられる、お金がもらえないということはやめてもらいたいというのも強い要望です。

 まずは、医療費の無料制度の創設と、それから、このペナルティーを何としてもやめていただきたい。これを二点、大臣に伺います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 この要望書に先頭に加藤厚労大臣と書いてありますように、子供の医療費助成につきましては厚労省の担当になりますので、その詳しい制度につきましては厚労省にお尋ねいただきたいと思いますが、子供政策全般にということであれば、これまでも、この神奈川県の皆様方の要望は国会日程がございましたので直接お受けすることはできませんでしたが、それ以外の様々な団体、先週も平井知事会長にもお会いしてまいりましたが、御要望いただいているところであります。

 ただ、これも繰り返し申し上げているように、三月末を目途にたたき台を今議論しているところでありますので、現時点で予断を持って個別の施策の是非を述べる段階にはないというふうに考えております。

早稲田分科員 大変これも残念です。

 厚労大臣宛てではありますけれども、やはり少子化担当大臣としては、これは少子化対策、子供の支援ということでどこの自治体もやっているんですね。是非、少子化担当大臣、明石市の泉房穂市長にお会いになっていただきたい。それからまた、五つの無料化をやっていて、どれだけ子育て世代の人口が増えたかということ。それからまた、地域経済も活性化しているというのは、移り住んでいる方がいらっしゃるので、非常にそこのところも、税収も上がったということ。五つの無料化ということの一つに、高校生まで医療費無償化が入っております。これも是非視察をしていただきたいと思いますけれども、大臣、後でこれも重ねてお答えをいただきたいんです。

 次の質問に移ります。

 住宅支援の話です。

 特に、若い世代の方、これから結婚を考えている世代の方、そうしたところへの支援が足りません。

 この表を御覧ください。これは平山先生が作られた資料を基にやりましたけれども、七の資料ですが、オランダ、それからデンマーク、フランス、フランスに至っては国民の二割が住宅の手当の支援を受けています。日本では全く、最後のところはアンダーバーになっていますね、これは全然ないわけです。そういう意味でも、若い世代が独立をするということが非常にしにくい状況になっているからということであります。

 これについては、私は内閣府がやっている新婚家庭への支援事業はとてもいいと思うんですけれども、所得制限も割と緩いし、だけれども、残念ながら大都市部ではまだ行われていないんです。これを是非拡大していただくように。今は都道府県連携型にはなりましたが、それでもまだまだ少ない。私が持っている数字では本当に微々たる数字であります。七千五百六十一件しかないわけですね、実績として。

 ですから、これが使いやすいように十分の十に、まず、これも少子化の支援として、住宅支援がほとんどありませんから、ほとんどないからこそ、これをもっと拡充していただくということを是非少子化担当大臣には、内閣府の事業ですから、やっていただきたいと思いますが、最後に伺います。

小倉国務大臣 幾つか御質問をいただきました。

 まず、御質問いただいた地域少子化対策重点推進交付金ですが、御指摘いただいたように、所得要件の緩和を令和四年度の二次補正予算において実施させていただきました。実際に事業を活用する団体の数も、令和三年度の五百三十九団体から六百三十四団体へと約百団体増加をしたところでございます。また、都道府県主導型市町村連携コースの要件につきましても、実は、令和四年度二次補正予算におきまして、一部、都道府県が参入しやすくなるような制度の見直しを行っているところでございます。

 今後とも、この交付金が都市部も含めて更に多くの地方自治体で活用され、地域における少子化対策の取組が一層進むように、地方自治体の意見に耳を傾けながら取り組んでまいりたいというふうに思います。

 先日も、奇跡の町と言われている岡山県の奈義町に行ってまいりました。引き続き、全体の日程を見ながら、子育て支援を熱心にされている自治体の関係者の声に耳を傾けてまいりたいというふうに思っております。

早稲田分科員 国内には八百四十九万戸の空き家があります。是非、こうしたところに活用ができるように、もっと使いやすい制度にしていただくことを強く要望いたします。よろしくお願いいたします。

牧島主査 これにて早稲田ゆき君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友分科員 おはようございます。国民民主党の長友慎治です。

 今日は、私の地元の声を基に、保育園、特に企業主導型保育事業所について質問をしていきたいと思います。

 私は、二〇二一年十月の衆議院選挙のときに初当選させていただきました。そのときに掲げていた公約の一つがジェンダー平等の達成でありました。

 世界経済フォーラムのグローバルジェンダーギャップのレポートによれば、最新の数字によると、日本の男女平等指数は百四十六か国中百十六位、日本の男女格差は先進国最大という状況がずっと続いている状況になります。その背景に、日本の女性が無報酬の家庭内労働に費やす時間が男性の四倍以上あり、有給の仕事に従事する時間が減っているという中で、労働時間の確保が困難になったりするためにキャリア形成や昇進の機会が奪われているということが挙げられています。男性、女性の固定観念を変えて、女性の社会参加を促し、皆が生き生きと活躍できる日本にしていきたい、そんなことを地元の選挙区を回りながら私は話しておりました。

 そんなとき、宮崎県のある町で一人の女性からこう言われました。長友さん、女性を本気で活躍させたいなら、何をやるべきだと思いますか、そのように問われたんですね。私も幾つかお答えしたんですけれども、その方が私に言ったのが、本気で女性を活躍させたかったら、保育士を増やすことよというふうに言われました。

 その女性が住む町、もちろん宮崎のとある町なんですが、待機児童がいるんです。私にとっての待機児童の感覚は都会の話でありまして、まさか私の地元の町の、人口もさほど多くないところで起きているというふうには思っていなかったんですが、事情を聞いていきますと、その町の園の数としては足りている、足りてはいるんですけれども、保育士が足りないことによって子供を預けられないという状況が生まれているということでした。子供を預ける場所がないので、働きたくても働けない女性がたくさんいる、そんな実態をまずそもそも把握しているのかというふうに言われました。

 保育士が足りない理由を尋ねていきますと、子供のことが好きで保育士になった二十代の女性、そして三十代になられた方が、自分も結婚されますね、結婚されて産休、育休に入り、そして保育士としてその後また職場に復帰していただけるかというと、なかなか戻ってこないというのが現場の実態としてあるということでした。保育士にならずに、もっと給料のいい、処遇のいい職場に転職してしまう。なので、保育士としてさらにまた戻りたいという方がいても、今度は自分の子供を預けられないので保育士になれない。そのような悪循環が現場に広がっていて、女性がいつまでたっても社会で活躍できないということを教えていただいた次第です。

 そのようなことが地元でもあるものですから、女性が働きやすい職場をつくろうということで、企業主導型保育事業所が、企業が保育施設を設置することにより、その企業で働く女性を始めとする従業員が、結婚、妊娠、出産、子育てというライフステージにかかわらず働き続けやすくなったり、従業員のワーク・ライフ・バランスに真摯に取り組むその姿、姿勢を企業の魅力向上に生かしていくということで、優秀な人材の採用、確保にも有効だったりするということが企業主導型保育事業所だということで理解をしているところでございます。

 そこで、大臣にまず伺いたいと思います。

 平成二十八年度から企業主導型保育事業を始められて七年がたつというところでございますが、まず、その成果と、それから、更にこれから企業主導型保育事業に期待する役割というものがありましたら教えていただきたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、平成二十八年度より、企業主導型の待機児童対策として実施をしてきたところでありまして、現在、子育て安心プラン等の定員目標である十一万人分をおおむね確保したところであります。

 この事業も含めた保育の受皿整備につきましては、いわゆる保育所待機児童は、平成二十九年の約二・六万人から、昨年は約三千人まで減少するなど、一定の成果があったと受け止めております。

 企業主導型保育事業の役割についてでありますが、従業員の福利厚生と保育の受皿整備の両方を実現をするところにあると考えております。引き続き、従業員の働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスの提供が可能であることや、複数企業による共同利用が可能であること等のメリットを生かしながら、企業主導型保育事業の適切な実施の確保に努めていきたいというふうに考えております。

長友分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣からは、待機児童削減で成果を上げているということと、保育の受皿になっているということで御説明をいただきました。十分に結構なことだと思います。

 ただ、私の地元で実際に企業主導型保育事業を行う方から、ちょっといろいろな現場の声が上がってきているところで、こんな話が伝わってきました。

 その保育事業所は、令和元年、二〇一九年の七月に開所した保育園になります。二〇一九年七月からですので、五年たつには、令和六年、二〇二四年七月で丸五年ということになるところなんですけれども、この企業主導型保育事業、令和二年に一度、実施要綱の見直しがされています。令和五年度からは、いわゆる自社従業員枠を一割設けなければならないと実施要綱に改めて明記がされました。当初は明記されていないというふうに私も確認しております。ここが、現場にとってみれば、後づけでルールが変わった、そのような印象を感じているということでした。

 そこで、伺いたいと思います。

 令和二年に見直した際に、自社従業員枠を一割設けなければならないと明確に記すことにしたその理由について、まず教えていただきたいと思います。

 また、さらに、後づけでルールが変わったことにより、当初のルールで収支計算をして、つまり、地域枠、自社枠ではなくて地域枠で地域の子供を受け入れるつもりだった中小企業の経営者にとって、自社枠を充足できないということで経営が赤字になるというケースも起きているようです。このようなことが起こることをまず内閣府として把握していたのか、お聞きしたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの自社従業員枠につきましては、制度創設から三年が経過し、企業主導型保育事業の制度趣旨を踏まえた全般的な見直しを行う中で、自社従業員の多様な働き方への対応という観点から、自社従業員の利用ニーズに対し施設の即応が可能なように、施設の利用定員の一〇%以上を自社従業員枠として令和二年度より設けることとしたものです。

 自社従業員枠については、令和二年度以降に新規に助成を受けている施設については既に適用し、令和元年度までに助成を受けている施設については本年度まで三年間の経過措置を置いていると承知をしております。

 また、企業主導型保育事業の財務健全性の確保は非常に重要な課題であると認識しております。そのため、昨年六月より、各保育施設のみならず各施設設置者の財務状況を定期的に把握することとしております。

長友分科員 ありがとうございます。

 三年の経過措置がもちろん適用されていることは承知をしておりまして、実際は令和五年度分から自社枠一割ルールにのっとらないといけないということになってはいます。

 そうなんですけれども、元々の当初の収支計画を、専業でこれからやろうとするところが、地域の枠を埋められないことによって、保育料を、収入を得て、それによって従業員の皆様の給与に充てようとしていたところによれば、例えば、移行期間が終わって、令和五年度で、先ほど私が御紹介した地元のところは六年度の七月がたたないと五年にならないわけなんですね。なので、自社枠ルールが適用されます。

 そうなったときに、例えば、二人、地域から受入れができるはずなのに、自社枠として確保しておかないといけないので、二人分の、損失という言い方がいいかどうかは分かりませんけれども、本来だったら入る保育料が受け取れないということになっているというのが現場の声なんです。その方たちからすると、そこの部分の責任は誰が取ってくれるのという感覚というか思いが強いということなんです。

 元々、こちらの保育園は、十九人の定員で運営するつもりで助成金収入を計算して、職員も休みを取りやすいように、他の園と比較しても多くの職員を採用しておりました。運用している途中で、途中の経過措置を取ったとしても、ルールが変わって、令和五年度より、自社枠が充足しない場合は、二人分の保育料、聞いてみますと月額約六十万、年間にすると七百二十万から八百四十万、約八百万円が入る見込みだった保育料が入ってこなくなるということについて悩んでいらっしゃるんですね。園長先生いわく、年間八百万円近い収入が入ってこないことになると、せっかく余裕を持って配置した保育士の皆さんだったりのリストラの実施や、給与や賞与の大幅な減額をせざるを得ない状況だというふうに伺いました。そうなると、雇用が不安定になりまして、保育の質の低下につながっていくということが心配されるわけであります。

 改めてお尋ねしたいと思うんですけれども、私の地元の声をいただいた、保育園の運営を専業としてまだ五年未満のところは、定員が十九人の企業主導型保育園になります。自社従業員枠を一割確保しておくことが前提となっているため、十七人までしか地域の園児を受け入れられません。現状のルールでは、地域の保育ニーズや連携企業の保育ニーズがあったとしても、受入れを拒否しなければならないということになってしまうんですね。

 この企業型保育園を運営する企業や保育園で働く職員の、さらに、例えば、子育て期の従業員がいなくなるケースだって十分考えられると思うんです。ここの園は、職員の平均年齢が五十歳前後の方々ということで、これから自分のところの職員が出産する、そして、自分のところの自社枠で保育園に入園するということはもう考えられないということなんです。そのような子育て期の従業員がいないときでも自社枠を確保するというルールが適用されるということが実態に私はそぐわないというふうに思うんですが、政府としての見解を伺いたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、自社従業員の福利厚生という制度趣旨を踏まえて、一般財源ではなく事業主拠出金を財源として事業を実施しております。そのため、繰り返しになりますが、自社従業員の多様な働き方への対応という企業主導型保育事業の制度趣旨を踏まえて、自社従業員の利用ニーズに対し施設の即応が可能なように、施設の利用定員の一〇%以上を自社従業員枠として設けることとしたものでございます。

 なお、保育を実施する者が自ら設置する保育施設については、保育施設等の五年以上の運営実績がある等の一定の要件の下で、自社従業員枠を設けることを求めない保育事業者型事業として実施することが可能となっております。

長友分科員 統括官から御答弁ありましたとおり、五年たてばいいんですよ。ただ、まだ五年たたないところが全国にもほかにもあるはずなんですね。そういうところに対する手当てとか配慮がないままルール変更されたのではないかというのが現場の声になりますので、もし、今後、御検討であったり、その辺の手当てができるのであれば、是非現場の声を聞いていただきたいと思います。

 御承知のとおり、コロナ禍で、事業主が保育園を運営をしていて、本体の経営が悪化することによって園を閉めないといけない、そういうことも問題になっているわけですよね。子供をそこに預けている親御さんとしては、その園がもしかして急に閉園になってしまう、また新しく園を探さないといけない、そのような不安があるような状況で、このいわゆる企業主導型の保育事業を進めているということそのものが、本気で少子化対策をする気があるのかと私は問われかねないんじゃないかなというふうに思います。

 大臣も、この問題、私が声を上げているだけじゃないと思うんですね。ほかの複数の園からもこのような声が上がっているというふうに聞いていますので、是非、見過ごさずに御検討をいただきたいなというふうに思いますので、是非お願いしたいと思います。

 続きまして、次の質問に移りますけれども、やはり現場の声から、こんな困った声も届いております。

 現状、児童の預かりがある可能性のある土日祝日に職員を配置して受入れ体制を確保したとしても、預かりが実際になければ閉所したものとして実績報告をしなければならないというのがルールになっているということです。さらに、月に一日でも利用ニーズがない日があった場合、それが三か月続くと、三か月目は週の開所日数を変更しなければならない決まりになっています。そうなると、職員を配置して給与を払っていたとしても、助成金は大幅に減額されるということが現行のルールとしてあります。

 まず、ここに問題がないのかということについて見解を伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、従業員の働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスの提供が可能となるように、週七日開所施設、週六日開所施設、週六日未満開所施設の類型ごとに、利用児童数に応じて助成金の算出を行っているところです。

 施設の利用に応じた適正な助成となるように、設定した開所日数は毎週開所することを求めておりますが、利用児童本人の病気やけがによる欠席や、自然災害を理由とした閉所は開所として取り扱う規定や、開所日数の見直しのための経過措置などを設けております。

 引き続き、各施設に対しては、利用ニーズを丁寧に聞き取り、実態に即して開所日数を見直していただく等、効率的な運営を行うように指導してまいりたいというふうに考えております。

長友分科員 統括官、ありがとうございます。

 企業主導型保育施設の多くは、設立された経緯、皆さん御存じですけれども、待機児童の問題が社会問題化したゼロ歳児から二歳児までの児童を多く受け入れている実態があると私は把握しています。全国の施設の大半がゼロ歳児から二歳児までを受け入れる施設となっているんですね。

 一般的に、この年齢の児童は、発熱や嘔吐、下痢など体調不良の発生が多いというのは、子育てをされたことがある方は当たり前のように分かっていらっしゃると思いますが、例えば、週七日開所を実施する施設の保護者の利用予定において、予定状況ではその月は全日開所日となる月だったんですが、職員を配置し、もちろん開所もしましたが、登園の予定時刻になったときに保護者から電話があって、子供が体調不良で休みますと連絡が入ることもよくある話なんです。その日は、例えば日曜日で、平日より利用者が少なくて、該当の児童のみの預かりだった。その子が病欠で休むといったときに、結果として預かりニーズがなかったというふうに判断をされることになります。

 結果、一日だけ閉所した月があったときに、保育施設としては、保護者との契約を履行するために職員を配置し、職員は出勤しているわけで、当然ながら給与は発生しますが、そのような日が一日でもあって、連続して三か月続いた場合は、三か月目は大幅に助成金が減額される、これが今の制度なんですね。

 園側にとってみれば、経営が不安定な要素になる大変大きな事柄にもかかわらず、企業主導型保育施設を管理する立場の児童育成協会の対応に問題があると指摘する園長先生もいらっしゃるんですね。

 例えば、先ほど統括官から御説明がありました。病気だったり、けがだったり、災害のときは休むことが認められるというお話を今いただきましたけれども、実際の保育園の園長先生からこんなことを言われたんですね。熱が出たので休みますと電話をもらった。その電話をもらったことによって、その日、預かりニーズがなかったということで今まで実績報告をしていたということなんですね。

 何でそういうふうになったかというと、先ほど名前を出させていただきましたが、児童育成協会の指導に従ったらそうなったということだったんですね。児童育成協会さんの方針としては、本当に熱があるのか、一回登園してもらって、現場で熱があると確認したらそれは預かり実績として上げてもいいけれども、電話一本受けて、来なかったら、それはニーズがなかったということで実績報告してくださいという、このような現場の実態があるんですよ、起きているんですね。

 そういう話を先日レクを受けたときに内閣府に尋ねましたら、それは間違いですということで否定はしていただいたんですけれども、だったら、今までの実績報告はどうなるんだということになってしまうんですね。園側の皆さんが、預かり扱いでいいものと、そうじゃないものというのが、かなり場所によって違うとか指導する担当者によって違うということが実態として起きているということが私は大変問題だというふうに思います。

 他の保育園の園長さんからも、児童育成協会に振り回されるという声を聞いております。内閣府から委託を受けている児童育成協会、企業主導型保育事業所はこの協会が取り仕切って国の事業として行われているわけです。

 その中で聞こえてきた言葉をそのままここで御説明しますと、補助金の交付がまず遅い。基本的に保育園は補助金ありきで運営しているので、補助金の交付が遅くなると運営がきつくなるという話も聞きました。それから、基準が年度途中で変わることがあって、その対応を迫られる。まさに先ほどのことであります。一時的によかったものが急に駄目になるなど、急な基準緩和などがあったりする。また、細かいところの基準が曖昧で、例えば保護者との契約書、契約書に記載すべき内容が決まっていなかった。そんなことが聞こえてくるわけですね。

 児童育成協会さんは、業務を更にパソナさんに委託して、全国の企業主導型保育事業所の全てをチェックしているというふうに伺っています。ただでさえ、保育士の保育の現場、人手が足りず、ストレスフルな現場だということは、昨今のいろいろな事件で皆さん分かっていると思うんですね。内閣府からの委託を受けた児童育成協会に振り回されることがないように是非してもらいたいというふうに思います。

 この点について、もし御担当の方からの回答が得られるようでしたらお願いしたいんですが、特に通告したわけではないので、無理にはいいです。是非御指導をしていただきたいと思います。

 そして、次、質問させていただきます。

 現在、企業主導型保育事業は、これは言い方があれですけれども、赤字の繰越しができないという制度となっています。年度末に年度報告及び完了報告を行いますけれども、仮に保育事業が赤字決算だった場合、保育事業を営む本体から補填をするわけです。しかし、次年度黒字転換した場合は、前年度赤字補填した事業主本体への繰入れは、単年度事業であるという理由でできないということになっています。経営者からすると、ここはちょっと疑問に思っているみたいなんですね。

 ここに関して、政府の見解を伺いたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、従業員の福利厚生として、国の補助金である企業主導型保育事業費補助金により実施されている事業であることから、単年度主義という原則によって運営しているところです。

 各施設からの年度報告等に基づき、実施機関である児童育成協会が国に対して事業実績報告を行うものであることから、御指摘の赤字の繰越しについては対応は困難であるというふうに考えております。

 また、企業主導型保育事業においては、保育施設に交付された助成金を法人本部等に流用等をしないように指導しているところであり、その観点からも対応は難しいというふうに考えております。

長友分科員 統括官の答弁のとおりだと私も理解はするんですが、じゃ、この企業主導型保育事業所を始める前に、そのような趣旨をきちんと、ちゃんと説明して、納得してもらってやっていただいているのかなということが疑問に感じるわけですね。それが分かっている方たちだったら、私のところにその不満だったりは来ないはずなんですね。

