衆議院

メインへスキップ



第2号 平成30年2月26日(月曜日)

会議録本文へ
平成三十年二月二十六日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 柴山 昌彦君

      衛藤征士郎君    村上誠一郎君

      山口  壯君    青柳陽一郎君

      川内 博史君    森山 浩行君

      津村 啓介君

   兼務 早稲田夕季君 兼務 階   猛君

   兼務 柚木 道義君 兼務 濱村  進君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            水口  純君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林  禎二君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤井 健志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   参考人

   (国立研究開発法人科学技術振興機構理事)     真先 正人君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  青柳陽一郎君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     青柳陽一郎君

同日

 第一分科員濱村進君、第四分科員早稲田夕季君、柚木道義君及び第五分科員階猛君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (財務省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

柴山主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中財務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村分科員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 本日は、仮想通貨について質問をさせていただきます。

 本来、金融庁さんの所管は第一分科会ということでございますが、課税についてもきょうは御質問させていただきたいということで、第三分科会でさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 資金決済法の改正が、二〇一七年四月一日施行で行われたわけでございます。これによって、仮想通貨が法的に定義をされまして、日本が仮想通貨先進国になるんじゃないかというような期待もあったわけでございますけれども、決済やあるいは送金というそうした利便性の向上、こうしたところに対する期待はあるわけでございますが、施行から一年もたたない今の現状で、既に国民の中に少しずつ不信感であったり不安感が広がりつつあるという状況です。

 これは、国内や国外でも事件や事故が起こってつまずいておったりするわけでございますが、仮想通貨そのものの特性を打ち消すものではないというふうに考えております。そうではなくて、悪い利用者がいたからということでありますので、その点も踏まえてきょうは質問をいたします。

 まず、現状、仮想通貨の交換業者が登録制となっておりますが、仮想通貨交換業者とはどのような規制を受けるのか、確認をしたいと思います。

松尾(元)政府参考人 お答え申し上げます。

 仮想通貨につきましては、テロ資金に利用されているという指摘もございまして、各国政府間による作業部会でございますFATFなどから、マネーロンダリングやテロ資金供与対策の観点からのルール整備が求められていたことというのがございます。

 また、国内でも、平成二十六年に、当時世界最大規模の仮想通貨交換業者が破綻するという事案が発生したことというのがございまして、御指摘のように平成二十八年に資金決済法等を改正し、仮想通貨交換業者に登録制を導入するとともに、利用者保護や本人確認等の規制を設けたところでございます。

 具体的には、例えば、仮想通貨交換業者に対しまして、まず、仮想通貨は法定通貨でないこと、また、法定通貨に基礎づけられておらず、価値が購入対価を下回るおそれがあること、また、その価値が保証されていないことなどの利用者への説明や情報提供を義務づけているほか、システムについての安全管理体制の構築、また、利用者から預託を受けた金銭や仮想通貨と自己が保有する財産とを分別管理するなどの規制を求めているところでございます。

濱村分科員 今、平成二十六年に国内でも事故が起きた、マウントゴックス社がございましたが、さらに今も国内でもちょっと世間を騒がしている事故がある、コインチェック社でございますが。

 実は、コインチェック社というのは、今の現状のところでいうと仮想通貨交換業者ではございません。みなし仮想通貨交換業者という定義でございますが、これは経過措置だということで認識しておりますが、これはどのような規制を受けるのか、確認したいと思います。

松尾(元)政府参考人 お答え申し上げます。

 資金決済法では、仮想通貨交換業を営むためには登録を受けなければならないこととされております。一方で、法施行前から既存の事業者が営業を行っており、また、資金決済法に基づく登録を受けるまでには一定の期間を要する中で、既存業者に対して登録完了まで営業を認めないことは、その業者を利用していた顧客に混乱や不利益が生じるなどのおそれがあるということで、このため、登録完了までの期間も営業を継続できるよう、ほかの金融関連の制度も参考に経過措置を設けたのが、先ほど御指摘いただいたみなし仮想通貨交換業者ということになります。

 このみなし仮想通貨交換業者に対しましては、資金決済法における仮想通貨交換業についての規定が適用されますので、仮想通貨交換業者と同様に、仮想通貨が法定通貨ではなくその価値が保証されていないこと等を利用者にちゃんと情報提供すること、また、システムの安全管理や利用者財産の分別管理といった業務運営体制の整備などの規制がかかることとなります。

濱村分科員 みなし仮想通貨交換業者も、今実際審査をしているというわけですが、仮想通貨交換業者と同等の規制を受ける、これをまず確認をさせていただいたわけでございますが、その上で、今般、事件といいますか、騒がせている社、コインチェック社でございますけれども、コインチェック社は、今、立入検査を受けております。

 これは、なぜ問題を起こしているのか、その点、確認したいと思います。

水口政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、一月二十九日、まず、コインチェック社に対しまして、今般の問題の原因究明を含む業務改善命令というものを発出いたしまして、今月十三日に報告書を受け取ったところでございます。

 現在、金融庁では、その報告書の内容を精査いたしますとともに、進行中の立入検査を通じまして、今回の問題の根本原因も含めまして、同社の内部管理体制の整備状況等について検証を行っているところでございます。

濱村分科員 今、まだ検査をしているところという途中段階なので、なかなか、これが問題だったんだとか、あれがよくなかったんだとか、確定的なことは言いにくい状況ということは理解いたします。

 その上で、今、コインチェック社さん、マスコミ等からも取材を受け、それに答える形で、どういう体制であったのか、さまざま明るみになっているわけでございますが、まず、仮想通貨交換業者であるがゆえに受ける規制、これも当然やらなければいけなかったわけですけれども、本来、仮想通貨交換業者であるがゆえに資金決済法から受ける規制、その規制よりも手前のこと、普通の企業としてやらなければいけないようなこと、これができていなかったんじゃないかというふうに思います。

 体制が不十分であったり、あるいは業務フローが全く定義されていない、こうした状況があったわけでありますので、会社としてまだまだ多くの顧客を抱えるというに至らない、そういうレベルの企業であったんじゃないかというふうに思いますので、ここはしっかりと改善をしていっていただきたいと思います。

 そして、その上で、さらに、コインチェック社さんの資金決済法上の少し問題点といいますか、コインチェック社、ホームページ上にもこう書いていたんですね。「お客様からの預り金の内、流動しない分に関しては安全に保管するために、秘密鍵をインターネットから完全に物理的に隔離された状態で保管しています。」このようにうたっておられたわけでございます。この記述、まだホームページ上に残っておりますが、これは、実際は全てオンライン上で保管されていた、マルチシグ対応、複数の鍵ですね、これも対応できていなかったという状況であります。

 このこと自体を考えてみますと、仮想通貨の分別管理の義務、これは資金決済法の六十三条の十一に当たるわけですが、ここに照らし合わせると、適切じゃないんじゃないかなというふうにも思いますし、利用者に対する情報提供、これは仮想通貨交換業者、内閣府令十七条で発出されているわけでございますけれども、この利用者に対する情報提供という意味でも適切ではなかったんじゃないかと私は考えておりますが、どのようにお考えでしょうか。

水口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別事案につきましては、恐縮でございますが、ちょっと回答を差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、法令上、仮想通貨交換業者には、利用者に対する適切な情報提供ですとか、利用者の保護を図るために必要な体制の整備というのが求められてございます。

 金融庁といたしましては、現在実施中の立入検査による検証等を通じまして、まずは事実関係等をしっかりと把握した上で、その上で必要な対応というのを行ってまいりたいというふうに考えてございます。

濱村分科員 個別事案はなかなかお答えしづらい、しかもまだ検査途中でございますので、それはそれで結構でございますが、今、世間的に言われているのが、何かマルチシグだからといって、安全だみたいなような雰囲気ができていたりとかするんですが、これが、そもそもそうした鍵が、オンライン上で誰でもつながるようなところに保管されているとか、それだと誰でもとれるわけですから危ないですよと言えますし、そして、複数あるから大丈夫ですよとかと言っておきながら、複数あったって同じ金庫に保管していれば、その金庫を破られたら終わりでしょうということになります。

 ですので、そういう意味では、これがどういう状況にあるのか。例えば、複数ありますと言っている中でいうと、オンライン上で一つは管理されていて、もう一つは物理的に全然別のもの、何かデバイスを使わなければいけない、例えばスマホでも結構だと思いますし、あるいはペーパー、紙でもいいと思うんです。紙にQRコードが印刷された状況、このQRコードが鍵の役割を果たしますというような状況をつくっていかないと、複数の鍵によるセキュアな状況ということは保たれないということでございますので、こうしたところもしっかりと国民の皆様に理解をしていっていただく必要があるんだろうというふうに思いますので、この点もしっかりと議論をしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 その上で、今、こうしたそもそもやっちゃいけないこと、本来は適切に顧客であったり利用者に対して情報提供しなければいけないということでありますが、こうしたルールがなかなかこの仮想通貨交換業者の皆様の中で徹底し切れていないというところがあるのかもしれません。これは一つには、その業界が、業界団体としても自主的ルールがなかなか一つに定まっていないというところもあるのかもしれません。

 実は、今現在は、業界団体というのが大きく二つあると言われております。この仮想通貨に関連する業界団体は、技術的な側面が非常に強いと言われている日本ブロックチェーン協会、JBAと言われておりますが、こういうところと、日本仮想通貨事業者協会、これはJCBAと言われておりますが、この二つが存在しているというふうに聞いております。

 この二つがあるわけでございますが、今後、この業界団体としても、事件を受けてというわけではなくて、昨年のうちからずっと、自主的ルールであったり、この仮想通貨の業界をどのように健全に発展させていくべきかということを議論していたわけでありますし、そのための環境づくりをしてきたということで、業界団体としても一つにまとまっていこうじゃないかというような話をされているわけでございます。

 その一つの目標としては、認定資金決済事業者協会となれば、これは一つ大きな進歩になるんじゃないかというふうに言われているわけでございますけれども、この自主規制団体、認定資金決済事業者協会となればどのような法的効果が生まれるのか、これを確認したいと思います。

水口政府参考人 お答え申し上げます。

 認定資金決済事業者協会でございますけれども、資金決済法に基づく金融庁の認定を受けまして、自主規制規則を制定し、会員に対して利用者保護のための指導、勧告等を行う団体でございます。

 金融庁といたしましては、法令に基づく当局の検査監督に加えまして、認定資金決済事業者協会におきまして、例えば、自主規制規則の制定、法令等遵守状況の調査、利用者からの苦情処理若しくは法令等に違反した場合の会員の除名などの対応が機動的に行われることによりまして、利用者保護というものが図られていくことが重要だというふうに考えてございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、業界団体の自主性を尊重しながら、早期に業界団体からの認定の申請がなされ、実効性ある自主規制団体が設立されるように、引き続き促してまいりたいと考えてございます。

