衆議院

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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋葉 賢也君    奥野 信亮君

      中谷 真一君    階   猛君

      岩谷 良平君    中川 宏昌君

      緒方林太郎君

二月十五日

 中谷真一君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 中谷 真一君

      秋葉 賢也君    奥野 信亮君

      国定 勇人君    高木  啓君

      藤井比早之君    岡本あき子君

      階   猛君    吉川  元君

      岩谷 良平君    奥下 剛光君

      住吉 寛紀君    中川 宏昌君

      吉田久美子君    緒方林太郎君

   兼務 小森 卓郎君 兼務 近藤 和也君

   兼務 吉田はるみ君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務副大臣        中西 祐介君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   農林水産副大臣      中村 裕之君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           高地 圭輔君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       巻口 英司君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         森  晃憲君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         川合 規史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     高木  啓君

  階   猛君     吉川  元君

  岩谷 良平君     住吉 寛紀君

  中川 宏昌君     中野 洋昌君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     国定 勇人君

  吉川  元君     岡本あき子君

  住吉 寛紀君     一谷勇一郎君

  中野 洋昌君     吉田久美子君

  吉良 州司君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     中川 貴元君

  岡本あき子君     小山 展弘君

  一谷勇一郎君     堀場 幸子君

  吉田久美子君     日下 正喜君

  福島 伸享君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     藤井比早之君

  小山 展弘君     階   猛君

  堀場 幸子君     奥下 剛光君

  日下 正喜君     中川 宏昌君

  仁木 博文君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     奥野 信亮君

  奥下 剛光君     岩谷 良平君

  福島 伸享君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同日

 第一分科員小森卓郎君、第五分科員吉田はるみ君及び第六分科員近藤和也君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

中谷主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました中谷真一でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。金子総務大臣。

金子(恭)国務大臣 おはようございます。

 令和四年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和三年度補正予算と合わせ、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現していくという政府方針の下、総務省として、デジタル変革の加速とグリーン社会の実現、活力ある地方づくり、防災・減災、国土強靱化の推進による安全、安心な暮らしの実現、感染症への対応、活力ある地域社会の実現等を支える地方行財政基盤の確保、持続可能な社会基盤の確保に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆四千六百二十四億円です。

 以下、事項などの説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

中谷主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中谷主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木(啓)分科員 おはようございます。自由民主党、東京選出の高木啓でございます。

 本日は、予算委員会第二分科会の質疑の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 早速、質疑に入りたいと思いますが、私は、長年、地方議員を務めてまいりましたので、国と地方自治体の関係というものに対して大変関心を持って今までも見てきましたし、地方議員の時代は地方から見て、今、衆議院議員になりましたので、国から見る地方自治あるいは地方自治体という見方をさせていただいておりますが、実は、最近、地方分権の行く末に危惧を感じることも度々あるわけであります。

 住民自治の重要性というものを私は否定するものでは全くないんですが、しかしながら、国の根幹に関わることに対して、ある意味で自治体の意向のみが優先する、あるいは優先しているのではないかというようなことが疑われるような現状も実はあるわけでありまして、そのことに対して、実は危うさを感じるときがあるわけであります。

 例えば、最近の例で申し上げますと、沖縄県宮古島市の防衛省施設に市が港湾使用の許可を出さなかったということで、弾薬の搬入ができなかったという事例がございました。

 これは我が国の安全保障に関わる重大な事案でありまして、結果的には約三か月程度遅れて搬入はされたんですけれども、しかし、その三か月という期間が、そもそも予定されていたときから三か月遅れて搬入をされた、だったらそれでいいじゃないかというわけにはこれはいかないと思うんですね。

 また、私の東京都においては、東京都武蔵野市で、市長提案の住民投票条例、常設型の住民投票条例の制定をめぐって、三か月以上同市に滞在する外国人にも投票権を付与することの是非などが、市議会で大変大きく問われたわけであります。

 この条例案については、市議会の委員会では、可否同数で、委員長採決で可決をされた。そして、本会議では三票差で否決をされたわけなんですけれども、可決、成立していれば、実は、地方自治といえども憂慮すべき条例が制定された可能性があったと私は非常に強く思っているわけであります。

 こうした事例について総務大臣はどのようにお考えになるか、是非、見解を聞かせていただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 高木委員にお答えを申し上げます。

 先ほどお話がありましたように、高木委員、都議会時代から国会に対して御提言を賜っておりまして、私も以前から存じ上げているわけでございますが、今回もこういう問題を取り上げていただいたわけであります。

 地方自治法におきましては、国と地方の基本的な役割分担の原則につきましては規定がありますが、この中で、国は、国際社会における国家としての存立に関わる事務の実施など、国が本来果たすべき役割を重点的に担うこととしつつ、住民に身近な行政はできる限り自治体に委ねることが基本とされております。また、国際社会における国家としての存立に関わる事務の具体例としましては、外交、防衛、通貨、司法等が考えられるところでございます。

 他方、憲法及び地方自治法の規定によりまして、自治体は、法令に違反しない限りにおいて、地域における事務などに関して条例を制定することができることとされています。

 一般論としてのお答えになりますが、こうした国と地方の役割分担の原則を踏まえ、必要な制度の整備、運用が適切に行われるべきものと考えております。

高木(啓)分科員 法令に違反しない限りというのは、それはもちろんそのとおりだと思いますので、それはそれで結構なんですが、しかし、法令に違反しない限りにおいて、今事例を申し上げました、安全保障に関わるような、装備の配置が遅れたりとか、こういうことは本当にいいのかどうかということを、是非大臣におかれましても研究をしていただければ大変ありがたいと思っています。

 この宮古島の事例は、国の権限が保護されなかったと私は思っています。そして、安全保障上の懸念が発生したとも実は思っています。宮古島沖は宮古海峡でありまして、あそこは国際海峡ですから、毎日のように他国の潜水艦やあるいは艦船が通っている。その目と鼻の先でこういうことが起こっているわけですから、こういうことに対して、私は、やはり重大にこれを受け止めるべきだというふうに思います。

 そこで、国は、やはり、こういうことに対しての法整備、あるいはその対策、様々な法律の運用も含めて、こういうことを考えるべきだと私は思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 先ほど御答弁しましたとおり、地方自治法におきましては、国は、国際社会における国家としての存立に関わる事務の実施など国が本来果たすべき役割を重点的に担うことを基本として、自治体との間で適切に役割分担をすることとされております。

 こうした国と地方の役割分担の原則を踏まえつつ、例えば、安全保障上の観点など、社会経済情勢の変化に応じて必要がある場合には、関係省庁において必要な個別法令の整備、見直しが検討されるべきものと考えております。

高木(啓)分科員 是非、そうした事例を敏感に集めながら、関係省庁でやはりしっかり検討していただくことも大事。そして、もう一つは、やはり、国と地方の関係を第一義的につかさどっているのは総務省でありますから、総務省もしっかりとその辺りの意見を言いながら、やはり我が国の国家の存立に関わること、このことに対してしっかりと私は対策を取るべきだということを是非お願いしておきたいと思います。

 大臣、お忙しいでしょうから、大臣に対する質問は終わりましたので、御退室いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 さて、先ほどお話もさせていただきましたが、東京都武蔵野市の常設型住民投票条例についてでありますが、私は、この問題は、地方自治と議会制民主主義に投げかけた課題が極めて大きいと考えています。

 住民投票には幾つかの事例、種類があると思っておりますが、基本として、住民投票というのは議会制民主主義のやはり補完機能であるというこの原則は押さえておかなければいけないと思います。

 一方で、常設型ということになりますと、これは運用の在り方など別の課題も私は想定をされるんだろうと思っておりまして、常設型住民投票という制度自体に問題はありはしないのかと私は思います。全て地方自治の世界の中でどうぞ御自由におやりくださいということになりますと、これは、例えばこの武蔵野市の事例でいえば、投票権を自治体が独自に設定できることになっていて、先ほど申し上げたように、三か月滞在をしていれば外国人の方が投票できるような、そういうこともできるわけであります。これは外国人地方参政権につながるような、投票権を短期滞在外国人にまで広げるということが適切なのかどうかということが問われたんだと私は思います。

 一般的に、住民投票には法的拘束力はないというふうにされているんですが、これは全体で住民投票を仮に一つの自治体でやったときに、その結果が出て、そして、それを法的拘束力がないからといって、まあ、無視をするというか、いや、それはなかったことにしましょうねというわけにいかないわけですよ。ですから、こういうところに、地方自治といえども、外国人、特に短期滞在の外国人にも政策決定に参画させるということが適切なことなのかどうか、このことを、是非総務省の見解を問いたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の御答弁にもありましたが、憲法九十四条及び地方自治法十四条一項の規定により、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、地域における事務等に関して条例を制定することができることとされております。

 地方公共団体における一般的な住民投票についての法律の規定はございませんが、議会制民主主義を補完し、住民意思を把握する手法の一つとして、条例に基づいて住民投票が行われているものと承知をしております。

 ただし、御指摘のとおり、このような条例による住民投票につきましては、投票結果について長や議会に対する拘束力を持たせることはできないものでございます。

 その上で、あらかじめ住民投票の対象事案や投票資格者などを定めておく、いわゆる常設型とするかどうか、あるいは外国人住民を投票資格者に含めるかどうかなどにつきましては、各地方公共団体において適切に判断されるべきものと考えております。

高木(啓)分科員 各地方公共団体において適切に判断をすべきだと。それは原理原則はそのとおりなんですよ。原理原則はそのとおりなんだけれども、じゃ、これが全国に広がっていったらどうするんだということを危惧しているんですね、私は。

 今回の武蔵野市の事例でいえば、結果的には条例は制定をされなかったということなんですが、市を二分するような議論が行われてきたわけですね、この間。そのこと自体も、私は、住民自治にとって極めて不幸だと思いますよ。極めて不幸。

 つまり、一つの市の中で、私は賛成だ、私は反対だということで、住民の中でいわゆる二分されるような議論が起こるということは、それは物によってはあるかもしれません。しかしながら、こういう制度をめぐって、特に、本当にこれはいいのかどうか、我が国にとってこれが必要なのかどうかという視点で見たときに、この問題というのは、私は極めて住民にとって不幸なことであったと思うわけであります。

 こうしたことを、私は、やはり、総務省は、きちんと地方自治体に対して、どういう地方自治であるべきなのかということの助言や、あるいはそういう技術的な支援とか、そういうことも含めてよく考えていただきたい、このように思います。

 そして、私は、常設型の住民投票、そして外国人参政権にもつながるようなこうした制度は適切ではないと思っておりますので、是非、今回の件を契機にして、常設型住民投票条例、そしてその中身がどうなるのかということに総務省としてもよく注目をしていただきたい、このように思います。地方自治の原則は住民自治ですから、住民がこの町を、自分たちの町をどうしたいのか。それは、原則はそうです。しかしながら、こういうことも起こるということを、是非私は肝に銘じておいていただきたいと思います。

 次の課題に移ります。

 拉致問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 北朝鮮による日本人拉致事件の解決は、我が国及び歴代政権最大の課題でございます。現在、本問題に対する地方自治体の取組はどのように行われているのかということをまず伺いたいんですが、例えば、拉致問題の啓発舞台劇「めぐみへの誓い―奪還―」というのがありますが、こういうものの上演とか、あるいは映画「めぐみへの誓い」というものが、これは民間ですけれども、作られた。あるいは、政府の方では、アニメの「めぐみ」という映画も作られている。

 こういうものがそれぞれ地域地域で上映をされるように、自治体が主催して開催された拉致問題啓発事業というのはこの数年どの程度行われてきたのか、是非教えていただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答えします。

 数字についての御質問についてお答えさせていただきたいと思います。

 まず、舞台劇「めぐみへの誓い―奪還―」の上演回数でございますけれども、これは、自治体と共催で政府拉致問題対策本部主催で上演しているものでありますけれども、これまで四十五回開催しております。このうち二回は、今年に入ってコロナの感染が拡大する中で無観客で上演して、それをビデオに収録してユーチューブ配信しております。

 それから、映画「めぐみへの誓い」の上映会ですけれども、これにつきましては、民間ベースでやっているものですけれども、映画製作委員会のホームページを見ますと、これまで自治体主催でやっている上映会は五回開催されているものと承知しております。

高木(啓)分科員 全国に自治体って、たしか一千七百幾つですね、今。一千七百十八でしたかな。とにかく一千七百を上回る自治体があって、自治体主催でやっているものが、舞台劇としては四十五回、二回は無観客、そして民間が作った「めぐみへの誓い」は五回、これはいかにも少ないように思うんですけれども。これは、啓発事業をもっと更に私は進めるべきだと思うんですけれども、是非、決意を含めて、政務官、御答弁をいただけないでしょうか。

宮路大臣政務官 拉致問題の解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意志を示すことが重要であると考えております。

 政府は、地方自治体とも連携しつつ、全国各地で映画やアニメ等の上映会、集会、舞台劇等、各種啓発事業を、行事を開催しております。

 また、これまで拉致問題について触れる機会の少なかった若い世代、私自身、我が地元鹿児島で市川修一さん、増元るみ子さんが拉致被害に遭ったとき、まだ生まれておりませんでした。そうした若い世代への啓発が大変重要な課題となっておりまして、全国の教育委員会等の協力を得ながら、教員等を対象とした研修や、中学生、高校生を対象とした作文コンクールを実施していただいております。

 さらに、地方自治体においても、独自に県民集会や市民集会を開催したり、ホームページ、パネル展示、広報誌等各種媒体を使って拉致問題に関する啓発に取り組んでいただいております。

 このような地方自治体における取組状況については、毎年、拉致問題対策本部事務局において、自治体に照会の上取りまとめて、相当な部数になりますが、政府拉致問題対策本部ホームページに掲載いたしまして、他の自治体における事例を参考にしながら、更なる取組強化をお願いしております。

 政府としては、今後とも、地方自治体ともしっかり連携を図りつつ、拉致問題に関する啓発活動に積極に取り組んでまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 宮路政務官の御決意、是非実現をしていただきたい、このように思っています。

 御答弁にありましたように、強い意志が必要なんだと。つまり、拉致された日本人を取り返すということがまず大事でございまして、それには強い意志が必要。そのためには、この拉致事件というものが広く国民に知れ渡らなければいけないんですね。それで、何か、認定拉致被害者も十七人からもうずうっと数も変わらない、膠着状態にあるということで、この拉致事件自体が風化をしないんだろうかということが非常に心配になるので、こういう広報活動、映画や舞台劇を通じて、これは大事だというふうに私は思っているんです。

 実は私の地元で、去る二月十二日、先般の土曜日ですけれども、この映画「めぐみへの誓い」の上映会を開催させていただきました。百二十人以上の方々がお集まりをいただきまして、大変多くの方から、終わってからのアンケートを取らせていただいていろいろな御意見を頂戴しました。

 その中のちょっと幾つかを披瀝させていただきたいと思うんですが、例えば、多くの方に知ってもらいたいので今後も上映会を開いてほしい、三十代の女性の方。それから、拉致問題を風化させてはいけない、人ごとではない、これも三十代の男性。そして、すばらしかった、何か取り組めたらと思った、四十代の女性。自分事として考えてもらいたい、この言葉に全てが含まれていたと思う、五十代の男性。この問題は日本の問題ですという言葉が胸に突き刺さった、早く解決できるように行動したい、五十代の女性の方。国民に広く情報や取組を伝え、次世代の若い方たちにも知らせていくことが大切だと思った、六十代の女性。学校教育の中でもしっかり伝えていくべきだ、政府は本当にやる気があるのか甚だ疑問だ、救う会に入会して微力ながら活動したい、六十代の男性。最後になりますが、何か協力したいと思いながら、今回の上映会を知り、北区でやっていることに驚いた、もっと日本中に広めてほしい、七十代の女性の方。

 実は、このアンケートを見て私は分かったんですけれども、やはりこういう事業をやっているということ自体が余り知られていないということですね。ですから、これは積極的に政府も予算をつけて、この広報活動、そして舞台劇や映画を各地域でやはりやっていただく、上映していただく、上演していただく、このことに是非注力をしていただきたいと思います。

 私も実は、この「めぐみへの誓い」をこの間改めて見たんですが、そのストーリーの断片は全部知っています。横田めぐみさんが拉致をされたシーンや、あるいは様々な事案のどういう経緯でということもほぼ知っています。ところが、活字で知っていることと映像で見て知っていることは、映像で見て本当に衝撃的でした。ですから、やはりこれは目で見せなきゃいけない。映画でも舞台でも、是非これはもっと力を入れていただきたいと思います。

 特に、舞台は一回一回ですので、一回一回がお金がかかっておりますから、予算を減らさないように、是非ともこれを、頑張って広報活動に力を入れていただきたいということを改めてお願いしておきたいと思います。

 次の課題に移りたいと思います。

 選挙の投票率の向上に向けてなんですが、各級選挙の投票率を向上させるために、私は期日前投票所を更に充実すべきだと思っているんですが、その設置は自治体に基本的には任されていると思います。投票日に設置される投票所の数と同じレベルで、私は、期日前投票所が人口や面積に応じてやはり設置されるべきだというふうにも思うんです。

 それがどのぐらいがいいのかというのは、これはいろいろな検討の課題があると思うんですけれども、期日前投票所を増やすことによって投票率は必ず上がると思いますから、ここはいろいろアイデアを駆使して、この期日前投票所を多くしていただきたいというふうに思います。

 是非、この点についてお答えをいただきたいと思います。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 期日前投票所につきましては、公職選挙法上、市町村に一か所以上設置することとされておりますほか、期日前投票所を設ける場合には、当該市町村の人口、地勢、交通等の事情を考慮して、期日前投票所の効果的な設置などの必要な措置を講ずるものとされております。

 総務省としては、選挙の公正を確保しつつ、選挙人の投票機会を確保する観点から、期日前投票所を積極的に設置することは重要なことと認識しておりまして、そのため、期日前投票所の増設のほか、買物や通勤の際に投票できるようにするため、頻繁に人の往来があるショッピングセンターとか駅構内などの選挙人の利便性の高い場所への設置、あるいは、投票所までの距離が遠い方などのため、複数の箇所を巡回する自動車を用いた移動期日前投票所の設置につきまして、各選挙管理委員会に対し、各地域の実情に応じて積極的に行っていただくように要請をしておるところでございます。

 また、これらの取組についてまとめた事例集を作成し、横展開を図ってきたほか、昨年の総選挙で増加しました移動期日前投票所の取組事例の調査を行っておりまして、今後、調査結果を総務省のウェブサイトに掲載するとともに、全国の選挙管理委員会にもフィードバックする予定でございます。

 さらに、国政選挙におきましては、こうした期日前投票所の設置に要する経費を含めまして、選挙執行経費基準法に基づく地方公共団体への委託費によりきちんと措置をしておりまして、それぞれ実情を踏まえた検討が行われまして、今回の衆議院選挙では、前回の二十九年衆議院選挙の五千三百八十四か所から五千九百四十か所へと、一割程度増加しておるということでございます。

 引き続き、必要な財政措置を行うとともに、各選挙管理委員会において、期日前投票所の増設、あるいは利便性が高い施設等に期日前投票所を設置するよう、積極的な取組を促してまいりたいと存じます。

高木(啓)分科員 移動式とか、いろいろやっていただいているのはよく分かっていますので、是非進めていただきたいんですが、利便性を求め過ぎて、投票所が小さくなっちゃうということがあるんですね。そういうところは、例えば衆議院選挙などでは、選挙区と比例代表の二回、投票しなきゃいけないんだけれども、この投票券を一遍に渡していたりとかするところもあるわけですよ。

 ですから、利便性も大事なんですけれども、そのスペースや場所の問題をよく考えていただいて、投票率が向上するように期日前投票所を是非更に充実をしていただきたい、このように思います。

 もう一つ、選挙について、私は、期日前投票は、立候補者が確定をしたら翌日から期日前投票というのはできるようになるんですけれども、ところが、選挙公報が届かないんですよ。選挙公報は、つまり皆さんの判断材料ですから、是非期日前投票のスタートと同時に見られるようにしていただきたいという意味では、やはりデジタル化をしっかり進めるべきだというふうに思いますが、御見解を伺います。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙公報につきましては、候補者等の政見等を選挙人に周知し、選挙人が投票するに当たっての判断材料を提供するための重要な手段の一つでございまして、市町村の選挙管理委員会から配布しておりますけれども、これに加えまして、選挙公報の選挙管理委員会ホームページへの掲載につきまして、平成二十四年以降、国政選挙の都度、各都道府県選挙管理委員会に通知を発出しております。同年以降の国政選挙におきましては、全ての都道府県選挙管理委員会において、委員御指摘のデジタル化、選挙公報のホームページへの掲載が行われているものと承知をしています。

 また、令和元年度の公選法改正によりまして、この選挙公報の掲載文につきまして、候補者や政党等が電子データにより提出をいただくことが可能となりましたので、全体的に、選挙公報の都道府県選挙管理委員会のホームページへの掲載に要する日数が短縮されております。例えば、令和三年の衆議院比例代表選挙の選挙公報につきましては、全ての都道府県選挙管理委員会ホームページへの掲載が完了した日は、法改正前の平成二十九年と比べますと三日間早くなっておるというところでございます。

 総務省としては、引き続き、各都道府県選管に対しまして早期のホームページ掲載を促したいと考えておりまして、これにより候補者情報の早期提供を図ってまいりたいと存じます。

高木(啓)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

中谷主査 これにて高木啓君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 今日、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 金子大臣、よろしくお願いいたします。そして、中谷主査もよろしくお願いいたします。といっても、大臣に当てることは基本的にいたしませんので、答弁が終わりましたら各参考人の方々はもう出ていっていただいて結構ですということですので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、消防についてお伺いしたいと思います。

 免許の仕組みが変わりまして、三・五トン以上の車を運転するときは準中型免許を取らなくてはいけないということになりました。これに伴って、消防団員が三・五トン以上の消防車を運転するとき、準中型免許を持たなきゃいけないということで、ただ、これはなかなか、皆さん、持っていない方も多いので、結果として、一部地域では、普通免許でも運転できるように消防車のスペックを下げて、そしてやっているということも聞いております。

 ただ、これだと何かいろいろ問題が多いなと思ったので、事前レクの際に、消防団員の普通免許について、例えば消防車両限定とか、そういうことで条件つけて何か対応できませんかということを言いましたが、警察庁からは、なかなか難しいということでありました。

 ただし、現在、なかなか準中型免許を取るということに対する困難もいろいろありますので、既に準中型免許取得の補助を出していることはよく知っておりますけれども、更なる何らかの対応ができないかと思いますが、消防庁、いかがでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 運転免許制度は、車両総重量等によって自動車などの種類を区分した上で、それぞれの区分に属する自動車などを安全に運転するために必要な能力があると認められた者に限って運転を許可する制度であり、普通免許を受けている消防団員が普通自動車の車両総重量などを超える準中型自動車の運転を認めることは、道路交通の安全を確保する観点から困難だと警察庁から聞いております。

 このため、現在、総務省消防庁といたしましては、準中型免許の取得費用への市町村の助成に対する特別交付税措置、また、三・五トン未満の車両を含む消防団の車両の無償の貸付け、また、準中型免許の取得につながる市町村のモデル的な事業への支援、これらを行っているところでございます。

 消防庁といたしましては、引き続き、現場の実態を注視いたしまして、地域の課題に対しましてきめ細かく対応してまいりたいと存じます。

緒方分科員 よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、消防団員の手当の問題について問題提起させていただきたいと思います。

 消防団員の、これまで、出動したとき、出動の手当は費用弁償的な扱いだということで非課税でありました。今回、出動報酬ということで、額が増えました。これは本当にありがとうございました。ただ、その一方、これが所得となって、所得税課税されるのではないかというふうにも聞いております。

 こうなると、一部の消防団員、例えば、学生で消防署員を目指していて消防団員で修行を積んでいる方とか、あとは扶養の立場にある消防団員の方とか、こういった方々の中には、税や社会保障の壁に当たっちゃうせいで、結果としてそれで活動抑制が出るんじゃないかという懸念がございます。

 消防団員の活動抑制につながらないようにすべきだと思いますが、消防庁。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 総務省消防庁では、昨年四月に、消防団員の処遇改善に向け、消防団員の報酬などの基準を定めまして、その適用日である令和四年の四月一日以降、原則として、消防団員の報酬などは、年額報酬、出動報酬及び出動に係る費用弁償となります。

 これらにつきましての課税の取扱いにつきまして、現在、国税庁と協議中でございますので、この協議が調いましたら、速やかに各市町村を通じまして消防団員の皆様に周知をさせていただきます。

緒方分科員 実は、私は現役の消防団員でございまして、北九州市八幡西消防団第七分団の団員ということで、自分自身、いろいろな実体験を基にこういうお話をさせていただいております。本当によろしくお願いを申し上げます。この件、結構盛り上がっておりますので、よろしくお願いします。

 そして、もう一件消防についてお伺いさせていただきたいと思います。

 救急救命士の活動についてということなんですが、救急救命士、本当に今頑張っていただいている、コロナ禍の中で頑張っていただいているんですが、よく聞くのが、もう少し救急救命士の活動領域を拡大できないだろうかというお話をいただきます。

 もちろんこれは、医療との関係があるので、その領域をどうやるかというのは非常に微妙なバランスの下にあるということはよく承知しております。ただ、残念ながら、現在、コロナ禍の中で結構たらい回しになっているケースとか、そういうのがあったりして、救急救命活動の一環としてもう少し活動領域を広く認めてもいいのではないかと思います。

 救急救命士は公務員が多いため、例えば業界団体をつくって声を上げるとか、そういうことができない方が大半であります。なので、私がそれを代弁して申し上げさせていただいておりますが、救急救命士の活動領域の拡大ということについて、消防庁。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防機関に所属いたします救急救命士の活動のうち、救急救命処置につきましては、厚生労働省において消防の現場の声を含めて関係者の要望を聞き取り、順次拡大がなされてきたと承知をしております。

 その際、厚生労働省からの依頼を受けまして、消防庁から全国の消防機関に厚生労働省に対する提案書の募集を周知をいたしておりまして、実際に消防機関から厚生労働省に対して具体的な救急救命士処置の追加に係る提案書が提出をされています。

 加えまして、救急救命の処置に限らず、救急活動に係る救急救命士の御意見につきましては、全国の消防機関の代表者で構成されます全国消防長会の要望書を消防庁が受けることを通じまして、具体的には、例えば、令和三年度におきまして、新型コロナウイルス感染症対策に伴います救急隊員の感染防止対策の強化についての要望を受けまして、これを踏まえまして、仮眠室の個室化、救急隊員の感染症対策に必要な施設や設備の整備につきまして、これらにつきまして新たに緊急防災・減災事業債の対象といたしました。

 今後とも、消防機関に所属する救急救命士の御意見を十分に伺いまして、適切に対応してまいります。

緒方分科員 今、いろいろな対応の話がありましたが、救急車の中でできることの領域を拡大できればもっとできるのになという声はあります。ただ、それを、厚生労働省との関係で、代弁できるのは消防庁だけであります、業界団体がないので。であれば、頑張ってくださいというお願いであります。

 それでは、質問の内容を移しまして、次、地方財政に移したいと思いますが、まず、地方財政についてですが、今年の予算で、特別会計にたまっている巨額の借金の返済を五千億やられたというのは、あれは画期的だったなと思いますし、こういったこと、なかなか目立たないところなんですけれども、五千億償還したというのは、これは拍手喝采を送らせていただきたいと思います。ともすれば、なかなか見えない借金なので、先送り先送りということになりがちなんですけれども、本当によかったと思っております。

 さて、それで、今日取り上げさせていただくのは、財政健全化判断比率について取り上げさせていただきます。

 財政が健全であるかどうかを判断する比率として四つの指標がありますけれども、例えばですけれども、先般、京都市の財政難の話がありました。京都市の財政難の話というのは、実は、財政健全化判断比率によっては必ずしも捕捉されなかったんですね。将来負担比率もそんなに高くない、実質公債費比率も別に高くない。けれども、実際やっていると、とんでもないことになっていたということなんですが。

 判断比率の元々の意味というのは、見える化をして早期に財政を改善していただくということが目的であるわけですね。そう考えるのであれば、今回の京都市の事例などを見ていると、その機能を十全に発揮できていないんじゃないかと思います。

 財政調整基金や減債基金の積立て不足といった要素を組み込んだ上で、更に見える化をすべきではないかと思いますが、総務省。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 健全化判断比率の指標、これは四つ、お話にありましたとおりあるわけですが、この四つの指標のうち、実質赤字比率及び連結実質赤字比率、この二つの比率につきましては、健全な財政運営のために収支均衡が基本であるということから用いております。

 また、実質公債費比率につきましては、公債費や公債費に準ずる経費は一度増大いたしますと削減することが極めて難しい経費、こうしたものであることから用いております。

 また、将来負担比率につきましては、公社や第三セクターに対する損失補償等を含めた実質的な将来負担が増大いたしますと、将来の公債費等に大きな影響を与える可能性があることから用いているものでございます。

 お話にありました京都市でございますけれども、令和二年度決算に基づきます健全化判断比率についてでございますが、三億円の実質赤字が生じておりまして、実質赤字比率が〇・〇七%になっております。また、実質公債費比率が一一・四%、これは指定都市の中で三番目に高いという状況です。将来負担比率が一九三・四%と、これも指定都市で最も高くなっているという状況でありまして、ただし、いずれの比率も早期健全化基準未満となっております。

 それで、早期健全化基準未満であるということをもって、その自治体における今後の財政運営の健全性が確保されているということを保証するものでは必ずしもありません。

 そのため、自治体においては、健全化判断比率が早期健全化基準未満であっても、その推移や他団体との比較について分析を行いますとともに、経常収支比率などの他の財政指標や積立金残高も勘案して、将来の財政状況も見通しながら、議会や住民の方々に対して情報開示を行い、不断の財政健全化に取り組むことが必要であるというふうに考えております。

 京都市においては、このような状況の中で、現在、自主的な行財政改革に取り組んでいるものと承知しております。

緒方分科員 つまり、そうなんです。

 ただ、地方自治体の決算を見ていると、大体この四つの基準を満たしていれば、うちは健全ですと言っているケースが多くて、今、その四つの基準を満たしているからといって健全であることを必ずしも証明しないということだったんですが、であれば、こういう代表的なものはもう少し改革をした方がいいんじゃないかということを述べさせていただきます。

 その中で、今一つありましたが、将来負担比率についてですが、この将来負担比率、実際の地方自治体が背負う債務の重さと何か若干乖離があるような気がするんですね。特に、これだけ臨時財政対策債の規模が大きくなってくると、その分を基準財政需要額に算入しないということにしてしまうと、物すごく乖離があるように見える。けれども、今の将来負担比率の基準だと、こういった臨時財政対策債みたいな基準財政需要額算入分は差っ引いているので、国として一〇〇%見てくれるので、その返済については目線から外しても構わないというような意識の自治体が結構多い。

 これは、地方自治体に大いなる誤解を与え、財政の健全化に若干反するところがあるんじゃないかと思いますが、総務省。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 将来負担比率につきましては、分母の算定上、標準財政規模から元利償還金、準元利償還金に係る基準財政需要額算入額を控除いたしますとともに、分子の算定上、地方債現在高等の将来負担額から基準財政需要額に算入することが見込まれる額を控除することとしております。

 これは、地方債の償還時等に基準財政需要額に算入される額を分母、分子から控除することによりまして、各自治体の地方債現在高等に係る財源措置の状況を反映させるためのものでございます。このような算定方法によりまして、将来、実質的に自治体の財政を圧迫する可能性の度合いを比率に反映させているものでございます。

 ただし、基準財政需要額への算入等、あるいは、お話にありました臨時財政対策債、こうしたものは、極めて地方財政の制度をよく御理解されている人にしか分からない、ある意味専門的な内容でもありまして、一般の方々にとっては、むしろ単純な地方債現在高の方が理解しやすい面があるものと考えられます。

 そのため、自治体におきまして、将来負担比率の内容についてもちろん分析を行い、これはやはり、他の団体と比較するということになりますと、その辺の実質的な部分というものを考慮する必要がございますので、将来負担比率はあくまでもしっかり内容について分析を行っていただく必要があると思いますが、地方債現在高と将来負担比率につきまして、両者の関係を踏まえながら、この両者について、議会や住民に対して丁寧な説明を行うということも方策の一つであるというふうに考えております。

緒方分科員 いい答弁、ありがとうございました。

 もう一つ。臨時財政対策債の償還財源を減債基金に積み立てていない自治体というのが結構多いんですね。京都市もそうですけれども。積立不足が深刻になっているケースがかなり出てきています。きちんと積み立てるように総務省として各自治体に助言をしていることはよく知っていますけれども、これは助言で済ませていい話ではないと実は思っておりまして、ただ、その一方で、償還財源、地方交付税として渡しているので、なかなか使途に口を出しにくいと思いますけれども、一般的な助言を超えて、ちゃんと積み立てろということを言うべきではないかと思いますが、総務省。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のとおり、満期一括償還方式で発行いたしました地方債につきましては、その償還財源を確保いたしますために、減債基金への積立てを計画的に行うことが適切であると考えております。また、実際の積立額が実質公債費率の算定上の積立額を下回っている地方団体におきましては、その理由や今後の方針等を住民や議会等に公表することが重要であるとも考えております。

 総務省といたしましては、減債基金への積立てを計画的に行うよう、お話にもありましたとおり、これまでも継続して助言してきたところでございますけれども、引き続き、注意喚起を図りますとともに、個別の地方団体のヒアリングなどを通じまして、より効果的な対応に努めてまいりたいと考えております。

緒方分科員 国会でも聞かれたのでちゃんとやれというふうに言ってください。

 続きまして、地方創生についてお伺いいたします。

 一般論なんですけれども、地方創生とかSDGsとかいったはやりのワードを飯の種にしているコンサルが結構あちこちにばっこしておりまして、国から地方自治体にお渡しするお金の中で、結果として、財源がそのまま、地方に渡したんだけれども東京のコンサルに還流しているというケース、かなり多いというふうに思っております。そして、そういうコンサルがつくる成果物というのは、大体、地に足が着かないケースが多いんですよね、きれいなんだけれども。

 私、いつも冗談で言うんですけれども、私みたいに昔外務省にいた人間で、私が地方創生とかSDGsのコンサルタントをやると、金を稼げる自信があるんですよね、成功できるということではなくて。それはやはりよくないと思うんです。かなりの無駄が散見されると思います。

