衆議院

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第2号 令和6年2月28日(水曜日)

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令和六年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 宮路 拓馬君

      奥野 信亮君    山下 貴司君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      山井 和則君    守島  正君

      金城 泰邦君    輿水 恵一君

   兼務 小森 卓郎君 兼務 岡本あき子君

   兼務 篠原  孝君 兼務 田中  健君

   兼務 福島 伸享君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務副大臣        馬場 成志君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 信也君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   榊原  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 一絵君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          吉田健一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鎌原 宜文君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     山下 貴司君

  井坂 信彦君     馬淵 澄夫君

  守島  正君     池下  卓君

  金城 泰邦君     中川 康洋君

同日

 辞任         補欠選任

  山下 貴司君     奥野 信亮君

  馬淵 澄夫君     近藤 和也君

  池下  卓君     高橋 英明君

  中川 康洋君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     井坂 信彦君

  高橋 英明君     守島  正君

  輿水 恵一君     金城 泰邦君

同日

 第三分科員小森卓郎君、第五分科員岡本あき子君、福島伸享君、第七分科員篠原孝君及び田中健君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

宮路主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井分科員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 前半のところで学童保育の指導員の方の処遇改善の質問をさせていただきますけれども、それが終わりましたら、松本大臣、お忙しいと思いますので、御退席いただいて結構でございます。

 また、今委員長からもお話がありましたように、私も三十分の間に十問、質問通告をさせていただいておりますので、誠に恐縮ながら、答弁は一分以内に短くお願いしたいと思います。私も短く質問をさせていただきます。

 まず最初に、ちょっと申し上げにくいことなんですけれども、松本大臣が国会内で取材妨害をしたというふうなことが報道をされております。このことについては、不適切であったのではないでしょうか。いかがでしょうか。

松本国務大臣 お尋ねの件につきましては、議院運営委員会から決定事項として、報道関係の皆様に院内の廊下では通行の妨げとならないようにお願いしていると理解をしており、取材中とは考えておりませんでしたが、当日は本会議から直ちに委員会へ向かわねばならず、急いで混雑の中を進んでおりまして、目の前のカメラに当たりそうになって、とっさに手で防御したことがあったように思います。

 取材妨害の意図はございませんでしたが、カメラパーソンの方を驚かせたとすれば、失礼いたしました。ルールにのっとった報道機関の取材活動を尊重するよう、心がけたいと思っております。

 先週、取材もございまして、同様に御回答申し上げたところでございます。

山井分科員 これは、大臣におかれましても、政府におかれましても、また私たち議員におかれましても、私たちのこの国会での審議、またやり取りというものをきっちりと国民の皆様に報道していただく報道機関の方々というのは、本当に、世直しをするための私たちのパートナーでありますので、その方々が取材していただきやすいように、敬意を持って私たちも接していかねばならない、このことは私自身も自制をさせていただきたいと思います。

 それでは次に、能登の震災に関すること、そして消防団の方に関する質問をさせていただきたいと思います。

 私も、地元で消防団員として以前活動しておりまして、本当に地域を支える上で消防団の取組は非常に重要だと思っております。

 そんな中で、NHKのニュース、「輪島市の消防団員の死 活動服のベルト握りしめ」と。稲垣さんは、一回目の揺れの後、消防団員として活動せねばということで、一回家に戻られて服を着替えようとしたときに、残念ながら、二回目の揺れに遭われて、お亡くなりになってしまいました。消防服のベルトを握り締めて亡くなっておられたということで、私も、このニュースを何回聞いても、もう本当に涙が出てきてしまいます。

 一昨日、近藤議員からも、被災地の方々から消防団員の方々への感謝の気持ちが伝えられましたし、そもそも、消防団員の方々はどんどん減っておりまして、やはり処遇改善というのが非常に重要だというふうに思っております。

 そこで、松本大臣にお伺いしたいと思いますが、私も消防団員の支援の議員連盟に入っておりますけれども、二〇一三年に消防団員の強化法を成立させて退職金を増やしたり装備を充実したりしましたけれども、今後も処遇改善、装備の充実に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 分科員おっしゃったとおり、能登半島地震におきましても、消防団は、懸命な活動を展開されまして、大変大きな役割を果たされたと感じておるところで、私も地元消防団の方とも様々接しておりますけれども、消防団の大切さが再確認されたというふうに思っております。

 これも分科員御指摘ございましたが、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の制定から十年を迎えたところでございますが、消防団の確保は引き続き喫緊の課題であり、重要な課題でございます。

 消防庁といたしましては、消防団員の確保に向けて、団員の処遇改善を図るため、消防団員の報酬等の基準を策定した上で、令和四年から地方財政措置を拡充いたしまして、全国の市町村に対応を働きかけてまいりました。その結果、年額報酬について基準を満たす市町村が八六%となるなど、一定の進捗はございます。令和六年度から地方財政措置の更なる拡充を図ることとしておりまして、引き続き改善を呼びかけてまいります。

 また、これも分科員御指摘がございました、装備の充実に向けて、災害対応能力の向上を図るための救助用資機材等の整備について支援を行っており、令和六年度からは新たに可搬消防ポンプを補助金の対象に追加するなど、現場のニーズをよくお聞きしながら充実を図っているところでございます。

 災害におきまして、消防団は共助の一つの中核とも言えます。消防団は地域の皆さんの防災力や助け合いの中核となっていますので、しっかりと応援をしてまいりたいと考えております。

 そのポスターにつきましても、御掲示いただいてありがとうございます。御理解を深めるのに有用だと思っております。ありがとうございます。

山井分科員 ありがとうございます。

 消防団というのは、本当に地域の宝、消防団員の方々も、お仕事をしながらこういう活動をされるのは本当に地域の宝だと思っております。

 そして、最近、女性の消防団員の方々も増えておりますが、非常に重要だと思っております。女性ならではのやはり支援の在り方、お子さんや女性の支援のためには避難所内においても重要でありますし、女性消防団員を増やすための支援、そういうものについて松本大臣から御意向をお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 ありがとうございます。

 消防団員が残念ながら年々減ってくる中で、女性の消防団員数は増加を続けておるところでございまして、女性消防団員の更なる増加に向けて、活動しやすい環境を整えていくことは重要な課題だと認識をしております。

 このため、総務省消防庁では、各地方公共団体が女性団員が活動しやすい環境を構築できるように、消防団拠点施設における女性用更衣室やトイレなどの整備について、緊急防災・減災事業債を活用できることとしております。

 このほか、女性や若者など幅広い住民の更なる入団促進に向けた広報の充実や、機能別団員制度の活用促進など、女性消防団員確保のため、できる限りの対策を講じているところでございます。お取り上げいただいたポスターも、意識をして女性に入っていただくようにさせていただいているところでございます。

 去る二月六日には、私から全国の都道府県知事及び市町村長に対して書簡を出させていただいて、消防団員がやりがいを持って活動できる環境づくりなど、消防団の更なる充実に向けた一層の取組を呼びかけさせていただくとともに、併せてお送りした優良事例集において、女性消防団員によるワークショップの開催など、女性の入団促進に向けた先進的な取組を掲載し、周知を図らせていただいたところでございます。

 令和六年度に作成予定の消防団への入団促進マニュアルにおきましても、女性団員が入団しやすく、活動しやすい環境整備の在り方等をお示ししてまいりたいと考えており、女性消防団員の更なる増加に向けて積極的に取り組みたいと考えております。

山井分科員 是非とも支援をよろしくお願いいたします。

 時間に限りがありますので、次々と短く質問させていただきますが、私の地元にもたくさん自衛隊の駐屯地がありますが、元旦以降、大久保駐屯地を始めとして、能登地震の被災者支援、復興のために出動をしております。能登の被災者の方々からも本当に感謝の声がたくさん来ておりまして、とにかく、別にこの被災者支援だけじゃないんですけれども、日本の国土、国民の安心を守るために、世界中で、また日本の被災地で活動されている方々の、自衛隊員の処遇改善、これはなかなか、防衛費を倍増されても処遇改善は進んでおりませんので、処遇改善を是非とも防衛省としてお願いしたいと思います。私も隊員応援議員連盟に入って今までから要望させていただきましたが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊は、今回の能登半島地震の発生当初から現在まで、災害派遣活動に従事し、被災者の救助や生活支援に全力を尽くしているところです。

 こうした自衛隊員の処遇の改善につきましては、現在御審議いただいております令和六年度予算案において、例えば、輪島分屯基地のようなレーダーサイトで勤務する隊員の手当や重機を揚陸した輸送艦の乗組員の手当の引上げ、また、陸上自衛隊の水陸機動団の隊員や海上自衛隊の護衛艦、輸送艦などの乗組員に支給する手当の引上げなどの処遇改善策を講ずることとしております。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保し、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備することが不可欠です。給与面の処遇向上、生活、勤務環境の改善といった各種施策を進めてまいります。

山井分科員 是非、限定的ではなくて、底上げとして処遇改善を図っていただきたいと思います。是非ともよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に参りますが、学童保育の指導員の方々、特に公務員の方は会計年度任用職員でなかなか給与が上がらないんですね。これについて、こども家庭庁も頑張っていただいて、今回、補助金をつくってくださいました。

 ところが、私も地元で聞くと、なかなかこの補助金が使い勝手が悪いんですけれども、せっかくの補助金をつけたんですから、利用する自治体が増えるような取組をすべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの職員の処遇改善、これは数次にわたって事業を執り行っているところでございまして、直近ですと、令和三年度補正予算における処遇改善、これは、収入の三%程度、月額九千円程度の引上げという事業でございますけれども、こちらにつきまして、令和四年度における事業実績として、全国の自治体のうち約七割でお取組をしていただいております。

 その中で、御指摘の公営の放課後児童クラブに限った実施状況というのは把握はできておりませんが、一部自治体で公営クラブを対象に、行っているところにヒアリングを行ったところ、他の会計年度任用職員とは異なる放課後児童支援員独自の俸給表を設定するとか、児童館などでも同時に処遇改善を進めて職員間の処遇の均衡を図るなどをやりながらこの事業を活用いただいているというようなことも伺ったところでございます。

 加えまして、令和六年度予算におきましては、放課後クラブの運営費として、常勤職員を二名以上配置した場合に補助基準額を引き上げるといった新たな補助事業も盛り込んだところでございます。

 御指摘の公営のクラブも含めまして、放課後クラブの職員の処遇改善を図るために、各補助事業の趣旨でございますとか、先ほど御紹介申し上げた好事例、こういったものにつきまして引き続き自治体に周知をいたしまして、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

山井分科員 このことに関しては、会計年度任用職員では横並びの俸給表があるので学童保育の指導員さんだけを上げられない、そういう自治体の悩みというか課題があるわけですけれども、そこで、松本総務大臣にお伺いしたいんですけれども、そういう縛りはあるものの、総務省の方から、やはり、この学童保育、公営の学童保育の指導員さん、人手不足も深刻ですから、そこをちょっと乗り越えて、学童保育の指導員さんの処遇改善を自治体がやりやすくなるような通知を出すとか、何らかの取組、二年前にもこういうふうな通知を出していただいておりますので、御検討いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

松本国務大臣 会計年度任用職員の給与水準については、地方公務員法に定める職務給の原則等の給与決定原則にのっとり、適切に決定する必要がございます。各地方公共団体におかれては、放課後児童支援員の職務の内容や責任、職務経験等を踏まえ、補助金等の財政措置も活用しつつ、適正な処遇を確保する必要があると考えております。

 放課後児童支援員の給与水準につきましては、会計年度任用職員の中でも、現状、他の職種に比較して低い傾向にあるとの声もお聞きをしております。

 令和三年度に放課後児童支援員の処遇改善の補助金が創設された際にも通知を発出したことにつきましては今分科員からもお話がございましたけれども、今回の補助金の拡充を契機に、その職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識及び職務経験等を踏まえ、適切に決定するよう、地方公共団体に対して周知してまいりたいと思っております。

山井分科員 ありがとうございます。

 こども家庭庁、総務省、力を合わせてこの学童保育の指導員の方々の処遇改善に取り組んでいただきたいと思います。

 松本大臣、お忙しいと思いますので、御退席ください。

 それでは、学童の長期休暇、学校の長期休み、夏休みなどの給食の実施、このことについて、今までから推進をしていただいておりますが、それについてどのように今後推進していくのか。今要望した学童保育の指導員の方々の処遇改善とセットで、今まで以上に推進すべきではないでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブでの食事の提供状況ということで、昨年調査をいたしました。昨年五月時点でございますけれども、管内の放課後クラブにおける食事提供の実施状況について把握している自治体、その自治体さんの中にある全放課後クラブのうち、約二三%のクラブにおいて長期休業中の食事提供等の実施をしているということが把握をできたところでございます。

 その結果も踏まえまして、こども家庭庁では、昨年六月に、放課後クラブで食事を提供する際の留意事項でございますとか、経済的な困難を抱える家庭への配慮、発注業務を担当する職員に対する補助事業の活用などについて自治体宛てに通知を行わせていただいたところでございます。さらに、好事例の提供なども行ったところでございます。

 放課後児童クラブの長期休業中の食事提供につきましては、それぞれ、ニーズでございますとか職員の確保なども踏まえながら、各自治体、事業所において判断をしていただいて取り組んでいただいているということになってはまいりますけれども、今後とも、処遇改善の先ほどの事業の活用もそうでございますけれども、こうした食事の提供についても、自治体における取組状況なども把握をしながら、発注業務を担当する職員に対する補助事業の活用の働きかけなど、各種周知に努めてまいりたいと考えております。

山井分科員 是非とも推進を処遇改善とセットでお願いしたいと思います。

 次に、議題は変わりますが、ホームヘルパーさんの基本報酬の引下げ、これが大問題になっております。

 配付資料を見ていただきたいんですが、十一ページ。訪問介護の基本報酬の引下げで何が起こるか、撤回はあり得るか。そして、その次、結城先生の、え、うそだろう、ヘルパーの基本報酬引下げ、在宅介護は机上の空論へと突き進む。そして、その次、私の地元の京都新聞の社説でも、介護報酬改定、訪問サービス減額は疑問だ。それとまた、認知症の人と家族の会の鎌田松代代表からも、自宅で最期まで暮らし続けたい認知症の人や家族の願い、訪問介護サービス基本報酬引下げは自宅での暮らしを崩壊ということで、大反対、大反発、驚きの声が出ております。

 それと、その次のページ、十七ページ、十六ページ。UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査の中間報告が今出ておりますが、そこでいろいろと、カラーになっておりますけれども、これはホームヘルパーさんに対するアンケートですけれども、訪問介護等の基本報酬が下がったことをどう思いますか、八五・四%反対、一四・二%どちらかといえば反対。もちろん反対一色であります。そして、次のページ、十九ページの、処遇改善加算の加算率を高く設定したと厚労省が示す理由についてどう思いますか、納得できない九五・二%。そして、その次の二十一、処遇改善加算率を高くするだけで人材を確保できると思いますか、そう思わないというのが九〇・七%ということで。

 ここのまとめにございますように、介護クラフトユニオンの見解としても、十六ページにありますように、訪問介護員の賃金は、処遇改善加算だけで支払われるわけではなく、そのほとんどは基本報酬から支払われており、その基本報酬を引き下げることは暴挙と言っても過言ではない、訪問介護員の有効求人倍率は十五倍を超え、既存職員の高齢化が課題になっており、人材確保ができないことを理由に事業所の廃止が増加している、基本報酬を引き下げることにより、事業運営に不安を感じた職員の離職等で更に人材の確保が厳しい状況になる、人材確保ができずに事業所が廃止になれば、必要な訪問介護サービスを受けられない介護難民が増加し、介護離職者が増加するなど社会全体への悪影響も発生するということを介護クラフトユニオンは見解として発表されております。

 私も議員になった一つのきっかけは、元々高齢者福祉の研究者でありまして、二十八歳、三十年以上前から、老健局老人福祉課に行って、当時は辻哲夫老人福祉課長でしたね、事務次官をされました。その後、中村秀一さん、香取さん、今の事務次官の大島さん、今の保険局長の伊原さん、そして今の老健局長の間さん始め、歴代のすばらしい老健局長や課長さんと一緒に仕事をさせてもらって、私も高齢者福祉のことが一つのライフワークで国会議員になりましたけれども、なってからもこつこつ、厚生労働省の政務官として、民主党政権では、処遇改善加算を創設する担当の政務官として、長妻厚労大臣の下でやらせてもらいました。

 そういう私の立場からすると、今回のホームヘルパーの基本報酬の引下げはあり得ない、歴史的な大失策になると思います。残念ながら、もうホームヘルパーを辞める、あるいは事業所を統合する、事業所を廃止するという話がもう入ってきております、残念ながら。加算があるから云々、誤解なんだというのが厚労省の言い分なんでしょうけれども、残念ながら、実際問題として、やる気を失い、辞めるヘルパーさんが出つつあり、もう事業所を閉鎖するという計画が巻き起こっております。

 今回の基本報酬引下げが在宅介護を崩壊させる引き金を私は残念ながら引いてしまったと思います。やはりこの基本報酬引下げに関しては撤回をすべきではないでしょうか。いかがですか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度の介護報酬改定におきましては、全体でプラス一・五九%の改定率を確保いたしました。

 このうち、介護職員の処遇改善分で〇・九八%、残りの〇・六一%分につきましては介護職員以外の職員の賃上げが可能となるよう配分するとされている中で、訪問介護の現場につきましては、こうした職員の割合が低いといった事情がございます。また、訪問介護の事業所におきましては、介護事業経営実態調査におきまして、収支差率が介護サービス全体平均二・四%に比べまして七・八%となっていたところでございます。こうしたことを踏まえまして、基本報酬の見直しを行ったところでございます。

 他方で、報酬改定のうち、今申し上げました介護職員の処遇改善に充てるプラス〇・九八%分につきましては、全職員に占める介護職員の割合が相対的に高い訪問介護につきましては、見直し後の体系で一四・五%から二四・五%と高い水準の加算率を設定しているところでございます。これに加えまして、特定事業所加算でありますとか、あるいは認知症に関連する加算を充実することなどによりまして、訪問介護は改定全体としてはプラスの改定としたところでございます。

 こうした改定の趣旨の御理解をいただけるように、今後とも、御説明に努めるとともに、訪問介護につきましては人材確保が最も大きな課題でございますので、処遇改善加算の取得促進に努めてまいりたいと考えております。

山井分科員 申し訳ないけれども、理解することはできませんということがアンケート調査でも示されているんですよね。これは本当に歴史的な大失策をしてしまわれたと思っております。

 中村老健局長なども含めて、厚労省は在宅重視、在宅重視とおっしゃっていて、私も国会で二十四年間、そのことをずっとここで審議してきましたよ。ところが、ここに来てホームヘルパー基本報酬減額。在宅重視をやめる、もう訪問介護は捨てるというメッセージが伝わって、繰り返し言いますけれども、閉鎖する事業所、統廃合する事業所、辞めるヘルパーさんが出てきているんですよ、今回のニュースで。誤解とか理解してもらうじゃないんですよ。実際、ヘルパーさんが減って、事業所は減るんですよ。

 そのことを今すぐ食い止めるためには、先ほど言った基本報酬の撤回や、あるいは、それがどうしてもできないのであれば、今後、補正予算なり予備費なりを使って、何か、年度途中でも、やはりこのことに関しては、基本報酬引下げというのは、そんなつもりじゃなかったけれども誤解を招きました、やはりホームヘルパーさんを支えていきますよというメッセージを出さないと、繰り返し言いますけれども、十年、二十年後、日本で安心して暮らせない社会になったときに、あのときのあの介護報酬決定で日本の在宅介護は底が抜けて崩壊したね、これは申し訳ないけれども人災だねということになりますよ、残念ながら。

 そういう意味で、この方針を何らか撤回する方策というのを早急に講じないと、繰り返し言いますよ、もうヘルパーさんが、このアンケート、全部入れましたからね、読んでもらったら分かる、やる気をなくした、やっていられない、経営側ももう事業所閉鎖で動き出しているというふうになっているんですよ。何か方針転換すべきじゃないですか。いかがですか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘いただきました、地域包括ケアシステムを構築して、住み慣れた地域でできる限り暮らしていただくために、在宅サービスを整備していくという方向性に変更はございません。

 今般の介護報酬改定の影響等につきましては、介護事業経営実態調査などの各種の調査、あるいは調査研究事業等を通じまして状況の把握をしていくこととしております。

 また、処遇改善加算に加えまして、訪問介護人材を含む介護人材の確保あるいは離職防止に向けまして、令和五年度補正予算におきまして、ICTを活用した生産性向上の推進による現場の負担軽減あるいは職場環境の改善ですとか、小規模事業者を含む事業所グループが協働して職員募集あるいは事務処理の集約を行う場合に補助する、あるいは介護の仕事に対する理解促進、魅力発信に取り組むなど、総合的な対策も強化してまいりたいと思っております。

 訪問介護の請求事業所数は、私どもで統計を取っておりますと、平成三十一年以降増加傾向が続いている中でございますが、サービス提供体制の確保、介護人材の確保、離職防止を進めまして、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスが安心して受けられるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

山井分科員 そこが意味が分からないんです。在宅重視の方針を転換したわけじゃないと。いや、転換しているじゃないですか。日本中の人、みんなもうそう思っていますよ。ホームヘルパーの基本報酬を下げるということは、在宅、ホームヘルプ事業は軽視する、重視しないと、誰が考えたってそう思うじゃないですか。

 だから、私は、厚労省に言いたいのは、そんなつもりじゃないんですよね、もちろん分かっていますよ、ないのに、介護現場はもうそう思っちゃっているわけですよ。ということは、いや、そういうつもりじゃありませんよというのを、少し、加算がどうとかと説明するんじゃなくて、そのメッセージを出すには、やはりさっきも言ったように、この方針を撤回するなり基本報酬を上げるなり、何らかの新たな、ホームヘルパーを重視していますという新たな方策を打ち出さないと、在宅重視ということは変えたということになっちゃうんですよね。

