衆議院

メインへスキップ



第1号 令和6年2月27日(火曜日)

会議録本文へ
本分科会は令和六年二月二十二日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      奥野 信亮君    宮路 拓馬君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      山井 和則君    守島  正君

      金城 泰邦君

二月二十六日

 宮路拓馬君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年二月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 宮路 拓馬君

      奥野 信亮君    木村 次郎君

      小林 史明君    藤井比早之君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      山井 和則君    守島  正君

      金城 泰邦君

   兼務 高木  啓君 兼務 中川 貴元君

   兼務 本田 太郎君 兼務 逢坂 誠二君

   兼務 階   猛君 兼務 吉川  元君

   兼務 足立 康史君 兼務 前原 誠司君

   兼務 宮本  徹君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務副大臣        馬場 成志君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   衆議院庶務部長      梶田  秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 信也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           海老原 諭君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  菅原  希君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   北原  久君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  八木 和広君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         緒方 和之君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           岡野まさ子君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          市倉  昇君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     小林 史明君

  守島  正君     住吉 寛紀君

  金城 泰邦君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     藤井比早之君

  住吉 寛紀君     守島  正君

  日下 正喜君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     木村 次郎君

  守島  正君     一谷勇一郎君

  平林  晃君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     奥野 信亮君

  一谷勇一郎君     小野 泰輔君

  鰐淵 洋子君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 泰輔君     中嶋 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  中嶋 秀樹君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 良太君     守島  正君

同日

 第一分科員逢坂誠二君、足立康史君、第三分科員中川貴元君、吉川元君、第六分科員本田太郎君、宮本徹君、第七分科員階猛君、第八分科員高木啓君及び前原誠司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

宮路主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました宮路拓馬でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 令和六年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和五年度補正予算と一体として、経済財政運営と改革の基本方針二〇二三に沿って、足下の物価高を克服しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、重要な政策課題について必要な予算措置を講ずるなど、めり張りの利いた予算編成を行うという政府方針の下、総務省として、活力ある多様な地域社会の実現に向けた地方行財政基盤の確立、地域DX・地域活性化の推進、地域DXの推進を支える情報通信環境の整備、防災・減災、国土強靱化の推進による安全、安心な暮らしの実現、土台となる社会基盤の確保、国際競争力の強化、国際連携の深化に向けた先導的取組の推進に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十八兆二千百七億円です。

 以下、事項などの説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

宮路主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮路主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮路主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮路主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木(啓)分科員 自由民主党の高木啓でございます。

 今日、松本大臣には質問、答弁がございませんので、よろしかったらどうぞ御退席いただいて結構でございます。

宮路主査 それでは、松本大臣、御退室を。

高木(啓)分科員 それでは、質問に入りたいと思います。

 まず、能登半島地震でお亡くなりになられた方々、また被災をされた皆さんに、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げたいと存じます。

 そのことにも関連をいたしますが、最初に防災対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地震、そして風水害、火山噴火など、自然災害はいつどこで起こるか分からないわけでありまして、被災者の救助や復旧作業には一人でも多くのマンパワーが必要だというふうに思っています。自衛隊を始めとする外部からの応援要員にもおのずと限りがあることでありますから、自治体職員はできるだけ、被災をした自治体であるとすれば、勤務している自治体の中にできれば居住をしていただいている方が望ましいというふうに私は思っています。特に都市部においては、遠方から通勤してくる職員も多いわけでありまして、いざというときにどれだけ職員が参集できるかもなかなか分からないという状況にもあります。

 ですから、自治体の職員の意向を尊重しなければいけないとは思いますが、しかし一方では、できるだけ職住接近を自治体職員にも進めていくという姿勢も私は必要なのではないかと思うんですが、総務省の所見をお伺いしたいと思います。

馬場副大臣 お答えします。

 自治体職員に関し、できるだけ職住接近を進めることは、先生御指摘のように、当該職員の意向を尊重することが前提ではありますが、災害対応の観点などから重要な御指摘であると考えております。今後、自治体の事例なども把握しながら、研究してまいりたいと存じます。

 なお、発災時、自治体職員が迅速に参集し、災害応急対策を行うことは極めて重要なことから、自治体が地域防災計画や業務継続計画に職員の迅速な参集について定めるよう、働きかけているところであります。

高木(啓)分科員 ありがとうございます、副大臣から力強い御答弁をいただいて。

 私は、職員は、やはり、参集をするというのはもちろん大事なんですけれども、参集前提というのもなかなか難しくて、東京でいえば、東日本大震災のときにもなかなか、あのときは昼間でしたから勤務時間内だったんですけれども、やはり勤務時間外の方が時間は長いわけなので、そういう意味でいえば、できるだけ職住接近を進めていくという姿勢が必要なのではないかなと思っていて、そのためには、自治体がこういうふうにしたらいいのではないかというアイデアに対して、是非総務省もそれは応援をしてあげていただきたい、このように思います。例えば、職員住宅を造った方がいいと思う自治体が仮にあるとすれば、そういうことも防災上の観点からも含めて応援をしてあげていただきたいなというふうに思っています。

 ですから、全国の自治体を所管する、総務省がその所管をしているわけですから、総務省としても、この防災対策における職員の在り方、そして居住の在り方、あるいは参集の在り方、これからも是非研究をして進めていっていただきたい、このように思います。

 さて、都市部においては、特に災害時の避難所スペースが私は圧倒的に足りないというふうに思っています。避難所スペースの確保に今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 避難所の確保につきましては、災害の規模によっては、発災時に当該地域の大多数の住民が避難することを想定すべきであること、また、避難所における良好な生活環境を確保する上でも十分な生活スペースの確保が望まれることから、各自治体において確保の取組を進める必要があると考えております。

 このため、政府においては、想定される避難者を勘案した上で、指定避難所の一層の指定に取り組むこと、管内の公共施設のみでは指定避難所を量的に確保することが難しい場合には、旅館ですとかホテル、企業の社屋の一部、企業の研修施設や福利厚生施設などを活用できるよう事前に協定を締結することなどを示して、取組を促しております。

 今後とも、自治体において、地域の実情を踏まえ、十分な避難所数を確保できるよう、指定避難所となる公共施設を所管する関係省庁等と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 私は東京選出なので、地元のことを想定しながら、全国にそのことも思いを致しながら質問をするんですが、学校の例えば校舎や体育館あるいは校庭、そういうところが避難所になっていくわけでありますけれども、圧倒的に多分スペース的には足りないと思っています。

 それで、スペースにも限りがあって、常時避難所を用意しておくということ、これはなかなか難しいというのは分かるんですが、何かあったときには転用ができる、そういうスペースをやはりできるだけ確保していくことが必要なんだろう、こう思っています。

 例えば、スポーツ広場ですとか、公園もそうですけれども、とにかく人が集まれるところ。それをできるだけ、総務省だけで考えるんじゃなくて、省庁横断的に、スポーツ広場であれば、例えばスポーツ庁や文科省や、そういうところにも協力をいただかなきゃいけないだろうし、人がたくさん住んでいるところ、あるいはいらっしゃるところ、昼間の人口と夜の人口の違いもあるでしょうし、そういうことを是非思いを致しながら避難所スペースの確保に努めていただきたい、このように思います。

 そして、避難所のことについてちょっと申し上げたいんですが、今回の能登半島地震もかつての震災もそうであったように、災害が起こりますと、避難所にやはり多くの方が集まってくる。そのときに、避難所の秩序の構成、構築、そして秩序の維持、それは、じゃ、誰がやるのかということだと思うんですね。先ほど馬場副大臣にお答えいただいた自治体職員の話もそうなんですが、例えば避難所の運営の責任者は誰なのかとか、こういうことをしっかり事前から決めておく必要があると思います。

 私たちは、前向きなこと、ポジティブなこと、例えば、避難所で、こうした方がいいよね、こうあるべきだよね、こういうことについては結構みんな協力をしていただいて、多分前向きに取り組めると思うんですが、逆の、要するにネガティブなこと、こういうことについては、じゃ、誰が責任者なんだ、誰が決めるんだ、避難所の秩序はどうするんだということはなかなか大変だと思います。

 例えば、私が想定をするのは、避難所には入れる人のキャパシティーがあると思います。キャパシティーを超えたときに、あなたはもう入れませんよとお断りは誰ができるんでしょうかね。そこの責任者、あるいはその避難所を運営する責任者というんですかね、例えば二百人のキャパシティーのところだったら、二百一人目の人が来たときに、あなたはもう入れませんよとお断りができるんでしょうかということであります。それが、スペースがあれば、あちらだったらまだありますからどうぞということは言えるかもしれないし、あるいは、体育館に入れなければ、申し訳ないんだけれども、校庭でテントを張ってくださいと言うこともできるかもしれない。だけれども、そういう指揮命令系統を含めて、避難所というのは突然開設をされるわけですから、秩序がないんですね。

 ですから、この秩序をどう維持するかというときに、スペースの問題を含めて、人の確保、そして最終的には自治体職員がどういう役割を果たすかという意味も含めて、私は、今回の能登半島地震も踏まえた現実的な対応というものが必要だろう、こう思っているわけであります。ですから、よくその辺りもお考えをいただいて、これからの自治体に対する助言やアドバイスをしていただきたい、このように思っています。

 さて、災害時の情報伝達手段について伺うんですが、携帯電話はいまだに通信できる可能性は低いと思います。様々な代替サービスがつくられてきていて、この課題は年々改善されているというふうに私は思っていますが、しかし、災害大国とも言われている我が国でありますので、災害時でもやはり自分たちが持っている携帯電話が電話通話として、通話としてできるだけ使える環境というのをこれから一層目指していってほしいと思うんですが、そのことについての見解を伺いたいと思います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 通信、特に携帯電話は、災害時におけるライフラインとしてつながることが重要であると認識しております。

 今般の能登半島地震により、携帯電話サービスでは、商用電源の停電、基地局の倒壊、損傷などによる設備故障、伝送路の断絶といった原因によりまして、能登半島北部六市町において、被災前のサービスエリアと比較して、最大でその約七割から八割のエリアで支障が発生しております。

 このようなサービス支障に対しまして、これまで、官民が連携して、早期復旧に向けて、移動電源車や可搬型の衛星アンテナ、ドローン技術を活用した臨時の基地局といった応急復旧機材の設置を進めた結果、立入り困難地点を除きまして、一月中旬には応急復旧がおおむね終了しております。

 今後、被災の原因やその対応について必要な検証を行い、今回、衛星やドローンなど新しい技術を活用した取組も進められたことや、官民の連携が進められたことも踏まえまして、災害時に通信が途絶しないよう、通信環境の一層の強化に向けて取組を進めてまいります。

 また、特に近年では、衛星や成層圏を飛行する無人航空機などを用いて手持ちのスマートフォンで通話やメールの送受信を行うことができるサービスの将来的な実用化に向けた取組が関係事業者によって進められていることもございますので、そういった新技術も活用することにより、基地局が被災し、地上のネットワークが停止した場合でも携帯電話サービスが利用できるような取組も進めてまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 この問題は、相当前から問題提起もして、そして私も非常に関心を持って取り組んできた課題の一つでありまして、総務省も、一生懸命予算をつけたり、いろいろな試みをやっていただいているのはよく存じ上げているつもりであります。しかし、今回の能登半島地震でも、おおむね通話が復旧をしたのが、一月一日に発災をし、そして復旧をしたのが大体一月の十八日というふうに言われておりますので、半月以上は今回でもかかっているわけであります。

 ですから、被災地の通話というのは、もちろん、通話量が激増して集中をするからなかなか通話しづらくなるというのは、これは事情はよく分かるんですが、しかし、そうはいっていても、やはり携帯電話がつながればいろいろなことが進んでいく、特に安否確認を始めとしていろいろな作業ができるようになるわけですから、是非、ハードルは高いんですけれども、これはこれからも前向きに取り組んでいただきたいし、衛星を含めてできるだけの技術を駆使して、一日も早く、そして、できればいつでも使える、こういう携帯電話サービスを構築するように取り組んでいただきたい、このように思っています。

 次の質問に入ります。

 郵政事業についてお伺いをしたいと思います。

 この四月からの令和六年度、令和六年度の秋からと言われているんですが、郵便料金の値上げが計画をされています。現状の日本郵便の収支見通しでは、その値上げが行われると、令和七年度は若干の黒字となるものの、令和八年度には再び、数百億と言われていますが、数百億の赤字になると言われています。

 郵便事業がこのような赤字体質に陥ったその理由をまず聞かせていただきたいと思います。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便事業につきましては、これまでも日本郵便におきまして、郵便の利用拡大や区分作業の機械化、適正な要員配置などによる業務効率化に取り組んできたところでございますけれども、平成十三年度をピークに郵便物数は毎年減少しており、また、令和四年度には、社員の賃金の引上げや、燃料費などの高騰の委託料などへの適正な転嫁に取り組んだところでございまして、令和四年度の郵便事業の収支は、平成十九年の郵政民営化以降初めての赤字となったものでございます。

 この郵便物数の減少傾向は今後も継続することが見込まれる一方、我が国全体がコストカット型経済から成長型経済への変革を目指す中で、賃上げや適正な価格転嫁には引き続き取り組む必要があることなどを総合的に考慮した結果、消費税増税に伴う改定を除くと、約三十年ぶりとなる二十五グラム以下の定形郵便物の料金の見直しに取り組んでいるものでございます。

 しかしながら、分科員御指摘のとおり、令和八年度以降の収益は、再び赤字化する見通しとなっております。

 このような状況を改善するため、総務省としましては、引き続き、様々な機会を捉えまして、日本郵便に対し、競争力がある質の高いサービスの提供などによる収益力の向上を求めてまいります。

高木(啓)分科員 手紙、はがきを含めて郵便の取扱量が減少していることや、三十年ぶりの見直しということで、今まで料金体系の見直しをしないできた、その努力については私は評価をするし、本当に頑張られてきたんだろうな、時代の変化がある中で頑張ってきたんだなと思いますが、一方では、やはり釈然としないのは、何でこうなってしまったのかというところだと思うんですね。

 いろいろな理由はもちろんあると思いますけれども、一つの理由として、これはよく聞く話でありますが、二〇一五年、平成二十七年に六千二百億円で買収したオーストラリアのトール・ホールディングス、この買収の失敗というのが実は背景にあるのではないかなという気もいたしています。日本郵便にとってこれは致命的な出来事だったのではないかなと思います。

 この買収で収益が悪化して、二年後の二〇一七年には四千億円の損失を出しています。さらに、二〇二一年には六百七十四億円の損失を計上し、この一連の責任というのは誰がどのように取られたのか、私はちょっと詳しくは存じ上げませんけれども、少なくとも現在の経営状況はこのことが尾を引いているのではないかなという感じもいたしています。

 このトール・ホールディングスの買収に関して、社内ではどのような総括的見解が出されたのか、責任の取り方を含めて教えていただきたいというふうに思います。

市倉参考人 お答えいたします。

 ただいま分科員御指摘のとおり、残念ながら、私ども、二〇一七年とそれから二一年に多額の損失を計上いたしました。一七年の減損損失を計上し、それを公表した際には、日本郵政それから日本郵便の役員が報酬の一部を半年間返上いたしております。その後、トール社の経営陣の刷新、人員削減や部門の統廃合等によるコスト削減によりまして、現在、トール社の損益は黒字を確保しております。

 収益の多様化を図るための海外投資がこのような大きな損失を招いたことにつきましては、大変重く受け止めております。今後とも、投資の判断に際しては、この教訓を踏まえて慎重に検討してまいる所存でございます。

高木(啓)分科員 郵便料金の三十年間の見直しをしなかったという努力と、今のトール・ホールディングスの買収の失敗ということを兼ね合わせて考えてみると、実は、今年の令和六年度の秋と言われている値上げをしなければならない、この事情は、トール・ホールディングスの買収がもし失敗しなければ、もっと先延ばしをして、もっと頑張れたんじゃないかという気がしてならないというのは、私の個人的な感想です。

 ですから、投資の失敗というのは本当に致命的なことになる可能性があるので、郵政民営化が何だったのかということともこれは結びつく話でもあるかもしれませんが、慎重にというか、国民に負担を求めていくということを最終的に選択せざるを得ないとするなら、こういうことはやはり本当によく考えた上で、要するに会社としてどういう経営をしていくのか、運営をしていくのか、このことを一つの大きな教訓にしていただいて今後の取組を行っていただきたい、健全な経営のために頑張っていただきたい、このように思います。

 このような失敗もあっていながらも、郵政事業は現在に至っているわけでありますけれども、郵政三事業一体による郵便局ネットワークの維持というのは、私はこれからも国民にとって必要な社会インフラというふうに考えています。

 まず、この郵政三事業一体による郵便局ネットワークの維持、このことが国民に必要な社会インフラであるという、このことに対する見解をまず伺いたいと思いますし、また、そのためには郵便料金の値上げ以外に日本郵政グループとして何を行う必要があるというふうに考えているのか、所見を伺いたいと思います。

市倉参考人 日本郵便は、日本郵便株式会社法によりまして、郵便、貯金、保険の三事業を業務として、ユニバーサルサービスを郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにしなければならないとされております。

 民営化以降、局数の大きな変動はなく、郵便局ネットワークを維持しているところでございます。郵便局ネットワークは、日本郵政グループとお客様との大切な接点であるだけでなく、当グループの最も根幹を成す資産であると考えておりまして、現時点では、現在のネットワーク水準を引き続き維持していく必要があると考えております。

 日本郵政といたしましても、郵政三事業が一体となってサービスを提供していくことが郵便局ネットワークの価値向上につながると考えておりまして、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の親会社として、三社の受委託関係、協業関係の維持強化に取り組んでまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 今、御答弁の中で、現時点ではこのネットワークを維持していきたいというお話がありましたが、現時点では、ではなくて、現時点も、将来にわたっても、私はそう思いますよ。現時点ではじゃなくて、将来も含めてこれは大事なんだ、国民にとってのこれは必要なインフラなんだというふうに私は思います。

 民営化以降も実際の局数はそれほど変化がないというお話がありましたけれども、しかしながら、なくなっているところもありますからね。それから、局が格下げになっているところだってあるわけですよ。

 ですから、そういう意味では、郵政三事業一体化による郵便局ネットワークの維持というのは、国民にとって必要なインフラだ、社会にとって必要なインフラだというふうに私は思っていますので、三事業一体による郵便局ネットワークの維持に向けて是非努力をしていただきたい。間違っても、投資の失敗とか、そういう会社経営上の問題で国民サービスが削減をされることがないように、このことだけは私は強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 地方税に関して幾つかお伺いをしたいのですが、まず、固定資産税の一つであります償却資産税について伺います。

 この償却資産税は、世界的に見ても、課税をしている我が国は少数派だという話がありますし、私もそう聞いています。経済界からは毎年償却資産税廃止の要望が出ているんですが、償却資産税に関する総務省の見解を伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 償却資産に対する課税でございますが、我が国だけではなく、アメリカの州、イギリス、韓国、フィリピンなどといった国でも行われている、こう承知しております。

 固定資産税は、令和四年度決算ベースで約九・六兆円と、市町村税収の四割超の税収規模であり、うち償却資産分は約一・九兆円、こういうことでございまして、市町村にとって安定した基幹財源となっております。

 また、償却資産課税の見直し議論についてでございますが、全国市長会、町村会を始め多くの地方団体から現行制度堅持の意見が数多く出されているところでございまして、見直しには慎重な議論が必要かと考えております。

 一方ででございますが、固定資産税については、例えば、中小事業者等が取得した生産性向上等に資する償却資産に係る特例措置を講じておりますなど、政策目的などを十分に勘案しつつ、必要な措置を講じているところでございます。

 今後とも、市町村の基幹税である固定資産税の安定的な確保に十分配慮しながら、必要な措置については関係省庁とも議論を行ってまいりたい、このように考えております。

高木(啓)分科員 幾つかの地方税に関する質問を御用意させていただいたんですが、全てにおいて税調の中でも結構議論になっていて、毎年この償却資産税の問題も取り上げられていて、今の答弁なのは、私も御答弁は御答弁として御理解を申し上げるつもりでありますが、世界は今百九十四か国と言われているのかな、例に挙げていただいたところはある意味で先進国なんでしょうけれども、税体系がどうあるべきなのかというのは不断に研究をしていただいて、国際競争力とか、そういうことも含めた国税、地方税両方の関係性や在り方というのを是非追求していただきたいと思います。

 次に、収入金課税について伺うんですが、電力、ガス事業等に対する収入金課税は、既に課税根拠を私は失っているというふうに思っています。これは独占事業であったときの制度ですから、自由化されているので、そろそろこの収入金課税は廃止をされるべきではないのか、これは私は従前からそう思っています。そのことに対する見解を伺いたいと思います。

宮路主査 馬場総務副大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

馬場副大臣 収入金額課税制度については、電気、ガス供給業に関して、小売の全面自由化や送配電、導管部門の法的分離などの事業を取り巻く環境変化を踏まえ、令和二年度、四年度税制改正などにおいて、既に課税方式の見直しが行われたところであります。

 収入金額課税については、原発立地団体を始めとする地方団体から、受益に応じた負担を求める課税方式として定着し、税収の安定化にも大きく貢献していること、大規模発電施設は周辺環境への負荷が大きく、多大な行政サービスを受益していること、地方財政全体や電源立地県を始めとする個々の地方団体の税収に与える影響が大きいことなどから、制度を堅持する強い要望がございます。

 今後の収入金額課税制度の在り方については、令和六年度与党税制改正大綱において、個々の自治体の税収に与える影響等も考慮しつつ、事業環境や競争状況の変化を踏まえ、その課税の在り方について引き続き検討するとされており、関係省庁とも議論を深めてまいります。

高木(啓)分科員 引き続き検討を続けていただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて高木啓君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、まず、SNSの成り済まし対策についてお伺いしたいと思います。

 資料をお配りしておりますけれども、最近、著名人、政治家、企業なんかの成り済ましのアカウントが相当問題になっております。私自身も、昨年秋に、全くそっくりの成り済ましのアカウントが作られました。その裏面を見ていただいたら分かるんですけれども、X、旧ツイッターでの私の成り済ましアカウントは、リプライ機能を使っていろいろな人に働きかけている、こういうことをやっているんですね。「毎日シェア急騰株、優良成長株、LINEに参加して受け取ることができます」ということで、この手のものは投資詐欺にも多くあると指摘されているわけですが、私が怪しげな投資の勧誘、投資詐欺を行っているかのように、これだけを見れば映る事態が生まれているわけですね。はっきり言って名誉毀損に当たる事態だと思います。大臣、この裏面に書いてありますので。

 まず大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思いますけれども、SNS上の成り済ましの問題点について、どう認識されているでしょうか。

松本国務大臣 成り済まし、どのように定義をするかという議論もあろうかというふうに思いますけれども、一般的には、先ほどもお話がありましたように、著名人など実在する他人の氏名などを使用するなどしてSNS上で投稿を行うことで、あたかもその他人が投稿を行っているかのような外観を作り出す行為だというふうに考えられるかと思っております。

 このような成り済ましの行為によって、成り済まされた方の社会的評価を下げる、名誉権や名誉感情、肖像権を侵害するなど違法の可能性があり、また、今、分科員がおっしゃったものもこれに該当するのかどうかは、私どもは個別の認定はいたしかねるところではありますけれども、成り済まし行為によって投稿された情報が本人によるものと誤解をされた場合、閲覧者に財産上の被害をもたらすこともあり得るということでありまして、成り済まし行為に対しては対応が何らか必要ではないか、適切にやらなければいけないというふうに考えております。

 この国会で、成り済ましを含めた違法、有害情報への対応について、総務省で、SNS等のプラットフォーム事業者に対し、利用規約などを踏まえた適正な対応を求めるとともに、当該プラットフォーム事業者に対して削除対応の迅速化や運用状況の透明化を求めるプロバイダー責任制限法の改正案の提出を予定しているところでございます。

 既に申し上げておりますが、今回の改正案におきまして、これまで当該法案は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律となっておりましたけれども、改めて、題名におきましても特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関するということで、権利侵害の問題が非常に大きな問題であるという認識の下に、改めて制度をお願いしていこうかというふうに思っております。

宮本(徹)分科員 権利侵害への対応というのは本当に求められるわけですけれども、ぞっとするのは、民主主義の根幹である選挙において、SNS上でこうした成り済ましや、あるいは政治家のフェイク動画の拡散が行われるケースなわけですね。海外を見ていても、SNS等を使って、他国の選挙の干渉も起きています。今、AIがありますので、精巧なフェイク動画も簡単にできる状況になっているわけですね。

 とりわけ、選挙における成り済ましアカウントやフェイク動画による虚偽の発信、拡散については早急な対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃったように、表現の自由は民主主義の根幹として極めて大切なものであると考えられるところでありますが、表現の自由のいわば基盤となる情報の信頼性そのものにも問題がある意味では出てくるという、この偽・誤情報問題ということには、我々も様々考えていかなければいけないということであろうかというふうに思っております。

 現行制度においては、成り済ましや公職の候補者に関する虚偽の事項を発信、拡散することについて、公職選挙法の虚偽事項公表罪や氏名等の虚偽表示罪などの罰則はございまして、これに該当するかどうかは、具体の事実に即して、捜査機関、最終的に司法によって判断をされるものではございます。

 平成二十五年、議員立法によりインターネット選挙運動が解禁された際に、併せて、先ほど申しましたプロバイダー責任制限法が改正されて、プロバイダーが候補者などからの申出を受けて情報を削除する場合において、プロバイダーの損害賠償責任が制限されるために必要な発信者への情報の削除に係る確認期間が一週間から二日に短縮されているところでございます。

 また、偽・誤情報への対応ということについては、技術革新のスピードが速いため、偽・誤情報を判別するための対策技術の開発、実証を行うなど、技術面からの対策も進めてきているところでございます。

 さらに、デジタルプラットフォーム事業者の対応や、広く、多様な方々にリテラシーの向上なども必要になってくると思っており、様々な政策を組み合わせることで対応しているところでございます。

宮本(徹)分科員 問題は、この私の成り済ましアカウントですけれども、これはいまだに消えていないんですね。残り続けているということなんです。私も、運営事業者に対して、これは成り済ましだということを繰り返し申請しておりますけれども、削除されないわけですね。やむなく、先日、アカウントを削除するように東京地裁に仮処分命令の申立てをしました。当然、これはお金もかかる。時間もかかる。

 一方で、ほかの成り済ましアカウント、例えば財務官の成り済ましアカウントなんて、申請したらその日に削除される。

 大変不透明な対応が今起きているのではないかというふうに思うんですけれども、この点、いかがですかね。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、SNS事業者による投稿の削除やアカウント停止などの対応につきまして、その基準が曖昧であるとともに、運用状況が不透明であるといった課題が指摘されているところでございます。

 こうした課題を受けまして、総務省の有識者会議で御議論いただきまして、その結果、SNS事業者による投稿の削除やアカウント停止については、法制上の手当ても含めて、その基準や運用状況の透明化を図ることが必要との報告書をいただいております。

 その報告書を踏まえまして、先ほど松本大臣からもございましたように、今国会において、削除などの運用状況の透明化などを求めるプロバイダー責任制限法の改正案の提出を予定しているところでございます。

宮本(徹)分科員 これはXの場合ですけれども、ちょっとお伺いしたいんですけれども、成り済ましアカウントは直近どれぐらい報告があって、どれぐらいのアカウントの削除を行ったのか。どのような審査体制で行っているのか。X社に直近の運用状況を聞き取って答えてほしいということを通告しておりますけれども、どうでしたか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のX社に問い合わせましたところ、審査体制につきましては、成り済ましに関する基準を策定した上で、日本語での専用報告機能を設け、第三者を含め、誰でも成り済ましを報告できるようになっており、二十四時間三百六十五日、日本語対応可能なチームが報告に対応している、そういった旨の回答がございました。

 また、成り済ましアカウントの報告数と削除数につきましては、現時点では国内の数字で共有できるものがない旨の回答がございました。

 X社はこのような状況でございますが、各SNS事業者による削除などの運用状況は必ずしも透明ではないものと考えられるため、この点、先ほど申し上げたとおりでございますが、総務省の有識者会議で御議論いただきまして、その結果、SNS事業者による投稿の削除やアカウント停止については、その基準や運用状況の透明化を図ることが必要との報告書をいただいているところでございます。

宮本(徹)分科員 全く、どれぐらい成り済ましの報告があって、そのうちどれだけ対応したかも分からないという大変不透明な状況で、だからこそ法改正するんだというお話なんですけれども、果たして、私自身がこういう被害に遭って、それが対応されないという下で、今度の法改正の中身で必ずこうしたものへの対応がなされるのか、そういう懸念もあるわけですよね。

 私は、プラットフォーマーに対して、成り済ましアカウントなど、成り済ましについては削除義務を明記する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の有識者会議におきましては、削除対応の迅速化や運用状況の透明化を図ることが必要との報告書をいただいております。

 また、御指摘の成り済ましも含めまして、削除義務を課すことにつきましては、有識者会議の報告書においては、個別の情報について罰則つきの削除義務を課すことは、表現の自由を萎縮させることから慎重であるべきと取りまとめられております。

 この総務省の有識者会議の報告書を踏まえまして、先ほどから申し上げているとおり、今国会において法案の提出を予定しているところでございます。

 なお、報告書では、運用状況の透明化につきまして、削除基準の策定、公表が適当である旨も盛り込まれておりまして、プラットフォーム事業者においては、自ら定めた削除基準に基づいて、成り済ましも含めて適切な対応を促していく仕組みが必要ではないかと考えております。

宮本(徹)分科員 表現の自由というのは非常に大事な問題だと私は思うんですよね。ですから、権利侵害情報といっても、例えば、これが誹謗中傷に当たるかどうかというのはなかなか判断が難しいケースもあると思うんですね。そういう場合にプラットフォーム事業者が過度に削除してしまうという危険があるというのは、それ自体はその懸念はあると思うんですけれども。

 ただ、成り済ましというのは、そういうケースとは全く違うと思うんですよ。成り済ましというのは本人の意思に反して成り済まされているわけですから、これを削除したからといって表現の自由の侵害には全く当たらないじゃないかと思うんですけれども、これは分けて議論しなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、その点は。

今川政府参考人 御指摘の点につきましても、今後、国会へ改正法案の提出をさせていただきまして、詳細な制度整備、それから制度の運用などを進めていくに当たりまして、参考とさせていただきたいと思っております。

宮本(徹)分科員 運用じゃなくて、まだ法案を出していないわけですから、是非そこは御検討いただきたいというふうに思います。

 加えて、今回の検討されている法案、報道を見ますと、いろいろな問題、通報があった場合は一週間以内で返事を出すということになりそうだということなんですけれども、選挙ということを考えた場合に、成り済ましあるいはフェイク動画というのが一週間も放置されるというのは許されないと思うんですよね。

 私たちのこの国は、選挙というのは、選挙の本番は大変短いわけですけれども、フランスの法律なんかを見ますと、投票日三か月前から対応しているわけですよね、三か月前から。それぐらいからは当然選挙にも大きな影響を与える期間だということになると思うんですけれども、フランスの法律では、投票日三か月前から、こうした虚偽情報が拡散されている場合、その偽アカウントに対しての対策を、プラットフォーム事業者に協力義務を負わせている。そして、虚偽情報が拡散されている場合は、検察官、候補者等利害関係者から求めを受けた裁判官は、プラットフォーム事業者に対して送信防止措置を命ずることができる。裁判官は、申立てから四十八時間以内に停止に関する判断を行わなければならない。ですから、かなり強力な体制で対策を取れるようになっているわけですね。

 もちろん、これは、先ほども言いましたけれども、権利侵害情報といってもいろいろありますからね。幅広くやったら表現の自由との関係の問題というのは私も出てくると思っていますけれども、少なくとも、成り済ましだとか政治家の偽動画、最近も岸田総理の偽動画というのが出回っているというのがありましたけれども、こういうのがそれこそ選挙の三か月前ぐらいの間からいろいろな形でやられる可能性も否定できないわけですね。しかも、外国勢力によってやられる可能性だってあり得るというのが今の現状だと思うんですね。

 ですから、こういうものがやはり放置されることがあっては絶対ならないと思いますので、これは本当に、もっと早急に対応できる対策というのを法的にも考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですかね。

松本国務大臣 おっしゃるとおり、民主主義の基盤を成す選挙は、選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることが必要である中で、選挙運動期間中の誹謗中傷に係る情報の流通によってこうした点が毀損されるおそれがあることは大変大きな課題であるかというふうに思っております。

 先ほど申し上げたように、個別の事案が現行の公職選挙法の規定に抵触することはあり得るところでございます。

 その上で、しかし、この成り済まし、冒頭でも申し上げましたように、定義をどうするかといったことも含めて、しかし、これも、先生から今御提示いただいたもの、確かに、アルファベットのiの字が違うんですね。(宮本(徹)分科員「iをlにしているだけなんですよね」と呼ぶ)これ、lなんですね。(宮本(徹)分科員「上がiで下がlなんですね。そこが違います」と呼ぶ)なるほど。しかし、ほとんど区別がつかないかのようにも見えるものであることも確かでありますし、成り済ましにどのように対応するかということも含めて、何らかの課題の整理などをしっかりしていきたいと思っております。

 今回、国会に法案を提出させていただくと申しましたけれども、情報通信の環境は、これは技術も、使われる方々の環境も非常に速いスピードで今変わってきておりますので、私たちもたゆまず課題の把握には努めていきたいと思っております。

宮本(徹)分科員 これは、本当に、与野党を超えて、次の選挙までに考えなきゃいけない問題じゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 そして、私のケースでいいますと、このX社がなぜ成り済ましアカウントを削除しないのか、理由も分からないわけですね。申請フォームから送って、不明な点があれば連絡してほしいと私の連絡先まで明記しても、返事は返ってこない。ちなみに、X社というのは、私はツイッター時代にイベントにまで出て協力したことがあるのに、そういうつれない仕打ちを受けているわけでございます。

 ですから、プラットフォーム事業者に対して、今回、ちゃんと申請窓口を丁寧に設けようというのは法改正なんかでもやられようとしているわけですけれども、今の申請のフォームが少々丁寧になっただけでは進まないケースもあると思うんですね。だから、メールだとか、場合によっては電話だとかで問合せに個別に応じる窓口も義務づける必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、一般に、SNS事業者による権利侵害情報の削除について、削除の申請窓口や申請フォームが分かりにくい、また、受け付けた旨や判断結果について申請者に必ずしも通知されていないといった課題が指摘されているところです。

