第1号 令和7年2月27日(木曜日)
本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
田所 嘉徳君 寺田 稔君
平沢 勝栄君 大西 健介君
本庄 知史君 三木 圭恵君
二月二十六日
田所嘉徳君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和七年二月二十七日(木曜日)
午後一時開議
出席分科員
主査 田所 嘉徳君
石橋林太郎君 尾崎 正直君
寺田 稔君 平沢 勝栄君
森下 千里君 大西 健介君
岡田 悟君 川原田英世君
櫻井 周君 橋本 慧悟君
本庄 知史君 三木 圭恵君
兼務 長谷川淳二君 兼務 向山 淳君
兼務 中川 宏昌君 兼務 平林 晃君
兼務 高井 崇志君 兼務 塩川 鉄也君
兼務 北神 圭朗君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務副大臣 阿達 雅志君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 室田 幸靖君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 北尾 昌也君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 七澤 淳君
政府参考人
(内閣府大臣官房政府広報室長) 畠山 貴晃君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 高橋 宏治君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 蓮井 智哉君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 井幡 晃三君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 恩田 馨君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省国際戦略局長) 竹村 晃一君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 浅野 敦行君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 小林 太郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 藤田 昌邦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君
政府参考人
(国土交通省鉄道局次長) 岡野まさ子君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
参考人
(日本放送協会理事・技師長) 寺田 健二君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
予算委員会専門員 中村 実君
衆議院調査局第二特別調査室長 森 源二君
―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
平沢 勝栄君 森下 千里君
大西 健介君 橋本 慧悟君
本庄 知史君 宮川 伸君
同日
辞任 補欠選任
森下 千里君 尾崎 正直君
橋本 慧悟君 櫻井 周君
宮川 伸君 辻 英之君
同日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 森下 千里君
櫻井 周君 岡田 悟君
辻 英之君 柚木 道義君
同日
辞任 補欠選任
森下 千里君 尾崎 正直君
岡田 悟君 川原田英世君
柚木 道義君 本庄 知史君
同日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 國場幸之助君
川原田英世君 大西 健介君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 石橋林太郎君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 中谷 真一君
同日
辞任 補欠選任
中谷 真一君 平沢 勝栄君
同日
第一分科員長谷川淳二君、第四分科員平林晃君、塩川鉄也君、北神圭朗君、第六分科員中川宏昌君、第七分科員向山淳君及び第八分科員高井崇志君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(総務省所管)
――――◇―――――
○田所主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました田所嘉徳でございます。よろしくお願いいたします。
本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。
政府から説明を聴取いたします。村上総務大臣。
○村上国務大臣 令和七年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。
本予算案につきましては、令和六年度補正予算と一体として、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四に沿って、必要な経費を計上したものであります。
総務省としましては、能登半島地震の教訓を踏まえた国民、住民の安全、安心の確保、地域経済の好循環と持続可能な地域社会を実現するための地方行財政基盤の確立と地域経済社会の活性化、信頼できる情報通信環境の整備、国際競争力の強化と国際連携の深化、国の土台となる社会基盤の確保に必要な予算を盛り込んでおります。
一般会計予算額は、十九兆五千九百十七億円です。
以下、事項などの説明につきましては、委員各位にお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○田所主査 この際、お諮りいたします。
ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田所主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○田所主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○田所主査 この際、分科員各位に申し上げます。
質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。森下千里君。
○森下分科員 予算委員会第二分科会開催に当たり、トップバッターで質問をさせていただきます。その機会を頂戴し、ありがとうございます。
東北ブロック選出、自由民主党の森下千里です。
初めての質問ですので、至らぬ点もあるかと存じますが、何とぞよろしく申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。
では、早速ですが、質問に入らせていただきたいと思いますが、大臣におかれましては、答弁がございませんので、退室いただいて結構でございます。ありがとうございます。
○田所主査 大臣、御退席ください。
○森下分科員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
もうすぐ三月十一日、東日本大震災から十四年がたちます。この時期になりますと、亡くなった方々が安らかであることを祈るとともに、もう二度とあのような悲劇は繰り返してはならない、そう思います。また、そのような思いからなのか、地元宮城でも防災に対しての取組が盛んになっているように感じております。災害は、いつか来るではなくて、いつ来るかという意識の下、防災、減災に取り組んでいかなければならないと強く思っております。
そこで、災害時における通信の確保についてお伺いをさせていただきたいと思います。
災害が起きたときに大切なことは幾つもございますが、その中でも、とりわけ情報共有はとても重要であると考えております。実際、被災した直後には、家族と連絡が取れないまま何日も不安な思いで過ごしたというお話も聞かせていただくこともございました。また、連絡が早く取れていれば早く救出できたのに、助けられたのではといったケースが幾つもあったと伺っております。被災者にとって、携帯電話は命綱と言ってももう過言ではありません。
移動型基地局や衛星アンテナを使用するなど、復旧について早期に対応してくださっておられるのは承知をしておりますが、特に、近年では災害が複合化し、どこで起こるか分からないなど様々なパターンが考えられ、また、被害の種類も多岐にわたると考えているところから、更なる備えが必要だと感じております。
こうした災害時の通信の確保に関し、東日本大震災以降の通信設備の強靱化の取組と、能登半島地震を踏まえた今後の取組についてお伺いしたいと思います。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
災害時には、被災者の方々に災害関連情報が確実に届けられる環境の確保が必要不可欠であるなど、通信の果たすべき役割は大変大きいと認識しているところでございます。
東日本大震災におきましては、例えば、携帯電話について最大約一万五千の基地局が機能を停止するといった障害が生じました。被災地における通信を維持するため、携帯電話サービスなどの障害の要因となる停電、また、光ファイバー断絶への対策を着実に進めることが重要だと考えているところでございます。
東日本大震災やその後の自然災害の教訓を踏まえ、総務省におきましては、重要な携帯電話基地局につきまして、長時間の停電対策、また、伝送路の多重化等を推進するとともに、関係事業者間の連携体制の構築を進めてまいりました。
昨年一月に発生した能登半島地震におきましては、こうした取組が効果を発揮し、市町の役場や災害拠点病院をカバーする携帯電話基地局について、支障発生が回避され、あるいは早期の復旧が図られたところでございます。
他方で、半島部のため、陸路での迅速な駆けつけが難しく、携帯電話基地局の一部が機能を停止するなどの影響が見られたところでございます。携帯電話基地局の停電対策等の取組を一層強化する必要があると認識しているところでございます。
総務省におきましては、現在御審議いただいております令和七年度予算案に盛り込まれております大容量化した蓄電池等の設置による携帯電話基地局の強靱化への対策、支援、令和六年度補正予算において認めていただきました移動電源車の配備等による応急復旧体制の強化への支援など、電気通信事業者による取組を積極的に支援することにより、災害時における通信の確保にしっかりと取り組んでまいります。
○森下分科員 ありがとうございます。
救助には時間次第で救われる命があると考えているところから、質問をさせていただいております。携帯電話ネットワークの被害状況を分析しての取組ということでございました。承知いたしました。いかに電波を途切れさせないかということが大切であるかというふうに、身をもって感じるところでございます。これからも災害時における通信の確保に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、この度、岩手県大船渡市で大規模な山林火災が発生し、報道によりますと、八十四棟の建物が焼失し、そして、二千人以上の方に避難指示が出されておるとのことでございました。被害に遭われた方々に深くお見舞い申し上げるとともに、昼夜を問わず消火活動に奮闘されておられます消防の皆様始め、関係される多くの方々に深く感謝申し上げます。
このようにして、災害時や日頃、地域の安全を守るために消防があります。私も一消防団員でありまして、消防職員の皆様、また、消防団員の皆様がどれほど地域のために汗をかいているか、理解をしているつもりであります。その活躍に深く敬意を表したいと思います。本当にありがとうございます。
特に、消防団におかれましては、非常勤特別職の公務員ということで、本業がありながらも、災害時や火災発災時に出動するものであると承知をしております。しかし、残念ながら、消防団員は減少していると、地元でも不安に思う声を聞かせていただいております。そもそも人口が減っているところもございますから、若者の確保は難しいと考えますが、その中でも、女性団員が増加している傾向があるとも伺いました。実際に、私も地元宮城県松島町での今年の出初め式に出させていただいたときには、女性団員の姿が目立ち、増加傾向なんだなということを強く実感いたしました。
これまで女性団員の確保をどう進めてこられたのか、教えていただきたい。また、女性団員が増えるということになりますと、着替える場所も含めて環境整備や、また訓練の時間、また設備等、様々な課題があるように感じております。そういったことも踏まえながら、今後更に女性団員を確保するためにどのような取組を考えておられるのか、教えていただきたいと思います。
○田辺政府参考人 大規模災害になればなるほど、地域に密着した消防団の力が重要とされる中、消防団員数は年々減少傾向にありますが、分科員御指摘のとおり、女性の団員数は近年増加傾向となっており、消防団の更なる充実強化を図るためには、女性の更なる入団促進や、女性の消防団員が活動しやすい環境を整えていくことが重要と考えております。
このため、消防庁では、これまで、女性や若者をターゲットに置いた広報、女性の目線を生かした消防団運営について助言ができる消防団等充実強化アドバイザーの派遣などの対策を実施しているほか、消防団拠点施設における女性用更衣室やトイレ等の整備について緊急防災・減災事業債を活用できることとしております。
また、今後も、女性の更なる活躍促進に向け、消防団の力向上モデル事業によるパーティションの設置など、女性団員が活動しやすい環境づくりに向けた自治体が行う取組への重点的な支援や、令和六年能登半島地震も踏まえ、消防団設備整備費補助金等において、女性を含め全ての団員が比較的容易に取り扱える小型、軽量化された救助用資機材等の整備を推進してまいります。
さらに、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても、女性消防団員が入団しやすく、活動しやすい環境づくりに向けたノウハウについて、各地域の参考となる取組を取り上げつつ、自治体にお示ししているところであり、引き続き、こうした様々な施策を通じて、女性の更なる入団促進を図るとともに、女性の活躍促進に向けて取り組んでまいります。
○森下分科員 ありがとうございます。
女性活躍という視点で御質問させていただきましたが、高齢化や人口減少下において、団員確保は本当に重要になってくるというふうに感じております。今のお話を受けて、そうしたすばらしい取組がなされていることが功を奏しておられるのではないかなというふうに思いました。
地域のコミュニティーが失われつつある現代で、こうした地域防災や、そもそも、地域活動に参加することは大変意義深いことであるというふうに思っております。そうした意味からも、消防団にとっては非常に重要な役割を、私自身担っていると考えておりますので、今後とも、消防団の一員としても、また地域コミュニティー維持のためにも、皆様とともに頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございました。
さて、次の質問に入らせていただきます。
先日のマイナ救急の報道発表を受けての質問となります。
救急の役割とは、まさに命を救うことであるというふうに考えております。マイナンバーカードの普及とともに様々な可能性が広がってきている中、特に医療や介護の現場では活用されるのではないかと以前より期待をしておりましたが、実際に、このマイナ保険証を活用した救急業務の円滑化は、現場での作業効率を上げ、より傷病者の方にとっては早く痛みから解放されることや、早く回復へ向かうのではないかと大きく期待をしております。
これまでの取組状況を具体的な例を交えて教えていただきたい。また、今後の取組についても、併せてお聞かせ願いたいと思います。
○田辺政府参考人 消防庁では、救急業務の円滑化を図るため、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用し、病院選定等に資する情報を把握する取組、いわゆるマイナ救急の全国展開を推進しています。
令和六年度は、六十七消防本部六百六十隊で実証事業を行ったところ、マイナ救急を実施した件数は約一万一千件でした。
具体的な活用事例として、三つの事例を紹介させていただきますが、一つ目は、苦しさのため傷病者が口頭で説明できないケースで、マイナ救急により、かかりつけ病院や薬剤情報を確認することができ、円滑にかかりつけの医療機関へ搬送することができた事例。
二つ目は、外出先で意識障害を起こしたケースで、なぜ意識障害を起こしているか分からない状況だったが、マイナ救急により、既往歴に糖尿病があることが判明し、ブドウ糖を投与した。搬送中に意識状態が回復し、病院到着時には会話可能な状態まで回復した事例。
三つ目は、自転車で転倒し外傷を負ったケースで、生命を脅かす外傷は確認できなかったが、持病など別の要因により転倒した可能性もあるため、既往歴等を確認する必要があった。隊長が傷病者に問診を行うのと並行して、別の隊員がマイナ救急で既往歴等がないことが確認できたため、速やかに医療機関に連絡した事例など、住民の皆様、救急隊員、病院それぞれから役に立ったという声をいただき、マイナ救急の有用性を確認することができました。
そのため、令和七年度は、全国全ての七百二十消防本部五千三百三十四隊の救急隊において実証事業を実施し、全国展開を図ることとしております。
また、マイナ救急について、国民の皆様の認知度を向上させるため、ショートムービーを作成したほか、今後、政府広報、ポスター、広報誌等により、国と自治体とで連携した広報を積極的に展開することとしております。
○森下分科員 すばらしい事例をありがとうございます。
また、現在、人口減少が進んでおりまして、過疎化地域も本当に進んでおります。そうした地域では、医療機関はもとより、救急隊の数にも限りがあるというふうに思います。そういった意味では、救急医療の重要性が都心部よりも高いと思われます。
特に、救急隊の到着までにも時間がかかり、さらに、救急病院への搬送にも時間がかかるという不利な状況に置かれることも想定されるため、時間に猶予がありません。いち早く、傷病者の状態を正確に把握し、搬送先に伝えることで病院側も事前に準備ができるということが今回の事例で分かったのではないかなと思い、また救急の役目を大いに果たすことができると更に期待申し上げます。実証実験にて様々な課題が見えてまいったと思いますので、課題を克服するとともに、より業務が円滑化され、多くの方々にとってよりよい制度となるように御期待申し上げます。
また、あわせて、マイナ救急を受けるための前提であるマイナンバーカードの常時携行への周知に努めていただくようお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきたいと思います。
全国には郵便局が二万四千局あり、これまでにも多岐にわたり細やかなサービスを提供されておられることからも、現在のユニバーサルサービスを維持することが大切であると承知をしております。先ほど、救急でも活用されているマイナンバーカードの発行の支援などもされております。顔の見えるおつき合いを日頃なさっておられるからこそ、地域住民からも信頼され、そして、丁寧に対応されておられるからこそ、地域に深く根差してこられたと思います。
今後、オンライン診療やスマート水道検針、買物支援など、ますます地域のニーズに応えていく必要があると思います。これからの郵便局の活用に関する総務省の取組についてお伺いしたいと思います。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、住民票の交付などの証明書発行事務や、マイナンバーカードの交付申請などの自治体窓口事務や、高齢者見守りサービス、空き家調査など、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっております。
総務省といたしましても、これまで、離島の郵便局でのオンライン診療、服薬指導や、配達車両を活用したスマート水道検針の実証事業を行うなど、郵便局の利活用による地域活性化を後押ししてきたところでございます。
令和七年度の政府予算案におきましても、自治体窓口事務などの行政サービスと、オンライン診療、買物支援といった住民生活支援サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な経費を計上しております。
また、実証事業に加えまして、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づき窓口事務を受託する過疎地の郵便局等に対しまして市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴います初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしております。
こうした取組を着実に実施し、今後とも、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう支援してまいります。
○森下分科員 ありがとうございます。
更に過疎化が進む地域や、私の地元にも離島がございます、そういった地域では、郵便局の存在が、地域のハブとしての機能が更に高まり、その重要性がますます必要になってくるというふうに考えております。一方、現場の皆さんの御負担がどこまで増えるかということにも是非配慮していただきつつ、総務省と郵便局が連携し、住民サービスを拡充させていっていただきたいと願います。応援しております。
さて、また、私自身、日頃感じておるのは、やはり人口減少に伴い、地域の元気が少しずつ失われていくのではないか、そんな不安もございます。その一方で、地域おこし協力隊が二〇〇九年より始まり、隊員数も令和五年度末の時点では約七千二百人が活動、そして、令和八年度までに一万人を目標にしておると伺っております。
私の地元宮城でも、若い隊員の方にお会いすることもあり、この地元、地域に興味があって、選んで来てくれたという言葉がとてもうれしく、また、心強く感じているところです。実際に、定住し起業するという方も多くおられ、所期の目的である地方へ移住した人材が地域の課題解決や振興活動に取り組むということが達成されており、喜ばしい限りである。
その一方で、インターネットで地域おこし協力隊と検索をいたしますと、給与、募集、総務省と、一緒に関連した言葉が自動表示されるのですが、その中にトラブルといった言葉がございました。人と人とのつき合いですし、人と地域が連携していくとなれば、想定していないことでトラブルが生じる場合、また、受入れ側と隊員との目的意識のずれやすれ違いが起こる可能性もあるのではないかと考えます。
総務省さんとして、こうした事態を未然に防ぐための取組やどういったサポート体制があるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
地域おこし協力隊でございますが、都市部から過疎地域などへ生活の拠点を移していただきまして、地域協力活動によりまして地域の活性化に貢献をしていただくというふうな制度でございます。最終的には、地域に定住、定着をしていただければ非常にいいなというふうに考えて取り組んでおります。
先生御指摘のとおり、隊員が円滑に活動を行うためには、隊員のみならず、地域、自治体の三者間でしっかりと目的意識等が共有されている必要があるんだろうというふうに考えているところでございます。
そのため、総務省では、地域との関係づくりなどの受入れ自治体における隊員の日々のサポートを隊員経験者等に委託する経費、こちらについて、地方財政措置の対象として支援をしております。また、地域のニーズを踏まえました導入目的、また活動内容等の検討につきまして、自治体へのアドバイザーの派遣を行いまして伴走支援をさせていただいているところでございます。
また、令和六年二月になりますが、全国ネットワークを立ち上げておりまして、サポートのノウハウなどを全国で共有するということとともに、各地で隊員をサポートする都道府県単位でのネットワークづくりの支援も行っているところでございます。
さらには、総務省では、地域おこし協力隊サポートデスクというものを開設をいたしまして、こちらの方で、豊富な知見を有する方々からサポートをしていただくということも行っているところでございます。
こういったこともありまして、今後とも、地域おこし協力隊、全国でしっかりと使われるように支援をしてまいりたいと考えております。
○森下分科員 ありがとうございました。
ちょっとしたことがトラブルにつながってしまったりすると思いますが、こうしてアドバイザーだったり、また、トラブルの事例なんかがありますと、それを踏まえて問題解決につながるというふうに承知をしております。同じ思いをされている方々がこれからも引き続き同じ方向を向き、進み続けるためのサポートを是非よろしくお願い申し上げます。
また、地域おこし協力隊もそうなんですけれども、地方の元気を創出するということがとても強く求められていると思います。私自身、地元からも、若い人がいてくれたらやということをよく言われるところであります。例えばですが、地元の伝統的なお祭り等も、人手が足りないということでできないという状況に追い込まれることもございます。県内や県外からもボランティアを多く集めて開催している地域があるわけでありますが、突然転入し、そして移住するということ、このことに関しましてはまだまだハードルが高いと感じられる方もおられると思います。
そういった思いから、私が御質問させていただきたいのは、ふるさと登録制度についてです。町おこしには人が必要になりますが、そうした中で、現在、実際に、新潟の限界集落の山古志地域でも、独自財源を確保し、そして持続可能な地域づくりを目指しておられる、こういった取組もあります。
総務省として、関係人口を増やしていく政策について、最後、お聞かせいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少や少子高齢化が進み、地域の担い手不足、やはりこれが非常に深刻であるというふうに考えておりまして、そういった中で、定住までなかなか至らないという中で、関係人口を始めとします地方への人の流れの創出、拡大、これは地方創生二・〇を推進する上でも大変重要だというふうに考えているところでございます。
このため、総務省といたしましては、実際の定住としては、先ほど申しました地域おこし協力隊を一万人まで増やすという目標でやっているわけでございますが、そのほかに、関係人口といたしまして、地方自治体の二地域居住、また一般的な関係人口の取組をする際の特別交付税措置を新たに創設したいというふうに考えているところでございます。
また、都市部で御活躍をいたしまして、その後、例えば企業を退職したようなシニア層、こういった方は即戦力でございますので、そういった即戦力を活用できないかということで、地域活性化シニア起業人といった形での取組を構築していきたいなというふうに考えているところでございます。
また、このような地域に継続的に関わる人々ということでございますので、それを登録できて、地域づくり活動に参加する担い手となっていただけないかということで、先ほど御指摘のございましたふるさと住民登録制度でございますね。これは、今、関係省庁と検討を進めてまいりたいというふうな段階でございますけれども、各自治体の取組とかそういったことを研究しながら、いろいろな方が使えるような仕組みとしてしっかりとつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。
今後とも、自治体の取組をいろいろな面で支援をいたしまして、地方への人の流れを促進できるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○森下分科員 ありがとうございました。
私も、日本全国津々浦々歩かせていただきまして、本当にすばらしい地域がたくさんあるなというふうに感じております。今、様々な暮らし方がある中で、住んでいる場所にとらわれず暮らしていくということがどんどん可能になっている時代だというふうに感じております。今お話しいただいたように、緩やかに関係人口を増やしていく、そのことで地方活性化にも更に取り組んでいただきたいなと思います。是非とも頑張っていきましょう。ありがとうございます。
今回、初めて質問させていただくに当たりまして、地域の課題について重点的に質問をさせていただきました。これからも、地域の元気を創出するに当たって、私も全力で取り組んでまいりたいと思います。大臣、副大臣、政務官の皆様におかれましては、これからも是非御指導をお願い申し上げるとともに、総務行政の発展のために日頃御尽力してくださっている総務省の皆様、また、今日の分科会開催に当たり、遅くまで調整いただきました衆議院職員の皆様に感謝を申し上げ、私からの質問、以上とさせていただきます。
ありがとうございました。
○田所主査 これにて森下千里君の質疑は終了いたしました。
次に、橋本慧悟君。
○橋本(慧)分科員 立憲民主党・無所属の橋本慧悟と申します。
大臣、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私、選挙区は明石市と淡路島、兵庫九区というところから参りました。兵庫県で起きている課題もしっかりと認識をしながら、そして、国全体で、もっともっといい地域、いい社会にしていけるように全力で挑んでいきたいと思いますし、よろしくお願いいたします。
我々立憲民主党は、本気の歳出改革チームというのを立ち上げまして、通常国会が始まる前にそのチームを立ち上げて、私もその一員として、政府予算、見させていただいてまいりました。その関係で、最初は、内閣府の事業を私は担当しましたことから、総務省の第二分科会ではありますが、ちょっと内閣府のことについてもお聞きできればと思います。
まずは一つ目、内閣府、政府の広報費約八十億円についてということです。
このうち、一つ目、国内広報経費約四十六億円についてです。
二〇二四年度の行政事業レビューシートによりますと、事業の目的は、広く国民に対して政府の重要施策の内容、背景、必要性等を周知し、理解を促進することでありますが、その成果目標が、例えば、政府広報のテレビCMの認知度が民間会社も含めた全社平均値を上回ること、また、SNS動画広告の視聴完了率が過去の平均値を上回ることなどにより、一定程度国民に広く認知、周知されたと評価できるというふうに政府は自己評価をされていると考えます。自己評価をしているという記述もあるんですけれども、果たして本当にそうなのかというような疑問もあります。
視聴率や動画の視聴完了率といった数字目標だけではなくて、元々の目的である国民の理解度を測る手法が必要ではないのかと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
政府広報は、政府の重要施策について、その背景、必要性、内容等を広く国民に周知し、これらの施策に対する国民の理解と協力を得ることを目的として、テレビ、インターネット等の各種媒体を活用した広報を行っております。
国民の理解度を指標とするということは有意義であると考えておりますけれども、現状、それを測る調査分析手法につきまして、成果指標とするに値する手法が必ずしも確立されているものではないというふうに考えてございます。そうした状況においては、広報実施後に取得可能な客観的数値である現状のインターネット広告のクリック数、インターネット、SNS動画広告における視聴完了率等を成果指標として設定しているところでございます。
今後の広報効果の調査分析手法も発展していくということも予想されますものですから、そうしたことも注視しつつ、より適切な成果指標の検討に努めてまいりたいと思います。
○橋本(慧)分科員 御答弁いただきました。
その中に、確かに、効果的な調査の方法がまだ確立されていない部分もあるというふうにおっしゃいました。まさにそのとおりだと思いますが、我々の税金が使われて、広報にも充てられているということです。
政府広報のページも見させてもらいましたが、多いものは何千万回と例えば動画再生されていたりとか、ただ、物によっては百回にも満たない、そういったものもある。いろいろなチャンネルを使って、いろいろなところで広告をしているということも事前のレクでもお聞きしましたが、やはり、じゃ、我々が、しっかりと政府の広報を国民が認知しているのかと言われると、まだ疑問が残る点もあると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
この事業の発注におきましては、競争入札の手法で募っていらっしゃると思いますが、大手の広告代理店とか関係企業がほとんど、多くを受注しているという状況も御紹介したいと思います。
令和五年度の国内広報経費では、九つの事業で一者応札となっておりまして、多いものは一件三億四千万円でありますとか一億一千万円。戦略的広報経費という部分におきましても、三億四千万円の一者応札での受注がある。
これは行政レビューでも指摘がされていましたが、調達に当たっては、やはり競争性をもっと持たせるために、予算編成時や事業執行に当たってのプロセス、これを透明化することが大切だと考えております。大手企業ばかりじゃなくて、新しい感性とか新しい価値観が生まれる広告業界でありますし、こういった業界であると思いますので、だからこそ、中小企業や新規参入がしやすいようにすべきだということを申し上げたいと思います。
そこについて御見解があれば、答弁をお願いします。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、政府広報におきまして、様々な調達の中で、一者応札となっているものがあることは事実でございます。
私どもとしても、一者応札となった案件について、それで必ずしもよいというふうに思っているわけではありませんで、調達の競争性を高め、幅広い業者が参加できますよう、公告期間の延長、受注実績、資格要件の緩和、仕様書の見直し等の検討、それから、入札説明書を入手したけれども応札しなかった事業者、こういった方々に対しまして、その要因を確認するなどの取組を行ってきております。
引き続き、多くの事業者に参加していただくことで調達の競争性を確保できるよう努めてまいりたいと思います。
○橋本(慧)分科員 是非ともよろしくお願いします。
次に、国際広報経費約三十一億円につきましてです。
こちらの事業の目的は、親日感情の醸成でありますとか、我が国への理解や好感度を向上させるということです。しかしながら、行政事業レビューの指標が好感度のみであります。この事業によって本当に好感度が上昇したのかどうかというのはなかなか測れないのではないかなと思っておりますし、そういう御指摘もされていると考えます。
これについて、厳しい見方をすれば、広告費を多額にかけようがかけまいが、事業が無駄になってしまうんじゃないかというような御意見もあると思います。そもそも、日本政府の広告を見ているか見ていないかも分からない方々の回答をもってその成果の判断指標にしているというところもあるようです。ですので、ここについては、済みません、時間の都合上、コメントという形にさせてもらいますが、是非とも、そういう視点で我々は見ておりますし、そう見られる方々もいらっしゃいますので、今後、透明性の確保でありますとか、様々な評価、検証の手法を確立、進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
続きまして、総務省の分野、マイナンバーカードについてお聞きをしたいと思います。
まずは、保険証の連携、電子証明書についてです。
マイナンバーカードと保険証連携ができているか、また、電子証明機能が備わっているかどうかを確認したいというときは、どこでどのように手続をすればいいのか、いま一度、国民の皆さんに分かりやすく、端的に回答をお願いします。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
マイナンバーカードの健康保険証としての利用の方法につきましては、御自身のスマートフォン、パソコンなどでマイナポータルを使って申し込む方法、それから、医療機関や薬局の顔認証つきカードリーダーから申し込む方法、セブン銀行のATMから申し込む方法により登録することが可能でございます。
また、登録状況の確認方法につきましては、マイナポータルの画面での確認のほか、医療機関等の顔認証つきカードリーダーにマイナンバーカードをかざすことで、利用登録がなされているということを簡単に確認することが可能でございます。
今後とも、マイナ保険証の利用登録の方法などについて、丁寧な周知を図ってまいりたいと思います。
○橋本(慧)分科員 御答弁いただいたとおり、三つある。マイナポータルと、また、医療機関とか病院のところで直接カードをかざして確認する方法、また、お忙しい方はセブン銀行のATMでもできるということでした。是非とも、これはまだ知らない方も実はいらっしゃるんじゃないかなと思っていますし、地元でもそういう声を聞きます。丁寧に周知を進めていただくとともに、マイナンバーカード、持ちたいという方がしっかりと持って、施策の展開につなげていただければと思います。
この更新についてと、誰も取り残さないカードの更新手続というのが是非とも必要だと考えております。
大臣にお聞きしたいと思います。
これにつきましても、カード保有者や保険証連携済みの今現時点での割合、どれぐらいの割合の方がお持ちで、保険証連携もできているのかというところと、今後、更新事務が実際発生してくると思います。それを担うのは、地方自治体の窓口でありますとかそういったところ、現場が担いますから、そちらの事務負担の軽減とか財政支援、こういったものもしっかりと継続、さらに拡充、来年度、再来年度以降もやっていただきたいという要望も含めてお伝えをしたいと思います。
さらには、福祉の施設とかに入居されて更新手続が非常に困難な方、独り暮らしの方で、施設にいらっしゃる方など、様々な事情でなかなか更新ができないという方もいますので、やはり、誰も取り残さない、こういったDXを進めるマイナカードの更新というものについて、是非とも御所見というか方針をお聞かせください。
○榊原政府参考人 人数につきまして、私の方から答えさせていただきたいと思います。
マイナンバーカードの保有状況等につきましては、令和七年一月三十一日の時点で、マイナンバーカードの保有者数は九千六百九十五万人であると承知しております。また、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録を行った方の件数につきましては八千百五十三万人であり、マイナンバーカードの保有者に占める割合は八四・一%でございます。
○村上国務大臣 委員御指摘のように、マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全、確実な本人確認ができる、地域のDXの基盤となるツールとして、その普及、利活用を進めてきているところであります。カードの導入から十年が経過し、初年度に取得した方は有効期限を迎えるために、更新の手続が必要となります。すなわち、今申し上げたように、九千六百九十五万人のうち千二百十万人が、令和七年度に更新の予定であります。
更新に当たっては、カードをお持ちの方が余裕を持って更新いただけるよう、有効期限の三か月前に、カード発行者である地方公共団体情報システム機構から、有効期限のお知らせや交付申請書をプッシュ型で送付しております。
また、カード交付事務等を行う自治体に対しては、土日や平日夜間の開庁の拡大、駅周辺や公共施設等で臨時交付窓口の設置など、取組の強化を図るとともに、窓口の民間委託の導入、拡充など、事務負担の軽減にもつながるような助言を行っております。
さらに、高齢者や施設入所者など、来庁が難しい方への対応としましては、代理人による更新手続が可能であることとしており、適切な周知についても助言しております。
これら自治体の取組に必要な経費につきましては、マイナンバーカード交付事務費補助金により支援しており、総務省としましては、今後とも、カード等の円滑な更新手続がなされるよう、しっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○橋本(慧)分科員 大臣から御答弁をいただきました。
来年度には千二百万件の更新が予想される。また、電子証明、あれば非常に便利ですし、電子証明があれば、コンビニに行って、例えば住民票を取ったりとか戸籍を取ったりとか印鑑証明を取ったりとか、非常に便利だと思います。私自身も利用させていただいております。こういったこともまた千五百八十万件ほどが予想されているということですので、更新事務を担う地方自治体の事務負担の軽減と財政支援、これをおっしゃっていただきましたので、しっかりと継続いただきたい。そして、令和八年度以降もここにつきましては強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
続きまして、国民の命を守る救急体制について、救急安心センター事業、いわゆるシャープ七一一九の速やかな全国拡充をということでお聞きをしたいと思います。
救急の出動件数は令和五年度で約七百六十四万件、救急自動車の搬送人員は約六百六十四万人ということで、熱中症によって搬送される人は、去年の五月から九月の数か月で過去最多の九万七千人、約十万人もいる。
救急需要が増大する中で、やはり救急業務を安定的かつ継続的に運営するということがとても大きな課題だと私も承知をしておりますし、一一九番で救急要請をするかどうか迷うときの相談窓口、シャープ七一一九、医師や看護師等が電話相談に乗ってくれるというこの事業、直近では、導入エリアが増えて、人口カバー率も八割を超えたと承知しておりますが、やはり、全国どこでも安心して受けられるという仕組みが大事だと思います。
私も、子供が四人おりまして、それぞれが救急医療にお世話になりまして、そのたびに、本当に相談したい、一一九番にかけてもいいのだろうか、このようなことでかけてもいいのだろうか、でも、どこか、誰か専門家に相談したいというような、本当にリアルに体験をしてきておりますので、これが、住んでいる地域によって差がなく、しっかりと安心できるようにすることが、また、少子化対策でありますとか、子供たち、お年寄りも含めて、安心を守るということにつながると思います。
私は、兵庫県議時代からも、これをしっかりと進めてほしいと。地元兵庫県では、神戸市や姫路市は一部導入しているんですけれども、私の地元、明石市でありますとか淡路島では導入ができていない。そこについては、境界、市境を一歩越えてしまうとサービスが受けられないというのはやはり不公平ですし、命と安全を守るこのシャープ七一一九の取組、国として一層の推進と財政支援もお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
○村上国務大臣 救急安心センター事業、すなわちシャープ七一一九は、各都道府県が原則として実施主体となるものであります。運用に係る費用については、令和三年度から、都道府県又は市町村の財政負担に対しまして特別交付税措置を講じることとしております。
その結果、実施地域は着実に増加しておりまして、現在は全国で三十六地域で実施されております。
総務省消防庁としましては、引き続き、管内にシャープ七一一九の未実施地域を有する団体における早期の事業導入に向けて積極的に働きかけてまいりたい、そのように考えております。
○橋本(慧)分科員 御答弁をいただきました。
それまでは普通交付税算入されていたものを、費用の見える化ということで、特別交付税で、自治体の財政力に関係なく、しっかりと半分見るんだという姿勢は非常にいい取組だと思いますし、ただ、やはりエリアによってはできていないところがありますので、三十五、六の府県に広がったとおっしゃいますが、やはり速やかに更なる拡充をお願いしたいと思います。
続きまして、マイナンバーカードを活用した救急医療の推進、これについても、マイナ救急ということで、各種報道でありますとか政府の御発表もあるかと思います。
これも、やはり、負傷した方とか病気になられた方の迅速な救急救命のためには、全国への活用推進、各地域の消防行政への人的支援でありますとか財政的支援、これを是非とも優先してやっていただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。
○森政府参考人 救急の医療機関との連携に関するお尋ねでございます。
今後、救急搬送件数は大きく増加していくことが見込まれております。こうした中、医療機関と救急隊の間における搬送調整を更に効率的に進めていくことが重要だというふうに考えております。このため、厚労省といたしましては、委員御指摘のように、救急医療機関と消防機関のワンストップ連携の仕組みを全国統一の基盤として展開していくことを将来的に目指して、今取り組んでいるところでございます。
これに向けて、まずは、今年度は、消防庁と連携したモデル事業において、スマホ等を用いて、救急隊が現場で得た傷病者の情報を複数の医療機関と一斉に共有できるプラットフォームを構築し、搬送調整の効率化を図る取組を実施しているところでございます。
その上で、来年度には、当該モデル事業の成果や課題を踏まえて更に一個上へ行って、民間の救急システムや、EMISと言われる厚労省のシステムがあるんですけれども、そうしたものとの連携も見据えて新たなモデル事業を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
引き続き、消防庁と連携しながらこうした取組を着実に進め、その効果を踏まえながら、全国統一の基盤整備に向けた検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○橋本(慧)分科員 御答弁にありましたように、ワンストップで本当に消防行政でありますとか医療機関にしっかりとつないでいくというところの試みもスタートしているということでした。是非ともこれも力強く進めていただきたいと思いますし、やはり私も救急車に乗り込んだときに、必死に隊員の方が一軒一軒電話をして、今空いていますか、患者さん、お子さんの様子はこうです、住所、年齢、そしてどのような所見があるか、断られたらまた二軒目に電話をして、無理だったらまた三軒目に電話してというようなところをリアルに見ているわけですね。是非とも、今、DXが進んでいる中で、そういったところ、命と健康を守る部分につきましては、何よりも優先して予算配分をして進めていっていただきたい。
