衆議院

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第1号 令和6年2月27日(火曜日)

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本分科会は令和六年二月二十二日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      衛藤征士郎君    小野寺五典君

      平  将明君    牧島かれん君

      山岸 一生君    奥下 剛光君

二月二十六日

 牧島かれん君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年二月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 牧島かれん君

      衛藤征士郎君    小野寺五典君

      小森 卓郎君    平  将明君

      山田 賢司君    和田 義明君

      阿部 知子君    山岸 一生君

      奥下 剛光君

   兼務 勝目  康君 兼務 岸 信千世君

   兼務 西野 太亮君 兼務 一谷勇一郎君

   兼務 市村浩一郎君 兼務 金城 泰邦君

   兼務 中川 宏昌君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 長友 慎治君 兼務 緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (領土問題担当)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (女性活躍担当)

   (共生社会担当)

   (孤独・孤立対策担当)  加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (スタートアップ担当)

   (感染症危機管理担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   内閣府副大臣       岩田 和親君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   衆議院事務総長      岡田 憲治君

   参議院事務総長      小林 史武君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 鈴木 千明君

   裁判官訴追委員会事務局長 中村  実君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   会計検査院長       田中 弥生君

   最高裁判所事務総長    堀田 眞哉君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)      彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内田 欽也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      北川  修君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          相川 哲也君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    松多 秀一君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      黒田武一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   蓮井 智哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中村 功一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   土谷 晃浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局教育課程総括官)    滝波  泰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田 易範君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           泉  潤一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長谷川朋弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西海 重和君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         菊池 雅彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         西村  拓君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局次長)         久保田秀暢君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 針田  哲君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房報道官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中西 礎之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 今給黎 学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 米山 栄一君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            松本 恭典君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

   安全保障委員会専門員   花島 克臣君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

   衆議院調査局第一特別調査室長           千葉  諭君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     小森 卓郎君

  山岸 一生君     逢坂 誠二君

  奥下 剛光君     和田有一朗君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     和田 義明君

  逢坂 誠二君     阿部 知子君

  和田有一朗君     阿部 弘樹君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     山田 賢司君

  阿部 知子君     荒井  優君

  阿部 弘樹君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     衛藤征士郎君

  荒井  優君     山岸 一生君

  奥下 剛光君     岬  麻紀君

同日

 辞任         補欠選任

  岬  麻紀君     沢田  良君

同日

 辞任         補欠選任

  沢田  良君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     奥下 剛光君

同日

 第二分科員一谷勇一郎君、金城泰邦君、第四分科員中野洋昌君、第五分科員緒方林太郎君、第六分科員勝目康君、第七分科員岸信千世君、中川宏昌君、長友慎治君、第八分科員西野太亮君及び市村浩一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

牧島主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。黒田宮内庁次長。

黒田政府参考人 令和六年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の令和六年度における歳出予算要求額は、百一億四千百万円余でありまして、これを前年度当初予算額六十七億八百万円余と比較いたしますと、三十四億三千三百万円余の増額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費九十五億五千三百万円余、皇族に必要な経費二億六千三百万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費九億六千六百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費八十五億八千七百万円余でありまして、前年度に比較して三十四億二千九百万円余の増額となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で令和六年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 令和六年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百八十億一千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九億三千百万円余の増額となっております。

 これは、情報システム関係経費等の減額がある一方、職員人件費及び議員秘書関係経費等の増額によるものであります。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百四十五億六百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百十三億三千三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十五億四千百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として六億二千九百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、令和六年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。小林参議院事務総長。

小林参議院事務総長 令和六年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百十五億四百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、六億五百万円余の増額となっております。

 これは、主に、議員秘書及び職員に係る人件費が増額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百四十六億八千六百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十六億九千三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十一億一千九百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議事堂本館等の施設整備に必要な経費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、令和六年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。吉永国立国会図書館長。

吉永国立国会図書館長 令和六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百二億円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五十一億一千二百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度補正予算(第1号)に計上されました所蔵資料のデジタルアーカイブ整備に関する経費の増額相当分が減少したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等百二億四千百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等七十八億一千五百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十億五千三百万円余を計上いたしております。

 以上、令和六年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。鈴木裁判官弾劾裁判所事務局長。

鈴木裁判官弾劾裁判所参事 令和六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千六百五十七万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五百六十五万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、令和六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。

中村裁判官訴追委員会参事 令和六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千七百三十五万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一千百四十万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、令和六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。堀田事務総長。

堀田最高裁判所長官代理者 令和六年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和六年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千三百九億七千九百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百二十二億千七百万円と比較いたしますと、差引き八十七億六千二百万円の増加となっております。

 次に、令和六年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 一つ目に、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百八十二億千三百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判手続等のデジタル化関係経費として五十五億八千百万円を計上しております。この中には、民事、刑事、家事の各デジタル化関連経費、情報基盤整備関連経費が含まれております。

 第二に、民事事件関係経費として二十六億三千百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第三に、刑事事件関係経費として四十一億千二百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費、法廷通訳関連経費等が含まれております。

 第四に、家庭事件関係経費として五十八億八千九百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 二つ目に、庁舎の新営等のための経費として百四十六億三千九百万円を計上しております。

 次は、定員の関係であります。

 事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のこどもの共育て推進等を図るため、事務官を四十四人増員することとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力等として七十五人の減員をすることとしております。

 なお、この増員等の中には、速記官から事務官への振替五人が含まれております。

 したがいまして、裁判所全体で差引き三十一人の純減となります。

 以上が、令和六年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。田中会計検査院長。

田中会計検査院長 令和六年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の令和六年度予定経費要求額は、百六十二億八千二百万円余でありまして、これを前年度予算額百六十二億二千四百万円余と比較いたしますと、五千八百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十億一千九百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十二億六千二百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力の向上のための研修に必要な経費であります。

 以上、会計検査院の令和六年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。林内閣官房長官。

林国務大臣 令和六年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の令和六年度における歳出予算要求額は千百十四億六千万円でありまして、これを前年度当初予算額千六十四億四千三百万円に比較しますと、五十億千七百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として千十六億一千万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億六千六百万円、人事院には、人事行政等のための経費として八十七億八千四百万円を計上しております。

 次に、内閣府所管の令和六年度における歳出予算要求額は六兆二千六十九億一千百万円でありまして、これを前年度当初予算額五兆七千四百三億七千三百万円に比較しますと、四千六百六十五億三千八百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として五千七百四十八億九千四百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十九億五千七百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百十八億三千百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千八百六億四千五百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十五億四千八百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十七億百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融政策推進等のための経費として二百三十三億五千五百万円、消費者庁には、消費者の安全、安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百三十七億七千六百万円、こども家庭庁には、子供、子育て政策の推進等を図るための経費として五兆二千八百三十二億五百万円を計上いたしております。

 以上をもって令和六年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、デジタル庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。河野デジタル大臣。

河野国務大臣 おはようございます。

 令和六年度デジタル庁予算について、その概要を御説明申し上げます。

 デジタル庁におきましては、デジタル化による新しい付加価値を生み出し、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指すための予算としてデジタル庁所管の歳出予算額を総額四千九百六十四億七百万円計上しております。

 前年度当初予算額より十二億六千万円の増額となっております。

 以下、予算額の内訳について御説明申し上げます。

 第一に、マイナンバー及びマイナンバーカードを活用した行政サービスの信頼性及び利便性の向上に向けた取組、準公共分野のデジタル化推進、社会全体のデジタル化の司令塔となるデジタル庁の体制強化等に必要な経費として百六十億八千万円を計上しております。

 第二に、国の情報システムを整備、運用するため年間を通じた一元的なプロジェクト監理を実施し、デジタル庁で整備する共通基盤の利活用を前提としたシステムの統合、共通化等を実現するために必要な経費として四千八百三億二千七百万円を計上しております。

 以上、令和六年度デジタル庁予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。土屋復興大臣。

土屋国務大臣 おはようございます。

 令和六年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁におきましては、第二期復興・創生期間において必要な取組を精力的に進めるため、地震、津波被災地域において、被災者支援など、きめ細かい取組を着実に進めるとともに、原子力災害被災地域では、帰還環境の整備、生活再建など、本格的な復興再生に向けて取り組み、また、これらに加えて、福島始め東北地方が創造的復興を成し遂げるための取組を進めるための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額四千七百七億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、被災者の心のケアや、コミュニティーの形成、生きがいづくり等の心の復興、見守り、相談支援など、多様化、個別化してきている被災者の状況に応じたきめ細かな支援等に必要な経費として二百十八億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、住まいと町の復興に向けて、災害公営住宅に関する支援を継続するほか、住民の安全、安心の確保等のために事業を進める必要があることから、災害復旧事業等について支援を継続するために必要な経費として五百三十億円を計上しております。

 第三に、産業、なりわいの再生については、原子力災害被災十二市町村における事業再開支援や、避難指示解除区域等における工場等の新増設支援等の取組に必要な経費のほか、ALPS処理水の処分に伴う対策として、被災地の水産業等への支援の取組に必要な経費として三百三十一億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、避難指示解除区域における生活環境の整備や、特定復興再生拠点の整備、特定帰還居住区域への帰還に向けた取組等を実施するとともに、中間貯蔵関連事業を着実に推進するほか、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組の強化に必要な経費として三千三百三十八億円を計上しております。

 第五に、創造的復興については、単に震災前の状態に戻すのではなく、創造的復興を実現するため、以上の取組に加えて、福島国際研究教育機構の取組や、福島イノベーション・コースト構想の推進、移住等の促進、高付加価値産地の形成等に係る取組に必要な経費として二百三十九億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など千六百二十四億円を計上しており、全体では六千三百三十一億円を計上しております。

 以上、令和六年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いいたします。

牧島主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。木原防衛大臣。

木原国務大臣 令和六年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和六年度予算においては、防衛力整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向け、必要かつ十分な予算を確保するという考えで計上しております。

 具体的には、スタンドオフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力等の防衛力の中核となる分野の抜本的強化、可動数向上、弾薬確保、防衛施設の強靱化に取り組むなど、防衛力抜本的強化の七つの分野について引き続き推進することとしています。

 また、人的基盤の強化、衛生機能の強化等、防衛生産・技術基盤の維持強化にも取り組みます。なお、足下の物価高、円安の中、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、まとめ買い、長期契約等による装備品の効率的な取得を一層推進する考えです。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は七兆九千百七十一億七千七百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、一兆一千二百九十二億一千百億円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で五千百六十八億四千九百万円、潜水艦建造費で一千九十三億四千八百万円となっております。

 また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で七兆六千三百六億五千四百万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、我が国の防衛力の抜本的な強化です。

 昨年に引き続き、射程や速度、飛翔の態様、対処目標、発射プラットフォームといった点で特徴が異なる様々なスタンドオフミサイルの研究開発、量産、取得を行います。また、高度化する弾道ミサイル等の脅威から我が国を防護することを主眼として、イージスシステム搭載艦の建造に着手します。

 第二に、同盟国、同志国等との協力です。

 我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による共同抑止・対処を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。

 第三に、防衛生産・技術基盤の維持強化です。

 装備品の安定的な調達を確保するため、防衛生産・技術基盤を国内において維持強化していきます。防衛生産基盤強化法の着実な執行等による、力強く持続可能な防衛産業の構築、様々なリスクへの対処、防衛装備移転の円滑な実施や、画期的な装備品等を他国に先駆けて実現する研究開発、民生の先端技術の積極的な活用に取り組んでまいります。

 第四に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化です。

 必要な人材を確保し、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備するため、自衛隊員の手当を引き上げ、給与面の処遇の向上を図ります。また、これまでの自衛官の予算上の人員数の上限とされてきた実員を廃止し、本来の自衛隊の任務の遂行に必要な人員の確保に取り組んでまいります。

 以上の防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百二十四億二千八百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。

 これをもちまして令和六年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。

 先ほどの私の発言の中で、一兆一千二百九十二億一千百億円と申し上げましたが、正しくは一兆一千二百九十二億一千百万円ですので、訂正させていただきます。

 以上です。

牧島主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま木原防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧島主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧島主査 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岸信千世君。

岸分科員 おはようございます。自由民主党の岸信千世です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

 まず冒頭、元日に起きました令和六年能登半島地震でお亡くなりになられた方々に対しまして謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された全ての皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。

 この被災地でも、自衛隊の皆様は、発災当初から、人命の救助や物資の輸送、また被災者の生活支援に至るまで様々な活動をされています。国民の一人として、深く感謝と敬意を表したいと考えております。

 それでは、質問の方に移りたいと思います。

 今、世界を見てみますと、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり二年がたちました。また、イスラエル、パレスチナの情勢や中台情勢の緊迫化、北朝鮮のミサイル発射等々、年々と国際情勢が悪化しております。また、日本を取り巻く安全保障環境も、従来に増して、一層厳しさを増している状況です。

 昨今では、陸海空、また宇宙、サイバー、電磁波の領域横断的な作戦運用が行われていますけれども、この六つの領域に加えて認知領域というものが、新たな領域、第七の領域として注目をされております。

 二年前に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、当初から、ロシア側が有利となるナラティブをつくり上げるために頻繁に偽情報が発信されておりまして、その都度、米国がカウンターとして打ち消すなど、情報戦が繰り広げられておりました。このような高度な応酬を行うためには、裏打ちとなる情報収集、そして分析能力、発信能力、サイバー能力等々、様々な能力が必要不可欠だと感じました。

 そこで、大臣に情報戦についてお伺いしたいと思います。

 近年、インターネット技術の進歩、またSNSの利用等、人々の生活様式の変化によりまして、誤った情報、また切り取られた情報が、悪意の有無にかかわらず、広範囲に拡散しやすい環境となっております。また同時に、悪意のある主体から発信された偽の情報も拡散されやすくなっておりまして、多くの人々により影響を与えることが迅速かつ容易となってしまっているのが現状だと思います。

 このいわゆる敵対的な情報作戦においては、主にサイバー空間やオンライン上で行われ、明らかな狙いを持って、組織や個人を対象に人々の心理をネガティブに操作し、また、多くの場合は匿名、特定できないような状態で行われ、サイバー攻撃やボット等の併用で行われているというデータもございます。その活動においては、突然起こるわけではなくて、事前から水面下で計画され、準備され、平時から繰り返し実行されています。

 この情報戦をしかけられた側というのは、守る側ですけれども、二十四時間三百六十五日、また三百六十度、これは油断することなく警戒することが必要であって、攻撃側よりも大きなコスト、リソースを費やすこととなります。

 今回、令和六年度の予算の中では、認知領域を含む情報戦等への対応として、AIを活用した公開情報、SNS情報の自動収集、分析機能の整備として二十八億円、また、情報見積りに関する将来予測サービスの活用で二十一億円が計上されています。

 この情報戦の分野はもう既に中国、ロシア、北朝鮮などがリードしているとも言われておりますけれども、アメリカの大統領選や、また、今年一月に行われました台湾の総統選などでも、何らかの影響力の工作があったと現地等で報道となり、話題となりました。これは日本でも他人事ではないと考えております。

 これまた平時から、政治的な影響力の工作やサイバー攻撃に耐え得る能力、こうしたものを日々強化していかなければならないと考えますが、これは果たして、今回の予算だけでは足りないと考えておりますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。また、この後どんどんどんどんと激化していく情報戦に対応するために防衛省としてどのような取組を、今後の展望も含めて大臣のお考えを教えてください。

木原国務大臣 委員からは、情報戦への対応についての御質問をいただきました。

 御指摘があったように、もう既に国際社会においては、いわゆる紛争が生起していない段階から、偽情報や戦略的な情報発信等によって他国の世論やまた意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定を防護することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれているところです。

 特に、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・ハマス紛争の状況を踏まえると、我が国防衛の観点から、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信等を肝とした、認知領域を含む情報戦への対応が急務であります。

 このため、国家安全保障戦略等を踏まえて、防衛省全体として、抜本的かつスピード感を持って、現在、様々な取組を進めているところです。具体的には、情報戦対応の中核を担う情報本部という組織がございますが、そこでは、各国による情報発信の真偽を見極めるためのSNS情報等を自動収集する機能の整備を行うなど、政策部門、情報部門、運用部門が一体となって、収集、分析、発信のあらゆる段階において必要な措置を講じてきています。

 このような取組の中で、委員御指摘のように、最新技術の迅速な取組と偽情報の分析等の専門的知識の獲得の観点から、民間企業や、また諸外国とも緊密に連携しつつ、令和六年度予算案においても所要の額を計上しています。

 生成AI等の技術進展によって、悪意ある主体による偽情報や誤情報の拡散がますます巧妙になっている中で、情報対応は、将来にわたり我が国防衛を万全とするために不可欠な取組であります。

 このため、少し中身の話をすると、情報戦対応の中核を担う情報本部では、情報収集、分析、発信に関する体制強化のため、当該業務を専従で行う情報官、これはまだ仮称ですけれども、情報官と専門部署を設けることとしています。

 また、防衛政策局調査課に、省内における認知領域を含む情報戦対応の司令塔機能として、情報戦対応班、これも仮称ですけれども、を新設し、事務官等三人を増員するほか、陸海空自衛隊に自衛官三十二人、事務官等十一人を増員するなど、所要の体制強化に係る措置を講ずることとしております。

 以上でございます。

岸分科員 大臣、ありがとうございます。

 こうした分野というのは、サイバーの分野の関係とも連携を取りながらやっていかなければならないとも思いますし、また民間の協力というものも必要不可欠だと思っております。

 また、中国、ロシア、北朝鮮と我々で何が違うか、またどういう特色があるかということは、民主主義国家においては情報戦の取組というものがなかなかハードルが高く、これが、例えば世論操作ですとかプロパガンダ工作、こういったものに捉えられて、ネガティブな印象や、防衛省が進める施策としての認識の乖離というものも、しっかりといろいろな方にPR、またお知らせをしていかなければ、乖離が大きくなってしまうと思っております。

 先ほど、戦争が生起していないときからもう既に始まっているというふうなお話がありましたけれども、まさにそのとおりでございまして、既に重大な脅威が迫っている、そういったことも常日頃から国民の皆様に正しく認識していただく必要がある、そのように考えております。

 大臣、ありがとうございました。この後は政府参考人の皆様で結構です。

 続きまして、サイバー要員の確保また育成についてお伺いさせていただきたいと思います。

 近年、高度化また巧妙化するサイバー攻撃に対しまして、将来にわたって適切に対処する能力を獲得するために、自衛隊の任務遂行を保証する態勢を確立、また、防衛産業のサイバー防衛を下支えできる態勢を構築する、こうしたことを目的に、サイバー領域における能力強化として、全体で二千百十五億円を今回計上されていると伺っております。

 このサイバー要員、情報戦のところでも少し、情報戦の分野で専門の人員を置くとなっておりますけれども、サイバーの方でもしっかりと専門の隊員というものの充実が必要だと考えております。

 このサイバー要員の確保、育成、これはコア要員と呼ばれるいわゆる専門の部隊の隊員につきましては、今年度末には二千四百十人、行く行く、令和九年度末には約四千人に拡充をして、また全体としては、サイバー関連業務に携わる隊員として約二万人まで増やしていくという見込みになっていると思います。

 これは順調に進めばそのぐらいの数字になるという試算が出ているんでしょうけれども、どのようにして増員を図っていくか、教えていただきたいと思います。

 国内でも、サイバー要員、また特に、専門性の高いコア要員という方々の確保、これは民間でもなかなか、人手不足、そういったところをどうやって確保していくのかという疑問があります。

 また、サイバー分野における、入っていただいた後の教育とか研究機能、こうしたところの強化というものも併せて重要となってきますけれども、これもどのように、例えば、我々だけでどれぐらいまでできるのか、また民間の力をどれぐらいかりなければいけないのか、活用についても教えていただきたいと思います。

 外部からの知見というのも大変重要で、日々、こういったものというのは日進月歩、技術が進化していきますので、フィードバック等々が必要だと思います。こうした外部からの指導等はどのような形で必要になってくるのか、お伺いさせていただければと考えております。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありましたサイバー要員、いわゆるコア要員につきましては、令和九年度をめどに約四千人の体制に拡充することとしております。

 そのサイバー専門部隊の体制拡充に当たりましては、陸海空自衛隊の学校における教育はもちろんのこと、部外の教育機関の活用を通じた隊員の内部育成を主としつつ、外部人材の活用も共に推し進めるということとしております。その際、御指摘のありましたとおり、部外の活用ということで、企業や教育機関等の民間の方との積極的な連携、こちらにつきましては、サイバー専門部隊の体制強化を図る上で重要な手法の一つであると考えております。

 その上で、防衛省といたしましては、これまでも、部内で行う教育での部外講師の活用、部外の教育機関の活用、官民人事交流制度の活用などを推し進め、民間の方と連携を深めてまいりました。

 さらに、専門的知見を持つ外部の人材の活用を促進すべく、高度人材にふさわしい処遇を確保した上で、最大五年の任期で自衛官として採用する、新たな自衛官の人事制度を導入したいと考えておりまして、今国会に関連の法案を提出しているところでございます。

 防衛省・自衛隊としましては、既存の手法にとらわれず、取り得る手段を全て取ることにより、二〇二七年度を目途に約四千人の体制を実現してまいりたいと考えてございます。

岸分科員 ありがとうございます。

 こうした外部からの人材登用というのは非常に重要だと思いますし、今、五年の任期つきという話も出ました。

 今回、例えば中途採用とかそういったところでは、やはり給与面とか処遇面、こういったところを改善しなければ、なかなか、外部から人材を採るというのも一定のハードルがあるのではないかな、そのように考えております。

 また、全体的に、サイバー防衛隊で勤務する隊員に支給する手当の引上げ、これも約一六%等々引き上げる処遇改善も図られるようですけれども、例えば、せっかく育成した隊員の皆様、職員の皆様が、外と比べたときに外の方がいいなという形で離職をしないように、なるべく流出をしないように、処遇の改善等々を中の方でも考えていただきたいな、そのように考えております。

 続きまして、これも政府参考人にお伺いしたいんですけれども、統合作戦司令部の新設につきましてお伺いさせていただきたいと思います。

 これまで自衛隊では、作戦ごとに臨時の統合任務部隊を編成し、また対応してきましたけれども、今後ますます迅速また複雑化していく事態に対応するため、状況の推移に応じたシームレスな対応、これが求められてくると思います。

 防衛省・自衛隊が行う領域横断作戦を実施し得る統合運用体制の確立には、陸海空自衛隊が統合された司令部を常設で置いておく必要があると考えます。

 これまでは、統合幕僚長が大臣の補佐に加えて運用面、作戦指揮も担っておりましたけれども、今後は、運用、作戦指揮については新しく設置される統合作戦司令官が担うこととなっていて、これは分担ができるという説明がされております。

 特に、例えば日米間のやり取りにおきましては、アメリカのインドペイコムと調整する機能、これが今までずっと統合幕僚長がトップでやられていたとお伺いしておりますけれども、ここの不足分を補うことができるのではないかと考えております。統合作戦司令官が、向こうの、インドペイコムの司令官とカウンターパートとなりましてより密に連携を取っていけるのではないか、そのように考えております。

 この司令官というのは、今、陸海空幕長と同格の将官というふうにされておりますけれども、統合幕僚長との序列関係といいますか、横並びにはなるんだと思うんですが、関係性というのはどのような形になるのでしょうか。統合幕僚長の言うことを聞くのか、作戦の司令官の方の話を聞くのか、状況によっていろいろなケースが出てくると思いますけれども、しっかりとその辺りのすみ分けというものはできているのでしょうか。

 また、統合作戦司令部、これは市ケ谷に新設されますけれども、この意義について、また、今回二百四十名からスタートとなりますけれども、今後どのように人員を拡充して機能の充実を図っていくのか、その展望についても教えていただきたいなと考えております。政府参考人、よろしくお願いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、統合作戦司令部の新設の意義でございますけれども、今御指摘のありましたように、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増している中、平時から有事までのあらゆる段階における活動をシームレスに実施できるよう、宇宙、サイバー、電磁波の領域と陸海空の領域を有機的に融合させつつ、統合運用による機動的、持続的な活動を行うことが不可欠である。こうした観点から、国家防衛戦略等におきまして、統合運用の実効性を強化するため、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設することといたしまして、令和六年度、統合作戦司令部を市ケ谷に新設することといたしました。

 この統合作戦司令部の新設によりまして、自衛隊の運用に関し、平素から部隊を一元的に指揮できるようになり、事態の状況や推移に応じた柔軟な防衛体制をより一層迅速に構築することが可能となるほか、統合による作戦や同盟国、同志国の司令部との情報共有や運用面での協力を一元化できるため、統合運用の実効性が向上すると考えられます。

 このように一層強化された統合運用体制により、いかなる事態でも国民の命や暮らしを守り抜くことができるよう、自衛隊の体制の在り方も含めた防衛力の抜本的強化を推進してまいりたいと考えております。

 また、統合作戦司令官、仮称でございますけれども、これと統幕長、統合幕僚長の関係ですけれども、統合作戦司令部、仮称でございますが、これは、先生も御指摘のように、平時から有事までのあらゆる事態にシームレスに対応するとともに、宇宙、サイバー、電磁波、こういった領域横断作戦を効果的に実施するため、全国の自衛隊の部隊を一元的に指揮することができるという、これまでにない役割を果たす常設の組織です。

 一方で、統合幕僚監部は、自衛隊の運用に関し、軍事専門的見地から防衛大臣を補佐する幕僚機関です。両者は趣旨や位置づけが異なる組織でございます。統合作戦司令部の新編に当たっては、統合幕僚監部の役割や任務が変更されるということはございません。

 したがいまして、従来、統合幕僚長が部隊等に対して、自衛隊の運用に関する防衛大臣の指揮監督や命令を伝達、細部指示等をすることとされてきたのと同様に、統合幕僚長は新設される統合作戦司令官に対して、自衛隊の部隊運用に関する防衛大臣の指揮監督や命令を伝達、細部指示等をすることとなります。

 また、市ケ谷に配置することといたしましたわけですけれども、これはまさに、宇宙、サイバー、電磁波、陸海空、この能力を有機的に融合させる横断作戦の実施に当たっては、総理大臣、防衛大臣、統合幕僚長などと統合作戦司令官の間の緊密な意思疎通が必要であるということを踏まえて、市ケ谷に設置するということにいたしました。

 最後に、米側のカウンターパートですけれども、まず、令和五年一月の日米の2プラス2におきまして戦略三文書における議論を行う中で、米側から、日本による統合作戦司令部の設置の決定については歓迎の意が示されました。

 具体的に、米側のカウンターパートを含む日米の調整要領、またその詳細につきましては、統合作戦司令部の任務や役割を踏まえつつ、米側と協議を進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

岸分科員 ありがとうございます。

 この後、組織ががらりと変わることにもなるので、しっかり、日々日々、こういった組織が合っているのかどうかというのもチェックをしていただきながら、部隊の運用等を行っていただきたいと考えております。

 続きまして、自衛隊の施設の強靱化についてもお伺いさせていただきたいと思います。こちらも政府参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 今後の方針として、二万棟以上の自衛隊の施設の集約、建て替え等について、駐屯地、基地等の全体を二百八十三地区に分け、これを対象に、保有する建物やライフラインにつきまして現状把握、評価を行って、重要度に応じた構造強化、また再配置、集約等々を含んだマスタープランというものを作成するとされていて、もう既に現在着手しているところもあると伺っております。

 今年度予算として全体六千三百十三億円が計上されておりますけれども、内容として、主に、例えば、南西方面の部隊の新編、そして新規装備品の導入に伴う施設の整備、また司令部の地下化、火薬庫の整備、これもレジリエンス向上を目的としたものとなります。また、既存の施設の更新というものも、ある程度のボリュームがあると思います。

 私の地元の岩国市では、海上自衛隊の航空基地が所在しておりまして、在日米軍も駐留をしております。この米軍の施設と見比べたときに、どうしても、自衛隊の施設老朽化が著しいなと目立っています。地元の人からも、また隊員の皆様からもそういったことというのは日々日々耳にするわけで、こうした隊員の日々過ごす職場の環境改善というところも非常に大切になってくると思います。

 こうした状況というのは、何も岩国市だけじゃなくて、全国皆同じ状況だと考えておりますけれども、できるだけ迅速に改修を行っていただきたい中で、このマスタープラン、恐らく、全国、タイムラグというか、同時に全部が上がってくるわけではないと思うんです。なので、例えば、プランができたところから先行的に着手をしていくとか、また、防衛省・自衛隊が重点的に強化したい地域から目的を持って着手をしていくなど、一律に出そろうのを待つのではなくて、いち早く迅速に取り組むために何か考えていらっしゃることがあれば、お伺いさせていただきたいと思います。政府参考人でお願いします。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 防衛省には、庁舎、隊舎など、先生御指摘のとおり、約二万三千棟の建物を保有してございます。このうち、旧耐震基準適用となる昭和五十七年以前に建てられた建物、古い建物でございます、これについては約九千九百棟存在してございます。これは全体の約四割に当たるものでございます。

 このため、これらの既存施設の老朽化対策につきましては、全国の各駐屯地、基地における施設の集約、再配置等の整備計画でございますマスタープラン、これを令和五年度から作成し、集中的かつ効率的に進めているところでございます。

 このマスタープランにつきましては、全国の駐屯地、基地等を、先生御指摘のように二百八十三地区に区分し、このうち八十九地区を優先して令和五年度から作成しているところでございます。優先的にマスタープランを作成する地区は、当該施設の機能や重要度等を総合的に勘案した上で選定してございます。

 このような中で、海上自衛隊岩国航空基地におきましては、約七十棟の施設があり、このうち、旧耐震基準適用となる昭和五十七年以前に建てられた古い建物、これについては約二十棟存在してございます。全体の約三割となります。

 岩国航空基地におきますマスタープランにつきましては、来年度以降の完成となりますけれども、作成できた駐屯地、基地等から順次、集約、建て替え等の整備を行っていくこととしてございます。

 なお、岩国航空基地におきます令和六年度予算案につきましては、以前から計画のあった補給倉庫の整備、そして早急に改修が必要なエレベーターの改修などの必要な経費についても計上してございます。

岸分科員 ありがとうございます。

 とにかく、できたところから前広に、しっかり施設の強靱化を行っていただきたいと考えております。

 続いて、防衛技術指針についてお伺いさせていただきたいと思います。これも政府参考人でお願いいたします。

 科学技術の昨今の進展により、戦闘様相も様変わりをしております。現行の装備体系の延長線での能力向上だけではもう既に限界が来ている、そのように考えております。

 日本が持ち得る民間も含めた科学技術、イノベーション、こうしたものを安全保障目的で最大限活用していく、これが必要になってくると思います。民間技術からの積極的なスピンオン、これとともに、防衛省でも、研究開発で成果を得たものを民間にスピンオフをしていく、そのサイクルをつくっていくということが必要なのではないかなと考えております。

 もう既に海外でも、米国や中国は軍民融合をうたって、様々な民間技術を積極的に軍に取り入れる、こうした動きが加速をしております。無人化、省人化、AI、情報技術、またエネルギー、原料とか素材に至るまで様々な分野の技術があると考えておりますけれども、今後、特に日本が強みとして力を入れて取り組みたい分野、また、日本が不得意な分野で民間の技術を活用しておきたいな、こうした分野がありましたら、是非、例示でも構わないのでお示しいただければと思います。

 また、民間の協力というものが不可欠になる以上、民間の皆様にどのように協力をお願いをして、どのように技術を取り入れていく、保障していくのか、また、民間に対する研究成果のフィードバック等々の仕組みを教えていただければと考えております。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のありましたスピンオン、スピンオフにつきまして、現在、最先端の科学技術が加速度的に進展し、民生用、防衛、安全保障用の技術の区別が極めて困難となっております。その中で、我が国の官民の高い技術力を安全保障分野に積極的に活用していくことが重要です。

 技術分野の事例といたしまして我々が重視しておりますのは、防衛技術指針の中でも具体的にお示しをしておるところでありますけれども、AIやICT、あるいは量子技術といった幅広い民生分野の技術を防衛分野で活用していくこと、これが非常に重要でございまして、いわゆるスピンオンを進めていきたいと思っております。

 その観点から、我々、安全保障技術研究推進制度というものを活用しておりまして、それについて、大学や企業、あるいは国立の研究所等々にファンディングをして、そうしたところの研究者にデュアルユース的な研究をしていただく、それを我々も活用させていただくという制度を取っておるところでございますし、また、防衛省が研究開発をした成果につきましては、いわゆるスピンオフとして社会に還元をし、我が国の科学技術、経済力の底上げにつなげていくということも、我々、国力の強化という観点では重要だと考えています。

 防衛省としては、こうした取組を深化させまして、総合的な意味での防衛力の強化というのを図っていきたいと考えております。

岸分科員 質疑の持ち時間が来てしまいましたので、最後に一言だけ、御指摘だけさせていただきたいと思います。

 今、次期戦闘機について、日、イギリス、イタリア、こうした三か国で協議を進めながら、計画を進めております。今回の予算でも税法上の措置については新しく盛り込まれましたけれども、課題となるのはやはり、第三国への防衛装備移転の合理化であると考えております。

 今回のケースでは、開発の段階、また生産のパートナーから我が国の部品を含む、この製品が行く行く第三国へ移転される、こうした可能性があるときに、日本と、あとの第三国との国際約束を直接結ぶというのはなかなか現実的ではない。こうしたところで、是非是非、運用指針の方も、積極的な見直しというものも必要性がもう既に生じていることだと思います。

 その辺りもしっかりと防衛省の皆様また自衛隊の皆様で議論をしていただきまして、今後も、国民の平和な暮らし、また、より一層防衛力を強化できるようにしっかりと活動していただきたいなということをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて岸信千世君の質疑は終了いたしました。

 次に、小森卓郎君。

小森分科員 石川一区、金沢選出の小森卓郎でございます。

 今年も、予算委員会分科会で防衛省に対して質問をさせていただきます。大臣を始め防衛省の皆さん、充実した審議になりますように、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、能登半島地震への対応について質問をいたします。

 元日の夕方に、突如、大きな地震が能登半島を襲いましたけれども、私は、そのとき、地元の金沢におりました。金沢にいた私も地震の揺れの大きさを感じましたし、エレベーターが止まったり、あるいは物が壊れたりもしましたけれども、幸い、私の自宅や事務所には大きな被害はありませんでした。

 しかしながら、私に近い親族が、発災の日、輪島におりまして、地震によって損壊を受けた家を離れて、津波から逃れて高台を目指して避難した後に、近くの避難所に身を寄せることになりました。被災の直後は避難所に物資が届くわけでもありませんので、避難所の皆さんは、壊れた自宅からお米を取り出して持ち寄って、何とか作った少ないおにぎりを皆で分け合って食べたというようなことを後に聞いたところでございます。

 こうした各地の被災者に対しまして、自衛隊の皆さんには各種の御支援をいただきました。人命の救助、道路の啓開、道路を開いて使えるようにすることですけれども、医療支援、給食支援、給水支援、人員や物資の輸送、入浴支援など、献身的な支援をこれまでに続けてきていただいており、心より感謝を申し上げたいと思います。

 さて、このような活動に対しまして、発災直後の自衛隊の活動が遅かった、初動態勢に問題があったかのような議論を行う方がこの予算委員会でも見られたところであります。ためにする議論でありまして、そうした見解には、私は強く疑問を持っております。批判をする方は、例えば、被災地に実際に投入されて活動した自衛官の数と、司令部や後方支援部隊も含めて態勢を取った自衛官の数という、違うもの、比較の対象にならない二つに基づいて批判をしようともしておられました。

 能登半島地震では、陸海空の各自衛隊を統合して運用する統合任務部隊、これが発災の翌日に編成をされているところであります。熊本地震の際には二日後でありまして、今回の対応が熊本地震に比べて遅かったなどという批判とは相入れない事実がここにあるわけであります。

 今申し上げました、能登半島地震に際して自衛隊の初動が遅かったとの批判について、どのように捉えておられるのか、まず防衛省に伺います。

木原国務大臣 石川一区選出の小森委員におかれては、発災当時から、様々な御苦労がある中で、地元対応されていただいたものと思っております。大変感謝を申し上げます。

 自衛隊は、おっしゃるように、発災後は直ちに航空機を発進させました。これは、まだ災害派遣要請がある前です。その段階から、もう航空機を発進させて、被害状況をまず把握いたしました。同時に、輪島市には部隊が所在しております。航空自衛隊の輪島分屯基地です。その隊員は、発災後一時間で被災者約千人を基地内に保護し、そして、その千人を保護した後、その足で今度は倒壊家屋に駆けつけて、生存者の救助を行ったところであります。

 また、もう御紹介があったとおり、道路が途絶した地域が非常に多うございまして、特に輪島市、珠洲市の方面では、発災直後から、ヘリによる患者の輸送や、また救援物資の輸送、孤立住民の救助等も実施するとともに、二日から三日未明にかけて、建設業者とも連携して、その輪島市内に通じる県道一号の土砂や落石というものがございました、これはもうまさしく夜を徹して不眠不休で除去をし、救助部隊を送り込むルートを開通させるなど、救助活動は可能な限り迅速に行われたところであります。

 また、紹介していただいたように、統合任務部隊も、東日本震災や熊本地震より早く編成をいたしました。そして、約一万人態勢を確立いたしました。態勢は、一万人は迅速に確立したということになります。

 緊急性の高い捜索救助のために、ヘリや艦艇などにより即応部隊を派遣いたしました。次いで、食料等の救援物資の輸送、そして、地理的特性でもありますけれども、非常に孤立集落が多かったということもあって、その一つ一つを回って被災者のニーズを把握、救援物資の提供、食事の提供や、入浴支援、衛生支援の実施など、被災地の多岐にわたるニーズに合わせて、適切に現地の部隊を連続増強して対処していったところでございます。

 したがいまして、そういった地理的な制約の中でも全力で災害対応に取り組んできたというところでありまして、初動に遅れがあったとは、私どもは考えておりません。

小森分科員 大臣、大変御丁寧に説明をいただきましてありがとうございました。

 今大臣おっしゃった道路の啓開も、私も初めて現地に入ったときに、この道路はこのタイミングで開かれたというようなことが頭にあったんですけれども、よくこの短期間で、皆さん、この道路を開かれたんだなというふうに、大変頭が下がる思いでありました。

 元々、熊本でございますけれども、健軍駐屯地があって、県内の自衛官の数が多くいらっしゃいました。石川県には輪島の分屯基地、そしてまた小松基地などありますけれども、熊本県に比べると人員は半分ということでありまして、こうした状況において、初動として実際に投入された自衛官の数についても、決して少なくはなかったというふうに感じております。

 そしてまた、今回の地震は元旦の夕方発災の災害でありましたけれども、三百六十五日即応する体制にある自衛隊であったからこそ、すぐに対応ができたものだというふうに考えているところでございます。

 地元で災害対応に当たった議員の実感として、このことは、是非とも国会の議事録にしっかり残して、強調しておきたいというふうに思っております。

 さて、能登半島地震の特徴の一つは、被災地での生活用水の復旧に長い時間を要したことであります。そうした中、自衛隊の皆さんは、発災直後から給水支援を五千トン以上行い、被災者の命と生活を守っていただいております。また、長期にわたって入浴支援を行っていただいておりますけれども、石川県内十八か所で二十万人を超える方が利用して、避難生活の環境の向上や、そして心を支えていただいているところであります。

 加えまして、これが質問のテーマになりますが、七尾港に、PFIで雇っている「はくおう」そしてナッチャンワールドという二船の船を派遣していただきました。避難所生活で疲れのたまった皆さんの慰安、そしてまた生活用水や宿泊場所がないために十分な休息が取れない全国からの応援の自治体職員、そして医療関係者など支援員への支援にも当たっていただいたところであります。こうした方々からも、「はくおう」などの活動に対して、感謝の声が多く聞かれているところでございます。

 今回の「はくおう」とナッチャンワールドの活動実績、そして今回の活動の特徴などについて、防衛省に伺います。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、今般の能登半島地震におきまして、自衛隊におきましては二隻のPFI船舶の活用をさせていただいております。