 これは、ずっと今までの御答弁にありますように、自社の従業員の福利厚生である、そして、その従業員の皆様の多様な働き方をサポートする上での保育事業だということは理解はいたします。なんですが、それができているのは、その本体の経営がうまくいっていないとできないということも表裏一体なわけですよね。本体から補填をして、本体事業が赤字になって、その影響で収支が、経営状況が悪化していくと、当然、保育事業の方にも影響を及ぼすわけでございますので、その辺り、今後、現場の園長先生、また運営実施主体に御指導いただいたり、ちゃんと御説明をしっかりしていただくべきかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 女性の活躍推進や日本のジェンダーギャップを解消するために、女性が子育てと仕事を両立する環境を整えることは少子化対策と併せて急務だということは、もちろん皆さん分かっているところでございます。

 先ほども、一番最初の答弁でいただきました、企業主導型保育事業、十一万人の児童の受皿となるということで、当初の目標を達成する見込みだということで、ある程度、この企業主導型の保育事業、一定の政策としての結末は見たというか、成果は出たのかなと思うんですが、じゃ、今度は、これから更に女性の社会進出を促進して、女性が多様な活躍ができる社会を実現するために、次の手を政府としてはどのように打っていくのか。今後の対策、推進する何か考えがあるのかについて教えていただきたいと思います。

小倉国務大臣 まずは、長友議員、冒頭おっしゃったように、従前よりジェンダー平等の実現に向けて汗をかいてくださっていること、敬意を表し申し上げたいと思います。

 まさに、我が国のジェンダーギャップ、特に経済分野でございますが、まだまだ大きい状況でございます。これまでの取組により、女性の就業者数が増え、いわゆるM字カーブの問題は解消に向かい、女性役員数なども増加をしております。他方で、出産を契機に女性が非正規雇用化する、いわゆるL字カーブの解消や男女間の賃金格差の是正は引き続き喫緊の課題であると認識しており、さらには、女性登用の一層の拡大にも取り組む必要があると思っております。

 具体的には、先ほど来御議論いただいた保育の受皿確保や男性の育児休業取得の促進を通じた仕事と子育てを両立できる環境の整備に加えまして、女性に多い非正規雇用労働者の待遇改善や正規化の促進、リスキリング、女性デジタル人材や女性起業家の育成、さらには男女間の賃金格差の是正など、あらゆる角度から取組を進めてまいります。

 特に、現在、女性活躍の更なる推進に向けた方策を検討すべく、私の下に設置をした女性活躍と経済成長の好循環実現に向けた検討会ですとか、男女共同参画会議の下の計画実行・監視専門調査会において議論を進めているところであり、引き続き、リーダーシップを持って様々な検討や取組を前に進めていきたいと考えております。

長友分科員 大臣、ありがとうございます。

 今日、私は、企業主導型の保育事業を中心に御質問させていただいたところでございます。この事業についてはもう追加の募集は恐らくないのではないかと思いますが、実際に、昨今問題になっている保育の質の低下等が企業主導型の保育事業で起きることがないように、是非当局としては御指導いただきたいと思いますし、大臣には、これからの日本の将来を背負う子供たちの未来を最初に育てていただく保育士の皆さんの処遇の改善、それから環境の改善等、是非取り組んでいただきまして、少子化対策、そして子供たちの未来のために汗をかいていただきたいと思いまして、最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて長友慎治君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、宮下主査代理着席〕

宮下主査代理 次に、國場幸之助君。

國場分科員 本日は、質問の機会をありがとうございました。沖縄に関連する質問を五問行いたいと思います。

 まず、屋那覇島の件について、冒頭お尋ねをしたいと思います。

 これは我が国の、海洋国家日本として有人離島、無人離島をいかに守っていくのか、このことに対する一つの課題を突きつけてきた事案だと捉えております。中国人の方が島を購入したとSNS上で主張してこの問題というものはスタートしておりますけれども、まず政府に、どのような現状認識、危機意識を持っているのかという点についてお尋ねをしたいと思います。

 この島の周辺には防衛関連施設がありません。有人国境離島等の要件から、重要土地等調査法の対象にはなっておりませんが、今後その対象になる可能性があるのか、また、もしないとすれば、今回のような案件、つまり、重要土地等調査法の対象にはならないにせよ、国防上、また安全保障上、国土保全上重要な土地に対して、離島に対して政府はどのような対処をしていくのか、まずこの点を冒頭に答えていただきたいと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、重要土地等調査法につきましては、国会や地方議会などでの長年の御議論や、それを踏まえた有識者会議、さらには法案の国会審議での御議論を踏まえまして、その対象を国境離島などとすることといたしております。

 重要土地等調査法は、本年二月一日に第一回の区域指定を行い、本格的な運用を開始したところでございまして、まずは本法を着実に執行し、区域内にある土地建物の所有状況、利用状況などについて調査を行い、実態把握を進めてまいりたいと考えております。

 その上で、屋那覇島を含めます国境離島等以外の離島の取扱いにつきましては、今後の課題の一つと考えております。

國場分科員 常に問題意識を継続して持っていただきたいと思います。

 この島は、現時点でも沖縄振興特別措置法の指定離島になっております。有人離島三十七、無人離島十七が指定されておりますけれども、今回改定された新しい沖縄振興特別措置法の第八十七条で、離島の地域の振興条項には、沖縄県の果たしてきた離島の重要な役割等から、不利性の克服や産業振興、豊かな離島資源の活用への努力義務が新設をされております。

 これらの概念をより明確化していけば、ますます重要性の増した沖縄振興特別措置法の指定離島には、国土保全や、領海、EEZの保全、そして安全保障の重要な意義というものも含まれていると考えておりますが、大臣の見解をお願いします。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 御地元の國場委員には釈迦に説法になりますけれども、沖縄振興特別措置法は、沖縄の特殊事情に鑑み、特別の措置を講ずることにより、沖縄の自立的発展に資するとともに、沖縄の豊かな住民生活の実現に寄与することを目的としております。沖縄振興特措法では、この目的を踏まえ、離島振興に係る様々な措置を規定して、これらの対象とすべき島を離島として指定してきたところでございます。

 先ほど御指摘にもありましたが、具体的には、有人島のほか、無人島のうち、畜産業、水産業等が営まれ、又は観光レクリエーションの場として有人島と一体として振興を図る必要がある島を指定してきたところでありまして、屋那覇島は無人島でありますが、伊是名島から至近距離にあり、過去にヤギの放牧やリゾート開発の構想もあったため、前身の沖縄振興開発特措法が施行された昭和四十七年から、さきの区分で離島に指定されているところであります。

 こうした沖縄振興特措法の離島振興という趣旨に照らしてみると、この法律に基づく指定離島の概念にこれまでにない安全保障あるいは国土保全の要素を加えることについては、従来の経緯や制度の趣旨を踏まえながら、慎重に検討していくことが必要であろうと考えておるところでございます。

國場分科員 岡田大臣、丁寧な御答弁をありがとうございました。

 私は、尖閣諸島も指定離島に指定するべきである、このような主張もしております。沖縄の有人離島、無人離島も含めて、南西地域の安全保障といったものが非常に重要となってきております。しかし、これは何も、自衛隊や、有人化を図るのみではなく、やはり法律の部分もしっかりと整備をしていただきたいと思いますので、今後とも深い関心を持って対策に臨んでいただきたいと思います。

 続きまして、製糖工場の働き方改革についてお尋ねをします。

 南大東島には、サトウキビは島を守り、島は国土を守る、このことは非常に重要な視点だと考えております。つまり、沖縄における過酷な自然環境でありますから、ほかに産業がないんです、限られているんです。サトウキビを作るということは、何も農業だけではなく、そこに生活をする人を守り、彼らの働く場をつくっていきながら、国境離島を守っていく、非常に重要な役割を果たしております。

 働き方改革に関しては、法施行から三年間であった準備期間を五年に延長していただいております。このことは本当にありがとうございました。しかし、その猶予期間の期限というものも来年の三月三十一日となっておりまして、残り約一年となりました。三交代制度に向けましては、内閣府の方でも、季節労働者の宿泊施設の整備、また農林水産省の方も、工場の省人化や生産性の向上等いろいろな取組をしていただいたこと、このことも深く感謝をしております。

 今年に入りまして、製糖工場の現状を視察しました。北大東、南大東、久米島と回りましたけれども、現場の声を聞きますと、なかなか、いまだに人手不足という構造的な課題は変わっていないし、むしろより厳しくなっているという話も聞いております。

 例えば、人口が五百六十九人しかいない北大東島の方では、三交代の実現のために一体何が必要なんですかという意見交換、現地調査の中で聞いた主な声の一部を紹介したいんですけれども、例えば、北大東島の製糖工場は、正社員が二十二名しかいないそうです。季節工が四十五名来ている。二十二名の正社員のうち、地元採用だけでは三分の一しか集まらないので、季節工の方だけの宿舎のみではなく、今後は正社員の宿舎建設の支援も必要ではないかという要望や、特に、三交代を目指す上で非常に難しいのは、季節工の県外から来る方というものは短期間で稼ぎたいんです、ですから、多少時間が長くても集中的に稼ぎたいというニーズに、三交代だと、時間が制限をされて手取りも厳しくなり、島に渡るインセンティブが減るんですよ、賃金面の措置というものも考えてほしいという声もありました。

 また、いろいろな、これは離島全体の問題なんですけれども、沖縄県には不利性解消事業があります。沖縄県から鹿児島県までの物流コストの、これは出す方の支援措置なんですけれども、入ってくる支援措置というものが全くない。昨今の物価高騰の中で非常に生活コストが厳しくなってきているという声がありました。

 しかし、究極的には、この三交代実現のためには、製糖工場の操業期というものは大体十二月から三月ぐらいなんです、天候によって延びるときもありますけれども、この期間にどのように製糖業に従事する人口を増やしていくのか、この一点に尽きるわけであります。

 政府としては現状をどのように認識し、どのような支援策を考えているのかについての答弁をお願いします。

望月政府参考人 今委員御指摘のとおり、サトウキビは沖縄の農業の基幹作物でございます。産業ということとともに、地域のまさに生活を支えるということ、製糖業は、沖縄のサトウキビ生産を支えて、離島の雇用をしっかりと支える、非常に重要な役割を果たしているところでございます。

 一方で、今委員から御指摘もございましたが、働き方改革関連法におきましては、地理的な制約とかがありますので、人材確保が困難であるといった課題があるような場合、そういったことを踏まえまして、一部の中小企業などに対しましては、令和六年三月まで時間外労働時間の上限規制の適用が猶予されているというふうな状況でございます。そういった中に鹿児島及び沖縄における砂糖製造業が含まれているというような状況でございます。

 このようなことを踏まえまして、内閣府におきましては、製糖工場の所在するそれぞれの離島の状況を踏まえつつ、人材の確保、育成と、あとは増員による季節工に対する寄宿舎整備等に向けた支援を行ってきているところでございます。

 令和六年四月からの適用に向けまして、沖縄県内の製造業者におきましては、内閣府の事業も活用しながら、働き方改革に対応した人材の確保、これはハローワークの人材確保とかも含みますが、そういったこととか、更に重要なことは、現有の人員でもより効率的に業務を回せるようにする、例えば、資格を取っていただいて三交代制がスムーズにできるようにするといった工夫、そういったことに努めているというふうに聞いております。これは内閣府の支援策を使いながらということでございます。

 引き続き、こうした支援を継続しまして、今後の製糖工場の運営に支障のないよう、製糖事業者等からの声を聞く、まず事業者から声を聞いて、さらには農林水産省など関係省庁ともしっかりと連携しながら、万全の支援を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

國場分科員 望月局長、ありがとうございます。内閣府の様々な支援には私も感謝をしております。

 しかし、答弁にもありましたけれども、鹿児島県と奄美の離島の製糖工場の働き方改革の猶予期間なんですが、鹿児島の方は、六製糖工場のうち四つの製糖工場は既に三交代を実現しているということを聞いております。

 ただ、これはまず、離島の人口規模というものが圧倒的に違うわけです。例えば、北大東島というものは六百人も人口がおりません、五百六十人ぐらいなんです。南大東村、伊是名村、これは千二百人弱です。久米島も大体六千人台です。

 一方の鹿児島県の分蜜糖工場の方は、六つありますけれども、一番小さな島の与論島でも五千人規模なんですね。これは北大東村の約九倍の人口です。喜界島も七千人。沖永良部島が一万人以上。徳之島二万人。種子島は約三万人弱です。

 人口規模が違いますので、鹿児島、沖縄と一くくりにするのではなく、やはり一つ一つの事情に即した支援策、今の支援策も感謝はしているんですけれども、それでは足りないというところがありますから、常に問題意識を持ちながら、残り一年間、人材の確保に全力で取り組んでいただきたいと思います。

 また、これは答弁は要りません、要望だけなんですが、今、北大東村、石垣、また本島のゆがふの製糖工場の建て替え、これも大きな課題でございます。やはり、これからの人手不足に対応しながら、省人化に資するような設備、これも二百億や二百五十億や三百億と大変な金額がかかりますけれども、これは農林水産省の方が、分蜜糖は、事業だと思いますが、しっかりと内閣府も関心を持ちながら、連携をお願いしたいと思います。これは要望です。

 三番目に、沖縄県の国保財政対策についてお尋ねをしたいと思います。

 沖縄県は、前期高齢者が少なく出生率が高いという人口構造から、前期高齢者交付金が少ない時期がありました。最近では、加入率の増加を背景に、増加基調となっております。二十歳未満の被保険者数に応じた支援、未就学児医療費に着目した支援など、特別調整交付金の活用などで沖縄国保への支援をいただいたことには感謝をしております。

 しかし、現状としては、今でも沖縄県から、普通調整交付金の乖離に係る沖縄県国保への財政支援についての要請がありました。それは、国の定める普通調整交付金と交付見込額に乖離があり、その差額を補填してほしいという内容でございます。

 是非その実現をお願いしたいわけですが、今の現状のお考えをお聞かせください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話のございました普通調整交付金でございますけれども、こちらは保険給付費の実績などに基づきまして交付をいたしておりますが、自治体によります翌年度の保険料算定に資するよう、あらかじめ、保険給付費の推計を基に交付見込額を通知いたしております。保険給付費の実績が推計時よりも下がるなど、実際の交付額が交付見込額より著しく減少した場合、収入不足が生じて翌年度の保険料額に影響が生じ得るという可能性がございますので、過去におきましては、国保財政全体の財政状況を踏まえながら、その差額の一部について補填措置を実施しております。

 今年度の普通調整交付金の補填措置につきましても、その実施の可否を含めまして、国保財政全体の状況を踏まえて、もう少し具体的に申し上げますと、保険給付費の実績などによります、ほかの都道府県も含めた申請状況ですとか国保財政への影響などを勘案しながら、検討してまいりたいと考えております。

 また、令和五年度の国保特別会計におきましては、財政安定化基金にあります財政基盤強化分の残額の一部につきまして、これは国保財政の基盤強化のため繰入れができるということを昨年十二月にお示ししたところでございますほか、普通調整交付金の交付見込額と実際の交付額との差、御指摘ございました点の原因の分析につきましても、国と沖縄県で十分連携をしてまいりたいというふうに考えてございます。

國場分科員 今の日原審議官の最後の、沖縄県との連携、これは是非とも実現をしていただきたいと思います。

 これは答弁は要りませんけれども、要望なんですが、差額が生じているのは、今の審議官の答弁にもありましたように、交付見込額の確定係数が国の示す普通調整交付金の確定係数より乖離がある、減少しているという部分なんです。確かに、年によっては変動はあると思います。しかし、沖縄県の要請いただいた副知事や担当者の話を聞きますと、やはり五年連続乖離があるというのは沖縄県だけだと聞いております。

 しかも、今、答弁の最後の方に、意見交換を積極的に進めていただきたいとありましたけれども、令和四年度も、この普通調整交付金の確定係数、約百七十九億円と国から示されているにもかかわらず、交付の見込額が百五十二億円と、二十七億円の乖離があったということを要請の中に書いておりました。令和三年度は十六億円の赤字、令和二年度は十六億円の赤字、令和元年も十二億円の赤字、平成三十年は十一億円の赤字と、財政不足が五年連続生じており、八十二億円の累積赤字となっておりますので、この原因がどこにあるのか。国としては、しっかりと算定を法令に基づいて進めているとは思うんですけれども、やはり県の方との現状認識のすり合わせはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、日台、日中漁業協定についてお尋ねをしたいと思います。

 これは今から十年前に日台漁業協定の締結が行われたわけでありますが、今年はちょうど十年となります。十年たって、その総括と、成果、課題をどのように認識しているのかをまずお答えいただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 二〇一三年四月に署名されました日台民間漁業取決めにおきましては、東シナ海の一部の水域を適用水域と定めまして、日台漁業委員会を設置いたしまして、日本と台湾の漁船の操業トラブルの防止を図るため、操業ルールの協議等を行ってきたところでございます。

 特に、好漁場とされております八重山の北方の水域ですとか特別協力水域につきましては、すみ分けのルールを策定し、一定程度、安定的な秩序が構築されてきていると考えてございます。

 ただし、台湾漁船による操業ルール違反が疑われる事案は依然として発生しておりまして、引き続き、我が国の漁業者との間でトラブルが発生しないよう、関係する漁業者の参加を得ながら、日台漁業委員会での協議を通じ、適切なルールの策定やルールの遵守確保に取り組んでまいります。

國場分科員 今の藤田部長からの答弁にありましたように、この日台漁業協定というものは、好漁場を沖縄は台湾にある意味取られたといいますか、非常に、そういう潜在的な気持ちはずっと残っているんです。ですから、そういう中でルール違反するということは決してあってはならない、そのルールの徹底はしっかりとやっていただきたいということをまず強調したいと思います。

 その上で、地元を回ってよく言われたことの一つに、AIS、これは船舶自動識別装置なんですが、これについて、提言を含めて質問をしたいと思います。

 このAISは、船舶の位置や針路等を自動的に送受信するシステムで、船舶間の衝突回避のための通信の簡易化、悪天候での周辺船舶の位置確認などを可能とするシステムで、最近は、小型船舶も活用できるスマートフォン向けのAISアプリもあると聞いております。

 本来のAISというものは、漁船同士の衝突回避のために漁船に設置するべきでありますが、台湾の方は漁具にも設置しているゆえ、日本の漁船が混乱しているという話を聞きました。つまり、レーダーに漁具であっても漁船であっても映るものですから、非常に混乱する。

 しかし、いろいろな話を聞くと、漁具にもAISというものをつけることは、それはそれでまた意味があるという話も聞きましたので、そうであれば、周波数を変えて、漁具用のAISと漁船用の衝突回避のAISの共存共栄と申しますかすみ分けというものも考える時期に来ているのではないかと思います。

 これは総務省から答弁をお願いします。

豊嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、AISは、船舶間の衝突回避などを可能とする、船舶航行の安全のためのシステムでございます。

 御指摘がありましたように、漁具のAIS装着など、航行安全以外の用途でのAISの使用につきましては、船舶航行安全確保への悪影響が懸念されるとともに、AIS用周波数の逼迫が生じるおそれがあるということから、国際機関におきまして、漁具等に使用可能なAISを応用した新たなシステムへの周波数の割当てが行われまして、本年二月、今月でございますが、国際規格が策定されたところでございます。

 今後、各国におきまして、この新しいシステムの導入が期待されるところでございます。総務省としましても、早期導入に向けまして取組を進めてまいる所存でございます。

國場分科員 これは大変大きな前進だと思います。是非、国際規格も定まったのであれば、早期に、特に国境離島の漁船には、しっかりと導入に向けての取組を、総務省としてもお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、日中漁業協定についてお尋ねをします。

 日中漁業協定は、これは一九九七年に、小渕外務大臣の頃に締結をされて、二〇〇〇年からスタートした協定であると理解をしております。

 しかし、この水域を見ると、日中漁業協定の中間水域、暫定措置水域、北緯二十七度以南の水域と三つの大きな水域がありますけれども、これらは全て法令適用除外水域となっております。ですから、過去にも、違法サンゴ船の問題や虎網による乱獲による生態系の破壊といった被害も生じております。

 私が非常に今懸念しておりますのは、仮に漁船を装った調査船や武装船が発生したとしてもこの水域では摘発ができないという対処への課題があります。実際に、違法サンゴ船が大量に出ているときでも日本の法令では対応できなかったということがありましたので、やはり当時と今では、中国の中身も、また日中関係の在り方も変わってきておりますので、ここでひとつ、約二十五年間、締結の間の総括をするべきだと思います。

 これは外務省にお尋ねしたいんですけれども、その間にどのような課題が見えてきたのか、また、日中漁業協定の共同委員会というものが七年間開催されておりません。いろいろな事情があったと思いますが、やはりこういった海洋というところは安全保障の最前線ですので、意思の疎通をする場というものは確保するべきだと思います。今の現状をお聞かせいただきたいと思います。

岩本政府参考人 ただいま御指摘のありました日中漁業協定でございますが、その協定の下で、日中漁業共同委員会、こういった組織がございまして、本来ここで、この協定の運用の在り方をしっかり確認しつつ、問題点等についても中国側との間で議論していくことになっております。

 一方で、先ほども御指摘のありましたとおり、近年、日本海における中国漁船の違法操業が顕著になっておりまして、そのため、これが一つの課題となりまして、この漁業共同委員会を開催できない状況が続いております。

