衆議院

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第2号 令和4年2月17日(木曜日)

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令和四年二月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 中谷 真一君

      秋葉 賢也君    奥野 信亮君

      塩崎 彰久君    武井 俊輔君

      階   猛君    白石 洋一君

      岩谷 良平君    中川 宏昌君

      平林  晃君    緒方林太郎君

   兼務 城井  崇君 兼務 重徳 和彦君

   兼務 斎藤アレックス君 兼務 本村 伸子君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           北浦 修敏君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 新田 慎二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤田清太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       高橋 謙司君

   政府参考人

   (観光庁次長)      村田 茂樹君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     塩崎 彰久君

  階   猛君     末松 義規君

  岩谷 良平君     空本 誠喜君

  中川 宏昌君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     川崎ひでと君

  末松 義規君     白石 洋一君

  空本 誠喜君     金村 龍那君

  平林  晃君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     武井 俊輔君

  白石 洋一君     階   猛君

  金村 龍那君     伊東 信久君

  角田 秀穂君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     奥野 信亮君

  伊東 信久君     赤木 正幸君

同日

 辞任         補欠選任

  赤木 正幸君     岩谷 良平君

同日

 第一分科員重徳和彦君、第三分科員城井崇君、本村伸子君及び第六分科員斎藤アレックス君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

中谷主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。

塩崎分科員 おはようございます。愛媛一区選出の塩崎彰久でございます。

 今日は、この質問の機会を賜りまして、本当にありがとうございます。また、金子大臣におかれましては、お忙しい中、こうして御出席を賜りまして、ありがとうございます。

 総務省においては、今年度の予算におきまして、消防防災力そして地域防災力の充実強化のために九十三億円を計上しております。

 そこで、まず、今日は、この地域防災力を強化していくという観点で、今進んでいる地球温暖化、そして、その中での水害リスクの向上、こうした観点からお伺いをしてまいりたいと思っております。

 さて、昨年、愛媛県民にとっては大変うれしいニュースがございました。それは、ノーベル物理学賞、こちらに四国中央市出身の真鍋淑郎先生が見事に選ばれたということでございました。真鍋先生がノーベル物理学賞を受賞されたのは、二酸化炭素が地球の温暖化に与える影響、これを明らかにした功績によるものでございました。

 私、実は、一九六七年に真鍋先生が書かれたその最初の論文を読んでまいりました。十九ページの英語の論文。タイトルがなかなか難しくて、日本語で言うと、相対湿度の特定分布における大気の熱平衡。なかなか難しいんでございますが、この論文の肝は、第四章に出てくる一節、今のCO2の量を二倍にすると、地球の温度は二・三度上昇すると。一九六七年でございますから、五十五年前に書かれたこの論文。この論文が予言した未来を、まさに我々は今体感している、そういう状況にあると思っております。

 地球温暖化による影響、これがまさに私たちの暮らしに直結する事態が訪れております。毎年のように集中豪雨、こうしたものが訪れることが珍しくなくなっております。国交省の検討によりますと、気温が現在から一度上昇すると洪水の発生頻度が二倍、温度が三度上昇すると四倍になるというふうなシミュレーションが出ております。

 実際、三年前の西日本豪雨災害では、愛媛県でも非常に多くの被害が出まして、死者二十七名、行方不明の方一名という非常に大きな傷痕を残してまいりました。

 また、金子大臣の御地元、熊本におかれましても、二〇二〇年に起きた熊本の豪雨災害で、本当に多くの方が犠牲になられまして、大臣におかれましても、昨年十二月には現地に視察に行かれるなど、こうした豪雨災害の対策に、まさに身をもって当たってこられたものと推察しております。

 そうした中で、金子大臣に是非お伺いしたいのは、地球温暖化のリスク、特に豪雨災害のリスクがますます増加していく中で、地方自治体の防災力強化、これが非常に重要性が高まっていると考えております。豪雨災害増加の危険性と、そして地域防災力強化の必要性について、大臣の御所見を伺えればと思います。

金子(恭)国務大臣 おはようございます。

 塩崎委員には、真鍋先生の論文を引用されて、格調高い御質問をいただいております。

 特に、やはり地球温暖化の影響もあると思いますが、自然災害、激甚化、頻発化、多様化している状況の中で、愛媛もそうでありますし、熊本でもそうでありますし、いつ何どき、どこで災害が起きてもおかしくないような状況の中で、やはり、地域防災力、市町村の役割は非常に大きいというふうに思っております。

 市町村は、備蓄、耐震化などの事前の備え、いざというときの避難誘導や救助などの応急対策、迅速な復旧復興など、災害対策に当たっては最前線で対応に当たる役割を担っております。

 特に、大規模な豪雨災害などが発生した際には、最前線で住民の安全を確保すべき市町村が、情報収集、警戒、救助、救急などの多岐にわたる災害応急対策を行う必要があります。

 このため、平時から、ハード、ソフト両面において、災害対応の各段階に応じて市町村に万全の対応を行っていただけるよう、内閣府を始め各府省とも連携しながら、国を挙げて市町村支援に当たっていくこととしております。

 特に、総務省の取組について申し上げますと、防災・減災、国土強靱化の取組に対する地方財政措置を通じての支援や、災害対応時、復旧復興時における自治体相互間の広域的な応援体制の整備等にしっかりと対応してきております。

 また、近年では、災害対応の経験を踏まえますと、市町村長が適切な陣頭指揮を執ることの重要性が再認識されたところでありますことから、市町村長への災害対応シミュレーション訓練やセミナーの実施なども行っているところでございます。

 市町村が災害対策や対応において果たす役割は非常に大きいものがございます。今後とも、各府省とも連携の上、市町村の総合的な災害対応力の強化に、総務省としても全力でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 まさに被災地復興に足を運んで取り組んでこられた金子大臣の、思いのこもったこうした対応力強化の取組についての御答弁、ありがとうございました。引き続き、しっかりと、この分野につきましては、予算的な措置も含めて、国としても全力で支援をしていくことが重要ではないかと思っております。

 大臣、お時間もあろうかと思いますので、こちらで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 さて、引き続き、総務省にお伺いしたいと思います。

 今の地域防災のお話の中で、大臣からもありましたように、まさに市町村、地方の自治体の果たす役割が非常に大きくなってまいります。そして、その地域の中での防災力強化という意味では、行政とそして市民の協働というものが非常にこれからは大事になってくるのではないかと思っております。

 その中で、防災士という資格の役割について、改めて皆さんに御紹介をしてまいりたいと思っております。

 防災士というのは、防災における自助、共助、協働、この原則を守りながら、社会の様々な場で防災力を高める、そういう活躍を期待されて、一定の知識とそして技能を習得した方を日本防災士機構が認証する資格でございます。

 この防災士の認証登録者数、現在は全国で二十二万を超える多くの方が登録していただいておりますが、実は、松山市は、自治体の中でいいますと、全国の自治体の中で最も多い数の防災士を登録しております。六千四十七名、昨年時点でございますが、登録している。

 これは、自然に防災士が増えてきたというだけでなくて、松山市では、自主防災組織の核になるような防災リーダーを育成するために、平成十七年度から、自主防災組織の推薦を条件に、全国で初めて、資格取得費用を全額公費負担、こういった形で防災士資格の取得を奨励してまいりました。

 この防災士の皆さん、平時においては、防災訓練やまた防災講演、こういったことを自分で企画立案をして、そして自主的に実施していく、こういう役割を担っております。

 また、いざ有事となれば、避難誘導や、救出、救護活動、避難所の運営、こうしたものに汗をかいていただく、協力をしていただく、まさに現場の最前線で防災に当たっていただく皆さんでございます。

 私自身も、昨年、こうした防災士の役割の重要性に鑑み、資格を取得させていただいた次第でございます。

 そこで、総務省にお伺いしたいと思っております。

 今後、地域防災においては、こうした消防団や防災士会、こういう地域の自主防災組織と、そして消防士の連携強化、こういったものがますます重要となってくるものと考えております。こうした観点から、総務省としてはどのような取組を行っているのか、行っていこうとしているのか、教えていただければと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 近年の災害の多様化、激甚化、頻発化を踏まえますと、地域の防災力を高めることは非常に重要であり、そのためには、地域住民による自助、共助の精神に基づく防災活動が極めて大切でございます。

 このため、総務省消防庁といたしましては、防災士を含む地域防災の担い手の専門性の向上につきましては、自主防災組織のリーダーの育成を強化するために策定をいたしました研修用の教材などを活用いたしまして、市町村の自主防災組織の担当者に対する研修会を開催をしております。

 また、消防団や自主防災組織が防災士会など多様な主体と連携した防災に関する取組につきましても、消防団・自主防災組織等連携促進支援事業として支援をしております。

 引き続き、防災士を含む地域防災の担い手の専門性の向上や多様な主体の連携を深めるための地方公共団体の取組を支援をいたしまして、地域防災力の充実強化に努めてまいります。

塩崎分科員 御答弁ありがとうございました。

 冒頭に申し上げたように、地球温暖化の中でこうした災害の激甚化がますます進んでいく中で、今お話にありました、自主防災組織と行政との連携、この重要性はますます高まっていくものと思っております。引き続き取り組んでいただければと思います。

 さて、防災につきましては、いざ事が起きた後の対応のお話を今してまいりましたが、何よりもやはり、そうした問題が起きないようにする予防の観点が非常に大事であると思っております。そうしたところから、今日は国交省にもおいでいただいておりますので、この予防という観点から、水害予防についてお伺いをしてまいりたいと思っています。

 特に、松山市のような都市部では、都市部における河川の氾濫、内水の問題をどう対応していくかというのが非常に大事になっております。

 防災科学技術研究所の解説によりますと、内水対策、つまり、都市地域における、雨の降った量、また、その周辺から流れ込む水の量が流出量を上回らないようにすることが非常に大事であるということでございます。そして、その流入量を減らす方法としては、流域内で積極的に雨水の貯留そして浸透を図る、これが基本となるというふうにされております。

 市街地でこうした浸水が発生した場合には、まさに、冠水した道路を歩いていて深みにはまってしまったり、マンホールが外れて人が引きずり込まれたり、様々な大きな危険が発生してくることになります。

 そうした中で、松山市でもこの冠水が非常に大きな問題となっております。お手元の、お配りした資料を御覧いただければと思います。

 これは、今、松山の外環状道路インター東線、これを建設、整備中の箇所でございますが、こちら、お配りした資料の写真にございますように、この建設予定地域におきましては度々冠水が起きている状況でございます。

 めくっていただきまして、次のページを御覧いただきますと、もう少し広域の地図になっておりますが、この松山市の石井地域につきましては、東から西に流れる内川の北側の地域でございます。雨が降ったときに、東側に降った雨が西側の瀬戸内海に向けて流れていくわけでございますが、東側地域が、元々水田地域だったものが最近多く市街地化していく中で、地域の保水力が下がってきてしまっている。そうしたことによって、雨水が水路を流れていく中でオーバーフローしてしまって、そして冠水が起きるということが度々起きるようになってしまっております。

 そうした現状に照らしまして、地域の土地改良区などの住民の皆様からは、先ほどの御紹介しましたレポートにもありましたように、まさに雨水を貯留するための設備を造ってくれないか、こうした要望が上がってきているところでございます。まさに現在建設途中の外環状道路、このエリアに貯水池を設けることによって貯留容量を拡大して、こうした冠水のリスクを抑えていこうということでございます。

 そこで、国土交通省にお伺いしたいところでございます。

 こうした松山で整備中のインター東線の近傍における冠水リスクについて、内水対策に資する貯水池の整備、これについて、国土交通省としてどのような支援、どうした支援ができるか、これについて教えていただければと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 内水対策に寄与する貯水池等の整備に当たりましては、施設の規模や経済性等の一定の要件を満たす場合に、防災・安全交付金等による国からの財政支援を受けることが可能となっております。

 また、財政支援の活用に当たりましては、整備主体である地方公共団体による検討が必要でございますけれども、国土交通省としても、制度の周知や技術的な支援に努めてまいりたいと存じます。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 今の支援の具体的な支援割合については、どのようになっておりますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお答えいたしましたこの内水対策に寄与する貯水池等の整備に当たっての支援の内容でございますけれども、防災・安全交付金の中で、地方公共団体又は地方公共団体の助成を受けて民間企業等が行う場合に、補助率三分の一の割合で支援をすることが可能となっております。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 そうした国の支援を活用しながら、しっかりとこうした貯水池対策についても行っていく必要性を改めて確認をさせていただいた次第でございます。

 続きまして、テーマを少し変えさせていただきます。

 総務省が今年の一月二十八日に発表した調査によりますと、東京二十三区、これは転出者から転入者を差し引くと一万四千八百二十八人、一四年以降で初めて転出超過になったということでございます。昨年の五月、初めて転出超過が確認をされて、就職、進学などの月を除けば、十五か月もの間、転出が転入を上回る、こうした転出超過の傾向が定着しつつあります。

 具体的に、都道府県別に人の流れを見てみますと、全体として転出超過ということになっているわけですけれども、転出している先は、主に埼玉県、千葉県、神奈川県、そして沖縄県。首都圏の近県になっております。

 それ以外の都道府県からは、引き続き東京への転入の方が多いんですが、コロナ前に比べると、その転入の量は大幅に減っている、こういう現状でございます。

 まず、こうした全体として人の流れが変わっている、そして地方への転出が増えている、こうした現状について、その要因をどう考えているか、総務省にお伺いできればと思います。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、総務省の住民基本台帳人口移動報告によりますと、東京都特別区においては、二〇二〇年の転入超過から、二〇二一年は転出超過に転じたところでございます。

 これは、コロナ感染症を受けて、人々の、都市での密な生活を避ける動きや、郊外を中心に居住地を移す動き、企業におけるテレワークの定着やオフィス分散化の動きなど、国民の意識、行動に変化が見られるようになったものと受け止めております。

 一方で、東京圏で見ますと、御指摘のとおり、依然として転入超過の傾向は続いております。

 コロナ感染症拡大後の国民の意識、行動の変化を契機として、東京一極集中に歯止めをかけ、それぞれの地域で住みよい環境を確保することができるよう、地方創生の取組をより一層推進していくことが重要と考えておるところでございます。

塩崎分科員 御答弁ありがとうございました。

 今まさにありましたように、首都圏としては転入傾向が続いているということで、ただ、このまま、コロナだからということで地方に単純に人が移住するということではないというふうに理解をしております。

 そうした中で、今、政府としては、デジタル田園都市国家構想の下で、地方でも都会と変わらない、便利で安全な生活ができる、そういった環境の整備を進めていくことに取り組んでおります。

 内閣府の令和三年度の補正予算においては、二百億円を計上いたしまして、デジタル田園都市国家構想推進交付金地方創生テレワークタイプ、こうしたものを提唱しております。このテレワークの推奨のための補助金でございますが、これは、これまでもあった地方創生テレワーク交付金の後継としてのプログラムだと理解をしております。

 ただ、一方で、テレワークを進めていくというのはなかなか簡単ではないということも理解をしております。

 令和二年、まち・ひと・しごと創生本部事務局が行いました、東京圏、地方での暮らしや移住及び地方への関心に関する意識調査、この意識調査の中身を見てみますと、地方へ移り住むことを妨げている理由として、やはり、求めている業種、職種の働き口が見つからないこと、これが最も高く挙げられております。

 こうした住民の皆さんの意識を踏まえて、この地方創生テレワーク交付金でございますけれども、従前からどういった点が変更されているのか、そして、これまでの利用、導入実績はどうか、教えていただければと思います。

新井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、デジタル田園都市国家構想推進交付金でございますが、この交付金は、デジタル技術を活用した、意欲ある地域による自主的な取組を応援するものであり、サテライトオフィスの整備等に取り組む地方公共団体を支援する、地方創生テレワークタイプを設けております。

 地方創生テレワーク交付金からの変更点でございますが、対象事業につきまして、本交付金を活用したサテライトオフィス等に進出した企業と地元企業が連携して行う、地域資源を活用した地域活性化に資する事業を新たに支援メニューとして追加をしているとともに、東京圏内の交付対象者につきまして、今までは条件不利地域を含む市町村に限定していたわけでございますが、そこを、二〇一〇年から二〇二〇年の人口減少率が一〇%以上の市町村に範囲を拡大をいたしております。

 先生から御質問ございました利用実績でございます。全国で二百六の団体を採択しており、三百四十五施設の整備や利用促進等の事業を行っているところでございます。

 本交付金の活用によりまして、転職なき移住を実現するとともに、地方への新たな人の流れ、そういったものを創出してまいりたいと考えております。

塩崎分科員 御答弁ありがとうございました。

 二百六施設ということで、決して少ない数字じゃないと思いますが、全国の地方における人口減少の問題を考えれば、これをますますパワーアップしていただきまして、転職なき移住も、そして転職を伴う移住も、いずれも地方の魅力を再確認していただくような施策を、引き続き取り組んでいただければと思います。

 更に言えば、地方への人口移動というものを、コロナ禍における一過性のトレンドにやはりしてはいけない。コロナが終わったらみんな東京に戻ってきてしまったということでは、やはりいけないんだろうと思っております。

 先ほどの意識調査を見ますと、例えば、UJターンの女性におきましては、地方に戻った理由として、自然も便利もある地方都市での暮らしが挙がっておりますけれども、親や昔の友達の近くにいる暮らし、こういった、仲のいい人が地域のコミュニティーにいるということも非常に大切な要素として挙げられております。やはり、箱物を造るだけではなくて、移住者が定着できるような、そうした取組を後押ししていくことも大事ではないかと思っております。

 では、最後の質問に伺いたいと思います。

 岸田総理は、昨年の十二月六日の施政方針演説で、「海底ケーブルで日本を周回するデジタル田園都市スーパーハイウェーを三年程度で完成させます。各地に設置する大規模データセンター、光ファイバー、5Gと組み合わせ、日本中、津々浦々、どこにいても高速大容量のデジタルサービスを使えるようにします。」と表明をされました。

 このスーパーハイウェー構想、こちらについて、その構想の狙いと現在の検討の進捗状況について教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のデジタル田園都市国家構想の実現に向けまして、まずは、地方におけるデジタル基盤の整備を促進すること、また、さらに、災害が激甚化、頻発化する中で、通信ネットワークの強靱化を図っていくことは大変重要な課題であると考えております。

 このため、総務省といたしましては、我が国を海底ケーブルで周回するネットワーク、いわゆるデジタル田園都市スーパーハイウェーの三年程度での構築を目指しまして、今年度補正予算において、未整備となっております日本海側ルートの整備などを支援するため、基金を通じて民間事業者を補助する事業を行うこととしているところでございます。

 現在、基金を設置する法人の公募を行っておりまして、三月末までに基金設置法人を確定した上で、来年度早期に、補助対象となる事業者の公募を行う予定でございます。

 この海底ケーブルのほか、光ファイバー、5G、データセンターなどのデジタル基盤の整備と相まちまして、地方の通信環境が向上することにより、例えば、地方におけるテレワーク、遠隔授業、遠隔医療の実現や、通信遅延が低減することで可能となります無人自動運転や自動農業管理の実現など、地方におけるデジタル実装に資するものと考えております。

 引き続きまして、デジタル田園都市国家構想の実現に必要不可欠な光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブル等のデジタル基盤の早期整備に全力を挙げてまいりたいと思います。

塩崎分科員 御答弁、どうもありがとうございました。まさに海底ケーブルが日本中を回るということがどういう意味なのか、教えていただきました。

 現在、海底ケーブルは太平洋側に集中をしております。そして、御案内のとおり、南海トラフの大きなリスクが迫っている中で、危機管理の観点からも、日本海側をつなぐということがいかに大事かというふうに私は考えております。デジタル田園都市構想を進めていく上で、そして地方への移住を進めていく上で、全国にあまねく高速の通信網が安定して安全に敷き詰められる、これが非常に大事である、そういうインフラであるというふうに理解しています。

 是非、このスーパーハイウェー構想、しっかりとお進めをいただきまして、日本の全国にデジタルの恩恵が行き届くような、そうした施策を総務省として進めていただければと思います。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

中谷主査 これにて塩崎彰久君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村分科員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ケア労働者の賃上げの問題について質問させていただきます。

 ケア労働者の方々の賃上げというのは、本当に重要な施策だというふうに痛感をしております。ところが、政府の財政措置では、一部の労働者しか対象としていない、しかも額が物すごく低い、低過ぎるということがあるということを指摘させていただきたいと思います。

 資料を御覧いただきたいんですけれども、これは内閣府と厚生労働省から提出いただいた資料で作ったものでございます。保育所や幼稚園などの職員の方々、介護職員の方々、障害福祉の職員の方々、看護の職員の方々、そして、学童保育の職員の方々の実態でございます。実際に働いている人数がオレンジ、そして、その実人数を常勤換算したものがブルーでございます。そして、グレーは、今年度の補正予算の中で賃上げの予算措置をされた人数。これが来年度の予算にも継承されるということになってくるかというふうに思いますけれども、そういう数字です。

 実際の人数と賃上げ予算の人数が乖離をしているという問題がございます。保育所、幼稚園でいいますと、百八万六千八百四人実際に働いているのに、予算対象は七十一万人分しかない。介護の職員の方は、二百三万四千五十五人実際に働いているのに、予算対象は百三十八万人分しかない。障害福祉では、百五十四万八千四百四人実際に働いているんですけれども、予算措置は五十七万人分しかない。看護の職員でいいますと、百二十八万九百十一人が実際に働いておりますけれども、五十七万人分しか予算がない。学童保育では、十七万五千五百八十三人が実際に働いているんですけれども、賃上げの予算は十二万人分しかないということでございます。

