衆議院

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第2号 令和7年2月28日(金曜日)

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令和七年二月二十八日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 田所 嘉徳君

      栗原  渉君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    福原 淳嗣君

      おおたけりえ君    大西 健介君

      杉村 慎治君    西川 厚志君

      本庄 知史君    三木 圭恵君

   兼務 阿部  司君 兼務 阿部 弘樹君

   兼務 許斐亮太郎君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       牛山 智弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            湯本 博信君

   政府参考人

   (消防庁次長)      田辺 康彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  服部 真樹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           小野 功雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 竹村 範之君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   予算委員会専門員     中村  実君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  平沢 勝栄君     栗原  渉君

  大西 健介君     杉村 慎治君

  本庄 知史君     西川 厚志君

同日

 辞任         補欠選任

  栗原  渉君     井出 庸生君

  杉村 慎治君     おおたけりえ君

  西川 厚志君     下野 幸助君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     鈴木 英敬君

  おおたけりえ君    大西 健介君

  下野 幸助君     本庄 知史君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     福原 淳嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  福原 淳嗣君     平沢 勝栄君

同日

 第一分科員阿部弘樹君、第三分科員許斐亮太郎君及び第六分科員阿部司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

田所主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。栗原渉君。

栗原分科員 おはようございます。自由民主党の栗原渉でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、質問させていただく機会をいただきました。ありがとうございました。

 本日は、安全で安心できる社会づくり、これに資する地域防災力強化、このための消防団の方々、また団の運営等々、現状とその課題について、所管いたします消防庁の方にお尋ねをしていきたいと思っております。

 本日は、早朝より村上大臣には御出席賜ったところでありますけれども、大臣、どうぞ御退席をなさっていただいて結構でございます。ありがとうございました。

田所主査 大臣、お疲れさまでした。御退席を願います。

栗原分科員 それでは、続けさせていただきます。

 近年、大変、気候の変動等々ももちろん言われているところでありますけれども、消防団の活動、これは、日頃のいわゆる火災予防、防火に対する啓蒙啓発はもちろんでありますが、有事の際、火災の際は出動されますし、そして、近年は風水害も大変な、頻発化、激甚化しております。そして、台風もどんどん北上していくというか、私は福岡が地元でありますけれども、九州は比較的これまでも台風が非常に多かったんですが、全国どこでも同じような状況。そして、地震と。現在も大変な思いで、災害後、生活あるいは復旧に尽力されている方々、能登地方の地震災害の後はたくさんいらっしゃるわけであります。一日も早い復旧復興を願いながら、本日は質問をさせていただきたいと思います。

 消防団についてでありますが、昭和三十年、ですから戦後十年たった頃のところを見てみますと、もうその時点で二百万人を割り込んできているというような推移で来ています。ですから、今、人口減少社会に入って、少子化をどうするか、様々に今対策をやらなければいけないという時代に入っていますが、三十年というと、まだ人口がしばらくは増えていっているような、そんなに人口減少の社会ではなかったはずでありますが、その時点からも減ってきている、減り始めている。それは、恐らく社会構造の変化。

 そもそも、消防団は、発足当時、かつては自営業者の方々が自分たちの地域は自分たちで守ろうといって様々に発足してきた経緯もあるんだろうと思います。しかしながら、そういった就業の状況や、自営業以外の方が増えてきたという流れで今日に至っているんだろう、そういう要因もあるとは思うんですが、過去二十年ほど、消防団員の数といいますか、員数の経緯、推移を御説明をまずいただきたいと思います。

田辺政府参考人 過去二十年間における全国の人口と消防団員数についてでございますが、二十年前の平成十七年では、人口が約一億二千七百六万人であったところ、消防団員数については約九十万八千人と、人口全体の〇・七%を占めておりました。

 その後、消防団員数については、社会全体の人口減少、少子化の進展や被用者割合の高まり、若年層の価値観の変化などを背景に年々減少しており、令和四年度に八十万人を下回り、令和六年四月現在では約七十四万七千人と、人口全体の〇・六%となってございます。

 消防庁としては、こうした状況を踏まえ、地域防災力の中核を担う消防団員の減少に歯止めをかけ、消防団員の更なる確保を図るべく、消防団への入団促進など様々な施策に取り組んでいるところでございます。

栗原分科員 今御説明いただいたように、やはりどんどん減ってきているということであります。団員確保は、それは本当にそれぞれの消防団、あるいはその下部組織である分団、そして地域コミュニティー、自治会も含めて、相当実は頑張っていただいている中でも、今はこのような状況であります。

 そして、これは消防団に対する、ずっと長年というか近年というか言われてきたイメージを払拭しようとするためにも頑張っておられるということでありますけれども、私は、そもそも消防団に対する思いというのを、やはり国民一人一人がしっかり認識といいますか、思いを持っていただきたいなと常日頃思っています。

 と申しますのは、私は、昨年十月に初当選させていただいた者でありますけれども、その以前は福岡で県議会議員をやっておりました。度々の水害、風水害を実は経験しておりまして、平成二十九年、九州北部豪雨という激甚災害がございましたが、あれが、まさしく私が県議時代の選挙区、地元でございました。

 どこの大きな災害もそうでありますし、小さい災害も、実は被災者の気持ちというのはほとんど私は同じ思いになると思います。大変なことです。

 そして、事大きな災害が起きると、あるいは火災もそうですけれども風水害、消防団に出動をいただきます。そして、もとより、もちろん生業、いわゆるなりわいを持ちながら消防団に参加していただいて、そして活動いただくわけでありますが、激甚な災害の後、今回の能登もそうであったと思います、九州北部豪雨も、四十人以上の方が実は亡くなったり行方不明者が出ました。七月初旬の災害であります。九月いっぱい、十月に入るまで猛暑が続いた年でありました。そして、行方不明者がまだ見つからないという期間がずっと続いていくわけであります。そのときに出動していただいて、そして捜索もいただく。ここは本当に過酷な中で実は活動していただいているという実態でございまして、このこと自体に対する、やはり国民一人一人、私たちが、消防団の皆さんに対する感謝の気持ちというのを私は日頃からも持たなければならないというふうに思っています。

 とりわけまた火災においては、常備消防と消防団の組織、これが合わさってといいますか、連携し、その体制がある前提で実は地域の防災は組立てができておりますので、このことも忘れてはならない今の現状であろうかと思っています。

 今お話がございましたように、団員がやはりどんどん減ってきている。そこで、これまで国として、消防団活動のいわゆる支援といいますか、処遇等々も含めていろいろあると思いますが、団員確保のためにどのような取組、支援をされてきたのか、お答えをいただきたいと思います。

田辺政府参考人 分科員から九州北部豪雨のお話を御紹介いただきましたけれども、大規模災害になればなるほど地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、団員確保を含めた消防団の充実強化を図ることが重要と考えております。

 そのため、消防庁では、これまでも、消防団員の処遇の改善、女性や若年層にターゲットを置いた広報、機能別消防団員制度の活用、企業と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、様々な対策を実施しております。

 また、女性や若者の関心が高いドローンの操縦講習を実施してきており、技術が習得できるメリットを周知することで消防団への入団促進につなげるほか、消防団の力向上モデル事業により、自治体の入団促進の取組や、災害現場で役立つ訓練の普及など自治体が行う団員確保の取組や、消防団の災害対応能力の向上などの取組を支援しております。

 さらに、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても、女性や若者を始めとする幅広い住民の入団促進等に向けて、各地域の優良事例を取り上げつつ、そのノウハウを紹介したところであり、引き続き、こうした様々な施策を通じて、消防団員の更なる確保に向けて取り組んでまいります。

栗原分科員 かなり幅広く取組をいただいております。広報、そしてまた団員のメリットがどうなのか、これはよく言われていることでありますが。

 一つ御紹介をちょっとしておきたいと思っているんですが、私は、先ほど九州北部豪雨という話をしましたが、そこは比較的郡部、山間部が中心でありましたが、私の福岡五区という選挙区は、全国で実は選挙区内の人口が一番多いところでありまして、約八割が実は、福岡市の一部も入っているんですが、隣接した都市圏でありまして、非常に住宅地が多いところであります。そういった住宅地でもやはり、しっかりそういった都市部でも消防団が活動いただいております。

 そこで、その地域では、私はこれはいいことだと思っておるんですが、今、地域の防災力強化ということで、防災計画を作って、それぞれ展開していただいていますし、それから、それぞれの自治会、その活動のときに中学生も一緒に入っていただいている事例が非常に最近増えてきたなと思っています。これが私は大事だと思うんです。

 いざ災害があったとき、消防団員もそうですけれども、勤めていらっしゃる方がいらっしゃいますから、その現場にすぐ駆けつけられる人というのは、実は絶対数からまたぐっと減っていきます。そして、要支援者がいらっしゃる場合は声かけをしたり、様々にやる計画を作っているところがあるんですが、中学生ぐらいになるとやはり体力もついてきていますし、非常にこれは強い味方といいますか、能力を発揮する場合もすごくあると思っています。そのときにはやはり意識を中学生の皆さんが持っていただくこと、それから消防団活動にも持っていただく、これは是非、いろいろな地域でも、中高生には、防災のいろいろな活動、催し、地域の中でできるだけ参加いただけるような声かけを進めていただきたいと思っております。

 また、選挙区で大野城市というのがございますが、ここでは平成二十二年におおのじょう少年消防クラブというのを設立をされまして、これは小学生なんですね。消防活動を体験する、これにまた消防団の方々が指導員として一緒にやっていく。これは非常に、学校の方でも消防団ということを教えていたりしますけれども、地域の中、またクラブをつくって、意識する。これから担っていただく方々、どの世界もそうですけれども、を地道につくっていく活動でいえば、先ほど申し上げた地域の防災の取組の中に中学生、高校生に参加していただく、あるいは、大野城で見られるような少年消防クラブのような組織が広がっていけば大変いいなと思っておりますので、是非また、田辺次長には念頭に置いていただいて、広報や、様々な横展開の中でも御紹介いただければいいのかなと思っています。

 そして、そのように消防団の団員数確保に大変尽力をしながらも、非常に課題が多い中、近年、機能別団員あるいは大規模災害団員といった団員が設置されているというふうに聞いておるところですが、機能別団員あるいは大規模災害団員、この設置意義と今の現状について、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

田辺政府参考人 機能別消防団員制度は、消防団員の確保や消防団活動の多様化を図るため、全ての消防団活動に参加する基本団員を補完するものとして、基本団員と同様の活動が難しい方であっても、入団時に決めた特定の活動、役割に限定して参加することができる仕組みです。

 例えば、高齢者宅を訪問しての火災予防活動や住民を対象とした応急手当て講習等の分野で女性消防団員を中心とした機能別消防団員が活躍しており、消防団活動の負担軽減を図り、女性や若者など幅広い住民の入団促進につながる制度であると認識しております。

 このうち、大規模災害団員については、大規模災害に特化した機能別消防団員であり、大規模災害時に新たな業務が発生し、人員不足となる場合に出動し、災害情報の住民への伝達や避難誘導を行うなど、基本団員の補完的な役割を果たしていただいており、災害が激甚化、頻発化している近年、重要な役割を果たしていただくものと承知しております。

 機能別消防団員数については、令和六年四月一日時点で約三万八千人となり、消防団員の総数が減少する中、直近十年間で約二・六倍に増加しており、引き続き、各自治体に対し、機能別消防団員制度の導入を働きかけてまいります。

栗原分科員 ありがとうございました。

 今、女性消防団員、また大規模災害団員、特に非常にそちらの方が増えてきている。まさに、団の活動は、有事の際もそうですけれども、様々に実は日頃からの活動も多いんですね。全てかどうかは分かりませんけれども、毎月二回ほどは装備の点検をしたりとか、いざというときやはり装備が使えなければ何もなりませんので、実は日頃からも団の皆さんというのは出ていただいて、そして備えをしていただいている、これが日常であります。

 また、大規模災害団員については、事災害があったときに出動いただくということ、これは恐らく企業の関係者などもあるんだろうと思います。そして、風水害、火災はそうないかもしれませんが、例えば風水害のときは、いわゆる道路や河川といった工事を請け負っていただく、公共事業に関わっていただく建設会社は、県あるいは市町村といわゆる災害協定を取り決めています。そして、企業ごとに、例えば河川があったとして、この橋から次の橋まではおたくがやってくださいというような、実はゾーニングまで全部やって協定を決めています。そして、災害協定を結んでいただいた中で、事災害が発生しそうになったり、大雨で増水するとか様々出た場合は、すぐに行っていただきます。

 ここが消防団も実は同じなんですね。消防団も、風水害が発生すると、危ないぞというときには集まっていただく。そして現地で、今お話がございましたが、誘導や、様々な規制も含めて、安全確保のために移っていただくんですが、そこが結局、それぞれの役割として現地に入ります、現場に入ります。

 そこで、ここはこれからの少し課題として御認識いただきたいと思っているんですけれども、いわゆる初動期、初動の段階で、それぞれ役割の中で現地で活動いただくときに、その指揮系統が、それぞれの立場で行っているものですから、現場では少し困ったことがあったということも実際聞いてきていることでありまして、ここはちょっと実際どうなのかということを調べていただいたり、あるいは、指揮系統というのはもちろん組織が違いますから難しいかもしれませんが、現場で混乱ができるだけないような、日頃の意思疎通も是非強化をしていただきたい。これは要望をしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 それから、先ほど、団員の推移の中で、私もお話し申し上げたし、次長の方からもお話がありましたが、被雇用者の団員が増えているという中で、先ほどは、団員確保、あるいは処遇も始め、メリットについてのこともお話がありましたが、消防団の活動には、自身の大変崇高な思いが一番、まず第一。そして、団員になって活動する、これは家を空けてそれに当たるわけでありますので家族の理解、と同時に、被雇用者、会社でお勤めになっている方々はその会社のまた理解、事業所の理解、これがないと、やはり団活動というのは成り立っていかないんだと思っています。

 そこで、団員を出していただいている、出すというのはちょっとあれですけれども、社員として働いている団員がいらっしゃる会社に対する、まあメリットというような言い方、言葉がどうかとは思うんですが、やはりインセンティブ、うちの社員は消防団で頑張っているからというように、やはり胸を張って言っていただけるような環境や、そういった支援も私は必要だと思っているんですが、現在どのような、企業、事業所に対して、支援といいますか、いわゆるメリットがあるか、あればまたお聞かせいただきたいと思います。

田辺政府参考人 消防団員数の減少が続く中、消防団員の約七割が被用者であることを踏まえると、消防団員の確保のためには被用者の入団促進が重要であり、そのためには企業の消防団に対する一層の御理解や御協力が不可欠と考えております。

 そのため、消防庁では、従業員の方が消防団活動に参加することについて積極的に配慮するなど、消防団に協力する企業に対して消防庁又は市町村が認定を行う消防団協力事業所表示制度の活用を進めており、令和六年四月現在、千三百七十三市町村で導入されるなど、年々増加しているところです。

 また、自治体においては、認定を受けた消防団協力事業所に対し、入札参加資格の加点や法人事業税等の減免といった優遇措置などの様々な支援策が講じられており、こうした支援策の周知も図っているところでございます。

 また、消防団活動に特に深い理解を示し、消防団に協力している事業所等に対し、消防庁長官による表彰も行っております。

 このほか、関係省庁と連携して、建設業等の業界団体の皆様に対して企業等に対する働きかけを行うとともに、自治体に対して、消防団協力事業所に認定された事業所等に対する優遇措置などの支援を充実させ、消防団協力事業所表示制度の利用促進を図るよう働きかけをお願いしたところです。

 さらに、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても、各地域の優良事例を取り上げつつ、事業所との連携強化に向けた取組のノウハウについて紹介したところであり、引き続き事業所との連携を促進してまいります。

栗原分科員 是非、これからの課題として、事業所、先ほど、入札等に対するメリット、これはいわゆる公共事業を請け負う会社は該当しますけれども、そうでない会社というのはたくさんありまして、そこに対するメリット、税制的なことができるのかできないのか、これをまた広げられるのか、この点について、是非これから検討いただきたいと思っております。

 時間が迫ってきておりますので、あと、簡潔に極めて大事なことを聞いていきたいと思います。

 消防団、先ほど活動のことは私もお話ししましたが、今、風水害が非常に増えている。火災は比較的少なくなっている地域もあります。風水害の取組になると、待機する時間が実は長いんですね、待機する時間が長い。風水害は夏場に起こりやすいです。そこで、ここの環境整備についてお伺いをいたします。

 令和元年十二月十三日付で、消防庁長官通知が出ております。地域防災体制の中核を担うのは、地域密着性、それから要員の動員力、即時対応力といった特性を持つ消防団であるという位置づけの下、その装備あるいは環境の整備を進めるということになっておりますが、実は、待機する消防団の詰所等について、この整備はこれまで行っていただいておるところでありますが、どのような整備を今現在できるのか、簡潔にお願いします。

田辺政府参考人 近年、激甚化、頻発化する風水害はもとより、大規模災害にも備えた消防団の災害対応能力の強化を図ることは極めて重要であり、そのためには、消防団の拠点施設を始め、車両や資機材の充実を図ることが重要であると認識しております。

 詰所等の消防団の拠点施設の整備につきましては、女性用トイレや更衣室の設置などの機能強化を含め、緊急防災・減災事業債を活用できることとしているところでございます。

栗原分科員 近年、非常に充実していただいてきているということでありますが、一つ、この点はどうお考えか。実は、先ほど、夏場の災害、風水害が多いと。拠点整備やそういった詰所を改築する等々、これが、実はエアコンは対象になっていないというところなんです。ここは是非入れていただきたいと思いますが、このことについてどうお考えですか。

田辺政府参考人 分科員御指摘のエアコンにつきましては、今申し上げた支援の対象とはなってございませんが、一般的な詰所の環境整備については、各自治体において措置していただくことが適切と考えてございます。

 引き続き、現場の課題に寄り添いながら、消防団の拠点施設や装備の充実を図り、災害対応能力の向上につなげてまいりたいと考えてございます。

栗原分科員 もう一点。そして、今の運転免許の制度、区別が変わって、トラック、ポンプ車はずっと中型、替えてもらっていますが、これは軽トラが入っていないんですね。場所によっては土のうを運んだりしなきゃいけない。そして、これはポンプ車には積めません。このことについてはどうお考えですか。

田辺政府参考人 消防団の資機材の充実については、例えば、可搬消防ポンプなどの資機材を緊急防災・減災事業債の対象としているほか、消防団設備整備費補助金により、例えば、全ての消防団員が比較的容易に取り扱える小型、軽量化されたチェーンソー等の救助用資機材を始めとする消防団の資機材の整備を支援しているところでございます。

栗原分科員 これは今後の課題として、先ほどのエアコン、それから軽トラックの導入。そして、先ほど、市町村によってやるということでありますけれども、市町村によって実は財政力が違いますから、差が出てきている。そして、市町村の中でも、それぞれの消防団、またあるいは分団に対する支援も、その地域の方で実は応援していただいている。できるところ、できないところ、ここは、安全、安心は全ての人が平等にそれを享受しなければならない、その環境整備が極めて私は大事だと思いますので、今後のまた市町村に対する財政支援も含めて、しっかり取り組んでいただくことをお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田所主査 これにて栗原渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉村慎治君。

杉村分科員 狭山茶の主産地、入間市、狭山市を含む埼玉県第九区より選出の立憲民主党の杉村慎治でございます。

 本日は、予算委員会第二分科会で質疑をさせていただく機会を賜り、大変光栄に感じております。

 本日は、村上総務大臣、そして政府参考人の皆さん、よろしくお願いいたします。

 それでは、今日は、四つのテーマに関して質疑に入らせていただきます。

 まず一つ目は、総務省のデジタル活用推進支援事業についてです。この事業については、我が党の吉川元衆議院議員も、予算委員会で問題点を指摘してきました。

 総務省は、この事業のために、令和七年度の概算要求で四億三千万円、そして、令和六年度の補正予算では二十億九千八百万円を計上しています。しかし、総務省の行政事業レビューシートを見ると、この事業の予算執行率は、令和三年度で五九%、そして令和四年度で四六%と、どちらも五〇%にとどまっています。

 それでは、これについて、以下三点をお聞きします。

 一つ目。予算の執行率が毎年五〇%にとどまっておりますが、理由を御説明ください。そして、二点目。予算が十分に使われていないのに、毎年新たな予算を要求するのはどうしてでしょうか。三点目。本事業の予算は、計画的、効率的に執行されていると言えるのでしょうか。以上三点について御説明をお願いします。総務省政府参考人、お願いします。

玉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、デジタル活用支援事業に関しまして、誰一人残さないデジタル社会を実現するという上で、デジタルディバイド、デジタル格差を解消することによって、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を早急に整備をしていくということでございます。