 もうこれは答弁は時間がないのでいいですけれども、ここはやはり重要ですよ。私、議員になる前、ホームヘルパーさんと一緒に在宅に回ったり、スウェーデンにも二年留学しましたし、老人ホームでも三、四か月実習もしましたし、いろいろなことをやったけれども、介護職員さんというのは、処遇が悪い中で、必死になってお年寄りや家族のために頑張っているんですよ。その人たちは給料のためにやっているんじゃないんですよ、気持ちでやっているんですよ。その気持ちを打ち砕くようなことが今回のことだと思います。とにかくこれは、我が党も申入れもしますけれども、善処していただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になりますけれども、話は変わりますが、今回、二月二日に衆議院の予算委員会理事会で合意をしまして、今日も私ここに、マイボトルに地元の宇治茶を入れてきているんですけれども、今までは水か白湯しか、お湯しか駄目だったんですけれども、マイボトルに入れたら、コーヒーでも紅茶でも、緑茶でも抹茶でも玉露でも煎茶でも飲めるようになりまして、私も、予算委員会の最中、これを飲みながら質問させていただいております。

 これは、例えば、ちょっと言いづらいけれども、本当に言いづらいんだけれども、冷たいものを飲むよりは温かいものを飲んだ方が体にいいんじゃないかというような意見もありますし、また、例えばお茶を飲めば穏やかになる、和やかになるというようなこともあって、そういう意味では、もちろん強制する気は全くありませんけれども、こういう国会審議の中でも、もちろん、水を飲みたい人、コーヒーを飲みたい人はコーヒーでいいですけれども、飲みたい人はもっとお茶を飲んで議論をすれば、実りのある充実した議論が和やかにできるし、また、これは脳の活性化の効果もあると言われているんですね。

 そこで、農水省さんにお伺いしたいんですけれども、こういうお茶の効用、健康効果、そういうふうなことをどう捉えておられて、今後どうそれを、抹茶、煎茶、玉露、PRして普及啓発していこうと考えていられるのか。また、茶業振興やお茶の振興の予算の拡大、こういうふうなことについて農水省の見解をお伺いしたいと思います。

佐藤(紳)政府参考人 お答えいたします。

 お茶にはカテキン類やテアニンなどの機能性成分が含まれており、緑茶カテキンの体脂肪低下作用、テアニンの抗ストレス、リラックス作用などについて研究成果が報告されていると承知しております。

 お茶の需要拡大に向けては、委員御指摘のとおり、こうした健康効果の普及は重要であり、農林水産省では、ウェブサイトやSNSで発信するほか、民間団体が行うお茶の機能性成分に関する様々な研究成果を取りまとめた冊子の作成、公表なども支援してきております。

 農林水産省では、お茶の需要拡大や新たな需要に対応した新品種への改植による生産体制の強化、輸出の拡大などに必要な予算を計上しているところであり、今後とも、茶業の振興にしっかりと取り組んでまいります。

山井分科員 お茶は日本の文化でもありますし、健康にもいいですし、世界的に抹茶ブームでありますし、繰り返して言いますけれども、私も昔、松下政経塾というところにおりましたけれども、松下幸之助塾長も毎日三時ぐらいにはお抹茶を飲んで、それで脳が活性化するといっておっしゃっておられましたし、様々ないい効果がありますので、もちろんコーヒーにもいい効果はあると思いますけれども、こういうことを国会の中でも、より多くの方が飲みながら審議をしていく、そういうことによって国民の幸せにつながる審議ができるのではないかと思います。

 今日はどうもありがとうございました。終わります。

宮路主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)分科員 国民民主党の田中健です。本日はよろしくお願いいたします。

 冒頭、山井議員からお茶の話がありましたが、私も静岡の出身でございまして、お茶の産地であります。今日も朝、山井議員と一緒にお茶を飲んで一日のスタートをさせていただきました。是非、皆さん、お茶振興に御協力をよろしくお願いしたいと思います。失礼をいたしました、冒頭、御挨拶をさせていただき、今日は大臣にもお越しをいただいておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 今日は、まず、消防団についてお聞きをさせていただきます。

 消防団は、言わずもがな、日夜、地域の安全は自分たちで守るという強い信念と、また高い志の下、地域で頑張ってくれております。私も、東京にいた頃、消防団に所属をしていた時期もあります。

 しかし、この消防団の数が大変なことになっています。直近の令和五年四月一日時点では七十六万人と、八十万人を切る数でありまして、昨年比は二万人減であります。これが二年間も続いており、団員減少に歯止めがかかっておりません。さらに、直近十年間の入団数の推移を見ますと、二十一歳から四十歳という、まさに一番消防団員としても働き盛り、また活躍してほしいという世代の減少が顕著であります。つまり、若年層の消防団離れというのが進んでいることになります。

 もちろん、政府としても対策を進めてきておるのは重々理解をしております。処遇改善ということで、報酬改善を進めてきていただいておりますが、なかなか成果が表れていないということです。

 消防団においては、昔は地域の商店街や、また地域に住む方々が中心となっておりましたが、今やサラリーマン、被用者の割合が七三・九%と、ほぼ多数を占めております。共働きや子育て世代、まさに勤労者の世代の対策というのが必要かと思っています。そのためには、やはり、働いている企業側にも、そして働いている自身の従業員にも共にメリットがあるなど、何か入団のインセンティブを更に進めていかなければ、この歯止めはなかなか、収まっていかないということを思っています。

 まず、大臣には、団員減少の理由というのをどのように認識し、分析をしているのか、また、入団促進へ更なる取組というのを必要と考えておりますが、見解を伺います。

松本国務大臣 今分科員御指摘のとおり、消防団員数は残念ながら年々減少しておりまして、特に、これも今お話がございました、二十一歳から四十歳の入団者数の大幅な減少ということも見られるところで、大変私としても重大かつ喫緊の課題であるというふうに認識をしているところでございます。

 考えられる主な理由は、社会全体の人口減少や少子化の進展に加えまして、おっしゃったように、働き方が変わって被用者の割合が高まる、若年層の方々の価値観が変わってきたなどが考えられるかというふうに思っております。

 こうした状況を踏まえて、消防団員の確保に向けましては、消防団の意義などを御理解をいただく、入団促進に向けた広報や機能別団員制度の活用促進など、消防団として参加をいただく形を多様な形にできるように様々な対策を講じているところでございますが、その中で、今、働いている勤労者の方への対応をどうするのかという御指摘であったかというふうに思っております。

 雇用されている企業に対してということで、消防団活動に協力する企業を認定する消防団協力事業所表示制度というものを設けておりまして、令和五年四月現在、千三百五十八市町村で導入されております。地方公共団体におかれては、認定を受けた協力事業所に対して、入札参加資格の加点、金融面での優遇など、様々支援策を講じていただいております。

 私としても、消防団員の更なる確保に向けて去る二月六日に全国の都道府県知事、市町村長に対して書簡を出させていただき、消防団員がやりがいを持って活動できる環境づくりなど、消防団の更なる充実に向けた一層の取組をお願いさせていただくとともに、企業との連携による入団促進の取組なども含めた優良事例集を作成して、併せて周知させていただきました。

 令和六年度には入団促進マニュアルを作成予定でございますが、実際に消防団に入団したメリットとして、防災や救命に関する知識やスキルが身につくといった点を挙げる声もいただいていることから、こうした点についてもマニュアルに盛り込むなど、今後とも、様々な施策を通じて消防団員の更なる確保に向けて取り組んでいかねばならないと考え、進めてまいりたいと思っております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 大臣からも、重大で喫緊の課題だという認識は同じだと思っておりますが、しかし、協力事業所、確かに始めた頃は参加があったんですけれども、ほぼ横ばいで、今変わっておらない。さらに、冒頭申し上げました、減少が止まらないということでありますから、是非、あの手この手、全てやり、私としては、例えば消防団控除もするぐらいの、何かできる手を全て考えていただきたいと思っています。現場は本当に、今歯止めをかけないと消防団がなくなってしまうんじゃないかという大変な危機感があることを、是非大臣には御理解いただきたいと思います。

 その中で、担い手の確保ということで進めていきたいと思いますが、この間、女性団員を増やしたり、また学生や機能別団員、先ほどもお話をいただきました。また、昨今では外国人などの様々な主体の活用も進めているということも承知をしています。昨年も、学生と機能別団員で三千四百二十八人増ということで、全体の一割を占めるまでとなりました。

 確かにそのような推進というのは進めるべきではあるんですが、やはり、地域からは、南海トラフ等大地震がこれから想定される中で、消防の果たす役割は極めて重要になる一方、通常の団員ですね、やはり一般団員というのがいないと災害対応には十分なマンパワーを供給できない、対応できないという声も上がっています。

 多様な主体とともに、やはり、基礎となる通常団員、これをどのように確保していくかということにはどのようにお考えか、お聞きをします。

五味政府参考人 年々減少する消防団員を確保するためには、様々な担い手の確保が重要であり、消防庁といたしましても、女性や学生の入団促進、機能別団員制度の活用促進などに取り組んでいるところでございます。

 特に、今後発生が危惧される大規模災害に備えるためには、マンパワーの確保が重要でございます。機能別団員、機能別分団制度につきましては、基本団員を補完する制度として位置づけているところですが、団員数が年々増加しており、現在約三万五千人となっておりまして、その中には、主に大規模災害時に参集して火災や風水害等の対応に当たる団員もおられます。

 今後とも、大規模災害への対応も視野に置きつつ、基本団員を含めまして幅広く消防団員の確保を図りますとともに、自主防災組織を始め様々な主体の参画、活用を図りながら、消防団を中核とした地域防災力の確保、充実に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

田中(健)分科員 一方で、地方自治体では、数を増やそうと今、また確保しようとは言っていただいたんですけれども、定員数の削減というのが相次いでいます。

 消防団の定員数、これは定員割れをしているので、よく充足率というのが話題となりますけれども、この定員数というのは基準が、消防基金に支払う団員の退職金や公務災害の補償金の掛金を支払わなきゃならないということが法律に明記をされています。そして、その掛金が経費として、それを削減するために、今、定数削減条例を提出する自治体が相次いでおります。

 もちろん、自治体によってそれぞれの定数というのは決めることは認められておりますけれども、しかし、それが、経費がもったいないからということで定数を削減しているとするなら本末転倒じゃないかというふうに私は思っておるんですけれども、この現状を総務省はどのように考えているのか、伺います。

五味政府参考人 消防団員の条例定数の合計は、令和五年四月一日時点で約八十八万五千人と、前年に比べて約一万三千人減少している状況でございます。

 御指摘のとおり、消防団員の退職報償金に係る負担金につきましては、条例定数に基づいて掛金が算定されておりますが、一方で、同じく条例定数に基づきまして、それに応じた額が地方交付税で措置されているところでございます。

 こうした財政措置も踏まえつつ、消防団の条例定数の設定、変更につきましては、地域の実情を考慮しながら、必要な消防防災体制が確保できるように、市町村において適切に判断されているものと認識しております。

 なおまた、消防団員の年額報酬に係る地方交付税措置につきましても、令和六年度から拡充を行うこととしておりまして、これらの消防団員に係る地方財政措置につきまして市町村に十分周知することによりまして、消防団員の処遇改善を促進いたしますとともに、地域防災力の中核を担う消防団員の確保が図られるように取り組んでまいります。

田中(健)分科員 地方交付税で措置するならば、実数でいいんじゃないかと思っているんです。

 というのも、自治体が分かってこれをやっているのかと思うんですけれども、ちょっと調べただけでも、例えば関市というところでは、定数千二百五十を九百八十人にした、なぜかというと年間四百万円余計に支払っていたからだ、これで浮くんだというふうに言っていまして。更に調べますと、大垣市、隣ですけれども、今回も八十人減らした、年間百七十万、これで削減できたというふうに、各自治体が相次いでいます。

 一方で、もちろん、定員を増やすんだ、募集するんだという、大臣からも決意がありましたし、参考人からもあったんですけれども、やはり、経費を削減するために定数を減らすというのではちょっとおかしいんじゃないかというのと、やはり現場からも、私たちに増やせ増やせと言って、そして、人数がこれから大地震に必要だと言っていて、どうなんだという声が上がっているんですね。

 仕組み的には、今、その減った分は交付税措置で返してくると言うんですけれども、そもそも実数でこれを徴収するということはできないんでしょうか。

五味政府参考人 分科員の御指摘のとおり、現在の仕組みとしては、条例定数に基づく掛金の支出であり、それに見合う財源措置ということになっているわけでございます。この点をなかなか市町村の現場の方で御理解いただけていない面もあろうかと思いますので、十分周知してまいりたいと思いますし、市町村の方でどのようなことでお困りなのか、その辺り、市町村のお考えにつきましてもお話をしっかりと聞いてみたいというふうに思っております。

田中(健)分科員 これは法律が問題なのか、若しくは今言った地方自治体の理解が、ないしは相互の話合いが進んでいないのか、理由はちょっと今の答弁では分かりませんけれども、しかし、全国の自治体で、今このようにして定数削減が起きている。私の自治体でもそうですが、地元自治体も今進めているんですけれども、これは是非、ちょっと検討をしていただきたいと思っております。

 時間がありますので、次に行きます。

 そして、団員数確保の中で、やはり大きな一つ課題となっていたのが、操法大会に向ける操法訓練です。これは、私も団員のときは夜間の訓練をしておりましたけれども、地域によっては早朝にしたり、また週三回も四回もということで、大きな負担となり、これまで課題となってきました。この操法大会の見直しというのが昨年全国に通知をされたということであります。全国でどのような取組が進んだのかを伺いたいと思います。

 一方で、変更点には、今まで規律とか、つまり指の先まで見たり、また列の線まで見たりとか、大変実務とは関係ないところが評価をされていたのが、そこが大きく緩和をされたということでは前進かとは思うんですけれども、しかし、一方で、操法は、水を出すためには、ポンプをつないで、またエンジンをかけてということで、基本操作も全て網羅をされているとも言われています。実際、私もそうでした。コロナ禍で三年間もやらないと、水の出し方も分からなくなってしまうということも一方ありますので。現場の声も上がっています。

 そういった両方の考えがありながら、目標を持ちながらも、実践に即した操法訓練の在り方というのが求められると思っています。

 そんな中で、私の地元富士宮市では、先日、中央消防署の指揮隊、署の職員と、また方面隊の合同訓練が実施をされまして、消防署のタンク車と消防団のポンプ車を中継して水を送る、合同中継送水訓練と言っておりましたけれども、このような訓練が行われていました。同時に、署の方と団員が無線の連絡の確認等もしておりまして、消防署と団とが連携強化、また知識を深めながら進めていくという取組は大変すばらしいなと思っておりましたが、それらも含めて、この訓練内容の見直しについての見解を伺います。

五味政府参考人 操法大会の在り方につきましては、消防団員の処遇等に関する検討会におきまして、操法大会を前提とした訓練が大きな負担となっている、大会での行動が形式化しているといった指摘があったことを踏まえまして、令和四年開催の全国消防操法大会から、パフォーマンス的、セレモニー的な動作を審査対象としないなどの見直しを行ったところでございます。

 また、都道府県や市町村の操法大会におきましても、全国大会と同様の審査基準の見直しが行われましたり、平素の訓練で使用している資機材を活用したより実践的な訓練を行ったり、また、消防本部の協力による効果的な訓練を行うなどの取組、さらに、負担軽減につながるものとして、大会の隔年開催や開催時期の見直し、また順位をつけない発表会形式での開催など、各地域において様々な取組が行われているところでございます。

 さらに、操法訓練以外にも、実践に即した訓練によって災害対応能力の強化につなげていくことも重要でございますので、御指摘の取組事例のほかにも、例えば、消防隊員の指揮の下で消防団が林野火災の消火活動を行う訓練など、消防本部と連携した取組が行われている地域もございます。

 今後とも、地域における優良事例の横展開を通じまして、操法大会の適切な実施、実践的な訓練の充実等によりまして、消防団の強化に努めてまいりたいと存じます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 地域によっては、災害、火事だけではなく、風水害を始め様々な対応を求められているところもありますので、現場に即した、また地域に即した訓練内容を提示してもらいたいと思いますし、操法大会においては、更なる見直しを随時進めていただきたいと思います。

 そんな中で、今、ドローンの必要性や、また関心が高く、この活用を望む声も大きく上がっています。少しずつ配置もされているというんですが、まだまだこれは進んでおりませんで、ドローン配置と併せて、操縦の技術の習得や、また、映像情報を基にした災害対応の講習ですね、やはり、消防団は単に消防訓練をしているだけじゃない、ドローンの操縦も学べるんだと。先ほど様々な技術が習得できると言いましたが、こういったことも若い人は大変興味があるということもお聞きをしていますので、是非、この講習など、また訓練などを積極的に取り入れていただきたいと思いますが、見解を伺います。

五味政府参考人 災害時等においてドローンを活用することによりまして、危険な場所に立ち入ることなく現場の状況を把握することが可能となることから、消防団員の安全確保と災害対応能力の向上に資するものであると認識しております。

 こうした認識の下、消防庁では、消防団へのドローン配備を緊急防災・減災事業債の対象としているほか、消防団施設整備費補助金の補助対象にドローンを追加いたしまして、消防団におけるドローンの整備及び活用を促進しているところです。

 また、全国の消防学校におきまして、消防団員を対象としたドローン講習を実施しておりまして、この中で、操縦技術に加えまして、ドローンから転送された映像を基に捜索を行う実践的な訓練も行っているところでございます。

 さらに、消防団の力向上モデル事業によりまして、ドローンの操縦技術の習得等の地方公共団体の取組を支援するなど、消防団におけるドローンの実践的な活用を推進することによりまして、消防団の災害対応能力の向上を図ってまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 是非これは全国で進めていただきたいと思います。私も、ドローンの講習ができるとか操縦訓練ができるといえば、行ってみたいなというふうに思いますので、そのようにして、一人でも、消防団が魅力ある場所であるということをアピールしていただければと思います。

 最後に、消防団組織のガバナンスに関して伺いたいと思います。

 消防団においては、住民からの協力金ということが問題視を過去からされてきました。これは、いわゆる町会で集めて、それを自治会から消防団に渡すというような形で、私の生まれ故郷でもそのような活動をしていました。

 地域のコミュニティーと深く関わり、消火や救助以外の地域を担うことを期待されているのが消防団であります。特に地方はそうであります。例えば私の地域は、プールの掃除をしたり、もちろんお祭りの警備や行事の警備ということに本当に一生懸命やってくれておりまして、青年団のような活動をしています。ですから、私は、自治会や町内会の財源、それを地域住民が負担をするということは合理性はあるとは考えておりますが。しかし、自治体によっては、違法になる可能性があるからやめてくれといって突然廃止をされ、もちろんそれは議論の上、決まったんでしょうが、現場は、なぜ、今までそのようなことが認められたのに突然なくなるんだという、特に団員の方から、大きな不安や、また不信の声が上がっています。

 一方で、そのお金を飲食等に使って、それが、余りに過度じゃないのか、飲み食いしてばかりじゃないかという極端な例があることも事実です。それはそれで慎まなきゃなりませんし、それはしてはいけないことではあるんですが、そういうところが一緒になってしまって、私は消防団の方が一緒くたに見られてしまうということはよくないと思いますし、また、先ほど、消防団をもっと皆さんに理解してもらうという意味では、もちろん消防団は準公務員であります、そしてしっかりと報酬もいただいておりますが、しかし、地域の活動もやっているんだということ、これをやはりしっかりと住民に理解をしてもらうことも必要であるかと思っています。

 ですから、寄附の在り方、考え方を伺いたいと思いますし、これはグレーだということも言われますけれども、グレーで片づけることなく、やはり堂々と消防団員が胸を張って活動できるような環境整備を整えていただきたいと思いますが、見解を伺います。

五味政府参考人 先ほどの答弁の中で、補助金の名称についてちょっと間違いがございまして、消防団設備整備費補助金の誤りでございました。謹んで訂正させていただきます。

 寄附金に関しましてでございますが、自治会や地域住民からの消防団に対する寄附金の取扱いにつきましては、その目的を十分に踏まえるとともに、個別の法令その他社会規範に留意しつつ、住民に対する説明責任を適切に果たせるよう、地域の実情を踏まえ、各市町村において適切に対応することが適当であると考えております。

 なお、寄附の目的が、当該市町村において消防団が業務として行う地域貢献活動等の経費に充てる場合には、消防組織法上、消防団は市町村の一機関でございますので、市町村がこれを受領し、歳入歳出予算に計上の上、当該寄附目的に沿って使用されることが適当であるというふうに考えております。

田中(健)分科員 是非、地方自治体にもしっかりと理解を求めていただきたいと思います。

 私は、やはり寄附は、強制ではいけませんけれども、任意でしたら私もしっかりと負担をしたいと思いますし、また、使途の透明性も確保して、そして消防団の公務外の貢献に関する価値というのをしっかり伝えていくのが前提だと思っておりますので、是非ともお願いをしたいと思っています。ありがとうございます。

 最後は、がらっと変わりますけれども、LINEの情報漏えいについて伺いたいと思います。

 私は、十二月の予算委員会で、LINEの個人情報漏えい問題を取り上げました。岸田総理からも、これは大変遺憾だということで、総務省は適切な利用周知や原因究明を求めているということであります。

 その後、電気通信事業法の規定に基づき、一月九日、十七日に詳細な事実関係について報告を求めたということを聞いておりますが、その結果はどうだったのかをまず伺います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、事案内容の正確な把握や原因究明などの観点から、総務省において、電気通信事業法の規定に基づき、同社に対して本年一月九日及び同月十七日付で報告徴収を行ったものでございます。

 LINEヤフー社からは、一月三十日付及び二月六日付で報告書の提出がございまして、漏えいした情報の件数、内容などの影響範囲や同社が受けたサイバー攻撃の経路などに関する事実関係、同社の業務委託先に関する管理監督の内容、同社と他者との認証基盤の共通化に関するLINEヤフー社としてのリスク認識の有無などについて報告を受けております。

 現在、総務省において、受けました報告内容を精査しておりまして、その結果を踏まえて、必要な対応を早急に実施してまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 十二月にこれを取り上げて、さらにまた今年の一月十四日にも、その後の調査で新たに漏えいがあるということが発表されております。そして、二月十四日、まさに、報告を総務省にした後に、再発防止策をまとめ、LINE側からも発表しています。