 こういった、せっかく地方に出したんだけれども、そういう東京のコンサルとかに還流するようなことについては何らかの対応ができないかなと思うんですが、内閣府。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきまして、交付金の執行に関しまして必要な調査等の補助業務を民間のコンサルティング会社に委託すること自体は、先生のおっしゃるとおり、一般的に行われているところでございますけれども、やはり地方創生を効果的に推進していくためには、住民であるとか地域の産官学、様々な主体の参加、協力を得ながら、地方公共団体それぞれがまずは主体的に取り組むということが重要であると考えております。

 そのため、国といたしましても、公共団体が主体的に地方創生に取り組めるよう、府省横断的な相談体制の整備、これは私ども、地方創生コンシェルジュという制度をやっていますが、公共団体への人材の支援、事業の検討に必要なデータの提供、これはRESASというのをやっていますけれども、努めているところでございます。

 政府全体といたしましても、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、地域特性を考慮しない全国一律の手法であるとか地域に浸透しない表面的な施策にならないよう、これまでも促してきたところでございます。

 今後も引き続き、それぞれの地域が自らのアイデアで具体的な政策立案に取り組めるよう促し、また、サポートしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

緒方分科員 余り特定の者を別に悪者にしたいわけではないんですけれども、こういった、はやりのワードで、何とかストラテジーとか何とか戦略とかいう、そういう地に足の着かない戦略ができて、できたのはいいんだけれども全然何か使えないよねというものが増えていくというのは本当によくないことだと思いますので、あえて問題提起をさせていただきました。

 続きまして、今の話と少しつながるところがあるんですが、過疎対策事業債についてお伺いしたいと思います。

 過疎対策事業債というのは一〇〇%充当されるものでありますので、全てじゃないです、ともすれば、自分の負担でないんだ、充当してもらえるから、一〇〇%ということで、いわゆるオーナーシップの欠ける事業の生まれる原因になることが時折ございます。先ほどの地方創生、SDGsとかのコンサルとか、ああいうのとつながるところがあると思うんですけれども。

 過疎地域を支えることは、これは当然のことだと思うんですが、こういったオーナーシップに欠ける事業を生み出さないように何らかの工夫を加えられないかなというふうに思うわけですが、総務省。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 過疎市町村につきましては、地方税を始めとする自主財源に乏しいわけでありまして、財政力が脆弱な中において、地域の持続的発展のために、過疎地域持続的発展市町村計画に基づき、各般の過疎対策事業を着実に実施できますよう、過疎対策事業債を活用することができることとされているところでございます。

 令和三年四月から施行されました新過疎法の中におきましては、この過疎対策事業債を活用して実施する事業の目的や効果をより明確にする観点から、持続的発展市町村計画の記載事項といたしまして、地域の持続的発展に関する目標や達成状況の評価に関する事項等を定める旨が新たに規定されたところでありまして、事業実施後のフォローアップを適切に行うこととされたところでございます。

 また、この新過疎法におきましては、持続的発展市町村計画と当該市町村の公共施設等総合管理計画との適合義務、これが新たに規定されたところでありまして、過疎市町村において、過疎対策事業債の活用に当たりましては、人口減少の下での今後の利用需要の変化に対応した公共施設の適正な管理等についての検討が行われるというふうになったものと考えております。

 総務省といたしましては、過疎対策事業債が、新過疎法の趣旨を踏まえ、過疎地域の持続的発展に向けて有効に活用していただけますよう、今後とも、関係自治体等に対しまして、機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えております。

緒方分科員 誤解のないように申し上げておきますが、私は別に、過疎対策事業債、充当率一〇〇%であることを何か悪いとかなんとか言っているんじゃないんですね。ただ、結果として時折オーナーシップに欠ける事業につながっているところがあるんじゃないかと思いますので、指摘をさせていただきました。

 大臣の御地元であります熊本県人吉市、私の母方のルーツでもありますけれども、今回、全部指定、全域が過疎地域に指定されたというふうに承知をいたしております。大臣の御地元で、しっかりとこの過疎対策事業債を使って頑張っていただければというふうに思います。

 それでは、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 これは文化庁の関係でありますが、文化庁が行ったアーツ・フォー・ザ・フューチャー、AFFと言われるものですが、文化事業をいろいろな意味で支えるということで、非常にいい事業だとは思います。ただ、その崇高な理念とは裏腹に、申請した事業を実施した後に、例えば申請が不採択になったりとか、あとは、助成金が大幅に減額査定をされたとか、そういう事例があったりして、地方で文化に携わる各種団体に対して大きな混乱とか困難を来している事例があります。

 既に幾つか新聞報道でもこのような事例が述べられているわけでありますが、結果として、この事業の理念とかが悪いわけじゃないんですけれども、そのマネジメントの結果として、今後の事業運営が困難になっている団体すら生まれてきているということであります。

 この件について、文化庁、反省の弁と今後の改善の取組について御答弁いただければと思います。文化庁。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 アーツ・フォー・ザ・フューチャーの事業につきましては、予想をはるかに上回る申請を頂戴しましたことから審査に時間がかかってしまいまして、大変に申し訳ありませんでした。

 次期のアーツ・フォー・ザ・フューチャー2の事業におきましては、今回の反省を踏まえまして、審査体制を拡充して審査の迅速化に努めるといたしますとともに、団体の皆様への説明会、相談会を丁寧に実施するといったことなど、運用を改善し、文化芸術の関係者の皆様に対して速やかに支援を届けられるように努めてまいりたいというふうに存じます。

緒方分科員 この件、本当に、多分、時期の設定とか、どのタイミングで予算がついて、どの時期に申請が行われ、どこで決定するかとかいうのと、文化団体の事業を実施するタイミングとがうまくかみ合わなかったケースが多々あったと思うんですね。

 本当に、こういったことで文化団体が困るようなことがあってはいけないと思いますので、今、文化庁の方からもお話がありましたので、しっかり頑張っていただければと思います。

 少し早くなりましたけれども、優等生として、早く終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉川元君。

吉川(元)分科員 立憲民主党の吉川元です。

 大臣、連日お疲れさまでございます。

 昨日、総務委員会で質問して、最後少し時間がなくて大臣にもお聞きできなかった点がございますので、まずそこから質問に入らせていただければというふうに思います。

 昨日の総務委員会で私が取り上げたのは、給与法、これが秋の臨時国会で今年度改定できなかった、恐らくこの後内閣委員会の方で改定をされるということで、大変現場に混乱が起こっているということ、そして、あわせまして、毎年、総務省の副大臣が、各自治体、県と指定都市ということになると思うんですけれども、通知を出している。その文言が、一昨年と昨年、出された文言が違っているということで、一言で言うと、一昨年までは国における給与法の改正の措置を待って各自治体の方も給与条例等々の改定をするようにという文言が、昨年、なかった。昨年の、令和三年の十一月二十四日に発出されたものではそうした文言がなくなっている、この理由はなぜなのかということをお聞きいたしました。

 その際、答弁では、簡単に言えば、年内に給与法の改定ができないから、それを待たずして各自治体においても給与条例の制定、これは答弁の言葉を使うと、改正前に行わざるを得なくなったとしてもやむを得ないものという答弁がございました。

 ただ、私はもう一つ疑問に思うのは、平成二十七年、二〇一五年のときにも給与法は年内に改定ができませんでした。あのときも秋の臨時国会が開かれなかったということで。今年度と同じパターンですよね、秋に臨時国会で給与法が改正できなかったということについては。ところが、平成二十七年のときには、「国に先行して行うことのないようにすること。」という文言が、二〇一五年の副大臣通知には入っている。

 同じ状況にもかかわらず、二〇一五年はこういう書き方、そして昨年は、もう国を待たなくていいよという書き方になっている。これは何でですかと聞いたところ、平成二十七年のときですけれども、このときは、引上げのタイミングでもございまして、速やかな対応は求められるが、後から追加支給することも可能であるという状況でございましてということで、こういう文言にしたというお話です。

 ただ、後からできるというのであれば、今回も後からするわけですよね。六月の一時金で、去年引けなかったものを引くという形で処理をするわけで、条件は全く同じだと思うんです。聞いていると、簡単に言えば、上げるときには国より先に上げるな、下げるときには国より先に下げていいよというふうにしか聞こえないんですよね。

 そもそもの議論として、国と地方は対等な関係です。そして、県やあるいは指定都市については、それぞれ人事委員会を持っていて、精緻な調査の上で勧告等も出されておりますし、もちろん、その際には国の人事院勧告なんかもしっかり参考にしながら出されている。その出されたものについて、それに基づいて給与条例を改正するのに、なぜ国の給与法の改定を待ってやらなければいけないのか。まるで元請と下請みたいなこの給与法の改定の在り方、給与条例の改定の在り方というのは、私はおかしいと思うんです。

 私は、今年度出された、つまり、国が決めていなくても各自治体できちんと均衡の原則等々を踏まえながら変えてもらっていいよというふうに、来年度になりますが、来年度もまた人勧が出て、そして給与法の改定がまた議論されますけれども、それを待たずしてもできますよという立場に私は変えるべきだというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に規定する均衡の原則にのっとり決定されるべきものでありまして、国家公務員の給与も考慮事項の一つとされております。

 このため、総務省としては、地方公共団体における給与改定の実施について、地方公務員法の趣旨に沿うよう、国における給与法の改正の措置を待って行うことを基本としているところでございまして、その考え方は維持すべきものと考えております。

吉川(元)分科員 私は、大臣、これはちょっとやはり変えた方がいいと思うんですよ。

 均衡の原則というのはどこで担保されるのか。当然、国家公務員の場合、労働基本権の制約下において、人事院勧告というのは最大限尊重されるべきものでありますし、過去に例外はありましたけれども、基本的には勧告に基づいた給与法の改定が行われる。当然、人事院の勧告というのは八月、秋前にはもう出そろうわけですから、それに基づいて給与法が改定されるということは、ある意味でいうと、常識だというふうに思うんですよね。もちろん、それは当然、公知の事実でありまして、地方自治体もそれを見ながら、当然、自分たちの給与条例をどうするのかというのを自主的に決めていくということはできるわけです。

 そうすると、均衡の原則というのは、給与法が成立しなければ均衡の原則が保てないという理由に私はならないと思うんですけれども、どうですか、大臣。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 人事委員会の勧告の制度がもちろんありまして、人事委員会を設置している地方公共団体もあれば、人事委員会を設置していない市町村という存在もございます。

 また、各自治体において、職員の給与の改正を適正に行うためには、やはり国家公務員の給与に関する国会の議論にも留意することが望ましいものだというふうに考えておりますので、先ほど来申し上げている基本的な考え方というのは維持すべきものと考えております。

吉川(元)分科員 だとすれば、二〇一五年と今年、この副大臣通知が違っていた理由、説明できないじゃないですか。まさに、上げるときには国公を待て、下げるときは国公を待たずして下げろということ以外の理由はなくなってしまいますよ。いかがですか、その点。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、プラス改定の場合であってもマイナス改定の場合であっても、地方公共団体における給与改定の実施について、地方公務員の趣旨に沿うよう、国における給与法の改正の措置を待って行うことを基本としていることには変わりないものでございます。

 その上で、本年度の改正がボーナスの引下げで、それが今年の六月期で調整をされることとなっているため、基準日である六月一日の前までに条例改正をなされる必要がございます。このため、今回に関しては、例年と同様の取扱いをいたしますと、給与法の審議日程が必ずしも明らかでない中、場合によっては、多くの団体で、通常の議会日程を設定していない時期での条例改正を求めることになるなど、全国の自治体の実務や議会運営に混乱を及ぼすことも考えられるという状況でございます。

 こうした状況に鑑みれば、今回に関しては、最終的に給与法の改正を待たずに条例改正を行わざるを得ないとする自治体があっても、やむを得ないものと考えているところでございます。

吉川(元)分科員 ここからはちょっと大臣に。

 やはりおかしいんじゃないですかね、今の話というのは。先ほど言ったとおり、もちろん、秋の臨時国会できちんと給与法の改正、改定が行われているのであれば、各自治体も混乱しないんです。ところが、昨年は、野党が臨時国会あるいは特別国会の会期を大幅に延ばしてきちんと法案も含めて質疑しようと言っても、残念ながら開かれませんでした。二〇一五年のときも全く同じ状況です。

 国会法では、常会は一月中に召集することを常例とするというふうになっていますけれども、臨時会については残念ながらそういう規定がないわけで、残念なことではありますけれども、時の政権によって、給与法の改定が越年をするということは今後も起こり得る。

 そうなったときに、私が一番問題だと思うのは、各自治体が果たしてどうすればいいのかということを、常に頭を悩ませるわけです。しかも、総務省からは昨日はっきりと、先ほども国の給与法の改定を待たずしてやったとしてもやむを得ないということが言われましたけれども、この通知の文書を見ていると、そこまで読み込むのはなかなか難しいんですよね。果たしてこれはやっていいのかな悪いのかな、こういうことを各自治体が頭を悩まさなきゃいけない。

 結果的に言えば、一部もう昨年の十二月の一時金でやったところもありますけれども、多くはまた六月にやらなければいけなくなる。そういうことを考えると、各自治体、やろうと思えばできるのに、国によってそれが左右されるということは、私は、国と地方の関係においても決して健全ではないというふうに思います。

 すぐに変えられないとしても、しかし、国の給与法を待ってやれ、その前にはやるんじゃない、こういう書きぶりというのはやはり改めるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

金子(恭)国務大臣 昨日から、委員の御質問に対して適切な答弁ができていなかったところもあったと思います。しかし、最終的にはやむを得ないということも含めて、部長の方から御報告をしたと思います。

 地方公務員の給与は各自治体の条例において定められるものですが、定めるに当たっては、地方公務員法によって、国家公務員給与も考慮した上で定めなければならないとされております。

 平成二十七年のときは私もここにおりませんでしたので、詳しいことはよく分かりません。しかし、今回の件につきましては、やはり、コロナ禍で経済が非常に厳しい状況の中で給与を下げるのはいかがなものかという判断の下に、十二月でなくて六月にボーナス分については対応するということになったわけであります。

 その間、地方議会においても、もう既にこのことについて取り組んでおられたところもあるということもありまして、そういう地方の事情の中で、どうしても、もう議決等々も含めてやっていらっしゃるところについてはやむを得ないというような気持ちも込めた通達であったと思っております。

 先生の御意見は非常によく分かるわけでございますが、私においては、先ほども申し上げましたとおり、国家公務員の給与に関する国会の議論というものに留意するということが望ましいということでございますが、先生の御意向はしっかり受け止めさせていただきたいと思います。

吉川(元)分科員 留意するのは結構なんですよ、留意してくださいねと。だけれども、以前の通知だと、国に先行して行うことのないようにとか、これは技術的助言ののりを越えていると思いますよ。国から命令される立場ではないわけです、自治体は。

 ですから、書きぶりを含めて、なかなか今までやってきたのをすぐ変えるのは難しいというのはあるのかも分かりませんけれども、やはり、国と地方は対等な関係にある。もちろん、留意してほしいというのはまさに技術的助言としてはあり得ると思いますけれども、それによって、するな、しろという話は、私はすべきではないということ。

 それともう一点。今、大臣、コロナ禍において給与を下げることはいかがなものかということもあったというようなことを少しおっしゃられましたけれども、給与を下げない方が私はいいとは思いますが、だけれども、基本的に、公務員というのは労働基本権が制約されている、その代償措置として人事院制度があるわけで、それが時の政権の経済政策とかいろんな考え方によって、上げたり下げたり、あるいは上げるのを延ばしたり下げるのを延ばしたりというようなことをやること自体は、これは代償措置としての人勧制度、これを揺るがすようなことにつながりかねないというふうに思います。

 そういうことでいえば、労働基本権を全部回復して労使交渉の中で決めればいいわけですけれども、なかなかそうは話は簡単にいかない以上、きちんとこの代償措置としての人勧制度、これをしっかりと守っていくということは是非考えていただければというふうに思います。

 それでは、次の質問に入りたいと思います。

 来年度の地方交付税、少しお聞きしたいと思うんですけれども、加算する予定だったはずの既往法定分加算、それから乖離是正分加算、さらに、地域デジタル社会推進費の財源だったはずの公庫債権金利変動準備金、合わせて四千億を超えるものの活用が先送りとなりました。

 交付税の財源に余裕が生じたということであれば、臨財債の元利償還などに使用することもできたはずですけれども、活用の先送りをしたのは、その理由を教えていただけますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般会計加算についてでございますけれども、元々令和四年度において加算することとしておりました二千三百十億円のうち、既往法定加算一千六百五十六億円及び覚書加算五百億円につきまして、加算時期の調整を行うこととしたところでございます。

 これは、後年度において交付税特別会計借入金の償還額が増加していくことを踏まえまして、今後の地方交付税総額の安定的確保の観点から、加算総額を変更せずに、加算額が大幅に減少する令和九年度以降に加算するというふうにしたものでございます。

 また、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金につきましては、令和四年度におきます地域デジタル社会推進費の財源として活用することを元々予定はしておりましたけれども、二千億円につきまして、地方の財源として後年度に活用することとしたところでございます。

 これは、令和四年度におきまして、前年度からの繰越金があることなどにより、準備金を活用しなくても地方交付税総額を確保できる状況となったことを踏まえたものでございます。

吉川(元)分科員 後年度のことを考えてということで、理由は分かるんですけれども、そうしますと、基準は何かあるんでしょうか。その年その年で、今年は先送りしようとか、あるいは今年はもう使っちゃえとかいう、そのときの恣意的な、恣意的とまでは言いませんけれども、なのか、それとも、何らかの基準があって、この場合にはこうしますという、そういう基準はあるんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 率直に申し上げまして、あらかじめ確定した基準があって何か機械仕掛けのように一つのことに対して一つの効果がぽんと出てくるというものではないんですが、ただ、加算時期の見直しについては、今から申し上げるような条件の下に行われているものと認識しております。

 まず一つには、当該年度における財源不足が縮小している状況の下である、そして二つ目に、前年度からの繰越金の活用等によりまして、当該年度における必要な地方交付税総額が確保されている。これを前提といたしまして、後年度における一般会計からの加算額や交付税特別会計借入金の償還計画等も総合的に勘案いたしまして、各年度の地方財政対策におきまして、財政当局と協議の上、その必要性等について検討しているものでございます。

吉川(元)分科員 基準らしきものは余りないということで、その時々の財政の状況、見通しを含めて、いろいろ柔軟に対応するということなんだろうと思いますが、やはり、交付税の財源確保が難しいというのは、それは今に始まった話ではなくて、ずっと過去から続いている話で、当然、将来不安、こんな言い方をするといいのかどうか分かりませんけれども、将来どうなるのか分からないから取りあえず余ったお金は全部後に回そう、余りそうなお金は後に回していこう、そういうのは果たして、急場をしのぐのはあると思いますけれども、こうしたことが果たして持続可能なのかどうなのかというのはやはり考えていくべきだろうと思いますし、常々、法定率、国税五税の、これを見直すのが筋だというふうに思います。それこそまさに法律の中に書かれていることでありますから、それは、総務省としても、そういう方向でやりたいという意向はあられると思いますけれども、是非そうしたことはまた引き続きしっかり議論をしていただきたいというふうに思います。

 今もありましたけれども、公庫債権金利変動準備金ですが、財源不足になるとしばしば登場してくるわけです。幾らでもあるわけではないというふうに思いますので、活用可能な準備金というのはどの程度あるのでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 お話にありました公庫債権金利変動準備金は、旧公営企業金融公庫から承継いたしました資産、債務を管理する地方公共団体金融機構の管理勘定におきまして、借換え時の金利変動リスクに備えて積み立てているものでございます。

 機構法上、公庫債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回ると認められるときは、国に帰属させるというふうにされております。

 それで、具体的な金額の関係でございますけれども、直近の機構の経営状況を踏まえまして、準備金の活用可能額について精査いたしましたところ、令和四年度末時点の準備金の残高は、森林環境譲与税の財源として今後活用が予定されております金額であります一千三百億円を除きまして、約六千二百億円が見込まれているところでございます。

 この約六千二百億円なんですが、機構法上義務づけられております約二千百億円の積立額、それから資金繰り上必要となります手元資金を除きまして、約四千億円の準備金を活用できると考えているところでございます。

 なお、この準備金四千億円につきましては、令和三年度補正及び令和四年度地方財政対策におきまして、地域デジタル社会推進費として活用予定だった財源の活用時期を見直したことによって生まれたものでございまして、これまでの答弁でも申し上げておりますが、地方の財源として後年度に活用することとしておるところでございます。

吉川(元)分科員 今おっしゃったとおり、元々このお金は全自治体の出資によってスタートしたものでありまして、本来、財源保障は国の責任でありますから、そのときに、そこからちょっと持ってきて何とかするというやり方は、やはり健全ではないなというふうに思います。

 次に、ちょっとクラウドに関連してお聞きをしたいというふうに思います。

 昨年、デジタル関連六法が成立をいたしまして、自治体の基幹的な業務については統一的な基準に適合した情報システムを利用すべしとした、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、これも成立いたしました。

 その際、標準化法の十条では、自治体は、国による環境の整備に関する措置の状況を踏まえつつ、当該環境においてクラウドコンピューティングサービス関連技術を活用して地方公共団体情報システムを利用するよう努めるものとする、こういうものが十条として入っております。

 もう一つは、今回見ておりますと、地域の元気創造事業費、三千九百億円なんですが、うち、行革努力分の算定項目に、業務システムに対するクラウド導入率という項目がございます。

 標準化法で言うところのクラウドコンピューティングサービスと、それから、この算定項目の中にある業務システムに対するクラウド導入率、これは同じものなのか、あるいは、以前から総務省の方では自治体クラウドということを言っておりますけれども、それとの関係は一体どうなっているんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私の方から、御指摘のありました、地域の元気創造事業費における算定の対象のことについて答弁をさせていただきます。

 この地域の元気創造事業費におきます行革努力分でございますが、これは、各地方団体におけるこれまでの行革努力の取組を反映するものでございます。

 この算定に用いる指標のうち、業務システムに対するクラウド導入率は、従来から各自治体が独自に行っております、他団体との情報システムの共同利用であります自治体クラウド等によるクラウド導入の取組を反映するものでございます。

吉川政府参考人 私から、自治体クラウドとクラウドコンピューティングサービス関連技術の活用との関係について御答弁申し上げます。

 自治体クラウドにつきましては、ただいま自治財政局長から御答弁申し上げたところでございますが、一方、標準化法第十条におきまして、自治体は、国が整備する環境において、クラウドコンピューティングサービス関連技術を活用して標準準拠システムを利用することが努力義務となっており、現在、デジタル庁において、ガバメントクラウドの整備に向けた検討が進められているところでございます。

 今後、これまで自治体クラウドに取り組んできた団体がガバメントクラウドへ移行するに当たりましては、これまでの取組の成果を生かしながら進めていくことが重要でありまして、総務省としても、自治体クラウドを進めてきた団体も含め、円滑な移行に向けて支援をしてまいりたいと考えております。

吉川(元)分科員 あともう一点、標準化についてなんですけれども、非常に心配の声が上がっております。

 標準化というのは、ある意味でいうと、定型化して同じようなものにするということと同じ意味合いを持っていると思うんです。ところが、やはり、各自治体、それぞれ置かれた状況によって独自のいろいろな行政サービスを展開しておりますし、また、まさにそれが各自治体が一生懸命汗をかく部分、地域の住民の皆さんの声を聞いてやるところでもあります。標準化によってそれがなくなってしまうのではないか、標準化できないからやめてください、あるいはできなくなる、そういう危惧の念が結構出されております。

 私はそういうことはないだろうというふうに思いますが、一つ心配なのは、標準化に当たって、独自に行っているもの、これを標準化のものとつなげる際に様々な費用が追加的に発生をする可能性は十分あると思います。そうした追加的に発生した費用については、しっかり国の方で面倒を見ていただけるんでしょうねと。それも自治体でやりなさいということであれば、ちょっと、自治体としても標準化というのは非常にやりにくいし、財政的負担が増えるということがあってはならないというふうに私は思いますが、この点はいかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行のために必要となる準備経費あるいはシステム移行経費を支援するために、合計千八百二十五億円を計上しており、補助率十分の十で国費による支援を行っております。

 具体的には、準備経費として、現行システムの分析調査あるいは移行計画策定に係る経費等について、また、システム移行経費といたしましては、ガバメントクラウドへの接続やデータの移行作業に係る経費に加えまして、御指摘の、各自治体の独自施策に係る情報システムと標準準拠システムとの円滑な連携に要する経費についても、補助の対象としております。

 今後とも、目標時期であります令和七年度に向けて、地方公共団体の意見を丁寧に伺いながら、標準化の取組を進めてまいります。

吉川(元)分科員 もうほぼ時間が参りました。

 標準化、いろいろ質問のレクのときにもかなり長時間にわたって議論をさせていただきまして、いろいろな課題があって、まだまだこれから詰めていかなければいけない部分もたくさん残っているというふうに思っております。

 その際に、やはり、先ほど言ったとおり、各自治体はそれぞれ、例えば、東京の大都市と、それから大臣や私がいる選挙区の小さな市町村とでは、提供しなければいけない行政サービス、おのずと違ってくるものがたくさんございます。それが標準化によってできませんよということがないように、しっかりこれからも取組を進めていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて吉川元君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、秋葉主査代理着席〕

秋葉主査代理 次に、国定勇人君。

国定分科員 昨年、衆議院議員の選挙で初当選をさせていただきました国定と申します。

 まず、今回、予算委員会のこの第二分科会におきまして質問をさせていただく機会を頂戴いたしました。関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入りたいと思いますが、私の質問は全て政府参考人の方で御答弁をいただければというふうに思っておりますので、大臣、御退席いただいて結構でございます。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 まずは、都道府県、市町村が実施をしている除排雪を始めとするいわゆる克雪経費について、何点か質問させていただきたいと思います。

 私は、平成十八年から四期十四年間、新潟県の三条市というところで市長を務めてまいりました。この間、総務省さんからも様々な形で御支援をいただき、何とか十四年間、市政を運営することができまして、皆様方からいただきました御厚情に対しまして、まずは感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、そんな中で、そうはいっても全ての制度が完璧なものではございませんし、潤沢に予算が用意をされているというわけでもないということは重々承知をしておりますが、これまで十四年間、市長を続けてきた中で、やはり改善をしていった方がいいのではないかということについて、今回はとりわけ除雪の話について中心的に取り上げさせていただき、幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 もう御案内のとおり、私たち雪国に住まう人間は、雪との闘い、この宿命から逃れることはできません。年によっては、本当に穏やかな雪で済むときもあれば、異常豪雪に見舞われてしまう、そんなときもございます。ただ、雪の多寡はあれども、毎年必ず雪は降るのが新潟の宿命でございまして、雪が一旦降ってしまえば、少なくとも、例えば、会社に行く、お子さんを学校に連れていくときに車を出す、このときでも、一番最初、道路まで、車が止まっている車庫から出すために、まずは自分たちでしっかりと除排雪をしていかないと、車を出すことさえままならない。

 でも、こうした各家庭において、例えば今ほど申し上げた車を外に出すための除排雪というのは、雪の降らない地域の皆さんよりも特別な何かを手に入れるために除排雪をやっているわけではなく、これはもう当たり前のように、雪の降らない地域の皆さんと同じ生活をただ単に維持していきたい、それだけの思いで、各家庭で日夜、除排雪あるいは雪下ろしが行われるわけでありますし、そうしたものを、社会経済全体としての活動を支えていくために、都道府県であったり市町村であったりというのが、いわば宿命という形で除排雪を冬期間ずっとこなし続けていく。

 そういうことでありますので、まず前提条件としてこの除排雪の問題について申し上げたいと思っておりますのは、この除排雪という行政サービスが、何も雪が降っている地域だけに特別に与えられている特権でもあるわけではなく、むしろ逆に、雪の降らない地域と少しでも同じ生活をしていきたいという、そんなささやかな願いを全ての地域住民、企業の皆さん、そしてありとあらゆる社会主体の皆さんが思う中で、除排雪に取り組まなければいけない宿命を負わされているんだ。

 つまり、どちらかというと、マイナスの状況を極力ゼロにしていくための取組を我々は不断の努力として冬期間進めているということをまずは質問に当たって申し上げ、そんな中で、幾つかの点についてお話をさせていただければというふうに思っているところでございます。

 改めて、私自身が市長を務めてきた三条市、そして、私の選挙区で三条市の隣に加茂市という市があるわけですけれども、今回の質問に当たりまして、改めて、この三条市と加茂市に対し、それぞれ除排雪に対してどれぐらいの経費が決算ベースでかかっているのか。結果として、決算ベースとして、その除排雪経費が、普通交付税であったり特別交付税であったり、異常降雪時においては臨時市町村道除雪事業費補助金が臨時的に補助をいただけるわけでありますけれども、これが補助される場合には、その補助金、こうしたものを控除した結果として、いわゆる持ち出しになるわけですけれども、持ち出し分がどれぐらいあるのかということを改めて調べさせていただきました。

 そうしますと、これは私が市長時代も実感として思っていたところでありますけれども、とりわけ異常降雪時においては、どうしても持ち出しが急激に膨らんでしまっているというのが実際の数字からも明らかになったところでございます。

 具体的に申し上げますと、私たち新潟県では、平成二十九年度の冬が異常降雪に見舞われた、そんな時代でありましたけれども、この平成二十九年度の決算ベースにおきましては、三条市では除排雪経費総額が約十三億五千五百万円のところ、先ほど申し上げました、普通交付税、特別交付税、臨時市町村道除雪事業費補助金を差し引いた、いわゆる持ち出し額が約三億八千五百万円に上っているところであります。

 また、三条市の隣に位置しております加茂市では、同じく平成二十九年度決算ベースにおきまして、除排雪経費の総額が約二億五千八百万円のところ、いわゆる持ち出し額が五千六百万円にも上っているということで、本来であれば、雪の降らない地域であれば、これについては持ち出しをしなくても行政サービスが行えるところを、例えば、二十九年度における三条市、二十九年度における加茂市においては、三億八千五百万円、二億五千八百万円をそれぞれエキストラに支出をしないと、いわゆる地域住民の、ある意味最低限の日常生活を確保することさえできないということで、それは、我が国全体を考えてみたときに、やはり市町村間の負担の不公平性に私はつながっているのではないのかなというふうに感じているところでございまして、こうした異常降雪時における状況は平成二十九年度だけに限らないものというふうに思っているところでございます。

 そういう意味では、現段階のスキームとして採用されている、まず当初予算段階において普通交付税措置を行った上で、異常降雪時に特別交付税措置、それから国交省さんによります臨時市町村道除雪事業費補助金制度の発動、こういうスキームが、現時点でのスキーム適用だけではなかなか足りるところではないのではないかというふうに考えているところでございます。

 そこで、具体的な質問になるわけでございますけれども、異常降雪時には特に弾力的に大胆に特別交付税措置を発動することで、都道府県や市町村が安心して除雪に専念できる環境を整え、雪の降らない地域と同等の日常生活を送ることができる環境を整える必要がある、こういうふうに考えているところでございますが、総務省の考え方をお聞かせいただければと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の除排雪経費につきましては、標準的な所要額を普通交付税により措置いたしますとともに、実際の所要見込額がそれを超える場合には、三月分の特別交付税により措置しているところでございます。

 具体的には、所要見込額が普通交付税措置額を上回る額の五〇%、又は所要見込額の七五%から普通交付税措置額を控除した額のいずれかの大きい額を特別交付税で措置しておりまして、普通交付税及び特別交付税を合わせた措置額は、所要経費見込額の七五%以上となるように措置を講じているところでございます。

 また、措置の対象となります経費といたしましては、除排雪作業に直接必要となります経費に加えまして、体制を確保するための待機時間に対する支払いですとか、ロードヒーティング等の光熱水費、融雪剤等の消耗品購入費など、幅広く対象として算定しているところでございます。

 除排雪経費が多額となっている地方団体についても、その財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいる所存でございます。

国定分科員 ありがとうございました。

 確かに、特別交付税措置の中での算定基準、非常に丁寧に、網羅的に運用されているというふうに思っているわけですけれども、例えば、先ほど御指摘いただいているその算定におきましても、七五%という数字を挙げていただきましたけれども、現実的に、実績ベースで申し上げますと、先ほどの平成二十九年度の決算ベースで実際にどうだったかというところを見てまいりますと、例えば三条市の場合、かかった除排雪経費の総額に対するいわゆる持ち出し額がどれぐらいの割合まで達するかというと、約二八%まで達してしまうということになります。

 そうすると、結果としては、先ほど私が指摘の中で申し上げたように、ある意味、弾力的に大胆に、幅広く特別交付税措置を講ずるといったことと、結果としてはなかなか追いつかないところもあるのではないのかなというふうに思っているところであります。

 例えば、三月に異常降雪が発生し、一斉除雪を何回もしなければいけないというような状況になったときには、少なくとも、たしか今の手続的に申し上げると、年度内執行というようなことを考えたときに、三月の降雪時における予測値までは誰も予想ができないわけですので、それが、例えば特別交付税を算定する際の算定の内数に、数値そのものに入ってこないんじゃないかというような思いもあったり、まだまだ十分ではないのかなというふうに感じているところもあるわけでございますけれども、再度、こうしたところについて御見解をいただければと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 除排雪経費の算定につきましては、まず、年度終盤に生ずる経費につきましても措置の対象となりますように、三月分の交付決定に間に合うぎりぎりまで除排雪経費の実態を把握することとしております。

 加えて、算定のスケジュール上、実態把握が困難な期間の経費につきましても、当該団体の過去の実績額を基礎に除排雪経費を推計して算入するなど、できる限り地方団体の実情を踏まえた算定を行うこととしております。

 今年度につきましても、昨年末から北日本や日本海側を中心に大雪となっていると我々も承知しております。現在、地方団体の除排雪経費の状況につきまして丁寧に伺いながら、特別交付税の三月交付に向けて算定作業を進めているところでございまして、繰り返しにはなりますが、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、しっかりとした対応をしてまいりたいと考えております。

国定分科員 ありがとうございます。

 理想は、とにかく持ち出しを出さないというのが本来的な理想だというふうに私は考えているところでございますし、今ほどの御答弁、十二分に理解をしているところでありますけれども、さはさりながら、おおよそ、交付税措置というのは四分の三が基本的な閾値になっているということも重々承知をしているつもりではありますけれども、結果として、決算ベースで二五%を超えてしまっているような状況になってしまっている。

 こういうことを考えると、まだまだ、特別交付税措置を中心として、除排雪に関わる地方財政措置あるいは補助金制度全般に対しては、不断の取組をしていかなければいけないものだというふうに認識をしているところでございます。