そして、省庁横断的に是非とも取り組んでいただきたいと思います。いろいろな省庁にまたがる部分がたくさんあると思いますし、実際には、乗り込んで、例えばデバイス一つ触れば、今この病院が空いているんだとか、こういう搬送ができるんだとか、そういったことも速やかにすることで、救急隊員の負担も軽減されますし、病院としても速やかにバイタル等の情報を得て準備ができる。そして、保護者さんも、親御さんも、患者さんも安心できる。
こういった体制を是非とも力強く進めていただきたいんですけれども、総務大臣として、いろいろなところにまたがる所管のこの分野につきまして、是非ともしっかり進めていくんだという御決意をお聞きしたいんですけれども、伺ってもよろしいですか。
○村上国務大臣 総務省の消防庁では、救急業務の円滑化を図るために、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用しまして、病院の選定等に資する情報を把握する取組、いわゆるマイナ救急の全国展開を推進することとしております。
マイナ救急は、傷病者が救急隊に情報を伝える負担を軽減して、搬送先の医療機関の選定を円滑に実施できるなど、国民の皆様にメリットがある取組であります。
令和六年度の実証事業におきましては、有用性を確認できましたところでありまして、令和七年度には、全国全ての七百二十消防本部、合計五千三百三十四隊の救急隊で実証事業を行う予定としております。引き続き、マイナ救急の全国展開を一層推進してまいりたい、そのように考えております。
○橋本(慧)分科員 ありがとうございます。力強い御答弁をいただいたと認識をしております。本当に、有用性も確認されたということで、速やかなというか、着実な進捗をよろしくお願いします。
次に移らせていただきます。
今度は、地方自治法第百条に基づく百条委員会についてであります。
こちらについては、百条委員会の委員による情報漏えいというのが、私の地元、兵庫県で起きてしまいました。これは本当にゆゆしき事態だと思っておりますし、私自身も県民として非常に危惧をしているところです。この百条委員会の秘密会において、議事録が公開されるよりも前に、情報を漏らしてはいけないということを知っておきながら、秘密会の協議事項が外部に漏らされるというようなことが兵庫県で起きております。全国にも知れ渡っていることかと思います。
また、特定の委員を様々な問題の例えば黒幕だといって中傷するような虚偽の文書を、例えば先日の選挙、県知事選挙においては、渡せば広く拡散される可能性もあるんじゃないかと十分認識しながら外部に拡散する行為も、本当に、政治に関わる者としては許し難い、許されない行為だと考えております。
法改正でありますとか対応強化の必要性もいろいろ叫ばれたりするところだと思いますが、基本的には、地方議員も含めて、我々国会議員も含めて、議会でも議論をしていかないといけないことだと思っていますが、こういった、なかなか、政治と金の問題も出て、政治の信頼が回復していない中、様々な議員の活動、行為に関するものについて、国民から、県民から疑義が、非常に不安が出ているという状況におきまして、総務大臣としてはどのように御認識をされて、そして、何か変えていかないといけないものがあるとすれば、その御決意などを是非とも伺いたいんですが、よろしいでしょうか。
○村上国務大臣 兵庫県の県会議員の方が、秘密会として開催された委員会の議事を漏えいした事案は、報道によってよく承知しております。制度を所管する立場の者としては、非常に遺憾に思っております。
地方議会の議員に関しましては、令和五年の地方自治法改正によって、その位置づけの明確化等が図られ、地方議会の議員は、その権限を適切に行使するため、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないと規定されております。
誠実という言葉は、議員が職務を行う上での心構えを示したものでありますが、議員一人一人がその条文を踏まえて、その重要な役割を果たしていくことを自覚して頑張っていただきたいな、そういうふうに期待しております。
○橋本(慧)分科員 まさにおっしゃるとおり、私も含めて、議員一人一人の決意でありますとか覚悟とか、モラルでありますとか倫理とか、すごく問われている時代であると思います。子供たちにどう説明したらいいのかということが本当に兵庫県内でもたくさん起こっておりまして、先日の別の委員会での大臣の御答弁でも、哀悼の意を亡くなった元県議に対して示していただき、私としては本当に感銘を受けているところであります。ただ、本当に痛ましく、つらいことがたくさん起きておりまして、私自身としても、胸を痛めている張本人の一人であります。
こういった思いをもうしなくていいように、やはり法治国家ですし、民主主義の信頼回復、民主主義が本当にしっかりと広く国民から信頼されるような状況を、是非とも一丸となって、こんなものはもう党派や会派とかを超えて必ずつくっていかないといけないと思っているんですけれども、そこについての大臣の決意、簡単にで構いませんが、いただけたらと思います。
○村上国務大臣 この間も申し上げたように、あのような事件は非常に痛ましい事件でありまして、ああいうことが頻繁に起こりますと、我々は四十年近くやっているといろいろな非難やああいうのを受けますけれども、ああいうことで頻繁に起こると、やはり本当に民主主義の根幹が壊れるんじゃないかな、特にSNSが出だしてから、その危険性が非常に高いんじゃないかなと。
それについては、総務省としても、プラットフォームの事業者に対するいろいろな施策をやっているんですが、やはりもう一度、国民の皆さん方も、何が正しい情報で何が偽・誤情報かということを自分自身で見極めることが根本的に必要じゃないかなという気がしております。
○橋本(慧)分科員 ありがとうございました。是非とも、政府側にとっても、そして議会側も、しっかりとこういった問題に対して取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に、時間がありませんが、進ませてもらいます。
続きまして、公共施設等の複合化、集約化事業として、少し専門的な話になるかもしれませんが、公共施設等適正管理推進事業債というものが、自治体としては非常にメニューとして期待をしている部分でもあります。これについては、集約化、複合化をすることで、有利な交付税措置でありますとか起債充当率を活用しながら事業を進捗できる。
自治体にとっては、これから、なかなか、箱物をどんどん建てていこうという時代では当然ありませんので、集約化すること、そして多機能化、高度利用するということも含めて、非常に有効な手だてだと思うんですが、これをすることで、除却事業において土地の評価が交付税措置の中から控除されてしまうということで、少し自治体側にとっては、よりもっと使いやすい制度にしてほしいなという声が届いております。
ここについて、是非とも、更に自治体側の財政的なメリットももっと押し出していけるような制度にしていただきたいんですが、大臣の所見をお聞きしていいですか。
○村上国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、公共施設等の老朽化に対しまして、長期的な視点を持って適正管理に取り組むことが重要である、そういうことで、先ほどお話がございました、総務省としましては、公共施設等適正管理推進事業債により地方財政措置を講じております。
これまでも、自治体の実情を踏まえまして、この事業債の対象事業を拡充してきたところでありまして、令和七年度においても、集約化、複合化の事業を拡充しまして、公共施設の集約化、複合化等に伴う施設の除却事業を対象に追加することとしております。
除却後の土地については、売却などのような様々な活用が想定されることを踏まえまして、交付税措置の対象から除却施設に係る土地価格相当分を控除することとしております。
総務省としましては、自治体において、今回新たに公共施設等適正管理推進事業債において拡充した措置を十分に活用していただいて、公共施設等の適正管理について一層取り組んでいただくことを期待しております。
○橋本(慧)分科員 御答弁いただき、ありがとうございました。
質問できなかった点もありますが、済みません、御準備いただいた方々、ありがとうございました。
最後、御意見だけですが、保育士の配置改善についても、条件緩和というのは本当にしてほしい、非常に厳しい条件になっているので、是非とも、それについても、いろいろな方が取り上げていますが、現場の保育を守るためにもやっていただきたいということだけ申し添えて、質問を終わらせていただきます。
本当に、お時間をいただきまして、ありがとうございました。
○田所主査 これにて橋本慧悟君の質疑は終了いたしました。
次に、尾崎正直君。
○尾崎分科員 どうも、高知二区選出の衆議院議員、尾崎正直でございます。
本日は、地方創生に関連して、その関連項目について順次御質問をさせていただきたい、そのように思います。
まず、地方税の偏在是正についてお伺いをさせていただきたいと思います。
地方税の偏在が行政サービスの格差を生んで、これが東京一極集中を非常に加速をさせているのではないかという指摘があります。
私の知り合いの県知事の皆さん、例えば関東の県知事の皆さん、おっしゃるんですね、もう首都圏一極集中と言うのはやめてほしい、はっきり言って、これは明確に東京一極集中だと。東京以外の関東圏の様々な県それぞれからもやはり東京に人を吸い取られていってしまう、それは行政サービスの大きな格差があるからだ、そしてそれは税収の格差に基づくものだということであります。
やはり地方創生ということを考えましたときに、地方税の偏在是正ということについてしっかりと取り組んでいかなければならないのではないか、そのような問題意識を持たせていただいております。
そこで、まずお伺いをさせていただきたいと思うんですが、個人住民税、法人住民税、法人事業税、固定資産税、それぞれについて、東京都と全国平均、東京都と最低の県との倍率はどうなっているか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
人口一人当たりの税収に係る東京都と全国平均との差でございますが、令和五年度の決算によりますと、まず、個人住民税につきまして、全国平均の約一・七倍、最低の県の約二・五倍となっております。法人住民税と法人事業税を合わせた地方法人二税につきましては、これは特別法人事業譲与税を含まない場合でございますけれども、全国平均の約二・六倍、最低の県の約六・三倍となっております。なお、固定資産税につきましては、全国平均の約一・六倍、最低の県の二・三倍となっているところでございます。
○尾崎分科員 かなりの差があるということでありますが、特に法人関係につきましては非常に大きい差があるのかな、そういうふうに思います。
また、トータルでということでありますが、全国に占める東京都の税収のシェアでありますけれども、これは十年前と比べてどうなったかということについて教えていただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
全国の税収に占める東京都の税収の割合、十年前と現在の比較でございますが、個人住民税につきまして、平成二十五年度では一六・四%、令和五年度ではこれが一八・四%に上昇しております。地方法人二税につきましては、同様に特別法人事業譲与税を含まない場合でございますが、平成二十五年度では二六・八%、令和五年度でこれが二八・六%に上昇しております。固定資産税につきましては、平成二十五年度では一六・三%、令和五年度では一七・七%に上昇しているところでございます。
○尾崎分科員 この間、累次の偏在是正の措置というのは取られてきたわけであります。しかしながら、結果として、数字を見ますと、こういう形で引き続き大きな格差があるわけでありますし、更に言うと、東京都への集中ということはますます進んできているという状況であります。
やはりここは、地方創生という観点からしても、地方税の偏在是正を図るということが極めて大事ではないかと思うところでございます。恐縮ですが、大きな方針でございますので、大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 全く尾崎委員のおっしゃるとおりでございまして、東京一極集中が続く中、既に地方に居住している人の流出を防止するとともに、都市部から地方への移住を拡大する観点から、若者、女性に選ばれる地方をつくることが重要と考えておりますが、加えて、様々な自治体から、行政サービスの地域間格差が過度に生じないように、地方税の偏在の是正についていろいろな御意見を賜っております。
総務省としては、今委員が御指摘したような、拡大しつつある自治体間の税収の偏在や財政力の格差の状況について原因、課題の分析を進めて、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に一生懸命取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○尾崎分科員 どうもありがとうございました。
令和七年度与党税制大綱でも、「拡大しつつある地方公共団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む。」という記述があります。そして、その上で、「特に、」として、道府県民税利子割について、令和八年度税制改正において結論を得るということになっておるわけであります。
お願い申し上げたいと思いますのは、この道府県民税利子割については、規模やその課税をどこでやるかという問題もあって、こういう格差が開いているということだろうと思います。ですから、これを是正したからといって、地方税の偏在是正ということに直結するわけではない、やはり本格的に、個人関係税制、法人関係税制について格差是正を図っていくということが大事かと思います。是非、大きな議論をしていただきながら、この税源の偏在是正、ひいては行政サービスの偏在という問題についてしっかりと取り組んでいただきたい、そのように思うところでございます。
大臣、御答弁どうもありがとうございました。どうぞ御退席くださいませ。
○田所主査 どうぞ、大臣、御退席ください。
○尾崎分科員 それでは、続きまして、地方創生二・〇に関してお伺いをさせていただきたいと思います。
地方創生二・〇、この基本的考え方という文書があります。非常に前向きな取組がたくさん掲載されておるわけでありまして、これは本当に高く評価されるべきことだ、そういうふうに思います。
ただ、大変大急ぎで作られたということもあるんだろうと思いますが、やはり、ここに掲げられております五本柱については、やや、目標と結果と手段といいますか、それが混在をしているところがあるのではないかと思われるところがあります。
例えば、若者、女性にも選ばれる地方、楽しい地方をつくるというところが一つの大きな目玉になっているわけでありますが、これはあくまでも地方創生の様々な取組をした結果としてこうなるということであって、あくまでこれは目指すべき目標であり、そして取り組んだ結果であろう、そういうふうに思うところであります。
更に言えば、ほかにも柱の中で出てくるものとして、例えば、四番目のデジタル、新技術の徹底活用というのがあります。確かに、デジタル、新技術の徹底活用は大事なことです。ただ、これは、最終的な目標というより、地方創生を成し遂げていくためのあくまで手段について問うているということであって、やはりこれを、他とは少し流れとして違ってくるんじゃないかと。
要するに、端的に言わせていただければ、目標と結果と手段、それぞれが非常に混在をしている。正直なところ、ここのところの整理をしっかりしておきませんと、やはり、地方創生の政策として、ちぐはぐといいますか、体系立った取組ということにはなっていかないのではないかということを大変心配をいたしているところです。
大きな大目標があって、それを達成するための中目標、いわば、これは大目標にとっての手段ということになります。その中目標を達成するための小目標、これは中目標にとっては手段ということになりますが、是非、そういう形で体系をしっかり整理していただいて、そして、それぞれの上位の目標を達成するにふさわしいだけの定量的効果をもたらすかどうか、定量的効果をもたらすであろうと思われるKPIをしっかりと設置をしていただく、そういう形で、体系立って、本当の意味で効果的な施策となるような整理をしていただきたい、そのように思うところでありますが、御見解はいかがでしょう。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございました地方創生二・〇の基本的な考え方、これは昨年末に新しい地方経済・生活環境創生本部の下で決定されたものでございますが、こちらの五本柱ということで、今御指摘いただきました、例えば、安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生、これには、御指摘いただきました、若者、女性にも選ばれる地方、こういうものが入っております。そのほか、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散、付加価値創出型の新しい地方経済の創生、それから、デジタル、新技術の徹底活用、最後は、産学官金労言の連携など、国民的な機運の向上というものを掲げてございます。
それから、あと、今年の通常国会で、石破総理の施政方針、こちらの演説の中でも、地方創生二・〇を令和の日本列島改造として推進する方針ということで、列島改造の五本柱ということで、今御指摘がありました、若者、女性にも選ばれる地方、それから、産官学の地方移転と創生、そのほか、三つ、柱が述べられたということでございます。
まさにこれから地方創生二・〇に関する政策体系、目標の在り方というものを検討していくわけでありますが、付加価値をどう高めて新しい地方経済を創生していくか、そういうことも含めて、まさに今後、政府内で本格的な議論が進められるという段階でありますので、本日の委員の御指摘も受け止めながら、今後検討を進めさせていただきたいというふうに考えてございます。
○尾崎分科員 どうもありがとうございました。
本当に、内容としては、今までの地方創生一・〇のときに比べて、はるかに進化した形で、充実した内容が盛り込まれていると思います。
ただ、本当に、政策の体系そのものをまず最初にしっかり整理しておきませんと、残念ながら、効果を十分に測定できない結果、PDCAサイクルがうまく回らない、結果としていわゆる結果を出せないということになってしまってはいけませんので、初期段階からの整理ということについて引き続き、今も十分取り組んでおられると思いますが、引き続き是非しっかりと行っていただきたい。たしか、夏場にかけて新たな十年の構想を出すということでありますから、その十年の構想の中ではその点を是非織り込んでいただければ、そのように思うところです。
続きまして、二地域居住についてお伺いをさせていただきたいと思います。
地方創生を成し遂げていくためにも、何といっても地方経済の活性化を図っていくことが大事、それぞれの地方においでになる事業者の皆様方の事業がより高付加価値なものとなって、その販路が拡大していくことで、各事業者の皆様が今までよりもうかる、結果として地方の経済のGDPが拡大していく、そうなってこその地方創生ということなのだろう、そういうふうに思います。
ただ、そのためにも、このような新たな事業展開を担っていく人材を確保するということが極めて重要なのだろう、そのように思うところです。この点、都会と地方で人材をシェアすることにつながる二地域居住の推進というのは極めて有効だ、そういうふうに思います。
二地域居住促進法ですかね、いわゆる通称でありますが、こちらも制定され、取組が進んでいると思いますけれども、今の現状についてお話を伺いたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えさせていただきます。
委員におかれましては、日頃から二地域居住の施策の推進におきまして御支援、御指導いただきまして、誠にありがとうございます。
二地域居住につきましては、個人の多様な暮らし方や働き方のニーズに応えるとともに、地方への人の流れを創出するといった意義のある取組だというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、委員御指摘の二地域居住の関連の法律が昨年度施行されたということに基づきまして、住宅、コワーキングスペース、交流施設等の二地域居住に必要な環境の整備のほか、二地域居住者と地域をつなぐコーディネーターの役割を果たす支援法人の育成、確保というものに取り組んでいるところでございます。
また、あわせて、千を超える官民の団体が参加しておりますプラットフォームが昨年十月に発足しております。このプラットフォームを通じて、優良事例の共有であるとか課題解決策の検討を進めていくというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、このように多様な意義を有する二地域居住が定着、普及するように、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○尾崎分科員 ありがとうございます。
中でも、特定居住支援法人ですけれども、これをいかに増やすかということが非常に大事かと思います。この特定居住支援法人ですが、現段階でどれぐらい認定をされているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
今、法施行を十一月にしましたけれども、まだ施行してすぐということでございますので、現時点で指定している法人はございません。
○尾崎分科員 これは、正直申し上げて、この特定居住支援法人になり得る法人というのは、私の地元の高知なんかでもたくさんあると思うんですね。ただ、多くはやはり中山間にあったり、さらに、高知では集落活動センターという取組、廃校跡地を生かして、新たな地域住民の皆様方の一つの集いの場であり、新たなビジネスの場である集落活動センターというのが県内に六十三か所ぐらいあります。潜在的には特定居住支援法人になり得る、そういう団体だと思いますが、ただ、この法人として指定するためには、やはり、県として計画を作り、市町村として計画を作りということを行って、初めて法人として指定をされていくということになるというたてりかと思います。
やはり、これはまだ十一月に施行されたばかりでありますから、これからの取組であるということはよくよく分かるわけでありますけれども、是非とも、積極的に国交省の方から働きかけをしていただいて、こういうのをやりませんかと言って、提案型で多くの掘り起こしをしていただきたいと思います。
実際、私の地元なんかでも、知らなくて、けれども、これを御紹介すると、これはすばらしい、是非やりたい、そういうふうにおっしゃる法人もたくさんおいでになるのでありまして、是非、そこのところを前向きに、積極的に掘り起こすということでやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
特定居住支援法人でございますけれども、地域と二地域居住者を結ぶコーディネーターとしての重要な役割を担うというふうに考えてございます。委員御指摘のとおり、その育成、確保というのは大変重要な課題であるというふうに思ってございます。このため、国土交通省といたしましては、町村も含む自治体に向けまして、支援法人の指定に関する手続を簡素化、円滑化するための手引を作っておりまして、それを周知しております。
また、モデル的な取組を支援することによりまして、御指摘のような中山間地域における小さな法人も掘り起こせるよう取り組んでいるところでございます。
また、先ほど御説明いたしました官民プラットフォームとも連携をいたしまして、法人指定を受ける方の民間事業者に対しましても、規模の大小を問わずに積極的な情報提供を行うなど、官民双方に寄り添って幅広く働きかけをしていきたいというふうに考えてございます。
委員が知事でいらっしゃった高知県、先ほど事例でもお示しされておられましたけれども、集落活動センターという、県が積極的に支援しながら進められておられるものがあるというふうに伺ってございます。こうした取組も参考にしながら、国交省といたしましても、特定居住支援法人の指定が中山間地域も含め全国的に進むよう強力に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
○尾崎分科員 本当に前向きな御答弁をありがとうございます。
これは、本当に、潜在的にこの特定居住支援法人になり得る団体というのは全国にたくさんあると思うんですね。また、特定居住支援法人につなぐことによって、例えば地域の事業者の皆様方と二地域居住者がつながっていく、当然のことながらそれを目指しておられるんだと思いますが、そういうことがたくさん出てくると、例えば、新たな事業展開について、私はこういう仕事をしてきたので、このつてをたどって販路開拓をお手伝いできますよとか、そういう事例がたくさん出てくることになるんだろうと思います。
二地域居住の推進ということは、本当に地方創生二・〇の中でも一つ大きな柱となっていくものではないか、更に言えば、これを一つの流れとして、いわゆる移住促進が更に進むようになってきて、東京一極集中の流れに対して、それが逆方向に回り出すよいきっかけをつくり出すということになれるのではないかと大変期待が大きいところでございまして、是非、国交省さん、これは大変いいお取組をしておられると思いますので、前に進めていただきたい、大いに頑張って前に進めていただきたい、そのように思います。
そういう中にあって、本当に心強いことだと私は思ったんですが、総理は、今国会における施政方針演説において、ふるさと住民登録制度について検討を行う旨を表明をされたところでございます。
これは、二地域居住ですけれども、誰が二地域居住者なのかということが明確になって初めて、いわゆる公的な、例えば関連施策、市町村独自のいろいろなサービスを展開する、そういうことも可能になってくるわけでありますし、先ほど、千を超える団体が参加しておられるプラットフォームができたというお話でございますが、恐らく多くの民間の皆様方も、そのような二地域居住という形で頻繁にその地域と例えば首都圏を行き来する方が、その方がいつもおいでになるのなら、それであればいろいろとサービスもしていきましょう、それを一つビジネスにもしていきましょう、そういうふうに考える方々も出てこられるんだろうと思いますね。
是非、ふるさと住民登録制度、これは、そのような、誰が二地域居住者なのかということをイヤマークすることで、後の関連施策、関連サービスにつながっていく、ひいては二地域居住を大いに推進する、大変期待の持てる制度ではないかと思うところでございます。
これは是非、この登録制度への期待は誠に大きなものがあるわけでありますが、現在の検討状況はいかがでしょうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
少子高齢化や人口減少が進む中で、地域の担い手不足は大変深刻でございます。二地域居住を始めといたします地方への人の流れの創出、拡大というのは大変重要だと認識しております。
その中で、御指摘いただきましたふるさと住民登録制度でございますが、住所地以外の地域に継続的に関わる方々を登録によって可視化する、可視化することによって地域の様々な分野における担い手の確保などにつなげていく、そういった仕組みであるというふうに理解をしております。
具体的な検討はまさにこれからというふうな段階ではございますけれども、これまで自治体における取組は様々ございますので、そういったものを踏まえまして、登録者や地域が得られるメリット、そういったものをしっかりと整理し、国交省さんを始めまして関係省庁と連携をしながら、検討をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。
○尾崎分科員 正直、ふるさと住民登録制度、これはなかなかハードルが高いんじゃないかなと議員間なんかでも議論していて、お話をしていたところだっただけに、総理の施政方針演説でこれがどおんと打ち出された、これはすばらしいことだと、本当に、関係者、我々も一緒に議連もやっておるんですけれども、議連関係者の皆さんも大変、おお、すばらしい、そういう感じでありましたし、多分民間の皆さんの御期待も大変大きなものがあるんだろう、そういうふうに思っております。この制度設計に当たって、余りハードルを上げないでほしいということを是非是非お願いをしたい、そのように思います。
この二地域居住でありますが、是非、全国で全国民が当たり前のように二地域居住をしていて、ふるさと住民登録というのはみんなしているというぐらいの状況になることが本当に理想だなと思います。地方創生にも劇的な効果をもたらすということになろうかと思います。
確かに、ふるさと住民登録というのを行っていくに当たっては、いわゆる一般の旅行者の皆さんとの区別はつけていかないといけないでしょうし、更に言えば、同じ都道府県内で余り近いところだったりした場合はどうかとか、いろいろ考えないといけない側面というのはあるんだろうと思いますが、全国民が当たり前のようにふるさと住民登録をするということとなりますように、是非余りハードルを上げないでほしいと思うところであります。
まだ検討中ということでありますが、そういう基本的な考え方について、是非そうしていただきたいということで、御見解をお伺いしたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
関係人口につきましては、地域への関わり方によりますので、二地域居住のようにきちっと深い関係になっている場合とかのほかに、継続的に買物をするとか、継続的に地域を訪れるとか、様々な形があるというふうに承知しております。できるだけ多くの方に地域を応援していただけるのが望ましいというふうに考えているところでございます。
御指摘いただきましたように、そういった意味で、広く国民に利用される当たり前の仕組みになることを目指しまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
○尾崎分科員 大変柔軟な姿勢で、しかも前向きな姿勢でこれを展開していただけることに、本当に心から敬意を表させていただきたいと思います。地方の期待は本当に大きなものがあると思いますので、是非、二地域居住を大いに進めていくこととなるよい制度になりますように制度設計をお願いを申し上げたい、そのように思います。
それでは、残りの時間で、我が国の情報通信産業の国際競争力強化について質問をさせていただきたい、そのように思います。
日本のデジタル赤字でありますが、年々、残念ながら拡大をしてきております。サービス収支、去年は大体六・五兆円ぐらいであった、デジタルサービス収支の赤字は六・五兆円ぐらい。さらには、ICT機器といいますか、デジタル系の財の貿易赤字が大体三・五兆円ぐらい。トータルで、サービス収支、貿易収支双方でデジタル赤字が十兆円に至る規模となっているという状況になっています。
これは大変ゆゆしき事態だと思いますけれども、この原因をどのように考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
○竹村政府参考人 お答えいたします。
我が国のデジタル赤字が拡大している原因といたしましては、社会経済のデジタル化が急速に進展していることに加えまして、我が国におけるデジタルサービス、スマートフォンなどの通信機器について、海外のサービス、製品への依存度が高いことが考えられます。
また、その背景にあります日本企業の低迷の原因には、米国等の海外企業がグローバル市場をターゲットとしてプラットフォーム型ビジネスを展開したのに対しまして、日本企業が世界に通用するサービス、事業モデルの創出に後れを取ったことが挙げられるというふうに考えております。
さらに、一部の海外の政府におきましては、官民が一体となった技術開発や公共調達など、様々な手法を通じて情報通信産業の育成に戦略的に取り組んできたことも、海外企業が優位に立った一因ではないかというふうに考えてございます。
○尾崎分科員 先ほどお話にありましたように、プラットフォーム型ビジネスということで、こちらに日本の企業は余りついていけなかった、非常に残念なことでありますが、これはまずはビジネスの問題ということかと思います。
ただ、後段の方で言われました、政策面についてということであります。特に、確かに二十一世紀になってから、かなりの国々において、恐らくいわゆる軍事利用ということも考えて、デュアルユースで、産学官民連携でもって、様々な情報通信関連産業に対して政府としててこ入れをするという事例が多々見られたんだろうというふうに思います。
残念ながら、我が国においては、二十一世紀になってから、そういう形での産業政策というのは果たしてどうだったのだろうかと。近年、例えば、AI、半導体フレームワーク、こういうものが作成されていくなど、本当に産業政策について官民連携型で積極的に取り組んでいこうという方向になってきている。さらには、防衛省においても、日本版DARPAとかDIUとか、ああいうものも新たに創出して、民間の技術も大いに生かし、また、民間、民生転用ということもどんどん行っていこう、そういう方向になってきている。大きく今かじが切られてきている、日本でもかじが切られてきている、そういう状況だろうと思います。
是非、我が国企業が強みを持つ領域や、経済安全保障、国家安全保障の観点から重要な製品、システムについては政府としても積極的に育成を図っていくべきだと思うわけでありますが、御見解はいかがでしょう。
○竹村政府参考人 御指摘のとおり、我が国の経済成長を促進するとともに、安全保障を確保する観点からも、情報通信産業の競争力の強化に向けて取り組むことが必要だというふうに考えてございます。
具体的には、特に安全保障の観点から重要な国際海底ケーブル、無線通信ネットワーク、セキュリティーなどの分野において、海外企業への依存度を減らし、自律性の確保を図るとともに、将来のゲームチェンジャーとなり得る光電融合、生成AI等の事業化に取り組む企業への支援を強化することが必要と考えております。
このため、関係業界、企業などから十分御意見を伺うとともに、関係府省とも緊密に連携しまして、研究開発などへの支援、データセンターや通信ネットワークなどのインフラ整備、それから内外の市場の拡大などに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
○尾崎分科員 海底ケーブル、今や、日本の経済安全保障のみならず、安全保障そのものに関わる問題だろうと思いますし、いわゆる無線LANですね、LAN、この世界なんかにしましても、本当に世界の中で日本のシェアは小さくなってしまっている。このまま日本製品というものがどんどん減ってしまったときに、いわば今の通信社会における基礎的インフラそのものを全部外国に依存するということになってしまって本当にいいのか、そういうことが本当に懸念をされるところであります。
それに、今、AIと言っていますけれども、いずれAIそのものなんというのは当たり前のようなことになっていくんだろう。今はもう電卓なんて言わなくなってきているのと一緒で、そういうことになっていくだろう。それぐらい、社会のありとあらゆるところでAIは使用されることとなる。そのAIで日本が負けてしまって、本当に大丈夫なのか。さらには、その先を行く量子コンピューターの世界で、日本は本当に大丈夫なんだろうか。
技術で先行して、ビジネスで負け、結果として投資を得ることができないので技術でも負けた、この二十一世紀、残念ながら、そのような負のスパイラルに陥った側面がないとは言えないだろうと思います。是非積極的な政策展開というのが必要になってきている、そういうときではなかろうかと思うところでございまして、先ほども前向きな御答弁をいただきましたけれども、是非大いに前向きに頑張っていただきたい、そのように思います。
以上でもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
○田所主査 これにて尾崎正直君の質疑は終了いたしました。
次に、櫻井周君。
○櫻井分科員 立憲民主党の櫻井周です。
今日は、村上大臣に初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
村上大臣は、大臣に就任される前も、された後も、良識のある、良心のある、そういった発言を続けられているというふうに承知をしておりまして、大変尊敬を申し上げておるところです。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
それではまず最初に、三点、今日は用意しておるんですが、一点目がふるさと納税制度についてでございます。
資料で用意させていただいております。資料一の方は、このふるさと納税の、いろいろな民間、ございますけれども、そのうちの一つ、カタログショッピングのようになってしまっているのではないのか、こういうことが如実に表れているサイトがございましたので、ちょっと印刷をしてまいりました。
それから、資料二は、総務省のふるさと納税の現況調査の資料でございます。こちらは、納税額がどんどん増えているという状況でございます。これは、ある意味、ふるさと納税制度が自治体間の返礼品競争になってしまっていて、ふるさとを応援するという本来の趣旨から外れてしまっているのではないのか、こんなふうにも懸念するところです。
また、資料三、これは、ふるさと納税の現況調査のうちの経費の内訳を示しているところでございます。これは、本来、住民への行政サービスに充てられるべき資金が返礼品になってしまっているのではないのかというふうなところ、これも非常に大きな金額になっております。こうしたことをちょっと資料で用意させていただいております。
大臣、ちょっと、通告をしている質問の前に一点お尋ねをしたいんですが、今お示しをしました、このふるさと納税サイト、それから総務省の現況調査、こうしたものを見ますと、返礼品競争とカタログショッピングになってしまっていて、ふるさとを応援するという本来の趣旨が損なわれてしまっているふるさと納税制度だと私は思っているんですけれども、そして大変危機感を持っているんですが、大臣はどんなふうに認識をされていますでしょうか。
○村上国務大臣 櫻井委員の御指摘は、非常にもっともなところもあると思います。本来の意味は皆さんの応援で地方を活性化しようというのが、残念ながら、日本人の習性というんですか、返礼品の方に重きが行ったり、過度の宣伝とかそういう面が、やはり委員の御指摘のように多々あるような気がいたします。
○櫻井分科員 危機感をまず共有させていただいたということで、ありがとうございます。
とはいえ、これだけ、もう一兆円規模になってしまっているものを、急に来年からやめますというわけにもいかない。やはり、関係する方々はすごく増えてしまっているわけですよね。ただ、これ以上増えてしまうのもやはりいろいろなひずみをもたらしてしまうということで、どうやってこれを、ソフトランディングというか、うまく収めていくのかということは一つ大きな課題だと思います。
総務省も、これまでいろいろな努力をされてきたと思います。そもそも、このふるさと納税制度は、始まるときからいろいろな問題があるということは分かっていて、当時の自治税務局長は強く反対をされたというふうに聞いております。ただ、その税務局長も左遷をされたのではないのか、こんなふうにも報道されているところでございますが、そういったこともあって、なかなか総務省としても抵抗し切れなかったというところはあろうかと思います。
これは財政制度審議会の方でもいろいろ議論もあるところなんですが、一つ、テクニカルな話で恐縮ですが、地方財政計画において、ふるさと納税制度、流出した分、住民が他の自治体に寄附をしたということで流出した分については、基準財政収入額において減額分が計上されるということで、四分の三は補填をされるというふうな仕組みになっておりますけれども、流入、行った先で、寄附を受け入れたという自治体については、これは特に地財計画で計上されないということになっています。出ていくところは計上されて、入ってくるところは計上されていないというのは、これはいかにもバランスが悪いと私は思うんですね。
そういったところにちょっと着目をしまして、やはり地財計画上の中でちゃんと入りと出と両方計上していくべきではないのかなというふうにも考えます。
ですが、これは、単純に、入ってきたところの自治体で基準財政収入額ということで計上してしまうと、返礼品競争の部分は抑制できるかもしれないけれども、本来の趣旨の、本当に応援しようと思って純粋に返礼品なしで寄附をした部分まで損なってしまう可能性があるので、そこを何か一工夫必要なんじゃないかなと私なりに考えまして、一つ考えたのは、基準財政需要額から経費の分を差し引くということなんですね。
つまり、返礼品競争をするような、そんなところにお金をかけるような余裕があるんだったら、その分はもう要らないでしょうといって差し引かせていただくというふうにすれば、過度な返礼品競争にはならないのではないのか、こんなふうに御提案申し上げるんですが、大臣、いかがでしょうか。
○大沢政府参考人 ふるさと納税制度は、寄附者に対して返礼品を送付するかどうかはあくまで自治体の任意でございます。このため、普通交付税で措置すべき標準的な財政需要とは言えませんので、返礼品に係る支出額はそもそも基準財政需要額には算入されておりません。
その上で、基準財政需要額の法律的なたてつけなんですが、これは各自治体の財政需要を合理的に算定するものというふうに法律上規定をされております。したがって、財政需要を合理的に算定するということと別の意図を持って減額をするというのは、この法律の想定をしているものではございません。
したがいまして、返礼品の支出額に関する分科員の御指摘につきましては、基準財政需要額の法的な性格からすると、なかなか適当とは言いにくいものではないかと考えております。
○櫻井分科員 ちょっと、答弁しないという約束で陪席しているのに。次からもう呼ばないからね。
じゃ、大臣、お願いします。
○村上国務大臣 今、大体、局長が御説明したとおりでございまして、各自治体が提供する返礼品につきましては、返礼割合を三割以下とするなど、適時適切な見直しを行ってまいりました。一方で、返礼品としまして地場産品を提供することについては、新たな地域資源の発掘を促して、雇用の創出や地域経済の活性化につながる、そういう効果もあると考えています。
でありますから、法律的には、先ほど申し上げたように、基準財政需要については、法律上は各自治体の財政需要を合理的に算定するものとされておりますもので、その算定にとっては別の意図で減額するということが残念ながら想定されていない、そういうふうに考えております。
○櫻井分科員 これは、そもそもふるさと納税自体、返礼品というのがそもそもいびつなことなわけなので、いびつなものを入れちゃったから、いろいろなところに不都合が起きているんですよ。だから、筋として余りいい方法だと私も思いませんが、ただ、ソフトランディングさせていく方法としては、これは一つの方法なんじゃないのか。
つまり、いきなり返礼品の経費全額を基準財政需要額から差し引けというふうにすると、それは大変なことになりますよ。だから、最初の年は一割とか、次の年は二割とかというふうに、ちょっとずつやっていくことによって、本当に地場産業の振興に役に立つというのであれば、それは基準財政需要額、差し引かれようが何しようが、その自治体はやるでしょうし、さっき局長の答弁がありましたように、それは自治体の裁量でやるわけですから。
ただ、そのお金が、交付税とか、ある種、よその自治体から取ってきて、奪った分の半分を返礼品で返すみたいな、三分の一を返礼品で返すみたいなこと、現状は、これはさすがにおかしいでしょうと。やはり返礼品を出すんだったら、本当にその自治体が身銭を切って出すんだったらそれは構わないけれども、何か、よその自治体の、他人のふんどしでやるのはおかしいでしょうというところがあるわけなので、ちょっと知恵をひねり出したわけなので、私はこれにこだわるわけではないです。もっといい方法があるんだったら、それでやってもらったらいいんですけれども、何とか、ちょっとゆがんでしまっている現状を正していく方法、急には変えられないから、ソフトランディングしながらやっていく方法を是非考えていただきたいということで、私も一つ提案をさせていただいたということです。
続きまして、二つ目の質問に移らせていただきます。地方税を国の経済政策に用いることの問題点ということでございます。
こちらは局長にお願いしておりますので、まずテクニカルな質問を二つ、お願いいたします。生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る固定資産税の特例措置による減税額は幾らぐらいあるのか。また、この特例措置、これはタイトルにあるとおり、生産性向上、賃上げという政策目的があるわけなんですが、その効果はどの程度あったのか、そしてそれをどのように把握されているのか、御答弁をお願いいたします。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
現行の特例措置、御指摘の特例措置につきましては、令和五年度の税制改正で創設されたものでございます。固定資産税の仕組み上、一月一日から課税されるものですから、また、令和六年度以降にこの適用実績が発生するということで、現時点では実績が明らかになっていないところでございます。
現行の特例措置の効果についてお尋ねがございました。生産性の向上や賃上げ、これは税制だけの要因で測られるものではございませんので、現時点では、残念ながら、税制の効果だけを取り出して定量的に申し上げることは困難でございますが、中小企業庁が行いました調査によりますと、キャッシュフローの改善につながった、賃上げにつながった、新たな設備投資につながったなどの回答があったとは伺っているところでございます。