濱村分科員 ぜひ金融庁さんもしっかり業界と対話しながらやっていっていただきたいと御期待を申し上げるところであります。

 その上で、この自主規制ルールというのはさまざま今後考えられていくというふうに思っておりますが、自分たちでこのようにルールを決めますということは非常に大事な取組でございますが、一方で、法的規制あるいはそれに準ずるような規制というものが必要なのではないかということも思うわけでありまして、少し付言いたしますと、なかなか自主的ルールだけではそこまで強制力が働かない、あるいは、そこに入らない、業界団体に入らないアウトサイダーという方々も出てくるかもしれません。

 実は、この仮想通貨の業界も、少し詐欺まがいのような方々も出てこられているというのも事実でございますので、そうしたところでいうと、何かしらの緩やかなルールであったりあるいは規制というものも考えていかなければいけないんじゃないかと思っております。

 そこで、少し確認したいことがございますが、金融商品としての取扱いをするべきかどうかという点でございます。

 この点については、先日も他党の方が麻生大臣に質問を予算委員会でされていたというのがございますので、一応、念のための確認として整理をいたしたいと思いますが、これは、有価証券として持分権が発生するわけでもないので、なかなか金融商品としての取扱いは難しいというような趣旨の御答弁だったと思いますが、もう一回、この点、確認をしていきたいと思います。

    〔主査退席、山口(壯)主査代理着席〕

中島政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のように、金融商品取引法における有価証券は、例えば会社に対する持分権をあらわす証券であります株式のように、何らかの権利をあらわすものでございます。そのため、特段の権利をあらわすものではない仮想通貨を金融商品取引法上の有価証券に位置づけることについては、慎重に検討する必要があると考えております。

濱村分科員 麻生大臣が御答弁なされたとおりでございますので、これは恐らく固めていいことなんだろうというふうに思っておりますが、その上でもう一つ。

 金融商品としてではなくて、金融商品並びといいますか、同列として扱って、例えば今、本来、仮想通貨というものは、決済であったりとか送金であったり、そういう利便性を向上させるような趣旨があるわけでありますが、どちらかというと今は投機の目的が非常に高くなっていて、レバレッジ取引について枠を設けた方がいいんじゃないかというような声も上がっているわけでございますが、そうした観点でのコントロールの必要性があると考えておりますが、いかがでございましょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、仮想通貨は、支払い決済手段というよりも、議員御指摘のとおり、レバレッジ取引を始め投機の対象として取引されているとの指摘があることは承知をいたしております。

 この点、現在の資金決済法においても、仮想通貨交換業者に対して、仮想通貨の価格変動リスクなどについて利用者に対する説明義務を課すなど、一定の利用者保護の規定が整備されているところであります。

 いずれにせよ、今後の規制のあり方については、イノベーションと利用者保護のバランスや仮想通貨の利用実態を踏まえつつ、業界による自主的な対応などとの組合せも含め適切に判断する必要がありますが、まずは今般の問題の原因究明などを行い、それを踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

濱村分科員 投機対象となっているということ自体はそうお感じでいらっしゃるわけで、その上で、余りよくわからないままこれにお金を突っ込んでおられる、そこは、ある種のリスクを見込んでの方々がいらっしゃるので、国からどうこう言う筋合いのものではないのかもしれませんが、余りにもここのレバレッジ幅が高過ぎるということになってくると、そこはまた、健全性を損なうものというふうにも思いますので、これは、引き続き注視をしていただきながら、必要であれば、ぜひとも何かしらのコントロールをお考えいただきたいというふうに思っております。

 その上で、ちょっと課税の話をさせていただきます。

 これは、十二月、昨年末ですね、国税庁さんから通達が出ました。仮想通貨、今、現状、これは雑所得に該当いたします。円に換金したらそれはそうだろうと私は実は思っておったんですけれども、円に換金しなくとも実は所得としてみなされることになっておりまして、例えば、仮想通貨を使って商品を購入してみたり、あるいは仮想通貨を別の仮想通貨に交換した、そういう時点で既にこれは損益を確定したというふうにみなされまして、課税対象となるわけでございます。

 所得税というものは累進課税でございますので、最高税率の方からすれば、所得税四五%で住民税一〇%、最大五五%、この仮想通貨に課税されるという状況が生まれるわけでございまして、私は、非課税にするべきだなんて言うつもりは全くありません。全くありませんが、例えば株式の売却益が今現状二〇%程度だ、このような、横並びとして考えるべきかどうかはわかりません、わかりませんが、今のほかの同等のものとみなしていいかもわかりませんけれども、ある種投機目的でやっているような方からすれば、そういう側面はある。それでいえば、株式の売却益についての課税と横並びで考えていい側面もありますねということでありますが、この二〇%と五五%というと、数字上は非常に開きがあるなというふうに感じておりまして、少し今現在は過剰なんじゃないかなというふうに考えておりますが、見直すお考えはないかどうか、確認したいと思います。

うえの副大臣 仮想通貨を売却又は使用することによります損益につきましては、今御指摘があったとおり、雑所得に区分されまして、総合課税の対象となるものであります。

 この取扱いは、日本円と外貨を交換した場合の為替差益が雑所得となることとのバランスを考えれば適当だというふうに考えています。

 なお、御指摘のように、上場株式等の譲渡所得等については分離課税が適用されることとなっておりますが、これにつきましては、貯蓄から資産形成へという大きな政策的な要請、これを前提としたものでありますので、仮想通貨と同列に論ずることはなかなか難しいのではないかと考えています。

濱村分科員 日本円から外貨にというところと並びで考えたら別にそんなに開きはないと。それはおっしゃるとおりかもしれません。

 その上で申し上げますと、仮想通貨の種類もさまざまあると思っております、これをもう少し、この後ちょっとお伺いしようと思っておりますので、もうちょっとだけこの課税のところをお伺いしたいんです。

 分離課税のお話も少ししていただきました。政策的要請があるということで、それも理解するところでありますが、この仮想通貨、当然目減りすることもあるんですね。そうなりますと、損金が発生するわけです。ですが、今のところ、それは繰越しできないということで、どこまでそうした繰越しができるような金融商品とかと同じように扱うべきかというのは、議論の余地はあろうかと思いますが、この損金に対しての繰越制度については、どのようにお考えでいらっしゃるのか。

うえの副大臣 所得税につきましては、申すまでもありませんが、一年間に稼得した所得を捉え、それで暦年ごとに所得を把握するのが基本であります。所得計算において生じました損失については、原則として翌年以後の所得金額には影響させないとしているところであります。

 上場株式等の譲渡損失につきましては、いわばその例外といたしまして繰越控除が認められておりますが、これは、先ほど申し上げたのと同様に、家計におきます上場株式等への投資を後押しする、貯蓄から資産形成へという政策的な要請、これを前提としたものでありますので、なかなか、仮想通貨とこれを同列に論じるということは、これも難しいかなというふうに考えています。

濱村分科員 趣旨もよく理解した上で申し上げます。

 貯蓄から資産形成へというこの政策的な流れというのは、非常に大事だと思っております。その上で申し上げるならば、今、この仮想通貨というものが多少、資産形成の意味合いをなしてきつつあるというふうにも考えております。本来はそうじゃなかったじゃないかと言われると、本来をどこに置くのか、当初の目的は違ったかもしれないけれども、今こうやって育ってきちゃいましたねということは、恐らく受け入れなければいけないんだろうと思っております。

 その上で、今、受け入れた上で言うと、そこも何かしら考えていくべきじゃないかというのが私の問題意識でありまして、なかなか所得税として、繰越しなんかないじゃないか、暦年でやるんだよと、おっしゃるとおりなんです。ですが、本当に所得税でいいのということも議論をしていっていただいた方がいいのかもしれないなと。このこともあわせてちょっと申し上げておきたいと思っております。

 その上で、今いろいろな側面が出てきているこの仮想通貨でございますが、今ほとんど、どちらかというと、先ほど来あるように投機対象になりつつあって、非常に、決済とか送金のためにという側面が損なわれつつあるという状況です。

 今、唯一用途として見越せているのがICOなんじゃないか。イニシャル・コイン・オファリングですね、ICO。

 このICOについてちょっと考えていきたいんですが、先日、スイスの金融監督当局がICOのガイドラインを策定いたしました。これを参考にしながら日本もガイドラインを策定するなど検討してみていかれてはどうかと思うんですが、いかがでございましょうか。

水口政府参考人 お答え申し上げます。

 ICOによる資金調達にはさまざまな形態がある中で、利用者の保護というのは大変重要でございまして、まず、金融庁におきましては、昨年十月に、ICOのリスク及び規制に関しまして、利用者及び事業者向けの注意喚起というのを実施したところでございます。

 こうした中、業界団体におきましても、ICOへの対応に関する会員向けの通知が行われておりますほか、利用者保護の観点から、引き続き、ICOに関しまして自主規制規則の策定に向けた議論、検討というものも行われておりまして、利用者保護に向けた対応がとられつつあるものというふうに認識してございます。

 金融庁といたしましては、先生ただいま御指摘のICOガイドラインも参考にしながら、海外当局や業界団体等と連携しながら、どのような対応が適切か、検討してまいりたいと考えてございます。

濱村分科員 今、参考にしながらというお話がございましたが、大きな三つのトークンカテゴリーを定義しているんですね。

 ペイメントICO、これは支払い手段として機能するトークンですね。もう一つ、ユーティリティートークン、これはデジタルアクセス権を付与するということと、有価証券としては認められないんです。もう一個は、投機的な役割を果たす場合、それは有価証券として扱われますよ、そういうユーティリティートークンがあります。もう一つがアセットICO、資産トークンと言われておりますが、これは完全に有価証券としてみなされるというわけであります。

 こうした三つの異なる特性に応じて、仮想通貨も管理していくべきなんじゃないかということを踏まえれば、恐らくその三つに対してどのように、一方で、スイスではこれは有価証券と扱うというようなこともやっているわけでございますので、日本でもそれに応じた形をぜひともつくっていっていただきたいと私は思っております。

 その御検討をぜひお願いしたいということを申し上げておきたいのと、ちょっと最後、質問を本当はしたかったんですけれども、仮想通貨はブロックチェーン技術によって支えられているわけでございますが、この技術を使って公証として使えるというような側面もあります。こうしたところの技術的な応用についてもぜひとも検討をお願いしたいということを申し上げて、質問時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口(壯)主査代理 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)分科員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 春、間もなく新入学のシーズンであります。ランドセルを買う、制服を買う、非常に臨時の支出が多いという中で、教育に関してお金がかかるんだというようなこと、これは授業料がただであってもなかなか大変な部分でもございます。

 先ごろは、銀座の小学校でアルマーニの制服だというようなことがテレビで取り上げられ、そんなに高いものが本当に必要なのかというような話がちまたで話題になっております。

 もちろん、アルマーニでなくても、制服を買うという中では数万円というようなものも少なくありませんし、小学校ということになってくると、六年間で一回ではなくて、二回、三回と買わなきゃいけない、このような実態もあるわけでございます。