 私ども総務省では、令和三年度から、この事業として、高齢者等を対象に、スマートフォンを利用した行政手続などに関する講習会を実施をいたしております。

 この事業では、民間事業者や自治体、外部の有識者を含みます多くの関係者と連携をしながら事業を実施をしているということでございます。

 全国における事業の実施に当たりまして、全体計画を策定をして、できるだけ効率的に事業運営を行いたいということで、外部の有識者、あるいは講習会の実施主体であります民間事業者など、関係者としっかり調整を行います。これには、現場の携帯ショップなども含まれてまいります。

 また、こうした関係者の御意見も踏まえて、事業の実施方法の改善に関する検討、こういったことにも想定以上の日数を要したということもありまして、執行できなかった予算につきましては翌年度に繰り越しておりますけれども、この繰り越した予算につきましては、大部分を適切に執行しているという状況でございます。

 この点、今後も、計画的、効率的な事業を実施するという観点から、関係者との調整を適切に行いながら、講習会の実施方法の改善、あるいは講座、教材内容の充実などを行うことで、一層の執行率の向上に努めてまいるということでございます。これが一点でございます。

 それから、この執行率にかかわらず、予算要求を行っているという点につきましてでございますけれども、これは吉川議員のときにもお答えを差し上げましたけれども、講習会を行うに当たりまして、その年度年度に必要な予算を要求をしているということでございます。

 例えばということなんですけれども、令和六年度につきましてですけれども、年度前半において大変事業者が積極的に講習会を実施していただいたということで、九月の時点で事業費が不足することも見込まれました。そういう意味で、年度後半の講習会の実施も困難となったという事情もございます。

 あわせて、特殊詐欺などを背景としまして、高齢者のリテラシー向上を目的といたします講座を含んだ講習会を実施する必要性も高まったというふうな事情から、補正予算により必要額の計上をさせていただいたということでございます。

 こうしたものにつきまして、執行率についてということでいいますと、冒頭申し上げましたように、執行できなかった部分というのは、関係者との調整、あるいは実施方法の改善ということの時間でございましたけれども、ここをしっかりと行うことによって、より適切な講習会を行っていくということでございます。御理解いただければと思います。

杉村分科員 今、政府参考人の方からは、繰り越された予算は翌会計年度にきちんと使われている、そしてまた、本事業の予算は計画的に効率的に執行されているとの説明をいただきました。

 しかし、財務省のデジタル活用支援推進事業に関する予算執行調査結果には、総務省の回答どおりであったとは言えない点が指摘されております。

 財務省の令和五年度予算執行調査結果に関して、以下のような指摘が三点されました。

 一点目は、マイナンバーカードの申請方法、マイナポイントの申請方法、そして健康保険証利用の登録など、一回限りの手続や時限的なメニューの講座が多く、全体の七三%を占めていたこと、これが一点目の問題です。

 そして二点目の問題は、自治体が独自財源でスマホ講座を実施している中、政府のデジタル活用支援推進事業による補助対象講座と自治体の講座内容が重複している例が見られたこと、これが二点目の問題です。

 そして最後、三点目は、一こま当たりの受講数が異常に少なく、特に携帯キャリアが携帯ショップなどで実施する全国展開型の講座では、一こま当たりの受講者が一人のみという講座が全体の七割を占めていたこと、これが三点目の問題でございます。

 この事業は、本来、高齢者のスマートフォンなどのデジタル活用を促進することを目的としていると認識しています。その観点から質問いたします。

 財務省予算執行調査の結果が発表される前は、デジタル活用支援推進事業の講座メニューはどのようなラインナップで、そして、高齢者のデジタル活用の促進という事業目的に沿ったものだったのでしょうか。総務省政府参考人、お願いします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、令和五年度の財務省予算執行調査におきまして、本事業について三点の指摘を受けました。第一に、受講ニーズを踏まえた講座のメニューを見直すべきであるという点、第二に、事業の重複を避ける観点から、本事業と自治体などが独自に行う事業とのすみ分けについて整理をすべき点、第三に、携帯ショップにおいて実施する全国展開型の講座につきまして、一定程度の受講者数を確保し、可能な限り効率的な執行となるように努めるべきといった御指摘であります。

 このうち、第一、第二が講座のメニューに関するものでございますけれども、デジタル活用支援推進事業におきましては、この予算執行調査の以前から、電源の入れ方あるいは電話やカメラの使い方などについて学びます基本講座だけではありませんで、マイナポータルあるいはe―Taxのようなオンライン行政サービスの利用方法、あるいはオンライン診療などについて学びます応用講座も実施をしておりました。それによって、高齢者が抱えますデジタル活用の不安の解消に向けまして有効な講座を実施してきたとは考えておりましたけれども、この予算執行調査の指摘も踏まえまして、高齢者の関心が高い防災あるいは年金に関する講座も新設するなど、更に内容の充実を図っているところでございます。

 以上でございます。

杉村分科員 ただいま総務省参考人より回答をいただきました。

 私としては、高齢者だけでなく若者であっても、一回限りの手続講座に参加しただけで、一人で不自由なくスマホなどのデジタルを活用できるとは、現実には言い難いとしか言えません。

 そしてまた、自治体による自主財源での市民、町民、村民対象のスマホ講座との講座内容の重複が、財務省の令和五年度予算執行調査結果に示されていました。

 例えば、自治体が自主財源などを使って、市民、町民、村民に向け、スマホ講座を実施しているケースについて見てみます。

 千七百四十一の自治体に質問をして、実際に回答があったのは千六百の自治体でした。当該事業では、企業や社会福祉協議会などの団体が地方自治体と連携してデジタル講座を開催しています。これらの講座は、公共の場で行われる地域連携型講座として実施されています。その内容を調査したところ、電源の入れ方、ボタンの操作、電話のかけ方、カメラの使い方といった基本的な講座が八割を占めていたことが明らかになっています。

 また、財務省予算執行調査では、地方自治体独自のスマホ教室との講座メニューの重複について指摘されていますが、この事業開始前に、自治体がどのようなスマホ教室を実施しているのか、調査は行いましたでしょうか。総務省政府参考人、お願いします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました財務省の執行調査を行われる前の令和三年度の時点ということでありますけれども、取組が広がりました現在と異なりまして、独自のスマホ教室を実施している自治体というものは限定的でございました。そういうふうに承知をしておりまして、このため、自治体によりますスマホ教室の具体的な実施状況については調査を行ってはございません。

 ただ、一方で、国が講習会を実施することについてのニーズ、あるいは事業の実施方法などについては、事前に調査研究も行いまして、その有効性を確認した上で、令和三年度からこのデジタル活用支援推進事業を開始しているということでございます。

 また、昨年度の予算執行調査の指摘も踏まえまして、本年度からは、自治体独自のスマホ教室の実施状況を調査をいたしまして、実際に自治体からスマホ講座が提供されている地域では応用講座のみを行うことといたしまして、重複がないように事業をするよう改善をしておりまして、今後も、自治体の状況なども踏まえながら、適切に推進してまいります。

杉村分科員 ただいま回答をいただきました。

 では、この事業により開催する講座が高齢者に寄り添ったものなのか、二点質問したいと思います。

 例えば、私の地元の駅前の携帯ショップで講座が開催されると仮定します。その場合、足の悪い御高齢者は、駅前までバスで三十分かけて向かいます。そして、到着して、会場の携帯ショップで一時間の講座を受講します。講座が終わると、また三十分間バスに乗って自宅へ帰ります。このような状況は、高齢者の立場に立った場合、講座の開催場所として最適なのか。これが一点目の質問です。

 そして同時に、二問目の質問は、この講座を受講するに当たり、御高齢者はどのように開催の案内を知ったのか。スマホの使用方法、電源を入れることをゼロから学ぶ高齢者が、パソコンやスマホでこの案内を知ったとは考えられません。言い方を変えると、総務省は今回この講座をどのように告知して、そして広報したのか。

 以上、二点の質問にお答えください。総務省政府参考人、お願いします。

玉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず一点目ですけれども、場所として最適であったかどうかということでございます。

 高齢者を対象としましたこの推進事業に関しましては、先ほど申しましたように、基本的な講座のみならず、応用的な講座もございます。そうしますと、実際にスマートフォンを触ってみて身につけていくということがどうしても必要になってくるような場合もございます。そうしたときに、携帯ショップで行うということに関しましては、まず、講師がそこに身近にいらっしゃるということでもございます。また、場所も、通常は身近な部分、あるいは生活圏にあるところの携帯ショップで行うというふうなメリットもあるわけでございますけれども、おっしゃるように、そういったところから遠く離れた御高齢者もいらっしゃるとは思います。そういったところも含め、例えば、離島あるいは過疎地なども含めて、自治体様にもよく御相談をして、自治体に関係する、例えば公民館のような公的施設で行うようなことも御相談を差し上げてございます。非常にきめ細かに事前に調整もいたしまして、どこでどうやるのがいいかというふうなことも御相談させていただいているということでございます。

 二点目、周知といいますか、どういうふうに高齢者に伝わっているかということでございますけれども、先ほど申しました携帯ショップで行うものにつきましては、来店者にお声がけをするということが基本ではございますけれども、いずれにしても、来店者のニーズに合わせた形でやるということが大変重要だと思っております。また、公民館あるいは郵便局で実施する場合には、自治体と連携をして、御高齢者にも届きやすい広報誌、あるいは回覧板、こういったものでも広報するというふうに対応してございまして、引き続き、事業者あるいは自治体としっかり連携をして、不安を抱える高齢者に対して適切に講習会の開催情報を届けてまいりたいと思います。

杉村分科員 総務省政府参考人より御丁寧な回答をいただきました。ありがとうございました。

 それでは、次は財務省に伺います。

 財務省が公表する令和五年度予算執行調査結果には、講座一こま当たりの受講者が一人であったものが全体の七割を超えていたと記載されています。自治体が独自で提供している講座内容との重複があった等、非効率性の問題が明示されておりました。

 しかしながら、本事業に財務省は、令和六年度補正で二十億円強、令和七年度概算要求で四億三千万円を認めております。財務省は、本事業に、総務省の予算案において、非効率性など問題点が解消、払拭されたと判断したから予算を認めたのでしょうか。財務省が認めた総務省側の改善点について伺いたいと思います。財務省政府参考人、お願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省が実施いたしました令和五年度の予算執行調査におきましては、ただいま先生から御指摘ございましたとおり、例えば、受講ニーズを踏まえて講座のメニューを見直すべきですとか、自治体が単独で行う事業とのすみ分けについて整理すべき、そして一定程度の受講者数を確保すべきといった指摘をさせていただいたところでございます。

 これらの指摘事項につきましては、ただいま総務省の方から御答弁ございましたけれども、例えば、高齢者向けの講座を新設いたしますですとか、自治体単独事業との調整を図るでありますとか、あるいは受講者数の増加を図るよう事業実施団体に要請をするといったような一定の改善が図られたものというふうに我々としても承知をしてございます。

 その上で、本事業、これはデジタル田園都市国家構想基本方針におきまして、二〇二一年度からの五年間の実施が想定されている事業でございます。その上で、昨年九月時点で、これも先ほど総務省の方から御答弁ありましたですけれども、事業費が不足することが明らかに見込まれておりましたことから、令和六年度補正予算において予算の措置をしたところでございます。

 財務省といたしましては、総務省におきまして引き続き効果的、効率的な執行に取り組んでいただきますようお願いをしてまいりたいと存じます。

杉村分科員 財務省政府参考人より御丁寧な回答をいただきました。ありがとうございます。

 本日の質疑を通じ、私は改めて痛感しました。国民の大切な税金を無駄にせず、真に必要なところへ届けることの重要性を。

 本事業の目的は、高齢者の方々がデジタルの力を生かし、より豊かに安心して暮らせる社会を築くこと。そのためには、総務省が一人一人の声に耳を傾け、心から役立つと感じられる講座を計画すべきです。だからこそ、いま一度目的を見直し、対象者の立場に立った講座運営をお願いします。デジタルが誰かを取り残すのではなく、全ての人の希望となる社会を、私はその実現を強く願っています。

 例えば、講座の開催場所は高齢者が歩いても行ける範囲内にする、また、高齢者がスマホを使いこなせるようになるまで繰り返し講座を受けられるようにする、また、講座の効果を検証し、改善につながる仕組みをつくる、スマホの使い方で困ったときに相談できる家族や近所の人も講座に参加できるような工夫を施すなどです。国民の貴重な税金を無駄にせず、本事業をより効果的に運営するために、事業内容の抜本的な見直しも必要ではないかと考えております。

 最後のこのデジタルに関するまとめとして、村上大臣の生のお声を聞かせていただきたいと思います。総務大臣、よろしくお願いいたします。

村上国務大臣 杉村委員、御質問ありがとうございます。

 今委員の御指摘のデジタル活用支援推進事業は、高齢者等を対象に、スマートフォンを利用した行政手続等に関する講習会を全国的に開催するものでありまして、事業開始の令和三年度から令和五年度までに約百五十八万人の方に参加していただきました。

 この事業では、これまで、より多くの高齢者に講習会を受講してもらえるようなための工夫として、一つとして、事業の類型について、公民館やオンラインでも講習会の実施が可能となるように拡充を図るとともに、また、事業の周知広報についても、自治体と連携して、高齢者に情報が伝わりやすい広報誌や回覧板等を活用して実施してきたところであります。ニーズや実態を踏まえた改善を図っていきたいと思っております。

 また、財務省の予算執行調査での指摘を踏まえまして、本年度より、高齢者の関心が高い防災や年金等に関する講座を新設しているほか、自治体独自のスマホ講座の実施状況を調査しまして、国が実施する事業と自治体独自の事業との重複がないよう事業を実施しております。

 そしてまた、これらの取組に加えまして、携帯ショップで実施する講習会について、一こま当たり受講者数を増やす観点から、講習会のスケジュールを早期に公表する等の工夫を行うように、事業実施団体に具体的に要請を行っております。また、一回当たりの受講者数を増加することが事業実施団体のインセンティブになるような仕組みとすることで、より多くの方に参加していただけるよう、事業の運用方法を見直すことを予定しております。

 引き続き、高齢者のデジタル活用の促進に向けて、効果的かつ効率的な実施方法を努力していきたい、そういうふうに考えております。

杉村分科員 村上総務大臣、御丁寧な回答、ありがとうございました。

 私としては、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化の実現こそが、これからの社会に必要不可欠だと強く信じております。デジタルの進化は、人々の暮らしを豊かにする力を持っています。しかし、その恩恵が全ての人に届かなければ、真の進歩とは言えません。本事業は、誰もが安心して未来を迎えられる社会を築くための大切な一歩であり、その必要性を強く感じております。だからこそ、目的をより効果的かつ経済的に達成することが重要です。政府には、何が本当に必要で、最も効果的なものを常に見直し、最善の施策を講じる姿勢が求められます。この思いを胸に、私は、政府に対し、よりよい未来のための決断を強く求めてまいります。全ての人が笑顔で暮らせる社会を目指して、皆様とともに歩んでまいります。

 それでは、次の質問に行かせていただきたいと思います。二つ目のテーマは、消防団等地域防災力の充実強化のための予算について伺います。

 地方では、人口減少と高齢化が進んでいます。そうした状況の中で、安全、安心な生活を守るには、消防庁の消防団や自主防災組織の充実強化のための予算がしっかり確保されることが必要です。しかし、予算の執行率を見ると、総務省の二〇二四年度行政事業レビューシートによれば、令和三年度は三六・二%、四年度四三・九%、五年度は四一・六%と、予算執行率は四〇%にとどまります。なぜ、地方住民や自治体にとって重要なこの予算の執行率が半分以下なんでしょうか。お答えください。

田辺政府参考人 消防庁では、消防団の充実強化や自主防災組織等の活性化に向けた事業を実施しております。

 分科員御指摘の行政事業レビューシートにおける消防団等地域防災力の充実強化の予算の執行率は、令和五年度は四一・六%となってございますが、これは、令和五年度の補正予算の数字が、次年度に繰り越したことによって、執行額に含まれないことが大きな要因でございます。

 令和五年度補正予算は、救助用資機材等を搭載した消防車両の無償貸付けや、救助用資機材等の整備に対する補助金など、入札の手続や自治体への要望調査等、事業執行に一定の時間を要する性質の事業に係る予算であることから、やむを得ず予算の繰越しが発生したところでございます。

杉村分科員 ありがとうございました。

 私の地元にある、日本最古のユズの産地として誇り高い毛呂山町では、井上健次町長が主体となり、防災力向上に尽力しております。町独自の対策に加え、そして、御近所同士で助け合う仕組みも進めております。都会では聞かれなくなった共助や公助の精神が、町と町民の安全を守っております。

 そこで、お伺いします。

 消防庁では、消防団等地域防災力の充実強化のための予算を効率的に執行するため、現時点でどのような改善策を検討されているのでしょうか。消防庁政府参考人、お願いします。

田辺政府参考人 能登半島地震などの大規模災害はもとより、近年、激甚化、頻発化する風水害等を踏まえると、自助、共助の取組が不可欠であり、高齢化、過疎化が進展している地域社会において、消防団や自主防災組織等を始めとした地域防災の担い手の確保が重要と認識しております。

 そのため、消防庁では、団員確保を始めとした消防団の充実強化のため、消防団員の処遇の改善、女性や若者をターゲットに置いた広報、機能別消防団員制度の活用、企業と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、様々な対策を講じております。

 また、消防団の力向上モデル事業により、女性が活動しやすい環境づくりや、デジタル技術の活用促進などの消防団の充実強化につながる自治体の取組への支援を実施しているほか、能登半島地震等を踏まえ、小型、軽量化された車両、資機材の整備の推進や、若者の関心が高いドローンの操縦講習の充実などを実施することとしております。

 さらに、本年一月には、消防団員の確保に向けたマニュアルを作成し、各地域の優良事例を取り上げつつ、消防団の充実強化につながる取組のノウハウを紹介しております。

 また、自主防災組織等についても、自主防災組織等活性化推進事業により、高齢者などの避難行動要支援者を取り残さない避難訓練や個別避難計画作成など、自主防災組織等の活性化につながる自治体の取組を支援するほか、地域住民の防災意識を向上させるための語り部の派遣を実施しております。

 引き続き、自治体と連携しつつ、これらの施策を通じて、消防団の充実強化や自主防災組織等の活性化により、地域防災力の更なる向上を図ってまいります。

杉村分科員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に行きます。時間がなくなってきたので、急がせていただきます。

 次は、緊急消防援助隊の充実強化に関わる予算についてです。

 こちらの予算ですが、令和七年度予算案五十三・七億円、令和六年度当初予算五十一・八億円、令和六年度補正四十・七億円計上されております。

 令和六年に発生した能登半島地震では、緊急消防援助隊として、十九都府県の大隊が被災地へ出動しました。しかし、二〇二四年二月二十八日の福井新聞オンラインの報道によると、十九都府県のうち半数を超える十二県の大隊で重機を使用しなかったと記載がありました。

 そこで、消防庁にお伺いします。この報道は事実でしょうか。事実であれば、なぜそのような事態が起きたのでしょうか。

田所主査 田辺康彦君、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に締めてください。

田辺政府参考人 はい。

 陸上部隊を出動させた十九都府県のうち、十八の都府県で重機を災害現場に持っていき、七都府県で捜索救助現場における瓦れき、土砂等の撤去や、通行障害となっていた道路上の瓦れき、土砂の撤去などに活用されております。

 重機を活用しなかった県については、担当となった災害現場が、丁寧な作業を行う観点から手掘り中心の活動となり、重機を活用しない現場であったことや、災害現場への道路を大型車両が通行できず、重機搬送が難しい現場であったことなどが理由と承知しております。

田所主査 もう時間が過ぎています。

杉村分科員 はい。

 時間も過ぎたので、最後、まとめさせていただきます。

 御回答ありがとうございました。

 消防庁が推進する本事業は、国民の命と暮らしを守るだけでなく、災害という脅威に立ち向かうために最前線で尽力する方々の努力が報われ、そして必要な支援が確実に届く仕組みをつくることが何よりも重要です。

 命を守るという崇高な使命のために、私はこの思いを胸に、質疑を終えます。

 本日は、御対応いただきました皆様に心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

田所主査 これにて杉村慎治君の質疑は終了いたしました。

 次に、西川厚志君。

西川(厚)分科員 おはようございます。立憲民主党の西川厚志でございます。よろしくお願いいたします。

 私も、消防関係のうち、緊急消防援助隊についてまずは御質問させていただきたいと思います。一部、今の杉村先生のお話とかぶるところはあるかもしれませんが、質問内容はちょっと違いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そもそも緊急消防援助隊は、平成七年に発生しました阪神・淡路大震災の際、地元兵庫県内及び全国四十一都道府県から延べ約三万人の消防応援が駆けつけたものの、指揮命令系統の整備、また車両、資材の確保等、浮き彫りになった様々な課題に対応すべく、国内で発生した地震等の大規模災害における人命救助をより効果的かつ迅速に実施できるよう、同年六月、全国の消防機関相互による援助体制として創設されることになりました。