 一方で、私どもも、外交ルートを通じて常々、中国側に対しては、まずはこの日本海の違法漁業の問題をしっかりと対処するよう求めているところでございます。また、別途、日中両国の間では、広く海洋分野に関して協議をする場としまして、日中高級事務レベル海洋協議、こういった枠組みがございます。これは毎年一回か二回開催することになっておりまして、最近では昨年の十一月に、オンラインの形ではありますが、この協議を開きまして、ここでも、この違法操業の問題について中国側と意思疎通を行ったところでございます。

 先ほど御指摘のありました、様々な形での中国側による違法な操業、これについては、引き続き、水産庁また海上保安庁といった関係省庁と緊密に連携をしながら現場での取締り等に当たっていくとともに、今申し上げましたように、外交面での努力もしっかりと続けていきたい、このように考えております。

國場分科員 水産業というのは安全保障の最前線です。沖縄県の方からは、日中漁業協定の破棄という要請が毎年来るんです。外交協定ですから難しいのは理解をしているんですけれども、それぐらい切迫感も持っている現場があるということは常に認識をして、外交当局者としての取組をお願いしたいと思います。

 また、取締りの部分なんですけれども、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、台湾が主張する暫定執法線と日本が主張する中間線、もちろん、これは中間線の方で取締りの徹底というものは要請をしたいと思います。これは答弁は要りません。

 最後に、国民保護について一点質問をしたいと思います。

 沖縄県は離島県ですから、やはり、武力攻撃事態、武力攻撃予測事態が生じたときにいかに離島の国民を一日でも早く避難させるのか、これは非常に大きな課題でございます。同時に、避難するといいましても、離島等では、医療や消防や電力、基本インフラの技術者といった方々は、避難するのが非常に遅れるリスクも当然伴ってまいります。全員が避難できればいいんですけれども、避難させるために必要な措置をする人も必要なんです。

 ですから、この国民保護の中にも、第四条の中に、国民の協力、これはあくまでも任意であって義務ではないというふうに規定されておりますが、彼らをいかに安全に守るのかという部分は、今後のシェルターの設置も含めて、最優先の課題が求められていると思います。

 来月に沖縄県の方で武力攻撃事態を想定した最初の図上訓練が行われるのは、画期的だと思います。政府としての、今の現状、認識についての答弁をお願いしたいと思います。特に、沖縄戦の歴史を持つ沖縄にとっては非常にこれはセンシティブな問題でもありますので、一言答弁をよろしくお願いしたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄県におきましては、本年三月に、国、県、先島諸島の五市町村等が協力して、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施し、避難の手順を確認、具体化することといたしております。この訓練におきましては、十万人規模の住民等の離島からの避難を想定して検討を行っており、全国初の先進的な取組であります。

 当該図上訓練に向けた準備、検討に当たりましては、国民保護法上、住民の輸送手段の確保は県が、住民の避難誘導は市町村が主として担うものとされておりますところ、国としても、運送事業者に対し輸送手段の確保を働きかけるなど、積極的に参画し、支援を行っております。

 国民保護基本指針におきまして、沖縄県の住民避難に関し国が特段の配慮をするとされていることも踏まえ、こうした関係者の検討、訓練等に国としても積極的に取り組み、練度の向上や課題の改善を図ることにより、沖縄県における国民保護の実効性の向上にしっかりと努めてまいります。

國場分科員 時間となりました。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮下主査代理 これにて國場幸之助君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

宮下主査代理 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。足立康史君。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。

 河野大臣、お忙しい中、ありがとうございます。

 今日は、役所からも、役所というか、皆さん役所ですが、各省の事務方にもおいでをいただいています。実は、今日は番号制度についてやりますが、最初、事前に七問通告をさせていただいたんですが、各省と意見交換をすると、ほとんどこれはデジタル庁にならない。いや、これは国税庁です、これは経産省ですということで、七問の通告のうち六問が、実は来ていただいている河野大臣ではないということになって、河野大臣、所管外という話で結構物議を醸していますが、いや、僕は、あれは野党の質問の方が悪いと思っているので、そこに何か申し上げるつもりはありませんが、しかし、やはり所管の問題というのはすごく大事だということですね。

 各省から、個人情報保護委員会、法務省、財務省、国税庁、中小企業庁から今日はお越しをいただいていますが、もう大体、各省の御答弁は事前に分かりましたので、できるだけ質問しません。今日は、見ておいていただいて、だから、関係府省連絡会議ということをこの第一委員会室でやる、デジタル担当大臣の河野大臣の胸をおかりして、野党の私が、政府の番号制度関係府省会議に僭越ながら乗り込んできて、大臣にいろいろ御質問申し上げるという三十分にしていきたい、こう思います。

 まず、大臣、これはちょっと、通告というか、今の所管のことだけですが、こういうことがありました。二年前の、二〇二一年の二月五日の予算委員会で、麻生財務大臣や平井デジタル大臣といろいろやり取りをさせていただいた。今日私が取り上げる個人事業者番号の議論を、二〇二一年、令和三年二月五日にここでやりました。

 そのときに、当時の平井大臣がこうお答えになりました。先生と、足立さんと全く同じ問題意識だと。この話はデジタル庁、この話というのは個人事業者番号をつくったらどうかという私の提案について、この話はデジタル庁で引き受けようと思っています、ベースレジストリーとして整理しなきゃいけないのは、まあ、いけないんだけれども、GビズIDというのを個人事業主にも振ったりしているんですと。全部中途半端、要は、いろいろなことを各省でやっているんだけれども、全部中途半端なので、インボイス制度、今年十月から本格的に始まりますが、インボイス制度が導入されることを契機に、各省と相談しながらベースレジストリーを整理していきたい、これはデジタル庁で引き受けたい、こう二年前の二月におっしゃっています。これは所管の問題ですね。

 平井大臣は、これはデジタル庁でやるんだと私に二年前に言っていただいた。これは所管外ではないですね。

河野国務大臣 個人についてはマイナンバーがあります。事業所についてはGビズIDがあります。その間といいますか、個人事業主はどうするんだというのは、これは全く同じ認識で、個人事業主に個人事業主番号を振ってと。

 というのは、このコロナ禍で、やはり給付金の対応がえらい遅れました。それは何でかというと、結局、よく分からぬから、請求してもらって、申請してもらって、それで対応してやらにゃいかぬ。あれも、あのときちょうど私はワクチンをやっていましたから、横で見ながら、これはやはり何とかせにゃいかぬよね、これはデジタルの問題だよなと思っておりましたので、デジタル大臣になってデジタル庁に来て、これはやらにゃいかぬと思っていろいろ集めたり、各省に来てもらったりしてやっているわけです。

 幾つか問題があって、個人事業主というのは個人なんですね。ところが、個人以外には共通項が余りない。開業届を出していない人もいるというのがコロナ禍の給付のときに分かりました。だから、まず、誰が個人事業主なのかというのが一つ問題としてあります。

 それから、これは平井さんと同じで、私もこれはデジタル庁でやればいいじゃないかと、私は気が短いものですから、うちでやればさっさとやれるだろうと思ったんですけれども、個人事業主がまず誰だかよく分からぬと。開業届を出していない方も結構たくさんいらっしゃるものですから、まず、番号を振るにも、誰に振ったらいいのかというのをどうやって取るんだという問題があります。

 これは、例えば飲食店なんかは、何か、調理場で番号を振らなきゃいけない、これは人とも余り連動しない。それから、工事現場なんかでジョイントベンチャーを組んでいるものは、これまた、これはGビズIDの方になるのかもしれませんが、誰に振るのか、どうやって個人事業主を集めるのか。

 それから、もう一つの問題は、個人事業主に一度登録をしてもらって番号を振りました、その人が辞めました、あるいはもっと大きくなって事業体になりました、あるいは個人がお亡くなりになりました、これをどうやってフォローするんだということを考えると、これは、多分、相当な人数をかけるか何かしないとできない。だから、一回、ワンショットで登録することが仮にできたとしても、それをどうやってメンテしていくんだというところが今大きな問題になっております。

 それでも、私はやった方がいいと思うものですから、今悪戦苦闘しているんですが、なかなかいい解決策がなくて、デジ庁に一万人ぐらい人がいれば、えいやで力仕事でやれるのかもしれませんが、それでも開業届がない人をどう集めて、その人たちを定期的にメンテしていくというのをどうやるかというのは、これは結構大きな仕事になっていますので、いい提案があったら是非承りたいと思っておりまして、向いている方向は多分全く同じだと思っております。

足立分科員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃったとおりでありまして、この番号制度、私、ちょっとユーチューブにこれをアップするので、分科会でパネルを使う人は多分私だけだと思うんですけれども、まあ、これを今解説はしませんが、我ながら、よくできたパネルであると。大臣、これ、よくできていると思いませんか。褒めていただいたら、それで。

河野国務大臣 中身はちょっと御説明があるんだろうと思いますが、きれいにできているなと思います。

足立分科員 大臣、正直、これは本当に、大臣が今悩みをおっしゃったように、難しいテーマです。しかし、大臣、これは大事ですね。なぜ大事か。制度オブ制度ズだからです。そうですね。

 要は、番号制度というのは、そもそもマイナンバーカードよりも大事ですよ。マイナンバーカードのベース、カードのベースにはそもそもマイナンバーがあって、よく勘違いされる、マイナンバーカードとマイナンバーは全く別物ですね。役割も違います。

 大臣は、今、マイナンバーカードの一本化、カードの一本化に御苦労されておられることはよく承知しています。その御努力に敬意を表します。御苦労されている、もうちょっとうまくできないかなと私も一緒に悩んでいるわけですが。国民の、まあ、ぐちゃぐちゃ言う人はいっぱいいますから、特にネットには。だから、そういうのはほっておいて。

 実は、カードについては、大臣、これは余談ですが、二〇一八年の入管法改正のときに、私は、日本人は有権者だから、政治的に難しいから、まず外国人。在留カード偽造数万枚とかいって、えらいことになっているわけですよ。それも券面に頼るから、えらいことになっている。だから、私は、当時、もう五年前ですが、在留カードを廃止して、マイナンバーカードを水際で渡して、携帯を義務化させて、それで銀行口座を全部ひもづけして、逃走できないようにする、逃走というのはちょっとネガティブな言葉、そのつもりはありませんが、まず外国人からやったら、有権者、投票権はありませんから、政治的にも乗り越えられるんじゃないかという提案をしましたが、いまだに、御努力はされていますが、カードの一本化はできていません。途上ですね。これは頑張りましょう。

 ただ、カードの前に、番号ですよ。それも個人番号だけではなくて、法人番号、個人事業者番号という、私が提案しているもの、これをちゃんと整理していかなあかん。

 三問に分けて大臣に御質問を用意しています。

 まず一点目は、先ほど大臣が開業届とおっしゃった。この真ん中のところに、真ん中の黄色いところの下に赤っぽい色で薄い線が入っていますね。これは何かというと、今まで個人事業者についてはマイナンバーが十分に使われていなかったんです。例えば、先ほど大臣が御紹介になった開業届、廃業届は、国税庁に開業届を出しますね。国税庁はどうしていたか。整理番号なるものを、国税庁独自の整理番号を改めて付番しているんですよ。

 私は、それを、二〇二一年の二月の予算委員会、先ほど申し上げた予算委員会で麻生大臣に、これは廃止すべきだ、何でマイナンバーを使わないんだ、マイナンバーがあるんだからマイナンバーでやろうよと言ったら、足立さんは野党だから知らないと思うけれども、俺はもう廃止することに決めているんだ、悔しかったら与党になれ、こういうことを麻生大臣から言われたのを今でも覚えております。次のシステム改修のときに、国税庁は、開業届、廃業届の整理番号を廃止して、いや、それだけじゃない、いろいろな国税庁の内部処理をする独自の番号を廃止して、これからは国税庁は、法人は法人番号、個人事業者あるいは個人は個人番号、これで整理するのであると高らかに麻生財務大臣は宣言をされていました。

 そうであれば、ここに書かせていただいているように、GビズはGビズでやったらいいんですが、全府省で、この個人事業のところの整理は、大体いつも取組が遅い国税庁が今一番最初に整理番号を廃止した、ところが、GビズにはGビズ整理番号、かつて持続化給付金を配るときには持続化給付金整理番号、全てマイナンバーで一本化すべきだと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 委員がおっしゃっているのは、個人事業主に関する整理番号をマイナンバーで統一しろということですか。それは面白いアイデアなのかもしれません。

 ただ、個人と個人事業主が同じ番号になってしまうんですよね。国税庁が、整理番号はやめて、個人番号、マイナンバーにしますよと言っておりますので、何らかの区別はできるんだろうなと思います。それができるのなら、関係する省庁が個人事業主に対応するときにそのマイナンバーでやれるのかなと思いますが、そのマイナンバーに足立何がしと足立商店が両方ひもづいちゃうわけですよね。ちょっとそこは問題がないかどうか。国税庁がやるんだったら税的には問題はないんだと思いますが、ほかの役所の、個人事業主との関係で問題がないのかどうかというのはちょっと見ていきたいと思います。

 そうすれば、あとは、開業届を出してもらってマイナンバーカードに、空き容量なのか証明書のところなのかにぽちんと個人事業主というのを入れておけば、マイナンバーカードで処理もできるようになるのかもしれませんので、ちょっとそこは見させていただきたいと思いますが、是非、与党、お待ちしていますから、麻生太郎さんじゃありませんけれども、来ていただいて一緒にやらせていただければと思います。

足立分科員 ありがとうございます。

 野党のままでも構いませんので、大臣補佐官に任命していただければ、今結構暇ですのでお手伝いできると思います。

 こうやって、今日この三十分も、私は、河野大臣の何か問題を取り立てて追及する場ではなくて、まさに一人の国会議員として国の未来を案じて担当大臣とちょうちょうはっしやらせていただく、そういう意味では一緒に仕事をしている、そういう立場でございます。

 さて、今の話、大臣、僭越ながら一つ申し上げると、カードの話はちょっとおいておきましょう。カードをどう使うかというのは、やはり切り離さないともうぐちゃぐちゃになりますから。番号です。今大臣は、ちょっと考えてみるということですが、じゃ、なぜ、要は、いろいろな整理番号が乱立しているかというと、一つ象徴的な事例は持続化給付金です。

 当時、持続化給付金をやっていただいた経産省の奈須野さんという、局長さんか次長さんかいらっしゃいまして、私、同期で、これは余り言うと彼の出世に響くのでやめておきますが、夜な夜な、どうしたらいいかということを議論していました。余り、野党と議論しているというと出世に響くので、これは後で議事録を削除していただきたいと思いますが。当時は、マイナンバー法が邪魔になっていたわけです。要は、個人番号が使いにくいから。だから、個人番号、マイナンバーを持続化給付金の整理番号に使うことは法令上許されなかったわけです。

 二つ目の大臣への、このパネルでいうと左側の質問ですが、なぜ個人番号にこんな利用制限があるんだと。私の陰謀論は、私は陰謀論は大嫌いなんですけれども、本件は陰謀があると思います。どういう陰謀か。共産党が国会で騒ぐのが嫌だから、マイナンバーは堅め堅めに法律を作ったんですよ。共産党、社会党、立憲民主党対策です。

 でも、いつも大臣はおっしゃっているじゃないですか、マイナンバーは安全だと。芋づる式に個人情報が流出することはないんですよ。だから、あのマイナンバーカードに目隠しがありますね、袋に。あれは何回も私は国会で、あんなものは要らない、あんな袋に入れているから、お年寄りがマイナンバーカードを家に持ち帰ったら金庫に入れちゃうんだと。マイナンバーが流出しても何も困らないんだ。なぜ、マイナンバーの利用制限をこんながちがちに。いや、それは個人情報はそうしたらいいですよ。でも、マイナンバー自体が流出しても全く問題はないんです。

 これは、政治的に、マイナンバー法改正は大変だから、次の質問がメインなのでちょっと簡単にお答えいただきたいんですが、なぜこんなに個人番号を金庫に入れとかなあかんのか。私は入れておく必要がないと思いますが、どうですか。

河野国務大臣 マイナンバーカードの目隠しは要らないじゃないかというのはそのとおりだと思いますし、マイナンバーを人に知られたからといって直ちに影響が出るものではないというのはおっしゃるとおりですから、マイナンバーカードを金庫に入れておく必要はない、そのとおりでございます。

足立分科員 そういうことも含めて、大臣には、先ほどの話。そうであれば、だって、マイナンバーというのは各事業所で今管理しているわけですよ。みんな、国民の皆様が、事業者の皆様がマイナンバーをちゃんと管理できているのに、経済産業省が持続化給付金の整理番号に使うときに管理できないわけがないんですよ。厚生労働省、法務省、どこでもそうですよ。

 だから、先ほどの話です、マイナンバーを使えばいいじゃないか。霞が関にある全ての整理番号を廃止をして、国税庁だけじゃない、霞が関にある全ての重複している様々な番号を全部廃止して、いわゆる個人及び会社、個人あるいは会社、あるいは個人あるいは事業、BであれCであれ、そういったものは全て法人番号と個人番号で交通整理をしていけばシンプルでいいじゃないか。

 今日はもう質問しませんが、例えばe―Taxの利用者識別番号も、別途、e―Taxの利用者識別番号を振っているんですよ、国税庁は。何で。

 さらに、今度、インボイス番号をつくるわけですよ。インボイス番号をつくる理由を財務省に聞くと、これは秘匿性、要は、マイナンバーというのは誰でも見られる請求書に書いてはいけないのであるという、またマイナンバー危険論に基づいて、巨大なインボイス登録番号システムというものがもう今あります。

 大臣への最後の質問は、一応、じゃ、百歩譲って、国民の政府への信頼が足りないから仕方がないので、マイナンバーなるものは、秘匿、ある程度がっちりやりましょう。そこはもう私、譲ります。でも、じゃ、その代わりに、インボイス登録番号ももうそこにあるんだから、国税庁からインボイス登録番号制度というものを大臣が奪い取って全省庁に使わせたら終わりなんですよ、これは。

 財務省、国税庁、大臣の御答弁の前に、国税庁堀内課税部長、おいでをいただいています。急に振られて嫌だと思いますが。

 インボイス登録番号、今もうあります、システムもあります。これは、インボイス制度以外には使えないんですか。インボイス制度以外にも活用できる、制限されていないという理解ですが、どうですか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 インボイスの登録番号でございますが、インボイス発行事業者として登録を受けた事業者にのみ付番されるものであり、事業者は取引先から交付を受けたインボイスの有効性について、記載された登録番号により確認することとなっております。

 御指摘のように、消費税法上、登録番号については、その利用について特段の制限は設けられておりませんが、個人の方について公表サイトで公表している情報は、個人情報保護法に基づき、適正に取り扱う必要がございます。そのため、国税庁におきましては、公表サイトの利用者に対しまして、その旨周知しているところでございます。

足立分科員 今、何か、ぐちゃぐちゃっとおっしゃいましたが、要は、制限されていないんです。ただ、国税庁は国税庁のことしか考えていないんです。それは大事な仕事だから分かりますよ。私も国税庁だったら、社会保険と一緒にしてほしくないと思いますよ。そやけど、国益のためには、そこはちょっと一歩譲っていただいて、もっとやはり、バーチャル歳入庁と私たちが言っているようなことも必要だし、国税庁が国税庁のためだけにインボイス登録番号制度をつくっている現状は、百害あって一利なしです。もっと普遍性のある制度、これをつくるべきであります。

 今部長は、いや、個人情報がとおっしゃいましたが、隠したらいいんですよ、氏名とか。今はだだ漏れです。問題になっていますね。だから、インボイス登録番号制度は、今、氏名がだだ漏れだということで問題になっている。では、屋号とか、まあ、屋号もまた議論があるので今日はもうやめておきますが、商号、屋号。今は、通称と旧姓は前に出して、氏名を隠せるようになっているんですよ、彼らは。通称と旧姓は前に出せば、氏名を隠せるんです。では、商号とか屋号だって、この制度を登録制度にして、今度、登記制度に、登記というか、これを制度オブ制度ズにして、このインボイス番号登録制度をもっと普遍性のある制度にすれば、個人番号、個人事業者番号、法人番号、これで私は日本の未来は開ける、こう思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 結局、最初の質問の、個人事業主の番号をどうするんだというところへ戻るんだと思うんですよね。だから、例えば、これは案として、マイナンバーの後ろに、個人事業主だったら何かアルファベットを一個つけますとか、そういうやり方があるのかもしれませんし、悉皆性のある番号があるんだったらそれを使うということも考えられると思うんですが、そこは多分、いろいろなやり方があって、インボイスというのも少し研究をしてみたいと思います。

 ただ、全部をどう取り込むかというところと、それを継続して管理していくというところをどうするかというところは、これはやはり残るんだと思います。今のインボイスだと、多分、全部を網羅しているわけではないのと、インボイス番号を二つ持っちゃっていたりするということも可能性としてはあるんじゃないかと思うので、ちょっとインボイスの番号のところは一回整理をして、どこかでまた議論させていただきたいと思います。

