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第1号 令和5年2月20日(月曜日)

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本分科会は令和五年二月十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      奥野 信亮君    熊田 裕通君

      鈴木 隼人君    森山 浩行君

      中野 洋昌君  斎藤アレックス君

二月十七日

 熊田裕通君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年二月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 熊田 裕通君

      奥野 信亮君    川崎ひでと君

      鈴木 隼人君    井坂 信彦君

      馬場 雄基君    森山 浩行君

      吉川  元君    中野 洋昌君

      斎藤アレックス君

   兼務 藤井比早之君 兼務 保岡 宏武君

   兼務 山下 貴司君 兼務 近藤 和也君

   兼務 野間  健君 兼務 谷田川 元君

   兼務 藤巻 健太君 兼務 中川 宏昌君

   兼務 山崎 正恭君 兼務 赤嶺 政賢君

   兼務 北神 圭朗君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         松本 敦司君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大橋 一夫君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   湯本 博信君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       藤野  克君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           佐藤  正君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木村 典央君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           吉田 幸三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           秋山 公城君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長)佐々木正士郎君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 林  理恵君

   参考人

   (日本放送協会理事)   山名 啓雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          立林  理君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     川崎ひでと君

  森山 浩行君     井坂 信彦君

  中野 洋昌君     平林  晃君

  斎藤アレックス君   鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     加藤 鮎子君

  井坂 信彦君     馬場 雄基君

  平林  晃君     吉田 宣弘君

  鈴木  敦君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     今枝宗一郎君

  馬場 雄基君     吉川  元君

  吉田 宣弘君     金城 泰邦君

  田中  健君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     奥野 信亮君

  吉川  元君     森山 浩行君

  金城 泰邦君     平林  晃君

  鈴木 義弘君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  平林  晃君     金城 泰邦君

  西岡 秀子君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  金城 泰邦君     中野 洋昌君

同日

 第一分科員藤井比早之君、保岡宏武君、近藤和也君、野間健君、第三分科員谷田川元君、赤嶺政賢君、第四分科員山下貴司君、中川宏昌君、山崎正恭君、北神圭朗君及び第七分科員藤巻健太君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

熊田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました熊田裕通でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うこととなっております。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 よろしくお願いをいたします。

 令和五年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和四年度第二次補正予算と一体として、経済財政運営と改革の基本方針二〇二二に沿って、足下の物価高を克服しつつ、経済再生の実現に向け、重要な政策課題について必要な予算措置を講ずるなど、めり張りの利いた予算編成を行い、その政策効果を国民や地方の隅々まで速やかに届け、我が国経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていくことを目指すという政府方針の下、総務省として、デジタル変革への対応、グリーン化の推進、活力ある地域づくり、内外の環境変化への対応、防災・減災、国土強靱化の推進による安全、安心な暮らしの実現、感染症への対応、持続可能な地域社会の実現等を支える地方行財政基盤の確保、持続可能な社会基盤の確保に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆八千六百二十五億円です。

 以下、事項などの説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

熊田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

熊田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

熊田主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

熊田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願いをいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井分科員 自由民主党の藤井比早之です。

 まずは、松本剛明総務大臣におかれましては、日頃、毎日、総務行政の発展に御尽力いただきまして、ありがとうございます。私、大臣には通告いたしておりませんので、ここで大臣、退席していただければというふうに思います。

 それでは、質問に移らせていただきたいと思います。

 地元を回っておりまして、空き家の急増というのは本当に深刻です。今退席していただきましたけれども、それこそ松本剛明総務大臣の姫路市のすぐ隣のところなんですけれども、この間も一軒一軒御挨拶に回らせていただいておりました。三軒に一軒は空き家なんですよ。見たらすぐ分かります。区長さんに、これ、どうですかと聞いたら、本当に三割は空き家になっているという話になっていました。近くの市とかに住んでおられたりとか、時々管理のために帰ってこられているんだったらまだいいんです。ただ、東京とか大阪とかに出てほったらかしといいますか、管理が不十分な空き家も大変いっぱい拝見するところでございます。

 ただ、空き家法が成立しても、市町村が実際に指導、勧告したり、代執行したりすることはなかなかできないというふうな話を聞いております。シロアリとかネズミのすみかになっていたり、崩れてきたりとか、近隣の方々は本当に困っておられます。

 そもそも住居として利用していないんだから、固定資産税の住宅用地特例、六分の一減額を解除すべきではないか、そうすれば、空き家を売却するなり更地にするなり、空き家を動かすインセンティブが働くのではないかと具体的に指摘された方もいらっしゃいます。この方は元市の職員さんです。

 このように、近隣の方に迷惑をかけないように、特定空き家を未然に防ぐ方法、固定資産税の住宅用地特例、六分の一への減額特例を弾力的に解除する方策についてお伺いします。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの空き家対策、周辺に悪影響を与える特定空き家の除却等を中心に進めてまいりましたけれども、空き家が増加する中、特定空き家となる前に有効活用、管理を促す施策についても総合的に強化をしていく必要がございます。

 今月、社会資本整備審議会の空き家対策小委員会からいただいた取りまとめにおきましては、特定空き家だけではなく、放置すれば特定空き家となるおそれのある空き家のある所有者に対しましても市区町村が適切に管理を促すことができるようにし、そのような空き家の敷地に係る固定資産税の住宅用地特例を解除するという仕組みの必要についても提言をいただいたところでございます。

 これは、住宅政策上の見地から、居住の用に供する住宅用地について税負担の軽減を図るという住宅用地特例の本来の趣旨等も踏まえまして、所有者に空き家の適切な管理を促そうとする提言であるというふうに当方としては認識をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、小委員会の取りまとめを踏まえまして、空き家法の改正も含め、施策の具体化を進めてまいりたいと存じます。

藤井分科員 そうなんですよね。SNSとかを拝見しておりますと、住宅用地特例の解除、六分の一減額解除、これは固定資産税の増税だ、大増税だというような批判的な記事も散見いたします。そうではなくて、そもそも居住の用に供していないんじゃないか、住居として利用されておらず、住居利用も難しいものを現実に即して課税する、そういうことなんだと思います。

 ただ、問題は、いかに特定空き家、周囲に著しい悪影響を与える空き家、管理不全空き家を発生させないようにするか、これが重要です。まさに住まいの終活というのが必要であります。また一方で、空き家をいかに利活用していくのか、その方策を具体的に実行していかないといけません。

 空き家対策の抜本的な強化が必要と考えますが、この抜本的な強化、特に自治体の取組の強化に向けた国の施策、支援策をお伺いします。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 空き家の半数以上は相続に伴って発生していることを踏まえると、空き家の発生を抑制するためには、所有者や御家族に、所有者の生前から住宅を空き家としないという意識を持って必要な準備を進めていく、住まいの終活に取り組んでいくことが重要だというふうに考えてございます。

 例えば、埼玉県の越谷市や神奈川県の居住支援協議会等におきましては、空き家となることを予防するために、住まいの終活ノートというものを作成、公表し、広く普及啓発に努めていただいているところでございます。

 このような好事例を広げていくことによりまして、生前から住まいの対処方針を決めていただくことの重要性でありますとか、空き家の所有に伴いますリスク、例えば、空き家というものは傷みが早くて、資産価値も年々低減するといったようなことを所有者等に周知をし、早めの行動を促してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、空き家の活用を促進するために、市町村による所有者等への働きかけ、相談対応の促進、空き家の活用に取り組む市町村への支援の充実のほか、自治体あるいは所有者等をサポートする民間法人制度の創設といったものを検討してまいりたいと考えてございます。

 引き続き、市町村等と連携をいたしまして、空き家の発生抑制、そして活用に向けました施策の充実に取り組んでまいります。

藤井分科員 ここ十年見てまいりましたけれども、特にこの近年、空き家発生率が非常に高くなってきておる。更にあと十年を考えたときに、今住んでおられる方の年代と、そして住んでおられる方を見ていたら、どんどん増えていくなというのを皮膚感覚として実感しておるところなんです。是非とも抜本的な強化をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、マイナンバーカードについて伺います。

 まず、マイナンバーカード取得のメリットと現在の普及状況について伺います。

 そもそも、マイナンバーカードで何が便利になるのか、もっと分かりやすく国民の皆様に発信しないといけないと思います。ここでそのメリットを分かりやすく説明してください。

 また、カードなんて持つというのはもうそれが既に古くて、スマホ搭載でいいんじゃないかといった、今後の取組方針について具体的に説明してください。

内山政府参考人 お答えいたします。

 まず、マイナンバーカードのメリット等でございますけれども、マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポートであり、累計の有効申請件数が八千七百万件を超え、最も普及した本人確認のためのツールです。

 カードを持っているとこんなに便利だというメリットを増やしていくことが重要であると考えておりまして、これまで、健康保険証としての利用のほか、マイナンバーカードを使った医療費の情報の閲覧、利用、国内外で利用可能なワクチン接種証明書の取得、確定申告の際の医療費控除や、ふるさと納税の手続のオンライン完結など、利用シーンの拡大に取り組んできているところでございます。

 更なる利便性の向上策としまして、マイナンバーカードの機能、電子証明書のスマートフォンへの搭載、運転免許証との一体化など、関係省庁と鋭意準備を進めているところでございます。

 自治体の住民サービスについても、二月六日からマイナポータルにおいて全国の全ての市区町村を対象として引っ越し手続のオンラインサービスを開始することや、子育て、介護に関する申請等、スマホから様々な手続ができるオンライン市役所サービス構想を進めるとともに、マイナンバーカード一枚で図書館カードとしての利用など様々な市町村サービスが受けられる市民カード化を推進し、国民にマイナンバーカードが便利だと実感いただける機会を、関係省庁や自治体と連携し、積極的に増やしてまいりたいと考えてございます。

 それから、いつまでカードを交付するのかという御質問をいただきましたけれども、先ほどお話ししましたように、本年五月より、お手持ちのスマートフォンにスマートフォン用の電子証明書を搭載するサービスを開始する予定でございます。

 これによりましてスマートフォンだけで本人確認を伴う各種のオンライン手続が可能になりますけれども、スマートフォンへの電子証明書の搭載をオンラインで行えるようにするためには、マイナンバーカードの電子証明書による本人確認が必要であること、カードは十年の有効期間があり、スマートフォンより相当長く国民、行政双方の発行負担を減らせること、スマートフォンは相当程度お持ちでない国民がいらっしゃることなどの理由から、引き続きカードの交付は必要であるというふうに考えてございます。

藤井分科員 本当にスマホ搭載は大切だと思うんですよ。最後結局窓口とかいうことになると、本当に、働いている方にとって面倒くさいですから、その点、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は、実際のところ、地元から出て、引っ越しは十二回、それでまた地元に戻っているという形になるんですけれども、本当に引っ越し手続は面倒くさいです。昨年、父を亡くしました。死亡のときの手続は、本当に遺族にとってつらいんですよね。そういったところ、是非ワンストップで処理できるようにお願い申し上げたいと思います。

 また、健康保険証や運転免許証もマイナンバーカードと一体化するということなんですけれども、ある意味、具体的にどうなるのかとか、次の更新のときはどうなるのかとか、マイナンバーカード自体の更新がどうなるのかとか、そういう問題がございますので、その辺のところを、具体的にどのように便利になるのかとか、どのようにしたらいいのかというところをもっと分かりやすく、メリットも含めて説明していただきたいと思います。

 マイナンバーカード発行に当たって、郵便局との連携、これは非常に重要だと思います。

 マイナンバーカードを使っての証明書等の交付、これもやはり便利だと思います。コンビニ交付自体がすごく便利なんですけれども、そもそもコンビニがない地域もありまして、そういったところで郵便局の方が身近で便利だという地域、そういう地域がございますので、郵便局におけるマイナンバーカード利活用を進める施策を推進していく必要があると考えますが、推進するに当たっての郵便局への支援を含めてお伺いします。

藤野政府参考人 お答えいたします。

 分科員御指摘のとおり、郵便局は地域に身近で公共的な存在としてあまねく全国に設置されておりまして、郵便局においてマイナンバーカードを活用した各種証明書の自動交付サービスが提供されることは、マイナンバーカードの利便性を多くの住民に実感いただく機会を拡大することとなります。

 総務省では、住民票の写し等、各種証明書の自動交付サービスについて、郵便局の窓口も活用した簡便な端末によるマイナンバーカードの利活用の実証を今年度実施いたしました。そして、この端末の実用化等により、郵便局への更なる導入を促進していくこととしてございます。

 そのため、令和四年度の第二次補正予算におきまして、コンビニエンスストアがない市町村を中心に、あるいはコンビニエンスストアが少ない市町村ですね、郵便局等への端末整備に要する経費を支援することとしてございます。

 また、令和五年度からは、郵便局等における各種証明書の自動交付サービス導入に要する経費について、特別交付税措置を講じることとしてございます。

 このように、郵便局のネットワークを生かして、マイナンバーカードの利便性の拡大に総務省としても努めてまいります。よろしくお願いします。

藤井分科員 本当に、地元で一番身近ということになると郵便局ということになりますので、是非とも連携施策は進めていただきたい。その際にやはり郵便局への支援というのが必要でございますので、今日は柘植総務副大臣いらっしゃいますけれども、是非とも連携施策、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 今、先ほど、マイナンバーカードについて、八千七百万件という話がございました。急激に、最近、本当によく頑張っていただいております、自治体現場においても。ただ、これは、マイナンバーカードの普及自体が目的とか行政目的になってはいけないんです。これはあくまでも手段。いかに生活が便利になるのか、行政サービスが簡素で便利になって、かつ、当然のことながら、行政コストが下がらないといけません。

 特に、行政のワンストップ実現のためには、地方自治体のデジタル化推進のための標準化、共通化が欠かせないのであって、それでやってこそ、コストメリットを出す、横展開と最適化というのが実現されるわけです。

 標準化、共通化の取組、進捗状況についてお伺いします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月に閣議決定いたしました地方公共団体情報システム標準化基本方針では、地方自治体の基幹業務システムにつきまして、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すということとされてございます。

 標準化対象の二十業務全ての標準仕様書が昨年八月末に策定、公表されてございますけれども、現在、ベンダーの開発工数やコスト削減のため、機能要件のうち実装を必須とする範囲の見直しでございますとか、行政区など政令指定都市特有の制度や、人口規模、処理件数に応じた機能が十分かを関係市と連携して点検を行うなど、標準仕様書の確定に向けた調整作業を進めてございます。

 また、全国の地方自治体にガバメントクラウドでの利用を第一に検討していただけるように、先行事業の検討状況等を公表しておりますほか、今後、ガバメントクラウドの利用推進に当たりましては、御指摘のとおり、コスト削減が極めて重要だと考えてございます。クラウド化によるコスト削減に加えまして、技術的に推奨されるシステム構成とすることによるコストの抑制、複数自治体による共同利用による運用コストの抑制、標準準拠システムへの移行に伴う制度改正対応やベンダー移行に係るコストの抑制など、引き続き、コスト削減が図られますよう、先行事業等を通じて実証を進めてまいります。

 今後も、各地方団体の個別の課題にもしっかりと御意見をいただきながら、統一、標準化の取組を着実に進めてまいります。

藤井分科員 やはり、とにかく行政コストの削減なんです、目に見える形での。システムが国で千近くあってとか、自治体で千七百あってとか、そういう無駄の重複というのはやめていくということが大事だと思います。それでやってこそ、マイナンバーをやってよかったなという形になろうかと思いますので、是非ともこの標準化、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 昨年八月、自民党の放送法の改正に関する小委員会で第三次提言が取りまとめられまして、総務大臣へ申入れが行われました。行いました。

 インターネット動画配信サービスの進展や若い世代を中心としたテレビ離れということで、放送を取り巻く環境は劇的に変化しております。

 そこで、地方局、ローカル局の今後の在り方と、放送施設の維持費、設備コストの抑制について伺います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ローカル局は、災害情報や地域情報の発信など、社会に不可欠な情報を広く国民に伝えるという非常に重要な役割を担っております。他方、若者を中心とするテレビ離れやインターネット動画配信サービスの普及など、ローカル局を取り巻く環境は大きく変化をしております。

 このような放送を取り巻く環境変化を踏まえ、総務省では、有識者検討会を開催して、デジタル時代の放送制度の在り方について検討し、昨年八月には第一次取りまとめを公表いたしました。

 取りまとめにおきましては、放送が引き続きその社会的役割を果たすことができるよう、中継局の共同利用や放送設備の外部利用などの放送インフラの設備コストの抑制、放送コンテンツのインターネット配信の推進、資本規制の見直しなどの経営基盤強化、こういった放送事業者の経営の選択肢を増やし、コンテンツ制作に注力できるようにするための具体的な提言が示されました。

 これを踏まえて、総務省では、順次制度見直しを進めており、今国会に放送法及び電波法の改正案を提出したいと考えております。

 引き続き、国民が災害情報や地域情報といった社会生活に必要な情報を放送を通じて取得できるよう、必要な取組を進めてまいります。

藤井分科員 小規模中継局等の共同利用型モデル、ブロードバンド代替、マスター設備のクラウド化等、設備コストの抑制、是非進めていただきたいと思います。また、そもそも放送という世界が変わってきておりますので、コンテンツ制作の充実、経営基盤の強化、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 今、お伺いした放送施設、設備というのは各放送局が保有する中継局等の話でしたけれども、もっと小規模なものがございます。放送局が有しない共聴施設というのが存在します。各地域のテレビ組合などがやっている共聴施設なんですけれども、私の地元、三木市にもテレビ組合があります。このテレビ組合の共聴施設がなければテレビが見られない、放送が見られないという地域が存在するわけです。

 今や、共聴施設は、部品もなくて修理も困難、更新も困難です。一方、更新せずに撤去するにも、一軒一軒の住民の皆様の負担がこれは膨大なものとなります。

 住民の皆様に負担とならない共聴施設の設備更新やCATV代替、ブロードバンド代替が必要と考えますが、このための財政支援と現在の取組状況についてお伺いします。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 辺地共聴施設の多くは、今御指摘ありましたとおり、施設の老朽化、地域の過疎化による組合員の減少、組合員の高齢化といった問題に直面し、その管理運営や設備の更新に課題が生じつつあることは認識しております。

 これを踏まえまして、総務省におきましては、辺地共聴施設によりテレビ放送を受信している難視地域において安定的な放送受信環境が維持されるよう取り組んでいるところでございます。

 具体的には、令和四年度第二次補正予算におきまして支援の拡充を行い、ケーブルテレビ事業者が耐災害性強化を目的として行う既存サービスエリアの光化と同時に、共聴施設までサービスエリアを拡大する場合、これらを一体として支援できるようになったところでございます。

 さらに、現在、総務省において、ケーブルテレビへの移行の可能性のあるものも含めて、共聴施設について調査を行っているところであり、本支援策の実施に向け、関係自治体、ケーブルテレビ事業者等で構成される総務省の地域協議会において協議を行ってまいります。

 御指摘のブロードバンド代替については、総務省におきまして、有識者会議を開催し、料金水準や端末の操作性など、視聴者の受容性を確認するための実証事業も実施しつつ、検討を進めているところでございます。

 引き続き、地域の事情やニーズ等を踏まえ、辺地共聴施設で放送番組を御覧いただいている方々の受信環境が維持されるよう、丁寧に検討してまいりたいというふうに考えております。

藤井分科員 どこに住んでいてもテレビが見られる、放送が見られるというのはこれは当たり前のことであって、こんな、放送を見られるというのはまさにユニバーサルサービスだと思うんです。

 先ほどケーブルテレビの代替の話はされていましたけれども、もうこれだけ5Gも進んで、6Gだと言っているときに、ビヨンド5Gだと言っているときに、やはりブロードバンド代替というのも是非とも進めていただきたいと思います。

 また、ブロードバンド代替をしたとしても、一軒一軒の住民の皆様の負担が大きくなるようでは、住む地域の不平等であって、まさに差別ではないか。このようなことがあってはなりません。テレビの難視聴地域、テレビ組合の地域への支援を要望させていただきます。

 先ほど地方局の話をさせていただきましたけれども、変わったとしても、とにかく、放送というのはなぜ大切なのかというと、やはり民主主義の基盤であるからということであります。放送に偏向報道やフェイクニュースがあってはなりません。

 また、SNSは一旦流れると取り返しがつきません。残念ながら、悲しい動画が拡散されて非常に大きな被害が生じているというのが現実です。フェイクニュースやデマ、誹謗中傷、差別的表現があってはならない。

 放送における事実に基づかない報道、偏向報道、SNSによるフェイクニュース、デマ、誹謗中傷、差別的表現に対する対応についてお伺いします。また、昨年お伺いいたしましたSNSにおける被差別部落の所在地情報の掲載に対するその後の具体的な対応についてお伺いします。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 放送につきまして、まず、放送事業者においては、自らの責任において放送番組の編集をする自主自律の枠組みを通じて、差別的表現が行われないよう取り組まれているものと承知をしております。具体的には、NHKであればNHK放送ガイドライン、民放であれば各社が定める放送番組の編集の基準に基づいて、自主自律の取組がなされております。

 その上で、放送番組において差別的表現があった場合には、事案に応じて、例えば、番組内においておわびを行う、関係者に謝罪を行う等の対応を行っていると聞いておるところでございます。

竹村政府参考人 インターネット上の違法、有害情報についてお答えいたします。

 他人の権利を侵害する情報の場合、加害者に対して民事責任として損害賠償請求をすることができます。総務省としては、プロバイダー責任制限法に基づく発信者情報開示制度などの運用などにより被害者救済を支援しております。

 また、名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪に該当する違法な情報の場合、刑事責任に関連して、警察に対し告訴や被害届の提出をすることができます。総務省としては、インターネット上の誹謗中傷などが犯罪となり得ることを注視し、そもそも他人を誹謗するような投稿などを行わないよう啓発に努めております。

 また、違法な情報や違法ではないが有害な情報については、プラットフォーム事業者に対して利用規約に基づく削除などの要請を行うことも可能です。総務省としては、違法、有害情報への対応などに関するモデル約款の策定などを支援し、事業者が適切な利用規約を作成して、その利用規約に基づき自主的な削除等を適切に行うよう促しております。

 それから、御質問ありました被差別部落の問題でございますけれども、こうしたインターネット上の差別などの人権侵害情報につきましては、法務省の人権擁護機関、地方公共団体、一般私人などが様々な立場からプラットフォーム事業者に対しまして削除要請等を行っております。総務省では、人権侵害情報への対応について、法務省及びプラットフォーム事業者と実務者検討会を開催し、プラットフォーム事業者の理解と円滑な対応を促しております。

 御指摘の、特定地域が部落であることを摘示するようなユーチューブ上の動画投稿につきましては、昨年十一月、グーグルが、ヘイトスピーチに関する利用規約に違反したとして削除したものと承知をしてございます。

 総務省としては、引き続き、法務省を始めとする関係府省、機関と連携し、プラットフォーム事業者による利用規約に基づく自主的な削除等の対応が適切になされるよう取り組んでまいります。

藤井分科員 昨年十一月、グーグルが、ユーチューブに投稿された被差別部落を撮影した動画約二百本を削除したという話で、これは非常に大きな一歩だと思います。ただ、流れてしまったものはもはや取り返しがつきません。誹謗中傷対策の強化、これは情報リテラシーの向上が何よりも大事だと思いますし、また、先ほどお話ございました利用規約とか、元々の根っこのところを改善していかないといけないと思いますので、そうした具体的な施策を是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間となりました。終わります。

熊田主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、野間健君。

野間分科員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、総務省所管の地方自治体の職員、とりわけ現業職員の皆さんの問題や、また郵政事業などについて御質問させていただきたいと思います。

 二〇〇五年から、地方の行政改革、行革ということで、集中改革プランまたトップランナー方式等を使って、ずっといわゆる行政改革、地方自治体の改革が行われてきたわけですけれども、大臣、これは、何のために行革というのは行われてきたんでしょうか。

松本国務大臣 総務省においては、各自治体に対し、平成十七年から五年間、行革推進法などに基づき集中改革プランの策定を要請をいたしました。

 同プランは、厳しい財政状況の中において公共サービスを提供していくために、簡素で効率的な行政の実現に向けて、各自治体において職員の削減目標を定めて取り組んでいただいたものと承知をいたしております。

 近年では、例えば一般行政部門の職員数は、地方創生や子育て支援などへの対応もあり、平成二十六年を境に八年連続で増加し、令和四年四月までの間で約二・九万人の増となっております。

 一方、技能労務職員は、清掃職員、学校給食員、用務員といった方々が多くを占めておりますが、職員数は集中改革プラン以降も減少傾向が続いているところでございます。

 これは、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、民間の委託先の有無などの地域の実情も踏まえ、直営や民間委託といった事業の実施方法を判断いただきながら、適正な定員管理に努めていただいている結果だと認識しております。

 令和五年度地方財政計画におきましては、職員数の計上を前年度から二千六百十八人の増としているところですが、総務省としても、今後とも自治体の実態などを十分に踏まえ、必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

野間分科員 効率的、効果的な行政サービスを提供するということが目的だと思うんですけれども、もちろん、住民にとって質の高い行政サービスを享受できるということが、これも大前提だと思いますけれども、これについて、質の高い行政サービス、今でもきちっとそれは提供されていると思われますか。

松本国務大臣 各自治体におかれましては、住民の皆様に質の高い行政サービスをお届けすることが第一の使命であるということは今委員からも御指摘のとおりであり、また、各自治体においても、そのような認識でお取組をいただいているものと考えております。

 私どもとしては、地方の行財政を所管する立場から、そのような地方自治体のお取組を、地方自治体に実情もよく伺いながら、お支えをしっかりしてまいりたいと存じます。

野間分科員 質の高い行政サービスを提供し続けているということですけれども、現状、とりわけこのコロナ以降、地方自治体においては、今もお話がありましたけれども、現業に携わる、清掃ですとか学校の用務員さん、道路の維持、いわゆるまた畜産等の技術の補佐職といいますか、こういったものも、二〇〇四年には年間二十五万人おられたわけですけれども、二〇二二年には九・七万人ということで、もう半分以下に減っております。

 清掃業務でいいますと、全国に四万三千五百二十八名、二〇〇四年におられた方が、今は二万二千、半分近くになっております。道路の補修についても、五千二百六十一名が今は二千六百九十九名ということで、いろいろ民間委託になったことは結構かもしれませんけれども、これによって相当サービスが悪くなっているのも実情であります。

 今、いろいろな行政の要求の複雑化、あるいは、震災が起きたりして自然災害も増えています。

 例えば、清掃現場なんかでは、非常に今、高齢者の独居の方も多いんですね。そうしますと、その高齢者のお一人お一人の家を回ってごみを収集しなきゃいけないという課題も出てきています。

 そうした場合、民間に委託して、その業者さんが、よく地域のことも分からずに、この高齢者の方の家に行ってください。しかし、そこにはいろいろな財産があったりなんかして、勝手にそういう個人情報が流れて収集されたりすると、またこれは犯罪にもつながるということで、非常に、きちっとした清掃の職員が行かないとやはりまずいという、今、いわゆるふれあい収集と言われていますけれども、こういったことも起きております。

 また、学校現場でも、例えば給食の調理。これは大阪で実際あったんですけれども、民間に委託している給食業者が突然倒産してしまって、ある日から給食が提供できなくなったんですね。大阪の場合、現業でまだ残っている、委託していないところがあったので、そこが協力をして給食を何とかできるようになった。

 ですから、委託が進み過ぎることでいろいろな弊害が起きています。

 例えば、私の地元鹿児島県でも、もう五十年以上いろいろなインフラの整備が遅れていて、道路の補修、維持、これも大きな課題ですけれども、これを民間委託等した結果、従来、いろいろなここの、鹿児島ですと、例えば動物が、イノシシやそういうのが車にひかれて道路に散乱している、これを片づけてくれ、こういうような苦情が年間千件ぐらいそれまであったんですけれども、今はもう三千件以上来て、対応できない状態になっています。民間の建設業の皆さんも、まあ、これは本当にもうからない仕事なんですね。ですから、受けたくない、やりたくない。しかし、そういう苦情は増えているというようなことで、いろいろなところで余りに民間に委託をし過ぎた結果、行政サービスに対する不満や問題が非常に起きております。

 こういった状況について、大臣ももちろん御認識されていると思いますけれども、いかがでしょうか。

松本国務大臣 今、委員からは、民間委託によって様々な課題が生じているという御指摘をいただいたものというふうに理解をいたしたところでございますが、私どもとしましては、住民の方々の負託を受けた市長の下の市当局、また、住民の皆様の負託を受けた議員の方々による議会の議論なども踏まえ、やはり、自治体としては、市に限らず市町村、直接住民に当たられる自治体全てということになろうかというふうに思いますが、自治体においては、先ほども申しましたように、住民の皆様に質の高い行政サービスを届け続けることは最も大事な使命だというふうに考えておりますので、その中で、今お話がありましたような民間委託といった手法も含めて、どのような行政サービスを届けるか御判断をいただいているものというふうに理解をいたしておりまして、その御判断なども踏まえて、私どももよく実情を伺いながらしっかりとお支えを申し上げてまいりたいと思いますが、改めて、委員から今問題の指摘があったことは、私もお伺いをしてみたいというふうに思っております。

野間分科員 とりわけ、二〇一〇年からトップランナー方式ということで、現業職員の皆さんをある意味狙い撃ちしたような、そういった業務についての民間委託をとにかく進めるようにということをやってこられました。

 これは、いろいろな中で、いや、それは一つの民営化をやってほしいということであって、これを政策誘導したんじゃないんだ、そういう例を出して、こういうふうにしてくださいということを当時も今も言われていると思うんですけれども、それは特に政策誘導とかそういうことではなかったということでよろしいんでしょうか。

松本国務大臣 基本的に、先ほど申しましたように、私どもとしては、地方自治体に様々な手法を御紹介申し上げたりするということはございますけれども、今申し上げましたように、自治体においてその使命を果たすべく御判断をいただいていることを尊重しつつというふうに思っております。

 民間委託については、民間の方が、場合によっては、業務を効果的、効率的に進める手法などでは様々倣うべきところもあったかということで、様々な手法の紹介を申し上げたのではないかというふうに考えているところでございますが、今委員のお話がありましたように、使命を果たすという意味では、行政サービスの質をしっかり確保するということが重要であるということは、御指摘のとおりではないかというふうに思っております。

野間分科員 トップランナー方式等も、一つのいいモデルを見せているだけであって、誘導していないということを度々過去も言われているわけですけれども、実際は、例えば、いわゆる行政サービス改革を見える化するんだということで、全国のいろいろな自治体、ここは清掃を民間に委託しています、ここはしていませんというのを地図にして出したり、そうやってやはり自治体を事実上は政策誘導していたということは否めない事実だと思います。

 ですから、そういう強制力はないにしても、自治体とすると、いまだにやはりトップランナー方式等の一つの枠組みの中から抜けられなくて、何でもかんでも民間委託をしたり、もちろん、それから会計年度任用職員の皆さんを使ってコストを安くするんだということの意識が先行してしまって、行き過ぎているところがあるんじゃないかと思います。

 御承知のとおり、例えば全国の知事のうち、十一名は総務省出身の方です。また、大きな町や大きな市、県もそうですけれども、副知事とか総務部長とか財政局長とか財政部長、あらゆるところに総務省の出身の方が出向しています。ですから、それは政策誘導していないといっても、実際そういう人がどんどん自治体に入って中枢を動かしているわけですから、やはりどうしてもそういう意識になってしまって、何でもかんでも委託をして、現業職員は減らすんだ、それがいいことなんだというふうに、実際は役所の中の雰囲気はなってしまっているんですよね。

 ですから、そこを本当にそうでないんだ、自治体の本当に自由な判断でできるんだということをきちんと出していかないと、ますます住民サービスの非常に質的な向上というのは私は図られないと思うんですね。

 これは私どもの地元のことで申し上げれば、鹿児島県は、牛肉とか豚肉の畜産王国です。昨年も、全国で牛肉の共進会が行われて一位になりましたけれども、牛を飼う、牛の世話をする、牛を、むち一つで動かしていく、これも何十年という経験がある技能職なんですけれども、こういったところも今、民間に委託しろということになっちゃって非常に困っています。受けられるところはないんです。

 そういう方は、何十年の経験の中で、県の研究の技能の補佐役として雇っている方ですから、なかなかそういうところまで普通に民間に委託することは無理なんですね。ところが、トップランナー方式等の意識がしみついてしまって、どうしてもこれもやらなきゃいけないということで、畜産の技術、研究がここで大きく滞っていく心配が今出ているわけです。

 そういうようなことで、私は、二〇〇五年以降、集中改革プラン等以降のきちっとした総務省としての総括を、行革を行ってきたことによってこれだけメリットがあったんだ、地方自治体にもメリットがあったんだ、そして住民にもメリットがあったんだと総括をしていただかないと、この路線をずっとやっていけばいいんだ、何でもかんでも民間委託すればいいんだということはもう通らないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 まず、私どもとしては、今も自治体というお言葉がありましたように、自治をお進めいただくのを後押しする、お支えするのが私どもの使命でございますので、それぞれの自治体において御判断をいただくということは、かねて申し上げてきているとおりであります。

 その上で、やはり、公務というのは皆様の税によって賄われているという意味では、一定のコストからの考え、また、効果的、効率的な運用そのものにも意義があるというふうには考えておりますが、先ほどから委員からもお話がありますように、行政サービスの質を確保してお届けをするということは大きな前提であることもおっしゃるとおりであろうかというふうに思います。

 その上で、集中改革プランについてということでございましたけれども、その趣旨は先ほども申し上げたとおりでございますが、その後、今私どもも、様々、自治体は、多様な行政ニーズに応えていくために多様な財政需要も発生をしているということで、それに応えて、必要な職員の数などは、申しましたように、令和五年度も職員数の増を含んだ地方財政計画を策定をさせていただいておりまして、しっかりと、財政需要にお応えをする形でお支えをしてまいりたいと思っております。

野間分科員 総務省には行政評価局という部局がありますよね。これは、いろいろな各省庁の行政について評価する、いろいろな仕組みや方式をつくるということですけれども、総務省自体の政策についても是非、他省庁はともかくとして、評価していただきたいと思うんですね。過去の集中改革プランあるいはトップランナー方式によってどれだけ住民にプラスがあったのか、自治体にプラスがあったのか、あるいはどういうデメリットがあったか、その総括を是非やっていただきたいと思います。

 とりわけ、現業職員をここまで減らしてしまって、本当に地域が回らない状態になっていますので、今後、人件費の算定基礎などにもう少しの配慮を是非していただきたいと思っているところであります。

 是非、その総括、評価について、繰り返しになりますけれども、大臣、やっていただけないでしょうか。

松本国務大臣 行政評価局は、総務省には所属しておりますが、総務省も含めて政府全体の行政を評価をさせていただいているというふうには理解をいたしておりますが、私どもとしては、特に、私も昨年の秋からお預かりをさせていただいて、令和五年度予算の策定にも一部携わらせていただきましたけれども、今申しましたように、現下の自治体の財政需要にしっかりお応えをする形で財政措置を講じていくとともに、これも、様々行政サービスを提供いただくために、様々な情報を提供をさせていただくという形で御協力、お支えを申し上げておるのでございます。

 改めて、私どもとして、強制などは申し上げているつもりはありませんけれども、委員からも御指摘をいただいたことを踏まえて、自治を通して住民の皆様に質の高い行政サービスを確保いただけるようにという思いを共有をしてまいりたいというふうに思っております。

野間分科員 是非、過去の地方の行政改革について総括をしていただきたいと思います。

 続いて、郵便事業について御質問させていただきたいと思います。

 柘植副大臣は、郵政民営化にも、ある時期は体を張って反対されて、郵政事業のために頑張っていらっしゃる方でありますので、現在起きている郵便事業での課題、問題についてちょっと御質問したいと思うんです。

 先日の十三日、これは中小企業庁からだと思いますけれども、全国のいろいろな価格転嫁がどう進んでいるかということについてのワースト企業といいますか、これが公表されて、日本郵便が、いろいろな、これは配送業務のことだと思いますけれども、下請の会社から価格転嫁を申し入れてもなかなか聞いてくれないということでワースト企業の名前が出たわけですけれども、なぜこういったことが日本郵便に起きたのか、お答えいただきたいと思います。

藤野政府参考人 お答えいたします。

 先般の中小企業庁の調査結果でございます。これは、価格転嫁あるいは価格の協議についての調査でございました。これについては、実態というのを、今、日本郵便の方で鋭意また調査をしておりますけれども、契約の更新等についての協議が必ずしも円滑でなかったということで、こういった結果になっているものと考えてございます。

 日本郵便におきましては、現在の契約、これは郵便局あるいは支社それぞれ行ったところでございますけれども、その全てについての総点検を行い、また、協議の窓口を全ての支社において設ける。それから、待っているだけではなくて、協議も自分の方から働きかけていくといった取組によって、この事態のまず内容の精査とそれから改善について取り組むことにしているところでございます。

野間分科員 また、これは二〇二〇年、最高裁でも判決が出ましたけれども、契約社員の手当、正社員とのいろいろな格差の問題も出て、今はそれを是正されているところかと思うんですけれども、やはり、こういった問題が起きてくるのは、なかなか郵便事業の収益性が思ったほどよくない。もちろん、メール等、郵便自体の使用量が少なくなっているということも当然あると思います。

 こういう様々な問題が今あるわけですけれども、私たち地方からすれば、柘植副大臣もよくお分かりのとおり、田舎にはもう農協もなくなり、何もないわけですね。郵便局だけが我々の生活の、とりわけ高齢者にとっての頼りであります。頼みの綱です。

 そういった意味で、郵便事業が、郵便局が、ずっと二万四千のユニバーサルサービスが存続してもらえることがやはり地域を何とか維持していく、過疎化、高齢化、本当に疲弊した地方を維持するためのなくてはならない生命線だと私どもは思っているんですが、そういった中で、こういう様々な問題が起きてきて、郵便局は本当に大丈夫なんだろうかとみんな心配しています。

 私どもも、今、価格転嫁、価格転嫁と言われていますけれども、特に郵便切手代とかは、二十九年間ですか、全然値上げされていない。こういったことは、誰が考えても、東京都内で封書八十四円出すのと、東京から北海道、沖縄に出すのと一緒というのはおかしいですよね。ガソリン代も上がっている、全て物価が上がっている中でユニバーサルサービスを維持しなきゃいけない、これは本当に大変なことだと思います。ですから、やはり切手代とか郵便料金を、私は、これは下請の価格転嫁を認めないというんじゃなくて、むしろ本体がきちんと郵便料金も上げて経営状態を正常化していくということが必要だと思うんですね。

 こう言ったら失礼なんですけれども、郵政グループは、やはり経営陣の判断が非常に今までちょっと悪かったですよね。トール社に六千億もいろいろなのれん代やら何やらを払って、穴を空けてしまったわけですね。こういったものは、一生懸命働いている郵便局の皆さん、郵政グループの皆さん、自分たちのせいではないんだけれども、どんどんその会社の業績がそういったことで悪くなるということに対して、やはり郵便料金を上げたり、本当に収益を改善させるための方策を取るべきだ。みんな国民は、これはやむを得ないと思うと思うんですね、価格転嫁。

 どうでしょうか。会社からもちろんそういう声が上がってこないとできないということだと思いますけれども、いかがでしょうか。

柘植副大臣 御質問ありがとうございました。

 郵便に関する料金については、郵便法第三条の規定において、「郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならない。」と規定されております。同法第六十七条の規定により、例えば、定形郵便物について、郵便の役割の重要性、国民の負担能力、物価等を勘案して定める額を超えないものであること等が定められておるところでございます。

 こういった中で、郵便料金については、現在の状況を総合的に考えて、まずは日本郵便株式会社において適正な料金の水準について検討することになると思っております。

野間分科員 これは郵便ということではないんでしょうけれども、ゆうパックとかゆうメール。ゆうパックなんかは、同業他社はどんどん上げているんですよね、八%、一〇%。やはりそれぞれ価格転嫁していかないと、これはやっていけないと思いますので、そこは郵便、日本郵政グループ自体の価格転嫁を是非進めていただければありがたいと思います。

 最後に、消防職員のいわゆる団結権の問題について質問したいと思います。

 これはもう長年にわたって、ILOの、世界の批准国の中で、百五十五か国のいわゆる八十七号条約の批准国の中で、日本だけが消防職員の団結権が認められていないということになっているわけですけれども、これはもちろん、過去三百年、いわゆる火消しと警察といいますか、警察的な機能とずっと一緒だからこれは警察なんだということで、これが警察権の行使と同様のものとして、団結権が認められないという論理でずっと来ているわけです。

 警察と消防は実際、違うということもありますし、これはどうなんでしょうかね、今回またG7、広島のサミットもありますけれども、世界から、LGBTとか同性婚の問題も含めて、これは好き嫌いということでなくて、一種のやはり世界的な一つの標準、スタンダードといいますか、江戸から明治に移って、日本人も、ちょんまげを切って洋服を着て、世界の流れに合わせたわけですよね。こういう中で、日本だけが非常に特異な、警察と未分化な消防という位置づけをずっと維持しているということに対して、そろそろ団結権を認めてもいいのではないか。

 特に、いろいろな外国に消防の方も行って勉強してくれば、いや、団結権があるから俺は上司に言われても消火活動に行かないとか、そんな人は誰もいないんですね。きちっと使命感を持って、誇りを持って消防の仕事を皆さんされています。

 ですから、上下関係、そういう指揮命令系統が乱れるとか、そういったことは絶対私はないと思いますし、是非そこは職員の皆さんの使命感を信じていただきたいと思うんですけれども、なぜ、いまだにこういった国際標準に基づいた団結権を認めないのか、改めて聞きたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘もありましたとおり、消防職員については、地方公務員法第五十二条第五項で、警察職員とともに団結権が制約をされているということでございます。