 以来三十年が経過し、その出動実績は直近で昨年九月の奥能登豪雨まで四十五回を数え、創設当初千二百六十七部隊であった登録も、令和六年四月には六千六百六十一隊まで増加し、今後は、南海トラフ地震、そして首都直下地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震など国家的な非常災害発生が切迫する中、緊急消防援助隊の充実強化を更に進めていくことは、私自身、とても重要なことだと考えております。

 そこで、順次質問させていただきます。

 緊急消防援助隊の無償使用車両、資機材の整備については、東日本大震災における緊急消防援助隊の活動を踏まえ、今後発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下地震等の国家的非常災害への対応力を高めるため、緊急消防援助隊の機能を維持するとともに、いわゆる第四期基本計画、これは令和元年から五年までですけれども、この計画に基づき、部隊規模を六千六百隊に増隊を行ってきたところでございます。

 そして、次の第五期基本計画については、昨年一月の能登半島地震を踏まえ、今年度中にも間もなく改正をされる予定と聞いておりますが、その方向性、主なポイントなど、まず村上大臣にお聞かせいただければと思います。

    〔主査退席、寺田(稔)主査代理着席〕

村上国務大臣 西川委員の御質問にお答えします。

 基本計画は、消防組織法に基づきまして、緊急消防援助隊の登録目標隊数、部隊の種類、車両等の整備計画を定めるものであります。

 今年度中の策定を予定している第五期基本計画では、能登半島地震など近年発生した災害の教訓を踏まえつつ、南海トラフ地震など甚大な被害が想定される大規模災害に的確に対応できるよう、緊急消防援助隊の部隊数の増強などを検討しております。

 このほか、DXの推進や隊員の活動上の安全管理を強化するため新たな部隊を創設すること、また、能登半島地震の教訓を踏まえ、小型車両を含めた部隊編成とするなど、運用改善についても検討しているところであります。

 引き続き、この基本計画に基づいて緊急消防援助隊の充実強化に努めてまいりたい、そのように考えております。

西川(厚)分科員 ありがとうございます。

 是非、この次期計画がますます充実強化なされる内容になることを御期待したいと思います。

 それでは次に、令和六年版消防白書によりますと、別紙のとおり、これを添えさせていただいておると思いますが、令和六年四月一日現在の緊急消防援助隊登録状況が一覧となっております。

 また一方で、こんな指摘があります。これは先ほど杉村先生が御紹介された、やはり昨年二月二十八日付の福井新聞の記事になります。能登半島地震で緊急消防援助隊として被災地で活動した十九都府県の大隊のうち、半数を超える十二県が配備されている重機を使用していなかったことが総務省消防庁への取材で分かった。道路損壊で運べなかったことや、手作業による慎重な捜索が必要だったことなどが要因としている。しかし、重機は土砂や瓦れきからの救助活動のために全国の援助隊に配備された経緯があり、今後の運用の在り方が問われそうだ。総務省消防庁による重機と搬送車の配備は、二〇一一年の東日本大震災で消防隊が土砂や瓦れきに阻まれ十分に救助活動をできなかった経験から始まった。遠隔操作により倒壊のおそれがある建物などでの作業も可能な特別仕様となっている。独自に重機を導入している消防組織もある。能登半島地震では、十八都府県の大隊が重機を石川県内まで運んだが、長野、岐阜など十一県の大隊で使わなかった。福井県大隊の重機は現地投入されなかったとの記事でございます。

 今後、こうした能登半島地震の教訓を踏まえるのであれば、緊急消防援助隊の整備状況について、都道府県別、先ほどお配りしたこの一覧ですけれども、都道府県別、部隊別に、どの県のどの隊が不十分だと見るか、言い換えるならば、どの県からどの隊への配備要望が皆さんの元に届いているか。例えば今年度の補正としても、緊急消防援助隊の体制強化に四十・七億円を計上し、車両、資機材等の整備に充てておりますが、それぞれの配備先とその理由についてお伺いをいたします。

田辺政府参考人 能登半島地震では、道路事情が悪い場合の迅速な被災地への進出、厳寒期における活動環境の整備などが課題として挙げられたところでございます。

 このため、令和六年度補正予算において、被災地に迅速に進出して活動が開始できるよう、救助先行車等、小型、軽量な車両、資機材の整備、冷暖房付高機能エアテント等の資機材の整備などの予算を計上したところでございます。

 これらの車両、資機材の配備先は現在調整しているところでございますが、全国どこで災害が発生しても的確に対応できるよう、地域バランスや地域の特性、都道府県内の消防本部における機能や役割、各地域からの意向等を踏まえて決定していきたいと考えてございます。

西川(厚)分科員 分かりました。

 それぞれ、いわゆる適材適所で配備をされますことを御期待申し上げたいと思います。

 それではここで、少し細かい話になりますけれども、これまで私たち立憲民主党が取り組んでまいりました本気の歳出改革という切り口で、一つ質問をさせていただきたいと思います。これは、今、これも杉村さんがおっしゃっていましたが、総務省の皆さん自身が取りまとめられた二〇二四年度行政事業レビューシートを基に私もお伺いしたいと思います。

 今御説明のありました緊急消防援助隊の無償使用車両、資機材の整備については、令和六年度の補正として四十・七億円が計上されたものですが、これとは別に、今年度当初予算としても、実は、緊急消防援助隊の部隊強化に資するため、四十九・九億円が緊急消防援助隊設備整備補助金として計上されております。

 当然、当初予算を使い切って、それでもなお緊急消防援助隊の活動に緊要となる整備費が生じたのであれば、それは補正を組むことになるわけでありますけれども、今回補正を組む段階で、既に前年度からこの事業のために五十八億円が繰り越されておりました。十分、四十・七億の整備費を賄うことのできる額です。そして、これと全く同じ予算のやりくりが昨年度も行われております。つまり、昨年度も当初予算として四十九・九億円の設備整備費補助金、そして、それとは別に、更に前年度からの繰越しが五十億余り。年度途中に四十九・一億円の緊要な整備費が必要となるも、財源はその繰越金から充当させるのではなく、補正として計上されております。ただし、実際の執行額は四十億円余りであったため、結果、執行率は四〇・六%という有様だということであります。

 果たして、こうした予算の積み方が健全と言えるのか、やはり補正の規模ありきといった考え方の弊害ではないのか、この行政事業レビューシートからはどうしてもそう読み取れてしまうんですけれども、そこら辺、御説明をいただきたいと思います。

田辺政府参考人 能登半島地震の課題に対応した小型、軽量な車両、資機材の整備等については、いつどこで災害が発生するか分からないことを踏まえ、緊急を要する対策として令和六年度補正予算に計上したところです。

 このように、補正予算では、災害対策として速やかに対応が必要な事項を計上してきています。

 他方、入札手続には時間を要することや、調達環境の悪化に伴う納入の遅れに伴い、やむを得ず予算の繰越しが発生してしまっているものでございます。

 消防庁としては、適正な手続を踏みつつ、できるだけ早い事務執行に努めてまいります。

西川(厚)分科員 ありがとうございます。

 できれば、もう少し細かい御説明をいただきたかったんですが。

 ということは、今年度の補正で積まれた四十・七億円は、一旦年度をまたいで来年度への繰越しとなり、そして、来年度、車両等が納車された時点でその支払いに充てるんだと。そして、昨年度、二〇二三年度から繰り越された五十八億円は、やはり前年度に発注をした車両などの支払いで充当しているんだと。少なくともここ二年間はこうした繰り返しであったと。だから、行政事業レビューシートでは、例えば昨年度、二〇二三年度で見ると執行率が四〇・六%ということだけれども、実際のところはそこまで執行残はないんだと。そういう解釈でよろしいでしょうか。

田辺政府参考人 基本的にはそのような解釈をしていただいて結構でございます。

西川(厚)分科員 そうしたら、さっき、これも杉村先生の消防団の話でもそうだったんですけれども、この行政事業レビューシートというのは、素人が読んでしまうとどうしても誤解を受けることになるような資料ではないかと思うんですけれども、そこら辺についてはどう考えられますでしょうか。これはちょっと通告はしていないんですけれども。

田辺政府参考人 分母の方が当初予算と補正予算を合わせた数字となっておりまして、執行ベースでいうと当初予算を中心とした数字が出てきてしまうので、どうしても補正予算は、特に車両の整備とかですと時間を要してしまうということで、翌年度以降にならざるを得ないという実情を踏まえた数字になってしまうということが現状かというふうに認識しております。

西川(厚)分科員 分かりました。

 では、次へ行きます。

 もう一つ、緊急防災・減災事業に関連してお尋ねをいたしますが、令和七年度地方財政対策の資料の中で、この事業の拡充の一環として、安全を確保した消火活動のための緊急消防援助隊の無人走行放水ロボットの整備とありました。実は、このロボットの写真を見たところ、先ほど説明をいただきました、今年度補正で計上された無償使用資機材の整備事業で配備予定のロボットと全くの同一のものであると思われます。地方財政対策の方では、このロボットを整備するために、緊急防災・減災事業債、地方債なんですけれども、これを起債できるとされ、地方債の充当率は一〇〇%、うち元利償還金の七〇%を地方交付税措置と書いてあります。

 そこでお聞きするのは、国の責任で全額負担をする無償使用資機材としてのロボットと、地方債で整備をしようとするこの同一のロボットでは、配備先の自治体の背景にどんな違いがあると考えればよいのか、それについてお尋ねをします。

田辺政府参考人 無人走行放水ロボットは、能登半島地震の教訓を踏まえ、地震や津波発生時の大規模火災現場において、消防力の劣勢を補うとともに、活動隊員の安全を確保した消防活動を行うために有効なものであると考えております。

 そのため、切迫化する南海トラフ地震など大規模災害に備えるため、国の責任において、緊急消防援助隊の無償使用車両として、地域バランス等、全国的な視点で整備を進め、大規模災害時等の広域的な消防防災体制の充実強化を図ることとしております。

 一方、無人走行放水ロボットは、地震などの大規模災害だけでなく、倉庫やトンネルでの火災など、消火活動の困難性、危険性が高い現場活動においても有効な資機材であり、様々なニーズや要望があると考えております。

 そのため、消防本部が地域の実情によって自主的に緊急消防援助隊の車両、資機材として整備する場合には、令和七年度から緊急防災・減災事業債の対象とするものでございます。

 このような取組を通じまして、引き続き、大規模災害等に備え、緊急消防援助隊の充実強化に努めてまいります。

西川(厚)分科員 ある程度、すみ分けの整理の仕方は何となく分かりました。

 それでは、一つ、緊急消防援助隊の具体例をお伺いしたいと思います。

 かつて私も、県会議員時代、この緊急消防援助隊の無償使用車両、資機材の整備費で購入されました、国内では二台のみしか配備をされていない、全地形対応の特殊車両を実際この目で見た経験がございます。赤い色の塗装と車両の形状がサンショウウオを想起させることからレッドサラマンダーとの愛称で呼ばれ、東日本大震災の教訓から、あらゆる災害現場での人員、物資搬送や救助救援活動を可能とし、災害対応能力を向上させる目的で二〇一三年に導入され、現在では、日本列島の中央、かつ災害被害を受けにくい場所であるとして、愛知県の岡崎市に配備をされております。なお、もう一台は、二〇二一年、大阪市消防局に配備されたレッドヒッポ、ヒッポというのはカバを想起させるそうなんですけれども、これです。

 車両価格は、それを搬送する車両と合わせて一億円弱。二〇一三年の配備以降、初出動の二〇一七年までは、宝の持ち腐れとまでやゆを受けた気の毒な期間もあったそうなんですけれども、現在までの活動実績とその評価、そして、今後このレッドサラマンダーに期待される役割について、是非お聞かせいただきたいと思います。

田辺政府参考人 大型水陸両用車、通称レッドサラマンダーは、通常の消防車両では接近できない浸水エリア等へ進入し、救助活動を行うことができる特殊車両で、平成二十四年度に国の無償使用車両として愛知県岡崎市消防本部に配備したものでございます。

 近年の活動事例を御紹介いたしますと、令和六年九月の奥能登豪雨に緊急消防援助隊として出動し、河川氾濫エリアの捜索において、人力では対応困難な流木の除去に活躍したほか、岡崎市内でも、令和五年六月、浸水した軽トラックに取り残された方を本車両で救助した事例などがあり、この車両の特性を生かした活動が行われていると認識しています。

 引き続き、大規模風水害等での救助活動において活用が期待されることから、訓練等を通じて車両への習熟を図り、本車両の適時適切な活用が図られるよう努めてまいります。

西川(厚)分科員 分かりました。

 もちろん、こうした車両が活躍するような災害はないにこしたことはないと思われるんですけれども、是非これからも有効活用をお願いしたいと思います。

 それでは、次のテーマですけれども、携帯電話等エリア整備事業について、順次お伺いをいたします。

 これも行政事業レビューシートによりますと、二〇二一年度からの執行率が一四・五%、二〇二二年度一八・九%、二〇二三年度一四・四%と低調で、繰越しの額も年々増加し、今年度では六十億円超となっております。

 そして、来年度の当初予算が十二億円計上されておりますけれども、まず、そもそも今日、携帯電話サービスエリアの人口カバー率は九九・九九%と言われており、このサービスエリア外の居住人口はおよそ六千三百人、集落の数にすると五百二十五の集落と聞いております。

 まずは、この五百二十五の集落とはどんな地域を指すのか、それについてお示しをいただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、地方自治体等に対し、携帯電話の不感地域に関する調査を毎年行っているところでございます。令和四年度末現在の調査におきまして、携帯電話のサービスエリア外の集落は、御指摘のとおり、五百二十五か所となっているところでございます。

 その内訳でございますけれども、都道府県別でいいますと、岩手県、福島県、北海道などのエリア外集落が多く報告されているところでございます。

 また、ほとんどの集落が、過疎地、振興山村、特定農山村などに指定された、いわゆる条件不利地域となっているところでございます。

西川(厚)分科員 分かりました。

 それでは次に、今触れましたけれども、予算の執行率が余りにも低く、また、次年度への繰越しが多い理由についてもお尋ねしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話等エリア整備事業の予算要求に当たりましては、自治体や電気通信事業者に対し要望調査を実施した上で、事業実施に必要な額を要求することとしております。

 一方で、近年は、いわゆる山間部や離島など整備が難しい地域における事業が多く、そうした地域におきましては、交付申請前の事前調整に時間を要する場合があるというのが実態でございます。

 事前調整に長期間を要したことで申請に至らなくても、自治体や事業者が引き続き事業実施を希望する場合に申請を可能とするために、明許繰越しを実施しているところでございます。

 なお、御指摘いただきました行政事業レビューシート上の執行率につきましては、その分母として、当該年度の予算額に前年度からの繰越額を加えた上で、本来ならば翌年度に繰り越した額を差し引くべきであるところ、これが差し引かれていないため、実際の執行率より低い計数が自動算出されているという状況がございます。

 仮にでございますが、当該年度の予算額に前年度の繰越額を加算し、翌年度に繰り越した額を差し引いた額を分母として執行率を算出すると、おおむね五〇%程度の執行率となります。

 また、理由といたしましては、災害発生等の理由によりまして事業実施が困難となる場合があるほか、交付決定時と実績報告時の補助額の差異が生じ、結果として執行率が下がるといった場合もあるということでございます。

西川(厚)分科員 それでは次に、この事業の補助対象についてお尋ねをしたいと思います。

 この問題ありありのレビューシートですけれども、これを見ておりますと、平成三十年度の調査対象のシートでは、補助の対象が地方公共団体に限られております。ただ、最新のものになりますと、地方公共団体に加え、無線通信事業者等もこの補助対象に加えられております。

 これについて、民間事業者にも補助対象が拡大された時期と理由について教えていただけたらと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話等エリア整備事業につきましては、本事業の開始年度である平成二十年度以降、条件不利地域における携帯電話の不感地解消のため、御指摘のとおり、地元住民などの要望に基づき、地方自治体が事業主体として基地局整備を進めてきたところでございます。

 その後、状況変化といたしまして、携帯電話の利用増加に伴うトラフィックの急増による周波数の逼迫、こういった課題に対応するため、携帯電話事業者の自主的な取組により、主に都市部を中心として、4G、5Gの導入による携帯電話システムの高度化が進められてきたところでございます。

 一方、全国的にこういった携帯電話システムの高度化を進めるに当たりまして、条件不利地域では、採算性等の理由により、事業者のみに対応を委ねていてはこれらの取組がなかなか進まないことから、平成二十九年度以降、国が整備支援を行うこととし、携帯電話事業者を事業主体として追加したものでございます。

西川(厚)分科員 分かりました。

 それでは、この事業の今後の課題なりをお示しいただければと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話は、既に国民の生活に欠かせないものとなっており、特に、災害時における救命救助活動や住民への災害関連情報の伝達に果たすべき役割は大変大きいものと認識しております。

 このため、エリア外人口解消に引き続き努めるとともに、条件不利地域における道路等の非居住エリアにおけるエリアカバーの充実に努めていくことが重要だと考えているところでございます。

 さらに、携帯基地局のネットワークを、他のインフラと同様に、災害時も含め維持強化をし、次の世代にしっかりと引き継いでいくといったことが今後ともますます重要であると考えているところでございます。

 その具体的な取組といたしまして、災害時に向けた強靱化対策、災害時に損壊した基地局の復旧復興支援、老朽化した基地局の更新対策、こういった点を着実に進めていくことが課題であると考えております。

 こうした認識の下、まずは、長時間の停電等が発生した場合であっても通信サービスの提供が維持されるよう、停電対策、また伝送路の多重化といった携帯電話基地局の強靱化対策のための予算を令和七年度予算案に計上しているところでございます。

 また、震災において倒壊した基地局につきましても、その復旧復興や、老朽化した基地局の更新につきまして対策を進められるよう、令和六年度補正予算から新たな支援メニューを創設したところでございます。

 このような取組を通じまして、引き続き、条件不利地域等における携帯電話サービスの維持強化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

西川(厚)分科員 分かりました。

 それでは、時間も迫ってきておりますので、最後、これも今の事業と全く同じ理由でお伺いするわけですけれども、高度無線環境整備推進事業、これについては来年度当初予算が十五・九億円ということでありますけれども、事業の概要と、これも、今、携帯電話と同じ理由かもしれませんけれども、予算の執行率が低く、次年度繰越しが多い理由について、これについてもお示しいただければと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向けまして、総務省におきましては、条件不利地域において光ファイバーを新規整備する場合等について、高度無線環境整備推進事業により支援を行っているところでございます。

 この事業の予算要求に当たりましては、地方公共団体、電気通信事業者に対し予算活用希望調査を実施した上で、事業の実施に必要な額を要求することとしております。

 一方で、近年では、山間部や離島など整備が難しい地域における事業が多く、こうした地域におきましては、交付申請前の事前調整に時間を要する場合が増加しております。

 事前調整に想定以上の時間を要したことで、当初予定していた時期での申請には至らなかったものの、引き続き事業の実施を希望している地方公共団体等の申請を可能とするため、明許繰越しを同様に実施しているところでございます。

 また、地方公共団体等における事業の優先順位の変化などの理由から事業の実施に至らない場合があるほか、実際に事業に要する費用が交付決定時の想定よりも安価となった事業も存在することから、結果として執行率が低い年度も存在しているところでございます。

 レビューシートの算出については、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

 いずれにいたしましても、総務省としては、補助率のかさ上げにより事業の着手を容易にすることに加え、事業を予定どおり実施できるよう、整備意向を有する自治体、事業者の個別の状況を丁寧に把握し、必要に応じて適切に助言することで、執行率の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。

寺田(稔)主査代理 西川君、時間となりました。

西川(厚)分科員 はい、分かりました。終わります。

 ただ、一つだけ分かったのは、やはりこの行政事業レビューシートが、いかに金の流れが把握しづらい資料なのかということは分かりました。

 また今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

寺田(稔)主査代理 これにて西川厚志君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)分科員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 今日は、報道、マスコミについて、二問の御質問をさせていただきます。一つは、報道について、もう一つは、電波、放送について、それについてお伺いしたいと思います。

 まず最初に、私、福岡四区から選挙に出まして、九州比例で当選したわけでございますが、福岡県には大きな大きな新聞社、西日本新聞社、福岡市の中央区にございます。四十三万部の部数を誇りまして、都市圏でも三万部の、戸別に配付があるんですよ。

 そこに、ちょっと議事録に残るようにちゃんと読み上げますね、パネルは議事録に残りませんので。二〇二四年、令和六年十月十六日水曜日、十八版。私、阿部弘樹は立候補いたしまして、事前に調査をいただきまして、公約も公表しております。私の公約を見てびっくりしたんですね。