 実際に実人数と予算額というのはかなり乖離しているんですけれども、実人数を常勤換算した、そういう人数で比較をしても、例えば障害福祉の分野でいいますと、二十七万人以上足りないというふうになっております。看護師始め看護職員の方々、常勤換算した人数で比較しても六十万人分以上が足りないという状況になっております。

 愛知の医労連の皆様のところには様々なケア労働の方々からお声が寄せられておりまして、そのお声を聞かせていただきました。

 介護の分野では、ケアマネジャーの方が、ケアマネの専門性を高めろと研修で言われていますが、専門性を高めても給料は上がらない、やることは多くなってきていても給料には反映されないのでは、厚生労働省はケアマネの仕事を評価していないという意味ですね、やりがい搾取はもう時代に合わない、ますますケアマネをやる人がいなくなりますが、それでよいと思っているんですか、いざとなればセルフプランでも推奨するのでしょうか、全く意味が分かりませんと憤りの声が寄せられております。

 また、別の介護施設の職員の方は、ケアマネも実際は現場の一員です、上司のケアマネは事務仕事、現場仕事をこなして人一倍労働しているのになぜ対象にならないのか、コロナ対策で消毒やふだんの生活の自粛、これを頑張っているのは介護職同様です、ケアマネも賃上げを求めますというお声です。こういう声に応えていくべきだというふうに思うんです。

 医療の現場からもお声がございます。訪問看護の方でいいますと、訪問看護で一番怖いのは、訪問したら熱を出したり、家族が発症している場合、当然次の訪問には回れない、訪問に携わる者たちは皆、自らが運び屋にならないこと、自分を、家族を守ることで神経をすり減らして訪問しています、コロナ禍前はスムーズに病院へつなげられたものがそうはいかない、私たちのようなバックグラウンドで命を、健康を守る者がいなければ現在の医療は成り立たないと思います、在宅支援者が対象から外されることには全く納得はいきませんというお声です。

 診療所の看護師パートさん。毎日検査がたくさん入り、感染リスクがある中、負担も増えているが、何の手当もない、問合せの電話も多く、時間が取られる、一時金は寸志しかなく、希望休も取れない状態、検査の実績を見て、危険手当を出してほしい、賃上げの対象にならないのはおかしいというお声でございます。

 看護の問題でいうと、一部の看護職員だけの少額の賃上げの政策に、医療の現場から、心が折れてしまう、これでは人の確保も難しくて離職は止まらないという声が出されております。全ての医療従事者の方々の賃上げを行うべきだと思いますけれども、佐藤厚生労働副大臣、お願いをしたいと思います。

佐藤副大臣 今回の介護職員の処遇改善におきましては、本年二月から九月につきましては、補助金により収入を一%程度、月額四千円引き上げるための措置を実施いたします。また、十月以降は、診療報酬におきまして、収入を三%程度、月額平均一万二千円相当を引き上げるための処遇改善の仕組みを創設することといたしております。

 対象となる医療機関につきましては、介護職員の賃金水準が全産業平均に比べて高い状況の中で、地域においてコロナ医療など一定の役割を担っている医療機関といたしました。具体的には、平日一日救急車一台以上程度の搬送件数のある医療機関を念頭に置いた、救急医療管理加算を算定する、救急搬送件数が年間二百件以上の医療機関及び第三次救急を担う医療機関と整理をいたしたところであります。

 また、今回の仕組みは、看護補助者、理学療法士、作業療法士等コメディカルの処遇改善にも充てられる柔軟な運用も認めてあります。また、御指摘の薬剤師は看護職員より賃金水準が高いこと、また一般の事務職員は医療サービスを患者に直接提供している職種でないことから、対象とされておりません。

 対象となる医療機関等については、昨年閣議決定された経済対策や公的価格評価検討委員会の中間報告に基づき、予算編成過程において決定したものであり、御理解をいただければと思います。

本村分科員 看護職員について、全産業よりも給与が高いんだというお話もあったんですけれども、それは、公的価格評価検討委員会の中間整理の中でも書いてあるんですけれども、この中間整理は非常に乱暴で恣意的だという声が医療現場からは出されております。看護職員の皆さんは、命を守って、悲鳴を上げながら、本当に今頑張っておられるわけです。夜勤や残業手当がないと全産業よりも低い状況でございます。

 命を守っている医師と比べてどうなのか。諸外国と比べてどうなのか。諸外国でいえば、ルクセンブルクを一〇〇としますと、アメリカが七九・四、オーストラリア六七・九、OECDの平均は四八・一、日本は四〇・七と、看護職員の方々の給与というのは世界に比べても本当に低いわけです。

 やはり丁寧に見ていかないといけないというふうに思いますし、このパネルを見ていただきたいと思うんですけれども、常勤の方が非常に多いわけですよね、看護職員の方。ですから、全産業で、パートタイムなどが多い産業と比べると、やはりまた平均が変わってくるというふうに思いますけれども、そういうことを丁寧に見ていかなければいけないのに、こういう恣意的な数字じゃないかという批判が現場からは出ているわけでございます。

 この公的価格評価検討委員会の中間整理の中で、今後の処遇改善に関して「対象外となった職種も含め、検証を行うべきである。」というふうにありますけれども、一部の看護職員だけの賃上げ一回で終わりということにせずに、第二弾、第三弾、医療従事者全てを対象にして賃上げをするべきだ。みんなが頑張っていることに対して、国がちゃんと評価していますよと、光が当たるようにしていただきたいと思いますけれども、お願いをしたいと思います。

佐藤副大臣 本村委員、先ほど、私、一問目ですね、看護職員というところ、介護と何か聞こえたかもしれないので、看護職員のお話でございますので、続けさせていただきたいと思います。

 看護職員等に関わる今後の処遇改善におきましては、公的価格評価検討委員会の中間整理におきまして、「これまでの措置の実効性を検証するとともに、これまでの措置で明らかになった課題や対象外となった職種も含め、検証を行うべき」とされているところであります。

 一方、同委員会の中間整理におきましては、今後の処遇改善に当たっては、更なる財政措置を講じる前に、国民の保険料や税金が効率的に使用され、現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上が必要である、また、デジタルやICT技術、ロボットの活用により、現場で働く方々の負担軽減と業務の効率化を進めていくことも必要であるとも指摘をされているところであります。

 公的価格評価検討委員会におきましては、費用の見える化やデジタル化等の活用に向けた課題等について検討し、今年の夏までに方向性を整理するとされておりまして、こうした整理も踏まえつつ、看護職員等に関わる今後の処遇改善の在り方を検討してまいりたいと考えております。

本村分科員 先ほど申し上げましたように、丁寧に、しっかりと、国際的に見ても看護職員の方の賃金は低いわけですから、パートナーである医師と比べてどうなのかということも含めて、悲鳴が上がっている現場に光が見えるように是非していただきたいというふうに思います。全ての医療従事者の賃上げ、するべきだということを重ねて要求したいというふうに思います。

 時間がないものですから、次に、保育士の皆さんのことについてお話をしたいんですけれども、なぜ賃上げの対象が狭いのか。全ての保育に関わる職員の方、労働者の方に賃上げをと内閣府の方にお話を伺うと、公定価格の範囲内なんだということで、その基礎となるのが保育士の配置基準なんだ、公平に賃上げをするにはこの方法しかないんだというふうにおっしゃるんですけれども、そうじゃないというふうに思うんですが。内閣府の方が、配置基準を見直せば賃上げの対象人数を自動的に増やすことができるというふうにおっしゃったこともありまして、私はこの点お話をさせていただきたいんですけれども、今の保育士の配置基準というのは、例えば四歳児、五歳児でいいますと、三十人を一人の保育士で見るということになっております。三十人の四、五歳児の子供たちを一人の保育士で、本当に、一人一人の発達を保障しながら、そして安全をちゃんと確保しながら、ケアをしながら見ることができるかと、もし私に問われれば、それは本当に難しいというふうに思います。

 副大臣に率直にお伺いをしたいんですけれども、副大臣は、一人で四、五歳児三十人を見ることができるとお考えでしょうか。

佐藤副大臣 保育士の配置基準におきましては、児童の身体的、精神的、社会的な発達に必要な保育の水準を確保するための最低基準であり、質を確保するため、適切に設定しているものと認識をしております。

 実際には、保育所におきましては、最低基準上求められる必要な保育士の数を確保した上で、ほかの保育士の方々とも連携しながら適切に保育を行っていただいているものと承知をしているところであります。

本村分科員 副大臣はできるのかということをお伺いしたんです。

 四、五歳児の子供たちを三十人、一人で見るというのは、私には神業と思える。実際には、各保育園さんが保育士さんをつけて実は拡充している。実態はそういう現状があるわけです。

 今の保育基準というのは七十四年前のものでもありまして、子どもの権利条約を批准する前の基準でもありまして、私は、一人一人の子供たちを大切にする基準になっていないというふうに思っております。

 ちょっと今も申し上げましたけれども、改めて、今の保育士の配置基準というのは何年前の基準なのか、年齢ごとにお示しをいただきたいというふうに思います。短く端的にお願いいたします。

川又政府参考人 事実関係でございますので、事務方からお答えします。

 保育所における現行の保育士の配置基準でございますが、累次の基準改正を経て、ゼロ歳児につきましては、二十四年前、平成十年、一、二歳児につきましては、五十五年前、昭和四十二年、三歳児につきましては、五十三年前、昭和四十四年、四、五歳児につきましては、七十四年前、昭和二十三年より現行の配置基準となっております。

 なお、平成二十七年度からは、三歳児に対する保育士の配置基準を二十対一から十五対一に引き上げた際の公定価格の加算が設けられております。

 以上です。

本村分科員 四、五歳児の基準というのは七十四年前の基準、一、二歳児は五十五年前ということで、本当に今の現状に合っていない、子供たちの命を大切にしていない、発達の保障を大切にしていないというふうに思います。

 私、二〇一九年の二月十五日の衆議院本会議で、児童虐待の問題について、体制強化について質問させていただきました。予防も含めて体制強化することを求めまして、そのときに、安倍晋三総理が、「児童虐待相談対応件数の増加の背景には、核家族化による育児不安を抱える方の増加等が考えられる」というふうに答弁をされております。

 保育士の配置基準を見直して、一人一人の子供たち、保護者の方々への支援、ケアを日常的に強めることが本当に今喫緊の課題だというふうに考えております。また、実際に目が行き届かないという中で、幼児間の性暴力があって、そして、幼児の方がPTSDになってしまったという状況も実際に起きております。

 保育士の配置基準を見直して保育士の体制を強化するべきだというふうに思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

佐藤副大臣 本村委員御指摘のとおり、保育士等の専門性や保育所の特性を生かして、保護者を含めた子育て家庭の支援を行うことは重要であると考えております。

 主任保育士が利用児童の保護者や地域の子育て家庭に対する支援に専任する場合については、代替保育士を配置するための加算を公定価格上設けているなど、家庭支援を行う保育所に対する支援を行っているところであります。

 また、保育士の配置基準の改善についても、子ども・子育て支援新制度が施行された平成二十七年度より、消費税財源を活用し、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に引き上げる保育所等に対する公定価格上の加算を設けたところであります。

 それ以外の年齢の児童に対する配置基準についても、子ども・子育て支援の質の向上の〇・三兆円超のメニューに盛り込まれているところでありまして、引き続き、内閣府と連携して財源の確保に努めるなど、保育の質の確保に努めてまいりたいと考えております。

本村分科員 加算とおっしゃるんですけれども、それは、保育所で加算を取らなかったら、今の本当に低い水準の配置基準で、子供たちの安全を守ることも大変な状況になっているわけですよ。国として、ちゃんと子供たち一人一人の発達を保障して、安全を確保して、そして保護者の方々への支援もしっかりとできるように、基準を引き上げるということが必要だというふうに思います。

 以前、基準を引き上げるということが必要だということで国も考えておりまして、二〇一三年、三十人じゃなくて、二十五人に一人の保育士にしたらどうなるかという試算をしておりました。四、五歳児でいうと二十五人に一人で五百九十一億円、そして一歳児でいうと六百七十億円ということで、合計千二百六十一億円、こういう試算も出して、一応やろうというふうにしていて、十年以上たっているわけですから、是非真剣に考えていただきたいというふうに思うわけです。

 今でも本当に少ない基準なんですけれども、それを緩和していいよというふうに、今コロナ禍でしているわけです。それも本当におかしいというふうに思うんですけれども、二〇二〇年二月二十五日の事務連絡に基づき、利用児童の保育に可能な限り影響が生じない範囲で人員基準を柔軟に取り扱うようということでQアンドAを出されておりますけれども、子供たちへの影響そして安全を軽視しているんじゃないか、何かあったときにちゃんと国が責任を取るのか、現場に押しつけられるんじゃないかという声があるわけですけれども、是非、これも二年たっているわけですから、何ら手だてを取らないというのはおかしいと思います。その点、お答えをいただきたいと思います。

佐藤副大臣 新型コロナウイルス感染症の影響により、保育士が感染したり濃厚接触者となったために出勤できず、保育所等において保育士が不足する事態が現に生じておりますが、一方で、保育所は、社会的機能の維持のため、感染予防に最大限配慮しつつ、原則として開所し、地域の保育機能を維持していく必要があると考えております。

 このために、保育士が不足して一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合であっても、子供の保育に影響が生じない範囲で可能な限り保育が提供されるよう、人員基準の柔軟な運用を認めているところであります。

 ただし、人員基準を満たさない状態が続くことは適切とは言えず、また保育士等の負担が増えることになるため、協力をいただける範囲で登園自粛をお願いすることや、ほかの保育園から代替保育士を確保するなど、できるだけ基準を下回らないような取組をお願いしているところであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、保育の質の確保と地域の保育提供体制の維持を両立するよう、適切に取り組んでまいりたいと思います。

本村分科員 しっかりと保育士を確保できるように財政措置していただけるんですね。

佐藤副大臣 今御答弁させていただきましたけれども、保育の質の確保と地域の保育提供体制の維持を両立できるように、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

本村分科員 もう一つおかしいのが、例えば、一、二歳児六人で一人の保育士の配置基準なんですけれども、八人子供さんがいた場合に、財政措置が本当は二人分来ないといけないと思うんですけれども、保育の時間は変わらないわけですから、一・三三人分しか来ないということで、やはり二人分ちゃんと保障するべきだと思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。

赤池副大臣 委員御指摘の保育所は、乳児から五歳児まで保育を提供する施設でありまして、年齢ごとの発育、発達の違いに応じて、提供する保育の内容が大きく異なっております。年齢区分ごとに職員の配置基準は設けつつも、利用児童の入所時期や利用時間帯、そして利用頻度などが異なることなどから、配置基準においてはクラス編制を前提としていないというところでございます。

 このため、公定価格上の保育士の配置基準でも、御指摘のように年齢区分ごとに切り上げて算定するのではなくて、施設全体として必要とする保育士数を算定することとしております。

 他方で、委員御指摘のように、保育の質の向上のためには職員配置の改善を進めることは大変重要と考えております。

 先ほど厚生労働副大臣からもお話があったとおりでありまして、三歳児の配置改善については平成二十七年度加算から行っておりますし、消費税増税時のプラス〇・三兆円超の質の向上事項に含まれている一歳児及び四、五歳児の配置改善については未実施となっておりまして、引き続き、各年度の予算編成において必要な財源確保に努めてまいりたいと存じます。

本村分科員 是非、今の配置基準でも、少なくともこの部分は、〇・三三人という人はいないわけですから、ちゃんと二人、措置をしていただきたいというふうに思います。

 まとめてちょっと総務省の方にもお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、公立の保育園の賃上げがなかなかできない、やろうとされていないという現実がありまして、そこで総務省が足を引っ張っているんじゃないかということもあるわけです。大臣はそんなことはないというふうに思うんですけれども、私もそう思うんですけれども、しかし、そういう誤解があるということで、誤解を解く質問もさせていただきたいというふうに思うんです。

 国家公務員との比較に関してなんですけれども、ラスパイレス指数が使われますけれども、このラスパイレス指数の算定に当たって地方公務員である保育士の給与は含まれないということ。そしてもう一点ですけれども、各人事委員会が公民比較において地方公務員の保育士の給与を含まないことは可能だというふうに思いますけれどもどうかということ。もし各人事委員会が地方公務員の保育士の給与を含まないとした場合に、総務省が何か嫌がらせをしたりですとか圧力をかけたりなんか絶対しませんねということをお示しいただきたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 ラスパイレス指数は、総務省が毎年実施しております地方公務員給与実態調査を基に算出しておりますが、この調査に当たっての調査要領におきまして、地方公務員である保育士はラスパイレス指数を算定する対象の職種である一般行政職には含めないことを明記しており、地方公務員である保育士の給料月額はラスパイレス指数の算定には含まれないものでございます。

 次に、公民比較に関しましてでございますが、行政職給料表を適用している保育士を公民比較に含めるか否かにつきましては、いずれの取扱いも考えられるところでありまして、各地方公共団体において専門的な第三者機関である人事委員会が適切に判断すべきものと認識をしております。したがって、この各人事委員会の判断によるものでございますので、総務省として、特段の対応を行うことは考えておりません。

本村分科員 更にお伺いをしたいんですけれども、ちょっと時間がないのであれなんですけれども、今回、公務が入らないんじゃないかということが地方自治体の中で疑心暗鬼になっておりまして、そこで確認をさせていただきたいんですけれども、公務も民間も正規も非正規も対象とし、公立も含めて財源措置していますねということだけ、内閣副大臣、厚生労働副大臣、一言で、大変申し訳ないんですけれども、お願いしたいと思います。

赤池副大臣 昨年度末、令和三年度補正予算で措置されました今回の処遇改善に係る補助金については、私立の施設は二月分から、そして公立の施設は同様に二月分から、条例等を年度内に議会に提出することを補助要件としておりまして、先ほど委員御指摘のように、半年分はしっかり補助、その後は総務省という形でしっかり財源措置はさせていただいております。

佐藤副大臣 議員お尋ねの今回の処遇改善につきましては、厚生労働省所管の全ての分野におきまして、正規職員、非正規職員を問わず、公営施設で働く職員も対象としており、引き続き、自治体に対する周知に努めてまいります。

本村分科員 ありがとうございます。急がせて申し訳ありません。

 各地方団体は、総務省が賃上げに消極的なんじゃないかということが言われておりまして、そうじゃないというふうに思うんですけれども、山際大臣、野田大臣が、先日、二月九日、塩川議員に対して、内閣委員会の中で、地方自治体のケア労働者の賃上げもみんなでやっていくんだということをお答えになっております。総務大臣としても、地方自治体のケア労働者の賃上げが実現できるように御尽力をいただきたいというふうに思いますし、財源措置もしっかりしていただきたいということをお願いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 本村委員には、これまで様々な課題に一緒に取り組んでまいりました。こうやって質疑ができることをうれしく思っております。

 お答え申し上げたいと思いますが、今、自治体の現場では、保育士や看護師など数多くの職員が、地域住民に最も近いところでサービスを提供するなど、重要な役割を担っていただいております。今回の処遇改善事業については、こうした現場で働く地方公務員も対象となっております。

 総務省としても、各自治体が、今回の経済対策の趣旨を踏まえ、対象となる職員の処遇改善について適切に対応いただけるよう、複数回にわたり通知を発出するなど、事業所管省庁と協力して取り組んでまいりました。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間等との均衡を考慮して定められるものであることも踏まえつつ、今回の処遇改善事業が各自治体において適切に活用されるよう、引き続き、事業所管省庁と協力して、しっかりと取り組んでまいります。

本村分科員 ありがとうございました。

中谷主査 これにて本村伸子君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)分科員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、質問の機会をいただき、また、御出席いただいた皆様、大変ありがとうございます。

 まず冒頭、デジタルプラットフォーマー、グーグルあるいはアップルに関する件について、少し質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 一般の消費者の方は余り御存じないかもしれませんけれども、例えばiPhone、アップルのスマートフォンを使ってアプリを入れて、そこで課金をする、何かソフトを買うという場合には、そのゲーム会社とか、そのアプリを開発した会社に支払われるお金のうち三〇%が、アップルであったりあるいはグーグルであったりというプラットフォーマーに手数料として支払われるという仕組みになっております。

 この三〇%が妥当なのかどうなのか、いろいろな議論があると思いますし、また、それに加えて、このアプリストアであったりとかグーグルプレーの中でお金を使うときには、必ずアップルを介さなければいけない、あるいはグーグルを介さなければいけないという、そういった仕組みになってしまっていることが、本当にそれは公平なのか、あるいは消費者のためになっているのかという観点で、しっかりと議論を行う。

 これは、世界中の議会の場でも、また政治でも政府でも議論されていることでございますけれども、日本でも、日本におけるこういったアプリの課金の収入、グーグルでもアップルでも大変多いと思いますので、しっかりとその議論を先導していくという思いで、私も本日、質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、お伺いしたいんですけれども、グーグルであったりあるいはアップルに対して、国内のこういったアプリストアでの課金収入のうち、どれぐらいが手数料として、金額として支払われているか、概算値で構いませんので、少しお示しをいただければと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 アップルが運営するアップストア及びグーグルが運営するグーグルプレーストアにおける二〇二〇年の国内売上額は、民間調査データによりますと、アップルについては一兆四千五百億円、グーグルについては八千三百億円であると認識しています。

 この国内売上額の中に、いわゆるアプリ内課金による手数料収入が含まれますが、その数値は公表されていないところでございますので、お答えはしかねます。

 なお、アップルにつきましては、二〇二〇年に自ら公表したデータによりますと、二〇一九年のアップストアを通じた売上総額、これは世界全体での売上額にはなりますが五千百九十億ドル、約五十九兆六千九百億円でございますが、そのうちアップルが手数料を課していた売上額は六百十億ドル、これは七兆百五十億円程度になります、とされております。

