衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 葉梨 康弘君

      衛藤征士郎君    黄川田仁志君

      保岡 興治君    今井 雅人君

      階   猛君    前原 誠司君

      山尾志桜里君    國重  徹君

   兼務 玉木雄一郎君 兼務 福島 伸享君

   兼務 木下 智彦君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         金田 勝年君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   財務副大臣        木原  稔君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    武内 良樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     階   猛君

  前原 誠司君     山尾志桜里君

  國重  徹君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  階   猛君     升田世喜男君

  山尾志桜里君     前原 誠司君

  佐藤 英道君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  升田世喜男君     今井 雅人君

  角田 秀穂君     國重  徹君

同日

 第四分科員木下智彦君、第六分科員福島伸享君及び第八分科員玉木雄一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (法務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――

葉梨主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中法務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階分科員 おはようございます。民進党の階猛です。本日もよろしくお願いいたします。

 質疑に入る前にちょっと確認させていただきたいんですが、前回の私の質疑でも厳しく追及しました、例の大臣の二月六日付の予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑についてという文書でございます。これを大臣は撤回されているわけですけれども、ということは、今後、テロ等準備罪については、法案作成の前後にかかわらず、また、政府参考人の有無にかかわらず、我々の質問に対して大臣はきちんと答えられるという理解でいいのかどうか。まず、この点、確認させてください。

金田国務大臣 御指摘の文書につきまして、二月六日……(階分科員「結論だけで結構です」と呼ぶ)結論だけですか。

 国会における法案の審議につきましては、与党協議を終了しているか、成案を得ているか、あるいは国会提出後か否かにかかわりませんで、どのような質問も妨げるものではない、このように理解をしております。

 その上で、御質問の内容によりましては、例えば法案についてであれば、その法案検討の具体的な進捗状況に鑑みまして確定的な回答をすることが困難な場合も想定されるところでありまして、そのことは御理解を賜りたい、このように思います。

 いずれにしましても、国会に対して、みずからが行う施策について丁寧な説明に努めるという政府の基本姿勢に立ちまして、誠実に職務に当たってまいる所存であります。

階分科員 憲法の六十三条という条文がありまして、閣僚の皆さんは、答弁または説明のため出席を求められたときは出席しなければならないということで、答弁を求める権利が我々にはあります。裏を返せば、大臣にはそれを答える義務があるということです。つまり、これは内容にもよりますけれども、答えられないと大臣の責任問題にも波及するという認識を持っていただかなくてはいけません。

 しかるに、これまでの質疑で、必ずしも大臣は、基本的なことにもきちんと答えられてこなかった。本当にこのままテロ等準備罪が提出されて、大臣、大丈夫なのかなと私は僣越ながら思うわけです。

 私は、大臣とはこれまでも法務委員会でさまざまないい議論をさせていただきました。テロ等準備罪をやらなくても、その前に重要な法案はたくさんあります。テロ等準備罪は今国会ではやらないということで御判断された方がいいような気がしますが、この点について率直な見解をお願いします。

金田国務大臣 私は、ただいま申し上げましたように、国会に対しまして、みずからが行う施策については丁寧な説明に努めていきたいという政府の基本姿勢に立ちまして、誠実に職務に当たってまいる所存であると思っております。

 加えまして、ただいまの質問でありますテロ等準備罪につきましては、私は、その必要性、緊要性というものを認識いたしております立場から、しっかりと御説明を申し上げ、そして、この法案の成案ができ次第、提出をし、そしてこの御審議をしていただくのが我が国のためにもよろしいのではないか、このように考えておる次第であります。

階分科員 時期についてはおっしゃらなかったので確認しますけれども、今のお話からすると、今国会で提出して成立を目指すという覚悟を持っていらっしゃるということでよろしいんですか。

金田国務大臣 先ほど申し上げましたその法案の必要性、改めて御説明を提出時にすることになろうかとは思いますが、必要性、緊要性といったものを踏まえて、その御審議、中身のある御審議、そして法案の成立に向けての努力を、私どもはもちろんそういう姿勢で臨んでいくつもりでおります。

階分科員 質問に答えてほしいんですけれども、今国会でやるということですね。

金田国務大臣 時期は今の段階で申し上げることはどうかと思います。時期は今の段階では未定ということになりますが、できるだけ早期の提出を目指して努力をしていきたい、このように思っております。

階分科員 私は、この法案について、大変重大であり、今までの刑事法の体系も変えかねない問題ですから、大変慎重な審議が必要であるし、それに必要な時間というのはおのずと膨大な時間が必要だということは御理解いただけると思います。

 しかも、大臣がこれまでのような、答弁にたびたび詰まるというようなことがあるとなかなか審議が進まないということで、残されたこの通常国会の期間とかを考えますと、私は見送られた方がいいのではないかと思います。

 そのことを申し上げた上で、でも、早期成立を図るということをおっしゃいますので、やはりテロ等準備罪については今から厳しく問題点を追及せざるを得ません。

 そこで、質問に入ります。

 まず、テロ等準備罪と私もその言葉を便宜上使わせていただいておりますけれども、このテロ等準備罪という言葉、世論調査などでも、テロ等準備罪について賛成か反対かと聞かれると、一般の国民はテロだからしようがないというふうに思いがちなんですけれども、果たしてその内実はどうかといえば、我々の国会の議論の中でも今井委員も質問しましたけれども、これは二月十四日ですけれども、TOC条約が求めていないテロ犯罪もテロ等準備罪の対象になるかという質問に対して、TOC条約の担保という目的と離れて立案することはないという明確な答弁がありました。

 一方で、過去三度廃案になった法案も同じくTOC条約の担保が目的です。当時は共謀罪と呼んでいたわけです。TOC条約にはテロとか準備といった言葉も出てきません。

 なぜTOC条約の担保が目的なのにテロ等準備罪という呼び方をされるのか、このことをちゃんと説明してください。

金田国務大臣 私どもは、テロ等準備罪の呼称で呼んでおります。その妥当性についてお尋ねである、このように思いますが、国内外の犯罪実態を考慮いたしますと、適用されるのは実質的にはテロ組織またはこれに準じる犯罪組織による犯罪に限られるわけですけれども、その中で重大なものの典型がテロである、このように考えております。

 また、テロ等準備罪は、重大な犯罪の合意に加えて実行準備行為が行われたときに初めて処罰されるものであるということで検討を進めてきたところであります。

 そして、テロ等準備罪という呼称は、このような罰則の実態を反映したものとして適切である、このように考えている次第であります。

階分科員 罰則の実態を適正に反映したものかどうか、これは本当に疑わしいところがありまして、今井委員が例の青と赤のベン図を示されて御質問されたのは大臣も御記憶にあるかと思います。

 私は、テロ等準備罪というのであれば、この赤と青の交わった部分、青はTOC条約の対象とする犯罪、赤がテロ対策で対象となる犯罪、この交わった範囲で処罰するならわかるんですけれども、青をやる、かつ赤については、TOCと交わらない部分はやらないということをおっしゃっているわけだから、とすれば、やはり、TOC条約を担保するための法案なんですから、従来TOC条約を担保するための法案は共謀罪と呼んでいたわけですから、共謀罪でいいんじゃないですか。何も言いかえる必要ないじゃないですか。これこそレッテル張りじゃないですか。国民を誤導するものだと思いますけれども、どうですか。

金田国務大臣 以前から申し上げてまいりました。

 共謀罪とテロ等準備罪は、共謀罪はかつての共謀罪でございます。そして、現在検討中、これを私どもはテロ等準備罪と申し上げておりますが、今回私どもは、何度か御説明を申し上げてきましたが、主体を組織的犯罪集団に限定して、そして、実行準備行為があって初めて処罰できる、合意に加えてですね。そして、そういうテロ等準備罪を現在検討して、成案をお出しすべく現在作業中なのでございますが、一方で、共謀したことのみで処罰をされるかつての共謀罪とは、私どもは別物と考えておる次第であります。

階分科員 今の最後のところ、共謀だけでは処罰されないと。よく、実行準備行為を追加したから今までと違うんだというふうにおっしゃられますよね。

 そこでお尋ねしますけれども、実行準備行為を追加したと言いますが、これまでの議論で、私は、共謀との違いがはっきりしていないと思いますよ。お尋ねしますけれども、例えば、対象犯罪の共謀内容、例えば殺人なら殺人でもいいですよ、殺人はもちろん対象犯罪に入ると思いますから、殺人について共謀しました、共謀して犯行計画を立てました、それを計画にとどまらず文書にした、この場合は、共謀の範囲なのか、それとも共謀プラス実行準備行為なのか、ここをまず明らかにしてもらえませんか。

金田国務大臣 ただいまのお尋ねに対しましては、テロ等準備罪というのは、合意に加えて実行準備行為が行われた場合に初めて処罰されるものであるということは私が申し上げたわけでございますが、法案につきましては現在検討中であって、その具体的な内容等についてのお尋ねについては現時点でお答えすることは困難なんですけれども、いずれにしましても、具体的な条文の作成に当たりましては、合意そして実行準備行為の区別といいますか、それが十分に明確となるように立案をしていきたい、このように考えておる次第であります。

階分科員 それでは、こういう聞き方をしましょう。私は、共謀というのは、供述証拠だけじゃなくて、客観的証拠によって立証しなければ、これは大変冤罪の危険も高まると思います。きのう、枝野さんもそういう趣旨の説明をしていました。

 ところで、共謀を客観的証拠、物的証拠でもいいですよ、物的証拠で立証する場合、今言った犯行計画を文書にしたもの、この文書は客観的証拠、物的証拠に当たらないですか。

金田国務大臣 捜査のあり方にかかわってくるお尋ねだと思っております。

 私どもは、捜査のあり方についても、個別具体的な事案に応じてさまざまである、このように受けとめておりまして、一概にはお答えをしかねるのでありますが、テロ等準備罪の捜査についても、現在行われております他の犯罪の場合と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って、必要かつ適正な捜査を行うことになると思います。

 具体的な捜査の端緒の把握方法につきましては、事案によってさまざまであって一概には申し上げられないと受けとめておりますが、例えば、合意についての供述、犯行手順が記載されたメモのような証拠の発見といったようなものが考えられるのではないか、このように考えております。

階分科員 つまり、メモが客観的証拠に当たるということを言ったわけですね。

 つまり、さっきのことでいうと、メモをつくっただけでは準備行為には当たりませんという答えでいいんじゃないですか、違いますか。

金田国務大臣 実行準備行為と証拠、何がそれぞれに当たるのかというのは必ずしも一緒ではない、このように考えております。(階分科員「ちょっと答弁がおかしいですよ。もう一回聞きますよ」と呼ぶ)

葉梨主査 階君、もう一度。

階分科員 いいですか。

 メモは共謀を証明する客観的証拠になるということを答弁で言われましたね。それであれば、先ほど私が言った犯行計画をしたためた文書を作成する行為、これは共謀の一部であって、共謀を立証するわけですから、だからこれ自体は実行準備行為に当たらないという結論になるんじゃないですか、違いますか。

金田国務大臣 ただいまの御質問につきましては、現在検討中の成案を得てからお答えをさせていただきたいと思います。(階分科員「それは矛盾していますから。ちょっとおかしいですよ、矛盾していますよ」と呼ぶ)

葉梨主査 ちょっと答弁を整理してください。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こしてください。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 実行準備行為に当たる場合もあれば当たらない場合もあるという意味において申し上げたわけでありまして、共謀の証拠として受けとめるということであれば実行準備行為のものには当たらないというふうな、そういうことを申し上げたつもりであります。

階分科員 実行準備行為にも当たる場合もあるということは、やはり、直観的にというか常識的には、我々としては、共謀罪の範疇の中にあるものまで実行準備行為と言われると、従来の共謀罪とは全く違うと言われても納得できないわけですね。つまり、実行準備行為というのは、言っているだけで、中身は全く空なのではないかというふうにも思わざるを得ない。それをまず指摘しておきます。

 それから、組織的犯罪集団で、一般市民は関係なくなりましたとよく言われます。主体を限定していることも、従来の共謀罪と違う理由に挙げられています。

 そこで、資料をお配りしています。

 一ページ目をごらんになっていただきたいんですが、この資料ですけれども、「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得る」ということ、二月十六日に文書で出されています。

 これを敷衍すれば、一般市民が勤務している会社、加入している労働組合、通っているヨガ教室などでも、この一変したという要件に当たれば、組織的犯罪集団に当たるということになると思いますが、確認ですけれども、それでいいですね。

金田国務大臣 二月十六日の文書についてのお尋ねだと思います。

 団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得るというふうに受けとめてお答えをしております。

階分科員 一変したら、一般市民が勤務している会社などでも当たり得るということを、ここには書いているわけですね。

 ところで、この一変するという要件を満たして、組織的犯罪集団に当たったとしましょう。そうすると、その組織的犯罪集団に変わったということを知らないで従来どおり会社に勤務している一般市民であるとか、ヨガ教室に通っている会員であるとか、あるいは労働組合の組合員、こうした方たちも、その一変した瞬間に組織的犯罪集団の構成員に当たるということでいいんですか。

金田国務大臣 その場合は、当たらないと思います。

階分科員 なぜですか。

金田国務大臣 その結合の目的が、犯罪を実行することを目的として結合している団体ではないということで……(階分科員「そうじゃなくて、一変して、組織的集団に当たる」と呼ぶ)

葉梨主査 では、ちょっと、階君、もう一度、整理して質問してください。

階分科員 整理して申し上げますね。

 先ほど、まず前段で、この一ページ目の、一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たるということを踏まえて、一般市民が入っている会社とかでも、この要件を満たせば組織的犯罪集団に当たりますねということを確認させていただいて、それについては、はいというお答えでしたね。

 そして、その一変した場合を聞いているわけですけれども、一変した場合であっても、その一変したことを知り得ない普通の人たちといいますか、普通に今までどおり会社に通っている人とか、普通に労働組合運動をしている組合員とか、あるいはヨガ教室に通っている人もいるわけですよ。そうした人たちは、一変した後、その組織自体は組織的犯罪集団に当たるんですけれども、その当たった中で、さっき言ったような、一般の知らない人たちも構成員になるのかどうかということを聞いています。

金田国務大臣 その御指摘の方々というのは、重大な犯罪を目的とした、その構成員として集まっているわけではありませんので、その対象として考えるということにはならないと思います。

階分科員 そうしたら、構成員ではないので、同じ会社であっても、その会社の目的が一変して、仮に組織的犯罪集団に当たるというふうに捜査機関が認定したとしましょう。だけれども、認定したけれども、構成員じゃない人には一切捜査は及ばないということでよろしいですか。

金田国務大臣 その場合は、対象とならないものと考えます。

階分科員 本当ですかね。

 きのう、GPS捜査について最高裁の大法廷で弁論が開かれたわけですけれども、あの中でも、犯罪組織、犯罪集団とは全く関係ない人もGPSの捜査がされていました。また、大分県でしたか、これも知らないうちに監視カメラが備えられていて、全く関係ない人まで容貌を撮影されていたということがありました。

 そういうことも考えると、同じ組織にいる以上、構成員でないからといって、犯罪捜査の対象にならないとは言えないんじゃないですか。

金田国務大臣 捜査のあり方については、個別具体的な事案に応じましてさまざまでありまして、一概にお答えをしかねるところではありますが、テロ等準備罪の捜査につきましても、現在行われております他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って必要かつ適正な捜査を行うこととなると考えております。

階分科員 私の質問に答えてほしいんですけれども。

 一般市民であって、犯罪組織集団に一変したことを知らずに従来どおり組織に入っていた人、これは集団の構成員でないと言われました。構成員でないから捜査の対象にもならないと言われましたけれども、そんなことはないんじゃないですかと、私は具体的な事例を挙げてお尋ねしました。

 捜査の対象に含まれ得ることは絶対ないと言い切れますか。

金田国務大臣 捜査の前提としての嫌疑があるかどうかということになろうかと思いますが、嫌疑がなければ容疑者として捜査を行うということはないものと考えております。

階分科員 答えてほしいんですけれども、いいですか。

 犯罪組織集団に変わりました、変わったけれどもそれを知らない普通の会社員とかがいました、これは構成員でないから捜査の対象にもならないと言いましたけれども、実際の捜査に当たってはこういう人たちも対象にならないとは言い切れないのではないかということを、過去の実例を踏まえて私は申し上げました。絶対対象にならないと言えるのであれば、ここで明言してください。

金田国務大臣 容疑者として嫌疑がなければ、捜査は行われないものと考えております。

階分科員 そういうことであれば、嫌疑があるかどうかというところを問題にしますけれども、きのうの逢坂委員とのやりとりの中でも、テロ等準備罪の犯罪行為が行われた嫌疑がない段階でテロ等準備罪の捜査が行われることはないということを言われ、今もそのような趣旨のことを言われました。

 ところで、私、以前、予算委員会で質問をしたときに、実行準備行為の段階で処罰するためには、実行準備行為自体は客観的に相当の危険という予備行為のメルクマール、これの手前で実行準備行為というのは成立するわけですから、いわば無色透明の行為、切符を予約したりとか下見とか、それ自体では本当に準備行為なのかどうかわからない。だからこそ、その段階で処罰しようと思うと共謀の段階から捜査を始めないと、いざ実行準備行為がなされた段階で処罰するということはできないんじゃないかということを指摘しました。