足立分科員 ありがとうございます。

 まさに今大臣がおっしゃったとおりでありまして、難しいんですね。ただ、私は今日、せっかくの機会ですので、自称河野大臣補佐官として一つの提案をしておきたいと思います。

 まさに御指摘のとおり、個人事業者というのは定義できないんですね。だって、事業をやりたいと言ったら、もうその場で急に個人事業者になるわけです。その象徴がGビズIDでありまして、GビズIDの個人事業主の確認はどうしているかというと、申請書に捺印を求めて、市区町村で発行する印鑑証明書と突合することによって、個人としての存在確認を行っている丸なんですよ。要は、私は個人事業主ですと言った人は、その人が確かに個人として存在しているということを確認して終わりなんです。それでいいんですよ。だから、もう手挙げ方式でやる。

 だから、今は、インボイス登録番号は適格請求書発行事業者になりたい人だけ、それから、e―Taxはe―Taxをやる人だけ、もう全部それですよ。そうじゃなくて、日本で生活をしたり仕事をしたりするときは、まず番号を取ってください。事業をやるときは番号を取ってください。

 大臣、もう一つ大事なことをおっしゃった。一人の個人が複数の事業をやっていることがありますね。じゃ、複数取ってもらったらいいんですよ。ただ、一人百個とか取られると、ちょっと番号の桁が変わってくるかもしれないので、例えば五つ以上のときは相談してくださいとか、個別にスクリーニングしたらいいと思います。でも、五つまではもう好きに取ってくださいと。

 屋号を決めて、ペンネームですよ、それを決めて登録してもらえれば、氏名は検索サイトからは削除します。削除というか、隠しますというふうにすれば、だから、私の今申し上げた提案であれば、私は構想としてはできるはずだと思うんですね。時間はかかると思いますよ、ややこしいから。せやけど、私はできると思う。

 こういうことを、もうほぼこれしかない、手挙げ方式で、一定数までは、だって、サービス業と製造業と両方を個人でやっている人がいるかもしれない。それは分けておいた方が、逆に、中小企業支援とか大事だし。なぜこれが大事かというと、行政が使うだけじゃないです。民間の支援サービス、中小零細の皆様を支援する事業をやっている方はいっぱいいらっしゃいます。そういう人たちが使えばいいんですよ。そういう官民連携をしながら、中小企業政策みたいなものがもっともっとアップデートされていくときに、これが鍵を握る。

 ボタンを最初にちゃんとかけないと、日本の経済社会はうまくいきません。大体、インボイスで、最初に免税とかやったからぐちゃぐちゃになっているわけでしょう。マイナンバーも、共産党に配慮して、堅めにつくり過ぎたから困っているわけでしょう。介護保険も、たくさん載せ過ぎたから困っているわけでしょう。最初のボタンなんですよ。今がそのときなんです。

 大臣、是非、自称補佐官の提案、今日は、私は大変有意義でした。恐らく大臣にとっても有意義だったと思います。これからも御意見交換させていただきながら日本の未来を開いていきたいと思います。

 最後に感想だけいただいて、終わりたいと思います。

河野国務大臣 大変有意義な議論をありがとうございました。

 手を挙げていただいた人をその後どう管理するのという、ここが一番労力がかかるところなので、継続して管理する方法についても是非補佐官のアイデアをお待ちしたいと思いますので、よろしくお願いします。

足立分科員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

宮下主査代理 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

    〔宮下主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 消費者庁について質疑の申出がありますので、これを許します。稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 今日、私は、いわゆる闇金融について、河野消費者担当大臣、また金融庁にも来ていただいているので、順次質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 貸金業の登録の有無にかかわらず出資法の上限金利を超える金利で金銭の貸付けを行うとか、それから、貸金業の登録をしないで貸金業を営むいわゆる闇金融が存在すること、これはもう既に存知のことだというふうに思っております。

 警察による統計を見ますと、ここ最近の闇金融に関わる被害や相談件数が実際には減少している、このように見受けられるわけですが、このことについて現状どのような状態になっているのか、また、その認識について、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 警察庁の統計などを見ますと、確かにこの闇金の話は減少傾向にあるということなんですが、ただ、見ておりますと、かなり巧妙に、ファクタリングもどきみたいなものとか、商品の何か代金後払いを偽装したものとか、結構いろいろな手口がありますので、水面下に、出ていないものもあるのではないかと思います。

 消費者庁としても、これまで以上に、金融庁を始め関係省庁と連携をして、やはりきっちりこういうものの数字をつかみ、対応を考えていかなければいかぬかなと思っております。

稲津分科員 大臣から御答弁のとおりだというふうに思います。

 今日は、そのことに基づいて、少し具体的に一つ一つお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今お話のあった闇金融の実態についてということで、どうもイタチごっこになっているということが否めないのかな、このように思っております。

 二〇二〇年の三月に、給与ファクタリング、これが実質的に闇金融ですよ、そういう旨のノンアクションレターというのを金融庁が公表いたしましてから、この給与ファクタリングの違法性というのが一つ明確になった、そして摘発が一気に進んだ、このように認識しております。あわせて、このことで、いわゆる暴利を得ていた給与ファクタリングの業者の撤退というのも進んだ。

 ただ、しかしながら、こうした状況と今度は並行しながら、今大臣からも御指摘いただきましたいわゆる後払い現金化商法と呼ばれる、こうした闇金融が横行してきた。

 この闇金融が用いるビジネスモデルというのは、法の潜脱性が高いと言われている。法的に禁じられていることを、法が禁じている方法ではないほかのやり方によって実施をして、法を逃れつつ結果を成し遂げる、いわゆるある種の脱法行為であるということ。そうした潜脱性が高いということ。

 警察は、この闇金融業者の摘発に非常に苦労して、半ば手をこまねいている状況も続いてきたわけなんですけれども、二〇二一年、二年前の九月に、北海道警察において初めてこの後払い現金化商法の業者を貸金業法違反で逮捕しました。これは画期的なことだというふうに思っております。

 ここで一件落着、こう思ったんですけれども、今度は、先払い買取り商法という新たな闇金融が出てくるわけですね。だから、一つが終わったかと思ったら次のものが出てくる。この闇金融のビジネスモデルでは、後払い現金化商法よりも一層潜脱性が高い、摘発のハードルも一段と高くなってくる、こういう状況だったと思います。だから、なかなか摘発が進まないから、結局、どうなるかというと、どんどん先払い買取り業というのは急成長していく、こういう実態があったと思います。

 警察も、摘発する証拠を一つ一つ集める、あるいは戦略を立てる、こういうことをして、実は、ようやく、先月ですけれども、二〇二三年一月に、茨城県警がこの先払い買取り商法を行った業者を貸金業法違反と出資法違反の容疑で全国で初めて摘発をしました。

 このように、警察による、法の潜脱性をだんだんと進化させる闇金融業者の摘発というのは、見方からすると、冒頭申し上げましたようにイタチごっこのような様相を呈している。

 こうした状況について先ほど大臣も一つ触れていただきましたので、改めて伺いますけれども、こうしたことについての大臣の見解を伺っておきたいと思います。

河野国務大臣 今例示していただきました二つの闇金手法、北海道それから茨城の警察が頑張ってくれて検挙に結びつけるということができましたので、これから、そういうやり方についてはいろいろ捜査ができるようになっていくんだろうと思いますが、恐らくまた新しいものが出てくるんだろうと思います。それだけの知恵があるんだったら、もうちょっとまともなことに使って、正当なお金もうけをしてもらえばいいんじゃないかと思いますが、どうも悪知恵のある人というのはいるようです。

 今後とも、やはり、そういう疑いのあるものについては、消費者庁も、政府機関と一緒になって、情報公開をしながら、必要な情報はしっかり消費者にお伝えをしていくということはやってまいりたいというふうに思っておりますし、金融庁、警察庁とも緊密に連携を続けていきたいというふうに思っております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 情報を的確に消費者の方に伝えていただくということと、消費者庁のみならず金融庁や関係部局ともしっかり連携を図っていく、後でこのことについてももう少し触れさせていただきたいと思いますけれども、大変大事な御答弁をいただいたというふうに思っております。

 それで、関連してまた伺いますけれども、新聞報道を見る限り、警察の摘発が進んだことによって、この後払い現金化商法、先払い買取り商法を行う業者が減っていくことが一番望ましいんですけれども、ネット上を見ると、むしろ、これらの業者が堂々と営業している、こういう実態も私は目に受けると思っております。

 関係者に話を聞きますと、業者側は、警察が摘発した戦略を勉強していると。このことを少しお話ししたいと思うんですけれども、警察が逮捕する上で根拠になった部分を勉強していると。

 例えば、逮捕された闇金融の中には、裁判になっていく、一審、二審と進んでいく、そして、有罪判決を一、二審で受けても動じることがない、最高裁まで行く。その一審、二審、最高裁まで行く中で何があるかというと、自分たちのビジネスモデルのどこに欠陥があったのか、そういったことを学習する機会にしているんじゃないだろうか、こういう見方もあるわけです。

 どうやら、バックには法律に詳しい裏社会の者、例えば懲戒処分を受けた元弁護士だとか、そういう者もいるんじゃないかという話も耳にいたします。ですから、こうなってくると、当然、警察もこの闇金融の摘発に膨大な時間をかけなければいけない。一件のそういう検挙、摘発をすることによって、そういうことも起きてくる。

 そういうことを考えていきますと、私は、もう一度聞きますけれども、率直に、大臣、消費者問題を担当する大臣としてどのように思われるか、お伺いさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 裁判まで使って手口を巧妙化していくというのは恐れ入ったという部分もありますが、そんなことばかり言っていられません。

 もちろん、これは法令違反で、しっかり摘発するというのも大事ですし、現実にこういうところでお金を借りたらどうなるんだろうか、その見えていない部分、例えば金利とか、これまでこういうところでお金を借りた人の結末がどういうふうになったかというところをやはり消費者にしっかりと知っていただいて、それは法令違反とはまだ言えないのかもしれないけれども、様々な危険性をはらんでいますよということはお伝えをしていかなければいけないのかなというふうに思っております。

 やはり、消費者をこういう様々なリスクから守るというのも消費者庁の大事な仕事でございますので、まだ警察が法令違反といって捜査に踏み込めないにしても、こういうおそれがあるということについては、少し、消費者庁、頑張らぬといかぬかなと思います。

稲津分科員 ありがとうございました。

 消費者の方々にきちんと知らせていく、こういうリスクがあるんだよ、また、その可能性が高いんだよと。それは是非所管担当大臣として進めていただきたいと思うんですが、後で触れますけれども、ここのところは結構消費者の方々が認識していない、この実態もあると思います。そのことは後で少し触れさせていただきます。

 ここで金融庁に一つ伺っておきたいと思いますが、警察が発表した資料によりますと、北海道警察が逮捕した業者の利用者約四千五百人、それから茨城県警が逮捕した業者の利用者数というのは一万三千人、このように承知をしています。得ていた利益は、北海道警察が摘発した事件で約一億円、それから茨城県警が摘発した業者は約四億円でございました。

 警察の摘発が進むことで闇金融の市場が縮小するのかな、このように思ったら、先ほども触れましたが、法の潜脱性、これを高めた闇金融業者が法外な残存者利益を得ているという実態が浮き彫りになった。

 残存者利益、これは、調べてみますと、過当競争や収縮傾向にある市場において、競争相手が撤退した後、生き残った企業のみが市場を独占することで得られる利益、いわゆる利益独占ですよ。こういう実態もある。

 正規の貸金市場から締め出されてしまった資金の需要者がコロナ禍の状況で闇金融に手を出す、そういう傾向も強まってきている。こうした現象は、貸金業法がうまく機能していないんじゃないだろうか。急な資金需要に遭遇した消費者が闇金融を利用してしまう機会を実は与えてしまっている、結果的にそうなっているのではないだろうか。このような見解を示す専門家もいますし、私もそうかなと思いますが、是非、今日、この委員会の中で、金融庁のこの点についての見解についてお伺いしたいと思います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、コロナウイルス感染症の影響を受けた方々等、いろいろいらっしゃるかと思います。私ども金融庁といたしましては、累次にわたり、日本貸金業協会等の業界団体に要請文を発出し、事業者や個人の資金繰り支援等に努めるよう促してまいったところでございます。

 一方、無登録で貸金業を営むいわゆる闇金融業者につきましては、我々といたしましても、資金需要者の事情を丁寧に聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備、強化ですとか、金融経済教育の強化、あるいは警察当局と連携した闇金融の取締り強化といった対策に取り組んでいるところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、関係機関と連携し、借り手に対するきめ細かい対応を行ってまいる所存でございます。

稲津分科員 今答弁いただきましたけれども、団体へのお知らせとか、それから相談窓口を設置してその体制を強化していくとか、お話がありました。ここはそういうことなんでしょう。

 それで、一つ大事な点に触れていただいたのは、警察当局との連携強化というお話がありました。私は、これは非常に大事なことで、是非、金融庁として、今御答弁いただきましたので、その方向性を更に進めていただきたいと思います。

 そこで、ちょっとまた話を変えながら、また更に大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 関係者に話を聞いてみますと、闇金融の被害者というのは意外とさめているんですね。これは、いろいろな方から伺いました。例えば、捜査に協力した被害者に、その闇金業者を逮捕しましたよ、このように伝えても反応が鈍い。逮捕しましたと言うと、ああそうですか、こんな程度の場合がある。

 それから、最近の後払い現金化業者とか先払い買取り業者は、事件の発覚を当然恐れるわけですけれども、債務者をどんどん追い詰めていく、強引な取立てをする、こういうことは避ける傾向がある。したがって、被害者は別に怖い目に遭っているわけではないから、事件が解決してほっとしたというような反応が見受けられない。中には、自分が被害者であるという認識も結構薄くて、ああそうですかという反応と、あわせて、新しく借りられるところをどこか探さなきゃいけない、こんな不満を漏らす人もいる。これがやはり、実態の一角かもしれないけれども、現実にあるということ。

 しかしながら、よく考えてみると、そもそも、そうしたところにお金を借りに行くというのは、相当困っているのも事実ですし、それから、生活弱者の方も多くいらっしゃる。ですから、そういった生活弱者から搾り取るようにして集めた金を資金として、末端の闇金融組織を通じて、場合によっては反社会勢力に漏れている、そういう可能性もあるというふうに思われるわけですが、こうした状況について、ここも改めて大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。

河野国務大臣 今、稲津委員おっしゃったように、闇金で被害を被っていると思っていなかったり、あるいは闇金から借りているという認識すらない人もいらっしゃるということを伺っております。

 ですから、これは、正規の消費者金融からお金を借りれば、金利ももっと安いはずなんですね。だけれども、正確にどれだけの金利を払っているのかを認識していなかったりということもあるようでございます。

 また、御指摘いただいたように、正規のところからお金を借りられないので貸してくれるところへ行ってしまうという方もいらっしゃいますので、貸金業の中で、必要なところにお金がちゃんと貸し出され、正常な金利でそれが返済される、しっかりそこが回っているかどうかというのを見なきゃいけないと思います。

 もう一つは、やはり、お金を無駄に使って回らなくなってしまった、あるいはそもそも給料が稼げていなくてということもあると思いますから、そういう根本のところにもどう対応していくかということは、これは政府の中でも考えていかなければいけないことだと思います。

 消費者庁としては、まず、お金を借りるのであるならば、きちんとしたところからきちんとした金利で借りましょうということと、闇金の手口あるいは闇金の金利の高さ、こういうものをちゃんと認識してもらって、いざというときには相談ができるような、消費生活センターのような相談ができる体制もしっかりとつくりながら、やはりこの問題については広く周知していくことが大事かなと思います。

稲津分科員 ありがとうございました。

 そこで、今度は、また金融庁にお伺いをさせていただきたいと思います。二問伺います。

 個人間融資と、金券を使った金銭の返還についてということで、この委員会で明らかにしておきたいと思います。

 個人間融資と、闇金融業者が換金性の高い金券で金銭の返還を求めるケースがありますが、まず、個人間融資から伺いたいと思います。

 先月、一月二十五日のNHKの「あさイチ」という番組を見ておりますと、ここで個人間融資の実態というのが報道されました。確かに、ツイッターで「#個人間融資」とか「#融資」という単語で検索しますと、闇金融と思われるアカウントが随分出てくる。そして、この中には、女性に対して性的な関係を迫るいわゆるひととき融資、これを誘うようなアカウントも数多く存在している。

 このときの報道によりますと、勤め人でないような層、いわゆる専業主婦とかパート、アルバイトの方、こうした方の中の資金需要者が個人間融資に頼っている、そうしたものも報道されました。警察もこうしたひととき融資の摘発は困難だ、このように、私も容易に想像がつきます。こうした実情に対してどのような対応が必要というふうにお考えになるかということがまず一つお聞きしたいこと。

 もう一つは、闇金融業者の中には、金銭の返還に換金性の高い金券を求めるケースなども出てきているということ。これは、金券で利息をもらったとしても金銭の返還に相当しないんじゃないか、こういう認識から徐々に普及しているようでありますけれども、元本も含めて金券で返還を求めるようで、これも法の抜け道を狙った方法かと思われます。

 この二点について、金融庁に認識を伺っておきたいと思います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個人間融資についてでございます。

 個人が行う融資であっても、反復継続の意思を持って行うなど、業として行われる場合には貸金業の登録を受ける必要がございます。SNS等において無登録の者が融資勧誘の投稿を行っており、また、この中には委員御指摘のような事案もあると承知しております。

 当庁といたしましては、このような被害を未然に防止するため、個人間融資は貸金業に該当するおそれがあること、闇金融業者からお金を借りると、違法な高利での貸付けが行われたり、個人情報を悪用されるなどのトラブルに巻き込まれる危険性があることなどを注意喚起するためのリーフレットの公表や、政府広報テレビ、SNSなどを通じた周知、広報を行っております。

 また、ツイッター及びインスタグラムにおいて個人間融資の勧誘を行っている書き込みに対しては、当庁の公式アカウントから直接返信して個別に注意喚起を行う取組を行っております。

 続きまして、金券で返還させる手法についてでございます。

 こちらにつきまして、これが貸金業に該当するかどうかについては、個別具体的な実態を踏まえて判断する必要があると考えておりますけれども、一般論として申し上げれば、商品の売買を装っていても、一連の行為が経済的に貸付けと同様の機能を有しており、これを業として行う場合には貸金業に該当し得るものと考えております。

 いずれにいたしましても、金融庁としては、引き続き、捜査当局あるいは消費者庁等の関係機関と連携し、注意喚起を広く行っていくとともに、貸金業登録を受けずに貸金業を営む者については厳正に対処してまいります。

稲津分科員 この点については、よろしくお願いをいたします。

 時間の関係上、最後の質問になるかなと思いますが、これは大臣にお伺いしたいと思います。

 超党派による貸金業法改正の影響と対策勉強会についてお伺いしたいと思います。

 二〇一一年の二月十七日、今からもう十年以上前ですけれども、当時、民主党政権でした。この民主党政権のときに、自民党、公明党、民主党、そしてみんなの党の議員が呼びかけ人になりまして、議員立法による貸金業法改正を目指した超党派の有志議員による勉強会が発足をいたしまして、継続的な議論が展開されたということがありました。

 当時の名簿を見てみますと、大臣は自民党を代表して、この超党派の勉強会の呼びかけ人になっておられます。実は私も公明党の賛同者の一人として名を連ねておりますが、この当時の勉強会のことについて、大臣、どのような思いの中で貸金業法の問題点について議論をするこの勉強会に参加をされたのか、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。

河野国務大臣 もう十年も前、十年以上ですね。

 いろいろな規制がございますが、規制というのは、時が変わる、あるいは経済状況が変われば、よかれと思っていたものもだんだん時代に合わなくなってくるということはあるわけで、やはり不断の見直しというのは必要なんだろうというふうに思います。

 経済というのは、水が高いところから低いところに流れるように様々なものが自然に動いていく、特に資本主義の中の市場経済というのはそういうものでございますが、そこで流れている水が、やはり流れが邪魔されるといろいろなところへ行ってしまうというところもあるんだろうと思います。

 そういうことを考えると、どんな規制も、作ったからこれでいいということではなくて、それが時勢に合っているものなのか、適正なものなのか、これはもう不断に見直しをしていかなければいけないものなんだろうなというふうに思っております。

稲津分科員 どうもありがとうございました。

 何回か改正を行っていく中で厳格となった貸金業法の下で、正規の貸金業者から借りられない一定層の資金需要者がいるのは私は間違いないと思います。

 今日は警察の検挙のことも触れましたけれども、いわゆる、先ほど申し上げました、法の潜脱性を高めた闇金融業者一つを摘発するために膨大なエネルギー、一件摘発するのに膨大なエネルギーを要している、そして、そのことがやはり社会のひずみを招いているというこの闇金融の実態があるということ。私は、貸金業法の再改正を検討する、そういう必要があるんじゃないだろうかな、このようにも思っております。

 その法改正がまずありますけれども、その前の段階として、今日、大臣に最初の方に御答弁いただいた、警察や消費者庁そして金融庁の連携強化が非常に大事であるということと、それから、被害防止策とか、救済のための機関の設立ですとか、我々は、今後、やはりこういうことをテーマにしてしっかり議論、そして対策を打っていかなきゃいけない、このように思っております。