 この情報を参考にざっくりと単純計算をしますと、アップストアにおけるアップルの手数料収入は、日本国内では約五百億円程度になるところでありますが、あくまで強い仮定を置いた試算であるということで御理解いただければと思います。

斎藤(ア)分科員 いろいろ仮定を置いて計算をしていただいて、ありがとうございます。

 それぞれの数字はまた見させていただきたいと思っているんですけれども、いずれにしましても、大変多額のお金が、こういったアップルあるいはグーグルにこのアプリストアを通じて支払われているということになります。

 もちろん、ゲーム開発会社からすれば、これまで、デジタル配信をする前までは、カセットを造ったり配送をしたりといった、こういったコストが削減できるので、三〇%をプラットフォーマーに取られるのはそれに比べれば別に高くないという議論もあるかもしれませんけれども、デジタル化の恩恵が専らアップルであったりこういったグーグルであったりといったプラットフォーマーばかりに集中してしまうことには、大きな問題があると私も思っています。

 実際にそういった議論が、先ほど申し上げたように世界各国で行われているわけでございますけれども、こういったアプリの課金のシステム、グーグルであったりアップルに対して、こういった課金のシステムの是正を求めたり、実際にそういった行動を行っている政府、国があるのかというところを教えていただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるアプリストアにおける手数料率の水準やいわゆるアプリ内課金の強制については、訴訟や競争当局の調査など、国内外で様々な動きがあることは承知しております。

 具体的には、米国、欧州、韓国などでいろいろな議論が行われておりまして、訴訟が係属している案件も多々あるということは承知しております。

斎藤(ア)分科員 そういった動きの中で、アップルであったりグーグルであったりも多少こういった規制を、規制というかルールを変えたりしていて、具体的に言うと、年間の売上高が百万ドル、一億に満たない企業に対しては手数料を三〇%から一五%に引き下げるであったり、また、アプリ内課金をアップル、グーグルを通じてやらなければいけないというルールに関しても、例えばネットフリックスであったりキンドルであったり、そういったリーダーのアプリに関しては免除をするといった新しい動きもあるんですけれども。

 結局、アプリ内の課金というのは六割程度、六割以上がゲーム関連だと言われていて、このゲームの部分の手数料であったりとかルールに手をつけないと、相変わらず、日本国内のゲーム会社が開発したアプリによる収入の三割が自動的にアメリカの会社に、アップル、グーグルに流れてしまうということになりますので、この部分については、手数料率の引下げを中心に、日本の国内においても、政府においても、公正取引委員会などにおいても、しっかりと更に踏み込んだ検討をしていくべきだと思うんですけれども、政府の御認識はいかがでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問につきまして、日本においても、平成二十八年以降は、御説明ありましたように、公正取引委員会におきまして、アップルに対する独占禁止法の規定に基づく審査が行われ、その結果、昨年九月、アップル社は、音楽等のコンテンツを提供するアプリケーション、いわゆる先生がおっしゃいましたリーダーアプリでございますが、これを対象として、アプリ外での課金を容易にする改善措置を実施する旨申し出たということを承知しております。

 この措置が実施されますれば、リーダーアプリにつきましては、アプリ利用者は、アップル社が指定する方法以外の課金による決済が利用しやすくなるものと理解しております。

 こうした対応に加えまして、我が国では、デジタルプラットフォーム取引透明化法により、デジタルプラットフォームにおける取引環境の透明性、公正性を高める措置を講じておるところでございます。

 同法に基づき、昨年四月には、大規模なオンラインモールやアプリストアを運営するデジタルプラットフォーム事業者を規制対象事業者として指定しており、アップル社やグーグル社につきましては、例えば、取引条件の開示として、デジタルプラットフォームの提供に併せて、アプリ開発者などのプラットフォームを利用する事業者に対し自社の決済システムの利用を要請する場合には、その内容及び理由を分かりやすく開示することや、プラットフォームを利用する事業者からの苦情、紛争処理のための自主的な手続、体制の整備を行うこと、透明化法上の義務に係る取引状況などにつきまして、毎年度、自己評価を付した報告書を提出することが義務づけられているところでございます。

 透明化法は、デジタルフォーム事業者に情報開示義務や苦情処理等の体制整備を求めることで、公正かつ自由な競争を促し、独占禁止法違反行為の未然抑止を図っていくものであります。

 公正取引委員会ともしっかり連携しながら、市場の健全な発展に向けて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 なお、先生がおっしゃいましたゲームについてでございますが、アプリ内課金の強制の問題につきましては、ゲームなど、リーダーアプリ以外のアプリでは依然として残っているということも承知しております。引き続き、公正取引委員会等とも連携して対応を検討していきたいと思っております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、審査の基準が不明確だとか、アプリ開発者が問い合わせてもろくに回答してくれないとか、そういった問題もありますので、そういった部分に関しては、今、政府の方で公正取引委員会と連携して取り組んでいることは意味があると思うんですけれども、やはり本丸は、この手数料率三〇%がどうなのかという問題だというふうに私は思っております。

 先ほど私から申し上げましたけれども、グーグル、アップルの方でも、各国でこういった問題意識が上がっていることに対して、先手先手で小出しでちょっとずつ改善案を出して、それでお茶を濁そうとしているような雰囲気が感じられます。例えば、売上高が百万ドルに満たない企業に関しては手数料率一五%まで下げるという話ですけれども、国内でもそうですけれども、ほとんどの方が課金している対象のアプリ、会社というのは、売上高が一億円なんて優に超えるわけです。

 一方で、では、アプリ内の課金を必ずしも使わなくていい、外のアプリストアに誘導して、ほかのウェブサイトに誘導して、そこで課金してもいいですよというルールを使ったとしても、とてつもない大きな会社、それこそネットフリックスとかアマゾンだったらそういったシステムが組める、そういった誘導ができるかもしれませんけれども、売上高一億円以上で、それでそこまで大きくない会社というのが日本国内ではほとんどのアプリの売上げを占めることになりますので、ここの部分をしっかりと、負担を軽くするというか、こういった国内の企業の負担を軽くするということは国内消費者の負担を軽くすることになりますので、しっかりと手数料率のところにも言及して踏み込んで議論をしていく、求めていく、そういったことが必要になるというふうに思っています。

 日本だけでやると、なかなか、大変巨大なアップル、グーグルでございますので難しい面が大きいと思いますけれども、先ほども経産省からおっしゃっていただいたように、韓国でも具体的に新しい法律ができて、これは手数料率を下げろという法律ではないですけれども、課金のシステムを、しっかりと外の課金を使ってもいいようにしなければならないという法律を新しく作ったり、アメリカ議会でも繰り返しこういった問題が議論されていますので、海外の当局と協力をしながらアップル、グーグルと交渉を行って、国内の消費者そして国内の事業者に対してしっかりと恩恵が行き渡るような、そういった取組をしていただきたいと思います。

 私たち国民民主党は、繰り返し繰り返し賃上げを実現するための経済政策ということを訴えていますけれども、デジタル化の進展に伴って、富の偏在というのが更に激しくなっています。特にこういった巨大なデジタルプラットフォーマーに対して富が偏在している状況になっていますので、そこの分配を行っていく、適正な分配を行っていくという観点でも、このアプリ手数料の問題というのはしっかりと切り込んでいく問題だと思っておりますので、是非とも、経産省の方でも、また総務省の方でもしっかりと連携をして取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 では、デジタルプラットフォーマーに関する質問は、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

 次に、コロナ禍に関連して、国と地方の関係を見直すという、権限を明確化する、役割を明確化するという必要性が、二〇二〇年、コロナ禍が始まった頃から言われ始めていますけれども、その点に関して追加で御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、今回のコロナ禍において、感染症対応において、国と地方の間で方針に関してそごが生じたり、あるいは、国の決めたことに対して地方がそれではいけないといって反論を行って、逆に地方が、知事が言ったことが国全体の方針になるということが、特にコロナ禍が始まって二〇二〇年頃にはあったわけでございますけれども、こういった様々な、国と地方の間で、どっちがどの役割を果たすのかということが分かりにくくなってしまっている問題があると思うんですけれども、これらの関係する法令とか、あるいは、国と地方の関係を、ちょっと役割を明確化したり整理する、こういった取組が必要だと思っているんですけれども、総務省の認識はいかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今般の感染症対応をめぐっては、自治体の創意工夫による対応策が国や他の地域に取り入れられる一方で、国と地方あるいは自治体間の関係の在り方、役割分担をめぐる課題も指摘されていると認識しております。

 先般発足いたしました第三十三次地方制度調査会においては、岸田総理より、社会全体のデジタルトランスフォーメーションの進展や、新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、ポストコロナの経済社会に的確に対応する観点から、国と自治体及び自治体相互間の関係などについて諮問があったところでございます。

 地方制度調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、地方制度に関する重要事項を調査審議する機関であり、委員の任期は二年となっております。具体の審議事項、審議の進め方などにつきましては、諮問を踏まえ、調査会において決定するものと承知しておりますけれども、あるべき基本的な国と地方の関係などについて幅広く議論していただくことになるものと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 そういった検討が行われているということですけれども、まず、ちょっと厚生労働省の方にお伺いしたいんですけれども、今回のコロナ禍への対応において、どういったところに問題があったと御認識かというところを伺いたいというふうに思っております。

 例えば、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を出すであったり、水際対策を行うであったり、財政措置を行う、基本的対処方針を策定する、こういったところは国が主体的に行えるわけですけれども、保健所が絡む問題、検査であったり、あるいは都道府県が強く絡む医療提供体制の部分に関しては、やはり国と地方の調整が重要になってくると思うんです。

 どういったところで、すごいばっくりとした質問で恐縮ですけれども、コロナ禍への対応でどういった部分がスムーズにいかなくて、どういったことを今後、国と地方の役割の中で明確化していくことが必要だとお考えになっているか。方針はまだこれから決まるというところだと思いますけれども、どういった問題点があったと認識されているのかということを教えていただきたいと思います。

宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、この感染症法に限らず、国と地方の基本的な構造といいますか仕組みがあった上で、それぞれの行政分野ごとに各法令に基づいて、更に国と地方の役割ですとかあるいは具体的な施策が決まる、そういう構造になっておりますけれども、事この感染症法に関して申し上げますと、まず、感染症法に基づいて、国と地方の役割分担ということについては、感染症の蔓延防止の措置の実施主体そのものは都道府県あるいは保健所を設置している政令市が担うとされた上で、国は、自治体が感染症の予防に関する施策が総合的かつ迅速に実施されるように必要な技術的あるいは財政的な援助を与えるということが責務ということを感染症法の中で定められております。

 新型コロナウイルス感染症対策におきましても、その上では、都道府県が、今御紹介のありましたような検査の部分、あるいは医療の提供の部分、あるいは自宅療養者の方々に対する健康観察など、こうした業務を主体的に担っていただいて、国は、これに関わる基本的な方針を定めてお示しした上で、あるいは緊急包括支援交付金などを通じた財政支援などを行って、国と自治体で連携しながら対応を進めてきているという状況でございます。

 進めてまいる中では、例えば地方自治体の創意工夫を国の全体の方針に反映していくとか、そういう相互のやり取りをやりながら進めてきているわけですけれども、その中で出てきた課題といたしましては、例えば、昨年十二月に、我々厚生労働省の下に設置しております審議会の中で、現行の感染症法等に関わる課題の議論をいただいた際に指摘いただいたのは、厚生労働大臣が策定する基本方針に即して都道府県が定める予防計画などを基に実施されるわけですけれども、なかなか国、地方を通じて、行政による今回の新型コロナウイルス感染症のような有事を想定した事前の準備といいますか、そういうものを行う、計画を策定する仕組みがなかったというような御指摘ですとか、あるいは、国の方針を迅速に地方、都道府県や保健所設置市に徹底する手法というのが不十分ではないのかとか。

 あるいは、都道府県、保健所設置市、特別区間の意思疎通、都道府県によっては県と、その下に保健所を設置する政令市があって、あるいはその間の情報提供、情報の連携がうまくいっていないんじゃないかというような御指摘。あるいは、保健所を設置していない市町村が、この感染症に関わる情報についてなかなか十分な情報が得られずに、住民サービスを提供する面で苦労しているんじゃないか、そういったような指摘などをいただいているところでございます。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 今の御指摘、御紹介いただいたところも、そのとおりだと思いますし、そういったことも含めて今後に生かしていかなければならないと思っています。

 今おっしゃっていただいたように、都道府県と国との関係でも整理が必要なところがあるし、また、都道府県の中でも保健所を設置している中核市であったり特別区であったりとの関係でも、そこでも認識にそごがあったり、連絡にそごがあったりということがあったというふうに聞いておりますので、そういった意味でも包括的な体制の整備というものが必要になってくると思っています。

 一つ、例示をして、御認識を伺いたい部分があるんですけれども、検査に関してでございます。

 地方と連携を取りながらやって、創意工夫をということでやられているということを伺いましたけれども、例えば、当初、検査に関して、こうこうこういう人には検査をしてください、医師の判断の下で、そういった症状がなくても検査をするようにしてくださいということが厚生労働省から発せられたわけですけれども、実際に、そういった検査の指針というのが行われなくて、医師が求めているのに検査が行われないということが、二〇二〇年、最初の一年目のときには多発して、大きな問題になったということは記憶に新しいと思うんです。

 こういった事態に陥ったというのは、国と地方との関係、あるいは保健所に対して国の指導が及んでいないとか、そういったことが根幹にあるというふうには認識はされていないんでしょうか。

宮崎政府参考人 今御指摘のありました点、感染症対策が始まった一昨年の四月か五月頃に、検査の目詰まりということで御指摘いただき、我々もその対応に追われたところを御指摘いただいているんだと思います。

 その時期に言われておりました、やはり、一つに原因を絞るというのはなかなか難しいと正直思います。保健所を設置している市の権限、国と都道府県、保健所、政令市との関係の部分で、迅速な情報の共有、あるいは状況の変化に迅速に対応できなかった部分もあったのかもしれないとは思います。

 一方で、そもそもPCRなどの検査体制そのものが十分ではなかったのではないかという課題の指摘もいただいておりますし、あるいは、現在では総務省さんと協力をいたしまして体制の強化を図っておりますけれども、保健所の体制の面で、こうしたパンデミック対応というところでは、一昨年四月の時点ではまだ不十分な点があったのではないかという御指摘などもございました。

 こうした総合的な様々な要因の下で検査の目詰まりなどがあったんだと思いますし、それの解消に向けて、そのときも含め取り組んでいるという状況でございます。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 当初はやはり検査のキャパシティーの問題も大きかったと思いますけれども、一方で、保健所においても人員不足などがあるけれども、だからといって、国から人員が送り込まれるわけではなくて、やはり中核市の保健所、都道府県の保健所みたいな感じになっているので、そこはなかなか、各都道府県の対応では、保健所の対応では難しいところがあったけれども、なかなかそこに国がより力強くバックアップできなかったということは、ちょっとそこの関係が分立してしまって、寸断されてしまっているんじゃないかなということを感じますので、今これから検討が始まる部分だと思いますけれども、こういった保健所の部分も含めて、また、ちょっと話がそれますけれども、広域連携、ほかの都道府県との、周囲との連携をして医療提供体制を整えるとかいった部分。戦後こんなパンデミックに見舞われたのはこれが初めてでございますので、前例がないことで大変困難な対処だったと思いますけれども、今回の経験を生かして、是非とも体制の構築に当たっていただきたいというふうに考えております。

 今、岸田総理大臣の下で、六月をめどに、こういったパンデミック対応の司令塔機能の在り方について議論が行われるというふうに認識をされていますけれども、その中にも、例えば今日触れたような保健所の機能であったり、国と地方との関係というものも含まれているというふうに認識をしてよろしいでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、政府全体として、来年、六月までに、息の長い感染症対応体制の強化策として、次の感染症危機に備えて、これまでの対応を徹底的に分析をして、何がボトルネックであったのかを検証の上、司令塔機能の強化を含めた抜本的な体制の強化策を取りまとめていくとしておりますので、その中で今御指摘いただいたような点も検討の中に、俎上に上がってくるものだと認識をしております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 これはかねてから、日本版のCDCみたいなものをつくる必要があるんだという議論もあったりとか、あるいは災害対応に関して、これはどちらかというと総務省さん側になるかもしれませんけれども、災害対応に関しても全国でリソースを統合的に運用できるような、アメリカでいうとFEMAのような組織が日本でも検討される必要があるんじゃないかということで、東日本大震災の後に議論が上がって、それは立ち消えになってしまっていると思いますけれども、これから、パンデミックもこれが最後ではないでしょうし、また災害に関しても、大きな地震を含めて、これからいつ起きてもおかしくない状態が日本ではずっと続きますので、そういった部分にもしっかりと議論をしていかなければならないと我々国民民主党としても考えております。

 こういったことも含めて、最後に総務大臣、総務省の方にちょっとお伺いをしたいと思っているんですけれども、根本的な問題意識として、一九九〇年代以降、選挙制度も変わって、政治制度が変わって、首相の権限、官邸の権限が強くなる一方で、地方分権も叫ばれて、地方分権も行われてということで、こういった方向性の違う改革が同時に行われて、全体的に統一感がなくて、私としても、どこに何の権限があるのか非常に分かりにくくなってしまっているし、今回この質問をするに当たっても大変調べるのに苦慮をしたというのが本音なんですけれども。こういった国の体制の在り方、ばらばらに、今パッチワーク的に改革が進んできたこの日本の統治の在り方を、もう一度見直すような検討をするべき時期に差しかかっているのではないか。

 選挙制度に関しても、選挙区が地方で減って、東京、都市圏で増えるということで、地方の意見が反映されにくいということが言われていますけれども、選挙制度の部分はおいておいても、この日本の統治機構の全体の改革に関しても検討する時期に来ていると思いますけれども、その点に関して大臣はどのようにお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 斎藤委員には、コロナ禍における国と地方の連携、そのことについての御意見また御提言も賜り、総務省そして厚生労働省からも御説明を申し上げたところでございます。また、最後には、今後の権限、統治機構についてもお話をいただいたわけでございます。

 先ほど総務省の局長からお答えしました、先般発足しました第三十三次地方制度調査会、これは地方六団体の代表の方も委員の中に入っておられるわけでございますが、その調査会におきまして、岸田総理から、デジタル化の進展及び新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、国と自治体及び自治体相互間の関係の在り方などについて諮問がございました。

 今後、諮問事項を踏まえて、同調査会におきまして具体的な調査審議が、権限の問題も含めて行われるものと考えております。

 ポストコロナの経済社会に的確に対応する観点から、国と地方との関係も含め、地方の意見を十分に伺いながら幅広く議論していただくことを期待しているところでございます。

 総務省といたしましても、私を本部長といたします新型コロナ対策地方連携推進本部において、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策について、丁寧な課題把握、あるいは支援に努めているところであります。

 昨年、ワクチンの接種の初期の頃は、国から方針を出すんですけれども、なかなか進まなかった。その中で、総務省が自治体に丁寧に、こういう方針になるんだけれども何か問題点はあるかというようなことで、地方のなかなかうまくいかないような課題も含めて丁寧に聞き取りをして、それをフィードバックして、それを解決するための対応をしてきたところでございます。

 我々は、地方自治体に寄り添って、しっかりと地方の状況も把握しながら、国としてできることをしっかりやらせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、内閣官房、厚生労働省などと政府一体となって、地方との連携を密にしっかり対応してまいりたいと思いますし、地方制度調査会の中でもその辺りの議論が行われると思っております。

 以上です。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございました。

 どうかくれぐれも、またパッチワーク的に個別のことだけを対応してばらばらな状態になってしまわないように、我々国民民主党も、新しい国の形をしっかりと示していくために議論に向かっていきたいと思いますので、そういった点でも是非とも今後とも議論させていただければと思っております。

 本日は、お時間をいただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。

中谷主査 これにて斎藤アレックス君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、秋葉主査代理着席〕

秋葉主査代理 次に、平林晃君。

平林分科員 公明党の平林晃と申します。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。

 昨年十月の選挙で、比例区中国ブロックから初当選をさせていただきました。私の選挙区、中国地方はまさに地方でありまして、過疎化も大きく進んでおり、こうした問題を含めまして、デジタル化の課題、また携帯電話の問題など、私なりの観点から質問をさせていただければと存じます。

 私の質問の答弁は、総務大臣政務官及び政府参考人にお願いをしてございます。金子総務大臣におかれましては御退出いただいて結構でございます。少しでもお休みいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 では、よろしくお願いいたします。

 まず、一つ目の質問に入ります。

 地方の現状、これを人口の観点から確認をさせていただければと存じます。

 最近のニュースで盛んに、二〇二二年一月一日時点の東京都の推計人口が昨年から五万人弱減ったということが報道されておりました。〇・三%の減少ながらここまで話題になる理由、これは、都の人口が通年で減るのは二十六年ぶりであると。一方で、日本の人口は二〇〇四年頃にピークを迎えておりまして、それ以降は減少に転じている。人口の半数が三大都市圏に集中し、そのうちの三割は東京圏に集中している。地方人口の減少を物語っております。

 こうした流れの中で、地域においては過疎化が大きな問題になっている。これらの問題についての現状の認識と、それを防ぐための取組を伺います。よろしくお願いいたします。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 政府を挙げて地方創生の取組を進める中で、総務省としては、人の流れの創出や、自立分散型地域経済の構築、過疎地域の支援等に総力を挙げて取り組んできております。これらの取組は一定の成果を上げてきたと考えていますが、災害リスクや地方の担い手不足などの点から、過度な東京一極集中の是正は引き続き問題でありますし、また、過疎地域を始めとして、人口減少や少子高齢化、働く場や交通への不安など、依然として様々な課題を抱えているのも事実であります。