 これも御指摘ありましたとおりでありますが、これは、我が国の消防が公共の安寧秩序の保持という使命とか目的を有していて、実際の消防活動におきましても、公共の安全等を維持するために、厳格な指揮命令系統の下に活動することが必要であるといったことで、警察との類似性がある、こういうことでございます。

野間分科員 その説明は、もうずっと長く来ているわけですけれども、諸外国で、そうしますと、確かに消防職員のストライキ等もあるということも聞いておりますけれども、それによって大きな問題が起きた、あるいは消火活動等が中断して被害を被った、そういったことはほとんどない、見受けられないというのが様々な調査でも出ているんですけれども、その辺についてどうお考えですか。やはり、日本でそういう問題は起きるんだということをお考えなんでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 これは、先ほど来申し上げていることに加えまして、我が国では、例えば大規模な災害が頻発する、そういった日本において、警察や自衛隊と極めて密接に関連をして人命救助活動を行っている、担っている、こういった観点からも含めると、そのようなことが起きるかどうかということとはまた別に、こういった観点で、警察等と同様に解して団結権について制約をしている、こういうことでございます。

野間分科員 時間が来たので終わりますけれども、更にまたこの点については主張していきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

熊田主査 これにて野間健君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷田川元君。

谷田川分科員 おはようございます。立憲民主党の谷田川元です。

 松本大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今日は、地域手当の問題について、大臣のお考えをお聞きしたいと思っています。

 実は、今からもう四年近く前になるんですが、地元の香取市の皆さんが、地域手当が香取地域にない、東総地区もないということで、これは是非改善してもらいたいという要望を当時の石田総務大臣にしまして、その一年後の二〇二〇年にも、周辺の四市四町の首長の皆さんが当時の高市総務大臣宛てに要望書を提出したんです。お手元に資料はありますね。大臣、お持ちですね。この資料、地図が入っていますね、大丈夫ですね。

 大臣は関西の方の御出身になるけれども、千葉県の周辺は、大体、この地図を頭に入れて入っていただいていると思うんですが、千葉県というのは、大体、茨城県との間に利根川が流れておりまして、利根川の北が茨城県と思っていただければ結構だと思うんですが、この地図を見ますと、私の選挙区は千葉十区なんですけれども、成田だけが一五%の地域手当が認められているんですよね。あと、この黄色で示した四市四町については地域手当は認められていないんですね。

 どういうことが起きるかというと、やはり給料が高いところで働きたいと誰もが思いますよね、同一労働であれば、同一職務であれば。それで、千葉県の場合はこういう一五%だけれども、東京都だと二〇%、月額給与に上乗せされるんですよ。そうすると、月額二十万円の初任給だとしたら、東京都の場合は、二〇%上乗せされれば、それで二十四万ですよ、月額。それは四万も違えば、年間にすれば、六、七十万も違ってくるわけですよね。

 これをもっても、非常に、なかなか地域手当が認められない地域は人材の確保が難しいと思っているんですが、まず大臣に伺いたいんですが、やはり、同一労働同一賃金あるいは全国同一職務同一賃金という職務給原則に鑑みて、地域によっては二〇%も差をつけることは、私は大きな矛盾ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 分科員御指摘のとおり、地域手当について様々な意見があることはよく承知をいたしております。

 その上で、御案内のとおりかと思いますけれども、地域手当は、民間賃金の低い地方部を中心に、公務員給与が高いという批判などが当時あったことを受けて、人事院勧告に基づき、地域の民間賃金水準を公務員給与に的確に反映させることを目的として平成十八年度に導入されたものでありまして、おっしゃるとおり、現在、最大二〇%が支給されることとなっているというふうに理解をいたしております。

 地方公務員の給与については、地方公務員の職務給の原則や均衡の原則にのっとって、国家公務員の給与や地域の民間給与等を考慮して定められるべきものであるということは、これも御指摘があったとおりでありますが、職務給についてでありますが、先ほども申しましたように、地域手当の仕組みも、地域との実情にやはり合わせていくということで、そのような形で地域手当が設けられたものというふうに承知をいたしておりまして、職務給や均衡の原則にものっとっておるというふうに理解をいたしているところであります。

 地域手当については、御案内のとおり、地方公務員についても、国家公務員に準じた仕組みで運用されているところであります。

谷田川分科員 その説明はよく分かっております。

 それで、岸田内閣は、東京一極集中の是正、これを標榜していますよね、歴代自民党内閣はずっとそうだと思うんですけれども。残念ながら、また最近、東京一極集中が進んでいるという数字が出てしまっています。コロナ禍で一旦、都心から郊外あるいは地方の方に移住した方が出てきたんだけれども、ここに来てまた増えている。地方創生という言葉も言われて久しいですけれども、残念ながら、東京一極集中の是正も地方創生も、うまくいっているとは思わない方が多いんじゃないかと私は思うんです。

 私は、大臣、本当に岸田内閣として地方創生、あるいは東京一極集中の是正をするのであれば、地域手当をやはりもっとしっかり見直すべきだと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 分科員御指摘のとおり、過度な東京一極集中の進展は、少子高齢化、過疎が進む地方における地域社会の担い手不足や災害リスクなどの点から問題であり、その是正は、我が国全体にとって喫緊の課題であるというふうに認識をいたしております。

 その上で、公務員の給与は、国民、住民の負担によって賄われていることから、国民、住民の理解と納得を得る必要があり、そのための仕組みが設けられているというふうに考えております。

 地域手当は、地域の民間賃金水準を給与に反映させなければならないのではないかということで、そのことを目的に、人事院勧告に基づいて導入された制度であるというふうに理解をいたしており、国家公務員に設けられた制度を踏まえて、地方公務員においても、地方公務員法の均衡の原則等を踏まえ、国の制度を考慮して運用する必要があるというふうに考えております。

 行政改革推進法において、自治体は、国家公務員の給与に係る措置に準じた措置等を通じ、民間給与の水準を的確に反映させるよう努めるものとされてきております。

 地方公務員の地域手当については、このような法の趣旨等を踏まえつつ、また、現在、人事院において検討されている地域手当の見直しの動向も踏まえながら、地域のためにどのようなことができるか考えてまいりたいと思っております。

 地方公務員の給与の引上げにつながる上でも、地域の活性化を通じ、地域の民間賃金水準を上昇させる取組が大切だというふうに考えております。

谷田川分科員 地域の民間の企業の賃金を上昇させる、非常に重要な視点だと思うんですけれども。

 私、実は、私ども立憲民主党は、民主党時代から出前民主党という活動をしまして、各市町村の町役場に足を運んで、国に対する要望はありませんかといって、二〇一九年、二〇二〇年、地元香取市を始め多くの自治体から、是非この地域手当の見直しをしてほしい、そういう要望を受けて、大体、担当者、課長補佐レベルの方に来ていただいて、それで議論するんですよ。二〇一九年も二〇二〇年も、その課長補佐レベルの方は、これは問題ですねという認識を強く持ってくれたんです。

 大臣、もう一回この表を見ていただきたいんですが、例えば銚子市、私が小学校のとき、今から五十年ぐらい前は人口九万人ぐらいいたんですが、今や何と五万六千。それで、よく見ますと、神栖市というところがありますね、これは茨城県。こっちの役場とかに就職しちゃう人は結構多いそうなんですよ。あるいは成田、あるいは千葉県県庁。

 どういうことかというと、給料がやはり、成田が一五パー、千葉市も一五パーになりますよ。そうすると、銚子で市役所に入って勤務するよりも、生涯のことを考えたら、生涯賃金にしたら、もう二千万円以上違ってくる。そう考えると、どうしても、銚子市を離れて、市役所あるいは県庁にお勤めになる人が増えているというんですよね。そうなると、優秀な人材が来なくなる、そしてまた、その人も銚子から離れてしまうということになると、もう悪循環。

 すごくこれは切実な問題で、二〇一九年の段階で担当レベルの人は問題だと言ってくれたんだけれども、残念ながら全然前に進んでいないから、今日は大臣に私は質問しているんです。

 大臣、実は、二年前にも自民党の滋賀県の小寺議員が、この地域手当の問題、この予算委員会の分科会でやりましたね。残念ながら、そのときの答弁は、当時のですから二年前の段階で、五年後の指標見直しに向けて議論しますと。五年後を目指して議論というのは、ちょっと余りにも危機感がないんじゃないかなと思うんですよ。

 あれから二年たっていますので、もうあと三年後ですから、あれから二年たって議論したんだと思うけれども、どういう議論をして、大臣のリーダーシップで是非、問題点があるのならば、これから三年後と言わず、一年ぐらい前倒しするぐらいの気持ちを持っていただけませんか。大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 分科員御指摘のとおり、地域手当について、人材確保の観点から御意見があることは承知をいたしております。

 その上で、先ほど申しましたように、まず、国家公務員の地域手当の見直しがどうなっているかということでございますが、令和七年四月頃の見込みで、現在、人事院において検討を進めているものと承知をしておりまして、こうした自治体などからの御意見については人事院と共有させていただいております。

 人事院において、現在、地域手当の見直しが検討されておりますので、この動向も踏まえながら、地域の実情や人材確保の観点を考慮しつつ、どのようなことができるか検討してまいりたいと思っております。

谷田川分科員 どのようなことができるか検討したいと今おっしゃっていただいて、大臣、じゃ、私、一つお願いしたいんです。是非、この四市四町の首長さんにお目にかかって実情を聞いていただけないでしょうか。是非約束していただけませんか、大臣。

松本国務大臣 どのような形でお目にかかれるかどうかは、また別途御相談をさせていただきたいと思いますが、過日、全国の市町で地域手当について課題を認識していただいている皆様からの要望は私のところにお届けをいただいておりまして、その中に今ありました四市四町のお名前があったかどうかは、ちょっと今手元では確認できませんが、全国で地域手当について御意見があるところの、かなりの市町の連名というんでしょうかでいただいておることは私も認識をしております。

谷田川分科員 ありがとうございます。

 これは本当に深刻な問題なんですよ。そんな悠長に、人事院の見直しを見守ってとか、そういう状況じゃないと思っているんです、私は。もう課長補佐レベルでは、問題意識はかなりあるんですよ。だけれども、やはり政治力で、よし、これを検討しろと当時の大臣が言ってくれれば、私は検討が進んだと思っているんですよ。是非、松本大臣が指示を出したからこそ地域手当の見直しが早まった、そう言えるような結果を出していただきたいと思います。強く要望させていただきます。よろしくお願いします。

 それでは次に、非正規雇用の公務員について質問をさせていただきます。

 先ほど野間委員も質問されておりましたけれども、いろいろな問題が出ております。特に今、非正規雇用、どんどん増えていますよね。二〇〇五年の地方公務員における非正規雇用の割合が一三%だったのが、今、二〇二〇年で何と二九%、非常に増えているんですよ。

 大臣、この主な原因は何だとお考えになっていらっしゃいますか。

松本国務大臣 臨時、非常勤の地方公務員については、平成十七年度からおおむね四年ごとに調査を行っておりまして、この間、その数は増加傾向にあり、直近の令和二年度には六十九万人となっていることは御案内のとおりかというふうに思います。かつては、常勤職員が減って非常勤職員が増えておりましたけれども、近年は、常勤職員も非常勤職員も増えている状況にございます。

 その要因は、各自治体が多種多様な行政サービスを担っていただいている中で、効率的で質の高い行政の実現を図りつつ、複雑化、多様化する行政需要に対応するために、常勤職員に加えて非常勤の地方公務員を活用していることによるものというふうに考えているところでございます。

 近年、一般行政部門の常勤職員数についても、地方創生や子育て支援などの対応もあり、平成二十六年を境に八年連続で増加しておりまして、令和四年四月までの間で約二・九万人の増となっているところでありまして、令和五年度地方財政計画においても、約二千六百人の増とさせていただいたところでございます。

 総務省としても、今後とも、自治体の実態などを十分に踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

谷田川分科員 大臣、私は、やはり、二〇〇五年の集中改革プランで地方自治体に対して六%の職員を削減するよう要請しましたよね、それが一番大きな原因だと思うんですが、大臣はそういう認識はありませんか。

松本国務大臣 今申しましたように、やはり、各自治体におきまして、複雑化、多様化する行政需要に対応するために、常勤職員に加え非常勤の地方公務員を活用されているというふうに理解をいたしております。

 先ほど、野間分科員との議論でもお話を申し上げましたけれども、各自治体においては、やはり、住民の皆様に質の高い行政サービスをしっかり確保してお届けをするという使命に応えるべく、対応していただいているものというふうに理解をしております。

谷田川分科員 間違いなく、やはり、国の、その当時の、二〇〇五年の集中改革プランは私は間違っていないと思いますよ。ただ、私、振り子の議論というのが好きというか、正しいと思っているんですが、余りにも行き過ぎると、やはり揺り戻しがあるんですよね。何でもそうですよ、どんな場面でも。

 だから、当時は、やはり行革がかなり国民、市民から支持されて、今でも忘れませんよ、私、今から十年ぐらい前、二〇〇五年から過ぎて十年ぐらいたって、いろいろな市町村長が、我が市や町はこれだけ職員を減らしましたといって、行政改革の実績をすごく誇示したんですよね。だけれども、それが今、行き過ぎたんじゃないかなと思っています。残念ながら、官製ワーキングプアなんという言葉も出てきてしまっているんですよ。

 具体的に、資料の二枚目を見ていただきますと、ここに職種別正規、非正規年収格差というのが出ていると思いますけれども、例えば、一番上の一般事務職員だと、非正規の全国平均の年収は約百八十七万円で、正規と比べると、その二九%。図書館職員だと、非正規は二百一万円で、正規の三一・二%。保育士だと、非正規が二百二十二万円で、正規の四〇・八%。

 これは余りにも処遇に差があり過ぎて、問題だとは思いませんか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 データにつきましては、我々の方が、データの中のどのような積算かというのを完全には承知をしておりませんので、それについての評価はなかなかできかねるところではございますけれども、我々としては、令和二年度に会計年度任用職員という制度ができまして、その給与水準の決定については、地方公務員法に定める給与決定原則が適用されますので、これに基づいて、一つには、会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎としてくださいと。職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術、職務経験等を考慮してくださいといったことなどが必要であると考えておりまして、こういったことを自治体にも丁寧に助言をさせていただいております。

 そういったことを踏まえて、我々としても、処遇の適正化、改善が進みつつあるというふうに認識しております。

谷田川分科員 短く答えてくださいね。私は問題があるかどうかと言ったんだから、問題はあると思いますぐらい、一言で言ってくれればいいだけの話なんですよ。

 それで、ただ、改善が進んでいると言うけれども、まだまだ改善は緒についたばかりかもしれませんよ。これから、やはり息の長い仕事が必要だと私は思うんです。是非、これはたゆまぬ努力が必要だと思うんです。

 最近、NHKが朝のニュースなんかでも、かなりこの問題を特集して、大臣も御覧になりましたか、朝のニュース等で。御覧になっていませんか、大臣。済みません、大臣、いいです、見ていないなら見ていないで結構なんですけれども。

 この問題の専門家で、立教大学の特任教授の上林陽治さんという方が結構テレビにも出て、今、ある意味ではこの分野のオピニオンリーダーと言えるのかもしれないけれども、その人の指摘だと、二枚目の資料の下を見ていただきたいんですが、家庭児童相談員で見ますと、長く勤務し、仕事を熟知している職員は正規任用すべきですよね。業務経験が長いほど非正規の割合が高いという現象が起きているんですよ。

 これはもう是正されるべきだと思いませんか。いかがでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 一般論ですけれども、常勤職員、非常勤職員の任用に当たっての判断というのは、職務経験の長さだけではなくて、職務の内容や責任、そういったものに応じて判断されていると考えております。

 また、このデータにあります家庭児童相談員などの児童虐待対応担当窓口、こういったものについては、地方公共団体の人員体制について、まずは担当省庁において御検討がなされるものと承知をしております。

谷田川分科員 確かに関係省庁なんだけれども、やはり、地方公務員を全体で統括しているのは総務省なんだから、自分たちとしてはこうなんだ、そういう答弁をしてもらいたいですよ。関係省庁なんて関係ないですよ、本当に。まず総務省がリーダーシップを取ってくださいよ。それをお願いしたいと思います。

 それで、これは総務省も問題意識を持っているのはよく承知しています。会計年度任用職員制度の運用等について、過去三回ですかね、総務省自治行政局公務員部長の名前で通知を出していますよ、都道府県等に。その中で、「期末手当の支給について抑制を図ることや、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬について抑制を図ることは、改正法の趣旨に沿わないものである」としっかり述べていらっしゃいます。本当にこれは総務省の考えをしっかり言ったと思います。

 大臣からも是非、やはり官製ワーキングプアを生み出さないんだ、そういう決意を示してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 先ほどのニュース、私も拝見をしたことはあります。

 その上で、今お話がありましたが、幾つかの専門的な職については、やはり関係省庁が、その配置等についての基準や知っていることもありますので、しっかり連携をした上で対応が必要かというふうには思っております。

 なお、今の御質問についてでございますけれども、自治体の現場においては、常勤、非常勤を問わず、数多くの職員の皆様が、地域住民の期待に応えるべく御尽力をいただいているというふうに認識をしております。

 自治体の非常勤職員については、令和二年に会計年度任用職員制度を導入して、期末手当の支給を可能にするなど、制度、運用の改善を図り、必要となる経費について二千四百億円、財政措置を行ったところでございます。単に財政上の制約のみを理由として、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬を削減することがないよう、これまでも重ねて助言してきたことは、今分科員からもお話があったとおりでございます。

 さらに、勤勉手当の支給を可能とする法律案を今国会に提出すべく、現在、検討を進めているところでございます。

 総務省としては、会計年度任用職員の処遇の改善が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

谷田川分科員 どうぞよろしくお願いします。

 それでは、次の議題なんですけれども、衆議院選挙における公選はがきの受付窓口について質問いたします。

 私が県会議員のときに、自分の選挙区は旧佐原市だったんですね。そこは、県会議員選挙は大体八千枚ぐらい公選はがきを受け付けてくれるんですが、地元の郵便局、佐原局で受け付けてくれたんですよ。だから、県会議員の場合には地元の近い郵便局で受け付けるんですけれども、残念ながら、衆議院選挙の場合ですと、千葉県の場合、二か所だけなんですね。非常に遠い。

 まだ千葉県はいい方で、何か、ある大阪の方の話を聞いたんですが、何と、最近は、期日前投票が実施されてから、もう公示直後に公選はがきを受け付けする人が多いらしいんですね。そうすると、窓口が混雑して、一時間半以上かけてその窓口に行って、受付番号八番ですと言われて、夕方の五時頃まで待たされて、それでまた帰ったと。

 もう一日がかりの仕事だ、これは何とか改善できませんか、そういう話も聞きましたので、日本郵政に対して、大臣の方から、何とか窓口を増やすなり改善してもらえませんかということを是非要請していただけないでしょうか。

松本国務大臣 御答弁を申し上げる前に、私は兵庫県の選出でございますが、兵庫県は、ちなみに神戸中央一か所だというふうに理解をいたしております。私の姫路からは神戸中央までは新幹線で二駅ございますが、兵庫県は、私より遠い方も、選挙区も幾つかあるというふうに理解をしております。

 その上で、選挙運動用通常はがきは、候補者の意見を有権者に伝える選挙運動の手法として重要なものでありまして、選挙運動用通常はがきの交付及び選挙用の表示を行う郵便局は、公職選挙郵便規則の規定により、日本郵便株式会社が定めることとなっております。

 衆議院小選挙区選挙を含む国政選挙においては、大量のはがきを枚数管理等をしながら、公示後の限られた期間で迅速に取り扱う必要があることから、ミスや遅延が発生しないよう、十分な体制が取れる中央郵便局等の大規模な郵便局で集中処理をしていると日本郵便からは聞いているところであります。

 取扱郵便局が候補者の選挙区の近くにあることは候補者の負担が軽減されることにつながる、これは今分科員からお話があったとおりでございますが、選挙運動用通常はがきの事務を正確かつ迅速に行うことも重要で、そのようにできる体制を臨時に適切に組むには課題があるという状況でございます。

 日本郵便には、これらを勘案して適切に判断していただきたいと考えているところでございます。

谷田川分科員 是非、大臣から強く、よく検討するようにと言っていただきたいと思います。大臣、よろしいですね。ありがとうございます、うなずいていただきました。

 それでは最後に、大臣の認識をお聞きしたいと思うんですが、岸田総理は、本会議答弁で、衆議院の解散は時の首相の専権事項というお言葉をお使いになります。私は、専権事項という言葉は、はっきり言って言い過ぎだと思っています。専権という意味は、独裁だという意味なんですよ。総理一人の判断で、いつ衆議院を解散してもいいんだ、そういうふうに受け止めている国民は結構多いと思うんです。マスコミも、総理の専権事項、専権事項と書いちゃっている。

 実は、総理の専権事項でなかった事例が幾つかあるんだけれども、一つだけ申し上げると、昭和五十一年の三木内閣、初めての任期満了選挙なんですね。ところが、そのとき、十二月五日は任期満了の選挙だったけれども、その数か月前の五十一年の九月に閣議を開いて、三木武夫さんは解散しようとしたんです。ところが、当時の、何と二十人の閣僚のうちの十五名が解散反対だ、反対だと言ったんですよ。だから、三木さんは解散を断念したんです。ですから、このことからも、総理の専権事項とは言えないと私は思っています。

 実は、この話を、二〇二〇年六月ですから、当時の高市総務大臣と倫選特で質疑をしまして、高市大臣は私の言わんとすることを分かってくれたみたいで、高市大臣は、総理の専権事項という表現は一切用いなかった。時の内閣の責任で解散、そういう言い方をされました。

 強いて言うなら、憲法七条は、内閣の助言と承認により、天皇が国事行為を行うと書いてあるから、それも国民のために行うんですよ。だから、国民のために行う解散であるから、総理大臣が独断で決める話じゃないんですよ、やはり閣議をしっかり開いて。松本大臣、御存じかどうか分からないけれども、憲政史上、衆議院解散に反対して罷免された閣僚が一人いるんです。小泉内閣のときの、郵政解散のときの島村宜伸農水大臣。やはり、すごい骨がある人ですよね。

 私は、松本大臣にお願いしたいのは、もう専権事項という言葉を使わないでいただきたい。是非、そういう認識をお持ちかどうか、松本大臣にお尋ねいたします。

松本国務大臣 今、分科員からもこれまでの答弁が引用されたところでございますけれども、改めて申し上げれば、衆議院の解散は、憲法第七条の規定により、天皇の国事に関する行為とされておりますが、実質的に衆議院の解散を決定する権限を有するのは、天皇の国事に関する行為について助言と承認を行う職務を有する内閣であります。内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はなく、いかなる場合に衆議院を解散するかは、内閣がその政治的責任で決すべきものであるというふうに認識をしております。

 その上で、解散は総理の専権事項であるという表現については、内閣総理大臣が内閣を構成する国務大臣の任免権を有し、今もお話が、事例がございましたけれども、総理が内閣を代表することなどを踏まえ、内閣における実態について述べたものであるというふうに理解をしているところでございます。

 御指摘、また、その用語を使うかどうかについては、御意見を承っておきたいと思います。

谷田川分科員 意味深長な答弁、ありがとうございました。

 これで終わります。

熊田主査 これにて谷田川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、川崎ひでと君。

川崎分科員 自由民主党の川崎ひでとでございます。

 本日は、こうして質問させていただく機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。

 まず、質問に入る前に、私の質問に関しては、副大臣、そして政務官、政府参考人に御回答いただきたいというふうに思いますので、松本総務大臣に関しましては御退席いただいて構いません。

 では、副大臣、政務官、参考人の皆様、よろしくお願いいたします。

 今日は、私の地元から学生がこの委員会に見学に来られました。私もかなり身の引き締まる思いで質問をさせていただきます。短い時間ではございますが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、トルコ、シリアで発生いたしました大地震によって被災された方々に哀悼の意を表したいと思います。また、それと同時に、現在もなお災害復旧に当たっていただいている方々に心から敬意を表します。

 さて、私の選挙区は、鈴鹿サーキットでおなじみの鈴鹿市でございます。それゆえ、日頃より、レーシングカーやレーシングバイク、こうしたものを目にしております。私自身もつい最近バイクを購入し、鈴鹿サーキットの免許を取得し、こうしたモータースポーツを楽しんでいるところでございます。

 そして、毎年の消防団の操法大会や出初め式においては、消防署の赤いバイクの勇ましさにほれぼれしながら、その雄姿を目に焼き付けております。

 そして、今日、こうして総務省の皆様に御質問をさせていただく機会をいただきましたので、まずは、消防団におけるバイク隊の在り方、こうしたものに関して御質問をさせていただこうと思います。

 まず、このバイク隊の質問の前に、皆様と認識を合わせていこうと思いますけれども、災害が発生した場合には、情報収集というのが非常に重要なミッションになってまいります。恐らく、今回のトルコ、シリアで起きた大地震に関しましても、その震災規模がどういうものだったのか、あるいは、被害者はどれくらいいらっしゃるのか、情報収集、今懸命にやられていることかと思います。

 改めて、技術革新の面から見てみると、例えばドローンといったようなものの新技術で、困難な場所においても情報収集を行うことができたと思います。なかなか行きにくい場所、こうしたところにもドローンで行けるようになったところもございます。

 しかしながら、災害の現場では何が起きているか分かりません。もしかしたら、現地を視察に行ったときに、けがをされて今すぐ手当てをすれば何とかなる、そうした方も発見できるかもしれません。当然ながら、ドローンでは、そうした方々を発見した場合においても、その場ですぐ手当てをすることはできないというふうに思っております。

 そこで、いま一度皆様に御注目をいただきたいのが、まさにバイク。

 一九九五年に発生した阪神・淡路大震災では、建物の倒壊などで道路が寸断され、自動車の利用ができないなどの問題が見られました。これに対して、オフロードバイクを主としたオートバイがかなり機動力を発揮いたしまして、災害時の情報収集に役立ちました。

 一九九六年には、静岡市において、静岡市オフロードバイク隊というものが誕生いたしました。東日本大震災においては、この静岡市のオフロードバイク隊が被害情報収集活動を中心に活躍いたしました。この情報収集は、岩手県の久慈市から福島県の南相馬市までの南北約五百キロメートル、この距離をバイクで情報収集いただきました。

 こうした背景から、バイク隊を実は各地でボランティアで結成する地域というのが非常に増えてきました。私の地元鈴鹿市では、ライドエイドというバイク隊のボランティア部隊が誕生し、その活動のすばらしさから、改めて鈴鹿市の消防団の大規模災害対応団員として登録がされました。

 このバイク隊について、本日はこれから三点質問をさせていただきます。

 先ほど申し上げましたように、鈴鹿市のライドエイドというバイク隊は、現在消防団として登録をされていますが、ほかの地域では、消防団としてバイク隊を許容している地域は少なく、結果、民間ボランティアとして活動せざるを得ない地域がございます。そのため、ボランティアでございますから、残念ながら災害補償は当然ございません。民間保険への加入もできません。また、訓練についても消防署から指導いただいているわけではございません。ボランティア団体の皆様が自ら学習し、その中からプログラムを作り、そして活動に当たられている、訓練をされている、こうした状況でございます。

 まず大前提として、志が高いこうした方々には是非消防団に入隊してもらうべきではないか、改めて、このバイク隊をやりたいという方々には消防団に入隊してもらうのはどうか、こういうふうに考えますが、総務省の御見解をお聞かせください。

尾身副大臣 お答えいたします。

 地域でボランティア活動を行っている方々を含め、幅広い住民の入団促進に向けた取組は重要であるというふうに考えております。

 また、御指摘のとおり、志の高い方々が消防団に入団していただくということは、消防団の力、ひいては地域防災力の向上につながるものであると考えております。

 そのため、総務省消防庁では、入団促進広報の実施に加えまして、機能別団員・分団制度、消防団協力事業所表示制度及び学生消防団活動認証制度などの更なる活用の促進や、大学等の事務局と市町村が連携した事例など、全国の入団促進に係る優良事例を周知しているところでございます。

 さらに、社会環境の変化に対応した消防団運営を普及促進するための消防団の力向上モデル事業について、令和五年度当初予算案において、対前年比一億円増の三・五億円を確保したところでもございます。

 こうした取組を推進していくことにより、地域防災力の充実強化に全力を挙げてまいりたいと思います。

川崎分科員 尾身副大臣、御説明ありがとうございます。

 実際に、今御説明いただいたとおり、総務省としては様々な施策そして広報活動を実施いただいていること、よく分かりました。

 一方で、私の下にこういうお話が来たのは、鈴鹿市からだけではなく、実は、大分県の由布市を始めとする様々な地域から、自分の地域では、消防団でバイク隊として入りたいのに、問合せをする場所すらないんだ、相談する場所すらないんだという嘆きがございます。

 実際、地域ではなぜこういうふうな分断が起こってしまっているかというところを、是非総務省の皆様にも御確認いただき、御用意いただいた施策あるいは広報活動、こうしたものをフルに使って、是非、災害に備える志の強い方々を消防団に入っていただくように促進のほどよろしくお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 全国における軽二輪車あるいは小型二輪車の保有台数は令和四年で約三百八十七万台です。ちなみに自動車の保有台数は約八千二百七十万台。つまり、ライダーの数は非常に少なく、そうした中でさらにボランティアに当たってくれる、危険を伴う業務に志望してくれるライダーというのは、本当にごく僅かで、大変貴重な存在です。

 冒頭申し上げたとおり、大規模災害時には本当にオフロードバイクの機動力を生かした活動が非常に有効でありました。改めて、消防団にバイク隊を創設するための支援、こうしたものはありますでしょうか。

尾身副大臣 鈴鹿市の事例、有効事例として今も御紹介いただきまして本当にありがとうございます。

 消防団が様々な災害に際して適切に対応するために、地域の実情に応じた体制、装備を整備することは重要であり、その一環としてバイク隊の創設も有効な取組であると考えております。また、実際に全国の幾つかの消防団において既にバイク隊を創設し、活動いただいております。

 総務省消防庁では、消防団におけるオフロードバイクの整備に緊急防災・減災事業債を活用できることとしております。また、先ほど御答弁した先進的な取組を全国に広げる事業である消防団の力向上モデル事業を活用して、バイク隊の創設や災害対応訓練を行っていただくことも可能でございます。

 今後も、バイク隊の創設を始め先進的な取組を広く地方公共団体に紹介することにより、消防団の災害対応能力の向上に努めてまいりたいと思います。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。しっかりと施策を御用意いただいている点、大変うれしく思います。

 将来的には、こうしたオフロードバイクだけではなくて、例えば、原動機付自転車、つまり原付ですね、こうしたものに乗られている方も、情報収集というのは非常にできると思っています。例えば、新聞配達の方やあるいは郵便局の方、こうした方々も日頃からバイクに乗って地域を走り回っておりますから、いざ災害が起きた際には、こういう方々も将来的には消防団として活躍できることもあるかと思います。しっかりと地域が一体となって災害に準備するというのは非常に重要でございますので、是非総務省の方からも積極的な施策の展開をよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に参ります。

 消防団の特性というものは、実は、現状は登録管轄地区の市内の活動だけに限定されております。市を越えて活動する場合は、消防団ではなくボランティアとして活動するか、又は災害地域の首長からバイク隊を持つ地域の首長に、頼むからちょっとバイクで助けてほしい、こうした要請がない限りは対応ができません。

 しかしながら、私の地元の鈴鹿市のライドエイド、バイク隊は、大規模災害対応団員として登録されております。大規模災害という名称をつけておりますので、やはり広域的に活動することが重要であると考えますが、なかなかこれが今難しい状況となっております。こちらについて総務省のお考えをお聞かせください。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 現状でございますが、消防組織法第十八条の第三項におきまして、消防団は、「消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても行動することができる。」と規定されておりまして、現行法におきましても、大規模災害時などに消防長等の命令があればバイク隊も区域外活動することが可能でございます。

 バイク隊の皆様が、大規模災害発生時にもその機動力、迅速性を生かしまして、地域防災力の要として大きな力を発揮していただくことが重要と考えております。

川崎分科員 御答弁ありがとうございます。

 先ほどおっしゃっていただいたように、消防署長の命令等あれば活動ができると。ただ、そうした依頼がない限りは、なかなか命令も下されずに、活動ができないというふうなことになっていると思います。

 冒頭申し上げたとおり、ライダーの数というのが非常に少ない、そのため、鈴鹿市ではバイク隊はおりますが、隣の亀山市というところではバイク隊がいない、こういう状況になっております。ほかの地域でも恐らくそうなんだろうと思います。

 御相談に来られた大分県由布市の方々も、実は、自分たちでつくったボランティア隊というのは大分県全土から集めたんだと。それでも限られた人数なんです。これが、先ほど尾身副大臣が御説明いただいたとおり、いろいろな様々な施策を使って消防団として登録いただいても、由布市の中だけに活動が限られてしまうとなると、せっかく大分全土からバイク隊を集めたのに活動できない、こうした形になってしまいますので、しっかりと、やはり災害を、みんなで救い合い、そして備えを行う、これを念頭に、改めて考え直していただきたいと思います。是非、これから私も一緒に検討してまいりたいと思いますので、お力添えのほどよろしくお願いいたします。

 消防団のバイクについての質問は以上三点でございますが、もう一つだけ消防団について質問をさせてください。

 今、消防団は、どんどんどんどん年齢が高くなってしまっております。そのため、若い消防団を入れる、加入してもらうということに非常に力を入れております。やはり、これからも若い方をどんどん増やしていく、これは非常に重要だとは思いますが、一方で、若い消防団が消防車両を運転できるようにするためには、準中型免許の取得やオートマチック限定免許の限定解除などを支援すべきだと考えます。

 こちらについて、今、総務省の方では、施策等の御用意はありますでしょうか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 総務省消防庁では、消防車両を運転できる消防団員を確保することを目的といたしまして、消防団員の運転免許の取得等に係る財政措置を講じております。

 具体的には、準中型免許の取得に当たりましては、当該免許を取得する経費に対して市町村が助成した場合に、その助成額に対して特別交付税措置を講じているところでございます。

 また、現在、普通免許でも運転可能な三・五トン未満の消防車両やオートマチック車の消防車両を流通しており、それらの車両整備について緊急防災・減災事業債が活用できることといたしております。

 これらの取組を通じまして、若者層の消防団員が消防車両運転をできるようにするために、引き続き支援をしてまいりたいと存じます。

川崎分科員 御答弁ありがとうございます。

 恐らくは、今、消防の車を運転できる方というのは免許制度が変わる前の従来の免許でございますから、きっと今までそうした施策というのは余り知られていなかったのかな、こういうふうに思いますけれども、間違いなくこの先、この施策というのは重要なキーになってまいります。是非是非、各市町村、そして消防団の方にこの周知徹底をお願いしたいというふうに思います。

 消防についての質問は以上となります。

 続きまして、ふるさと納税に関する質問をさせていただきます。

 ふるさと納税は、納税者が寄附先を選択できる制度であり、税の使われ方を考えるきっかけとなる、生まれ故郷やお世話になった地域、あるいはこれから応援したい地域への力になれる、地域が納税者に対し地域の取組をアピールできる制度であり、地域の在り方を改めて考えるきっかけとなるという趣旨で設立されました。この趣旨には私も大変賛同いたします。

 一方で、公共サービスの財源となる貴重な住民税がほかの自治体へ送られてしまうということで、公共サービスの持続に支障を来しているのではないか、こういった自治体からのお声をよく伺います。

 幾つかそうした地元の自治体からの御意見を御紹介させていただきますと、ふるさとや地域応援のためのふるさと納税ではなく、返礼品を目的とした寄附が増えたため、地域間による返礼品競争が発生し、地域を応援するという本来の趣旨が希薄となってしまっている。あるいは、返礼品競争による一部自治体に寄附が集中する一方で、多くの自治体では減収に苦しんでしまっている。返礼品による見返りを受けた住民のみが恩恵を受け、ふるさと納税ができない住民が一定数いらっしゃり、その方々にとっては、失われた税の収入分による行政サービスが低下してしまうのではないか。

 こうした懸念を地元から寄せられていますが、実際に今申し上げた三点について、改めて総務省の方から、それぞれの所管から御見解をいただきたいというふうに思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税制度について、分科員の方から幾つか課題を御指摘いただきました。

 まず、返礼品競争についてでありますが、過度な返礼品競争が行われたことなどを背景といたしまして、令和元年度に、対象となる地方団体を国が指定する制度を導入いたしまして、返礼品割合を三割以下かつ地場産品とすることなどの基準を定めたところであります。各地方団体においては、法令に定められた基準の下で取組が現在は進められております。

 次に、一部の団体への寄附の集中についてであります。

 指定制度を導入しましたことによりまして、例えば寄附金受入額の上位十団体が全国に占めるシェアでございますけれども、指定制度導入前の平成三十年度の約三割から令和三年度には約一割に低下するなど、一部の団体に寄附が集中するという状況は緩和される傾向にございます。

 また、税収の減少について御指摘もいただきました。

 ふるさと納税による特例控除額は個人住民税所得割の額の二割を上限としておりまして、個人住民税の大半は住所地団体に残る仕組みでありますことから、御理解を賜りたいと考えております。

 一方、地方団体においては、クラウドファンディング型のふるさと納税を始め、寄附金の使い道をあらかじめ明示して募集を行う事例も増えております。こうした取組は地域の課題解決や魅力発信にもつながっていくものと考えておりますので、総務省としても、優良事例の横展開に取り組んでまいります。

 様々な御指摘ございますけれども、指定制度の下で、今後とも、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいります。

原政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の減収の財政への影響でございます。

 ふるさと納税制度により生じる各地方公共団体の個人住民税の減収は、普通交付税の算定において、交付団体、不交付団体、いずれにおいてもその基準財政収入額の算定において反映することとしております。

 具体的には、ふるさと納税制度に伴う寄附金の税額控除による個人住民税の減収は個人住民税の収入見込額から控除することとしておりまして、その結果、減収分の七五%が基準財政収入額に反映されることとなります。

 このため、寄附者の住所地の地方団体が、普通交付税の算定の結果、交付団体である場合には、個人住民税減収分の七五%について、その分普通交付税が増額するということになります。

 不交付団体についても、今申し上げましたとおり、基準財政収入額の算定において、ふるさと納税の減収分は控除しております。ただ、その上でもまだ収入が多いということで不交付になっている、こういう状況でございます。

川崎分科員 ありがとうございます。

 今御説明いただいた内容、私は非常に納得をいたしましたが、なかなか、今御説明いただいた感じだと難しい制度であることも間違いないと思います。もしかしたら、一部自治体においてはなかなかその制度の全てを理解していない、あるいは、このふるさと納税、何度もマイナーチェンジをしながらよい政策に進めていただいているんですけれども、そこの部分がもしかしたら自治体はまだ理解されていないという可能性もございます。

 私自身は、このふるさと納税という仕組みは非常に面白い仕組みだと思っております。その理由は、やはり、これをきっかけに地域の魅力を徹底的に外にアピールしていこう、こうした方々、非常に増えました。私は今、自民党のウェブ3PTのチームメンバーとしておりますけれども、地方創生×NFT、こうした新しいふるさと納税を考える若者が増えてまいりました。

 事実、私の事務所に先日大学生が雨の中原付でやってきて、私の地元の名産である伊賀牛とこのNFTを掛け合わせて何とか地方創生をやりたいんだ、こんなお声もいただきました。こうした若者の気持ちは絶対潰してはいけないと思っています。政府としてもしっかりと後押しをするべきだというふうに思います。

 それゆえに、是非、このふるさと納税という制度については、まず本来の趣旨をしっかりと国民の皆様にも理解いただくこと、省庁にも理解いただくこと、そして地元の自治体にも理解いただくこと、これを徹底的に進めていただいた上で、やはり、ひずみが出たのであれば、すぐにでもこれは直すべきだというふうに思います。しっかりと地方が創生する仕組み、これを私も推進してまいりますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に参ります。

 ネットメディアにおけるディスインフォメーション対策についてでございます。

 今では、例えばユーチューブあるいはそのほかSNSで個人個人が自由に発言ができるようになりましたので、情報の正誤が個人個人で大変判断が難しい世の中になりました。

 私自身もユーチューブをよく見ますけれども、例えば影響力のある発信者、インフルエンサーが、御自身はもちろん誤ったという理解はないんですけれども、誤った誤認識あるいは理解に基づいて発信をし、それを信じてしまうフォロワーがいる場面をよく目にいたします。

 実は、先日は、私も拝見いたしましたけれども、防衛費増額の真意というあたかも見たくなるような動画タイトルで、見てみると、随分間違えた内容を発信されているんですね。私自身は、国政報告会で、いや、真実はこうなんだよと伝えましたけれども、私が三十人ほどの国政報告会で言うのと、フォロワーが何十万人もいるインフルエンサーでは、やはり情報の広がり方に大きな差があります。

 まず一つ、この状況を総務省としてどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。御見解をお聞かせください。

国光大臣政務官 お答えを申し上げます。

 川崎分科員の御指摘のとおり、インターネットやSNSは、防衛費の増額の事例のとおり、影響力が非常に大きい発信者が発信する情報は、その訴求力が非常に高うございます。そのために、当該発信者は発信に伴う責任を十分に理解をすること、そして、情報の受信者は批判的にその情報を受容することというのが非常に重要だと認識しております。

 総務省としても、偽情報対策として、これまで、プラットフォーム事業者によります偽情報を含む投稿の削除やアカウントの停止など、自主的に講じられている取組に対する透明性の確保、アカウンタビリティーの確保ですね、そしてまた、偽情報や誤情報に関する啓発教材の開発など、利用者のICTリテラシーの向上に取り組んでいるところであります。

 昨今、また幅広い世代においてインターネットやSNSの利用が非常に増大をしておりますので、今後のデジタル社会に必要なリテラシーの在り方を、その向上方策を検討する有識者会議を新たに開催するなど取組を強化しておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