○櫻井分科員 今のこの制度になったのは確かに二年前なんでしょうけれども、それ以前から生産性向上目的でもう十年近くやっているものというふうに承知をしておるんです。大体、過去にこれまでやってきたものでどれぐらいの規模だったかというのは分かりますでしょうか。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
過去、様々な制度が重層的に積み上がっておりまして、同じ年度で複数の制度が走っていることを御理解いただきたいと思いますが、足下の令和五年度で申しますと百六十二億の減収額が、過去の累計でございますが、単年度で減収額が発生しているという状況でございます。
○櫻井分科員 あともう一つ、別な税制でございますが、中小企業向けの賃上げ促進税制というものもございます。こちらについての減税額が幾らなのか、また、この税制による賃上げ効果はどのように把握をされているのか、教えていただけますでしょうか。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
この措置による減収額につきまして、これは令和六年度の税制改正で法人税の賃上げ促進税制の見直しが行われたところでございますが、見直し前の措置による減収額は令和五年度実績で二百七十六億円の減収、見直し後の措置による減収見込額は約五百億円程度と見込んでいるところでございます。
効果でございますが、先ほどと同様な答弁で恐縮でございますが、企業の賃上げは、企業収益の動向や雇用情勢等、税制以外の要因もございます、税制の効果だけを取り出して定量的な御答弁を申し上げるのは困難な状況にございます。
○櫻井分科員 賃上げという政策目的、これは大変すばらしいと私は思っているんです。思っているんですが、政策目的がすばらしいからといって政策効果が上がるかどうか、これはまた別問題、つまり手段として適切なのかどうかというのはまた別問題だと思うんですね。
賃上げという意味では、国税の方ですけれども、財務省が去年、賃上げ促進税制、三千億円とか五千億円とか七千億円とか、もう十年以上やっているけれども効果はどうなんですか、この三年間、実質賃金マイナスですよね、効果は上がっているんですかということの問いに対して、昨年、財務省が調べまして、効果を確認できなかった、こういうふうに言っているわけですよね。
こちらも、今御答弁で、取り出して云々というふうにおっしゃいましたけれども、要は、効果があったとしても取り出せないぐらいの、そんな程度だったということではないでしょうか。ですので、効果についても余り、どれほど効果があるのかよく分からない、でも結構、減税規模、大きいですよね、足したら数百億円になってくる。かつ、そもそも、地方税を国の経済政策に用いるというのは憲法九十二条の地方自治の本旨に反するんじゃないのか、こんなふうにも考えます。
実際、資料四につけております全国市長会要望、この中でも、今回で、見直しの機会だから、これでちゃんと終了するように、こんな要望も上がってきているわけですよね。だから、私は、筋として悪い、本来国がやることだったら国の、自分たちの政策の中でやってくださいということですし、効果もちゃんと確認できていないということだし、そういうことであれば、この減税というのはやめた方がいいんじゃないのかなと。これは地方の財政に直撃する話ですから、私はやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 おっしゃるとおりで、地方税は自治体の行政サービスを支える貴重な自主財源でありまして、御指摘の地方自治の本旨に照らしても、国の政策を推進するための税負担軽減措置等は、真に必要な場合に限る必要があると我々は考えております。
一方で、地域経済を支える中小企業の賃上げは、地域社会にとっても重要な課題であることなどを踏まえて、必要な見直しを行った上で、これらの税制の延長線で行ってまいりました。
今後とも、地方税における特例措置につきましては、政策効果や適用実績を確認しながら適切な見直しを行い、安定的な地方税収の確保に努めてまいりたい、そのように考えております。
○櫻井分科員 今、大臣からおっしゃっていただいたとおり、岸田内閣の頃から、EBPMというのを盛んにおっしゃられております。エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングということで、本当に経済効果は上がっているのかどうなのか、政策効果は上がっているのかどうかということをちゃんと確認をしていただきたいなと。目的がすばらしいから、目的が本当に必要だからといって、本当にそれが有効な手段なのかどうかはまた別問題ですから、是非そこはしっかり見ていただきたいということ。
それから、あと、これは補助金だったら、この補助金は本当に政策効果は上がっているのと、結構厳しく皆さん注目をする。我々野党の側も、この補助金、これはどんな効果が上がっているんですかと厳しくチェックをするんですが、減税となると、なかなかちょっとそこまで目が行き届かない。しかも、補助金だったら、どこの会社に幾らというのは大体分かるわけなんですけれども、減税だと、それは納税情報だからといって教えてもらえないというので、そのつながりもよく分からないということで、我々の方も、これは我々野党側の課題でもありますけれども、そこはチェックが甘くなってしまっているのではないのか、こんなふうにも反省をするところです。
ただ、効果としては、つまり、本来、税収として入ってきて、行政サービスのための資金にできるはずの税収を失うということと、一旦お預かりした税金を補助金ということで出すというのと、金額が同じであれば、その意味は、国民負担という意味では同じはずなんですよね。ですから、この部分について、我々もしっかり反省をして、しっかりチェックをさせていただきますし、また行政の側においても、そういった思いでチェックを厳しくした上で予算計上していただきたいなというふうに、又は税制、制度をつくっていただきたいなというふうに思うんです。
せっかくですから、大臣、一言、私の今の、補助金と比べて減税がちょっとチェックが甘くなっているんじゃないのか、こんなふうにも反省をするところですので、大臣、一言いただけますでしょうか。
○村上国務大臣 私も、大蔵政務次官、大蔵委員長、初代の財務副大臣をやって、その方向でいろいろやってきたんですけれども、確かに、追跡調査というか、やはりそれがまだまだ私も不十分じゃないかなという気がしますね。
減税についても、やはり、日本の場合は、例えばコロナのときもそうなんですけれども、出すのはいいんだけれども、欧米は、出した後はちゃんと回収する法案を作っているんですよね。ただ、日本の場合は出しっ放しになるので、それはやはりお互いに考えていく必要があるんじゃないかな、そういうふうに考えていますね。
○櫻井分科員 大臣、ありがとうございます。
問題意識を共有させていただきましたし、今回のこの一連の予算審議、最終盤ですけれども、この中で、ともすれば野党側は政策のおねだりみたいなもので財源を示さないというようなことになってしまっていては、もう予算は限りなく膨張してしまうということになってきます。それではやはり国家財政は回らないし、財政が不必要に肥大化してしまう。それは、ひいてはインフレを引き起こし、国民生活に跳ね返ってしまう、国民生活を苦しめてしまうということになりますから、この点、やはり、必要なところに予算をつけていくためには、その分、どこかを削減しなきゃいけないということで、私どもの方としても、ちゃんとバランスの取れた財政運営を目指して頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
次に、三点目の質問に移らせていただきます。人口流出の問題です。先ほど、尾崎委員からも同じような趣旨の質問があったかと思います。
地方創生の取組から十年が経過いたしましたが、地方部における人口流出は続いている状況でございます。この地方部の人口流出の原因を、地方自治体を所管する総務大臣として、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。また、どのような対策が必要だというふうにお考えでしょうか。
○村上国務大臣 この問題は、もう私が小さい頃からずっと続いているような気がします。それで、地方部の人口流出の主な原因としては、進学や就職を契機に、十代後半及び二十代の若者や女性が、東京圏へ転入超過が続いたことが考えられるんじゃないかなというふうな気がしております。
総務省としては、やはり、総理も言っているように、若者や女性に選ばれる地方をつくるために、若者、女性、シニア、副業、兼業人材など地域の担い手になる人材の確保や、産官学金労言の連携による地域経済の好循環の促進、また、関係人口を始めとする地方への人口流出の創出、拡大、地域におけるDXの推進やデジタル人材の確保、育成などに取り組む必要があると考えております。
今後とも、総理が申し上げるように、地方こそ成長の主役との発想に基づいて、地方創生二・〇の推進に向けて、これまでの経験を十分生かしながら、持続可能な地域社会の実現に向けて頑張っていきたい、そういうふうに考えています。
○櫻井分科員 いろいろな原因が考えられると思うんです。一つには大学進学を契機にというのも、これはやはり、東京の方にたくさん大学があって、東京だけじゃなくて関西にもそれなりに大学があって、いろいろな地域の方が関西の大学にも進学いただいているわけなんですけれども。やはり、そういう大都市圏にそういう教育施設があって、そこで一旦出てきて、そのままもうそこに居着いてしまうというのも一つ大きなきっかけでしょうし、また、就職を機にということもございます。
ただ、あともう一つ、その背景にあるところとして、やはり、大都市部よりも低い賃金水準というのもあるのではないのか、こんなふうに考えます。
この所得格差を是正するために何かできることがないかな、こんなふうにも考えるんですが、一つちょっと着目してみたのが地域手当。これは、東京は二十三区内二〇%で、兵庫県は今度何か四%になるらしいんですけれども。こういうふうな格差がつけられてしまう、大臣の御地元は多分〇%とかそういうことになってしまうと、やはり、給料の高い東京に行こうかなということになってしまう。ないしは、東京の大学に進学をし、卒業したらまた愛媛に帰ってこようかなと思っている方でも、給料の差を見ると、額面を見ちゃうと、やはりこっちの方がいいかなと。
生活コストは東京も、それから田舎の方もそんなに変わらないのではないか、そんな研究もあるわけなんです、調査結果もあるわけなんですね。つまり、田舎の方に行ったら、住居費は安いかもしれないけれども、その分、やはり車がないと生活できない。そうすると、車にかかるお金、それからガソリン代。ガソリン代だって今どんどん上がっていますから。
そういったことを含めると、生活コストはそんなに変わらないのに、給料がこれだけ違う、だったら給料が高い方がいいやということにもなってしまっているのではないのかなと思うものですから、ひとつこれは、地域手当、全国一律にしてしまう、東京が二〇%だったら全国どこでも二〇%というふうにしてしまうというのはどうかなというふうに提案をさせていただくんですが、大臣、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 今委員申されるように、地方公務員の地域手当につきましては、地域の民間賃金水準を地方公務員給与に適切に反映するために、国家公務員と同様に、平成十八年度に導入されたわけであります。
地域手当の支給地域については、現行、市町村単位とされておりますけれども、近年、人材確保が大変難しくなってきている中で、近隣市町村との人材確保の公平性の観点から問題があるという御指摘もいただいております。
そのため、総務省としましては、支給地域を広域化しまして、国における地域手当の見直しの後の指定基準と同様、都道府県単位を基本とするとの助言を行っております。
一方で、都道府県単位を基本とした場合においても支給割合の差が生じるところでありますので、最大二〇%という支給割合の差について、過大ではないかという御指摘もいただいております。
人事院におきましては、国家公務員の地域手当について、支給割合の差の在り方を今後とも検討するということとしておりますので、総務省におきましても、国の動向を注視しながら、今後とも、地方公務員の地域手当の在り方について一生懸命検討していきたいというふうに考えております。
○櫻井分科員 まず、地域手当なんですが、大臣は今、公務員のお話をされましたけれども、これは公務員だけじゃなくて、例えば介護の方々とか、いろいろな福祉関係の方々、みんな幅広く適用されるものですから、やはり影響は大きいということはまず申し上げておきたいと思います。
都道府県単位で広域化するということではあるんですが、私、兵庫県の伊丹市、川西市、宝塚市が選挙区でございまして、大阪府と接しているんですよね。大阪府一二%、兵庫県四%。何だったら、ちょっと橋を渡ってあっち側に行った方が給料は八%も高いということになっちゃうので、これは公務員だけじゃなくて、今申し上げた、介護の仕事をしたいと思ったときに、大阪府で働いたらこれだけ給料が出る、じゃ、あっちで働いた方がいいやということになっちゃうので、なかなか、私の地元的には非常につらい問題ではございます。
それから、公務員が高過ぎる、公務員だけ高かったら民間の方々にということも、確かに大臣がおっしゃられたとおりの側面もあるんですが、逆に、民間の給与水準も公務員の方を見て、地域手当を見て、低いから、じゃ、うちも上げなくていいやというようなことになっているのではないのか、こういう指摘もあるものですから、そこはぐるぐる回ってしまって、そして地方と大都市の所得格差が固定化されてしまっているというところにもつながっているかもしれないというふうにも考えるものですから、ひとつ、固定化されてしまっている所得格差、ここをブレークスルーするためにも、まずは国でできること、こうした制度を変えることでできることを是非御検討いただきたいなというふうに思います。
あと、今日は総務大臣ということですので申し上げておりませんけれども、最低賃金も同じようなところがあろうかと思います。やはり東京と、それから愛媛ではかなり差が大きいと思います。そういったものがかえって地域間格差を広げてしまっているのではないのか、こんなふうにも考えますので、こうした問題についても、良識ある大臣ということで、是非お願いいたします。
最後の質問になりますけれども、地域を活性化させるという意味において、先ほど尾崎委員からも質問があったかと思います、税収の偏在の問題についてお尋ねをいたします。
地方の方には事業所があって、東京の方に本社がある、大都市部に本社があるという会社が多いわけなんですけれども、地方の事業所、工場のところはどんどんオートメーション化が進んで、人手が少なくなっている。本社の方はいろいろ機能が充実してきて人が増えているというふうになると、全国的に展開している会社ですと、法人税の配分ですよね、法人住民税を納めるときにどう按分するのか。人数割りの部分が非常に東京に有利に働くようなことになってはいないか、それがゆえに、東京にばかり税収が集中してしまうという問題につながっているのではないのか、こんなふうにも考えるので、この按分の方法を見直していく。いろいろなやり方があるかと思います。
今一・五倍にしているところを二倍にするとか、いろいろなやり方があるかもしれませんし、もう一つ、ドラスチックなのは、面積按分という考え方を入れてみるとか、いろいろな工夫の仕方はあると思うんですけれども、大臣、この辺、ひとつお考えいただけませんでしょうか。
○村上国務大臣 今委員の御指摘のように、法人の事業活動は複数の自治体にまたがって行われることが間々ありまして、従業者数等の分割基準により、自治体間での課税権を調整する仕組みになっております。これまで、法人の事業活動の変化に対応して、例えば製造業におきましては、大企業の工場の従業員数を一・五倍にする措置を導入するなど、いろいろ見直しを行ってまいりました。
一方で、近年、経済社会構造の変化に伴いまして、インターネットの取引が増加するとともに、ICTなどを活用した無人の店舗や倉庫、工場等も事業活動における重要な拠点になっていることが指摘されております。
こうしたインターネット取引の拡大や大都市部への企業の本店等の集中などを背景にして、大都市部で企業の事業活動の実態以上に税収が集中しているという課題が以前より指摘されております。
こうした経済社会構造の変化への対応は、地方法人課税の課税権の在り方そのものに関わる課題でありまして、分割基準の見直しのみによって対応することは困難であったことから、令和元年度の税制改正におきまして特別法人事業税・譲与税制度を創設したところであります。
今後とも、経済社会構造の変化を踏まえながら、税源の偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて取り組んでいきたい、そのように考えております。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、御協力をお願いいたします。
○櫻井分科員 はい。
御答弁ありがとうございました。
やはり本来的には、地域偏在の大きい税制は国税にして、偏在の少ない税制を地方税にするというようなことが本来的な筋ではないかなというふうにも思いますが、いろいろまた工夫をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
○田所主査 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。
次に、塩川鉄也君。
○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず、埼玉県八潮市の下水道破損に伴う道路陥没事故について質問をいたします。
現地におけるトラックドライバーの方の救出に是非とも御尽力をいただきたい。また、陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設は、全国に二千二百ある下水道事業の中で九番目という大規模な施設であります。下水道を利用する百二十万人の住民生活に深刻な影響が出ました。事故現場周辺の住民の方は、下水の臭いや工事の騒音にも悩まされております。上流部では、下水の河川への放流が継続をし、流域住民の生活環境を害するものとなっております。
このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになりました。この間、国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大であります。
また、国が下水道事業への公営企業会計の適用を推進したため、下水道事業は、住民による受益者負担の原則に基づき、独立採算で運営をされております。事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑を被っている住民に負担を転嫁することがあってはならない。
そこで、まず国交省にお尋ねをします。埼玉県は、八潮市における道路陥没事故に係る中央幹線復旧対策工事の事業費四十億円、それ以外に、応急復旧に十・五億円の経費としております。埼玉県から国への要望書においては、応急復旧及び本復旧に対し、国からの財政的支援を要請しておりますが、これにどう応える考えでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、救助活動や下水道の応急復旧が速やかに進むよう、現地に専門家を派遣するとともに、陥没箇所の水位を低下させるため排水ポンプ車を派遣するなど、最大限の支援を行っています。
また、復旧に向けては、復旧工法の検討に関して埼玉県が設置した有識者委員会に国土交通省の職員も参加するなど、関係機関と連携して取組を進めているところでございますが、財政支援については、復旧工事の内容などを踏まえつつ、しっかりと支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築においては、これは社会資本整備交付金の交付、そういう対象にもなるということは、それでよろしいでしょうか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、復旧工事の内容などを踏まえながら、しっかり支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築の場合は交付金の補助対象にはなる。
○松原政府参考人 一般論として申し上げれば、改築に関する交付金の措置というのがございます。
○塩川分科員 また、この場合、改築に当たるかどうかというところも含めてあると思うんですけれども、実際には、改築ではなく修繕という形で対応する場合もあるかもしれない。でも、そういった修繕については現行交付金の対象外だというふうに聞いているんですが、こういった大規模な施設の破損が生じているといった点についても、将来に向けては、予防保全の観点からも、これはやはり修繕についても補助対象とする、そういうことが実際の対応を迅速に行うことにつながるんじゃないのか、予防保全の観点からも、修繕も補助対象とする、そういうことも考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○松原政府参考人 まずは、本件に関する財政支援についてしっかり支援できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○塩川分科員 国交省が検討委員会を立ち上げました。政策研究大学院大学の家田仁先生が委員長をされておりますが、家田委員長が、その会議の場で、百二十万人という人数は一つの大都市、これが非常に長期にわたって影響を受けているというのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だと述べておられました。
そういう点でいえば、復旧工事に対して、そういう意味では、激甚災害相当というのであれば、補助のかさ上げを行うとか、こういった国としての特別な財政支援をこの際きちんと考え、具体化をすべきではありませんか。
○松原政府参考人 本件について、まだ復旧工法の検討なども進めているところでございますし、そうした内容も踏まえながら、まずは、本件についてどうやって支援できるのか、そこのところをしっかり検討していきたいと考えております。
○塩川分科員 特別な事態、事例ということで、県から国への、財政的な支援が具体的に要望されているわけですから、それにどう応えるのかということについては、県ともよく連携もしながらということでありますけれども、しかるべき対処を求めたいと思っております。
実際に、こういった下水道管の事故において、下水の排出を抑制してほしいという県からの要請があるわけであります。ですから、飲食店など、事業者の方への影響も大変大きなものがありました。
お近くのラーメン屋さんなどでは、いろいろ料理を提供するにしてみても、どうしても水洗いが必要になるような油を使用する料理とかというのを控えなくちゃならない。県の下水道自粛要請に応えて、鍋や皿を洗うのに大量の水が必要ないため物などについては、こういうのは控える、注文については申し訳ないけれどもとお断りをするということなんかも含めて、事業者の方々に大きな影響が出ているわけであります。
こういった営業に影響を受けた事業者への補償が必要ですが、この点については、国としてはどう対応されるのか。
○松原政府参考人 営業に影響を受けた事業者への支援についてのお尋ねにつきましては、国土交通省としてはコメントを差し控えさせていただければと思います。
国土交通省としては、復旧工事に向けた財政支援について、しっかり支援できるよう検討してまいりたいと考えております。
○塩川分科員 村上大臣、どうでしょうか。
実際、事業者の方がいろいろな影響を受けている、補償が必要じゃないかという声というのは上がっているわけです。
この前、県議会でも、埼玉県側からは、こういった損失の補填については、全容がある程度明らかになり次第速やかに予算を含めて適切に対応していきたいと述べているそうですけれども、是非、国としても、しかるべき支援、対応策を考えていただきたいと思うんですが、大臣のお立場でお答えできることがあれば。
○村上国務大臣 我々としましては、復旧に要する経費につきましては、下水道の道路の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合には、いろいろな地方交付税措置等を講じているんですが、その事故における損失については、我々の管轄ではないような気がしますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。
○塩川分科員 具体的な損失の補償などについて、やはり目配りをしていくということは必要じゃないかなと思うんですが、その辺のお考えだけでも。
○村上国務大臣 私も法学部出身ですが、法的な因果関係が例えば総務省に対してあるのかどうかという面では、私は今のこの事件においてはないような気がしますので、そこら辺はまた別の担当の方でお考えいただけたらと思います。
○塩川分科員 後でも少しやり取りしますが、やはり、企業会計に移行する、そういったことについて総務省が促してきたという経緯の中で、広域化も行われた中での大規模なこういった破損が生じている、そういう経緯なども含めて、国全体としても、しかるべき補償に当たっての対処が必要ではないのかということは申し上げておきます。
今、若干お答えもあったんですけれども、大臣に重ねて伺いますが、埼玉県から国への要望書では、今回の応急復旧及び本復旧に際しては、関係地方公共団体の負担も多大になることから、一般会計の負担が生じる場合は、地方交付税による財政措置など、地方公共団体及び住民負担の軽減を図るよう要請をしておりますが、これにどうお応えいただけるでしょうか。
○村上国務大臣 先ほどちょっと触れましたけれども、復旧に要する経費につきましては、総務省におきまして、下水道の道路の建設改良費に対しましては、下水道事業債を活用する場合、その元利償還金の一部に地方交付税措置を講じております。
今後とも、埼玉県と連携して、この地方財政措置の活用について対応していきたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 国の責任も問われる今回の下水管事故について、その負担を国が責任を持って対処すべきだということを申し上げておきます。
続けて国交省にお尋ねしますが、下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきております。
今回のこの事故に当たっての埼玉県の国への要望書では、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただくようお願いしますと、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。
国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和九年度以降に要件化するとしております。つまり、ウォーターPPPを導入しなければ国の交付金は出しませんよという脅しのようなやり方、これは許されるものではありません。このようなウォーターPPPの押しつけはやめるべきではありませんか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少が進み、自治体の下水道事業を担う職員の方々が減少などする中で、ウォーターPPPという官民連携の取組は、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用によりまして、下水道施設の維持管理や更新を長期的観点から効果的に進められるなどのメリットがあり、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しております。
そのため、国土交通省におきましては、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするために、委員御指摘ございました、令和九年度以降、防災・安全交付金などを活用した下水道管の改築に当たって、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件とし、その導入促進を図っているところでございます。
地域の実情に即したウォーターPPPの推進が下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるよう、引き続き、自治体の御意見などを伺いながら、よりよい制度づくりに努めてまいります。
○塩川分科員 PFIを含むPPPの事業に当たって、元々その発祥のイギリスなどでも、もうPFI事業についてはやめましょうと大きな見直しの議論が起こっているときに、周回遅れでこれを進めようとしているのが日本の事業でありますから、こういう点について、今、こういった具体の事項にも関わる要望が県からも上がっているようなときに、見直しこそ必要であります。
埼玉県は、県議会における答弁でも、PPPの導入に当たっては、モニタリングや情報開示、災害時の対応など様々な課題があると、PPPに関する懸念を述べております。
国交省にお尋ねしますが、ウォーターPPPの一つである管理・更新一体マネジメント方式では、契約時に見積もった工事費や維持管理費を削減できた場合などに削減分をシェアするプロフィットシェアの導入を掲げております。これは、民間の利益追求によって、安全のためのコスト、維持管理費の削減、それがもうけになる、こういった安全のためのコストが削減されることになりはしないのか、こういうことを覚えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
官民連携を導入した場合でも、下水道管理者は地方公共団体でございまして、地方公共団体が事業の最終責任を負った上で実施することとされておりまして、民間事業者が提供するサービス内容や水準、災害対応等の安全、安心に関する役割分担といった管理運営の内容については、契約で明確に規定することとなっております。
また、地方公共団体は、民間事業者が契約に従い適正かつ確実にサービスを提供しているか、実施状況を定期的にモニタリングすることとしております。モニタリングの結果、求める基準を満たさない場合には、地方公共団体が民間事業者に対して速やかに改善の指示などをすることも可能でございます。
なお、官民連携の取組につきましては、これまで大きな問題は生じていないと聞いておりまして、事業が適切に実施されているものと認識しているところでございます。
○塩川分科員 契約に基づいて、元の基準について妥当かどうかのモニタリングをするというんですけれども、その元の基準そのものが妥当だったのかということが、是正するというのができないというのがPFI、PPP事業の問題点であるわけで、初期設定について問題があったときに、じゃ、それをしかるべく是正できるのかといったことで、民間の利益との関係でもその点が非常に課題となっているところであります。
官民連携のPFI、PPP事業のメリットとして、民間の人材や技術力の活用ということがありますけれども、自治体側にそういった技術継承が困難になるんじゃないのかという懸念の声があるわけですよ。
埼玉県も検討会議を行っておりますが、これまで、ウォーターPPPを含めた検討を行う会議において、委員の方の意見としても、ウォーターPPPを導入し始めると埼玉県の中にノウハウが残らなくなってしまうのではないか、例えば十年間発注して、民間企業も営利目的でやっているので、そこで何か問題があったとき、やはり違う事業者に委託したいとなったときに、県の方にノウハウが残らないとなかなか苦しいことになる、事業者を別に変えようと思ったときに、自治体側にノウハウ、技術、技能、蓄積がなければ、そういった新たに切り替えることについても困難さが伴うという意見も出ておりましたし、ウォーターPPPについては、他の地方公共団体でも技術継承がしっかりできるかというところが大きな懸念として挙げられている、このように危惧の声が上がっているわけであります。
このような、PPPなど民間委託が進むことで自治体における技術継承が困難となるのではないか、こういう危惧については、国としてはどのように受け止めておられますか。
○松原政府参考人 ウォーターPPPについては、自治体の技術系職員を始めとした下水道事業を担う方々が減少する中で、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しておるところでございます。
また、官民連携においても、地方公共団体が責任を持って下水道事業を適切に行うために、議員御指摘のとおり、地方公共団体職員の技術承継は重要だと考えております。
官民連携の事例におきましては、先ほども申し上げたモニタリングの実施により、民間事業者が提供するサービス内容や水準が契約どおりに適切に行われているのかを確認するほか、地方公共団体の職員が運営状況などについて民間事業者と定期的に打合せや報告徴収を行っております。
さらに、地方公共団体の職員の方が民間事業者による事業運営に関する研修に参加し、技術やノウハウの共有を図る取組や、民間に委託する処理区を限定して、地方公共団体の職員が事業を行う部分を残すなどによりまして、地方公共団体における技術承継のための工夫をしていると承知しております。
国土交通省といたしましては、持続可能な下水道事業に向けまして、職員の技術継承の重要性やその事例について、ガイドラインなどで地方公共団体に周知、情報提供してまいります。
○塩川分科員 しかし、実際に下水道事業における職員数というのは大幅に減ってきているというのがこれまでの推移であります。
大臣にお尋ねいたしますが、下水道事業において国が広域化、民間活用を推進したことによって、下水道事業に従事する職員数は大幅に削減をされてきました。下水道職員数は、一九九五年の約四万七千人から、二〇二三年には約二万七千人へと激減をしております。埼玉県においても、二〇〇四年の二百四十八人から二〇二四年の二百二十九人へとの減少もあります。こういったことが下水道事業の維持管理や技術、技能継承を困難にしてきているのではないのか。その背景に、地方行革指針などを踏まえた、総務省が自治体職員における技能労務職員の正規採用の抑制や業務の民間委託を進めたことが今回のような事故の遠因となっているのではないのか。ここの点について、大臣、お答えください。
○村上国務大臣 御承知のように、埼玉県八潮市における今回の道路陥没事故につきましては、事故原因に係る調査が進められているというふうに承知しております。
また、技能労務職員を含む自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。
一方で、下水道事業については、事業に従事する職員数が減少傾向にある中で、将来にわたり持続可能な経営を確保するための取組を進めることが全国的な課題となっております。
このために、総務省としましては、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を適切に策定、改定しながら、計画的に組織、人材の強化を図りつつ、業務効率化にも取り組むよう自治体に助言してまいったところであります。引き続き適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 技能労務職員については、民間水準と比べると給与も高いからそれを下げろとか民間委託をしろとか、これを推進してきたのは総務省であるわけですから、その結果としてこういった下水道職員の現場の職員数の減少にもつながっているし、そのことが技術、技能継承を困難にして、実際の建設のときにいたようなスタッフが今はほかの部署に移って、維持管理に従事するような専門職員が減らされて、実際配置がされていないとかいう現場の実態を踏まえたときにも、こういった技能労務職員を減らすようなそういったリストラを進めてきた国の姿勢というのは厳しく問われる。こういったことを大本から改めて、必要な職員を配置する地方財政措置というのを求めたいと思っています。
下水道事業におけるウォーターPPPの推進が、民間の利益追求によって安全のためのコストが削減をされる、また、自治体における技術継承が困難となる、さらには、情報開示の後退によって監視機能の低下といった重大な危惧が生じる。宮城県の問題などでもそのことが指摘をされております。こういった国の交付金を脅しの材料にしたウォーターPPPの押しつけはやめるべきだということを申し上げておきます。
残りの時間で、米軍所沢通信基地内の火災問題についてお尋ねします。
昨年十二月二十日午後一時過ぎ、米軍所沢通信基地内で火災が発生し、埼玉西部消防組合の消火活動により午後三時過ぎに鎮火をしましたが、基地内の約一ヘクタールの草地が焼損しました。火災は、基地北側中心部から美原中学校東のアンテナ周辺まで広がり、西側フェンスに沿った歩道部分まで焼け広がりました。
美原中学校では、休み時間中、煙を吸わないように校舎に戻るとか、下校の際は米軍通信基地を避けるなどの対応が取られ、市民生活にも大きな影響がありました。
米軍の要請により、埼玉西部消防組合が基地内に立ち入り消火活動を行いましたが、火災原因の究明に自治体消防は関与しておりません。地域住民の生活に多大な影響を及ぼしかねない火災だったのに、鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与できないのはおかしいのではないのか、総務大臣としてお答えください。
○村上国務大臣 米軍の所沢通信施設につきましては、地元消防当局である埼玉西部消防局と米軍横田基地との間で消防相互応援協定を締結し、万が一の火災等の発生に備えているものと承知しております。
今般の火災においても当該協定に基づき消火活動が行われたものと認識しておりまして、火災の原因究明についてでありますが、日米地位協定において合衆国側は、その施設・区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のための必要な全ての措置を取ることができることとされております。
日米地位協定の解釈につきましては所管外でありますので、日米地位協定の規定に基づき、在日米軍施設・区域への立入りについては、原則として米側の個別の同意が必要となるというふうに承知しております。
以上であります。
○塩川分科員 本当に地域にまで影響を及ぼしそうな、そういった火災であるにもかかわらず、実際に、それも消火活動を行ったのは自治体消防であるわけです。消防法に基づけば、当然、この火災原因の究明というのは自治体消防の責務として行われているわけなのに、米軍基地内であるがゆえに、その原因究明も自治体消防として明らかにすることができない。これは余りにもおかしいのではないのかということで。
過去にも、一九九〇年にもぼやがあって、それを受けて基地のフェンスに、下の方に消防ホースの貫通孔を作ったということもあったそうですから、米軍基地内には消火設備もないわけで、外務省、米軍基地内の火災の鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与する仕組み、必要じゃありませんか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米地位協定第三条の1に基づきまして、米国は、在日米軍施設・区域内におきまして、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要な全ての措置を取ることができるとされております。在日米軍施設・区域への日本側の立入りにつきましては、原則として米側の個別の同意が必要となるということでございます。したがいまして、地元自治体の消防当局による立入り、あるいは原因調査が一概に認められるものではないということでございます。
もっともでございますが、施設・区域の使用に当たりましては、在日米軍は、日米地位協定第三条の3に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払うという必要がございます。
外務省といたしましても、地元の自治体の御意向も踏まえつつ、関係省庁とも連携して、米側と緊密に協力してまいる所存でございます。
○塩川分科員 米軍基地内だと口が挟めないというのが前提になっている地位協定、その下で、地域住民が影響を受けかねない火災についても、その原因の究明について自治体消防が責任を持って行うことができない、これは余りにもおかしいということについて、結局、地位協定ですからという回答だけでは、これでは納得がされない。
例えば、二〇一五年八月に、米陸軍相模原補給廠内の倉庫において爆発を伴う火災が発生しました。事故現場は酸素ボンベ等が保管をされていた場所で、相模原市の消防局は、在日米陸軍からの依頼に基づき、消防隊員を出動させたわけであります。相模原市議会は、在日米陸軍に対して、原因究明に当たっては、最終的な調査結果を発表する前においても、適時適切な情報提供に努めることなどを要請しておりました。その後、在日米陸軍立会いの下、同市職員が基地内に立ち入り、酸素ボンベの保管場所や保管状況を現場確認しております。少なくとも、このような地元自治体の関与を保障すべきだ。
防衛省にお尋ねしますが、米軍と米軍基地所在自治体消防との間で消防相互応援協定が締結されている例があります。米軍所沢通信基地と埼玉西部消防組合は、消防相互応援協定を締結しておりますが、公表しておりません。横浜市や岩国市など、協定文書を公表しているところもあります。埼玉県内にある米軍基地である大和田通信所や、また、キャンプ朝霞など、全国の米軍基地と地元消防との消防相互応援協定はどうなっているか、明らかにしていただきたい。所沢通信基地の協定を始め、協定内容を公表すべきではありませんか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍基地と地元消防との消防相互応援協定につきまして、防衛省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、お尋ねの大和田通信所、キャンプ朝霞につきましては、地元の消防当局である朝霞地区一部事務組合と横田基地との間で消防相互応援協定が締結されているということを確認しております。
その上で、お尋ねの所沢、あるいは大和田、キャンプ朝霞に係る消防相互応援協定につきましては、米側に確認をしたところ、本協定は二者間で保有するものであり、公表を念頭に置いたものではない旨の回答があり、また、消防当局の方からも同様の認識が示されたところでございます。
このことから、防衛省からはその内容を明らかにすることができないことについては御理解願いたいと存じます。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、御協力をお願いします。
○塩川分科員 明らかにしている、公表している自治体もあるわけですよ。そういった点においても、やはり地元の住民の暮らし、安全を守るためにも、こういった火災原因の究明に地元消防が関与する仕組みをつくることが必要ですし、そもそも、米軍特権を認めている日米地位協定の抜本改定を求めて、質問を終わります。
○田所主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。
次に、平林晃君。
○平林分科員 公明党、平林晃と申します。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。総務大臣及び政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
私の方からも、今、岩手で起きております山林火災に関しまして、一人亡くなられた方がおられるかもしれないという速報もございまして、もしそうであるならば本当に心からお悔やみを申し上げますとともに、本当に一刻も早く鎮火されますことを、地元の皆様、また行政の皆様、消防の皆様、消防庁の皆様、本当に御尽力いただいていることに心から感謝を申し上げます。
それでは、質問の方に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
先日、予算委員会、私の地元で、広島ですけれども、地方公聴会を開催をいただきました。初の広島開催と伺っておりまして、尽力いただきました関係の皆様に心から感謝を申し上げます。
四人の意見陳述人の方からは、異口同音に、課題先進地域とも言える広島や中国地方の苦境が示されたところがございました。とりわけ広島県の湯崎知事から、東京一極集中について、出生数、あるいは防災、経済成長、いずれの観点からも好ましくないのではないか、こういう強い指摘があったわけでございます。
その裏側で、実は、広島県は、今、総務省の人口移動報告におきまして、転出超過が四年連続で全国最多となってしまっている、こういう非常に苦しい状況もあるということでございまして、でも、この状況を県は県で決して放っているわけではなくて、必死になって対応を進めておられるわけでございます。もう既に、昨年、三年連続となってしまった段階でプロジェクトチームを設置をされて、転出の背景を、例えば大学進学時のことでありますとか、あるいは就職の段階のことでありますとか、こういったことで分析をされて、地域なりの対応をしておられる、このようにお話も聞いているところでございます。
このように真摯に地方も取り組んでおられる意味におきましても、東京一極集中の是正、これはなかなか地方の努力だけでは難しい部分がございますので、国として地方の声に耳をしっかりと傾けていただいて取組を進めていただきたい、このように考えているところでございますけれども、総務大臣の御見解を伺えたらと思います。
〔主査退席、寺田(稔)主査代理着席〕
○村上国務大臣 平林委員の御指摘どおり、本当に、過度な東京一極集中は、少子高齢化や過疎が進む地方における地域社会の担い手不足、また災害リスク、防災などの点から、我が国全体にとっては大きな問題であります。その是正は喫緊の課題だというふうに考えております。
我が国はこれまで東京圏と地方が一体となって発展してきたものと認識しておりまして、東京圏と地方がしっかりと支え合って活力を高めていくような環境をつくることが重要であるというふうに考えています。