 これらの全国的な、また、各地域が抱える課題の解決を図っていくためにも、岸田内閣が推進するデジタル田園都市国家構想の実現に向け、都市から地方への移住、交流の推進や、過疎対策の推進、デジタル基盤の整備等に当たり、総務省としても大きな役割を果たしてまいりたいと考えております。

 引き続き、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、また、活力ある地域づくりの実現に向け、関係省庁とも連携しながら、総務省一丸となって全力で取り組んでまいります。

平林分科員 ありがとうございます。

 極めて厳しい状況に引き続きある、そういう中で、デジタル田園都市国家構想でありますとか、様々なその他のデジタル基盤を整備して活力を高めていこうというお話かと存じます。

 私自身、生まれは名古屋でして、学生時代、東京、その後、中国地方と関西で勤務をして、現在は広島に在住している。何ターンかよく分からない、S字ぐらいかなと思っておるところでございますが、地方のよさを感じるとともに、また、地方の苦境を肌で感じているところでございます。人が減るというのは本当に激しくて、米の値段は下がっていくし、魚も逃げていって捕れない。また、観光客、コロナのここ二年間は本当にいない。こうした状況を少しでも改善するために、私も、今おっしゃられたデジタル田園都市国家構想等々、本当に大事だというふうに思っておりまして、しっかりと後押しをさせていただきたい、このように考えているところでございます。

 このデジタル化に関しまして、対象とする分野は極めて広いとは思いますけれども、ここ第二分科会の所掌でありますところの地方行政のデジタル化に関連しまして、質問をさせていただければと思います。

 総務省では、政府が掲げておられますデジタル社会の目指すビジョン、すなわち、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せを実現できる社会、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化、このビジョンを実現するために、住民の利便性向上や自治体の業務効率化などを目的とした地方行政のデジタル化を推進する各種の施策に取り組んでおられると承知をしております。

 今申し上げましたビジョン、なかなかちょっと具体像がぱっと分かりにくいというお話でありますとか、あるいは、自分が取り残されてしまうのではないか、こういう不安の声も頂戴しているところであります。こうした不安の声にお応えするためにも、地方行政のデジタル化が進むことによって住民サービスが今後どのように変わっていくのかということを住民目線で説明することはとても重要と考えております。政府としての現状認識、あるいは今後の展望を伺います。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 本格的な人口減少社会を見据え、希少化する人的資源を本来注力するべき業務に振り向けるため、自治体の業務の在り方そのものを刷新することが必要であり、地方自治体のデジタル化を推進する意義は大きいと考えております。

 総務省では、令和二年十二月に策定をした自治体DX推進計画に基づき、自治体のデジタル化の取組を支援しているところでございます。

 デジタル化の一例といたしましては、例えばでございますが、行政手続のオンライン化やAIを活用したチャットボットによる総合案内サービスの導入などにより、住民の方々にとっては、二十四時間、いつでもどこでも行政手続や市民生活に関する問合せを行うことができる環境が整います。さらに、自治体が保有するデータを利用したプッシュ型で行政サービスの情報提供を行うことができるようになるなど、住民ニーズに即した新たなサービスの実現も期待されるところでございます。

 総務省といたしましては、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかり支援をするとともに、先行的な事例紹介を行うことなどを通じて、自治体に対し、デジタル化を通じた新たな行政サービスの展望を示してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 業務そのものを刷新するということも含めまして、現状として、もう既に、手続のオンライン化でありますとか総合案内サービス、チャットボットを使ってですね、またあるいはデータに基づくプッシュ型の支援、こういったことにも取り組んでおられるということをお伺いいたしました。

 私の勝手な妄想では、市役所の中でロボットが動き回るみたいな、そんなことも夢見ておりましたけれども、そういうこと以上にしっかりとした取組が進んでおるということで、しっかり期待をさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、是非とも進めていただいて、地域住民の利便性、この向上をしっかりと実現していっていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございます。

 その一方で、地方行政、今、デジタル化、こういった夢のある部分とともに、一方で厳しい実態があるということも申し述べなければならないかと存じます。

 地方の行政のデジタル化を実現していくに当たりまして、これは、ほっといて実現されるわけではなくて、やはり誰かがやらなくてはいけないということでありまして、そのような人員、これが重要になるわけです。比較的大規模な自治体であればそのような職員の方を確保することはできると考えられますが、問題は小規模な自治体であります。

 先日伺いました地域の町長の方、お話を伺いました。そこの町では専任の人員はおられないということで、とある職員の方がお一人で兼任で担当をしておられるということで、大変だなと思った次第であります。別の地域でも、これも町ということになりますが、推進室を二名体制で設置したけれども、何をどこから始めていいか手探り状態だ、このような思いも語っていただきました。

 このように、小規模の地方自治体でデジタル化を進めるに当たりましては、人手不足、あるいはスキルについての切実な問題があるように受け止めております。

 こうした現状に関しまして、政府の認識と打開策について伺います。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方自治体のデジタル化の推進に当たりましては、組織の面では全庁的、横断的な推進体制を構築し、人材の面では専門的な知識を持つ職員の育成や外部人材の確保を検討する必要があると考えておりまして、御指摘がありましたように、小規模の団体に対しましては特にきめ細かに支援をしていく必要があると認識をいたしております。

 このため、総務省では、組織体制の整備について、自治体が着実にDXに取り組めるよう、令和三年七月に作成をした自治体DX推進手順書におきまして、司令塔としての役割を果たすDX推進担当部門を設置するなど、全庁的、横断的な推進体制の整備を図るよう促しており、小規模団体の先行的な事例についても紹介をさせていただいているところでございます。

 また、職員の育成につきましては、J―LIS等と協力をし、自治体職員が必要な知識を習得できるよう、最新の動向を踏まえた研修内容の見直しや新たな初任者向けの研修の創設など研修の充実を図るとともに、こうした関係機関の研修情報を取りまとめ、自治体に対し提供し、積極的な活用を促しているところでございます。

 また、人材の確保につきましては、令和三年度から、新たに市町村がCIO補佐官等として外部人材を任用する場合などに要する経費について財政措置を講じているところでございますが、複数の市町村において共同で任用する事例も見受けられるところでございます。

 今後とも、小規模団体を含めた自治体における組織体制の整備や職員の育成、人材の確保につきまして、しっかりと支援をしてまいります。

平林分科員 ありがとうございます。

 人材の育成また確保ということで様々に取組を行っていただいているということで、承知をいたしました。

 その上で、知識、育成ということに関しましては、恐らく時間がたてばしっかりと達成されていくのではないかなと思うんですけれども、やはり確保という部分に関しましては非常に難しい部分もあろうかと思います。呼べども人が来ないというのが地方の実態であるかと思います。

 とりわけ、デジタル人材、これは都市圏に偏在をしておる。平成二十七年の国勢調査に基づく数値で、東京圏に五八・一%という、六割弱が実に東京圏在住ということも示していただいております。

 デジタル業務はそもそもテレワークに適した部分も多くありまして、デジタル人材の地方への拡散、また地方における育成、こうしたことも政府一体となって取り組んでいかないと、なかなか状況は改善しないと思います。

 また、先日の報道でありましたけれども、文部科学省の試算で、女子の大学進学に地域差がある、こういうことが報道をしてありました。トップの東京は七四%に対して、下位の県は四〇%を下回る、こういう報道の内容でありまして、格差といえば格差なんですけれども、女性デジタル人材の育成ということを我が党も大きく掲げて進めさせていただいております。そういった意味におきましても、しっかりと地方においてデジタル人材を育成していくということを、取組を進めていければというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、地方の人手不足、これは行政だけではなく、いろいろな部分にあるわけでありますけれども、議会においても顕著である。

 総務省がまとめていただきました地方議会・議員のあり方に関する研究会の報告書におきましては、平成三十一年の四月、すなわち前回の統一地方選挙における無投票当選者の割合、これが、都道府県二六・九%、地方都市三・四%、市で二・七%、町村で二三・三%、このように示していただいておりました。意外だったのは、町村、これも二三・三%と多いんですけれども、都道府県も二六・九%と、かなり多いなという印象を受けました。

 議員へのなり手不足の要因としては様々指摘していただいておりますけれども、この報告書の中に、低報酬であることに加えて、厚生年金に加入できないことが指摘されておりました。こうした現状への政府の見解を伺います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御紹介いただきました研究会報告書におきましては、議員報酬について、主として小規模市町村において低水準であり、議員のなり手不足の要因になっているのではないかとの指摘がある一方、議員報酬の額は条例で定めることとされており、住民の合意がなければ引き上げることは難しいのではないかという指摘もあったところでございます。

 総務省といたしましては、住民の十分な理解と納得を得るため、地域の状況を踏まえ、第三者機関である特別職報酬等審議会の意見を聞くことなどを通じて、各議会でも十分な審議を尽くしていただき、適切な議員報酬の額を定めていただくことが重要であると考えております。

 また、地方議員の厚生年金加入の件でございますけれども、国民の幅広い政治参加や地方議会における人材確保の観点から必要だという考え方がある一方で、保険料の公費負担が生ずるということ、それから、厚生年金の被用者要件や労働時間要件を満たさないことなどの課題がございます。

 このように、厚生年金加入につきましては、地方議員の身分の根幹に関わることでもあり、各党各会派において検討がなされる必要があると考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 様々課題があるというお話ではあったと思います。

 御承知のとおり、我が党はネットワーク政党でありまして、地方議員、国会議員の合計三千名のネットワークの力を生かしまして、地域の多種多様なお声をお聞かせいただいて、それを地方政治、国政共に反映していく、こういったことに必死に取り組ませていただいております。この地域の活力を増幅させていくためには、活力ある地方議員の存在が我が党に限らず重要であると考えております。

 また、今、国政におきましては、人口動態に合わせた国会議員の定数調整に関しても議論されており、その中では地方の国会議員の人数が減らされる方向にあることも承知をしておりまして、そういった場合におきましても、地方議員の存在、これは極めて重要になると思います。

 こうしたことを様々訴えさせていただきながら、処遇が改善をされ、地方議員のなり手が増えることを切に願いますとともに、国民の皆様にもしっかりと理解をしていただけるように議論をしていければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、五点目の質問に入らせていただきます。

 マイナンバーカードの普及促進に関連してお伺いをいたします。

 現在、普及率、二月六日時点の数字で四一・九%というふうに伺っております。普及目的、様々あろうかと思いますが、第一義的には、困っている人、傷ついている人、苦しんでいる人に行政の手を迅速に差し伸べられるようにすることであり、これは非常に重要であると認識をさせていただいております。我が党も、マイナポイント第二弾の推進など、普及に尽力をしてまいりました。

 政府は、R四年度末までにほぼ全ての国民に行き渡るという目標を掲げておられますが、なかなか難しいのかなという感じも持ちます。このため、マイナンバーカードの健康保険証や運転免許証との統合、非常に重要と考えております。

 まず、健康保険証との統合についてお聞きします。

 統合したマイナンバーカードを利用するためには、顔認証つきカードリーダーが必要と承知をしております。また、オンライン資格確認のためのパソコンも必要であり、医事コンピューター、いわゆるレセコンの改修も必要と伺っております。

 医療機関、薬局におけるこのシステムの導入状況、そして今後の促進について、政府の認識を伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきましたマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにするオンライン資格確認でございますけれども、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指しているところでございますが、実施に必要となる今御紹介いただきました顔認証つきカードリーダーの申込みをしている医療機関等につきましては、全体の約六割程度でございます。また、実際に現在運用を開始しております施設は、全体の約一割強という状況になっております。

 このオンライン資格確認につきましては、医療機関などの事務コストが削減されるというメリットだけではなく、患者さんの同意の下で過去の薬剤情報とかあるいは特定健診の結果を医療機関などが閲覧することができることによって、よりよい医療を受けられるようになるという患者さんにとってのメリットもあるところでございます。

 今後、このオンライン資格確認の普及を進めるためには、医療機関等において顔認証つきのカードリーダー等の導入を加速化することで、これを利用できる医療機関を増やしていくということ、そしてまた、一方で、国民の皆様が医療機関等でマイナンバーカードを保険証として利用できるということを周知をしていくということ、この両面からのアプローチが必要だというふうに考えております。

 まず、医療機関等での導入加速化に向けた取組といたしましては、大きく三つの柱で取組を進めていくというところでございます。

 一つは、医療関係団体におきまして、オンライン資格確認推進協議会を新たに設置をしていただいて、ここと連携して導入加速化に向けた取組を進めることとしております。

 また、二つ目として、令和四年度の診療報酬改定におきまして、オンライン資格確認システムの活用によって診断、治療などの質の向上を図るという観点から、新たな評価を行うことで、この利用の普及を促進をしていくということでございます。

 それから、三つ目は、個別のそれぞれの医療機関などの状況や、あるいは種別ごとの特性に応じまして、導入支援や働きかけを強化するということでございます。

 こういった取組を進めることで、関係者が一体となって対応していく環境づくりを行って、連携した取組をしていきたいと考えております。

 また、国民の皆様に対しましては、マイナンバーカードの保険証利用が進むように、先ほど先生がおっしゃいましたマイナポイント第二弾の中におきまして、健康保険証としての利用申込みを行った方に七千五百円相当のポイントを付与するということとしております。

 こうした取組と併せまして、国民の皆様にマイナンバーカードが健康保険証として利用できるということをしっかりと周知をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

平林分科員 ありがとうございます。

 また、運転免許証との統合に関しましてもお伺いをいたします。

 ちょっと時間が足りなくなってきましたので、作業工程と、私は前倒しの可能性について非常に興味がございまして、政府の見解を伺います。

新田政府参考人 お答えいたします。

 警察庁といたしましては、令和三年十二月二十四日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画の工程表に従って、令和六年度末にマイナンバーカードと運転免許証との一体化を実現するための作業を進めることとしております。

 具体的には、まず、一体化に必要なシステム改修を行う前提として、各都道府県警察が個別に整備している運転免許に関するシステムを集約するため、令和四年度までに全国共通の運転免許に関するシステムを整備することとしております。

 その上で、令和四年度から六年度にかけて、各都道府県警察の運転免許に関するシステムを順次全国共通のシステムへ移行する作業を行い、令和五年度及び六年度に一体化に必要なシステム改修を行うこととしております。

 このように、各都道府県警察の運転免許に関するシステムの全国共通システムへの移行や、一体化のためのシステム改修を順次行う必要があることから、一体化の開始時期を令和六年度末から前倒しすることは困難でございますが、令和六年度末の一体化の開始に向け、関係機関、団体とも連携しながら、着実に作業を進めてまいります。

平林分科員 ありがとうございます。

 なかなか前倒しは難しいということではありましたけれども、保険証に関しましても運転免許証に関しましても、非常に重要な施策というふうに考えておりますので、是非進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、携帯電話について質問させていただきます。

 生活に欠かせない携帯電話の料金の引下げについて、我が党も二十年以上にわたって一貫して進めてまいりました。地方の方からも、かなり安くなったという声を聞いております。

 現状、どこまで低価格となっているのか、政府の認識を伺います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話料金の低廉化につきましては、公明党からの御提言も踏まえた形で一昨年十月にアクションプランを策定し、これに基づく各種の取組を進めてまいりました。

 具体的には、例えば、SIMロックの原則禁止でございますとか、キャリアメールの持ち運びのサービス開始、昨年でございます、こういったことが行われております。利用者が自身に合った携帯会社や料金プランに乗り換えやすい環境の整備に取り組んできております。

 その結果、昨年の春以降、携帯各社が従来に比べ低廉な新しい料金プランの提供を開始するなど、競争が大変活発化をしてきておりまして、料金水準につきましても、諸外国に比べて遜色のないものとなっていると考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 一説によりますと、世界主要都市の中でもロンドンに次いで二番目に安い、こういう水準まで下がったということで、本当にありがたく感じております。

 こうした携帯料金の低下の中で、一方で、契約内容が難しいというような声も聞いております。中には、料金プラン、オンライン契約のみの場合もあって、オンラインでの操作に不慣れな人には選びにくい、結果としてデジタルデバイドを生み出しているという側面もあるというふうに認識しております。

 こうした様々な割引メニューが用意されている、そうしたことから生み出される問題といいますか課題に関しまして、政府の認識と改善の可能性を伺います。

竹村政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、携帯電話の料金プランは多様化しており、オンライン契約のみで提供されるプランも登場しております。

 総務省が令和三年三月に実施した携帯電話の料金等に関する利用者意識調査によれば、料金プランが分かりづらい、自分が契約している料金プランの内容を理解できていないという利用者は一定数存在しております。

 こうした課題に対し、総務省としても利用者の理解促進に努めておりますが、近年は、利用者が自分に適した携帯事業者や料金プランを選択できるように相談を受け、契約の変更などに必要なサポートを行う家電量販店などの民間事業者が現れております。

 総務省では、こうした民間事業の相談サービスの健全な発達を促すとともに、利用者の保護を図る観点から、課題の抽出や必要な対応策を検討するため、今年度、スマホ乗換え相談に関する実証事業を実施しているところでございます。

 総務省では、実証事業の結果を踏まえ、民間事業者における相談サービスが適正かつ中立的に行われるよう、必要な対策を講じてまいります。

平林分科員 ありがとうございます。

 民間にも配慮をしながら実証実験を行っていただいているということで、消費者により一層寄り添ったサポートをお願い申し上げます。

 最後に一点です。

 携帯電話の契約をめぐって、利用者が希望していないにもかかわらず高額な料金プランへの勧誘が行われているとして、総務省は携帯三社と業界団体に対し指導されたと承知をしております。

 高額プランへの勧誘の背景には携帯大手の営業目標があると四〇%余りの販売員が答えたと報道にもありまして、類似の事例、私の地元からも伺っているところでございます。

 こうした問題が現状どのようになっているのか、また、今後の対応をどのように考えておられるのか、政府の認識を伺います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯ショップは、国民にとって必要不可欠な携帯電話サービスの契約や相談を対面で行える身近な窓口として、重要な役割を果たしております。また、社会全体のデジタル化が進む中、地域のICT拠点としての役割も期待されているところでございます。

 一方で、少なくない携帯ショップにおきまして不適切な営業が行われており、その背景に携帯事業者の営業目標の設定があったという調査結果が得られたところでもございます。

 このため、総務省におきましては、公正取引委員会等とも連携をし、携帯ショップが利用者の視点に立って対応できるよう改善を図っているところでございます。

 具体的には、昨年九月に取りまとめた消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書二〇二一を踏まえまして、キャリアが設定する評価指標が不適切な営業を助長する場合は業務改善命令の対象となり得ることをガイドラインで明確化するとともに、総務省のホームページ上に通報窓口を設置いたしまして、携帯ショップの声が集まるようにしているところでございます。

 総務省におきましては、今後とも、公正取引委員会等と連携をいたしまして、携帯事業者が設定する評価目標やキャリアと携帯ショップの関係等について、継続的な状況を注視しながら、携帯ショップの適正な営業の確保に取り組んでまいりたいと思います。

平林分科員 ありがとうございます。

 冒頭にありましたとおり、携帯ショップ、本当に重要な役割を果たしていると思います。この携帯ショップが安心して事業を継続できるように、総務省の担当者におかれましては適切な御対応を継続いただくことを切にお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉主査代理 これにて平林晃君の質疑は終了いたしました。

    〔秋葉主査代理退席、主査着席〕

中谷主査 次に、重徳和彦君。

重徳分科員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は、総務大臣金子先生と政府の皆さんから、大きく三点、三つのテーマについて質問させていただきます。

 まず、郵便局の役割の重要性についてでございます。

 郵便局は、町中で気軽に立ち寄れる便利な拠点であると同時に、昨今、人口減、高齢化の進む過疎地の貴重なサービス拠点でもあります。全国二万四千局のネットワーク、これをもっともっと有効活用して、利用者の皆さん、住民の皆さんに喜んでいただける拠点にしていくべきだと考えます。既に様々な物販、サービス、民間ベースのことも行われておりますが、自治体との関係でも、バスの回数券とかごみ袋とか商品券といったものを販売する、そういったことも行われていると承知しております。

 この郵便局の拠点性を高めるためには、さらに、自治体のいわゆる窓口業務を担っていただくための環境整備をしていく必要もあるんじゃなかろうかというふうに思います。

 郵便局事務取扱法という法律が施行されて二十年ほどたちますけれども、法律上は、様々な証明書の交付などの行政事務の受託、いろいろできることになっております。現時点で、百六十九自治体、五百八十九の郵便局がこの行政事務の委託を受けている。それから、支所の機能を丸ごと委託するような例も出てきて、これは十五の市町村で行われているというふうに聞いております。

 こういったことによるメリット、住民、自治体、郵便局におけるメリットのようなものをどうお考えでしょうか。これは大臣、お願いします。

金子(恭)国務大臣 重徳委員にはこれまでも御指導いただいておりますが、またよろしくお願いしたいと思います。

 今日も郵便局のこの問題を取り上げていただきまして、本当にありがとうございます。

 実は、昨年十二月に北海道の白老町にお伺いしまして、北海道内で初の取組であります、郵便局における自治体事務の包括受託の状況について、関係者の皆様と車座対話を実施してきたばかりでございます。

 その中で、こうした郵便局と自治体との連携によりまして、取組は、特に人口減少などに直面している地域において、住民サービスの向上や行政の効率化に大きく寄与しているとのお話を伺ったところでございまして、いや、これは我々のところも非常に過疎地でありますけれども、こういう郵便局の取組というのは、これは絶対参考になるなということを思ったところでございます。

 こうした先行事例を踏まえまして、郵便局が、自治体と連携しつつ、地域の生活インフラとして具体的にどのような役割を担っていくのかについては、御指摘の費用負担の在り方とか郵便局側の体制整備も含めて、今後検討を深めていく必要があると認識しております。