川崎分科員 ありがとうございます。

 リテラシーを高めることは非常に重要だと思っております。一方で、何が正しくて何が間違えているかの判断というのはなかなか難しいので、ここをどういうふうにするかというのが大きな課題なんだと思います。

 例えばユーチューブなんかでいえば、見る側がしっかりと通報する仕組み、そして、それを基に、例えば先ほど例題で挙げた防衛費の話なのであれば、ユーチューブを運営する会社が、この防衛費に関する話は本当に正しいのかあるいは間違えているのか、それを国、防衛省に問い合わせる仕組みなど、やはり国もしっかりとした窓口をつくる必要があるかというふうに思います。やはりこうした見る側の責任というのも非常に重要になってまいりますので、それをしっかりと高めるものだと思います。

 余談となりますけれども、実は、ユーチューブをやられている方、いわゆるユーチューバーは、やはり再生数を稼ぎたい、こうした思いが強くございます。それゆえ、具体例を申し上げると、例えば二重にするためのアイプチなんというのが女子の中でははやっておりますけれども、このアイプチが何日間もつのか、こうした動画でバズらせるというような工夫もされている方々もいらっしゃいます。

 だけれども、実際は、そうした使い方はメーカーとしては推奨していません。ルールを守った方が逆に損をするような仕組みになってしまっているのがこういうSNSの世界だと思いますので、そういうことにも御配慮をいただきたいと思います。

 最後の質問となります。

 今、国光政務官からお話がありましたとおり、通報があればそれを削除するような取組というのをやられている、こういうことでございますが、実は、このウェブ3の世界が広がってきて、分散型ツイッターと呼ばれるダムス、あるいは分散型ティックトックと言われるピクシーというものが出てまいりました。

 これは、ウェブ3で、新しいサービスなので期待が持てる一方で、実は、先ほども申し上げたようなユーチューブやツイッターのような中央がない存在でございますので、消すことができません、こうした問題があります。これについて、今、総務省の方ではどういうふうに考えているか、御見解をお聞かせください。

国光大臣政務官 川崎分科員にお答えを申し上げます。

 先ほど御指摘のように、ダムスやピクシーのように新しい分散型SNSが非常に大きなうねりとなって広がりを見せております。

 分散型サービスにおいては、今までの中央管理型のサービスと違いまして、分散化によってサービスの提供に係る責任の所在が曖昧になるということや、ネットワークの参加者の合意なく記録の修正や削除が不能となるなどの特徴が指摘されておりまして、偽情報流通の抑止に当たっても大きな課題となるものと認識しています。

 このような新しいサービスにおける対策でも、利用者がインターネット上の情報をうのみにしないよう、リテラシーの向上をしっかりと努めていくことが重要と考えます。

 いずれにせよ、新しい御指摘のようなサービス、非常に勉強になる御指摘でございます。普及状況や当該サービスの課題や技術的な動向も注視をしながら、しっかりと連携を他省庁や機関としながら、適切に対応してまいりたいと思います。

川崎分科員 ありがとうございます。

 私、ウェブ3PTのメンバーとして、しっかりとこのウェブ3を進めることは日本にとって大きなプラスとなると思っています。それゆえ、こうしたサービスが出たときも、過度に規制をするのではなくて、こういうサービスと共存しながらやっていく、その方法を総務省と一緒にまた考えてまいりたいと思いますので、引き続き御指導のほどお願い申し上げます。

 時間となりましたので、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

熊田主査 これにて川崎ひでと君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)分科員 石川県能登半島の近藤和也です。よろしくお願いいたします。

 来月に統一地方選挙が始まります。関係者の方全てが今大変な状況だと思いますけれども、やはり、以前から、うそであったり、ごまかしであったり、圧力であったり、そして違法的な行為であったり、何とかの追いかけっこのような状況が今でも続いていることが大変残念です。

 民主主義の基本は公正な選挙だと思いますので、公正な選挙がしっかりと行われていくように、今日は幾つか質問をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、地方交付税についてですけれども、政権与党でないと交付金に差がつくとあちこちで言われることがあります。私の地域でもよく耳にするんですけれども。

 大臣に伺いますが、選出議員の所属政党によって、普通交付税、特別交付税の交付額が左右されることがあるか。そしてまた、特別地方交付税など前倒しの要請などもその時々でありますけれども、その要請する方々の所属政党によって、今回は前倒しをする、今回はやらない、そういった差がつくことがあるのでしょうか。

松本国務大臣 近藤分科員も御案内のとおりかというふうに思いますが、地方交付税法及び関係省令により、普通交付税は、客観的かつ合理的に算定した基準財政需要額及び基準財政収入額を用いて算定しております。特別交付税は、普通交付税の算定方法では捕捉されなかった財政需要を積算することを基本として算定をしております。

 また、地方交付税の繰上げ交付については、大規模な災害などがあった場合に、地方交付税法第十六条第二項の規定に基づき、災害救助法の適用状況や被害状況に応じて行っておりまして、選出議員の所属政党が交付額の算定等に影響することはございません。

近藤(和)分科員 至極真っ当な、当たり前の答弁だと思いますが、真摯にお答えいただきましてありがとうございます。

 それでは、次の質問に参ります。

 来月の三十一日から県議会議員選挙等が各地域で行われますけれども、あえてこの場で、公職選挙法の第一条、目的について読ませていただきます。

 この法律は、日本国憲法の精神にのっとり、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することを目的とするとございます。

 この目的にのっとったものが合法、外れたものが違法だということで、この法律の中に事細かく規定されておりますが、まず、警察庁に伺います。

 この十年間における衆議院選挙、参議院選挙、統一地方選挙における検挙件数は何件でしょうか。

親家政府参考人 過去十年間の国政選挙及び統一地方選挙における公職選挙法違反の検挙件数につきまして、いずれも、期日後九十日の時点で集計した結果について申し上げます。

 衆議院議員総選挙につきましては、第四十七回から第四十九回まで三回施行されておりまして、その検挙件数の合計は二百十九件であります。

 参議院議員通常選挙につきましては、第二十三回から第二十六回まで四回施行されておりまして、その検挙件数の合計は三百四十件であります。

 統一地方選挙につきましては、第十八回と第十九回の二回施行されておりまして、その検挙件数の合計は五百四十九件であります。

近藤(和)分科員 続けて、そのうち文書違反の検挙件数はそれぞれ何件でしょうか。

親家政府参考人 文書違反の検挙件数につきましても、先ほど御答弁申し上げたのと同様に、それぞれの選挙の期日後九十日の時点で集計した結果について申し上げますと、衆議院議員総選挙につきましては、過去三回の合計は八件、参議院議員通常選挙につきましては、過去四回の合計は三十三件、統一地方選挙につきましては、過去二回の合計は十九件となってございます。

近藤(和)分科員 様々な種類の違反があるとは思いますけれども、今日あえて文書違反の件数を伺いましたのは、八件、三十三件、十九件と伺いましたが、次の質問に続いて行きますが、実は、お手元に資料を配付させていただこうと思ったんですけれども、主査から、少し、今回は配付はいかぬということでございましたので、資料は皆様のお手元にないと思いますので、私があえて文書を読ませていただきたいと思います。

 どういう文書かといいますと、私の住んでいる地域内で封筒が送られてきました。その封筒の中には、県議会議員選挙で名のりを上げた方のリーフレット、そしてその方のリーフレットに付随している後援会入会申込書、そして別の紙での後援会の入会申込書、そしてもう一つが、依頼の文書でございます。その依頼の文書を読ませていただきます。

 謹啓、時下ますます御清祥の段、お喜び申し上げます。個別のところは何々という言い方をいたしますので、皆様で変換をしていただけたらと思いますが。平素は何とか党の活動に御理解を賜り格別の御高配を賜り、厚く御礼申し上げます。何とか党は、本年三月に行われます石川県議会議員選挙において何とか選挙区は、何とか何とか議会議員を最適任者と認め公認し、強力に推薦いたします。何とかさんは、三期九年、何とか議会議員として地域の発展のために全力を尽くしてきました。地域の活性化やにぎわい創出のための様々な活動やふるさとの発展に対する熱い思いは言うまでもありません。何とかさんの心の通ったこれまでの政治活動は、後援会や地域の皆様にしっかりと伝わり、徐々に支援の輪が広がりつつありますが、何とかさんにとって県議会議員選挙は初挑戦です。少子高齢化や人口減少、過疎化といった問題はもちろんのこと、道路整備や農業の基盤整備などの社会資本整備や災害などの防災対策、子育てや高齢者福祉など、何とか町を取り巻く様々な課題を解決し事業を推進し、何とか町を更に発展させるためには与党何とか党の石川県議会議員が必要です。何とかさんの力が絶対に必要です。ただひたすらにひたむきな姿勢で政治に向き合い住民と地域の発展のために活動を続ける何とかさんに一層の御支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。謹白。令和五年二月吉日。何とか党石川県第三区支部長、衆議院議員何とか。

 という文書が配付されたんですが、こちらにつきまして、事前運動の禁止、文書違反に当たらないか、問います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 総務省といたしましては、個別の事案について実質的な調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げますと、選挙運動とは、特定の公職の選挙につき、特定の候補者に当選を得させるため投票を得若しくは得させる目的を持って、直接又は間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をすることをいうものと解されております。

 そして、公職選挙法第百二十九条において、選挙運動は、公職の候補者の届出があった日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができないと規定されております。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

近藤(和)分科員 個別には答えられないと。

 そして、具体的な事実ということで具体的なことを申し上げさせていただいたわけですけれども、特定の選挙ですね、石川県議会議員選挙。そして、本年三月ということも特定されておりますし、初挑戦ということで選挙に臨むということも出ています。力が絶対に必要です、御支援をお願いしますということも含めて、かなり特定されるのではないかなというふうに思います。

 こちらの個別のところにつきまして、それぞれ最終的には誰が判断をするんでしょうか。大臣、お願いします。

松本国務大臣 ただいま副大臣から御答弁申し上げたとおり、総務省は、個別の事案について実質的調査権を有しておりませんで、具体的な事実関係を承知する立場にはございません。

 個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かについては、捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われ、その上で最終的には司法により判断されることとなるものと承知をいたしております。

近藤(和)分科員 捜査機関がということで、警察の方だと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

 ここまではっきりして、個人名だけでも六回、この一枚の紙に書いてございます。そして、県会議員選挙という言葉も三か所出ておりますし、地域を特定する何とか町という言葉も五回も書いています。ここまで来れば、更にここよりも踏み込んだ文書をどうやって作ればいいのかというくらいのものだと思いますので、どうかしっかりと取り締まっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、次の質問に参りますが、警察庁に伺います。

 公職選挙法の文書図画の規制において、警察はどのような役割を担っているんでしょうか。

親家政府参考人 文書違反の取締りに限ったことではございませんが、警察におきましては、これまで、選挙の公正を確保すべく、不偏不党かつ厳正公平な立場を堅持して違反取締りに当たってきたところでございます。引き続き、このような姿勢で各種違反の取締りに当たりたいというふうに考えております。

近藤(和)分科員 公正という言葉もいただきました。本当にしっかりと取り締まっていただきたいと思うんですけれども、この文書図画について今日は話を進めてまいりたいと思います。

 私の石川県内では、私の選挙区そのものは石川三区というところで、能登半島のところになるんですけれども、二〇一七年の衆議院選挙以来、いわゆる二連ののぼり旗が選挙期間中に立ち始め、今では様々な選挙で林立と言ってもいいような状況になってきました。当初は公示後に二連ののぼり旗が立ち始めたんですけれども、知恵をつけてか、公示前からだったら大丈夫だという解釈の下、それが更に進化してきたという状況でもございます。

 二百一条の十四では、ポスターは駄目ですよということで、この二連ののぼり旗が書いていないということで、規制されないという解釈がされたこともあります。私は、それが全てだというふうには今でも思っていませんけれども。この状態で、公正な選挙、この公職選挙法の目的に沿うと言うことができるのか、大変疑問に思っています。

 それで、資料の三を見てください。

 こちらは、昨年の参議院議員選挙石川県選挙区において、輪島市内におけるのぼり旗と公営の掲示板が何か所ずつあったかということを私の事務所で調べたものです。石川県は十九の自治体がございまして、そのうちの一つが輪島市ということになります。

 二連ののぼり旗、御存じの方も多いと思いますが、あえて申し上げますと、右側にございます中段のポスターが見やすいのではないかなと。一番上の方が参議院の候補者でございます。そして下の方が当地の衆議院議員でございます。こういったのぼり旗が乱立をしていたという状況です。

 場合によっては、この候補者を目立たせるために、下のところをひもで結んでこの緑の方が見えないようにしたりとか、そういった場所もありましたし、上の写真を見ていただければと思いますが、公営掲示板の横にあるんですね。公営掲示板の横に、こちらは行儀よくちゃんと候補者と別の方の二連ののぼり旗が立っていますが、政党用の掲示板の上の部分だけを候補者を目立たせて、下の部分を隠してやっているといった極めて悪質な事例もたくさんございました。

 昨年の参議院選挙で、場所を調べますと、公営の掲示板というのは百五十九か所、これはネットでも出ております。一方で、この二連ののぼり旗は、主要なところでしか調べ切れていないんですけれども、六十五本ございました。

 ここで伺いたいと思いますが、ある候補者であれば、百五十九プラス六十五本ですから、足すと二百二十四枚の写真があって、ある候補者は百五十九枚しか写真がないという状況が、公正な選挙と言えるんでしょうか。大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 近藤分科員も御案内のとおり、政治活動については原則自由であります。その上で、選挙という意味では、公正の確保も重要であるということで、長年の議論を経て現行法のような一定の規制が設けられているというふうに理解をいたしております。

 公職選挙法第二百一条の十四の規定については、既に今分科員からもお話がございましたが、政党等の政治活動のために使用するポスターを選挙期日の公示又は告示前に掲示した者は、当該ポスターにその氏名等が記載された者が選挙期間に入って公職の候補者となったときは、その日のうちに当該選挙区内において当該ポスターを撤去しなければならないことになっているわけでありますが、御指摘ののぼりについては、ポスターでないことから、現行法の同条の適用の撤去の対象となっていないものというふうに承知をいたしているところでございます。

 選挙の公正を確保するためには、公職選挙法の規定に従って選挙運動や政治活動を行うことが大切であると考えておりまして、公正という意味で、現在の選挙法で公正な選挙を確保する形を、各党各会派の御議論を経て現在の公職選挙法になっているというふうに理解をいたしております。

近藤(和)分科員 現在というのは、この法律の改正のときの現在であれば、二連ののぼり旗というのがここまで進化していなかったと思うんです、プリント技術の進化も含めてですね。

 今、明らかに、こののぼり旗は、ポスターと同じ解像度、本当にきれいです。皆様の中にも使われている方がいらっしゃるかもしれないですが、少なくとも、例えば衆議院選挙であれば、A1のポスターで証紙を貼ったりしますよね。チラシもそうですけれども、お金のかからない選挙にしていくということも公選法の大事な目的であったと思います。

 こののぼり旗、それこそ無尽蔵にできるわけですね。しかも、私のこの絵を見ていただきますと、幹線道路沿いにほとんどあります、のぼり旗は。公営掲示板は本当に田舎の数軒しかない集落にもありますので、幹線道路沿いということでいけば、明らかにのぼり旗の方が多いんです、明らかに。

 これが本当に公正な状態だと言えるのかどうかといったことは、各議員間の議論ということを言われましたけれども、私は、それは逃げ口上だというふうに思っています。大臣であると同時に一国会議員であるということも含めて、ここは真剣に向き合っていただきたいと思います。

 ここで押し問答をするつもりはございませんので、次、続けて行きたいと思います。

 私からすれば、二連のポスターは皆さん行儀よく外しますよね、選挙のときになったら、公示、告示のときには。これは当然ですよ。なのに、二連ののぼり旗は大丈夫なんだといったところは、書いていないから大丈夫だということで、そこを逃げ道に、どんどんどんどん全国各地で今増えていっています。

 恐らく、兵庫県もかなり早いうちからなったと思いますし、これを昨年この委員会で質問させていただいたときにも、金子前大臣の、岐阜県にはそういったものはほとんどないという話も聞きましたが、恐らくは皆様の地域でも今後どんどんどんどん増えていくことになると思います。本当に心配をしています。

 そして、その中で、先ほど大臣が言われましたように、政党の政治活動としてであれば、具体的に書いていないから大丈夫なんだという、これは一つの見解だと思っています。

 一方で、百四十六条の一項で、文書図画の頒布又は掲示につき禁止を逃れる行為の制限をしています。要は、抜け道は駄目ですよということなんですね。

 その中に、百四十二条、百四十三条の禁止を逃れる行為ということで、百四十二条、百四十三条のことが書いてありますが、百四十三条の一項では、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもののほかは掲示することができないということで、事務所を表示するためのポスターだとか、立札、ちょうちん及び看板の類いだとか、自動車、船舶、屋内の演説会場内だとか、具体的に書かれているわけです。これしか駄目ですよということですね、要は。

 そして、さらには、百四十三条の十六項では、一、二、三と具体的に書かれている中で、こういったものがいいか悪いかということで、立札及び看板の類いという言葉も出てきます。

 ここで伺いますが、百四十三条の中に出てくる立札、ちょうちん及び看板の類いですとか、立札及び看板の類いと書いてあるのは、こののぼり旗はこれらの看板の類いに入るのか、事実をお願いいたします。

尾身副大臣 お尋ねののぼりにつきましては、公職選挙法上の文書図画として、立札及び看板の類いに分類されるものと解されております。

近藤(和)分科員 入りますよね。

 この百四十三条の一項では、幾つも指定している、ポスター、立札、看板の類い、これは、要は、決められたものでないと駄目ですよと。これ以外は駄目だから、抜け道を見つけようとするやからが出てきて、だからわざわざ百四十六条で、抜け道は駄目ですよとやっているわけですね。

 ここで確認ですが、百四十三条は、候補者としての選挙運動、政党の政治活動などの区分けはなく、選挙運動全てを包括しているということでよろしかったでしょうか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 公職選挙法第百四十三条第一項の規定は、選挙運動のために使用する文書図画について、同項各号に該当するもののほかは選挙期間中に掲示することはできない旨を定めているものでございますが、その主体は候補者や政党に限られるものではないと考えております。

近藤(和)分科員 要は、二連ののぼり旗は、選挙運動の文書図画と認められれば掲示することができないということですよね。

 大臣、うなずいていただいていますけれども、事務方もうなずいていただいているので、そういう前提で、副大臣、済みません、話を進めますね、時間がございませんので。

 そこで、話をしたいのが、今、二連ののぼり旗というのは、政党の政治活動と見られれば大丈夫だし、一方で、選挙運動と見られれば掲示することができないということで間違いないですね。大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 選挙運動用の文書図画か、政党の二連のぼりが認められるかどうかということについては、先ほど申し上げましたように、個別の事案については、最終的に司法により判断されるというふうに申し上げざるを得ないというふうに思いますが。

森政府参考人 今ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、選挙の公示又は告示前に掲示された政党の二連のぼりは、当該のぼりにその氏名等を記載された者が選挙期間に入って公職の候補者となった場合であっても撤去する義務はございません。

 ただし、のぼりを含む文書図画について、選挙の公示又は告示前に掲示された場合であっても、選挙管理委員会は、選挙運動の禁止を免れる行為として掲示されたものと認めるときには、公職選挙法第百四十七条第五号の規定により、当該文書図画を撤去させることができることとされておりまして、この選挙運動の禁止を免れる行為として掲示されたものであるか否かについては、その掲示されたものの内容や掲示の時期、場所、方法等を総合的に勘案して判断されるべきものであり、同条の規定による撤去の対象となるか否かについては、具体の事実に即して適切に判断されるべきものと考えているところでございます。

 なお、選挙運動のために使用するものと認められる政党の二連のぼりを選挙期間中に新たに掲示することについては、自動車に取り付けて使用するなど、公職選挙法で認められた場合を除き、できないものというふうに承知をしております。

近藤(和)分科員 幾つかお話しいただきましたが、要は、選挙運動と認められる二連ののぼり旗は駄目だということなんですよ、今長々とお話しいただきましたが。

 それで、その判断というのは誰がするのかということですが、誰がするんでしょうか。大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、個別の事案については、公職選挙法に抵触するか否か、捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われ、その上で最終的には司法により判断をされることとなるものと承知をしておりまして、総務省は、個別の事案について実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知をする立場にないというふうに御理解をいただきたいと思います。(近藤(和)分科員「誰がということに対して答えていないんです」と呼ぶ)

 ですから、最終的には司法により判断をされるものと承知をしております。

近藤(和)分科員 司法の手前は警察ですよね。確認です。

森政府参考人 捜査機関によって捜査をされるというふうに承知をしておるところではございます。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。警察に頑張ってほしいなと思います。

 そして、その上でなんですけれども、資料の二を見てください。

 更に進化をいたしまして、二連ののぼり旗ですとか二連ポスターが許されてきた理由というのは、候補者、そして、そうじゃない別の方、そして政党の名前であったりキャッチフレーズ、三分割している中で、一人の方を特出ししていないから大丈夫だというのが、二連ポスターや二連ののぼり旗、三連、四連もそうですけれども、このバランスを取るということが一つ脱法的な、まあ、二連のポスター自体、私も使っていますので大きな声では言いづらいんですけれども、均等にしているということが一つのキーワードではないかなというふうに思っています。

 こちら、つい最近の、先週の写真なんですけれども、X、Y、Z、それぞれの県会議員の選挙区でございますが、このZ選挙区でございますのが、こののぼり旗、三本立っております。上に候補者の方、同じ人が三枚あって、下にはAさん、Bさん、Cさん、それぞれ国会議員が書いてあります。

 確かに、一本だけで見れば均等なんですよね、一対一対一ですから。でも、こういうふうに固めてあると、どうなのか。二連のポスター等を含めていきますと、候補者は五枚あるわけです。一方で、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、二枚、一枚、一枚、一枚ということで、とてもじゃないですけれども、これが、この二連ポスター等も含めて、二連ののぼり旗等も含めて、政党の活動とみなされるのかどうかということは、私は甚だ疑問だというふうに思います。

 大臣、この絵を見ていただいて、どうお感じでしょうか。

松本国務大臣 私どもとしては、先ほども申しましたように、現行法は、政治活動が原則自由であるということ、そして、選挙は公正でなければならない、これを確保しなければいけないという、このことを長年にわたる議論の中で現行法が定められていると理解をしておりまして、この現行法、先ほどこれも御答弁でありましたけれども、やはり、選挙運動に該当するか否かなど、個別の事案については、捜査機関の方で捜査をされた上で最終的には司法が判断をされるものと思っておりますので、このことについて、個別の事案について私から、この写真は今拝見をいたしましたけれども、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(和)分科員 全体像を見るときにも個別個別を見ていかないといけないわけですから、余りそういったことで逃げないでいただきたいと思います。少なくとも、公平な選挙ということであれば、公平じゃないですよね。お金が何千万でもある人は、この旗はどんどん、何百本でも何千本でも何万本でも立てられるわけですよ。お金のない人はやりません。当然私もやりません。これでしっかりとした選挙が成り立つとは到底思えないです。

 そして、最後になりますが、二百一条の十四のところで、逃げ道として、ポスターしか書いていない。二連ののぼり旗がもし書いてあれば規制することができるんです。百歩譲って私もそこだというふうには思いますけれども、少なくとも、日本に民主主義制度がある限り、公正な選挙というのはしっかりと進化し続けていかなくてはいけません。脱法的な行為をするやからも進化をしているわけですから、個別の事案でということで逃げないで、まずは総務大臣として、そして皆様にも、一人一人の国会議員として考えていただいて動いていただきますことを要望いたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

熊田主査 これにて近藤和也君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 有志の会の北神圭朗です。

 今日は、三点、大きく御質問したいというふうに思います。

 一つは、郵便局の現場の実態の問題。もう一つは、地方公共団体の情報システムについて、今、総務省とかデジタル庁を中心に、標準化、共有化のシステム移行のことで頑張っておられる。この点について、地元の南丹市というところが非常に不安を持っているということです。三点目が、京丹波町というところで、いわゆる合併特例債の期限について、ちょっと要望みたいなことがございます。

 松本大臣にいつも御指導いただいてお世話になっておりますが、最初は、ちょっと日本郵政株式会社の皆さんに郵便局の話をしたいというふうに思います。

 これは、私が京都市の右京区というところで地元の声として伺っている話でございます。これは皆さん御存じのとおり、日本郵政株式会社の経営方針として、だんだん窓口の来客数が減ってきているということで、それに応じていわゆる郵便局それぞれの要員の削減というものを少しずつ行っているというふうに理解しています。これは現場の方も言っているんです。それで本当にちょうどいい具合になっているところもある。だから、別に全部駄目だということじゃないんですが、中には、要員が減ってきて大変四苦八苦しているところがあるということであります。

 右京区の方は、大体、一つの部会というのがあって、この中に十局ぐらい参加していると。一局当たり四、五人いるんですね、この地元の場合は。これで、非常に忙しいときとかは、お互い融通し合って人員の補充をしているという現状がありますけれども、特に最近は育児休暇を取る、これは最長三年間なんです。育児休暇を取るところがいて、今現時点では、この右京区の部会では五人、育児休暇を取っている。一局四、五人ですから、全部で四十人から五十人ぐらいこの部会にあって、それぞれ融通をするという話なんですけれども、なかなか、五人抜けてしまうと非常に厳しいということでございます。だから、非正規社員というものを随時雇うことができたら大分助かるということであります。

 この点について、私も、ちょっと制度のことはそんなに詳しくないんですけれども、地元の方々が言うには、なかなかそれが許してもらえないということなんですけれども、常識的に考えると、そういう非正規社員も雇うようにすべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔主査退席、鈴木(隼)主査代理着席〕

立林参考人 お答え申し上げます。

 日本郵便におきましては、先生御指摘のとおり、男性、女性共に、近年、育児休業の取得率が増加傾向にあるところでございますが、これによりまして休業者が発生いたしました場合、後補充の方法といたしましては、その郵便局の社員配置状況も踏まえまして、期間雇用社員の新規雇用や、あるいは他局からの社員の配置換え、兼務などにより対応しているところでございます。

 現在も、各日本郵便の支社におきまして、郵便局の実情を確認しながら対応しているところではございますけれども、先生の御指摘も踏まえ、引き続き、郵便局の声によく耳を傾け、社員が安心して働ける環境の整備及びワーク・ライフ・バランスへの取組を実施してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

北神分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 制度上、恐らく、私の理解では、非正規社員があかんということではないということだと思います。多分、部会と、その上にある、京都の場合だったら近畿の支店になるんですかね、そこで話合いをして、こんな実情だけれどもいかがですかという、伺いを立てるというか申請をするということなので、是非、そこの現状というものをよく見ていただいて、私の理解では、大臣も多分うなずいていただけると思いますけれども、局長さん、基本的には、非常に真面目に地域のために頑張っておられている方々ばかりですので、そんなわがままな要求ということじゃないというふうに思いますので、そこを是非きめ細かく現場を見ていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それからもう一点、郵便局関係でいうと、特定して、ゆうちょ銀行の話なんですが、なかなか慣れないところもあるんでしょうけれども、ゆうちょ銀行の件について、いわゆる法令とか、それから事務取扱マニュアルというのがある。これは当然、普通の金融機関でもあるというふうに思います。

 しかし、これはあくまで現場の声ですよ、現場の声としては、お客さんも、かなり細かくなってきてなかなか使い勝手が悪いとか、余りにも条件が厳格で戸惑っているとか、こういう声もお客さんの方であります。郵便局の方は郵便局の方で、確認事項が非常に多いとかいうこともあって、業務の円滑な作業に支障を来していると、これはあくまで現場の感想であります。

 しかし、御質問したいのは、この事務取扱マニュアルが、彼らが言うには、半年に一回改定されると。これは、半年に一回改定されると、そのたびに研修会を開いてこれを勉強しないといけないということで、もう少し、どう言ったらいいんですかね、簡素化するのか、もう少しその研修を、そこまで、半年に一回もしないように済むように上手に改定をしていくとか、こういったことの配慮がやはり経営者側に必要だというふうに思うんですけれども、この点についていかがでしょうか。

    〔鈴木(隼)主査代理退席、主査着席〕

田中参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の事務取扱マニュアルにつきましては、現実、実態といたしましては、法令とか制度の改正がございますので、こういうことを考慮する必要がございますので必須ではございますけれども、あるいは現場の負担感ということも考慮をいたしまして、これまでも、複数の改正内容を取りまとめて行うといったような施策、更改頻度を少なくするような施策というのは実施をしてきてございます。

 また、内容的にいたしましても、例えば、マネーロンダリングですとかテロ資金供与を防止するための対応というのが必要になってまいりますので、従来よりも細かな確認の点をお願いをする、お客様にも、あるいは現場にもお願いするといったことはあろうかと存じますけれども、その対応全般につきましては、他の金融機関と同等のものであるというふうに考えております。

 また、確かに社員の研修のやり方につきましては、従前は、どちらかといいますと、集合研修というんでしょうか、集めてテキストでやっておったことが多うございますけれども、最近は、近時はやはり、こういうデジタルの時代でもございますし、動画とか、物を作って、できるだけ分かりやすく、それぞれが内容を学べるといったような工夫もしてきているところでございます。

 引き続きまして、今後とも、私どもとしても、金融機関の信頼を維持していくということも当然大事でございますけれども、やはり、現場にとって適切で、かつ分かりやすい対応というものについても引き続き心がけてまいりたいという具合に考えてございます。

 以上でございます。

北神分科員 よろしくお願いしたいというふうに思います。

 この民営化に私は大いなる疑問を持っていた者として、皆さんも非常に大変だというふうに思います。解がないとまで言いませんけれども、かなり複雑な連立方程式の中でこの民営化事業をやらなければいけない、経営的な要請もあるけれども、一方で、現場の大変さということも理解しながら進めていただきたいというふうに思っています。

 本当に、郵便局というのは、もう地域に密着した大事な、仕事だけじゃなくて、大事な存在でありますので、是非、現場が疲弊しないように、皆さんも温かい目で見ながら、一方で経営的な要請もあると思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 日本郵政さんには、もうこれでおしまいなので、よろしかったら帰っていただいても結構だと思います。

 それで、二番目のテーマなんですけれども、大臣に、非常に貴重なお時間をいただきますけれども、南丹市という、大臣もたしか兵庫県だったと思いますけれども、ちょっと地域的に京都寄りの方で、選挙区でいうと五区に当たると思いますけれども、その隣の、京都府側の南丹市という町がございます。

 いわゆる情報システムの標準化、共通化について、国の方も、いわゆる補助金支援、システムを移行しなければいけないので、非常に費用がかかるということで御支援をいただいています。

 私も余り詳しくないんですけれども、私の理解でいうと、今まで、南丹市もそうなんですけれども、それぞれ法令とか規則で独自の業務システムというものがあった。これを今度、総務省、デジタル庁などが国の標準、まずクラウドみたいなものをつくって、ここの中に国仕様の共通のアプリ、税金とか住民基本台帳とか、それから福祉関係とか、いろいろ基本的な二十個ぐらい業務があると思いますけれども、そこに標準のアプリを置く、クラウドの中に。そこから、市町村たちが、自治体がそれぞれ自分たちに合う、適当だと思われるものを引っ張ってきて、それを運用することによって全体の共通化、標準化が図られる。これによって、国との仕事、税金とかそういった関係の申請とか、あるいは支援とか、こういったものがやりやすくなるとか、あるいは各自治体の横の連携というものも大分円滑になるということで、これ自体は当然やるべきことだというふうに思っています。

 ところが、南丹市の皆さんが非常に困っているというか不安に思っているのがありまして、やはりこれは相当費用がかかるんじゃないかという不安がございます。

 一つは、国の標準準拠システムというのがあって、そして、自分たち南丹市の独自システムがある。彼らの理解では、南丹市の理解では、国標準化システムを修正するところには補助金が下りるけれども、自分たちの独自システムを修正する際には全く対象にならないんじゃないかという不安。

 それからもう一つは、国の標準仕様というものはかなり要求項目が多いということとともに、標準化しなければいけない業務がかなり追加されてきているということで、これは、さて、本当にこの標準化、共通化に移行する際に、あるいは運用する際に、全額国から支援してもらえるんだろうかと。

 彼らは当然してもらいたいという思いなんですけれども、そういう不安がありますけれども、大臣、やはりそれぞれ自治体、財政状況は違いますけれども、かなり共通の悩みだというふうに思います、これは各自治体の。やはり全額支援ということに何とか持っていきたい。もちろん、では何が対象になるかというのはいろいろあると思いますけれども、その点について、大臣の見解を伺いたいと思います。

松本国務大臣 北神分科員に御答弁申し上げたいと思います。

 デジタル基盤改革支援補助金は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を踏まえ、ガバメントクラウド上の標準準拠システムや各自治体のシステムを移行させるために必要となる経費を計上したものでございます。具体的な補助対象は、移行計画策定などの準備経費や標準準拠システムへの移行に要する経費等であります。

 先ほどおっしゃっていた独自システムの修正というのがどのようなものを指すのかによるかというふうに思いますが、独自施策に係るシステムの改修経費につきましては基本的に国庫補助の対象とはしておりませんが、標準準拠システムの移行に伴い、独自施策に係るシステムとの連携プログラム等の修正が見込まれますので、この経費については対象に含めることとしております。

 システムの移行経費については、自治体から様々な声を伺っているところでありまして、昨年十月に閣議決定された標準化基本方針を踏まえ、現在、全自治体に対し、移行経費に関する調査を実施しているところでございます。

 総務省としては、当該調査も踏まえまして、標準化への移行目標である令和七年度に向けて、各自治体が円滑に移行できるよう、引き続き自治体の実情や御意見を丁寧に伺いながら、必要な検討を行ってまいりたいと思います。

北神分科員 ありがとうございます。

 今の大臣の答弁でいきますと、独自システムを、勝手にと言うとあれですけれども、自分たちでいろいろ工夫して修正するのは、当然これは補助の対象にならないということですけれども、標準化に合わせることで、いわゆる跳ね返りというか、やむを得ず変えないといけない、独自システムを変えないといけない部分については国庫補助の対象になってくるという理解だと思います。それでよろしいですね、うん、うんとおっしゃっていたので。

松本国務大臣 簡潔に申しますが、標準準拠システムへの移行に伴い、独自施策に係るシステムとの連携プログラム等の修正、この経費については対象に含めることにしていると御理解をいただきたいと思います。

北神分科員 どうもありがとうございます。明確に分かりました。

 是非その辺はお願いしたいというふうに思いますし、その件だけじゃなく、大臣が今おっしゃったように、去年の十月に方針が決まりましたので、今、ちょうど調査を各自治体にされているということでございます。多分、それぞれの自治体の独自システムの在り方というのは相当多様だというふうに思いますので、大変な作業だというふうに思いますけれども、できるだけきめ細かく、いろいろな声を聞きながら進めていただきたいなというふうに思います。

 その調査、私も実はちょっとだけ見させていただいたんですけれども、令和四年度の中間報告ということだったんですが、たしか全国八グループに分けられていた。そのうち六グループについてはコスト増、むしろ、移行、運用のところでコストが増える。そして、ほかの二グループについてはコストの削減効果が三%から八%程度にとどまるということだというふうに理解しています。

 国の目標というのは、平成三十年度比でコストが三〇%削減することを目指している。これを考えますと、まだ中間報告だというふうに思いますけれども、当然、これをやる、共通化、標準化作業というのはコストを減らすことが非常に大きな目標の一つだというふうに思うんですけれども、この調査結果を見ると、ちょっと大丈夫かなと。六グループはコストが増える、二グループは減るけれども、本当に三%から八%程度にとどまっている。

 京都府でいうと笠置町というところも加わっているんですけれども、笠置町は何と、大臣、コストが六倍増えるんですよ、この結果によると。六倍ですよ。だから、そもそもこれは標準化する意味があるのかなというふうに思うんですけれども、この調査結果、どう理解を。

 それで、南丹市から私は言われてこれを知ったんですけれども、こんなことだったら、要するに、南丹市にしてみても、ええっ、笠置町が六倍もコストが増えるんだったら、本当に南丹市の財政の中でどこまでできるのか、よほど国に支援してもらわないと困るという叫び声なんですけれども、この点について、役所の方からでもいいですけれども、伺いたいと思います。デジタル庁ですね。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化につきましては、昨年十月に閣議決定いたしました地方公共団体情報システム標準化基本方針におきまして、標準準拠システムへの移行完了後に、平成三十年度、二〇一八年度比で少なくとも三割の削減を目指すということとしてございます。

 御指摘のございましたガバメントクラウド先行事業の中間報告でございますけれども、イニシャルコストにつきましては、新たな環境への移行というもののために一時的に経費が必要となるということがどうしてもございます。

 一方で、投資対効果を図る上では、クラウド化により削減が見込まれますランニングコスト、こちらの方がポイントになってくるというふうに考えてございまして、八グループ中五グループが、ガバメントクラウドへの移行により、ランニングコストにつきましては削減が見込まれるということでございます。

 また、中間報告につきましては、あくまで現行システムをそのままガバメントクラウドに移行した場合の試算でございます。御指摘のございました笠置町の例のように、既に複数団体でシステムを共同利用していただいておりますけれども、試算におきましては、実は単独で、システムの構築、運用として試算してございます。既存の改正に加えまして、ガバメントクラウドへの接続回線をこれまた単独で新設する等のことによりコスト増になっていると分析してございます。

 今後でございますけれども、御指摘のございましたように、コスト削減というのは極めて重要なことでございますので、クラウド化によるコスト削減に加えまして、技術的に推奨されるシステム構成とすることによるコストの抑制、それから複数自治体による共同利用による運用コストの抑制、また標準準拠システムへの移行に伴う制度改正対応、それからベンダー移行に係るコストの抑制等々、引き続き、コストについて削減を図るように、先行事業を通じて実証を進めてまいりたいと考えてございます。

北神分科員 笠置町さんは、既に複数でクラウドみたいなのをつくってやっておられるということで、ある意味では特殊な事例だということだというふうに理解しましたけれども、そういうことですね。

 いいです、いいです。そういうことやね、阿部さん。多分そういうことだと思います。

 だから、そういうことは、もちろん南丹市にも話をしますけれども、いずれにせよ、コスト削減は非常に重要な柱なので、そこをやはり間違えないようにお願いしたいというふうに思いますし、大臣にも一応念頭に置いていただいて、こういうこともあるということを御理解いただきたいと思います。ありがとうございます。

 デジタル庁の皆さん、大丈夫ですから、帰っていただいて。

 最後に、京丹波町という、先ほど南丹市の話をしましたけれども、その北側に位置づけられるのが京丹波町というところで、昔、丹波町、和知町、瑞穂町、この三町が合併をして、平成十七年十月十一日だったと思いますけれども、そこで合併をして、国からいわゆる合併特例債というものをいただいているという状況です。そして、市町村建設計画というものを立てて、まさに、この合併特例債の支援というものを前提とした計画というものを立てて、それでまちづくりに励んでいるところです。

 ところが、この三年間、コロナの状況の中で、例えば、建設現場が全然動かなくなったりしているところもあります。もう一年以上動かないところもあったりします。それから、コロナ、さらには、最近では円安で資材がなかなか入手できないとか、あるいは高騰しているということで、計画どおりになかなか進まない。

 ところが一方で、合併特例債というのは、たしか令和七年度が期限に、京丹波町の場合にはなっています。

 ここは不可抗力というか、別に、京丹波町が何かサボっていたとか、うまいこと計画を進められなかったということではなくて、一種、災害と同じような状況だというふうに思いますので、何とか合併特例債の期限の延長というものをできないか、再々延長になるというふうに思いますけれども、そこを何とか、大臣、切実な現場の声なので、何とかそこを助けてもらえないかということなんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 北神分科員も既によく御案内かというふうに思いますが、合併特例債の発行可能期間については、平成三十年度の議員立法により、現在の期間、合併が行われた年度及びこれに続く二十か年度ということへと延長をされたところでございます。

 この法改正時に、併せて、「発行可能期間の更なる延長を行うことなく、」との衆参の総務委員会の附帯決議が付されておりまして、これらの経緯も踏まえますと、現在の期間の更なる延長については慎重に考える必要があると認識をしております。

 その上で、発行可能期間の最終年度においてやむを得ず事業が完了しない場合には、各自治体の御事情により、地方自治法に規定する繰越明許費や事故繰越しの活用について適切に御判断いただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、総務省としては、各自治体が現行法の枠組みの下で、現在の合併特例債の発行可能期間内に必要な事業等を実施、完了することができるよう、引き続き助言を行ってまいりたいと考えております。

北神分科員 ありがとうございます。

 確かに、議員立法、あれは平成三十年度でしたね。東日本大震災のときに、それを受けて期限延長ということになりましたので、それが再度延長する際に、附帯決議に延長せずにやるということになっているのは理解しています。

 先ほど繰越しによって対応というものをおっしゃっていただきましたので、京丹波町の、是非、これは京丹波町だけじゃなく、各自治体、同じような状況にあるというふうに思いますので、場合によっては話を聞いていただいて、いろいろな、運用の上でうまいこと、計画を何とか実現できるようにお願いをしたいというふうに思います。

 大臣も多分、今の答弁ぶりだったら理解していただいているというふうに思いますので、是非柔軟にその点、御指導いただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後、ちょっとだけ、一言、頑張るという意気込みだけ教えていただければ。お願いしたいと思います。

松本国務大臣 委員もよく御案内かというふうに思いますけれども、合併特例債の発行可能期間については、平成二十三年、これが大震災のところになると思いますが、二十四年、三十年に延長をされている。その三十年で先ほど総務委員会の附帯決議がついているということを申し上げました。

 制度については今申し上げたとおりでありますけれども、私自身も総務委員会における所信でも申し上げてまいりましたが、私どもは、地方の行財政を所管する省として、やはり地方自治体の皆様のお声をしっかり伺って、その御期待に応えることが役目であり、それを通して地方を元気にすることが私どもの使命であると思っていますので、しっかりと対応させていただきたいと思っております。