 こうした課題を受けまして、総務省の有識者会議では、議論の結果、プラットフォーム事業者に対し、申請窓口の明示や、受付通知、判断結果及びその理由の通知を求めることが必要との報告書をいただいております。

 この報告書を踏まえまして、今国会において、窓口や手続の整備なども含めた削除対応の迅速化を求めるプロバイダー責任制限法の改正案の提出を予定しているところでございます。

宮本(徹)分科員 ですから、それは多分、この法律の範囲だと、極めて形式的な、何個かのタイプの通知が返ってくるだけで、なぜなんだろうというのは、本当になぜこれが削除されないのかという、やり取りが進んでいかない状況が考えられるんですよ。そこをどうするのかという対策が必要だと思います。

 加えて、今回通報して分かったんですけれども、成り済ましの通報をする際に、本人確認として、公的機関が発行した顔写真のついた身分証明書の画像が求められるんですね。

 ただ、公的機関が発行した写真つきの身分証明書を持たない国民というのもいらっしゃるわけですよね。マイナンバーカードは持たない方もいらっしゃいますし、運転免許証を持たない方もいらっしゃるわけです。

 さらに、私なんかでいえば、実は、宮本徹というのは旧姓なんですね。旧姓で私は活動しております。戸籍は妻の名字になっているわけですね。ただ、私の場合は政治家ですから、衆議院ですから、ちゃんと衆議院という公的機関が発行した身分証明書はありますから、顔写真つきの身分証明書は私はあるわけですけれども。

 ただ、旧姓で活動している人の場合は、確かに旧姓併記、マイナンバーカードとかはしていますけれども、上のところは旧姓と書いているわけではないわけですね。運転免許証もそうですね。裏面ですか、旧姓なんかの併記というのはなっているわけですよね。

 そうした顔写真つきの身分証明書となるものを持たない方だとか、あるいは旧姓を使ったアカウントで活動している方の成り済まし通報なんかにも必ず対応できる仕組みなんかをプラットフォーム事業者には設けさせる必要があるんじゃないかと思いますし、その際に必要な書類なんかも分かりやすく明示を求める必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、成り済まし被害に係る削除対応の申請を受け付ける際に、本人からの申請であることを確認するため、SNS事業者によって、本人確認書類の提示を求める場合があるということは承知をしております。

 その上で、一般論として言えば、SNS事業者には、利用者などの利益に資するため、削除などの対応の透明性を確保するとともに、削除などの申請に当たっては、できるだけ多様な利用者の状況に応じて削除申請に柔軟に対応していただきたいと考えております。

 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、今国会におきまして、削除対応の迅速化などを求める法案の提出を予定しておりますが、その中で窓口や手続の整備といったことも課題になってくると思っておりまして、そういった御指摘の課題についてもそういった中で対応がなされていくものと考えております。

宮本(徹)分科員 多様な利用者にしっかり対応できる、法律でそこまで書くのかどうかはありますけれども、その指針だとかガイドラインだとかでしっかり求めていっていただきたいというふうに思います。

 加えまして、これは先に答弁が出ちゃっている感じもするんですけれども、SNS上の成り済ましというのを犯罪としている国もあるんですね。国会図書館に調べていただきますと、国としては、カナダだとかデンマークは、これはSNS上の成り済ましを犯罪としております。アメリカでは八つの州で犯罪とされている。あるいは、ルーマニアの高等裁判所は、偽アカウントの作成を、デジタル詐欺の要件を満たすということで犯罪だ、こういう判決も下しているわけですね。

 ですから、成り済ましの抑止のためにも、SNS上の成り済ましを法律で禁止していく、これも私は検討していくべきだということを申し上げておきたいと思います。ただ、これは初めに答弁がもうあったと思いますので、答弁は求めません。

 その上で、インターネット上の誹謗中傷についてもお伺いしたいと思います。

 法務省の人権擁護機関による削除要請と削除対応率という資料を拝見しますと、サイトによっての対応率が大きなアンバランスがあります。一〇〇%対応しているサイトがある一方、ツイッター、現X社は二五・一七%ということで、法務省の方から要請しても、これは人権侵犯だということで要請しても、四分の一しか削除されていないというのがX社の対応だということなんですね。

 検討されている法案では、削除指針の公表だとか、投稿の削除等に関する判断基準や手続の記載などが検討されているようですけれども、それで削除が進むのか。法改正は検討されているわけですけれども、少なくとも、法務省の人権擁護局が削除要請の判断基準としているものがサイト運営事業者としっかり共有されていく、こういう手だてが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の有識者会議の報告書におきましては、運用状況の透明化について、削除基準の策定、公表や運用状況の公表などが必要とされておりまして、制度整備がなされた場合には、各事業者は自ら削除基準を策定、公表するといったことが想定されるところでございます。

 事業者による削除基準の策定に当たっては、分科員御指摘の、法務省の人権擁護機関が削除要請において参照している商事法務研究会の有識者会議における取りまとめなども活用されるように、検討してまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 法務省は人権擁護のためにされているわけですから、そこが今インターネットの相談に乗って、やっているわけですから、やはりそこで、こういうのは問題だというのをしっかり、どこのサイトでも同じように削除されるような手だてをしっかり取っていただきたいと思います。

 続いて、開示請求についてもお伺いしたいと思います。

 アカウントや投稿の削除というのは、事業者が対応しない場合、裁判手続というのはあるわけですね。これは、損害賠償請求する場合も裁判手続を取るわけですけれども、被害者にとっては、弁護士費用もかかりますし、時間もかかるというものになっています。

 発信者情報開示請求も、私もそっちもやろうかなと一瞬思ったんですけれども、そちらも別にお金がかかるということで、しかも、ちょっと時間がたっていたものですから、そっちはやらなかったんですけれども、発信者情報開示請求について、国民が更に簡便にできるようにできないのかなという思いがあるんですね。

 前回、法改正されて若干簡便にはなっているわけですけれども、ただ、更に簡便にするように、五年を待たずに法改正を検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、令和三年のプロバイダー責任制限法改正によりまして、迅速な発信者情報開示を可能とする簡易な裁判手続を創設したところでございます。

 総務省といたしましては、まずは、この改正法による発信者情報開示制度の運用状況について、その効果を注視してまいりたいと考えているところでございます。

 なお、裁判手続による削除は、被害者にとって金銭的、時間的に負担があるということで利用の障壁となっている部分もあるということでございますので、今般、プラットフォーム事業者に対して一定の対応、自らの対応を促すような法改正案の提出を予定しているということでございます。

宮本(徹)分科員 前回の法改正の状況をまずは見るということなんですけれども、本当にお金がかかるというのは大変なことですので、当人でできる、弁護士さんだとかに頼らずにできるというぐらいに簡便に是非していただきたいと思いますし、あと、取りあえず、今でも本人でも当然できるわけですけれども、こういうふうにやればいいですよというのは示されているんですけれども、そういうものについては、もっと丁寧に、請求のひな形だとか参考例なんかはもっと丁寧なものを示すというのも是非やっていただきたいなというふうに思います。

 それから、もう一点ですけれども、インターネット上での誹謗中傷の抑止力として是非やってほしいことがあるんですけれども、発信者情報開示請求が認められたケース、裁判で名誉毀損で賠償命令が出ているケース、こうした例を、可能ならば賠償金額も加えて、こういう判決が出ているんですよということで、政府として広く周知をしていっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃったように、発信者情報開示の請求も含めて様々な手続を広く周知することも大変大切だというふうに思いますが、今お話があったことも一つの課題として御提起をいただいたかというふうに思っております。

 私ども総務省としては、誹謗中傷対策としては、誹謗中傷等を書き込まないように利用者に働きかけていく継続的な取組も大切だと考えているところでございまして、例えば、総務省の協力によって、プロバイダー責任制限法のガイドラインに係る関係団体が、名誉毀損を理由に発信者情報開示が認められた裁判例や、名誉毀損、プライバシー侵害を理由に損害賠償を認めた裁判例を集約して公開しているところでございます。

 こうした具体的な事例を分かりやすく周知することは、誹謗中傷を抑止するための対策として有効であると私も考えており、更に連携を深めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 そういう団体がやっているものと連携を深めるということですけれども、是非、政府としても周知していっていただけたらなというふうに思います。

 ちょうど質疑時間が終了というのが来ましたので、これで私の質問を終わりたいと思いますけれども、法改正がありますけれども、それだけでは対応し切れない問題もあるんだということも申し上げましたので、しっかりと対応を、さらに、具体化をしていただきたいということを申し上げまして、質問とさせていただきます。

宮路主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林史明君。

小林(史)分科員 自由民主党の小林史明です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 質問に入る前に、こういう委員会の質疑というのは本来副大臣以下、及び政府参考人でやるべきだと思っておりますので、是非、松本大臣、退室いただいて、執務に戻ってください。お疲れさまです。

宮路主査 それでは、松本大臣、御退室をお願いします。

小林(史)分科員 では、改めてよろしくお願いします。

 今日は六つの質問を予定をしておりますが、共通するテーマは、先日、二月七日の予算委員会で質問をした、人口減少社会における国家運営の在り方について、引き続き質疑をしていきたいと思います。特に今回は総務省をテーマに、より人口減少社会でも十分に持続可能な国家運営の在り方、そして、人口が減少しても成長できる国の姿を示すためにどのように総務省で対応していくかということについて質疑をしていきたいと思っています。

 まず一点目が、行政のデジタル化及びそれに向けた業務の見直しについて問うていきたいと思っています。

 今、実は政府では、デジタル行財政改革会議ということで、まさにこの国の行政の在り方を人口減少社会に適応したものに変えていこうという取組が進んでいます。

 これ自体は、昨年、自民党のデジタル社会推進本部で私たちから、デジタル・ニッポン二〇二三、ガバメント・トランスフォーメーション基本計画というのを提言をさせていただきました。この中に書かれていた内容がまさにこのデジタル行財政改革会議で行われていまして、その中で掲げた一つのアイデアとして、行政への国民の相談及び問合せをチャットボット及びコールセンターで、国、地方一つの窓口で対応すべきではないかというのを提起させていただきました。

 その問題意識としては、やはり、まず自治体及び国、様々な政府機関の仕事の多くが国民からの相談や問合せに割かれているということで、これを少ない職員になっても十分に回せるようにする必要があるということと、国民からすると、どこの市町村だろうが県だろうが国の機関だろうが、やはり一つの政府で相談に対応してほしいというのが本来の気持ちだと思っています。

 その点では、国民の利便性向上にも、そして行政の効率化にもつながるこのチャットボットの整備を今まさに総務省で進めていただいていると思っていますが、進捗状況を伺いたいと思います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 国、地方共通相談チャットボットにつきましては、住民などからの各種相談対応業務等に係る自治体職員等の負担軽減を図るため、年度内のサービス開始に向けて現在作業を進めているところでございます。

 このチャットボットでは、住民からの問合せが多いマイナンバー、医療保険、年金、税、子育て、登記、戸籍の行政分野を中心といたしまして、国が一定程度統一的に回答できるものについて提供するとともに、能登半島地震における被災者の方々に対する生活、なりわい再建支援に係る情報につきましても提供することといたしております。

 また、サービスを開始した後につきましても、利用者からのフィードバックなどを踏まえ、既存分野の回答精度の向上、対象分野の拡大などに継続的に取り組んでまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 是非、更に積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、近々、またAI等も導入して、より回答精度を上げていくとか、回答の幅を広げていくということをやっていただきたいと思っています。

 今、答弁の中で、能登半島の災害対応についてのまた相談や問合せについても対応できるようにするというお話がありました。

 今回、能登半島の対応について、かなり相談対応を、迅速かつ被災者の方々に寄り添った対応をされたというふうに聞いています。どんな工夫をされたのか、是非ここで共有をいただいて、また次回の災害対応にも生かしたいと思いますので、是非答弁をお願いします。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、被災者の方々の生活再建を支援するため、支援メニューの情報提供や被災者の困り事を関係機関と連携して解決する特別行政相談活動を行っております。より被災者の方々に寄り添った対応とするため、今回工夫した点は大きく二点ございます。

 まず一点目は、支援メニューの情報提供として、生活支援制度の内容や申請相談窓口をまとめたガイドブックをホームページで公表しておりますけれども、被災者の方々に必要な情報が届くよう、避難所等に直接お持ちする活動を行っておりまして、これまで約一万五千部を配付したところでございます。

 また、ガイドブックを避難所等に配付した際に、市町の職員や避難所管理者等から困り事を直接お聞きし、関係機関につなぐことにより、その解決に向けて取り組んでいるところでございます。災害専用フリーダイヤルを開設して被災者の方々からの御相談にも対応しておりますけれども、相談が寄せられるのを待つだけでなく、このように現場に直接赴いて困り事をお聞きし、関係機関につなぐことは、大変重要な取組であるというふうに考えております。

 次に、二点目といたしまして、自治体職員、行政相談委員、行政書士等が御相談に対応する特別行政相談所をこれまで石川県内三十五か所で開催をいたしております。このうち、七尾市で開催した合同相談所では、御相談に対応するだけでなく、罹災証明の申請手続や自動車の廃車手続などがその場で行える取組を実施いたしております。引き続き、二次避難者を想定した県南部や、役場機能の回復状況等も踏まえ、奥能登につきましても開催を検討してまいります。

 なお、このような活動を行うため、現地の石川行政評価事務所に本省や出先機関から職員を派遣いたしまして、同事務所の体制を倍増して取り組んでいるところでございまして、引き続き、関係機関と連携しながら、被災者の方々の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 本当にきめ細やかな対応をいただいているということがよく分かりました。本当にありがとうございます。

 今回の大災害のように、やはり有事があったときに、自治体自体の職員が被災者であるという状況になるわけですので、より県や国の役割というのが大きくなってくるということだと思っていますので、より積極的にこれからも対応いただきたいと思っています。

 先ほどの、人口減少時代のこの国の政府の在り方ということを考えたときに、有事に命を守れるということはすごく重要ですし、その体制というのは、実は平時にとってはとても便利な政府の在り方になるというふうに思っているんですね。

 先ほど、様々出向いていって話を聞いてということがありました。スマートフォンで様々な行政手続が済める方はそれを済ませていただく、これも大事なことですけれども、どうしてもそれが苦手な方という方がいらっしゃる。今、今回はこれをガイドブックを用意して届けてということでしたけれども、それでも、その手が回らなくなるときというのがいつかやってくるということを想定すると、これは別にスマートフォンでインターネット上から手続ができなくても、例えば、コールセンターに一本電話をして、その総合コールセンターで全ての相談に乗ってくれる、その対応者は日本全国にいるということができれば、より多くの人手で不安な人々に寄り添うことができるのではないかと思っています。

 なので、今回の丁寧な対応というのを踏まえた上で、より効率的にそれをどのように実施するかということで進化もさせていただきたいということをお願いしたいと思っています。

 その上で、この人口減少時代の政府の在り方を考えるときに、今、デジタル行財政改革会議で論点になっているのは、国と地方の権限の見直しや役割の分担だと思っています。

 今まで人口が増える時代でしたから、とにかく現場でなるべく仕事をやっていただくということで、それでも回ってきたんだと思っていますが、これから人手が少なくなっていく。一方で、技術が進展して、様々なクラウドサービスを活用すれば、全国共通の仕組みを、より費用を少なく、できる時代がやってきたということになってきていますから、もっと国と地方が共通でサービスを提供するということが必要になってきたし、それが効果的になってきたんだと思っています。

 これをより具体化をして政府の形に実装していくためには、まず実は何が重要になるかというと、業務の見直しなんですよね。千七百四十一自治体で、今まで別々の業務のやり方が行われてきた。でも、国民からするとほぼ同じ手続なんだというものについて整理をし、どの業務であれば共通化ができるのか、そして、どこから先は、より、自治体ごとに個別に対応した方が効率的であり、住民にとって便利なのかということを整理するということがすごく重要になってきます。

 その点でいくと、総務省、特に行政評価局のこれまでの能力というのは私は物すごく重要だと思っていて、いま一度注目を浴びてほしいなと思っているんですね。

 その際には、是非、省庁の縦割りを超えて全体で、そして、国と自治体の垣根も越えて、この業務を見直すという取組が重要になってくると思いますが、その辺の取組はいかがでしょうか。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 総務省行政評価局では、政策担当府省とは異なる立場から、地方公共団体なども含めた現場の実態を調査し、政策効果の把握、分析を通じて課題を提示し、改善に資する情報を各府省に提供する行政運営改善調査を実施いたしております。

 委員から御指摘がございましたけれども、今後の行政の在り方を考えますと、国と地方が協力、連携して、デジタルを最大限に活用しながら、利用者目線で行政運営の見直しを図るDXの推進が重要であるというふうに考えております。

 こうした考えの下、行政課題を現場目線で的確に把握、整理し、デジタル化を阻害しているものを始めといたしまして、時代に合わない仕組みやルールについて各府省に見直しを求めるなど、総務省としても行政運営の改善にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 そういう思いも込めて、デジタル行財政改革会議には小川さんに総務省からポジションに就いていただいて、やはり総務省の能力をしっかり生かしていただきたいということで活躍をいただいていますので、是非お願いしたいと思います。

 その上で、私も総務省の政務官を務めたときに、ちょうど地制調とか、ああいうものも本質的な議論をやる場として大変重要な場なんだなというのを理解しました。

 一点お願いがあるのは、人口が増える時代であれば、国と都道府県と市町村のあるべき姿から哲学的に説き起こして、どういう役割分担なんだっけという議論になるんだと思うんですけれども、これからは人手不足が完璧な制約要因になるので、むしろ、人手が不足する中でどうすれば効率的に行政が回せるのかということを考えた上で、その下に、国と地方の役割分担というのは何なのかという形で是非整理をいただきたいと思っています。

 それがこれからの総務省の最重要ミッションであり、特別力を入れていただきたい仕事になるかなと私は思っていますので、これからも応援しておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続いて、AIについての議論に移りたいと思います。

 様々な行政を効率化していく上でも、人口が減少しても成長する社会を描く上でも、AIの活用というのは非常に重要だというふうに考えています。ただ、生成AIを中心に、どれぐらいの言語の情報量があるかによって能力が異なるということが今実態として出てきています。その点でいくと、日本語で回答いただくよりもやはり英語の回答の方が能力が高いという状況になってきていますので、これからの活用を考えると、日本語はもちろんですけれども、あわせて、グローバルサウスのような、実は言語の情報量が少ない国についても巻き込んで取り組んでいく必要があるんじゃないかなと思っています。

 その点について少し問うていきたいと思いますが、総務省では、NICTというすばらしい研究機関を持っていまして、これまでも多言語翻訳の技術については高い成果を上げてきています。今回の生成AIの開発においても重要な役割が期待されていると思っていますが、我が国における生成AIの開発力強化に向けて総務省やNICTでどんな取組を進めているか、お答えをお願いします。

田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありましたとおり、生成AIは、ビジネスですとか私たちの生活に大きな変革をもたらして、新たな社会基盤となり得る技術であると考えております。我が国としても、国内における基盤的な開発力を確保し、その適切な利用を進めていくことが重要であると承知しております。

 私ども総務省及び情報通信研究機構、NICTでは、従来から多言語翻訳技術などのAI技術を活用した翻訳技術の開発に取り組んできた知見を生かしまして、我が国の文化に根差し、日本語において高い性能を発揮する生成AIの開発に必要となる高品質な言語データの整備に向けた取組を進めているところでございます。

 具体的には、NICTと民間企業やアカデミアなどとの共同研究を通じて、日本語を中心とした大規模かつ良質なAI学習用の言語データの共同開発を進める予定でございます。

 現在、NICTと幾つかの民間企業等との間で、既に共同研究契約の締結に向けて、共同研究の内容ですとか条件などについて調整を行っているところでございます。これらの調整が整い次第、共同研究契約を締結いたしまして、学習用言語データの共同開発を行うことで国内の生成AIの開発力強化に貢献してまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 NICTが持っている学習用の言語データ、これが本当に宝だと思っていますので、うまく活用いただきたいと思うんですね。

 先ほどの答弁の中でも、企業や大学等の共同研究における条件を今調整をしているところだということがありました。もちろん、国内のAIの開発事業者をしっかりサポートしていくというのも当然ですが、やはり海外の事業者も巻き込んでいくというのは重要だと思っています。

 その際に、やはり国益に資する取組になるような条件設定をしていただきたいと思います。例えば、日本に必ず研究開発拠点を置いていただくであったりとか、場合によっては、売上げに関わる、やはり納税をちゃんとしてほしいよねということもあったりするわけですので、そういった戦略的な条件設定をうまくしていただきたいと思うんですね。

 その上で、次の質問に関わるんですけれども、この言語データや日本の研究開発力を戦略的に活用するという意味では、少し冒頭の問題意識でも申し上げましたけれども、日本語だけではなくて他国でも、やはり自分たちの言語だとAIの能力が低くなっちゃうんだよなと同じ課題を抱えている国はあるわけですね。それは特に、やはりグローバルサウスのエリアになると思っています。

 このエリアというのが、もちろん言語が余り使われていないエリアであるということもあると同時に、計算資源を十分に確保できていないというような条件もあると思っています。その点では、日本は計算資源を確保できている方の国でありますから、この言語データの整理の仕方やノウハウ、そして、確保した計算資源、これを戦略的に活用して、グローバルサウスを巻き込んで共同研究を行ったり人材交流を行っていく、それによってよりこのエリアとの連携を深めていくというような取組が必要だと思いますが、どのような戦略を考えているか問いたいと思います。いかがでしょうか。

田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がありましたが、生成AIが、グローバルサウスの言語を含めて特定の言語において高い性能を発揮し、当該言語の文化に根差した出力を行うためには、高品質なその言語の学習用データというものが必要となってまいります。

 このため、現在、日本語においても、やはり一般的に使われる英語に比べると圧倒的に少ないということで、先ほど御答弁させていただきましたとおり、このNICTにおいて、日本語を中心にした学習用データの整備を推進させていただいているところでございます。

 この際、NICTでは、ウェブ上から収集したデータからAI学習には適さないデータを削除して、安全で高品質な学習データを構築するための技術に関するノウハウというものを持っております。こういったものを更に民間企業等との共同研究を通じて向上を図っていくこととしておりますが、こうした取組はグローバルサウスの諸国においても大変参考になるのではないかと考えております。

 また、先ほど計算機資源の御指摘もございましたが、AIの開発には、学習用データと計算機資源、それとパラメーターという大きな要素がございますが、それぞれ各省分担しながら、私どもの国内の産業の育成に向けて取り組むという形で、経済産業省さん、文科省さんなどとも連携しながら取り組んでいるところでございます。

 総務省といたしましては、私どものこういった言語データに関する取組についてもしっかりとグローバルサウスの諸国を含めて対外的に発信していくということとともに、NICTが進める学習用言語データの構築ですとか、それを用いた生成AIの研究開発、これは関係府省との連携が必要になってまいりますが、各省ともしっかりと連携させていただきながら、グローバルサウス諸国との共同研究、あるいは人材交流などを通じて連携をしていくという可能性について、しっかり検討してまいりたいと思います。

小林(史)分科員 是非、検討を進めて実行に移していただきたいと思いますし、そのための十分な省内での体制整備もしていただいて、他省庁と連携しながら積極的に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。

 その上で、最後の質問です。

 先ほどAIの質問をしましたけれども、こういったAIや様々なテクノロジーを活用する上でも、やはりデータが重要になってくる。このデータを取り扱うためにも、高速な通信、安定的な通信が基盤インフラとなってくるわけであります。

 その点でいくと、5Gが今普及が進んでいますけれども、政府としては、その先を見据えて取り組む必要がありますので、ビヨンド5G、ここについて質問をしたいと思います。

 ビヨンド5Gの実現に向けては、やはり研究開発に官民の投資を注ぎ込んで、いい技術をつくるということをやらなきゃいけないということだと思っています。ただ、これまでどおりのやり方ではやはり負けてしまうということが分かっています。なので、総務省としては、国際競争力強化を図るために、このビヨンド5Gに向けてどのような取組を進めていくつもりか、教えてください。

田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がありましたとおり、AIの活用が進むという中で、高速通信ということ、それを支えるビヨンド5G、これは大変重要な、将来の重要なインフラであると考えております。

 一方で、このビヨンド5Gは国際競争力が大変激しい分野でございます。我が国が勝ち残っていくためには、限られた研究開発予算を効果的に活用して国際的な市場獲得を狙える有望な技術をまず育成、支援していくことが不可欠ということでございますが、私ども、ビヨンド5Gの研究活動を支援するビヨンド5G基金事業を進めるに当たりまして、支援プロジェクトの採択に当たりましては、従来の技術的な評価だけではなく、研究開発計画と一体となった事業戦略についてもしっかりと評価させていただくことによって、海外市場の開拓や獲得に向けて覚悟を持って取り組もうとしている企業の取組を積極的に支援したいと考えているところでございます。

 また、令和五年度補正予算におきましては、研究開発に加えまして、海外市場の開拓等に必要となる国際標準化活動に関する支援のための予算ですとか、ビヨンド5Gにもつながる、オープンRANという、5Gの規格をオープンにしていこうという取組がございますが、そういったものですとか、オール光ネットワーク対応の光伝送装置、こういった我が国の優れた技術を有する企業の取組について、研究開発成果の普及につながるということで、国際展開活動もしっかりと支援していこうといって、それに必要な予算も認めていただいたところでございます。

 ビヨンド5Gの推進に向けましては、研究開発や標準化、国際展開の支援といった、研究開発とその成果の普及に関連する政策ツールを一体的かつ効果的に活用し、組織が一丸となって海外市場の開拓に取り組む企業を積極的に支援することで、我が国企業の国際競争力の強化を図っていきたいと考えております。

小林(史)分科員 ありがとうございました。

 重要な取組だと思っていますので、是非、何か、資金の桁が全然足りないみたいなことにならないように、積極的にしっかり資金を獲得し、研究開発に取り組んでいただきたいと思いますし、どうしても、今、これから人口が減っていく、そして、残念ながら、海外に留学する学生も少しずつ減ってきているということを考えると、国際的な競争力を担うときに、やはり標準化戦略はすごい重要なんですけれども、ここが担える人材も少なくなっていく可能性があります。これからの将来を見据えて、より効果的な国際スタンダードにどのように取り組んでいくのかというのは、改めて戦略を練り直していただいて、強化をしていただきたいと思います。

 というわけで、全ての質問が終わりましたけれども、改めて、今日質問の背景にあった人口減少時代の将来の姿を描くに当たって、私は総務省の役割というのは大変大きいと思うんですね。そもそもの、やはり国と地方をどうしていくのかということもそうですし、では、そこで行われている行政サービスが国民に対してよいものになっているのか、よりよいものにするためにはどうしたらいいのかという、PDCAサイクルを回す機能も持っている。そして、そのサービスを提供する上でも重要になるインフラである通信、こういったインフラも持っているということですので、是非、改めて、総務省の役割はこれからも大きいということを皆さんと共有した上で、より力を発揮いただけるようにお願いをいたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて小林史明君の質疑は終了いたしました。

 次に、守島正君。

守島分科員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、選挙制度について伺いたいと思います。

 昨年末の臨時国会で、私、質問主意書を出させていただきました。今皆さんに参考配付させていただいているんですけれども、これは予備選に関する質問主意書なんですけれども、予備選というのは、政党の候補者としてふさわしい人物を民意に近い形で選ぶ手段として有効だと考えますし、可能性として、野党共闘する際とかにも政党間で候補者を選択する手段になり得ると思いますし、今、自民党の問題が蔓延する中で、整理しておきたい項目だということで、今日取り上げさせていただきました。

 ちなみに、予備選において、一般の市民への世論調査に頼らず党員だけの投票となれば、その人の地盤とか資金力の差というのが大きくなるし、逆に、政党間で調査をしたら、そのエリアにおける政党の支持基盤があるかどうかということが大きな影響を与えるので、あくまで公平という観点では、世論調査のような手段は選択肢だと思っているんですけれども。

 私の質問主意書の内容は、不特定多数による予備選挙が、選挙の事前運動や人気投票の公表禁止という、公職選挙法に違反するかどうかというのが問いの主眼なんですけれども、それに対しては、簡潔に言うと、具体の予備選挙の態様によって、立候補の届出前に選挙運動が行われたと認められる場合には公選法に違反するおそれがあるというような回答ですね。

 要は、実際に選挙運動がされていたら公選法違反になる可能性がありますよ程度の非常に曖昧なものですので、端的にちょっと確認させていただいて、複数人からの択一で組織内の人選をする予備選挙をもって、これが実際の公選法違反に当たると言えるでしょうか。

笠置政府参考人 個別の事案につきましては、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かにつきましては具体の事実に即して判断される、分科員御案内のとおりだと思いますので、一般論として申し上げたいと思いますけれども、まず、公職選挙法第百二十九条におきまして、選挙運動は、公職の候補者の届出があった日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができないと規定をされております。

 また、お話ございました人気投票でございますけれども、百三十八条の三におきまして、何人も、選挙に関し、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならないとの規定もございます。

 その上で、予備選挙でございますが、実際の予備選挙が行われる態様によって、立候補届出前に発言等で選挙運動が行われたと認められる場合、あるいは、先ほど申し上げました人気投票の経過又は結果の公表が行われたと認められる場合には、これらの規定に該当するおそれがあるということでございます。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるべきものと承知をしております。

守島分科員 今、参考人から事前運動とか人気投票の説明をしていただいて、それも、あくまでひっかかるかどうかは個別具体の実態に応じてという回答だったんですが、我々日本維新の会の地域組織である大阪維新の会でも、昨年の市長選挙の候補者選定において予備選挙というのをしたんですけれども、そうした、公選法上違反しないように、あくまで党員とか、不特定多数とした世論調査をせずに、内部の手続として候補者を決めたんですね。

 ちなみになんですけれども、二〇二一年の富山市長選挙で自民党さんが内部候補の予備選挙をやったんですけれども、このときは党員の投票とか議員の投票もあったんですけれども、それだけじゃなくて、世論調査の結果もポイント化したんですけれども、これは公選法違反に当たらないのか。

 だとすれば、そもそも世調のサンプル数が少ないから事前運動に当たらないのか、若しくは、サンプル数の結果をもってそのまま人選したんじゃなくて、それを一定のポイント化して活用したというやり方が人気投票に当たらないのかという、具体的に何が公選法違反に当たらないのかというのが、理由が分かる範囲でお答えください。

笠置政府参考人 二〇二一年の富山市長選挙の際の予備選挙という個別のお尋ねでございますので、それにつきましては、我々、実質的な調査権も有してございませんで、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきますけれども、先ほど、百二十九条と百三十八条の三といった御紹介を申し上げました。一般論として申し上げますと、立候補の届出前に選挙運動が行われたものと認められないとか、あるいは、人気投票の結果の公表が行われたものと認められないといったような場合には、公職選挙法上の特段の制限はされるものではないと考えられます。

 ただ、繰り返しになりますけれども、いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実関係に即して判断をされるべきものと承知をいたしております。

守島分科員 捜査機関じゃないので判断できないという話は理解します。

 結局、個別具体という話になると、やってみないと公選法違反か分からないというような形になってしまって、これは非常に曖昧な回答に、なるのは仕方ないんですけれども、回答だなと思ってしまいます。

 実際に、予備選による公選法違反の事例ってあるんでしょうか。分かる範囲で。分かりますかね。

笠置政府参考人 済みません、承知をしておりません。

守島分科員 実際に捜査機関がどういうふうに動いたかというのは別として、今、総務省が承知していないように、実例が、余り聞かないんですよね。違法であるのであれば処罰されるべきなんですけれども、実態として、これで処罰されたのがないんですよ。

 予備選というのは、一定、適正な民意の反映だと思っていまして、例えば、政治資金を裏金化するみたいな、法の規定はあれど、ちょっとそれがグレーであって、例えば公序良俗に反するようなものではそもそも予備選というのはないというふうに僕は思っています。

 ちなみに、世調を活用した予備選挙を実施した結果、それがもし公選法に違反すると、総務省はできないけれども、捜査機関に認定された際、その違反の対象者はまず誰になるのかというのを聞きたいのと、また、候補者以外の人がもし違反とみなされたときに、予備選による候補者選定自体は、当該世論調査の結果をもって人選をするということは、これは有効なのかどうかというのをお答えください。

笠置政府参考人 先ほどの、違反した場合には誰が処罰対象になるのかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げました事前運動の禁止、あるいは人気投票の公表禁止の規定に違反した場合の罰則は規定をされておりますけれども、まず、公職選挙法第二百三十九条第一項第一号におきまして、第百二十九条、事前運動の禁止ですね、の規定に違反をして選挙運動をした者は一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する旨、また、公職選挙法の二百四十二条の二でございますけれども、そちらにおきましては、第百三十八条の三の規定に違反して人気投票の経過又は結果を公表した者は二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する旨の規定が設けられておりまして、実際に当該違反行為を行った者が罰則の対象となるということでございます。

 また、もし仮に関係ない人が違反行為をしたものを使って推薦決定みたいなことをした場合はどうなるんだというお尋ねかと思いますけれども、そうした政党による候補者の推薦決定というのは、公職選挙法上特段定めはございません。

 したがいまして、当該予備選挙の結果の取扱いにつきましては、当該政党において御判断をいただくべきものと考えております。

守島分科員 ということなので、例えば、候補者以外の事務局長が主導して、事前運動じゃなくてネット投票をやってそれを公表した、それはちょっと人気投票に当たるんじゃないかとみなされたとしても、その事務局長が処罰されるかという有無は別として、候補者の選定として、党組織がその人を選ぶということは阻害されないという回答だというふうに思っているので、そういう認識でもいいのかなと思っているんですけれども。

 ちなみに、マスコミが実施する選挙における世調は発表していますし、公選法における人気投票の禁止に当たらないのかという問いは過去も議論されていまして、政府の見解としては、報道の自由の下に、マスコミ各社は自ら判断を行って選挙報道を行っているということなんですけれども、マスコミは、選挙前に関しても世調の公表をしていまして、候補者でこの人が有利だ、不利だということを順番づけていたりします。これは事前運動と今実例としてはみなされていません。それが違反というふうに当たった事例を聞いたことがないので。

 つまり、政党外の第三者が選挙前に世調をして、例えばマスコミのサンプル結果をもってでもいいんですけれども、その結果を政党が参考にすることに関しては、公選法上何ら問題がないという理解でよろしいでしょうか。