 教育を無償化し、あらゆる子供たちに機会を確保するというような中で政権としても取り組んでおられるわけなのでありますけれども、二〇一六年の十二月、教育機会確保法、これが成立をいたしました。不登校の子供たちについても義務教育をきちんと受けられるようにする、学校に出てこなくてもその機会を確保するということが基本となっていますけれども、これについて、現在の取組を教えてください。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 不登校につきましては、約十二万六千人ということで、高どまりというふうに私ども評価してございますけれども、大変厳しい状況が続いているところでございます。

 そうした中で、フリースクールに通う子供への支援を内容といたします、いわゆる教育機会確保法が平成二十八年十二月に成立いたしましたことを受けまして、文部科学省では、全国の教育委員会向けの会議などにおきまして、同法に基づく基本方針の内容等について周知を行うなど、取組を進めているというところでございます。

森山(浩)分科員 周知を行うということなんですが、今に至っても、小学校に、ちょっと不登校になっているんだという相談に行ったら、校長先生に、頑張って学校に出てきなさいよと言われるような事例が後を絶たないというような現場の声が非常にございます。

 これを徹底するという部分、フリースクールなんかに行くんじゃなくて、早く学校に出てきなさいよというような、これまで、この法律ができるまではそれがノーマルな対応だったわけですけれども、そうではないというところをきちんと徹底するために何か工夫はされていますか。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月に小学校、中学校の学習指導要領を改訂いたしまして、初めて不登校児童生徒への配慮を盛り込みまして、また、その指導要領の解説におきまして、学校以外の多様で適切な学習活動の重要性について記載したところでございます。

 また、周知という点では、昨年の十月から、テレビアニメ「三月のライオン」とコラボレーションしまして、教育機会確保法の内容や、フリースクール、不登校に関する施策等について、文部科学省のホームページに特設サイトを開設し、周知を行っているところでございます。

 議員御指摘の学校関係者への周知につきましては、引き続き、教育機会確保法及び基本方針の内容等につきまして、さまざまな機会を捉えまして周知徹底に努めてまいりたいと考えてございます。

森山(浩)分科員 フリースクールの子供たちに対する何か支援という制度はありますか。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 教育機会確保法の附則におきまして、教育機会確保のために必要な経済的支援のあり方について検討を加えるものとされていることなどから、今年度におきまして、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒に対する各種支援に関する実践研究を行っているほか、三十年度当初予算案におきましても、引き続き必要な経費を計上しております。

 こうした研究の成果や課題などを踏まえつつ、不登校児童生徒への支援、フリースクールの支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 三年間の調査研究の途中ということでありますけれども、学校、歩いて通えるところにないかもしれない、交通費あるいは制服、かばん、いろいろなものが必要となってくる中で、義務教育に通っている子供たち、これ自身もそうですけれども、フリースクールは更に負担が大きくなるという部分も含めて、学校の運営に対して何かできないか、あるいは授業料というものに対して何か対応ができないか、こういうことも含めてしっかりと検討をしていただきたいと思います。

 子供たちがどんな状況であってもきちんと教育を受けられる。保育園や幼稚園の話あるいは大学の話、今されているわけですけれども、文科省、財務大臣ともしっかり話合いをしていただいて、あるべき姿、あらゆる子供たちの教育機会を確保する、実質的に確保するということですね。行っていいよということだけではなくて、お金がなくて行けないよというようなことがないようにという部分も含めて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、和食が世界遺産になっております。和食が世界遺産になって、和食のブームというふうにも言われていますけれども、ただいまの現状、そして、何かそれに対してバックアップあるいは広めていく、取り組んでおられることの御報告をお願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年十二月に和食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されておりますが、それ以降、平成二十九年までの四年間で、海外では、日本食レストランが五万五千店から十一万八千店へと約二倍に増加をしております。

 こうした、近年、海外における日本食、食文化への関心の高まりということを追い風といたしまして、農林水産業の輸出力強化戦略に基づきまして、海外の飲食店等を日本産食材の輸出拠点として活用しつつ、日本食、食文化の魅力を効果的に発信し、輸出につなげることが重要であると考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、トップセールスや大型イベントなどと連携した日本食の海外発信など、こうした従来の取組に加えまして、海外料理人の日本料理に関する知識、調理技能を習得度合いに応じて民間団体が認定する制度、この制度によりまして人材育成を行いますとか、日本産食材を積極的に使用する海外のレストラン、小売店を日本産食材サポーター店といたしまして、民間団体が認定する制度を推進し、こうした店舗を海外の消費者、実需者が日本食、食文化に接する場とすることで、日本産農林水産物、食品の輸出拠点の拡大につなげていくよう取り組んでいるところでございます。

 これらの取組を通じまして、日本食、食文化の魅力を海外に発信いたしますとともに、海外需要の拡大、輸出額一兆円目標の達成につなげてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 輸出の目標が一兆円ということで、結構大した金額であります。これをしっかりとやっていくというためには、日本の関係者あるいは日本のサポーター、こういう人たちをしっかりとつかんでいくことが大事で、海外の日本レストランとおっしゃいましたけれども、それに加えて、麻生大臣も深くかかわりをされましたJENESYSというようなプロジェクトもあります。

 日本に研修に来られた海外の要人の皆さん、若いころに来ていただいていますので、帰ったときに更に、こういう日本食であるとか食材というようなものをしっかりと発信していただくための後押しをしていくということ。

 私、以前、お話を聞いたときに、JENESYSの同窓会もないんだ、どこで何をしているかもわからないんだというようなお話をお聞きしたこともあります。ですから、せっかく来ていただいた方、帰ってからもしっかり日本のサポーターとしてこういった部分にも御協力をいただけるようにというようなことに取り組んでいただきたいなというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 さて、森友学園の問題です。

 これまでも何度も議論になってきておりますけれども、先日、近畿財務局の方に、これまで出てこなかった資料が出てくるというようなこと、これが起こっているわけですけれども、では、どんな形で保管をしていたら出てこなくて、そして、年が明けてからまた出てくるというようなことが起こるのか、現場の様子を確認させてほしいということでお伺いをしました。局長がインフルエンザであったそうでありますけれども、この現地確認も含めて全て財務本省の方で対応するんだというようなお話をいただいて帰ってきたところでもあります。

 その保管状況なども含めて財務本省で確認をするということですけれども、去年の事件が発覚をした時期、このころには、現地を確認した上で近畿財務局の方にも当時の民進党の調査チームでお伺いをしているかと思うのですが、これはいつの段階から財務本省で全て扱うということになっておるのでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 近畿財務局は地方支分部局でございますので、それは、基本的には、財務省の仕事をそれぞれ分掌しているという考え方だと思っております。

 それで、国会議員の先生方からのお問合せ云々あるいは国会での質疑というのは、もう御承知のとおり、本省が対応する、国会そのものはもちろん本省が対応するということですので、基本的には、本省が全て責任を持って対応する、近畿財務局のことであっても、近畿財務局からちゃんと聞いて、あるいは現地を確認した上で本省がお答えするというのが責務であるというふうに思っております。それが原則だというふうに思っております。今回も、そういう意味で、そういう対応をさせていただきました。

 ただ、委員お話しのあったように、多分、当時の民進党ということだと思いますが、去年は近畿財務局に行ったじゃないかというお話だと思います。

 昨年、たしか、記憶ですけれども、民進党が来ていただけたのは二月の二十一日だと思っております。本件森友学園に関する国会の質疑、初めて質問を頂戴したのが昨年の二月の十五日でございました。ということは、初めて御質問をいただいてから一週間ほど、一週間もたたないうちという状況でございました。

 そうでございましたので、まだ本省の方も十分把握し切れていなかった面もありますし、何よりも、国会での質問がまだそんなにない状況でございましたので、そういう意味で、説明ができているという状況ではなかった、あるいは、こちらの方もまだ、正直に言えば、蓄積が十分でなかったという面があるかもしれないということもあり、現地、森友学園そのものを視察に行かれるということの過程の中でそういう対応をさせていただきましたけれども、一年たち、国会での質疑も相当いただきましたし、我々もそれに対して、不十分だというお叱りはもう重々承知をしておりますが、対応させていただいております。

 そういう意味で、今ほど委員がおっしゃっていたのは恐らく法律相談文書ということだと思いますが、その保管状況も含めて、我々として、本省で説明できる、あるいは説明しなければいけないという考え方のもとで対応させていただいたということでございます。

森山(浩)分科員 済みません、一年たってということですが、どの時点で本省で引き揚げるという形にお決めになりましたか。

太田政府参考人 時限を区切ってどの時点でと申し上げるほどではありませんが、原理原則は、基本的に、最初から本省できちんとやらなければいけないということだったろうと思います。

 ただ、今、一週間と申し上げましたけれども、恐らく、最初の一週間あるいは一カ月弱のところは、あるいはまだ十分でなかった、逆に言えば、国会での御質問をまだそれほどいただいていなかったという状況だったかもしれません。

 どの時点でと明確に期限を区切ったわけではありませんが、原理原則は、きちんと本省で対応しなければいけないと我々は思ってございます。

森山(浩)分科員 では、現在は、この森友の関係文書というのは本省にあるという認識でよろしいですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 それぞれ、責任を持って保管すべき部署が保管をしていますので、森友学園に関する文書は、基本的には近畿財務局で持っております。法律相談文書であれば、統括法務監査官というのが五年の保存期限を持っていますので、そこで持っております。

 先般国会に提出をさせていただいた法律相談文書につきましては、もちろん、原本そのものは今でも近畿財務局の統括法務監査官のところで持っておりますが、そのコピーを我々は入手して、それを委員の先生方に配付させていただいた、そういう状況でございます。

 いかなることも、何かあれば、そのコピー、あるいは話を現場の職員に聞いて、それを本省として把握した上でお答えをする、あるいは資料としてお配りをさせていただいているということでございます。

森山(浩)分科員 全てを本省で把握するということを前提としているということなので、恐らく、最初の段階でどのように指令を出すのかというところだと思うんですが、森友学園に関する資料は全てコピーして、あるいはメールに添付して送ってこいというような形で指示をするんでしょうか。

太田政府参考人 基本的には、今ほど申し上げました本省対応というのは、国会に係る対応ということでございますので、およそ全てのものをということはちょっといたしかねるので、国会で御議論になっている、あるいはそれに関連する、あるいは、本省としても、国会で議論になっている、あるいはなりそうだと思われるものについて、先方にお願いをして、あるいは事実関係を確認してということでございます。

森山(浩)分科員 それでは、具体的にこれを出せという話になってから収集をするというような段取りになっているということでよろしいですね。

 先日の私の二月七日の質問の中で、リーガルチェックをするまでもなく、事前の価格交渉は違法であるという認識があったのですかという部分についてのお答えが曖昧なまま終わっていたように思いますので、お願いいたします。

太田政府参考人 俗にといいますか、今回の議論の中で、いろいろな意味で価格交渉という言葉が飛び交っておると思いますが、いずれにせよ、正規のルートにのっとらずに、その前に価格交渉をするということは、会計法あるいは予決令の世界で認められておりませんので、そういうことをやってはいけないので、そういうことは一切していないというのが私どもの基本的立場でございます。