北神分科員 ありがとうございました。大変力強い答弁で、感謝しております。

 ちょっとまだ時間が残っていますけれども、質問はこれで終わりますので、ありがとうございました。

熊田主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

熊田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山下貴司君。

山下分科員 本日は、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 本日は、本当に私、常日頃から尊敬しております松本大臣、そして尾身副大臣始め役所の皆様、必ずしも総務省の所管に関わらない部分もありますが、是非お答えいただければと思います。

 まず初めは、ネット上の誹謗中傷対策についてでございます。

 ネット上の誹謗中傷対策につきましては、私自身、自民党ネット上の誹謗中傷対策小委員長として提言を取りまとめて、それを総務省や法務省、警察始め関係省庁の皆様と議論し、それを当時の大臣などが受け止めてくださって、いわゆるプロバイダー責任制限法改正によって、発信者情報開示命令などの法改正を成し遂げたところであります。

 そして、この改正プロバイダー責任制限法、プロ責法と申し上げますけれども、これが去年の十月に施行された。この改正の大きなポイントは二点で、新たな裁判手続、これは非訟事件でございますが、これによる発信者情報開示命令の新設と、そして、これは今日は必ずしも詳しくは伺いませんが、発信者情報開示請求の対象となる範囲の拡大ということでございます。

 これを受けまして、松本大臣の所信表明、本当に私、うれしかったのは、所信表明において、「インターネット上の誹謗中傷等の被害者救済をより円滑にするため、プロバイダー責任制限法の着実な運用や、プラットフォーム事業者による削除等の取組の促進や、相談体制の強化等、総合的な対策を進めます。」と述べてくださいました。

 その決意どおり、ネット誹謗中傷に対する対策ワーキンググループを省が設置してくださったということで、今日はそのことについて詳しく伺いたいと思いますけれども、その前提として、今のネット上の誹謗中傷対策の現状について伺いたいと思います。

 対策につきましては、総務省がまとめているところでございまして、大きく四項目に分かれているところでございます。まず、発信者情報開示、これは法改正によって実現したところでございます。これについて、十月に施行されたわけですが、この施行状況について総務省に、当局に伺いたいと思います。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月のプロバイダー責任制限法の改正により創設されました新しい規定に基づく発信者情報開示命令の申立て件数でございますが、東京地方裁判所において、令和四年十月から同年十二月までの三か月間において、これは速報値でございますけれども、約五百五十件であると承知をしてございます。

 一方、令和元年に東京地方裁判所において受け付けた発信者情報開示仮処分の申立ての件数は年間で六百三十件であったと承知しておりまして、改正法施行後の申立ての件数の実績と比較いたしますと、新しい制度は十分に活用されているものと考えております。

山下分科員 ありがとうございます。

 東京地方裁判所ということで、多分、プロバイダーの本社が多いからということもあるのかもしれません。全国になるともっと幅広くなると思いますが。

 今の局長のお話ですと、三か月間でこれまでの一年分の申請がなされているというようなことで、これは、ざっくり言うと、四倍のスピードで申請がなされているということを考えれば、役に立っているということにもなろうかと思います。

 ますますこれを周知、活用していただきたいのですが、ただ、総務省のワーキンググループ、後ほど御指摘しますけれども、ワーキンググループが実施したアンケートによると、この法改正について知っているのは大体三割程度にすぎないということなんですね。ですから、総務省におかれては、より周知に努めていただきたいと思います。

 また、やはり、誹謗中傷ということは、プライバシーの問題もございます。ですから、事例や被害者が特定されないように留意はしなければならないんですが、これは裁判所から定量的な情報を入手して、これはやはり啓発することが極めて大事というふうに考えておりますが、その点についていかがでしょうか。

竹村政府参考人 御指摘のとおり、改正プロバイダー責任法の新しい仕組みについての周知というのは非常に重要であると考えております。我々も様々な手段を通じて広報に努めてまいりたいと思いますし、また、先生から御指摘のあった実際の適用件数といいますか、使われている状況についても、裁判所から情報を入手して発信をしていきたいというふうに考えます。

山下分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 こういった発信情報が開示された場合には、これを使って民事上の責任を追及する、そして、犯人が分かれば被害者の方が告訴もできるということであります。

 これは誤解いただきたくないんですが、私も表現の自由は極めて大事だと思っています。そして、匿名による表現、これも一定の本当に配慮が必要だというのは分かります。ただ一方で、匿名の陰に隠れて、いわゆる不法行為、誹謗中傷は、これは場合によっては名誉毀損や侮辱罪という立派な犯罪ですから、それが結局、匿名のゆえに被害者の例えば民事上の裁判を受ける権利が実質上行使できない、あるいは、犯人を取り逃がして、全く無法地帯になってしまう、こういうことはネットの健全な発展のためにもやはりよくないと思いますので、そういう意味で申し上げております。

 そういったことで、やはり、不法行為的なことをやったら民事訴訟の対象になるのだということは、これはネットリテラシーの問題からしてもしっかりとお伝えしなければならないということですが、民事訴訟の状況について、当局、お答えできればと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上の誹謗中傷に関しまして民事事件上の損害賠償請求の事件数等でございますが、こちらについては法務省としては把握していないところでございます。

山下分科員 これだと、では、どこが把握するということになるんでしょうか。当局で結構です。

上原政府参考人 法務省としましては、こちらのインターネット上の誹謗中傷に関しまして、民事上の責任追及ということがあろうかと思います。先ほどいただきましたプロバイダー責任法の改正法の趣旨に即した利用がされ、被害者の救済につながっているかといった観点から、新たな手続の利用状況を注視して、関係省庁と連携しながら、必要に応じて適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えています。

山下分科員 ちょっと総務省にも伺いたいんですけれども、要するに、民事上のどういうものがあったかということを今質問しましたけれども、所管がないみたいな今のお答えだったんですね。これはちょっとまずいんじゃないかと思うんですよ。

 要は、被害者が存在して、そして、判決でもいいですよ、不法行為認定されたものでもいいですよ、そういったものがあるのだということは日本国の関係省庁のどこかの役所が把握しなきゃいけないんじゃないですか。これは総務省、法務省それぞれに聞きますけれども、どのようにお考えでしょうか。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 なかなか、網羅的にどこまで把握できるかということはございますが、発信者情報開示命令事件の件数は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、それ以外のものも含めてどのぐらい網羅的に把握できるかということについては、関係省庁や裁判所とも協議して、どういうことができるか考えてまいりたいというふうに考えます。

山下分科員 法務省、お願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の誹謗中傷の人権侵害というのは、決して許されるものではなく、それがインターネット上で行われた場合には、情報の拡散やアクセスが容易であるだけに深刻な被害を招きかねないものと認識しております。

 こういった観点から、法務省としても取組を進めてきたところでございまして、引き続き関係省庁とも連携しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。また、網羅的な把握ということに関しましては、今後、関係省庁と連携しながら検討してまいりたいと思います。

山下分科員 是非大臣にも聞いていただきたいんですが、これは大変大事な問題なんですね。

 対策を打たなきゃいけませんと。ところが、では、一番、発信者情報開示は何のためにやるのかというと、結局、民事上、刑事上の責任を追及するための前提としてやるということなんですね。いきなり刑事でやるというのもあれですから民事上のということであるとすれば、これは、関係省庁がやはり数とか実態とかそういったものは、公開の法廷でなされるわけですから余り秘匿されない部分もありますから、せめてそれだけは把握していただきたいというふうに思います。

 今、両省庁から協力するということがありましたけれども、恐らく、所管が総務省になるのか法務省になるのか分かりませんが、そういった努力をしっかりやっていただくということで、総務省はよろしいですね。うなずいていただきましたけれども、法務省はよろしいですね。これは確実にやってくださいね。これは、縦割りでやって被害者が救われないということになると本当にまずいのでね。

 では、続いて、民事はそういうことで、分からないということ自体がちょっと困ったことなんですけれども、しっかり啓発するためには、民事上というのは、刑事上の名誉毀損やそういった侮辱罪と違って、必ずしも故意でなくても不法行為責任は問われるのだと。あるいは、刑法であると、例えば社会的評価の下落であるとか、あるいは事実の指摘とか、そういったものが要件になっています。

 ただ、民法の場合には、これは例えば、必ずしも、過失による、まさか名誉毀損とは思わなかったとか、あるいは、これは公の公的な情報だからいいと思ったとか、いわゆる違法性阻却事由の錯誤であるとか、そういったものは過失の場合には不法行為責任を問われるし、また、意見、論評というような形であっても不法行為責任、民事上の責任を負い得るのだというふうに解されていますけれども。

 これは法務省に聞いた方がいいですかね。これはどういうふうな、そういうふうな理解でよろしいでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 民法上の不法行為責任でございますが、過失の場合にも成立するというふうに一般に解されていると理解しております。

山下分科員 また、これは総務省にも伺いたいんですけれども、プロバイダー責任法の違法情報というのは、これは、必ずしも犯罪情報じゃなくて、過失による違法情報、民事上の違法情報も含まれるわけですよ。ですから、過失によるようなものであっても、内心が故意、過失にとどまるようなものであれば、過失であってもこれは削除をやっても免責されるんだということは、これは是非プロバイダーにも周知していただきたいというふうに思います。そういったことも利用者の方に、責任を負い得るのだということをしっかりと伝えていただきたいと思います。

 そうしたことを前提に言いますが、じゃ、警察の刑事の摘発状況、これはいかがでしょうか。摘発というか、認知状況ですね。

親家政府参考人 インターネット利用の侮辱罪と名誉毀損罪につきまして、令和四年中の各種件数を申し上げますと、侮辱罪は、認知件数が百十八件、検挙件数が五十二件で、前年に比べまして、認知件数が五十件、検挙件数が十四件、それぞれ増加しております。名誉毀損罪につきましては、認知件数が五百六十四件、検挙件数が二百八十六件で、前年に比べ、認知件数が五件増加し、検挙件数が二十九件減少しているところでございます。

山下分科員 頑張っていただいているのはよく分かるんですが、これ、ちょっと調べてみたら、ドイツは、二〇二〇年に侮辱罪で出された有罪判決は何と二万五千件あるんですよ。韓国でも、サイバー名誉毀損、侮辱罪の検挙件数は、二〇二〇年、一万二千件あるんですね。もう桁が二桁違うということで、この辺については、これまでそれこそ侮辱罪が拘留とか科料であったということで、極めて低い刑であったということも影響しているのかもしれませんが、ほかの国ではやはり一定の重い犯罪なんだということがあるので、是非、捜査等、それは積極的にやっていただきたい。ドイツ、韓国では二桁違うんだということは是非御理解賜れればと思います。

 その上で、今こういった法執行の状況であります。民事訴訟の総数は必ずしも把握できていない、刑事事件も頑張ってはいるんだけれどもほかの国からすると二桁違うという状況の中で、やはり一番望まれるのは、プラットフォーム事業者による削除、これが望まれるわけでございます。

 こうしたことについて、ワーキンググループ、これを設置されたということでございますが、その経緯と、どのようなことを検討されるのかということについて、これはもう松本大臣のリーダーシップだと思っておりますので、是非お答えいただければと思います。

松本国務大臣 もう申し上げるまでもないことかもしれませんが、山下分科員には、党におけるインターネット上の誹謗中傷対策の議論に大変御尽力をいただき、様々な制度改正を含む対策が進展をしたと理解をいたしております。

 これも分科員御指摘のとおり、表現の自由の下、主張をすることは自由に行われるべきでありますが、主張の是非にかかわらず、人を傷つけるような誹謗中傷は許されないということは、これもおっしゃっていたとおりかというふうに思います。

 そのような認識の下、昨年八月のプラットフォームサービス研究会の提言も踏まえまして、昨年十二月、誹謗中傷等に関するワーキンググループを設置をいたしたところでございます。

 このワーキンググループにおいては、プラットフォーム事業者による利用規約に基づく投稿の削除やアカウントの凍結等の措置に関する透明性、アカウンタビリティー確保の在り方、プラットフォーム事業者が被害者からの削除申請等により応じやすくするための環境の整備等について検討していただいているところでございます。

 ワーキンググループは今年の夏をめどに取りまとめをいただく予定でございまして、その議論を踏まえ、インターネット上の誹謗中傷対策の取組を強化してまいりたいと思っております。

 私としても、重ねて申し上げることになりますが、人を傷つけるような誹謗中傷は、インターネット上か否かにかかわらず、許されないと思っておりますので、この問題に関わる大臣としてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

山下分科員 ありがとうございます。

 まさに、プロバイダー責任制限法というのは、プロバイダーが削除してもプロバイダーは加害者に対する責任は負いませんよというふうなものでございます。削除義務とかそういうものではない。それがゆえに、プロバイダーの任意による削除がないとなかなか、被害者は、そういった誹謗中傷がネット上に残ったまま、ずっと残っていて、デジタルタトゥーという言葉もありますけれども、そういうことになるのだということであります。ですから、これは是非、大臣の御決意、リーダーシップで必ず変わるものだろうと思っております。

 というのは、国際的にも、EUのデジタル・サービス・アクトというものが既にレギュレーションとして公布されて、一部は既に発効して、来年二月には全て発効するということになっています。一年後にはEU全体で発効するんですよね。これについては、先ほど大臣が御指摘になったような、大規模なプラットフォーム事業者、いわゆるGAFA的なものに対する義務ですね、透明化や説明義務、そういったものも課されているということであります。

 また、例えばイギリスなんかでも、デジタル・文化・メディア・スポーツ省と内務省が共同で白書を提出して検討に当たっているというところであります。

 また、例えばドイツ、これは非常に名誉毀損と侮辱については厳しいわけでございますけれども、ネットワーク執行法というものにおいては、そういった違法情報、これは犯罪に当たるものということに限定はついておるんですが、ただし、即座に極めて短い時間で削除をしなければならないというふうなことも指摘されているようであります。実際、しっかりとした調査に応じなかったところに、大きなプラットフォーム事業者に対して相当高額の課徴金を課しているという実態もあります。

 それが今、世界の実態でありまして、アメリカも、直ちにはこういったヨーロッパ的なアプローチは取っていませんけれども、一旦罰金が認定された場合には相当高額の懲罰的賠償も含んでおりますから、そういったこともありますし、また、今の政権はそういったことに対して非常に積極的だと聞いております。そういった中で、日本としても、安心、安全な環境のために、是非、大臣のリーダーシップでお願いしたいと思っております。

 特に、公益上の理由ということで、政治家についてはこれはやはり名誉毀損の例外とかもあるんですけれども、いわゆる芸能人の方とか著名人の方、これが、公益に当たらないのに私生活について非常に誹謗中傷、名誉毀損を受けるということがありますけれども、こういった、例えば芸能人等の、著名人であるからといって直ちに公益の条項に当たるのかということについて、法務省、専門家ですから、御所見があれば。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問の件でございますが、個別の事案に応じてということになろうかと思いますので、一概に申し上げることはちょっと困難なところがございます。

山下分科員 これが法務省の定番ではあるんですけれども、ただ、公益でなければならないということは明記してあるんですね。ということは、有名人だからいいんだとか、そういうことでは決してないということであります。ここは、しっかりとした事例把握について、個別の状況に応じて異なりますというのであれば、個別の状況で開示できるような、公開できるようなものは是非把握してもらわないと困るわけですよ。それが、件数ですら把握していないということになると、これはちょっと省庁の本気度を問われますので、これは啓発目的もありますから、是非そういったものはしっかりと把握していただきたいというふうに思います。

 以上、誹謗中傷に関しましては、松本大臣の下でしっかりやっていただけるということを本当に確信しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、これは必ずしも総務省ということではないんですが、やはり、地方自治あるいは地方創生ですね。

 これは、地方自治の問題点がございまして、地方創生をやりたい。確かに東京一極集中を是正しなければならない。私は、法務大臣時代、所有者不明土地などを含め土地利用についてかなりやっておりましたので、土地利用について考えなければならないと思っております。

 東京一極集中を是正するためには、やはりいろいろな企業誘致が必要になってきます。これはどこでもそうであります。ただ、企業誘致をする際にやはり問題になるのが土地の利用規制なんですよ。市街化調整区域あるいは農用地、こういったものが土地利用規制としてある、開発許可が要るということになっています。

 これは昨今、サプライチェーンの問題で、中国から、あるいはほかの国から日本に、国内生産を回帰させようというときに、いや、そこは申し訳ないけれども利用規制があるからできませんとか、あるいは、これはかんがい施設の整備をやったから工事完成後八年間はいじれませんとか、そういうことになるともう企業誘致もできないわけですね。そういったことからすると、やはりこれは国家戦略の必要性があるのではないかと思っております。

 今年はこの国家戦略を決める大事な年ということになります。というのは、国土計画、昔は、全総、新全総、三全総等、いろいろありました。この国土計画を閣議決定する年になっているわけでございます。

 この国土計画において、国土交通省の国土政策局が所管というふうに聞いているんですけれども、国土形成計画と利用計画の両方を一体のものとして決めるということになっています。この国土利用計画の下に例えば農用地利用計画とかそういったものがカスケードするというのが、国土計画の全体像ということになっております。

 ですから、今年の国土計画、形成計画、利用計画、これをどういうふうにしていくのかというのが極めて大事ということで、できれば、総務省、地方創生も、内閣府が所管大臣おられますけれども、やはり、地方自治体に対して指導する立場であるということで是非やっていただきたいのです。

 実際、市町村あるいは県に聞くと、そういった市街化調整とか農地転用の権限は自治体に下りているんです。ところが、自治体に下りてはいるんだけれども、やはり、国から基準を示してもらわないとどういうところで外していいのか分からないと。

 例えば、インターチェンジとか幹線道路とかそういったところというのは、どうしても、昔、地価の安いところを通っていたんですね。地価の安いところというのはどういうところかというと、農地であったり市街化調整区域だったんですよ。それが、道路が通り、インターチェンジができ、便利になってもそれがなかなか変わっていかない、市街化調整できない、企業誘致できないというところがあります。

 そうしたことについて、これは国土交通省なんでしょうか、今後どういうふうに考えていくのか、国が基準を地方自治体に示すべきではないかというふうに考えているんですが、いかがでしょうか。

秋山政府参考人 まず、先生が触れていただきました新たな国土計画の検討についてでございますけれども、未曽有の人口減少、巨大災害リスクの切迫、エネルギー、食料の海外依存などのリスクの高まりを踏まえまして、またさらに、コロナ禍を経ました暮らし方、働き方の変化も捉えた上で、活力ある国土づくり、安全、安心な国土づくり、個性豊かな国土づくりの方向性を見据えて、幅広く検討を進めてきております。

 その中で、先生御指摘の観点からの地方への工業立地の分散促進の点でございますけれども、持続可能な産業への構造転換に向けました、成長産業の全国的な分散立地等について検討いたしておりますとともに、工業立地も含めました国土利用、管理の在り方につきまして、国土の最適利用、管理の視点から検討を進めてきておるところでございます。

 今後、こうした課題につきまして更に検討を深めてまいりたいと存じます。

山下分科員 それはもう是非やってもらいたいんです。

 というのは、市街化区域というものに限って見ると、この四十年間で十四万ヘクタールしか増えていないんですよ。この四十年間でですよ。この四十年間で、道路が通って便利になり、インターチェンジができ、あるいは人が住みたくなるようなところが山ほど増えているわけですね。確かに食料安全保障は大事です。ただ、この中で、こういったところに企業誘致をしないがために農村地帯の人口が減っているというのもまた事実なんですね。

 そうしたことも含めて、是非、国から分かりやすい基準を出してもらいたい。基準を出さないと地方自治体としてはなかなか難しいんじゃないかと思うんですが、もう一度、国土交通省、よろしくお願いします。

秋山政府参考人 人口減少下での国土利用の管理の在り方につきましても、多岐にわたる様々な課題について幅広く検討してきているところでございます。その中で、国土の最適利用の観点から、こうした御指摘の課題について検討を深めてまいります。

山下分科員 くどいようですが、国土の最適利用の観点で、幹線道路であるとか交通至便なところであるとかインターチェンジの周りとか、そういったところは当然観点に入るんでしょうね。

秋山政府参考人 この検討の中で検討を深めてまいりたいと思っております。

山下分科員 今年閣議決定しなきゃいけないということですから、そこら辺はしっかりとやってください。これは今後とも様々な場所で聞いていきたいと思います。

 最後に、これは公務員の定員、働き方改革というところでございますけれども、日本の公務員というのは、実は世界一、人口当たりの職員数が少ないんです。そうなっていて、例えばフランスなんかは千人当たりに九十人、アメリカなんかも六十四人、ドイツも六十人、日本は三十七人、こういう中で公務員が頑張っているというところなんですが、そういった中で、国会の質問通告を含め、非常に公務員に負荷をかけている。結果、公務員の若手の方が令和三年度は九十人辞めるということになっているんです。これは過去最大のペースというふうに言わざるを得ません。

 そうした中で、質問通告の時刻等、これはやはり我々も努力しなきゃいけない。だから、少なくとも、質問通告の時刻がどうであったかとかそういうことは、これは要するに、行政が国会の要請に対してどう対応したかという行政問題ですから、継続的に時刻であるとかそういったものを我々国会に分かりやすく示してほしいと思うんですが、それについて、人事局でしょうか、よろしくお願いします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど国会の関係の調査ということで、さきの臨時国会について調査させていただきましたけれども、また今後も調査を、通常国会とか、またするというタイミングでいろいろと検討させていただきたいと思います。

山下分科員 国会対応は立派な行政行為でありまして、それがどういうふうなメカニズムになっているのかというのはやはり我々は知っておかなきゃまずいんですよね。ですから、それは是非継続的に教えていただきたいということをこの委員会で申し上げたいと思います。

 最後に、大臣そして副大臣に、今伺った例えば地方創生の観点あるいは働き方改革の観点で思いがおありでしょうから、済みません、残り時間が少ないんですけれども、御見解を賜れればと思います。

松本国務大臣 私もいろいろな場で申し上げてまいりましたが、お話がありましたように、我が国全体の発展にとっても、地方が元気になっていくということは大変重要であるというふうに思っておりますし、その点で、我が国全体の政策を担う国家公務員も、また各地域の発展を担う地方の公務員の皆さんも、またやりがいを持って活動していただくための働き方改革も含めて重要であるというのは委員もおっしゃったとおりではないかというふうに思っておりまして、私もそのことを心がけて前へ進んでまいりたいと思います。

山下分科員 ありがとうございました。

熊田主査 これにて山下貴司君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 神戸から参りました、立憲民主党の井坂信彦です。

 今日は、午前中に西村経済産業大臣とも質疑をさせていただきまして、同じ兵庫県の大臣に一日にお二人も質疑をさせていただけることはめったにないことですから、しっかり頑張りたいというふうに思います。

 まず、企業献金についてお伺いをいたします。

 相変わらず、政治と金、また、企業と政治家の癒着といった問題がなくならないわけであります。予算委員会ですから、これを政治家の問題というだけでなく、仕組みの問題としてどうにかできないかということで質疑をさせていただきます。

 一九八八年に発覚をしたリクルート事件、当時の総理大臣始め自民党の派閥のトップが軒並み未公開株を受け取って多額の利益を得たわけです。竹下内閣総辞職に追い込まれて、一九九〇年代は政治改革というのが最重要テーマになりました。企業から政治家個人への寄附は汚職を生むため、政党中心の制度にしようというふうになった。

 当時の国会の議事録をつぶさに読み返しました。例えば、当時の総理はこんなふうに答弁をしています。企業献金を制限すると同時に、民主主義のコストである政党の経費を国民に御負担をいただくんだと。また、別の大臣はこんなふうに言っています。企業献金を禁止して政治をきれいにしていくための一つの大きな柱が政党助成金だと。こういう経緯で政党助成金、政党交付金ができたわけであります。

 その後、政治家個人に対する企業献金は禁止をされましたが、政党に対する企業献金はいまだに禁止をされていません。

 私は、個人にも政党にも全ての企業献金を禁止すべきという考えであります。企業は、最後は利益が目的ですから、献金した政治家や政党には必ず見返りを求めます。例えば、自民党に献金したけれども、純粋に日本の政治をよくするためであって我が社に利益はありませんということでは、これは株主が許さないわけであります。だから、私は、企業献金は一切受け取らないと決めて、初当選以来やっています。

 しかし、一万歩譲って、政党への企業献金は構わないという当時の議論を認めるとしても、じゃ、政党支部への企業献金はどうなのか。今、各政党が、国会議員一人につき一つの政党支部をつくっています。政党支部への企業献金は、その支部の代表を務める国会議員個人への企業献金と何ら変わりがありません。

 大臣に伺いますが、私は全ての企業献金を禁止すべきという立場ではありますが、少なくとも政党支部への企業献金は即刻禁止をすべきではないでしょうか。伺います。

松本国務大臣 今、分科員からもお話がありましたが、政治活動に対する献金の在り方については、これまで数次にわたり政治資金規正法の改正が行われ、企業、団体からの政治活動に関する寄附、いわゆる企業・団体献金については、現在は政党、政治資金団体に対してのみ認められているところであります。

 政党支部は政治団体でありまして、政党の一部として政党本部とともに政党活動の一翼を担っており、政治資金規正法の規定に基づき、提出した規約等を基にその活動を行っているものと承知をしております。

 政党がその支部をどのように構成し、財政面も含めて政治活動をいかなる形で展開するかについては、政党組織の基本に関わる問題であり、それぞれ政党の自主的な判断によるべきものだと考えております。

 企業、団体、今分科員からは禁止というお話でありましたけれども、これについては、これまでも各党会派について御議論をいただいてきておりまして、御指摘の点も含めて様々な意見があるというふうに承知をいたしております。

 政治活動が原則自由であるという中、他方では本当に政治に信頼を得られなければいけないということもあるわけでありますが、この問題は、先ほども答弁の中でも引用がありましたけれども、民主主義の費用をどのように国民が負担をしていくのか、また、各政党の政治活動の自由と密接に関連していることから、今後とも各党各会派において十分御議論をいただくべきものであるというふうに考えているところでございます。

井坂分科員 まあ、仕組みはおっしゃるとおりなんですけれども、実態として政党支部というのが各国会議員ごとにつくられていて、そして、そこへの企業献金は事実上その国会議員個人への企業献金と何ら変わらないという実態は、もう本当に全ての国会議員が分かっていることであります。

 加えて、政治資金パーティーについてもお伺いをいたします。

 政党支部への企業献金も私は脱法的なことだというふうに思いますが、もっと堂々と政治家が企業からお金を受け取れるのが政治資金パーティーであります。

 総務省の説明では、パーティーは寄附ではなくて政治団体のイベントなので、企業から参加費をもらってもオーケーだ、こういう御説明であります。しかし、政治資金パーティーとは、名前のとおり、お金を浮かせて政治資金を稼ぐためのものであります。企業は、別にパーティーが好きでチケットを買うわけではありません。政治家に見返りを求めて資金提供をするためにチケットを買うわけであります。

 岸田総理の個人の政治団体の収支報告書も拝見をいたしました。年間一億円を超えるパーティー収入があり、同じ企業が繰り返し何度も百五十万円のパーティー券を買っているわけであります。特定の企業が政治家個人に、パーティー券の形で巨額のお金を流している。

 そもそも、リクルート事件は寄附が問題だったのではありません。企業から政治家への資金提供が問題となったわけであります。したがって、当時、政党助成金と引換えに進められた政治改革の本来の目的は、企業献金の禁止ではなく、企業から政治家への資金提供の禁止であったはずであります。

 重ねて伺いますが、企業によるパーティー券の購入を禁止をしなければ、企業から政治家個人への寄附と何ら変わりがないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 政治活動に対する献金の在り方につきましては、これまで数次にわたり政治資金規正法の改正が行われ、企業、団体からの政治活動に関する寄附、いわゆる企業・団体献金については、現在は政党、政治資金団体に対してのみ認められております。

 他方、政治資金パーティーに係る収入につきましては、政治資金規正法上、当該パーティーへの参加の対価として支払われるものであるので、政治団体の事業収入として位置づけられているものであり、寄附とは性質が異なるものと考えております。

 政治資金パーティーも含めた政治資金の規正の在り方につきましては、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連していることから、各党各会派において十分御議論いただくものと考えております。

井坂分科員 パーティーは対価を払っているものだという御説明ですけれども、これも全ての国会議員が知っていることでありますが、本当にその対価に見合うものを提供しているかといえば、これは政治資金を浮かせるためのイベントですから、物すごいお金をわざと浮かせるわけですよね。本当に対価性があるんだったら、こんなぼったくりパーティーはほかにないというぐらいのものが政治資金パーティーの実態ではないかなというふうに思います。

 ちょっと重ねて大臣に、この件、お伺いをいたしますが、やはり、流れを本当に素直に見れば、企業が政治家に資金提供するリクルート事件が大問題になって、そして、国民負担の政党助成金、政党交付金をつくる代わりに企業から政治家個人への献金が禁止をされたわけであります。

 しかし、パーティーの形で企業から政治家個人への巨額の資金提供が堂々と行われている現状は、リクルート事件を反省した政治改革の趣旨、目的から完全に外れるのではないかというふうに思いますが、大臣の受け止めだけお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 私は今、ここでは総務大臣として答弁をさせていただいている立場でございまして、先ほどからも申し上げてまいりましたが、政治資金規正法につきましても、様々これまで各党各会派において御議論をいただいて、政治活動の自由や政党の活動の自由などの面と政治の信頼を回復する必要性ということで、議論の末に現行の法が定められているというふうに理解をしておりまして、現行法に反することは許されないことはもちろんでありますけれども、現行法の在り方について私からここで今コメントするのは、特に、選挙も運営自身は私どもの所管でございますので、差し控えさせていただけたらと思います。

井坂分科員 残念ながらお答えは難しいということでありますけれども、是非、元々どういう経緯で政党助成金ができたのか、企業からのお金がないから民主主義のコストを国民の皆さんに負担をしていただこう、政党助成金、政党交付金ができた経緯を真面目に考えれば、国民の皆様にお金だけもらっておいて、一方で、政党支部への献金はオーケーだ、さらには、パーティー券の購入はオーケーだということであれば、私は、もうこれは火事場泥棒じゃないかと怒られても仕方のない今状況だというふうに思います。

 これはもう、なかなか進まないということであれば、政治と金の問題、こういうこと一つ取っても、やはり、政権交代可能な緊張感をしっかり我々つくっていかなきゃいけないなというふうに改めて思う次第であります。

 続きまして、これはがらっと変わりますけれども、エビデンスセンターということについてお伺いをいたします。

 先日の予算委員会で、少子化対策について数々の御提案を申し上げました。そして、少子化対策には実際何兆円というお金がかかる割に、何をすれば出生率が上がるのかということはまだ定かでないわけであります。本当に効果があって再現性のある政策を選ぶためにも、エビデンスと呼ばれる科学的根拠を専門的に取り扱うエビデンスセンターが必要だという御提案も申し上げました。

 政府は、現在、行政事業レビューという形で、各事業の担当者がどれだけ効果が出たかを数字で測定して報告をしています。事業の効果を測定する取組として、一歩前進という意味では評価をいたしますが、行政事業レビューでやっているのは、アウトカム指標であったり、目標管理というもので、エビデンスと呼べるレベルのものでは全くありません。

 政策により何かの数字が仮に増えたとして、その政策と因果関係があるのか、その政策をやらなかった場合と比べてどうなのかといったことが分からないと、いわゆる風が吹いたらおけ屋がもうかったのでもっと風を吹かせようというおかしな議論になるわけであります。

 エビデンスの確かさということについても、様々なレベルがあります。大臣にお伺いをいたしますが、システマチックレビューとかランダム化比較試験といった高いレベルのエビデンスはなかなか難しいにしても、やはり、政策をやったときとやらないときの最低限の比較ぐらいはして、科学的に効果のある、きちんとエビデンスに基づいた政策立案をすべきではないかと思いますが、大臣の御所見を伺います。

松本国務大臣 今おっしゃいましたように、政策の評価というのは大変大切だと思っておりますし、また、その意味では、エビデンスということも重要であろうというふうに思うわけでありますけれども、政策評価を実施するに当たっては、私どもも、各府省において、政策評価法等に基づき、適切な評価指標を設定して、政策効果の把握に努めているものと認識をしているところでございます。

 総務省においても、データ等を活用して政策と効果との因果関係を分析する実証的共同研究に取り組み、その結果を各府省に提供するなど、各府省における政策効果の検証を支援してきたところでございます。

 その意味で一つ、今お話がありましたけれども、やはり、条件をいわばそろえて行う科学的な実験と実際にいわば動いている社会において展開する政策の効果をどう測るかということは、なかなか課題があるところではないかというふうに思うわけでありまして、特に、今お話があったように、あった場合というのは、政策の性質にもよろうかというふうに思います。

 政策を介入したものと介入をしていないものと比較をするといった場合に、この政策が例えば何らかの支援をするとかいった場合ですと、支援をするしないといったようなものを同じ条件で二つに割るということは、不公平を生ずることにもなりかねないということもありますので、具体的にどのような形で、今お話があったようなランダム化比較試験のようなことを行うかというと、必ずしも容易でない、課題があるというふうには考えてきているところであります。

 また、エビデンスのレベルというお話がありましたけれども、エビデンスの収集にかける時間やコストと、政策をどのぐらい急いでいるのか、実行するスピードとの兼ね合いというのも留意をしなければいけない課題ではないかというふうに思っております。

 総務省としては、各府省において的確な政策効果の検証が行われるように、国内外で蓄積されたエビデンスなど、政策の現状把握に必要となるデータの作成や利活用や、人材育成への支援、実例の整備、蓄積などにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

井坂分科員 今大臣がおっしゃった様々な留意事項や課題というのは、それは私も認識をしております。全ての政策がきれいにエビデンスが取れるわけではないというのも御指摘のとおりです。

 ただ、やはり私は、今政府がEBPM、エビデンスに基づく政策形成ということを掲げている割には、肝腎のエビデンスということについて、かなり大ざっぱな、適当な捉え方になっているというところについて、ちょっと議論をさせていただきたいという趣旨で申し上げました。

 エビデンスの活用についてもお伺いをしたいと思います。

 政府の行政事業レビューは、その政策の効果を数字で表して、最後は、財務省が効果があるねと認めてくれれば翌年度もその事業が続けられる、主にそういう使われ方だと思います。

 私が、エビデンスと呼ばれる、効果があって再現性がある科学的な証拠を測定すべきだと提案する理由は、エビデンスをきちんと取れれば、それがほかの政策にも活用できるからであります。

 例えば、ある自治体は、ごみの不法投棄を減らすために、何も張り紙をしないごみ捨場と、それから、いろいろな種類の張り紙を貼ったごみ捨場、こういうことを本当に試験的にパターン化を行って比較をした。その結果、こういう張り紙をすると市民の行動が一番変わってごみの不法投棄が減りましたねという、まさにエビデンスが得られたわけであります。

 そして、このエビデンスは、別にごみと全く関係ない分野であっても、市民の行動変容を迫る、市民の行動を変える政策を考えるときには活用できるということになります。また、更に言えば、ほかの市のごみの不法投棄を減らすためにも、その市のエビデンスは活用ができるわけであります。

 参考人にお伺いをいたしますが、政府が現在やっている個別の事業評価だけでなく、エビデンスを蓄積をしてほかの政策に生かす仕組みが必要ではないかということ、さらには、政府のエビデンスと自治体や企業のエビデンス、お互いがそれを共有をして、それぞれの政策やサービスに相互に生かせないかということ、エビデンスの活用についてお伺いをいたします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでありまして、総務省として、各府省がそれぞれ行っている政策効果の検証の取組が広く行われまして、その情報が活用されるように、総務省として、国内外における様々な効果検証の取組の実例の収集、蓄積、また、取組の実例をベースに、政策の現在地の把握や改善に資する情報を得るための指標の設定方法、効果の把握、分析手法の整理などを行いまして、得られた知見やノウハウを各府省に提供する、こういったことをまず進めてまいりたいというふうに思っています。さらに、統計関係部局等の関係機関とも連携をいたしまして、必要となるデータの作成、利活用、人材育成の支援などにも取り組んでまいりたいと思います。

 さらに、そうした情報を御指摘のように各方面で使っていただけることが重要だというふうに考えますので、私どもとしても、情報発信の工夫には努めてまいりたいというふうに考えてございます。

井坂分科員 ありがとうございます。

 続きまして、事前領域の予防的な政策のエビデンスということについてお伺いをいたします。

 これはどういうことかといいますと、例えば病気の人にどんな薬が効くのかということは大変エビデンスを測定しやすいテーマであります。しかし、元気な人々にどうすれば病気にならないかといった予防政策は、エビデンスを測定しようという明確な目的を持って政策を実行しなければ、なかなかエビデンスは得られません。

 参考人に伺いますが、このように事前領域、事が起こる前の問題で予防的な政策を、エビデンスをしっかり取れるようにデザインをしながら実行するということが大切だと思いますが、いかがでしょうか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 予防的な政策などにつきまして、効果の把握の手法を検討する、政策を設計するに当たりましては、その効果の把握が簡単なもの、難しいもの、なじむもの、なじまないものというものがあろうかと思いまして、そういうものを見極め、整理することが必要だと思っております。

 その際、先ほど大臣からもございましたけれども、改善に必要な、設計に必要なエビデンスの収集にかける時間、コスト、それと政策を実施するスピードとの兼ね合い、こういったことにも留意する必要があると考えてございます。

 私どもといたしまして、そうした点も踏まえて、できるだけ幅広く実例の収集、分析を行って、各省の支援に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

井坂分科員 ありがとうございます。

 最後に、このテーマで大臣にお伺いをいたします。

 科学的で再現性のある本来のエビデンスを測定すること、またエビデンスをほかの政策に活用すること、またエビデンスを取れるような政策実行をデザインすること、これらはなかなか各省庁の現場の職員さんが簡単にできることではありません。総務省がそれをやるというふうに御答弁ではおっしゃってくださっていますけれども、イギリスでは、ホワット・ワークス・センターというエビデンスの専門機関があって、エビデンスの収集、評価、それから活用、またエビデンス取得のデザイン、こういったことを一貫をして専門家集団が行っております。現場の職員さんのエビデンスに基づいた政策立案、政策実行、また政策評価をサポートしているわけであります。

 日本でもこれから、少子化対策や社会保障など、どの政策が効果的かということを真剣に考えなければいけない課題が山のようにございます。

 大臣に伺いますが、日本にもイギリスのようなエビデンスセンター、エビデンスの専門家集団、専門部署が必要ではないでしょうか。お伺いをいたします。

松本国務大臣 前例のない課題に直面する我が国においては、機動的かつ柔軟に軌道修正しながら前進するアジャイルな政策展開が重要でありまして、その際、政策の実施状況や効果、現状を的確に把握するためにも、EBPMを一層推進することは重要だというふうに認識をしております。

 今、分科員からもお話がございましたが、エビデンスの収集と活用は、各府省が行う政策の企画立案において重要であり、総務省においては、各府省の取組を支援する立場から、個別の政策評価や行政運営改善調査等を通じてエビデンスを収集し、政策選択に御活用いただくほか、個別事業の効果検証も行い、事業実施府省に提供するなどの取組も行ってまいりたいと思います。

 そもそも、エビデンスの定義で、分科員はかなり厳密に、やはり再現性であるとか科学的な側面を取り上げておいでであります。

 私自身もお話を伺っていて、先ほどの不法投棄の件も、新たな試みにチャレンジされる自治体には、そのお取組、自治のお取組には敬意を表したいというふうに思っておりますが、それぞれ政策判断されるに当たっては、エビデンスを取るべく、貼ったところと貼らないところをつくるのか、一定の効果が見込めたら全地域で早く不法投棄が解消されるようにするのかもそれぞれの多分御判断だろうなと思いながらお話を伺ってきたところでありますが、総務省では、各省の政策決定に当たって、公的統計の政府横断的な調整を図る立場でもございます。

 統計というのは、今、分科員がおっしゃっているエビデンス、再現性とかそういうエビデンスとは少し違うかもしれませんけれども、データという意味ではやはり、一つ、政策の効果を図っていく、広い意味ではエビデンスではないかという立場から申し上げると、この統計については、新たな五か年計画である公的統計基本計画について今年度中の作成を目指しておりまして、品質管理を徹底するとともに、時代の変化等に対応した有用な統計の整備を進めることとしているところであります。

 御指摘のあったイギリスのホワット・ワークス・センターなど、諸外国のエビデンスの収集、活用の取組も参考にしながら、引き続き、総務省が中核となって、政策の現状把握に必要となるエビデンス、データの収集、蓄積、提供や各府省への支援に取り組んでまいりたいと思っております。

井坂分科員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 最後、残された時間、オープンRANということについてお伺いをいたします。

 大臣は二月七日の所信演説で、我が国が主導的な立場を目指せるオープンRANの推進、展開ということを述べられました。

 オープンRANとは、携帯電話の基地局などが無線ネットワークの仕様、インターフェース仕様を共通化して、異なるメーカーの機器を接続してもネットワークが構築できるようにする取組であります。携帯電話会社が場所や状況に応じて様々なメーカーの機器を組み合わせたり、あるいは5Gで携帯以外の様々な用途に合わせたソリューションが提供できるものであります。

 ちょっと質問を一つ飛ばしますが、オープンRANの海外展開について。

 日本の携帯大手四社は、既にオープンRANの取組を始めています。また、アメリカやイギリスもオープンRANに前向きであります。新興国はこれから5Gの整備が始まりますが、従来の垂直統合型設備を入れるのか、それとも、最初からオープンRANで始めるのかをこれから選択してもらうことになります。一方、ヨーロッパ諸国は、既存のクローズの仕組みの方が有利と考えているのかどうか、オープンRANの導入に慎重というふうに聞いております。