笠置政府参考人 政党による候補者の推薦決定の際に、マスコミが行う世論調査の……(守島分科員「だけじゃなくてもいいですよ」と呼ぶ)選挙情勢とか、いろいろ、もろもろございます、そういったものを参考にするということにつきましてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたとおり、政党による候補者の推薦決定については、公職選挙法上特段の定めはございませんので、それぞれの政党において御判断をいただくということだろうと思っております。

守島分科員 ありがとうございます。

 個別具体というところに終始したと思うんですけれども、非常に曖昧な線引きがあるので、事前運動に当たるかどうかは実際にやらないと分からないという怖さがあって、実態としては、そういう、どなたかがやった人気投票を政党が参考にしても、それが直ちに公選法に違反するというわけではないというのは分かりました。とはいえ、予備選はやり方によってはグレーだよということで牽制されているというのが、今、僕ら政治家側が受けている認識ではあるんですけれども。

 この件に関してはこの程度にとどめるんですけれども、個人的には、本選挙で投票依頼みたいな明確な選挙運動がない限りは、しっかりルールの中に基づいてやったら、世調を活用した予備選挙はできるんじゃないかなと、今のやり取りを聞いて感じた次第です。

 最後に、総務大臣に聞きたいんですけれども、この間、予算委員会では、政治と金の問題を解決するには、政治資金規正法だけじゃなくて公選法改革も含めた、やはり、選挙にお金がかからない仕組みとか、候補者選びにお金がかからない、お金が飛び交わない仕組みをつくることも大事だよという議論もされてきたと思います。もちろん、それを変えるために古い公選法とかを改めていくというアプローチも必要なんですが、特に実態として有名無実化している事前運動というのを、考え方を改める必要があるんじゃないかなと思っていまして、少なくとも、このやり取りのように、候補者の選定プロセスに世調を活用した予備選挙を行うことが妨げられないようにするべきと思いますが、大臣の見解を教えてください。

松本国務大臣 各政党がどのように候補者を選定されるかというのは、それぞれの政党の御判断ではないかというふうに思っております中で、予備選挙について、これも今、態様によってということで、いわゆる予備選挙と申し上げた方がいいのかもしれませんが、予備選挙そのものに特段規定が設けられているわけではないわけですが、今お話があったように、法の規定に触れるかどうかということは、触れない形で予備選挙が行われることが法の趣旨からすればということです。

 もう委員御案内のとおりですけれども、事前運動の禁止はそもそも選挙運動費用の増加を抑制して金のかからない選挙を実現する観点から設けられた規定でありますし、人気投票の公表の禁止の規定は選挙の公正を確保するという観点から設けられたものでございまして、いわば、選挙制度をどのようにするか、選挙に関する規制も含めてどのようにするかということにつきましては、政党間の御議論を経てこれまでも改正をされてきたと理解をされております。

 行政府が、選挙制度、選挙の自由にどう関わるか、制度にどう関わるかという点においては、やはり民主主義国においては抑制的な側面もあろうかと思いますので、各政党間の御議論を私どもとしては注視をさせていただくという立場になろうかと思います。

守島分科員 大臣おっしゃったように、公選法自体が、お金がかからないようにとか、公平なようにという、その概念というか理念というのはもちろん分かっているんですけれども、結局、例えば現職の政治家の政治活動が選挙本番に影響を与えるか否かというと、これは与えますよね。事前運動という概念は、そこが本当に線引きが曖昧になっていて、結果として、現職の政治家が政治活動ができていて、選挙本番に影響を与えるのであれば、結局、公選法で規制することで新規参入のハードルをいたずらに高めているという制度になっているとも、やゆすればできると思うので、アンフェアな状況を変えないといけないというのは大臣が言ったとおりで、公平な制度をつくるために我々政治家が議論をしていかなければならないというふうに思っております。

 維新は、私もメンバーとして加わったんですけれども、昨年、選挙等改革法案というのを出させていただいたので、こうした事前運動の在り方も含めた、包含した選挙制度改革というのを提案していますので、それこそ行政府の話じゃなくて、政党間で、今日大臣いらっしゃいますので、真摯に議論させていただけたらなというふうに思っております。

 そうした観点で、選挙の在り方という点で、続いてネット投票に関して質問したいと思っています。

 ネット投票に関しては、二〇一八年八月、総務省の有識者会議が、在外投票に関しては一定の対応策を講じることでハードルはクリアできるという報告書をまとめられたことを受けて以降、二〇一九年六月から今に至るまで実証実験や論点整理を続けており、この間の経過報告というのを聞いているんですが、ちょっと遡ると、林大臣とか河野当時大臣が次の国政選挙で実現したいというようなことを声高に言っていたにもかかわらず、今国会にもかかっていなくて、その目途すら聞こえなくなって、温度感が下がったのかなというふうに思っている次第なので、大臣、また再任されたばかりですけれども、これはいつまで実証実験をやっているというのか、いつ実現に向けて動くのか、教えていただきたいと思います。

松本国務大臣 在外選挙のインターネット投票ということでございますが、委員も御案内のとおり、選挙そのものについて、やはり、選挙の公正を確保するために投票は投票管理者や立会人の下で行う、これは、確実な本人確認であるとか選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった基本的な課題にどう対応するかということかと思いますけれども、在外選挙については広く郵便による投票が認められているということもあって、これまで選挙を運営する総務省としても課題を研究をしてきたというふうに理解をしているところでございます。

 その意味では、二重投票の防止や投票の秘密保持、システムのセキュリティー対策といった課題もあることを認識をして、制度面、運用面の方向性について整理を進めているところでございます。

 今申し上げてきたように、投票の公正さを確保するための投票管理者や立会人の下で投票を行う原則に対して、これらの者が不在となって行われるインターネット投票をどのように考えるかということは、やはり選挙制度の根幹に関わることから、これにつきましても、やはり政党間での御議論を私どもとしても注視をしていきたいと考えております。

 総務省としては、申しましたように、在外選挙インターネット投票について、課題の整理や対応などをしっかりとやってまいりたいと思っております。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

守島分科員 そうなんです。大臣によっては次の選挙までと言っていたのに、実際、制度を根本的に政党間で議論するというように、やはり温度感、下がっていますよね、明らかに。なので、これは本当に、総務省とか大臣に任せても、やはり政治的に動かさないと動かないという状況になってしまったのかな、揺り戻ってしまったのかなというふうに思っています。

 大臣、今郵便投票が基本と言っていたんですけれども、それこそ在外邦人が最高裁の国民審査ができないと言っていたときに、憲法違反にされたときに、総務省は、郵便投票というのは時間がかかるから大変だ、技術的にしんどいと言っていたじゃないですか。今、できるようになったけれども。そういうことをおっしゃっていたので、実際に在外投票を郵便でやるということの問題点というのは総務省の方が認識していると思うんですね。だからこそ、やはり問題解決として、具体的に、政党間の意見と言っていましたけれども、総務省もその問題点を認識しているんですから、しっかり動いてほしいというふうに思っています。

 在外投票が進まないのも、一つ、僕たちが在外投票が最終ゴールというわけじゃなくて、やはり国内投票に転用しないといけないと思っていて、その機先を制するために在外投票にもなかなかいかないのかなというのは、ちょっと僕が邪推しているところなんですが、やはり、最終的にはネット環境を活用した投票を国内でできるようにすることが目的だというふうに思っています。

 先日、デジタル行政改革会議の会合でネット投票の解禁について議論があって、具体的にはマイナンバーカードの活用案なども話されたと聞いています。河野大臣が、公選法は議員立法なので、今おっしゃったように、各党各会派で議論して法改正が必要だけれども、機運醸成に努めたいということをおっしゃっていました。

 ちなみに、我々は立憲民主党さんと、昨年、私も提出者になりましたが、インターネット投票法案を提出させていただいております。なので、各党各会派と言いつつ、維新と立憲、もう出していますので、これはやろうと思えばできるはずですし、技術的には在外投票と同じで問題ないはずなので、自民党さんは、各党各会派の話合いが必要ということで、これもなかなか進めない要因として使われているかなというふうに思っています。

 政治と金の問題から、やはり、先ほども言ったように、政治にお金がかかるという環境を変えないといけない。そういう問題意識が国民の中で醸成されている中で、投票ハードルを下げるというネット投票を、能動的に、自民党こそ実現していくべきじゃないかなと。今そういうふうなことが求められていると思うんですが、改めて、行政府のトップとしてだけではなく、政治家として、大臣の意見を聞きたいと思います。

松本国務大臣 政治家としてという御質問でございますが、総務大臣として御答弁をさせていただかなければいけないので、その点、御理解いただきたいと思うんですが、あえて申し上げれば、総務省は、逆に、政治資金規正法も公職選挙法も関わっておりまして、その運用に具体的に携わっていることから、総務大臣として丁寧に御答弁を申し上げさせていただいているかというふうに思っております。

 もう委員も御案内のとおり、行政府がどのように政治、選挙に関与をしていくかということを考えた場合に、これは報道等で見る限りなので、私自身が事実を確認をしたわけではありませんが、権威主義的と言われているような国においては、立候補そのものを選挙の管理運営を行っている者が制限をしているかのように見えるというような報道もある中で、本当の民主主義国としては、行政府がどのように政治、選挙に関わるか、これは制度運用に関してもしっかりと抑制的に対応しなければいけないという趣旨でこのように御答弁を申し上げております。

 その上で、国内の投票ということでお話がございましたが、先ほども申しましたように、有権者が自由な意思を持って投票しているという環境が確保されているかどうか、投票管理者や立会人がいる中での投票といったものがインターネットでは行われない中で、こういったものをどのように考えていくかも含めて、制度の根幹に関わる問題だと思いますので、是非、政党間の政治レベルでの御議論をと申し上げているような次第でございます。

守島分科員 政党間ということで、もちろん、日本が、ロシアで候補者が排除されるようなことがないという、民主国家として成り立っているのは重々理解しているんですけれども、より民意を拾うという方法としては、やはり投票ハードルを下げるということが大事ということを改めて御理解いただいて、是非、各党各会派の議論を進めさせていただきたいというふうに思っております。

 少し、一問、NHKさんに聞きたいんですが、稲葉会長、ありがとうございます。済みません、お忙しい中。

 昨年まで、私、総務理事をやっていましたので、NHKの動きというのは注視していまして、前田会長から稲葉会長に替わって、前田改革の検証に入られた際も、昨年も、我々、前田改革の否定になるんじゃないかという危惧を伝えると、稲葉会長は、否定ではなく検証と発展をしていくということで、是々非々で、改革をするという姿勢は継承していくとおっしゃっていただいていました。

 ここで、昨年問題になった衛星放送設備の調達問題に関する点はあえて聞かないです。今年になって、前田前会長から、それも含めて冤罪だ、でっち上げだというような表現がされる辛辣なパブコメが届きました。私自身、理事懇で、調達問題に関するNHKの見解とか今後の取組というのは確認してきたので、それは一旦おいておいたとして、それでも、やはり、前会長から現体制の辛辣な批判というのがオープンな形で届くというのはなかなか異例ですし、コミュニケーションがここまでできていなかったんだなというふうに思った次第なんですが、前田前会長の意見に対する反論は別として、前会長からパブコメを通じて痛烈な批判を受けたことに関して、それ自体に対して稲葉会長はどのように思っているか、教えてください。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 私の役割は、かねて申し上げているとおり、改革の検証と発展として、前会長が進めてこられた改革を更に発展させ、そして、路線を同じくしながら経営を行っていくことだというふうに考えてございます。現に、受信料の一割値下げがございますが、これに伴う一千億円規模の事業支出の削減というのにも道筋をつけるということまでやってきてございます。

 そういうことからしても、前会長との間で改革をめぐって断絶が生じているということは全くないというふうに申し上げることができると思います。

 私自身、国会あるいは定例の記者会見などでも、改革を否定するつもりは全くない、改革の検証と発展をさせるんだというふうにも繰り返し申し上げてきたところでございまして、私としては、前会長から事実誤認も含めて御指摘のようなコメントをいただいたこと、これは大変残念だというふうに思ってございます。

守島分科員 稲葉会長から断絶はないとおっしゃっていただいたことは、よかったかなというふうに思っています。

 普通の会社の場合、トップとか会社の方針を踏まえて、その継続性を意識した中で、新しいトップが目指す方向に協力するというのが執行部全体の役割と思うんですけれども、NHKの場合は、よしあしは別として、プロパーじゃない人が会長とか経営委員になって、しかもそれが三年で替わるとなると、やはり中長期的に改革をしようというところに同調した職員というのは反発を受ける可能性もあるので、チャレンジに対するインセンティブというのは低くなる傾向にあるのかなというふうに思っていまして、そこを危惧していて。

 やはり、放送法に基づいた公共放送の在り方、NHKの組織体制というのは、過去必要だったかもしれないですけれども、この通信の世界というのは、先ほどの質問者の答弁でもあったように、やはり時代が速いので環境も変わりやすいという中で、放送法の中で公共放送をするという経営形態が、それが本当にユーザーのためか、持続可能性を担保するものかというと、やはり経営の在り方というのは、逐次、将来展望を含めて、もちろん総務省もそうなんですけれども、見ていかないといけないというふうに思っておりますので、組織形態の在り方も是非、総務省、NHKの中で議論していただいて、中長期的にNHKが発展することを期待しています。

 ほかの質問もありましたが、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて守島正君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の前原誠司でございます。

 政治とお金の問題について質問させていただきたいと思います。まず、総論として、閣僚である総務大臣に伺いたいと思います。

 今回の自民党の派閥による裏金問題でありますけれども、政治と金の問題、政治資金の問題、うみを出し切らなければ国民の信頼というのはかち取れないというふうに思うわけであります。

 私は、まず三つの取組が必要であると。

 まず、自民党の全議員が裏金についてしっかりと情報開示をすること。自民党の中で調査がされておりますけれども、できれば、私は、初めから自民党の議員が、国会議員が全員、自分は裏金があったかどうかということを明らかにすべきであったと思います。いずれにしても情報開示をすべきだということ、二つ目には、それを受けて岸田総裁がどうけじめをつけられるのか。検察は四千万以上の方、三名を起訴したということでありますけれども、これではなかなか国民は納得できないということで。三千万近く裏金があって起訴されていない方もいて、四千万以上だったら起訴されているという。国民も検察の線引きがよく分からないと思いますし、自民党のけじめが必要、処分が必要。三番目に、再発防止策を国会の中で法改正も含めて議論するということが私は必要だと思います。

 この三つの点が必要だという点について、総務大臣は閣僚としてどうお考えなのか、お答えください。

松本国務大臣 私自身も、議員としては、政治資金規正法にのっとってしっかりと報告をさせていただくことは大変大事だと思って、これまでもやらせていただいてきております。その意味で、あえて自民党の議員として申し上げれば、自民党の議員が政治資金規正法を遵守していなかったとして検挙されたことは誠に残念だというふうに申し上げざるを得ないというふうに思っております。

 政治資金規正法を所管する大臣として、私どもも、先ほどの質疑でも申し上げましたけれども、行政府に形式的審査権が与えられているというのも民主主義の、ある意味でチェック・アンド・バランスの中での仕組みだろうというふうには思いますので、申し上げられることにも限りがありますけれども、基本的に、立法府にある人間として、法を遵守することが大切だということは申し上げられると思います。

 その上で、検察の検挙の在り方については私からコメントは申し上げられませんけれども、また、自民党の処分については、党において適正に運用されるものというふうに期待をしているところでございます。

 再発防止策についてもお話がございました。

 制度そのものについては、先ほどの議論にもございましたが、各政党間での議論が行われるのではないかというふうに思っておりますので、各政党間の議論を私どもとしては注視してまいりたいと思います。

 今お話がありましたように、今、政治への、また自民党への信頼が大きく失われているという現実は厳しく私自身も受け止めなければいけない、他方では経済でも国際情勢でも大変我が国が大きな課題に直面をしている状況でございますので、早くに信頼を回復することが必要であるという認識の下、私どもとしても取り組まなければいけないというふうに思っていると申し上げたいと思います。

前原分科員 質問にお答えいただきたいんですけれども、端的にお願いします。

 自民党の全員の調査というものが行われて、自ら発表すべきだというのが私は大前提だと思います。それがなされるべきだと思うかということと、そして、自民党としてやられるのではなくて、大臣としてどう思うかという。やはり私はけじめをつけなければ自民党が自浄能力のある組織だと思われないと思いますが、いかがですか。その二点、簡潔に。

松本国務大臣 政治資金規正法において、本来、国会議員関係団体を始め政治団体はしっかり報告するように求められているわけでありますから、法を遵守することが大原則であるというふうに思っております。

 その上で、自民党においてどのような調査をするかということについては、分科員からもお話がありましたが、閣僚としてどう思うかという意味では、御答弁を差し控えざるを得ないことは御理解いただきたいと思います。

前原分科員 大臣としてというところ、私は今、自民党の議員として聞いているわけで、もちろん答弁は大臣ですけれども、そういったところが一つ一つ問われると思うんですよね。別に松本大臣だけを責めているわけではなくて、自民党としての自浄能力がないんじゃないかと。本来であれば国会議員全てが裏金があったかどうかということを隠さずに国民につまびらかにすべきではないか、そういうところが欠けているからこそ今のような状況になっているし、政倫審も非公開ということで、全くもって後ろ向きであり、国民は本当にこのことについては愛想が尽きていると思います。また答弁されないでしょうから、政倫審の公開、非公開については聞かないでおきます。

 それでは、今日質問通告している問題についてお話を伺いますけれども、政治家に対する賄賂というものについての考え方を聞きたいというふうに思います。

 賄賂って何なのか。今まで政治家が収賄で逮捕されているわけでありますけれども、一般的には政治家の職務権限の行使に関して具体的な利益を期待する資金提供と。例えば、代表的な事例でありますのは、一九六五年の大阪タクシー事件の控訴審判決の解説では次のようにまとめられています。

 政治献金のうち、献金者の利害に関係のない、いわば浄財的な資金の贈与が賄賂に当たらないことは言うまでもないが、献金者の利益を目的とする場合でも、献金者の利益にかなう政治活動を一般的に期待してなされたものにとどまる限り、その資金の贈与は、政治家の公務員として有する職務権限の行使に関する行為と対価関係に立つものでないとして、賄賂性は否定されると解される、しかし、ここからが大事なんですけれども、資金の贈与が、政治家の公務員として有する職務権限の行使に関する行為と対価関係に立つ場合、換言すれば、職務権限の行使に関して具体的利益を期待する趣旨のものと認められる場合には、その賄賂性は肯定されることになると解すべきであると。

 リクルート事件で有罪になった藤波孝生元内閣官房長官でありますけれども、そのときの控訴審判決では、請託の存在、それから職務行為と対価性のある利益提供、二つの要素があれば特別な事由がない限り賄賂性の認識があったと言えると。

 政府の認識としては、これでよろしいですか。

門山副大臣 犯罪の成否について今どうこうという問題につきましては、これは捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄であるわけでございますけれども、今委員がおっしゃったようにどういう行為が、一般論として申し上げさせていただきますけれども、当該利益の収受が公務員の職務に関する行為の対価の趣旨で行われたか否かの判断については、やはり個別の事案ごとに収受した利益の内容、時期、経緯等の諸事情を総合的に考慮して判断されているものというふうに承知しているところでございます。

前原分科員 それは分かっているんです。その上で、判例の積み重ねというものが今までの一定の見解になっているわけですから、私はそのことで。今、個別のことを伺っているんじゃなくて、今までの、罪に問われた賄賂というものについては、請託の存在、職務行為と対価性のある利益の提供の二つの要素があれば賄賂性の認識があったと言えるかということについてお伺いしています。

門山副大臣 賄賂とは何かと言われれば、一般論で答えると、公務員の職務に対する不法な報酬としての利益というふうに一般的に言われるものでございまして、他方で、刑法百九十七条一項の俗に言う収賄罪が成立するかどうかという問題というのは、今先生がおっしゃったように、対価性であるとか、あるいは受託収賄の場合には請託の有無というものが刑法の条文上必要になってくるという理解でございます。

前原分科員 もう一点確認をしておきたいんですが、政治資金規正法の寄附として適正に処理されていても賄賂となり得るかどうか、その点についてお答えください。

門山副大臣 一般論といっても、それがまさに個別具体的な証拠に基づいて答えるべきことなので、ここではちょっとお答えは差し控えさせていただくことになると思います。

前原分科員 一般論でいいんです、今までの判例で政治資金規正法にのっとって寄附を処理していても賄賂になった場合がありますねと。いや、あるんですよ、副大臣。あるんです、それを副大臣から御答弁いただきたいんです、政府の代表として。政治資金規正法に書いていても賄賂と認定されたことはありますね、こういう質問です。

門山副大臣 御指摘の判例は、あくまでやはり個々の事件、事実関係を前提として犯罪の成否を論じているものであるというふうに認識しているので、そのようにお答えさせていただきます。

前原分科員 ですから、簡単に、今まで政治資金規正法の収支報告に載せていて賄賂になったケースはありますね。

門山副大臣 ちょっと済みません、私も通告を受けていなかったのであれですけれども、一応そういう事例はあるというふうに今伺っております。

前原分科員 通告していないといったって、賄賂の話について全般的に伺うということを通告しているわけですから、それぐらいについては是非副大臣として御認識をいただいておきたいと思います。

 さて、具体的に日本医師会を例に取り、具体的な質問を行います。

 質問を行う前提として、医師を始めとする医療関係者は、私たちの命と健康を守る上でかけがえのない存在であり、重要で必要不可欠な仕事をしていただいているということに心から敬意を表しているということをまず申し上げておきたいと思います。そして、これから行う質問につきましては、日本医師会やその政治団体、日本医師連盟の行う寄附行為や政策要望活動に関する件を取り上げるのであり、個々の医師の方々を非難するものではないということはあらかじめ申し上げた上で質問させていただきたいと思います。

 日本医師会の政治団体であります日本医師連盟は、二〇二二年分の政治資金収支報告書を見ますと、全国の医師が納める会費を原資として、都道府県の医師連盟から九億五千百十万円を集めています。その中から、自民党の政治資金団体である国民政治協会に計二億円、ほぼ自民党の国会議員や候補者らに二億六千三百四十万円、パーティー券購入や国政選挙の陣中見舞いなど、合計して総額五億二千万円に上る資金提供を日本医師会が関連団体、政治連盟からしているわけであります。

 その中で、最も多額の献金を日本医師連盟から受け取っているのが自見はなこ参議院議員でございます。小児科のお医者さんでいらっしゃって、日本医師会の組織内議員ということで、現在は地方創生担当大臣を務めておられます。

 お配りしている資料の二枚目を御覧いただきたいわけでありますけれども、左上が、全国のお医者さんから集められたものが様々な団体を経由して、あるいは迂回して、自見はなこ後援会あるいは自見はなこ地方創生担当大臣の政党支部資金管理団体というものに入っているわけでありますけれども、この合計額は二〇二二年度で二億三千四百万円なんです。二億三千四百万円、びっくりするほどの大きな金額でありまして、二〇二一年の収入も医師連盟関係で二億円を超えています。

 さて、どちらが御答弁されても結構でありますけれども、自見はなこ議員は国会で医療政策や個々の診療報酬引上げに関しても度々質問をされています。

 例えば、二〇二一年九月、要望でございますけれども、未就学児の診療報酬の百点、それから初再診の五点の部分は十月以降も単純延長でお願いしたい、こういう質問をされておられます。たくさんされておりまして、例えば、令和二年十一月十九日の参議院厚生労働委員会におきまして、小児科の医療機関は急性期疾患の減少とともに減収にあえいでおります、本来の小児科医が果たすべき子供と向き合う役割を果たせるよう、診療報酬の増点を再三にわたりお願いしているところでございますと。

 これに対して、当時の田村厚生労働大臣が、もう委員からは再三再四このような御要望といいますか、厳しい現場のお声を聞かせていただいております、小児科は非常に厳しいというのは厚生労働省としても認識をしております、委員のお声、それから、それこそそれ以外の、小児科医会の皆様のお声をお聞かせいただいて、何らか皆様方の御期待に応えていかなきゃならないというふうに思っておりますと答弁して、実際に令和四年度の診療報酬改定では、小児かかりつけ診療料一として、初診、再診、共に従前より十点増し、こういう形になっているわけであります。こういう具体的な事例であります。

 自見はなこ参議院議員が小児科の先生だということで、専門治療をしておられて、それで活動されているということは私は立派なことだと思いますけれども、毎年二億以上のお金を日本医師連盟と関連団体からもらっていて、そしてそれを国会で取り上げて実現させるということについては、これは、それこそ請託があり、職務行為との対価性のある利益提供がなされているというふうに認識されませんか。つまり、こういうことは献金とともに賄賂性があるというふうに認識されませんか。いかがですか。

門山副大臣 まさに犯罪の成否につきましては捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、法務副大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

前原分科員 自民党の前議員の秋本真利さんと比べて、これはどこに違いがあるんですか。つまりは、お金をもらわれた、そして要請を受けて質問した、片方は逮捕されて起訴されている、もう片方は大臣として活動されている、これはどこに違いがあるんですか。

門山副大臣 繰り返しになりますが、犯罪の成否につきましては捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でありまして、法務副大臣としてはお答えを差し控えさせていただくところでございます。

前原分科員 こういう答弁を是非拡散していきたいというふうに私は思っています。つまりは、片や逮捕されている人がいて、そして片や逮捕されないで大臣になっている方がいる。別に、僕は自見はなこさんに何の恨みもないし、お父様とは一緒に連立与党で活動させていただいたということでありまして、私は何の恨みもつらみもありませんけれども、しかし、仕組みなんです、問題を私が言っているのは仕組みなんですよ。

 日本医師会というものが政治連盟をつくり、しかも、たくさんつくり、多額の献金をしていて、日本医師会に関わる要望を実現するために国会で発言して、それを実現させるということをやっている、それが片や逮捕されて、片や逮捕されなくて大臣をやられているということは私は誠におかしいのではないかと思いますし、捜査機関ということでありますけれども、じゃ、法務省、検察は法務省の所管ですよね、そうしたら、こういうものが例えば告発されて受理されたらしっかり調べるということになるわけですね。

門山副大臣 そのような仮定を言われているわけでございますけれども、個別の事案については、今、私の立場では答弁を差し控えざるを得ないということを御理解いただければと思います。

前原分科員 御理解しませんが、そういう答弁が続くのだというふうに思います。

 これは松本総務大臣に伺った方がいいのかもしれませんが、図二を見ていただくと、自見はなこ地方創生担当相の政党支部資金管理団体の下に、四千万円、国民医療を考える会というのがあるんですね。国民医療を考える会というのは、日本医師会の関連政治団体なんです。連盟と同じ住所、場所にあるんです。日本医師会の常任理事さんが代表を務めておられる。つまりは、政治団体間の寄附は五千万円までに制限されているので、それを超える寄附の受皿となっているわけであります。ちなみに、東京都医師政治連盟は日医連と国民医療を考える会にそれぞれ五千万円ずつ寄附をしている、こういうことでありますけれども。

 これは、たくさんつくれるということは合法的なのかもしれませんが、こういうことについては、私は、結局、五千万円という上限というものがうやむやになっている、そして、結局、多額の献金ができる素地ができているのではないかというふうに思いますが、総務大臣としてはいかがお考えですか。

松本国務大臣 政治資金規正法においてもこれまでも、透明性を確保するという趣旨から、また政治への信頼のための政治資金の在り方という趣旨から様々制度がいわば組み替えられてきたというふうに承知をしておりますが、今お話がありました、そんな中で団体間の献金についても五千万という形の上限が設けられている部分があるのも御指摘のとおりでありますが、この対応、対象となる団体の整理などについては、私どもとしては既に定められた制度にのっとっているかどうかということが申し上げられることであって、制度そのものについての評価については私からはちょっとコメントは申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。

前原分科員 そういう答弁に総務大臣としてはなるとは思うんです。ただし、やはり、恐らく大臣も腹の中では同じように思っておられると思いますけれども、こういうものがあることによって上限が全くうやむやになってしまっているということで、これからの議論としては、こういった点にしっかりメスを入れていくということは大事なことだと思います。

 そして、もう一人、武見敬三参議院議員でありますけれども、私は非常に親しい議員の一人であります。先ほどの自見はなこ議員のときも同じように、別に自見はなこ議員の個人の問題ではなくて、まさに私は制度そのものからくる問題点を指摘しているわけであります。

 今の厚生労働大臣のお父さん、武見太郎元日本医師会の会長は一〇〇%、自由診療をされていたと認識されています。武見敬三議員は、昔から、海洋基本法を一緒に作ったり、国際政治学の教授でいらっしゃるので、非常に私は多くの仕事を一緒にしてまいりました。また、自殺対策とかあるいは人間の安全保障、こういったものにも取り組んでおられる立派な、尊敬できる政治家の一人だというふうに私は思っておりますけれども、ただ、仕組みの中で質問いたします。

 武見議員は、二〇二〇年に医師会関連団体から千九百十万円、二〇二一年には二千百五十万円、二〇二二年には千四百五十万円の献金を受けられています。今年度の献金はまだ報告はされていませんけれども、昨年の九月十三日、厚生労働大臣に就任されました。年末には診療報酬、介護報酬のダブル改定がございました。

 お配りしている資料三を御覧いただきたいと思いますけれども、これは、日本医師連盟、日本医師会の政治団体ですね、これが、ここに書いてあるように、全国の医師連盟の結束でプラス改定をかち取った、診療報酬部分、プラス〇・八八が実現したと。つまりは、日本医師会の政治連盟である日本医師連盟が政治家に働きかけて、自民党の人たちに働きかけてかち取ったんだ、こういう話なんですね。

 もし九月十三日以降に日本医師連盟あるいは関連団体が厚生労働大臣に寄附をしていたら、私は先ほどの自見はなこさんと同じように診療報酬改定にまさに担当大臣が力を尽くしたということになると思いますが、いかがですか。

松本国務大臣 診療報酬ということでありますが、私自身は直接の所管ではないのでこれについてはあれですけれども、今回私が国会に法案提出を予定している通信政策について申し上げれば、通信サービスを提供される方、利用される方、あらゆる方の意見を聞き、また審議会の有識者の方の意見を聞き、総合的に判断して政策を決めているというふうに考えております。

 この診療報酬に関しましても、制度上も、医療を提供される方だけではなくて、利用される方、保険者の皆さんの声も伺った上で総合的に判断されて決められているものというふうに理解をしております。

前原分科員 総務大臣、違うと御答弁されると思いますけれども、通信事業者から献金を受けておられますか。

松本国務大臣 政治資金の収支報告書に記載させていただいているとおりでございますとしか、今、申し上げられる材料は持ち合わせておりません。

前原分科員 大臣規範というものがあって、大規模なパーティーも制限しなきゃいけないということが言われていますけれども、大事なところは、私はここがポイントじゃないかと思うんですね。つまりは、特に大臣になった場合においては、関連団体を所管する業界団体というのがあるわけで、そこから献金をもらいながら厳しいことを言うとか、なかなか難しいというところは私はあるというふうに思うんですね。

 したがって、時間が参りましたのでこれで終わりにしますけれども、一番初めに申し上げた、まず自民党がしっかりと情報開示をして、けじめをつけて、そして再犯防止のための仕組みをつくっていく、その三つ目のところについて申し上げれば、私は、岸田総理もたくさん、この図一を見ていただくと日本医師連盟からもお金をもらっておられるんですね、ここが問題じゃないかと。だから、私は、企業・団体献金というものは原則禁止をする、パーティーも原則禁止とする、ただ、やはり浄財的なということ、企業、団体もプレーヤーだということについて言えば、ある程度、例えば百万円以下とか、そういうふうに。まさに二億円とかね、そんなことで政治が曲げられているように見られないようにするためには、せいぜい関連団体も含めて合計して百万円以下ぐらいにしないといけないと私は思います。

 時間が来ましたので、多分質問しても明確な答弁は得られないと思いますので、私の意見を申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて前原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井比早之君。

藤井分科員 自民党の藤井比早之でございます。

 本日は、大臣答弁は要求しておりませんので、松本剛明総務大臣におかれましては、御退席いただければと思います。

 それでは、質疑に移りたいと思います。

 SNSによるフェイクニュースやフェイク動画の発信、拡散に対する権利侵害等への対処についてお伺いいたします。

 誹謗中傷を始めとするSNSによる違法、有害情報の発信、拡散は大きな社会問題であり、その対策は急務です。

 令和六年能登半島地震でも、真偽の不確かな情報が拡散し、社会を混乱させる事態が発生するなど、偽・誤情報の問題が顕在化しております。

 SNSによるフェイクニュースやフェイク動画の発信、拡散に対する権利侵害等への対処についてお伺いします。

 特に、SNSにおける被差別部落の所在地情報の掲載など、差別的表現や権利侵害は決して許されません。具体的な取組について伺います。

 また、裁判手続による削除は、被害者にとって金銭的、時間的にハードルが高過ぎます。やはり、プラットフォーム事業者による削除が迅速かつ適切に行われることが何よりも重要でございます。プラットフォーム事業者による削除をガイドラインを策定するなどして明確化すべきと考えますが、この点についてお伺いします。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘の被差別部落などに対する差別的表現を含めまして、SNSの権利侵害情報などについては、これまで、プラットフォーム事業者による利用規約に基づく自主的な削除などの対応を促進してきたところでございます。

 このプラットフォーム事業者による削除などの対応が更に適切に進むよう、総務省では、プラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化や運用状況の透明化を求めるプロバイダー責任制限法の改正案の提出を今国会において予定しているところでございます。

 これから改正法案を国会に提出させていただく段階ではございますけれども、制度整備がなされた場合には、その制度運用に当たり、御指摘の自民党の緊急提言などもございますように、例えば、どのような情報を流通させることが法令違反や権利侵害となるのかについて、関係団体と協力することによりましてガイドラインの策定などの取組を進めるというようなこともあり得ると考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 プロバイダー責任制限法の改正案を検討していただいておるということでございますけれども、やはりこういった誹謗中傷や差別等は決して許されませんし、一旦流れたらおしまいでございますので、是非とも、プラットフォーム事業者の方で適時適切に、かつ迅速に削除していただけるように、ガイドライン作成方を含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まさに被害の深刻化を防ぐためには、これは相談体制の充実強化が不可欠だと考えます。相談窓口は心理的、金銭的、時間的なハードルを可能な限り下げることも必要ですし、そもそも相談することがちょっと大変だということもありますので、そういった意味での関連機関との連携を含めて、相談体制の充実強化についてお伺いいたします。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 誹謗中傷などに遭われた被害者の方々におきましては、何をしたらよいのか分からないという場合も多く、そうした観点から、相談対応の充実は非常に重要と考えております。