 嫌疑がないと捜査ができないというふうにも言われますけれども、嫌疑があるというためには、大臣の話だと、実行準備行為が始まってから、始まった後じゃないと捜査はできないということになるわけです。それだと、処罰は実行準備行為の段階ではできないと思いますよ。

 つまり、共謀を知らないのに実行準備行為だけ捉えて処罰するということはできないと思います。捜査は、もっと手前の段階、共謀の段階で始まるんじゃないんですか。

葉梨主査 大臣、共謀段階で捜査はできますかという、共謀段階だけで捜査はできますかという問いです。

金田国務大臣 テロ等準備罪の重大な犯罪の合意に加えて実行の準備行為が行われた場合に初めて処罰されるものとして、その具体的内容を現在検討しております。

 したがいまして、一般論として申し上げれば、捜査機関がテロ等準備罪の嫌疑があると認めたときに捜査を行うことが可能となるものと考えられますけれども、具体的事件における捜査の開始時期については、嫌疑の内容、程度に応じて、一概に申し上げることは困難であろうかと思います。

階分科員 何か最後のところでまた曖昧な話になってきているんですけれども、共謀段階では捜査ができるのかできないのか、任意捜査を含めて捜査ができるのかできないのか、お答えください。最後に質問しますけれども、明確にお答えください。

金田国務大臣 テロ等準備罪の重大な犯罪の合意に加えて実行の準備行為が行われた場合に初めて処罰されるものであって、私どもはそういう考え方で現在検討しております。

 したがいまして、一般論として申し上げるわけでございますが、捜査機関がテロ等準備罪の嫌疑があると認めたときに捜査を行うことが可能というふうに考えられますので、具体的事件における捜査の開始時期は、一概に申し上げることは困難であります。(階分科員「共謀段階で捜査できるかできないかを聞いています」と呼ぶ)

葉梨主査 一般論で答えていただいて結構です。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 一般論でという前提で申し上げておるつもりですが、具体的事件における捜査の開始時期については一概に申し上げることは困難であり、その理由は、嫌疑の内容、程度に応じて異なるということを申し上げております。(階分科員「答えていません。ちょっととめてください」と呼ぶ)

葉梨主査 質疑が終了しておりますので、答えられる範囲で、一般論で、もう一回。時間が経過しておりますので。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こして。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 繰り返しになりますが、具体的事件における捜査の開始時期については、一概に申し上げることは困難であります。(階分科員「ちょっと待ってください、きのうの答弁と矛盾していますよ」と呼ぶ)

葉梨主査 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こして。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 これも、一般論でお答えすることも含めて、現在の成案が得られたところで説明を申し上げたいと思っております。

階分科員 共謀段階で任意捜査できるかどうか、これについて答えてください。

 というのも、きのうは、テロ等準備罪の犯罪行為が行われた嫌疑がない段階でテロ等準備罪の捜査が行われることはあり得ないと言いました。テロ等準備罪が成立するのは、今までの答弁から踏まえると、共謀罪と全く違うわけだから、準備行為がないとテロ等準備罪の嫌疑はあるとは言えないはずです。ですから、今までの答弁を踏まえると、嫌疑がない段階で捜査が行われることはないということは、準備行為の前には捜査が行われないということだと思いますよ。共謀段階でもし捜査できるとすれば、今までと矛盾しますよ。だから聞いているんです。

 共謀段階で捜査できるかできないのか、お答えください。

金田国務大臣 説明の仕方を変えますと、実行準備行為の法的性質も含めて、成案でしっかりお示しをする段階でお答えを申し上げたいと思います。

葉梨主査 質疑時間が終了しておりますので、後でまた質疑をお願いします。

階分科員 わかりました。

 では、今の答弁を前提にすると、結局、今までの共謀罪と変わらないということも言えるわけですよ。実行準備がなされていない段階でも捜査ができる可能性を否定しない。ということは、共謀の段階でもう犯罪が成立しているということも否定していないということですよ。だから、共謀罪と変わりないということになりますよ。

 今の答弁を保持されるのであれば、今後、テロ等準備罪は共謀罪と全く違うということは、言い分、通らないですよ。いいんですか、それで。さっきの答弁、維持されるかどうか、お答えください。

葉梨主査 もう質疑時間が終了しておりますので……(階分科員「でも、さっきの答弁矛盾してますから、最後にこれだけ。そこで終わりますから。維持されるかどうかだけ」と呼ぶ)

 金田法務大臣、最後に。

金田国務大臣 今し方答弁した内容を維持せざるを得ない、このように申し上げます。

階分科員 終わりますけれども、それでは全く違う犯罪とは言えないということを申し上げて、質問を終わります。

葉梨主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、山尾志桜里君。

山尾分科員 民進党の山尾志桜里です。

 共謀罪、私の方からは、きょうは、必要性がないにもかかわらず一般人も対象となり得る新しい包括的な共謀罪という刑罰法規をつくることがいかに一般市民に対する冤罪の危険を高め、あるいは社会を監視社会へと変質させていくか、そういう視点で質問をさせていただきたいと思います。

 必要性を唯一裏づけるかのように見えた三つの事例、この三つの穴ですけれども、大臣、まず確認をさせていただきます。

 四事例目を含めて、大臣の言葉をかりれば、多数頭にあるが今は出さないとされている立法事実ですけれども、あれから少し日にちがたちました。きょうも、四事例目以降の、必要性を裏づける、多数頭におありになるけれども今は出さないという事例、一つも出していただけませんか。

金田国務大臣 山尾委員の御質問にお答えをいたします。

 法務省がお示しをした三事例というのは、テロ等準備罪について、その成案を得られていない段階で、現行法のどこに不十分な点があるかについて、わかりやすく御理解をいただくための例としてお示しをしたものであります。これらの事例によって示される現行法に不十分な点があるということは、立法の必要性を裏づける立法事実の一つであると考えているわけであります。

 これに加えて、現行法は条約第五条が定める犯罪化義務を満たしていないことは、制度の対比からしても既に明らかでありまして、政府としては十分に立法事実をお示ししているものと考えております。

山尾分科員 質問に答えてください。

 テロ対策のための必要性、立法事実とお認めになりましたけれども、四事例目以降はきょうはお話しいただけるんですか、いただけないんですか。

金田国務大臣 ただいま申し上げました理由によりまして、四事例目をここで申し上げることにはなりません。

山尾分科員 四事例目を答えない理由を大臣は全くお話しになっていないんですね。まあ、御自身もおわかりになっていると思います。

 私の考えでいくと、四事例目以降はないんでしょうね、きっと。あるんだったら出さない理由がないですよね。だって、数百とも言われる包括的な共謀罪をつくる、そして閣議決定もして提出をする、ここまで言っている段で事例が出てこないんですから。

 私が申し上げるのもなんですけれども、三つの立法事実、サリン等薬品を用いたテロ、ハイジャックテロ、サイバーテロ、これについては、現行法あるいは政令の改正、あるいは個別法で一つつけ加えるような工夫、これで十二分に対応できるということはこれまで議論をしましたので、きょうは貴重な時間をここで使うつもりはありません。

 大臣、四事例目以降の立法事実、きょうも挙げられないということで、もう一つ私は御質問したいと思います。必要性の議論は今一旦けりをつけました。

 次に、二つの柱なんです。

 大臣がずっとおっしゃっている、今回のこの共謀罪は一般人も対象となることはない、従来の共謀罪とは全く違う罪なのだ、こういうふうにずっとおっしゃっています。その、最も違うんだ、一般人は対象にならない、違いがあるんだとされている二つの要素、組織的犯罪集団と準備行為、これ以外には特に言及されていないようなんですけれども、これが二つの大きな柱だということで確認をさせてください。

金田国務大臣 大きな柱としてはその二つだと考えております。

山尾分科員 それでは、まず一本目の柱、準備行為についてお伺いをしたいと思います。大臣、よろしいですか、質問を聞いていただいていますでしょうか。

 従来の、共謀という行為があって、それは重大な犯罪の合意と言ってもいいでしょう。そして、ここに準備行為というものが付加されるんだ、ここがやはり大きく違うんだという大臣の御説明ですね。

 では、裏を返して聞きたいんですけれども、この準備行為の前段階としての共謀部分、合意部分……

葉梨主査 山尾先生、ちょっと速記をとめますので。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こしてください。

 山尾君。

山尾分科員 続けます。

 共謀プラス準備行為というところで、この準備行為が付加されたところが大きな違いだと。

 では、共謀あるいは合意部分というのは、大臣、今、何か御説明できるような従来との違いというのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

金田国務大臣 私どもは、内心を処罰するのではないかという懸念を払拭できるように検討をしてまいりました。したがって、テロ等準備罪、ただいま御指摘のとおりに、実行準備行為が行われた場合に初めて処罰されるものである。

 法案についてはまだ検討中であるということはかねがね申し上げてきたとおりでありますので、合意と実行準備行為の区別、あるいは、本来、合意とは、特定の犯罪を実行することについて具体的、現実的に合意をすることをいうわけですけれども、これについてはまた十分、実行準備行為との違いも含めて、明確に御説明ができるように立案をしてまいりたいと考えております。

山尾分科員 今言っていただいた定義、共謀の部分の定義を言っていただきました。これは従来の共謀罪の議論における定義ですね。二人以上の者が特定の犯罪を実行する具体的、現実的な合意をすること、今大臣が言っていただいた定義づけと一緒でしたね。ということは、ここのところは、今の御返答によると、変わりがないと。プラス準備行為というところがやはり変わりなんだ、変化なんだ、こういうことだと思います。

 ということであれば、確認なんですけれども、この共謀部分というのは、対面での打ち合わせがない場合、要するにメール等々、こういうものでも共謀が認定される場合があり得るんでしょうか、一切ないんでしょうか。

金田国務大臣 現在は、特段、手段の限定があるという前提を置かずに検討しております。

 したがって、これまた成案ができたところで御説明をいたします。

山尾分科員 特段、手段に制約を設けることは考えていない、こういう趣旨の答弁でありました。したがって、従来の共謀罪と同じですね。従来もそうです、対面での打ち合わせでしか形成できないものではなくて、電話やメール等によって形成することも可能である、これも従来の共謀罪の答弁。今の大臣も、特段、手段に限定はないということで、メールあるいはLINE、電話、こういったものでも共謀というふうに認定される余地を否定しない、こういう答弁であったと思います。

 そこで、ちょっと論を進めたいんですけれども、少し心配なんですよ。

 メーリングリストというものがあります、あるいはLINEのグループというものがあります。場合によっては、メールやLINEで形成された合意、この合意に誰がかかわっていたのか、それを、リストを見れば、少なくとも目に触れていたということは推認されるわけですね。ただ、全く関係していない場合もある、そういう可能性も大いにある。こういう人たちをどのように排除されるおつもりなんですか。

金田国務大臣 ただいまの御指摘のような事例については、慎重にその証拠を検討していくことになろうかと思います。

山尾分科員 確認ですけれども、メールやLINEや電話でも共謀が認定される余地はあるということでよろしいですか。ちょっと一回確認をさせてください。

金田国務大臣 今検討中でありますので、それは成案時に御説明をしたいと思います。

山尾分科員 いやいや、今、余地があるから、その中でどういう人間を対象とするかは慎重に検討するとおっしゃったんでしょう。

 大臣、やはり御自分の言葉に責任を持っていただいて、その余地があるけれども、網がかかる範囲については慎重に検討する、こういう答弁と受けとめましたけれども、もう一回、大臣、御自分の言葉で、整理されておっしゃってください。

金田国務大臣 メールの件でございますが、検討をしている最中でありますが、メールを閲覧しただけでは合意ではない、このようにも考える次第でありますので、成案を得た段階でお答えをしたい、このように考えています。

山尾分科員 確認ですけれども、今、特に手段の限定をするというような検討はされていないということでよろしいですか。

金田国務大臣 その方向で検討をしておるところであります。

山尾分科員 しかし、メールを閲覧しただけでは合意とはみなさない、これも本当によろしいんですか、それで。

金田国務大臣 これは、メールを閲覧しただけで合意になるかどうかも含めまして、どのような場合にということは検討中でありますので、そこは御理解いただきたいと思います。

山尾分科員 はっきりさせてほしいんですね。

 今、大臣は、メールを閲覧しただけでは合意に当たらないとまずおっしゃった。その次の答弁では、メールを閲覧しただけで合意に当たるかどうかは検討中だとおっしゃった。どちらが正しいですか。

金田国務大臣 それも含めて検討中だと申し上げているつもりです。

山尾分科員 したがって、メールやLINEなども合意と認定され得る、しかし、メールを閲覧しただけ、LINEを閲覧しただけで合意あるいは共謀に当たるかどうかということは今検討中だ、こういうことですか。

金田国務大臣 そこまでお聞きいただいていますので申し上げておきますと、検討中ではありますけれども、私としては、単にメールを閲覧しただけでは合意ではない、このように考えている次第であります。

山尾分科員 大臣は個人としてというのはありませんので、大臣として答弁をされたと思いますけれども。

 ここ、私が申し上げたいのは、メールやLINEも、対面がなくても共謀と認定され得る、そういう中で、大臣のお気持ちとしては承りますよ、見ただけというので共謀に当たるというのはちょっと適切とは言えないんじゃないか、こういうお気持ちがあるんでしょう。

 だとすると、かなり幅広くメールのやりとりを確認しなければならない、かなり幅広くLINEのやりとりを確認しなければならない。誰がどのタイミングでどういうせりふをメールやLINEで送っているのか、それに対して誰がどういうタイミングでそれを閲覧し、それに対して返答を送っているのか。

 つまり、共謀を認定し、しかも範囲をきちっと画するためには、そういったメールやLINEの世界、場合によっては電話の世界、かなり監視の目を、広く細かく網の目をかけなければ今度は冤罪を招く危険がある、そういうことになるんじゃないですか。

金田国務大臣 捜査のあり方につながる御質問でございます。

 捜査のあり方につきましては、個別具体的な事案に応じてさまざまでありまして、一概にお答えはしかねるのでありますが、テロ等準備罪の捜査につきましても、現在行われております他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って必要かつ適正な捜査を行うことになろうと考えております。

山尾分科員 私は、深刻な問題提起をしておきたいと思いますよ。

 対面でなくても共謀は認められる、したがって、メールや電話やLINEでも共謀が認定され得る、しかし、その中で本当に網をかけるべき人を選別するためにはかなり広く細かくメールやLINEや電話を捜査しなければ、結局、全く関係のない人に網をかけることになる。要するに、冤罪を生まないようにするためには監視の網を広げなければならない、それがこの共謀罪をこうやって包括的につくっていくことの、私は最大の問題点、最大の、これから抱えていく矛盾の一つだと思いますよ。

 もう一つ申し上げましょうか。

 対面の場合はどうでしょう。対面での共謀のあり方に何か手段の限定はありますか。何か従来の共謀罪と違う解釈はございますか。

金田国務大臣 対面のやり方についてというお尋ねでございますが、特段、現時点で申し上げるべきことは特に考えてはおりません。

山尾分科員 現時点では従来から何か解釈を変えるようなものはない、こういう御答弁でありました。

 それでは、従来随分議論になりましたね、目くばせによって一斉に構成員が動くようなシステム化されたものであれば目くばせでも共謀と認定され得る、これは維持されるんですか。それとも、何かそれを排除するような新しい解釈を持っていらっしゃるんですか。

金田国務大臣 テロ等準備罪の具体的内容、毎回申し上げておりますが、現在検討中でございますので、そのテロ等準備罪におきます合意というもの、これはやはり、組織的犯罪集団が重大な犯罪を行うことにつきまして具体的かつ現実的な合意をすることを必要とするものでありまして、そういう前提で検討中であります。

 したがって、通常、目くばせでは合意とはならない、このように考えております。

山尾分科員 大臣、前提が従来と一緒なので、当てはめても一緒なのではないですかと私は申し上げているんです。

 今まだ法務省のホームページにもありますよ。従来の共謀罪の解釈の中で「どのような行為が、組織的な犯罪の共謀罪に当たるのですか。一般国民にとって危険なものではないですか。」、こういう質問に対して、法務省のアンサーですよ、従来の共謀罪を前提とした。「組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為に限り処罰することとされていますので、国民の一般的な社会生活上の行為が本罪に当たることはあり得ません。」と。今立てている規範と同じなんですね。

 そういう中で、何度も確認したじゃないですか。準備行為がついていると言いたいのはわかった、異論はありますよ。でも、その前提の共謀の部分で何か従来と違う新しい解釈はあるんですか、ないんでしょう。あるんですか、あるならおっしゃってください、ないならないとおっしゃってください。

金田国務大臣 合意を議論する中での目くばせという観点からの先ほどの御質問でございました。したがいまして、私は、通常、目くばせでは合意とはならない、このようにお答えをしたのであります。

