衆議院

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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小倉 將信君    奥野 信亮君

      棚橋 泰文君    平沢 勝栄君

      小川 淳也君    杉本 和巳君

二月二十一日

 小倉將信君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時十分開議

 出席分科員

   主査 小倉 將信君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      奥野 信亮君    左藤  章君

      田所 嘉徳君    武部  新君

      棚橋 泰文君    平沢 勝栄君

      小川 淳也君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    早稲田夕季君

      杉本 和巳君    藤田 文武君

   兼務 大野敬太郎君 兼務 木村 次郎君

   兼務 藤井比早之君 兼務 古川  康君

   兼務 石川 香織君 兼務 尾辻かな子君

   兼務 源馬謙太郎君 兼務 関 健一郎君

   兼務 高井 崇志君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 清水 忠史君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        長谷川 岳君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   総務大臣政務官      木村 弥生君

   財務大臣政務官      宮島 喜文君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  宮地 俊明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        長谷川周夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   横田 真二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           奈良 俊哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           秋本 芳徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        境   勉君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  三宅 俊光君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  開出 英之君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       長塩 義樹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長事務取扱)        谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    佐伯 修司君

   政府参考人

   (消防庁次長)      米澤  健君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     今井 一之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 長橋 和久君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         森下 俊三君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 荒木 裕志君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          立林  理君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          加藤 進康君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  平沢 勝栄君     田所 嘉徳君

  小川 淳也君     亀井亜紀子君

  杉本 和巳君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     大西 宏幸君

  亀井亜紀子君     小川 淳也君

  足立 康史君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     左藤  章君

  小川 淳也君     早稲田夕季君

  森  夏枝君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     今枝宗一郎君

  早稲田夕季君     神谷  裕君

  串田 誠一君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     武部  新君

  神谷  裕君     重徳 和彦君

  藤田 文武君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     平沢 勝栄君

  重徳 和彦君     小川 淳也君

  浦野 靖人君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 文武君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     杉本 和巳君

同日

 第一分科員大野敬太郎君、石川香織君、浜地雅一君、第三分科員木村次郎君、高井崇志君、第四分科員源馬謙太郎君、第六分科員藤井比早之君、関健一郎君、第七分科員清水忠史君、第八分科員古川康君及び尾辻かな子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

小倉主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。(発言する者あり)

 御静粛にお願いします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました小倉將信でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 令和二年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和元年度補正予算とあわせ、経済再生と財政健全化の両立を図るとともに、総合経済対策の着実な実行により、経済の持続的な成長を実現していくという政府方針のもと、総務省として、地域の活性化と東京一極集中の是正、ソサエティー五・〇時代の地域社会の実現、安定的な地方行財政基盤の確保、防災・減災、復旧復興、持続可能な社会基盤の確保に特に力を入れて取り組むために編成したものです。

 一般会計の予算額は、十六兆七千六百九十二億円です。

 以下、事項などの説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

小倉主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小倉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小倉主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小倉主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井分科員 藤井比早之です。

 高市大臣には、総務行政の発展のためにいつもお世話になっておりまして、ありがとうございます。

 私は通告しておりませんので、退席していただいて結構でございます。

小倉主査 それでは、大臣、御退室をお願いします。

藤井分科員 それでは、質疑を始めさせていただきます。

 まず、新型コロナウイルス感染症対策ということなんですけれども、救急隊員の新型コロナウイルス感染事例が発生しているというところでございます。やはり、医療機関の院内感染防止対策の徹底とともに救急隊の感染防止対策の徹底が必要であると考えますが、この対応について消防庁にお伺いします。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の新型コロナウイルス感染症に対する安全防護対策につきましては、消防庁におきまして、全国の消防本部に対し、これまで五度にわたり通知を発出いたしまして、注意喚起を行うとともに、保健所との連携、マスク、手袋等の資器材の正しい装着、救急隊員の健康管理、救急車の消毒の徹底、こういった具体的な対応手順の周知徹底を図っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と緊密に連携をしながら、各地域の消防機関が適切に対応できるように取り組んでまいります。

藤井分科員 まさに救急は第一線でございますので、その安全確保をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス対策ということで、マスコミ等で最近テレワークを随分取り上げていただくようになりました。このテレワークの取組についてお伺いいたします。

秋本政府参考人 委員お尋ねのテレワークの普及促進につきまして、総務省では、三年前から、東京オリパラ大会を想定いたしまして、テレワーク・デイズなどの取組、また優良事例の表彰、全国各地でのセミナーの開催などの施策を行ってきているところでございます。ことしの夏も、東京オリパラ大会期間中にテレワーク・デイズ二〇二〇を実施する予定でございます。

 さらに、今後は中小企業へのテレワークの普及促進が課題と認識をしておりまして、全国の商工会議所など中小企業を支える団体にも協力を求めまして、中小企業におけるテレワークの導入の支援体制を構築してまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 ことし、東京オリンピック・パラリンピックの年でございます。また、テレワーク、やはり、家で仕事ができるということになると家族との時間もとれるということでございますし、また、これは、先ほど中小企業とおっしゃりましたけれども、地方の方で普及すれば、東京一極集中、東京の町中で働かぬでもいいという形になったら非常にいいのではないかと思っておりますので、普及促進をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、昨年は台風十五号、十九号、一昨年は七月豪雨と災害が相次いでおりますけれども、令和二年度の地方財政計画には緊急防災・減災事業費が、また緊急自然災害防止対策事業費が盛り込まれているところですけれども、それぞれの意義、目的と地方財政措置の内容について伺います。

 また、特に市町村の技術職員の不足が深刻となっておりますけれども、技術職員の充実に係る地方財政措置、災害対応がございますので、お伺いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、緊急防災・減災事業債でございますけれども、緊急に実施する必要が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を推進いたしますために平成二十三年度に創設したものでございまして、事業期間は令和二年度までとしているところでございます。

 また、緊急自然災害防止対策事業債につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策と連携しつつ、地方が単独事業として実施する防災インフラの整備を推進いたしますために令和元年度に創設したものでございまして、事業期間は令和二年度までとしているところでございます。

 この両事業債につきましては、地方団体から事業期間の延長を求める要望をいただいているところでございます。このため、まずは、地方団体が令和二年度に実施予定の事業を安心して実施できますように、令和二年度までに建設工事に着手した事業につきましては、令和三年度以降も現行と同様の地方財政措置を講じることとしているところでございます。

 その上で、両事業債の令和三年度以降の事業のあり方につきましては、地方団体の取組状況や御意見、あるいは国の三カ年緊急対策の動向も踏まえて判断してまいりたいと考えております。

大村政府参考人 お答えいたします。

 近年の防災・減災、国土強靱化の推進や公共施設の老朽化を踏まえた適正管理が求められる中で、小規模市町村を中心に技術職員の不足が深刻化しております。また、大規模災害時において、専門知識と経験の観点から技術職員の中長期派遣を求める声が多いものの、恒常的に不足している状況でございます。

 こうしたことから、都道府県などで技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、南海トラフ地震や首都直下地震など今後の大規模災害に備えて、復旧復興に必要な中長期派遣の要員を確保するための新たな仕組みを令和二年度から創設したものでございます。

 具体的には、都道府県などが技術職員の増員を行った人数の範囲内で、まず市町村支援業務に従事する技術職員数、そして今後大規模災害が発生した場合に中長期派遣可能な技術職員数、この双方を満たす人数、つまり、いずれか小さい方の人数の人件費について地方交付税措置を講ずることといたしております。

 以上です。

藤井分科員 ありがとうございます。

 緊急防災・減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債、いずれも起債の充当率一〇〇%、また元利償還金に対する交付税措置率七〇%と、過疎債並みの非常に手厚い地方財政措置ということでございます。

 各自治体も本当に防災・減災対策でありがたいという話を伺っておりまして、先ほどの答弁にありましたように延長要望が非常に大きゅうございます。令和二年度ということでございますけれども、やはり防災、減災には五年、十年と腰を据えて取りかかっていく必要があるということでございますので、ぜひとも延長を要望させていただきたいと思います。

 また、特に災害対応、復旧復興には技術職員がやはり市町村は不足しておるというところがございますので、そちらへの手当てをぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 このたびは、緊急浚渫推進事業費も創設されたということでございますので、期待が高まっておりますので、防災、減災への地方財政措置はぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、所有者不明土地に係る固定資産税の制度改正についてお伺いさせていただきたいと思います。

 特に、相続登記がなされていない場合は大問題で、相続人を調査して特定するのに多大な時間と労力がかかっておるというところでございまして、こういったところの改正点を含めまして、このたびの税制改正についてお伺いいたします。

開出政府参考人 お答えいたします。

 近年、所有者不明土地等が全国的に増加していることに伴い、固定資産税の課税に関しても、納税義務者を特定するための調査に多大な時間や労力を要するといった課題や、使用者がいるにもかかわらず所有者が特定できず課税できないといった課題がございます。

 こうした課題に対処するため、令和二年度の地方税法改正案において、登記簿上の所有者が死亡し相続登記がなされていない場合、条例で定めるところにより、相続人などの現所有者から氏名などを申告させることができる制度を創設することとしております。

 また、調査を尽くしても所有者が一人も明らかとならない資産につきまして、使用者がいる場合には、使用者を所有者とみなして固定資産税を課税できる制度を創設することとしております。

 これらの制度により、迅速、適正な課税の実現と課税の公平性の確保に努めてまいりたいと考えております。

藤井分科員 空き家は本当に生活環境にとっても非常に問題でございますし、また、バイパスとか公共事業をやるにも、所有者不明土地でなかなか進まないというのが現実でございますので、このたびの制度改正がそのような解決の一助になればというふうに期待をしておるところでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、サイバーセキュリティーについてお伺いいたしたいと思いますけれども、これは本当に、国家の安全保障に直結するというものでございます。政府全体としてどのような体制、対策を講じていくのか、また、サイバーセキュリティー対策を講じる人材の確保、育成のための取組を含めてお伺いいたします。

山内政府参考人 お答えいたします。

 サイバーセキュリティー確保のため、政府においては、サイバーセキュリティ基本法に基づき、サイバーセキュリティ戦略本部のもとで平成三十年七月に閣議決定されましたサイバーセキュリティ戦略に基づきまして、内閣サイバーセキュリティセンターを中心に、関係省庁が諸施策に取り組んでおります。

 昨年四月には、改正サイバーセキュリティ基本法が施行されております。官民の多様な主体の参加により新たな情報共有体制を構築するなど、随時、必要な体制整備を進めております。

 また、ことしは、先ほど委員御指摘のとおり、二〇二〇年東京大会がございます。東京大会の関係組織間で情報共有を行い、事案が発生した際の対応の調整役となりますサイバーセキュリティ対処調整センターを昨年四月に開設をいたしました。この対応を行います。

 また、サイバーセキュリティー対策を講じる人材の確保、育成は非常に重要でございます。サイバーセキュリティ戦略において、経営層の理解と意識改革の推進、実務者、技術者の育成、経営戦略を踏まえてこれらの技術者等を指揮し経営、事業を実践する戦略マネジメント層の育成、この三つの柱を立てまして、各種の施策に取り組むこととしております。

 引き続き、政府として、サイバーセキュリティーの確保に万全を期してまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。

 アメリカや中国はまさに国を挙げてサイバーセキュリティー強化を行っています。軍を挙げてと言っても過言ではないと思います。財源確保が不可欠だと考えます。特に、人材育成については給与体系の見直しも必要なのではないかというふうに考えます。一生懸命育てても、向こうにヘッドハンティングされてしまっては意味がないというところでございますので、そういった柔軟な給与体系の見直しも含めまして、財源対策も含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ことしは東京オリンピック・パラリンピックの年でございまして、まさしくサイバーセキュリティーの重要性、これに、ますますその重要性に着目されるというところでございますので、政府を挙げた、国を挙げた取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、グローバル量子暗号通信網構築、こちらの必要性と取組についてお伺いいたします。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、量子技術につきましては、世界を見ますと、米国、欧州、中国において、国家戦略上の重要技術と位置づけて、戦略策定、研究開発投資の拡充などを行っているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、我が国におきましても、内閣に設置されました統合イノベーション戦略推進会議におきまして、昨年二月に有識者会議を設置し、検討を進め、本年一月二十一日に量子技術イノベーション戦略を決定したところでございます。

 量子コンピューターが実用化された暁には、現在広く利用されている暗号が簡単に解かれてしまう、そうした可能性があると言われておりますが、仮に量子コンピューターが実用化されても盗聴することのできない量子暗号通信技術につきましては、我が国が保有する技術が他国製品と比べて十倍高速であるなど、我が国が技術的に強みを有しているところでございます。

 このため、総務省では、現在は百キロメートル程度しか暗号を伝送できないものを五百キロメートル程度まで長距離化する技術、また、さらなる長距離化を図るべく、量子暗号通信の中継を実現する技術など、量子暗号通信を我が国全体で利用可能とする技術開発に加えまして、世界じゅうでも使えるようにするための量子暗号通信衛星を実用化すべく、グローバル量子暗号通信網構築のための研究開発のための経費について予算計上をさせていただいたところでございます。

 総務省としましては、今後とも、こうした情報通信技術の発展に努め、ソサエティー五・〇の実現に努力してまいる所存でございます。

 以上でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 これは私の地元の岩岡というところに、周りは本当に全部畑なんですけれども、NICT未来ICT研究所というのがあります。ここでは、量子暗号通信等の量子光ネットワーク技術等、量子情報通信技術の研究というのが行われています。これは基礎研究なので、直接の今の開発とまだリンクするわけではございませんけれども、そういう点で、とにかく、こういった量子暗号通信技術につきまして、アメリカ、中国、欧州に我が国がおくれをとることのないように、ぜひとも取組の方、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、キャッシュレス決済の、いわば今回の消費税の関係で、キャッシュレスの還元、非常に多くの方々が使っていただいていると思うんですけれども、こちらの普及状況がどうなっているか、国際的に比較してもどうなっているかという点をお伺いしたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 主要各国のキャッシュレス決済比率でございますけれども、比較可能な最新の数字では、二〇一六年時点で、アメリカのキャッシュレス比率は約四六%、イギリスは約六九%、韓国が九六%になっております。日本はこれに対しまして約二〇%でございます。ちなみに、二〇一八年時点ではこの数字は約二四%になっているところでございます。

 以上です。

藤井分科員 キャッシュレス決済の関係で、QRコード決済、これの拡大とメリット、これについてもお伺いさせていただきたいと思います。

秋本政府参考人 QRコード決済につきましては、他の決済手段に比べまして手数料が安い、また、紙一枚で導入できるというメリットがございます。このため、中小規模のお店で導入しやすく、キャッシュレス化の裾野を広げるために有効と考えております。

 他方、QRコード決済には多くの決済事業者が参入しております。決済事業者ごとにQRコードを用意しなければならないとなりますと、お店にとって負担になります。そこで、業界団体が統一したガイドラインを昨年三月に策定いたしまして、統一規格のQRコード、JPQRを策定いたしております。実際に、このJPQRを使って実証事業を昨年の八月から四県で展開しております。来年度は全国の店舗でJPQRに申し込むことができる仕組みを構築する予定でございます。

 これに加えまして、来年度はマイナポイントによる消費活性化策の実施が予定されております。JPQRを活用して地域においてマイナポイントが利用できるお店をふやしていくことによりまして、より効果を発揮できるよう努めてまいりたいと考えております。

藤井分科員 本当にさまざまな事業者がいて、どれを使ったらいいのかわからないという状況だと思います。ぜひとも標準化をお願いしたい。それも、国内でデータがとどまるようにお願いを申し上げたいと思います。

 アメリカや中国の企業は猛烈な勢いで個人データを集めています。検索履歴ならまだしも、決済データ、医療データなど、日本の個人個人の重要な個人データが海外に流出し、掌握されると取り返しがつきません。これは安全保障にも直結する問題です。キャッシュレス化に当たっては、重要な個人データが海外に流出しないよう、重要なデータの受皿が日本企業となる政策をセットで行っていただきたいと要望したいと思います。

 私、三十分まででございますので、ここで失礼したいと思います。ありがとうございました。

小倉主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、田所嘉徳君。

田所分科員 自民党茨城一区選出の衆議院議員田所嘉徳でございます。

 令和新時代を迎えたわけでございます。すばらしく豊かな時代になるという希望が膨らんでいるわけであります。しかもオリンピックイヤーでありますので、かつてのオリンピックのときのように大きく発展する、豊かになっていく、そういうときであってもらいたいなというふうに願っております。

 まして、第四次産業革命と言われておりまして、これまでの三種の神器やあるいは新三種の神器と違った更に大きな変化がある、そういう中で、総務省の役割というものは大変重要であるというふうに思っておりますので、皆さんの活躍を期待しております。

 しかし、現実はなかなか厳しいもので、早速、台風の大きな被害を生じてしまいました。また、新型コロナウイルスの発生も、これも自然の猛威の一つでありますし、そういったこと、越えなければならない課題が本当に大きいということを感じるわけでございます。何としても、これは人類の英知との闘いということでありますから、こういったものを乗り越えるために頑張っていかなくちゃならない。

 きょうの質問は、新時代に備えるべき災害対策と、豊かな未来を開くためのICTの活用について取り上げていきたいというふうに思っております。

 まず、テレワークの推進についてお伺いをいたします。

 今般の新型コロナウイルスのような新型の感染症は、人が抗体を持たないものであることから、もうこれはどんどん拡散をしていってしまう、人々を恐怖に陥れているわけであります。そのようなときに、人が移動することによって感染のリスクが高くなることから、政府も不要不急の外出は控えるようにとしています。このようなときにテレワークが非常に重要な手段であり、注目をされております。

 その他、数多くのメリットのあるテレワークが提唱をされてもう既に二十年以上たっておりますが、現状においてどうなっているのか、まずお聞きしたいと思います。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、テレワークは、時間と場所にとらわれず、御高齢の方や障害をお持ちの方、また育児や介護中の方も働けるものでございます。また、災害時などの業務継続性にも資するものでございますし、今般の新型コロナウイルスの感染防止拡大の一環といたしまして、総務省におきまして、所管関係団体及び各地方公共団体宛てに通知をいたしまして、テレワークの推進を行っていただくよう周知の徹底をお願いしているところでございます。

 また、政府では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に伴う交通混雑の緩和にも役立つことができるよう、三年前からテレワーク・デイズを実施しております。大会後のレガシーとしてこのテレワークをあまねく浸透させていくためには、今後、中小企業への普及の拡大が課題と認識しております。

 そこで、中小企業を支える全国の商工団体などとも協力をいたしまして、テレワークサポート体制の整備を通じて、その一層の普及に取り組んでまいりたいと考えております。

田所分科員 BCP、事業継続計画を立てているところも多いと思いますが、そういったところにも組み入れて、活用すべきだろうというふうに思っております。

 自然災害においても、台風や豪雨の予報が出ているときには、やはり外出は危険性が高いわけでありますし、自粛しなければなりません。そういったところでもテレワークは有効であります。光ファイバーもちゃんと整備がされて、そして通信環境も非常によくなっております。誰もパソコンを持っていて、さらにメールでやりとりをしているわけでありますけれども、環境があってもテレワークが活用されないということは、やはりちょっともったいないことだろうというふうに思っております。

 そういう中で、実際に勤務して、その場にいないと仕事ではないというような、そういった呪縛にとらわれていることもあるんじゃないかと思いますので、意識改革というものも必要だろうというふうに考えております。

 今後のテレワーク推進策としてどのような施策を行おうとしているのか、将来的な目標についてもお伺いしておきたいと思います。

秋本政府参考人 昨年私どもで実施をいたしました通信利用動向調査におきまして、従業員規模ごとのテレワークの普及状況を調査しております。これを見ますと、二千人以上の企業におきましては四六・一%、三百人以上の企業におきましては二九・三%、これに対しまして、三百人未満の企業になりますと一四・五%にとどまっております。

 このように、中小企業におけますテレワークの普及促進が課題と認識をしておりまして、社会保険労務士会あるいは全国の商工会議所などにも協力を求めまして、中小企業におけるテレワークの普及促進に努めてまいりたいと考えております。

田所分科員 はい、わかりました。

 数値上、三百人未満一四・五%ということであります。活用というのは、実際のできることと比べてもまだ低いかなというのが印象であります。さまざまな取組も、テレワーク・デイズ等、わかりました。

 そういう中にあって、やはり実際に交通への負担が軽減できる、そういったこと、さまざまな面で社会的な利益がありますので、私は、何らかのインセンティブを与えてでも力強く推進する必要があると思いますので、その点も考えていただきたいというふうに思っております。将来的には、かつては毎日朝早く混雑の中通ったなと言われるような、そういう社会の変化というものが起きてもらいたいと思っています。

 さらに、今、大都市への人口の集中ということで地方が疲弊しているという問題がありますけれども、そういう中にあって、災害にも強く、非常に感染症にも強い、そういう地方で、風光明媚なところで伸び伸びと仕事ができるというのも働き方改革であると思います。休日を消化するだけが働き方改革ではありませんし、生産性向上という点からも、やはり考えていく、活用すべきものだろうというふうに思っております。

 次に、5Gの導入についてお伺いをいたします。

 インターネット活用に大きな可能性を開く5Gについて、その展開状況と世界の国々との比較、我が国の立ち位置について、さらに、今後どのように展開していこうとしているのか、お伺いいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 米国や韓国におきましては、昨年、二〇一九年の四月からスマートフォン向けの5Gサービスが主要都市で開始をされておりまして、インフラ整備の面などで若干先行する形となってございます。

 これに対しまして、我が国におきましては、昨年の九月からプレサービスが始まっておりまして、本年春ごろから商用サービスが開始される予定でございます。

 5Gの早期展開の観点からは、平成三十一年四月の5Gに係る周波数割当ての際に、各携帯電話事業者に対しまして、二年以内に全都道府県でのサービスを開始することを義務づけるとともに、都市、地方を問わず、早期かつ広範に全国展開するよう条件を付したところでございます。

 加えて、我が国は、光ファイバーや既存の携帯電話網など5Gの整備に必要なICTインフラの普及が他国より進んでおりまして、5Gが導入されれば早期に5Gの全国展開が可能であると考えております。

 また、総務省におきましては、令和元年六月にICTインフラ地域展開マスタープランを策定したところでございまして、その具体化に向けまして、今年度の補正予算、また来年度の当初予算案に所要の支援策を盛り込むとともに、5G投資促進税制を創設いたしまして、全国5G基地局の前倒しの整備や、ローカル5Gの整備を促進することとしております。

 こうした取組を通じまして、条件不利地域を含め、5GなどのICTインフラの全国的な整備を早急に推進してまいりたいと考えております。

田所分科員 私もこれまで総務省の皆さんに積極的な取組を求めてきましたけれども、若干他国におくれをとっているということは残念であります。資源のない我が国でありますから、科学技術立国として世界との競争に勝つためにも、しっかりとこの利活用を推進してもらいたいと思っております。5G投資促進税制もつくられておりますので、更に加速をしてもらいたいということでございます。

 これから5Gの商用サービスが開始されます。その利活用において他国を凌駕すべきであるというふうに思っておりますけれども、今後どのような活用の可能性を描いているのか、お伺いをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、4Gまでのいわゆる超高速といった特徴に加えまして、超低遅延、多数同時接続といった新たな特徴を有しておりまして、農業、製造業、建設現場、遠隔医療、観光など、幅広い産業への応用が期待をされているところでございます。

 このうち、産業分野におきましては、例えば、農業におきまして自動の農場管理、製造業ではスマート工場への応用、建設現場では建設機械の遠隔制御、さらに、センサーや4K、8K映像を活用した河川の監視など、さまざまなシーンでの利用が検討をされております。

 また、スマートフォンを利用したサービスといたしましては、観光地やスタジアムの様子を遠隔でもさまざまな視点から臨場感ある映像で視聴できるようになるなど、これまでにない新たなサービスが期待をされてございます。

 こうしたさまざまなサービスが日本全国で早期に実現できるよう、総務省といたしまして、5Gのインフラ整備とともに、利活用の促進策にも一体的にしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

田所分科員 通信速度はこの三十年間で一万倍になったと言われておりますけれども、更にそれが百倍になっていく、そして百倍多くのものにつなげられるということでありますから、IoTによってさまざまな防災、これは堤防のセンサーやあるいは水位とか、そういったものを含めて非常に活用の幅は考えられると思いますので、しっかりと具体的に推進ができるようにしてもらいたいと思っております。

 続いて、放送と通信の融合についてお尋ねをいたします。

 放送事業は、講学上の特許に当たります。本来ならば個人が自由に保有していない特別の能力や権利を国が私人に独占的に与えるものであります。これも大きな裁量のもとにあるということでございます。ですから、先願主義などは妥当せず、市場原理も働きにくいものであることから、権限を付与した行政は、その運営あるいは経営の内容について常に管理をする必要があります。特にNHKは受信料を取る権利も与えられているということでありますから、これを怠れば、やはり管理することを怠っていけば、行政も批判を免れないということでございます。

 そういうような背景にあって、NHKのインターネット活用業務実施基準の変更の認可申請に当たって、総務大臣が基本的考え方を公表したことの意味は大変大きいというふうに私は思っております。その点について、総務大臣の考えをお伺いいたします。

高市国務大臣 通信・放送は融合の時代を迎えまして、国民・視聴者の視聴形態が変化する中で、放送番組をネットで視聴できる環境を整備することは重要な課題だと認識しております。

 NHKにおきましては、本年四月より同時配信及び見逃し配信を開始する予定であり、そのため、総務省としては、昨年六月に公布された改正放送法に基づき、本年一月にインターネット活用業務の実施基準の変更認可を行ったところでございます。

 また、民間放送事業者においては、共通の配信プラットフォームであるTVerを活用した放送番組の見逃し配信などが進展しておりまして、総務省としましても、ローカル局を含む多くの放送事業者が、視聴者の安心、安全を確保しながら放送番組を安定的、効率的に提供できるように、ネット配信に関する実証実験を行うなどの支援を行っております。

 この通信・放送融合時代に対応して、放送番組のネット配信を含む放送事業者の自主的な取組が進展するように、所要の環境整備を進めてまいります。

田所分科員 ありがとうございました。

 テレビのディスプレーは、私は大きな情報の窓であるというふうに思っております。これを長年テレビが独占し、直接お茶の間にまで入ってくるわけですから、社会に与える影響は大変大きいというふうに思います。

 しかし、そういう中で、この性質は、放送局という限られた媒体によるものであるという点は若干問題でありまして、誰でも発信できるものではなく、これをカバーするために放送法において政治的公平性を求めております。したがって、できるだけ多様な情報が発信されるようにすることが重要で、その端緒となるのがこのテレビとの同時配信、見逃し配信だと思っております。

 さらに、若者のテレビ離れが顕著になって、パソコンやスマホの活用が進んでいる中で、情報取得の機会増大のためにも大きな意味があるというふうに思っております。これは民主性の確保にも資するものであると考えているわけであります。

 そこで、放送事業者による放送番組のネット配信を推進することについて、更にどのように総務大臣は考えているか、お伺いをいたします。

高市国務大臣 これからやはり放送・通信融合の時代ということで、新たな課題も出てくると思います。それらの課題を今、有識者検討会でも洗い出していただいております。

 NHKに関しましては、やはりネット配信で番組を同時に見ようと思いますと、その手続も必要でございますから、これの簡便化ですとか、それから、受信料の徴収コストというのも下げていくという必要があるかと思いますので、先般、私のアイデアの一つとして、マイナンバーカードのICチップの空き領域を活用できないものかというように考えました。

 やはり通信と放送ではそれを所管する法律も違うわけですから、さまざまな課題は出てくるかと思いますけれども、しっかりと検討しながら、この新しい技術を皆さんが安心して活用できるようにしてまいりたいと存じます。

田所分科員 私は、大変重要な今のお答えだったというふうに思っております。

 視聴者は、ディスプレーに映し出されるのが放送であろうとネットであろうと、求めるコンテンツであればいいわけでありますから、そういったことを意識しない時代になっていく必要があるというふうに思っております。利用者本位のそういったことを貫いていかなければ、世界の潮流にも私はおくれてしまうというふうに考えておりますので、本当にしっかりと、今お聞きしましたが、推進してもらいたいというふうに考えております。

 そこで、通信の料金等についてお伺いをいたします。

 性能が大きく進歩したスマートフォン、携帯電話は、多くの人々にとって欠くことのできないものになっています。しかし、その通信料金や端末の代金が人々の大きな負担になっていて、そういう背景にある中で、昨年十月の改正電気通信事業法の施行から約四カ月が経過しました。

 通信料金や端末代金の低廉化は進んでいるのか、その状況についてお聞きをしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話市場につきましては、公共の電波を利用して提供されている中で、依然として大手三社が約九割のシェアを占める寡占的な状況にございまして、競争が十分に働いていない状況にあるというふうに認識をしているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、公正な競争環境の整備を行うため、委員御指摘のとおり、昨年十月に施行されました改正電気通信事業法におきまして、通信料金と端末代金の完全分離、また、行き過ぎた囲い込みの是正などの措置を講じたところでございます。

 この改正法を踏まえまして、各携帯電話事業者におきましては、期間拘束つきプランの廃止あるいは期間拘束つきプランの違約金の引下げ、一部のプランの料金水準の引下げといった対応が行われていると承知をしております。

 また、端末の価格につきましても、携帯電話事業者における三万円から五万円程度の中価格帯の端末の取扱いがふえるなど、端末の多様化が進んでいるところでございます。

 さらに、本年春から、5G商用サービス、また楽天モバイルの本格サービスの開始が見込まれる中、引き続き、公正な競争環境の整備による競争促進を通じまして、低廉でわかりやすい料金、サービスの実現に努めてまいりたいと考えております。

田所分科員 はい、わかりました。

 やはりこれも特許における管理ということで、しっかりと、私は、国民の財産を使っている、電波を使っている中での収支等によって、可処分所得を人々が奪われないように見てもらいたい。先ほどの高市大臣の総務省の主体的な考え方を聞いて安心をしておりますが、しっかりと進めてもらいたいというふうに思っております。

 それでは次に、AIの利活用より先に、キャッシュレス化についてお尋ねをしておきたいと思います。

 レジに並んでいて、前の人が小銭をやりとりしていると、本当に忙しいときにはじれったい思いをすることがあります。その点、スピーディーなキャッシュレス決済は大変便利でありますけれども、それが進んでいるというわけにはなかなかいかないのであります。

 さらには、国も、消費増税とともに、キャッシュレス決済を行うときにはポイントを還元するとして、消費の落ち込みを防止する、さらには、世の中の合理化に資するキャッシュレス化の推進ということのインセンティブとしているわけであります。

 しかし、国際的な比較でも、我が国のキャッシュレス化はおくれております。その要因はどのようなものであると考えているのか、木村政務官にお伺いをいたします。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 QRコード決済については、ほかの決済手段と比較して、店舗が負担する手数料が安い、また、紙一枚で導入できるので初期コストがかからないというメリットがあります。このために中小規模の店舗が導入しやすく、地域においてキャッシュレス化の裾野を広げるために有効と考えております。

 しかしながら、他方、QRコード決済には多くの決済事業者が参入しているのが実情でございます。標準化を行い、お店で示すQRコードが一つで済むようになる統一QRを導入することが必要と存じます。

 総務省におきましては、経済産業省とも連携し、業界団体が策定したガイドラインに基づく統一規格のQRコード、いわゆるJPQRを使って、今年度、四つの県で実証事業を実施しております。そして、来年度は全国の店舗がJPQRに申し込むことができる仕組みを構築する予定でございます。

田所分科員 はい、わかりました。

 そのQRコード、手軽に、コストも低く導入ができるということで、大いにキャッシュレス化が進んでいく、加速されるということを期待をしていきたいというふうに思っております。

 そういう中にあって、JPQRのお話もお聞きしましたけれども、一日も早く統一をしていただいて、いろいろな業者もできるだけ取りこぼさないように、その中で統一ができるようにしてもらいたいと思っておりますし、ちょっと聞くところによりますと、値段はこちらで打ち込んでそれを確認するような形になるということでありますが、そういったソフトについても、そこでタイムラグが生じたり時間のロスがあっては、やはりこれはキャッシュレス化の有効性だけが発揮できないというところにもなりますので、そういったところもこれから改善をしながら、積極的にその規格の統一化、そしてキャッシュレス化の推進ということに結びつけてもらいたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、戻りまして、AIの利活用促進の取組についてお伺いをいたします。

 第四次産業革命という大きな変革の中で、一番にAIの利活用が挙げられております。その可能性に大きな期待がかけられていますが、これをどのように進めようとしているのか、また、先進的技術ゆえの留意点があるというふうに考えておりますので、それをどう捉えているのか、お聞きをしたいと思います。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、四年前から有識者会議を開催いたしまして、国民の皆様がAIを安心して便利に使いこなしていただく観点からの検討を加えてきていただいているところでございます。

 その一環といたしまして、昨年八月には、企業等の方がAIを実際に利用するに当たって参照することができる十の原則をAI利活用ガイドラインとして策定して提示をさせていただいているところでございます。

 総務省としては、関係省庁の協力を得ながら、企業や業界団体等に対しまして、このガイドラインの周知、PR等に努めてまいりたいと考えております。

田所分科員 AI利活用ガイドラインを策定しているということであります。開発者と利用者についてその留意点がまとめられてあって、確かに、プライバシーの配慮とかセキュリティー、そういったことは重要なことがあって、これが網羅されているということはいいことだろうと思っております。

 しかし、それだけでは利活用の推進には結びつきません。例えば、先ほどのテレワークが進まないという中にも、人が見張っていられないからなかなか生産性がどうなっているのかわからない、さらには、そういう管理をする中でパソコンの操作の状況を見たり、成果物の質などで管理するというんですが、これはまさに、私は、誰もみんな見ているわけにいきませんから、AIの仕事で代替していくものだろうと思っております。

 そういったことも私は重要な意味があると思っていますし、災害時のさまざまなデータの中からAIの判断をもとにして避難情報とかを出していくというようなことも大変重要だろうと思っておりますので、AIに人の仕事が奪われてしまうということを心配している人もいるようでありますけれども、私は、どんどん代替できるものはAIにかえていく、そしてその科学技術の恩恵を人々が享受できるような、そういう社会になっていくべきだろうというふうに思っております。言うならば、人とAIの共生というようなことになってほしいなというふうに思っているわけであります。

 次に、それでは、新しい時代の安全性確保ということでございます。

 災害対策において、自衛隊や自治体消防、さらには国土交通省のTEC―FORCEなどが活躍をしてくれました。しかし、やはりそういう中において、一番身近な消防団の活動が大きな意味を持っています。

 そこで、近年の災害における活動内容あるいは活動人員についてお伺いをしておきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、令和元年房総半島台風におきましては、消防団は、団員同士で情報連携を密に行いながら、大雨に備え、住民に対して早期の避難を呼びかけるとともに、ブルーシート等による家屋の応急補修や避難所の運営支援等を長期間にわたり実施をしていただきました。

 また、令和元年東日本台風におきましても、消防団は、緊密に情報の共有を図りつつ、大雨に備え、危険箇所の警戒活動等を実施したほか、行方不明者の捜索、戸別訪問による住民の安否確認を長期間にわたり実施をしていただきました。

 活動人員でございますが、先ほどの災害とはちょっと異なりますけれども、例えば大きな災害におきまして、平成二十八年熊本地震では延べ十一万二千人が、また三十年七月豪雨では延べ十五万六千人の消防団員が行方不明者の捜索、土砂の撤去活動等に従事をしたところでございます。

田所分科員 本当に最近の災害は激甚化しておりまして、例えば関東・東北豪雨では逃げおくれが四千三百人発生しております。そして、西日本豪雨では、土砂崩れ等のことによって二百六十人以上の人が死亡して、消防団員も一人亡くなっているということであります。台風十九号では七十一河川、百四十カ所の決壊、死亡者が九十人近いということですから、大変大きな被害が出ておりまして、特にこの十九号では、犠牲の特徴として、避難を含めて車で移動中の人、あるいは居宅での被災というものが非常に多かったわけであります。

 まさに、私は、ハードの整備だけではなくて、やはりソフトの対策とあわせて、しっかりと人々の財産、生命を守っていかなくてはならない、そういうときだというふうに思っております。

 そこで、消防団員の安全確保を含めたこれまでの災害を教訓とした教育訓練、さらには指揮命令、情報伝達、これをどのように工夫して進めようとしているのか、これからのことについてお聞きをしておきたいと思います。

米澤政府参考人 消防団員の安全確保につきましては、従来から、警防活動時におきます安全管理マニュアルを定めまして、地方公共団体にお示しをしてございます。

 具体的には、風水害につきまして、指揮者が気象警戒、注意報等の気象に関する情報等を速やかに全ての隊員に対して指示をすること、また、災害現場の状況を的確に把握しまして、安全確保措置を決定すること等々を定めておりまして、各消防本部等におきます安全管理マニュアルの見直しなど、消防団員の安全確保の措置を講じるよう要請をしてきているところでございます。

 また、津波被害時の消防団活動につきましては、消防庁からマニュアル、ひな形をお示しをして、避難指示区域を有する三町を除く関係市町村の全てにおいて策定をされているところでございます。

 今後とも、御指摘の情報伝達等も含めまして、消防団員の活動に際しての安全管理の徹底を図ってまいります。

田所分科員 安全管理マニュアルもつくっていただいたということであります。まさにそのソフト対策が重要になっている中にあって、私は、消防には、住民の防災意識高揚のための活動、あるいは避難訓練等の実施、自主防災組織の充実など、消防団が防災のソフト対策について指導的な役割を果たすべきであるというふうに思っております。

 そういうことで、まだまだ課題もあります。処遇改善とか格差是正とか、これは報酬の格差是正でありますけれども、あるいは情報伝達のための無線機などの機材の整備とか、いろいろ課題はありますので、そういったものもしっかりと充実していただきまして、先ほども申しました、総務省、安全確保、そして、ICTで豊かな次の世代を開くという大きな役割を皆さんで大いに果たしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小倉主査 これにて田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀井亜紀子君。

亀井分科員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 高市総務大臣には初質問になりますので、よろしくお願いいたします。

 きょう、この分科会に参りましたのは、会計年度任用職員制度、これについてぜひ伺いたいと思って参りました。

 先日、地元でミニ集会をしたんですけれども、そのときに、町の役場で約二十年非正規で働いているという女性がやってきました。たまたまその翌日が、その会計年度任用職員制度に切りかわるに当たって役場の試験がある日だったそうで、本当はもっとみんな来たかったけれども来られない、自分はこれだけ言ったら帰ると言って、それで、何が起きているかということを説明して帰りました。

 この会計年度任用職員制度というのは、働き方改革の一環として始まった、そういうふうに現場では聞いていますということでした。けれども、今までと同じように一年更新、そして今回は試験まである。給料、彼女の場合は同じだそうです、上がるわけじゃない。だけれども、まだましであって、ほかの自治体では下がる人もあると聞いている。そして、制度が切りかわるので、これまでたまってきた有休というのは一回リセットされるので、これも使えなくなる。一体どこが働き方改革なんでしょうかという質問を私は受けたんですけれども、大臣は、彼女にどういうふうに答えられますでしょうか。

高市国務大臣 会計年度任用職員制度の導入なんですけれども、これはそもそも、働き方改革というよりは、これまで幅広い分野で活用されてきた臨時、非常勤職員について、制度の趣旨に沿わない任用が見られたということや、期末手当が支給できないといった勤務条件上の課題がございました。

 そこで、これは前回私が総務大臣だったときですが、平成二十九年に地方公務員法及び地方自治法を改正しまして、臨時、非常勤職員の適正な任用とともに、勤務条件の確保を図る観点から、一般職の会計年度任用職員制度を創設して、期末手当の支給を可能とするということなど、制度、運用の改善を図ったものでございます。それが、令和二年四月一日から施行されるというものでございます。

亀井分科員 今、大臣のお答えがありましたけれども、私は、この件について、自治労出身の議員であれば必ず知っているだろうと思って、まず彼らに聞きました。

 それで、戻ってきた答えは、働き方改革で民間の非正規の問題が起きたときに、非正規というのは民間だけじゃなくて公務員にもいるんだから、こちらの状況も改善をしてくださいということで要望したものだ、そして、今まで給料が物品の購入費と同じようなところから出ていて物のような扱いだったけれども、それがちゃんと人件費として計上されるようになるんだというような説明を私は受けたんですね。それで、きちんとその職員の立場が会計年度任用職員として認められるので期末手当も出せるようになるというようなことで、私はその議員からは説明を受けました。ただし、一年ごとの更新というところはどうしても政府の方が譲らなかったので、これまでと同じようになってしまったということなんですけれども、果たしてこの説明が正しいのでしょうか。

 そして、今年度、千七百三十八億円がこの制度のために計上されているかと思うんですけれども、この算定基準ですね。例えば、フルタイムの非正規であったら一人当たり年間どのぐらい給料が上がるような計算になっているのか、それを教えていただけますか。これは大臣でも参考人でも結構です。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 まず、会計年度任用職員の一年ごとの任用ということでございますけれども、この点につきましては、臨時、非常勤職員、従前から、会計年度任用職員の以前からこういう形で単年度ごとの採用になっておりますけれども、基本的に、今回明らかにいたしましたのは、手続をきちんと適正に踏んでいけばこれは継続的任用も可能でございますので、その点は適正な運用が各自治体においてなされるものであろうと思っております。

 また、積算の方でございますけれども、今回、御指摘のように、一般職の会計年度職員を創設し、制度、運用の改善を図ったわけでございますけれども、来年度の地方財政計画におきまして、新たに必要となる期末手当等の経費について全国の地方公共団体に対して調査を行いまして、その調査を行った結果を踏まえて、先ほどの千七百三十八億円を増額いたしまして、こういった制度の改正に必要な必要額を適切に計上したものでございまして、新制度に円滑に移行できるように必要な財源を確保したものというふうに認識をいたしております。

亀井分科員 済みません、先ほどの私の同僚議員からの説明について、もし理解が間違っていたら、大臣に、御答弁されようとしていたようなので御説明いただけますか。

高市国務大臣 会計年度任用職員制度というもの、もともとのところの御理解の違いなのかなと思うんですけれども、臨時、非常勤職員というのは増加しておりました。それで、当時、通常の事務職員も特別職で任用した。そうなると、特別職とは本来専門性が高い方でありまして、守秘義務とか政治的行為の制限など、そういう制約が課されなきゃいけないのも、それも課されていなかった。それから、労働者性の高い非常勤職員に期末手当が支給できないということで、国の非常勤職員は支給が可能だったんですね。民間では同一労働同一賃金と言われていた。

 これではあんまりではないかということで、法改正を行いまして、現行の臨時、非常勤職員を一般職の会計年度任用職員に移行する、採用方法や任期なども明確化して、守秘義務の服務に関する規定も適用されることになりました。期末手当の支給も可能とすることといたしました。

 地財計画のことは今答弁のあったとおりでございますが、事前に調査もし、地方自治体の御意向も聞いた上のことでございます。

亀井分科員 私にこの制度について伝えてきた人は、実は栄養士さんなんですね。ですので、専門性はあり、二十年勤務している人ですけれども、給料は上がらないと言っておりました。

 国は予算をつけているのに、どうして現場で給料が上げられないのか、私はそれが不思議で仕方なかったので、またその県議を通して現場に聞いてもらったんですね。

 そうしましたら、もし、国から支給される今回のお金をそのまま、人件費を非正規の人に、会計年度任用職員の人につけた場合に、大卒で一年目で入ってくる役場の職員よりも給料が高くなってしまうと。今は、ですから、正規の役場の職員でさえ非常に給料が低いので、それよりも上がってしまうというのは問題だから支給できないんだというような現場の声だったんですね。

 私、これは理由にならないと思います。というのは、そもそも、非正規というのは、職の保障がない、一年更新で先のことがわからないので、仕事があるうちは稼いでくださいねということで、時給なりあるいは日当なりが高くて私は当然だろうと思います。

 そもそも、非正規職員が民間に導入されたときに、私、バブル世代なんですけれども、最初は、いきなり非正規で新卒で働き出す人はいなくて、ある程度社会経験のある人が仕事をやめて、派遣会社に登録して、ですから実務経験二年以上とか条件がついていて、その人たちが、主に女性が、ワーク・ライフ・バランスがよいので非正規として働き出して、時給は、ですから普通の一般の、例えば飲食業のバイトよりはよっぽどよかった、倍ぐらいであった。

 なので、そのままフルタイムで一年、二年働けば正規の人よりも給料はよくなるというものだったけれども、先の保障はない、もちろん期末手当も何もないというものなので、私は、新卒で一年目の職員よりも給料が上がってしまうからといって、会計年度任用職員の人に今回の予算をつけられないというのはおかしな理屈だなと思うんですけれども、大臣、どうお考えになりますか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 まず、大卒の初任給、一号俸、こういったものを基礎としてということは、これは一般的な助言としては言っておりますけれども、ただ、その際にも、非常に専門性がある職ですとかそういったことについて各自治体において適切に考慮していくということでありますので、それについては、必ずしもそこだけに限ったものではないということはございます。

 また、経験年数ですとかそれから専門性については、先ほど言いましたように、考慮していく中で、各年度において報酬の引上げということも、これはあり得るものでございますので、その点についても助言をしているところでございますので、こういった個々の職の実情に応じた対応については、私どもとしても助言をしているところでございます。

亀井分科員 もう一つ、役場で、フルタイムなのかはっきりしませんけれども、副業している人がいるんですね。非正規ですから、役場で働き、ほかでもまだバイトをし、それで生計を立てている人がいるんですけれども、今回の制度の導入に当たって、今度は副業が認められないというようなことも聞こえてきました。

 ですので、どちらを選ぶか、やめようかどうしようか、そういう混乱も現場にあると聞いているんですけれども、副業は禁止でしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 これは勤務の態様によりますけれども、フルタイムで一般職で勤務していれば、通常なかなか難しいものだと思いますけれども、兼業そのものについては、地方公務員について一般的な規定として、職務に影響がなくて、かつ報酬等につきましても適切な水準であるということの中では可能ではございます。

 ですから、それは常勤職についても同様でございますので、基本的には、そういった兼業の禁止の規定についての状況との絡みで御判断を適切にいただきながら、かつ、やはり勤務に差しさわりのないということを考慮しながら決めていただくものと思っております。

亀井分科員 ありがとうございます。

 初年度なので、大分現場が混乱しているように私は感じておりますので、今伺ったことは、質問者には私から答えておきたいと思います。

 この問題について言えば最後ですけれども、私、実施状況をきちんと総務省がチェックすべきだと思います。そもそも人件費としてつけたのに、現場で職員の給料が上がっていない。そして、交付税措置なわけですから、じゃ、その支給したお金はどこに行ったんだ。ほかに使われたりということもあり得るわけで、これはしっかり総務省が監督をして、本来の目的に使われていないのであれば、削るなり、そのぐらいのことをしないとやはりいい結果にはならないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これまでも、御懸念のような状況が生じないように、運用上の留意事項ですとか円滑な実施のために必要な事項について示した事務処理マニュアルを配付しまして、また助言通知も発出しています。また、各種の説明会、ヒアリングを通じて個別に助言を行っております。先ほど委員が心配されたようなことも含めてなんですね。類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号給の給料月額を基礎として、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等を考慮して給与を定めるべきであること、それからまた、期末手当をつけるからといって給料そのものを下げる、これはとても法改正の趣旨としてあり得ないことですので、そういった助言を行っております。

 今後ですけれども、制度導入後の取組状況についてもフォローアップ調査を実施しまして、各地方公共団体で適正な任用や勤務条件の確保が図られますようにしっかりと取り組んでまいります。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

亀井分科員 では、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。森林環境譲与税についてです。

 今回、初めて森林環境譲与税の一回目の配分が行われたわけですけれども、その金額を見ますとトップスリーが都市です。一番が横浜市、七千百四万四千円。二番目が浜松市、六千六十七万一千円。三番目、大阪市、五千四百八十万円。一体どこに森林があって、何に使われるんだろうと思っております。

 このお話、最初から、配分で人口割が三割というのは多過ぎるんじゃないかと言われていましたけれども、この三割というのは何か根拠があって三割なのか。そして、そもそも、なぜ森林がないようなところに配分しなきゃいけないのか、その考え方を教えていただけますか。大臣にお願いします。

高市国務大臣 この譲与基準につきましては、法律上の使途と相関が高い指標として、私有林人工林面積、林業就業者数、人口を用いることにいたしました。

 まず、委員がおっしゃるとおり、森林整備が使途の中心でありますので、森林の整備に相関する私有林人工林面積を五割に設定しました。

 また、森林整備を進めていくために人材の育成及び確保は不可欠ですから、担い手確保の需要に対応するため、林業就業者数を二割に設定しました。

 そして、その三割の話ですが、さらに、森林整備を進めるためには、木材の利用を促進することによる間伐材の需要の増加が重要であるということ、都市部の住民も含めた国民の皆様全体の森林環境税への理解が必要であるということ、また、多くの府県などで実施している超過課税というのが既にございますが、これで三割程度木材利用や普及啓発などの事業に充てている状況にあることなどを総合的に勘案して、人口を三割に設定いたしました。

亀井分科員 三割というのは、私はやはり多いと思うんですね。

 それで、これも私がほかの議員から聞いたことなんですけれども、まず、都市に配分をするという理由は、一律国民から千円取っているので、都市の住民も払っているわけだから、何らかの形でそれが配分されないと、還元されないと不公平だというような考え方があるというように聞いたんですね。

 でも、それでいうならば、例えば復興税などは、国民全員で復興を支えましょうということで、それこそ一律千円取って被災地に使っているわけですから、別に、都市の住民から取って、それが地方に重点的に使われるからといって、何にもおかしなことはないと思うんですよね。

 もともとこの森林環境税というのは、農水省が、森林整備が必要だ、山が荒れていて、特に民有林は手を入れる人がいないから何とか財源が欲しいと。そして、私はふだん農水委員会なんですけれども、森林経営管理法というのも通って、民有林を整備していきましょう。お金の方も森林環境税ができる。環境省の方も、温暖化対策としてCO2の吸収源である森林を整備するべきだと、環境税という意味合いで要望していたもので、また、地方自治体は、いろいろな税金が、例えば法人税にしても都市部に集中していて、都市に税が集まるような仕組みばかりだから、森林面積によって配分されるような、ほかの基準で地方に多く行くような税があってもいいじゃないかというようなことで、それぞれが要望していたと私は記憶しているんです。

 そうであるならば、別に都市にそんなに気を使って配分する必要はないだろうと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 都市に気を使ってというよりも、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の第三十四条に森林環境譲与税の使途ということが定められており、その中に、「森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進」というものが入っております。

 やはり、木材の需要というのがふえていかなければ、森林資源をしっかりと守っていこう、また育てていこうという地方の動きも進んでまいりませんし、林業で働こうという方もふえてまいりませんので、まずは三割でスタートしていくということでございます。

亀井分科員 都市部は、木材の需要をつくるということで、やはり財源が必要だということは聞きましたけれども、これは私、いい方に行っていないと思うんですね。

 まず、民有林が荒れたのは、木材価格が下がって、また需要もないので荒れたということが原因としてあり、そして、農水省の方では、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律というのを平成二十二年に通しています。つまり、木材の利用を促進する上で、公共の建築物は率先して木材に切りかえていきましょうという法律をつくって、私は、この法律があったから新国立競技場も木材をたくさん使ったんだと思うんです。

 私は、これはいいことだと思っていたんですけれども、現実に何が起きているかといいますと、あの新国立競技場が国産の木材でできたわけではなくて、国産木材も使われていますが、海外から輸入されている木材がかなり多いわけですね。

 それで、先日、オーストラリアからNGOがやってきて森林火災の状況について説明をしたんですけれども、その原因として、気候変動もありますけれども、人災によるところもかなりあると。森林の伐採が進んでいて砂漠化していてという問題がありまして、そういう木材が日本にも来ているんですね。