 今日は、大臣に質問させていただいて、非常にかみ合った議論をさせていただきましたので、私も引き続きこうした点に着目して取り組んでいきたいと思います。

 今日は、どうもありがとうございました。

牧島主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 防衛費は、戦後最大の増額の結果、トータル四十三兆円の事業経費が示されました。そして、政府は、戦後初めて、敵基地攻撃能力としての反撃能力を保持することを解禁いたしました。しかし、驚くことに、反撃能力の中身や事業費始め四十三兆円の内容がほとんど示されておりません。

 元自衛艦隊司令官である香田洋二さんは、こうおっしゃっています。五年間で四十三兆円とは身の丈を超えている、現場のにおいもないとの趣旨の話です。

 そこで、中身について、四十三兆円、お尋ねをいたしたいと思います。これは十兆円以上が、事業費、内容、概要、明らかになっていないということでございますが、これはなぜですか。

浜田国務大臣 防衛力整備計画では、その実施に五年間で必要となる経費として四十三兆円程度ですが、新たに必要となる事業に係る契約額は四十三・五兆円程度としております。

 また、概要説明資料に掲載された事業費の積み上げは、新たに必要となる事業に係る契約額の一部であり、約三十・六兆円でございます。その差額を機械的に計算すれば、約十二・九兆円となります。

 その上で、先般、長妻議員からの求めに応じ、防衛力整備計画の概要説明資料に記載している主な事業に該当しないものを可能な限り取りまとめてお示ししたところであります。その積み上げは約十一・五兆円であり、概要説明資料に記載した三十・六兆円と合わせて約四十二・一兆円となり、総事業経費は四十三・五兆円の九六%を超えるものをお示ししているところであります。

長妻分科員 これはパネルにまとめたんですけれども、今の説明だと、総事業経費は四十三・五兆円ということで、公表されなかったものが十二・九兆円だったということですね。これでよろしいですね。

浜田国務大臣 今御説明したところでありますが、まだ、かなり細かな部分については出ていないところもあるわけであります。

長妻分科員 そうすると、これは驚くのでございますが、昨年十二月に公表された防衛力整備計画というのがあるんですけれども、ここでは四十三・五兆円というのは書いてありますが、そのうち、今おっしゃったように、正確にはこれは十二・九というふうにおっしゃっていただきましたけれども、その十二・九兆円が何にも表に出ていなかったということ。こういう、別に国家機密でないわけですから、その概要ぐらいは出していただきたいというふうに思うんですね。

 これは相当私もしつこく防衛省にお伺いして、何週間もかかりましたけれども、出していただいたわけですね。それがこの配付資料、これは防衛省が作っていただいた配付資料で、二ページ目以降の赤文字が、これまで出ていなかった事業費の概要が書いてあるということでございまして、これについて、再度、何項目、この赤文字、これまで公表されていなかった項目数が幾つあって、トータル金額は幾らなのか、もう一度御答弁いただけますか。

浜田国務大臣 委員からの求めに応じて提出した資料で新たに明らかにした経費は二十五項目であり、その総額は約十一・四五兆円であります。

長妻分科員 ということでございますので、十二・九兆円、まだ全部は出ておりませんけれども、ほぼ出たということでありますが、こういうことについて、是非、四十三兆円というのは、これは四十三万円じゃないんですね、四十三億円でもなくて四十三兆円ということですから、ちょっと、初めからそんなものは出していただきたいんですよね。

 この二十五項目はちょっとしたことだから出さなかったという説明でありますけれども、例えば、二・三兆円で各幕各機関の維持・運営等経費というのがあるわけですね。二・三兆円という項目は、これはちょっとした項目じゃないですよね、二・三万円じゃないですからね。これは具体的に、この明細ぐらいはもうちょっと詳しくは出ないんですか。

浜田国務大臣 各幕各機関の維持・運営等経費については、防衛力を抜本的に強化するに当たり重視する七本の柱に分類されない各幕各機関の維持運営等に必要となる経費といたしまして、陸上自衛隊関連経費が約〇・七兆円、海上自衛隊関連経費が〇・七兆円、航空自衛隊関連経費が〇・四兆円、その他の機関が〇・四兆円の、二・三兆円が計上されております。

長妻分科員 今、初めて多分答弁、私も事前にも聞いて、出せないということだったんですが、今初めて答弁していただいたので。これは国家機密じゃないですよね、今みたいな概要の話というのは。これはできる限り、我々も専門家と議論していますけれども、中身がもうちょっと分からない、漠然としてほとんど明らかになっていないのでチェックしようがないというふうに言われているので、でき得る限り、国家機密に当たらないような概要で結構ですので、四十三兆円ざっくり、十兆円以上もこれまで公表しないということではなくて、きちっとこれは出していただきたいというふうに思うんです。

 というのは、これまでもずっと、四十三兆円ありき、この四十三兆円が初め決まって、GDPの二%。中身は積み上げ方式でやったけれども、なかなか積み上がらないから、ちょっと漏れ聞こえてくるのは、三割ぐらい上乗せして要求して、三割はちょっとまだ曖昧だけれども出しちゃおう、こんなような話も聞こえてくるので。

 私は、防衛費は、必要なところは必要だと思います。増強することも、めり張りつけて、私は、インテリジェンスが弱いと思いますので必要だと思いますけれども、節約できるところが相当四十三兆円の中にあるんじゃないのか。同じ役割でも、あと何兆円か節約できるんじゃないかという強い疑念がございますので、今後更に、明細をきちっと、できる限り出すということを最後、宣言いただければ。

浜田国務大臣 我々も、そこはしっかりと説明できるようにしていきたいというふうに思っております。

長妻分科員 そして、反撃能力といったときに、これもなかなかはっきりしないわけでございまして、ミサイルというのはおっしゃっていただいていますが、もちろん、反撃能力というのはミサイルだけではございません。

 今回解禁された反撃能力の中に、解禁された枠としては、例えば上陸ですね、敵国に陸上自衛隊あるいは海上自衛隊、自衛官が上陸をしてミサイル基地を破壊していく、こういうことについても、解禁された反撃能力の中には含まれている、こういう理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 政府はこれまで、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、反撃能力を含めあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討することとして議論してまいりました。その結果として、今般、政府としては、スタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用して、反撃能力を補完することとしたところであります。

 このような長射程のスタンドオフミサイルにより隊員の安全を確保しつつ遠方から対処できるという選択肢がある中においては、現実の問題として、自衛隊員の安全にリスクがある有人機等でなくスタンドオフ防衛能力を活用して、相手国の領域外から対処することが基本となると考えております。

 なお、この検討は、例えばICBMのような憲法上の保有が認められないと考えられている装備品を除き、我が国として保有し得る能力を前提とした上で、他に手段のない必要最小限の自衛の措置である反撃能力として、効果的かつ現実的な選択肢とは何かという観点から検討してきたものであることを御理解いただければと思います。

長妻分科員 今、基本とするというスタンドオフ防衛能力、ミサイルですよね。反撃能力といったときに、いろいろ考えられると思うんですが、今おっしゃったミサイル、これを基本とするということですが。そして例えば、敵の領域内に入って爆撃する戦闘機あるいは上陸部隊ですね。

 今お伺いしているのは、軍事合理性、今は、この四十三兆円の予算の中には、スタンドオフ防衛能力、ミサイル防衛能力、反撃能力の中にこれしか入っていない。これは分かるんですけれども、今回解禁した反撃能力の中には、今、軍事合理性でこの四十三兆円の中には入っていないけれども、基本的には、上陸部隊、自衛隊が敵国に上陸してミサイル基地を破壊する、これも反撃能力の中に含まれている、これは否定できないと思うんですが、ちょっとそういう答弁をいただければ。

浜田国務大臣 反撃能力については、現時点では、現実的な選択肢として、スタンドオフ防衛能力の活用を念頭に置いております。

 その上で、今後の自衛隊の能力や将来の技術革新の可能性などによっては、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、効果的かつ現実的な対応能力がスタンドオフ能力以外にもあり得ることは否定できません。

 こうした趣旨で、スタンドオフ防衛能力等を活用した反撃能力と記載したところであります。

長妻分科員 今の答弁のとおりだと思うんですね。

 私も、安全保障をやりたいがために、これが国会議員になった一番初めの動機で、二つの保障、安全保障、社会保障、やっているんですけれども、やはり、日本の議論を聞いていますと、何かちょっとごまかすというか、はっきり言わないというところがすごく疑心暗鬼になる。国民の皆さんも、必要な安全保障政策は、これはやるべきだというお考えの方が大多数ですよ。

 つまり、今回解禁された反撃能力、憲法上は持てるけれども政策的判断で解禁しないという判断を覆して解禁になったわけですね、反撃能力。その中で、国民の皆さんは、反撃能力といったときに、ミサイルを敵国に、敵の基地に撃ち込む、これだけだと勘違いされているんですよ。

 そうじゃない。今回解禁された反撃能力は、今おっしゃっていただいたように、ミサイル以外も。ただ、今は、軍事合理性とか研究開発、予算の関係、技術の進展等の制約でミサイルということになっていますけれども。

 もう一回、明確にお伺いしたいのは、じゃ、自衛隊が、必要最小限度、他に取るべき手段がない、当然、武力行使の三要素を満たした場合、他に取るべき手段がないということで、敵国に自衛隊が上陸をしてミサイルに対する破壊をしていくということも、これは反撃能力という中では否定はできないということを明言いただきたいんですが。

浜田国務大臣 基本的に、今委員のおっしゃることは否定できないというふうに思いますが、しかし、武力攻撃事態になると、これは反撃能力というよりは、武力攻撃事態において我々の取り得る行動だということだというふうに思います。

長妻分科員 そうですね、否定できないというふうにおっしゃっていただいて。つまり、これはいろいろなオプションが入ってくるというふうに思いますので、そこら辺もはっきりと国民の皆さんにやはり説明をしていく必要があるというふうに思います。

 次に、ミサイルの射程距離の話なのでございますが、例えば反撃能力といったときに、過去の答弁時と違いまして、存立危機事態という概念が新たに入ってきた。

 ということは、我が国のみならず、例えば、アメリカにいたしましょう、アメリカに対してどこかの国が攻撃をしてきた、それに際して我が国は存立危機事態の認定をした、そして、武力行使の三要素を満たすということで、アメリカを攻撃してきた敵国に対してミサイルを撃ち込む、他に取るべき手段がない、これはできるということになりましたね。

 そのときに、我が国周辺ではないわけで、例えば射程距離が五千五百キロを超えるミサイル、これを保有するということも否定はされていない、反撃能力の中に、という理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 政府としては、従来から、憲法九条の下で、我が国が保持することが禁じられている戦力とは、自衛のための必要最小限度の実力を超えるものを指すと解されております。

 これに当たるか否かは、我が国が保持する全体の実力についての問題である一方で、個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合においても許されないというふうに考えてきているところでありまして、この一貫した見解を変更する考えはございません。

長妻分科員 いや、お答えいただいていないんですが。

 五千五百キロメートル以上の射程距離のミサイルというのは、持つということについて、この反撃能力の中に入るということは否定はされていないわけですよね、今の条件をクリアすれば。つまり、必要最小限度、他に取るべき手段がない、例えば存立危機事態。常識的には存立危機事態のところで考え得るのではないかと思うんですけれども、否定はされていないということでよろしいんですね、クリアすれば。

浜田国務大臣 今申し上げたとおりでありまして、今、距離的な問題について、これがいい、悪いという判断ではなく、我々の能力を、そういったものを持つかどうかについても我々は検討しなければならないと思いますが、しかし、それをすぐに、今すぐここで、五千五百以上の距離のものを持つ、持たないというのは、これはなかなか今の現時点では答えられないということでございます。

長妻分科員 今、距離の問題でないというふうにおっしゃったわけでありますけれども、現実的なことを聞いているのではないんですね。

 つまり、反撃能力といったときに、今はそうですよ、でも、十年後、二十年後、反撃能力が解禁されたわけですから、現実的になる可能性もあるので、そういう意味では、ですから、射程距離五千五百キロメートル以上のミサイル、これを保有する、こういう意味での反撃能力、これも否定はされていない、こういう理解でよろしいかということで、明確にお答えいただければと思うんですが。

浜田国務大臣 なかなか、限られた要素のみに着目した仮定の質問というのはお答えすることが困難でありますが、いずれにせよ、政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のために用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるために、いかなる場合も許されないと考えており、この一貫した見解を変更する考えはございません。

長妻分科員 五千五百キロメートル以上の射程のミサイルは、今、変更する考えがないとおっしゃいましたから、反撃能力の中には法理論的にも含まれていない、これでいいですね、そうしたら。

浜田国務大臣 今私が申し上げたこと、我々の反撃能力については、常に、憲法の範囲内、国際法の範囲内ということで立ち上げているところでありますので、今おっしゃったこと、これを、五千五百という距離数だけに限って、それができるとかできないとかという判断は、なかなか今、現時点ではできないということであります。

長妻分科員 法制局長官、来られておりますけれども、五千五百キロメートル以上の反撃能力、射程のミサイルを持つということは、これは憲法違反ということで、絶対に何があっても許されない、こういうことでよろしいんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほど防衛大臣の方からお答えがありましたとおり、保有できる武器の範囲につきましては、これまで、法理上、申し上げているように、相手国に壊滅的な被害を与えるようなものを持てないということは申し上げております。

 それの個々の当てはめの問題でございまして、私ども、ちょっと、五千五百のものが一体どういう性能を持ち、どういうものか分かりませんので、私どもとしてはお答えはできないということでございます。

長妻分科員 なぜ聞いているかというと、これは防衛省の答弁、一貫した戦後の答弁なんですね。つまり、ICBMは、これはいかなる状況であっても憲法上持てません、こういうことなんですね。ICBMの定義というのは、メガトン級というのもありますが、射程距離が五千五百キロメートル以上という、防衛省の白書にも書いてありますけれども。

 そうすると、この反撃能力、今回解禁したものというのは、全部の反撃能力を解禁したのか、当然、武力行使の三要素を満たすという前提ですけれども。そうではなくて、ICBMについては、反撃能力を解禁したけれども入りませんよということなのか。それを確認したいために質問したんですが、今の御答弁だと、距離にはこだわらないということなので、それも将来入る可能性がある、つまり、反撃能力の枠としてはそれが入るというふうに私は理解をいたしました。

 そして、防衛省にもう一度このテーマでお伺いしますと、そうすると、反撃能力というのは、これは今まで答弁があったいわゆる海外派兵の例外に当たる、こういう理解でいいですか。海外派兵のカテゴリーに当たるということですか。

浜田国務大臣 政府は、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないが、仮に他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものであるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動を取ることが許されないわけではないと説明してきており、憲法上の理論としては、敵基地攻撃は、いわゆる海外派兵の一般的禁止の例外として許容されるということが基本的な考え方であります。

 その上で、反撃能力について申し上げれば、ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする能力を保有することとしたものであり、従来の政府見解を変更するものではありません。

長妻分科員 なるほど。

 そうすると、この図の理解でいいんですね。つまり、いわゆる海外派兵という、積み重ねた過去の答弁がずっとありました。ただ、海外派兵が全て憲法違反ではない。おっしゃったような武力行使の三要件に合致する海外派兵については認められるということで、この中にスタンドオフミサイル防衛能力も、いわゆる海外派兵の中のカテゴリー、認められるカテゴリーに入る。つまり、海外派兵であるということは、そのとおりということでございますね。

浜田国務大臣 従来、政府としては、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する海外派兵は一般に憲法上許容されない、他国の領域における武力行動であっても、いわゆる自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上許容されると考えてきております。

 この点、スタンドオフミサイルを活用し、相手の領域において有効な反撃を加えることを可能とする反撃能力は、他国の領域における武力行動に当たると考えていますが、スタンドオフミサイルが相手領域に飛翔していくことは、武装した部隊の派遣とは考えておりません。

長妻分科員 そうすると、部隊の派遣ではないから海外派兵ではないということなんですか、スタンドオフ防衛能力というのは。また別のカテゴリーということですか。

浜田国務大臣 もう一度お話を申し上げますが、要するに、スタンドオフミサイルを活用し、相手の領域において有効な反撃を加えることを可能とする反撃能力は、他国の領域における武力行動に当たると考えていますが、スタンドオフミサイルが相手領域に飛翔していくことは、武装した部隊の派遣とは考えていません。

長妻分科員 そうすると、これは海外派兵じゃないということですね、スタンドオフミサイル防衛能力というのは。認められる海外派兵でない。

浜田国務大臣 他国の領域における武力行動であっても、いわゆる自衛権の発動に、三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上許され得るということでありますので。と考えておるところであります。海外派遣ではない。(長妻分科員「それだけ、海外派兵のカテゴリーに入るかどうか。ずっと聞いているんですから」と呼ぶ)

 基本的に、スタンドオフミサイルが相手のところに飛んでいくものについては、これは部隊の派遣とはしていないということ……(長妻分科員「海外派兵ではないの」と呼ぶ)はい。飛んでいくものはですね。

長妻分科員 これは、人が乗っていないので海外派兵ではないということなわけですね。これはちょっと法制局の見解と違うと思うんですけれども、時間もないので次に参ります。

 山田副大臣にお出ましをいただいておりますけれども、山田副大臣は、旧統一教会の関連団体から推薦確認書というのを交わしておられるということですよね。

 これは、旧統一教会、北朝鮮との関係で、私も質疑を、昨年の臨時国会でも浜田大臣としましたけれども、安全保障上のリスクがあるんじゃないかというようなことでありますので、是非、外務副大臣という、情報が入る立場におられますので、十分情報を収集していただきたいというふうに思います。

 その中で、もう一点確認したいんですが、この推薦確認書の中にいろいろな項目があるんですけれども、LGBT問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う、これが確認書にあって、サインされているんですが、これに今も引きずられているというような理解でいいんですか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、世界平和連合との間では、私、副大臣就任に当たりまして、今後一切関係を持たない旨を伝え、先方からも了解をいただいておるところでございまして、推薦確認書につきましては既に失効しているという認識でおります。

 その上で、御指摘の推薦確認書の記述についての影響は、そもそも受けてはおりません。

 また、LGBT、同性婚に関しましても、理解増進法について、総理が御答弁されているように、現在、各党において議員立法での法案が議論されていると承知しておりまして、まずは、こうした議員立法の動きを尊重しつつ見守っていく考えではございますが、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えており、政府といたしましても、多様性が尊重され、全ての方々が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々なお声を受け止めて取り組んでまいる所存でございます。

長妻分科員 北朝鮮と旧統一教会の関係、資金の流れとか安全保障上のリスク、これは、今の時点ではどういうふうに理解されておられますか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、過去に統一教会が北朝鮮に対して資金援助を行っていたのではないかという報道があったことは承知をしておりますが、実際に統一教会が資金援助をしていたかどうかということの真偽を確認することは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 他方、北朝鮮に対しましては、国連安保理制裁に加え、我が国独自の制裁措置を科し、資金移動を禁止いたしております。いかなる団体、個人であるかにかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発を支援することがあってはならないし、また、北朝鮮に対する送金は認められないと認識しております。

長妻分科員 これは、過去そういう報道があったということは理解しているのに、この推薦確認書を結んじゃったわけですか。軽率じゃないですかね。それで今外務副大臣をされておられるというようなことで、これは、自民党に対しても、全議員に、推薦確認書をどなたが結んでいるのか、調査しないというふうにおっしゃっていますけれども、きちっとやはり調査をしていただきたいというふうに思います。

 先ほどの海外派兵か否かということについても、ちょっと答弁が多分迷走しているんじゃないかと。当初事務方から受けた説明と違う答弁が返ってきましたので、法制局ともそごがあると思いますので、これについては政府統一見解を出していただきたいと思いますので、海外派兵にスタンドオフミサイル防衛能力、当たるのかどうか、海外派兵の例外にですね。お願いします。

牧島主査 ただいまの件につきましては、私から理事会に申し伝えます。

長妻分科員 どうもありがとうございました。

牧島主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮下主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 自衛隊におけるいじめ、ハラスメントについて聞きたいと思います。

 まず、防衛大臣に、いじめ、ハラスメントについての基本的な認識をお伺いいたします。

 防衛省は、いじめ、ハラスメントを、個人の尊厳、人格を傷つける重大な人権侵害である、こう受け止めていただいていると思いますけれども、間違いないですね、大臣。

浜田国務大臣 ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものだと考えます。

 そのため、現在、私の指示に基づいて、全自衛隊を対象としたハラスメントに関する特別防衛監察を実施するとともに、防衛省ハラスメント防止対策有識者会議において、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント防止対策を、外部からの客観的な視点で多角的かつ入念に検証していただいているところと承知をしております。

 防衛省・自衛隊としては、防衛力整備計画に基づいて、有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、全ての自衛隊員に徹底させるとともに、さらに、時代に即した対策を行うよう不断の見直しを行い、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたいと考えております。