 この点については、私も雪国選出の国会議員として、引き続き、自民党の多くの同僚議員とも議論をさせていただきながら、また都度都度御指摘をさせていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、同じ道路除雪の関係でございますけれども、昨今、そうはいっても、除雪をしていただく業者の皆様方がなかなか、まず、業者の数がそろわないような地域も増えてきている、重ねて申し上げると、実際に雪が降ったときに除雪車を回していただく方の高齢化がどんどんどんどん進んできている中にあって、今までどおりの除雪業者によります除排雪だけでは、なかなか、これから先、安定的な除排雪作業ができるものではないのではないかというふうに危惧をしているところでございます。

 そうした中で、やはり期待されますのは消雪パイプ、これが今まで以上に存在としては重要なものになってくるのではないかというふうに思っているところでございまして、この消雪パイプが果たす役割、これに私自身も更なる期待を寄せていきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 そういうような思いの中で質問させていただきたいと思いますけれども、都道府県や市町村が実施又は補助する消雪パイプの新設あるいは敷設替えに対します政府による財政支援が、そもそもどんなものがあるのかないのか、あるとすれば具体的にどのようなものがあるのか、お聞かせをいただければと思います。

    〔秋葉主査代理退席、主査着席〕

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体が自ら道路上に消雪パイプを設置する場合は、雪寒指定道路、雪寒指定道路以外の道路、このいずれについても国土交通省の防災・安全交付金を活用することができる、このように承知しておりまして、この場合の地方団体の負担につきましては、地方債措置を講じているところでございます。

 一方、地方団体が地区住民の方々によります任意の団体が行う消雪パイプの設置に対して補助を行う場合につきましては、国庫補助事業や地方財政措置の対象にはなっていないものと承知しております。

国定分科員 一応、私自身が確認をしたところでは、少なくとも雪寒道路については、要するに、都道府県あるいは市町村以外の任意団体が敷設をする消雪パイプに対しても交付金の対象になるのではないかというような話も聞いているところでありますが、これは今日は本題ではありませんので、そうしたところについては、また改めて後日、私自身も、直接、主管の省庁であります国交省さんの方に、実際の交付金の運用状況、制度状況はどうなっているのかということは、この場以外のところで改めて確認をさせていただきたいと思います。

 少なくとも、今ほど御指摘いただきましたとおり、狭く見たとしても雪寒道路以外の道路については、先ほど御答弁いただきましたとおり、例えば住民組織が直接設置をする、そうしたことに対して市町村、都道府県が補助をする。こうしたときには、その市町村、都道府県が補助をする財源に対し国が支援する制度、それは補助金制度であっても、地方財政措置それぞれについても存在していないんだという、先ほど局長さんからの御答弁だったというふうに思いますけれども。

 これから先、恐らく、いわゆる主要道路につきましては、地質的に、例えば私の選挙区で申し上げると、長岡市の栃尾地域というのは、そもそも消雪パイプを、地下水が取れないので設置をすることができない、そんな地域もあるわけですけれども、基本的に消雪パイプを敷設することが可能な地域については、いわゆる主要道路については、もう既に消雪パイプの敷設は先人たちの努力によって終わっているものというふうに思っているところでございますけれども、やはり、これから先問題になっていくのは、生活道路で高齢化が進んでいる、あるいは、除雪事業者がどんどんどんどん少なくなってきて面としての除雪がままならなくなってくる、こうした中で、生活道路における消雪パイプの敷設がこれから先の課題になってくるのではないか。

 そのときには、確かに、私の選挙区の中でも、市町村によっては、すべからく生活道路を市町村直営でやっているという市町村もありますけれども、例えば私が市長をさせていただいていた三条市では、住民組織が組合をつくって消パイを造る、敷設をする。そこに対して三条市が補助をする、こうした地域もあるわけであります。

 とりわけ、今ほど申し上げたような後段の措置について、これから先、需要が高まってくるのではないのかなというふうに思っているわけでございますが、住民組織が消雪パイプを敷設する、こうしたところについても、せめて、例えば新たな地方財政措置について検討を施してみる、こうしたことは考えられるのではないのかなというふうに思っているところでございますけれども、総務省さんの御見解をお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地区住民の方々によります任意の団体が行う消雪パイプの設置に対する支援につきましては、やはり、まずは関係省庁において地方団体のニーズや課題等を把握していただく必要があるものと考えております。

 率直に申し上げまして、消雪パイプは、道路法に定められております道路の附属物の一つでございまして、そういう意味では、住民の方々によって整備されます消雪パイプの設置に対する支援ということになりますと、道路管理の在り方を踏まえて検討するという必要もございます。

 そういう意味では、まずは道路行政を所管されている国土交通省さんと関係省庁において、先ほど申し上げましたように、ニーズとか課題等の把握をしていただいた上で御検討いただきたいというふうに考えているところでございます。

 総務省といたしましては、その結果を踏まえ、必要に応じまして適切な対応をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

国定分科員 これ以上もう申し上げませんけれども、防災・安全交付金がそもそも国交省でございますので、そこの範疇が広げられるかというところから議論を始めていくというのは確かに素直な考えだと思っておりますので、その点について引き続き、私も実現可能性について模索をしていきたいというふうに思っております。

 それから、除排雪について、もう一点だけ質問をさせてください。

 今度は、道路というよりはまさに家回りになってくるわけですけれども、高齢者のみ世帯など、自力での除排雪が困難な世帯が急増している地域が多い中で、今、それぞれの地域がそれぞれの地域事情に合わせた形で除排雪支援体制を構築しようという動きがあるというふうに思っています。

 例えば、手法も、てっぱで除排雪をするという手段を取るところもあれば、それこそ除雪機械を導入して除排雪をするというところもありますし、では、その担い手はどこに委ねるべきかというふうになったときに、有償ボランティアを模索するところもあれば、例えば、消防団の力をかりましょう、あるいは地元の建築、板金屋さんとか、そういう冬期間なかなか仕事がないところに委ねましょうとか、様々な創意工夫が見られる可能性があるというふうに思っているところでございます。

 地域が自発的な形で構築する除排雪支援体制に対して、そもそも国として支援制度があるのかどうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

馬場政府参考人 お答えを申します。

 御指摘ございましたように、近年、豪雪地帯におきまして、高齢者のみの世帯など、自力で除排雪を行うことが困難な世帯が増加をしていると承知をしております。そのような事態に対応するため、地方団体が高齢者など雪下ろしが困難な世帯に対し支援を行う場合、その経費に対しましては特別交付税措置を講じているところでございます。

 具体的には、高齢者など雪下ろしが困難な世帯が民間事業者に雪下ろしを委託した際の費用などに対し支援をする経費でありますとか、安全対策の普及啓発に要する経費、雪下ろしの担い手の育成に要する経費を措置の対象としており、措置率を八割としているところでございます。

国定分科員 時間がだんだん限られてきましたので、事前に質問レクをいただいたときの、この特別交付税措置について、まだまだ縛りが強いなというのが率直な印象でございます。それぞれの地域がそれぞれの実情に合わせて創意工夫を持って除排雪支援体制をやるというのは、これは、目的はただ単に除排雪をしたい、それだけのことでありますので、是非とも、より自由度の高い形での運用に改善されることを、この場では要望をさせていただきたいと思います。

 続きまして、緊急自然災害防止対策事業費について質問に移りたいと思います。

 時間も限られてきましたので、ここについては本当に簡単に、一、二点、まとめて質問させていただきたいというふうに思います。

 先日、選挙区の中にある、田上町というところがございまして、そこの羽生田川という普通河川があるわけですけれども、度重なる水害が、水害というのは、大雨が降ると一部地域で湛水をしてしまう、そんな河川が羽生田川でございます。

 こうしたいわゆる普通河川については、これは私も三条市長時代、随分悩んできたところでありますけれども、普通河川については、少なくとも、なかなかこれまでは、これまでというのは数年前までは、地財措置もない、補助金制度もない、全部市単独事業でやりなさい、こういうような状況であったものですから、現実的には手をつけるすべを持たなかったわけでありますが、この羽生田川、普通河川でありますので、今のこの現時点で、もし仮に田上町さんが決断をするというふうになりますと、緊急自然災害防止対策事業債の起債対象になるというふうに認識をしているところであります。

 この緊急自然災害防止対策事業債、いわゆる緊自債でありますけれども、起債充当率一〇〇%、交付税算入率七〇%ですから、物すごい、我々、我々というのは市長経験者としては、手厚い地財措置を本当に講じていただいているなというふうに感謝を申し上げたいと思いますが、このすばらしい緊自債でありますけれども、少なくとも、これまで本当に発行状況はどれぐらいだったのかなというところが、もっともっと活用すべきだという観点でお伺いをしたいというふうに思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 国の防災・減災、国土強靱化対策と連携いたしまして、地方単独事業によります防災インフラの整備を推進するため、令和元年度に、お話のございましたこの緊急自然災害防止対策事業債、これを創設いたしました。そして、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に合わせまして、令和七年度まで事業期間を延長したところでございます。

 令和三年度地方債計画におきましては、この緊急自然災害防止対策事業債を四千億円計上しているところでございますが、令和四年一月末時点の同意等の額は約一千八百億円となっております。

 なお、現在、地方団体の追加の協議を受け付けているところでございまして、同意等の額は増加することを見込んでおります。

 なお、御参考までに、令和二年度につきましては、三千億円の計画計上額に対して、最終的な実績は約二千八百億円までに上がっていたというところでございます。

国定分科員 ありがとうございました。

 地元の首長さんと話をしていますと、そもそもこの緊自債の存在を完全に熟知をされていないなという印象を持っておりまして、やはりこの緊自債、市町村にとってみますと、これから先の社会インフラ整備ということを考えたときに、あるいは、まさにこの緊自債の目的であります防災力を上げていくという観点からも非常に有用なものだというふうに思っておりますので、是非、総務省さんの方からも丁寧に、首長さん御本人にしっかりとこの制度趣旨が伝わるような創意工夫をしていただきたいというふうに思っております。

 また、先の長い話で大変恐縮でございますけれども、令和七年度までがこの緊自債の一応対象期間ということでありますが、こうしたすばらしい制度は八年度以降もしっかりと堅持をしていくべきだというふうに思っております。私も、そうした賛同する議員の一人として活動してまいりたいというふうに思っておりますので、総務省さんからもまた御支援をいただければと思います。

 最後に、郵便局の有効活用について質問をさせていただきたいと思います。

 過疎地域では、小学校の統廃合、とりわけ近年は農協の統廃合に伴う公的機関の撤退が進み、残る公的機関は郵便局のみというふうになっている地域がたくさんあるように感じております。また、農協に関して申し上げますと、例えば地元の加茂市七谷地区では、長らく地域住民に愛されていた地域唯一の農協直売所が撤退することが決まってしまい、小売店が地域に全くなくなってしまう状況が現実化しております。

 そんな中で、全国に約二万四千四百局に及ぶ、あまねく公平にネットワークが維持されている郵便局が、それぞれの地域住民の生活を最低限支えていくための基盤としての機能を明示的に担う必要があるというふうに思っておりますが、総務省の見解をいただきたいというふうに思っておりますし、こうした新たな機能を維持していくためにも、こうした、例えば郵便局における自治体の業務受託、郵便局への無人決済システムを活用した大手コンビニエンスストアの省人化店舗出店、こうしたことについても、例えば時限的な地方財政措置の創設といった公的支援を行う必要があると思っておりますけれども、見解をお伺いをしたいと思います。

中谷主査 総務省情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎君、答弁は簡潔に願います。

今川政府参考人 はい。

 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域に残る公的機関が郵便局のみになるといった状況は、少子高齢化の進展などにより今後も増えていくものと考えます。このような中で、郵便局が地域の重要な生活インフラとして様々な機能を担っていく可能性があると考えます。

 例えば、住民票の写しなどの公的証明書の交付事務といった自治体の行政事務の受託ですとか、郵便局と駅の一体運営、高齢者向けの見守りサービスの提供、地場産業の支援や災害時の支援など、郵便局ネットワークを活用した地域貢献の取組を行っていると承知をしております。

 これらの先行的な取組を踏まえまして、地域住民の生活を支えていくための基盤として全国の郵便局がどのような機能を本格的に担っていくのかについては、日本郵便が民間企業であることも考慮しまして、費用対効果や体制整備も含め、今後検討を深めていく必要があると考えております。

 総務省としては、こういった取組の全国への普及、展開なども踏まえまして、実証実験などの予算も活用しつつ、地域の基盤としての郵便局の在り方について、関係者とも連携しながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

国定分科員 ユニバーサルサービスの維持についても検討いただくことをお願いをいたしまして、質問の結びとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて国定勇人君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)分科員 立憲民主党・無所属の吉田はるみです。

 一期生で、まだ慣れないところがございますが、本日はよろしくお願いいたします。

 今日は、大きく二つのことをお伺いしたいと思っています。これは二つとも、私、地元の杉並で聞いた声から出てきた質問でございます。一つは、災害時のプライバシー、その保護に関する御質問、そしてもう一つは、5Gの普及に関して。大きくこの二つ、今日は伺ってまいりたいと思います。

 では、まず最初に、災害時におけるプライバシーの保護に関してなんですが、やはり、災害時、緊急事態なんですけれども、今多くの国民の皆様がイメージしていらっしゃるのは、大きな体育館の中にみんなどっと入れられて雑魚寝になるのかな、もう緊急事態だからプライバシーなんて言っていられないんじゃないかという思いはあると思うのですが、一方、女性の方は、トイレの心配や授乳の心配、そして着替えなど、プライバシーにも配慮していただきたいというのが本音であると思います。これに関しましてお伺い申し上げます。

 今、避難所におけるプライバシーの確保、例えば、欧州の方では、ヨーロッパの方では、きちっと間仕切りがあって個室になっている、何か天蓋まであるというところもあるようなんですけれども、具体的に、日本は避難所においてこのぐらいまでのプライバシーを確保していくよというような目標がございますでしょうか。教えてください。

五味政府参考人 災害時の避難所における生活環境の改善についてでございますが、内閣府におきましては、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針というものを定めております。また、避難所における生活環境に係る留意事項というものを定めておりまして、これを自治体に周知いたしまして、適切な対応を求めているところでございます。

 特に、御指摘のプライバシーの確保についてでございますが、間仕切り用のパーティションやテントの活用、男女別のトイレ、更衣室、洗濯干し場の設置、授乳室の設置等について改善を促しているところでございます。

 発災時には、災害救助法が適用された自治体に対しまして、パーティションやテントを活用するための費用を国庫負担の対象として支援をしております。

 さらに、被災地のニーズや課題を把握いたしまして、これらの物資について、国によるプッシュ型による支援も実施しているところでございます。

 内閣府といたしましては、関係省庁や自治体と連携いたしまして、避難所の生活環境の改善に努めてまいります。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 できれば、こういう感じのイメージというのができればいいなと思いながら御質問しているんですけれども、今、こういった目標があるということを伺いました。その目標を実現するための何年計画なのか、また、それに対してどんな予算をつけていらっしゃるのか。

 お伺いしたいことは、例えば三年でこのぐらいまでのプライバシーが確保できるようになるよという具体的なイメージを持ちたいなと思うのですが、教えていただけないでしょうか。

五味政府参考人 この取組指針あるいは留意事項、それから、更に細かいレベルで避難所運営のガイドラインなども定めておりまして、これらを繰り返し周知しているというところでございます。

 災害のたびに、またシーズン、シーズンで、これらをまた更に留意していただくようにということを繰り返しておりまして、少し時間はかかろうかと思いますが、明確なちょっと年次計画はないのでありますが、自治体現場における避難所における生活環境を少しでもよくしていくということで、自治体と連携して取り組んでいるところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 今、年次計画、ないということなんですが、是非策定していただいて、特に、今コロナ禍でもございますので、大きな体育館に、もし今発災して入ったら不安があるなというのが国民の皆様の実感ではないかと思いますので、是非、このコロナ禍における感染対策も含めて、プライバシーを確保していくというところを御検討いただきたいと思います。

 では、この中で一つ、ちょっと予算に関してのところで、平時の備えと、それから発災した後の予算措置とあるというふうに理解をしております。平時の災害対策という意味では、備蓄をするための予算組みをしていらっしゃるということなんですが、これは、ここで言う減災事業債によって賄われているという理解でよろしいでしょうか。

五味政府参考人 平時からの備えでございますが、様々な物資の備蓄、あるいは、冷暖房設備ですとか様々な設備、電源ですとかそういった設備を備えるということで、設備ですとか消耗品の類い、様々あろうかと思いますが、設備の関係は、幅広く緊急防災・減災事業債の対象になっているところでございます。

 それから、そこまで至らない消耗品的なものにつきましては、交付税等で一定のものは措置されているというふうに認識しております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 様々な財源が必要であるんだなというふうに理解をさせていただきました。

 今、この減災事業債に関しては、五千億円という形で事業費が計上されているようなんですけれども、ちょっとここで提案も含めてお伺いしたいなと思うんですけれども、例えば、私の地元杉並区においては、土地も高いし、避難場所というものを確保していくのはとても大変です。ふだんから備えを、もちろんそうなんですけれども、その備えを、備蓄を置く場所、これも実は経費がかさむところではないかというふうに思うんですけれども、防災のためだけの備蓄ではなく、その備蓄を利用するという発想を持ったらどうかなと思ったんです。

 例えば足が悪い方は、災害時には、段ボールのベッドなど、床に寝るのではなくて、床に寝てしまうともう起き上がれないという状態になりますので、段ボールのベッドなどがあります。

 ただ、段ボールのベッドを、ふだん、じゃ、どこに置いておくのとなると、置く場所がないのでそれはできませんとなると、やはり杉並の高齢者の方は不安だなと思うんですけれども、災害時のときだけに使うのではなくて、私が調べたところでは、紙による、ふだん遊具になるものが災害時にベッドになるとか、平時も利用して、そして災害時にはそういったベッドになったり間仕切りになったり、そういう利用が可能なものがあるそうなんですけれども、是非そういったものを利用していただきたいな、あるいは活用していただきたいなと思うのですが、その辺りの御認識はいかがでしょうか。

五味政府参考人 まず、段ボールベッド、かさむのでなかなか置場に困るという御指摘がございましたが、そういったことがございますので、各自治体におきましては、事業者と協定を結んで、いざ発災したら送っていただくというような取組をしているところが多かろうというふうに認識をしております。

 御指摘の、平時もうまく活用できるような段ボールベッドでございますが、その辺り、ちょっと私どもも余り情報がございませんので、これから勉強させていただきたいと思います。

吉田(は)分科員 是非よろしくお願いします。特に、土地代が高い都市部においてはとても深刻な問題だと思っております。

 そこで、もう一つお伺いします。

 杉並区は、首都にあって、首都直下型地震も大変怖いものですし、川がありますので、善福寺川があり、水害も予想される地域であります。

 こんなときに、ふだんからの備え、備蓄品、必要なんですけれども、最近、生理の貧困というものが取り上げられるようになり、防災で備蓄していた生理用のナプキンを自治体の方がリリースするというような例もあるようです。

 こういった防災のために備蓄しているものを、先ほどの話ではないんですが、ふだんから利用するような、そんな方針というものを出していただけないかなと思ったんですね。

 例えば、これも杉並区の子供食堂の例なんですけれども、備蓄のための食料も、これは期限があります。定期的に入れ替えなければいけないわけなんですけれども、こういったことも、あれ、どこに行ったのかな、せっかくだから利用してほしい、必要な方に届けたいという思いがあるんですけれども、こういった防災の備蓄の再利用といいますか、そういった点というのは、総務省としては何か指針等ございますでしょうか。

五味政府参考人 女性のためのそういった備蓄につきましては、先ほど申し上げましたガイドラインに定めまして、自治体に推奨し、推進を図っていただいているところでございます。

 私ども、それを防災という観点からしておりまして、それを期限切れのようなときに有効活用していくというのは通常恐らく行われているのかなと思っているのですが、女性のための対策、別途講じるということについては、ちょっと私どもの方では、そこまでのまだ視点を持っておりませんでした。

 内閣府における男女共同参画局もございますので、そういったところと御相談し、実情を踏まえてまた取り組んでいきたいと思います。

吉田(は)分科員 是非お願いいたします。

 やはり、住んでいる自治体ごとにそういった違いが出てくるというのは、住んでいる人の利益を考えますと、どこに住んでもそういった対応があるというのが理想だなというふうに思います。

 では、最後に、プライバシーの保護に関して御質問申し上げます。

 避難所における、特に配慮が必要な障害を持っていらっしゃる方、今、福祉避難所、こちらの方を整備されて、御利用が可能になっていると理解しています。すばらしいことだと思います。

 実際、障害をお持ちのお母様方とお話をしても、平時から、作業所の方と、また福祉避難所の場所等を確認しながら災害に備えているというふうに伺って、その点はよかったなと思っているんですが、もう一つ、やはり配慮の必要な方という意味では、乳幼児、妊婦さん、そして授乳中のお母様方がいらっしゃると思うんですね。この特別な配慮が必要な乳幼児、妊婦、そして授乳中のお母様方への避難所の、何か特別な措置というものはございますでしょうか。

五味政府参考人 避難所における妊産婦、乳幼児への配慮につきましては、極めて重要であるというふうに考えておりまして、先ほど来申し上げております避難所運営ガイドライン、それから、男女共同参画局、同じ内閣府でございますが、で作成している、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン等を定めておりまして、これを自治体に周知しているところでございます。

 具体的には、避難所の自主的な運営組織に女性が参画して意見を反映できるようにということを促しております。

 それから、避難所の生活環境につきましては、妊産婦や乳幼児のニーズを踏まえた物資の十分な備蓄、それから、授乳室を始め、男女別のトイレ、更衣室、洗濯干し場の確保、それから、母子のための避難スペースや、子供のための遊び、学習スペースの確保、それから、困り事相談窓口といったものを女性やボランティアの御協力をいただいて設置していくことなどにつきまして、自治体の取組を促進しているところでございます。

 また、発災時には、災害救助法が適用された自治体に対しましては、乳幼児用ミルク、生理用品等、乳幼児や女性特有の物資の費用を国庫負担の対象にしておりますとともに、必要に応じて、これら物資について、国によるプッシュ型支援を実施しているところでございます。

 内閣府といたしましては、今後とも、関係省庁や自治体と連携しまして、母子のための環境整備、環境の向上という視点も踏まえまして、被災地のニーズを把握しながらきめ細やかな支援に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。特別な配慮をしていただいていることは、大変ありがたいことだと思っています。

 その上で、一つ提案をさせていただきたいなと思います。

 これは、実際私が、母子、乳幼児の、災害時における、いかに快適さを保つかというような勉強会で聞いたお声を基に御提案申し上げたいんです。

 やはり、遠くの大きい避難所にどんと入れられると。一角、今、乳幼児スペースがあるとか授乳スペースがあるということだったんですが、やはり、当事者の方にしてみると、ふだん会わない人、知らない場所、遠いところ、これは心的な大きなストレスになりまして、特に授乳中のお母様なんかは、そのストレスでお乳が出なくなることがあります。これは実際に起きた例だそうですけれども、そのときに、液体ミルクがありますよというふうに物資の準備の中から出されるそうですが、実際、それでは問題は私は解決しないのではないかというふうに思います。

 そこで、これは一つの提案なんですが、杉並区では、子ども・子育てプラザや区立保育園、そして児童館といった、ふだん乳幼児やお母様方が集まる施設があります。そういったところを利用して、災害時に、遠くの広域避難場所ではなく、近くの小規模の、かつ、ふだん顔を合わせている人、同じ悩みや境遇の人たちがいるところに行った方が、精神的にも安心感が得られますし、お互い同じ境遇ですので悩みも共有できるというような利点があると思います。

 こういった、実際、児童館などの活用もされているという事例を聞いているんですけれども、そういう小規模なものをつくっていく、避難場所をつくっていくというような計画はございませんでしょうか。

五味政府参考人 御指摘いただきましたように、母子専用のスペースをできるだけ設けてほしいということは徹底をしているところでございますが、母子のためのいわば専門的な施設といいますか、それが、しかも身近で、ふだんできるだけ使っているところとなりますと、なかなか、現状ではそれほど多く普及はしていないというふうに思っております。

 ただ、これまでの災害事例の中から、災害の長期化する中で母子を中心とした避難所を設けるといった自治体の例もございます。先生御指摘のような、地域の実情やまたニーズをお聞きしながら考えていきたいというふうに考えております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 国の方でそういった指針を出していただいたら、自治体ごとにやっているところとやっていないところとあるというよりは、国としてちゃんとそれを大事だよと思っている発信をできたらいいなと思います。特にこのコロナ禍にあっては、感染が大規模なところで発生する場合、あるかもしれません。小規模の施設の活用など、是非、弱い立場にある方に寄り添った対応をお願いしたいと思います。

 それでは、二つ目の質問に参りたいと思います。

 5Gの普及に関してお伺い申し上げます。

 今、日本の5Gのインフラがどのぐらい整備されているのか、それを教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの整備状況につきましては、二〇二〇年度末時点で、基地局数は、計画値約九千局に対しまして、実績値約二万一千局でございます。

 また、全国の事業可能性のある地域につきまして、十キロメーター四方のエリアごとに、親局となります高度特定基地局を整備をしておりますけれども、この高度特定基地局が整備をされているエリアの割合でございます基盤展開率、これは、同じく二〇二〇年度末時点で、計画値六・九%に対しまして、実績値が一六・五%でございます。

 このように、現在、当初計画を上回るペースで整備が進んでおりまして、総務省といたしましては、5G整備は順調に進んでいると考えております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 計画を上回るスピードでいっているということで、すばらしいことだと思うんですが、これは、都市部と地方の整備に差はございませんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは二〇二〇年三月から商用サービスが開始をされておりますけれども、委員御指摘のとおり、その整備状況につきましては都市と地方で差がございます。

 具体的に申し上げれば、都道府県の整備状況については、二〇二一年十一月現在で、十キロ平方メーター当たりの5G基地局、これが平均で一・〇四局でございます。その平均と比べて、それ以上の都道府県が十五、全国平均以下の都道府県が三十二でございます。

 特に、東京都や大阪府といった都市部におきましては、その十倍以上の基地局数の整備が行われているという状況でございます。

 このように、東京、大阪といった都市部では、整備が大幅に進んでいるという状況でございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 平均値が十キロメートル当たりで一局ということで、それを上回っているのが十五都道府県、下回っているのが三十二ということでした。恐らくこれは、東京、大阪がぐっと平均値を上げているのかなという、今、数値を聞いて思ったんですけれども。

 ということは、三十二の都道府県でまだ平均値を下回る状況、都市部と地方のまだ差があるのかなというふうに理解をさせていただきました。

 その中で、実は、この質問の基になったのも、杉並区で介護従事者として働いている方で、御高齢のお母様が島に住んでいらっしゃる方です。一日がかりで帰らなければいけないような、そんな地方に住んでいらっしゃる方。健康が不安だ、お母さんの見守り、最近ではいい通信機器もあるようだということで、ああいうものが国や自治体で補助していただいたりしたら、毎回毎回このコロナ禍で帰らなくてもいいし、こういったデジタルを利用した高齢者の見守り等はできないかなというようなお声をいただいたところからこの質問につながっているんですけれども。

 まさに、だとすると、この5Gの整備というものも、地方が、私はきちんと整備していくことが重要なのではないかなと思うんですが、今後の御計画はいかがでしょうか。

二宮政府参考人 委員御指摘のとおり、都市部、地方部一体的な整備の促進ということが極めて重要だというふうに考えております。

 デジタル田園都市国家構想、これは今大変重要な国家戦略の一つでございますけれども、そちらにおきましても、一体的な整備を促進ということで、現在、総務省も、デジタルインフラの促進のため、5Gのみならず、光ファイバー、データセンター等々、デジタルインフラの促進ということで取組をさせていただいているところでございます。

吉田(は)分科員 時間が迫ってまいりましたので、ちょっと質問を最後の質問にさせていただきます。

 今ありましたように、地方も含めて日本全国でこういったデジタルを活用し、そして人の命や生活を豊かにしていく、守っていくことに是非御利用いただきたいなと思うんですが、大臣、今後、全国にこの5Gの恩恵が行き渡るように、遠隔地医療も、そしてまたスマートシティー、まあいろいろな構想があると思うんですが、国はどのような目標、未来像をお持ちか教えてください。

金子(恭)国務大臣 吉田委員は東京の選出の議員であります。私は人口二千人の村で生まれた者であります。地方への御配慮、本当にありがとうございます。

 5Gなどのデジタル基盤の早期の整備というのは、岸田内閣の最重要課題でありますデジタル田園都市国家構想を目指しているわけでありますが、地域からのデジタルの実装を進めていく、そういう意味では、このことは非常に必要不可欠なことであると思っております。

 このため、総務省におきましては、補助金あるいは税制などの支援措置も講じまして、離島や僻地などの地方も含めた5Gネットワークの整備を後押ししております。

 さらに、昨年末には、携帯電話事業者に対して、5G基地局の整備の加速化を求める要請も行いました。現在、二〇二三年度までに人口カバー率九割に引き上げることを目標としておりますが、要請の結果を踏まえて、これを上回る新たな整備計画を今年度中に策定しまして公表する予定でございます。

 こうした取組を通じまして、5Gネットワークの都市と地方の一体的な整備を進め、可能な限り多くの方々が5Gの恩恵を早期に受けられるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

吉田(は)分科員 大臣、ありがとうございます。

 諸外国、先進各国では、もうギガビット社会実現に向けたロードマップですとか、具体的に作って走っております。日本の経済に与える影響も大変大きなところだと思います。誰一人取り残さない、都市も地方もということで、是非この点、御計画されて、国民の皆様に示していただけますようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて吉田はるみ君の質疑は終了いたしました。

 次に、住吉寛紀君。

住吉分科員 兵庫県姫路市よりやってまいりました住吉寛紀でございます。

 私もこの秋に初当選させていただきました。また、このような機会をいただきましたこと、心より感謝したいと思います。

 本日は、消防団について質問させていただきます。

 私も当選前までは、姫路市西消防団船場消防分団の団員として活動しておりました。昨年の年末特別警戒でも、選挙区内の全ての五十六の分団を激励に回らせていただきました。そして、多くの団員の皆様から要望を聞いてきたところでございます。

 そこで、まず消防団の役割についてお伺いしたいと思います。

 例えば南海トラフ地震の三十年以内の発生確率、これは七〇%から八〇%と推定されており、私の地元姫路市も含めて地震災害の危機が切迫しているような状況でございます。一たび大地震が発生すれば、同時多発的に救助等が必要になってくるため、平常時の体制では到底カバーし切れません。

 私も、小学校四年生のときに、実は神戸に住んでいまして、阪神大震災を経験しました。そのときは、当然災害時なので、道路も寸断されて、水も遮断され、目の前が大火で、炎で燃えているのを小さいながらただただ見守っていただけでございました。

 そのような中で、地域防災の中核として、消防団の役割は、従来の火災消火のみならず、地震などの大規模災害、そういった際にも対応していかなければならない、幅広くなっていると考えますが、大臣の見解をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 住吉委員におかれましては、阪神・淡路大震災を経験され、また消防団としても現場の地域防災力の一人として頑張っていただいたことに心より敬意を表したいと思います。

 近年の災害の多様化、激甚化、そして頻発化に伴いまして、地域に密着した消防団には、従来の消火活動に加え、大規模災害時における住民の避難誘導や被災者の救出、救助など、より多様な役割が求められているようになってきております。

 こうした状況も踏まえて、総務省消防庁では、来年度予算案に、消防団の力向上モデル事業として二・五億円を計上しております。この事業では、時代の変化に対応した消防団づくりにつながる全国の先進的な取組を支援することとしております。

 さらに、様々な災害に対応するため、消防団の資機材に対する補助事業を行ってきておりますが、今年度は、補助対象に新たに浸水防止用の水のう等を追加するなど、内容の充実も図っております。

 また、補助事業に加えて、救助用資機材を搭載した多機能消防車の国からの無償貸付事業も実施しており、これらの様々な施策を通じまして、役割が拡大している消防団の災害対応能力の向上を引き続き図ってまいりたいと思います。

住吉分科員 ありがとうございます。

 御答弁あったように、かなり消防団に求められる役割というのが増えております。資機材の補助であったり、無償貸付けなんかもしていただけるということで、感謝いたしたいと思います。

 これから、今の答弁を受けて、少し細かい質問をさせていただきます。大臣の方はこれで御退席いただいて結構でございます。

 それでは、質問に戻らせていただきます。

 先ほど御答弁あったように、消防団の役割は多岐にわたり、災害が発生した場合、自衛隊や警察、公務員やほかの職業の方と同様に、自身の家族が被災しても活動していく可能性があるわけです。消防隊員とは違い、消防団員が命の危険にさらされることは少ないとはいえ、危険な任務をしております。

 必ず発生すると言われている南海トラフ地震のほか、首都直下型地震、そして毎年のように発生している豪雨災害などには、国民の命を守るために重要な役割を担っているわけでもあります。

 また、防災・減災以外にも、地域のつながり、こういったことにも大いに役立っております。

 私の所属しておりました分団でも、年に一度、消防団祭りを開催して、防災をテーマにした寸劇を行っておりました。直近では、風水害をテーマに、家庭で簡単に作れる土のうを実際に子供たちが体験できる、そういった要素も取り入れて、非常に人気を博しております。子供たちも楽しみながら防災について学べると同時に、地域コミュニティー形成にも寄与しているわけでございます。さらには、自治会などとも連携して、AEDの使い方や心臓マッサージの仕方など、消防団員が実際に教えていたりもします。

 このように、地域にとってなくてはならない消防団ですが、団員の報酬は地域によってばらつきがあるものの、交付税算入額として年額三万六千五百円、これを月々に直すと大体三千円程度、私の中学校のときのお小遣いが三千円でしたので、それとほとんど同等の額となっております。

 今後、使命感に燃える消防団員の役割に見合ったように報酬をしっかりと引き上げていくことも必要だと考えますが、御見解をお願いいたします。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 消防団員が減少する中、多様化、激甚化、頻発化する災害に対応するため、消防団員の役割は多様化している状況にあります。

 こうした状況を踏まえ、総務省消防庁では、昨年四月に、消防団員の処遇改善に向け、団員階級の年額報酬は三万六千五百円を標準とすること、出動報酬を創設し、災害時は一日当たり八千円を標準とすること、報酬等の団員本人への直接支給を徹底することなどを内容とする報酬等の基準を定め、令和四年度から適用することとしております。