山尾分科員 従来の定義と同じように、共謀というものの定義をさっき大臣はおっしゃいました、二人以上の者が特定の犯罪を実行する具体的、現実的な合意だ。従来の趣旨と同じような内容で定義づけた。

 この同じ物差しに当てはめて、従来の共謀罪では、要するに当時の大林局長が、共謀としては、目くばせでも十分共謀が成立する、こういうふうにおっしゃっているわけです。だから、そこを、結論を変えるなら、物差しをこういうふうに変えますと言ってもらわなかったら、物差しをそのままにして、ただ当てはめだけで、自分の気持ちとして当たらないと言われても、これは法の議論にならないんですね。物差しを変えるなら、こういうふうに物差しを変えるから目くばせは当たらないんだ、こういう答弁をされないと意味がないんです。どうぞ。

金田国務大臣 何度も申し上げて恐縮でございますが、成案が早くお出しできるように現在検討中ではございます。

 そういう中で、従来のことにつきましては、目くばせだけで、それだけで共謀が成立という前提にないという理解は、私もその点は同様であります。

山尾分科員 私、一生懸命今大臣のことを理解したいと思っているんですけれども、では、つまり、目くばせで共謀があっても、今回、プラス準備行為を必要とするので、目くばせだけで処罰されるということはない、こういう御趣旨ですか。

金田国務大臣 目くばせだけで合意が成立するわけではないという前提でございます。

山尾分科員 では、どのように、その当てはめの前提となる基準を変えたのですか。

金田国務大臣 その点は変わっていないと申し上げております。

山尾分科員 ということは、基準、定義が変わっていないということであれば、当てはめの問題ですから、目くばせも共謀と認定され得る、そういうことですね。

金田国務大臣 先ほど申し上げましたが、従来も、目くばせだけで、それだけで共謀が成立するという前提にはないという理解、私も同じように思っているということを申し上げたわけであります。

山尾分科員 では、確認しますけれども、共謀の定義については特に従来と解釈が変わるところはない、まずそこを確認します。

金田国務大臣 合意の内容については、先ほども申し上げたとおりでありまして、同じことであります。

山尾分科員 だから、合意の定義については従来と特に変わりはないということですね。さっきそうおっしゃったので、もし変えるなら答弁を変えることになるから。

金田国務大臣 変わらないと申し上げておるつもりです。

山尾分科員 そうすると、当てはめの問題なんですね。

 私も、さっきちょっと丁寧に言ったんですけれども、要するに、従来だってこういうふうに言っているんですよ、共謀罪については、団体要件がついているから、それが目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば、これはケースに当たり得ると。

 これは何か変わりあるんですか。

金田国務大臣 具体的なケースについての御説明は、法案ができて、御説明をしっかりとさせていただきたいと思います。

山尾分科員 共謀の、要するに定義は全く変わらないという答弁がきょうは大きかったと思います。

 それを前提にすれば、規範が変わらないので、具体的事例を当てはめたときの答えは従来と同じにならないと、これは法ではないのですね。では、それが従来どう当てはめられていたかということは今お話をいたしました。したがって、やはり理屈を通さないと議論にならないので、筋でいえば、要するに、今回も同じ基準に同じケースを当てはめれば同じ答えが出てくる。そうでなければ法にならないですから。

 したがって、今の答弁、私はこう理解しますよ。目くばせでも共謀に当たり得る、目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば当たり得る、こういう結論以外にならないんですね。そうでなければ、法をつくる意味がありませんから。規範が同じで事例を入れ込んで、この同じトンネルを通って出てくる結論ですから。いかがですか。

金田国務大臣 目くばせだけでは当たらない、このように、合意とならないというふうに申し上げたつもりであります。

山尾分科員 質問を聞いてください。目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば当たり得る。これは今回は違うんですか。違うなら規範を変えないと。いかがですか。

金田国務大臣 目くばせだけで合意が成立するものではないというふうに考えております。目くばせだけでは合意は成立しない、そう繰り返していると私は思っておりますが、従来の答弁もそのようなものと理解しているわけであります。(山尾分科員「質問に答えていない」と呼ぶ)

葉梨主査 ちょっと速記とめてください。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こして。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 委員の御指摘と私が申し上げているところの違いという部分を今ちょっと考えておりましたが、委員御指摘の事例は、目くばせ以外の事情が、例えばシステム化というのをお出しになったと思うんですが、それが含まれている。私が申し上げておりましたのは、目くばせのみでは合意が成立しないことを申し上げたものと理解してください。(山尾分科員「いやいや、ちょっと、時間とめてくださいよ。結論」と呼ぶ)

葉梨主査 山尾君、もう一度、ではちょっと整理して質問、もう一度言ってください。(山尾分科員「いやいや、ちょっと時計とめてください。これで何度も時間を浪費されたら困る。質問に答えてください」と呼ぶ)いやいや、ちょっと今、答えておるので。

 では、もう一度答弁されますか。

金田国務大臣 したがいまして、この合意についてのさまざまなほかの条件というものもいろいろあろうかと思います。成案が出ない段階では、そういうものがどういうふうなものがあるか、全体のかかわりがどうかということを説明申し上げることができないのであります。

 したがって、私が申し上げているのは、目くばせのみでは合意が成立しないということを申し上げたわけでありますが、委員がお聞きになられたように、目くばせ以外の事情が含まれた場合に、例えばシステム化の例をお取り上げになりました、そういう事例もおありだと思います。

 そういういろいろな要素が全て出てくるのを考慮して成案を得るつもりで今検討しておりますので、その段階でしっかり御説明をさせていただきたい、このように申し上げているつもりであります。

山尾分科員 要するに、規範の変化はないと言いながら、当てはめ部分で都合のいいところだけ発信されては国民に対して誤解を与えるからやめていただきたいとおっしゃっているんですね。

 今の、理屈でずっと言えば、規範は変わらない、そうすれば同じ当てはめになるわけだから、従来でいえば、目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば当たり得る、こういうことでしょう。そこを、目くばせだけでは当たらないんだとつまみ食いされて発信するのは国民に対して誤解を生むから不誠実だ、こういうことを言っているんです。

 今の答弁は、要するに、目くばせプラスアルファがあれば結局当たり得る余地を認めたということだと思いますよ。そういうことですよね。だって、物差しを変えないとはっきりおっしゃったんだから、共謀部分の。大変大きなことだと思いますよ。

 私が申し上げたいのは、これも、冤罪か監視か、こういう問題なんです。

 例えば、これは対面による合意の事例。このときに、例えば、目くばせで、幾らシステム化されたと言われたって、目くばせで合意の範囲にある、目くばせをした人間が逮捕の対象になり得る、こういうときに、一斉に、総理の言葉をかりれば一網打尽にしていいんですか。もしそういうことを考えるなら、本当に、その場にいる人の供述だけじゃなくて結局会話傍受も含めて、本当にその場でどういう会話のやりとりが行われたかということを把握するすべとともにやらなければ冤罪がふえるんじゃないですか。

 大臣、どちらを選ぼうとされているんですか。しっかり対象範囲を限定するために、やはりそういう客観証拠の網を広げていく、監視の網を広く細かくしていく、こういう道を探ろうとしているのか。それとも、それはしないから、とりあえずはその場にいた人、目くばせだけした人、こういう人も含めて一旦は任意捜査で取り調べをするとか、そういうことを考えていらっしゃるんですか。

 どちらの道を法務大臣として選ぼうとされているんですか。

葉梨主査 時間が来ておりますので、簡潔に。

金田国務大臣 それも含めまして、成案時にしっかりと答弁をしたい、このように考えております。

山尾分科員 時間が来ているのは知っていますけれども、これは法務大臣の基本的な姿勢を問うているんです。冤罪防止と人権保障あるいは真実発見、いつも、この大きな要請の中でどこでバランスをとるか、これを考えるのが法務大臣の仕事であり、その姿勢にのっとって後ろにいらっしゃる官僚の皆さんが法律をつくっていくんでしょう。それを、成案が出ないとどういうバランスをとっていくかも答えられないなんて、それは、法務大臣、余りな答弁ですよ。

 冤罪なのか、監視なのか、こんな二者択一の社会にしてほしくないんです。そういう社会に変質する可能性があるから、私は、この共謀罪、検討段階で相当危惧を抱いて、おかしいと言っているんです。

葉梨主査 時間が来ておりますので。(山尾分科員「いいですよ、それで終わりなら」と呼ぶ)もう時間が来ておりますから。

金田国務大臣 はい、わかりました。一言。

 捜査というのは犯罪の嫌疑があって行うものだということは申し上げるまでもありません。組織的犯罪集団によるテロ等の準備罪の犯罪行為が行われた嫌疑がないにもかかわらず捜査が行われることもないわけでありまして、団体の特性も含め、テロ等準備罪の犯罪行為が行われた嫌疑がない段階から、正当な活動を行っている団体を対象にテロ等準備罪に関する捜査を行うというようなことはあり得ないということだけは申し上げておきます。

 あとは成案ができる段階でしっかり議論をさせていただきます。

山尾分科員 あり得ないことがあり得て多くの冤罪を生んできたという歴史をもう一度踏まえていただきたいと思います。

 以上です。

葉梨主査 これにて山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、財務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木分科員 おはようございます。玉木雄一郎です。

 まず、二十九年度予算案のフレームについて聞きたいと思います。大枠です。

 本来、来年度の予算案というのは、消費税増税を前提に、さまざまな歳出歳入にわたった事業を組み合わせてつくるということだったんですが、消費税増税が新しい判断で延びてしまいましたから、新しい考えのもとでつくっていかなきゃいけないということで編成されているんだと思います。

 私、今回、予算案を見まして、いろいろな工夫が、きれいな言葉で言うと工夫なんですけれども、ちょっと悪い言葉で言うと、いろいろな、よからぬ作業といいますか、そういったものが加えられて、薄氷の財政再建を演出する予算案になっているのではないかなと思います。

 最初にまず申し上げます。五つあります。

 一つは、きょう伺う、外為特会に関する一般会計への繰り入れのルールを変えて、かなりどさっとそこから持ってくるというのが一点です、大臣。

 二つ目が、雇用保険特会に今まで一般会計から入れていたものを入れずに、その分一般会計に余分なお金が残るというふうにしている。三年間という時限措置ですけれども、こういう裏わざを使っている。これが二つ目。

 三つ目は、利払い費の計算の根拠になる想定利子率をかなり引き下げて、利払い費を抑えている。国債費全体では縮んでいるんですけれども、利払い費が七千億ぐらい下がって、実は元本払いのものは六千億以上ふえて、トータルとして減るんですが、その多くは、金利を低く見ることによって利払い費がどおんと下がる。これが三つ目。

 四つ目は、成長率ですね。今年度三・一%で見ていたものが三次補正後は一・五%に、ある種、補正後の成長率は落として、税収は一・七兆円下げて、久しぶりに赤字国債を発行したというのは大臣とも議論させてもらいました。成長率を多く見積もって税収見積もりを少し多くしているというのが四番目の裏わざ。

 五つ目が、補正回しですね。六千億円ぐらいの歳出を伴う補正予算だったと思いますが、確かに二千億分は災害復旧ということで納得できますが、主に外務省、防衛省、特に防衛省に関して言うと、正面装備みたいなものも含めて補正でやるというのは異例中の異例なんですが、その意味、災害の二千億を除いた四千億分は、本来当初予算に計上するものを補正に回しているので、その分、当初予算の歳出を抑える効果がある。

 この五つですね。私は、五つの裏わざが使われていると。繰り返しになりますが、外為特会からの繰り入れの裏わざ、雇用保険特会への繰り入れの裏わざ、利払い費の抑制という裏わざ、成長率を高く見積もることによる裏わざ、そして補正回しという裏わざ、この五つの裏わざを巧みに駆使することによって、計算上三兆円以上の、通常はあり得ないようなある種操作を加えて、何とか薄氷の財政再建を演出した二十九年度予算案をつくっているんだと思います。

 麻生大臣に伺います。

 裏わざの一番目、外為特会の剰余金を全額一般会計に繰り入れるということを来年度予算案では行っております。

 しかし、これは、平成二十二年十二月二十二日に、ホームページにも財務省がどおんと出して、いわゆる、国際局に無理を言って隠れ借金的に外為特会からもらってフレームを組んじゃうと、もうずるずるずるずるいっちゃって財政再建の規律が緩んでしまうので、もう余りむちゃをやるのはやめましょうねということで、三〇%は内部留保をきちんと残す。

 これは、モンテカルロ・シミュレーションとかいろいろなことを回して、特会の財務の健全性との観点から三〇%は留保するということで決めて、それに従ってやりましょう、逆に、裏から言うと、一般会計で困ったからといって、国際局に無理を言って、打ち出の小づちのように外為特会から入れていくのはやめましょうということを決めたのが平成二十二年十二月でありました。

 しかし、今回の予算案は、先ほど申し上げたような裏わざ第一号の、外為特会の剰余金の全額繰り入れということを使ってやっているという意味ではせっかくつくったルールに反するということで、こうしたことはまさに財政の悪化を覆い隠す隠れ借金ではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今おっしゃっていることは、極めていいところをついておられると思いますよ。これは御自分でつくった法律ですものね、二十二年、こだわりがおありになるのがよくわかるところです。

 今るる説明いたしますと、少々長くなりますが、二十二年に公表した一般会計ルールにおいては、外為特会の剰余金について、毎年度、剰余金の三〇%以上を外為特会に留保することを基本としつつ、そして、外為特会及び一般会計の状況を踏まえて一般会計への具体的な繰入額を決定することとされている、間違いなくそうなっております。

 しかし、この二十九年度予算では、一般会計ルールに沿って、一般会計における歳出の伸びとこれに必要な財源確保の状況とか、いわゆる外為特会には近年、この四年間で言わせていただければ三〇%を超えて剰余金を留保してきておりますので、二十九年度に全額繰り入れましても、いわゆるこの四年間のあれを見ますと十兆五千六百八十八億になりますので、その分でありますので、外為特会のあれを二十九年度に全額繰り入れましても、過去四年間を通じますと三一・九%以上を留保しているという形に数字としてはなります。

 という事情を勘案させていただいて、二十八年度の外為特会の剰余金見込み額の全額であります二兆五千億円を一般会計繰り入れにするというようにしたものでありまして、ルールに沿ったものであって、今後ともこのルールの三〇%というのはきちんと守っていかねばならぬ、私どもはそう思っております。

 次に、いわゆる借り入れておるので、短期証券の発行という形で、借金ということの……(玉木分科員「大臣、そこは聞いていませんから大丈夫です」と呼ぶ)ああ、それでいいの。

玉木分科員 大臣、ありがとうございます。趣旨は共有していると思うので。

 今大臣からいい答弁をいただいたのは、三一・九なんですね。いろいろ、過去ちょっと三〇%を超えて留保していたので、足したら何とかなっていますと。これは大臣、究極の後出しじゃんけん。やはりそれぞれごとに三〇%を満たしましょうということだったので、何か今回、ばあんと使ってぐうっと戻って、足し合わせたら何とか三割超えていたのでよかったということなんですが、ただ、三一・九というのはぎりぎりですよね。なので、来年きついと思うんですよ、大臣。一回限りの裏わざかなと思うので、その意味では、もう来年は頼らないという中で、今から歳出歳入両面にわたってのきちんとした予算編成あるいは執行、厳しく見ていただきたいな。

 大臣、もう来年はルールに反して全額入れるというようなことはしないというのをちょっとここで言っていただけませんかね。

麻生国務大臣 過日のホームページにも書いてございますように、三〇%のものはきちんと維持をさせていただきたいと思っていますが、こればかりは上がったり下がったりいたしますので、その分でなかなか厳しいときもあるのは事実ですけれども、基本的に三〇%という額はきちっと維持してまいりたい、そのように考えております。

玉木分科員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 それでは、森友学園に対する国有地の売却の問題について伺いたいと思います。

 国有地という国民の財産を財政法上も正しく処理するということが求められていると思いますので、今これが非常に、不当に安いのではないかという疑念が上がっていますので、ここについては、財政当局としても、また、これを所有している国土交通省航空局としても、しっかりとした説明責任を果たしてもらいたいと思います。

 そこで、伺います。

 平成二十七年の話であります。今問題になっているのは、不動産鑑定士に鑑定してもらったら九億円を超えるようなものが、新たな埋設物の発見に伴う撤去費用が八億円かかるので、そこからどおんと差っ引いて、実際には一億三千万円というような売買価格がついたことに対して本当かなという疑念が浮かび上がっていること、特にこの八億円の埋設物の撤去費用について本当かなという疑問が上がっていますので、ここにちょっと集中して、注目して質問したいと思います。

 昨年三月十一日に、この八億円の埋設物撤去費用に係る新たな埋設物が発見されたと森友学園の工事事業者から連絡があったということで、近畿財務局、そして大阪航空局が現地確認に行かれています。三月十四日のことです。

 伺います。

 具体的にどの場所で、どの深さで、どのような埋設物があったとこのとき確認されていますか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘の本件土地の地下埋設物について、平成二十八年三月十一日に、学校法人森友学園から近畿財務局に対して、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程において、新たな地下埋設物が発見されたという連絡がございました。大阪航空局では、先ほど先生御指摘の平成二十八年三月十四日に、近畿財務局や現場関係者とともに現地に赴き、小学校建設用地に地下埋設物があったということを確認しております。