そのために、総務省としましては、地方への人の流れの創出、拡大に向けて、都市部で活躍したシニア層を即戦力として活用する仕組みを構築するとともに、地域おこし協力隊について戦略的な情報発信やサポート体制を強化しております。また、地域経済循環の創出、拡大に向けて、ローカル一万プロジェクトを拡充するとともに、事業承継などについても自治体の取組を支援しております。さらに、地方でも柔軟な働き方や豊かな暮らしを実現できるよう、地域相談窓口によるテレワークの導入支援、光ファイバーや携帯電話用基地局などのデジタル基盤の整備などに取り組んでおります。
引き続き、地方創生二・〇の推進に向けて、自治体の意見を丁寧に伺いながら、地域社会の好循環と持続可能な地域社会の実現に向けた取組を政府を挙げて進めてまいりたい、そのように考えております。
○平林分科員 ありがとうございます。
今、地方創生二・〇というお話もございました。石破総理が本当に政権の主軸として進めておられる施策であると認識をしております。総理が盟友とおっしゃられる村上総務大臣でございますので、是非総理としっかり力を携えていただいて進めていただきたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
大臣への質問はここまででございますので、もしよろしかったら御退席いただいて結構です。
では、続きまして、広域リージョン連携ということについて質問できたらと思います。
地方の厳しい現状を打破すべく、今申し上げましたとおり、石破政権は地方創生二・〇を掲げ、一月二十四日の施政方針演説で五本の柱が示されました。その五番目の柱ですけれども、都道府県を超えた広域連携の新たな枠組みである広域リージョン連携を強力に推進するとされています。
これまでも、私の地元中国地方におきましては、インバウンドの観光需要を見込んだ広域連携等々、取組があると認識をしておりますけれども、こうした現状の中、今回の広域リージョン連携という取組は何をどのように推進をしようとされているのか。
この点を伺いたいのとともに、あわせて、都道府県を超えた広域連携という意味におきましては、中国地方においては、例えば山口県の岩国市が広島経済圏との強い結びつきを持っているとか、逆に福山市は岡山県と結びつきが強い、山陰に目を転じれば、島根県の松江市、出雲市、鳥取県の米子市も強く連携をされているということで、こういうローカルな結びつきも多く見られます。こうした連携についてもそれを強化していこうとされているのか。
以上二点について、総務省の見解を伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
一極集中から多極分散型の経済社会への転換を図るためには、産業政策や観光など地域の成長につながる施策を面的に広げていくことが重要であると考えてございます。
こうした中、都道府県域を超えた枠組みとして、広域連合やブロックごとの知事会のほか、経済団体を中心に、産官学など多分野にまたがる連携を強化する動きも見られるところだと認識してございます。
そこで、地方公共団体が企業や大学、研究機関などの多様な主体と連携し、都道府県域を超えて広域単位で取り組んでいく取組を広域リージョン連携として推進していきたいと考えておりまして、先進事例を参考にしながら今検討を進めているところでございます。
また、人口減少が進む中で、地方の持続可能性を高めていく観点からは、都道府県域を超えたものも含めまして、市町村間の広域連携を推進することも大変重要であるというふうに考えてございます。
総務省としましては、核となる都市と近隣市町村が連携する連携中枢都市圏でございますとか定住自立圏を推進してございます。先ほどもいろいろな例を挙げていただきましたけれども、私どもも、例えば、鳥取市と兵庫県香美町との連携、あるいは大分県中津市と福岡県豊前市との連携等ございます。引き続き、都道府県域を超えた市町村間の連携を進めていきたいというふうに考えてございます。
○平林分科員 ありがとうございます。
これは二つの方向性だと思うんですよね、トップダウンとボトムアップというところがございます。それ二つがかみ合うことによって、より効果が大きくなるということもあるかと思いますので、是非、両方の方向性で進めていただけたらと思います。よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、ガバメントクラウドへの移行についてお聞きできたらと思います。
人口減少が進む我が国におきまして、地方自治体が提供する公共サービスを維持強化していくためには、可能な限りデジタル化を進めていくこと、これは当然のことでございます。約千八百の地方公共団体があるわけですけれども、個々にシステムを準備していたのでは非常に効率が悪いということで、システムをクラウド上に調達し、地方公共団体にそのサービスを提供するガバメントクラウドが進められているということで認識をさせていただいております。これによって、コスト削減、情報システムの迅速な構築、柔軟な拡張、セキュリティー対策、運用監視など、メリットを享受しやすくなるとされているわけでございます。
しかしながらというところがございまして、地方自治体によっては、コストが削減できると思って対応したにもかかわらず、私の地元のある自治体でございますが、実際に移行してみたところ、従来の二倍、三倍の経費がかかってしまった、こんな声を聞いているところでございます。
コスト削減のメリットは一体どこに行ってしまったのか、こんな声が複数、私の元に寄せられているんですけれども、政府として、このような事態の要因をどのように分析しておられるのでしょうか。また、この状況を改善していくために、どのような対策を講じていかれるのでしょうか。見解を伺います。
○井幡政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体がガバメントクラウド移行後に運用等経費が増加している要因でございますけれども、これは、地方公共団体の現行システムの利用形態でございますとか移行後のシステムの状況等々、様々なものが考えられるところでございます。したがいまして、まずは、各地方公共団体におかれまして、事業者から見積書が提出されておりますけれども、その内容をしっかり精査していただくということが必要になってくるかと思っております。
その上で、支援策でございますけれども、デジタル庁におきましては、事業者に対して、見積りの内容を各自治体に対して丁寧に説明するようにという要請を行っているところでございます。さらに、ガバメントクラウドの利用料でございますけれども、これは国分と地方公共団体分を一括で支払いするということで、最大限の大口割引が適用されるよう事業者と交渉を行っているところでございます。また、ガバメントクラウドを適切に利用することでコストの最適化が図られるというようになるような支援策も行っているところでございます。さらに、依頼があった地方公共団体につきましては、ガバメントクラウド利用料の見積精査支援、こちらも行っているところでございます。
こうした取組を通じまして、デジタル庁としても地方公共団体を最大限支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○平林分科員 ありがとうございます。
自治体としては、この必要性はよくよく分かっているところでございますので、今言っていただきました寄り添う支援、これを是非、引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。私も地方の自治体にしっかりとそれを伝えてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、社会のデジタル化における行政書士等の活用に関しまして伺っていけたらというふうに思います。
政府は、総務省、デジタル庁を始めとして、一体となって、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化の推進を掲げておられます。そのために、デジタル推進委員などによって個々人のスキルを向上させる取組、これは当然重要であります。これによって、最近では、高齢者の方におかれましても、スマホを結構使いこなしておられる、あるいはSNSにも慣れ親しんでおられる、そんな方を私もお見受けしているところでございます。
こうしたスキルアップ支援とともに重要なことは、なかなか難しい、デジタル技術に順応できない国民の方も少なからずおられるという現状でございます。実際、買物をスマホでやればいいと言われても、どうすればいいか分からないという方も多数おられることも事実でございます。さきのコロナ禍における補助金、給付金等の申請におきましても、自身で対応できない事例も数多く見られていたところでございます。
このような実態を踏まえまして、国が施策として展開するデジタル化の今いわば過渡期と言えるような状態におきましては、国家資格者の行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、こういった士業の皆様を最大限活用をして国民を支援していくことは、冒頭に申し上げましたけれども、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を効率よく進めていくことにつながると考えているところでございます。この点に関しまして、政府の御見解を伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
人口減少等が進む中、公共サービスを維持強化し、地域を活性化させるためには、デジタルの力を最大限に活用することが重要だと考えてございます。
行政手続のデジタル化に当たりましては、お年寄りなどオンライン申請に不慣れな方々等へのきめ細やかな支援が大変重要でありまして、総務省におきましては、行政書士によるマイナンバーカードの申請サポートによりまして、そうした方々のカード取得が容易になるよう環境整備等に取り組んできているところでございます。
行政手続のデジタル化は、デジタル庁を中心に、以上のように総務省も連携して政府全体で推進しているところでございまして、行政手続のデジタル化に当たり、行政書士を始めとする国家資格者の知見を活用することは有効な手段であると認識しているところでございます。
○平林分科員 ありがとうございます。
重要である、こういう御認識をいただいたわけですけれども、重ねての質問になってまいりますけれども、昨年六月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきましては、公的基礎情報データベース、いわゆるベースレジストリーを整備、利用促進するための整備改善計画を今年の夏までに策定することとされまして、商業・法人登記情報は二〇二五年度以降、不動産登記情報は二〇二七年度以降順次全ての行政機関がデータにアクセスする環境を整備するために、デジタル庁、法務省でシステム整備を検討することとされていると認識をしております。
行政書士、社労士、土地家屋調査士などの皆様は、日々の業務に対応されながら、依頼者である国民や事業者に係る公的基礎情報の真正性を確認した上で、こうした公的基礎情報を国のデータベースに登録をし、また、誤っている情報があれば更正をし、若しくは古くなった情報を新しくする、こういった作業を行っていただいておりまして、これらの作業を通じてベースレジストリーの真正性確保に貢献をしていただいている、このように認識をさせていただいております。
であるからこそ、士業の皆様、こういった作業をしていただいておりますので、行いやすい環境を整えるということは大変重要なことであると認識をしております。例えば、オンライン申請システムにおける代理申請機能の実装などが考えられます。こうしたシステムの構築、現状がどのようになっているのか、政府の御見解を伺います。
○蓮井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、許認可ですとか補助金などの電子申請を行う際に、例えばシステムごとにログインIDが異なるといったのは、非常にこれは利用者の方にとって不便であるというふうに認識してございます。
デジタル庁では、事業者が一つのアカウントで複数の行政サービスにログインをできる認証基盤といたしまして、GビズIDを運用してございます。これは既に百二十万を超えるアカウントを払い出しておりまして、国や地方自治体が提供する二百近いサービスへのログインが可能となってございます。
また、御指摘の、特に代理申請等で士業の方々にも幅広くこのGビズIDをお使いいただけるように、例えば、行政書士の方々とは、過去一年間で操作方法に関する体験会を各都道府県単位の団体におきまして二十七回実施しているほか、それから、あと、日本行政書士会連合会の方々とは二十八回にわたる意見交換会を行ってございます。これらの場における御指摘も踏まえて、GビズIDが代理申請の用途でも使いやすいものとなるように、継続的に機能の改善を行っているところでございます。
引き続き、行政書士を始め士業の方々の現場での御意見なども踏まえながら、各制度所管省庁とも連携し、GビズIDの利用促進に努めてまいります。
○平林分科員 ありがとうございます。
GビズIDという、省庁、自治体に対して統一的に利用可能なアカウントを発行していただいており、原則全ての行政手続で採用されるように、各省庁と連携して検討して、それも継続していただいている、こういうことであろうかというふうに思います。
そして、行政書士等の代理人への委任ができるように機能の拡充も行ってきているということで、代理申請が、一月三十一日からですか、この機能もリリースをしていただいているということで、本当にデジタル庁におかれましても迅速に御対応いただいている、このように認識をさせていただいているところでございます。
その上で、重ねてのような質問になって恐縮なんですけれども、代理人の方がどういう人物なのかということでございます。これは士業の皆様が大変懸念をしておられる部分なんですけれども、代理する資格のない者が成り済ましで手続を行って、国民が不利益を被る事態が後を絶たないということでございます。例えば、補助金等の不正申請や法外な手数料の請求などでございます。
このような事態が起こらないようにするために、代理申請者が国家資格者であることをオンライン上で疎明できるスキーム、これを手当てすることも重要であると考えております。例えば、マイナ国家資格との連携などもできればよりよいと考えているところでございますけれども、以上の点に関しまして、政府の御見解を伺います。
〔寺田(稔)主査代理退席、主査着席〕
○蓮井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の一月三十一日に代理申請の機能を実装したのは、デジタル庁が運営をして、国と地方自治体の様々な補助金が掲載されている補助金申請システム、Jグランツというものでございます。こちらにつきましては、既に代理申請自体も補助金などで幾つか対応できているものが生じてまいっております。
このJグランツにおいてでございますけれども、代理申請を行う者につきましても、自らの本人確認済みの、先ほど申し上げたGビズIDでログインすることになってございますので、補助金などの審査担当者が、誰が代理申請をしているのか、これを確認することがちゃんと明確にできる、この人が成り済ますということではないということになってございます。
こうした取組なども通じまして、御指摘のようなことにならないように、代理資格のない者の成り済ましによる申請を防ぐために、関係省庁とも連携をして、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○平林分科員 ありがとうございます。
そういったこともないようなシステムを構築していっていただいているということで、引き続きの機能の拡張等を取り組んでいっていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、偽情報、誤情報の対策に関しまして質問をさせていただけたらというふうに思います。
今や、インターネットの動画サイトを閲覧をしていても、それが本物なのか偽物なのか全く分からないような、そんな状況になってしまっていると私自身も感じているところでございます。
偽情報は、意図的に広められてしまい、詐欺や世論操作、さらには健康被害すら引き起こすということがございます。一方で、誤情報は、悪意はないのかもしれませんけれども、拡散をされ、災害時の混乱や健康被害にもつながっていくということがございます。どちらも社会に深刻な影響を与えているということでございまして、個人レベルでの意識向上と、企業、また政府の対策、どちらも重要になってくるというふうに考えております。
偽情報、誤情報の対策の重要性の一方で、言論の自由、これは我々の民主主義社会の根幹を成す原則でありまして、ここも当然ゆるがせにできないわけでございます。この両者のバランスを保つということは非常に重要なことでございまして、昨年のプロバイダー責任制限法の改正では、権利侵害情報の削除要請があった場合のプラットフォーム事業者の責務を明確にして、対応の迅速化、運用状況の透明化を求めることとされました。国家の安易な介入を避けて、権利を侵害された国民に寄り添う、こういう対応とされたというふうに認識をさせていただいております。名称も、情報流通プラットフォーム対処法、いわゆる情プラ法と変更されて、現在、早期施行に向けて御尽力をいただいていると認識をしております。感謝申し上げます。
ただ、この法律だけで偽情報、誤情報に対応し切れるものではない、そういった意味におきましては、技術開発やリテラシー向上も含めて、総合的な対応を進めることが重要になってまいります。こうした問題意識から少し質問させていただきます。
まずは、技術に技術で対抗する手法について伺います。
生成AIで作られた情報をそうであると判定するために、様々な技術がございます。そうした中でも先行するのが、画像の真贋を判定する技術。国立情報学研究所の山岸教授と越前教授が先行して、様々な成果を出されています。シンセティックビジョンというものは、画像上の領域ごとに偽物の度合いを色で示すということで、かなりの精度で検出できるというふうに聞いているところでございます。
一方、生成AIの発展がますます著しい音声とか文章など、これが本当に本人がしゃべっているものなのか、あるいは人が実際に書いた文章なのか、こういったことを判定する技術というのはまだそれほど見られていないのではないかな、このように感じているところでございます。こうした多様な種類の偽情報、誤情報の判定についても技術開発を進めていくべきと考えておりますけれども、政府の見解を伺います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
SNS等のインターネット上の偽・誤情報は、短時間で広範に流通、拡散をし、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識をしております。
特に、技術革新のスピードが速い生成AIは、社会課題の解決や産業競争力の向上等に貢献する一方で、偽・誤情報の流通、拡散に関わるリスクにもなり得るものでございまして、技術の更なる精緻化、巧妙化、あるいは流通形態の多様化に備えることが必要であると考えております。
このため、総務省では、令和五年度の補正予算を活用しまして、インターネット上の画像、映像を対象とするAI生成物の判別技術の開発、実証を進めているところでございます。今後、更に多様な偽・誤情報の分析を行うため、その判別の対象を、データ量が少なく判別がより困難な音声や文章等にも広げていく予定でございます。
総務省では、インターネット上の偽・誤情報について、引き続き、国際的な動向も踏まえつつ、表現の自由に十分配慮しながら、技術開発を含む総合的対策を積極的に進めてまいります。
○平林分科員 ありがとうございます。
しっかりと進めていただきたいということなんですけれども、今お聞きした、情報を受け取った側が情報の信頼性を判定する技術というのは、これは大事な技術なんですけれども、どうしてもイタチごっこになるという部分もございます。
そもそも、生成AIというのは、情報を作り出すAIと判定するAIを競わせて作る、こういう基本的なことがあるんですね。偽札を作る犯罪者とそれを見破る当局者、これが競うような、こういうスキームなわけですけれども、このイタチごっこを乗り越えるためには、発信者側が信頼性を積極的に示す必要があるということもあるかと思います。
こうした技術は、伝統的には電子署名や電子透かし、eシールなどがあるわけですけれども、最近ではオリジネータープロファイル、いわゆるOPの活用も有効と考えているところでございます。これらの技術開発を推進をして、社会実装まで後押しをしていくことが重要と考えております。政府の見解を伺います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
分科員御指摘のとおり、インターネット上の偽・誤情報の流通、拡散への対応としましては、先ほど申し上げたAI生成物の検知技術の開発、実証に加えて、ネット上の多様な情報から情報の受信者が確かな受信等を判断できるように、発信者に関する情報などの信頼性を確保するための技術の開発、実証も併せて進めていくことが重要と考えております。
御指摘のオリジネータープロファイル技術もそうした技術の一つでございますけれども、総務省では、令和五年度の補正予算を活用しまして、発信者に関する情報の信頼性を確保する技術の開発、実証を進めております。今後、社会実装や国際標準化の実現に向けた取組を進めていくとともに、信頼性確保の対象を発信された情報そのものにも拡大してまいります。
○平林分科員 ありがとうございます。
ここまで法令の整備、また技術開発について述べてまいりましたが、そもそも偽情報や誤情報を発信しない、あるいは受け取ったときにそれを見破る、さらに加担するような対応をしない、こういった個人レベルの意識の向上、すなわちユーザーリテラシーの向上はとても重要でありまして、教育や啓発活動の強化が不可欠でございます。
総務省におかれましては、ユーザーリテラシーの更なる向上のために、官民連携プロジェクト、デジタルポジティブアクションを開始されたと伺っております。先月二十二日に発表会が開催をされ、官民の取組を集約したウェブサイトの開設、セミナー、シンポジウムの開催等を計画されているということでございますけれども、具体的にどのような取組を行っていかれるのか、政府の見解を伺います。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
国民の皆様には、偽・誤情報に関連して、ネット上の情報には偽・誤情報も含まれ得ることを認識していただくとともに、偽・誤情報を認識なく拡散しないように注意いただくことが重要と考えております。
そうした観点で、本年一月、官民の様々な関係者の連携協力の下で意識啓発を推進するために、プラットフォーム事業者や通信事業者等を含む十九の事業者、団体と連携をいたしまして、デジタルポジティブアクションというプロジェクトを立ち上げたところでございます。
このプロジェクトを通じ、官民の取組などを集約したウェブサイトの充実、多様な関係者によるセミナー、シンポジウムの開催、普及啓発のための教材の作成、活用などに取り組むとともに、プラットフォーム事業者等におきまして、自らのSNS等のサービス上で信頼性の高い情報を優先表示するといった工夫を実施いただくなど、主体的な取組を行うことも期待しております。
○平林分科員 ありがとうございます。
十九事業者で取り組み始めたということでございます。更に広がっていかれることを期待をしております。
以上、地方創生、デジタル化、偽・誤情報対策について伺ってまいりました。全てが絡み合う中でございますけれども、ソサエティー五・〇にうたわれる人間中心の社会の構築を目指して私もしっかりと働いていくことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。
○田所主査 これにて平林晃君の質疑は終了いたしました。
次に、岡田悟君。
○岡田(悟)分科員 立憲民主党の岡田悟です。
昨年十月の総選挙、初めて当選をいたしまして、今日は貴重な質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
ふだんは財務金融委員会に所属をしておりまして、情報流通行政はなかなかちょっと不勉強で、どうか御容赦をいただきたいわけですけれども、今日は、通告をいたしましたとおり、SNSにおける誹謗中傷あるいは虚偽情報、これが社会全般、世論の形成等にいろいろな形で悪影響を及ぼしている、この問題について質疑をしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
まず、大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、こうしたSNS等において、虚偽情報あるいはいろいろな方への誹謗中傷、こういうものが拡散をされている状況、どのように認識をし、問題意識を持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○村上国務大臣 岡田分科員の御指摘のとおり、SNS等における偽・誤情報を含む権利侵害の情報の流通は、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な状況にあるように認識しております。
このため、幅広い世代の国民お一人お一人が、ネット上の情報には偽・誤情報も含まれ得ることをやはり認識した上で、誤った情報を拡散しないように注意すること、また、人を傷つけるような投稿をしないように注意することなどが非常に重要じゃないか、そういうふうに考えております。
また、昨年成立しました情報流通プラットフォーム対処法によって、大規模なプラットフォーム事業者に対して権利侵害情報の削除の対応の迅速化等を促すために、同法の早期施行に取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。
総務省としましては、インターネット上の偽・誤情報を含む権利侵害情報への対応について、表現の自由に十分配慮しながら、幅広い世代のリテラシーの向上や制度的な対応も含めた総合的対策を積極的に進めたい、そういうふうに考えております。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
先ほどの平林議員からも質疑がございましたけれども、法改正によって、情報流通プラットフォーム対処法、これが間もなく施行されるというふうに承知をしておりますけれども、これが、社会情勢等を踏まえまして、どのような議論があり、今回の法改正につながったのか、改めて参考人から御説明いただければと思います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
総務省では、インターネット上の誹謗中傷などの被害者の救済を円滑にする等の対応を図りますために、利用者のリテラシーの向上や相談体制の強化、令和三年のプロバイダー責任制限法改正による簡易な裁判手続の創設などを含みます総合的な対策を進めてまいりました。
その一環としまして、SNS等における投稿の削除につきましては、総務省の有識者会議においてプラットフォーム事業者の取組状況をモニタリングするなどによりまして、事業者による自主的な取組の改善を促してきたところでございます。
しかしながら、インターネット上の偽・誤情報や誹謗中傷などの違法、有害情報の流通は依然として深刻な状況でございまして、被害者の皆様からは投稿の削除に関する相談が多く寄せられております。
投稿の削除は、主にプラットフォーム事業者の利用規約に基づいて行われますが、総務省の有識者会議におきましては、課題が多く、必ずしも適切に機能していないとの指摘がなされておりました。
具体的には、放置されると情報が拡散するため被害者は迅速な削除を求めている、また、削除申請をしても通知がない場合があって削除がなされたかどうか分からない、事業者の削除指針の内容が抽象的で何が削除されるか分からないなどの課題が指摘をされていたところでございます。
こうした認識を踏まえまして、昨年成立しました情報流通プラットフォーム対処法では、大規模SNSなどのプラットフォーム事業者に対しまして、誹謗中傷等の投稿の削除申請について一定期間内の応答義務を課すなどの削除対応の迅速化、また、投稿の削除基準の策定とその運用状況の公表などの運用状況の透明化を求めております。
総務省としましては、同法の早期施行に向けて、省令等の整備に取り組んでまいります。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
改正された法律の罰則があるというふうに伺っていますけれども、ただ、即座に罰則をどんどん科すわけではなく、プラットフォーム事業者とのコミュニケーションを重視しながら、最終手段としてこういうものもあるというふうに伺っていますけれども、この点、もう少し詳しく御説明いただくことは可能でしょうか、その考え方といいますか。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
情報流通プラットフォーム事業者に対する対処法に関してでございますけれども、利用者からの要望の多い削除に対する対応とともに、表現の自由に対して十分な配慮を行うということが求められてございます。この両方を実現していくということが大変重要でございまして、同法におきます対応におきましても、枠組みとしましては今申し上げたような形で措置しておりますけれども、実際、個別の情報の削除に関しましては、事業者の判断に委ねるという形で対応しているものでございます。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
表現の自由というのは、私も当選する前は、大学を出てから記者の仕事を十七年半続けてまいりまして、表現の自由の中で仕事をし、多少なりとも世の中の役に立てたかもしれないという小さな自負は持っているつもりでして、SNS上においても表現の自由というのは当然重要になるものと私も考えております。
一方で、規制と表現の自由というのは、両方とも極端にいくとトレードオフになる面もあるというふうに思われますけれども、今回の法改正において、表現の自由を担保するためにどのような議論が有識者の方等を含めて行われたのか、この点も御説明をいただければと思います。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきましたとおり、インターネット上の誹謗中傷等の違法、有害情報への対処に当たりましては、迅速な被害者救済を進めていくことが求められている一方で、表現の自由にも十分配慮する必要があるということであります。
総務省の有識者会議での議論でございますが、プラットフォームサービスにつきましては、情報交換あるいは意見交換の交流の場として有効ではあるものの、誰もが容易に発信し、拡散もできるため、違法、有害情報の流通が起きやすい、それによる被害及び悪影響が拡大しやすいということ、また、プラットフォーム事業者の中には削除対応の取組が不十分であるという者もある、そういう御指摘もございました。こういったことから、表現の自由を過度に制限することがないよう十分に配慮をした上で、プラットフォーム事業者は迅速かつ適切に削除を行う等の責務があると考えるのが相当であるとの御提言を頂戴したものでございます。
そのような御提言も踏まえまして、情報流通プラットフォーム対処法におきましては、被害の拡大防止や救済を図るために、プラットフォーム事業者における削除対応の迅速化や、削除等の基準、運用状況の公表を義務づける枠組みを設けつつも、具体的な削除の判断については、プラットフォーム事業者が自ら行うことを前提とした仕組みとなっております。
総務省では、表現の自由に十分配慮しながら、引き続き、インターネット上の誹謗中傷等の違法、有害情報対策にしっかり取り組んでまいります。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
そして、我が国の法改正に当たっては、ヨーロッパにおけるデジタル・サービス・アクト、デジタルサービス法、こちらも参照して議論をされたものというふうに伺っております。
こちらは総務委員会でも既に議論がなされたようですけれども、ヨーロッパの法律においては、リスク評価、軽減措置というものを事業者に義務づけている。そして、まず、このリスク評価というのは、違法コンテンツの拡散や表現の自由に対する悪影響、これを評価し、かつ、サービスの設計や機能の調整等においてこういうことが余り行き過ぎないように、こういうことがプラットフォーム事業者側に義務づけられている。
我が国には、法改正されたものにはこれが含まれていない、このように理解をされておりますけれども、どちらがいいのか悪いのかというのはちょっとおいておきまして、我が国で今回の法改正をされる上で、どのような議論があってこれを含まないというふうな決定がなされたのか、この点を御説明いただきたいと思います。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
情報流通プラットフォーム対処法では、その立案過程でEUのデジタルサービス法も参照しまして、同法に近しい迅速化、透明化の規律を規定をいたしました。一方で、分科員御指摘のリスク評価制度とそれに基づきます軽減措置という形での規定は、同法には導入をされておりません。
その理由としましては、先ほど申しましたように、被害者の皆様から投稿の削除に関する対応を求める声が強かったということを受けまして、投稿の削除に重点を置いた内容としているということが一つございます。
一方で、情報流通プラットフォーム対処法におきましては、投稿の削除などの実施状況について事業者が自ら行った評価の公表が義務づけられております。これは、表現の自由に配慮しつつ、プラットフォーム事業者が投稿の削除等の実施について更なる改善に努めるという自浄作用を期待するものでございます。
したがいまして、情報流通プラットフォーム対処法による自己評価は、アプローチは欧州のリスク評価制度とは異なりますけれども、制度の目的は同じ趣旨であるというふうに認識をしております。
以上でございます。
○岡田(悟)分科員 我が国とは少し違う、利用者側の事情もあるということを理解できました。
SNSをめぐる少し異なる問題もこれまで指摘をされてきたわけですけれども、いわゆる成り済ましの詐欺、著名人をかたって詐欺等に誘導していると見られる投稿、広告だと思いますが、ついこの間まで、名前を挙げるのはあれですけれども、特にフェイスブック等では本当に頻繁に見られて、かつ、当の本人が、自分自身の投稿ではない、私ではない、こういうことをやっていないというふうに呼びかけをしているにもかかわらず、そういうものが掲載をされ続けているという状況がつい先日まであったようにお見受けをします。最近、私が見た限りですけれども、かなり減ってきているのかなというふうには思います。
一方で、これらによって、こういった広告、詐欺の広告を信じてしまってお金を振り込んでしまった、こういう方々が、アメリカなどのプラットフォーム事業者を相手取って集団訴訟を起こすという動きもあります。政府としても、この問題に取り組んでこられたと思いますけれども、どのような対策をこれまでしてこられたのか、説明をしていただきたいと思います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
総務省では、昨年六月二十一日に、SNS等における成り済まし型の偽広告への対応につきまして、SNS等を提供する大規模プラットフォーム事業者に対し要請を行いました。
この要請を受けまして、プラットフォーム事業者が広告出稿時に行った事前の審査や、偽広告が発生した場合に事後的に行った削除等の対応状況につきまして、総務省の有識者会議において、昨年十月にヒアリングを行い、十一月に、その評価をヒアリング総括として公表いたしました。
このヒアリング総括では、今後更なる対応が求められる事項としまして、日本語や日本の文化的背景を理解した人員を含みます広告の事前審査体制を構築をし、その情報を公開すること、事前審査での広告主の本人、法人確認書類の提出などの有効性も考慮した実効性ある本人確認、削除等の実施件数など透明性が不十分であることを踏まえた今後の情報の公開等が必要である、重要である旨の評価を行っております。
総務省としましては、評価結果を踏まえて、事業者に対応の改善を求めているところでございまして、今後、その対応状況をモニタリングすることを通じ、SNS等の利用者の安心、安全の確保の観点から、必要な対応を検討してまいります。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
一方で、我が国では法改正がなされた、そして、ヨーロッパでもいろいろな法律を作って虚偽情報や誹謗中傷あるいは先ほどお話をいただきました虚偽広告等に対応しているという状況であると承知をしておりますけれども、ちょっと通告と前後しまして、失礼しました。
ただ、アメリカに多くのプラットフォーム事業者が本社を置いている。かつ、トランプ政権の発足に伴い、いわゆるファクトチェック、私は検閲ではないと思いますけれども、彼らが検閲というふうに言っているわけですけれども、誤情報あるいは人種差別等、こうした内容の投稿に対してフィルターをあえて弱める、こういうふうな動きも出てきているというふうに承知をしております。
アメリカの本社で経営者自身がこういう方針転換を行っている中で、我が国の法律が我が国のこうしたSNSの利用者に対してどこまで有効に機能をするのか、この点も懸念する声があるかと思いますけれども、どのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、我が国においてサービスを提供する重立ったプラットフォームの事業者の多くは、外国に本社を持つものでございます。
先ほど申しました情報流通プラットフォーム対処法では、国内でサービスを提供する国内外の大規模なSNS等の事業者が対象となるということで想定をされてございます。外国に本社を置いておりますプラットフォーム事業者であっても、国内でサービスを提供している限り、同法の対象となるということでございまして、例えば、削除申出があった場合に一定期間内に応答することですとか、あるいは、投稿の削除基準を策定し、その運用状況を公表することなどが義務づけられているものでございます。
これは法律でございますので、同法の規定の規律の対象となります大規模なプラットフォーム事業者は、このような義務規定の遵守状況あるいは自ら行った評価を年に一回公表しなければならないということとされております。これも、法規制の実効性の担保ということにもつながっていくんだろうというふうに考えております。
総務省としまして、外国に本社を置く事業者も含めまして、こうした改正法の規定の趣旨を周知を図ります中で、必要なコミュニケーションも図ってきております。施行後におきましても、法執行に係る様々な手続の中で、制度の遵守をしっかり求めてまいりたいというふうに思います。
○岡田(悟)分科員 是非適切に執行できるように、モニタリングあるいはコミュニケーションを続けていただきたいというふうに思います。
さて、SNS等での虚偽情報あるいは誹謗中傷については、昨今、我が国の国内で行われた選挙においても大変深刻な影響を及ぼしているものというふうに承知をしております。
私は兵庫県が地元であるんですけれども、昨年の兵庫県知事選挙をめぐっては、もう皆さん御承知のとおり、様々な複合的な問題が同時に起きていて、今なお解決を見ていないという状況、多くの方が心を痛めている状況であると考えています。とりわけ、日本維新の会所属の県議会議員二名が、文書であるとか、あるいは秘密会の音声を隠し撮りする形で、これが拡散をされ、SNS等でずっと広がり続けている。結果的にではあるかもしれませんが、知事の選挙の問題等を調査し、いろいろな指摘をなさっていた県会議員の方が自ら命を絶たれる、こういう状況も生まれています。
昨今、選挙あるいは政治活動等において、SNS等で虚偽情報、誹謗中傷が行われる。あるいは、SNS以外でも、ポスター等で誹謗中傷とされる内容が記述されるなど、こういう状況がある。大変残念だと思いますけれども、この状況に対して大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 委員の御指摘のとおりでありまして、私は、選挙は、国民が主権者として政治に参加する最も重要な機会であると考えています。民主主義の根幹を成すもの、一定のルールの下で、立候補者が選挙運動を通じて政見を訴え、有権者は各々の自由な意思に基づいて投票先を選択するものと考えております。
ところが、現在は、表現の自由の下、主張は自由に行われるべきなんですが、その主張の是非にかかわらず、人を傷つけるような誹謗中傷は絶対許されないものでありまして、このようなことを認めれば、正論や本音が言えなくなります。そして、民主主義の危機になる、そういうふうに考えております。
誹謗中傷等については、現行において、刑法の名誉毀損罪や侮辱罪、公職選挙法の虚偽事項公表罪等の規定が設けられております。
また、ポスターの掲示場に掲示する選挙運動用のポスターに、他人の名誉を傷つけるなど品位を損なう内容を記載しないよう、品位保持規定を設ける公職選挙法の改正案が議員立法で提出され、国会において、先週、委員会で可決されました。
選挙におけるSNSの利用の在り方については、表現の自由や政治活動、選挙運動の自由に関わる重要な問題であるため、各党各会派において慎重に御議論いただくべきことであると考えておりまして、現在、選挙運動に関する各党協議会において重要な課題について議論がなされているものですから、積極的にしっかりと御議論いただけたら、そういうふうに考えております。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。大臣も大変強い危機感をお持ちであるということ、よく私も感じることができました。
また、先輩議員方が中心になって、しかも、これは超党派で、民主主義の基盤を守るために国会で議論がされているということを承知をしております。ポスターについては、今回、政治改革特別委員会で可決をしたわけですけれども、SNS等については、やはりこれは表現の自由、これとの兼ね合いがありますから、慎重に議論がなされるものと考えております。
ただ、一方で、現行の公職選挙法でも、これは当然守られなければならないというのは当たり前であります。参考人に、公職選挙法が定める選挙運動の定義、こちらをまずお尋ねをしたいと思います。
○笠置政府参考人 公職選挙法上の選挙運動でございますが、同法上、定義自体はございませんが、一般的に、特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為というふうに解されてございます。
○岡田(悟)分科員 例えばですけれども、あくまでも一般論としてお尋ねをします。
ある選挙で、候補者AとBがいるとして、候補者Bが、自らが選挙管理委員会に届出をした自動車や拡声機等を用いて、かつ、自身の名前の書かれた表示板を用いて候補者Aに投票を呼びかける。さらに、SNSを用いてそれを拡散をしたり、あるいは、AやBの陣営関係者がSNS等を用いて互いにスケジュール等を共有し、同じ場所で連続をして街頭演説などを行うことを繰り返す。
こういうことを行った場合に、公職選挙法では数量規制というものがありますけれども、これに該当するのかどうか、参考人、お答えをいただければと思います。
○笠置政府参考人 個別の事案につきましては、あくまでも具体の事実関係に即して判断ということでございますが、公職選挙法の規定について申し上げますと、主として選挙運動のために使用する自動車や拡声機については、公職選挙法第百四十一条の規定によりまして、その候補者のために使用できる数量が、数量制限もございますが、数量が定められております。また、街頭演説につきましても、同法第百六十四条の五の規定によりまして、候補者ごとに選管から交付される標旗を掲げて行う必要があるとされております。
一般論で申し上げますと、特定の候補者への投票を呼びかける行為は、その候補者のための選挙運動と認められるものでございまして、候補者が他の候補者の選挙運動のために自動車や拡声機を使用したり、街頭演説を行った場合には、これらの数量制限に違反するおそれがあるものでございます。
なお、同じ場所で連続して街頭演説を行うことにつきましては、それのみをもって直ちに他の候補者の選挙運動を行っているとは言えないものと考えております。
いずれにいたしましても、個別の事案がそれぞれの規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるということでございます。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
例えば、先ほどの質問では投票を呼びかけた場合ということでお尋ねをしたわけですけれども、直接、Aさんに投票してくださいというふうにBが呼びかけをしていないが、Aが圧勝しないといけない、圧勝というのは、選挙においては当然、当選を意味することは明白であると思いますし、例えば、Aが、ある公職に就いていて失職をし、出直し選挙であるという場合に、Aをもう一度失職前の公職に戻さなければいけない、そのための活動を一緒にしていきましょうとか、私もしていくという趣旨の発言を、先ほど申し上げたのと同様の様態で行った場合、これは数量規制に該当するのか否か。参考人、一般論としてで結構ですので、お答えいただければと思います。
○笠置政府参考人 個別の事案につきましては、お答えは差し控えさせていただきますが、一般論ということでございまして、例えば、他の候補者の選挙運動のために自動車や拡声機を使用した場合には、公選法百四十一条の数量制限に違反するおそれがあるものでございますが、個別の行為が選挙運動と認められるか否かにつきましては、行為の態様、すなわち、その行為のなされる時期、場所、方法、対象などを総合的に勘案をして、それが特定の候補者の当選を図る目的によるものかどうか、また、それが特定の候補者のための投票獲得に直接、間接に必要かつ有利な行為に該当するかどうかについて、具体の事実に即して判断されることとなるものでございます。