 今、マレーシアの企業が、マレーシアだけじゃなくてオーストラリアのタスマニアの天然林を伐採して、それが商社を通して日本に入ってきて、いわゆる日本の床材、フローリングの材料に使われているので、日本はもっと責任を持つべきだというようなことを言われましたので、私は、これ以上急いで木材の需要を都市で起こしていこうというと、最終的に海外の森林がはげ山になるようなことにつながるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これはもう、この法律の趣旨をしっかりと受けとめていただいて、都市部に限らず地方部でもそうでございますけれども、これまでも、割と地元でとれた木材を使った住宅というのが長もちするといったようなことも含めて、そういった研究結果もございますし、できるだけ国産の木材を使おうよという機運を盛り上げていく、これも法の目的にある啓発活動になっていくと思います。

 委員にも、ぜひとも御協力、お力添えをお願いしたいと存じます。

亀井分科員 私が申し上げたいのは、三割も都市部につけて、急いで木材の需要を起こしましょうとなると、海外の違法伐採が進むような、そういうことになりそうだから、もう少し割合を低くしてはどうですかということを申し上げたくて例を出したんですけれども。

 この見直しというのは行われないんでしょうか。いつごろ見直されるのか、伺います。

高市国務大臣 この譲与基準の見直しでございますが、昨年三月に、衆議院及び参議院の総務委員会で附帯決議をいただきました。そこにありますとおり、森林環境譲与税を財源とした各地方団体の森林整備の取組や施策の実施状況を見きわめて検討してまいるということでございます。

 まだ明確に時期は申し上げられません。少しこれは時間のかかることであると思います。森林整備にしても、また人材育成にしても、それから木材の利用促進についても、多少時間のかかることでございますが、しっかりとその実施状況、効果を見きわめた上で考えてまいりたいと存じます。

亀井分科員 なるべく早く見直しに取りかかっていただきたいということをきょうは申し上げておきます。

 次の質問に移ります。地域おこし協力隊についてです。

 地域おこし協力隊、平成二十一年に始まって、十年を超えました。十年たったところで、総人数が五千人を超えていますよね。五千三百五十九人、平成三十年度の数字で出ております。

 これは、安倍政権はふやすというようなことを話していましたけれども、総務省としては非常に評価をしていて、だからふやすということなんでしょうか。また、この制度によって地域に定着した人の定着率というのがどの程度か教えてください。

高市国務大臣 二十一年度に制度が創設された、その年は隊員数が八十九名でした。それが三十年度に五千五百三十人ということで、順調にふえていると思います。

 また、これも隊員の約四割が女性であり、また、隊員の約七割が二十代と三十代であり、任期終了後も約六割の方が同じ地域に定住していただいているという意味では、目的に沿って進んでいると考えております。

 お尋ねの数字ですが、任期終了後も同じ地域に住み続けて、引き続き地域の担い手となってくださっている隊員が三千四十五人いらっしゃいます。そういうことでございます。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

亀井分科員 地域おこし協力隊、何の制度もそうですけれども、人材がやはりピンキリなんですよね。非常にすばらしい人も入ってきている。彼らは意欲を持って、中には定着する人もいるんですけれども、最初からワーキングホリデーのような気分で、お金をもらいながら田舎暮らしを楽しもうということで三年の期限でやってきて、それでまた違う地域に移っていく。

 わたりという言葉がありますけれども、この地域おこし協力隊のリピーターでいろいろ地域を渡り歩いているような人はいるんでしょうか。そういう数字は捕捉されていますか。

高市国務大臣 リピーターという言い方はしておりませんが、平成三十年度に活動した地域おこし協力隊員五千三百五十九人のうち、約一%に当たる五十七人が、前職が他の地域の隊員であったということです。

亀井分科員 これは何回も繰り返せる制度ですか、二回目の人がおられるということですが。

高市国務大臣 それは可能でございます。

亀井分科員 最初から田舎暮らしを楽しもうということで入ってきている、遊び気分の、ワーキングホリデー気分の人たちというのは、地域に余りいい影響を与えないですよね。

 つまり、例えばUターンの人、せっかく戻ってきて事業を頑張っているのに、Uターンの人たちは余り大事にされないで、地域おこし協力隊の人たちは何か重宝されてお金も受け取って、不公平じゃないかというような声も聞こえてくるんですね。ですので、私は、地域おこし協力隊、やはりちゃんとチェックをした方がいいと思います、いい方もたくさんありますけれども。

 最後の質問ですが、人口急減地域に対する議員立法が通りました。これは、いい人材は地域に残したいということでできた法律ですけれども、今、この制度を使いたいと要望してきている自治体は幾つあるのか、教えてください。

高市国務大臣 令和元年十月に、過疎関係市町村八百十七団体を対象として、制度の活用意向に関する調査を実施しました。

 その際の調査では、七百十三団体からの回答のうち、活用の意向ありという回答が五十二団体、検討中との回答が二百三団体、わからないとの回答が三百六十七団体でございました。

亀井分科員 ありがとうございます。時間ですので、ここで終わりにします。

 総務委員会、まだまだいろいろ伺いたいことがありますので、また出張させていただきます。

 ありがとうございました。

小倉主査 これにて亀井亜紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬分科員 立国社の源馬謙太郎でございます。きょうは、大臣、よろしくお願いします。

 ことしが国勢調査の年でして、しかも、ことしで百年を迎えるという節目に当たるということで、きょうは、この国勢調査についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、基本的なことなんですけれども、国勢調査をやる意義とかその目的、そして、特に、やはり調査ですから正確性というのが大事だと思いますが、そういったことについて、この国勢調査が今百年を迎える節目でもありますので、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 国勢調査は、我が国の人口及び世帯の実態を把握する国の最も基本的な統計調査でございます。これは、各種行政施策その他の基礎資料を得ることを目的としています。

 この結果でございますけれども、衆議院議員小選挙区の改定や地方交付税の算定など、各種の法定人口として用いられておりますし、また、標本調査における母集団情報として幅広く活用されております。

源馬分科員 ありがとうございます。まさに、今大臣がおっしゃったように、世帯の実態把握が主な目的であると私も認識をしております。

 その中で、これは関係の方からもいろいろお話を伺っているんですが、きょう、資料でお渡ししましたけれども、この国勢調査票のサンプルがありまして、一ページ目、二ページ目といろいろ記入するところがあるんですが、この中に、特に四番、先ほどの世帯の実態把握に一番関係すると思うんですが、世帯主との続き柄を記入する欄がありまして、それから六番の配偶者の有無、ここもあるんですけれども、ここを見ると、事実婚ですとか同性パートナーの方が、同性パートナーですよとか、事実婚ですよという欄がないわけなんですけれども、こうした項目が現在ないのはどういった理由からなのか、教えていただきたいと思います。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、現在、同性婚あるいは同性パートナーに関する国の法制度が設けられておりませんので、国勢調査において、これらに該当する選択肢は設けていないということでございます。

源馬分科員 国の制度は確かにないんですけれども、特に六番のところ、配偶者の有無のところに「届出の有無に関係なく記入してください」というふうにあるわけで、これはつまり、事実婚の方は届出をしていない、でも実際には夫婦のように生活をしているという方たちは、このただし書きの、届出の有無に関係なく記入していいということであれば、事実婚の方は配偶者ありと記入できるということでよろしいんでしょうか。

佐伯政府参考人 事実婚は婚姻届のない婚姻ということかと思いますけれども、通常の男女間のそういう届出のない婚姻については、ここで婚姻と同様に記入できるということになっております。

源馬分科員 先ほど、同性パートナーや事実婚について項目がないのは国の法律で定められていないからだという御答弁だったと思いますが、事実婚は国の法律で定められているんですか。

佐伯政府参考人 事実婚につきましては、一九二〇年に最初の国勢調査を行ったわけですけれども、そのとき以来、国勢調査の中では婚姻と同様に扱うということで、当時の社会情勢、今も同様かと思うんですけれども、から見て定着しておったんだろうというふうに思います。そういう中で届出のある婚姻と同じ扱いを当時したということで、それがずっと今日まで続いてきておるということでございます。

源馬分科員 先ほどの御答弁では法律に定めがないから項目がないんだということで、それは同性パートナーも事実婚も同じではないかと思うんですが、事実婚については一九二〇年のときに社会情勢的に定着していたから法の定めはないけれども記入することができて、同性パートナーについては記入することができないというのは、これはダブルスタンダードじゃないかと思うんですが、ここの整合性はどういうふうに整理されているんでしょうか。

佐伯政府参考人 国勢調査の調査内容につきましては、国や地方公共団体の施策への利用、国民意識から見た普遍性、妥当性、回答の負担や正確性の確保、各種法令への対応など、さまざまな観点から有識者の御意見も伺い、統計委員会に諮った上で決定しております。

 今申し上げた国民意識から見た普遍性、妥当性というあたり、このあたりについての違いというか、そういうところも踏まえた対応になっておるかと思います。

源馬分科員 さまざまな観点で検討して決めるということなんでしょうけれども、そのさまざまな観点で検討した結果、なぜ、そういうふうになっているかということをお伺いしたいと思うんですね。

 この国勢調査が始まった百年前は、これもちょっと私は知りませんけれども、定かじゃないんですが、さっきの御答弁によると、社会情勢的に事実婚はよくあることだった、だから届出は必要ないというふうになっている、それが今も続けられているということだったんですが、一方で、同性パートナーで一緒に暮らしている方たち、これは、まさに社会情勢的に見れば今かなりふえているわけで、今、自治体でもパートナーシップ制度というのを採用しているところがたくさんあるわけですね。

 そういった情勢を鑑みても、なお、男女間の婚姻の届出は有無は関係ないが、同性同士住んでいる、パートナーとして自認されている方たちは記入する項目がないというのは、これはどういう判断があってそういうふうになったかということをお伺いしたいので、お願いします。

佐伯政府参考人 国勢調査につきましては、国連の方で、どういう形で設問を行うかというようなことが勧告をされております。その中で、結婚の項目につきましては、個々の国の法律や慣習を踏まえて設定することが重要であるというふうにされております。

 イギリスやカナダなどの国勢調査を見ましても、いずれも法制度が整備された後に同性婚又は同性パートナーに関する調査項目が設けられているということでございまして、同性婚や同性パートナーに関する国の法制度がまだ整備されていないという我が国の状況を見ますと、国勢調査でこれらの調査項目を設けることはまだちょっと早いんじゃないかということで考えております。

源馬分科員 イギリスやカナダはそうかもしれませんが、例えばアメリカも、これはセンサスとアメリカン・コミュニティー・サーベイというものに切りかえてやったということはありますが、それでも、法制化される前に国勢調査で同性婚の項目が設けられておりました。

 ここは、センサスだけが国勢調査なのだというような議論があるかもしれませんけれども、私はそうではないと思いますが、それは議論があるかもしれませんが、例えばオーストラリアも、二〇一七年に同性婚が法制化されましたけれども、その前年の二〇一六年の国勢調査から、法制化される前に、同性婚、同性パートナーが国勢調査に組み込まれているんですけれども、その辺はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

佐伯政府参考人 済みません、オーストラリアの状況については、我々、ちょっと把握をしておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

源馬分科員 つまり、何か特別な決まりがあるわけではなくて、これから柔軟に項目なんかは検討していくということなんだと思うんですね。国連からも勧告があって、必ずそれに従わなきゃいけないわけでもないし、各国それぞれの対応をしている。しかも、日本の法律ではまだ定められていない事実婚については、事実上、記入できるようになっているのに、同性パートナーだけは記入できないという現状があるので、ここは柔軟に対応して決めていくべきではないかというふうに思います。

 ちょっと視点を変えて大臣にお伺いしたいんですが、今のこのサンプル、ことしも多分この項目でやると思うんですけれども、同性パートナーと一緒に暮らしている方が、先ほど大臣の御答弁であったとおり、この国勢調査の意義、正確性、そして世帯の実態を把握するという意味を鑑みたときに、大臣は、この同性パートナーの方たちはどのようにこの欄に記入するのが適当だと思われていらっしゃいますでしょうか。

高市国務大臣 現在は、いわゆる同性パートナーと思われる場合には、一方の方を他の親族として集計していると承知しております。

源馬分科員 じゃ、参考人にお伺いしますけれども、他の親族というのはほかに何があるんですか。

佐伯政府参考人 例えば、おじとおいっ子さんとか、いとこ同士とか、そういうものが想定されます。

源馬分科員 そうすると、ここはホームページでも前回の国勢調査のデータが載っておりますけれども、例えば世帯に関して、単独世帯、あるいは夫婦のみの世帯とか、夫婦と子供から成る世帯、その他の世帯というのがあるんですけれども、おじやおばと一緒に暮らしている人たちと、同性パートナーとしてともに世帯を持って暮らしている、お子さんがいる場合もありますよね、そういう方たちが同じくくりにまとまっていて、本当にこれは世帯の実態把握に資しているのかどうか、伺いたいと思います。

佐伯政府参考人 また先ほどの議論に立ち戻ってしまうんですけれども、同性パートナー、同性婚につきましては、法令的にまだ位置づけられていないということもございまして、その点については、その他の親族ということに含めて考えるということで現状やむを得ないのかなと思っております。

源馬分科員 そうすると、例えば事実婚の方は、配偶者の有無のところで、届出に関係なく配偶者というふうにされて、それはそのまま統計上処理されるわけですよね。今もおっしゃったように、法が定まっていないからやむを得ないんだという説明と食い違うと思うんです。事実婚の方と、同性パートナーで暮らしている方たちの扱いが、両方とも法律では定められていないにもかかわらず、やはり扱いが違うということは、非常にこれは当事者の方たちにとってつらいことではないかというふうに思います。

 先ほど大臣の御答弁で少しありましたが、現在、お配りした三枚目の例のように、例えば、氏名、男女の別が、何々子さん、何々子さんということで、女性、女性というふうに記入をされて、世帯主との続き柄が、世帯主と配偶者、そして、配偶者の有無のところで、これは届出の有無に関係ないわけなので、配偶者あり、配偶者ありと記入した場合は、これはどのように国勢調査では処理されているんでしょうか。

佐伯政府参考人 世帯主については変更なしですけれども、二のB子さんのところでございますけれども、配偶者というところを他の親族のところにチェックをし直すという形で対応しております。

源馬分科員 平成三十年の二月二十三日の分科会での参考人からの御答弁であったんですけれども、こういうふうに同性同士で配偶者というふうにチェックされた場合、これは論理的な間違いとして処理される、こういうふうに御答弁がありますが、それはそのとおりでよろしいですか。

佐伯政府参考人 そういう形で調査票が上がってまいりましたら、そこでチェックがかかるということで、ただ、ほかのいろんな項目も見て確認した上で、どうも実際に住んでいらっしゃってというような状況があって、それで同性パートナーではないかと見られるときには、配偶者ではなくて、他の親族のところにチェックし直すということでございます。

源馬分科員 同性同士でパートナーとして生活をしていて、その方たちが配偶者とチェックをして、そしてそれが論理的間違いと処理をされて、おじやおばや、めいやおいと同じような分類に勝手にカテゴライズされるというのは、これはやはり当事者の皆さんにとっても非常に苦しいことだと思うんですね。自分たちの存在が、しかも論理的間違いという。

 この間違いというのは、参考人は今回も答弁で維持されるということでいいですか、論理的間違いであると。済みません、じゃ、一旦それを。

佐伯政府参考人 論理的な間違いという言い方を過去の答弁でしておるかもしれませんけれども、非常にケースが少ないということで、ほかの記入項目も見てきちっとチェックすべき項目だ、そういうふうに我々としては捉えておるということで、論理的間違いとか、そういう方もあるかもしれませんけれども、実態としては今申し上げたようなことでございますので。

源馬分科員 当事者の方たちが、間違いとして処理をされて、おじやおばたちと同じような関係性に分類されている。ホームページでもありますけれども、国勢調査というのは日本で最も重要な統計調査、しかも、大臣からもありましたけれども、世帯の実態把握をするための調査であるにもかかわらず、そういう扱いがされているということは、これはやはり真剣に考え直していただかなくてはいけないことなのかなと思います。

 法律上定めがないからということは、繰り返しになりますけれども、事実婚の場合も同様であると思いますし、社会情勢から見ても、パートナーシップ制度を各自治体でやり始めているということもありますから、社会的情勢から見れば、これはもう明らかに、そういった多様性が認められている社会になっているというふうに思いますので。

 前回、平成三十年のときの分科会では、野田聖子当時の総務大臣は、こうした社会的多様性や現代の社会情勢もしっかりと把握した上で検討していきたいということを御答弁されておりますけれども、高市大臣におかれましては今後どういうふうに対応されていくのか、教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 今いろいろ御指摘のあったこと、十分に理解をいたしました。

 それから、先ほど統計局長から答弁したことも、統計の、ある意味、継続性といったことも含めて、それから、単なる書き間違いの方も本当にいらっしゃるので、その処理との整合性などもなかなか難しい問題であるという実務上の課題もある。そういったことをお伝えしなければなりませんが、今後のことといいますと、これはやはり、社会情勢の変化ですとか、国会でもさまざまな議論がなされていくと思いますので、柔軟に考えながら、また、有識者の皆様の御意見なども伺いながら検討していくべき課題だと思っております。

源馬分科員 ありがとうございます。

 それでは、再び統計局長にお伺いしたいんですが、先ほどおっしゃった論理的間違いが生じた場合、これは単なる間違いもあるという今大臣の御答弁でしたけれども、性別と配偶者の関係においてこの論理的間違いというのが出て、それをその他の親族に分類し直すという、その件数はどのぐらいあるんでしょうか。

佐伯政府参考人 その数字については、把握できておりません。

源馬分科員 先ほどの御答弁の中では、そんなに数も多くないというような御答弁があったかと思いましたが、数は把握できていないんですか。それとも、感覚として、そんなに多くないというふうにおっしゃったんでしょうか。

佐伯政府参考人 一般論として申し上げたところでございます、感覚的なものとして。

源馬分科員 先ほどからの議論にあるとおり、すぐにその項目をつくるのが難しいのであれば、その間違いの件数が、間違いと言うのもちょっとどうかと思いますけれども、同性同士で配偶者としている方たちの件数がどのくらいあるかということは、せめて把握することが、この世帯の実態把握という目的にとって重要ではないかというふうに思います。

 本当に単なる間違い、単なる間違いの方が私は少ないんじゃないかなと思いますが、自分の性別を単純に間違えちゃうとかの方が少ないのではないかと思いますが、そうしたことも、やはり、修正する前のデータを残しておいて、それを実態把握に使うということが必要だと思いますが、その点についてお考えを伺いたいと思います。

佐伯政府参考人 今委員からもお話がありましたとおりで、回答されたままのデータについては単なる記入誤りも含むということなんですが、公的統計というのは、やはり信頼性、実態に近いところでとれている、そういう信頼性が非常に大事でございますので、もとのその回答されたデータの中にどのぐらいそういう誤りが含まれているかどうかというあたりについては、それを見きわめていかないといけないと思うんですけれども、やはり、五千万世帯という非常に大きな世帯の状況を見ていくという中で、そういうことがどうやったら可能なのかというあたりはしっかり考えていきたいと思っております。

源馬分科員 事前に御説明いただいたときに、ほかにもいろいろ間違いというのはあるんだということをお伺いをしました。例えば、年齢が三十五とかになっているのに小学生とかいうふうになる場合もあると。ごくごく少数だと思いますが、やはり、そういうのも統計局の方でしっかりチェックをかけて、順々に訂正をしていっているということも伺いましたし、それは大事なことではないかと思います。

 明らかに名前が男性の名前なのにとか、一番の世帯員の数というところに、男性一人、女性一人と書いてあるのに、三番の氏名を書くところで、男性一人、男性一人みたいに、それこそ、本当に論理的な間違いがある場合は修正をかけるのは大事だと思いますけれども、この事実婚や同性パートナーとの同棲については、これはなかなか見きわめるのは、先ほどからおっしゃっているように難しいと思うんですよ。

 例えば、同性パートナーであっても、自分が自認する性で書いた場合、戸籍上は、男性、男性なんだけれども、そのうちのお一人が女性を自認していて、戸籍上は、男性、男性と書くべきなんだけれども、男性、女性というふうになった、しかも名前も通称で書いた、こういう場合は、本当は同性パートナーなんだけれども、この場合は論理的矛盾は起こらずに、普通の異性婚の家族というふうに、夫婦として扱われるわけですね。ここにも、実態と統計上出る解が乖離するという現象が生まれると思うんです。

 やはり、これを解決するには、一番簡単なのは、同性パートナーという項目をつくることだと思うんですよ、その呼び方がどうかは別として。そうすれば、さっき言った単なる性別の記入間違いとか、そういった本当の論理的間違いはそこには入りませんし、あるいは、おじとおいのような関係、おばとめいのような関係も、この同性パートナーと一緒に混同されてしまうということはないものですから、やはりその項目を立てるということが大事だというふうに思います。

 特に、法律に定められていなきゃいけないんだという、これが絶対条件であるなら別ですけれども、事実婚の場合は、届出の有無に、婚姻届の提出の有無にかかわらず書けるわけですから、ここはぜひ善処していただきたいというふうに思います。

 あわせて、せめて、先ほども申し上げましたけれども、同性同士の配偶者という結果が出た場合は、それを公表しなくてもいいですけれども、そのもとデータはとっておいて、それこそ社会情勢が、大臣の答弁にもありましたけれども、変わっているわけですから、一部の地域だけでもいいですよ、それを何らか、研究の目的でもいいですけれども、活用するということも、もう百年たっていますから、今回を機にぜひ検討していただきたいと思いますが、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 このデータの保存とか活用につきましては、これからもちょっと、利用者のニーズですとか有識者の御意見も伺いながら検討させていただかなければいけない課題だと思っております。プライバシーの問題もあるかと思います。さまざま検討すべき課題があると存じます。

源馬分科員 もちろん、プライバシーには配慮したりしていただかなくてはいけないと思いますし、有識者の御意見を伺っていただくのも結構だと思いますが、すぐに項目立ては難しくても、せめて、そのもとデータの活用をして、研究目的でも結構です、一部の地域でも結構なので、ぜひ前向きな善処をお願いしたいと思います。

 やはり、これも繰り返しになりますけれども、当事者の方たちが、自分たちは日本で一番大事な統計調査においても自分が自認することと違うことを書かなきゃいけないですとか、あるいは、自分たちの立場を書いたらそれが国によって論理的間違いというふうに処理をされてしまう、しかも、そのもともとのデータはおじやおばのような関係に統合されて、もともとのデータも消えてなくなってしまうということは、やはり心情的に本当に苦しいというふうに思いますので、ぜひ、そこは対応していただいて、社会情勢に合わせた国勢調査にしていただきたいというふうに思います。

 もう百年の節目ですので、これを機に、ぜひ前向きな善処をお願いしたいと思います。

 以上です。

小倉主査 これにて源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

奥野(信)主査代理 次に、古川康君。

古川(康)分科員 古川康でございます。

 まず最初に、森林環境譲与税についてお尋ねをさせていただきます。

 私どもも含めた全国の森林、林野の、そしてさらには山村の関係者の願いが久しかった森林環境譲与税、無事に船出を見たところでございます。

 本日は、まず冒頭にこのことについてお尋ねをさせていただきますが、まずは数字を教えてください。

 令和元年度にはこの森林環境譲与税、幾らでありましたでしょうか。それが二年度には幾らになるのでありましょうか。

開出政府参考人 お答えいたします。

 森林環境譲与税の譲与額でございますけれども、令和元年度は総額二百億円、そのうち、市町村に百六十億円、都道府県に四十億円、令和二年度につきましては総額四百億円、そのうち、市町村に三百四十億円、都道府県に六十億円、それぞれ譲与される予定となっております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 ということで、令和二年度は元年度に比べて倍増するということになるわけでありますが、問題はここからでありまして、この本当に苦労してつくった森林環境譲与税、これがどのような使途に使われているのかということであります。

 そもそも、まだこの制度が始まって間もないということや、この税の性質上、きちんと何に使ったかということがどこまで言えるかという部分はあるかと思うのでありますけれども、令和元年度に関して言えば、どのような使途に使われたと御認識いただいているのか、教えてください。

開出政府参考人 森林環境譲与税につきましては、森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、地方団体が実施する森林の整備及びその促進に関する施策に充てるために創設されたものでございます。

 昨年、地方団体に対しまして、森林環境譲与税の予算措置の状況を調査いたしましたところ、約六割の市町村が森林整備に取り組むということとしております。

 その内訳といたしますと、森林所有者に対する意向調査の段階にある団体が多くなっておりますが、間伐や路網整備などの具体の取組を進めている団体もあるところでございます。

 総務省としては、引き続き、林野庁とも連携いたしまして、優良事例の横展開や地方団体の相談に応じることなどを通じまして、森林環境譲与税が効果的に活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 今は森林経営管理法も施行しましたので、そういったものに基づく意向調査が行われている、そういう状況のところもあれば、間伐や路網の整備に使われているというところでございました。

 大事なことは、これまでも、地方財政措置の中でこうした森林の整備などについては措置がなされていたわけでありまして、一定程度は、この森林環境譲与税なしでも地方公共団体においては行っていただく必要があります。それに加えて、今回新しく財源が得られたわけでありますから、そのプラスアルファでしていただかなければいけないということについて、ぜひしっかりとした御認識をお願いしたいと思います。この財源振りかえにただなるだけでは譲与税の意味がないよねということについては、党の議論の中でも随分ございましたので、ぜひそこはお願いを申し上げたいと思います。

 次が、防災対策関連についてであります。

 今回の地方財政対策の中で、防災関係については、さまざまな形での充実が図られていると認識をしています。その中で、まず、緊急浚渫推進事業債についてお尋ねをさせていただきます。

 これの目指すものは何か、そして、今、建設事業者、特に災害の起きたところでは、大変忙しくてなかなか仕事ができない、不調、不落が多い、そういう話も耳にするところでありますが、果たして執行ができるのかどうか、こうしたことについても教えていただければと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年台風十九号等の自然災害によります大規模な河川氾濫等が相次ぐ中で、維持管理のための河川等におけます堆積土砂の撤去でございますとか、樹木の伐採が喫緊の課題となっております。

 このため、地方団体が単独事業として緊急かつ集中的に河川等のしゅんせつを実施できますように、お話がございましたように、地財計画に新たに緊急浚渫推進事業費を計上し、その地方負担額に特例的な地方債措置を講じた上で、事業費に応じた交付税措置を講じることといたしております。

 令和元年度台風十九号等の複数の被災団体に執行可能かどうか確認をいたしました。それによりますと、河川等のしゅんせつ事業につきましては地元の中小企業者でも対応は可能であるため、必要な事業者は確保できる見込みであるということで、来年度は本事業を活用して緊急に実施が必要なしゅんせつ事業に取り組む予定とお聞きしているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 地元の実態を調査した上で、こうした事業については中小の事業者でも対応可能ということを確認の上でこのような措置が講じられたというふうに理解をしたところであります。

 また一方で、こうした災害関連のときにはさまざまなものの値段が上がります。資材の値段等が上がりまして、いわゆる単価本と呼ばれるような建設物価の本に書いてあるその金額では執行できないというようなお話も伺うところであります。そうしたときには、災害対応のときにはその単価本によらずに見積りをとるとか、そういったところも認められているところでありますので、ぜひともこの事業が有効に活用されるように期待を申し上げ、さらには、土木担当部局と予算の担当の部局がしっかり連携をして事に当たっていただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、この緊急浚渫以外についてお尋ねをさせていただきます。

 その他の防災関係の制度の充実について、令和二年度の地方財政対策でどのように図られたのでありましょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 相次ぎます大規模災害を踏まえまして、令和二年度の地財計画におきましては、緊急浚渫推進事業以外にも、防災・減災対策のための地方債措置を拡充しているところでございます。

 具体的には、まず、緊急防災・減災事業債でございますけれども、指定避難所や災害対策の拠点施設等におけます電源設備のかさ上げでございますとか機械施設への止水板の設置等の浸水対策事業、そして洪水浸水想定区域等からの消防署の移転事業、これを新たに対象としているところでございます。

 また、緊急自然災害防止対策事業債につきましては、地方団体からニーズの強かったのり面、盛土対策等の道路防災事業でございますとか、農業水利施設の安全対策事業等を対象に追加したところでございます。

 さらに、事業期間を令和二年度までとしております両事業債につきまして、地方団体が令和二年度に実施予定の事業を安心して実施できますよう、令和二年度までに建設工事に着手した事業につきましては、令和三年度以降につきましても現行と同様の地方財政措置を講じることとしたところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 各般にわたって防災関係、それを地方公共団体の総意によって実施していく、それに当たっては必要な関係府省との連携も図っていく、こうしたことであったかと思います。

 こうしたことによって、日ごろなかなか実行することのできない、例えば地方公共団体が管理している河川、こうしたものの例えばしゅんせつなんかは維持補修にも当たるわけでありまして、なかなか起債にはなじまなかったんだろうと思うのでありますけれども、こうした大胆な政策を講じているわけでありますから、繰り返しになりますが、ぜひ地方公共団体にしっかりと使っていただく、そのことの普及啓発をお願いしたいと思います。

 一方で、これを財政当局しか知らないと、今まで一般的な起債に充てていたものを緊防債に振りかえるというような、単に財源振りかえをしただけでは意味がないわけでありまして、今までは、住民のニーズがある、声があることをわかっていてもできなかった、それがこの事業でできたという実例をふやしていくこと、これが何より必要であろうと思っております。

 この地方公共団体の皆様方にしっかりと情報を伝える、その際には、予算部局とあわせて事業部局にも伝えていただくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 防災・減災対策の地方財政措置を創設いたします際には、地方団体の事業部局のニーズを把握しております関係省庁とも緊密に連携をしているところでございます。

 例えば、来年度に新たに創設いたします緊急浚渫推進事業費につきましては、その制度設計に当たって、地方団体に対する事業量調査、これを国土交通省と共同で事業部局に対して実施をしておるところでございます。また、緊急にしゅんせつが必要な基準につきましても、国土交通省の意見を踏まえて作成をいたしまして、財政当局のみならず、事業部局等にも周知をしているところでございます。

 また、本年度から創設いたしました緊急自然災害防止対策事業債につきましても、各インフラの所管省庁と緊密に連携しつつ、活用の促進に向けて事業部局のニーズをお聞きした上で対象事業の拡充をしているところでございます。この対象事業でございますとか計画の策定等について、事業部局に周知徹底を図っております。

 今後とも防災・減災対策の実効性を高められますように、関係省庁と十分に連携しながら、さらなる事業部局のニーズの把握にも努めてまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 これに関連いたしまして、技術職員の市町村への派遣についてお尋ねをいたします。

 災害が起きるとそれに対応しなくてはいけないということで、自衛隊が入っていったりボランティアの人に入っていったりしていただくわけでありますが、被災している自治体が復旧復興の仕事あるいは通常の業務を続けていただくためにも、どうしても人の派遣が必要であって、実際に人を派遣してもらった自治体からは、本当に助かった、こうした声を直接聞いているところであります。総務省でいえば公務員部の動き、働きというものが極めて重要になりつつあるということだと思っております。

 それで、お尋ねをしますが、この被災地への公務員の派遣制度について、まずこれについてどのようになっているのか、教えてください。

大村政府参考人 お答えいたします。

 短期派遣、中期派遣がございまして、まず短期でございますが、大規模災害発生直後の災害対応業務の支援につきましては、総務省では、平成三十年三月に、地方三団体などとともに被災市区町村応援職員確保システムを構築いたしました。

 これは標準的には二つの派遣がございまして、まず先遣隊として被災地に入り、現地の状況やニーズを確認いたしますとともに、首長への助言などを通じて災害マネジメントを支援する総括支援チームの派遣と、避難所の運営や罹災証明書交付などの災害対応業務を支援するための対口支援方式による応援職員の派遣を実施するものでございます。昨年の台風災害などにおきましては、この仕組みを活用して、延べ約一万三千七百人の応援職員を派遣したところでございます。

 一方、復旧復興に向けた中長期の職員派遣につきましては、総務省で、全国市長会及び全国町村会と構築した中長期派遣スキームなどによりまして、被災市町村を応援してまいりました。

 東日本大震災以降の大規模災害の被災市町村に対しましては、当該スキームによるものも含めて、平成三十一年四月時点で一千百十三人の自治体職員が中長期派遣をされているところでございます。

 以上です。

古川(康)分科員 この自治体の仕事というのは、誰でもできる仕事ではありません。専門性の必要な仕事、さらには、自分自身が被災地の自治体職員としての経験がある人の知見というのは非常に役に立つものがあります。そうしたものをきちんと使っていこうということでありますから、極めて有用であると理解をしているところでございますが、そうした中、今回、新しい制度ができているわけでありますけれども、この今回の制度が必要だと考えた理由は何でありましょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 近年の防災・減災、国土強靱化の推進や公共施設の老朽化を踏まえた適正管理が求められます中で、小規模市町村を中心に技術職員の不足が深刻化しております。また、大規模災害時におきましても、専門知識と経験の観点から技術職員の中長期派遣を求める声が多いものの、恒常的に不足をしているという状況でございます。

 こうしたことから、都道府県などがまず技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、南海トラフ地震や首都直下地震など、今後の大規模災害に備えて、復旧復興に必要な中長期派遣の要員を確保する場合に、増員された職員人件費に対して地方財政措置を講ずることとしたところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 こうしたことが本当は余り必要にならないような平穏な状況が望ましいのかもしれませんが、必要だというときにはぜひ有効に活用いただくようにお願いしたいと思います。

 一点、気になることがありまして、このことを地元で説明をしたところ、下手をすると地場の建設会社の技術の社員が県庁から引き抜かれるということにつながるのではないかということで、不安の声が聞かれました。こういう不安に対しては、どのように対処をされていかれますか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 防災・減災、国土強靱化などを推進していくには、官民を通じて各地域の担い手となる技術人材が確保されることが重要であると認識をしております。

 しかしながら、技術人材につきましては、議員御指摘のとおり、官民を問わず高いニーズがありますので、多くの地方公共団体や民間企業において獲得に課題がある状況であるというふうに承知をいたしております。

 地方公務員の採用に当たりましては、御案内のとおり、地方公務員法により、能力の実証に基づくなど任用の基本原則が定められているところでございますので、各地方公共団体におきましては、これに基づいて公平公正に採用活動が実施されているものと考えております。

 また、官民双方で技術人材に対する強い需要があることを踏まえまして、そもそもの人材供給をふやす観点から、大学、高校などにおける専門人材の育成の充実や、採用側から学生に対する広報、こういったことも必要であると認識をいたしております。

 こうした観点から、今後、地方三団体などや関係省庁とも連携して、必要な技術人材を確保できるように取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、こうしたことが杞憂に終わるようにお願いをしたいと思います。

 続きまして、偏在是正措置についてお尋ねをいたします。

 地方法人課税の偏在是正措置について、まず、どのような措置を税制上講じたのか、教えてください。

開出政府参考人 令和元年度税制改正において講じた新たな偏在是正措置は、地域間の財政力格差の拡大や経済社会構造の変化等に対応しまして、企業の事業活動の実態以上に大都市部に税収が集中する構造的な課題に対処するものであります。

 具体的には、法人事業税の約三割を特別法人事業税として分離し、その税収の全額を特別法人事業譲与税として、人口を基準に都道府県に譲与するものでございます。

 この措置によりまして、県内総生産の分布と地方法人課税の税収の分布がおおむね合致することとなり、都市、地方を通じた安定的な地方税財政基盤の構築につながるものと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 事業活動の実態以上に税収が大都市部、とりわけ東京都に集中しているという状況を、非常に御苦労をいただいた上でこのようにしていただいたことは、地方に住む我々からすると大変に力強いものがあります。

 それでは、今回は、その是正措置による財源を活用して、どのように地方財政計画に位置づけをされましたでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この偏在是正措置によりまして生じた財源の活用につきましては、与党税制改正大綱及び基本方針二〇一九におきまして、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地財計画に計上するなど、その全額を地方のために活用することとされております。

 その具体的な対応でございますけれども、財源の一部を財政健全化に活用することも考えられましたけれども、一方で、地方からは、都市と地方が支え合う持続可能な社会の構築に向けて、偏在是正により生ずる財源の全額を歳出に計上し、より実効性のある措置とするよう提言がなされたところでございます。

 現在、地方では、地方制度調査会が昨年七月に行った中間報告でも指摘されておりますように、人口減少、少子高齢化が長期にわたって進行していく中で、地域社会の持続可能性への懸念が高まっているところでございます。

 一方で、地域社会の維持、再生に取り組む必要性の高い地方部の団体におきましては、税収の伸び悩みなどによりまして、一般財源は減少又は小さな伸びとなっておりまして、このような財政需要に対する財源を安定的に確保する必要がございます。

 こうした状況を総合的に勘案いたしまして、令和二年度の地方財政計画におきまして、偏在是正措置により生ずる財源の全額を活用し、地域社会再生事業費を四千二百億円計上したところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 その四千二百億円計上されたということは、ちょっと難しいかもしれませんが、個々の自治体には大体どれぐらいの影響というかが出てくるものでありましょうか。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 この地域社会再生事業費四千二百億円は、全額、地方交付税の基準財政需要額で算定をしてまいります。

 この算定方法でございますけれども、道府県分と市町村分の算定額を同額程度とし、測定単位を人口とした上で、地域社会の維持、再生に取り組む必要が高い団体に重点的に配分を行う観点から、人口構造の変化に応じた指標及び人口集積の度合いに応じた指標を反映することといたしております。

 現在、地域社会再生事業費の算定に用います非人口集中地区人口等の基礎数値につきまして、各地方団体と確認を行っているところでございますので、現時点で各地方団体の算定額をお示しすることは難しい状況にございますけれども、各地方団体が予算編成作業を行うに当たりまして地方交付税額の見積りの参考となりますように、本年の一月に開催いたしました全国会議におきまして、人口規模別に標準的な指標を設定し、モデル試算額をお示ししているところでございます。

 このモデル試算におきましては、人口十万人規模の各種指標が平均的な市で一億六千万円程度、人口一万人規模の各種指標が平均的な町で八千万円程度の試算額となっているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 人口一万人規模の町で八千万程度の需要になるというモデル的な試算であり、十万人だと一億六千万円。これは逆に言えば、こういったものを使ってどういうふうなことを行っていくのかという知恵比べみたいなものにもなっていくのではないかということを思いました。

 そこで、大臣にお尋ねしたいと思います。

 各自治体にとっても、これだけの大きな影響のあるこの今回の措置であります。これをうまく使っていただいて、いわば第二の地方創生といいますか、そういったものにぜひ使っていただければと考えているわけでありますけれども、大臣の期待を教えてください。

高市国務大臣 地域社会再生事業費は、地域社会の持続可能性確保の重要性に鑑み、偏在是正措置による新たな財源を活用して計上したものでございます。各地方団体におかれましては、この趣旨を踏まえて積極的な取組を行っていただきたいと思います。

 この財源は使途が自由な一般財源でございますので、各地方団体の創意工夫によって、例えば、医療や移動手段や買物支援など、生活を支えるサービスの確保ですとか、地域コミュニティーの再生も含め、地域の実情に応じて幅広い施策を展開していただけるということを期待申し上げております。

古川(康)分科員 大臣、ありがとうございました。

 まさに大臣からもお話がありましたように、医療費でありますとか、あるいは、本当に地域で困っている移動手段の確保、こういったものは、私どもにも要望が大変強いものでありますけれども、なかなかこれといった国の支援制度がぴたっとはまらない。買物支援も典型であります。こういった、なかなかこれまでの支援策が合わなかったものをぜひ自治体としてしっかりお取り組みをいただく、その契機になったと言っていただけるように、平成の初めのときには一億円配るというのがありましたけれども、令和の初めにはこういう形で、困っている市、町、村、そういったところが、みんなが知恵を出して、持続可能性というものを現実のものにしていくということで、なるように、ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 それでは、最後の質問に移ります。

 養護老人ホームにおける地財措置についてでございます。

 地元を回っていて、養護老人ホームにお伺いすることもしばしばありますが、この養護老人ホームに対する公的な負担のあり方、自治体の支援というのは今や一般財源のみでありますから、地財措置の意味合い、大変大きなところがあります。

 そこでお尋ねをいたします。養護老人ホームの措置費について、近年、どのような形で地財措置が行われておりますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が養護老人ホームに入所措置を行う場合に要する経費につきましては、平成十七年度より一般財源化され、公費負担分の全額が市町村負担となっているところでございます。

 地方交付税の算定におきましては、養護老人ホームの措置費が老人福祉法に基づく義務的経費であることを踏まえまして、従来の国庫負担金分も含めた地方負担の全額について、基準財政需要額に算入いたしますとともに、養護老人ホームの被措置者数に応じた補正を行いまして、各地方団体の負担の実態に応じた算定を行っているところでございます。

 また、各年度の算定に当たりましては、実態調査が行われた場合には、これに基づきまして、地方負担の実態を反映いたしますとともに、物価変動でございますとか消費税率の引上げに伴う影響を踏まえた見直しを行うなど、適切な算定に努めているところでございます。

 例えば、令和元年十月の消費税率引上げにつきましては、令和元年度において引上げに伴う半年分の影響額を、令和二年度においては引上げに伴う通年分の影響額を反映した単価を設定しているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 このように、平成十七年度以降、適時にわたっていろいろな形で措置が講じられている。

 今回の消費税率のアップに際しても、令和元年度に半年分、そして令和二年度においては通年分の措置が行われているということでございましたが、一方で、現場を回っていると、この措置費の額を、消費税が変わろうが何であろうが、全然変えていないという自治体があるとも聞いているところでございます。

 せっかくこれだけ地財措置をしているにもかかわらず、全く措置費を上げないというのはいかがなものかなとも思うわけでありまして、このような自治体に対して、地財措置の内容についてしっかり理解していただくことが必要だと考えますが、いかがでありましょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、地方交付税措置につきましては、例えば消費税率の引上げを適切に反映して算定をしているところでございます。

 その内容につきましては、制度所管省庁でございます厚生労働省から、地方団体の福祉担当部局に対して周知を行っているところでございます。

 また、私ども総務省といたしましても、財政担当部局及び市町村担当部局に対しまして、ことし一月に開催をいたしました担当課長会議におきまして説明を行いまして、周知に努めたところでございます。

 今後とも、厚生労働省と連携しながら、適切に周知を図ってまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 本日、三十分という時間でございましたが、最初の森林環境譲与税から各種の防災対策、そして最後の養護老人ホームに至るまで、総務省がほかの省と連携をしながら、調整をしながらやっていくことの必要性、そしてそのことを自治体の現場に伝えていただくことによって、御苦労してつくっていただいている制度を地域で実感していただくことにつながるんだ、そういったことを申し上げたかった次第でございます。

 大臣を始めとする関係者の皆様方に対して心から敬意と感謝を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村次郎君。

木村(次)分科員 きょうはこうした機会をいただきまして、高市大臣始め皆様方、ありがとうございます。

 私は三年前まで青森県庁の職員でございました。きょうは地方財政全般にわたって質問をさせていただきたいと思います。

 二十四、五年も前ですけれども、当時の地方課、今は市町村課という名前でございますが、そこに在籍しておりまして、当時、県内六十七市町村、今は合併して四十になりましたけれども、その決算やら、あるいは、それこそ地方交付税、特別交付税、普通交付税、また起債の取りまとめ、そういったことも担当させていただきました。総務省の説明会にもたびたび出させていただきました。また、その後、財政課、県の予算を取り扱うところにもいて、これまた普通交付税、特別交付税も算定作業を担当させていただきました。そういったことを思い出しながら、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもございませんけれども、地方財政制度というのは、経済社会情勢あるいはその時々の時代の要請、そういったことを踏まえながら、地方公共団体の行政ニーズ、こういったことに的確に呼応しながら、またずっと改正が連綿となされてきたものであるというふうに承知しております。

 それでは、まず地方交付税についてお伺いいたしたいと思います。

 先ほど古川先生からもお話ありました。ちょっと重複するかもしれません。

 今回、令和二年度の地方財政計画において創設される(仮称)地域社会再生事業費、これは、とりわけ人口減少が進んでいる、あるいは加速している、そういった地方において大いに期待されるところであります。余談ですが、私も共同提案者になりましたけれども、先般は我々も特定地域づくり事業推進法を議員立法で成立させていただき、同じく令和二年度から予算措置も含めて地域の取組を後押ししていくということにしております。

 まず、地域社会再生事業費について、その概要をお伺いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方法人課税の偏在是正措置によります財源を全額活用いたしまして、地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について、地方団体が自主的、主体的に取り組むための経費といたしまして、令和二年度地方財政計画に地域社会再生事業費四千二百億円を計上しているところでございます。

 これを全額地方交付税の基準財政需要額に算定することといたしておりまして、新たな基準財政需要額の算定項目、地域社会再生事業費を創設いたしまして算定することといたしております。

 この算定方法でございますけれども、道府県分と市町村分の算定額を同額程度といたしまして、測定単位を人口とした上で、地域社会の維持、再生に取り組む必要が高い団体に重点的に配分を行う観点から、人口構造の変化に応じた指標、すなわち、人口減少率、年少人口比率、高齢者人口比率、生産年齢人口減少率、これの指標を用いる。それから、人口集積の度合いに応じた指標といたしまして、非人口集中地区の人口を基本とした指標、これを反映することといたしております。

 このような算定を行うことによりまして、先ほどお話ございました人口減少ですとか少子高齢化の進展により地域社会の持続可能性への懸念が生じている地方に重点配分することとしているところでございます。

木村(次)分科員 ありがとうございます。

 もともと普通交付税の、私の記憶では、国調をベースにしながら、そこの減少率が、そういったことは昔から算定に反映されてきたように承知しております。より、最近のやはり人口減少が加速している、そういったことをできるだけ実態に即して緻密に反映できるよう、最終的には七月の本算定に向けて細かなところは固まっていくんだろうと思いますが、そういったことを要望しておきたいと思います。

 また、あわせて、地方創生は交付金というのはありますけれども、一千億円ですか、それではまた、なかなか足りていない、そういった部分も結果として補完できる、そういう中で地方公共団体が創意工夫を働かせながらいろいろな事業に展開できるよう、そういうふうに期待したいと思います。

 そこで、地域社会を持続可能なものとしていくためにはさまざまな取組が必要となってまいります。この地域社会再生事業費、どのような事業にかかわる経費あるいは行政ニーズに対してを想定しているのか、お伺いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地域社会再生事業費は、偏在是正により生じます財源を活用いたしまして、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について自主的、主体的に取り組むための経費を計上しているものでございます。

 この財源は使途が自由な一般財源でございまして、各地方団体の創意工夫によりまして、例えば、医療でございますとか移動手段あるいは買物支援などの生活を支えるサービスの確保でございますとか、地域コミュニティーの再生など、地域の実情に応じたさまざまな取組を積極的に展開していただくことを期待しているところでございます。

木村(次)分科員 ありがとうございます。

 余談ですが、きのう、地元で理容業の叙勲を受けた方の祝賀会がございました。私は、床屋なんかも、地域のある意味コミュニティーの場、そういった役割も果たしているんじゃないかなと思います。

 また、私の地元では、なかなか買物に行けない、そういったお年寄りのためにも、地域の方々が率先して、移動販売とかいろいろなことを手がけております。そういったことを側面から行政がまたサポートしていく、そういった財源などにも活用されていく、こういったこともまた期待したいというふうに思っております。

 それでは、二つ目に入らせていただきます。特別交付税についてでございます。

 昨年も、台風十五号、十九号等々、さまざまな地域で甚大な被害があったわけでございます。私は、昨今のこの台風の頻度あるいは度合い、こういったものを見るにつけ、備えあれば憂いなしという言葉がありましたが、これはもう備えあっても憂いあり、あるいは、天災は忘れたころにやってくる、こういった言葉もありましたけれども、天災は忘れる間もなくやってくる、こんなふうにも言いたいところ、そんなふうにも感じているところでございます。

 こうした昨今の頻発する台風あるいは豪雨等の被害に対して、この地方交付税、特別交付税においては近年どのように対応してこられたのか、お伺いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税法上、特別交付税は、地方交付税総額の六%とされているところでございますけれども、巨大な災害等が発生をいたしまして、その応急復旧対応等に多額の財政需要が見込まれます場合には、その状況を踏まえまして、特別交付税の増額の必要性について検討し、対応してきているところでございます。

 昨年度におきましては、七月豪雨でございますとか北海道の胆振東部地震など災害が多発いたしましたので、七百億円の増額を行ったところでございます。

 また、今年度におきましても、令和元年房総半島台風でございますとか東日本台風を始め災害が多発いたしまして、その応急復旧対策等に多額の財政負担が生じることが見込まれることなどを踏まえまして、九百五十億円の増額を行ったところでございます。

 こうした措置によりまして、被災地を始め地方団体の財政運営に支障が生じないよう対応してきているところでございます。

木村(次)分科員 ありがとうございます。そのときのそういった突発的な事態に対して特交でも臨機応変に対応されてきているということ、これはありがたく思っております。また、それを踏まえて、各自治体も、専決処分等、必要に応じていろいろな手続を踏みながら、地域住民の復旧復興、生活支援のために充てられているということを本当にありがたく思っております。

 ことしの冬は、御案内のとおり、例年になく暖冬というふうに言われております。先週の発表でも、三月まではなかなか気温も平均よりも高目、暖冬のシーズンで終わってしまいそうな、そのような報道もあったところでございます。

 それはそれとして、やはり災害というものは、いつ何どき、どこで起こっても不思議ではないわけでございます。まだ年度は一カ月少しあるわけでございます。仮に、これからも万が一いろいろな大きな災害等々があった場合に、国としてはどのように対応されていくのか、お伺いいたします。

内藤政府参考人 今後、大規模災害等が生じました場合につきましては、政府全体として対応を検討していくことになるかと存じます。

 その災害の状況でございますとか規模、あるいは政府全体の対応等を踏まえまして、私どもとしても、特交を含めて適切に対応してまいりたいと考えております。

木村(次)分科員 ありがとうございます。

 特別交付税という枠組みの中で申し上げさせていただくならば、我々、雪国であれば、ふだんは、雪がそれなりに降った場合は、いろいろな除排雪経費、こういったことにやはり行政経費がかかるということで、総務省に対しても、自治体、首長さん方と一緒に要望させていただく、そういった場面もこの冬の時期にはどうしてもあるわけでございます。

 雪あるいは災害だけでなくて、それ以外の本来の突発的な、あるいは緊急を要するいろいろな行政ニーズというのも当然あるわけでございます。全体の中でしっかりと、あらゆる分野でこういった緊急を要する行政経費に対して特別交付税で遺漏なく目配り、気配りを働かせていただく、そういったことが何よりも肝要だというふうに思っておりますので、どうぞ総務省の皆様方、そういったことを常に肝に銘じて御対応いただければ私もありがたいのかなというふうに思ってございます。

 そうしましたら、大きく二つ目に入ります。地方債についてに入らせていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、私、起債の取りまとめというのも担当させていただきました。市町村がいろいろなプロジェクトとか、あるいはハード面も含めてさまざまな事業を行う、当然にして借金も伴うわけでございます。地方公共団体から見ますと、地方債を財源としていかにうまく有効活用するのか、これはやはりそれぞれの起債の区分ごとにありますけれども、端的に申し上げますと、これの充当率、そしてまた元利償還金の基準財政需要額への反映だとか、この二つのポイントでやはり地方公共団体の職員はいろいろ判断するということになると思っております。

 まず、一つ目でございます。地方債の区分の中に緊急防災・減災事業債というものがございます。

 地域住民の命と財産を守るためにも、防災・減災対策というのは本当に、先ほども申し上げましたけれども、災害がいろいろ頻発する中、最重要課題の一つでございます。各地方公共団体にとりまして、この緊急防災・減災事業債は、いろいろな取組を進めていく上でも非常にありがたく、そしてまた大いに寄与してきたものであると、私は個人的には大変評価させていただいております。