 具体的には、「はくおう」でございますが、こちらの方では、被災された方々の一時休養施設として、一泊二日の宿泊、温かい食事それから入浴、こういったサービスを提供し、二月二十五日現在で延べ約二千百名の被災者の方々に御利用をいただいております。

 もう一つのナッチャンワールドでございますが、こちらは、国それから県内外の自治体職員の方々が情報共有それから情報収集の災害対策の拠点として活用しておりまして、それぞれ一月の十四日から七尾港において活動を実施しております。

 今回のこのPFI船舶の活動の特徴といたしましては、被災地におけるニーズに迅速に対応できるように、あらかじめPFI船舶を現地に派遣するという対応を取っております。

 熊本地震の際には、現地の対策本部の方で支援ニーズというものが固まってから派遣の手続に入っておりますが、こちら能登半島地震におきましては、現地の方での使用の目的、用途というものが必ずしも固まっていない段階で既に手続に入らせていただいているということで、対応について柔軟な運営支援というふうなことが行われているということでございます。

 現在もPFI船舶につきましては災害派遣活動を継続中でございますけれども、今後の大規模災害におきましても、能登半島地震の経験を生かしまして、適切にこうしたPFI船舶の活用をできるように、不断に検証してまいりたいと思っております。

小森分科員 まさに答弁していただいたとおりだなと思って、納得感を持って聞いておりました。

 今回、「はくおう」などが派遣される準備が行われる過程を私も金沢で目にしておりましたけれども、自衛隊の皆さんが、石川県側の要請に耳を傾けながら、そして、船が既に石川の方に向かう途中で実際に何をやろうというのを固めながらやってきた過程というのを目にしましたけれども、迅速にオペレーションを展開していただいたことに感謝をしているところでございます。

 また、「はくおう」による被災者支援は熊本地震の際にも行われていて、それを踏襲したわけでありますけれども、ナッチャンワールドのような支援というのは今回が初めてのことでございまして、大変困難が伴ったと思うんですけれども、半島での災害であり、被災者だけでなく支援者の人にとっても、シャワーやお風呂が使えない、そしてまた宿泊環境が悪いという、今回の震災の特殊な状況に的確に対応していただいたというふうに思っているところでございます。

 さて、今申し上げました入浴支援そしてまたPFI船の活動など、今回の災害派遣活動は現在も進行しておりまして、まだ完了しているわけではありません。しかしながら、せっかくの機会でありますので、木原防衛大臣に、これまでの二か月の活動を振り返って、今回の活動全般の特徴、そしてまた今後の教訓事項についてお伺いしたいと思います。

木原国務大臣 今般の能登半島地震の活動の特徴といたしましては、道路網が寸断された半島部という、陸上から極めてアクセスが困難な被災地の状況の下で、陸海空自衛隊の、特に航空機の集中運用、また自衛艦艇を洋上の拠点として活用するなど、統合運用能力を結集して対応に当たったことがまず挙げられると思います。

 また、総理の指示を踏まえまして、自衛隊が被災者からの要望等を聞き取り、先ほど申し上げた孤立集落に、なかなかアクセスがしづらいところに、一般の方はなかなか行くのが難しい、県の職員などの方々がたどり着きにくいところに自衛官が足を運んで、被災者に寄り添ったきめの細かい生活支援活動を速やかに実施したこと、これも大きな特徴であろうかと思います。

 過去にも日本は様々な震災を経験をしておりますが、私も八年前は熊本地震を経験しております。それぞれやはり特徴があるんだと思いますが、それに応じて政府の対応もどんどんバージョンアップしていると思います。

 熊本地震では、初めてプッシュ型支援というのを行いました。初めてだったのですが、非常にそれは効果的で、ただし、今回のプッシュ型支援については、そのときのやはり教訓を踏まえて、いつ、どのタイミングで、何を送るかというものを地震のたびにどんどんどんどんバージョンアップしているところであります。

 そういった教訓事項については政府全体で検証が実施されるものと認識しておりますが、現在まだ能登半島地震は災害派遣中でありまして、まだいわゆる検証するという段階には至っておりませんので、防衛省・自衛隊としては、今後、政府全体の検証等に加わるとともに、災害派遣撤収後に、現地で活動した部隊等も含む全ての活動を総括いたしまして、検証や教訓の取りまとめを実施してまいりたいと思っております。

小森分科員 能登では、現在、まだ約六千人の被災者が地元の一次避難所で生活をしております。上下水道の復旧もまだ途上でありますし、仮設住宅の本格的な供給もこれからという場面でございます。今後とも、是非、能登の被災者をしっかりと支えていただくようにお願いしたいと思います。

 そして、大臣から様々な教訓事項についてもお話をいただきました。御地元の熊本地震でのプッシュ型支援、今回、更にきめ細かくなっていたのではないかというふうに思いますし、また、災害関連死の防止などについても、前回の教訓というのが生かされてきているように感じているところでございます。

 さっきおっしゃった、今回の自衛隊の活動の教訓につきましても、起きてほしくはありませんけれども、将来起こるかもしれない次の災害時において、対応に是非とも生かしていただきたいと思っております。

 防衛大臣は、もしお忙しければここで退出いただいても。大丈夫。ありがとうございます。

 それでは、次に、ブルーインパルスについて伺おうと思います。

 令和二年、今から四年前のことになりますけれども、この年は、年初から新型コロナウイルス感染症が突然流行、世界中に感染をいたしました。日本でも、二月にはダイヤモンド・プリンセス号の係留などがありまして、自衛隊の方々にも大変活躍をしていただきましたけれども、四月から五月にかけては、経験したことのない緊急事態宣言が出されまして、市民生活そして社会経済活動全般が大きな制約を受けたところでございます。日本中が感染への恐怖に包まれる中、医療従事者の方たちの献身的な働きにも人々の注目が集まった年でありました。

 この年の五月二十九日昼過ぎに、ブルーインパルス七機が、東京都心の上空で医療従事者への激励の飛行を行っております。あの日、青空を背景に飛行するブルーインパルスの激励を受けまして、医療従事者はもちろん、深く打ち沈んでいた日本中が元気をもらいました。下ばかり向くのではなく、前を向く、上を向くことによって力を得た出来事でありました。私も、市ケ谷でマスクをしながら、そしてまたアクリル板に囲まれながら仕事をしておりましたけれども、周りの皆さんの笑顔がはじけていたのを久しぶりに見た思いでございました。

 さて、ブルーインパルスは、全国各地の航空基地での航空祭などを始め様々な機会に展示飛行を行って、人々を楽しませております。来月の十六日には、今年初の展示飛行として、北陸新幹線の敦賀開業に彩りを添えるべく、新たに新幹線が通る福井県そして石川県の加賀地域を飛行することになっています。私の周りの石川県在住の多くの方たちも、これを大変楽しみにしております。

 ここで、防衛省に一つお願いがあります。石川県の加賀までブルーインパルスが訪れるタイミングでございます。能登半島地震で被災し、現在も厳しい生活を送っている能登の皆さんが復旧復興へと気持ちを奮い立たせることができるように、能登上空でも激励の飛行を行っていただけないか、検討を是非お願いしたいと思っております。

木原国務大臣 今委員からお話しいただいたように、三月十六日には福井、石川の両県で北陸新幹線開業記念イベントが開催されますので、同イベントに花を添えるという意味でも、ブルーインパルスを飛行させる予定となっております。

 こうした中、小森委員からは以前より御提案をいただいております能登半島上空における被災者の方々に対する激励飛行についてでございますが、先般、石川県の馳知事からも、私に御要望を直接いただいたところであります。

 能登半島地震発生から約二か月が経過をいたしました。復旧復興活動がこれから本格化していく一方で、多くの方々がいまだ避難生活を余儀なくされている状況は続いております。防衛省・自衛隊としては、被災者の方々に寄り添った支援を継続させておりますが、被災者を元気づける一つの方法として、能登半島上空でブルーインパルスが飛行することは大変意義があることと考えております。

 能登半島の被災者の方々を激励したいという思いは私も同じでありますから、石川県を始めとする関係機関と連携し、実現に向けた調整を前向きに進めてまいります。

小森分科員 大臣、大変どうもありがとうございます。是非とも、被災地の皆さんが元気になるように、しっかり検討、調整をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、残りの時間は、最後のテーマとして、防衛医科大学附属病院について伺います。

 埼玉県の所沢市にある防衛医科大学は、他の公立や私立の医科大学と同様に、教育目的も含めた附属病院があり、入院、外来の患者を数多く診療しております。この防衛医大附属病院の在り方について質問させていただきます。

 まず、松本政務官に伺います。

 松本政務官は医師として最前線で長年働き、そして、国立大学病院での勤務経験も豊富でありますけれども、防衛医大附属病院に行かれた際、自ら勤務経験のある大学病院などと比べて、どのような印象を持たれたか、お聞かせください。

松本大臣政務官 小森委員の質問にお答えしたいと思います。

 自衛隊の衛生というのは、昨今の防衛力整備計画それから国家防衛戦略の二つの中で、衛生機能の変革という大きなテーマを掲げて、今、準備を進めているところでございます。

 有事において危険を顧みず任務を遂行する自衛隊員の生命、そして身体を救う組織に変革する必要があるというふうに思います。その中において、特に戦傷医療の対処能力の向上を大きく掲げているところです。そういう中で、防衛医科大学校というのは、自衛隊衛生で働く医官、そして看護官を教育する機関でありますし、防衛医科大学校病院というのは、医官、看護官の臨床経験を踏む大事な場所であろうというふうに思っております。

 その点において、今、ほかの大学病院と比べてという委員の御質問でしたけれども、私の経験からすると、普通の大学病院の機能は十分に備えておる。しかしながら、築五十年がたって、建物、そして中の機材の老朽化も進んでいる。そして、もう一つは、何より、これまで自衛隊の病院として戦傷医療にある程度重点を置いた医療、そして教育というのをやってこなかったということもございますので、そういった点を踏まえまして、防衛力整備計画等々の実現のために変えていかなければならないということを印象として持っております。

 ありがとうございます。

小森分科員 今のお答えに関連して、血液製剤の製造の検討なども今、行われ始めているというような報道もありますけれども、松本政務官におかれても、医師としての経験を生かしながら、大変御尽力いただいているものと思っております。

 防衛医大附属病院の在り方につきましては、かなり前から、私は問題意識を持っているところでございます。それはどういうことかといいますと、附属病院に経営の要素をもっと入れた方がよいというようなことでございます。

 少し具体的に述べますと、まず、お金の面でございます。

 防衛医大附属病院は、国の機関として、一般会計から毎年、予算で認められた額の歳出が認められております。しかしながら、仮に診療する患者の数などが増えたとしても、補正予算や予備費などが認められなければ、歳出を増やすことができない。病院で使うお金を機動的に増やすことができない。そしてまた、年度末になると、予算を超えそうになってしまうと診療を抑制していた例も過去にあったというようなことも言われているところでございます。

 また、こうした支出の問題に加えまして、診療の収入についても、仮にどれだけ多くの診療を行い収入が増えたとしても、それは全て国庫に入ることになっておりまして、附属病院のために使うお金には直接回らない。附属病院の収入が増えようが減ろうが、次の年の予算に反映される仕組みにはなっていません。病院経営のインセンティブの構造に大きな改善の余地があると思っております。

 また、人員の面でも、国家公務員の人員管理の対象になっていることから、医者や看護師など医療職や事務職員を自由に増やすことができない仕組みであります。事実、国家公務員の定員削減が行われる中、防衛医大の職員数は、長年にわたって減少を続けているところであります。

 防衛省に伺います。

 防衛医大附属病院は、仮に患者数が増えても機動的に支出を増加させることが難しいことや、職員が定員削減の対象であることなど、病院経営を行う上で、他の病院には見られない特殊な制約があると思っておりますけれども、見解を伺います。

針田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、防衛医科大学校病院は、国立大学法人が設置するほかの医学部附属病院とは異なりまして、国の機関であることから、予算については一般会計に基づき、また、定員については行政機関の職員の定員に関する法律の枠組みの下で管理運営しているところでございます。

 したがいまして、病院運営につきましては、収支にかかわらず、これらに基づいて、必要な予算、人員の確保を行っているという状況でございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 各地の国立大学附属病院も、かつては国立大学特別会計の制度の中に置かれておりまして、防衛医大附属病院と似たような制約に置かれておりました。しかしながら、平成十六年に国立大学の法人化が行われまして、これによりまして、国立大学本体もさることながら、大学附属病院も経営の自由度が増して、看護師など医療スタッフを増員して高い診療報酬を得られる体制にするなど、民間病院に近い効率的な経営に移行をしているところであります。国立大学病院の場合には、これによりまして患者数や診療の単価などを大幅に増加させておりまして、法人化後二十年弱の間に病院の収益は倍増しているところであります。

 防衛医大附属病院については自衛隊の病院でありまして、指揮官からの指揮命令の効力を維持しておく必要がある点、この点は国立大学附属病院とは異なっておりますけれども、将来的には、この国立大学附属病院を参考にして、経営の自由度を高めて、質の高い医療の提供、あるいは医師や医学生の技量の向上を図るべきだと思いますけれども、松本政務官に御見解を伺います。

松本大臣政務官 小森委員の質問にお答えしたいと思います。

 防衛医科大学校の中核課題というのは、先ほど申し上げましたとおり、今後、戦傷医療対処能力の強化ということになろうかと思います。その意味で、今の防衛医科大学校の病院の方が、果たして、十分な医官、看護官を養成できているか、そういった基盤になっているかどうかということは、もう一回考え直さなければいけないというふうに個人的にも思っております。

 防衛医科大学校の病院については、そういった重要な臨床現場であるとともに、同時に、自衛隊中央病院が別個であるわけですけれども、こういった場所が対処困難な重症の隊員を受け入れるために、更に高度な先進医療を提供できる体制をつくっていく必要があると思います。

 そうしますと、この防衛医科大学校病院の機能強化というのは非常に重要な課題になりまして、今の委員の御指摘のとおり、経営の自由度をいかに高めるかという問題を含めて、今お話がありました独法化とか、それから、そういったものを含めまして、あらゆる選択肢を排除しないで、今後、経営の在り方、病院の運営の仕方というのを考えていかなければいけないというふうに思います。

 病院の機能強化を図るためには、抜本的に考え直しをしていくということを踏まえて、これから更に議論を進めていきたいというふうに思っております。

小森分科員 ありがとうございました。

 防衛医大には、他の医科大学とは違う特性があります。戦傷対策もそうであります。全く同様の制度を取り入れるということができるわけではありませんけれども、しかしながら、病院経営という観点から、自由度を高めて効率的に運営を行い、働く人たちが一層やりがいを感じられるようになること、そして、多くの患者さんたちを診療できるようにすることは、とても重要なことであるというふうに確信をしております。

 やり方を工夫して、政務官からは抜本的に見直してみるというお話もありましたけれども、よい解決策を見出していただくように検討して、そしてまた、関係の各方面とも調整をしていただくことをお願いしたいと思います。私も全力で応援をさせていただきたいというふうに思っております。

 最後に、一昨年末に防衛三文書が改定されまして、安全保障政策の大転換が図られております。現在、その二年目に入ろうとするタイミングでありまして、意欲的に掲げられた旗印の下、防衛力強化の各種の取組に魂を入れていく過程に、木原防衛大臣以下、当たっておられるところでございます。

 その際、今ほど取り上げました防衛医大附属病院を始め、自衛隊の衛生についてもバージョンアップを図っていく必要があるところでございます。自衛隊の医療スタッフの方たちが、例えば様々な症例に対する経験を積むことができることなど、やりがいを持って働くことができるような環境づくり、制度づくり、これが政治の責任であるというふうに思っております。

 医師としての経験も松本政務官は豊富でありますけれども、御奮闘、御活躍を心より期待しております。また、大臣にも、大変温かい答弁をありがとうございました。

 終わります。

牧島主査 これにて小森卓郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。金城泰邦君。

金城分科員 おはようございます。公明党会派、金城泰邦でございます。

 今日は、自見大臣におかれましても、お時間を取っていただきましてありがとうございます。可能な範囲で御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、通告に沿って質問を順を追ってさせていただきたいと思います。

 まず初めに、国立沖縄自然史博物館構想についてお伺いをいたします。

 現在、沖縄県では、国立沖縄自然史博物館の設立を目指す動きがございます。この動きについては、一般社団法人国立沖縄自然史博物館設立準備委員会は、一九五八年五月に日本学術会議から国に対して出された要望、仮称、自然史科学研究センターの設立について、これを源流とし、二〇一六年に日本学術会議から提言された「国立自然史博物館設立の必要性」を公表しました。提言の実質化を目指す中で、設立地として沖縄が最適であるという結論に至り、準備委員会が発足したとされております。

 また、国立自然史博物館の沖縄への誘致につきましては、糸洲朝則元県議会議員を中心に、我々公明党の県議会会派でも推進しております。具体的には、二〇一六年に、沖縄県議会定例会において、糸洲県議が沖縄県議会で初めて自然史博物館の誘致を提起しました。同年、沖縄県議会定例会にて推進協議会設置を提起し、二〇一七年、二〇一八年に県議会定例会にて再質問を重ねてまいりました。

 その上で、二〇一八年には、沖縄県による国立自然史博物館誘致基礎調査が実施され、二〇二二年には、沖縄復帰五十周年記念事業の一つとして、国立自然史博物館誘致推進事業を公表するとともに、沖縄県の新・沖縄二十一世紀ビジョン基本計画において、国立沖縄自然史博物館の設置促進を施策として掲げられております。

 このような取組もあり、ここ数年、毎年のように自然史に関する数々のシンポジウムや講演会などのイベントが開催されており、誘致の動きが活発になってきていると感じております。

 私も、国立沖縄自然史博物館の実現を切望しており、昨年四月には、沖縄及び北方問題に関する特別委員会の質問で取り上げさせていただきました。

 その際、文科省からは、このような大きな学術プロジェクトを進めるに当たっては、研究者や関係する学術関係機関が主体となって、戦略的、計画的に推進することが必要になると考えていると。また、本構想についても、当該研究者自らが、事業の内容や事業規模の妥当性などについて、学術研究コミュニティーのコンセンサスの形成を進めていただくことになると承知しているとありました。

 また、岡田前沖縄北方担当大臣からは、学術的な側面を含め、沖縄の自然が有する価値についてお認めいただいた上で、インバウンド誘致も含めた県の積極的な誘致活動については承知しているので、地元の声も聞きながら、状況を注意深く見守りたいとの趣旨の発言をいただきました。

 内閣府におかれましては、この一年間、沖縄での国立自然史博物館の誘致活動を注視していただいたかと思います。沖縄北方担当大臣に御就任されました自見大臣にお伺いをいたします。国立自然史博物館設置の沖縄への実現について、大臣の御意見や御感想、また思いなどをお聞かせいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 私はこれまで、公務として、沖縄担当大臣として、三度にわたり沖縄を訪問させていただきました。本島北部や離島地域にも足を運んでいく中で、沖縄が誇る大変美しい海ですとか、あるいは世界自然遺産である山原の森などの豊かな自然にも触れてまいりました。

 例えば、昨年末でありますが、北部地域への出張におきましては、国頭村のやんばる野生生物保護センターを視察をさせていただきまして、ヤンバルクイナなど、山原の絶滅のおそれのある野生動物の保護増殖事業やあるいは調査研究など、沖縄の生物多様性の豊かさや、あるいは、その土地の持っている歴史もそうであります、その重要性についてもお話を伺うことができました。

 沖縄は、本土とは異なる動植物相を有する豊かな森など、亜熱帯特有の貴重な自然環境に恵まれておりまして、学術的な側面やあるいは観光振興の観点を含めまして、こうした沖縄の自然が有する価値は大変貴重なものであると考えてございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、国立の博物館の設置となれば、当然ながらクリアしなければいけない問題も多くございます。委員御指摘のとおり、まずは文部科学省におきまして一義的に対応されるものと認識はしてございますが、私自身も、沖縄県が積極的な招致の活動を展開していることはもちろん十分承知をしておりまして、また、沖縄が誇る生物多様性の豊かさですとか、その重要性がより多くの方に理解をされるということ、また、この豊かな自然が次の世代にもしっかりと引き継がれていくということが非常に重要であると考えております。

 引き続き、御地元の方々のお声もしっかりと伺いながら、状況を注意深く見守ってまいりたいと考えてございます。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 この自然史博物館、博物館となると文科省の所管になるかと思います、直接には。たしか今、奄美と沖縄で世界自然遺産に登録されて、奄美では、アマミノクロウサギを展示したりする環境省の施設があります。また、西表島にも、イリオモテヤマネコに関する展示をしている施設があります。沖縄本島には、まだそんな関連のものはありません。それを誘致することで、沖縄の振興、地域の振興ということで、つながる発展が自然史博物館を通じて推進していければという思いがありまして、我が公明会派としても力を入れてまいりますので、是非応援いただければと思います。ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 首里城復元におけるバリアフリー化についてお伺いをいたします。

 首里城復元につきましては、政府の皆様を始め、全国の多くの方々からの寄附や募金、ボランティアの方々の御協力など、大変多くの方々の御支援を賜っており、深く感謝しております。ありがとうございます。

 その後、現地を視察させていただき、復元工事を見ながら、首里城の歴史や建築技術に触れられる、見せる復興の取組に感動いたしました。首里城焼失後、元国交大臣の太田昭宏元大臣も一緒に見に行った際に、これは見せる復興という位置づけでやることが非常に重要だという提言もいただきまして、その後、内閣府の歴代大臣におきましてもしっかりと推進していただいていることを感謝申し上げます。

 昨年十二月に沖縄及び北方問題に関する特別委員会において取り上げさせていただいた、首里城のバリアフリー化の取組につきましても、電動車椅子の増強や自動運転車両の走行実験など、積極的に内閣府の皆様に取り組んでいただいておりました。大変にありがとうございます。

 とりわけ、自動運転車両の走行実験につきましては、先週、実際に私も乗車させていただきました。車内の様子や車両からの景色など体感させていただくことができました。

 今回走行していた自動運転車両は、車両側面にもディスプレーが設置されており、首里城公園内を歩いている観光客の皆さんも楽しませてくれるようなデザインであり、バリアフリー化だけでなく、首里城の広報メディアとしても効果が高そうな印象を受けました。

 しかしながら、こちらの自動運転車両のサービス実装はまだ未定とのことですので、是非、こちらの自動運転車両の導入について前向きに推進していただきたいと考えておりますが、政府のお考えを伺いたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 まずは、金城委員におかれましては、昨年の十二月の委員会におきましても、質疑の後、二度にわたり熱心に首里城を御視察いただきまして、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

 首里城の復元に当たりましては、全ての人々が安全、快適に利用できるよう、関係団体の御意見も丁寧に伺いつつ、様々なバリアフリーに対しても取り組んでいるところでもあります。

 このうち、公園内の移動を援護いたします自動運転車両につきましてでございますが、実証実験を昨年度から実施をしているところであります。

 今年度も、今月の二十三日から開始をいたしまして、人員体制や、あるいは料金水準など、持続可能な運営体制についての検証を進めているところであります。

 今後、実証実験の結果を踏まえつつ、移動経路がまたがる県営の公園がございますので、この公園を管理するのは沖縄県でございます、沖縄県や、実際の運営を担う公園の運営維持管理業務の受託事業者との間で、実績ですとか、あるいは課題といったものをしっかりと共有させていただきながら、本格導入に向けた検討を進めてまいりたいと存じます。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今日も、この首里城復元の、沖縄の地元経済界の方々が中心に作ったバッジでございまして、皆さんも頑張っております。国の支援にも感謝しておりますし、首里城公園を管理するのは、国もやっていただいていますが、沖縄県の方も美ら島財団に対してお金を出してやっていますので、国と県合わせてこの運営について応援をしていただくことが私は大事だと思っておりますので、また力を共に合わせて首里城復興に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。

 続きまして、自見大臣の所信表明でも述べておられました北部及び離島の振興に関連して、超小型モビリティーの北部振興や離島への導入支援についてお伺いします。

 近年、沖縄県では、超小型EVモビリティー車の開発を行っている企業が数社ございます。沖縄のような島嶼県においては、一日の走行距離も限られ、道幅が狭い道路も多いため、日常の交通手段としてコンパクトカーの利便性が高い地域もございます。また、バッテリー搭載の超小型EVモビリティー車、これを導入することによって、高騰するガソリン代の節約、観光での利活用や停電時の電源確保など、地域振興の観点において有益な取組となるでしょう。また、世界自然遺産に登録された沖縄本島北部及び西表島における環境に配慮したモビリティーとしての活用も期待できます。

 超小型モビリティーであれば、一般的な型式指定を取得するよりも比較的容易に取得できる認定制度というものがあると伺っております。沖縄北部や離島での超小型モビリティーの導入が成功しましたら、安心、安全な移動手段、災害時の電源などで全国の過疎地域の交通課題、災害対策にも活用が可能になるとともに、地場の自動車メーカーが生まれ、地域経済の活性化にも寄与できるようになるかもしれません。

 超小型モビリティーの認定制度の詳細に加え、このような地域振興に資する新たな取組を推進する国の施策がありましたら、御説明をお願いいたします。

久保田政府参考人 お尋ねいただきました超小型モビリティーにつきましては、国土交通省といたしましても、環境に優しく、観光や地域振興の観点からも有効であると考えております。このため、モビリティーの特性に応じた制度を設けて、開発、普及を支援しているところでございます。

 具体的には、大量生産される超小型モビリティーにつきましては、走行速度は通常の軽自動車よりも遅いことから、衝突試験の速度を低くするということをやっておりまして、通常の軽自動車の安全基準よりも緩和した基準で型式指定を受けやすくしております。

 さらに、少量生産の超小型モビリティーにつきましては、地方公共団体等が運転者への教育を行うという安全措置を講じることなどを条件として衝突試験を不要とするという内容の認定制度も設けておりまして、地域のニーズに応えられるようにもしております。

 国土交通省では、これらの制度を通じまして、今後とも、環境に優しい超小型モビリティーの開発、普及を支援してまいります。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の超小型EVモビリティー、これは従来の自動車よりもコンパクトな、近距離移動に特化した次世代の交通手段であり、カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、地域における新たなモビリティーサービスとして様々な活用可能性があるものと承知しております。

 そのため、経済産業省といたしましては、これまでも、国土交通省の型式指定を取得した車両であることを前提に、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金において最大三十五万円補助するとともに、新たなモビリティーサービスの社会実装やその高度化を目指して意欲的に挑戦する地域の実証に対して支援するなど、超小型EVモビリティーに対する取組を支援してきたところであります。

 引き続き、超小型EVモビリティーを含む電動車の導入支援、充電インフラ整備、次世代電池やモーターなどの電動車に関する研究開発など、自動車分野の電動化に向けた取組を総合的に進めてまいります。

金城分科員 このような形で、自然をしっかりと守る意味でも、沖縄北部地域のような世界自然遺産に登録されているような地域、また小さな小規模離島、そういったところで、電動のEVのモビリティー、これを推進していただく上でも、島々の自治体の方々、首長の方々との円滑な認可の推進など、道路使用の指定とかも必要だと伺っていますので、そういったことにもしっかりとまた声を聞いていただいて、また、それを購入して活用したいという方への、ユーザーへの支援も、経産省の方には後押しをしていただくことによって、交換電池の、いろいろなタイプの車両でも使えるような電池なども自動車メーカーが今開発しておりますので、そういった部分も推進して後押ししていただければと思います。

 そういった部分は、離島県の沖縄でも大変有効であると思います。もし、大臣、よければ一言。

自見国務大臣 お答えいたします。

 超小型EVモビリティーにつきましては、先ほど、それぞれの参考人からお答えいただきましたけれども、国土交通省や経産省におきまして、それぞれ全国的な取組として導入、そして促進が進められていると承知をしております。

 このため、まずは両省の動きを注視していくことが基本とはなりますが、超小型EVモビリティーは、委員御指摘のとおり、地域振興に資するものと考えております。私も、先ほど申し上げたとおり、沖縄担当大臣として、本島の北部ですとか、あるいは離島地域に足を運ばせていただく中で、やはり狭い道が大変多くあったということや、あるいは、その中でも、特に、やはり御高齢の方や子供たちもたくさんおられますので、安心、安全な移動手段が求められている地域、それから環境への配慮が特に求められる地域などを目の当たりにしてきたところでありまして、委員の問題意識、よく理解できているというふうに思ってございます。

 沖縄担当といたしましても、クリーンエネルギーの導入促進、あるいは離島や北部地域の実情に応じて市町村が行う各種振興策に対する支援などの取組を行っているところでございまして、事業者やあるいは自治体から御相談をいただければ前向きに検討してまいりたいと思います。

金城分科員 大臣、非常に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次の質問に移りますが、今度はヤギの話題なんですね。またこれは非常にローカルな話なんですけれども、沖縄の郷土料理、ヤギ汁を始めとした、ヤギを食する食文化の推進を通じた沖縄振興をしていきたいと思っておりまして、その点についてお伺いしたいと思います。

 沖縄では、祝いの席や懇親の場などで、ヤギの肉を使った料理を食する文化があります。県民に広く愛されておりまして、多良間島や伊平屋島のヤギは特においしいと有名でありまして、地元の人だけでなく、多くのヤギ肉愛好者から評価されていると伺っております。

 加えて、ヤギは、日本の中でも沖縄県で特に多く生産、消費されている地域性の高い食材であり、ヤギを食する文化を全国へ普及推進することは、沖縄振興、離島振興にもつながるものだと可能性を感じております。

 このようなヤギの生産、消費に関するデータについては、牛、豚、鳥などの主たる家畜のように広く知られてはおらず、ヤギのポテンシャルについては余り認知されておりません。そこで、当委員会で、農林水産省において収集しているヤギに関するデータを御紹介いただき、政府におけるインバウンドや観光需要も含めたヤギ肉に対する見解について御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

関村政府参考人 お答えします。

 令和四年のヤギの飼養頭数については、全国で三万一千頭、うち沖縄県が約一万頭、飼養戸数については、全国で五千七百戸、うち沖縄県が約一千百戸となっております。また、令和四年度のヤギ肉の国内生産量については約九十三トン、うち沖縄県は七十五トンとなっており、全体の八割を沖縄県が占めております。

 なお、ヤギ肉の輸入量については、令和四年度、四百八十八トンで、国内生産量と合わせた消費量は約五百八十一トンとなっており、近年、訪日観光客やハラルフードの需要増加等から、消費量は増加傾向となっていると承知しております。

金城分科員 ありがとうございます。

 今、ハラルにも非常にいいという話もありましたが、ちなみに、沖縄担当、自見大臣は、ヤギを食したことはありますでしょうか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 ございます。国会議員になる前に宮古島を訪れたときに、大神島に行って、地元の方が食べているヤギ汁を勧められまして、大変インパクトのある、風味の強いものでありまして、ヨモギを大量に入れて、おいしくいただきました。ありがとうございました。大変貴重な経験をさせていただきまして、観光客にとっても印象に残る思い出となっております。

金城分科員 大臣、もう本当に、沖縄の様々な経験をしていただきまして、ありがとうございます。

 次に、ちょっと質問が変わりますが、那覇空港の発着便の空港駐車場の整備についてお伺いいたします。

 私は、沖縄が地元ということもありまして、毎週、那覇空港を利用しております。最近は、航空便の離発着の遅れが常態化しているように感じております。航空会社のスタッフに遅延理由について伺ったところ、人手不足などの影響もあるかとは思いますが、空港駐車場が慢性的に混んでいるということで、少し離れた駐車場に車を止めざるを得ず、想定していた搭乗時間に間に合わないケースも少なくないようであります。

 沖縄県の空の玄関である那覇空港において航空便に遅れが生じることは、将来的な沖縄県への国際会議やイベントなどの誘致や、その他のビジネス利用、観光需要などの潜在観光客に支障を来すと考えます。是非、那覇空港発着便の遅延の一因ともなっている空港駐車場の整備、増設に取り組んでいただきたいと思います。政府のお考えを伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 これまで三度にわたりまして沖縄に公務出張いたしました際には、いずれも那覇空港を利用しておりますが、コロナからの観光客の回復も相まって、空港ターミナルは大変にぎわっておりました。そして、那覇空港の利便性の向上は、委員御指摘のとおり大変重要であると考えてございます。

 こうした認識の下、内閣府におきましては、現在、国際線ターミナル地域再編事業などを実施しているところであります。また、空港駐車場の整備、増設につきましては、那覇空港ビルディング株式会社におきまして、新たな立体駐車場の整備を予定していると伺っているところでもございます。

 内閣府といたしましても、こうした取組と連携をいたしまして、空港の利便性の向上に向けて、ターミナル地域の機能強化をしっかりと推進してまいりたいと考えてございます。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 これまでの、今取り上げてきた北部振興を始め、様々な沖縄振興も、入口は那覇空港でございますので、その入口の整備、是非力を入れていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、最後の質問ですが、私の地元沖縄、南西地域の防衛体制強化に伴う具体的な支援の取組、これについてお伺いしたいと思います。

 二〇二二年十二月に閣議決定されました防衛三文書の発表の際に、岸田総理から、南西地域を指定した防衛体制強化の方針が示されました。

 これを受け、南西地域に当たる私の地元沖縄では、武力攻撃事態の発生という、自治体単独では対応が難しい大きな課題に対する緊迫感が高まっております。

 今月の十九日には、八重山の石垣、竹富、与那国の三市町が、武力攻撃事態が発生した際に円滑に連携し、迅速に対応するため、八重山地区武力攻撃等相互応援協定を締結しました。

 この協定は、国境近くで海に囲まれた島々から成る八重山地域では、救援物資や避難手段の確保が困難になることが予想されるため、国や県との連携にも取り組むものだと伺っております。

 しかしながら、現時点では、地元紙の報道によれば、自治体の応援要請を基に、職員派遣や衣食住の提供、医療支援など多岐にわたるものを三市町相互に支援する形となっており、費用は要請した自治体の負担になるとの報道です。

 政府として、人や物の支援に加え、財政的な支援を含めた丁寧な支援体制を構築していただけないでしょうか。

 また、内閣官房が確保した、有事に住民が避難するための避難施設の整備に向けた令和五年度補正予算につきましても、総額一・八億円で、事業規模にもよるとのことですが、およそ二、三団体を想定するものといった試行的な事業にとどまっております。

 三月末にシェルター設計のガイドラインや政府の基本的な考え方を公表するとのことですが、現時点では、対象地域についての指定はありません。

 防衛三文書において、政府として南西地域の防衛体制の強化を図っています。令和五年度補正予算における避難施設整備の対象地域は南西地域を指定すべきであります。政府の考えをお伺いいたします。

門前政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、令和四年十二月、国家安全保障戦略を決定をし、国、地方公共団体等が協力して国民保護のための体制を強化することとし、南西地域を含む住民の迅速な避難を実現すべく、円滑な避難に関する計画の速やかな策定や様々な種類の避難施設の確保等を行うことといたしております。

 こうしたことも踏まえまして、沖縄県の国民保護に関しましては、離島からの避難という困難性もあり、国として、沖縄県及び関係市町村をしっかりと支援をしているところでございます。

 具体的には、沖縄県八重山地域の三市町を始めとする先島諸島の五市町村及び沖縄県等と協力し、武力攻撃予測事態に至った場合の離島からの住民の避難につきまして、先月三十日、令和四年度に引き続き、二回目の図上訓練を実施したところであり、令和六年度も引き続き積極的に支援をすることといたしております。

 また、委員御指摘の三市町による相互応援協定は、令和四年度来のこうした関係者の連携による検討、訓練の成果と認識いたしておりますけれども、同協定における費用の負担につきましては、武力攻撃事態等において地方公共団体が行う国民保護措置の実施に係る費用は、国民保護法に基づきまして、原則として国が負担することとされているところでございます。

 次に、御指摘いただきましたいわゆるシェルター、一定期間滞在可能で堅牢な避難施設につきましては、昨年十一月、その整備に向けた設計の支援等に必要な予算を国費として令和五年度補正予算で確保をしたところでございます。

 今後、御紹介いただきましたとおり、今年三月末を目途といたしまして、シェルターが備えるべき構造、設備等に係る設計ガイドライン等、整備に係る基本的な考え方を策定する予定といたしております。これらの中で、シェルターを整備する地域に係る基本的考え方についても検討を進めているところでございます。

 引き続き、関係府省庁が緊密に連携しながら、地方公共団体の取組を支援することにより、国民保護の実効性向上に努めてまいりたいと存じます。

金城分科員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧島主査 これにて金城泰邦君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、平主査代理着席〕

平主査代理 次に、奥下剛光君。

奥下分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下剛光です。本日はよろしくお願いいたします。

 では早速、大学の先輩でもある大臣にちょっとこんなことをお尋ねするのも恐縮なんですけれども、まずは、日本学術会議の在り方、法人化についてお尋ねしたいと思います。

 まず、学術会議に求められているものは何なんでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 日本学術会議法の前文において、日本学術会議は、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命として設立されるとされております。

 また、同法第二条におきまして、日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とするとされているところでございます。

奥下分科員 そういうふうに当然なっているんですけれども、であるならば、ALPS処理水の海洋放出時に、なぜ十分な反論をしていただけなかったのでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 日本学術会議では、これまで、ALPS処理水の処分の問題について直接取り扱った意思の表出は行っておりません。

 日本学術会議が行う意思の表出には、個別的政策課題に具体的な意見や選択肢を提供、提示することも含まれますが、独立した立場からより広い視野に立った社会課題の発見や、中長期的に未来社会を展望した対応の在り方の提案が期待されているものと考えております。

 課題の設定に際しましては、学術会議の内部でのボトムアップの視点と、広く社会からの課題解決への要請などを勘案した取組が必要と考えておりまして、リソースが限られる中で、中長期的視点、俯瞰的視点と分野横断的な検討を要するものであるかとともに、課題の重要性、緊急性を踏まえながら検討すべきものと考えているところでございます。

奥下分科員 では、担当省庁は、そのとき意見は求められなかったんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術会議は、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とされているものと承知しております。

 他方、ALPS処理水の処分ですけれども、福島復興の大前提となる福島第一原発の廃炉のために避けて通れない課題だと認識しております。

 このため、政府の委員会におきまして、技術的成立性や規制的成立性、風評影響などの社会的観点から、適切な処分方法について六年以上にわたりまして議論が行われ、最終的に、国内で実績があり、モニタリングを行いやすい海洋放出が現実的でより確実な対応であると報告書が取りまとめられております。

 さらに、原子力分野において、国際的な安全基準の策定、適用を行う権限を有します唯一の国際機関であるIAEAによるレビューを受け、昨年、包括報告書において、ALPS処理水の海洋放出は国際安全基準に合致し、人及び環境に対して無視できるほどの放射線影響と結論づけられております。

 このため、日本学術会議に対しまして、ALPS処理水の海洋放出についての意見は求めていないところでございます。

奥下分科員 ありがとうございます。

 そうしましたら、昨年の年末に、日本学術会議の法人化に向けて閣議決定されたと思いますが、法人化に向けてのタイムスケジュールをお教えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 学術会議の法人化に向けてのタイムスケジュールということです。

 今先生御指摘ありましたとおり、学術会議の見直しについては、昨年十二月に、有識者懇談会の中間報告を踏まえて、内閣府として、日本学術会議を国から独立した法人格を有する組織とするという方針を決定したところでございます。

 ちなみに、その理由としては、中間報告の中では幾つか挙がっていまして、まず、学術会議の使命、目的を踏まえると、独立した立場から政府の方針と一致しない見解も含めて政府に助言を行う機能を果たす必要がある、そうすると、政府の機関であることは矛盾を内在していると考えられる、それから、会員選考の自律性の観点からも、主要国のように学術会議が選考した候補者が手続上もそのまま会員になる仕組みの方が自然だろう、また、国の機関のままでの改革には制度面でも財源面でも限界があるけれども、人事、組織の制度、会計法令などによる厳格な制約から外れるということで制度的な障害をクリアできる、そのようなことが指摘されておりました。

 それから、法人化により活動の拡大強化などなど可能性が広がる一方で、国の組織でないといけないという具体的な制度上のデメリットも確認されていなかったということでございました。