 参考人に伺いますが、日本が先行して有利なオープンRANが世界標準となるかどうか、新興国への普及と同時に、オープンRANに慎重な国の巻き込みが極めて重要になると考えますが、どうするのか、お伺いいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 オープンRANは、多様なサプライヤーの参入を可能とし、特定のサプライヤーに支配されない安全、開放、透明な5Gネットワークを実現することができる点において優れており、我が国においては商用化も進んでおりますが、御指摘のとおり、新しい技術であるがゆえに、その導入に慎重な国ですとか事業者もあると承知しております。

 そのような中でオープンRANを推進、展開する上では、我が国と同じくオープンRANに積極的な国ですとか事業者とも連携しながら、第三国、慎重な考え方を示す第三国において理解の醸成を図り、オープンRANに対する国際的な支持を広げていくことが重要だと考えております。

 このため、総務省におきましては、外国政府や事業者が参加するワークショップですとかセミナー、政府間対話等の場を積極的に活用しまして、オープンRANに関する我が国の取組ですとか、その優位性を紹介するとともに、オープンRANが安心、安全なネットワークの構築に寄与する点を訴えるなどして、海外における普及に向けて取り組んでいるところでございます。

 私ども総務省としては、引き続き、こうした取組を通じて、このオープンRANの国際展開、支持拡大に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

井坂分科員 重ねてオープンRANに関して、国内の携帯大手に対する支援ということについてお伺いをいたします。

 大臣が所信でおっしゃった、この分野で今日本がリードしているというのは、実は、もう既にドコモと、それから楽天あたりが大規模な商用利用を国内で始めている、そして、その中で、基地局の運用とかノウハウ、技術が世界の中でも先行しているというのが、日本が今リードしている理由であります。まさに日本がこの分野でリードする競争力の源がこの二つの携帯通信大手であります。

 参考人に伺いますが、この二社を始めとする国内携帯大手のノウハウや技術の更なる強化、また、海外展開にどのような支援ができるのか。この分野のリードを保つという趣旨でお伺いをいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国では幾つかの事業者がオープンRANを採用しているということで、より多くの機器メーカーの参入を促していくというために、国内におきましては、産学官によるオープンRAN推進の組織が設立され、オープンRAN市場への参入を促進する取組が進められておるところでございます。

 総務省におきましても、オープンRAN機器の認証拠点であるJapanOTICの設立、運営の支援などにも取り組んでいるところでございます。

 また、そのオープンRAN、こういった新しい技術の高度化に当たりましては、我が国企業がこういった優位性を有する技術の国際競争力を更に高めるべく、その高度化に向けた研究開発の支援などを行っているところでございます。

 また、その海外展開に当たりましては、例えばオープンRANの優位性を示すため、我が国企業が海外で行う実証事業への財政的支援、こういったものなどを行っておりまして、例えば我が国企業と連携しながらオープンRAN技術を用いたローカル5Gネットワークを海外において構築しまして、その国のニーズに合わせたユースケースでの実証を行うなどの取組を進めているところでございます。

井坂分科員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。

熊田主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、第二分科会ということで、総務省関連、また地方自治体関連ということで、少し幅広に質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 なお、松本大臣におかれましては、御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 質問を始めますが、今月十日に、関東でも大雪の予報がありまして、各地で高速道路の通行止めなどがありました。私の地元の長野県松本市では、二〇一八年以来の二十センチ以上の降雪がありまして、高速道路など主要道路が相次いで通行止めになり、JRも運転を見合わせ、松本空港でも欠航が相次ぎました。

 この数年は大雪が常態化しておりまして、その都度、大規模な立ち往生などが発生をしております。二〇二〇年には関越自動車道、二〇二一年一月には北陸道で一千台の車両が立ち往生するなどの事態が頻発しております。また、直近十年では、全国で雪害による死者が、自然災害による死者の四割に達している状況であります。

 これらの対応として、昨年の二月には、大雪等に係る特別交付税を繰り上げて交付していただくなど、政府においては機敏な対応を取っていただきましたことは、豪雪地帯の自治体は大変助かったところでございますが、各地の現況を鑑みますと、特に、除排雪の担い手の確保や除排雪体制の整備への支援策が急務と感じます。

 この点につきまして、昨年の質問でも取り上げさせていただきましたが、現在の取組状況についてお伺いをいたします。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 豪雪地帯につきましては、近年の大雪等、困難な状況に直面していることを踏まえまして、また最近の動向等も踏まえまして、令和四年の三月に豪雪地帯対策特別措置法を改正していただきました。これに基づきまして、我々の方としましては、除排雪の担い手の確保ないしはその体制の整備についても含めまして、豪雪地帯対策基本計画を令和四年十二月に閣議決定させていただいたところでございます。

 また、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金という交付金がございまして、これに基づきまして、除排雪の体制の整備、それぞれの地方自治体が進めようとしています体制の整備につきまして、現在、支援を続けておりまして、これは令和三年の補正予算で創設しまして、現在も引き続きこれを実施しているところです。今のところ、二十九の自治体の皆さんに御活用いただいております。

 我々といたしましても、この交付金の活用等々をしっかり進めながら、また関係省庁と連携し、担い手の確保も当然含めました、安全な除排雪体制の整備の推進に取り組んでいくというふうに考えておるところです。

 以上です。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 今御答弁のあったとおり、この十二月九日に改正をされました豪雪地帯対策基本計画、ここで新たに今回新設されたのが、担い手の確保、また除排雪体制の整備、この二つについて新設をされましたので、実効性を高める取組を是非ともお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほども触れましたけれども、いざ大雪になりますと、大渋滞、立ち往生が発生をしてしまいます。気象庁や国土交通省、地方自治体などが、大雪の備えといたしまして、ネットやメディアあるいは業界への働き等、あらゆる手段をもって、大雪に対して準備をするよう呼びかけておりますが、しかしながら、なぜか起きてしまいます。高速道路も、早く通行止めにして渋滞が発生しないというところもあれば、立ち往生を起こしてしまうところもある。

 当然、相手は自然ですので、雪の降り方を完全に予想することは現在の科学技術でもできません。現場では最善の取組をされていると思いますが、これまでのことをしっかりと検証をして、次の大雪対策に生かしていただきたいと思っております。

 そこで、高速道路や直轄国道におきましては、関係機関の緊密な情報共有、除雪体制の強化など、通行止めをできるだけ発生させないための事前対策の更なる充実を図ること、また、やむを得ず高速道路や直轄国道の通行止めを実施した場合は、早期の規制解除に向けた集中除排雪体制の強化などについて、関係機関と連携を強化して取り組むこと、この二点についてどのように対応していくのか、見解をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路などの幹線道路における冬期の道路交通の確保は、地域経済や社会生活を支える観点から重要と認識しております。このため、一昨年度の関越道や北陸道での大規模な車両滞留の発生などを踏まえ、出控えなどの行動変容を促す呼びかけの実施、カメラの増設など、状況を把握、共有する体制の強化、除雪機械の増強や消融雪設備の整備などに取り組んできたところでございます。

 しかしながら、この冬も、記録的な大雪などにより、新潟県内の国道や三重県内の高速道路などで、解消までに長時間を要する大規模な滞留が発生いたしました。こうした大規模な滞留事案では、状況把握や、並行する道路管理者を始めとした関係機関との情報共有などに課題があったものと考えております。

 国土交通省では、こうした事案を踏まえ、降雪期前からの関係機関との体制確保や除雪機械の増強などの事前対策を進めるとともに、除雪能力を超える降雪などにより通行止めを行う場合への対応として、関係機関が連携した状況把握や情報共有の徹底、並行する高速道路と国道の同時通行止めを基本とする運用の徹底、近隣工区からの除雪車の応援や事前配備、並行する道路の除雪の進捗状況などに応じた一部車線での交通開放など、関係機関が連携した取組を強化してまいります。

 このような取組により、冬期の交通確保に努めてまいります。

中川(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、大雪や災害に大きく関連する防災行政無線についてお伺いをします。

 近年の台風災害ですとか豪雨災害で被災された方からよくお聞きしたことは、大雨にかき消されまして、防災行政無線が聞こえづらい、何を言っているのか聞こえないということでありました。

 昨年、この点につきまして私も質問させていただきましたが、その時点では、防災行政無線を整備している市区町村のうち八八%で、屋外スピーカーからの声が聞き取りにくい場合の対策といたしまして、戸別受信機の導入がされているとのことでありました。また、消防庁としても、防災行政無線の機能強化、戸別受信機の配備促進、また、災害情報伝達手段の多重化を促進しているとのことでしたけれども、現時点での整備状況について、まずお伺いしたいと思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 防災行政無線等を整備している市区町村の割合は、令和三年三月末現在で八七・五%でありましたが、令和四年三月末現在では九五・八%、八・三ポイントの増となっております。

 また、防災行政無線等を整備している市区町村のうち、戸別受信機を整備している団体は、令和三年三月末現在で千三百三十五団体でございましたが、令和四年三月末現在では千四百四十四団体。百九団体、八・二%の増となってございます。

中川(宏)分科員 今、全国の整備状況が九五・八%ということで、これは非常に頑張っておられると思います。

 まず、整備が進んだ要因としての施策について御説明をいただきたいと思います。また一方で、これは極めて、一〇〇%にしていくことが大事であると思いますけれども、整備が進んでいない地域につきまして、何が課題となって整備が進んでいないのか、また、整備に向けて、これからどんなお取組をされていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

澤田政府参考人 消防庁では、災害情報伝達手段に関しまして、技術的な知見を有するアドバイザーを派遣いたしまして、自治体職員に対しまして技術的提案や助言を行うとともに、地方財政措置を講じるなど、防災行政無線等の整備率の向上に取り組んでまいりました。

 これに加えまして、防災行政無線と同等の機能を有し、かつ、効果を発揮できる手段としまして、これまで、FM放送を活用した同報系システムなど五つの手段を挙げておりましたところ、昨年度の有識者検討会における耐災害性等の検討結果を踏まえまして、携帯電話網を活用した情報伝達システム等の三手段を追加し、計八手段としたことも、整備率の向上の要因でございます。

 次に、整備が進まない自治体があることにつきまして、令和四年七月に行いました、未整備の自治体へのヒアリングにおきましては、面積が広く集落が点在しているために整備費用が高いこと、また、災害が少ないことから必要性を感じないなどが理由と聞いております。

 引き続き、整備費用に対して地方財政措置を講じるとともに、整備の必要性や財政支援措置について説明会を開催するなど、未整備団体に対して、より一層強く働きかけてまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 今、進んでいない状況の要因といたしまして、地域の要因と、あと災害の有無というお話がございましたけれども、災害は、いつ、どこで起こるか分からない、こういう状況の中で、やはり一〇〇%に持っていくということが極めて大事だと思いますので、様々な要因がありますけれども、お取組を是非ともお願いしたいというふうに思っております。

 それで、この防災行政無線も導入されてから相当期間がたちまして、施設が老朽化している地方自治体もあります。また、災害情報伝達手段の多重化といいましても、地方では財源を捻出するのが大変だと言われております。

 この地方の老朽化した防災行政無線の高度化、また財政面での支援についてお伺いをしたいと思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 アナログ防災行政無線のデジタル化や、音が聞こえやすい高性能スピーカーの設置等の機能を強化する場合におきましては、手厚い財政措置でございます、緊急防災・減災事業債の活用が可能でございますので、こういった財政措置を利用していただき、普及をしていただければと思います。

中川(宏)分科員 続いて、情報伝達に関連いたしまして、Jアラートについてでありますが、昨年も北朝鮮による弾道ミサイル実験やミサイル発射が相次ぎまして、Jアラートの伝達がうまくいかなかった市区町村がありました。国民の生命と財産を守る上で、この事態を重く受け止め、今しっかりと検証していただいていると思いますけれども、防災行政無線とJアラートの連携について、お取組をお伺いしたいと思います。

澤田政府参考人 総務省消防庁におきましては、弾道ミサイル情報等をJアラートによりまして迅速かつ確実に国民に伝達できるよう、市町村の防災行政無線のほか、音声告知端末など、様々な情報手段の活用を推進しております。

 昨年の発射事案の際には、複数の市町村におきまして情報伝達に支障が生じたことを受けまして、それらの団体に対して原因究明と再発防止を要請するとともに、その他の情報伝達手段の活用も含め、今後の情報伝達に支障が生じないことを確認したところでございます。

 また、全国の市町村を対象に毎月の受信確認試験を行いますとともに、Jアラートと連携をした情報伝達手段を用いて、住民に対する実際の情報伝達を行う全国一斉情報伝達試験を年四回程度の頻度で実施し、動作の確認を行っております。

 今後とも、Jアラートと連携する防災行政無線等の情報伝達手段について、複数の手段による多重化や動作確認、動作点検を行うことにより、緊急情報が迅速かつ確実に国民の皆様に伝達できるよう取り組んでまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 次に、地方行政に関連をいたしまして、ガバメントクラウドについてお伺いをいたします。

 地方公共団体の情報システムを標準化いたしまして、令和七年までにガバメントクラウド上に構築された標準化システムに移行するというものであります。

 地方公共団体では深刻な人材不足でありまして、特にデジタル人材は大変な状況と思います。また、このデジタルという世界、ITやIoT、デジタルプラットフォーム、通信の進化というのは、ムーアの法則以上の技術革新が現在起きております。

 ガバメントクラウドの現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月に閣議決定しました地方公共団体情報システム標準化基本方針では、地方自治体の基幹業務システムにつきまして、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととしてございます。

 標準化対象の二十業務全ての標準仕様書が昨年八月末に策定、公表されてございますけれども、現在、ベンダーの開発工数でありますとかコスト削減のために、機能要件のうち、実装を必須とする範囲の見直しを行っております。

 また、行政区など政令指定都市特有の制度や人口規模、処理件数に応じた機能が十分か、関係市と連携して点検を行うなど、標準仕様書の確定に向けた調整作業を鋭意進めているところでございます。

 また、全国の地方自治体にガバメントクラウドの利用を第一に検討いただけますよう、先行事業の検討状況を公表するなど、引き続き、ガバメントクラウドの利用マニュアルや推奨するシステム構成などの情報を提供していきたいと考えてございます。

 今後も、引き続き地方自治体やベンダーの御意見をしっかりと聞きながら、統一、標準化の取組を着実に進めてまいります。

中川(宏)分科員 是非ともお願いいたします。

 特に小さな町村については、本当に人材がいないという中で、相当悩まれていると思います。都道府県との連携も含めまして、そういった小さな町村が取り組める体制を是非とも取っていただきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、地方公共団体として、森林の整備への課題もございます。

 地球温暖化対策で、脱炭素社会を実現するための一つの策として、自治体が森林を整備、管理して保全するための財源といたしまして、二〇二四年から森林環境税が導入をされます。これに先行いたしまして、一九年度から、森林環境譲与税として、国からの交付金が各自治体に配分をされております。

 先日、我が党から、この森林環境譲与税の交付金を活用していない自治体が四七%あることから、森林保全に向けた取組を加速するように政府に御要望をさせていただきましたが、改めて、政府として、活用されていない要因をどう見ていて、今後、農水省として、どう活用が推進されるように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 市町村における森林環境譲与税の活用額は、令和元年度の六十五億から、令和二年度は百六十三億、令和三年度は二百十七億円と着実に増加はしてきていますが、例えば令和三年度についても、譲与額に対して六四%の活用にとどまる。議員御指摘のとおり、令和元年から三年度の累計で、基金の積立額は譲与額の四七%というふうになっております。

 こうした中、森林環境譲与税の取組状況について市町村から聞き取りを進めておりまして、基金に積み立てている理由につきましては、例えば、今後森林整備に活用する予定であるんだけれども、今は森林所有者への同意調査等の準備段階で活用額が少ないということであるとか、譲与額が少ない市町村におきましては、複数年度まとめて活用したい、そういった声があります。一方で、課題としましては、具体的な使途を検討中であるとか、市町村の体制が不十分である、そういったことの声も聞かれているところでございます。

 こういった中、農林水産省としましては、課題の解決に向けまして、譲与税の具体的な使い方を示したポジティブリストを作りまして配布する、さらには、全国の優良事例を収集し共有する、体制の強化につきましては、市町村が森林・林業の技術者を雇用する等の地域林政アドバイザー制度、そういったものの周知や、研修等による体制強化、そういったことを進めているところでございます。

 その結果、令和四年度の活用予定は四百五億円と、譲与額に対して九二%の活用見込みとなるなど、今後、一層本格的な森林整備等の取組が見込まれる状況となっております。

 農林水産省といたしましては、貴重な財源である森林環境譲与税がより一層効果的に活用されるよう、引き続き市町村の支援に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

中川(宏)分科員 私の住む長野県ですが、県の面積の七九%が森林でありまして、そのうち人工林の割合は四二%となっております。

 先ほど、未活用が四七%と言いましたが、長野県の生坂村では、この譲与税をしっかりと活用をしております。この村では、交付金の九二%を執行いたしまして、災害対策としての、ライフライン沿いの森林整備などに活用をしております。この村の森林の所有形態は、九一%が私有林。全体の三三%が保安林に指定をされておりまして、そのうちの九八・八%が土砂流出防備保安林となっております。森林整備は、村民の命と財産を守るために、この村の大きな課題であります。

 この森林環境譲与税の譲与基準は、地方において森林整備が計画的に行われるよう設計をされております。基準を決めるそれぞれの割合ですが、私有林人工林面積が五〇%、林業就業者数が二〇%、人口が三〇%、これを考慮して決められております。生坂村では、人工林率が一三%と、県平均の四二%に比べてとても低く、また人口も少ない村であります。村内の林業専門事業体が少ないため、譲与税額は県内で下から三番目の低さになっております。

 例として言わせていただきましたけれども、このように人口が少ない自治体であっても、森林整備のニーズが多い場合、少しでも多く譲与税が配分されるように見直しができないかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 森林は、地球温暖化防止や災害防止等の公益的機能を有しまして、広く国民一人一人がその恩恵を受けております。このことを踏まえまして、御指摘のございました森林環境税及び森林環境譲与税は、納税者の理解を得つつ、森林整備等に必要な財源を確保する観点から、国民の皆様にひとしく負担を分かち合っていただくものとして創設された制度です。

 令和六年度からは森林環境税の課税が開始されます。制度の安定的な発展のためには、全国の地方団体において、この譲与税を、川上における森林整備はもとより、川下における木材利用等に一層有効に活用し、森林のない都市部の住民を含めまして、全ての納税者の理解を深めていくことが重要であると考えております。

 御指摘の点につきましては、令和五年度与党税制改正大綱におきまして、「各地域における取組みの進展状況や地方公共団体の意見を考慮しつつ、森林整備をはじめとする必要な施策の推進につながる方策を検討する。」とされております。今後、この方針に沿いまして、どのような方策が必要か、丁寧に検討してまいります。

中川(宏)分科員 是非、丁寧な検討をお願いしたいというふうに思っております。

 そして、森林のCO2吸収能力ですけれども、高齢化をした森林では吸収量が極端に減ると言われております。高齢化した森林の植え替えは、地球温暖化対策にとって大変有効であります。

 今、近年のウッドショックなどの影響によりまして、国産木材に注目が集まっておりますので、森林整備を地方自治体が後押しできる環境に力点を置くべきだと思いますけれども、この取組についてお伺いをしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 我が国の人工林は、議員御指摘のとおり、高齢級化に伴い、CO2の吸収量が減少していくことが見込まれており、森林吸収量を確保するためには、切って、使って、植える循環利用を確立して、森林が吸収した炭素を木材の利用拡大により貯蔵するとともに、伐採した跡地に成長の旺盛な若い森林を造成するなど、適切な森林整備を行うことが重要だと考えております。

 このため、森林整備事業により、森林所有者等が行う間伐とか再造林等を支援することに加えまして、森林所有者が自ら手入れを行うことが困難な森林について、森林経営管理制度により、先ほどの森林環境譲与税も活用して、市町村が経営管理の委託を受けて森林整備を実施しているところでございます。

 こうした取組を通じて、市町村等により適切な森林整備が進むよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

中川(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 あと、私の住む長野県は、この森林とともに、地方自治体の課題といたしまして、農産物の様々な問題もあります。その中で、今日は害虫について質問させていただきます。

 二〇一七年八月に、長野県原村におきまして、日本で初めてテンサイシストセンチュウが検出をされました。早速九月には対策検討会議が行われまして、防除対策の方針を決定し、翌年の二〇一八年四月末から防除対策が行われまして、二〇一九年三月末までの期限で行われる予定で様々対策が講じられてきましたけれども、根絶が難しく、二〇二四年三月末まで延長されることが決まっております。

 この間、農林水産省といたしまして、根気強く、また生産者の方に寄り添った対応をしていただいており、心から敬意を表するところでございます。

 そこで、質問を一つ飛ばしまして、これまでの状況を見ますと、防除区域になった圃場の生産者が所有します、防除区域外の別の圃場で新たに本害虫が検出された例が多くありました。これは農業機械の共有が原因であると強く推定されるところでありますけれども、生産者としましては、害虫の被害拡大を防ぐために様々対策をしていると思いますが、どうしてもここを防ぐことが難しいようであります。

 この防除区域外の別の圃場に拡散されてしまう要因をどのように見ているのか、見解をお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、原村において、同一生産者の距離的に離れた圃場で本線虫が確認された事例がございました。海外でも、シストが土壌の付着した農機具の移動により分散するとの知見があり、また、本線虫が土壌の調査で検出される密度に至るまで増殖するためには一定の期間が必要であることから、本線虫が確認される以前に、委員御指摘のとおり、農業機械の共用による土壌の移動が本線虫の蔓延の要因になった可能性が高いと考えております。

 このため、本線虫の蔓延を防止するためには、使用した農業機械からの土壌の除去等を徹底することが必要であると考えております。二〇一七年に原村において本線虫が確認された際には、このことについて速やかに通知を発出し、長野県を通じて現地の生産者に対して指導したところであり、現在も、引き続きこれらの対策に取り組んでいるところでございます。

中川(宏)分科員 時間がないので最後の質問とさせていただきますが、長いテンサイシストセンチュウとの戦いで、農水省として、やはり輪作が効果があると伺っていますけれども、輪作するにしても、生産者に聞きますと、一つの作物でも作れるようになるのは大変な苦労があるというふうに伺っております。

 生産者に輪作を勧める上で、農水省として、どのような課題があり、この輪作をどのように推進していくのか、最後にお伺いをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、病害虫による農作物の被害を防止する観点から、輪作への取組は非常に重要と認識しております。

 この点、例えば、北海道の畑作では、病害虫の発生を抑えるため、三輪作、四輪作が行われており、また、群馬県において、輪作等の導入によりコンニャク根腐れ病の被害を抑制しているといった事例もございます。

 こういったことからも、長野県のテンサイシストセンチュウが発生した地域においても、緊急防除終了後に、その再発を防止しつつ、持続的に農業経営を行っていくためには、輪作の導入が不可欠であるということを産地の関係者の方々にいかに理解していただくかが課題と認識しております。

 このため、現在、長野県原村の防除が完了した圃場におきましては、引き続き土壌消毒を行いつつ、寄主植物と非寄主植物の輪作によりテンサイシストセンチュウの再発を防止する営農体系の実証試験を支援しております。

 産地全体として輪作に取り組んでいただけるよう、引き続き、長野県、JA等とも緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 時間となりました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

熊田主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)分科員 福島二区、立憲民主党、馬場雄基でございます。

 松本大臣、そして自見政務官、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、トルコ、そしてシリアの大地震でお亡くなりになられた方々、そして御遺族の皆様方に改めてお悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、そして、不安なままお過ごしになられている被災者の方々に対してお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 私自身、東日本大震災のときには高校三年生として福島で被災した者です。当時、何の力もない、その中で、たくさんの周りの方々に支えていただきながら、本当に何もできなかった自分を本当に心から恥じております。

 今、日本だけではなくて、世界全体で自然災害が猛威を振るっております。想定外は絶対に許されません。激甚化する広域災害が起きたとき、一人一人の命を守るために、それぞれの地域が一体となり、でき得る限りの全てを尽くしていかなくてはならないのだと思っています。

 そもそも、地域防災を考えた際に、頼りになるはずの消防職員の充足率、こちらは満たされている現状でしょうか。全国平均で七八・三%。一〇〇%に満たない状況がずっと続いております。これが常態化している事態は決して見過ごすわけにはならないというふうに思います。充足率を満たす本気の取組を行っていくのか、あるいは、厳しい地域の現状に合わせて適正な消防力の考え方を総務省さんとして示す責任があるのではないでしょうか。

 消防団員数も軒並み減少です。昭和三十年のときには二百万人がいました。昨年、七十八万人です。かなり厳しい現状が、今浮き彫りになっているのではないでしょうか。私の周りにも、消防団の方々からの疲弊や嘆きの声は相次いでおります。ここまで来ると、さすがに危機だと思います。

 総務省さんとして、消防団員数の減少の原因及び課題をどのように分析なされているのか。また、消防団の環境整備について、総務省さんのお考えをお聞かせください。

    〔主査退席、鈴木(隼)主査代理着席〕

澤田政府参考人 お答えいたします。

 分科員御指摘のとおり、消防団員は年々減少が続いておりまして、令和四年四月一日現在七十八万四千人と、前年から二万人以上減少し、初めて八十万人を下回る危機的な状況にあると認識をしております。

 また、近年、災害が激甚化、頻発化するなど、消防団に求められる役割も多様化してきているものと認識をしております。

 近年、団員数がここまで急激に減少している主な理由でございますが、二十代、三十代の入団者の大幅な減でございまして、その背景といたしましては、人口減少、少子高齢化に加えまして、居住地と勤務地が異なる被用者団員の割合の高まりや、若者層が入団しづらいイメージなどが考えられるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、総務省消防庁といたしましては、社会環境の変化に対応した消防団の運営や、地域の実態に即した災害現場で役立つ訓練等を普及、促進することを目的としまして、消防団の力向上モデル事業を令和四年度から実施しております。

 今後も、地方公共団体の創意工夫に満ちた取組を支援し、横展開を図ることで、全国的な団員数の確保と、それに伴う地域防災力の一層の充実強化につなげてまいりたいと考えております。

馬場(雄)分科員 まさにこの充足率の考え方についても、是非一度、御検討いただけねばならないというふうに私も思います。

 また、地域防災を考える上で最も大切なことは、ステークホルダーを増やし続けていくことだというふうに思います。町全体において、圧倒的な当事者意識が必要不可欠です。そのためには、地元企業や学校などの協力が必要不可欠ではないかと思うわけです。

 その中で、仕組みづくりを問うたとき、地元の方に伺うと、昔は、消防団に入ることで一人前になったというふうに言われたというようなお言葉もいただきました。今ではなかなか聞かれなくなった言葉かもしれません。

 昔は農業や自営業の方が多かったです。しかし、今は会社勤めの方が多く、会社の理解を得られなければならない、あるいは一人一人の暮らしそのものが疲弊さを増している、そういった現状があるのだというふうに思います。

 だからこそ、例えば、これからは提案に移りますけれども、地元企業が消防団に参加しやすいように、消防団に加入した方を雇用している企業に対しての税制優遇措置であったり、これをすることによって、地域全体の防災力を高め、当事者意識を持つために必要なインセンティブをその企業さんに与えていくことも私は必要だというふうに思います。

 また、団員さんが手にしている報酬あるいは出動手当などを課税対象から外していただくことはかなわないでしょうか。皆さん、汗を流して地域のために力を尽くしている状況です。その願い、その思いに応えてほしいと私は願っています。

 加えて、学校との連携においては、学校で行う防災教育だけではなくて、地域全体で学び合える体制を整えていくべきだと考えております。公民館などで行われている事例も数多く知っておりますけれども、あくまで一部であって、多面展開されている状況とは思えません。

 是非とも、松本大臣の下で、現場が動きやすいように、地域連携の具体策、この場で是非ともお言葉をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

松本国務大臣 まず、先ほど、シリアとの国境付近のトルコで地震が発生したことに言及がございましたが、私からも、亡くなられた方の御冥福をお祈りし、御遺族の方にお悔やみを申し上げるとともに、おけがをされた方の回復を心からお祈りを申し上げ、お見舞いを申し上げたいと思います。

 我が国の国際緊急援助隊もトルコへ赴きまして、救助救援活動にも携わっていただいておるところでございますが、消防職員、常備消防と消防団の連携によって我が国の地域防災、消防が担われているというふうに私も認識をしております。

 消防団は地域防災力の中核を担う存在でありまして、消防団を中心に地域企業や学校など様々な主体が連携して防災に取り組むことは、地域を災害から守るために重要であるというふうに私も認識をしております。

 総務省消防庁では、例えば消防団と企業や大学との連携など消防団の様々な主体との連携について、消防団の力向上モデル事業による支援や事例の横展開などを図ることにより、全国の消防団において実施していただけるよう取り組んでいるところでございます。

 近年の災害の激甚化、頻発化なども踏まえ、今後も、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に向けた取組について、スピード感を持って、より一層推進してまいりたいと考えております。

馬場(雄)分科員 大臣、ありがとうございます。

 消防団への取組、推進、しっかりと私自身もチェックをさせていただきたいというふうに思いますし、是非とも、消防団に加入されている方々を雇用している企業に対する税制優遇措置など、具体的な措置を是非とも検討していただきたいというふうに心からお願い申し上げます。

 空き家の問題に移ります。

 改正法案の提出を検討されていることと承知しておりますし、ここは国交省さんとの連携も必要不可欠な分野だと思います。ただ、基礎自治体の職員さんや地元の方々の声をたくさん伺っていると、どうしても、いても立ってもいられなくて、ここの一問を入れさせていただきました。

 政府は、活用できるものは活用する、いわゆる活用促進の方法と、除去できるものは除去していく解体促進の二つの基本方針を掲げていると承知をしております。しかし、現状がよくなっていっているとは余り思えません。

 現在の空き家の総数は、二〇一八年の調べではありますけれども、八百四十九万戸、二十年間で一・五倍に増えていきました。中には、空き家が密輸に使われてしまっている、密輸の現場として使われているというような事例も発生してきていると伺っております。

 空き家所有者の情報開示でそもそもつまずいてしまっている、そういうふうな行政職員さんの声も伺います。あるいは、空き家の数に対して職員のそもそもの数が、マンパワーが足りないという疲弊さの声も聞こえてきます。特定空き家、この制度もできました。しかし、この定義が分かりづらくてなかなか使えない、こういう声も伺っています。行政職員さんも疲弊している。そして、みんな方針は分かっているんですけれども、それに対してなかなかトライできていない、これが今の現状なのではないかと思うわけです。

 今回想定される改正案では、管理が不十分な物件に対して厳しく管理を求めて、税制優遇措置の解除などを検討していると伺っていますが、これだけでは不十分だというふうに思っています。特定空き家でさえ、基準が分かりづらいという声がありました。少なくとも、その現場の声を生かして次に進むべきだと私は思っています。

 また、岩手県の花巻市の例で、ふるさと納税の返礼品として空き家の管理代行が広がっております。

 地域活性化の観点からも、総務省として、より危機感を抱いて、国交省と一体となった国家一大プロジェクトとして、お互いの知識を共有し合っていく必要性があるのだと私は思っています。行政も民間も、現場の方々が使える、そして使いやすい制度をつくっていくために、松本大臣により一層の働きかけをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

松本国務大臣 人口減少が進む中で、適切な管理がなされていない空き家の増加は、倒壊による保安上の問題や、今も御指摘がございましたが、治安上の問題、衛生上の問題、景観上の問題などが生じ得ることから、重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 総務省においても、空き家対策の推進のため、財政、税制上の所要の措置を講じております。

 財政面では、危険な空き家の除却や空き家の利活用を始めとした自治体の空き家対策の取組に対して特別交付税による措置を講じているところでございます。また、税制では、空き家特措法に基づき除却などの勧告を受けた特定空き家の敷地の固定資産税について、住宅用地特例の対象から除外する措置を講じております。

 さらに、現在、国土交通省では、放置すれば特定空き家となるおそれのある空き家についても住宅用地特例の対象から除外する仕組みが必要との社会資本整備審議会の小委員会からの提言を踏まえ、空き家特措法の改正も含めて検討が進められていると承知いたしております。

 総務省としても、各自治体において地域の実情を踏まえた空き家対策が推進されるよう、引き続き、関係省庁と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

馬場(雄)分科員 大臣、ありがとうございます。

 税制優遇措置、これも、あるのは私も存じているんですけれども、現場の中でどういうふうに使われているのか、また、それが適用されにくいというような声も多々伺っておりますので、是非とも、その点、もう一度、省庁を挙げて、総務省側としてもしっかりと認識した上で、国交省さんと横串を刺して進めていただきたいというふうに願っております。

 続いて、マイナンバーに関する課題に移らせていただきたいと思います。

 初めに申し上げますが、私は、マイナンバー制度の意義を鑑みれば、社会に必要だと信じてきた一人でございます。しかし、余りにも政府の行いが国民の期待をことごとく裏切っていることに正直失望感を否めません。今回、改正案を検討していると把握をしておりますけれども、こちらに関しても非常に不安が残っています。

 報道ベースによれば、現状、マイナンバーを使える業務は法律で厳しく規定されています。しかし、この改正案が通れば、利用範囲を拡大できるようになっていきます。

 個人情報の漏えいリスクを指摘する声は、決して私だけに届いているわけではなく、政府全体にも届いていると思っております。

 事実、余り私も知りたくはなかった事実でしたけれども、年次報告書、各年度出されていると思います。件数を調べさせていただきましたけれども、二〇一七年度から二〇二一年度まで、五年間で少なくとも約六万二千件、個人情報が紛失及び漏えいなどにさらされていたのではないでしょうか。余りにも信じられなくて調査室さんにも伺いましたけれども、同じような数字が出てきました。

 もう一つ、私自身がおかしいというふうに思ったのは、重大な事態という言葉です。重大な事態。これは、私、元々銀行員ですけれども、正直、やはり納得できないんです。一人の個人情報の漏えいもあってはならないというのが銀行の鉄則です。しかし、今回、個人情報保護委員会でどのように捉えられているのか。規則によれば、そのまま読み上げますと、漏えいなどが発生し、又は発生したおそれがある特定個人情報など、本人の数が百人を超える事態となっています。

 言葉遊びなのかもしれませんが、一人の情報漏えいも重大だと私は思っていますし、この捉え方こそ私は重大な事態だというふうに感じてならないわけです。個人情報を丁寧に大切に扱うという政府の意識そのものが感じ取れないというのは、決して私だけではないんだというふうに思います。

 そこで、デジタル庁さんに改めて伺いたいと思うんです。

 国民からの懸念の声もあります。実際に情報流出するという重大な事態も起きています。その中で、対応強化、どのように取り組まれていくのでしょうか。事態が起こっている以上、今までの延長線上ではいかないというふうに思いますけれども、是非とも伺わせてください。

湯本政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度につきましては、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤であると考えているところでございます。

 その上で、マイナンバー制度につきましては、安心、安全を確保する観点から、制度面及びシステム面で各種の対策を講じております。

 具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置の義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導を行うことといったようなことや、行政機関等の保有する個人情報は、一元管理をせず、各行政機関等で分散管理し、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用するなど、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとすることなど、個人情報保護に配慮した仕組みとしているところでございます。

 今後とも、制度の安全性について丁寧で分かりやすい広報や周知を行い、国民の不安や誤解が払拭されるよう、関係省庁一体となって今後とも必要な対応をしていきたいと考えているところでございます。

馬場(雄)分科員 ごめんなさい、今のだと私は全く納得ができないんです。そのままの延長線上で行うということであって、この五年間、全く情報漏えいに関することが改善なされていないというのが残念ながら事実なのではないんでしょうか。だからこそ、今までの延長線上だけではない、更に踏み込んだ対応、対策というものが私は求められてならないというふうに思うわけです。

 マイナンバーの制度の意義はもちろん私も理解しています。ただし、国民の利便性の向上と言うならば、言うならば、政府の都合だけを押しつけるのではなくて、是非とも聞いてください、国民のその姿にしっかりと寄り添っていただきたいんです。

 例えば、マイナポイントの事業。これは確かに、ポイントが付与されてうれしかったという方々の声もたくさん聞いています。でも、これは結局税金です。税金なんです、二兆円かかっているんですよね。

 そして、突然、紙の健康保険証を廃止する宣言であったり、あるいは地方自治体においても、地方交付金の算出をマイナンバーカードの交付率に、それを算出する基準にするという突然の報告もございました。これが国のやり方であっては私はならないと思うんです。

 マイナンバー制度を本当に国に必要な制度だと信じているならば、ポイントとか札束とか、そういったものを国民の目の前に置くんじゃなくて、何でこれが本当に必要なのかということを真っ正面から私は国民の方々に訴えていただきたいんです。国民に説明し、納得しながら進めることができていれば、税金なんて使わずにマイナンバーカードの取得率は上がっていくんじゃないんでしょうか。私だったら、もっと困っている方々のためにこの税金を使わせていただきたい、心から思っています。

 大臣、私は、これ以上国力を落としたくはありません。

 岡山県の備前市、新聞で御存じだと思いますけれども、マイナンバーカードがないと給食費の無償化が得られないという事例が発生しています。悲しいですが、私、これは決して首長だけの責任だとは思えないんです。だって、マイナンバーカードがないと地方交付金が減額されて地域に大ダメージを与えるというのは、国の政策、指針になっていたわけです。これは地域の責任ではなく、私は国の責任だと思っています。

 大臣、どうか適切に政策を進めていただきたいと心から、心から願っています。混乱を招く前に、ポイントとかあるいは札束とか、そういうものを国民の目の前に置くのではなくて、政府として意義をきちんと説明して、理解を得てから、そこから急速に進めていくということ、これがデジタル社会を築いていく上で最も大切なことになると思うんですが、是非とも大臣のお言葉をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

松本国務大臣 今、マイナンバーカードがないと交付税が減額されるというふうにおっしゃったかというふうに思いますが、マイナンバーカードの交付率を普通交付税算定へ反映することにつきましては、デジタル社会推進費のうち、令和五年度、マイナンバーカード利活用特別分として増額する五百億円の一部について、カードの交付率も活用して算定をするというものでありまして、令和五年度の増額分の一部を対象としているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 これは、カードの普及に伴って、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要を的確に算定に反映する観点から、カードの交付率を用いたものであります。

 その上で、今、備前市のことについてお話がありましたが、平成十一年の地方分権一括法の制定以降、国と地方の関係は対等かつ協力の関係にあると認識をしておりまして、自治体独自の施策につきまして、各自治体の自主的な判断によりお取り組みいただくことが基本であり、その独自の施策につきまして私どもからコメントは申し上げることを差し控えたいというふうに思っております。

 備前市の取組については、当該自治体において、住民の御意見や議会での御議論なども踏まえて、丁寧に御検討をいただいて御判断くださるようにと考えており、しっかりと説明責任を果たしていただけたらと思っております。

 分科員もお話しいただいたように、マイナンバー、マイナンバーカードは地方のDXの基盤となるツールであり、住民の皆様にはデジタル化のメリットを享受していただけるものであることから、総務省としては、カードの利便性の向上を図りつつ、その普及促進に取り組んでいるところでございます。

 なお、念のため申し上げれば、カードを取得していない方に特定のサービスを停止するように自治体に要請したことはございません。

馬場(雄)分科員 大臣、本当に恐縮ではあるんですけれども、利便性の向上を図りつつというのが国民に本当に適切に伝わっているのかというところが、極めて私は、教訓として、今、このマイナンバーカード事業、マイナンバー事業ですね、そもそも考えていかなくてはならないというふうに思っています。

 申し上げたとおり、マイナンバー制度の意義は、とても大切なことを言っています。先ほど言っていました三つの観点ですよね。本当に大切だと思っています。ですが、政府の動き方を間違えてしまえば、全てががらがらと崩れてしまいかねない、そういう状況だと私は思っています。今の説明で、私は正直納得できません。それに、私に声を届けてくださっている方々も恐らく分からないというふうに思います。

 マイナンバーカードの、そしてマイナンバーのセキュリティーに関することも、マイナンバーカードの意義についても、是非とも丁寧に丁寧に、大臣、是非ともよろしくお願い申し上げます。本当に心からお願い申し上げます。

 ちょっと時間がないので、済みません、次に進めさせていただきます。

 最後になります。ここでは本当は、正直、取り上げることが適切ではないのかもしれませんが、発言した当事者でもあるということで、子供関係予算について、自見政務官に伺わせていただければというふうに思っております。

 本日、本当にお忙しい中、まず、お時間を取っていただきまして、ありがとうございます。本日は分科会ということでもありましたので、私は参考人さんで構いませんということを実は申し上げておりました。しかし、逆に言うと、電話にて、こちらは政治家さんにてお願いできませんでしょうかというような、そういうふうな趣旨のことが返ってきました。正直、行政職員さんも多分困っているのではないかなというふうに感じてならないわけです。是非、政治の責任として、この状況を助けていただきたいというふうに思っています。

 改めまして、十五日に行いました予算委員会にて、子供予算倍増について岸田総理に伺わせていただきました。

 私自身、問わせていただいているので分かるんです。対話の流れもありました。ですが、岸田総理は、その発言の中で、改めてではあるんですけれども、家族関係社会支出は二〇年度で国内総生産比二%を達成している、実現している、それを更に倍増しようとしているというふうに述べられました。しかし、その翌日、磯崎副長官から修正が入りました。期待した子供そして若者にとって、これはショックが大きかったものだと思います。

 今、私の元に、SNS、あるいは電話、あるいはファクス、あるいはお手紙、全て合わせて六千件以上のメッセージが今届いています。中には、奨学金の額が桁違い過ぎて、普通に就職しても三十過ぎてやっと返せる額なんです、どう結婚して子供を産めと。そういうふうな怒りの声。あるいは、子供三人います、お金があれば本気で四人欲しかった、産めたのに諦めたんですという嘆き。ある方は、同世代で第一子妊娠中です、でも、こんな国に産むこと、子に対して罪悪感いっぱいでなりません。そんなむなしさが、今、この日本中にとどろいているんじゃないんですか。同じ日本人の声なんです。これこそ私は国家の危機だと思うわけです。