 総務省といたしましても、これまでも制度の整備や実証実験などに取り組んでまいりましたが、こうした検討を進めつつ、引き続き、郵便局のネットワークの更なる利活用に取り組んでまいりたいと考えております。

重徳分科員 熱の入った御答弁、ありがとうございます。

 一方で、先ほど、行政事務の受託は百六十九自治体というふうに申し上げましたが、全部で千七百ぐらい自治体は、市町村、ありますので、進んでいないところも九割ぐらいあるということなんですね。

 これは、進まない要因というのはどのように分析をされていますでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、郵便局における行政事務の受託は、現時点では、一部の自治体による先進的な取組に限られているというふうに考えております。

 このような取組を実際に導入していただくに当たりましては、まずは自治体側で住民のニーズをしっかりと把握をいただきまして、どのような地域においてどのような事務を郵便局に委託することが望ましいのか、綿密に御検討いただくことが必要というふうに思っております。

 その上で、この取組を広く普及、展開していくには、自治体における費用負担をどう考えていくか、また郵便局側の体制をどう強化していくか、そういった課題があるものと考えております。

重徳分科員 ニーズはもちろんですけれども、費用負担とか体制整備ということ、大臣も先ほど少し言及されましたけれども、もう一歩踏み込んで、こういうことをこれからやっていくんだという大臣の御決意があれば、ちょっとお話しいただけたらと思います。

金子(恭)国務大臣 今、部長からもお話があったんですけれども、やはり、まだまだこういう、地方にすると必要な、まあ地方に限らずですけれども、郵便局のネットワークを使うということは非常に重要なことだと思っておりますので、そういう課題も含めて、もっともっと利用していただけるように、先進事例も含めて広報していく、そして皆さん方に活用していただく。これは、郵便局側だけではなくて自治体側ですよね、これは非常に使えるのではないかと思っておりますので、更に広報も含めて取り組んでいきたいと思っております。

重徳分科員 そうですね。広報をすることによって、郵便局の存在そのものも高まると思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 あと、これから、自治体業務のデジタル化、ネットワーク化というものがもっと進んでいくと思いますが、それによって、郵便局だって人員には限度がありますので、より円滑に、郵便局がいろいろな窓口業務を請けて、デジタル上のやり取りを通じて、いろいろなことができるようになるんじゃないかなと思いますが、その辺りの見通しはいかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、自治体において、行政のデジタル化は一層進展していくということが期待されております。

 一方、日本郵政グループにおいても、昨年五月に発表した中期経営計画、JPビジョン二〇二五におきまして、デジタルトランスフォーメーションの推進により、リアルの郵便局ネットワークとデジタル郵便局の融合を目指す方針を打ち出しております。

 これまでも、郵便局における事務受託につきましては、住民サービスの向上や行政の効率化などの効果が見込まれておりました。双方のデジタル化が進展することにより、郵便局と自治体の連携はより円滑になることが期待されます。

 例えば、マイナンバーカードを使った手続が郵便局の窓口で普及すれば、証明書の交付などの事務委託がより行いやすくなるなどの効果が見込まれます。

 総務省としても、今年度の補正予算を活用してこのような取組を支援する予定ですが、引き続き、制度整備や実証事業などを通じて、デジタル技術を活用した郵便局と自治体の連携が進展するように取り組んでまいります。

重徳分科員 ありがとうございます。

 せっかく二十年前に自治省と郵政省が合併して総務省になっておりますので、効果をたくさん発揮していただきますようお願い申し上げます。

 さて、次のテーマです。森林環境税についてです。

 令和元年から森林環境譲与税の交付がスタートしました。実際の税というものは、今は譲与税ですけれども、実際の森林環境税は令和六年度からというふうに承知しております。これまでの市町村への配分額、使途などの活用実績について御答弁願います。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 森林環境譲与税につきましては、令和元年度に譲与が開始され、現在三年目となっております。

 その使途は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律におきまして、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定されております。その範囲で、地域の実情に応じた取組が進んできているものと考えているところでございます。

 具体的には、令和二年度におきましては、市町村数でいいますと、森林整備関係の取組を実施した市町村が約七割、木材利用関係の取組を実施した市町村は約三割となっておりまして、例えば、森林経営管理制度に基づく森林所有者への意向調査や、間伐の実施、都市部と山村部が連携した木材利用、普及啓発の取組等が行われているところでございます。

 一方で、令和元年及び令和二年度の市町村への譲与額は合計で五百億円となっておりますけれども、そのうち執行されたものは約五割、二百二十八億となっており、残りは市町村で基金に積み立てられているというような状況になっているところでございます。

 農林水産省といたしましては、この譲与税について、森林整備などに計画的に活用されるよう、全国いろいろな優良事例が出ていますので、そういったものを収集、共有し、市町村の説明会等に職員を派遣して対応するなど、また、地域林政アドバイザーということで市町村の体制強化を図るとか、そういった取組を引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。

重徳分科員 ちょっと一部報道で、五百億円これまで配分されたけれども、半分は基金に積み立てられているだけだというような、ちょっと意地が悪いというか、現状を厳しく指摘した報道も見られるわけです。

 私としても、森林環境税を推進してきた立場としましては、半分以上基金ですでは、これはもうこれから持続できないような制度になってしまいかねないというある種の危機感を持っていますが、基金がたくさん積み立てられているという、この要因をどう分析されていますか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 報道にあるように、基金に五割積み立てられているところでございますけれども、市町村に聞き取ったところ、例えば、今後、森林整備に本格的に活用するんだ、でも現在は、森林所有者の意向調査とかそういう準備段階であるため執行額が少ないであるとか、さらには、譲与額が少ない市町村においては、複数年分をまとめて執行するんだ、そういったような回答がありましたので、実態としては、そういうところが原因になっているんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

重徳分科員 森林環境税は必要だと私は非常に思うものの、一方で、目的税というのは、本来使われるべきではないところに使われているだとか、あるいは、今の話みたいに、基金に積んであるだけで全然使われていないとか、常にそういう厳しい批判にさらされるものであります。したがって、森林整備あるいは木材利用などの目的に沿った使われ方がきちっとされるように、林野庁からもしっかりと、リーダーシップを取って、発揮をしていただきたいというふうに思います。

 本当に、緩めると、やはり、各自治体によっては、ちょっと使い道がないから取りあえず積んでおけということも、これは実際に、各都道府県の、先行的に各県が進めてきた同様の税においても同じようなことが見られますので、そうした批判に耐え得るような、しっかりとした施策推進をお願いしたいと思います。

 私がこの制度導入当初から注文をつけていることが実は二点ありまして、その一つが、木材利用にこの森林環境税を使うということは、当然対象なんですけれども、ただ、例えば公共施設の建設を行うというときに、その木材は国産材じゃなきゃ意味がないでしょうということなんですね。国内の森林を整備するために日本国民から税金をいただいているわけですから、国産材を使わなきゃ意味がないだろう。

 そして、去年の予算委員会で、当時の武田総務大臣に、しっかり、その使途として、国産材を使った建築、建設をしているのか、あるいは外材になってしまっているのか、このこともちゃんと調査し、把握すべきだということを申し上げましたところ、武田大臣も、もう少し調査するべきだ、そして、国産材の利用実績も含め、譲与税の取組状況の調査については、その在り方について検討してまいりたいという御答弁をいただきました。

 この調査は行われていますか、調査結果はいかがでしょうか。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 そのような国会の議論も踏まえ、市町村への聞き取りを行わせていただきました。

 令和二年度に、森林環境譲与税を活用して、公共建築物の木造化、木質化や木材製品の導入等が進められ、全国で約一万三千四百立方の木材が利用されており、このうち九割が国産材ということでございました。

重徳分科員 九割国産材。結構多いという見方もある一方で、厳しく見れば、一割は外国産材じゃないかということであります。こんなことが、しばらくするうちに、やはり外材の方が安いしとかいうことで、どんどん広がっていってしまうようなことになったら、結局、この制度導入の目的がまたそれていってしまうという、国民からの、税金を負担されている皆さん方からの厳しい目というものが出てくると思います。

 ですから、税の趣旨からすれば、一〇〇%国産材じゃないとおかしい、これが本来じゃないかという声があると思うし、私もそう思うんですよ。この辺りについてはどのようにお考えですか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 九割ということについては、森林環境譲与税を活用した木材利用に関して、各地方公共団体、さらには受注した事業者の方々が、やはり森林整備及びその促進を図るという制度の趣旨を踏まえて取り組んだ結果だというふうに認識しております。

 外材につきましては、例えば強度など、構造上求められる性能等を考えると、やはり外材じゃないとというような場合もございます。そういったことで使用されている事例もあるんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

重徳分科員 本当は、もっともっと強権を発動して、もう全部一〇〇%国産材にすべしというふうに言うべきではないかという私の意見を申し上げておきたいと思います。

 さて、今日は資料を配付させていただいております。

 私が言いたいもう一点なんですけれども、森林環境税、現時点では譲与税でありますが、この資料の一枚目は、譲与額の全体の中の上位二十団体のリストとなっております。

 これを見ますと、一位から二十位を見ますと、この赤で囲ってあるところ、これが政令市なんですね。つまり、トップ二十の中の、何のことはない、大都市が十か所、半分なんですよ。金額も、横浜市の三億円を頂点に、かなりの金額が行っている。

 結局、森林面積は、もちろん、浜松とか静岡とか京都、広島、この辺りは森林面積が結構あります。だから、もちろん面積も大きな市が多いですから、それを否定するつもりはありませんが、やはり、横浜市、五百十七ヘクタールでしょう。これは二、三キロ四方ぐらいですよ。このぐらいの森林があるだけで三億円とか、大阪市に至ってはゼロですよね、面積が。そして、名古屋市も百五十六ヘクタールしかない、一キロ四方ちょっとぐらいしかない。そこに、名古屋の場合は一億八千万円以上出ているということであります。要するに、人口割が多過ぎるんじゃないかということです。

 もう一枚。二枚目を御覧ください。

 今度は、これは、私有林人工林面積、要するに、森林の面積がゼロというところの中で譲与額が多い方からトップ二十を並べておりますが、この第一位は大阪市で、先ほど申しました。政令市ですからね、人口が非常に多い。だけれども、その後も、この赤で囲んでいるのは東京二十三区。このトップ二十の中の十二団体は東京二十三区なんですよ。

 第二位、世田谷区ですね。世田谷区は七千三百万円配分されておりますが、これは以前、私、本会議でも指摘したことがあるんですけれども、私の地元岡崎市よりも、岡崎市は、合併して、面積の半分は山なんですよ。そういう場所だけれども、世田谷区の七千三百万、岡崎市は六千八百万ということで、別に岡崎市のことだけ言うつもりはないですが、分かりやすい比較なものですから、これを前から言っております。

 こういったことで、もちろん、人口が多く、かつ森林面積も広いというところはあります。それはそれでいいと思います。ですが、先ほどの、単に木材を利用する、建物を建てるというだけでは、一割を多いと見るか、少ないと見るかはありますが、やはり国産材以外の木材だって使われるわけですよ。したがって、本来であれば森林面積に応じてだけ配分してもいいぐらいなことが、この森林環境税の趣旨なんじゃないかと思います、極端に言えば。

 少なくとも、現状を見ると、今、大臣、御覧いただいたとおり、やはり政令市だとか東京二十三区とか、そういうところがかなりの金額を配分を受けている、こういう実態であります。

 森林環境税の大きな目的というのは、日本の国土の三分の二は山なんです。日本というのは山国なんですね。この山、森林を守らなきゃいけない。そして、最近では、森が荒れ過ぎて、しかも、気候変動によりまして集中豪雨が降りやすい。そうすると、一気にその雨水は大都市部に流れてきて、結局、被害を被るのは都市部に住んでいる皆さんなわけですね。

 ですから、そういう意味でも、森林環境税というのは、都市部の方々に負担いただいて、それを中山間地域とか森林地域に手厚く配分する、こういうものであるべきではないかと私は思っております。

 大臣に、こういった趣旨から、人口割、今三割です、三割は人口按分をされているわけですが、これを見直すお考えはないかということをお尋ねしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 実は、私は林家の息子でございまして、この譲与税が導入される前も、林政、山村の方の責任者もやったことがございまして、今おっしゃったこともよく理解をしておりますし、導入直前も、それから導入後も、そういう議論があることは承知をしております。

 その上で、私は総務大臣として答弁をするわけでございますが、森林環境譲与税の譲与基準につきましては、これまでの衆参両院の総務委員会の附帯決議において、各自治体の森林整備の取組や施策の効果を検証しつつ、必要がある場合には、所要の見直しを検討するとされているところでございます。

 森林環境譲与税を活用した事業の効果を検証するためには、地域の実情に応じた様々な取組の実施状況を見極める必要があると考えております。

 これらを踏まえ、しっかりと検討してまいりたいと思います。

重徳分科員 必要があれば見直すということでありますから、必要性をしっかりと感じ取っていただきたいと思います。私自身も、しっかりとこれからもこの税の運用についてはウォッチをしてまいりたいと思います。

 さて、三点目です。EV、電気自動車についての議論をさせていただきます。

 これは、総務委員会というか総務大臣所管の委員会でありますので、税制や、ちょっと金目の話を通じた議論をしてみたいと思います。

 今、カーボンニュートラルということで、自動車産業は百年に一度の大構造転換期であると危機感を持っております。ですから、私も、この自動車産業に関する、特にEV化に関する様々な課題について常々指摘をさせていただいております。日本が百年かけて積み上げてきた物づくり技術、この継承と発展ということが日本の命運を左右すると思っております。

 今、まさにカーボンニュートラル、あるいは自動車に関して言えばEV化だという流れは、EUとか中国が主導したがっている。そして、日本はエンジンとかハイブリッドといった技術では世界トップレベルでありますけれども、これが、バッテリー、電池を使ったEVになりますと、世界的に見て優位性が必ずしも十分にあるとは現時点では言えない段階であります。そういったことに対して、急激にEVに転換されてしまうということに対して警鐘を鳴らしているところであります。

 EVというのはまだまだ課題が多いんですね。例えば、価格が非常に高いです。それから、ガソリンであれば、三分もあれば満タンにできますけれども、EVは充電です。充電は、急速充電でも三十分かかっても満タンにならないと言われております。家で充電すれば、一晩かけて、十何時間かけて充電できるということはあると思いますが、外出中なんかはいろいろと不便が多い。そして、実際の走行距離というものも、今のところさほど長くはない。

 さらには、これは根本的な、本質的な問題ですけれども、電気自動車に充電しているその電気というのは、結局、日本の場合は火力発電が大半でありますから、車から排気ガスを出さない代わりに、遠くの発電所でぼんぼん石炭をたいたCO2がどんどん出るわけですね。そういった構造的な課題というものもあります。

 そういったことから、日本の技術を大事にしながら、新しい燃料、水素燃料、こういったものも、いろいろな選択肢を並行して考えながらやっていくというのがカーボンニュートラルに向けた本来の道ではないかと考えております。

 これを前置きをした上で、経産省、お越しいただいておると思いますが、これまで多額のエコカー補助金という形でEVの購入を支援してきたと思いますが、その執行実績について御答弁願います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車等につきまして、導入初期段階にあり、需要創出や車両価格の低減を促すため、購入補助を実施をしております。

 その中で、電気自動車に対する直近三年の交付実績を確認いたしましたところ、平成三十年度は約七十八億円、令和元年度は約八十一億円、令和二年度は約三十九億円の交付となっております。

重徳分科員 今お聞きしただけでも、三年で、どうでしょう、二百億円近くということですかね。といった非常に多額の補助金でEV購入を推進しているという形です。よしあしは別として、二百億円近くで購入補助をしているわけです。

 EVというのは、先ほど言いました、そうはいっても高いんです。だから、どちらかというと、高所得者というか、ゆとりのある方が購入される傾向があると思います。

 それから、充電も、自宅で充電できるというのは、すなわち戸建て住宅でありますから、都市部の集合住宅にお住まいの方々、もちろん低所得の方々にはなかなか手が届かないという代物で、余り悪く言うといけないかな、といったものであります。

 一方で、今、ガソリンの価格も上がっていますよね。だから、これまでのガソリン車とかハイブリッド車に乗っている方々は、やはりガソリン価格が上がって苦労されているわけです。そういう中で、我々は常に、トリガー条項を発動してガソリン税を引き下げるべきだという主張をしておりますが、政府はなかなか動かない、こういった状況であります。こういった意味でも、ややバランスに疑問があると言わざるを得ない状態にあります。

 そして、税制の面でもかなりEVは優遇されておりまして、取得時の、昔、かつて自動車取得税と言われていた自動車税の環境性能割、EVは非課税、ゼロですね。そして、EV以外の車両は平均三万九千円ほどと言われております。

 自動車重量税、国税でありますが、初回の車検のときで考えると、EVはゼロ、免除されております。例えばカローラのようなガソリン車でいうと、三万六千九百円といった自動車重量税。

 それから、毎年かかる自動車税、種別割と言われるものですね。これも、EVは二万五千円なんですが、それ以外の平均税額は三万三千八百七十円ぐらいだと言われております、試算によりますとね。そうすると、毎年の自動車税だけ考えても八千八百七十円の差があるという試算になります。

 仮に、今、日本で課税をされている対象の車というと、国内に三千五百万台ぐらいあるんですが、これが全部EVに転換して、そして、かつ、今の税制のままだと、簡単な試算をしますと、自動車税で、今言ったように八千八百七十円の違いが一台当たりあるわけですから、三千五百万台を掛けますと、年間三千億円以上の減収になる。これは地方税ですね。

 それから、ガソリンを使わなくなりますから、揮発油税で、国税で二兆円、それから地方税で二千億円。

 さらに、軽油引取税、軽油で走る車には、地方税、九千億円ほどかかっています。

 今の税率を前提とするもののこういった大幅な税収の減といったもの、税収に大幅な穴が空く、とりわけ地方税にも大きな影響がある。こういったことについて、大臣として、若干将来的な話、段階的に進む話でありますが、こういった危機感も持ちながら、危機感というか、税体系を変えなきゃいけないという問題意識も持っていただきながら取り組む必要があると思うんですが、いかがお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 重徳委員御指摘のとおり、EVの普及に伴う地方税収への影響としては、EVは軽油を使用しないため軽油引取税の負担がないこと、また、内燃機関を持たず、総排気量の値がないため自動車税種別割で最低税率を適用していることから、御指摘のとおり、EVが普及してまいりますと、地方税でも自動車関係諸税の税収が減少していくものと見込まれております。

 自動車関係諸税の在り方については、住民に身近な行政サービスを提供している自治体の貴重な財源となっていること、与党税制改正大綱において、カーボンニュートラル目標の実現への貢献を始め、中長期的な視点に立って検討を行うこととされていることなどを踏まえ、政府としてもしっかりと検討していくべき課題であると考えております。

重徳分科員 電気自動車は、一般的に重量も重いと言われております。道路への負担も、要するに、道路が損傷する割合も高くなるというのかな、その程度が激しくなると言われております。そういったことのためにも、税収確保は必要だと思います。

 ありがとうございました。

中谷主査 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 立憲民主党の城井崇です。

 分科会でも質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 金子総務大臣、黄川田内閣府副大臣、赤池内閣府副大臣、渡辺国土交通副大臣におかれては、今日は質疑でお世話になります。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 まず、この間、衆議院予算委員会でも幾度となく議論となっております国土交通省の建設統計の改ざんの件について、総務大臣と、そして公文書担当の内閣府副大臣にお伺いいたしたいと思います。

 今日は、この件、法律に照らして違法な部分があったのではないかということをきちんと明らかにしたいという趣旨でお伺いしてまいりたいと思っています。

 まず、総務大臣に伺います。

 例の建設受注統計におきまして、手口がとてもアナログだったわけですが、消しゴムで元データを消しながら、合算をしたり二重計上したり、また、改善のチャンスが何度もあったのに、結果として隠蔽を続けたという形になってしまいました。

 こうした三つのポイントのあった今回の統計の改ざんについては、統計法に照らして、その六十条の違反に当たるというふうに考えます。

 この統計法六十条に照らした場合にどうかという点、そして、そこを踏まえて、総務大臣として、政府として、しかるべき措置をきちんと取ったかということを確認したいと思いますが、総務大臣の見解をお伺いします。

金子(恭)国務大臣 城井委員におかれましては、予算委員会でも質問通告されていたんですが、なかなか答える場面がなくて、お答えをさせていただきたいと思います。

 この度の建設工事受注動態統計調査における不適切な処理につきましては、大変遺憾なことだと考えております。

 罰則規定である統計法第六十条第二号は、基幹統計の作成に従事する者が基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした場合に罰せられる規定となっております。この行為とは、基幹統計を作成する過程において、通常の方法によって作成されるはずの結果と異なる結果を意図的に生ぜしめる不正な行為とされております。

 いずれにしましても、個々の行為が統計法に違反し刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知をしております。

城井分科員 大臣御説明いただきましたように、個々の状況によっての判断というところを仮に理解をしたとして、では、二つお伺いしたいんですが、一つは、今回の件、特に、改善のチャンスが何度もあったのに隠蔽があった、隠蔽を続けたという点について、大臣はそのように認識をされているかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 国土交通省の検証報告書では、組織的な隠蔽や改ざんであるとはされていませんが、調査票の書換えによって、収集された有用な情報の活用を損ねた点、二重計上問題について、発覚後も事実を明らかにせず、問題が表沙汰にならない形で収束させようとした点などについて、大変厳しい御指摘があったものと承知をしております。