玉木分科員 いや、確認したというのは報告を受けています。

 どこで、九・九メートルのくい打ち作業の中で出てきたということですから、どのくい打ちポイントで、どの深さで、そしてどのような埋設物が出てきたと確認されたかということを伺っています。明確にお答えください。

平垣内政府参考人 お答えをさせていただきます。

 二月二十一日に現場の御視察をいただいておりますけれども、そのときに、近畿財務局さんが御撮影された写真をお示ししております。そのとおりでございまして、現地におきまして、大阪航空局は、九・九メートルまでの深さのくい打ちを行った過程で発見された地下埋設物であると工事関係者から説明を受けたと承知しております。

玉木分科員 今の答弁はわかりました。出てきた、多分地表にあったんでしょう、その埋設物と思われるものを確認したということは、今聞きました。

 どこの埋設物ですか。

平垣内政府参考人 お答えをさせていただきます。

 先生御案内のとおり、くいはかなりの本数ございます。先生からきょう御配付になった資料を見ていただければと思いますが、ということでございますので、実際にどのくいからあったということは確認しておりません。

玉木分科員 ちょっと、今、驚いたんですけれども。だって、これは八億円を差っ引くことの根拠になる確認作業の一番最初ですよ。

 これは実は、当該土地から地下埋設物が出てきたのは二回目です。一回目のときは、砒素、鉛も含まれていて、確認して、当時は、平成二十二年一月に報告書が出ておりまして、このときは、国土交通省大阪航空局、大和探査技術株式会社がレーダー調査を行って、六十八カ所である種のボーリング調査のようなことをやって、それで、こういった面積でこういった深さで、あるから、一億三千万円ぐらいの、いわゆる除却費用を有益費として返還するということになっていますね。

 今回は一億じゃないですよ、八億ですよ。何倍も大きいわけですから。当時、六十八カ所をきちんと調べて、ここでこういうごみ、ここでこういうごみ、ここでこの深さとやったんですが、今回、この八億円の根拠となる最初の確認作業で、どこだかも確認していないということですか。もう一度答弁をお願いします。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、当方が確認いたしましたのは、平成二十八年三月十四日に、近畿財務局とともに、現場関係者とともに現地に赴きまして、小学校建設用地に地下埋設物があったということを確認しております。(玉木分科員「どこに」と呼ぶ)

葉梨主査 どこにという。

 平垣内次長。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど申しましたとおりでございまして、くいのどこから出たということは確認してございません。

玉木分科員 これは、どこから出たかも確認していないんですか。

 繰り返しますが、平成二十二年の調査のときには六十八カ所調べているんですよ、この広大な面積の学校用地の。八億円、もう現に引いているんですよ、売却契約は成り立っているんですよ。八億円も差っ引いて売買契約をするもとになった最初の、要は、ここにこういう埋設物がある、埋まっているからのけないと用途に供することができない、それを確認に行って、どこだかもわからないんですか。それが八億円の根拠になっているんですか。信じられないですよ。

 では、平面的なことを聞いたので、今度は縦の、深さのことを聞きますけれども、九・九メートルのくいを打つ途中で出てきましたということなんですが、どれぐらいの深さで出てきたごみなんですか、これは。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御説明いたしましたように、現地において、大阪航空局は、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程で発見された地下埋設物があるということを工事関係者から説明を受けたと承知しております。

玉木分科員 いや、だから、では、どの深さにあったか確認していないんですね。

 配付資料の三枚目のところを見ていただきたいんですが、これはどちらが、財務省、財務局がつくったのか、国土交通省、両方がつくったんですかね。これは、こういうふうに赤で囲っているところを、土をのけなきゃいけないということなんですが、深いところに、この九メートルのところ、いろいろ埋設物が埋まっている絵を、ポンチ絵を描いていますね。これは、ではあくまでイメージなんですか。この深さに、これは下が三・八メートルだと思いますけれども、こういうふうに何かいっぱい入っていますねというのは、ではこれは全く確認せずにこの絵は描いているということでよろしいですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 この資料は、先生御案内のとおり、民進党の国対のヒアリングが数回行われていると思いますけれども、その過程で低深度の話と高深度の話がわかりにくいということなので、それをわかりやすく説明する資料をヒアリングの際に提出しろという御指示を受けてつくったものでございます。(玉木分科員「いやいや、資料の作成過程を聞いているんじゃなくて」と呼ぶ)

葉梨主査 玉木君、ではもう一度質問を。

玉木分科員 その資料の経緯を聞いているのではなくて、現に、その結果、我々が求めた結果出てきたものに、こういう深いところにも、低深度も、深深度というか深いところにも、両方ごみがありますねと描いているんですが、こういう絵を描く根拠になった、どの深さにどのような形でごみがあるのかは、ではどのように確認したんですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 何度も繰り返しの答弁で申しわけございませんが、現地において、大阪航空局が、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程で発見された地下埋設物であると工事関係者から説明を受けたというふうに承知しております。

玉木分科員 ということは、航空局さんも財務局さんも、みずから確認したんじゃなくて、工事事業者がそう言っているからそうでした、これが八億円の根拠ですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御説明したとおり、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程で発見された地下埋設物であると工事関係者から説明を受けたと承知しております。

 一方で、大阪航空局と近畿財務局におきましては、どのような現地確認がなされたのかについて確認をしておるところでございます。

 今後とも、新たな情報があった場合は情報を提供させていただきたいと考えております。

玉木分科員 両局でやっているのは建築確認、今、建築確認とおっしゃいましたか。ちょっと正確に。

平垣内政府参考人 現地確認でございます。済みません、滑舌が悪くて申しわけございません。

 現地確認がなされたのかについて確認していると申し上げております。

玉木分科員 いや、ちょっと驚きましたね。

 結局、三月の十四日に、新たな埋設物が出ましたよといって連絡を受けて三日後の十四日に行って、そして見たけれども、要は、現にそこにあるのかどうか確認せずに、工事業者がそう言ったからそうだというだけなんですか。

 では、もう一つ伺います。

 平成二十二年の調査のときは六十八カ所、非常に広い範囲でやっています。あるところで仮に一つ出たとしても、そこだけ、あるいはその周辺だけの可能性がありますよね。それをわあっと全面積に広げなければいけないという判断の根拠になったものは何ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからの御質問もございますので、浅いところの部分は、先生御指摘のように、もともと、あったというのはわかっているわけでございまして、三月十一日に先方から、九・九までくい打ちをしたらそこから出てきたんだということなので、それではといって、三月十四日に両者で行って、現場の話を聞いて、写真も撮って、それはお見せしたと思いますけれども、こういうごみがくい打ちの九・九の深いところから出てきたということでございますので、先生御指摘のように、六メートルから出たのか、九・九から出たのか、そこは、くいを打って出てきたものですから、その九・九の中から出てきたわけでございます。それは、そういうものだというふうにその場で確認をしたわけでございます。

 これは新たなごみだということになりまして、それで、どうするのかというような先方からのお問い合わせがあって、これは確認せないかぬと。要するに、今まであった埋設物じゃない埋設物が深いところから出てきたんだということでございまして、そういう意味で、両者で、近畿財務局と大阪航空局でいろいろと相談をいたしまして、このごみを、我々、撤去するかどうかと検討している最中に、先方から、この土地を買い受けたいというお話があって、その撤去費用を控除した上でこの土地を買い受けて、とにかく開校に間に合わせるように自分たちで一生懸命工事をやりたいというお話があったので、そういうことであればということで買い受けに進むわけでございます。

 その際の八億円というのを先ほどから先生がおっしゃっていますけれども、それはそもそも、ここは当然、小学校の建設工事をやっている真っ最中でございまして、まさに小学校ができるわけでございます。そういう、小学校ができることを前提に、今までじゃない、新たな地下埋設物が発見されるということでありますと、今後、さらにこの深い部分でどんな埋設物が出てくるのか、これはまたわからないわけでございます。いろいろなものが出てくる可能性もあるわけでございます。

 そういう中で、工事を早く進めないかぬというお話がありまして、それでは、先方は買いたいという意向を示されているので、本件の土地の売買契約におきまして、隠れた瑕疵も含めて一切の瑕疵について、売り主であります我々国の責任を免除するという特約を付すことも勘案しながら、これで必要となる埋設物の撤去費用を見積もりましょうというふうに考え方をまとめまして、これで、大阪航空局において工事算定基準に基づきまして積算して算定したのが八億円という経緯でございます。

玉木分科員 いや、私は八億円の経緯を聞いているのではなくて、まず、そこだと、発見されたものも確認していなくて、業者が言ったとおり、言い値ですよね。それを全域に広げて、広大な面積で、全部にある前提でやるというのが何の確認もなく行われていることについて、非常にこれは疑問が残るんですね。

 だから、業者から言われた、森友学園がもう工事を始めた、この二つの理由をもって八億円が決まったということですか。私、これは非常に不透明だと思いますね。

 では、もう一つ伺います。

 これは、一万九千五百トンのものを運び出さなければいけないということになっていますね、結果として。これは本当にダンプカー数千台分です。これは私、現地に行って周辺の人にもヒアリングしましたけれども、マンションに住んでいる方、公園に来ている方、そんなのは見たことないとおっしゃっていました。

 実際、工事に携わった人の話を私は聞こうと思います、きょう。具体的に、本当にこういうことがなされたのかどうかを確認したいと思うんですが、これは、産業廃棄物か一般廃棄物かは別として、何かを持ち出すときには、特に産廃の場合は産廃マニフェストということが求められますね。最終的な処分場はどこに持っていくのかとか、そのことに対する処理が廃掃法でたしか決められているはずです。

 このマニフェストを見れば、一体幾らの量のものをどう取り出してどこに持っていったのかということはわかるはずなんですね。この産廃マニフェストを確認されていますか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 国土交通省の方は、近畿財務局さんの方から見積もりの依頼を受けて、先ほど理財局長の方から御説明がありましたとおり、工事積算基準に基づきまして、必要となる地下埋設物の撤去、処分費用について見積もりを行い、それを財務局さんに御報告したということでございます。

 その後の実際の廃棄物の処理については確認してございません。

佐川政府参考人 前から何度も申し上げておりますが、きちんと時価を、不動産鑑定士に、確定して、先ほど御説明した八億円の積算をきちんと大阪航空局の方でやっていただきまして、それを引いたものがまさに時価でございまして、その時価で先方に売買をし、契約が成立したということでございまして、その後、その撤去費用について、今先生がおっしゃいましたような細かな証明と申しますか、そういうものについて、当方で具体的なその中身の詳細を把握しているわけではありません。

玉木分科員 これも驚きですね。八億円の工事ですよ。現に実際どういう埋設物が持ち出されたのか、それに伴ってどういう工事が行われたのかは、航空局も財務局も、把握もしていないし、把握する予定もないということですか。

 このまま、もう別に、売買契約も成立して、瑕疵担保が免除されているから、後はそれが、例えば一万九千五百トンで見積もっていますけれども、例えば一トンあるいは十トン、百トン、千トンぐらい持ち出していても、あるいは一万九千五百トンにとても足りなくても、それは契約上全く問題ないという理解でよろしいですか。

佐川政府参考人 契約については今申し上げたとおりでございまして、売却しております。その後、近畿財務局の方で、建設に必要な撤去はしましたねという確認は学校側から聞いておりまして、建設に必要な適切な撤去はいたしましたということでございますが、そこから先、何万トンとか申し上げておりますが、そういうものについて、我々、別に契約上、確認するということでもなく、詳細な中身については把握していないということでございます。

玉木分科員 いや、これも驚きです。

 まず、そもそも八億円の算定根拠が、業者からの言い値、学校側からの言い値で八億円が決まり、そして実際、ではそれで工事を行ったかどうかも、契約上確認する義務が国には全くない。学園側から聞いただけだということで、産廃マニフェスト等についても、確認する必要もなければ法的義務もない、これは破格の契約内容じゃないですか。通常の財務省が持っている国有地の売却は相当厳しい条件をつけながらやっているはずなんですけれども、これはちょっと驚きです。

 そして、ラジオで籠池理事長さんが、どれぐらいこれからお金がかかりますかねという話をしたら、いや、今わからない、これからわかりますというふうに答えているんですね。八億ぐらいかかるんですかねということを聞かれているんですけれども、何かむにゃむにゃおっしゃっていて、よくわからないと。いえということは言っていますね、否定するような。

 八億円というのは、やはりこれは過剰だったんじゃないんですか。

葉梨主査 佐川局長、時間が来ておりますので、簡潔に。

佐川政府参考人 申しわけありません。

 委員おっしゃいましたように、工事現場のものだけで、言い値でやったというのではございませんで、何度も申し上げていますように、我々、確認をした上で積算をしたということでございます。

玉木分科員 堂々めぐりになりますけれども、確認した上で積算したというんですが、確認したというその埋設物が、どこの場所で、どういうところにあったかさえ確認していないので、それは確認ではないと思います。

 残念ですけれども、少し疑惑が深まったような感じがしますので、午後またこれは質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島分科員 民進党の福島伸享でございます。

 同僚の玉木委員に続きまして、この森友学園への国有地売却の問題について議論をさせていただきたいと思っております。

 今、玉木議員の議論でびっくりしたのは、八億円もの巨額の、廃棄物を取ってまた埋め戻すという試算をしているにもかかわらず、八億円は皆さんの財産じゃなくて、国民の税金で買った財産なわけですよ。それを、実際にやったかやらないかも確認していない、どこに何が埋まっていたかも確認していないというのはびっくりでありまして、余りにも国民の財産を軽いものに考えているんじゃないかと言わざるを得ないというふうに思っております。

 この問題は、さまざまに不透明なところがあります。

 資料の一で、これまでの経緯というのが出されておりますけれども、右側の学校設置認可のところの一月二十七日で、大阪府私立学校審議会の臨時会で、条件を付して認可適当と認めると答申をしております。

 大阪府の学校設置の基準というのは幾つかありまして、原則として、校地や校舎は自己所有するというのが原則になっております。校地、校舎その他の施設は自己所有する。ただ、次の基準を満たす場合に限って借りてもいいよということになっておりまして、それは、一つは、借り地の所有者が国、地方公共団体等の公共団体であることが一つ。もう一つは、当該借地の上に校舎がないこと、つまり、校舎の下の土地は最低限自己所有しなきゃならないんですね。丸々借地じゃだめなんですね。

 何でそれなのに認可できたのということを聞いたら、それは将来この土地を買うことが義務づけられる契約が結ばれるからだということを大阪府あるいは文部科学省は言うわけでありますけれども、このスケジュールを見ますと、まだ一月二十七日の段階では、国有財産の契約はおろか、その判断をする国有財産近畿地方審議会すら開かれていないんですよ。開かれていないから、買い取り契約つきの賃借契約が結ばれるなんというのはわからないはずなんですけれども、これは本当に一切、何らの情報を大阪府あるいは森友学園に渡していないんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府の私立学校審議会、二十七年の一月で、附帯条件を付して学校設置の認可適当という答申がなされたわけでございますが、我々、近畿財務局と大阪府とでは、そういう、お互い審議会を持っているわけでございますので、土地の公的取得要望、あるいは学校設置の認可についての制度、あるいは土地の取得要望が出ているかどうかの事実関係、あるいは審議会の諸手続など、それぞれ近畿財務局から大阪府にお伝えしたり会話を交わしたりしているところでございますが、国有財産の近畿地方審議会の了承の前に、財務省近畿財務局から大阪府の私学審の関係者に対しまして森友学園に対する国有地売却の可否について申し上げたことはございません。

 ただ、実は、我々は、国有地の売却の手続におきまして、地方公共団体以外の者からの取得要望の審査に当たりましては、事業の許認可の可能性につきまして、その権限を有します地方公共団体から文書によりまして意見を徴収し、確認をすることとしてございます。

 したがいまして、二十五年の十月の終わりでございますが、近畿財務局から大阪府、これは私学審の開催前でございますが、森友学園から近畿財務局等に対し小学校敷地として公的取得要望がなされたが、大阪府の整備計画との整合性に関して参考となる事項について意見を照会するというような文書も発出しておりますので、そういったことも踏まえて私学審の方では判断されているんだというふうに考えております。

福島分科員 おかしいですね。森友学園から要望が出ているだけの情報じゃないはずですよ。

 私たちは、おととい大阪府教育庁に行って、私学課長さんに対してヒアリングをいたしました。テープも全部とっております。その中で、そうした将来の買い受け契約つきの賃貸契約があるということを知っていたんですかと言ったら、こういう契約をするとは聞いていました、我々、学校とも近畿財務局ともやりとりをやっていますというふうに明確に言っているんですよ。要望が来たということだけじゃなくて、その契約の中身まで近畿財務局から聞いていると言っているんですよ。

 おかしいじゃないですか。どっちが正しいんですか。大阪府がうそをついているということですか。どうですか。

佐川政府参考人 今の大阪府のコメントにつきましては、ちょっと今ここでは差し控えますが、いずれにしましても、大阪府と森友学園の間で当然会話は交わされているはずでございますので、その点につきましては、大阪府についても、知っていると思いますが、近畿財務局としましては、こういう公的取得要望がなされていますよということで大阪府にお伝えしているということでございます。