 そこで、この緊急防災・減災事業債の概要について、来年度も含めて、拡充あるいは改正した部分も含めてお伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急防災・減災事業債でございますけれども、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象としておりまして、充当率が一〇〇%、交付税の元利償還金への算入が七〇%と非常に手厚い措置を講じているところでございます。事業期間は令和二年度までとなっているところでございます。

 令和元年台風第十九号によります大規模な浸水被害等を踏まえまして、令和二年度から対象事業を拡充することといたしております。具体的には、指定避難所や災害対策の拠点施設等におけます電源設備のかさ上げでございますとか機械施設への止水板の設置等の浸水対策事業、そして洪水浸水想定区域等からの消防署の移転事業、これを新たに対象に追加しているところでございます。

 地方団体におきましては、本事業債を積極的に御活用いただきまして、指定避難所等の浸水対策に早急に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

木村(次)分科員 ありがとうございます。

 今お話しいただいたとおり、この起債、充当率一〇〇パー、そしてまた元利償還金の七〇パーを基準財政需要額に算入するということで、非常に有効な、ありがたい起債、地方債でございます。過疎の対象になっているところは過疎債が使えるので、それはそれとして感謝されておるわけでございますけれども、残念ながらといいますか、過疎地域の対象になっていない地方公共団体については、この緊急防災・減災事業債というのは大変有効なものとして評価されているというふうに思っております。

 私の地元においても、いろいろな、各集落ごとに、例えば集会場的なもの、コミュニティー的な場がございます。こういったことを、なかなか老朽化している、そういった中で、建てかえ、そういった行政ニーズも続いて出てきております。そうした場合に、そうした場所がいざ災害の場合の避難所も兼ねる、そういった位置づけになれば、またこういった起債の対象にもなり得るというふうに承知しております。まだまだこのニーズというのは、私の少なくとも地元では結構あるように私は伺っているところでございます。

 また、最近の動きとして、どうしても少子化が加速している、そういった中で児童生徒さん方も減少している、そういう中で、特に地方では学校の統廃合が結構進んできております。そういった背景をもとに、建てかえということも行政ニーズとしてもあります。そうした場合に、学校の体育館なども、これもまた災害時の避難所にもなり得る、こういったことでもまた有効活用できるという意味でも、大変期待できるのではないかなというふうに思っております。

 今お話しいただきました現行の制度では、来年度、令和二年度までということになっております。今申し上げたとおり、令和三年度以降もこういった需要、ニーズというのはあるんじゃないかなというふうに思っておりまして、引き続きの継続なり、私は期待したいところでございます。

 今の時点での考え方で結構でございますので、その辺の見解をお伺いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急防災・減災事業債につきましては、令和二年度までとしている事業期間の延長を求める要望を地方団体から強くいただいているところでございます。

 このため、まずは、地方団体が来年度に整備予定の事業に安心して取り組むことができますように、来年度末までに建設工事に着手した事業につきましては、今回、令和三年度以降も現行と同様の地方財政措置を講じることといたしております。

 その上で、令和三年度以降の本事業のあり方でございますけれども、これにつきましては、地方団体の取組状況でございますとか御意見などを十分お聞きをした上で判断してまいりたいと考えております。

木村(次)分科員 御答弁ありがとうございました。

 それでは、次に移らせていただきます。大きくは最後の質問ということになります。

 公立病院等に対して地方財政の面でどういった支援が行われているのか、そういったことについて質問させていただきます。

 まず初めに、新公立病院改革ガイドラインに言及させていただきます。

 地方自治体あるいは一部事務組合によって、いわゆる公立病院は、不採算医療や高度先進医療なども担っているわけでございます。ある意味、本当の意味で、地域住民、国民の命を守る最後のとりでであるというふうにも私は考えております。

 総務省において、平成二十七年三月三十一日付でしょうか、自治財政局長通知で発出されておりますが、新公立病院改革ガイドラインに基づいて病院事業を設置いたしております地方公共団体が策定した新公立病院改革プラン、これはおおむね令和二年度までの計画期間というふうになっていると承知しております。

 地域の医療提供体制構築のためにはまだまだ道半ばというふうに考えております。地方においては、厚労省のいろいろな機械的なデータが出て、ちょっと報道にもありましたけれども、それを待たずして、私の地元もしっかりと先行して、自分たちの医療のニーズに見合った病院、診療所はどうあるべきかということを、病床の削減とかも含めて、あるいは建てかえ、こういったこともしっかりとそれなりに検討していただいているというふうに思っています。

 そうした中で、総務省においては、今後、公立病院、こういったことに対してどのように対応されていくのか、お伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お話にもございましたけれども、現行の公立病院改革プランの対象期間は令和二年度までを標準とされているところでございます。更に引き続いて地域医療の提供体制の持続可能性を確保するということが非常に重要であるというような観点で、令和二年度夏ごろを目途にいたしまして、新公立病院改革ガイドラインを改定いたしまして、各地方団体に対しまして、令和三年度以降のさらなる改革のためのプランの策定を要請することとしたいと考えているところでございます。

 具体的な内容につきましては、今後検討することとなりますけれども、この改革プランの策定に当たりましては、まずは現行の改革プランに基づきます取組の評価、検証を行っていただいた上で、地域医療構想調整会議における議論なども踏まえていただいて策定をしていただくという方向になるものと考えているところでございます。

木村(次)分科員 ありがとうございます。

 もちろんこの現行の計画をしっかりと検証した上で、次なるステージ、スパンにおいてどうあるべきか、大変大事なポイントであるというふうに思っております。地域住民あるいは医療関係団体、そういったさまざまなかかわっておられる方々から幅広く意見をいただき、そしてまた集約しながら、新たなこのプランを策定していただく、これが何よりも大事であるのかなというふうに私も考えております。

 私も、半年に一回は地元の首長さん方、十四市町村ございます、ざっくばらんに意見交換会をする、そういった機会もございます。そういった中でもこういったことも私の方からも申し上げて、いろいろ行動を促していきたい、このように考えております。

 次に、同じ病院の絡みでございます。

 私の地元一番の中核となる市は、弘前市でございます。私もそこに住まいしておるわけでございます。

 この弘前市では、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人弘前大学、また青森県、そして弘前市、この四者において、いろいろな検討を重ねた上で基本協定を締結しました。

 そして、現在、新たな中核病院、端的に申し上げますと、国立病院機構の病院をメーンに残しつつ弘前の市立病院を廃止する、そして新たな中核病院、実は先週末にかけて発表されたわけでございますが、この名称が、仮称でございますけれども独立行政法人国立病院機構弘前総合医療センターという名称で、ちょうど先週後半に発表されたところでございます。これを、令和四年早期の運営開始を目指して、今現在準備が進められているところでございます。

 ちなみに、この整備に際しては、県も御判断いただいて、二カ年で三十億円を補助するということも前後して発表されたところでございます。

 今申し上げたとおり、これとあわせて、今ある弘前市立病院は廃止となるわけでございます。当然にして、これを建てるに当たっての、先ほどの話ではございますが、いろいろな借金なりが過程の中であったわけでございます。この廃止に伴う一時借入金の清算、あるいは今申し上げました既往債の繰上償還、また公債費に対して地方交付税措置の打切り、そういったことも当然にして想定されるわけでございます。

 そうしますと、その廃止の前後、清算処理に当たって過度な財政負担が一時的には生じるということが、当然にして想定されるわけでございます。そのことが結果として通常の弘前市なりの行政需要に対してのいろいろな施策、こういった市の予算、財政運営においても支障を来しかねない、こういった懸念もあるわけでございます。

 かつて、平成二十一年から二十五年、五カ年において、期間限定でしたけれども、第三セクター等改革推進債という起債がございました。公立病院など公営企業の整理、統廃合、こうした動きというのは、今後全国的にも十分想定され得るんじゃないかなというふうに思っております。

 何も病院だけではございません。水道なんかも、例えば民間サイドに担ってもらうとか、いろいろな動きが出ておりますよね。そういったことを含めれば、病院に限らずいろいろな公営企業、そういったことをこれからも、いろいろな、いわゆるダウンサイジングの中でそういった財政負担も生じ得るんじゃないかなというふうに私は考えております。

 こうしたことを鑑みますと、かつての三セク債の復活といいますか、あるいはこれに見合った、同等程度のそうした財政支援を伴う総務省としての、地財措置なり、いろいろな財政支援もあってもいいんじゃないかなというふうに私は望みたいところでございます。

 この辺についての見解について、大臣にお願いしたいと思います。

高市国務大臣 確かに、病院の廃止にも大変な費用が生じるものと承知をいたしております。

 新公立病院改革ガイドラインに基づく地方財政措置につきましては、令和二年夏ごろをめどに改定を予定しているガイドラインの検討とあわせて検討していくということになります。

 どちらにしましても、持続可能な地域医療提供体制の確保に資する公立病院の再編・ネットワーク化などの取組を支援するという観点から、地方の皆様の御意見も十分に伺いながら検討を進めてまいります。

木村(次)分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 ぜひ、そういった検討の過程において前向きな議論がなされますよう、また、何よりも、今大臣の答弁の方にもございました、地方の声をやはり聞いていただく、把握していただく、地方三団体なり、いろいろな意見を聞く場面もあってもいいのかなというふうに思っておりますので、どうぞ今後とも、やはり地方を応援するための総務省、旧自治、そういう役割も担っているわけでございますので、そういったところをぜひ期待したいところでございます。

 ちょっと時間が早いのでございますが、これで終わらせてもらいます。ありがとうございます。

奥野(信)主査代理 これにて木村次郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西宏幸君。

大西(宏)分科員 自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 高市大臣、先生とは隣同士の大阪ということでございまして、関西というのは意外とアイデアみたいなもので有名な場所でありまして、ユニークさというのもあるんでしょうけれども、東京でコマーシャリングとかのプロデュースをしていらっしゃる方は関西の人が意外と多くて、重宝がられているということで、僕らも重宝がられるように努力をしていかなきゃいけないんですけれども。

 今回は、いわゆるふるさと納税と、これはいわゆるなんですけれども、都構想のことについてお聞かせいただきたいなと思いながら、この場に立たせていただいております。

 いわゆるふるさと納税の返礼品ということで大きな話題になっているわけでございますけれども、ふるさと納税という、税という言葉がついていますけれども、これはあくまでも寄附なんですよね。応援したい自治体で自由に寄附ができる制度です。

 改めてお聞かせいただきたいと思うんですけれども、ふるさと納税の意義と目的について確認させてください。お願いします。

開出政府参考人 ふるさと納税につきましては、平成十九年度に総務省に設置されましたふるさと納税研究会において、制度設計について幅広く検討が行われ、平成二十年度税制改正において創設されたものでございます。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、若しくは応援する気持ちを伝え、税の使い道をみずからの意思で決めることを可能とすることを趣旨といたしまして創設された制度であります。

大西(宏)分科員 応援する気持ちに加えて使い道も決められるということで、返礼品がクローズアップされていますけれども、自分が払った税金がどう使われているかということで、地方自治に直接かかわる貴重な制度だと思っております。

 それ以外にも、受入額や活用状況の公表ということでちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、ふるさと納税の受入額が今どうなっているのかということで、ふるさと納税の意義として、税の用途が自分で決められるということを先ほど申し上げましたとおり、可能な限りふるさと納税を財源として実施事業の選択ができるようにしてほしいと思います。

 地方自治体において、受入額や活用状況を公表し、税の使い道に関心を寄せるきっかけになってもらいたいと思いますけれども、このあたりの状況やデータがあれば教えてください。

開出政府参考人 ふるさと納税の実績でございますが、まず、受入額と受入れ件数でございます。

 直近の、平成三十年度ふるさと納税に関する現況調査によれば、受入額が約五千百二十七億円、受入れ件数が約二千三百二十二万件となっております。

 また、同じ調査によりますと、ふるさと納税を募集する際に使途を選択できる団体は、全体の約九六%に当たる千七百八団体となっております。そのうち、具体的な事業を選択できる団体につきましては、全体の約二〇%に当たる三百六十団体となってございます。

 また、受入額実績及び活用状況につきまして、その両方又はいずれかを公表している団体は、全体の約九二%に当たる千六百五十三団体となってございます。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 受入額はやはりふえていっているということなんですけれども、豪華な返礼品がもらえて得だということで一挙に広まったという観点もあると思うんですけれども、定められた基準以上の返礼品、地場産業でないものを総務省が指摘し、これらもニュースになりました。

 ふるさと納税を募集するほとんどの地方自治体で税の用途も選択できるようになっていますけれども、これは九六%ですよね。きちんと受入額と用途を公表されているんですけれども、依然として受入額の実績も活用状況も公表していない自治体も六%あるということで、募集した以上、例えば額が少ないから、ゼロだからいいのではなく、できる限り公表すべきだと私は考えております。

 さて、話題の返礼品、各自治体はどう選んでいるんでしょうか。地場産品の定義についてお聞かせをいただきたいと思います。

開出政府参考人 いわゆる地場産品の定義でございますが、地方税法におきましては、当該団体の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものと規定をしております。

 その内容として総務省告示を定めているところでございますが、その告示の中で、例えば物品については、当該地方団体の区域内において生産されたものだけではなく、地方団体の広報の目的で生産された当該地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズその他これらに類するものでありますとか、市区町村が近隣の他の市区町村と共同で共通の返礼品を取り扱う場合等も地場産品に当たるとしております。

 これらの内容は、全国の地方団体に対して意見照会を行った結果を踏まえたものでございまして、創意工夫を行う地方団体の取組をできる限り反映したものとなっていると考えております。

大西(宏)分科員 恐らく、ふるさと納税に関してニュースになっているのが総務省と泉佐野市のバトリングみたいなこともありまして、泉佐野市はいわゆるグレーゾーンでアマゾンのギフトカードとかビールとかをやっておられたみたいなんですけれども、そのときは意外と、何か踏み代が甘いというか、全国でもそういうようなことがあったような気がするんですよね。

 他方、全国では報道されなかったかもわかりませんけれども、大阪でニュースになりました。チキンラーメンが復活したということで、池田市のチキンラーメンの復活返礼品ということでニュースになっていたんです。これは泉佐野だけじゃなかったと思いますけれども、返礼品の競争の過熱を受けて、令和元年六月に法律改正があって現場の産品の定義がまとまったわけでございますよね。

 チキンラーメンは池田市の市内で製造されておりません。隣の滋賀県とか各地で製造されているわけでございますけれども、日清食品の創業者である安藤百福氏の自宅は池田にありまして、朝ドラでもしていた内容で、朝ドラを見られた方はよくわかっていらっしゃると思うんですけれども、世界で初めてインスタントラーメンであるチキンラーメンが生み出された場所ということでございます。

 余談ですけれども、池田市にはカップヌードルミュージアムがあって、今、子供たちとかPTAの方々がよく行っていらっしゃって、関西では有名なんですけれども、自分でデザインしたオリジナルカップヌードルがつくれるなど人気の観光スポットになっております。

 池田市は、泉佐野市の騒動を見ていますと、現場の産品の基準に合わないから、自主的にチキンラーメンを返礼品から外すことを基本的に公表されました。しかし、チキンラーメンは返礼品として大変人気があったことも踏まえて、復活を求める市民運動、請願署名が約六千人分出てきたということで、市は総務省と調整して、新たな現場の産品基準の中、自治体の広報の目的で生産されたグッズに類するものみたいな感じで、返礼品を段ボール箱の中に詰めて、即席麺の発祥の地であることを強調するデザインに変更して復活にこぎつけたということで、これはもう正直言って、調整することに大きな意義があるように思うんですよね。

 だから、総務省も鬼じゃありません、いろいろなことを調整しながら、ネゴシも含めてやりながら、これがいいのか悪いのかというのを調整した結果がチキンラーメンの復活ではなかったかと思います。

 全国では、地理的な条件を始め、不利とか有利なところもあると思うんですよね。平等な返礼品の選定ができるようにお願いしたいと思うんです。

 また、ふるさと納税に取り組む自治体が多いわけでございますけれども、それぞれ、工夫している自治体、そうでない自治体があると思うんですけれども、他の地方自治体の参考になるような事例があれば、教えていただけますでしょうか。

開出政府参考人 ふるさと納税につきましては、例えば、使い道や目標金額を示しまして、その趣旨に賛同した方から寄附を募るいわゆるクラウドファンディング型の事例がふえてきております。

 例えば、北海道夕張市における夕張高校魅力化プロジェクトとして、地域課題を教材とした教育プログラムの実施や、寄附者の方を招待しましてその学習効果を発表する取組を行う、そういった事例でありますとか、山形県寒河江市における、病気の子供たちを預けられる病児保育施設を含む保育所、小児クリニックの建設に必要な費用を充てた事例などがあるというところでございます。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 確かに、クラウドファンディングというセッションってすごくいい話やなと思いますよね。何々をしたいから、これをふるさと納税を含めてクラウドファンディングをするということもいい話なんですけれども。

 先ほども申し上げましたとおり、池田市等々が、こういうアイデアがあります、総務省としてどうですかということで、いろいろ各都市のそういう意見とか考え方というのを相談に来ていると思うんですね。そういう相談を真摯に受けとめていただきまして、今後とも全力を挙げて、このふるさと納税、いいふうに進めていきたいと思うんですけれども、これは大臣、何か御意見がありましたら。ないですか、なかったらいいです。ということで、お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、もう一つ、大阪で有名な、いわゆる都構想、住民投票のことについて質問をさせていただきたいと思います。

 大阪市民を分断する悲惨な投票の結果、否決はされました。正直言って、その当時口げんかした人間といまだに仲たがいをして、一回も顔を合わせていない人も実際いらっしゃいます。こんなことが本当に日本であっていいのかなと思うぐらい憎しみ合うわけですよね。自分の町が分断されるとか再統合されるというのは、それほど大きなエネルギーが生じるんですよね。

 ことしの秋にも再度住民投票が今予測されています。もちろん我々自民党は、大阪都構想、いわゆる大阪市を廃止する住民投票については反対を申し上げるわけでございますけれども、二度目の住民投票がされる中で、衆議院選挙と重なったとき、秋ぐらいって言うてますから、もしかして我々の衆議院選挙とぶつかる可能性もあります。

 住民投票というのは、大阪だけではなくて、そのカテゴリーで、一致政党の人は、兵庫にしても和歌山にしても京都にしても、それで戦っていらっしゃるから、多少の各都市の影響もあると思うんですけれども、衆議院選挙については、そういう状況で、住民投票と衆議院選挙の日程が重なるということで、それはゼロではないんですよね。

 住民投票は、法的な規制が、制限がほとんどありません。片や、衆議院選挙は法律で規制をされておりますけれども、投票運動にほとんど規制のない住民投票と衆議院議員総選挙が重なった場合、どういう状況になるのか、お答えをいただきますようにお願いします。

赤松政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御指摘がございました公職選挙法による選挙運動、大都市地域特別区設置法によります住民投票のための住民投票運動、それぞれの法律によりまして、それぞれの法律の趣旨から、その運動につきましてはそれぞれの制限がなされているというものと承知をしてございます。

 それぞれの運動につきまして、その定義規定等もございますので、禁止規定についてはそれぞれ適用されるということになろうかと思います。

大西(宏)分科員 済みません、高市大臣、通告をしておりませんので、そろそろほかの分科会に回っていただいたらありがたいと思うので、どうぞ、御退室をしていただきますようにお願い申し上げます。

奥野(信)主査代理 どうぞ。

大西(宏)分科員 一瞬、今のお話、納得しそうな感じでもあるんですけれども、住民投票と選挙運動の線引きが非常に難しいですよね。

 この勉強会も、ちょっと一回させていただいたんですけれども、正直申し上げて、大阪の現場の警察の判断によることが非常に多くて、これが公選法違反である、公選法違反ではないというのは、そのときの状況状況によって違うからわかりませんというような感じに、そのときの話では、総論ですよ、その真ん中の過程はのいて、そういう話になったように思います。今回は、住民運動の中で、誰も正確に判断ができない状況の中で、もうぐちゃぐちゃな選挙になる可能性もあるんですよね。

 例えば、考えてみてください。投票所の前で、反対です賛成ですと言葉を入れたら、候補者が立って、投票所の前でずっと立っていることもできるわけですよ。

 住民投票、賛否を問う街宣車だったら、投票所の、その日に街宣車を回すこと、それも全国から、前回は街宣車が何十台、もしかして何百台かもわかりませんけれども、大阪市内に集結しました。そんなもの、さっぱりわからない。トレーラーに大きな画面をつけて、これはよくアイドルグループがやっているようなことなんですけれども、トレーラーに画像をつけてコマーシャルを流しながら回す。大小合わせて何台回ったかわかりませんけれども、この金額や、これは何十億かかったか、ちょっと私はもう忘れてしまいましたけれども、こんな状況の中で本当に衆議院選挙ができるか。

 それは不思議な状況になるのはもう見て明らかで、有権者も大混乱するのではないかなということを私は議事録に残せるようにこれは発言をしておりまして、改めてこれは意見として残していただきたいと思います。

 今国会でも第十次地方分権一括法案の審議が予定されています。私も先日レクを受けましたけれども、国は地方自治体にさらなる権限移譲を進めていっておりますよね。

 大阪都構想は、大阪市から大阪府に財源や権限を吸い上げることになるということなんですけれども、これは地方分権推進の流れに逆行しているんじゃないのかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 いわゆる大阪都構想は、大都市地域特別区設置法に基づき、住民投票を経て、大阪市を廃止して特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものと承知をしております。

 指定都市は、規模、能力が高いこと等から、都道府県との間で二重行政が生じやすいとの指摘があり、大都市地域特別区設置法は、大都市制度改革の一つとして議員立法により制定されたものであり、特別区を設置するかどうかを含め、地域の判断に委ねられているものと理解をしております。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 私は大阪市会議員を約十六年務めておりましたけれども、二重行政が何なのか、十六年やっていてもさっぱりわかりません、正直言うて。大阪都構想によって解消すると言われている問題は、大阪市にあるのではなく、実は大阪府にあるんですよね。大阪市を廃止したところで、その問題は解消せずに先送りされることもこれは考えておかなきゃいけませんし、橋下徹さんと以前、初めて知事に立候補したとき、私は自民党の青年局長をさせていただいて、議論を何時間も何時間もくくらせていただいたときに、二重行政の話もそのときに出ました。

 我々が二重行政だと言っていることというのはよく橋下徹さんもわかっていらっしゃって、その中で、都道府県をまとめて行う道州制について、橋下徹さんは賛成だとおっしゃって、道州制を進めていくにはどうしたらいいのかというのを議論をして、勉強会もさせていただいていたんですよね。

 例えば、舞鶴港が大陸においての入り口の一つになるから、大阪市は舞鶴港に資金を投資しなければならない、そして道州制としてひとつまとめていかなきゃならないということなんですけれども。

 これは改めて申し上げますけれども、大阪府に集約されて、そして大阪府が、もし道州制になると大阪府もなくなっちゃう。住民投票で大阪市がなくなって、大阪府がなくなるという、このことをどう考えるのかというのは、未来の人たちにこの負の遺産を残してはだめだということも踏まえて考えていかなきゃいけませんし、具体的なところも申し上げますと、人口の問題ですよね。

 現在、大阪市を四区に分割する案が出ておりますけれども、一区当たりの人口が大体六十万人から七十万人。これは、東京二十三区と比較すると二位から五位ぐらいの区の人口規模です。今より住民サービスが向上するということは言えないと思うんですよね。百歩譲って、今のままの住民サービスの水準を維持できるかどうかというのを、よく調べていらっしゃるので、お聞かせいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 指定都市にかえて四つの特別区を設置することに伴って住民サービスがどのように変化するかについては、なかなか一概に申し上げることはできないのではないかと思っております。

 大都市地域特別区設置法は、繰り返しになりますが、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けるということで、地域の判断で制度設計をしていただいて、導入するかどうかも含めて御判断いただくべきものと考えております。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 意外と、本当に賛成側のすり合わせが総務省はできていまして、びっくりするぐらい賛成側に回るような答えがいっぱいありまして、もうびっくりするんですけれども。

 大阪においては、各区の庁舎を置かずに、市役所を合同庁舎として使用するという案も出ているということで、こんなこと、一体誰のために大阪市を廃止して分割構想なのか、全く理解できないような案も出ているんですよね。

 大阪都と名称をしておりますけれども、法律の制定が必要です。更に再度これは住民投票が必要だと聞いておりますけれども、こんな莫大な費用がかかるということと、これも住民判断なのでしょうけれども、都という名称は首都であることを明記していると私は考えているんですけれども、地方自治を所管する総務省の見解を聞かせてください。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方自治法上、「地方公共団体の名称は、従来の名称による。」ものとされており、東京のみが都と称されておりますのは、沿革的な理由ということでございます。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 済みません、沿革的な理由、余りわからないですけれども。

 もともとこの日本の長い歴史の中で、都というのは都(みやこ)で、いわゆる今上陛下がおわす場所が首都であり、そこが国の中心、政治の中心であるということで、京都におわすときは京都が都(みやこ)で、東京に新政府が、明治政府ができたときに、江戸城に遷都されて王都になったということから、東京が都(みやこ)、東京都になる伏線ができたということで、もともと東京市だったというところも踏まえて、その中で、東京市が合併されて東京都になるというのは、戦中の本土決戦のための善処、対処でもあったという話も聞いているんですよね。

 前回の住民投票の際にもこれは申し上げました。だから、大阪都というのは、今上陛下もいらっしゃらない、皇太子殿下もいらっしゃらないところに何で大阪都という名前がつくのか、これは甚だ疑問にするところでもあります。そういうことも踏まえて、我々は今後考えていかなきゃいけません。

 その大阪市の廃止、分割。政令指定都市の方がよかったということになった場合、大阪市として再度政令指定都市に戻ることは可能なんですか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 現行法上、特別区を廃止し、その区域に新たに市町村を設置する手続は設けられておらず、大都市地域特別区設置法に基づき特別区を設置した後、特別区が市町村に戻ることはできません。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 これも賛成派が言うてるうそですよね。一回やって、だめなら戻す、こんなでたらめなことをずっと説明をして、今、例えば大阪府とか大阪市の説明にも書いていることが、賛成派に寄っているような文面内容でもあるわけです。そういうことも踏まえて、公正公平にやって住民投票をもう一回するんやったらいいんでしょうけれども、お金をかけて賛成に回れるような書類を公共が行って、それに対して住民投票を促す。本当にびっくりするほど、これは法律の不備のように思えるんですよね。

 当時、今の菅官房長官を含めて、大阪の国会議員を中心としてこの法律をつくったということなんですけれども、今じゃ、菅さん以外全員、おやめになっておられるか、落選をされておられることになっておりますけれども、もう一回、これは、本当に法律のつくり直し、不備の見直しというのは絶対必要やと思いますし、菅官房長官が賛成されるんだったら、横浜も、横浜都構想というんですか、やったらいいと思うんです。そういうことも踏まえて、我々自身は、私は反対したいと思っております。

 もう一度申し上げますけれども、友を割るようなこと、そして都市を割るようなこと、そういうことを、やはり政治の、選挙の、利用されて行うことについては改めて反対をさせていただきます。

 ちょっと早いですけれども、終わらせていただきたいと思います。

 この秋に行われるであろう住民投票について、できるだけ公正公平に行っていただきますようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 以上です。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

小倉主査 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、尾辻かな子君。

尾辻分科員 おはようございます。立国社の尾辻かな子です。

 総務省の皆さんに質問するのは初めてになります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質問に入ってまいりたいと思います。

 まず一つ目は、今、新型肺炎、新型コロナウイルスのことについて、まず一問お聞きしたいと思います。

 この新型コロナウイルス対策のかなめは、何といっても、もちろん厚労省は大事ですけれども、やはり地域の自治体や保健所、こういうところが本当に大事になってきます。特に今、かなりテレビや新聞報道がありまして、皆さん不安になっていらっしゃる。そういう方々は保健所などに電話相談をされていて、保健師が非常にハードワークになっているというふうにも聞いております。

 まず、高市大臣の方から、自治体における新型コロナウイルス対策、これは本当に十分になっているのかどうか、多分たくさんお話しされることはあるかと思うんですが、ちょっと時間の関係で簡潔にお願いできたらと思います。

高市国務大臣 総務省及び消防庁としましては、一月三十日以降、ずっと継続的に、全国の地方公共団体、消防本部に対して必要な情報提供を行っております。また、市区町村長の皆様に対しても、住民の皆様への情報提供をお願いしたいということで、政府の方で決まりましたことや、また連絡先ですね、相談センターの電話番号、所在地なども周知してほしいということでお願いをいたしております。

尾辻分科員 しっかりと、今、本当に国内感染期になるちょうどそのあたりかと思います。一人一人の皆さんにしっかり情報が届き、そして相談体制、しっかりとっていただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 やはり最近、災害や、そしてこの感染症対策、非常に自治体では優先順位が高くなっていきます。そのときに、やはり人手不足の問題が聞こえてくるんですね。こういう災害、感染症対策、必要な公務員数をしっかり確保しているということがやはりこれから非常に大事になってくると思いますので、指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 では次に、来年度予算にある地域医療構想の実現を図るための病床ダウンサイジング支援についてお聞きをしていきたいと思います。

 予算委員会でも質疑がありました、全額国費負担で八十四億円という非常に異例な状況になっております。そして、これは病床削減や統廃合に伴う財政支援として、一床当たりの病床稼働率に応じた額を交付するというふうにしておられますけれども、具体的には一体幾らぐらいを想定しているのかということについてお聞かせください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これまで地域医療構想の実現に向けた医療機関の施設又は設備の整備を行う際の支援につきまして、地域医療介護総合確保基金の病床機能推進事業というもので対応してまいりました。

 これがなかなか、病床の削減等に伴う過剰配置等による職員の処遇ですとか、あるいは医療機関の統合に当たっての残債務の処理などの課題への対応が困難であったということから、今回、地域医療構想を更に進めるために再検証を要請する上で、国としても一定の役割を果たすという観点で、令和二年度予算案に国が全額補助を行う新たな事業としまして、病床のダウンサイズや医療機関の統合を行う際の病床の削減規模に応じた支援、統合に伴って引き継がれる残債務について、新規に融資を受けて返済する場合に発生する利払い費に対する補助ということで、国費八十四億円を措置をするということにしたわけでございます。

尾辻分科員 それは私もやったので。

 じゃ、一床当たりの病床稼働率に応じた額、実際、詳細はどうなるでしょう、この八十四億円。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、地域での議論が進み、具体的なダウンサイジング等の取組を行う医療機関の動きが本格化することが予想される中で、実効的な支援を行えるようにということで、現在、調整をしているところでございます。

尾辻分科員 現時点で、じゃ、具体的な数字が出てこないということでしょうか。

八神政府参考人 具体的な詳細は今調整をしているところでございます。

尾辻分科員 地域医療構想実現のためにやっていくというのに、まだ詳細もわからなければ自治体に投げようもないかと思います。ですので、早急に、これはどういう中身なのか、金額なのかということを公表していただくように申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに、今回の新型肺炎などを見てもそうなんですけれども、第二種感染症指定医療機関というのは、多くが公立・公的病院なんですね。ですから、こういうダウンサイジングが地域の感染症医療の後退にならないのか、これはまた新たな論点になるかと思いますので、軽々に数字ありき、目標ありき、公表の出し方も非常に問題がありましたから、ここは慎重にやっていただくように要請をしておきたいというふうに思います。

 次に、同じく、ちょっと会計年度任用職員のことも少し確認をしておきたいというふうに思います。

 今年度予算で会計年度任用職員の施行に伴う措置というのが予算措置されております。その中で、公営企業分は四十八億円というふうにお聞きをしております。本当にこの金額で十分なのか、また、公立病院にいる非常勤職員などは把握しておられるのか、このことについて確認をしておきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公営企業の費用につきましては、基本的には料金収入で賄うことが原則でございます。その中で、会計年度任用職員制度の導入に伴います給与費等の増によりまして、病院や下水道などの事業におきましては、その性質上、一般会計が負担するものとされている経費に係ります繰り出し金の増加が見込まれるところでございます。

 このため、各地方公共団体における会計年度任用職員制度の導入に伴います繰り出し金の影響額を全国調査いたしまして、その結果に基づいて、地方財政計画の公営企業繰り出し金に四十八億円を計上したものでございまして、必要額を計上していると考えております。

尾辻分科員 私、これはちょっと必要額は十分じゃないのかなというふうに思うんです。

 いろいろな報道からも、会計年度任用職員、一時金を出す分、基本給が下がるとか、病院の赤字、黒字などもありますから、しっかり処遇改善分、手当てをいただきたいということ、これも要望しておきたいと思います。

 次に、きょう、マイナンバーカードのことについてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 まず、ちょっと大臣に基本的なことをお聞きしたいと思うんですけれども、今の現状のマイナンバーカードの取得率、交付率、どちらから見ても結構ですけれども、そしてこの取得については基本的に任意であるということですけれども、この部分、確認をさせてください。

高市国務大臣 マイナンバーカードですが、二月二十日の時点で約千九百五十八万枚、人口の約一五・四%の方に交付されています。

 このマイナンバーカードは、番号法第十七条第一項に基づき、住民の申請により交付することとされておりますので、その取得は任意でございます。

尾辻分科員 その任意であるマイナンバーカードが、国家公務員、地方公務員、教職員などに強制のように強く取得を勧奨しているということが指摘をされております。まず、一体どの範囲までこういう取得勧奨をしているのかということをお聞かせください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 公務員の本年度中のマイナンバーカードの取得推進につきましては、昨年六月に閣議決定されました経済財政の運営と改革の基本方針二〇一九等に盛り込まれておりまして、令和三年三月から本格実施されるマイナンバーカードの健康保険証利用等を着実に進めるため、政府を挙げて取り組んでいるところでございます。

 こうした政府方針を踏まえまして、国家公務員等の共済組合員、被扶養者、地方公務員一般行政部門の共済組合員、被扶養者、公立学校共済組合の組合員、被扶養者、警察共済の組合員、被扶養者に対しまして、各共済組合等を通じ、本年度内のマイナンバーカードの一斉取得を推進していると承知しております。

尾辻分科員 かなり幅広い皆さんにこういうふうな取得勧奨をされているわけですけれども、その理由が健康保険証のところで機能がマイナンバーカードに追加されるからということなんですけれども、今、その取得勧奨している書類などを見ると、共済組合の持っている情報を使ってカードの申込書にあらかじめ氏名や住所などが記載されている。また、先ほどおっしゃったように、被扶養者まで勧奨の対象となっているんですね。

 こういうような共済組合が持っている個人情報の使い方は許されるのか。どのような根拠規定をもとに保険者情報を使っているんでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法によりますれば、共済組合も含めて個人情報の取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たりましては、その利用目的をできる限り特定しなければならず、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないこととされております。

 また、一般的に、共済組合におきましては、短期の給付事業を実施するために必要な事務や組合員証の発行などの業務を行うことを個人情報の利用目的の一つとして定めているものと承知をいたしております。

 そこで、昨年の健康保険法などの改正によりまして、令和三年三月からマイナンバーカードの健康保険証利用が始まりますので、マイナンバーカードは、共済組合が今申しました短期給付事業を実施する際の本人確認と医療保険資格確認の重要な手段となることとなります。

 したがいまして、共済組合が、加入者である組合員や被扶養者の皆様のマイナンバーカードの取得を支援するために、住所、氏名などの個人情報をマイナンバーカードの交付申請書に印字することは、この短期給付事業の実施などに必要な事務として個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内であり、問題はないと考えております。

 以上です。

尾辻分科員 短期給付の決定、支払いのために、個人情報利用目的のこれは範囲内であるというふうにおっしゃっておられるわけですよね。これは本当なのかなと私は疑問に思うわけです。

 もう少しちょっと詳しく皆さんが何をされていたのかというのを追っていくと、国家公務員にこのような勧奨の事務連絡を出したのは令和元年七月三十日、地方公務員は六月の二十八日にこういうような事務連絡を出された。まず、これは合っていますか。

大村政府参考人 地方公務員につきましては、六月二十八日に最初の通知を出させていただいております。

尾辻分科員 国家公務員を答えられる方はいらっしゃいますか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員については、御指摘のとおり、令和元年七月三十日に事務連絡を発出しております。

尾辻分科員 実は、地方公務員と国家公務員の共済組合法の施行規程の附則、共済組合施行規則の附則、これを皆さん、変更されております。これがいつかというのは今出ますか。出なければ、私が言います。

大村政府参考人 済みません、ちょっと通告がなかったので、ここは確認しておりません。

尾辻分科員 地方公務員等共済組合法施行規程の一部を改正する命令は、去年の九月二十七日に出ております。内容は、組合は当分の間、電子資格確認に係る組合員及びその被扶養者の個人番号カードの交付の申請が円滑に行われるよう、必要な支援を組合員及びその被扶養者に対して行うことができる。これは九月二十七日です。国家公務員の共済組合法施行規則の一部を改正する省令の改正は、去年の九月六日。

 ですから、先ほど御答弁があった、いや、短期給付の決定及び支払いの共済組合の業務の中で適正ですよというならば、なぜ、この事務連絡を出した後に、九月になって、財務省令とか、こういうような細かいところを変えているんでしょうか。今お答えできますか。

大村政府参考人 申し上げます。

 その詳細な省令との関係について今回確認をしてきておりませんが、基本的に、今回の、先ほど申しました健康保険法、そして、あわせて地方公務員共済組合法、国家公務員共済法も改正しておりますけれども、オンライン資格確認ということで、共済組合の受給者の資格を確認する事務として、マイナンバーカードを使って確認するということを原則として規定をいたしております。

 そういう意味で、この法の規定によりまして、こういった共済組合の短期給付の事務として必要であるということを基本的に位置づけたというところでございます。

 以上でございます。

尾辻分科員 原則ということは、例外もあるということですから。ここの議論はちょっと今しませんけれども。

 これは私もいろいろ、勧奨するときになぜここまで強くできるのかということを調べていたんですね。皆さんからは全然、だから、こういうような状況で変えていったというのは出てこないわけです。

 これは推測ですけれども、結局、去年の七月三十日や六月二十八日に勧奨した、そしたら、勧奨された側から、なぜこういうような使い方ができるんだというふうに聞かれた、それで慌てて、九月二十七日や九月六日にこうやって省令を変えたり施行規程を変えたりしたんじゃないかという、本当にちぐはぐな順番じゃないのかと思うんです。

 よく読んでみると、実は、この施行規程や施行規則の改定は遡及適用をしているんです。公布日から適用という形で、本来、公布日は五月二十二日ですから、そういう形でこっそり規則を変えて、つじつま合わせをして、私が事前に聞いてもこういうことは出てこないわけで、こういうやり方というのは、私、これは非常に順番的におかしいんじゃないですかということを、まず問題提起をきょうはさせていただきたいというふうに思います。

 どうですか。この順番、おかしくないですか。

大村政府参考人 お答えします。

 御指摘のその省令等の関係について、先ほども申しましたように、事前通告がなかったので詳細は確認してきておりませんが、基本的にそういったつじつま合わせをしたような事実は全くございませんので、私ども、法令の規定に基づいて、個人情報保護法そして共済組合法等の規定に基づいて適切に対応しているものと考えております。

尾辻分科員 時系列というとこういうふうになっているというのは事実ですので、申し上げておきます。

 さらに、国家公務員のことについて聞いていきますけれども、一人一人に交付状況とか申請状況を紙で聞いて、名前を書かせて、交付申請、交付を行わないならその理由、さらに被扶養者にまで、交付を申請するのか、交付を行わないならその理由までを聞いている。これはさすがに勧奨という域を超えた、広義の強制的というふうに言わざるを得ないような状況だと思います。これについてはいかがでしょうか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員のマイナンバーの取得でございますけれども、これは骨太の方針二〇一九におきまして、令和三年三月から本格実施されるマイナンバーカードの健康保険証利用を着実に進めるため、国家公務員や地方公務員等による本年度中のマイナンバーカードの取得を推進するとされたところでございます。

 御指摘いただきましたアンケート調査につきましては、この閣議決定に基づきまして、国家公務員のマイナンバーカードの取得促進策の一環として、マイナンバーカードの取得について現況をしっかり確認をするとともに、取得の勧奨を効果的に実施していくことを目的として実施したものでございます。強制ではございません。

 理由の記述をお願いをいたしましたことにつきましても、あくまでもマイナンバーカードの取得促進策を効果的に実施していくための参考とするため、理由の記述をお願いしているものでございます。

尾辻分科員 所属部局、名前を書かせて、交付申請を行わない場合は理由欄まである。交付申請はオンラインか共済組合の交付申請書か上記以外の方法で行うとか、これを被扶養者にまで聞いているというのは、全くとしてこれは強制的で、今おっしゃったような協力を依頼しているという限度を超えていると思うんです。

 逆にお聞きしますけれども、これは任意で、別に返さなくてもその人の不利益には全くならないということでよろしいですか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 これは任意でございます。

尾辻分科員 私が持っているのは十月末時点なのですが、これ以降、同じようにまた、健康保険証として使えるようになるから、同じようなアンケートをする予定はありますか。

宇波政府参考人 現時点ではございません。

尾辻分科員 これは私、やり過ぎだと思いますよ。ですから、こういうやり方は厳に慎んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 さらに、じゃ、総務省さんの方で、どういう形で、総務省の中の職員さんのマイナンバーカードの取得状況がどういうふうになっているのか。

 ちょっと、私、いただいた資料がありまして、総務省さんの中の部局ごと、局ごとに、組合員の人数、マイナンバーカードの取得の保有率、また、申請しないという人の数、被扶養者の方の、保有済みとか、申請しないとか、そういうようなことを一覧にして一枚の紙にまとめているものがあるんですね。

 これはちょっと、私の聞いた範囲なので事実かどうか確認したいんですけれども、こういうのを課の全ての人にメールなどで配られて、共有されているという話を聞いております。これは事実でしょうか。

横田政府参考人 総務省におきましては、総務省共済組合の組合員とその被扶養者のマイナンバーカードの取得状況について省内で共有をしているという事実はございます。

 これは、取得状況につきまして、各局が集まる連絡会議がございます。この場で各局に周知をいたしまして、各局の担当者がその局内の職員に周知をしております。

 ただ、各局が全員に周知しているかどうかという点につきましては、これは各局の判断にお任せをしておりまして、結果的に見るとまちまちでございまして、全職員にメール等で周知している部局もあれば、そうでない部局もあるというのが現状でございます。

尾辻分科員 このように、局によって、課によって違う、ばらばらですけれども、共有しているということなんですけれども、こういう表を見せられた人は、何というか、もう任意の枠を超えていると思うんですよね。

 留意事項にはこう書いてあります。令和元年十二月時点で、五十一部局等中、三十部局等において、マイナンバーカード取得済み又は交付申請済みの職員が一〇〇%を達成している、つまり、一〇〇%を達成しているところをわざわざ例示しているわけですよね。「一〇〇%に満たない部局においては、1局内連絡会議等を活用した更なる周知・勧奨、2希望者への交付申請書の発行支援などを実施し、本年度中の達成に向けて、なお一層の努力をお願いします。 被扶養者の取得率が職員本人と比較して低い状況となっているので、被扶養者の取得勧奨についても一層の努力をお願いいたします。」

 つまり、ここで例えば一人だけ申請していない人がいれば、その一人はわかるわけですよ。扶養者になっても、一人だけとかわかるわけです。そうしたら、これは同調圧力の中で、おまえ一人がやっていないために一〇〇%にならないじゃないかということがみんなにわかるわけです。

 こういうやり方を本当に強制じゃないと言えるのかということです。これはいかがでしょう。

横田政府参考人 今御指摘のように、取得状況は共有をしておりますが、これは、今後、それぞれの部局が取組を推進するに当たって、省内でどうなっているかという状況を参考にしていただくために行ったものでございます。

 これによりまして、お一人お一人、個々の取得状況が明らかになるものではございませんし、また、カードの取得を強制するものでもございません。あくまで参考としてお知らせするものでございますので、我々としてはそういうふうな形で取り扱っております。

尾辻分科員 せめて共有状況をもう少し限られた人にするとかしていただかないと、だって、自分だけが申請していないということがわかってしまう資料になるわけですよ。ですから、これの共有のあり方をちょっと見直していただけませんか。

横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、各部局とはそういう全体の会議の中で共有をいたしております。各部局は、それぞれの判断において、一定のところまででとどめておるところ、それから全員に周知しているところ、まちまちでございますので、ここはそういうふうな形で、あくまでも強制ではないということで参考的な情報を提供しているだけだというふうに我々は考えてございます。

宇波政府参考人 大変申しわけありません。

 先ほどの答弁申し上げましたこと、通告がなかった質問で大変失礼いたしました。修正させていただければと思いますけれども、今後の調査の予定につきましてでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、本年度中のマイナンバーの取得を推進するというふうにされておりますので、その取得の状況につきましては定期的に調査をして、取得状況の確認、これはあくまでも勧奨のためでありますけれども、確認する調査を実施する予定でございます。

 大変失礼いたしました。申しわけございません。

尾辻分科員 ということは、先ほどのような、一人一人に名前書いて、部局書いて、交付申請を行わない理由を書かせるのをまだやるということですか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な調査の方法につきましては、所管する内閣官房それから総務省とも相談しながら進めてまいりたいと思います。

 今、具体的にどういう形でやるかということは決めていないんですけれども、取得の推進をする、勧奨をする、そのために有効な方策をどのようにつくっていくかという観点から今後検討してまいりたいというふうに考えます。

尾辻分科員 任意であるという建前と実際にやっている調査が全くとして整合性がとれていない。外形的にはほとんど強制に近いような勧奨がなされているというのは、これは非常に私は問題があるというふうに思いますので、ぜひ、ちょっとやり方を見直していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、マイナンバーカードの発注と在庫状況についてもお聞きをしていきたいと思います。

 いろいろ報道等を見ると、現在までの入札の状況は、二〇一五年度に一千五百万枚の入札を実施して、現在までに約二千九百十万枚を発注している。一千二百万枚ほどが余っているけれども、更に五千五百万枚追加入札をしているというふうに報道されています。

 何万枚発注して、何枚が使用されて、何万枚残っているのかということについてお聞きしたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 マイナンバーカードにつきましては、カードの発行主体である市町村から委任を受けた地方公共団体情報システム機構が調達を行っておりまして、カードが不足しないよう、毎年度の国の予算を通じて、昨年度までに三千万枚が調達されたところでございます。そして、二千万枚弱が既に発行されているということでございます。

 その上で、国民がマイナンバー制度のメリットをより実感できるデジタル社会を早期に実現するため、マイナンバーカードの普及等を図るべく、令和元年六月のデジタル・ガバメント閣僚会議におきまして、マイナンバーカードの普及についての方針が決定されております。

 この方針では、マイナポイントによる消費活性化策、マイナンバーカードの健康保険証利用を始め普及策が盛り込まれておりますが、令和四年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを想定して、各種取組を進めることとされております。

 これに対しまして、マイナンバーカードのもととなるICカードの国内の製造能力には限りがございまして、また、発注から納品まで一定の期間を要するということでございまして、地方公共団体情報システム機構としては、政府方針を踏まえ、今後のマイナンバーカードの需要が急激に増大することとなってもカードの発行に支障が生じることのないよう、このたびの五千五百万枚の調達を行ったものと承知をしております。

 以上でございます。

尾辻分科員 だから、今、計八千五百万枚あるわけですよ。今、交付枚数は約二千万枚、つまり六千五百万枚も余っている状況なんです。これはちょっと余りに過大な入札じゃないかということを指摘をしておきたいと思います。

 ちょっと時間が来ましたので、在留カードとマイナンバーの一体化利用についてはまた今度お聞きをしたいと思います。

 結局、マイナンバーカードというのが、便利だったらみんな本当はとるわけですよね。にもかかわらず、その便利になるという本当の動機づけがないままに勧奨が行われている。さらには、マイナポイントで、五千円ポイント還元とかで二千億円もこれからお金を使うとか、これはちょっと本末転倒じゃないかというふうに思います。

 これから、ちょっとマイナンバーカードのあり方についてはいろいろ、まだまだ聞きたいことがあります。また次回聞かせていただきたいと思います。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

小倉主査 これにて尾辻かな子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小倉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。左藤章君。

左藤分科員 自民党の左藤章でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは通告をしておりませんでしたが、きょう、新型コロナについて、閣議決定、いろいろ国の方針が出たと聞いております。

 東京都なんかで、ちょっと事例として、感染症の緊急搬送をするときに、都はわかっていても市区町村の方に連絡が悪くて、緊急搬送がちょっと断られたというような例がございます。これは、総務大臣、全国同じ傾向があるので、都道府県と市区町村との連携をしっかり指導していただければと思いますので、一言お言葉をいただければと思います。

高市国務大臣 一月三十日以降、総務省及び消防庁から、全国の地方公共団体及び消防本部に対して必要な情報提供は行ってきております。ただし、今後、やはり患者だと思われる方が直接一一九番をされるというようなケースも出てまいると思いますので、都道府県知事及び市区町村長に対しまして通知を発出いたします。

 きょう、官邸で今し方決定されたばかりの対策の内容も添付をした上で、特に公立病院が大体感染症病床の約六割を担っておりますし、地方財政措置も続けてまいりましたので、まずは公立病院の有効な活用、そして感染症病床以外の病床も必要になってくる可能性もありますので、こういったことの検討も含めて、消防、保健所、そして自治体、そしてまた自治体の財政部局などの連携をよくしていただく、また、都道府県と市区町村の連携をよくしていただく、こういったことも含めて、ちょっと多様な内容になりますが、救急搬送や、患者さん、また市民の、住民の皆様への情報提供についても、改めて通知を発出することといたしました。

左藤分科員 ありがとうございます。

 ぜひひとつ、国民が安心できるように、また、連絡網をしっかりつくっていただいて対応していただければ、このように思います。

 大臣、お忙しいと思いますので、御退席していただいて結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

小倉主査 それでは、大臣、御退席いただいて結構です。

左藤分科員 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 NHKさんにお伺いをしたいと思います。

 NHKの国際放送は、二〇〇九年二月にNHKワールドTVが二十四時間放送になりまして、また英語化率も一〇〇%になっています。私もたまに聞くと、すごい英語のうまい人がやっていただいているので、よくわからない私でもわかりやすいという、すばらしいなと思いながら聞いております。

 これは十年以上も世界に発信をされてきていますけれども、私も、日本の姿を海外に知らせる国際放送の必要性というのは非常に大切だ、このように思っています。

 このNHKの国際放送、現在はNHKワールドJAPANという名称ですが、視聴可能な国の数、視聴可能な世帯数は、テレビ国際放送スタート以来、現在までどのように推移をしているのか、また各国の首都には視聴可能になっているのかをお答えください。

木田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二〇〇九年二月から、外国人向けテレビ国際放送が二十四時間の英語チャンネルとしてスタートしました。それと相前後して、二〇〇八年から、海外の地域向け衛星のチャンネルの借り上げや各国のケーブルテレビなど、より簡便に視聴していただける環境の整備に努めてまいりました。

 その結果、二〇〇八年四月には十余りの国・地域の七百万弱であった受信可能世帯は、五年後の二〇一三年三月には約百三十の国・地域のおよそ二億四千五百万世帯となりました。また、直近の二〇二〇年一月時点では、約百六十の国・地域の三億八千万余りの御家庭でごらんいただけることができるようになりました。

 現在は、各国の首都を含む世界の主要な都市で衛星やケーブルテレビなどを通じてごらんいただくことができます。また、大型のパラボラアンテナを設置することが可能であれば、広域向けの衛星から直接受信して視聴いただくことも可能です。

 また、インターネットの普及や利用習慣が世界で急速に広がる中、放送に加えてウエブサイトやアプリ、ソーシャルメディアを活用していくことが、国際放送をより身近にお届けできる上で欠かせないものとなっています。