個別の事案につきましては、これがこれらの規定に違反するか否かにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるところでございます。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
また、これも一般論で結構なんですけれども、選挙期間中に、SNS等を通じて、特定の候補者、Cとしましょう、Cという候補者がいて、彼又は彼女と全く異なる内容の政策、白を黒のように全く真逆に言い換えて断定をし、かつ、候補者本人と主張であるというふうな虚偽の情報、これをSNS等で発信する場合、これは、公職選挙法で定める虚偽事項公表罪に該当するのかどうか。こちらも一般論で結構ですので、お答えをいただければと思います。
○笠置政府参考人 個別の事案につきましてはお答えを差し控えるという前提で、一般論でございますが、先ほど分科員から御紹介ございました虚偽事項公表罪、これは公職選挙法第二百三十五条に定めておりまして、第二項におきまして、当選を得させない目的をもって、候補者や候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者を処罰する虚偽事項公表罪が設けられてございますが、この規定はインターネット上の発信も対象となるということでございます。
ここで、候補者に関しというのは、候補者の身分、職業等、一定の事項に限られることなく、候補者に関することであればよいというふうにされております。
いずれにしましても、個別の事案がこの規定に該当するかどうかにつきましては、具体の事実に即して判断されるということでございます。
○岡田(悟)分科員 ありがとうございます。
この虚偽事項公表罪というのは、過去においては、候補者自らが自らの経歴を偽って選挙活動をするというふうなことに適用されることが複数あったもの、著名人においてもあったものというふうに承知をしております。
特定の候補者に対して、政策を批判したりとか論評する自由も当然保障されなければなりませんが、全く違う、誹謗中傷に近い形でこういう情報が拡散されるという状況は、法に該当するか否かも含めて、先ほど大臣もおっしゃったように、選挙制度の在り方を揺るがす懸念もあるのではないかというふうに危惧を表明したいというふうに思います。また、現行法であっても、適切にこれが適用されなければならないということを改めて申し上げたいというふうに思います。
そして、海外では、以前から、他国の選挙に対してほかの国が恐らくいろいろな意図を持って介入をするということが行われてきたことも、皆様、当然承知のとおりであると思います。
二〇一六年のアメリカの大統領選挙、ロシアがあらゆる主要なSNS等を用いてこれに干渉していたというふうなイギリスの、選挙結果があります。当時から、いろいろなメディアで、これは様々な研究機関等で指摘をされてきたところです。最近では、ルーマニアにおいて、ティックトックを使っている候補者が、大変、親ロ派と言われる方が、泡沫候補と言われていたにもかかわらず、選挙で勝利をした。
もちろん、選挙そのものが公正に行われている場合は、これを否定することはできないわけですが、外国勢力が意図を持って干渉する、他国では既に実際起きている状況、我が国でも当然こういう状況は許されないということは、これは当然共有をされるべき事柄であるというふうに思います。
今日は内閣情報調査室にお越しをいただいておりますが、我が国でこのような事案がこれまでに確認されたことがあるのかどうか、また、それとは別に、こういう状況が我が国で起きないように、防ぐことができるように、どういう体制で取り組んでおられるのか、教えていただきたいと思います。
○七澤政府参考人 お答えいたします。
外国による偽情報等の拡散につきましては、自由、民主主義といった普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響ももたらし得るものと認識してございます。
政府としましては、外国からの偽情報等の収集、集約、分析や、偽情報等に対する対外発信等を強化することが重要と考えておりまして、これらにつきまして、内閣情報官と内閣広報官に加えまして、外政を担当する内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長を含めた体制において、一体的に推進してございます。
具体的には、内閣情報調査室におきまして、インターネットを通じて、SNS等で拡散されます外国からの偽情報等について情報収集を強化してございまして、そうした収集、集約、分析した情報につきましては、関係省庁に提供しております。また、関係省庁で連携し、ウェブサイトやSNS等を通じた正確な情報発信にも努めております。
今後とも、政府一丸となって、迅速な偽情報等の検知や対外発信等に取り組んでまいります。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、まとめてください。
○岡田(悟)分科員 表現の自由をしっかりと守りながら、公正な選挙をしっかりと行われるように、私も微力ながら取り組んでまいりたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○田所主査 これにて岡田悟君の質疑は終了いたしました。
次に、北神圭朗君。
○北神分科員 有志の会の北神圭朗です。
まず、大臣、通告がありませんので、公務があるやに伺っておりますので、退席いただければと思います。
○田所主査 大臣、御退席ください。
○北神分科員 それでは、ちょっと地元の話から始めますが、京都府なんです。鬼のいぬ間にという言葉がありますけれども、大臣のおられない間に是非、虚心坦懐に、伸び伸びと答弁をお願いしたいというふうに思っています。
京都府は例に漏れず、京都というと花の都京都が思い出されますが、南北に長い府でありまして、北の方は丹後半島とか、南の方は南山城村とか、非常に、いわゆる過疎化に直面しているところも結構ある。そういう中で、やはり、医師不足というもので、地元の方々も非常に苦しんでいるというのが正直なところです。
私、京都府さんからも話を伺いましたし、仲間の京都府議会議員の方からもちょっと話を伺ったんですが、総務省さんとしては公立病院を担当されているというふうに思います。公立病院は非常に大きな役割を果たしていただいて、地域医療を守っていただいておりますが、総務省さんはそこで、いわゆる地方交付税交付金とかでかなり応援をいただいているということも承知しております。
ただ一方で、同じ政府内で厚生労働省さんが、言い方は難しいんですけれども、京都府さんにしてみたら、かなりお医者さんの、特に研修医ですね、この戦力を持っていかれてしまっているということで、これは、場合によっては京都府のそういう地域医療というものがなかなか成り立たないような状況になっているというのが問題意識です。
具体的に言うと、この研修医というのは、いわゆる臨床研修医が、募集定員が十名程度減らされたと、令和七年度かな。それから、その後に来る専門研修医というのがシーリングというものの対象になって、シーリングというのは、御案内のとおり、診療科の一部、京都府の場合は九つの診療科においてこれが対象になって、シーリングということで定数の上限を設けられてしまう。
さらに、それにつけ加えて、いわゆる広域連携プログラムというものがあって、厚生労働省さんの思いはよく分かるんです。東北とか北関東とか甲信越、ここも京都府以上に非常に厳しい状況になっている。京都府さんはお医者さんが多いから、驚くべきことに東京の次に多いということになっていますが、だから、半年間ぐらいそういったところに行ってもらって、ちょっと助けてもらえないかということで、厚生労働省さんはそういう全国的な視野で見ているんですが、京都府にしてみたら、あるいは公立病院の経営の面からいうと、このようにどんどん減らされていくと、やはり医師不足というものが生じて、公立病院において、当然、お医者さんが少なくなるとポイントも稼げない、経営というものも非常に厳しくなるというようなことがありますので、この点について、厚生労働省さんとその辺の問題意識というものもやはり提供しながら調整すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○大沢政府参考人 総務省では、公立病院の経営について、特に近年、非常に経営条件が厳しいということで、全国的に大変厳しい状況だという訴えを我々も聞いておりまして、地方財政措置を講じている観点からも、今後について懸念を持っているという状況です。
その上で、臨床研修医の募集定員等については、これは厚生労働省さんが平成二十二年度から募集定員上限を設定しているということは我々も承知をしているところです。
総務省としては、公立病院の果たすべき役割というのは非常に重要なものがございますので、令和四年に公立病院経営強化ガイドラインというものを策定をしています。この中で、国における医師偏在対策や都道府県が策定する医師確保計画を踏まえて、医師確保に取り組むように求めているところです。
また、総務省では、各公立病院における医師確保の取組を支援するために、医師派遣の受入れに要する経費に対して特別交付税措置も講じさせていただいております。
今後とも、持続可能な医療提供体制、これを確保するためには、公立病院の役割は非常に重要でございますので、公立病院における医師確保の取組を支援してまいりたいと考えております。
○北神分科員 ということは、総務省さんは、その経営強化ガイドラインにおいて、厚生労働省さんのそういう地域医療、全国的な視野でいうと不足しているところにもちゃんと協力してやってや、そういうお考えという理解でいいんですか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
我々としては、やはり同じ国の役所でございますので、まず国における医師偏在対策というのがあって、それも踏まえながら、各自治体の方で経営強化プランというのを作っていただきたいというような、そういう要請をさせていただいているところでございます。
○北神分科員 分かりました。
じゃ、ちょっと厚生労働省さんに行きますが、私は、皆さんの方針、大方針というのは全く反対していません。むしろ、私も以前、岩手県に出向で県庁に勤めていたこともありますので、やはり東北とか北関東、甲信越の厳しさというのも一応分かっているつもりです。
ですから、それはいいんですけれども、これはさっきの総務省さんの話にも関わってくると思いますが、やはりシーリングとかいっても、ちょっと機械的にやり過ぎているんじゃないか、財務省のシーリングと同じようにね。これは役所にしてみたら楽なんですわ、機械的にやるのが。しかし、もう少しやはり都道府県それぞれの状況をもっと調査して見ていくべきじゃないか。
資料をお配りしておりますけれども、京都府の場合は、主に京都府の中の医師不足地域、そういった地域に対して、京都府立医科大学というところと、ある程度、京都大学というところが二大拠点になって、医局というものを通じていろいろ、特にそういう専門研修医を派遣して対応しているという状況なんですが、これはほかの都道府県にもあるかもしれませんけれども、御案内のとおり、特に京都大学なんかは、いわゆる研究関係のそういう研修医もかなり多い。
資料にもありますけれども、人数でいうと、全国の平均が、割合が、大体一六・九%がいわゆる研究職、いわゆる臨床じゃなくて。京都府の場合は二二・二ということでちょっと多い。もっと言うと、勤務時間でいうと、全国が、一週間に当たって五十一・四時間働いているところを、大体五割、六割ぐらいしかない。要するに、臨床よりも研究の方に時間を割いている研修医が多いという中で、そういったものをシーリングに反映されていないと私の勉強した範囲では見ているんですけれども、そういうのを反映すべきではないでしょうか。
というのは、過疎地、いわゆるほかの都道府県のところで過疎地のところに持っていくのであれば、やはりこれは臨床であって、いわゆる研究とは必ずしも直接関係ないという理解なんですけれども、いかがでしょうか。
○森政府参考人 いわゆる専攻医の研修に当たっての採用上限数、シーリングに関するお尋ねでございます。
先生御指摘のとおり、シーリングの設定に当たっては、現在参考にしているのが、診療科別の医師数、それから性、性別ですね、それから年齢ごとの医師の、それぞれ労働時間が異なっておりますので、労働時間、それから都道府県別の患者数の推計というのを使ってシーリングの値を定めているというやり方をさせていただいております。
御指摘の、大学で就業する医師の割合が多いのではないか、若しくは、臨床に従事する時間が短いのではないかという御指摘は確かにあろうかとは思いますが、一方で、じゃ、大学で働いている方だけが本当に研究しているのかというと、一般の病院でも論文を書いていただいている先生も多数いらっしゃるというふうに認識しております。
そういう中で、そういう数字をどのように勤務の現場でシーリングに反映させるべきかというのは少し課題があるというふうに考えておりまして、現在のところは、先ほど申し上げた医師数とか性、年齢別の時間数というのを用いてシーリングを設定させていただいているという状況でございます。
○北神分科員 おっしゃるとおり、大学で勤務しているお医者さんだけじゃないと思います。
ただ、多分、この資料は、ちょっと私も聞かないといけないですけれども、臨床系教員とか、系という言葉を使っていますので、恐らく、そういった、病院で研究している方も含めているというふうに思いますので、そこをまた我々も確認しますし、何を言いたいかというと、今のところはそういうことは考慮に入れていないですけれども、そういうことをやはり今後も検討すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○森政府参考人 専攻医のシーリングの件につきましては、先ほども申し上げたとおり、医師数とか性、年齢別の労働時間というのが基本は基本であるというふうに考えております。
その際に、日本専門医機構において、地域医療体制の確保に関する取組に配慮する観点から、現在、地域枠出身者、大学の地域に残っていただくことを約束していただいた方々、地域枠の出身者の数についてはシーリングの外枠にする、対象外にするということをやらせていただいているところでございます。
こうしたシーリングを含めた専門研修制度は、比較的新しい制度でございます。専門医の質の向上や医療提供体制の改善を目的として、こういう制度の趣旨を踏まえた対応が必要であるというふうに考えておりまして、専門家、それから自治体関係者の意見もお伺いしながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○北神分科員 是非検討をお願いしたいと思います。
それで、もう一つ具体的に、京都府で、私が一番聞いているのは、やはり小児科の研修医が非常に足りなくなっていると。令和二年度のシーリングでたしか九名に減らされた。例えば、さっき申し上げたように、京都府立医科大学なんかは、それで定員が四名になってしまったんですね。いわゆる募集定員が四名ですから、たしか、令和五年度なんかは倍率が四十一倍、六年度は二十一倍、入りたくても入れないというような状況になっている。
これについても、これも資料にございますけれども、この京都府立医科大学というのは、さっき申し上げたように、京都府の中のいわゆる過疎地にももちろん派遣している。私の選挙区でいうと、京都中部医療センターとか京都北部医療センターとか、それだけじゃないですけれども、亀岡市立病院とか、ほとんどがこの府立医科大学の管轄内に入って、この人たちがそういういわゆる地方を支えていただいているという状況なので。
もっと言うと、この資料にありますけれども、京都府内だけではなく、大体、六六%は京都府内で、これは独立した後、ちょっとややこしいですが、いわゆる独立した後のお医者さんの勤務先なんですが、京都府にとどまっているのが六六%で、実は、隣の滋賀県とか大阪とか兵庫、福井県とか、それなりに派遣をしている、広域で貢献をさせていただいている。この裏を見ていただいても、具体的な病院が書いてあります。
何を言いたいかというと、皆さんは、そもそもこのシーリングというのは、全国的にお互い協力し合って、足りないところを補ってほしいということなんですが、そのシーリングの際の基準として、こういう貢献度合いというものもやはり考慮に入れるべきだと思います。
そういう意味では、京都府さんの要望としては、やはり、少なくとも小児科医療というのは、少子化の中で、しかも、いわゆる東京一極集中、地方がどんどん廃れていっている、非常に子供さんの数も減ってきている、そういう中で、周産期医療とかこういうのは非常に重要で、そういうのがないからそういう田舎に住みたくないという現状があります。ですから、やはり、少なくとも小児科だけはシーリングから外すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○森政府参考人 小児科について、シーリングの枠外で考えてはどうかというお尋ねでございます。
この専門医のシーリングについては、制度を創設して間もないこともあって、試行錯誤しながらやっているところでございます。ただ、委員御指摘のように、京都であれば、手を挙げて来ていただける方々がいっぱいいらっしゃる。一方で、ほかの地方は、小児科、全く集まらない、枠があっても集まらないというところもあるのが現実でございます。
私ども、何とか一つ一つの地方に小児科をちゃんと、それから産科医を配置するということが本当に重要で、ちゃんとお産ができなきゃその地域に残っていただけないというのは本当に深刻な事態だというふうに考えておりますので、そうしたことも含めて、全体の中と、それからその地域地域で見比べて考えていくことが重要だというふうに考えております。
それから、もう一点、専攻医の研修制度ですとか臨床研修のプログラムについては個別個別で枠があるんですけれども、私ども、今回、全体的な医師不足、偏在対策に対するパッケージを出しまして、医療法の改正法案も国会に提出させていただきました。その中で、各県が本当に不足地域で重点的にサポートしなきゃいけないところを指定していただいて、そこで支援していくというような仕組みというのを創設させていただいています。
その中では、単に数だけでやるのではなくて、医師の密度がどうなっているかとか、それから、高齢化が進んでいってこの先辞められる医師が多いんじゃないかとか、そういったことも含めて考慮していただきながらサポートしていただく、医師多数県であってもそういう枠組みの中で取り組んでいただける仕組みというのを用意しているところでございます。
そうした全体的な施策と併せて、総合的に、若手の参入をどうするかというのも含めて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○北神分科員 是非柔軟に考えていただいて、それぞれのいわゆる地域貢献度合いとか、学術の割合とか、そういったことも含めていただきたいし、この問題は、いろいろ議論していると、皆さんは全国の医療偏在のことを考えている。京都府は、当然、京都府の中でも、これが盤石だったら全然協力は惜しまないと思いますけれども、京都府にしてみたら、自分たちのところも医療不足になっている、にもかかわらず取られてしまう。
ただ、私は、医療法というのをちょっと読ませていただいて、その三十条の三の一項に基づいて、医療提供体制の確保に関する基本方針というのが出ている。それを見ますと、やはり都道府県で医療計画というものを作る。それから、医師の確保についても、第八だったと思いますけれども、これもやはり、都道府県が主体的、実効的に医師偏在対策を講じることができる体制の構築と。私の理解は、国の方針としても、やはり都道府県それぞれがまずは自分たちのところをきちっとしなさい、その上でお互い協力するというのが本来の発想だというふうに思います。
これはこの認識でよろしいんでしょうか。
○森政府参考人 医師確保について、都道府県の基本的な責務についてのお尋ねでございますが、私ども、当然、都道府県が基本的には中心になっていただいて考えていただく、取り組んでいただくべき事項だというふうに考えております。
国としては、その都道府県の取組をサポートしていくというのが医療法のたてつけになっておりますので、委員の御指摘のとおり、都道府県ができるだけ主体的にやっていただけるように私どもはサポートしていかなきゃいけないんだというふうに認識しております。
○北神分科員 ありがとうございます。
是非、国の法律ですから、国の法律に基づいて、そういう視点で、このシーリングというものもまた再検討していただきたいと思います。
次の質問は農林水産省。私、農林水産委員会ですけれども、これも田舎の方の山林が非常に荒れ果てている。こういう中で、農林水産省としては、やはり地産地消、地元の木材を使って住宅を造りましょう、建物を造りましょう、それからさらに、今まで特に、外材に比べて価格が高いということを言われていましたので、高付加価値化というものを、ブランド化をしなさいという方針でずっと来て、そこに税金を使って補助をしたりいろいろやってきたということなんですが、この前、亀岡のある林業組合長が、自分の家の話なんですけれども、改築をした。そのときに、京都は北山杉とか、こういうブランドの木材がある。そういった木材を使って、せっかく国の方針にも従って、地産地消で、しかもブランド品を使ったということでやったところで、本人は満足したと思いきや、いざ固定資産税を払うときに、彼の認識は、ブランド品を、ブランドの木材を使ったから固定資産税の評価が上がってしまって高くなったと。
皆さんは、いや、あれは農林水産省の、林野庁の話だ、林野庁は、いや、総務省の話だということなんでしょうけれども、やはりこれもさっきの話と同じように、林業、山林を支援するのであれば、そういうことにならないような調整を私はすべきだと思うんですが、総務省さんの見解を伺いたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
大前提として、木材の地産地消、こういったことは非常に重要だというふうに我々も認識しておりますが、その上で申しますと、固定資産税というのは、家屋などの資産価値に応じて課税する税でございます。
そのため、老朽家屋の改築の際、これは個々の事例に応じて決定されますので、一概には申し上げられませんが、一般論で申しますと、通常の維持管理の範囲を超える工事が行われた場合、従前の木材、床材よりも程度のいい資材が用いられる場合には評価額が上昇することもあり得るものと考えております。
評価基準上は、家屋の床で考えますと、国産材、外国産材という区分は関係なく、その資産価値に応じて評価することになっている仕組みであるというふうに御理解賜れればと考えております。
○北神分科員 当然、改築する場合は、家屋の資産も価格が上がるので、そういった影響もあるかもしれないので、ここはちょっと私ももう少し深く見ていきたいというふうに思っていますが、これは林野庁の話ですけれども、私はもう前から、地産地消の一つの考えとして、やはり今の時代は、自由貿易の時代はもうなくなっているんですよ。
だから、官僚の皆さんも是非切り替えて、やはり、自分の国の資源というものを守るという考えを持っていかないといけないというふうに思っていますので、そういったところで固定資産税がどのような役割を果たせるかということもまた考えていきたいと思います。ありがとうございます。
最後の質問になりますが、先ほども質問を、岡田先生かな、されていたと思いますが、私も大変、外国、はっきり言うとロシアとか中国、こういった国がほかの国のインターネットとかを通じて偽情報をばらまいて、いろいろな対日工作、世論工作みたいなことをしている、これは大変な危機感を持っています。国務省というのは、第一次トランプ政権の前の大統領選挙、ヒラリー・クリントンさんと争った選挙においても、ロシアが、フェイスブックなどのデータを使って、ヒラリー・クリントンが不利なような、そういった工作をしてきた。
もっと言うと、これは多分我々の認識もまだ甘いと思っていまして、ロシアとかは、個々の選挙に影響するとかだけじゃなく、国論そのものを分裂させるということで、Qアノンという団体もありますけれども、そういうところの結成にもロシアが関わっていて、そして、まさに、因果関係を証明するのは難しいかもしれませんが、今のアメリカを見ていると、本当にそのとおり、国論が分断されてしまっているというような状況であります。
我が国は日本語という田舎の言葉で守られてきたから、今まで余りそういうことはなかったんですが、中国が、さっきも話がありましたが、この前の、去年の衆議院選挙でも、中国の大使かなんかが、れいわ、維新を応援すべきだとか、そういう発言をツイッター上でもされていますし、日本の市民団体が、たしか、南西諸島において防衛力を強化することに反対する署名を集めているんですね。あと、ALPS処理水、これを放水することに反対をする署名活動をしています。こういう中で、読売新聞が、オーストラリアの戦略政策研究所というところに、ここはそういう専門家がたくさんいるので調べてもらったら、いわゆる反対署名の中に、やはり中国が関わっているということも明らかになっているわけであります。
ですから、例えば、普通の衆議院選挙もそうですけれども、憲法改正の国民投票なんか、こういったときに、そういった偽情報というものはどんどん出てくる、えらいことになると私は思っていますし、ましてや、国論分裂みたいなことを我が国でされる。我が国はやはりそこが一番強みだというふうに思っていますので、そういったことを国全体としてやはり真剣に対応していかないといけないと思いますが、いかがでしょうか。
○七澤政府参考人 お答えします。
ただいま委員が御指摘ございましたように、外国による偽情報を始め、影響工作、情報工作といったものにつきましては、普遍的な価値に対する脅威のみならず、安全保障上も大変悪影響をもたらし得るものと認識しております。
国家の関与というものは、それぞれの情報について、なかなか不明確、不明瞭なものが多いわけでございますけれども、政府としましては、そうした国家の関与いかんにかかわらず、外国からの偽情報等の収集、集約、分析、このほか偽情報等に対する対外発信を強化することが極めて重要と考えております。これらにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、内閣情報官、内閣広報官に加えて、外政を担当する内閣副長官補兼国家安全保障局次長を含めた体制において、一体的に推進をしてございます。
具体的には、関係省庁におきまして密に連携し、必要な情報収集活動に取り組むとともに、ウェブサイト、SNS等を通じた正確な情報発信というものが重要でございますので、それに努めてまいります。
今後とも、政府一丸となって、迅速な偽情報等の検知や対外発信等に取り組んでまいります。
○北神分科員 ありがとうございます。
もう最後になりますが、三点だけ申し上げたい。それで、意見があったら言ってほしい。
一つは、これはサイバー攻撃とも非常に密接に関連している。ですから、サイバー攻撃のところと一緒に連携すべきだ。もう一つは体制ですね。今、内閣情報室でやっておられますけれども、多分、非常に少ない人数でこういったことをやっているというふうに理解しています。中国は数万人でやっています。北朝鮮でさえ八千人ぐらいでそういうサイバー攻撃部隊があって、その中に偽情報、プロパガンダの部署がある。だから、我が国も是非、我々も応援しますから、その体制というものを強化すべきだと思います。
いかがでしょう。最後に、何かあれば。
○田所主査 七澤淳君、まとめてください。
○七澤政府参考人 委員、御指摘ありがとうございました。
いずれにしましても、必要な情報収集活動の強化充実に努めるとともに、様々な手段を用いて、外国からの偽情報等に対して効果的に対応していく考えでございます。
○北神分科員 終わります。ありがとうございました。
○田所主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。
次に、長谷川淳二君。
○長谷川(淳)分科員 自由民主党の長谷川淳二でございます。
今日は、第二分科会での質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
既に省庁別審査等で村上大臣には御答弁を賜っておりますので、本日は、副大臣、政務官、参考人の皆様に質疑をさせていただきたいと思います。村上大臣におかれましては、御退席をいただければと思います。
○田所主査 大臣、御退席ください。
○長谷川(淳)分科員 それでは、阿達副大臣、よろしくお願いいたします。
まず、私からは、地上デジタル放送の受信環境の確保についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、テレビ放送につきましては、御案内のとおり、アナログ放送からデジタル放送への移行の際に、個別のアンテナではデジタル放送の受信が困難な中山間地域等で、共聴施設の整備に対して国が補助することによりまして地デジ移行を支援したところでございます。地デジの移行から十年以上が経過をいたしまして、中山間地域におけるこれらの共聴施設が老朽化の問題に直面しております。
また、これらの共聴施設の維持管理は、地元で組合をつくって負担をしておられます。高齢化に伴い視聴者が減少し、管理運営や設備の改修に対して経済的な負担が大変重くなっている現状でございます。
私の地元愛媛県でも、共聴施設の管理運営に困難を抱えている地域が数多くございます。
今日配付させていただいたA3の資料でございます。私の地元、愛媛県の内子町における地デジ共聴施設の設置状況を地図に落としたものでございます。
内子町は、愛媛県のほぼ中央部、典型的な中山間地域でございます。このとおり、自主共聴施設、NHK共聴施設、こんなにたくさんございます。いずれも老朽化をし、人口も減少して、年々視聴者の負担が増加をしています。
例えば、一例をちょっと御紹介しますと、この地図の一番右側の山側の上川地区というのがあります。一番右側の上川地区、この上川の岡地区、ここは上川岡組テレビ共聴受信施設組合を設置しまして、ここは、加入者は八戸十四名が住んでおられます。独居の世帯が三戸、週末だけ暮らす世帯が一戸、働き手の世帯が三戸、子育ての若い世帯が一戸、合計八戸十四人が住まわれています。この共同アンテナに対して、各戸から月千円、年間一万二千円の負担金をいただいて運営をしています。
実情をお伺いしたところ、修繕に備えて積立ては行っていますけれども、やはり雷、落雷によってアンテナが故障したら、もうとても負担ができないと。あるいは、人口が減って加入者一人当たりの負担が年々増加していると。特に、高齢者にとっては負担が大変で、先行きどうすればいいか困っているという切実な声をお伺いしました。
そこで、全国各地で中山間地域等における地デジ共聴施設の老朽化あるいは加入者の減少が進み、管理運営や施設の改修に困難を抱えている地域が増加していると思います。この中山間地域等における共聴施設の維持に対する支援を強化すべきと考えますが、政府参考人の方針をお伺いさせていただきます。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
総務省では、ただいま御指摘がありました辺地共聴施設の老朽化等々の課題を踏まえまして、放送の施設環境を確保する観点から、辺地共聴施設の光化などの高度化を伴う改修や、あるいはケーブルテレビへの代替について、補助金による支援を進めております。
また、この辺地共聴施設への支援に関しまして、令和六年八月末に、テレビ共同受信施設、いわゆる辺地共聴施設に関する支援窓口を新たに開設をしまして、辺地共聴施設の老朽化や今後の維持管理に関する共聴組合あるいは地方自治体等からの相談を受け付ける体制を整えております。
以上でございます。
○長谷川(淳)分科員 豊嶋局長、ありがとうございます。
古い同軸ケーブルから光ケーブルに替えたりとか、あるいはケーブルテレビのエリアを広げて取り込んだりする取組を支援いただいているんですが、何しろ、老朽化が進んで加入者も減っています。是非とも対策を加速していただきたいと思います。
次に、この地元、内子町には、ここにありますように、水色、NHKが費用を負担して、地元で共同で設置をしたNHK共聴施設が数多くございます。同様に老朽化の問題を抱えております。
NHKは、放送法第七条の規定に基づいて、公共の福祉のために、あまねく全国においてテレビ放送を受信できるよう措置すべき責務を負っておられます。中山間地域等におけるNHK共聴施設の管理運営や改修について、やはり責任を持って対応すべきと考えますが、NHKの方針を伺います。
○寺田参考人 お答えします。
NHK共聴は、NHKと地元組合が共同で設置、運用しておりまして、二〇二三年度末における全国の施設数は五千二百三十三施設、加入者数は約三十万世帯になっております。現在も、老朽対策として、伝送ケーブルを光ファイバーに変更するなどの光設備を使用した施設の更新や、劣化した箇所の補修対応などを行いまして、施設の維持管理に取り組んでおります。
引き続き、組合の皆様とも確認しながら、NHKとして、責任を持って施設を維持したいと思います。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
いずれにしても、人口が減る中で、持続可能な受信環境の手段を見出す必要があると思います。
そこで、中山間地域におけるこうした地デジ放送の受信環境の確保の手段として、一つには、無線による放送からブロードバンドに置き換えようということを総務省で検討されていると伺っていますが、やはり、特に費用がどれぐらい負担をしなければならないのかが一番大きな課題だと思いますが、費用負担面を含めて、ブロードバンド代替の検討状況をお伺いします。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘いただきましたブロードバンドによる代替につきましては、総務省の有識者検討会におきまして、いわゆる中継局などの放送局のネットワークインフラに係るコスト負担軽減の具体的な方策の一つとして検討を進めておりまして、ブロードバンドが全国的に普及する中で、今後、放送サービスを維持していくための有効な手段になり得るというふうに考えておりまして、この実現に向けて具体的な作業を進めているところでございます。
一方、今御指摘がありました辺地共聴施設におけますブロードバンド代替の活用につきましては、こういう、より低廉に移行できるということがやはり肝要な部分かなと考えておりまして、今後、中継局のブロードバンド代替の具体的な実施状況を踏まえた上で、更なる必要な方策を検討してまいりたいと考えております。
○長谷川(淳)分科員 豊嶋局長、ありがとうございます。
ブロードバンド代替というのは選択肢にはなり得ると思うんですけれども、今、全国で、共聴施設の負担で、先ほど申し上げた内子町の上川地区というのは一万二千円負担しているんですが、それよりも費用がかかってしまうようではとても現実的ではないです。やはり、費用負担面も含めて、更に選択肢になり得る検討を進めていただきたいと思います。
そこで、中山間地域等における地デジ放送の受信環境の確保の手段として、地上波による放送から衛星放送に代替する選択肢が考えられないかと思います。
実際、地デジの移行時には、アナログ放送の停波までに対策が間に合わない地域は暫定的に衛星放送による対策が実施されました。また、能登半島地震の被災地では、地上テレビ放送が停波になりましたので、臨時対応として衛星放送、BS一〇三を使って地元の金沢放送局のNHKニュースあるいは全国NHKニュースなどを放映されたところでございます。
中山間地域において持続可能な受信環境を確保するためには、共聴施設の更新、あるいはケーブルテレビに代替する、先ほどもお尋ねしましたブロードバンド代替、いずれにしても物理的な設備や施設を伴うものでございます。そうしたことを考えると、やはり受信者に対する費用負担も、当然現状の費用負担よりもかかるおそれもあるわけでございます。
そこで、やはり地上波の代替手段として衛星波を活用する可能性というのを大いに検討すべきではないかと考えますが、費用負担面を含めて、BS放送代替の検討状況をお伺いします。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきました衛星放送の活用、今分科員も御指摘ありましたとおり、例えば昨年の能登半島地震の際に、臨時対応という形でNHK金沢放送局の番組をBSチャンネルで放送した例がありますとおり、地上デジタル放送の受信環境の確保に向けた有効な手段の一つであるというふうに考えております。
このような認識の下で、総務省では、こういった災害時に限らず、地上波の受信が困難な条件不利地域に対して衛星放送により地上デジタル放送の番組を届ける方策について、有識者会議で検討を進めているところでございます。
現在、有識者会議では、衛星放送を行うために確保すべき周波数や必要となる受信環境の整備など、技術面やコスト面を含めた運用面の課題の洗い出しを行ったところでございまして、これを受けまして、総務省におきまして、実際に衛星放送を活用したモデルを試験的に構築をし、検証を行っているところでございます。
今後も、この検証結果を踏まえて、衛星放送を活用した地上デジタル放送の受信環境の確保に向け検討を進めてまいりたいと考えております。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
BS放送代替、鋭意検討していただいているところでございますけれども、検討状況のままでは、このままでは、地デジ放送を見たくても、共聴施設が維持できなくなって物理的に受信できなくなったり、あるいは共聴施設の維持管理費、これがもう負担ができない、経済的な理由から受信できなくなるという、いわば地デジ難民が出てくるのではないかということを私は大変懸念をしています。
地デジ移行というのは、国の政策によって推進されたものであります。国で、国策で推進したものである以上、国民が経済的負担の格差なく、あまねく地上デジタル放送を受信できる環境をやはり国は責任を持って確保すべきと考えます。まさにユニバーサルサービスだと思います。
そこで、阿達副大臣、これまでのやり取りをお聞きになった上で、やはり地デジ難民が万が一にも出ないように、受信者の経済的な負担に十分配慮した上で、中山間地域等における地上デジタル放送の持続可能な受信環境の確保に向けて検討を加速すべきと考えますが、見解をお伺いします。
○阿達副大臣 お答えいたします。
放送は、信頼性の高い情報や国民生活を豊かにする質の高いコンテンツなどを提供するとともに、国民の知る権利に資する重要なメディアであり、視聴者が放送を受信する機会を享受できることが肝要であると考えております。
長谷川委員御指摘のとおり、辺地共聴施設については、老朽化や組合員の高齢化などが進んできており、その運営や更新に困難が生じている地域もあると認識しております。
総務省では、こうした課題を踏まえ、先ほど豊嶋局長が答弁したとおり、辺地共聴施設の光化などの高度化に伴う改修やケーブルテレビなどへの代替に対する支援をこれまでも行ってきております。
また、令和七年度予算案では、自治体などの要望を踏まえ、条件不利地域や財政力指数の要件を撤廃したほか、補助率をかさ上げするなど、支援の拡充を盛り込んでおります。
さらに、地上波の受信が困難な条件不利地域であっても地上デジタル放送を安定して視聴いただくことができるよう、御指摘のブロードバンドの活用や衛星放送の活用について、引き続き必要な検討と対応を進めてまいります。
総務省としては、こうした取組を通じて安定的な受信環境が確保されるよう、地域の住民の皆様や関係する方々の御意見を丁寧にお聞きしつつ、しっかり取り組んでまいります。
○長谷川(淳)分科員 阿達副大臣、ありがとうございました。
私の地元に限らず全国各地で、やはり中山間地域等において、地デジの共聴施設がどんどん老朽化をして、人口も減る中で、このままでは地デジが見られなくなると。一方で、能登半島地震のときも、やはりNHKを始めとする災害放送、これが地域の安全、安心につながったという側面もございます。やはり検討を加速していただいて、是非とも地デジの持続可能な受信環境の確保に向けて御尽力を賜りたいと思います。
阿達副大臣には以上でございますので、また御退席をいただきたいと思います。
○田所主査 副大臣、御退席ください。
○長谷川(淳)分科員 それでは次に、地方創生二・〇に向けた地域力創造施策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
過疎法についてでございます。
私は、自民党の過疎対策特別委員会の事務局長として、過疎地域の現状や課題を伺っております。御案内のとおり、現行の過疎法が令和三年四月に施行されて五年目を迎えて、ちょうど折り返し点になっております。
せんだって、私の地元愛媛県で過疎団体の首長の皆さんと意見交換をさせていただきました。過疎債による地方財政措置の拡充を求める声とともに、石破総理が掲げる地方創生二・〇の実現に向けて、過疎対策についても、全国に先駆けて挑戦する意欲的な取組を交付金などで支援すべきという提言もいただきました。
過疎対策といえば、これまで、都市の過密と地方の過疎、この格差の是正というのが大きな命題でありましたけれども、日本全体が人口減少社会に突入する中で、いわば、過疎地域というのは日本の地域の課題を先取りしている課題の先進地でもあるわけでございます。その課題先進地でもある過疎地域が地域課題の解決のために先導的な取組をして、その成果を全国に横展開するということも、重要なこれからの過疎対策の一つの視点になり得るんじゃないかと思います。
そこで、過疎団体が地域課題を解決するための意欲的かつ先導的な取組を新たに交付金で後押しするなど、地方創生二・〇と連携して過疎対策の新たな展開を図るべきと考えますが、御見解をお伺いします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
昨年末に決定されました地方創生二・〇の基本的な考え方、この中では、一つとしては、若者、女性に選ばれる地方、二つ目としましては、地方への移住、関係人口の増加、人の流れをつくっていくこと、また三番目としましては、地域のコミュニティー、日常生活に不可欠なサービスを維持する、こういった方向性が出ておりまして、これ自体は過疎対策の方向性そのものと合致するものではないかなというふうに考えております。
この基本的な考え方を踏まえまして、これまでの過疎対策をしっかりと進めて意欲的な取組を支援していくということに加えまして、地域資源を生かした女性、若者に魅力的な働く場をつくっていくこと、また、関係人口などの人の流れをつくっていくこと、さらには、地域運営組織や特定地域づくり事業協同組合などによる持続可能な地域づくりを行っていくこと、こういった対策を複合的に過疎対策と組み合わせまして対応していきたいというふうに考えております。
具体的には、過疎地域の多様な取組を後押しする、今、過疎交付金がありますけれども、まずは、当然のことですけれども、これをしっかりと確保して注力をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、そのほかにも、魅力的な働き場づくりとして、ローカル一万を進めていくとか、また、人の流れの創出、拡大に向けて、二地域居住、関係人口の取組、これは市町村が非常に先進的にやっておりまして、特に過疎団体も非常に意欲的ですので、そういった取組を、市町村を支援するというふうな形、また、都会の人材を地域に呼び込むという形で、関係人口という形で、活性化起業人を行っておりますので、こういったことも複合的に取り組んでいきたいなというふうに考えているところでございます。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
基本的な考え方にありますように、若者、女性にも選ばれる地方、まさに、過疎地域でも若者、女性にも選ばれる過疎地域を目指す先導的な取組を是非とも後押しをしていただきたいと思います。
続きまして、農業分野に関してお尋ねをしたいと思います。
二十五年ぶりの食料・農業・農村基本法の改正が行われ、農業の構造転換に向けた取組が、今、今後五年間で集中的に行われようとしております。
私は、自民党の中山間地農業を元気にする委員会の事務局長として、これからの中山間地域農業の在り方について、せんだって提言を取りまとめさせていただきました。中山間地域は我が国の農地面積の約四割を占める食料生産の基地でございます。したがって、食料安全保障の観点からも、中山間地農業の振興に向けた思い切った政策展開が必要だと。とりわけ、条件不利地域の差を是正する中山間地域等の直接支払制度、この拡充が必要だということを提言させていただきました。
中山間地域等の直接支払制度について、具体的な提言としまして、やはり条件不利の実態に即して対象地域を拡充すること、これが必要であるということと同時に、中山間地域直接支払制度は市町村の財政負担を伴う制度であります。財政負担を伴うという制度上、どうしても厳しい財政状況にある市町村がこの中山間地域等直接支払いの取組の開始にちゅうちょする場合があるのではないかという指摘をいただいております。したがいまして、市町村の財政負担が軽減されるように、地方財政措置の拡充についても検討を進めることが必要ではないかという提言もさせていただいています。
そこで、江藤農林水産大臣は、令和九年に向けて、中山間地域等直接支払制度の拡充をするという方針を出されています。地方財政措置についても、現行の地方財政措置、市町村負担の三分の一を普通交付税で、残りの七割を特別交付税措置するというこの現行の地方財政措置について、やはり、措置の割合を拡充する、あるいは、より実績を踏まえた措置となるように見直すことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○大沢政府参考人 中山間地域は、農地面積の約四割を占めておりまして、我が国の食料生産を担うとともに、国土の保全といった多面的機能の発揮においても大変重要な役割を担っているものと認識をしております。
現在、自由民主党の中山間地域農業を元気にする委員会での議論も踏まえつつ、農水省において、令和九年度からの新しい水田政策について検討を進められているものと承知をしておりまして、その中で、中山間地域等直接支払交付金については、条件不利の実態に配慮し、支援を拡大する方向性が示されているものと承知をしております。