 総務省消防庁では、まずはこの基準に沿った処遇改善を着実に実施していただくことが必要だと考えており、引き続き各市町村に丁寧に働きかけてまいります。

住吉分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃった答弁は必要な処遇だと思います。私自身は、この三万六千五百円、これがやはりちょっと少ないんじゃないかと思うところでもございます。実際に、私の事務所のスタッフなんかは、三万六千五百円が月額だとずっと勘違いしていて、ああ、これが年額だったんだというようなこともございました。それが実際の一般の人のひょっとしたら感覚なのかもしれませんが。

 今後、ちょっと繰り返しにはなるんですけれども、引き上げていくとかそういった考えについて、また御答弁があればお願いしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 年額報酬につきまして、現在、一年間三万六千五百円という標準につきまして、更にこれを引き上げていってはどうかというお尋ねでございました。

 先ほど政務官から御答弁いたしましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、まずは、現在この基準に達しておられない市町村がたくさんございますので、そうした市町村におきまして、この基準に沿った処遇改善を着実に実施していただくことがまずは必要だと思っておりますので、そうしたことをまずは引き続き各市町村に丁寧に働きかけてまいりたいと存じます。

住吉分科員 ありがとうございます。

 引き上げる以前の課題もあるということで、まずはそれを改善していくということだと思います。それも必要だと思います。また、今後発生する激甚災害等も踏まえて、役割がひょっとしたらそれ以外にもどんどん増えていくかもしれない。地域とのつながりもどんどん希薄化していく中で、消防団の役割というのは非常に大きいと思いますので、そういった現場の声も踏まえながら、これは今後の検討事項になると思いますので、また、果たして、じゃ、三万六千五百円が適正なのか、これもしっかりと検討していただきたいなと御要望させていただきます。

 それに関連して、続いて質問させていただきます。

 市区町村によっては消防団員の年額報酬に大きくばらつきがございます。私の地元兵庫県姫路市では、団員の年額報酬が、これは令和二年度四月一日時点の資料ですが、年額で一万七千六百円であり、例えば東京都小平市では年額十七万四千円と、約十倍も違っております。兵庫県内も見ますと、神戸市が年額四万二千五百円と最も多く、稲美町では年額五千五百円となっております。

 本来、地域によって多少の業務の偏りがあるかもしれませんが、ほとんど同様の業務であったり、任務、また重責を担っている消防団の年額報酬が地域によってここまで異なるということは望ましくなく、是正すべきと考えますが、御見解をお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団の報酬は、消防組織法上、各市町村の条例で定めることとされておりますため、市町村ごとで今委員御指摘のとおり額が異なっているというのが現状だと認識しております。

 このような状況を踏まえまして、先ほど申し上げましたが、総務省消防庁では、昨年四月に報酬等の基準を定めまして、各地方公共団体に対する説明会や都道府県幹部を通じた市町村幹部に対する働きかけなどを実施いたしまして、基準に沿った改正を促しているところでございます。また、令和四年度からは、各市町村の報酬などに係る財政需要が的確に反映されるように地方交付税措置を見直すこととしております。

 引き続き、この基準に沿った処遇改善が行われるよう、各市町村に対して働きかけを行ってまいります。

住吉分科員 ありがとうございます。

 本当に、地方交付税措置を見直していくということで、これがやはりある程度実額ベースで算入できるようになれば、当然この是正がなくなっていくのかな。特に低いところに関しては、交付税措置してくれるのであればその分が入ってくるということですので、今まで規模に応じて算入していたというようなこと、話を聞きましたが、やはりこの実額ベースでやっていく、頑張っている自治体もたくさんあるわけで、そういった自治体を応援できるような財政の仕組みをやっていただきたいと思います。今の御答弁を聞くと少しずつ懸念点は直っていくのかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、ちょっと細かい話になりますが、消防団員の報酬の課税、非課税についてお伺いいたします。

 年額報酬や出動報酬は、個人の所得でありますので、厳密には当然課税というわけでございますが、団員のほとんどはサラリーマンであり、場合によっては確定申告、こういったことを行わなければならないケースもございます。消防団の報酬は実情に合わせて非課税にすべきだと考えますが、御見解をお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団の報酬などの課税関係につきましては、現在、年額報酬は五万円以下のものは課税されず、出動手当は費用弁償の性格を有していることから課税されない取扱いとなっております。

 昨年四月に定めました消防団員の報酬等の基準の適用日である令和四年の四月一日以降は、原則として、消防団員の報酬などは年額報酬、出動報酬及び出動に係る費用弁償と変更したところでございまして、これらに係る課税の取扱いにつきましては、現在、国税庁と協議中でございます。

住吉分科員 ありがとうございます。

 国税庁と協議中ということですので、やはり、消防団員への支払い、額も本当に微々たる額でございますし、実情に合わせて非課税にすべきではないかなというのが我々の意見でございますので、そういった要望として、今協議中ということで、承っていただければと思っております。

 続いて、ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 次は、消防団員の確保についてお尋ねいたします。

 私もかつて消防団に所属していたわけですが、入団したきっかけは、兵庫県会議員時代に近くの年末警戒の消防団に激励に訪れた際に、君、何歳やと聞かれて、その当時三十二歳だったので、そのように答えると、じゃ、消防団に入れるなということで、気づいたら消防団に入っていたというような形でございます。それだけ、どの分団も結構団員数の確保に苦労しているというのが実態でございます。

 かつては二百万人以上を確保していた消防団員数も、昭和三十年には二百万人を割り込み、そして、現在、令和三年では八十五万人と減少傾向が続いております。様々に策を講じられていることは承知しておりますが、姫路市の場合でいいますと、サラリーマン団員の比率が八〇%を超えております。全国的にも、サラリーマン団員の比率は七割を超えております。

 このサラリーマン団員は、昼間は地域にいないことも多いですし、当然、抜け出せない仕事、企業さんの理解もなかなか得られない状況もございます。そういう意味では、仕事中の、昼間の消防力の低下が懸念されております。

 これまでの、志願者に頼るというのではなくて、やはり地域の企業との連携した活動が今後必要になってくると思いますが、御見解をお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団員に占める被用者の割合は、今も委員御指摘ございましたけれども、昭和四十年に二六・五%でしたが、令和三年の四月一日現在で七四・一%でありまして、一貫して増加している状況にございます。

 こうした中、被用者が消防団員に入団しやすく、また消防団員である従業者が消防団活動をしやすい環境づくりのためには、企業や事業所の協力が不可欠なものであると考えております。

 そこで、総務省消防庁では、各市町村と連携し、消防団活動に積極的に協力していただいている事業所を消防団協力事業所として市町村及び総務省消防庁が認定し、表示証を交付する、消防団協力事業所表示制度を平成十八年度から実施してきております。

 また、各地方団体に対し、協力事業所としての認定を受けた事業所に対する法人事業税の減税措置や入札参加資格の加点、奨励金の支給などの措置を講ずることを検討するよう要請してきております。

 今後とも、被用者が入団しやすく、また活動しやすい環境の構築のため、企業や事業所と連携した取組を進めてまいります。

住吉分科員 ありがとうございます。

 今の団員の構成が、サラリーマンの比率が非常に高くなっているということで、昔であれば、八百屋さんとか肉屋さんとか魚屋さんの店主が消防団で、何か地域であればすぐに駆けつけられる体制があったわけですが、今、そういうのがスーパーになって、雇われている人が非常に増えているということで、当然、サラリーマン団員の比率は恐らく今後も上昇していくのかなと思っております。

 その中で、企業と連携されているということですが、いろいろ、地方自治体においてもそれなりにインセンティブをかけてやっているというような状況も見受けられますが、やはり地域格差が結構多いのかなと思っております。

 もちろん、そういったところは地域がやっていくわけですが、例えば、国の方で何かしらの対策、補助とか、そういったお考えはおありでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の補助といったことは現時点では考えてございませんけれども、繰り返しになりますけれども、各地方公共団体で様々な支援策を行っておりますので、こうしたことを各市町村に、あるいは都道府県に横展開をした上で、更に積極的にこうした取組を行っていただけるように働きかけをいたしておりますので、引き続き、今後とも更に一層働きかけを強くしてまいります。

住吉分科員 ありがとうございます。

 地域を守るという意味では、地方公共団体がいろいろと動いていく必要があると思うんですけれども、冒頭大臣も御答弁あったように、かなり広域的な災害も発生されるという中で、やはり消防団員の減少というのは、地域だけじゃなくて国の方もしっかりとやっていかなければならないんじゃないかなと思っています。そういった意味で、そういった国の方からの補助も検討すべきじゃないかなという意味で質問させていただきました。

 今、補助はないんですか、検討していないんですかと聞いて、検討しますという答弁を期待しているわけではなかったんですが、ちょっとそういった消防団の実情にも配慮して、この団員を増やすという、そして企業のインセンティブを、企業の協力を得やすいような仕組みを今後も考えていただけたらと思っております。

 ちょっと関連して、次の質問に行きます。

 団員の確保に関連してなんですが、消防団員の平均年齢の上昇が進む中で、大学生や専門学生などの若い力は、今後、地域の防災の担い手として非常に重要になってくると考えます。そのような若い方へのアプローチ、これは当然必要になってくるんですが、平成二十六年から始まった学生消防団活動認証制度については、消防団員として活動した学生に対して証明書を交付するもので、この証明書があることで、学生も就職活動のときにPRできて、団員として活動することで人としても成長することができます。

 この制度自体は非常にいいものだと考えますが、実際に運用しての効果であったり課題があればお伺いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 学生消防団活動認証制度は、真摯かつ継続的に消防団活動に取り組んだ大学生などに対する就職活動支援を目的として、平成二十六年に各市町村へ制度導入を促し、令和三年の四月一日現在で制度導入市町村は三百三十三団体となっております。

 学生消防団員の数につきましても、平成二十六年四月一日時点の二千七百二十五人から令和三年四月一日現在で五千三百八十七人と、かなり増加をしてきておりまして、総務省消防庁といたしましては、今後とも、各市町村に学生消防団活動認証制度の積極的な導入を助言するとともに、学生の入団促進に向けて、例えば人気芸人の方を若者向けに広報で参加いただくとか、そういったような取組も含めまして取り組んでまいります。

住吉分科員 ありがとうございます。

 非常に学生にとってもメリットある、企業側も、社会貢献実績のある人材や、団体行動、規律を身につけた人材を確保しやすくなるので当然メリットもあるということで、是非とも、まだ取り組まれていない市町村に対してもアプローチしていただけたらと思います。ちょっと時間もないので。

 次は、厚生労働省の方にお伺いいたします。

 全国で消防団員が減少する中、女性消防団員が増加していることについては喜ばしいことであり、消防庁の御尽力に感謝するところでございます。一方で、全国では、民生委員が高齢化して、数もほとんど横ばいというような状況になっております。大規模災害においては、災害時要援護者の問題など、福祉と防災は裏腹の問題でございます。女性消防団員は高齢者への火災啓発など地域見守り活動も行っている事例も多いですが、消防団員と民生委員の兼務についていかがお考えでしょうか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 まず、民生委員の方々には、地域における最も身近な相談相手として、住民への相談支援や訪問見守り活動など、住民ニーズを踏まえた多様な活動に御尽力いただいております。また、御指摘ありましたように、自然災害に対応しまして、安否確認や支援団体へのつなぎなど、被災者に寄り添った相談支援活動も実施していただいておりまして、防災面でも重要な役割を担っているものと承知しております。

 このように役割が増している一方で、民生委員の方の多くを高齢者の方が占めている状況を踏まえますと、民生委員活動の負担軽減が重要な課題であると認識しております。

 このため、地方自治体の創意工夫によって民生委員活動の負担軽減に資する取組を行っていらっしゃるところがありますので、そういった取組を横展開するために、全国会議の場などを通じた周知を行っております。

 こうした負担軽減の取組を実施していくことが、御提案のありました、消防団員も含めてほかの業務を継続しながら民生委員活動を実施しやすい環境が整備されるとともに、また、現役世代の方々の参入促進にもつながるものと考えております。

 厚生労働省といたしましては、地方公共団体や関係機関の協力も得ながら、より多くの方に民生委員の担い手となっていただけるよう努めてまいりたいと存じます。

住吉分科員 ありがとうございます。兼務はできるという理解でいいんですね。はい、分かりました。

 福祉と防災は裏腹の問題ですので、消防団と民生委員、ひょっとしたらほかの団体の組合せとかも考えながら、縦割り行政というよりかはそういった横串を入れていくような取組をしていただければと思います。

 質問とは少しずれますが、私も農林水産委員会で、農業新聞が来ていて、今日の一面に消防団のお話もございました。これで、水防団を消防団に組み込むというような話もございまして、それで消防団員の数がぐっと引き上がっているとか、あとは自主防災組織のリーダーを消防団に組み込むとか、そういった話も地域ではやっているところでございます。

 民生委員とか自治会とかも含めて、こういった地域の防災力を上げる、消防団員の増加であったり、そういった地域の課題に取り組んでいただければと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 様々に団員の確保に取り組まれていることには敬意を表したいと思いますし、引き続き尽力していただきたいと思います。一方で、入団していただいた団員の人材育成も非常に重要になってまいります。

 現在、オミクロン株が脅威を振るう中で、入団間もない若手の訓練の機会が少なくなっているということを懸念しております。消防の操法大会や訓練なども中止になっております。私の所属していた分団も、月に一度、第二土曜日に必ず集まって、ポンプ車の点検や扱い方の確認、また、地図を見ながら実際に歩いて消火栓の確認などもしておりました。

 消防団に入団すれば即何かができるというわけではなくて、日頃の訓練がなければ災害時に力を発揮できないということは言うまでもありません。今後、コロナ禍においてどのように人材育成に臨んでいかれるのか、御見解をお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 令和元年の訓練回数が二十三万七千八百五十七回であったのに対しまして、新型コロナウイルス流行後の令和二年の訓練回数は十二万八千七百四十三回と半減をしております。

 総務省消防庁といたしましては、消防団員が感染防止に留意して活動できるよう、予防方法や感染防止策など感染症に関する基礎的な知識、また、消防団員の新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた各市町村の取組例などについてホームページや通知によって周知を図るとともに、マスクや感染防止衣など、新型コロナウイルス対策に資する資器材に対する補助事業を実施しているところでございます。

 消防団の活動は危険と隣り合わせであり、団員が安全確保をしながら災害に適切に対応するためには訓練は必要不可欠であると考えておりますが、その際には、新型コロナウイルスの感染防止に十分留意をしていただきたいと考えております。

住吉分科員 ありがとうございます。

 もう時間がなくなったということで、ちょっと、一問残していたんですが、それは割愛させていただきます。答弁を用意していただいたのに、申し訳ないです。

 これにて私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中谷主査 これにて住吉寛紀君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中谷主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田久美子君。

吉田(久)分科員 九州・沖縄比例選出、公明党の吉田久美子でございます。

 今日が初質問となります。大変緊張しておりますが、公明党らしく、地方、中小企業、そして障害者の側に立った質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 岸田総理は、今後の成長戦略の一環として、成長と分配による好循環、新たな資本主義の確立を目指し、総理就任後から現場の声をつぶさに聞かれながら、日本社会における潜在能力を引き上げようと、新しい産業創出に向けて力強いリーダーシップを発揮していただけることを産業界も期待しながら見詰めております。

 その中で、先週十日、本年六月から五か年計画との趣旨でスタートアップ企業を創出していくと打ち出され、政府として新たに起業する方々を支えていく方針を示されました。これは、総理就任後から膝詰めの対話で現場で従事する方々と率直な意見交換をされてきたことから生まれた発想であろうと思っておりますが、先週総理が訪問された虎ノ門にあるCIC Tokyo、私もつい最近、別件でお邪魔する機会がありました。これまでの職場というイメージから全く異なる景色で、多くの、主にベンチャー起業家の方たちが、同じビル内にあるカフェでソファーに腰かけながら肩肘の張らない感じで活発に話をされており、こういう場所から新しいアイデアやゲームチェンジャーとなるような人材や物が生まれてくるんだろうという感覚を受けました。この場所で総理は、若き起業家との意見交換で刺激をいただいたに違いないと思います。

 以前から我が国は、雇用を失った方々や経営難に陥っている企業などへの支援は手厚い一方で、新しくビジネススタートをしようとする方々への支援は、どちらかといえば諸外国に比べ弱いと指摘をされてきております。

 ロンドンに拠点を置く起業家の調査を毎年行ってきている世界的機関であるグローバル・アントレプレナーシップ・モニターによりますと、アメリカや中国は一〇%以上という中で、日本は三%、調査した五十か国中四十七位であったそうであります。

 日本で起業する数が少ない背景として、一つに、失敗に対する危惧、再チャレンジが難しいこと、二つ目に、周りに起業家がいない、三つ目に、学校教育、勇気ある行動に対して低評価などというのが主な理由と言われており、そのほかにもベンチャー企業等への投資額の低さなどが挙げられております。

 理由は様々であると思いますが、総務省は、地方創生の発想の下、地方経済を元気にする目的や、何より、地方に雇用が創出されてくれば、おのずとそこに住む、また移り住んでくる方も増加し、ひいては地方の活性化につながる面があることから、これまでも陰に陽に支援されてこられたと思いますが、総理のリーダーシップの下、これから計画が具体的に定まってくる内容について、積極的に地方での起業という、そういう側面を応援していっていただきたいと感じております。

 金子総務大臣も地方の現状はよく御存じなだけに、総務大臣として、地方でのスタートアップ事業を支援していくとのその意気込みについて是非語っていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 吉田委員におかれましては、初めての質問が私ということで非常に光栄に思っておりますし、しっかりと受け止めて答弁をさせていただきたいと思います。

 また、岸田総理が打ち出されたスタートアップ五か年計画にお触れいただき、また、総理の思いをしっかり受け止めていただき、また、自らもこのことについてしっかり共に活動していく意思も表明していただきましたし、私に対するエールもいただきました。しっかり、今後ともその思いを受け止めながら頑張っていきたいと思います。

 今御意見いただきましたが、スタートアップ企業については、新たなイノベーションを生み出すとともに、地域の活力を創出する重要な役割を果たしていると認識しております。

 総務省では、起業を目指す学生やスタートアップ企業を対象として、優れたビジネスプランを競い合う起業家甲子園、起業家万博を毎年度開催しておりまして、実際に、受賞者の中には、事業化に成功し、株式上場を果たした企業も出てきております。

 さらに、スタートアップ前の革新的なアイデアを全国から発掘をし、それを商品、サービスなどの具体的な形にすることを支援する異能vationプログラムを平成二十六年度から実施しており、地域発のイノベーションの創出にも取り組んでおります。

 これらの取組を通じて、地域発のICTスタートアップの更なる創出に向けて、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。

吉田(久)分科員 総務大臣、ありがとうございました。御退席いただいて大丈夫です。ありがとうございます。

 続きまして、地方行政のデジタル化についてお伺いします。

 地方が抱える課題を解決するための地方行政のデジタル化は、現場の人手不足や文書負担の軽減のためにも大きく進めていく必要があると思いますが、その在り方、描かれている全体観及び地方自治体に対する支援について教えてください。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 本格的な人口減少社会を見据え、自治体が安定的に行政サービスを提供するため、行政サービスの更なる向上、効率化が必要であり、自治体DXの取組を進めることが重要となっております。

 このため、総務省では、令和二年十二月に、各自治体が重点的に取り組むべき事項や国による支援策等を取りまとめた自治体DX推進計画を策定し、情報システムの標準化、共通化、行政手続のオンライン化などの取組を推進しております。

 これらの取組を支援するため、総務省では、自治体において必要となるシステム改修等の経費に対する補助を行っているところでございます。

 今後とも、これらの財政支援に加え、先行的な自治体の事例紹介などを通じ、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかりと支援してまいります。

吉田(久)分科員 続けてお伺いします。

 デジタルガバメントの推進に向けて、現在、今お話がありました、本年八月からサービス提供予定の地方自治体システムの標準化に向けた作業が急ピッチで進められていると承知しております。

 現在の進捗状況について、簡潔に説明いただきたいと思います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 現在、住民記録、地方税、介護や福祉といった地方自治体の二十の基幹業務システムにつきまして、ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行環境を整備する観点から、統一、標準化の取組を進めているところでございます。

 これまでのところ、各制度所管府省におきまして基幹業務システムが準拠すべき標準仕様書の作成等を行ってございまして、昨年九月までに住民記録、地方税、介護保険等の九つの業務につきまして標準仕様書を取りまとめているところでございます。

 残りの十一の業務につきましても、本年夏までに標準仕様書を作成することを目標に、現在、各制度所管府省において、地方自治体、関係団体、事業者で構成する検討会を開催するなど、標準仕様書の作成作業を進めているところでございます。

 デジタル庁としましても、標準仕様書を作成する制度所管省庁と日頃からコミュニケーションを密に取りながら技術的な支援を行っているところでございまして、今後とも、地方自治体の業務システムの統一、標準化を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

吉田(久)分科員 今紹介いただきました自治体標準化システムへの取組、これからの行政サービスの簡素化、迅速化、効率化などの利点が多いため、しっかりと進めていかなければならないことは確かだと思いますが、その進め方の部分で、地方自治体から実態に即したやり方を求める声も上がっております。

 昨年十二月には、公明党に対して、指定都市市長会から、新システム移行に関して、円滑な移行をしていくためには一定の時間が必要であり、政府の目標とされる二〇二五年度末までの完全移行は少々無理があるとして、柔軟な対応を求めるとの要望をいただいておりますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたとおり、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化につきましては、令和七年度までにガバメントクラウドに構築される標準準拠システムに移行できるように、その環境整備を行うことを目標として掲げているところでございます。

 他方、地方自治体の業務システムにつきましては、住民サービスに直結するものでございますので、統一、標準化につきましては、各地方自治体のシステムの状況に応じまして、適切に計画を進めていくことが必要だと考えてございます。

 御指摘のとおり、地方自治体の方からは目標年次についての懸念の声があるということは承知しております。今後、どのようにすればより適切に取組を進めることができるのかという点も含めまして、地方自治体職員との対話の場である共創プラットフォームで意見交換を行ったり、その他、総務省と協力して自治体にヒアリングを行うなど、自治体の御意見を丁寧にお聞きしながら進めてまいりたいと考えてございます。

吉田(久)分科員 是非そうしていただきたいと思います。

 指定都市といえば、それなりの人口規模を備えた自治体でもありますが、それでも人材の確保に不安があると訴えていらっしゃいます。ましていわんや、小規模自治体では、現実的に見て、多くの場合、大変な困難が移行作業に発生してしまうのではないかと考えております。

 こうした課題に対しまして、政府からの支援策は何か検討されているのかをお伺いしたいと思います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、小規模の自治体におきましては、移行計画を適切に作成して推進する人材が現在のところ不足しているというふうに認識してございます。

 デジタル庁としましては、総務省と協力しまして、複数市町村での兼務も含め、デジタル人材のCIO補佐官としての任用を推進されるようにしているところでございます。また、総務省が作成した移行のための手順書をしっかりと活用いただきたいと考えているところでございます。

 それに加えまして、都道府県の中には、小規模自治体の人材不足に対して寄り添って支援する役割を担っているところもございまして、今後とも、総務省、都道府県と連携して円滑な移行を支援してまいりたいと考えてございます。

吉田(久)分科員 続いて、マイナンバーカードの普及促進についての質問に移らせていただきたいと思います。

 デジタル化を推進する上での土台となるマイナンバーカードの普及も、極めて重要であります。

 二月一日時点で、全国の特別区、一般市の中で普及率ナンバーワン、七六・一%、宮崎県の都城市ですが、マイナちゃんカーと名づけられた目を引く色の軽自動車に、この車でマイナンバーカード申請できますと大きく書かれており、予約すれば、職員二人が来てくれて車内で写真撮影までできるということで、高齢者や体の不自由な方たちへの普及が進んだということでございます。

 また、町村トップ、七八%の普及率、これは大分県の姫島村でありますが、村のケーブルテレビが何度も作成を呼びかけたことで、高齢者率の高い島ではありますが、日頃から分からないことがあれば村役場に行くという方たちが役場に聞きに来られ、大変だったとは思いますが、村役場の職員の方が対応してくださったことが普及率日本一の要因ではないかとのことでした。

 ただ、このような模範的な地域があるとはいえ、なかなか全国的には普及が進んでこなかった現状もあり、公明党としても、消費マインドを上げ、経済活性化の一助ともなるよう、カード取得と口座のひもづけ、そして健康保険証の機能をつけることで、ポイント付与を公約に訴えてまいりました。

 いわゆる第二弾、最大二万ポイント、二万円のマイナポイント付与によるカード普及は、いまだに継続中の案件ではありますが、現時点での普及の状況について、また、マイナポイント付与の効果についての現状を教えてください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全確実に本人確認を行えるデジタル社会の基盤となるツールでありまして、政府全体で、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指して、その普及促進に取り組んでおります。

 御指摘のとおり、現在、関係省庁と連携しながらマイナポイント第二弾を実施しているところであり、まずはこの事業に全力で取り組んでまいります。

 その上で、マイナンバーカードの普及には、カードの更なる利便性向上が重要と考えており、今後、デジタル庁を中心として、令和六年度の運転免許証との一体化、各種行政手続のオンライン化や民間での利用シーンの拡大などに政府全体で取り組んでまいります。

 総務省は、カードの発行、交付を所管しておりますが、こうした利便性向上の取組とも連携しながら、市区町村の交付体制の計画的な整備充実などに取り組むことで、カードの一層の普及を図ってまいります。

吉田(久)分科員 ポイントがつくというインセンティブ効果があって、今、四割程度、五割弱ですかね、普及が徐々に進んでいるということでありますが、第二弾が終わった段階からが正念場になろうかと思われます。持つメリットを丁寧に説明していく必要がますます求められてくると感じております。

 特に、今回、マイナポイントの事業の中で、離島や山間地域において、そもそもマイナポイントをもらっても使う場所がない、そういう根本的な問題も発生をしております。そこで、マイナンバーカードの普及がいま一歩進んでいない地域でどのような方法を検討しているのか、国として更なるマイナンバーカードの利活用を考えていらっしゃれば、教えていただきたい。

 また、自治体独自で普及促進に向けてシステムをマイナンバーとひもづけて構築しようとした場合に、どこまでの裁量が地方に認められているのか、そこもお伺いしたいと思います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードにつきましては、今、国民の約四割ぐらいに普及しているところでございますけれども、国としましては、先ほどからありますように、健康保険証との一体化とか、これからは免許証との一体化等々を進めていくんですが、地方自治体の方でも、マイナンバーカードを活用しまして、自治体の職員証とかあるいは高齢者タクシーの補助、それから避難所の受付、選挙投票入場受付、病院の診察券等々、独自のサービスとして既に提供しているところもございまして、このような利便性の向上の取組、独自の取組についても是非推進していきたいと考えてございます。

 引き続き、マイナンバーカードの利用シーンを幅広く拡大していくことが重要だと考えてございまして、関係省庁、地方自治体と連携して推進してまいりたいと考えてございます。

吉田(久)分科員 続きまして、デジタルの恩恵を全ての人が享受できるようにという視点から、令和三年六月より総務省が行っているデジタル活用支援推進事業について、取組の評価と今後の展望をお聞かせください。

中西副大臣 吉田先生にお答えを申し上げます。

 現在、社会全体のデジタル化が進むという状況の中にありまして、デジタル格差というものを解消し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を構築するということは、極めて必要なことであります。

 このため、総務省では、デジタル活用に不安のある高齢者などの皆様を対象といたしまして、オンラインによる行政手続など、スマートフォンの利用方法を教える講習会等を、今年度から、携帯電話ショップなどを中心に全国約二千か所で開催をしているところでございます。

 一方で、携帯電話ショップがない地域もございますので、全国七百五十か所、市町村ございますから、誰しも手が行き届いていない地域もあるということも認識をいたしております。

 そこで、来年度は、講習会の実施箇所数を約三千か所に拡大をしていくほか、地方公共団体とも連携をしながら、講師派遣を実施するとともに、この講師についても、地域の人材をしっかり育成しながら拡充をしていく所存でございます。

 こうした取組を通じまして、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境整備に努めてまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 ありがとうございます。

 さらに、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル社会の実現に向けて、デジタルに不慣れな方々へのサポート体制を構築していくということで、主に高齢者などを対象に、スマートフォンの使い方、今後、幅広く展開されていくデジタル行政の手続方法などを教えていくデジタル推進委員を普及させていくという取組も、公明党としても強く打ち出し、デジタル庁としても進めていく方向性だと思いますが、今どこまでの制度設計が進んでいるのか。本年六月以降のマイナポイント第二弾に合わせて活動していただくということで、幅広い人材を募集対象として考えていらっしゃることは理解いたしますが、機密性の高い個人情報等にも関わるだけに、責任も大きく、倫理観も問われると思います。

 全国でどのくらいの人数を確保し、どのような方々になり手になってもらうのか、また、このデジタル推進委員の処遇はどのようになる予定か、現状と展望についてお伺いしたいと思います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁としましても、誰一人取り残されない、温かいデジタル社会を実現するためには、デジタル機器やサービスに不慣れな方々にきめ細かなサポートが必要だと考えてございます。

 現在、デジタル庁では、先ほど総務副大臣からもありましたけれども、総務省の事業とも連携しまして、デジタルに不慣れな高齢者等をサポートするデジタル推進委員の制度化に向けて検討を進めてございます。

 その対象としましては、キャリアショップの方々に加えまして、行政書士等の士業団体、経済団体、青年団体、地域のボランティア団体等の多様な方々にも御協力をお願いするということで考えてございまして、幅広く国民運動を展開していきたいと考えてございます。

 また、デジタル推進委員の制度化に当たりましては、デジタルに不慣れな高齢者等に対して、講習会等でスマホの使い方などを教えていただくだけではなくて、そもそもデジタルということで苦手意識を持たれ、講習会等にも参加をちゅうちょされる高齢者の方にも、身近でお声がけしていただく方にも御協力いただくことを考えてございます。

 現在、制度の詳細については検討中でございますけれども、御指摘のありました個人情報の扱いあるいは処遇等々も含めまして、今、関係省庁、また関係団体とも連携しながら、来年度早々には導入すべく検討を進めているところでございます。

吉田(久)分科員 ありがとうございます。

 今、聞くところによりますと、無報酬のボランティアになるということでありますけれども、先ほども言いましたように、申請から推薦状の提出、スキルチェック、またスキルを身につける研修等も受ける必要があると聞いております。かなりの責任も問われますので、デジタル推進委員の待遇面はやはり改善の余地があるのではないかと考えます。是非、今後のデジタルリテラシーを持つ人材を増やしていく国の方向性とも連動して、今の仕事にプラスして、デジタル推進委員の資格を持ち活動することがインセンティブを持つような仕組みも考慮していいのではないかと。

 今後の計画策定作業におきましても、我が党としても部会などで御提案させていただくものもあろうかと思いますので、併せて検討していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 障害者の社会参画を促すためのデジタル機器の社会実装に関する現状と今後の取組について教えていただきたいと思います。

中西副大臣 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のとおり、障害者の方々を含む誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備するということは極めて重要な視点でございます。

 このため、総務省におきましては、障害者等の利便の増進に資する情報通信機器やサービスの開発に対する助成を行っているところであります。

 例えば、視覚障害者の歩行誘導のために、駅構内の点字ブロック付近等に設置をしたQRコードをスマホで読み取り、音声で道案内をしたりとか、あるいは、駅構内情報を知らせたりするシステムがございまして、東京メトロの一部の駅等で、今、実用化がされているところでございます。

 また、障害者等の日常生活におけるニーズや障害者に配慮した情報通信機器やサービスについて、データベースを通じた情報提供も行っておるところであります。

 今後も、こうした取組を通じまして、障害者等の利便の増進に資する情報通信機器やサービスの開発の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 中西副大臣、ありがとうございます。

 進めていただいておりますが、一昨年には、地下鉄東西線の駅におきまして、視覚障害をお持ちの方が、点字ブロックにつまずいて、残念なことに電車と衝突して亡くなられるという痛ましい事故が起こりました。ここではホームドアの設置工事中、もう間もなく設置完了する予定であったということでありますけれども、今後、社会の様々な場面で、ICT、デジタル技術を駆使して未然に防げる事故など、対策を是非とも強化していっていただきたいと思います。

 障害者に優しいまちづくりは、あらゆる人にとっても便利で快適、共生にふさわしいものと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 消防庁にお伺いします。

 現在、ウェブ一一九やネット一一九といった、緊急時、このときに障害者が迅速に救急車や消防車を手配することができるサービスがございますが、この緊急通報サービス、全国消防本部における導入状況、また導入目標があれば教えていただきたいと思います。

 また、そのほかに何か緊急通報が行えるものがあるのかどうかも教えていただきたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年三月に策定されました第四次障害者基本計画におきまして、聴覚・言語機能障害者の方がスマートフォンなどを用いて円滑に一一九番通報ができるシステムを導入している消防本部の割合を、二〇二〇年度までに一〇〇%にすることが目標に掲げられております。

 聴覚や言語機能に障害がある方が音声によらずスマートフォンなどの画面上のボタン操作や文字入力で一一九番通報を行えるネット一一九緊急通報システムにつきましては、令和三年度末までに全国の八四%に当たる六百十消防本部が導入し、人口カバー率では九五%まで向上する見込みでございます。

 また、令和三年の七月からは、聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律に基づきまして、緊急通報にも利用できます公共インフラサービスとして、聴覚障害者等がスマートフォンなどを用いまして、通訳オペレーターによる手話又は文字を介しました意思疎通を行えるようにする電話リレーサービスが開始されまして、聴覚や言語機能に障害がある方が全国どこからでも一一九番通報することが既に可能となっております。

 したがいまして、いずれかの方法を用いませば、聴覚や言語機能に障害がある方が円滑に一一九番通報ができる仕組みが導入されたことになりますが、消防庁といたしましては、これらの方々が利用できる緊急通報手段の選択肢が増えることは有益であると考えておりまして、ネット一一九緊急通報システムにつきましても、今後とも地方財政措置により支援をいたしますとともに、毎年度、導入状況の調査を行いまして、その中で、未導入の消防本部に対しまして、導入を推進してまいります。

吉田(久)分科員 ありがとうございます。

 地元の福岡県内で、未導入地域の地方議員から相談がありました。見渡してみると、県内で未導入の消防本部がそこだけという状況で、翌年度の予算計上にもこのネット一一九の導入が、整備費が見当たらなかったということから、更にもう一年導入が延びてしまうのではという懸念からの声でありました。