 限りある経営資源を有効活用して、国や地域の特性に応じて効率的、効果的な発信に努めてまいりたいと思っております。

左藤分科員 ありがとうございます。

 私ども、よく海外に行きます。十年以上前からもうそうなんですが、実はヨーロッパへ行ってまず見るのは、NHKのワールドを捜すんですね、国際放送。そうしたら、ショックだったのは、中国の映画を一生懸命やっていて、あれ、出ている文字も北京語で出てくるし、これは日本の国の放送なのか中国の宣伝をしているのかよくわからない、こういう状態でありました。本当にショックだったんですね。

 やはり日本のNHKは、日本がどうなっているのか、また、日本の姿を海外の人に伝えるのが私は責務だと思っております。日本を海外に、正しく、深く理解して、日本や日本人のすばらしさを知ってもらって、日本ファンを多くつくるために今は大切なツールにもなると思いますね。

 そういうことで、今、現在の国際放送では、日本を取り上げている番組と海外の話題を取り上げた番組があると思いますけれども、どのような編集方針で番組編成をなさっているのか、そして、更に見てもらうためにNHKとしてどのような取組を行っているのか、お答えをお願い申し上げます。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKは、海外に向けた情報発信に力を入れることを経営計画の重点方針として掲げ、特にこの十年、外国人向け国際放送の充実に取り組んでまいりました。昨年度は、日本発の公共メディアであることをより広く世界にアピールするため、NHKワールドJAPANというふうに名称を変更して、さらなる強化を図っております。

 国際放送につきましては、国際番組基準で、「諸外国のわが国にたいする理解を深め、国際間の文化および経済交流の発展に資し、ひいては国際親善と人類の福祉に貢献する」というふうに定めており、この基準に従って実施しております。

 ニュースでは、日本国内で起きている事象を中心に、海外の主要な出来事についても日本との関係や日本の視点を重視して伝えるなど、日本の公共メディア、NHKならではの報道に努めております。

 また、ドキュメンタリーや紀行、食、文化、先端技術など、多彩なジャンルのおよそ六十の番組を発信しておりまして、日本の実情や魅力を取り上げており、日本を多角的に知っていただけるよう工夫しております。

 さらに、今後の取組としましては、先ほど申しましたように、インターネットの普及や利用習慣が世界で急速に拡大しております。放送に加えて、ウエブサイトやアプリ、ソーシャルメディアを活用していくことが国際放送をより身近にお届けする上で欠かせないものとなっております。

 また、英語によるテレビ国際放送のライブストリーミングに自動翻訳機能を用いた多言語字幕を付与するサービスを本格的に実施するなど、英語を母国語とする方以外に見ていただくために多言語化の取組も強化したいと考えているところです。

左藤分科員 ありがとうございます。

 ぜひひとつ、多言語化も含めて、世界に発信するNHK、NHKはどこの国かわからない、ジャパンということでございますので、しっかり日本を売り込んでいただければ、このように思います。

 あとは、NHKさん、結構でございます。

小倉主査 それでは、NHKの木田専務理事、御退席ください。

左藤分科員 それでは、総務省にお伺いをさせていただきたいと思います。

 放送業者が放送番組を制作する際に、特定の政治的な見解のみを取り上げたり、出演者が極端に偏るなど、特に関西の民放で最近その傾向が激しくなっています。政治的に公平性が損なわれるようなことはならないと私ども思いますけれども、総務省の見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法は放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送番組は、そのもとで、放送事業者がみずからの責任において編集するとされております。

 一方、放送法第四条には、放送事業者が守るべき編集を、以下の事項によらないとならないといたしまして、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というのがございます。

 この放送法第四条に規定する政治的公平を確保しているか否かは、まずは放送事業者がみずから判断するべきものでございますけれども、放送事業者は、放送の有する公共性や社会的影響力の大きさを十分に認識をして、今御指摘のございました政治的公平を含め、放送法の規定に従い、適切な放送に努めていただきたいと考えております。

左藤分科員 私、地元が大阪なんですけれども、都構想を含めたいろいろな問題が論議されています。それで、偏った、片一方の方の御意見だけを流されると、やはり間違った判断になってもらっても困りますので、公平公正にやっていただくようにひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、かんぽの問題について質問をさせていただきたいと思っております。

 昨年、私もNHKの番組でかんぽ生命の関係する番組を見ました。いろいろな不祥事のことが出ていました。その後、会社の方もチェックをしたり、いろいろなことがあったと思いますが、大変な不祥事でございます。

 これを受けて、残念ですが、三人の社長さんと役員も含めて退任をし、新たに現在、日本郵政では増田寛也社長、日本郵便では衣川和秀社長、そして、かんぽ生命保険では千田哲也社長というのを新しく選任され、しっかりと対応しているだろうと思いますけれども、この事情の調査を、どのように対応して、いつまでに収束をし、我々に報告ができるのか、お答えをお願い申し上げたいと思います。

加藤参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月から実施しております契約の理解に関する特定事案調査につきましては、一月末時点で、対象のお客様の九八%、十五・四万人に御案内が終わっておりまして、御意向に沿わず契約復元等を御希望されるお客様に対しては、お客様の御都合による場合を除きまして、ことし三月末までに契約復元等を完了する予定としております。

 また、募集人調査により、法令違反等の有無の判定についても、原則この三月までに判定を完了させる予定としております。

 特定事案以外でも、全御契約調査等を実施しておりまして、その中で御不満や御意見をいただいたものに加えまして、多数回にわたって契約の消滅と新規契約が繰り返されている多数契約や、お支払いいただく保険料が高額となっている契約など、約六万人のお客様を対象に深掘りの調査をこの二月から実施しておりまして、六月末を目途に御意向確認を進めて、問題がある場合の不利益解消を図ってまいる予定としております。

 以上でございます。

左藤分科員 ありがとうございます。

 六万人の調査も早急にやっていただいて、我々、郵政を信用する人たちに安心を届けていただけるように、ひとつぜひ努力をお願いしたいと思います。

 更に一つ質問ですが、今回の問題が起きた原因はどのようなものかという分析をなさっていると思いますが、いかがでございますか。

立林参考人 お答え申し上げます。

 特別調査委員会の報告書や総務省及び金融庁からの業務改善命令におきまして、今回の要因と原因といたしまして、目標必達主義に見られるような組織風土、営業推進管理の仕組み、募集管理体制、ガバナンス等の問題点を指摘されてございます。私どもも同様の認識でございます。

 以上でございます。

左藤分科員 何が原因かというと、私は、一つは、外務員も不足をしておりますし、毎年課せられる新規の契約数、これは年間三百万と聞いていますが、こういうノルマがやはり無理があったんじゃないかな、このように思います。

 そして、残念ながら、郵政は民営化されたといいながら、民営化とは思えないぐらい経営の自由度というのはないですね。限度枠の問題もありますし、かんぽの方でもいろいろな、売ろうとする商品、なかなか認めてもらえない、こういう大きな問題がありながら、さあ、ノルマだけしっかりやれ、こう言われても大変無理だと思います、私はこのように思っている。

 だから、郵政の職員から見ればもう本当に大変なことだと私は認識しておるんですが、このように私は思いますが、その辺に対する見解はいかがでございますか。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

立林参考人 お答えを申し上げます。

 保険の外務員の不足という問題、御指摘をいただきました。特別調査委員会が公表されました報告書におきまして、営業目標額が、本社から支社、郵便局及び個々の保険募集人に配算される過程で、一部の保険募集人にとって達成が困難なものになっていたというふうな指摘をいただいてございます。私どもも同様の認識でございます。

 営業目標を検討するに当たりましては、これまでの営業実績や渉外営業社員数なども考慮して設定をしてまいったところでございますけれども、結果といたしまして営業目標が依然として高い水準のままであったということが、今回の問題の主要な要因の一つであったというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

加藤参考人 御指摘にありましたように、かんぽ生命の加入限度額や商品規制につきましては、保険業法に加えまして郵政民営化法により上乗せ規制が課せられておりますが、私どもとしましては、与えられた規制枠組みの中で最善を尽くすことが経営の役割であると認識しております。

 当面は、信頼回復の活動に、最優先に全社を挙げて取り組んでいくこととしますが、規制のあり方については、今後、規制緩和が進み、経営の自由度が高まれば、長生きリスクの保障や多様化するお客様ニーズに沿った商品の開発などを通じて、お客様サービスの向上、それから企業価値の向上につなげていけることを期待しているところでございます。

左藤分科員 今お話ありましたように、我々もしっかりと、その限度枠を含めた、また、いろいろな商品に対する認可の問題、しっかり努力をしていかなきゃならないなと改めて思っているところでございます。

 また、現場の社員が、この不祥事について、非常にモチベーションが下がっているんですね。そしてまた、皆さん方、いろいろなお話をして対応するときに、やはり現場の職員の気持ちをしっかり真摯に受けとめていただきたい、このように思います。また、お客様からの信頼回復に向けて、社員教育等再発防止、これをどのように取り組むのか、お答えをお願い申し上げたいと思います。

立林参考人 お答え申し上げます。

 今般のかんぽ商品の営業停止ということで、お客様や関係の皆様に対しまして御心配と御迷惑をおかけしているところにつきましては、改めて深くおわびを申し上げるところでございます。

 また、今回の営業停止を受けましてフロントラインの局長や社員のモチベーションに低下が見られるというところにつきましても認識をしており、重く受けとめているところでございます。

 今回の行政処分を真摯に受けとめまして、次のステップに進むためにも、この一月から三月までの三カ月は非常に重要であるというふうに考えております。

 業務改善計画に記載いたしました再発防止策の徹底や社員研修等を通じまして、内部管理体制の強化とお客様本位の営業体制を進めてまいります。その上で、郵便局社員と本社役員等との意見交換などを通じ、局長や社員の皆様の声に耳を傾け、風通しのよい組織をつくることができるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思ってございます。

 以上でございます。

左藤分科員 ありがとうございます。

 ぜひひとつ、そういうことで、しっかりと意思疎通をしながら、一致協力をして郵政を立て直しをしていただければ、このように思います。

 ちょっと、きょう朝、朝日新聞に、見てびっくりしたんですけれども、「郵便局長 内部通報者捜し」、こういう話が出ています。

 ちょうどこの前まで内閣府で消費者庁の副大臣をやっていましたので、内部通報制度に対する民間事業者向けガイドラインというのがあるんですけれども、また、今国会で公益通報者保護法の一部を改正する法案というのを提出することになっています。つまり、内部通報イコール悪じゃなくて、いろいろなものをしっかり立て直そうという人たちの思いを持って、それを守ろうというのがこの法律なんですけれども、こういう新聞に出ていることが事実ならば、これはちょっと私はコンプライアンスとしてどうなのかというふうに思います。

 これが事実かどうかが、私らはこの新聞だけでははっきり判定はできませんけれども、ぜひこの辺に対してのきちんとした調査をしていただいて、しっかりとした内部通報に対する保護法をしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

立林参考人 お答え申し上げます。

 日本郵便の内部通報制度におきましては、原則といたしまして全ての案件について調査の対象としてございます。通報内容が具体性に乏しい場合は更に追加情報を求める等、厳正かつ適正に対処してございます。ございました民間事業者向けガイドラインに沿った運用をしているところでございます。

 内部通報につきましては、通報者の秘匿性の担保を最優先としてございます。通報内容によりましては通報者が特定されるおそれがある、こういった場合には、通報者に意向を確認し、通報者の意向に沿った調査をしております。通報者を特定する行為は禁止をしてございまして、研修等で社員指導、周知を行っているところでございます。特定する行為等の事実があった場合につきましては、厳正に対処をしております。

 今後とも、あらゆる機会を通じまして、内部通報の信頼性向上のため、社員指導、周知を行い、安心して通報できる環境整備に取り組んでまいりたいと思います。

 本日の新聞記事の事実関係につきましては、事実関係の有無も含めまして、通報者の個別事案の内容につきましては、秘匿性の観点から回答することができませんことを御承知いただければと存じます。

 以上でございます。

左藤分科員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。

 それでは、郵政の方、もう結構でございます。

奥野(信)主査代理 郵政のお二人、どうぞ御退席ください。

左藤分科員 地方交付税についてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 実は、日本私立中学高等学校連合会が作成しております都道府県による私立高等学校等経常費助成の生徒等一人当たりの単価というのがあります。この一覧表があるんですけれども、それによると、例えば、平成三十年においては、高等学校の一人頭の国の財政措置、これは国庫補助単価プラス地方交付税単価を足したものでございますが、三十三万一千八百六円で、都道府県の平均単価は三十四万五千七百五十円となっていますが、私の地元の大阪は、一人頭三十万八千二百円となっております。高校で、だから、二万三千六百六円マイナスになっている。

 また、中学校についてはどうかというと、同じようなことで、マイナスが六万八百四十五円になっています。また、小学校においても、マイナス九万二千十一円になっています。

 これは、我々は、正直言って、文部科学省とともに私立の学校をしっかり応援しようということで、予算措置をしていただいておりますけれども、地方交付税として来ます、結果的にはそれが学校の方に行っていない、こういうことになっています。これはいかがかなと非常に地元からクレームが出ているし、また、ぜひ何とか是正していただきたいという話が出ています。

 確かに、都道府県知事にはそういう裁量権があるわけですが、これはやはり問題ではないか、このように思いますので、総務省の見解を伺いたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県が行います私学助成に要する経費につきましては、私立学校の生徒等の数に一人当たりの単価を乗じて基準財政需要額を算定しております。この一人当たり単価でございますけれども、国庫補助の単価の伸び率の状況等を踏まえ、標準として設定をしているものでございます。

 でございますので、どの程度の単価で助成するかは、お話にもございましたけれども、地公団体の判断となりまして、各都道府県の私学助成の額につきましては、議会の議決を経て予算で定めることとなります。そのため、お示しいただきましたように、実際の単価は、交付税単価を上回っているところもあれば、下回っているところもあるという状況でございます。したがいまして、各都道府県で十分御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 国といたしましては、地方交付税につきましては、地方交付税法の第三条の第二項におきまして、「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」とされているところでございますので、御理解賜りたいと存じます。

左藤分科員 確かに各都道府県の問題ではありますけれども、我々にとってみれば、非常に頑張っていても寂しい思いをしていることも事実であります。

 それでは次に、住民投票運動と選挙運動の規制についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 大阪で十一月一日に、大阪市を解体し特別区をつくるという、いわゆる都構想についての住民投票があると言われています。

 ところが、住民投票法と我々の公職選挙法とは全然違うわけですね。この前の住民投票のとき、日曜日の日、投票日ですね、旗を持って賛成と、我々は反対ですけれども、やっていた。

 こうなると、実際、万が一、万が一ですよ、同時に選挙になった場合、ぐちゃぐちゃになってしまって、取り締まる方もわからないだろうし、我々自身もどこまでやっていいのかわからない、大混乱になると思います。

 そういう面で、ぜひひとつ、選管、そして取り締まる警察の方、これに対してのしっかりとした指導、こういうのをやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

赤松政府参考人 御指摘の大都市地域特別区設置法に基づきます住民投票と公職選挙法の関係についてでございますが、住民投票運動は、一般的に政治活動に該当するものというふうに解されております。

 公職選挙法の規定について申し上げますと、公職選挙法二百一条の五の規定によりまして、選挙の期日の公示の日から選挙の当日までの期間に限り、政党その他の政治活動を行う団体は、ビラの頒布やポスターの掲示などの一定の政治活動が禁止をされているところでございます。

 したがって、政党その他の政治活動を行う団体が行う住民投票運動についても、選挙期間中は公職選挙法二百一条の五の規定による制限を受けることになります。

 また、御指摘のように、選挙運動、住民投票運動については、公職選挙法あるいは大都市地域特別区設置法におきまして、それぞれの観点からの規制がなされているというところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、関係機関や各選挙管理委員会からの法の解釈等についての問合せがある場合については、適切に助言を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

左藤分科員 ありがとうございました。

 それでは、最後に質問させていただきたいと思います。大阪府の話で申しわけないですが、府を都にするという名称変更についてでございます。

 大都市法十条に、特別区を包括する都道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律、またこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみなすと規定されております。

 この第十条を根拠に、大阪府を大阪都に名称変更することの是非を問う住民投票を新たに実施し、さらに、賛成多数となれば大阪都への名称変更が可能であると一部で言われておりますけれども、まず、これについての総務省の見解を伺いたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方公共団体の名称については、地方自治法第三条の規定により、都道府県の名称を変更しようとするときは法律でこれを定めることとされております。

 大都市地域特別区設置法は、道府県の区域内に特別区を設けるための手続等について定めた法律であり、道府県の名称について特段の規定は盛り込まれておらず、仮に同法に基づき特別区が設置することとなった場合においても、大阪府という名称が変更されるものではございません。

左藤分科員 ありがとうございました。

 当然、その是非を問う住民投票の前に国会で法律改正をする必要があるんだろうと聞いておりますけれども、府が都になって何がどう変わるのか、我々にはちょっと意味がわからない。ただ名前が変わるだけだなということと、もう一つ、実はこれは住所変更ということになります。これは、個人もそうです、会社も団体も、いろいろなところが、これは大変な時間と、金銭等も負担が多くかかると思います。これについての御見解はいかがでございますか。

奥野(信)主査代理 赤松選挙部長、時間が来ていますので、なるべく短く。

赤松政府参考人 御答弁申し上げます。

 名称変更で何が変わるかということでございますが、都道府県の名称変更は、国民生活に大きな影響を及ぼすものでございます。

 また、大阪府の役割、事務という点につきましては、やはり名称変更する際の法律の定め方によるのではないかというふうに思います。

 以上でございます。

左藤分科員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

奥野(信)主査代理 これにて左藤章君の質疑は終了いたしました。

 次に、早稲田夕季君。

早稲田分科員 それでは、予算の第二分科会の方で質問させていただきます。

 立憲民主党の早稲田夕季でございます。よろしくお願いします。

 まず、この間の新型コロナウイルス感染症対策について、経済の落ち込みに対する経済政策も含めて伺いたいと思いますが、このお昼にちょうど、新型コロナウイルス感染対策の基本方針というのが対策本部の方で決定をされておりますので、これについてまずは伺わせていただきたいと思います。

 今回の新型コロナウイルス感染症につきましてですけれども、今、昨日現在でこの感染が確認された方が八百五十人と、これはクルーズ船を含めますけれども、大変多数の方が感染をされている事実がございます。

 その中で、この基本方針が出たわけですけれども、この中では、「感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、」というような表現になっておりまして、「大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではない。」となっておりますけれども、この言いようですと、まだ初期の段階か、全国各地に散らばってはいるけれどもというような、そんなニュアンスがとれるわけですけれども、この基本方針において、それでは、政府として、今の状況が以前の初期の段階から、私は市中感染期に入っていると思いますけれども、その辺のお考えがいかがなのか、伺わせていただきたいと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の基本方針でございますが、新型コロナウイルスをめぐる現在の状況を的確に把握し、国や地方自治体、医療関係者、事業者、国民が一丸となって新型コロナウイルス感染症対策を更に進め、現在講じている対策と今後の状況の進展を見据えて講じていくべき対策を現時点で整理し、総合的にお示しするため、先ほど、政府対策本部について基本方針を取りまとめたものでございます。

 この基本方針におきましては、国民に対する正確でわかりやすい情報提供や呼びかけを行う、それから、この時期が感染の早期終息に向けて重要な時期であり、強力な感染症防止策を実施していくこと、それから、今後の患者の増加に備えて、重症者対策を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整備すること等を盛り込んでございます。

早稲田分科員 いえ、今私が伺ったのは、市中感染期ではないか、流行期も見据えた感染期の対策をすべきではないかという質問でございまして、どのようなフェーズで捉えられているかということをお聞きしております。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の状況認識でございますが、ここに来て国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が散発的に発生している、それから、一部地域には小規模患者クラスター、クラスターは集団でございますが、それが把握されている状況になったということでございます。

 現時点は、感染の流行を早期に封じ込めるために、クラスターが次のクラスターを生み出すことを防止していくべきフェーズであるということでございます。

 あわせて、この時期は、今後、国内で患者数が大幅にふえたときに備え、重症化対策を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整える準備期間にも当たるということでございます。

早稲田分科員 ちょっと今の御答弁でよくわからないのですが、小規模クラスターとおっしゃいますけれども、全国各地にこれがもう広がっているわけですね。その中で、最初は初期段階と言われたものを、フェーズを上げないのかというお話をさせていただいているんです。

 きのうの専門家会議でも、この一、二週間が広がるか又は終息するかの非常に大切な時期だというお話はございましたが、もう既に八百五十人という数字は、もちろんクルーズ船を含む数ではありますけれども、非常に多い数字だと思うんですね。やはり、それを市中感染と言わずして流行期を見据えるということができないのではないかと私は大変心配をしています。

 私の地元の鎌倉保健福祉事務所管内でもお一人が確認をされました。このことについては後で少し触れますが、そういう意味においては、本当に大変な状態になっているのを、いかにもこの小規模クラスターという言葉ばかりが言われるわけですけれども、そういう段階ではなくて、やはり、市民にわかりやすい、国民の方にわかっていただくためには、市中感染がもう始まっているというような、きちんとしたわかりやすい言葉を使わないと、それに対する備えも後手後手になっていくというのは当たり前のことではないでしょうか。

 それで、私が申し上げたいのは、そういう意味においてもまだまだ対策が不十分でありまして、私たちが国民の立場から見ても、どうしてこうなんだろう、どうしてPCR検査ができないんだろうという素朴な疑問がどんどん湧いてくるわけです。それは、医療機関が限られている、検査の機器が限られていると言いますけれども、やはり私たちも、総動員をしてもらいたい、野党も一致協力して全面的に応援するからということでやらせていただいているわけなので、そこのところはもう少し明確にしていただきたい。

 それから、きのうも出ておりました専門家会議のグラフがございましたが、これ以上大幅にふえた場合をと今審議官はおっしゃいましたが、じゃ、どのくらいを想定してやっていらっしゃるのか。どこまでふえたら、それこそ感染期、流行期になるのかということ、この想定もなさらないと、やはり言葉だけでは曖昧ですから、その辺についてお伺いします。

奈尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、感染者あるいは疑似症の方が出た場合の検査体制でございますけれども、これは国立感染症研究所とはもちろんでございますが、公的機関あるいは産業界等を含めて、PCR検査能力の確保に努めているところでございます。公的機関といたしましては国立感染症研究所、検疫所、地方衛生研究所等ございまして、また民間検査機関、それから大学等を含めて、いわば産官学を挙げて検査の確保に努めているというところでございます。

 委員御指摘のどのくらい患者さんがふえてきたらというのは、なかなか数量的に示しがたい点がございますけれども、現在は帰国者・接触者センターというところから帰国者・接触者外来というのをつなぐというふうにしてございますけれども、仮に今後大幅にこれがふえてきた場合におきましては、帰国者・接触者外来といいますよりは、この帰国者・接触者外来を段階的に縮小した上で、より重症化しやすい方について重点的に適切な治療をつなげるというふうに考えてございます。

早稲田分科員 大幅にというところから更に踏み込んだ御答弁をいただけないわけですけれども、じゃ、八百人が二千人になった場合が大幅なのか、千人を超えたら大幅なのか、やはりしっかりとそこは想定を出していただきたいと思います。そして、それによってどのような対策を更に講じていくかということが一番重要なのではないでしょうか。

 今、PCR検査のお話が出まして、産官学で、全力でとおっしゃいましたけれども、それでは、厚生労働大臣がおっしゃっておりました三千八百人の検体をできるようにするというのが具体的にどのような体制でやられるのか。今までみたいに国立感染研究所を中心とするだけではなくて、もっと民間で、一日に何百もできるんだというようなお話もありますけれども、これをフルに使っていく、そういう考えでよろしいのでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど産官学を挙げてと申し上げましたが、公的機関である国立感染研、検疫所、これで九百八十程度を予定しています。それから、地方衛生研究所、これは全国にございますけれども、これで約千八百件を予定してございます。それに、民間検査会社で九百件、大学で百五十件で、合計いたしますと一日当たり三千八百件ぐらいの検査が可能ではないかと思ってございます。

早稲田分科員 それで本当に対応できるのかということがございます。

 今般、昨日夜、記者会見をしまして、鎌倉の保健福祉事務所管内、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町というところでお一人確認がされたということでございますが、この方は、二月十四日に三十八度の発熱をされて、そして医療機関を二施設受診をされております。でも、なかなかわからず、そして二十三日に、呼吸器の苦しさというところから、これは御本人が相談センターの方に連絡をして、それから医療機関と保健福祉事務所が連携をとってということで、入院をされたのは昨日の二十四日。何と十日間もたっているわけですね。その中で、この相談センター、保健福祉事務所ですが、こちらと医療機関の連携もなかなか難しいということでありました。受け入れられないということを言われるのだと思います。

 そうした意味で、今回のこの方針を出していただいた中の大きな今までとの相違点は、一般の病院でということが書かれていると思います。これにしても、コロナの関係ではない一般の受診をされる方たちの御不安のないように、しっかりと体制をつくっていただくことはもちろんでございますが、この病院が果たして受け入れられるための、それでは国としてどのような支援をなさるのか、また、どのようにお願いをしていくのか、伺います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の、新型コロナウイルスの感染が疑われる、あるいは御自分がそうではないかと思われる方については、基本的には帰国者・接触者相談センターの方で相談いただきまして、そこで帰国者・接触者外来というところに振り分けるという仕組みでございます。

 この帰国者・接触者外来につきましては、全国で、これは新型インフルエンザのときの経験も踏まえてでございますけれども、八百カ所以上ということで整備してございまして、現在、八百カ所は超えているという認識でございます。

 現行はそういう中でやってございますけれども、仮に今後大幅にふえた場合というのが先ほど公表いたしました基本方針でございますけれども、そちらの方は、重症者により重点化しつつ、一般の病院等も活用しながらということで挙げてございます。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

早稲田分科員 一般の病床はわかるんですけれども、一般の病院で受け入れていただくための支援、そういうことをしっかりとやっていただきたいし、ほかの方に対する周知徹底も含めて、国としてもそれを病院の方に働きかけをしていただきたいということを、時間もございますので、申し上げておきたいと思います。

 そして、今回、このコロナウイルスの関連で、非常に、地域、観光地含め経済の落ち込みが厳しくなっております。そして、私の地元でも非常にキャンセルが相次いでいる。飲食店におきましても、それから旅館業の方でも、そういうことがあります。

 その中で、私は、ちょっと質問の時間がないので申し上げたいのは、衛生環境激変対策特別貸付というのをやっていただいておりますけれども、これも、前回の、前の新型インフルエンザのときの二〇〇九年の状況を見ますと、神奈川県内ではわずか二件であります。非常にこれも周知徹底が不足しているのではないか。それから、もっと使いやすい形にしていくべきではないかということを今回は特に御留意いただきたいと思うことを申し上げておきます。

 そして、総務大臣に伺いたいのですが、この経済対策として、観光地の場合ですけれども、いろいろやっていかなければならないんですけれども、終息のあれが見えてきてからの話ですけれども、観光のインフラという意味で、WiFiの整備というのが非常に重要だと私は思っております。

 でも、残念なことに、防災の対策ということのWiFi整備は出ておりますけれども、観光でもやっておりますが、幾つかのセットの中でのWiFiということになっておりますが、インフラというのは道路と同じで、何でも、やはりそれがあるからこそ使えるということにおいては、防災、観光と分ける必要は全くないと思います。

 そういう意味においても、総務大臣におかれましては、このWiFiの整備というのを、観光立国と日本を挙げている中で、非常に世界じゅうにおくれをとっておりますので、もっと積極的に予算もつけていただいてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 委員が十分御承知のとおりですが、総務省では、主に防災拠点などで災害時に必要となる情報伝達手段を確保するために、公衆無線LAN整備の促進に取り組んでまいりました。

 令和三年度末までに、全国の防災拠点など約三万カ所での公衆無線LAN環境整備の目標を掲げまして、必要な支援措置を講じ、令和元年度末までに約二万六千カ所を整備できる見込みとなりました。

 具体的には、これは地方公共団体に対する財政的支援を行っておりますが、WiFiの整備事業を観光の側面から行っている観光庁などと共同で事業の説明会も開催いたしております。

 引き続き、残り約四千カ所の整備を着実にまずは進めさせていただきます。

早稲田分科員 今のことに関してでございますが、防災拠点といいますと、公共施設、こういうものが入ってまいりますが、そうではなくて、面的整備にしていくのはどうするのか、そういう視点でやっていただきたいと思います。

 観光地におきまして、公民館、もちろんこれは防災においては必要でしょうけれども、また違った側面で、それぞれが商店街でいろいろ支援をいただいてやっているのはありますけれども、そこまで行けば切れてしまうというのではインフラになりませんので、重要インフラですから、ぜひそこもお考えいただいて、これから観光立国という側面も防災とあわせて一緒に考えていただくように要望させていただきます。

 それでは、次の質問に移ります。

 逗子市で発生いたしました崖崩れに対する国の、総務省そして国交省の対応ということについて伺います。

 時間もございますので余り詳しく申し上げられませんが、二月五日に突然、民有地の崖が崩落をいたしまして、下が逗子市道でありましたので、そこを通る高校生の方がお亡くなりになりました。心から御冥福をお祈りしたいと思います。

 そのことにおきまして、これは民有地、しかもマンションの下でありまして、実質は、この所有者はマンションの管理組合ということになります。民有地の崖崩れという意味で、台風でもない時期にこうしたことがなぜ起こるのかと本当に胸が締めつけられる思いでございますが、このことについて、国交省として、私もいろいろ聞いてまいりましたが、当面、逗子市が、とにかく民有地であっても直すんだということで、しっかりと、市長の号令のもと、これを応急措置をするということが決まっております。そして、二月の二十七日には、本会議で、数千万円規模のこの応急措置の対策費が出されるようになっております。

 それにつきましても、やはり、こういう事態がレアケースということではなくて、国交省としてもこういうことをぜひ調査をしていただきたい。いろいろ、今、本当は支援のメニューを伺いたかったのですが、これは今までもいろいろ議論がされているところなので、残念ながら、ここの当該地はそうしたメニューに、今までの国交省さんのものでは当てはまらないということがわかっておりますので、今、市とそれから県が、この市道とか重要インフラの近く、学校の中、そういうところの土砂崩れの点検をしているところですけれども、ひび割れなどがかなり見られるということもありますので、ぜひ、国交省としても、全国的にこれを一つの事態の契機として見ていただきたい、調査をかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 去る二月五日午前八時ごろ、逗子市の崖崩れで、民有地斜面において、降雨がない状態で崖崩れが発生し、一名の方が亡くなりました。心より御冥福を申し上げたいと思います。

 委員御承知のとおり、国交省として、すぐさま神奈川県の要請を受けまして土砂災害専門家を現地へ派遣して、現時点で考えられる原因を推定しました。また、崖崩れ箇所に必要な対策を神奈川県と逗子市に提案してきたところでございます。

 国土交通省としての対策メニューについても御提示は申し上げたところでございますが、現時点で、逗子市において斜面対策をする方向であるとお伺いしているところであります。また、一方において、神奈川県と逗子市においては周辺の崖地等についての調査も行っているとお聞きしているところであります。

 我々としては、これらの調査結果をしっかり把握した上で、全国の調査については今後検討してまいりたいと思っております。

早稲田分科員 ぜひ前向きに検討していただきまして、こうしたところはここだけに限られたわけではございませんし、非常に、宅地造成されてから二十年、三十年、四十年とたっているところが多くなっておりますので、そうした意味においても、国土交通省としても調査をかけていただくように要望をさせていただきます。

 そして、この当該地の斜面でございますけれども、なかなか補助メニューに合わない中で、いろいろ国交省からも教えていただく中で、総務省の緊急自然災害防止対策事業債という、国土強靱化のための三カ年の緊急の対策というのがあることがわかりました。これにおいて、比較的小規模なものにも使えるということでございますし、また、メニューについて簡潔に教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 二月五日の事故、土砂崩れのニュースを私もテレビで拝見して、すぐに、こういう私有地が崩れて、下が市の道路である場合、これはどこに責任があり、どういう対応ができるのかということを調べてほしいと秘書官にも頼んだところです。

 お亡くなりになった方の御冥福をお祈りいたします。

 お尋ねの緊急自然災害防止対策事業債でございますが、これは、今後、仮に逗子市から御相談がありましたら、国土交通省とも連携して対応いたします。

 ただ、多少難しい整理が必要です。市が工事で設置する施設を市所有の公共施設として位置づけていただいたり、また、市が起債の同意申請までに管理組合との費用負担割合を決定していただいたり、そういった整理は必要となってまいりますけれども、御要請があれば検討させていただきます。

早稲田分科員 今、高市大臣の方から、しっかりと検討してまいる、相談にも乗っていただくということを伺いました。

 今回は応急措置でございますので、今ブルーシートがかかっているところだけの多分応急措置になって、モルタル工事というようなことになると思いますが、その後、きちんとした工事をしていかなければならないわけですね。そうしますと、もちろんお金も数億円、もっとかもしれません。そういう中で、ぜひこの緊急対策、人の命を守るための緊急対策事業でありますから、いろいろ課題はございますけれども、そこを知恵を絞っていただいて、市とも、それから市は管理組合ともいろいろ協議をして、そして国土交通省と総務省でもしっかりとお話合いをしていただいて、これがいい形で事業債ができるように、これを要望させていただきたいと思います。

 逗子市、大変小さいところでありますので、これが交付税措置で七割ということになるように私も応援をしてまいりたい、協力をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問でございますが、消防団のなり手不足ということについて伺わせていただきたいと思います。

 これはずっと課題でございますが、二〇一九年の四月一日現在で消防団員が約八十三万人ということで、前年度と比較しただけでも一万人減少をしている。非常に消防団のなり手が少ない。地元の自営業の方たちを中心に、また、会社員の方も入っていただいてやってはおりますけれども、私が年末、特別警戒でいろいろお話を聞いた中では、もう次の世代がいないんだと五十代の方がおっしゃって、三十代、四十代の方がいらっしゃらないということなんですね。

 その中でお伺いをしたいわけですけれども、地域生活に不可欠なこの消防団の活動でありますけれども、その活動時間からも、平日の日中、地域にいる自営業者ばかりが団員にならざるを得ない、そうした状況が現状でございます。

 私が思いますのは、地域外に通勤をしている会社員、被用者が活動を行えるように、本人が事業主に申し出ることによりまして、非常時、消火活動であります、それから災害の救助活動、大規模災害の出動など、それから警戒活動、訓練にも、消防活動を行うための休暇を取得することができるような消防団休暇制度の創設というものを考えるべきではないかと思いますが、大臣の御見解を伺います。

高市国務大臣 早稲田委員がおっしゃるのも一つのアイデアであるかと思いますが、消防団は地域の皆様の御理解と御協力のもとで活動しておりますので、仮に、この御提案のような義務づけのような形にしてしまうと、また事業者が負担を感じてしまって、かえって消防団員の確保につながらないという懸念も一方ございます。

 総務省と市町村では、勤務時間中の消防団活動への便宜を図るといった消防団への協力を行う事業所を消防団協力事業所として認定しており、昨年四月一日時点で一万六千二百六十三の事業所が認定を受けておられます。また、自治体によりましては、こういった認定を受けた事業所に対して、法人事業税の減税ですとか入札参加資格の加点などで協力事業所を応援してくださっておりますので、こういった取組を通じて、消防団活動について事業者の皆様の御理解と御協力を得てまいりたいと存じます。

早稲田分科員 それは存じているわけですけれども、一万六千、認定がされている企業があるということですが、その一方で、消防団員がふえていかない、ふえていかないどころか減っている実情がございます。

 その中で、解消するための、一つ、報酬引上げというのも積年の課題でございますけれども、これも国の方で交付税措置の標準報酬というのがありますけれども、なかなかそこにいっていないところもあります。

 そして、私は、団員さんのお話を聞く中でいえば、報酬というよりは、神奈川から東京に通う、埼玉から通うという方たちにとって、やはり、未明であっても深夜であっても、次の日、少しの休暇がとれるということであれば大分違うんじゃないかというお話を大分聞くわけですから、そういう意味においてもぜひ御検討をしていただきたいと思います。

 そして、重ねて、消防団等充実強化法が議員立法で成立をしております。これも七年たっておりますけれども、大変いい強化法だとは思いますけれども、一方で成果が出ていない、これが大変心配をされるところです。

 そして、今、現状の消防団充実強化法では、被用者の消防団加入について、第十一条で、できる限り配慮するとなっております。もう一方の、第十条の公務員規定の方では、職務に著しい支障を来す場合を除き、認めなければならないとあります。これによって大分、公務員の方、ふえているのではないかと思います。

 そのために、私は、やはりこの十条に倣って法改正をすべきではないか。会社員の団員の減少がとまらない、一旦はなるんだけれども、すぐにやめられてしまうというところもあります。ですから、その減少がとまらない現状を見据えて、職業によって差がないように、こういうことも一つの法改正として大臣にはお考えをいただきたいと思いますが、御見解を伺います。

高市国務大臣 この消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律は、平成二十五年に議員によって発議され、全会一致で成立した法律でございます。

 この法律ができてから、公務員の消防団員との兼職に関する特例ですとか、それから大学などとの協力について規定するなど、これは大変意義のある法律だと思っております。法制定以後、地方公務員の消防団員や学生消防団員が一貫して増加しているという一定の成果も出てきていると承知をいたしております。

 この法改正につきましては、法律が議員立法で出てきたこともあり、各党各会派でさまざまな御議論をいただき、またいいアイデアを練り上げていただけたらと思っております。

 総務省としましては、現段階のこの法律に基づきまして消防団の充実強化に取り組んでまいります。また、女性消防団員も随分ふえてきたことを喜んでおります。

早稲田分科員 今、学生の消防団員さんもふえているというお話で、確かにそこのところはそういう面もございますが、やはり長く勤続をしていただくことが大切でありますので、学生の若い方にそのモチベーションを持っていただくことはいいことでありますけれども、もう少し、せっかくこの公務員の第十条があるわけですから、これを変える形で、企業にも一つの大きなCSRというふうにもお考えになれると思うんですね。ですから、そこのところは、公務員だけでなく、会社員の方、サラリーマンの方にもなりやすい制度ということをまた今後も引き続き御検討をしていただきたい。私も一緒に考えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小倉主査 これにて早稲田夕季君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井分科員 岡山から参りました高井でございます。

 それでは、きょうは、まずは国家公務員あるいは地方公務員の定年延長について、法制局長官、いらっしゃいましたね、済みません、着いて早々で恐縮ですが、まずお伺いしますけれども、これは一般論で結構なんですが、法律の解釈を変更するというのはどういう場合に変更するんですか。

近藤政府特別補佐人 法の解釈の変更というのはそうそうあることではないわけでございますけれども、従来、私ども、政府として法令の解釈について御答弁しておりますとおり、論理的な筋道を立てた法の解釈というのがされておりますので、通常はなかなか、それを尊重していくわけでございますけれども、その後の事情の変化ですとか、当時、制定時とは違うような変更事由が出た場合に、そういったものを踏まえて真剣に検討した結果、解釈を変更するのが至当であるというふうに判断したときには、解釈の変更を行うという場合があるということでございます。

高井分科員 それでは伺いますが、今回、国家公務員法の定年延長を検察官にも規定するという変更が行われたわけですけれども、これは、その制定時とはどういう状況の変化があったんでしょうか。

近藤政府特別補佐人 基本的には検察庁法と国家公務員法の改正の問題ですので、その内容については法務省の方で御検討されるということで私ども聞いておりまして、当時と比べていろいろ検察行政が複雑化しておって、そういった中で勤務延長という制度の趣旨を考えたときに、それを検察官に適用しないということではないのではないかということで、まさしくその後の検察行政をめぐる情勢の変化ということが今回の解釈変更の前提であるというふうにお聞きをしております。

高井分科員 情勢の変化はまた後で聞きますけれども、これは国会でも答弁しているわけですね。国会で議論して法解釈が決まったことを国会の議論もなく政府だけで勝手に解釈するということは、これはよろしいんですか。三権分立上、問題ないんですか。

近藤政府特別補佐人 国会で制定されました法律について、政府は誠実に執行していく義務を憲法上持っておりまして、その執行をしっかりやっていくということでございますけれども、その執行していく段階で、ある程度、いろいろな議論をして、解釈の変更をせざるを得ないと、これはいろいろなものがあると思います、細かいものから大きなものまであるのかもしれませんけれども、それにつきましては、あくまでも行政府の判断として責任を持ってやっていくということで、問題はないというふうに思っております。

高井分科員 国会で全く報告も何も要らないのかというのはちょっと驚きです。政府が勝手に解釈していいんだというふうに受けとめましたけれども。

 それでは、今回、法務省がお決めになったこととずっと言っているわけですけれども、法務省からのペーパーというのは、これは、ことしの一月十七日から二十一日にかけて、応接録というのが出ていますね、内閣法制局に相談があった。その相談の中身については、二枚物があります。これについては、特段意見がない旨回答したという、非常に紋切り型のというか、結論だけ書いたのが法制局の見解。

 ということは、この法務省の二枚物を了としたということだと思うんですけれども、じゃ、この法務省の二枚物で、先ほど長官が言われたような、制定時から何か情勢の変化があった、法令解釈を変更しなきゃいけないような情勢の変化があったという説明は法務省からあったんですか。

近藤政府特別補佐人 今回の解釈変更につきましては、法案の検討の過程ということで、その過程に現行法の国家公務員法と検察庁法の解釈の関係を見直したいということでございまして、そういった判断は当然、法務省の方でされておるということを前提に、個々の情勢がどう変わってそれがどう反映するかというのは各省庁の御判断であり、ちょっと検察内部のいろいろな情勢というのは、判断するというのは難しゅうございますから、それは法務省の、法務大臣のもとでの御判断を尊重して、そういった情勢の変化の中でこういう解釈が可能であるかというところを、私ども、判断をしたということでございます。

高井分科員 本当にそれで内閣法制局の役割、いいのかというのは非常に疑問ですけれども、この二枚物を見ると、私もよく読んでみると、別に情勢の変化があったなんてことは何にも書いていないんですよ。

 昭和五十六年の国公法の改正によって、国家公務員全体に定年制度が設けられたことによって、その特例としての意味は、定年年齢と退職時期の二点に限られることとなったものであって、その意味でも、ここが大事です、前記国公法改正以降は、つまり昭和五十六年以降は、国公法に規定される定年制度そのもの、そしてこれを受けて規定されている勤務延長制度については、検察官にも国公法の規定が適用されると解するのが自然であると。

 つまり、長官が言っているような、何か途中で情勢の変化があったんじゃなく、昭和五十六年に導入したときから、この二つ、定年年齢と退職時期の二点については、もう変更になっていたんだというペーパーを出してきて、それを法制局は了としているんですけれども、それでいいんですか。

近藤政府特別補佐人 私ども、この法務省の紙というものの趣旨は理解をしましたが、一々細かいところまで添削をするとかいう立場ではないので、何を今回されたいかということは、今の時点において、かつてそう解釈されたものを変更し、それを前提に今回の改正、国家公務員法と検察庁法の改正等を行いたいという御趣旨でございますので、済みません、そういう細々なところまで了とした、細かい表現まで添削をしてどうこうということではなくて、今回、解釈を変更しますというところについての私どもの了という考え方をお示ししたということでございまして、逐一、この中のところを添削してどうこうという作業はやっておりません。

高井分科員 これは、検察官への適用はめちゃくちゃでかいことじゃないですか。それを、たった二枚の紙で、細かいところとおっしゃいましたけれども、別にそんなに細かくないですよ。確かに難しい言葉で書いているけれども、法制局の人が見たらすぐわかるような言葉で、これを細かくチェックしていないというのはちょっと驚きなんですが。

 では、きのう発覚いたしました、一九八〇年の十月に法制局がまとめた、あるいは総理府人事局がつくったとも報道されていますけれども、このペーパーは、その想定問答集は、この検討に当たって当然前提としていた、これを検討するときにその想定問答集はちゃんと知っていたんですか。

近藤政府特別補佐人 今回の国家公務員法の改正は、もう去年の秋からずっと議論しておりまして、検察庁法もその中で、特殊な体系を持っておりますので、どういうふうに改正をしていくかというのはやはり大きな議論でございまして、当然、その段階で参事官は過去のものを、特例を持っておりますのは教育公務員と検察庁法ですけれども、その全部、改正履歴等は見ておりまして、そういうことを前提にしております。

 審査録、例えば教育公務員法の審査録にはあの想定問答も載っておりますし、当時の国会での議事録も載っておりました。そういうものは全部見た上ででございます。今回も、人事院の解説書がついておりまして、そこにも適用がないという逐条解説が載っておりまして、当然、そういうことを前提に、今回、解釈を変更するという作業を、私ども、御相談を受けたというふうに理解をしております。

高井分科員 この想定問答集にははっきりと、定年、特例定年、勤務の延長、再任用の適用は除外されると。唯一除外されないのが定年に関する事務の調整の規定、八十一条の六というやつですね。だけれども、勤務の延長、法務省が、今回、昭和五十六年から適用されていませんというふうに出してきた紙には、定年年齢と退職時期、これは除かれているんだというペーパーがあって、こちらの法制局の想定問答では、この勤務の延長それから定年、特例定年は、これは適用されないんだ、除外されると。

 この法務省の二枚物とこの想定問答は明らかに矛盾するんですけれども、それについて法務省とどういう議論をしたんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほど御答弁申し上げましたように、ちょっと法務省の細かい紙のところの記述というのは、余り私ども重要視していません。その論理立てを考えておりますけれども、当然、解釈変更がされるということで、その前の状態でもう審査をずっとしておりますので、適用がないということは前提で条文の審査はしてきておりますので、そこで解釈が変わるということでございましたから、そういう解釈が過去にあり、それが前提であるということは、私ども審査をしている参事官と相手方は当然の所与の話で、そこで急に変えますということがあったので、わざわざ応接録という形で、ちょっと特殊な形ですけれども、一回そこで前提が変わるのでということでやったわけでございまして、私どもからすれば当然の話で、五十六年のことも知っておりますし、解釈変更がされるということで御相談に来ているということは、当然の前提で議論をしております。

高井分科員 ですから、突然変わったわけでしょう、今の長官の答弁だと。それまではそうじゃない前提でずっと議論してきたのに、この一月二十一日に、突然この二枚物が出てきて、突然変わったわけですよ。

 変わるのであれば、さっき長官が答弁したように、いろいろな制定時と変わった事情というのがあるときには変えていいんだとおっしゃいましたけれども、その事情というのは何なんですか。それで、それを法制局、聞かなくていいんですか。法務省が説明もしない、法制局としてもその事情も聞かずに、じゃ、さっきの長官の答弁、意味ないじゃないですか。事情も何も関係なく、法務省から説明があったのならいいですよ、ありもしないで認めたんですか。

近藤政府特別補佐人 そこは、先ほどもお答えしましたとおり、法務省からは、その事情を検討した上で解釈変更をということで、そこのところを私どもについて御相談したということで、その前提のところはもう法務省の方の責任でお考えになるということで、その中身が一々おかしいとかいいとかいうところを、その詳細、検察官の今の抱えておられる複雑化とかいう問題についてはつまびらかに全部わかっておりませんので、いろいろ秘密の中でやられているところもございますので、それについては、私ども、そこに介入していいとか悪いとかいう判断は、もともと、各省との関係でも、各省の政策の判断なり、そうした前提についてはある程度尊重して、その上で法解釈の部分だけを御相談に応じるということでございますので、政府全体としては、多分、そういうふうに法務省が御説明される事情の変化があり、それで至当と判断して、その判断が妥当かどうかというところを、私ども、御相談があったというふうに理解しております。

高井分科員 法制局は何を相談されるんですかね。至当であったかどうか法務省が何か独善的に、もし勝手に、しかも、その情勢の変化も説明すらしていないというんでしょう。それで法制局、何を審査というか、何の相談に乗るんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほども申しましたように、検察行政をめぐるようないろいろな複雑化、犯罪の、そういうような問題については理由をお聞きしましたけれども、その細かい中身までは、申しわけございません、そこまでは聞いておりません。

 そこはあくまでも法務省の御判断でということでございまして、私ども、今ある条文等から踏まえて、そうした解釈がとり得るものなのかどうか、過去の経緯からですね、というところを判断をしたということでございます。

高井分科員 これは、法務省と応対したのはどなた、参事官ですかね。それで、多分それを報告を受けたんだと思いますけれども、今、法務省から検察のいろいろな情勢変化はお聞きした、細かくは聞いていないけれどもお聞きしたみたいに言っていましたけれども、じゃ、それ、参事官か長官の部下が聞いて、どういう報告が長官にあったんですか。

近藤政府特別補佐人 私どもは、基本的には文書で審査をいたしますので、考え方で、こういうことで、法務省から事情の変更でこういう解釈変更をしたいということがあって、こういう紙が来ましたと。参事官の方としては了としたいということで、御審査をお願いしますということで私とか次長とかに紙が投げられ、私はそれを読み込み、あるいは条文を見たりして自分で考え、了としたという形でございます。

高井分科員 紙が来たとおっしゃいましたけれども、この二枚の紙のことですか、それ以外の紙もあるんですか。

近藤政府特別補佐人 その下に、もちろんその解説書ですとか、あと条文もございますし、条文は、まあ、私、自分で六法を持っていますのでそこから引き出しますけれども、過去の解説書、国家公務員法の解説書であったり、検察庁法の解説書、もう今はそれしか資料がなくて、それ以外は当時なぜそういう解釈をしたかを示す資料がないものですから、もうそれだけがある意味では今の唯一の資料でして、それがとりあえず今検討するに当たってよすがとなる資料であるということで、それを全部読んで判断をしたということでございます。

高井分科員 先ほどから長官は、検察官をめぐる環境の変化とか、そういったことが説明があったと。そういう資料はなかったんですか。

近藤政府特別補佐人 そこは、先ほど申しましたように、法務省でそう判断をしているということで、細かく、どういうふうに変化して何がどうこうというところはございません。

高井分科員 もう一度確認ですけれども、じゃ、資料もない、それから、口頭での説明はあったんですか、その状況の変化。

近藤政府特別補佐人 そういう意味では、ちょっと、口頭で紙を渡されているだけなので、それであと審査をしましたので、細かいことはわかりませんけれども、基本的には、そういう解釈変更の基本的な考え方は政府で申し上げておりますから、それに沿ったような検討をされて、その情勢の変化というものがあり、至当と考えられる場合としてこれを持ってきていますということで、紙が私の方に参ったということでございます。

高井分科員 これは、ぜひ、ここが一番大事なところだと思うんですが、法令の解釈を変えるときに、そういう検察官をめぐる情勢の変化があったんだということを、まあ、それは、紙がないなら口頭でもいいですけれども、どのくらい法務省から説明があって、そしてどういう判断をしたのかというのは、長官が直接聞いていないのであれば、これは改めてきちんと部下の方から聞いて、私は答弁していただきたいと思います。

 とりわけ今回のこれは、前回、山尾委員が予算委員会でも指摘していますけれども、検察官の政治的中立性とか、それから検察官には特に強い身分保障が付されていて、それとの均衡とか、こういうことを当然考慮して判断しないとどう考えてもおかしいと思うんですけれども、そういうことは、長官、考慮しなかったんですか。

近藤政府特別補佐人 私ども、国家公務員法の解釈書ですとか、検察庁法も書いてございましたけれども、今や国家公務員に定年も入り、定年によってやめるという規範は、一般公務員も、検察官も一般公務員ですから、そこは同じ思想のもとで、職務の特殊性等で年齢、定年の延長が一般職もいろいろ変わっておりますけれども、その中の一つとして検察官も従来規定がされておりまして、その定年と定年延長ということ自身と個々の職務の内容のどうこうということはとりあえず関係のない制度、つまり、一般的な職務、ある程度、公務員の中の新陳代謝を図りながら、きちっとした年齢まで働けるということを前提に、安心して人生設計をさせて、しっかり職務に当たらせるという定年制度の意義自身は、同じ国家公務員たる検察官も、一般の公務員、一般職の全体は同じ意味だと思いまして、そこのところについて何か検察官の特殊性がどうこうという議論は基本的にはないものというふうに考えます。