 私は、彼ら彼女らの皆さん方の声を一丸にして、本気で社会を変えていきたいというふうに思っています。思いに応えていきたいんです。言うだけで終わらせずに実践して、みんなと一緒に、みんなの元にその政策を返していきたいと思っています。

 一連の混乱については、恐らく集中審議で問われることになると思います。私は、発言した当事者としてこれだけは伺いたいんです。修正なんですか。

 政府が繰り返し繰り返し倍増と言われるのであれば、パフォーマンスするだけではなくて、具体的に何を基準にするのか、責任を持って示していただけねば困るんです。こども家庭庁予算ならば四・七兆、少子化対策関係予算ならば約六兆、家族関係社会支出ならば約十兆、それぞれの規模がございます。そして、これは大きな予算が絡むからこそ、やはり防衛関係費とセットで議論していかなくては国家の枠組みが固まらないというふうに思っています。

 改めて、これは国益のために私は必要な議論だというふうに思っております。どうか、政治の責任で、今、はっきりさせるということを言っていただけないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

自見大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘の二月十五日の予算委員会での岸田総理の答弁は、松野官房長官が二月十七日の予算委員会で既に御答弁されておりますが、防衛力強化への取組との比較を問われた際に、政権交代以降、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、必要な支援を進め、子供予算をしっかり拡充してきたことを説明する中で、その一つの例として、国際比較可能な家族関係社会支出、対GDP比という支出で見ると、十年前の二〇一二年度の一・一%から二〇二〇年度には二・〇%まで増えてきたということを、これまでの取組を紹介し、子供予算を更に強化することにより、防衛費との関係においても決して取組が見劣りするものではないという趣旨でおっしゃったものと承知しております。

 したがって、一部報道にあるような、将来的な倍増を考える上でのベースとして、この家族関係社会支出GDP比に言及したわけではないというふうに承知をしております。

 委員からの御質問でもありましたが、というわけでございますので、二月十六日の官房長官の記者会見及び十七日の官房長官の答弁は、総理の発言の趣旨を説明したものであり、総理の答弁を修正したものではないと承知しております。

馬場(雄)分科員 恐らく、そう述べるしか今ほかがないというのは私も重々承知しています。

 嫌らしい質問かもしれませんが、では、こども家庭庁予算ではないのか、少子化対策関係予算でもないのか、家族関係社会支出でもないのか。その点についてお聞かせください。

自見大臣政務官 子供、子育て予算の充実につきましては、財源の議論は重要と考えておりますけれども、現在、財源を考えていくに当たりましても、まずは政策をしっかりと整理する必要があると考えております。

 財源につきまして、あるいは枠組みにつきましても、充実する政策の内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかをしっかりと考えてまいりたいと思っております。

馬場(雄)分科員 恐らく、多分思いは一緒なんだというふうに思っておりますけれども、多分その説明では国民は納得しない。多分分かっていると思うんですよ、分かっていると思うんですけれども、それじゃ駄目だと思うんです。是非闘っていただきたいんです。

 本当に、この六千件のメッセージ、私、涙を流しながら読みました。待っています。待っているんです。防衛関係費だけ先行されて、そして、軒並みあとはもう厳しくて、ずっとずっと後回しの状態になってしまったら、本当に私はいけないんだと思うんです。是非とも、これ以上、期待を抱かせて絶望への転落を若者にさせないでください、子育て世代にもさせないでください。本当に心からお願いしたいと思います。

 今日はお願いさせていただくことばかり申し上げて本当に恐縮ではあるんですけれども、野党の今の立場としてはこれしかできないんです。今のこの質問が全てなんです。どうか政府が動いてくださることを信じて、信じて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木(隼)主査代理 これにて馬場雄基君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 松本大臣、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 最初に防衛省に伺いますが、防衛力整備計画では、沖縄県那覇市に司令部を置く陸上自衛隊第一五旅団を増強し、師団へ改編するとしております。改編の目的に国民保護を掲げていますが、これは具体的にどういうことですか。

小野田大臣政務官 お答え申し上げます。

 そもそも、この一五旅団の師団への改編の目的等でございますけれども、新たに策定した防衛力整備計画に基づいて、第一五旅団の師団への改編を計画しており、現在の一個普通科連隊を二個普通科連隊に増強すること等を検討しております。

 これにより、事態生起時における対処や国民保護の実効性の向上が図られると考えており、このような部隊配備等は、力による現状変更を許容しないという我が国の意思を示し、島嶼部を含む南西地域への攻撃に対する抑止力、対処力を高めることで我が国への攻撃の可能性を低下させるものであり、沖縄県民、ひいては我が国国民の安全につながるものでございます。

赤嶺分科員 要するに、増強したら国民保護の実効性にも役立つと言っているわけですが、それは具体的にどういうことですか。

小野田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、事態生起時における対処や国民保護の実効性の向上が図られるというところでございますけれども、例えば、一般に、普通科連隊を含めて、陸上自衛隊の部隊が増えることによって、災害派遣や国民保護といった活動に割ける人員も増えることになりまして、実効性の向上が期待されるところと考えております。

赤嶺分科員 要するに、増やした自衛隊員を、有事という事態が起こったときには、そこにも派遣できるということをおっしゃっているわけですね。そういうことですね。

小野田大臣政務官 具体的な内容につきましては、先ほど申し上げた陸上自衛隊においての一五旅団を強化し、南西方面の防衛体制を強化するとともに、国民保護の実効性向上を図ることとしておりますけれども、そのための、例えば部隊等の整備の具体的な内容については、今後検討してまいりたいと思っております。

赤嶺分科員 私、一五旅団を師団化して、そして有事の事態にも対応できるようにするという、この考え方に非常に大きな疑問を持っております。自衛隊が住民保護を実施する、こう言いますが、ジュネーブ条約は、民間人と戦闘員、民用物と軍用物とを区別し、軍事目標のみを攻撃の対象とすることを定めています。

 我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、当然、自衛隊は軍事目標になります。その自衛隊が国民保護に積極的に関わることは、住民をかえって危険にさらすことになるのではありませんか、防衛省。

小野田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生、いろいろな御指摘をいただいておりますけれども、第一五旅団の師団化というのは、力による現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、島嶼部を含む南西地域への攻撃に対する抑止力、対処力を高めることでございます。我が国への攻撃の可能性を低下させるものであり、沖縄県民、ひいては我が国国民の安全につながるものと考えております。

赤嶺分科員 事態発生も想定の中に入れているわけですよね。

小野田大臣政務官 あらゆる場面を想定して動いております。

赤嶺分科員 何か、抑止力でもそういう有事の事態が起こらないかのような答弁をして、私の、ジュネーブ条約上、国民保護に自衛隊が携わるのは、これは軍用物となって攻撃の対象になるんじゃないかという、これにまともに答えようとしておりません。

 総務大臣に伺いますが、国民保護は総務省に第一義的責任があります。防衛省は、安保三文書に基づいて沖縄の陸上自衛隊を増強して、国民保護に積極的に関わっていこうとしています。これは、ジュネーブ条約の軍事目標主義に照らし、住民保護に逆行すると思いますが、総務大臣はいかがですか。

松本国務大臣 今、戦時国際法のお話がございました。残念ながら、私どもが今、目にするのは、戦時国際法違反の事例を見ているわけでありますが、その点からも、この度の戦略三文書の改定による、このことを含めた防衛力の強化は、我が国の抑止力を高めて、国民の生命、身体、財産を守る国民保護に資するものと考えておりまして、あらゆる事態を想定して対応を準備することこそが抑止力を高めているというふうに考えております。

 その上で、分科員御指摘の戦略三文書の改定における自衛隊の体制強化等に係る内容やジュネーブ条約の解釈については、総務大臣としてはお答えする立場にございませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、この度の戦略三文書の改定においては、国民保護の実効性を高めるための取組として、円滑な避難に関する計画の速やかな策定、住民避難等の各種訓練の実施などが盛り込まれているところであります。

 総務省としても、国民保護のための体制強化に向け、有事の際に国民の生命、身体、財産の保護に係る措置が円滑に行われるよう、政府の各省庁や地方公共団体、指定公共機関など、様々な主体と密接に連携して取り組んでまいります。

 そして、今も申しましたように、有事の際にしっかりと国民保護のための体制が行われることそのものが、一つの大きな意味での抑止力にもつながってくるものと考えております。

赤嶺分科員 有事の事態が発生して、国民保護に自衛隊の能力を発揮しようとする、それは、まさにジュネーブ条約違反の現状のいろいろなことが起きておりますが、自ら軍用物としての攻撃の対象になり、国民保護に逆行するのではないか。国民保護は総務省の、総務大臣の責任ですよね。これは逆行すると思いますよ。

 その点を、何か抑止力だ、抑止力だと言うけれども、一方で、有事の事態に役立てるために自衛隊を増強すると言っているわけですよ。これは明らかに、ジュネーブ条約上、非常に危険な事態を招く。

 もう一点あります。

 今回の安保三文書は、第一五旅団の改編だけでなく、民間航空機と船舶、空港、港湾の利用についても、自衛隊の機動展開能力の強化と国民保護の双方を目的として拡大するとしております。

 しかし、これは沖縄戦の教訓に真っ向から反するものです。かつての一九四四年の沖縄戦における一〇・一〇空襲、その一〇・一〇空襲では那覇港が真っ先に攻撃対象とされました。当時、軍事物資の主要な積み揚げ港になっていたからです。沖縄本島南部で多数の犠牲者が出たのも、当時の第三二軍が、首里の司令部が陥落した後に、住民が避難していた南部に撤退しながら、戦争を継続することを決めたからでありました。軍民を混在させないというのが、あれだけの犠牲を出した沖縄戦から酌み取るべき教訓です。

 軍事活動と国民保護を一体で進める方針というのは、これは総務大臣の立場からも撤回すべきだと思いますよ。軍民混在は国民保護にならないというのが沖縄戦の最大の教訓ですよ。今もってそういうことが、沖縄県民の主張、あるいは首長の中での主張でもあるわけですよ。いかがですか、大臣。

松本国務大臣 私ども総務省は国民保護の役割を担っておりまして、あらゆる事態に備えて国民保護の実効性を高めるための取組として、円滑な避難に関する計画の速やかな策定、住民避難等の各種訓練の実施などが盛り込まれているところでございまして、総務省としては、国民保護の体制強化に向けて、有事の際に国民の生命、身体、財産の保護に係る措置が円滑に行われるよう、政府の各省庁や地方公共団体、指定公共機関など、様々な主体と緊密に連携して取り組んでまいります。

 申しましたように、このことで国民保護のための体制を強化してまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 大臣、軍民混在が非常に危険な事態を招いたという歴史の教訓、これに何か感想はありますか。

松本国務大臣 申しましたように、私ども総務省としては、私どもの使命である国民保護の体制をしっかりと強化をしていくことが使命であろうというふうに思っております。

 委員が今おっしゃったことについて、その意義等も含めて、私としては今ここでのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺分科員 軍民混在が総務省が目的とする国民保護にも逆行するものであるということを指摘しておきたいと思います。

 安保三文書は、持続性、強靱性の一環として自衛隊司令部の地下化を盛り込んでいます。防衛力整備計画の五年間でどれだけの施設の地下化を進める計画ですか。

    〔鈴木(隼)主査代理退席、主査着席〕

小野田大臣政務官 お答えします。

 防衛力整備計画においては、粘り強く戦う態勢を確保するため、主要司令部の地下化を実施することとしております。

 現時点では、既に現地調査を行っている舞鶴地方総監部と令和五年度予算案に所要の経費を計上している健軍駐屯地、那覇駐屯地、築城基地、新田原基地及び那覇基地において司令部の地下化を計画しておりますけれども、そのほかの主要司令部の地下化については決まっておりません。

赤嶺分科員 今挙げたもの以外は検討中というわけですが、防衛力整備計画の五年間で四十三兆円という予算額を決めているわけですよね。なぜ明らかにできないんですか。弾薬庫は七十棟増やすという計画を先日明らかにしています。地下化についても明らかにすべきではありませんか。

小野田大臣政務官 先ほど申し上げさせていただいた場所についての予算に関しては、令和五年度予算案においての五十七億円の計上の詳細は出しているところでございますけれども、今後、令和六年度以降の事業につきましては、個々の事業をいつどこで実施するかについては、省内の検討に加えて、関係機関等との調整等を経て各年度の予算編成過程で定まるものであることから、現時点においてお示しできないということを御理解いただきたいと思います。

赤嶺分科員 自衛隊の地下化というのは、沖縄に限らず、九州含め全国で進めていくということになるわけですか。

小野田大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、現時点ではお示しできないことを御理解いただきたいと思います。

赤嶺分科員 場所を示せということではなくて、これは沖縄に限定せずに全国で進めていくということですか。

小野田大臣政務官 先ほど挙げましたとおり、全国のそれぞれの駐屯地や基地に対して進めているところでございますけれども、今後については、抗堪性の向上というものを防衛力整備計画の中に示しておりますので、今後、検討してまいりたいというふうに思っております。

赤嶺分科員 今おっしゃった、地下化の目的として、抗堪性の向上、強化、これはどういうことですか。

小野田大臣政務官 自衛隊施設の抗堪性とは、主要な装備品、司令部等を防護し、粘り強く戦う態勢を確保するための措置のことを申しております。

赤嶺分科員 粘り強く戦うためのということを指すのが抗堪性になるということですね。つまり、周囲のあらゆるものが破壊されても、司令部は生き残り、戦争を継続できるようにするということです。そのような事態になった場合に、沖縄百四十万県民はどこに逃げればいいのでしょうか。

 総務大臣に伺いますが、国民保護法は地方自治体に国民保護計画の作成を義務づけています。元々できるはずがないことを自治体に押しつけているのではありませんか。沖縄県の県外避難の計画は、これはどうなっていますか。

松本国務大臣 今分科員からもお話がありましたとおり、有事の際に住民の避難等をできるだけ早く実現するためには、平素から関係機関が連携して必要な検討、訓練を進めることが重要でありまして、総務省消防庁としては、地方公共団体における取組を支援しているところでございます。

 特に、沖縄からの住民の県外避難については、島から外へ出る避難となりますので、輸送手段の制約という特有の困難がございますので、国が積極的に支援を行うことといたしているところでございます。

 今年度末には、特定の事態を想定したものではありませんが、内閣官房を中心といたしまして、当省など関係省庁、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力して、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施し、避難の手順を確認、具体化することといたしております。

 総務省としても、市町村における避難の検討への助言を中心に支援を行ってまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 先島諸島、宮古島や石垣市、竹富町、与那国町、多良間村などが挙げられると思いますが、一部の人たちによって脅威があおられている地域でもありますが、こういう島々、県外に避難させるというのは、どの地域をおっしゃっているんですか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、特定の事態を想定したものではございませんけれども、現在、内閣官房を中心としまして、消防庁、関係省庁、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力をしまして、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施し、避難手順の確認、具体化をすることとしております。その中でしっかりと検討していきたいと考えております。

赤嶺分科員 しっかりと検討する、避難先というのも検討の対象に入っているんじゃないですか。

澤田政府参考人 国民保護法におきましては、武力攻撃事態等が認定されました際に、政府による避難措置の指示及び都道府県知事による避難指示を踏まえまして、市町村が住民の避難に係る避難実施要領を定めることとしております。そういった手続も含めまして、先ほど申し上げましたとおり、関係省庁、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力をいたしまして行います武力攻撃予測事態等を想定した図上訓練、この中で検討をしてまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 武力攻撃予測事態から避難をさせるということですか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 国民に危険が迫り、それから避難が必要とされる場合には、武力攻撃予測事態を認定されることになると承知しております。

赤嶺分科員 武力攻撃予測事態の段階から避難する場合に、私、さっき地下化の話も伺いましたが、沖縄戦のときは九州でした。今回も九州ですか。

澤田政府参考人 先ほども御答弁させていただきましたが、この後の、関係機関が連携をしまして訓練の想定をしてまいりますので、その中で検討してまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 避難先が見つかりますかね。例えば、九州でも、築城も重要な基地として地下化しますし、熊本の健軍の基地、宮崎の新田原基地、これは普天間基地の有事の代替機能も持つわけですよね。九州も非常に緊迫した状況がある。

 全国で自衛隊の基地の地下化が進む。全体が非常に軍事緊張が高まっている中で、そういう場所に百四十万県民、あるいは先島の人たちをどうやって避難させるんですか。その図上訓練は可能ですか。

澤田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、有事の際に住民避難等をできるだけ早く実現するためには、平素から関係機関が連携して必要な検討、訓練を進めることが重要でございまして、総務省消防庁としましても、市町村における取組を促進しておるところでございます。

 特に、沖縄県の離島の住民の避難につきましては、島外避難となる場合、輸送手段の制約という特有の困難があることから、国が積極的に支援を行うこととしております。

 先ほども御答弁申し上げましたように、今年度末に、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力をしまして、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施し、連絡体制の確認、空港、港湾等、また輸送力確保、それらを踏まえました避難の手順を確認、具体化することといたしております。

赤嶺分科員 大臣、沖縄戦のときにも学童疎開がありました。九州に主に疎開をいたしました。親元を離れて、生まれたところから疎開をしなさいと言って、住民の納得を得られますかね。今でも学童疎開の体験者は、学童疎開というのは、ヤーサン、ヒーサン、シカラーサン、このように言っているんですよ。ひもじい、そして寒い、寂しかった。こんな住民避難がそう簡単に、できるような答弁をしておりますが、住民避難も、私はこれは大変、不可能だと思っております。

 それから、政府は今、避難施設の指定を各都道府県に促しています。避難施設は全国に何か所あり、そのうち沖縄県には何か所あるのか。具体的にどういう施設を指定しているのか。現時点での避難施設の指定状況を明らかにしていただけますか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 国民保護法に基づく避難施設の指定状況でございますが、令和四年四月一日現在で、全国の指定数が九万四千四百二十四か所、そのうち屋内避難施設は七万三千四百八十八か所、屋外避難施設は五万八千二百九十か所となっております。

 なお、例えば屋内施設である学校の校舎と、屋外施設である学校のグラウンドを併せて一つの避難施設として指定している場合がございますため、今申し上げた屋内施設の箇所数と屋外施設の箇所数とを足し合わせた数は、最初に申し上げた全国の箇所数と一致しておりません。

 次に、沖縄県における指定数は千二百九十五か所、そのうち、屋内避難施設は九百三十六か所、屋外避難施設は千三十四か所となっております。

 種別ごとの内訳につきましては、例えば、学校の屋内避難施設は、全国で三万七千三百十か所、沖縄県で四百十九か所。学校の屋外避難施設は、全国で三万五十七か所、沖縄県で四百八か所。公民館、コミュニティーセンターなどの公共施設の屋内避難施設は、全国で三万三千六百二十一か所、沖縄県で四百九十五か所。公民館、コミュニティーセンターなど公共施設の屋外避難施設は、全国で一万三千九百二十八か所、沖縄県で二百七十九か所となっております。

赤嶺分科員 有事の際に、ミサイルも飛んでくるようなときに、これは総務大臣に伺いますが、避難施設で最も多いのは学校ですよ。直接の攻撃にも爆風にも耐えられないと思います。中には、緑地やグラウンドも指定されているケースがあります。これで住民を守ることができますかね。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 避難施設には様々な用途がございまして、例えば、避難してきた方々に炊き出しなどを提供するための広場や、応急仮設住宅の用地として活用できるグラウンドなども避難施設として指定をされている一方で、弾道ミサイル等の爆風等からの直接の被害を軽減するためのコンクリート造りの堅牢な建物や地下施設などを、緊急一時避難施設として指定をさせていただいております。今申し上げた学校等も、それがコンクリート造りの堅牢な建物に該当する場合、緊急一時避難施設として指定をされている例がございます。

赤嶺分科員 学校って窓ガラスですからね。

 それから、避難施設、今日資料を出しておきましたけれども、避難施設は全部、沖縄の場合は米軍や自衛隊の主な軍事施設、青色で塗っているところです、基地の周辺に避難施設が密集する状態になっています。軍事衝突が起こった場合に、米軍基地や自衛隊施設など軍事施設が標的となります。

 避難施設というのも、実態、リアルな有事に耐えられるものではない。県外避難も不可能。そして、地下化で、全国、抗堪性が求められている中で、避難する場所などないということを申し上げて、ちょっと質問が、時間が足りなくなってしまいましたが、終わりたいと思います。

熊田主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻分科員 日本維新の会の藤巻健太です。

 本日は、貴重な質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速質問の方に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、テレグラムについてお伺いいたします。

 テレグラムとは、秘匿性の高い無料通信アプリのことで、シークレットチャットを使うとメッセージは暗号化して送信されます。暗号化されると、メッセージをやり取りしている張本人同士以外では、運営でさえもメッセージの内容を見ることはできません。また、そのメッセージは自動的に削除することもできます。

 機密性の高いアプリで、情報漏えいリスクは低く安全性も高い一方で、犯罪を行う際の連絡で極めて高い割合で使用されています。犯罪の温床となっているのもまた事実です。今般の一連の強盗事件も、連絡にはテレグラムが使われております。

 技術的なことになるんですけれども、犯罪にテレグラムが使われた際、警察の方でその内容の解析というのは難しいのでしょうか。何か、UFEDというソフトを使えば解析できるという話も聞いたことがあるんですけれども、犯罪にテレグラムのような秘匿性の高い通信ツールを使われることに対する対策というのは練っておられるのでしょうか。

大橋政府参考人 お答えいたします。

 テレグラムにつきましては、秘匿性を担保するために高度な通信技術が用いられているサービスであるというふうに認識しております。

 警察においては、犯罪の取締りのため、最新の技術を有する民間企業や研究機関との技術協力などの取組を含め、各種の情報技術の解析に努めておりますが、個別のアプリにつきまして現状それを技術的に解析することが可能であるかという点につきましては、お答えを差し控えたいと思っております。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 総務省の方では、テレグラムに対して例えば何かしらの規制をするなど、そういうような検討というのはしておられるのでしょうか。

松本国務大臣 分科員からも今お話がありましたが、テレグラムを始めとする一部のメッセージアプリについては、端末間の通信での高度な暗号化が可能であり、メッセージが設定した時間で消える機能があることから、犯罪者間の連絡手段として悪用されている旨の報道があることは承知をいたしております。

 一方で、このような高度な暗号化やメッセージが消える機能は、プライバシーの保護やセキュリティーの確保のために有効であり、また、国際的に見れば、人権擁護活動家などの弱い立場にある人々を保護するといった利用者の利便に資する面もあると承知しております。そのため、こうしたメッセージアプリの提供を一律に制限することは適切でないものと考えております。

 本件を報じた記事の中でも指摘されておりましたが、道具である以上は使い方次第ということではないかというふうに思っております。

 総務省としては、警察庁と十分に相談しながら、電気通信事業を所管する立場から、犯罪対策のために有効な方策について、警察庁を始め政府が一体となって、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 例えば、闇バイトへの応募等をきっかけに犯罪者からアプリを入れるよう誘導され、犯罪の共犯者として巻き込まれるようなおそれもありますので、見知らぬ人からふだん使わないようなメッセージアプリを利用するよう指示された場合には十分注意すべきといった普及啓発を、関係機関と連携して実施してまいりたいと考えております。

藤巻分科員 確かに、おっしゃるように、テレグラム自体に違法性があるわけではございません。

 一昔前、著作権法違反の温床として社会問題となったウィニーも、開発者が著作権法違反幇助で警察に逮捕、起訴されているんですけれども、最高裁で無罪となっております。分かりやすい例でいうと、殺人事件で凶器として包丁が使われたから、その包丁を作った包丁職人を殺人幇助で逮捕したというような話で、これは最高裁の無罪判決も当然かなと思っております。

 テレグラムの話も大臣おっしゃるように同じで、あくまで道具、包丁が殺人に使われているから包丁を禁止しろと言っているのと同じでして、別に包丁自体が悪いわけでも、テレグラム自体が悪いわけではないのは分かります。もちろん、悪用する人が悪いのであって、ただ、包丁は世の中に必須なんですけれども、テレグラムは果たして必須かというところはありますので、これだけ犯罪に使われている実態を見ると、さっきおっしゃっていただきましたけれども、引き続き何かしらの対策の方は打っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 関連して、LINEについてもお伺いいたします。

 これも個別の通信アプリではあるんですけれども、LINEの利用者は今や国内で八千万人とも九千万人とも言われておりまして、日本人の七、八割以上が使っているようなアプリでございます。もはやこれは個別の通信アプリとは言えなく、社会インフラ、公共の公器と言っても過言ではありません。もしLINEで大規模な情報漏えいや通信障害などが起きたら、社会的混乱を誘発しかねないと思っております。

 LINE社の監督省庁は総務省かと思いますけれども、社会インフラの一部でさえあるという認識の下、しっかりとグリップできているのでしょうか。LINE社の業務管理体制についてどうお考えでしょうか。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年三月に発覚しました、日本の利用者の個人情報が海外からアクセス可能となっていたLINEの事案などを踏まえまして、電気通信サービスの利用者の情報の適切な取扱いに関する規律を導入するため、昨年、電気通信事業法を改正し、本年六月十六日から施行いたします。

 具体的には、利用者の利益に及ぼす影響が大きい大規模な電気通信事業者に対して、利用者情報の取扱いに関して情報取扱規程の策定及び届出などを義務づけるとともに、必要な場合には、総務大臣が規程の変更命令などをすることができるようにいたしました。

 総務省としては、電気通信サービスの提供において利用者の情報が適切に取り扱われるよう、指導監督をしてまいります。

藤巻分科員 おっしゃられるように、おととしには、ユーザー情報などが中国のLINE子会社からアクセスできる状態になっていたとして、電気通信事業法に基づく報告をLINE社から総務省の方に行っております。

 それを受けて、先ほどもありましたように、総務省などが方針をまとめて、機密情報や個人情報を取り扱う行政サービスの場合はLINEの利用を原則していないことかと思うんですけれども、そういう意味においては、やはり、LINE社の情報管理などについて少なからず、総務省側としても疑義は多少なりとも抱いているというようなことだと思うんです。

 そういうような状況のLINEが日本中で本当に大きく社会インフラとして使われている現状なんですけれども、そこについて、大臣、どうお考えでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃったように、情報漏えいは大変重要な、深刻な問題であるというふうに考えております。

 近年、デジタル社会の進展に伴って、社会経済活動、国民生活の基盤として、また、自由な情報発信、人と人とのコミュニケーション、多様な情報の収集、利用の手段として、電気通信サービスの重要度は増してきております。

 そのような中、経済活動のグローバル化の進展に伴い、電気通信事業者が国外のデータセンターを活用し、国外事業者へ業務委託を行う実態もございますが、こうした実態を踏まえつつ、利用者情報の適正な取扱いを確保することは極めて重要であるというふうに考えております。

 総務省としては、このような認識の下、今般改正された電気通信事業法の着実な運用など、利用者情報の適正な取扱いに万全を期していく所存でございます。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 先ほどから申し上げているように、LINEはもはや社会インフラでございます。その意識を持って、しっかりとした対応に当たっていただければと思います。

 続きまして、NHK関連の質問の方に移らせていただきます。

 まず、NHKの受信料についてお伺いしたいんですけれども、受信料の支払い率というのはどれくらいなのでしょうか。

稲葉参考人 ありがとうございます。会長の稲葉でございます。

 受信料制度は、そもそも、放送法に基づきまして、NHKが公共放送としての業務を行うために必要な経費を受信機をお持ちの方から公平に負担していただくということで集めさせていただいております。NHKの自主自律を財政面から保障するもの、そういう制度だということでございます。

 お尋ねの支払い率でございますけれども、今年度は、新型コロナウイルス感染症などの影響もございまして、支払い率は七八%になるものと見込んでございます。

 これにつきましては、視聴者の皆様方に、先ほど申しましたようなNHKの公共放送としての役割あるいは現状についての御理解を賜るとともに、それに必要な受信料のお支払いをいただくという御理解をいただくために各種の努力を続けて、受信料の公平負担に努めてまいりたいというふうに思っております。

藤巻分科員 八割弱の人はNHKの受信料を支払っているということだと思うんですけれども、逆に言うと、二〇%の人は逃げ得というか、逆に言うと、ちゃんと支払っている八〇%の人が、正直者がばかを見るような状態になって、国民の間では若干、少なからず不公平感みたいなものがあると思うので、そこについてはどうお考えでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 受信料の公平負担については、重要な課題だというふうに考えております。現在、営業活動を大きく転換しておりまして、NHKならではの放送サービスを通じて、公共的価値を御理解、御納得いただいて受信料をお支払いいただけるよう、新しい取組を進めているところでございます。

 このため、NHKでは、災害時などの安全、安心を支える情報発信を強化するとともに、地域情報のインターネット配信を拡充するなど、コンテンツとサービスの充実に力を入れていくことにしております。

 その上で、電力・ガス事業者など外部企業と連携した契約取次ぎの強化であったり、インターネットを活用した周知、広報などによって契約していただける方を増やし、受信料の公平負担につなげてまいりたいと考えております。

藤巻分科員 やはり、受信料支払いの件に関して不公平感は現状あるというのは、しっかり認識していただきたいと思っております。

 続いて、今の受信料、衛星契約で二千二百二十円で、本年十月に値下げを行うんですけれども、それでも月額千九百五十円です。一方、いつでも大量のコンテンツが楽しめるネットフリックスは九百九十円、Huluは千二十六円、アマゾンプライムに至っては五百円です。コンテンツの内容を踏まえても、個人的にはNHKの受信料、高いんじゃないかというふうに感じているんですけれども、高いんじゃないでしょうか。

 会長は、就任して日も浅く、元々NHK内部の人間ではなかったので、外からNHKのことを長く見ていたと思うんですけれども、一視聴者として、NHKの受信料、高いんじゃないかなと思っていたんじゃないでしょうか。

稲葉参考人 先ほども申し上げましたように、受信料というのは、NHKが行っております公共放送の業務全体の経費を賄うためにいただいているということでございまして、決して番組一つ一つの配信のいわば利用料としていただいているということではございません。

 実際、公平公正で確かな情報を皆様にお届けして、全国のネットワークを活用して間断なく情報をお届けして、皆様の安心、命、生活の安心を守るというようなことをお届けしてございますが、同時に、質の高いエンターテインメントを供給することで皆様のより豊かな文化的な生活の実現に貢献する、こういうことで、このような公共的役割を担っているということに対して受信料で支えていただいているということだと思うんです。

 この受信料については、これまでも各種の営業改革を行うと同時に様々な経営努力も行ってきておりまして、その成果を視聴者の皆様に還元するということで、この十月からは地上契約、衛星契約共に受信料の一割値下げ、委員が今おっしゃったように、衛星契約であれば千九百五十円、あるいは地上契約では千百円に値下げをするということを予定してございます。

 引き続き、限られた経営資源を有効に活用して、高品質なコンテンツを合理的なコストで供給するということで、視聴者の皆様の御期待に沿っていきたいというふうに考えております。

藤巻分科員 おっしゃっていることはよく分かるんですけれども、やはり一視聴者、一ユーザーとしてはどうしても、高いのかなというような感想を持っている人は多いかと思いますので、そこは頭の片隅に入れておいていただければと思っております。

 例えばネットフリックスなんかは、画質によって九百九十円とか千四百九十円とか千九百八十円とか、こういうふうにプランを分けていますし、あるいはバラエティーや音楽番組の制作費用を落としてその分受信料を下げたり、あるいは、バラエティー、スポーツ、音楽番組は映らないんだけれども、ニュースや災害情報しか見られないけれども五百円でいいだとか、プランをたくさん作って料金体系を細分化して、自分のニーズに合ったものを選ぶ、こういうような形にすればみんなの納得感も多少は上がるとは思うんですけれども、こういうことは技術的なものも含めて可能なのでしょうか。御検討の余地はあるんでしょうか。

稲葉参考人 いろいろな御提言をいただいて、それぞれ検討する余地があるのではないかというふうに思っております。

 原則としては、NHKが行っております放送業務全体の経費を賄うという考え方の下で現制度ができてございますので、その中で、聴視される番組の種類とかそういう区分けで受信料の在り方を変えてみるということが、それと両立するかどうかということを含めて検討する必要があるんじゃないかと思っております。

藤巻分科員 ネットがこれだけ広く普及して、多くの動画配信サービスをたくさんの人が利用している状況でございます。ある意味で、NHKもその競争の中に身を投じなければならない状況です。ニュースや災害報道など、NHKに社会的存在意義があるのは十分に認識しておるんですけれども、良質なコンテンツ作りも含めて不断の改革を続けていただければと思います。

 続いて、そのコンテンツの内容について質問させていただきます。

 そもそも、ニュースやスポーツ、ドラマ、バラエティー、音楽、どのような番組をどれほどの時間放送するのか、番組の内容や編成、誰がどういうふうに決めているのでしょうか。

林参考人 お答えいたします。

 NHKの国内放送、国際放送の年間の基本計画は、放送法にのっとり、理事会、経営委員会で審議をした後、外部の有識者で構成される放送番組審議会への諮問、答申を経まして、経営委員会で決定されます。これに基づきまして、番組の内容や放送時間などの具体的な編成の計画を定めております。個別の番組の内容につきましては、各制作現場で番組の編集責任者が判断をしております。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 この場では特にちょっとスポーツ中継に関して聞かせていただきたいんですけれども、NHKの地上波放送におけるスポーツ中継の放送時間に関して、相撲と、それから国民的人気の高い野球、サッカー、これについて教えていただければと思うんです。

 野球なんかは、教育的側面からも甲子園は結構放送してはいるんですけれども、今はあくまで商業スポーツ、プロスポーツというところに限定して、オリンピックやサッカーワールドカップのようなメガイベントのない通常の年で、コロナの影響は除いて知りたいので、二〇一九年以前のものについて教えていただければと思います。

林参考人 コロナ感染拡大以前で、オリンピック、パラリンピックやワールドカップサッカーが開催されていない年を見てまいりますと、冬季オリンピックなども含めまして、過去十年、毎年何らかの大会が開催されております。このため、比較的影響の少なかった直近の年として、二〇一七年度の放送時間について御説明をさせていただきます。

 この年度のサッカー、野球、大相撲の中継は、総合テレビで、一年間で合わせておよそ三百二十六時間放送しております。この内訳を申し上げますと、プロ野球が四十八時間二十一分、サッカーJリーグが十四時間五十一分、大相撲が二百二十五時間五十六分、MLBが三十七時間〇二分です。

 ちなみに、Eテレではプロスポーツの中継は原則として行っておりません。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 野球が四十八、サッカーが十四で、相撲が二百二十五ということで、何で国民的人気が高い野球やサッカーよりも相撲が圧倒的に放送時間が長いのでしょうか。

稲葉参考人 全国放送のスポーツ中継の内容あるいは時間配分につきましては、先ほどメディア総局長の方からお答えをさせていただきましたように、全体の視聴者の関心を踏まえてメディア総局で検討し、その状況については番組編成方針の中で方針を織り込み、それについて番組審議会において、諮問した上、吟味をされ、答申をいただくという形で決定してございます。

 したがいまして、スポーツ中継の一つ一つの時間の長さは、全体の番組編成方針の中で大枠認めていただいているということでございます。それは、有識者から成る番組編成審議会での御議論に委ねられているということです。

 例えば大相撲について申しますと、確かに国民的な人気のあるスポーツでありまして、それから、日本を代表するそういう伝統文化の一つ、年六場所の本場所がある、最近では特に人気も再び高まってきている、こういうような状況を判断して、番組審議会等でもこういった時間配分が適当であろうという御判断をいただいているということでございます。

藤巻分科員 スポーツの枠があるというのは分かるんですけれども、その中での配分がちょっといびつなんじゃないかというふうに感じていまして、国民的人気がある、それから日本を代表するというのであれば、まさにそれが野球、サッカーなんじゃないのかなというふうに私は思うんですけれども。

 NHKのプロスポーツの放送で七割、八割ですか、六、七割、八割、そのぐらいの時間が大相撲に割かれているというのがちょっと個人的には納得いかない部分があるんですけれども、普通に人気のあるスポーツを放送するのでは駄目なんでしょうかね。

 相撲、サッカー、野球、それぞれの観客動員数を教えていただけますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました観客動員数でございますが、大相撲は、年間総入場者数を公表しておりませんが、年間六場所それぞれ十五日間の開催と施設ごとの入場者上限数を基に、仮に最大数の観客が入るとすると、年間九十日、約八十万人となります。

 一方、プロ野球とJリーグは年間総入場者数を公表しており、共にコロナ禍の影響を受けている数字ですが、昨シーズン、プロ野球では年間八百五十八試合が行われ、約二千百万人、Jリーグでは年間千百四十八試合が行われ、約八百万人となっております。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 野球が二千百万人、サッカーが八百万人、相撲は八十万人。これはどう考えても相撲より野球やサッカーの方が人気があると思いますし、経済規模も大きいんじゃないでしょうかね。

 二〇二一年に、日本FP協会が小学生の男の子千五百六十五名になりたい仕事をアンケートしたところ、サッカー選手は一位、野球選手は二位。関取は百位以内にも入っていない。ランク外です。

 子供にも大人にも相撲よりサッカー、野球の方が人気があると思うんですけれども、ちょっと同じような質問になっちゃうんですけれども、なぜここまで相撲にこだわるんでしょうか、NHKは。

林参考人 お答えいたします。

 先ほど稲葉会長から申し上げましたとおり、大相撲については、国民的な人気があるスポーツであると同時に、日本を代表する伝統文化の一つでもあることから、年六回の本場所を中継しております。

 私どもNHKでは、プロスポーツに限らず、アマチュアスポーツも含めて多彩なスポーツをお伝えすることが大事だと考えておりまして、公共メディアにふさわしい、多彩で良質な番組を視聴者の皆様にお届けすることに努めてまいりたいと考えております。

藤巻分科員 多彩なスポーツを放送することが大事だと思っているんだったら、真逆なんじゃないかなと。なぜ相撲ばかりやるんだというような感想を持ってしまうんですけれども。

 八百長、賭博、付け人への暴力、薬物汚染、さらには、ある部屋で集団で暴行を行い、死に至らしめるという事件もありました。これはどこぞやの反社会的勢力の話ではなくて、全てここ十五年で相撲の世界で起きた話です。

 こういった事件が起きているにもかかわらず、NHKは相撲中継を続けております。テレビでの中継があれば、当然、露出は増え、多少の人気は出ます。結果、安心した相撲界は自浄作用が働かない。

 無条件で相撲中継を続けるNHKにも、その責任の一端はあるのではないでしょうか。

稲葉参考人 大相撲に関しまして様々な御議論がある、それから、今の委員の御指摘のように、時間数が不釣合いに多いのではないかという御指摘、様々承ってございます。

 再三申し上げているとおり、これは、私どもの中継の時間配分におきまして、視聴者の代表である有識者から成る番組審議会において、全体として見ればこれで適当ではないかというふうな御認識をいただいているのでやっているということですが、今のような様々な議論が出ているということも併せて審議会の方に情報提供することによって、現状でよろしいのかどうかというようなことを議論を深めてまいりたいというふうに思います。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、私、サッカーファンなんですけれども、サッカーを見るために毎月、月四千円近くDAZNに払っていますし、更に二千円払ってWOWOWに入ろうか悩んでいます。サッカーファンは毎月五千円も六千円も払ってサッカーを見ているんですけれども、相撲ファンはNHKで見放題という、ちょっと、こういう不平等感もあるということも頭に入れていてほしいです。

 ちょっと、くどいようなんですけれども、私がこういう話をすると、相撲は国技なんだからというような話をされるんですけれども、ちなみに、相撲というのは国技なんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、広くスポーツを振興する観点から、特定の競技種目に対し特別の位置づけを与えることは考えておりません。

藤巻分科員 今あったように、相撲は国技ではありません。国技っぽいというだけです。

 そういうことも踏まえて、歴史は確かにあるんですけれども、相撲も一スポーツです。ですので、特別視することなく、スポーツ中継、どういう放送を行うかというのは、慣例とか前例にとらわれず、いま一度、多くの人に楽しんでもらう、スポーツ中継に限った話ではないですけれども、多くの人に楽しんでもらう番組作り、しっかりと心がけていっていただければと思います。

 ちょっと、時間も差し迫っているので、少し最後の方の質問を割愛させていただきますけれども。

 最後に、先月就任された稲葉会長、本当に、日本のメディアの先頭に立つリーダーの一人として大きく期待をしております。自らの使命、それから公共放送の意義、NHKの在り方について、その所信をお聞かせ願えればと思います。

稲葉参考人 私、先月二十五日に就任いたしまして、放送法で定められました公共放送としての役割をしっかり果たしていくべく頑張っていきたいというふうに思っております。

 特に、再三申し上げておりますが、公平公正で確かな情報を間断なく皆様にお届けすることによって、皆様の日々の判断のよりどころになりたいというふうに思っていますし、また、質の高いエンターテインメントの供給を通じて、皆様方の生活がより豊かで文化的なものになるよう貢献したいというふうに思ってございます。

 これらの基本的な考え方に対して、NHKは一丸となって努力してまいりたい、行く行くは、世界にNHKありと言われるような存在になりたいというふうに思っております。

藤巻分科員 本日は、貴重な質疑の機会、ありがとうございました。特に稲葉会長、就任から日が浅く、引継ぎ等お忙しい中で御対応、本当にありがとうございました。

 時間が終わりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

熊田主査 これにて藤巻健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。

 私は、四国比例ブロック選出の新人議員です。第二分科会では初めての質問となります。本日は、委員長、理事の皆様に質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、中学校の部活動の地域移行についてお伺いします。

 現在、文部科学省において、部活動の地域移行がスタートしています。近年、中学生の生徒数の減少が加速化するなど、深刻な少子化が進行する中で、例えば、地方においては部活動の廃部等が増加し、やりたいスポーツや文化活動ができない子供たちが増えてきている、中学校の運動部活動の持続可能が厳しさを増しているという問題、それに加え、競技経験の少ない教師が指導せざるを得なかったり、休日も含めた運動部活動の指導が求められたりと、教師にとって大きな業務負担になっているという問題とが相まって、今、全国で取組が始まりました。