 この中身について、政府はどう評価をしているのかということです。何が問題で、その対策が取られて、安心して使えるという環境は整ったんでしょうか。どうでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のとおり、LINEヤフー社において、二月十四日に、委託先管理の強化や関係会社との間で共通化していた認証基盤の分離などを内容とする再発防止策を発表されたということは承知しております。

 現在、総務省においては、先ほど申し上げましたLINEヤフー社からの報告内容を踏まえながら、同社が発表した再発防止策の内容がこの種の事案の発生を確実に防止するため十分なものと言えるのかなどにつきまして、詳細な検討を行っているところでございます。

 総務省としては、これらの検討結果を踏まえ、法令に基づき、必要な対応を早急に求めてまいります。

田中(健)分科員 対応はこれからということなんですけれども、LINE、これまでの対応を見ると、私はとても今のままでいいと思えません。業務委託の管理徹底、従業員が利用するシステムのセキュリティー強化ということは、私もこのLINEが発表している報告書を見ましたけれども、これも何度も言ってきたことです。何度目なのかと言いたいと思います。

 令和三年には、個人情報流出の際に、個人情報保護委員会も、報告徴収、立入検査まで実施しています。必要な指導も行ったということだったんですけれども、しかし、昨年八月、ヤフーが検索情報の位置情報をネイバー社に提供していた、そして総務省から行政指導した。しかし、それをほごにする形で、また十一月に情報流出が発生した。そしてまた、今回追加で漏えいが見つかった。私は、真摯な対応をしているとはとても思えませんし、対策が進んでいるとも思えません。

 政府の調査によれば、政府の機関の七八・二%、地方を見ても、地方公共団体も六八・四%がLINEを業務利用しています。話の中には、機密情報の取扱いや住民の個人情報を扱う業務も含まれているとのことです。そして、現在、各省庁が管理をするLINEアカウントは二十八にも及びます。私も、LINEで申込みをしたり、情報提供を受けたりしています。国民は、推定では九千五百万人、ほぼ、多くの国民が使う生活インフラとなっており、しかしながら、使うか使わないかというのは、使わないわけにいかないわけですね。それで、自分では防ぎようもないわけです。

 私は、国も、対策が徹底されるまで政府や自治体は利用しないというぐらい、実際には大変難しいんですけれども、そのくらい強い姿勢を見せて、総務省も危機感を持って取り組まないと安全に利用ができない、そして、今様々な、国内クラウドを始め、整備を政府としても進めていますが、それとの整合性も合わず、不安が広がってしまうと思いますが、是非ここの対応については大臣からの考えと決意を伺いたいと思います。

松本国務大臣 今委員からも御指摘がありました、令和三年三月に、やはり、外部から利用者の情報にアクセスできる状態にあった事案が発生をいたしまして、総務省から行政指導をさせていただきました。

 加えて、この事案に関して、政府全体としても、政府機関や地方公共団体等におけるLINEサービスの利用実態を調査し、LINEサービスを公共利用する際に参照すべきガイドラインを取りまとめたところでございまして、この点については委員も御案内のとおりかというふうに思います。

 そのような中で、今般、LINEヤフー社において、通信の秘密を含む情報の漏えいという重大な事案が発生したことは大変遺憾であります。総務省として、早急に必要な対応を実施し、同社に対して再発防止を求めることで、利用者利益の保護を図りたいと考えております。今お話がありましたように、必要な対応を実施した上でのフォローアップも重要であるというふうに認識をしております。

 また、同社は、経済安全保障推進法に基づいて、特定社会基盤事業者として指定を受けたところであり、経済安全保障の観点からも、基幹インフラ役務の安定的な提供に向けた十分かつ実効的なリスク管理措置が取られているか、しっかり確認をしてまいりたいと考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 大臣はそこまで理解をしていただいており、しっかりした対応を取るということを言っていただきましたので、やはり、生活インフラと申しましたが、毎日使うものでありますし、自分たちではどうしようもできないことでもあります。是非対応をお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて田中健君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島分科員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、郵政事業につきまして、松本大臣、かつての尊敬する同じ党の先輩でありましたけれども、胸をかりるような思いで質問させていただきたいと思っております。

 私の母方の祖父の実家は広島県の山奥で、明治以来、郵便局長を昔やっておりました。今はやっておりませんけれども。役人時代も中央省庁再編で郵政事業をどうするかという議論を行ったり、民主党政権時代には、いわゆる小泉郵政改革の波に浪人中は翻弄されたりということで、この事業に様々関わってまいりました。

 まず第一点、大臣に御確認したいのは、郵政事業として最後まで維持しなければならない重要な価値というのは一体何と考えるか。担当大臣として、また政治家としての松本大臣の思いをお聞かせいただければと思います。

松本国務大臣 委員も御案内のとおり、ちょうど能登半島におきましても昨日から郵便の配達が行えるようになったということで、大変国民の皆様の生活に関わる郵政事業であるというふうに認識をしているところでございます。

 郵政事業につきまして、日本郵政グループの経営方針として、郵便、貯金、保険の三事業をコアビジネスとして位置づけておりまして、総務省としても、地域での公的役割を担う郵便局における三事業一体でのユニバーサルサービスの提供と、そのための郵便局ネットワークの維持に取り組んでいるところでございます。

 特に、日本の地域社会において人口減少が進む中で、地方をしっかりと支え、活力を取り戻していくことが大変重要でございまして、これまでも、歴史的な背景から公的使命を理解されておられる全国二万四千局の郵便局の皆様により郵政サービスの提供を通じた公的な役割を担っていただき、こうした公的な役割こそ最後まで維持すべき郵政事業の重要な価値だというふうに考えております。

 総務省といたしまして、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう、しっかり支援いたしたいと思っております。

福島分科員 ありがとうございます。

 全く私も同感でありまして、二〇一二年の民主党政権時に与野党合意をして実現した改正郵政民営化法の中でも、あまねく全国において公平に利用できることが確保できるよう郵便局ネットワークを維持するものと七条の二第一項で掲げ、第二項では先ほど大臣がおっしゃった公益性、地域性というものが掲げられておりますし、これは日本独特のものではなくて、万国郵便条約の中でも、第三条一項で、加盟国は、全ての利用者がその質を重視した郵便の役務を加盟国の領域の全ての地点において恒久的に、かつ合理的な価格の下で受けることができるような普遍的な郵便業務の提供を受ける権利を享有することを確保するとありますから、万国共通の価値観なのだというふうに思います。

 そこで、産経新聞が一月六日に報道いたしましたけれども、自民党内の議連だと思いますけれども、金融二社の株式の完全売却を修正する法案が検討されているという報道がなされました。二月八日に予算委員会で城内委員が質問して、松本大臣が答弁に立って、三事業一体での経営などの観点から議連におきましても様々な御議論がなされていることと承知しておりまして、政府としてもそのような御意見を踏まえつつ郵政事業の安定的かつ継続的な提供を確保することに努めてまいりたいと答弁しておりまして、方向性において大きな異論がないというように見受けられるんですけれども、そのようなことでよろしいでしょうか、大臣。

松本国務大臣 私どもとしては、委員も省庁の公務員でいらっしゃったからよく御理解いただけていると思いますが、政府としましては、立法府、国会における議論を踏まえた上で政策を展開していくということになりますのでそのような趣旨で、各政党間における議論をしっかりと注視させていただき、またそれぞれの意見にどのように対応するかということを真摯に向き合っていきたいという趣旨でお話しさせていただきました。

福島分科員 政府にいる政治家としては、そのような答弁になるかと思います。

 ただ、令和三年の郵政民営化委員会の意見では、日本郵政グループによる全株式処分に向けた決意を強く支持するとしておりまして、大体三年に一回新しい意見が出てきますから、令和三年ですから令和六年、今年の春頃を目指して郵政民営化委員会で更に意見が取りまとめられるかと思います。そうした中で論点として金融二社株式の早期処分に向けた道筋ということが議論され、間もなく意見が取りまとめられるんですけれども、これはこれでまた、国会あるいは政党の議論には影響されない独立のものと考えてよろしいんでしょうか。

松本国務大臣 郵政民営化委員会では、郵政民営化法に基づいて、有識者や関係者の御意見を幅広く伺いながら、郵政民営化の進捗について三年ごとの検証を行い、政府に対して意見を述べることとされておりまして、現在、郵政民営化委員会において、本年度内を予定している意見の取りまとめに向けて審議いただいているところと承知いたしております。

 自民党内においては、先ほど申し上げたように、委員からもお話がありましたように、金融二社の株式処分が進むことで日本郵政グループの経営基盤の確保が難しくなるのではないかとの懸念のお声もあって、自民党内で様々、議員立法も含めて検討されておられるようでございます。

 様々な観点から御意見を伺うのは、郵政事業が身近な存在であって、また、大きな期待をいただいていることもその背景にあるというふうに受け止めておりまして、総務省としては、安定的かつ継続的な郵政事業の維持発展に努めていただきたいと思っております。

福島分科員 ちょっとよく分からなかったですけれども、先ほどの第一問目の大臣の答弁からすると、立法府の議論あるいは政党側の議論が郵政民営化委員会の意見をオーバーライド、乗り越える可能性もあると考えてよろしいでしょうか。

松本国務大臣 様々政策を決定していくに当たっては、政党間での御議論はもちろん大変大切でありますし、審議会など有識者のお声も大変大切な中で、政府として考えをまとめさせていただいた上で、立法に当たっては国会での御審議をお願いした上で決まっていくものと考えております。

福島分科員 注意深い答えですけれども、思いは大体分かったような思いであります。

 さて、昨年の年末、十二月十八日に、定形郵便の封書が八十四円から百十円に、はがきが六十三円から八十五円に。ちっちゃいように見えますけれども、三割値上げですから衝撃です。私のメールアドレスには、今年から年賀状は紙じゃなくてメールにしますというのが、膨大なメールが殺到いたしました。

 最近は土曜日や翌日の配達がなくなって、ポストに入れてもいつ届くか分からないから郵便局が使えないんだよなんという声も私の元には届いております。

 昔はよく豚の貯金箱に硬貨を入れて、それを郵便局に貯金するんですけれども、昔は無料だったんですけれども、二〇二二年以降は有料になって、四月からちょっと緩和されるようでありますけれども、かつて無料だったのが有料になったりしております。

 昨年五月、日経新聞のインタビューで日本郵政の増田社長は、郵便局は四〇年が一つのタイミングになる、地方だけでなく都心も整理が必要になるといって、今後の郵便局の大幅な整理を示唆するような声もあります。

 正直言って、郵政民営化して何もよくなっていないというのが多く届いている声だし、ここにいらっしゃる政治家の皆さんにもそういう声は届いているのではないかと思います。

 日本郵政グループがディスクロージャー誌の統合報告書でグループ総合満足度は七割を超える高い満足度といって、レクのときに説明を受けましたけれども、確かに、窓口の郵便局員の方は頑張っていらっしゃるから、郵便局の対応については皆さん不満がないと思うんです。ただ、あれだけ大騒ぎして国民を二分して行われた郵政民営化で果たして郵便サービスはよくなったのかと問われれば、肌感覚としてなかなか、いいと言われる方は少ないんじゃないかと思うんですけれども。

 大臣、政治家として日常地元にいらっしゃる中で、郵政改革の成果として今の郵政事業は国民に満足を与えられているとお考えでしょうか。思いをお答えください。

松本国務大臣 民営化によりましてできるようになったことというのもあるというふうには理解をしておりまして、民営化以降、日本郵政グループはサービスの質の向上に取り組まれておりまして、例えば、郵便、物流事業で他社と連携をする、また、レターパックやはこぽすなどの新サービスを始める、生命保険事業でも新商品の取扱いを開始するなど、利用者の利便性向上ということには努めておられるというふうに考えているところでございます。

 今、郵便料金の見直し、値上げのこともございました。郵便事業の安定的な提供を継続することを目的としているわけでございますけれども、御案内のとおり物価が上がってくる中、私どもとしても、コストカット経済から経済の好循環を目指すという意味で、そのような御理解をいただきながら、郵便料金を見直しつつ、更に御利用いただけるように、サービスの質の確保、向上にも努めていかなければいけないと思っております。

 郵便局としては、公的使命を御理解いただいているということもあって、グループの不動産を有効活用して自治体と連携した保育施設や高齢者福祉施設を開業するなど、地域住民のニーズに応える取組もしていただいていると思っております。(福島分科員「ありがとうございます、もういいです」と呼ぶ)はい。

 一点だけ、郵便局ネットワークについてですが、先ほどの増田社長の御発言については国会でも御審議がありましたが、特に賃料の高い都心部の郵便局の在り方について言及をしたものというふうに説明があったと理解しております。

福島分科員 今の答弁は全部役所が作った答弁だと思うんですけれども、顧客目線じゃないんですよ。全部が会社側の目線からの宣伝なり言い訳であって、私は地元の郵便サービスをこれまで利用している人の目線ではないと思いますので、今の答弁は大臣がふだん地元で聞いている話から受けた本意ではないというふうに勝手に受け止めさせていただきたいと思っております。

 そうした中、令和三年の郵政民営化委員会の意見の中ではこう書いております。日本郵政グループは相次ぐ不祥事や業績の低迷により危機的状況にある、郵政三社の株式上場以来続いているグループの全体の減収、減益の傾向に歯止めがかかっておらず、金融業、とりわけ銀行業の収益力の低下によりグループ全体の収益力は確実に低下している。

 今でもこの状況は変わっていないと考えるか、端的にイエスかノーかで、どうぞ、政府参考人の方、お答えください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政グループ全体での収益の状況は、前回の意見書以降も減少傾向を続けており、この三年間も減少傾向にございます。

福島分科員 ありがとうございます。その傾向は変わっていないことを確認いたしました。

 結構無理な経営によるひずみも出ているんですね。不祥事の話が書かれていましたけれども、皆さん御存じのように、二〇一九年にはかんぽ生命による不適切保険販売が大きな社会問題になりましたし、ゆうちょ銀行の方でも投信の販売が不適切であったと言われておりますし、つい最近、昨年は、経済産業省の調査で、日本郵便は物価高での取引先への価格転嫁が最低評価。ブラック企業との汚名を着せられております。

 地元でもいろいろな意見を聞いておりまして、ノルマのきついかんぽ生命はどんどんどんどん人が辞めていっているとか、日本郵便で配達要員が圧倒的に人手不足で、アルバイトも入らないし、正社員も入らない、ブラック企業ぶりが嫌われていて人が寄りつかない、現役の俺らは七十歳になってもこの仕事を辞めさせてもらえないんじゃないかとか、一番の繁忙期の年末は休みも取れず、寝ることもできず、もう忙し過ぎて地獄だとか、いろいろな状況があって、働く現場は大変な状況にあるという声が私のところには連日多く寄せられております。今日の朝も、その意見を伝えにわざわざ事務所に来た方がいらっしゃいました。

 大臣、こういう現状があるということを認識されていらっしゃいますでしょうか。

松本国務大臣 様々御指摘がありましたように、問題が生じたことも認識をしているところでございます。

 それぞれの課題については、再発防止策などを講じてまいりました。

 また、職員の処遇改善の観点から、令和五年度には、民営化以降最大の賃金改善などにも取り組んできたとか、賃上げ原資となる委託先への価格転嫁の適正化にも取り組んできたところでございます。

 先ほどの御質問でもおっしゃったように、利用者である国民の皆さんの声をしっかり聞くということは大切なことでありまして、日本郵政グループにおかれても、やはりそのような姿勢を持ち続けている中で、現金にかかる加算についても見直しが利用者のお声を聞いて進められているのではないかというふうに思っております。

 他方で、我が国全体として、残念ながら人口減少が進む中で、各分野において人手不足が発生している中で、郵便局の対面の窓口というのも十分その価値を認識しつつ、他方では配達などについてはDXも活用するということで、私自身も地元ベンチャー企業が開発したAIによる配達ルート作成の自動化システムを名古屋西郵便局で見てまいったりしてきておりまして、積極的な取組を是非進めていくように日本郵政グループにもお願いしつつ、お話があったように、顧客ニーズを第一としながら、地域を支える公的な役割を担う郵政事業の維持、展開に努めていただきたいと思っております。

福島分科員 でも、最後に配達するのは、ドローンが普及でもしない限り人手じゃなきゃならないわけですし、やはりブラック企業であればあるほど嫌われる、そういう構造に今ありますから、そこが現状だと私は思います。

 そうした中、郵政民営化委員会で、事態打開の鍵の一つはDXであるとしております。金融二社の全株式処分後のビジネスモデルが明らかになれば、今後の経営の在り方も明らかとなり、金融二社の全株式処分に向けた方針もおのずと見えてくるだろうと書いてあるんですけれども、全株式処分後のビジネスモデルがそもそも明らかになっていないこと自体がびっくりぽんで、それなのに強く支持するという郵政民営化委員会の意見というのは何なんだろうなと思いますけれども。

 そういって、二〇二一年にDX化の決定打として最高のパートナーと社長が言って組んだ楽天に千五百億円出資したものの、結局、株暴落で八百五十億円の特別損失を昨年六月三十日に計上しました。これは、かつて海外物流事業でもうけるんだといってオーストラリアのトール・ホールディングスを六千二百億円で買収して、四千億円もの減損をして売却した、そのことを思い出すんですね。結局、新しいことに手を出しても、投資やビジネスの素人の経営者がやっても失敗してきた、そうした歴史があります。

 資料一ですけれども、日本郵政グループの決算の概要を見ると、先ほど政府から答弁があったように、オレンジ色の日本郵政グループの連結での経営収益は年々下がっております。これを見たら分かるように、圧倒的に収益を支えているのは銀行、かんぽ生命保険の二つであって、とりわけかんぽの役割が物すごく大きいんですが、郵政民営化委員会の意見では指摘されていないんですけれども、かんぽの減少の方が深刻なんじゃないかと私は思っております。

 ほかのものを見ると、かんぽのお客さんの多くは高齢者であって、新しい若い層のお客さんが増えていないというようなことになっておりますし、かんぽ会社自身、株価も時価総額が三社の中で最低の水準で、低位安定をやっております。

 意見の中で、日本郵政、日本郵便も独自の経営努力によって金融二社との多額の内部取引への依存を減らし、金融二社株式処分後のビジネスモデルの形成に向けて内部取引を見直していくと言っておりますが、先ほどあったように、郵便は値上げもしておりますし、サービスも低下していて、今相当な無理をして運営している中で、伸び代があると思わないんですね。ですから、現在の郵政の経営状況に鑑みると、金融二社が完全民営化した後、とりわけユニバーサルサービスである郵政事業、郵便を維持するとは思えないんですけれども、どうでしょうか、大臣。

松本国務大臣 委員は経緯もよく御案内のとおりかというふうに思っておりまして、現在の郵政民営化法では、金融二社に関して、その全部を処分することを目指し、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響などを勘案してできるだけ早期に処分するものとされているところでありまして、総務省としても、関係法令に基づいて申し上げなければいけないんですが、郵政事業のユニバーサルサービスの責務履行が確保されるよう、適切に監督をしてまいりたいと思っております。

福島分科員 私は、そもそも郵政民営化のときの枠組み、ビジネスモデルが無理だったんじゃないかと思うんですよ。だって、金融二社の株を売却したことのビジネスモデルがいまだに確立していないんですね。

 それで、見たところ、資料二なんですけれども、民主党のホームページです、かつての。二〇〇五年、「【次の内閣】郵政改革法案を了承、国民の権利と国の責務を明確に」。お若い頃の松本大臣の写真が、民主党のマークの前に懐かしく写っておりますけれども。

 このときは決して我々は郵政民営化に反対したわけじゃないんですね、松本大臣。対案を出して、国の責務を明確にするという意味で、郵便及び郵便貯金に関して、郵便は公社にする、郵貯の決済サービスは公社の一〇〇%の子会社で、国の責任で全国的ユニバーサルサービスを維持する、簡保は完全民営化。さっきの経営状況を見ると、かんぽの完全民営化はどうかとは思うんですけれども。これは結構いい案じゃないかと思うんですけれども、大臣自身が民主党の政調会長として取りまとめをして小泉郵政改革の対案で作ったこの郵政改革法案、よかったと思いませんか、大臣。

松本国務大臣 委員御案内のとおり、今政府にいる私にかつての議員立法のコメントを求められても回答を申し上げにくいところでございますが、私が記憶をする限り、当時の民主党は、私はたまたま役職におりましたのでこのように写っておりますが、多くの議員のメンバーの方々も極めて建設的な議論をお進めいただいて、その後も様々なテーマについて、例えば教育基本法でも対案を出すなどして、国会での建設的な議論に寄与したのではないかというふうに理解しております。

福島分科員 この案自体がよくできていると思いませんか、大臣。大臣が政調会長として、当時の責任者としてお取りまとめになっていて、私はいい線いっていたんじゃないかと思うんですね。私はそう思うんです、多分ほかの方もそうだと思うんです。

 小泉郵政改革の仕組みというのはユニバーサルサービスを維持しながら金融、保険を完全民営化するんですけれども、果たしてそれが両立できるのか。郵便事業だけでは、民間事業としてユニバーサルサービスなんて恐らく維持できないですよ。経営収益の状況を見たって、この収益で全国の郵便局のネットワークを維持しているところに、かんぽもゆうちょも完全民営化してユニバーサルサービスが維持できるかといえば、できない。しかし、自民党案のように株を残して完全民営化しなければ金融、保険業者は他社と同じような経営の自由が得られないですから、こちらもじり貧なんですよ。だから、ジレンマに完全に陥っていて、私は自民党の議連案も持続可能ではないと思います。

 二月八日、城内委員は、民主党政権下の改正郵政民営化法の見直しについては中身も含めて何もまだ決まっておりませんけれども、もし仮に議員立法ということになりましたら是非野党の皆さんにも御協力をお願いしたいと言って、協力したい気持ちはやまやまなんですけれども、でも、ちょっとまだ足りないと思うんですよ。

 結局、自民党案をやったとしても、金融二社の株を政府が持ち続けていたら銀行も保険も、ほかと対等な競争じゃないですから、ただでさえ生き馬の目を抜く金融の世界で成長していくことはできませんよ。時間を遅らせるだけだと思います、びほう策だと思います。結局、小泉首相を生んだ自民党だからここまでしか言えないんですよ。特定局長会の皆さんも、私はこれまで様々な意見をいただいていました、こっそり応援しているとかということはこの場では言えませんけれども、ただ、自民党を特定局長会も支援しているからこそ、ここまでしか言えなくて。ただ、一人一人の局長さんの声を聞くと、本音はこうじゃないと思うんですよね。