城井分科員 大臣、そういうのを隠蔽と呼ぶのではないかということを確認したいわけです。

 つまり、国土交通省の担当責任者が会議の場で何人か集っていて、話をして、最終的にそこで気がついたのに、意図的に伏せたわけです。そのことを隠蔽と呼ぶのではないか、そこで担当者の意図が働いているのではないかというふうに認識するわけですが、大臣、その点は、これは意図的に隠したという認識で総務大臣の立場としてよろしいかということを確認したいと思います。

金子(恭)国務大臣 国土交通省の検証委員会の報告を基に、今、統計委員会におきましても特別な委員会をつくりまして、そこで精査をしているところでございますので、その精査の結果を待ちたいと思っております。

城井分科員 委員会での精査を待つという御答弁でございました。

 もう一つ私が申し上げたかったのは、先ほどの六十条二号の解釈と申しますか、法令の部分にも触れていただきましたが、そこに照らして、今回の事案はやはり抵触するのではないか。その場合に、そのことに、先ほどの委員会での結果を待つということでしょうけれども、そこで問題があると指摘がある場合には、捜査機関に対して、当然、総務省側から告発なりで情報提供するということはすべきだというふうに考えますが、この点はそういう取扱いをいただけるということでよろしいですか。

金子(恭)国務大臣 先ほどからお話し申し上げております国土交通省の検証委員会の報告書では、組織的な隠蔽とはされていないものの、厳しい指摘がなされているものと承知をしています。

 繰り返しになりますけれども、いずれにせよ、個々の行為が統計法に違反し刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であると承知しております。

 なお、総務省につきましては、他府省の職員の行為の詳細について把握や確認を行うことのできる立場にないため、告発を行うことは困難であると考えております。

城井分科員 続いて、公文書管理に係る不正についてもお伺いしたいと思います。

 業者が提出する調査票は、公文書管理法上の行政文書ファイル管理簿に記載する必要があります。しかし、今回のこの一件で、国土交通省は、調査票をファイル登録せず、保存期間が過ぎて調査票を廃棄する際にも、公文書管理法で求められている内閣府との協議もしていませんでした。公文書管理法違反の可能性が高いと考えます。

 この件は、先日の予算委員会で、内閣府の政府参考人が、公文書管理法七条及び八条に照らし不適切であり遺憾と答弁しています。とするならば、法律にある手続を取っていない今回のケースは違法なのではないか、公文書管理法七条、八条違反に当たるのではないかという点、これを踏まえて政府はしかるべき措置を取ったかということを、内閣府の公文書担当の副大臣から見解をお伺いしたいと思います。

赤池副大臣 委員御指摘のとおり、公文書管理法では、第七条、八条におきまして、各行政機関の長は、行政文書ファイルの名称、保存期間等を行政文書ファイル管理簿に記載すること、行政文書ファイルを廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得ることを定めているところでございます。

 国土交通省からは、これらの規定にもかかわらず、調査票について行政文書ファイル管理簿に記載がなされていない、廃棄同意の手続を行わないまま廃棄をしたといった不適切な管理となっていると報告を受けているところであります。

 私といたしましても、国土交通省からの報告のとおりであれば、公文書管理法に定める手続に反しており、極めて不適切であると考えております。

 委員のお尋ねが第七条、八条に違反しているかどうかということであれば、私としても、同条に違反をしていると認識しているところであります。

 その上で、今回の事案を受けて、若宮大臣の指示によりまして、国土交通省に、調査の継続や、不適切な取扱いの是正、再発防止策の検討、そして各府省に、ルールの遵守や、跡づけや検証に必要な文書の作成、文書廃棄時の慎重な確認、研修などあらゆる機会を捉えた基本的なルールの周知徹底を要請したところであります。

 引き続き、適正な公文書管理について周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

城井分科員 公文書管理法七条、八条の違反ということで、副大臣から明言をいただきました。おっしゃるとおりだというふうに思っています。各府省に対しての対応を取っていただいている点については評価をしたいというふうに思います。

 ただ、今回の公文書管理法そのものには罰則規定がない状況であります。そこを踏まえますと、内閣府と協議もせず勝手に調査票を捨てた国土交通省の今回の不正は、調査票という公用文書を勝手に捨てたのですから、刑法二百五十八条にある公用文書等毀棄罪、つまり壊した、捨てたということですが、公用文書等毀棄罪に当たるのではないか、この違法行為に政府はしかるべき措置を取ったか、内閣府公文書担当の副大臣の見解を伺います。

赤池副大臣 委員御指摘の刑法の公用文書等毀棄罪に当たるかどうかについて、これは捜査機関において収集された証拠に基づいて個別に判断されるべきものと承知をしておりまして、この場でお答えすることは差し控えたいと存じます。

 いずれにいたしましても、先ほど御説明をいたしましたように、今回の事案を受けて、公文書管理の観点から、先ほど言った若宮大臣の指示により三点要請したところでありますので、引き続き、適正な公文書管理について周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

城井分科員 やはりこの手の違法行為は、捜査機関の個々の判断に最終的に至るまでの手前で、気がついた役所がきちんと捜査機関に情報提供するというのが筋だというふうに考えますので、今日御指摘を申し上げた三点の法律違反の疑いの部分については、是非各省で取組をいただきたいということを改めてお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、ゆうちょ銀行などにおける硬貨の取扱いの有料化の影響についてお伺いしたいと思います。

 ゆうちょ銀行における硬貨の取扱い、いわゆる小銭の両替に関して有料化する方針が示されました。ほかの金融機関も同様の扱いのところが多いんですが、現金のコストを利用者に転嫁した形で、コストに応じた料金とはいえ、利用者によっては困惑しているケースが多くあります。

 例えば、非営利団体においての街頭募金で少額寄附を募っているケースですとか、十円、二十円で御商売をされる駄菓子屋さんなど、小銭を多く扱う小規模事業者さんにも追加の負担ということになると考えます。一番心配しましたのは、子供の五百円貯金。小銭貯金にかける手数料としては少々大きいのではないかというのが世間の受け止めだというふうに感じています。

 金融機関の経営の悪化やATMの故障、行列の原因など、有料化に踏み切った事情は理解をしているつもりです。

 そこで、総務大臣並びに金融を所管する内閣府副大臣にお伺いしたいと思うんですが、少なくともキャッシュレス決済などの仕組みの浸透が図られるまでの間、激変緩和策として何かしら手だてが打てないか、非営利団体向けの募金や小規模事業者や子供の貯金などへの配慮を国として働きかけることができないだろうかというふうに思うわけですが、総務大臣並びに金融を所管する内閣府副大臣の見解をお伺いします。

金子(恭)国務大臣 今回のゆうちょ銀行における硬貨の取扱手数料の導入は、総務省の許認可の対象ではございません。同行の経営判断で行われたものでございます。したがって、金融サービスの対価として利用者からどのような手数料を徴収するかは、経営環境の変化等を踏まえて、ゆうちょ銀行自らが適切に設定すべきものと考えております。

 なお、御指摘の点につきましては、募金活動については、ゆうちょ銀行では、従来より災害の義援金など社会的に意義の高い活動を行う団体の口座は振り込み手数料を免除しており、今回の硬貨の取扱手数料についても、当該口座への窓口での振り込み等は免除されるとのことでございます。

 また、他の銀行と同様、ゆうちょ銀行の窓口においても、一定枚数までの硬貨は取扱手数料が無料でございます。他の銀行と同様でございますが、利用者に一定程度配慮したものと聞いております。

 ゆうちょ銀行におかれては、利用者の理解を得られるよう、今回の手数料導入の目的やその内容について丁寧に説明していただきたいと考えております。

黄川田副大臣 城井先生の問題意識については理解をいたしておりますが、金融機関においては、自らを取り巻く経営環境の変化を踏まえまして、持続可能なビジネスモデルを構築していくことが重要であると考えております。

 こうした中で、金融サービスの対価として顧客からどのような手数料を徴収するかについては、各金融機関の経営判断に関わるものでありまして、持続可能なビジネスモデルの在り方を検討していく中で、金融機関自らが適切に設定していくべきものであると考えております。

 その上で、金融庁といたしましては、各金融機関が手数料設定の考え方を顧客に丁寧に説明することが重要と考えておりまして、そうした観点から、しっかりとモニタリングに取り組んでまいる所存でございます。

城井分科員 民間金融機関ですので、経営判断でというのは十二分に理解をした上で、今回の話をしております。

 総務大臣に二つ申し上げますと、一つは、ゆうちょ銀行は民間の会社ですが、国の関与がまだまだ大きい会社でもあります。ですので、国からどのようなお声がけがあるかというのはとても影響があるというふうに考えておりますし、問題は、災害関係の支援の募金以外のところで影響が出てくるのではないかということを懸念しておりまして、その辺りを是非、ゆうちょ銀行との今後のやり取りのときに御留意をいただきたいということをお願いしたいというふうに思っております。

 次に参ります。

 次に、タクシー会社の人員不足対策につきまして、国土交通副大臣にお伺いいたします。

 コロナ禍における地域の移動を支えるエッセンシャルワーカーの一翼として地域のタクシー会社が踏ん張っていただいていますが、この二年間の行動制限の影響は大きく及んでおります。タクシー特措法に基づく国会報告でも明らかでしたが、全産業と比べてタクシー運転手の待遇はまだまだ改善が必要な状況です。現実には、管理職の確保にも苦労している現状をタクシー現場から聞いています。

 そこで、タクシー業界における管理職不足に関する国土交通省の現状認識と、国としての対策をお聞かせいただきたいと思います。

渡辺副大臣 タクシー事業は、国民の日常生活や経済活動を支える公共交通として重要な役割を担っておりますが、事業を継続していくためには、運転者以外にも、運転者の管理や教育を担う人材を確保することが求められております。しかしながら、委員御指摘のように、タクシー事業者は、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、このような人材を確保、維持することが難しくなるほど大変厳しい経営状況にあるものと理解をしております。

 このため、国土交通省では、地方創生臨時交付金の活用によるタクシー事業への支援を地方自治体に対して働きかけているほか、令和三年度補正予算により、タクシーの感染症対策やデジタル化への支援等も行うこととしております。

 また、政府としても、雇用の維持を図るために、雇用調整助成金の特例措置を講じているところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、このような対策を通じて、タクシー事業者が必要とする人材の確保、維持が図られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

城井分科員 ITを使った遠隔点呼なども何とか進められるように、国の方からも目配りいただいているよという現場の声は伺っております。

 もう一点お伺いしたいと思います。

 管理職のみならず、タクシー運転手の確保にも相当な御苦労があるというふうに現場から聞いています。ドライバー確保の大前提となる二種免許の取りやすさ向上策を国として取り組んでほしいというタクシー現場からの声がございますが、国土交通省の見解をお願いします。

渡辺副大臣 タクシー運転者は近年減少傾向にあり、タクシー業界において運転者の確保が喫緊の課題となっているものと承知をしております。

 御指摘の第二種免許の取得に関しましては、令和二年に成立した道路交通法の一部を改正する法律によって、本年五月十三日以降、受験資格の年齢を引き下げるなどの要件緩和が行われることとなっており、タクシー運転者不足の解消につながるものと考えております。

 その一方で、タクシー事業者が必要な運転者を確保するためには、労働条件や職場環境を改善するなど、職業としての運転者の魅力を向上させることが重要であると考えております。

 このため、国土交通省では、タクシー業界に対して、運賃改定を行う場合には、運転者の労働条件の改善措置を適切に講ずるよう働きかけているところでございます。

 また、令和二年度に創設した働きやすい職場認証制度によって、タクシー事業者を含む運送事業者の職場環境の改善に向けた取組を見える化し、運送業のイメージ刷新を図ることで、運転者の就職を促進しているところであります。

 国土交通省としては、このような取組を通じて、タクシー運転者確保が十分に図られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

城井分科員 地域の公共交通としてのタクシーの人員確保についてお聞きをいたしました。

 地域の末端の交通は、移動の保障という観点からして、毛細血管の役割を果たしているというふうに例えていいというふうに思っています。極めて公共性が高い。

 ただ、この間も様々な政策の議論で、移動の定義のときに、ビジネスだと言われるときと、インフラですという取扱いと、いや、福祉的な観点が必要だ、この境目が曖昧になっているところがあるというふうに思っていまして、一義的には民間の取組に見える部分もあるんですが、ただ、それが、民間が担いにくいから公共が担うというところと行ったり来たりするところもあります。そこをしっかり見ていただきたい。

 特に、現場の人員確保もさることながら、行政側でそうした公共交通に関わる詳しい人材というのがなかなか確保しづらいという状況もありまして、そこも含めて人材の確保、配置は急務だというふうに思っていまして、国においても御支援を是非お願いしたいということをこの場で申したいと思います。

 続きまして、ここからは、北九州市が令和四年度の予算案に対して出している国への要望に沿いながら御質問申し上げたいと思います。

 まず、北九州空港の利活用促進、活性化についてであります。

 北九州空港の機能拡充を通じて国内、国際の航空ネットワークの形成、充実を図ることは、物づくり産業の集積が進む北部九州圏の経済活性化のためには必要不可欠であります。コロナ後の経済回復にも寄与するものと確信をいたしております。

 現在拡大している航空貨物の需要を西日本圏としてしっかり取り込むためにも、北九州空港の三千メートル級への滑走路延長の早期化に向けた国の協力と推進が必要だと考えます。少なくとも例年並みの空港整備予算を確保することも含めて、国土交通省の見解をお示しください。

渡辺副大臣 北九州空港は、物づくり産業が集積する北部九州圏の物流拠点として重要な役割を果たしており、その機能強化も重要であると認識をしております。

 このため、国土交通省では、長距離国際貨物機の定期便としての就航を可能とする三千メートル滑走路の実現について、令和二年度から調査を開始し、昨年までに、パブリックインボルブメントの手続や環境影響評価における方法書の手続を完了したところでございます。現在は、方法書に基づく現地調査を進めており、政府としては、これら環境影響評価の手続を適正かつ着実に進めてまいります。

城井分科員 北九州空港の航空貨物拠点化に向けては、これまでに国が整備をした九州唯一の大型貨物機専門エプロンに加え、隣接する大型エプロンも活用して、貨物機の二機同時駐機と荷役対応が可能となるよう、改めて拡充整備を是非お願いしたいというふうに思っています。

 また、海上空港の特性を生かして、大型航空機を取り扱う事業者による船舶への積替え輸送の声に応えて、最近ですと、シー・アンド・エア輸送による衛星の輸送などの取組も実施していて、事業者からも評価をいただいています。

 航空貨物の円滑な積替えが可能となりますように、貨物エプロンから物揚げ場までの直線的な輸送経路の確保にも、是非実現を図っていただきたいということを、地元の声としてお伝えしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 続いて、北九州港の洋上風力発電の拠点化に向けた基地港湾整備について伺います。

 カーボンニュートラルの実現に資する洋上風力発電の普及を支える基地港湾等の整備の支援についてであります。

 北九州市では、西日本唯一の基地港湾の有効活用とともに、北九州市響灘地区での風力発電関連産業の総合拠点形成を目指しています。その実現に向けては、西日本地域における継続的な洋上風力市場の創出が不可欠であります。

 以上を念頭に置きながら、発電事業者の洋上ウィンドファーム建設計画に遅れが生じることがないよう、引き続き事業進捗に合わせた整備予算の確保を国は行うべきというふうに考えますが、国土交通省の見解をお願いします。

渡辺副大臣 国土交通省といたしましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として期待されております洋上風力発電の導入を積極的に推進しております。

 御指摘ございました北九州港につきましては、令和二年二月に施行された改正港湾法に基づき、同年九月に洋上風力発電に係る基地港湾に指定し、埠頭の長期的な貸付けを可能にするとともに、同港の港湾施設の整備を実施しているところであり、引き続き整備を推進してまいります。

城井分科員 洋上ウィンドファームの建設にはSEP船等の特殊作業船が不可欠であり、その作業船の基地港湾周辺への集積により、洋上ウィンドファーム建設の工期短縮や経費削減につながります。作業船基地形成に必要な手続や整備等の支援をすべきと考えますが、国土交通省の見解をお願いします。

渡辺副大臣 北九州港の港湾管理者である北九州市は、同港を洋上風力発電施設の建設や調査を行うための作業船の係留基地とするため、昨年十二月に港湾計画の変更を行ったところでございます。

 国土交通省としては、この港湾計画の変更の手続に関し、変更内容の検討に係る技術的な支援を実施したところであり、引き続き、港湾管理者である北九州市の御意見を伺いつつ、必要な支援について検討してまいります。

城井分科員 SEP船については、保険などをきちんと整えている地元の船を使うべきだという声が現場からございます。どうしても建設業者のグループを使うといって地元が外されるケースがありまして、完成後の維持管理が心配だ、そうした声はリアリティーがあるというふうに思っています。国からも是非目配りをお願いしたいと思います。

 続いて、国道三号黒崎バイパスの建設促進について伺います。

 昨年四月に、春の町ランプ、陣原ランプが令和四年度内に供用することが公表されて、早期完成に向けてより一層の地元の期待が高まっています。これまでにも、渋滞の緩和や、そして東西方向の所要時間短縮など、確実に効果は表れてきているというふうに思うんですが、ただ、国道三号の現道や国道二百号にまだ未接続でありまして、本来の効果が発揮されていないというふうにも考えます。本バイパスの早期開通で、周辺道路の混雑緩和や地域産業振興など、北九州市の活性化を図っていけると考えます。

 以上を踏まえ、春の町ランプ、陣原オンランプ、黒崎西ランプの早期供用が図られるよう、例年同様に本道路整備予算の確保を確実に行うべきと考えますが、国土交通省の見解をお願いします。

渡辺副大臣 国道三号黒崎バイパス、全体五・八キロのうち、平成二十四年までに東田から陣原間の延長五・二キロが開通しており、春の町ランプの延長〇・六キロの区間と黒崎西ランプ、陣原ランプの三か所が未開通となっております。春の町ランプと陣原オンランプは令和四年度開通を目指して改良工事、橋梁工事を推進しているところでございます。また、黒崎西ランプは橋梁工事を実施しております。令和三年度も補正予算を投入するなど、整備の加速を図っているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいります。

城井分科員 続きまして、北九州港及び関門航路の整備促進について、短く伺いたいと思います。

 これまでにも、北九州港は関門航路と一体となり、年間約四十七万TEUを取り扱うコンテナターミナル、西日本最大のフェリー基地などの物流拠点機能を生かして、西日本地域の産業を支えています。

 しかし、既存のしゅんせつ土砂処分場や廃棄物処理場の残容量が逼迫したり、あるいは、新門司地区でも、船舶の大型化、フェリーの新規就航に伴って、複合一貫輸送ターミナルの早期完了に向けての整備が今進んでいるところでございます。

 一方、歴史ある港であるがゆえに、老朽化した港湾施設への対応がやはり重要だ。予防保全事業や社会資本総合整備計画に基づいた整備は行っているんですが、それでも、施設の老朽化や、利用者の要望に応えられていない状況があります。

 関門航路でも、大型船舶が満載喫水で航行できないなど、非効率な輸送形態、海難事故の発生なんかもあったりします。

 そこで、北九州港廃棄物海面処理場の整備、新門司地区複合一貫輸送ターミナルの航路、泊地の整備、西海岸地区の岸壁における予防保全事業の推進、社会資本総合整備計画による実施事業の推進、関門航路の航路水深十四メートルに向けた整備について、少なくとも例年並みの予算を確保しながら国が一層支援すべきと考えますが、国土交通省の見解を伺います。

渡辺副大臣 北九州港は、対岸諸国に近い地理的優位性を生かしたアジアと我が国を結ぶ国際物流拠点として、また、多くのフェリー、ローロー航路を有する国内物流拠点としても、北部九州の産業や経済を支える重要な役割を果たしております。

 同港におきましては、国の直轄事業として、船舶の大型化に対応するための新門司地区複合一貫輸送ターミナルの航路及び泊地の整備や西海岸地区岸壁の予防保全事業等を実施しており、引き続き整備を推進してまいります。

 また、港湾管理者であります北九州市が実施いたします一般廃棄物やしゅんせつ土砂を受け入れる響灘東地区廃棄物海面処分場の整備等の補助事業や交付金事業、これも引き続き支援をしてまいります。

 関門航路につきましては、より大型の船舶が通航できるよう、航路水深の十四メートルへの増深を国直轄で行っており、引き続き整備を推進してまいります。

城井分科員 時間が参りましたので、最後に短く一言だけお伺いをと思います。

 北九州市における区域区分の見直しであります。

 これまでも、土砂災害などの危険のある斜面住宅地について、いわゆる市街化区域から市街化調整区域へ見直す取組を全国に先駆けて北九州市では進めています。ただ、北九州市が示した見直し案の対象地域に居住する住民から、同じ地域なのに対象の適用が分かれることで、コミュニティーが分断をされるとか、資産価値が下がることへの懸念とか、具体的な課題が示されております。地元自治体が対応に追われております。住民の意見を十分に反映して、拙速な制度導入とならないように国から助言、支援を行うべきだと考えます。国土交通省の見解をお願いします。

中谷主査 渡辺国土交通副大臣、申合せの時間が来ております。簡潔に答弁をお願いします。

渡辺副大臣 はい。

 北九州市においては、いわゆる逆線引きの取組について、全国に先駆けて検討に着手をしていただいております。国土交通省といたしましては、北九州市からの相談に応じ、必要な助言を行ってまいりました。また、令和四年度政府予算におきましては、市街化区域内の安全な地域等へ移転を希望する者に対する支援制度の創設を盛り込んでいるところでございます。

 今後とも、北九州市におけるまちづくりが円滑に進むよう、必要な助言や支援を行ってまいります。

城井分科員 終わります。ありがとうございました。

中谷主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中谷主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武井俊輔君。