 いずれにしても、今後、先ほどの方針に基づいて、学術会議の意見も十分に聞きながら、法制化に向けた具体的な検討を進めていくということにしております。現在、その検討体制について調整をしているところでございまして、なるべく早く準備を整えて速やかに開始したい、そういうふうに考えております。

奥下分科員 ある程度タイムスケジュールを切って、逆算して、いつまでというふうな明確なビジョンを今後お示しいただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 法人化後の財政について、政府方針に必要な財政は行っていくと明記されておりますが、どれぐらいのボリューム感を考えておられるのでしょうか。

笹川政府参考人 法人化の予算のボリューム感という問いでございました。

 御指摘のように、学術会議の財政基盤については、昨年十二月、政府の方針をまとめています。その前提となりました中間報告においては、学術会議の目的というのは、そもそも科学の向上発展、それから、国民、政府を含む社会が行う合理的な判断等に貢献するということであって、懇談会としては、学術会議がそのような使命、目的に沿って活動して、期待される機能を十分に発揮するという前提の下で、国もその活動を保障し支援する責務を負う、そういう理解になっております。

 それから、学術会議、ナショナルアカデミーの意義それから性格を踏まえて、政府が必要な財政的支援を継続して行うことの重要性というのも懇談会の中で触れられているところでございました。

 それで、具体的なボリューム感につきましては、この中間報告、それから今御指摘あった政府の方針に基づいて、今後、学術会議の意見を聞きながら、法制化に向けた具体的な検討を進めてまいりますというふうにしか現時点では申し上げられないところでございますけれども、いずれにしても、御指摘いただいた政府の方針の中にございますとおり、まず、学術会議が国民から求められる機能を適切に発揮するために必要な体制を整備して、学術会議は、活動、運営の活性化、独立性の徹底という観点からも、財政基盤の多様化に努める、そういう努力も必要である。その上で、政府としては、御指摘ありました必要な財政的支援を行う、それから、外部資金獲得の支援に必要な措置も検討していきたいということでございます。

 先ほどの点と併せて、なるべく早くスケジュール感等々をお示しできるように頑張っていきたいと思っております。

奥下分科員 日本は今まで、全額、約十億円の予算を毎年取られておりまして、海外では大体七割から八割程度ということで、それがいいか悪いかどうかは別として、これも次の質問に関わってくると思うんですけれども。

 有識者の報告を踏まえて、光石さんは、独立性、自律性が担保されていないのではないかという大きな懸念を抱かれているという発言をされているんですけれども、学術会議が言う独立性、自律性とは何なんでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 日本学術会議におきましては、令和三年四月の総会において決定した「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」において、ナショナルアカデミーとしての機能を適切に発揮する上で、活動面での政府からの独立や、会員選考における自主性、独立性等が満たされる必要があるとしております。

 その上で、現行の日本学術会議法におきましても、活動面での政府からの独立につきましては、職務遂行に当たっての独立、内部管理の独立、内部規則制定権、また、会員選考における自主性、独立性については、会員選考に当たっての自主性、独立性、会長の選考に当たっての自主性、独立性について盛り込まれているところとしております。

奥下分科員 担当閣僚任命の外部有識者による評価委員会を設置して、運営状況などを評価することを盛り込んではおられるんですけれども、これを、独立性を阻害しかねないという、反発する声が中に強いというふうに聞いております。先ほど申し上げたように、税金を投入する以上、外部評価は不可欠だなというふうに考えておりますので、こちらもきちんとしっかりやっていっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、会員の任期についてお尋ねしたいと思います。

 海外では終身制がスタンダードのようですが、日本では、今後、法人化を含めてですけれども、議論されていくのかどうかを含めて、会員の任期についてはどのようにお考えなのでしょうか。

笹川政府参考人 ありがとうございます。

 法人化後の会員の任期ということでございます。これにつきましては、御指摘のとおり、検討が必要だということを中間報告でも書き、政府の方針の中でも書いております。

 中間報告の中で言っているのは、六年という比較的短い任期の中でコオプテーション方式により会員選考を行う今の制度は、学術会議の活動、運営への会員の習熟、それから、短い期間で再任なしとすることによる人材枯渇のおそれ、さらに、諸外国のようなメンバーシップ制に由来する慎重かつ厳格な選考の要請という観点からは、必ずしも最適であるとは言い難いというふうにされているところでございます。

 一方、中間報告の中ではもう一つ書いていまして、仮に現行の任期、再任の仕組みを見直す場合には、会員構成の硬直化という逆の面での弊害が生じないように配慮する必要もあるというようなことも記されているところでございます。

 いずれにしても、懇談会、それから政府といたしましては、学術の進歩ですとか社会の変化が学術会議の活動、運営に自律的に反映されていくような仕組みが重要であり、そういったものを整えていくことが肝要だというふうに考えております。ほかの論点も含めて、引き続き、学術会議の意見も聞きながら、丁寧に議論を進めてまいりたいと思っております。御理解よろしくお願いします。

奥下分科員 同会議は、一九五〇年と六七年に、軍事目的のための科学研究を行わない旨の声明を出されております。この声明のために、防衛力の充実に関する研究を阻害する要因になってきたと考えていますが、大臣の御所見をお聞かせください。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の声明について、日本学術会議におかれては、いわゆるデュアルユースに係る研究のような安全保障に資する研究を一律に禁止するという趣旨のものではないと説明しておられると承知をいたしております。

 また、令和四年七月に、当時の梶田学術会議会長名で、今日の先端科学技術、新興科学技術は、従来のようにデュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難であり、研究対象となる科学技術をその潜在的な転用可能性をもって峻別し、扱いを一律に判断することは現実的ではない、こういった考えが示されたところでございます。

 加えて申し上げると、学術会議からは昨年九月に、用途の多様性、両義性、いわゆるデュアルユースでございますが、これを有する先端科学技術、新興科学技術に係る研究が大学の研究機関で円滑に実施される方策について見解が取りまとめられたところでもございます。

 今後、この見解が大学等の研究機関の現場にしっかりと浸透をし、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などにつながることを期待をしているところでもございます。

奥下分科員 ありがとうございます。

 報道ベースで見ていると、日本学術会議の方々の発言を読み解くと、なかなか、法人化に向けて後ろ向きな発言をされているのかなというふうに感じておりました。

 先ほどから質問させていただいたように、スケジュール感もそうですけれども、予算であったり、独立性、自律性なんですけれども、同会議は、国の責任で安定的な財政基盤が確保されるようにすべきだと要求をされておられます。独立性を強調するなら、国費に依存せず、自ら財政確保するのが筋だなというふうにも思っております。国民総意の下に設立されるというふうにも定められておりますので、是非、できるだけ、法人化は当然なんですけれども、政府は国費投入をなるべく最小限に抑えられるように努めていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 そうしましたら、大臣にはここで御退席いただいても結構ですので。ありがとうございました。

平主査代理 それでは、松村国務大臣、御退席いただいて結構でございます。

奥下分科員 次に、国会・霞が関改革についてお尋ねしたいと思います。

 私がこの世界に秘書として入らせていただいたのが約二十六年前でして、そのときからずっと変わっていないなというのがありまして、それが、予算書等のペーパーレス化が全然進んでいないなというふうに感じております。

 今日の初めの御説明もそうですし、こうやってペーパーが毎回積まれて、予算書も冊子になって、大体、読まれている方は少ないんじゃないかな。そのまま会館のごみ捨場に捨てられているというようなことが秘書時代から多々見られていたんですけれども、これは何が問題となって進んでいないのでしょうか。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 予算書のペーパーレス化ということでございますが、平成十二年から財務省のホームページに掲載され、利用者の方によるエクセルなどによるデータの取得も可能となっておりまして、そうした扱いと現在なっているということでございます。

 ただし、国会への提出につきましては、衆議院規則におきまして、「内閣から提出された議案」、この中には予算案も含まれると思いますが、「議長は、直ちにこれを印刷して各議員に配付する。」という規定がございますことから、予算書の場合で申しますれば、印刷された予算書が、予算案提出と同時に国会に納入され、各議員の方々に配付され、書面で閲覧することが可能となっている、そういうことだと考えてございます。

奥下分科員 今、国会でDX化を言われている中、これは本当に、定められているのは分かっているんですけれども、この二十何年間そこを議論されてこられなかったのかなというふうな思いです。これから、SDGsも叫ばれる中、このペーパーレスは本当に必要だというふうに思っておりますので、これは党派を超えて御提案していきたいというふうに思っております。

 次に、衆議院本会議における押しボタン投票導入について、これは可能なのでしょうか。

岡田事務総長 衆議院本会議における押しボタン式投票の導入につきましては、二十年前ほどの議論になりますが、当時の議院運営委員長の意向を受けまして、平成十六年から十七年に、議院運営委員会の理事間及び各党間で協議をされましたところ、当時は、その意義を認識しつつも、現状の採決方法を変更するほどのメリットがあるとは考え難いとの結論でございまして、同年の六月十日の議会制度協議会において継続協議の扱いとなり、その後、表立って議論が進んでいない状況にございます。

 ただ一方で、国会のデジタル化につきましては、現在、議院運営委員会の各会派代表者による検討会が設置をされておりますので、本件を含みまして、問題提起もございましたので、御議論が進んでまいるものというふうに承知してございます。

奥下分科員 ありがとうございます。

 こういったときに、導入するに当たり、大体、予算はどうするのだとか、そういう話にもなってくると思うんですけれども、今、BYODとか、自分のタブレットを使ってという、ただ、これは、総務省の発表では、普及率はまだ一〇%ぐらいであると認識しておりますが、情報セキュリティーの面でもリスクを切り離して考えられないということが多分最大の問題だと思うんですけれども、BYODを含めて、こういったことを進めていっていただけたらなというふうに思っております。

 次に、地方公聴会の在り方についてお尋ねしたいんです。

 まず、そもそも、なぜ地方公聴会を行っているのでしょうか。

岡田事務総長 いわゆる地方公聴会は、委員会の法案審査の過程において委員派遣を行った際に、現地で利害関係者や学識経験者などから意見聴取を行う機会を設けるものでございまして、これまでも、多々、委員会活動の一環として活用されてきているところでございます。

奥下分科員 ありがとうございます。

 地方の声を聞くというところが大事なんだというふうに認識しております。

 先日、地方公聴会に参加させていただきました。国会日程が定まらない中で、ばたばたと、設営された皆さんもそうですけれども、大変だったと思うんですけれども、地方の声を聞くということが一番と考えるなら、これはリモート化してどんどん回数を増やす方が予算的にもいいんじゃないかなというふうに思っております。

 今回の地方公聴会、金沢と長崎でかかったのが約六百五十万というふうに聞いておりますが、全体の予算の中では少ないかもしれませんけれども、こういったことも改革一つで変えていけるんじゃないかなと。今まさに、金額じゃなくて、こういったことに取り組んでいく姿勢が求められているんじゃないかなというふうに思っておりますので、これから、地方公聴会の在り方を含めて、また検討していけたらなというふうに思っております。

 次に、国会内の通信インフラ整備についてお尋ねしたいんです。

 これだけDX化を言っている中で、やはりこの国会内のインフラ、通信のインフラがまだまだちょっと脆弱だなというふうに感じております。それがゆえに、各マスコミさんもそうですし、各政党でも、それぞれがまたWiFi等を引いて、そこに努めている感じなんですけれども、今後、ここに対する改善点というのはある、できるんでしょうか。

岡田事務総長 今、脆弱というお話をいただきましたが、いわゆる通信インフラの整備、特にオンライン審議、オンライン会議に資する通信インフラの整備といたしましては、院内の諸室に、有線によるインターネット回線、一般の光回線を漸次整備を進めているところでございます。相当程度のところが整備済みになってございます。

 また、議会運営に係る調査等の利便性向上を図るための通信インフラ整備といたしましては、議員と議員秘書等を対象として、諸室等に衆議院WiFiを整備済みでございます。

 なお、有線によるインターネット回線、それから衆議院WiFiの双方とも、現時点で通信速度に支障があるとは伺っておりませんが、いずれにいたしましても、DXの活用、推進に合わせまして、今後のDXに関する先生方の御議論も踏まえながら、必要な通信環境を整備、検討してまいりたいというふうに存じます。

奥下分科員 大阪府では、橋下知事時代に、IT化を進めようということで、全議員にiPadを配りました。そのときに、使用方法として、iPadに当然使用方法が出てくるんですけれども、御高齢の先輩議員たちは、この説明書を打ち出してくれと。じゃ、何のためのIT化なのか分からない。けれども、こういった打ち出しの紙代含めて必要経費として見込んでいても、そちらのIT化に進めていく方が将来的にはコストが安い。それのために、やはりそのインフラも整備していかないといけない。

 国会で働かれている皆さんのどこまでをカバーするのかという問題はあるかもしれませんけれども、是非、皆さん、霞が関からも来られて、御自身でWiFiを持って使われている方もいらっしゃいますし、幅広い方が御利用できるようなインフラ整備を整えていっていただけたらというふうに思います。

 先ほど、ちょっと時間が余ったので申し上げさせていただくと、本当に、今政治に求められているのが、こういった金額の大小なしの改革だと思うんです。学術会議もそうですけれども、今、学術会議の委員をやられた方の終わった後のフォローまでされるような予算が入っておりますけれども、やはり、そういったことに使うのであるならば、今、自衛隊の皆様が引退された後、こういった方々の方に予算を回してあげる方が、やはり国民の皆さんは納得されるんだというふうに僕は思っております。

 これからの時代、税金、どうしても、昨日も議論がありましたけれども、必要なものは必要といって、その税の使い方をどうするのか、これを可視化して国民の皆様に理解を求めていく方が僕はこれからいいんじゃないかなというふうに思っておりますので、どうぞ党派を超えてこういったことに御協力いただけたらなというふうに思います。

 時間、ちょっと早いですけれども、これにて私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平主査代理 これにて奥下剛光君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。一谷勇一郎君。

一谷分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。大臣、委員長、どうぞよろしくお願いをいたします。

 また、本日、この質疑に対して、我々日本維新の会は、質疑を行う二日前の夕方五時までにしっかり終わらせるということを、これはすごく注意をされておるんですが、今回ちょっとスケジュール的にかなり皆さんに無理をかけてしまいまして、昨日の深夜までメールをいただいて本当にありがとうございました。

 本日、私が議論させていただきたいのは、医療船についてであります。

 私は、選挙区が神戸ということもあり、阪神・淡路大震災を経験した地域でありますけれども、その際に私はこの医療船の話が出てきたんだと思っておりましたが、調べてみますと、平成三年、一九九一年に早くも多目的船舶調査検討委員会が関係省庁の方で立ち上がっておりました。しかし、議論をいろいろしておられたと思うんですが、やはり平成七年の阪神・淡路大震災のときに、多目的船舶基本構想調査委員会というところで実務家の方も入れて議論が始まったというふうに、資料を読んで分かりました。

 そこで、やはり一番大きなターニングポイントを迎えたのは、東日本の大震災。このときに初めて災害時という文言がつきまして、災害時多目的船に関する検討会が立ち上がっております。

 私は、民間時代から、この医療船については有識者の方と何とか実現したいということでやってきたんですけれども、話がぐっと盛り上がっては下がっていく、また盛り上がっては下がっていくというのを繰り返しているのではないかというふうに思います。

 実際、私が二年前に国会に来させていただきまして、まず入れていただいたのが医療船の議連であり、そして、初めて議連の勉強会に出たのもこの医療船でした。

 そこで、今回本当につらい能登の震災が起こりましたけれども、もう一度やらないといけないのではないかという話になっていると思うんですが、ちょっと少しやはり私は国会に来てみてこの医療船、トーンダウンしていたんじゃないかなというふうに思いますので、今日の質疑を通して、必ずこの医療船を成し遂げて、南海トラフや都市の直下型の震災、また、これから私たちが経験したことのない災害に向けて準備を続けていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、失礼かとは思うんですが、多忙を極めておられますので、災害時における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律を大臣がまず知っていただいているかという点と、加えて、災害支援を考えた場合に、どういった災害を想定してこの医療船、災害時多目的船を構想しているのか、また、いろいろな類型に分けていかないといけないと思うんですが、そういった検討は進んでいるかということを松村大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

松村国務大臣 まず、御指摘の法律についてでございますが、今委員からもお話がございましたが、我が党でも長年にわたって議論がございました。先ほど衛藤委員もいらっしゃいましたが、衛藤先生におかれては、まさしく党の議論を引っ張ってこられたお一人でもあります。

 委員におかれても、今回のこの法律に関しては、超党派の議連で令和三年にでき上がったと理解をしておりますし、議論をリードいただいたものと思っております。そういう意味では、大変重要な法案であるというふうに思っております。

 なぜそう思うかというと、現在私は防災担当をいたしておりまして、熊本地震でありますとか水害、そして今回の能登半島地震、ここでやはり海路からの支援体制、医療体制、こういったものの重要性を改めて再認識をいたしておりまして、この法案につきましては、準備室を設置いたしまして、私の下で今議論を進めておるところでございますが、更に議論を、能登半島地震も踏まえた上で、いろいろな議論をしていく必要があると思っております。

 また、今後、発災時の具体的なマニュアルの策定を進めますとともに、今回の地震も参考にせねばなりませんし、御指摘の南海トラフ地震や首都直下地震、こういったものも、思考停止することなく、いろいろな想定をした上で、どんな活用ができるか、船舶でどんな利用ができるかということをやっていかなければならないと思っております。

 そういう意味では、今日はいろいろな御議論の中で御指摘いただけるもの、御示唆いただけるものがあるものだと思っておりますので、それもまた参考にさせていただきながら、しっかりと準備を整えてまいりたい、このように考えております。

一谷分科員 ありがとうございます。大変勇気の湧くような心強い答弁をいただきまして、関係者のみんなは喜んでおられると思います。

 そうしたら、ちょっと細かい内容に入っていきたいと思うんですが、これは防災政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 医療支援などを船舶で行うことを想定した場合、それに当たる医療従事者を災害時にすぐ確保できるかという体制づくりが非常に重要になってくると思います。この体制づくりを、船舶活用医療推進本部がこのような機能をもう備えているのかということと、本部は総理と国務大臣から構成されるというふうに書かれておりますが、実動体制はどのようにしていくのかということをお聞きします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 法の施行に向けて、これまで、内閣官房を中心に、関係府省ですとか医療従事者の皆様とも協力いただきまして、実際に船舶を活用した実動訓練を重ねるなど、十分な調整を行ってきたところでございます。発災時に迅速かつ的確な活動を実施することができるように、引き続き、これら関係者と訓練等を通じて連携強化を図ってまいりたいと考えております。

 また、大規模災害時に活動する医療従事者につきましては、これまでも、都道府県の災害対策本部の下に設置される保健医療福祉調整本部、ここにおきまして総合調整を行っているところでございます。船舶で活動する医療従事者につきましても、陸上での活動と同じ枠組みで調整することが望ましいという御意見もございましたので、現在、都道府県と十分な連携を図ることが不可欠と考えており、調整を進めてまいりたいと思っております。

 次に、御指摘のありました船舶活用医療推進本部でございますけれども、こちらは、法律に基づき、まずは整備推進計画の策定を始めとする体制整備を進めることを想定しております。

 先ほど申し上げました連携強化の必要性も十分に踏まえまして、計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷分科員 ありがとうございます。今、県との連携という話が出ましたので、松村大臣、恐れ入ります、五番目の質疑を先にさせていただきたいと思うんです。

 災害になると県が対策本部になります。県の災害対策のレベルを上げていかないと、船舶を利用した際、医療提供ができないのではないかなというふうに思います。ですから、日頃から訓練をどうしていくかということと、県の医師会と訓練をしていくことが必要ではないかなというふうに思います。

 船ですので、私も視察に行かせていただいたんですが、やはり揺れますので、私も船酔いをちょっとしました。そういった特殊なところで医療を提供していくとなれば、相当、適材適所で訓練もしておかないといけないと思うんですが、その辺りのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

松村国務大臣 やはり災害時における都道府県の果たす役割というのは非常に大きいと思っております。

 私も熊本県で被災をいたしまして、今回、石川県と、いろいろな形をやって、やはり県によってそれぞれ違うんだなということも感じておりますし、訓練の重要性であるとか、県の、重要な役割を担っていらっしゃるな、それを政府はどうバックアップできるか、これはやはり公助の中で平素からの連携が必要だなというふうに思っております。

 その上で、先生御指摘の船舶を活用した医療体制であったり、いろいろな支援でございますけれども、既に昨年、先生も訓練に参加、視察いただいたと聞いております。その上で、私も報告を受けておりますのが、やはり甲板上が寒いであるとか揺れるであるとか、あるいはなかなか無線がつながりにくいとか、多様な問題点が実証できたところでもございます。こういったものはどう対応していくのかということが、まず一つあると思います。

 その上で、御指摘の、医師会の皆様方や医療関係者の皆様方と、発災したから、さあ、すぐ集まれということではなく、やはり慣れていらっしゃらないと。状況をしっかり理解いただいた中で、医療従事者の方々と連携を密に取りながら実務に当たっていただく体制が非常に重要だなと実感をしておるところでもございます。

 今後、各都道府県あるいは各府省と連絡を取りながら、今後どういった体制づくりをやるべきなのか、また、課題の検証、それに対する対応、こういったものについて議論を進めてまいりたいと考えております。

一谷分科員 私も視察に行かせていただきまして、民間フェリーなんかで医療モジュールを入れて医師の方も一緒にやらせていただいたんですが、さっき大臣がおっしゃっていただいたとおり、私も非常に寒かったなという思いもやはり感じておりますし、様々な問題をそこで感じました。

 ですから、やはり県との連携強化、そして県の体力もあると思いますので、財政面とか、医師が多い、看護師さんが多い、そういったところのいろいろ違いもあると思いますので、そういったところも考慮していただいて、計画を進めていただきたいと思います。

 それでは、国土の政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。一の三の質問にします。

 物資輸送でも医療支援でも、船舶が港に着岸できる必要があります。能登の地震の場合、輪島港での支援船の受入れを確保するための対応はどうだったのかということで、災害はどこでも起きますので、今回の地震を踏まえて、地方港湾も含めた全国の港湾での岸壁の耐震化を進めるべきではないかと思うんですが、このことについてお伺いをいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 今般の能登半島地震の発災を受けて、輪島港では、TEC―FORCEなど、速やかに被害状況の確認を行い、一月四日より支援船の受入れを開始したところでございます。

 今般の地震を見ても明らかなとおり、地理的制約の厳しい離島、半島におきましては、災害時に港湾機能が停止した場合、人命救助活動や緊急物資輸送に支障を来すおそれがあり、港湾の果たす役割は大きなものであると認識しております。

 このため、地理的制約の厳しい離島、半島におきましても、住民の避難ルートの確保及び緊急物資の輸送などの観点から、既存ストックを最大限活用しつつ、耐震強化岸壁を適正に配備すべきであると考えております。

 国土交通省といたしましては、離島、半島における岸壁の耐震化など、港湾において必要な防災・減災対策を進めてまいります。

一谷分科員 是非、地方の港も目を向けていただいて、強化できるところ、予算も関係があると思いますが、できるところはしていただきたいと思います。

 物資の輸送に関しましては、港が使えるようになっても、その先の道路の機能が円滑でないと物流は通っていかないと思います。能登半島の地震を踏まえて、災害直後の道路啓開が重要だと考えていますが、その辺りのお話を、これも国土の政府参考人の方からお答えをいただきます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 人命救助や物資輸送を警察、消防、自衛隊などの関係機関が迅速かつ円滑に実施できるよう、速やかに道路啓開を行うことは非常に重要であると認識しております。

 今回の能登半島地震においては、発災後、直ちに石川県や建設業団体、自衛隊などの関係機関と連携して啓開方針を共有し、二十四時間態勢で道路啓開を実施しております。その結果、発災翌日には七尾市から輪島市、珠洲市、能登町までの通行を確保し、約一週間後の一月九日には主要な幹線道路の約八割、約二週間後の一月十五日には約九割の道路啓開が完了し、通行可能となっております。また、重要インフラへのアクセス道路についても、自治体や他のインフラ管理者からの要請を受け道路啓開を行ってきたところであります。

 引き続き、国土交通省といたしましては、関係機関とも連携し道路啓開を進めていくとともに、本格復旧に向けた対応を進めてまいりたいと考えております。

一谷分科員 答弁のやり取りの間に、一週間で八割、二週間で九割復旧しているということを聞いてちょっと驚いたんですけれども。

 実際は物資が届いていないところもあるという話も聞きましたので、そういった辺りはまた違う機会に質問させていただきたいと思うんですが、医療船にやはり重機も積んでいくこともできると思いますので、医療モジュールだけではなく重機を積んで、それを降ろして、あと、コンテナ、今回コンテナが非常に、トイレであったりとかキッチンカーであったりとか活躍しましたので、そういったものを積んでいくということも考えられるのではないかなというふうに思っております。

 それでは、少し質問の方向性を変えて質問をさせていただきます。

 災害時に自衛隊の輸送艦、軍艦に民間人を収容できるのかということが一つあります。自衛隊の大きな役割は災害支援、災害救助ですので、もし現状の問題で法解釈であったり必要な法改正があれば、どういったことがあるのかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

松本大臣政務官 一谷委員の質問に答えたいと思います。

 災害時においては、自衛隊は、災害派遣ということで任務としてあるわけでございますけれども、この際、輸送艦等を活用した捜索救助活動を実施しております。今般の能登半島地震でも、そういったことを海上自衛隊の船が行いました。

 実際、東日本の大震災の際も、孤立地域から救助した園児を護衛艦の「たかなみ」が保護をいたしまして艦艇内で食事を提供したほか、護衛艦の「ちょうかい」が漂流していた生存者を発見、救助し、艦内で保護をしております。

 このように、救助した被災者の皆さん等を一時的に海上自衛隊の艦内に乗艦させるということは、法的にも全く問題がないというふうに理解をしております。

一谷分科員 ありがとうございます。松本先生はプロフェッショナルですので、一緒に視察も行かせていただいて、大変心強いというふうに思います。

 そこで、私も補給艦の「おうみ」に視察に行かせていただいたときに感じたことなんですが、自衛隊の補給艦を医療船として使った場合に、居住環境が一般の方にはかなり厳しいなというふうに感じました。そして、私も医療従事者でもありますので感じたことは、とても、けがした方が歩いてまたげないような高い仕切りもあったりとかして、非常に、現実的になるのかなということも考えておりますが、災害時の多目的船で自衛隊の輸送艦を使うということも視野に入っているというふうにお聞きをしております。

 そこで、民間にも対応するような修繕が必要であるということなんですが、かなりの費用がかかると思うんですが、この辺り、どう考えておられるかということと、あと、人材の面で、防衛医官や保健師、看護師さんなどの自衛官の方の確保をどうするか。解決策の一つとして、防衛医大の定員を増加するとかというような考えがあるのかということについてお伺いをさせていただきます。これも防衛の政府参考人の方にお願いいたします。

米山政府参考人 御答弁申し上げます。

 災害時における船舶を活用した医療提供体制の整備に当たりましては、先ほど内閣官房の方から御答弁ございましたとおり、関係府省が協力して検討を現在実施してきているところでございます。

 防衛省といたしましても、政府全体の検討の中で必要な役割を適切に果たすべく、御指摘ございました自衛隊艦艇の活用、そして自衛隊医官等による対応も含めまして、引き続き検討を行っていく考えでございます。

一谷分科員 ありがとうございます。是非検討を進めていただきたいと思います。

 続いては、「はくおう」とナッチャンワールドのことについて質問させていただきます。

 「はくおう」は、被災者の方のケアを今回行われた、能登半島でですね。ナッチャンワールドは、自治体職員の方のケアをされたということを聞いております。

 そこで、自衛隊の方のケアや休息所はどこでされたのかというところをお聞きしたいと思います。これも参考人の方にお願いいたします。

米山政府参考人 御答弁申し上げます。

 能登半島地震への対応に従事している部隊等の隊員につきましては、ローテーションを行いながら、例えば学校やコミュニティーセンター等の活動地域近傍の施設に加えまして、石川県内の陸上自衛隊金沢駐屯地、それから航空自衛隊小松基地などにおきまして適切に休息を取り、疲労の回復を行ってきております。

 このように、適切な休息、そしてケアを行う等によりまして、二次被害の防止に細心の注意を払いながら災害派遣活動を継続しているところでございます。

松村国務大臣 ナッチャンワールドと「はくおう」についてでございますが、一日の日に木原防衛大臣にお願いをいたしまして、熊本地震のときも「はくおう」に来ていただいたので、こういった手当てができないか、また、お風呂の手当てができないかと一月一日の日に依頼をし、すぐ手配をいただいたわけです。

 「はくおう」については、宿泊ができますので、一泊二日型で仮設にいらっしゃる方々に休息を取っていただいて、お風呂に入れる。ナッチャンワールドに関しては、自衛隊の皆さんもそうでございますが、シャワーがございますので、休息室として使っていただいたという形でございます。

 その後、洗濯の要望が大変多うございまして、洗濯機等もつけた中で、ナッチャンワールドではそういう対応をいただいているということでございます。

一谷分科員 ありがとうございます。

 私も、熊本地震で非常に「はくおう」が、大浴場もあったりレストランも備えていて、四月に発生して五月下旬まで被災者のホテルのような形で非常に重要な役割を担ったというふうにお聞きしておりますので、すごくそこは重要だなと思っておるんです。

 今回、能登の震災の際に、NPOさんもたくさん行かれて、しかも、それも結構規模の大きいNPOさんもかなり行かれたと思うんですが、お話を聞いていると、やはり、廊下で寝ていましたとか、休息するところがなかったですというお話を結構いただきまして、そこは自前で、支援者の方がキャンピングカーを持ってきてくださって何とかなったということがあるんです。

 災害時に、医療従事者、ケアの方が受ける精神的ストレスというのはかなりのものがやはりあると思います。目の前でそれこそ人が亡くなっていくようなところをケア、医療を提供していくということ、こういったところは、これは自衛隊の方も含めて、私は、自己完結だということでなくて、是非この「はくおう」やナッチャンワールドも、自衛隊の方にも使っていただいて、休息をしっかり取っていただくということができればと思いますし、「はくおう」は五百人ぐらいは乗れるはずだと思います。そこを今回二百人から二百五十人ぐらいだったと思うんですが、ここは少し改装していただいて、雑魚寝はよくないというふうにお聞きもしているんですけれども、やはりお風呂に入ったり温かい食事を食べるというのは何よりだと思いますので、是非考えていただけたらというふうに思います。

 それでは、次、予算についてお伺いしたいんですが、この「はくおう」とナッチャンワールドは十年間で二百五十億、これが安いのか高いのかという問題もあるんですが、また、PFIをどのように考えて、国が直接やる事業と比較してどのようなメリットとデメリットがあるのかというところを、防衛の政府参考人の方にお伺いをいたします。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、「はくおう」及びナッチャンは、防衛省がPFI方式により契約をしておりますので、これら船舶は民間事業者が所有をして維持管理をしているところでございます。

 目的といたしましては、災害派遣も含めた事態対処の際、あるいは、それに備えた訓練、平時の際の訓練において多数の人員あるいは車両を運ぶ、そういった手段を確保するためのものでございます。

 御指摘のPFI方式で行うことの意義についてでございますけれども、これを仮に自衛隊が自ら船舶を保有するということになりますと、そもそもその船舶を取得するための予算が必要になりますし、運航や整備、これも自ら行いますので、自衛官を確保、増員する必要がございますし、またその教育訓練を行う必要がございます。

 また、船舶の日々の整備のための機材を持って自ら維持整備あるいは管理をする必要がございますが、PFI方式でございますと、これらを効率的に民間の方々にやっていただくことができる、すなわち国の業務負担が相当程度軽減されるのではないか、このように考えているところでございます。

一谷分科員 ありがとうございます。

 確かに、船を造るだけで約三百五十億ほど、そして医療モジュールを入れると五百億、年間で維持費が二十五億というふうに試算されておりますが、私は、防衛装備品として病院船を持つことは、日本国内のみの必要性を満たすだけではなくて、やはりアジアの地域の安全保障を高めるというふうな支援にも役立つのではないかというふうな、直接的な支援ですね、というふうに思いますので、是非そこも検討の中に入れていただけたらというふうに思います。

 それでは、松村大臣に御質問をさせていただきたいんですが、船舶活動医療において、民間の複数の船舶を用いて、そしてヘリパッドを有する自衛隊の艦艇などとも連携しながら活動するということは、私は非常に、自分が視察にも行かせていただいて、自衛隊の補給艦に乗せていただいたりフェリーろっこうに乗せていただいたりして、これはやはりタッグを組んでやる方が、本当の大震災、大きな災害のときに有効じゃないかなというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお聞かせいただきます。

松村国務大臣 重要な御指摘だと思っております。

 今回の能登半島地震におきましても、陸路が途絶いたしましたので、空からと、それから海から、いろいろなアプローチを検討いたしました。

 今回、孤立した集落がございましたが、これは全部ヘリコプターで自衛隊の皆さんにお願いをして救出をいただいたわけですけれども、このときに、病院に運ぶのか、あるいは小松基地経由で一・五次避難所に運ぶのか、こういったオプションが出てくるわけですけれども、やはり、空からの移送、それを連携した形で常日頃から訓練していくことは非常に重要であると思っております。

 ただ、自衛隊の皆さん方との、民間との、やはり連携を取る上での問題点、これも一つ考えておく必要があるなと。

 と申しますのは、今回、自衛隊の皆さんに孤立集落に迎えに行っていただきましたけれども、このときに、木原大臣からも、くれぐれも自衛隊の皆さん方は、その中に十人いらっしゃったとして一人だけ、私は行かない、こうおっしゃった人を無理やり連れてくる、あるいは説得することはできない、あくまでも行きたいという方々を乗せてくるだけだ、したがって、是非地元の役所の皆さん方を同行させて、ちゃんとお話をしていただく係をつくってください、こんな連携を取りました。

 したがって、それぞれの組織で命令系統も違いますので、これが民間の、また集合体となりますと、そういった課題をどう調整していくか、こういう検討が今後必要だろうと思っております。

 したがいまして、思考停止することなく、いろいろな災害を想定しながら、どんな連携が取れるのか、こういった検討を進めていきたいと考えております。

一谷分科員 ありがとうございます。まさに今おっしゃっていただいたとおりだというふうに思います。今回の災害時の多目的船の議員立法は、理念法ですので、ここから実務を積んでいく中で、今言っていただいた議論も、是非私たちもしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 残り一分になりましたので、質問はこれで終わらせていただいて、私が考えるのは、日本の医療、防災の産業は日本の中核になっていくのではないかというふうに私は考えております。

 今までは、豊かさのための産業創生というか産業をつくってきたと思うんですが、これからは私は、安心、安全の産業、これをしっかり打ち立てていくことが日本の成長につながるのではないかというふうに思っています。

 私は、泥水をきれいな水にするというようなベンチャー企業にも行かせていただいたんですが、そこも八年かかってやっとその技術をつくった。ここから商品化していくというときに、資金が足りなくて海外の企業にMアンドAされてしまうとか、そういったことが非常にもったいないなというふうに思っていますので、そういったところの後押しも是非大きな視野でしていただけたらと思います。

 この議論が始まって、阪神・淡路から始まって二十九年たちます。来年は三十年ですので、是非何か結果を一つ出せたらと思いますので、どうぞ御協力をお願いいたします。

 本日、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 終わります。ありがとうございました。

平主査代理 これにて一谷勇一郎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

牧島主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 こども家庭庁について質疑の申出がありますので、これを許します。勝目康君。

勝目分科員 自由民主党、京都一区の勝目康でございます。

 本日は、予算委員会の第一分科会、こども家庭庁さんに対する質疑ということで、よろしくお願いをいたします。

 早速でございますが、本日は政府参考人さんの方でしっかり御答弁をいただけるということでございますので、加藤大臣は御退席いただいて結構でございます。

牧島主査 加藤大臣、御退席いただいて結構です。

勝目分科員 それでは、順次質疑の方を進めさせていただきたいと思います。

 昨年十二月にこども未来戦略が閣議決定をされました。現在審議中の予算は、まさにその戦略実行の初年度の予算ということになるわけであります。そしてまた、その実施のための根拠となる子ども・子育て支援法等の一部改正法案というものも今国会で審議予定ということでありまして、まさにこの国会はこどもまんなか実行国会ということだろうと思います。

 今回のこども未来戦略でありますけれども、国や地方の施策、事業の羅列にとどまることなく、その前提条件ともいうべき経済、社会の在り方についても正面から捉えて、例えば、若い世代の所得の向上であるとか、あるいは社会全体の構造、意識の変革といったものを基本理念の柱に据えております。

 このことは非常に重要だと私は思っております。国や地方公共団体による給付額が幾ら多くても、前提としての経済政策がうまくいかずに、若い世代が暮らしの経済的基盤を確保できなければ、家庭を持ち、子供を産み育てるという希望を持つこと自体が難しくなるからであります。

 バブル経済崩壊後、経済的苦境にあった、いわゆる失われた三十年の間、企業が、三つの過剰と言われていましたけれども、雇用、設備、債務、これを圧縮するためのコストカットを進めてきた。この結果、雇用は不安定化をし、給料は上がらず、設備の老朽化で生産性も上がらないという時代がずっと続いてきました。リーマン・ショックという大不況期もあったということであります。

 この三十年という期間ですが、団塊ジュニア世代、私もその一人でありますが、が社会に出てからの三十年とぴったり一致をするわけであります。団塊ジュニア世代が次の人口のボリュームゾーンをつくることができなかったというのはこのことと無縁ではないんだろう、こう考えるところであります。団塊ジュニアも、その大宗はもう五十代になっております。次の世代と言うにはちょっと難しい年代に入っております。

 しかし、だからといって、もう駄目だと諦めてしまっては、日本の未来はないわけであります。さらにその先、二〇〇〇年代に入ると出生数のペースが急減をしているということで、出産年齢のことを考えると、二〇三〇年代に入るまでのこれからが極めて重要な時期だということであります。

 コストカット経済を脱して、物価高に負けない賃上げ、大企業も中小企業も、公定価格分野も公共調達の分野も、そのいかんを問わず、必ず賃上げを実現するんだということ、これが令和六年度予算に込められた共通するメッセージであるということです。こうした経済環境を、前例のない、次元の異なる子育て支援につなげていきたい、こう考えているところであります。

 具体の施策を担うこども家庭庁の皆さんはまさに日本の未来をしょっておられるということでありまして、是非御尽力をお願いしたいと思います。

 先ほど、暮らしの経済的な基盤なしには、家庭についても子供についても希望を抱くこと自体が難しい、こういうことを申し上げました。少子化の要因の一つに未婚化、晩婚化があると言われて久しいわけでありますけれども、足下では、そもそも結婚に対する希望の縮みのような現象が起きています。

 二〇二一年の国立社会保障・人口問題研究所による、いわゆる結婚と出産に関する全国調査によりますと、男女とも、未婚者の生涯の結婚意思が急減をしています。男で前回八五・七から今回八一・四、女性は八九・三から八四・三ということです。結婚したいけれどもできないということではなくて、そもそも結婚する意思が失われてきているという方、そういう方が増えているということです。

 また、結婚すれば、では子供を産みたいというふうに思うかというと、この前提も崩れ始めてきています。未婚者の平均希望子供数は、男が前回一・九一から一・八二に、女性が二・〇二から何と今回は一・七九ということであります。結婚している御夫婦の平均理想子供数も二・三二から二・二五と低下をして、これは長期トレンドでもあるわけであります。

 この間、希望出生率一・八、これを実現しよう、こういうことを目標に掲げてきた。つまり、希望と現実のギャップを埋めようというのが少子化対策の一つの方針であったわけですが、今や希望そのものを再生しないといけないという状況になっているのかな、これが現実というふうに思います。

 こうした結婚意思あるいは希望子供数の低下を受けて、こども家庭庁さんとしてどのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。