 これを進めた竹中平蔵さんは、二〇二一年の週刊ダイヤモンドのインタビューで、どうしたらいいかという解決策を示しております。

 ユニバーサルサービスの定義をいま一度議論しなければなりません、ユニバーサルサービスをインターネットで人をつなぐことと定義するならば郵便事業の形が変わってきますと言いますけれども、当たり前ですよ、インターネットでやるものは郵便サービスと言わないんですよ。これは本当に詐欺的な言い方だと思うんですけれども。

 ユニバーサルサービスの定義を根本的に変えちゃったらユニバーサルサービスを維持できると言っていますが、先ほど冒頭に大臣がおっしゃったように、今回の能登半島地震でも緊急時に役立ったし、特に国境の離島とか、そこに日本人が住むことに意義があるようなところに公的サービスである郵便局のサービスを提供するとか、そうしたまさに公益的役割を背負うために郵便局があるのを、そのユニバーサルサービスをインターネットで代えればいいんだと言ったら、それは成り立たないと思うんですね。そういうふうにごまかされてはいけないと思います。

 私は、もう一度組織形態から根本的に見直さなければならないと思っておりますし、そもそも世界中で本当に郵政民営化が進んでいるかどうかということにも疑問があります。世界の中で一体幾つの国が郵政事業の全ての事業を、銀行というか金融サービスをやったり、保険サービスをやっていない国もありますけれども、いわゆる日本でやっている郵政三事業に当たる事業の全てを民営化しているという国は一体幾つあるのか、お答えください。

玉田政府参考人 お答えいたします。

 世界の中で郵政事業が民営化されている国は、欧州主要国を中心に存在します。例えば、オランダのように、郵便事業を提供しているポストNL社については完全民営化されております。

 なお、郵便局の運営を含めて、郵便、貯金、保険の全ての事業を一つの企業あるいは企業グループが行って、国がその株式を一切保有せず、完全に民営化されている国は承知をしてございません。

福島分科員 昨日もさんざん事務方と議論したんですけれども、確かにオランダは完全民営化しております。イギリスも、民営化したとはいっておりますけれども、郵便局自体は公社として政府が管理する会社で行っておりますし、ドイツも、民営化したとはいっても二〇%は政府系が保有しておりますし、民営化の本家たるアメリカのUSポスタルサービスは公社でありまして、ほとんどないんですよ。しかも、この間、いろいろ郵政民営化のチャレンジはするんですけれども、冒頭言った万国郵便条約で示すような本来郵便が果たすべき万国共通の公的な役割を果たすためには、ちょっと公的関与を強めたり、苦悶しながらいろいろな、最適な、効率的な郵政事業の運営体制をやっているんですね。

 私がここで言いたいのは、何で松本大臣の民主党時代の話をしたかといったら、意地悪で言っているんじゃないんです。もう一度あの二〇〇五年のときに立ち返って、どういう形態にすれば持続可能な郵政サービスになるかという枠組みも含めての議論をやらなければ、私はこの日本の郵政事業は滅んでいくと思いますよ、持続可能じゃないと思いますよ。今職場は無理に無理を重ねておりますし、経営も、素人ながら無理に無理を重ねて様々な投資を行って、しかも失敗して傷口を広げたりしている中で株は売らなきゃならない、もし金融二社の株を売らなくても持続可能ではない、そして郵便自体は先細り、なかなか伸びができづらい状態において、この郵政のユニバーサルサービスを維持していかなければならないというのが現状だと思うんです。

 私は、松本大臣、何度もピンチヒッターとして登板になるかもしれませんけれども、民主党から移って大臣を務められて、このやろうなんて全く思いません。でも、大臣の役割はしがらみがないんですよ。小泉郵政民営化に責任を持つ必要がない立場で総務大臣に就かれたのは、私は松本大臣だと思うんです。

 今度の春に郵政民営化委員会の意見が出るかとは思いますけれども、是非、いろいろな政治の思惑とか政党のそれを除いて、もう一度根本から郵政事業の運営体制、大きな枠組みを見直していくという議論を与野党も含めて、政府も含めて行っていく必要があると思うんですけれども、松本大臣の御見解を聞かせていただければと思います。

松本国務大臣 郵政事業の大切な価値については冒頭申し上げたとおりでございますし、また、御引用になられた総務大臣の先輩である竹中先生のことについて、私も内容を承知していないのでコメントは申し上げにくいところでございますが、総務大臣として、デジタル基盤を推進する、様々なデジタルを推進する立場で常に私自身が申し上げているのは、最終的にはリアルの人間に対してデジタルがどう役に立つことができるかという視点を持っていくことが必要であるということをずっと申し上げてきております。

 その上で、今お話をいただいたことについては、一般論で申し上げれば、政策については、審議会など有識者の先生方の御意見をよくお聞きしつつ、そしてもちろん政党の御議論をしっかりと踏まえつつ不断に政策を進化させていくことが必要であるということは、御指摘のとおりではないかというふうに思っております。

福島分科員 ただ、その審議会というのは、郵政民営化委員会というのは法律に基づいて設置されているものでありますけれども、これは小泉政権時代の郵政民営化を貫徹するという立場でつくられたものでありますから、私は、そうじゃない、また別のトラックの、そもそも郵政事業が持続可能なのか、そして持続していくために今の枠組みでいいのかということを検証する有識者の委員会もつくるべきであるというふうに考えておりますし、是非、松本大臣にもそのことに取り組んでいただければと思っております。

 特に、過疎地域とか日本列島の国境の地域とか、そういうところにとっては郵政サービスが公的サービスの一番最後の頼りになっている部分でありますから、ここの部分が持続可能じゃないということは、日本が国土を放棄するに等しいことだと私は思っております。

 ですから、小泉郵政改革の枠にとらわれない議論を政府でも我々政治の場でも行っていかなければなりませんし、私自身これからも行ってまいりますので、是非、松本大臣、DXだけではできないです、DXも大事です、でももう既に初戦で楽天への投資でつまずいているわけですから、DXだけで解決するというのはそう簡単なものではない、そもそもの郵政民営化時の枠組みの問題に立ち返らなければ持続可能な制度はできないんだということを申し上げさせていただきまして、私からの質問とさせていただきます。

 大臣、どうもありがとうございました。

宮路主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

 次に、輿水恵一君。

輿水分科員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。

 初めに、大臣、退室していただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

宮路主査 では、総務大臣、御退室をお願いします。

輿水分科員 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、インターネット上での偽情報の拡散防止対策について伺います。

 現在、情報通信技術の進歩とそれに伴う様々なサービスの拡大により、私たちはいつでもどこでも情報を入手したり発信したりすることができるようになりました。そのため、インターネット上には膨大な情報やデータが流通していますが、その中には事実と異なる偽情報が流されることもあり、適切な対処が必要になります。特に、災害発生時における情報は、多くの人々の命に直結する重要なものであります。

 現在、必死の復旧と復興を進めている能登半島地震においても多くの偽情報が発信され、現場は大変に混乱したと聞いております。また、被災地の状況を知らせる画像情報におきましても、現場の実態とは全く違う、合成されたと思われる画像も拡散されました。

 災害の現場は、大変混乱をしている中で被災者の命を救うため、一分一秒も無駄にできません。その活動を大きく阻害する偽情報を野放しにしておくわけにはいきません。

 そこで、当局のインターネット上での偽情報防止対策について伺います。

 今回の能登半島地震の発災当初、救援を求める情報を受けて現場に行っても誰もいなかったというケースも多々あったと伺っております。そこで、まず、このような偽情報に対する総務省の受け止めをお聞かせください。また、この偽情報による混乱を防ぐために具体的にどのような対策が取られたのか、併せてお聞かせください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のとおり、令和六年能登半島地震におきましては、残念ながら円滑な救命救助活動や復旧復興活動を妨げるような偽・誤情報が流通したと指摘されており、私どもといたしましても深刻に受け止めているところでございます。

 総務省におきましては、発災翌日の一月二日には、被災地の皆様方に対しSNSを通じてネット上の偽・誤情報に関する注意喚起を行うとともに、主要なSNS等のプラットフォーム事業者に対しましては利用規約等を踏まえた適正な対応を取っていただくよう要請いたしたところでございます。その後、対応状況のフォローアップも継続的に実施してきたところでございます。

 また、一月九日には、総務省から放送事業者に対しまして偽・誤情報に関する視聴者への注意喚起の実施を依頼しております。

 また、SNSについては、一月十五日に第二弾といたしまして、ネット上の不確かな投稿を例示して注意喚起を実施しております。

 さらに、複数回にわたりまして総務大臣会見におきまして注意喚起を実施するほか、政府広報室と連携いたしまして、被災四県向けのウェブ広告、また地元紙への全面広告等を実施しているところでございます。

 いずれにいたしましても、国民の皆様方に対して、ネット上の偽・誤情報に関する注意喚起につきましては様々な広報手段を複層的に組み合わせて実施してきたところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。インターネット上での膨大な情報が流通する今日、誤情報や偽情報への厳格な対処は安全で安心な社会を守るためにも大変に重要な課題であると思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、総務省では、インターネット上での誤情報や偽情報の問題、改めて、どのように考えているのか、また、今後はこの問題にどのように対処しようとしているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル空間を活用した様々なサービスが社会に普及し、AIといった新しい技術も進展する中で、偽・誤情報の拡散といった新たな課題も顕在化し、まさに社会に与える影響もますます拡大しているものと私どもの方としても認識しているところでございます。

 そこで、総務省におきましては、デジタル空間における情報流通の健全性をめぐる新たな課題に対処するため、昨年の十一月に有識者会議を設置し、偽・誤情報の流通、拡散への対応も含め、議論、検討を行っているところでございます。

 これまでの会合におきまして、有識者からは、事業者の取組の透明性の確保の在り方、関係者間で連携協力をどのようにしていったらいいか、また、リテラシー向上の必要性といった様々な議題や論点が示されているところでございます。総務省といたしましては、国際的な動向も踏まえつつ、偽・誤情報の流通、拡散への対応につきまして、表現の自由の観点とのバランスにも配慮しながら、制度面も含めた総合的な対策の検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 近年、頻発化、激甚化する自然災害やパンデミック等に対して、大事な情報を迅速かつ的確に入手したり伝達したりする情報流通環境の整備は非常に重要であると思います。災害はいつ発生するか分かりません。そこで、例えば、インターネット上の情報の出どころを証明する仕組みの導入など、情報が正しいかを判断できる情報流通環境の整備も必要かと考えますが、既に進めていること、また、検討を進めていることなど、具体的な取組についてお聞かせ願えますでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時のように、平時に比べてより多くの人が命、身体、財産を守るために正確な情報を短時間のうちに求める場面におきましては、分科員御指摘のとおり、まさに信頼性の高い情報が迅速に被災地を始めとする国民の皆様方に届くことが大変重要だと考えているところでございます。

 そこで、総務省におきましては、情報の受信者が受け取った情報やその発信者の信頼性等を容易に判別可能とするため、令和五年度補正予算を活用して、例えば、画像、動画等の情報コンテンツに対しまして来歴や発信者に関する情報を付与するなどによりまして、情報コンテンツや発信者の信頼性を確保する技術の開発、実証に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 また、先ほど御答弁申し上げたとおり、昨年の十一月に立ち上げた総務省の有識者会議におきましては、災害発生時においての偽・誤情報の流通への対処の在り方については、例えば、事業者や自治体がどのような役割を果たすべきか、また、信頼できる情報源を確保するための技術的な仕組みをどのように社会に実装していくかといった議論も行われているところでございまして、本年二月から実施しております主要なプラットフォーム事業者からのヒアリング結果も踏まえまして、総合的な対策の検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 災害発生時などは、緊急時の偽情報等による現場の混乱を防止するためには、更に正確な情報を発信したりするための認定情報サイトやアプリケーションなどの整備も必要かなと思うんですけれども、このような事前の対策についての考えについてお聞かせ願えますでしょうか。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 防災分野では、民間事業者から様々な優良な防災アプリが提供されているところであり、発災前からこうしたアプリがしっかりと活用できるように備えていくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、デジタル庁では、これらを自治体が迅速に検索して簡便に入手できるよう、防災DXサービスマップ、カタログの形で整理すると同時に、様々なアプリ間でもワンスオンリーが実現できるよう、データ連携基盤の整備を進めているところでございます。

 委員御指摘のとおり、こうした取組を含めましてあらかじめ事前に必要な対策を講じておくことが非常に重要であり、例えば、デジタル庁でも、マイナンバーカードを活用した避難所運営アプリなどの実証にも取り組んでいるところでございます。

 今後、デジタル庁としましても、優良な防災アプリの横展開など、災害時に正確な情報が提供できるよう、体制の構築を後押ししてまいりたいと考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。迅速な取組をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、続きまして、災害発生時の被災自治体の職員の業務の在り方について質問させていただきます。

 大規模な災害が発生した場合、被災自治体の職員は、住民の命を守るとの大きな責任を担い、人命救助を始め、避難誘導、避難所の運営など、非日常的な業務に追われることと思います。被災現場では、公務員としての使命を果たすために不眠不休の活動が必要になり、その負担は計り知れないと思います。周辺自治体からの応援も大規模災害の発災直後は非常に難しい状況にある、このような現実に対して、被災自治体の職員の命と健康が大変心配になるわけでございます。

 今回の能登半島地震におきましても、被災自治体の職員の活動は非常に厳しかった、激しかったと思います。そこで、自治体職員の活動の実態を分析調査して、今後は発災から一週間の自治体職員の負担軽減あるいは役割分担について適切な検討を進めるべきと私は考えるんですけれども、総務省の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

小池政府参考人 総務省におきましては、毎年、地方公共団体の勤務条件等に関する調査を実施しておりまして、この中で地方公務員の時間外勤務の状況について把握をしております。

 被災自治体の職員の発災直後の勤務状況につきましては、御自身も被災され、また、他の自治体からの応援職員による支援もない中で大変過酷なものであったと認識をしております。今後、被災自治体の過度な負担にならない段階となるのを待って、勤務条件調査の中で被災自治体から個別にヒアリングを行うなど、実態が把握できるよう工夫してまいりたいと考えております。

 また、その結果を踏まえまして、発災直後の自治体職員の負担軽減についてどのような方策が考えられるか、検討してまいりたいと考えております。

輿水分科員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、政治資金収支報告書のデジタル化につきまして質問をさせていただきます。

 政治資金は、公に資する活動のための資金であり、非課税となっていると同時に、政治資金をどう集め、何に使っているのかを公に公開する収支報告書の公開が義務づけられております。この政治資金収支報告書の収入におきましては、一定額を超えて寄附や政治資金パーティー券を購入した個人や企業の名前、住所が記載されます。また、支出におきましては、事務所の経費等の金額やその支出先が掲載されます。

 現在、この収支報告書は、大半が紙で提出をされ、総務省や都道府県の多くがウェブサイトでPDFファイルの形式で公開をしております。しかし、情報の検索性が低く、活用した当事者あるいは有権者が中身をチェックしづらい、そういった声も届いているわけでございます。非課税となっている政治資金の収支が適切に行われていることを証明する政治資金収支報告書におきまして、活用した当事者や有権者が中身をチェックしやすくするためには、そのデジタル化というのは必須であると考えます。

 そこで、政治資金収支報告書のデジタル化を具体的に進める上でどのような課題が考えられるのか、当局の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

笠置政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話がございました、政治資金収支報告書の情報を検索できるように公表するというためには、まず、収支報告書の提出自体、オンライン提出を義務づけることが必要になろうかと思います。また、検索ということのお話がございましたけれども、収支公開の仕組みといったものが変わることにもなり得ますので、そうした具体的な検索機能の内容といったものを定めることも必要となってきまして、いずれも法律の根拠が必要ではないかというふうに思っております。

 また、その際には、オンライン提出を義務づける政治団体の範囲をどうするんだといった問題、あるいは検索機能の内容といいますか、そういったものをどうしていくんだといったような課題、論点などが考えられるところでございます。

 その上で、法律におきまして収支報告書の提出や公開の仕組みが変更されまして、必要な検索方法が定められれば、これに従って検索が可能な形で公表することは技術的には可能ではないかと考えております。ただ、政治団体でありますとか選挙管理委員会といった、対応をしなくちゃいけない団体、機関の準備期間といったものにも配慮といったものは考えなくちゃいけないのかなと思っております。

 いずれにしましても、収支報告書の提出や公表など、政治資金の収支の公開の在り方につきましては、政治活動の自由と密接に関連をしておりますことから、各党各会派において御議論をいただきたいというふうに思っておるところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。取りあえず技術的には可能ということで、それに向けて具体的にどのような取組を進めるか、各党各会派の皆さんとしっかりと相談をしていきたい、このように思います。

 それでは、続きまして、地域社会のデジタル化の推進につきまして質問をさせていただきます。

 少子高齢化とそれに伴う人口減少、これは、地域の労働力不足や、社会保障制度の給付と負担のバランスの崩壊、あるいは様々な財政危機など、我が国の経済や社会に大きな影響を与える災害級の課題と言っても過言ではないと思います。特に、様々な現場での担い手の減少やコミュニティーの希薄化など、社会の機能を維持するための課題が山積みの地方においては、持続可能な未来を構築するためには、様々な現場で人を支え、地域を支えるデジタル化の推進が必要であると思います。

 総務省では、地域社会のデジタル化について、全ての地域がデジタル化によるメリットを享受できる社会を目指しています。今後は、運転免許を返納する高齢者も増えることが予想されます。そんな中、特に、高齢者の安全な移動を支える公共交通における自動運転の導入も大きな課題だと思っております。そこで、この自動運転の導入につきまして、具体的に、どのような支援の下、地域への実装を目指しているのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 少子高齢化が進展し、地域の労働力が減少する中で地域住民の移動手段を確保することは重要な地域課題と認識しております。

 総務省といたしましては、これまで、限定地域内における自動運転の実証を実施してきております。また、今後、令和五年度補正予算を活用して、早期の社会実装に向けた安全かつ効率的な自動運転のためのモデルを検証するため、自動運転に必要不可欠な遠隔監視システムを始めとする通信システムの信頼性確保等に関する実証を行うこととしております。

 総務省といたしましては、国土交通省などの関係省庁と連携しつつ、自動運転を始めとする先進的なデジタル技術の実装を進めることで、引き続き地域課題の解決に取り組んでまいります。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 私も実際、自動運転の車両に乗せてもらったことがあるんですけれども、首都高を乗ったときに、自分が運転するよりもスムーズに前の車を追い越して、また車線変更する。技術は大分発達している。つまり、そういったものが安定的に現場で活用できるような環境の整備、それと、あとはやはりコストをどこまで下げていくのか、また、それを持続可能にするためにイニシャルコストと同時にランニングコストをどう下げるか、そんなことの中で、地域の持続可能な、コミュニティーをしっかり保てるような社会を築いていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、地方自治体の業務のデジタル化について伺います。

 地方自治体におきましては、住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図ることが非常に重要です。多種多様化するニーズに的確に応える、そのためにはやはりそこでもデジタル化が必要かなと。現場の業務としては、例えばデジタル化でできることからやっていくということを考えると、帳票の入力や伝票の作成、あるいはダイレクトメールの発送業務や、経費チェック、住民データの管理、定期的な情報の収集など、事務職が携わる定型業務のデジタル化というのは真っ先に進めるべきだと思っております。

 そこで、特にこういった業務に対しましてのAIやRPAの導入など、行政の人手不足を補い、行政サービスを維持するためのデジタル化の必要性の総務省の認識、そしてその普及のための取組の状況につきましてお聞かせ願えますでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方自治体が人口減少社会において持続可能な行政サービスを提供するためには、デジタル技術を活用して、住民の利便性向上を図るとともに、業務を効率化していくということが大変重要になると考えているところでございます。

 このような観点から、総務省におきましては、自治体DX推進計画において、地方自治体が重点的に取り組むべき事項、内容を具体化することとしております。

 具体的な内容を更に申し上げますれば、デジタル技術の活用による業務効率化を通じて、人的資源を行政サービスの更なる向上につなげていくことが重要なことから、自治体のAI、RPAの利用推進を自治体DXの重点取組事項として位置づけているところでございます。

 自治体のAIやRPAの利用を推進するため、総務省におきましては、自治体におけるAIやRPAの導入ガイドブックをまとめ、好事例の横展開を図るとともに、AI、RPA導入に対する財政措置や、外部人材による支援など、地方自治体のDXの推進に当たりインセンティブとなる支援策を取りまとめ、その活用を促進しているところでございます。

 このような支援策も受けて、AI、RPAの導入団体数は令和二年度の五百三十五団体から令和四年度では九百五十六団体に増加するなど、着実に進展をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、総務省としましては、AI、RPAも含むデジタル技術の活用を通じて、一層、住民の利便性向上や自治体の業務効率化が実現されるよう、必要な施策に取り組んでまいります。

輿水分科員 どうもありがとうございました。まさに自治体の業務の効率化は非常に重要な取組だと思います。

 今日は特に質問はしないんですけれども、防犯という部分についてもデジタル化というのは非常に有効かなと。

 最近、防犯カメラという形で設置をされているんですけれども、防犯カメラの中では、単三電池十二本で半年以上もって、それはスチールカメラだからもつんですけれども。それで設置をしていく、そうやって赤外線センサーで動く物体や人を感知して、不審な人や物をAIが感知して画像を撮っていく、それを自動的に配信していく、そういったものもあると聞いております。万が一カメラが破損されても、証拠の画像はもう送られてクラウドに保存されているという部分では、安全で安心なデジタルの活用ができる。このようなものは、最近よく熊が出たとか猿が出たとか、そういった獣害の被害においても、地域にそういったデジタルの、カメラなんかを設置していただきながらしっかりと情報を共有して被害が発生する前に対応していく、そういった活用も必要なのかな、このように思うわけでございます。