宮本(岳)分科員 当然の認識ですけれども、現実、実態はどうか。

 先日、私に相談がありました。これはTBSにおいても報道されておりますけれども、二〇一八年に航空自衛隊那覇基地に配属された方、上官から日常的な暴言、暴力を受けたとおっしゃっております。宴席でこの上官から首を絞められて抵抗して押し倒したところ、翌日の電話で、死ねや、殺したる、鼻の骨も頭蓋骨も折るよ、全部折る、おまえの骨一本一本折ったろか、全部などと言われております。被害を受けた方は別の上官に相談したところ、けんか両成敗、ストレスのない職場とか環境づくりとかって、そんなもん、おまえ、理想じみたことをぐだぐだぬかすやつは大嫌いなんだよ、このまま変わらないんだったら辞めろと退職を迫られたと。この方は二一年に退職を決意されております。

 この報道を受けて、二〇二一年九月の十七日に岸信夫前防衛大臣は記者会見の場で、現在調査中、事実関係に基づき適正に対処してまいりたいと明言をされました。

 二二年六月五日の沖縄タイムスによれば、航空幕僚本部は沖縄タイムスの取材に対し、まずは現場部隊が調査し刑事事件に該当する場合は警務隊が捜査すると説明、男性のケースについては、空幕と現地で連携しているが調査中で詳細は控えると明らかにしなかったと報じられております。

 これは局長で結構ですけれども、調査の明言から一年半がたとうとしておりますけれども、調査の結果はどうなっておりますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの航空自衛隊那覇基地のハラスメント事案につきましては、部隊における事実関係の調査を終え、懲戒処分調査を行うべき事実が判明いたしましたことから、現在、航空自衛隊において懲戒処分の手続を行っているところでございます。

宮本(岳)分科員 事実が判明したので懲戒処分に移行すべき事案だということであります。調査の明言からもう一年半がたっておりますから、速やかな対応を求めたいと思います。

 二〇二二年、昨年十二月十三日、海上自衛隊の一等海佐がハラスメントを起こしたということで二階級降任、そして、そのパワハラの調査について、事実関係を部下隊員らに調査させた際、当該事実を認識し得る端緒があったにもかかわらず、これを無視して不十分な調査を行わせ、結果として当該部下隊員らに事実とは異なる調査結果を報告させたとして、上司である海将補の一階級降任の懲戒処分が実施されました。

 この懲戒処分に関わり、海幕長が会見を行っております。この会見の質疑応答の場で記者が、事実上、故意に適切な調査をしなかった疑いがあるような不適切な調査があり、こうしたような隠蔽体質というようなことの改善ということは当然しかるべきだと。その点の改善策を問われて、今回、このように、故意か若しくは過失なのか分かりませんが、事実とは異なる調査結果が上がってきたということに関しては、特に調査を命ぜられた者、若しくはそれに当たるだろう者に対して、継続的に、公明正大な調査と必要性というものについては、今後継続的に教育するとともに、その調査に当たる上司からもしっかり監督するように、若しくは、海上幕僚監部からもしっかり指導すると答えております。

 この海幕長の回答に対し、上司に指示をするだけではなくて、抜本的な解決、要するに、どこかで止まればもう外に出ないのではなくて、確実に外に出るような仕組みなど必要だとする記者に、海幕長は、少なくともダブルチェック若しくは客観的な調査というふうなものを、現在その仕組みができていると思っていますと述べておられるんですね。

 つまり、防衛省としては、ダブルチェック、客観的な調査の仕組みができているからそれでよいのだ、そう読み取れるわけですけれども、これも局長で結構ですが、そういう認識ですか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 令和四年十二月十三日の海上幕僚長の記者会見におきまして、委員御指摘の発言の後に併せて、それで十分というふうには考えておりませんと発言させていただいているとおりでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、このような事案が生起したことは、従来行ってきたハラスメント防止対策の効果が組織全体まで行き届いていなかったことの表れであり、誠に遺憾であると思っております。

 現在、浜田防衛大臣の指示に基づき、防衛省ハラスメント防止対策有識者会議におきまして、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント調査の在り方を含むハラスメント防止対策について、客観的な視点で見ていただきまして、入念に検証していただいており、この対策を取ってまいり、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたい、このように考えているところでございます。

宮本(岳)分科員 現状でいいわけないんですけれども。

 そこで、そのハラスメントの相談件数について、ちょっと御答弁いただきたいと思うんですね。防衛省のパワハラホットライン、各機関等相談窓口への相談件数の合計を、過去五年間、どうぞ年次を追って件数を御答弁いただけますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省内部部局のホットライン及び各機関等相談窓口への各種ハラスメントの相談件数の合計は、平成二十九年度は三百二十六件、平成三十年度は六百二十五件、令和元年度は千七十四件、令和二年度は千四百六十八件、そして、令和三年度は二千三百十一件でございます。

宮本(岳)分科員 まさに倍々のペースで伸びているということなんですね。

 自衛隊部内外のカウンセラーの相談件数、これを見ましても、二〇一九年五万四千五百八十三件、二〇二〇年五万一千七十四件、二〇二一年五万七千四百五十二件。これら全てがハラスメントではありませんけれども、ハラスメントの相談も含まれていると思います。

 各種ハラスメントによる懲戒処分件数も、二〇一八年で八十七件、二〇一九年で八十二件、二〇二〇年で百十七件、二〇二一年で百六十八件と、これも、懲戒処分も増加しております。

 更に言えば、これは相談があった上でハラスメントとして認定されたものだけなんですね。そもそも相談もできずにいる隊員、あるいは辞めてしまった方、ひどい場合には自ら命を絶ってしまった方などがいらっしゃる可能性がありますね。

 二〇二一年度の自衛官の自殺者数と、そのうち、いじめ、ハラスメントを理由に自殺をした件数を示していただけますか、局長。

町田政府参考人 お答えいたします。

 大変申し訳ございません。今手元にちょっと資料がございませんで、改めて御回答させていただきたいと思います。申し訳ございません。

宮本(岳)分科員 通告をしたつもりなんですが。

 二一年度の自殺者数は五十三名、また、自殺の多くは多様かつ複合的要因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きているということで、ハラスメント、いじめに特化して調査はしていないというお答えでありました。

 ただ、多様かつ複合的な原因及び背景を有しているからといって、自殺の要因を自殺者一人一人についてちゃんと明らかにしていくことが必要だと思いますし、自殺者数の中でいじめ、ハラスメントを理由にという人の数をつかむことは非常に大事なことだと思います。ちゃんとそういう数をつかんで報告するということでよろしいですね、局長。

町田政府参考人 大変申し訳ございません。

 令和元年度、二年度、三年度の総数につきましてお答えさせていただきます。

 令和元年度の自殺者数は、陸海空合わせて五十四名でございます。令和二年度は同じく五十九名、令和三年度は五十三名でございます。

 大変申し訳ございませんでした。

宮本(岳)分科員 これも本当に根絶されないわけですよ。

 それで、もちろんプライバシーに配慮することは必要でありますけれども、本当にハラスメント、いじめをなくそうと正面から向き合うならば、数を明らかにすることはどうしても必要です。

 それで、高い自殺率ということが言われておりまして、実は、スターズ・アンド・ストライプス、星条旗新聞であります、これは米軍の新聞でありますけれども、この星条旗新聞の二〇〇八年一月二十一日の記事というのがあります。最近の調査では、カウンセラーに助けを求めると答えた自衛隊員は僅か三%というふうにこの記事中に書かれておりまして、千先康二陸幕衛生部長当時は、自衛隊の死因の第一位は自殺と述べております。この記事では、二〇〇六年の米軍の自殺率は十万人当たり十七・三人、自衛隊の二〇〇六年四月から二〇〇七年三月の自殺者数を計算すると十万人当たり三十八・六人ということを数字まで挙げて、米陸軍の倍以上だ、こういうふうに星条旗新聞には書かれているわけですね。語っている人も、自衛隊の陸幕衛生部長がそこで語っているわけですから、勝手に米軍が語っているわけではないんですね。

 要するに、人権侵害であるいじめ、ハラスメントがなくならない結果、多くの自殺者を出すことになっている。冒頭、浜田大臣も人権侵害だという認識を語られましたけれども、では、なぜ、こんなハラスメントが自衛隊からなくならないのかということについて、大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。

浜田国務大臣 今委員からも御指摘があったとおりでありますが、職種自体も上下関係があるわけでございますので、その中でどうしてもそういう傾向が出ているというのは、これはなかなか解決しないところであります。

 我々とすれば、こういった原因を目の前に今数字として突きつけられているわけでありますので、委員の御指摘のとおり、しっかりとこれを形にして明確にしていくことというのはとても大切だと思っておりますので、その点も考慮しながら、今有識者会議で議論していただいているところでありますので、しっかりと対応したいというふうに思います。

宮本(岳)分科員 いろいろやっておられるのは分かっているんですが、その有識者会議なんです。

 有識者会議では、有識者の方々から、一般企業では到底起き得ないレベルのハラスメントが行われたものと考える、防衛省・自衛隊で起きているハラスメントが、一般企業と比較して悪質性が高いということであれば、何かしらの原因があるはずであり、そこを明らかにしなければならない、陸上幕僚長が指摘されているように、現場でのハラスメントの意識が希薄というのは、研修が失敗していることの証左などと指摘をされております。これは、自衛隊という組織の在り方の問題であるということだと思うんですね。

 我が党は、大臣も御承知のとおりです、国民合意に基づく自衛隊の段階的解消と、憲法九条を生かした外交で平和をつくり出していくという外交ビジョンを示しております。しかし、このハラスメントの問題は、自衛隊の是非の問題ではなく、個人の尊厳、人権の問題ですね。防衛監察本部も、防衛省・自衛隊は階級といった明確な上下関係が存在するため特に注意が必要と認めているように、ハラスメントが起こりやすい組織体質なんですね。

 だが、いじめやハラスメントは今まさに、今日も起こっている可能性がある。組織文化が変わるのを待ってはいられないわけです。隊員の人権を守るために、適切な調査、ハラスメントに対する厳格な対応が求められると思います。

 長年、自衛隊の自殺、いじめ問題を追及している三宅勝久氏の著書「絶望の自衛隊 人間破壊の現場から」、こういう本が出ているんですけれども、この本では、代休を取ろうとしても取らせてもらえなかったという事例が出てくるんですよ。そして、未消化の休みを取りたいと言ったけれども、休みのことばかり言っていると職務専念義務違反で懲戒処分になるぞと言われたそうで、やむなく諦め、退職したという話が出てきます。

 中途退職する自衛官は年間約五千人、そのうち、任官後四年以内に辞める自衛官が約七割というふうに聞いております。中途退職の理由を二〇一九年に初めて整理し公表したと聞いておりますけれども、直近の調査において、いじめやハラスメントを理由に退職した自衛官はどれくらいいるか、局長、お答えいただけますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度の自衛官の中途退職者については、約五千七百名となっております。

宮本(岳)分科員 うち、いじめやハラスメントが理由だった方はどれだけおられますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 中途退職者の退職理由は様々でございますが、先般のセクハラ事案で明らかになったように、ハラスメントを背景とした中途退職は一定程度存在すると考えております。

 ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものだと考えております。そうしたことを各自衛隊員が改めて認識し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたい、このように考えているところでございます。

宮本(岳)分科員 就職や家庭の事情というものもあるんでしょうけれども、さきに述べた海上自衛隊員が退職する際に、休暇を取得できない、俸給に見合った待遇とは思えない、組織として隊員のオーバーワークを問題視していないと書いて退職願を上司に提出したところ、横浜地方総監に出すんだぞ、この文を見せられるかと言って受理を拒み、転職して自らのスキルアップを図ると薄く鉛筆で書かれたものを受け取り、それをなぞって提出したとこの方はおっしゃっております。こうした書換えが行われているとすれば、実態把握はもちろん、改善は見込めないと思うんですね。

 局長、こうした書換えが間々行われているということは把握しておりますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 陸海空各自衛隊におきましては、隊員の心情把握、これを一層進めることを現在課題としておりまして、今委員も御指摘いただきました海上自衛隊におきましては、職場の中で部下の方が気軽に相談できる、ANIKIといいます、愛情、それからそれぞれの頭文字を取った制度、これで気軽に相談できる体制を取って、ハラスメントや、それから相談しにくい環境といったものをなくそうということに着手をしているところでございます。

 御指摘いただきましたようなことのないような組織にしてまいることが重要でございますので、そういった取組を引き続き続けていきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)分科員 いや、私が聞いている話でも、そういうANIKIという制度をつくれば立ち所に改善するような、そんな甘い実態ではないというふうに聞いているんですね。

 例えば、書換えについては、二〇二一年十一月、陸上自衛隊相浦駐屯地の水陸機動団に所属する三曹が自殺を図り、死亡した事件で、精神面の健康チェックシートに健康状態が悪いという趣旨の回答をしたところ、上司である曹長から書き直しを命じられ、数日後に自ら命を絶つという痛ましい事件になったと報じられました。書換えは、ほかにも複数人が求められたと。こんな弱音を書くなとか、自衛隊の隊員たるものが精神的にきついとかそんなことでどうするかと言われる。

 だから、自衛隊の中の指揮命令系統みたいなところでは日頃からそういう、いざというときにはということに空気がなっていますから、そんなANIKIみたいなもので弱音が吐けるということになってりゃ苦労せぬわけで、むしろ、そういう系統を通じて上司から暴行を受けた、暴言を吐かれたというのが今続出しているわけであります。

 隠蔽体質、閉鎖性は、悲しいことに防衛省・自衛隊の組織文化の一つではないか。

 元自衛官の五ノ井里奈さんが性暴力を受けたことを告発いたしました。これは、五ノ井さんが勇気を持って顔と名前を出して告発したことで発覚した。このような告発をしなければ、隠蔽され、救われないということは許されません。

 私に相談をされた方も、勇気を振り絞って告発したにもかかわらず、もみ消し、隠蔽しようという動きを感じ取れるので、激しい怒りが込み上げてきますと述べておられます。

 この隠蔽、もみ消しというような事例は、枚挙にいとまがありません。

 海上自衛隊の「たちかぜ」におけるいじめ自殺事件。二〇〇四年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士、当時二十一歳が外出中に自殺をいたしました。艦内での暴行、恐喝事案があったことが判明をいたしました。元二等海曹によるいじめが原因として、御遺族は、元二等海曹及び国に対し損害賠償を求め提訴。二〇一四年四月二十三日、東京高裁で、元二等海曹及び国の責任を認める判決が出され、国は上告せず、判決が確定しています。この東京高裁における裁判の中で、破棄し、存在しないとされていた艦内の実態調査アンケートの存在が内部告発により明らかにされました。

 海上自衛隊「さわぎり」におけるいじめ自殺事件。一九九九年十一月八日、護衛艦「さわぎり」乗員の三曹が艦内で首をつり、自殺しているのが発見されました。直属の上司から、ばかかおまえは、三曹失格だ、仕事ができぬくせに三曹とか言うななどと侮辱的な言動を受けていたが、二〇〇〇年五月、海自佐世保地方総監部は、いじめはなかったとする調査報告書を公表しました。しかし、御遺族がこれを不服とし、国に対し損害賠償請求を行いました。国は、言動は指導、教育の範囲内と主張しましたけれども、福岡高裁は、侮辱的な言動によるストレスが原因でうつ病にかかり自殺したと認められると、上司の行為と自殺の因果関係を認定し、国に三百五十万円の賠償を命じたわけです。防衛省は、上告を断念しております。

 航空自衛隊浜松基地いじめ自殺事件。航空自衛隊浜松基地で十年間にわたって先輩自衛官から暴言、暴行などのいじめを受け、二〇〇五年に男性自衛官、当時二十九歳が自殺した事件です。いじめの違法性は重大、自殺に相当の因果関係があるとして、原告側の主張をほぼ全面的に認め、国に対し総額八千万円余りの賠償を命じました。先輩隊員による殴る、蹴るといった暴力、人格を否定する、死ね、辞めろといった暴言や、不要の反省文百枚を書くことを強要し、同僚の前で朗読させるなどして自殺に追い込んだと。浜松基地では、調査チームをつくり、内部調査をしたと言うけれども、まとめられた調査報告書では、行き過ぎた指導だが、自殺との因果関係は特定できなかったとしているわけですね。

 防衛大学在学中にいじめを受け、うつ病を発症した元学生が、国と当時の上級生に対し損害賠償を求める裁判をしております。いじめの内容が書かれた資料の開示を求めておられますけれども、この資料の開示はやっておりますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました資料の開示につきまして、事実関係がどうなっているかということを調べて、後ほど報告させていただきたいというふうに思います。

宮本(岳)分科員 これは既に報じられておりまして、資料開示を求めましたら、自衛隊は、廃棄した、こういうことで、紛失又は誤廃棄したというふうに御遺族には返しているということでございました。

 「たちかぜ」のときも最初は廃棄したということでありますし、役所が廃棄したといって資料を出さないのは、私は痛いほど様々な役所で体験をしてきましたから、もうそういうことはあってはならないと思うんですね。

 被害者、御遺族は、内部調査では公正な結果が期待できないと述べております。私が相談を受けた方も、今は同じ部隊内の隊員が調査をしており、隠蔽される可能性もあると述べ、公正な調査、処分を求めております。内部調査では明らかにならないから、五ノ井さんのように顔や名前を公表して告発するか、又は裁判に訴えるしかないということなんですね。

 大臣は、大臣指示で、全ての案件について適切に対応するよう措置せよとおっしゃるわけですけれども、実際に起こっていることや告発がもみ消されているという実態もまたあるわけですよ。また、アンケートを上官の目の前で書かされる、知っていることを詳細に書こうとすれば時間がかかって、何か書いているなということが上官に分かってしまう。こういうことではもう到底書けないわけであります。こうしたアンケート調査を行う場合にも、匿名であることなど、プライバシーの配慮に心がけるべきだと思うんですが、これはひとつ、大臣の御見解をお答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 今委員から御指摘のありましたこと、我々は重く受け止めなければならないと思っておりますし、今後、調査の仕方についても、今、特別監察等々、第三者的な視点から、プライベートを守りつつ、そしてまた、そういった対応をできないようにしっかりとした情報管理をしながらやらせていただいているところでありますので、更に一層戒めていきたいというふうに思っております。

宮本(岳)分科員 第二回有識者会議の議題は、各自衛隊の勤務環境・勤務態勢に関する特性とハラスメントに対する問題認識でございました。会議に資料が提出されておりますけれども、陸上自衛隊のハラスメント防止施策として、ハラスメントの相談対応、事案対応はどのようになっておりますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 陸上自衛隊の相談に関しましては、いわゆる部隊の中隊長を核とした指揮系統の相談、そして、ハラスメント、これはセクハラも含めてでございますけれども、セクハラ相談員、ハラスメント相談員といった方々の指定、この二系統を通じまして被害者の方々の相談を受けるという体制になっております。

宮本(岳)分科員 相談は、それは窓口で受けるんです。対応は、指揮系統をもって対応するとなっているんですね。

 海幕長は会見で、不祥事案が起きた場合には公明正大に透明性を持って調査すると同時に、高級幹部の選抜要領を検討するということもおっしゃっているんですけれども、つまり、日頃の指揮命令系統では見過ごすわけですよ。横の人や下の人からちゃんと聞かないとパワハラという実態が出てこないということも、今回の事案が示しているわけですね。

 私は、しっかりとこの点も踏まえて、指揮命令系統ではない形で対応できることを考えないと、職場のその指揮命令系統でいじめやパワハラが現に起こっていて隠蔽もされているわけですから、有識者の検討結果を受けて、自衛隊内でのいじめやハラスメントの根絶のために予断を持たずに改善する、この防衛大臣の決意をお伺いして、今日、私の質問を終わりたいと思います。

浜田国務大臣 先ほど来お話をいただいたところ、いろいろな問題があったことは事実でありますので、我々とすれば、二度とそういうことを起こさないように、今後しっかり対応してまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

宮下主査代理 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

    〔宮下主査代理退席、主査着席〕

牧島主査 次に、櫻井周君。

櫻井分科員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も、この予算委員会分科会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日、私は、昨年の秋、十月二十八日に大臣に安全保障委員会で質問させていただきました、その続きを是非させていただきたいというふうに思っております。

 まず一つ目に、人件費関連ですが、今回、防衛費倍増ということになっております。防衛費倍増というからには人件費も倍増するのかなと思ったら、少なくとも来年度については、人件費はほとんど変わっていないという状況です。装備品等の購入費を見ますと、こちらも倍増とまではいかなくても大分増えている、八千億円から一兆三千億円ということでかなり増えております。

 これは、装備はどんどん買っていくのに人は増えないということになっていて、人件費も増えないということになっておりますけれども、充実、拡充させていく装備を一体誰が運用するんだろうか、そういう疑問が出てくるんですが、これはどういうふうにされるんでしょうか。

浜田国務大臣 防衛力の強化に当たっては、新たな装備品の取得のみならず、既存装備品の能力向上、サイバー領域能力や指揮統制機能の向上のためのシステム更新、スタンドオフミサイルを含む弾薬の整備、可動数の向上に向けた維持整備品の確保、施設の抗堪性向上のための経費など、新たな装備品の取得につながらない事業も多く含まれております。