 総務省では、違法・有害情報相談センターを設置して相談対応を行ってきたところでございますが、相談に当たりまして、被害者の方々の心理的、金銭的、時間的なハードルを可能な限り下げることが非常に重要だと承知をしております。

 総務省では、相談センターにおいて、これまで、周知、広報や、関係相談機関との間の連携強化を行ってきております。さらに、令和六年度からはチャットボットなどのAIを活用した運用を開始することなどを検討しておりまして、相談対応における利用者利便の向上を図ることで、被害の深刻化を防ぐための取組を加速化してまいります。

藤井分科員 やはり、SNSは若い方がよく使われておられますので、AIの活用とか、若い方が一番、誹謗中傷、そういったもので苦しんでおられる方が多いと思いますので、そういった活用を進めていただくことは非常に有意義ではないかと。相談体制の充実、是非お願いしたいと思いますし、やはり捜査機関との連携も必要なんだと思います。SNS上の誹謗中傷等の被害について、気軽に警察へ通報、相談しやすい環境づくりや、積極的に捜査を実施するなど、警察庁など捜査機関において被害者救済に向けた専門的な対応体制の強化というのを要望させていただきたいと思います。

 偽・誤情報が流通しているという状況なんですけれども、そもそも、この実態を、そしてまた要因を実際に把握、分析することが重要です。特に、AIの活用による人物の偽・誤画像や動画は、偽・誤情報の信憑性を著しく高めるなど、影響が深刻化しております。ガイドラインの策定など、これに対する具体的な対応をよろしくお願い申し上げます。お伺いします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、インターネット上の偽・誤情報対策につきましては、昨年十一月に有識者会議を設置して議論、検討を進めているところでございます。本年二月からは、主要なプラットフォーム事業者に対しまして、偽・誤情報への対応状況につきましてヒアリングを開始したところでございます。

 具体的には、このヒアリングを通じて、事業者が偽・誤情報への対応方針や手続を事前にどのように定めているのか、また、その方針に基づき実際にどのような対応を行ったかなどを把握することにしておりまして、有識者会議に参加していただいている様々な専門分野の有識者によるプレゼンテーションや意見交換なども踏まえながら、総務省として、偽・誤情報の流通の実態また要因につきまして、把握、分析に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、生成AIで作られた人物の偽画像、動画の流通への対応につきましては、技術の進展に伴いまして、例えば、著名人や公人があたかも正式に発言したかのような動画が生成AIによって生成され、ネット上に発信、拡散される事例も発生しており、こうした状況を国民生活に対するリスクと捉え、必要な対応を行っていくことが極めて重要だと考えているところでございます。

 総務省におきましては、令和五年度補正予算を活用して、ネット上に流通する生成AIが生成した画像や動画を判別するための対策技術の開発、実証を行うなど、技術面からの対策にも併せて取り組んでいきたいと考えているところでございます。

藤井分科員 生成AI、本当に分からないというか、でも、結構簡単にできるらしいんですよね。本当に技術が進展しているということでございますので、それを判別するとか、これは生成AIで、誤情報ですよ、誤画像ですよ、誤った動画ですよというのをやはりしっかりと周知していただかないと非常に大きな影響が出てくると思いますので、是非そういう点での取組をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、中山間地の共同アンテナ施設、共聴施設についてお伺いしたいと思います。

 現状、テレビ放送では、放送事業者が多くの中継局を設置し、多くのエリアを電波でカバーしておりますけれども、中山間地では、どうしても電波が届きにくいために、共同アンテナ施設、共聴施設と呼ばれる特別な設備によってテレビを視聴している地域、住民の皆様が存在します。私の地元でも、三木市や西脇市で存在しています。

 こうした共聴施設は設備の老朽化が問題となっておりますが、共聴施設の施設数や世帯数等の現状、老朽化の状況についてどのように把握、認識をしているのか、伺います。

小笠原政府参考人 御指摘の中山間地域の共聴施設の多くは、視聴者の方々が自主的に組合を設立、運営しているというふうに承知しておりますが、今御指摘の施設の老朽化、地域の過疎化による組合員数の減少、あるいは高齢化といったものに直面し、管理運営や設備の更新の課題が生じつつあると認識しております。

 お尋ねの施設数等でございますが、総務省といたしましては、共聴施設の施設数や世帯数について、まず、施設数として約一万五千施設、そして、施設を利用する世帯数として約七十万から八十万世帯というふうに推計をしているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした施設の実態把握に努めるべく、令和五年八月から十二月までの間でございますが、約四千施設からの回答を得まして実態を伺いました。

 その結果、地上波のアナログ放送、二〇一一年に終了しているわけでございます、それ以降何らかの改修を行った施設の割合が全体の二三・七%にとどまっております。したがいまして、多くの施設が更新等が行われておらず、老朽化といったような課題を抱えている可能性が高いというふうに考えております。

 こうしたことへの対応は重要な課題の一つというふうに認識しているところでございます。

藤井分科員 実際に、雨が降って何かテレビが見れなくなったら、アンテナだったとかいう話を実際に地元で聞いていたりしますので。

 先ほど、一万五千施設、約七十万人から八十万人というお話を伺いました。ただ、実態把握は、実際のところは四千施設とかいう形で、ほかに知らないところがいっぱいあると思うんですよ。まず、実態把握とか、そういったところを是非進めていただきたいと思いますし、また、共聴施設、特にこれは老朽化が進んでおりまして、地元でテレビ組合とかでやっている場合は、本当に、大体過疎地といいますか、人口が減っているところが多いですから、一戸当たり、そんな、更新に当たってお金を出せないというところがもうほとんどでございます。

 そういった老朽化に対して、更新等の維持補修をどうしていくのか。更新や維持補修に対する支援策、CATV代替など、現在の支援策についてお伺いします。

小笠原政府参考人 御指摘のとおり、そうした御指摘の共聴施設、二〇一一年以降更新等が行われず老朽化が進んでいるということでございまして、総務省におきましても、辺地共聴施設を通じたテレビ放送の受信、これが、難視聴地域において安定的に受信環境が維持されること、これについて現在取り組んでおりまして、具体的には、令和五年度の補正予算以降ということでございますが、まずは災害時において放送による確実かつ安定的な情報伝達の確保を図るという観点でございますが、まず、設備更新につきましては、共聴施設単独の光化というような方策、それから、ケーブルテレビ事業者による共聴施設のサービスエリア化、いわゆる巻取りというふうに言っておりますが、そういったことが行われる場合につきましても新たな支援対象というふうにさせていただいたところでございます。

藤井分科員 CATVへの巻取りという話もありましたけれども、実際のところは、ケーブルテレビ、CATVを有している自治体と、そうでない自治体というのがございます。ですから、CATV代替にはある程度限界がある。今から新しく市全体をケーブルテレビをやるかというと、これはもうかなりの財政支援を必要とする、財政負担が必要だという形になります。また、辺地共聴の対象にならない地域もありますし、今から光化かと。でも、既に光化しているところというところは、今度またアンテナを撤去する費用が出せるのかどうかという問題があります。

 こうした、CATV代替ができない場合であったりとか、既に光化しているけれども、あるアンテナを撤去するのにはどうしたらいいかとか、そういったところも含めまして、共聴施設のブロードバンド代替というのが、結構現実的というか、考えられることだと思うんですけれども、現在の検討状況、そしてブロードバンド代替に向けての支援策についてお伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 お尋ねの辺地共聴施設、それから中継局のブロードバンドによる代替につきましては、総務省の有識者検討会の取りまとめにおいて、放送ネットワークインフラに係るコスト負担軽減のための具体的方策ということの一つとして、その可能性を検討することが適当という考えが示されております。

 そして、ブロードバンドによる代替は、ブロードバンドが全国的に普及する中で、将来的に放送サービスを維持していくため有効な手段となり得るとともに、辺地共聴施設の組合員における視聴環境を維持していくための有効な手段にもなり得るものというふうに考えております。

 ブロードバンドによる代替の円滑な実施に当たりましては、画質や遅延、端末の操作性、あるいは費用負担等、どのような水準であれば視聴者に受け入れていただけるかなどの課題がありますが、ブロードバンドによる代替を選択肢とすることが適当か否か、今のような事項についての検証を含めました実証事業ということを通じて、引き続き検証いたしますとともに、御指摘の支援ということにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。

藤井分科員 支援というところで、これは答えられないのは分かっているんですけれども、お願い事項ですけれども、ブロードバンド代替の場合は、テレビを見るのに視聴者がブロードバンドサービスの利用料を負担するという形になります。こうした世帯の方々は、特に高齢者の方々はテレビしか見ませんよ。じゃ、新たにブロードバンドサービスを使うのかというと、余り使わない、要らないよ、テレビだけでいいから、テレビだけ見れればいいからという方が多いと思うんですけれども、そういう方々に視聴者のブロードバンドサービスの利用料を取るというのはどうかという声が出てくる。そういう利用料に対する補助を含めた支援策の検討状況についてお伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 御指摘の視聴料の負担というところでございますが、先生もよく御案内のとおり、非常に高齢化した組合員の方々のお声として、組合費ということを月々あるいは年間徴収されておりまして、年間でも大体約八千円ぐらいというようなアンケート結果もあったところでございますが、やはりそういった今負担していただいていることとの関係でも、ブロードバンドによる負担が余りにちょっとそれを超えたようなことだと、当然ながら、高齢化していることもさることながら、今現在受けているサービスとの関係ということでも非常に大きな課題だというふうに指摘を受けているところでございます。

 したがって、先生今御指摘の、やはりそういった負担が大きな課題であるということを十分に踏まえた上で、支援ということについても検討してまいりたいというふうに考えております。

藤井分科員 どこに住んでいてもテレビが見られる、放送が見られることは、これは本当に当たり前のことで、まさに放送こそはユニバーサルサービスだと思うんです。それも、住んでいる地域によって額が違う。それは、NHKの受信料だけでしょうと普通は思っているんですけれども、そうじゃないという世界があるということを、しっかりと、ユニバーサルサービスなんだ、そんなところで差別を設けちゃいけないというのを是非お願いしたいと思うんですね。

 ブロードバンド代替をしても一軒一軒の住民の皆様の負担が大きくなるようでは、まさに住む地域による不平等、差別、このようなことはあってはなりません。視聴者のブロードバンドサービスの利用料に対する補助も含めた支援を是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、先ほど答弁で画質という話もございました。そもそも、ブロードバンド代替をする場合はそれで放送を見るわけで、画質の問題とか、また、そもそも安定したテレビ放送の受信環境を確保できるかというのが重要となってまいります。ブロードバンド基盤の整備率の現状と今後の見通しについてお伺いします。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、デジタル田園都市国家インフラ整備計画に基づきまして光ファイバーの未整備地域の解消などを進めておりまして、特に、地方における整備に当たりましては、補助金による支援も行っております。

 光ファイバー整備の現状につきましては、二〇二二年度末現在で世帯カバー率九九・八四%まで進捗しております。

 また、今後の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたインフラ整備計画におきまして、二〇二四年度末までに九九・八五%、二〇二七年度末までに九九・九〇%を目指すこととされておりまして、引き続き、自治体や地方の事業者も含め、各地域の要望を丁寧にお伺いしながら、光ファイバーの整備を進めてまいります。

藤井分科員 まさに放送はユニバーサルサービスでございます。住む地域によって差があってはならない。こういった共聴アンテナ、共聴施設、いよいよ本当に危ない、近々撤去をするか何かしないといけないというふうに状況がなっているところが多いです。ですから、検討だけではなくて、とにかく急いでいただく必要があるということでございますので、支援策を含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 年始になりますと、各村々、初総会、そういったところに行かせていただいて、一日五、六十か所行く日もあるんですけれども、そういったところで様々な声をお伺いします。

 やはり一番多いのは、草刈りが大変だと。今までは若くてよかったけれども、やっているのが七十代以上しかいない、今までだったら大丈夫だったけれども、畦畔がきつ過ぎる、もう踏ん張れないというような意見をよく耳にいたします。農地を維持する、地域計画を作るといっても、草刈りをする人材がいない。リモコン草刈り機もあります。これは私もいろいろなところでやって、実証もやり、これはどうですかと。ただ、これがまた高いという形になります。どうにかしないといけないけれども草刈りはしんどいというような、悲鳴に似た声を耳にしております。

 草刈り支援については、国の多面的機能支払交付金があると理解しておりますけれども、一体、具体的に幾ら出るのか。分かりやすく、時給が例えば幾らになるのか。また、自治体が草刈りのために独自に支援した場合に国の支援があるのかどうかについてお伺いいたします。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、多面的機能支払交付金において、地域共同で行う農地周りの草刈り等の活動を支援しております。

 そのうち、草刈り等を支援する農地維持支払交付金の交付単価は、都府県の水田で十アール当たり三千円となっております。

 また、多面的機能支払交付金におけます日当につきましては、地域の実情を踏まえて活動組織で決定をされておりますので、地域ごとで異なると認識をしております。

藤井分科員 実際、十アール当たり三千円だったら、本当に少ないんですよね。

 元々は、皆さん、そんなのは地区で当たり前にやることだということで、村でやらないといけないということで、ほぼほぼボランティア同然でやっていたという形になるんですけれども、日当も、せめて最低賃金というか、もっといただかないと、特に夏は暑い。また、草刈りの刃も替えぬとあかん。一日に二回替えたら、一つ千円だったとしても、千円ってすごい安売りで買ったときの話なので、実際のところは二千円、三千円とか、当然、燃費もかかるという形になりますから。かつ、多面的機能支払交付金は草刈りだけのものじゃなくて、溝掃除であったり、道普請であったり、いろいろなことに使わないといけない。

 もっとこれは絶対に支援が必要なんですよ。でないと農地を維持することなんかできないです。幾ら、農水省、法律を変えても、農業をする人間がいない、農業以前に、地域の草刈りとか守りをする人がいなかったら、それはできないわけです。

 自治体が実際のところは例えば自治会とか農会とかに支援といいますか財政支出をしていて草刈りが成り立っているというような場合であれば、これは自治会、農会を支援しないと、もはや自治会や農会が成り立たなくなってしまうという形になります。自治会や町内会、農会を将来どう維持していくのか、これは本当にこの国の形そのものであります。

 今国会では地方自治法改正法案提出が検討されておりまして、ここでは地域の多様な主体の連携及び協働の推進が盛り込まれると伺っておりますけれども、まさに、草刈りを行う団体、地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体、町内会や自治会、農会、こういった団体に光を当てていただきますことをよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、JRローカル線維持に向けた支援についてお伺いします。

 JR西日本が線区別の輸送密度、人数を公表いたしました。鉄道はネットワークであり、特定区間を切り出して廃止ありきで議論が行われることがないように求めます。一方で、利用促進に向けた地方自治体の熱意や具体的な取組は重要です。元々、その線でいいのかという根本的な問題もあります。

 JRローカル線維持に向けた国の支援と、そして地方自治体が単独で行う支援策、これは利用促進ですけれども、そういったものに対する支援についてお伺いします。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員より御指摘ございましたが、一部のローカル鉄道におきましては、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化などにより、輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できていないといった状況が見られてございます。

 このように、大量輸送機関としての鉄道の特性が生かされていない路線につきましては、町づくりや観光振興に取り組む沿線自治体との官民連携を通じ、鉄道輸送の高度化やバスなどへの転換といった再構築の取組が急務となってございます。

 そのため、令和五年度予算より、自治体が主体的にローカル鉄道の再構築に資するインフラ整備を行う場合には、社会資本整備総合交付金により支援する制度を創設したところでございます。

 国土交通省といたしましては、社会資本整備総合交付金による支援のほか、昨年十月に施行されました改正地域交通法の運用など、制度面、予算面の支援を通じまして、利便性、持続可能性の高い地域公共交通の確保に取り組んでまいります。

大沢政府参考人 先ほど国土交通省から御答弁がありましたように、地域公共交通再構築事業、これに関する地方負担に対しまして、総務省としても地方財政措置を講じているところでございます。

 今後とも、国交省と連携しながら、適切に対応してまいります。

藤井分科員 利用促進とか、そういうので独自に自治体がやっているものというのは、これは支援対象にはならないということですか。お伺いします。

大沢政府参考人 現状、支援対象とはしていないところでございます。

藤井分科員 特別な財政需要につきましては、また特別交付税支援とか様々なところをお願いしたいと思いますけれども、実際のところは、やはり地域の熱意というのも大事だと思います。

 くれぐれも、しっかりと地元と調整をして、地域公共交通計画もそうですけれども、ゆめゆめ廃止ありきで議論が進むことがないようにというところを申し上げておきたいと思いますので、そこのところは地域の意見が大事だというところ、もう一言だけお願い申し上げたいと思います。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、私どもとしましては、鉄道について、存続ありき、あるいは廃止ありきということではなくて、まずは、地域の実情に即した利便性、持続可能性の高い地域公共交通を確保するということが重要であるというふうに考えてございます。

 このため、私どもとしましては、そうした地域の主体的な取組をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えてございます。

藤井分科員 実際のところは、それだけ使う方がいないからいろいろ俎上に上るということもありますので、本来は、やはり利用促進とか、もっと地元の方々が盛り上がるということも、これは本当は大事だと思っております。ですから、そういったところで姿勢を示すということも大事でございますし、本当に人口が減少していく中で地域公共交通をどうするのか。

 そもそも、鉄道のないところにまた問題がありまして、そういうところで買物をするにはどうしたらいいのか、病院に行くにはどうしたらいいのか、根本的に人口が減少している中で、各村々の、各自治会、町内会の初総会や様々なところで本当に切実な声を聞くところでございますけれども、そういった地域の足、本当に車がなかったら生きていけないというのが地方部でございますので、そういう点での地域公共交通を全体として維持していただけるような施策の推進をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、時間となりましたので、ここで終了とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

宮路主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮路主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。本田太郎君。

本田分科員 自民党の本田太郎でございます。

 本日は、五問ほど質問を予定しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 総務大臣におかれましては、答弁を求めておりませんので、もしよろしければ、御退席いただいても結構かと存じます。

宮路主査 では、松本総務大臣、御退室をお願いします。

本田分科員 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 一問目は、消防団員の減少についての質問です。

 御存じのとおり、消防団は、常備消防機関のない町村において消防活動を全面的に担っておられまして、常備消防機関のある市町村においても、火災時には初期消火ですとか、また、大規模災害時には住民の避難誘導とか救出救助活動を行うなど、極めて重要な役割を果たしておられます。

 また、消防団員は、地域の住民の皆さんから成っておりますので、地元の事情にも精通しておられまして、地域に密着した存在という意味でも非常に心強い存在でございます。また、団員の数は減少はしておりますけれども、いまだなお常備消防の職員の方の約五倍の人員を誇っているという意味でも、大変力強い存在。さらには、団員の皆様は日頃から訓練をされておりまして、災害発生時には即時に対応できる、そういった能力も持っておられます。そして、何よりも、私も一住民として思いますのは、災害が起こったときには、やはり自分たちがやらねば、そういう思いを持った組織として住民の皆様から慕われ、頼りにされているという存在だと私は感じております。

 そういった消防団員の皆さんでありますけれども、残念ながら、年々その団員数は減少してきておりまして、平成二年には百万人、平成十九年には九十万人、そして令和四年には八十万人を割り込みまして、令和五年四月時点では七十六万人にまで減少をしております。特に直近の二年間は、単年度の減少幅が連続して二万人を超えるなど、大変危機的な状況に陥っております。特に、若年層の入団者数が著しく減少しているということでございます。

 そうした中、これはありがたいことでありますけれども、被雇用者の方はその占める割合が高い水準で推移をしておりますし、女性の団員の数は年々増加している。また、学生の皆さんも消防団に入ってくださる方が増えておりまして、これは増加傾向にあるということであります。非常にありがたいことであります。

 しかし、総じて見ると、やはり、先ほど申し上げたように、団員数は減少してきているということでありまして、主な原因は、言われておりますのは、そもそも人口が減少してきており、少子高齢化が進んでいるということで、その対象となる人の数が減ってきているということがございます。また、核家族化が進んでおりますゆえ、消防団員として業務をするとなると家族への負担も増えてくるということ。さらには、これはライフスタイルの問題でもありますけれども、働き盛りの人が消防団活動に時間を費やす、これをある意味でもっと効率的にやらなければ、時間がもったいないという思いも増えてきているように感じます。

 ただ、こうした中、消防団員の数が減ってもその重要性は変わらないわけでありますから、この機能をいかに維持するのか、これが極めて重要ですし、恐らく、そのために大事なのは、報酬という金銭的な面もあるでしょうけれども、それのみならず、やはり貴重な時間を割いてやっていただくわけですから、ここにはやはり、自分たちの地域のために自分たちが貢献するんだ、役に立つんだ、そういう思いを醸成していくことが極めて重要なのではないかと個人的には感じているところであります。

 こうした状況の中で、先ほど来申し上げております消防団員数の減少、こういう大きな問題につきまして、今後どのように対策を取っていくのか、具体的な施策等を御答弁いただければありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

五味政府参考人 消防団の団員数でございますが、御指摘のとおり、年々減少しておりまして、令和五年四月一日現在で約七十六万三千人ということで、二年連続二万人以上減少しておりまして、地域防災力の中核を担う消防団員の確保は喫緊の課題であると認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、消防庁におきましては、女性や若者に対する知名度の高い著名人を起用した入団促進広報の実施、大規模災害への対応や広報活動など特定の活動のみを行う機能別団員制度の活用、消防団の力向上モデル事業による地方公共団体の先進的な取組の支援など、消防団員の確保に向けて、できる限りの対策を講じているところでございます。

 また、消防団の更なる充実に向けまして、去る二月六日に、全国の都道府県知事及び市町村長に対しまして総務大臣から書簡をお送りいたしますとともに、御指摘のとおり、消防団員がやりがいを持って活動できる環境づくりや負担軽減などにつきまして、優良事例集を作成し、横展開を図っているところでございます。

 今後とも、消防団員の確保に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。

本田分科員 ありがとうございました。

 先ほど来申し上げているとおり、団員の確保ということは大事であります。ただ、それと同時に、やはり消防団員の皆様が、これまでどおり、地域のために働く、時間を使うということに意義を見出せるような、そういう消防団の在り方というものを今後も追求していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 次は、郵便局のユニバーサルサービスについての質問です。

 日本全国の津々浦々にある郵便局が提供するユニバーサルサービス、これを行うのは日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社の責務であるということが、郵政民営化法でも定められております。

 このユニバーサルサービスは、公益性や地域性という特質を持つものでありますけれども、それを支えるための現在の彼らの収益構造は非常に厳しい、ある意味で無理があるとも言える状況にあると理解をしております。そして、そのコストの負担につきましては、民営の会社でございますので、基本的には国からの支援はないという状況が続いております。株式会社かんぽ生命及び株式会社ゆうちょ銀行が日本郵便に支払う窓口業務の委託手数料によってこのユニバーサルサービスは支えられているということでございます。

 社会のIT化や電子メールなどの普及で、郵便のニーズは減少をしております。また、郵便事業を取り巻く環境は、様々、厳しい状況がどんどん続いているという認識を持っております。

 そうした中、郵便局は全国に約二万四千局あるということでございますし、その中には離島や過疎地にある郵便局も当然含まれております。こうした郵便局は、地域になじんで、拠点として非常に有用なものだと理解をされております。そして、社会において、今後も重要性が減じることはないというふうに思います。

 そうした中で、郵便局と地方自治体との包括連携協定の締結ですとか、自治体支所業務の受託などの成功例も生まれ始めていると聞いております。また、国による郵便局活性化推進事業もなされておりまして、さらには、昨今では、マイナンバーカードの交付申請の受付等が可能となっている、そういうこともございます。

 こういう状況ではあるんですけれども、政治の方でも、自民党が、郵政民営化法を改正するという議論を進めてもおります。

 この議論は、日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融二社の株式について、一部を保有し続けられるよう完全分離の規定をなくそうではないかですとか、日本郵政が日本郵便を吸収合併し、赤字体質の郵便事業を金融二社が支える構造にしていこうではないかというようなことが議論をされているわけであります。

 また、郵便事業は、昨年十二月に値上げを発表いたしましたけれども、手紙利用の減少などで今後も収益の悪化が避けられないんじゃないかという見通しもございます。こうした状況の中、先ほど申し上げたように、郵便局には自治体業務の代行など公的基盤としての役割が期待されるようになってきているということでございます。郵便局網と郵便事業を、地方、日本全国津々浦々維持するということの必要性を大変重要視した結果、こういった議論が自民党内でも行われているというふうに理解をしているところであります。

 こうした極めて重要な機能を有する郵便ネットワーク、そして郵便局のユニバーサルサービスを今後も維持していくために、どのような方策を講じておられるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便、貯金、保険の三事業を、郵便局で一体的に、あまねく全国で公平にサービス提供することは、日本郵政及び日本郵便の責務とされております。

 日本郵政及び日本郵便におきましては、データやAIを活用した輸送DXを推進すること、また、楽天などのEC事業者と提携しポスト投函可能な商品を開発し日本郵便の配送網で配達をすること、さらには、ヤマト運輸で引き受けた小型薄物荷物を日本郵便の配送網を通じて各世帯や事業所へ配達するサービスを令和五年十月より一部地域から順次開始をすることなど、収益力の強化に取り組んでいると承知をしております。

 他方、総務省としましては、消費税増税に伴う改定を除きますと約三十年ぶりとなります、二十五グラム以下の定形郵便物の料金の見直しに取り組んでおりますほか、郵便局ネットワークの維持を支援するための交付金、拠出金制度を引き続きしっかりと運用しております。また、自治体窓口業務の委託を受けるための制度整備や、デジタルを活用した実証事業など、郵便局が新たな収益を生み出せるような環境の整備などの支援に取り組んでおります。

 今後とも、日本郵便に対しては、競争力がある質の高いサービスの提供による一層の収益力の向上とユニバーサルサービスの提供の維持を求めてまいります。

本田分科員 ありがとうございました。

 今おっしゃられた様々な施策、今後のユニバーサルサービスを維持する上で極めて重要だと思いますので、あらゆる施策を駆使して、その機能、そしてサービスが維持できるように、御尽力のほどお願いを申し上げます。

 続きまして、放送法改正に向けた動きについてお尋ねしたいと思います。

 近年の放送をめぐる環境の変化を踏まえて、NHKの受信料の適正かつ公平な負担を図るという必要が高まってきていると理解をしています。

 総務省では、放送を巡る諸課題に関する検討会第一次取りまとめというものを平成二十八年に、それを踏まえまして、業務の在り方、また経営の在り方、これについて、令和元年の放送法改正において所要の措置が講じられました。

 そして、更にもう一つ、第一次取りまとめにありました受信料の在り方、これにつきましては、受信料の適正かつ公平な負担に向けた改革の方向性というものを受けまして、速やかに所要の制度整備を行う必要があるというふうにされております。

 そのほか、ネット動画配信サービスの普及などによりまして、放送事業者は大変厳しい事業環境に直面しているので、今後、経営状況が悪化し、その責務を十分に遂行できない者や業務などを休廃止する者が生じることが懸念されるため、所要の制度整備を行う必要があるとされています。

 こうした背景の中、放送法改正に向けた議論がなされていると理解をしておりますけれども、この進捗とその目的、私もちょっと触れてしまいましたけれども、目的について、改めましてお答えをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小笠原政府参考人 お尋ねは、検討、その進捗ということでございますが、総務省におきましては、一昨年の九月から、有識者会議、具体的には、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会公共放送ワーキンググループという場でございますが、そういった場におきまして、NHKのインターネット活用業務、NHKがインターネットを活用しまして放送番組を配信する、そういった業務の在り方について検討を行ってまいったところでございます。

 そして、昨年十月の取りまとめにおきまして、視聴者の多くがインターネットを主な情報入手手段として利用しつつあるということを踏まえまして、インターネットを通じて視聴者に放送番組を提供する業務をNHKの必須業務ということで、インターネットにおいても継続的かつ安定的に放送番組を視聴できる制度ということに変更していくべきであるということの御提言をいただいたところでございます。

 総務省といたしましては、この提言を踏まえまして、具体的内容を盛り込んだ放送法の改正案ということを今国会に提出する予定というふうにしているところでございます。

本田分科員 ありがとうございました。

 今おっしゃられた進捗の状況、これからも着実に進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、次に、地方公共団体の情報システムの標準化についてお尋ねをしたいと思います。

 先般の新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、国と地方、また地方公共団体相互の間で、医療提供体制の確立や休業要請の在り方などをめぐって、意見の相違とか連携不足が露呈した部分がございました。また、地方公共団体ごとに複数のシステムが併存をしていたり、急いでつくったりされることによって、致し方ないことではございますけれども、各所に混乱や作業負担が生じた、こういったことが現出したわけでありまして、地方自治だとか地方分権、こういったことを重視するという、またこういった意識が、さらに、施策の円滑、効果的な実施のある意味で負の側面として支障となって生じたということの指摘がなされております。

 また、地方公共団体においては、業務の遂行に当たって、様々な情報システム、住民基本台帳ですとか地方税の件ですけれども、こういったことが活用されております。これらの情報システムは、各団体が独自にカスタマイズを行っているということでございますので、維持管理や制度改正ごとの改修などについて団体が個別に対応せざるを得ず、人的、また財政的な面でも負担が大きいという状況になっております。

 こうしたことを受けまして、令和三年五月に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が成立しまして、標準化対象事務を処理する地方公共団体の情報システムについて、国が定める標準化基準に適合した標準準拠システムの利用が義務づけられることとなりました。

 こうした流れの中で、地方公共団体情報システムの標準化に向けて、政府は今どのように取り組んでおられるのか、その取組を教えていただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の基幹業務システムの統一、標準化の取組でございますけれども、御指摘ございましたように、地方団体が情報システムを個別に開発することによる人的、財政的負担を軽減しまして、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を可能とすることを目指すものでございます。

 国としましては、地方公共団体情報システムの標準化の推進を図るための基本的な方針を策定しまして、地方公共団体の二十の基幹業務につきまして、地方公共団体の情報システムが適合すべき標準仕様を定めまして、さらに、各地方公共団体が原則二〇二五年度までに標準準拠システムに円滑に移行できるよう支援を行っている、これが現状でございます。

本田分科員 現状の御報告ありがとうございます。

 そうした現状の中、今、政府として取り組んでおられる中で、最大の障壁といいますか、最も大きな課題というのは一体何なんでしょうか。また、その課題に対して、今後どうやってそれを乗り越えていこうとされているのか、この点についても改めてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げました基本方針を定めて進めておりますけれども、その中で、移行スケジュール及び移行に当たっての課題をしっかり把握せよという規定もございました。

 これに基づきまして、移行スケジュールに関する調査でございますとか、自治体、それからベンダーへのヒアリングなどを実施しましたところ、二〇二五年度に標準準拠システムへの移行作業が集中してしまうということ、それから、二〇二五年度までの移行の難易度が極めて高いと考えられるケースが幾つか存在するということが明らかになってまいりました。

 このため、昨年九月に従前の基本方針を改定しまして、標準準拠システムへの移行期限につきましては、原則二〇二五年度を目指すことは維持しつつも、システムの移行作業をできる限り前倒しすることによる移行時期の分散が可能となるよう国が集中的に支援するとともに、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムにつきましては、システムの状況を十分に把握した上で、適切な移行期限を設定することを規定したところでございます。

 その上で、移行の難易度の高いと考えられるシステムにつきましては、都道府県や総務省と連携して把握調査を実施し、現在、結果の精査を行っているところでございます。

 また、この調査に加えまして、自治体の進捗確認や課題把握のため、各都道府県からの派遣職員等による支援体制、私どもリエゾン体制と呼んでございますけれども、これを構築しまして、総務省及び都道府県と連携して自治体の支援を行っているところでございます。

 これらの取組を通じまして、標準準拠システムへの移行が円滑かつ安全に実施されますよう、自治体や事業者の皆様の意見を丁寧に聞きながら、総務省とも連携して支援してまいります。

本田分科員 ありがとうございました。

 大きな課題があるということはよく分かりました。自治体の数も多いですし、にもかかわらず、タイムスケジュールとしても大変厳しい状況だということですので、政治のサイドも最大限応援ができるようにしてまいりたいと思います。

 これは、今後の日本の行政の効率化ですとか行政事務を速やかに遂行していくための基盤となる極めて重要な施策だと思いますので、どうか思う存分力を発揮していただいて、速やかにやっていただけるようお願いを申し上げます。我々もしっかり協力をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

 続きまして、今度は、公的統計における不適切な事案があった件についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、二〇一八年から二〇一九年にかけまして、国の基幹統計である毎月勤労統計調査、これで不適切な事案が発覚し、国会でも様々な議論がなされたと記憶をしているところであります。

 この問題は、本来は、東京都においては、五百人以上の大規模事業所は全て調べるルールだったにもかかわらず、厚労省が東京都に委託した調査について、無断で三分の一の抽出調査としていたということで、また、データの補正をせずに結果も公表していたということで、大変ゆゆしき事態であったわけでございます。

 さらに、二〇一三年から二〇二〇年にかけましては、同じく国の基幹統計であります建設工事受注動態統計の不正があったということであります。

 この動態統計では、二〇一三年から二〇年の統計において合計で三十四・五兆円の過大な統計結果が出されていたということであります。非常に国民的にも話題になりましたし、政策を決定する上で、また、何といいますか、公的記録としても極めて貴重なものが、こういった形で不適切な形で集計されるというのは遺憾なことでございます。

 こうした公的統計における不適切な事案を経まして、政府として、現在、公的統計全般においてどのような対応をされているのかということについてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

北原政府参考人 お答えいたします。

 先生からお話がございました毎月勤労統計調査、また建設工事受注動態統計調査の不適切な事案を踏まえまして、令和四年八月に統計委員会から建議が行われてございます。その中では、PDCAサイクルの確立を始めとする総合的品質管理、また、これを推進していくための基盤として、職員の能力向上や業務のデジタル化の推進、中央統計機構による支援の充実が掲げられております。

 これを踏まえまして、政府としては、昨年の三月に、新たな五か年計画であります公的統計基本計画を閣議決定いたしまして、今年度からこれに基づき取組を進めているところでございます。