 特に、加藤大臣、先日、私の地元京都にお越しになって、婚活応援センターを御視察をされて、婚活マスターの方とか、あるいは御成約をされた当事者の方と意見交換をされているわけですけれども、そういったことも踏まえて、こ家庁さんのお取組を伺いたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の未婚化、晩婚化に関しましては、若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に依然八割以上の未婚者が、いずれ結婚するということを希望しながらも、適当な相手に巡り合わない、結婚資金が足らない、若しくは、まだ必要性を感じないなどを理由として、結婚に至っていない状況にあると承知をしております。

 このため、若い世代の結婚の希望と現実の乖離をできる限り小さくするような環境の整備が必要となっているところでございまして、まずは、政府全体で、所得の向上や雇用の安定など、若い世代の経済的基盤の安定を図るための取組を進めるとともに、こども家庭庁におきましても、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援など、地方自治体が行う取組を地域少子化対策重点推進交付金により支援をしているところでございます。

 先日、一月の十三日に加藤大臣が京都府の結婚支援センターを視察させていただきまして、センターを通じて結婚をした成婚者の方々等と意見交換をさせていただきましたところでございますが、京都府では、ボランティア、婚活マスターでございます、によるきめ細やかな伴走型の結婚支援が行われており、成婚者からも、安心感があるといった御意見を伺ったところでございます。

 こども家庭庁におきましては、このような伴走型の結婚支援についても、地域少子化対策重点推進交付金で積極的に支援してまいります。

 また、希望子供数の低下につきましては、その背景として、子育ての経済的、精神的負担感や子育てと両立しにくい職場環境等があると考えられます。

 こうした課題を踏まえ、政府といたしましては、未来戦略の加速化プランに記載した、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、さらには、共働き、共育ての推進等の各施策に全力で取り組むこととしております。

 こども家庭庁といたしまして、若い世代が希望どおり結婚し、安心して子供を産み育てることができる社会を目指し、スピード感を持って取り組んでまいります。

勝目分科員 ありがとうございます。

 今ほども、冒頭に、所得の向上であるとか、そういう経済的な基盤について言及がありました。まさに、希望と実態、現実のギャップを埋めるというために、今回、未来戦略に定められた各施策、これを着実に実行していただくということとともに、まず、希望の水準も上げていかないといけないわけでありますので、これはやはり経済環境によるところも大きいと思いますし、また、実際、こういう施策が展開されていくことで、子育てに対する様々な経済的、精神的負担が軽減されているという実感を持って、若い方がそういう中にいれば、希望の再生というものにもつながってくるんだろうというふうに思います。

 政府全体を挙げて取り組むべき課題だと思いますので、こ家庁さん中心になって取組を進めていただきたいと思います。

 続いて、支援金についてお伺いをしたいと思います。

 前例にない規模で少子化対策、子供、子育て支援を実行するためには、当然、財源をどうするのかということ、この議論がセットでないと無責任な議論になってしまいます。これらの支出というのは、毎年発生をする、いわゆる経常経費でありまして、その全てを永続的に国債に頼るという性質のものではないというふうに考えております。

 他方で、今、足下の経済情勢、国民生活の実態に照らせば、給付が増える以上、負担増も当然だなどという意識も、これは持つべきではないというふうに思います。冒頭述べましたとおり、現役世代の暮らしの基盤が成り立たなければ、少子化は止まらない。国民生活に寄り添いつつ、恒久的な財源をどういう形で確保するか、ぎりぎりまで考え抜かないといけないと思います。今回の支援金も、そういう発想、考え方の下で設計されたんだというふうに私は理解をしています。

 負担増についての議論は、負担増があるかないか、それが幾らかというだけではなくて、では、そのことに伴う給付増が幾らあって、その財源は全体としてどのように手当てをされていて、支援金はそのうちどれくらいの割合を占めていて、かつ、経済全体の動きの中でその実質的に意味するところは何なのかということを、パッケージで議論をしないといけないというふうに考えております。

 名目での負担増についても、実質的負担というものを考慮せずに評価するというのは、まさにこれこそデフレマインドの表れじゃないかとも考えられるわけであります。

 脱デフレ経済への移行、つまりは、物価高に負けない賃上げを持続的に果たすことで実質的負担を抑制していくということは何らおかしいことではないと思いますし、現下の環境に鑑みれば、完全な絵空事だというものでもないと思います。ただ、もちろん、何もしなくても実現できるものでもないので、ここは並大抵ではない政策努力が必要だということ、これは先ほどの質問でも申し上げたとおりであります。

 こうした点も踏まえて、今回の支援金に対する考え方、改めて全体像をお示しいただきたいと思います。

熊木政府参考人 お答えいたします。

 こども未来戦略におきまして、少子化というものは国内最大の危機と捉えまして、全ての子供、子育て世帯を対象とする切れ目のない様々な支援拡充を果たすということで、今般、三・六兆円に及ぶ加速化プランというものを決めたということでございます。

 その中でも検討しております支援金制度は、児童手当の高校生年代への延長などの抜本的拡充ですとか、妊娠、出産時の十万円の給付や、こども誰でも通園制度といったものの制度化、さらには、共働き、共育てを推進するための各種の施策、例えば、手取り十割といったものですとか、時短就業給付といったものの創設、自営業、フリーランスの方等の育児中の国民年金保険料免除といったものに充当することといたしております。これらの施策拡充は全て、いわば恒久的な改革でございます。

 この三・六兆円のうち、二・六兆円は歳出改革と既定予算の最大限の活用ということで確保することといたします。これらが、合わせておよそ七割強となります。残る一兆円につきまして、支援金制度を構築するということであります。

 この支援金制度の導入に当たりましては、これは何度か申し上げておりますけれども、歳出改革を基本としつつ、賃上げと併せて保険料負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で導入するということとしております。賃上げによって雇用者報酬が伸びれば、社会保障負担率の一層の軽減につながり、支援金の導入によって社会保障負担率が上昇しないということがより確実になるということでございますので、政府として、徹底した歳出改革に取り組むことと併せまして、総力を挙げて賃上げに取り組んでまいります。

 まさに少子化対策と経済対策を車の両輪として、その調和を図るということが私どもの方針でございます。

勝目分科員 御答弁ありがとうございます。

 まさに今、支援金の議論は、元々、一人当たり、これは本当に算数のレベルで五百円と言ったのが、ただ、具体的なことに照らしてみれば千円を超えるケースもあるんじゃないかというようなことで、非常に分かりにくい議論で、しかも、五百円か千円かどうなんだ、そこにちょっと議論が集中してしまっている。これがかえって全体像を見えにくくして、国民の皆様への理解を阻害している面があるんじゃないか、こんなふうに考えるところでもあります。常に全体像というものをお示しをしていただきながら、国民の皆様に分かりやすい説明、広報というものをお願いしたいと思います。

 これからまだ、法案審議も含めてこの議論は続いていくと思いますけれども、そういう問題意識を常にお持ちをいただきたいというふうに思います。まさに少子化対策と経済政策というのは車の両輪、これが常について回るということだと考えております。よろしくお願いをいたします。

 続きまして、三点目は、電子母子手帳の関係でお伺いをしたいと思います。

 この未来戦略におきまして、子育て世帯の利便性向上のためのこども政策DXについても盛り込まれております。中でも、母子手帳につきましては、各自治体が主導する形で、電子母子手帳と一応便宜上言っていますが、厳密に言うと母子保健法上の母子健康手帳に当たるものではないという整理が今のところされているわけですので、この名称自体、留意が要るかなとは思っておりますけれども、いずれにしても、この普及が進んでいます。

 これは各自治体の努力を多とするものではありますけれども、他方で、全体像の設計、あえて言えばフィロソフィーがない状態で現場実装が進んでしまっていまして、別の問題もはらんでいるんじゃないかな、そういう問題意識を持っています。それは何かというと、いわゆるベンダーロックインに陥ってはいないかということであります。今、自治体の業務については標準化というものを進めているわけでありますけれども、この母子保健の分野においても、その一環として取り組むべきであろうというふうに思っております。

 例えば、転居先の自治体が別のベンダーの母子保健アプリを使っている場合であるとか、ずっと同じ自治体に住み続けているんだけれども、その自治体がアプリ事業者を切り替えたといったときに、データの移行ができないということが実はもう既に起こっております。データポータビリティーのない母子健康手帳というのは母子健康手帳の機能を果たさないと私は思うところでありますので、これはやはり、国において早急に対処すべきだというふうに考えております。

 母子保健法が、法律の文言が母子健康手帳の電子的な交付を排除しているわけじゃない、そういう解釈に立たれていると思いますけれども、逆に言うと、電子化されていれば何でもいいというわけでもやはりないと思うんです。データポータビリティーのない電子母子手帳というのは駄目なんだというところまで持っていかないといけないんじゃないか、そう考えております。

 現在、デジ庁の方で開発をされたPMHによる情報連携、これが進められているものと承知しておりますけれども、こうした動きも含めて、どのようにこの問題を進めていかれるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 母子保健法に基づき市町村が交付をする母子健康手帳でございますけれども、現状、紙の手帳の交付と記載を前提として運用が行われております。一方で、先ほど先生から御指摘いただきましたように、全国の自治体で母子保健アプリ等の電子母子保健ツールが導入されており、およそ半数以上の自治体で導入されていると承知をしておりますけれども、こういったことは、子育て世帯の利便性の向上につながるものとして、ニーズが高いものと考えております。

 こうした現状を踏まえまして、昨年の十一月、こども家庭審議会におきましては、母子健康手帳の電子的な交付に当たって混乱が生じないように、より利便性の高いものになるように、今後、電子化された母子健康手帳が最低限持つべき機能ですとか、母と子の情報連携や、母親以外の保護者の情報の共有、管理の在り方ですとか、電子化された場合に紙の母子健康手帳からの移行をどうしていくか、こういった課題と対応を整理していくべきというふうな指摘をいただきました。

 また、加えまして、昨年十二月のデジタル行財政改革中間とりまとめにおきまして、住民、医療機関、自治体の間で母子保健情報を迅速に共有、活用するための、ただいままさに御指摘いただきました情報連携基盤の整備、これと併せまして、電子版母子健康手帳を活用してスマートフォンなどで健診の受診や結果の確認を可能とするなどにより、母子保健DXを推進するという方針が示されております。

 こういったことから、こども家庭庁では、来年度、実施事業を行うこととしております。母子保健情報連携基盤の拡充とともに、電子版の母子健康手帳に係る課題、対応を整理して、二〇二五年度にはガイドラインを発出をして、電子版の母子保健手帳の普及につなげていきたいというふうに考えております。

 こういったことから、電子版の母子健康手帳を始めとした母子保健DXの検討を適切に進めてまいります。

勝目分科員 二〇二五年にはガイドラインをということであります。

 今、省令の方で紙を前提にした規定があったりすると思いますので、こういう、法律ではないかもしれないけれども、法令上の対応も含めて、これは本当に急がないと、特に人口の多い自治体で、先んじて、今の段階での電子的な母子保健ツールというものが広まっておりますので、標準型の方に持っていこうとすると、移行でまた大変な思いをするというのは、今、自治体業務の標準化でも起こっていることでありますので、スケジュールにしっかりのっとって、遅れることのないように進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続いて、こども誰でも通園制度についてお伺いをしたいと思います。

 経済的苦境で少子化が進んだんじゃないかというような話を申し上げましたけれども、この間、社会そのものも変質をしてきています。昔は、大家族で育ってきた、あるいは向こう三軒両隣なんという言葉もありますが、地域コミュニティーも非常にしっかりしていて、そこに支えられながらみんなで子育てをしていたということだと思いますが、現在は、核家族化が進み、そしてまたコミュニティーの力も非常に弱まっているという状況です。

 こういう中で、例えばおじいちゃん、おばあちゃんの支援が得られない場合、もちろん、男の育児参加は当然の前提でありますけれども、公的サポートがなければ、孤独の中での子育てというふうになってしまうわけであります。就労要件を問わずに柔軟に利用できる通園給付でありますこども誰でも通園制度の創設というのは、孤立育児に対する一つの対処であると思います。この仕組みが機能するかどうかというのは、ひとえに、受入れ側の園がしっかり体制を確保できるかどうか、ここに懸かっていると思います。

 このこども誰でも通園というのは、当然、それを見る保育士が必要であります。時間単位で柔軟に利用できるというのは非常に便利な仕組みであるんですが、裏を返せば、そういうニーズに対応するために、下手をすると、通年で保育士を確保しておかなければならないということにもなりかねないわけであります。

 そのときに、例えば、これから報酬の仕組みなどを考えていかれるんだと思いますけれども、これが利用時間ベースになり、そして、単価も実際の価格を基準に定められてしまうと、結局、各園はその保育士さんを確保するために自腹で負担をして雇用しないといけないということになってしまう。ここに、今、幼稚園、保育園問わず、非常に現場の不安が広がっているという状況にあります。

 来年度、試行的事業を実施されると思うんですけれども、こういうときに、体制上余裕がある園が、余剰人員と言うとあれですけれども、そういう体制を活用して実施をするケースだけではなくて、追加的に人員配置が必要な、そういう園も含めて、より実態に即した形でこの事業を実施していただいて、制度化に当たって参照していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 こども誰でも通園制度に係る財政支援の在り方についてのお尋ねがございました。

 委員から御紹介いただきましたように、今般、自治体の規模に応じた補助基準額の上限をお示しした上で、試行的な事業をまず実施をすることとしております。

 この度閣議決定をいたしました子ども・子育て支援法の改正法では、令和八年度に給付化ということを予定をしているわけですが、まずは、本格的実施を見据えた形でのこの試行的事業をしっかり進めていくことが必要であると考えております。

 この実施に当たりましては、様々な社会資源を使わせていただくということで、保育園だけではなく幼稚園や拠点の活用、そして、利用の仕方も定期利用や自由利用、そういった様々な事業の実施の多様化の中で、しっかり円滑に試行的事業を進めていきたいというふうに考えております。

 いずれの方法であっても、事業実施者が運営を継続できるような制度としていく必要があると考えてございます。

 このため、これから行います試行的事業をしっかり実施をしながら、令和八年度からの給付化に当たりまして、具体的な単価、実施内容につきまして、この内容について、利用方法を問わず、こども誰でも通園制度を実施する事業者がしっかりと運営できるものになるように、更に具体的に検討を進めていきたいと考えております。

勝目分科員 本当に現場の不安にしっかり応えていただいて、そのことが、本当に必要な方が利用できる、その体制が構築できるということでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、流産、死産時のケアについてお伺いをしたいと思います。

 こういう形で、国を挙げて子育てしやすい社会をつくろうという機運の中で、そうはいっても、妊娠して子育ての夢を描きながらも、残念ながら、全ての方が出産に至るわけではないということであります。こういうときのケアの体制もしっかり整えてこそ、今回の少子化対策というのが決して産めよ増やせよではないんだということになっていくんだろうというふうに思います。

 各自治体では様々な相談窓口などを設置はしていただいているとは思うんですけれども、当事者の心理としては、とてもではないですけれども、自らその窓口を調べて、電話番号を調べて、そこに電話をかけてという状況ではなかろうというのは、これは容易に想像がつくところであります。

 だから、もう一歩踏み込んで、プッシュ型というんでしょうか、自治体の方から、医療機関の協力を得て自然な形で窓口、ケアにつながるような、そういう仕組み、制度化を図るべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました、流産、死産等の子供との死別を経験された方、特に悲しみが強く、その悲しみに寄り添った対応が重要であると考えております。

 今国会に提出いたしました子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案におきまして、出産・子育て応援交付金における伴走型相談支援を児童福祉法の新たな相談支援事業として位置づけまして、市町村への実施の努力義務を設けるというふうにしてございます。

 事業の実施に当たりましては、現在の相談支援と同様でございますけれども、流産、死産を経験された方に相談支援窓口を案内することや、同じような経験をされた当事者団体によるピアサポート活動を案内するなど、きめ細やかな配慮を行っていただきたいというふうに考えてございます。

 このような、流産、死産を経験された方への寄り添った取組、支援を広げていくために、現在、今年度は、実施状況の把握の調査研究をやってございます。

 流産、死産された方への何らかの支援を行っている自治体は、まだ全体の二割でございます。その中の八割ぐらいの自治体では、具体的な案内、周知を行っている。あるいは、三割ぐらいの自治体では、ピアサポートの紹介を行っている。そういった取組をしていただいている自治体もあることも事実でございますので、そういった実施状況を踏まえながら、制度化を進めるに当たって、具体的な相談支援の方法ですとか、むしろ情報を発信していく、そういった方向につきまして、具体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。

勝目分科員 今回の法改正の中で、伴走支援、補正予算で事業としては始まっているわけでありますけれども、法律上の根拠ができるわけであります。その内容をしっかり充実をしていただきたいと思います。

 最後に、日本版DBSについてお伺いをしたいと思います。

 性犯罪歴のある人を子供と接する仕事に就かせないようにということで、事業者の方から照会をする仕組みを導入するものだということで理解をしています。現在、法案の方は最終調整中であるというふうに承知をしています。内容についてはまた法案審議でしっかり質疑していきたいと思いますけれども。

 ただ、このDBSというのは、あくまで再犯から子供たちを守る仕組みということであります。被害当事者の方のお話を聞く機会が党の方でありましたけれども、担任の先生の家に泊まりに行って、そこで被害に遭った、学校側も保護者サイドについても何らアクションがない状態でそういうところに行って、被害に遭ったということです。

 仮にこの教諭が初犯だった場合、DBSでは防げないということになるわけであって、やはり、関係者が一致をして子供たちを守る、そういう体制、仕組みを整えることが大事なんじゃないかということを感じたところであります。

 DBS法案に全てを委ねるということではなくて、初犯対策、それはそれとしてしっかり講じる必要があるというふうに考えますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、性犯罪の犯歴照会の仕組みだけでは、子供の性被害を防げるということではございません。子供の性被害対策につきましては総合的な取組が重要でございます。

 このため、政府としては、昨年七月にこども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージをまとめたところでございます。その中では、性犯罪の成立要件をより明確化するなどの改正刑法の趣旨、内容の周知、厳正な取締りの強化に加えまして、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないための生命(いのち)の安全教育の全国展開、また、子育て支援の場を通じた保護者への啓発の推進など、様々な取組について着実に実施をしてきたところでございます。

 また、緊急対策パッケージの更なる加速化を図るという観点から、業界横断的な標準的な指針の作成、広報を通じた教育、保育業界による性被害防止の取組の促進ですとか、児童福祉施設等における性犯罪防止対策の設備の財政支援、こういったものも新たに実施することとしております。

 引き続き、子供の関連業務従事者の性犯罪歴の確認の仕組みの検討のみならず、こういった総合的な取組についてもしっかりと推進してまいります。

勝目分科員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくて、済みません、児童福祉法の関係、申し訳ありませんでした。

 子供の安心、安全を守りながら、少子化への対応、そして、子育て家庭をしっかり寄り添いながら支援をしていく仕組みの構築、社会の構築、是非、政府を挙げて、国を挙げて取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 以上です。

牧島主査 これにて勝目康君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、平主査代理着席〕

    ―――――――――――――

平主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。和田義明君。

和田(義)分科員 自由民主党の和田義明でございます。

 平委員長始め委員各位の皆様方には、本日の分科会での質疑の機会をいただきまして、心から御礼を申し上げます。また、河野大臣始め内閣府の皆様方におかれましても、御協力いただきまして、誠にありがとうございます。昨晩も遅くまでお疲れさまでございました。

 本日は、まずサイバーセキュリティーについてお伺いをしたいと思っております。

 今年の一月三十一日でございますけれども、アメリカの連邦議会、行政府委員会という委員会におきまして、FBIのレイ長官が大変重たい証言をされました。中国のハッカー組織であるボルト・タイフーンという組織が米国内で活動を行い、その活動の一部をアメリカ政府として阻止をしたということでございますけれども、このボルト・タイフーンが意図していた活動の内容といいますのが、まず、米国内において数百台の古いルーターをハッキングします。そして、マルウェアを活用して、ハッキングしていることを隠匿します。そして、敵対的紛争が発生した場合に、アメリカのインフラを機能不全に陥れ、そして破壊工作を行うという内容でございました。その重要インフラの対象とは、下水システム、電力網、交通システム、石油やガスのパイプライン、そして通信網など、全米の主要インフラがほぼ全て標的になっていたということでございます。

 また、中国が攻撃するときが来たと判断した場合でありますけれども、政治的、軍事的目標だけを狙うわけではない、社会に混乱を引き起こし、そして米国市民に実害をもたらすものであるというふうなことでも糾弾をしております。そして同時に、FBIにおきましても、サイバー捜査官の数が中国と比べると五十分の一、人数的にも大変苦慮しているというふうな吐露もございました。

 サイバー攻撃の今までの定義ですと、恐らく、サイバー空間を通じて情報や技術を盗む、こういったことが主体的であったわけでございますけれども、まさに国民の命にも関わりかねない重要インフラに対していろいろなものを埋め込み、そして有事の際に戦争の道具の一つとして稼働させるといったことが、まさに米国の国内で行われたということでございました。

 そして、同じ日、米国の司法省でございますけれども、これまた同様のステートメントを発表しておりまして、中国政府の支援するハッカーによる中小企業や家庭用インターネット機器のハッキングを阻止した、そして、ハッカーは中国発であることを隠そうとした、そしてさらには、標的に重要インフラ施設が含まれていたということでございます。

 これは例えば、ダムが何かしらの理由で誤作動したら、下流の国民の皆様は水の被害を受ける可能性がある、積雪寒冷地で電力やガス、石油パイプラインを止めるようなことがあっては、これは命に直結するわけでございます。そういった意味で、重要インフラに対するサイバー攻撃の恐ろしさというのは論をまたないところでありました。

 こうした証言からしても、サイバー攻撃のステージが変わった、また、より国に深く浸透して、我々の日々の暮らしに直結するところで作動されるかもしれないというおそれがあるわけでございますけれども、まず最初の質問をさせていただきたいと思います。

 日本政府として、第三国からのサイバー攻撃の性質がより先鋭化していて、今申し上げましたとおり、情報や技術を盗むということのみならず、さらには、重要インフラを通じて社会や国民に大きなダメージを与えようとするものに変わってきた、ギアが上がってきたという御認識がありますでしょうか、また、こういったアメリカにおける認識というものを日本においても同様の認識をされているかどうか、お伺い申し上げます。

河野国務大臣 我が国でも、もう既に、病院ですとか港湾といった重要インフラに対する攻撃、そしてその影響が現実化しております。

 アメリカを始め各国のサイバーセキュリティーの担当者、担当閣僚と意見交換をする中で、今委員からお話がありましたような、重要インフラにマルウェアを埋め込んで、いざというときにその引き金を引くようなことというのは、これは様々な国が行っている、そういう共通認識は醸成されてきているというふうに思っております。

 また、そういう中にあって、依然として、ゼロデイと言われている攻撃、これはなかなか手の打ちようがないというようなものも続いておりますので、日本を含め西側諸国の認識として、サイバー攻撃が次第に巧妙化、そして、今までのような情報の窃取だけでなく、重要インフラを始めとするインフラに直接危害を加えることを目的としているようなものも含まれつつある、そういう認識を共有していると言ってよろしいかと思います。

和田(義)分科員 河野大臣、ありがとうございました。

 まさに今、病院、港湾でもあったというふうなことで触れていただきました。病院におきましては、例えば、電力が落ちてしまえば医療機器が稼働しなくなり、医療機器に生命を維持されている患者さんの命は危うくなります。また、医療機器そのものが誤作動するだけでも大きな影響を受けるわけでございまして、本当に、重要インフラの大事さ、サイバーセキュリティーの強化の必要性、こういったことを改めて痛感させられる次第でございます。

 今病院について触れていただきましたけれども、病院以外で、国民の命に直結するような重要インフラに対する攻撃事案で政府として認識されているもの、例示をいただけるようでしたら、お願いいたします。

中溝政府参考人 ただいま委員御質問がございましたとおりでございます。従来から、サイバー攻撃につきましては様々な手法、目的のものがございまして、例えば、金銭目的のランサムウェア攻撃、情報窃取目的の標的型メール攻撃、あるいは自らの主張を誇示するためのDDoS攻撃など様々な攻撃が見られるところでございます。

 また、昨今、FBIの長官が証言で言及したとおり、将来における重要インフラ等の機能停止や破壊を狙っていると見られる攻撃への懸念でありますとか、また検知が困難であるなどのいわゆるステルス性が高い攻撃手法への懸念が高まっているものというふうに認識してございます。

和田(義)分科員 誠にありがとうございました。

 令和四年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略におきましては、能動的サイバー防御を含む国や重要インフラを守る取組を実現するために、内閣官房セキュリティセンター、NISCを発展的に改組して、サイバー安全保障を一元的に総合調整をする新たな組織を設置するというふうに記載をされております。

 ここで御質問でございますけれども、ここで述べられております新組織、NISCに代わる新組織でございますけれども、こちらはサイバー安全保障を一元的に総合調整するとございますけれども、この組織は、例えば、警察や自衛隊・防衛省を含む全ての省庁のサイバー安全保障を上部組織として一元的に把握して対処を命ずる司令塔というふうな理解でよろしいでしょうか、それとも、あくまで調整機関なのでしょうか。これまでのNISCから何が変わるのか、これまでと何が違うのか、その点について、御答弁をお願いいたします。

小柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和四年十二月に閣議決定をいたしました国家安全保障戦略においては、「サイバー安全保障分野における情報収集・分析能力を強化するとともに、能動的サイバー防御の実施のための体制を整備すること」とされております。具体的には、官民の情報共有の強化や、民間に対する支援の強化、通信に係る情報を活用した攻撃者による悪用が疑われるサーバー等の検知、重大なサイバー攻撃を未然に阻止するための政府に対する必要な権限の付与等に取り組むことといたしております。

 こうした取組を実現、促進するために、「内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置する。」とされておりますが、新たな組織の在り方につきましては、現在、検討を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、国家安全保障戦略に掲げた「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。」という目標に向けて、引き続き努めてまいる所存でございます。

和田(義)分科員 御答弁ありがとうございました。

 その新たな組織の中身についてはこれからというふうなことでございますけれども、是非とも、これまでもNISCさんにおかれましては、政府、関係省庁に対しまして、統一したサイバーセキュリティーのスタンダード等々を導入され、またしっかりと情報収集、情報共有もされてまいったところではありますけれども、サイバーセキュリティーリスクの烈度というのは格段に上がっておりますし、前段のFBIのレイ長官の話からしても、やはりこれまでと同様というわけにはいかないと思っております。

 また、とりわけ、国内の例えば重要インフラ等々に対するサイバー攻撃におきましては、警察のみならず、自衛隊との連携といったものが大事になってきます。事態認定等々にも難しい判断を迫られるわけでございますので、是非とも、全ての省庁をしっかりと一元的に管理でき、監督でき、そして統一的な指令が発せられるようなもの、できるだけ、例えばアメリカのような、政府の組織に近いような形にしていただきたいと思っておりますので、是非とも御検討のほど、よろしくお願いをいたします。

 あと、サイバー攻撃の種類の中で、例えば、ディスインフォメーション、また影響工作といったものがございます。例えば、国家安全保障戦略の中に書かれております重要インフラに対する攻撃というのは今お話をしたものでありますけれども、国に対する攻撃という中に、やはり、このディスインフォメーション、そして影響工作というのは極めて重いものだというふうに認識をしております。

 今年の初頭にありました台湾の総統選挙におきましても、本当でない情報、偽情報、これでもって、やはり社会情勢の混乱、また選挙の混乱を起こすような事案があったというふうな報道もなされております。

 こういったディスインフォメーション、そして影響工作に対して今どこがどのように対処をしているのかというところについて、お聞かせをいただければと思います。

小柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家安全保障戦略にお示ししておりますように、サイバー攻撃による重要インフラの機能停止や破壊、身の代金の要求、機微情報の窃取等は、国家を背景とした形でも平素から行われているものと認識をしております。

 こうしたことから、重要インフラ等に対するサイバー攻撃につきましては、国家安全保障戦略に掲げられた「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。」という目標に向けまして検討を行っているところであり、サイバー安全保障分野における新たな組織がこれを担うことを想定しております。

 一方、外国による偽情報につきましては、国家安全保障戦略におきまして、サイバー安全保障分野とは別の課題として、「外国による偽情報等に関する情報の集約・分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のための新たな体制を政府内に整備する。」と掲げられておりまして、サイバー安全保障分野における新たな組織が対応するものとはされてございませんが、この新たな体制が対応することといたしております。

和田(義)分科員 ありがとうございました。

 確かに、偽情報、影響工作等々は、必ずしもサイバーだけの枠でくくられるものではないのかもしれません。一方で、インテリジェンスの部分としっかりと連携をして対処しなければいけないものでありますし、対処は早くなければいけないというふうにも思います。遅れれば遅れるほど、やはりリカバリーにかかる時間や労力というのは増えてまいりますので、そこのところの組織の強化、そしてインテリジェンス関連組織との連携、こういったところに是非とも御尽力をいただきたいと思っております。

 次の質問でございますけれども、能動的サイバー防御を実施するための法制度整備が検討されているというふうに認識をしております。今国会で提出されるか、ないしは次の国会かというふうないろいろな臆測が流れておりますけれども、この能動的サイバー防御も含め、サイバーの対策は待ったなしの状況だと思っておりますし、同盟国、同志国からも高い期待が寄せられているというふうに認識をしております。

 本法制度整備に関する現在の検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 委員おっしゃるように、サイバーセキュリティーの分野は非常に重要になってきておりますし、早期の対応が必要になっている、そのとおりでございます。政府といたしまして、なるべく早期に法案をお示しできるよう、今最大限の努力をしているところでございます。

和田(義)分科員 どうもありがとうございました。

 いろいろな調整が必要だというふうに思いますけれども、是非とも、早期の法案提出に向けて御尽力を賜りたいと思っております。よろしくお願いをいたします。

 河野大臣、これで、ありがとうございました。

平主査代理 それでは、河野大臣、退席をしていただいて結構でございます。

和田(義)分科員 続きまして、話題を移しまして、セキュリティークリアランスについてお伺いをいたしたいと思います。

 今国会におきまして法案審議を目指しているというふうに承知をしてございます。同盟国、同志国との安全に関わる機微な情報の取扱いについて、これまで日本にセキュリティークリアランスの法律がないこと、これが大きな情報共有、情報交換の阻害要因となってまいりました。今回の法案の審議が実現すれば、公務員は特定秘密保護法で、そして民間はセキュリティークリアランスで必要なリスクマネジメントというものがなされるというふうに認識をしております。まさに待ったなしの法案であるというふうに認識をしております。

 この法案でございますけれども、今国会における御予定について、もしお分かりになることがありましたら、御教示をいただきたいと思います。

彦谷政府参考人 本日の閣議におきまして、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案が閣議決定されました。本法律案は、経済安全保障分野における重要情報を保全するため、情報の取扱いに関し適性評価を実施することなど厳格な管理ルールを定めるとともに、情報の漏えい等に対して罰則を整備するものでございます。本法案によるいわゆるセキュリティークリアランス制度の整備によりまして、我が国の情報保全の強化につながるほか、日本企業の国際的なビジネスの機会の拡大にもつながるものと考えております。

 いずれにいたしましても、国民の皆様の御理解が得られますように、この法律案の経済安全保障上の意義や、企業の国際ビジネスの拡大を通じた経済活動への効果について、それからまた、プライバシーとか個人情報保護に十分配慮した規定などを置いておりますので、これをしっかりと実行していくことを引き続き丁寧に説明してまいりたいと思っております。

和田(義)分科員 誠にありがとうございました。まさに法案が本日閣議決定をされたということで、大きな一歩を踏み出したこととお喜びをいたします。できるだけ早く国会で審議が進みますように心からお祈りを申し上げたいと思います。

 セキュリティークリアランスでございますけれども、例えば、あらゆる戦略物資においてですけれども、同盟国、同志国、また同じ利益を共有する国々とともに、大事な、機微な情報を共有する際に、このセキュリティークリアランスの共通認識、共通法制がなければ、やはり情報が共有できません。そして、このセキュリティークリアランスを持ち合わせていなければ、日本の産業優位性にも大きな影響があると思っておりますし、それ以上に、日本の安全保障にもマイナスの影響を生んでしまいます。この重要性を改めて共有をさせていただきたいと思います。

 そして、このセキュリティークリアランスの法案に対して、同盟国、同志国からいろいろな期待が寄せられております。ようやくここまで来たかということで、喜びの声も多うございます。

 そして、この法律が極めて重要になってくるわけですけれども、一方で、この法律の運用も大変大事になってくると思っております。例えば、特定秘密やセキュリティークリアランスの対象に指定されるもののスタンダード、プロジェクトのスタンダード、技術のスタンダード、こういったものが同志国と同じでなければ、逆に言うと、法律があっても運用が異なれば、結局、情報は共有できないというようなことになってしまいます。

 果たして、今特定秘密に指定されている事案の数が十分なのかどうか、同志国とのスタンダードに合っているのかどうか、こういったところも不断の見直しが必要でありますし、セキュリティークリアランスが法制化され、そして運用に移った際には、このセキュリティークリアランスにおいても、これは全く同じことでございます。

 法律をしっかりと作り、そして運用もきっちりと、グローバルスタンダード、同志国とのスタンダードに合わせる、こういったことを是非とも進めていただきたいと思っております。そうすることによって、より確かな日本の安全保障、そして日本の産業競争力、これが担保されるというふうに大きな期待を持っておりますので、引き続き、この点につきましてもよろしくお願いを申し上げます。

 まだ時間前ではありますけれども、これにて終了させていただきます。

 ありがとうございました。

平主査代理 これにて和田義明君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。緒方林太郎君。

緒方分科員 よろしくお願いいたします。河野大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、規制改革について質疑をさせていただきたいと思います。今日は、敷地内薬局について取り上げさせていただきたいと思います。

 敷地内薬局については、二年前に、私、予算委の分科会、厚生労働省所管で、この件は利権の温床になるのではないかというふうに指摘をさせていただきました。そして、KKR札幌医療センター、アインファーマシーズの件を見て、自分の見立てが間違っていなかったというふうに思いました。

 まず、厚生労働省にお伺いしたいと思います。御感想は。

吉田(易)政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の事案につきましては、公判係属中の個別の刑事事件でございまして、見解を述べることについては差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

 一方で、令和四年にも御答弁しましたとおり、薬局につきましては、地域において、患者の生活を支え、在宅医療を含めた薬剤師サービスを提供することが求められているものであり、立地場所にかかわらず、その機能が果たされることが必要である、このように考えております。

 薬剤師、薬局が、地域包括ケアシステムの担い手として、患者の服薬状況などの情報を一元的、継続的に把握し、最適な薬学的管理やそれに基づく指導を実施するなど必要な役割を果たし、患者にとって意義のある医薬分業を実現していただきたい、このように考えているところでございます。

緒方分科員 この敷地内薬局の仕組みだと、病院側が薬局側にキックバックを求めたくなり、そして、薬局がキックバックを払ってでも参入したいという動機が働くはずなんですね。私、それを利権の温床だと二年前も指摘させていただきました。そういう認識を、厚生労働省、お持ちになりませんか。敷地内薬局の公募の要件を多く見ていると、とてもじゃないけれども、病院から独立した機能を持つと思えないようなものが散見されるんですね。

 厚生労働省の見解を求めたいと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 患者本位の良質な医薬分業を推進するためには、医療機関から独立した立場で処方内容を確認し、必要に応じて疑義照会を行うなど、患者の薬物療法に関わっていくことが必要であると考えてございます。医療保険におきましても、保険医療機関及び保険薬局に対しまして、それぞれの独立性を担保した上で、経済上の利益の提供による誘引や、特定の保険薬局への誘導、これを禁止してございます。

 御指摘のいわゆる同一敷地内の薬局に関しましてもこうした規制がかかってございまして、こうした規制の下で、患者本位の医薬分業や健康保険事業の健全な運営を確保する観点から、医療機関とは構造的、機能的、経済的な独立性を担保した上で開設されているものというふうに認識してございます。

緒方分科員 本当ですか。独立して設置されているととても思えないですし、そもそも、入札とかそういうのにかけるときに、病院とタイアップしていることを事実上求めるような入札、山のようにありますよ、公募の段階で。今の、独立性が担保されているものと承知しているというのは、余りに現実と離れていると思いますけれども、もう一度答弁お願いします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬分業の趣旨などを踏まえますと、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、薬局と医療機関との間には経済的、機能的、構造的な独立が必要であるというふうに考えてございます。

 いわゆる敷地内薬局につきましては、同一敷地内にありますことから、医療機関とは、土地や建物の賃貸借の関係も含めて、医療機関と薬局が一体的な機能とならないよう独立性を確保することが必要でございます。保険薬局の指定に当たりましては、経営主体の実質的な同一性又は医療機関との機能上のつながりの強さなどの観点で独立性を確認しているところでございまして、引き続き、薬局が医療機関と独立した関係性を確保しつつ適切に業務が行えるよう、必要な対応を進めてまいりたいと考えてございます。

緒方分科員 公募する際に病院側が、あれを造ってくれ、これを造ってくれと、薬局と関係なく、いろいろな施設を造ってくれと要望することは、これは独立性を害しているのではないかと思いますが、もう一度。

日原政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、薬局とそれから医療機関との間には経済的、機能的、構造的な独立が必要であるというふうに考えてございますので、いわゆる敷地内薬局につきましては、同一敷地内にあるということも踏まえまして、そうした医療機関との機能上のつながりの強さなどの観点で、保険薬局の指定に当たって独立性を確認しているところでございます。

 なお、令和六年度の診療報酬改定に係る中央社会保険医療協議会での議論におきましても、いわゆる同一敷地内の医療機関と薬局との間での誘致条件、契約内容などの関係性をしっかりと確認すべきとの御指摘があったところでありまして、引き続き、薬局が医療機関と独立した関係性を確保しつつ適切に業務が行えるよう、必要な対応を進めてまいりたいと考えてございます。

緒方分科員 しかし、敷地内薬局、誰が受けているかというと、かなり限られた数の大規模なチェーンによる寡占状態なんですよね。違法状態、違法行為を犯してでも取りに行きたくなるという環境が醸成されているんじゃないですかね、厚生労働省。

日原政府参考人 適切な医薬分業の実施などの観点からは、薬局と医療機関との間に経済的、機能的、構造的な独立性が必要であるということで御答弁を申し上げたところでございますけれども、この考え方は、医療機関がどのような設立主体であっても、また、薬局が適切な業務を行うためには、立地がどのような場所であったとしても、これは大事なことだというふうに考えておりまして、医療機関との独立性を確保すべきものというふうに考えてございます。

緒方分科員 アインファーマシーズの件は、みなし公務員だから刑事罰になりましたけれども、これは最近、民間病院でも行われるようになっていますね。民間病院でこのような慣行が行われることについて、何の問題も惹起しない、そういう御認識でしょうか、厚生労働省。

日原政府参考人 個別の事案につきまして具体的に言及することは差し控えをさせていただきますけれども、先ほど来御答弁申し上げております薬局と医療機関との間の独立性、経済的、機能的、構造的な独立性が必要であるという点、これにつきましては、医療機関がどのような設立主体であっても変わらないものというふうに考えてございまして、これは、かかりつけ機能を発揮して保険調剤を行う場合にあっては、医療機関との独立性を確保すべきものというふうに考えてございます。

緒方分科員 何を言っているか分からないと、多分、聞いている人は思うと思いますよ。時間もありますので、議論を進めたいと思いますが。

 こういうところでのキックバックとか利益供与というのは、ミクロ経済学で言うところの不労所得だと思うんですね。そうですよね。そうすると、こういうことを野放しにしておくと、その分の薬価はそもそも削減対象になるんじゃないかという議論を惹起すると思いますけれども、厚生労働省、いかがでしょう。

日原政府参考人 御指摘の点も含めまして、健康保険事業の健全な運営を確保するという観点からも、先ほど来御答弁申し上げております独立性の担保、これが大変重要だというふうに考えておりまして、医療保険におきましても、経済上の利益の提供による誘引ですとか、特定の保険薬局への誘導、こうしたものを禁止しているところでございます。