高井分科員 本当ですか。検察庁法で別に定めているのは、そういう検察官の特殊性とか政治の中立性とかがあるからこそずっと適用除外されてきて、当時、五十六年の改正のときからそういう答弁があり、また想定問も残っているのが、しかもずっとそれで、つい一月の二十一日まで、しかも国家公務員法の定年延長が、今、国会でもう間もなく提出されるのかな、その議論も法制局でやってきた、その過程で全然なかったものが、突然一月十七日に法務省から説明があって、こんな二枚紙で、しかもこの二枚紙には、何もそういう検察官の情勢変化というのは書いていないんですよ。

 もう一度言いますけれども、これは、昭和五十六年の法改正の当時から、この定年年齢と退職時期の二点はもともと除かれていたんだという主張なんですよ。だから、私はこれは解釈変更していないと思うんですけれども。法務省は、解釈変更をしたんじゃなくて、五十六年からそうでしたという説明じゃないんですか、この紙は。違うんですか、解釈変更なんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほど申しました、そこの紙の書き方はいろいろ御意見があると思いますけれども、当然、解釈の変更と。

 先ほど申しましたように、検察庁法全体が特例を書いているわけではなくて、ではないと私が申し上げているわけじゃなくて、もともと、検察庁法というのは非常に、官職と違うやり方をしたり、いろいろな特例を書いてあります。

 それは、官職に応じた、検察庁法のいろいろな、一級、二級をやったり、いろいろな形での、一般公務員とは違う特例を持っているところがございますが、定年と勤務延長のところだけが検察官だとこうだとかどうこうということではないので、そこ自身について、検察官の職務の特殊性、それは一般公務員でも、いろいろな特殊性に応じて定年年齢を変えたりいろいろやっておりますので、それぞれの特殊性に応じて変更はしますけれども、定年制度と延長というものは、ひとしく一般公務員、いろいろな職種の人にも適用されておりますので、そのこと自身が何か検察官の職務の特殊性とリンクしたものになっているというわけではないというふうに私どもは考えます。

 そのほかのところについて、いろいろな検察官の特殊性による特殊な制度があることは、もちろん当然でございます。

高井分科員 今お話ししたことは、この一九八〇年の想定問答集と違うんじゃないですか。一九八〇年十月の想定問答集では、勤務の延長は除外されるとはっきり書いているんですよ。

 今長官がおっしゃったことは違いますけれども、じゃ、ここから今に至る間に変化があったということですか。

近藤政府特別補佐人 ちょっと答弁の仕方が悪かったかもしれませんけれども、除外されるということは当時判断をされて除外をしたんです、そこの理由は必ずしもつまびらかではないと。今の時点で解釈を考えると、当時はそういう配慮をしました。ただ、そのほかにも、教育公務員なんかも適用除外にしていまして、それも勤務の特殊性なのかどうかはわかりません。

 そういう意味では、その後、教育公務員については、定年延長も、制度が認められたりしなかったりという議論、また、して、しないとかいう議論をしておりますけれども、そういう意味では、当時除外をしたというのはもう確定した解釈、当時、総理府部内でそういう解釈をしていたということではあると思いますけれども、今の段階で適用をもう一度考えた場合に、そこに、先ほど申し上げたような、検察官だからひとえに勤務延長はできないということにはならないというふうに私どもも考えたということでございます。

高井分科員 当時の理由がつまびらかでないとおっしゃいましたけれども、そんなのでいいんですかね。想定問答に書いているその根拠ぐらいやはり残していないと、それはとても法の番人としての務めが果たされているのかと思います。

 だけれども、一九八〇年のときにはこの答弁で確定していたのが、解釈で、それが今回変更になったことが、やはりその理由が全然わからないですね。しかも、何度も言いますけれども、法務省は五十六年当時から除外されていないんだと言い張っているんですよ。こんなものを出してきて、法制局がやるべき仕事は、まずこの想定問答と違うじゃないかと。そういう指摘をしたんですか、していないんですか。

近藤政府特別補佐人 法務省の方、きょう、他委員会で法務大臣もお答えになっていますけれども、解釈が当時そうであったというのは、法務省も共通の理解でございますので、今回はある程度解釈を変えるということでございました。

 多分、そうでなければわざわざ応接録をつくるようなこともございませんし、通常の解釈のまま始まっていくのであれば普通に審査は進むわけでございますから、当然、相手方も、そういう解釈変更を行うということだから特に御相談に来られ、そこだけを取り出して議論し、先に決めたということでございますので、紙の細かい記述は、先ほどお話ししたとおり、一々チェックをして直させるという立場ではございませんけれども、趣旨は明らかにそういうこととして私どもも理解をしていますし、向こうの担当者もそういうものとして相談に来たということだと思います。

高井分科員 長官、この二枚紙を本当に読まれていますか。というか、御記憶がもうないのかもしれませんけれども、これを見ると、はっきり解釈を変更したとは読めませんよ。昭和五十六年当初からこの二つは除外されていたんだって法務省は言い張っているので、これを解釈変更の理由とは到底思えません。

 もう、ちょっとこれ以上やっても水かけ論なので、もう一つ、重要なテーマで長官に引き続き聞きたいんですけれども、これは、法務省とか人事院が、これだけ重要な解釈変更だと私は思うんですけれども、これは口頭で決裁しているというふうに答弁していますよね、文書がないと。こういう口頭決裁というのは、法制局としては認めるんですか。

近藤政府特別補佐人 各省庁の中でどういうふうに上部まで了解をとり、その方式をどういう方式、つまり、紙で決裁するのか電子決裁なのか、あるいは了解を口頭でとるのか、それぞれはそれぞれの省庁で決めておられる話でございまして、私どもも私どもの中でルールを決めてやっておりますので、それを何か、私どもがおかしいとかおかしくないとか言う立場ではございません。

高井分科員 本当にいいんですかね、それで。

 法律の解釈を変える、しかも、国会で答弁をしている、それから内閣法制局が取りまとめた想定問答集と変える、そういう決裁を、私は、国会にも諮らず、しかも諮る時間がなかったとか、でも、説明するチャンスはあったはずですよね。あるいは委員会とかで質問になっているわけですから、それに対して答えもしないで、後から国会答弁が山尾議員が見つけて見つかった、あるいは小西議員が見つけて想定問答が見つかった、そういうことで、わかった後から説明するような、そんなことで本当にその法律の解釈というのが、だって、立法府が法律は決めるわけでしょう。

 そこの立法府の、国会の場で議論して解釈が定まっているものを、国会でも議論せず、しかも文書で、政府の中ですら文書も残さずに決める、これを法制局、法の番人たる法制局が本当にそれでよしとするんですか。多少は、それはちょっとおかしかったんじゃないか、そういうお気持ちはないんですか。

近藤政府特別補佐人 今お話がありました、検察庁法と国家公務員法の昭和五十六年の話でございますけれども、もともと当時、検察庁法は、解釈で、要らないということで改正をしておりませんので、いわゆる審査録というものは全く残っておりませんで、当時、総理府人事局が、今回は改正しない、検察庁法との関係はこういうふうに思っていますという想定問答を法制局に示してきて、それがつづってあるということで、そういう意味では、そこのところについて厳密な解釈というのは、当然、国家公務員担当省庁と検察庁の間でそういうふうな解釈でずっと来ているということで、そこは了としたわけで、そういう意味では、資料がないのは、多分、当時改正をしていなくて、解釈だけである程度決めたからということだと思います。

 後段の方の、どういう方式でやるかというのは先ほど申し上げたとおりでございまして、私どもも、これはきちっと記録に、いずれ審査録にはそこはとじ込むものになると思いますので、文書にちゃんと残るわけでございますけれども、途中段階で一応確定するということで参事官も上まで上げて、そこを法制局で解釈を確定するということでやりまして、相手省庁からも紙で、私ども、通常、ちゃんと紙で下さいということをいつも申し上げ、紙でちゃんと御説明なりもあり、それに対してお答えをするということでしたので、私どもとしては、通常あるような各省からの御相談が紙でされ、それに対して私どもが了とする、それによって記録が残る、私どもにもその記録が残るということで、通常のやり方であったなというふうに思っております。

高井分科員 これは本当に驚くべき、これだけ大きな法解釈が、相当、何か適当に決まっているなという印象を持ったんですけれども、最後に聞きますけれども、一月十七から二十一日まで相談年月日と応接録になっているんですけれども、具体的に、部下の参事官なりが法務省から聞いた時間とか回数とかがどのくらい、それから、長官に相談した時間というのはどのくらいだったんですか。

近藤政府特別補佐人 ちょっと、参事官がどのぐらいやっているかというのは個々に、ほとんど朝から晩まで今べたっとやっておりますので、どの時間帯でどのぐらいやったかがよくわかりません。

 私どもも、資料をいただき、それをやはり読み込み、やるとなると、やはり一日ぐらいかけて考え、それで、ただ、時間が限られておりまして、その後に法改正の条文をつくり直すということもございますので、そういう意味では、そうのんびりと抱える問題ではございませんので、多分、参事官もいろいろ調べて、自分なりの意見を出し、その上で、長官、次長に上げてきて、私ども、ちょっと詳しく覚えていませんが、一日、二日で考えて、回答したというふうに思っております。

高井分科員 いや、長官のことなら覚えていると思うんですけれども、その部下からの報告の時間は何分だった、検討に要した時間は一日か二日でもいいですけれども、何分の報告というか中身だったんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほど申し上げたように、法制局は、基本的には、紙が投げられて、それを読むということでございますので、部下がそこでべらべらとしゃべるということで長官の時間をとるのは恥ずかしいことでございますので、基本的には、これを考えておりますのでよろしくというだけで、法務省から解釈を変更したいということですのでよろしくお願いしますという一言、二言があっただけで、あとは、じゃ、読むかなということで、これが、ちょっと済みません、法制局のやり方でございます。

高井分科員 これまた驚きですね。参事官が実質決められるんですね。もう紙だけで長官にオーケーとればいいと。

 本当にちょっと驚くべき答弁でしたが、これは、主査、お願いですけれども、きょうのこのやりとりですね、法務省と法制局とのやりとりの紙が実際あったという答弁もありましたので、それはぜひ予算委員会に出していただきたいと思います。

 それとあと、きょう、ほかの質問がいっぱいあったんですけれども、ごめんなさい、私は総務委員会なものですから、また引き続き、次の総務委員会の場で質問させていただきます。

 どうもありがとうございました。

小倉主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

奥野(信)主査代理 次に、藤田文武君。

藤田分科員 日本維新の会の藤田文武でございます。きょうはどうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣、きょうは通告はありませんので、外していただいても結構です。

奥野(信)主査代理 どうぞお引取りください。

藤田分科員 それでは、質問に入りたいと思います。

 きょうは、地域区分について少しお話をしたいと思います。地域区分の中の保育について質疑をしたいと思います。

 まず、障害、それから介護、保育の各制度における地域区分は、基本的には公務員の地域手当に準拠するという形で設定がなされております。その地域手当は、自治体の種別、いわゆる特別区か否か、人口五万人以上、以下、それから賃金指数、これは十カ年平均ですが、これで区分けされて、その後に中核的な市、いわゆる県庁所在地や三十万人以上の都市への通勤者率によって補正されて決定しているものと認識をしております。

 子ども・子育て支援新制度ができまして、この実施によりまして、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援の充実、幼児教育、保育の無償化、子育て安心プランに基づく保育等の受入れ児童数の拡大、新・放課後子ども総合プランに基づく放課後児童クラブの受皿の整備等により、子供を産み育てやすい環境を整備するというふうにこの制度はなっておるわけでございます。

 そこで、令和二年度より、保育分野において、当該地域の地域区分よりも支給割合の高い地域に囲まれている場合には、当該地域を囲んでいる地域のうち支給割合が最も近い地域区分まで引き上げるという取扱いがなされるということになったわけでございます。これは、いわゆる囲まれルールというふうにお聞きしております。

 そこで、まず最初、認識確認ですが、この子ども・子育て支援新制度における地域区分の考え方、そして、この囲まれルールができた経緯なんかを御答弁いただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援新制度における公定価格につきましては、委員から先ほど御説明をいただいたとおりでございまして、民間給与についての地域差があることを反映するために地域区分を設けております。

 具体的には、統一的かつ客観的ルールであること、ほかの社会保障分野制度との整合性等も踏まえまして、国家公務員等の地域手当に係る地域区分に準拠をして設定をするということを基本としております。

 また、令和二年度の対応というふうな御紹介がございました。

 もともと、この格差につきましては、先ほど申し上げました国家公務員等の地域手当に準拠するということを基本とした上で、既に平成二十七年度からは、いわゆる地域手当がないその他地域については、それよりも高い市町村に複数隣接したり囲まれている場合の補正の仕組みが導入されておったところでございますけれども、ちょうど新制度ができましてから五年後の見直しという節目の時期でございましたので、今般、新制度施行後五年の見直しということで、地域区分を含め、公定価格全体の見直しを検討いただいたところでございます。

 その取りまとめとして、昨年十二月に、子ども・子育て会議、これは審議会でございますけれども、法律上、こういった公定価格などを見直すときにはこの子ども・子育て会議の意見を聞かなければならないというふうに法定されている趣旨の審議会でございますけれども、こちらの会議が取りまとめました対応方針というのがございます。

 この対応方針におきまして、国家公務員等の地域手当に係る地域区分に準拠をして設定するという基本的な考え方は維持をするというふうにしつつも、現行のただいま申し上げましたような補正措置に加えて、地域手当の設定のある市町村についても、支給割合のより高い地域に囲まれている場合には、支給割合が最も近い地域区分まで引き上げるという仕組みを入れるべきであるというふうな御提言をいただきましたので、令和二年度予算案において必要な経費を計上した、そういった経緯でございます。

藤田分科員 御説明ありがとうございます。

 それで、この囲まれルールができたことによりまして、全国で、隣接地域とのいわゆる格差がある市町村において、地域区分の見直し検討が行われたということであります。

 それで、ちょっと事例として、私の地元の大阪府、そして四條畷市というところを事例に少し議論したいと思います。

 まず、大阪府では、藤井寺市、摂津市、島本町、そして四條畷市が、このいわゆる囲まれルールに該当するんじゃないかということで、検討に値するというような地域に当てはまっているんですけれども、四條畷市を除く三市については、この囲まれルールというのが適用されまして、地域区分の見直しが行われました。

 ちなみに、ちょっと紹介させていただくと、藤井寺市においては、周りが、一二%である松原、羽曳野、それから一〇%である八尾、柏原というところに囲まれていまして、これが藤井寺の方は、ことしから六%が一〇%に一応変更ということになりました。

 それから、摂津市というところに至っては、一六%の大阪市にも、政令市ですが、隣接しているんですが、同じく一六%の守口、それから一二%の吹田、寝屋川、それから一〇%の茨木、一五%の高槻というところに隣接していまして、これはどれも高いということで、これは経過措置がとられていたんですが、一〇%に確定した。

 それから、島本町というところは、これは町なんですけれども、高槻が一五%、隣接の枚方が一〇%、そして京都にも面していまして、京都市が一〇%、京都府長岡京市が一六%で、大山崎町が三%というところで、これも、経過措置で一〇%になったところが、確定して一〇%になったということであります。

 これは非常にありがたい話だと地域の方は喜んでおられると思うんですけれども、この地域格差の考え方、それからこの地域区分の見直しの判断基準、そしてその決定方法について教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 地域区分の見直しの手続ですとか考え方ということを御指摘いただきました。

 先ほどの答弁と少し重複いたしますけれども、まず、見直しの手続としては、子ども・子育て会議という法定の審議会で、見直す場合には議論をするということになっております。地域区分につきまして、地域区分だけではないですけれども、制度全般について、見直す場合には、子ども・子育て会議は都道府県や市町村の代表の方ですとか、事業所の団体の方、経済団体の方、有識者の方、さまざまで構成されておりますけれども、ここの会議の中で、丁寧に意見を聞きながら検討をいただくということになっております。

 一方、基本的な地域区分の考え方は、先ほど申し上げましたような国家公務員等の地域区分に準拠をして設定をするということを基本的な考え方としておりますけれども、独自の取組としては少し補正をするような仕掛けを入れているということで、今般は、令和二年度の対応としては、先ほど申し上げたような措置を講ずるということになったわけでございます。

 ただ、まだ自治体の皆様からはさまざまな御意見、御要望をいただいているところでございますので、地域区分のあり方、今後も引き続き検討していく必要があるというふうに十分承知をしております。

藤田分科員 今の考え方を含めてちょっとお聞きしたいところが、四條畷市というところは、今六%なんですけれども、周辺が、交野が一〇%、寝屋川が一二%、そして大東市が一五%ということで、かなり開きがございます。

 ちょっと地元事情を言いますと、四條畷市と大東市というのは、これは六%、一五%で非常に大きな開きがあるんですが、生活圏をほとんど一にしていまして、いわゆるJR学研都市線という沿線に属していまして、それから消防組合、警察も一つ、それから文化圏、生活圏も非常に似通っていて、四條畷駅というのがあるんですけれども、これが大東市にあります、市境にあるんですけれども、こういうことがございます。

 大東市は、大阪市に隣接していることや、また中小企業数が多いということもあって、地域区分がもともと高いというのはわかるんですけれども、ここで非常に格差が生まれているというのがあります。例えば保育の分野では、保育士の確保が非常に大きな課題というふうに民間も公もなっておりまして、両市の保育士の平均年収は、もう既に年間で三十万円以上の差が生まれているということになっております。

 何で四條畷市は、要は漏れてしまっているのかというのを、ちょっと理由を教えてほしいんですけれども、お願いをいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の令和二年度の措置といいますのは、先ほど来御説明申し上げているように、当該自治体よりも高い地域区分になっているところに囲まれている、そういうふうな自治体についての措置というところまで、今回、令和二年度で対応させていただきました。これは、実は介護保険との状況等の整合性ということもありまして、そういった検討の過程でこのような措置を図ったところでございます。

 ただ、委員からの御指摘のとおり、生活実態に即した地域区分というのはどういうふうにするべきなんだろうかというふうなことは、中でも、与党の御検討ですとか、会議の、審議会での御検討の過程で、確かにいろいろな御要望をいただいたところでございました。

 私どもとしては、新制度における地域区分を議論する際には、やはり、統一で、客観的なルールがある、それから他の社会保障制度との整合性ということは踏まえる必要があるだろうと思っております。

 一方で、市町村ごとにさまざまな御意見があるということを承っておりますので、客観的な地域区分としつつ、どのような実態を反映することができるのか、かなり難しい課題ではあると思いますけれども、今後のあり方についてしっかりと検討を進めていきたいというふうに考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 これは、深くレクのときにも議論させていただいて、いわゆる囲まれルールの中で、今はちょっと申し上げなかったんですが、四條畷市というのは奈良県の生駒市にも面していまして、そこが六%なんですね。それも大きな理由になったというふうにお聞きしているんですけれども、ちょっと事情を言いますと、さっきおっしゃられていたように、生活実態というのが非常に僕は重要やと思っていまして、四條畷市は五万六千人ぐらいの町でして、市街地が西側にあります。東側に生駒市と隣接する田原地区というのがあるんですが、ここに約九千名が住んでいます。人口でいうと一六、七%という形でして、逆に言うと、八〇%以上が西側の市街地、イコール大東市、さっき一五%と申し上げた大東市と生活圏を一にしております。

 そういった観点から、奈良県の生駒市と隣接していることで削られるというのは、これは論理的整合性が余りないなというふうに思うわけです。加えて言うなら、さっき事例に出させていただいた島本町については、地域区分が三%である京都府大山崎町にも隣接しているわけであります。

 私は何が言いたいかというと、地元を優遇してくれと言いたいわけじゃなくて、実態に合ったいわゆる判定基準というのを整備していただきたいな、その補正の仕組みというのをつくっていただきたいなというふうに思うわけです。

 そもそもの趣旨で、この保育については、これは国家課題でして、人口減少、少子高齢化に歯どめをかけるための大きな施策の中の一環であるというのは、もちろん、それだからこそ、この囲まれルールを保育の分野は強化していこうということがあるわけですし、納得できる理由があったらいいんですけれども、なかなかこれは大阪府下でも四條畷市だけがこういった理由で見落とされているというのは、これはやはり見落とされていたり漏れ落ちていたりするところでしんどい目をしているところをいかに救ってあげるかというのも、やはり行政の細やかさは非常に重要なことだと思うので、ひとつ、同一生活圏又はその市町村における人口比率における生活圏というものも考慮にぜひ入れていただきたいなというふうに思うわけでありますけれども、御見解、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり市町村ごとにさまざまな御意見があるということはよく承知しておりますけれども、客観的な地域区分というふうにしつつ、どのように、例えば委員の今御指摘いただきました同一生活圏というものをどのような指標で見るのかとか、実態をどう反映していくのかというのは課題であるというふうに思いますので、今後のあり方については、自治体の御意見もよくお伺いして、実態もよくお伺いをした上で検討を進めていかなければいけないというふうに思っております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 確かに、数字でばしっと切ってしまうのは非常に難しいんやと思うんです。でも、大阪府の中で見ても、島本町と四條畷で四條畷の方が漏れ落ちてしまう理由って何やろうと考えたときに、なかなか説明がつかないと思うんですよね。なので、細やかなフォローというのをぜひしていただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっと最後に、介護、障害、保育の地域区分は、冒頭お話しさせていただいたとおり、公務員の地域手当に準拠しているというのがありますけれども、専門家会議なんかでも、この地域手当は賃金構造基本統計調査をもとに決まっていると思うんですけれども、この見直し期間が十年間と非常に長い。今、ビジネスの移り変わりなんか、産業の移り変わりも非常にスピードが速くなっていますから、十年はちょっと長いんじゃないかということが有識者の検討会でも結構意見が出ていまして、短くするというような検討なんかはされますでしょうか。ちょっと御意見をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の地域手当につきましては、給与の中で基本的な給与ということでございまして、一定程度の期間安定的なものとする必要があるところでございます。また、地域ごとの民間賃金水準の違いをより適切に反映させるためには、相当の期間におきます地域の民間賃金水準の動向を踏まえる必要があるところでございます。

 このようなことから、国家公務員の地域手当の支給地域及び支給割合につきましては、十年ごとに見直すということを例にしているところでございます。

藤田分科員 この統計調査はもともと地域手当のためにつくられたものじゃないので、これの整合性なんかも検討会でも出ていたと思いますので、ちょっと時代の流れで、スピーディーに実態に合わせていくということもぜひ検討していただきたいと思います。

 きょうの事例は、私、地元なんで、よくわかっているところで今事例に挙げさせてもらったんですけれども、多分全国でもあると思うんです、こういうところが。これをいかに実態に合わせていくかということが重要だと思いますので、きょうの議論を聞いていただいて、ちょっと政務の方からも一言、御見解をいただけたらと思います。

藤原大臣政務官 ありがとうございます。

 今先生からお話ありましたとおり、この子ども・子育て支援新制度においては、地域区分について自治体の皆様方からさまざまな御意見があるということは、内閣府においても承知をしております。

 今審議官からもお話ありましたとおり、実態にどういうふうに合わせるかというのは、なかなか、ばつっといった数字というところで出せないというところが難しいところなんだろうと思っています。

 しかしながら、この件については、この地域区分のあり方については、昨年十二月の子ども・子育て会議の取りまとめにおいても、引き続き検討すべきということとされておりまして、基準の統一性、そして客観性、そして他制度との整合性や財源の課題もございます。こういうようなことを踏まえつつ、引き続き、地方団体や事業者団体の皆様と御意見を丁寧に伺いながら検討をしていきたいと思っております。

藤田分科員 地域区分のパーセンテージが悪いところは、どうしても近隣との格差で、給与格差も出ますし、もうそれこそ確保自体が難しいというのは、これはかなり大変な状況でありますので、ぜひ実態も見ていただいて、前向きに御検討いただけたらと思います。

 続きまして、議題をかえまして、自治体の助成と税制についてお聞きしたいと思います。

 まず、自治体で各種の助成事業や無償化のサービスなんかを受けますと、雑収入として所得がふえたとみなされて確定申告が必要になる。これは所得税法で決まっているんですけれども、昨年の十一月、我が党の音喜多参議院議員からも、東京都の助成事業であるベビーシッター利用支援事業の例を挙げてもらいまして、質問がございました。所得税法第九条では、学費、いわゆる教育については除外規定がありまして、なっているんですけれども、この保育始め福祉政策全般については非課税対象とはなっていない。

 この所得税法の考え方について、確認のために御説明をいただけますでしょうか。

宮島大臣政務官 お答え申し上げます。

 所得税法上、現在はそのようになっているというふうに認識しているところでございます。ということです、基本的にはですね。

藤田分科員 音喜多参議院議員の質疑内容等も聞いていましたが、歴史的に教育は学術の奨励という観点というのを挙げていただきまして、これは配慮がこれまでなされてきました。しかしながら、保育については、これは歴史的にも余り検討されてこなかったというのが、経緯として事実がございます。

 重複になりますが、このベビーシッター事業を一時間百五十円で東京都は利用できる、これを民間のサービス料が仮に二千円であれば千八百五十円が助成対象となって、これが雑収入として自分の所得に上乗せされるわけであります。

 この助成制度をフル活用すると年間三百万円ぐらい使うことができまして、世帯年収が四百万円の人が使うと、七百万円とみなされるということになっています。この場合、所得税、住民税が増額されるという形になりまして、大体、世帯年収四百万の夫婦だったら、三十万から三十五万円ぐらいの負担がふえる。手取りがふえたわけでないのに払わないといけない額があるということで、四百万円の世帯で三十五万円だとしたら、約一〇%、これは非常に大きい額である。

 ここで挙げましたベビーシッター事業もそうですけれども、自治体が特徴的に行う、他市との比較優位も含めて特徴的に行う、強化して行う助成事業は、全て雑所得として計上しなければならないわけでありますけれども、地方分権の観点からも、交付税で自治体が国からお金をいただいて、それで助成事業をやって、所得税で国税に還流されるという形で、これはちょっと、考え方によっては税が還流しているような見え方もするわけであります。

 私は、考うるに、まず、この保育の分野においては、前段の保育の地域区分の問題もありましたが、やはり全国的にもう少し力を入れていかないといけないという観点から、この除外規定に保育の部分を含めてもらうというのも一つ提案としてさせていただきたいことですし、もう少し広げて、自治体が助成事業を一生懸命やる、そこに関して、所得税がふえて、市民の方々が、確定申告したこともない人もおりますから、これは負担になるのを除外してもらうということも、考え方としては地方分権の観点からあり得ると思うんですけれども、このあたり、御見解をいただけますでしょうか。

宮島大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどの学資によるもの、所得税法で確かに決まっているところではございます。

 そして、今委員の御指摘の点については、やはり地方自治体が実施している各種の助成又は無償化等のサービス、この実態、形態はさまざまあると思うわけでございますから、まずは関係省庁、厚生省が中心となろうかと思いますけれども、どのような自治体でどのような支援が、又はどのような形態で行っているかということを実態把握を行っていただいて、それを踏まえてどのような対応が必要か、検討してまいりたいと考えているところでございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 昨年十一月に音喜多議員が質問させていただいたときも、麻生大臣からも、まずは状況把握のために調査を行うという前向きな答弁をいただいて、きょうもその御発言をいただきましたが、保育の問題は、何度も申し上げますが、非常に、この子育て支援それから少子高齢化の歯どめをかけていくという意味では、私はもっともっと強化をすべき領域であるというふうに認識しているんですが、これは、前向きな御答弁をいただいて、この状況把握それから検討というのを、どのような形で、どんなスケジュールでしていただけるのか、もしお考えがあればお聞かせいただけますか。

宮島大臣政務官 お答え申し上げます。

 財務省としては、これは、すぐどうのこうのということを動かすということはございません。ただ、税制改正は毎年やっていることですので、それに合わせる中で進んでいければよいなというふうには考えているところでございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 実際にこれに該当してしまっている方は結構いらっしゃるので、しかも、かなり、実際に実生活に影響が出る話でもありますので、ぜひとも前向きに検討していただけるようにお願いを申し上げます。

 最後に、フェイクニュースについて、少し議論したいと思います。

 ツイッターやフェイスブックなどのSNSアカウントでは、アカウントの名前を自由に決めることができます。これは実際にあるんですけれども、公共機関の名称又はそれに類似する名称を勝手に使用しているアカウントというのも多数存在しまして、それ自体なかなか規制するのが難しい。その場合、フェイクニュースが拡散される危険性があって、特に、今もそうですけれども、新型コロナもそうですし、災害時、そういったときに大きな被害が出るおそれもある。

 この拡散というのは、スピードがもう一瞬で、瞬く間に一夜にして広がってしまいますから、こういう公共機関とかの名称又はそれに類似する名称なんかを未然に規制ないし何かの防御策を考えることはできないかということをお聞きしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の他者に成り済ましたアカウント利用への対応ということでございますけれども、それぞれのSNS事業者の約款などに基づきまして、アカウントの停止を含む自主的な取組がなされているものと認識をしております。

 また、通信関連業界団体におきまして策定をしております違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項というものがございます。この中で、成り済まし行為が禁止事項として定められておりまして、総務省では、このモデル条項の策定や改定につきまして支援を行いまして、各事業者において約款などに基づき適切な対応をとるよう促しているところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも、関係事業者に適切な対応を促してまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 これはレクのときにも警察の方にも来ていただいていろいろ議論したんですが、もちろん、犯罪行為とかそういうフェイクニュースの拡散みたいなのがあったときに捜査する、それに歯どめをかけるというのは当然に行われていまして、それはもちろんいいと思うんです。

 しかしながら、これから更にIT化が進んでいって、情報がまさに氾濫していく時代には、未然に防ぐという設計思想を僕は強めていただきたいなというふうに思います。これは難しいとは思うんですけれども、もう少し、いかに事後ではなく事前に、未然に防ぐという設計思想をぜひ組み込んでいただいて、強化の体制をつくっていただきたいと思います。

 大臣、何か一言あれば。大丈夫ですか。ありがとうございます。

 これで、きょう、ちょっと早いですが、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて藤田文武君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 皆さん、こんにちは。自民党の今枝宗一郎です。

 それでは早速、質問を始めさせていただきたいと思います。

 私は、さまざまな課題に苦しむ地方の医療体制の再生のために、十五歳で国会議員を目指しまして、現場を知らなくてはならないので医師になり、過疎地の医療にも従事をしてまいりました。それゆえ、地方の医療体制の再生には並々ならぬ思いがあります。

 昨年、厚労省が公立病院の再編統廃合の検討を求める病院名のリストを公開いたしました。名指しされた病院は、医師、看護師の退職などが助長された、また、研修医に研修病院として選んでもらえないなどの問題が起きています。

 公立病院を所管する総務省として、九月から、地域医療に関する国と地方の協議の場を始め、地方の意見を入れてもらおうとしていることは存じ上げていますが、今後どのように対応されていきますでしょうか、お答えください。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の再検証要請病院の分析、公表を受けまして、大臣の御指示を受けまして、昨年十月に、地方三団体、厚労省、総務省によりまして、地域医療確保に関する国と地方の協議の場を開催いたしましたけれども、地方側からは、住民を始め自治体や病院の関係者から不安や不満の声が多数上がってきているなどの指摘があったところでございます。

 その後、厚労省におきまして、地方との意見交換会を順次開催をいたしまして、再検証要請病院の分析、公表は、医療機関そのものの統廃合を決めるものではないことや、分析に用いたデータが最新でない点を地域における議論の際に勘案していただきたいことを丁寧に説明するなどの対応を行ったと承知をいたしております。

 昨年十二月二十四日に開催されました第三回の国と地方の協議の場におきまして、地方側からは議論が正常化したとの認識が示されておりまして、総務省としては、引き続き、地域医療構想の実現のために国と地方が協力して取り組んでいけますよう適切に対応してまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。特に、大臣の早急な御判断と御対応をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 さて、これから影響をいかに、先ほどあったようなことがありましたから、それからいかに復活させていくか、これについてもぜひとも総務省にも考えていただきたいというふうに思っています。

 それでは、地域医療の厳しい状況を象徴している医療機関をちょっと紹介をしながら、質問を続けたいと思います。

 愛知県の東栄町の東栄医療センターです。人口約一万人の北設楽郡で唯一の入院病床がある医療機関であり、ちなみに、北設楽郡というのは面積が五百五十平方キロ近くありまして、静岡県境や長野県境まであり、端から端まで一時間から一時間半かかるという広大な郡であります。

 東栄町はその中で人口約三千人で、国保直営の有床診療所を運営するには、人口規模また財源の点からいっても非常に苦しいわけであります。昨年は三月まで東栄病院としてやっていたわけでありますけれども、今は有床診療所であります。さらに、二〇二二年には病床をなくさざるを得ないと東栄町の役場はどうも考えているようでございます。

 さらに、人工透析も行っております。これは北設楽郡のみならず、静岡県側の佐久間や水窪といった地域からも通ってこられます。静岡県側に透析施設がないんです。これもことしの三月で終了する予定であるとのことです。もちろん、東栄町も代替手段として別の透析病院への患者さんの転院を決められたり、また通院支援なども今後考えられるかもしれません。

 しかし、人工透析は、隔日で週三日、毎回四、五時間もかかります。透析後は、個人差はありますが、血圧の低下などによるふらつきもあり、運転を不安視される方もいらっしゃいますし、そもそも御高齢の方は車の運転ができないこともあります。往復二時間もかけて遠くの病院まで通わなければならないとなれば、東栄町や北設楽郡に住むこと自体が難しいと思われてしまうようなリスクもあります。このような思いは、本当に筆舌を尽くしがたいものであります。

 私は、地方の医療を支える国会議員として、何とかしてお助けをしたいと考えております。また、そもそもこのような問題になったのは、医師、看護師などの医療従事者の不足、財源不足があります。地方や公立病院を所管する総務省には、ぜひとも強い御支援をいただきたいのです。

 具体論に入ってまいります。

 一つは、不採算地区診療所における特別交付税です。まさに東栄医療センターは有床診療所なので対象となります。これは昨年の自民党内で議論をし要望してきましたけれども、令和二年度、つまり新年度から、地方財政対策の中で拡充となっています。まだまだ金額が少ないので、最低でも一・五倍以上には拡充をすべきであるというふうに考えますが、総務省としてはどう考えられておりますでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 不採算地区に所在いたします診療所に対します特別交付税措置につきましては、公立病院の財政措置に準じて措置を講じているところでございます。

 来年度より、不採算地区病院に対する特別交付税につきましては、特に病床数が少ない病院を中心に措置を拡充することとしておりまして、診療所の特別交付税措置につきましてもあわせて拡充し、病床当たり単価の引上げを行いたいと考えているところでございます。

 具体的な内容は今後検討してまいりますが、効果的な内容となるように検討してまいります。

今枝分科員 ありがとうございます。ぜひとも、少しでも多く拡充をいただき、地方のまさに過疎地で御尽力をされている診療所や病院に御支援をください。

 また、医師不足問題が大きい中で、医師確保の支援も特に行う必要があります。公立病院への医師確保の交付税がありますが、これは、医師派遣をしてくれる派遣元の比較的大きい病院、つまり僻地支援病院などへの交付税で、診療所に入るものではないという認識ですが、これはいかがでしょうか。

内藤政府参考人 現在講じております公立病院への医師派遣に係る特別交付税措置でございますけれども、公立病院に対して地域の拠点病院などが医師を派遣する際の当該医師の確保に要する経費に対する措置でございますとか、公立病院が他の病院から医師の派遣を受ける際に支払う費用弁償や報酬に対する措置を講じているところでございますけれども、これらの特別交付税措置においては診療所は対象外となっております。

今枝分科員 ありがとうございます。派遣を受ける診療所への拡充というものもやはりこれから必要だと思いますので、今後、ぜひ御検討をお願い申し上げたいと思います。

 また、僻地医療に対する特別交付税措置が存在をいたしますが、僻地の診療所に対して支援できる措置でしょうか。これは明確にお答えをいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの公立病院への医師派遣に係る特別交付税措置とは別に、僻地診療所の医師確保対策につきまして特別交付税措置を講じているところでございます。

 具体的に申しますと、僻地保健医療事業実施計画に基づき実施されます僻地拠点病院から僻地診療所への応援医師、代診医師などの派遣に要する経費、僻地診療所が応援医師や代診医師を要請する経費、旅費とか謝金になりますけれども、これに対しまして特別交付税措置を講じているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 東栄医療センターでございますけれども、先日、県に僻地診療所としてきちんと指定をしてもらいました。特別交付税の申請が可能でありますので、計画を策定し、申請すべく動いてまいりたいと思っておりますので、ぜひともお受けいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 大臣、ここまで聞いていただいて、また、この思いをぜひとも受けとめていただきたいというふうに思っておりますけれども、いかがお感じになられるか、ぜひともお言葉をいただきたいと思います。お願いします。

高市国務大臣 委員が特に心配しておられる東栄医療センターでございますが、不採算地区診療所に対する特別交付税措置の要件に該当するとともに、愛知県が僻地診療所に指定したことから、僻地診療所の医師派遣に係る特別交付税措置についても対象となります。

 今後、特別交付税の算定において、愛知県からの申請がございましたら、その内容を踏まえてしっかりと対応させていただきます。

今枝分科員 どうもありがとうございます。大臣の非常に大きな心での受けとめ、感謝を申し上げたいと思います。

 大臣、お忙しいと思いますので、ここで御退席いただいても結構でございます。

奥野(信)主査代理 高市大臣、どうぞ。

今枝分科員 では、続きまして、過疎地の財源全般についてお聞きを申し上げたいと思います。

 まずは地域社会再生事業費についてです。

 これも昨年、私たち自民党内で議論をし要望してきましたが、人口減少や人口集積の度合いの低い中山間地に手厚い交付税として令和二年度から導入されます。要望を聞いていただき、感謝申し上げます。

 新たな交付税なので改めて確認しておきたいのですが、病院事業にも使えますでしょうか。また、しっかりその点、周知をされているのでしょうか。内容的には病院事業にぴったりのものではないかなというふうに考えておるものですから、どのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域社会再生事業費は、偏在是正措置により生ずる財源を全額活用いたしまして、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について自主的、主体的に取り組むための経費を計上するものでございます。

 この財源は一般財源でございますので、御指摘のような地域医療の確保のような取組も含めまして、各地方団体において地域社会の維持、再生に向けたさまざまな取組を積極的に展開していただくことを期待しているところでございます。

 また、こうした地域社会再生事業費の趣旨につきましては、これまでも説明会やヒアリング等の機会を通じまして地方団体に情報提供を行っているところでございまして、引き続き、周知に努めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 どうもありがとうございます。人口減少に悩む地域には朗報であります。金額はまだこれから算定されると思いますが、過疎地に対してしっかりと出していただきたいというふうに思っています。

 先ほども触れましたいわゆる不採算地区診療所における特別交付税などもありながら、やはりしっかりと地域、僻地を支えていただきたいというふうに思っておりますので、とにかく拡充をしていただいて、少しでも多く支援をお願い申し上げたいというふうに思います。

 さて、こういったことをいろいろ議論してきましたけれども、この地域社会再生事業費、確かに内容は非常にすばらしいんですが、予算は全額で四千二百億円ということで、十五兆を超える交付税の中では、あくまで一部であります。そもそも交付税は人口による算定が大半ですので、過疎地は、先ほどのような対策で算定額が多少ふえても、結局は人口減少により交付税が大きく減少してしまいますので、大変に困っております。

 現在の過疎法は令和三年三月が期限ということで、来年度国会で議論がされると思いますけれども、交付税は人口要件が大半で、過疎地の交付税が減少していく中で財源の確保をしっかりとせねばなりません。

 議員立法の過疎法の改正も、私は自民党の過疎対策特別委員会の事務局次長でありますので、我々議員側でも努力をしていきますけれども、総務省としてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 過疎法では、人口減少率が高く、財政力が低いという特に厳しい状況に置かれております過疎市町村が過疎対策事業を実施するために必要な特別措置が講じられております。

 例えば、充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%の過疎対策事業債でありますとか、公立小中学校校舎の整備などに対します国庫補助金の補助率の二分の一から十分の五・五へのかさ上げといった財政支援が行われております。

 現行の過疎法は、御指摘のように、令和三年の三月末に期限切れを迎えますけれども、これまで議員立法として制定されてきた経緯がございますので、財政支援の内容も含めまして、新たな過疎対策について各党各会派で議論されるものと承知をいたしております。

 総務省でも、有識者会議であります過疎問題懇談会におきまして新たな過疎対策について議論を行っているところでございまして、今後の各党各会派の議論にも資するようしっかりと検討を進めてまいります。

今枝分科員 どうもありがとうございます。

 我々議員側も努力をいたしますけれども、やはり先ほどのかさ上げ率を聞いても、ほんの少し上がっているというのが正直なところであるというふうに思います。やはり、人口減少がこれからまさに人口構造上も非常に進んでいく中でありますので、さまざまな形での対策をちょっと考えていただかないと、特に抜本的な対策を考えていただかないといけないのかなというふうに思っておりますので、またよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。ともに頑張りましょう。

 さて、続きまして、地方創生に重要なインフラ整備、中でも特に重要な道路について質問をしたいと思います。

 国道二十三号線蒲郡バイパスは、ストック効果も全国的にも随一であり、政府としても一日も早い全線開通を全力で進めていただいているかというふうに思いますし、なお一層の力を入れていただきたいというふうに思っている道路であります。

 特にここは、いわゆる東海道、太平洋ベルトのど真ん中に位置をする場所でございまして、自動車産業を始めとして輸出産業も多く立地をしておりますので、道路ができて今渋滞で非常に困っておりますし、やはりこれが一気通貫、全線開通をすれば、具体的にこれだけ価値があるというのが見えるようになります。部品工場と完成自動車の工場が今まで一往復しかできなかったものが二往復できるようになると、その分、輸送コストも下がりますし、生産性もぐっと上がる。ここまで効果が見えている道路というのは、本当に、ストック効果を見ても、ほかには、全国的に見てもなかなかないというふうに思っております。

 そこで、質問をいたします。

 この進めていく上で、暫定二車線の全線開通をまずは目指しているわけでございますけれども、これの残事業費がまだ出ておりません。幾らかかるでしょうか。

 また、懸案であった土地取得問題については解決をしつつある現在であります。いよいよ全線開通のために、いつそれができるのか、これをお聞きすべきときであるというふうに考えておりますので、この二点、政府の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方からもいろいろ御紹介ありましたけれども、国道二十三号蒲郡バイパス等によって構成されます名豊道路は、まさに自動車産業の集積地である三河地区から三河港へのアクセス道路となっておりまして、交通混雑の緩和や物流の効率化を図る観点から非常に重要な道路であると考えてございます。

 御質問の蒲郡バイパスの暫定二車線の開通には、現時点では三百億円程度の事業費を見込んでおります。蒲郡バイパスの未開通区間で今あります豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間、これは延長約九・一キロでございますけれども、開通時期のポイントとなる金野地区の大規模切土工事、その進捗を図るため、工事用の道路を、当初計画三つでございましたけれども、それを五つにふやして、工程を前倒しして、今工事の推進を図っているというところでございます。

 開通見込みの公表につきましては、その大規模な切土工事、令和二年度以降、約五十四万立米ぐらいございますけれども、その工事の進捗状況等を踏まえて、これから検討してまいりたいと考えてございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながらも、一日も早い開通を目指して蒲郡バイパスの整備を進めてまいりたいと考えてございます。

今枝分科員 どうもありがとうございます。

 まさに予算をふやして前倒しで工事をしていただいているという点、また、非常に御尽力をいただいている点、感謝を申し上げたいというふうに思いますが、やはり全線開通して効果が出ますので、その点を十分に御理解いただいて御尽力をいただきますようにお願い申し上げます。

 また、国道二十三号線の二車線部分についてでありますけれども、現在、愛知県の幸田町付近は朝の渋滞が大変にひどい状態で、これは四車線化を早急にせねばならないというふうに思っています。

 四車線化は、二車線で全線開通をしてから考えるというふうにずっと言っておられましたけれども、そういうことではなく、今の渋滞状況なども検証しながら進めていただかねばならないというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 名豊道路は、現在、約四割、延長約三十一キロが四車線で開通しております。

 残る暫定二車線区間のうち、今年度は、渋滞の著しい豊橋バイパスの野依インターから大崎インター間の延長四キロの四車線化工事に着手したところです。

 名豊道路の残る区間の四車線化につきましては、今先生から御指摘のように、特に朝、渋滞の著しい区間もございますので、現在の二車線区間の渋滞状況などを踏まえて、渋滞の著しい区間から順次着手することを考えていきたいと考えてございます。

今枝分科員 どうもありがとうございます。これまでとはやはり姿勢を変えて、より前向きに御尽力いただいていること、感謝を申し上げたいというふうに思います。ぜひ一日も早い四車線化をお願い申し上げたいと思います。

 続いて、国道百五十一号線一宮バイパスについてお聞きをいたします。

 三河港へのアクセス道路であるのと同時に、高速道路間のネットワークでもあり、非常に重要な道路で、国の個別補助対象にしていただきました。

 現在、豊川市側からだけでなく、新城市側からも現地測量に入っていますが、今後は、基本設計、両側から工事を進めていくという理解でよろしいでしょうか。一日も早い全線開通をするために、政府としてどのように推進をしようと考えておりますでしょうか。お答えください。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 国道百五十一号一宮バイパスは、新東名高速道路の新城インターチェンジと東名高速道路の豊川インターチェンジを結ぶ路線の一部となる延長七・九キロメートルのバイパスであります。現在、愛知県において整備が進められているところでございますが、国土交通省としましては、当該事業を重要港湾である三河港へのアクセス強化に資する事業に位置づけまして、今年度からは、先生から今ございましたように、個別補助により財政的な支援をしているところでございます。

 豊川側区間については、今年度、用地買収の推進及び橋梁の下部工事など、本線部分の工事に着手しております。また、今御指摘のありました新城側の区間につきましては、昨年十月から現地測量に着手しておりまして、引き続き、設計や用地買収を進めていく予定と愛知県からも聞いております。

 国土交通省としても、今後とも、愛知県からの要望を踏まえまして、早期に新城側の区間の工事に着手できるように重点的に支援をしてまいりたいと考えてございます。

今枝分科員 どうもありがとうございます。非常に前向きにこれらの地方創生についての道路についてお取組をいただいていることがよくわかりました。

 では、続きまして、中山間地の地方創生で重要な林業について質問をしたいと思います。

 地域の産業、雇用としても重要ですが、昨年多かった水害を考えても、林業が適切に行われて山が守られるということが非常に重要であるというふうに思います。それだけ保水力を持った山が日本全国に存在をすれば、その分、下流の都会で住む方々もその恩恵に浴することができるということであります。

 こういった観点から、森林環境譲与税がことしからスタートをいたしました。

 これは、いろいろと総務省のホームページや示していただいている資料を見させていただきますと、概要において、「森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する」となっております。これは極めて正しいと思います。使途の規定で、この「等」の部分で、森林人材の育成や普及啓発、木材利用の促進などが入っていますが、森林整備が主であるということは誰の目にも明らかであるというふうに思います。

 ただ、問題は、その割には、配分において人口割が三割と大き過ぎて、私はこれは変えるべきではないかというふうに考えております。山に本当はお金を渡していく、都会がまさに恩恵に浴することができるので、その支援をしていくという観点からの税であるにもかかわらず、このような状況では、やはりまずいということであります。

 法案成立時の附帯決議でも見直し規定が書いてありますから、今後検討せねばなりません。そのためにきちんとPDCAサイクルを回さねばなりませんけれども、特に、普及啓発という部分については、国民の皆様の意識の問題なので、こういったものは曖昧になりがちであります。

 だから、それを防ぐには、目安となるKPIをきちんと設定をするということが必要でありますけれども、残念ながら、国民の皆様の意識に関するKPIというのが示されておりません。これでは国民の皆様に説明責任を果たせるレベルとは言えないというふうに思いますけれども、総務省として、今後どのような対応を考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

開出政府参考人 お答えいたします。

 森林環境譲与税の使途に関する事項については、総務省としても、各地方団体における事業実績を分析し、その効果を分析したいと考えております。

 その際、事業ごとの事業費に加え、例えば、森林の整備に関して、間伐を実施した面積でありますとか、整備した路網の延長、普及啓発に関して実施したイベントの回数や参加者数、木材の利用の促進に関して、公共施設への木材の使用量などを収集し、分析することが考えられると思っておりますが、今後、さらに、林野庁とも連携し、森林整備の取組や関連施策の実施による効果がよりわかりやすく示せるよう取り組んでまいりたいと考えております。

今枝分科員 どうもありがとうございます。レクに来ていただいたときは何もお答えいただけなかったものですから、そういったことを今考えていただいているだけでも、まず一歩前進かなというふうには思っています。

 ただ、申しわけありません、ちょっと更問いで申しわけないんですけれども、今、普及啓発の回数というふうに言っていただきました。これも一つの確かに指標ではあるんですが、ちょっと、分析の観点からすると、専門的には、これはアウトプットなのであります。本当は、その結果どういうふうに意識が変わったかというアウトカム、これでやはり評価をしなくてはならないというふうに思っています。

 例えば、私は今、党本部の食育調査会の事務局長をやらせていただいているんですけれども、この食育に対するいろいろな意識ですとか、例えば、あとは、去年、食品ロス削減法が成立をいたしまして、食品ロスに対する意識調査みたいなこともいろいろやっておりますけれども、かなり国民の意識に対することについては、やはり国民の皆様に今、アンケート調査ですとかさまざまな形でやる手法がある程度できておりますので、こういった回数ではなくて、やはり意識を直接的に把握をしていくということも非常に重要だというふうに思いますけれども、ちょっと更問いで申しわけありませんが、いかがお考えになられますでしょうか。

開出政府参考人 分科員から御提案いただいた点も含めまして、研究を進めてまいりたいと思います。

今枝分科員 どうもありがとうございます。見直しを適切に行っていくべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、森林環境譲与税は、いわゆる山の広葉樹化にも使えるのであります。奥山の広葉樹化は、鳥獣害対策の抜本的な解決策ともなってまいりますし、先ほど来お話をいたしました保水力の高い山をつくることでの防災対策にもなって、非常にこれも、下流の方、都市の方々にとっても大きなメリットがございます。

 森林経営管理制度でも示されておりますけれども、こういったことができるんだよ、こういったことを、きちんと広報、周知の徹底も含めてどのように現在お進めをいただいているのか、また今後やっていこうとされているのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年五月に閣議決定しました森林・林業基本計画、この中に、先生御指摘のとおり、生物多様性の保全等を含め、森林の公益的機能を発揮するため、地域の自然条件等に応じて、針葉樹だけじゃなく、広葉樹がまじった針広混交林、そういった森づくり、多様で健全な森づくりを推進するということが、この基本計画の中に位置づけられているところでございます。

 こうした中、農林水産省としましては、森林経営管理制度を活用し、奥山に立地しているなど林業経営に適さない森林については、広葉樹も活用し、公的管理により森づくりを積極的に進める、こういったことを今回の森林環境税で進めることを期待しているところでございます。

 具体的には、こういうことを進めるに当たりまして、森林環境税の活用につきまして、全国で百九十回の市町村説明会、それに林野庁の職員を派遣いたしまして、条件不利地における広葉樹林化を含め制度の内容について説明するとともに、森林整備事業、例えば、森林所有者の方がみずから広葉樹を植えたい、導入したいということの場合は、そういった者への支援もこの事業でやっているところでございます。