 昨年から電話リレーサービスが全国的に展開、施行されましたので、導入費用やランニングコストを考えて、あえてネット一一九の導入を見送った経緯があるかもしれませんけれども、障害者の中では、ファクス一一九を使うしかない、緊急のときに手書きで入れて送らないといけないという状況にある、この地域格差を是非ともなくしていただければということで、格差がないように進めていただきたいと思っております。

 デジタル実装が更に進み、足りないところはアナログも活用しながら、障害を持つ方を含めて全ての人に優しい社会となるよう、今後も力強い推進をお願いしたいと思います。

 今日は、時間がなくなりまして、最後の質問ができませんでしたけれども、今日は質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

中谷主査 これにて吉田久美子君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、今現在、宮城県で四病院の公立・公的病院の再編統合が検討されておりますので、公立病院経営強化と地域医療構想について伺わせていただきたいと思います。

 まずは、コロナ禍で救急搬送困難件数が増加をしています。第五波のときは、自宅療養と言われ、医療につながれず自宅で命を落とした方が、記録がある中でも二百二名、それを超えていると記憶しております。第六波でも死亡者が増えており、自宅で亡くなった方も出てしまいました。医療につながれずに命を落とすということは、絶対あってはなりません。

 医療につなぐ使命を負っているのが救急搬送のお仕事ですけれども、消防庁にお伺いします。現在の救急搬送困難件数、どうなっていますか。また、医療逼迫の状況をどう感じているのか、その点もお答えいただけるとありがたいです。お願いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 救急搬送困難事案への対応につきまして、消防庁におきまして、令和二年の四月から状況の調査を行っておりまして、主な消防本部における発生件数の実態把握を継続的に行っております。

 各週の救急搬送困難事案の発生件数につきましては、令和四年の一月の第一週以降に増加傾向となりまして、直近では、これまでの最多件数でありましたいわゆる第五波のときの三千三百六十一件を超えまして、五千七百四十件となりますなど、非常に厳しい状況であると認識をしております。

岡本(あ)分科員 これは搬送困難件数なので、すんなりと運べた件数というのは入っていなくて、医療機関、多分四か所以上トライをして搬入先が見つけられない、最後まで救急の方々はそれでも責任を負って受皿を探してくださっていることに、感謝を申し上げたいと思います。

 私も、消防庁から資料をいただいて、資料一にグラフ化させていただいておりますけれども、第五波をはるかに超えて、現場で医療の受皿に苦慮をしている、こういう現状があるということです。

 医療が逼迫している今、病院統合ですとか経営の立て直しということを議論するタイミングではないと私は思っています。本会議でも質問させていただきましたけれども、国と地方の協議の場で示された、病院の経営強化に当たっては、統合ありき、病床削減ありきではないということですよね。

 資料三をあえてつけさせていただいております。説明資料にもこのようにうたっておりますので、もう一度、総務大臣からお答えいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 岡本委員御懸念の病床削減や統廃合につきましては、地域医療確保に関する国と地方の協議の場において、昨年十二月に厚生労働省から、地域医療構想の推進の取組は、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が、地域の実情を踏まえ、主体的に取組を進めるものとの表明がなされております。

 総務省としましては、新たに策定いたします公立病院経営強化ガイドラインにおきまして、公立病院の病床削減、統廃合を前提とすることは考えておりません。

岡本(あ)分科員 今、確認をさせていただきました。

 ちょっと厚労省に伺いたいんですけれども、今、総務大臣から、十二月十日の国と地方の協議の場でこういう確認があったということです。

 同じ資料、厚労省が説明をされた資料の中に資料四というのがありまして、赤線を私の事務所で引かせていただいております。病床削減ありきではないよと言った同じ資料に、自主的に行われるとは書いていますが、病床減少を伴う場合とか、あるいは病床減少を伴う医療機関の統合等の場合に国が支援をすると同じ会議の場の同じ資料の中に書いております。

 これは矛盾はしませんか。どういうことなんでしょうか。御説明ください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今、総務大臣から御答弁ありましたように、この地域医療計画におきましては、今後、人口構造が変化をする中で、地域の医療ニーズに合わせて質の高い効率的な医療提供体制を確保するために、地方自治体と連携をいたしまして、地域医療構想、こういった取組を進めているところでございます。

 各地域におかれましては、必ずしも病床の削減、統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえて検討を進めていただいているところというふうに承知をしております。

 今、先生からいただきました資料、病床機能の再編支援事業、これを御提示いただきましたけれども、厚生労働省といたしましては、こういった検討、取組を進めるために、地域医療介護総合確保基金というものを設けておりまして、病床機能の分化、連携に取り組む医療機関の設備、施設の整備、こういったものに使っていくことですとか、医療従事者の確保や勤務環境の改善といったマンパワーの確保に取り組む、こういったメニューも用意をしておりまして、この再編事業というのは、例えばそういう統廃合のときに何か補助をしてさしあげられるような支援のメニューとして一つ御用意はしておりますが、それ以外にも様々なメニューを御用意して、地域の医療提供体制の検討に使っていただくようにしているところでございます。

岡本(あ)分科員 済みません。ちょっと今のお答えに対して、もう一つ伺わせていただきたいです。

 病床ありきではないということなんですが、そうであれば、機能強化をこうした場合も財政支援するよ、そういうことも御説明されるべきだと思うんですが、ちょっとそこが、私とすると、資料としては見当たらなかったなと思っているので、もしありましたら御指摘ください。

 あわせて、資料二に書いておりますが、これも同じ会議で提供された資料ですが、赤線を引いております。感染症拡大時の対応における公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識される、しっかりこれを書き込んでいるんですね。

 なので、こうであれば、これに対してどう支援をしていくのか、これに沿った形で病院をより機能強化をしていくのか、このことが示されるべきだと思うんですが、自治体の方を代弁するわけではないですが、私の印象として、これだけ読んでいくと、結果とすると、結局、縮小して、ダウンサイジングせざるを得ない。したら財政措置十分の十というメニューまでそろえられている中で、地方財政が苦しい中ではここに頼るしかないという方向性が誘導されているように聞こえます。

 もう一度、ちょっと、厚労省でお答えいただけますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生から御提示をいただきました病床機能再編支援事業、このメニューにつきましては、御指摘のように、病床の統廃合ですとか削減があった場合の手当てとしてお示しをしております。

 ただ、それ以外にも、先ほど申し上げました地域医療介護総合確保基金、こういったものは既に自治体に対してもお示しをしているところでございまして、その中のメニューの中には、病床機能の分化、連携、こういったものの取組に資する場合の施設の整備、こういったものへの補助金ですとか、医療従事者の確保、勤務環境、働き方、こういったことに資するようなメニューも併せて自治体にはこれまでもお示しをしているところでございますので、こういったメニューをより活用していただくように、十分周知、発信をしていきたいというふうに思っております。

岡本(あ)分科員 既存の制度があるというところは分かりますけれども、今回コロナを私たち経験をして、やはり、危機的な状況、あるいはこれからも起き得るであろう新たな感染症、そういうものにも備えて医療がどうあるべきか、その意味でいくと、私は機能強化という部分は必要なんだと思います。

 ただ、人口が減る、患者さんが減るから、それに合わせた平時の縮小ということで進めていこうとすると、その点については異論があるということをお伝えします。もちろん、医療従事者の働き方改革、これは本当に喫緊の課題だということも重々承知をしておりますので、このことをお伝えさせていただきます。

 そして、総務省、大臣には、本会議でも御答弁はいただきましたが、同じように、公立病院に関しても、やはり、感染症拡大時、これにしっかり備えた機能強化を図っていくんだということを、是非もう一度御発言いただけますでしょうか。

金子(恭)国務大臣 公立病院の経営強化は、関係自治体が地域の実情を踏まえて主体的に取組を進めるものでございます。

 総務省としては、その取組を通じて、かかりつけ機能を有する診療所なども含めた地域の医療機関が、適切な役割分担と連携強化を行い、患者や地域住民に対して持続可能な形で医療提供を行う体制を確保することが重要であると考えております。

 今年度末に策定する新たなガイドラインにおいても、その旨を記載したいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。機能強化という意味で、地域との連携というところを踏み込んで答えていただいてありがとうございます。まさに、私とすると、そこを求めたいと思っています。

 今、宮城でいきますと、四つの病院の具体的な名前が挙がって、再編という話が出ております。ただ、今までやはり公立病院、あるいは公的病院もそうですが、公立病院がやはり地域の核になってきたというのは事実ですので、日頃の地域との連携、そこの病院を利用している患者さんの立場、それから、かかりつけ医から大体紹介をされて公立病院につながるケースも多くありますので、かかりつけ医との信頼関係、その点というところもしっかり踏まえていただきたいと思います。

 その再編のネットワーク化に当たって、やはり今御答弁いただいたとおり、住民の理解そして合意を得る、この点は絶対怠ってはならない点だと思います。住民の理解と合意を前提とするべきだと思います。もう一度お答えください。

金子(恭)国務大臣 岡本委員御指摘のとおり、公立病院の経営強化は、人口減少等による医療需要の変化も見据え、持続可能な医療提供体制を確保するための取組でございます。こうした取組の趣旨を議会や住民にも十分に説明をし、地域の理解を得ながら取組を進めていただく必要があると考えております。

 今年度末に策定する新たなガイドラインにおいても、その旨を記載したいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。議会だけじゃなくて住民の合意という点、踏み込んでいただいてありがたいと思いますし、是非その点も書き込んでいただきたいと思います。

 この合意の取り方については、議会の承認を得たらオーケーと思いがちなところ、それも一つ大変重要です。あるいは、地域にお知らせしたから、丁寧に説明したからオーケーという使われ方がよくされます。合意を取るということの重要性、この点については是非、今、書き込んでいただけると伺いましたので、その点を信頼したいと思います。

 あと、地域との連携で、特に非常時のときにこそ医療の機能の役割分担というのは私はとても重要だと思っております。やはり、拠点病院が果たすべき使命、特に急性期を担っている受皿、そこに、先ほど救急困難件数をお伝えさせていただきましたが、医療が必要なところを逼迫させないためにも、ほかの医療機関の機能が果たされる、この重要性があると思います。

 ちょっと細かい話なんですけれども、資料の一番後ろを御覧ください。資料五になりますかね。これは昨年度の予算なんですけれども、医療施設の耐災害性強化の三十一億円というのがついております。この中に赤線を引いておりますが、医療機関で、非常用自家発電設備の設置という項目がございます。

 今申し上げたとおり、拠点の病院、あるいは、いざというときに受け入れてもらうためのベッドを有する、この病院で、なるべく非常用でも停電をさせないように、このことの重要性は重々分かります。ただ、更に踏み込んでいただいて、日常的なかかりつけ医、地域の無床のクリニック、こういうところこそ医療を止めないということも、災害時にはより重要になると私は考えています。

 予算上の限界もあるかもしれませんけれども、慢性的な疾患の方が薬を日常的に手に入れることができれば、より緊迫した状況で医療を求めるということも防ぐことができます。あるいは、今申し上げたとおり、急性期の方とか、救急を要する方にベッドを空けておくということもできます。

 また、地域の無床のクリニックというのは、よく指定避難所で、学校単位の、学校校医が避難所で患者さんがいないか見て、その受皿になるという機能もあると思います。無床のかかりつけであるクリニックだからこそ、医療を止めないということも必要なんだと思います。

 ちょっと細かい話ですけれども、この無床の診療所に対しても、非常用の電源を確保する、この支援というのも必要なのではないでしょうか。これは厚労省に伺います。

佐藤副大臣 今、岡本委員御指摘の医療機関の非常用自家発電設備の整備に対する支援につきましては、平成三十年度の補正予算におきまして、災害発生時に中核的な役割を担う災害拠点病院等を補助対象として、予算の確保をさせていただきました。

 その後、医療機関が災害時に担う役割を踏まえまして、災害拠点精神科病院、僻地医療拠点病院、僻地診療所、地域医療支援病院、特定機能病院について、段階的にこれまで支援対象に追加してきたところであります。

 また、令和三年度の補正予算では、水害発生時に入院患者の診療を継続する観点から、洪水等の浸水想定区域又は津波災害警戒区域に所在する病院や有床診療所を支援対象に追加したところであります。

 このように、医療機関が災害時に担う役割や被災リスクを踏まえ、支援対象を順次拡大してきたところであり、今後も、災害時に必要な医療提供体制が確保できるよう支援してまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 順次整えているということは理解いたしました。

 無床のクリニックにも、私が申し上げたとおり、いざというときほど、日常の受皿があることで、本当に必要なところにベッドを空ける、あるいは救急搬送をスムーズに行う、それが必要なんだと思いますので、今の御答弁で、いずれこういうところも対象になっていくんだということも含めて御答弁いただいたと受け止めてよろしいでしょうか。確認をさせてください。

佐藤副大臣 委員、宮城県の御出身だというお話をいただきました。私も宮城県で、委員の岩沼市の隣の名取市が出身でありまして、恐らく、東日本大震災を御経験された思いでの御発言じゃないかなと思って、私は感じたところであります。

 厚生労働省としては、医療機関が災害時に担う役割や被災リスクを踏まえまして支援対象を順次拡大してきたところでありまして、今後も、災害時に必要な医療体制が確保できるよう支援をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 是非、私の提言も含めて、医療機関については、いざというときには、日常をやっていただけて、本当に必要なところに医療を提供できる環境を整える、この点についてもより一層取り組んでいただけることを期待したいと思いますし、私のふるさとのことも御指摘いただき、ありがとうございます。

 実家が岩沼市というところでして、仙台空港もありますので、津波の被害も大きく受けました。今、一生懸命、復興を目指して地域活性化に取り組んでいる自治体で、キティちゃんと連携をしたり、あるいは地元の学校がモデルになっているアニメを一生懸命PRしたりして頑張っておりますので、岩沼市という御紹介をいただき、本当にありがとうございます。

 総務大臣に伺います。

 今、ずっと申し上げさせていただきました。やはり、公立病院というのは、地域の中では核となる病院として位置づけが非常に多くあります。いざというときに備える、それから、先ほど資料二でも御紹介しました、やはりコロナがあったからこそ改めてこの公立病院の使命というのがあり得るんだということを踏まえていただき、今後のガイドライン策定に当たっては、公立病院が担う役割の重要性、この点を更に強化をしていただきたいですし、その意味での機能強化なんだということ、それから、公立病院の統合や病床削減を前提とせずに、地域の医療確保のため、地方公共団体の取組を十分尊重するということを求めたいと思います。御決意を伺います。

金子(恭)国務大臣 岡本委員御指摘のとおり、今般の新型コロナ対応におきましては、病院間の役割分担や医師確保などの取組を平時から進めていく必要が浮き彫りになったと考えております。

 このため、新たに策定するガイドラインにおいては、地域の中で各公立病院が担うべき役割や機能を明確化、最適化し、病院間の連携を強化する機能分化、連携強化や、医師、看護師等の確保、働き方改革の推進、新興感染症に備えた平時からの対応などを盛り込む方向で検討しております。

 これらの取組は、感染症対応に限らず、災害なども含めた、危機に備えた医療提供体制の構築につながるものと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 危機に備えるという点で心強く思っておりますし、公立病院、それから、私からすると、公的病院というところもやはり一定のそういう役割を持っているんだということを、地域でも声を出していきたいと思います。

 続きまして、デジタルデバイド対策について伺いたいと思います。

 今ほどの吉田委員からの質疑の中でもございました。スマホとかそういうものを使える講習を受けられる機会を増やしていく、三千か所に拡大するんだというのを、先ほど御答弁で伺ったところです。

 私は、何回か行った先で講習を受けて使い方を理解するだけでは、実際にいろいろな手続、特に行政手続に関して、もう次からはスマホでオーケー、タブレットでオーケー、パソコンでオーケーとはならないと思います。デジタルで実際に行政手続ができるためには、必要な都度利用可能なサポートやアウトリーチ機能も必要ではないかと思いますが、この点、お答えください。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、デジタル活用支援事業として、デジタル活用に不安のある高齢者などを対象に、オンラインによる行政手続など、スマートフォンの利用方法を教える講習会を、携帯電話ショップですとか公民館などで開催をしているところです。

 こうしたデジタル活用支援推進事業の講習会でございますが、誰でも、何度でも、無料で参加をいただくということが可能になってございまして、総務省では、こうしたきめ細かい取組を通じて、誰一人取り残さないデジタル化の実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。

岡本(あ)分科員 誰でも、何度でもという御答弁がありました。

 携帯ショップで講習を開いてくださると、もしかしたら、自分がこの手続が分からないんだけれどもといって携帯ショップに駆け込む場合もあり得るのかなと思うんですが、この何度でもという中で、多分それは本来のお願いしている業務になっていないんじゃないのかなと思うんですが、それをやってくれるのであれば、本当に心強いです。それがあるのかどうかということと、もし、それがないということであれば、公民館も含めてですけれども、講習の後に、あなたの今この作業で困っている、これを相談を受けますよ、そういう機会も必要なのではないかと思いますが、その点は講習の中に入っておりますでしょうか。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省のデジタル活用支援推進事業につきましては、あらかじめ一定のメニューを作りまして、そのメニューに沿って講師の方に教えていただくというものでございますが、一方、個別の行政手続に係る支援につきましては、例えば自治体の行政手続でありますれば、その手続を所管している自治体の担当部局においても、利用者への助言ですとか支援などを対応いただくものというふうに考えてございます。

 総務省としましては、自治体に対して、住民への支援にきめ細かく対応していただけるように促してまいりたいと思います。

岡本(あ)分科員 それでは、そういう個別の困ったことにも応えられる余地があると今の御答弁だと受け止めるんですが、間違いないでしょうか。

 実際、いろいろな手続を、特に最低でも行政手続をオンラインでやるときには、誰も取り残さない、その環境をつくらなければいけないという使命がデジタルデバイド対策としてはあると思っております。その余地があるよという意味でお答えいただいたとすれば、非常にうれしい御答弁なので、もう一回確認をさせてください。

竹村政府参考人 総務省としましては、自治体ですとかデジタル庁を始め、関係府省とも連携して、そういったきめ細かい取組をしてまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(あ)分科員 私は、一定程度のアウトリーチ機能というのも必要なのではないかと思っています。

 行政手続のプロといえば、やはり行政書士会の皆様かなと思っておりましたので、こういう方々にきめ細やかにフォローしていただく、そういう御協力も求めてはと思っております。この点もお答えいただけますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 行政書士の皆様は様々な行政手続に精通し、幅広い知識と経験を持っておられることから、その知見を各種行政手続のデジタル化の取組に生かすことは有意義なことと考えております。

 総務省といたしましても、行政書士の皆様に、マイナンバーカードの申請支援など、普及促進への御協力をお願いしております。

 また、行政手続のデジタル化におきましては、代理人が申請を行えるシステムを構築することが重要と考えておりますが、行政書士会連合会からも、こうしたシステムを構築し、行政書士を活用することが要望されておりますことから、各種行政手続のデジタル化に取り組むデジタル庁など関係機関に対しまして、その旨私どもからもお伝えをしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。様々な方々に御協力をいただき、是非、誰も取り残さない社会をつくっていただきたいと思います。

 ここは、総務委員会ですので、デジタル全般のお話はちょっと所管を超えると思いますので、質問ではなく、私から言わせていただくとすると、デジタル社会の究極を目指す姿というのは、わざわざ申請をさせなくても、必要な方々に行政サービスが届くようにする、このことがデジタルだからこそできることなんだと私は考えております。

 児童手当、年末にはプッシュ型が実現いたしました。こういうような形で、必要な方に行政の持っている必要な、御本人の了解をいただいた上での必要なデータを活用して、必要な方に行政サービスを本人の手を煩わせずに届け切る、これがデジタル社会の目指す姿、少なくとも行政が目指す姿だということを私からは申し上げ、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、秋葉主査代理着席〕

秋葉主査代理 次に、小森卓郎君。

小森分科員 昨年秋の総選挙で石川第一区から選出をされました自由民主党の小森卓郎と申します。

 国会で質問を行わせていただくのは今日が初めてということでございまして、不慣れではありますけれども、せっかくいただいた質問の機会でございます。金子総務大臣を始めまして、皆様、どうぞ今日はよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 今日は、まず、新型コロナウイルス感染症による地方自治体の財政への影響についてお尋ねをしたいと思います。

 おととし以来の新型コロナウイルス感染症の広がりを受けまして、全国の地方公共団体は様々な対応を行ってきたところでございます。これを財政面から見ますと、地方公共団体は特別定額給付金を始めとする各種の支援金の給付の主体となるなど、歳出を大幅に拡大をさせてきたところでございます。

 こうした中、特に感染の初期におきましては、国から自治体への財政的な支援がどのように行われるのかというようなことがまだ必ずしも明確ではなかったということもございまして、少なからぬ自治体が、その自治体の貯金に当たります基金を取り崩したり、あるいは基金を取り崩す計画を立てて対応をしたところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の前からももちろん自治体の財政は総じて苦しいものでございましたけれども、コロナによってそれが更に悪化してしまうのではないかという心配の声も当時多く聞かれたところでもございます。

 今日は、この問題につきまして、自治体の決算の数字を使いながら確かめてまいりたいというふうに思っております。具体的には、総務省が昨年の十一月に公表されました令和二年度地方公共団体の決算額の取りまとめがございますけれども、これを中心にお聞きをしたいと思っております。

 令和二年度におきまして地方公共団体の歳出というのは大きく増加をしたわけでございますけれども、それはどれぐらい増加しているのか。また、この増加の要因につきまして、新型コロナウイルス感染症対策によるものがほとんどではないかと思われますけれども、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の都道府県や市町村を含めました地方公共団体の普通会計決算における歳出額は、前年度と比べて二十五・八兆円増の百二十五・五兆円でありまして、過去最大となったところでございます。

 地方公共団体が令和二年度に実施いたしました新型コロナウイルス感染症対策関連経費は二十五・六兆円であったと把握しておりまして、前年度決算額からの歳出の増加額二十五・八兆円とおおむね同規模となっておりますことから、主な歳出の増加要因は新型コロナウイルス感染症対策関連経費であったと認識しております。

小森分科員 ありがとうございました。

 前の年度と比べて二十五・八兆円と大幅な歳出の増加があったということで、御答弁いただきました。

 これだけの規模で歳出が増加いたしますと、その財源がどうなっていたのかというのが大変気になるところでもございます。歳出の増加に対応いたしまして地方自治体の歳入も増加しているのではないかというふうに思われますけれども、どのような歳入がどの程度増えているのか。例えば地方債や地方税の増加によって賄われたのか、あるいは国から地方への交付金の増加によるものなのか、この令和二年度の歳出の増加の主な要因について説明をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の地方公共団体の新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を特別定額給付金給付事業費補助金や緊急包括支援交付金等により全額国費対応いたしますとともに、地方公共団体の判断によって、自由度が高く地方単独事業に取り組むことができる財源といたしましても、地方創生臨時交付金も措置されたところでございます。

 これらの国庫支出金等の合計額は二十四・六兆円でございまして、これにより、地方公共団体が令和二年度に実施いたしました新型コロナウイルス感染症対策関連経費二十五・六兆円の九六%が財源措置されたものと承知しております。

小森分科員 どうもありがとうございました。

 今御答弁がありましたとおり、国庫支出金、特別定額給付金の給付に要した交付金ですとか、あるいは、最後に言及もありましたけれども、自由度の高い地方創生臨時交付金、こうした国から地方自治体に渡されたお金の増加によりまして、歳出の増加を賄ったというようなことでございます。

 こうした交付金が大きく伸びたことによりまして、地方自治体のコロナ関係の支出はこれらによってほとんど賄われたということでございますので、地方の歳出は令和二年度におきまして大きく増加をしたわけではございますけれども、少なくとも令和二年度までは、そのことによって地方の財政の大幅な悪化ということにはつながっていないのではないかというふうに推測されるものだというふうに考えております。

 ここで特に強調をしておきたいのは、今申し上げました地方創生臨時交付金というのが大変重要な役割を果たしているということでございます。地方創生臨時交付金、これは直接には内閣府が所管している、地方創生推進室が所管しているということだと思うんですけれども、この地方創生臨時交付金について、金額ですとか、あるいは内容について、もし総務省の方から御答弁がいただけましたらお願いいたします。もしあれでしたら私の方から御紹介いたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっとお手元にあれなんですけれども、この地方創生臨時交付金につきましては、令和二年度におきましては、一次補正、二次補正、三次補正、そして令和二年度の予備費、こちらの方からも支出されまして、全体を合計いたしますと七・九兆円というふうな金額になっているものでございます。

小森分科員 大変どうもありがとうございました。

 この地方創生臨時交付金でございますけれども、令和三年度の補正予算も含めまして、二年度、三年度合計で十五・二兆円予算措置をいただいたというふうに承っております。これは、地方自治体の単独事業、あるいは、国庫補助事業の地方負担分、事業者の支援、協力金の支払い、検査の促進などに使用されるものだというふうに承知をいたしておりまして、地方自治体によります新型コロナウイルス対策というのを力強く支えていただいたものだというふうに受け止めております。先ほど局長からも御答弁いただきましたように、大変自由度の高い、本当にありがたい交付金というのを措置していただいたところでございます。

 さて、今、歳出と歳入の関係について御答弁をいただいたところではございますけれども、今度は、自治体財政のストックの面、貯金や借金の状況について見てみたいというふうに思っております。

 結論から先に申しますと、貯金の方が減って借金の方が増えているということでありまして、先ほど私の方から、歳入歳出の状況からは自治体の財政の大幅な悪化は起きていないのではないかというような推測を申し上げたところでございますけれども、ストックの面から申し上げると、地方自治体の財政の悪化の状況が少し進んだと言える状況なのではないかというふうに考えているところでございます。

 このストックの具体的な数字につきまして、地方公共団体の財政調整基金の残高、そしてまた地方債の残高につきまして、答弁をよろしくお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども答弁させていただきましたが、この新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を全額国費対応にする、そして、地方公共団体の判断によって、自由度が高く地方単独事業に取り組むことができる財源として、内閣府所管の地方創生臨時交付金も措置されたところでございます。

 ただ、当然のことながら、これらの交付金が年度の初めからどかんとやってくるわけではございません。そういったもののつなぎを、いわばこの基金というものが、特に財政調整基金が果たしているわけでございます。

 地方公共団体では、感染症対策に係ります国からの補助金等が交付されるまでの間の一時的な財源などといたしまして、財政調整基金を取り崩して対応し、その後の補助金等の交付によって、基金から取り崩した財源を振り替え、残高を一部戻した地方公共団体もある、かような認識をしております。

 その数字で見た結果でございますけれども、令和二年度末の普通会計決算におけます財政調整基金残高は七・三兆円となっておりまして、令和元年度末の同基金残高が七・五兆円でありまして、比べますと〇・三兆円減少しているというところでございます。

 ただ、東京都を除く道府県分と市町村分の財政調整基金の残高は〇・一兆円の増というふうになってございます。

 また、令和二年度末の普通会計決算におけます地方債現在高につきましては、令和二年度中の地方税の減収、これに対応して減収補填債の発行が増えましたことなどによりまして、令和元年度末の百四十三・四兆円から一・一兆円増加し、百四十四・六兆円となったところでございます。

小森分科員 どうもありがとうございました。

 まず、財政調整基金の残高というのは〇・三兆円取崩しが進んだ、ただ、東京都を除いた場合ですと〇・一兆円増加したというような御答弁であったと思います。また、借金であります地方債の残高につきましては約一・一兆円の増加があったというような御答弁をいただいたところでございます。

 財政調整基金の取崩しにつきましては、今も御答弁があったと思いますけれども、新型コロナウイルス対策を中心とする歳出の増加、あるいは経済の悪化によって歳入の減少が起きている中で、つなぎの面も含めまして取崩しが行われてきたというようなことだというふうに考えております。恐らくは、今、東京都の言及がございましたけれども、財政の状況が比較的よかった、あるいは比較的悪くなかった自治体を中心といたしまして、こうした自治体が独自のコロナ対応をする際などに、この基金を取り崩して対応がなされていたのではないかというふうに推測もされるところではないかというふうに思っております。

 さて、これまで、令和二年度までの状況を確認させていただきましたけれども、これを踏まえまして、今後の対応につきまして、総務大臣にお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 これまでの経験、対応から言えることといたしましては、地方創生臨時給付金を始めまして各種の国庫交付金をしっかりと措置するということが、今後、自治体がコロナ対策を実施する上で不可欠であるというふうなことであると思っております。

 申すまでもなく、新型コロナ感染症の影響、第六波は現在も続いている状況であります。そしてまた、第六波にとどまらず、これからも更に次の波が来る可能性というのも否定ができないところでございます。こうしたことが仮に発生した場合に、自治体が対応していくためには、総務省あるいは内閣府を始めとする各省、政府におかれて、これらの交付金の確保を是非とも今後ともお願いしたいというふうに考えているところでございます。

 そしてまた、もう一点、決算のデータというのは、現在まだ、令和二年度の分までしか当然存在していないところでございますけれども、地方自治体の財政の悪化などは、兆しが若干表れているのではないかというふうに思っております。

 令和三年度以降、自治体の財政状況というのがどういうふうになっていくのかということにつきまして、是非とも、総務省におかれましても、きめ細かくチェックをしていただき、自治体の財政の悪化が更に進まないような目配りをお願いしたいというふうに考えております。

 以上の二点、各種の交付金の確保、そしてまた自治体財政への目配りにつきまして、総務大臣の御所見をいただければというふうに思います。

金子(恭)国務大臣 小森委員、初めての質問ということで、本当に光栄に思っておりますし、しっかり答えたいと思います。

 また、小森委員は、財務省の御出身で、しかも石川県の総務部長もされたということで、国の財政状況、そして地方の財政運営、非常に御苦労されていたということで、現場の経験に基づいた御質問だと思います。

 今回の新型コロナウイルス感染症のような非常事態への対応につきましては、自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただけるよう、国においてしっかりと財源を確保することが重要と認識しております。

 このため、今回の新型コロナウイルス感染症への対応では、ほとんどの事業が全額国費対応とされております。また、自治体の判断によって、自由度高く取り組むことができるよう、内閣府所管の地方創生臨時交付金が累次にわたって措置されてきたところでございます。

 総務省としては、今後とも、各自治体において、財政運営に支障が出ることなく積極的に感染症対策に取り組むことができるよう、自治体の財政状況をしっかりと把握した上で、関係省庁と連携し、適切に対応してまいりますし、これからも、やはり地方の財政状況というのはなかなか厳しい状況にあると思いますが、我々も、しっかり地方の財政運営も目配りをしながら、しっかりやらせていただきたいと思います。

 以上です。

小森分科員 大臣、大変心強い、力強い答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。また、私の地方財政の経験も御紹介いただきまして、御礼を申し上げます。

 大臣は、今日、午前午後を通じまして、この分科会に張りついていらっしゃるものだと思います。私、この後の質問では大臣への答弁を求めない予定でございますので、もしよろしければ御退席をいただければというふうに思います。また、地方財政に関する関係の方々も御退席をいただいて結構でございます。

 それでは、続きまして、電波法の改正につきまして質問させていただきます。

 電波法などの一部改正法案は、今月四日に閣議決定をされたとお聞きしております。今後、総務委員会などにおきましてこの法案の審議が行われるということでございますけれども、今日は、この改正法案の中で、携帯電話などの通信に求められる電波の帯域、何メガヘルツですとか何ギガヘルツといった電波の帯のことだというふうに承知しておりますけれども、この再編、あるいは周波数の割当ての見直しについて質問をさせていただこうと思います。

 まず、現在、携帯電話等の通信に用いられている電波について、この利用が増加してきて逼迫が進んでいるというふうにお聞きをしております。この逼迫の状況について、できるだけ分かりやすく御説明をいただければと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話におきましては、利用者の増加や、新たな無線システムの高度化に伴う高画質動画の視聴などの大容量通信の増加によりまして、通信トラフィックは年々増加をしております。

 携帯電話の契約数は、我が国の人口を上回った後も増加を続けておりまして、令和三年九月末時点で約一・九八億契約でございます。また、通信トラフィックについて申し上げますと、令和三年九月では、一契約当たり月間で約八・七ギガバイトの通信が行われるなど、昨年の令和二年九月に比べ約一〇%増加をしているところでございます。

 こうした傾向は、更に大容量通信が可能になります5Gの普及につれまして加速するものと想定されております。今後、様々な取組を行わなければ通信品質の低下が生じかねないほど、周波数が逼迫するものと考えております。

小森分科員 ありがとうございます。

 電波というのは、目に見えないものでもございまして、私も含めて専門外の人々にとってはなかなか分かりにくい問題であろうかとは思いますけれども、今御答弁いただきましたように、数字の上からも、電波の利用が増加していて逼迫が続いていて、今後、もしかするとその品質の低下というのも起きかねないような状況であるというような御答弁をいただいたというふうに受け止めました。

 これはそれぞれの事業者にとっても大変大きな問題ではないかというふうに思うんですけれども、特に、後発というか新しく出てくるような事業者からも、こうした電波利用について、更なる割当てというのが求められているようなことというのは起きているのかどうか、お答えをいただければというふうに思います。

二宮政府参考人 委員御指摘のとおり、携帯電話事業者、特に新規参入をされている携帯電話事業者さんを中心に、携帯電話の周波数につきまして、更なる割当てをという御要望はいただいております。

小森分科員 ありがとうございました。

 こうして周波数の逼迫が続く中、きちんと有効利用しなければ、事業者にとっての事業展開に支障が生じたり、あるいは、そこで提供されるサービスの利用者である我々国民にとっても、なかなかそのサービスが受けにくくなるというようなことが生じかねないということだというふうに受け止めをいたしました。

 このような状況に対しまして、総務省あるいは携帯電話等の事業者の方々も、この電波の利用を効率的に行うという取組をしていたのではないかというふうに思っておりますけれども、これまでどのような取組を行っていらっしゃったのか、説明をお願いしたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 周波数が逼迫し通信品質の低下を防ぐため、総務省におきましては、携帯事業者への新規周波数の割当てを実施してきたところでございます。

 5G用の周波数で申し上げますと、平成三十一年四月に携帯事業者に周波数の割当てを実施して以降、4G等で使用されております周波数帯に5Gを導入するための制度の整備を行っております。また、更なる周波数需要に柔軟に対応するために、令和三年四月にも周波数の追加割当てを行いました。このほか、電波の有効利用を実現する研究開発も実施をしてきたところでございます。