緒方分科員 もうほとんど、さっきから答えになっていないんですよね。私の質問に対してほとんど。多分、後で議事録を見れば分かりますよ。それぐらい、仕組みとして問題なんじゃないかなということなんだろうと思います。今の審議官の答えを聞きながら、苦しいんだなということはよく分かりました。

 調剤基本料別で見ると、医療品費等の割合が敷地内薬局はすごく高いんですね。そして、処方箋一枚当たりで見ても、薬剤費が突出して高いんですね。しかしながら、先ほどから点数を下げる話をしていますが、今、目の前にある課題に対して、敷地内薬局への様々な点数を下げればこの問題は解決の方向に向かうという認識でしょうか、厚生労働省。

吉田(易)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のいわゆる敷地内薬局の診療報酬につきましては、薬局の経営の効率性などを踏まえ、調剤基本料を引き下げるといった対応を実施しているものでございます。

 一方で、保険薬局の経営上の独立性の確保につきましては、令和六年度の診療報酬改定におきますいわゆる中医協での議論におきましても、いわゆる同一敷地内の医療機関と薬局との間での誘致条件や契約内容等の関係性をしっかりと確認すべきとの指摘があったところであり、引き続き、薬局が医療機関と独立した関係性を確保しつつ適切に業務が行えるよう、必要な対応を進めることとしております。

 さらに、薬局の機能の観点からも、立地場所にかかわらず、地域において薬局に求められる機能が適切に果たされるよう、様々な観点での検討が必要と考えており、厚生労働省では、現在、敷地内薬局の現状などに関する調査を実施しているところであり、その結果も踏まえ、引き続き検討を行ってまいりたい、このように考えております。

緒方分科員 議事録にしてみると、恐らく質問と答弁が全くかみ合っていない議論を行っていると思います。

 ちょっと質問の仕方を変えたいと思います。

 イエスかノーかで明確にぱしっと答えていただきたいんですけれども、敷地内薬局と敷地外薬局はイコールフッティングな存在だというふうに思いますか、厚生労働省。

吉田(易)政府参考人 お答え申し上げます。

 簡単ではないかもございませんが、いわゆる敷地内薬局につきましては、医療機関の敷地内に立地していることから、立地場所の観点で患者が利用しやすいと考えられる一方で、在宅患者への対応や一般用医薬品の販売なども含めたかかりつけ薬剤師あるいは薬局としての機能の発揮の観点では、いわゆる敷地内薬局よりも地域の薬局の方が利用されやすいと考えることもできることから、一概に、どちらの立地の方が競争に有利とは言い切れない面もある、このように考えてございます。

緒方分科員 もう一回聞きます。

 イコールフッティングだと思いますか。

吉田(易)政府参考人 お答え申し上げます。

 一概に、どちらの立地の方が競争に有利とは言い切れない面もある、このように考えてございます。

 いずれにいたしましても、薬局につきましては、患者に適切な薬物療法を提供することが重要であり、立地場所にかかわらず、地域において、患者の生活を支え、在宅医療を含め薬剤師サービスを提供することが必要、このように考えてございます。

緒方分科員 かかりつけ薬局を説明する際、よく立地に依拠しないという言葉が使われます。しかし、その病院を退院した後、多くの患者は敷地内薬局をかかりつけ薬局と認識していないと思われます。

 この敷地内薬局は典型的な立地に依拠した仕組みじゃないかと思いますけれども、厚生労働省、いかがでしょう。

吉田(易)政府参考人 お答えいたします。

 薬局につきましては、一概に、それがどこに立地しているからいい、あるいは悪いということよりも、かかりつけ薬剤師、薬局としての機能をいかに発揮できるか、地域医療の一翼を担う存在としていかに存在感を発揮できるか、これが重要だというふうに考えております。

 そういったこともあり、いわゆる敷地内薬局につきましては、令和四年七月の薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループの取りまとめにおきまして、薬局としての機能あるいは医療機関との関係性についての課題が指摘されており、実態を把握した上で更に検討することが求められているところでございます。

 厚生労働省としましては、現在、敷地内薬局の現状あるいは医療機関の公募内容に関する調査を実施しているところでございまして、その結果も踏まえ、立地場所にかかわらず薬局に求められる機能が果たされるよう引き続き検討を行ってまいりたい、このように考えております。

緒方分科員 よく分からなかったんですが。

 厚生労働省にお伺いしたい。

 かかりつけ薬局や、よく皆さん方が言われる地域包括ケアという大きな方向性と、敷地内薬局というのはどう整合的になるのかということについて御説明をいただきたいと思います。今日、傍聴で若い学生もたくさん来ておりますので、分かりやすく御説明いただきたいと思います、厚生労働省。

吉田(易)政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでもお答えしましたように、薬局につきましては、患者に適切な薬物療法を提供することが重要であり、患者の生活を支え、在宅医療を含めた薬剤師サービスを提供することが必要というふうに考えております。

 したがって、薬局につきましては、一概に、それがどこに立地しているからいい、悪いということよりも、かかりつけ薬剤師、薬局としての機能をいかに発揮できるか、地域医療の一翼を担う存在としていかにそれが発揮できるか、これが重要というふうに考えるところでございます。

 いずれにしましても、厚生労働省としましては、現在、敷地内薬局の現状あるいは医療機関の公募内容等に関する調査を実施しているところでございますので、その結果も踏まえ、立地場所にかかわらず薬局に求められる機能が果たされるよう引き続き検討を行ってまいりたい、このように考えております。

緒方分科員 絶対分かりにくかったと思うんですよね。これを理解するのは相当無理があると思うんですが。

 ここからは河野大臣に質問させていただきたいと思います。

 今のかかりつけ薬局の仕組みがうまくいっていると私は別に思っているわけでもなく、今の仕組みをずっと続ければいいと思っているわけでもないですが、だからといって、こういう仕組みをつくることというのは、制度がどんどんおかしくなっていくと思うんですね。

 この件は二〇一五年の規制改革の会議で決まったもので、河野大臣が最初に規制改革担当相をやる直前のものだと思います。前任の方の時代にやったものではないかと思うんですね。

 私は、河野大臣であればこの規制改革はやらなかったのではないかなというふうに思うわけでありますが、この規制緩和、私から見ると、規制改革の美名の下、結果として新たな利権をつくっただけではないかというふうに思うんですが、大臣の見解を求めたいと思います。

河野国務大臣 二〇一五年の規制改革というと、フェンスを撤廃するというやつですか。

 病院と薬局の間の行き来を無理に難しくして、車椅子の患者さんやら何やらが不便を強いられるというのは、それは私でもおかしいと思います。ですから、私がもし担当大臣だったらやったかと言われれば、多分やったんだろうと思います。

 ただ、それが原因で入札妨害が起こったというのであれば、それは敷地内薬局というものの仕組みそのものをどうこうするというレベルの話であって、フェンスがあるから入札妨害が起きなかった、フェンスをなくしたら入札妨害が起きたというのは、若干、風が吹けば何とかがもうかるという類いに近いんじゃないかと思います。

緒方分科員 規制緩和としては確かにフェンスの話なんですけれども、それが巡り巡って今のような状態になっている、入札妨害であったりとか、刑事事件を起こすようなことになるというときに、何か私、もう一回見直しを加えた方がいいのではないかというふうに思いますが、規制緩和の観点から、大臣、何かお考えを聞かせていただけないかと思いますが、河野大臣。

河野国務大臣 委員がおっしゃることは分からないでもございませんが、それはむしろ、規制改革とか、公道がどうとか、フェンスがどうというレベルの話ではなくて、今、医薬分業というのを進めているわけでございます。先ほど厚労省から答弁があったように、お医者さんの書いた処方箋、これが適切かどうかを薬剤師さんがチェックして薬を出す、そういう中でこの医薬分業というのが必要だということでやってきているわけですから。

 そうすると、病院がどこにあって、薬局はどこにあるのか、あるいは、場所に依拠しないかかりつけ薬局の話というものがありました、むしろそれはそういう観点から議論されるべきものであって、患者さんの利便性を損なって入札妨害事件を起こさないようにしようというのは、それは私はちょっと筋違いなんだろうなと。やるんだったら、それは制度そのものの議論ということなんだろうと思います。

緒方分科員 厚生労働省、頑張ってください。

 それでは、質問を少し移したいと思います。全く別分野の話なんですけれども、最近、私、人が亡くなったときのデジタルというのがどういうふうになっていくんだろうかということについて、これは恐らく主査も含めて非常に関心が高いのではないかと思います。

 私、フランス語を話すということもありまして、フランスのデジタル共和国法という法律をよく見てみました。そうすると、あの国には、例えば忘れられる権利とか、あと、デジタル上の死という、モールニュメリックというんですけれども、これが明確に書かれていて、非常にここからいろいろなものを展開していっているわけですが。

 必ずしも今、日本の既存の法制度が、人が亡くなったことに伴うデジタルの死ということについて対応し切れていないのではないかという懸念を持っています。包括的に横串を刺して制度設計してはどうかと思うんですね。複数省庁にまたがるテーマなので、デジタル庁で調整してはどうかと思いますが、政府参考人、いかがでしょう。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員から御指摘をいただきました、フランスの法律にもあるような、人が亡くなった後の例えばデータですとかパスワード、あるいは財産性のあるものなどのデジタル上の処理ということだと思うんですけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、我が国において、現時点で包括的な制度などが存在してはいないものと認識をしてございます。

 このため、まずは、例えばデータの種類や内容、それぞれございますけれども、それに応じまして、既存の制度で何ができているのか、何ができるのか、また、どういった課題があるのかといったことを洗い出しまして、対応の必要性を含めて検討することが重要ではないかと考えてございます。

 こうしたデータ等の取扱いに際しましては、様々な社会課題も様々混在しているということも多いと思われますので、その実態も踏まえまして、関係省庁とも連携をしながら、諸外国の制度の状況なども勘案をし、幅広い観点から、デジタル社会の実現に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。

緒方分科員 相続であれば、法務省の関係とか、財務省が絡んだりとか、もうともかく、結構多数の省庁が絡む。今日は私、河野大臣に、内閣府の大臣としてお呼びしているので、デジタル庁の質問は駄目というふうに言われたんですが、せっかく目の前におられるので、感想を求めたいと思います、河野大臣。

河野国務大臣 詳細は政府参考人に是非聞いていただきたいと思います。

緒方分科員 はい、まあ、そういうことですね。

 最後、中央省庁、とりわけ外務官僚の語学能力というものについて質問させていただきたいと思います。

 河野太郎衆議院議員という方が、まだ一議員のときですね、外務大臣時代に、外務官僚の語学能力がかなりひどいということをユーチューブで見まして、結構、意を得たりと思ったんですが、これから国家公務員は省庁を問わず英語能力の向上を図るべきだと思うんですね。

 まず、内閣官房の方にお伺いをいたしたいと思います。

 今や、別に外務省とかそういう役所だけではなくて、幅広い役所で英語能力を求められるわけですよね。俺は国内官庁だからとかいうことでなく、全体としての英語能力の向上を図るべきだと思いますが、内閣官房、いかがでしょう。

窪田政府参考人 お答えします。

 御指摘のように、国際関係の業務は大変多くなっておりますので、語学能力などを育成していくことは大変重要だと考えております。

 政府としては、各種の留学制度などを運営しているところでございますが、引き続き、語学能力を含めて国際的に、活動に必要な能力の向上を図れるような取組について、人事院や各府省とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

緒方分科員 その上で、河野太郎衆議院議員が言っていたように、外務公務員の言葉のレベルがちょっと下がってきているのではないかなという危惧を持っています。

 河野太郎衆議院議員は英語のことについて結構長く言っておられて、TOEFLで百十点を取るぐらい頑張ってこいというようなことをサイトで言っておられるのを見ましたが、私はフランス語ができますので、フランス語で日本大使、アンバサドゥール・デュ・ジャポンと入れて引くとばあっと出てくるんですけれども、正直なところ、聞くに堪えるレベルにあるのは三割いっているかいないかぐらいであります。恐らく、非英語の、特殊語の方々でいうと大体それぐらいが、例えばその言葉で外交交渉が直接できるかとか、そういうレベルではないかと思うんですね。非常に私、危惧をいたしておりまして。

 河野太郎衆議院議員は外務公務員1種試験が国家公務員1種試験に統合されたことに問題があるんじゃないかということも言っておられましたが、今そういう、ちょっとどうかなと思う感じの人は、そもそも外務公務員1種試験のときに合格した方々なので。

 まず、官房長、来ておられます、フランス語の大先輩でありますが。そもそも、外務省は二年間在外研修に出していますが、幾らかかっておられますか、官房長。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在外研修員に対しましては、外国で研修する上で必要な授業料などや生活費に充当するため、名称位置給与法に基づきまして研修員手当というものを支給しております。

 この研修員手当の額につきましては、名称位置給与法及び外務省令で、在外研修員が研修をしている場所を所管している在外公館の所在地ごとに定めております。その金額は、この名称位置給与法別表で金額が大きいものから小さいものへの順に一号から百十四号まで定めております。

 他方におきまして、同一の在外公館の所管地域において研修する場合であっても、研修先によって授業料などに違いがあるため、在外研修員の研修先の学費が著しく高額である場合などには、適用する号を在外研修員ごとに調整できる旨、外務省令上定められておりまして、このため、在外研修員によって受け取る額は異なっております。

 特にアメリカ及びイギリスでは、近年の大学院などの学費が高騰しているということもありまして、昨年におきましては、アメリカにおける在外研修員の研修先で最も高い授業料は一年で約八万ドルでございました。他方、研修先によっては、欧州諸国でもその半額以下の支給となっている場合もございます。

緒方分科員 いや、大体、平均的で構わないんですけれども、二年間在外研修に出したらどれぐらいかかりますかということをお伺いいたしております、官房長。

志水政府参考人 失礼いたしました、今、二年間トータルで幾らかということについて計算したものがございませんけれども、基本的な手当の額というものを申し上げます。

 これは令和六年度の予算案において計上しているものでございますけれども、在外研修員の手当は二つの要素から成っていて、研修費部分、それから生活などのために必要な非研修費部分になっていて、一か月について、研修費部分については全世界共通で五万四千六百七十七円。ただし、これは、先ほど申し上げたように、調整される可能性がございます。それから、非研修費部分につきまして、すなわち生活費、住宅費などを含むんですけれども、これにつきましては、アメリカにおいては三十四万円強ということになっていますが、これは国によって違うということでございます。

緒方分科員 ちゃんと通告したつもりだったんですが、通告がうまくいっていなかったですね。けれども、結構お金がかかっているわけですよ。

 最後、私、何が言いたかったかというと、今、言葉の能力にちょっとどうかなと思う人たちがいるんですけれども、そもそも、あなた方は高い国費を使って研修させてもらっているわけだから、ちゃんと自己研さんを積みなさいということを、外務省全体として、外務省職員に、研修、国民の税金からお金を出してもらって、そこに感謝の気持ちを持って、そして自分自身で研さんを積むべきだというふうに、官房長の方から省内に指示を出していただきたいと思いますが、官房長。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 今、緒方委員がおっしゃられたとおりだと私も思います。

 外務省員として、外交実務を行っていく上で高い語学力が必要であるということですので、研修期間中はもちろんそうでありますし、研修が終わった後も、その語学能力を磨いていく必要があると考えております。

緒方分科員 終わります。

平主査代理 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

    〔平主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、こども家庭庁について質疑の申出がありますので、これを許します。市村浩一郎君。

市村分科員 ありがとうございます。日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、能登半島地震がございまして多くの方が避難をされたというところで、その中にはムスリムの方がおられたということで、その方たちが、やはり、ハラル食といいますか、いわゆる、特に豚肉とかを使っていない食事をふだんされておられるということで、ただ、緊急時に避難したときになかなかそういう食事が取られないということもあるとは聞いております。

 そのときに、やはり、日本もずっとハラル認証を進めてきておりまして、もちろん、ハラル料理店等もあるんですけれども、緊急時に、じゃ、食べられるハラル料理はあるのかということになってまいりまして、そのときに、日本人の方が、ハラル認証を取ったカップラーメンを作って、特に日本では売っていないんですけれども、日本では成田空港かどこかにあるんでしょうかね、海外で結構売っている。また、いざというときのための備蓄ということで、例えば豊田市さんなんかは、そのカップラーメンを既に災害時の備蓄に含めている、そういう自治体も生まれてきているということでございます。

 今後、いろいろな、今回の能登半島地震もこれから復旧復興ということで、大変なまた長い時間がかかるわけでありますけれども、緊急時にハラル食を食べられるような、平時からそういう備えをしておくべきではないか、こう思っておりますが、これについての政府の御見解をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今般の地震では、日本人だけではなくて外国人の方も被災されておりまして、自宅である勤務先の寮等に在宅避難をされておられるハラルフードを必要とする技能実習生の方が食料、飲料水等の物資を近くの避難所に取りに来ていたケースがあるものと承知をしております。

 内閣府におきましては、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針、こちらにおきまして、避難者が食料や食事を安心して食べることができるよう、避難所で提供する食事の原材料表示を示した包装や食材料を示した献立表を掲示し、避難者が確認できるようにすることや、また、文化、宗教上の理由から外国人等の避難者が食べることができない食料がある場合、当該避難者に対し、可能な限り配慮することが望ましいことをお示しをしているところでございます。

 内閣府といたしましては、関係省庁とも連携いたしまして、引き続き、外国人等の方に対しまして、避難所において必要な配慮が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。

市村分科員 感謝いたします。よろしくお願いします。

 続きまして、公益法人制度改革について質疑をさせていただきたいと存じます。

 今日は担当の工藤副大臣がお見えでいらっしゃいますが、工藤副大臣、公益法人とNPOは違うものでしょうか。ちょっと、もし、御認識を伺えればいいんですが。済みません、これは通告はしていませんけれども。

工藤副大臣 突然の御指名でありますけれども、お答えいたします。

 何となく分かるんですけれども、細かな面で定義を出せと言われると、なかなか一般の方に説明するのは難しい団体だなということしか今は言うことしかできません。

 委員には細かく話せば時間がなくなるのでやめておきますけれども、今、じゃ、NPOと公益法人、財団法人、一般社団、いろいろありますけれども、それをどういうふうに区分けして、説明するというのはなかなか難しいと考えております。

市村分科員 済みません、ありがとうございます。突然済みません。

 公益法人はNPOなんです。NPOの中で特に公益性が高いものが公益法人なんです。世の中に、ずっと、NPOというのは私が最初に使い始めた言葉なんですが、これが三十年たってもなかなか、ここのまず基本的な理解がまだ進んでいないということで、予算委員会も含めて、国会でも何度もこの話をさせていただいておるんですが、公益法人はNPOです。

 真のNPOの法人制度は、一般法人です。一般法人こそがNPOなんです。その中の公益性が高いのが公益法人ということでございまして、その公益法人が新しい公益法人制度になってもう十年以上たつわけでありますけれども、今年、公益法人改革というのが、通常国会の中で改革法案が出てくるということで大変私も期待いたしておりますが、是非ともこの公益法人改革を進めていただきたいと思いますが、まず、政府の方から、ちょっと公益法人改革の中身をお願いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の公益法人等制度改革でございますけれども、公益法人と公益信託の両制度について、民間から見てより使いやすい仕組みとすることで、社会的課題解決に向けた民間の取組を一層活性化していくことを目指すものでありまして、新しい資本主義の実現にも資する重要なものであると考えております。

 まず、公益法人制度について簡潔に申し上げますが……(市村分科員「もう制度はいいです。だから、改革の今度のポイントだけ教えてください」と呼ぶ)そうですか、はい。まず、公益法人については、厳格な財務規律、現行厳しいですが、それを柔軟化しまして、将来の公益事業の発展、拡大というのを後押しするために、公益充実資金という制度を新しく創設いたします。また、中期的な視点による経営ですとか変化への迅速な対応ということを後押しする観点から、手続の柔軟化、合理化を図ります。それと併せて、法人の透明性と自律的ガバナンスの向上も図ります。また、公益信託制度についても、公益法人制度と並びの制度で、民間にとってより使いやすいものにして、民間の潜在需要を喚起していきたいと思っております。

 最後に一言、今回の制度改革でございますが、コロナ禍に苦しむ民間の現場からも、やはり、厳し過ぎる規律というのはかえって民間公益を阻害しているんじゃないかという声もありますので、そういった声に応えるために、現在、法案の準備を進めておるところであります。

 また御指導をよろしくお願いいたします。

市村分科員 感謝いたします。

 とにかく、民間の公益の活性を図るためにということで、透明性をより高める。しかし一方で、ちゃんとガバナンスはしっかりしてもらう、セルフガバナンスということだと思います。

 是非とも、この流れは、私も三十年以上このことに取り組んできておりますので、大変いい流れだと思っておりますのでどんどん進めていただきたいと思いますが、一方で、副大臣、是非とも政治家としてのお言葉をいただきたいのは、そうすると、また、制度を緩やかにすると悪用する人たちが出てくるんですよ、こういう制度というものは。そういう人に対して、私はやはり罰則強化というのが必要だと思っています。

 余り、ふだんからがみがみ言うのではなくて、五年ぐらい様子を見て、いろいろなうわさも聞いて、どうもあそこはおかしいと大体分かってきますよね。あそこはどうも、お金はたくさん集めているようだけれども、公益目的には使っていなさそうだし、何か個人の、親族でやっているんじゃないかとか、そういう疑いも出てくるようなところも、これから恐らくもっと出てくるんじゃないかと思います。

 そこで、私はやはり、一方で透明性を高めるということ、セルフガバナンスに持っていくというのは大変私はいい流れだとは思うんですが、やはり、そういうものを悪用する人、それから組織については、これはもう厳罰に処するような流れをつくっておかないといけないと思います。

 海外、アメリカが特にこの公益法人、NPOの世界は発展をしていると思いますが、アメリカのまたそうした事例も見ながら、是非とも、使い勝手のいい制度にすると同時に、それを悪用する者に対しては厳しい仕打ちをする、罰則を科すということをお願いしたいと思いますが、副大臣の御見解、政府の御見解を副大臣からよろしくお願いいたします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 ざくっと答弁は読まさせていただきますが、釈迦に説法になってしまいますけれども、今回の改革では、公益法人、先ほど説明にありましたとおりでございます、公益法人の経営の自由度を高める一方で、それに見合った透明性の向上やガバナンスの充実を図ることが重要だと考えております。

 このために、外部理事、監事の導入とともに、公益法人が自主的に取り組んだガバナンス強化策の事業報告への記載等の措置を講じることとしております。その上で、行政の監督においても、めり張りづけを強化し、御指摘のような制度を悪用する法人に対しては、機動的、重点的に立入検査を行い、勧告、命令、認定取消しなどの監督措置を果断に実施してまいりたいと考えております。

 今お話があったとおりでありますが、私も、NPO、公益法人、その差とか、あとは、よくあるのが、申請をしたい、NPOを活用してみたいのでと言われて、ではそれはどこの役所に行ったらいいんですかと言われますと、国ですか、例えば、私は住んでいるのは政令都市ですから名古屋市ですか、愛知県庁ですか、そういうところも迷ったりするというところはありまして、勉強させていただきまして、今その担当の副大臣でありますけれども。

 まあ、余り立場上言えませんけれども、果たしてこのNPO、長く聞いておるNPOなんですけれども、実際問題、社会的にきちっとされているんだろうかというところもあれば、やはり社会貢献のために、小さなNPOでも集まって、特にこういうボランティア、あってはいけませんけれども、被災時、災害時に結束する、しっかりボランティア活動で現地に飛んでいく、救援物資を送る、そういう方々がいるのも周知していることでありますので、言わんとしていることはよく分かりますので、とにかく、つくっていただいて活用する、でも、その中に不備な点があるところは是正していただき、さらに、悪質なものにはきちっと監督をしながら罰則を加える、当然だと考えております。

市村分科員 感謝いたします。

 自由にすると同時に、悪徳というか、そういう悪用する人にはきちっとした裁きを下すというのが大切だと思います。よろしくお願いいたします。感謝いたします。

 それでは、次に、今日の、済みません、加藤大臣、お待たせしました、養育費の支援事業ということで、ちょっと最後にまたお尋ねするんですが、その前に、なぜ私がこのような質問をさせていただくかということについて、ちょっと前段がありますので、また加藤大臣に聞いていただきたいと思います。

 というのも、私はさきの予算委員会でも議論させていただいたんですが、今、我が国で、残念ながら、でっち上げによる実子誘拐ともいうべき事態が蔓延しているというふうに思います。その結果、連れ去られた方の人が、本来連れ去られた被害者なのに、とんでもないことに、制度の不備をうまく利用した方によって加害者にされて、そして、心を病んだり、中には自殺をされた方ももう既におられます。

 私が去年あたりからこのお話に取り組んで、こうした国会での質疑も聞いていただいて、自殺をしようと思っていたけれども何とか踏みとどまりましたという声もいただいておるところでございまして、非常に残念な状況に、今、日本の一部では、あるということであります。

 その中で、是非ともまた改めて今日確認したいのは、これは実子誘拐なわけでありますから、警察にまず言っていただくことになるんですね、その所轄の警察署に、誘拐されましたと。本当はなかなか心の葛藤があると思います。やはり、相手方、配偶者が自分の子供を連れ去るわけでありますから、これを誘拐と思うのはなかなか厳しいと思います。厳しいけれども、その後の、今起こっている状況を考えると、そこで実子誘拐ですと警察に届けておいて、届けというか、告訴しない限り動かないんですね。その後、いろいろな裁判が進む過程で、そこで言っておかないと、結局、すぐにずっと加害者扱い、実は連れ去られた被害者なのに加害者扱いをされる、そういう裁判の過程になるという実態があるのです。

 だから、まずは警察に行って、実子誘拐です、子供が連れ去られました、誘拐されましたと警察に言っていただかなくちゃいけないんですが、そのときに、警察が、今の実態を見ると、受け付けてくれる、受理する警察署もあれば、受理しない警察署もあるという実態がこれまたあるということでありますが、今日は警察からも長官官房審議官にお越しいただいておりますが、是非とも、さきの予算委員会では、警察の皆さんもしっかりと対応いたしますと言っていただいておりますので、改めて、今日、審議官の方からまた聞かせていただきたいですし、是非とも、所轄の警察署まで、受理をして、きちっと誘拐容疑として捜査をしていただきたいし、聴取もしていただきたい。

 その過程で、恐らく、連れ去った方は、これがそういう罪に当たる可能性があるんだなということを考えられれば、また思い直すこともあると思うんです。

 後から言いますが、それを幇助している、中には弁護士さんすらがいらっしゃいまして、私はこれは悪徳弁護士と呼んでおりますが、こうした方々が指南をして、そういう連れ去りをさせるということです。でっち上げて連れ去りをさせるということがあるわけでありますが、まず、警察の方で、まずは実子誘拐容疑として受理をしていただくことを改めてお願いしていますので、御答弁をよろしくお願いします。

親家政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのような事案につきましては、重大な被害に発展するおそれもあることから、警察に告訴等がなされた場合は、要件を満たしている限りこれを受理することとしているところでございます。

 その上で、関係者からの事情聴取や証拠の収集など必要な捜査を行いまして、これらにより明らかとなった具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対応することとしているところでございます。

 引き続き、こうした取組を徹底するよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

市村分科員 よろしくお願いします。

 そこで受理が遅くなると、その後もう子供と会えない状態になるということで、これは、夫婦の関係というのは、昔から夫婦げんかは犬も食わないものとも言われますので、これは仕方ありません、もうそれは嫌になったら仕方ないというところがありますが、しかし、子供がいる場合は、これはやはりよくよく考えなくちゃいけないと思います。

 やはり、縁があって結婚して子供をもうけた以上、子供には何の罪もないわけでありまして、子供を両親が育てるというのは、これは権利じゃなくて義務だと思いますので、その義務を果たせなくなるようにされるということは大変問題でありますし、かつ、かわいい子供がある日突然消えるということ、そしてそれが、その連れ去った相手が配偶者であったということになってきまして大変つらい思いをされますので、誘拐として届けるのはもっとつらいのかもしれませんが、先ほども申し上げましたが、その後に起こることを考えると、そこで取りあえず警察に行っていただいて、警察が受理をしていただき、そしてきちっと捜査の過程で相手方の話も聞いていただいて、心を落ち着けて、子供を共に育てるのは義務なんですよということを諭していただきたい。そうすると、この誘拐という状況が私は解消される可能性が高いと思っておるところでございます。

 ここで、誘拐容疑となります、誘拐を受理していただくと、誘拐容疑者としての捜査が始まるということでございますが、そこに、さっきちょっと申し上げましたが、弁護士さんがついているケースが多いんですね。これは予算委員会でも、これは法務委員会ですね、でもやりましたけれども、その弁護士さんが、いかにでっち上げを指南するか、促しているかという音声までがユーチューブの世界とかでは出てきていまして。

 とにかく、わざと相手を怒らせて、怒らせるようにして、相手が、怒らせようとすると、幾ら温厚な人でも何度もやっていればそれは時々には怒りたくもなるでしょう、怒ったときの例えば声とかを録音しておきなさいと。そうすると、その一回だけなのにかかわらず、いかにもその人はふだんからこういう物言いをしている人かのような、そんなことをまず一つの流れとしてつくらせておいて、そして、そういうのを積み重ねておいて、いかにもこの人はDVの傾向があるとか、いかにもこの人は児童虐待の傾向があるとか、そのようないわゆる物語をつくっていくわけです。でっち上げをつくっていくわけですね。そうしておいて連れ去りなさい、こういうふうなことなんですが。

 これはもう、一方からすると、さっきから申し上げた実子誘拐にほかならないわけでありまして、実子誘拐を、つまり、私からすると一部の弁護士さんですよ、もう私も何度も申し上げていますが、弁護士さんのほとんどは立派な方だと思っていますし、私も友人は弁護士もたくさんいますけれども、みんな立派な方、本当に志の高い方だと思います。しかし、一部に、残念ながら、ビジネスモデルとしてそういうことを、営利目的でそういうことを、自分側では営利ですよね、弁護士も報酬をもらう、これは営利ですから。営利目的でそういう誘拐を促して、させているわけですから、これは本当は、幇助罪と私は言ってきましたが、幇助罪どころか主犯者じゃないか。だって、無知な人をそうやって、弁護士資格、弁護士という、いかにもみんなから信用される方が、私に任せておきなさい、こうこうして、こうしてでっち上げておいて、そして連れ去りなさいという、誘拐ですよね、これは誘拐を促しているわけでありますから、これは、幇助というよりも実行犯だと言ってもいいぐらいだと思いますが。

 こういう場合があるわけでありますけれども、こういうことについて、法務省さん、こういう実態をどう考えておられますでしょうか。松井大臣官房審議官、お答えいただければと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 離婚や養育費請求などの裁判手続等において、当事者の一方の立場を有利にする目的で、DVを受けたかのように偽装して主張することを弁護士が促している場合もあるとして、これを批判する意見があるということは承知をしております。

 ただ、養育費請求に関する当事者の主張や弁護士の活動の当否等については、個別の事件における事実関係に基づいて判断されるべきものでございまして、コメントすることは差し控えたいと考えております。

市村分科員 法務省の官僚の皆さんからすればこれが限界だと思うんですが、ここはやはり政治家である中野政務官、いかがでしょうか。

中野大臣政務官 今お答えをいただいておるとおりでございますが、離婚や養育費の請求、裁判手続等においての、当事者の一方的な立場を利用する目的での、DVを受けたかのように偽装している主張をすることを弁護士が促して報酬を得ている場合もあるとして、これを批判する御意見があることは承知いたしております。

 養育費請求に関する当事者の主張や、また、弁護士の活動の当否については、個別の事件、案件でございますので、事実関係に基づいて判断されるべきものであると考えております。

 それを前提とする報酬の受取の当否を含め、是非、この辺につきましては御答弁を控えさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

市村分科員 でも、是非とも、政治家であられる政務官にはもうちょっと踏み込んで、やはり、こういう実態があるということでございます。これは別に男性とか女性とかに限らず、どちらも被害者であります。別に男性だから何とかとか、女性だから何とかという話ではなくて、こういうことで連れ去られて、連れ去られたというか、誘拐されているわけです。これはもう誘拐と言っていいと思います。それを幇助というか、さっきから申し上げておりますように、幇助というよりは、これはもう主犯じゃないかと言ってもいいぐらいじゃないかと思っていますので、是非とも、こういうことがまかり通らないように、はびこらないようにお願いいたしたいと思います。

 それでは、お待たせしました、加藤大臣に。

 何で、今日、養育費の支援事業について私がある種疑問に感じているかといいますと、結局、私からというか多くの皆さんが、今、そういう意見もあるとおっしゃいましたが、そういう実態があって、実子誘拐なのにもかかわらず、それは、相手方の配偶者を誘拐犯だと言うのは大変心苦しいわけです。心苦しい。多分、言えないんですね。でも、これからは言わないかぬと私は思いますが、言えないんです。それを言わなかったんです、これまで。

 言わなかったらどうなるかというと、相手方から、連れ去った方の弁護士から、調停をしなさいというものが裁判所を通じて来るわけですね。裁判所から来るわけです。相手が調停を求めるわけですね。調停が不備になると、これは裁判になってくるわけです、離婚裁判とかに。離婚裁判になると、婚費とかいわゆる養育費というものを払わなくちゃいけない。

 つまり、ずっと、申し上げたように、被害者ですよ、連れ去られたというか誘拐された被害者なのにもかかわらず、制度の不備で加害者にされて、裁判の中に放り込まれるわけですね。

 そうして、離婚が成立します。離婚が成立すると、養育費を払うということになってくるわけですね。未成年者の場合、まだ養育が必要な、別に、未成年というよりも、今は大学卒業するまでぐらいですから、二十二、三歳まで養育費を払えという命令になるわけです、これは。

 諸外国では、養育費に手をつける弁護士はいないらしいんです。この国は、その養育費にまで、成功報酬として毎月一〇パーから三〇パー、どうも取るらしいんですよね。それを取られるのがかわいそうだからといって、その取られた方の親に補助するという制度が今年入っております。この四月から入っているんです。この予算案に入っているわけです。いわゆる養育費の支援事業はそういうことなんです。

 でも、本当に、本来であれば、できる限り弁護士さんには養育費から手数料というか成功報酬は取らないでいただきたいと思うんですが、よしんば、それを、あるとしても、けれども、そもそも被害者なのに加害者にされて、加害者が裁判で負けて、離婚になって養育費を払わざるを得なくなって、それを一部の弁護士は、養育費を毎月取る、養育費から毎月一〇パーから三〇パー取っていくということに対して、補助が行われる可能性があるんです、この四月から。

 こんなめちゃくちゃ、そもそもおかしい。実子誘拐を幇助した、若しくは主犯かもしれないような弁護士が養育費を取って、しかも、それを政府が補助するなんということは、これは私は、あってはならない、こう思うんですが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 養育費の履行確保につきましては、政府として取り組むべき重要な課題と認識をしており、こども家庭庁としても、一人親家庭支援の重要な柱であると考えております。

 養育費の履行確保に向けては、法律の専門家の関与が有効でありますが、一人親家庭は経済的な理由などから弁護士への依頼をちゅうちょするケースもあるため、今般の加速化プランにおきましては、弁護士報酬に関する支援について盛り込み、離婚前後親支援事業として令和六年度予算案に位置づけてございます。

 なお、この支援は一人親家庭の支援を目的として行うものでございまして、弁護士への支援を目的としたものではありません。本事業を行うに当たりましては、事業を実施する地方自治体において適切な運用が行われるものと考えております。

 引き続き、養育費確保に係る支援について、法務省と連携を図りつつ進めてまいります。

市村分科員 だから、制度自体を、本当はモラル的には養育費から取らないでほしいと思いますが、弁護士さんには。でも、中には、改めて、養育費を払ってくれないから払ってほしいということを弁護士さんに依頼するときの話だと思いますよ。でも、今日の私の話は違うということは大臣には分かっていただいていますよね。

 そもそも犯罪行為で行われたことに対してこの制度が利用される可能性があるということなんです。だから、そこはきちっと分けていただきたいということなんです。犯罪行為に、つまり、これは盗人に追い銭という世界なんですよ。そういう流れの中で養育費を補助するというのは盗人に追い銭の世界になりますから、そういう実態があるということを、是非とも大臣、及び、今日お出ましいただいた工藤副大臣、そして中野政務官にも分かっていただければと思いまして、そのことをお願いしまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。感謝申し上げます。

牧島主査 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。長友慎治君。

長友分科員 国民民主党の長友慎治です。

 本日は、ジェンダー平等をいかにして達成していくのかということにつきまして、三十分議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 来週の金曜日は国際女性デーになります。女性の権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指すために制定された日でございますけれども、日本のジェンダーギャップ指数は、御存じのとおり、後退を続けています。

 私は、二〇二一年に初当選した際に、ジェンダー平等の達成を公約に掲げました。それは、地方創生の観点からも、SDGsの観点からも、少子化対策からも、このジェンダーギャップ指数に注目してきたからでございます。

 そうなんですけれども、日本の男女格差はなかなか改善されません。G7では最下位、アジア諸国を見ても、韓国や中国、ASEAN諸国と比べ、日本が下位の結果が続いています。

 ジェンダーギャップ指数が低いと起こる問題点、主に三つあると言われています。

 一つ目は、女性が受ける被害が増える。暴力や虐待は、日本でも耳にする問題です。一言で暴力や虐待と言っても、それらは肉体的、精神的、性的、経済的と多岐にわたります。

 問題点の二つ目は、雇用に対する格差が広がるということです。男性と比べまして、女性の働き方はライフイベントに左右されがちです。ジェンダーギャップ指数が低いと、雇用に対する格差が広がると言われています。日本では、結婚、出産、育児に関しても男性も協力的な社会になってきたとはいえ、女性の負担はまだまだ大きいのが現実です。それゆえ、女性の採用に消極的だったり、女性の昇給に消極的だったりする企業も残っているのが実情ではないでしょうか。

 雇用された後も、妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントがあります。こちらは企業側が防止措置を講じなければならない事案です。また、結婚から出産を機に退職した場合、いざ再就職しようとしても非正規雇用となるパターンも多くあります。出産、育児とキャリアの両立の難しさから、正社員としての復帰をそもそも諦めてしまう人もいます。

 問題の三つ目、賃金の格差が広がるという点です。前述したとおり、出産を機に正社員を手放すと、新たに正社員として職を手にするのは現状なかなか難しい環境と言えます。男女別の正規、非正規の雇用割合を見てみると、就業している男性のうち正規雇用は八割以上なのに対し、就業している女性のうち正規雇用は五割未満という結果もあります。また、日本社会で女性の潜在能力は過小評価されがちです。女性は事務作業や窓口業務などの裏方の業務に就くことも多く、そうなれば、賃金もそれ相応のものとなってしまいます。

 そこで、大臣にお伺いします。加藤大臣は、日本のジェンダーギャップ指数が改善されない原因は何だと思われますでしょうか。見解を伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 世界経済フォーラムが昨年公表した二〇二三年のジェンダーギャップ指数において、日本は百四十六か国中百二十五位であり、この順位の背景としては、経済分野及び政治分野のスコアが低調だったことが影響していると承知をしてございます。我が国の現状を謙虚に受け止める必要があると考えております。

 この現状を踏まえ、具体的な取組としては、特にスコアが低調であった政治分野について、各政党に対し、女性候補者に係る数値目標の設定等についての自主的な取組の要請を行ったほか、近年、地方議会で女性議員比率が上昇している事例の調査分析等を進めております。

 また、経済分野につきましては、女性版骨太の方針二〇二三を踏まえて改正された東京証券取引所の上場規程において、各プライム市場上場企業が目指すこととされた、二〇三〇年までに女性役員比率を三〇%以上の目標の実現に向けた取組状況のフォローアップを行うとともに、管理職、さらには役員へという女性登用のパイプライン構築に向けた取組等が強力に推進されるよう、引き続き、女性登用に向けた取組を一丸となって進めてまいります。