 公約、コロナ治療薬の早期承認、ホテルの病床化の推進、国産ワクチンの開発承認、後遺症外来の増設、二、日本大改革プラン、経済回復のための二年間五%に消費税を減税、最低所得保障、ベーシックインカムを導入、月額六万円から十万円を給付、身を切る改革として議員定数を三割削減、あと、経歴は、医学博士、旧津屋崎町長を一期、県議を三期務めた、住所と熊本大学大学院、当選一回と書いてあります。

 この内容は、三年前の衆議院選挙の公約がそのまま新聞に載っているんですよ。三年前の公約ですからコロナのことを私はうたって、そのときも比例で当選したんですが、この新聞が出て、私が街頭で立っていたら、おまえはばかかと。失礼しました、国会でばかなんて言っちゃいけないんですけれども。コロナなんて何で今頃言っているんだ、顔を洗って出直せと罵声を浴びせられまして、何でこんなことを有権者から俺は言われないかぬのやろうと思いまして、調べてみたら、三年前の公約をそのままこの新聞社は私の公約として読者に配付していたんですよ。

 その後、私の抗議によって訂正されたものは、公約はこうですよ。可処分所得を倍増させる成長戦略と規制改革が必要、消費税、所得税、法人税の減税により、個人消費と企業投資を促進し経済成長を加速させる、労働市場の流動化やライドシェアといった既存産業への参入障壁撤廃など、大胆な規制改革で産業を成長させ、給料を飛躍的に伸ばすと訂正されましたけれども。

 私は、これは選挙妨害じゃないかと。虚偽の、うそを書いて各家々にばらまく、これはまさに選挙を妨害する行為ですよ。実際に私の出口調査などは、当初は九二%まで、ある候補と非常に競っていたのに、最後、蓋を開けてみたら五〇%まで下がっていた。まあ、私の選挙運動が悪かったといえばそれに尽きるわけでしょうが、私は実際に窓を開けて罵声を浴びせられたり、抗議の電話があったりということも聞いておりますが、そういうことについても、新聞社は一切、公職選挙法でとがめられることもない。

 ただ、余りにも時間が経過しましたので、私も弁護士さんにお金を払って、慰謝料の請求など謝罪の要求、原因の究明などをお話ししましたよ。そうしたら、向こうも弁護士さんを立てて、謝罪の機会を、今年になってありました。そこで驚いたんですよ。原因究明は第三者を交えては行いません、悪うございました、会社幹部は減給処分にします、それだけです、記者会見も行いません。

 私は、法務委員会に長く所属しておりましたので、これのことをちょっと調べてみたんですね。そうしたら、弁護士さんいわく、驚きましたよ。公職選挙法、報道を濫用して選挙の公正を害する罪に関する新聞紙編集者と経営者の罰則、新聞紙の自由、百四十八条、選挙運動の規定、人気投票を除く、は、新聞紙が、選挙に関し、報道及び論評を掲載する自由を妨げるものではない、ただし、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。新聞紙が公正を害する罪、第二百三十五条の二、二年以下の禁錮又は三十万以下の罰金、一、百四十八条の一項ただし書の規定に違反し新聞紙が選挙の公正を害したときは、その新聞紙の編集担当者又は新聞紙経営担当者とあります。

 ちょっとお伺いしますね。

 僕は本当に困ったんですよ。選挙が終わって、通ったからよかったけれども、どんどんどんどん出口調査の結果も悪くなるし、自分を責めてはおりましたけれども、こんなこと、新聞社だから、うそ八百書いて、いかぬでしょう、もうそれは。四十三万部も発行している新聞社がうそを広めて、そして、終わった後も、記者会見も開かない、原因究明の発表もしない。新聞というのはそんなに偉いんですか。

 公職選挙法を所管する大臣にお伺いしたい。公職選挙法、ちょっとおかしいんじゃないですか、報道の自由。

村上国務大臣 阿部分科員の、やはり選挙におけるお怒りはよく分かります。

 ただ、公職選挙法において、新聞紙、雑誌の選挙に関する報道及び評論については、同法第百四十八の第一項において、報道及び評論の自由を規定しておりますけれども、ただし書において、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等の表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならないというふうに記されております。

 阿部委員の個別の事案にそのただし書が該当するか否かについては、残念ながら、総務省におきましては、実質的調査権を有しておらず、具体的な関係を承知する立場ではございませんので、お答えは差し控えたいと思います。

阿部(弘)分科員 いや、大臣、私はこの質問で公職選挙法が変わるなんて思っていないんですよ。でも、いつの時代かこの公職選挙法には、新聞紙の、あるいは報道の自由が盛り込まれていて、三年前の公約を載せていても何も罰せられない。兵庫県の知事選挙でもいろいろなことが疑われております。報道と、公職選挙法の報道の在り方について、しっかりと議論されるべきじゃないですか。今回はポスターの掲示について改正法案が出されているようですが、実は、本当はそんなところにも潜んでいるものが私はあると思いますけれども。

 こんなこと、日本で初めてじゃないですか、三年前の選挙の公約を載せる新聞がある。大臣も選挙してきたでしょう。(村上国務大臣「十四回やりました」と呼ぶ)大臣、手を挙げてありますから、言ってください。

村上国務大臣 ただ、ちょっと事実を確認させていただきたいんですけれども、私も十四回選挙をやりましたけれども、自分の政策の要約において、前の記事が出たというのはどうしてなのか。はっきり申し上げると、委員がおっしゃるように、これは新聞社の手落ちというか、ミスでしかないと思うんですよね。

 それに対して新聞社はどういうような民事的責任を問うかということが私は問題の主眼であるんですけれども、弁護士さんたちは、逆にお聞きしたいのは、新聞社がなぜ三年前の公約を間違えて記事に出した、それはどうしてそうなったかということについての説明は新聞社からなかったんですか。

阿部(弘)分科員 余り新聞社のやり取りをこの国会の場で言うとあれなんですが、何か言ってありましたよ。個人的な、家庭問題があったからこういうのが載ったって。

 家庭問題があったからこんなのが載ったって、そんな理由は納得できるわけがないし、だから第三者で調べてほしいと。

村上国務大臣 私も一応、出来の悪い法学部出身なんですけれども、今回の事案については、御本人と新聞社における、やはり、どうしてそのような間違ったあれが記載されたということを、もう一回よく、訴訟の場において話し合っていただくことが重要じゃないかなと。

 このような個別の事案については、残念ながら、総務省としては見解を申し上げる立場にないので、お許しいただきたいと思います。

阿部(弘)分科員 私は、訴訟といったって、法学部出身なら分かるでしょう、このくらいのことで当選していたら、訴訟の金額なんて少ないし、訴訟に膨大な時間と手間と弁護士さんの裁判費用がかかりますから、そんなことはやらないですよ。でも、公職選挙法というのは、公が、例えばポスターを破ったら単純妨害とか、いろいろなことを禁止しているわけでしょう。罰則があるわけなんじゃないですか。罰則がある。

 警察にちょっとお伺いしますが、これは報道の自由があるから受理もできないんですかね。

松田政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、警察では、被害の届出があれば、これを受理して、法と証拠に基づき適切に対応するものと承知しております。

阿部(弘)分科員 私は法務委員会に長くいましたので、福岡地検にも御相談に行ったんですよ。地検の見解もちょっとお伺いしたいですね。

上原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねは個別事案における検察当局の活動内容に関わる事柄であり、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、被害者等から告訴や告発の意思が示された場合には、法と証拠に基づいて適切に対処するものと承知しております。

阿部(弘)分科員 よかった、もう一回、地元警察署に原因究明をしてくださいと。

 今回は、私の質問の、多分こういうことがあるかなということは、一石を投じることなんですよ。三年前のことを、これはうそですからね。新聞社の幹部を減給処分にしておって、これは公表せなあかんでしょう。訂正記事だけで済ませました、お金も払いまへん、あなたは通ったからよかでしょうもんと。それじゃ、これからいろいろなことが起きますよ。私よりもっとひどいことが起きるかもしれぬ。

 だから、大臣にちょっと聞いてほしいんですよ。新聞社が加盟する新聞協会というのがあるんですよ。そういうところも襟を正してほしい。西日本新聞というのは地方紙の中の雄ですよ。そういうところが、記者会見もせず、公表もせず、悪事が露見せぬように、何も黙ったまま。そんなのはあかんでしょう。また起きますわ、それは。だから、新聞協会もしっかりと自主規制をしてほしい。

 大臣、しっかり。僕の答弁のときは起きていただいておるからうれしいですよ。

村上国務大臣 今、要するに、もう一回お聞きしたいのは、私はよくその事実経過が分からないのは、新聞社とあろうものが、委員の三年前の公約を今回の選挙のときに使うというのは、非常に、私から言えばとんでもないミスなので、先ほど委員もちらっとおっしゃったけれども、何かがあったので書いたという弁明、新聞社が一体どういう弁明をなさったんですか。それを聞かせていただかないと。

阿部(弘)分科員 いや、なかなか言いにくいんですよ。家庭の問題があったから、その人が失念していたと。(村上国務大臣「その新聞社の職員の」と呼ぶ)ええ、記者が。何やねんと。それは、家庭の問題があったら、次の人に代わってからその代理をせなあかんでしょう。

村上国務大臣 そういう事情があればあるこそ、阿部委員が、やはり新聞社にもっとびしびしと損害賠償を請求して、それを全国紙で書かせるようにした方がいいんじゃないかと私は思います。

阿部(弘)分科員 全国に知ってもらうために大臣に質問しているんですから。そして、警察も法務省も知るところになったわけですから。ちゃんと朗読しましたから。読み上げ原稿、記事として残っておりますから。知りませんでしたとは、もう法務委員会や内閣所管委員会でもお話しできないわけですから。きっと、どうなっておるんだということはお尋ねになるんじゃないかなとは思っておりますけれども。

 だから、再発防止のために、僕もやりますけれども、忙しいですから、時間とお金もかかりますから、是非とも法改正に向けて議論の一端としてお考えいただきたい。要するに、報道の自由はどこまで許されるのかということでございます。

 もう一つ、ちょっと質問を準備しておりますから。

 次は、周波数オークションですよ。

 これは、昨日もドイツ大使館で、新しい選挙がありましたので、そこのトーキングをしていましたけれども、どこの国も、財政、税金、収入不足ですよ。

 ヨーロッパは、こういうプラチナバンドとか放送のための電波の許認可を、大臣、非常に高く民間に販売しているんですよ。販売というか、許認可のときに。日本だけですよ、テレビにほとんどゼロ円で電波の許認可。かつては、昭和二十年、三十年はやってくれる人がいなかったからそういうことだったんでしょうけれども、今だったらやりたい人はたくさんいますよ。

 よく調べてみたら、民主党政権のときに、電波オークション。これは、二〇二〇年、オークション論でノーベル経済学賞を取ったじゃないですか、スタンフォード大学の二人の教授が。だから、世界中は公共サービスでもオークションを導入するということを非常に積極的にやり始めた。そうしたら、民主党政権が自民党政権に替わったら、一気に廃案になって、答申の内容ももう消極的。

 だから、いや、大臣に言う話じゃないんですよ、僕は、少数与党になったから、もう一回ネットオークションの議論が、維新が高校授業料無償化を言ったように、言えばのんでくれるような国会じゃないかなと思っておりまして、次の国会。

 それで、大臣、楽天は、ネットオークション反対とかいいながらも、しっかりと電波をもらったら、そうしたら、携帯電話のつながりが非常によくなって、業績がウナギ登り、株価もウナギ登り。ですから、大臣の判断一つで経済がよくなっていくんですよ。

 続けて語りますけれども、もう一つは、プラチナ周波数帯というのは非常に運べる情報の量が少ない。だから、チャットGPTとか、これからの大容量を運ぶ場合には、もっと高周波帯のものをつくらなきゃいけないんですよ。だから、楽天は高周波帯をいただいているから、これから、チャットGPT、これについても対応できる、そういう視点からもいいんじゃないかと。だから、今喜んで低周波の電波帯をいただいている携帯電話さんたちも、これから、ビヨンド5GあるいはチャットGPTの新たなバージョンをどんどんどんどん掲載すると、運べないから飛ばせないですよ。そして、基地局に膨大なお金がかかっていく。

 私は、三年前、総務委員会に所属していましたので、あの頃、ウクライナ戦争が始まって、イーロン・マスクの衛星コンステレーション、これの周波数というのはもっともっと高周波帯ですよ。三年前と今回の、今の時代の進歩というのは、雨の中、雲の中でも高周波帯の高容量の情報を飛ばせるようになった。これは日本の技術ですよ。中国はよだれが出るほど、あっ、特定の国を言っちゃいけないですね、他国は、この技術については、雲の中を通して正確に電波が飛ばせることを、非常にすばらしい発明だということで、今はもう実用化しています。

 ですから、今みたいにネットオークションもやらない、そして、プラチナ周波数帯で電波の中継基地に物すごくお金がかかる、地方の民放ローカル局はその5Gを飛ばすための電波塔を造るのに物すごくお金がかかるから、NHKに代用してくださいよという質問もしましたが、これからは、イーロン・マスクあるいはソフトバンクが飛ばす衛星コンステレーションを使った通信というものをしっかり考えていくべきじゃないかと。

 それと、あわせて、フジテレビのああいう不祥事なんかが起きていますから、そろそろ、ただで電波の使用料を民放局にやるという時代はやめた方がいい。もっと国がもうかって、そしてもうかったお金でいろいろな、今国会でも言われているじゃないですか、財源がない、財源がないと、そういうものに回されたらいいですよ。ヨーロッパの国、OECDの国でネットオークションをやっていない数少ない国の一つが日本ですから。

 大臣、いかがですか。

村上国務大臣 阿部分科員の御指摘は、電波行政について、社会環境の変化に的確に対応すべきではないかと。その在り方について、我々は不断に検討を行っております。

 例えば、直近では、電波をデジタル社会の成長基盤と捉えて、ビジネスチャンスの一層拡大につなげることが重要との観点から、デジタルビジネス拡大に向けた電波政策懇談会を開催して、検討を進めております。

 同懇談会では、電波利用の最新動向等を踏まえ、陸、海、空、宇宙のあらゆる空間における電波利用の拡大に向けた方策、電波の柔軟な利用のための周波数の移行、再編、共用の在り方について検討いただいております。

 総務省では、この懇談会の取りまとめを踏まえ、電波法及び放送法の一部改正案を今通常国会に提出しています。法案におきましては、六ギガヘルツを超える高い周波数帯における価額競争による新たな周波数割当て方式の導入、また、無線局の免許状等のデジタル化等の措置を講ずることとしております。電波の有効利用を促進して、情報通信技術の進展等に対応した規制の合理化を図る内容としております。

 今後も引き続いて、電波は経済や社会を支える重要なインフラであるという認識の下に、電波利用の最新動向をしっかりと踏まえて、スピード感のある電波行政の推進に取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

阿部(弘)分科員 時間もなくなってきましたけれども。

 スマート工場とかスマート農業、スマートメーター分野のIoTを進めるためには、皆さん方、4Gで進められると思ったら大間違いですよ。5G以上の大容量を飛ばさなきゃいけない。だから、中周波数帯の割当て制度とおっしゃってありますけれども、これからは高周波帯の対応、これがスターリンクなどの衛星コンステレーションです。

 衛星コンステレーションの通信は、どこでも、砂漠の上でも通信ができる、砂漠の上でも太陽光発電ができる、そうすると、水も確保できるし電気も確保できるわけですから、日本のどこでも通信とエネルギーを確保できるということで人間が経済活動できるわけですから、そういう社会にいち早く日本がリードできるように。

 電波代をただにして、そして、フジテレビじゃないですけれども報道官が天下っているような、そういう時代認識の国家じゃ、そして、三年ごとに検討会を行ってあるでしょう、おたくの省庁。三年といったらもう古いですよ。三年前の携帯を使っている人なんかほとんどいないでしょう、みんな。どんどんどんどん新しく携帯も変わってくる。

 特に通信業界というのは、非常に、日進月歩、速いスピードで行われていきますので、是非とも、法改正は歓迎でございますが、ネットオークションなどの新しい取組について取り組んでもらいたいと思いますが、今日は審議官、来てありますか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 衛星コンステレーションにつきまして一言申し上げたいと思います。

 分科員から御指摘がありました衛星コンステレーションを始めとする衛星通信は、まさに御指摘のとおり、離島、海上、山間部を効率的にエリア化することが可能であるほか、地上のネットワークが被災した場合におきましても通信サービスの提供が可能であることから、最大限活用していくべきだと私どもも思っているところでございます。

 こうした衛星通信の重要性を踏まえまして、総務省におきましては、技術の進展に応じて、新しいサービスが利用できるよう制度整備を着実に進めてきたところでございます。

 総務省といたしましては、多様な通信手段を確保することで、利用者の利便性の向上、また非常時の備えについて万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

    〔寺田(稔)主査代理退席、主査着席〕

阿部(弘)分科員 最後に。

 私も防衛委員会にも所属したことがありまして、対馬とか石垣とか、あるいは写真では与那国も見まして、電波塔は一本しか立っていない、だから、電波塔をミサイルで破壊したら、その島の通信が非常な障害を受ける。ですから、衛星コンステレーションについても常に念頭に置きながら、安全保障の面からも大切なことでございますので、是非とも御検討、答弁はいただかなくて結構ですが、必要だと思いますので。通信を途絶するにはそこを押さえればいいわけですから、石垣には基地がありますから、基地はいろいろなことをやっておると思いますけれども。

 是非ともよろしくお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

田所主査 これにて阿部弘樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、おおたけりえ君。

おおたけ分科員 立憲民主党、おおたけりえでございます。今日はよろしくお願いいたします。

 まず第一に、ふるさと納税制度の改善について御議論させていただけたらと思っております。

 ふるさと納税は、高所得者も低所得者もひとしく一律二千円の負担で自分の選んだ自治体に寄附ができ、寄附した額の三割を上限とする返礼品を受け取ることができる制度です。年々寄附額が増加して、ついに寄附総額が一兆円を超えました。寄附する側から見ますと、寄附上限額が大きい高所得者ほどメリットの大きい制度であり、高額納税者ほど得をするカタログショッピングのようになってしまっている点で納税者の公平性の観点から課題があると考えております。

 例えば、年収二千五百万円の独身者の場合、二千円の負担額で寄附できるのは八十五万五千円が上限であるため、八十五万五千掛ける〇・三の二十五万六千五百円分の返礼品を受け取ることとなり、たった二千円の負担で二十五万六千円の品物と交換できることとなります。一方、年収三百万円の独身者が寄附できるのは上限二万八千円、二万八千円掛ける〇・三で八千四百円分の返礼品の受取となり、高所得者ほど恩恵が大きくなっております。

 このような制度の下、収入が減った自治体に減収補填として地方交付税措置がされていることは、高所得者が利益を受けやすい返礼品等のために全国民からの税金を充ててしまっていることになり、税金の支出意義として疑問を感じております。

 今や若者からお年寄りまで見ているユーチューブでふるさと納税と検索をしてみました。お勧めの人気ふるさと納税返礼品、高還元率、コスパ最強返礼品などと出てきました。最近の物価高の中で、返礼品は、これまで人気の高かったふだん食べられないような高級食材に代わって、日常生活に欠かせない品、トイレットペーパーや食用油などが人気になっているそうです。

 ふるさと納税用の民間サイト、ふるさとチョイスの昨年一月から五月のカテゴリーランキングでは、一位がお米、二位が牛肉、三位がその他雑貨、日用品、また、これもふるさと納税用の民間サイトであります「さとふる」の昨年一月一日から十月二十四日の返礼品検索キーワードランキングでも、一位がお米、二位がトイレットペーパー、三位が訳ありパンセットなどの訳あり商品であったそうです。

 これまでの楽天グループや「さとふる」といった大手に加え、昨年十二月にはアマゾンジャパンやコンビニのローソンも参入、ファミリーマートも今年三月に参入予定とのことです。ファミリーマートでは、天然水などプライベートブランドの商品が返礼品で、寄附先は、その商品を製造する工場がある自治体になると報道がされております。

 このような、ふるさと納税が、国民から納められる税金を原資とした官製カタログショッピングのようになってしまっている現状を総務省としてどう認識してみえるのか、伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。

 このため、ふるさと納税は、公金を使用した公的な税制上の仕組みとして位置づけられているものでございます。御指摘のように、官製カタログショッピングであってはならないと考えているところでございます。

 これまで、返礼品競争の過熱などを背景といたしまして、令和元年度には指定制度を導入したところでございます。各自治体においては、地場産品基準などのルールを遵守していただいた上で、返礼品の提供を通じて、新たな地域資源を発掘し、地域のPRや地域経済の活性化につなげるなど、創意工夫いただくことも重要であると考えております。

 様々な御指摘をいただいているわけでございますが、今後とも、全国の自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、制度の趣旨に沿った適正な運用がなされるように、総務省としても取り組んでまいりたいと考えております。

おおたけ分科員 感謝の気持ちを伝える、そういう制度である、官製ショッピングであってはならない、大変そういうふうに共感いたします。基準の見直し等を行ってきたとのことですが、私としましてはまだまだ不十分ではないかと感じております。