森山(浩)分科員 そして、一六年三月以降にやりとりをしたのは金額であって価格ではないというような発言もされているかと思いますけれども、価格交渉の是非をチェックした一五年十二月のリーガルチェックに絡んで、見積合わせを行うのであれば、先方から希望の金額を聞くということになりますがというふうに、この二月七日の質疑でお答えになっています。

 金額と価格はどのように使い分けをされているのか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど、委員の御指摘は、二つのところが入っていたと思いますので、ちょっと二つ分けて御説明をさせていただければと思います。一つは、金額と価格という言葉、もう一つは、平成二十七年の十二月の時点のお話ということだと思います。

 金額と価格というお話は、基本的には、二十七年十二月ではなくて、二十八年になってから、売買のときに生じてきた話であり、先般の通常国会において、佐川前理財局長の答弁との関係で御質問を頂戴して御議論いただいているということだと思っています。

 一般的な名詞として、金額と価格はどう違うんだと言われると、それはニアリーイコールだと思っていますので、そういう意味で、金額と価格は異なるということを私は答弁で申し上げさせていただいているつもりはございませんし、そういう答弁はしておりません。

 その答弁で申し上げているのは、そこで言う価格というのは、佐川前局長の答弁もそうで、佐川前局長はそういう価格という言葉を使っていまして、そういう価格というそういうで引いている部分で次のようなことを説明しています。

 すなわち、本件森友学園の土地の売却については、基本的には、見積合わせという、相手方に価格を提示していただいて、こちらが価格を持っておいて、その価格が許容されるかどうかというやり方があるんですが、土地の地下埋設物の撤去費用を積算することは困難であるという認識を持ったことから、そういう意味で見積合わせということを行わないということにいたしました。

 見積合わせを行うということであれば、先方、この場合は森友学園なんですけれども、買受けの希望の金額を承るということなんですが、そういうことを承ることはしませんということです。

 では、どうするかといいますと、当方、国側が、不動産鑑定価格等に基づいて予定価格というものを決めて、その予定価格を先方に通知をして、先方がそれをいいとおっしゃっていただければそれで契約が成立する、いや、それじゃ高くて買えないと言えば契約が成立しない、そういう手続でございました。

 そういう意味で、先方から価格を承るということはない、そういう意味での価格交渉はないということを申し上げているということでございます。それが一点目でございます。

 もう一点、今の委員の御質問は、二十七年十二月のときのお話がございました。これは、まだ、二十八年三月に新たな地下埋設物が発見されるという以前の話でした。このときには、賃貸、定期借地の契約と、それから売買予約の契約という二つの契約で成り立っていた、そういう状況でございます。

 そのときに、売買予約の契約があって、そのときの価格は不動産鑑定価格によるというふうに決まっておりましたので、そうすると、先方が買いたいと言うと、その瞬間に売買契約が成立するという格好になってございました。

 ところが、先方が買いたいと言って、それは不動産鑑定価格によるということなんですが、その具体的な金額はわからない状況、不動産鑑定士にやっていただかないとわからない状況で、それが七億円と出るのか、九億円と出るのか、八億円と出るのかわからない状況でしたので、仮にそれで売買契約が成立してしまいますと、その後、不動産鑑定士の方に評価をしていただき金額が決まったら、いやいや、それじゃとても高いから買えないよということになったときに、そうすると、一回契約が成立しているので、その契約が成立したのをどうするんだ、場合によっては違約金だ、そういう話になって契約が混乱するので、そういう意味で、先方に、ある意味での金額、ある意味での目安というか感覚がわかるようにしておいてあげないと、それは実際上契約が混乱しちゃうという、その時点でのお話として、そういう法律相談の話が起きているという状況だったということでございます。

森山(浩)分科員 ですから、賃貸をそのまま買うということであれば交渉はあるけれども、新たな契約の場合には交渉はあり得ないということですよね。

    〔山口(壯)主査代理退席、主査着席〕

太田政府参考人 賃貸のときは、交渉というよりも、ある意味で、売買予約が買いますと言った瞬間に成立するんですが、そのときの価格に対する感覚を先方に持っておいていただかないといけないということを言っただけ、売買のときは、明確にそれは、予定価格を通知して受けるか受けないかという意味ですので、そういう意味での価格交渉は一切ない、そういう意味での価格交渉はないということを申し上げております。

森山(浩)分科員 ということで、今回公開をされた三百ページの資料の中に目次がございます。目次の中に、ナンバーワンの文書の注二というところで、資料、同じ文書が管財部訟務課にも保存されているという注が書いてあります。

 つまり、今まで探したけれども見つからなかったというような話でありましたけれども、これがあったわけですよね。これがどういう状況で保管をされていて気づかなかったのかというような部分については、御説明できますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本件森友学園の買受け希望を受け付けてから売買に至るまでということ、基本的には、仕事をしておりましたのは管財部の第一統括国有財産管理官というところでございました。さまざまな資料について、国会からも、あるいは情報公開においても、あるいはメディアの方からも、いろいろな御請求あるいは御要望があって、それに対応してきたわけでございますが、基本的には第一統括国有財産官のところが把握している、あるいは、自分たちからすれば把握しているはずだと思っていたところでやっておったわけです。

 法律相談につきましては、基本的には、統括法務監査官のところに直接相談、統括法務監査官というのは管財部の外でありますが、直接そこと相談をしているというのが基本的なスタイルだったんですが、四、五年前、一番最初のころに、今、委員御指摘のあったころには、管財部の中にも訟務課という、ある意味で法律についてたけているところがあって、そこにも、すごい一番最初の時点だけ相談をしておったんですが、それ以降相談をしていなくて、統括法務監査官とやるというふうになっていたものですから、そういう意味で、第一統括国有財産管理官のところは、基本的に法律相談は統括法務監査官とやっているものだ、ずっとそうなんだと思っていて、それで、そういう意味での資料の探し方をして、あるいは、その部分についても、自分たちが持っていないんだったら、そこは向こうも持っていないと思っていたというのが最大のところではあるんですが、そういうところだったので、管財部の訟務課というのは、もう四、五年、この件についてはおつき合いをしていなかったので、そこは見落としていた、それは大変至らないというふうには思ってございます。

森山(浩)分科員 担当課自身もわかっていなかった、持っていると思っていなかったという御説明ですか。

太田政府参考人 担当課自身も、四、五年前のもので、しかも、昨今その手の相談がなかったものですから、自分たちでそういう、役所の場合、どうしても人事異動もありますので、そのときにやっていたという感覚が、正直に言えば、訟務課も抜けていたというのが事実だと思っております。

 申しわけありませんでした。

森山(浩)分科員 会計検査院が、去年の四月と六月の時点で、法律相談の文書を出すようにというふうに求めておられます。それに対して、やはり家捜しするというのが普通の感覚ではないかと思うのですが、証拠書類の提出に応じない場合は懲戒処分を要求できるということが会計検査院法の中にもございます。

 探すというのに関して、具体的に法律相談の文書というふうに出ているのに、ちょっとこれは甘いのではないですか。

太田政府参考人 会計検査院の検査に当たりましては、さまざまな資料なりを御要請いただきました。この件について、それは気づけなかった、気づかなかったということでございますが、甘いと言われるのに対して、いやいや、甘くありませんと言えるような状況でないことは重々承知をしております。それは気づかなければいけなかったし、気づけなかったことは大変申しわけないと思っている、そこは率直にそう思ってございます。

森山(浩)分科員 先ごろ、厚生労働省が、残業時間についての資料が足りなかったということで、再調査というようなことも含めての検討ということになっています。今回のこの森友事件についても、会計検査院が出せといった資料が出ないままで会計検査院報告にまでつながってしまった。資料が足りないというコメントがついているという状況でございます。

 麻生大臣、この足りなかった法律文書、三百ページも出てきたわけですから、これは、今後どうするかというだけではなくて、今の段階でもう一度再調査をして、会計検査院が納得のできる形での証拠を提出した上で、チェックをしてもらうべきではありませんか。

麻生国務大臣 森友学園の国有地の売却に関する行政文書につきましては、これまでも、売却の決裁文書やいわゆる鑑定評価書などの、売却に至るまでの各段階における行政文書を相当量提出させていただいております。もうこれは御存じのとおりなんですが、これに加えて、今般、法律相談の文書についても提出をさせていただいたところです。

 こうした中で、森友関連の資料全てと言われることになっておるのかもしれませんけれども、これは、何をもって森友関連というのかというのはなかなか難しいところだと思いますが、いずれにしても、具体的にどのような対応をしているのかという問題なんだと思っておりますので、情報公開を含めまして、今後とも、具体的な要請というものがあれば、私どもとしては、該当する文書があれば、提出に向けて努力をしてまいります。

森山(浩)分科員 いや、大臣、会計検査院報告は去年の十一月に出てしまっているんですね。それ以降出た書類というものが検査をされないままで会計検査院報告が出てしまっている。ですから、新たに、後でちょろちょろと文書が出てきました、だから、公開しているからいいだろうという話にはとてもならないわけでありまして、これを含めた上で検査院に報告をしてもらわないと、チェックをしてもらわないといけないのではないかというお話なんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 法律相談の文書の内容につきましては、これまでも国会や検査の過程で説明をさせていただいておりますので、殊さらに文書を隠しているとか隠蔽しているというわけではありません。

 その上で申し上げさせていただければ、法律相談の文書につきましては、これは昨年の九月の開示請求への対応の中で文書が存在するということが判明というところから、可能な限り速やかに内容を確認させていただきました上で、順次、国会やら会計検査院に提出させていただいたというのがその背景です。

 いずれにしても、この国有地売却につきましては、今後とも引き続き丁寧に説明をしてまいらねばならぬと考えております。

森山(浩)分科員 検査をするというときに、最初に当然耳をそろえて資料を出すというのが当たり前なわけですけれども、それにしても、やっている途中で新たに出てきたということであればその段階で出していく、また、それをきっちりとチェックしていただいた上で報告につなげるというのが当たり前の話でございます。

 そういった意味で、検査が終わってから、あるいは検査の終わる一日前、二日前に更に追加の資料を出して、出したからいいだろうという話にはならないと考えます。しっかりと、これはもう一度再調査を求めたいというふうに思います。

 大臣、最後にお願いします。

麻生国務大臣 基本的に、これは参議院からの要請に基づいてこの判断をさせていただいたと記憶していますので、私どもといたしましては、参議院の判断ということによるところも大きいという点も勘案しておかないかぬところだと思っております。

柴山主査 質疑時間が終了しました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 おはようございます。希望の党の柚木道義でございます。

 前回の予算委員会での質疑に引き続きまして、きょうは、少し資料の方が直前に差しかえ、あるいはパネルが不許可等あったので、間に合ったところからということで、答弁者には渡していただくということで、パネルは全部直しておりますので、その前提で進めさせていただきます。

 麻生大臣、納税者一揆の件で、全国二千カ所の中に比べれば十一カ所でのデモ、そういう表現があって、あたかも、それは一部の皆様の声ではないか、あるいは、街宣車等が出ているデモというのは、少々普通の市民の方ではないんじゃないかという趣旨に受けとめられるような答弁をなさったわけですが、このデモは確実に全国に、残念ながら広がりつつあると思います。