長友分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 御指摘のとおり、ジェンダーギャップ指数、経済参画、政治参画、この二つの部分が弱いのが日本なんですね。教育、健康の値に関しては世界トップクラスになっていますけれども、政治、経済の分野が値が低い。

 政治参画の部分というのは、国会議員の男女比、閣僚の男女比、最近五十年における行政府の長の在任年数の男女比などで算出されるわけです。経済参画の値は、労働参加率の男女比、同一労働における賃金の男女格差、推定勤労所得の男女比、管理的職業従事者の男女比、専門・技術者の男女比などで算出される。

 そこの部分において、弱い部分を、政府、しっかりとてこ入れを図っていただいているということではございますけれども、二〇一八年、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が公布されております。この後、内閣府さんに御質問させていただくんですけれども、この法律は、衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すことなどを基本原則として、国、地方公共団体の責務や、政党等が所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めることなどを定めています。先ほど加藤大臣からも御説明をいただきました。

 一方、フランスでは、二〇〇〇年の六月にパリテ法を制定して、選挙の候補者を男女同数としました。パリテとは、フランス語で同等を意味する用語です。パリテは、選挙民の半分は女性なので、市民を代表する政治家の半分は女性とすべきなのが民主主義だという考えです。

 日本では、女性が半分というのに、政治家は男性ばかりです。これでは、女性が必要とする施策は採用してもらえるのでしょうかという疑問の声をよくいただきます。国民のうちの半分の利益だけを代表しているのではないかと思われても仕方がありません。

 そこで、男性、女性にかかわらず、誰にとっても暮らしやすい社会であるためには、何らかの制度で女性の登用を支援する必要があります。政治分野における男女共同参画の推進に関する法律は、日本版パリテ法というふうに呼ばれていますけれども、候補者を男女同数とすべきとする規定が努力義務にすぎず、実効性に乏しい理念法と指摘もあるのは事実でございます。

 内閣府、これは通告とはちょっとずれているんですけれども、実効性に乏しいという指摘に対してはどのような見解か、もし可能だったら伺いたいのですが、お話しいただくことは可能でしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘の政治分野における男女共同参画の推進に関する法律におきましては、各政党における候補者の選定に係るものについて、各政党において自主的に取り組んでいただくということでございまして、そのように考えてございます。

 今御指摘の割当てというものを法的に導入することにつきましては、やはり様々な観点から国会において御議論が必要であるということではないかと考えてございますけれども、いずれにしましても、女性の活躍する社会をつくるために、あらゆる角度から取組を続けることが重要であると考えてございます。

長友分科員 岡田局長、御答弁をいただき、ありがとうございました。

 各政党の努力というのは当然なんですね。私たち政党も努力しないといけませんけれども、なかなか、じゃ、努力してきた結果、女性の政治家の比率が上がっているかというと、御承知のとおりです。全く上がっていないのが事実だと私は思うんですね。

 私も、統一地方選挙、昨年ありました。自分の地元でも、女性の議員、出馬の依頼というか、立候補する数を増やしたいということで、様々な方々に御相談、アプローチをさせていただいたんですけれども、実際、立候補する段階になると、それぞれ、家族の、家庭の事情や、親戚、親族に強く止められたとか、子供に反対されたとか、女性御本人がもし志があってやりたいと言っても、なかなか後押しする環境にまだまだないのが実態だということを、私自身も自分の地元で強く実感しました。

 なので、私、公約にジェンダー平等の達成を掲げちゃったものですから、女性の候補者が一人も擁立できないというのは非常に自分でも納得し難いということで、最終的には私の妻に、出馬してくれということで、自治体議員に、昨年四月、なってもらったんですけれども、それぐらいしないと、というか、当たり前だと思います。それぐらい、ジェンダー平等の達成を実現しないといけないと思っているわけですから、自分の周りから、まずは隗より始めよだと思いますので、やらないといけないと思うんですね。

 ですので、内閣府に対しては、是非それぐらいの強い、重いリーダーシップを発揮していただくことが、やはり、ジェンダー平等の達成をこの日本で実現することには必要不可欠だというふうに思うんですね。

 もう一つ、パリテ法とは違うクオータ制というものがございます。

 加藤大臣に是非見解を伺いたいんですけれども、政治分野における男女間格差の是正を目的としたクオータ制の導入が言われていますけれども、女性の政治家を増やすためのクオータ制には賛成でしょうか、反対でしょうか。見解を伺います。同時に、世界ではもう百二十以上の国と地域で導入されているのに、日本でまだ導入されないのはなぜだというふうに思われますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 クオータ制の導入につきましては、法律等によって議席の一定数や女性候補者の比率に関する義務づけを行うものであれば、国会で御議論いただくべきものでございまして、また、各政党における候補者の選定等に係るものでありましたら、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律に従い、各政党において自主的に取り組んでいただくものだと考えてございます。

 クオータ制を法的に導入することについては、様々な観点から国会において御議論が必要であると考えております。

 いずれにしましても、女性の活躍する社会をつくるため、あらゆる角度から取組を続けることが重要であると考えております。

 内閣府としましては、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の趣旨に沿って、候補者に占める女性の割合が高まるよう、第五次男女共同参画基本計画に基づき、衆議院及び参議院議員の候補者に占める女性の割合を二〇二五年までに三五%とすることを努力目標として念頭に置きながら、政党に対し自主的な取組の実施を要請しております。また、各政党が設定した数値目標を始め、各政党の取組の見える化等を通じて、取組を後押ししてまいります。

長友分科員 大臣、ありがとうございます。

 法律に関することは国会で議論すべきことというのは当然承知をしているところなんですけれども、その機運を、やはり後押しを、是非、内閣府、していただきたいなと思うんですね。

 第五次共同参画での目標、三五%にするということもお話しいただきましたけれども、その前に、二〇〇三年に立てた目標で、二〇・三〇というものが内閣府の男女共同参画局にありますよね。「社会のあらゆる分野において、」そのときはですよ、「二〇二〇年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも三〇%程度になるよう期待する。」という目標を男女共同参画推進本部決定で掲げてきておりました。二〇二〇年に三〇%にするということです。

 しかし、現実、今、二〇二四年ですけれども、その目標を達成できませんでした。こちらについて、原因はどのように分析されているのか、内閣府に伺いたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の二〇二〇年三〇%目標につきましては、女性の参画が進んでいる分野もあります一方で、政治分野、また経済分野など、取組の進展が遅れている分野もあったと認識してございます。

 その要因といたしましては、政治分野におきましては、立候補や議員活動と家庭生活との両立が困難なことですとか、人材育成の機会の不足、また候補者や政治家に対するハラスメントの存在、また、経済分野におきましては、女性の採用から管理職、役員へのパイプラインの構築が途上であることなどがあると考えられます。

 これらを踏まえまして、まず、政治分野につきましては、地方議会における両立支援に係ります会議規則の整備の促進、また、政治分野におけるハラスメント防止研修のための動画教材の作成及び活用の推進、また、大臣から御答弁がありましたけれども、各政党に対して、女性候補者に係る数値目標の設定などについて自主的な取組の要請などを行いましたほか、近年、地方議会で女性議員の比率が上昇しています事例の調査分析などを進めてまいります。

 また、経済分野につきましては、昨年六月に政府決定しております女性版骨太の方針二〇二三において、まずは、日本を代表するプライム市場上場企業に係る女性役員の比率の引上げを図るということで、二〇三〇年までに女性役員比率を三〇%以上とするという目標を取引所の規則に設けるということにさせていただきまして、昨年の十月に東京証券取引所において所要の上場制度を整備していただいたところでございます。

 また、この目標に向けた中間目標としまして、昨年末、第五次男女共同参画基本計画を一部変更いたしまして、東証プライム市場の上場企業の役員に占める女性の割合を二〇二五年に一九%とすることを閣議決定したところでございます。

 これらの取組を着実に進めながら、二〇三〇年代には指導的地位にある人々の性別に偏りがない社会を目指し、その通過点として、二〇二〇年代の可能な限り早い時期に、指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度となることを目指してまいります。

長友分科員 局長、ありがとうございます。

 政治分野、そして経済分野に参画するということに対して目標を掲げていただいて、二〇二〇年に三〇%は残念ながら達成できませんでした。また、次のマイルストーンを示していただいているんですけれども、プライム市場の話を先ほどから御説明いただいております。

 政府は、時価総額の大きな企業が対象となるプライム市場の上場企業に対する目標として、女性の役員比率を二〇二五年までに一九%、二〇三〇年までに三〇%以上と示し、各社に取組を進めていただいていますけれども、私が気になるのは、お願いをしているのはいいんです、それを是非やって、社会で実現していただきたいんですけれども、じゃ、肝腎の内閣府の役員比率は現状どうなっているのか、これを私は知りたいなと思うんですね。

 内閣府の方で答えることは可能でございますでしょうか。内閣府の幹部職員の割合というもの、指数がございましたら。

加藤国務大臣 内閣府の幹部職員の女性の割合は、今、幹部職員四百五十人のうち、女性は三十一名、比率にいたしますと六・八九%となっております。

長友分科員 男女共同参画を推進する内閣府の割合が、実際、その割合なんですね。その程度とは言いません、現実、その割合なんですよ。でも、民間のプライム市場には三〇パーとかを目標として掲げているわけですよね。ここに私は非常にギャップを感じます。

 大臣には今お答えいただきましたけれども、今日、内閣府の国会連絡室を通じて、政府において男女共同参画を推し進めている内閣府には何人の女性幹部職員がいるのかを、またその比率について電話で問合せをしました、今日の話なんですけれどもね。

 担当の男女共同参画局から折り返しの連絡がありました。担当の方がおっしゃるには、局長一名、推進課長一名が女性であり、局の幹部五名中二名が女性とのことでした。私が聞きたかったのは、男女共同参画局の割合じゃなくて、内閣府本府全体の幹部職員についてだったんですね。

 そこで、男女共同参画局については分かりましたので、内閣府本府は何名の女性幹部職員がいらっしゃるのでしょうかとお伺いしたところ、局のことしか把握しておりませんというふうに、まず回答としていただきました。男女共同参画を推進される局として把握していないんですかと尋ねたところ、本府全体については人事課じゃないと分からないというふうに答えがあったんですね。

 そこで、改めて内閣府大臣官房人事課任用係にお尋ねしました。回答まで時間を下さいとのことで、返ってきたのが、令和四年度の七月一日現在、女性幹部職員は八・〇%という回答だったんですね。これは令和四年度の回答だったので、最新の数字が欲しいと伝えましたところ、それが最新で、それ以上のものはないという答えがまず返ってきました。

 内閣府のホームページを見てみますと、令和六年一月十二日現在の内閣府本府幹部職員の名簿が出ています。問合せ先は内閣府の大臣官房人事課任用係とあるのです。内閣府としては現在の女性幹部職員の数字を把握されていないのでしょうかと尋ねましたところ、併任もいるのですぐには出せない、時間がかかるとの答えで、その後、また電話で連絡いただきましたところ、先ほど大臣が御回答いただきましたとおり、四百五十人のうち三十一人が幹部、これは令和六年一月十二日現在で、六・八九%が女性の割合です、そういうお答えをいただきました。

 これが分かったときに、更なる、私の中で、ああ、問題だなと思ったのが、令和四年度の女性の幹部職員の割合が八・〇%なんですね。最新の令和六年の一月十二日現在、これは幹部職員の割合が六・八九%で、下がっているんです。残念ながら、内閣府の女性幹部職員の割合が下がっているんです。

 これは、政府において男女共同参画を主導する内閣府の女性幹部の割合が下がっている事実はどのように理解すればいいのかなというふうに思うわけなんですけれども、これは通告にありませんので、可能だったら、大臣若しくは岡田局長、もし所見をお話しいただけるようでしたら、回答をいただくことは可能でございますでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から、いろいろなところにお問い合わせいただいたというお話をいただきました。

 年一回、内閣官房内閣人事局が各省の女性国家公務員の登用状況について調べてございまして、それを公表しておりますが、それをベースに、ちょっと委員のお話しになったベースとは少し違うのでございますけれども、本省の課室長相当職でございますと、令和四年の七月一日現在で、内閣府の場合は、女性割合が九・四で、令和五年の七月一日現在ではそれが一〇・〇となってございます。

 先ほど、昨年の、令和四年と今年と数字が違う、低くなっているのではないかという御指摘ございました。私ども、それを真摯に受け止めまして、私は人事ではございませんけれども、内閣府に勤めております者といたしまして受け止めさせていただきたいと思いますが、やはり、行政分野の女性参画の拡大というのは、女性職員が能力を発揮できるようになるとともに、行政サービスに多様な視点をもたらすという観点からも重要でございます。

 第五次男女共同参画基本計画にも目標を設定してございますので、政府といたしましては、この第五次の計画に基づいて、女性職員の登用の拡大に向けて、例えば、男女問わず働きやすい職場環境の整備ですとか、働き方改革によってワーク・ライフ・バランスを実現することですとか、研修や多様な職務機会の付与による積極的、計画的な育成や相談体制の整備、また、女性職員の活躍等に関する理解促進、行動変容を促すための管理職向けの研修ですとか、各府省等の取組について、比較できる形での見える化、これはもう内閣府自身がさせていただいているところでございますが、こういった取組を通じまして、女性の採用また登用拡大に取り組んでいかなければならないと考えてございます。

加藤国務大臣 御指摘の点につきましては、真摯に受け止めたいというふうに思ってございます。

 また、先ほど局長からの答弁の中で、本省の課室長相当職はポイントが上がっているというところに僅かな光明を見出しているわけですが、幹部職員の候補になり得る方々のところが、やはりそこからしっかり広げていくという必要があると思いますので、先ほど局長が答弁をさせていただいたような取組を通じて、幹部職員候補をしっかりと幅を広げていくということも取り組んでいく必要があります。

 そのことも含めて、第五次計画に基づきつつ、内閣府の女性の採用や登用の拡大に大臣としてもしっかり向き合って取り組んでいきたい、このように考えております。

長友分科員 岡田局長、加藤大臣、通告していないことに対し真摯に答えていただき、ありがとうございます。

 別に、加藤大臣や岡田局長を責めるつもりは全くないんですね。これは、男性も一緒になって女性の幹部職員の割合を増やさないといけない問題ですから、そこは私たち全員が取り組まないといけない課題だというふうに思うんですね。

 ただ、その三〇%という、やはりこの割合が私は大事だというふうに感じています。女性参画の目標がなぜ三〇%なのかということは、もう大臣も局長もよく御存じのとおり、クリティカルマスのことなんですよね。決定的多数という、クリティカルマスの言葉がございます。量的変化が質的変化に転じる境目のことになりますけれども、ある数値を超えると急速に変化が生じると考えられていますが、議会や政策に一定の変化をもたらすために必要な女性議員の割合はおおむねやはり三割程度というふうに研究されています。それ以下の場合は、女性が連携を取りづらかったり、女性であることのデメリットを感じやすかったりするそうです。女性が少なければ、女性自身が男性規範を身につけてしまいやすく、組織文化を変革することが難しいと言われます。

 国際的には二〇三〇年までに五〇%を女性参画の目標としていますので、男女共同参画局を含む内閣府そのものの女性幹部の割合も、なるべく、いち早く、三割を目標に取り組んでいただきたいなと思います。

 民間でこういうデータがあります。これは、いわゆるテレビ番組の、制作するスタッフに男性の割合、女性の割合、それから出演する側に女性の割合、男性の割合、このバランスがどういうふうに番組に影響を及ぼすかという話なんですけれども、昨年の七月、放送倫理・番組向上機構の、BPOの放送人権委員会が、ある深夜バラエティー番組のことを取り上げて、女性の出演者が男性の出演者のセクハラ発言により精神的苦痛を受けたと申し立てた問題で見解を公表しているんですね。出演女性が構造的に弱い立場にあるという視点を欠いていた、職場でのジェンダーバランスを整えることを局に要望し、番組スタッフ約十人のうち女性が一人で、考査担当四人が全員男性だったことも下ネタに歯止めをかけられなかった原因の可能性があるということをまとめています。

 これに対して、メディアとジェンダーの問題に詳しい東京大学の田中東子教授が指摘していることが、権力のある作り手や出演者が男性ばかりだったからこのようなことが起きている、大事なことは、出演者のジェンダー平等と作り手側のジェンダー平等は両輪の関係にあるということを結論づけているんです。

 これは、国がジェンダー平等を達成するという目標を掲げるに当たっても同じことだと私は思います。ジェンダー平等を訴える側の内閣府男女共同参画局が、まずは隗より始めよではありませんけれども、そこがまずジェンダー平等を達成して、そして社会をジェンダー平等に導いていく、そういう本気度を是非お示しいただきたいなというふうに思うんです。

 私も、国民民主党の党の中の男女共同参画担当として、日々、いろいろな方の声を聞く機会があります。そのときに、こういう声がやはり聞こえてくるんですね。日本は、ジェンダー平等の達成を本気で実現しようとしているのか、疑問に感じられることがしばしば起こりますと。男性からも女性からも、日本は本気でジェンダー平等の達成を実現する気がないよねというふうに言われるんですね。先ほどの数字一つ取ってもそうだと思うんです。

 ジェンダー平等の達成を本気で実現するためには、社会にどのような変革が必要か、また、何をしなければならないか、加藤大臣に見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 岸田内閣におきましては、目玉政策である新しい資本主義の中核として女性の経済的自立を位置づけ、政府一体で男女共同参画の実現に取り組んでいるところです。

 そのためには、社会のあらゆる分野において女性活躍の機運醸成、キャリア形成を支える環境づくりを両輪で進めることにより、出産を契機に多くの女性が非正規雇用化するいわゆるL字カーブが象徴する諸課題を解消し、男女が共に希望に応じてキャリア形成できる社会を実現する必要があると考えております。

 政府としましては、第五次男女共同参画基本計画及び女性版骨太の方針二〇二三に基づき、企業における女性登用の加速化や女性起業家の育成、支援など、女性活躍と経済成長の好循環の実現、平時や育児期を通じた多様で柔軟な働き方や、女性デジタル人材育成といったリスキリングの推進など、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の強化、DV対策や性犯罪、性暴力対策の強化など、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、第五次男女共同参画基本計画に掲げられた女性の登用目標の達成に向けた各分野における取組などを全力で推進をしてまいります。

 先ほどの御指摘も踏まえ、内閣府としても、隗より始めよの精神でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

長友分科員 加藤大臣、ありがとうございました。岡田男女共同参画局長も、今日はありがとうございました。

 まだまだ男社会のにおいが強いこの国会の中ではもう十分御奮闘いただいていると思うんですけれども、更なる男女共同参画が、ジェンダー平等の達成が実現できるように私たちも努めてまいりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 御質問を終わります。ありがとうございました。

牧島主査 これにて長友慎治君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

牧島主査 次に、こども家庭庁について質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部(知)分科員 立憲民主党の阿部知子です。

 今日は加藤大臣に御質問をいたします。テーマは、優生保護法に基づいて優生手術を受けられた方への謝罪と被害救済についてでございます。

 昨年の四月、こども家庭庁が発足いたしまして、それに伴って、二〇一九年、議員立法で成立いたしました旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関する法律の所管が、それまでの厚生労働省からこども家庭庁に移管をされました。大臣も概略御存じと思いますが、いわゆる優生手術を実施された被害の方は約二万五千人。そのうち、同意が不要、医師の判断で優生手術適用とされた方が一万六千四百七十五人、本来の同意であったかどうかは別として、一応同意を必要とする者が八千五百十八件で、計二万五千となっております。

 今、加藤大臣は、この旧優生保護法の被害救済のためにこども家庭庁で特設サイトというものを開いてございますが、これを御覧になったことがおありでしょうか。ないか、あるかだけで大丈夫。

加藤国務大臣 そのもの自体を確認したことはございません。

阿部(知)分科員 是非確認していただきたいんですね。

 わざわざ特設サイトとうたっているんだから、それは多くの人がアクセスするということを期待して、でも、ここにアクセスしますと、まず、こどもまんなかと上に出てきて、こども家庭庁というのがばんと最初に出てくるんです。でも、正直言って、優生保護法を受けて子供を持てなくなった、子供を持つことを閉ざされてしまった方が、最初にアクセスしてこどもまんなかと言われたって困るんですよね。子供はいないんです。奪われたんです。

 私は、そういう行政の感性一つ、やはり非常に被害を受けた方には傷を深めると思うんです。是非、今日、この後でも結構ですから、この特設サイトの一番最初を御覧になっていただきたい。いろいろな巡り合わせの中で、本来、旧厚生労働行政として検証されるべきものが、こども家庭庁で一時金の支給という形になって、今日あるわけです。でも、そこしか窓口がないのだから、そこにアクセスした方の気持ちを最大限酌んで行政に当たっていただきたいです。

 もう一つ御質問ですが、この旧優生保護法による被害を受けた方、法律自身は一九九六年に廃止をされているわけですが、その後、一切国による救済のないまま今日まで来て、裁判が起こされました。全国で三十九人の被害者が国賠訴訟、国家による賠償を求めた訴訟を起こしておられます。これまでに既に六人お亡くなりになりました。

 お亡くなりになると、例えば国家補償でもその権利がなくなってしまいますので、一刻も早い救済というものが必要と思いますが、私が今日大臣に御紹介したいのは、お手元に資料として載せさせていただきましたが、前二枚は、優生保護法をめぐる経過と、それから今一時支給が始まっている支援金についての経緯が書いてございますが、開いて三枚のところに、謝罪してという訴えを出していた男性が今年の二月に亡くなられました。

 裁判の原告であって、熊本地裁で去年の一月に勝訴をされたときには、本当にうれしい、これまでの様々な奪われた自分の人生を思って、これは本当にうれしかったという言葉がありながら、国が控訴いたしましたので、三月十三日の福岡高裁を待っておりました。その間にお亡くなりになりました。結果を見ることなくお亡くなりになっていったわけです。こういう方がもう既に六人、年々亡くなっていかれます。

 こうした事態を、今度担当になられる加藤大臣はどのように受け止めておられますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 裁判等が長引く中、判決の結果が出る前に亡くなってしまう原告の方がおられるということについてでございます。

 政府は、旧優生保護法等に基づき、特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を強いられた方々に対しましては、議員立法である旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が成立した際、政府として真摯な反省と心からのおわびを表明しており、政府のこうした立場は今も変わりません。政府のスタンスとしてはそのようなスタンスで、今も変わらないということを申し上げたいと思います。

 できるだけ、そういった状況で亡くなっていく方がおられるということも含めて真摯に向き合っていきたい、新たに着任した大臣としては、そういう気持ちで仕事に当たっていきたい、このように考えております。

阿部(知)分科員 一例目の裁判が起こされたのが平成三十年であります。もう令和が六年になろうとしています。一刻一刻亡くなっていく命です。

 この亡くなられた方、渡辺さんとおっしゃいますけれども、この方が優生手術、両側の睾丸を摘出されている手術ですが、本来これは優生手術の中でそうした適用という形には挙がっていないものでありますが、それを実施されました。元の御病気は何だったかというと、変形性の関節症、関節が悪くて少し足が御不自由だった。それをもって、この方は十歳過ぎに睾丸を摘出されました。意味もきっと分からなかったろうし、その後、自分の体の不調を抱えながら七十年近くを生きてこられて、そして、彼が残した言葉は、国は謝ってほしい、そしてきちんと国による賠償をしてほしい、自分がなぜそういう行為を受けたのか、本当に納得できないという言葉を残して亡くなっていかれました。

 大臣には、次のページの、今年の二月に精神神経学会が出された優生保護法に関する声明というのを御覧になっていただきたいんですけれども、赤線が引いてございますが、これは、学会として被害者の方々に謝罪するということと、自らに問いかけて過ちを繰り返さないという表明であります。

 実は、二〇一九年に一時金の支給が決まった後、医学会では、自らの行為を検証して、医学会の連合会、次いで産婦人科学会、そしてここにある、今年の二月に精神神経学会、大体関わった医師は産婦人科の医師か精神神経科の医師でありましたので、自らの行為を振り返り、アンケートを取り、こうした謝罪文を上げておられます。

 私は、先ほど大臣が国としては謝罪の姿勢を示しているとおっしゃいましたが、残念ながら国としての明確な謝罪はなく、例えば、一時金支給は、立法府として関わった全て我々はという形でまとめられております。私は、真摯に、国が何をしたかを見直さないと、これからも我が国の中でいわゆる優生思想をどう反省していくかということが明確にされないと思います。大臣は、そのことの認識が、私は少し区別されていないんじゃないかなと思います。

 例えば、ここに資料として上げさせていただいたのは、渡辺さんが手術を受けられた当時の状況であります。

 開いて、ページの五枚目となってございますが、ここには、いわゆる四条、十二条と書かれていますが、四条は遺伝などを防止するため本人の同意なく行われた手術、十二条は遺伝でなくても精神疾患であればという形で増えた手術。見ていただきますと、大体一九五三年から五七年頃にピークがございます。

 この頃、国は何をしたのかということで、引き続いて次のページを御覧になっていただけますか。ここには、厚生事務次官の通達がございます。簡単にまた赤を引いてございますが、もし手術を受ける方が嫌がられたりした場合には、身体の拘束、麻酔薬の施行又は欺罔、これはだますということですが、等の手段を用いることも許される場合があると解しても差し支えない、これが厚生労働事務次官の通達であります。

 国として真摯に反省するとは、厚労省が出してきた通達そのものの中に大きな人権侵害があることを認めることであります。

 もう一つ、続いて、下の資料は、実はこれは、一時金の支給の二十一条に伴って国が設置した、国立国会図書館と衆参の調査室に命じた約三年をかけた調査の中でも出てこなかった厚生労働省の資料でありますが、これは地方のいわゆる公文書を扱うところから出てきたものですが、これは各地方の実績数を挙げて競わせる、予算どおりにいっていないじゃないか、もっと頑張れという資料であります。

 ここも赤線を引いてございますが、予算上の件数を下回っている実情であります、各府県ごとに実施件数を比較して、極めて不均衡であります、これで、要するに、不均衡を是正せよ、すなわち増やせよということになっております。繰り返しますが、この下の段の資料は、六花出版というところの本から持ってきました。

 国の、物すごく立派な、そして私は、調査室、頑張られたと思うんですけれども、これだけの資料、いろいろな当時の文献も集めたこの資料の中にもまだ漏れがあって、この下の、地方から保存されているものというのは、ここには幾ら探しても出てまいりません。私は、国会図書館や調査室の労を多とする、本当に頑張っていただいた、でも、まだまだ出てきていないものがあるし、国としてしっかり調査する必要があると考えます。

 大臣、国として謝罪の意を表しているとおっしゃいますが、例えば、欺罔というのはだますことです、それから、競ってもっとやりなさいという通達も出ていた、そういうことは御存じなかったと思うし、それは大臣のせいではないと思いますが、国自身が、そういう厚生労働省の行政としての見直しをしていないところからくると思うんです。

 私が今日御紹介したようなことについて、たくさんしゃべって申し訳なかったけれども、どのようにお受け止めですか。

加藤国務大臣 政府として、引き続き、一時金を円滑かつ確実に支給して、その責務を果たしてまいるということは当然のこととしつつ、全ての国民の皆様が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現というのを努力していく、これをやっていきたい、このように思ってございます。

 行政の、新たに今委員が御指摘いただいた文書等について、しっかりと受け止めて、先ほど申し上げたような共生の社会をしっかり実現していくことに邁進をしてまいりたい、このように思っております。

阿部(知)分科員 受け止めるためには、調査をしなければ受け止められないのです。ハンセン病のときに、最終的に国家賠償になりましたけれども、その後、調査検討会というものを委託して、国としてハンセン病に対しての隔離政策について検証、検討を行いました。残念ながら、優生保護法についてはそうしたことは全く行われておりません、行政としてですね。この分厚いものは、国会図書館と調査室がやってくださいました。五月には大法廷の結果も出ようかと思います。しかし、それは司法の話です。行政が何をしたか、行政がどうであったかが極めて重要と思います。ただ、それはこども家庭庁ではなかったので、私が懸念するのは、厚生労働行政がどこにも検証されずに抜け落ちたまま、次に行くことです。

 大臣として、新たに請け負ったことではありますが、そうした問題を是非閣内で提起していただきたい。とても重要、行政は自らを見直して前に進むということは私は重要と思いますので、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど、こども家庭庁が所管をすることによって、情報へのアクセスについても、当事者の方の感じるところに配慮が行き届いていないホームページについての御指摘もございまして、そのことを真摯に受け止めて、少しでも改善を図れたらというふうに考えております。

 所管についてのことの違和感の御指摘も委員からいただいているところでございますけれども、今後、第三者委員会の設置を含む更なる調査の在り方等につきましては、まずは国会での御議論を踏まえる必要があると考えてございます。

 こども家庭庁としましても、国会での議論に最大限協力をさせていただきたいと考えております。

阿部(知)分科員 これは国会の議論ではなくて、内閣としての全体の見直しなんだと思いますので、是非、私の指摘をもう一度、今日は時間がないのであえて繰り返しませんけれども、受け止めていただきたいです。

 そして、立法府としてやったことは、一時金の支給法を作りました。ちょうど五年たとうとしていますが、この五年間で一体何人の方が被害救済されたのか、それは当初予測された数とどうであったのか、これについてお願いします。

加藤国務大臣 認定者数が少ないことについての御指摘と御質問というふうに受け止めております。

 令和六年一月末現在、千八十四名の方に一時金の支給認定をしておりますが、いまだ一時金の請求に至っていない対象者の方も相当数おられることが想定をされるため、一時金の支給対象者に確実に請求いただけるよう、様々な機会を捉えて積極的に周知、広報を行うことが重要だと考えてございます。

 このため、新聞広告やインターネット広告、ラジオ広告、ホームページ、SNS等を活用した周知、障害者関係団体と連携した周知、広報等により制度の周知に取り組んでおり、今年度も複数の全国紙に数回にわたって一時金制度についての広告を掲載してきたところでございます。

阿部(知)分科員 その手法がうまくいっていないから十分な救済が行き届かないんだと思います。

 一時金の支給のときに、最初の一年で三千四百人という計画を立てました。五年たっても千八十四人であります。同じ手法を繰り返しても、結局、最も救済すべき相手には届かなくなるんだと私は思うので、今日取り上げさせていただきました。

 連綿と同じことをやればいいのではないし、五年やって成果がなかなか得られていなかったら考え直してみないと、声も出せない人がいるし、自分が過去そういうことを受けたことを知り得ない人もまだまだいるんだと思います。

 ちなみに、この分厚い報告書の中で、二万五千人のうち、個人の名前が分かっていて手術したという証拠が残っている方が三千八十九人おられると、この資料にあります。それは、分かっているゆえにアプローチできる方かもしれません、こちら側から。しかし、一時金の救済法には本人の申請を待つとなっているので、アプローチするのがなかなか難しい、放置されたままだと思います。

 そこで、例えば各都道府県が間に入って、というのは、優生保護法の審議会は、都道府県がやって、その数を国に上げました。優生保護法の審議会にかかって、そこでのデータが残っているものが多く、大半であります。でも、二万五千のうち、個人を特定できないものも含めれば六千五百五十、特定できたものは、手術もというのは三千八十九。既にもうそこで減ってございますが、それらにどうアプローチできるか。都道府県とも相談する。もう一度やり方を考え直していただきたいと思うんです。

 大臣に、次のページの資料、七ページ目に載せてございますけれども、この中では、一時金の申請について、相談件数があって、請求に結びついたものの数がございます。

 この中で、よく見ると、例えば、相談件数、茨城県は、九十六件のうち、請求受付件数になったのが五十四。半分行っているんですね。茨城県が何がよかったかということをしっかり私は政府として見ていく必要があるんだと思います。

 茨城県では、各施設にもお声をかけて、そこで手術された方などについて、個人情報保護をしっかりしながら申請に結びつけておられます。一番ある意味比率のいい成績であります。山形県も、取組が、相談件数九十件で請求受付件数五十。これをよく見ていただくと、そこで取り組んでいる取り組み方がやはり申請に結びつきやすいんだと思います。

 是非、この次、五年延長、何年延長か分かりません、国会で決めることですが、しかし、今までの手法を同じようにやったら救済されないということも多くなりますので、先進事例に倣って、よいところを学んで、どうすれば、個人情報の保護は壁なんですよ、だってその方のことを、個人情報だけれども、あえてこういうことはないですかと寄り添いながらお尋ねするという手法です。そのように見直していただけまいか、どうでしょう。

加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、大変センシティブなイシューでありますので、例えばですが、申請をされない方の中には、御指摘のように、家族にも一切伝えていない場合や当時のことを思い出したくない等の理由により請求を控えていることなどもある、そういう状況もあろうかと思います。個々人の皆様の置かれている状況は様々であるというふうに承知をしております。

 また、一時金制度の周知、広報の取組は、一時金の支給対象者の方に確実に御請求いただけるようにしっかりと取り組んでいくということが大変重要で、周知、広報を更にやっていくことも本当に大変重要だと考えております。

 先ほど好事例の県のことをお話をしていただきましたが、こども家庭庁におきましては、都道府県に対して、請求者の情報入手先に関するアンケート結果や、例えば、好事例を横展開という形でなんですが、テレビ、ラジオのCM、県内の関係機関や市町村等の担当者会議における周知、公共交通機関への協力依頼など、各都道府県が実施した周知、広報に関する具体的な取組事例を共有すること等により、一時金制度に関する周知、広報の積極的な取組を都道府県に依頼をしてまいりました。

 引き続き、しっかりと周知、広報を推進し、一時金の着実な支給に全力を尽くしてまいりたいと思います。

阿部(知)分科員 指摘したいのは、それでは駄目なんだということなんです。SNSは、さっき冒頭で特設サイトでお示ししたように、それから、情報というのは、あふれても、身近で誰がそれにアクセスできるかをサポートしないと情報は生きてこないわけです。

 大臣のお手元に、資料の最後のページになりますが、ちょっと一つ明石市の事案を抜かして、国連の障害者のための権利に関する委員会というところの勧告がございますが、日本に対しての総括所見は、全ての被害者が明示的に謝罪され適当に補償されるということと、全ての事例の特定と、支援の提供を含む各個人全てにということで、支援の提供がなければ実際には結びつかない、その意味を取れないという事態が多いということで、五年やってきても、幾ら広報を流しても届かないんだと思います。

 ちなみに、茨城県では、県の独自調査で記録が保存されていた施設等を訪問して説明及びリーフレット配布等を依頼する。独自調査で記録が保存されていた施設にアクセスしてお願いをする、そこまで個別に丁寧にやらないと情報は届かないということをしっかりと考えていただきたい。

 そして、大臣は、同時に、子供、子育て担当でもありますが、障害者施策の担当大臣でもあります。この国連の権利に関する委員会の総括所見についてどのように受け止められ、今後、政府の中で進めていかれるか、最後の資料です、お答えをお願いいたします。

加藤国務大臣 御指摘の各委員会より、日本に対して、二〇二二年九月に障害者権利委員会対日審査が行われた際の総括所見等の中で、旧優生保護法に基づいて優生手術等を受けられた方々に対する様々な対応を求める勧告が示されていることは承知をしております。

 こうした方々に対しては、一時金支給法が成立し、内閣総理大臣及び厚生労働大臣から、それぞれ、真摯な反省と心からのおわびを表明するとともに、また、総理からは、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて努力を尽くすとの決意が表明をされており、政府のこうした立場は今も変わりません。

 優生手術等を受けられた方々の声は大切と考えておりまして、そういった皆様の声をしっかり真摯に受け止めて、これからも取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(知)分科員 一九九八年に自由権委員会、二〇一六年に女性差別撤廃委員会、そして二〇二二年、障害者の権利委員会、いずれの委員会でも指摘されています。

 加藤大臣には今日初めてのことだったかもしれませんので、なかなか指摘が届かなかったのは残念ですけれども、是非、被害に遭われた方にお会いになって、何であったのかをもう少し自覚していただいて、大臣の活躍に期待をしていますから、よろしくお取り組みください。

 以上です。

牧島主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 加藤大臣には昨日の予算委員会でも質問をさせていただきました。尼崎市を先日大臣に訪問をしていただきました、その関係で、ちょっと冒頭、一問お伺いをしたいというふうに思います。

 それは、若者の声を聞く取組の全国への展開ということであります。

 尼崎市では、こども基本法の理念にもございますとおり、子供や若者の声を聞く事業ということで、ユースカウンシルという事業を行っております。これは、若い方の声を市政に反映をさせていこう、こういう取組でありまして、例えば、今やっておりますのは、スケートボードの練習をする場所が市内にないというふうなことを若者の方が、実際に声がありまして、これは具体的に、仮設のスケートボード場を造って社会実験を行ったりですとか、今度は、常設のスケートボード場の設置を目指そうということでクラウドファンディングをしたり、市と連携しながらやっていたりですとか、具体的な動きもいろいろございます。

 私も、こども基本法を立法するときに、提案者側というか、国会でも議員立法の答弁の方にも立たせて、議論をしておったんですけれども、そのときも理念として子供、若者の声を聞くというのをやったんですけれども、具体的に、じゃ、それを仕組みに落としてやっていくとなると、意外とこれが難しいなということで、形式上声を聞くようなことをいっぱいやっても余り意味がなくて、それをどれだけ受け止めて、ちゃんと政策に反映をできるのか、これはかなり、聞く側も相当しっかり体制を考えないとなかなか難しいのかなというふうにも思っておりました。

 地元の尼崎市でいろいろな取組をやって、加藤大臣にも見ていただきましたので、こども家庭庁として、子供、若者の声を聞くという取組を今後どのようにいろいろなところで展開をしていくのかという、その方向性を是非大臣に御答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年十二月に閣議決定をされたこども大綱におきましては、「こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに進めていく」ことを子供施策に関する基本的な方針に掲げてございます。また、子供施策を推進するために必要な事項として、「ユースカウンシルなどは、こどもや若者の社会参画の機会の一つであり、これらの活動がより充実するよう、連携を強化するとともに、好事例の展開等を進める。若者団体等の主体的な活動を促進するための取組の在り方について検討する。」こととしております。今、引用をいたしました。

 こうした中、先ほど委員からもお話がございましたとおり、先月、一月に私も尼崎市にお伺いをさせていただいて、御指摘のユースカウンシル事業「Up to You!」さんに参加する十代、二十代の若者の皆さんと意見交換を行わせていただきました。

 御指摘のとおり、本当に、その場におられて、若者の皆さんの声を聞き、施策実現に向けた、一緒に交通整理をされている、その方々というのが大変重要な存在だなということは現場で私も強く感じたところでございます。直接子供や若者のリアルな声に耳を傾け、受け止め、子供や若者とともに進めていくということの重要性を改めて実感をいたしました。

 これからも、子供、若者の皆さん一人一人の意見を聞いて、その声を真ん中に置いて、そして、子供や若者の皆さんにとって最もよいことは何かを考えて政策に反映をして、大人が中心になってつくってきたこの社会をこどもまんなか社会へとつくり変えていくために力を尽くしてまいりたいと思います。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 大臣からも、現場でのいろいろ、子供、若者の皆さんとも意見交換していただきまして、本当にありがとうございました。また、しっかりと取組の決意も述べていただきまして、しっかり、是非お願いをしたいと思います。

 大臣への質問はこの一問ですので、もし、残りの時間、よろしかったら外していただいても大丈夫でございますので。よろしくお願いいたします。

牧島主査 では、加藤大臣、御退席いただいて結構です。

中野(洋)分科員 続きまして、審議会等のメンバーに若者の世代をもっと入れていっていただきたいという点であります。

 これは、私、公明党の青年委員会というところで何回も提言をさせていただいておる中身でもあります。国の様々な意思決定を行う際の審議会など、ここに若者の世代をしっかり増やした方がいいということを言っておりました。総論としては、政府も、これは大事ですねということではあったんですけれども、じゃ、どこが旗振りをしてそれを進めるのかというのがなかなか難しいということを今まで感じておりまして、しかし、こども基本法ができ、こども家庭庁ができ、こども大綱ができということで、子供政策、当然、若者政策もここ、こども家庭庁がやるということでありますので、是非司令塔の機能を発揮していただきたいと思っております。