福島分科員 もう一度、近畿財務局に確認をしてください。明確に大阪府、行政庁ですよ、その人たちが、近畿財務局から契約の内容を聞いたから私学審にかけたと明確に言っているんですよ。言っているんですよ、それは。ぜひそれを確認してください。もし審議会前にそんな契約をすると決めていたのだとするならば、審議会にかける意味がそもそもないということになってしまいますよ。予断を与えて、もう初めからそれを決めていた、そこに何らかの力が働いたんじゃないかと疑わざるを得ない、そうしたものになると思いますので、明確にそれは、もう一度後で聞きますので、近畿財務局に、ないということを確認してください。

 それで、大阪府の言っていることは間違いである、そうなれば、今度は大阪府の認可がおかしいということなんです。土地の取得の当てもないまま、契約も確認していない。そういう契約がなされるということすら、権限のある近畿財務局から聞いていない段階で、認可相当ということを与えたとなれば、今度は大阪府の問題になりますから。

 どちらに問題があるか明確にするためにも、もう一度、後日、明確な答弁をしていただきたいというふうに思っております。

 もう一点、逆に今度、財務省の、財務局の審議会の中でもさまざまな議論がなされていて、例えば、基本財産というものが小さくて学校をつくる、スケジュール的にもすごく短い、そういう意味では継続できるのか、一般的にはこうしたケースはだめで、非常に異例な形だなという感じということです。これは審議会の会長がおっしゃっております。

 附帯条件がついた上での認可というか適当という判断だと思いますけれども、その経緯についてはいかがでしょうか。

佐川政府参考人 二月の国有財産の近畿地方審議会でございますが、今先生がおっしゃいましたように、一部の委員の方から経営の環境のお話があり、今後土地の購入がしっかり見込めるのか、あるいは、開校を予定しておりますけれども、学校建設あるいは生徒募集のスケジュールが短いのではないかといった意見も出ている一方で、別の委員の方から、そこまで事業性についてリスクはなくて、心配する必要はないのではないかというような意見も出たところでございます。

 いずれにしましても、こういった意見を踏まえた上で、国有審におきましては、森友学園に対する買い受け特約つき定期借地契約について、大阪府の私立学校審議会における森友学園に対する認可適当の答申に付されてございます附帯条件が満たされるという前提で、了承されたということでございます。

福島分科員 この附帯条件、学校設置認可に当たっての附帯条件が満たされるという条件で適当だということをやったということでありますけれども、その後まだ、きのうも大阪府の私学審議会が開かれて、この議論は続けられております。

 この小学校認可に際して、ちゃんとした附帯条件がクリアされているなどといった、その条件が満たされているかどうかの審議は、この国有財産の審議会を開いてやりましたか。

佐川政府参考人 その附帯条件、私立学校審議会の方の附帯条件でございますけれども、こういう幾つか条件が書いてございまして、それについて次回以降の私立学校審議会において報告を受けるということでございまして、私どもが文科省の方から聞いてございますのは、大阪府の方から、その後、私立学校審議会を何度も開きまして、その時点でその条件について逐一報告を受けているということを聞いておりますので、今その段階で進んでいるんだろうというふうに思っています。

福島分科員 私学審の方は、毎回、開くごとに森友学園の状況の報告を行っております。

 国有財産の方の審議会もちゃんと議事録が公開されているんですが、一回もそのような議論はなされておりません。私は、それは不誠実と言わざるを得ないと思います。

 次の問題に行きますけれども、こうした中において、貸付契約、買い受け特約を付した有償貸付契約を締結することになりますが、このときに当然、賃料を算定するために土地の値段を算定しなきゃならなくて、九億三千二百万円という額をやるんですけれども、この賃料は誰がどのように算定したんでしょうか。

佐川政府参考人 有償貸付契約のお話でございますので、それは我々、不動産鑑定士に聞いて、きちんと……。

福島分科員 それは、既にわかっていた、大阪航空局が実施した調査による土壌汚染とかそういう状況を踏まえた価格を算定したということでよろしいでしょうか。

佐川政府参考人 いわゆる浅い部分に入ってございます、ああいう埋設物等も踏まえた上での鑑定評価というふうに承知しております。

福島分科員 この鑑定書をずっと二週間前から出すように求めているのに、出してくれないんですよ。本委員会に早急にこの鑑定書を提出いただけますでしょうか。

佐川政府参考人 確認をさせていただきます。

福島分科員 つまり、この契約においては、ごみの撤去も含めた、撤去というか、ごみが入っていることも含めた土地の値段を、貸付契約のときにはしております。

 それで、その契約の中身を見てみますと、資料の三の二というものがあります。第五条というところで、乙、つまり森友学園は、このいろいろな調査ですね、調査に記載の地下埋設物の存在及び土壌汚染の存在等を了承するものとすると。乙は、豊中市を、土壌汚染法で、了承すると。乙は、この契約を求める云々というのが五条、六条。

 六条の中で、この土壌汚染、地下埋設物の除去を森友が行い、これによって貸付財産の価格が増大した場合の除去費用は有益費とすると。つまり、森友がごみを取って、それで土地の価格が上がった場合には、撤去した相当の額を有益費として森友側に戻しましょうという契約をしております。

 そして、さらに、その次のページなんですけれども、三十条で、甲及び乙、つまり財務局と森友学園は、この国交省の調査結果及び本書作成時点における貸付財産の地盤の現況を考慮した貸付料であることを確認するとした上で、乙、森友学園は、貸付財産の地耐力その他地盤状況を理由として、瑕疵担保責任に基づく契約解除、損害賠償、貸付料の減免、その他いかなる名目においても甲に対して財産上の請求を一切行うことができない、三項において、これに関して、地盤の整備とか改良等の工事を実施した場合でも、乙は、同工事費用その他費用につき、その他いかなる名目においても、甲に対して財産上の請求を行うことができないという特約が付されております。

 これは、工事の途中で埋設物が出されたとしても、お金を払う必要はないんじゃないですか。どうですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 契約書のお話でございます。

 森友学園との間の、今委員が御紹介していました貸付契約でございますが、これは、契約時に判明しておりました地下埋設物につきましては、森友学園が除去を実施しまして貸付財産の価格が増大した場合にその費用を有益費として償還するというのは、今委員御紹介の六条に書いてございまして、それは五条と六条のセットというか、そういうことでございます。

 その上で、今委員がおっしゃいましたのは三十条の話でございますけれども、契約時に判明していた地耐力その他地盤状況については貸付料に反映することとし、それ以外の財産上の請求を排除する等の特約をこの三十条に付しているところでございますが、これは、貸付契約締結時に判明しておりました土地の瑕疵の取り扱いにつきまして貸し付け当事者間で合意して明確化したものでございます。

 ただ、国は、貸し主として、小学校が建設できる敷地を提供する義務がございます。貸付契約締結後に発見されました新たな地下埋設物につきましては、特約で規定されている地下埋設物とは認められません。貸付を継続している中であっても、撤去に要する費用は国が弁済すべきというふうに考えられるところでございます。

福島分科員 そんな義務は、契約書上のどこにあるんですか。

佐川政府参考人 これは法律の専門家との間でも議論して、そういうことになっているわけでございます。

 さらに、貸付契約と同日に締結されました売買予約契約におきまして、同日に契約しておるものですから、その売買予約契約におきまして、売買価格は売却時における地盤の現況を価格要素として考慮するというふうに、予約契約書の方でございますけれども四条に示してございますが、そういうところで、新たに発見された地下の埋設物についてはその撤去費用を売却価格に反映させる必要があるというのは、その売買予約契約書の条項でございます。

福島分科員 今、びっくりしました。契約書にどこも書いていない義務が、何で法律家の間で当たり前のように義務だと言い切れるんですか。めちゃくちゃな話だと思いますよ、私は。

 しかも、この三十条をそのような趣旨に読めるんですか。

 まず一つは、国土交通省の調査結果によって出たものについては、それは反映しますよ。ただ、二項は、「地耐力その他地盤状況を理由として、」「如何なる名目においても甲に対して財産上の請求を一切行うことができない。」、どんな名目でも一切できないんですよ。これは別に、その調査の結果わかった地盤状況とも何とも言っていないじゃないですか。「貸付財産の地耐力その他地盤状況」と書いているだけで、どの地盤かなんて限定されていないんですよ。

 少なくとも、あなた方が常識と言うけれども、もしそうやって難癖をつけられて、おまえらは学校用地としてきれいな土地を貸すべきだといちゃもんをつけられたとしても、この条項をもって、そんな義務はないというふうな議論は行ったんですか、行っていないんですか。

佐川政府参考人 三十条のお話でございまして、これはまさに契約ですから、契約時に判明しておりました地盤の地耐力その他の地盤状況について、貸付料に反映し、それ以外の請求を排除するということでございますし、今委員が御説明された、提出されました地盤調査結果に関する特約というものも先方から出ておりますので、そういうものも含めて貸付料として反映しているということでございます。

福島分科員 全然、支離滅裂なんです。それは一項の話でしょう。貸付料は、確かにそのときの土地の状況でやったんでしょうけれども、二項と三項はそのことと関係ありませんよ。何にも、貸付料と関係ある条文じゃないですよ。どうやって読むんですか。

 そもそも、まず聞いたことに答えてください。この条項をもとに、森友学園から新たにごみが発見されたとしても、払う、そうしたいわれはないということは最初に言ったんですか、言っていないんですか、どっちですか。

佐川政府参考人 先ほど申しましたが、この三十条の話は地盤調査結果に関する特約でございまして、それが三十条全体にかかっているということでございますので、この一項から二項にかけてもここにかかっているということでございます。

 それから、先ほどから申していますように、契約時に判明している地耐力の状況については貸付料に反映していることで、それ以外についての請求を把握するということでございますが、新たな地下埋設物、要するに、契約締結時に判明していた土地の瑕疵の取り扱いを明確化したものでございまして、新たに判明したものについては、当然、撤去する費用は国が弁済すべきというふうに考えてございます。

福島分科員 どこにもそんなの、契約上ありませんよ。少なくとも、この条文をもって、いわれはないと抗弁できるはずにもかかわらず、何かこれまでのやりとりを聞いていると、財務省側は常に森友学園側の立場に立って物事を行っている。あなた方の役割は、本来、国有財産をしっかりと高く売って、国庫に収入を得ることじゃないですか。にもかかわらず、どうやったら森友学園に安く売れるか、安く売れるかということをやっているとしか思えないんですよ。

 では、仮に、それは国が出すこともあり得るとしましょう。しかし、先ほど言ったように、ごみが埋まっていることを前提とした一回目の賃貸のときは、不動産鑑定士に価格を算定することを依頼しているんですよ。私も、いろいろな不動産鑑定士の友達や不動産関係、建設関係の方がおりますから、いろいろ今回の件について聞いてみました。そうしたら、それは当然だそうです。土地の値段というのは物すごく大事だから、それはプロにお願いするんですよ。

 そのごみがどれぐらいその土地の価値を減ずるかどうかというのは、例えば砒素や鉛のような、最初の調査で出てきた、法律に基づいて処理しなければならない有害なものであれば、土地の値段が下がるから、それはそう反映されますよ。ごみであったとしても、今回はそうした人体に影響があるものが何か発見されたということなんですか。どうですか。

佐川政府参考人 浅いところにそういうものがございまして、有益費として支払ったということは一つございまして、深く、新しく発見したものでございますが、これは、先ほど説明した業者が深いところまでくいを打って出てきたごみが、いわゆる廃材とかプラスチックとか、そういう生活ごみがございまして、そういうものが出てきたところで、何が出てくるかわからないという状況でございまして、そういう意味で、今後、開校が迫る状況の中で、どういうごみが新たに出てくるかわからないという状況の中でいろいろ検討したことでございます。

福島分科員 だからこそ調査するんじゃないですか。人体に影響を与える砒素とか鉛だったら、それはお金を出して処理しなきゃならないんですよ。そうじゃなかったら、お金なんて出す必要はないんですよ、初めから。

 何で、お金を出す必要がない可能性も追求しないで、森友学園側の言い分を一方的に聞いたんですか。どうですか。

佐川政府参考人 二十八年の三月の発見でございまして、ほぼ一年後には開校せねばいかぬ、建設工事も進んでいるという状況の中で、今委員おっしゃいましたように、どういうごみが入って、国としてそれを全部撤去した上で、森友学園に、買い受け希望が出ておりますので、売り渡すということももちろん選択肢としてあったと思います。

 ただ、先方は、開校が一年後だということであれば、もう一つの選択肢として、我々が撤去費用を国に見積もってもらったものを控除して買って、一気に工事を進めるということでどうかということの中での検討をしたわけでございます。

福島分科員 いや、おかしいと思いませんか。学校を早く開設したいというのは森友学園さん側の言い分ですよ。皆さん方の役割は、森友学園の学校をいかに早く開設させるかということではありませんよ。いかに国民の財産を守るかということが財務省の役割なんじゃないですか。

 だとするならば、その要求に応じないで、いかに高く財産を売るかと考えるのが当たり前じゃないですか。何でそういう考えにならないのか、明確にお答えください。

佐川政府参考人 今申しました二つの方法は、両方とも一般的に行われている方法でございまして、通例、土地の売却を行う場合にどちらかということがあり得るわけでございますけれども、先方は学校教育法上の学校ということで、まさに公共用の用途ということで、一年後の開校に向けて頑張っているという中での判断をしたということでございます。

福島分科員 全く理解ができません。しかも、これはまだ認可がおりていないんですよ。まだ認可が正式におりていない、認可に相当するとまでで、附帯条件がついて、そのチェックを行っている段階でそんなおもんぱかった判断をするのは、誰に言われてやっているんですか。誰かに言われてやっているんですか。

 さらに言えば、木くずとか生活ごみが出てきたと言いました。しかし、これは、人体上、恐らく影響のあるものではないでしょう。そして、くいを打っていくわけですよ。

 不動産鑑定士の人にいろいろ聞きましたよ。日本じゅう、どこも、岩盤までの土は、日本人はこれだけ長く日本列島に暮らしていましたから、何らかのものは出るんですよ。しかし、そんなものが出ているからといって、土地の価値が下がったと引くことはあり得ない。

 例えば、大きな岩盤が、別の岩盤が見つかって、くいを打つ場所を変更しなければならない、あるいは打つ深さを変えなければならない、そうした事実が出れば、それは土地の値段に大きく影響するから鑑定をやりますよ。しかし、そうじゃない、ちょっとした岩とか今までの生活ごみが出たことによって、建築許可申請を変えるような、あるいはその土地の値段に影響を与えるような工事の変更をするなんということは絶対あり得ないと言っていますよ。

 普通に不動産鑑定士に鑑定をしてもらったらそういう結果が出ることがわかっていて、これは、わざわざ八億円、ごみ処理費用でかかるというのを、不動産鑑定士ではない国土交通省に、一定の条件を付して、機械的に試算をさせているだけなんですよ。

 このやり方を考えたのは一体誰ですか。

佐川政府参考人 先ほど申しましたように、新たな埋設物が出てきている、それから、先生御承知のとおり、浅い部分には有害物質も入っていたわけでございます。

 したがいまして、新たな埋設物が出てくるということは、本当にどんな埋設物がその時点で出てくるかわからないわけでございます。そういうことを踏まえ、小学校であることを踏まえ、国として、将来のその瑕疵に対する責任を排除するという特約も勘案しながら、こういう契約をしたということでございます。

福島分科員 それは誰が判断したんですか。

佐川政府参考人 それは、近畿財務局と大阪航空局の中でいろいろ検討した結果、判断したわけでございます。

福島分科員 これも、おとといのヒアリングで、大阪航空局は、そこの判断については何にも関与していないというふうに言っていました。財務局側から、仮にこの深さで土を取って埋め戻すには国交省の基準だと幾らになりますかと言われたから、その仮定に基づいて算出しただけであって、このような八億円の除去を行わなきゃならないのかどうかということについては、国土交通省は判断していないと言っていますよ。

 もう一度、答弁をし直してもらえますか。

佐川政府参考人 時価を算定するということでございますので、まさに不動産鑑定費用から撤去費用を引くということで、そういう意味で両局でずっと議論しているわけでございまして、そういう中で、時価で売却するという判断は、当然、法令に基づいて適正に我々がやっているということでございます。

福島分科員 だから、それが時価じゃないんですよ。

 貸付契約のときは、浅いところに埋まっている鉛とか砒素の除去も含めた価格の算定を不動産鑑定士に依頼したのに、今回、何が出たかもわからないものについて、その何が出たか、それがどう土地の値段に影響するかというのを判定するプロが不動産鑑定士ですよ。ほかの、財政審で見ても、この財政審議会のメンバー、国有財産の審議会のメンバーの中には、不動産鑑定士の方もいらっしゃいます。その鑑定方法が正しいかというのも毎回議論しているんですよ。