 友人の知り合いのお医者さんが、ふるさと納税の返礼品だけで暮らしていけると言っていたそうです。その言葉に友人は疑問を覚えたそうです。高額納税者が利益を受けやすい構造になっていることを総務省としてどう認識してみえるのか、伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税につきましては、住民税が軽減される額について、個人住民税所得割の二割が上限となっておりまして、一定の制限は設けられているところでございます。

 また、高額所得者の方々がふるさと納税を通じて積極的に自らのふるさとや自治体を支援していただければ、それは、地域活性化自体には大きな効果を生むという面もあろうかと考えているところでございます。

 これはまた、この点につきましても様々な御指摘をいただいておるところでございますが、今後とも、全国の自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、お世話になった自治体等へ感謝や応援の気持ちを伝えることができるというふるさと納税の本来の趣旨に沿って、制度が適正に運用されるように取り組んでまいります。

おおたけ分科員 ありがとうございます。

 先ほどの例でも、やはり、二十五万六千五百円の品物と交換できるのと八千四百円の品物と交換できるという場合と、本当に差が大きいというふうに思っております。本来の趣旨に沿って適正に運用されるようにということだとは思いますが、このままではそうならないのではないかと思っておりますので、是非検討を要望させていただきます。

 次に、寄附を受ける側、自治体側の視点で伺います。

 ふるさと納税により減収した自治体に対しては、その七五%が交付税措置で補填をされています。この補填される原資は、もちろん納税者の皆さんから広く集めた税金です。その補填された額はどのくらいの金額になっているのか、年々増加していると思いますので、直近五年間の額を伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方税法の特例措置の規定に基づきますふるさと納税制度により生じる各地方団体の個人住民税の減収額は、普通交付税の基準財政収入額の算定で反映をしているということでありまして、結果的に減収額の七五%が補填されるということになっております。

 具体的には、ふるさと納税制度に伴う寄附金の税額控除による個人住民税の減収は、地方税法に規定するそのほかの寄附金控除と合わせて、個人住民税の収入見込額から控除することにしております。

 このため、分科員お尋ねの基準財政収入額におけるふるさと納税に係る寄附金税額控除だけの総額をお示しすることはできませんが、令和六年度算定に用いた基礎数値のベースとなります自治税務局調査の「令和五年度 市町村税課税状況等の調」によりますと、他の寄附金控除と合わせた寄附金税額控除の総額は、道府県民税分と市町村民税分を合わせて約六千八百四十六億円となっております。なお、この金額は七五%を乗じる前の各地方団体の減収額であります。

 同様に、当該調査による各年度の寄附金税額控除の総額でございますが、令和四年度分は約五千七百六十八億円、令和三年度分が約四千四百四十九億円、令和二年度分が約三千四百九十六億円、令和元年度分が約三千二百九十三億円となっております。

おおたけ分科員 ありがとうございます。

 一番直近で、六千八百四十六億円掛ける〇・七五をすればいいということですかね。そうしますと、約五千億円が補填されているんじゃないかと。ほかの寄附控除も合わせてということですけれども、理解をいたしました。

 ふるさと納税がなかったらこの出費はなかったわけで、これだけのお金を新たに出費をしてふるさと納税という名のショッピングを支えていることに、私は疑問を感じております。

 また、ふるさと納税による寄附の約五割の金額が、返礼品や民間サイトへの登録料、郵送代などの募集費用として使われております。この総額は直近の額で幾らになると試算できるのか、伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が実施したふるさと納税に関する現況調査の結果によりますと、返礼品の調達に係る費用等の寄附受入れに要した募集費用につきましては、五千四百二十九億円となっております。これは寄附総額の四八・六%に相当する額となっておるところでございます。

おおたけ分科員 直近、五千四百二十六億円の本来行政サービスに使われるはずであったお金が、返礼品やそれに付随する募集費用に使われているということです。ふるさと納税をしていない人もまだまだいる中で、ふるさと納税をした人のみが得をしてしまっていることも、納税の在り方としていかがでしょうか。

 今まで伺ってきたことを踏まえまして、大臣に伺います。

 ふるさと納税制度において、寄附額の約五割まで、返礼品やサイト登録、郵送代などの募集に関わる費用に充てることができるという基準の見直し、税額控除の額の上限を見直すなど、高所得者が得をしていると感じられるこの不公平感を解消する改善が必要ではないか。また、今のような、全然縁のない自治体に、返礼品がいいからという理由で寄附する制度はやめて、ふるさと納税という名前のとおり、今は住んでいないけれども、ふるさとに貢献したいという気持ちに応えられる制度に改善すべきだと考えますが、認識を伺います。

村上国務大臣 おおたけ委員の御質問にお答えします。

 先ほど来、局長さんたちが答弁したとおりで、ふるさと納税に対して住民税が軽減される額については、個人住民税の所得割の二割が一応上限となっております。この上限について、平成二十七年度の税制改正において、地方六団体からの要望を踏まえて引上げを行ったものであります。

 また、ふるさと納税の募集に関し、自治体が過度な広報や宣伝を競い合うことにより多大な経費を支出することは、制度の趣旨に鑑みて好ましくないと考えております。

 そのため、総務省におきましては、各自治体が提供する返礼品の返礼割合を三割以下とするとともに、ふるさと納税の募集費用の総額を寄附金総額の五割以下とするなど、基準の見直しを行ってまいりました。

 また、制度の適正な運用を確保する観点から、昨年六月には、自治体がポイント等を付与するポータルサイト等を通じて寄附を募集することを禁止する見直しを行ったところであります。

 おっしゃるように、今後とも、自治体や納税者の皆様の御理解をいただきながら、お世話になった自治体等へ感謝の応援の気持ちを伝えるという、ふるさと納税の本来の趣旨に沿って制度が適正に運用されるように取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

おおたけ分科員 本来の趣旨に沿ってと、なかなか今のままだと難しいんじゃないかなと思っております。

 先日、愛知県の市長会の方々と意見交換の機会をいただきました。そのときにもやはりこのふるさと納税の課題は多くの議論がなされましたし、また、テレビや新聞などでもそういった課題が取り上げられております。是非ともまた、いま一度立ち止まって考えていただきたいなと思っております。

 ふるさと納税は、やはり自治体間での税収の奪い合いになってしまっているところが課題だと思っております。ふるさと納税で地元のすばらしい産品が認知されてきたことは、ふるさと納税の一つのよい点であると思っております。せっかくですので、それは生かしていただいて成長につなげる、それぞれの自治体の税収増につなげられるように改善が必要であると考えております。

 例えば、ふるさと納税で注目された地元産品の海外展開や、ガストロノミーツーリズム、その土地の気候風土が生んだ食材、習慣、伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたツーリズムのことですが、これにつなげて、海外からの旅行者を増やす取組を行うなど、総務省のふるさと納税ポータルサイトを活用して力を入れていくなど、いかがでしょうか。

 この例にとどまらず、ふるさと納税を、税収の奪い合いではなくて、それぞれの成長につなげられるよう促していただきたいと思いますが、お考えを伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 分科員御指摘のように、税収の奪い合いになるだけではなく、ふるさと納税の返礼品をきっかけとして、各自治体が地場産品を提供することでその地域への関心が高まり、実際に足を運んでいただくということにつながる効果も期待されているところでございます。

 最近の例で申しますと、実際に寄附先の自治体に行っていただきまして、地元特産品を用いた食事と伝統芸能の鑑賞を通じまして地域の魅力を味わってもらうような返礼品、さらには、寄附先の自治体にある農家に滞在して、地域ならではの茶摘みを体験していただくような返礼品、こういった地域の特産品を生かした取組が各地で見られるところでございます。

 こういった取組は、地場産業の振興や雇用の創出、ひいては地方創生にもつながることが期待されております。なかなか総務省が主体となってということは難しゅうございますが、こういった全国の取組の周知にもしっかり努めてまいりたいと考えております。

おおたけ分科員 勝ち負けができるようなそういう制度ではなくて、ウィン・ウィンになるような制度に昇華していっていただきたいなと願っております。

 次に、被災地の職員の負担を減らす災害時の応援職員体制について伺ってまいります。

 災害時、その地域の自治体職員が主に災害対応に当たっておりますが、その職員さん自身も被災者であり、負担の軽減が必要です。各時期に合わせた他の地域からの応援体制が重要であると考えております。

 まず、初動の応援体制について伺います。

 発災直後は、住民からの問合せへの返答や現地確認の対応など、地元自治体の職員は大忙しです。それと同時に、様々な判断が難しい局面があります。災害救助法適用についての手続や自衛隊派遣要請の検討、そして住民や報道等への情報発信など、適切に行っていかなければなりません。静岡県では、発災直後に適切に動けるようにするため、リエゾンの役割を果たす職員を市町村に派遣していると伺いました。

 これまでに災害の経験がない自治体でも発災直後に適切な判断ができるよう、応急対策をどのようにしていかれるお考えか、伺います。

河合政府参考人 お答えします。

 大規模災害の被災経験がない自治体においても必要な対応を行える体制を構築することは重要な課題と考えております。

 内閣府においては、これまで、災害救助法の自治体担当者への説明会を毎年開催するとともに、自治体で災害対応の中核を担う職員向けの防災スペシャリスト研修を平成二十五年度から実施し、これまで延べ八千人を超える方が修了するなど、自治体職員の災害対応力の強化を図ってきました。

 加えて、令和六年能登半島地震の教訓を踏まえた内閣府防災の体制強化として、令和七年度から、内閣府防災担当の定員を倍増するとともに、都道府県とのカウンターパートとなる地域防災力強化担当も置く予定です。地域防災力強化担当は、担当する都道府県に対して、備蓄の推進や避難所環境の整備、人材育成や官民連携の促進など、事前防災を進めるための支援を行うとともに、発災時には被災地に赴いて支援に当たることも想定しており、各都道府県との連携体制強化を一層図ってまいります。

 以上です。

おおたけ分科員 地域防災担当を置いてくださったということで、是非、国や県が市町村の判断をサポートできる体制をしっかりと後押しして充実していただきたいと要望をいたします。

 次に、発災後、避難所の設営や被災者の支援等に、現地の職員が寝る間を惜しんで被災者支援に動いている姿は、感動するものではありますが、そのままではいけない、何とかサポートできないものかと感じております。

 総務省として、被災者である被災地職員がこのような状況にあることをどう捉えてみえるのか、また、このような状況を改善するには、どのような方法があると考えてみえるのか、伺います。

小池政府参考人 被災自治体では、大規模災害が発生した際には、大量の災害対応業務が短期間に発生する中、自らも被災された職員も含め、職務に御尽力いただいているものと認識をしております。

 大規模災害では、被災自治体単体での対応は困難であり、被災自治体の職員の負担を軽減するためにも、多くの応援職員が被災自治体に入ることが必要となります。

 総務省では、大規模災害発生時に他の自治体から応援職員を派遣する仕組みとして、地方三団体等と連携し、平成三十年に応急対策職員派遣制度を構築し、制度開始以降、これまで十一の災害において応援職員を派遣してきており、避難所運営等を支援しています。

 総務省としては、この制度を通じて、被災自治体の職員の負担が軽減されるよう、今後とも適切に対応を行ってまいります。

おおたけ分科員 応急対策職員派遣制度、能登半島地震のような大きな災害のときは十分に活躍されていると思っております。現地でも本当に助かりました。さらに、各地の局地的な水害等でも是非活用をお願いしたいと要望いたします。

 災害に遭ったことのない自治体職員の災害対応スキルを上げるため、応援職員として被災地に入ることをもっと奨励すべきと考えますが、総務省としての認識と取組について伺います。

小池政府参考人 全国の自治体においては、被災自治体に応援職員を派遣することなどにより、災害対応に関するノウハウが蓄積される面があると考えております。

 これまでも、自治体向けの職員研修などにおいて、被災地で避難所運営や住家被害認定調査等を経験することで、OJTで職員が災害対応の知見を得ることができ、結果として、応援派遣を通じて自団体の防災力の向上につながることから、応援要請があった場合には積極的に応じていただくよう助言を行っているところでございます。

おおたけ分科員 ノウハウの蓄積が大事とおっしゃっていただきました。私も本当にそのように思っております。

 自治体職員の災害対応について、担当部署がすぐに変わってしまって、スキルがなかなか積み重ねられていないことが課題であると思っております。技術系ボランティアの方々からも、支援に当たる職員の専門性のなさが課題として指摘をされております。

 担当部署が変わったとしても、災害時はそのスキルが発揮できるよう、災害応援に行った経験や、訓練で身につけたスキルを、災害支援スペシャリスト職員等として活躍できる仕組みを考えてはと思いますが、お考えを伺います。

小池政府参考人 先ほど答弁いたしました応急対策職員派遣制度では、各自治体における災害対応の知見を有する職員や、災害対応経験のある管理職等の職員を災害マネジメント総括支援員として総務省に登録をしていただいておりますが、この方々は、他の自治体が被災した際に、被災自治体の支援のために派遣されるだけではなく、自団体が被災した場合には、災害対応の中心となって活躍する人材となることを考えております。

 災害マネジメント総括支援員については、災害対応に知見を有する職員の継続的育成が重要であることから、災害対応に知見を有する職員については、現在の所属部署にとらわれず、災害マネジメント総括支援員として、積極的な推薦及び登録の維持を自治体に要請しているところでございます。

おおたけ分科員 主に県職員さんが多いんじゃないかと思っております。災害マネジメント統括支援員さんを中心に、市町村の災害支援スキルのある職員さんももっと評価をしていただいて、その能力を発揮していただくことで災害支援の専門性を強化していただくことを要望をいたします。

 このテーマの最後に、今後被災自治体の職員の負担を減らす取組として、総務大臣としてのお考えを伺います。

村上国務大臣 先ほど来、公務員部長さんから答弁があったとおり、総務省では、大規模災害発生時に他の自治体から応援職員を派遣する仕組みとして、応急対策職員派遣制度を構築し、被災自治体の職員の負担軽減に努めております。

 大規模災害の際にこの仕組みが有効に機能するためには、まず、全国の自治体、とりわけ首長の皆様に制度の存在を知っていただき、支援が必要な場合にはちゅうちょなく要請していただくことが大変重要であると考えております。

 また、自治体においては、多数の応援職員を受け入れるため、平時から受入れ体制、応援体制を整えておくことが必要不可欠である、そういうふうに考えています。

 これらの点につきましても、これまでも通知等により周知を行ってきたところでありますが、今後なお一層周知を図って、応急対策職員派遣制度の効果的な運用に努めてまいりたい、このように考えております。

おおたけ分科員 首長さんの判断が大事ということ、本当に共感をいたします。

 ただ、首長さんも、任期もありますし、なかなかぱっと、志賀町の町長さんもそうだったと思いますけれども、なってすぐ発災ということも、上手にすごく対応されたと思いますけれども、そういったこともあると思います。是非ともそれをサポートする国の体制をお願い申し上げて、次の質問を伺います。

 自治体財政の状況について伺ってまいります。地方財政全体の姿について、大きな視点で伺います。

 全国の市町村の収入力を財政力指数の推移からどのように認識してみえるのか。また、全国の市町村の財政健全化の状況について、健全化判断比率である実質公債費比率、将来負担比率等の推移から見てどのような状況か、伺います。

大沢政府参考人 御指摘の財政力指数につきまして、過去十年程度確認いたしますと、全国の市町村の状況につきまして、平成二十五年度決算では〇・四九、令和五年度決算では〇・四八ということで、おおむね横ばいの推移でございます。

 また、全国の市区町村の実質公債費比率と将来負担比率でございますが、実質公債費比率は、平成二十五年度決算は八・六%、これが令和五年度決算では五・六%、将来負担比率は平成二十五年度決算では五一%、令和五年度では六・三%と、いずれも低下傾向にございます。

 個別団体の動きは税収の動向や建設投資のタイミングなどで上下することがございますが、全体的に見て、地方財政の健全化は進んできているものと考えております。

おおたけ分科員 地方財政は一時期大変厳しい時期があったと思います。国と地方双方の御努力により、年々全体としてよい方向に向かっているということが確認できたと思います。

 次に、地方財政の健全化を続けていくに向けて、今後どのように取り組まれるのか、大臣に伺います。

村上国務大臣 先ほど来お話ございますように、令和七年度の地方財政計画においては、臨時財政対策債の発行額を初めてゼロにするなど、地方財政の健全化にも取り組んでまいりました。

 しかしながら、地方財政は、巨額な特例的な債務残高を抱えているほか、今後も、社会保障関係費、そしてまた人件費の増加、物価高などにより厳しい財政状況が続くと見込まれております。

 今後とも、地域経済の好循環の実現を通じた地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、必要な地方財源を確保した上で、特例的な債務残高の縮減など、地方財政の健全化にしっかり取り組んでいきたい、そのように考えております。

おおたけ分科員 それでは次のテーマに、今後の地方財政のポイントとなりますファシリティーマネジメントの進捗状況について伺います。

 現在、公共施設等総合管理計画を各自治体で策定し、将来を見越した運営ができるように動いてみえると思います。この計画策定済みの自治体はどのくらいあるのか。計画策定年度からどのくらいたっている自治体が多いのか。また、策定済みの自治体でも、住民による総論賛成、各論反対などにより計画どおりにはなかなか進まないのが現状であると思います。

 後世代に負の遺産を取り残さないためにも、PDCAをきちんと回していくことが必要です。PDCAを回して計画の見直しを行っている自治体はどのくらいあるのか、伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公共施設等総合管理計画につきましては、全ての自治体において策定が完了しているところでございます。

 このうち、千七百四団体、約九五%が平成二十八年度末までに策定をしております。

 また、総合管理計画の内容の充実を図るために、令和五年度末までに個別施設計画等を踏まえた総合管理計画の見直しを行うように要請をしてまいりました。令和六年十二月末までに、千七百六十四団体、約九九%が見直しを完了しているというところでございます。

おおたけ分科員 時間がなくなってまいりましたので、最後に大臣に伺います。

 各自治体が将来にわたって公共施設を適正規模で効率的に維持管理できるように、総床面積削減を含めた計画実施に向けてどのように取り組まれるのか、伺います。

村上国務大臣 人口減少や公共施設等の老朽化が進行していく中で、持続可能な形で行財政運営を行っていくためには、公共施設等の更新、統廃合、長寿命化などの取組を計画的に行うことが重要であると考えております。

 そのため、総務省では、自治体に対して、公共施設等総合管理計画の策定などを要請するとともに、総合管理計画に基づいて実施する集約化、複合化、長寿命化、転用などの取組に対して、公共施設等適正管理推進事業債により地方財政措置を講じているところであります。

 今後とも、自治体において、数値目標やプラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAサイクルも含めた総合管理計画の不断の見直しを行いながら、長期的な視点を持って、公共施設等の適正な管理、取組が計画的に行われるよう必要な対応を行っていきたい、そのように考えております。

田所主査 申合せの時間が経過しましたので、端的にお願いします。

おおたけ分科員 はい。

 では、最後に一言だけ。

 是非、後の世代に過度な負担を先送りしないように、公共施設の総量を適正化し、効率的な維持管理ができるよう後押しをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

田所主査 これにておおたけりえ君の質疑は終了いたしました。

 次に、福原淳嗣君。

福原分科員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日の私の質問は、尊敬する村上大臣にではなく、大沢局長を中心とした皆様方に質問させていただきますので、村上大臣におかれましては、どうぞ退室をされて、長時間本当にお疲れさまでした。

田所主査 大臣、御退席ください。

福原分科員 それでは、私の方から質問をさせていただく前に、一つ感謝を申し上げたいと思います。

 前回、私、村上総務大臣の所信に対する質疑をさせていただいた折、特に、地元の冨樫副大臣から、緊急自然災害防止対策事業費、いわゆる凍上災、これを対象にしていくことを令和八年度以降検討するという趣旨の発言をいただきました。それから約二週間、私、二回ほど地元に帰りまして、秋田県の場合は十三の市長さんがいます、私の昔の同職の仲間でもありまして、非常にみんな喜んでおります。

 皆さん、暖冬で雪が解けるのはいいではないかと言いますが、北国の、雪国の首長であれば、経験者であればみんな気づきます。雪が少ないということは、春になってからの道路の補修費に何倍もお金がかかる。そういう意味において、この凍上災に対する対応をきちっと総務省の方で打ち出していただいたということは非常にありがたいことだと、雪国の、北国の首長はみんな喜んでいる。本当にありがとうございますということをまず申し上げたいというふうに思います。

 そして、前回の所信に対する質疑でも申し上げましたとおり、私は、村上大臣の、日本の最後のとりでが総務省だというその意気込み、非常に高く評価をさせていただいているところであります。国民生活の基盤となる重要な制度を幅広く所管をしているのが総務省だ、その自負がやはり必要なのだろうというふうに思います。