 平成三十年三月に出された運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインでは、生徒に望ましいスポーツ環境を構築する観点に立ち、運動部活動がバランスの取れた心身の成長等を重視し、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指す、また、生徒のスポーツ環境の充実の観点から、学校や地域の実態に応じて、スポーツ団体、保護者、民間事業者等の協力の下、学校と地域が協働、融合した形での地域におけるスポーツ環境整備を進めるとあります。それを踏まえ、現在、四十七都道府県、十二政令指定都市でその実践研究が行われるなど、取組が進められています。

 私たち公明党も、昨年十一月二十九日に部活動地域移行プロジェクトチームを立ち上げて、この問題に取り組み、スポーツ庁、文部科学省とも協議を重ねてきました。

 そんな中、最近、非常に心配な出来事がございました。先週、岩手県に教育関係の視察に行った際に、公明党の地方議員さんから、保護者の方々から、中学校の部活動がなくなると聞いているが、それは本当なのかというお問合せが複数来ているということをお聞きしまして、非常に驚きました。

 私どもの認識としましては、先ほども申し上げたように、少子化が進む中で部活動を持続していくことがどんどん厳しくなってきているので、ガイドラインの中で強調されていた、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築、充実させる、そのために、学校や地域の実態に応じて、スポーツ団体、保護者、民間事業者等の協力の下、学校と地域が協働、融合した形での地域におけるスポーツ環境整備を進める、そういったところが今回の肝要なところであると捉えております。

 今回のこの部活動の地域移行によって、部活動がなくなる、子供のスポーツや文化活動が行われる機会がなくなるなんということはあってはならないですし、もしそうなるのであれば、それは本末転倒、目的とは全く真逆の方向に進んでいってしまうと思うのですが、どうなんでしょうか、本当に今回の地域移行の取組の中で部活動がなくなるんでしょうか。この保護者の中で広がっている不安、疑問について、文部科学省の認識をお伺いします。

伊藤大臣政務官 山崎議員の質問にお答えをいたします。

 少子化が進む中でも、将来にわたり、子供たちが学校を含めた地域でスポーツ、文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保する、このことは重要と考えております。

 このため、文部科学省では、まずは、休日の部活動について、地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備を進めることとしております。先ほど御心配の声があったということでしたが、部活動を一律になくすという方針は示しておりません。

 そして、令和四年度第二次補正予算におきまして各自治体における準備体制の構築に係る経費を、令和五年度当初予算案において運営団体の整備や指導者の確保等に関する実証事業などの経費を計上しております。

 文部科学省としましては、自治体への支援を行いながら、子供たちのスポーツ、文化芸術活動の機会確保のための取組を進めてまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 今回の地域移行の肝の部分だと思っておりますので、なくなるなんということはあってはなりません。

 当初は令和五年度から七年度の三年間で地域移行させる目標時期が示されていたのを、そういった、子供たちがスポーツや文化活動を行う機会が失われるようなことがあってはならないと、地域の実情に合わせて、移行達成の目標時期は明示せずに着実に進めていくということで、そういった指標の変更がなされたというふうに捉えております。

 ただ、その発表と相まって、子供たちや保護者の皆さんに間違ったメッセージが伝わっていると思いますので、その重要な点について、部活動はなくならない、しっかり子供さんたちがスポーツや文化活動を行う機会は確保していくという丁寧な説明とより強い周知を、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、部活動が地域に移行するということは、当然、今までよりも自治体の役割が大きくなってきます。この取組が進んでくる中で、今、全国の首長さんから、この部活動の地域連携についての様々な意見が我が党まで上がってきております。

 昨年十月二十一日に、活力ある地方を創る首長の会、教育再生首長会議が行われ、首長、教育長、職員、地方議員等約七百人が参加し、活発な議論が行われましたが、我が党からも浮島智子衆議院議員が要請を受けて参加し、様々な意見をお伺いしました。その後、同会が部活動に関する緊急調査を行いましたが、それを見ると、次のような課題が上がってきています。

 まず、生徒数の減少に伴い学校の部活動が休部、廃部となったり、部員の減少により他校と合同チームを組まなければ大会に出場できなくなる学校が増えたり、教職員の働き方改革からも部活動の地域移行は重要であるという声に代表されるように、地域移行に関する必要性は皆さん認識されている。

 しかし、現代では、今首長さんの中では不安の声が大多数となっておる面もございます。具体的に、最も多い声が、地方を中心に受皿となる地域のクラブチームがあるのかという御意見が最も多うございますし、これは、私が今現場を回っていても、このことを真っ先に言われる方が圧倒的に多いです。

 緊急調査の中でも、これまで生徒のスポーツや文化芸術に関する部分を学校に頼り過ぎてきたため、部活動の運営母体となり得るような地域の団体が十分に育っていないなどの御指摘がありましたが、やはり、私の地元高知県の現状を鑑みても、子供の数が少ない地域で何もしなくてクラブチームが立ち上がるということは考えられず、今文科省が実施例として挙げている、市町村単位で協議会のような組織を立ち上げ、住民のニーズを把握しながら、住民に、また子供たちに必要な地域クラブを立ち上げていく取組が不可欠であると思います。

 次に、これも全国共通で上がってくるお声が、指導者の人材確保及び報酬について、これも首長の皆さんが非常に心配されているところでございます。

 そして、三点目には、首長さんにとってはこれが最も大きな問題かもしれませんが、財源についての不安を抱えられております。地域によって環境によって大きな差があり、自治体の努力だけでは限界がある、文科省の抜本的な改革を進める上で最大のチャンスとの不退転の決意は十分理解できるが、実際に進めるのは市町村であり、その実現のために財政的支援が必要であるというのが多くの首長さんの本音であると思います。

 そのほかには、移動手段について多くの自治体が懸念事項として挙げています。この部分に関しては、この後出てきます保護者の負担の問題とリンクして非常に重要な課題であり、例えば、子供たちの輸送だけに限らず、高齢者やほかの住民と共用しての移動手段の確保等、自治体単位での取組が必要な課題であると考えます。

 また、保護者負担の問題については大きく二点、先ほどの移動に関する負担とクラブチームに納める活動費の負担が、この緊急調査の中でも多く挙げられています。今までの中学校での部活動でも部費を払っていた部もあると思いますが、種目によっては部費の金額も違い、中には部費を取らない部なんかもあり、そういった生徒の家庭には新たな負担となります。

 そして、前段が長くなりましたが、私が今回、この部活動の地域移行をこの第二分科会で取り上げたかった最も大きな理由として、今回の緊急調査、また、ふだんの私の活動から、自治体としての取組の必要性、これが重要であるというのが多くのお声として上がってきているからであります。

 具体的には、部活動の地域移行は、学校教育、地域スポーツ、地域文化活動の横断的な調整が必要であり、市町村の現場職員の負担が大きい、また、自治体によっては、単一団体では完結できず、市町村をまたいでの調整となるといった横断的な調整力の必要性の指摘や、地域の担い手の数や質、熱量等による地域間の格差や問題が発生するといった指摘、さらには、部活動の地域移行は、単に休日の部活動を地域に移すという話ではなく、教職員の働き方改革と併せて、生涯スポーツの概念を持って取り組むことも大切であるといったお声もございます。

 ほかに首長さんの意見の中には、地域の実情やニーズ等をしっかり把握し、柔軟に対応する必要がある、参加機会の格差など、子供の教育にも影響がない体制としていかなければならない、青少年がスポーツ、文化に親しみ、競い合う機会をどう保障していくのか、そのために、どのようなスポーツ、文化環境を社会全体の中で構築していくのかという御意見が上がってきていますが、まさに、この部活動の地域移動は、この声からすれば、教育環境整備自体であり、まちづくりに直結する問題でありますので、自治体との連携及び自治体の取組がこの部活動の地域移動にとっては非常に重要だと思いますが、文部科学省の見解をお伺いします。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 文部科学省では、国民や地方の声を踏まえて、昨年十二月に策定をしました部活動のガイドラインにおきまして、地方自治体に対し、首長部局や教育委員会、地域スポーツ、文化芸術団体、学校などの関係者から成る協議会等を設置し、新たなスポーツ、文化芸術環境の整備方法等を検討、実行することを求めております。

 その際、地域のスポーツ、文化資源を最大限に活用し、多様で豊かな活動を実現する必要があり、このことはまちづくりにも資するものであるというふうに考えております。各自治体における取組を推進するため、先行事例を全国に周知しており、首長自らがリーダーシップを発揮し、取組を前進させている、そのような例もあるなど、首長が果たす役割は大きいものであると考えております。

 文部科学省として、自治体への支援を行いながら、子供たちのスポーツ、文化芸術活動の機会確保のための取組を進めてまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 そんな中で、今回の緊急調査の中でこういった御意見がございました。

 今回の地域移行につきましては、我が町にとって願ったりかなったりのこととして捉えている、教育だけで解決ができないと分かりつつであっても、学校教育だけで解決しようとしていた環境がなくなることは、学校、生徒、家庭、地域共によいことだと考えていると、今回の部活動の地域移行という課題の多い難しい問題を、むしろ今までの課題を解決するチャンスとして捉えて、これから取組を進めていこうという決意のお声でございました。

 一例を申し上げますと、私の地元四国では、香川県の三豊市におきまして、市長自らが先頭に立って様々な取組を積極的に進められています。

 具体的には、三大課題の一つである受皿については、市長が言われていたのが、市内に少年サッカークラブが五つあるのに、市内にある七中学校の二つの中学校にしかサッカー部がないため、自分の中学校でサッカーを続けられない子が出てしまう、また、かの有名なバドミントンの元世界チャンピオン桃田賢斗選手は実は三豊市出身であり、小学六年生で日本チャンピオンとなりましたが、地元にバドミントンを続けられる環境がなかったので、中学校からは福島県に行かなければならなかった、みんながそのレベルという話ではないが、子供たちがやりたいスポーツや文化活動を地元で続けられる環境をつくってあげたいと奮闘されています。

 また、これを機に、今までなかった魅力的な部を作りたいということで、みとよ探求部という部を作っています。地域の案内人と言われている地域の方と一緒に町を歩き、その人のビジョンや生き方、町へのまなざしに触れて自分のことを深掘りするきっかけにしたり、自らの探求テーマを決めて学び、町の活性化に向けてのプロジェクトを提案していきます。

 過去の探求テーマとしては、思わず外遊びしたくなるような公園を地元に造りたいや、オリジナル競技で地域運動会を開きたい、三豊でもたくさんの留学経験者から話を聞けるコミュニティーをつくりたいなどがあり、子供たちが自由な発想で学び、まちづくりに貢献する姿が目に浮かびます。ほかにも、ビリヤード部なども新設したいと言われていました。

 移動手段については、行きたいときに行きたいところへ行ける乗り合いオンデマンドサービス、mobiによる共通交通の実証研究に取り組んでいますし、指導者の確保についても、いち早く市町村の枠を超えた指導者バンクを創設し、県内全域に募集をかけ、元教員の部活動指導者などの獲得にも動いていたり、また、企業と連携し企画を計画したり、その企業から指導者に来ていただいたり、そういった指導者の確保にも取り組まれています。

 この三豊市の取組を見ても、今回の部活動の地域移行は、我が町に住む子供たちの教育環境整備であり、それはそのまま地域づくりであると思います。今、四国でもこぞって移住者を募っていますが、少し前までの移住を考えている人の自治体への質問が、仕事がありますかが最も多かったようですが、最近では、子供の教育環境についての質問が増えてきているとお聞きしました。

 また、最近は移住とともに関係人口、交流人口に力を入れる自治体が増えていますが、例えば先ほど御紹介したみとよ探求部の取組は、教育の側面から見た場合には、小さいときに地域の人にかわいがられ、交流を重ね、人っていいな、私の住んでいる地域っていいなと思った子供さんは、将来ふるさとに帰ってきたり、あるいは行事に帰ってきたりするようになる、このことを心のふるさとづくりと呼ぶようですが、まさに三豊市の取組はそれであり、持続可能なまちづくりに向けての重要な取組であると思います。

 そこで、持続可能な地域づくりにも密接に関わる部活動の地域移行について、自治体の取組をサポートすべきだと考えますが、大臣の認識をお伺いいたします。

松本国務大臣 山崎分科員お話しいただいたとおり、部活動は、子供たちがスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保するとともに、その個性や能力を発揮し、自主的、主体的な参画を通じて責任感や連帯感を涵養するなど、人としての力をつける場でもあります。

 他方で、少子化の進展等により、これまでの学校単位での体制での運営が困難になりつつあるとともに、やりがいを持って取り組んでいる先生たちも多くいらっしゃるものの、部活動に携わる時間などの負担が過重になっている面も否めず、持続可能性が問われる状況に至ってきたと認識をしております。

 子供たちが部活動から得てきた教育的意義をこれからも変わらずに得られるようにするべく、子供たちのために、学校の部活動を地域に移行する改革が進められていると理解をいたしております。地域単位の活動に移行することで、子供たちが多様なスポーツや文化芸術に接して、幅広い選択肢を得て、専門性を有する指導者に巡り合い、新たな仲間に出会うことが期待されますが、そのための環境整備が必要であります。

 課題については、私どものところにも、全国知事会、全国市長会や全国町村会など、現場に近い自治体の皆様から多くの声が寄せられております。課題として、今、分科員からもお話がございましたが、地域移行の必要性や目的、移行の手順や内容について、地域やスポーツ、文化芸術団体、学校教職員、子供たちや保護者の理解と協力が得られるようにすること、教育的意義を継承、発展させるための学校と地域、関係団体の連携、施設整備や道具などの条件整備、指導者等の人材確保、経済的に困窮する家庭を始め、活動を望む子供たちがその機会を失うことなく、過大な保護者負担とならないようなスキームの構築が挙げられていると承知をいたしております。

 学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備については、文部科学省が昨年十二月にガイドラインを作成、公表し、改革に取り組むこととしていると承知をしており、関係者の十分な理解を得つつ、地域の実情に応じた取組を進めることが重要でございます。

 総務省としても、子供たちの地域クラブ活動に取り組む地域おこし協力隊員の事例を紹介するなど、地域と学校をつなぐ取組を進めてまいります。

 部活動の地域連携や地域移行については、文部科学省において、地域やスポーツ、文化芸術団体、学校教職員、生徒や保護者など関係者の声を受け止め、地方公共団体の意見も丁寧に聞き取っていただきながら進めていただくものと考えておりますが、総務省としましても、国の宝であり将来の地域の担い手である子供たちを育てるため、子供たちに資する改革となりますように、先ほども前向きにお取り組みいただいている地方団体の御紹介をいただきましたが、自治体を支える立場から、しっかりと文部科学省と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

山崎(正)分科員 大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 今回の部活動の地域移行は、中学校においては、戦後、日本の教育の最大級の変化でもあります。地域格差が大きく、多くの課題がまだまだ待ち受けていますが、中途半端で終われば、ただ中学校から部活動がなくなるだけ、これだけは何としても避けなければなりません。

 今般、政府は、こども家庭庁の創設を始め、異次元の少子化対策、子供、子育て予算倍増など、子供優先社会への取組を最重点課題と捉えて進めていますが、そういう意味においても、国の教育の大転換、大変革においては、政府一丸となった省庁横断的な取組と自治体との連携が重要であります。これが成功の可否を握る重要な要素であると公明党としては考えています。何とぞよろしくお願いいたします。

 この質問の最後に、地域移行の三大課題の一つとして感じております人材の確保について、企業版ふるさと納税、人材派遣型の利用も有効だと考えますが、この企業版ふるさと納税、人材派遣型制度が部活動の地域移行に活用可能なのかどうか、内閣府にお伺いいたします。

中村政府参考人 お答えいたします。

 企業版ふるさと納税、人材派遣型は、企業版ふるさと納税の仕組みを活用し、専門的知識、ノウハウを有する企業の人材の地方公共団体等への派遣を促進することを通じて、地方創生のより一層の充実強化を図る制度であります。

 本制度は、派遣された人材が地域活性化事業を行う各種団体等において採用され、寄附活用事業に関与する場合にも活用可能であり、委員御指摘の部活動の地域移行の促進に向けては、当該人材が地域スポーツクラブ等において採用され、部活動の指導に当たるケースが想定されます。

 明後日、二月二十二日には、企業版ふるさと納税の活用促進に向け、地域スポーツの振興などをテーマとした企業と地方公共団体とのマッチング会を開催する予定であり、この中で、部活動の地域移行に関して、事業への寄附を呼びかける地方公共団体もあると承知しております。

 今後とも、地域スポーツの振興を始めとする地方創生の一層の推進に向け、スポーツ庁などと連携して、本制度の更なる活用促進を図ってまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 次に、自治体における買物支援についてお伺いします。

 私が住んでいる高知県は、高齢化、過疎化が全国よりも先んじて進んでおりまして、過疎地域における、特に高齢者の方への買物支援が重要な課題となっています。

 一昔前から、民間の方が軽トラック等の移動販売車で山間部等に点在する高齢者のところを回ってくださり、大事な食料品の供給を担ってくださっています。また、自治体においても様々な取組を行っており、最近では、自治体が車を出し、高齢者の方を車に乗せ、食料品の買物だけでなく、病院や散髪などのサービスも一緒に支援を行っているとのお話も聞きました。

 しかし、それらのサービスが始まった頃から更に加速度的に高齢化が始まり、支援のフェーズというか、難しさ、困難さがもう一段上がってきていると感じます。具体的には、過疎化が進み、点在する高齢者の方の人数も減り、民間業者等の経営が成り立たなくなっています。地域によってはJAが行っているところもあるようですが、現状としては同じく苦戦している状況であると思います。

 そこで、現在、山間部の過疎地域などの条件不利地域における買物支援の取組の現状について、お伺いいたします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 過疎地域を始めとした条件不利地域では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退などにより、食料品や日用品などの買物に不便や苦労を感じる方が増えてきていると認識しております。

 総務省では、過疎地域を始め条件不利地域などの集落ネットワーク圏において、生活支援やなりわいの創出等の地域課題の解決に資する取組を継続的に支援しておりまして、例えば、奈良県川上村では、過疎地域持続的発展支援交付金を活用して、隣町のスーパーと連携した移動スーパー事業や食料品等の宅配事業が行われているなど、買物弱者に対する地域の取組を支援しているところでございます。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 様々な取組を行っているとのことですが、この問題を例えば全体観から捉えたときに、では、人数が少なくなってきたから、そこへの支援は非効率であるから、もっと人がいる集落に住んでくださいと言っても、一筋縄ではいかないのがこの問題の難しさであります。

 平成二十九年に行われた買物弱者に関する実態調査の結果報告において、買物弱者は一過性の対策により解消されるものではないことから、持続的な買物弱者対策の実施が重要、しかし、国においては、買物弱者対策を中心となって取りまとめる省府がなく、網羅的なものとなっておらず、その全体像は必ずしも明らかになっていないとの指摘がされています。

 また、実は、先ほど第六分科会でも同じ問題について質問をしてきたのですが、例えば、農水省のホームページには、「全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務です。」とあります。国の基本的な責務である以上、総務省においても、今後ますます人口減少が進む中で、地域の実情に応じた、よりきめ細やかな買物支援が必要と考えますが、大臣の所見をお願いいたします。

松本国務大臣 分科員から御指摘がございましたが、人口減少や少子高齢化を背景とした流通機能や交通網の弱体化などにより日常の買物機会が十分に提供されていない、いわゆる買物弱者の皆さんは全国的に増加していると承知をしております。

 国民の皆さん一人一人が安心して生活していく上で、健康的な生活を享受できる環境の整備は不可欠でありまして、お困りの皆さんに寄り添って解決に取り組んでいる地域を後押ししていくことは大切だと考えております。

 日常の買物の機会を確保することは、その地域に暮らし続けるために不可欠であります。各地域では、先ほど審議官から申し上げた過疎地域持続的発展支援交付金による取組に加えて、日本郵政等と、これも奈良になりますが、奈良市が連携して買物支援サービスが始まるなど、様々な取組が始められております。

 総務省といたしましては、各府省とも連携しながら、引き続き、地域の実情をよくお聞きしながら、困っている方に寄り添う姿勢で必要な取組を進めてまいりたいと思います。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 是非、自治体や民間に任せっ切りではなくて、総務省がリーダーシップを発揮して、各省庁と連携して、地域の実情に応じたきめ細やかな支援をお願いできればと思います。

 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

熊田主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉川元君。

吉川(元)分科員 立憲民主党の吉川元です。

 今日は、まず、一般財源総額について尋ねたいというふうに思います。

 ちょっと順番を変えまして、先に大臣からお聞きしたいと思うんですけれども、来年度の一般財源総額六十二兆一千六百三十五億円、これは交付団体ベースですが、今年度の六十二兆百三十五億円に比べると、プラス一千五百億円、〇・二四%のプラスとなっております。

 当然、大臣も重々御承知のことかと思いますが、一般財源総額実質同水準ルールということで、骨太の二〇二一の中では、「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、」「一般財源の総額について、二〇二一年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。」このようにされております。

 この「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、」という部分ですけれども、国の一般歳出でいいますと、今年度は六十七兆三千七百四十六億円、次年度は七十二兆七千三百十七億円で、プラス五兆三千五百七十一億円で、率にするとプラス七・九五%となっております。

 国の一般歳出の取組と基調を合わせつつというのであれば、今回の交付団体ベースでの六十二・二兆円というのは果たして適切なのかどうか、まず大臣に尋ねます。

松本国務大臣 経済財政運営の基本方針二〇二一の記載は、今お話があったとおり、地方の一般財源総額については、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされているところでございます。

 そして、これも今分科員からお話がありましたが、これは、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でございます。

 令和五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等が見込まれる中、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ、様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、自治体施設の光熱費高騰への対応として一般行政費を七百億円増額するほか、地域デジタル社会推進費を五百億円増額するなど、必要な経費を充実して計上した上で、一般財源総額について、交付団体ベースで、令和四年度を上回る六十二・二兆円を確保いたしました。

 地方自治体の安定的な財政運営の確保のために必要な額を確保できたと考えており、地方六団体からも一定の評価をいただいたところでございます。

 今後とも、物価の動向や国における対策などを注視しつつ、各自治体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと思います。

 そして、今、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、必要な一般財源の総額の確保に努めたことについて御質問をいただいたところでありますが、その際、国の一般歳出には、地方歳出の動向と連動が小さい防衛関係費の増額等が含まれることなどを考慮する必要があると考えているところでございます。

 今、内容についてはお話を申し上げたとおりでございますが、各自治体の御要望や御期待に応えることが使命でございますので、今後とも、地方財政計画への適切な歳出の計上に努め、必要な一般財源総額を確保してまいりたいと考えております。

吉川(元)分科員 確かに、防衛費が突出して増額されておりますから、それに合わせて国の一般歳出も大きく伸びているということになるんですが、他方、防衛費を完全に除いちゃって見ると、それでもプラス一%の伸びになっています。

 防衛費の増額についてはいろいろな議論がありますし、ここは主に総務省所管のところですので、今日は、あえてそこについては質問いたしませんが、例えば、フレームを見ますと、社会保障関係経費というとプラス一・七%。まさに、社会保障をしっかり現場で担っているのは自治体でありますから、基調を合わせつつというのであれば、少なくとも、この伸びぐらいは、やはり一般財源総額の伸びが必要だったのではないか。

 もちろん、自治体からすれば、一千五百億円とはいえプラスなので、そこは多分評価をされると思いますけれども、実際にそれが地方公共団体、自治体が求める水準に達しているのかというのは、私は甚だ疑問だというふうに思います。

 次に、総務省に伺いますけれども、まさに総額実質同水準ルール、この実質というのは、私もかつて総務委員会の場で議論したことがあります。これは、一つには、同じようなレベルのいわゆる公共サービスを提供できるように、金額の多寡だけではなくて、同じ内容のものが当然提供できるようにという意味も含まれている。

 そして、もう一つ言うのは、一般的に言えば、実質と名目というものがあります。当然、今、非常に物価が上昇しておりまして、例えば、消費者物価上昇率、昨年十二月は、対前年同月比でプラス四%、エネルギーを除くとプラス三%です。それから、国内企業物価上昇率、これも昨年の十二月ですけれども、対前年同月比でいうとプラス一〇・五%と、大幅に物価が上昇しております。

 もちろん、今回の交付税の中には、水光熱費、燃料の高騰で、たしか七百億円が入っているというのは承知をした上で、上がっているのは水光熱費だけじゃないわけで、様々な経費が当然この物価上昇率に合わせて上昇しているということを考えれば、今年度に比べてプラス〇・二%では、全然この物価上昇に追いついていないと考えるんですけれども、これで果たして同水準と言えるんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる一般財源同額ルールの意味でございますが、これは、今大臣から御答弁申し上げましたとおり、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保するという趣旨でございます。

 もちろん、名目物価等も影響がないわけではございませんが、今委員から御指摘がありました物価も、国はそういうことをやっていませんが、地方は住民に接する施設が多いということで、光熱水費七百億円も加えております。それから、社会保障関係費についても、しっかりと伸ばしております。

 一方で、国と違って地方の場合は、公債費が減っていますとか、それから退職手当が定年延長の関係で減っている、こういうことがありまして、今おっしゃったように伸びは若干違っておりますが、地方が必要な財源はしっかり確保した上で、我々は対応したというふうに思っております。地方六団体からも一定の評価をいただいているということでございます。

吉川(元)分科員 評価いただいているというのは結構なんですが、ただ、どう見ても物価上昇率に届いていないんですよ。その分は当然実質的に目減りするというのが普通の、もちろん、人件費に関してはまたちょっと話は違ってくると思いますし、公債費についても違うと思いますけれども、ただ、それを足し合わせたとしても、この物価上昇率には当然届いていない。

 恐らく、総務省の中でも、いろいろな紙を買ったりとか、いろいろなことでお金が、物品の購入を含めて、あると思います。恐らく、それはかなり上がっていると思うんですよね。そうなったときに、果たしてこの上昇率が本当に同水準なのかというのは、私は、やはり疑問に感じざるを得ません。

 次に、マイナンバーカードの交付率を反映させるということについて尋ねたいというふうに思います。

 まず最初に、確認なんですけれども、さきの本会議、地方税、交付税の本会議の代表質問の際に、大臣が、この問題について、カードを利活用した住民サービス向上のための地域のデジタル化に係る財政需要が存在をすることと、そして、今回の交付率の割増し率への反映というのは、決して強引に政策誘導する手法ではありません、こういう答弁がございました。

 改めて、これは確認ですので、イエス、ノーで結構ですけれども、今回のこのマイナンバーの利活用について割増しをかけるということについては、交付税法第三条二項、つまり、条件をつけたり使途を制限してはならない、これに反するものではなくて、あくまで財政需要が発生をするんだということでこういう施策を行うんだということでよろしいでしょうか。イエス、ノーで。

原政府参考人 お答えいたします。

 今回のマイナンバーカードの交付率の反映、全体として五百億円……(吉川(元)分科員「イエスかノーかで結構です」と呼ぶ)そういう意味では、今御指摘のあった政策誘導といったものではございません。あくまでも一般財源ということでございます。

吉川(元)分科員 そうしますと、疑問が出てくるんですよね。

 これは総務省からいただいた資料ですけれども、ここには、上位三分の一から交付率が割増しをされていくというふうに書かれております。これは、つまり、絶対評価ではないんですね。相対評価なんです。

 例えば、絶対評価であれば、交付率が七〇%になればこうした財政需要が発生し得るだろう、八〇%だと更にこういうものが増える、九〇%だったらこうだと。これだったら、まだ理解がぎりぎりできるところなんですけれども、これは相対評価で、七〇%でトップになる場合もあるし、三分の一から漏れる場合もある。

 なぜ、これで財政需要を反映させているというふうに言えるのか、お答えください。

原政府参考人 お答えいたします。

 まず、財政需要の五百億円ということでございますが、これは、私ども調査を行いまして、四年度に、大体、マイナンバーカードを使ったデジタル費用が三百億円ぐらい出てくるというふうに想定しております。調査では、取り組んでいる市町村が千二百団体でございましたので、これが増えるだろうということ、それから、先行団体を横展開するということもございまして、財政当局とも相談して、五百億円というふうなマクロの数字を決めたところでございます。

 その上で、具体的な、では、算定をどうするか、的確にどうやって反映するかということでございます。

 私ども、これもいろいろ精査をしますと、マイナンバーカードの交付率が高いところほど財政需要が多く出ているという傾向がございます。それから、マイナンバーカードの財政需要をいろいろ見ますと、例えば、コンビニの交付手数料の軽減措置ですとか、あるいは書かない窓口、こういったものは、カードが増えると窓口も増えますので、財政需要が比例するということもございます。

 したがいまして、全体として、皆さん、財政需要は増えますけれども、特に高いところは割増しということをやらせていただく予定であるということでございます。

 三分の一ということは、これまでも交付税の世界で、上位三分の一というところで切って、そういった割増しを行っている例もございますので、そのようにしたということでございます。

 相対的という今御議論がありましたけれども、今、マイナンバーカードの交付率をどの時点で算定するか。私ども、なるべく最新の数字を使いたいと思っております。したがいまして、最新の数字、日々動きますので、できる限り近づけてから決めたいということで、ある意味、そこで、今何%ということは申し上げていないということでございます。

吉川(元)分科員 だから、余計分からなくなるんですよ。

 例えば、現段階で上位三分の一に入っている、何%かというのは別にして。それが、この後質問しようと思っていたんですが、算定スケジュールというのは、つまり、交付税法の十条三項の「交付税の額を、遅くとも毎年八月三十一日までに決定しなければならない。」これが恐らく算定スケジュール。これに合わせて、いついつの段階で切って、その瞬間の交付率で上位三分の一に割増しをかけると。

 これって、財政需要とは何の関係もないじゃないですか。財政需要というのは、先ほど私が言ったとおり、七〇%だったらこういう財政需要ができる、八〇%だったら、もちろん、取り組む、取り組まないは各自治体の考えですし、交付税というのは元々使途を限定しているわけじゃありませんから、一般財源ですから、どのように使うかは別にしても、おおよそ七〇%であれば、先ほど言った、コンビニはこうだとか窓口はこうだ、八〇%だったらこうだ、九〇%だったらこうだというふうに、普通、想定されることだろうというふうに思うんですよ。

 ところが、同じ八〇%でも、周りがみんな九〇%以上になっていれば、この三分の一に届かない、つまり割増しがない。一方で、ほかのところが遅くて、大体みんな七〇%ぐらいだったとすると、この八〇%というところは、これは割増し率が非常に高くつくわけです。だけれども、同じ八〇%ですから、財政需要は同じはずですよね。それが、なぜ差がつけられるのか。

 これはやはり、冒頭、違うと言いましたけれども、交付率を引き上げるための政策誘導という側面は、特にこの相対評価ということの中でいうと、十分そういう可能性が高いといいますか、私は、まさにそういう意図があるというふうに考えますけれども、いかがですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 上位三分の一がなぜ相対評価になっているかというのは、今申し上げたとおりでございます。最新のデータを使いたいということでございます。

 これも繰り返しになりますが、財政需要は、まずマクロで、調査等を勘案いたしまして、五百億円、皆さんに増やしたいということが基本でございます。

 その上で、これも先ほど申し上げましたが、カードの交付率に比例する需要とか、それから、概して傾向とすると、カードの交付率が高いところがより財政需要がかかっているという傾向がございましたので、一定のところで切って割増しをしようということでございますので、具体的に、交付税というのは、これだけお金がかかっているからこれだけ配りますというものとは違いまして、今私が申し上げたような考え方で今回の算定を予定しているということでございます。

吉川(元)分科員 これ以上やっても時間の無駄なので、もうやめますけれども、この部分については。

 だけれども、大臣、ちょっと考えてみてください。同じ八〇%でも、周りがみんな九〇だったら割増しがない、周りがみんな七〇だったら割増しがつく。

 だけれども、最初に本会議場でも大臣が答弁したとおり、これは、財政需要が発生をするという前提に立ってこのようなお金が積み立てられているとすれば、私は絶対評価でやるべきだと。もちろん、元の原資が五百億しかないですから、絶対評価でやっちゃうと、ここが五百億を超える可能性だって十分ある。だけれども、実際にそこに財政需要がある以上は、それに応えるのが私は総務省の責任だというふうに思います。

 もう一点だけ、マイナンバーについて伺います。

 今回、上位三分の一に入らなかった自治体では、当然、これは割増し率がかからないわけですけれども、再来年度あるいは二年先、三年先、交付率というのは恐らく上がっていくと思います。各自治体も努力をしていきます。

 そうなったときに、今回の割増し率というのは、例えば、具体的な数字がまだ出ていないので何とも言いようがありませんけれども、七〇%以上については、あるいは八〇%以上については割増しがつきますよというふうになった、これは財政需要があるからそういう形にするわけで。とすれば、再来年度、今は七五%だったところが八〇%を超えました、当然、新たな財政需要が発生する。

 それを考えれば、この割増し率に見合った分だけは、来年度は三分の一に入らなかったので出ません、だけれども、それ以降は、その翌年あるいはその翌々年、そこを超えていけば当然必要なお金になっていくというわけですから、これは当然、交付税措置されるという理解でよろしいですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 六年度以降の交付税のマクロの額ですとか、それから、マクロの額は来年度も一応五百億ということで、ある程度、財政当局とはセットしておりますが、それをどのように配分するかというのは、今後の交付率の状況ですとか、また財政需要等を勘案して検討する必要があると思っております。

吉川(元)分科員 お答えいただけなかったんですが、やはり、これも腑に落ちる答えは一つなんですよ。政策誘導しているというふうになれば、腑に落ちるんですよ。

 来年度に限って、とにかく増やせと。八月三十一日の、実際にはもうちょっと早いと思いますけれども、確定するまで、とにかく精いっぱい、各自治体、交付率を上げろ、そうしたら御褒美があるよ、だけれども来年度以降はそれは知らないよ、今分からないよという話は、これは財政需要があるということでは説明できないんですよ。唯一説明できるのは、来年度中に、とにかく交付率を八月までの間に目いっぱい上げる、そのためにニンジンをぶら下げる、そういうふうに説明されれば、相対評価というのは、ああ、なるほどね、多分、だったらそうなるよねと。

 ところが、先ほど言ったとおり、交付税法では、それは禁止をされています。結局、苦し紛れに、財政需要があるからこういうことをやっているんだというのは、私は、非常に苦しい答弁だということだけ指摘させていただきます。

 次に、ふるさと納税について、これは大臣に伺いたいというふうに思います。

 実は、これは以前、大きな改正があった二〇一五年のたしか三月の総務委員会で、当時、私は、このふるさと納税というのは問題があるんじゃないかということで指摘をさせていただきました。当時、高市総務大臣だったんですが、答弁は、「ふるさと納税を経験されることで、寄附をすることですとか、あと税制上の手続などへの理解、また親しみが増して、ひいてはNPO法人などへの寄附も含めた寄附文化の醸成につながると考えております。」このように実は答弁をしております。

 これは、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会というのが、毎年ではないんですけれども、寄付白書というものを実は発行しております。

 毎年ではなくて飛ぶこともあるんですが、それを見ますと、二〇〇九年、国内の個人寄附総額は五千四百五十五億円、これが二〇二〇年には一兆二千百二十六億円に急増しております。国とこの協会の取り方が年度と年の違いがあるので、正確ではないかも分かりませんけれども、この寄附総額からふるさと納税を引きますと、つまり、ふるさと納税以外の寄附ですね、〇九年は五千三百七十八億円、二〇二〇年は五千四百一億円、ほとんど変化がないんですよ。

 二〇一五年当時の答弁を聞いておりますと、このふるさと納税をきっかけにして日本にも寄附文化が根づいていくんだ、寄附がもっともっと広がっていくんだ、このように高市大臣は、当時の大臣は答弁をされております。でも、実態は違うと思うんですよね。

 だとすれば、当時言っていた、寄附文化の醸成につながっていくという考え方、これは、残念ながら、このふるさと納税、少なくとも、この二〇二〇年、まあ、二一年も二二年も多分そうだと思いますが、そういうふうには機能していないということで、大臣、よろしいですか。

松本国務大臣 まず、先ほど地域デジタル社会推進費についてお話をいただきましたが、局長からも御答弁申し上げましたように、五百億円は、財政需要を的確に反映するということで、実際に財政需要は、交付率にかかわらず必要となる財政需要と交付率に伴って変わる財政需要があるということで、あのような設計にさせていただいたところでございまして、私どももしっかり説明をして、是非、自治体始め皆さんに御理解をいただいて、政策誘導の費用ではなく地域デジタル社会を推進する費用だということで、是非、デジタル社会の推進に活用をいただきたいと考えているところでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 そして、ふるさと納税について、今質問をいただきました。

 寄附者がふるさと納税を経験することを通じて、寄附税制の手続等への理解が増すとともに、寄附が身近なものに感じられるようになるものと考えておるところでありまして、これは、過去にも高市大臣や石田大臣が答弁申し上げたとおりであります。

 ふるさと納税の適用者数は年々増加し、令和四年度課税においては、およそ七百四十万人となっています。この中には、返礼品がなくとも、台風、豪雨被害や赤潮被害の被災者支援等を行っている方もおられ、寄附文化の醸成につながるという効果が一定表れていると考えられるかと思います。

 また、近年では、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用する地方団体も増えておりまして、その中には、例えば、子供食堂等の子育て支援や、廃線となった鉄道を活用したにぎわい創出などに関し、ふるさと納税を通じてNPOなどの活動を支援する取組も見られるところでございます。こうした使途を具体的に明示したふるさと納税の募集を行う団体は、平成二十八年度の六十二団体から、令和四年度には四百六十団体へと増加しているところです。

 寄附文化の醸成には、多方面にわたる息の長い取組が必要だと思っておりますが、具体的な使途を明示したふるさと納税に係る優良事例を横展開することなどにより、寄附文化の醸成の一助となるように取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)分科員 それもやはり、ちょっと無理があると思うんですよね。

 だとすれば、いわゆるふるさと納税以外の寄附をもっと、爆発的にとまでは言わないですけれども、増えていなきゃいけないんですが、残念ながら、これは増えていないんですよ、実態として。

 私、当時、質問したときに心配したのは、逆に、このふるさと納税がはやることでNPO法人等々への寄附が減るんじゃないかというふうに心配をして質問をしたんですけれども、これは幸いなことに、変わっていないということは、減ってもいない。

 ということは、つまりどういうことかというと、このふるさと納税というのは、寄附だという認識を皆さん持っていないんですよ。返礼品を目当てにした、いわゆる通販のような、そのような認識になっている。寄附をこれだけしよう、じゃ、これはふるさと納税で寄附しようじゃなくて、ふるさと納税するとこれだけ返礼品が返ってくる、それを目的にしてやっていますから、恐らく寄附だという認識も、税だという認識はもちろん元々違いますし、寄附だという認識も、やられている方は余り持っていないんじゃないか、私はそのように感じております。

 そういう意味では、NPO法人等への影響というのは中立的といえば中立的なのかも分かりませんけれども、ただ、ゆがみも非常に大きいのがこのふるさと納税だというふうに思います。

 先日、総務委員会で政府参考人の方から、いわゆる仲介サイトの問題の質問に対して、事業者に対して直接規制等を行う立場にないと、非常に冷たい答弁がございました。

 これは、先日報道されていたんですけれども、大手の仲介サイトでは、受け取る手数料というのが寄附額の一割までと。答えたのは大手の中では一社だけで、残りの社は答えていませんから、これが業界の平均なのかどうかすら分からないわけですけれども、ただ、仮にこれが一割ということになると、莫大なお金が流れることになります。

 昨年度は八千億を超えるぐらいかな、今年度はその二割増しということのようでありますから、恐らく一兆円近いお金がこのふるさと納税に流れていくことになります。

 さきに紹介した寄付白書では、これは二〇二〇年、ちょっと古いんですけれども、二〇二〇年のふるさと納税のうち、三七・二%がネット経由。これが全ていわゆる大手の仲介サイトかどうかは、これも分かりませんが、とにかく、ネット経由で四割近い方がふるさと納税をやっている。

 今年度、恐らく一兆円近い、仮に一兆円とすると、三千七百億円が、サイトを通じて、同じパーセンテージで考えれば、いわゆるふるさと納税される。仮にその一割だとすると、三百七十億円になるんです。これは元々は税ですから、本来であれば住んでいる地域に入るはずの税、このうちの三百七十億円、最大見積もって三百七十億円、もうちょっとあるかも分かりませんが、これが仲介サイトに手数料として流れていく。

 私は、これは不健全だというふうに思いますし、地方税や地方財政を預かる総務省として、総務大臣として、事業者に直接規制はできませんよというふうに、そこまで冷たい答弁というのは、私は、ちょっとおかしいんじゃないかと。

 これは改めて、規制をできる法的根拠がないというのであれば、それはそれで致し方ないことでありますし、総務省は情報通信も当然所管をしておりますし、それについても私、以前、総務委員会で議論したことがありますが、この高額に上る手数料については、少し何らかのことを考えていかなきゃいけないと考えるんですが、大臣、いかがですか。

池田政府参考人 申し訳ございません、総務大臣がお答えする前に、私の答弁でございましたので、少し御説明をさせてください。

 先日の総務委員会における答弁でございますけれども、ふるさと納税の指定制度が、地方税法及び同法に基づく総務大臣告示に定める指定基準に適合する地方団体を指定するものでございますから、地方団体の指定基準の策定や地方団体の指定は総務大臣の権限である一方で、ふるさと納税のポータルサイト事業者に対して、総務省が直接的に規制等を行う立場にないという点を申し上げたものでございます。

 その上ででございますけれども、令和三年には、ふるさと納税の健全な発展などを目的に、主要なポータルサイト事業者が集まりまして、一般社団法人ふるさと納税協会というものが設立されております。総務省といたしましても、同協会と定期的に意見交換を行い、申入れ等を行っております。