 何で今回、その八億円の部分も含めた鑑定を不動産鑑定士に依頼していなかったかといえば、それは森友学園の学校の開設が迫っているから、そういう判断をしたということですよね。それをやったのは近畿財務局長までであって、本省は一切関与していないということでよろしいですか。

佐川政府参考人 前に申し上げましたように、両方とも正しい判断、契約の形態でございまして、そういう意味では、今おっしゃいましたように、まさにその学校を四月に開校するということを前提にこういう判断をしたわけでございまして、もちろん、決裁権限者は近畿の局長でございますけれども、当然、本省の方も報告は受けてございます。

福島分科員 本省にも関与があるということがわかりました。

 そして、これはやはり不透明ですよ。それまでの鑑定方法と違う、鑑定方法をいきなり変えたりとか、八億円のことを全然見ていない。値段が非開示だというのは、それは怪しかったからじゃないですか。

 この理事長は、非公表を強く求めていない、そう朝日新聞には答えています。毎日新聞には、国から非開示にもできると聞き、軽い気持ちで望んだだけだというふうに言っております。TBSラジオのインタビューでは、お国の方から、どうされますかと言われたので、まあ、それだったら言わんといてくださいねという程度の軽いことで伝えました、非公開というのは、これはもうお互いのことだったと思うんですよと。

 もうこれは共犯者じゃないですか。口裏合わせをして、この価格が判明したら、怪しいというのがばれてしまうから、財務省も関与をして、先方からの要望じゃなくて非公表にしたんじゃないですか。

佐川政府参考人 そのインタビューの記事には逐一はコメントいたしませんが、開示をしなかった理由につきましては、まさに情報公開法上の不開示の理由に当たるということで、先方から公開してくれるなと。それはまさに学園側からとして、こういううわさが出ると生徒募集とか学校に影響を与えるということで、非開示にしてくれということを受けまして、我々は非開示にしたということでございます。

福島分科員 もう、怪しさ満載であります。

 だって、非公開というのは、これはもうお互いのことだったと思うんですよと理事長が言っているんですよ。共謀しているということじゃないですか、今はやりの。おかしいですよ。

 そこで、私は麻生財務大臣にお伺いしたいと思います。財務大臣、資料をお読みになっておりますが、聞いておりますか。(麻生国務大臣「はい、聞こえますよ」と呼ぶ)ええ。

 財務大臣は、何度も、適正な手続によって処分を行っていると承知しているから、私どもとしてはこれ以上のお答えのしようがないということをおっしゃっております。

 この土地は、資料二というのがありますけれども、大臣、資料二というものがあります。いいですか。これは、最初の不動産鑑定士が鑑定した額は九億三千二百万円なんですよ。それに基づいて貸し付けの契約をやりました。そのときには、表面に砒素や鉛というものがあったので、それを取り払いました、一番下の欄ですけれども。それを取り払ったら、九億五千六百万円の価値になったんですね。これも不動産鑑定士の鑑定の額です。

 それが、新たに何か木くずが発見されたからといって、国土交通省が見積もったとされる額に従って八億千九百万円値引きをされ、一億三千四百万円になっちゃったというのは、これは、国民、誰が見たって納得できない話ですよ。よくあるじゃないですか。ちょっとたちの悪い人がいろいろ商品に難癖をつけて、もっと安くしろと。でも、そう言ったら、それは、そうじゃないよと言って交渉するのが常だと思いますよ。

 特に、財務大臣は、そうした国民の国有財産を守るというのを実現するのが大臣の仕事ではないですか。手続を適正にやるのはお役所の仕事です。しかし、そこに大臣がいるということは、その手続に従って行われたことが本当に国民の利益になるのかどうかという中身を判断するのが大臣であって、手続が適正かどうかというのは、大臣が答える話じゃないんですよ。

 よく大臣は、私は民間企業の経営の出身ですということをおっしゃいますけれども、経営者として、こんな取引をするのはおかしいと思いませんか。こんな取引をもし部下がやってきたら、それでぽんと判を押して、喜んでこの安い値段で土地を売りますか。いや、私はそうはしないと思いますよ。麻生さんの企業の土地であれば、いかに高く売るかという交渉をさせるはずでありますよ。

 こういう国有地の売却方法というのが本当に国民にとって利益のあるものなのかどうか、民間企業の経営の豊富な麻生大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

葉梨主査 麻生財務大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

麻生国務大臣 たびたび申し上げていますので、大きな声を出していただかなくても十分聞こえるんですが。

 国有財産というものについては、いずれの場合においても適正な価格で処分されるようにというように定められておりますので、時価による処分ということになります。(福島分科員「だから、時価が問題だと言っているじゃないですか。聞いていましたか、今まで」と呼ぶ)聞いていますよ、よく。でかい声だから、もう嫌でも聞こえます。

 したがいまして、本件につきましては、土地の所有である大阪航空局から近畿財務局に委任を受けたわけですから、大阪航空局と協力して、適正な手続によって処分を行ったものだ、私どもはそう考えております。

 したがいまして、何となく聞いていたら、我々政治家の不当な介入があったかのごとく話を持っていきたいように聞こえますが、そういったことはありません。

福島分科員 いや、全然聞いていないんじゃないですかね。時価じゃないと言っているんですよ、その価格決定が。

葉梨主査 時間ですので、まとめてください。

福島分科員 不動産鑑定士が全部、その埋設物の価値も含めてやったんだったら時価でしょうけれども、そうじゃないということを申し上げているのでありまして、午後の一般質疑もありますので、またそこで引き続き議論させていただきたいと思っております。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下分科員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 きょう、民進党の玉木先生それから福島先生がお話しされていましたこの土地、実は私の家から歩いてすぐのところなんですね。数分で行けるところでして、言ったらあれですけれども、よくいろいろ調べられているけれども、自分の近くの土地のことなので、言いたいことはいっぱいあるんですね。勝手なことと言ってはあれですけれども、いろいろなことを言われています。

 ただ、いろいろ心配するところがあるんです。きょう、玉木委員がおっしゃっていたこと、八億円の話、福島委員も言われていましたけれども、これは相当でかい金額ですねと。もともとの土地が九億ぐらいで、八億減額している。だから、本当に正しいのと。それで、その正しいかどうかということについて、実際にどういう見積もりがされているのか、どういう算定がされているのか、ここの部分は、私、実際に明らかにしていくべきだと思うんですね。

 ただ、ちょっと、ほかのことも含めて見ていると、果たしてこれが、細かい契約部分であるとか、それからその他の状況で見たときにどうなのかなという部分もちょっと出てきているんですね。

 今、ちょうどこの後ろで座っているときに、豊中市議会の、うちの維新のメンバーから来ているんですけれども、これは関係ない話といえば関係ないんですけれども、同じように空港の着陸するところまでの間が、もともと緩衝緑地みたいな形で、国がそこを買収して持っていた、それで住民の方にどいていただいてという形にしていた土地がたくさんあるんですね。実は、私の住んでいるところも、もうほとんどそこに近いところ。

 ここの、当該の土地の北側に高速道路がありまして、その北側、ちょっと行ったところに、今度はまた、今は国有地じゃなくて、あそこの新関空株式会社、今の関西エアポートですか、そこが持たれている土地を豊中市が買って、給食センターをつくろうとしているんですね。これは、豊中市のおよそ半分の小学校の給食を賄う。そこも同じようにこういうごみが出てきたらしいんですね。それで、二十九年度の予算で、この除去費用で十一億四千万円予算計上するらしいです。ということを考えると、これは十一億四千万、広さとかもまだ今聞いているところなんですけれども、結構かかるんだなという印象を受けています。

 だから、その八億が正しいかどうかという問題は別個に考えなければならないですけれども、そういう問題が出てきているので、ここは本当に八億が正しいのかどうか。いろいろな方々がいろいろ調べられたり追及されたりされていますから、ここの部分は引き続きやっていくべきかなというふうに思うんですね。

 これはちょっとおいておいて、私の方から話がしたいのは、これに関連して、こういうちょっと疑惑めいたことばかりを言っているんですけれども、ちょっと、地元の住民が懸念している影響であるとか、そういったところについていろいろとお話を聞かせていただきたいんです。

 まず最初に、きょうの質疑でもあったんですけれども、まず平成二十一年から二十四年の間に、まだこの学園がここの土地を買うとか買わないとかいう前、そのときに大阪航空局が地下構造物状況調査それから土壌汚染状況調査等を実施した。それで、土壌汚染、鉛、砒素、それから廃材、コンクリート殻などの地下埋設物が発覚したというふうになっているんですけれども、これは二十一年から二十四年となっていますけれども、実際にはいつですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本件土地につきましては、委員御指摘のように、大阪航空局から近畿財務局に売却の依頼に先立ち、地下埋設物及び土壌汚染について調査を行っているところでございます。

 このうち、土地履歴等調査につきましては、平成二十一年八月に行ってございます。その次の地下埋設物状況調査につきましては、平成二十二年一月に行ってございます。三番目の土壌汚染概況調査につきましては、平成二十三年十一月に行ってございます。最後の土壌汚染深度方向調査につきましては、平成二十四年二月に行っておりまして、それぞれ調査報告書が取りまとめられております。

木下分科員 継続してやった。実質、いつ、そういうのがわかったんですか。調査したのはわかるんですけれども、いつ、それがあったということがわかったんですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御説明しました調査の結果、地下埋設物の存在につきましては、地下構造物調査を実施しました平成二十二年一月、土壌汚染につきましては、土壌汚染概況調査を実施いたしました平成二十三年十一月に判明いたしました。

木下分科員 ということは、二十二年に最初はごみが見つかって、二十三年に汚染物が見つかった。

 もう一つ、この東側に豊中市が買った、今もう公園になっていますけれども、公園があるんですね。ここは、豊中市と売買契約を結んだのはいつですか。

佐川政府参考人 失礼いたしました。

 豊中市との公園の契約は、二十二年の三月十日に売買契約を締結してございます。

木下分科員 二十二年、私のあれだと二十三年だったんですけれども、二十二年なんですね。

 ということは、豊中市に隣接するところを売却したときには、実質的にはここは、こういう汚染土壌だったとかそういうことはわからなかった、ごみが入っているということもわからなかったということなんですね。ということだと判断します。

 そうしたら、それで、私はちょっとこれを調べてみたんですよ、豊中市のその売却するときの経緯を。そうすると、そもそも、国は、ここの部分についてはそういうごみであるとか汚染はないというふうに言われた。それで、隣のその公園を実際に造成していく中で、汚染されているのも見つかって、ごみも発見された。それで、翻ってこっちの西側にある今回の小学校の部分についても調査されたんじゃないかなというふうに思っているんです。

 時系列的にはそれが正しいんだろうなというふうに思うんですけれども、それで正しいですか、その辺はちょっとわからないかもしれないですけれども。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘の、現在豊中市防災公園として整備されている土地につきましても、売却に先立ちまして、大阪航空局が同様の調査を行っております。

 土地履歴調査につきましては平成二十一年八月、地下構造物状況調査につきましては平成二十二年一月にそれぞれ調査報告が取りまとめられております。

木下分科員 それで、その売却、公園用の方ですね、豊中市の方は十四億幾らで売ったというふうな形になっている。その後に、結局昨年までこれは続いていたようですけれども、売却した後に汚染されていることがわかって、それで、要はそこの対策を豊中市がやった。その費用が二千三百万円ぐらいですか、かかったということで、これを国が賠償されているんですね、実費を。これは実費です。

 ここで思ったんです。要は、今回のところは八億円かかりました。ただ、隣の公園については同じように、ほとんど変わりはなかったと思います、同じような状態の土地であったにもかかわらず、二千三百万円ぐらいで済んでいる。これは何でかということをきのうもちょっとレクをしながら聞いたんですけれども、財務省なんかが言っていたのは、用途によってどこまできれいにするのかということが変わる、だから、瑕疵がどこまであるかということを算定したときに、公園であれば上に建屋は建てないので、くいを打ったりとかそういうこともすることがないので瑕疵の範囲が狭まるというふうな、そういう話だったんです。

 実際に、私、そこの公園で毎年夏にお祭りがあるんですよ、私がから揚げを揚げたりとか、ジュースを安い値段で売ったりだとか、そういうお手伝いもさせていただいていて、不安だなと。周りの地域住民の人たちも、大丈夫かというふうな話はしているんですけれども。

 それはおいておいたとして、それだけその金額に差がある、これは本当に、その用途によって瑕疵の範囲が変わって、そこの部分の値段が二千万円なのか八億円なのかが変わる、こういう考え方でいいんですか。

佐川政府参考人 今の豊中の公園の話でございますけれども、最初に委員がおっしゃいました埋設物の話につきましては、そもそもその調査結果は事前に豊中市にお知らせしてございます。それを踏まえた上で、豊中市との随意契約の中で、豊中市としてはそれも踏まえた上での金額の提示をされて、この十四億の金額で売買したということでございます。

 それから、それで契約が成立したときに、瑕疵担保条項がついてございます。それは、一度事前にわかっているものはそれとして、それ以外のものについての瑕疵担保条項がついているわけでございますけれども、それについて、今委員がおっしゃいました土壌汚染のところが後でわかって、それを実際に請求されて国としてお支払いしたというのが事実関係でございます。

 現実に、瑕疵担保条項で実際にかかった費用については、後でわかったものでございますから、今おっしゃいましたように、かかった費用としてお支払いしているということでございます。

木下分科員 というのは、今の話だと、もともとごみがあることはわかっていた、汚染はわかっていなかったわけですね。豊中市が買ってみて、汚染部分があるので、その上に盛り土することで二千数百万円かかったということだと思うんです。

 それを考えたら、瑕疵の範囲が違うということになる、これは用途によって変わるということになるかな、それからもう一つは契約の内容によって違う、こういう整理で。もう一度教えてください。

佐川政府参考人 今委員がおっしゃいましたとおりでございまして、例えば公園だと上に建築物もございませんし、表層利用ということでございますので、今おっしゃいましたように、専門家としてそこに盛り土をすれば安全性が確保されるということであればそうなりますし、現実に深くくいを打って建築物を建てるということになれば、深いところまで除去して運んでまた新たな土を埋めるといったことで、そこはそういう違いがあると思います。

木下分科員 それを考えると正しいような気はするんですけれども、これはちょっと、本当にいいのかな。契約としてはいいのかもしれません。

 これは、公共の使途に対してここのこういった土地は売却するんだということで随意契約になっていると聞いているんですけれども、こっちの森友学園の方も、私が聞いている限りでは、用途を指定して、十年間はそういう用途で使わなきゃいけないよという契約になっていると聞いています。

 豊中市の方のその公園は、用途を指定して何年間とか、こういうのは決まっているんですか。

佐川政府参考人 豊中市は地方公共団体でございまして、これも公園として使うということでございますので、用途指定の期間については設定してございません。

木下分科員 そうですよね。公共の、自治体だからというのもあるかもしれない。ただ、そういう契約の内容になっていないということは、ある程度長い間それなりの公園としての用途で使った後に売却する、もしくはほかの用途で使うということも、今の話だったら自由なのかなという気がするんですね。

 そうしたら、考えたときに、国がどうこうという話じゃないですけれども、豊中市はどうしているんだろうなと。というのは、地下にそういうものがあって、一旦は公園として使うから、そんなに下のものを除去する必要はない。でも、さっき冒頭言いました給食センターみたいなことをするとしたら、新たに建屋が建っていくから、給食センターだとしたら、十一億三千万円ぐらい除去費用がかかるんですよね。

 と考えると、売買契約したときに瑕疵の範囲が違うことによって、その後の用途で使うときが自己負担することになるんだと思うんですよ。これは、豊中の市民からすると、えっ、大丈夫かいなという話になると思うんですね。こういったことは、これはもう通常だと思っていいんですか。これはどうなんですか。

佐川政府参考人 申しましたように、豊中市には、埋設物があることはもちろん知った上で売却をしているわけでございまして、それ以外に瑕疵担保条項がついておりまして、土壌汚染については後でお支払いをしたということで、そういう意味では、そういうことを全部了解した上で、豊中市としての売買契約をしているところでございます。

木下分科員 こういうことを了解していると、確かにそうかもしれないですけれども、これは、豊中市、どうしているんだと市民は思っているだろうなと私はちょっと思ったんですね、ここのからくりがあった。

 もっとおもしろい話なんですけれども、おもしろいと言ったらあれですけれども、懸念すること。十四億二千万だったと言っているんですね。十四億二千万、では豊中市が負担したのかというと、違うんですよ。私、これは豊中市から引っ張ってきたんですけれども、十四億二千万の内訳、七億一千万円が国庫補助金、住宅市街総合整備事業ということで七億一千万円。国から補助金が出ているんです。プラス臨時交付金、地域活性化・公共投資六億九千万円が出ている。豊中市の負担額は何と二千万円なんですよ。

 これは手続上、いいのかもしれません。でも、それは豊中市、文句を言わないですよ、その時点では。だって、二千万円でやって、ただ、そのかわり、また違う用途になって、何か建物が建つときにはお金がかかっちゃう。そのお金については、もう契約で瑕疵が消えているという状態で、豊中市が負担するということになるだろうということですね。だから、こんなことを言わないのかなと思ったんです。