武井分科員 ありがとうございます。自民党の武井俊輔でございます。

 大臣始め予算委員会の皆様、二日目、連日大変お疲れさまでございます。

 では、早速質問をさせていただきたいと存じます。

 先日、自民党のバス議連と鉄道議連の合同会議というものを開催いたしまして、私、バス議連の事務局長をやっておるんですけれども、改めて、非常にこの業界の厳しい在り方というものについて議論があったところでございます。

 特に、昨今は、JRが非常に経営が厳しい中で、北海道のみならず各地で、やはり、鉄道がこのままでは行き詰まっているといったような報道がもう毎日のように繰り返されておりまして、国土交通省でも、審議会などでこれから鉄道の在り方というものを考えていこうということをされているわけであります。

 国鉄民営化というのから三十年たちまして、国鉄民営化の本旨というのは、もちろん経営安定基金というものは出しながらでありますけれども、基本的にはそれぞれの会社が自活をして、都市部の収益をもってローカル線も維持していくという仕組みであったわけですけれども、もうとてもそういった仕組みが成り立たなくなってきている。加えまして、このコロナ禍で、今回、三月のダイヤ改正というのは、国鉄が民営化以降最大のいわゆる減便を、各地で本数を減らしたりといったようなこともしている。このままですとどんどんこのスパイラルが続いていくというのは目に見えているわけであります。

 大臣の御地元も、この公共交通、JR肥薩線でありますとかくま川鉄道、大臣も、大臣としてももとよりですが、政治家としても非常に熱心に取り組んでこられたかというふうに思いますが、やはり今までは、どうしてもこれは国土交通省、旧運輸省から、鉄道局なり自動車局なりといったようなところが主体としてやる。もちろん、赤字バスの補填など、地財措置などは様々あったわけですけれども。

 ただ、これから地域が本当に壊れていくのではないか、鉄道、公共交通が崩れていくのではないか、そういう意味におきましては、やはり、地域を守る立場の総務省としても、私は、より大きな役割がこれから求められるのではないかというふうに思いますが、大臣の、地域の足を守るということについての御決意、思いをお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 武井委員におかれましては、宮崎交通の出身ということで、地域公共交通については特に熱心にこれまでも現場の声を届けていただきまして、また、観光の面においても、地域づくりにおいても、これまでも一緒に仕事をしてきたわけでございます。熊本、宮崎、同じような状況の中で、思いを一にする、同じくする者として、しっかりお答えをしていかなければいけないというふうに考えております。

 先日のバス議連とそれから鉄道議連の合同で、その辺のことも検討されたということも聞いておるわけでございます。

 地方バス、地域鉄道、離島航路など地域の公共交通を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化による輸送人員の減少により、年々厳しさを増しております。住民にとって必要不可欠な公共交通ネットワークの縮小が既に全国各地で起きており、また今後、更なる縮小が懸念されております。こうした状況に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地域公共交通の維持、確保がより一層厳しさを増している状況にあると認識しております。

 地方における生活を維持していくためには、また、地方の繁栄を実現していくためにも、地域の足を確保することは極めて切実な課題であります。

 総務省といたしましても、国土交通省等としっかり連携を取りながら、地域公共交通の維持、確保に尽力してまいりたいと思います。

武井分科員 ありがとうございます。大変心強い御決意をいただいたと思います。

 せっかくですので、あと一問だけちょっと聞いていただければというふうに思うんですが、ちょっと順番を変えまして。

 実は今、JRも含めて様々な取組をしているんですが、ちょっと資料をお配りさせていただいております。

 JR内房線、房総半島を走っている路線で無人駅がありまして、この無人駅を郵便局と一緒にしようという取組をJR東日本と日本郵便で行ったというところでございまして、これは非常にいい取組だというふうに思うんですね。無人駅というのは、やはり非常に駅が荒れていきます。地域としても、町の顔の駅が無人になるというのは大変寂しいところでありまして、そういう意味で、地域の機能を担う郵便局がそういう中で一緒にそこにあるというのは、それぞれのメリットが生かせるのではないかというふうに思います。

 もうちょっと大きいところですと、コンビニと一緒になっているというようなところもあったりするんですが、さすがになかなか、人口の少ないところですと、コンビニと一緒に経営をしていくというのは難しいところがありまして。

 そういう意味では、郵便局のネットワークというものと鉄道のネットワークというものは非常に親和性が高いのではないかというふうに思いますが、この郵便局への連携が今どうなっているかお伺いをして、できましたら、大臣、もうこれが終わりましたら御退席いただいて結構でございますが、最後に何か感想など、一言いただければありがたいと思います。お願いします。

金子(恭)国務大臣 全国二万四千局、生活、地域の重要インフラであります郵便局のネットワークであります。

 実は、午前中の質疑でもお答えをしたんですが、昨年、北海道の白老町というところに行きまして、郵便局の方々と、町も含めてでありますが、車座対話をやりました。町の行政サービスを維持していくんですが、出張所が幾つかあるんですが、これも統廃合をしなければいけないという中で、その地区地区に郵便局があるわけですね。そこで、現状、事務委託をしまして、例えばごみ袋を売っていただいたり、あるいはバスの定期券、乗車券を売っていただいたりというようなことで、やはり、地域において拠点がどんどんなくなっていく中で、郵便局の可能性というのが広がっているものだと思っております。

 私も、郵便局で鉄道、なかなか無人駅が増えている中でこういう取組をしておられるということを聞いて、実はうれしく思いました。これから、いろいろな制約もあるかもしれませんが、その制約がある中で、いかに郵便局が、地域を守っていくために、地域の活性化のために寄与していただくか。

 ここにも書いてありますけれども、例えば、オリンピックで金メダルを取った方の地元にゴールドポストみたいなものを作ったり、地域独自のポストを作っていただいたり、人を呼ぶ、そういう観光の面においても活躍されていると思います。

 とにかく地方には人がいない中で、生活インフラである郵便局をいかに有効に使っていただくのか、このことは非常に重要でありますので、アイデアを絞っていただきながら、全国の先導的な事例を紹介しながらやっていくということは非常に重要なことだと思っております。我々もしっかり勉強させていただきたいと思います。

武井分科員 ありがとうございました。

 大変いろいろと先進的に取り組んでいただくという大臣の御決意、思いをお伺いしました。ありがとうございました。

 大臣はこちらで結構でございます。ありがとうございました。

 では、質疑を続けさせていただきますが、今、郵便局のお話は、大臣からお話もいただきましたので結構でございます。

 今お話もございましたが、まさに、やはり総務省は、地域を守る役割としてこれからどう考えていくか。やはり国土交通省だけでは足を守るということが、事業者だけでは路線を守るということがもうできなくなっているわけでありますので、改めて、総務省としてどういう役割を果たすことができるか、また、御決意を含めてお伺いしたいと思います。お願いします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府といたしましては、地域の公共交通を取り巻く環境の厳しさを踏まえまして、平成十九年から、地域公共交通活性化法に基づきまして、地域の総合行政を担う地方自治体を中心として、地域の公共ネットワークを確保するための取組を進めております。

 総務省では、これまでも、地域公共交通の維持、確保のための地方公共団体の取組を支援するという観点から、地方バス、地域鉄道、離島航路等に対する地方財政措置を講じているところでございます。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたが、今後とも、地域の公共交通に関する地方自治体の役割、あるいは取組の実態なども踏まえながら、国土交通省あるいは関係省庁とも連携して、適切に支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 よろしくお願いします。

武井分科員 ありがとうございます。

 特に、もちろん今までも、路線バスの欠損の補助でありますとか、赤字の第三セクター、三陸鉄道などがございますけれども、多くの鉄道の支援などもしていただいていたんですけれども、これから一歩進んで考えなければいけないのは、やはり今問題になっているのは、JRの問題ですね。

 JRは、例えばJR東日本、西日本などという会社、会社としては、当然上場もしていますから、黒字の企業であるわけでして、黒字の企業だからなかなか支援ができないということであるわけですけれども、一方で、黒字でありながら、抱えている路線としては非常に大きな赤字があるということになると、やはり上場もしていますと、株主から、言ってみれば株主代表訴訟みたいなことだってあり得るわけですね。赤字なことをいつまでもやっているということについて、非常に厳しい声がある。

 もちろん、国鉄民営化の本旨で、安易にこういった路線を切るということは彼らも考えていないわけでありますけれども、JRが黒字だからとか、JRは大きな会社だからというようなことでは、ちょっともう先送りできる局面を過ぎてきているというところもございますから、そういう意味でも、総務省としてもより柔軟に取り組んでいただきたいと心からお願いをしておきたいというふうに思います。

 続きまして、このコロナの中で非常に経営が苦しい業界、各種あるわけですけれども、特に旅館やホテル、観光業というのは、その中でも、K字回復と言われるKの一番下の方でありますけれども、非常に厳しいわけであります。その中で、いろいろな要望が上がるんですけれども、特に厳しい声があるのは、固定資産税の関係であります。

 御案内のとおり、非常に大きな敷地で経営をしているところも多うございますし、建物も高いし、そして様々な施設もその中にあるということで、非常に経営が、固定資産税というものが大きな負担になっている。かつて、償却期間を五年延ばしましたという話がありまして、正直言って、あのときに物すごく喜んでいただいたんですが、やはり償却期間が五年変わるだけでもこんなに違うのかということも改めて実感をしたわけでありまして、それほど固定資産税が非常に大きな負担になっている。

 もちろん、事業を営むわけですから負担はしなければいけないわけでありますけれども、昨今のこの状況を考えますと、この固定資産税、もちろん、これは地方税ですから、安易に国が、ではやめますみたいなことは、それは地方が困るわけですから、言えないのは十分分かっていますから、その分、国がもし仮に何かやれば応援はしていかなければいけないわけですけれども、この固定資産税というものに対して非常に厳しい受け止めがある。

 非常に難しいことだというふうには認識をしておりますけれども、その分、それについてどう受け止めて、そしてまた、では、この状況というものを何とかしのいでいくためにどういうことをできるか、どういうことを考えているかということを、観光庁に来ていただいているので、お伺いしたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、宿泊客の減少に加えまして、先生御指摘の固定資産税などの固定費の支払いの負担も含めまして、特に一定の規模の施設を必要とする宿泊事業者の方を始めといたします観光関連事業者の皆様には、大変厳しい状況にあるものと認識をしております。

 観光関連産業につきましては、今後も地域活性化の重要な担い手でありまして、コロナウイルス感染症の影響が長期化、深刻化している中で、観光関連事業者の皆様をしっかりと支援していく必要があるというふうに考えております。

 このため、まずは事業の継続と雇用の維持のため、政府といたしましては、昨年十一月に決定した経済対策におきまして、雇用調整助成金の特例措置や実質無利子無担保融資の延長を盛り込んでおりますほか、事業者への直接的な支援といたしまして、事業復活支援金を支給することとしております。

 また、需要喚起策につきましては、GoToトラベル事業につきまして、今後の感染状況等を見極めつつ、専門家の御意見も踏まえまして検討し、適切な時期が来たならば再開できるよう準備を進めているところでございます。

 さらに、ポストコロナに向けた取組といたしまして、新たな経済対策や令和四年度当初予算案におきまして、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化でありますとか、デジタル技術を活用した宿泊施設による顧客管理の高度化でありますとか、あるいは地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出、こういった支援を様々盛り込んでおりまして、観光産業を多面的に支援してまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、その時々の状況に応じまして、事業者の皆様の声も伺いながら、必要な支援を継続的に実施できるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

武井分科員 ありがとうございます。

 もちろん、需要の喚起とか、これは一緒にいろいろと、村田さんともいろいろなことをさせていただいておりますが、取り組んでいるところですけれども、どうしても固定費の重さというのがやはり事業継続の意欲に非常に大きく関わっているということは、是非皆様にも御理解をいただいて、今後も、どういう知恵があるのか、また、どういう形であれば応援できるのか、総務省としても是非考えていただきたいとお願いをいたしておきます。

 続きまして、今ちょうど私の地元の宮崎は冬でございまして、雪も降らない、非常にいいところなんですけれども、私どもの町には大淀川という川が流れておりまして、川の横にマンションが建っているのですけれども、そこでいろいろと話を聞いたりすると、年配の方も多いのですけれども、冬だけ宮崎に住んでいるとか、年に半分だけ宮崎に住んでいますみたいな人が結構いるんですね。いわゆる避寒ですね、そういう方もあったりして、いろいろ話を聞きますと、そういうことができるわけですから、結構所得が高い人が多いなという印象も受けたりするんですけれども。

 ただ、考えてみますと、我々というのは、住民票というのはどこか一か所に置いています。みんな我々は何とか市民、町民、村民であるわけですけれども。もちろんこれは、二つにしていますから、ではこっちといったら、それは行政の管理上も、ではこっちでも選挙権が二つありますとかというわけには確かにいかないので、どこかに置かなければいけないということはあるわけですけれども。

 そういう意味で、地方は人口が減った、減った、減ったみたいなことでずっと言われるんですけれども、ただ一方で、では、例えば宮崎市の人口がずっと減っていっても、例えばそうやって、住民票はないけれども、実質的には何か結構、年に半分ぐらいいますよみたいな方、こういう人を何らかの形でカウントでもできれば、例えばそれはまた人口割にも反映もされるでしょうし、そしてまた、そういう方が税金を払っていただくということにもつながるんじゃないかとか、いろいろな希望もあるわけですけれども。

 これだけ今マイナンバーも進んできて、DXの、これから行政の仕組みを変えていこうという中で、こういった二地域居住、やはり移住するかどうか、百かゼロみたいな話ではこれはなかなかつらいところがありまして、こういう二地域居住みたいなものを促進していくに当たっての法的な整理というものはちょっと進めていく必要があるのではないかと思いますが、こういった取組について、どのように取組があるのか、お伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 議員御指摘のように、居住の実態というのは様々であろうかと思っております。

 ただ一方で、住所につきましては、各人の生活の本拠をいうとされ、住所の認定は、客観的居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して、市町村長が行うこととされております。住民の権利義務の基礎となるものでございますので、一つに定まるというのが大前提であると考えております。

 仮に住民票を二地域で作成することや、住所地とは別に居住地等を認めることにつきましては、選挙権や被選挙権を二重に与えるようなことは適当でない旨の最高裁の判例がございます。また、納税の義務につきましても、二重課税の問題が生じるといったことから、制度化は困難ではないかと考えております。

武井分科員 制度化は難しい、それは分かるんですけれども、ただ、では、逆に言うと、例えば我々が生活ごみを出します、これは無料で持っていってもらう。これは何で持っていてくれるかというと、住民税の対価なわけですね。かつて、今日は村田さんが来られております、観光庁で民泊の議論をしたときに非常に実は問題になったのはこの点で、民泊の経営者が、例えばマンションで民泊をやっていて、ごみを一階に出すと、これは事業なんですね。業としてやっているわけです。つまり、住民税の対価ではなくて、業としてやっている人たちがごみを出していいのかということ、これは実は非常に大きな論点になったりもしたんですけれども。

 そういう意味では、例えば、年間に半分宮崎に住んでいるけれども、実は東京に住民票がある。三分の二宮崎に住んでいるけれども、もちろんそれは、飲み食いしたりとかいろいろな生活で、経済効果という意味ではあるかもしれませんけれども、本来であれば、住民税を払っていないわけですから、住民税の対価たり得ないわけですよね。ふるさと納税などが本来そういう使い方になるということであったのかもしれませんが、今の趣旨は、是非は別として、そういうことになっていないということでもあるわけですけれども。

 そういうふうに考えましたときに、居住の実態と、住民税、住民票の位置、場所、居住の本拠、法的なものが不整合であるということと、こういった住民サービスの利益と便益を受ける受けないの法的な、つまり、結局、その人のごみのサービスというのは、宮崎市に住民票を置いている人が結果として払っているということになるわけですよね。この辺りというのは、法的な整理としてどのように皆さん理解をしておられるのか、お伺いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 ごみ収集のサービスの対価としての個人住民税かどうかというのは、これは様々な議論があろうかと思いますけれども、個人住民税につきましては、毎年一月一日時点の住所地である地方団体が課税をする、こういうこととなっております。

 先ほど分科員御指摘がありましたように、住所地以外の地方団体に個人住民税を納税する仕組みにつきましては、平成十九年度に、総務省にふるさと納税研究会を設置して検討が行われましたが、住所地以外の地方団体に強制性を伴う課税権を認めることは難しいとされたことから、寄附金税制であるふるさと納税制度が創設された経緯があるところでございます。

 寄附金税制でございますので、これは、どの地方団体にふるさと納税をするのかというのはその方の選択というわけでございますけれども、このふるさと納税を活用することによって、個人住民税の一部を実質的に住所地以外の地方団体に移転させることが可能となっております点、御理解を賜れればと思います。

武井分科員 実態の現状は皆さん御存じのとおりなわけですので、これ以上なかなか結論が出る話ではありませんが、繰り返しませんが、私は別に、その人、特定の何かそういうことをしている人をいいとか悪いと言っているわけではなくて、二地域居住を推進していくということが非常に地方として大事だとするならば、こういったようなことを整備していくことで、やはり、それによって何らかの、地方にとっても、半分来る人でも自治体としてもメリットが大きいということを感じていただくと、いろいろなまた新しい知恵の湧き方があると思うんですね。ですから、是非そういう意味で検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、ゴルフ場利用税のお話をさせていただきたいと思います。

 実は、私の住んでおります宮崎市というのはゴルフ場が非常に多いところで、年間に五位、ゴルフ場利用税の納税をいたしております。今、宮崎県全体でも年間に二億四千八百万、二億五千万、少し、だんだん減っている傾向にはありますけれども、納税があるところでございます。

 ところが、特に、我々与党の議員の先生方はもう御存じだと思いますが、毎年、税調の議論になりますと、このゴルフ場利用税というのは非常に大きな争点になるわけであります。

 業界は、ここ数年は廃止ということを強くということにはなりません、多少ニュアンスは変わってきていますけれども、このゴルフ場利用税の在り方には非常に疑義を持っている。一方で、自治体としては、真水ですから、総務省としては毎年堅持をする。

 私も、そういう意味では、これがなくなったらもう真水がなくなるのでということで、必要だ、なくすということは難しいというふうには思っています。それは思っていますし、そういう発言は過去にもしてきたところでありますけれども、しかし一方で、そういうふうにゴルフ場が非常に多い自治体の人間としては、ゴルフ場で働いている方の思い、気持ちというものも分かるわけであります。

 まず、そもそも、毎年このようにゴルフ場利用税について議論が繰り返されているという現状について、総務省はどのように認識をしているのか、お伺いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 分科員におかれましては、ゴルフ場利用税の重要性につきまして御理解を賜っていることを、まずもって感謝申し上げたいと思います。

 もう重々御承知のことではございますが、ゴルフ場利用税につきましては、毎年の税制改正プロセスにおいて、ゴルフ関係団体からは廃止あるいは見直しの要望が出されている一方、地方団体からは制度堅持の要望が出されているものと承知しています。

 こうしたそれぞれの要望を十分踏まえた上で、ここのところ毎年、現行制度を堅持するという結論が出されているというふうに承知しております。

 私ども総務省といたしましては、地方財政の状況、あるいは地方団体から堅持の強い御要望をいただいていることから、今後とも堅持してまいりたい、このように考えているところでございます。

武井分科員 率直に言って、これは論理でいったら、廃止とか見直せという人たちの方が話は通っていると思います。

 ただ、やはりこの税金、真水ですから、なくなるとそのまま自治体の穴が空いてしまうので、それはさすがにつらいなというところで、毎年維持をしているというふうに私は理解をしておりますが。

 その中で、総務省の人たちは、ゴルフ場は担税力があるという言い方を皆さんはされるんですが、やはり彼らの受け止めというのは、いろいろゴルフ場利用税での論文などを見ても、結局、ゴルフはぜいたく品だ、だから課税するんだというふうな捉え方をしている。

 担税力というのは、要するに税金を払える力があるからということなわけですが、ただ、かつてはパチンコ屋であったりビリヤード場であっても税金があったんですけれども、そういうものがなくなっていって、オリンピックのスポーツであるゴルフがなぜこういうふうになっているのかということで、そういう議論もありますし、そしてまた、担税力ということでいえば、では、スポーツジムに行っている人とかは担税力がないのかみたいな話とかにもなって、では、なぜゴルフなのか。それは、道路の整備をしなきゃいけないとかいろいろなことをおっしゃるけれども、なかなか論理的には正直言って厳しいなと思っています。ただ、さっきもお話ししたとおり、この真水の税金が自治体にとって貴重だということも分かるんですけれども。

 そういう意味で、高齢者を無料化したりとかそういういろいろな努力、今もされているところではありますけれども、やはりもうちょっと理解を得る努力をしていただきたい。つまり、毎年税調の議論のときにこういう議論をするのは大変つらいわけです。特に、私のようなゴルフ場が多いところの議員としては、非常にそこは大変だなと思うんですね。

 そういう意味で、これはやはり総務省も、最終的には自治体がやるんでしょうけれども、是非お願いしたいのは、ゴルフ場利用税を、というのは、ゴルファーがゴルフをすることによって、ゴルフのフィーと一緒に払うわけですから、もうちょっと自治体が、例えばたばこ税なんかも、たばこは地元で買いましょうとかいろいろな看板なんかがあったりしますけれども、ゴルファーがちゃんとゴルフをすることによって地域に貢献しているであるとか、ゴルフ場の皆さんのおかげで地域のインフラも様々に整備されていますであるとか。

 ゴルフ場利用税の議論が、何か毎年、勝った負けたみたいな、堅持しましたみたいなことだけではなくて、もうちょっと、ゴルフ業界やゴルファーの皆さんが、我々がゴルフをすることによって、ゴルフ場利用税を払うことによって、こうやって我々も貢献できているんだなと思えるような、気持ちよく払えるような、何かそういう努力はやはりもっとしてもらった方がいいと思うんです。そうしたらお互いに納得をして、このゴルフ場利用税というものが今後も存置し続けられるのではないかと思いますけれども、総務省として、そういったようなことについてより努力をするべきではないかと考えます。