 また、行政は今、業務の標準化というか、クラウドでの標準化も進められております。現場は今、お答えいただきましたように、実際、AIとかRPAとかを入れるという形に言葉ではなるんですけれども、現場に行くとやはり入れるための人材が必要になってくるという。その人材を確保するというのも簡単ではないんですけれども、そのときに、現場の皆さんが果たす役割と、自治体を支える県がどうやって、全体としてちゃんとデジタル化が進められるような、底上げをする役割を県がどう果たしていくか、それに対して国がどういう形でフォローアップしていくかという、まさに国と県と自治体のネットワーク、これは非常に重要になるのかな、このように思うわけでございます。

 人材というのが非常に重要で、今お答えいただいたことを具体的に進めるための人材についての考え方がもしございましたら、よろしくお願いいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のとおり、地方における人材は大変重要な課題だと認識しておりますので、今後、引き続き必要な施策を検討してまいりたいと考えているところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。まさに、人を支える、地域を支えるデジタル化、そしてその人材の確保、非常に重要な課題であると思います。

 また、先ほどお話をさせていただきましたとおり、いつ発生するか分からない災害に対しては万全の準備を整えておく、このことも必要かと思います。そういった意味で、人の命を守り、安全、安心を守るためのデジタル化を加速していただき、私たちの安全、安心を更に強固なものにしていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮路主査 これにて輿水恵一君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原(孝)分科員 立憲民主党の篠原孝でございます。

 では、質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、松本総務大臣、御就任、遅ればせながらおめでとうございます。三回目ですよね、大臣任命は。代打ですぐできる立派な大臣で、常に、三回、まあジンクスだろうと思いますけれども。ただ、今国会は政治と金の国会で、ずっと出ずっぱりですね、予算委員会に、多分。何か、昔から存じ上げておりますけれども、ちょっとお疲れの様子ではないかというのを、テレビで見ていると、そう感じました。

 今日は、私の、何というか、こうすべきだというのを聞いていただいて、後々の行政に役立てていただければいいと思います。さんざん、もうお疲れでしょうから。

 今日は、資料をいっぱい作って、これは本当は倫選特なんかで、まあどこがやるのか分かりませんけれども、きっちりしたいんですけれども、持ってきましたので、これを基に、ちょっといろいろ聞かせていただきたいと思います。

 それで、最初にですけれども、問題になっているお金の動きの、表のところにも出てくる、僕は政治資金収支報告書、二〇二二年のを、よく言われている安倍派五人衆のをくまなく見ました。元々ちらちらと見ていましたけれども、今度、表に分かりやすくまとめてみました。物すごく膨大な時間がかかっています。

 このときにいつも疑問に思うのは、事件になっているわけですけれども、古く、古くはと言ったって新しいですけれども、広島で、河井案里参議院議員、克行衆議院議員の、一億円だか何だか知りませんけれども、地方自治体議員のところに陣中見舞いと称してお金が配られた。いや、あれは陣中見舞いで、選挙の依頼じゃないと。最近でいえば、柿沢未途さんのと。

 よく分からないんです。議員がそういうところにお金を出しているというのは、僕なんかはお金がないですからそんなことは一度もしたことがないですけれども、これが、自民党のお金持ちの皆さんの間では公然と行われている。よく分からない。

 柿沢さんは裁判では争わなかったけれども、最初は否定していた、選挙のためのお金だと。だけれども、両方とも、買収だというふうに検察や何かに言われて、裁判でもそうなっている。

 よく分からないんです。どこまでが陣中見舞いで、どこからが買収になるのか、選挙を手伝ってくれというふうになるのか。どうも不明確なんですけれども、公職選挙法の所管大臣として、ここの点についてはどのように認識されておられますでしょうか。

松本国務大臣 公職選挙法に買収罪というのが定められていることは委員御承知のとおりでありまして、同法第二百二十一条第一項第一号において、当選を得又は得させる目的などをもって選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与などをしたときにということで罰則が設けられているものであります。

 陣中見舞いそのものが法的に定義があるわけではないというふうに理解をしていますが、いわゆる陣中見舞いと言っているものは、公職選挙法や政治資金規正法の寄附に関する規定などを踏まえて、政治活動や選挙運動に対する支援として行われているものがそのように呼ばれているというふうに理解をしております。

篠原(孝)分科員 いつも裁判で争われるのに、どこからどこまでが許されているか。よく分からないんですけれども、選挙が近づいてきて、例えば衆議院選挙でいうと、解散になってから、Aという衆議院議員の方が自分の選挙区の県会議員や市町村議会議員に陣中見舞いというのは、それはあり得ないと思うんです。常識的に見て、自分の選挙のために配っている。だけれども、じゃ、それが何か月前だったらいいのか、幾らだったらいいのか。

 例えば、今回、よく分かりませんけれども、キックバック、裏金のことで四千万円で線引きをした、こういうのにも線引きがあって。大臣に伺っても当然分からないと思いますが、僕は、これはやはりおかしいので、直していかなけりゃいけないと思いますよ。

 それで、三ページ目を見ていただきたいんです。分かりやすく表にまとめたんです。私は、透明性に欠ける、透明性に欠けるとマスコミは言いますけれども、裏金になっているのは全然不透明で全く分かりませんけれども、政治資金収支報告書に書かれる限りにおいては非常に透明性が高いと思っています。

 五人衆の寄附、交付金、誰にお金をやったかというと、面白いんです、見ていただきたいんですけれども、総務大臣も見たことはないと思います、こんなの、ほかの人のを。この五人衆は、国会議員にお金をいっぱい配っているんです。

 西村康稔さんは二十五人の安倍派の議員に五十万ずつ出している、二〇二二年に。萩生田さんは、何かよく分からないんですが、三十万円コースと二十万円コースと十万円コースに分けている、同僚議員にですよね。ところが、「地方議員等」というところが問題でして。西村さん、萩生田さんのところ、みんな、世耕さんがちょっとよく分からないんですけれども、紀成会という資金管理団体から出している。地方議員じゃないので、後援会でというので出している。ただ、この後援会は、二、三日前に問題になった茂木敏充さんと棚橋泰文さんの後援会ではなくて、ちゃんと、国会議員の関係団体なんです。そうじゃないのもある、同じような名前なんですがね。地方議員等へというのが問題なんです。

 では、一ページ目に戻っていただきたいんです。一ページ目のところ、西村、萩生田、世耕と書いてあります。この下のところに、これは国会議員を主として書いてあるんですが、ここのところに、地方自治体議員、その二番目のポツや何かに、西村さんは、洲本支部、地域支部ですね、地域支部というのは県会議員や市会議員の支部なわけです、そこにお金を出している。だから、これだったら幾らでも出せちゃうんじゃないかと思うんです。こういうゆがみは直さなくちゃいけない。

 全然お金が違って、上を見ていただくと分かると思いますけれども、西村さんは、合計三億八千万円、二二年だけでも一億八千万円。萩生田さん七千二百万円。世耕さん一億七千六百十二万円。

 恥ずかしながら、二ページ目に私のをやっている。私は二千七百十七万円で、総支部のところ、長野一区のところで一千万円、個人から寄附されている。何のことはない、私は、総支部を通じてみんなやった方がいいので、総支部にみんな金を集めてやっている。調査研究広報滞在費なり議員報酬、それをみんなほとんど、プライベートで使うのはありますけれども、秘書と一緒に食事をしたりするのはそっちから出しますけれども、印刷をしたり、会合を開いたり、何かしたりするお金はみんな長野一区総支部から通じてやっているので、こうなっているんです。全然金額が違うわけです。

 私は、政治にお金がかかると言われていますけれども、うそだと思います。うそというか、僕のようなのはそんなにいないと思いますけれども、僕は元々、五十五歳でこの世界に入りましたし、やれるところまでしかやらない。だから、あるお金で、そこのところまでしかしない、それ以上のお金は使わないというふうにしていますから、こうなっているわけですけれども。

 こんなふうに、一ページ目、同僚議員たちにお金をどんどんやったり、それから自分の選挙区の自治体議員たちにお金をやる、これが権力闘争で、自分が選挙に当選して総裁選に出て総裁になって総理になるというためのお金で、それが政治だと言われればそうかもしれませんけれども、これを皆さんが見たら、こんなことに使っているのかというふうに私はなるんじゃないかと思います。こういうのを直していかなくちゃいけない。直すきっかけができつつあるわけです。

 先ほど、もうちょっと早くここの会場に来なくちゃいけないのにちょっと遅れましたけれども、テレビのニュースを見ていたら、総理が政倫審に出席されるというのをやっていたんです。総務大臣も御存じだと思いますけれども、総理が政倫審に出席する、記者会見でそういうコメントをされているんです。

 だから、せっかくだから直していただいた方がいいと思う。大体、世の中の制度改革というのは、何か問題が起きたときに、それに対処するべくできて、その積み重ねで公職選挙法ができたり、派閥の問題ができる。継ぎはぎだらけではよくないので、一切合切を直す。

 そういう点では、政府・与党、総理大臣が、日本国の総理、そして自民党の総裁が言われた、自民党の中間取りまとめで、派閥による政治資金パーティーは全面禁止する、政治資金規正法の改正案を出していくと。私は、このときに問題になるんですよね、いつも、途中で総務省は逃げているんじゃないかと思う。政治のことだから政治家の皆さんで決めてくださいといって、議員立法でとなるんですね。

 僕は、こんなことを言ってはなんですが、我々議員はどたばたどたばたしていて、そんな精緻なことはできないです。だから、大枠は政治家が決める、それでいいと思います。コンセンサスも得られていないのをまた総務省に押しつけて、総務省がやるのはかわいそうだと思いますけれども、このように与野党一致していますよ、派閥による政治資金パーティーは禁止するという絶対的なコンセンサスが出て、やるんだと総理も言っておられる。総理・総裁も言って、ほかの与野党もみんなそれに賛成している。

 こういうのは総務省が引き取って、総務省の内閣提出法案としてびしっと出してもらうと一番美しい法律ができると思うんですね。政治家だけでやると、どこか抜けたり、都合のいいところでどこか変なふうに抜け穴ができたりするので、厳正中立な中央省庁の優秀なお役人の皆さんに作ってもらうべきだと思います。

 総務大臣、ここのところを改革していただけませんかね。技術的なこと、もう決まっていること、総務省、内閣提出で意思を示して、改正していただく。

 ほかの、今議論のある個人のパーティー、僕はこれも禁止すべきだと思いますけれども、これはおいておいていいですよ。少なくとも、訳の分からない、訳の分からないと言っては悪いが、派閥主催のパーティー、二万円のパー券を売ってという、これは禁止する、こういうものをきちんと書いていただければ、それに応じて次の段階、ステップに踏んでいけると思うんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 総務省の職員が優秀だと御評価いただいたことは感謝をいたしたいと思います。

 私どもが政党間の御議論にお願いをしている背景、あえて申し上げれば、総理におかれましては、総裁のお立場と総理のお立場と、党のお立場もございますので、党のお立場でおっしゃっていることと内閣のお立場でおっしゃっていることがあろうかと思いますが、私、本日、ここでは、総務大臣ということで行政の立場でいさせていただいているということで、これまでも何度か申し上げてまいりましたけれども、やはり、民主主義国では、様々、三権分立も含めて、統治機構の中で権力のチェック・アンド・バランスをどうするかという考え方の中から、行政府が政治にどこまで関与するのか。

 御案内のとおり、政治資金の収支報告書についても、総務省には形式的審査権が与えられていて、公開をすることによって国民の監視下に置く仕組みになっているというふうにあること、これについては、令和臨調さんも、総務省が形式的以上の調査、審査を行わないことには意味があるとおっしゃっていただいている。まさに、先ほどの権力のチェック・アンド・バランスのお話だと思います。

 そういった意味で、政治資金の在り方、規制の在り方を新たに講ずることについては、やはり政党間の御議論ということでございますが、今委員のお話は、政党間で合意ができたならば技術的に政府において実務を仕切ったらどうだというお話でありますが、まさに今おっしゃったように、どのような立て方をするかによって、形式的審査権のところで申し上げたように、実際に具体的にどう条文を書くかによって具体的な規制の在り方に関わるという意味では、やはりその点も政治に委ねるべきではないかということで、これまでも議員立法で制度が組み立てられてきたのではないかというふうに私は理解していると申し上げたいと思います。

篠原(孝)分科員 そうやってきて、限界があって、抜け穴だらけになっているんですね。この際、やり方を変えていただけたらと思うんです。

 それはどうしてかというと、我が国は議院内閣制、アメリカなんかは各省が法案を提出できないわけですね、議員がみんな、だから提出者の議員の名前がついた。完璧な三権分立です。我が国はちょっと違って、議院内閣制になっている。総理大臣は、二重人格というか、内閣のトップであるとともに自民党の総裁という、こういうちょっと複雑な感じになっています。どこまでがコンセンサスかというのを、これまた審議の仕方に関わるわけですけれども、与党で審査して、与党はパスしたのを内閣提出とする。

 だったら、ちょっと変えればいいんだろうと思いますよ、それをやらないと。総務省が提出したのをゼロから国会で議論して直したりしていく。順序を先に、先に議論するんじゃなくて、総務省に原案を作ってもらって、それを、これでいいか、これじゃ抜け穴があるじゃないか、もっと厳しくしろ、いや、これじゃやっていけないということを後からやればいいんです。そういうふうにしていったらいいんじゃないかという提案です。これは三十分間で済む話じゃないですから、これでやめておきますけれども、是非考えていただきたいと思います。

 じゃ、どうしてこれを言うかというと、各省の法案では、最初は議員提出法案だったけれども、五年たって見直したりするときは、もう分かっているからというので内閣提出法案になっているのがいっぱいあるんですね。そういうのがあるんです。それは、コンセンサスを完璧に得られて、五年間施行してやってきて得られて、そこをちょっと改正するぐらいだから内閣が引き取ってという。最初が議員立法だからといって、ずっと議員立法と同じように議員提出でやっているというんじゃないんですね。それと同じようなことをやってもいいんじゃないかと思います。

 二つ目の提案ですけれども、収支報告書、私はこれはいろいろ見ましたが、どこがいいかなと思って、五ページ目です、一番後ろのページのところ。しつこくこうやって、みんな、この際だから比較してみたんです。長野県選出国会議員の企業、団体からの寄附、パーティーの収入比較というもののついでに、表の左から四つ目の資金管理団体というのを。

 実は私も訳が分からなかった、長野に緑政会というのがあって、東京にも口座があった方がいいからと、篠原孝全国後援会、これは国会議員の関係団体になっています。三つあるんです。しかし、うちの秘書に言わせますと、何か一々、長野にある総支部、そういうところを通じて何かやるというのは面倒くさいから、自由に使えるので、議員会館にあった方がいいというので三つになっていますが、そんなのは、それは技術的にはそういうややこしさがあるけれども、こういうのは一本化したっていいんだろうと思うんです。

 自民党の皆さんのは健政会とか地域政策研究会、似たような名前ですけれども、二つあって、もっとあるんですよね、でっかいもので知られているのだけでこれだけある。それで、なおかつ、何か総務省の所管のものと長野県の選挙管理委員会のと二つあって、だから、探したりするのが疲れるんですよね。

 一ページ、二ページのところを見ていただくと、ほかにもあるんですけれども、代表的なのを。大体、そんな三つも四つもあったって、そんなに使っていないので。ちょろまかしするために、もう一つ変なのを設けている人はいますけれども。だけれども、西村さんの例でいうと、兵庫九区総支部と総合政策研究会、萩生田さんははぎうだ光一後援会、世耕さんは紀成会、大体二つなんですよね。だけれども、それぞれ違って、どっちでお金を集めたりしているのかというと、寄附金のところを見ていただくと、世耕さんは圧倒的に、紀成会に九千万なんですよね。こういう使い方をしているんです。

 だけれども、みんながそうしているかというと、そうでもない。総支部を大々的に使っている人もいるんです。次のページの高木さんや何かは、総支部の方がいっぱい使っているんですね。私なんかは総支部ばかりです。

 それから、同じような名前で後援会というのを、茂木さんと棚橋さんは、後援会連合会、総連合会といって、その他の団体で全然チェックを受けなくていい団体になっていて、そして億という金が使い道が不透明だと。だけれども、見てみますと大体三つぐらいです。そんなのは一つにしたっていいんじゃないかと僕は思います。

 同じ後援会でも、高木さんの高木つよし敦賀後援会というのはその他ですけれども、ほかの人のは、後援会とついていても国会議員の団体としてちゃんと登録されているから、チェック・アンド・バランスが利いて。

 そして、僕なんかが一生懸命、全部これをコピーして、くまなく、長野と東京を往復するときに電車の中でしこしこ見ていって印をつけておいて、後から表にしたんです。結構時間がかかっている。だけれども、一般の人たち、こんなことは誰もしないですよね。私のようにしつこく、まあ、あら探しじゃないけれども、見ようという人しか見れない。

 もっと工夫して、例えばというのは工夫ですよ、その一つとして一本化して単純に見れるようにする、そのぐらいしてもいいと思うんですが。総務省が形式的にチェックするにしたってその方がいいので、これぐらいは。これぐらいって、こういうことは総務省の方で言って、そういう声があるし一本化すべきだと。そのたびに、あっちに裏金があった、こっちに裏金があった、裏口座があったと。ややこし過ぎる。

 ほかの国なんかで、一般生活でもキャッシュレス、口座を通じてというか、そういうふうになったりしているのに、政治の世界だけが変なふうになっている。諸外国では、そういうのを口座を設けてきちんとやっている。そういう技術的なことについて、技術的だけれども、非常に縛りがついておかしくなるかもしれません。だけれども、単純に言えば、たった一つに例えば改正、一つにするのは難しいにしても、総務省と何々県にあるというのはややこしいです。どっちか一つ、全部総務省にしたら総務省の選挙部がパンクしちゃう可能性があるので、ちょっとごちゃごちゃして、扱いが各都道府県によって違ってきちゃうかもしれませんけれども。

 最初にできることは、政治家の団体は全部、地元の団体、まあ、参議院の比例区はどうするんだとかそんなのは後からすればいいことで、ともかく一本化する、このぐらいはやってもいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本国務大臣 政治家の収支報告書の一本化ということについては、政党支部の在り方はそれぞれの政党でお決めをいただくものだというふうに思いますので、分科員のお話は政党支部の使い方ということかもしれませんが、政党支部と、そしてまた公職の候補者に係る政治団体、それぞれ資金管理団体も含めてどのように取り扱うかについては、現行法制では、それぞれ政治活動の自由の中で法令に従って御対応いただくものというふうになっていると理解をしているところであります。

 届出先につきましては、これも委員よく御承知のとおりですけれども、基本的には、一つの都道府県の区域において活動を行う政治団体については、主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会、二以上の都道府県の区域にわたり活動を行う政治団体については総務大臣ということになっているところでございます。

 閲覧につきましては、総務省及び都道府県の選挙管理委員会において対応していますが、総務省及びほとんどの都道府県の選挙管理委員会においては、インターネットによる収支報告書の公表を実施して、速やかに収支報告書は御覧いただけるようになっていると理解をしております。

 公開の在り方についても、また政治レベルでの御議論をいただかなければいけないと思いますが、総務省としては、オンライン提出は今皆様にお願いをさせていただいているところで、各党各会派の御議論でも、デジタル化についても様々御意見が出ていることは承知をいたしております。

 私たちとしては、やはり、政治資金の透明性を確保することで政治の信頼を確保すること、そのために国民の監視下に置くということでございますので、国民の監視下に置くための利便性ということについて問題提起をいただいた御質問だというふうに理解をいたしております。

篠原(孝)分科員 分かりますけれども、こういうのは、始めて、みんなに見れるように、この際直していく。いろいろなのを、みんな問題が起こったときにできるので。それをできないのは、いつも、総務省の皆さんは分かっているのに、議員にと。

 例えば、三ページ目の項目別の支出なんというのを、こんなにしつこく見る人はいないと思いますけれども、面白いんですよ。だけれども、これは統一されていないからいけないので。パーティー券の購入なんて、みんなきちんと書いてあって、長野県のもそうですけれども。何か西村さんだけが突出していますけれども、多分、二万円じゃなくて十万とか二十万持っていっているからです。主賓として挨拶したりしているからでしょうねという。

 飲食費。これも様々でして、へえと思って。飲食代と堂々と書いています。さすがガードが堅くて、二万とか三万とか四万で、五十万の飲食費とかいうのもないんですけれども、それが出てくるのがあるんです、ふっと見ると。ホテルに五十万とか三十万とか、誰が泊まっているのか、地元のホテルに。誰を泊まらせているのか。調査研究広報滞在費に当たると。だけれども、それは、ホテルの食事をみんなとしているんじゃないかと。傑作なのは、みんなやっているので全部は見つけられない。

 会議費。萩生田さんのところは五百十万円、会議費。料亭何とかというところでやっているわけです。それは、十分間会議をやったかもしれないけれども、その後食事をしている、その代金が何十万と、しゃあしゃあと書いてあるわけです。

 分からないのは、お土産代とかいうので、どんな土産か知らないけれども。

 こういうのは、技術的なことで、これはこういうふうに書かなくちゃいけないといって、きちんとやっていただきたいと思います。せっかくだから、私のところで聞いていただければいいですけれどもね。

 その次の、長野県の自民党選出議員と私のものを比較して太字で書いてあります。キックバックは、こういうふうに、宮下さんなんかは間違いでこうなったと言うが、それぞれみんな違うなと思って。お金を集めるのは寄附とパーティーがあるけれども、後藤さんは専らパーティーで、一億二千万のうち半分の六千万をパーティーで集めている。若林健太さんは、お父さんの頃からだと、二人、宮下一郎さんも宮下創平さんの、若林正俊さんの遺産を引き継いで。だから二世議員が強くなるんですけれども、ルートができていて、これだけ法人から寄附を受けているというようなもの。

 分かってくるんですけれども、これはなかなか見づらいし、あれだから、ちゃんと一括でやっていたら。だから、どうしているかというと、政党支部と、資金管理団体を二つ三つ調べて、合計したんです。なかなかこれは作業が大変です。こういうのをみんなきちんとやっていただきたいと思います。

 それで、最後ですけれども、お願いで、大臣に前向きに答えていただきたいですけれども、これだけ政治と金が問題になっているわけです。私は詳しくは分かりません、一生懸命読んだけれども、現場へ行ってみて書類を見たりしなくちゃ分からない。