 具体的には、各府省では、統計幹事の下で、業務マニュアルの整備、更新を進め、自己点検とその結果に基づく自己改善の取組を行うPDCAサイクル、その定着を図ることとしてございます。これによりまして、重大事象の発生の抑止と統計の不断の改善に各府省が自ら取り組むこととしてございます。

 総務省は、中央統計機構といたしまして、各府省に対しまして、統計作成のガイドブックの提供や相談対応を含む技術的な支援、また、各府省が統計調査を実施する際に利用可能なシステムの提供を拡充いたしますとともに、各府省の幹部、それから管理職員を対象としたマネジメント研修等、職員の能力の向上の充実を図ってございます。

 公的統計の役割が十分に発揮されますよう、品質の高い統計を適時かつ確実に提供することを目指し、取組を進めてまいります。

本田分科員 ありがとうございます。

 現在の政府の取組をお聞きいたしました。

 役所の皆様、政治もそうですけれども、全体として、国をよくしよう、国民の皆様のよりよい生活に向けた政治をしていこうということで、みんな同じ方向を向いていると理解をしております。

 しかし、政策立案の基礎となる統計が不正であったり間違ったりしていると、その労力自体も無駄になりますし、結果として国民の皆様に不利益を及ぼすことになりますので、そこの基礎となる公的統計のところは極めて重要なデータでありますので、是非とも、そういったことの不適切事案が二度と生じることがないように、不断の努力を重ねていただきたいと思います。

 場合によっては、そういったことが生じ得る環境というものがある場合、例えばマンパワーの不足ですとか予算の不足ですとか、そういったものがある場合には、早め早めに、何といいますか、SOSと言うと言葉は変ですけれども、そういったものを出すことによって、このままではきちっとした統計が出せないんだよというシグナルを出していただくことによって、間違ったデータに基づく無駄な努力というものが省かれると思いますので、是非、今後とも不断の努力を続けていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

宮路主査 これにて本田太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂分科員 立憲民主党の逢坂誠二です。よろしくお願いします。

 今日は、大臣に答弁はいいんですけれども、冒頭だけちょっと話を聞いていただければと思うんですが。

 自民党の裏金問題は、やはりちょっとひどいですね。度を越しているな。しかも、ついうっかりじゃなくて、長年にわたってこんなことをやっていた。いまだに使途も明らかにできない。国の中で唯一、国会は法律を作れる機関だ、その立法府にいる人間が自分自ら法律を犯している、それを自覚していながら全く何の解決にもなっていない。これは尋常なことじゃないと私は思っています。

 だから、とにかく可能な限り実態を明らかにして、領収書があるものは早く出していただいて、領収書が出せない、実態が明らかにできないというものは、雑所得だろうと思うので、申告して、課税してもらって納税して、あとは議員をお辞めいただくしかない、私はそれぐらいの重大事項だと思いますよ。それを、政倫審でも、公開するとかしないとか。何が説明だ、私はそう思います。

 このことを冒頭申し上げさせていただいて、今日は、大臣、答弁はよろしいですので、退席いただいて構いませんので。よろしくお願いします。

宮路主査 では、松本大臣、御退室をお願いします。

逢坂分科員 それでは、今日は、事務方の皆さんと多少やり取りをさせていただきたいと思います。分かっていることばかりの確認ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず一つ、政治資金パーティー、このことについて、政治資金パーティーの定義について、選挙部長、お願いします。

笠置政府参考人 政治資金パーティーの定義ということでございまして、政治資金規正法第八条の二に定義が置かれております。

 政治資金パーティーとは、対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動に関し支出することとされているものをいい、これらの者が政治団体である場合には、その活動に関し支出することとされているものをいうと定義をされております。

逢坂分科員 政治活動に対して支出されていることとするということでありますけれども、支出することとされていることというのは具体的にどういうことでしょうか。

笠置政府参考人 お尋ねの、支出することとされているとは、先ほど、差し引いた残額、これは収益と言ったりしますけれども、差し引いた残額を当該催物を開催した者などの政治活動に関し充てることを開催の目的としているということを指しているものと解されております。

逢坂分科員 それでは、政治活動にあらかじめ充てることとしていない場合は政治資金パーティーに当たらないという理解でよろしいですか。

笠置政府参考人 定義が、まさしく、差し引いた残額を開催した者又はその者以外の政治活動に関し支出することとされているということでございますので、この定義に合わない場合は政治資金パーティーの定義からは外れるということだろうと思います。

逢坂分科員 ということであれば、当該催物が政治資金パーティーであるか否か、これを決めるのは主催者ということでよろしいですか。主催する政治団体なら政治団体が、これはあらかじめ政治資金パーティーである、これはあらかじめ政治資金パーティーではないと、その判断は専ら主催者がやるということでよろしいですか。

笠置政府参考人 政治資金パーティーに該当するか否かといったことにつきましては、一義的には、その催物を開催しようとする者において具体の事実に即して判断をすべきものと承知をしております。

逢坂分科員 それでは、あらかじめ政治資金パーティーじゃないとして開催をした、例えば会費二千円で開催をして、二千円見合いの経費がかかる予定であった、やってみたところ、その二千円見合いの経費が予想外に安かった、残額が出た、結果的に、その残額、行きどころがないので政治団体の活動費に結果として入ってしまった。こういう場合は、これは政治資金パーティーに該当するのかしないのか、法に触れるのか触れないのか、その辺り、いかがですか。

笠置政府参考人 一般論として申し上げますと、当初より収益が上がることを予定していない催物については、政治資金規正法上の政治資金パーティーには該当しないものでございまして、仮に結果的に収益が上がった場合であっても、政治資金パーティーには該当しないものと解されます。

 なお、このような場合であっても、政治団体が開催したものであれば、その収入、支出につきましては当該政治団体の収支報告書に記載をいただくことになってございます。

逢坂分科員 それでは、今度は逆のケースとして、二千円で予定していた催物の経費が、一人当たり二千円以上結果としてかかってしまったということで赤字が出た。赤字が出た場合に、当該参加者、その催物に関わった方に対する買収ということになるのかならないのか、そこはどうでしょうか。

笠置政府参考人 お尋ねは、実際にかかった総経費の方が会費というか会費収入を上回ってしまったということでございますが、これは個々具体に見ていく必要があるんだろうと思います。

 例えば、会場使用料みたいなものは、言ってみると主催者側が負担するのは当然のお金ということもございます。したがって、その差額について、まさしく参加者に財産上の利益を供与したというような形であれば、外形的には買収、買収というか寄附ですかね、寄附という可能性は否定できませんけれども、先ほど申し上げましたように、財産上の利益に当たらないもの、会場借り上げ費でありますとか設営費みたいなものですね、それは別に、参加される方に便益も何もないものというんですか、そういったものとかを実際に差し引いて、具体的な事実に即してという判断になろうかと思います。

逢坂分科員 今、最後に、具体的な事実に即してということがございましたけれども、それは、具体的な事実に即して誰が判断するんですかね。

笠置政府参考人 これは、結局のところ、最終的には捜査当局といいますか、事態の具体の事実、どういうものであったかといったものについて調査権があるような取締り当局、最終的には司法の場ということになろうと思っております。

逢坂分科員 この件について最後なんですけれども、政治資金パーティーであるか否か、それについて、それでは、外形的な基準というか、この金額なら政治資金パーティーだとか、これ以下ならパーティーじゃないとか、それ以外の外形的な基準というものも含めて、何か外形的な基準というものはあるわけではないんだという理解でよろしいですか。

笠置政府参考人 政治資金パーティーというのは、先ほど申し上げた定義に該当するものが政治資金パーティーということで、例えば、パーティー券の一枚当たりが幾らじゃないといけないとか、あと、言ってみると、利益率といいますか収益がこれぐらいじゃないといけないとか、そういったような規定はございません。

逢坂分科員 非常によく分かりました。ある種、一般人には分かりにくいし、実際に政治資金パーティーであるか否かの判断というのは、なかなか微妙なところがあるなということは改めて確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 それでは、次に、政治資金収支報告書ですけれども、この政治資金収支報告書、最近、何か訂正が大はやりのようでありますけれども、報告書提出後、誤りに気づいた場合の訂正というのはいつまでに行うべきか、このルールはあるんでしょうか。

笠置政府参考人 分科員御案内のとおり、政治資金収支報告書、十二月三十一日現在で、国会議員関係団体は五月三十一日までに、その他の団体については三月三十一日までに、総務省あるいは都道府県選管に提出をすることになってございます。

 先ほどお尋ねの訂正ということでございますが、政治資金規正法上、収支報告書の訂正につきましては特段の定めはございませんで、一方で、収支報告書の内容は事実に即して記載されるべきものであることから、事実と異なる記載があった、あるいは記載漏れがあったとか、そうした場合には、政治団体におきまして、訂正を申し出た者から事実に基づいての訂正であるという申出があった場合には、特に期限を設けずに訂正していただくという実務上の取扱いにしております。

逢坂分科員 それでは、政治資金収支報告書、いわゆる訂正ではなくて、当初、最初に出そうとしたときに、収入も分からない、それから支出も分からない。当初、提出の段階から政治資金収支報告書に不明と記すということはあり得る。可能かどうかも含めてお願いします。

笠置政府参考人 一般論でございますが、まず、収入、支出というのを記載した収支報告書を出していただくということでございますが、何らかの事情で政治団体側で収支報告書を正確に記載することができない場合に、記載できない項目につきまして不明と記載をされた収支報告書の提出があったといたしましても、そのような場合であっても、実務上、受け付けないという取扱いとはしていないということでございます。提出のときはそうでございます。

逢坂分科員 例えば、なるほどなと思うような理由として、何か捜査の都合で、その政治団体の領収書とか、あるいは収入の証拠になるような書類とかが捜査機関に押収されている、だからこれは不明だと書くような場合というのは、私は、ある種合理的な理由があると思うんですね。ただ、合理的な理由がない、何となく分からないんだ、あるいは、言いたくないということも場合によってはあるかもしれない。だから、分からないんだ、分からないんだというふうに言って最初から収入も支出も不明と仮に書いたとしても、それは違法でもないし、選管としては受け付けるという理解でよろしいですか。

笠置政府参考人 先ほどございました、例えば、不明と書いた収支報告書が提出になった場合でございますが、その際には、宣誓書の方に、その項目について判明した場合には訂正を行うというようなことを記載をいただいているということでございます。したがいまして、判明すれば記載をいただくことになろうかというふうに思っております。

 また、先ほど、恐らく全部ということでもないんでしょうけれども、不明という提出があった場合、特に、理由がどうかという場合でありますけれども、私どもといたしましては、実質的な調査権もございませんので、そういう意味では、そのような提出があった場合には受け付ける。受け付けないということにはしない。ただ、先ほど申し上げましたけれども、判明した場合には訂正をするといった旨を宣誓書の方に追記なり記載をいただいているということでございます。

 なかなか、分科員御案内のとおり、総務省あるいは都道府県の選管が与えられている権限というのは形式的審査ということでございまして、これはやはり、政治活動の自由といったものを尊重するという観点から、行政の関与といったものは必要最小限にとどめるべきだという考えに基づくということで、実務上、そういった運用といいますか、取扱いをさせていただいているということでございます。

逢坂分科員 政治資金収支報告書の選管での保管年限は三年というふうに承知をしておりますけれども、最初から収支不明だと出したもので、収支が分かり次第訂正しますと宣誓のところに書いておく。三年間収支が分からなかったという場合でも、これは違法ではないという理解でよろしいですか。

笠置政府参考人 直ちに違法ではないんだろうと思います。

 ただ、我々といたしましては、政治団体から出された収支報告書といったものを公開して、国民の皆様の監視下、不明と書いた記載も含めてでありますけれども、監視下に置くといったことが総務省あるいは都道府県選管の役割であると考えております。

逢坂分科員 ありがとうございます。直ちに違法ではないと。

 ただ、今お聞きしますと、政治資金収支報告の目指すところは国民の監視下に置くということでありますから、法の趣旨にはそぐわないということは明確だろうなというふうに思います。そういう意味では、この法の手直しというのが必要になってくるんだろうというふうに思います。国民に全く納得できる仕組みではないということが改めて明らかになったかなというふうに思います。

 選挙部長はもうよろしいです、オーケーです。

宮路主査 では、選挙部長は退室をお願いします。

逢坂分科員 それでは、次に、国と自治体の関係についてお伺いをしたいんですが、国と自治体、これは上下主従の関係か、あるいは対等協力の関係か、これについて、いかがですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 平成五年に衆参両院におきまして地方分権の推進に関する決議がなされて以来、平成十一年の地方分権一括法の制定、こういったことを始めとしまして、累次の一括法による義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などによりまして、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進められてきたもの、こう考えております。

 第一次の地方分権改革におきまして、各府省の包括的な指揮監督権を認める機関委任事務制度が廃止され、地方公共団体の事務は自治事務又は法定受託事務に整理されました。国、地方の関係は、それまでの上下主従の関係から対等協力の関係へと大きく転換されたものと考えております。

逢坂分科員 今の話からすると、対等協力の関係が原則であるというふうに聞こえるわけですけれども、私も、分権一括の決議ですか、衆参で同じ文言で決議したというのは憲政史上初めてなんですね。それぐらい、多分、立法府の側もこの分権ということについては熱い思いを持ってあの決議をしたんだろうというふうに思っています。

 そこでなんですけれども、上下主従の関係ではない対等協力の関係というのは、具体的にどのように担保されているんですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 平成十一年四月の地方分権一括法によりまして、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねることとされております。それから、国と地方の役割分担の明確化、機関委任事務制度の廃止、国と地方の関係に関する一般ルールの整備が行われたところでございます。

 この中で、例えば、国の関与は法律又はこれに基づく政令によらなければならないとする関与の法定主義、国の関与は必要最小限度のものとするとともに、地方公共団体の自主性、自立性に配慮しなければならないとする関与の基本原則、国の関与について不服があるときは地方公共団体は審査の申出をすることができるとする係争処理制度、こういったことが定められたところでございまして、これらの規定により、国と地方は対等の立場で役割分担しながら住民福祉の向上に向けて協力する関係にあるものと考えております。

逢坂分科員 法の建前としては理解できるんですけれども、現実に今どうなっているかというと、例えばコロナのとき、あるいは今回の定額給付金のような事務、これは自治事務というふうに整理されているというふうに承知をしておりますけれども、それがあたかも自治体の義務であるかのように行われているケースが非常に多い、このことについては、私は相当問題が多いと思っているんですね。

 法律にも決められていない、法律に委任された政令で実施しているわけでもない。国が予算を措置して全国的にみんなにお金を配るんだということがあらかじめ周知され、しかも、国会で予算が通る前にもう既に自治体には準備をさせ、させているというか、せざるを得ない状況にしているわけですね。そういうことが余りにも多過ぎる。私は、これは対等協力の関係の崩壊につながっていくのではないか。

 しかも、多分、総務省の皆さんはそういうことはよく分かっている。でも、各省の皆さんに、これは自治事務ですか、法定受託事務ですかと聞いても、ほとんど認識しておられない方も多いんですね。だから、その意味では、分権の精神というのが随分薄れてきているように思うんですね。私は、これは非常に日本にとって大きな損失だというふうに思っています。

 あと、国と自治体が今後上下主従の関係になるようなこと、そういう場面というのは想定されるのかどうか、この点、いかがですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたが、地方分権一括法の施行によりまして、地方自治法におきましては、国と地方の関係の一般ルールとして、関与の法定主義が定められているところでございます。

 地方公共団体の事務に関する法令の規定はこれらの一般ルールを踏まえて設けられているものと承知しておりまして、一般ルールに反する形で、上下主従の関係と言われた以前の機関委任事務制度における包括的な指揮監督権のような権限行使が行われるようなことはないというふうに考えているところでございます。

逢坂分科員 これから幾つかの法律改正もあるというふうに承知しているんですけれども、やはり自治体が元気でいろいろなことをやれるというのは、自主性、自立性というものをいかに重んじるかに懸かっているというふうに私は思っています。

 実は、自治体の側も、場合によっては、国からあれこれ言ってもらうのは楽だという首長さんも中にはいるかもしれませんし、議会の答弁でも、説明がつかないことは、これは国から言われているからこうなっているんだみたいな答弁をされる方もいらっしゃるように思うんですけれども、それをやればやるほど、実は自治体の力がそがれるというふうに思うんですね。

 だから、自治体の自主性、自立性、それから対等協力の関係というのは、総務省は分かっているというふうに私は理解をしているんですけれども、それをしっかり頭に置いた上でこれからも仕事をしていただきたいなというふうに思っています。

 それでは、行政局長はここでよろしいですので、御退室ください。

宮路主査 自治行政局長は退室をお願いします。

逢坂分科員 そこで、今度は山越さんにお伺いしたいんです。

 地域振興をどうするかということなんですが、役人答弁でなくて構いませんので、思っているところをお話しいただきたいんですが、山越さんの今の職名、地域力創造審議官、地域力って、これは一体どのようなものだと思いますか。

山越政府参考人 総務省として目指している地域振興、これは、全国どこでも、どなたでも安心して豊かに暮らせるような、そういう地域づくりを目指しております。それを支える様々な基盤というのが必要で、特に私どもが重要だと思っているのが人材力だと思っています。そのために、様々な地域の内外の人材が各地で活躍できるような取組、それを私どもは力を入れて進めてまいりたいと思っているところでございます。

逢坂分科員 済みません、突然変なことを聞いて。ただ、職名ですから、地域力創造審議官、地域力をつくり出す審議官だから、地域力って何かなということは、日常、途切れなく考えておいていただきたいと思うんですね。

 私は、地域力って何か、やはり物を生み出す力だろうと思っているんです。物を生み出す力。与えられて何かをなす力ではなくて、自分たち自らが、自分の頭で考えて、自分たちが責任を持って物を生み出し、行動していくという力が非常に大事なんだろうというふうに思います。

 ただし、そうはいうものの、やはりお金というのは大事なので、お金の、ある一定程度の保障というのは必要だろうと。よく、自前の税収で自分たちの職員の給料も賄えないのに、そんな地域があっていいのかという議論なんか、二十年前、三十年前、随分ありましたけれども、税収というのは、やはり地域ではいかんともし難いところがあるのも事実なんですね。

 例えば、銀座で一ヘクタールの土地があって、百メートル掛ける百メートル、そこで上がる税収って多分膨大なものなんですね。でも、北海道の農山村で一ヘクタール、百メートル掛ける百メートルの土地で上がる税収って、多分、ごくごく微々たるものなんですね。でも、産業や地域の違いによってそれはいかんともし難いんですよね。だからこそ、財政面では交付税制度というのがあって、それによって最小限の行政サービスが提供できるというふうになっている。

 しかし、そこから上という言い方は変かもしれませんが、税収プラス交付税、これは一般財源で、そこから上というのは何が大事かというと、やはり自分たちで自分たちの地域のことを考えられる、それは、何でもかんでも国に寄り添わないというところをどうやって育てていくかということが大事だと私は思っているんです。

 総務省も、大臣は替わります。大臣は替わりますけれども、職員の皆さんは替わりません。大臣が替わるたびに、何か、地域振興とか地域力創造について新たな方針が出たり新たな考え方が出るんですけれども、それを支えるというか、そこを通底するような、役所として地域に対してどう立ち向かうかという考え方を、もっともっと私は総務省は整理するべきだと思うんですよ。そこがすごく大事だと私は感じているんですけれども、今の話を聞いて、何かお感じになるところはありますか。

山越政府参考人 総務省として、多分一貫して、ここ十数年やらせていただいているのが、地域振興としてのベースとして、地方への人の流れをつくる、これが一つの柱でございます。また一方で、何かを生み出すということも重要でありますので、地域の経済循環の創出、拡大、これも一つの柱と思っています。加えて、なかなか過疎地域の集落なども維持するのも難しいという実態もありますので、そういう観点から、地域の暮らしを守るということで、地域住民が主体となった様々な取組、地域運営組織などの取組、これらをサポートする仕組みというのを支えるというのも重要なことだと思います。この三つの柱について、それぞれ時代の流れに沿って様々な施策を展開していく必要があると思っています。

 一つ御紹介しますと、人材の関係でいいますと、外部の人材ということで、地域おこし協力隊、これは、各地域で様々な取組に活躍していただいているとともに定住もしていただいているという取組だと思っていますが、これらに加えまして、これは移住をしていただくことを前提にしていますが、もう一つの流れとして、最近、地域活性化起業人というのに力を入れています。これは、都市部の企業社員、この人たちを即戦力に使って、移住までしてもらうわけではないですが、コアな関係人口として地域にコミットメントをしていただくことで、その地域の力になる。これがデジタル人材としても活躍できているような取組も最近出ておりますので、そういう取組を今の流れの中で進めていきたいと思っています。

 繰り返しになりますが、三つの柱について、その時々の、時代に沿った取組を私どもとしては進めてまいりたいと思っているところです。

逢坂分科員 今御説明いただいた中で、地域おこし協力隊、最初はどうなることかなと思っていたんですけれども、全国各地でたくさん活用があって、地域への定着もあったり、あるいは、一回そこで働いた方が、離れたけれどもまた戻ってくるということがあったり、数日前も、私の地元に来ている協力隊の皆さんと一緒に酒を飲んだりというようなこともあります。だから、それはよかったなというふうに思うんですが。

 繰り返しですが、そのときに、やはり地域の自発性、自立性をどうやって育むかということを旨としてやってもらいたいと私は思うんですよ。例えば、補助金を用意しましたとか、何らかの提案があればそれにお金を出しますというようなことでは、地域は実はやはり育たない。育たないというのはちょっと生意気な言い方かもしれませんけれども、やはりどうやって自発性、自立性を引き出すんだということが私は旨だと思っています。

 最後なんですが、これは守備範囲外なので聞くだけで答弁は要らないんですが、ふるさと納税、私はやはりこれは相当問題だと思っています。

 税と一般の貨幣の違いは、見返りがないということなんですね。一般の貨幣は、物を買いたい、物を売りたいという人が、意思が一致して、一万円を出せば、お釣りも含めて一万円のものが来るということですよね。税はそれと全く違っていて、報償性がないわけですね。百万払っても何の見返りもないし、一円も払わなくても、場合によってはサービスが来る。だから、一般の金と税は全く違う。でも、その税に、一部といえども報償性を持たせたふるさと納税というのは、私は税の根幹を壊しかねないのではないかという危惧を持っています。

 全国でこれを活用している人が多いので頭から否定できない現実はあるんですけれども、このふるさと納税が、相当今、税に対する認識も変えつつあるし、場合によっては、地域での税の在り方、例えば、元々、財政規模でいうと五億しか税収がなかったのに、二十億、三十億入ってくるというような状況になって、地域の風景が大幅に変わっている。あるいは、特産品を扱う業者も特定の業者にだけ偏るとか、そこがある種の、利権化しているといったようなケースもあるので、ふるさと納税の今後については、地域振興を考える上では、よほど注意をしながら寄り添っていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。そのことを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

宮路主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉川元君。

吉川(元)分科員 立憲民主党の吉川です。

 前回、大臣の所信質疑の際にも触れさせていただきましたが、被災地での自治体職員が復旧の現場で厳しい働き方を余儀なくされていることを指摘させていただきました。今日は、まず、それに関連して何点かお聞きしたいというふうに思います。

 過去の大規模災害でも、自ら、当然、その自治体で働く人たち、被災している方はたくさんいらっしゃいますが、懸命に復旧作業に取り組んだ後に退職あるいは精神疾患、そういう例が散見をされると申し上げました。残念ながら、今回の能登半島地震でも同様の事例が起きつつあります。

 これは毎日新聞なんですが、二月の十二日付の朝刊、市立の輪島病院の事例を取り上げておりまして、看護師百二十人のうち、四分の一に当たる三十人が近く退職する意向、こういうふうに報じられております。また、患者対応や転院の業務に追われる病院の事務局長の一か月の時間外労働、これは過労死ラインをはるかに超える二百時間というふうなことも報道されておりました。

 大臣、この記事の内容、承知をしていらっしゃいますでしょうか。また、それについてどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

松本国務大臣 御指摘の報道は私も承知をいたしております。

 まず、何よりも、発災以来、奥能登地域の公立病院におきましては、勤務する職員の多くの方は御自身も被災されているなど本当に厳しい状況にあると認識をしておりまして、そういった中での医療従事者の方々の献身的な対応に、敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 そのような中で、退職の意向を示されている職員の方々がおられるということもお話を伺っているところでございます。

 私どもとしては、医療従事者、医師や看護師等を派遣をさせていただくことについて、厚生労働省や全国自治体病院協議会等とも連携して対応させていただいて、医療従事者を確保するとともに、病院に勤務する職員の方々の負担軽減につなげることができればと思っているところでございます。

 地域医療の確保という意味でも大変課題がある中ですが、厚労省や石川県とも連携をし、もちろん各公立病院の設置主体である地元市町の御事情や御意向もお聞きをして、今お話がありましたように、勤務環境の確保などにも留意をしつつ、地域医療が確保できるように私どもとしても努めてまいりたいと感じているところでございます。

吉川(元)分科員 記事には、退職意向を持つ看護師、その多くが二十代から四十代、子育て世代だというふうにも言われております。本来であれば、もし地震がなければ、これから二十年、三十年、四十年にわたって地域医療を支えていく、そういう人材が今失われようとしている大変深刻な事態だというふうに思います。

 また、職員組合を通じてこの病院の職員の方々の要望を聞いておりますと、退職者が既に出ている、今後も退職を予定している職員もいる、今後も含め、これからの労働環境が心配だと。つまり、四分の一の方がこれから職場を去っていくとなったら、その先、更にまた厳しい環境になってしまうという、そういう声が出ている状況であります。

 親戚に子供や親を預けて出勤をしている職員がいる、あるいは、親や子供の世話で休みが必要になるけれども取れるかどうか心配、こうした声も寄せられているところであります。

 やはり、震災を契機にして、家庭の維持が非常に困難になる一方で、業務は非常に忙しいということで、そういう実態が浮かび上がっているのかなというふうにも思いますし、また、自らも被災をしているわけですけれども、当然、被災者ですから、市内の救援物資、これがないと生きていけませんので、取りに行くと、やはりどうしても住民の目が気になってしまうと。中には、心ない言葉をかけられたというようなお話も伺っております。

 なぜ多くの看護師が退職を考えざるを得なくなったのかについて、総務省としても今後その要因把握をしっかりやっていただきたいというふうに思いますし、その対策も含めてお願いをしたいというふうに思います。

 さて、輪島病院の職員の声として、災害支援看護師などの応援がしばらく継続してくれればうれしい、こういう声がありました。多忙を極める病院業務で四分の一の看護師が退職を考えるような事態、大変な事態だというふうに思います。また、先ほども紹介しましたけれども、残った看護師さんも、これから先どうなっていくんだろう、そういう心配、そもそも病院業務は回るのかというような、そういう不安も出ている中で、外部からの応援はやはり不可欠だというふうに思います。

 災害支援看護師、災害支援ナースとも呼ばれているようですけれども、この派遣、この病院も含め、被災地の公立病院、どのように今後なっていくのか、いつまで継続される予定なのか、厚労省に尋ねます。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害支援ナースは、被災した医療機関における看護業務や避難所の環境整備、感染症対策等を行う看護職であり、日本看護協会及び都道府県看護協会が研修を行い、都道府県の要請に応じて被災地域の避難所等へ派遣を行うものでございます。今回の能登地震においては、これまでに派遣された災害支援ナースは一月五日から昨日二月二十六日までで延べ約三千人と聞いております。

 また、これに加えて、災害支援ナースとは別に、厚生労働省では、被害の大きかった能登北部の病院の支援として、全国の公的医療機関から看護職員の派遣調整を行い、これまでに派遣された看護職員は一月十二日から二月二十六日までで延べ約二千百人となっております。

 引き続き、石川県や医療機関、関係団体と連携し、必要な支援の対応をしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

 先生から、いつまで派遣されるかとありましたけれども、厚生労働省が行っている派遣につきましては、現時点でいつまで支援を行うかというのを決めているわけではございませんけれども、能登の医療機関の機能回復の状況を踏まえるとともに、石川県や医療機関から丁寧に御要望を伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)分科員 是非現地の声をしっかり聞いていただいて、もう期日が来ましたのであしたから引き揚げますと言われたら地域医療が崩壊してしまいますし、さっき言ったとおり、百二十人なら百二十人でやっていても大変なのが、どんどん人が退職を仮にしていって、それを見て更にまた人が減っていく、こういう悪循環になりかねない状況ですので、やはり第一に現地の要望、これにしっかり応えられるように、対応をお願いしたいというふうに思います。

 それで、大規模自然災害で被災した職員には、条例に基づいて災害特別休暇の制度があるというふうに聞いております。おおむね七日間程度と聞いていて、それ以降は有給休暇、そういうふうになるんだろうというふうにも推測をします。

 ただ、今回の能登半島地震のように、地理的な特殊性も相まって復旧が非常に時間がかかる、特別休暇の延長など柔軟に対応してほしいという声も聞いております。自宅が損壊し、子供や親の世話も必要になっている職員にとっては、特別休暇が切れました、有休も消化をしてもう無理ですとなったら辞めるしかなくなるわけでして、特別休暇の柔軟な延長、この点について、総務省としてはどういう考えを持っていますか。

小池政府参考人 地方公務員の特別休暇につきましては、国家公務員との権衡を踏まえ、各自治体において整備されているところですが、国家公務員については、地震等により住居が滅失又は損壊した場合は、七日の範囲内で特別休暇が認められています。地方公務員についても、各自治体において対象となる職員や取得できる期間を条例等で定めることにより災害特別休暇を取得することができます。

 これに加えまして、国家公務員においては、今回の能登半島地震の被害の規模に鑑み、職員の被災の状況に応じて、公務に支障のない範囲内において職務専念義務を免除することを認める臨時措置が講じられています。

 この臨時措置につきましては、総務省から各自治体に対して周知をしておるところでございます。各自治体において適切に御対応いただきたいと考えております。

吉川(元)分科員 是非柔軟に対応していただきたいと思います。

 それは、つまり、特別休暇ということとはまた違う、職務専念義務を外すということですので。聞きますと、やはり、いわゆる特別休暇、これをもう少しいただきたいという話でありましたので、是非今後も引き続き現地のニーズをしっかり聞いていただいて、特に今回は、やはり地理的な特性ということもあって、なかなか交通機関、道路も含めて、これから復旧していくということもありますけれども、大変な状況になっているということは是非頭に入れて対応をお願いしたいというふうに思います。

 これは質問じゃないんですけれども、前回聞いたことなんですが、災害応急手当の支給、これは可能かと聞いたところ、条例を作っていれば大丈夫ですよというお話でした。ところが、輪島市の場合、公立病院の適用、なっていないわけですが、そもそもの話で、災害応急手当の支給条例が存在をどうやらしていないということでありまして、これはちょっと、やはり、これから全国の自治体に対して、どこでどういう災害が発生するか分からない状況でありますので、こうした点については是非注意喚起をお願いをしたいというふうに思います。

 厚労省の方はここで結構でございますので。

 次に、内閣府になるかというふうに思いますが、よろしくお願いします。

 災害時、例えば避難所の運営一つ取っても、当然被災者の中には女性の方もいらっしゃいますし、そうした方々への配慮が必要な場面もあるかというふうに思います。着替えやトイレあるいは授乳など、手配の必要性、結構多いんじゃないかというふうに思いますが、自治体の防災あるいは復旧復興の過程で、女性職員に期待される役割というのはどういうものだというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

小八木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、地震などの大規模災害の発生時には、女性と男性では災害から受ける影響が異なり、とりわけ、女性や子供、脆弱な状況にある方々がより多くの影響を受けることが知られており、被災者の多様なニーズに適切に対応するためには、災害対応の現場に女性職員が参画することが大変重要と考えております。

 具体的には、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインというものを定めておりますけれども、にございますように、女性職員の参画を促しつつ、女性の視点からの、避難所チェックシートを活用し、女性と男性のニーズの違いにきめ細かく対応できているか避難所を継続的に巡回、確認する、男女共同参画センターや女性団体等とも連携しながら女性が抱える様々な不安や悩みなどの相談対応を行うなど、男性だけでは見落としてしまいがちな女性の視点、こういったものからの対策を進めることが期待されているところでございます。

吉川(元)分科員 やはり男性の職員には相談しにくいようなことも実際にはあるというふうに思いますので、是非今言ったような役割を果たしていただきたいというふうに思いますが。

 内閣府は昨年四月、全国の市区町村に対して、防災、危機管理部局に女性がどの程度配置されているのか調査されていると聞いております。担当職員全体に占める女性職員の割合、どの程度を占めているのか。あるいは、あともう一点は、女性の職員、全く配置されていない市区町村はどの程度の割合で存在しているんでしょうか。

小八木政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年十二月三十一日時点で、市区町村の防災、危機管理部局の女性職員の割合は全国平均で九・九%、女性職員が配置されていない市区町村数の割合は六一・一%となっております。

吉川(元)分科員 驚くほど低いし、逆に配置されていない割合は非常に多いなというふうに私自身は感じたんですけれども、この調査結果を内閣府はどのようにお考えなんでしょうか。

 もちろん、それぞれいろいろな役割はあると思いますが、今言ったように、女性の被災者あるいは子供の被災者、男性の職員に相談できるものはしますけれども、やはり女性の職員に相談したいというようなこともあろうかというふうに思いますので、今後、これはどういうふうに対応していくおつもりなのか、お聞かせください。

小八木政府参考人 お答え申し上げます。

 防災部局の女性職員の割合が、組織全体の女性職員の割合、これに比べまして低くとどまる自治体も多く、十分とは言えない状況でございます。

 このため、内閣府では、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインにおきまして、防災担当部局の職員の女性比率を少なくとも庁内全体の職員の男女比率に近づけるよう、各自治体に求めているところでございます。

 また、ガイドラインに基づく自治体の取組につきまして、毎年調査を行いまして、防災担当部局の女性職員の割合についても結果を公表し、各自治体の取組状況の見える化にも取り組んでございます。

 このほか、防災担当部局に積極的に女性を配置している自治体の好事例の収集、展開、それから自治体職員を対象とした研修、自治体の首長や防災部局の幹部職員を対象としたオンラインシンポジウム等、こういったことも行っております。