 この週末も、私も地元で多くの皆様の声あるいは税務の関係の皆様の声をお聞きしてまいりましたが、デモには、仮に平日等で参加できなくても、本当に多くの皆さんが心の中でのデモを起こしているんです。そして、実際に確定申告の会場では本当に、領収書をなくした、あるいはデータを消しちゃった、こういうような声もどんどん出てくる。五人に一人ぐらいは、今回は税務調査を甘目にやってくれるんでしょう、そういう声が相談員に出ている会場もある。

 こういう中で、火に油を注ぐような事態が今、佐川国税庁長官のこの間の言動、行動の中に起こっていると言わざるを得ません。

 資料二ページ目を、まずごらんください。

 これは、麻生大臣、あるホテル、そして、このホテルに佐川国税庁長官が宿泊をされているのではないかという報道がございます。実際にそのホテルの料金、あるいは、これは多分皇居だと思いますが、本当に絶景ですよね。こういうところに、しかも、このホテル、KKRホテル東京、もしこの報道等が事実とするならば、あるいは、それを、ホテルに宿泊されていることを事実として認めた上で、先週金曜日もまさにこの予算委員会第三分科会で宿泊費等について答弁が行われていますけれども、これは財務省が経営するホテルですね。財務省の共済組合が経営をしている。まさにそういう意味では、ホテルから出られるときに正面玄関から出ずにダミーの車まで出して、佐川長官が報道から逃れるかのように財務省に、しかも大回りをして、十分で行けるところを三十分もかけて行く。その公用車のお金は公費、税金ではないか。宿泊費についてもさまざまな議論があります。そういうホテルです。

 ちなみに、普通の方がシングルで泊まれば八千円。しかし、若手の官僚の証言によれば、いや、さすがに国税庁長官は打合せ等もあるから、打合せができる部屋と、そしてベッドがある部屋と、こういうところを使われるんじゃないかということで、調べたら、それは一泊三万円。しかし、これは特別料金なんですね。組合員であれば三万円ですけれども、一般の方が泊まれば四万四千円。しかし、これはまさに財務省共済組合のホテルだからであって、近隣で同じような間取りのホテルに泊まれば一泊十万円。これは、仮に一カ月泊まれば、当然のことながら三百万円。半年間雲隠れという状況も伝わる中で、仮にずっと泊まれば、こういう同じ場所で同じ部屋であれば千八百万円。このホテルであっても、これは月九十万円。半年であれば五百四十万円もの宿泊費がかかる、こういうホテルでございます。

 これは、きょうは国税庁にもお越しをいただいておりますけれども、実際に、この宿泊費について、金曜日においても議論がなされておりますが、これは公費ではないという趣旨の答弁がなされていると承知をしておりますが、これは実際に公費、つまり税金が、宿泊されている場合、使われていないというのは間違いないんでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 佐川国税庁長官については、都内のホテルの宿泊料を公費負担した事実はございません。

柚木分科員 公費負担した事実はないと。ちょっとひっかかる答弁なんですが。

 公費というのは、これは官房機密費、私は、これは当然国民の税金から出るという意味では公費の一種に当たるんじゃないかとも思うわけですが、官房機密費からも、例えば、この財務省の職員の方に対してそういう経費が、名目はわかりませんよ、一切出費されていない、こういうことでよろしいんでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、そうした事実は承知しておりません。

柚木分科員 事実を承知していないということであっては、これはちょっとやはり調べていただかなければ困ります。

 ぜひ、これは官房機密費、せんだっても判決が出ておりますね。一部、情報公開もされております。ぜひ、この半年間にかかわる財務省の職員、佐川長官も含めて、これは、だって、財務大臣、何かおっしゃっていますけれども、何でこういうことが疑われるかといえば、まさに安倍総理、安倍政権挙げて佐川を守れと国対にも指示が出ていて、PMと、プライムミニスターメモが回って、もっとはっきりと疑惑を否定しろと答弁にまで指示が出て、そして佐川君こそ官僚のかがみだと、佐川現象が起こっているじゃないですか。

 さっきの裁量労働の捏造だってそうじゃないですか。それが蔓延しているんです、霞が関の中で。そう見られているんですよ、国民の中に。だから、こういう疑念まで持たれて質問しなきゃいけないんじゃないんですか。

 ぜひ、委員長、これは官房機密費の中で、当該期間における、佐川長官を含めて、財務省に、宿泊費、旅費、交通費等、出費があるのかないのか、情報公開をして、この委員会に御報告をお願いいたします。

柴山主査 ただいまの御要請につきましては、主査から予算委員長に報告しておきます。

柚木分科員 宿泊費は公費ではない、官房機密費かどうかは事実としては承知していないと言って、そういう答弁をされると残念ながら疑念を持たざるを得ないんですが、公用車についても、これは税金だと。そして、この公用車については、それは税金ですよね、当然。しかもダミーまで走らせて、場合によっては何台も使って、じゃ、その運転手の人件費、車の経費、これら含めて、公用車は全て公費、税金ということでよろしいんでしょうか。

 国税庁、お願いします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 公用車の運行に関しては公費で賄っていると承知しております。

柚木分科員 ホテルの宿泊費は公費からは出ていないという御答弁であって、何で公用車だったら公費で出るんですか。

 つまり、公費で出す宿泊にはふさわしくないから私費で出すということなのかなと当初思いましたけれども、官房機密費から出ているかどうかわかりません。少なくとも公費ではないと一旦お答えになったホテルの宿泊費、何で公用車だったら税金、公費でいいんでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 各省庁におきます公用車の運用につきましては、平成二十四年六月一日、第五回行政改革実行本部において、「公用車の運用の見直しについて」が定められており、佐川国税庁長官についても、これに基づき、継続的な送迎が行われております。

 なお、「公用車の運用の見直しについて」という文書におきましては、自宅等からの送迎とされており、自宅以外の場所であっても、送迎対象者の身辺の安全や事務の適正な遂行の確保に支障が生じるおそれ、また、勤務地からの距離等を考慮した結果、送迎の必要性が合理的かつ妥当であれば送迎が認められていると考えております。

柚木分科員 対象者の安全というふうに、今、国税庁次長は御答弁いただいたんですけれども、そのきっかけはどなたがつくっておられるんですか。

 つまりは、報道機関からさまざまな取材攻勢が当然あります。就任会見を史上初めて行っていない、いまだに国会にもいらっしゃらない、国民への説明責任を果たされない、世論調査では七割、八割が証人喚問で説明すべきだという、そういう背景の中で、当然取材をする側は佐川長官にコメントを求めるわけです。

 その結果、安全のために、じゃ、公費が出る公用車の使用、しかもダミーまで出す、これは本当に納税者の理解を得られる行動と言えるんでしょうか、徴税のトップとして。

 ぜひ、これはメディアから既に公用車の運行記録の開示請求が出ていて、しかも期限を過ぎているんです。過ぎる意味においては合理的な理由が必要です。全然こんなのは調べるのはすぐです。

 ぜひ、これも委員長、公用車の運行記録、何台出ていて何人の人件費がかかっているのか、この委員会に御報告をいただくように、お取り計らいをお願いします。

柴山主査 以上の御要請につきましても、予算委員長に報告します。

柚木分科員 そういう状況がある中で、じゃ、この佐川国税庁長官、一体いつまでこのホテル暮らしをされるんでしょうか。

 一枚目の資料をごらんください。

 これはちょっと黒塗りにしろということで、いわゆる天下り、わたり。わたりというのは天下りを繰り返すという意味ですね。いろいろな元国税庁長官、つまり、今の佐川長官の先輩方が、天下り、わたりを繰り返されて、手元の資料はお配りいただいても結構ということで、ここに書いていたのは、わたりを巧みにやれば生涯で八億円稼げると財務省関係者が言っていて、ここに八億円の実際の札束を、私もどれぐらいなのか見たことありませんけれども、載せていたんです。どこからとってきたかといったら、宝くじですよ。八億円当たる宝くじがありますよね。普通の人は並んでも当たりません。しかし、残り四カ月ですか、仮に任期一年、長官を終えて、優雅な天下り、わたり生活が佐川長官に待っておられるんでしょうか。そして、普通の人は並んでも当たらない宝くじを、並ばずに八億円もの生涯年収を手に入れられるんでしょうか。現状でも、国税庁長官の年収二千二百万円、退職金七千万円です。

 これは麻生財務大臣に伺いますが、これだけ世論の批判、不信を受けている国税庁長官、これだけの退職金、その後の天下り、わたり、生涯八億円、こういう状況は納税者の理解を得られると思われるでしょうか。

麻生国務大臣 国税庁の長官、また給与や退職金とかにつきましては、これは法令に基づいて支払われているものだと思いますので、特に退職手当の水準というのは近年随分引き下げられてきておると思いますので、実際にはもっと低くなるのではないかなとは思っております。

 また、退職後の人生、これは政府があっせんを行うというのはそもそも禁止されておりますので、特にコメントする立場にはありません。

 強いて言えば、退職後の国家公務員について、各自の能力とか経験とかいうのが評価されて、活躍の場を与えられているのであろうと思っております。

柚木分科員 いや、ちょっとこれは納税者の皆さんを逆なでされるような御答弁じゃないですか。能力、経験が生かされて、天下り、わたりは別に問題ないんだと。いや、そういうふうに受けとめられますよ、財務大臣。

 こういう、本当に今、国会にすら来られない。そして、歴代の国税庁長官みんな、就任会見をやっていますよ。一度も会見もやらずに、一年で長官をかわられる方がほとんどですよね、あと四カ月やり過ごせば、ホテル暮らしをすれば、その後、優雅な生涯八億円の天下り、わたりライフが待っている。これでは納税者の皆さんはやりきれないと思っておられると私は思いますよ。これはぜひ国会にも呼んでいただきたいと思いますし、このままだったら、この長官の待遇、年収、退職金、私はぜひ再検討いただく必要があるのではないかと思いますよ。

 ちなみに、何で今のような答弁が続くのかなと思えば、これは三ページ目の資料、ごらんください。これも、パネルはだめになっちゃいました。これは資料しか見せられませんから。

 安倍総理はこうおっしゃっているんですよね、佐川君こそ官僚のかがみと。そして、麻生大臣も、安倍総理、適材適所の人事、適任だとおっしゃっていますね、答弁。

 こういうことをおっしゃられるからこそ、本当に佐川現象が霞が関の中に蔓延しているじゃないか、そうやって多くの方は言われていますよ。

 実際、裁量労働制のデータの捏造問題も、どんどん地下室から、隠していた、なかった、なくなったと言ったデータが出てきている。これも、本当に過労死、過労自殺につながる命のデータ。こういうものを、やはり、官邸が欲しがっているデータを出したら出世できる、しかも、虚偽の答弁、証拠のまさに隠蔽あるいは廃棄をした方が、むしろ出世できる、守ってもらえる。