 アメリカなんかは、大統領選挙なんか、わんさかファンドレイジングパーティーをやって金を使っています。大統領選だけのルールがある。上院議員や下院議員のがあって、アメリカも日本と同じように、銀行だとか企業とか労働組合とか、寄附しちゃいけない。だけれども、抜け道じゃないんですね、PACと呼ばれる基金をつくって、そこに集めて、そこから政治家に寄附するのはいいというふうになっている。

 あちらの国は民主主義が徹底していて、透明性を確保しつつ、みんな、献金するなら献金する。だから、口座設置義務がある。現金は百ドルまでだ、いろいろちょろまかしがあるのでね、残るのを。それから、ここからが大事ですよ、匿名現金寄附は五十ドルです。だから、日本のようにパー券で二十万円未満だったら全然外に出さなくたっていい。二十万円以上で名前が出ている、パーティーですね、一〇%。三〇%を超えている人なんかほとんどいない。やはり正々堂々と献金したらいいんです。これは考え方が違う。

 我が党などは企業献金全面禁止と言っていますけれども、それはないんじゃないか。僕はもらっていませんよ、ないです、そんなこともしないでやっていますけれども。献金してくれる人を拒否する必要はないですよ。だけれども、正々堂々とその政治家に献金するという形にすればいいので。こういうのは、欧米先進諸国、例えばイギリスなんかは、政党助成金制度があっても、当然だけれども、野党になんか金は集まりっこないから野党に傾斜配分しているとか、そういういい例がいっぱいあるわけです。

 だから、総務省挙げて、一年間、二年間かかってもいいですよ、各国のこの政治と金の制度をどうやってやっているかというのを精査して、こういうのがあるということをちゃんと言って報告してもらって、それを基に我々議員が議論するのでいいです。そういうふうに、少なくともデータ集めは総務省のプロにしていただきたいと思いますけれども、これは前向きな答えをいただきたいと思います。

宮路主査 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

松本国務大臣 私自身も、議員として昨年十二月十四日までおりました間には、関係省庁や国会図書館などで様々データを収集させていただく中では、やはり議会制度に関わる調査研究に関しては国会図書館が大変進んでいるのかなというふうに感じたことはございますが、今、各党各会派の御議論が進められる中で、諸外国において、委員御案内のとおり、政党への補助であったり、議員自身の活動への公費の補助であったり、そもそも議論の在り方の態様であったりということ、各国によってそれぞれ違う中でどのように適正な議員活動を確保されるかというのは、また政治資金がどう透明であるかというのは、大変大切なことだというふうに思います。

 総務省で、今お話しいただいた調査も含めて、どのようなことができるかということについて、特に政治に関わる制度の調査に関しては、国会図書館の方で薦めていただいたものを参考にさせていただいたケースもありますので、よく実情をまず見てみたいと思っております。

篠原(孝)分科員 ありがとうございました。

宮路主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、山下貴司君。

山下分科員 大臣、お疲れさまでございます。

 私からは、大臣には、ネット上の誹謗中傷について、まず役所から伺って、大臣の意気込みも伺いたいと思います。

 私は、自民党において、ネット上の誹謗中傷対策小委員長などとしてこの問題に取り組んでまいりました。そしてまた累次にわたって提言もさせていただき、それを役所の皆さんと一緒に法律や政策にしてきたということでございます。

 これはそもそも、女性プロレスラーの木村花さんが本当に心ないネット上の誹謗中傷によって心を痛めて自ら命を絶たれた、こういった悲劇。これは木村花さんだけではございませんで、例えば学校におけるいじめ、そういったものもネットで使われる、あるいは、様々なアスリートあるいはアーティストにまでいろいろな被害が及んでいるということがございました。

 私どもは、この木村花さんの悲劇から、その直後から自民党でネット上の誹謗中傷対策小委員会を立ち上げて、これまでに、例えば、誹謗中傷などネット上の権利侵害を行う発信者情報の開示の簡易な手続であるとか、侮辱罪の法定刑の引上げ、大手を含む外国プロバイダー事業者に対する商業登記をしっかりやってもらう、あるいはネットリテラシー教育などの提言を重ねてまいりました。

 その結果、関係省庁の御協力もあり、また松本大臣のリーダーシップもありまして、プロバイダー責任制限法改正によって簡易な手続による発信者情報の開示がなされ、そして、海外事業者の日本法にのっとった商業登記、未登記だったほぼ全ての電気通信事業を行う外国法人が登記を行うなどの対応をしました。

 また、侮辱罪の法定刑の重罪化、これによって、例えば、私の資料にありますように、侮辱罪の認知、検挙件数、これは警察の資料でございますが、この二年間でネット利用の例えば侮辱罪の認知件数というのは三倍近くになり、検挙件数も倍、名誉毀損も一・五倍ぐらいに増えているということで、着実に適正な法適用がなされていると承知しております。また、民事上の損害賠償も、例えば百万円を超える損害賠償が認められるものも少なくないということで、着実に成果を上げているということでございます。

 また、総務省の調べによりますと、先ほど申し上げた発信者情報の開示による裁判手続の件数、これは改正後、それまでの五倍に当たる三千件を超える訴えがなされておるということで、本当に松本大臣のリーダーシップ、そして総務省、法務省その他関係省庁の御尽力によって着実に効果が上がっているところではあります。

 ただ、他方で、やはり被害者の方々が求めているのは削除ということでございますが、こうした削除について、現段階で法務省あるいは総務省が様々な対応を取っているんですが、その対応状況について、法務省からまず、人権の関係からやっていると思うんですが、どの程度削除されているのかということについて教えていただければと思います。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 法務省の人権擁護機関におきましては、インターネット上の誹謗中傷等の投稿による被害について相談を受けた場合には、相談者の意向に応じ、違法性を判断した上で、プロバイダー等に対して投稿の削除要請をするなどの対応を行っております。

 令和二年一月から令和四年十二月までの三年間に当機関が削除要請を行ったもののうち、因果関係は定かではないものの、当該投稿の全部又は一部が削除されたものの割合は約七割でございます。

山下分科員 七割が削除されているということですが、やはり依然三割は対応しないということでありますし、これは有識者会議の資料でありますが、見ると、相談件数も、全てが全て法務省に相談できているわけではないということになると、相当な件数の被害者が削除されないまま悩んでいる。実際、お手元の資料一ページ目の裏の下側ですが、相談件数は高止まりしている、被害者が最も求めるのは投稿の削除であるということであります。

 これについて、例えば、どう相談していいか分からない、窓口が分かりづらいであるとか、あるいは一週間より長く放置される、相当放置されることもあり、また、どうなったかというふうな通知もなされていない、指針の内容が抽象的である、そうした隘路も指摘されているところであります。

 そうしたところで考えてみると、我々は、発信者情報の簡易な開示など裁判手続の道も開いたわけでございますけれども、全ての案件について被害者に裁判を行うということを求めるというのはなかなか負担であろうということ、やはり望ましいのは、プラットフォーム事業者が権利侵害情報については自ら判断して、自主的に削除するというのが望ましいであろうと。私どもも、そういった実情に照らして、先般、林官房長官に取りまとめた提言をお渡ししたところでありますし、また、近々に松本大臣にも提言を持って陳情申し上げたいと思っているんですが。

 そうした削除に対する取組、あるいは、例えば最近、子供たちもGIGAスクールの影響でIT機器を持っているんですが、その影の部分としてIT機器を用いたネットを通じたいじめというのも深刻化する、これは子供世代に限らず全世代を通じたリテラシーが必要だということであります。

 そうしたことを踏まえて、今回、プロバイダー責任制限法が改正されるということでありますが、こうした我々の提言にも配慮していただいたと聞いております。権利侵害情報の削除に焦点を当てた我々の提言等を踏まえたものになっているか、ちょっとその概要について今考えているところをお示しいただければと思います。

今川政府参考人 お答えを申し上げます。

 SNS上の権利侵害情報については、これまで、プラットフォーム事業者による利用規約に基づく自主的な削除などの対応を促してきたところでございます。

 このプラットフォーム事業者による削除などの対応が更に適切に進むよう、総務省の有識者会議の報告書を踏まえまして、また、先ほど山下先生からお話がございました、小委員長として取りまとめをいただきました自民党様の緊急提言もいただいておりますので、総務省では、プラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化や運用状況の透明化を求めるプロバイダー責任制限法の改正案の提出を今国会において予定しているところでございます。

山下分科員 プロバイダー責任制限法というと、プロバイダーの方で削除しても構いませんよ、責任は問いませんよという、プロバイダーの責任を軽減するようなメッセージの題名ではあるんですけれども、そうではなくて、一定の、削除あるいは対応する責務があるんですよということについて、例えばプロバイダーに対して一定の責任を求めるというような内容にもなるんでしょうか。

今川政府参考人 法律につきましては、現在国会に提出を予定している段階ではございますけれども、法律の題名につきまして、プラットフォーム事業者に対して削除対応の迅速化や透明化の規律を課すとの観点から、法律名を特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律とすることについても検討しているところでございます。

山下分科員 今まではプロバイダーの制限を軽減しますよというふうなメッセージだったんですが、松本大臣のリーダーシップによって、そういったネット上の権利侵害に対して正面から取り組むんだ、そういうふうな内容になっているというふうに期待をしております。プロバイダーに対しても、あらゆるプロバイダーではないと思います、大手プロバイダーになると思いますけれども、やはり国民が利用するプロバイダーに広くそういった責務を果たしていただけるような法案にすることを期待しております。

 一点、改正法に対して、表現の自由との関係が問題になります。もちろん表現の自由はしっかり守らなきゃいけないんですが、じゃ、諸外国ではどうか。特にヨーロッパでは同様の動きがあるというふうに聞いていますが、その点について簡潔にお答えいただけますか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 プラットフォーム事業者への規律について、EUではデジタルサービス法が設けられておりまして、削除申出に対し遅滞なく通知する義務、削除基準の策定、公表義務、運用状況の公表義務などの規律を課していると承知しております。

 一方、アメリカでは、連邦法レベルでは、プラットフォーム事業者に対して対応の迅速化や運用状況の透明化を求める公法上の義務を課してはいないと聞いておりますが、カリフォルニア州では、州法により、プラットフォーム事業者に対して削除基準の策定、公表義務、運用状況の公表義務の規律を課していると承知しております。なお、著作権侵害については、デジタルミレニアム著作権法において迅速な削除を促進する仕組みが設けられております。

山下分科員 そういった欧米の流れも考えながら適正な法律を是非作っていただきたいと思います。

 また、端的に、ガイドラインとかそういった端的に分かるもの、利用者の方に分かるようにしていただきたいんですが、そういうような策定は是非お願いしたいんですが、それについてはいかがでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 これから法案を国会に提出させていただく段階ではございますけれども、制度整備がなされた場合には、その制度運用に当たり、頂戴いたしました自民党の緊急提言も踏まえまして、どのような情報を流通させることが法令違反や権利侵害となるのかについて、関係団体と協力することにより、ガイドラインの策定などの取組についても検討していきたいと思っております。

山下分科員 本当に、松本大臣のリーダーシップによって、表現の自由を大事にしながら、被害を防ぐ、あるいは被害を救済するというバランスの取れた法案になることを望んでおりますが、松本大臣の意気込み、そういったものが伺えればと思います。

松本国務大臣 ネットを通した権利侵害というのが極めて深刻な状況にある、偽・誤情報やフェイクも深刻な状況にあるというふうに私も認識して、この対応について、今表現の自由についても言及がございましたけれども、どのようにしていくのか、私自身、この意味では、大変いろいろな課題がある中であろうかというふうに思っています。

 一つは、法律家である分科員に私が申し上げるのはあれですけれども、これまでであれば権利侵害をする人と被害を受ける人がいわば向き合った状態の二元的な構造であったものが、間にプラットフォームが入ることによって非常に複雑な構造になっている中でどう対応するのか。ですので、開示した情報を通じて、直接の発信者、侵害をされた方に対しては、しっかりと法律的にも対応していきたいと思います。

 被害者を守るためにプラットフォームの対応が必要になってくるという中で、他方で、今申し上げたように、プラットフォームを通してというものが非常に大きな力を持っていることを考えると、どう対応するかということが非常に難しい問題だと思いますが、表現の自由そのものについても、やはり民主主義を支える根幹であることも考えると、昨今の偽・誤情報などを考えると、この健全性も確保されないと民主主義を脅かしかねないという危機感を持って取り組んでいきたいと思っております。

 そういった中で、今回の提言にとどまらず、分科員におかれましては、多くの方々の権利を守るべくしっかりと御対応いただくとか、政策提言をいただいてきたことには改めて敬意を表したいと思っております。

 今、総務省としては、申しましたように、法案を提出することで皆さんの御審議をいただき、できる限り早く、やれることを前へ進めることが大切だ、その意欲で取り組んでまいりたいと思っております。

山下分科員 松本大臣の下で、そのリーダーシップで、ネットが、表現の自由を守りながらも、要するに利便性の高い、利用者にとって守られる場であるということを期待したいと思います。

 大臣は御退席されて結構でございます。おつき合いいただきましてありがとうございました。

宮路主査 松本大臣は御退室願います。

山下分科員 続いて、地方創生について伺いたいと思っております。

 御承知のとおり、熊本にTSMCが誘致されまして、馬場副大臣は御地元ということもあって、九州も非常に盛り上がっているというふうに聞いております。進出先である菊陽町につきましては農地が含まれているということでありますけれども、農地も含めて企業誘致を行うということで、地方創生の象徴となっているということであります。

 確かに、食料安全保障は極めて大事であり、自給率は守らなければならないということではあります。しかしながら、数十年前と比べて大分やはり日本の食料事情も変わってきております。他方で、イノベーションあるいは地方創生のために、東京一極集中の是正のためにも、地方における企業誘致というのは極めて大事になってきたということであります。ただ、地方においては、例えば企業誘致に土地利用規制というものが立ち塞がっているということもあって、企業誘致がなかなか進まない場面もある、そういったことについて今後どうするのかについて伺いたいと思うんです。

 これについては、資料三枚目の上にありますように、去年の七月に国土計画の一つであります第六次国土利用計画が策定されました。この国土計画の一ページ目に書いてあるように、下線も引いてありますけれども、地方創生の観点から、地域の合意形成に基づき地域の持続性確保につながる土地の有効利用や転換を推進するという視点を追加したと。具体的には、その後のページで、交通の利便性が向上した場合には、例えば産業集積の促進を図るため、企業誘致ですね、土地利用転換など、積極的な土地利用の最適化を推進していくということが、これは閣議決定されています。これは十年間適用される国土計画でございまして、閣議決定ということですから、全省庁がこれに従って行うものというふうに考えております。

 そして、これを受けて、昨年十一月の総合経済対策として産業用地の整備の促進というものが打ち出されました。これは国土交通省のパンフレットの一部ということでございますけれども、一ページ目には、近年産業用地が大幅に不足している、政府においては今後十年間で工業用地面積を一万ヘクタール増加させるんだということを言っております。

 例えば、産業用地の整備でどれだけ経済効果があるかというと、ここにありますように、十ヘクタールの産業用地を整備するだけで百三十億円ということになります。それに加えて、整備後の経済効果は非常に大きなものがあるということになります。一万ヘクタールということになりますと、整備だけで今後十年で十三兆円の経済効果があり、それに加えて整備後の工場稼働に伴う経済効果があるということで、これは地方創生あるいは日本の経済成長にとっては絶対に必要だというふうに思っております。

 ただ、先ほど申し上げたように、地方で企業誘致をする場合に問題となるのが、例えば農地であるとか市街化調整区域などの土地利用の転換であります。これについては、先ほども申し上げたように、国土利用計画で必要な土地利用転換を図っていくということが閣議決定でなされているということであるんですけれども、まず、問いとして、国土交通省と農水省に伺いたいんですが、菊陽町のように農地を含むが企業誘致をしたい場合、そういった場合の開発許可の手続についてそれぞれお答えいただければと思います。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 都市計画法に基づく開発許可につきましては、対象地に農用地が含まれている場合には、農振法に基づく農用地区域からの除外手続が行われた後に開発許可の手続を実施することが一般的であると認識しております。

佐藤(一)政府参考人 農振農用地区域、いわゆる農業振興を図るべき土地としてゾーニングをされている農振農用地区域につきましては、原則としましては農地転用を禁止しているところでございますが、やむを得ずこの農振農用地区域で土地利用転換を進め、企業誘致をするような場合には、まず、手法としましては、農振法に基づきます農振除外、ゾーニングの変更をした上で、農地法に基づく農地転用許可の手続を取っていただくというやり方がございます。

 それに加えまして、地域の経済発展に資する事業を導入するために地域未来投資促進法の枠組みを活用すること、また、農村地域に農業以外の他産業を導入することによって農業を含めて雇用を確保していくための農村産業法の枠組み、これらを活用して特例的に農地転用を許可することが可能となっております。

山下分科員 確かに、そういったことで、農地転用を地方創生のためにやるということは可能だということになっています。

 ちょっと資料の最後のページを見ていただきたいんですが、これが、先ほど農水省がおっしゃった農産法ですね、農村産業法の都道府県別実施状況で、高度成長期の一九七〇年代初めから現在に至るまでで、合計で企業立地が一万三千八百ヘクタールなんですね。だから、要するに半世紀にわたって一万三千八百なんですよ。地域未来投資促進法は、七年間ぐらいですかね、これで大体二百ヘクタールなんですね。ざっくり言って、半世紀で一万四千ヘクタールにしかなっていないわけですよ。他方で、閣議決定、経済振興は十年間で一万ヘクタールですね。要するに、五十年間かかったものの三分の二以上を今後十年でやっていくということになると、やはりこれは相当計画的に、あるいは柔軟にやっていかなければならないと思っております。

 これは農村地帯の振興のためでもある。というのは、販売農家の四分の三は実は兼業農家なんです。そのほとんどが第二種ということで、農業が従になっているということからすると、農村地帯を振興するために、自給率に影響しないようにしながら、注意深くしながら企業誘致をやるというのは、農村地帯の維持にとっても大変必要なことだというふうに私は考えております。

 そこで、今後、農産法であるとか地域未来投資促進法の活用を見ると、ちょっと今までのところは、地域未来投資促進法がこれまでにたった二百ヘクタール、あるいは農産法も一万四千ヘクタールもない状態、一方で耕作放棄地はだんだん年間四万ヘクタールとかになっているような状態で、相当やはり企業誘致を地方にも持っていくんだということでやっていく必要があると思うんですが、これはそれぞれ、農水省、経産省、どのようにお考えなのかということをお尋ねします。

佐藤(一)政府参考人 農村産業法に関しましてお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、農村産業法は、前身の旧農工法という法律が昭和四十六年、一九七一年に制定されたものでございまして、委員の御提出の資料のデータはこれまでの長きにわたるデータの合計ですが、この一万数千ヘクタールの面積は、これは農地以外のものも含めた面積でございまして、中身はちょっと古い時代のものですから精査が難しいんですが、今の農村産業法になりましたのは平成二十九年でございまして、この平成二十九年の夏から昨年秋までの六年間で、いわゆる農地転用が原則禁止の優良農地の転用は四百ヘクタールなされているところでございます。件数にしますと五十七件でございまして、その中の一つが熊本県菊陽町のTSMCの第一工場の敷地ということになっております。

 我々といたしましては、制度の周知にはこれからもしっかり努めていきたいと思っておりまして、各地方農政局に専用の相談窓口も設けておりまして、そちらで農産法の活用の推進をしてまいりたいと思っておりますし、昨年七月の第六次国土利用計画の決定を踏まえまして、地域の持続性確保につながる土地利用転換ですとか土地利用の最適化を図るために、この農村産業法を活用しました企業立地の事例を国土交通省、経済産業省とも協力して昨年の秋には地方自治体に周知したところでございますので、引き続きしっかりと推進をしてまいりたいと考えております。

吉田政府参考人 地域未来投資促進法についてお答え申し上げます。

 地域未来投資促進法を活用した土地利用調整、これは、自治体からの報告によれば、制度導入以降、本年一月末までに四十件完了したというふうに承知をしております。

 制度の活用促進に向けては関係者への周知が重要であると認識しておりまして、例えば、昨年秋の経済対策に土地利用の転換の迅速化が盛り込まれたことを受けて行った制度の見直しにつきましては、関係省庁と連携いたしまして自治体への周知を図っており、この中で、経産省としては、特に企業の誘致の主体となる都道府県の商工部局への通知を通じて広報に努めておるところでございます。

 また、自治体からは、制度の活用の促進に向けて他地域での活用事例の共有が有効であるという指摘も受けておりますことから、地域未来投資促進法を活用した農地転用等の事例を紹介した事例集の公表にも着手しているところでございます。

 経産省としては、これらの取組を通じまして、関係省庁と連携しながら、引き続き制度の活用の促進に努めてまいる所存でございます。

山下分科員 農水省、そして経産省、もちろん国交省も、市街化調整の柔軟化というのは先ほどの資料にもうたってあるところであります。これらをやはりしっかり進めていただきたい。要するに十年間で一万ヘクタールですから、相当加速しなきゃいけないというふうに思います。

 副大臣、総務省も、こういったことを、各市町村あるいは都道府県が持っているんですが、各自治体においてちゃんと分かって、積極的に考えてもらわないといけないということであるんですけれども、是非、副大臣のお力で、例えば地方六団体などに周知していただく。そういったことを総務省としても考えていただいて、また、フィードバックをもらって更に進めていく。地方創生のためにお願いできないかと思うんですが、いかがでしょうか。

馬場副大臣 お答えします。

 今もお話がありましたように、土地利用転換手続の迅速化などについては、農林水産省、経済産業省及び国土交通省においても、昨年十二月に地方公共団体に対し、関係部局の緊密な連携を図ること、土地利用転換手続の迅速化の具体的な運用方法など、積極的な活用を図られるよう働きかけをしていると承っております。

 総務省としては、関係省庁と必要な連携を取りながら、地方公共団体内で総合調整などを担当する企画部門に対し、制度やその取組について周知してまいります。

山下分科員 これは閣議決定ですから、全省庁横断型なものですから、是非各省庁で協力して日本の地方創生をやっていただきたいと思います。

 最後に、緊急防災・減災事業債について伺いたいと思うんですが、これは非常に評判のいい事業債ではあるんですけれども、実は、例えば私の地元の玉野市でも市庁舎の建て替えということを考えています。それをこれを使ってやろうとしているんですが。