 あわせて、今、こども家庭審議会などでも、若い方、例えば大学生の方、こういう方が実際に委員として本当に参加を今していただいているという状況でありますけれども、やはり、学校に通いながら、あるいは仕事をしながら、こういう中で審議会の委員に東京に来て参加をするというのは、今まで学識経験者や企業の方がある意味仕事のような形で入っていくのと大分ちょっと違うんじゃないかなとも思いまして、積極的に参加をするためには環境整備や体制整備というのもしっかり考えていかないといけないのではないか、こういうことも感じた次第でございます。

 国の審議会に実際に若者の世代の参加が増えるようにという取組を、こども家庭庁として具体的にどう取り組むのか、また、環境整備をどう考えているのかについても答弁をお願いをしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の件でございますけれども、まず、昨年十二月に閣議決定をされましたこども大綱におきましては、各府省庁の各種審議会、懇談会等の委員に子供や若者を一定割合以上登用するよう取り組むこと、そして、各種審議会、懇談会等における子供、若者委員割合を見える化することとされております。

 ちなみに、こども大綱を議論いたしましたこども家庭審議会の部会におきましては、大学生や二十代の若者に委員として参画をいただいておりまして、全体の約三割となっているところでございます。

 こども家庭庁といたしましては、まずは各種審議会、懇談会等における子供、若者委員割合を見える化することを行うことから始めて、進めてまいりたいと考えております。

 また、更なる工夫等につきましては、こども家庭審議会の下にこども・若者参画意見反映専門委というものを設けておりますので、そこでの御議論もいただきながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

中野(洋)分科員 まずは見える化をすると。見える化をするというのは意外と大事でして、数字が出てくると、これを上げないといけないな、そういうプレッシャーにもなるものでありますから、これは是非お願いをしたいと思います。

 続きまして、若者政策ということで、幾つか更に御質問をさせていただきます。

 私も公明党の青年委員会で何回もこれもお願いをしてきた、奨学金の返還の負担の軽減ということであります。

 今、若い世代、結婚をする、あるいは子供を希望をする、皆さん、だんだん、希望がかなわない、諦めてしまう、そういう御意見も数多くいただいております。やはり、経済的な不安があるというのが非常に大きな理由でもあるというふうに思います。若い世代の経済的な不安の一つが、私は、奨学金の返還の負担が大きいということが一つの原因なのではないかというふうに思っております。

 今日は文部科学省の方にも来ていただいておりまして、奨学金の返還をしやすくする仕組み自体は文部科学省の方でも取り組んでいただいておりますけれども、今、地元の自治体や企業でも人材確保に必死になっているという状況もありまして、奨学金を企業が肩代わりする、あるいは自治体が肩代わりする、こういう取組はどんどん増えてきていると思いますし、また、それをしっかりやることで人材確保をしたい、こういう要望もあると思います。

 実際、私の地元の兵庫県でも、この奨学金の負担軽減策を来年度から更に拡充をして、若い世代を流出させるのではなく、どんどん呼び込んでいこう、こういうことも始めるわけであります。

 この奨学金返還を企業や自治体が肩代わりをしていくというふうな制度をもっと周知していく、あるいは拡大をしていく、これが非常に私は大事なのではないかと思っておりますけれども、文部科学省の方から答弁をいただきたいと思います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘ございました企業等による貸与型奨学金の代理返還につきましては、日本学生支援機構において各企業等からの送金を直接受け付けておりまして、令和六年一月末現在で、現在千五百五十七社から御登録をいただいております。

 また、地方公共団体においては、地域への定着等を推進するため、奨学金の返還支援、これを行っておりますが、内閣官房が令和五年十二月に公表した調査結果によりますと、令和五年六月時点で、三十六都府県、六百九十五市区町村において、自治体における奨学金返還支援、これを実施しているところでございます。

 先生から御指摘ありました、更に周知を拡大すべきということでございますが、企業等の代理返還におきましては、返還者である社員等の所得税や企業等にかかる法人税について税制上のメリット等があり得るというところに加えまして、来年度からは手続のデジタル化により企業等の事務処理を簡素化するということとしておりまして、今後、これらのメリット等も含めて周知、広報を行い、更なる利用拡大に努めてまいりたいと思います。

 また、地方公共団体、こちらにおきましても、奨学金返還支援においては、奨学金返還支援を行う地方公共団体に対する特別交付税措置や、内閣官房が毎年実施する取組状況調査の公表等を通じて、自治体に対して活用促進に努めているところでございますが、文部科学省といたしましても、引き続き、各省庁と連携し、その他の返還支援策とも併せて普及啓発に取り組んでまいります。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 企業にとってのいろいろなメリットに併せて、来年度から更に手続の改善ということも答弁していただきました。是非是非お願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、若者の政策。

 結婚できないという、一つは経済的な原因、もう一つは、やはり、思った人に出会いの機会がないというふうなことも、もう一つの大きな、よく言われることでもあります。特に、例えば地方部におきましては、なかなか若い人そのものが少ないということもありまして、こういう御要望もいただくこともございます。

 また、いざ結婚をするとなったときの新生活、新しい家に引っ越して、そして新生活を始める、こういうところもかなり経済的な負担が大きいのでもっと支援を充実をしてほしい、こういう御要望もいただくところであります。

 今回、少子化対策、加速化プランということで、妊娠、出産、いろいろなところは大きく支援するんですけれども、やはり、その前段として、出会いや結婚というところや新生活というところ、ここもしっかりと支援をして、力を入れていっていただきたいということで、これもこども家庭庁で今後やっていかれるということなので、是非お願いをしたいと思いますが、答弁をお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 若い人たちの、まずは出会いの機会の創出、それから、結婚に伴う様々な費用等についての支援をどうするかということでございますけれども、まず、若い世代の結婚をめぐる状況を見てみますと、男女共に八割以上の未婚者が、いずれは結婚するというふうに希望をしているところではございます。ところが、適当な相手に巡り合わない、結婚資金が足りない、さらには、まだ必要性を感じないなどを理由として、実際の結婚に至っていない状況にあると承知をしております。

 このため、若い世代の結婚の希望と現実の乖離をできる限り小さくするような環境の整備が必要となっているところでございまして、まずは、政府全体で、所得の向上や雇用の安定など、若い世代の経済的基盤の安定を図るための取組をしっかり進めるとともに、こども家庭庁におきましても、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援など、地方自治体が行う取組を地域少子化対策重点推進交付金という手段に基づきまして支援をしているところでございます。

 この交付金によりまして地方自治体が行う少子化対策の取組を拡充するため、今年度、令和五年度の補正予算におきまして前年と同額の九十億円を計上するとともに、伴走型結婚支援の推進、それから子育て家庭や子供との触れ合い体験の推進等を新たに本交付金の重点メニューに追加し、補助率も引き上げて支援をしているところでございます。

 また、結婚新生活支援事業につきましては、令和五年度から対象世帯の所得要件を緩和するなど、支援の充実を図っております。

 今後とも、この交付金が更に多くの地方自治体で活用され、地域における結婚支援の取組が一層進むよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

中野(洋)分科員 来年度からも様々拡充をするという御答弁をいただきました。

 次に、こども誰でも通園制度についてお伺いをしたいと思います。

 専業主婦であっても、誰でも使える、預けられる、こういう制度が欲しい、こういう御要望は以前から子育て世帯の声としてございましたが、待機児童ですとか、そもそも量の確保というところがございましたので、そこに注力してきたところがございますが、いよいよ、加速化プランの中で、こども誰でも通園ということで制度化していくという段階に参りました。

 今、実証的にモデルでやっているというふうな状況でもありますけれども、やはり、地域によっていろいろな状況がありまして、利用者の方も様々な状況ですので、様々なお声がございます。例えば、今、月十時間というふうな目安というか、そういう数字も出てきておりますけれども、もっと使いたい、足りないというふうなお声も当然あるわけでございます。

 他方で、私の地元の尼崎市を始め、阪神間、神戸―大阪間等ではまだまだ待機児童がいるというふうなところもありまして、誰でも預けられるといっても、じゃ本当に保育園で体制の整備ができるんだろうかとか、いろいろな御心配の声もいただくわけであります。

 制度の開始に向けまして、例えば、今二つ例として挙げさせていただきましたけれども、どういう対応をしていくのかというところを答弁をお願いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度でございますけれども、御紹介いただきましたように、この制度については、まずは試行的事業ということでスタートをするということで、試行的事業としては、一人当たり月十時間という上限を設けて実施をすることとしてございます。

 本格実施の際の時間について、現時点で決めたものではないのですけれども、試行的事業が本格実施を見据えて実施をするということになっておりますことから、都市部を含めて全国の自治体で提供体制を確保できるようにする、そういった観点から設定をしたものでございます。

 この誰でも通園でございますが、お子さんが家族以外の大人と関わる機会を得ることができるとか、家庭とは異なる経験、家庭だけでは得られない様々な経験を得られるというメリットもございます。また、月十時間といいましても、一日二時間利用すれば、毎週利用するというふうなことも可能でありますので、子供にとっても十分に効果が期待されるということも考えて設定をいたしました。

 引き続き、試行的事業の実施状況や全国的な提供体制の確保状況、これは利用者からの声、事業者サイドからの声、両方ございますので、しっかり受け止めながら、今後更に検討してまいります。

 また、保育士の確保も併せてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

中野(洋)分科員 試行的な取組を今まさにやっているというところで、その中でいろいろな声を聞いていただいて、当然、地域によって相当状況に差があるというふうには思いますので、また、そうした地域的な特徴というか状況も様々勘案をしていただいて、制度化に当たっては、是非いろいろな声に対応できるような形でお願いをしたいと思います。

 先ほど、体制整備というところでもございましたけれども、やはり保育士の確保というのが、保育の量の確保ということで大事だと思っております。処遇改善加算ということを今まで累次やってきておりまして、保育士の処遇改善をしっかりしていくというところをやってまいりました。

 この処遇改善加算、実際に個々の職員に当てはめると、それは事業所によっていろいろな使い方はあると思いますので、誰にどれだけ処遇改善するかというのは恐らく幅はあるんだろうとは理解はしているんですけれども、やはり、実際の処遇改善がまさに保育士の皆さんの元にしっかり届くような、そしてもっと充実をするようにお願いをしたいというふうに現場からよく言われることであります。

 また、今回、人事院勧告等も、それに合わせるような形の処遇改善ということもあるかと思います。こうした処遇改善加算以外のところもしっかりと、保育士の処遇改善につながるように是非工夫をしていただきたいと思っております。

 保育士の処遇改善の状況、また、実際に保育士にしっかり行き渡らせるという工夫を是非やっていただきたいと思いますけれども、併せて御答弁をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の処遇改善でございますが、平成二十五年度以降、累次の処遇改善に取り組んできております。

 直近では、令和五年人事院勧告における公務員給与の改定に伴いまして、令和五年度補正予算で公定価格上の人件費についても五・二%の引上げを行い、六年度予算案においても所要額を計上してございます。こういった直近での五%の人件費の改定を行った上で、また、累計としては二三%の給与改善を進めているという状況でございます。

 また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っているという状況でございます。

 こういった保育士の処遇改善、広く行き渡っているかを確認すること、これは非常に重要でございます。既に、処遇改善加算においては、賃金改善の実績報告を確認することで、加算額が賃金改善に充てられているということを確保しております。

 またさらに、今月十六日に閣議決定いたしました子ども・子育て支援法の一部改正法律案、これにおきまして、費用の使途の見える化に関する内容も盛り込んでおります。

 保育所等からの報告内容を分析することによりまして、職種別の賃金改善の状況を明らかにするなど透明性の向上を図り、また処遇改善をしっかりと進めてまいります。

中野(洋)分科員 事業所の見える化というのは非常に大事だと思います。

 先ほども、人事院勧告等の数字を受けてということで五・二%という数字も紹介していただきましたけれども、非常に大きい数字なんですね。これを現場で五・二%というふうに言うと、あれ、そんなに上がっていたっけというようなお声もいただいたりすることもあります。

 ですので、やはり、事業の中でどういう形で処遇改善ができているのか、そういう見える化をしっかり図っていくということも非常に大事な要素だと思いますので、是非お願いをしたいと思います。

 あわせまして、保育の量の確保ということをずっとやっておったんですけれども、実際に、小学校に上がりますと、やはり、学童、放課後児童クラブのような受皿が今度は足りない。子供が、保育園には入れられたけれども、小学校に上がると学童に入れない、こういう小一の壁というのが長らく言われておりました。

 新・放課後子ども総合プラン、これを立てて、こうした、小学生に上がったときの受皿というところも今しっかりやっていただいているところかというふうに思います。ただ、これもなかなか、このプランが本当にどこまでに実現をするのかというところはまさに道半ばというところだと思っておりますので、今般の加速化プランにおいてその拡充、充実に向けてしっかり取り組むというところも承知をしております。

 これもやはり、こうした放課後の学童などにつきましても、職員の方、私も聞くんですけれども、やはり非常に処遇がよくないんじゃないか、こういうことも思っておりまして、こうした職員の処遇改善も非常に大事であるというふうに思います。

 また、量の確保。今、小学校一年生、二年生、三年生ぐらいまでは対応できていても、じゃ、四年生以降も、なかなか対応ができていない自治体も多くて、それもしっかり対応してほしいというふうなお声もあるところであります。

 やはり、共働き、共育ての推進ということで、非常に大事だということも思いますので、これも、処遇の改善あるいは量の確保というところで、今後の取組を是非答弁いただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの職員の処遇改善につきましてですけれども、十八時半を超えて開所するようなクラブの職員の賃金改善に必要な経費の補助、あるいは勤続年数や研修実績に応じた処遇改善事業、また、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提とした、収入三%程度を引き上げるための処遇改善事業、こういった事業を継続的に行っているところでございます。

 加えまして、先般取りまとめましたこども未来戦略に掲げました常勤職員配置の改善でございますが、令和六年度予算案におきまして、常勤職員二名以上を配置した場合に補助基準額を引き上げるという内容を計上しているところでございます。

 また、御指摘いただきましたように、放課後児童クラブ、待機児童の解消が喫緊の課題でございます。こども未来戦略を踏まえまして、受皿の拡大に向けた取組を予算と運用の両面から集中的に行うため、昨年十二月に、文部科学省と連携をいたしまして、百五十二万人分の受皿整備と早期の待機児童解消を目的とした放課後児童対策パッケージを取りまとめまして、対策を強化しているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、自治体と連携を図りながら、放課後児童クラブの受皿の確保と質の向上、この両面をしっかりと図ってまいります。

中野(洋)分科員 是非よろしくお願いをいたします。

 もう時間も残り僅かでありますので、最後の一問、児童手当についてであります。

 多子加算が今後大きく拡充をされるということで、今回、第三子のカウントをどうするのかというのを私も予算委員会で質問もさせていただきました。今まで、上の子が十八歳になって、これが十八歳以上になると多子加算のカウントから抜けてしまうというのが、大学生などがいてお金がかかるのにカウントから抜けるというのはどうなんだということで指摘をさせていただきまして、大学生に限らず、二十二歳年度末までのところは対象、ただし、親などが経済的な負担をしている場合というところが決まったかと承知をしております。

 あとは、これをしっかり簡潔な形で確認をするのが運用上大事だと思っております。余り厳密にすると、扶養から外れたら一切認めないみたいなことにすると、実態と全然これは合わないんじゃないかというふうな御意見もありますし、じゃ、書類確認でこれも厳密にやるとなると、その作業だけでも非常に大変な状況にもなります。

 加速化プランでは、自治体の事務負担に考慮した簡素な方法ということも書いております。やはり、親、自治体、双方にとってしっかり簡素で実態に合うような方法での確認が必要かと思いますけれども、検討状況を答弁いただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の児童手当の改善、特に高校生年代までの支給の拡大に当たりまして、御指摘いただきました多子加算のカウント方法については見直すこととしております。先般から委員からも様々御助言をいただきまして、感謝申し上げます。

 この見直しに当たりましては、高等教育機関への進学状況も踏まえて、二十二歳の年度末までの上の子について、親の経済的な負担がある場合をカウント対象として、かつ、自治体の事務負担に配慮した簡素な方法で確認をすることとしたいと思っております。具体的には、この経済的な負担の中身でございますけれども、監護に相当する世話をしている、それから生計費の負担をしている、この二点により確認をしたいというふうに考えてございます。

 この要件の確認に当たりましては、自治体や申請者の方々の事務負担に配慮した形で行っていく必要があると思っておりまして、具体的な確認方法といたしましては、監護相当、生計費の負担について簡便な申立ての様式を作りまして、受給者が申し立てていただくということを基本とした運用とすることを予定してございます。

中野(洋)分科員 是非お願いをいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

牧島主査 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、平主査代理着席〕

平主査代理 次に、山田賢司君。

山田(賢)分科員 自由民主党の山田賢司でございます。

 まず冒頭、大臣、政府参考人と質疑をいたしますので、もしよろしければ、御退席いただいて結構でございます。

平主査代理 それでは、大臣、御退室いただいて結構です。

山田(賢)分科員 それではまず、本日は、子供たちを犯罪の被害から守るという観点で御質問させていただきたいと思っております。

 まず、学校において教師が教え子に対してわいせつ行為を行う事件というのが以前から後を絶たず、令和二年頃には、わいせつ教員を二度と教壇に立たせないようにと文科省においても法制化を検討されましたが、当時、どうしても乗り越えられない法制上の壁があるということで断念をされました。

 私が令和三年二月の予算委員会分科会で質問させていただいた当時、文科省は、刑の消滅、刑事法制との整合性との関係で課題があったと御答弁をされました。

 当時乗り越えられなかった法制上の壁といったものはどういった点か、まず文科省にお尋ねしたいと思います。

滝波政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、令和二年当時の文部科学省における法改正の検討内容でございますけれども、児童生徒等に性暴力等を行った教員への厳正な対応に向けまして、こうした教員が二度と教壇に立つことがないように、児童生徒等に対する性暴力を理由とする懲戒免職等により教員免許状が失効あるいは取上げとなった者について欠格期間を無期限に延長するということを当時考えていたものでございます。

 ただ、しかしながら、この点につきましては、現行法上、例えば殺人罪などの重罪を犯しまして懲役刑に処せられたというような場合におきましても、刑法の規定によりまして、刑の執行後十年で刑が消滅するということなどとの均衡を踏まえまして、児童生徒等に対する性暴力により教員免許状が失効等した者を無期限に免許状授与の欠格要件とするということについては法制的に困難であった、こういった経緯があったものというふうに承知しております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 たしかそんな話をしていたんだろうなというふうに思い出しております。

 法制上の壁があるけれども、そんなことではやはり子供たちを守れない、学校という逃げ場のない空間で、本来、尊敬し信頼すべき存在であるはずの先生から児童生徒が被害に遭う、こういったことはあってはならないことであり、一刻も早く止めなければならないという思いで、与党でワーキンググループを立ち上げ、各党にも御賛同いただいて、議員立法で教職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律を成立させ、わいせつ行為で処分を受けた教員についてのデータベースを構築し、教員免許を再交付させないような仕組みを構築いたしました。

 その後、教員に加え、保育士についても類似の仕組みが設けられたと承知しております。

 他方で、子供に接する仕事の中には必ずしも免許や資格を必要としないものもあり、こうした者についてはチェックをする仕組みがなく、現在、政府において、過去の性犯罪歴の有無等を照会する、いわゆるDBSの構築を御検討されているというふうに伺っております。

 そこで、まず法務省にお伺いしたいと思います。

 文科省が法制化を断念したときの課題となった刑の消滅、刑法三十四条の二、刑の執行を終えた者が一定期間を経過すると刑の言渡しは効力を失うと定められている、この刑の消滅が定められている趣旨と、併せて、罪種にかかわらず、罰金刑五年、拘禁刑十年とされている期間の根拠についてお聞かせください。

吉田(雅)政府参考人 まず、刑法第三十四条の二の趣旨についてでございますが、この規定は昭和二十二年の刑法改正で設けられたものでございます。それ以前は、個別の法律で資格制限事由として刑に処せられた者と規定されている場合には、刑の言渡しを受けると、その後、恩赦を受けない限り、その資格の取得と回復が永久に制限されることとなっておりました。しかし、これは刑の言渡しを受けた者の更生意欲を損なうものであると考えられたことから、刑の言渡しを受けた者について、一定期間の善行、その保持を条件として前科のない者と同様の待遇を受けるという原則を樹立することによりその更生を促すという趣旨で、この規定が設けられたものと承知しております。

 そして、この規定における刑の消滅の期間についてでございますが、この規定は今申し上げたような趣旨によるものでございまして、その期間を定めるに当たりましても、その趣旨を踏まえつつ、次のような観点、すなわち、この規定が新設された当時の刑法においては、刑の執行猶予の言渡しをするための要件として、過去に禁錮以上の刑に処せられた者については、その執行を終わった日から七年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないということが定められておりましたところ、仮にそれよりも短い期間を刑の消滅までの期間として定めた場合には、七年が経過する前に刑の言渡しの効果が消滅して、刑の執行猶予の言渡しが可能になるという事態が生じることから、刑の消滅までの期間をどう定めるかについてはこうした刑の執行猶予に関する規定との整合性を考慮する必要があるという観点ですとか、刑の軽重によって刑の消滅までの期間を区別する必要があるのではないかといった観点などを踏まえて検討が行われまして、現在の規定のように、禁錮以上の刑については十年、罰金以下の刑については五年という期間が定められたものと承知しております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 この点、我々も、わいせつ教員の防止法を作ったときも、性犯罪は累犯性が高いので、罰金刑が五年たって罪がなかったことになった人がまた教壇に戻ってはいけないというところで、免許のデータベースについてはもっと長い期間を設けていただくようにというふうにお願いをしたところであります。

 DBSを今回こども家庭庁さんが御検討するに当たって、例えば、五年前に性犯罪を犯して罰金刑を受けた者、こういった者が刑の消滅によって仮に性犯罪歴なしとして扱われるのであれば、累犯性のある性犯罪者に無犯罪の証明を与えるようなものであって、これはかえって危ないことになってしまうのではないかと思います。

 現在、こども家庭庁では、DBSの導入に当たって、過去の犯歴を確認する期間は刑の消滅よりも長く取る方向で議論されていると承知いたします。対象期間を決めるに当たって、どういった根拠に基づいてお決めになられる予定なのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきました、子供の性犯罪を防止するための新しい法制度につきましては、現在、鋭意、政府部内でも調整をしたり、与党の先生方とも御議論いただいているところでございますが、その基となる有識者の報告書が、昨年九月にまとめていただいたものがございます。

 この報告書の中では、確認対象とする期間につきましての記述がございまして、事業所が従業員を雇う際に考慮すべき要素として犯歴照会の結果を活用することとする場合には、すなわち、欠格条項ではないというふうな位置づけにする場合には、刑法三十四条の二の規定が直接適用されることにはならないというふうな判断が行われております。

 その上ででございますけれども、この刑法三十四条の二は、先ほど法務省から御説明がありましたように、更生の意欲を助長するという趣旨がございますので、そういった趣旨も踏まえつつではあるんですが、一定の割合の者が類型的に再犯が行われている期間はリスクがあるということが判断できますので、子供の安全を確保するために必要かつ合理的な年数を設定するということで、必ずしもこの刑法三十四条の二の五年とか十年ではなく、それを超えた年数、必要かつ合理的な年数を設定をするという方向で検討したいということで、今、鋭意検討している最中でございます。

 この内容を踏まえながら、引き続き、必要な検討をしっかりと進めてまいります。

山田(賢)分科員 今の点ですけれども、一定の犯罪については累犯性があるというふうにおっしゃっているということは、これは性犯罪については、一定期間、類型的に犯罪が行われる可能性が高い、もっと細かく言うと、性犯罪については、刑の消滅の期間よりも長い期間、一定、累犯性があるというふうに理解してよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる再犯率そのものは、子供への性犯罪以外にも、比較的再犯率が高いと言われる犯罪の類型はございます。ただ、現在議論をしておりますのは、子供に対する性犯罪、特に学校教育現場等で行われる性犯罪の特殊性がございます。

 先ほど申し上げました有識者の報告書では、支配性ですとか継続性とか閉鎖性という三つのメルクマールで説明がなされているんですけれども、そういった特殊性の中で、子供への性犯罪が起きやすい、見えにくい、また継続して起こりやすい、そういうふうな特殊性を鑑みて、新しい制度をつくるべきではないかという議論をいただいているところでございます。

 そういった観点から、実際に実証的なデータも見ながら、性犯罪を起こされた者のデータを見て、一体何年ぐらい前までしっかり追跡をすればカバーできるのかなど、今、鋭意、そういった実証データを見ながら調整をしているところでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 子供を持つ親御さんの立場からしたら、性犯罪を犯した人が子供に接することは、一生関わらないでくれという思いがあろうかと思います。

 他方で、刑の消滅という、先ほど法務省さんからも御説明いただいた意義があるんだろうということは一定程度理解をします。善行の保持を行って更生を図って、そうした人には前科がなかったものとして扱うということですけれども、性犯罪は累犯性が高いということを踏まえると、データベース、DBSの中で子供に接する期間を排除するということだけではなくて、そもそも、性犯罪については、刑法の刑の消滅の対象から除外するなり、あるいは、刑の消滅に要するような期間を延長するなりすべきではないかと考えますが、法務省、お聞かせください。

吉田(雅)政府参考人 刑法第三十四条の二の趣旨は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 他方で、仮に、性犯罪についてのみその規定の適用を除外したり、あるいは刑の消滅までの期間を延長するといたしますと、性犯罪の前科を有する者に対しては、前科を理由として設けられている全ての資格の取得、回復の制限に関して、その資格の内容等を問うことなく、性犯罪以外の前科を有する者よりも一律に不利益な取扱いをすることになりますが、そうした取扱いをすることが、先ほど申し上げた刑法第三十四条の二第一項の更生を促すという趣旨との関係で合理性を有すると言えるかについては、慎重な検討を要するものと考えております。

 性犯罪に関して、前科を欠格事由とするかどうかを含めて、具体的にどのような内容の資格制限を設けるかについては、その資格を定めている個別の法律において、必要に応じて、資格の内容等を踏まえて対応することが適当ではないかと考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。個別の法律によって、それぞれの必要性とかを踏まえて判断するということでございます。

 刑法で刑の消滅を定めている期間を超えて、今回、過去の犯罪歴を理由に一定の職業に就くことを制限することについて、これは憲法上の問題はないのか、家庭庁、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子供関連業務の従事者の性犯罪歴確認の仕組みにつきましては、さきに申し上げました有識者会議の報告書におきまして、対象となる性犯罪歴を有する者が当該業務に従事することを事実上制限することとなり得ること、これは欠格条項ではなく参考情報として用いるということを想定はしておりますけれども、事実上そういった制限があり得るということ。そのため、このような仕組みの対象範囲を無限定に広げるということはできず、その必要性や合理性が認められ、同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段がない場合に限定するということが求められるというのが、一般的に、法学者からも御指摘をいただいているところでございます。

 こういった内容も踏まえながら、かつ、子供の性犯罪防止のための実効的な制度となるように、引き続き、必要な検討を進めてまいります。

山田(賢)分科員 誤解のないように申し上げておくと、私は、これは憲法違反のおそれがあるからやめろという意味ではなくて、むしろ、せっかくつくる制度だから、つくったものが後から違憲立法だとか言われないように、そこをちゃんと確認しておいていただきたいということでございます。

 他方で、過去の最高裁の判例によると、前科のある者もみだりにこれを公開されないという法律上の保護に値する利益を有するという判例がございます。

 今回、DBSの仕組みの導入に当たって、最高裁判例との整合についてはどのような整理が行われているのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 判例との関係についてのお尋ねでございました。

 先ほども何度も申し上げております有識者会議の報告書でもこの辺り記述がございまして、判例上、前科は人の名誉、信用に直接関わる事項ですので、前科のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとされ、特に、前科は高度のプライバシーに係る情報であるということで、本件確認の仕組みをつくるに当たっては、個人の性犯罪歴を確認することができる者の範囲を考える上で、目的が重要であることや、これを達成するために必要、合理的な範囲でなければならないといったことが求められるといった記述がございます。

 合理的な範囲、目的を達成するために必要な範囲、こういった観点から、かつ、子供の性犯罪を防止する実効性のある仕組みになるようにという観点から、引き続き、必要な検討を進めてまいります。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 今御検討されている法律によれば、事業者には、犯歴の照会の結果、該当ありとなった従業員は子供に接する業務に従事させないなどの措置を講ずる義務を課す方向で御検討されていると伺っております。

 事業者が犯罪前科ありとなった者を解雇せずに子供に接する業務に従事させ続けた結果、事業者にはどのような責任が生じるのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御紹介ありました、子供関連業務従事者の性犯罪歴の確認の新たな仕組みにつきましては、まさに現在、与党とも緊密に連携をさせていただきながら、制度設計について必要な検討を進めている段階でございますので、このような内容にしますということを本日の時点でお答えすることは難しいのですが、仮に、照会をして、犯罪歴が一定の要件の下、ありだというふうな回答が来た場合の措置につきましては、対象犯罪歴が分かった場合に、例えば、新規の採用の場合の内定をどうするかという問題や、現職者の方をどう考えるかという少し違ったフェーズもあろうかと思いますので、できるだけ現場が混乱しないように、できるだけ分かりやすいガイドラインを示すなど、方向性も併せて検討していきたいというふうに考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 確かに、まだ法案も閣議決定もされていない、検討中ということなので、まだできていない法律についてどうなのかというのを聞くのもお答えしようがないとは思うんですが、でき上がってしまうと、もうこれは我々は反対というふうなわけにはいかないので、是非その点を御留意いただいて、御検討いただければと思っております。

 逆に、犯歴の該当ありとなった従業員を解雇した場合に、事業者は不当解雇に当たるとして提訴されるリスクがあるのではないかと考えます。リスクを事業者に転嫁するのではなくて、いっそ法律できちんと、従事はさせてはならないと明記すべきではないかと考えますが、この点、いかがお考えでしょうか。

藤原政府参考人 この点につきましても現在まさに検討中でございますけれども、犯罪歴を確認した結果の活用方法につきましては、有識者会議の報告書においても記載がございます。資格の有無にかかわらず、資格制ではない職種も含めて広く横断的に対象にしようと。今回のいわゆるDBSの仕組みというのは、横断的な仕組みにしようというものでございます。

 子供の安全を確保するという目的に照らして、この犯罪歴の確認は、事業者が、性犯罪歴を有することが明らかになった者について、その採用の採否の決定など、子供の安全を確保するための具体的な措置を講ずるに当たっての参考情報として活用いただく、そういったことを求めたいというふうに思っております。

 こういった内容の具体的な措置についても、より具体的な検討を進めている最中でございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。是非、その辺、様々な点について御検討いただければと思っております。

 もう一点、幼い命が失われる不幸な事件が相次いでいる、後を絶たないものの一つに、いじめの問題がございます。

 いじめと一口に言っても、意地悪とか仲間外れといったものではなくて、多くが、犯罪に該当する行為、陰湿かつ執拗に行われております。学校外でやれば犯罪行為なのに、なぜか学校現場では、教育の名の下に、見て見ぬふりで放置をされているケースがあります。加えて、教員も業務多忙な中、精神的にも能力的にも十分に対応し切れないのではないかと推察いたします。

 とはいえ、被害を出さない、被害児童の生命、身体、財産を守るということは最優先にする、と同時に、加害児童についても、実は家庭で虐待を受けていたり、上級生から脅されている、暴力団などの関与があるだとか、様々な問題を抱えている可能性も考えられます。

 だから犯罪を大目に見て見逃せということではなくて、そういう者こそ、専門的な知識、知見のある機関に協力を仰いで、その加害児童の育った生育環境、そういったものを調査し、更に重い罪を犯さないように、取り返しのつかないことにならないように早い段階で矯正を図る、このことが重要だと考えております。

 そこで、まず法務省に、少年法についてお伺いをしたいと思います。

 少年法は、非行のある少年に対して刑罰を科すのではなくて、少年の健全育成の観点から、性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行って、特別の措置を講ずることを目的としていると承知しております。少年法に基づく保護矯正はどのように成果を上げているのか、お聞かせください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 少年法に基づく保護処分を受けた少年について、少年院におきましては、法務教官との深い信頼関係を基盤として、少年の特性に応じた矯正教育の目標、内容、実施方法及び期間などを定めた個人別矯正教育計画を策定し、非行態様等に応じた教育プログラムを行うなどきめ細やかな矯正教育を実施するとともに、円滑な社会復帰に向けた支援を実施しております。

 また、保護観察におきましては、少年の年齢、心身の状況、家庭環境、交友関係等を十分に考慮した上で、保護観察官と保護司が協働し、日常的な見守りを行いつつ、交友関係の改善に向けた指導、就労、修学の支援、家族関係の調整等の指導監督や補導援護を実施しております。

 これらを通じまして、保護観察処分少年、少年院仮退院者のいずれにつきましても、八割以上の者が、再非行による処分を受けることなく保護観察を終了しております。少年の健全な育成や改善更生を目的として実施する少年院処遇や保護観察処遇は再非行の防止と改善更生に一定の成果を上げているものと認識しております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 学校現場でなかなかこれが理解をされていないのではないかというふうに思います。真面目な先生ほど、教育の放棄をしてはいけないんだ、犯罪に該当するような行為を行ったような児童生徒であっても何とかしてあげないとという思いであるんでしょうけれども、教員ができることも限られているし、生育環境の調査であったり教育、矯正に専門的な知見を有する、そういった方々の協力を仰ぐというのは決して教育の放棄ではないというふうに考えております。むしろ早い段階でそういった機関と連携をしていただきたいというふうに考えます。

 いじめの中でも、犯罪に該当するような行為を行う少年に対しては、学校現場で抱え込まず、少年法を活用して、警察に通報し、少年院やあるいは児童相談所等の専門的な機関で保護、教育、矯正を図っていくということは、これは被害児童を守るということだけではなくて加害児童生徒の将来のためにも有意義であるというふうに考えておりますが、文科省、どのようにお考えでしょうか。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 犯罪行為に相当する事案に対しては、学校と警察が緊密に連携して対応することが重要であり、文部科学省におきましては、昨年二月の通知におきまして、犯罪に相当する事案については、加害児童生徒の健全育成を図るための注意、説諭等が期待でき、また専門機関との連携が図れることから、直ちに警察に相談、通報を行い、適切な援助を求めなければならないこと、個別事案に係る日常的な情報共有や相談を行うことができる連絡体制を構築することなど、警察との連携の徹底を求めているところでございます。

 文部科学省におきましては、本通知の徹底を図るため、教育委員会等に対して、生徒指導担当者向けの説明会や各種研修会の場において説明を実施しているほか、毎年度の調査におきまして、いじめた児童生徒への対応として警察に相談、通報した件数を把握しておりますが、来年度調査からは、新たに、警察との連絡員の配置など、日常的な情報共有体制の構築状況についても把握することといたしております。

 引き続き、学校現場での取組状況の把握に努め、学校と警察等との確実な連携の実施を図ってまいりたいと思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 十四歳に満たない少年というか、これは多分、小学生なんかが該当するんだと思いますが、十四歳に満たないで刑罰法令に触れた行為をした少年、触法少年については、まず児童相談所に通報された後、必要に応じて家庭裁判所の審判に付して、少年院に送致されるか、児童相談所長に逆送致をされると伺っております。

 児童相談所は児童の虐待あるいは児童福祉の観点から必要な保護を行う機能を担っておられると思いますが、非行少年の教育、矯正の機能はあるのか、家庭庁、教えていただけますでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 触法少年につきましては、少年法等の規定により、警察等から児童相談所に通告又は送致され、児童相談所が必要に応じて家庭裁判所に送致をしております。

 送致を受けた家庭裁判所において矯正教育が必要と判断した場合は少年院送致等の決定がなされ、また、触法少年の家庭環境、生育歴等を踏まえると矯正教育ではなく児童福祉法上の措置等の福祉的な対応が必要と判断した場合、児童相談所長送致等の決定がされるものと承知をしております。

 児童相談所は、非行少年の矯正教育を目的とする機関ではなく、被虐待児等に対して児童福祉の観点から必要な支援を行う機能を担うものであり、家庭裁判所での判断として児童相談所長送致の決定がなされた場合は、触法少年やその保護者等に対して、児童福祉の観点から必要な支援を行うとともに、児童福祉司等が継続的な指導を行っております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 このように、大変様々な仕組みが用意されているということでございます。だから、警察に通報したからこれは犯罪者として処罰しろということではなくて、家庭環境によって虐待児童であったり家庭環境に問題があるところを児童福祉の観点から保護してあげる、そういった機能も持っているし、また、教育、矯正が必要であれば少年院等で専門的な教育、矯正が行われる、こういった様々な機能が用意されているので、むしろしっかりとこれを活用して、学校の先生がやらないといけないこと、学校の先生じゃなくてもできること、あるいは学校の先生から手を放して専門家に委ねた方がいいこと、それぞれの役割を十分に生かしていただいて、まずは被害児童を守る、そして、加害児童についてもこれ以上罪を犯さないように教育、矯正を図っていくためにも、少年法、児童福祉法等をしっかりと活用していただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

平主査代理 これにて山田賢司君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平主査代理 次に、内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今回は、能登半島地震への対応を中心にお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、今回の能登半島地震では、二次避難所への入居希望が十分に進みませんでした。理由といたしましては、多くの人が地域のつながりが欲しい、また地域から離れたくないということでありました。こうした郷土愛を持っていらっしゃる被災者の状況を踏まえて、大事なことは、今避難している避難所をしっかりと運営していくこと、避難者に寄り添っていくことだと思っております。

 特に、トイレやキッチン、ベッドなどが備わっていることが、寒さや高血圧などの疾病、生活リズムの激変、感染症の広がりの防止、ひいては災害関連死などをなくすことにもつながってくると思っております。その中で、災害弱者と言われる子供、高齢者、障害者にも福祉避難所などが大切となります。いずれも、被災者に徹底して寄り添う現場対応がきめ細かく行われていかなければなりません。

 避難所の運営体制につきましては、先日の予算委員会集中審議でも私は質問させていただきましたが、現場の決定権を持った責任者が大事であることから、現在のオペレーションの体制はどうなっているのか、また、その状況を踏まえ、今後、政府としてどう対応し、被災者に寄り添っていくのか、まずお伺いをさせていただきます。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、避難所の運営につきましては、これは今私の頭の中にまずありますのは、関連死をいかに防ぐかでございます。熊本の経験でいえば、確かに、全体で、八割、亡くなっている方の六割が一か月以内でございましたが、今回の場合はまだ寒い時期でございます。

 また、一・五次避難、二次避難がございますので、こういった環境を整えることは極めて重要でございまして、委員御指摘のとおり、一次避難所とは申しませんが、現地での避難所の運営、これは良好な環境を保つことは極めて大事でございまして、ここの運営については、地元の自治体の職員の方であったり地元のリーダー的存在の方に、代表者の方にお務めをいただいております。

 また、こういった方々をバックアップする意味で、政府といたしましても、発災直後から、全国の自治体の御協力をいただきまして、総務省を通しまして、避難所運営のための職員の応援派遣をしてきたところでもございます。

 また、被害のひどかった輪島、珠洲、能登におきましては、国からも現地対策本部をつくっておりますし、県庁の中に。また、こういった、その二つの市と一つの町に関しては、副市長あるいは副町長級の方を派遣をいたしまして、いろいろな形でのリーダー役をやっていただいているところでもございます。

 発災から二か月が経過をいたしました。引き続き、この良好な環境をつくっていくことは維持しなければなりませんし、ただ、その視点の中で、今後、女性の視点に立った避難所の運営や、また食生活についても向上を図っていく、こういったものをお示しをいただきまして取り組んでいただいているところでもございます。まだまだ油断ができる状況ではございません。復旧復興をやりつつ、良好な避難所の運営に努めてまいりたいと思いますので、しっかりと現場のニーズを酌み取りながら、きめ細やかに被災者に寄り添った対応をやってまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 大臣、ありがとうございました。