 こういうふうに、本当にこれは霞が関の中で、そのほかの、これまでもモリ、カケ、スパコン問題、あるいは、私は準強姦罪の疑惑についても取り上げました。さまざまな問題において、省庁のそれぞれの方が官邸をそんたくをして、そして、そんたくをした方が評価される、出世できる。場合によっては、まさに隠蔽、捏造、廃棄、こういうことをやっても、むしろその方が守ってもらえるんだ。これを佐川現象と呼んで、蔓延しているじゃないかと見られている。

 こういう状況は、財務大臣、正していくべきだと思いますが、いかがお考えになられますでしょうか。

麻生国務大臣 見解が全然違うんですが、私、役人をそんなになめたことはありませんので。

 少なくとも、役人というのは、国家公務員であるときには少なからず矜持を持って入ってきておりますので、国家のためにというので頑張る、そういった人が入ってきている。その意識はかなり意識として残られておるので、今のような現象が蔓延しているかのごとき話は、私には理解できません。

柚木分科員 麻生大臣、いろいろな方と会われたりお食事されたりされると思うんですよ。この間、総理大臣でいらっしゃるときにも、さまざまな方といろいろなホテルのバーで飲食をされる、結構ですよ。でも、普通の、麻生財務大臣は、デモに来る人は普通の市民じゃないというようなことの趣旨をおっしゃいましたけれども、本当に普通の方々も参加をたくさんされていましたし、私も、そういう皆さんを含めて地元でお話をしていると、とても、今のまさに佐川現象とも呼ばれるようなそんたくが起こっていないなどということは、多分、大臣おっしゃられないと思いますよ、そういう方々とお話をされたら。

 多分、御地元でもそういう方々、ひょっとしたら、この後、記者会見削減問題に入りますけれども、麻生大臣、そういう方とお話をなかなかなされる機会が、本当に立場の偉い方ですから、ないかもしれません。あるいは、記者の皆さんも、これは正直、いろいろな声、私も直接取材をして、いろいろな方から伺っていますけれども、なかなか麻生大臣には聞きづらい、こういう声が現実にあります。

 本当に普通の皆さんが普通の感覚で、これは副総理ですから恐れ多いと思って、なかなか本音は言えないかもしれない。だけれども、そういう対話をぜひ、副総理でもいらっしゃるわけですから、やる、そういう御努力をしていただく、そういう認識をぜひお持ちいただけないでしょうか、麻生副総理。

柴山主査 柚木君、先ほど出典が明らかでないパネルを不許可にしましたけれども、そのパネルのもととなる資料を掲示しての質問、これはルール違反です。注意をしてください。(発言する者あり)

柚木分科員 麻生副総理は雲の上の方、殿上人だと、それは実際そうでいらっしゃるかもしれないし、思われていらっしゃるわけです。これは普通の市民、国民の皆さんだけじゃなくて、メディアの方、記者の方からもそういう声が上がっているんですよ。

 ですから、もう少し自分から、雲の上からおおりいただいて、まさに本当に国民目線、納税者目線でやりとりをする、そういう対話の機会を持っていただければ、佐川現象なんてことは起こっていないなんていう答弁にならないんじゃないかと私は思うものですから、ぜひ、そういう、普通に国民目線、納税者目線で対話をする機会を持つようにぜひ認識をお持ちいただければということで、御答弁をいただけませんか。

麻生国務大臣 まず最初に、佐川現象というのは何をもって佐川現象と言っておられるのか、あなたの定義がよくわからぬのであれですけれども、一つだけはっきりさせておきたいのは、それによって役人の資質が、若しくは役人の矜持が落ちているかのごとき話をつくり上げられるのはやめた方がいいと思っています。そんな意識は、私どもの間として、全然伺ったことがありませんし、調べてみても、そのような現象が起きているというのは、少なくとも財務省の中でそのようなことが起きているという状態を、私どもには理解が全然できておりません、私自身。

 それから、新聞社の話をいろいろ言われておられるようですけれども、私も先日地元に帰っておりましたけれども、その種の話を聞いたことはありませんので。結構歩いていると思いますよ、歩いているから選挙に強いのであって、そうじゃなかったら選挙に弱いはずでしょうが。だから、そんなことでいけば、きちんと歩いているからという現実は忘れてもらっちゃ困る。いかにもないかのごとくつくり上げたいという気持ちはわからぬことはありませんけれども、それが二つ目です。

 それから、新聞記者に関して、雲の上だから質問できない、そんな人は新聞記者としての資質がおかしいですよ。新聞記者の資質がおかしい。相手が誰であろうと堂々と質問するのが新聞記者ってものだ。それじゃなければ、新聞記者として資質が問われるというのは、そちらの方だと思いますが。

柚木分科員 麻生副総理・財務大臣、そうやって今、かなり強く、まくし立てられるようにおっしゃられましたけれども、まさにそういうお話、会見でも記者の方にされますよね。そこで現場の記者が萎縮をしたとしたら記者の資質がおかしいと言われるのは、ちょっと、この後、記者会見の問題に入りますけれども、これは本当に如実に数字にあらわれていますから。

 それから、選挙区を歩かれる、すばらしいことです、結構です。私も声を聞いているつもりです。伺っている声の、どちらが本音なのか。

 副総理、偉い方だから遠慮されて、ふだん世間話、井戸端会議で言っていることを、なかなか本音をおっしゃられないかもしれないという、そんたくしているとまでは言いませんよ、国民の皆さんが、地元の有権者の方が。でも、遠慮しておっしゃられない可能性があるから、本当はちょっと、こんなことでみんなちょっと心配かけているかもしれないな、こんなふうに思っちゃっているかもしれないな、そんな感じで、まさにそれが国民目線、納税者目線でお話をされるという姿勢じゃないかと私は感じております。

 記者会見の問題に入ります。資料を繰ってください。これは四ページ目以降です。

 これは前回も同じボードです。ちょっと上のこの体裁を、麻生大臣がお気に召すように変えたつもりなんですね。データは一切変えていません。これは財務省の広報室の提供データです。捏造でも何でもありません。

 立っているか座っているかということを論点でおっしゃったので、会見室以外での会見か会見室での会見かということで整理をすれば、これは、立っている座っているじゃなくて、問題は時間なんです。時間によって、記者の皆さんの質問数、これは如実に、後ほど数字を申し上げますが、影響が出ますので。こういう状況です。

 次をごらんください。これもパネルがだめになったんですね。かざせないということですので、資料の五ページ目をごらんください。ずっと説明しますので、五ページ目を。

 これは、会見室での記者会見と、そして会見室以外での会見、つまり官邸、国会内。これは、座っていようが立っていようが、事実関係は後ほど申し上げますから。

 要は、会見室での記者会見は、一般的に、私も各クラブの方に聞きました、質問の手が挙がらなくなるまで質問できるのが一般的ということで、記者の質問権が確保されやすい、国民の知る権利に資する、そういう特徴というふうに書かせていただいております。

 他方で、この会見室以外での会見は、立っていようが座っていようが、短時間なんですね。したがって、質問も少人数になりがち、その結果、当然、相対的に見れば、会見室での記者会見よりも国民の知る権利が制限される懸念があるのではないかということで説明をしたんですけれども、これは出せないということですので、説明にとどめます。

 次をごらんください。六、これはパネルです。

 これが今のエビデンスです。ごらんいただくと、会見スタイルによって、まさにこの第四次安倍政権以降は、会見室での会見、麻生大臣わずか三%、残り九七%では会見室以外での会見、官邸、国会内。一年前を見ると、会見室での会見が一〇%、残り九〇%が会見室以外。更に一年前を見ると、何とほぼ半々に近いんです。会見室での会見が五八パー、会見室以外での会見が四二%なんです。

 で、このそれぞれの内訳も、私は全部調べました、生データを。もちろん、どうカウントするか多少は誤差があるかもしれませんが、大きな差は、それぞれ見てみても、ございません、傾向として。

 ちなみに、麻生大臣が、先ほど、これですね、ちょっと示しておられましたので出しておきますけれども、この一年度の会見のこの一〇%、九〇%の内訳を見ても、一〇%の方の会見室での会見は、平均会見時間十二・七分、平均質問回数六問。

 ちなみに、この九〇パー、会見室以外での会見を見ると、官邸におけるいわゆるぶら下がりと言われているやつですね、これは五・六分、質問は三問、国会内、まさに着座でと。だからこっちにカウントしろと麻生副総理はおっしゃいましたけれども、時間は五・九分、質問回数も三問。つまり、官邸とほぼ同じ。そして、こちらの会見室での会見と比べると、時間数は半分以下、質問も半分です。

 つまり、まさにエビデンスから見ても、会見室で会見をやるのと、そうでないのと、全く記者の質問回数、時間も変わってくる。つまりは、国民の知る権利に直結をする。この上も下もほぼ同じ傾向です。

 ですから、麻生副総理、やはり、何でこんなことをするのかと言われたときに、横に、過去の報道されたような御発言も書かせていただきました。派閥の研修会で、これはナチス・ドイツ、ヒトラーの例ですね。幾ら動機が正しくても云々とおっしゃったので、これもちょっと、撤回をされたと思いますけれども、話題になりました。あるいは、選挙に勝ったのは明らかに北朝鮮のおかげ、こういうこともありました。

 さらには、こちらを見ていただくと、まさに佐川長官が就任をされて、就任後会見をちゃんと開くように、そういう国会、国民の声が全く届かない、国会へも出てこない、こういう状況も続いている。そして、納税者一揆デモが起こり、この三月の三日の土曜日には、ついに初めて週末、納税者一揆デモが予定をされている。

 こういう中で、質問をなるべく受けないようにするというふうにどうしても見られちゃっているんです、これは残念ながら。麻生財務大臣は、いや、俺はどこでもちゃんと説明をするよと前回もおっしゃったけれども、エビデンスとして、記者の質問回数も、あるいは質問できるための会見の時間も減っているんです。

 ぜひ、麻生財務大臣、かつてのようにもう少しちゃんと会見室での会見をふやされて、そして記者の質問回数、時間も確保いただいて、そして森友、佐川隠しなどという疑念を持たれないように、まさに佐川長官にちゃんと説明責任を果たすようにという指導もいただくためにも、まずは隗より始めよで、御自身から、この二年前ぐらいの半々ぐらい、国会が開かれていないときは少なくとも会見室で開きますよ、こういう状況をいま一度実現をしていただくべくお考えをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 まず、基本的に、官邸であろうと院内着席でも、これは仕切りは幹事社だと思うんですね。私の方で仕切っているんじゃなくて、そのときの幹事社が仕切るんじゃないの。私のところでは少なくともそうなっている、財金ではそうなっているんだと思いますので、総務大臣でも、たしかそこの仕切りだったと記憶するんですけれども。

 したがって、私の方から質問を打ち切るというのではなくて、一応、終わった後、質問が出てきて、そのほかにと見回して、なければそれで終わり。立っていようと座っていようと、それは、相手に関しては全く同じものだと思っております。