 いずれにしても、このような取組を通じまして、針広混交林、広葉樹林化の趣旨の徹底を図って、多様で健全な森づくりを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

今枝分科員 どうもありがとうございます。

 市町村の方々からすると、やはりまだまだいろいろな情報がわかりにくいということがございます。ぜひともしっかりとした、説明会のみならず、個別のいろいろな対応であったり、また、わかりやすく御説明をいただくような、そういった努力をお願いを申し上げたいというふうに思っています。

 最後に、消防団について質問をさせていただきます。処遇の改善、団員確保等々についてであります。

 東日本大震災で被災地に対して、私は医者でございますので、診療のボランティアをしておりました。そのときに、いわゆる福島県のいわき市という第一原発から三十キロ離れたぎりぎりのあたりを、避難所ですとか回らせていただいて、ずっと診療のボランティアをしていたんですけれども、そのときの私のやはり経験や思いといたしまして、現地で消防団の方々がいかに身を賭して、本当に地域のために御尽力をされておられるのかというのを、それまでもわかっておりましたけれども、非常に強く痛感をいたしました。また、二百四十名以上の方がお亡くなりになられたことについても、心からお悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、御家族の方にもお見舞いを申し上げたいと思います。

 そういった強い思いがあるものですから、消防団の支援、国会議員になってから、より一層強い思いで活動させていただいておりまして、平成二十五年に消防団基本法を議員立法いたしましたときは、一期生の議員でありましたけれども、積極的に動き回って推進をしておりましたし、その結果、総務省さんにも御尽力をいただいて、交付税措置の引上げや退職報償金の引上げを行うことができてまいりました。

 さらに、これまで政府として、団員確保を進めるという観点から、地方自治体やまた企業に対しての依頼もしていただきましたし、平成二十八年には大学へも依頼をしていただきました。

 近々では、年末に、地方自治体に対して、団員確保の定量的な目標、計画を策定してもらうということをしまして、女性や学生に特に力を入れるように通知を出していただいたところであります。自警団や町内のいわゆる自主防災会、こういったところへの支援も、まだ少なくはありますけれども、新年度からスタートをする予定であります。

 このように、いろいろこれまで対応してきていただいておりますけれども、依然、団員確保が非常に難しい状態であるということが、まさに皆様も御実感をされておりますし、私も地域におりますと本当に痛感をいたします。

 ところどころ、うまくいっているところを聞きますと、やはり町内会の方々との連携が本当に密にされている、こういったところはうまくいっているというところも事例として散見をされますけれども、やはりそれは、地域の共助、これに任せてばかりではなかなか進んでいかない部分もあるんじゃないかなというふうに思っておりまして、やはり政府が、この共助を助けていくような、いわゆる公助、共助、自助、この三つを単に切り分けるのではなくて、共助を支援していくような、そういう公助のあり方ということも含めて、政府がやっていくことというのはたくさんあると思うんですけれども、これまで以上の支援をするべきではないかという観点で質問いたしますので、お答えをいただきたいというふうに思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、近年、日本各地でさまざまな災害や火災が相次ぐ一方、我が国の人口減少、少子高齢化等もありまして、地域防災力の中核的役割を果たす消防団の団員数は減少傾向にございます。

 これも御指摘をいただきました昨年十二月の通知以降の今後の取組でございますけれども、この通知の中で、地理的特性等地域の実情を踏まえた、消防団の果たす将来的な役割等に関する早期の検討、また団員数や装備の改善等に係る数値目標の設定について要請をし、また、女性や学生、企業にお勤めの方等の入団促進に向けまして、新たに、期間を区切って全国的な数値目標を設定した上で、各地の取組を要請をしたところでございます。

 まずは、これらの要請に基づきまして、地域で、今、共助という御指摘もございましたけれども、地域を支えるさまざまな、町内会ですとか自主防災組織、そういった方々との連携を促進をして、消防団の活性化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 あわせまして、来年度政府予算案におきましては、消防団員の確保に関する消防団の中期的な計画の策定を支援する事業を新たに計上するなどによりまして、消防団関連予算を拡充をしております。今後とも、消防団員の確保に向けまして全力で取り組んでまいります。

今枝分科員 どうもありがとうございます。ぜひとも、お力をより一層かけていただきたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷(裕)分科員 立国社の神谷裕でございます。

 きょうは、発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、高市大臣、長谷川副大臣、本当に朝から御苦労さまでございます。貴重な時間でございますので、順次聞かせていただきますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 きょう、多分、一番各分科会で聞かれているのは新型肺炎の話じゃないかなと思います。私も、若干聞かせていただきたいと思っているところでございます。

 残念ながら、コロナウイルスの蔓延防止になかなか歯どめがかかっていない状況であると思います。政府は、早期の終息に向けて全力で取り組んでいただいていると思いますけれども、なお一層の御努力、本当にお願いをしたいと心から思います。

 今回お伺いいたしたいのは、各自治体の罹患者の公表のあり方でございまして、一方の自治体ではかなり詳細に公表しながら、一方ではなかなか、余り公表されないというような状況がございまして、再度公表し直すみたいなところがございました。

 もちろん、蔓延防止とプライバシーの保護という観点で、皆さん、大変苦しい判断をなさっているというふうに推察するわけでありますが、プライバシーには配慮しつつも、一番重視をしなければいけないのは、蔓延防止にとってどういう情報が必要であるかという観点ではないかと思います。もちろん、専門家の判断や知見が必要な部分でもあり、今回のばらばらな対応を見ても、本来公表すべき情報を公表せず、また、公表すべきでない情報を開示してはいないか、大変気になるところでございます。

 そこで、地方公共団体と連携をとられております総務省において、公表のあり方等を自治体にお伝えをしてはどうかなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

奈良政府参考人 お尋ねの公表の基準につきましては、厚生労働省において、感染症に関する情報公開については、公衆衛生上の必要性と個人情報保護に係るリスクとを比較考量し、そもそも公衆衛生上の必要性を欠く場合や、個人情報保護に係るリスクが公衆衛生上の必要性を上回ると考えられる場合については、当該情報は公表しないこととしているとのことでございます。

 委員からの御指摘については、厚生労働省に伝えることとしたいと考えます。

神谷(裕)分科員 ぜひお願いをしたいと思うんです。

 ただ、最初、テレビを見ておりまして、しっかり言っているところとそうでないところと、非常にばらばらだったなという印象でございました。当然、皆さん方、大変困っていらっしゃるんじゃないかなとも思いますし、そういう意味では、必要十分な情報というのは、これは本当に必要なんだろう。それをどういうふうに開示していただくか、その辺については、やはり総務省の皆さん方がお助けをいただくというのがあるいは合理的なのかなと思っているところでございまして、もちろん、言われるとおり、一義的には厚労省なのかもしれません。しかし、地方自治体と連携する総務省としては、自治体、役場内についてしっかり連携をとっていただきたいと思います。

 また、重ねて伺いたいんですけれども、こういった自治体内、特に、今後どこで出てもおかしくない状況になります。都道府県はもちろんですけれども、小さな田舎の役場でも出ることが十分想定をされるというわけでございます。

 ところが、そういった役場で出た、でも、何も準備がないというようなことでは、やはり大きな問題なんだろうと思うわけでございます。だとすれば、やはり自治体、役場内の患者の発生時の対応について、体制、準備というのをやはり考えていかなければいけないと思いますけれども、これについて総務省のお考え方を聞かせていただけたらと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体における新型コロナウイルス感染症対応の体制としては、厚生労働省によれば、都道府県において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に十分対応し、感染の疑い例を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐための帰国者・接触者外来の設置、電話での相談を通じ、疑い例を帰国者・接触者外来へ受診させるよう調整を行う帰国者・接触者相談センターの設置などの体制を行うよう要請している、このように聞いてございます。

 総務省といたしましては、地方自治体に対し、これまで継続的に必要な情報提供などの支援を行っており、引き続き地方自治体の要望を伺いながら、適切、迅速に対応してまいりたい、このように考えております。

神谷(裕)分科員 もちろん、自治体に要望を聞きながら、総務省として厚労省に必要な発信をしていただく、これは大事なことだと思います。

 現実には、恐らく、自治体の方では、出るかな、出ないかなというところで、多分逡巡をしておられるんじゃないかなと思いますし、実際に出たときはどうしようかなぐらいなところでとまっていないとも限らないのかなと、正直言うと思います。

 当然、私の住む、あるいは、長谷川副大臣は御存じだと思いますけれども、北海道の田舎の自治体、役場では、そんなに体制が整っているわけではありません。その専門の方がいらっしゃるわけでもありません。都道府県であれば、当然、保健所等、あるいは専門の医官、技官の方がいらっしゃって、多少の判断はできるかもしれませんが、かといって、この感染症の専門家というわけでもないと私は思います。

 だとすれば、備えあれば憂いなしではないんですが、各自治体に、それこそ、そういった対策本部までは言わないまでも、そういった準備の機関みたいなものをむしろ考えてもいいんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、そういうような必要な情報交換というのは、ぜひ総務省、音頭をとっていただいて、厚労省との橋渡しということになると思いますけれども、ぜひやっていただきたいと思うわけでございますけれども、大いにうなずいていただいている副大臣、よかったら何か御見解をいただいてもいいですか。

長谷川副大臣 突然の御指名でございますが、先般、自治体の病院のあり方に対する意見交換会に出席をさせていただいたときに、道北の自治体の皆さんと、さまざまな御意見をいただきました。

 特にその中では、各自治体の方から、学級のお子さんたちから新型コロナ感染が出たということで、例えば、そういう集団感染に対する防止策として自治体の支援をお願いしたいとか、消防士の皆さんが感染したことに対して、やはりそういう救急体制を担う消防の皆さんに対して感染対策をしっかりしてほしいというような現場の声も聞くことができました。

 やはり、そういった地域の現場の声もしっかり伺いながら、最先端のそういった新型コロナ対策というのを自治体に呼びかけながらやっていくのも総務省の一つの役割だと思いますので、きょう御質問いただいたことを参考にさせていただきたいというふうに思います。突然でしたが、よろしくお願いします。

神谷(裕)分科員 突然の質問にもかかわらず、本当に丁寧に答えていただいてありがとうございました。本当に大事な役割だと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、広域異動手当について聞かせていただけたらと思っております。

 国家公務員の皆さんに対して支払われております広域異動手当について伺いたいと思います。

 この広域異動手当は、私は地方公務員の皆様にもあるべき手当だなというふうに思っているわけでございますけれども、この広域異動手当、これの例えば考え方であるとか、これを地方公務員に広げるということに対しての今の時点での総務省のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

大村政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員に支給される広域異動手当につきましては、平成十八年度から実施をされました給与構造改革におきまして、地域の民間賃金水準を適切に反映させるための取組の一環として設けられたものでございます。

 具体的には、他県に支店を有する広域的に転勤のある民間企業の従業員の賃金水準が、地域の平均的な民間の賃金水準よりも高いということを考慮いたしまして、具体的には、広域的な人事異動が行われる国家公務員の給与水準の調整を図るという趣旨で設けられた手当でございます。

 一方で、地方公務員につきましては、こうしたこの制度の趣旨を踏まえて、広域異動手当は導入しないということにしたものでございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 今のお話は、一方ではわかるんですけれども、一方でわからない部分があると私自身は思っています。というのは、恐らくは、大都会の本店がある会社が、支店のある、いろいろなところにある会社、比較的大きな会社になると思います、そういったところの賃金が高いから、こういうものが必要なんだという考え方に基づいているんだろうと思いますけれども、じゃ、例えば、都道府県、都道府県庁、こういったところがそれに当たらないかというと、果たしてそうなんだろうか。

 確かに本店は東京にあるかもしれません。その上で地方に支店があるのかもしれません。しかし、都道府県庁においても、実は、同じようなとは言いません、地方の大きな企業と考えれば、例えば北海道にも東京事務所がございます。中には大阪事務所あるいは沖縄事務所、海外に事務所のあるところも大勢あると私は思います。そういった意味において、当然、都道府県においても同じような考え方がむしろ適用されるんじゃないかと思うわけでございます。

 この考え方そのものもあると思いますし、あるいは、実際には異動の実態があるわけでございまして、広域異動手当については、地方公務員についてもやはり手当の対象となるような異動の実態があるんじゃないかと思うのでございますけれども、その辺についてもう一度伺いたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 広域異動手当につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり、他県に支店を有する広域的に転勤のある民間企業の従業員の賃金水準が、地域の平均的な民間の賃金水準よりも高いということを考慮しているということが一点。そして、国家公務員の給与水準の調整を行うために導入されたという点が一点でございます。

 一方で、地方公務員の給与につきましては、地方公務員法の規定に基づいて、地域民間給与等も考慮して、各地方公共団体の条例で定めることとされております。

 そのため、各団体におきましては、例えば同一県内で異動がある民間企業の従事者の給与等につきましても十分に踏まえて、適切な給与水準の決定がなされているものと認識しておりますので、特段この点について不公平な取扱いがあるとは考えておりません。

 また、例えば東京事務所に移転する、転居するというようなことについてでありますれば、その場合には、東京における地域の民間水準を反映した地域手当というものが支給されることになりますので、そういった点の調整は別途なされているということになると考えております。

神谷(裕)分科員 賃金水準を合わせるということについては、今おっしゃられたように、地域によって、賃金の差額支給というのか、さまざまな手当があるんだなというふうに、今言ったとおりだと思います。ただ、じゃ、今最初に言っていただきましたけれども、地方自治法の世界で要はできないとなっている、現状書かれていないから広域異動手当を出せないとなっているわけでございまして、地方自治体ですから、今まさにおっしゃっていただいたように、自治体の中で決めればいい話じゃないかな、こう思うわけであります。

 その前段において、国と地方で例えばその賃金水準が違うんだというようなお話もあったのかもしれませんが、現実には、異動の際の、六十キロなり以遠の異動に際して支給されているというようなこともあって、実際には、異動した後に、例えば戻ってくる、さまざまな経費が必要になってくるからこういったものが必要になるんだというような考え方もあるんだというふうに承知をしています。だとすれば、実は、六十キロなんというのは北海道では非常にむしろ狭い部類の話でありますし、北海道だけではありません、例えば東京であっても、あるいは千葉であっても、埼玉であっても、先ほど申し上げたように、大変広域の異動なんというのは、実は都道府県、普通にある話だと私は思います。

 だとするならば、やはり、最初にお話ししたように、地方自治の世界で決められるようにしてしまった方がいいんじゃないか。地方自治体の中でむしろ広域異動の手当なんて出したらいいんじゃないかというようなことを決められるようにしてあげるために、法改正も含めて考えた方がいいんじゃないか、このように思うわけでございますけれども、もう一度お答えをいただけたらと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 基本的に、地方公務員の給与につきまして、地方公務員法上、均衡の原則というものがございまして、まず、国家公務員の給与との均衡ということについては第一に考えていく必要がございます。もちろん、その中で民間地域企業との給与水準の均衡というのは当然あるわけでございますけれども、その点については、先ほども申しましたが、各団体において、北海道の中で異動がある民間企業の従事者の給与水準、こういったものも適切にそういった給与水準の決定の中で反映されているのではないかというふうに考えております。

 また、異動に際して円滑化を図るという要請の点につきましては、先ほど申しました地域手当もございますし、また、地域手当が高いところから低いところ又はないところに行ったときには、地域手当の異動保障というような制度も一般的にはございます。

 それから、あと、離島とか僻地に行ったときには、これは特地勤務手当に準ずる手当というのがございまして、異動に際して、住居等が移転した場合ですけれども、要するに転居に伴ってそういった手当が出てまいりますので、別の形でそういった異動の円滑化についての要請については対応させていただいておりますので、そういったことを総合的に考えれば、適切な取扱いが可能というふうに考えております。

神谷(裕)分科員 あわせて、今、引っ越しの話が出たので、引っ越しの話にちょっと移りたいと思うんですけれども、これは国家公務員も地方公務員も、はたまた自衛隊の皆さんでも同じだと聞いておりますし、たまたま、きのうですか、朝日新聞にも出ていたんですけれども、引っ越しの問題です。全ての公務員がとは言いませんけれども、公務員に異動はつきものであります。転居を伴うものも多くあります。

 一方で、昨今では、引っ越し難民という言葉を聞くのですけれども、これは、なかなか引っ越し業者が見つからないであるとか、あるいは、見つかっても大変高額になるというようなものでございます。

 公務員の皆さんも同様の状況にあると聞いておりますけれども、まずはこういった実態を把握されているのかどうか伺いたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 これは非常に身につまされる問題でございますが、地方公務員に支給される旅費につきましては、公務のため職務命令により引っ越し等を行った際に、地方自治法の規定により、各地方公共団体においてそれに要する費用を支給しなければならないとされております。

 また、旅費の額そしてその支給方法につきましては、条例で定めることとされておりまして、地方公務員法の規定により、国や他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適切な考慮が払われなければならないとされているところでございます。

 各地方公共団体におきましては、こうした規定に基づいて、国の取扱いも踏まえて適切に旅費が支給されているものと考えております。

 したがいまして、今御質問がありましたように、引っ越しに要する実費と各地方公共団体における旅費の支給額の乖離、こういった実態について現時点で把握してはおりません。また、現段階で把握を行う予定もないわけでありますが、なお、各地方公共団体において、国の旅費法の取扱いも踏まえて、条例において、人事委員会等と協議をすることによって定額を超える額を支給することを可能とするなど、各団体の実情に応じて適切に対応することは可能であり、また、適切に対応されているものというふうに認識をいたしております。

神谷(裕)分科員 もう本当に身につまされる話だと私自身思っていまして、昨日の朝日新聞でも、これは国交省で調べたというようなことでございます、海上保安庁の職員の方、六割ぐらいが手出しだったというようなことで、大変に大きな金額だったという方もいらっしゃったというようなことでございます。そういった実態も一つあり、じゃ、地方公務員についても同じようなことが言えないかというと、私は、実は言えるんじゃないかなというふうに思っています。

 今、実は実態把握はされていないというようなことでございました。できれば私自身は、実態をしっかり見ていただきたいと思いますし、地方の公務員の皆さんのことを考える公務員部でなければいけないと思いますから、ここら辺のところはやはりしっかり見ていただきたいと思いますし、何も好きこのんで異動したい、あるいは異動するというわけではございません。長谷川さんもそうでしょう、多分聞かれたことがあると思うんです。実際に、引っ越し費用を賄えないんですよという方、特に国の方が多いんじゃないかなと私自身は思うんですけれども、そういった実態に実はあるんだというふうに思います。

 だとすれば、これはやはりちょっと見てあげなきゃいけないんじゃないかなと思うわけでございまして、その前に、私自身、やはり公務員の異動について、まず時期を考えなきゃいけないんじゃないかなと。特に、民間の異動時期や新入社員の入社時期など、いわゆる繁忙期に行われる実態を、これを少しでも考えなきゃいけないんじゃないか。これを、時期を多少ずらすことによって解消できる部分も若干あるんじゃないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体における異動につきましては、一般的に会計年度や学年を始めとして、社会経済活動の始期、始める時期とされることが多い四月一日を中心に行われてきておりますけれども、こうした特定時期の異動自体については、適材適所の職員配置や人材育成等の見地からは合理性があるものと考えております。

 ただ、一方で、御指摘のように、近年の運送業界における人員不足ですとか、働き方改革の進展を背景に、希望の時期に引っ越しができない、料金が高騰するといった状況も生じていることは承知をしております。

 そこで、各地方公共団体においては、こうした実態も踏まえて適切な異動時期を決定することが望ましいと考えておりますし、その辺は、適切な工夫はそれぞれ努力をされているものと考えております。

神谷(裕)分科員 それぞれ適正な努力をされているとは思いますが、ぜひ、そういう方向に促していただけるように、なお一層の御尽力、御努力をお願いをしたいと思いますし、また、政務のお二人については、総務省の中、必ずしも地方公務員ということではなくて、総務省の方の異動の際に少なくとも実費で困るようなことのないように、ぜひ御配慮をいただけるようにお願いをしたいと思います。これは要望ということで、お願いをさせていただきます。

 それでは、ちょっと話題をかえまして、病院特例債について伺わせていただきたいと思います。

 先般、厚労省から四百二十四病院の再編統合のリストが公表されております。自分のところの病院は大丈夫かと多くの住民から心配の声が漏れているところでもあります。自治体病院は、そもそも採算の厳しい状況ながらも、地域住民の求める医療を支えていく重要な役割があると承知しておりますけれども、総務省として今回の再編統合リストをどう考えているのか。また、それを踏まえて、どう地域の医療提供体制を支えていくのか。支えていくという側についてお伺いをしたいと思います。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘がございました再編統合リストでございますけれども、それが公表されて直ちに大臣から指示を受けまして、国と地方の協議の場の開催を行ったところでございます。

 その上で、厚労省の方に地方側の意見を聞き取っていただきまして、厚労省も、あのリストは機械的な試算であるというようなこと、それを地域の議論の参考としていただくというようなことを、意見をおっしゃっておられまして、それを踏まえて、厚労省は各地で意見交換会を設けてその周知を図っているところでございます。

 今後も、引き続きまして国と地方の協議の場を継続して開催をいたしまして、地域の声が十分届きますように総務省としてもバックアップしてまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 地方の自治体病院とか地方の病院を支えているのは、実は総務省というか皆さんだと私は思っています。そのためにさまざまな施策、あるいはさまざまなこと、支援をしていただいている、そのことについては本当に評価をさせていただきたいと思いますし、私どもの選挙区においても、本当に皆様方が親身になってやっていただいているということは十分に承知をいたしております。

 ですからこそ、ぜひお願いをしたいと思いますのは、さまざまな施策をこれまでも実施していただいておりますけれども、実は、私のところには、自治体の皆さんから、例えば病院特例債について実現してほしいというような要望を伺っております。もちろん、問題、課題の先送りとなるような導入の仕方であればこれは大変な問題でございますけれども、自治体によっては、さまざまな改革を同時に行っているとか、そういったことでの一時的な現金の不足、これを回避したいということで、抜本的な改革をやっていくために一時的にこれを導入できないかというようなお話も聞いているところでございます。

 そういった意味において、当然、各自治体の状況や事情をしっかり聴取したり理解したりした上でなければいけないということは理解をしながら、これまで総務省さん、さまざまな自治体の病院を支えていく上でやっていただいておりますけれども、この病院特例債についてもぜひ支援のメニューに加えていただきたいと考えるところでございますけれども、お考えはいかがでございましょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公立病院特例債でございますけれども、不良債務が急激に増加したことを踏まえまして、平成二十年度限りの措置として特例的に発行することができることとしたものでございます。これは、改革プランの実行によりまして特例債の償還財源を確保できると見込まれる公立病院を対象といたしまして、その不良債務を長期債務に振りかえることで計画的な解消を図ったところでございます。

 したがいまして、御指摘もございましたけれども、単なる負担の棚上げというようなことではなくて、各地域において持続可能な医療提供体制を確保いたしますとともに、公立病院の経営の健全化に資する改革が着実に進められるような環境整備が重要であると考えております。

 令和三年度以降におきましても、公立病院の経営改革に着実に取り組んでいただくために、各公立病院のさらなる改革のためのプランの策定に向けまして、現行の改革ガイドラインを改定する予定としております。これと並行いたしまして、今後、地域の声を伺いながら、来年度にはそれに伴います地方財政措置についても検討してまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 本当に、地公体が支えている病院、これについてしっかりとお支えをいただきたいと思いますし、なかなか病院特例債は難しいのかなとは思いますが、しっかりと、ぜひ自治体の声を聞いていただいて御検討いただけたらと思う次第でございます。

 次の課題に話を移らせていただきます。

 私の選挙区、実は夕張がございます。夕張の課題についてはこれまで総務省の皆さんに大変御助力をいただいているところでございますけれども、夕張が財政破綻をいたしまして、再建に向けての取組も十年を超える月日が経過をいたしました。この間、夕張の皆さんが必死に再建に向けて努力をされてきたことに、私は大変敬意を表さなければいけないと思っているところでございます。

 しかし、財政の再建ができても夕張が衰退するのでは意味がないというのが、再建計画策定時の懸念がございました。こういったことが現実とならないようにということで、大いに危惧をしているところでございますけれども、当初から低い行政サービスと高い負担というのは覚悟の上であったかもしれませんけれども、折り返し地点に立ってみますと、やはり人口減など町の衰退は隠しようがないのかなというような状況になっていると思います。

 改めて、この間の夕張の歩み、そして現状について所感を求めたいと思います。

長谷川副大臣 まさに地域を同じくしている者として答弁をさせていただきますが、夕張市における再生に向けた取組は十年余りが経過いたしました。これまで、着実に財政再生団体からの脱却に向けて前進してきたと評価をするところでございます。市税の引上げなど住民の負担の増加、職員の給与削減を始めとする行政のスリム化など、財政再生に向けたこれまでの夕張の市民の皆さん、それから特に市役所の職員の皆さんの御努力に敬意を表したいというふうに思います。

 また、平成二十九年の三月に、財政再生と地域再生の両立を目指す財政再生計画の大幅見直しを行い、鈴木直道前市長と、現在の厚谷司現市長のリーダーシップのもとで、市営住宅の集約化、あるいはコンパクトシティーの実現に向けた取組、それからJR石勝線夕張支線の廃止を契機とした代替バス路線網の再編、充実、企業版ふるさと納税を活用したオンライン英会話の小中高の一貫教育の導入など、地域再生の取組も着実に成果があらわれているというふうに認識をしております。

 今後とも、北海道とも連携して、夕張の財政再生と地域の再生、これは両立しなければなりませんので、その取組に向けて総務省としてできるだけの支援をしてまいりたい、そのように考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 もう副大臣は何度も夕張をごらんになっていると思いますし、たしか大臣も一回行かれたことがございましたよね、本当にありがとうございます。

 十年間、短いようで本当に長い月日だったというふうに私自身は思います。当時の悲嘆に暮れた状況から、皆様方のお支えをいただいて、今、今日、頑張っておられるというようなことでございます。

 市役所の中の皆さん方、給与も本当に低い中で、かつての数の三分の一ぐらいになったんですかね、百人程度、あるいはもっと少ないかもしれません、そんな中で、本当にぼろぼろの市庁舎でございますが、今も必死になって頑張っておいでになっています。それで、必死になって市民の皆さんと一緒に何とか夕張を支えていこうというようなことで頑張っておいでになっているということでございまして、それをきちっと評価をしていただいたら本当にありがたいなと思うわけでございます。

 ただ、再建団体でありますから、残念ながらというか、これはルールですから仕方がないんですけれども、何をするにしましても北海道や総務省の同意が必要な状況にございます。しかし、一方では、自治体です、自治体でありますから、自治ということを念頭に置くと、何をするにしても北海道や道庁やあるいは国の同意がなければ動けないというのも、やはりせつないんじゃないかなというふうに思います。

 そもそも、この制度というか、自治体の再建というものに二十年も三十年もかかると、長期間の再建を制度は考えていなかったかもしれませんけれども、やはり、長期であればあるほどに、自治ということ、自分たちのことを自分たちで決められる、夕張の自治ということは考えなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。

 とすれば、今の制度は、いわば一〇〇かゼロかの世界。全く自治を認めないとは言いませんけれども、ほとんど全て握られているというか同意が必要な世界。だとすれば、十年も経過したということもありますし、だからこそとは言わないんですけれども、ゼロか一〇〇の間の五〇程度の自治を認めるような、そのかわり長期で債権を返していくような、そんなイメージの再建を図るというような方法もあるんじゃないかなと私自身は思うわけでございますけれども、こういったことについてどう考えるか、これを最後にお伺いをしたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどございましたように、財政の健全化に関する法律第十条に基づき、総務大臣が同意を行っているところでございます。

 先ほど副大臣から御答弁がございましたように、平成二十九年三月には、財政再生を進めるとともに、財政再生計画終了後も市が持続的に存立、発展していけるよう、地域再生のための事業を盛り込んだ計画変更に対しても同意を行ったところでございます。

 また、運用面でございますけれども、平成二十四年度より、夕張市におきまして、夕張市、北海道及び総務省の三者によります協議の場、これを設けておりまして、夕張市の財政再生と地域再生がともに図られますよう、現状と課題の共有を図りますとともに、その対策について議論を行っているところでございます。

 それらの共通認識の上に立って、北海道とも連携をいたしまして、夕張市の意欲を尊重しながら、総務省としてできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 再建が始まった当初は、本当にせつないぐらいじっくり見られていたということは承知をしておりますし、今はそれでも大分、簡単に同意をいただけるような状況になったというようなことも聞いております。

 ただ、やはりこれからも、ないことを祈りますけれども、ひょっとすると再建団体が生まれるかもしれません、再生団体が生まれるかもしれません。そういったときに、ゼロか一〇〇かというのは、やはり私、せつないような気がしていますので、こういった面での制度の見直しというか、考え方というか、運用のあり方というか、ぜひお考えをいただきたいということを最後に要望させていただいて、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

小倉主査 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織君。

石川(香)分科員 石川香織でございます。

 けさは八時から質問ということで、もう一頑張りかもしれませんけれども、三十分間、よろしくお願いいたします。

 まずは、一番最初に、会計年度任用職員制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この会計年度任用職員制度について、千七百三十八億円が措置をされました。総務省が令和二年一月に公表しました調査結果によりますと、会計年度任用職員にどれだけの臨時又は非常勤職員を移行させるかということについて、整理を完了できていない地方自治体が一定数いるということがわかっております。

 本年四月の施行ということでありますので、まず、この実態の調査が十分であるかどうか、また、自治体の六十万人若しくは七十万人とも言われますけれども、非正規職員の昇給、退職金、給料や報酬の基本額というものを改善することができるのか、この予算の充実についても今十分であるかということについて、まずお伺いをさせていただきます。

大村政府参考人 お答えいたします。

 本年四月に施行されます会計年度任用職員制度につきましては、各地方公共団体において制度移行に向けた準備が進められております。

 条例の制定状況につきましては、一月の二十九日時点で、都道府県、指定都市は全て制定済みでございまして、市区町村についても、この時点では五団体を除く全ての団体が関係条例の制定を行っているというところでございまして、未制定の五団体につきましても全て、本年三月までに関係条例案の議会提案を予定していることを確認しておりますが、できる限り速やかに制定し、制度調整ができるように、引き続き助言をしてまいりたいと考えております。

 また、報酬、そういった所要額の確保という点でございますが、先ほど御指摘のとおり、今回、会計年度任用職員制度の導入に伴い新たに必要となる期末手当等の経費につきまして、来年度の地方財政計画に、千七百三十八億円の増額を含め、適切に計上しました。

 これは、全国の地方公共団体に対して行った調査の結果を踏まえて所要額を適切に計上したものでございまして、そういった意味では、新制度に円滑に移行できるような必要な財源は確保したものと認識をしておりますので、これを踏まえて、各地方公共団体においても適切に対応していただきたいというふうに考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 いわゆる官製ワーキングプアと言われる方々の処遇を改善するという機会で、私も大変期待をしているところなんです。

 今いろいろ着々と準備を進められているということでお話を伺いましたけれども、一方で、期末手当などを支給するかわりに毎月のお給料が減って、年収が結局変わらないケースがあるですとか、年収がむしろ下がってしまうケースもあるという話が出ております。

 また、この会計年度任用職員にはフルタイムとパートタイムがありますけれども、パートタイムについては退職手当を支給する規定がないということで、そのために、週五日勤務の職について、一日当たりの勤務時間を十五分短くする地方団体が存在するという、報道ベースですけれども、こういった話も出ております。

 これまでずっと求められてきました同一労働同一賃金の達成のためにも、この制度には非常に期待をしておりますけれども、やるからには、今おっしゃっていたような十分な準備の上で、しっかり地方自治体を含めて実態を把握して、十分に行き渡るような進め方を、また、さらなる支援をお願いしたいというのは言うまでもありませんので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 次は、技術職員の不足ということについてお伺いをさせていただきます。

 総務省は、技術職員の充実による市町村の支援、また中長期の派遣体制の強化というものを打ち出していると思います。慢性的に不足している技術職員の支援をすることと、また、災害時に中長期で派遣をして経験を踏まえた能力を発揮してもらう技術職員の確保という二本立てだと思います。

 これから順次お伺いをさせていただきますが、報道が先行しているというところもありますけれども、まず、人数の規模感でありましたり、どういった方が採用されるのか、それでどのような効果が見込まれるかなど、若干わかりづらい面もあるのかなと思いますので、一度この制度について整理をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 まず、この制度の創設の背景と概要でございますが、近年の防災・減災、国土強靱化の推進ですとか、公共施設の老朽化を踏まえた適正な管理が求められます中で、小規模市町村を中心に技術職員の不足が深刻化しているという実情がございます。また、大規模災害時におきましては、専門知識と経験の観点から技術職員の中長期派遣を求める声が多いということがありますが、しかし、恒常的に不足しているという状況でございます。

 こうしたことから、都道府県などにおいてまず技術職員を増員して、これは土木建築等の技術職員でございますが、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、南海トラフ地震や首都直下地震など今後の大規模災害に備えて、復旧復興に必要な中長期派遣の要員を確保するための新たな仕組みを令和二年度から創設したものでございます。

 この場合の技術職員の確保の規模でございますが、これはやはり、新たな仕組みを今回創設いたしましたので、各地方公共団体との調整が必要なところでございます。当面、数年をかけて、千人程度の中長期派遣要員を確保できるように地方公共団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 災害時と平時での技術職員ということで補充をしていくということでした。

 どれぐらいの期間で人数を確保するかということも次にお伺いしようと思いましたが、今の御答弁の中で御答弁いただきました。数年間のうちに千人規模ということでありましたので、次の質問に移ります。

 そういった中で、今御答弁の中にもありました、まだまだ技術職員が足りないという現状がございます。最近は特に、日本じゅうで災害が頻発をしているということもありました。

 一九九五年に阪神・淡路大震災がありましたけれども、自治体での行政の業務が急増する一方で、なかなか要員不足を補う制度も手薄だったという反省点もありまして、この阪神・淡路大震災という災害が被災地を支援する体制づくりを構築していくという起点になったという話も聞いております。

 技術職員の話になりますと、例えば二〇一八年に発生しました西日本豪雨では、広島県のケースだそうですけれども、道路や河川の復旧のために市町に応援派遣をされた土木職員数は要望の六割にとどまっていたということで、職員不足はお互いに深刻だということが言えると思います。

 ただ、こういった災害時だけではなく、先ほどの御答弁にもありました各地で道路や橋の点検、修繕作業など、平時の作業というものも喫緊の課題であります。これからは、この技術職員をどう補強していくかということが本当に大きな課題になってくると思います。

 しかし、今、官民ともに全国的に人材不足の中です。地方財政措置を講じたからといって、技術職員を増員するということにすぐにつながるかといえば、それは簡単な話ではないというのも重々わかっています。

 どの分野でも言えることですけれども、人材の確保、そして、ましてやこの技術職員というのは、専門的な知識や技術などを有して、それを更に次の世代にどう継承していくのか、人を育てていくのかということにもつながるわけでして、この方法を本気で模索をしていかなくてはいけないのではないかなと思っています。

 どうしたらこの技術職員が育っていくかという観点で、お考えがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 今、技術人材確保の重要性については、委員から十分お話をいただきました。そしてまた、この技術人材というのはやはり官民ともに非常に高いニーズがございますから、各地方公共団体で人材獲得をするのも、これもまた大変難しい課題でございます。

 こうした状況を踏まえまして、地方公共団体の技術職員の確保、育成のために、まずは定年の退職者の方を再任用して、指導者として、指導役として活躍をしていただくということのほかに、若い方の人材供給をふやすという観点からは、地方三団体や国土交通省、文部科学省などとも連携して取組を進めてまいります。

 例を挙げてみますと、大学、高校などにおける専門人材の育成の充実、それから、地方公共団体から学生に対して広報を行うなど、工夫をしてまいりたいと存じます。

石川(香)分科員 大臣、ありがとうございます。

 今、学生、若い人ということのお話もありましたけれども、全国の自治体の中では、技術職は筆記試験がないということを前面に出して募集をかけているというところもあるそうでありまして、技術職の採用を面接のみということにしたら前年よりも多くの応募が来て、結果、採用人数がその年は三人ふえたというところもあるそうです。

 定年後の退職者の方の経験も含めて能力として生かせるということになれば、こんなに心強いことはないと思いますけれども、土木職員が減ってしまいますと地域住民の安全な暮らしというものが到底できなくなるわけで、防災の重要性が特に叫ばれている昨今、防災に欠かせない、本当に誰もが必要とする仕事だというイメージアップにつながるようなアイデアを考えていく、専門家の方にはこれを防災マンという言い方を使っている方もいるそうですけれども、学生の関心を集める取組というのが本当に、大臣おっしゃるように大事だと思っております。

 市町村の技術職員は、一九九六年度の約十二万五千人がピークだったそうなんですけれども、ここから年々減りまして、一八年度は約九万千人まで落ち込んでおります。技術職に限らず、世界的に見ても日本は公務員が少ない国であります。

 まち・ひと・しごと創生事業費一兆円というものがありましたけれども、二〇二四年までの時限措置だということでありましたが、安定的な財源になるように、恒久的なものにするように、ぜひ検討いただきたいと思っております。

 その中で、行政改革努力分として職員数の削減数をカウントするということは、令和二年度からの算定からやめる方針だと聞いております。人が幾らいないからといって、人を減らせばいいとか人件費を減らせばいいという観点はぜひなくしてほしい。この方針について私も賛成をしておりますので、非常に難しい問題だと思いますけれども、公務員、特に地方公務員の拡充という政策の打ち出し方も、引き続き総務省には考えて打ち出していただきたいなと思っております。

 私自身もその必要性をすごく感じましたのが、一昨年の北海道胆振東部地震のことであります。北海道全域がブラックアウトいたしまして、役場の職員は本当に不眠不休で対応されていたというのを目の当たりにいたしました。こういう災害時にはいろいろなデマも流れまして、私の住んでいる場所では、水道が何時間後に断水するらしいということが非常に広まりまして、この確認の電話の対応だけでも非常に現場が混乱していたということでした。

 そういったときに、地元選出の議員として何ができるかと私も非常に自問自答したんですけれども、やはりこういう正しい情報をしっかり整理をして責任を持って発信をしていくというのも大事な役割だなというふうに感じました。

 鳥インフルエンザ、口蹄疫も過去発生しましたけれども、今、終息をしておらない豚熱というものも、いまだにくすぶっております。私も昨年視察に行かせていただきましたけれども、この豚熱は、生まれてくる子豚にワクチンを接種するということで、このワクチンの接種は獣医師の免許がなければ打つことができませんけれども、獣医師の免許を持った県の職員もいますので、県の職員が生まれてくる子豚全頭にワクチンを接種する。ワクチンを接種するために、豚を追い込んで、抱きかかえて注射を打てるような体勢をとる。作業をするのは部署を問わず県の職員であったということで、非常に現場は心身ともに疲れ果ててしまっているということも聞きました。

 こういった大災害ですとか、家畜伝染病もそうですけれども、自治体職員に非常に負担が大きくのしかかると思います。もちろん、職員自身が被災をしている場合も多いわけですけれども、かといって、なかなか応援派遣も十分出せないということで、非常に、これからの日本の状況を考えまして大変な問題だと思っています。

 昨年の台風の災害もありましたけれども、たまたま総務省の中にいたときに、大災害時の職員の応援体制を組むオペレーションを組んでいるというところも実際に見まして、本当にこういったときに奔走されている姿というものもこの目で見ました。

 この災害時の避難所のオペレーションですとか、罹災証明の発行なども非常に混乱をして大変だということですけれども、サポートできる団体と連携をして進めていく。それを、ある程度今のうちにできることからやっておくというのは、心がけていてもなかなかできないことでもあるんですけれども、それをある程度シミュレーションをしていくというのが、こういった自治体職員の負担軽減にもつながりますし、自分の身を守ることにもなるのではないかと思っています。

 こういった災害が頻発をする中で、別の観点から、山を守っていく、治山治水というものが非常に重要性が叫ばれております。

 一方で、役場の林務課などは非常に人数が少ないというのが現状でして、その現状の中で、今、治山治水について大変重要な財源になります森林環境譲与税について、次はお伺いをさせていただきたいと思います。

 私有の人工林面積五、林業就業者数二、人口三の五対二対三で、この基準のルールで計算をされていると思います。このため、森林は少なくとも人口が多い都市部にどうしてもこの譲与税が多く入ってしまうということが事前の配分でわかりましたけれども、やはり森林整備の需要が多い市町村に本来手厚く配分されるべきではないかと思います。

 計算をする上で、人口よりも、林業就業者でありましたり森林面積など、重点的に配分するべきではないかという声は自治体からも上がっているかと思いますけれども、この点についてお伺いをさせていただきます。

開出政府参考人 お答えいたします。

 森林環境譲与税の譲与基準につきましては、法律上の使途と相関が高い指標として、私有林人工林面積、林業就業者数、人口を用いることとしております。

 そのうち人口につきましては、木材利用を促進することによる間伐材の需要の増加が重要であること、都市部の住民を含めた国民全体の森林環境税への理解が必要であることなどを総合的に勘案し、木材利用の促進や普及啓発などに相関する指標として三割に設定したところでございます。

 譲与基準の見直しにつきましては、森林環境譲与税を財源とした各地方団体の森林整備の取組や施策の実施状況を見きわめて検討してまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 まだ制度が始まったばかりといいますか、事前の配分でのこういった声が上がっているということですので、もっと時間がたってしまいますと逆に修正がどんどん難しくなっていくのではないかと思いますので、いろいろな御意見を聞いた上で、ぜひ、修正が必要なときに、速やかによりいい形にしていく努力、手間をかけていただきたいなと強く要望させていただきたいと思います。

 次からの質問は、きょう、新型コロナウイルスの対応で大変お忙しい中、小島厚生労働政務官にもお越しをいただきましたので、次から御質問させていただきたいと思います。

 先ほどの神谷委員からも質問がありましたが、公立・公的医療機関の再編統合に向けた議論というものについてお伺いをさせていただきます。

 このリストが公表されまして、強制権はないですけれども、ただ、名指しをされた病院、自治体というのは本当に困惑をしております。

 私は北海道ですけれども、九月までに取りまとめるということになっておりますけれども、都道府県別でこの再編統合の再検証の要請対象が最も多かったのは、地域的には北海道の五十四病院でありました。また、都道府県内の公立・公的医療機関に占める再検証要請対象医療機関の割合が高かったのは、新潟に続いて北海道が四八・六%であったということでありました。

 診療実績が乏しいということでありましても、つまりは、北海道はその広さゆえに人口密度の低い場所ということで、どうしても診療実績が少ない病院が多くなったということが考えられると思います。例えば、北海道は奥尻島、利尻島という島がありますけれども、この奥尻、利尻という島もこのリストの中に入っておりまして、この中で利尻国保中央病院というものがありますけれども、この病院は、この島の中で入院できる病院はここだけでありまして、もしこの病院がなくなればフェリーで稚内まで行かなければいけないということになりまして、非常に地元の人は困る、不安だということでありました。

 一つは、診療実績が乏しいということで全国一律に数字で割り切ったということについては、到底納得ができません。これは医師不足とは切り離す話だと思いますし、私の地元でもヒアリングを行いましたけれども、病院経営に関して自治体が本当に真摯な努力をしているというのがほとんどでありました。自治体の努力をこういう形で無視をして、北海道という、広大な面積でありましたり、積雪寒冷地といった地域性も考えずに、一方的に数字で割り切るというやり方は、地域医療を破壊する行為になるのではないかと思います。ひいては、地域間で格差を生んで、人口減少につながっていく、そして、地域が衰退をしていくということになると思います。

 地方の病院は、夜間の外来ですとか救急も担っております。大変困惑をしている、こういった意見は多く寄せられていると思いますけれども、このことについての受けとめをお願いいたします。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 医療ニーズが増大する二〇二五年、そして現役世代の人口が急減していく、いわゆる団塊ジュニアの世代が高齢期を迎えます二〇四〇年を展望すれば、我が国の医療制度は、医療ニーズの変化と、そして医療サービスの担い手減少という課題に直面をいたしております。

 地域のニーズに合致した医療提供体制へ転換、ニーズの量に応じた医療機関数の規模の適正化に向け、地域医療構想の実現のために取組を進めております。

 今回御指摘いただいている分析データは、急性期領域の診療実績について客観的な分析を行ったものでありまして、それぞれの地域において、医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料として活用していきたいと考えております。

 また、分析結果は、病院が将来担うべき役割やあり方、病院の統合などを機械的に決めるものではなく、御指摘の地理的条件などの今回の分析では判断し得ない地域の実情に関する知見に関しては、地域医療構想調整会議における議論の際に補っていただきたいと考えております。

 こうした趣旨につきまして、自治体等との意見交換会を通じ、直接丁寧に説明を行っており、引き続きましてこのような取組を進めてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 病院名を公開されるだけで、既に風評被害というのはすごいわけですね。今、ただでさえ高収入で応募をかけてもなかなかお医者さんが来ないという地域がある中で、ますますお医者さんが来なくなってしまうのではないか。やはり、この病院がなくなるのかもしれないということになれば、更にそこで働いている人たちも不安になりますし、人が集まらなくなる。何より地域の人たちが一番不安に感じると思います。地域医療の確保に向けて自治体が努力をしている中で、実態は、民間がやれないからこうやって自治体が踏ん張っているという現状があると思います。

 今、コロナウイルスの件でありましても、指定感染症病床を持っているうちの八割ぐらいが公的病院ということで、まさに最後のとりでとも言えると思います。そんな中で、過酷な状況で必死に働いている現場、そして、その病院をなくしちゃいけないという思いで、自治体が厳しい経営であってもいろいろな工夫をして地域医療を守っている。そして、何よりこの地で最期を過ごしたいというふるさとへの思い、そして公的病院が結果的に地域の人の安心につながっているということで、合理化とか再編という言葉ではなかなか割り切れる問題ではないと思いますけれども、先ほどと少し重なるかもしれませんが、改めて認識についてお伺いをしたいと思います。

小島大臣政務官 まず申し上げておきたいのは、地域の病院をなくするというのではないということです。

 今回の分析データの趣旨につきましては、実際に病院を運営している自治体等への説明が不十分だという意見もいただきました。自治体との意見交換会を各地で開催し、地域の安心につながるよう丁寧に説明を行っているところでございます。

 地域医療構想は、都道府県が策定し、取組が迫られておりますが、国と地方自治体が一体となって取り組んでいくべきものでありまして、国においても必要な支援を行うことといたしております。

 昨年十二月に開催された地域医療確保に関する国と地方の協議の場におきましても、地方側より、議論の正常化に向けて道筋がついたとの発言があっております。

 厚生労働省といたしましては、今後も、都道府県、市町村や医療関係者等の意見を踏まえつつ、必要な支援を行い、地域医療構想の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 病院をなくすわけではないと言いつつも、やはり、なぜ不安が広がっているかといえば、議論の途中段階の情報がなかなか不足しているのではないかなと思います。先ほどの御答弁の中にもありました地域医療構想調整会議というものですけれども、この会議自体は公表されているということですけれども、あくまで事業者、関係者に対しての情報ということしかオープンにならないということで、地域を巻き込む話として、もっと広く議論の段階からオープンにしていくという考えも重要ではないかなと思います。

 特に情報が不足をしているという批判について、いかがでしょうか。

小島大臣政務官 今の病院の仕組みというのは、高度急性期医療、急性期医療、そして回復期、そして長期療養と四つになっていますけれども、今現在、高度急性期とか急性期のベッドが余っているということがあって、さっき申し上げた二〇二五年、二〇四〇年ですね、非常に回復期のときのベッドが足らないという現実がございます。

 そこで、地域医療構想は地域住民を含めた関係者の理解を得ながら進めていく必要があるものと考えておりまして、都道府県に対しまして、地域医療構想策定ガイドラインにおいて、調整会議の協議の内容、結果については原則周知、広報するとされております。令和二年一月十七日に発出した再検証を要請する通知においても、原則、調整会議の議事録や資料等を速やかに公表するよう依頼しておるところでございます。

 また、国においては、地域医療構想の趣旨等について、昨年十月以降、自治体等との意見交換会を通じまして丁寧にお伝えしているところでありますが、その模様についても公開としておりまして、地域住民などに必要な情報が伝わるよう取組を行っておるところでございます。

 引き続き、地域において住民への幅広い周知に工夫をいただきつつ、国といたしましても、さまざまな形で地域医療構想の実現に向けた取組について発信してまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 情報発信ですとか説明を丁寧にしていくということを工夫されていくということでありました。ぜひ、そうしていただきたいと思います。

 ただ、一方で、全国知事会の中では、この分析の妥当性を都道府県が確認することができないうちに唐突に公表された、当該医療機関への説明も十分でない状況のまま医療機関、住民を不安にさせており、このような方法については慎重に検討してほしいという怒りの声が出ておりまして、かなりまだ地域との温度差が、残念ながらあるのかなと思っております。

 ぜひ、今後の進め方につきましては、地方と都市部の格差をこれ以上広げるようなことはないように進めていただきたいと思いますし、さっきおっしゃっていただいた情報発信ですとか説明を丁寧にしていくという工夫を引き続きしていただきたいと思っております。

 お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 では、次の質問に移りたいと思います。

小倉主査 済みません、政務官は退席しても大丈夫ですか。

石川(香)分科員 はい、よろしいです。

 ありがとうございました。

小倉主査 では、小島政務官、御退席ください。

石川(香)分科員 昨年末に発表されました二〇一八年度の男性地方公務員の育児休業取得率というものについてお伺いをします。

 一八年度の男性国家公務員の一二・四%、民間企業の男性社員の六・二%と比べますと、非常に地方公務員の男性の育休率が少ないということがございました。

 ちょっと最後の質問にさせていただきます。大臣にお伺いをさせていただきたいんですが、地方男性公務員に育休取得の推進を求める書簡を送られたと思いますけれども、その意図、そして、この要請した取得しやすい環境づくりというものはどういうものかについても触れていただければと思います。

高市国務大臣 男性職員の方の家事、育児参加の促進というのは、男性御自身の仕事と家庭生活の両立だけではなくて、女性の活躍推進、ひいては少子化対策の観点からも極めて重要だと思っております。

 しかしながら、第四次男女共同参画基本計画に掲げておりました目標、令和二年までに一三%というのが達成できず、結局、現状五・六%にとどまっているというのが地方の現状です。

 それで、一月二十三日付で私から全国の都道府県知事と市区町村長に対して書簡を発出して、男性職員が育児休業などを取得しやすい環境づくりを、ぜひトップの力で率先してつくっていただくようにお願いをしました。

 これはなぜかというと、取得率が高い団体では、トップによる呼びかけですとか、人事当局から対象職員とその上司に対する働きかけなどによって、育児休業を取得しやすい環境整備に取り組んでおられますので、ぜひとも、先進事例も踏まえて、男性職員の方がちゅうちょなく育児休業をとれるようにリーダーシップを発揮していただきたいという趣旨でございます。

石川(香)分科員 トップのリーダーシップで職場の環境は変わっていくというのは、本当にそのとおりだと思いますが、その一方で、育休をとったからといって、その質というものも大事だと思いますので、育休をとってごろごろ寝ていたらどうしようもないわけでありまして、そういった質のところからもぜひ後押しをしていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

小倉主査 これにて石川香織君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。高市大臣、よろしくお願い申し上げます。

 高市大臣におかれましては、新コロナウイルスのさまざまな御対応でお疲れのところと思います。一問だけ質問しますので、そこまでちょっと御辛抱していただいて、その後、御退席いただいて結構でございます。お疲れさまでございます。

 きょうは、実は、奄美群島について、総務省所管のことを総務省の皆様方にお聞きをしたいと思っております。

 私は九州比例区の選出でございまして、福岡を中心に活動しておりますが、実は、公明党内には奄美ティダ委員会という組織がございまして、奄美の首長さんと、定期的に奄美のさまざまな御要望をお受けして、それを国会に反映させるという組織がございます。ティダというのは太陽という意味でございまして、奄美はティダネシアというふうに言うそうでございまして、その太陽からとった名前でございます。