 しているとおっしゃるかもしれませんけれども、結果として毎年こういう議論になっているということは、少なくともそう受け止められていないということをまず認識しなきゃいけないと思うんです。その上で、どう努力をしようとしているか、お伺いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省といたしましても、ゴルファーやゴルフ関係団体の皆様にゴルフ場利用税の意義を理解していただくことは大変大切だと考えております。

 地方団体とゴルフ関係団体との間ですが、ゴルフ振興を通じた地域振興のための協議の場が設けられて、双方が意見交換をしたというような実績もございます。また、地方団体においては、地域振興などの観点から、地元ゴルフ協会等への助成事業やジュニアゴルフ大会の開催など、ゴルフ振興に向けた取組を行っている団体もあるというふうに承知をいたしておるところでございます。

 ゴルフ振興や地域振興のための取組について、それぞれの地方団体が各地域の実情に応じて実施していただくことを期待しているところでございます。

武井分科員 もう時間も来ましたので終わりにしますが、期待してください、期待だけではなくて、今こういう事例がありますということをおっしゃったのであれば、例えばそれをきちんと横展開して、やはりこれだけの税金をゴルファーに払ってもらっている、ゴルフ業界に理解を得て払ってもらっているというようなことを、自治体としてもより広報していただきたい。やはりそういったようなことによって、毎年のこの議論がもうちょっと気持ちよく進めばということも期待をしたいと思います。

 時間も参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

中谷主査 これにて武井俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 白石洋一です。

 まず、川ざらい、河床掘削の議論をさせていただきたいと思います。

 西日本、愛媛なんですけれども、大雨が頻発しています。線状降水帯だとか台風、それが何回も来るということで、それで川の氾濫というのが非常に怖いんですね。実際、西日本豪雨ではそういう事故が、人命に関わる事故が起きたりしました。

 それにならないように備えるためにどうすればいいか、これはいろいろある中で、川ざらいというのが有効な手段だと思うんですね。

 総務省さんの方でありがたい制度があります。緊急浚渫推進事業というもので、これは従来は、河川管理主体、県だとかは、草は対応しませんよというものだったのを、この事業によって、草についても、草の中でもアシあるいはヨシともいう、木じゃないかと思われるような草ということなんですけれども、それが生い茂っているようなところをちゃんと対応してくれる、それを切って、そしてその根のところにある土砂を取り除いてくれる、川ざらいをしてくれる、こういう事業であります。

 これを私はもうどんどん使っていただきたいなというふうに思うんですけれども、現在の予算の利用状況、特に、私の気になるところで、愛媛県は四国中央、新居浜、西条、今治市、この利用状況、どうなっていますでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、河川氾濫などの大規模な浸水被害が相次ぐ中、こうした被害を未然に防ぐために、地方団体が緊急的に河川などのしゅんせつを実施できますよう、地方財政法を改正して、令和二年度に、お話のございました緊急浚渫推進事業債、これを創設したところでございます。

 令和三年度地方債計画におきましては、この緊急浚渫推進事業債を一千百億円計上しておりまして、令和四年一月末時点での同意等額は約六百七十億円となっております。

 なお、現在、地方団体から追加の協議を受け付けているところでありまして、同意等額は更に増加することを見込んでおります。

 お話がございました愛媛県内の四市に所在いたします河川に係る令和三年度の緊急浚渫推進事業債、この令和四年一月末時点での同意等額は、県管理河川も含めまして、四国中央市は〇・三億円、新居浜市は〇・一億円、西条市は〇・三億円、今治市は〇・八億円となっております。

白石分科員 管理主体、県であったり市であったりしますけれども、先ほどおっしゃったのは、管理主体をまとめて、二級河川は県ですけれども、そこで所在している川についても含めているんですね。ちょっと確認ですが。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

白石分科員 私の感覚ではもっともっと使えるところがあるんじゃないかなと思うんですけれども、これは利用する地方自治体、市であったり県であったり、使おうかという判断をするところというのもあると思うんですけれども、住民もそれを知っていたら、もっと気軽に、この制度でお願いしますというふうに言うこともできると思うんですけれども、制度周知というのはどうなっていますでしょうか。

 令和二年から始まったということなんですけれども、先ほどのお話だと、一千百億円の予算を用意している中で、今のところ、もう二月で、来年の予算を議論しているところで六百七十億円ということは、まだまだ余白があるわけですよね。この制度周知について、どのようにされていますでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 この緊急浚渫推進事業債につきましては、通例の事務連絡による周知のほか、総務省ホームページにおきまして優良事例を掲載し、また、地方団体ヒアリングで総務省の方に来られる機会を通じまして、その紹介を行っておるところでございます。

 また、関係省庁の方におかれましても、地方団体の担当部局に対する説明会等において本事業債の周知を図っていただいているところでございます。

 引き続き、こうした取組や地方団体向けの会議等を通じまして、更なる周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。

白石分科員 是非周知していただいて、地方自治体の職員さんだけじゃなくて、こういうものがあるよと、もっと広く、ホームページは誰でも見ることができますけれども、住民の方々も、川ざらい、今はアシが生えていてもできますよというようなことを周知していただければ、もっともっと使われて、事前災害防止、そういうことにつながると思います。

 大臣、この緊急浚渫推進事業、非常に重要な事業だと思います。まだまだ使える余地があると思うんですけれども、大臣、この事業についての意気込みをお聞かせください。

金子(恭)国務大臣 白石委員の御地元愛媛県もそうでありますし、私の地元は、おととし、令和二年七月豪雨災害、人吉、球磨、芦北、坂本というような、大洪水が起きたところを選挙区に持っております。ですから、先生がおっしゃることは十分よく理解できるわけでございます。

 今局長からの御答弁にもありましたが、愛媛県の四国中央市、新居浜市、西条市、今治市も含め、多くの地方団体において、緊急浚渫推進事業債を活用し、河川などのしゅんせつ事業に取り組んでいただいております。

 この事業に取り組んでいる自治体からは、豪雨時に河川氾濫や道路冠水などが発生しないなど、大きな防災効果があったとの報告を受けております。

 総務省としては、こうした先行団体の事例などを紹介しつつ、関係省庁とも連携を図りながら、自治体におけるしゅんせつ事業をより一層促してまいりたいと思います。

白石分科員 大臣からの力強い答弁、ありがとうございます。

 これは、人命を救うということもありますし、そして財政的にも、あらかじめやっておけば、大雨が来てそれで被害が出る、それに対応するよりも安くつくというふうに思いますので、どうかよろしくお願いします。

 そして、河川を管理している、これは国交省さんになると思うんですけれども、今は、議員が歩いて、そこで話を聞いて、ああ、確かにここは危なそうだねということで県につないだり市につないだりして対応している、アドホックな対応になっている。もうちょっとありていに言うと、もしかしたら、これは行き当たりばったりになっているんじゃないかなと。

 もっとシステマチックに危ない箇所、危険箇所を見つけて、そして対応する。特に、人が住んでいない、あるいはそこには人が来ないようなところが危険だったりするわけですね、山奥の方だったりして。そういったところを、システマチックに危険箇所を見つける。そういったことを管理主体としてやっていただきたいんですけれども、国交省さん、どうでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 堆積土砂の除去などが必要な危険箇所につきましては、河川管理者が定期的に把握することが重要であると考えております。

 一方、自治体が管理する中小河川、特に市町村が管理する準用河川とか普通河川におきましては、技術力不足とか人員不足等によりまして、巡視や点検などによる日常的な把握が十分に行われていない、こういった実態があることも承知しております。

 国土交通省では、中小河川の維持管理を効率的に行うことができるよう、河道等の点検要領を作成いたしまして、普及に取り組んでいるところでございます。また、各地方整備局等におきましても、維持管理に特化した技術相談窓口を設置するなど、技術的な支援も行ってきたところでございます。

 また、緊急浚渫推進事業債は、堆積土砂の除去に必要となる測量などの調査費用にも活用が可能という制度になっておりますので、維持管理に必要な技術力を持った技術者資格でございます河川維持管理技術者とかまた河川点検士、こういった有資格者の調査への活用につきましても、総務省と連携いたしまして、市町村等に対して周知してまいりたいと考えております。

 引き続き、中小河川の河川管理者が危険箇所を網羅的、体系的に特定できるよう支援をしてまいります。

白石分科員 よろしくお願いします。

 そうですね、パトロールをする。パトロールをするように国交省さんからもお願いし、さらに、このしゅんせつ事業はそのための費用も出るということであれば、それも同時にお伝えして、心置きなくパトロールして事前防災に努めてほしいということを周知していただきたいと思います。ありがとうございます。

 次の質問です。

 私の選挙区、歩いていて、人が住んでいるのにスマホの電波が入らないということを聞きます。それは何とかならないかと。それは、持っている携帯、スマホはどこの会社ですかと聞いて、そこの会社にアンテナの具合をちょっと調整してもらったりしても、それでは間に合わない。結局は、基地局が光ファイバーで結ばれていないと電波というのははっきり来ないし、加えて、今はスマホの時代で、観光で山の奥の方に入っていって写真を撮ったりするわけですね。あるいはネットで調べたりするわけですけれども、そういう、スマホが使える、通話だけじゃなくて、スマホが大データ容量で使えるということになると、やはり光ファイバーで結ばれている必要があると思うんですね。日本全国どこに行ってもつながっているということは、いわば人権の一部というふうになっていると思うんです。

 それで、そこを解消しよう、そういった場所がないように解消しようというものが高度無線環境整備推進事業ということだと思うんですけれども、この事業の利用状況について、まず答弁いただきたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの高度無線環境整備推進事業の活用状況でございますけれども、四国中央市においては、令和二年度二次補正予算及び令和三年度当初予算を活用して三事業が実施をされております。西条市におきましては、令和二年度二次補正予算を活用して一事業が実施をされております。新居浜市と今治市におきましては、現在のところ活用実績はございませんけれども、今治市におきましては、令和三年度補正予算を活用した事業の公募に事業者から応募があったところであり、今後、申請が見込まれております。

白石分科員 活用したり活用を予定していたりということなんですけれども、今のところのカバー率という意味ではどうでしょう、それぞれの市について。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 整備状況についてでありますけれども、令和三年三月末時点におきます光ファイバーの世帯整備率は、四国中央市が九八・一%、新居浜市が九九・六%、西条市が九七・五%、今治市は九九・四%となっております。

白石分科員 それぞれ九八から九九の間ということで、世帯にはかなり届いている。

 私のところに話が来る、電波が通じにくい、そういう苦情は残りの一%のところだとは思うんですけれども、これも放っておくのではなくて、日本全国どこにいてもつながる、それはそこにお住まいの方だけじゃなくて、旅行で来る、あるいは登山で行く、こういう方についてもちゃんとカバーするということが大事だと思うんですけれども、大臣、日本全国どこでもつながるという事業についての今後の課題、それを乗り越える意気込みをお聞かせください。

金子(恭)国務大臣 白石委員御指摘のとおり、携帯電話や光ファイバーなどのデジタル基盤というのは、私たちの日常生活や経済社会活動に必要不可欠なものでございます。また、その早期の整備は、地方と都市の差を縮め、活力ある地域づくりを目指すデジタル田園都市国家構想を実現するためにも大変重要であると思います。

 まず、今お話がありましたような携帯電話につきましては、人口カバー率が九九・九九%実現しておりますが、5Gネットワークの整備を含め、携帯電話が利用できない地域の更なる解消に向けまして、補助事業などによる支援を行っております。

 また、光ファイバーについても、昨年度補正予算で五百億円以上の予算を確保するなど、過疎地や離島などの条件不利地域における整備を強力に支援しており、今年度末には世帯カバー率が九九・七%となる見込みでございます。さらに、光ファイバーなどの有線ブロードバンドサービスを原則として日本全国どこでも利用可能にするため、ユニバーサルサービスとして位置づける制度の創設についても検討を進めております。

 こうした取組を通じて、国民の誰もがデジタル化の恩恵を享受できる環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。

白石分科員 ありがとうございます。

 令和二年の補正で五百億円ということで、これで、それが設計から工事、そして実用というふうになったら、かなりまた進むんだと思います。これは誇るべきことだと私は思いますし、地方の活性化というのはもうここにかけないと仕方がない、デジタルでつながっている、大容量でつながるというところに、地方がまた活性化していく、その手段としてはもうここしかないんじゃないかというぐらいに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 次は、空き家、廃屋の問題です。

 私の住んでいる地域も建物のうち一割ぐらいが空き家になっているということで、大量に空き家が発生し、その中には、空き家をもう一回使いましょうというものもあるかもしれません。一方、大体のところが廃屋に向かっていって、廃屋が近所迷惑を起こしているということなんです。

 これに対応するということで、空き家法というのができましたよね。空き家法というのをよく見ると、結局、政策の色づけとしては北風政策、つまり、空き家を放置していたら痛い目に遭うよと、パニッシュされるということであります。つまり、固定資産税の優遇措置が、まだ建物があっても、それが廃屋であるならば、特定空き家ということで六倍になる。それは通常に戻るということなんですけれども、払っている側としては六倍になるということなんですね。

 そこの所有者がいたり、あるいは周りの関係者も、それを放置するんじゃなくて更地化したいのは、そういう気持ちはやまやまであっても、固定資産税であるとか、あるいは除去費用、これは一時的な費用ですけれども、その負担、百万、二百万、二百万円近くは除去費用がかかります。こういったところがあるので二の足を踏んでいるということなんですね。

 質問です。

 更地化を誘導するために、太陽政策として税制あるいは費用負担の面で制度が考案できないか、その点、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、保安上危険となるおそれがあるような空き家等の除却、これは大変重要な課題でありまして、政府としても、除却の推進が進みますように、様々な取組を進めてございます。

 本来、空き家の管理は所有者等の責任でございますし、また、その除却も所有者等に行っていただくということではございますけれども、費用面で負担軽減を図ることによりまして除却を推進するという観点から、除却の費用に対しまして、市町村と連携をいたしまして財政的な支援を行っております。これはかなり広い地域で活用されているところでございます。

 また、先生御指摘の、空き家の敷地に係ります固定資産税の関係でございます。

 先生もお話がありましたとおり、現行の税制では、空き家法に基づいて勧告を受けた特定空き家の敷地につきましては、軽減措置が適用されなくなるということでございます。

 その上で、勧告に至るよりももっと前の段階の空き家につきましても、居住のために必要な管理が行われていないというような場合などには、軽減措置を適用しない形で除却を促進するという取組をされている市町村もございます。これは、かなり除却を、北風と先生おっしゃいましたやり方で除却を促そうとしている市町村もあるところでございます。

 一方で、先生御提案のような、条例によって、空き家の除却後でありましても、一定期間、除却前と同等の減額、軽減措置を講じるということで除却を促しているような地域も、先生おっしゃるとおり、ございます。

 このように、減額措置を早く打ち切るやり方をされているところと、それから、減額と同等の措置を除却後も継続するというやり方、両方をされているところが全国にございまして、それぞれ地域で工夫をされながら一定の効果を目指しておられるということでございますので、国土交通省としましては、これらの取組の事例を横展開いたしまして、それぞれの地域事情に合った取組が進みますように、市町村の支援を行わせていただきたいと考えてございます。

白石分科員 ありがとうございます。

 先ほどおっしゃった北風政策に耐えられるのは大都市部だと思います。つまり、更地化を早めにして、そして売ることができるということ、そういうものが、太陽政策じゃないですけれども、市場環境によって自分たちにまた実入りがあるから、そういう北風政策に耐えることができる。

 ところが、私が住んでいる、選挙区としているような地方については、更地化するということは、本人について、近所迷惑をしないということ以外余りいいことはないわけですね、売れないから。そういったところを考えて、それでも早めに更地化するところについては太陽政策をする。地方自治体によってはそういう条例をやっているというところがあるということなんですけれども、それらについては、国としても支援をお願いしたいと思います。

 それから、苦情がたくさん来て、市役所でも空き家相談窓口というのが大体できていますけれども、そこに言っても何も対応してくれないという苦情が来るんですね。では、市役所に今どうなっていますかと言ったら、それは所有者を特定するのに時間がかかっていますということなんです。つまり、特定空き家になる前のところで、これは一体誰のものなのか、そして、そこに連絡がついてその反応を待つというところですごく時間がかかって、その間、どんどん状況は悪化しているという実態があります。

 そういう特定空き家になる前に、空き家法に規定された手続に早くのせるということについての施策はいかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家法の規定に基づきます行政代執行の仕組みがあるわけでございますけれども、この空き家法におきましては、所有者等が確知できないような、先生がおっしゃるような場合を想定いたしまして、そのようなケースにおきましては、市町村長が、助言指導といった、本来、行政代執行を行う前に取る事前の手続を経ないで、略式で代執行を行えるような仕組みを用意させていただいております。

 ただ、市町村におきましては、なかなか代執行の経験等もなく、不慣れなところも多いかと思われますので、国土交通省におきましては、ガイドラインや事例集などを作成いたしまして、手続面で市町村のこういった取組を応援させていただきたいと考えてございます。

白石分科員 そうですね、手続面で応援と。

 その中に、所有者の特定、そこで相続が発生して、遠隔地にお住まいだったりとか、いないということもあるのかもしれませんし、その手続、行政代執行の手続、このポイントを押さえていたらどんどん進んでくださいというふうにしないと間に合わなくなってくるんじゃないかという強い危機感を持っております。

 そして、間に合わないうちに、そこに、廃屋が次の台風のときに倒れてしまうんじゃないかとか、あるいは、スズメバチがすんでいて、そこを通学している子供たちを襲うんじゃないかという、切迫した危険というのも出てきております。

 こういった事態に対して、どのような対応を国として考えていますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家法におきましては、保安上危険となる、先生おっしゃるような、倒壊するような、そういうおそれのある段階、これは必ずしも倒壊する直前ということではなくて、おそれがあるような段階から特定空き家に該当するということになっておりまして、必要な手続を経て、代執行を行うということができることになってございます。

 したがいまして、倒壊等のおそれがあるような空き家につきましては、危険が切迫するような段階になるよりも前のできるだけ早い段階から、おそれのある段階から対処するということが可能な仕組みになってございます。

 昨年六月に、自治体向けに示しておりますガイドラインを改正いたしましたけれども、このガイドラインの中でも、おそれのある段階についての考え方を明らかにいたしまして、危険が切迫するような状態になる前の対応を促させていただいているところでございます。

 できる限り、こうした現行の空き家法を円滑に活用していただきまして、切迫した事態にならないように、地方公共団体に対しての指導を行わせていただきたいと考えてございます。

白石分科員 是非それを周知してください。

 そこの住民としては、市役所に言っても何もしてくれない、なのにどんどん危険が迫っているという声がだんだん大きくなっている気がします。危険が迫るときには手続前に手を打つことができると周知していただければと思います。

 最後の質問ですけれども、同一労働同一賃金。

 これは、民間では働き方改革で促進されていますけれども、では地方公共団体のところではどうかということなんですね。

 地方公共団体、特に私が気の毒だなと思っているのは、いわゆるパートで働いている方々です。臨時職員と昔は言われていました。今は会計年度任用職員、そういう立場になっていると思います。

 彼ら、彼女らの給与というのは、当然、地方公務員法第二十四条において、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。」この対象になっているわけですけれども、その運用について、ちゃんと同一労働同一賃金が徹底しているのかというところについて、今の総務省の運用状況をお聞かせください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 一般職の地方公務員の給与は、御指摘のとおり、常勤、非常勤にかかわらず、地方公務員法第二十四条第一項に規定する職務給の原則に基づき、その職務と責任に応ずるものでなければならないこととされております。

 地方公務員法の改正で会計年度任用職員制度が導入されたことによりまして、従前は特別職非常勤職員としてきた職員等についても、対象となる者の要件を厳格化しましたので、会計年度任用職員制度に必要な移行を進めてまいりました。

 その結果、臨時、非常勤職員の大部分が一般職の地方公務員であります会計年度任用職員になっているところでございまして、ほとんどの臨時、非常勤職員に地方公務員法の職務給の原則が直接適用されることとなったところでございます。

 総務省といたしましては、この職務給の原則などにのっとりまして、この会計年度任用職員制度の運用として、常勤職員の給料表を基礎として給料決定を行うこと、職務経験等の要素を考慮して給料決定を行うことなどについて重ねて助言を行ってきたところでありまして、任用と処遇の適正化が一定進んだものと認識をしております。

 ただ、必ずしも制度の趣旨に沿った運用がなされていない団体がいまだ一定数存在をしているところでありまして、総務省といたしましては、今後も実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会等を通じて、任用と処遇の適正化が図られるよう取り組んでまいります。

白石分科員 ちょっと時間ですので、最後、大臣に。

 先ほどの答弁も踏まえて、そういう実態があったら、一応、人事委員会か公平委員会、市役所なり県庁に設けられています。そこに訴えるということになっているんですけれども、それはホームページを見たら、大臣、分かるんですけれども、検索してもホームページがなかったり、あるいはあっても、結局、市役所の人事課だったりするわけです。つまり、雇用主のところに連絡してくださいということになっているんですね。本当にこれで中立性が守られるのか、匿名性が守られるのか。これは、訴えようと思っても萎縮してしまいます。ここをもっと、中立で、そして匿名性も守られる、秘密も守られる……

中谷主査 申合せのお時間が過ぎています。

白石分科員 そういうものにしていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 白石委員から御意見を賜りました。しっかり、そのことも含めて、今後検討も進めていきたいと思っております。

白石分科員 よろしくお願いします。

 終わります。

中谷主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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