 挑戦する自治体、いわゆる挑戦する市町村をきちっと総務省が後押しをする、それが総理が掲げる令和の日本列島改造、地方創生二・〇に私は資するものだというふうに考えております。この点を留意して、今日は、大きい項目で三点、細かくなりますが、聞かせていただきたいと思っております。

 まず、現場の実情を申し上げます。

 予想されたとおり、全国、地方においては人口減少が止まりません。それはそれでいいんです。ただ、一つ忘れてはいけないのが、人口は減少しているんです、定住人口は。ところが、市民あるいは住民の行政ニーズは逆に増えています。ここが重要です。現場での行政ニーズは従前よりも増大しています。しかも、多様化し、複雑化しています。こうすると、市役所職員、いわゆる行政職員の生産性を、パフォーマンスをいかに高めていくかという観点が必要でありまして、私は二つあると思っています。

 まず一つは、今総務省が進めようとしている、まさにDX、自治体DXであります。

 その意味におきまして、今回、総務省からではありませんが、内閣府の方から提出されている第十五次地方分権一括法、その中の地方公共団体情報システム機構法、これで、地方公共団体のシステム標準化等のための基金の設置期限を五年間延長する、しかも、間に合わなかった自治体に対しては、きちっと総務省の方からアドバイザーを出してサポートするというところまで踏み込んだ内容を提案をされています。

 実は、これも、私、首長仲間にこうなるんだよという話をしたら、みんな留飲を下げていました。自治体の側からすると、ベンダーの奪い合いという状況がずっと続いておりまして、ベンダーさんからすると、秋田県でいえば、十三ある市の中の県庁所在地の秋田市、三十万を超えているところは卸すPCが多いですから、ベンダーさんもそこに張りつきますよね。でも、それ以外の、七万、うちは七万を切りました、五万、二万五千、三万未満の市もやはりあります。そういうところが最後に置き去りにされている。そういう中において、非常にこういった取組は高く評価をされております。

 また、非常にありがたいことに、自治体DX、地域社会DXを推進するためのデジタル活用推進事業費、これに関してもきちんと対応をしていただいていて、ここも首長の皆様方は非常に高く評価をしているところであります。

 この自治体DXに対しての総務省さんのお考え、それから、今後進める方の本気度、そして、私の持論になりますが、是非、この自治体DXを進めるに際し、政府が年末に公表しましたGX二〇四〇ビジョン、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略と兼ね合わせて進めていくというお願いを前回いたしましたが、このことに関しても是非総務省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今後急速な人口減少が見込まれる、まさに今御指摘があったとおりでございます。そういった中で、自治体におきましては、デジタル技術の活用によりまして、住民の利便性、これをまず向上させる必要がある。さらには、一方で、業務の効率化、生産性の向上、これを進めることが求められているというふうに考えております。

 このため、総務省では、自治体DX推進計画を策定をいたしまして、自治体と住民との接点であるフロントヤードの改革の推進、また、自治体システムの標準化など、自治体が重点的に取り組むべき事項をお示しさせていただいております。また、必要なノウハウの提供や、今御指摘のありました基金とかありますけれども、財政措置など、様々な対応をさせていただいているところでございます。

 また、今般、自治体DXと地域社会DX、これの取組に必要な情報システム等の整備を推進するため、地方財政計画にデジタル活用推進事業費、これは一千億円でございますが、を計上するとともに、その地方負担額に特例的に地方債の発行が可能となるよう、地方財政法の改正案を提出をしているところでございます。

 さらに、小規模な自治体も含めまして、全国でDXの取組を推進する必要がございます。そのために、都道府県と市町村が連携をしていただきましてDX推進体制を構築していただきたいというふうに考えておりまして、その中で、都道府県において、デジタル人材のプール機能、これを確保していただきたいというふうに考えております。そういったことで広域的な取組を呼びかけているところでございます。

 今、先生から御指摘のありましたGXとの連携でございますが、DXの進展に伴いまして、当然、電力需要も急増が予想をされるというふうに考えております。地方が有する豊富な脱炭素電源、水、森、いろいろあろうかと思いますけれども、これを地域の活性化につなげていくということも非常に重要な観点だと考えておりまして、その観点からも、DXとGX関連施策との連携は極めて重要だと考えているところでございますので、関係部局と連携を取りながら、しっかりと進めてまいりたいと思います。

福原分科員 ありがとうございます。

 是非、現場を知り尽くしている自治体に寄り添った政策の展開をお願いをしたいというふうに思います。

 あと、いみじくも今発言がございましたとおり、県にデジタル人材をプールするというのは非常に私はいい考えだなというふうに思います。ですので、秋田県の場合、二十五の首長さんがおられるんですけれども、町村長さんは市長さんほど今回のDXに関してためらっていないというか、県がサポートしてくれるとはっきり言うんですね。むしろ市の方が、県とはまた違いますので、市長会と町村会と分かれている、それがそのままDXに対する、温度差とまでは言いませんが、真剣度というか、その辺のところをしっかりとフォローしていただけるとありがたいなと思います。

 あと、GXの連携に関しましても踏み込んだ発言をしていただきまして、ありがとうございました。実は私、昨日、経済産業省所管の分科会で、我がふるさと秋田だけでなく、北東北全体というのが実は脱炭素電源供給地域であります。洋上風力、風力だけでなく、地熱、それから原子力発電もあります。脱炭素ではないんですが、火力発電もあります。エネルギー基本計画の大宗を占める脱炭素電源供給地域でのGXに自治体DXが加わることで、新しいモデルがつくれるのではないかなと期待をしておりまして、是非、この点に関しましてもバックアップをお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、次の二点目の質問に入りたいと思います。

 改めて申し上げますけれども、挑戦する市町村を後押しする総務省、そのために、現場をよく知る行政職員のパフォーマンスを高めていくためには、DXと、そしてもう一つが、実は、同じような政策意識を共有している自治体の連携あるいは協力、あるいは広域化、ここをしっかりと押さえていくということも、行政職員のパフォーマンスを高めていく上で非常に重要な分野ではないかと私は考えております。

 これから、三つ、医療と、そして消防と家庭ごみ、いわゆる一般廃棄物の実情を申し上げて、改めて所管の総務省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 まず一点目は、医療であります。

 我が秋田県は、隣に隣接する青森県や岩手県と違いまして、実は、戦後のいろいろな医療事情があって、県立病院というものがありません。かつ、公営企業法、財務規定だけの適用だった一部適用から今全部適用になっている地方公営企業法に基づいて病院を持っている自治体というのが、四つしかございません。

 前職の大館市長時代、我が大館市立総合病院、四百床ベッドがありまして、お医者さんが大体六十人から七十人おられます。もう一つ、扇田病院という、小さな、病院とは言っていますが診療所のような病院がありまして、こちらはこちらでしっかりやっているんですが。実は、この二次医療機関としての大館市立総合病院、何と、市立病院でありながら、患者さんは、隣の鹿角市から、あるいは、洋上風力発電の拠点港になって今いろいろと人材が集まっている能代市まで、幅広く患者さんを受け入れている中にあります。

 また一方、二次医療機関ですので、三次医療機関としての大学病院、一番近いのは何と一時間で、県境を越えて行く、隣の青森県弘前市にある弘前大学医学部附属病院、そして九十分で着く秋田大学医学部附属病院、この二つにつなげていくという非常に大きな役割をしています。

 重要なのは、県境を越えて市立総合病院が周辺の市町村の患者さんを受け入れているという中にあって、今、新しい動きが起こっています。地域医療構想に基づいて、秋田県の場合は八つの二次医療圏というのを設定していました。それを、青森に近い県北のものに関しては一つの医療圏として捉えよう、まさに大館市立総合病院が果たしてきた役割をより広域的にカバーしようという動きになっています。

 そして、もっと重要なのが、医療人材だけでなく介護人材も今足りないと言われている中で、大館市立総合病院が中心になりまして、地域医療連携推進法人、県内では二つ目の、二例目になる新しい法人を設立する準備会を立ち上げました。

 法人になると何がいいのかというと、実は、お医者さんあるいはスタッフの融通ができるんですね。市立総合病院だけでなく、協定を結んだ隣の農協がやっている病院、共済の病院であったり、あるいは旧労働省が持っていた労災病院の派遣だったりが今度できるようになる。そうした人材のプールをする、融通をする。そして、ネットワークが広くなればなるほど、薬を含め、買うときに非常にディスカウントすることもできて、非常な効果を生んでいます。

 今回、医療に関しましては病院に経営改善事業の新しい制度を創設をしていただきましたが、是非、新しいことに挑戦をしている自治体を更に後押しするために、地方交付税法あるいは地方財政法をもっとうまく適用して後押しをしてほしい。まずはこの医療分野ということに関しまして、是非総務省の見解をお聞かせいただければと思います。

大沢政府参考人 私どもも、地域医療の確保という観点で、これまで、公立病院のみならず、地域医療の確保に尽力しておられる公的病院も含めて、地方財政措置をかなりの大規模な形で実施をしてきております。

 我々としても、今現在、かなり厳しい医療環境にあるものですから、病院経営環境にあるものですから、広域的な連携、病院の再編なども含めた機能分化とか連携強化、こういったことが極めて重要だと考えております。

 このために、我々としても、ガイドラインというのを作って、そういったことを強力に推し進めていただけるように要請をしておりますし、そのための財政措置もこれまでも講じさせていただいたところでございます。

 今の御指摘も、我々も非常に強く認識をいたしました。これからも、地域医療をどうやって確保するかということを、地域の皆様方といろいろ意見交換させていただいて、しっかりとした財政措置を講じていけるよう検討させていただきたいと考えております。

福原分科員 大沢局長、ありがとうございました。

 また、大沢局長におかれましては、先月、私の選挙区の六つの市の特別交付税の要望、丁寧に聞いていただきまして、本当にありがとうございました。今の答弁もしっかりと六人の市長に伝えていきたいというふうに考えております。

 それでは、二つ目なんです。より広域的なものを志向する現場の自治体の流れとして、消防を取り上げたいというふうに思います。

 災害が激甚化、頻発化する中で、県の指示を仰ぐのではなく、県境を越えてつながっていこうという動き、私の出身地、大館市であれば、青森県弘前市の連携が深まっているのは当然でありますが、私も、市長を三期するうちの二期目の一番最初の仕事が、今の弘前の桜田市長との消防に関する相互応援協定であります。

 はっきり言えば、大館市は、経済圏でいうと青森県なんです。青森県大館市と言っても差し支えありません。時間、距離で申し上げますと、大館市役所から一番近い県庁は、七十分で着く青森県庁です。次に近いのが八十分で着く岩手県庁です。そして、一番遠いのが九十分から百分かかる秋田県庁という中であれば、今申し上げました、医療は弘前大学医学部附属病院にお世話になっていることもあり、消防に関しても、毎月大体三十人から四十人ぐらいの急性で重篤になった患者さんを大館から弘前大学附属病院に搬送しているという状況にありますので、消防本部同士が連携を深めていくというのは非常にいいことだなというふうに考えています。

 そうした中、やはり、消防本部にとっても、DXをするという一つの流れと併せて、より連携している、あるいは協力しているところを後押しをする。それがひいては、今の弘前であれば弘前地区消防事務組合でしたので、約三十万のエリア、広大な消防団がありまして、そういうところと大館市が連携できたということは非常にありがたい。

 そういうのをもっともっと後押しするために、実際、消防本部に聞いてみたら、何が一番ネックになっているかというと、弘前の南のある消防団から救急車両を出した方が大館北部の人たちを救えるんだろうけれども、それを分析するすべがない、肌感覚では分かるんだけれども、そういうことが分からない、こういうところを後押ししてほしいなという声を実際に聞きまして、総務省所管の予算の中にも、消防分野、防災分野のDX、新技術の推進、常備消防等の充実強化の中に、広域化等による常備消防の充実強化というのをしっかりとうたっています。これも併せて、実際の、今、市と市の端境にどっちの消防が行った方が救える命が多くなるんだとか、そういうシミュレーションシステム等の支援等を考えておられると思うんですが、是非、そういうメニューがあったら、お聞かせいただけないでしょうか。

田辺政府参考人 消防の広域化については、消防本部の規模の拡大や人員の効率化等により、現場への手厚い人員配置、現場到着時間の短縮などといった消防力の強化が期待されることから、指令センターの共同運用を始めとする連携協力とともに推進していく必要があると考えております。

 そのため、消防庁としては、広域化に伴う指令センターの整備等について、緊急防災・減災事業債等による財政措置を講じてきたところでございます。

 また、分科員から御紹介いただきましたが、消防の広域化及び連携協力により現場到着時間が短縮する区域や短縮時間について、地図上に可視化して分析が可能な消防用車両出動シミュレーションシステムを提供し、消防本部において活用していただいているところでございます。さらに、消防広域化推進アドバイザーを派遣することなどにより、消防の広域化及び連携協力に係る取組を積極的に推進してまいります。

福原分科員 次長、ありがとうございました。

 是非、そのシミュレーションシステムをもっともっと宣伝をして、使っていただければと思います。私も、戻りましたら、そのシミュレーションシステムがあるので是非手を挙げてくださいというふうに宣伝しますので、是非ここは一緒に連携して、より広い範囲の国民の皆様方に安全と安心を届けられる消防庁であってほしいというふうに思います。

 そして、もう一つ。今度は家庭ごみ、一般ごみです。一般廃棄物です。

 これも私たちのライフスタイルの変化だと思いますが、人口は減っているんですが、ごみの量は減っていません。これも非常に今の現代社会の特徴なんだろうなというふうに思います。

 私も市長を三期していましたので、総務省の皆さんに釈迦に説法かと思いますが、もし家庭ごみの焼却施設を造るのであれば、環境省が進めている循環型社会形成推進交付金を使って造るんですというのも、よくよく知っています。ところが、実際の現場では、人口が減る中で、起債をして、循環型社会形成推進基本計画を作って起債をして百億、百五十億投資をする体力はもうありません。むしろ、そういった焼却処理を委託できるのであれば、そちらの方に委託をした方が財政的な体力の温存にもなります。

 そして、委託された先も、実は昨日、経済産業省所管の分科会でも私は提案さしあげましたが、大館であれば、実は地元に鉱山の企業がありまして、今、国内外の鉱山あるいは都市鉱山、使われなくなった家庭用機器、スマホですとかあるいは自動車の部品ですとか、そういうものからベースメタルやレアメタルを作っている施設があります。そこはきちっと別系統で焼却施設もあって、そこに委託をすればどのぐらい財政コストが低くなるんだろう、業務の負担量が減るんだろうという準備会を立ち上げました。そこにアドバイザーが今、秋田県、入っています。

 私、市長時代最後の仕事が実はこれだったんですけれども、DOWAさんの鉱山なんですが、半径百キロ以内の自治体は、恐らく、新しい一般廃棄物焼却処分場を造らなくても、DOWAさんに委託している方がはるかに安くなる。しかも、DOWAさんからすれば、きちっと益を出していただいて、それを税収という形で納めていくことで、そういった効果もある。

 今、官民連携による新しい動きが出ていて、是非こういった動きも、地方交付税法あるいは地方財政法、後押しする形で展開してはどうかということを、私、個人的に考えているんですが、この分野に関しましても、是非、総務省の考え方をお聞かせいただければと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 今の御指摘は大変興味深いお話でございますので、我々も、どういう形でごみ処理施設の財政措置を今後行うことが適当かということについて、しっかり検討させていただきたいと思います。

 我々としては、広域的な処理とか民間との連携というのをどういうふうに進めるかというのは非常に大事な視点でございますので、来年度については、ごみ処理の関係では、我々、財政措置を拡充しているのは除却です。国庫補助対象になかなかならないものですから、施設を広域化したときに残る施設の除却費用についても交付税措置を講じるということで、見直しをさせていただきましたが、ただいまの御指摘の点も含めて、今後しっかり検討していきたいと考えております。

福原分科員 大沢局長、ありがとうございます。

 是非にとも前向きに進めていただければと思います。私ども、全力で応援をさせていただきたいというふうに考えております。

 それでは、最後になりますが、三点目であります。これは、村上大臣が総務省が進めるべき方向性の五つ目として挙げている、国の土台となる社会基盤の確保、いわゆる郵便事業に関して質問をしたいと思っています。

 こちらの令和七年度総務省所管予算の概要、二十四ページにあります。十七番、「郵便局の活用による地域社会の持続可能性の確保」であります。

 これは、実は所信に対する質疑のときにも取り上げましたけれども、我が自治体においても、やはり支所をどんどんどんどん閉鎖をする。そして、残念ながら、それ以上にもっと早いのが、地元の、いわゆる地銀ですね。地銀の統廃合というのは自治体の支所を閉鎖する速度ではなく、もうあっという間に、閉めますということをアナウンスすると、半年後にはもうないんですね。

 そうした中、やはり私は帰るたびに、私の選挙区は、十五市町村、六市七町二村、十和田湖から男鹿半島まで、八幡平から白神山地がある八峰町まで、広大でありますが、どんな奥にあってもあるのが、実は郵便局です。

 実際、郵便局と、大館市長時代に私は包括提携をしまして、本当に、独り暮らしの御老人の方にお声がけをするとか、秋田犬のふるさとですので、秋田犬を活用した切手、はがき、それから、お中元のセットも作っていただいて、地域活性化にも非常に新しい観点からアイデアをたくさんいただいて、非常に盛り上がっています。

 恐らく、DXが進むと、市役所の窓口業務というのはほぼなくなります。そうなってくると、なおのこと、地域の偏在性も超えたところにある郵便局のネットワーク、あるいは、それはDX化、地域社会DXの中でも多分恐らく窓口に私はなっていくのではないだろうかなというふうに考えています。

 是非にとも、こういう観点から、特に、地域金融機関を賄った例もあると思うんですね。是非、そういう事例があれば、教えていただきたいと思います。

牛山政府参考人 お答えいたします。

 全国二万四千局のネットワークを持つ郵便局、こちらは地域の重要な生活インフラとしての役割を担っておりまして、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、今、分科員からも御指摘ございましたような地域の実情やニーズに合わせた取組への期待、こちらも大変大きくなっているものと承知してございます。

 日本郵便におきましては、住民票の写しなどの証明書交付事務やマイナンバーカード関連事務といった自治体窓口事務の郵便局での受託に加えまして、昨年九月末時点では千五百十八の自治体と包括連携協定、こちらの方を締結し、地域の見守り等に取り組んでおる。また、ATMの設置などによりまして地域金融機関と郵便局との連携等、こちらの方も進んでいるところであると承知をしているところでございます。

 総務省といたしましても、これまで、郵便局の利活用に係る実証事業に取り組んでございまして、令和七年度政府予算案におきましても、自治体窓口事務などの行政サービスと、オンライン診療、買物支援といった住民生活支援サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な経費を計上しておるところでございます。

 また、実証事業に加えまして、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づきまして窓口事務を受託する過疎地の郵便局に対して市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴います初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしておるところでございます。

 こうした取組を着実に実施いたしまして、今後とも、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう、支援してまいります。

福原分科員 牛山部長、ありがとうございます。

 非常に重要なことを一つ教えていただきました。というのは、初期経費、特別交付税で対応というのは、これは非常に私、ありがたいことだなというふうに思っています。これも是非、戻ったら、首長さんに積極的に宣伝をしたいというふうに思います。

 そして、自治体の方も、実は、郵便局ネットワークとつながる利点というのをまだまだちょっと過小評価しているところがあると思うんですね。今、牛山部長がおっしゃったとおり、全国の二万四千のネットワークを秋田県の大館市でつながっていける強み、そこをやはり行政の方がもっともっと宣伝していかなければならないのではないかなというふうに考えています。

 今、牛山部長から新しい着眼点をいただきましたので、私も戻りまして、首長さん方と、郵便局のネットワークとの連携、熱く語って宣伝をしていきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

田所主査 これにて福原淳嗣君の質疑は終了いたしました。

 次に、許斐亮太郎君。

許斐分科員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、ちょうど一年前まで、NHKで報道カメラマンとして二十五年間勤務していました。それらの経験を踏まえて、放送事業者や消防職員の働き方などについて質問させていただきたいと思います。

 それでは、質問させていただきます。

 まず、放送事業者の働き方、人権についてお尋ねいたします。

 最近、放送事業者、主にテレビ局において、放送局所属職員、また芸能人や制作スタッフなどの芸能従事者、そしてフリーランスに対するセクハラやパワハラなど、人権に対する配慮不足が浮き彫りになってきています。

 この放送業界の人権、コンプライアンスの意識について、大臣の現状の認識をお答えください。お願いします。

村上国務大臣 許斐委員の御質問にお答えしたいと思います。

 職場におけるハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させる許されない行為でありまして、これは、放送事業者の社内のみならず、番組制作の現場においても同様であります。

 放送事業者の職員、芸能従事者やフリーランスなど、放送に関わる全ての人々の人権を尊重し、あらゆるハラスメントや人権侵害が行われることがないよう、業界全体で取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。