 こうした取組を通じまして、総務省といたしましては、有限希少な資源である周波数の逼迫状況の緩和に取り組んでいるところでございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 今回の改正法案におきましては、今御説明をいただきましたこれまでの取組を更に強化をするということで、電波の有効利用の程度につきましてより適切な評価を行うために、電波監理審議会、有識者の方々から構成される審議会というふうにお聞きしておりますけれども、こちらが有効利用の評価を直接行うようにするということでございます。

 今後、どのような評価が行われることになるということを期待し、見込まれているのか、そしてまた、これまでとはどのような違いが起きるということを期待されているのか、説明をお願いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 社会経済のデジタル化によりまして、電波利用ニーズが拡大する中、分野横断的な周波数再編、共用の推進が喫緊の課題となっております。

 このため、国会でお認めをいただきますれば、これまで総務大臣が行ってまいりました電波の利用状況の評価について、広い経験と知識を有する第三者機関である電波監理審議会が主体的に評価、提言できる仕組みを導入して、電波、放送行政のより一層の透明性、客観性を高めることができると考えております。

 これによりまして、電波監理審議会の評価結果や提言に基づき、分野横断的な周波数の再編、共用をより強力に推進するとともに、今回の法案に盛り込んだ携帯電話等の周波数の再割当て制度の中でも活用をしていくことによりまして、更なる電波の有効利用を強力に促進してまいりたいと考えております。

小森分科員 どうもありがとうございました。

 これまで総務省が行ってきた電波の有効利用の判断というのを、電波監理審議会がより専門的な知見で直接これをチェックするということだというふうに承りました。また、横断的な周波数の再編、事業者への再割当てについても、この審議会から総務大臣に対してということと思いますけれども、勧告をするといったようなこともできるようになるというふうに承っております。こうしたことを通じて、希少有限な資源であります電波の利用の効率性が上がることを期待しているものだというふうに受け止めをいたしました。

 今回の改正は、これまで議論させていただいたように、従前よりも強力に周波数の再編や再割当てを行うことを可能とするような意欲的な内容だというふうに受け止めております。事業者による電波の有効利用の促進、そして、この希少な有効な資源である電波の利用の効率性の向上、事業者のサービスを利用する国民の利便の向上にもつながる、あるいは国民の利便が下がらないように未然に防止をするといったようなことを目指しているのではないかというふうに考えられるものでございまして、趣旨に大いに賛同するものでございます。

 一方で、今回、これまでの対策を超える、例えば再割当てなどを含めた強力な取組を行うという内容でもございます。電波法におきましては、電波の公平かつ能率的な利用を確保するということがうたわれているわけでございますけれども、この電波の公平かつ能率的利用の確保の意義について、事業者そして事業者のサービスを利用する主体である私たち国民の方からも理解され、支持をされるということが、こうした強力な措置を実施していく上でも大事なことだというふうに考えるところでございます。

 今回の制度改正が行われまして新しいシステムが導入された後は、実際に周波数の再編、また、こうした再割当てを実施していくこと、そしてまた、これを公平かつ円滑に行うというようなことの重要性について指摘を申し上げたいと思います。制度を用意するというだけではなくて、実際に稼働させていくということが、サービスの利用者の利便性あるいは満足度を高めるということにつながりまして、そして、それが更なる、次なる電波の有効利用を促していくというようなよい循環、好循環をつくり出していくのではないかというふうに期待をしているところでございます。

 今申し上げました二つの点、電波の公平かつ能率的な利用の確保の意義の浸透、そしてまた、新たにつくられる手法を実際に活用していくことにつきまして、総務省の決意をお伺いできればと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話を始め様々な電波システムが国民生活に普及しておりまして、有限希少な国民共有の財産である電波の重要性が一層高まっていることから、電波の公平かつ能率的な利用の確保によりまして、公共の福祉を増進することが極めて重要と考えております。

 このため、今国会に提出いたしました電波法及び放送法の一部を改正する法律案では、御指摘のとおり、電波監理審議会によります電波の利用状況を評価、提言する仕組みに加えまして、割当て済みの携帯電話等の周波数の再割当て制度などを盛り込んでいるところでございます。

 有限希少な電波につきまして、専門的な知見を踏まえた客観的な評価を通じて、分野横断的な周波数の再編、共用や、携帯電話などの周波数の固定化への対応など、更なる電波の公平かつ能率的な利用を促進してまいりたいと考えております。

小森分科員 大変どうもありがとうございました。

 スマートフォン、あるいは携帯事業者によりまして大容量プランの普及が進む中、そしてまた5Gの時代が来るという状況の中で、電波、周波数、こうしたものの有効な利用を行う必要性、そして重要性というのはとても今日的な課題であるというふうに思います。利用者であります私たち国民の日常生活にも関わるとても重要なテーマだというふうに受け止めております。

 今回の電波法の改正の内容は、専門的で、また大変難しいものであるというふうには思っております。今日はできるだけ分かりやすく答弁をしていただいたところではございますけれども、これに関して、こうした重要なテーマでもございますので、世の中の理解が更に深まることが大変大事な問題だというふうに考えております。私自身はこの問題については門外漢ではございますけれども、こうした重要性に鑑みまして、予算委員会の分科会で今回取り上げさせていただきました。

 総務省には、今後、是非とも、この改正、そしてその実施について、しっかりと取り組んでいただくようにお願いをいたします。

 ということで、私、今回の質疑を終わらせていただきます。大変どうもありがとうございました。

秋葉主査代理 これにて小森卓郎君の質疑は終了いたしました。

    〔秋葉主査代理退席、主査着席〕

中谷主査 次に、近藤和也君。

近藤(和)分科員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 先ほどは石川一区の小森さんということで、石川県つながりでございます。

 今、石川県は大変熱いです。雪が降っているんですけれども、ある意味、熱い地域になっておりますが、よい地域になっていけばいいなというふうに思います。

 大臣は、石川県に来られたことはありますでしょうか。また一度、是非お越しいただければと思いますが、私のこの手の形は能登半島の石川県の形です。少し鉄道の話をさせていただければと思います。

 金沢はこの辺りで、金沢から途中まではIRいしかわという、新幹線を造ることによって、並行在来線はJRから売り離すということで、第三セクターになっています。そして、途中がJRで、また途中からが第三セクター、のと鉄道というところになります。

 そして、のと鉄道から、本当はこの指の先まで鉄道があったんです、以前は。あったんですが、やはり経営が厳しいということで廃線になりました。穴水というところ、遠藤関がいますよね、遠藤関の穴水町から輪島、そして珠洲に至るところまで、二十キロ、四十キロあるんですけれども、それぞれが廃線になりまして、地域の廃れ具合といいますか、鉄道がなくなると、駅がなくなるとこんなに寂しくなるのかということを現在進行形で悲しんでいます。苦しんでいます。

 このようなことも含めて、私たちは、地域の公共交通機関を何とかして守っていかなくてはいけないという思いが非常に強いですし、減便ということに対しては、かなり神経質にならざるを得ません。その中で、コロナが、今もう三年目に入ります。JRが、七尾線の部分に関してですけれども、減便をするという動きになってきています。大変苦しいです、今後のことを考えてみても。

 そして、その中で、直接JR西日本に対しての支援ということは、今までの経緯を考えても、しにくいということは、いろいろな議論がございますけれども、下のIRいしかわ、そして上の、のと鉄道、こちらに対しても、何らかの形で、上下で挟み込むような形で、こちらも楽なわけじゃないですから、コロナで厳しいのは一緒なので、こちらをしっかりとサポートしていただくことが、結果としてこの七尾線を守っていくことにもつながっていくのかなというふうに思います。

 そこで、伺います。

 地域の足をしっかりと確保するという姿勢を国交省そして総務省とも示していただきたいと思うんですが、JRや地域鉄道も含めた連携、そして支援の在り方をそれぞれの省に伺いたいと思います。まずは国交省からお願いいたします。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 各地のローカル鉄道は、沿線人口の減少、少子化に加えて、マイカーへの転移等により利用者が大幅に減少するなど、一部の区間が危機的な状況に置かれています。さらには、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が拍車をかけている状況でございます。

 国土交通省では、のと鉄道、IRいしかわ鉄道などの地域鉄道事業者を対象に、レール、枕木、車両等の安全性の向上に必要な施設設備の更新等に対して支援を行っているところでございます。

 また、令和二年度第三次補正予算以降、地域鉄道事業者が行う新型コロナウイルス感染症対策としての衛生対策や実証運行の経費の支援や、さらに、JRも含めた全ての鉄道事業者を対象に、観光事業者等と連携して行う利用促進の取組に対する支援を行ってきており、令和三年度補正予算にも、必要な経費を計上しております。

 国土交通省としては、こうした必要な支援を継続しつつも、将来を見据え、鉄道事業者と沿線地域が危機認識を共有し、改めて大量高速輸送機関としての特性を評価した上で、相互に協力、協働しながら、利用者にとって利便性と持続性の高い地域公共交通を再構築していくための環境を早急に整えていく必要があると考えております。

 そのため、国の関与、支援の在り方も含め、具体的な支援を検討するための有識者検討会を一昨日、二月十四日に立ち上げたところであり、今後、関係者の御意見をしっかり伺いながら、夏頃の取りまとめに向けて議論を進めてまいりたいと考えております。

田畑副大臣 近藤先生、ありがとうございます。

 私、地元のお隣の富山県でございますので、能登の地域鉄道への支援に対する熱い思い、受け止めさせていただきました。

 お答えを申し上げたいと思います。

 各地のローカル鉄道は、人口減少、少子化、さらには新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、極めて厳しい経営環境にあるものだというふうに認識をしてございます。

 このような中、今ほど御答弁ありましたが、国土交通省の取組に加えまして、総務省といたしましては、IRいしかわ鉄道、のと鉄道を含め、地方団体が行う地域鉄道の施設整備への補助に対して地方財政措置を講じているところでございます。

 今後とも、地域公共交通ネットワークの確保に向けまして、国交省とも連携をしながら、必要な支援にしっかり努めてまいりたいと思います。

近藤(和)分科員 どうもありがとうございました。

 何とかして生き延びていかなくてはいけません。そして、今は自動車の時代になってはいますけれども、自動車を運転できない方の方が多くなる時代も、いずれ遠くないうちにやってまいりますので、そのときに、もう鉄道がないということがないように、しっかりと力を合わせていけたらなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、木村政務官、ありがとうございました。

 それでは、政治と金の問題に参ります。

 この一週間ばかり、ある都道府県連をめぐって国会でも議論になっています。大変残念と言わざるを得ません。

 その中で、立候補を控えた政治家が都道府県連に寄附をして、そして、その都道府県連から、地域の動いていただく地方議員の方に寄附をする、これは、政治資金規正法上では合法な寄附ということなんだろうと思います。

 一方で、お隣に階議員もいらっしゃいますが、先日、予算委員会の中で、立候補を控えた御自身が、直接、動いていただけそうな地方議員の方にお金を渡すのではなくて、団体を通じて、そのような意図を持ってお金を迂回して渡せば、これは買収罪が成立するんではないかということで、これは総務省の選挙部にも確認をしているということなんですが、改めて伺いますが、AさんがBという団体を通じてCにお金を渡すこと、これは合法的な寄附、政治資金規正法上では合法であったとしても、結果として、AさんからCさんに意図を持ってお金を渡すことは、これは公職選挙法上での買収に該当するんではないでしょうか。一般論で結構なので、お願いいたします。

金子(恭)国務大臣 近藤委員にお答え申し上げます。

 総務省としましては、個別の事案について実質的な調査権を有しておりません。具体的な事実関係を承知する立場にありませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、買収についてお尋ねがありましたので、公職選挙法の規定について申し上げますと、第二百二十一条第一項第一号におきまして、当選を得又は得させる目的などをもって選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与などをしたときにおける買収罪について規定されております。

 いずれにしても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

近藤(和)分科員 私は一般論として伺ったので、個別のことを、あえて都道府県連という、かなりマイルドに包んだような形で申し上げたんですが、一般論として、AさんからBという団体を通じてCに。AからCにお金を渡すことは、これは買収でストレート過ぎますが、結果として、AさんからCさんへ、Bさんを迂回してお金を渡すことは、これは買収罪に該当してしまうんではないでしょうか。一般論で聞いていますので、一般論で答えてください。

金子(恭)国務大臣 先ほども申し上げましたが、当選を得又は得させる目的などをもって選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与などをしたときにおける買収罪について規定をされております。

近藤(和)分科員 ある与党の幹事長さんは、ほかの党でもやっているんじゃないかというようなことがあって、いや、私のところはないのになというふうには思っていますが、個別だけではなくて一般論としても、やはりおかしいことはおかしいと言っていただかないと、この政治と金の問題はきれいにならないと思います。大臣のようなきれいそうな方が大臣のうちに、この政治と金の問題、きれいにしていただけたらと思います。

 恐らくは、予算委員会等でまた階議員がこれから進めていくことになると思いますので、一般論でなくて個別的な話になっていくのかなと思います。是非よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に参ります。

 これは、選挙の中で、今、嫌な風景が出てくるようになりました。のぼり旗です。先ほど、少し石川県が熱いというふうにお話しいたしましたが、いろいろな選挙でこののぼり旗が出てきている地域があると思います。

 私の地域でも、十年ぐらい前までは、旗の色だけで何となくその候補者をイメージさせるような、そして、途中から、スローガンでイメージさせるような、そして、ここ直近では、もうストレートに、顔のプリントから名前まで、かなりずけずけとこのグレーゾーンのところをやってきているのかなといったところは感じます。

 そこで、そもそも論のところからスタートいたしたいと思いますが、選挙の半年前から、個人のポスター、候補者になり得る方のポスターが貼れないのはどうしてでしょうか。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 公職の候補者等、個人の政治活動のために使用される、その氏名等の表示がなされたポスター等につきましては、公職選挙法第百四十三条第十六項の規定により、各選挙の前、一定期間においては、御指摘のとおり、当該選挙区内における掲示が一切禁止をされております。

 これは、平成六年の公職選挙法の改正により、従来の規制に抵触しない政治活動用ポスターが、選挙が近づくと大量に掲示されるという実情を踏まえまして、金のかからない選挙の実現、町の美観の確保の観点から禁止されることとなったものと承知をしております。

近藤(和)分科員 大量に貼り出されるんですよね。そして、お金もたくさんかかってしまうのを防ごうと。そして美観。正直、私たちがポスターをあちこち貼っていますので、美観をどうこう言われるとつらいところはあるんですけれども。

 そういったことで、今、半年以内の個人のポスターのところは制限をかけるように、そこからいわゆる二連ポスターが貼られるようになってきたと。

 そして、次に伺いますが、公営掲示板の存在意義、そして、さらには、選挙のときには証紙、これはポスターも、あとチラシにも貼らなければいけないですが、両方併せてどうしてなのかということをお願いいたします。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法第百四十四条の二に規定をいたしますポスター掲示場につきましては、ポスター掲示場所に関する候補者間の公平の確保、町の美観の維持、選挙運動費用の節減、選挙人の便宜などを趣旨としているものと承知をしております。

 また、公職選挙法第百四十四条の規定によりまして、ポスター掲示場以外に掲示をする選挙運動用ポスターに貼り付けることとされている証紙につきましては、ポスターの枚数が制限されていることに伴い、その枚数を確認されるためのものと承知をしております。枚数が制限されているビラについても同様のものと承知をしているところでございます。

近藤(和)分科員 公平性の確保であったり費用の節減、お金がかからないようにするということだと思います。

 そこで、この公職選挙法のそもそもの目的の一つには、やはり先ほどのこの二つ、三つ、伺いましたが、お金がかからないようにするということが大変重要なことだと思うんですが、このことについて、大臣、所見をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 選挙運動は、各候補者の人物、政見等も含め、有権者に誰を選択すべきかの判断材料を提供するものですが、無制限に認めると、財力や権力等によって選挙がゆがめられるおそれがあると言われております。

 そのため、公職選挙法では、選挙運動の時期、主体、方法について制限を加える一方で、可能な限り、選挙公営を拡充して、いわゆる金のかからない選挙を実現し、もって選挙の公正を確保しようとしているものと承知をしております。

近藤(和)分科員 それで、いわゆるのぼり旗、具体的には二連のぼり旗です。こちらについては、今、公職選挙法の二百一条の十三の二項ですかね、こちらについては、公示日から選挙期日までの間における新たな掲示に対する規制でやって、選挙期間前から掲示されているものについては適用されない。

 何度か議論されていると思いますが、大臣、選挙期間に入ったら駄目だけれども、選挙期間に入る前からであれば大丈夫じゃないかという、今まで見解があるんですね。でも、それを許せば、もう選挙前から、いわゆるのぼり旗、二連の旗をたくさん立ててしまってもいいということになってしまいます。私はこれはかなりおかしいことではないかなと。公職選挙法の趣旨からしても、お金のあった者勝ちのような形になってしまいます。

 そこで、さらに、そこから、それだけではないだろうということで、百四十六条の中で文書図画の頒布又は掲示につき禁止を逃れる行為の制限、この禁止を逃れる行為、いわば自分のポスターだったら駄目だから旗に逃れるという、そういうことは十分想定され得ると思います。

 そして、次の百四十七条の中で書いてございますが、「撤去させることができる。」と。この「撤去させることができる。」ということについても、「選挙運動の期間前又は期間中に掲示した文書図画で前条の規定に該当するもの」、「前条の規定」というのは、禁止を逃れる行為としてのものであれば、選挙期間だけではなくて選挙期間前からのものでも撤去させることができますよということになっています。

 今までのお話を聞いていただいて、こののぼり旗、あからさまな名前やポスターが書いてあるものは、選挙中であろうが選挙前からであろうがおかしい、少なくとも最低限撤去はさせなきゃいけないというふうにしか読み取れないんですが、大臣、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 私の地元では、二連ポスターは見るんですけれども、二連ののぼりというのは実は見たことないんですね。

 そのことは別にして、今、公職選挙法の御紹介もいただきました。のぼりを含めまして、選挙の公示又は告示前に掲示された文書図画について、選挙管理委員会は、選挙運動の禁止を逃れる行為として掲示されたものと認めるときは、公職選挙法第百四十七条第五号の規定により、当該文書図画を撤去させることができることとされております。

 選挙運動の禁止を逃れる行為としては、掲示された文書図画であるか否かについては、その内容や、掲示された時期、場所、方法等を総合的に勘案して判断されるべきものでございます。

 いずれにしましても、同条の規定による撤去につきましては、都道府県又は市町村の選挙管理委員会において、具体の事実に即して適切に判断されるべきものと考えております。

近藤(和)分科員 恥ずかしながら、私のところなので、私自身、選挙管理委員会や警察にも伺いましたが、要は、国がはっきりした方向を示してくれないと動きづらいというふうに言われるんですよ。

 撤去させるということで、違法だから何らかの形で罰せられるということじゃないんですよね。あとは、現場の判断というのは大変苦しいと思います。各選管の方も警察の方も、警察庁に問い合わせたということも伺いましたけれども。

 少なくとも、ただ、この行為を見逃していけば、それこそポスターに証紙を貼る意味がなくなります。二連ポスターなんて、選挙が半年以内になれば、今参議院の候補者ももう自分だけのポスターは駄目になりましたね、七月に選挙ですから。わざわざ二連ポスターにする意味もなくなります。そして、お金をどれだけでもかければ旗を立てることができるわけですから、二連ポスターということで、もう何百万でも何千万でもかければ、その方の顔と名前は売れていくことになります。

 ここが私は、大臣が御地元ではないということを言われましたので、今ここで放っておけば、全国中そうなります。そして、お金のあった者勝ちのような形になってしまえば、お金を集めなきゃいけません。変な形でお金を集めるという動きがまた続いてしまいます。政治と金の問題がエンドレスになってしまいますので、やめられることからやめましょうと。

 公職選挙法のそもそもの目的は、お金のある人もない人もかかわらず、みんなで関係なく政治をやっていきましょうということだと思うんですね。その大本に立って返れば、グレーのものは白なんじゃなくて、グレーなものは黒ですよとはっきりと言ってあげることが、私はこれは日本の政治のためになると思うんです。

 どうか御決断を、はっきりと駄目なんですよと言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 二連ののぼり、いろいろな意味で、微妙なものとかいろいろなものがあるんだろうと思います。そういったことも含めて、さっき申し上げましたように、時期とか内容とか場所とか方法とか、そういったものをしっかり明確な判断の下に各選挙管理委員会で判断していただくということが重要なんだろうと思います。

 おっしゃったことはよく理解できます。

近藤(和)分科員 御理解いただきまして、ありがとうございます。

 日よけのために旗を立てるわけじゃないですからね。あくまでも知名度を上げるための旗だと思いますので。こういう目的がはっきりしていますので。どうか、今後このようなことがないようにしていかなきゃいけないなと思いますし、もしそのままだったらまた質問しますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、大臣、これで結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、私立学校と政治について伺いたいと思います。

 私立学校における理事や学校長の政治活動、どのような制限がかけられているのか。その目的、意義も含めてお願いいたします。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 教育基本法第十四条第二項は、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対する政治教育その他政治的活動をしてはならないとしており、この規定は私立学校に対しても適用されます。

 私立学校に関し、学校法人の理事長等の役員や、設置する学校の校長が個人として政治的活動を行うことにつきましては、これは直接禁止する法令上の規定はございません。

 一方で、例えば、これらの者が学校教育活動の中で特定の政治家への支持を呼びかけるといった政治的活動をすることは、教育基本法第十四条第二項の趣旨に鑑みて適切とは言えないと考えております。

 また、公職選挙法は、例えば百三十七条におきまして、教育者の地位を利用した選挙運動を禁止しており、私立学校につきましても本規定は適用されます。

近藤(和)分科員 ぱっと伺うと、ある程度厳しめにされているのかなというふうに思いますが、ただ、この教育活動というのもかなり幅広いと思うんですね。授業の一つなのか、例えば入学式や卒業式、学校の何十周年記念式典とか、こういったところも含めて、この教育の活動、例えば具体的にですが、入学式、卒業式というのは教育の活動に入るんでしょうか。

森(晃)政府参考人 お答えいたします。

 卒業式、入学式など、これは学校行事でございますので、通常、小中高等学校等で教育活動の一環として行われているものでございます。

近藤(和)分科員 教育活動の一環ということですね。

 それでは、その教育活動の一環の行事の中に、特定の政治家、議員のみが参加をする、意図的に、結果として、連続的にそれが参加することが、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他の政治活動が禁止されているということに対して反するのではないでしょうか。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、教育基本法第十四条第二項は、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対する政治教育その他政治的活動をしてはならないとしておりまして、この規定は私立学校に対しても適用されます。

 また、今委員御指摘の卒業式その他の学校行事に対しまして、どのような方を招待し、参加していただくかにつきましては、各学校や学校法人において適切に判断されるべきものでありまして、一般的には、学校を支える地域の代表者の方々、そういった方々を招待することが考えられるかと思います。

 その際、特定の政治家を招くことにつきましては、教育基本法第十四条第二項の趣旨を踏まえまして、各学校及び学校法人において適切に判断していただくことが重要と考えます。

近藤(和)分科員 各学校法人などにおいて適切に判断するということですが、自分たちが、偏った人だけを呼んでも適切だと判断すれば、それは適切だということになってしまうように聞こえたんですが、いかがなんでしょうか。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 これも先ほど申し上げましたけれども、どのような方を御招待するかにつきましては、各学校また学校法人において適切に判断するということで、先ほども申し上げました教育基本法第十四条第二項の下で判断をしていただくということになります。

近藤(和)分科員 はっきりしたお答えをいただけないような状況なので、次に参りますが、それでは、教育基本法に違反した場合、私立学校であれば、どのような措置がなされるんでしょうか。

森(晃)政府参考人 私立学校において、教育基本法第十四条第二項に違反して、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他の政治活動を行った場合に、これを処罰するような規定はございません。

 仮に、当該規定に違反して選挙活動及び政治活動が行われているような実態がある場合には、まずは、設置者である学校法人が自らの判断で是正を行うべきものでございます。

 その上で、学校法人による自主的な是正が図られない場合には、所轄庁、これは高等学校とか中学校を設置する法人であれば都道府県がそれに該当いたしますけれども、所轄庁による指導等を通じて違反が是正されていくべきものと考えております。

 文部科学省では、累次の国政選挙の機会を捉えまして、各都道府県に対しまして、教育基本法や公職選挙法の内容について周知を図っているところでございまして、引き続き、法令を遵守し、適切に対応していただくことが重要と考えております。

近藤(和)分科員 十八歳以上の投票権ということにも今なりましたし、若い方の政治参加というのは非常に大事なことだと思いますので、そのバランスをしっかりと取っていただければというふうに思います。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて近藤和也君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井比早之君。

藤井分科員 自民党、藤井比早之でございます。

 金子大臣には、予算委員会、総務委員会と、連日お疲れのことと思います。通告しておりませんので、御退席していただければと思います。

 それでは、早速質問に移りたいと思います。

 まず、地方自治体の情報システムの標準化、共通化でございます。

 行政手続の窓口は、まさに市区町村、地方自治体でございます。最終的には、六十秒以内でスマホで全ての行政手続が可能となるデジタル社会を築いていく。そのためには、各自治体の情報システムの標準化、共通化が欠かせません。

 自治体は規模によって違う、自治体ごとのカスタマイズをどうするのか、また、ベンダーから違約を求められたらどうするんだというような話がございます。自治体の情報システムの標準化、共通化のためには、課題が山積していると言ってもよいと思います。

 しかし、これは一刻を争います。一刻も早くガバメントクラウドを進めなければならない。これぐらいの人口規模だったらこれぐらいのシステムで標準化、共通化すればいいのだなというモデルを見せないと、自治体はどうしたらいいか、まだ分かりません。

 地方自治体のデジタル化推進のための標準化、共通化に向けた取組、ガバメントクラウドの進行状況についてお伺いします。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化につきましては、住民記録、地方税、介護や福祉といった地方自治体の二十の基幹業務システムにつきまして、ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行環境を整備する取組でございます。

 他方、この基幹業務システムにつきましては、住民サービスに直結するサービスでございますので、統一、標準化につきましては、各地方公共団体のシステムの状況に応じまして、適切に計画を進めていくことが必要と考えてございます。

 そのため、御指摘ありましたとおり、まずは、地方公共団体が安心してガバメントクラウドを利用できるようにする観点から、令和三年度及び令和四年度におきまして、神戸市を始め八団体の皆様に、ガバメントクラウドを利用するに当たっての課題の検証を行う先行事業を実施していただいているところでございます。

 具体的には、先行事業におきまして、ガバメントクラウド上のテスト環境で市町村が現に利用する基幹業務システムを稼働させた上で、セキュリティー、性能・拡張性、移行性、運用・保守性などの要件を満たすことや、システム間連携の有効性、投資対効果等を検証することとしてございます。

 現在、検証のためのガバメントクラウドの環境を採択団体に順次提供を開始しているところでございまして、この先行事業で得られた知見等につきましては、随時、自治体職員との対話の場である共創プラットフォーム等を通じて情報を共有した上で、対話をしながら進めていくこととしてございます。

 また、基幹業務システムをガバメントクラウドに構築された標準準拠システムに移行するための経費につきましては、令和二年度第三次補正予算等におきまして、総務省の方から地方自治体に補助するため、J―LISに対し、約一千八百億円を交付して、デジタル基盤改革支援基金を設けているところでございます。

 デジタル庁としましても、総務省と連携しまして、自治体の御意見を丁寧にお聞きしながら、一体となって取組を進めてまいりたいと考えてございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 今紹介していただきましたけれども、先行事業に神戸市を採択していただきました。ありがとうございます。全国八団体のうちの一つ、政令指定都市、人口百万以上だったら唯一という形になります。是非、ガバメントクラウドを早期に立ち上げて、全国の自治体の情報システムの標準化、共通化、千八百億円、急いでいただきたいと存じます。

 次に、デジタルデバイドの解消についてお伺いします。

 誰一人取り残されないデジタル社会、誰一人取り残さないデジタル社会をつくるためには、デジタルデバイドの解消が不可欠です。

 ワクチン接種の予約システムも、幾ら優れていても、使えなければ意味がない。ワクチン接種予約も、神戸市では、大学生等の皆様が予約をサポートされたり、予約の仕方を丁寧に教えておられました。全国の至る所でこのような取組が、自治体の窓口で行われました。御家庭では、お孫さんが。

 こうしたデジタル活用に不安のある高齢者等の皆様、障害者等の皆様のためにデジタル活用を支援する体制、システムが必要と考えますが、総務省の取組をお伺いします。

渡辺大臣政務官 藤井議員の質問にお答えしますが、社会全体のデジタル化が進む中で、デジタル格差を解消し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備していくことが必要でございます。

 このため、総務省では、デジタル活用に不安のある高齢者等を対象として、オンラインによる行政手続など、スマートフォンの利用方法を教える講習会を、今年度から、携帯電話ショップなどを中心に全国約二千か所で開催しているところでございます。一方で、携帯電話ショップがない地域は全国で七百五十市町村あることから、必ずしも行き届いていない地域もあると認識しております。

 そこで、総務省は、来年度は、講習会の実施箇所数を約三千か所に拡大するほか、地方公共団体とも連携し、講師派遣を実施するとともに、講師についても、地域の人材を育成し、拡充していく予定でございます。

 こうした取組を通じて、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境整備を推進してまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。講習会、ショップのないところも配慮していただけるということで、三千か所、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 これはソフト対策なんですけれども、誰一人取り残されないデジタル社会実現のためには、ハード対策も必要でございます。使おうにも使えない地域があってはなりません。5G、ビヨンド5Gのための基盤整備、財政、税制を含めた支援策についてお伺いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5G整備につきまして、総務省では、過疎地などの条件不利地域における基地局整備のための補助金や5G導入促進税制などの支援措置を講じ、携帯電話事業者の5G基地局整備を後押しをしているところでございます。

 このうち、5G基地局整備のための補助金は、令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算案におきまして、補助対象地域を条件不利地域の全域に拡大したほか、複数の事業者で共用する基地局などを設置、運営する事業者、いわゆるインフラシェアリング事業者を新たに補助対象として追加することとしております。

 また、ビヨンド5Gにつきましては、二〇三〇年代の社会や産業の基盤であり、我が国の国際競争力の強化のために極めて重要な技術でありますので、総務省では、ビヨンド5Gの早期の実現に向け、令和三年度補正予算と令和四年度当初予算案におきまして合計三百億円を計上し、企業や大学等の研究開発を強力に支援してまいります。

 5Gなどのデジタル基盤の整備は、デジタル田園都市国家構想を実現するためにも重要でございます。引き続き、必要な支援を行ってまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。

 デジタル敗戦と言われているような状況でございまして、5Gでは日本は大きく後れを取っているのが現状かもしれませんが、何とか、ビヨンド5G、その先は後れを取らないように、国際競争力を強化するために、AIの活用、そしてまた自動運転など新たなデジタル技術の展開のために、是非、国を挙げて取り組んでいただきたいと存じます。

 誰一人取り残されないデジタル社会実現のために、今まで、通信施設の基地局の整備、そういったところについて、あとハードもソフトもなんですけれども、お伺いしてきました。

 ところで、放送施設はどうなっているのかというのをお伺いしたいんです。

 この日本の国で、どこに住んでいてもひとしく平等にテレビが見られる、これは本当は当たり前のことだと思うんですけれども、実は、テレビ塔の場所とか山影の関係で、テレビの難視聴地域があります。私の地元三木市にも、テレビ組合を設立し、共聴施設がなければテレビや、放送が見られない地域が存在します。

 この共聴施設も、もう部品がなくて修理ができないんじゃないか。一方、更新せず撤去するには、一軒一軒、負担が膨大なものになる。この共聴施設の更新とか撤去のために、財政支援等、国の支援策はあるのでしょうか。お伺いいたします。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 放送は、民主主義の基盤でありまして、災害情報や地域情報などの社会の基本情報の提供という公共的な役割を果たしております。

 放送法におきましては、放送が国民に最大限に普及されるとし、また、例えば、民間放送事業者は、放送があまねく受信できるように努めるものとするとしております。

 他方、受信機、アンテナの設置など、放送の受信環境の整備は個々の受信者が個別に負担いただくことが原則であり、放送が直接受信できないような地域においても、一般に、視聴者の御負担により、ケーブルテレビへの加入あるいは共聴施設の設置などの手段によりまして放送を視聴いただいているのが実態でございます。

藤井分科員 今、御答弁がありました、放送は民主主義の基盤であると。まさに放送こそユニバーサルサービスが必要だと考えます。ある地域だと、テレビを見るのに特別な負担がある、共聴施設を撤去するにも大きな負担が求められる。これは本当に住む地域によって不平等だ。差別があるんじゃないかと思います。

 片や、5G、ビヨンド5G、通信、デジタルだったら支援策は満載だ。いや、これは必要だから絶対進めていただかないといけないんですけれども、しかし、放送ではありませんでは、これはやはり縦割りの弊害と言えるんじゃないでしょうか。

 放送も通信も電波を使うという意味では同じですから、ブロードバンドへの代替とか通信のインフラが使えないか、早急に検討をお願いしたいと思います。

 また、放送施設の維持費の問題は、地方局の経営の問題にも直結してきます。小規模の中継局、いわゆるミニサテライト局をどうするのか。光ファイバーや、せっかく整備する5Gで代替できないのかといった論点があるのではないか。

 放送施設の維持費の在り方、テレビ離れ、インターネットによる動画視聴が進展する中での地方局の在り方についてお伺いします。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 二点御質問があったかと理解しております。

 一点目のブロードバンドインフラなどの活用につきまして、近年、社会全体でデジタル化が進展する中で、ブロードバンドインフラの整備が進められていることにより、ブロードバンドが様々な情報を伝達することが可能となるデジタル基盤として機能し、全ての方々がデジタル化のメリットを享受できる暮らしの実現に寄与するということが期待されております。

 総務省におきましては、御指摘のありました共聴施設も含めた従来の地上デジタルテレビ放送のネットワークインフラの維持が困難となることも考えられることを踏まえまして、有識者会合を開催し、放送制度の在り方について議論を行っております。この中で、ブロードバンドや5Gの活用なども含めました放送ネットワークインフラの柔軟な整備、運用の在り方につきましても、視聴者負担の観点も含めまして検討しているところでございます。

 また、ローカル局についてのお尋ねもございました。

 いわゆるローカルテレビジョン放送局は、災害情報を始め、地域の視聴者ニーズを踏まえた地域密着型の様々な情報発信をする主体として重要な役割を担っているものと考えております。他方、先生御指摘のとおり、ローカル局を取り巻く環境は大きく変化しております。人口減少、若者のテレビ離れ、インターネット広告や動画配信事業の伸長、こういうことなど、その経営環境は厳しいものとなってきているものと承知しております。