 いずれにせよ、防衛力の抜本的強化に当たって、既存の部隊の見直し、民間委託の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえた旧式装備品の用途廃止そしてまた早期除籍等、戦車、火砲の数量減や省人化、無人化の装備の導入の加速等によって所要人員の削減などの取組を推進しながら、現在の自衛官総定数を維持したまま、防衛省が自ら大胆に資源を最適配分することについてもしっかり取り組むことで、所要人数の増に対応してまいりたいというふうに考えております。

櫻井分科員 来年度については、これまで、弾がないのが玉にきずなんて言われ方をしたりしてきたところもありましたから、まず弾薬をしっかり充実させていく、弾切れというようなことにならないようにする、これは分かるんです。

 しかし、今後五年間の計画の中では、それこそドローンとか、いわゆる無人アセットと防衛省の中では言っておるようですけれども、そういったものをどんどん増やしていく。ただ、無人アセットだから無人で勝手にやるのかというと、そういうわけでは決してない。これは、裏で操作をする人が必ず必要になってくるわけですね。

 そういったことを考えれば、とてもじゃないですけれども、これだけ装備を増やしていく、また、その装備、ドローンも、飛んできて帰ってくれば、またメンテナンスしなきゃいけないわけですね。装備が増えれば、メンテナンスする要員も増えていかなければいけないということだと思います。そうしたことが全然勘案されていない計画になっているんじゃないのか。

 今でも人のやりくりは大変だと思います、充足率だって達していないわけですから。特に現場で働く人が、ちょっと偉い人の方はそれなりに定員は充足していますけれども、本当に現場で、それこそ、自衛隊の場合は自衛官で兵隊ではございませんけれども、そういった現場で動いてくださる方々が足りていないという現状がある中で、果たしてこのままで本当に防衛力強化につながるのかというふうに思うわけなんです。心配になるわけです。

 今の計画では人を増やさないと言っていますけれども、これで本当にちゃんと購入した装備を運用できていくんでしょうか。

浜田国務大臣 委員御指摘のように、防衛力の中核は自衛隊員であります。

 こうした観点から、全ての隊員が高い士気と誇りを持ちながら個々の能力を発揮できる環境を整備してまいりたいというふうに考えておりますが、先ほど給与のお話がありましたけれども、自衛官の給与の面の処遇については、レーダーサイト等で厳しい任務に従事する隊員を含め、その向上を図るべく、自衛官の超過勤務の実態調査などを行って適正に処遇していきたいと思っていますし、また、そのほか、生活、勤務環境の改善、募集能力の強化、定年引上げ等による人材の有効活用などの施策も併せて行うことによって、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めてまいりたいと考えております。

櫻井分科員 ちょっと、通告している後ろの方のものまで何か盛り込まれた答弁のような気がしましたけれども、それはまた改めて後で聞かせていただきます。

 あと、特に今回の防衛費倍増、防衛能力強化という流れの中で、サイバー部隊も創設しますという話が出てきております。それで、どういった体制、どういった人員でやるのかということで、令和九年度には二万人体制というふうにも聞いております。

 これは、今の定員のままで二万人のサイバー部隊をつくるということは、今の部隊を二万人減らしてそれを新たなサイバー部隊に移すということですから、装備は増えているのに人は減らされる、ますます回らなくなってしまうのではないのか、とても心配になるんですね。かつ、サイバー部隊を二万人、一体どうやって育成するのかというのも大変心配になります。

 まさにこのサイバーというのは今までやってきた分野と全然違う分野でしょうから、中で人を育てるのか、又はそういう技能を持った人を外から呼んでくるのか、いろいろな方法があろうかと思いますけれども、これはどうやってされるんですか。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊のサイバー要員育成については、サイバー要員の教育基盤を拡充する取組として、既存の通信学校を陸上自衛隊システム通信・サイバー学校へ改編するとともに、同校へのサイバー教育部の新設を検討しており、専門教育の充実を図ってまいりたいと考えております。また、海外の教育機関や企業への派遣を通じた高度な人材育成にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 民間人の人材の登用については、既に予備自衛官等として採用しているほか、部外の高度人材を非常勤のサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用しております。なお、同アドバイザーの給与額は民間における給与水準も踏まえて決定をさせていただいているところであります。

 今後、防衛力整備計画に基づき、サイバー領域で活躍が見込める専門的な知識と技能を有する人材を取り込むため、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度を構築するなど、必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。

櫻井分科員 そうすると、給与体系、自衛官の給料に比べて、いわゆるサイバーとかICTの分野の人材の給料は多分桁違いに高いと思うんですね。そういう方を二万人体制ということになると、とてもじゃないですけれども、人件費、今のままでは全然足りなくなってしまうのではないのかな。

 つまり、いろいろな高額な装備をあれこれ買うとか、さらに、何か、超音速より更に速い極音速のミサイルを開発しますとかいうのも、それは結構なのかどうかはちょっと判断つきかねますが、それ以前に、このサイバー部隊、サイバー空間の戦闘というのも非常に今重要な分野ですからこれは必要だと思いますけれども、だったら、それに見合うだけの人件費を確保し、ちゃんと対応していかなければ、とてもじゃないけれどもつくっていけないと思うんです。

 そうすると、やはり人件費はこれからどんどん増えていくということでよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 今後の自衛官の給与の在り方については、自衛隊員の超過勤務の実態や諸外国の軍人の給与制度等の調査を行った上で、自衛官としてふさわしい処遇となるように検討を進めてまいりたいと考えておりますが、今委員御指摘のように、サイバー関係の人材というのは、確かにお給料が高くて、いろいろな人材の取り合いになっておるわけでありますけれども、我々、一応、自衛隊としての体制を考えた中でこれに対応していかなければならないので、今後、どのような人材をどのようにまた採用していくのかについてもまだ検討の余地があるということでございまして、今我々が持っているものは、できるだけ自分たちの隊の中での教育を重視してやっていこうということを考えておるところであります。

櫻井分科員 自分たちでしっかり人材を育てるんだと。

 確かに、民間でも今ICTの分野の人材が足りないと言っているのに、それを防衛省がさらっていってしまったら、ますます、民業圧迫といいますか、民間の活力をそいでしまうことにもなりかねませんから、内部で育てるというのは大変重要な視点だと思っておりますので、是非よろしくお願いします。その点については、また後で改めてお尋ねさせていただきます。

 次に、勤務状況の把握について。

 先ほども残業時間の管理という話もちらっと出ましたけれども、これについても十月二十八日に質問させていただいております。

 改めてお尋ねをしますが、防衛省の行政職の勤務時間管理、どのようにしているでしょうか。つまり、出勤時間、退勤時間の管理は行っていますでしょうか。

浜田国務大臣 自衛官であっても、長時間の勤務が継続することは心身の健康や福祉に害を及ぼすおそれがあり、適切な勤務時間の把握と管理が必要であると考えます。

 現在は、部隊長等がどのような仕事を個々の隊員に命じたかについて、また、個人がどのような勤務状況にあるかも含めて、同じ部隊等の人事担当者がチェックすることで勤務実態を把握しているところであります。

 他方、今後の施策を検討する上で、自衛官の勤務時間外の勤務の実態についてより広範かつ詳細に把握する必要があると考えており、昨年十二月に策定した防衛力整備計画において、自衛官の超過勤務の実態調査を行うと記載し、現在、準備を進めているところであります。

 いずれにしても、自衛官の心身の健康と福祉に害を及ぼすことのないよう、不断に検討してまいりたいと考えております。

櫻井分科員 それは二番目の質問のつもりで用意していたもので、最初にまず、今お尋ねしたのは、防衛省の行政職、いわゆる背広組の方の時間管理はどうなっていますかという質問なんです。今、制服組のお答えをいただきましたけれども、背広組はどうなっていますか。

浜田国務大臣 背広組についても、同じように、これは人事部の方でしっかりとチェックをし、そして勤務の実態を把握しているところであります。

櫻井分科員 背広組については、つまり行政職の方については、これは残業代は出ているんですか。

浜田国務大臣 これは、要するに、超過勤務になったその部分についても、しっかりと把握して払っておるということであります。

櫻井分科員 そうなんですよね。防衛省であっても、行政職、背広組は、ほかの省庁と同じように、時間に応じた残業代が支払われているということですよね。

 ところが、先ほどもう既に御答弁いただきましたけれども、自衛官、制服組については、駐屯地ないしは防衛省の本省で勤務していても、一〇%ちょっとの固定残業代で、あとは働かせ放題といいますか、以前は、勤怠管理といいますか、残業時間も、どれぐらいやっているかも余り把握をしていなかった。

 今大臣からお話ありましたとおり、私も去年の秋に提案申し上げましたけれども、ちゃんと把握した方がいいんじゃないですかということを申し上げて、今その準備を進められているということなんですが、結局、同じ場所で働いていて、背広組の人は時間に応じた残業代が出る、働いたら働いた分たくさん出る、制服組の人は給料は一緒、いっぱい残業しても給料は変わらない。これはさすがに不公平だと思うんですよね。

 大臣、どういうふうにお感じになりますか。

浜田国務大臣 委員御指摘の点については、やはり自衛官としての勤務体系というものもあるわけでありますので、その意味においては、我々とすれば、あらゆる手当等も含めて、その点を考えておるところでもあります。

 また、今後、今御指摘になった点についても我々はしっかりと考慮して何らかの形ができればというふうには思いますけれども、現時点では、常態的な二十四時間態勢でやはり勤務している自衛官がいるわけでありますので、その点も含めて、我々とすれば、今自衛隊に求められているものというのは、やはり、そういった時間の枠の中で対応するべきものなのかどうなのかというものもありますけれども、しっかりとその点を、今御指摘のあった点を考えて、また準備を進めていきたいというふうに思います。

櫻井分科員 これは本当に非常に重要な点だと思うんですね。もちろん、それこそいろいろな大変な、紛争地に自衛官を派遣するのかというのはまた別の問題がございますけれども、それこそ災害現場とか大変な場所に行ったときに二十四時間態勢で働くということはあろうかと思います。

 ただ一方で、お国のため、人を助けるためだからといって際限なく働いたら、御本人がそれこそ心身の疲れで病んでしまうかもしれないということになりますから、そうならないように、やはりちゃんと組織として一定の歯止めをつけなきゃいけないということ、これも去年の十月にも申し上げたことです。

 別な分野ということで、それこそ全く別な分野ですけれども、文部科学省の分野でいえば、学校の教員の先生方は四%で残業代固定払いということで、そうすると、出勤時間も退勤時間もちゃんと正確に把握されていない。子供のためだからといったら、もう際限なく働くことがあるということで、長時間労働を強いられて心を病んでしまった先生方もたくさんいるという現状です。

 自衛官についても同じようなことがあるのではないのか、そういった話もありますし、他方で、先ほどの宮本委員からはパワーハラスメントの問題も指摘がございました。

 やはり、いろいろなことの実態をきちっと把握する上でも、まず出勤時間と退勤時間をきっちり把握していくということが大事だと思うので、今準備をされているということですけれども、これは早急にやるべきことで、いつ頃までにできそうですか。

浜田国務大臣 時期的なものについては今ここで申し上げることは困難であります。

 ただ、委員の御指摘の点は十二分に私も同感する部分もありますので、その点も含めて早急に対応したいというふうに思います。

櫻井分科員 昔、それこそ第二次世界大戦のときに、旧日本軍は、一回現場に派遣したらもう際限なくやれ、ローテーションも何もなしと。他方で、アメリカ軍なり、それからドイツ軍なりは、ちゃんとローテーションを組んで休むときは休む、戦闘がばちばち起こっていても休むときは休むと。やはり、それは現場の人たちをしっかり守っていくという発想があったようなんですね。それがなかった旧日本軍はやはり戦闘でも負けてしまった、精神力だけでは勝てないということだと思います。

 それは、現場の人たちは一生懸命頑張る。でも、それを守る、その思いを守るためにも、是非この管理をよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほどもう既に宮本議員が質問されておりますけれども、ハラスメントの問題。

 これも、十月二十八日に、私、質問させていただきました。そのときには、五ノ井元自衛官について、公務災害認定されればという条件付でいろいろなものが支払われますよということだったんですが、結局、その後、十二月に公務災害認定されたというふうに承知をしております。

 その当時、条件付で支払われますよと言われていたものは、これはもう支払いはお済みになったんでしょうか。

浜田国務大臣 五ノ井さんの病気休職を取得した件で、陸上自衛隊東北方面総監が令和四年十二月十五日に公務上の災害として認定を行いました。

 当該結果につきましては御本人にお伝えをしておりますし、本件については、公務災害の認定に伴い、病気休職により一部支給されていなかった俸給や退職手当などを含む給与の全額が既に支給されております。

櫻井分科員 この件に関連して、五ノ井さんの例が特殊な事案というわけではなくて、むしろ、これはあちこちで似たような事案が広くあるのではないのかということから、昨年の秋に特別防衛監察を実施されているというふうに承知をしています。

 あのときは十月末で、遅れて来るものもあるからということで十一月も調査をしますということだったんですが、その後、集計もされているかと思います。千四百十四件という集計結果、数字も聞いております。

 ただ、先ほどの宮本委員の質問では、なかなかそれが正確なアンケート調査になっていないのではないのか、上官の目の前で書かされたりというようなことで本当のことが書けないような状況があったのではないのか、そんな指摘もございましたが、ともかくも、調査を、特別監察を実施するということで、これに関連して、大臣は、「九月二十九日に公表いたしました陸上自衛隊におけるセクシュアルハラスメント事案は、上官の対応、複数の事案の存在も含め、極めて深刻な事案であり、誠に遺憾だというふうに感じております。 今後、速やかに懲戒処分を実施するとともに、陸上自衛隊のみならず、防衛省全体として、このような事案が生起しないよう、なお一層しっかりとハラスメント防止対策に取り組んでまいりたい、」というふうに御答弁いただいています。また、「監察結果については、監察対象が全自衛隊に上ることから、そしてまた、監察の適正な実施を確保する観点から、一定の時間がかかると考えておりますが、引き続き、正確かつ公正な調査を実施してまいりたいと考えております。」このようにも御答弁いただいております。

 さすがに、去年の秋、九月、十月、十一月に実施したものですから、もう今二月です、一定結果が出て、御報告もまとまっているというふうに思うんですが、千四百十四件、一つ一つの件について問題解決はどのように進んでいますでしょうか。

浜田国務大臣 監察結果については、千四百十四件の申出があったこと、また、監察の適正な実施を確保する観点から、一定の時間がかかると考えておりますが、監察が終了した段階で、防衛監察本部が監察結果を公表するものと承知をしております。

 いずれにせよ、引き続き、正確かつ公正な調査を実施してまいりたいと考えております。

櫻井分科員 これはもう去年の秋にアンケート調査をやっていて、千四百十四件という数字もあって、当然、アンケートでこんなに大変なことがあるんですと書かれた方は、ちゃんと解決に向けて取り組んでもらえるものだというふうに期待もしているんじゃないかと思うんですけれども、これは解決されているんですか。

浜田国務大臣 先ほど申し上げたように、監察の結果を今受けて、その一つ一つに対しての結果を出すための努力を重ねているところでありますので、監察本部の方からまたその発表があるものというふうに思っております。

櫻井分科員 今は取組を進めているところだという御答弁ですね。

 先日、我が党の中で、部門会議ということで、防衛省の方に来ていただいてこの特別防衛監察の結果について御報告いただいたんですが、なかなか一つ一つの問題の解決は簡単ではない、難しいというようなことも言っておられました。結局、誰がチクったのかみたいな話になってしまって、どうしてもばれてしまって、だから、誰が書いたか、誰が報告したか分からないようにやってほしいとか、いろいろな、それはもちろんそうだと思うんですよね。でも、そうすると、なかなか問題解決にアプローチしにくいというような話も聞くんですね。

 これは本当に難しい問題だと思いますけれども、一方で、自衛官の自殺の数というのは少なくないということで、それも先ほど宮本議員からも指摘があったとおりですけれども、そういう中で、やはり早くやらないといけない、丁寧にやらなきゃいけない。どういうふうにされているんですか。

 何か、この間の部門会議での報告からすると、何だかんだ言い訳されて全然進んでいないような印象を受けたものですから、これは大臣のリーダーシップでしっかり前に進めて、しかも、何が足りないか、人が足りないというふうにも私はちょっと感じているんですね。この問題解決のために取り組んでいるスタッフの数というのは何人いらっしゃいますか。

浜田国務大臣 今、人数のお話がありましたが、それは私の方は今ちょっと手元に資料がございませんので、申し訳ございません。

 今お話にあったように、いろいろな上下関係、間に入っている方たちの調査等もやらなきゃいけないとか、いろいろ時間がかかっているのは事実だと思います。その千四百の積み重ねたものというのは大変重要だと思いますので、解決するために督促をして、私の方からもしっかりと指導していきたいというふうに思います。

櫻井分科員 まさに、特別防衛監察のチームだけで多分五十人ぐらいだったと思うんですけれども、ただ、実際にこの件に、この千四百十四件に携わっている人は十人もいなかったのではなかろうかというふうに思います。それだけ少ない人数でこれだけの多くの事案を抱えているものですから、まさに、先ほど申し上げた働き方の問題ではないですけれども、その人たちが寝る間もなく家に帰る間もなく一生懸命やっているけれども、人手がいかんせん足りなくて全然進んでいないというふうな話も聞きます。

 やはり本気で取り組むというのであれば、大臣のリーダーシップでちゃんと、問題解決すればそのチームは解散できるわけですから、この数か月の話ですから、是非人を集めていただいてしっかりと取り組んでいただく、百人態勢ぐらいでやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

浜田国務大臣 今一生懸命努力をされておるわけでございますので、確かに、おっしゃられるとおり、人員の不足している部分があるならば、それを担保できるように、私の方もまた状況を聞きつつ、これに対処していきたいというふうに思います。

櫻井分科員 これもまた別の話ですけれども、文部科学省の事例ばかり引っ張り出して恐縮ですけれども、旧統一教会の問題で、文化庁の宗務課でスタッフが十人もいないというところでこれだけ大きな事案を抱えたということですから、いろいろなところから人を集めて、それこそ五十人だったかそれぐらいの大所帯になって今取り組んでいるというふうな話も聞きます。やはりそれぐらいやるような話だと思うんですよね。

 まず、少なくとも人を集めるということについては、大臣のリーダーシップですぐできることだと思いますので、是非お願いいたします。

 最後、持ち時間も少なくなってまいりましたので、四点目の質問に移らせていただきます。自衛官の定年が早いという問題。

 五十五歳で定年になるということについて、再就職をされたときに、大体、自衛官のときの給料の四割ぐらいしかない、平均して四割ぐらいというふうな話を聞いております。それに対して、若年定年退職者給付金ということで、年収の三割程度はそこで補填をする、年収の三割程度を、普通の公務員は六十歳のところをそれより早くということになっていますから、その分ですから、三割掛ける五年分というのが給付されているというふうに承知はしておるんです。

 一方で、年金の支給年齢がどんどん引き上げられると、この五年の部分というのは一緒に上がっていくということでよろしいんですよね。

浜田国務大臣 若年定年退職者給付金は、自衛官の定年年齢から事務官等の定年年齢までの間支給しておりますが、事務官等の定年年齢が六十歳から六十五歳まで段階的に引き上げられることに伴い、給付金についても、防衛省職員給与法を改正し、六十五歳まで給付できるように措置をしております。

 防衛省としては、退職自衛官の再就職支援の一層の充実を図ることも併せて実施しながら、自衛官が退職後の生活を憂えることなく安んじて職務に精励できるよう、不断に取り組んでまいりたいというふうに思っています。

櫻井分科員 ちょっともう持ち時間が、これで最後の質問になろうかと思います。

 とはいえ、これは六十五歳まである。今まで五十五歳から六十歳、最後の五年間ですよね、年金が出るまで。これが、給料七割、三割足す四割で七割程度というので厳しい生活を強いられてきたわけですが、今度それが五年じゃなくて十年になっちゃうわけですよね。やはり、ベースになる給料の方、再就職したときの給料を底上げしていく、七割給料をもらえる、今四割ですけれども平均七割というところまで引き上げていけば、この給付金三割と合わせて退職前並みの生活ができるということになります。

 そこで、やはりリスキリング、これは岸田内閣が今一生懸命言われているわけですから、是非取り組んでいただきたいと思うんですが、他方で、民間を含めて、サイバー関係、いろいろ人材不足だと言っている、これだったら給料がすごく高くなる可能性があるわけですよね。

 先ほどサイバー部隊を育成するのに内部で人を育てるというふうにおっしゃられていたわけなので、是非そのノウハウを再就職の方でも使っていただきたいと思うんですけれども、その点について、最後、大臣の意気込みといいますか、取組を教えていただけますでしょうか。

浜田国務大臣 再就職についても、リスキリングというのが今岸田内閣で取り上げられております。

 私も、政務次官の頃に、再就職問題について、いろいろな海外を回らせていただいて、そういうところを勉強させていただきました。そのときにも感じたことでありますけれども、やはり一つの組織としての方向性をしっかり出して、再就職に当たっての能力を上げるということを是非私ももう一回考え直してみたいというふうに思っているところでありますので、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