柚木分科員 ですから、もちろん、幹事社が仕切りというのは、連絡室、秘書官等々、されると思いますけれども、実際、会見中に一社一問だろうというようなことを、麻生財務大臣がそういうことも発言、過去にあって、一社一問だろうと。つまり、一つの社が一問だろうと、質問回数。

 そういうことも含めて、要は、手が挙がるまで、更問いも含めてですよ、ほかのクラブでもされていますから、やはり、なるべく記者の皆さんも質問しやすい、そういう環境を、副総理でいらっしゃるし総理経験者でいらっしゃるからこそ、まさに率先してつくっていただいて、そして、十一月の一日以降、全く会見室での会見が行われておりませんので、国会が開かれていないときは、ほかの閣僚のデータも全部見ました。ごらんください。ちょっと二枚、両方見ます。これです。両方ごらんください。

 これはまさに、閣議後会見のうち、会見室における会見の占める割合は、麻生財務大臣三・二%、平均五九%です。河野外務大臣だけちょっと低いんですけれども、調べたら、外遊中であることがかなり含まれていました。ですから、この四・八というのはかなり上がると思います。

 したがって、際立って麻生財務大臣が、閣議後会見、会見室における割合が低いんです。ほかの方の二十分の一ぐらいなんです。これも真っ黒、黒塗りじゃないですか。十一月一日だけですよ。国会が開かれていないときはみんなやっているんです、会見室で。

 ですから、ぜひ、まさに副総理・財務大臣だからこそ、率先して情報開示、そのためにも会見をもう少し、会見室でやる割合をふやす。こういうエビデンスがあるわけですから、ぜひ、見直して検討したいぐらいのこと、一言御答弁をいただけませんか。

麻生国務大臣 他の閣僚の会見の内容等々、場所について私は全然知りませんけれども、あえて言わせていただければ、副総理とかまた金融担当とか財務大臣とか三つぐらい兼ねておりますので、そういった意味では、国会とか官邸に滞在する期間は、私は他の閣僚に比べて多いと思いますね。

 当然のこととして、私どもとして、安全保障の分野まで最近はふえてきていますので、そういった意味では、いわゆる外部の講演等々に応ずる機会もふえておりますので、財務省の建物の中にこもっているわけじゃありませんから、そういった意味では、ある程度時間というものを効率的に使わせていただこうということになると、会見の場所につきましては、私どもとして、効率的なことを考えれば、その場所に近いところで会見させてもらうということになろうと思いますので。別に、状況の結果にすぎないのであって、不自然との御指摘は、私には理解いたしかねるというところです。

柴山主査 以上で質疑時間を終了といたします。

柚木分科員 終わります。ぜひ、裁量労働制を含めて、佐川現象、そんたく政治を正すべく、財務大臣にも率先してのお取組をお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

柴山主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、早稲田夕季さん。

早稲田分科員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 質問の機会をお与えいただきまして、理事、皆様に感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 私も、森友学園の問題、現地調査をさせていただいた中で質問を順次させていただきたいと思うわけでございますが、先ほどの森山委員の質疑の中で、三百ページにわたりますリーガルチェック、法律相談の文書が新たに出てまいりました、これについて再調査をするのかという御質疑に対して、これは参議院から出たものだからという御答弁がありました。

 これは、参議院のところから資料請求が出たから、参議院がそれでは請求をすればこのことについて再調査ができる、そういう理解でよろしいでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほどの御質問、先ほどの森山委員の御質問に大臣がお答えになられたということですが、大臣のおっしゃられたことは、恐らく、今回の会計検査院の検査というのは……(発言する者あり)済みません。申しわけありません。それは失礼いたしました。

柴山主査 場外からの発言は御遠慮ください。

 局長、答弁を続行してください。

太田政府参考人 はい。恐縮です。

 会計検査院の検査というのは、参議院からの要請があってということでございました。なので、そういうお答えをさせていただいたということだと思います。

 その上で、基本的には、法律相談文書、御質疑は、会計検査院の検査の一部は前日、それから一部は検査院の報告書が出た後ということでしたので、それとの関係でということだと思いますが、会計検査院が再度検査をしないといけないかどうかというのは、会計検査院の判断だと思っております。

 会計検査院は、明確にお答えはなっておりませんけれども、そこは慎重に考えるというような趣旨の御答弁が今まであったというふうに私は承知しております。

早稲田分科員 恐らくということはどういうことなんでしょうか。

 大臣にお尋ねしたいと思います。これは、参議院の方からあれば再調査を検討していただくという理解でよろしいですね。

麻生国務大臣 仮定の質問に対してはお答えいたしかねます。

早稲田分科員 それでは、これは私たちの手元にも来ております。でも、衆議院でこれを要請するということができない、そういう意味でしょうか。では、今、仮定ではないけれどもとおっしゃいましたけれども、参議院で仮にあれば再調査を検討していただけるという理解でよろしいですね。

麻生国務大臣 今お答えいたしましたとおり、そういう仮定の質問にはお答えいたしかねる。このところでは、こうなればどうでしょうかという、たらればの話に対しては私どもとしては答弁いたしかねるとお答えすることになっております。

早稲田分科員 それは少しおかしいと思います。私は少し理解ができません。

 それから、私、二月二十日に、森山議員、ほかの皆様と、森友学園問題についての調査チームとして近畿財務局に訪問をさせていただきました。このことについては事前に御連絡をさせていただいたにもかかわりませず、残念ながら御担当の方からは御対応がいただけなかったということです。さらに、先ほども局長が答弁されておりましたけれども、このことについては一元で財務省本省でやるから全てお答えできないというお話、さらには、近畿財務局内に立ち入ることさえもできなかった。

 これについてはどのように御説明されるんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど森山委員の御質問に対してお答えを申し上げたとおり、基本的に財務局は地方支分部局でございまして、財務省の仕事を分掌して持っております。

 国会は国権の最高機関として活動されておられて、その国会において財務省として責任を持ってお答えするのは基本的に本省の役割だということで対応させていただいております。近畿財務局のいろいろなことについては、近畿財務局から資料ももちろん確認をいたしますし、職員本人にも確認をした上で御答弁を申し上げて、御説明を申し上げているというのが基本的なスタンスでございます。

早稲田分科員 国会での議論はわかりますが、現地調査ということもできないということなんですか。なぜなんでしょうか。

 まだ国民の中では八割、七割、この佐川前理財局長は説明をするべきだ、そういうFNNの調査もございます。私たちはそういう国民の声を代弁する形で、やはり答えは現場にあるということをずっと思ってまいりますのでこれをやらせていただいたということだけれども、中にも入れないというのは余りにも上からの圧力が強過ぎるんじゃないでしょうか。隠蔽体質そのものだと私は思いますが、いかがでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現地の確認、あるいは現場の確認ということで、現場でどうやっているのか、あるいは現地でどうやっているのかということも、それぞれお問合せがあれば我々はお答えを申し上げております。

 そういう意味で、それをもって隠蔽云々と言われると、私どもとしてはそんなつもりはなくて、これまでもいろいろな質問に誠心誠意お答えをさせていただいている、そういうつもりでございます。

早稲田分科員 つもりはなくても、国民はそういうふうに思っておりません。だから、佐川前理財局長の証人喚問を求めていることに八割の方が賛成、そして、それを必要ないと言っている方は一割です。このことをもっと真摯に受けとめていただきたいと思います。丁寧に御説明をされているとおっしゃるけれども、いつも答弁の繰り返しで、何も前に進んでまいりません。そして、リーガルチェックだって、あったのに今まで出してこない。そういうことの繰り返しでこれまで来ているのではないでしょうか。

 次の質問に移ります。

 ごみの問題でございますが、ごみについてですけれども、これは一回目のごみ、二回目のごみとございますが、まず、三月十四日に、新たなごみが見つかったということで、近畿財務局、航空局、こちらが現地調査をされております。この写真はその後の写真でございますが、五月でございますのでほとんど二カ月ぐらいなわけですが、この写真につきましては豊中市の木村真市議から御提供いただきました。

 そして、これを見させていただきますと、一回目のごみなのか二回目のごみなのかこれはわからないと多分おっしゃるので、ここの質問はしませんけれども、大きさを見た場合、大体高さが三、四メートル、そして幅が二十から四十。これを掛けますと、一つのビニールシートがかかっているところが二千四百立方メートルで、二つですから四千八百、そしてまあ五千トン程度かな、そういうことがこれでもよくわかるわけなんです。

 それで、五千トンということになりますと、航空局の方で算出をした一万九千幾つ、まあ二万トン、これは、どこにごみは行ってしまったのでしょうか。なぜなら、五月二十三日はそういうことでまだ基礎の段階ですけれども、十月二十五日にはもうほとんど全てにビニールシートがかけられておりまして、これについて、もう、反対側の北側では校舎の基礎部分、そしてまた躯体部分も立ち上がっております。そうすると、その二万トンと言われたごみはどこに消えたのか。そのことについてはどのように御説明されるんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員から事前にいろいろ御指導いただいておりますので、そういう意味で、私は理解をした上でお答えできると思いますが、一回目のごみ、二回目のごみというのは普通はわからない言葉だと思いますので、私なりに理解するところをお話しさせていただいて、それでよろしければ続けて御答弁をさせていただければと思います。

 委員のおっしゃっている一回目のごみというのは、要すれば、平成二十八年の三月に新たな地下埋設物が発見される前の段階のときに、要するに平成二十七年の秋の段階において把握しようとしていたごみ、ただし、恐らくそのものが、それは逆に言えば三メートルより浅いところにあった地下埋設物ということだと思いますが、それを全部取り切っていたわけではないので、その残っているものがあるだろう、それを一回目のごみというふうな表現でお使いになられているというふうに承知をしております。

 その上で、お答えを申し上げます。

 委員から御指摘のありましたこの写真、パネルで示されておる写真は、委員のお話にありましたように、委員の言われる二回目のもの、要すれば平成二十八年の三月以降、ただし、二回目というのは今ほど申し上げましたように三メートルより深いところという意味でおっしゃっておられるのかもしれませんので、そういう意味では、一回目と二回目ということで、それは混在しているんだろうというふうに答弁するんだろうと思うけれどもと言われましたが、それはおっしゃるとおりで、基本的には、この青いビニールシートで囲まれている部分は三メートルより浅い部分もあれば三メートルより深い部分もある、双方の地下埋設物のものがそこに積み上げられているというふうに解釈いたします。

 その上で、委員の推定されている数量がそれで正しいかどうかは私にも必ずしもわかりかねますが、いずれにせよ、大阪航空局において算定した二万トン弱というものは地下にあるというふうに想定をして、その撤去費用が必要だといって積算したものであります。

 実際上、その工事においてどれだけのものを撤去して、どういうふうに工事をするかというのは、一定の価格、それだけ地下埋設物があればその土地の価格は値段が下がるわけですけれども、その上でどうするかというのは基本的には先方の事業者の判断、これも基本的には事業者の判断ということだと思いますが、仮に地下埋設物を撤去しないで残しておけばいろいろな意味で後々悪影響が生じるおそれがある、その分はある意味では買った側あるいは小学校を建設する側の事業者がその分を負わないといけないので、そこまで含めて土地の価格というのは算定をしておるということだと考えております。