 御承知のとおり、人手不足であるとかあるいは資材の高騰、それにコロナの影響もありました、事業債が令和七年度末までということであるんですが、なかなかそれに、期限に間に合うかどうかというのがやはり全国的に微妙になっているということなので、この期限の見直し、あるいは先ほど言ったように人件費の高騰、資材の高騰での適正価格の見直し、これについて是非総務省にもお取り計らいいただきたいんですけれども、この点について総務省のお考えを伺いたいと思います。

大沢政府参考人 緊急防災・減災事業債でございます。この事業期間でございますが、現在は、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を踏まえて、令和三年度から七年度までの五年間としておるわけでございます。

 事業期間終了後の同事業債の在り方につきましては、今後の国の国土強靱化実施中期計画の状況でございますとか地方自治体の状況などを踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、単価の問題ですが、この建築単価の上限は、建築事業費の上昇を踏まえて近年引き上げてきております。令和六年度におきましても、前年度から一一%の引上げを行いました。

 今後とも、物価の動向などを注視しながら、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

山下分科員 もちろん、国土強靱化中期実施計画が策定されなければ踏み込んだことが言えないのは分かるのですが、いきなりギロチンで終わるような、そういったことをやるとやはり地方自治体も混乱いたしますので、そういったようなことがないように、是非前向きに検討いただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

宮路主査 これにて山下貴司君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、公立病院経営強化ガイドラインについて、また、それに関連する地域医療構想について伺わせていただきたいと思います。

 最初に、資料、ちょっとページをめくっていただいて、資料四を御覧ください。

 今、宮城県では、公立・公的病院の統合再編が大きな問題になっています。仙台市にある仙台日赤病院、赤十字病院と県立がんセンター、この資料でいきますと右側の写真になりますが、この二つを統合して、仙台赤十字病院は仙台市にあった総合病院ですけれども、仙台市外の南部、名取市というところへ移転をする。それから、左側に写真が二つありますが、東北労災病院と県立精神医療センター、これを合築して、仙台市外の北部、富谷市というところに移転をする。

 この発表、知事が突然発表いたしました。最初は、精神医療センターを除く三病院を統合するぞと言って、みんな、えっと言っていて、これは大変なことになると言っていたら、いつの間にか、四つの病院を二つに分けて、南部と、あと北部に移転をする。仙台市民からすると、仙台市内にある救急搬送も受け入れてくれているこの二つの病院が仙台市からなくなるということにもなるんです。

 これまでは、公立病院経営改革という名の下に、財政を逼迫している公立や公的病院、どちらかというと、財政を立て直せ、あるいは統廃合すべしというような流れが過去にはあったと思います。ただ、コロナを経験し、公立病院の役割、これが改めて見直されたと思います。公立病院経営強化ガイドライン、一昨年の三月公表されたものについては、再編・ネットワーク化という言葉が消えました。

 改めて、総務省のこのガイドライン、変更になった意図について御説明ください。

大沢政府参考人 公立病院が医師不足等により厳しい状況に直面をする中で、地域に必要な医療提供体制を確保することが、医師、看護師等の確保を進めつつ、限られた医師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用することが重要だと考えております。

 そのために、令和四年三月に策定をいたしましたガイドラインにおきましては、病院間の役割分担と医師派遣等による連携強化に主眼を置いた機能分化、連携強化という用語を使いまして、これを推進することとしております。

 新たなガイドラインは公立病院の統廃合を前提とするものではありませんが、再編等を含む公立病院の在り方につきましては、新たなガイドラインに基づく検討を行っていただいた上で、持続可能な地域医療提供体制を確保するために、各自治体が地域の実情を踏まえて、自主的な判断により行われるものと考えております。

岡本(あ)分科員 やはり、コロナを経験して、統合再編ありきではなくて、役割の分担あるいは機能分化、そして強化をしていくんだということが意思表示として表れたんだと思います。ただ、地方自治体からすると、そうはいいながらも、やはり赤字縮減、ダウンサイジング、統廃合、そういう言葉が今なお続いているということが非常に残念でなりません。

 資料の一で、今申し上げましたガイドライン、「統廃合ありきではなく、」という表現が入りましたよねという確認をさせていただきました。

 ただ、資料二を御覧ください。公立病院は、相変わらず、ようやく令和四年だけ少し戻りましたけれども、ずっと病院数それから病床数、共に減らされております。

 一方で、資料三を御覧ください。コロナの関係が非常に大きく影響しておりますが、救急搬送困難事案、いわゆる救急車に乗って病院に行く必要ありと判断をされて三十分たっても行き先が決まらないという件数が青の棒グラフになっております。コロナのときは本当に深刻な問題でしたし、昨年でいきますと、猛暑においてもやはりこういう件数が大きくなっています。

 救急搬送、特にコロナのときはそうですが、受入れをしてくださったのはやはり公立病院、公的病院。この役割は非常に大きいです。残念ながら、民間病院と比べて、特に公立病院でいくと、全病院に対して公立病院の占める割合はたしか一三%だと思うんですが、コロナのときは三割、公立病院が患者さんの受入れをしております。こういう、いざというとき、救急ですとか感染症ですとか、国民の命を守る最後のとりでとしての公立病院という役割は非常に重要さを増していると私は思っております。

 さて、端的に総務省に伺いますけれども、公立病院というのは赤字を出してはならないんでしょうか。

大沢政府参考人 公立病院は、先ほど委員からも御指摘がございましたように、地域における基幹的な公的医療機関として、不採算、特殊部門に関わる医療の提供等の重要な役割を担っていると考えております。

 一方、公立病院は公営企業でございまして、公営企業法の財務関係の規定も適用されます。したがいまして、独立採算が一応原則ということになります。その一方で、不採算医療等のように、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費等については、一般会計が負担するものとしておりまして、病院事業会計に対する繰り出し金に対して、地方財政措置も講じているものでございます。

岡本(あ)分科員 地方財政措置を講じて、それで、赤字を出してはならないんでしょうか。

大沢政府参考人 企業でございますから、赤字を出さないようにできるだけしていただくということは当然でございますが、これを法律等で禁止しているものではございません。

岡本(あ)分科員 大事なところを確認させていただきました。

 民間病院は、当然、事業ですから営利が一定の目的になるというのは十分分かります。公立病院は、病院事業で黒字を出してどんどんもうけていけというものではないというものです。特に、政策医療を抱えております。あと、不採算の医療もやはり担わなければなりません。それ相応の理由で一般会計から繰入れを入れるというのは当然あってしかるべきだと思います。

 これが、無駄にどんどん繰入れだけが期待されるということはあってはなりませんし、ただ、繰入れを合わせても赤字を出してはならないがために結果として医療が切り捨てられたり、あるいは患者さんが置き去りになったり、あるいは不採算部門がどんどん切り捨てられたり、そういうことはあってはならないということは指摘をさせていただきたいと思いますし、その点は共有できるものだと思います。

 さて、ちょっと地元の話題に戻ります。

 先ほど、資料四で仙台医療圏の病院再編の図を出させていただきました。宮城県には四つ医療圏がございます。仙南の医療圏、そしてこの黄色のマークになっているのが仙台の医療圏です。黄色の上のところには大崎を始めとする北西部の医療圏、それから石巻、気仙沼などの東部、北東部の医療圏と、四つあります。

 この黄色の図でいきますと、仙台医療圏で、先ほど申し上げましたとおり、右側、仙台赤十字病院と県立がんセンター、これが名取市というところ、どちらかというと、仙台医療圏でいきますと南の端っこといいますか、私、実家がこのすぐそばにあります岩沼市というところですので、仙台医療圏でいくと本当に南の端っこになります。それから、左側の東北労災病院、精神医療センター、この二つをくっつけて、富谷市というところです、比較的、中心部からはかなり北部になります。今、北部には、徳洲会病院さん、それからJCHOさんも、どんどんこの北部へ北部へと移転をしているところでございます。

 私は、仙台医療圏、この医療圏を決めているということは、基本的には医療圏の中で二次医療を含めて需要と供給をマッチさせるというのが医療圏という発想ではないかと思うんです。

 ちょっとうがった見方をさせてもらいますが、私、岩沼市だからこそなんですが、名取市に病院が移転されるとすると、岩沼よりも南の白いエリアのところ、実はここは、医師不足、それから、医療がどんどん、特に周産期、個人病院といいますか、本当にちっちゃい病院は出産できるところがなくなってきております。こういう意味でいくと、仙台医療圏の南部に移転をするけれども、実は仙南医療圏もカバーをすることが期待されての移転になるのではないかと私には思えてならないんです。

 決して駄目ではないですが、原則は、やはり医療圏ごとにちゃんと患者さん、住民の医療をカバーする、こういう構想をしっかり構築することがベースではないかと思います。この点は厚労省にお答えいただければと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘の構想区域の設定についてのまず基本的な考え方は、地域医療構想策定ガイドラインで示しておるところでございます。ここでは、将来における人口規模や患者の受療動向、そして、疾病構造の変化、基幹病院までのアクセス時間などの変化などを勘案し検討することとしております。

 その上で、このガイドラインでは、急性期、回復期、慢性期の医療について、できるだけ構想区域内で対応することが望ましい、ただ、一方で、高度急性期については、診療密度が特に高い医療を提供することが必要でありますので、必ずしも一つの構想区域内で完結することを求めるものではないというのが我々の考え方であります。

 そして、このガイドラインに基づきまして、各都道府県におきましては、隣接する構想区域も含めた地域の実情に応じ、都道府県の医療審議会等の意見も踏まえ、柔軟かつ適切に構想区域を設定されているものと承知をしております。

 以上です。

岡本(あ)分科員 副大臣、ありがとうございます。

 やはり、原則は原則であるべきだと私は思います。高度急性期はもちろん、それはなるべく応えられるように柔軟にするというのはありだと思います。本来であれば、仙南の医療圏はきちんと仙南で構想、もちろん構想会議も開かれておりますけれども、結果として、副次的に仙台医療圏が仙南医療圏もカバーをするということが暗黙の了解にあるとすれば、それは違うということは指摘をさせていただきたいと思います。

 続きまして、今回、コロナそれから猛暑を経験をして、機能の見直しというのがあったのかどうかというところを、これも厚労省にお聞きをしたいと思います。

 まずは、機能ごとに役割を見直せという方向性でガイドラインが示されました。機能ごとの病床数というのは、医療圏ごとに国が示すものなのでしょうか。もし分かれば、仙台医療圏はどういう状況なのか、その点も含めてお答えいただければと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 地域医療構想におきましては、各構想区域における二〇二五年の病床数の必要量について、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの医療機能ごとに推計を行うことにしております。この病床数の必要量については、各都道府県において、国が示した算定式に基づきまして、必要なデータを活用しながら構想区域ごとの必要量を算定しているものであるというふうに考えております。

 宮城県におかれましても、これに従って算定されているものと承知しております。

岡本(あ)分科員 続きまして、昨年のコロナ、猛暑を踏まえて、医療構想としての取組は、国はどう見直されたのか、この点、お答えください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナ対応においては、入院医療が必要な患者を受け入れるための体制確保が必要であり、急性期医療だけではなく、その後方支援を担う地域の医療機関も含めた役割分担、連携の強化など重要な課題が改めて認識されたところであると認識しております。これは、熱中症患者の対応も含め、救急医療全般に当てはまるものであるというふうに考えております。

 地域医療構想においては、新型コロナの感染拡大の前後で人口構造の変化等、中期的な見通しは変わっていないため、病床の必要量の考え方の基本的な枠組みを維持しつつも、新型コロナ対応で顕在化した課題を十分に考慮した上で着実に取組を進めるということにしております。

岡本(あ)分科員 そして、仙台の医療圏の話になりますけれども、今回、仙台医療圏構想でこの四病院の統合それから合築という案を県では検討しています。そのうち、仙台赤十字病院と県立がんセンター、この二つというのが、ちょっと宮城県の進め方が非常に拙速で乱暴だと言わざるを得ないんですが、多くの仙台市民からすると、救急の受入先が仙台市からなくなってしまう、じゃ、どうするんだということで、説明会を開いてくれとずっと求めていて、ようやく年末に説明会を開いてくださいました。

 ただ、開いた四日後に基本合意を、五日後ですかね、もう基本合意を仙台赤十字病院と県立がんセンター、県で結んでおります。なので、説明会、意見を聞くという名の下の一方的な説明会しか行われなかったという状況です。

 そして、この基本合意を得て、すぐさま地域医療構想調整会議が開かれて、そして重点支援区域に国に申請をするということが決定されております。地域医療構想調整会議、これについても、委員の皆さんは四日前に開催を知らされて、そして重点支援区域に国に申請をするよというのは前日に議題を知らされている状況です。非常に乱暴なやり方だと言わざるを得ません。

 結果がどうなるかというのは、きちんと住民の皆さん、地域の御理解を得て、結果をどう進めていくかというところについては、私からどうするべき、こうするべきと言うことではないですけれども、ただ、結論ありきで、しかも、国に重点支援区域に申請をすることも専門家の皆さんには突然知らされて、そして国に申請がなされております。

 資料、最後のページを御覧ください。

 厚労省で一月十六日に、年末に国に申請をした重点支援区域、これが選定が決まりました。一月十六日です。ただ、赤い丸で囲んでおりますが、異例の、選定に当たっての条件が付されております。これは、厚労省に聞いたら、今まで一度も条件をつけた選定は行ったことがないということです。改めて、この選定に当たって条件をつけた趣旨を御説明ください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案については、宮城県より地域医療構想調整会議の合意が得られたものとして重点支援区域に申請がなされたものであり、重点支援区域の選定要件を満たしていたことから選定を行ったものでございます。

 しかしながら、本事案については、宮城県の地域医療構想調整会議の議事内容を確認したところ、議論や検証に必要な情報が示されないままプロセスが進められているとの意見があったこと等から、理解を得ること等の条件を付したものでございます。

岡本(あ)分科員 議事録をしっかり見ていただいて本当にありがたいです。私も議事録を確認させていただきました。急に議題を言われて、そして、基本合意の中身も詳細説明もないままに会議の場に呼ばれている、議事録を拝見するとそういう状況です。

 基本合意はなされておりますけれども、ただ、中身について、特に県立がんセンター、公立病院でございます、これの、がん政策を県立でやっている意味は、先ほど、不採算部門、要は、民間ではなかなか採算が取れない、がんの先進的な治療ですとか研究ですとか、これは民間ではできないから県立でがんセンターが設置されたんだと思っていますが、がん政策、がん医療、がん研究、これがどうなるのかという質問が委員の中から出ていますが、結論からすると決まっていないという状況です。

 それから、今御答弁ありましたとおり、委員の中からは、議論や検証に必要な情報が示されていない。最低限、データに基づいて、こういう統合はあり得るのか、あるいはほかの選択肢が必要なのか、そもそも再編や統合、病床を減らす、こういうことが必要なのか、それを示す根拠が示されていない。それから、やはり医療関係者、患者、地域の理解は得られていない。

 それから、基本合意にある病床、県立がんセンターは約四百床持っています、それから仙台赤十字病院は四百床持っています、これを基本合意では、くっつけて四百床にする。要は、四百床減らすんですね。そして、経営は仙台赤十字病院が担う。この点は、それも構想会議のその場で、四百減るけれども、先ほど急性期とか回復期の病床数というのがバランスが悪い、だから見直す対象になる、そういう趣旨の御説明があったかと思いますが、一体、何で四百床になるのか、そのうち急性期をどうするのか、回復期をどうするのか、これによって国が告示をしている中身との整合性がどうあるのか、この点も構想会議のメンバーにはほぼほぼ知らされていない状況です。

 結果として、基本合意の中身、それから統合に向けての地域医療構想調整会議は、この議題は切り離して、国に重点支援区域を申請することだけを決めているんです。

 これは、なぜかというと、重点支援区域に申請をすると、統合しますということで、国から優先的に補助金が出ます。それから、病床を減らしたら減らした分、一〇〇%国からお金が出ます。この説明を県では既にされています。とにかく国からお金をもらうために申請だけは決めましょうという趣旨の会議だったというのは、私も宮城県民としては非常に恥ずかしいと思わざるを得ません。

 厚労副大臣にお伺いします。

 病床を削減したら一〇〇%国が出してくれるんだ、だから、まずは、統合の中身はおいておいて、国への申請だけは先にしようという決定になっています。病床削減を国が奨励しているかのような誤解が、地元では誘導されているというのは非常に残念です。

 この点、医療需要があっても、病床を削減したら国からお金が出るというこの仕組み自体、いかがお考えでしょうか。

浜地副大臣 お答えさせていただきます。

 地域医療構想の取組、これを進めるに当たりましては、まず、病床の削減や統廃合ありきではなく、やはり、各地域において、その実情を踏まえて十分に議論いただくことが重要というふうに厚生労働省としては考えております。

 先ほど委員御指摘の、病床機能再編支援事業のことだと思うんですが、これにつきましても、単なる病床削減を推進するのではなく、地域の合意を得て自主的に行われる再編統合を対象として支援するのがこの事業であります。

 また、この事業は、病床数の減少を伴う病床機能の再編の取組を進める際に、職員の皆様方の雇用や債務の取扱いなど、特に様々な課題が生じ得ることを受けて措置した支援策でありまして、この事業は、全国知事会又は全国市長会からも、病床のダウンサイジングを含む再編統合を国が強力に支援することについて、継続した御要望をいただいている事業でございます。

 したがいまして、厚生労働省としましては、引き続き、都道府県の御意見を伺いながら、地域の実情に応じて、地域医療構想の取組を支援をしていきたいというのが我々の考えであります。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁、全くそのとおりで、減らすことが目的ではなくて、基本的に、どうするのか、何のために病院を見直したらいいのか、公立病院の見直しをどうしていくのか、これがあって、それがちゃんと地域の医療ニーズと合致している、そして、結果として患者さんにとってもメリットが高まる、そういうことであります、それが決まって、だから結果として病床が減ります、それで、病床が減った影響を鑑みるから、国がその分を補助しますというのがこのストーリーだと思うんですね。

 そうしますと、先ほどから私が申し上げております基本合意の中身、統合再編の中身は切り離して、国からお金が出るから取りあえず申請しましょうとやっているこの手法、手続は非常に問題があると言わざるを得ません。これは宮城県の態度ですので、国の方がどうこうしろという話ではありませんが、そういう流れがあるということは是非知っていていただきたいと思います。

 これは公立病院が影響します。もう一つは、東北労災病院と県立精神医療センター。二つとも、県立の病院が関わっている統合再編問題です。重点支援区域の条件が付されており、公立病院を所管する総務省としても、是非この点は注視をしていただきたいと思います。

 特に、条件がついている中に、仙台市、要は、不利益を被る可能性が高いのが仙台市民、それから、今立地している病院の周辺の、特にここは二つとも、地域で包括して医療をつくってきた地域でございます。地域で単に病院だけが機能するのではなく、地域で連携をして医療機能を果たしていくというのは、総務省の公立病院経営強化の方策の中にも触れているところです。

 これは厚労省の問題だけではなくて、総務省の問題としても是非、仙台市、地域住民の理解を得る、この条件をちゃんとクリアできるのかどうか、そもそもこの構想というのが本当に妥当なのかどうか、その点、総務大臣としても関わっていただきたいと思います。お答えをお願いします。

松本国務大臣 委員がおっしゃったように、感染症のこともございましたし、気候や、そして高齢化のこともあって、総務省が所管する救急へのニーズも高まってきておるところで、消防庁としてはDXなどを進めているわけですが、地域医療全体としてもニーズが高まっている中で、地域医療の確保というのは大変重要な課題であろうかというふうに思います。

 そういった中で、地域医療の持続可能性拡大のためにも、財政、人材の面などは大変重要な課題となってきておりまして、医療資源を最大限効率的に活用するという視点で、各地方自治体が地域の実情を踏まえて各公立病院の機能分化、連携強化などに主体的、積極的に取り組んでいただくことが地域医療の確保に資するものと考えて、総務省としては、こうした公立病院の取組に地方財政措置を講じて支援をすることとしました。

 このような取組は、住民の皆様の理解を得ながら進めることが重要であるというふうに考えているところでございます。

 宮城県におかれましては、県の方針として、持続可能な医療提供体制を目指すこととし、四病院の再編に向けた取組を進められているとお聞きをしております。

 厚生労働省において、宮城県仙台構想区域を重点支援区域に選定するに際して、仙台市を始めとする関係自治体や地域住民に丁寧に説明を行い、理解を得ることを条件として付していることも承知をいたしておりまして、総務省としては、宮城県が関係者との丁寧な意見交換や住民の皆様の理解を得るように努めていただき、持続可能な地域医療提供体制の構築に向けて、この取組が限られた医療資源を地域全体で最大限効率的に活用いただくことにつながることが重要であると考えておりまして、今後の動向を注視してまいりたいと思っております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。これは厚労省、総務省両方に関わる問題だということを共有させていただいたと思っております。

 ちょっとうがった見方をしますと、例えば、仙台赤十字病院単独では建て替えは無理ですといって、県立がんセンターと一緒にします、でも、がん機能はまだ分かりませんということは、がん政策が、手を引く可能性もあります。これはやはり政策医療としても望ましいものではありませんので、この点も含めて、是非これからも、地域の命を守る、そういう政策が進められることを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

宮路主査 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

 次に、小森卓郎君。

小森分科員 貴重な質問の機会をいただき、どうもありがとうございます。金沢選出の小森卓郎でございます。

 今日は、元旦に発生いたしました能登半島地震への対応に関して、お世話になった総務省の皆様に質問をさせていただきます。総務省による対応を振り返ることを一つの切り口として、今回の地震の特徴や今後の教訓などを確認し、そしてまた今後の御支援をお願いしたいというふうに思っております。

 松本総務大臣は、もし公務がおありになるようであれば、御退室いただいても結構でございます。

宮路主査 では、松本総務大臣、御退室をお願いします。

小森分科員 発災後、まず緊急に実施しなければならないのが救命救助活動であります。今回の地震の発生は元旦の夕方でしたけれども、自衛隊や警察とともにいち早く緊急消防援助隊が全国から駆けつけて、二千人体制で部隊が展開して、救助活動、火災への対応、搬送活動などに当たりました。七十二時間の壁と言われますけれども、人命を救うために迅速な救助が必要となる緊迫した活動であります。