櫻井分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。

牧島主査 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵分科員 馬淵でございます。

 今日は、浜田大臣に質問をさせていただきます。

 これはちょっと通告外で恐縮ですが、本日、浜田大臣が朝の会見で、防衛省に新たに、少子化による採用難や専門技能が必要なサイバー対策などの課題に関しての助言を取りまとめるとして、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会、これを立ち上げると会見で発表されました。

 私は、今日は人的基盤強化の質問をさせていただくつもりで昨日まで防衛省の方々とも様々折衝してきたんですが、残念ながらそのお話は昨日の段階ではお聞きすることはできませんでしたが、これが今回立ち上げられるということであります。

 浜田大臣、この会議において、人的基盤強化、様々な議論を重ねて大臣が答申を受けるという会だということでよろしいですか。

浜田国務大臣 今、自衛隊員の人材確保が大変厳しい状況にあるわけでありますが、これまで以上に民間の労働市場の動向や働き方に対する意識の変化といった社会全体の動きを踏まえて検討を進める必要があり、今般、有識者の方々をお招きして検討をすることといたしたところであります。

馬淵分科員 ということで、恐らくは今後検討していかなければならない課題についてこの有識者会議が機能していくんだと思いますが、少なくとも、防衛三文書における人的基盤強化、ここは打ち出しているわけですから、単に委ねるではなくて、現段階で計画がしっかりとできていなければならないと思います。

 今日は、それについてお尋ねをしたいと思います。

 今回の防衛三文書の中での、先ほど来申し上げている人的基盤強化の中で、やはりしっかりと人的な体制を充足させ、かつ機能を持って動かしていかなければならないということだと思います。そして、今回の計画の中で、政府三文書の中でも重要視されているのが、サイバー部隊の強化というふうに私は認識をしております。

 このサイバー部隊の強化は、整備計画の中では、二〇二七年度に現状の八百九十人から四千人に増強する、このように記されています。また、関連業務を含めると二万人が従事するということで、これはざっと二個師団レベルだというぐらいの規模だと思いますが、こうした中で、我が国は、これを五年かけてそこまでしっかりと人材確保するのだということでありますが、一方で、よく言われる、防大も含めた教育機関というのがありますが、この防衛大学などは文科省の定める大学設置基準に準拠した教育施設でありますから、一般大学と同じように教育を行うという場であります。

 したがって、サイバー専門隊員の強化、あるいはサイバー要員の強化ということでありますと、ここは相当程度取り組んでいかなければならないということになります。今後五年程度で、今八百九十人ということですから、四千人となりますと三千人以上の新規のサイバー部隊を養成することになるわけですが、これは、先ほども櫻井議員の質問にも答えられておりましたが、具体的にどのように養成するのか、大臣、お答えいただけますか。

浜田国務大臣 今委員御指摘のとおり、我々とすれば、サイバー関連部隊、二〇二七年度をめどに四千人ということを目指しておるわけでございます。そしてまた、この人材確保、育成を加速するという点については、これはもう今委員の御指摘のあったとおりでありますけれども、我々とすれば、この養成数については、陸上自衛隊通信学校においては、陸海空自衛隊共通のサイバー共通教育約三か月により年間約百名のサイバー要員を育成し、陸上自衛隊高等工科学校では、一学年約三百五十名のうち約三十名がシステム・サイバー専修コースを選択をし、サイバーに関する素養を身につけるためのサイバー等に関する基礎教育を行っております。

 このほか、高度な技能や知見を持つ民間サイバー人材の登用や予備自衛官等の制度の活用も、引き続き進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。

馬淵分科員 今るる御説明をいただきましたが、まず、陸上自衛隊の通信学校、これを陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編するというお話で、そこに関しましては年間百名程度ということでありました。そして、もう一つは陸自の高等工科学校、こちらでシステム・サイバー専修コース、これは約三十名程度ということであります。

 この学校の違いはというと、高等工科学校は、中学を出て、高校生というレベルの方々、すなわち高等教育を受ける課程の中でこの専修コースというのが設けられるということであります。つまりは、一般のICTレベルということになる。一方、陸自の部隊内の通信学校、これを改編するということでありますが、これは年間百名程度です。高等工科学校の方は、繰り返し申し上げますが、高校生のレベル。そして、ようやく部隊の中にできるその改編された学校は、年間百名程度なんですよ。そうなりますと、先ほどおっしゃった五年で四千名のサイバー要員を育成するということを考えると、果たして、これで十分、間に合うのかという話です。

 先ほど来、これも大臣お答えになられていますが、いわゆるスキルの高い人たち、こういった方々は統括アドバイザーという形で外部から招聘をするということでありますが、IPAのスキルレベルでいうと、レベル六とか七の方々、これはもう世界に通用するようなレベルということです。そして、レベル、これは七から、下は一まであります。一から三までというのは、部隊内の教育で、いわゆる基礎的な部分です。

 繰り返しになりますが、高等工科学校の学生さんは本当に初歩のレベル、そして、今度サイバー学校の方に改編するそちらでは、この一から三を部内である程度訓練を積むということでありますが、その間のレベル四、五となると、ここは、いわゆる企業への研修やあるいは海外への留学といったところで経験を積むということになりますから、今、サイバー要員として、七、六までは難しくても、高いレベルまで引き上げなければ当然これは効果がないわけですから、機能しませんから、じゃ、この百名程度の、これだけのレベル、学校で、本当に五年間で三千人超のサイバー要員を養成できるんですか。そして、いわばサイバーの関連の要員も、これは二万人ですよ。現行でいえば、少なくとも、ここの養成のスキームといいますか計画が、私から見ると全くもって現実にそぐわないんじゃないか、こう思うわけです。

 大臣、いかがお考えでしょうか。

浜田国務大臣 今御指摘のあった点、もろもろあるわけでありますけれども、今後、防衛力整備計画に基づいて、サイバー領域で活躍が見込まれる専門的な知識、技能を有する人材を取り込むために、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度を構築するなどの必要な施策を講じていきたいというふうに考えております。

 今委員の御指摘の点、あるかもしれませんけれども、我々とすれば、今後、そういった努力を重ねていきたいというふうに思っております。

馬淵分科員 大臣、今申し上げたように、年間百名ですよ。三十名の高等工科学校のこととかは横に置いておきますよ。年間百名です。そして、これをあと三千人余増やさなきゃならないんです。

 統括アドバイザーというのは、繰り返しになりますけれども、外部からの招聘です。特別なお給料も出すというお話でありましたが、結局は、政府三文書で四十三兆円という予算を、この五年間と示した上で、さらには、様々な武器を含めてこれを整備していく、導入していくという過程の中で、人材の育成のところが極めて脆弱な計画になっていると思いませんか。要は、今は何も決まっていないんですよ、これで。これでできるとお考えですか。大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、このサイバーの分野というのは決して避けては通れない分野でありますし、今後一番に考えていかなければならないということであります。

 当然、このサイバーに関しても、我々、以前から対応してきた部分もあるわけでありますので、更に総力を挙げて、この五年間に形ができるようにしっかりとやっていきたいというふうに思います。

馬淵分科員 大臣、そういういわゆる官僚の作文に乗っかっていていいんですかということですよ。私からすれば、具体性を持って人材を輩出する計画になっていないんじゃないかということを申し上げているんです。今のお話、繰り返し聞いていましても、いや、何とかやる、何とかやるというお話じゃないですか。繰り返し私は確認しますよ。

 これは年間で百名なんです。今、サイバー要員として残り三千余を育成する、その規模がですよ。この資料にも二万人まで関連要員が予定されているわけです。これは現実的にできないじゃないですか。何らかの手当てを考えなきゃいけませんよ。それを外部から引っ張ってくるのであれば、様々な方が質疑されているように、大変なコストがかかります。コストと言うと失礼かもしれませんが、高い給与を払わなければ、人材を引っ張ってくることはできません。そして、一朝一夕で人材育成ができない。つまり、絵に描いた餅になるような計画でしか示されていないんじゃないですか。

 だから、私が申し上げたいのは、大臣はリーダーシップを持って、このような計画だけでは駄目だから、じゃ、具体的にどうやって四千人のサイバー要員を育成し、かつ、二万人のサイバー関連要員をしっかりと準備させるか、これは別の方策が要りますよ。いかがですか。

浜田国務大臣 今私が御説明した点ではそういった数字しか出てきておりませんけれども、しかしながら、このサイバー人材の育成をより一層加速化するためにも、先ほど申し上げた通信学校の改編は当然でありますが、陸海空自衛隊共通のサイバー共通教育の養成数の拡大、そしてまた、海外の教育機関への、企業への派遣の継続も通じて、高度なサイバー人材の育成に取り組んでまいりたいと思いますし、また、今委員が御指摘になったように、私にもっとしっかりとリーダーシップを示せというお話もありました。私自身もしっかりとその点は認識をして、前に進めてまいりたいというふうに思います。

馬淵分科員 繰り返しになりますが、部隊内ではレベル一から三までなんです。だから、学校も改編してやろうと言っているんですけれども、それでも、繰り返しになりますが、この百名という要員の数では到底この計画を達成できないわけですから、大変なことだと思いますが、少なくとも、今表に出ている計画をはるかに超えるような具体策を講じなければ、大臣は恐らく幅広く防衛政策を見ておられますから、細かなこのサイバー要員の養成のところというのは十分に聞かれていないところもあるかもしれませんが、これは重大な問題ですよ。

 私は、武器のことよりも人的な問題は極めて重要だということを感じておりますから、ここは重ねて指摘をしておきたいと思いますが、このままでは本当に大変なことになります。絵に描いた餅にしないように、そこはよく考えて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 その上で、今申し上げたようなサイバー人材の育成についての予算でありますが、ここは、サイバー要員の育成、研究基盤の強化で、予算は三百億円が示されています。そこで、この計画と予算のアンバランスということで私はちょっとお尋ねをしたいんです。

 これも防衛省から示された資料では、この三百億の内訳は、いわゆる陸自のシステム通信・サイバー学校(仮称)関連経費と書いてありますので、これはサイバー要員の育成そのものの費用、二十億円。そして、国内外への教育機関への留学や資格取得等に係る経費、六十億円。これは、先ほど申し上げたように、レベル四、レベル五に相当するスキルレベルの方々を生み出すためのお金です。そして三番目が、サイバー関連研究の推進に係る経費、約二百二十億円。このように計上されているわけでありますが、先ほど申し上げたように、百名の養成で、結局これは二十億円しかないんです。私から見ると極めて少ない。

 これは来年度の予算ですから、一気に二万人養成のためにお金を用意したわけじゃないというのは分かっていますが、これは二十億円しかないわけですよ。このレベルで、要は、結局は、元々の計画が極めて私から見るとずさんで、非常に僅かな人員しか養成できないような計画で、それに合わせた予算を組むとこうなってしまう。

 このような形で、計画と予算がそもそも実行できない形になっていませんかということなんですが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 今お話にあった点でありますけれども、我々とすれば、今申し上げた関係のことについて申し上げるとするならば、この予算が三百億という点については、まだまだこれはもっと増えていくものと思いますけれども、最低限、今、この基盤として必要な予算としてこの金額を出したというところでございます。

馬淵分科員 繰り返しになりますけれども、そもそもこれは、要員がこれでは育成できないような計画に合わせて作った予算ですよ。だから、根本を見直せばここは変わるんです。これは、様々な形で今後執行に向けて準備をしなきゃならないところで、よく考えなきゃならぬ部分だと思いますよ。この予算の組み方では、先ほど来申し上げるように、本当に僅かなサイバー要員の教育費にしか当たらないです。

 このことは申し上げておきたいですが、一方で、サイバーだけではありません、全体の定数の問題についても触れたいと思うんです。

 この整備計画の中では、陸自の二千名の方を海自、空自に振り替える、このように示されています。そこで確認ですが、これは、つまり陸自の定数を削減するということでよろしいですか。いかがでしょうか。じゃ、役人の方で、役所の方でお願いします。端的にお答えください。

川嶋政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきます自衛官の総定数は二十四万七千百五十四名ということで、これは五年度予算におきましても、次期防期間中、これを変える予定はございません。

 ただし、これは総数でございまして、その内数といいますか、陸海空あるいは主要な機関ごとに法律では数を定めておりまして、陸上自衛隊につきましては二百五十五名の減員という形になってございます。これは定数でございます。

馬淵分科員 総数は変わらない、これは自衛隊ということですが、隊員の皆さんは。しかし、陸自に関しては来年度で二百五十五名削減なんですね、定数削減です。一方で、実員は増やしていく。二千人もの削減をしますが、一方で実員は増やすんだ。これがプラス千二百二十二人ということで聞いております。

 大臣、ここは重要なポイントでもあるんですが、結局、定数は下げる、総数の話は横に置いておきますよ、陸自の定数を下げる、そして実員は上げる。実員を上げて、ギャップが埋まっていく。何のギャップが埋まるのか。これは充足率が上がるんですよ。でも、実際問題、定数、定員というのは、必要だとされる人員として長きにわたって変わらずに来たわけですよね。それに対して、採用が困難で実員が増えてこなかった。海、空に振り分けるはいいんですが、定員そのものを削減する理由は私はないと思うんです。

 本来、実員を上げていく、これは私は賛成です。しかし、ここで定員を削減というのは何か。結局、充足率を上げるという見かけの話になりませんか。これは、私は、充足率の問題がいろいろ取り上げられていますけれども、実は目くらましになりかねないと思っているんです。大臣、それはどうですか。

浜田国務大臣 今委員のおっしゃったように、定員と充足率というのは、大変我々としても重要だというふうに考えております。

 そういった点からすれば、決して目くらましではなくて、しっかりと、定数と実員の関係を一〇〇%に近づけていくことが望ましいと考えるところでありますが、その点も含めて今後努力していきたいというふうに思います。

馬淵分科員 大臣、今後努力じゃなくて、定数を下げる必要はないんですよ、本来であれば、実員を上げていけばいいわけですから。でも、こういう状況で、充足のことを気にかけているのはよく分かります。

 じゃ、部隊の充足のことを確認します。

 実際には実員不足で悩む部隊がたくさんあるというのも聞いておりますが、個々の部隊、それこそ普通科連隊、戦車中隊など、これの充足率を聞くと、能力が推し量られるから答えられないというふうに聞いています。まあ、それはいいでしょう。でも、これだけはお答えいただけるんじゃないかということです。例えば、じゃ、充足率が七割を切るような、そのような部隊は存在するんでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

浜田国務大臣 今御指摘の点については、いろいろ慎重な分析が必要でありますけれども、ごく一部の部隊等では七割を下回っているものも存在しているということでございます。

馬淵分科員 そうなんですね。六〇%台の部隊が現実にあるんですよ。こうしたところでは大変な努力を現場でされている。ローテーションもさることながら、かなり超過勤務も含めて。それはそうですよね、六〇%台ですから。現実にあるんです。

 そして、この状況はどういう状況かということです。これも、大臣も防衛の専門家でいらっしゃるからよく御存じだと思いますが、実戦では三〇%人員が減耗すると、損耗すると、もうもはや充実した部隊としての武器の展開ということが困難になる。つまり、予定能力が三分の一欠如となって、タクティカルな運用が不可能になると言われています。つまり、六〇%台の部隊が存在するということは、我が国の部隊の中で戦えない部隊が存在するということになってしまう。これは、私はゆゆしき問題だと思っているんです。私は、だからこそ、繰り返し申し上げているように、いかに実員を上げていくか。見かけの充足率を上げたってしようがないんですよ。現場が本当に疲弊する。

 そこで、私自身は、今申し上げたような観点から、大臣、このことも重く受け止めて、現場がどれほど大変な状況かはよく御存じだと思いますので、改めて、こういう形で定数削減、実員増として充足率を上げるなどという、本当に小手先のことはやめて、本来の在り方、しっかりと部隊が能力を全発揮できるような、そういう部隊の編成が可能な人的強化というのに取り組むべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 おっしゃるとおりであります。

 我々とすれば、そこを目指してやってまいりたいというふうに思いますし、部隊の増強をし、そしてまた、使える、働ける体制をつくるということは我々の目標でもあるわけでありますので、しっかりと認識させていただきたいと思います。

馬淵分科員 あと、もう一つ加えて聞きたいのは、部隊で今お話ししましたが、じゃ、基地、駐屯地はどうかということです。

 これも防衛省からいただいた資料を見ますと、例えば、年がちょっとずれているのがあったんですが、仕方ありません、お出しいただいたものはこれだけだったんですが、北海道の上富良野駐屯地。こちらは、定員が二千五百九十に対して、現員は千六百五十人、これは充足率六四%なんですね。つまり、やはり、あらゆるところで部隊が七割を切ってしまっている。先ほど申し上げたように、タクティカルな運用が不可能な部隊が存在してしまっているという現実が推認されます。

 さて、こういう状況の中で、このような陸自の基地、駐屯地に対して、定員に対して現員が少ない地区、これはどういう地域があるかということを大臣は御認識されていますでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の点、やはり北海道が一番顕著に見られるかというふうに思います。

馬淵分科員 民主党政権時代に、動的防衛という形で南西展開、確かに、様々な形で部隊が動くようにということで、我が国は、脅威対抗型の防衛力ではなくて、いわゆる基盤防衛力ということでやっていますから、これも一つなんですが、現状は、こうした基地、駐屯地における極めて脆弱な状況があるということです。これを補うためにはどうしたらいいかということになりますが、やはりそこは人員をいかに増やしていくかということになります。

 そこで、これは政府参考人にお尋ねしますが、自衛官、先ほど来ずっと話がありました、この充足率の話があったわけでありますが、一方で、じゃ、応募者の方はどうなのかということなんですね。この十年、平成二十四年度から令和三年度にかけて、応募者数はどのように変化したか。これは政府参考人から、端的に数字だけで結構です。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官等の応募者数については、平成二十四年度約十一万四千人、令和三年度は八万五千人であり、この十年間で約三万人減少しております。

馬淵分科員 つまり、この十年間で二六%減少しているわけです。

 そして、今年二十二歳になる二〇〇一年の出生数は約百十七万、二〇二一年の出生数は八十一万、つまり三割減少しています。つまり、今後の人員の確保というのは更に困難になる。

 そして、さらに、今の充足率、今度は自衛隊全体で見まして、士自衛官の充足率というのは七九・八%と八割を切る状況で、応募も減っている。この先、更にこれは確保が困難になっていく可能性があるわけですね。

 じゃ、これをどう補うか。採用に努力されていることは分かりますが、一つあるのは、任期制自衛官、士自衛官ですね。この方々は任期が来れば退官される。ところが、こういった方々が再雇用、実はそれほどされていないんです。

 これも数字だけお願いします。再雇用は年間でどの程度ですか。数字だけ、政府参考人から。

町田政府参考人 お答えいたします。

 現在、防衛省では、任期満了退職、中途退職をした元自衛官を再び自衛官として採用する、元自衛官の再任用制度を設けております。(馬淵分科員「数字だけ」と呼ぶ)はい。

 今、平成二十九年以降二百五十名、元自衛官を採用し、うち約百八十名は士として採用しているところでございます。

馬淵分科員 違う答えを言っていますね。

 聞いたことは、任期制自衛官を含めた再雇用、これは年間八十名と私は聞いていますが、間違いないですか。どうですか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度の元自衛官の採用実績は、一桁単位、七十七名でございます。

馬淵分科員 つまり、この任期制自衛官、特に士、全体で一万八千人で、これは八十名弱ですよ。〇・四%でしかないんですね。これだけしかなくて、任期満了の退職者が年間で二千九百人です。つまりは、この任期制自衛官の士自衛官がもう一度戻ってくるような環境をつくらないと、先ほど申し上げたように、既に応募者数は三割減ですよ。更に、人口、この先、三割、どんどん減っていく可能性がある中で、少なくとも自衛官として、防衛省・自衛隊として働いたこの方々が、〇・四%しか再雇用ができていないんです。ここは根本的な問題がやはりあると思います。

 もちろん、条件面だとか、あるいは、広く一般にインセンティブをどのようにつけるか。これが実は、私は、決定的に欠けているんじゃないか、そう思っています。大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 確かに、今委員がおっしゃったように、再任用をするに当たっては、しっかりとした雇用の体制とか、いろいろ、また条件面のこと、そして今まで見てきてしまったものもあるわけでありますので、そういった意味では、インセンティブを上げていくのは大変重要だというふうに思いますし、やっていかなければならないと思います。

 ただ、一般に、退職していかれる方、やはり一般の社会でお仕事をして、また新たな目標を持っている方もいらっしゃるわけでありますから、かなり競争は厳しくなると思いますが、我々自衛隊として、しっかりとその点をまた説明をしながらやっていきたいというふうに思っています。

馬淵分科員 新規の採用が困難な状況の中で、そして、新たに再就職をされている、また、もちろん、任期制の自衛官の方々に再就職の支援をされていることもよく認識をしておりますが、やはり、一度は自衛隊で飯を食った、この国の守りに身をささげ頑張ってこられた方々の再雇用というのが、私は、充足率を上げて、定数を削減せずに、我が国の基盤的防衛力のその根幹となる人的充足を図る大きな手だてになるということを大臣には御提言申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 以上です。終わります。

牧島主査 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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