総務省では、中山間地域の農業の振興を図る上で重要な直接支払交付金に係る地方負担につきまして、より実績に応じた措置になるよう検証しながら、地方財政措置を講じてきております。
これらの農水省等の検討の実態も踏まえながら、我々としても、引き続き、中山間地域農業の振興が図られるよう、適切な地方財政措置を検討していきたいというふうに考えております。
○長谷川(淳)分科員 大沢局長、ありがとうございます。中山間地直払いの拡充によって、耕作放棄地の発生が防止されて集落機能が維持されることは、地方団体の財政運営にとっても非常に有益なことでございます。是非とも前向きに検討していただきたいと思います。
続きまして、二地域居住に対する取組についてお伺いをいたします。
地方創生二・〇を推進する上で、東京一極集中を是正して多極分散型の国土づくりを一体として進めることが不可欠である中で、今、日本全体、人口減少下であります。したがいまして、人口減少下での多極分散型の国土づくりとして、やはり、都市と地方、あるいは生まれ育ったふるさとと県庁所在地、こうした複数の拠点で居住、就労する二地域居住が大変重要な政策手段になると思います。
私は、党の二地域居住推進議連の一員として、二地域居住の推進について斉藤国交大臣に昨年六月に提言をさせていただきました。
総務省においても、地方への人の流れの創出、拡大のため、地域おこし協力隊による施策とともに、やはり複数の拠点で居住をし、働き、地域を支える二地域居住、これを地域力創造施策としても推進することが必要ではないかと考えますが、見解をお伺いします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、地方創生二・〇の基本的な考え方の中におきましても、東京一極集中のリスクに対応した形で、企業の地方分散、また人の地方分散、こういったことが非常に重要なものだという形で位置づけられているところでございます。
このような動きを踏まえまして、総務省といたしましては、都道府県とか市町村が実施する二地域居住・関係人口施策に要する経費につきまして、令和七年度から新たに特別交付税措置を講じることとしております。
具体的な対象経費でございますけれども、二地域居住希望者等に対します情報発信に要する経費、また居住体験の実施に要する経費、さらには希望者の生活環境の確保に要する経費などということを考えております。
また、このほかに、関係人口の代表的な事例といたしましては、都市圏に所在します企業等の社員がそのノウハウや知見を生かしまして地方の地域活性化を応援するということで、活性化起業人の制度を進めておりますので、こちらにつきましても、令和七年度から新たに、企業で活躍しましたシニア層、その活用もできるような形での拡張ということを考えております。
こういった形で、移住、定住にとどまらず、関係人口、こちらの方の推進を図ってまいりたいと考えております。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
そして次に、地方団体における防災・減災対策についてお伺いいたします。
現在、国土強靱化五か年加速化対策に基づいて、ハード、ソフト両面から対策が進められております。この五か年加速化対策は令和七年度までとなっております。
加速化対策後もこれまで以上に必要な事業が実施されるように、次期中期計画の策定に向けた検討が進められています。この策定に当たっては、やはり資材高騰等を踏まえた事業量を確保することも重要でございますが、同時に、やはり事業を実施する地方団体、この地方団体が円滑かつ迅速に国土強靱化対策を切れ目なく推進できるように、いわゆる裏負担、地方財政措置を拡充することも大変重要ではないかと思います。
そこで、古川政務官にお伺いいたします。
次期国土強靱化中期計画の策定に当たり、やはり災害から安全、安心な地域を守るため、地方団体が必要な事業を円滑かつ迅速に実施できるよう、地方負担に対する財政措置を拡充すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
○古川大臣政務官 お答えいたします。
激甚化、頻発化する気象災害や切迫する南海トラフ地震などの大規模地震から国民の生命、財産、暮らしを守り、国家、社会の重要な機能を維持するために、国土強靱化の取組は重要であると考えております。
総務省としては、現行の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に伴う地方負担については、地方債充当率一〇〇%、元利償還金の交付税措置率五〇%の地方財政措置を講じているところでございます。
現在、関係府省庁において、国土強靱化施策の更なる加速化、深化を図るため、五か年加速化対策に続く計画として、国土強靱化実施中期計画の策定に向けて検討が行われているものと承知しております。
長谷川先生御指摘の地方財政措置については、今後、関係府省庁と連携して適切に対応してまいります。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
高度経済成長期に整備された上下水道、特に今、埼玉県八潮市でも陥没事故がございましたけれども、やはり、そうした老朽化対策においても国土強靱化は大変重要でございます。上下水道は市町村がやらなければいけないです。是非ともそうした地方財政措置についても御検討を加速していただきたいと思います。
それでは最後に、一問飛ばさせていただいて、南海トラフ地震等の大規模災害に即応する消防庁舎整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。
能登半島地震においては、地震や津波により、例えば消防署の詰所が倒壊したり、そうした大規模な被害により迅速な初動対応が困難でありましたことから、消防署あるいは消防団詰所等の消防施設の耐震化、あるいは津波浸水区域外への移転、こうした手段によりまして、消防防災拠点としての機能を確保することが課題として浮き彫りになっていると思います。
私の地元、愛媛県宇和島市では、南海トラフ地震の発生が想定されている中で、消防署が津波浸水想定区域外への移転を求められております。頻発化、激甚化する自然災害への備えを強化するために、新たな消防庁舎の整備が喫緊の課題となっています。
その財源として、緊急防災・減災事業債、この活用が検討されていますが、令和七年度末の期限とされています。これが地元の懸念材料となっておりますと同時に、やはり資材高騰等を踏まえて、緊急防災・減災事業債、緊防債の対象事業費を増額してほしいという要望もいただいています。
また、大規模災害に即応できるように緊急消防援助隊を受け入れる受援スペースの確保ですとか、あるいは、能登半島地震を教訓として、多機能な小型消防車両を確保するスペースですとか、あるいは、消防職員の皆さんの勤務環境の整備として仮眠室の個室化ですとか、こうした様々なスペースが新たに必要となってくる。そういったことを踏まえて、緊急防災・減災事業債の対象面積の拡大についても地元から要請をいただいております。
そこで、消防庁舎の津波浸水想定区域からの移転などに当たりまして、南海トラフ地震等の大規模災害に即応できるように、緊急消防援助隊の受援スペースの確保、こうしたものの必要性や、資材高騰等を踏まえまして、緊急防災・減災事業債の対象面積の拡大や対象事業費の増額を検討すべきと考えますが、消防庁の方針をお伺いします。
○田所主査 申合せの時間が経過しておりますので、一言でまとめて答えていただきたいと思います。
○田辺政府参考人 消防署所の整備については、浸水想定区域や土砂災害警戒区域から移転する場合、緊急防災・減災事業債による手厚い財政措置が講じられているところでございます。
各自治体が大規模災害時も機能する充実した消防署所を整備できるよう、今後とも、丁寧に地域の実情をお伺いしながら必要な助言を行うなど、適切に対応してまいります。
○長谷川(淳)分科員 ありがとうございます。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○田所主査 これにて長谷川淳二君の質疑は終了いたしました。
次に、石橋林太郎君。
○石橋分科員 失礼いたします。自由民主党の石橋林太郎でございます。
今回の予算委員会分科会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
これからるる質問をさせていただくわけでありますけれども、村上大臣、済みません、今日、大臣には質問の予定がありませんで、大変恐縮ながら、御退席いただいて結構でありますので。
○田所主査 村上大臣、御退席願います。
○石橋分科員 では、改めまして質問に入らせていただきたいと思います。
大臣には御退席をいただいたわけでありますけれども、まず一問目、直接総務省の所管ではないかとは思いますが、拉致問題について触れさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、先般、有本明弘さんが御逝去をされてしまったわけでありまして、本来であれば、恵子さんのお顔を是非見ていただきたかった、お見せできなかったというのは、日本国としてもしっかりと対応してこれなかったことかとも思いますし、私たちはその反省の上に立って、これからしっかり拉致問題の解決に向けて歩んでいかなければならない。それは、歴代政権が拉致問題は政権の最重要課題であるということを繰り返し言っていることからも明らかであるわけですけれども、その中で、直接の所管ではないとは承知はしておりますけれども、この政権においての最重要課題でもあります拉致問題について、総務省としては、どのような意気込みで、どのような思いで取組をしてくださっているのかということをお伺いしたいと思います。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
拉致問題は大変重要な問題であり、政権の最重要課題と位置づけられるものと認識をしております。
総務省としても、拉致被害者等に向けた情報発信の重要性の観点から、例えば、特定失踪者問題調査会が行う短波放送「しおかぜ」の送信に必要な周波数の確保などに取り組んでいるところでございます。
政府としての拉致問題への対応については、拉致問題対策本部を中心として行われているところでございますが、総務省としましても、関係機関と協力し、拉致問題に適切に対応してまいります。
○石橋分科員 御答弁ありがとうございます。
「しおかぜ」短波放送のことに関しては総務省さんの管轄ということでありますが、「しおかぜ」につきましても、先般、特定失踪者問題調査会の方の会合で、金額のことでちょっと心配があるんだというお話をいただきました。今日はその質問はいたしませんけれども、またそういったことに御配慮を可能であれば賜って、しっかりと拉致問題の解決に向けて政府一丸となって取り組んでいるんだという姿勢も示していただきたい。
これは、北朝鮮に対してもそうでありますし、国際社会に対してもそうでありますし、そして国民の皆さんにも、政府一丸となってやっているんだということを、しっかりと強いメッセージを総務省からも、可能である限り出していただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。
その北朝鮮でありますけれども、近年、ミサイル発射が非常に頻発をしているわけであります。また、今ちょうど停戦云々の話はありますけれども、ウクライナとロシアのことも、私たち国民の頭の中に常に、この二年か三年か、あるわけでありまして、ずっと心配をしています。
想定したくはないわけでありますけれども、いざ有事等が起きたときには、しっかりと国民保護をしていかなければならないというふうに思うわけでありますけれども、その国民保護のことについて、少しお伺いをしていきたいと思います。
最初ですけれども、緊急一時避難施設の指定状況についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
私、地元は広島県広島市というところでありますけれども、広島は実は地盤が弱いので、余り地下街が東京のように発達はしていませんけれども、それでも、一部地域、地下施設が、地下空間が使えるようにもなっているところであります。
そうした施設、場所を緊急一時避難施設ということで全国で指定をいただいているということでありますけれども、その指定状況についての御説明を少しいただければと思います。
○田辺政府参考人 国民保護法では、住民を避難させ、又は避難住民等の救援を行うため、都道府県知事又は指定都市の長が避難施設を指定することとされており、そのうち、爆風等からの直接の被害軽減に有効なコンクリート造り等の堅牢な建築物や地下街、地下駅舎などの地下施設である緊急一時避難施設については、令和三年度から七年度までの五年間を集中的な取組期間として、関係省庁と連携し、指定の促進を進めているところです。
この取組により、令和六年四月一日現在では、全国で五万八千五百八十九か所の緊急一時避難施設が指定されているところであり、そのうち、地下施設は三千九百二十六施設となっています。
また、指定された緊急一時避難施設の想定収容人数を人口で割った数値である人口カバー率は全国で一三九・七%となっていますが、緊急一時避難施設の指定については地域的な偏在も存在することから、今後ともより一層の指定促進に取り組んでまいります。
○石橋分科員 御説明ありがとうございました。
人口カバー率は一三九・七ということでありますけれども、まだまだ偏在もあるしというお話をいただきました。
都市部の方と、また周辺部、田舎の方とは違うと思いますし、ミサイル等がどこにどう落ちるかなどは誰にも分からないわけでありまして、引き続き、民間の施設への指定ということで、民間の方の御協力がなければできないことではありますけれども、しっかりと国民を守っていくんだという方向性のために、指定についても引き続き取組をしていただければなというふうに思います。
続いて、特定利用空港、港湾ですけれども、今御質問したのは緊急一時避難施設でありましたけれども、同様にと申しますか、有事や災害時等々のために、ふだん民間が主に使っている空港、港湾等を自衛隊、海上保安庁等が平素から使えるようにし、共有できるようにする特定利用空港、港湾というものの指定も進んでいるというふうにお伺いをしておりますので、これも併せてお答えを、これは国土交通省さんですか、お答えいただければと思います。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
政府といたしましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえ、国民保護、あるいは部隊の展開、災害時の対応等において自衛隊や海上保安庁の能力を最大限発揮するために、平素から訓練等を行う必要があると考えており、そのために、国内の空港や港湾について平素から円滑に利用できることが重要と考えています。
このため、総合的な防衛体制の強化のうち、公共インフラのスキームにおける取組といたしましては、まず、関係省庁とインフラ管理者たる自治体等との間で、国民保護も念頭に、自衛隊、海上保安庁が平素から訓練等ができるよう、円滑な利用に関する枠組みを設けることとしております。
その上で、こうした枠組みができた空港、港湾、いわゆる特定利用空港、港湾につきましては、民生利用を主としつつ、自衛隊、海上保安庁の艦船、航空機等の円滑な利用に資するよう、必要な整備等を行うこととしております。
これに関しまして、これまで特定利用空港、港湾となっておりますのは、国内で八の空港と二十の港湾となっております。
引き続き、自治体等との調整を丁寧に行いまして、公共インフラの取組の充実化を図ってまいりたいと考えております。
○石橋分科員 ありがとうございます。
民生利用を主にしつつも、何かあったときには自衛隊、海上保安庁とも円滑な利用ができるような枠組みだというお話を今いただいたところでありますけれども、実際の利用調整について何かお取組があれば少し教えていただければと思います。
○室田政府参考人 国家安全保障局から引き続きお答えを申し上げます。
今の石橋先生の御質問は、特定利用空港、港湾の平時における利用についての調整状況というふうに受け取らせていただきましたので、私からお答えさせていただきます。
先ほど申しましたように、関係省庁とインフラの管理者、これは県であったり市であったりするわけでございますが、その間におきまして、円滑な利用に関する枠組みという、ある種の協定みたいなものをつくらせていただきます。それを基に連絡体制を密にいたしまして、利用の事前の通告等について、より緊密に、円滑に行うということをもちまして、自衛隊、海上保安庁等の利用を、より、これまでよりも円滑にしていくという取組を行っているところでございます。
○石橋分科員 ありがとうございます。
平時についての円滑な取組ということでいただきましたけれども、続きまして、想定はしたくないですけれども、有事の際の利用の調整等に向けた取組についての御説明をいただければと思います。
○門前政府参考人 お答えいたします。
武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態におきましては、特定公共施設利用法、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律を適用いたしまして、同法に基づきまして、必要な港湾、空港の利用調整を行うこととなります。
具体的には、港湾や空港におきまして、住民の避難などの国民保護のための措置や自衛隊や米軍による武力攻撃を排除するための行動などが同時に行われ、利用調整が必要な場合には、事態対策本部長たる内閣総理大臣が必要な情報を集約した上で、その時々の状況を総合的に勘案し、その利用を調整することにより、それぞれの措置の的確かつ迅速な実施を確保することといたしております。
この法律に基づく港湾、空港の利用調整が適時適切に行われますよう、平素から様々な場合を想定しつつ、必要な検討、訓練を行っております。
○石橋分科員 ありがとうございました。
国民の避難ももちろんでありますけれども、有事でありますと武力攻撃の排除ということも非常に重要でありまして、そのためには、日頃から、ふだんから、平時からの円滑な利用調整、それから、有事のときを想定してということでやっていただいているということを聞かせていただきまして、私としても少し安心をできるかなというような思いもあるところであります。
何度も言って恐縮ですけれども、想定したくはありませんけれども、やはり我が国を取り巻く安全保障環境というのは今非常に複雑化をしているというふうに多くの方が感じていらっしゃるし、現実にそうだと思いますので、引き続き、抜かりのないようにといいますか、しっかりとした準備をしていただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
続きまして、海底ケーブルの安全確保についてお伺いをしたいと思います。
有事、様々あったときには通信を確保するということが大変重要であるというふうに思っているわけでありますけれども、その中で、ふだん、私、目にすることはないですけれども、海底ケーブルが我が国と他国をしっかりとつないで情報のやり取りをさせていただいているというふうに思いますけれども、海底ケーブルの安全確保についての日頃からの取組について少し教えていただければと思います。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
四方を海洋に囲まれた我が国にとりまして、海底ケーブルは、社会活動、経済活動を維持する上で欠かすことのできない重要インフラであり、その安全の確保は極めて重要だと考えているところでございます。
このため、総務省におきましては、海底ケーブルの安全の確保に向けて、通信事業者と連携し、海底ケーブルの冗長性の確保、また、障害発生時の連絡体制や事業者の連携体制の確立に取り組むといった必要な対策に引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
特に、今申し上げました海底ケーブルの冗長性の確保につきましては、日本海側の海底ケーブルや国際海底ケーブルの分岐支線の整備、陸揚げ局の地方分散を支援することにより、強靱な通信ネットワークの構築に今後取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○石橋分科員 ありがとうございました。
しっかりと日本全域を冗長性高いケーブルで囲っていただいて、通信を確保し続けるということが大事だなというふうに思いますので、引き続きの取組をお願いしたいというふうに思います。
続いて、そうはいいながら、災害のときにケーブルが破損をしたりとか切れたりとか、有事のときにどうするのかというような課題ももちろんあるわけでありまして、海底ケーブルに限らずでありますけれども、災害時や有事の通信確保の取組についてどのように取り組んでいただいているか、お伺いをしたいと思います。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
災害時や武力攻撃事態等におきましては、被災者や避難住民の方々に情報が確実に届けられる環境の確保が必要不可欠であり、通信の果たすべき役割は大変大きいと認識しております。
こうした認識の下、まずは、長時間の停電等が発生した場合であっても通信サービスの提供が維持されるよう、停電対策や伝送路の多重化といった携帯電話基地局等の通信インフラの強靱化に取り組んでいるところでございます。
また、こうした取組にもかかわらず通信が途絶した場合には、通信事業者は移動電源車等の応急復旧機材の設置により、通信サービスの維持、早期復旧を進めるほか、総務省、通信事業者が連携し、それぞれが保有する衛星インターネット機器などの貸出しを柔軟に行うことにより、避難所などにおける通信確保を図ることとしているところでございます。
総務省におきましては、昨年一月の能登半島地震における教訓も踏まえ、引き続き、官民や事業者間の連携のための体制を整備するとともに、御審議いただいている令和七年度予算案に盛り込まれております大容量化した蓄電池、また、衛星回線設備等の設置による携帯電話基地局の強靱化への支援、また、令和六年度補正予算においてお認めいただきました移動電源車の配備等による応急復旧体制の強化への支援といった内容によりまして、電気通信事業者による取組を積極的に支援することにより、災害時等における通信確保に今後とも取り組んでまいります。
○石橋分科員 様々な取組を御紹介いただきまして、ありがとうございました。
能登のときにも、しっかりと移動電源車や、また、通信衛星の機材をお貸出しをいただいて通信確保できたことで、スマホ等々の充電もできたというお話も聞かせていただきました。
御答弁いただいたとおり、災害時、非常時にしっかりと通信が確保できること、情報が正確に手に入るというのは、被災をされた方にとっての安心にもつながることだとも思いますので、引き続きしっかりと取組を進めていただきますようお願い申し上げたいと思いますし、私も応援をできる限りしていきたいなというふうに思うところであります。
続きまして、消防団のことについて、一点お伺いをしたいと思います。
私の地元でも、なかなか消防団の団員さんの確保が難しいというお話をよく聞かせてもらっているところであります。そこで、端的にですけれども、団員の確保のためには個人への何かしらのインセンティブにつながるようなことが大事だというふうに思います。
同時に、最近はやはりお仕事を、自営ではなくてどこかに雇用されて、被用者の方が団員にもなられるというケースも大変多いかと思いますけれども、そういった場合には、雇っていらっしゃる企業さんに対して何かしらインセンティブがあることも、団員確保という意味では効果的だろうというふうに思います。
そこで、個人に対して、また、あわせて、企業さんに対してどのようなインセンティブの取組をしていらっしゃるかということを少し御紹介いただければと思います。
○田辺政府参考人 消防団への入団促進においては、地域への貢献、様々な職種や幅広い世代の方との交流やつながり、防災に関する知識やスキルの習得、若者に関心の高いドローンなどの資格等の取得などが消防団の魅力としてインセンティブになると考えております。
そのため、消防庁では、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいて、地域への貢献や防災に関する知識、スキルの習得、準中型免許やドローンなどの資格取得などを消防団の魅力発信のポイントとして、各地域の優良事例を取り上げつつ、自治体にお示ししているところです。
また、入団促進につながる資格等の取得については、消防団員が準中型免許を取得する経費に対して市町村が助成する場合、特別交付税措置の対象としているほか、令和七年度からは、若者から関心が高いドローンの国家資格を消防団員が取得する経費について、新たに特別交付税措置の対象とすることとしております。
さらに、消防団の力向上モデル事業により、準中型免許やドローンを始めとする消防団活動に必要な資格等の取得促進に向けた自治体の取組についても支援しております。
このほか、分科員御指摘のとおり、全消防団員の約七割が被用者であることを踏まえ、従業員が消防団活動に参加することについて積極的に配慮するなど、消防団に協力する企業を消防庁又は市町村が認定する消防団協力事業所表示制度の活用促進、自治体による、消防団協力事業所に認定された企業に対する入札参加資格の加点等の優遇措置の導入、消防団に協力する事業所に対する表彰など、企業のインセンティブとなる取組を実施することにより、企業の消防団に対する理解を深め、従業員の入団促進を図っているところです。
引き続き、こうした個人や企業のインセンティブを高める施策に取り組むとともに、消防団の魅力の積極的なPRを行い、消防団への入団促進を図ってまいります。
○石橋分科員 お答えありがとうございました。
様々取り組んでいただいていて、ありがたいなと思います。また、令和七年度からはドローンの資格に対しての手当ても始まるということでありまして、私の周りでも、結構ドローンをやりたいという子もいますし、あと、地域貢献という言葉もありましたけれども、地域に貢献したいと思っている若い世代も結構多いんですね。ただ、なかなか消防団と縁がないという方も多いと思いますので、それはまた地元での話になりますけれども、こういったインセンティブもお示しをしながら、しっかりと声がけをしていただけたらということも、私もこれはまた地元でしっかり取り組んでいきたいなと思いますので、逆に消防庁さんからそういったことに対する御支援をいただければありがたいなというふうに思います。ありがとうございます。
続いて、ちょっと地方の病院のことについて、少しだけお伺いをさせていただきたいと思います。
私の選挙区にも中山間地域がございまして、私立の病院がないところもあります。公的病院がしっかりと医療を確保してくださっているわけでありますけれども、やはり、昨今の電気代等々の高騰や人件費の高騰、また看護師さんの不足等もありまして、なかなか経営的に厳しい病院が増えてきているところであります。
今般、来年度、地方の公立病院に対しての様々補助はあるよというような話も聞いているんですけれども、公的な病院に対しても支援が必要だと思うわけでありまして、そうした地方の公的病院の経営の現状の認識と、それと御支援の、どんな方策があるのかという支援策を伺いたいと思います。
○森政府参考人 公的病院の経営状況についてのお尋ねでございます。
自治体病院を始めとして、公的医療機関は救急医療等を担っていただいて、地域に不可欠な医療をやっていただいているところでございますが、現在、物価高騰、賃金上昇、それから医療需要の急激な変化に直面しておりまして、大変厳しい状況にあるというふうに認識しているところでございます。
こうした中、厚生労働省では、今年度の診療報酬改定におきまして、賃上げ等に取り組む医療機関に対する一定の措置を講じた上で、さらに、今年度の補正予算におきましては、重点支援地方交付金の積み増しに加えまして、緊急的な支援パッケージにより、公的医療機関も含めた医療機関への支援を盛り込むといった対応を行ったところでございます。
さらに、総務省におきましても、令和七年度には、厚生連などの公的病院等に対する自治体の助成経費に係る特別交付税措置の対象経費の拡充などが行われるものというふうに承知しております。
まずは、こうした措置を着実に執行し、必要な支援が必ず行き渡るように取り組むとともに、今後、補正予算の効果、それから物価等の動向、医療機関の経営状況など、足下の情勢変化を丁寧に把握した上で、公的医療機関を含む医療機関が地域で必要な役割を果たしていけるようにしっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○石橋分科員 ありがとうございました。
様々メニューを用意していただいているというふうなお話でありました。しっかり私もこれをまた地元で伝えて、それこそJAの厚生連さんの病院なんかもありますので、しっかり活用していただけるように促していきたいと思います。
地方が大変だというのは、私たちみんな、共通認識をしていると思いますけれども、その中で、郵便局の利活用を、非常に地方のコミュニティーハブとしてというお話を聞きますけれども、この郵便局の利活用について、地方創生の観点から少しお伺いをできればと思います。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、自治体窓口事務や高齢者の見守りサービスなど、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっております。
総務省といたしましても、これまで郵便局の利活用に係る実証事業を行ってきており、令和七年度政府予算案におきましても、自治体窓口事務などの行政サービスと、オンライン診療、買物支援といった住民生活支援サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な経費を計上しております。
また、実証事業に加えまして、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づき窓口事務を受託する過疎地の郵便局等に対して市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴う初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしております。
こうした取組を着実に実施しまして、今後とも、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう支援してまいります。
○石橋分科員 御答弁ありがとうございました。
おっしゃるとおり、地域にとって、特に中山間、田舎の地域にとって郵便局の存在というのは非常に大きいと思っていますし、二万四千局あるというそのネットワークをしっかりと活用させてもらうというのは大事なことだというふうに思います。是非是非、引き続き、郵便局と連携をしていただきながら、コミュニティーハブとしての役割を果たせるような御支援をいただければというふうに思うところであります。
続きまして、標準準拠システムのことなんですけれども、端的にお伺いしますけれども、標準準拠システムに移行するための費用は総務省が面倒を見るよという話を聞いています。移行した後に、どうしても従前と比べて運用経費が上がってしまって自治体財政を圧迫するというのが、特に規模の小さい自治体ほど起こり得るかと思うんですけれども、この標準準拠システムに移行した後の運用経費についてどのような手だてを考えていらっしゃるのか、お伺いをします。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
標準準拠システムへの移行後の運用経費が増大する要因は、各自治体の現行システムの利用形態や移行後のシステムの状況など、様々な要因が考えられるため、まずは事業者の見積書の内容をしっかりと精査いただく必要があるというふうに考えております。
デジタル庁としても、運用経費が抑制できますよう、事業者に対しまして見積内容を自治体に丁寧に説明することの要請、また、依頼があった自治体への見積精査の支援を行っておりますほか、クラウド利用料につきましては、昨年末のデジタル行政推進法の改正による国及び自治体のクラウド利用料の一括払いを前提とした、できる限り大きな大口割引率の確保に向けた交渉、また、ガバメントクラウドの適切な利用によるコスト最適化のアプローチガイドの提供などによるクラウド最適化の支援などの取組により、自治体を最大限支援しております。
その上で、標準準拠システムへの移行後の運用経費につきましては、自治体が現行システムで負担しております運用経費に相当するものであることなどを踏まえまして、各自治体が負担することが基本となりますが、ガバメントクラウドの利用料等の増加分につきましては、デジタル庁で把握しているガバメントクラウドへの移行状況などを踏まえまして、所要の地方交付税措置が講じられることとなっております。
○石橋分科員 ありがとうございます。
自治体の方としては、しっかりとした自治事務をやらなきゃいけないという責任感がある中で標準準拠システムを入れていく、その後の財政負担を本当に気にしていらっしゃいます。今ちょっと手元にきちんとした金額を持っていないんですけれども、地元の首長さんから聞くと、結構な割合で増えていくという話も聞いておりますので、しっかりと支援も考えながら進めていただきたいというふうに思います。
済みません、あとは、残り時間少しですけれども、残り二問をまとめてお伺いをさせていただきたいと思います。二地域居住についてであります。
一点は、二地域居住をどういった趣旨でやろうと思っているのかという概要を少しお話しいただきたいことと、あと、二地域居住の推進に関しまして、総務省としてどういった取組をするかということであります。その二点についてお答えいただければと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
二地域居住につきましては、地方への人の流れを創出し、地域経済の活性化、地域の担い手確保等につながる意義のある取組であるというふうに考えてございます。
昨年関連法も改正いたしましたけれども、二地域居住の更なる促進に向けましては、二地域居住者の交通費や滞在費の軽減といった課題もございます。こういうことにつきまして、千を超える地方公共団体や民間事業者で構成される官民プラットフォームというのがございますので、そこで具体的な対応について議論、検討していくとともに、官民一体となったモデル的な取組への支援であるとか優良事例の横展開などを通じて、二地域居住の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○望月政府参考人 続けてお答え申し上げます。
総務省といたしましては、都道府県や市町村が実施します二地域居住・関係人口施策に要する経費につきまして、令和七年度から新たに特別交付税措置を講ずることとしております。
具体的な対象経費でございますが、二地域居住希望者等に対する情報発信に要する経費、また、居住体験の実施に要する経費、さらには居住希望者の生活環境の確保に要する経費などを考えております。
加えまして、地域に継続的に関わる方々が地域を応援していくふるさと住民登録制度、こちらにつきまして検討を開始したところでございまして、国交省さんを始め関係府省と連携をして進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石橋分科員 お答えいただきましてありがとうございました。
私も地方から来ておりますので、この二地域居住という制度が進んでいくことで人口が、交流人口、関係人口が増えていくということ、大変期待をしておりますので、しっかりと取組を進めていただきますようお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○田所主査 これにて石橋林太郎君の質疑は終了いたしました。
次に、川原田英世君。
○川原田分科員 立憲民主党の川原田英世です。
今日は、地方自治体の視点に立った地方創生に関して質問していきたいというふうに思います。
まず、総務大臣、この前、御発言を聞かせていただいていました。現在のまま人口減少が進んでいけば、今世紀末には国、都道府県そして市町村というシステムが構築できるのかどうか危惧をしているというような発言でした。私も全く同感であります。私の地元も、非常に広い自治体が多いんですけれども、今のまま本当にこの町が維持できるんだろうかということに強い危機感を持っています。だからこそ、今、地方創生というのが極めて重要なんだというふうに思っていますし、このまま地方が衰退していくことを見過ごしていっていいのかと。
特に、私の地元はどこも国境に接する地域です。国境に接している島なんかが自治機能が維持できなくなるとなったら、これは国としても本当に大きな危機的な問題になるというふうに思っていますから、やはりこういったことには強い危機感を持って取り組んでいかなくてはならないですし、その観点で地方創生をどう進めていくのかと考えていかなくてはいけないことだと思います。
その地方創生の議論をする前に、やはり私は、地域の人口減少と衰退がこうやって進んできたという要因の一つには、平成の大合併というのも一つ要因としてあるんじゃないかというふうに思っています。地方分権の推進や少子高齢化の進展に伴った厳しい財政状況を名目として、規模、能力の充実や行政基盤の強化を目的として平成の大合併が進められてきた。私が子供の頃ですから、よくニュースで見ていました。よく分からないけれども、大変な時代なんだななんというふうに思いながら見ていたわけです。
そして、約二十年が経過をしてきました。いろいろな分析の結果が出ているんですけれども、今回ちょっと特に注目したのは、北海道と愛知県の場合というデータを基に見ていったんですが、結果を見れば、非合併自治体よりも合併をした自治体の方が人口減少がより進んでいるという結果が北海道と愛知の場合では出てきています。また、合併をしましたよという自治体の中を見ても、中心的な地域では一時的にちょっと人口が増えた、集約された、でも、長期的に見ると、やはりそこも、合併した自治体の中の中心自治区も人が減って、さらに、その周辺、合併した周辺の地域はより深刻に人口減少が進んでいっているというふうになっています。
結果としては、やはり、合併というのは人口減少を促進させた、進めてしまったという一因が私はあるのではないかというふうに思うんですね。そういった証拠が、ある意味、今回質問をさせていただく大きな敗因となっているんですけれども、こういった状況を見て大臣はどのようにお考えなのか、所見を伺いたいと思います。
〔主査退席、寺田(稔)主査代理着席〕
○村上国務大臣 この間申し上げたのは、昨日、あしたのことを言うんじゃなくて、五十年、六十年後がどうなるかと。
簡単に申し上げますと、この前もちょっと申し上げたんですけれども、人口減少の大きな原因は、私は、私の前の世代の団塊の世代というのは、一学年二百七十万いたんですね。今年生まれた方が六十万台。簡単に言えば、要するに、子供さんを産んでくださる二十代から三十五までの女性が、分母が四分の一になったということなんですね。その上に、婚姻率と出生率が下がっていますから、なかなか日本人だけでは人口増加は難しいんじゃないかなと。
委員の御指摘は、ある面ではそういう考え方もあると思うんですけれども、平成の合併は、人口減少などの進展を背景に、地方分権を推進する意味で、基礎自治体の規模、能力の充実を図るために、自主的な基礎市町村合併を積極的に推進した。
だから、私がなぜ三十万人前後とかといいますと、例えば愛媛県は、松山市が今四、五十万ですけれども将来四十万前後、東予地域も二、三十万人です、こっちもある。そうすると、愛媛県は三十万ぐらいでくくると三つの市で終わっちゃうんですね。だから、三つの市だとすれば、それが直接国と対話をした方が合理的ではないか。そう考えると、昔でいいますと、江戸幕府の大体三百諸侯ぐらいの数になるんじゃないかということなんです。
それで、そういう面で、実は私が言いたかったのは、一方で、市町村の人口の変化には、当該地域の人口構成や地理的条件による生活の利便性の状況など様々な要因が影響すると考えられて、一概に人口変化の要因を市町村合併と関連づけることはちょっと難があるんじゃないかというふうに考えています。
人口減少対策について、総務省も含めて、国と地方が一丸となってこれまでも取り組んできたところでありますが、引き続き待ったなしの喫緊の課題でありますので、地方創生二・〇の推進によって、地域経済の好循環と持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
○川原田分科員 今答弁あったように、人口減少というのは何が要因だということは非常に特定しづらいということがあります。そういった中で、地域の在り方、自治の在り方がどうなんだということはありますけれども。
この前、話が出ていたのは、私の選挙区の面積は大体岩手県と同じぐらいの面積です。非常に広域なんですね。一部の合併した自治体はそのとき日本で一番大きい町だと言われて、その端から端までの距離たるやというものです。そういった中で、自治体が水道を通して住民の暮らしを守ってということの困難さというのもやはり考えていかなくちゃならないというふうに私は思っています。
やはり、合併してきた中で、今合併のことも少し触れていただきましたけれども、合併が合意に至るまで、それぞれの自治体ではたくさんの議論があったわけですね。多くの協議が重ねられてきた。将来的なことも考えて、国の合併特例債を活用しながら、それぞれの地域にどういった施設が必要なのか、これからの地域はどうやっていくべきなのか、そしてそれをどう更新していく必要があるのか、いろいろな計画を、合併する前、それぞれの自治体で協議をしていったということです。そして、最終的には折り合った。もちろん、折り合わなくて、ぎりぎりで諦めたという自治体もあります。やめたという自治体もあります。でも、そこで、それぞれの自治体の合意の下に合併が行われて、そしてその計画に沿って、この約二十年間、自治体の運営を続けてきたというわけです。
しかし、やはりそこで想定外の事態が起きてきている。その一つは、先ほども述べたように、想定を大きく超える人口減少、これによる税収が減ってしまったということと、やはり地方交付税自体の減少もあったということ、そして今、物価高や人件費増。こういった中で、合併をした、しなかったにも問われないということもありますけれども、多くの自治体がやはり財政難という課題に直面をしている状況です。
そういった中でも、私は、先ほど言ったように、合併をしたという自治体にはまたちょっと違う側面がやはりあると思って見てきました。やはり、合併時にさっき言ったような約束をして事業を進めてきたわけですよね。その約束があるという中で取り組んできた自治体、ここはやはり、そのときのことを背負いながらこの二十年間進めてきたわけですから、より大きな大きな、今負担がのしかかってきているというふうに思うんです。
そういった点でいくと、私は、進めてきた国というのは明確に責任があるというふうに思っていますが、このことをどう考えているのか、伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
合併市町村におきましては、今お話いろいろございましたけれども、合併後の市町村の一体性の確立や均衡ある発展のために、市町村建設計画に基づく様々な取組が進められております。これに対しましては、総務省としましても、合併後の市町村の町づくりや地域振興のため、合併特例債や合併補助金による財政措置などにより支援をしてまいりました。
また、平成の合併により、面積のお話がございましたけれども、市町村の面積が拡大するなど市町村の姿が大きく変化したということを踏まえまして、平成二十六年度以降の五年間かけまして、合併算定替え終了後、合併算定替えということで一時的に合併の前の交付税額を払うということでやっておりましたけれども、その後も普通交付税の算定の見直しを行っております。
具体的には、旧市町村単位の支所や消防署等に要する経費の算定、ごみ収集、運搬等に要する経費に係る需要の割増し、標準団体の面積の見直しに伴う単位費用への反映などを行い、合併時点では想定されていなかった財政需要を適切に反映するということで、一定の必要な措置を講じてきたというふうに考えてございます。
○川原田分科員 やはり、合併によって想定外のことがたくさん起きてから措置を講じてきたということだなというふうに思います。そして、今がやはり、また一つその節目が来ているというふうに私は思っているんですね。
合併の検証を余りこれ以上しませんけれども、私が一つ思うのは、平成の大合併を進めてきた背景には、バブル崩壊後、やはり国としても財政難が起きてきた、民間もそうですけれども国もコストカット型の財政政策が進んできた、そして地域への財政支援をカットしてこようとした、そういった背景があったんじゃないかなというふうに思うんですね。大合併を推進する際に総務省に置かれた研究会でも、合併におかれる経済効果として年間一兆八千億円の歳出削減の効果というような数字があったというふうに聞いています。実際に合併した自治体の地方交付税は、合併した当時はいろいろあったけれども、今となって結果を見るとやはり減額されているという状況です。
そして、合併した自治体は職員や施設を削ってきた、当初の約束よりも大幅に削ってきた、それによって地域の特色が色あせていった、地域を活性化させようという意欲も、合併したその中心よりも外側の合併した自治体の方が特にそがれていったというのは、私が見てきた中での実感であります。まさに、私は、この合併というのは失敗だったというふうに思います。そういうふうに受け止めているところです。
そして、そういった合併から十年後以降には、合併特例措置がなくなって、その頃には、地方交付税の減少と人口減少による歳入減に合わせて、その時期に合わせて更に合併特例債の償還ピークにも重なってくるということで、相当な混乱が生じるだろうということが、これは二〇〇九年に検証されているデータで、データというか論文で出ているんですね。そのほかにもいろいろとありました。やはり合併によって、そのときは何とかしのげていっても、十五年後以降、約二十年後ぐらいには相当な混乱が生じるだろうということは当時から言われていたわけですね。