許斐分科員 ありがとうございます。

 次に、働き方について、特にフリーランスとなっている芸能従事者の契約が、公正取引委員会によりますと、口頭での契約が多くて、不安定な働き方になっています。放送局などとの力関係によって、いわば言いなりの契約になっているケースが散見されています。

 放送事業者の監督官庁として、この状況の認識と、今後どのように改善していくのか、お示しいただきたいと思います。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 令和六年に公正取引委員会が実施した音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査によりますと、芸能事務所に対するアンケート調査及びヒアリングにおいて、放送事業者から取引条件の事前の明示がない、交渉ができないなどの回答があったと承知しております。

 総務省としましては、独占禁止法や放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインなどに照らして問題となり得る契約の事例について、放送事業者に対して丁寧に周知を行うとともに、関係省庁とも連携しながら必要に応じて調査や指導などを行うなど、適切に対応してまいります。

許斐分科員 ありがとうございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、引き続き、人権そして安全衛生への取組についてお伺いいたします。

 特にドラマや舞台など長期の撮影やロケを行う現場において、私が必要だと感じているのがセクハラ、パワハラなどの人権への配慮です。新しい試みも始まっていますので紹介いたします。

 例えばNHKなどで、大規模なドラマ撮影のときに、インティマシーコーディネーターの導入を行っています。インティマシーコーディネーターとは、いわゆるヌード撮影や性的描写シーンでプレッシャーがかかる俳優が安心して演じることができる環境づくりや、その一方で、監督の求める描写が最大限実現できるようにするのがその役割です。最近では、別の取組として、パワハラや人間関係のトラブルを未然に防ぐ効果があるリスペクトトレーニングを行う現場もあります。

 このような制作現場での人権配慮の取組を、総務省がリーダーシップを取って、放送業界全体に、そして、あらゆる現場に進めていくべきだと考えますが、見解をお答えください。

豊嶋政府参考人 ただいま分科員御指摘ございましたインティマシーコーディネーターの導入も含めまして、相談窓口の設置、あるいは、今御指摘いただきましたリスペクトトレーニングの実施など、各放送事業者におきまして、制作現場で働く全ての方々の人権を守るため、効果的な方策を検討、推進していくべきものと考えております。

 総務省におきましては、放送番組の制作取引及び制作現場の適正化のため、これまで、放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインを策定しており、昨年、こうした望ましい取組について記載を追加する改定を行ったところでございます。今後、多くの制作現場においてこうした取組が浸透するよう、放送事業者や制作会社に対してガイドラインの周知徹底を図っていきたいと考えております。

 また、法令違反となるような事例があった際には、関係省庁とも連携しながら是正に向けた指導を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

許斐分科員 ありがとうございます。

 是非、政府として、このガイドラインの徹底と、総務省だけではなくて、厚労省、公正取引委員会そして文化庁との連携を行って前に進めていっていただきたいと思っております。

 次に、SNSの誹謗中傷対策の質問をお願いしていましたが、昨日、この分科会でもたくさん議論がありましたので、質問を飛ばさせていただきます。大臣におかれましては時間と御準備をいただきましたのに、大変申し訳ございません。

 次の質問に移らせていただきます。

 テーマを変えまして、消防職員の働き方についてお伺いいたします。

 年間の救急の出動回数が、二〇二三年には全国でおよそ七百六十四万件と、過去最高となっています。このように逼迫する救急要請に対応するために、消防職員の労働環境が過酷になっている実態について、大臣の御認識をお伺いいたします。

村上国務大臣 近年の救急需要は大変増加しておりまして、また、災害は激甚化し、頻発化する中で、最前線で国民の生命財産を守る消防の果たす役割はますます増大しております。

 そのために、これらに対応する消防職員の確保や勤務環境の整備は大変重要と認識しております。

 消防職員数は近年一貫して増加してきておりまして、地方財政計画においても、近年の増加状況を踏まえて、増員して計上しております。

 また、総務省消防庁としては、消防職員の勤務時間の適正な管理についてその徹底を図るとともに、女性消防吏員の活躍の推進やハラスメント対策など、消防職員の方々の働きやすい職場環境の整備に努め、その能力が十分に発揮できるよう取り組んでまいりたい、そのように考えております。

許斐分科員 ありがとうございます。

 その対応する消防職員の勤務条件の改善について少し議論したいと思います。

 まずは、無賃金の拘束時間についてです。

 全国の消防職員の大半は、二十四時間を一単位とする交代勤務制を取っています。朝八時半に整列、朝礼をして、翌日の朝八時半まで勤務しています。そのうちの休憩時間、仮眠時間とされている六時間から九時間ほどの時間についてお尋ねいたします。

 現在、署内での仮眠時間は労働時間として認められていませんが、これを労働時間として認めていただくことはできませんでしょうか。お答えください。

田辺政府参考人 交代制勤務の中で仮眠や食事等に充てられる休憩時間は、出動命令のない限り、何らかの役務の提供が義務づけられるものでないことから、勤務時間には該当しないものと考えています。

 休憩時間については、労働基準法で自由利用の原則が規定されていますが、消防業務の特殊性から、消防職員については、その適用が除外されているところです。

 また、休憩時間に火災出動等を行った場合、休憩時間を取得できない状況も生じます。こうした勤務時間を休憩時間に振り替えることができなかった場合は、時間外勤務として整理する必要がございます。

 勤務時間の適正な管理や指定された休憩時間中に発生した勤務の取扱いについては、適正な労務管理を図る観点からも遺漏のない対応が必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。

許斐分科員 更に質問いたします。

 休憩、仮眠時間とはいえ、常に指揮命令下にあります。救急、消防、救助事案が発生したら即出動する、そのようないわば緊張状態にあるわけですね。私も、NHKの報道カメラマンとして、局内や出先の施設で泊まり勤務を行ってきました。やはり、いつ事件、事故、災害で出動するか分からない緊張状態でした。デスクの指揮命令下にあって仮眠している状態、その状況も類似しています。

 そのNHKでも、以前は仮眠時間については勤務になっていませんでした。しかし、二〇二一年四月から、局舎内の仮眠は執務時間とするに変わりました。私が入局して二十年余り、全く動かなかった壁が撤廃されました。

 また、地下鉄、東京メトロの泊まり勤務に関しても、去年、二〇二四年八月に足立労働基準監督署が、休憩、仮眠時間とした時間は労働から離れることが保障されている時間とは認められないと指摘しています。

 消防署員も、実際に署内にて拘束されている状況を鑑みると、勤務時間若しくは手待ち時間とするべきではないでしょうか。御見解をお願いいたします。

田辺政府参考人 繰り返しになりますが、交代制勤務の中で仮眠や食事等に充てられる休憩時間は、出動命令のない限り、何らかの役務の提供が義務づけられるものでないことから、勤務時間には該当しないものと考えてございます。

 休憩時間については、労働基準法で自由利用の原則が規定されていますが、消防業務につきましては、その特殊性からその適用が除外されているということにも御留意いただければと考えております。

許斐分科員 世の中の認識はどんどんどんどん変わっていっています。地方公務員法の十四条に、「勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。」とあります。

 これは質問通告はありませんが、大臣、これは是非、仮眠時間は勤務時間と認めていただくべきではないかと思いますが、もしよろしければ御答弁いただけないでしょうか。

田辺政府参考人 繰り返しで申し訳ございませんが、消防の場合、休憩時間については労働基準法でそもそも自由利用の原則が除外されているということに御留意いただければと考えてございます。

許斐分科員 ありがとうございます。これからも是非前向きな検討をよろしくお願いいたします。

 次は、消防職員の始業前点検、いわゆる時間外勤務について質問いたします。

 消防職員はほぼ整列、朝礼から勤務が始まります。その前の始業前点検が時間外勤務として認められる消防本部と認められない消防本部が混在していると各地の消防職員から伺っています。

 勤務管理や手当の支給の判断などは各地方の消防本部の消防長に委ねられているのが現状だと思います。始業前点検など、同じ勤務を行っても所属消防本部ごとに処遇の差が出ていることへの認識についてお伺いいたします。

田辺政府参考人 消防職員を含む地方公務員の勤務時間については、地方公務員法に基づき、各地方公共団体の条例で定めることとされております。

 また、消防職員の勤務時間の管理とその運用の細部については、条例、規則等に具体的に規定し、管理者による裁量的な運用が行われないようにしなければならないものであり、消防庁においても、その旨、各消防本部に対し通知しているところでございます。

 また、始業時間の前に行う消防用車両の点検などの時間が勤務時間に該当するか否かについては、各消防本部の条例、規則等の内容や実際の運用等から個別具体的に判断されるものと考えられます。

 消防庁においては、各消防本部において勤務時間の適正な管理が徹底されるよう、必要な助言等をしてまいります。

許斐分科員 そのように、消防本部の間での処遇格差は、そのまま人材の流失、あるところでは新人不足につながって、ひいては消防職員の地域の偏在、消防の地域格差につながっていくと思います。何とぞ、統一したルール、統一した処遇でやっていただきたいと思っております。

 次に、総務省のNHK予算、国際放送の予算についてお伺いいたします。

 予算が昨年と同じ三十五・九億円計上されています。これは遡ると、何と令和元年から七年間同じ金額です。なぜこの金額になっているのか、根拠をお示しください。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 令和七年度における国際放送の実施要請に係る交付金の金額につきましては、総務省におきまして、これまでの放送実績を踏まえつつ、費用の見積りを行った上で予算要求をしているものでございます。

 具体的には、要請に対応した番組制作費、衛星や短波による送出等に要する費用、それと、これらの業務を行うために必要な人件費を毎年度精査をさせていただいて計上しているものでございます。

 御指摘がございました、ここ数年数字が同じと申し上げましたのは、その実績で申し上げますと、この要請に応じた放送に要する内容、ほぼ毎年同様の状態でございまして、これに伴いまして、毎年精査しておりますが、結果として同額という形になっております。

 以上でございます。

許斐分科員 ありがとうございます。

 いろいろ、今御答弁でありましたが、これまで七年間、新型コロナもありました、もちろん人件費や機材の高騰もあります、そしてまた一方でNHKのスリム化も行っている中で、毎年毎年同じ額というのはちょっと気持ち悪い感じがします。必要なものは必要、不要なものは不要。きちんとプロセスを透明化して、必要な額を毎年計上することを要望いたします。

 そして、続きまして、その国際放送局ですが、昨年八月、要請放送であるラジオ国際放送において、尖閣は中国の領土であると放送がありました。これは国の要請に資する放送に当たるかどうか、村上大臣の考えをお聞かせください。

村上国務大臣 NHKの国際放送は、我が国に対する認識を培うことによって国際親善の増進を図るなど、重要な役割を果たしていると考えております。御指摘の事案につきましては、こうした国際放送を担う公共放送としての使命に反するものであり、非常に遺憾に感じております。

 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明らかであります。御指摘の中国人外部スタッフの発言は、我が国の立場と全く相入れず、要請放送に資するものではない、そのように考えております。

 NHKにおいては、昨年の九月に再発防止策を発表し、本年一月にはその取組状況を公表しているというふうに承知しております。NHKには、国際放送を担う公共放送としての使命を深く認識して、再発防止に徹底的に取り組んでいただきたい、そういうふうに考えております。

許斐分科員 ありがとうございます。

 まさに国の領土という主権を毀損した放送だと思います。これは放送の出口のところで中国人スタッフが引き起こしたため、今後、AIを利用して再発の防止を図るということですが、実はこれも心配しています。

 そして、これは要請放送ではないですが、NHK国際放送の多言語字幕サービスにおいて、尖閣諸島をAIが釣魚島と誤表記する事態が起こりました。これは字幕生成AIが原因です。まさにAIが原因です。そして、これも外国企業のAIを使っていた、そこに大きな問題と危機管理の甘さがあったと思います。今後、世界各国がAIを開発していきます。一番大切な放送の出口を外国製品に委ねることがないように、きちんと予算が使われるように監督することを要望いたします。

 続きまして、領土を守る放送に関しての質問を行います。

 本日は海上保安庁、防衛省の方が来ていただいています。よろしくお願いいたします。

 沖縄の尖閣諸島の報道、広報において使用する、いわゆる資料映像が各放送事業者、報道機関で古いものになっています。

 私の認識では、二〇一三年十一月の撮影が最後の映像だと思います。その理由は、尖閣諸島上空に中国が一方的に防空識別圏を設定したためです。

 私も、NHK沖縄局での勤務時代に、ヘリコプターや固定翼機で尖閣諸島の撮影を行っていました。まさにそれ以降、我が国の領土である尖閣諸島上空での空撮ができなくなっています。私たちが今ニュースでよく見ている尖閣諸島の映像は、実はおよそ十二年前の映像です。

 そこで、尖閣諸島を忘れないため、今の尖閣諸島とその周辺の状況を国民に知ってもらうためにも、現場の上空や海域を哨戒活動している自衛隊や海上保安庁が撮影した最新の映像を放送事業者などに提供して利用することは可能かどうか、若しくは、似た映像の提供事例が過去にあるのか、防衛省と海上保安庁、各々お聞かせください。よろしくお願いします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊では、尖閣諸島周辺を含む我が国周辺海域における警戒監視活動等を通じまして得られた周辺国の海軍艦艇の動向等のうち、注視すべきものや特異なもの等につきましては、当該艦艇等の行動概要、あるいは写真、こういったものを公表しております。

 その上で、一般論として申し上げれば、自衛隊が警戒監視において撮影した動画を公開しますと、自衛隊の体制や能力等の詳細を推察されかねない、こうしたことから、これを報道機関を含む部外に提供することにつきましては、国民の知る権利に最大限配慮しつつも、慎重に検討する必要があると考えております。

 また、お尋ねの報道機関への提供の実績、これにつきまして、少なくとも過去十年以内に尖閣諸島周辺における警戒監視で得られました動画、これにつきまして報道機関に提供した実績は、確認した限りはございません。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として、我が国の領土、領海、領空、これを断固として守り抜くため、引き続き、海上保安庁などの関係機関ともしっかり連携をしながら、警戒監視、情報収集には万全を期すとともに、活動を通じて得られました情報については適切に公表してまいりたいと考えております。

服部政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺海域においては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶が活動しており、海上保安庁では、同海域に常に巡視船を配備して領海警備に当たっております。

 このような当庁の活動については、これまでも、関係省庁と調整の上、報道機関に海上保安庁広報映像を提供するなどにより、国民の理解促進に取り組んでまいりました。

 今後とも、必要に応じ、適切な情報発信に努めてまいります。

許斐分科員 ありがとうございます。

 やはり、元カメラマンとして、放送人として、最新の映像が見たいと思います。機密の保持は大変重要だと思いますが、自衛隊では、災害時のヘリコプター映像に関しては、防衛省の統合幕僚監部の報道室に放送事業者が申し入れれば提供可能ということもありますので、この尖閣の映像に関しても、必要に応じて関係各所の判断で使用できるという仕組みを是非前向きにつくっていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。

 続きまして、選挙に関連して、NHKの規定についてお尋ねいたします。

 NHKの在職立候補制度についてお尋ねいたします。

 そもそも、NHKに在職立候補制度の規定はありますでしょうか。そして、それは、報道や総務職など職種によって制限がありますでしょうか。お答えください。

竹村参考人 お答えをいたします。

 立候補に当たっての在職立候補につきましては、職員就業規則で定めております。

 御質問の、職種によって違いがあるのかということですが、職種によって違いはございません。一律の規定でございます。

 国会議員に立候補される場合には、まず、立候補するときには、あらかじめ上司に届け出なければならないというのがあります。続きまして、そして、国会議員に立候補したときは、休職を命ずることがあるという規定でございます。休職を命じた職員には、職員の身分を保有はそのまましていただきますけれども、業務には従事させないと定めています。さらに、国会議員に就任されたときには、それは退職とする。

 以上、就業規則でそのように定めております。

許斐分科員 ありがとうございます。

 そうなんですね。在職立候補制度はあるんです。しかし、私はその制度を使わせてもらえませんでした。理由は、そのとき、私が報道職の報道カメラマンということを言われました。その答弁を聞くと、本当におかしいですよね。そして、在職立候補を認めるどころか、まさに答弁にあった、立候補を決意して上司に報告した翌日に、東京から私が勤めていた福岡に更に上の上司がやってきて、開口一番、辞職を促されました。やはりおかしいと思います。当時、職種に制限はないと私も知っていましたけれども、実際には、現場で考えると、透明で見えて、非常に厚いガラスの壁を感じました。

 そこで、重ねて確認です。

 NHKでは、どのような職種でも在職立候補が可能ですか。お答えください。

竹村参考人 お答えをいたします。

 就業規則はそのように定めております。

 なお、職員就業規則、例えば第三条に、NHKの職員は、公平公正というNHKの使命達成のために、しっかりとその責務を果たさなければならないというように規定をいたしておりまして、実際には、とりわけ報道に携わる職員につきましては、公平公正、不偏不党を旨とする公共放送NHKの立場を踏まえて、疑念を抱かれないようにしなければならないということで、常日頃から理解を求めているところです。

 こうしたことから、これまでも、立候補される職員の方については、その意味では重い決断をされて、自らの意思で退職を選ばれてきたところと承知しています。今回、当時の上司の方からも、そうした趣旨のことをお伝えをして、促しをさせていただいたんだろうというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、大変、ある意味退路を断つ、非常に重たい決断をされることになるということについては、十分、そういうものであろうというように思っております。

許斐分科員 ありがとうございます。しっかり言葉は胸に届きました。

 議員のなり手不足の解消、そして幅広い国民の政治参加のためにも、やはり、世の中的には、在職立候補制度というのは大変大きな試みの一つだと思います。選挙のたびに、まさにNHKのニュース番組でも、なり手不足の解消法として何度もこの在職立候補制度を取り上げてまいりました。公共メディアであるNHKが、その広報活動、そしてその実践の先頭に立っていただきたいと思っております。本日はありがとうございました。

 以上、放送、消防、国防、選挙について、現場の視点から質問させていただきました。

 本日はどうもありがとうございました。

田所主査 これにて許斐亮太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部司君。

阿部(司)分科員 日本維新の会、阿部司でございます。

 消防団を中核とした地域防災力の充実強化について、まず最初に何問かお伺いをしてまいりたいと思います。

 初めに、消防団の拠点施設の安全性と防災対策について質問いたします。

 昨今、気候変動の影響もありまして、全国各地で豪雨災害が多発しております。こうした状況下で、地域防災の要である消防団の活動拠点の安全性が確保されているのかどうかという点について、大変懸念を抱いております。

 特に、私の地元、東京都北区におきましては、消防団の拠点施設がハザードエリア内に位置していることが既に把握されておりまして、地域住民からも安全対策を求める陳情が寄せられています。消防団の方からも直接お話をお伺いしております。このような状況というのは全国的にも見られるのではないかなと危惧をしておる次第です。

 令和六年度の消防白書によりますと、消防団拠点施設や地域防災拠点施設の整備には緊急防災・減災事業債等による財政措置が講じられているとのことですが、この財政措置の実施状況だけを把握しているだけでは不十分なのではないかということです。肝腎の救助する側の拠点そのものが被災するリスクを抱えているという矛盾した状況について、消防庁として実態をきちんと把握されているのか疑問であります。

 既存の調査研究や事例報告によりますと、消防団の詰所、機庫といった活動拠点の中には、洪水や津波、土砂災害のハザードエリア内に位置しているものが少なくないことが示唆されております。実際に過去の災害では、消防団の施設や車両等の装備が浸水被害を受けて、初動対応に支障を来した事例も報告されております。しかし、こうした危険な状況について、消防庁として全国的な実態把握が行われているとは思えないんですね。

 単に財政措置を講じているというだけでは問題の解決にはなりません。消防庁として、全国の消防団拠点施設のうちどれだけの施設がハザードエリア内に位置しているのか、正確に実態を把握して、各自治体に対して、拠点施設の移転ですとかかさ上げ、装備品の高所保管などの具体的な対策を講じるよう働きかけるべきと考えますけれども、この点についての御見解と今後の対応方針について総務大臣にお伺いをしたいと思います。

村上国務大臣 阿部委員の御質問に答えます。

 消防団の拠点施設については、地震や風水害による影響が比較的少ないことなどを十分に考慮した適切な場所を選んで設置していただく必要があると考えております。

 洪水浸水想定区域等に設置された消防団の拠点施設の数については、まだ現在把握していないために、今後、自治体の実情把握に努めてまいりたいと考えております。

 消防団の拠点施設の整備については、緊急防災・減災事業債の活用も可能であることから、自治体に対して、安全な場所に拠点施設を整備いただくとともに、資機材の安全管理についても働きかけていきたい、そういうふうに考えております。

阿部(司)分科員 ありがとうございます。

 しっかり実態を把握して自治体に働きかけていくという御答弁をいただいたと思っております。しっかり、この問題については取組の強化をお願いをしたいと思います。地元の消防団の皆さんも日々必死に活動されている中で大変御心配されておりますので、よろしくお願いします。