 引き続き、関係部局と連携しながら、自治体の防災部局における女性の参画拡大に取り組んでまいります。

吉川(元)分科員 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 内閣府はこれで結構でございます。

 次に、今回、地方税の中にもあります森林環境譲与税に関連してお聞きをしたいというふうに思います。

 あえて言うまでもありませんけれども、やはり、森林の役割は非常に大きなものがある。温室効果ガスの対策に加えて、水源の保護や、さらには災害から守る、国土保全、そういう多面的な役割が期待されているということは周知のとおりだというふうに思います。

 自治体に財源を保障し、森林整備や担い手確保を促すこの制度、発足から六年目を迎えようとしており、今回、譲与基準を見直した上で、来年度から満額の六百億円、これが自治体に譲与されるということになります。

 まず、林野庁の方にお聞きしたいのは、この五年間、この制度によってどのような成果があり、どのような効果が発揮されたというふうにお考えでしょうか。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 森林環境譲与税の活用額ですけれども、制度創設以降、着実に増加しておりまして、令和四年度は三百九十九億円、令和五年度における活用予定は令和五年度の譲与額を上回る見込みとなっております。

 また、主な実績といたしましては、森林整備関係で、所有者への意向調査が約七十万四千ヘクタール、森林整備として約十万ヘクタール弱、人材育成関係では、技術研修等への参加者数として延べ二万七千人、木材利用関係では、木材利用量が六万九千立方メートルというふうになっております。

 また、この譲与税の創設をきっかけといたしまして、上流の自治体と下流の自治体が連携して森林整備等に取り組む事例も見られているところでございます。

吉川(元)分科員 今回、譲与基準が見直されるわけですが、私有林人工林面積の割合が増えて、人口による譲与割合を減らすというものです。その割合の大きさには今も議論があるだろうとは思いますし、以前から私も、ちょっとやはり、森林環境譲与税といいながら、森林が全くないところにお金が最もたくさん譲与されているというのはいかがなものかというふうにも感じておりましたし、私の地元の大分も大変森林の多いところでありまして、そういった点から、これで十分なのかということについては引き続き是非検討を進めていきたいと思いますけれども、今回の基準の見直し、これによってどういう効果があると期待されているのでしょうか。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 今回の譲与基準の見直しによりまして、令和六年度からの私有林人工林面積による譲与の割合が五〇%から五五%になりますと、山間部の地方自治体においては再造林等の森林整備に向けた安定財源が確保されるということになります。

 これによりまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現ですとか、あるいは花粉症対策のための杉人工林の植え替えの加速化、こういった効果を期待しているというところでございます。

吉川(元)分科員 私としては、やはりもう少し人口割を減らした方がいいのではないか、森林面積あるいは林業従事者の割合をもう少し増やす必要があるんじゃないかなというふうに思いますし、実際、先ほども少し触れましたけれども、都市部においては私有林人工林がほとんど存在していない地域があります。また、森林が多い地方でも、例えば国有林が比較的多い北海道、東北と、それから私の、今、地元九州は私有林が多い、こういう違いもあるのかなというふうに思います。

 そんな中で、自治体に交付される譲与金、どのように利用していくかは各自治体の判断に委ねられるところですが、譲与額の活用がいまだ具体化されず、全額あるいはその多くを基金として積み立てている自治体も存在しているというふうにも聞いております。

 まず、その割合を教えていただきたいということと、また、そのような自治体は基金を今後どのように活用していくと考えているのか、併せてお答えください。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度の森林環境譲与税を全額基金に積み立てている市町村は、全体の約一割に当たる百七十三市町村となっております。

 基金に積み立てている理由は市町村によって様々でございますけれども、林野庁から活用予定を伺ったところ、例えば、単年度の譲与額が少ないために複数年分をまとめて執行する予定ですとか、現在は所有者の意向調査の準備段階ですけれども今後森林整備に活用する予定であるとか、あるいは、学校などの公共建築物の建て替えのために複数年分を積み立てているといった回答があったところでございまして、個々の自治体の目的に応じて、今後、計画的に執行されるものと承知しております。

吉川(元)分科員 私も、導入されるときにだったと思うんですけれども、あるいはその後かも分かりませんが、質問した際に、年間で、一番少ないところで数千円だったかな、だから、ほとんど何の役にも立たないような、しかも、そこはちゃんと森林があるところで、そういう状況でしたから、そこが使いようがないということで積み立てていくというのは、これはやむを得ないことですし、そもそもの譲与の仕方、これももう少し考えていかなければいけないというふうに私自身は感じております。

 そういう意味でいえば、これからも引き続き、先ほども述べましたけれども、この割合については検討を続けていただきたいというふうに思いますし、何より、林業に携わる方のお話もしっかり聞いていただければというふうに思っております。

 先ほども少しお話ありましたけれども、これまで整備された森林の面積、制度の発足時に比べどの程度増えたのか、併せて、直近の数字で森林環境面積は意向調査実施面積のどの程度の割合までになっているのか、これについてもお答えください。

長崎屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、制度発足時と今とでどれくらい増えたのかということでございますけれども、例えば、森林整備で申しますと、令和元年度の実績五千九百ヘクタールが令和四年度には四万三千ヘクタールですとか、意向調査の実施面積で言いますと、令和元年度は十二万五千ヘクタール、これが令和四年度は十八万三千ヘクタールということで、確実に活用が進んでいるというふうに思っております。

 また、意向調査面積に対する森林整備面積の割合を単純に計算いたしますと、約一割ということになります。

 以上でございます。

吉川(元)分科員 今のお話ですと一割ということでありますので、実際の整備はまさにこれからということなんだろうというふうに思います。本格的な整備、これからということですけれども、様々な課題が存在をしている。

 譲与税を利用した森林整備の中核を成す、そもそも市町村の体制が今どうなっているのかについて少しお聞きしたいというふうに思いますが、市町村における森林・林業部門の職員、全国でどの程度存在をしているのか、お聞かせください。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 総務省の地方公共団体定員管理調査によりますと、令和四年の市町村の森林・林業担当職員数は全国で三千二百一人となっているところでございます。

吉川(元)分科員 いわゆる国有林、恐らく四千人ぐらいいらっしゃるというふうに思います。地域によってそれぞれ、先ほど言ったとおり、国有林が占める割合が多いところ、あるいは私有林の多いところ、いろいろあると思うんですが、やはりちょっと、三千人では数の上で少ないんじゃないのかなと。市町村の林務行政を充実させるということ、これは森林整備の大きな今後の課題になっていくんじゃないかなというふうに思っております。

 譲与税を利用した取組は、森林整備、木材利用の促進に加え、まさに先ほども少し触れられました人材育成、これが非常に期待をされているところでありますが、この譲与された資金で人材育成を進めている自治体はどの程度の割合なんでしょうか。

長崎屋政府参考人 森林環境譲与税の市町村と都道府県の活用額のうち、いわゆる人材育成関係への活用割合は、令和四年度までの累計で約二割となっております。

 具体的に言いますと、就業体験会の開催ですとか、担い手を育成するための研修ですとか、従事者向けの安全防護服の購入補助、技能講習経費への助成、こういったものでございまして、地域の実情に応じて様々な人材の育成の取組に活用されていると承知しております。

吉川(元)分科員 人材育成に取り組まれているということで、割合は三五%程度というふうにも聞いているんですが。

長崎屋政府参考人 今二割と申し上げましたのは、活用額全体に対する人材育成分野の活用が約二割ということでございます。

吉川(元)分科員 自治体数でいうと三五%ぐらいということだと聞いているんですが、ただ、三五%、ちょっとやはりまだ少ないんじゃないのかなと。

 これは何でそういうふうになっているのか、この辺りについては、何かしらその理由なり原因なりというのは林野庁としては把握はされているんでしょうか。

長崎屋政府参考人 理由の一つとして考えられますのは、人材育成の場合は、市町村単位というよりも都道府県という単位で広域的に取り組む取組が非常に適しているということもございまして、市町村への譲与が基本である森林環境譲与税の実績からするとやや低いのかなというふうに考えております。

吉川(元)分科員 それと併せまして、林業の担い手、これは長期にわたって減少し、なおかつ高齢化が進んでいる。全産業の平均所得が四百三十万なのに対して、林業は驚くことに九十万円程度低いものになっている。それから、月給制で働く数は全体の約三割。率直に言って、非常に不安定な就労形態になっている。これで若い人が積極的に参入できるかというと、これはなかなか疑問に感じざるを得ません。

 一方、林業の事業体の圧倒的に多いのは中小零細。若い人たちが安心して就労できる環境を事業者任せにするということはなかなか難しいんじゃないのかと。

 譲与税の活用も重要ですが、いかんせん、森林整備と併せて考えると、やはり額そのもの、ボリュームそのものが不足をしているというふうにも思います。林業労働者への何らかの所得保障の仕組みというのも考えていかないと、やはり、このままだと実際に現場で働く人の数が確保できなくなっていくんじゃないのか。

 林業労働者の処遇、どのように改善していくべきなのか、お考えがあれば聞かせてください。

長崎屋政府参考人 お答え申し上げます。

 林業労働者の処遇の改善を図るには、まず林業事業体の収益力を向上させることが重要だと認識しております。このため、林野庁といたしましては、コスト削減ですとか、事業量の増加に資する高性能林業機械の導入支援ですとか、林業事業体の経営力の強化に資する経営層向けの研修などを行っています。

 さらに、林業労働者の就業条件の改善、具体的に申しますと、通年雇用化ですとか、月給制の導入ですとか、社会保険の加入、こういったことを促進するために、林野庁における各種の事業の採択におきまして、月給制を導入していたり社会保険の加入を行う事業体に対しましてポイントを加算するなどの措置を講じております。

 こういった取組を通じまして、林業労働者の処遇の改善を引き続き促進してまいりたいと考えております。

吉川(元)分科員 今ほど収益力の向上というお話がございました。もちろん、それが王道といいますか、そうなればいいんですけれども。

 率直に言って、今の現状の中でいうと、規模も小さく、また、機械化といっても、当然いろいろな補助があるとはいえ、私も一度現場を見させていただきましたけれども、今の機械というのはすごい機械が、切って、枝を一気に落として、適当な長さにそのままその場で全部切ってしまうという、そういう大変大規模な機械もありますが、ただ、これを小さな事業体が購入しようとするのはなかなか簡単ではないんじゃないかと。そういう意味でいうと、収益力を長期にわたって上げていくためには、やはり価格の問題もあります。と同時に、収益力を上げようにも、働く人がそもそもいなければ収益力も何もあったものじゃないわけで。

 そういう面でいうと、雇用の安定とそれから所得の向上、これをやはり林野庁がもうちょっとイニシアチブを持って、指導力を持って、発揮していただいて、やっていただかないと、国土の大部分を占める森林、これはこのままいくと荒廃してしまう、その点について最後に指摘をさせていただき、私の質問を終わりたいというふうに思います。

宮路主査 これにて吉川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川貴元君。

中川(貴)分科員 質問をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭に、松本大臣、今日、私は大臣には質問は用意させていただいておりませんので、どうぞ退室をなさっていただければというふうに思います。委員長、お取り計らいをどうぞよろしくお願いいたします。

宮路主査 では、松本大臣、御退室をお願いいたします。

中川(貴)分科員 それでは、質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、一問目はNTT法改正及び今後の情報通信の在り方についてでございます。

 NTT法の在り方を含めた通信政策の見直しの検討が総務省で進められているところだと承知しています。自民党といたしましても、昨年の八月以降にNTT法の在り方に関するPTで精力的に議論が進められて、十二月の段階においては党としての提言も取りまとめをされているところでございます。この間の議論を見ていますと、NTTとその他の事業者で、当然のことではありますけれども、温度差がある。それはもちろん、それぞれの立ち位置によって相手を見るわけですから、当然見方も異なってまいるわけです。

 しかし、私としましては、この問題の議論の前提といたしまして、通信は国家の根幹に関わることでもありますし、単なる事業者間の対立に矮小化してはならないというふうに思っています。国民にとって必要なものは一体何であるのか、あるいは我が国の通信事業全体としてどうあるべきであるのか、こうした点、大局的な視点を決して忘れてはならないというふうに思っていますが、まずこの点について、総務省としての基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナ禍や温暖化などを契機としたDX、GXなど、社会全体のデジタル化が急速に進展する中で、通信サービスは、あらゆる社会経済活動を支える基盤かつ経済成長の牽引役として、その果たすべき役割は飛躍的に高まっていると認識しております。

 このような認識の下、NTT法の在り方を含む通信政策の在り方については、市場環境の変化を踏まえ、時代に即した不断の見直しが必要であると考えておりまして、その際には、事業者の目線というよりも国民、利用者の立場に立ち、かつ我が国の情報通信産業の健全な発展を図る観点から、ユニバーサルサービスの確保、公正競争の確保、国際競争力の強化、経済安全保障の確保、こういった事項をしっかりと確保することが重要と考えております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。総務省もそういう認識でいていただけるということは、大変ありがたい、心強いことだというふうに思っております。

 そうした中で、総務省は今国会に、最初の第一ステップとして、喫緊の課題である国際競争力の強化の観点から、NTTの研究開発の自律性を高めたり、あるいはグローバルな視点を持った外国人役員の登用を可能とするため、NTT法の改正案を提出する予定と伺っています。こうした見直しはある面当然であり、通過点にすぎないというふうに私は思っています。我が国の重要な基幹インフラの一つとして位置づけられる通信産業が熾烈な競争を極める世界で打ちかっていくためには、やはり国としても更なる改革あるいは支援にスピード感を持って取り組んでいくことが必要不可欠だというふうに思っているところであります。

 しかしながら、このグローバルな時代において日本単独だけで世界で勝っていく、勝ち切るということは実は現実的ではないというふうにも思います。

 例えば、有志国を始め連携できる国々とはしっかりと連携していく、こうした戦略的なパートナーシップを持っていくという視点も必要ではないかというふうにも思っています。あるいはウクライナ戦争、この戦争を見ておりますと、米国企業がサービスを提供するスターリンク、これが注目を集めたわけでございますが、通信は軍事面においても国の存亡に関わる不可欠なインフラとなっているところでもあります。我々人類の活動領域が宇宙にまで広がっていく、そういう中においては、今後、とりわけ衛星通信の技術の向上も必要不可欠だというふうに思っています。現在は、残念ではありますけれども、まだまだ先進国の中においては日本が優位性に立っているとは言えないと思っています。こうした有志国との連携も含めて強化をしていく必要があろうかと思います。

 また、海外の巨大IT企業は破格の報酬で優秀な有能な人材を引き抜き、囲い込んでいる、こういう現実もあります。例えばネット上ではGAFA予備校とやゆされている、そういうこともあるわけでして、NTTの将来有望な研究者がGAFAに転職していると指摘をされている面もあって、日本の企業は人材獲得競争でも大変苦しい立場に置かれていると思っています。こうした点についても国による大胆な支援が必要な時代になってきていると思っております。

 今回、NTT法の見直しによって、NTTの国際競争力の強化、ひいては我が国の情報通信産業全体の国際競争力の強化を目指していますが、総務省の審議会では、国際競争力の強化も含めた課題について本年夏頃までに引き続き検討するとお聞きをしているところであります。

 そこで、総務省にお伺いをいたします。NTTに関して残された課題を検討する上では、研究開発や人材への投資、海外展開の支援など、総合的な視点を踏まえて検討する必要があろうかと思いますが、どのような点を重視して検討を進める方針なのかをお聞かせいただきたいと思います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信審議会では、先ほど申し上げました四つの観点、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安全保障、こういった四つの観点からNTT法の在り方を含む通信政策の在り方について議論を行っているところでございまして、中川分科員から御指摘のとおり、情報通信産業の国際競争力強化も含めた課題について、本年夏頃の答申に向けて議論を深めることとしてございます。

 その際には、情報通信技術の基礎、基盤的研究はNTTだけでなく産学官全体で研究開発投資や人材確保を促進していくことが必要であること、また、海外展開の支援に当たっては具体的な案件形成に向けた現地機関や国際機関、投資ファンドなどとの連携が必要であること、こういったことに留意をしつつ、様々な関係者の御意見を聞きながら検討を進めていきたいと考えております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。是非、国家戦略的な見地からしっかり検討を進めていただきたいというふうに思っています。前例にとらわれない大胆な支援、こうしたことも含めて、スピード感を持って取組をお願いしていきたいなというふうに思っています。

 それから、今回のNTT法の見直しにおきましては、附則にNTT法廃止の方針を盛り込むかどうかも争点になっているようであります。これについても、廃止か存続か、単にそういう形式的な議論だけじゃなくて、これについては、国民にとって必要なものは一体何であるのか、あるいは国家として通信事業全体がどうあるべきなのか、冒頭申し上げた大局的な視点で、内容の濃い、内容面の議論を深めていく、こういうことが必要不可欠であるということも指摘をしておきたいというふうに思います。

 その内容面において検討課題となっているのが、例えば、一つにはユニバーサルサービス、公正な競争、あるいは外資規制等による経済安全保障の確保、こういったことであるというふうに認識をしています。

 ユニバーサルサービスにつきましては、国家として離島あるいは過疎地等の条件不利地域を含めて国民全体にどのようにして通信サービスを届けていくのか、最終的に誰がその役割を担うのか、こういった重い課題、ここにも結論を出していかなくちゃいけないわけであります。

 私は、私ごとで恐縮ですが、平成七年から七期、名古屋で市会議員をさせていただきました。また、一昨年から昨年までは、総務省で皆さんにもお世話になりましたが、大臣政務官も拝命をさせていただきました。三十年近く地方行政に取り組んでまいりましたが、やはり全国津々浦々の通信インフラは地方創生、デジタル田園都市国家構想の実現にも必要不可欠な基盤であること、これは言うまでもありません。

 一方で、今回のNTT法の見直しの議論では、NTT法の廃止、これがどちらかというと独り歩きをしているのではないかな、そんな側面も見受けられます。地方自治体からは、今後それぞれの地域の大切な通信インフラがもしかしたら切り捨てられてしまうんじゃないのか、そんな不安の声も上がっているところでもございます。

 ユニバーサルサービスの確保については、電気通信事業法で賄える部分も多々あろうかと思っております。しかし、それだけでは不十分な面もあるのではないかというふうにも思います。光ファイバーについて、NTT一社だけではなく、国やNTT以外の事業者が果たすべき役割もあるのではないかというふうにも思いますが、この点について総務省の見解をお尋ねしたいと思います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の通信のユニバーサルサービスのうち、電話については、NTT法におけるNTTの全国あまねく提供の責務と電気通信事業法で規定される交付金制度とが両輪となって安定的な提供が確保されております。

 一方、ブロードバンドにつきましては、令和四年の電気通信事業法改正により新たにユニバーサルサービスと位置づけられ交付金制度が創設されましたが、電話のような全国あまねく提供に関する責務規定が設けられておらず、最終的にどの事業者がサービス提供を保障するか、こういった課題があると考えております。

 こうした点も踏まえまして、情報通信審議会において、ブロードバンドのユニバーサルサービスの在り方について現在検討を進めているところでございます。

 総務省としては、大手事業者のみならず、中小事業者や通信のユニバーサルサービスに関心の高い地方自治体の声も受け止めながら、国民、利用者の立場に立ってしっかりと検討を進めていきたいと考えております。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。総務省には、是非とも地方の声もしっかりと受け止めていただいて、こうした議論の状況を国民の皆様にも分かりやすく伝える、そういう努力をしていただきたいと思います。そして、国民の皆様に安心感を持って情報通信を提供できる、これからもそうしたことを継続して行うんだということを忘れずに取り組んでいただきたいなというふうに思っています。

 このほかにも、公正競争の確保につきましては、一九八五年にそれまでの電電公社による独占を廃止して、新規参入を促進することで、市場での公正な競争を通じて国民ができるだけ低廉で多様な通信サービスを享受できる社会が実現してきたわけでございますが、海外の巨大IT企業の台頭ですとか、スマホ、さらにはSNSの爆発的な普及、そして衛星通信といった新たな技術の可能性などを踏まえ、公正な競争の再定義も必要ではないかというふうに思っております。

 さらに、経済安全保障がますます重要になっていることは言うまでもないわけであります。我が国に敵対的な外資に通信が乗っ取られるような、そういうことがあっては本当にならないわけであります。インターネットを通じて世界の情報とつながる、こうしたことに価値がある現代においては、世界がどうなろうと日本だけが通信を維持できればいいんだ、そういう保護主義的な考え方に陥ってもいけないんだというふうにも思います。同志国の国々と連携する中で自由貿易体制を維持、促進しながら、経済安全保障の確保を確実なものとする戦略的な対応が求められているというふうにも思っています。

 そこで、総務省にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、ユニバーサルサービス、公正な競争、そして経済安全保障の確保という重要課題について、本年の夏頃の取りまとめに向けて、総務省ではどういう点に留意をし、どういう方向性で議論を進めていくおつもりか、御答弁をいただきたいと存じます。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 NTT法を含む通信政策の在り方については、中川分科員御指摘のユニバーサルサービスの確保、公正競争の確保、経済安全保障の確保の観点に加え、国際競争力の強化の観点から、本年夏頃の答申に向けて、情報通信審議会において議論を進めていただいておるところでございます。

 このうち、御指摘の三つの観点については、本年一月以降、専門家による議論を開始したところであり、ユニバーサルサービスについては、固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直し、公正競争の確保については、低廉で多様な通信サービスを実現するためのNTT東西の業務範囲や通信インフラの在り方、経済安全保障については、国内通信サービスの安定性を考慮したNTT法における外資規制の在り方などの点に留意して議論を進めていくこととしておるところでございます。

 これらの事項については、国民、利用者の視点にも十分留意しつつ、丁寧に検討を進めていく必要があると考えているところでございます。

 以上でございます。

中川(貴)分科員 政務官、どうもありがとうございました。

 冒頭申し上げましたように、今回の法案の改正につきましては、やはり国家の根幹に非常に大きく関わる、そしてこれからの日本をどうしていくかということにも寄与していくことにつながっていくんだというふうに思っています。どうぞ、日本がスピード感を持って、世界に伍する通信、あるいは安定的な、安心して我々が享受できる通信、そのためにもインフラ整備をどうしていくのか、それの管理、そうしたことにも思いをはせていただきながらこれからもお願いしたいなというふうに思っています。どうもありがとうございます。

 次に、地方自治法改正についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 昨年十二月に第三十三次地方制度調査会の答申が取りまとめられ、総務省では、この答申を踏まえて今国会に地方自治法の改正案を提出する予定だと承知しています。地方制度調査会におきましては、今般の新型コロナ対応における課題を踏まえた地方制度の在り方が議論され、その中で、国と地方の間の情報共有、コミュニケーションの在り方、これが一つの重要なテーマだったと認識をしています。

 新型コロナ対応における国と地方の間の情報共有、コミュニケーションの在り方に関する課題について地方制度調査会ではどのような議論が行われたのか、まずはこの点について確認をさせていただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 第三十三次地方制度調査会の答申では、一つには、国と地方公共団体の間の情報共有、コミュニケーションに関して、全国の感染状況等の正確な把握、分析に必要な各地域における感染動向等が地方公共団体から国に対して迅速に提供されない局面があった、あるいは、国から地方公共団体に大量に発出された通知に新型コロナ対応に追われる保健所等の現場では対応できなかった、こういった課題が指摘されまして、国と地方公共団体の間の双方向での迅速かつ正確なコミュニケーションを実現する重要性について議論が行われたところでございます。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。

 地方制度調査会における国と地方の間の情報共有、コミュニケーションの在り方に関する議論を踏まえて、今後の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において国と地方の間の的確な情報共有、コミュニケーションを確保するため、どのような地方自治法の改正が検討をされているのか、この点についても確認をさせていただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 第三十三次地方制度調査会の答申では、一つは、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における基本的な方針の策定等の実効性を担保するためには地方公共団体等から適切な情報提供が行われる必要がある、そして、こうした必要性を踏まえ、国による基本的な方針の検討や、国が直接講じる措置、あるいは地方公共団体に対する助言、指示を適切に行うことができるよう、国から地方公共団体に対してこれらの目的で資料や意見の提出を求めることができるようにすべきである、こういうふうにされているところでございます。

 この答申を踏まえまして、現在検討中の地方自治法の改正案では、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、一つは、国による事態対処に関する基本的な方針の検討、国が直接講じる措置、あるいは地方公共団体に対する助言や指示、こうした目的で国から地方公共団体に対し資料や意見の提出を求めることができるものとする規定を設けることとしたいと考えているところでございます。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。今御答弁いただいたとおりですよね。やはり災害時、あるいは感染症、そうした重大な事態、非常時においてどう対応していくのか、そのことを今回の改正によって、今までの反省を含め、よりスピーディーに、より有効的に施策が国民の皆さんに行き届くようにしていく、これが本分だというふうに思っています。

 そういう中で、国による資料、意見の提出の求めに関する地方自治法の改正案を拝見させていただくと、実は指定都市についての具体的な規定がないというふうに認識をしています。

 ただ、今御答弁にあった例えば感染症、さきの新型コロナ、ここで私たちが学ばなきゃいけなかったのは、やはり、人口の多いところ、あるいは人口の流入が多いところ、こうしたところからいち早くスピード感を持って抑え込んでいく、封じ込めていく、こうしたことが必要不可欠であるということを私どもは学んだんだというふうに思っています。そういう中において国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に迅速的確に対応していく、これは大変重要なことであります。

 そうした中で、今回、文言はこの文言でいいと思いますけれども、しかし、運用面においては、指定市と国がダイレクトに意見交換ができる、意見聴取をしていただく、あるいは資料の提供を求める、こうしたスピード感を持って対応していくということが非常に重要だということを私どもは学んだんだというふうに思っています。したがって、法律の運用面においては、国が指定都市と直接やり取りできる余地を残しておくべきだというふうにも思っています。

 まず、この点についてどうであるのかという点と、それから、もし直接のやり取りが可能であるならば、国と指定都市が直接やり取りをする際には、都道府県からの資料要求や意見聴取が二重とならないように、そしてそうしたことをできるだけ抑制していただくような、そういう点に留意をしていくべきだとも思いますが、この点を併せお答えいただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におきまして迅速的確な対応を確保する上では、中川分科員御指摘のように、国が直接指定都市とコミュニケーションを取ることは重要だというふうに考えております。

 現在検討中の地方自治法の改正案におきましても、国が直接指定都市等に対し資料や意見の提出を求めることを可能としたいというふうに考えておるところでございます。

 御指摘のとおり、実際の運用の場面においては国と大都市との間で迅速的確なコミュニケーションが確保されるよう、事態の性質や状況に応じて、国から直接指定都市等に対し資料や意見の提出を求めることが検討されるべきものと考えております。

 また、二点目の件でございます。都道府県が指定都市等に対し資料や意見の提出を求めることも可能ですが、その際には、国からの資料、意見の求めと都道府県からの資料、意見の求めが重複して行われる、こういった非効率を生じさせることのないよう留意する必要があるというふうに考えているところでございます。

中川(貴)分科員 ありがとうございます。是非、その点に留意をして進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、郵便局の活用についてお尋ねをいたします。

 少子高齢化、また人口減少が進む中において、郵政民営化法等により、日本郵政及び日本郵便に対しては、あまねく全国において郵便、貯金、保険の郵政三事業のユニバーサルサービスを提供することが義務づけられております。また、全国津々浦々に約二万四千局のネットワークを持つ郵便局を維持することが求められているところでございます。郵便局は、そうした責務とともに、住民にとって身近で生活に欠かせないインフラであり、こうした郵便局を維持し、活用することが必要であると考えています。郵便局ネットワークを維持していくためにも、郵便そして物流分野を中心に、日本郵便の稼ぐ力を高めていく必要もあろうかと思いますが、この点について総務省としてのお考えを伺いたいと思います。

 そして、もう一点、続けていきますが、郵便局におきましては、昨年六月の郵便局事務取扱法の改正により可能となったマイナンバーカードの交付手続、住民票などの証明書発行などの行政サービスを受託できることとなっております。郵便局でのマイナンバーカードの交付手続は、二月二十一日に宮崎県都城市で受託が開始しておりまして、今後も拡大していくと期待をしていますが、そうした行政サービスの補完的役割に加えて、重要なコミュニティーの場でもあるわけでございます。これから郵便局が本当に地域で求められるサービスを提供し続けていく、このためにも、地方行政サービスの窓口など、郵便局が地域に根差したリアルの拠点であることの強みを生かした新たな取組を行っていくべきではないかと考えますが、この点も併せてお答えをいただきたいと思います。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国全体がコストカット型経済から成長型経済への変革を目指しております中で、地域の重要な生活インフラであります郵便局ネットワークを維持していく、そのためにも、日本郵便がDXの推進あるいは競争力がある質の高いサービスの提供により稼ぐ力を高めていくことは重要でございます。

 このため、日本郵便の令和五年度事業計画の認可の際に、総務省から日本郵便に対しまして、デジタル化などの重点分野への投資や経営の効率化、サービス提供条件の見直しを行い、収益力を強化することを要請いたしております。

 これを受けて、日本郵便では、データやAIを活用した輸送DXを推進すること、楽天などのEC事業者と提携しポスト投函可能な商品を開発し日本郵便の配送網で配達すること等について取り組み、収益力の強化に取り組んでいるところでございます。

 また、もう一点御質問いただきました郵便局の拠点としてのお話でございますが、近年、リアルとデジタルの接点として、スマートフォン教室やオンラインの行政相談などを行うとともに、御指摘のありました、郵便局事務取扱法の改正によって取扱い可能となったマイナンバーカードの交付申請などにも取り組んでいるところでございます。

 今後とも地域の実情とニーズに応じた様々な公的サービスを郵便局が提供し、利用者の信頼に応えることは重要なことと承知をしてございます。

中川(貴)分科員 ありがとうございました。

 これで終わります。

宮路主査 これにて中川貴元君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階分科員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、第二分科会での質問ですが、予算委員会で先日積み残しになっていた部分について、最初、法務省に確認したいと思います。

 予算委員会で私がお尋ねしたのは、清和会、いわゆる安倍派が、テロ等準備罪の構成要件である組織的犯罪集団に該当する可能性があるかどうかということでした。

 この点について、今日お配りしている資料の一枚目に法務省刑事局の昨日付のペーパーが出ております。下線の引いたところ、過去の答弁の確認結果というところに書いてありますとおり、一般の団体、会社とかその中のプロジェクトチーム、そういったものが、一般の正当な活動をしておる団体が組織的犯罪集団に該当するということはない、これが原則なんだけれども、例えば、脱税の目的がなければ、もうその会社は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になるといった答弁が過去にありました。

 そこからすると、今回の安倍派については、組織的に脱税の目的があったのではないかということで、組織的犯罪集団に当たる余地があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お尋ねの点につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

階分科員 というふうに答えるわけですけれども、しかし、このときは、会社については、繰り返しになりますけれども、脱税の目的がなければ、もうその会社は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になるということで、会社を例に挙げたことについてはちゃんとお答えになっているわけですよ。

 今回の派閥についても、脱税の目的がなければ、その派閥は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になるということで、すなわち組織的犯罪集団に当たり得るということで、パラレルに考えられるかと思うんですが、それは言えないわけですか。

吉田政府参考人 御指摘の答弁、平成二十九年の法務委員会における答弁でございますけれども、これは、組織的犯罪処罰法第六条の二の新設などを内容とする法案の審議に当たりまして、当該法案で新たに規定することとしていた組織的犯罪集団の意義に関して申し上げたものでございます。

 この答弁は、質問の中でお示しになりました一定の設例を前提として、その場合における結合関係の基礎としての共同の目的の該当性について問われたことに対して、立案当局、担当部局として、条文の文言の意義や処罰範囲を明確にするために例示を交えて御説明したものでございます。

 このように、条文を新設する場合などに、条文の文言の意義や処罰範囲を明確にするために一定の設例について申し上げることはございますけれども、既に施行されている罰則について、個別具体的な事実関係を前提としたお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

階分科員 一般論としてお尋ねします。

 政党内の派閥、脱税の目的がなければ、もうその派閥は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になって、組織的犯罪集団に当たり得ると言えると思いますけれども、違いますか。

吉田政府参考人 重ねてで恐縮でございますけれども、お尋ねの点は、収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えを差し控えざるを得ないことを御理解いただければと存じます。

階分科員 結局、何が組織的犯罪集団に当たるのかということを法案審議のときはもっともらしく答えていたわけですけれども、いざ現実に起きそうなことが出てくると答弁しないわけですよね。そうすると、予測可能性が全くなくて、当時から我々、共謀罪改めテロ等準備罪、何が犯罪に当たるか分からないので、こんなものは刑法の謙抑性とか自由保障機能を害するんだということで大反対していました。

 ちなみに、お聞きしますけれども、テロ等準備罪、何が犯罪になるかよく分からないものが今まで適用された例というのはあったんですか。

吉田政府参考人 法務省で把握している限りにおきましては、適用事例はないものと承知しております。

階分科員 だったら、なくてもいいじゃないですか、こんなよく分からないもの。なくするべきではないですか。必要あるかどうか、お答えください。

吉田政府参考人 御指摘のテロ等準備罪は、国際組織犯罪防止条約の条約担保のために必要なものでございます。また、組織的犯罪集団による重大な犯罪について、実行着手前の段階で検挙、処罰を可能とし、その発生を未然に防止するという重大な意義があるものと考えております。

 したがいまして、これを廃止することは相当でないと考えております。

階分科員 この話も、条約担保をするための別の方法はあり得るということは当時確認していますし、準備行為というのもよく意味が分からないので、今おっしゃったように適用例はないということにつながっていると思いますよ。あっても意味がないものはなくすべきだということを申し上げます。

 その上で、組織的犯罪集団に当たるかどうかはおいておくとして、今現在、安倍派の方々については、聞き取り調査が出てきましたけれども、本来だったらもっと検察が捜査すべきではないかという例がいろいろ分かってまいりました。

 例えば、収支報告書の虚偽記載で訴追した議員、秘書という方がいらっしゃいますけれども、こうした方々について、別途脱税の罪で訴追することはできますか。お答えください。

吉田政府参考人 お尋ねは個別事件における捜査の具体的内容に関わる事柄でございますので、法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局においては、事件の捜査及び処理に当たって、捜査を尽くした上、法と証拠に基づいて、取り上げるべきものは取り上げた上で、適切に対処するものと承知しております。

階分科員 理論的には、虚偽記載で訴追した議員について、別罪である脱税の罪で訴追できると思うんですが、理論的にどうですか。

吉田政府参考人 申し訳ございませんが、お尋ねは個別事件における捜査の具体的内容に関わる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