そして、今がそのときに立っているということで、まさに今、その想定どおりに、合併した自治体では大きな財政難に直面している。これまでもいろいろと想定外のことがあって、今、支援があったと言っていましたけれども、それも更に大きく超えるような財政難に直面して苦しんでいる自治体があるということです。
さっき国の責任を問いましたけれども、なかなか国に責任といっても、はい、責任がありますなんということは当然言えないと思いますけれども、ただ、やはりこういった状況に置かれているということを認めて、国がしっかりと支援を行っていくということは必要だというふうに思いますが、どのように考えているのか、伺いたいと思います。
〔寺田(稔)主査代理退席、主査着席〕
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今委員の方から、様々、大変自治体も苦労をされているというお話を伺いました。
先ほど申し上げましたように、合併のときに計画を作っておりまして、様々な施設を造っていくみたいなことも言っておるわけですけれども、なかなか、例えば、一例ではございますけれども、旧市町村ごとに重複した施設を持っていたり、この辺り、維持管理に要する財政負担が非常に課題になっているというような面もあると思います。そうなると、例えば適正な公共施設の配置等を見直し、自治体の側でもそういった取組もやはりしていただく必要があるんじゃないかと思っております。
そういう取組に対しましては、例えばですけれども、公共施設等総合管理計画の策定を要請してきておりまして、例えば七年度の地方財政計画でございますけれども、公共施設等適正管理推進事業費を前年度比二百億円増の五千億円計上ということで、そのときそのときに合わせて我々としては措置をしてきているというふうに考えてございます。
今後も、社会保障関係経費それから人件費の増加、物価高、いろいろ財政状況が厳しいというふうに思っております。合併市町村も含めて、それぞれの自治体が、住民ニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、引き続き、一般財源総額や地方交付税総額を増額確保するなど、必要な財源の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○川原田分科員 分かりました。そういった形で、是非とも積極的な支援をお願いしたいというふうに思います。
それと、やはり地域もそれぞれで考えて頑張っています。この前、聞いたところによると、地域の中で地方債みたいなものを作って、愛町債なんという名前にしているんですかね、皆さんからお金を集めて、自治体の危機だからみんなで支え合おうよというような動きも、今声が上がってきているようです。ただ、これを二〇〇二年にやろうと思ったときは、国が認めてくれなくてできなかったという経過があったみたいで、地域でいろいろな取組を行っていて、何とか頑張ってこの危機を乗り切ろうという声が上がっていますので、是非そこは、今回質問はしませんけれども、そういった地域の声を受けて柔軟に取組を進めていただきたいというふうに思います。
ここからちょっと地方創生について伺っていきたいと思いますが、今言った平成の大合併もそうです。三位一体改革というのもありました。地方交付税が減少されて、今、東京一極集中がどんどんどんどん進んでいっている。そして、地域は、まさに消滅可能性というのがありましたけれども、そこに向けて進んでいってしまっているというような状況です。
この人口減少の危機というのは、先ほどあったように、共有できているというふうに思うわけですね。だからこそ、この間、地方創生に取り組んできたということです。しかし、なかなか成果が出ていなかったというのが実感ではないでしょうか。大々的にリニューアルしていこうということで、地方創生二・〇ということでありますけれども、この基本的な考え方等も見させていただいたんですが、これで本当に解決策になるのかなというのは、ちょっと私は到底思えません。
なので、何点か聞いていきたいと思いますが、まず、地方創生一・〇をどう受け止めているのかということです。好事例が何個かあった、でも、普遍化していないというようなことのまとめの文書がありましたけれども、それで果たしてという、なかなかそれだけの結果でもないというのは、皆さん同じ受け止めだと思います。
昨日の予算委員会でも、立憲民主党の黒岩委員の質問で答弁があって、KPIの達成状況もありましたけれども、ほとんど達成されていない、全く達成されていないという事業もあるということです。十年間やってきたけれども、PDCAサイクルが回って洗練されてきた、結果が出てきたとは到底言えないという状況だというふうに思います。
これは僕は、そもそも、KPIとかPDCAサイクルとか、まち・ひと・しごと創生総合戦略でいろいろと出てきた、でも、これ自体の在り方というのもちょっと見直していく必要があるんじゃないかなというふうに思うんですね。
そして、予算に対する執行率が低いという問題がやはりありました。これだけ予算を確保しているのに使われていないということであれば、やはり何かしら問題があった地方創生一・〇だったというふうに思うんですが、このことをどう受け止めているのか、お伺いします。
○今井大臣政務官 地方創生交付金については、事業ごとに定量的なKPIを自治体が設定し、PDCAサイクルを回す仕組みとなっております。例えば関係人口の増加数や移住者数などをKPIとして設定してきたところです。
新しい地方創生交付金では、これまでの交付金の検証の仕組みを強化して、事業の検討、実施、検証の各段階において、産官学金労言などの地域の多様な主体が参画する仕組みを構築し、また、効果検証や評価結果、改善方策の公表を義務化することとしております。
また、御指摘のあった地方創生交付金の執行率になりますが、主に補正予算で措置されている拠点整備事業では、制度を創設した平成二十八年度からの累計で、予算額四千四百八十五億円に対して千八百九十億円の執行にとどまっております。
こうした執行状況を踏まえて、令和六年度補正予算において創設した新しい地方創生交付金では、これまで単年度事業に限定されていた拠点整備事業について、自治体からの強いニーズも踏まえまして、複数年度の事業を認める改善を行っております。そのことにより、執行率の上昇が見込まれるところだと考えております。
○川原田分科員 補正予算でというのがまた事業の継続性を見たときどうなんだ、そもそも補正予算はどうなんだという話もいろいろありましたけれども。
地域から見たときに、この地方創生というのは、私も地方議員としてこの事業を実際に運営する側の立場の近くで見てきましたけれども、やはりなかなかなじみがないんですよ。というのが、私はどうしても、これは、入口からして国からの押しつけ的な地方創生だったというふうに思っちゃうんですね。やれ人口ビジョンを作りなさい、やれ創生総合戦略を作りなさい。特に人口ビジョンなんかは、僕は国が示すものなんじゃないのということをよく言っていました。地域に求めるものの前に、国が人口ビジョンを示して、そして人口ビジョンの下に国が国としての責務をしっかり果たして、地域では地域の特色を生かして地方創生をやってくださいと言うべきなんじゃないのというふうに思ってきたわけです。
そういった意味で、私は、すごく地方に対しての押しつけ的な政策になっていった、それによって地域では地域間の争いになっていってしまっていて、人口の奪い合いの構造になっていった、地域の特色を伸ばそうというよりは、あっちよりも何か子育て政策をちょっとよくして、そしてあっちから人を持ってきましょうみたいな競争になっていってしまっていて、地方創生とは全然違う方向に進んだのがこの地方創生一・〇だったんじゃないかなというふうに思います。
私は、だから、国からの押しつけ的だった部分と地域間の競争しか生まなかったんじゃないかという反省が必要だというふうに思っているんですけれども、この地方創生一・〇の結果についてどのように受け止めているのか、お伺いします。
○今井大臣政務官 地方創生交付金は、地方版総合戦略に基づいて地域の創意工夫を凝らした自主的かつ自立的な取組を推進するツールとして、これまでに全国で九割以上の自治体で活用されてきました。地域経済の活性化や快適な生活環境の整備、また行政サービスのデジタル化など、各地域において一定の成果をもたらしてきたと考えております。
これまでも交付金を用いて全国各地で様々な取組が行われてきておりますが、先生の選挙区の北海道の礼文町では、空き家を改修して、人材交流施設を整備して、移住、定住に関するワンストップ窓口を開設するなどで移住者が増加している事例などもございます。
こうした地域の好事例を普遍化できるように、引き続き自治体の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○川原田分科員 今、地元の例も挙げていただきました。
僕は、それを考えたときに、国から何かいろいろメニューを用意して、こうやりましょう、ああやりましょうとひもづけ的なことをやるよりも、地方創生に関しては一括交付金のような形にして自由に使ってくださいとやった方がずっといいと思うんですけれども、地方二・〇にそういった視点を入れる考えはないか、伺いたいと思います。
○今井大臣政務官 地方創生においては、地域のステークホルダーがアイデアを出し合ってつくり上げた事業について、国が後押しするということが基本の考え方だと考えております。国と地方が議論を重ねて一体となって取り組むことが重要である、地方創生交付金は、こうした趣旨を踏まえて、自治体の自主性と創意工夫に基づいて、地方創生に資する独自の取組を国が後押しすることになっております。
本交付金は、自治体が提出した計画に基づいて、これまでも、地方創生に資する幅広い取組ができるような仕組みとなっております。使途が相当自由な交付金として活用されてきたところだと考えております。
新しい交付金なんですけれども、さらに、ソフト事業とハード事業の制度区分を廃止して、両者を組み合わせた取組について一つの申請で一体的に支援することを可能とする、自治体にとってより使いやすい新しい仕組みとしており、引き続き地域独自の取組を一層強力に後押ししてまいりたいと思います。
○川原田分科員 僕が思っているのは、国と地方が協議して協議してとやるんですけれども、そのときに、地方分権といいながらも、やはり国に対して地方はお伺いを立てる姿勢になっちゃうんですよね。そういうふうになると本当の地方のいい部分というのが見えなくなってくるところがあるので、ある意味、そうやって協議をするというよりは、もうお任せしちゃうぐらいの、地域を信頼しますみたいな姿勢が私は国には必要なんじゃないかなというふうに思っています。その方が間違いなく人が育つと私は思うので、そういったことも是非参考にしていただければと思います。
それともう一個、この計画、基本的な考え方から、今後の考え方、五本柱とかも見ました。それを見たら、私、つくづく思うんですよ。地方創生をやるのであれば、この五本柱にいろいろあるものを達成するのであれば、地方の基幹産業である農業を守るということをやった方がいい。つまりは、戸別所得補償制度を実現した方が地方創生には絶対なるんじゃないの、こんな難しいことしなくても戸別所得補償をやれば全てクリアするんじゃないのと思うんです。
だから、地方創生の予算で所得補償制度をやった方がいいんじゃないですか、漁業者も含めて。僕はその方がずっと地方創生になると思う。その点、どう考えるのか、伺います。
○今井大臣政務官 地方創生の立場から申し上げれば、地域の、先生御指摘の基幹産業である農業の活性化は重要であると承知しております。
地方創生の交付金を活用して、意欲ある自治体の行う農業の活性化の取組を内閣府としては支援してきたところでございます。例えば、地域の農産品のブランド力の向上と海外も含めた販路拡大を目指す取組であるとか、スマート農業技術を活用した生産性向上の取組などを支援しております。
昨年末に取りまとめた地方創生二・〇の基本的な考え方において、付加価値創出型の新しい地方経済の創生の中で、農林水産品、食品の高付加価値等による稼ぐ力の強化や、文化、観光等との分野横断的な連携などに取り組んでいくこととしております。
本年夏の基本構想の策定に向けて、農業の活性化につながる施策を具体化してまいりたいと考えております。
○川原田分科員 私は今の質問をあえてしたんですけれども、このことの方がずっと地域の活性化になるというふうに思っていますし、なかなか予算がない、予算がないという言葉ばかり聞こえてくるんですけれども、地方創生で予算を増やしていくという考えがあるのであれば、ずっとこの方がいいんじゃないのかなというふうに思ったので、あえて聞かせていただきました。
今答弁いただいたとおりですけれども、いろいろと課題がまだあるんですよね。私は、基幹産業を支えることの方がずっと効果があると思っています。
もう一点、次の質問に行きますが、地方創生二・〇に加えて、日本列島改造令和版なんという言葉が出てきています。言葉だけ聞くと昔の田中角栄先生のあの広大な計画を思い浮かべるわけですけれども、これが、でも中身も全然分からないんですけれども、一体この言葉の中にどんな目標、KPIがあって、そしてそれに、名目に見合うだけの予算がどのくらい確保されているのか、見解を伺いたいと思います。
○今井大臣政務官 かつては、ハードなインフラの整備を起点として人の流れを生み出し、国土の均衡ある発展が目指されてきたところです。
地方創生二・〇は、令和の日本列島改造として、官民が連携して地域の拠点をつくって、地域の持つ潜在力を最大限引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出すとともに、新技術を徹底的に活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくものです。
現在、地方創生二・〇の施策の具体化に向けた議論が行われております。今後、施策を具体化していく中で、目標の在り方についてもしっかりと議論してまいりたいと思います。また、予算についても、地方創生の交付金を始め、各府省庁と連携しながら必要な予算額を確保してまいりたいと思っております。
○川原田分科員 名前に見合う事業になってくれるようにというふうに思うんですね。私、日本の末端に住む一人としては、この事業は必要だと思っていて、選挙のときにも新日本列島改造が必要だと何度も言っていました。まさにそれに資するものでなくてはならないと思います。
その視点でいくと、故田中角栄先生は、地方の鉄路は赤字でいいんだ、赤字でもしっかり守ってやる、そのことが地方にしっかりとした経済の活性化をもたらして、それがある意味人間の毛細血管のように日本中を巡ることによって、この国は活性されるんだということを言っていました。まさに地方創生には、日本列島改造のような視点があって、地域の公共交通やインフラが守られているという視点がなくてはならないんだと思います。
それで、最後、二点伺いたいんですが、そういった点でいくと、今の公共交通はちゃんと守られているのかという視点が私は必要だというふうに思っています。
まず一つには、地域のバスです。
路線バスが、人手不足でどんどんどんどん便数が減らされているということになっています。この担い手の確保をどう進めていくのか、このことについて伺いたい。
それと、私の地元北海道、JR北海道は、多くの線区が廃線の危機にあります。この危機をどう乗り越えていくのか、まさにこれこそが本当の日本列島改造という意味合いだというふうに私は思うわけですね。今、もうあしたにでもなくなっちゃうんじゃないのとか、私たちのところはどんどんどんどん利便性が低くなっていくけれども、見捨てられちゃったんじゃないの、そんな声まで地域では上がっているわけですよね。
だから、やはり国が支えていくんだという視点をちゃんと皆さんに分かってもらわないと、見せていかないといけないというふうに思うんですが、バスと鉄路、この在り方についてお答えいただきたいと思います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
バスの担い手不足について御質問いただきました。
全国各地で運転者不足等によるバスの減便、廃止が相次いでおり、地域住民や観光客の移動手段の確保の観点から、これは大変な深刻な問題であるというふうに認識をしてございます。
国土交通省といたしましては、バス運転者の待遇改善は極めて重要であるということで考えておりまして、運賃改定の迅速化、運賃算定手法の見直しなどを通じまして、運賃改定を促し、賃上げの促進に取り組んでいるところでございます。こうした取組もありまして、令和五年のバス運転者の平均年間所得は、令和四年に比して約一四%改善されたところではございますけれども、運転者不足は依然として深刻でございます。
このため、国土交通省といたしましては、バス事業者に対して、採用活動や二種免許取得に係る費用の支援、運行費補助について、賃上げに資する運賃改定を行った事業者への支援強化、キャッシュレスなど業務効率化、省力化の取組支援、外国人材の活用に向けた特定技能制度の対象分野へバス運転者等を追加するなどの支援を進めてきたところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、これらの支援を通じまして、人材確保に努め、地域住民や観光客にとって必要な移動手段の確保に全力を注いでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○田所主査 国土交通省鉄道局次長岡野まさ子さん、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。
○岡野政府参考人 お答え申し上げます。
JR北海道の赤字線区の維持について御質問ございました。
北海道は、広大で人口密度が低く、冬場の自然環境が極めて厳しいということから、大量輸送という鉄道特性を発揮しにくくて、鉄道ネットワークの維持が容易でないといった地域になってございます。そのため、鉄道ネットワークの維持に当たりましては、JR北海道のみならず、地域と一体となった取組が必要であると考えてございます。
全国的に見ますと、自治体が鉄道施設等を保有する上下分離方式等によって、鉄道事業者と地域が一体となって鉄道ネットワークの維持を図っているという事例もございまして、こうした取組につきまして、国としましても、令和五年の地域交通法の改正等によりまして、制度面、予算面でも支援しているというところでございます。
他方、JR北海道につきましては、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な、いわゆる黄線区につきましては、令和六年三月に国土交通省がJR北海道に対しまして発出しました監督命令におきまして、地域の関係者と一体となって利用促進やコスト削減に取り組み、令和八年度末までに線区ごとに抜本的な改善方策を確実に取りまとめるよう求めているというところでございます。
このため、JR北海道の黄線区につきましては、他地域の取組も参考としつつ、まずは、JR北海道と道庁を始めとする沿線自治体において、今後の在り方をしっかりと御議論いただくことが必要であるというふうに考えてございまして、国といたしましては、こうした議論に参画するとともに、引き続き必要な支援を行って、地域における取組の後押しをしていきたいと思っております。
以上でございます。
○川原田分科員 終わります。
○田所主査 これにて川原田英世君の質疑は終了いたしました。
次に、中川宏昌君。
○中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
村上大臣、大臣への通告は今日ございませんので、もしよろしければ御退室いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
○田所主査 大臣、御退席ください。
○中川(宏)分科員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
まず一点目でございますが、現在、与野党で協議をしておりますガソリン、軽油の暫定税率についてお伺いをさせていただきたいと思います。
二〇〇八年に道路特定財源が一般財源になりまして、二〇一八年には恒久化の議論がございましたが、この度は、物価高騰への対策としまして、再度、廃止が議論をされているところであります。
昨年十二月十一日に、自民、公明、国民民主の三党が暫定税率の廃止で合意をいたしまして、十二月二十日に決定をされました令和七年度与党税制改正大綱におきまして、「いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。」と明記をされましたが、具体的な廃止時期、また実施方法はこれからの議論ということになろうかと思っております。
このことを議論する際に、大事な観点があると思います。それは、道路を含めたインフラの維持と整備をどうするかということであるかと思っております。
現在、埼玉県八潮市で行われている必死の救命活動や、頻発する災害を考慮いたしますと、インフラの維持と整備は、これは非常に重要な事業であると御理解いただけるかと思います。そのためにも、これからの国土強靱化の実施中期計画、これは重要な政策であると私も考えているところでございます。
この道路の維持整備を考える際、道路特定財源が一般財源となったとしても、道路整備の観点と利用者負担の観点から見れば、ガソリンや軽油に一定の税を課すことは理解できるのではないかと思います。これは程度の問題でありまして、一律に二十五・一円の暫定税率を廃止することが適切かどうかは議論の余地があるところではありますけれども、暫定税率を廃止すれば、一・五兆円の財源が失われます。ガソリン税そのものについて、道路の維持や整備、利用者負担の在り方をしっかりと議論した上で、どのぐらいにするかを決めていくべきではないかと考えるところであります。
私は、ガソリン、軽油の税体系を、道路の維持や整備、また利用者負担の観点から抜本的に見直すべきでありまして、その必要性と重要性について、政治が国民に対しましてもっと説明をしていかなければならないと思っております。
その上で、質問をさせていただきたいと思いますが、現在、暫定税率の廃止についての議論が行われておりますけれども、暫定税率を廃止した場合、国と地方が直近でどのぐらいの減収となると見込まれているのでしょうか。また、地方分の財源について、地方公共団体では何に使われているのか。さらに、この財源の重要性についても確認をさせていただきたいと思います。お願いいたします。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘ございましたいわゆる暫定税率、現在は当分の間税率と呼んでおりますけれども、仮に揮発油税や軽油引取税等のこれらの税率が廃止された場合、毎年、国分で約一兆円、地方分で約〇・五兆円、合わせて、ただいま御指摘ございましたように、約一・五兆円の減収が見込まれているところでございます。
このうち、軽油引取税につきましては、地方団体における道路特定財源として昭和三十一年度に創設されたものでございますが、平成二十一年度に一般財源化されたところでございます。この一般財源化された際に、地球温暖化対策の観点や厳しい財政状況等を踏まえ、期限のない当分の間税率として、税率水準を維持することとされたところでございます。
また、こういった軽油引取税を始めといたします自動車関係諸税、あくまで一般財源ではございますが、地方分の歳入トータルが約三・四兆円となっている一方で、道路や橋梁、トンネルなどの更新、老朽化対策、防災・減災事業の実施といった自動車に関する地方行政サービスの地方分の歳出額は約五・七兆円となっているところでございます。
こういった状況を踏まえますと、自動車のユーザーの方々に御負担いただいている財源だけでは自動車に関する地方の行政サービスに要する費用が十分には賄われていない現状にあるということ、さらには、地方団体が地域の実情に応じた行政サービスを提供するためには安定的な財政運営に必要となる財源をしっかり確保していく必要がある、こういったことに十分御理解を賜りまして、今後の議論を進めていただく必要があろうかと考えているところでございます。
○中川(宏)分科員 ありがとうございます。
今、地方にとりましては、行政サービスにとりまして非常に大事な財源だ、こういう御答弁があったところですけれども、暫定税率を廃止した場合に、地方公共団体では大きく一般財源がなくなるわけであります。
仮の話でこれはお答えいただけないかもしれませんけれども、仮に暫定税率を廃止した場合、地方公共団体に大きな影響が出る、こういった心配の声を私どもとしても多くいただいているところでございます。国に対して、地方公共団体からどのような心配があるのかということについて話があったのか、御説明をいただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十一月に開催されました政府主催の全国知事会議におきまして、村井全国知事会長などから、軽油引取税の見直しの議論などに関連いたしまして、恒久的な減税となるのであれば、地方の減収分については恒久的な財源で対応し、地方財政への影響に十分配慮するよう要請されていると承知しております。
また、このほかにも、財源も含めて丁寧に議論を進めていただきたい、住民に身近なサービスを担う自治体の財政運営に支障がないようしっかり対応されるべきものであるといった御意見をいただいているものと承知しております。
令和七年度与党税制改正大綱が決定された際にも全国知事会がコメントを公表しておりますが、その中では、軽油引取税などの燃料課税を含めた自動車関係諸税につきましては、地方にとって貴重な税財源であること、今後、地方の社会インフラの更新、老朽化対策や防災・減災事業などに対する財政需要が一層増していくと見込まれることを考慮し、国、地方を通じた安定的な財源の確保を前提として議論することとされているところでございます。
○中川(宏)分科員 ありがとうございました。
地方からは、地方財政への配慮、また防災、減災に資する、またインフラ整備、非常にこれは大事なことだ、ですので配慮をしていただきたい、こういう心配があったということでございますけれども、今後の議論におきましては、こういった地方の心配されている声を大事な視点として私どもも議論を進めてまいりたいというふうに思っております。御答弁ありがとうございました。
続きまして、全国の自治体へのDX化の推進についてお伺いをさせていただきたいと思います。
政府は、デジタル技術で社会や生活様式を抜本的に変える試みとして、デジタルトランスフォーメーション、ここに力を入れております。先日も、村上総務大臣は、DXの担い手となる企業に注目をしまして、地域のニーズに応じた事業展開への支援を通じまして地方の活性化策を図る考えを示したところであります。
DX化が進みまして世界基準的な水準になりますと、経済効果が、製造業で約二十三兆円、非製造業では約四十五兆円も売上げを押し上げる、このように言われております。
私は地方出身の議員でありますので、地方ほどDXの推進が重要だと強く認識をしておりますけれども、地方はマンパワーが足りていない状況であります。小さな自治体ではそもそもデジタル人材が全くいないというところも結構あるのが実情ではないでしょうか。
現在、全国の約半数の自治体がDXが進んでいないとのデータもありますけれども、小規模自治体では、人もいない、体力もないという状態でありまして、国ではDXのメニューを幅広く御用意はいただいておりますけれども、メニューの十分な活用、ここまではいっていないのかなというのが実態ではないかと思っております。
国では、小規模自治体に対しまして、都道府県に積極的に関わっていただきまして、自治体のDXの推進に力を入れているとお聞きをしたところでありますけれども、小規模地方自治体のDXの推進は、そのまま地方経済の活性化につながってまいります。これは重要な取組でありますので、しっかりと推進をしていただきたいと思いますが、政府の現在の取組状況についてお伺いをさせていただきます。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
少子高齢化と人口減少による働き手不足を始めまして、様々な課題に直面している地域社会経済を維持発展させていくためには、デジタル技術の徹底活用により地域課題を解決する地域社会DX、これが求められておりまして、総務省ではデジタル技術を活用した各種の実証に取り組んでおります。
一方で、総務省で昨年の夏に実施いたしました自治体向けのアンケート結果によりますと、分科員御指摘のとおり、約半数の自治体が地域社会DXに取組ができていないという状況にありまして、その原因としまして、小規模自治体を中心に、デジタル技術の導入、運用計画を策定できる人材の不足、また推進体制がないことなどが指摘されております。
総務省では、こうした人材や推進体制に課題のある自治体に対しまして、デジタル分野に明るい専門家を派遣することにより、都道府県と市町村の連携の下、デジタル導入に取り組める体制構築の支援に加えまして、地域課題の整理やデジタル技術の導入、運用計画の策定支援といった伴走支援を実施をいたしまして、人材不足の自治体に寄り添い、市町村の規模や状況に応じた支援内容により、その取組を推進しているところです。
加えまして、総務省が推進しているテレワークの事例でございますけれども、都市から地方ということではありませんで、逆に、地方の地場企業が都市部の人材をテレワークにより副業で採用している事例なども報告をされております。これはIT人材そのものではございませんけれども、地方で人材確保によって経済活性化に資するテレワークの活用事例ということで、総務省としても推奨をさせていただいております。
さらに、総務省の情報通信審議会において地域社会DXの推進に向けた情報通信政策の在り方について諮問をしているところでございまして、この審議も踏まえながら、地域社会DXの更なる推進に向けて取り組んでまいります。
○中川(宏)分科員 実証に取り組んでいるところもあれば、半数以上は人材の不足、また推進体制がないということで、非常に大変な状況だということであります。伴走支援もしていただいているということでございますので、一層力を入れていただきたいんですが、どうやっていいか分からないということにつきましては、是非、事例の横展開、これも積極的にやっていただきたいと思いますし、地域の特性に応じた支援というのも私は非常に大事だと思っておりまして、是非ここは背中を国の方から押していただいて、最終的には地方が自主的に取り組めるのが一番の姿だと思っておりますので、そんな状況になるように引き続き御尽力いただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。
続きまして、政治資金収支報告書のオンライン提出について、総務省も関連しておりますのでお伺いをさせていただきたいと思います。
この二年余り、残念ながら政治と金の問題が取り上げられてまいりました。これから政治資金問題で結論を出し、政治と金の透明性をしっかりと確保していかなければなりません。その一つとして、政治資金収支報告書のオンラインでの提出は当然といたしまして、そのデジタルデータを国民の皆様が容易に閲覧できるように、分かりやすい仕組みにするべきではないかと思っております。
私たち議員本人が事務所運営の全てをするということは時間的、物理的に難しく、秘書が収支報告書を作成している議員事務所がほとんどだと思っております。収支報告書は現在でもオンラインで提出できますけれども、この提出方法は、領収書を手入力し、PDFを作成し、一万一円以上の領収書を抽出して収支報告書を作成し、監査人を始めとしまして何人もの人が何度もチェックした上で提出しなければならない状況であります。全ての領収書は保管をしまして、これは後年に少額請求があった場合、一万円未満の領収書を費目ごとに分けて抽出をしまして、コピーをして、枚数を数えて提出するという作業が必要になります。非常にこれは非効率でございまして、私どもの秘書の皆さんも膨大な作業を強いられております。結果的に、オンラインでの提出といいましても、中身は全くのアナログ作業というのが実情であります。
私は、透明性の確保と同時に、収支報告書を始め事務所作業の効率化、これが重要だと思っております。現在はIT化、デジタル化が進んでおりまして、効率のよい政治資金の透明化の方法はあるはずだと思っております。
一例を挙げますと、ある北欧の国では、国会議員は全て指定されたクレジットカードでの決済になっておりまして、自動的にお金の支出は計算をされまして、アプリで報告書をまとめられているそうであります。そうなれば、収支報告書のミスも防げて、ごまかすことができなくなる、こういったところをやっているところもあります。
私どもといたしましても、この収支報告書の完全デジタル化を目指してしっかり頑張ってまいりたいと決意をしているところでございますが、その上で、国会議員関係の収支報告書のオンラインの提出が令和九年から義務化され、代表者の確認書の提出もあり、総務省といたしましてシステムの改修があると伺っておりますが、このオンライン提出の義務化に向けての準備の進捗状況についてお伺いをしておきたいと思います。
○笠置政府参考人 お答え申し上げます。
昨年六月の政治資金規正法の改正によりまして、国会議員関係政治団体に係る収支報告書につきまして、分科員おっしゃったとおり、令和九年一月一日以降、オンライン提出が義務化されることとなりました。
このオンライン提出の義務化等に伴います既存システムの改修のために、令和六年度補正予算に所要額五・八億円を計上いたしておりまして、昨年六月の法改正に伴い必要となる改修、確認書が添付書類として位置づけられるということもございますので、そうしたものを盛り込むといったような改修に加えまして、システム利用時のユーザーアンケート機能を搭載するといった利用環境の改善にも併せて対応していくことを予定をいたしております。
今後、各政党におきましても国会議員事務所向けに説明会の場などが設けられるかもしれません、そうした場を活用したり、先ほど申し上げましたシステム利用時のユーザーアンケート機能などを通じて意見を伺いながら、都道府県選管とも連携をして、政治団体がオンライン提出の義務化に御対応いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○中川(宏)分科員 続きまして、地方の災害対策、また防災・減災対策という観点から何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
これは、能登半島地震を踏まえての話になります。二月三日の予算委員会で私も質問させていただきましたが、被災地の液状化し大きくずれた土地の境界問題についてお伺いをしたいと思います。
法務省から御説明を受けましたけれども、現状では、液状化で動いた土地の地籍再調査、これはまずは復元が前提ということで、土地境界の確定につきましては、国土交通省として、自治体への支援や、ずれが把握された場合は土地区画整理事業の活用などがあるとのことでございました。
土地の境界の確定ができませんと、被災者は再建に向けてスタートが切れない状況であります。地方公共団体といたしましても、土地の境界の確定後に、被災者がどう生活を再建していくのか決めたことに対しての支援を考えていきます。地方公共団体にとっても、この土地の境界問題は現地に行っても大きな問題となっております。何といたしましても、早期復旧のために、政府として更に知恵を出していただきたいことを改めてお願いを申し上げるところであります。
そこで、先日、法務省からの御説明で、令和四年に所有者不明土地対策のための筆界認定に関する表示登記の運用見直しがされたと伺いました。ここのポイントといたしましては、隣地所有者不明の場合は、精度の高い地図がある場合などは、登記官の調査によって筆界が明確と認められたときには筆界確認情報の提供は求めないとなっております。これは非常に重要な制度でありますので、広く周知をしていただきまして、スピード感を持って推進していただきたいと思っております。
この精度の高い地図が、液状化が予想されている地域で取組が進んでいきますと、液状化で土地そのものが移動したとしましても、GPS等で筆界認定が早くできるのではないかと考えるところであります。そうすれば、液状化で被害を受けた被災者を早期に支援できるようになると思いますが、この点につきまして、政府の見解を求めたいと思います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、土地の位置、区画を座標値で明確にする精度の高い地図がございましたらば、土地取引の円滑化だけでなく、災害復興事業の迅速化、これにも資すると考えております。登記所備付け地図の整備は、そのような精度の高い地図を全国的に整備するものでございまして、極めて必要性が高いと考えております。
全国の法務局では、作業困難度の高い都市部の地図混乱地域を対象に、法務局地図作成事業を計画的に実施してございます。現行の地図整備計画は令和六年度で終了することから、法務省では、昨年の三月に、次期地図整備計画の策定に向けた基本方針、これを定めたところでございます。
この基本方針では、防災、災害からの復旧復興や町づくりの観点を踏まえて事業実施地区の選定基準を明確化し、優先度の高い地区から事業を着実に進めることとしてございます。
法務省といたしましては、この基本方針に基づきまして、令和六年度中に次期地図整備計画を決定いたしまして、引き続きこの事業をしっかりと推進してまいりたい、このように考えております。
○中川(宏)分科員 是非、積極的な取組をお願いしたいというふうに思います。
防災、減災に関連をしまして、避難所で使われます体育館でございますけれども、我が党公明党といたしましても避難所の環境改善に力を入れてきておりますが、特に、昨年の補正予算で、災害時に避難所となる公立小中学校の体育館につきまして、体育館に特化した空調を整備する特例交付金が新設をされました。これによりまして、冷暖房が導入が進みまして、これまでよりも避難所への環境改善、これがしっかり前進していくものと思っております。
一方で、私立学校などの体育館への空調設備整備ですけれども、文部科学省に確認しましたところ、私立学校施設整備の整備推進事業として、公立学校に比べ、かなり進んでいるとお伺いしました。指定避難所となっている学校では、大学では五割、小中高でも四割ということでありました。
これから首都直下地震、また南海・東南海地震も予測をされている中で、例えば東京では、首都直下地震の帰宅困難者、平日の昼間ですと四百九十万人に上ると言われております。人口が集中している都市部では、公立学校の体育館だけでは避難所が足りないのではないかと思っております。
避難所の環境改善という視点で見ますと、公立学校にプラスして、私立の学校体育館、これも、避難所指定を受け入れる学校では体育館の空調設備の支援を充実して快適な避難所の整備を加速するべきだと思っております。私立の学校体育館への空調設備整備への支援の充実につきまして、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
私立中学校、高等学校の約四割が避難所指定を受けており、東日本大震災や熊本地震等の大規模災害発生時には多くの私立学校が避難所となるなど、私立学校は地域の防災拠点として重要な役割を果たしております。
文部科学省といたしましても、私立学校が地域の防災拠点としての役割を果たすことは重要であると認識しており、防災機能の強化充実を図るため、補助事業において耐震対策や体育館の空調設備の整備を含めた避難所機能の強化を推進するとともに、指定避難所等を保有する学校の事業を優先して採択することを周知することなどにより、私立学校における避難所指定の増加に努めているところでございます。
私立の中学校、高等学校における体育館の空調整備については、五割を超える学校では整備を完了しておりますが、四割程度の学校が未完了であること、また整備率が極めて低い地域もあることから、引き続き、私立学校施設における防災機能の強化充実を図るため、必要な予算の確保に努めてまいります。
○中川(宏)分科員 ありがとうございます。
公立学校の整備につきましては、一つの、一定のスキームができまして、これから進んでいきます。そして、私立学校の体育館につきましても、避難所環境としては大変重要だという今お話がございましたので、両方がしっかり整備できるように、どうしても、日本の避難所におきましては、一次的には学校の体育館を使うことがかなり多いと思いますので、引き続きの御尽力をお願いさせていただきたいと思います。
それでは、最後の質問になりますけれども、広域災害拠点の整備についてお伺いをさせていただきます。
能登半島地震では、支援物資の調達と輸送におきまして、広域物資拠点で幾つか課題がありました。能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方の報告書につきましては、広域物資輸送拠点の運営につきまして、ノウハウ不足の理由から、荷さばき、また物資管理を行う上で非効率な拠点運営が見受けられた、そして、広域拠点に集中し過ぎてオペレーション支障が出たということで、非常にここら辺は今後の課題だというふうに思っております。
そうしたことを考えますと、私は、防災道の駅などを活用しまして、災害対応拠点を広域の視点でつくるように今求めさせていただいているところであります。例えば、東京ドーム二つ分だとか三つ、四つ分の災害対応拠点をつくっておくべきではないかというふうに思っております。その拠点にトイレトレーラー、トイレコンテナ、キッチンカー、コンテナシャワー、また発電車などの設置をしまして、日頃から避難訓練を行いましてランニングをしていくということ、これが非常に重要であると思いますし、また、そういった拠点があれば、ボランティアの方たち、また工事の作業員の拠点にもなり得るかと思っているところであります。
そこで、広域の災害対応のために、広域災害対応拠点として防災道の駅を是非拡充して整備していくべきだと思いますが、政府の見解をお伺いさせていただきます。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
防災道の駅は、建物の耐震化、無停電化、通信や水の確保などの防災機能を有し、広域防災拠点として機能する道の駅として、都道府県の意見を踏まえ、国が選定し、ハード、ソフト両面から重点的な支援を行ってきております。能登半島地震の対応におきましても、これら防災道の駅は非常に大きな役割を果たしました。
こうした重要性を踏まえ、現在、防災道の駅の追加選定の検討を進めておりますほか、委員御指摘のとおり、関係機関とも連携を図りながら、災害時にも活用可能なコンテナの配備や、防災道の駅同士の連携強化、防災訓練の充実など、ハード、ソフト両面から防災機能の一層の強化を進めてまいります。
○中川(宏)分科員 ありがとうございました。
現在、防災道の駅に指定されているのは、間違っていたら申し訳ないんですが、三十九ぐらいだったと思っております。それを、まずは、私は、全国で百か所を目指していただきたいなと思っております。そして、全国どこでもあったときに、道の駅が防災機能として十分発揮をしまして、広域でしっかりと災害対応ができる、そういった取組を是非とも推進していただきたいと申し上げまして、以上で質問を終わります。
ありがとうございました。
○田所主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。
次に、高井崇志君。
○高井分科員 れいわ新選組の高井でございます。
村上総務大臣、お疲れさまでございます。一時から八時まで七時間、本当に何なんですかね、この予算委員会分科会。本当に荒行でお疲れだと思いますが、ただ、ちょいちょい、与党の質問のときは抜けられるわけですけれども、これもさっきから見ていると、一々出てきて、それで許可を取って出る、これはやめた方がいいですよね。何でこんな不効率なルール、こんなの、最初から通告していないんですから、もうずっと、通告していないときは出てきていただく必要ないし、その分、執務でしっかりしていただきたいと思うので。変な国会のルール、野党が要求するからそうなるんでしょうけれども、私は、そういうのは変えるべきだと思いますので。ただ、出てきていただいたときは、是非、大臣からの率直なお考えを聞きたいと思います。
実は、私、もう一つ分科会でやって、今日二つ目、ダブルヘッダーなんですけれども、質問の機会があるときは、私は絶対断らないことにしています。国会の質疑は、本当にこれは、特に野党にとっては一番重要な機会で、これを放棄するなんということは私は絶対したくない。
私は大臣と議論するわけですけれども、必ずしも大臣からいい答えが返ってこないことももちろんあります、やはり公式な場で。だけれども、私が主張したことが、大臣が少しでもなるほどと思っていただければ、その後持ち帰って検討するということはあるわけですし、私は、村上大臣はそういう方だと。先般からの総務委員会での御答弁を聞いたり、あるいは衆議院本会議でも、官僚が書いた答弁じゃなくて率直な思いを語られるとか、そういったこれまでの大臣の行動を見ていると、やはり御自身が納得されたら、恐らく部下にしっかり指示をして改革をしていただける、そういう総務大臣だと思うので。
私は、総務省で十三年勤めていましたので、やはり変えたいと思うところはたくさんありますので、是非今日は建設的な議論ができたらと思っております。
まず一点目なんですが、これは実は、この間、総務委員会で、私、質問に立たせてもらったんですけれども、ちょっと時間がなくてできなかった。それで、財務金融委員会でやったんですね。消防庁の方に来ていただいて問うたんですけれども。
これは消防の話なんですけれども、埼玉県の八潮市の道路陥没事故。これは、まだ被害者の方が救出されていない、でも、現場の消防、八潮市の消防の方は本当に大変な御苦労をされている、それは本当に敬意と感謝を申し上げたいと思います。ただ、やはり、消防の体制が、どうしても、市区町村の消防と、あと、私も初めて知ったんですけれども、都道府県と政令市には特別高度救助隊というのがあって、特に東京消防庁にはハイパーレスキュー隊というのがあって、非常に、世界でもトップレベルの訓練も受けたすばらしい精鋭部隊があるんですが、残念ながら、機動的にそういった都道府県や政令市が市区町村に応援に行くという体制になっていないんですね。