 今回の震災では、半島における道路の寸断などによって、緊急消防援助隊による陸路による活動、とりわけ道路の啓開、道路が開くことが進んでいない初動に大きな困難が伴いました。反面、陸路による活動が長期にわたって制約を受ける中において、消防のヘリコプターは二十二機体制で運用されて、空から現地に入り、救助、救急などの活動に当たりました。

 消防庁に伺います。今回の初動において困難だったことはどのようなことでしょうか。そしてまた、消防活動の全般を総括してください。

五味政府参考人 能登半島地震における消防の対応についてでございますが、消防庁長官の指示により、発災当初から、約二千名規模の緊急消防援助隊が出動するとともに、地元消防本部と協力し、総力を挙げて災害対応に当たったところでございます。

 発災当初は、輪島市等の災害現場までの道路が一部使えない状況となっておりました。このため、使用可能な道路を使うとともに、自衛隊や海上保安庁とも連携して空路及び海路で災害現場に向かい、活動に従事したところでございます。

 地元の消防本部と緊急消防援助隊を合わせ、連日二千三百名規模の人員が活動し、消火、警戒活動や、倒壊家屋からの救助、捜索活動、避難所からの救急搬送、ヘリによる孤立集落からの救助や物資搬送、病院や高齢者施設からの転院搬送など、被災地で求められる様々な活動に取り組み、昨日までに四百三十四名を救助、三千四百名を救急搬送いたしました。

 このように、地元消防本部と緊急消防援助隊が連携して懸命な活動を行い、災害応急対応について重要な役割を果たしたものと考えております。

小森分科員 ありがとうございました。

 答弁の中で、輪島への道路が通じていないという話もありましたけれども、本当に発災の直後は通れるはずの道があちこちで実は通れなかったということが多数発生いたしまして、皆さんに大変御苦労をかけながら、しかし急がなければいけないということで対応していただいたところであります。

 能登半島地震の第一の特徴は、半島における災害であり、道路の寸断などによりまして、人命救助、復旧の人材、物資などが入るのに多くの困難が伴ったことだというふうに思っております。そして、答弁にもありましたが、陸路での活動が制約される中、ヘリコプターが空から入り、陸における活動を補完したことは、状況に応じた的確な対応をしていただいたというふうに思っております。他方で、今年もそうでありましたけれども、冬の日本海側の天候は悪くて、頼みのヘリコプターが飛行できないという日も多くあったところであります。陸路が十分でなく、かつ天候が悪いときにも対応できる体制づくりの必要性も頭に置いていただきたいというふうに思います。

 次に、政府や自治体による被災者の生活支援について伺います。

 今回の地震では、最大で約三万人を超える被災者が各地の避難所に身を寄せました。現在でも、二百を超える地元の一次避難所に約六千人の被災者がおられます。こうした各地の避難所に、食べ物や飲料水、仮設トイレ、防寒具等、様々な物資が届けられてきました。また、必要となる物資もフェーズに応じて変化をしてきているところであります。こうした避難所の運営、被災者の生活復旧のスタートとなる罹災証明書の発行など、被災地の自治体は膨大な業務に直面をしたところであります。そして、言うまでもありませんけれども、被災自治体の職員の多くは自分自身が被災者でもあります。

 このような被災自治体に向けまして、全国各地の自治体の職員が支援に入りました。最大で千二百名、現在でも千人を超える応援職員が被災地の自治体で活動を続けています。輪島市や珠洲市などでは、元々の職員の数を応援職員の数が大きく上回ってまいりました。彼らの活動によって被災自治体がどれだけ助けられているかというのは伝え切れないところであります。

 この応援職員の投入は、ある自治体が例えば輪島市など一つの自治体を集中して支援するカウンターパート方式で行われ、対口支援というふうに呼ばれているところであります。彼らの活動については時折報道がなされておりますが、残念ながら、これほどの規模で支援に当たって被災地を助けていることなどは国民の皆さんに余り伝えられていないのではないかというふうに思っております。彼らの活動がなければ、復旧のスピードはもっと遅いものになっていたに相違ないところでございます。

 総務省に伺います。まず、こうした対口支援が始まった経緯、そして、今回の対口支援の実績、特徴について教えてください。

小池政府参考人 大規模災害におきましては、大量の災害対応業務が短期間に発生することから被災自治体単独での対応は困難であり、多くの応援職員が被災自治体に入って対応することが必要になります。

 総務省では、東日本大震災での経験のほか、熊本地震で、被災市区町村における災害マネジメント機能を支援する体制が課題とされたことや、カウンターパート方式による支援、いわゆる対口支援が効果を上げたことを踏まえまして、地方三団体等と連携して平成三十年に応急対策職員派遣制度を構築し、制度開始以降、これまで九つの災害において応援職員を派遣してきております。

 今回、能登半島地震では、発災直後から被災地と連絡を取りまして、災害マネジメントを支援する総括支援チームに迅速に現地に入っていただくとともに、現地のニーズを伺いながら、現在では千百名程度の応援職員に業務を支援いただいております。

 また、この地震の人的支援の特徴としましては、被災市町の職員数が少ない一方で、被害が甚大であることから短期間に多くの職員を派遣する必要があり、例えば輪島市には十八団体、珠洲市には十団体など、多くの自治体から支援をいただいておるところでございます。

 引き続き、被災自治体のニーズに対応できるよう、応援団体の声も丁寧にお伺いしながら、制度のより円滑な運用に努めてまいります。

小森分科員 馬場副大臣の御地元の熊本でも被災をされまして、今回の地震でも応援に駆けつけていただいております。

 全国の自治体による応援部隊は、過去の被災による経験を被災自治体に伝えることで、対応を効果的なものにすることもできるところであります。また、自らの地域を将来襲うかもしれない災害に備えて職員に経験を積ませるという利点もあるところであります。

 熊本地震では、一千人を超える応援が約一月行われたところでございます。能登半島地震では、こうした大規模な支援を既に二か月続けていただいているところでもございます。今後も、被災により力の弱っている能登の自治体を支えていただきますようにお願い申し上げますとともに、今回の経験に基づきこうした自治体間の助け合いが更に充実していくことを願っております。

 これに関連して、総務省に伺いたいと思います。こうした全国からの支援者の宿泊等の実態、そしてまた彼らの宿泊場所の確保などの取組について教えてください。

小池政府参考人 能登半島地震では、多くの建物やインフラが被害を受けたため、被災市町内での宿泊場所の確保が困難であるとともに、例えば金沢市から被災市町まで移動する場合でも、道路被害が大きく時間がかかることから、自治体からの応援職員のみならず、道路、河川、通信、放送などのインフラ復旧工事事業者なども含めた支援者の宿泊場所の確保が課題となりました。

 このため、総務省といたしましても、石川県などと連携して応援職員の宿泊場所の確保、調整を行ったほか、県が宿泊場所を一元的に確保した場合には県が負担する経費の八割について特別交付税により措置することとするなど、支援者の活動環境の改善を図っております。

 今後も積極的かつ丁寧に現場のニーズを把握し、対応してまいります。

小森分科員 今回の震災の二つ目の特徴は、まず被災地での上下水道の復旧に大変長い時間を要していることであろうと思います。そしてまた、今ありましたけれども、被災地での宿泊場所が極端に少なかったことなどから、第三の特徴として、被災者だけでなく支援者の支援も重要であった災害であるということだというふうに思っております。避難所などでの被災者の生活環境の改善がもちろん第一でありますけれども、全国からの支援者も、役場の椅子で睡眠を取ったりするなど、多くの方が過酷な環境に置かれたところでもございます。

 その一方で、今回、例えば、また熊本になりますけれども、平成二十八年に地震を経験された経験を生かして、速やかに多くのキャンピングカーを被災地に送り込んでいただき、応援職員の休養場所として機能を発揮いたしました。今後は更に早期に、そしてまた大規模に展開できるように備えを期待しているところでありますし、答弁にもありましたけれども、新しく交付税措置をつくっていただきましたけれども、このような対応についても将来に向けてよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、携帯電話やインターネットなど通信の復旧について伺います。

 激しい地震が起きた地域などでは、携帯電話の基地局そしてまた通信機器などが被災し、故障し、また、基地局を結んでいる光ファイバー網も道路の寸断などに伴いまして切断されました。加えて、こうした被害を免れた基地局であっても、能登半島全域で起きました停電によりまして、それぞれの予備電源が落ちると基地局の稼働が止まり、その結果、広い地域で携帯電話などがつながらなくなるという事象が生じました。

 これによりまして、被災直後の局面も含めまして、通信の不全によって被災状況の把握や救助部隊とのやり取りなどが困難となりました。また、避難所における被災者の生活におきましても、家族や知り合いと連絡を取ることができない、インターネットが使えず情報から遮断されるということが生じたところであります。

 私は東日本大震災の際にも被災者の支援に関わったことがございますけれども、その当時と比べますと、今回の震災では人々が通信に依存している度合いが格段に高まっていたことをひしひしと感じたものでございます。携帯電話やインターネットを利用することによる便利な生活が震災により一転してしまって、とても不便な状況に陥り、通信の復旧に対しては、被災者そしてまた関係者の方々から切実な要望が数多く寄せられたところでございます。

 総務省に伺います。今回の震災における通信の被災状況そしてまた復旧への取組を御説明願います。空から、そしてまた海からも復旧を進めたところでありますけれども、よかった点、そうでなかった点も含めて、今回の教訓事項は何だったでしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の能登半島地震において、通信については、光ファイバーなどの断絶や携帯基地局の電源枯渇などの支障が生じたところです。

 とりわけ、今御指摘もございましたが、国民に身近な携帯電話サービスの被害状況としては、能登半島北部六市町において、被災前のサービスエリアと比較して、最大でその約七割から八割のエリアで支障が発生するに至りました。

 こうした支障に対して、当時、現地におられた当時の小森政務官の御指導もいただきながら、官民連携による復旧に全力で取組をいたしました。具体的には、携帯電話各社が、移動電源車、車載型基地局、ドローン技術を活用した臨時の基地局といった応急復旧機材の設置を進めまして、総務省は、機材、燃料、人員の搬送や道路の啓開について現地災害対策本部を通じ関係機関との調整を行い、各社の取組を支援するなどの官民連携により、携帯電話サービスの早期復旧に取り組むことができたと考えております。

 また、今回の特徴といたしましては、衛星インターネット機器が、携帯電話基地局への光ファイバーが断絶した際の代替や、避難所などにおける通信手段の確保のために広く活用されたと考えております。

 こうした取組により、携帯電話サービスの支障に対しては、立入り困難地点を除き、一月中旬に応急復旧がおおむね終了しています。

 総務省としては、このような取組の効果などを検証し、その教訓を踏まえることで、携帯電話各社と連携し、平時から、災害に強いネットワークを構築するための取組を進めてまいりたいと考えております。

小森分科員 御答弁を今いただきましたけれども、通信事業各社が競って復旧作業に携わり、そしてまた協力もしながら、創意工夫を重ねて復旧の速度を上げていったものというふうに思っております。今後はまた、本格復旧が待っているところだというふうに思います。被災地での皆さんを、通信は活動の基盤ですので、支えていただきますようにお願いしたいと思います。

 今ございましたように、今回の震災の四つ目の特徴として、携帯電話そしてまたインターネットといった通信は、道路あるいは電気などの重要なインフラと同格の緊急性、重要性で復旧が求められる存在となったということだというふうに感じております。そして、通信の復旧の重要性というのが高まる傾向は、これから高まりこそすれ、低まることはないと思います。今後に備えまして、どうしたら素早い復旧を実現できるのか、通信四社の今回のそれぞれの取組を糧としながら、ベストプラクティスを各社で共有するように、総務省にも是非指導力を発揮していただきたいというふうに思っております。

 引き続きまして、ケーブルテレビについて伺います。

 能登半島は、山がちな地形でありますことから難視聴地域が多く、全国平均と比べましてもケーブルテレビの普及率がかなり高い地域であります。自治体の中には、ほとんど全ての世帯がカバーされているといったような自治体もあるところでございます。

 今回の地震では、道路網とともにケーブルテレビのネットワークも寸断されました。これまでにネットワークの仮復旧によってケーブルテレビが使えるようになった地域もありますけれども、いまだに仮復旧すらできていない地域も残っております。そしてまた、更に費用も時間も必要となる本格的な復旧工事はこれからのことであります。

 奥能登ではこれまで、自治体や第三セクターがケーブルテレビ事業を行い、ケーブル網の整備が行われてきましたけれども、本格復旧の費用負担は財政基盤も弱まってしまっている被災自治体にとって重荷になるところであります。こうした中、通常より更に手厚い支援が必要だと思いますけれども、総務省の見解を伺います。

小笠原政府参考人 御指摘いただきましたとおり、被災地である能登地域は地域的な特殊性によって地上波が届きにくく、ケーブルテレビの普及率が非常に高くなっております。こうした地域において、ケーブルテレビが情報を入手する上での不可欠な公共的な情報通信インフラとして極めて重要な役割を果たしているというふうに認識しております。

 そして、今回の震災により、土砂崩れによる道路の寸断、それに伴う電柱の倒壊、あるいはケーブル網の断線といったことによってケーブルテレビによる放送が受信できない状況になり、現在、被災地のケーブルテレビ事業者において、断線ケーブルの箇所の把握、その修繕等の作業に全力で取り組まれているものと承知しております。

 ただ、今分科員御指摘のとおり、こうした復旧作業といいましても、ケーブルを架けている電柱そのものが倒れてしまっており、かつ電柱の立っている道路そのものが遮断されてしまっている、したがって、やむなく迂回する道路のところに、地面にケーブルを置いて、とにかくつなげるといったような仮復旧の作業ということでございまして、まさに分科員御指摘のとおり、本格的な復旧ということはこれからでございます。

 こうした事業者の方々に対し、財政面でも、補助率のかさ上げなど、本格復旧にかかる費用を手厚く支援し、ケーブルテレビ事業者の負担軽減を図ることにより、ケーブルテレビの早期復旧に対して総務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小森分科員 今答弁の中で補助率のかさ上げというようなお言葉もあったところでございます。是非、関係機関の御了解もいただいて事業を進めていただくようにお願いしたいと思いますし、私も全力で応援させていただこうと思っております。

 さて、これまで様々な総務省の事業について振り返ってまいりました。これから行われる本格復旧復興は、中期そしてまた長期の営みとなるところでございます。これからの局面では被災自治体への財政的な支援が何より重要であります。

 これまで、国による被災者支援というのは大きな災害が起きるたびに少しずつ強化されてきました。今回の地震におきましても、石川県内の六つの市と町の高齢者世帯などを対象に最大三百万円を支給するという、これまでになかった交付金制度が設けられるところでございます。また、住宅を再建するローンの利子に対する最大三百万円の助成を石川県が検討しており、特別交付税による支援も政府が検討しているところでございます。

 しかしながら、被災者や被災自治体の側から見ると、手が及んでいないところ、支援が十分ではないところがまだまだ多くございます。様々な支援を受けている実態はありますけれども、国の支援では足りずに、被災自治体が支援に乗り出さなければならない分野があり、そしてまた国による補助の隙間なども存在するのも事実であります。熊本地震では、これらにまとめて対応するために、特別交付税を主な財源とする五百億円規模の基金が発災の半年後に設けられたところでございます。

 被災自治体に対する財政的な支援について、馬場副大臣の見解を伺おうと思います。とりわけ、特別交付税を主な財源とする基金を早期につくるべきである、少なくともつくる意思があることを早期に明らかにすることによって本格復旧そしてまた創造的な復興というのを後押しすべきと考えておりますけれども、副大臣の見解をよろしくお願いします。

馬場副大臣 お答えします。

 復興基金に対する財政措置については、これまで、極めて大きな災害が発生し、復興に相当の期間を要すると見込まれ、毎年度の措置では対応が難しい場合の例外的な措置として実施していると承知をしております。

 復興基金は、個別の国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応するものであるため、まずは各省庁の支援策がスピード感を持って実施されることが重要であると認識しており、その実施状況を踏まえ、復興基金の必要性について適切に判断してまいります。

 その上ででありますが、石川県が単独事業で県内を幅広く対象とする方向で検討中の自宅再建利子助成事業について、先日、石川県を視察された岸田総理より松本総務大臣に対して地方財政措置の検討指示があったことを踏まえ、復興基金も含めて特別交付税措置を検討することとしております。

 いずれにしても、被災自治体の財政運営には、全体として支障が生じないよう、引き続き、丁寧に実情を把握し、地方交付税や地方債による地方財政措置をしっかりと講じてまいります。

小森分科員 今御答弁いただきましたように、岸田総理の御指示を受けまして、先日、松本総務大臣が復興基金の検討も含めて石川県の事業に対する支援を行うという旨を表明されたところでありまして、一歩前進していただいたというふうに思っているところでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、基金の見通しを明らかにするということは、県や基礎自治体の動きを早めて復旧や復興を加速する働きがあるというふうに思っております。馬場副大臣も熊本地震の被災を御経験されたと思いますけれども、被災地の苦境に思いを寄せていただき、是非早期に更に対応をいただきますように、重ねてお願いをいたしたいというふうに思っております。

 これまでの質疑で触れましたけれども、総務省は、消防による救助、救命、被災自治体の業務支援、通信の復旧、ケーブル網の復旧、そしてまた放送あるいは郵便の復旧などにつきまして、様々な部局の仕事を通じて多面的に被災地を支援していただいたところであります。

 例えば、放送については、NHKは、今回の震災を受けまして、各地の避難所に多くの小型ラジオ、そしてまたテレビ、アンテナなどを提供していただきました。高齢者も多い避難所の生活に潤いをもたらすものでございます。

 避難生活を送る被災者が最も渇望するものの一つは情報であります。できればこうした放送に対する支援が更に早く避難所に届けられるように、また一段の取組をしていただきたいというふうに思います。

 また、放送に関して申しますと、今回、テレビ放送施設の予備電源の燃料が切れそうになったことが何回となく発生したところでございます。より長期に電源を供給できる予備電源というのも既に世の中に存在しているというふうに聞いております。今後の教訓として、重要な放送関連施設につきましては長期の停電に耐えられる備えをしていただいてはどうかというふうに思っているところでございます。

 また、郵便につきましては、一月下旬になりまして、奥能登の全ての自治体におきまして一部の郵便局の窓口を通して郵便物を受け取るということができるようになりました。被災地の方々にとりまして数少ない勇気づけられるニュースでありまして、現地でも報道がなされたところでございます。

 今回、日本郵政グループが二月の初めに、奥能登地域における郵便局のサービスの再開のイメージを分かりやすく示していただいております。今回の取組も踏まえ、是非こうしたものを早期に分かりやすく発信していただきたいというふうに思っているところでございます。

 このような形で、放送や郵便も含めまして多面的に被災地を支援していただいたところでございます。他方、現状ではまだまだ六千人の被災者が地元の一次避難所で生活をしております。上下水道の復旧もまだ途上、仮設住宅の本格的な供給もこれからでございます。対応はまだ現在進行形であり、今後も漏れのない万全の支援をお願いいたします。

 その上で、これまでの二か月、ちょうど二か月ぐらいたちますけれども、今回の地震への対応の特徴はどういったものか、また、今後への教訓として得られた事項はどのようなものか、馬場副大臣に御答弁をお願いいたします。

馬場副大臣 小森先生におかれましては、総務大臣政務官として、また、現地災害対策本部の副本部長として災害対応に大変な御尽力をいただきました。心から敬意を表したいというふうに思います。

 今回の能登半島地震につきましては、被災地の多くが半島内にあり、かつ主要道路が寸断され、悪天候も続いたため救助、復旧活動に多大な影響があったこと、被災地の多くが高齢化率の高い地域であること、発災日が元日であり、帰省中の方や観光客など地元住民以外の方も多く被災されたことなどが特徴として挙げられると考えております。

 御質問の今後への教訓につきましては、現時点で復旧復興支援は道半ばであり、網羅的な検証を実施したわけではございませんが、一例としましては、応援職員やインフラ復旧工事を行う事業者が宿泊場所などの活動拠点を十分に確保できないという課題がありました。

 このため、総務省としても、応援職員等の活動環境の改善を進めるべく、宿泊場所の確保、調整や、県が宿泊場所の確保を行った場合の財政支援などに取り組んできたところであります。

 また、重要インフラが大きな被害を受けた環境下における消防の活動も今後の課題であるため、被災地で活動された消防職団員の意見を聞きながら、消火、救助、救急搬送等の活動について対応を検討してまいります。

 このほか、通信インフラの早期復旧という課題に対しては、今回、衛星やドローンなど新しい技術を活用した取組や、官民の連携が進められました。

 今後の大規模災害に備え、今般の教訓も踏まえて、一層の救助体制及び復旧復興支援体制の強化に向けて取組を進めてまいります。

 小森先生においては、被災地の代弁者としても引き続き御意見を賜りますよう、また、御指導いただきますようによろしくお願い申し上げます。

小森分科員 ありがとうございます。まだ被災地の状況は大変厳しいものでございますので、引き続き御支援を賜りたいというふうに思います。

 奥能登に参りますと、家屋がぺしゃんこになって道路にはみ出したままになっている地域も、いまだに数多く見られるところでございます。また、津波や火災によって被害を受けた地域なども、二か月たってもそのままでございます。改めてのお願いになりますけれども、今後も是非とも能登の被災者をしっかりと支えていただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、これまでの震災の対応におきましては、御答弁もいただきましたが、松本総務大臣、そして馬場副大臣を始め総務省の政務の皆様には、現地からの切実な声に応えまして高い観点から的確に采配を振るっていただき、また、今回の地震によって初めて実現していただいたことも数多くあるところでございます。心より御礼申し上げます。

 また、現地に入った総務省の職員の方たちが、過酷な環境の中でも献身的に前向きな仕事をしていただきました。本省の方たちにも、現地を助けるために迅速な対応をしていただいていることに、これらについても感謝を申し上げたいというふうに思います。

 是非引き続き被災地を支えていただきたいことを再度お願いいたしまして、質問を終わります。

宮路主査 これにて小森卓郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後一時四分散会


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