 自民党さんにもそういった組織がございまして、さまざま、公明党と自民党、力を合わせて奄美の施策について取り組んでいるところでございます。

 一月五日にも奄美ティダ委員会を開催しまして、十二ある市町村の首長さんに集まっていただきまして、きょうはそれをもとに質問をしたいというふうに思っております。

 ちなみに、奄美も今、人口十万五千ということで、人口減少に苦しんでおりますが、一方で、総務省に関係があるところでありますと、出生率は二・八ありまして、子宝の島というふうに言われております。ことし七月の、沖縄とともに、ユネスコの世界自然遺産の登録を目指しております。

 きょう、私、ネクタイをしておりますが、これは奄美の大島つむぎという地元の特産品でございまして、ぜひ大臣にも紹介したく、きょうは着用してまいった次第でございます。

 まず、5Gの基地局、拠点についてお聞きをしたいと思っています。最後に、奄美の5Gの基地局、拠点のことをお聞きしますが。

 まず、一般的なものとして、5G、非常に期待があり、三月から商用開始になるわけでございますが、二月の十九日付の日経新聞によりますと、5G、非常にこれは高性能であるけれども、電波エリアが狭いんじゃないか、基地局の整備が大事だということで、これは総務省の委員会でもさまざま質問があったかと思っています。

 そこで、まず一般的なこととしまして、5Gでは4Gより高い周波数を利用します。この電波の特性によってエリア整備にどのような課題があるのか、その課題に対してどのように対応されるのか、総務省の方にお聞きをしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、5Gにおきましては従来よりも高い周波数を使用しておりまして、これまでの4Gなどの周波数と比べて、大容量の通信が可能である一方、電波の飛距離が短く、エリアカバーのためにより多くの基地局を整備する必要がございます。

 このため、5Gにおきましては、周波数の割当ての際に、携帯電話事業者に対して、都市、地方を問わずあまねく整備を促進するため、従来の人口カバー率ではなく、全国四千五百ございます十キロメートル四方のメッシュを基礎として、五年以内に五〇%以上のメッシュで5G高度特定基地局を整備することなどを義務づけたところでございます。

 総務省といたしましては、こうした取組を通じまして、各携帯電話事業者による早期かつ広範な5Gの全国展開を促してまいりたいと考えております。

浜地分科員 端的なお答えをありがとうございます。

 一つの特徴として、やはり電波が飛ぶエリアが狭いということがございました。

 そうなりますと、私の知り合いの業者の皆さんも、キャリア共通の基地局を整備してはどうかというものがございます。キャリア共通の基地局ができれば、例えば、マンションの方に小型の基地局をつけるのも共通でつけられる、それを利用して賃貸マンションの住民のさまざまなサービスも行えるのではないかといった声もございます。

 そこで、この5Gの基地局は、キャリア共通の基地局として整備をした方が効率的でありますし、早い整備ができると思いますが、その取組について、総務省としてどのような取組をなさっているのか、御答弁いただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、条件不利地域におきまして効率的にインフラ整備を進めていく上で、今委員御指摘のインフラシェアリング、基地局の共用による取組というものは極めて重要であると考えております。

 このため、総務省におきましては、このインフラシェアリングの活用によるインフラ整備を推進する観点から、平成三十年十二月にガイドラインを策定いたしまして、電波法や電気通信事業法といった関係法令の適用関係について明確化を図ったところでございます。これを踏まえまして、既に、携帯電話事業者などにより共同で基地局などの整備を行う動きが出てきているところでございます。

 また、こうした動きを更に加速化すべく、総務省におきまして、5G基地局の共用技術に関する研究開発に来年度から取り組むこととしております。

 今後とも、5Gインフラの全国的な早期展開を推進するため、携帯電話事業者の連携などによる取組を後押しできるよう、積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 先ほど御説明いただきましたのは、各キャリア共通のインフラシェアリングというところだろうと思います。この基地局は、一つの大きな共通装置を使いますけれども、アンテナはやはり各キャリアが立てなければならないという御説明をいただいたところでございまして、最後御答弁いただきました、まさに一本のアンテナであらゆるキャリアの電波を受信することができる共通技術ということの研究でございますので、ぜひここは力を注いで、急いでいただきたいなというふうに思っております。

 そこで、大臣に御質問をさせていただきます。

 奄美群島では、例えば喜界島という島がございまして、ここはサトウキビが一番有名なところなんですが、奄美大島から飛行機で十分ぐらいなんです。ですので、乗ると、ベルトを締めてくださいといって、外した瞬間に、二分後にベルト着用サインが鳴るようなところなわけでございますが、ここが実は光ファイバーがなかなか通っていなくて、総務省のお力で光ファイバーの整備を進めていただいたところでございます。

 5Gの状況でおいても、なかなか今、携帯の電波が入らない、ましてやインターネットが受信できない状況にあるわけでございまして、先ほどの御答弁にありましたとおり、5Gは更に電波エリアが狭いのであれば、ますます、この奄美群島始め離島においては整備がおくれてしまうのではないか。そうなりますと、例えばICTの教育等にも影響があるのではないかというふうに思っております。

 ぜひ、この奄美群島含め離島の条件不利地域について、特段の配慮を持って5Gの整備を進めていただきたいと思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 離島など地理的に条件不利な地域におきましては、事業採算性上の課題を理由として、民間事業者による携帯電話の基地局整備がおくれる場合もあると認識しています。このために、総務省では、補助事業で離島などにおける基地局整備を積極的に支援しております。

 奄美群島につきましては、平成十三年度以降、十四カ所の交付実績があります。令和元年度は、瀬戸内町の事業に約八億円を補助し、奄美大島本島と加計呂麻島の間で、携帯電話基地局向けの海底光ファイバーの敷設を進めております。

 令和二年度の予算案では、5G基地局の整備を支援対象に加えることといたしましたので、離島などの条件不利地域を含めまして、5G基地局の全国的な展開に邁進してまいります。

浜地分科員 ありがとうございます。その御答弁をいただければ力強い限りでございますので、またさまざま現場の状況はあると思いますので、随時お伝えしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 大臣、退席されて結構でございます。ありがとうございます。

小倉主査 それでは、大臣、御退室ください。

浜地分科員 続きまして、これも奄美群島を含めた条件不利地域におけるALTの配置についてお聞きをしたいと思っています。文部科学省の方々にもきょうはお越しをいただいております。

 ALTとは、外国語指導助手ということで、アシスタント・ランゲージ・ティーチャーのことでございますが、これまで小学校五、六年生の英語教育におきましては、これはいわゆる小学校での活動ということでございましたが、今後はこれが教科になるということでございます。また、中学、高校では、話す、書く力を重点的に今後強化をしていくということでございまして、英語教員の充実というのは非常に重要でございまして、この外国語指導助手というものも非常に重要になってくるわけでございます。

 総務省では、外務省そして文科省さんとの共管で、JETプログラムという事業を行っていらっしゃいます。外務省の在外公館等で外国語の指導ができる外国人をリクルートして、総務省が全体の、各自治体への配分を担当し、当然、教育の分野ですから、文科省もこれにかかわっているという事業でございます。

 しかし、奄美のような条件不利地域では、やはりこの英語教員というのが足りていないという声がございますので、御質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、このJETプログラムのALTの募集において、これは、外国人に対して、ぜひ日本に来て外国語を教えてくださいという事業なんですが、外国の方は、日本は非常に魅力があるけれども、例えば奄美のような離島の条件不利地域に行くとは思わなかった、そんなことがございますと、定着がなかなか図れないわけでございます。

 そこで、総務省としては、このJETプログラムのALTの募集において、地方公共団体、特に条件不利地域への配慮に当たって、どのように団体からの要望を考慮しながら募集をしているのか、お答えいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 ALTも含めましたJETプログラム参加者の配置に当たりましては、全ての地方公共団体から要望を伺っておりますとともに、JETプログラムへの応募者からは、離島にある地方公共団体も含めまして勤務地に関する希望も確認した上で、地方公共団体と応募者双方の意向を踏まえた配置調整を行っているところでございます。

 引き続き、地方公共団体の要望を踏まえながら、円滑な配置が行われますよう、関係省庁等とも取り組んでまいりたいと考えております。

浜地分科員 条件不利地域も含めた地方公共団体の要望も聞いているということでございますので、安心したところでございます。

 一月五日に奄美ティダ委員会を開いたというふうに申し上げました。そこで、奄美大島の大和村というところがあるんですけれども、ここの村長さんからの御要望でございまして、実は、ALTとして採用したい方がいるんですが、この方は既に奄美にお住まいの方だそうでございます。奄美が好きで、奄美にずっと移住したい、奄美の文化もわかるし食事も大丈夫ということで、言ってみれば奄美に根づいている方なわけでございますが、これがいわゆる町の独自の予算でないとALTとして採用できないということでございます。これはひとえに、JETプログラムを通じて任用していないものですから、それができないということでございます。いわゆる直接任用している状態でございます。

 そこで、このJETプログラムの参加者に、大和村のように、既に外国人の方がいらっしゃって、その地域で英語は教えることができるし、教えたいという方々をJETプログラムの対象にできないものかどうか、それについて御答弁をいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 JETプログラムは、地域における国際交流の推進や外国語教育の充実を図ることを目的としているものでございます。そのため、日本に関心があり、日本の地域社会で国際交流活動を行うことや、プログラム終了後も日本との交流に積極的に関与することに意欲のある、高い能力を有する外国青年を日本に招致することとしているものでございます。

 こうしたことから、JET参加者は、海外の外国青年に対しまして、各国の在外日本公館において募集、選考を行った上で、地方公共団体に配置しております。

 なお、現在日本に在住している外国青年も対象としておりますが、この場合は、応募時点からさかのぼり、過去十年程度のうち合計で六年以上日本に居住していないことを要件とした上で、今申し上げた募集、選考の手続を経ていただくこととしております。

 したがいまして、いずれにいたしましても、JETプログラムに参加するためには、在外日本公館におけます募集、選考の手続を経ていただく必要がございます。

浜地分科員 そうなんですよね。私も問題意識を伝えましたが、確かにJETプログラムは、そういった国際交流の一環として、外国にいらっしゃる、在外にいらっしゃる外国の方を日本に呼んでくるというシステムで、外務省での募集に応募しなきゃいけないという御説明を受けたところでございます。

 ただ、先ほど言いましたとおり、例えば、奄美のような条件不利地域が何もわからずに、説明だけ受けて来た人と、既にそこに住んでその風土になれている方というふうにいいますと、これは、英語教育の面、また定着の面という部分でいうと、後者の方がやはり安定していらっしゃるのではないかということもございますので、ぜひ考慮をいただきたいところでございますけれども、今のところ、そういう制度のたてつけで、そういった御答弁であったというふうに今理解をさせていただいております。

 そうなりますと、外務省を通じての応募をしないとJETプログラムの対象とはならないとの総務省の答えでございますが、では、文部科学省としては、これから英語教育は大変重要になってまいります。奄美等の条件不利地域の英語教育について、そうなると、しっかり配慮を文部科学省としてしていただかなければ、やはり離島はますますおくれていくわけでございますので、その点についてどのような取組をお考えか、御答弁をいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 英語教育におきましては、いわゆるネーティブスピーカーなどの英語に堪能な人材の協力を得るということが大変重要なことと考えております。

 英語が堪能な地域人材につきましては、ALTとして任用する以外にも、特別免許状や特別非常勤講師制度を活用して、英語を教える人材として教壇に立ってもらうということ、補習等のための指導員等派遣事業という事業がございますが、こういった事業を活用していただいて、地域人材をスタッフとして配置するということも考えられます。

 また、離島等における英語教育の充実については、こういった人材の活用に加えまして、ICTの活用も大変重要であるというふうに考えておりまして、例えば、遠隔地のALTがテレビ会議システムを使って授業に参加する、児童生徒一人一人が海外の児童生徒と直接英語で交流や議論を行う、ライティングの自動添削機能やスピーキングの音声認識機能を使い、児童生徒のアウトプットの質と量を大幅に高めるなど、さまざまな活用が考えられます。

 文部科学省では、GIGAスクール構想の実現ということで、児童生徒の一人一台端末及び高速通信ネットワークなどの一体的な整備に必要な経費を令和元年度補正予算に計上したところでございまして、ICT環境整備と同時に英語教育における効果的な活用方法を提示するなど、各学校における積極的な活用を促してまいりたいと考えているところでございます。

浜地分科員 丁寧な御答弁をありがとうございます。

 先ほど特別免許状という言葉が出てまいりましたけれども、これは各都道府県が特別に免許を与えて教員として教えることができる。調べましたけれども、奄美は鹿児島県です、週十八時間、授業をしてほしいということで、こういった奄美のような離島のところはクラスが少なくて、下手すると五年生、六年生が一緒に授業をしていて週十二時間しか授業時間がなくて、これが対応できないということのようでございます。

 これは鹿児島県ともしっかり相談をして、その認定の基準を下げられないかということもまたやっていかなきゃならないわけでございますけれども、文部科学省においても、そういった声があったときに何らかの対応をしていただきたいなと思っています。

 さらに、ICTの話が出ました。だからこそ、5Gの整備というのが必要になってくるわけでございまして、総務大臣にはその点をお願いをさせていただいたところでございますので、しっかりとまた文科省とも総務省とも連携をして、このICTでの教育を後押しをしていただきたい、そのように思っております。

 続きまして、集落支援員の採用方法についてお聞きをしたいと思っております。これも一月に奄美の首長から要望があったところでございます。

 龍郷町というところが奄美大島にございまして、これは西郷隆盛さんが一時、島津の殿様に、ちょっと関係が悪くなって逃げて、「西郷どん」でも出たところなんですが、ここでは、もともと、地域おこし隊がさまざまな龍郷町の魅力を発信するために頑張っておりました。しかし、もう御案内のとおり、三年間の任期しかございません。これを延ばせというのはなかなか難しいということで、一つ、集落支援員として今後も活用できないかというお話がございます。そこで、龍郷町では、地域おこし隊の卒業者が社団法人をつくって、さまざまなアイデアを出して集落の支援を行おうというふうにしております。

 そこで、集落支援員というのは、直接自治体が採用する場合でないと集落支援員としての資格がないのか。全国において、例えば、この社団法人のような、いわゆるコミュニティー、NPOのようなところが採用をして、それに対して国からの集落支援員としての補助が出るような仕組みがあるのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 集落支援員には、行政経験者や農業関係業務の経験者、NPO関係者など、地域の実情に詳しい身近な人材を活用していただくことが望ましいと考えております。

 総務省が平成三十年度に行いました集落支援員についての調査結果によりますと、集落支援員を市町村の公務員とする事例が最も多いわけでございますが、委員御指摘のような形、すなわち、市町村が集落支援を行う団体に集落支援員の選考を含む集落支援の業務を委託した上で、その職員を集落支援員として委嘱している事例もございます。

 このように、集落支援員の委嘱等の方法などは、地域の実情に応じて弾力的に運用することが可能となっております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 団体に対して自治体が集落支援員業務を委託して、その団体が雇用といいますか雇っている人に対しても集落支援員としての補助が出るという御答弁でございましたので、非常に安心をしたところでございます。

 この社団法人、まだ、やはりなかなか業務がスタートできない状態にあって、無給で地域おこし隊の人が今現在働いていらっしゃるという状況でございますので、こういった集落支援員というものがスムーズに活用できるようになると、一つ、地域おこし隊としてのさらなる能力が発揮できるのではないかと思っています。

 当然、地域おこし隊と集落支援は別物でございますので、集落支援員の、延長としてではなく、あくまで集落を支援するという業務が大事になるということは重々わかっておりますので、そこはやはり間違った使い方がないように、私も地元にはちゃんと伝えてまいりたいというふうに思っておりますが、先ほどそういった御答弁をいただきましたので、一つ安心をしたところでございます。

 続きまして、災害時の非常電源の問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 奄美のことばかり言っておりますが、奄美は九年前、大災害がございました。台風被害に遭ったわけで、地域が非常に寸断をされて、小規模集落が孤立するというような事態になったわけでございます。そこで、各首長からも、小規模集落における電源の確保の必要性という声が上がったところでございます。

 そこで、きょうは総務省所管の分科会でございますので、総務省としては、このような災害時の小規模集落における電源確保のために、どのような施策を御用意されているのか、御答弁をいただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から奄美におきます災害の状況についてお話がございましたけれども、全国的にも、一昨年の北海道胆振東部地震や令和元年房総半島台風など、長期の停電をもたらす事案が相次いだことから、災害対策本部が設置される庁舎等における非常用電源の確保は重要であるということが再認識されたところでございます。

 消防庁では、庁舎等のみならず市町村の指定避難所等につきまして、災害発生時に当該施設の機能を維持するため非常用電源を市町村が整備する場合、緊急防災・減災事業債を活用できるようにしております。

 このような制度を活用し、御指摘の小規模集落の非常用電源の整備につきましても、地域において積極的に推進していただきたいと考えているところでございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 また、これは総務省だけの取組ではなく、ほかの省庁等も含めてやらなきゃいけない問題だと思いますが、一つ、そういった施策があるということを御紹介いただきました。

 ちょっと時間が押していますので、最後の質問にしたいと思っています。

 これも奄美の龍郷町長から直接お聞きしたお話でございます。

 龍郷町では消防団員が、FR隊、ファーストレスポンダー、何か災害があったときにすぐに駆けつけるという任務を負っておりまして、特に離島でございますので、例えば、救急車が到着するだけでなく、重病患者の場合には、やはりドクターヘリで運ぶような場合もあるそうでございます。

 そこで、現場ではAED活動を積極的に行うわけでございますが、龍郷町長いわく、AED活動のみ行った場合には、例えば消防団員が労務災害に遭ったときに、公務災害の対象にならないのではないかという御不安の声がございました。

 そこで、消防団員がAED活動のみを行った場合に労務災害に遭った場合、これは消防組織法二十四条の公務災害の補償の適用となるのかどうか、最後、御答弁をいただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防団は、地域防災力の中核といたしまして、災害に際しての人命を救助するための活動や住民の避難誘導等、危険箇所の警戒などのほか、地域において、その実情に応じ、特に必要とされる業務にも幅広く従事していただいていると承知をしてございます。

 お尋ねの緊急やむを得ない場合などに消防団員がAEDによる実際の救命活動を行うことにつきましては、地域の実情を踏まえまして、市町村の判断により、消防団の業務として行うことは可能であるというふうに認識してございます。

 その上で、公務災害補償の取扱いにつきましては、個別の事実認定が必要であることから一概には言えないにしても、一般論で申し上げれば、消防団員に対する公務災害補償について規定する消防組織法第二十四条第一項の適用対象になると考えてございます。

浜地分科員 消防団員として活動をしていれば、AED活動のみによって何か労務災害に遭った場合にも公務災害の対象になるという御答弁であったというふうに思っています。

 この龍郷町の役所では、AEDを行った場合のみは公務災害の対象にならないという回答を実はいただいたという、もしかすると正確性に欠けるかもしれませんが、そういったことで、実際、現場から御要望が上がっておりますので、誤解のないように、またしっかり私も説明をしていきますし、また、皆様方も御説明をいただければというふうに思っております。

 きょうは、奄美のことを中心に質問をさせていただきました。総務大臣にも、冒頭、特に奄美のことを訴えることができまして、聞いていただきまして、本当にありがとうございます。ぜひまた、今後とも、奄美含め離島のさまざまな施策についてお力をおかしできればというふうに思っております。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

小倉主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、関健一郎君。

関(健)分科員 関健一郎です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、NHKの記者として十一年間仕事をさせていただきました。ですから、いろいろなことを学ばせていただきましたし、心からの感謝と敬意を持って質問をさせていただきます。ただ、目下の世の中のNHKに対する目は厳しいものがあります。その目にたえ得る改革をしていただきたい、その思いから質問をさせていただきます。

 とりわけ私は、個人的な体験ですけれども、私の祖父も父も、NHK以外が家の中で流れない家でした。そういうNHKに対して信頼を置いている人たちからの信頼が崩れ始めているという、これは深刻な事態だと認識すべきです。私も、お世話になった人間として、繰り返しますが、感謝と敬意を持って厳しく質疑をさせていただきたいと思います。

 冒頭、東京オリンピックの報道についてお尋ねをいたします。

 これは、東京オリンピック・パラリンピックに関して、NHKとして、公共メディアとしてどういうふうにこの報道を位置づけているのか、また、その体制について伺います。

木田参考人 お答えいたします。

 東京オリンピックの放送に当たりましては、視聴者の高い関心に応えるために、民放連、日本民間放送連盟と、ジャパン・コンソーシアム、JCと通称しておりますが、それを組んで放送権を取得しており、オール・ジャパンの体制で取り組みます。

 具体的な放送計画はこれから組み立てていきますが、オリンピックでは、七月二十四日の開会式を始めとして、日本期待の競技や世界を代表するアスリートたちの姿を、地上波のほか、BS1、BS4K、BS8K、そしてラジオでも中継する予定です。さらに、インターネットを含め、新技術を駆使して、最高水準の放送・サービスを実施して期待に応えてまいりたいと考えております。

 また、パラリンピックにつきましても、これまで以上に力を入れてお伝えする予定です。具体的な放送計画はこれから詳細を詰めていきますが、パラリンピックにおいても、これまでにない規模の中継放送を計画しております。

 また、競技中継放送だけでなく、障害の有無や国籍、性別、年齢などにかかわらず、全ての人が楽しめるユニバーサル放送・サービスにも取り組みます。

 例えば、視覚、聴覚障害者にもわかりやすい解説や、手話などを交えた番組や、リアルタイムで送られてくる競技データをもとに音声実況や字幕を自動でつけるなど、東京オリンピック・パラリンピック後の放送のあり方につながるような取組を行います。

 体制としましては、NHKの中に二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック実施本部を設置し、放送・サービスの全体計画策定や体制整備を行っております。放送、技術、管理の各職場から集まった専従者が、放送・サービスの内容や、それを支える技術、ロジの対応など、多方面にわたる準備を進めています。

 さらに、大会本番に向けては、地域放送局や関連団体など、NHKグループ一体となった体制をとります。

 かつてない大型プロジェクトで、しっかり放送・サービスをお届けしていきたいと考えております。

関(健)分科員 社を挙げて取り組むという姿勢がわかりました。

 そして、私は、NHKが持つ人的資源を東京オリンピック・パラリンピックでも有効に活用すべきじゃないかという視点から質問させていただきたいと思います。

 世界的な大きなイベントということで、一番近い例でいうとサッカーのワールドカップがありましたので、それを例にお話をさせていただきたいと思いますが、ワールドカップについてなんですけれども、競技中継、関連番組の放送に関連して、何人のアナウンサーが関係し、そのうちNHKの職員のアナウンサーは何人いましたでしょうか。

木田参考人 おととし開催されたサッカーのワールドカップ・ロシア大会では、六十四試合の実況については全て職員のアナウンサーが担当しました。スタジオのキャスター業務には十八人が対応し、このうちの十六人が職員アナウンサーで、二人が外部のキャスターでありました。

関(健)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと私の認識と数字がずれていたのであれなんですけれども。

 先ほど、NHKのコアなファンがというお話をしたんですけれども、どういう指摘から人的資源をフル活用すべきだという提案になったかといいますと、NHKのアナウンサーというのは、代々NHKのアナウンサーの声を耳で聞いてきて、ニュースに限らず、地方のときに、いつかオリンピックで中継するんだという夢を持って、一塁に進むか三塁に進むか、野球のルールも知らないような女子アナも、将来やるといって、地方でみんな頑張って訓練を積んで、ニュースを読んで、実況をやってと、つまり、NHKの貴重な人的リソースだと思うんですね。

 その一方で、じゃ、私がワールドカップのときにどういう印象を持ったかというと、何でNHKのアナウンサーを使わないで、アイドルとか、何か民放でもよく見るスターアナウンサーみたいな人たちを使うのかなというのが、やはり強い違和感があったんですね。

 私が申し上げたいのは、声で物事を伝えるという中でのプロフェッショナルだと思うんですね、アナウンサーというのは。皆さんの受信料で給料をもらっている人間が、代々の蓄積を経験して、そしてそれをオリンピックで発揮するというのは極めて自然な流れだと思うんです。

 ですから、私が提案したいのは、NHKが保有するその人的資源、それをフルに活用すべきじゃないか。もっと端的に言ってしまうと、アイドルとか、そういう民放でよく見る人気アナウンサーで視聴率を狙うという短絡的な考えよりは、ずっと一生懸命訓練しているそのプロにNHKの放送を任してはどうですか、そういう提案なんですけれども、認識を伺います。

木田参考人 大型スポーツイベントでのアナウンサーの担当につきましては、業務内容や求められる役割、本人の適性などを総合的に判断して決定しております。

 東京オリンピック・パラリンピックでは、かつてない規模でNHKのアナウンサーが実況やキャスター業務を担当する予定でありまして、スポーツの魅力を最大限伝えられるよう育成し、活躍してもらいたいというふうに考えております。

関(健)分科員 栄光のかけ橋だという実況もNHKのアナウンサーでしたし、やはり人材の宝庫ですから、そういう人たちをしっかりフルに活用する仕組みを整えていただきたいと思います。

 想定される反論として、やはりそういうアイドルの人とかの方が、まだ見ぬ人をマーケティングとしてキャッチできるんだという指摘があるのかもしれませんけれども、例えば北島康介選手がそこのスタジオにいるのは全く意味がわかるんですよ。それは、彼しか見たことのない、感じたことのない空気を伝えてくれるからだと思うんです。そういうことが理解をされないような人の使い方というのは私は強い違和感を感じますので、やはりもともとのフルに蓄積された人材をフル活用していただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。

 二つ目は、働き方改革です。

 予算の御説明をいただきましたけれども、伺います。NHKとして取り組まなければいけないことというのはふえているんですか、減っているんですか。

木田参考人 これまでにも、4K、8Kなどの放送の高度化でありますとか、国際放送の充実に取り組んでまいりましたが、来年度の予算の説明、収支予算、事業計画では、東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスの実施、それから、常時同時・見逃し配信サービスの実施、それから、防災・減災報道の充実などを重点事項として掲げて取り組むことにしております。

関(健)分科員 つまり、仕事はふえているんですよね、やらなきゃいけないことは。

木田参考人 こうした新しいサービスや重点分野の業務の実施に当たりましては、既存業務の見直しとかNHKグループ全体のパワーの有効利用などにより、必要な体制を生み出すというふうに考えております。

関(健)分科員 ちょっと答えを先食いしちゃったかもしれませんけれども。

 放送現場で、先ほどNHKとして取り組まなければいけないことはふえているんですかという私の質問ですけれども、オリンピックもあるし、そして、新しい公共メディアとしてのやらなきゃいけない役割もふえていっているという現状があるわけですよね。

 そんな中で、放送現場で人はふえているんでしょうか。

木田参考人 先ほど説明しましたように、協会全体で既存業務等の見直しを進め、コンテンツ制作力の強化等に必要な要員を確保してきた結果、十年前と比べて、協会全体の要員数は少し減っているのですが、放送部門の要員は逆に二百五十人を超える規模でふやしております。

関(健)分科員 放送の現場で人は二百五十人ふえているわけですね、わかりました。

 そして、今、その一方で、全体的に現場の手薄感があるという話をよく聞きます。そして、私も地方に住む人間として伺いますけれども、NHKの地方放送、地方の放送に関して人手が手薄になっている、例えば支局にいる人間が減ったとかローカル放送の枠が減ったとか、そういうことはあるんですか。

木田参考人 地域放送局も働き方改革に取り組んでいるところであります。業務の効率化等によって地域放送局の例えば報道現場などに影響が出ないように、本部などによるところからの支援を日ごろから行っております。

 例えば、全国各地で発生する事件、事故などはSNSに上がることが多いんですが、そのチェックをするシステムを活用して東京から現地局に情報をすぐに送るとか、地域放送局の泊まり業務というのがありましたが、それを一カ所の地域の放送局での泊まりで複数の放送局の業務をカバーするとかいう形で、あるいは、今、大阪では、実は地域放送局からの編集ができるように、全国遠隔編集支援センターというのを大阪放送局につくりました。

 そういったさまざまな方法で支援を厚くすることによって、地域放送局の報道現場、放送現場に影響が出ないようにしながら、働き方改革に取り組んでいるという状態であります。

関(健)分科員 そういう取組をしていくことはとても大切なことだと思います。その上で申し上げますね。

 質問は、放送現場の勤務管理ができているんですかという質問です。その根拠は、今おっしゃられたように、やらなければいけないことはふえています、東京で、公共メディアだとか、あとはインターネット何とかとか、あとは8Kとか、いろいろな新しくやらなきゃいけないことはふえています、その一方で、働き方改革はしなければいけません、地方の放送も手薄にするわけにはいきませんと。

 仕事はふえているけれども人はふえない、でも勤務時間は減らせと、これはどう考えても成り立たないと思うんですよ。もちろん不断の効率化というのは必要だと思いますけれども、放送現場の勤務管理、しっかりできていますか。

木田参考人 放送現場では、長時間労働の抑制に向けて、例えば、スタジオ収録は原則二十二時に終了する取組をもう一昨年四月から続けてきていまして、ほぼ達成しております。

 それから、記者の休みの確保も進んでおりまして、二〇一八年度は、前の年度に比べておよそ五日休みがふえております。こういった職員の適正な勤務管理に向けては、一人一人の勤務状況を総合的に点検する日を月に二回、中旬と下旬ですけれども、設けまして、きめ細かい勤務管理に努めております。

 「NHKグループ 働き方改革宣言」の精神にのっとり、長時間労働に頼らない組織風土づくりや意識改革は着実に進んできているというふうに考えております。

関(健)分科員 引き続き、着実に進めていってください。

 ただ、私の認識では、現場にしわ寄せが行っていると認識をしています。

 おっしゃるとおり、入社一年生とか入社五年生とか入社八年生とか、管理職じゃない皆さんの勤務管理はもうできていると思います。今どき、勤務実態と勤務記録がずれているという人はもういないでしょうから、それはしっかり、おっしゃられたとおり進んでいるんだと思います。

 じゃ、使用者側、管理職になった人たちの勤務管理はしっかりできていますか。例えば、泊まり勤務で、明けというのは本来午前十時か十二時に終わるはずですね。でも、夜のニュースまで出稿せざるを得ないという勤務管理になっていませんかね。それは、それを今責めたいというんじゃなくて、構造的な問題になっていませんかということをお伝えしたいんです。

 それはどこの企業もそうだよと言ったら、それを言っちゃおしまいよという世界で、NHKという公共性が高く求められる勤務の現場で、若い人たち、現場の職員の勤務は守られているんだと思います、その努力で。

 それで、次の質問ですけれども、いわゆるデスクと言われる人たちは過酷な勤務をさせられていませんか、記録に残らないから。若しくは、地方の現場のデスクに過度な負担がかかっていませんか。認識を伺います。

木田参考人 管理職においても、めり張りのある働き方や、業務が特定の担当者に集中しないようカバー体制を構築するなどの取組を今進めています。

 管理職の休みの確保も進んでいまして、これも、二〇一八年度は、前の年度に比べて年間でおよそ五日休みがふえています。

 ただ、管理職につきましては、働き方改革を進める中で、よりきめ細かく部下の業務管理や勤務管理を行っていることなどもあって、職場によっては忙しさが増している面はあると、そこは認識しております。

 引き続き、NHKで働く全ての人の健康を最優先に考え、働き方改革の取組を進めていきたいと思っております。

関(健)分科員 もう一度伺います。

 私は、何度も言いますけれども、そこをふざけるなということが言いたいのではなくて、構造的な問題を解決すべきですという提言をしているんです。

 現場の人たちの勤務管理をしっかりして守っておられますと。じゃ、管理職になった皆さんは、さっきも言いましたけれども、夕方から出て朝まで勤務して、昼で終わりのはずなのに、帰ったら夜のニュースを出せないから、絶対夜まで仕事しているんですよ。

 東京とか名古屋とか、拠点局はいいと思いますよ、まだ。それでも苦しいですけれども。ほかのローカル局のデスクなんて大変ですよ。それで、一人、現場の若い衆が、ちょっと会社つらいですとか、そうしたら面倒も見なきゃいけない。物すごく地方の管理職の人たちに圧迫が行っているわけです。

 何度も言いますけれども、これは、性根を据えて構造的な改革をしないと、同じことが起きます。私は、十一年いたと申し上げましたけれども、私の知る限りですよ、私が名前と顔を知っていて、お世話になってきている方は三人亡くなっています。それが、過労死との因果関係、しっかり認定できるか、これはわからないですよ。ただ、五十歳とか働き盛りのときに、管理職の方が亡くなられているわけです。

 もう二度と起こさないというために、これは抜本的な改革をすべきだと思います。そのために、必要な人はふやすべきじゃないんですか。伺います。

木田参考人 地域放送局、特に報道の現場であるとか制作の現場であるとかの管理職に仕事のひずみが行きがちであるという面は十分に認識しておりまして、いろいろな手だてを打ってそこの軽減化を、例えばデスクの数をふやすであるとか、プロデューサーの数を、もう少し緩和できる、あるいはほかから支援できる方法はないかとか、さまざまな方法を今検討して実施しているところです。

 ただ、全体について言いますと、やはり、受信料で運営されているNHKとしましては、効率的な業務体制が求められております。まず、既存業務等の見直しによって重点業務への対応に必要な要員を確保する、そういった安定的に循環可能な業務、要員体制を構築していくことが基本であるというふうに考えております。

 二〇二〇年度に向けても、常時同時・見逃し番組配信サービスなど新しいサービスが始まりますが、ここも既存業務の見直しを行った上で要員を確保していこうというふうに考えております。

関(健)分科員 御答弁いただきましたけれども、やはりそこは本当に覚悟を持って、どこの会社でも抱える構造的な課題なんだと思います。

 ただ、NHKだからこそ、NHKの報道だからこそ、それをぜひ実現させていただきたいです。そして、何かあったらNHKだという人たちがまだいてくれるわけです。そういう人たちの信頼を裏切ってはいけないし、その一方で、誇りと使命感を持って、NHKマンとして放送現場で働ける環境をぜひつくってください。構造的なしわ寄せは管理職なりたてに行っていますから、徹底的に改革してください。御所感を伺います。

木田参考人 御指摘は十分に、しっかりと受けとめて、今後の業務、要員体制をしっかりと構築していきたいというふうに考えています。

関(健)分科員 ありがとうございます。心から成功をお祈りしています。

 次の質問に移らせていただきます。

 森下委員長、お越しいただきましてありがとうございました。NHKとかんぽの一連の報道に関しての質問をさせていただきます。

 今回、この報道に関連して、NHKの経営委員会から会長に対して厳重注意という処分が下されました。この厳重注意というものがどういう位置づけで、また過去に何回あるのか、教えてください。

森下参考人 本件につきましては、お客様の方から指摘をされまして、番組制作と経営が分離しているために番組制作について会長は関与しない、そういうチーフプロデューサーの発言があったということから、編集権についての考え方が組織にきちんと浸透していないのではないか、共有されていないのではないかという、見逃してはいけないガバナンス上の問題があると考えられました。

 それともう一点は、郵政三社の申入れが、二〇一八年八月に会長宛てに質問の文書を送ったのに、二カ月近くたっても回答がなかったために経営委員会に文書を出したという趣旨でございましたので、協会側の業務執行が視聴者目線に立っていないものと考えました。

 以上の観点から、経営委員会として、会長に対しまして注意を申し入れたものであります。

 過去に、平成三十年十月二十三日に上田前会長に対しまして注意を申し入れたほか、平成二十七年にハイヤーの私的利用問題によって籾井元会長を厳重注意をいたしました。

 以上です。

関(健)分科員 この二回という理解でいいんですか。

森下参考人 籾井会長につきましては、この厳重注意に関しまして、平成二十七年三月十九日に、経営委員会が、籾井元会長が私的に利用したハイヤーの代金が業務用のハイヤー代金と区別されずに経理処理された問題につきまして、協会に対しまして、コンプライアンスの徹底と再発防止策を着実に遂行していくということを求めたのでありますが、四月二十八日の経営委員会でその再発防止策の報告を受けまして、まだ処理がされていない、会長が自身の支払いが終了していないということがありましたので、適宜注意を喚起するとともに、必要に応じて適切な指示を怠った責任を認めまして、厳重注意を行ったものであります。

 そういった意味で、二件でございます。

関(健)分科員 次の質問に移りますけれども、そのような極めて異例の厳重注意です。会長がハイヤーの私的利用、これは言語道断で、言うまでもないんですけれども。

 ガバナンスの問題ということですけれども、これは、NHKの取材陣、NHKのクローズアップ現代が報道のてんまつについてオフィシャルに出しておりますけれども、その中で、まず、統括チーフプロデューサーは、言葉足らずで済みませんでしたと謝っています。だから、ガバナンスがきいていなかったということと適切な回答をしていなかったということに対して厳重注意をしたということですけれども、まず、報道現場で会長は口を出せないんだなんて、売り言葉に買い言葉の世界かどうかはわかりませんけれども、これ一個一個会長名で厳重注意なんかされていたら、記者は取材できませんよ。そんな、NHKの記者だってみんな、ジャーナリズムだって、完璧な人間ばっかりじゃないですから、次は、会長の厳重注意なんかやったら、余り、これ以上厳しい取材はできないなと思うのが人情というか、そういうものですから。

 質問しますけれども、放送現場を萎縮させるんじゃないかという懸念はお持ちにならなかったんですか。

森下参考人 今回の対応は、あくまでガバナンスの観点から会長に対して行ったものでありまして、現場に対してではありません。

 もとより、放送法第三十二条で、経営委員会が番組の編集に関与できないことは十分認識しておりまして、自主自律や番組の編集の自由を損なう事実はないと考えております。

関(健)分科員 会長への厳重注意が会長の行動ならいいですけれども、これは現場の取材のやりとりに関して会長に厳重注意しているわけです。私がその記者だったら、統括チーフプロデューサーだったら、萎縮します。萎縮して取材をやめるかは別ですよ。ただ、経営委員会として何を考えるべきかというと、これはまず、厳重注意というこの処分が会長のハイヤーの私的流用と同じレベルなのかというのがまず第一点。第二点が、この厳重注意をしたことで現場が萎縮するんじゃないかという懸念を持たなかった経営委員会を僕は懸念します。そして、これだけジャーナリズムに関して微妙なところに、議事録も適切に残っていない。

 さっきたてつけをおっしゃっていましたけれども、役員の執行管理をする経営委員会として、こんなことで厳重注意処分を出すこと自体が全くガバナンスがきいていないと言わざるを得ませんが、認識を伺います。

森下参考人 先ほどもお話しいたしましたが、NHKが公平公正、不偏不党、そして真実を伝える公共放送としての役割を果たすためには、編集権は会長にあるという認識を全役職員が持つようガバナンスを行うことは極めて大切なことと考えておりましたので、上田前会長に対して注意を申し入れたものであります。

 委員の御指摘のとおり、経営委員会は、NHKの経営に関する基本方針や毎年度の予算、事業計画、番組編集の基本計画など、放送法に定められたNHKの重要事項を審議、議決する最高意思決定機関であるとともに、役員の職務の執行を監督する機関であり、重い責任を持っているものと認識しております。

 その責任を深く自覚し、放送法に従い、しっかり監督責任を果たしてまいりたいと思っております。

関(健)分科員 今回の、会長が放送現場のガバナンスがきいていないということによる厳重注意処分を出した経営委員会こそが、ガバナンスが深刻に不足しているということを指摘した上で、今後、放送現場の萎縮につながらないかというのは、これはジャーナリズムですから、極めて深刻に、繊細に扱っていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小倉主査 これにて関健一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水忠史君。

清水分科員 日本共産党の清水忠史でございます。

 高市早苗総務大臣におかれましては、先日の予算委員会で我が党の高橋千鶴子議員の質問に対し、公的病院は最後のとりで、こういうふうに言っていただきました。

 本日は、地域の医療機関が果たしている役割について、その実情につきましても詳しく紹介しながら、また、今、新型コロナウイルスの肺炎問題が大問題になっておりますので、そのことも含めて質疑をさせていただきたいと思います。

 初めに、新型コロナウイルスの問題です。

 感染の拡大がとまりません。感染者の増加を見越して、厚生労働省は入院病床確保の事務連絡を発出しました。まずは感染症の指定医療機関が受け入れることになってはいますが、感染症病床以外でも入院させる体制というのがやはり求められていると思うんですね。指定医療機関の大半が国立、公立病院であるということを考えれば、新型感染症の蔓延期におけるこの公立病院の重要性というものが改めて問われてくるというふうに思います。

 現在、公立病院はこの要請に応えるだけの体制がとれているのかどうか、初めに高市大臣にお聞きします。

高市国務大臣 今回の新型コロナウイルス感染症に限ってという御質問でよろしゅうございますか。(清水分科員「はい」と呼ぶ)

 今、感染症病床、六割は公立病院ということでございますので、非常にこれは重要な役割を担っていただいております。それで、きょうの昼間にこの政府の基本的な方針というものが決まったわけでございますけれども、これを受けまして、私の方から各地方公共団体、また、公立病院がある市町村長などに対して通知を本日発出させました。

 その中で、これから感染が拡大していく中で、まず感染症病床でしっかりと受け入れていただくこと、さらに、感染が拡大するのを防止しなきゃいけないんですけれども、それでも拡大していった場合に一般病床なども含めてどのように使っていくのか、今から医療体制をしっかりと整えておかなければいけない旨、それから、保健所から言われて地域の救急本部ももう大変な対応を今しているんですけれども、その際に、公立病院を含めて適切な搬送場所、搬送先、こういったものを皆さんの頭の中に入れて計画をつくっておいていただくことなどなど、通知をきょう、まず発出したところでございます。

清水分科員 今通知を出していただいたということでありまして、こうした事態には、やはり想定して、日ごろからその受入れ体制を整備しておくということ、すごく大事だと思うんですね。

 実は、二〇一七年十二月十五日公表の総務省行政評価局の感染症対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告というものがございまして、私もそれを読ませていただきますと、「受入れ可能な病床数が必ずしも十分に確保されているとは認め難い状況」、また、「感染症患者が良質かつ適切な医療を受けられる体制の整備が適切に確保されているのか危惧される状況がみられた。」と、二〇一七年の十二月段階にはこういう厳しい評価が下されていたわけなんですが、実は、この事態を見まして、いまだにこれは放置されていたんじゃないのかな、そのままだったのじゃないのかな、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですが、総務省、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 公立病院、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、約六割の感染症病床を持っているということでございまして、私どもも、感染症病床は大変大事でございますので、従来より特別交付税措置を講じまして財政支援をしているところでございます。

 感染症病床の指定というのは都道府県知事がされるということで、地域の実情を踏まえて行われるということでございますけれども、私どもとしては、そういう財政支援措置を通じて適切な病床の確保に努めていただきたいと考えているところでございます。

清水分科員 そうはおっしゃるんですけれども、総務省さんが出された勧告というのはなかなか厳しい内容になっておりまして、受入れ状況が必ずしも十分ではないだとか、受入れができないような状況が見られたというふうに書かれているわけなんですね。

 それで、続いて質問したいと思うんですが、勧告のもとの調査で、感染症指定医療機関が、例えば敷地、建設費の不足、病院経営への影響により対応できないとか、あるいは感染症の診療経験のある医師の確保が困難だとか、あるいはさまざまな理由から原則として患者を受け入れることができないなどと回答しているわけなんですね。

 今回の政府の対応を見ていますと、予見していたわけですから、その予見が的中したと言わざるを得ません。報告書ではそのほかにも移送措置などさまざまな指摘がなされているわけですけれども、総務省さん自身が出された勧告ですので、いま一度これを読み返していただいて、今の状況に照らし合わせて不十分なところがあれば対応していただくということをお願いしておきたいと思います。

 それで、今回、感染症指定医療機関に多くの公立病院が指定されていることを踏まえますと、五十三施設七百六十七床の感染指定医療機関が、地域医療構想に基づく再編統合の議論が必要と判断した四百二十四病院名のリストで再検討の対象になっている、このことはやはり疑問だと思うんですね。

 地域医療確保に関する国と地方の協議の場、今、第三回まで行われているということで、全て読ませていただきましたけれども、これを経ることで国と地方の相互理解が進んだと高市大臣はおっしゃっておるわけなんですが、地域の医療機関や住民は必ずしもそうは思っていない部分があるんですね。

 例えば、この協議の場でも議論になっておりましたが、いわゆる僻地におきまして、症例は少ないものの地域のニーズに合わせて医療を行っている医療機関が、実績が少ないとされて要再検証と指摘されているケース。また、僻地医療を評価する視点がなかなかない、こういって意見を言われている方もいらっしゃいます。

 いわゆる都市部だけではなくて、この僻地医療こそ公立病院が担うことではないのかなというふうに思うんですが、民間にできないことだと思うんですね、これは厚労省さんに来ていただいていますので、答弁の方、お願いしていいでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域医療構想につきましては、これまで急性期機能を中心に担ってまいりました公立・公的医療機関等に対して、民間では担えない政策医療に重点化すべきという観点から、二〇一七年度、一八年度、二年間を集中的な検討期間として、今後担う医療機能についての検討を先んじて求めてきましたが、検討結果、なかなか急性期からの転換が進んでいないという指摘がなされております。

 このため、構想の実現に向けて更に取組を進めていくという観点から、骨太の方針二〇一九、これを踏まえまして、公立・公的医療機関等について、急性期機能に着目した客観的なデータを分析した結果をお示ししたところでございます。

 このリストでございますが、それぞれの地域において構想の実現のために医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料としてお示しをしたものでございます。病院が将来担うべき役割やあり方を機械的に決めるというものではございません。今回の分析だけでは判断し得ない診療領域ですとか地域の実情に関する知見を補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化して議論を尽くしていただき、二〇二五年のあるべき姿に向けて必要な医療機能の見直しを行っていただきたい、このように考えております。

清水分科員 私の質問に直接答えていただいていないと思うんですよね。

 民間の病院にできない部分を公立病院に担っていただく、それが目的だというふうにおっしゃったんですが、私は、僻地の病院、僻地の公立病院の果たしている役割というのは重要ではありませんか、こういうふうに聞いたんですけれども、それは否定はされませんよね。否定はされませんよね。

八神政府参考人 それは重要なことだと考えています。

清水分科員 この間、厚生労働省は、地域の置かれているさまざまな経緯ですとか実情、これを踏まえることが必要である、また、病院が将来担うべき役割、これを国が何か機械的に一律に決めるやり方ではないとリストの押しつけというものを否定されているわけなんですが、これまでの政府の皆さんのやり方を見ると、これはやはり疑わしいと言わざるを得ません。

 例えば、神戸市、三百三十床を有する県立リハビリテーション中央病院がA評価の分類で、特に実績が少ないとして再編統合の対象になりました。それは、厚生労働省が分析項目を、がん、心筋梗塞等の心血管疾患、脳卒中、救急、小児医療、周産期医療に絞っていたためなんですね。

 しかし、ここからが大事なんですけれども、県立リハビリテーション中央病院は、子供の脳性麻痺、肢体不自由、睡眠障害、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、発達性協調運動症、限局性学習症に対するリハビリ療法やロボットを利用したリハビリなど、民間病院では対応が難しい患者にも対応し、幅広く質の高いリハビリテーションを提供する地域の中核病院であり、まさしく、神戸市民だけではなく兵庫県民にとって、なくてはならない医療機関であります。

 このような地域のリハビリテーションを支える医療機関の役割というのは、私は、これは厚労省さんがこの間説明してこられた、考慮すべき地域の置かれている実情と言えると思うんですが、それは否定されませんよね。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の公表いたしましたものの分析だけでは判断し得ない診療領域又は地域の実情に関して知見を補いながら、地域医療構想調整会議の議論をむしろ活性化をしていただいて議論を尽くしていただくということが大事だと思ってございますので、それを尽くしていただいた上で必要な医療機能の見直しを行っていただきたい、このように考えています。

清水分科員 続けて紹介したいのは、明石市の例でございます。

 明石市民病院がやはり再編統合の対象とされたんですね。明石市民病院は、二十三診療科、三百五十七床を持つ病院ですが、乳腺がん手術や急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル手術なども行っています。ただ、近隣に明石医療センターや県立がんセンターが立地するため、B評価の分類で、類似かつ近接する医療機関が存在するとして再編統合の対象になっているわけです。

 また、同病院は、年間二千八百二十五件の救急を受入れしているんです。しかし、年間三千件近い救急搬送を、この明石市民病院のほかの近隣の医療機関が肩がわりできるのかといえば、これは必ずしもそうはならないんです。

 こうした医療機関を再検証の対象とするのも、私は余りにも粗雑な分析だと言わなければならないと思うんです。

 救急搬送への対応も、またその能力も、地域医療構想を検討するための考慮すべき地域の置かれている実情としてやはり考えるべきだと思うんですが、これについても、厚労省、同様でしょうか。

八神政府参考人 先ほど来の繰り返しになるところでございますけれども、私どもがお示しをしましたリスト、それは、それぞれの地域において構想の実現のために医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料としてお示しをしたもので、将来病院が担うべき役割やあり方を機械的に決めたものではございません。

 また、繰り返しになりますが、これだけでは判断し得ない診療領域、地域の実情、こういったものに関する知見を補いながら議論を尽くしていただいて必要な医療機能の見直しを行っていただく、こういったことでお願いしたいと思っております。

清水分科員 いずれも地域の置かれている実情なんですよね。そういうところをしっかり分析もせずにリストに並べてしまったというところにやはり住民や医療機関の反発が起こっているということを、ぜひ理解していただきたいと思います。

 今回のリストは、高度急性期病床と急性期病床を持つ医療機関を分析対象にしています。

 兵庫県保険医協会の調査によれば、ある公立病院では、今後は急性期病床を回復期に回すから問題はないとしているところもあります。一方、近隣の民間病院からは、公立病院は急性期を担ってほしい、地域の公立病院が回復期まで担えば、これまでの機能分担が壊れてしまうという声も上がっています。すみ分けできていたわけなんですよね、地域によっては、今までも。

 リストによる強引な再編統合を進めることで、地域の医療機関の機能分担が崩れてしまう。これは、公立病院だけではなくて民間病院にも影響を与えることだということになると思うんですが、その点、どのように認識されていますか、厚労省さん。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 これも重ねて、繰り返しになってしまうかもしれませんが、各地域で、今回のデータも踏まえつつ、病院の役割、機能分化について、地域の事情を十分踏まえていただいて議論を尽くしていただくということが大事だと思ってございますので、それを踏まえた上での必要な見直しを行っていただきたいということでございます。

清水分科員 リストに名前の出た医療機関や、あるいは患者、利用者、地域の方々は、もう十分地域の実情は理解しているんですよ。理解しないといけないのは厚生労働省さんの方じゃないですか。みんなそう思っているんですよ。地域の実情に即してやってきたんです、これまで。それをやはり澄んだ目でしっかりと分析していただいて、やはり主体的に病院のあり方というのを公立、公的なところが検討していくということを見守っていくということが何よりも大事だというふうに思います。

 この問題で、最後に高市大臣にお伺いしたいと思います。

 各地域の地域医療構想調整会議で今後検討されていくというふうに思うんですけれども、私が聞いたところ、兵庫県では、二〇一五年以降、計画中のものも含めて十四の公立・公的病院が統合され、三百床から四百床程度の病院が二つ、また六百床規模の病院が三つ、さらに七百床以上の病院が二つ誕生しました。当然、統合前の病院よりも病床規模が拡大しており、地域の民間病院からは、患者も医師も医療スタッフもそうした病院にやはり集中してしまう、こういう声が上がっております。