これも聞いて驚いたんですけれども、都道府県、政令市と市区町村の消防は全部対等だというんですよ、上下関係はないんだと。それはある意味地方分権だからそれはそれでいいんですけれども、例えば警察だったら、警察庁があって、都道府県警があって、その下に所轄署があって、それでやはり機能していく。
そういった中で、やはり、地方分権だからといって横一線の体制というのは、私はこれはちょっと改めた方がいいと思いますけれども、総務大臣、いかがですか。
○村上国務大臣 今回の埼玉県の八潮市における道路陥没事故では、総務省消防庁から草加八潮消防局に対して、東京消防庁やさいたま市消防局への応援要請を行うように助言し、これらのレスキュー隊が救助活動をしたところであります。
また、消防庁職員を現地に派遣しまして、情報収集や関係者との調整等を行うなど、地元消防と密接に連携して取り組んでまいりました。
消防については、市町村消防の原則として、市町村がその区域の消防に関する責任を有しております。これは、住民の生活に関係の深い事務はできるだけ市町村が処理するという地方自治の原則にのっとったものであります。
一方で、都道府県は、消防学校の設置や航空機を用いた支援などを行うほか、市町村に対して、必要に応じ、消防事務に関して助言等を行うこととなります。
消防の充実発展のためには、市町村と都道府県がそれぞれの立場において任務を分担し、協力していくことが重要であるというふうに考えております。
以上であります。
○高井分科員 まあ、官僚というか総務省が答弁を書けばそうなるし、それを今日大臣がお読みになるのも仕方ないと思います。ただ、やはり今申し上げた、ちょっと構造的に、確かに、身近な地域のことは市町村がやるという、それは一般の行政のときはいいですよ。だけれども、本当に人の命が救えるかどうかみたいなときに、やはり、今回一つの大きな教訓だったと私は思いますから、消防の体制をこの際見直すというか検討する、これは、私は、本当に村上大臣でしかできないと思うので。これは本当に重大な事故でありますから、消防にとっても非常に教訓を得たことだと私は思いますので、是非御検討いただきたいと思います。
もう一問、消防についてお聞きをしますが、ちょっとこれからがらっと変わるんですが、消防の操法訓練大会、これは地元で確かによく消防団が集まって訓練を、私も応援に行ったり、大会にも行きましたよ。だけれども、これが、実は四年前に私、国会でこの質問を取り上げたら物すごく反響があって、もう操法大会をやめてくれという声が全国から、当時はツイッターでしたけれども、何百件も集まって、その中の代表的な意見を抜粋してちょっとホームページに上げたり、それから委員会でも配ったんですよ。なので、当時のそれを持ってきたので、その中でも代表的なのをちょっと読ませていただきます。
私の地域では、操法大会前に二か月間、週五日から六日で二時間以上練習があり、チーム競技のため休めません、その後、格納庫で酒飲みがあるため、拘束時間は四時間ほどあります、期間中は眠気と疲労で本業はおろそかになり、身体、精神への負担で若手は入団しませんとか、私たちは自分の時間や家族との時間を削って式典、操法大会をやりたいのではありません、あくまでも自分の住んでいる地区を守るためであり、操法大会はその本来の消防団の在り方から大きく外れていると思いますと。
あるいは、古参団員の意見よりもこれからの若手団員の生活様式に合った活動にすることが必要と思います、また、けがが六〇%以上が操法で発生するというのも一般常識からは異常です、団員、関係者へのアンケートをお願いします、アンケートを全国に行わないのは、操法大会反対が多いのが分かっているからわざとやらないのです、ひきょうですというような厳しい、結構、これはやはりベテランの、分団長とかの方はやりたいから、何かアンケートを取っても本音がなかなか、総務省もアンケートをやっているというんですけれども、どうも本音が取り入れられていないんじゃないかと。
私は、この消防大会というのは、四年前から提言しているんですけれども、改めて、それから四年たって、しかも村上総務大臣というリーダーシップのある方がいらっしゃるときに、もうこの際、廃止の方向にかじを切ったらどうかと思いますが、いかがですか。
○村上国務大臣 この点に関しては、いろいろ御意見があることは聞いております。
ただ、我々としましては、消防操法は、消防団員が災害現場で安全かつ迅速に活動するために重要だと考えております。
また、操法訓練や操法大会は、消防技術の習得や士気の高揚、一体感の醸成などの効果があります。
その一方で、操法大会については、負担が大きいとの声があることも十分聞いております。
そのため、全国大会については、パフォーマンス的、セレモニー的な動作を審査の対象にしないなど、より実効性を高める見直しを行っております。
また、都道府県や市町村の大会においても、負担軽減を図る様々な取組が行われております。操法大会を含めた消防団活動の在り方については、各地域の実情を踏まえて判断いただくことが適切だと考えております。
総務省消防庁としては、引き続き、各地域の声もよく伺いながら、優良事例の横展開を図るなど、より実効性の高い活動を促してまいりたい、そういうふうに考えております。
○高井分科員 今の大臣の答弁、実は私のXには、いつも総務大臣や消防協会は、団員の一体感や士気の高揚を図るとか、決まり文句しか言わないです、それしか言えないのでしょうかという厳しい御意見もあります。今日はそういうお答えだと思いますが、私、十三年総務省に勤め、それから、国会議員になってからも総務委員会一筋でやってきた中で、選びに選んで大臣に提言をしておりますので、大臣の任期の間に是非一つでも二つでも前に進めていただきたいな、そのことをお願いいたします。
次も消防に関わることなんですが、これは災害との関係でお聞きをいたします。
実は、私、西日本豪雨災害が二〇一八年、大臣の御地元も大変だったと思いますが、あのときは岡山で国会議員でしたので、被災地にずっと入ってボランティアしたり、泥かきしたり、いろいろ避難所を回ったりしました。そのときに、たまたま避難所学会の会長さん、榛沢先生という新潟大の教授と知り合いまして、イタリアがとても進んでいる、イタリアまで見に行きましょうと言われて、うわっ、イタリアと思ったけれども、その年、行ったんですよ、イタリアまで。そして、そのときの記録が残っているので、是非ちょっと読ませていただきたいと思います。
イタリアには市民保護省という立派な省庁があるんです。今、防災庁をつくろうという話がありますけれども、イタリアのこの市民保護省というのは、一九八〇年にイルピニア地震という、死者二千七百名が出た、そういった地震を機に設立されて、これまで各省庁でばらばらに行われていた防災、人命救助、被災者支援、防災訓練などを全部まとめてやろうということで、七百名の職員がいて、立派な建物の中に省庁があるんです。
私、一番驚いたのは、その省庁の中にボランティア室というのがあって、四十六のボランティア団体が一部屋ずつ割り当てられて、ボランティアが常駐しているんですね。こういうすばらしい取組。片や日本は、内閣府防災というところに百人足らずの人が各省庁から寄せ集めで集まっているだけ。この辺を、防災庁をつくるのはいいんですけれども、今日、防災庁準備室の方にも来ていただいているから是非聞いていただきたいんですが、これはやはり、イタリアぐらいのものを是非つくりたい。
総務大臣にお聞きしたいのは、イタリアにはボランティアが八十万人いる、登録しているだけで百二十五万人いるというんですね。このボランティアさんが対応するわけですけれども、さらに、イタリアには州が二十個あるんですけれども、州の中にも市民保護省があるんですね。だから、日本でいえば、防災庁の出先機関が各都道府県にあるみたいなものですね。そこからの要請で、八十万人いる災害ボランティアに、被災が起こると派遣要請をする。そして、派遣期間は原則として一日から七日間、一週間ですね、この間は、法律で、七日間まで休暇が認められているというんですね。国は、ボランティア参加者に日当、交通費それから労災保険などを支給をする、雇用主に対しても、その休んでいる間のお金を補償する。それから、七日間以上ボランティアを続けたい場合には、雇用主の許可を取れば更に続けてできる。これは本当に優れた制度だと思います。
この八十万人という数字が、まさに日本の消防団の数と結構一致しているわけですよ。だから、私は、ぱっと思ったのは、八十万人も災害ボランティアが登録しているのはすごいな、だけれども、日本だって八十万人以上の消防団員がいるな、しかも、日頃から訓練もしているなと。これは、まさに消防団がこういった業務を担っていただくことがいいのではないかと。
これは関西大学の永田教授という方がおっしゃっているんですけれども、消防団の役割が自然災害、防災に変化してきているが、相変わらず消防団の訓練は、いわゆる百年前から続いている、火災への対応をするための訓練にとどまっていると。こういう意味からも、操法大会も見直した方がいいし、また、こういう消防団をイタリアのようなボランティア組織として、災害対応としてこれから頑張っていただく、そういう仕組みを、さっきのイタリアのように休暇制度を設けたりしてやるというのが、私は非常にいいアイデアじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○村上国務大臣 委員が言われるように、イタリアにおいて、大規模災害時にボランティアが避難所の設営や運営を行っていることは聞いております。
ただ一方、我が国の消防団についても、地域に密着したボランティア的性格を有するものは多々拝見することはできまして、消防組織法に規定された消防機関でもあり、令和六年能登半島地震においても、避難誘導、消火、救助、傷病者の運搬など、発生の直後から懸命に、一生懸命従事いただいているところであります。
消防団は、災害大国である我が国において、地域に密着した歴史と伝統のある、地域防災力の中核を担う組織と認識しております。
今後、御指摘のあったイタリアの事例についても関係省庁と連携して勉強しながら、消防団を始めとする地域防災力の充実強化に努めていきたい、そういうふうに考えております。
○高井分科員 おっしゃるとおり、例えば休暇制度をとかいうことは、これは総務大臣の権限じゃないかもしれませんので、これは関係省庁と連携いただく必要があるんですが。
実はこの質問を私、四年か五年前に災害特別委員会でやったら、赤澤副大臣、当時災害担当だったんですけれども、質疑を終わった後、私のところに歩み寄ってきてくれまして、いや、いい考えですね、私も消防団の活用をちょっと考えていたんですよと言ってくれたので、あっと思っていたんですけれども、そこから四年たって、今まさに、防災庁を設置する担当大臣に赤澤大臣がなりましたから、村上大臣と赤澤大臣、仲がいいのか悪いのか分かりませんが、是非これは連携していただいて。
いや、本当に私はいいアイデアだと思いますよ。さっき大学教授も言っていたように、火災の火を消すというだけの、江戸時代の火消しから消防団というのは始まったので、その伝統はいいとしても、やはり、災害がこれだけ多発する中で、イタリアのようなボランティア、イタリアも、五百年前からあるそうなんです、十字軍の頃からボランティアの精神がある。そういう伝統的な組織があるからこそ、イタリアでは本当にすぐに駆けつけて。
ちなみに、イタリアのことをもうちょっと紹介すると、イタリアの法律では、すごいんですよ、災害発生から三十五分以内に災害対策会議が開かれるということが決まって、実際に、二〇〇九年のラクイラ地震は、午前三時三十二分に発災したんですが、午前四時十四分に会議が開かれて、午前四時四十分には支援部隊が、第一陣が出発しています。
その災害対策の会議室、私も見せてもらったんですけれども、首相が座る席、朝は首相はいないかもしれませんけれども、市民保護省の長官が座り、それから軍、警察、消防始め関係省庁、それからボランティア団体、赤十字、山岳救助隊、こういった人たちが座る席があって、さっき、市民保護省の中に四十六のボランティア団体が常に常駐していると言いましたけれども、そういう人が素早く行くという体制になっていますので、まさにこういう仕組みを是非、イタリアは本当に参考にすべき話だと私は思います。
内閣府防災もイタリアに視察に行ったようなんですけれども、その報告書をちょっと読みましたけれども、何か、ボランティア団体は、イタリア赤十字の登録は十五万人と書いているんですけれども、さっき言ったように、八十万人。赤十字だけじゃなくて、大体四つぐらい大きな災害ボランティア団体がイタリアにはあって、何でこれは赤十字だけ書いているのか。こういうところで、何か国民にミスリードしようと内閣府はしているんじゃないかと疑いたくなるわけですよ。
この防災庁、これはさすがに総務大臣に聞くわけにはいかないので、内閣官房なんですかね、防災庁の準備室に聞きますが、どのような人員、これも大事なんですよ。内閣府防災とか、もういろいろな省庁から寄せ集めて、二、三年でまた戻っていって、だから災害のエキスパートが集まっていないですよ。これは、どのような人員をどのくらい集める考えか、教えてください。
○河合政府参考人 委員の御質問にお答えします。
令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁は、防災業務の企画立案機能の抜本的強化に取り組むとともに、政府の災害対応の司令塔としての機能を担う組織といたしまして、十分な人数の災害対応のエキスパートをそろえる方針としております。
防災庁設置までの間も、できることから取り組む所存でございまして、先ほど委員の方から百名足らずとお話がありましたが、実際、今、内閣府防災、百十名の定員、これを令和七年度から二百二十名に倍増するとともに、都道府県とのカウンターパートとなる地域防災力強化担当というのを置くことにしておる予定でございます。
現在、防災関係分野の専門家で構成される防災庁設置準備アドバイザーを開催しておりまして、必要な体制の在り方についても御意見を伺いながら、防災庁に求められる組織体制を検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○高井分科員 さっき言いましたように、イタリアは七百人ですからね。人口は日本の半分ですから、イタリアは。それで、立派な建物の中に四十六のボランティア団体、各部屋もある。そのくらいのことを、今の答弁だと、何か二百人ぐらいからスタートするんじゃないかなというようなちょっと危惧があるので、是非、そこはしっかり、本当にエキスパートを集めていただきたい。
それから、やはりボランティア組織との連携が何より大事で、イタリアを見習うべきだと私は思いますが、これはどう考えていますか。
○河合政府参考人 お答えします。
災害対応において、ボランティア団体と連携を図ることは重要であると考えております。このため、避難所運営等を担う地域のボランティア人材の育成研修を行うとともに、被災地支援について専門的な知見を有するNPO団体等の活動支援、調整を行う災害中間支援組織の育成などにも取り組んでおります。
また、今国会に提出しております災害対策基本法の改正案において、ボランティア団体等の登録制度を創設する予定でして、官民連携の強化を進めることとしております。
さらに、先ほど御答弁申し上げました防災庁設置準備アドバイザー会議には、先ほど委員がお知り合いだというふうにおっしゃっておりました榛沢先生も含めまして、イタリアの避難所運営やボランティア組織に精通された有識者にも参画をいただいておりまして、令和八年度中の防災庁設置に向けて、専門家の御意見もいただきながら、ボランティア団体との連携の在り方について検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○高井分科員 いや、本当に榛沢先生の意見を是非聞いていただきたいと思います。ちょっと何か、余り聞いてもらえないみたいなことも言っていましたよ。
やはりイタリアは本当に参考になりますから、是非、皆さん御自身も行っていただいて、市民保護省、立派な建物にボランティア団体が入っていますから。今の災害ボランティアの方はかなり不満があって、形上の会議みたいなのはあるけれども、やはり本当にイタリアのような連携まではいっていないと思いますので、是非ここは見習っていただきたいと思います。
それでは、もう一度大臣に戻りたいと思いますが、これは選挙の話でございます。
公職選挙法が、この間、衆議院は通過いたしました。(村上国務大臣「通過していない、委員会だけ」と呼ぶ)委員会で可決しただけですね。そこで、その法律の中身はちょっと今日はおいておいて、今後の論点というのを選挙に関する各党協議会という中で出していまして、その中に、私が提案をした三つが入っているんですね。
それは、一つは、公営掲示板を効率化すべきだと。私は、公営掲示板というのはあった方がいいとは思うんですが、ただ、あれに各候補者が一人一人ポスターを貼って回るというのは本当に大変で、特に、我々れいわ新選組のような小さな政党で、ボランティアしか応援団がいない政党は、本当にこれは、平日の公示日に、初日に貼り切るというのはめちゃくちゃ大変です。だから、例えば、選挙の届出をもうちょっと早い時間で終わって、ポスターもあらかじめ登録されている方に届け出ておいてもらって、選管が、御苦労ですけれども、全候補者分を貼るということをしていただくと、本当に私は効率的だと思う。
あと、証紙貼りですよ。これは大臣ぐらいになったらやったことないかもしれませんけれども、本当に大変なんです。一センチぐらいのをぺたぺた、七万枚も。これも、五十人ぐらい人を集めて、ある意味、選挙の参入障壁になっているんですよ。この人を集められないがゆえに、やはり立候補は難しいという。こんなの、本当に今、電子透かしみたいな技術で、確かに、七万枚以上配られたら困るから、何らかの印は要るんだけれども、別に証紙、紙で貼らなくたってできますよ。こういうことを是非、やはり知恵を集めて考えていただきたい。
それから、選挙人名簿の書き写しというのも、これはすごく手間がかかることを、せっかくそういう制度があるのに、わざとできないようにしているように私は感じます。
これは、各党、全党にこの間意見を聞いたら、三の選挙人名簿は、いろいろちょっと個人情報への配慮があるというのがありました。あと、一も、なかなか簡単ではないかもしれない。だけれども、二は、これはできるんじゃないかと、ほぼ全党が一致してくれましたので。
これは国会で決めることとかいうことをおっしゃるかもしれませんけれども、実際は、やはり総務省がやりますよというゴーサインを出せば、だって、今、各会派みんな賛成なんだから、あとは総務省がよし、やりましょうと言ってくれれば一気に進むので、是非、総務大臣として、これを前向きにやろうとおっしゃっていただけませんか。
○村上国務大臣 御希望はよく分かります。私も、もう十四回選挙をやっていますから、自分で証紙を貼ったりポスターを貼ったり、本当に苦労しました。
ただ、まず、公営掲示板の効率化については、現行制度において、デジタルサイネージを含め、選挙運動のための電光表示などを用いることは一応原則としては禁止されておりまして、これを変えようとする場合には、選挙運動のための電光表示の利用をどのような範囲で認め、実際にどのように表示するか、これをまず検討しなきゃいけないと思います。それから、金のかからない選挙の観点から、設置に係る経費などをどのように考えるかなどの論点がまだ残っているように思います。
また、選挙運動用のポスターの掲示は選挙運動そのものであることから、選挙の公正かつ適正な管理のため、政治的中立性が求められている選挙管理委員会が関与することについては、慎重に検討しなきゃいけないというふうに思います。
また、今言われた選挙運動用のビラの証紙貼りの効率化については、御承知のように、証紙は、ビラの枚数が制限されていることに伴い、その枚数を確認するためのものと考えております。
証紙に代えて、例えば、委員が言われるように電子透かしを活用することについては、それのみによって、ビラが枚数制限を超えて印刷されていないかの確認はどういうふうにしたらいいか困難であると思います。そういう課題もあると思っております。
それから、選挙人名簿の抄本の閲覧については、個人情報保護の観点から、平成十八年の改正により、閲覧要件を限定し、厳格な手続を設けるとともに、不正閲覧をした者に対する罰則が整備されました。
また、従前、コピーの根拠となっていた便宜供与規定についても、不当な目的の閲覧や流通等のおそれがあるため、削除されているところであります。
選挙人名簿の閲覧については、こうした法改正の経緯や個人情報保護との関係を踏まえて議論されるべきものと考えております。
いずれにしましても、私も十四回選挙をやって、証紙貼りからポスター貼りから本当に苦労した、そしてまた、それは委員の気持ちもよく分かりますけれども、それぞれの今までの課題をやはりきちっと精査して、合理性があることにならないとなかなか難しいんじゃないかと思います。
そういうことで、最後はもう、御存じのように、この選挙に関する法案は各党協議に委ねられておりますので、その在り方について積極的な議論を各党協議会でお願いしたい、そういうふうに考えております。
○高井分科員 まあ、今の答えは笠置選挙部長がいつも言っているので分かりますけれども、だから大臣にあえて今日は聞いていますし、さっきも言ったように、各党会派、変えたいんですよ。だから、本当にボトルネックは総務省ですから。今言ったお話、私はいっぱい反論できると思いますよ。特に電子透かしは、絶対方法はありますから、本当に大臣のリーダーシップで、いや、笠置選挙部長はそう言うけれども、ちょっとやろうよと、これは本当にレガシーですよ、これを変えたら。
私は本当に、これは総務大臣が決断していただいたら、各党協議会、各会派、全員賛成になりますから、是非これは実現していただきたいということをお願いして、もう時間になってしまいましたので、また、湯本さんと玉田さんには済みませんが、これで終わります。
ありがとうございます。
○田所主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。
次に、向山淳君。
○向山(淳)分科員 自由民主党の向山淳でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日の質疑につきましては、政府参考人の皆様からの御答弁をお願いをしておりますので、大臣におかれましては、大変お忙しいことと存じますので、御退席されていただければというふうに思います。長い一日、お疲れさまでございました。
○田所主査 どうぞ、大臣、御退席ください。
○向山(淳)分科員 それでは、続けさせていただきます。
まず、地方自治体のシステムの標準化についてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。
私、前職はシンクタンクの研究員をしておりまして、その際に新型コロナの感染症が勃発をいたしました。そのときに、新型コロナ対応・民間臨時調査会というような独立の調査会のメンバーとして、政府の対応について調査報告書をまとめたということがございます。これは、第一波が落ち着いたときに、第二波が来るということを見越して、政府の対応の課題やベストプラクティスを洗い直すというような試みをしたものであります。
そのときに、政策の執行力のボトルネックの一つとして挙げていたのが自治体のデジタル化、標準化という部分でございました。当時は、マイナンバーカードの普及率も非常に低いという状況の中で、給付金を即座に払おうにも口座はひもついていないし、オンライン申請に切り替えようというふうに対応のために施策を打っても、自治体の事務と連携をするのが難しいというような状況でございまして、千七百余りある自治体がそれぞれのルールでカスタマイズされたシステムの開発をしているということが、統一的な国の施策の浸透というのを難しくしたというような側面があったというふうに思います。
この報告書をまとめるときに、当時の加藤厚労大臣にインタビューをいたしまして、政府の方針の円滑な執行に苦労したというこの一連の経緯を振り返られて、加藤大臣が、デジタルトランスフォーメーションの遅れが最大の課題だったというふうに総括をされておられました。以降、デジタル庁の発足であるとか、又はマイナンバーカードの用途の拡大など、着実に政府、自治体を含めた行政のデジタル化も進んできているというふうに拝見をしております。
そこで、令和三年に成立をいたしました地方公共団体情報システムの標準化に関する法律ということに基づきまして、二十の標準化対象業務について適合した情報システム、標準準拠システムの利用というのを今義務づけておるかと思います。今後の住民サービスを含めた行政の事務の円滑な実施のためには非常に重要なステップであるというふうに思う一方で、移行期限を二〇二五年度末というふうにしておりまして、野心的な目標であるかなというふうにも思っております。
まず、総務省に、当初の二〇二五年度末としておりました標準準拠システムの移行の進捗状況、そして移行期限までにどれぐらいの団体が完了する予定なのか、お伺いをいたします。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、令和七年度末までの移行ということで今準備を進めてございますけれども、その中でも移行が難しいと考えられるシステムもございまして、現時点で二千百六十五システム、全体の六%、当該システムを有する自治体数は四百二団体、全体の約二割となります。
令和七年度末までの移行が難しいと考えられる要因としましては、移行作業が進捗する中、事業者の不足等が明らかになってきたということだというふうに認識してございます。
しかしながら、逆に申し上げますと、大部分のシステムにつきましては移行作業が着実に進捗していると認識してございまして、今後も、標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行に向けて、自治体の御意見を丁寧に聞きながら、デジタル庁とともに必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○向山(淳)分科員 ありがとうございます。
政令指定都市など、人口とか職員も多いというような、独自のシステムでメインフレームを使っていましたとかいうところは、非常に複雑なシステムであられるかと思いますし、非常に大変なんだろうというふうに想像をいたします。また、これだけ多くの自治体が同時に作業されるという中で、事業者も限定的な中でということで、デジタル人材が足りないということも今大きな課題だというふうに認識をしております。
そんな中でも、移行期限の延長に関しては御理解が示されている中で、優先順位を決めて、困難な自治体はしっかり国が支援をしていくとしていただいているのはありがたいことだというふうに思っております。
こういうふうに現場では種々御苦労がある中で、何で国に言われてこれをやらなきゃいけないんだというふうに思われている自治体もあられるかもしれません。私自身は、こうした状況がある中でもしっかり進めるべきものだというふうに考えておりますけれども、改めて、総務省に、自治体システムの標準化の意義そして効果についてお伺いをしたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
少子高齢化が進みまして、急速な人口減少が進行する中で、自治体の人的、財政的負担を軽減しながら、住民サービスの向上につなげていくということが重要なことだと認識してございます。
システムの標準化によりまして、標準化されたデータを用いた円滑なデータ連携が実現することで、住民サービスの迅速な提供が可能となる、また、制度改正の対応に必要な個別のシステム改修等の負担が軽減される、加えて、各事業者による競争環境が整備され、より安価で利便性の高いシステムを利用できるようになる、このような効果があると思ってございますので、引き続き、この事業についてしっかり進めていきたいというふうに考えてございます。
○向山(淳)分科員 ありがとうございます。
今言っていただきましたとおり、将来的にデータ連携をしていくということであったり、又は住民サービスがよくなるという視点で重要だということだというふうに思っております。
一方で、今一つ課題になっている部分としては、ランニングコストの部分、すなわち運営している経費の部分というのがあるというふうに認識しています。
国として、運営経費は少なくとも三割削減を目指すというふうにしていることと認識しています。一方で、この運営経費が移行後に大幅に増加する見込みの自治体というのもあるようであります。国の定める標準仕様が非常に多いということ、また、開発、保守費用が増えて、当初期待をされていましたガバメントクラウドの利用の低減効果が得られないというようなことも指摘をされております。
今般、中核市の市長会の皆様からも緊急要望が出されたと認識をしています。六十二の中核市を対象とした調査では、移行前の運用経費の平均は三億三千八百万円だったということに対して、移行後の運用経費は平均が六億八千四百万円ということで、平均二・三倍、五割以上の自治体で二倍以上増加をしてしまっている、また最大では五・七倍というふうな状況であったと聞いております。
私の地元の函館市でも、標準化前のランニングコストというのが六・三億円であった、ところが、標準化後の通年の見込額となります令和八年の運営経費は十四・四億円というふうに見込んでいるところです。結果として二・三倍という見込みになっております。函館市の場合は、財政を見ると一般会計で千四百八十一億円ということで、規模的にも、市の年間の農林水産予算が十三億円、そういった規模感の自治体であります。その中で、八億円の増加というのは非常に負担が重いという状況であるかと思います。
人口減少などなど、かなり自治体としても疲弊して、財政捻出に奔走している中で、国策でこうして対応しているシステムの運営費が非常に大きな痛手で、財政状況を圧迫させているという状況については非常に課題があるのではないかというふうに思っております。
そこで、デジタル庁にお伺いをいたします。
全国的に運営経費が削減をされずに増大をしてしまっているという自治体、今例として中核市を挙げさせていただきましたが、この課題についてどのような認識を持っておられるか、そしてその要因についてどうお考えかということについてお伺いできればと思います。
○三橋政府参考人 お答え申し上げます。
ガバメントクラウド上に構築されました標準準拠システムへの移行後の運用経費の増加につきましては、委員御指摘の中核市市長会だけでなく、ほかの地方団体からも課題としてお伺いしているところでございます。
運用経費が増加する要因でございますが、自治体の現行システムの利用形態や移行後のシステムの状況など、様々な要因が考えられます。例えば、令和五年度に実施いたしましたガバメントクラウド先行事業におきましては、特に、現行の環境がデータセンターでハードを共用している団体や自治体クラウドを利用している団体において、庁舎や保守拠点からガバメントクラウドへ接続するための回線が増加すること、ガバメントクラウド利用料について、現行利用中のシステム基盤とガバメントクラウドのサービスレベルを含めた価格差があるということ、また、クラウドに最適化されていないことによりまして、ソフトウェアの借料、保守料が増加することなどが主な要因として把握されているところでございます。
○向山(淳)分科員 御説明ありがとうございます。
様々な要因が絡まっているという部分もあろうかと思います。そして、当初の移行の効果についてお話を先ほどいただいたときに、標準化することによって、ベンダー同士の競争力が働いていくことによって、いわゆるベンダーロックインみたいなことがなくなっていってコスト削減が進むのではないかというお話もありました。
一方で、私自身の地域の実情を見ておりますと、そもそも地方では非常にベンダーが少ないというような状況の中で、私どもの地域も大手が一社いるというような状況であります。そういったところで価格の競争環境が働いて値が下がるかというと、なかなか難しいんだろうということも容易に想像がつくところであります。そして、恐らく、御指摘をいただいたように、本来であれば、クラウドに移行する過程で、いろいろなソフトウェアも含めて効率化していけるところが、まだまだ効率化の余地があるという部分もあるんだろうというふうに思います。
そういった中で、移行費用については、デジタル基盤改革支援補助金ということで御支援をいただいておりまして、この延長もしていただいているということで、安心して皆さん対応されているかと思いますけれども、私は、移行後についても、こうして運用経費が上がってしまった部分というのは、国がしっかりと対応していくということは重要なのではないかというふうに思っております。
この運営費の増大の問題に対して、政府としてはどのような対応、支援をお考えであるか、デジタル庁にお伺いをいたします。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
運用経費が増加する要因につきましては、先ほど申し上げましたとおり、自治体の現行システムの利用形態や移行後のシステムの状況など、様々な要因が考えられるため、まずは事業者の見積書の内容をしっかりと精査いただく必要があるというふうに考えております。
デジタル庁としても、運用経費が抑制できますよう、事業者に対しまして見積内容を自治体に丁寧に説明することの要請、また、依頼があった自治体への見積精査の支援を行いますとともに、クラウド利用料につきましては、昨年末のデジタル行政推進法の改正による国及び自治体のクラウド利用料の一括払いを前提とした、できる限り大きな大口割引率の確保に向けた交渉、さらに、ガバメントクラウドの適切な利用によるコスト最適化のアプローチガイドの提供などによりまして、クラウド最適化の支援などの取組によりまして自治体を最大限支援しているところでございます。
その上で、標準準拠システムへの移行後の運用経費につきましては、自治体が現行システムで負担しております運用経費に相当しているものでありますことを踏まえまして、各自治体が負担することが基本となるところでございますが、ガバメントクラウドの利用料等の増加分につきましては、デジタル庁で把握しているガバメントクラウドへの移行状況等を踏まえまして、所要の地方交付税措置が講じられることとなっております。
○向山(淳)分科員 御説明ありがとうございます。
まずは、各自治体の運営経費の見積りとして出てきているものが最適なものであるか、プロの目も含めて精査をしていただけるということで、自治体に寄り添った対応をいただけるものと期待をしております。
本当に大変な作業を一気にやられているということだというふうに思いますけれども、私がシンクタンクで提言をさせていただいて、デジタル庁の設置の議論をしている際の有識者会議のときに、慶応大学の村井純先生が、アナログテレビを廃止してデジタルテレビに移行したときのことを引き合いに出しながら、誰一人取り残さない社会の形成を目指すということについては、難しい目標にも思えるけれども、一一年の七月にアナログテレビを廃止してデジタルテレビに移行したときは、エコポイントを活用して一〇〇%の移行を達成した、目標を決めて、トップの意思決定の下で、国民みんなで助け合う仕組みをつくることができれば、達成の道がおのずと開けてくるというようなお言葉を言っておられました。
本当に大変な作業であるかと思いますけれども、移行の先というのは、先ほど効果を御指摘いただきました、自治体の運営の円滑化、そして国民の利便性の向上のための標準化だというふうに思っておりますので、しっかり全国で完了することをお助けをいただきたいというふうに思います。
費用については、先ほどの見積りの精査の支援という形で、今、高いと言っている自治体についても、将来的な低減につながることを期待をしております。また、ガバメントクラウドの利用料部分の増加分については地方交付税措置が講じられるという認識もいただきまして、リソースが十分ではない中で、現場で日々大変な思いをされております自治体の状況を理解した対応を引き続きお願いを申し上げたいというふうに思います。
続いて、地域の自主防災の要であります消防団についてお話を伺ってまいりたいというふうに思います。
私も、年始に地元で、選挙区内に二市十六町あるものですから、各地域の消防団の出初め式に参加をさせていただいたりして、各町村の消防団の皆様ともお話をする機会をいただきました。日々のお仕事がある中で、地域のためにということで、訓練や研修に参加したり、また火災時に出動したりということで、本当に頭が下がる思いであります。
そんな消防団の方々の人数も、昭和四十年には百三十万人を超えていたというところから、現状、七十五万人を割って、減少が続いているというような状況かと思います。高齢化も進んでいる中で、こうした重要な役割を担っている方が減少しているということについては非常に危機感を持っております。
一方で、最近、防災士と呼ばれる方々の集まりにも参加をさせていただきました。防災士は二〇二四年に三十万人を超えたということで、増えているような資格者であります。地域に貢献したいと思っている方であったり、又は防災が重要だというふうに思っておられる方々というのは各地域に多くいらっしゃるのだなというような印象を持っております。
両者は、避難所設置の際に地域の例えばリーダー役として役割発揮するといったようなことが考えられて、領域としても近接なところで親和性も高いように思うんですけれども、一方は休日の訓練であるとか実働の部分も含めてコミットメントが非常に大きいということであったりすることが、両者の人数の差というところ、傾向の差というところにもあるのだろうかというふうに想像をしております。いずれにしても、消火活動に実際従事する、手足を動かしてくださる消防団の方々が減っているということはじくじたる思いであります。
そこで、消防庁にお伺いをいたします。
今後、どのような方策によって消防団員の人数を確保していくという施策を考えておられるか、御見解をお願いいたします。
○田辺政府参考人 大規模災害になればなるほど、地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、団員確保を含めた消防団の充実強化を図ることが極めて重要と考えております。
そのため、消防庁では、消防団員の処遇の改善、女性や若者にターゲットを置いた広報、機能別消防団員制度の活用、企業と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、様々な対策を講じているところです。
また、女性、若者に関心が高いドローンの操縦講習を拡充し、技術が習得できるメリットを周知することで消防団への入団促進につなげるほか、消防団の力向上モデル事業により、防災士と連携した防災教育、女性が活動しやすい環境づくり、デジタル技術の活用促進など、自治体が行う団員確保に向けた取組を支援しております。
さらに、地域で防災に関心が高い方へのアプローチも効果的と考えており、特に防災士の方々には、消防団に入団していただくため、日本防災士機構と連携し、日本防災士機構のメールマガジンを活用した入団の呼びかけ、防災士の合格者に対する消防団入団促進リーフレットの配布などを行っております。
このほか、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても、各地域の優良事例を取り上げつつ、消防団員の魅力発信や負担軽減などのノウハウを紹介したところです。
今後とも、それぞれの地域において、防災士を始め、防災に知見や関心が高い方々の一層の活用を図るなど、地域防災力の充実強化に取り組んでまいります。
○向山(淳)分科員 ありがとうございます。
確かにドローン操縦なんかの資格が取れるよというメリットであったり、今までなかなか参加が少なかった女性といったところにもターゲットを広げてリクルートをされているということで、御努力に感謝申し上げます。そして、先ほど言っていただきました防災士との連関の部分というのも意識をされた上でアプローチをされているということも理解をいたしました。
ちなみに、こうして実際に防災士と消防団の方々が連携するような協働事例というものもあられるのでしょうか。
○田辺政府参考人 能登半島地震を始め、近年、災害が頻発化、激甚化する中、被害を最小限にするためには、自助、共助の取組が重要と考えております。そのような中、防災士の方々には、地域防災力の担い手として、消防団等と連携し、日々御活躍いただいていると認識しております。
分科員御指摘の消防団と防災士との連携事例については、例えば、避難所運営や大規模災害を想定した訓練、学校における防災教育、女性消防団員と女性防災士が連携した子育て世代向けの防災ハンドブックの作成、防災士資格を持つ消防団員による地域住民向けの救命講習等の実施などが行われており、消防庁において、モデル事業により支援するとともに、優良事例として積極的なPRを行い、全国への横展開を図っております。
今後とも、地域防災力の充実強化のためには、消防団を始め、多様な主体が相互に連携協力して取り組むことが重要と考えており、引き続き、消防団と防災士等、多様な主体の連携を促進してまいります。
○向山(淳)分科員 様々な連携のシーンがあるということで例示をいただきまして、ありがとうございます。
防災士の方々については、地域でお話を聞いているところでも、資格を取った後、なかなか活動を、どうすればいいのか分からないというまま有資格者としていらっしゃるという方々も多くいらっしゃるというふうに認識をしています。一方で、消防団の皆さんは、本当に定期的な研修であったり訓練であったりと枠組みがすごくしっかりしているのかなというふうに思っておりますので、今後も、地域によっては、防災士もきちんと組織化をされていて、教育機関と連携したり研修したりということをされているかと思いますので、一層の連携の体制であったりそれぞれの役割分担というところで好事例を広げていけるといいのかなというふうに思います。
次に、消防団の方々の処遇についてお話を伺えればと思います。
消防団の団長さんとお話をしていたときに、彼が悩んでいたことの一つに、担い手が減っている中で、勤続三十年を節目に辞めてしまう人が非常に多いんだというお話がありました。その理由を伺ったところ、勤続年数が三十年以降の退職報償金が、現行のテーブルでは三十年以降上がらないという中で、そのタイミングで退団をするという方が多いんだというようなお話でございました。二十代で参加すれば、三十年たって五十歳ということで、知見も経験もあって、人生百年時代でまだまだ働き盛りというような状況で、人員不足もある中で抜けてしまうのは非常に痛いよねという話もございました。
そういった意図でテーブルをつくっているわけではないというふうには思いますけれども、勤続三十年を超えると上がらないという状況になっていると、無意識の壁というようなことにもなっているかもしれません。
勤続年数三十年を超える団員の退職報償金の在り方について、消防庁のお考えをお伺いできればというふうに思います。
○田辺政府参考人 地域における消防防災力を維持するためには、新たな消防団員の確保だけでなく、特に高齢化が進む地方においてはシニア層の団員の活躍促進が重要と考えております。
こうした背景を踏まえ、分科員御指摘の退職報償金については、令和六年十二月に消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律施行令を改正し、新たに勤務年数三十五年以上区分を追加し、三十年区分から一律十万円の増額としたところでございます。
この改正政令の令和七年四月一日の施行に向けて、本年一月に全国の自治体に対して発出した通知において、自治体での条例改正を遺漏なく進めていただくとともに、年齢により一律に退団させる定年制の撤廃や、消防団に親和性の高い関係機関OBの活用の促進をお願いしており、引き続き、自治体と連携しながら、シニア層の活躍促進を図りつつ、消防団員の確保にしっかりと取り組んでまいります。
○向山(淳)分科員 ありがとうございます。
タイムリーにこの四月から三十五年以上の枠組みができるということで、三十五年になったらまた三十五の壁になるのかもしれませんけれども、少しでも長く働いて活躍をしていただくインセンティブというのが一歩進むというのはありがたいことだなというふうに思っております。
そうした今の全体のお話の中で、これからも、女性であったり、又はシニア層であったり、様々な方が自主防災の担い手として活躍をされているということだと思いますが、この先、やはり高齢化であるとか人材不足というのがある中で、デジタル技術の活用、デジタルだけにかかわらず、技術の活用というのが重要だというふうに思います。消火用ドローンであるとか、技術開発に関する政府の取組についても教えていただければというふうに思います。
○田辺政府参考人 人口減少や高齢化が進む中、デジタル技術を活用し、消防活動の省力化、効率化に資するDXの取組を進めることは重要と認識しています。
そのため、消防庁では、競争的研究費を活用し、企業や大学等に公募を行い、消防本部と連携して研究開発を行うことにより、官民連携による消防現場へのDXや新技術の実用化の取組を進めています。
令和七年度予算案では、令和六年能登半島地震の検証を踏まえ、この競争的研究費を拡充することとし、これまでの研究テーマに加え、新たに消火用ドローンなどの研究開発に係る提案を募り、新しい技術の実用化を進めるための経費を計上しているところです。
今後も、消防機関や企業、大学等の関係者と連携を図り、消防防災の現場への実装を重点とした研究開発を推進してまいります。
○向山(淳)分科員 ありがとうございます。
本当に、日々の火災への対応という部分もそうですけれども、今後、南海トラフであるとか日本海溝、千島海溝の地震であるとか、様々な災害も予想される中で、防災を担う方々の重要性、そしてDXの重要性ということがますます高まってくるところかと思います。
皆様の、本当に地域の力を生かしていくということもしっかり進められる体制を後押ししていくべく、私も尽力をしてまいりたいと思います。
本日はありがとうございます。
○田所主査 これにて向山淳君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十八日金曜日午前八時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時三分散会