 続いて、消防団の通信体制の強化についてお伺いをいたします。

 先般の豪雨災害において、地元の消防団では、無線機が浸水により故障したり、災害現場の騒音で必要な情報が聞き取れないなど、通信体制に課題があるというお話をお伺いいたしました。

 消防庁におきましては、救助用資機材への補助を進めていることは十分承知しておりますけれども、有事の際の情報収集、伝達能力、これは消防団活動の根幹であると思います。特に災害時の通信の途絶、これは人命に関わる問題でありまして、最優先で対策を講じなければならないと思います。

 大規模災害時には通常の通信インフラが機能しなくなることは過去の災害でも経験されておりまして、そのような状況下でも確実に機能する通信手段を確保することが不可欠です。防水性、耐衝撃性に優れた無線機はもちろんのこと、最近では、衛星通信システムなど新たな技術も実用化されております。特にスターリンクのような衛星通信システムは、地上のインフラに依存しないで、あらゆる環境下でも通信を確保できる可能性を持っております。

 そこで、お伺いをいたします。

 現在の消防団設備整備費補助金の対象や実態把握の状況を確認するとともに、スターリンクなどの衛星通信システムも補助対象に加えるべきと思いますけれども、この点について政府参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

田辺政府参考人 災害時にいち早く駆けつける地域に密着した消防団については、迅速な情報収集による災害状況の早期把握等が求められており、分科員御指摘の消防団への通信機器の整備については、消防団の初動対応能力の強化を図り、消防隊と連携した体制の早期確立にも寄与する大変重要な取組と考えております。

 そのため、消防庁では、消防団が整備するトランシーバーを消防団設備整備費補助金の補助対象としているほか、消防団の力向上モデル事業により、トランシーバーを始め、衛星通信機器等を活用した災害想定訓練などの自治体の取組を支援しております。

 これらの支援により、消防団におけるトランシーバーの整備については、令和六年四月現在、約十二万五千台が全国の消防団に導入されているところです。

 このほか、分科員御指摘の衛星を介した通信機器の整備につきましては、孤立地域対策としても有効な場合も考えられることから、実際の消防団のニーズをよく伺ってまいりたいと考えてございます。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 各種補助制度があるということは理解をしておりますけれども、スターリンクについては、いわゆる孤立地域ですか、特定のケースが検討の対象というふうに受け止めたんですけれども、災害現場での迅速な対応が求められる消防団の活動を考えると、こうした先進的な通信システムも通常のトランシーバーなどと同じメニューに組み込んで、より簡便に導入できる仕組みを御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

田辺政府参考人 今御指摘いただきましたけれども、今回の能登半島地震でも、スターリンク等の衛星通信が非常に効果的に機能しておりました。このような実際の災害現場での教訓なんかも踏まえながら、今後の在り方についてはよく考えていきたいというふうに考えてございます。

阿部(司)分科員 是非お願いいたします。

 せっかくテクノロジーが発達して、非常に便利で、災害救助活動に非常に有効な効果を発揮することが見込まれるわけですから、これはしっかり前向きに検討していただきたいと思います。

 次に、消防団のドローン活用に関する人材育成について質問をさせていただきたいと思います。

 白書では、消防団災害対応高度化推進事業としてドローン講習の実施が挙げられております。実際には、資格取得のための講習費用が高額で、なかなか高度な技能の取得者を確保できていないと言われております。

 ドローンは、災害現場の状況把握ですとか要救助者の捜索などについて、消防団活動の効率化、高度化に大きく貢献する技術でありますが、その効果を最大限に発揮するためには操縦技術を持った人材の確保が不可欠であります。各消防団に最低一名以上のドローン操縦資格保持者を確保することができれば、消防団、これは分団ごとに一人必要ですね、災害時の情報収集能力を大幅に向上させることができます。

 そのためには、消防団員の人材育成と資格取得を促進するインセンティブ設計というものが重要であると思います。ドローン操縦資格を取得したいという若者は非常に多くいらっしゃいます。そうした方々に対して、消防団に入団すれば資格取得をサポートするといった仕組みを構築することで、技術取得の意欲と地域防災への参画意識を同時に高めることができるのではないかなと思います。また、既に民間でドローン操縦資格を持っている方を機能別消防団員として迎え入れる取組と併せて進めていくことで、より効果的な人材確保が可能となります。

 やはり、防災訓練へいろいろ行ったり地元の消防団の方からお話をお伺いしますと、とにかく人材の確保が大変だと、これは本当に毎度言われることでありまして、これはドローンの資格取得の話と抱き合わせにしていくような工夫をすることで結構効果があるのではないかなと思うんですけれども、消防庁としての取組状況と今後の方針を政府参考人にお伺いしたいと思います。

田辺政府参考人 消防団におけるドローンの活用については、消防団員の安全を確保しつつ、上空から迅速に被害状況の情報収集ができる観点から極めて有効であると認識しており、そのためにはドローンを操縦できる人材の確保が重要と考えております。

 そのため、消防庁では、消防団設備整備費補助金や緊急防災・減災事業債の対象にドローンを含め、消防団への導入を支援しているほか、ドローンを安全かつ効果的に運用できる人材を育成するため、全国の消防学校等において消防団員向けのドローンの操縦講習を実施することとしております。

 また、令和七年度からは、消防団員がドローンの国家資格を取得する経費について、新たに特別交付税を措置することとしております。

 このほか、本年一月に全国の自治体に発出した通知においても、ドローンが操縦できる人材を機能別消防団員として活用することについて促しているところであり、このような様々な施策を通じて消防団におけるドローンの活用を支援してまいります。

阿部(司)分科員 御答弁ありがとうございました。

 ドローン技術の活用と人材育成について前向きな御回答をいただきまして、心強く感じております。消防団活動の高度化に向けて、技術と人材の両面から支援を強化していただくことは大変重要なことだと思います。特に若い世代に対して、消防団に入ればドローン資格が取れるというインセンティブは、団員確保と技術力向上の一石二鳥となると思いますので、是非とも積極的に推進をしていただきたいと思います。

 次に、都市部における災害対応の課題について質問をしてまいります。

 東京都の首都直下地震等による東京の被害想定報告書によれば、閉じ込めにつながり得るエレベーターの台数というものが十年前の想定の二倍に増加しているとのことです。高層ビルですとかマンションが集中する都市部におきましては、災害時のエレベーター閉じ込め被害対策が喫緊の課題となっております。

 特に、マンションの高層化が非常に進んでおりますので、地震発生時には多数のエレベーターが一斉に停止して、多くの住民が閉じ込められるというリスクが高まっております。こうした場合、限られた消防力で迅速に対応することが極めて困難になることが予想されます。

 そこで、お伺いします。

 総務省では、こうした都市特有のリスクに対して、消防機関の救助体制、消防団の対応能力強化についてどのような取組を行っているでしょうか。また、自治体がそれぞれの地域特性を踏まえて実施する創意工夫ある取組に対する支援制度、こうしたものがあるのかどうか、政府参考人にお伺いいたします。

田辺政府参考人 大規模地震発生時におけるエレベーターの閉じ込め対策は重要な課題と認識しています。

 基本的な対策の考え方としては、まずは、閉じ込めの発生を防止する対策として、国土交通省において、エレベーターの籠を支えるレール等の耐震化の促進や、緊急停止する場合も最寄り階まで運転し、自動で扉を開放する機能を搭載するなど、閉じ込めが起こりにくいエレベーターの普及を図っていると承知しております。

 地震発生時にエレベーターの閉じ込めが発生した場合は、エレベーター保守事業者による救出、復旧作業を原則としつつ、保守事業者の到着が著しく遅延する場合等は、消防機関においても救助活動を実施することとしているところです。

 そのため、総務省消防庁では、社団法人日本エレベーター協会と覚書を締結し、この覚書に基づき、各消防本部等において、救助隊員のエレベーターに関する知識、技術の向上を図るための教育訓練が行われているところと承知してございます。

 また、防災教育や避難訓練など自主防災組織等を活性化するための地方公共団体の取組に活用できる自主防災組織等活性化推進事業を実施しており、これにより中高層住宅の住民による防災力を高める取組を支援できるようにしております。

 総務省消防庁としましては、引き続き、各消防本部等や関係省庁等と連携し、適切に対応できるよう取り組んでまいります。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 自治体の創意工夫ある取組に対してモデル事業として国費による支援も行われているとのことで、一定の対策が講じられているということは評価をいたします。

 しかし、都市部における災害対応はより複合的な課題を抱えております。高層建築物の増加に伴って、エレベーター閉じ込め事案だけではなく、避難困難者の増加など様々な課題が発生しております。こうした都市特有の課題に対応するためには、行政だけではなく民間との連携強化が不可欠であると思います。

 そこで、次の質問に移らせていただきます。

 高層建築物が多い都市部では、地震発生時のエレベーター閉じ込めや避難困難者の増加など特有の課題に対して、一例を挙げますと、中央区では、防災対策優良マンション認定制度というものを実施して、マンション単位での防災力向上を図っていると承知をしております。この制度では、防災設備の充実や自主防災組織の結成、防災訓練の実施などの取組を評価して、一定の基準を満たしたマンションを認定しております。こうした取組によって、マンション住民の防災意識が高まるとともに、災害時の初動対応力も向上することが期待されております。

 こうした先進的な取組を参考にしながら、都市部における消防団と民間との連携強化や、地域特性に応じた防災体制の構築を国として支援する新たな仕組みを検討するべきではないかと思います。例えば、マンション管理組合ですとか町内会との連携を強化して、地域の自主防災力を高めるような取組に対する支援制度、こうしたものの創設ですとか、優良事例の全国展開などが考えられると思います。

 この点について、政府参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

田辺政府参考人 地域の防災力を向上させるためには、消防団や自主防災組織等、多様な主体が連携した取組をすることが重要と考えてございます。

 そのため、消防庁では、消防庁長官通知により、消防団や自主防災組織等、多様な主体が連携した取組を優良事例として取り上げ、全国に周知を図り、各自治体においてこのような取組を進めていただくようお願いしているところです。

 また、消防団の力向上モデル事業や自主防災組織等活性化推進事業により、消防団と自主防災組織等が連携した取組も支援しております。

 消防庁としましては、地域防災力の充実強化のためには、消防団を始め、多様な主体が相互に連携協力して取り組むことが重要と考えており、引き続き、関係省庁と連携し、地域防災力向上のための取組を進めてまいります。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 ふだん地元を回っておりますと、やはり自治会ですとか町会の高齢化というものがすごいんですよね、非常に進んでいまして、また参加率も年を追うごとに下がっていっております。その上で、行政の方からいろいろと防災についてもお願いをされるんだけれども、これは結構やるのは大変だよね、そうしたお声をたくさんいただいているんですよね。もっと言うと、何か災害が起こったときに、御高齢の方だけで、一応、防災訓練とかいろいろやっているんですけれども、実際に災害時に自主防災組織としての力を発揮できるのかどうかというと、これはかなりばらつきがあると思います。

 ですので、今御答弁いただいた内容というのは非常に重要だと思っていまして、うまくいっている地域での事例をしっかり展開していただいて、そのいい事例を更に全国各地で実現をしていく上で必要な財政的な措置を含めて、支援というものが大事になってくると思いますので、是非ともよろしくお願いします。

 次に、救急搬送体制の課題について質問いたします。

 東京都の救急搬送体制では、出動件数が二〇二二年に八十七・二万件と過去最高を記録する一方で、救急隊数の増加は一・一倍にとどまりまして、需給バランスが大きく崩れている状況にあります。救急隊一隊当たりの年間平均出動件数は、全国平均の二倍以上である三千二百十八件に達しまして、隊員の疲弊から事故も発生しております。

 こうした状況は東京都に限らず、東京都を中心に全国的な課題となっており、限られた人員で増加する救急需要に対応するには、救急隊員の負担軽減と業務効率化が喫緊の課題となっております。

 そのような中、総務省消防庁が高規格救急自動車への電動ストレッチャー導入の取扱いというものを定めまして、緊急救助隊設備整備費補助金の対象とするなど取組を進めていることは評価いたします。電動ストレッチャーの導入によって、傷病者の搬送時の隊員の身体的負担が大幅に軽減されて、腰痛予防ですとか、あとは業務効率化につながることが期待されております。

 そこでお伺いしますが、電動ストレッチャーの現状の普及状況と今後の導入支援策についての御見解を政府参考人にお伺いいたします。

田辺政府参考人 電動ストレッチャーについては、救急隊員の身体的負担軽減等を図る観点から、高い効果が期待できるものと考えています。

 各消防本部における電動ストレッチャーの導入状況については、令和四年八月時点で六消防本部だったものが、令和五年八月時点には二十一消防本部となっており、導入する本部は増加してきているところです。

 そうした中、消防庁においては、令和六年度から電動ストレッチャーを緊急消防援助隊設備整備費補助金の対象として新たに追加し、導入支援を進めております。

 さらに、現在、電動ストレッチャーの具体的な活用場面や運用等について各消防本部からアンケートを集計しており、今後、そうした有用な情報を全国の消防本部に提供することで、導入の支援を進めてまいります。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 電動ストレッチャーの導入が着実に進んでいるとのことで、救急隊員の負担軽減に向けた取組が進展していることを評価したいと思います。今後も、国の支援を活用しながら、更なる普及が進むことを期待しております。

 しかし、救急出動件数の増加に対応するためには、機材面の整備だけではなくて、救急業務そのものの効率化というものも重要な課題であると思います。

 そこで、次の質問です。

 救急搬送体制の逼迫を解消するためには、救急現場での対応力強化、こちらが不可欠です。特に、救急現場での救命処置の範囲拡大は、傷病者の救命率向上と同時に、救急搬送の効率化にも寄与する重要な課題だと思います。

 消防組織法を所管する総務省のお立場から、厚生労働省が所管する救急救命士法における処置範囲の拡大について、より積極的に提言をしていくべきではないかと思います。例えば、救急救命士による緊急度判定ですとか特定行為の拡充などの制度改正を厚生労働省に提案することで、救急隊の現場滞在時間の短縮ですとか搬送の効率化につながると考えております。

 我が党は、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の業務範囲の見直しを図って、一部医療行為のタスクシフトを検討することをマニフェストに掲げております。救急救命士においても、その高い専門性を生かして、より幅広い医療行為が行えるよう制度改正を進めるべきではないかと考えます。

 こうした省庁間連携における救急医療体制強化について、冨樫副大臣の御見解をお伺いいたします。

冨樫副大臣 令和五年度中の救急車の救急出動件数が過去最多となり、病院収容所要時間も新型コロナウイルス感染症禍前と比べて延伸するなど、救急現場を取り巻く現状は大変厳しいものと認識をしております。

 救急救命士による救急救命処置の範囲の拡大については、救急救命士法を所管している厚生労働省との検討会において検討が進められているものと承知はしております。

 消防庁といたしましては、これらの場での検討に当たっては、消防本部のニーズを踏まえることが重要と考えており、オブザーバーとして参加をさせていただいているところであります。

 今後とも、救急救命士による救急救命処置の範囲の検討については、厚生労働省と連携をして対応してまいります。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 是非とも、この検討というものを加速していただきたいと思います。オブザーバー参加ということで、御発言する機会はないんですかね。しっかり現場の声も、非常に悲痛な叫びが聞こえておりますので、是非とも、オブザーバーとしてだけじゃなく、声を伝えていただきたいと思います。

 テーマを変えまして、公選法について質問させていただきます。

 公営掲示板のデジタル化についてであります。先日、我が党の同僚議員からも同様の質問がありましたが、改めて確認させていただきます。

 現在の公営掲示板、この仕組み、大臣もよくよく御存じかと思いますけれども、全国に数万か所の木枠を設置して、各候補者が自力でポスターを貼っていくという非常にアナログな方法で行われております、これは本当に大変ですけれども。特に、都知事選挙ですとか兵庫県知事選挙ですとか、このような広域でかつ想定以上の候補者が立候補した場合、掲示板の枠が足りなくなるという問題が発生しております。また、一回の選挙で推定五十億円以上とも言われるコストがかかっているほか、不適切なポスターへの対応も迅速にできないという課題があります。

 これに対して、公営掲示板のデジタル化、特にデジタルサイネージ化は有効な解決策となり得るのではないかと考えております。データで表示させることで多人数立候補にも柔軟に対応できて、内容に不備があれば迅速に差し替えることも可能です。

 一般社団法人政策広報DX協会の試算によれば、既に日本には全国に百万か所を超えるデジタルサイネージが設置されておりまして、選挙に設置される公営掲示板の数を優に上回っているということです。こうした既存のデジタルサイネージを選挙期間中に活用することができれば、新たな設備投資も最小限に抑えることができると思います。

 そこで、大臣にお伺いします。

 公営掲示板のデジタル化に向けて、技術的課題の整理、諸外国における事例の調査、業界団体との意見交換を進めるべきと思いますが、御見解をお伺いいたします。

村上国務大臣 現行制度におきましては、デジタルサイネージを含め、選挙運動のための電光表示を用いることは一応禁止されております。これを変えようとする場合には、選挙運動のために電光表示などを用いることをどのような範囲で認めることとするのか、また、金のかからない選挙の観点から、設置に係る経費などをどのように考えるか、また、各候補者の選挙運動用文書図画をどのように表示するかのいろいろな論点があるものと考えております。

 デジタルサイネージ等の活用を含むポスター掲示板の掲示方法等の見直しについては、選挙運動の在り方に関わる問題であることから、選挙運動に関する各党間の協議において論点として取り上げられているというふうに承知しております。今後とも、その協議会で、議論の状況を踏まえながら、必要な対応に努めていきたいというふうに考えております。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。

 各党協議会の議論を踏まえて検討を進めていくとのことですので、公営掲示板のデジタル化実現に向けて前進することを期待しております。我が党としても、引き続き建設的な御提案を行ってまいりたいと思います。

 次に、最後となりますが、デジタルサイネージ等を用いた政治広告の法的位置づけについて質問をさせていただきたいと思います。

 現行の公職選挙法で、政党及び確認団体は、屋外の大型ビジョンですとかデジタルモニターを使用した政治広告、こちらは選挙期間中に行えるのでしょうか。また、選挙期間外の通常時においても何らかの規制があるのでしょうか。

 具体的には、例えば、参議院選挙期間中の確認団体はビジョンモニターに政治広告を映すことが可能なのか、あるいは、選挙期間外であれば政党はデジタルサイネージで政治広告を出すことができるのかという点を確認したいと思います。

 あわせて、デジタルサイネージによる政治広告は、公選法上、掲示に該当するのか、それとも頒布に該当するのか、その法的位置づけについても政府参考人にお伺いしたいと思います。

笠置政府参考人 大型ビジョンあるいはデジタルモニターを使用した政治広告の現行法の位置づけというか、規制はどうなっているかというお尋ねでございます。

 まず、選挙期間中から申し上げますと、選挙期間中に政党や確認団体が政治活動として屋外の大型ビジョン等を使用して広告を行うことは、直ちに制限されるものではございません。

 ただし、公職選挙法二百一条の十三という規定がございまして、その広告には、当該選挙区内の特定の候補者の氏名又は氏名類推事項を表示することはできないということでございます。

 また、広告の内容でございますが、その内容が選挙運動と認められる場合には、先ほど大臣からもございましたけれども、電光表示等を用いた選挙運動を禁止しております百四十三条第二項に抵触することとなる、選挙運動と認められない場合でありましても、期間中に集中して行うというような場合には、態様によりまして、禁止を免れる行為として、百四十六条に抵触するおそれがあるということでございます。

 また、政党、確認団体等が自前でデジタルモニターみたいなものを設置をしてずっと流すというようなことにつきましては、それ自体が立札及び看板の類の掲示となりまして、選挙期間中において政治活動を行う団体につきまして一定の政治活動を規制している二百一条の十五のシリーズがございますけれども、その範囲の中で行う必要があるということでございます。

 あと、選挙期間中以外、通常の、平常時ということでございますが、そうした選挙期間中以外の期間においては、政党等が政治活動として広告を行うことは、直ちに制限をされないということでございます。

 ただ、御案内のとおり、その中身、態様から選挙運動と認められてしまいますと、事前運動を禁止する百二十九条、また、電光表示でございますので、百四十三条二項といったことに抵触するおそれがあるということでございます。

 最後に、掲示か云々という話がございましたが、公職選挙法におきまして、掲示とは、文書図画を一定の場所に掲げて、人に見えるようにすることとされておりまして、屋外の大型ビジョン等を使用した広告の放映が放送に当たるような例外的な場合を除いて、通常は文書図画の掲示として規制を受けるということで、先ほどるる申し上げたことは文書図画の掲示としての規制を申し上げた次第でございます。

田所主査 時間が経過しておりますので、御協力ください。

阿部(司)分科員 ありがとうございました。以上です。

田所主査 これにて阿部司君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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