 今大臣から、災害関連死を絶対に出さないと。まさに私も同感しております。

 発災から二か月、非常に避難所での生活が長期化している中で、まさに今大事なのは、避難している方の健康をどう守っていくかということが一番大事であると思っていまして、そのためには、大臣から今バックアップというお話がございましたが、やはり現地に入っていただいている人をどうやってバックアップしていくか、これが国の大きな役目だと思っておりますので、大臣におかれましては、またきめ細やかに目配りをしていただきまして、災害関連死を絶対に出さないという、この点につきまして是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 大臣につきましてはここで御退室いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

平主査代理 どうぞ御退席ください。

中川(宏)分科員 それでは、引き続き質問させていただきます。

 今回、生活再建支援といたしまして、新たな仕組みで、高齢者や障害者のいる世帯に加え、現役世代の住民税非課税世帯や一人親世帯、被災によって離職した人がいる世帯などを対象といたしまして、石川県内の六市町を中心とする地域で、住宅が半壊以上の場合に支給する方向であります。

 この支援でありますが、石川県の六市町に限られております。しかし、石川県のほかの市町、あるいは富山県や新潟県、福井県でも局地的に甚大な被害が生じている場所がございます。これらの被災者世帯からも、甚大な被害を受けているので同じような支援をしてほしいと強いお声がありますので、政府としても何とか知恵を絞ってもらいたいと思います。ここはしっかりとした検討と調整がこれから必要だと思いますので、今時点では御答弁は結構でございますけれども、是非考えていただきたいと強く要望をさせていただきます。

 その上で、この交付金もそうですが、例えば、生活再建を考えますと、住宅の復旧が入口となりますので、液状化などの被害を受けた家屋の復旧など、地方自治体が単独で行う被災者生活再建支援が重要になってまいります。これらの対応で地方自治体の負担が増しますので、地方財政を支えるためにも、国による強い財政支援措置を早期に講じていただきたいと思いますが、政府の見解を求めます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、一部地域において被災者生活再建支援法が適用された自然災害におきましては、都道府県が再建支援法の適用対象とならない地域の被災世帯に対しまして再建支援法と同等の支援を行う場合には、特別交付税の対象としております。

 また、石川県が単独事業で県内を幅広く対象とする方向で現在検討中の自宅再建利子助成制度事業につきましては、先日、石川県を視察されました岸田総理より総務大臣に対して地方財政措置の検討指示があったことを踏まえまして、この点について検討することとしております。

 引き続き、被災自治体の財政需要を丁寧に把握し、その財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 ここに来て、交付金や、また制度が形を見せ始めてきました。是非、被災者の皆様がこれからの自らの生活再建をどうしていくということにしっかりと見通しがつけられるよう、更に県との連携の中でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今回、能登半島地震では、北陸、信越の広いエリアで液状化が起こり、私も現場に行かせていただきましたが、想像を超える甚大な被害が生じております。

 私は、一月二十四日の予算委員会の集中審議で、熊本地震の例から、住宅の復旧の後、面的に再度被害による被害拡大を防ぐための液状化対策事業が非常に大事であるということをただしました。

 これを受けまして、斉藤国交大臣からは、熊本地震や北海道胆振東部地震における取組も踏まえて、液状化対策への支援と財政支援をしっかりと取り組んでまいりたいとの答弁がございました。

 液状化対策につきましては、現在、国と被災県で勉強会を立ち上げまして、対策に向けての検討がなされていると承知をしております。

 被害や地域の実情を踏まえた液状化対策に関する技術的支援や宅地液状化防止事業の財政的支援が必要となっておりますが、その検討状況と併せて、液状化の今後の対策の方向性についてお伺いをさせていただきます。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、被害や地域の実情を踏まえた液状化対策を支援するため、被災した地方公共団体の職員を対象とした会議を実施し、対策工法や過去の災害における取組事例について情報提供しているところです。

 また、先般決定した被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおいて、宅地などの復旧に引き続き、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援することとしており、エリア一体的に対策を講ずる支援措置の強化についても検討を進めているところです。

 今後は、被災した地方公共団体への情報提供を引き続き行うとともに、液状化被害の再発防止に向けた検討調査や対策工事などへの支援を行っていくこととしております。

 国土交通省としては、被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、地方公共団体が実施する液状化対策への支援にしっかり取り組んでまいります。

 以上でございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 これから様々な検討がなされていって、支援をしていただけるということでございますけれども、現地に行きますと、なかなか検討している状況すら分からない、こういった状況で、非常に不安を抱いている皆さんもいらっしゃいますので、検討をしているということも含めまして、是非情報を広く発信していただいて、液状化対策についても国はしっかり考えているんだよ、こういう姿勢を是非見せていただきたいと思いますので、情報提供の方、併せてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今回の能登半島地震で、災害救助法の適用自治体に住まわれ被災された方が一定の要件を満たす場合には、医療機関などで診療を受ける際に、医療機関等での窓口での支払いが不要となりまして、一部負担金の支払いが猶予される仕組みとなっております。

 この要件には幾つかありますが、要件の一つに、住宅の全半壊、全半焼、床上浸水又はこれに準ずる被災をした旨と対象者を示しておりますが、私が被災地へ行き、お話をお聞きし、感じたことは、一部半壊の被害の方においても被災をされており、大変な状態に変わりはないと思っております。

 また、そういった中で、被災中に具合が悪くなったという方のお声も多数いただいております。一部半壊世帯まで対象を広げられないものか、又は、一部半壊世帯の方たちにも救いの手を是非差し伸べていただきたいと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の能登半島地震により被災された方の医療につきましては、窓口での一部負担金の支払いの猶予、免除を行うよう保険者に要請をした上で、免除した市町村などに国が財政支援をすることとしてございます。

 このうち、住宅の損害を理由とした支援の対象でございますけれども、これは、災害救助法の適用市町村に住所を有する方のうち、住家の全半壊、全半焼、床上浸水の場合に加えまして、これに準ずる被災をした旨を申し立てた方も対象となってございます。

 具体的に申し上げますと、住家の全半壊等以外の場合でありましても、対象となる住家の被災状況などに鑑みまして、保険者において住家の全半壊等に準ずる被災に該当すると個別に判断された場合には支援の対象となるものでございます。

 なお、住家の一部損壊の被災者の方につきまして、仮に全半壊等に準ずる被災に該当するというふうに認められなかった場合でありましても、主たる生計維持者の方が死亡され、又は重篤な傷病を負われた場合、あるいは主たる生計維持者の方が失職して現在収入がない場合など、ほかの要件に該当すれば一部負担金の支払いの猶予、免除の対象となるものでございますので、こうした免除の対象要件に基づきまして、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 今、これに準ずる被災をした旨というところで広く拾っていく、それに該当しなくても、個別にしっかりと状況を見て、それも拾い上げていく、こういった答弁だったかというふうに思っております。

 被災しているところで、しっかりこういったことが伝わっていないと、なかなかこういうような状況には拾い上げてくることはできないかなというふうにも思っておりますので、改めまして、こういったことに対しても周知をしていただきまして、是非、こういったことを徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、断水対策についてお伺いをしたいと思います。

 今回、復旧が進まなかったことの一つに、水への対応があります。能登半島特有の地形から、道路が細く、アクセスルートも少ない。さらに、崖崩れも頻発し、現場まで行くことが非常に困難でありました。

 今回の能登半島地震で最大の問題となったのが断水だと言えます。飲料水だけでなく、食事、洗濯、トイレなどの生活用水が全く不足をしておりまして、衛生状況の悪化にまた寒さも加わりまして、感染症の拡大、ひいては災害関連死の危険が伴いました。

 私は、国の支援パッケージが発表される前に、予算委員会で岸田首相に対しまして、被災者が今後の見通しが分かるよう、期限を切ってきちんと示してほしいと切に要望をさせていただきました。

 水道の仮復旧でありますけれども、輪島市では二月末から三月末、珠洲市では二月末から順次進めて、遅い地域では四月末、穴水町や能登町では二月末から三月末と期限が示されました。

 いまだに避難所で多くの方が生活をしている状況から一日も早い仮復旧が大事であるとともに、現在、国を挙げて行われている水の供給体制、これもしっかりと維持していくことが大事だと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 水道の一日も早い復旧、仮復旧が大事であることは御指摘のとおりでございます。

 復旧に当たりましては、日本水道協会における自治体の相互連携による枠組みがございますので、これを活用して、全国の自治体から水道技術者を派遣し、必要に応じて増員するなど、復旧に全力を挙げているところでございます。

 また、断水が続いている地域はまだございます。これらの地域への応急給水活動についても、日本水道協会のほか、自衛隊、国土交通省と連携して取り組んできているところでございます。

 国におきましても、震災の翌日から被災地に職員を派遣して関係機関の調整を行うなど復旧支援を行ってきているところでございまして、引き続きこれは早期復旧に向けて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 私も現地に行きまして、非常に復旧に向けて尽力していただいている皆様の姿を見まして、本当に、半島特有の地形の中で大変な状況であった、その中で今復旧していただいているということで、御苦労を重々に承知しております。

 そんな中で、先ほども申しましたように、これで二か月たとうとしている中で、いまだに水が供給されないということは、我が身においてみたら本当に大変な状況であるというふうに感じ取ることができます。

 まずは避難所への水の供給体制、これも引き続きしっかりやっていただきますとともに、さらに、マンパワーを増強する中で、一刻も早い仮復旧に向けて引き続き御尽力をいただきますよう要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 次に、地域に合わせた災害対応についてお伺いしたいと思います。

 今回地震が起きた能登地方の特徴は、先ほども申しましたとおり、道が狭く、アクセスルートも少ない。また、過疎化と高齢化が進み、孤立集落になりやすい状況。孤立集落は、石川県が把握しただけでも、当初、二十四地区、三千三百四十五人に上りました。様々な団体や個人の皆様が救援物資を届けるために一斉に動いていった結果、大渋滞が起こり、金沢から輪島まで八時間を要したということも報告をされているところであります。

 発災直後に国土交通省北陸地方整備局がすぐさま動きまして、災害協定を結ぶ大手ゼネコンが一月二日から入りまして、県道一号線などを翌一月三日から通れるようにしました。この道が通れるようになったことで、被災現場では救援に向けた見通しが立ったのだと思っております。それは、被災者にとっても救援に向かおうとする人たちにとりましても、このときに希望が持てたということだと感じております。

 今回の能登半島地震の専門家による地震発生率の当初予想は、三%以下でありました。確率的には、千年に一度、震度六弱以上の地震が起きると言われておりました。全国で幾多の活断層が存在をしておりますので、今回のことを教訓といたしまして、しっかりと検証をし、今後は全国で、その地域の特性を捉えまして、災害対応をよく考えた地域防災計画を作成するべきであり、政府が主導をしていただきまして、ブラッシュアップした防災基本計画作りに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、地域の特性を踏まえて災害対応に当たることは大変重要でございます。地方公共団体は、国の防災基本計画を基本としつつ、地域の実情に応じて地域防災計画を作成しているところでございます。これらの防災計画は、これまでの災害から得た経験、教訓をしっかりと踏まえて不断に見直していくことが重要でございます。

 今般の能登半島地震につきましては、地理的制約のある半島地域において、土砂崩壊等による道路の寸断や家屋の大規模な倒壊が発生している中で、人命救助やインフラやライフラインの復旧、また避難所における良好な生活環境の確保など、災害対応に全力で取り組んできたところでございます。

 こうした対応につきましては、しかるべき時期に振り返り、検証を行いたいと考えており、その上で、防災基本計画についても必要な見直しを行っていくべきものと考えております。

 以上でございます。

中川(宏)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 そして、この災害の中でも水害や台風などの場合は、事前に防災行動計画、いわゆるタイムラインを作っていくことを国土交通省が現在進めております。自分自身が取る標準的な防災行動を時系列的に整理をしまして、自ら考え、命を守る避難行動の一助となるものであります。

 しかし、地震は事前予測が厳しいため、建物の耐震化をまず図り、インフラの耐震化を進めていくことが非常に重要になります。

 実際に災害が起きたとき、まずは自分の命は自分で守る、次に避難所、これは一次、二次とありますが、避難所での権限のある責任者を置いて、実態に即して対応していくことが大事です。

 この度の災害においても、避難所に行かなかった方は、避難所は人があふれて入れない、入りづらい、仮設トイレが無理、プライバシーに問題がある、また寒いなどの理由で、危険と分かっていましても、御自宅に戻ったり、車中泊したり、可能な人は親戚や知人のいるところに避難をしておりました。

 いざ災害が起きて、どこに行こうと考えるよりも、あらかじめ、どう避難するかを決めておく中に、被災地を離れて暮らしていける場所を考えておくことも大事な視点であると思います。

 政府では、地区防災計画制度といたしまして、地域の住民や事業者間が率先して地区防災計画を作り、それを市町村での地域防災計画に反映させる取組をしておりますが、大変重要な取組であると思います。国交省が進めておりますタイムラインのように、地震災害におきましても、各地域での災害対応マニュアルや指針の中でしっかりと位置づけをしていくべきだと考えますが、この点につきましてお伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 水害や地震などの災害に備えて住民等が避難等の防災行動に関する計画を事前に作成することは、住民の命を守り、被害を減らすために大変重要だと考えております。

 地区防災計画は、住民等が主体となって、自助、共助により、地域の実情に応じて作成するものであり、地域防災力を高める上で有効であります。

 この地区防災計画作りを促進するため、ガイドラインの作成、計画の作成主体や支援者への研修、モデル地区への大学教員等のアドバイザーの派遣、優良事例の横展開等の取組を実施しているところでございますが、例えば地震による津波を想定災害とした地区防災計画作りの例といたしましては、沿岸部から隣町の高台に広域避難をする訓練を行っておられる高知市の下知地区の例とか、また、県境をまたいで隣県に避難する訓練を行っていられる石川県の加賀市吉崎地区の例がございます。

 引き続き、このような取組を通じまして、地区防災計画作りを推進し、地域防災力が向上するように努めてまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 是非よろしくお願いいたします。

 そして、今回、非常に顕著になった課題といたしまして、ペット同伴の避難でございます。

 今回の能登半島地震で、人とペットの避難につきまして、石川県の動物愛護団体から悲痛な声が寄せられました。珠洲市で、自宅敷地内の納屋が全焼した事故です。亡くなった男性は、ペットがいるから避難所に行けないと話をしておりまして、倒壊した自宅の横の納屋でペットと避難生活を送っておりました。

 環境省がまとめた、人とペットの災害対策ガイドラインには、自治体の役割が明確に記されておりまして、平常時から、同行避難のための飼い主への啓発など対策を講じるよう促しております。しかしながら、ガイドラインでも自治体に同行避難を推進するよう求めている反面で、避難所でのペットの在り方は自治体に一任をしております。

 アンケートによりますと、道府県庁所在地と政令市、東京二十三区の全七十四自治体のうち約三割の二十五市区が、避難所でのペットの飼育場所を原則屋外、屋外を想定と回答しております。残りの自治体の大半は屋内と屋外のルールを定めておらず、受入れ場所は地域の実情に応じて避難所ごとに定めるなどとしております。

 屋内でペットと過ごせる確証がなければ、飼い主は避難所での避難を避ける可能性があります。自治体で専用避難所の設置を考えているのが六市ありますが、それも、現在、試行的にということであります。

 専用避難所を含めたペット同伴が可能な避難所の開設には、スペースの問題ですとか受入れ体制づくりの課題もありますが、ここは、政府といたしまして、精力的に各自治体に対策を講じるよう、支援をしていただきたいと思います。政府の見解をお伺いしたいと思います。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 ペットの飼い主が安心して避難できる避難所を設置することは、ペットの飼い主の命を守る観点から重要と認識しております。

 環境省では、人とペットの災害対策ガイドラインを作成し、ペットとともに避難することの推奨や、避難所内にペットとの同行避難をした方専用のスペースを設ける等の事例を掲載し、自治体等に周知や研修を行ってまいりました。

 避難所の場所の確保や避難所内のスペースの状況等は自治体により異なると考えられます。このため、ペットとの同行避難が可能な避難所の在り方について、様々な形態を自治体に提示していくことが必要と考えております。

 能登半島地震の状況も踏まえて、関係省庁とも引き続き連携して、これまでの取組を強化してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 時間がなくなったので一問残してこれで終わりたいと思いますけれども、今、能登半島地震から二か月がたつ中で、フェーズも様々変わってまいりました。その中でも、課題も刻々と変わっている中でありますけれども、一つ一つの事象にしっかりと目を向けていただきまして、そして、一つ一つの事象を前に向けて推進していく、このことを各省庁、是非お願いを申し上げまして、地震対策を是非ともお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

平主査代理 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

    〔平主査代理退席、主査着席〕

牧島主査 次に、西野太亮君。

西野分科員 熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 今日は、内閣府所管の第一分科会、私が最後のバッターとなります。大変エネルギッシュな新藤大臣といえども、八時間集中して質疑応答するというのは大変なことだというふうに思いますけれども、最後、五分ほどおつき合いいただければというふうに思います。

 まず最初に、昨年一年間、二〇二三年のGDPがドイツに抜かれて四位に転落したということについてお伺いしたいと思います。

 午前中、私、経済産業省所管の第七分科会にも質問に立たせていただきました。その際にも申し上げましたけれども、私、四十五歳になりました。我々世代で申し上げれば、小さい頃から、日本はアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国だということを教わってきましたし、それがある種自然なことで、それでまた誇りでもありました。しかし、二〇一〇年に中国に抜かれて三位に転落し、その後も、例えばインドみたいに人口が多い国に抜かれることはあるのかなというふうに覚悟しておりましたが、今回は人口規模が日本の三分の二程度のドイツに抜かれたということで、個人的には大変衝撃を受けているところでございます。

 今回の転落について、物価あるいは為替の影響だということで楽観視する向きもあるように伺っておりますけれども、私は、物価水準、為替水準というものも日本の経済の実力を反映したものだというふうに思いますので、楽観視せずに取り組んでいく必要があるというふうに思います。

 そこで、経済財政運営の司令塔であります新藤大臣に伺いたいと思います。

 経済財政担当大臣として、今回の四位転落についてどういうふうに受け止めていらっしゃるのか、また、今後日本経済をどういうふうに立て直していくお考えなのか、伺わせていただきたいと思います。

新藤国務大臣 まず、私は転落とは思っておりません。四位になったというのは、これは、統計上の数字として、また、今の私たちの国の状況を表しているということだと思います。

 そして、これは様々な、こういう理由というのはありますけれども、今委員がおっしゃったように、やはり全てのものは経済の実態を表していくという意味において、やはり一番考えなきゃいけないのは、ドイツが、人口は三分の二であり、就業者数は六割なんですね。そして、労働時間は八割です。そうした状況の中で、日本を超える数字を出していった。ここは非常に、労働生産性において日本とドイツには今差がある。逆に言えば、私たちの国はそこに改善の余地がまだまだあるということでございます。

 ちなみに、為替のことでいえば、百三十二円であれば日独並ぶわけですね。それから、ドイツはインフレが今激しい。ですから、そういった物価上昇、物価も違っている。そういったことはあります。

 でも、一番問題なのは、やはり、いかに私たちが労働生産性を高めていくか。そして、経済の潜在成長率を上げていく、そして、人口減少、少子高齢化であっても成長していく日本。それから、様々な社会的課題があって、地方では過疎化が進み、行政が非常に厳しい状況に追い込まれていく一方で、都市部は過密になって、また行政コストが非常にかかる。こういう状態の社会的課題を解決しながら、日本全体をどうやって次のステージに、それは、今までとは全く違う働き方や、それから生産性、設備投資、こういったものを切り替えた上での次のステージをつくらなければいけない。

 ですから、その意味において、ドイツで参考にすべきは、やはり、一九九〇年の東西ドイツの再統一で非常に困難がありました。経済も苦しかったです。私たちはその前に、元々ドイツが二位だったものを抜いて二位になったわけですから、逆転を、今回なったわけですけれども、ドイツ自身は、やはり、二〇〇二年の、一九九〇年、東西ドイツ統一されて非常に厳しい状況になりました、そこから十年頑張って、十年後に労働市場改革を進めた。これが今の労働生産性の高いものを生んだことになっています。我々も今、三位一体の労働改革、労働市場改革をやろうとしていますけれども、そういったところは参考にすべきだというふうに思います。

 そして、何よりも今、株価が最高水準を、かつての最高額を突破した。しかし、三十年前の水準にまた達してそれでよかったのだったらば、三十年間は何なんだということになりますよね。ですから、我々は、目指すべきはもっと高いところに置かなければならないわけで、そうした日本自身の努力を行うことによって、世界のGDPランキングが何位になるかは結果として出てくる。しかし、私たちはまだまだ成長できる余地がある、このように考えているわけであります。

西野分科員 ありがとうございました。

 新藤大臣からは、デフレ脱却を越えて、その先の成長戦略、潜在成長力をいかに向上していくのか、その取組が重要だというお話をいただきました。私も全くそのとおりだと思いますので、一議員の立場でありますけれども、しっかり頑張っていきたいと思います。

 新藤大臣にはここで御退席をいただいて、残りの各論につきましては、神田政務官、そしてまた役所の皆さんと議論をさせていただきたいと思います。済みません、おつき合いいただいて、ありがとうございました。

牧島主査 新藤大臣、御退席ください。

西野分科員 次に、一人当たりGDPについても見ていきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げたとおり、経済全体としてもランキングを下げてきているわけですけれども、一人当たりGDPについては、それ以前からランキングを下げてきております。

 まず、内閣府の役所、事務方の方から、一九九〇年代初頭、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代の一人当たりGDPのランキング、そしてまた直近のランキングについて教えていただきたいと思います。

松多政府参考人 お答え申し上げます。

 OECD加盟国内の一人当たり名目GDP、ドルベースの順位で申し上げますと、現行基準の正式系列の開始点であります一九九四年が三位、最新の二〇二二年が二十一位となっております。

西野分科員 ありがとうございます。

 今、OECDのランキングについてお答えいただきましたけれども、インターネット上でばっと調べますと、OECD以外を含めますと、二〇二二年、二〇二三年については、もう既に三十位、三十一位というようなランキングになっているというふうに思いますので、その点についても私の方から申し添えたいというふうに思います。

 とはいえ、今お答えいただいたように、三十年前には、我が国の一人当たりGDP、世界ランク三位だったわけです。通常、第三次産業、サービス産業が中心の小国であったり都市国家であったり、そういう国々が一人当たりGDPでランキング上位に入るというのは容易なことかもしれませんけれども、日本みたいに、一次産業もある、二次産業もある、三次産業もある、そういうふうに総合的な経済を持っている国が世界ランク三位だったということ自体、奇跡的なことだったのかもしれません。

 いずれにしても、三十年たってその順位を大きく下げている、このことは我々は危機感を持って認識しなくちゃいけないんだろうと。このままいけば、ずるずるずるずる下がってしまって、我々の生活にも影響を与えますし、ひいては、教育だったり、社会保障だったり、国土強靱化だったり、さらには外交、安全保障にも影響を与える。危機感を持って経済の立て直しに取り組んでいかなくちゃいけないというふうに思っております。

 そして、世界ランキングは下がっているんですけれども、三十年間の我が国のGDPの推移を見ますと、ずっと停滞し続けてきたというわけではなくて、順調に成長していた時代もあります。例えば、バブル崩壊後は長らく低迷が続いていたんですけれども、小泉政権下で増加に転じました。その後、リーマン・ショックで大きく落ち込みましたけれども、自民党が政権に復帰した二〇一二年以降は順調にGDPを伸ばしています。新型コロナウイルスで二〇二〇年には一回下落に転じましたけれども、その直後、二〇二一年から再び増加に転じ、最新の二〇二三年のGDPは、あと少しで六百兆円に迫るという、五百九十一兆円まで伸びています。

 もちろん、直近でいえば物価高の影響がありますので、手放しで喜べるという状況ではありませんけれども、私たち、物心ついたときから、日本のGDP五百兆、五百兆というのがずっと変わらなかった中で、六百兆に到達するというのは、ある種、隔世の感があります。しかし、先ほどから申し上げているとおり、世界と比べれば大きく後れを取ってきた。

 そこで、私は、政府として、経済の立て直しに向けて、漫然として取り組むのではなくて、ある種の目標を決めて、例えば、何年後までにこれぐらいのGDPに到達しますとか、あるいは何年後までにランキングをこれぐらいまで取り戻しますというような目標を決めて取り組むべきではないか、漫然と取り組むのはよくないというふうに思いますけれども、そういった観点については政府としてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のGDP、例えば、GDP総体として、あるいは一人当たりGDPで何年までに何位にする、そういった目標というのは具体的には掲げてはございません。

 今後、我が国経済が世界と伍していくため、生産性の向上、潜在成長率の引上げに取り組んでまいりたいと思います。

西野分科員 ありがとうございます。

 確かに、おっしゃるとおり、政府として、何位までにどれくらいという、あるいは何年までに何位というような目標を定めるのはなかなか難しいのかもしれません。ほかの国の動向次第という面もありますので難しいのかもしれませんけれども、しかし、ありとあらゆる手段を用いて経済の立て直しに取り組んでいかなくちゃいけないというのは、今政府の方からもおっしゃっていただいたとおりだというふうに思います。

 それでは、具体論に入っていきたいと思います。

 午前中、経済産業省所管の第七分科会で質問した際には、デフレ脱却を乗り越えた後の、いわゆる構造改革ですとか、潜在成長力を向上させるための取組について議論をさせていただきましたが、私は、ある種、その前提になると言ってもいいと思いますけれども、デフレ脱却について、ここでは議論をさせていただきたいというふうに思います。

 デフレ脱却については、岸田総理も繰り返し、政権の最重要課題だというふうにおっしゃっておりますし、私もそのとおりだというふうに思いますけれども、一方で、本当の意味での経済の立て直しを実現するためには、デフレ脱却というのはある種の一里塚にすぎなくて、デフレ脱却と同時に、あるいはデフレ脱却を成し遂げた後に様々な政策を打ち出していく、これが本丸だというふうに思っております。

 そこで、デフレ脱却について少し皆さん方と議論を進めていきたいというふうに思いますけれども、私としては、デフレ脱却は、少なくとも、ここ数年で成し遂げなくちゃいけない、短期間の重要課題だというふうに考えておりますけれども、政府としては、このデフレ脱却について、どれぐらいのスパンで成し遂げると思っているのか、そういった観点も含めてお答えいただければというふうに思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九〇年代のバブル崩壊以降、長引くデフレを背景に、企業は足下の収益確保のため賃金や成長の源泉である投資を抑制し、結果として、消費の停滞や、経済の体温とも言える物価の低迷、さらには成長の抑制をもたらしました。

 このため、デフレから脱却し、コストカットの縮み志向から転換することで、賃上げが家計の消費を押し上げ、その結果、物価が適度に上昇する、そしてそれが新たな投資を呼び込み、企業の成長や更なる賃金上昇につながるという好循環を実現することが重要であると認識しておりまして、なるべく早期に実現することが必要だというふうに考えてございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 では、デフレ脱却に向けて、今の日本経済、私は、千載一遇のチャンスをつかんでいるというふうに認識しておりますけれども、政府としては、今の日本経済、どのように認識していらっしゃるのか、デフレ脱却に向けた現時点での立ち位置といいますか、その認識について教えていただければと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国経済は、三十年ぶりの春闘賃上げ率や株価など前向きな動きが見られまして、デフレから脱却し、日本経済を新たなステージに押し上げる千載一遇のチャンスを迎えているというふうに考えております。特に、企業部門につきましては、業況や収益の改善が続くなど、引き続き好調であります。

 ただ、こうした企業部門の好調さが必ずしも賃金や投資に回っていないと認識しております。具体的には、個人消費は、賃金上昇が物価上昇に追いついていない中、持ち直しに足踏みが見られており、また、設備投資も、企業の堅調な投資意欲が実際の投資には結びついておらず、持ち直しに足踏みが見られておりまして、内需に力強さを欠いている状況にございます。

 こうしたことから、私どもは、毎月の月例経済報告で、景気は、このところ足踏みも見られるが、緩やかに回復しているというふうに判断をしているところでございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 今、詳細な現状認識についてのお答えをいただきましたけれども、私なりに少し現状認識を整理させていただきますと、二〇二二年以降、物価水準はプラス三%、四%で推移しています。一方で、輸入物価については、二〇二二年の七月、ピーク時で四九・五%、急激に高騰しました。いわば物価が上がった分がどんどんどんどん外に出ていた、場合によっては物価が上がった分以上にどんどんどんどん外に資金が流出していたという状況だったと思います。

 それに対して、二〇二三年、少し様相が変わってきたのかなというふうに思っておりまして、物価水準については二%、三%を維持しつつ、また、エネルギー物価を除いた物価水準でも四%程度に達しながら、輸入物価に関してはマイナス一五%を記録するといったふうに、少し落ち着いているのかな、二〇二三年に入って、ようやく国内で少しお金が回り始めたんじゃないかというような見方をしております。

 これは、緻密な分析というのはなかなか財務省あるいは日銀の役人の方々と議論していても難しいんですけれども、おおむねそういった見方ができるのではないかなというふうに思っています。

 それを反映して、日経平均も史上最高値を記録しましたし、設備投資に関しても百兆円を超える見込みということで聞いております。

 一方で、先ほど御答弁いただいたとおり、個人消費については、コロナ以前の水準に戻り切れていないということで、少し弱いのかなというふうに思っておりまして、個人消費を後押ししてデフレ脱却を確実なものにする、そのために、岸田政権として、今般の経済対策で定額給付、さらには定額減税というものを決定したというふうに受け止めておりますけれども、その認識は正しいのかどうか、内閣府としての考えをお聞かせいただければと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、日本経済は、史上最高値を更新した株価など前向きな動きが見られるものの、賃金上昇が物価上昇に追いついていない中、個人消費は力強さを欠いている状況だというふうに先ほども御答弁で申し上げております。

 デフレに後戻りしないためにも、今回、賃上げとともに所得税、住民税の定額減税を組み合わせることで、官民を挙げまして物価高を上回る所得の実現を図り、消費の拡大につなげていくこととしております。

 同時に、持続的な消費の拡大に向け、構造的賃上げの実現や潜在成長率の引上げに取り組んでまいります。

西野分科員 ありがとうございます。

 私の立場から申し上げると、今回の定額減税、定額給付というのは、日本経済の適切な現状認識の下に、ある種正しい政策を打っているんだというふうに思いますけれども、残念ながら、地元に帰っても、そういった認識が国民の皆様方に広まっていないというふうに考えますので、もちろん我々、政府としても、何でこういうふうに、このタイミングで定額減税、定額給付をするのかということをしっかり伝えていくということは重要だと思いますけれども、政府の立場としても、その趣旨について、あるいは現状認識について理解を広めることができるようにお手伝いをいただければ大変ありがたいというふうに思います。

 そして、デフレ脱却のためにもう一つ重要なのは投資促進だというふうに思います。国内投資の額が久々に百兆円を超える見通しであるというふうに承知しております。もちろん、足下は少し弱含んでいるということも聞いておりますけれども、それでも、久々に百兆円を超える見通しであるというのは大変うれしいニュースだというふうに思います。その背景と今後の見通し、さらには、今後とも投資を増やしていくために、政府としてどのような政策、取組を進めていくのかということも聞かせていただきたいと思います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度政府経済見通しにおきましては、企業の高い投資意欲を背景に、今年度の設備投資は名目で過去最大規模の百・一兆円程度と見込んでおります。翌年度につきましても、引き続き企業の高い設備投資意欲の下、総合経済対策等々の効果もあって、百四・八兆円程度と、今年度よりも増加する見通しでございます。ただし、足下では堅調な投資計画が実際の投資として実現することに時間がかかっているという状況もございます。

 政府といたしましては、総合経済対策におきまして、投資を引き出すための大胆な支援策として、半導体や脱炭素の大型投資に対する集中的な支援、戦略分野国内生産促進税制の創設、イノベーションボックス税制の創設、地方における賃上げに資する中堅・中小企業の大規模成長投資補助金、カタログ形式で簡単に省力化投資の補助が受けられる中小企業省力化投資補助事業、オーダーメイド形式で機械や物づくり構築等の省力化投資を支援するものづくり補助金を含む中小企業生産性革命事業等を措置したところでございます。

 新たな経済ステージに移行できる千載一遇のチャンスでございますので、それをつかみ取るために供給力の強化をしっかりと進め、持続的、構造的賃上げの下で消費や投資が増加し、更なる経済成長が生まれるという所得増と成長の好循環を実現してまいりたいと考えてございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 今、給付、減税の話、そして投資促進の話、いろいろ政府としての取組をお聞かせいただきましたけれども、私は、もちろん政府としての取組も最大限やるべきだというふうに思いますけれども、一方で、先ほども皆さんから、役所の方からお話しいただいたとおり、やはり官民一体となって取り組んでいく必要があるんだろうと。そういう意味では、経営者の意識改革であったり消費者の意識改革であったり、あるいは働く人たち、労働者の意識変革であったり、こういったところにもしっかりくさびを入れていく、こういったものを導いていくための取組というものも重要だというふうに思います。

 まずは、経営者の意識変革という意味では、賃上げ、これが非常に重要なものだと思います。私が言うまでもありませんけれども、デフレ脱却のためには、賃上げ、これが必要不可欠です。一方で、経費だけ増えて売上げが増えていないという中で、賃金を先行して上げることが極めて難しい、困難だという経営者が多いというのも現実だというふうに思います。

 そのような中で、いかに経営者の意識を変革して賃上げに踏み切ってもらうか、こういった取組について、こういった観点から政府としてどのような取組をしているのかということについてもお聞かせいただきたいと思います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 日本経済は、三十年余り続いたコストカット型経済やデフレから完全脱却し、熱量あふれる新たなステージに移行するチャンスを迎えておるところでございます。

 このチャンスをつかみ取るためには、御指摘のように、物価上昇を上回る構造的な賃上げを実現することが重要でございます。

 我が国全体で賃金を引き上げていくためには、雇用の七割を占める中小企業の賃上げが不可欠でございます。

 このため、政府としては、中小企業の賃上げに向けて、赤字法人のための繰越控除制度を創設するなど賃上げ税制の拡充を図るとともに、賃上げの原資の確保に向けて、労務費の価格転嫁のための価格交渉に関する指針に沿った行動の徹底を産業界に強く要請するとともに、独占禁止法等に基づく厳正な対処を行っていくこととしているほか、中小企業の稼ぐ力を強化するため、先ほど申し上げましたようなカタログ形式やオーダーメイド形式などの補助金などによりまして省力化投資を支援するなどの取組を行っていくこととしております。

 さらに、賃上げが持続的、構造的なものとなるよう、三位一体の労働市場改革や、企業の稼ぐ力を強化するための供給力の強化や生産性向上、潜在成長率の引上げに取り組んでまいります。

 これらの取組を通じて、経営者が積極的に賃上げに取り組むことができる環境整備に努めてまいりたいと考えております。

西野分科員 ありがとうございます。

 私の地元熊本では、おかげさまでTSMCが進出してきます。その影響で、賃上げ、なかなかそれについていけない企業もあって、厳しい企業ももちろんあるわけですけれども、全体として賃上げのムード、雰囲気ができてきているのかなというふうに思いますが、これはあくまで特殊要因なんだというふうに思います。

 都市部あるいは特殊要因があるような地域では賃上げのムードができておりますけれども、まだまだ、そうではない地方の地域では、賃上げのムードができていないのかなというふうに思いますけれども、この賃上げの取組、地方でも進めていくということも重要だというふうに思いますが、どのような取組をされているのか、聞かせてください。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、地方においても賃上げを促進するために、カタログ形式やオーダーメイド形式の補助金等により省力化投資を支援するとともに、半導体等の大規模投資の支援、中堅・中小企業の大規模成長投資補助金等により、地方においても設備投資を促進していくという施策を講ずることとしております。

 また、社会全体での力強い賃上げの機運が醸成されるよう、先般の政労使の意見交換では、総理から経済界の方々に対して、今年の春季労使交渉について、物価動向を重視し、昨年を上回る水準の賃上げを要請したところでございます。さらに、政労使の議論が地方にも波及していくよう、厚生労働省が主体となって、地方版政労使会議が昨年十二月以降、本日までに三十の都道府県で開催されていると承知しております。

 引き続き、労使団体、地方公共団体、関係省庁と連携しながら、地方版政労使会議の開催を始めとして、持続的な賃上げの流れが地方にも波及していくよう取り組んでまいりたいと存じます。

西野分科員 ありがとうございます。

 一方で、労働者側の立場に立ちますと、ただ単に企業が賃上げしてくれるのを指をくわえて待つというのは、少しナンセンスかなというふうにも感じます。能力と労働に見合った対価を求めて転職できるように、労働者側の意識も変革する必要があるのではないかというふうに考えています。

 また、その流れを加速するために、リスキリングも含めて、意欲ある労働者がスキルアップを図れるような環境整備、すなわち人への投資、これも重要だというふうに思いますけれども、政府としてどのように取り組んでいくのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 現代の経済社会は、デジタルやグリーンといった新たな潮流により、これまでにないスピードで変化を続けております。そのため、デジタル分野を始めとして、新たなスキルの獲得と成長分野への円滑な労働移動を同時に進める必要があると認識しております。

 このため、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入、成長分野への労働移動の円滑化の三位一体の労働市場改革を通じて、労働者自らの意思に基づく企業内での昇任、昇給、企業外への転職による処遇改善、さらにはスタートアップ等への労働移動といった機会を確保していく必要があろうかと思っております。

 御指摘のリスキリングによる能力向上支援の拡充につきましては、デジタル分野を中心とする公的職業訓練の拡充に取り組んでいるほか、リスキリングに取り組む個人への直接支援である教育訓練給付の拡充に取り組むこととしております。さらに、政府の在職者の学び直しに対する支援策は、現状、七割が企業経由となっておりますことから、五年以内を目途に、過半が個人経由での給付が可能となるようにしていこうと取り組んでおります。

 意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、希望する個人の成長分野への円滑な労働移動を促してまいりたいと考えております。

西野分科員 ありがとうございました。

 意識変革という意味で、今、経営者側そして労働者側の変革について質問させていただきましたけれども、もう一つ、やはり、サプライチェーンに位置するそれぞれの企業が転嫁対策を進めていくという意識改革も必要だと思いますし、最終消費者が優れた商品、優れたサービスには正当な対価を払うんだ、そういうようなマインドセットをしていくということ、これも重要なことだというふうに思いますので、こういった点でも引き続き取組を進めていただければというふうに思います。

 最後になりますけれども、私の当選同期の神田政務官に来ていただいております。

 今までの議論を踏まえて、デフレ脱却というのは、私はあくまで一里塚にすぎないというふうに思っておりますけれども、まずはデフレ脱却を実現していかなくちゃいけない、そしてその後にちゃんとした潜在成長力を高めるための取組をしていかなくちゃいけない、こういったことを含めて、意気込みをお聞かせいただければと思います。

神田大臣政務官 西野委員の御質問にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、力強い経済を取り戻すためには、デフレ脱却の更にその先で日本経済の潜在成長力を引き上げていくということが重要です。このために、政府としては、資本投入、それから労働投入、そして全要素生産性、この三つの分野で政策対応を強化して潜在成長力を引き上げていくということを考えております。

 具体的に、これまでコストカット型経済の下で抑制されてきた資本投入につきましては、委員地元の熊本を始めとする半導体等の大規模投資の支援、あるいは中小企業等の省力化投資の支援、そして戦略分野国内生産の促進税制などで国内投資の拡大を図ってまいります。

 また、労働投入につきましては、人口減少という制約はありますが、女性の労働参加、あるいは労働時間の拡大などの余地がありますので、年収の壁への対応、あるいは非正規雇用の正規化などを進めてまいります。

 そして、全要素生産性につきましても、技術革新を進めていくという観点で、無形資産投資を拡大したり、スタートアップの育成などに努めてまいります。

 私も、政府の一員として、しっかりと努めてまいりたいと思います。

西野分科員 ありがとうございました。政務官から力強い御答弁をいただきました。

 ありがとうございました。これで質問を終わります。

牧島主査 これにて西野太亮君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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