 このような問題意識から、先ほど申し上げた有識者検討会、先ほどはブロードバンドの活用について申し上げましたが、もう少し幅広く、放送ネットワークインフラについて、デジタル技術の導入等によって効率的なコスト構造への転換をどのように図っていくか、あるいは、放送コンテンツのインターネット配信をどのように推進していくのかなどについて、本年夏の取りまとめに向けまして検討を進めているところでございます。

 地域における安心、安全、情報の多様性の確保は今後も必要と考えております。ハード設備に係るコスト負担の軽減も含めまして、各放送事業者の経営努力を後押しする方策というものにつきまして、有識者検討会における議論も踏まえながら検討してまいりたいと存じます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 ブロードバンドの柔軟な活用、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、視聴者の負担というのもありましたので、そこのところもしっかり配慮していただきたいなと思います。また、地方局の経営環境の話がございました。地域の安全、安心のために、やはり放送は必要だというふうに考えます。

 また、実際のところ、私は、現在のキー局、準キー局、地方局という体制自体が東京一極集中とか大阪一極集中をもたらしているんじゃないかと思っております。地元のことは放送されないから実は知らない。でも、渋谷とか銀座の店は知っている。キタやミナミの店は知っている。これが実態なんです。東京や大阪のことはむちゃくちゃよく分かっている。でも、自分のところの首長は知らない。テレビに出る首長は知っている。これではいけないと思うんですよね。

 先ほど、放送は民主主義の基盤という話がございました。放送の重要性はやはり信頼にあると思います。視聴者の信頼あってこそ放送は成り立つのではないか。放送に偏向とかフェイクニュースがあってはなりません。民主主義の基盤なんだから。

 そこで、例えば、放送において差別的表現等があった場合には、その対応はどうなっているんでしょうか。一方、問題になっている、SNSとかで差別的表現があった場合の対応はどうなっているのか、お伺いします。

吉田政府参考人 放送についてお答えをいたします。

 放送において差別的表現が行われないようにするということは当然のことと考えております。一方、放送法は、放送事業者が自らの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっております。

 放送事業者においては、こうした放送法の枠組みの下、公共的役割を担う存在として自らを律し、放送番組の適正化に努めていただきたいと考えております。

二宮政府参考人 お答えを申し上げます。

 インターネット上における人権侵害情報の拡散を防ぐためには、プラットフォーム事業者による利用規約に基づく迅速な削除が重要でございます。特に、人権侵害情報につきましては、法務省の人権擁護機関、地方公共団体、一般私人等が、様々な立場からプラットフォーム事業者等に対しまして削除要請等を行っております。

 こうした中、総務省では、法務省及びプラットフォーム事業者と実務者検討会を開催し、プラットフォーム事業者の理解と円滑な対応を促進してまいります。特に、海外事業者に、部落差別など日本固有の問題について理解の上、適切に対応いただくことが重要であると考えております。

 今後も、こうした取組を通じまして、削除要請等に対する適切な対応がなされますよう、法務省を含む関係省庁、関係機関との連携の下で取組を進めてまいります。

藤井分科員 SNSは、一旦流れてしまうと、もう取り返しがつかないんですよね。今、先ほど部落差別という話がありましたけれども、削除要請しても削除してもらえなかったらしようがないし、また、所在地情報だけでも大変だという話があるわけですよ。そういったところをしっかり検討するということが必要なんじゃないかというふうに思います。

 一方、放送については、私は、先ほどの答弁では、それぞれの放送局が決めるということじゃないかというふうに理解しているんですけれども。まあ、逆に差別的表現についてはそんなむちゃなことはしないと私は信じておりますが、いわゆる偏向とか恣意的な報道とか、そういうのがないのかどうか、そこは自主規律でいいのかどうかというのは、これは私は検討に値すべきものだと考えております。

 次に、NHKの受信料についてお伺いします。

 携帯電話料金の値下げ、これは本当に庶民にとってありがたいことでございます。スマホによる動画視聴が進展する中で、では、NHKはどうなんだ、受信料はどうなのだということになると、やはりもやもやするんですよね。少なくとも、受信料を徴収するために訪問しておられたり、これは巡回されていて、いわゆる営業経費に令和二年度決算では七百十億円もかかっているんですよ。これは受信料収入の一〇%を超えているんです。これがなかったら一割は受信料を減らせるんちゃうか、値下げできるんじゃないかと。

 ここで、NHKの受信料値下げに向けた取組についてお伺いします。

松坂参考人 お答えいたします。

 二〇二三年度に予定しております受信料の値下げに向けては、スリムで強靱なNHKを実現するため、訪問によらない営業の推進による営業経費の削減ですとか、設備投資の見直し、それに番組経費を精査した上での削減など、あらゆる業務を見直して構造改革を進めていくことが重要だと考えております。

 今、藤井先生からお話がありました営業経費ですけれども、例えば、この春からの来年度、二〇二二年度の予算では、営業の訪問要員に係る経費を大幅に削減し、今年度、二〇二一年度予算に比べて七十四億円減らしております。営業経費率は、一九八九年度の公表開始以来一〇%を初めて切りまして、九・三%となる見通しです。

 受信料の値下げの還元原資といたしましては、営業改革を始めとする構造改革を断行してコスト圧縮を行うことですとか、財政安定のための繰越金の取崩しなどで対応していくことにしております。

 値下げの具体的方法につきましては、新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響ですとか、訪問によらない営業活動への移行の推移など、収支構造を見極めた上で判断したいと考えておりますが、今年の秋には値下げの具体的な内容を示したいと考えておりまして、しっかり検討を進めてまいりたいと思います。

藤井分科員 ありがとうございます。

 二〇二二年度の予算では七十四億円ということで、営業経費比率は一〇%、一割を切るという答弁でございました。また、コストを圧縮してこの秋には値下げの案を示していただくということでございますけれども、是非ともよろしくお願い申し上げたい。みんな期待しておりますので、その点、お願いを申し上げたいと思います。

 確定申告の時期を迎えました。年末には、ふるさと納税のCMも多く目にするようになりました。

 令和二年度におけるふるさと納税受入額の全国順位を見せていただきますと、ベストテンに地元の加西市が入っております。全国九位ということになっています。この全国順位を見ていますと、ある意味では、どういう返礼品があるのかということで結構順位が決まっているんじゃないかなという気はするんですけれども。

 返礼品については、これは過度な返礼品競争はけしからぬ、それはそのとおりで、何度も通知もいただきました。ただ、電気・電子機器はいかぬということで一律にやられると困るという話もさせていただいて、地元の地場産品だったらいいんじゃないかということもお問合せをさせていただいた思い出がございます。

 地方税法が改正されて、地場産品基準が設けられて今に至るというところでございまして、おかげさまで、地場産品たる家電製品が主力となって加西市のふるさと納税受入額が急激に伸びたんだというふうに認識しておりますけれども、まさに、地場産品を売るというのはすごく私はいいことだと思いますし、この基準というのは非常にいいことだと思います。地元の人も、テレビで出ているこの製品が実は地元で生産されているんだ、また全国ブランドなんだと。これは本当に地元の誇りになることです。

 ふるさと納税について、結局は地方税全体のパイは変わらない、奪い合いじゃないか、また、返礼品競争が問題じゃないかというような批判がありますが、こうしたお国自慢とか地場産品振興につながるんじゃないか、また、各自治体の努力で貴重な税財源となり偏在是正に役立つという点では非常によい制度ではないかと思いますが、この点について、また今後の課題についてお伺いをいたします。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 ふるさと納税につきましては、制度が普及する中で過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、本来の制度趣旨から逸脱をしているというような御指摘もございました。こうしたことから、令和元年にふるさと納税の指定制度が導入されまして、返礼割合を三割以下、かつ地場産品とすることといった基準が法令で定められました。分科員御指摘の家電製品についても、こうした法令に基づく基準に適合していれば、返礼品としての取扱いが可能となっているところでございます。

 ふるさと納税制度が国民の皆様に広く活用されることによりまして、地域資源を活用した地域経済の活性化につながっているということも事実であろうと思っております。

 ふるさと納税制度に対しては様々な御指摘がございますけれども、現行制度の下で、各地方団体の御協力と納税者の皆様の御理解をいただきながら、今後とも、ふるさと納税制度が適正に運用されるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。

藤井分科員 元々、ふるさと納税制度、菅前総理が総務大臣のときに主張されて実現したものでございますけれども、元々は、やはりふるさとを思うというか、都会に出た方がふるさとを思って納税するという制度から来ております。ですから、本来はこれは税源の偏在是正に役立つ、そしてまた、本当は地方税の税源、全体が広がればいいのではないかと思いますが、そこはいろいろと税制改正の議論もあるでしょうから、ここでは申し上げませんけれども。

 ただ一つ、今、地場産品基準ということで、うちは、地場産品、こんなのがあるんじゃないか、こういうのを返礼品にしたらいいじゃないか、こういうような取組が進んできたのは私は非常にいいことだと思うんです。実際に、こういうのは地場産品でこれを使ったらいいんじゃないかというのは大概私も知っていたつもりなんですけれども、製品として、工場が、全て、何がどこにあるかというところまでは分かっていなくて、今、実は隣の加東市とかもすごく増えてきているんですけれども、それは何なんですか、私も初めて知ったというような製品が、これはネットでも見たことはあるし全国的にも有名だよねという、その工場が実は地元にあるんだと。これは、企業の本社がどこにあるかを別にして、非常に学びになるといいますか、地元の誇りになるということだと思います。

 そういった雇用の場にもつながる、そのような運用について、是非ともよろしくお願いを申し上げまして、藤井比早之、この質問機会をありがとうございました。終わらせていただきたいと思います。

中谷主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥下剛光君。

奥下分科員 日本維新の会の奥下剛光でございます。

 大臣、朝からずっと御苦労さまでございます。私、本日質問をさせていただくのはちょっと専門的な質問ばかりですので、政府参考人の皆様方にお答えいただきますので、どうぞ御休憩していただければと思います。

 では、質問に移らせていただきたいと思います。

 総理が挙げられておりますデジタル田園都市構想始め、各自治体のスマートシティー構想やGIGAスクール等、通信のインフラ整備をより整えていく必要があると考えますが、こういった答弁の際には必ず5Gの整備の答弁が出てくるわけですが、ほかにも通信手段がいろいろある中で、5Gの整備が前提であるといったような印象を受けるのですが、そういった理解でよろしいでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、4Gまでの高速を更に進化させました超高速に加えて、超低遅延、多数同時接続といった新たな特徴を有し、農業、観光、エンターテインメントなど、幅広い産業への応用が期待されております。

 このため、5Gは、デジタル田園都市国家構想の実現に大変重要なものでありますが、5Gに加えまして、光ファイバー、データセンター、海底ケーブルなどのデジタル基盤もデジタルサービスの利用に不可欠なものでありまして、これらのデジタル基盤を組み合わせて整備を進めることが重要でございます。

 総務省といたしましては、5G、光ファイバー、データセンター、海底ケーブルなどのデジタル基盤の整備に向けて、一体的かつ効果的な対策を推進するための整備計画を今年度末までに策定する予定でございます。

 こうした取組を通じまして、デジタル基盤の都市と地方での一体的な整備に取り組んでまいりたいと考えております。

奥下分科員 ありがとうございます。

 そういった前提ではなかったということですが、幾つかの自治体、私の地元の吹田市とか、いろいろ話をしたところ、私同様に、そのように受け取っている職員さんであるとか議員さんがいらっしゃいました。

 今現在、5Gは、通信会社頼りのところが多く、普及していっているとはいうものの、まだまだちょっと足りないんじゃないかなというふうに思っております。是非ほかの手段でも、今答弁いただいたように整備を進めていただける環境づくりにしていただければと思います。

 その中で、一つの手段としてWiFiというものがあると思うんですけれども、5GとWiFiのメリットとデメリットを御教示ください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5GとWiFiの主な違いといたしましては、通信の安定性、コスト及び設置者が挙げられます。

 通信の安定性の観点で申し上げれば、5Gは、免許が必要な無線局でありますので、通信が安定してつながるという特徴がございます。一方で、WiFiは、免許が不要な無線局でございまして、他の無線システムと周波数を共用いたしますので、利用環境によっては通信状態が安定しない場合があるといった特徴がございます。

 また、コスト及び設置者の観点で申し上げれば、5G基地局は、一局当たり数百万円以上するもので、当該周波数の免許を受けた携帯電話事業者などが設置するものに対しまして、WiFiのアクセスポイントは、一台当たり数万円から数十万円程度で、免許不要局でありますので、地方公共団体や店舗のオーナーなど、自由に設置をすることが可能でございます。

 以上、申し上げたとおり、両者それぞれの特徴があると承知をしております。

奥下分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたように、それぞれよしあしがあるとは思うんですけれども、例えるなら、5Gはチャータートラック輸送でデータを送っているようなもので、WiFiは大手物流会社のような混載便輸送なものなのかなというふうに捉えておりますが、今御説明していただいた以外にも、確かに、挙げたら切りがないんですけれども、特徴があると思います。是非、それぞれのいいところと悪いところを補っていただいて、適材適所で生かしつつ、通信網の拡充をしていただきますよう、お願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 総理は、高齢化や過疎化などに直面する地方においてこそ、オンライン診療、GIGAスクール、スマート農林水産業などのデジタルサービスを活用できるよう、5G、データセンター、光ファイバーなど、先ほど答弁いただいたような整備が当然計画されており、必要であると答弁されておりましたが、今現在、5Gの基地局の整備状況、また総務省が把握している公衆無線での整備状況を御教示ください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの整備状況につきましては、二〇二〇年度末時点で、基地局数は約二万一千局でございます。また、全国の事業可能性のある地域につきまして、十キロメーター四方のエリアごとに親局となる高度特定基地局を整備しておりますけれども、この高度特定基地局が整備をされておりますエリアの割合は一六・五%でございます。

 公衆無線LANにつきましては、総務省が昨年度実施をした調査によりますと、大手通信事業者など十二社による提供数は六十三万一千か所と承知をしております。

奥下分科員 ありがとうございます。

 あわせまして、総務省内の建物内での職員の皆様方の通信環境についてお教えください。

高地政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、職員向けに総務省LANという業務用のネットワークを整備、提供しております。

 この総務省LANでは、庁舎内に無線LANによる通信環境を整備いたしまして、業務用端末、これはいわゆるパソコンでございますけれども、これを庁舎内の様々な執務室や会議室に持ち運び、効率的に業務や会議を行うことを可能としているところでございます。

奥下分科員 ありがとうございます。

 さすがに管轄省庁だけあって整っているようですが、先ほど申し上げたように、5G等は通信会社頼りのところもあり、民間企業ですから、やはり基地局を立てる立てないというのは、採算が合うかどうかという計算が当然入ってくると思います。地方や離島にこういった基地局を造るかといったら、まず造らないと思います。やはり採算が合わないと思うんです。

 そういった地域にもデジタルサービスを広げていくには、5Gだけじゃなく、先ほどおっしゃっていただいたようなあらゆる手を使って通信整備を整えていく必要があると思いますので、どうぞ計画どおり進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移りたいと思います。

 デジタル田園都市国家構想を進めていく中で、総務省は、国内三万か所のネットワーク環境設備がなされ、また、GIGAスクール構想では学校内の環境も九八%整っているとのことですが、地元吹田の学校の状況を確認しますと、全校、一ギガビット・パー・セコンドの契約をしているようなんですけれども、やはり状況によってはつながりにくいといった状況があるようでして、今後、秋に向けて増強を考えているとのことなんです。

 こういった問題を一つずつ対応していくことがデジタル田園都市国家構想を進めていく上で重要だと考えますが、文部科学省の御見解をお聞かせください。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありましたGIGAスクール構想の下、累次の予算措置により、現在、一人一台端末や校内LANなどの整備はおおむね完了しているところでございます。

 他方、その本格利用が始まる中で、地域や学校によっては、御指摘のとおり、ネットワーク回線の速度が十分でないなど、様々な課題も顕在化しているところでございます。

 このため、平成三年度補正予算等によりまして、学校のICT活用を日常的にサポートするGIGAスクール運営支援センター整備事業を実施し、全国一斉に学校ネットワークの点検や応急対応などに取り組むこととしております。

 文部科学省としては、このような取組を確実に進めるとともに、学校のインターネット回線の高度化について、関係省庁としっかりと連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

 なお、先生御地元の吹田市につきましても、この運営支援センターで回線のアセスメントをする予定と伺っています。

奥下分科員 ありがとうございます。

 このコロナ禍で、急速に進めたGIGAスクールです。本当は数年来かけてやるべきものを、一年ぐらいでぱっとやってしまったというところもあって、いろいろな問題が見えてきていると思います。これから、ちょっとそういった問題を整えていく時期かなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 あわせまして、同じくスマート農林水産業を進めていく上で通信環境についてはどのような状況であるか、農林水産省の見解をお聞かせください。

中村副大臣 お答え申し上げます。

 農村地域の高齢化が進展する中で、担い手不足が大きな課題となっております。生産力の向上と持続可能な農業経営の両立を図って、若者にとっても魅力のある産業にしていくためには、デジタル技術を活用したスマート農業を推進していくことが重要であります。

 そうした中で、令和元年度から農水省で実証しておりますスマート農業実証プロジェクトにおいて、地域によっては情報通信環境の整備が不足をしているといった声も聞かれているところです。

 このため、農林水産省としましては、今年度から、農業、農村インフラ管理の省力化、高度化を含んだスマート農業の実装を促進するため、光ファイバーや無線基地局等の整備に対する支援を開始をしたところであります。また、農業、農村における情報通信環境の効率的な調査、計画、整備手法に関するガイドラインを今年度中に策定をするとともに、官民連携の推進体制を構築し、個別地区の構想づくりなどへのサポート活動を進めるなど、技術的な支援にも取り組んでいくところであります。

 今後とも、総務省と連携をし、農村地域の情報通信環境の整備に努めてまいる所存でございます。

 以上です。

奥下分科員 ありがとうございます。

 やはり今御答弁いただいたように、全体的に、いろんな角度から見ても、まだまだちょっとインフラ整備が足りないのかなというところだと思います。総務省の管轄範囲では足りているという認識なのかもしれませんけれども、実際使用している国民の皆様始め新しく産業を起こしていく側からすれば、もっともっと整備を整えてほしいという声が実際にあるところでございます。

 GIGAスクールにおいても、通信整備ももちろんなんですが、端末機の問題も今後出てきます。

 現在は、国の予算で端末機を購入できておりますけれども、五年後以降の端末機購入費用の各自治体の負担は計り知れません。経済格差がそのままデバイスの格差と教育格差につながる可能性もあります。今、地元の自治体では、そういった問題意識を持って取り組んでいこうとしております。多分、全国的に今後同じ問題にぶつかってくるとは思うんですけれども、また、同じタイミングでの買換え時期になって、端末機がまた足りなくなってくるおそれも出てくるかと思われます。

 ちょっとこれは事前通達していないんですけれども、もしお答えいただけるならお答えしていただきたいんですけれども、今申し上げたような問題意識は文科省さんとしてお持ちなんでしょうか。もしお持ちであるならば、何らかの対策を検討されているということでしたら、差し支えのない範囲で教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただいた買換え時期のデバイスの件につきましては、非常に大きな課題だというふうに認識しております。

 他方、義務教育ではない高校教育において、今、BYOD、要するに持込み型であったり、また自治体がそれぞれの財源を活用して用意をしたり、様々な取組が行われております。そういった取組なども積極的に参考にさせていただきながら、数年後必ず来るであろう買換えの時期についての検討を文科省の中でしっかりと進めていきたいと思います。

奥下分科員 ありがとうございます。

 そういった問題意識を持たれている自治体では、この秋からも予算を組んで取り組もうとされていますので、どうか早い段階でそういった指針を示していただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質疑に移りたいと思います。

 デジタル庁では各省庁の垣根を越えて通信整備を整えようとされているとのことですが、現在の、もし、進捗状況とかがあれば御教示願います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の政府のネットワーク環境でございますけれども、これまで各府省単位で整備されてきておりまして、府省間の連携とか利便性、費用対効果等の面で課題があるというふうに言われてございます。

 そのため、現在、デジタル庁では、デジタル社会の実現に向けた重点計画等に基づきまして、各府省のネットワーク環境の統合を進めているところでございまして、具体的には、現在、令和四年度においては、デジタル庁に構築するネットワーク環境に人事院、農林水産省等を統合すべく作業を進めているところでございます。

 今後とも、各府省、それぞれのネットワークの更新時期等も踏まえながら、このような取組の拡大に取り組んでまいりたい、このように思います。

奥下分科員 ありがとうございます。

 この国会内でも衆議院のWiFiは飛んでいるんですけれども、僕も実際、何回か試しましたが、すごく遅いんですね。逆にもうつながない方が速いぐらいで、ストレスしかないんです。管轄省庁が違うのであれですけれども、今、現状としては、各お部屋、各政党でWiFiとかを契約されているような状況のようですので、是非、この永田町とか霞が関を含めて、管轄が違うのは十分存じ上げておりますが、その垣根を跳び越えていただいて、大きな回線を引いていただくなりして、仕事環境の改革をしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、電波の安全性についてお尋ねします。

 5Gの電波が人体に及ぼす影響について様々な論文が発表されていますが、人体に及ぼす影響は実際どのようなことが考えられるのでしょうか。また、こういった健康被害を理由に5Gを禁止する海外の都市もあるようですが、この辺りの見解もお聞かせください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電波が人体に及ぼす影響につきましては、これまで世界各国で六十年以上にわたりまして研究がなされております。5G等の携帯電話が使用する周波数帯においては、生物が非常に強い電波にさらされたときに表れる熱作用、体を温める作用でございます、が生体作用として知られているところでございます。

 我が国におきましては、国際ガイドラインにも準拠いたしました電波防護指針を策定しておりまして、この中で、無線局から発射をされます電波が熱作用によって人体に悪い影響を及ぼすことのないように、十分な安全率を見込んで基準値を定めているところでございます。5Gを含めまして、基準値以内の電波利用を図ることで、通常の日常生活において電波で人体に悪影響が生じることはないと認識をしております。

 委員御指摘のとおり、諸外国では、例えばイタリアの一部の自治体でございますけれども、5Gの停止を求める条例等が採択をされていると承知をしております。これらにつきましては、科学的根拠に基づいた措置ということではなく、あくまで予防的な措置を求める民間団体の意向を受けて実施をされていることが多いのではないかと認識をしております。

 なお、現時点におきましては、健康への影響を理由に5Gの導入を見送った国はございません。

 今後も、引き続き、安全性を十分に確保しながら、5Gの導入を進めてまいりたいと考えております。

奥下分科員 ありがとうございます。

 人体に影響があるといった論文を僕も読ませていただきました。僕自身というか、僕の子供もまだ三歳で、ちょっと心配なところもあったんですけれども、確かにそういう、あおるようなうまい書き方をしているなというのが印象的なんですけれども、同じ世代のお父さん、お母さんからも同じような御質問をいただくこともあります。今御答弁いただいたように、影響がないということですので。

 電波は、目に見えないだけに、存在しないことの証明はなかなか困難で、それが余計に、電波だけじゃなくて、放射能とか、いろいろなところで言われております。なかなか難しいと思っています。それが不安につながっているんだと思いますけれども、先ほど答弁いただいたように、長年の国内外での研究、熱作用と刺激作用といったものだけの科学根拠しか得られていないということですので、引き続き、安全性確保のために科学的検証を積み重ねていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 最後に、本日の答弁をいただいた、やはり5GとWiFiとか、その他いろんな通信機器の拡充を更に進めていく必要があると考えます。

 現在、5Gにおいては導入推進課税の見直し等をされておりますが、WiFi含め、光ファイバー等も、今後こういった、拡充していくために必要な施策を打っていただけるお考えがあるのか、お聞かせください。

渡辺大臣政務官 奥下議員の質問にお答えします。

 5Gは、次世代の基幹インフラとして期待されており、高度かつ信頼性のあるシステムを早期に社会実装することが重要であることから、税制での推進を講じているものでございます。

 一方、WiFiにつきましては、先ほども政府参考人から答弁したとおり、5Gと異なり、無線局免許が不要などの特徴があります。また、店舗、ホテルなど、公共施設等のほか、一般の家庭にも広く普及しており、機器の価格の低廉化も相当に進んでいると承知しております。

 したがいまして、現時点では、WiFiに対象を絞った形での税制措置の創設等は想定しておりませんが、これはWiFiの重要性を否定するものではございません。5Gだけではなく、WiFi等の様々なデジタル技術を必要に応じて適切に使い分け、活用していくことが重要と考えております。

 このような観点に立って、企業や自治体等のデジタル実装の取組を促進してまいりたいと思っております。

中谷主査 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。文部科学省学習基盤審議官茂里毅君。

茂里政府参考人 大変失礼いたしました。

 先ほど、私の答弁で、GIGAスクール運営支援センター整備事業につきまして、令和三年度補正予算等により始まっているところを、平成三年度と申し上げました。このことについて訂正させていただきたいと思います。大変申し訳ございませんでした。

奥下分科員 ありがとうございました。

 今までの日本の国土強化理念というのは、やはり公共事業だったと思うんですけれども、それが小泉内閣以降、縮小されてきております。必要な公共事業はやはりやっていくべきだと思いますが、これからの時代は通信インフラの整備、これも併せてやっていく必要があると考えております。

 東日本大震災のときに、光ファイバーの断線等により携帯が使えなくなったりとか、そんな中、安否確認ができなくて大変困った、そういった状況がありました。三十年以内には南海トラフ地震も必ず起こると言われております。そういった際に、今まで経験したことを生かして、今から施策を取っていく必要があるんじゃないかなと強く思っております。

 WiFiとかも、WiFiだけじゃなく、いろんな通信網、無線とか、震災規模によってどれだけ被害があるか分かりませんけれども、いろんな手段でやはりこれから連絡が取れるような、そういったことを想定してやっていっていただけたらなと思います。

 これからのいわゆるZ世代の方たちは、携帯番号を必要とせず、SIMも必要としない、そんな時代になってきていると思います。通信インフラが整うことにより携帯の使用料も必ず下がるはずですけれども、菅総理の大号令によって携帯の基本料金を下げていただきましたけれども、5Gの基地局を立てれば、事業ベースで考えたらやはり莫大なコストがかかるので、それらが基本料金に跳ね返ってくるはずなんですね。

 ですから、やはりいろんな手段を講じていく中で、例えば、NTTの公衆電話の回線、これは今ほとんど使われておりません。こういったものをもっと見直していただいて、再利用という言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、更なる活用法を考えていただいたりして、こういったこれからの通信インフラの整備に利用していただけたらなというふうに考えております。

 二〇二五年関西万博を一つの目標時期として通信整備を整えていっていただきたいと思うんです。世界からの評価は、日本はまだまだ通信においては後進国であります。万博を目指して通信インフラを整えていくことはもちろんなんですけれども、万博後も、ここに人、物、金を呼び込む、こういった仕組みを絶対つくっていく必要があります。むしろそっちの方が大事だと私は考えておりますので、通信網を拡充していただくことによって更なる日本のブランディングを高めていただき、日本に、より経済が回るような仕組みをつくっていっていただけたらと思います。

 そういったことをお願いして、ちょっと早いですが、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて奥下剛光君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願い申し上げます。

 昨年の秋に、初当選を北陸信越ブロックからさせていただきました。ほかの委員会では質疑をさせていただいておりますが、分科会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日、細かい質問が多くなっておりますので、金子大臣におかれましては御退出いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに、持続可能な地域づくりについて質問をさせていただきます。

 第三十二次地方制度調査会の答申で、市町村間の広域連携の有用性、都道府県による市町村への補完、支援の必要性について指摘がありました。これにより、五万人以上の中心市を核にした、連携した定住自立圏に対しまして、特別交付税により、中心市に八千五百万円、近隣市町村に一千五百万円の財政措置がなされております。

 しかし、私の出身であります長野県でございますが、七十七市町村ございますが、定住自立圏等の中心市要件を満たす都市がございません北アルプスと木曽地域で北アルプス連携自立圏を形成し、県独自で支援を行っている状況であります。

 定住自立圏の要件を満たさないこれらの地域に対しまして、国の支援を是非お願いしたいと思いますが、政府としての見解をお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今後の市町村間の広域連携につきましては、核となる都市が存在する連携中枢都市圏や定住自立圏以外の地域においても進めていく必要があると考えております。

 そのためには、三十二次の地制調でも指摘をされておりますが、各地域におきまして、私ども、地域の未来予測と呼んでおりますけれども、行政需要や経営資源に関する長期的な見通しを客観的なデータを基に整理をして、住民も巻き込んで、将来のビジョンを共有していくことが重要であります。

 総務省では、連携中枢都市圏や定住自立圏以外の地域において広域連携を目指す複数の市町村による地域の未来予測の共同作成や、それに基づく施設の共同利用等に要する経費につきまして、令和四年度から特別交付税措置を講ずることとしております。これらの措置につきましては、議員が例示されましたような地域におきましても活用いただくことが可能でございます。

 総務省としては、こうした取組により、広域連携に取り組む地域を更に広げるとともに、各地域における広域連携の内容がより充実したものになるよう努めてまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 今、事例も含めて御紹介いただきましたけれども、それも含めて、さらに、国の支援につきまして、また検討いただきますようお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、マイナンバーカードについてお伺いします。

 本日の分科会でもこの議論が多々あったところでございますけれども、まず、現状認識といたしまして、マイナンバーカードの現在までの普及状況についてお尋ねをします。お願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 二月十四日時点の数字でございますが、累計の交付枚数は約五千三百二十七万枚、人口に対する割合は約四二%となっております。

中川(宏)分科員 四二%ということで、まだまだしっかりと普及促進をしていかなくてはなりませんけれども、足下を見ますと、令和七年度からは、二回目のカード更新、また電子証明書の更新ということがあり、ますます更新が増えていきますので、この点でも市町村の事務負担が重くのしかかっていきます。

 交付円滑化計画終了後の補助金につきましてはまだ不明確であると思いますが、地方からは、国の十分な財源支援を希望しております。この点につきまして、現時点でどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、マイナンバーカードが令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指す観点から、市区町村におけるマイナンバーカードの交付、更新や電子証明書の発行、更新に要する経費について、必要な財源を確保した上で、幅広く国庫補助の対象としているところでございます。

 将来的な予算措置につきましては、現時点で具体的に申し上げることは困難でございますが、御指摘のとおり、今後、これまで発行したマイナンバーカードや電子証明書の更新に係る事務負担の増加が見込まれますことから、市区町村における円滑な事務に支障が生じないよう、引き続き必要な対応を行ってまいります。

中川(宏)分科員 どうもありがとうございました。

 これは各自治体に非常に御尽力をいただいておりますので、財政支援につきましてはしっかりと位置づけていただき、引き続きお願いしたいと思います。

 このマイナンバーカードを申し込みまして、カードを受け取るときに本人確認をしなければいけない状況ですけれども、例えば動けない独り暮らしの方ですとか、また老人ホームの入居者などの本人確認についてですが、どのようにしているのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、マイナンバーカードは、市区町村の職員による対面での厳格な本人確認を経て交付することを原則としております。

 ただし、在宅介護を受けている場合や介護施設等に入所している場合など、病気、身体の障害その他のやむを得ない理由により申請者本人の来庁が困難であると市区町村長が認める場合には、代理人が申請者本人の顔写真つきの本人確認書類などを窓口に御持参いただくことで、代理でのカード受取を可能としております。

 また、在宅介護を受けている方や介護施設等に入所している方が運転免許証のような顔写真つきの本人確認書類を所持していらっしゃらない場合もございますことから、ケアマネジャーさんやあるいは介護施設の施設長といった方が、申請者本人の顔写真を証明した書類を作成し、それを本人確認書類として用いることができるよう、運用の改善も図ってきたところでございます。

 引き続き、市区町村等の御意見も伺いながら、カードの円滑な交付に向けて取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 続いて、マイナンバーカードに関連しまして、マイナポイント事業についてお伺いをしたいと思います。

 午後の答弁の中でも、マイナポイント事業についての、この事業の取組状況、これに答弁がありましたので、今は答弁は求めませんけれども、あえて追加を加えるならば、ポイントを使えるということを設定できた方のみ享受されるということではなくて、全ての方がこのポイントの恩恵を受けられる取組が非常に重要ではないかというふうに思っております。

 そして、このマイナポイントの設定の支援でありますけれども、市町村ごとに設定ブースを設けまして国の補助金を活用し実施しているところもあれば、未実施の市町村もございます。支援の底上げを考えた場合には、これは一番の旗振り役は国でありますので、国の責任の下に、設定支援の運営委託も検討していただきながら、全市町村で実施してほしいと希望をいたしますが、見解をお伺いいたします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 マイナポイントの申込みは、スマートフォンやパソコンなどの操作が必要でございまして、高齢者の方々などに対する手厚いサポートが必要と認識をいたしております。

 このため、住民に最も身近な市区町村に対しまして、マイナポイント申込支援計画を作成していただいて、担当職員やパソコンなどを配置し、マイナンバーカードの交付手続と併せた支援や、病院や介護施設などへの出張支援などに取り組んでいただくようお願いをしているところでございます。

 こうした支援の実施に必要な経費につきましては、パソコンなどのリース料のほか、会計年度任用職員の人件費でありますとか、民間事業者への業務委託費につきましても、補助率十分の十の補助金の対象といたしておりまして、市区町村の取組を促進しているところでございます。

 今後、手続支援の優良事例の横展開を実施するなど、一人でも多くの方がマイナポイントを御利用いただけるよう取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 どうもありがとうございます。

 この区市町村役場の窓口にも、これから多くの人がお越しになることもあるでしょうし、迅速に手続ができるよう、地方自治体への支援はしっかりするよう対応をお願いしたいと思います。

 また、今、地方自治体でありますけれども、三回目ワクチンの接種の前倒し、また、場所によっては、十八歳以下への十万円給付の残りの分の対応、また、子供へのワクチンの接種の対応などで、とても忙しい状況にあるかと思います。重ねてサポートをお願いしておきます。

 このマイナポイント事業で、先ほども機器の話がありましたが、自治体が使用している、国から貸与をされているマイナポータル用の端末でございますけれども、平成二十九年に貸与が始まりまして、今年度末に貸与が終了すると伺っております。

 お聞きしますと、動作が不安定でスムーズな設定ができないとのお声も一部の自治体から寄せられております。更新を検討されているのか、この点についてお伺いをいたします。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のマイナポータル用の端末でございますけれども、平成二十九年度から貸与をしてきておりますが、先ほどありましたとおり、五年間の事業期間を迎えまして、今年度末で事業期間を終了することとなってございます。