 医師不足あるいは医療費問題などを脇に置いて、単に医療費削減、病床削減の観点から公的・公立病院の再編統合だけを促せば、民間病院も含めた地域の医療提供体制を混乱、崩壊させてしまうというふうに思うんです。

 冒頭申し上げましたけれども、高市早苗総務大臣は先日、予算委員会で、公的病院は最後のとりでと答弁していただきました。これは本当に励ましていると思います。高齢化への対応、僻地の医療問題、さらに災害や今回のような新型コロナウイルス、感染対応、こういうことを考えたら、もっと医療資源をふやして地域医療提供体制全体を構築するなど、公的・公立病院の支援をどう進めていくのかということを私は検討するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 公立病院というのは、きょう清水委員がおっしゃっていただきましたように、まずは僻地医療を担っていただいています。それからまた、先ほどおっしゃっていただいた救急医療、また周産期、小児医療など不採算・特殊部門に係る医療を提供する非常に重要な役割を担っていただいております。そういう意味から総務省としては必要な地方交付税措置を講じていますし、冒頭にお話がありましたように、今回のような感染症対策でも、これは大変に重い役割を果たしていただく場所でもございます。

 来年度から、過疎地など経営条件の厳しい地域における中核的な公立病院に対する特別交付税措置を創設するということとともに、周産期、小児医療などに手厚い措置を講ずることといたしました。

 これからも、地域医療構想を踏まえながら、公立病院が地域の実情に応じた役割をしっかり果たせるように、地方団体のお声をお聞きして、また関係省庁とも連携して対応してまいります。

清水分科員 最後に厚労省さんにぜひ言いたいのは、総務省が平成二十九年、二〇一七年十二月に、感染症対策に関する行政評価・監視、結果に基づく勧告というのを出しているんですよ。やはり、これをしっかり受けとめていただきたい。感染症対策がどうだったのか、そして公的・公立病院がその貴重な役割を担っているということも改めて検証していただきたい。

 そして、病床数が多い、余っているといいますけれども、今回のような非常事態が起これば、そういうゆとりというか、遊びという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そうしたものがなければ、例えば中国の武漢のように短期間で千床とか千六百床とかばんばん建てる以外ないわけですよ。そうしなくても、やはり知見もノウハウもある感染症指定医療機関になっている病院の病床数というものをあらかじめ確保しておくということも大事だという観点に立っていただくということが今後必要になってくるというふうに思いますので、そのことを厳しく指摘をしておきたいと思います。

 厚労省さんはもう結構です。次の質問に移りたいと思います。

小倉主査 それでは、御退席ください。

清水分科員 続きまして、大都市法施行規則に定められた住民投票用紙の様式について質問したいと思います。

 大都市地域における特別区の設置に関する法律、いわゆる大都市法について高市総務大臣にお伺いします。

 第一条では、「この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続」と書かれております。この法律に従い、大阪市に特別区を設ける場合、大阪市が廃止されることが前提ということで間違いありませんか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 大都市地域特別区設置法第二条第三項では、「「特別区の設置」とは、関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域の全部を分けて定める区域をその区域として、特別区を設けることをいう。」とされてございます。

 以上でございます。

清水分科員 特別区の設置と関係市町村の廃止というのは一体でありまして、例えば大阪市区域に特別区を設ける場合は、政令指定都市としての大阪市は廃止されるというのがこの法律の条文であるということが確認されました。

 さて、配付資料の一枚目をごらんいただいてよろしいでしょうか。これは、二〇一五年五月十七日に行われました、大阪市を廃止して特別区を設けることを問うた住民投票の際の投票用紙でございます。ここには「大阪市における特別区の設置についての投票」とだけ書かれておりまして、大阪市が廃止されるということは書かれておりません。

 それで、二度目の住民投票がなされる際には、大阪市が廃止されることがわかるように投票用紙の表記を改めてほしいという陳情が、二〇一八年、大阪市議会に提出され、これは採択されているんです。

 これは、私、法制局の方にも確認したんですけれども、この住民投票の用紙だけを見て、これで大阪市が廃止されるということを読み取れるかと聞いたら、必ずしもそうとは言えないですよねと率直に感想を述べられておりました。

 それで、配付資料の二枚目を、大臣、見ていただいてよろしいですか。これは、いわゆる別記様式、大都市法施行規則に定められた別記様式なんですね。

 大阪市の選挙管理委員会によりますと、あくまでも大都市地域特別区設置法の施行規則の別記様式に準じて定めた投票用紙であると。つまり、この別記様式に倣って、準じてつくったので、二〇一五年のときの住民投票の用紙の記載については問題ないという立場なようであります。

 しかし、大臣、この別記様式を見ると、何と書かれているかというと、「何郡(市)何町(村)を関係市町村とする特別区の設置についての投票」と書いているわけです。ここにも、大阪市の住民投票用紙と同様に、廃止するとの文言はありませんが、関係市町村が廃止されるということと特別区の設置が一体のものであるということを選挙人が理解していれば、いわゆる「関係市町村とする」という記述が入っている分、まだ理解できることもあるかもしれません。

 しかし、大阪市の住民投票用紙には、「大阪市における」との表記のみで、大阪市を関係市町村にするとも表記されていないんですね。これでは、特別区設置の際に大阪市が関係市町村として廃止されると十分に読み取ることはできないと思うんです。実際、投票所に足を運んだけれども、投票用紙を見て、よもや、賛成と書いた方が、廃止されるとは思わなかったというふうにおっしゃっておられるんです。

 大都市法には、選挙人に対してより正確でわかりやすい情報を提供するということも定められていますので、そうした観点からも、私はこれは改善が求められるなというふうに思います。

 そこで、総務大臣に確認します。

 大阪市の選挙管理委員会が、選挙人に対して、住民投票の際、より正確な判断材料を提供するために、例えばこの住民投票用紙に、大阪市を廃止して特別区を設置することについての投票、あれこれ全部、法律の条文を書けませんから、限られたスペースですから、せめてそれがわかるぐらいにはしよう、そういう陳情も採択されている、賛成、反対にかかわらず、政令指定都市をどうするかという、これは統治機構の問題ですから、真剣に投票していただくという観点からも、わかりやすい表記にしたいと。大阪市の選挙管理委員会がそのように記述することは構いませんか。

高市国務大臣 大都市地域特別区設置法に基づく住民投票に用いる投票用紙は、同法の施行規則第一条において、「別記様式に準じて調製しなければならない。」とされております。同法により準用される公職選挙法第四十五条第二項によりまして、投票用紙の様式は、住民投票に関する事務を管理する選挙管理委員会が定めることとされております。

清水分科員 ありがとうございます、明確な答弁を。大阪市の選挙管理委員会がこれを準用してわかりやすく表記することには差し支えがないということがわかりました。ありがとうございました。

 最後の質問に行きたいと思います。企業版ふるさと納税の問題についてであります。

 時間がありませんので質問事項をちょっと飛ばしますけれども、このふるさと納税制度というのは、郷里への応援とかあるいは被災地支援など、それ自体としては積極的な意味を持っていると思います。ただし、高額商品の返礼や一部の自治体に寄附が集中することは我が党も問題だというふうに指摘してまいりました。

 例えば、高市大臣は、泉佐野市から訴えられまして、地場産品以外の高額商品、これを返礼品にすることは問題だというふうにおっしゃった。私もそう思います。裁判になりましたけれども、やはり最後まで毅然とこれを退けた、勝訴をしたというのは、私、大臣の対応は正しかったというふうに思っています。

 その上でお伺いするわけなんですけれども、企業版ふるさと納税については、内閣官房からの税制改正要望に応え、拡充、延長を来年度の地方税の税制改正に盛り込まれました。これまでの制度では余り活用されてこなかったという理由で拡充、延長するということに今回なったわけですが、寄附した額に対して九割も税金で補填される、一千万ふるさと納税すれば九百万返ってくるという制度では、これはもはや寄附と言えるのかなというふうにも思うわけです。

 もう一つ問題点がありまして、企業版ふるさと納税については、内閣府令で経済的利益の供与の禁止が定められております。ここでは、寄附の代償として経済的な利益を供与することが禁止されているんですが、具体例として、寄附を行うことを公共事業の入札要件とすることが禁止されているわけです。これはQアンドAに書かれています。私もそうだと思いますよ。寄附を行うことを公共事業の入札要件にするというたら癒着が起こるから、これは当然禁止することだと思うんです。

 じゃ、私が逆に聞きたいのは、例えば、公共事業を受注した企業がそのお礼にふるさと納税でその自治体に寄附をした場合は、これは納税禁止の対象になるんでしょうか。内閣府、お答えください。

辻政府参考人 公共……(清水分科員「ちょっととめてもらっていいですか」と呼ぶ)

 申しわけございません。公共事業を受注した企業が、お礼……(清水分科員「もう一度言いましょうか」と呼ぶ)

小倉主査 では、清水君、もう一度お願いします。

清水分科員 もう一度質問しますね。

 企業版のふるさと納税については、内閣府令で経済的利益の供与の禁止が定められている。具体例として、寄附を行うことを公共事業の入札参加要件とすることが禁止されています、QアンドAで。寄附をくれないと入札させないぞ、これはだめだと。

 じゃ、逆に、公共事業を受注した企業がそのお礼に寄附をした場合は、これはふるさと納税の適用対象になるのか、あるいは禁止なのか、そのことについてお伺いしているんです。

辻政府参考人 それが経済的利益の供与に該当するかどうかということでございます。

 そういう個別具体のケースについて、ちょっと事前に御連絡いただかなかったもので、申しわけございません、ちょっと、直ちにお答えできない状況でございます。

清水分科員 私は通告で、寄附を行うことを公共事業の入札参加要件にすることを禁止することの理由などということで、経済的利益の供与の禁止について聞くというふうに、ちゃんと私は通告しておりますので。

 いわゆる、ここで私が質問したように、公共事業を先に受注した企業がお礼にふるさと納税することは妨げられないのかということについても、当然これは、個別の例じゃなくてQアンドAの逆のパターンですから、それはお答えいただかないと、この制度、根幹から問題になるというふうに思うんですけれども、これは大臣、どう思われますか。議論を聞いていただいて、何か所見、ございますか。

高市国務大臣 済みません、私に聞かれてもわかりません。

清水分科員 そうしましたら、この場でなかなか今答えられないということですので、小倉主査にお願いしたいんですけれども、ぜひ予算委員会におきまして、今の答弁について、整理したものをしっかり出していただくということをお願いできるでしょうか。

小倉主査 わかりました。

 それでは、今のお申出の件につきましては、政府においてしかるべき措置を私からお願いしたいと思います。

清水分科員 時間が来ましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

小倉主査 これにて清水忠史君の質疑は終了いたしました。

 次に、武部新君。

武部分科員 自由民主党の武部新です。どうぞよろしくお願いいたします。

 高市総務大臣に対する質問要求は、私、ございませんので、高市大臣におかれましては、御退席していただいて結構でございます。

小倉主査 それでは、大臣、御退室願います。

武部分科員 それでは、過疎地域の振興策について質問させていただきたいと思います。

 私は、自由民主党の過疎対策特別委員会の事務局長代理をさせていただいております。議員立法で成立いたしました現行の過疎法は、令和三年三月末で期限を迎えます。現在、我が党におきましても、新しい過疎法の議論を精力的に行っている最中でございますけれども、この過疎法、最初の法律は、昭和四十五年、私の生まれた年でありますけれども、過疎地域対策緊急措置法として成立いたしまして、これまで四次にわたって過疎法が制定されています。現行法は、延長されて今日ありまして、先ほど申し上げたとおり、令和三年三月末に期限を迎えることになっております。

 過疎地域は、人口減少や少子高齢化がとまらず、依然大変厳しい状況にあります。人口減少率でありますとか、あるいは高齢化率といった指標については、いずれも全国平均を大きく上回っておりますし、若年比率、これは全国比率から大変下回っているという状況にあります。

 質問になりますけれども、これまでの過疎地域に対する政府の取組について伺いたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和四十五年に最初の過疎法が制定されて以来、過疎対策事業債、国庫補助金の補助率かさ上げ、税制特例措置や地方税の課税免除などに伴う減収補填措置、過疎地域等自立活性化推進交付金といった施策を講じてまいったところでございます。

武部分科員 先ほど申し上げたとおり、最初の過疎法が成立したときは、新規学卒者を中心に、急激に都市へ若者が人口吸収された、いわゆる集団就職というんですか、ということがございまして、若者の流出によって地域社会を維持することが困難になる、あるいは地方自治体の財政の状況が大変厳しくなるという背景がございました。

 現在は、過疎地域のみならず、我が国、全国、全体が人口減少しておりまして、過疎地域のみならず都市においても、多くの都市が人口減少の傾向にあります。

 ちなみに、私の地元である北海道でございますけれども、百七十九市町村ございますが、過疎関係自治体は百四十九にも上りまして、八割を超える市町村が過疎地域に指定されている、こういう状況にございます。

 このような状況の中で、今、新たな過疎法を議論している最中でございますけれども、過疎対策の意義ですとかあるいは理念ですとかということを、過密に対する過疎というだけじゃなくて、新たにそういう意味を捉え直す必要があるのではないかと思っています。

 例えば、山間部に多いですけれども、過疎地域の有する多面的機能をどうやって維持していくのかということは、これは我が国全体にとっても大変重要な課題でもございますし、また、持続可能な地域社会の形成というのはどうやって進めていくべきかということは、これもまた大変重要なことでありますので、過疎対策を更に進めていく上では、また更に充実した中身が必要になってくるのではないかと考えています。

 過疎特の委員会で全国を、市町村を回らせていただいて、ヒアリングをさせていただいておりますけれども、その中でも、過疎自治体から、過疎法が我々自治体にとっては命綱だ、そういうお話も聞きましたし、あるいは、生活環境の整備ですとか、特に多かったのは、地域医療の確保に過疎債を活用させていただいているんだということで、まさに過疎債がなければ地域社会が維持できない状態にある、そういうような多くの声を聞いてまいりました。

 四次にわたる過疎法が大変大きな役割を果たしてきたと思いますけれども、改めて、政府において、この過疎法の効果、成果についてお聞きしたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 過疎法に基づく対策に取り組んでまいりました結果、分野で申し上げますと、産業の振興でありますとか、交通、情報通信、生活環境、福祉などの施設の整備、あるいは教育の機会の確保などに一定の成果が上がっているものと認識をしております。

 具体的に申し上げますと、観光客数や立地企業数の増加でありますとか、市町村の道路舗装率の上昇、携帯電話サービスエリアカバー率の上昇、あるいは水洗化率の上昇、高校進学率の上昇といった成果があるものと考えております。

武部分科員 ありがとうございます。

 ハードだけじゃなくて、今御説明があったとおり、ソフトの部分でも大きな成果を、改正というか、新法に、新しくしていくときに、それぞれ過疎地域の皆さん方の御意見を聞いて、ソフトの分野にも広げてきたという効果が出ているんだと思います。

 ですから、過疎法が果たしてきた役割といいますか、大変大きいと思いますし、また、当然ながら、過疎自治体からは、この過疎法について、維持、更に拡大してほしい、そういうような強い要請を受けているところでありますので、新法制定に向けて議論している最中でありますけれども、改めて、政府と協力しながら、しっかりとした、皆さん方の期待に応えられるような新法をしっかりと議論を進めてまいりたいと思います。

 次に、過疎自治体から声を聞く中に、まちづくりのコアの人材となる若い担い手が大変いないんだという声も聞きますし、それから、事業を行おうと思ってもなかなか人手がいないと。まさに多くの主要な課題というのが、人材不足が深刻だということなんだと思います。

 一方、最近は、都市に住んでいらっしゃる方の中にも、価値観がいろいろと変わられてきてライフスタイルが多様化しておりますし、また、やはり人生を豊かに過ごしたい、人生に豊かさを求めたいということで、田舎暮らしをしてみたいんだ、そういうような方々もふえてきていると思います。

 しかし、いざ移り住むとなりますと、当然、お仕事がなければ収入がなくなるわけですから、仕事はどうするのかとか、あるいは賃金、都市部に比べると地方の賃金はどうなのかですとか、あるいは教育、子供を連れていったときに子供の教育はどうか、子育てできるのかといったことがネックになって、なかなか踏み切れないところもあると聞いています。

 昨年の十一月二十七日、さきの国会で、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案が、我が党の細田先生を中心にして議員立法で成立いたしました。まさにこの中でも、人をどうするかということが大変大きなテーマになっていると思うんですけれども、この法律の意義、それから政府として期待する効果についてお聞きしたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の人口急減地域特定地域づくり推進法でございますが、人口が急減している地域におきまして、地域内の事業者の労働需要を集約いたしました上で、その需要に応じて人材を派遣する特定地域づくり事業協同組合、これを認定いたしまして、支援するための枠組みを定めた法律でございます。

 本制度を活用することで、特定地域づくり事業協同組合の組合員であります小規模事業者にとりましては、業務の繁閑への柔軟な対応ですとか、人手不足の解消といったメリットがございます。また、地方への移住を検討している方などにとりましては、安定的な雇用環境や一定の給与水準を確保した新たな就業先が提供されるといったメリットがございます。

 本制度の活用を通じまして、人口急減地域における地域社会の維持あるいは地域経済の活性化が期待されるものであると考えておりまして、総務省としましては、内閣官房や厚生労働省、中小企業庁などの関係省庁と連携をして、この制度の活用に向けてしっかりと取り組んでまいります。

武部分科員 ありがとうございます。

 まだこれからの事業だと思いますけれども、しっかりと大きく育てていただきたいと思います。

 次に、5Gについて質問させていただきたいと思います。

 先ほどもお話ししましたけれども、過疎地域の皆さん方からお話があるのが、地域医療とか、いろいろな課題のお話もありますけれども、前向きなお話も結構ありまして、例えば、AIやIoTを活用したいとか、あるいは、やはり地方の方は農林水産業が基幹産業になっておりますので、スマート農林水産業を推進したいという要請もたくさん聞かせていただいているところであります。

 しかし、地域によっては、特に私の地元の農村部なんかは、必ずしも情報通信環境が整備されているとは言えない状況にあるんですね。それは、やはり携帯事業者さんとかにしてみると、人口密度が低いところでは、光ファイバーにしても携帯のアンテナにしても、つくっても採算が合わないんだということなんだろうと思います。

 そこで、ローカル5Gなんですけれども、これは、地域の企業や自治体等のさまざまな主体が、みずからの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できる5Gのネットワークシステムだというふうに伺っております。これを聞くと、地方から、我々もそのローカル5Gというのをぜひ使いたいねというような声も上がってきておりますけれども、5Gの中にローカル5Gを制度化したという、その意義についてお聞きしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gでございますけれども、これは、現在のLTEの百倍の速度である超高速だけではなく、カメラやセンサーなど身の回りのあらゆるものがネットワークにつながる多数接続、さらに、遠隔地でもロボット等の操作をスムーズに行える超低遅延といった特徴がございまして、幅広い産業への応用が期待されているところでございます。

 このため、5Gの特徴を生かして、多種多様な新しい通信ニーズに柔軟に対応するため、地域の企業や自治体などのさまざまな主体が、個々のニーズに応じて柔軟に5Gネットワークを構築、運用できるローカル5Gを、昨年十二月に制度として整備をしたところでございます。

 総務省としましては、このローカル5Gが広く利用されることによりまして、地域課題の解決や地方の活性化につながるものと期待をしているところでございます。

武部分科員 ありがとうございます。

 それで、過疎地域の、先ほども申し上げたところなんですけれども、地方は人口減少のスピードが大変著しいですし、高齢化による担い手もいないということで、それが深刻化しております。

 医師不足で地域医療体制の維持が困難だということも、多くのところから話が上がっております。北海道は広いですから、高度な医療を受けようと思いますと、患者さんが遠距離を移動しなければならない。一次医療もなかなか医者不足で受けられないですけれども、更に高度な医療を受けようと思うと遠くまで行かなきゃならない、そういったこともあります。

 それから、昨年も、台風、豪雨災害がありました。北海道は、一昨年は胆振東部地震もありました。全国で自然災害が多発しておりまして、自治体職員さんなんかは、監視ですとか、あるいは災害に伴う危険業務とか、負担もふえていると思います。

 それから、何度も申し上げていますけれども、スマート農林水産業など、あらゆる産業でローカル5Gは生産性向上に効果があると期待して、地域経済にも大きく寄与してくれるのじゃないか、そういうような期待も上がっているところでありますが、先ほども御説明ありましたけれども、その地域が抱えるさまざまな課題にローカル5Gをいかに活用していくべきか、所見をお伺いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ローカル5Gは、先ほど申し上げました超高速、超低遅延、多数同時接続といった5Gの特徴を生かしまして、農業、製造業、建設現場、遠隔医療、観光など、地域のさまざまな分野での活用が期待をされているところでございます。

 例えば、農業では遠隔から農場や作物の状況を詳細に把握する自動農場管理、製造業ではスマート工場への応用、建設の分野では建設機械を遠隔で制御できるようになるなど、作業の効率化、高度化などにより、地域が抱える労働力不足などの課題解決につながるものと期待をしているところでございます。

 総務省といたしましては、このローカル5Gが日本全国で早期に利用していただけるよう、開発実証などの取組を通じて、ローカル5Gの利活用の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

武部分科員 ありがとうございます。

 大変、地域の課題に取り組む上で、ローカル5G、期待が大きいんですけれども、これまでの情報インフラの整備というのは、基本的に、人口カバー率の考えのもとで進められてきたんだと思うんです。ですから、居住地域や大都市部から整備が進んでいて、私どもが住んでいる地方ですとか人口密度の低いところ、あるいは農業など、住んでいるところとまた仕事をするところが広いところもありますから、そういったところはなかなかやってこない、今もやってこない、後回しにされているんじゃないか、そういうような声があります。

 ですから、地方の皆さんからすると、この5Gインフラをどのように展開、推進していくのかというのは、大変関心の高いところなんですね。どのような方針で5Gを進めていくかということを伺いたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは地域の発展に不可欠な二十一世紀の基幹インフラでございますので、全国への速やかな展開が極めて重要だと考えております。

 このため、平成三十一年四月の5Gに係る周波数割当ての際に、各携帯電話事業者に対しまして、二年以内に全都道府県でのサービスを開始するということを義務づけるとともに、人口カバー率という考え方ではなく、都市、地方を問わず、早期かつ広範に全国展開をするよう条件を付したところでございます。

 また、昨年、令和元年六月に、5G基地局や光ファイバーなどのICTインフラの整備支援あるいは5Gの利活用促進策などをロードマップとともにまとめたICTインフラ地域展開マスタープランを策定したところでございます。

 総務省におきましては、このマスタープランの具体化に向けまして、今年度の補正予算と来年度の当初予算案に携帯電話事業者等を対象とする所要の支援施策を盛り込むとともに、5G投資促進税制を創設し、全国5G基地局の前倒しの整備やローカル5Gの整備を促進することとしております。

 こうした取組を通じまして、条件不利地域を含めて、5GなどのICTインフラの全国的な整備を早急に推進してまいりたいと考えております。

武部分科員 ぜひ、都市部だけではないんだ、むしろ地方創生のためにローカル5Gも含めて5Gを活用していくんだということを、総務省を挙げて進めていっていただきたいと思います。

 最後に、地方自治体の国土強靱化の取組についての支援について質問させていただきます。

 先ほども申し上げましたけれども、災害が多発しておりまして、昨年も台風十五号、十九号、豪雨災害で大きな被害が出ました。

 森林環境税と森林環境譲与税が創設されました。これはもう先輩たちも含めて長いことかけて、森林整備の財源をつくろうということで御努力いただいて、ようやく成立いたしまして、令和六年度から一人千円を課税させていただくことになりますが、令和元年度から譲与の方はもう施行されているところであります。

 その目的は、パリ協定もありました、この中でも我が国の温室効果ガス排出削減目標を達成しなければなりませんので、その達成でありましたり、あるいは、災害防止を図るために、森林整備に必要な財源を安定的に確保することだと思います。これは、山のあるところ、都市部の皆さん方も、山のない地域に住んでいらっしゃる方も、しっかりとみんなで守るんだという、大変私はいい税金だと思っています。

 そして、令和二年度から、地方公共団体金融機構の金利変動準備金二千三百億円を活用して森林環境譲与税を増額することとしております。これは本当にありがたいことだなと思いますが、この準備金を活用して森林環境譲与税を拡大した意図といいますか背景といいますか、それについて伺いたいと思います。

開出政府参考人 森林環境譲与税につきましては、森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑みまして、地方団体が実施する森林の整備及びその促進に関する施策に充てるため、令和元年度税制改正により創設されたものでございます。

 しかしながら、昨今の自然災害の大規模化を背景といたしまして、災害防止の観点からも、森林整備等をより早急に実施すべきという国民のニーズが高まっております。

 こうしたことも踏まえ、今般の税制改正では、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を令和二年度から六年度までの五年間で二千三百億円活用し、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入れを行わないこととした上で、譲与額を前倒しで増額することとしております。

 これを受け、地方団体が喫緊の課題である森林の整備をより一層推進することで、森林の有する公益的機能の維持増進が図られ、地球温暖化防止や災害防止などにつながることを期待しております。

武部分科員 ありがとうございます。

 昨年の台風、豪雨なども申し上げていますけれども、倒木によって大規模な停電が起きました。また、洪水氾濫、山腹崩壊、それから、これも結構多かったんですけれども、流木が海に流れ出て、漁業にも大きな影響を与えています。これを見ると、山の整備が大事なんだと。うちの地元の漁組さんなんかは、自分たちでお金を出して山に木を植える、そういうこともやっていただいているんですね。

 ですから、やはり、山、川、海というのはつながっているんだということで、森林整備をしっかりやるということは喫緊の課題なんだと思います。そういった意味では、この二千三百億をうまく活用していただいて、地方団体にもしっかりと山の整備をしていただきたいと思います。

 ただ、山だけ森だけの保水力を強化しても、これはさっきも言いましたが、山と川はつながって、海につながっていますから、河川氾濫を防ぐことはできないと思います。やはり肝心なのは、河川の維持管理がちゃんと、しっかりとやっていただくことが大事だということは論をまたないと思うんですけれども、しかし、治山もそうなんですけれども、多くの地方団体の財政は厳しくて、なかなか、自分たちの管理している川のしゅんせつをやりたいけれどもできない。雨が降って、川底をあさらないものですから川が氾濫するというようなことで、大変被害が大きくなっているんだと思います。

 国におきましては、国土強靱化緊急三カ年計画で、国管理の河川の整備等を集中的に行っています。これだけではまだ足りないとは思いますけれども。

 問題は、やはり地方団体、地方自治体なんだと思います。地方自治体が管理している河川も、国の管理している河川とあわせて、しゅんせつも含めた整備、維持管理をしないと災害に対応できないんだと思いますけれども、河川氾濫等の減災、防災に取り組む地方団体の支援について、政府の取組について伺いたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年の台風第十九号等の自然災害によります大規模な河川氾濫等が相次ぎます中、維持管理のための河川等における堆積土砂の撤去でございますとか樹木の伐採が喫緊の課題となっております。

 国土交通省と緊急にどの程度のしゅんせつ等が必要かという調査をいたしましたところ、四千九百億円程度が必要だというような、非常に巨額の経費がかかるということが判明をいたしました。

 そのため、大臣から指示を受けまして、地方団体が単独事業として緊急かつ集中的に河川等のしゅんせつを実施できますよう、地財計画に新たに緊急浚渫推進事業費を九百億円計上いたしますとともに、その地方負担額に特例的に地方債を充当できますよう、地方財政法の改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。

 具体的には、事業期間を五年間といたしまして、事業費は先ほども申し上げました四千九百億円を予定しておりまして、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置をするという手厚い措置を講じることといたしております。

 また、本事業の対象につきましては、河川中心でございますけれども、あと、ダムでございますとか、砂防、治山、これに係りますしゅんせつでございまして、地方団体が河川等の各分野の個別計画に緊急的に実施する必要がある箇所として位置づけたしゅんせつ事業を対象とすることといたしているところでございます。

武部分科員 ありがとうございます。

 これは、私も地元で話すと、大変首長さん方は喜んでいただいて、これでちゃんとやらなきゃいけないことができるようになるなということで、しかも地方債を使っていいということになりますから、大変期待の大きいことを創設していただいたんだと思いました。本当にありがとうございます。

 引き続き、地方自治体が抱える、今言った減災、防災も含めて、課題解決に力強い御支援をお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小倉主査 これにて武部新君の質疑は終了いたしました。

 次に、大野敬太郎君。

大野分科員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきました。心から感謝を申し上げる次第でございます。

 きょうは、大臣始め、それから委員の皆様方、そして職員の皆様方にも、長時間の審議ということで、心から御慰労申し上げたいと思います。

 大臣におかれましては、きょうは質問の予定がございませんので御退席を賜っても結構でございますが、何とぞ一問目だけは御対応賜れればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今、御存じのように、コロナウイルス、これが非常に猛威を振るっているところでありますけれども、政府におかれましては全力で対処いただいていると信じておりますけれども、一方で、私は四国でございまして、小川先生も四国でございますが、四国あるいは中国地方あるいは東北地方、正確には私も全部は掌握しておりませんけれども、いまだ感染者の情報は出ていないということでございまして、地方によっては、結構、戦々恐々としていたり、そうでもなかったりということになっているんだと思いますけれども、そういった環境の中で、総務省もいろいろな対応をされているんだと思います。

 これは、例えば、所管の団体への連絡とか連携とか、あるいは経済対策というのもあるでしょうし、さまざまな対応をされているんだと思いますので、ここで一度、総務省としてのコロナ対策の内容をぜひお聞かせいただければと思います。

高市国務大臣 総務省と消防庁からは、一月三十日以降、全国の地方公共団体、消防本部、関係事業者に対しまして、継続的に必要な情報提供を続けております。

 また、十九日には、私から全国の都道府県知事及び市区町村長の皆様に対して一斉メールを配信する仕組みがあるんですけれども、帰国者・接触者相談センターの連絡先や厚労省がまとめた相談、受診の目安などについて、住民の皆様への情報提供を依頼いたしました。

 また、ウイルスの感染拡大防止にも有効な対策であるテレワークの推進につきましても、地方公共団体や総務省の所管、関係団体百一団体に通知を発出して、周知の徹底を依頼いたしました。

 そして、政府が二月十三日に決定した緊急対応策のうち、一部の事業については地方負担が見込まれますので、二月十四日には八割の地方交付税措置を講じることを決定いたしました。

 また、政府チャーター機による帰国者の方々やクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗員乗客の皆様の通信環境や政府職員の多言語対応を確保するために、携帯電話事業者、メーカー各社の御協力を得ながら、携帯電話やWiFiルーター、簡易無線機などの提供及び多言語音声翻訳機の紹介を行ってまいりました。

 さらに、本日、政府の対応方針が新たに決まりましたので、これを受けまして、本日付で、都道府県知事、市町村長宛てに私の書簡を発出いたしました。これは、新型コロナウイルス感染症に係る入院医療の提供体制の整備についてというものです。

 これから適切な入院医療の提供体制を整備していただくことになりますので、体制整備に当たっては、衛生部局、消防、公立病院、財政など関係部局が一体となって緊密な連携のもと取り組んでいただくというお願いと、それから、公立病院につきましては、感染症病床の六割を占めて、感染症医療に重要な役割を果たしておりますので、例えば、重症者を優先的に受け入れる医療機関となるなど、その役割を適切に果たしていただく。そのために、公立病院を運営する都道府県におかれては、状況を的確に把握の上、今後、患者の増加を見据えた適切な入院医療の体制整備に向けて、感染症病床はもとより、それ以外の病床確保についても役割を適切に果たすよう、積極的に取り組んでいただきたいというお願いでございます。

 さまざまやるべきことがありますけれども、迅速に対応してまいります。

大野分科員 丁寧な御回答をいただきまして、ありがとうございました。

 大臣におかれましては、御退席を賜って結構でございます。(高市国務大臣「聞かせていただきます」と呼ぶ)ありがとうございます。

 それで、一方で、私、このコロナの現状を見るにつけ、物事が正しく回っていくには、やはり、正しい制度、その上での正しい運用、そしてその運用を行う上で正しい意識、こういう三点が、ある種、エコシステムがあってこそ初めて回っていくんだと思います。

 今回のいろいろな報道を見るにつけ、やはりどうしても不備はあったんだ、これは思うんです。これは決して、この役所がだめなんだとか、あるいはどこがだめなんだということではなく、これは立法府の、私自身も、やはりこういったものをしっかりと想像して正しい制度をつくっていくという努力を決して怠ってはいけないんだなということを改めて感じた案件でありました。

 そういった意味で、今回は危機対応の事案ではございますけれども、危機対応以外にも、正しく、抜け穴がないような、そういったものをつくっていかなくちゃいけない。そういう意味で、きょうは幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 一点目が、地方の行政処理の電算システムについてでございますけれども、これは、ここにいらっしゃる皆様は当然御存じのことでありますけれども、以前は、ちょっと前は、千七百自治体が全てばらばらの電算システムで運用されていた。これは標準化がいまいちなされていなかったからでありますけれども、事務処理の標準化をすれば、当然、三割も四割も、あるいはもっとかもしれませんが、そういった効率化が図れるというのに、なぜなっていなかったのかという問いに対しては、やはり地方分権だからという答えが返ってくるんですね。

 このことについて、わからぬでもないんですけれども、分権というのは、分権の権というのは権限であり、権力でありますけれども、その権限というのが、結局、住民のサービス向上、これにつながっている権限であることが一番前提になるんだと私は思っています。

 したがって、不効率な状態で、結局、コストがかかって住民に不利益が生じてしまうような、そういったものであるならば、それは権限というものとはちょっと違うのではないか、私は強くそれは思っているところでございます。そういった意味では、こういったある種の標準化を行ってコストの削減をすることによって、浮いた分をより地方の独自のサービスなり政策なりに反映する方がはるかに本質的な地方分権になるんじゃないか、私はこう思っているところでございます。

 そういった意味で、数年前から自治体クラウドの取組というのがなされるようになりました。結構積極的に取り組んでいらっしゃる自治体もあるように伺っています。そういった意味で、これはますます推進、加速化をしていただきたい、それを強く願っているわけでありますけれども、一方で、現時点でのやり方というのは、例えば、五つぐらいの近隣市町村が連携をしてクラウドを使う、こういうことになっているわけでありますけれども、もっともっと広域化を進めないといけないんだろうな、これは多分、皆さん共通の認識なんだと思います。

 であるならば、より標準的なシステムをつくって、その上に、もちろん、自治体独自の政策を乗せられるようなAPIをしっかりと提供して、独自にやっていただく分はやっていただけるような環境を整えて、そして、それを使っていただける方には使っていただく、こういう方向の方が望ましいんじゃないかなと実は思っているところでありまして、決して、標準化したからといって、独自のものが全くできないというわけでは全くないはずでありますので、そういった方向にならないのかと思いますが、この見解についてお尋ねをまずはしたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自治体クラウドは、経費の削減でありますとか、あるいは情報セキュリティーの確保の観点からも非常に有効なものだというふうに考えておりまして、総務省としては、これまで、複数の自治体が共同してこの情報システムの運用を行う自治体クラウドの取組を推進をしてまいりました。

 具体的には、二十八年に手順とポイントというのを地方団体にお示しをして、翌二十九年にはロードマップというのを策定いたしまして、今後の計画をつくってくださいというお願いを地方団体にしてまいりましたし、また、自治体クラウドの導入経費に対する特別交付税措置なども行いまして、自治体クラウドの取組を支援してまいりました。

 この結果、三十一年四月現在で、八十二グループ四百九十七団体が自治体クラウドに参加している、こういう状況になってございます。この中には、既存のクラウドに新たにまた団体が参加してくるというような、委員おっしゃるような形もございますし、県が主導して、県内の多くの団体が参加するような形でクラウドをつくっていただいたというような団体もございます。

 したがいまして、我々といたしましては、今後、業務の標準化の取組を進めておりますので、それとあわせまして、この自治体クラウドの取組をより一層進めてまいりたいと考えておりますので、そのときに、委員おっしゃるような好事例なんかもお示しをしながら、この自治体クラウドの取組をより一層進めるべく、地方自治体にお願いをしてまいりたい、このように考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 具体的に、積極的に取り組んでいらっしゃる自治体、どのぐらいの効果があらわれているのか、この点についていかがですか。

境政府参考人 例えば経費の削減効果という点で申し上げますと、具体的な事例としましては、例えば、富山県内の九市町村で構成される富山県の情報システム共同利用推進協議会、この自治体クラウドでは、導入効果といたしまして、システム関連経費の三三%、いわゆる三分の一削減といったような成果が上がっております。

 また、先ほど申し上げました県が主導して自治体クラウドを推進している例といたしましては、岐阜県におきまして、県が主導して設立いたしました岐阜県の市町村行政情報センターというところによるクラウドサービスを県内の四十二の団体のうち三十四団体が利用しているといったような事例がございます。

大野分科員 ありがとうございました。

 電算システムはあくまでも効率化のツールでありますので、分権ということでは必ずしもない話であると思っておりますので、ぜひ広域化についても積極的に進めていただいて、本当に住民のサービスが、あるいは本当の意味での地方独自の政策がしっかりと打てるように、なお一層御努力を積み重ねていただければと思ってございます。

 質問を次に移りたいと思いますが、量子技術についてお尋ねをしたいと思います。

 量子技術というのは、安全保障上もあるいは経済産業上も非常に重要な技術でありまして、現在、日本、アメリカ、中国、EU、そういった国々で積極的に、技術覇権を争ってぐらいの勢いで取組が進められている、そういうような状況であると思います。

 その中で、実用化までに非常に近い分野の一つであります量子暗号通信について、これはいつぞや大臣のところにもお伺いしてお訴え申し上げたことがございますけれども、この総務省の取組についてまずお尋ねをしたいと思います。

 推進のポイントというのは、やはり産業界も巻き込んでいくこと、これが一番の私はポイントになるんだと思います。そして、開発というのがおくれると、安全保障上、例えば国際政治上のバランス、あるいは安全保障上のバランス、こういうのに非常に大きなインパクトを及ぼす、そういった技術であると私は認識しておりますけれども、そういった意味で、総務省におかれましては、この技術に対して、過去にどういったことに取り組んできて、そしてこれからどんなふうに取り組んでいかれるのか、意気込みも含めてぜひ御答弁をいただければと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、量子暗号通信技術につきましては、理論上は盗聴されないことが証明されている通信技術でございまして、量子コンピューターの実用化が現実のものとなりつつある中、単なる技術的重要性を超えて、安全保障や国際的プレゼンスの観点からも極めて重要な技術であると認識しております。

 この量子暗号通信技術につきましては、国立研究開発法人情報通信研究機構において、二〇〇〇年代初頭より基礎研究に取り組み、さらに、二〇一〇年には、当時世界最大で今でも世界第二位の規模を持っております研究開発用ネットワークである東京QKDネットワークを構築し、民間企業と強く連携しながら研究開発に取り組んできたところでございます。

 これらの成果としまして、我が国の民間企業が世界で最も高速な量子暗号装置の商用化に到達しているところでございまして、産業化の端緒にあるものと認識しております。

 その一方で、光子一つで通信を行うため通信距離が短いという特性、あるいは、盗聴できない方式であることから中継やネットワークが難しいという特性がございます。

 そのため、量子技術イノベーション戦略を踏まえまして、長距離化やネットワーク化、また人工衛星の搭載を実現して、より使いやすく、世界じゅうのどこでも使える技術へと進化させてまいりたいと考えております。

 今般の予算案におきましても、研究開発予算として十七億円を計上するとともに、情報通信研究機構の運営費交付金による研究開発とあわせ、産学官の総力を挙げた研究開発を推進してまいる所存でございます。

 加えまして、民間企業による事業展開を支援すべく、国際標準化への取組や、政府における先行導入を促進してまいりたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 現時点で実用性の評価、あるいは将来市場の見積り、そういったものはいかがですか。

巻口政府参考人 我が国の民間企業が商用化しました量子暗号装置は、距離が十キロメートル程度であれば十メガbps、4K画像のテレビ会議ができるレベルの高速通信が行えるものでございます。他国が発表している装置と比べて、十倍高速となっております。

 加えて、先ほど申し上げました研究開発用ネットワークであります東京QKDネットワークにおきましては、七十七日間の連続安定稼働を達成し、その間に九十キロメートル先に一・三三テラビットものデータを安全に通信することに成功するという、安定性の面でも我が国の技術はすぐれているものでございます。

 このように、高い性能と信頼性、そしてそれを証明する実績を持った製品開発に成功するなど、世界有数の技術を日本は有しているものと認識しております。

 また、人工衛星での利用につきまして、二〇一六年八月に超小型の人工衛星による単一の光子通信の実験に成功しておりまして、現在はそれを更に一歩進めて、人工衛星に搭載可能な量子暗号装置の研究開発に取り組んでいるところでございます。

 市場につきましては、現在、民間企業の予測によりますと、二〇二五年には五十億ドル、二〇三五年には二百億ドルに達するものと見込まれておりまして、極めて有望な市場であるというふうに見込んでいるところでございます。

大野分科員 あと一歩、あと半歩、あと〇・一歩というところに来ているんだというお話でございましたので、これから積極的に、また改めて支援をいただければと思います。

 そういった意味で、政府も、これは技術の中身に鑑みると、やはりまずは政府が使ってみるというのは当然のことだと思いますし、また、そういった文脈で、調達支援というのがあり得る選択肢の最大のものだと思いますし、また、これから予算措置としていろいろな取組をなされると思います。

 先ほども多少御紹介いただきましたけれども、改めて、この全体像、御紹介を賜れればと思います。

巻口政府参考人 本年一月二十一日に、統合イノベーション戦略推進会議におきまして、量子技術イノベーション戦略が取りまとめられたところでございます。

 その中で、欧米では、巨大IT企業が量子コンピューターを始めとする最先端の量子技術に対して巨額の研究開発投資を行う一方、我が国では、量子技術が未成熟な段階にあり、将来の見通しが立たないなどの事由により、大企業が最先端の量子技術開発等に積極的に参画するには至っていないということに鑑み、量子技術の事業化、産業化に向けて、開発する企業側やユーザー側双方の投資を誘発する観点から、政府において先行して技術導入や活用を促進するとされているところでございます。

 この状況を踏まえまして、令和元年度の補正予算において、量子セキュリティー領域の拠点形成を図るべく七十九億円の予算を計上し、当該予算を用いて国際的な研究開発ハブを構築するとともに、他省庁と連携しつつ、政府機関において民間製品の実装実験を行うべく、現在準備を進めているところでございます。

 これらの取組を通じて、企業等の投資を促進しつつ、早期の市場の立ち上げを図ってまいる所存でございます。

大野分科員 民間と積極的に、あるいは産業界と積極的に連携を図っていきたいというような話であったと思います。

 一方で、一般論を申し上げますけれども、産業界はこれまで、全部とは言いませんけれども、過去にどんなことになっていたのかと申し上げれば、技術で勝って、そして国際市場で負けるということが間々やはりあったわけですね。それで、それが繰り返されてきた部分もやはり多かったというのが、我々の基本的には認識なんだと思います。こういった轍を二度と踏まないということは、非常に、共通した認識をまずはしていかなくちゃいけないんだと思っております。

 そういった意味で、何をしなくちゃいけないのか。三つほど申し上げれば、海外と協調すべきはしっかりと協調して、その上で、守って稼げる領域、そういった領域はしっかりと守っていく、これが一番重要なことだと思いますし、また、つくりたいものをつくるのではなくて、やはり欲しいよねというようなものをしっかりとつくっていく。これは、マーケットインと言えば一言で済むんですけれども。

 それから、やはり今まで、海外移転だとか海外に売るんだというような話は結構ありますけれども、その前に、どちらかというと、もう最初から海外のマーケットをにらんでおく。だから、自分がいいものを国内でつくって成功した、じゃ今から海外に行こうか、こういう発想ではなくて、やはり最初から海外の市場をにらんでおく。これは、実は簡単に見えて意外と忘れ去られる部分があるんだと思いますので、そういった視点をぜひ、もうお持ちだとは思いますけれども、改めてそういった認識に立っていただければと思います。

 そういう中で、それをやっていくには、やはり海外の市場動向のしっかりとした予測とか、あるいはターゲティングポリシー、そういったものを明確に確立をして、あるいは、標準化あるいはオープン・クローズ戦略といった知財戦略、先ほどお触れになられましたけれども、これはまさにおっしゃるとおりだなと思って聞いておりましたけれども、そういったものをしっかりと確立しておくこと。あるいは、機微技術という観点で、輸出管理、そういったものの絵を明確に最初から描いておくことというのも重要な話でありますし、そして、更に言えば、経協インフラ輸出戦略、こういった中の位置づけもしっかりとしていく。さらに、民間との連携をどういうふうに図るのかというような、そんな全体像の中でしっかりと位置づけを定めて進めていくというのが、私は非常に重要なんだと思っているんですね。

 そういった意味で、改めてお伺いしますけれども、全体の、エコシステムと言っていいのかもしれませんが、そういったイメージをどう持っているのか、どういうふうに進めていくのか、エコシステムをどうつくっていきたいのかということを、断片的に先ほど御紹介いただきましたけれども、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

巻口政府参考人 委員御指摘のエコシステムの構築、大変重要な観点だと思っております。

 量子暗号通信技術につきましては、まだ通信技術としては新しいものでございますので、その相互運用性確保の観点から、国際標準化というものが極めて重要となっております。我が国としても、積極的に関与しているところでございます。

 欧州の国際標準化機関であるETSIによる議論がまずは先行しているわけでございますが、量子暗号通信装置とLANなどを接続する際の標準規格は既に成立済みでございます。

 また、ITU、国際電気通信連合の電気通信標準化部門におきましても、量子暗号通信ネットワークに係る標準化が議論されており、まずは、ネットワークの構成に係る標準が成立したところでございます。

 こうした国際標準化に際しましては、作業班の議長とかあるいは主編集者を我が国から人材を出すなど努力をした結果、我が国の民間企業の製品あるいはサービスの方式というものが国際標準に合致したものとすることに既に成功しているところでございます。

 また、そのような我が国の民間企業は、開発の段階から、欧米等のマーケットへの進出を視野に、民間市場への売り込みを既に開始しているところでございまして、総務省としましても、政府全体の経協インフラの海外展開にあわせて、適宜適切な支援を行ってまいりたいと思っております。

 なお、委員御指摘のとおり、量子技術を始めとする先端技術につきましては、量子技術イノベーション戦略において決定されておりますように、安全保障貿易管理の徹底を図ってまいりたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 フェイクニュースでございますけれども、諸外国で民主主義が根底から覆されかねない、そんなフェイクニュースが横行している、これは皆さんも認識をされているかと思います。

 すごい質の高い動画が簡単につくれちゃう、あるいは、ボタン一つで何十万人、何百万人という方々ににせ情報が送れる、そんな時代になりました。そういった時代になって、そして、具体的には、海外のとある国のお話でありますけれども、海外の諸勢力からにせ情報を送り込まれて、それが国政選挙に結構大きな影響を与えているとか、あるいはそのにせ情報が何だったのかというと、とある外国の首脳のものだと言われるにせ情報が敵性の国の首脳陣に伝えられて、まさしく紛争一歩手前まで陥ったことがあるんだ、そういう現実がある中で、このフェイクニュースというのは、やはり表現の自由というのは全力で守りつつも、一方で、こういった脅威に対処していかなくちゃいけないという非常に困難な戦いを強いられているというのが諸外国の現状だと思います。

 なぜこれを私が言うかというと、実は、去年のことでありましたけれども、とあるフェイクニュースに関する国際会議に参加をさせていただきました。諸外国の最前線の現状というのを目の当たりにして非常に私も驚いたと同時に、そういった諸外国の取組、これは必ずしも国ではありませんけれども、それの取組の深さとか危機意識の高さというのは本当に驚かされる部分がございました。そういった意味で、脅威は世界にある。

 ただ一方で、その会議で私がここのとある方から言葉を発せられたのが、まあ、日本は静かだからいいよね、そういう言葉を投げかけられました。そうなんだろうと思います。ただ一方で、静かだからこそ、静かなうちにしっかりと対処をしていく。先ほどの、制度、運用、意識、こういった三点セットを醸成していかなくちゃいけないんだ、そういう思いがございます。そういった意味で質問させていただきたいと思います。

 まず、お尋ねしたいのが、先般、総務省の諮問機関から、これはプラットフォームサービスに関する研究会というそうでありますけれども、この中で、フェイクニュース、にせ情報対策の答申があったというふうに伺っております。それに対して、総務省に危機意識がどの程度あるのかというのは難しい答えだと思いますけれども、それから、それをどうやって受けとめているのか、受けとめて、今後、その法改正も含めてどんな検討を行う感じなのか、スケジュール感も含めてお答えいただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 オンライン上のフェイクニュースやにせ情報への対応については、二〇一八年十月から総務省で開催してまいりました有識者会議において、プラットフォームサービスに係る諸課題の一つとして議論が行われまして、今月、その最終報告書が取りまとめられたところでございます。

 問題意識としましては、近年、委員御指摘のとおり、欧米諸国を中心にインターネット上でのフェイクニュースやにせ情報の流通の問題が顕在化をしておりまして、我が国においても他国と同様の問題が生じ得るということを念頭に置いて検討を進めてきたものでございます。

 この研究会の最終報告書におきましては、表現の自由への萎縮効果の懸念などもあることから、まずは民間による自主的な取組を基本とした対策を進めることが適当とした上で、実態の把握、フォーラムの設置等、十項目の具体的な政策について方向性が示されたところでございます。

 総務省としましては、この報告書の提言を踏まえて、民間による自主的な取組に期待しつつ、我が国における実態の把握など、必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

大野分科員 その答申の中に、民間の自主的な努力を主軸にしつつも、取組不十分な場合には政府として一定の関与を行うことも考えられるというような文言があったと思います。

 それは、具体的にはどんなふうにそれを受けとめていらっしゃるのか、あるいはどんな範囲なのか、どんな関与というものが考えられるのか、ぜひお答えをいただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 フェイクニュースあるいはにせ情報への対策については、先ほど申し上げましたように、まずは民間による自主的な取組を期待したいというふうに考えておりますけれども、十分に効果がないという場合には、行政からの一定の関与も視野に入れて検討を行うことが考えられると報告書で言及されております。

 この点、例えば欧州委員会におきましては、にせ情報への対応のための行動規範を欧州委員会みずからが策定し、プラットフォーム事業者に対して、この行動規範に署名し、みずからの取組の透明性やアカウンタビリティーの確保を自主的に求める、いわゆる共同規制的なアプローチの取組が行われております。

 総務省としては、こうした諸外国での取組も参考にしながら、引き続き、民間の自主的な取組を注視してまいりたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございました。

 ほかに国際連携というのもしっかりとっていかなくちゃいけないでしょうし、国際ルールの策定というのもありますし、あるいは民間のファクトチェック機関、フォーラムとおっしゃっていたかと思いますけれども、そういったものの活動というのもやはり重要なんだと思います。

 私が特に重要だなと思っているのは、やはりリテラシー教育の部分なんですね。もう時間が来てしまいましたので、きょうはお答えは求めませんけれども、このリテラシー教育、これは結構、先ほど申し上げました国際会議で、やはり諸外国はもっともっとリテラシー教育をやっているわけですね。

 これは、リテラシー教育といいますのは、使い方とかいうことだけではなくて、本当に本質的な、民主主義というのは本当に重要なので、それにたえ得るような、人間というのはやはり育てていくというのが非常に重要だと思いますので、これからも連携を、これは文科省だと思いますので、総務省からの視点として今のフェイクニュース対策の視点を文科省にお伝えいただいて、そして、連携を深めていただければと思います。

 きょうは、地方交付税交付金についても実はお尋ねをしたかったところでありますけれども、最後でございますので、延びてみんなに迷惑をかけるのも趣旨ではございませんので、以上にて質問を終わらせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

小倉主査 これにて大野敬太郎君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時一分散会


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