 具体的には、例えばですが、各事業者において、ポイント等のインセンティブの在り方などを含めて、ふるさと納税の制度趣旨や法令に定める基準を十分に踏まえて、節度ある取組をしていただくよう、私どもから協力要請しているところでございます。

 一方で、先ほど申し上げた指定制度の下、地方団体に対しては、募集経費五割以下基準を含む基準の遵守を求めております。

 今後とも、地方団体に対しては基準の遵守を求めるとともに、事業者に対しましても対話や協力要請を行い、より制度趣旨に沿った適正な運用が行われるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

 総務大臣、あと、御答弁お願いいたします。

松本国務大臣 今局長から御答弁申し上げたとおり、ふるさと納税を適正に運用するためには、地方団体に対しまして、指定制度におけるルールの遵守を徹底するとともに、事業者に対しても、制度の趣旨や法令に定める基準を十分に踏まえた節度ある取組を求めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

 今ありましたように、事業者に支払われる手数料ということについても、何をいわば業務として受けての手数料かということ、様々あるとは聞いております。納税の利用者の管理であるとか、そういった実務的なことまで含めて受けている場合があったり、ないということなので、手数料の適否については、それぞれの団体がお考えになってやっておられることなので、私が個別の割合の適否について申し上げることは差し控えたいと思います。

 指定制度の導入前後で比較すると、寄附金受入額に占める募集費用の割合は一割程度減少しておりまして、指定制度の下で、今後とも、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運営されるように、制度所管省庁としては責任を持って取り組まなければならないというふうに思っております。

 おっしゃったとおり、元々税であったということは、私どももしっかりと受け止めていかなければいけないというふうに思っております。

吉川(元)分科員 時間が来ましたので終わりますけれども、これはやはり、ふるさと納税というのは、もう一回じっくり考えた方がいいと思いますよ。

 地方税の原則、総務省のホームページに出ています。応益性とか安定性とか、全部で五つほど。いずれも、このふるさと納税というのは、それに穴を空けかねない制度でありますし、返礼品の競争というのも異常だということを改めて別の機会にまた質問させていただきます。

 今日は、以上で終わります。

熊田主査 これにて吉川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)分科員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、地域公共交通機関の維持に関して御質問させていただきたいと思います。

 本日は、お忙しい中、総務省、総務大臣のみならず、国交副大臣にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 私、地元が滋賀県でございまして、選挙区は大津市、高島市という二市になるんですけれども、私の滋賀県においても、公共交通機関の維持というものが大変な課題となっております。

 何点か、総務省、国交省の方に教えていただいたんですけれども、やはり、コロナ禍もあって、大変、こういった地域の鉄道事業者であったり地域のバス路線の事業者の経営状況が更に悪化してしまっているという現状がございます。データによれば、例えばバス事業者の一般路線バス事業、これは、令和二年度はほぼ全ての事業者が赤字となってしまっています。

 これは、コロナ禍によってこういった状況になっているというのもありますけれども、コロナ禍以前、令和元年のときから、七割以上のバス路線、バス事業者に関しては、路線バス事業は赤字であったということでございますので、コロナ禍だけが原因ではなくて、恒常的に、慢性的にこういった赤字体質になってしまっているということがあります。これは、鉄道事業者が行う鉄軌道事業においても同様の状況でございます。

 民間事業者が行っている部分に関しては、赤字が出ているのに、それをそのまま続けるということはやはりできないわけでございますから、これを維持していく、地域の足を維持していくという上では、公、公共の取組が欠かせないわけでございます。しかし一方で、御承知のように、これほど赤字が出ていますので、今のままの取組ではやはり不十分なんだというふうに私は考えております。

 せっかく総務大臣と、そして国交副大臣にいらっしゃっていただいていますので、お二方にまず政府の意思を伺いたいんですけれども、こういった地域の足、地域公共交通機関に関しては維持をしていくんだ、そして、その方策に関してはいろいろありますので、この後少し議論をさせていただきたいと思うんですけれども、それはさておいて、こういった地域の足は地方部でもしっかりと国としても支えていくんだという意思が今の政府にあるのか、少しお答えをいただきたいと思います。総務大臣、国交副大臣、順にお願いできればと思います。

    〔主査退席、鈴木(隼)主査代理着席〕

松本国務大臣 地域公共交通は、住民の暮らしを支える重要な役割を担っていると認識をいたしております。

 どのような形で地域公共交通を確保していくのかということについては、地域の皆様としっかり議論をしていかなければいけないと思いますが、地域を支え、地域の住民を支える私どもとしては、その住民の暮らしを支えている地域公共交通でありますので、極めて重要だと考えているというふうに御理解をいただけたらと思います。

古川大臣政務官 地域におけます公共交通は、人口減少などによります長期的な需要減に加えまして、新型コロナの影響により、引き続き多くの事業者が厳しい状況にございます。御指摘のとおりでございます。

 こうした中、全国各地で、利便性、持続可能性、生産性の高い地域交通ネットワークへの再構築、リデザインと私ども申しておりますが、これを進めていかなければならないと考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、令和四年度の補正予算におきまして、交通DX、GXによります経営改善支援や、他の分野との共創、共につくり上げることの取組を支援すること、令和五年度の予算案におきましては、社会資本整備総合交付金に新たな基幹事業として地域公共交通再構築事業を追加するなど、実効性ある支援策を講じることとしておりますほか、ローカル鉄道やバスなどの再構築を図る仕組みの創設などを盛り込んだ法案を今国会に提出したところでございます。

 こうした予算、法制度を活用して、厳しい状況にあります地域を支援するため、各地域のニーズに応じて丁寧に周知を図っていく必要があると考えておりまして、地方運輸局も活用して、地域のいわば困り事をしっかりと受け止められる、そのようになるように取組をしてまいります。

斎藤(ア)分科員 失礼しました。政務官でございました。失礼いたしました。副大臣だと。ありがとうございます。

 本日は、私の地元のバス路線を例に出しながら、ちょっとお話を、質問させていただきたいと思っております。

 私の地元に、大津市に比叡平という住宅地があります。こちらは千三百世帯、今、人口三千人弱でございますので、それなりの規模のある住宅地になるんですけれども、これは比叡平という名前から分かるとおり、京都市と大津市の間にある比叡山という山の上に開発された宅地でありまして、延暦寺のあるこの比叡山、京都市と大津市が比叡山で隔たれていますけれども、その上の辺りにあるということになります。

 この比叡平の地域公共交通を支えているのはまさに路線バスということになります。全国でも公共交通の最後のとりでというのが路線バスとなっていますけれども、この比叡平に関しても、路線バスが、言ってしまえば、タクシーを除けば唯一の公共交通機関と言えるというふうに思います。

 京都市側に降りる路線と大津市側に降りる路線がありまして、いずれにせよ、職場もスーパーも、そして中学校以上の教育機関も、比叡平ではなくて京都市か大津市に行かないといけないということになりますので、この路線バスがないと、特に車が使えないようなお子さんであったり高齢の方などは生活ができない。そうした人たちにとっては、この路線バスがなくなってしまうと陸の孤島に自分たちの住んでいる部分がなりかねないというところで、これは全国でもこういった例はあると思うんですけれども、大変地域住民としても危惧をしている問題でございます。

 この路線、重要な路線であるんですけれども、やはりこの路線も慢性的に赤字となってしまっています。昨年末には既に大幅に減便がなされて、住民生活であったり学校のカリキュラムにも、時間割りにも影響が出始めています。

 当該路線バスの事業者は民間事業者でございますので、やはり赤字であって、地域の方々が求めたからといって赤字の事業を続けていくのは株主にも説明がつかないことになってしまいますので、やはり厳しいということになります。

 この事業会社からは、更にこのまま状況が改善されなければ廃線せざるを得ないというそういった通知ももう既に住民の方々になされていまして、私の事務所の方にも大変多くの住民の方から懸念の声が上がっているところで、大津市とも様々お話をさせていただいているところでございます。

 個別の路線の維持に向けた取組に関して、この場でるるお話をするわけにはいかないんですけれども、いずれにしましても、今の支援の在り方では、実際にもう廃線をしたいということをこの事業者は言っているわけですから、既に厳しくなってしまっているということなんだというふうに、私は大変強い危機感を持っております。

 先ほど、少し政務官の方から、今年以降の新たな取組という部分で御紹介をいただいたんですけれども、例えば、こういった路線バスの状況、今にも廃線をされるかもしれない、こういった状況を鑑みて、今おっしゃっていただいたような新たな法律案での取組というものが本当に間に合うのか、有効なのか。

 事業会社にとっても、地域住民に対しても、今予見性が全くない状態で、どうなるんだろうという不安を抱えているところになると思うんですけれども、そういったところもしっかりと支えていけるような支援策となっているのか、あるいは新たにそういったものをするつもりがあるのか、少し国交省の方からお答えをいただければというふうに思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通を再構築し、持続可能性を高めていくためには、利便性の向上などによる、今まで公共交通を利用してこなかった潜在需要や新たな輸送需要の掘り起こし、また、サービスの提供を需要に合った形に最適化するとともに、交通以外の分野も含めた様々な関係者との連携、協働が必要であると考えているところでございます。

 各地におきましては、様々な創意工夫によりまして、利用者利便の向上による潜在需要の掘り起こしや、関係者の連携、協働により、持続可能性を高めた形で公共交通の再構築や住民の足の確保が行われているところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組について横展開していくことが重要であると考えておりまして、先進的な取組事例の紹介や、先ほど政務官から御答弁申し上げました予算、法律等の新たな枠組みによる支援等によりまして、住民生活を支える公共交通の再構築に万全を期してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 地域住民の方に、端的に言えば、公共交通機関を利用していただく、一緒に協力をして盛り上げていただく、これはとても大事な視点だと思いますので、そういったところを取り組んでいるところも滋賀県でもあると思いますし、比叡平の方でも、そういったことを是非地域住民の方にも御理解いただきながら、お願いをしたいというふうに思う一方で、やはり重要なのは、新たな取組であったりとか政府が行う支援の予見性とか、あるいはスピード感だと思うんですね。

 これからこういった取組をしていって、その改善までの道筋がなかなか見えないと、具体的な支援が補助金として下りてくるわけではないとなってしまったら、やはりもたないと思うんですね。民間事業者でございますので、これから先、一年も二年も三年も、莫大な赤字を出しながら果たしてそれを経営していくのが本当に民間企業にとっていいことなのかということになってしまえば、私は、スピード感、予見性がなければ大変厳しい判断になりかねないというふうに思っておりますので。

 支援構築であったりとか、今様々な取組をされているとは思いますけれども、具体的にこういった支援が行われるであったりとか、具体的にこういった補助金であったりとか、端的に言ってしまえばそういったことになるんですけれども、そういった部分についても更なる取組が必要だと思うんですけれども、今回の、今おっしゃっていただいたような支援のメニューの中で、更なる支援の金額が増えていくというようなこともしっかりと考えていいのか、その辺りは、国交省の方、いかがなんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、利便性の向上などによる潜在需要の掘り起こしですとかサービスの提供を需要に合った形に最適化すること。例えば、AIオンデマンドバスを使いまして、元々路線バスで非常に利用者が少なかったような地域におきまして、車両を小型化するとともに、AIオンデマンドバスによりまして最適なルートを選定する。利用者からしてみますと、例えば、今まで停留所ですとか駅まで足を運ばなければならなかったような交通体系が、スマホで予約をすれば自分の家の近くまで来ていただける。こういった取組によりまして、実際に利用者が、路線バスがあったときよりも相当程度増えたりとか、そういった事例もございます。

 国土交通省といたしまして、そういった取組を、先ほど申し上げましたように、最大限支援するための予算につきましては、令和四年度補正予算、それから今国会で御審議中の令和五年度当初予算におきまして十分な措置をしておりますので、こういったことにつきまして、地方公共団体それから事業者の皆様に、私ども、全国にあります地方運輸局、こういったところを活用いたしまして、しっかりと周知してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 EVバスの活用とか、AIとか、キャッシュレス決済、DX、GXというところを、もちろん同時に取り組んでいただくことは極めて重要ですので、やっていただきたいと思うんですが、一方で、こういった廃線の危機にある路線バスにおいては、今年どうするんだ、来年どうするんだ、再来年どうするんだみたいな形で、本当に緊迫した状態でございますので、そういった新たな取組が間に合わない可能性が大変高い。直接的な支援が更に重要になっていると思いますので、改めてその部分はしっかりと受け止めていただきたいというふうに考えております。

 今、現在既に国の方で行っている地方バス路線に対する支援として、地方公共交通確保維持改善事業費補助金というものがあります。これは、補助対象路線に関して、赤字部分の半分を国庫から補助金として出すというもので、更に地方公共団体、市町などで追加で補助をするのであれば、その八割は特別交付税として補助するものということになっております。

 まず、念のための確認なんですけれども、今私が申し上げた補助事業に関しては、今後も、来年度以降も継続するつもりなのか。継続していきたいというふうに国交省の方では考えているのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省が所管しております地域公共交通確保維持改善事業におきましては、地域間幹線バスなどに加えまして、委員御指摘のとおり、地域間バス路線や鉄道等の幹線交通に接続することにより幹線交通ネットワークを補完し、その一部を構成する地域内路線、いわゆる地域内フィーダー路線についても、欠損の一部等に対し、国費による補助を行っているところでございます。

 この補助につきましては、令和五年度当初予算においても必要な額を計上しているところでございます。

斎藤(ア)分科員 来年度も予算に入っていると。是非、ほかの部分の支援が具体的になるまでは、こういった支援事業というのはしっかりと続けていただきたいというふうに思います。

 これは、先ほど私からもちょっと紹介したように、欠損、赤字の半分と、追加で市町などが行った支援の約八割を特別交付税として、国からその支援を行った市町に支援するということで、一見手厚いように思えるんですけれども、改めてこれを考えなければならない点、そして早急に改善をしなければならない点があるというふうに考えております。

 まずお伺いしたいのが、この赤字部分の半分の国庫補助とは別に、地方公共団体が行う追加の補助を、特別交付税で八割、後から穴埋めするという支援ですけれども、この八割の部分、これの上限額というのは決まっているんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありました補助金の地方負担分、それから地方が単独事業で実施する分、それについては特別交付税措置を講じております。

 単独事業には上限というのはございませんが、財政力補正といいまして、財政力がいいところは、少し、〇・八の算入率を下げる、このような対応を、これは特別交付税の世界ではほかにもいっぱいございまして、そのような対応をしているということでございます。

斎藤(ア)分科員 ちょっと確認なんですけれども、じゃ、この補助、例えば、国から行っているその二分の一分の補助と、それと同時に、地方公共団体が行っている補助を合わせて、いわば欠損分を超えて補助をするということは可能だということなんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 欠損分を超えて補助するというのは、余り、ちょっと想定はしにくいとは思います。私どもとすると、補助対象以外の路線で対象経費とすると、まさに経常費用と経常収益の差額、あるいは車両取得、こういった部分は対象にするというふうに理解しております。

斎藤(ア)分科員 欠損を超えて支援するということは想定しづらいということですけれども、それは、これまでの政府の民間企業に対する支援の在り方からすれば自然な受け止め方かもしれないんですけれども、赤字の一部を埋める、それで赤字が縮小すれば、それに応じて補助の額も減っていくわけです。もちろん、企業の自助努力で経営改善ができるレベルであれば、それは経営改善を促していくような補助金の出し方として適正なのかもしれないですけれども、果たして今の日本で、この人口激減時代の地方で営業しているバス事業者の一般の路線バスが、経営努力云々で利益が出るようになるのかといえば、これは改めて現実に即して考えるべきなのではないかなというふうに思います。

 赤字部分の一部を補助して、経営努力をして赤字を減らしたら、経営補助金は減らされる。しかし、それでももうどうにもならない状態であるから、もう廃線したいというお話が様々なところから出ているんだというふうに思います。これは、先ほど申し上げた私の地元の大津の比叡平で実際にそういったことになりかけているわけですし、これは日本全国で今起きていることだと思います。

 少し話はずれますけれども、今、日本では防衛産業の基盤が弱体化をしているということで、今国会では、国内の防衛産業が適正な利潤を得られるように、防衛省の装備などの調達の在り方を変える法律案が提出をされています。これは、日本の安全保障上、国内の防衛産業を維持発展させることが必要なので、こういった変更を防衛政策では行っているということになります。

 この防衛政策の考え方、我々国民民主党としては賛成なんですけれども、それを、地方の暮らしを支える内政の部分でもしっかりと取り入れることが必要ではないか。

 どういうふうなことかといいますと、バス路線の維持とかに関しても、赤字を埋めてあげる、赤字が出ないように頑張ってもらうという、もうそういった次元ではなくなってしまっているのではないか。しっかりと適正な利潤が出るような形に支援の在り方を変えていくということも考えていくべきではないのかなと思うんですけれども、こちらの方、国交省はそういった考え方というのはこれまで検討されたことはあるんでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今の赤字補助制度におきましては、当然ながら、赤字額が減れば、補助金の額もそれに連動して減るような仕組みになっておりまして、そういった仕組みでございますと、事業者の事業改善インセンティブはなかなか起きにくい、そういうことは我々も認識しておりまして、現在国会の方に提出させていただいております地域公共交通活性化再生法の一部を改正する法律案におきまして、エリア一括協定運行事業というものを新たに法律の中に位置づけることとしております。

 この手法につきましては、創意工夫をいろいろ凝らしまして赤字額を減らした場合に、今までみたいに、それに連動して補助金が減るというようなことがないように、事前に、複数期間も含めて国が支援額を事業者に提示する。それによりまして、事業者の参入インセンティブ、それから事業改善インセンティブを高めまして、例えば金融機関による融資なんかもしやすくなる。

 そういう意味で、予見性を高めるような、そういった内容につきましても、新しい法律の改正案の中には盛り込んでいるところでございます。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。やはり、予見性を高めていただく、そして適正に利潤を得ていただくような仕組みというものが極めて重要になります。

 今、こういったふうに法律案は出していただいているんですけれども、これで具体的にどういった支援の内容になるのかとか、どういったふうに支援の形が変わっていくのかということは、できるだけ早く事業者にも示していただくことが重要かと思いますので、是非そういったところも含めて今後の国会の審議に当たらせていただきたいというふうに考えております。

 もう一つ、地方公共交通確保維持改善事業補助金に関して伺いたい、是正を求めたいことがありまして、この国庫補助の金額ですね。

 赤字の半分ということなんですけれども、経常費用と経常収益の差額、その欠損部分、赤字部分を半分補助しますということになっているんですけれども、この経常収益と経常費用がどうやって算出されているのかというところが一つ問題だなというふうに、ちょっと時間がないので質問を飛ばさせていただきますけれども、経常収益は売上げということで考えていいかと思うんですけれども、問題は経常費用の方ですね。

 経常費用は、国が決めた走行距離一キロ当たりの経費単価にその路線の走行距離を掛けることで算出をされています。実際の事業者がその路線を運行するのにかかった経費ではなくて、国が決めた単価掛ける運行キロで費用が算出をされてしまっていて、その単価が果たして適正なのかということが大きな問題になるというふうに考えております。

 この経費単価が適正なのかどうなのかというのは、個別の数字を見ただけでは、私も専門家ではないので分かりませんけれども、この経費単価の表を見ていると、一つ大きな問題があると言わざるを得ません。それが、地域間でこの経費単価がとてつもない格差がある点でございます。

 例えば、滋賀県が含まれる北近畿というブロックでは経費単価は一キロ当たり四百九円で今最新年度では計算をされていますけれども、滋賀県、私の大津市の隣の京都市が含まれる京阪神ブロックでは一キロ当たり五百四十八円と、およそ三割も差があります。ブロック別で一番高い京浜ブロックは六百二十四円、一番低い沖縄ブロックは二百四十二円で、三倍近い差があるわけでございます。本当にこのような格差をつけることが適正なのかどうなのかということに関しては、改めてちょっと考えていただきたいというふうに思います。

 大津市で働いている人の人件費が京都市で働いている人に比べて三割安いわけではないし、ガソリンの値段もそう変わらないし、機材の値段も変わらないわけでございます。それなのに、地方だからといってこの経費単価が安くされてしまっていて、補助額は低くなってしまっている、これは私は大きな問題だというふうに考えています。

 最低賃金などもそうですけれども、地域の賃金格差や経済格差を追認、あるいは暗に押し広げるような政府のこういった施策の支援金額の決め方は大きな問題だと考えております。つまりは、都市部は高くして地方部は安くするという考え方、もう根本的にこれはやめていかなければならないというふうに考えています。

 地方で暮らす方が都市部で暮らすよりもお金がかかってしまうことはたくさんあるわけでございますから、地方を安くするというような、こういった補助の出し方は変えていただきたいというふうに思うんです。

 国交省にお伺いしたいんですけれども、このような地域間格差をつけて路線バス事業に補助金を出していくということは本当に適正なものなのか、なぜこのような格差がついているのか、お答えいただきたいと思います。

    〔鈴木(隼)主査代理退席、主査着席〕

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員から御指摘ございました地域公共交通確保維持改善事業におきましては、全国を物価や人件費等がおおむね同一水準である二十一のブロックに分割し、各ブロック内における主要なバス事業者の平均費用を標準経常費用とし、これを補助対象事業者の経常費用と比較して、いずれか少ない方を補助金算出上の単価として使用することとしております。

 これにより、地域の特性を踏まえつつ、事業者の効率的な事業運営を促すとともに、限られた財源の中で幅広い支援を行うことを可能としているものでございます。

斎藤(ア)分科員 これも大津市の比叡平の路線のことを例に数字を出してちょっと申し上げますけれども、今紹介したように、国が決めている滋賀県、北近畿の経費単価は四百九円だと。これだと全く補助額が足りないので、大津市で独自に決めた、上乗せした単価で更に計算をして、足りない部分を市が一般財源で補助しているんですけれども、実は、それも、このバス事業会社が負担をしている経費よりも更に低くて、実際にこのバス事業会社でかかっているキロ当たりの経費は五百五十六円ということでございます。

 これは、この数字を見てみますと、京阪神の補助単価とほぼ同じとなっていまして、この地域間格差は、こういった意味でも、本当に、大津市というのは京都市のすぐ隣でございます、それだけで三割程度の経費単価格差があるのはやはりおかしいと思います。

 ただ、あくまで私が申し上げたいのは、北近畿の補助単価を京阪神と同じにしてくれということではなくて、地域によって補助の経費単価に大きな格差があるのはやはりおかしいんだというふうに思います。先ほど申し上げたように、沖縄と首都圏では三倍違うわけでございますけれども、三倍給料が違う、三倍物価が違うんでしょうか。そんなことはないというふうに思います。これをしっかりと是正をしていただきたい。

 やはり、こういった物事について、より支援が必要なのは地方なはずなのに、地方で単価を下げるという考え方は路線維持に障害となってしまっていますので、全国一律にするとか、あるいは、それが難しいのであれば、そうではなくて、せめて地方の方をしっかりと手厚く更に経費単価を計算していただく、そういったことに改めていただきたいと思いますけれども、国交省、いかがでしょうか。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、地域公共交通確保維持改善事業におきましては、地域の特性も踏まえつつ、事業者の効率的な事業運営を促すとともに、限られた財源の中で幅広く御支援を申し上げるということは主眼となってございます。

 このため、現状の制度運用につきまして、引き続き適切に運用してまいりたいと考えてございます。

斎藤(ア)分科員 済みません、政府の事務方の皆様に二回同じ趣旨で質問してしまって申し訳なかったんですけれども、いずれにしましても、今の政府の支援の考え方、これまでつくられた考え方では、もう路線バス事業者が維持できない、廃線が相次ぐという危機感を是非ともまずは政治が持って、政府の方針を変えていただくということを、是非、総務大臣、また国交省の政務方の皆様にはお願いをさせていただきたいと思います。

 今国会の予算委員会の場で私も取り上げましたけれども、日本はこれから人口が激減をする時代になります。少子化対策であったり、海外からの人材の受入れは、その痛みを少しは和らげることにつながるかもしれませんけれども、それで人口減少が食い止められるとはとても思えません。人口が減っていく中でも地域、地方を維持していく、社会、コミュニティーを維持していくという考え方に立って、もう一度、こういった地域の公共交通機関の維持に関してもしっかりと検討していかなければならないというふうに考えております。

 国民民主党も、そのような時代の変化に即した政策を実現するために、しっかりと改革を訴えていきたいと思いますし、今の政権にも、今のままでは厳しいということをしっかりと認識をしていただいて、これまでの枠にとらわれない支援の在り方を是非とも考えていただきたいし、少なくとも、今申し上げた経費の補助単価に関しては、早急に政府内でも議論をしていただいて、路線バス事業者が公平に維持できる形にしていただきたいというふうに考えております。

 時間が来ましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

熊田主査 これにて斎藤アレックス君の質疑は終了いたしました。

 次に、保岡宏武君。

保岡分科員 まず初めに、本日は質問の通告をしておりませんので、差し支えがなければ、総務大臣におかれましては、御退席いただいても結構でございます。

 それでは、改めまして、自民党の保岡宏武と申します。

 主査の熊田先生始め、本日は第二分科会での質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。そしてまた、尾身副大臣には御臨席いただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、質問に入る前に、先週末から断続的に行われている北朝鮮の弾道ミサイルの発射について、私の地元鹿児島でも、関係各所、非常に危機感を持っております。また、対応に緊張感を持っている関係各所もございます。このことが断じてあってはならないということ、そしてまた、危機管理上も、このような緊張が突然行われる、起こってくるということに対して、強い遺憾の意と、また厳重な抗議を申し上げたいというふうに存じます。

 それでは、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、一問目でございますが、地方行政についての質問でございます。

 年明け、私は印象的なニュースが一つございました。それは、地方公務員、心の不調で休み三万八千人というニュースでございました。全体三百十二万人のうち一・二%が分限処分を受けての休職をされているということでございます。

 総務省に伺います。

 地方公務員で心の不調で休職をした人数、最近のこともそうですが、大きなトレンドも含めて教えていただければと思います。また、その背景が分かれば、そのことも重ねてお願いをいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 心身の故障により休職した地方公共団体の職員でございますが、平成二十四年度以降の十年間で見ますと、二十九年度まではおおむね二万四千人前後で推移をしておりましたが、平成三十年度以降は増加傾向になっておりまして、令和三年度は三万一千四百五十六人となっております。

 心身を故障した理由については悉皆的な調査はしておらないのですが、令和二年度にメンタルヘルスに関するアンケート調査というものを行っておりまして、そのときには、職場の対人関係、それから業務の困難性といったものが上位に来ている、そういう状況でございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 今お話しになられた、対人関係と、もう一つの業務の負荷というものが、恐らくコロナ感染症対応による業務量の増加というのも背景にあろうかというふうに拝察をいたします。

 その点で、もう一つ質問をさせていただきます。

 地方公務員数の増減、喫緊の増減の状況や、大きなトレンドとしての増減もお示しいただければと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の総職員数でございますが、平成六年が三百二十八万人余ということで、このときがピークでありまして、平成二十八年までは一貫して減少をしておりましたが、その後、横ばいから、現在は微増、増加の傾向となっております。

 令和四年四月現在では二百八十万三千六百六十四名ということでございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 先ほど、平成六年、三百六十八万人が、現状は二百八十万人と大幅に減少をしているという数字がお示しされました。

 この質問をした背景には、業務量の増加、先ほどのコロナのときもそうですけれども、業務量の増加というのは、地方公務員数の減少に伴って、今後も、有事だけではなくて平時の際にも十分に考えられる現象だというふうに思うからでございます。

 もちろん、この業務量の増加が精神に与える影響というのは明らかにございますし、そのために必要なところに人員を配置するということは必要かもしれませんが、現状、田舎に行けば行くほど、なかなか人員募集をしてもその人員が充足されるとは限りません。

 そのような中で、柔軟な広域連携などもそうですけれども、私は、特にデジタルの活用、マイナンバーやマイナンバーカードの利活用によって自動化、省力化を進めることによって、地方公務員の負担軽減をしていくことが極めて大事なことだというふうに考えております。

 地方公務員のメンタルヘルスに関しては、早期発見や職場の復帰、再発防止対策ということとともに、今後の対策として、デジタルの活用による負担軽減をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 また、的確で迅速な給付や行政の効率化、社会保障費の圧縮など、マイナンバーやマイナンバーカードの利活用は、国民、住民の利便性の向上に極めて重要で、様々なメリットが期待をされます。

 総務省におかれましても、是非、関係各省庁と、またデジタル庁とも一丸となって、このデジタル化に取り組んでいただきたいと強く願うところでございます。

 次に、二問目の質問をさせていただきます。

 二問目は、地域おこし協力隊に関してでございます。

 私は、この地域おこし協力隊という制度は、地元におりましても非常に有意義な制度だというふうに考えております。ただし、現状、様々な課題や問題点も、地元を回っていると伺っております。

 総務省に質問いたします。

 地域おこし協力隊に対する総務省としての評価と、現状の課題認識などございましたら、教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊は、令和三年度には六千十五名の現役隊員が千八十五自治体で活躍しておりまして、地域活性化の大きな力になっていると考えております。また、三年間の年限で地域に貢献するという活動を行うほか、隊員のおおむね六五%が同じ地域で活動するということで、任期終了後も定住、移住をしていくということで、そういう観点からも大変に貢献されているというふうに思っております。

 一方で、その中で、募集に当たって、各自治体で募集においてなかなか人が集まらないといった課題を抱えている場合ですとか、それから、任期途中で各自治体とのミスマッチが生じて、ごく一部でございますが退任をされる方ということもありますので、こういった募集に当たっての増加へノウハウ共有、それから、隊員と自治体相互のコミュニケーションの活発化といったことが課題だろうというふうに考えております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 今、課題認識にもございました希望者、人材と自治体とのミスマッチ、私は、これはそんなに少なくはないというふうに認識をしております。先ほど、人を募集しても来ないということで、地域おこし協力隊にすがろうというような意識の自治体が、私は、まだまだ多いというのがその背景にあることだというふうに考えております。つまり、職員不足対策ぐらいにしか地域おこし協力隊を見ていないというような自治体が多いということだというふうに思います。それはつまり、すなわち、地域おこし協力隊制度のポテンシャルを理解されていないということだというふうに思います。

 地域おこし協力隊のポテンシャルというのは、地域の課題解決につながる、将来その地域の担い手になってくれる人材をその地域で育てること、定着させることというのが、私は、大きなこの地域おこし協力隊の持つポテンシャルだというふうに、地元におりまして感じております。

 先ほどおっしゃった制度の趣旨とその理解のミスマッチ、希望者と行政のミスマッチを、コミュニケーションを通じてこれからしっかり改善をしていかれるというふうにおっしゃいました。この地方への新たな人の流れを創出する取組を、総務省も今回の予算でも、令和五年度の予算でも新たに新設をされているものも多いかと思いますが、具体的にどのようなものがあるか、教えていただけますでしょうか。それが一点。

 そして、その際に、地元の協力隊のOBやOGから、私、実は一つ依頼をされております。どのような依頼かというと、エリアごとの自治体研修会、啓蒙活動に近い自治体研修会。例えば、鹿児島でいえば、薩摩エリア、大隅エリア、離島エリアのようなエリアで、そこに定住されている協力隊のOB、OGの人たちを使って、県が自治体の職員や首長に啓蒙をするような研修会、そのようなものにも使える交付金であったり特交措置であったり、そういったものが欲しいんだよねというような声が地元から寄せられております。

 そのようなメニューが本年度の予算の中に入っているのかどうか、そのことも含めてお答えいただければというふうに思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 まず、今年度といいますか来年度でございますけれども、令和五年度に行っている地域おこし協力隊のサポートプランでございますが、まず、募集、受入れの段階で、募集に要する経費について、これまで一団体当たり二百万円だったところを三百万円に引き上げております。

 また、現役隊員に対するサポート体制の強化ということで、隊員の日々のサポートに対する経費として、いろいろと相談に乗ってミスマッチを解消していくためでございますが、一団体当たり二百万円、こういった委託ができる経費を新たに創設をしております。

 また、任期終了後の定住に向けたサポートとして、隊員の起業や事業承継に要する経費の支援ということも、百万円でありますが、交付の時期を、任期三年のうち、任期二年目から任期終了後一年目に適用できるように拡充をしているというようなところがメインでございます。

 二つ目にお尋ねの、OB、OGのエリア研修会等でございますけれども、都道府県が行う協力隊に対する研修ということにつきましては、従来から、隊員を対象とする研修などに要する経費について普通交付税措置を講じているところでございます。また、市町村が行うものにつきましては特別交付税措置において講じておりまして、積極的に各種研修を実施していただいております。

 また、今回の、今申しましたサポートプランの中で二つ目に申しましたサポート体制の強化というのは、市町村がOB、OGに対して現役隊員の支援のためにいろいろな委託をする経費というものを見ておりますので、この事業の中で研修についても各種取りそろえてやっていただくことが可能ですので、この辺は今まで以上に、OB、OGだけに限らないんですが、OB、OG等を中心にこういった知見のある方に活躍していただくという意味では、更に支援が充実するというふうに考えております。

保岡分科員 済みません、今の御答弁だと、協力隊OB、OGは現役隊員向けのサポートということだというふうに聞こえるんですけれども、それは、例えば、県が自治体向けにする啓蒙の研修会などにも使えるという理解でよろしいですか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 基本的に、今回の充実した分につきましては、市町村が行う支援を基本としておりますので、多くは市町村がOB、OGと連携しながら現役隊員を支援していく、また、それがOB、OG自体の支援にもなるんだと思うんですけれども。

 県が行う場合には、基本的には先ほど申しました普通交付税措置が活用できますけれども、それで既に愛媛県を始め各県で研修会をやっていただいていますけれども、市町村と一緒になって、ある意味、協議会みたいな形でやっていくのであれば、今申しました特別交付税措置での支援を拠出し合うことによって、そういった連携した研修ができますので、いろいろな活用の仕方がありますので、今の分科員の御指摘も踏まえて、我々としては、いろいろな事例が増えていくようにサポートしてまいりたい、よく周知をしてまいりたいと考えております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 是非いろいろなパターンを御検討いただければと思います。

 実際に、自治体でも意識が低い自治体の場合は手をなかなか挙げないというところがございますので、県がこのエリアの自治体全体に対して啓蒙活動をしたいというようなものまで含めて、少し柔軟性を持った運用ができるようにいただけたら大変ありがたく存じます。

 残念ながら、幾ら行政が支援をしても、地方において縮退していく地域というのを復活させるというのは非常に限界があるというふうに地元を回りながら感じております。

 その中で、総務省が地域活性化に貢献をした個人、団体に贈る、ふるさとづくり大賞というのがあるかと思いますが、今年の最優秀賞には、鹿児島県の甑島に在住の山下賢太さんという方が選ばれました。三十七歳の男性です。

 彼は、生まれ故郷の甑島、甑島というのは、昭和二十五年、人口のピーク二万五千人を迎えます、そこから、現在、三千八百人にまで人口が減少している地域、この地域に、自分が生まれ育った地域に十年前にUターンをして、一次産業の生産、加工や観光、移住、定住促進などの事業をビジネスとして取り組み、この島により多くの人の流れをつくり、また、そういう仲間を集めて、今、島が少しずつ活性化をしているところでございます。

 この地域おこし協力隊の制度には、そういう山下賢太さんのような人材を地方に定着させるポテンシャルが十分にあるというところが、私が今日お訴えをしたかったところでございますので、全国の二十代―五十代を対象とした民間調査、地方移住の興味があるという方が六〇%、今現状あるという民間の調査もございます。このような追い風が吹いている今だからこそ、細部まで目を凝らして、できるだけこの制度の持つポテンシャルが最大限引き出されるような、啓蒙活動も含めた国のサポート、是非お願いをしたいというふうに思います。

 大分時間がたちました。

 次に、三問目の質問になります。光ファイバー整備の状況、課題と今後の取組について伺いたいというふうに思います。

 徳之島で起こった通信障害、この度、私の地元の徳之島で通信障害が起こりました。四千件ほどが被害に遭い、復旧に九日ぐらいがかかりました。原因はトカラ列島宝島付近の海底ケーブルの断線だということでございますが、ケーブルの管理運営をするNTT西日本は原因調査中とのことでございました。

 この原因調査中ということでありましたけれども、総務省の方で、この原因、もし追跡調査、もう分かっていれば、お答えいただけますでしょうか。お願いいたします。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘があったとおり、徳之島との間の海底ケーブルはNTT西日本によって敷設されたものであり、断線の原因について同社から報告を受けております。同社によれば、正確な原因は調査中とのことでございますが、海底ケーブルが引き裂かれたような状況になったということで、船舶のアンカーがケーブルにひっかかったことが原因として考えられるというふうに聞いてございます。

 総務省としては、NTT西日本に対して、サービスの早期復旧に向けて対応するように要請しまして、NTT西日本において代替回線を確保することで、インターネット接続は回復したところでございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 今、船舶のアンカーなどがひっかかったのが原因ではないかというふうにおっしゃいました。これはちょっと行き過ぎた考えかもしれませんけれども、冒頭、私、北朝鮮の話に触れさせていただいたのは、何らかの外的なもの、外国の妨害でこの海底ケーブルが損傷するということが想定されなくはない、実際にヨーロッパの方ではそのような事例があったというふうにも記憶をしておりますが。

 災害に加えて、そのような危機管理というのを、是非総務省には、関係省庁と連携を取りながら、今後、離島の通信インフラ、今回、宿泊施設でクレジット決済ができない、自動チェックインができないといった状況から、建設会社の電子入札やネットバンキングでの支払いができないといった、このような軽微、軽微というか、これぐらいのことから、幸い今回なかったんですけれども、医療や行政の大量なデータの通信の障害であったり、様々なこの海底ケーブルの切断によって引き起こされる事態は想定をされます。

 是非、今回の場合は二つ海底ケーブルがあって、一方が不通になって、おっしゃるように一方がつながっていたので代替することができましたけれども、いろいろな危機管理を含めて、今後、離島の通信インフラの増強、充実を頭に入れて進めていただければというふうに思います。

 最後になりますが、放送と通信の融合効果によるNHK受信料の減額ということで、質問をさせていただければというふうに思います。

 昨年の紅白歌合戦、NHKプラスという、ネットでのNHKが視聴できるNHKのサービスが今ございますが、私も利用しておりますが、初めてその紅白歌合戦のNHKプラスでの視聴数が百二十万件を突破したというニュースが出ました。百万件を突破したのは昨年が初めてということで、昨年就任をされた稲葉新会長の就任会見のコメントにおきましても、前田前会長の取り組んだ改革を継承しつつ、その改革の検証と発展が自身の役割というふうに御説明をされ、デジタルアーカイブスの更なる事業展開を進めるという御発言もなされておいでです。

 メディアの総接触時間において、スマホや携帯がテレビを上回ったという調査データもございます。現在、NHKオンデマンド、九百九十円月額などを活用して、更なるデータアーカイブスの事業展開によって収益が見込めないか、その収益が今どれくらいあるのか、どれくらいの伸び、成長の具合があるのか、そしてまた、それを受信料の減額に実現できないかということについて、総務省から御答弁をお願いいたします。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました、NHKの放送番組をインターネットにより有料で提供する、いわゆる有料インターネット活用業務でございますが、受益者負担の観点から、放送法等の規定によりまして、受信料を財源とする一般勘定とは別勘定で業務を行うこととされております。

 平成二十年の業務開始、すなわちNHKオンデマンドの開始以降、この有料インターネット活用業務勘定におきまして事業収支差益が生じた場合には繰越欠損金の解消のために充てられてきておりまして、来年度、令和五年度には、この累積しておりました繰越欠損金が解消される見込みになってございます。

 こうした状況を踏まえまして、今後、この有料インターネット活用業務の料金設定などをどのようにしていくかということにつきましては、まずはNHKにおいてお考えいただくべきものというふうに考えてございます。

 総務省といたしましては、昨年九月から開催しております有識者会議におきまして、NHKのインターネット活用業務の在り方など、デジタル時代における公共放送がどうあるべきかということをしっかり検討を進めてまいる所存でございます。

保岡分科員 状況はよく分かりましたが、一つ御質問にお答えいただいていない部分がございます。昨年の収益やら伸び率というのはどのようになっているか、もう一度御答弁をお願いできますでしょうか。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。失礼いたしました。

 令和四年度から来年度、令和五年度は、予算ベースでございますけれども、今の見込みでございますと、令和四年度の事業収支差金、有料インターネット活用業務勘定のいわゆる黒字が十九億円、令和五年度の予算の見込みが二十億円となってございます。

 前にちょっと繰り上がって申し上げますと、令和三年度が二十億円、令和二年度が十六億円、平成三十一年度が三億円、平成三十年度が三億円となってきておりますので、最近は伸びてきているというトレンドにあるかと思います。

 以上でございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 現状、制度上、それができないということは十分承知をいたしました。ただ、単純に考えまして、収益が二十億ぐらいあれば、今、大体契約者数が四千万人程度だというふうに伺っておりますので、一人当たり、安くなっても五十円程度ぐらい、軽微なものだなというふうに今お話を伺って思いました。もう少し伸びてくれば、それが少しは影響があるのかもしれませんけれども、現状はその程度だなということは理解をいたしました。

 最後になりますが、せっかく今日は尾身副大臣が御臨席いただいていますので、本日の私の質問を通じて何かお感じになられたこと、御感想などあれば、ないようでしたら結構でございますけれども、差し支えなければ御答弁いただけたらありがたく存じます。

尾身副大臣 ありがとうございます。

 いろいろと御質問いただきまして、また、様々、課題等、御地元の事情も聞かせていただきました。特に、地域おこし協力隊の活用につきましては、もっともっと地域の皆さんがより活用していただけるように、私どもも心を配ってまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

保岡分科員 ありがとうございました。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

熊田主査 これにて保岡宏武君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日火曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十九分散会


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