階分科員 全て一般論で聞いていますからね。一般論で答えてください。

 では、政治団体の収支報告書の訂正を行った議員とか秘書がいたとします。この方について、別途脱税の罪で訴追できるか、一般論でお答えください。

吉田政府参考人 一般論としてということでございますけれども、やはり捜査機関の活動内容に関わってまいりますので、法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げますと、先ほど申し上げたように、検察当局においては、捜査を尽くした上で、法と証拠に基づいて、取り上げるべきものは取り上げた上で、適切に対処するものと承知しております。

階分科員 これ以上やり取りしても無駄ですから、帰ってください。もういいです。

 では、本題に入りたいと思います。

 政策活動費の法的性質についてお尋ねしたいと思います。

 二ページ目を御覧になってください。

 これは、令和臨調というところが二月二日に公表した文章から抜粋したものです。政策活動費を、傍線を引いている部分ですけれども、「政治資金規正法第二十一条の二第二項を根拠にした政党から議員への寄附としてとらえる議論が流布しているが、首相は政策活動費を「党勢拡大、政策立案、調査研究のため」と国会で答弁しており、そのように用途が定まっていれば、政治資金規正法上「財産上の利益の供与」と定義される寄附にあたると考えるのは困難である(受けた幹事長等が財産上の利益を得ているとは考え難い)。」というふうにしております。

 これは、財産上の利益の供与があるかどうかということをメルクマールにして寄附か支出かというのを判断しているようですけれども、お尋ねします。寄附と支出は、相手方が財産上の利益を得たかどうかによって区別されるものなのでしょうか。御答弁をお願いします。

松本国務大臣 政治資金規正法におきましては、委員もよく御案内かと思いますけれども、第四条の三項において、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」となっているところでございます。

 支出については、同条第五項で、「「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、第八条の三各号に掲げる方法による運用」、これはいわゆる資金の運用の部分ですけれども、「のためにする金銭等の供与又は交付以外のものをいう。」ということで、寄附も支出も、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、」と記載されていると理解しております。

階分科員 ということは、今お読みになった部分は私の資料で三ページ目にもつけさせていただいておりますけれども、寄附も支出も、大臣がお答えになったとおり、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付なんだけれども、寄附は債務の履行としてされるもの以外のものという条件が加わりますので、要は、政治資金規正法上は、寄附と支出は債務の履行としてされるものか否かで区別されるという理解でいいのかどうか、大臣、お願いします。

松本国務大臣 条文については先ほど申し上げたので、繰り返さないように申し上げますが、一般論として、同法について申し上げれば、債務の履行としてされるものでなければ寄附に該当し、債務の履行としてされるもので、第八条の三の運用以外の、債務の履行としてされるものは寄附には該当しないということでございまして、先ほども申しましたように、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、運用のためにする金銭等の供与又は交付以外のものが支出と定義されているということかと思います。

階分科員 やはり債務の履行としてされるものかどうかというのが寄附に当たるかどうかの分岐点になるわけですけれども。

 ところで、財産上の利益の供与又は交付というのが党勢拡大や政策立案や調査研究のために行われたと仮にした場合、これは債務の履行としてされるものと言えるのかどうか、大臣、お願いします。

松本国務大臣 それぞれの個別具体の事案が何に当たるかどうかという事実認定について、私から申し上げることはこの場では難しいところがございまして、該当するか否かについては、具体的な事実関係に即して判断されるところかと思います。

 一般論として、債務の履行としてされるものでなければ寄附で、履行としてされるものであれば寄附に該当しないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

階分科員 債務の履行としてされるものというのはどういう場合かということについて、逐条解説の当該部分を見ますと、債務の履行とは、党費又は会費のように団体への加入行為とともにあらかじめ定まっているものの支払い、売買契約に基づく物品の購入等、債務者が債務の本旨に従って債務内容を実現する行為をいう、なお、贈与契約に基づく金銭、物品等の授受は債務の履行ではあるが、贈与契約は一般に無償契約であるため、これを寄附ではないとすると、本法の趣旨を没却してしまうことになりかねないということで、要するに、売買契約に基づく物品の購入等、債務の履行と言えるためには、債務がある程度明確なものでなくてはいけないというふうに思うわけで、党勢拡大とか政策立案とか調査研究のためといったような、漠然とした概括的な債務という、特定していないような債務の場合は、ここで言う債務の履行としてされるものには当たらないのではないかというふうに思うわけですね。

 では、質問としては、債務の履行と言えるためには、当該債務はどの程度特定、明確化されている必要があるのか、今私は解説を読みましたけれども、先ほどの解説のとおりでいいのかどうか、お答えいただけますか。

松本国務大臣 今御紹介いただいた逐条解説は、法案の説明をするものとして解説をされたものというふうに思いますが、一般的に、債務の履行ということであれば、物品の提供であるとか役務の提供であるとかということかと思います。

 支出を受けた者がどのような形で債務の履行として行っているのかということは、個別具体の事案に即して判断をされることになるものというふうに考えております。

階分科員 仮に、幹事長に政策活動費を渡すときに、党勢拡大のために渡したというと、党勢拡大のために何をするのかということが問題になるわけですが、党勢拡大というのは、要は、幅が広過ぎて、なかなか何をやったらいいのか特定できないと思うんですね。ある程度、党勢拡大というよりも、チラシを百枚配ってくださいとか、党員を百人集めてくださいとか、そういったレベルのものであれば債務の履行にふさわしいと思うんですけれども、漠然と党勢拡大というのが債務の履行に言う債務には当たらないと思うんですが、そんなふうな概括的、漠たる債務であっても、債務の履行に言う債務に当たるというふうに解していいんでしょうか。お答えいただけますか。

松本国務大臣 改めて申し上げれば、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付が寄附に当たるのか支出に当たるのかというのは、具体的な事実関係に即して判断をされるものかというふうに思いますが、総理におかれては、国会における質疑におきまして、その趣旨を概括的に御説明をされたのではないかというふうに理解をしております。

階分科員 今の総理の答弁は、私の資料で四ページ目に引用させていただいているものです。

 ここまで議論してきたのは、総理の答弁の前段の部分について議論しています。党勢拡大、政策立案、調査研究、こういったことのために党役職者の職責に応じて支出というくだりがありますけれども、政策立案とか党勢拡大とか調査研究、こういったものでは債務を特定していることにはならないで、債務の履行としてされるものであるとは言えないんじゃないかというふうに考えます。

 もう一つ総理が言っているのは、後段の部分です、寄附と支出の違い、簡単に言うならば、寄附というのはあなたのために使ってくださいです、支出するというのは党のために使ってくださいですと。

 これは、法律上はそのような定義は全くなくて、むしろ、寄附も支出も、先ほど大臣がおっしゃっていただいたとおり、利益の供与又は交付、交付という言葉も入っていますから、交付であれば、その渡した本人が使わないでその後誰かに渡すということも含まれますから、あなたのために使ってくださいは寄附で、党のために使ってくださいは支出というふうには言えないと思うわけですね。

 寄附であっても、あなたじゃなくて、あなたが渡した誰かが使ってもいいわけですから、あなたのために使ってくださいとは言えないと思うんですが、いかがでございましょうか。総理の後段の部分は間違っていると思うんですが、お答えいただけますか。

松本国務大臣 寄附と支出の定義の違いについては既に申し上げてきたとおりでございまして、債務の履行に当たるか当たらないかということでございますが、党の役職者の職責に応じてということで、党のためにということには、総理も債務の履行という趣旨を御理解いただいて御説明いただいたのではないかというふうに理解をしております。

階分科員 後段の答弁も債務の履行というところに関わった発言だということなんでしょうか。

 私は、総理は恐らく交付という概念を御存じないのではないかというふうに思っていまして、交付という概念、これは、済みません、私は、交付というのは、渡した人自身が使う場合ではなくて、渡した人が更に誰かに渡してそれで使うという場合を指しているんだと思うんですが、そういう概念じゃないんでしょうか。交付という概念について御説明いただけますでしょうか。

松本国務大臣 私としては、交付というのは、まさに言葉のとおり、金銭、物品その他の財産上の利益を交付した、渡したということだというふうに理解をしておりますが。

階分科員 利益の供与又は交付ということで、供与と交付を使い分けているわけですよね。供与は渡した本人が使う場合であって、交付というのは、渡した本人が使うんじゃなくて、そのまた誰かに渡して使う場合を指しているということだと思うんですが、違いますでしょうか。

松本国務大臣 委員が先ほど御紹介いただいた逐条解説の解説をそのまま読ませていただくと、供与又は交付とは、その区別は余り明確ではないが、いずれも財産上の利益を相手方に提供付与する一切の行為を指す、このようになっております。

階分科員 公職選挙法上は供与と交付は違う意味というふうに捉えていたと思いますが、これがいつの頃からか政治資金規正法の世界では同じ意味で使われるようになったという話を聞いております。この点については、大臣は御存じでしょうか。

松本国務大臣 私も様々な話を伺ってきておりますが、今お話しいただいたことも含めて、またしっかりと確認をして、申し上げてまいりたいと思います。

階分科員 では、確認していただいて、後で事務的にでも報告いただければと思います。よろしくお願いします。

 さて、三つ目の項目に入りたいと思います。

 租税特別措置の政策評価の点検を総務省では行っています。今回、新しい租特として、戦略分野国内生産促進税制、こういったものが導入されるようです。

 その点検結果について、お配りしている資料に、五ページ目につけさせていただいておりますけれども、真ん中あたりにちょっと色を塗っているところです。

 総務省の評価は、左から、E、横棒のバーは、新設の租特の場合には評価対象にならないということなので、これは無視してください。評価対象となっているものだけを読み上げますと、E、E、E、E、最後だけAということで、非常に低い、悪い評価になっているわけです。

 今回新たに導入されているものでもう一つ悪いものが、イノベーションボックス税制という、その三つ四つ下にも、Dが一つで、あとは全部Eというものがあります。

 いずれにしても最低レベルの評価だと思いますけれども、こういった悪い評価、点検結果は過去にあったのかどうか、総務大臣、お答えください。

松本国務大臣 これまで全ての過去を確認できておりませんけれども、委員から御指摘いただいたように、新しいものについてはこのような評価をさせていただいているところでございます。

 この評価の仕組みは、委員大変よく御案内のとおり、各省で自ら評価したものを、客観性を担保するために総務省でも評価をさせていただいているところでございますが、この評価そのものが、「租税特別措置等に係る政策評価の点検結果 説明責任を果たしていくために」とありますように、八月時点での税制の御提案ということで、その御提案の説明をどのように評価するかという中で、ここにありますように様々な要素について評価をさせていただいている中で、特に新設のもの、また、こちらに今ありましたように、生産を促進するための税制であるとかイノベーションボックス税制であるとか、今までに例のない全く新しいものについては、かなり丁寧な説明が必要である一方で、前例がないということで課題がある、これを指摘させていただいたというふうに理解をしております。

階分科員 新設のものでも、もっといい評価のものはあるんですよ。これが異常に低くて、点検結果の六ページ目、最後の欄外のところに書いていますけれども、点検項目一、三、五、七に課題があり、達成目標が設定されておらず、将来の適用数、将来の減収額及び将来の効果が予測されていないことから、分析、説明の内容が著しく不十分な評価書と考えられる、ここまで言っているわけですね。

 前回、予算委員会の答弁で、点検で課題を指摘した後の議論をされたようなんですけれども、総務省が点検で課題を指摘した後、議論された中で、これらの課題にも応えていただいたものと理解をしますというふうに総務大臣は答弁されていました。

 課題に応えていただいたと判断した根拠は何なのか、お答えください。

松本国務大臣 委員もよく御案内のとおりかと思いますけれども、特に税制につきましては、やはり国際競争力を確保するという意味で、かつては法人税率そのものの引下げ競争が国際的に起こったりしていたかというふうに思いますし、また、研究開発投資を税制上で支援をするといった形での競争も起こっていたわけでありますが、今、国際的に、生産そのものの体制を支援するということも競争に入ってきたということで、新たにこのような税制が設けられることが検討され、最終的に、与党として、今、法案として国会に提出をさせていただいているものというふうに理解をしている中で、いわば全く新しいフェーズであるということで、特に説明が必要であるということで課題を指摘させていただいたところでございます。

 私が答弁申し上げた点についての今の御指摘で申し上げると、その後の税制改正の検討の過程において、例えば経済産業省において将来の減収額を試算されたりしまして、与党の税制調査会での議論も経て、与党税制改正大綱が取りまとめられたものというふうに考えているところでございます。

階分科員 点検結果が悪いだけではなくて、この税制が導入されることによって税収が非常に多額の減収になるわけですね。一年間で二千億、十年やりますから二兆円、これだけの減収が、しかも特定少数の企業にしか恩恵が行かないというようなたてつけにもなっているということで、こうした税制がなぜ導入されるのか。やはり企業献金というものが背後にあるのではないか、そこに、やはり企業献金というのは非常に問題だということを私は認識しているということをお話し申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この国会は、言うまでもなく、政治資金、政治と金が最大のイシューであります。予算委員会、第一委員会室でもずっと議論されてきていますが、ちょっと腑に落ちないところが何点かありますので、分科会でも取り上げさせていただきたいと思います。

 今日は、旧文通費、調査研究広報滞在費に半分ぐらい時間を使います。パーティー、それから連座制、こういうことになりますが。

 なぜ文通費の話が出てくるかというと、今一番、予算委員会でも取り上げられ、国民の関心も大きいのが政策活動費なんですね。なぜ政策活動費が問題だと言われているかというと、政党から個人に移るからです、お金が。政党から個人に移るからです。ところが、文通費は個人に入るわけです。それを実は、私は、かねてから、そのおおむね、一部、例えば宿舎の費用とかそういうことはちょっと差しおいて、その大宗を自分の政治団体、政党支部や資金管理団体に移して使ってきています。

 そうしたら、あの共産党が、セルフ領収書といって何か悪いことをしているかのように批判を、プロパガンダをテレビでやりまして、うちの党もちょっとひるんじゃって、何かそうやってたたかれるとちょっと問題だということで、いろいろがたがたしているわけです。私は、何も悪いことはない、むしろ望ましいことだと考えてきたので、政治団体と個人、政策活動費は政党から個人に行くから気をつけないとおかしなことになる、旧文通費、調査研究広報滞在費は個人から団体に入れればより透明になると。当たり前のことを、共産党はセルフ領収書といって批判をしてきたわけです。

 そこで、今日は衆議院事務局にもお越しをいただいています。ありがとうございます。済みません、無理を申し上げて。

 よく、文通費の話をするときに、政務活動費、地方自治法に規定されている政務活動費とのアナロジーで語られることがあります。メディアも、そういうふうに勘違いをしているコメンテーターなんかもいます。しかし、両者は全然、根拠法も違えば何も違うということでありますので、政務活動費、地方自治法に規定する政務活動費は、地方自治法の百条に、議員活動に資するため必要な経費とはっきり書いてあるんです。ところが、文通費は、何かはっきり書いていないんですね。

 それで、衆議院事務局には、歳費法における文通費の規定は、書いてあるとおりで、要は、どう書いてあるかというと、議員活動を行うためという目的しか書いていないんですね。使途についての制限規定は私は見出せないんですが、そういうものは特に規定がされていないという理解でいいですか。

梶田参事 お答えいたします。

 調査研究広報滞在費についてでございますが、今ほど先生がおっしゃいましたとおり、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第九条第一項におきまして、「各議院の議長、副議長及び議員は、国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため、調査研究広報滞在費として月額百万円を受ける。」と定められておりまして、その使途につきまして、法規上、これ以上の定めはございません。

足立分科員 そのとおりです。書いてあるとおりで、それ以上でも以下でもない。目的が書いてあるんです。

 それに対して、地方自治法に規定される政務活動費については、例えば、平成二十四年八月七日の総務委員会の議事録を拝見すると、政治団体等に移し替える行為は含まれない、対象とすることができないと総務省から答弁がある、そういう記録を拝見しています。その解釈は今も変わらない。すなわち、政務活動費を政治団体に寄附することは認められていないという理解でよろしいですね、総務省。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方議員の政務活動費についての御質問でございますが、元々、平成十二年に議員立法によりまして政務調査費として創設されまして、このとき、議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付することができるものとされたところでございます。

 その後、平成二十四年の地方自治法改正の際、議員修正によりまして、現行の政務活動費となりまして、議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として交付することができるものとされたところでございます。その経費の範囲につきましては条例で定めることとされているところでございます。

 足立分科員御指摘のとおり、平成二十四年八月七日の衆議院総務委員会では、議員修正の提案者から、政務活動費について、議員個人の政治団体等に移し替える行為は、議会の議員としての活動に含まれないものであり、条例によっても政務活動費の対象とすることはできない旨の答弁がされているものと承知しておりまして、現在、総務省としても同様に解釈しております。

 また、この二十四年の改正によりまして、例えば、政務調査費では認められなかった議員としての補助金の要請活動ですとか陳情活動等についても、政務活動費の対象とすることができるものとされたところでございます。

足立分科員 まさに、今あったように、地方自治法に規定される政務活動費については今御答弁があったとおりです。

 では、再び衆議院事務局ですが、旧文通費、調査研究広報滞在費については、そうした、例えば、政治団体等に移し替える行為は認められていないというような制限は、さっきおっしゃったとおりで、そういう制限はないということでいいですね。

梶田参事 使途につきましては、先ほど申し上げた以上の定めは法規上ございません。

足立分科員 非常に大事な違いなんですね、これ。ところが、一緒であるかのように、共産党が間違ったセルフ領収書批判ということをしてきたので、いや、それは全く問題ないんだと。

 今日の私のポイントは、むしろ、個人で使うよりも、だって、政策活動費で、ずっと今、国会で、NHKでそういう議論をしているでしょう。個人で使う方が不透明なんですよ。政治団体は政治資金規正法で規制されているから、だから、全部収支報告書で使途を出さなあかんわけですよ、領収書まで。そっちの方がきれいに決まっているわけですよ。グレーなところからホワイトなところにお金を移すことを共産党は批判してきた。

 むしろ、私は、政治資金規正法に規定されているような活動、政治団体の活動については、政治団体に移し替えて使わなければ法令違反になる、こう考えています。

 ちょっと私から詳しく言ってもいいんですが、もう御答弁の御用意はあると思うので。これ、大臣、大丈夫ですか。大臣、いきますか、余りやりたくない。大臣、是非。(松本国務大臣「いや、やってもいいですけれども」と呼ぶ)質問をもうちょっとしましょうか。(松本国務大臣「余りいい答えにならない」と呼ぶ)余りいい答えじゃない。じゃ、先に行きましょう、ちょっと御用意いただいているもの、大臣。

松本国務大臣 今、衆議院事務局からお話しいただいたように、調査研究広報滞在費を所管する立場にございませんので、その使途等についてお答えすることは差し控えることになります。

足立分科員 歳費法の解釈はできませんね。しかし、今、衆議院事務局からあったように、歳費法に規定される旧文通費については、政治団体に移し替えることは妨げられないわけです、これははっきりしました。

 しかし、私が申し上げているのは、逆に、移し替えなあかんものもあるよねと。例えば、政治資金規正法が規制している使途というか活動とかについて、例えば、政治資金規正法の三条には、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること、こうした活動を本来の目的にする政治団体とか、あるいはそうした活動を主たる活動として組織的、継続的に行う団体とか、そういうものを政治団体と定義し、これを規制に服せしめているわけですね。

 だから、今申し上げたような活動にこの三条に書いてあるような目的や態様で、政治資金規正法三条に書いてあるような活動に三条に書いてあるような目的あるいは三条に書いてあるような態様で使う場合は、だってこれは政治団体の定義に入るんだから、それは政治団体に移し替えずに個人で使ったら違法だということですね。

笠置政府参考人 政治資金規正法でございますけれども、こちらは、先ほどのお話は政治団体の定義の中から引っ張ってきているということで、今のお話は、言ってみると、公職の候補者個人が受けた旧文通費ですか、それについてどうするのかというお話だというふうに思っています。

 これにつきましては、候補者個人が政治団体に対してする寄附というのはできるわけでございますが、それにつきましては一定の量的な制限の範囲でそういうことができるということでございまして、義務とかそういうものではないということだと思っております。

足立分科員 義務ではないというか、でも、政治資金規正法の三条に該当する政治団体は収支報告書を出さなあかんのでしょう。それは義務規定じゃないですか。

笠置政府参考人 三条に規定する団体、本来目的あるいは主たるで継続といったような団体につきましては、政治団体とみなされれば届出等は必要になってくるということでございますが、今こちらは、これはあくまで政治団体の活動ということでございますが、一方で、候補者個人の活動もあるわけでございまして、そういった意味では、候補者個人のいわゆる政治活動に関する収支といったものは、現行法上、規正法には規定をされていないということでございますので、個人の自己資金なりを必ず政治団体に移さなくちゃいけないということではないということを申し上げております。

足立分科員 じゃ、こうしましょう。

 旧文通費、調査研究広報滞在費を政治資金規正法に規定する政治団体の活動に使う場合は、政治団体の活動に使う場合は政治団体に移す。当たり前ですね。

笠置政府参考人 政治団体の活動で使うという場合には、移すというか寄附ですかね、寄附というのを行った上で政治団体の活動として行うということは十分あり得ることだと思います。

足立分科員 いやいや、そういうことがあるとか、最後にむにゃむにゃっとなりましたけれども、逆に、旧文通費を政治団体の活動に使うのに、政治団体に入れずに個人で使ったらアウトじゃないですか。政治団体の活動と言っているんですよ。政治資金規正法三条には政治団体が定義されているじゃないですか。その三条の政治団体の定義に該当する場合は政治団体に移さないとあかんでしょう、その文通費を使う場合は。何でそこで首をかしげるかな。

笠置政府参考人 ちょっと理解が行き届きませんけれども、三条というのはあくまでも政治団体を規定しているわけでございまして、もう一方で、今のお話は、いわゆる団体ではなくて政治活動というか、いろいろな活動の話が今ちょっとごっちゃになっているのかなというふうに思いましてですね。(足立分科員「ごっちゃになっているから整理しているんですよ」と呼ぶ)したがって、候補者というか議員個人も文通費で活動をするわけでございますから、それは必ず移さないかぬということではないと思っております。

足立分科員 衆議院事務局、もう一回。

 要は、旧文通費というものは、個人の活動にしか使えないわけではない。要は、政治団体の活動に使うことを妨げる規定はないですね。

梶田参事 繰り返しになってしまいますが、使途につきましては、先ほど申し上げたもの以上の定めは法規上ございません。

足立分科員 ちょっとまたやりましょう。

 この文通費については、課税関係についてもちょっと整理をしておきたいと思います。

 御承知のとおり、確定申告の様々な規定があって、実際、確定申告の資料、「令和五年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について」という紙には、調査研究広報滞在費について明記してあって、一千二百万円の額を超えた部分の金額は控除できる、こう書いてあります。こういう事例、国税庁、事例としてありますか。

田原(芳)政府参考人 お答えいたします。

 まず、制度といたしましては、今ほど委員の方から御指摘がございましたように、調査研究広報滞在費、こちらにつきましては非課税とされておりますので、雑所得とは別に区分しなくてはいけないということになります。

 その上で、調査研究広報滞在費に係る費用のうち、その受け取った額を超えて支払った金額につきましては、これは雑所得の計算上、収入金額から必要経費として差し引くことができるというたてつけになっておりまして、今ほど先生がお読みになったのはその部分でございますが。

 そういう計算をした例の存否でございますが、現行法令におきまして、そうした計算事例を国税当局として把握することは難しい、困難であるということでございまして、お答えしかねるということを御理解いただければと思います。

足立分科員 よく分からないと。多分ないんだと思うんですね。

 なぜないかというと、これは私の推測ですよ。少なくとも国税庁はよく分からない、こうおっしゃっているわけです。一千二百万円を超えると、いわゆる所得税上、控除の確定申告ができるわけです。ところが、それをやっている事例の存否はどうかと問うと、よく分からないということです。

 私がなぜそういうことを言うかというと、千二百万円を超えて確定申告する人は、超えている分を税務署に言わなあかんので、一千二百万円の中身も全部言わなあかんわけですね。だから、よく一千二百万円の領収書をどうするかという議論があるが、そもそも、この超えた分について税務署に確定申告するときには、一千二百万円の部分についても疎明資料を出さなければ証明できないということになるので、そういうすばらしいことをやっている国会議員がいるのかなと思ったら、それはよく分からないということです。

 逆に、一千二百万に届かない場合、余らせている場合の課税上の取扱いについてということになりますが、これは、言うまでもなく、歳費法に、旧文通費については租税その他の公課を課することができないと書いてあるから、これは基本的には非課税だ、こうなるわけです。

 そこで、更問いと言っていた話ですが、それは分かった、じゃ、違法に私的に流用した場合、旧文通費を生活費等に、これは違法性があると思います、違法に生活費等に文通費を流用した場合には、私は、課税されるべきだし、されるのではないかと思いますが、いかがですか。

田原(芳)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、法律におきまして、調査研究広報滞在費につきましては、租税その他の公課を課すことができないとされております。すなわち、調査研究広報滞在費につきましては、収入の段階で課税の対象から外れることとなりますので、仮に残額を私的に使用等していた場合であっても非課税となるということでございます。

足立分科員 ここは是非、委員の皆さんといっても余りいないけれども、注目していただきたいところなんですけれども、調査研究広報滞在費については、今、政策活動費については、どこに使っているか分からないんだから、年末に余らせていたら課税すべきじゃないかとか、あるいはパーティー券の裏金、これは個人に入れているんだから課税すべきじゃないか、そんな議論がずっとなされていますが、今ありましたように、文通費については、法令上、私的に流用しても課税されない、こういう御答弁がありましたね。

 これは私はやはり大問題だと思いますので、歳費法の改正、これを党内でも、また国会でも提案をしていきたい、こう思います。

 さて、もう時間がなくなりますので、パーティーに行きたいと思いますが。

 パーティーというのは、政治資金規正法上は、対価を徴収して行われる催物となっています。ところが、消費税は非課税になっています。

 まず、国税庁からいっていいですか。あっ、副大臣、済みません、赤澤副大臣、今日はお越しをいただいていて。消費税は非課税だと思いますが、なぜかというところをお願いできますか。

赤澤副大臣 まず、足立先生のことなのでしっかり読み込んでおられると思うので、若干復習という感じになりますが、消費税法上、消費税については、国内において事業者が行った、ここですけれども、資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課すると。その資産の譲渡等の定義が、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供となっております。

 それで、その対価の解釈なんですが、どうも国税庁の方でやっている今の解釈は、政治資金パーティー券の購入代金は政治資金パーティーに参加するための対価であって、具体的な資産の譲渡や役務の提供を受けるための対価とは異なるということで、消費税の課税対象にはならないという解釈をしているようでございます。

足立分科員 まさに、政治資金パーティーというのは、私の理解では、普通の常識というか普通の国民の感覚で言うと、政治資金は企業・団体献金や個人献金という寄附でいただくことが多いわけですね。それから、一般の事業、例えば歌手がディナーパーティーをする、それから講演会をする、それは普通は営利事業でやるわけです。だから、普通は課税される事業か寄附かという世界なんですけれども、なぜかここに、非課税、それも法人税だけじゃなくて消費税の非課税事業が、ここにパーティーというのがどんとあるわけです。

 今、赤澤副大臣から御紹介いただいたように、対価性ということについて、今あったように、具体的な資産の譲渡や役務の提供に対する対価とは観念されないので消費税はかけていないのであると。ところが、政治資金規正法には、対価を徴収して行う催物だと書いてあるんですよ。

 総務省がなぜ寄附金規制にこれを服せしめないかといえば、対価を徴収しているからだというわけでしょう。だから、寄附金規制を逃れるときに、総務省としては、いや、これは対価を徴収しているから寄附とは違うんだと言い、消費税の議論をするときは、いやいや、これは対価性がちょっと意味が違うから資産の譲渡や役務の提供の対価ではないんだと言って、結局、スーパーウルトラ非課税寄附規制逃れルートが生まれているわけですね。

 大臣、大臣はパーティーされているかどうか、まあされていると思いますが、大臣、いいですか、私は、もうどっちかにした方がいいと。このウルトラ制度、非課税かつ寄附でもない。非課税だったら寄附金規制で規制したらいいんですよ、ちゃんと。五万円とか百五十万円とか。もう一つは課税事業でやったらいいんですよ。

 課税されるのか、非課税なら寄附金規制かどっちかなのに、今申し上げたウルトラ制度、消費課税はしない、それは、ある種の対価性が認められないから。総務省は、いやいや、対価を徴収して行っている人が集まっているパーティーだから寄附とは違うんだと。こんな、いいとこ取りのウルトラマジック抜け穴制度、これは大臣に聞いても仕方ないですが、私は寄附金規制に服せしめたらいいと。

 財務省、赤澤副大臣には、もう質問しませんが、これはもう課税したらどうですかという思いはありますが、どちらかというと、どっちか一つを選ぶとしたら、私は、こういう類いのものは全面禁止するか寄附金規制にぶち込むかが制度として合理的で美しいし理解しやすいと思いますが、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 政治資金規正法における政治資金パーティーに係る規定は、平成四年に、当時の与野党間の議論を受けて、政治資金パーティー開催の適正化等を目的として議員立法によって設けられたものだと理解しております。

 政治資金パーティーとは、対価を徴収して行われる催物で、収入の金額から経費の金額を差し引いた残額を政治活動に関し支出することとされているもの、このように定義をされているわけでございまして、政治資金パーティーの対価とは、催物に参加することの反対給付として支払われる金銭その他の財産上の利益を指すわけですが、政治資金パーティーの購入代金については、今申しましたように、参加するための対価であって、具体的な資産の譲渡や役務の提供を受けるための対価とは異なるというふうに理解いたしております。

足立分科員 すると、総務省、総務大臣としても国税庁の解釈を共有しているということですね、今同じことをおっしゃったんだけれども。共有している、同じ思い。すなわち、資産の譲渡や役務の提供の対価ではなくて、パーティーの、政治資金規正法に規定している対価というのは先ほど赤澤副大臣がおっしゃったような消費課税されるような対価ではない、参加券なんだ、だから消費税が課税されないのは合理的なんだと総務大臣もおっしゃっているわけですね。

松本国務大臣 政治資金規正法を担当する大臣として、政治資金パーティーについて先ほど御説明をした上で、消費税に係る課税については財務省、財務副大臣から御所管として御答弁をされたとおりかと理解しておりまして、その御説明を私も承知しているということで申し上げさせていただきました。

足立分科員 ありがとうございます。

 私は、いずれにせよ、パーティーは、今申し上げたように、いいとこ取りというか、こっちから見たら、こっちからは、要は、対価性はない、対価性はあると。いいとこ取りのスーパー制度で、私は、廃止をする、禁止をするのが適当だと訴えておきたいと思います。

 ちなみに、パーティーについては、岸田総理の祝う会が議論になりました。これはもう時間がないので割愛しますが、政治資金規正法上、総理を支持することを目的とする団体が開けば、これは政治団体であります。でも、任意団体でやっていらっしゃるということは、この岸田総理の内閣総理大臣就任を祝う会の開催団体は、岸田総理の主張を支持したり、あるいは岸田総理を支持することを目的とする団体ではないんだということだということになりますが、今日、ここに総理はいないので、また別途、総理がいらっしゃるときに議論したいと思います。

 最後に、連座制の議論があります。

 維新の会は、昨日、幹事長通達で、維新の会の国会議員は会計責任者を兼務せよという通達が出ました。党の決まりですから、私もやらなあかんなとは思っているんですが。

 政治資金規正法のコンメンタールを読むと、兼務は否定はされないですよ、もちろん。否定はされないが、望ましくないと書いてある。すなわち、それぞれの職務を担当すること、別の者がそれぞれの職務を担当することが望ましいと書いてありますね。これは総務省のお役人さんが書いたものです。なぜ別々の者が担うことが望ましいのか、是非御紹介をいただきたいと思います。

笠置政府参考人 政治資金規正法上でございますが、政治団体の代表者とは、当該団体の規約等によりまして、団体を内部的に総理統括し、対外的に団体を代表する権限を有する者でございます。一方で、会計責任者は、当該団体の会計事務を最終責任者として担当する者をいうとされております。

 代表者の職務と会計責任者の職務とは、通常、性格を異にしておりまして、一般的には、その兼務が性格的、物理的に困難ではないかということから、別の者がそれぞれの職務を担当することが望ましいとも考えられますが、両者の兼務が現行法解釈上あり得ないことまでを意味するものではないことから、政治団体の判断によりまして同一人が兼ねることはできるものと認識をしております。

足立分科員 最後に、しっかり事務所が、初期の頃は自分と家族とかいう地方議員さんもいるわけです、しっかりと事務所の体制が整って、私はもう十二年目です、会計責任者にふさわしい者がそこにおる。自分も、やはりそこは、CEOとCFOは分けた方がいいと。実際、適任者がいるし、できるんだけれども任命しないというのは、別に勝手にやっていいんですか、違法性があるんですか。そこだけ。

宮路主査 既に持ち時間が経過をしておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

笠置政府参考人 違法ということではなくて、政治団体の御判断だというふうに思っております。

足立分科員 ありがとうございました。判断でやってくれということですので、党としては兼務をしていくということであります。

 以上です。ありがとうございました。

宮路主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村次郎君。

木村分科員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の方から今日は大臣の答弁を求めるのは想定しておりませんので、松本大臣、どうぞ御退室されて結構でございます。

宮路主査 それでは、総務大臣、御退室をお願いいたします。

木村分科員 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 大きく三つの柱立てでございますが、最初に郵政事業についてお尋ねしたいと思います。

 日本郵便株式会社、特に郵便局、最近は郵便料金を今までより以上に値上げする、そういった報道もあったところでございます。なかなか今の時代、手紙とか年賀状、かつてと違って紙媒体でという時代でもなく、メールとかSNSとかそういったことで済ませる、そういう方が増えている、こういったことも背景にあると思えば、大変厳しい状況にあるんじゃないかなというふうに推察しております。

 そこで、日本郵便株式会社、特に郵便局の実情とかも含めて、経営状況、また、それに対する評価というものをお伺いしたいと思います。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のとおり、近年、日本郵便の収益は悪化をしてございまして、特に郵便事業につきましては、令和四年度の収支が郵政民営化以降初めての赤字となったところでございます。

 こうした中で、我が国全体がコストカット型経済から成長型経済への変革を目指していく中で、日本郵便が抜本的なDXに取り組むとともに、競争力がある質の高いサービスを提供することが必要でございます。