 これがどうこうという話ではないけれども、これを見ていて思うんですけれども、国も国で、果たして、この周辺の土地というのを、もう何でもいいから、とにかく公共のものであるのであれば二束三文でも売ってもいい、早く処分したいというふうに思っていたんじゃないかな、こういうのを見ても思ってしまう。

 縦割りでやられているから、横のつながりがあるかどうかは知りません。これは私の主観ですから特に答弁も求めませんけれども、こういうことをしているから、だから、いろいろな疑惑というのが出てくると思うんです。

 それからもう一つ。地域のところでいろいろ言われているんですよ。すごい心配されていることがあるんですけれども、ここ、森友学園がこの土地を借り受ける、そして買うというふうになる前に、ある学校法人がここの土地を買おうとしていたんですね。そういう打診があったと聞いています。その打診があった、その申し入れがあったのは、その時期はいつなのか、そして、何でそれが不調に終わったのか、この辺を教えてください。

佐川政府参考人 その森友が今建っている土地の前の話でございますが、平成二十四年でございます。平成二十四年に別の学校法人が本件土地の取得を要望してございました。そのときももちろん地下の埋設物の存在は確認されていたわけでございますけれども、その別の学校法人の希望取得価格というもの、公共随契でございますので当然見積もり合わせはするわけでございますけれども、我々は当然、不動産鑑定なんかの価格を中に持っているわけでございますが、そういう予定価格よりも先方の学校法人がお示しした価格が大分安い価格だったということで、その土地の取得が実現しなかったということでございます。

木下分科員 私が聞いている限りでは、七億幾らだったというふうな話を聞いているんですね。これは確かかどうかはわからないですけれども、地域でもそういうふうなことを言われています。

 こんなことを言ったら、関係ないと言うかもしれないですけれども、その学校というのは、名前を言っていいのかあれですけれども、ここだから言いますけれども、大阪音楽大学。隣なんですよ、隣にあるんです。道を挟んで反対側にホールも持っていて、総合的にそこでちゃんと土地を活用してやりたいと思っていたはずなんですね。

 わざわざ、しかも、今聞いたら、二十四年ですか、二十四年の時点で、土地の埋設物があるということがわかっていた。何でと私は思うんですけれども、資金繰りができていたからかもしれませんけれども、この森友学園側に対しては、スーパーオプション契約だと私は思っているんですけれども、そもそも最初に、売却を前提にした貸付契約を提案しているんですね。貸し付けして、それで造成しようと思っていろいろ掘ってみたら出てきた。

 これは、七億耳をそろえて払いますと言ったからやらなかったのかもしれませんけれども、もしそういう提案でもしていたり、もしくはその地下埋設物がわかっていたんだったら、一遍掘ってみて、実際に建物を建てるときにどうなるかというふうなことを、しっかり、森友学園じゃなくて大阪音楽大学が言ったときに、これがいいかどうかは別としても、財務省、それか航空局がもう少し頭を絞ってやっていたら、もっと総合的にそこの町はよくなっている可能性がある。

 これはちょっと私が言うのも時間がもったいないんですけれども、言わせてもらいますと、ここの地域、私は住んでいるので言わせてもらいますけれども、大変な地域なんです。大変と言うとまた怒られますけれども、今、この地域、小学校が周辺で六校あるんですよ。この六校が全部、ほとんどが一学年一クラス。南北格差といって、北側の方はそんなことないんですね、子育て世代がいっぱいいる。でも、南の方の私らの地域については、どんどん子育て世代が出ていってしまって、すごい大問題になって、この数年の間に小中一貫校にして六校を二校に集約しようという話になっている。地元の中ですごい問題になっているんです。

 そのときに、地域の再生も問題になっている中で、唯一のこの地域のブランド、どういうブランドでどうやって盛り上げていこうというときに、音楽大学があるから、音楽の町にするんだといって頑張っているんですよ。なのに、これは恨み言になるかもしれませんけれども、そんなことは無視してしまって、町の再生もかかっていたかもしれない、そういったものを、わからなかったかもしれないけれども無視して、森友学園の方にはスーパーウルトラオプション契約になっているというところが私は残念でしようがないんです。

 ましてや、地域のことでいうと、私が懸念しているのは、さっきのところも含めて、さっきのというのは給食センターも含めて、大阪の大阪国際空港、伊丹空港の滑走路の延長線上で、そういう形で国が一旦買収した地域、買い取った地域、ここは恐らく、今までの経緯を見ていると、いろいろなところで、その当時の工法だと思うんですけれども、ほとんどが長屋といったらあれですけれども、大阪では文化住宅と言われるような、こういうのを全部壊して、瓦れきを捨てるところがないから、全部埋めているんじゃないですか。当時のやり方だからだと思うんですけれども、そうやってどんどんやっているのが出てきているわけですよ、実際に。

 同じような地域、隣接する地域には、マンションも建っているし、建て売り住宅もある。そのときに恐らく掘っているはずなんですね、同じように出てきているはずだ。ただ、マンションの場合は深くまで掘っているから、瓦れきは、瓦れきというのか埋設物が埋まっているよりも下まで掘っている可能性があるので、そんなに問題にならなかったのかなと思うんですけれども、こういうことをどんどんやっていくと、地価に影響してくるんじゃないかな、路線価にも影響するんじゃないかなというふうに思っているんです。

 これが本当であればそれはしようがないかもしれない、八億かかったというのが本当に八億だったら余計なことだと思うんですけれども、知恵を絞って、いやいや、これで八億分になったからだというふうになっていたら、意図的にそういう周りの人たちの関連する地価が下がることに影響を与えてしまう可能性があるということなんですよ。

 こういうことも含めて、これは今回の八億のことではなかったとしても、現象、実際の事実として見てみて、埋設物がいっぱいあるわけですよね。こういうのを考えたときに、その周辺への影響、土地の価格であるとか、こういったところはどう考えていらっしゃいますか。

佐川政府参考人 一点だけ申し上げさせていただきますが、先ほど先生がおっしゃいました、我々、一応、公的取得要望で豊中市にもいかがでしょうかとお声をおかけして、豊中市の方から、いや、ちょっと今回は遠慮しますということで森友学園になっているということの経緯だけはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、その周辺の影響でございますが、この辺の土地で地下埋設物が発見された、撤去もしているようでございますけれども、それで周辺土地の地価にどう影響するかというのは、地価についてのさまざまな要素で決まってくる話でございますので、現時点ではちょっとわからないということでございます。

木下分科員 これから先、まだ国有地はあるはずですね、あの周辺。虫食い状態でいっぱいあるんですよ。金網で囲ってあって、今、国が持っているものと、それから今の関西エアポートが持っている土地とあります。でも、もともとはほぼ一緒です。そういうところがどうなっているか、やはり私は調査するべきだと思うんですね。余りにも地元への影響、懸念が大き過ぎる。これは、どこがやるかという問題はあります。ただ、ここについて協力していただきたいんです、何とか。

 それから、時間があと数分なので余り言えませんけれども、きょうも話していましたけれども、これは、実質的にはこういった問題の方が一番大きいんだろうなと。よくテレビやなんかでは、私は、ここの学校の方針自体がどうこうというふうな話はしたくはないです。というのは、私の価値観からすると合わないです。合わないけれども、手続としてしっかりやっているだろう。懸念事項もいっぱい出てきて、大阪の私学審議会、ここの中では、私学審議会のメンバーの人たちは地元の幼稚園の先生とかもいるんですけれども、議事録を見てみたら、懸念事項を全部しっかり出しているんですね。出した上で、これから先、例えば資金繰りもそう、生徒も集まるかどうかもそう、カリキュラムもそう、こういったことは、認可をおろしたとしても、その後もしっかりウオッチしていく。

 手続として、書類上の手続は踏まれているから認可相当だろうというふうな判断を下していて、しかもこれを、大阪府がやっているんじゃなくて、大阪府が全て教育長に権限移譲、知事が教育長に権限移譲しているんですね。その中でやられていることで、ここは適正な判断だろうと思うので、そこのカリキュラムがどうこうとかいって、メディアもそうだし、ある一部の議員なんかも言っていますけれども、ここの部分については言うことではないのかなと。確かに懸念することは大きい、個人的には私も、ちょっと価値観は違うなということがあるんですけれども、こういうことではない。

 それからもう一つ、ダンプの話で、ダンプが出ていったかどうかとか言っています。でも、私、見ていたら、地元の人に聞いたら、その前を一日に五回も六回も通るんですけれども、ダンプなんてほとんど出ていないです。でも、私はそれが問題なわけではないと思っている。なぜかというと、契約の中で瑕疵条項があって、これ以降の一切の瑕疵は森友学園は問わないという契約にしたんですよね。ということは、今もあそこの中に埋設物が埋まっている、そのリスクを森友学園は負った状態で上に建屋を建てている、認識はこれで正しいですよね。

佐川政府参考人 そういうことでございます。

木下分科員 だから、ここでダンプの問題がどうたらこうたら、それはもう、あとは、ここの学校がそういうことも含めてリスクと思って、それに対して、将来の保護者の人たちがどう判断して、そこの学校に入るかどうか、そういうことを判断していくこと。そのかわり、あとは、カリキュラムとかそういうところに本当に決定的な問題があるんだったら、これは指摘をしていかなければいけませんけれども、そういった問題がこの問題の本質ではないということなんです。

 地元の問題、それから、この土地の鑑定のやり方が本当に正しかったかどうか、これについては、この後、私の同僚の足立委員が予算委員会の一般質疑の方でも繰り返しやっていくことになりますけれども、この辺を明らかにこれからもしていきたいと思います。

 それから、最後、大臣に一言お願いしたいことあるんです。さっきも言いましたけれども、この周辺、六校の学校が集約される。あと何年かかるかわかりません。うまくいけば二年か三年。そのときには、私、国会議員じゃないかもしれません。ただ、もしもよければ、ここの、森友学園じゃなくて、その小中一貫高、公立の小中一貫校ができたときに、開校式もしくは一回目の入学式のときに大臣に来ていただきたいんですよ。

 そういうことをやっていくことというのがすごく重要で、やはり大臣が来ていただくと、ああいうところの地域でしっかりと教育されているんだと思って、子育て世代にどんどん引っ越してきてもらうような、そういう手助け、御検討いただければと思いますので、以上で終わりたいと思います。

葉梨主査 これにて木下智彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井分科員 民進党の今井雅人でございます。

 きょうは、午前中は森友学園の問題は余りやるつもりはなかったんですけれども、いろいろお話を伺っていて、ここは確認をしておかなきゃいけないなというところが何カ所かありましたので、最初にちょっとそれをやらせていただきたいと思います。

 国交省さん、先ほど玉木委員のところの話で、三月十四日に現地確認に行って、九・九メートル掘ったところに、掘っている過程の中でごみがあったということをおっしゃっていましたけれども、もう一回確認したいんですが、この九・九メートルのどの部分でごみが出たかというのは確認はされたんですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほども御答弁させていただきましたけれども、現地において、大阪航空局は、九・九メートルまでの深さのくい打ちの工事を行った過程で発見された地下埋設物があると工事関係者から説明を受けたと承知しております。

今井分科員 いやいや、質問に答えていなくて、九・九メートルのどこ、どの、何メートル部分にごみがあったかということは確認していないですよねということです。イエスかノーでお答えください。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 おっしゃるとおりでございまして、実際に九・九メートルの深さに埋設物があったということまでは確認してございません。

今井分科員 となると、九・九メートルのところにごみがあったかもしれませんし、その九・九メートルのところよりも上のところまでしかごみがなかった可能性も否定できない、こういうことですね。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 論理的には委員の御指摘のとおりだと思いますけれども、これは理財局長からも御答弁しておりますけれども、おくれているスケジュールの中で早く学校を開校させなきゃいけないということでくい打ちを行っているという過程の中で、工事関係者の方々から、くい打ちを九・九メートルやったところ、ごみが出てきたというような御報告を受けて、見に行ったということでございます。

今井分科員 今、論理的に言うと私の言うとおりだと。つまり、もうちょっと上にごみがあった可能性は排除できないということを今御答弁いただきました。

 ということは、積算根拠になっている九・九メートル、これよりもごみは上の可能性は排除できない、論理的には排除できないということであれば、見積もった金額が過大であるという可能性も排除できないということでよろしいですね。

佐川政府参考人 答弁します。

 今、国土交通省の方からしましたように、業者に聞いて、九・九まで掘って、九・九をずっと出してきたところでごみが出ているので、おっしゃるとおりで、九・九まで可能性は全部ある、可能性としてはあるということでございます。

 そういう意味では、先ほどから御説明しておりますが、小学校が建設されて、今後何が出てくるかわからないという中で、我々は、今後、この土地の売買契約で一切の瑕疵について国の責任を免除するという特約を念頭にしておりますので、そういうことを前提にそういう積算をしているということでございます。

今井分科員 いや、僕の質問していないことに答えないでください。

 論理的な可能性として、まず一つ、ごみは九・九メートルのところまであったかどうかはわからない、それより上のところまでしかなかった可能性も論理的にはあるとおっしゃった。おっしゃいましたね。確かにおっしゃいました。

 であるとするならば、そこまでしかごみがなかった可能性が排除できないのであれば、この九・九メートルをベースにした見積もりは過大であった可能性も排除できない、こういうことに論理的にはなりますよ。頭のいい方だと思いますから。これは論理的には排除できませんよね。イエスかノーかでお答えください。

佐川政府参考人 そういう意味では何が出てくるかわかりませんので、撤去費用そのものは、それは上振れることも下振れることも両方あろうかと思います。

今井分科員 上振れることも下振れることもある。

 私は何を今問題にしているかというと、では、何で掘らなかったんですか。何でみずから確かめなかったんですか。何メートルまであるかというのを、九・九メートルの間のどこかにあるというのを業者さんに言われただけでしょう。では、何メートルのところにあるかというのを、見積もるときにあなたたちが確かめなきゃおかしいじゃないですか。なぜそれで確かめなかったんですか、自分で掘って。それが責任じゃないんですか。

佐川政府参考人 前にも申し上げましたが、自分で掘るという意味では、そこにある埋設物を国の責任で貸付契約の間に全部撤去して、その上で先方に買ってもらうということは当然あり得たと思います。しかし、それをやっているのでは先方の開校に間に合わないということなので、もう一つの選択肢を採用したということでございます。

今井分科員 いや、そういうことを言っているんじゃないです。どちらの選択をするにしても、正確に見積もらなきゃいけないわけですから、ごみがどこまであったかが特定できない以上、掘って特定して計算しなければ間違うかもしないということです。

 まさしくおっしゃったじゃないですか、上振れるかもしれないし下振れるかもしれないと。そんないいかげんな見積もりだと御自分でおっしゃったんですよ、ぶれるかもしれない。それよりも、自分で掘ってみて、実際ここにあるというところで見積もれば正確な金額が確認できたはずじゃないですか。なぜそれをやらなかったんですか。

佐川政府参考人 今委員がおっしゃっているのは、それじゃ全てのごみの確認を国がするというようなことであれば、それはもうみずから全部確認して、自分で撤去するという選択肢に行くんだろうと思います。

 そういうことではなくて、時間がない中でどちらをとるかということで、ああいう積算基準で撤去費用を見積もったがゆえに、上振れることも下振れることもあるというふうに申し上げたわけでございます。

今井分科員 私は全部掘れなんて言っておりません。くいを打ったところの九・九メートルのどこにごみがあったか、そこだけを調べればいい話じゃないですか。全部掘れなんて言っていませんよ。

 九・九のどこかにあるというなら、どこまで掘らなきゃいけないかというのはまず確かめなきゃいけませんよね。それで掘ってみて、どこまでごみがあるかというのは確認して見積もりをとるなんて当たり前じゃないですか。私は、そこに役所の皆さんの見積もった瑕疵があると思うんです。だからこんな問題が起きているんじゃないですか、本質的に。

 何か、政治家が絡んでいるかどうとかといろいろなことをおっしゃっていますけれども、私は、そもそもこういうやり方を採用して、こういう非常に甘い見積もりをした財務局さんと航空局さんに一義的に本当に責任があると思っているんですよ。

 その点は、御自分たちで責任を感じていらっしゃらないですか。

佐川政府参考人 今のくいの話でございますけれども、たくさんくいを打っているわけでございます、建設工事でございますから。したがって、一本だけ見てどうということではございませんので、今おっしゃるような話であれば、やはりどこの地点にどういうごみが埋まっているか全部を調べろということになろうかと思いますので、そういうことではなかろうかと思います。

今井分科員 航空局さんにちょっとお伺いしたいんですけれども、そんなたくさんくいがあって、掘っていて、そのたくさんのくいの様子を全部確認されたんですか。今、そうやってたくさんくいが打ってあったとおっしゃるんですが、そういうことですか。

平垣内政府参考人 航空局として三月十四日に確認しておりますけれども、そのときに、先ほど来申し上げているとおり、くいを打つ過程でごみが出てきたということを確認しております。