 御指摘がありましたとおり、性能についていろいろ御指摘が自治体からもありますので、基本的には今年度末をもって貸与は終了するということとしております。

 一方、このような状況もありますので、総務省の方で、マイナポイント事業を活用しまして、端末の導入費用についてはマイナポイント事業費補助金を利用することが可能というふうになってございますので、そちらの方で対応していくということになっております。

 なお、自治体の中には、この新しい端末を導入するときの、マイナポイント補助金を活用していただくんですが、導入に時間が若干かかる可能性もあるというふうにお聞きしていますので、希望する自治体さんにつきましては、性能が余りよくないという批判はあるんですけれども、本年度末の期限を夏頃まで延期することも検討してございます。

中川(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 続いては、ちょっと方向性を変えますけれども、これは前々から多くの声が寄せられておりまして、国会でも議論をされてきたと思いますけれども、地方公共団体の随意契約についてでございます。

 この点について、まず、地方公共団体の随意契約の状況についてお伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体における契約は、一般競争入札によることが原則でございますが、政令で定める場合に限り、随意契約によることができるとなっております。

 地方自治法施行令におきまして、予定価格が政令で定める額の範囲内において、当該地方公共団体の規則で定める額を超えない場合に随意契約をすることができると定められております。いわゆる少額随契というものでございます。

 この要件につきましては、予定価格の少額な契約についてまで競争入札で行うことは必ずしも合理的ではなく、能率的な行政運営を阻害することもあることから設けられたものでございます。

 政令で定める金額につきましては、国の随意契約の要件や地方公共団体の財政規模などを勘案して定められておりまして、総務省といたしましては、国における随意契約の要件の見直しの動向を注視してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 そこで、この工事又は製造の請負ですけれども、都道府県及び政令指定都市では二百五十万円が上限、また市町村でも上限が定められております。この金額を引き上げてほしいという御要望がございます。もう随分前から要望がなされまして、国会でも何度でも議論がされているところでありますけれども、御案内のとおり、地方公共団体も行政改革によって人員が減り続けており、IT化など業務の効率化も進んではきていますけれども、やはり入札の作業というのはなかなか効率化ができないようであります。

 この金額を上げるというのは、かなり高いハードルだと思っております。当然、税金を使うわけですから、透明性、競争性、公正性、経済性、これを確保していかなくてはなりません。その意味で、ある程度以上の金額においては入札が行われているわけであります。

 しかし、地方公共団体の仕事量ということも考えていかなくてはならないと思いますが、是非、地方公共団体が効率的に作業できるように御助言やサポートをお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、政令で定める金額につきましては、国における随意契約の要件との均衡に留意する必要がございます。

 都道府県の二百五十万円につきましては、国と同じ額でございます。また、指定都市を除く市町村につきましては百三十万円ということで、おおむね半分ぐらいの額という定め方をしていると認識しております。

 その上で、総務省におきましては、地方公共団体における入札、契約に関する一連の手続の効率化を図る観点から、競争入札参加資格審査申請に係る標準項目を定めまして、地方公共団体に対してその活用を促すとともに、当該申請手続の電子化、オンライン化についても検討するよう、昨年十月の通知で技術的な助言を行っております。

 標準項目を活用することは、各地方公共団体が自ら対応しておりました項目等の見直し作業に係る事務負担が軽減されるといった効果が期待されると考えております。

 また、標準項目をオンライン申請システムに反映するに当たって要する経費について、必要な財政措置を講ずることとしております。

 総務省としては、引き続き、地方公共団体の入札事務の効率化に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 地方からの大事な声でありますので、また取り組んでいただきますように、是非ともお願いしたいと思います。

 次に、消防団員についてでありますけれども、これも今日の分科会で様々議論があったところでありますけれども、消防団員の不足につきましては、令和三年では全国で八十万五千人まで減少しているという状況であります。

 午前中の答弁の中では、企業との連携、こういう取組もありました。そしてまた、各市町村との横連携、また積極的な市町村への働きかけ、こういう答弁でありましたけれども、私は、もっと国がしっかりとサポートしていくべきだ、こういうふうに考えております。

 午前中にもありましたけれども、やはりインセンティブを与えていくことも大事でありますし、何より、今の若い方は社会貢献に非常に意欲を持っていらっしゃいます。そういった意欲をかき立たせるためにも、やはり国が旗振り役となって積極的に関わっていく、こういうことが大事だと思いますが、重ねて、消防団員の増加に向けた国の取組についてお伺いをいたします。

田畑副大臣 中川先生、御質問ありがとうございます。

 今ほどおっしゃっていただきました消防団員数でありますが、令和三年四月一日現在で八十万四千八百七十七名ということで、三年連続で一万人以上減少する厳しい状況でございます。

 消防庁においては、消防団員の確保に向けまして、団員の報酬等の処遇改善を図るほか、来年度予算に消防団の力向上モデル事業として二・五億円を計上しているところでございまして、女性、若者などが消防団活動に参画するための工夫等、全国の先進的な取組をしっかり支援してまいりたいというふうに思ってございます。

 このほかにも、幅広い住民の入団促進に向けまして、若者の興味を引くタレントを活用した広報キャンペーン、この実施をするとともに、機能別消防団の活用であったり、消防団協力事業所表示制度の活用、また、企業の理解促進、学生消防団活動認証制度を活用した学生団員の積極的な加入促進など、様々な取組により団員数の減少にしっかり対応してまいりたいと思います。

 御指摘がありましたとおり、市町村との横の連携というか、そういったこともしっかり心がけて対応していきたいと思います。

中川(宏)分科員 副大臣、ありがとうございました。

 重ねてでございますけれども、消防団員は町の安心、安全の要となる方たちでございますので、より一層手厚い対策と確実な取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、防災行政無線についてお伺いをしてまいります。

 二〇一九年の台風十九号、私の出身の長野県を含めまして、東日本を中心にわたって甚大な被害が発生をいたしました。この台風のときだけではなく、強風の日ですとか、また、場所によっては建物に遮られまして、地域の防災行政無線が聞こえないという声を多くお聞きをいたします。地域住民にとりましては、行政からの防災行政無線が聞こえないということはやはり不安だと思います。

 そこで、まず、防災行政無線について、現在の課題をどのように認識をしているのか、お伺いをいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 市町村防災行政無線は、市町村が防災情報を住民に確実かつ迅速に伝達するための重要な手段でありますが、台風や強風などの際には屋外スピーカーからの声が聞き取りにくい場合があり、近年は、声が聞き取りやすい高機能な屋外スピーカーの導入など、防災行政無線の機能強化に取り組む例もございます。

 また、屋外スピーカーからの声が聞き取りにくい場合の対策として、住宅の中に設置をいたします戸別受信機の活用も有効でありまして、防災行政無線を整備している市町村のうち、八八%で既に導入をされております。

 さらに、防災行政無線だけではなく、緊急速報メール、登録制メール、ケーブルテレビ、コミュニティーFMラジオなど、地域の実情に応じまして、複数の伝達手段を組み合わせて多重化することが重要だと考えております。

 これらを踏まえまして、総務省消防庁では、市町村に対して、防災行政無線の機能強化、戸別受信機の配備の促進、また、災害情報伝達手段の多重化を図りますよう、会議などの場で要請をしておりまして、伝達手段の整備の参考となる手引書の提供や市町村へのアドバイザーの派遣などの技術的な支援を行うとともに、財政的な支援も行っているところでございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 今し方、多重化、機能強化についてお話がありましたけれども、財政的な支援についてもやっているということでございましたけれども、やはり、多重化、機能強化をしていくには、より一層の財政的な支援、これが必要かと思いますので、是非ともお取組をまたお願いしたいと思います。

 近年では、大規模災害時に、画像データの送信など多様化、高度化する通信ニーズに対応するため、この分野でもデジタル化が進んでおります。

 災害時には、携帯電話やネットなど、これは遮断されることもありますけれども、テレビは受信機さえあれば見ることができる状況であります。この放送電波を利用した情報伝達といたしまして、ナローキャスト放送というものがありますけれども、災害情報インフラとしてどのような認識か、お伺いをいたしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のナローキャスト放送につきましては、テレビ放送事業者の地上デジタル放送用の電波を活用し、防災行政無線と同様に、自治体からの防災情報を屋外スピーカーや戸別受信機を通じて住民に伝達することができる新しい情報伝達手段であると認識をしております。

 消防庁では、この新しい災害情報伝達手段の有効性や耐災害性につきまして、現在、有識者を交えた検討会を開催し、技術の実証を行いながら検討を進めているところでございます。

中川(宏)分科員 どうもありがとうございました。

 今の技術革新はとても速いので、新しい技術を大いに取り入れまして、住民の安心、安全のための防災行政無線の確立を是非していただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 デジタルに触れさせていただきましたが、デジタル格差の解消についてお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。

 今や、スマホは生活する上でも欠かせないものとなっております。先ほども触れさせていただいたマイナポイント事業を始めまして行政の手続、買物、習い事、孫とのLINE電話、オンライン会議、各種ポイントカードなど、生活そのものになりつつあります。

 政府は、これまでの情報社会、いわゆるソサエティー四・〇から五・〇社会の実現を目指しております。これはサイバー空間である仮想空間とフィジカル空間である現実空間を高度に融合させたシステムにより実現をいたしますけれども、人とのインターフェースの一つが、今現在はスマホだと思っております。今や、スマホはパソコンでもあり、相談相手でもあり、各種手続の端末でもあります。

 そんな便利なスマホでありますけれども、今日の分科会でも議論がありましたが、高齢者が使いこなすにはハードルが高い存在となっております。

 そこで、私ども公明党といたしましては、デジタル機器に不慣れな高齢者への支援を強く推し進めてきましたけれども、午後の答弁の中で、新年度予算案の中で、規模を拡充して、全国三千か所への講習会や講師派遣、デジタル推進員の活用、このような答弁がありまして、あらゆる角度から手を打っていただきましたことに感謝を申し上げます。

 その上で、格差というのは、若い人と高齢者という観点と、もう一つ、都市と地方の格差もございます。都心では、若者が多く、高齢者が子供や孫からスマホの使い方を教わることが多いことでしょう。しかし、中山間地におきましては、子供も孫もいない、デジタルを教える人材も不足しているということがあります。

 是非、取り残されることがないよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

中西副大臣 中川先生にお答えを申し上げます。

 御党におかれましても、積極的にこうした分野について取組をいただいておりますこと、心から感謝を申し上げる次第であります。

 今御指摘をいただきましたけれども、今年度から、携帯電話ショップなどを中心にしまして、おっしゃっていた講習会を開始しておりますけれども、携帯電話ショップ等がない地域が全国で七百五十市町村もあります。こうしたことを踏まえまして、必ずしも手が行き届いていない地域があるということを我々も認識をしておるところであります。

 そこで、来年度は、御指摘のとおり、講習会の実施箇所数を二千か所から三千か所へ拡大するということとともに、各地方公共団体とも連携をしながら、講師派遣を実施する、また、その講師の数というものもしっかり拡充をしていくということで取組を進めております。

 こうした取組を通じまして、誰しもがデジタルの恩恵を受けられる社会にしていく、環境整備を推進してまいりますので、今後ともの御支援をよろしくお願い申し上げます。

中川(宏)分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 様々な知恵を出しながら、これからもしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。この取組によりまして、マイナンバー登録が円滑に進んだり、また、オンライン診療ですとかe―Tax、高齢者の利便性の向上とともに、デジタル化の加速に一層つながっていくように、私も期待をしているところでございます。大事な取組でございますので、引き続き御尽力いただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 時間となってまいりました。幾つかあとお願いをしていた質問がございましたけれども、また次回で質問をさせていただきたいと思います。

 以上で終わりにします。ありがとうございました。

中谷主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩谷良平君。

岩谷分科員 日本維新の会の岩谷良平です。

 今日も、朝から一日、本当に皆さんもお疲れだと思いますけれども、私が本日のラストバッターということで、おつき合いいただければと思います。また、参考人の皆様は、関連質疑が終わられましたら退席していただいて結構です。大臣は、申し訳ございませんが、あと三十分間、最後まで、最後ですので、おつき合いいただければ幸いです。

 さて、まず、郵便局長会による顧客情報等の政治活動への流用問題についてお伺いをいたします。

 二〇一八年から、日本郵便の複数の郵便局長が、日本郵便が一般の利用者に配るため経費で買ったカレンダーを郵便局長会の政治活動に流用していたことが判明いたしました。

 この全国郵便局長会は、全国の郵便局の四分の三以上を占める旧特定郵便局の局長さんたちが集う組織であり、日本郵政とは別の任意団体とされています。日本郵便などの調査では、同社が全国郵便局長会から要望され、三年間でカレンダーに八億円超を郵便局の経費として支出していたとのことです。そして、全国郵便局長会は、このカレンダーを政治活動の支援者らに配るように指示していたとのことです。統括局長さんたち九十名が懲戒処分を下されたと報道がされております。

 さらに、このカレンダーと別に、顧客情報を政治活動に利用していたという事実も判明しております。一月二十一日公表の調査結果では、局長百四名が千三百十八人分の顧客情報を全国郵便局長会の政治活動に使っていたと。そして、ゆうパックのラベルやゆうちょ銀行の書類などから情報を抜き出し、参議院選挙で擁立する候補者の得票につなげようとして、戸別訪問等の政治活動を行ったということです。

 これは、報道を見まして、本当に驚きました。私ももちろんですし、皆さんも利用されたことがあるこのゆうパックのラベルですね、そういった情報を勝手に使って候補者を当選させるための政治活動を行っていたということで、大変重要な、重大な問題であると考えております。

 そして、まずちょっと公職選挙法との関係についてお伺いしたいんですけれども、公職選挙法の第二百二十一条第一項では、「次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されております。そして第一号で、ちょっと省略をしますけれども、当選を得若しくは得しめる目的をもって選挙人に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与をしたときという形で規定をされております。

 これはあくまでも一般論としてではありますけれども、一般論として、カレンダーをこうして配る行為というのは、二百二十一条で言う金銭、物品その他の財産上の利益に当たり得るかどうか、お伺いいたします。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、個別の事案につきまして実質的な調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、一般論として申し上げますと、今、買収の関係の条文をお聞きになりましたので、同法第二百二十一条第一項第一号においては、当選を得又は得させる目的などをもって選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与などをしたときにおける買収罪について規定されておるものでございます。

 いずれにしても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否か、このことについては具体の事実に即して判断されるべきものというふうに考えておるところでございます。

岩谷分科員 具体の事案ではなくて、かつてうちわなんかが問題になりましたけれども、カレンダーがこの条文に該当する可能性があるかどうかという一般論での質問です。もう一度お願いします。

森(源)政府参考人 繰り返しになりますけれども、金銭、物品その他の財産上の利益の供与ということに該当するかどうかというところで、具体の事実に即して判断されるべきものと考えるものでございます。

岩谷分科員 ちょっとはっきりお答えいただけておりませんけれども、このカレンダー、二〇一八年や二〇一九年にも配られております。そして、二〇一九年といえば、前回の参議院選挙が行われた年でありまして、この全国郵便局長会の元会長で、そして全国郵便局長会顧問でいらっしゃる自民党の、お名前は申し上げませんけれども、参議院議員の方が立候補し、六十万票という過去最多得票で当選をされておられます。

 選挙の近い時期にこうしてカレンダーを配ったということは、公職選挙法に本件事案は抵触するおそれもあるのではないかとの疑問も持つわけなんです。さらに、会社の経費で買ったカレンダーを業務外の政治活動に使ったということは、これは刑法の横領とかにもなり得る話ではないかというような疑問も湧いてくるわけなんです。

 これを聞きますと、恐らくまた個別の事案ということでお答えいただけないので、もう聞くのはやめますけれども、少なくとも、違法だと決めつけるわけではありませんけれども、疑念を招く行為であるというふうに思います。

 そして、このカレンダーを配ったことと別に、冒頭申し上げたとおり、顧客名簿を流用して、後援会の勧誘などの目的で戸別訪問していたということです。

 これらの問題を受けまして、日本郵便は調査をされたということですけれども、この調査が、郵便局長に自己申告を求めるアンケート調査をしたのみで、報道によりますと、局長さんの中で正直に答えなかったと証言されている方がいたり、あるいは、最初は顧客名簿を流用したと申告したものの、コンプライアンス担当者から連絡があった後に、流用はなかったと答えを修正した、そういった局長さんもいたと報道されております。

 この報告書には、なぜこういった不正な行為が行われたかの動機であるとか原因とか背景というのが全く書かれていないんですね。単に個人情報の取扱いについて認識が甘かったというレベルの話じゃないと思うんです。もっと根深い問題があるんじゃないかと思われます。動機や原因や背景が分からないと、結局、再発防止策というのもできないはずなんですね。

 そして、政治活動を指示したと疑われております郵便局長会の役員の皆さんへの聞き取りや処分も行われていないということなんですね。

 これについて、総務省が設置している有識者会議でも、有識者の皆様から、信頼獲得というデータ活用の前提ができていないのはかなり衝撃的な話だ、あるいは、国民の信頼が破られている状態だ、あるいは、発生原因にメスが入らないと、また起きると多くの人が考えてしまうのではないか、これで調査が終われば事業者の自主性を尊重できる段階になくなる、さらには、調査を終えるのは論外、違法なのはほぼ確実、違法ではなく不適切との表現を使うことについても、個人情報保護法が分かっていないと知らしめる事態だといった形で、多くの批判の声が上がっているわけなんです。

 さらに、これは朝日新聞に掲載されております専門家の言葉ですけれども、不正調査にお詳しい大野徹也弁護士さんのお話として、調査結果は表面的な現象だけを捉えていて構造的な原因を明らかにしたとは言い難い、再発防止策に指導や研修を挙げたが、局長が社内ルールなどを知らなかったことが真の原因ではないはずだ、根本的な原因を取り除かないと似たことがまた起こるリスクがある、郵便局長会の活動の実情や会社との関係も視野に入れた調査が必要ではないかとおっしゃっています。

 また、同じく朝日新聞の紙面上で、個人情報保護法にお詳しい佐藤一郎国立情報学研究所教授のお話として、日本郵便という公的な組織が持つ顧客データが政治目的で使われたことは深刻だ、多くの局長が参議院候補者の支援という共通目的で顧客データを使っていたのなら組織的な行為ではないかとの疑念も浮かぶ、自己申告を求めるだけの調査では実態が十分に把握できていないおそれがある、顧客の不安が解消されないのではないかというふうにもおっしゃっておられます。

 これだけ多くの厳しい指摘を受けていますけれども、今の調査結果だけで総務省は十分だとお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 岩谷委員から、るる御指摘の件についてはお話をしていただきました。

 御指摘の件につきましては、日本郵便からは、昨年十一月に総務省が行った行政指導に基づきまして、本年一月二十一日付で、個人情報の不適正な利用に関する調査結果と再発防止策の実施等について報告を受けたところでございます。

 日本郵便におきましては、対象の全郵便局長を調査し、問題が認められた相当数の局長を処分するなど、現時点で考えられる必要な対応を行ったものと受け止めております。

 今回の事案によって、国民からの信頼を損なう形となったことは残念でございます。日本郵便においては、再発防止に万全を期していただきたいと思います。

 総務省としては、日本郵便における再発防止策などの取組状況についてフォローアップを行うなど、関係省庁との連携の上、しっかりと対応してまいりたいと思います。

岩谷分科員 ありがとうございます。

 今、大臣、再発防止ということでありましたけれども、その再発防止をするために原因究明が必要なわけで、そこが不十分じゃないかという指摘もなされているわけなんですね。

 それから、報道によりますと、このカレンダーについてなんですけれども、お金の一部が局長会側に渡っていたんじゃないかというような報道も出ています、これはあくまでも疑念ということですけれども。

 このカレンダーに使われている写真は局長会側が提供している写真らしいんですけれども、そうすると、使用料とか著作権料のような形で、この八億円の中から結果的に局長会の方にお金が流れていた可能性があるんじゃないかというような報道もなされているところなんですけれども、あくまでも疑念ということでされているわけですけれども、これは、上場企業が社員の方と取引したり、上場企業が社員に利益を得さしめるような行為をした場合は、上場基準に違反したりもするのではという疑念もあるわけなんです。

 このお金の流れの部分についても、やはり調査するように指導すべきじゃないでしょうか。

今川政府参考人 総務省におきましては、日本郵便株式会社法に基づきまして、会社組織としての日本郵便株式会社を監督しております。郵便局長で構成される任意団体である全国郵便局長会に対して直接監督権限が及ぶものではございません。

 総務省としては、日本郵便株式会社から行政指導に基づく報告を受けておりますけれども、今御指摘の件につきまして日本郵便が調査を行うかどうかにつきましては、日本郵便が自ら判断すべきことというふうに考えておりまして、それを見守りたいというふうに考えております。

岩谷分科員 監督権限はあくまでも会社の方で、局長会は総務省とは関係がないというようなお話だと思うんですけれども、しかし、会社の方から、日本郵便、日本郵政から局長会側にお金が流れていたかもしれないという話ですから、それは監督の範囲内だと思うんですね。

 この問題を受けてから、総務省では、その後、郵政行政モニタリング会合というものを設置されると発表されました。金子大臣は、このモニタリング会合で今回の郵便局長会の問題も扱うのかと記者に問われて、個別事案を対象に具体的な検討を行うことは想定していないとお答えになっていますけれども、このモニタリング会合を設置されるのであれば、この問題、やはりここで取り扱うべきじゃないでしょうか。

今川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、郵政行政モニタリング会合を設置させていただきました。

 これは、経緯といたしましては、年末から年始にかけまして、本件に限らず、例えば、郵便局長の横領があったとか郵便局の配達員が郵便物を廃棄をしたですとか、様々な不祥事案が続けて起こったということでございます。

 このモニタリング会合におきましては、個々の事案がどうだということではなくて、日本郵政グループ若しくは日本郵便株式会社のコンプライアンスやガバナンスについて、トータルとしてうまく機能しているのかどうかということを見ていきたいというふうに考えておりますので、個別事案について個々に掘り下げて取り上げるということは予定しておりません。

岩谷分科員 個別事案の調査もせずにどうやってモニタリングをしていくのかが、私にはちょっと理解できないんですよね。

 郵便局は、例えば、昨年には、収支が悪化していることや人手不足を理由として、土日配達の休止などの郵便法改正も行われております。また、配達コストの上昇などを理由にして、今年の六月からは、国際郵便の料金を最大二倍に値上げするというような発表もされているわけなんです。この土曜の配達休止とか国際郵便の値上げとか、こういったことが、この問題をこのままうやむやに終わらせて、国民の皆さんが納得するとは思えないんですよね。

 大臣、いろいろ申し上げましたけれども、やはり再調査は必要ではないですか。

今川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、様々な郵便料金の値上げですとか土曜配達の休止ですとか、そういったものもございます。

 したがいまして、郵便局の利用者の方にしっかりと御理解をいただくことは必要と考えておりますが、先ほどの御指摘いただきました郵政行政モニタリング会合におきまして、様々な不祥事案が続いたということでございますので、個々の事案につきましては、総務省の方で、個々の事案ごとに原因究明や再発防止策を受け取りまして、しっかりと個々にモニタリングを行っておりますけれども、このモニタリング会合におきましては、グループや会社の全体としてのガバナンスやコンプライアンス、そういったものがしっかり行われているか、それから、そういったことが徹底されているかというのをしっかり見極めまして、利用者の方々の御理解につながるように日本郵政グループに求めていきたいというふうに考えております。

岩谷分科員 モニタリング会合じゃなくて、再調査をもう一度しませんかというお話なんですけれども、まあ、もうされないということだというふうに受け止めております。

 この問題は、引き続き、日本維新の会の総務委員会のメンバーとともに連携して真相解明を求めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっとテーマを変えまして、次に、新型コロナワクチン接種券の前倒し発送についてお伺いしたいと思います。

 私は大阪が地元なんですけれども、大阪の大規模接種センター、大阪府が設置している大規模接種センターの予約、随分空いているんですね。私も会場を見ましたら、かなりがらがら状態でしたし、今日確認しても、予約が、四会場あったと思うんですが、ほぼ全部まだ空きがありということで丸という、カレンダーに丸がついているんですね。

 一方で、接種券がないと大規模接種会場で受けられないじゃないですか。そうすると、六十四歳以下の方でまだ接種券が送られてきていない方もいらっしゃるわけです。この点、私の地元の東大阪市では、六十四歳以下で、例えば二回目の接種から六か月たっている方等の条件を満たす方は、コールセンターに電話したら、前倒しで個別に接種券を発送してくれるんですね。

 厚労省の方から各自治体に、こういう対応ができますよという通知はしていただいていると思うんですけれども、多くの自治体が、この取組、まだできていないんじゃないかなというふうに思いますので、是非、厚生労働省から再度この取組を、各自治体、大規模接種センターが近くにあるような自治体には促していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点、大変重要な点だと思っております。一、二回目接種から六か月、接種した方について、例えばまだ届いていない場合に、本人からの申出に基づいて接種券を発行するという運用につきましては、ちょうど二月の十四日、おとといに発出いたしました事務連絡におきましても、一つの取組の好事例という形で紹介をさせていただきました。

 様々な機会を通じまして、こうした柔軟な取組もあり得るということをお伝えをして、接種券の早期発行、これそのものについては従来からお願いをしているところですけれども、柔軟な取組が可能だということも併せてお伝えしてまいりたいと思っております。

岩谷分科員 事前にこの件をやり取りさせていただいたときに、早速、恐らく通知を出していただいたということだと思います。ありがとうございます。

 またテーマは変わりますが、次、投票率向上策についてお伺いしたいと思います。

 昨年、衆議院選挙が行われまして、私も初当選をさせていただきましたけれども、今年は参議院選挙が行われます。選挙のたびに投票率の低下がやはり問題になっているわけでして、当然、投票率の低下というのは民主主義にとって非常に危機的な状況であると思っております。

 基本的に、投票率を上げていくためのベーシックな対策としてはやはり啓発とか広報だと思うんですが、その広報予算、啓発予算、これが今五億円ぐらい計上されていると思うんですが、平成二十一年、今から十年ちょっと前は十億ぐらい予算があったということなんですね。ところが、平成二十一年、十億あったのが、平成二十二年には、当時、民主党政権による事業仕分等があって、僅か一年で四億ぐらいまで減額されてしまったというふうに聞いています。

 これは、投票率が上がっているならまだしも、下がっているのに、啓発とか広報の予算が半分以下にされてしまって、そのまま半分ぐらいの水準で推移しているというのは非常に本末転倒ではないかと思うんですけれども、この予算、大幅に増額すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

森(源)政府参考人 選挙につきましては、常時行っております常時啓発と、それから選挙の際に行っておる臨時啓発とがあるわけでございますけれども、いずれの方につきましても、地方団体に対する委託費、あるいは国が直接行う事業としての直接執行分、これについて所要の額を確保して、啓発を適切に執行しておるものというふうに考えておるところでございます。

 自治体の方からまた不足の向きなどの声があれば、また今後考えていくこともあろうかとも存じますけれども、引き続き適切に執行してまいりたいと存じます。

岩谷分科員 選挙の際に投票を促すようなテレビCM等も行われていない現状ですから、やはりこれは予算増額が必要だと思いますが、これは大臣に要望しておきたいと思います。

 それから、統一地方選挙がまた来年あります。統一地方選挙は、地方議会とか首長さんの選挙を同じ日にやって、コストを削減しつつ投票率を上げようという発想だと思うんですが、この統一率がかなり下がってきている。元々、昭和二十二年に統一地方選挙がスタートしたときは当然一〇〇%あった統一率が、前回、三年前、二七%まで低下しているということで、かなりばらばらになってきているんですよね。

 この統一地方選挙、やはり再度統一した方がいいと思うんですが、残念ながら、地方では、自分たちで統一するすべがないんですよね、広範に。これはやはり立法が必要だということで、例えば、来年統一地方選挙をやって、その後の全ての地方の選挙の任期を四年後の令和九年四月三十日とするような法律を作って、いわばスーパーエイプリルのような、そういった地方選挙の再統一をできるような立法をしてはどうかと思って、もちろん、一時的に任期が長くなったり短くなったり、そういう課題も起きてくるんですけれども、その弊害を考えても統一していくベネフィットの方が大きいと思いますので、是非検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 地方選挙を再統一するということにつきましては、これまでも、地方選挙を年一回ないし二回に統一して行うことなどに関する議論が行われ、各党間の意見調整が行われたものの、合意には至らなかったものと承知をしております。

 その際、地方選挙を年一回ないし二回に統一して行おうとする場合には、御指摘のとおり、導入時に現職の大幅な任期延長が必要となることについてどう考えるのか、また、強制的に統一することが地方分権の流れに沿うのかどうか、あと、その間の長の死亡とか退職、あるいは議会の解散等の場合の取扱いをどうするかなどの課題が指摘をされていたものと承知をしております。

 また、長年定着してきております地方選挙の仕組みを変えるということになりますと、各方面への極めて大きな影響を与えることとなりますことから、まずは、各党各会派におきまして、幅広い観点からの議論が必要な問題というふうに考えているところでございます。

岩谷分科員 ありがとうございます。

 我が党の中でも、こういう法案を提出する可能性ということも含めて、私も提案をしていきたいと思っております。

 それから、投票率をやはり根本的に上げていくためには、教育が非常に重要だと昔から考えております。

 来年度から、高校の「公共」という科目で、主権者教育が中に入っているというふうに聞いていまして、大変期待しているところなんです。

 ただ、どうこの「公共」の中で主権者教育を、どれぐらいの時間行うとか、そういったことは学校側の判断に委ねられているということで、当然、政治的中立性が強く求められる教育現場ですから、先生方も非常に及び腰になる可能性もあるなとかいうふうに思うわけなんですね。

 今後、この「公共」の中で主権者教育がしっかり行われていっているかというのは注視していただきたいと思うんですが、将来的に、学習指導要領の「公共」の目標の中で、投票率を上げる、しっかりと投票に参加するというのも目標に明確に掲げていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 高校生を始めとします子供たちについて、政治や選挙の関心を高めて、主体的に社会の形成に参画する態度を育んでいくということは極めて重要なことだというふうに考えてございます。

 このため、本年四月から順次実施をされます新しい高等学校の学習指導要領におきましては、今御指摘ございました、公民科に新しい必履修科目として「公共」という科目を設けまして、その中で、我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の涵養に向けて、民主政治の推進における選挙の意義について指導する、こういうこととしております。

 これまでにも、例えば、総務省さんと連携をいたしまして、毎年度、全ての高校一年生に対して政治や選挙に関する副教材を配付をいたしておりますし、また、先生方に対してもその指導資料も併せて配付をすることで、しっかりとした紛れのない形で、心配なく主権者教育が行われるような取組を進めておりますけれども、これを更に進めてまいりたいと思います。

 具体的には、実際の学校現場では、実際の選挙公報を基にしまして、政党間の政策を比較した資料を参考に議論をして模擬選挙を行ったり、地方議員の方々とともに地域課題を議論する授業を行っておりますとか、あるいは、高校生議会を開催して、実際に市町村の議会で質問する機会を設定する、こうした実践的な取組が進んできております。

 ただいま御指摘ございました、科目「公共」の目標に投票率の向上を規定するということにつきましては、現在の学習指導要領は、各教科、科目の目標の記述の仕方といたしましては、小学校から高等学校まで全て通じまして、また、各教科、科目を通じまして、教科、科目全体を通じて育成すべき資質、能力というものを規定することにしてございますので、個別の活動の結果について規定するということにつきましては少し難しい面があるかというふうに思いますけれども。

 ただ、実際の「公共」の授業、あるいは「公共」を始めとする様々な学びを通じまして、子供たちが、選挙の持つ意義、あるいは政治的無関心が増大することに対する危険といった基本的な知識を学ぶことはもとより、子供たちが平和で民主的な国家、社会の形成者となることの自覚を高めること、またさらに、実際の活動につながるような実践的な力が培われるように、引き続き、総務省とも連携をしながら、各地域の取組が進みますように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

岩谷分科員 大変御丁寧に答弁をいただきまして時間がなくなりかけておりますので、ちょっと幾つか飛ばしまして、まず一点、ちょっと要望をさせていただきたいんですけれども、大阪で昨年、大阪市北区でビル火災がありまして、二十五名の方が亡くなられたという大変痛ましい事件がありました。これは、今、消防庁で火災の概要及び火災原因調査というのを行っておられて、そこでガソリンの販売規制についても議論されると聞いていますので、ここで是非、実効性のあるガソリンの販売規制というのも検討していただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。

 最後、ちょっと大臣にコメントをいただきたいんですけれども、消防団の団員数の減少、いろいろな議員が今日質疑されましたけれども、細かいことはお聞きしませんので、是非、大臣として、この消防団の団員数の減少について歯止めをかけていくんだという強い決意と、それから、非常にふだん頑張っておられる消防団員の皆さんに、是非激励のメッセージということを最後いただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 岩谷委員から今お話があったわけでありますが、私自身もやはり、消防団員の減少というのは、地域を守るという意味で、地域防災力も含めて大変重要なことだと思いますが、残念ながら、今、消防団員が人数が減って確保できていない状況にあるわけでございます。令和三年四月一日現在で八十万四千八百七十七人と、三年連続で一万人以上減少しているわけであります。

 総務省消防庁では、消防団員の確保に向けて、消防団員の報酬等の処遇改善を図るとか、あるいは、来年度予算案に消防団の力向上モデル事業として二億五千万円を計上したところでございますし、消防団員等による小中学校等での防災教育の充実、あるいは、女性、若者などが消防団活動に参画するための工夫など、全国の先進的な取組を支援しているところでございます。

 また、そのほかにも、広報のお話があったわけでございますが、幅広い住民の入団促進に向けて、若年層の興味を引く、和牛という漫才師さん、タレントを起用したり、広報キャンペーン、機能別消防団の活用とか、あるいは、企業から消防団に出やすい環境をつくっていくとか、様々なことをやっております。

 本当に、岩谷委員とはこの件ではもう共有できますので、しっかりと、私の地元も私の先輩が今消防団長をやっておりますけれども、そういう、どんどんどんどん人口が減っていく中で、地域を守っていくということは非常に重要でございますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

岩谷分科員 この点ではというところが少しひっかかりましたけれども、ありがとうございます。

 時間が参りました。幾つか質問を飛ばしました。御準備いただいた参考人の皆様、申し訳ございませんでした。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中谷主査 これにて岩谷良平君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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