 このため、日本郵便の令和五年度事業計画の認可の際に、総務省から日本郵便に対し、デジタル化などの重点分野への投資や経営の効率化、サービス提供条件の見直しを行い、収益力を強化することを要請をしてございます。

 これを受けまして、日本郵便では、データやAIを活用した輸送DXを推進すること、楽天などのEC事業者と提携しポスト投函可能な商品を開発し日本郵便の配送網で配達をすること、ヤマト運輸で引き受けた小型薄物荷物を日本郵便の配送網を通じ各世帯や事業所へ配送するサービスを令和五年十月より一部地域から順次開始することなど、収益力の強化に取り組んでございます。

 総務省におきましては、引き続き、様々な機会を捉えて、日本郵便に対し、競争力がある質の高いサービスなどによる収益力の向上を求めてまいります。

木村分科員 ありがとうございます。

 次に、郵便局、これは、なくてはならない、ユニバーサルサービスという言葉もありますけれども、そういう存在であると私も認識しております。

 昨年、私の地元青森県にも増田社長がお越しいただいたようで、郵便局に出向いて現場の実情とかを視察されたやにも伺っているところでございます。

 これから、過疎地等々も含めて、郵便局、ある意味、準行政的な、見守り的な、地域のそういう役割、そういったことも期待されるところが大なるものがあるんじゃないかなというふうに、地方に住む者として私はそういうところも期待しているところでございます。

 そこで、郵便局の存在意義、また、これから期待される役割についてお伺いいたします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少が進む日本の地域社会におきまして、あまねく全国に拠点が存在する郵便局は、地域のつながりを支える身近で公共的な存在であり、三事業一体でユニバーサルサービスを確実に提供しつつ、地域のニーズと信頼に応えていただくことが重要であると考えております。

 こうした取組を後押しするために、総務省では、令和元年度から、郵便局と自治体などの地域の公的基盤との連携による高齢者の見守りや買物支援、オンライン診療などの実証事業に取り組んでございます。

 今後も、マイナンバーカードの交付申請などの自治体窓口業務や、郵便局の職員やスペースを活用した災害対応、生活支援など、郵便局が住民に身近な存在として、地域を支え、課題解決に貢献する役割を果たしていけるよう、しっかりと対応を進めてまいります。

木村分科員 ありがとうございます。

 是非、そういったところを目配りしながら、今後のそういう郵便局の在り方、全体を俯瞰しながら、総務省においても、後方支援といいますか、そういった姿勢で取り組んでいただければありがたいのかなというふうに思っております。

 郵政事業、三つ目でございます。

 今、この日本郵政グループ、現状は、ゆうちょ銀行、日本郵便、かんぽ生命、それぞれその親元として日本郵政が出資している、こういう資本関係にあろうかと思いますが、今現在、我々自民党の有志のグループにおいて、この資本関係といいますか、この状況を、今議論いただいた、そういう日本郵便株式会社の厳しい実情等も背景としながら、日本郵政株式会社による日本郵便の吸収統合も含めた検討が内々なされているというふうにも伺っております。

 最終的には議員立法という形で出されるのか、それは、私もまだそこは知る由もございませんが、これについて国が主導してどうこうということはないわけでございますが、こういった議員有志で検討されているその方向性なりについての、現時点での総務省としての所感をお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 お答えします。

 三事業一体での経営等の観点から、自民党有志の政策グループにおきまして様々な議論がなされていることを承知はしております。

 議員立法に関するお答えに関しましては差し控えますが、日本郵政及び日本郵便は、郵政民営化法等に基づくユニバーサルサービスの責務を負っておりまして、両社が緊密に連携してこれを果たすことが必要と考えておりますが、総務省といたしましては、現行法の下で、日本郵便、グループを取り巻く経営環境の変化に対応しながら、郵政事業の安定かつ継続的な提供を確保することに努めてまいります。

木村分科員 ありがとうございます。

 やはり、郵便事業を中心に、郵便局、日本郵便株式会社が持続的に存在し続けていくということが何よりも大事だというふうにも思っております。私も、党内の議論もしっかりと見守りながら、また勉強してまいりたいなというふうに思っております。

 二つ目の柱の方に移らせていただきます。地方財政についてでございます。

 今日は、委員長席に宮路先生、総務省出身ということでいらっしゃるわけで、一番の専門家だと思うところでございますが、私も県庁時代、大体、総務省と市町村の橋渡し役には、市町村課とか地方課といって、そういう部署があるわけでございまして、私もそこに通算七、八年は関係したのかなというふうに、そういう地方公務員上がりとしての自負があるわけでございます。

 そういったところの中で、平成の合併を経てもなお、御案内のとおり、人口減少が加速している。先般も、大変この先の厳しい状況も報道であったところでございます。こういったところを背景にして、自治体の職員も減少していかざるを得ない状況もあるわけでございます。

 そういう中で、市町村の面積は変わらないわけですから、その中で行政サービスを基礎自治体としてしっかりと役目を果たしていかなければならないという中で、いろいろな、これまであった公共施設を、ある意味、これは広義に考えれば学校なんかもそうでございますけれども、職員の配置等も勘案をしながら、公共施設の統廃合、こういった動きも、地方、過疎等においてあるわけでございます。

 こういったことに対して、総務省として、こういう動きに呼応して、どのように対応、また応援していくのかをお伺いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 人口減少や公共施設の老朽化が進行しております。その中にあっても持続可能な形で行財政運営を行っていくために、公共施設の更新であるとか統廃合、長寿命化などの取組を計画的に行うことが重要であると考えております。

 総務省では、地方公共団体に対しまして、公共施設の統廃合も含めました老朽化対策を盛り込んだ公共施設等総合管理計画を策定することをお願いをしておりまして、また、適時適切な見直しも併せてお願いをしております。

 その上で、計画に基づく公共施設の集約化、複合化などの事業につきまして、公共施設等適正管理推進事業債という地方債を充当することとして、その元利償還金に対して地方交付税措置を講じております。

 今後も、公共施設の適正管理の取組が地方団体において計画的に行われて、財政負担の軽減であるとか平準化が図られるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

木村分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 施設だけではなくて、社会インフラ等々も、まあ、公共事業については元々交付税とかいろいろ地財措置がされてきているのは重々承知でございます。そういう社会インフラも、これから、いろいろ維持補修とかそういったところも、各自治体がかかってくるわけでございます。全体を俯瞰をしながら、総務省として是非しっかりと応援していっていただければということを申し上げておきたいと思います。

 地方財政、二つ目についてでございます。

 これは文科省に関わる事案になるわけでございますが、私は、人づくりというのは国づくり、国づくりは人づくりというふうな思いも強く持っておるわけでございます。

 学校では、それぞれ各自治体が図書を毎年購入していただいているはずではございますが、文科省において、学校図書館図書整備等五か年計画というものを策定して、これを基準というか目標にしながら、各自治体、図書を購入、整備してくださいということでお願いをしているということも伺っておるわけでございます。

 そこで、実際のこの計画に対しての目標の達成度合いといいますか、購入実績、進捗の状況についてお伺いいたします。

八木政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省が行った令和三年度学校図書館関係費の決算額調べでは、学校図書費の決算額は約百二十七億であり、同年度の地方財政措置額二百二十億の約六割程度となっています。

 令和四年度から八年度までを対象とする第六次学校図書館図書整備等五か年計画を策定し、計画的な図書の購入を始め、新聞の配備、学校司書の配置拡充に必要な経費として、単年度で四百八十億円、五か年で二千四百億円の地方財政措置を講じており、文部科学省においては、各種会議等での説明や通知等において周知の徹底を図っているところです。

 文部科学省としては、第六次学校図書館図書整備計画の趣旨を踏まえ、各自治体においてしっかりと予算措置が図られるよう、引き続き、計画の趣旨等の理解増進を図るとともに、現状把握や予算措置の参考となる資料の作成、配付を通じて、学校における図書の整備等を推進してまいります。

木村分科員 ありがとうございます。

 この財源については地方交付税、普通交付税でその積算に反映されているはずで、私も、昔、県と市町村、決算も含め、特別交付税、普通交付税も、ダブルで四つ全部担当したことがあるんですが、なかなか、一般財源ゆえに、それのとおりに各自治体が使えてもらえていないという実態もあろうかと思います。

 私も、年に一回、地元の首長さん方と懇談する場面があって、たまにそういったことも、ちょっと前向きに考えてくださいということで、子供たちには、やはり読書をするということを、幼少時期、学童期からそういう習慣をつけておく、それは自省の念も込めてなんですが、そういうふうに時々言ったりしているわけでございます。

 なかなか総務省としてそれを強制的に言うわけにはいかないとは思うんですが、そういったところを、引き続き、文科、総務省それぞれ連携をしながら、少しでもそういった目標に近づくように、引き続き御尽力いただければありがたいのかなというふうにも思っております。

 最後の三つ目の柱に、質問に移らせていただきます。消防団関係についてでございます。

 今、どこの分野においても担い手不足等々が叫ばれているわけでございます。そういった中で、消防団も例外ではないわけでございます。恐らくその平均年齢というのも高くなっているんじゃないかなと思います。

 そういう中、とはいっても、やはり消防団、消防というのは、住民の生命と財産を守るその一番の現場の基本中の基本の組織であるというふうにも思っております。本当にそういう意味では欠かすことのできない存在なわけでございます。

 そこで、消防団の担い手の確保に向けてどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

五味政府参考人 消防団員数は年々減少しておりまして、二年連続で二万人以上減少の約七十六万三千人となっておりまして、危機的な状況であると受け止めております。

 こうした状況を踏まえ、消防庁では、消防団員の確保に向けまして、処遇改善を図るため、有識者会議での議論を経まして、消防団員の報酬等の基準を定めますとともに、令和四年度から団員階級の年額報酬等に対する地方財政措置の拡充を行ったところでございます。それによりまして、処遇改善に一定の進捗が見られたところでございます。また、令和六年度からは、班長階級以上に係る地方財政措置についても拡充することとしております。

 このほかに、女性や若者を始めとする幅広い住民の入団促進に向けた広報の実施、機能別団員制度や消防団協力事業所表示制度の活用、企業等と連携した入団促進への取組など、できる限りの対策を講じているところでございます。

 今後とも、地方公共団体と連携し、消防団員の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

木村分科員 ありがとうございます。

 それぞれ、関わりたいという意欲を持っている方は潜在的に結構いると思うんですね。今の答弁にあったとおり、それぞれの関われる度合いとかそういうのに応じて、若い世代、学生さんとかも含めて、また女性の方も含めて、そういった関わりの度合いを、いろいろメニューとして複数設けていただく、それは大変適当なことじゃないかというふうに私も評価しているところでございます。引き続き御尽力いただければと思います。

 二つ目でございます。地域防災計画についてでございます。

 これは自治体が策定するということがルールになっておるわけでございます。それで、これを環境の変化とか状況に応じて適宜見直しをするということが法律でもうたわれておるわけでございます。

 私がちょっと疑問に思うのは、それが必ずしも、計画自体が行われているのか、あるいは、その計画、見直しをすることの必要性の有無、そこを検討することそれ自体も、ちゃんと本当に全部の自治体、市町村がやっているのかどうかというのが、ちょっと疑問に思うところがあるわけでございます。

 そこで、そこの部分、見直しなり見直しの必要性を検討する、そういったところの実効性を高めていくというか担保していくために、総務省消防庁として、その辺のところをどういうふうに取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

五味政府参考人 地域防災計画は、地方公共団体における総合的な災害対策の基本となるものであり、極めて重要な役割を果たすものと考えております。

 災害対策基本法に基づき、市町村防災会議では、毎年、地域防災計画に検討を加え、必要に応じて修正し、これを都道府県に報告するとともに、都道府県は、市町村防災会議に対しまして必要な助言等を行うことができることとされております。

 こうした中にありまして、消防庁といたしましては、災害対応の教訓などを踏まえて修正される国の防災基本計画や各府省庁の防災業務計画に基づきまして、必要な見直しを行うように地方公共団体に要請をしているところでございます。今回の能登半島地震につきましても、この災害から得られる教訓を踏まえた適切な見直しが行われるように助言をしてまいりたいと考えております。

 また、毎年度、中央防災会議が決定する総合防災訓練大綱に基づきまして、地方公共団体に対し防災訓練等を積極的に実施するように働きかけておりまして、こうした訓練等を通じて実効性のある計画となるように取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係省庁や都道府県と連携いたしまして、市町村の地域防災計画の見直しをしっかりと支援してまいりたいと存じます。

木村分科員 ありがとうございます。

 どこで何が、突発的なそういう災害が起こるか分からないこの日本列島でございます。やはり各自治体が、それぞれの最新の状況、環境に応じてしっかりと、いざというときの実効性が担保できる計画が備わっているということが大前提だと思いますので、引き続き、その辺のところのまた目配りをお願いしたいと思います。

 最後の質問に入らせていただきます。

 防災士という資格がございます。実は、私も昨年この資格を、民間の団体が主催しているので国家資格ではないんですけれども、防衛省で在京当番で、二週間のうち丸一週間は東京に待機していなければならないので、たまたま調べたら土日に受講できる期間があったので、それに合わせて受講して、テキストが三百ページ近くて、三日ぐらいで大丈夫かなと思って、見たら結構厚いので、ちょっと焦ったりしながら、何とかクリアして取得をしたんですけれども。

 この防災士の積極的な活用が、今の能登半島地震等々、もちろんボランティアもたくさん、阪神・淡路のときはボランティア元年とも言われた年だったというふうに記憶もしておりますが、ある程度の基本的な知識を身につけた防災士というのは、やはり本来の、現場で最前線で担うべき消防、警察、行政、場合によっては自衛隊も含めてですが、それをある意味補完する、行政と被災者とを補完する、そういうところでは、基本的な知識や素養を身につけた防災士というところに活動、活躍していただく、そこの期待は大きいものがあるんじゃないかなというふうに思っております。

 そこで、防災士の積極的な活用についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 今ほど木村先生の方からも御紹介がございましたけれども、御自身も防災士の資格を昨年取得をされ、また、県庁職員としても長年災害等にも従事されておられる、そうした経験を通じての防災士の積極的な活用に向けてのお尋ねかと思います。

 令和六年能登半島地震を始め、近年、災害が頻発化、激甚化する中、被害を最小化するためには、公助のみならず自助、共助の取組が必要でございます。防災士の方々には、地域防災力の担い手として、消防団や自主防災組織等と連携をされ、日々活躍していただいていると認識をしてございます。

 総務省消防庁では、消防団や自主防災組織と防災士を始めとする様々な主体とが連携して行う取組をモデル事業により支援をし、その優良事例の横展開などを図っているところでございます。

 具体的には、防災士の協力の下、避難所の運営訓練を実施した事例、女性団員と女性防災士が連携して子育て世代向けの防災ハンドブックを作成した事例などについて、国費で支援をするとともに、全国の自治体に周知をしているところでございます。

 また、防災士の方々に、消防団の方に入団をしていただくため、日本防災士機構と連携し、消防団活動への積極的な参加の依頼なども行ってございます。

 今後とも、地域における防災士を始めとする専門的な人材の一層の活用を図るなど、地域防災力の充実強化に取り組んでまいります。

木村分科員 是非、先ほど申し上げたとおり、現場で本来専門的に担うマンパワー、そしてボランティア、そしてこの防災士、先ほど質問した地域防災計画あるいは避難計画、こういった根拠をよりどころとしながら、いざというとき、各地域地域で、それぞれがそれぞれの持ち場の中で活動、活躍していただくことによって相乗的な効果を発揮して、どこの場所にあってもきちんと最大限の効果が発揮されるということ、それが日本全体の防災の精度の向上につながっていくんじゃないかなと私は考えておりますので、是非今後とも防災士の積極的な活用を、前向きにいろいろ検討を重ねていただきますよう御期待申し上げます。

 ちょっと時間は早いですが、これで終わらせていただきます。ありがとうございます。

渡辺(博)主査代理 これにて木村次郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 大臣、遅くまでお疲れさまでございます。

 昨年も、この分科会で大臣と議論をさせていただきました。企業献金を廃止すべきだ、そして政治資金パーティーも脱法行為だと申し上げて、私も、その後、党内でも議論をいたしました。当時は、まさか一年後にこの自民党パーティー券裏金問題が火を噴くとは思っておりませんでした。

 立憲民主党は、既に企業献金禁止法を提出し、政治資金パーティーも全面的に禁止する法改正を行う方針を決めています。

 本日も、政治と金に関して、幾つか法改正を提案したいと思います。

 まず、政策活動費について伺います。

 予算委員会のテレビ入り質疑で、政策活動費について二度にわたって議論いたしました。二階幹事長に五年で五十億円、甘利幹事長には三十五日間で三億八千万円もの巨額が支払われています。絶対に使い切れず、納税が必要なはずなのに、脱税しているのではないかという問題。

 今日は国税庁ではなく総務省ですので、脱税ではなく政治資金の透明性という観点から質問いたします。

 まず、参考人、政党から政治家個人に支払われる政策活動費について、その使い道を記録、報告しなくてよいという法的根拠は何でしょうか。

笠置政府参考人 政治資金規正法におきましては、政治団体の政治活動の自由を尊重するという立場から、原則として、政治団体の支出に関しては、その使途等について特段の制限は設けられておりません。また、いわゆる政策活動費につきましては、政治資金規正法上特段の規定もあるわけではございません。

 現行の政治資金規正法におきましては、政治団体に政治資金収支報告書を作成し提出することを義務づけ、これを公開をするということとしておりまして、政治団体につきましては収支報告が必要である一方、候補者個人につきましては公開の対象とはしていないということでございます。

井坂分科員 つまり、政策活動費を個人で受け取った後は、個人の収支報告の仕組みそのものがないからということであります。

 昔は政治家個人にも収支報告の仕組みがあったということで、平成六年にその仕組みがなくなって、政治家個人への寄附は原則禁止になりました。当然の話で、収支報告が必要ない政治家個人への寄附を認めたら、そこから先のお金の流れが全く分からなくなるからであります。しかし、なぜか現在も、政党から政治家個人への寄附だけは例外的に認められています。

 参考人に伺いますが、この抜け穴を容認すべき理由は何か、また、容認すべきか否かを議論した経緯があれば御説明いただきたいと思います。

笠置政府参考人 一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきまして、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のもの」とされております。したがいまして、その支出が債務の履行としてされるもの以外のものであれば寄附に該当いたしますし、債務の履行としてされるものであれば寄附には該当しないと考えられます。

 個別の支出が政治活動に関する寄附に該当するか否かにつきましては、具体的な事実関係に即して判断されるべきものと考えております。

 お話しの公職の候補者に対する寄附につきましては、政治資金規正法第二十一条の二第一項におきまして、何人も、公職の候補者の政治活動に関して、選挙運動に関するもの及び政治団体に関するものを除き、金銭等による寄附をすることは禁止をされておりますけれども、同条第二項におきまして、政党がする寄附につきましては適用しないという規定があるところでございます。

 この第二項の規定は、お話のございました平成六年の改正により設けられたものでございますが、同様の規定は、平成五年に議員立法により提案されました各党の案にも既に置かれていたというふうに承知をしています。

 これは、当時の考え方といたしましては、政党の公職の候補者に対する寄附というのは政党の政治活動そのものであり、公職の候補者は政党からの資金を政治活動に用いると考えられるなどの理由から、そのような規定を設けたものではないかと考えられるというところでございます。

井坂分科員 当時、そのような議論があって、政党から個人に対する、今回で言うところの政策活動費が例外的に認められているということであります。

 参考人に重ねて伺いますが、では、仮に、ある政党がその政党の収入の大半を政治家個人に寄附、支出した場合、その政党のお金の使い道というのは、個人にお金がどさっと移った瞬間に、そこから先は一切分からなくなってしまうわけであります。それでも、政党が収入の大半を政治家個人に寄附した場合、その政党は違法ではないということになるんでしょうか。

笠置政府参考人 一般論でございますけれども、現行の政治資金規正法におきましては、政党から公職の候補者に対する寄附や支出については特段の制限はないというところでございます。

井坂分科員 つまり、何十億と、政党の一年の収入をどさっと例えば幹事長個人に一遍移してしまって、後はどこにも公開されずに幹事長が政党のお金を好き勝手に使えるということが違法ではないということであります。

 これが違法でないなら、私は、やはり法律に問題があり、法改正で穴を塞がなければならないと考えます。実際、自民党ももちろんここまでひどいことはしないわけでありますが、ただ、毎年自民党は十億円の政策活動費を幹事長個人に支払い、その使い道は完全に闇の中であります。賄賂や買収など、違法な使われ方を疑わざるを得ず、何億円も余らせて、税金も払わず着服した脱税の疑いもあります。

 予算委員会で総理に、二階幹事長に使い道を確認すべきだと質問をしても、総理は、確認するまでもなく適切に使われていると認識しているという、本当にひどい答弁に終始をするわけであります。

 政治資金規正法第一条には、「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、」と目的がはっきり書かれております。自民党のように毎年十億円を使い道が分からない裏金にできたら、政治資金規正法の目的が果たせないわけであります。

 大臣に伺いますが、政策活動費、すなわち政党から政治家個人への寄附、支出について、法律で規制が必要ではないでしょうか。

松本国務大臣 政治資金の透明性が確保され、国民の監視下に置かれることが、政治の信頼にとっても極めて重要であるというふうに私も認識をいたしております。

 今、委員がお読みいただきましたように、政治資金規正法、その目的に沿うべく制度をいわば組み立てていく中で、政党間の議論を踏まえて現行の法制になっているというふうに理解をしておりまして、先ほど選挙部長から御報告を申し上げたように、二十一条の二第二項の規定は平成六年の改正により設けられたものですが、平成五年の議員立法により提案された各党の案にも置かれておって、その後の政党間の議論を経て作られたものだというふうに理解をいたしております。

 度々予算委員会でも、またこの分科会でも申し上げておりますが、政治資金、選挙、公職選挙法を所管する総務大臣であるから、政治と行政の関わり方という意味で、新たに制度を設けることにつきましては、政党間の議論、やはり、政治の自由、行政府の選挙、政治への関わり方ということにも関わってくることですから、立法府において政党間で御議論をいただいて、これまでも制度を組み立ててきたものというふうに理解をしておりますので、これからもまた政党間の議論を私も注視してまいりたいと思っております。

井坂分科員 政党間の議論という答弁にいつもなるわけであります。

 立憲民主党は、この政策活動費を禁止する法改正も提案する方針を固めています。また、今回の事件が起こる前の昨年から、既に政策活動費は党として支出をしておりません。ほかの野党も、そして公明党さんも、政策活動費は廃止又は使い道を公開すべきと主張しており、大臣、各党の議論とおっしゃいますが、この政策活動費の廃止又は公開に反対をしているのは、もはや自民党だけであります。

 大臣にお伺いしますが、大臣も自民党のベテラン議員でいらっしゃいます。また、政治資金をつかさどる総務大臣でもあられます。速やかに党内をまとめて、政治資金規正法を破壊するこの政策活動費を廃止していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員もただいまおっしゃっていただいたように、政治資金規正法を所管する総務大臣、行政府の長を務めさせていただいているところから、各政党間の御議論を注視してまいりたいと申し上げたところでございまして、今、政府の立場にある者が政党の議論をまとめる立場にはない点を御理解いただきたいと思います。

井坂分科員 似たような話で、その他の政治団体への巨額寄附の問題があります。

 自民党の茂木幹事長が、自分の資金管理団体から、二〇二〇年から二〇二二年の間に九千六百五十万円を政治団体茂木敏充後援会総連合会に寄附をした、そして、その後援会総連合会はそこから九千五百八十五万円を支出して、その支出のうち九八・一%に当たる九千四百六万円は明細書がないと各社に報道をされています。

 お金の出どころである茂木幹事長の資金管理団体は一万円以上の支出を全て収支報告書に書かなければならず、使い道の透明性が確保されています。

 政治家は、政治資金を全て自分の資金管理団体に入れることで、収入と支出の公開が義務づけられる形になっています。ところが、その資金管理団体から後援会連合会にどさっと寄附をしてしまうと、その後援会連合会は、公開が厳しくないその他の政治団体という法的な扱いになりますので、お金の使い道の九八%が分からなくなってしまうわけであります。

 参考人に伺いますが、じゃ、仮に、政党支部とか資金管理団体が、収入のほとんどをその他の政治団体に寄附、支出をしてしまって使い道のほぼ全てを分からないようにした場合、これはさすがに違法なのではないでしょうか。

笠置政府参考人 現行法の規定について申し上げますと、政治資金規正法におきまして、政党からその他の政治団体に対する寄附等につきまして、特段の制限は設けられておりません。

 また、お話のございました資金管理団体からその他の政治団体に対する寄附につきましては、一の政治団体に対して年間五千万円以内という個別制限がございます。

井坂分科員 これが違法でないなら、何でもありの無法状態であります。

 茂木幹事長の後援会連合会は、資金管理団体と住所も会計責任者も同じだと言われています。後援会連合会の収入の九九・九%は幹事長の資金管理団体からの寄附なので、そのためだけにつくられた団体の可能性が高い。要するに、ダミー団体に寄附をして使い道の公開の義務を免れるマネーロンダリング、法律の穴を使った裏金づくりではないかということであります。

 このルールは、ほかの政治団体に五万や十万の寄附をすることはあるだろうということで禁止をされてこなかったと思われます。しかし、自民党の幹事長が、法律の穴を最大限広げて、一億円のお金を自分のダミー団体に寄附して裏金化しているとしたら、これはもう法改正で穴を塞ぐしかありません。

 大臣に伺いますが、政党や資金管理団体からその他の政治団体への寄附、支出について、規制が必要ではないでしょうか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、政治資金の透明性を確保して国民の監視下に置くこと、それが政治の信頼にとっても大変重要なことだということは私も認識をしておりますが、現行の政治資金の規制につきましては、まさに政党間での御議論を経て、政治活動の自由を確保すること、政治資金の透明性を図っていくこと、諸要素を総合的に勘案して現在の仕組みとなっているところでございまして、この規制の在り方についてまた御議論をいただくとすれば、立法府において政党間で御議論いただくことに、これまでもそのような形で御議論いただいてきたというふうに理解をしているところでございまして、政党間の御議論を私ども総務省としては注視をしてまいりたいと思っております。

井坂分科員 総務大臣がそんな答弁でよいのかということであります。この茂木方式を放置すれば、みんながこの茂木方式をやり始めて、収支報告の制度が全く無意味になってしまいます。政治資金規正法一条の、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるためという目的が、全く果たされなくなるわけであります。

 大臣、重ねて伺いますが、お立場は分かりますが、議員立法なので最終的には各党の議論が必要だけれども、法律を所管する大臣として、収支報告の制度が全く機能せず目的を果たせない状況は問題があると考える、これぐらい答弁するのが当然ではないでしょうか。

松本国務大臣 収支報告書について、行政府である総務省は形式的審査権を有しているというふうに理解をしており、この形式的審査権というのも、行政府と政治の関わり方において、あるべき姿からこのような形になっているというふうに理解をしておりまして、収支報告書が公開をされて国民の監視下に置かれることで、政治への、現行の仕組みを私どもも確保させていただいていると思っております。

 その上で、個別具体の政治活動の収支報告についての評価については、私からのコメントは控えたいと思っております。

井坂分科員 私は、自民党さんは、考えや政策は違っても、やはり政権運営、国家運営に日夜汗をかいている政党として、これまで一定の敬意を持って接してまいりました。しかし、今回、八十人の自民党議員がパーティー券で裏金づくり、総理大臣は大臣規範を破ってパーティーをやりまくり、そして幹事長は今回の事件であります。本当に、自民党はいつから自分のお金のことばかり考える集団になったのかと大変情けない思いであります。

 続いて、NTT法について伺います。

 NTTは、政治献金をすることが禁止されている企業です。政治資金規正法二十二条の三の二項、国からの資本金の出資を受けている会社は、政治活動に関する寄附をしてはならないと。

 しかし、NTT完全子会社であるNTTドコモ、また、NTTが五〇%以上の株を持つ子会社NTTデータ、そして、NTTの一〇〇%子会社アーバンソリューションズの中心企業NTT都市開発の三社が、二〇二二年までの十年間で、自民党の政治資金団体に一億五千百万円の献金をしていたと報道されています。

 大臣、NTTの一〇〇%子会社らによる政治献金は、政治資金規正法の脱法行為ではないでしょうか。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

松本国務大臣 個別の事案については、法的評価は具体的な事実に即して判断されるものと思いますが、委員がおっしゃったように、政治資金規正法第二十二条の三は、国から出資を受けている会社からの政治活動に関する寄附を禁止しております。

 この規定は、国との特別な関係を維持又は強固にすることを目的とした政治活動に関する寄附を防止するという見地から、その目的を達成するに必要な限度において規制する趣旨で設けられたと理解をしておりますが、直接出資を受けていない会社はその規制の対象となっていないというふうに承知をしております。

 その上で、規制の在り方そのものをどのように考えるかということについては、私の立場から申し上げられることは限られているということは、これまでも申し上げてきたとおりでございます。

井坂分科員 これが、昨年私が企業献金を禁止すべきだと議論をした理由なんです。NTTは法律で献金が禁止されているのに、一〇〇%子会社などから自民党に巨額の献金をし続けたら当然脱法行為と言われるに決まっているのに、なぜするのかと。

 そして今、自民党からNTT法を廃止すべきという強い声が上がっています。

 NTTは、国営企業が民営化されたもので、国民の税金で築き上げた巨大な通信設備を持っており、ほかの企業はNTTの設備を借りて通信事業をやっています。NTTとほかの企業が普通に競争したらNTTが圧倒的に有利なので、NTT法で様々な規制をかけて、ほかの企業も対等に競争できるようにしているわけです。

 NTTから巨額の献金をもらった自民党が、NTTに不利なNTT法を撤廃しようとしているのではないか、そう言われても仕方ない献金と政策の関係がそこにあります。お金の力で公正な政策がゆがめられることはあってはなりません。自民党からの声を受けて、現在政府ではNTT法の条文について議論を始めていると伺っています。

 参考人に伺いますが、NTT法を単に廃止すると、どのようなものが担保できなくなるでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 NTT法においては、公正競争の確保を図る観点からNTTの業務範囲を定めるとともに、電話のユニバーサルサービスの確保を図る観点からあまねく日本全国における電話の役務の提供に係る責務を定めており、また、経済安全保障の確保を図る観点から外資規制などを定めるなど、NTTに対する各種の規律が規定されております。

 仮定の話は基本的には控えたいと思っておりますが、仮に、NTT法を単純に廃止することによってNTTに対する必要な規律が課せられなくなった場合には、先ほど申し上げましたような、NTT法によって担保されていたものが、支障が生じるのではないかと考えております。

井坂分科員 NTT法を廃止すると、やはり今おっしゃったような、いろいろな問題があるという答弁であります。

 一方、NTT法廃止の賛成派からは、NTT法に書いてある条文を電気通信事業法に書けばうまくいくじゃないか、こういう意見もあります。私は、そんなやり方で担保できるとは思えない、NTT法は廃止すべきではないと考えますが、どうでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、総務省の情報通信審議会では、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安全保障の観点から、NTT法の在り方を含め、必要な規律の在り方を御議論いただいているところでございます。

 総務省といたしましては、情報通信審議会の議論を踏まえつつ、必要な規律を適切かつ確実に担保するための法形式の検討を進めてまいりたいと考えております。

井坂分科員 今まさに精査中ということであります。

 NTTは、局舎とか電柱とか管路など、全国に広がるいわゆる特別な資産というものを持っています。これらの特別な資産を持った巨大なNTTに対して、他社との公正な競争を担保するために、NTTに対する、現在NTT法に規定されているような規律は今後とも必要ではないかと考えますが、大臣に伺います。

松本国務大臣 おっしゃったように、NTTについては、全国に旧電電公社から承継した電柱、管路等の線路敷設基盤をNTT東西が保有し、そこに設置をした光ファイバーなどの回線数についても大変高いシェアを有しているというふうに承知をしているところでございます。

 他方で、今、情報通信サービスを提供する側から申し上げれば、技術が大きく進歩をして様々な提供の形態が変わってきている、また、情報通信サービスを受ける側からも様々な利用の状況なども大きく変わってきているということで、通信政策の見直しは時代に即した形で必要ではないかということで、私どもとしても、情報通信審議会において御議論いただいているわけであります。

 この際には、今委員から御指摘ありました公正競争、これは国民に適正な価格で情報通信サービスを提供するという意味でも大変重要な視点であるというふうに思っておりますし、また、経済安全保障というのも、今の時代、私どもとしてはしっかりやらなければいけない、そして、ユニバーサルサービスという視点も大変重要であると思っていると同時に、通信事業、産業というのは将来にわたって成長が期待される分野でもあるので国際競争力の確保も必要であるということで、今申し上げたような四つの視点から通信政策の新たな視点を考えさせていただいているところでございます。

 審議会からは、今月、第一次答申の御提言をいただいて、これを踏まえて、NTT法の改正案を今国会に提出すべく、今準備を進めているところでございますが、公正競争の確保に関しては、NTTと他の事業者さんとの間の様々な意見をお聞きをしながら、ワーキンググループで専門的な議論を開始させていただいたところで、総務省としては、今申し上げましたように、関係事業者さんの声を聞きながら、国民、利用者の立場に立ってしっかりと検討を進めていきたいと考えております。

井坂分科員 昨日、担当者の方とかなりきっちり詰めて議論したので、きっちり御答弁を得たいと思っておりますが。確かに国際競争力も大事だと思います。ただ、最初におっしゃった三つの観点からも、NTTに対する、現在NTT法に規定されているような規律は今後も必要ということでよろしいでしょうか。

松本国務大臣 申し上げましたように、経済安全保障、公正競争、ユニバーサルサービスを確保するのに必要な規律は、先ほど局長からも御答弁申し上げたように、NTT法に書かれているものもあるわけであります。

 時代に即した形で一定の見直しが必要なものがあるかどうかも含めて、今、ワーキンググループでも専門的な議論をいただいているところでございますが、経済安全保障、公正競争、ユニバーサルサービスを確保するということには、必要な規律はしっかりと改めて定められるように、法制度も考えてまいりたいと思っております。

井坂分科員 ありがとうございます。ちょっとしつこく更問いして申し訳ありませんでした。

 以上で質疑を終わります。どうもありがとうございます。

宮路主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.