今井分科員 そのくいは何本ですか。今たくさんとおっしゃったから。たくさん打ってあったんですか。

 いやいや、ちょっと待ってください。航空局さんは確認に行ったんだから、そこに聞いているんです。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 くいの数でございますと、校舎の下には二百八十六本、体育館の下には九十六本、九・九メートルのくいが埋まっておりまして、どのくいであったかというところまでは確認してございません。

今井分科員 そのうちの一本から出ているのか、全部出ていたのか、どっちなんですか。そこをちょっと正確にしましょうよ。

平垣内政府参考人 現時点でちょっと資料を持ってございませんので、また調べてお答えさせていただきます。

佐川政府参考人 そういう、今国交省から御説明した数のくいを打つということになっておりますので、今先生の御指摘でありますれば、一本のところにどうだったかという確認ではなくて、可能性としてその費用が過大か過小かみたいなお話であれば、それは全部国で調べろという御指摘であれば、それは、やはりそういうことをするのであれば相当な時間もかかりますということを先ほど申し上げたわけでございます。

今井分科員 今の国交省さんの答弁、私はちょっとびっくりしましたよ。もうこの問題、どれだけやっているんですか。委員会でももう一週間以上ずっとやっているわけですよ。

 それで、一番肝の、一番肝の、調査をして見積もる、その金額がどうだったかというのがこの一連のことの一番大きな争点じゃないですか。ほかにも細かい争点はもちろんあります。でも、一番の争点は、この見積もりが適切であったかどうか、そして業者がちゃんと工事をしていたか、この二点なんですよ。

 なのに、そこのところがよくわからない、今、調べてみないとわからないというのは、私は余りに責任感がなさ過ぎると思いますけれども、今までそういうのを調べようとはされなかったんですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほども玉木委員の方に御答弁させていただきましたけれども、先ほど来そういう質問をいただいておりますので、今現在、財務局と航空局の方で確認を行っております。

今井分科員 では、ちょっとそのときの確認をしますけれども、三月十四日に現地に行ったときは、そこで、その工事をして何か出ているごみとか、それを全部こうやって見て、見て帰ってきた、それだけですね。あと何か自分たちで掘ってみたりとかそういうことはしないで、見学をして帰ってきた、そういうことですね。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど来御答弁させていただいておりますけれども、工事関係者からいろいろヒアリングをあわせてしておる次第でございます。

今井分科員 ヒアリングですね。だから、自分では確認していないということですね。聞き取りをしただけということです。わかりました。

 それと、これは財務局の方が航空局さんに見積もりを依頼したということですよね。

 この九・九メートルをベースにして計算をしましょうということを決めたのはどちらですか。

佐川政府参考人 私どもと、近畿財務局と国土交通省の大阪航空局でどうしようかというような議論をしたという点につきましては、それは、とにかくこの学校建設をするに当たって必要な撤去をどういうふうにするかということの方向性を決めたということでございまして、具体的に何・何メートルとかそういうのは、工事関係者から、どこまでくいがあるかとか、どこまでその埋設があったとかというものを航空局の方と含めて確認をしたんだというふうに考えます。

今井分科員 いや、この間、委員会でも質問したりヒアリングで伺っていても、どう見ても財務局さんと航空局さんが責任をなすりつけ合っているようにしか見えないんですよ。

 この金額の根拠は誰です、どうですかと言われたら、航空局さんは、財務局に言われて私たちはそれに従って計算しただけですとおっしゃっていて、きのうのヒアリングでも、では九・九メートルというこの基準を誰が決めたんですかとお聞きしたら、誰も答えられない。

 それは、財務局さんが、では九・九でいこうと言って、そのベースで航空局さん、計算してくださいと言ったのか、とにかく全体を計算してくれと言って、ではどうしようかと言って、航空局さんでこの九・九メートルを採用しようというふうに決められたのか、どちらですか。

佐川政府参考人 それは、工事関係者から聞きますれば、くいを打った深さもわかりますし、どういう基礎工事の深さかもわかりますので、そういうものを検討しながら両者で話し合って決めたということでございます。

今井分科員 両者で話し合って決めたということですか、これについては。航空局さん、国交省さんですね、それでよろしいですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本件土地の地下埋設物の撤去、処分費用につきましては、国土交通省大阪航空局では、先ほど御指摘ありましたように、近畿財務局から御依頼を受けまして、常に近畿財務局と協議、調整を行い、やっております。

 その中で、本件土地が小学校用地であることも勘案しながら、工事積算基準に基づきまして、必要となる地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを行ったということでございます。

今井分科員 その基準となる、では、何平米、横は、縦が、深さがどれだけでというのを決めたのは、協議をして決めたということなんですか、両方で。どちらかがこういうふうにしましょう、ではそのベースで計算してくださいというふうにやったのか、そこをちょっとはっきりしてください。

平垣内政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、近畿財務局から御依頼を受けまして、常に近畿財務局さんと協議、調整を行いながら決めております。それで、そのときに、本件土地が小学校用地であるということも勘案しながら決めているということでございます。

今井分科員 ちょっとよくわからないんですけれども。まあ、両方で決められたということで、それでよろしいんですね。ちょっと、イエスかノーで、国交省さん。まあ財務省さんはそうやっておっしゃっているので。そこだけはっきりしましょう。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 近畿財務局と協議、調整を行いながら我が方としては見積もりを出している、土地の価値を算定するに当たって想定しておくべき地下埋設物の撤去、処分費用を、近畿財務局さんと協議、調整を行いながら見積もったということでございます。

今井分科員 まあ、お答えにならないのならもう結構です。

 財務省さんにちょっとお伺いしたいんですけれども、先日質疑をさせていただいたときに、なぜ自分でやらなかったんですかというお話をしましたところ、入札をしてやることになると時間がかかるのでこういう方法をとったというふうにおっしゃっていましたけれども、事実確認だけなので、これは国交省さんの方がいいんですかね。

 このごみ撤去工事を国側でやろうとした場合には、入札じゃないとできないんですか、随契でやるということは法律上できないんですか。

佐川政府参考人 国の契約に関する要件でございますけれども、会計法令によって定められておりまして、随意契約につきますれば、例えば災害対応とかそういうような緊急の場合の随契、あるいは公示価格が極めて小さい少額随契などの場合に限り認められておりまして、本件に係る地下埋設物の撤去につきましては、そういう会計法令で定める随意契約の要件に該当しないということでございます。

今井分科員 そういう解釈で、今回は、例えば既に施工しておられた業者さんでも多分掘るのはできると思うので、そこで掘っていただいて、その実額をその分差っ引く、国が払うと。前、有益費で上の部分は払っていらっしゃったでしょう。あれと同じような形で、実際にこうやって掘ってもらって、その分の実費を全部国が払うという形にすればこんな問題は起きていないんです。とても明朗会計で、どこにもそういう疑義がないというきれいなやり方ができたと思うんですね。それは検討なさらなかったんですか。

佐川政府参考人 いずれにしても、国がやる場合においては、今申し上げましたように一般競争入札の手続が要るわけでございます。(今井分科員「絶対必要なんですか、それで、検討されたということなんですか」と呼ぶ)はい。貸付契約の間に国が責任を持ってやるという意味では、それは法令上、契約が要ると。

今井分科員 わかりました。だから、それは検討されたけれども、ちょっと法律上随契はできないからこの方法はとれないと。実際に検討して、そういう結論になったということですね。それでよろしいですね。

佐川政府参考人 前にも申しましたけれども、有益費は有益費の話でございまして、そういう中で、いろいろな方法を考えた中で、それはもう時間のかからない話で、通例の方法である、撤去費用を工法で見繕って控除した価格で、時価で売るということを選択したわけでございます。

今井分科員 きょうは、ちょっと午前中は事実確認だけをしたいと思いますので。

 きのうまだお答えいただけなかったんですけれども、この廃材とかごみは一般廃棄物でしょうか産業廃棄物でしょうかということで、宿題になっていたと思うんですけれども、これはどちらですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御指摘の高深度の方から出てきました地下埋設物であります廃材、ごみ等の撤去、処分費用の見積もりに当たりましては、これらの地下埋設物を産業廃棄物と想定して積算を行ってございます。

今井分科員 産業廃棄物ということですね。

 そうすると、先ほどの玉木さんの話にも、聞きますけれども、であればマニフェストが義務づけられていますよね、義務づけられていますよね。それは確認はされていないということですか、されましたか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業廃棄物処理に係るいわゆるマニフェストの確認も含め、売却後の当該土地の取り扱いにつきましては大阪航空局としては承知してございません。

今井分科員 確認していないんですか。

 結局、ちょっと言い方は悪いですけれども、大体こんなものだろうと、割と大ざっぱな見積もりをとって、もともとの値段から差っ引いて、時価で、これでいいやといって、それで契約書を見ると、僕はこの契約書自体が本当に問題だと思いますけれども、そういうものに関してはもう国は調査しなくていいし、お金の支払いとかそういうもの、一切かかわらなくていいというふうになっていますよね。ですから、契約書のとおり言えば、皆さんの答弁は正しいんですよ。それ以外にそういうことをチェックする義務はないというのは法律上は確かにそうです。

 私が申し上げているのは、今問題となっているのはやはり、見積金額が余りに、森友学園が早く学校をつくらなきゃいけないからということに配慮をしてすごく雑な見積もりをしてしまったんじゃないかということを一番懸念しているんです。先ほどおっしゃいましたよね、上振れるかもしれない、下振れるかもしれません、それはわかりませんと。まさにそれは、はっきりわからないという中でまあこんなものだろうとやったということをおっしゃっているわけですよ。そうじゃないですか。

 繰り返しになりますけれども、九・九メートル掘ったうちのどこかに出たのであれば、もっと上で出た可能性は排除できないとおっしゃっているんですから、見積金額がもっと小さかった可能性はあるんですよ。それはありますよ、それは。論理的にないと証明してください、そうしたら。ありますよ、これは。ありますよ。だって、ごみはもうちょっと上までしかなかったかもしれないじゃないですか、それは確認できていないんですから。そういうことですね。

佐川政府参考人 九・九までの中で出てきたこともあると思いますし、それ以外のところでもどのようなものが出てくるかわからないという中で積算をしたので、そういう意味ではきちんとした見積もりをしてございますけれども、結果とすればそこから少しずれることはあり得るということを申し上げたので、いいかげんということではないと思います。

今井分科員 どこからどんなものが出てくるかわからないと言っておきながら、計算は正確ですと。それは矛盾していますよ。どういうことですか。だって、もっとほかにもあるかもしれないとかと言っていながら、正確ですと。矛盾していますよ、おっしゃっていることが。

佐川政府参考人 面積それに深さ、それに混載率等を掛けてきちんと航空局の方で積算していただいておりますので、そこはきちんと積算しておるわけでございます。

 ただ、三メートルのところまでは、土壌汚染等々、埋設物以外のものもあったわけでございます。そういうものも含めて何が出てくるかわからないということで、我々国としては責任を解除する条項をつけた上でそういう見積もりをしたということを申し上げているわけであります。

今井分科員 この話はもうやめます、また午後やれたらやりたいと思いますけれども。

 よく考えてくださいね。私は、確認義務を怠っていると思うんですね。九・九メートルのうちのどこかにごみがあったら、どの地点まであるというのをまず確定するのが当たり前の責務ですよ、当たり前の責務。その上で、ではここだなと場所を特定して計算するということをするのが筋じゃないですか。

 何か、どこら辺にあるかわからないけれども、とりあえず一番下の辺まであるかもしれないから多目に見積もっておけというふうにしたということなんです、簡単に言えば。最大に見積もっちゃったんですよ。そうでしょう。

 九・九メートルのどこかにごみがあるというので、九・九メートルまでをベースに計算したということは、考えられる一番大きいケースで計算しちゃったんですね。そのくいの九・九から出たという、それをベースにして考えられる最大の見積もりをしてしまったということです。そういうことですね。それより下にあるかどうかはそのくいのことからは推測できません。それは私は言っていません。

 少なくとも、くいを打った九・九メートルというこの情報の中で最大の見積もりをしてしまったということですね。

佐川政府参考人 撤去費用の約八億円につきましては、くいの部分だけではございませんので、その他全体含めての八億円ということでございます。

今井分科員 済みません、今の、ちょっとわからないんですけれども。

 だって、どこを掘るかというのは、下は九・九メートルで横はどれだけでという計算をするんじゃないんですか。

 今、何か、言っている意味がちょっとよくわからないです。

佐川政府参考人 まず委員がおっしゃいましたように、九・九メートルのところに全部あるのかを確認しろと言われれば、そういうことにはきっと、事実上、事前の確認はできないんだろうと思いますけれども、九・九の可能性があったということでその深さがございますし、それに面積もございますし、それから、どれだけのごみが入っているかという混載率のところもございますので、そういうところで仮定を置いて、もちろん過去の混載率を含めて掛け算をしているわけでございますけれども、その混載率がさらにふえるような可能性もあろうかと思いますし、いろいろな可能性があるんだと思っております。

今井分科員 九・九メートルまである可能性があると今おっしゃいましたから、九・九メートルのところまでない可能性もあるということを同時におっしゃっているので。そうでしょう、一〇〇%じゃないんだから。まさに裏返したら同じことをおっしゃっているので、それはマックスで見積もってしまったということを御自分で認めているということですので。いや、御自分で認めているんです、それは。もうそれ以上答弁要りませんから。そういうことだということですので。

 いや、まさにおっしゃいましたよね、どこにごみがあったかわからないと言って、もう答弁されているんですから、そこから導き出される帰結はそれ以外あり得ません。ということですので、ここの結論は、やはり見積もりは最大限に見積もってしまった、もっと少なかった可能性は十分にあるということがここでの結論だということだと思います。

 それで、あともう一点、ちょっと私先ほどの発言はどうかなと思ったんですけれども、見積もったときに、どれだけの面積を取るんですかとおっしゃったときに、学校をつくるんですから、学校をつくれるようにちゃんとしっかりしたものを計算しなきゃいけないということでやられたとおっしゃっていましたけれども、私、感想をお伺いしたいんです。

 きのうも申し上げましたけれども、理事長さんはグラウンドは掘っていないんです。グラウンドは掘っていません。校舎のところしか掘っていませんから、半分ぐらいしか、最大に見積もっても半分ぐらいはやっていません。財務局さんが、学校をつくらなきゃいけないからそこまでやらなきゃいけないといって気を使ってやってくださったのに、買った方が、もういいよといってグラウンドを掘らなかった、グラウンドのごみを取らなかったということをお聞きになって憤りを感じないんですか。ルール上だから問題ないですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 理事長の御発言はちょっと詳細に承知しませんが、国交省さんが御提出した資料を見ますと、全体の敷地の八千何平米から五千百九十まで絞り込んでおりますが、絞り込まれた対象の外のところも随分これはグラウンドになっているんではないかというふうに思われます。

今井分科員 ちょっと、また午後やります。

 せっかく副大臣、来ていただいているので、一問だけやりたいと思います。

 新聞報道で、今、銀行のカードローン、見直しを金融庁さんがしていらっしゃるという報道がありましたけれども、貸金業のところに、御存じのとおり、貸金業法を改正して総量規制を入れたりとかいろいろな規制を入れました。ところが、これは、銀行業の方には総量規制は適用になっていません。同じ金融庁の監督下に置かれている金融機関であるのに、片方は総量規制を課せられ、同じような商品であるのに銀行は全くそういう規制がないというのは、これはイコールフッティングのことで考えると非常に私は公平性に欠けるとずっと思っているんですね。

 ですから私は貸金業法はもう一度改正した方がいいという立場ですけれども、立法事実をどうとるかということもいろいろ議論があります。ただ、少なくとも、やはり、同じ業態、同じような仕事をしている人たちのところは、同じ競争環境、イコールフッティング、こういうふうにそろえていくということは最低限やらなきゃいけないと思うんですね。

 だから、最後、その辺についての御見解をちょっとお伺いしまして終わりたいと思います。

越智副大臣 まず、貸金業者の総量規制につきましてですけれども、委員御存じのとおりだと思いますけれども、多重債務問題が深刻化していたあの状況の中で、平成十八年の貸金業法の改正において導入されたということであります。

 総量規制の対象は、当時、貸金業者に係る多重債務問題が発生したことと、あと、一方で銀行等の金融機関については、健全性や業務の適切性の確保等の要請により、より厳しい監督に服していたために、過剰貸し付けの抑止を含めた利用者保護についても確保されているというふうに認識していた、このもとで貸金業者のみとされたという背景がございます。

 ただし、一方で、銀行等の金融機関に対しても、改正貸金業法の施行、平成二十二年にフル施行でありますけれども、これに合わせて、その年の監督指針において、消費者向け貸し金を行う際の留意事項を盛り込んで、みずからの社会的責任や改正貸金業法の趣旨を踏まえた対応を求めてきているということであります。

 こういう中で、こうした銀行等の金融機関に仮に融資審査体制上の問題があって過剰な貸し付けとなっている場合には、引き続き、銀行法等に基づいて適切に対処していくというのが現在の金融庁の考え方でございます。

今井分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、貸金業の問題は、中小企業、零細企業の短期の資金調達の面でもいろいろ課題はありますので、またこの委員会で改めて議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは質問を終わります。ありがとうございました。

葉梨主査 これにて今井雅人君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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