早稲田分科員 そういたしますと、二万トンのごみは搬出しなくてもよいということなんですね。あくまでも土地の評価額を出すために、これだけのごみがあるから値引きをした。評価額なんだと。二万トンのごみを搬出しなくても、その所有者がその責任を後々負うんだから、それは別に、こちらとしては、財務省としては関知しない、出しても出さなくても。だから、五千トンのごみしかなくて、それしか搬出していないように考えられます。実際、産廃業者の市に出したごみの搬出量を見ても、全然、十分の一以下なんですよ。そういうことを見ても、とても搬出しているようには思えない。

 だったら、また埋め戻しているのかということになりますけれども、それは、それからまた積み上がってもいないけれども、そして瓦れきなんかも全然見えないわけですよね、コンクリートがらとか、こんなものはないですから、生活ごみはあったかもしれませんけれども。それでも、土地の評価額のための試算だから、二万トンあろうがなかろうが、搬出しようがしまいが関係ない、そういうことですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 言葉の使い方の問題かもしれませんが、関係ない、関知しないという言い方をされると、非常にとがった感じの受けとめになると思っております。

 基本的には、我々が算定したのは、これから先の、その小学校を建てること、建物を建てることだけではなくて、その後の小学校を運営するに際してのマイナスになるものは、それは貸付けの段階ではなくて買っていただくという段階なので、もはや恒久的に先方のものになるという状況のもとで、それをどう評価するかということで算定をしておるということでございます。

早稲田分科員 よくわからないんですけれども。

 それでは、一月に情報開示した資料のうち、平成二十八年三月二十四日「廃棄物混在土壌の残存について」という表題の文書によりますと、一回目のごみの撤去を請け負った産廃業者が七月から十二月にかけてごみの撤去作業を行っておりますけれども、途中で近畿財務局の職員に対して、ごみが多過ぎて搬出できないけれども、搬出が非常に高額になるけれども予算はあるのかと尋ねて、財務局職員はないと答えています。そして、このことについて、産廃業者はしようがないので埋め戻したとうかがわれるわけですけれども、二月二十一日の衆議院の財金委員会の御質疑で理財局長が、この産廃業者が生活ごみを埋め戻したことを職員も知っていたということをお認めになっています。また、地下三メートルの埋設ごみとくい打ちの際に出てきた九メートルの間の埋設ごみが混在していたということも、今も御答弁されましたけれども、お認めになっています。

 それでは、平成二十八年の三月に森友学園が新たに埋設ごみが出てきたと近畿財務局に抗議をした際に、どうしてその職員の方は、これは前のごみを埋め戻している、生活ごみが埋め戻されたということを御説明されなかったんでしょうか。

太田政府参考人 申しわけありません。最後の、説明されなかったんでしょうかというのは、説明というのは、誰が誰に対して説明をされなかったんでしょうかというふうに委員がお尋ねか、ちょっと私には、申しわけありません、わからなかったんですが。

早稲田分科員 学園側から、くい打ちをしたときにごみが新たに出てきたと。そのときに、近畿財務局の職員が学園側に、前のごみを埋め戻している部分もあるんだということの御説明を、だって、混在しているかもしれないわけですから、そのごみかもしれないわけで、新たなごみではなかったかもしれないということでやはり説明をするべきではないですか。

太田政府参考人 済みません、わかりました。

 委員のおっしゃる一回目のもの、要すれば、三メートルより浅いところで、二十七年の秋のときに処理をしていた。埋め戻したという表現をされると、そこもまたちょっととんがってしまってあれなんですが、基本的には、三メートルより浅いところにあった地下埋設物について撤去したのは主としてコンクリートがらといった類いのもので、全てのものを撤去したわけではない、どれだけやるかは事業者の判断よということで、全てのものを撤去しているわけではないということは近畿財務局の方も承知をしておりました。

 その上で、三月十一日に先方から連絡があって、三月十四日に初めて現地確認をしておる。今ほどの委員の御質問は、だけれども、そのときに三メートルより浅いところに残ったものがあったんだから、そのことについて近畿財務局の職員は先方に、森友学園側ということだと思いますが、説明すべきではなかったかというお尋ねだと思いますが、私ども、その真偽そのものは必ずしも我々にわからないと言いつつ、音声データと称されているものについてお答えを申し上げていますが、音声データと称されているものを聞く限り、少なくとも、三月の十一日に発見されて、それ以降かっていうときに、どちらかというと三メートルより浅いところに残っていた、それが問題だと。

 残っているじゃないかというのは、先方が残っている残っていると言われて、こちらが残っているという説明をするまでもなく、先方の特に籠池理事長は残っているということを強烈に主張されておりましたので、そういう意味で、三メートルより浅いところの分が残っているということを私どもが説明しなくても、先方はもうそれを前提として話をされておったというのが実際の実情だというふうに承知をしてございます。

早稲田分科員 いや、そうであっても、九メートルのくい打ちをして、更にごみがあるという言い方をしていますよね。それが三メートル以内であろうと、くいを打ってそれをまた戻すわけですから、当然三メートル内のごみだってひっかかってくるわけですけれども、そこで前のごみをそのままにしていた可能性もあるわけじゃないですか、事業者が。そういうことですよね。それは間違いないですね。

 だといたしましたら、そのことを近畿財務局の職員は伝えるべきではなかったのですか。そのときに埋め戻している可能性もあるんだ、全部、たくさんの費用になるから、財務省としては予算がないから全てを搬出することはできないと答えているということはおっしゃるべきではなかったんですか。だったら、新たなごみではないはずです。もともとそこに埋め戻しているし、三メートル以内のごみだったらなおさらのことではないですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、三メートルより浅いところにあるものが残っておったということはこちらも承知しておりましたし、先方も盛んにそういうことを主張されておられたということがまず一つの前提だと思います。

 その上で、九・九メートルまでくい打ちをしたときに、そのくい打ちの先端にまで絡まるほど出てきたというのは、基本的に、先方がそういうことを言われ、その現地を確認させていただいているということでございましたので、私どもとして、先方が承知していることは承知しているとして、その他のところについて事実確認をしていたということだと思います。

 最終的に、地下埋設物の量を積算するときに、三・八メートル、大宗は三・八メートルという深さで積算をしておりますので、ということは〇メートルから三・八メートルということですので、三メートルより浅いところに相当あるということを前提にしてその積算がなされておる。それを我々も承知していますし、先方もそれを承知した上でそういう撤去費用の積算がなされているということだと承知をしております。

早稲田分科員 三・八メートルで積算をしているとおっしゃいますけれども、その積算方法も会計検査院から指摘を受けていますよね、この積算方法でどうなんだ、多過ぎるのではないかと。会計検査院は、航空局が試算をされた三割ぐらいですよ、ごみの量も。そこだってきちんと説明をされていない、自分たちはこういうやり方だけれども、会計検査院は違う手法でやられたというような。それで、今回は航空局がやったけれども、今度は、次回からは専門の業者にやらせますというように、いろいろな運用を変えていらっしゃる。

 でも、それは、今のやり方、この間のこの件のやり方は間違っていたということじゃないですか。文書管理法や何かも全て運用を変えていらっしゃるけれども、それは誤りがあったから変えるわけで、その誤りがあったという責任は誰がとるんですか。そこを私は伺いたいんです。いかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省大阪航空局が積算をいたしました地下埋設物の一万九千五百トンだったと思いますが、その計数について会計検査院は、今ほど委員は三割ぐらいだとおっしゃられましたけれども、三割ぐらいのものもあれば、一番大きいもので七割ぐらいということで、いずれにせよ、いろいろな計算の方法があって、一つとは定めがたいというのが結論だったというふうに承知をしております。

 その上で、委員御指摘のように、今回、ある意味での、財務省ではありませんが、同じ政府の中の国土交通省の大阪航空局に試算をしていただいた、それがこういう疑念、いろいろな問題を招いたということを踏まえて、今後、第三者にやっていただこうというふうに変えようということにいたしました。それはもちろん、おっしゃるとおり、これだけ国会でも議論をされ、いろいろな意味での議論を招いたという状況を踏まえて、そこのところを、どうしたらよくなるかということで、こういうことをした。

 我々の責任とすれば、もちろん今回のこの案件もありますけれども、この案件も含めて、我々とすれば、会計検査院の指摘あるいは国会の議論も含め、これから先、我々として、国民の皆さんにいろいろなことを言われないようにする、疑念を持たれないようにするということが我々の仕事、責任の果たし方だというふうに思ってございます。

早稲田分科員 何か国民が疑念を持っていること自体が違うみたいな、そんな言いっぷりですね。疑念を持たれていることの疑念を払拭できないからこれだけ長引いているのではないですかということを申し上げているんです。

 それでは次に進みますが、私は理解できないけれども、このごみについて、じゃ、一万九千五百トンですか、これについて瑕疵があるのかどうかということです、財務省として。

 これは、確かにごみというのは出てくるから、いろいろな判例が出ております。くい打ちの際にそれが支障になってくい打ちができないとか、建物が建てられないというようなことがあれば瑕疵を認められています。これは昭和五十九年九月二十日の判例で出ておりますけれども、神戸地裁ですね、鉄筋三階建ての分譲マンションをやるときに、地下にビニール等の廃棄物が混入していたとしても、くい打ち工法により予定どおりマンションを新築して買受け目的を達している、だからこれは瑕疵は認められませんというふうに判決が出ております。

 まさにこの写真を見ていただければわかるように、十月二十五日にはもう躯体ができておりますし、翌三月一日には立派な建物ができている。私も拝見してまいりました。そうすると、何も支障がなかったということになるわけで、瑕疵があったとどのように証明されるんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員一つの判例を挙げられましたけれども、いろいろな判例を勉強すると、いろいろな判例があるというふうには承知をしています。

 その上で、やや一般的なお答えで大変恐縮ですけれども、本件は、基本的には売り主は国で、買い主はこれから小学校を建設するという学校法人です。

 この議論は、今になってみると、皆さん、国会の議論もそうですけれども、相手方が森友学園であり籠池前理事長夫妻であり、私はそんなことについて申し上げられませんが、いろいろな意味でその相手方についての一定の意識を頭の中に描かれてお話がされているというふうに思います。

 ですけれども、この事態が起きたときには、大阪府の認可を受けた学校法人なわけです。基本的に認可を受ける、そういう学校法人を前提、小学校をつくるという学校法人を前提、それが買い主だということです。

 そういたしますと、一つは、まず買い主の側の事情で、相手方が小学校、そこには、小学校にこれから児童生徒が通う。今の我が国を取り巻く環境からすれば、小学校の児童生徒の方にいろいろな意味での悪影響が生じるということに対しては大変厳しい世論の目が、世間の目があるというふうに思っております。

 一方で、売り主の国の方は、売る側の方とすれば、最も詳しくいろいろなこと、基本的には売り主の側に責任が大体持たされるんですが、売る側の国は、そういう中でも、ある意味で、特に国はある程度たくさんの国有地を持っていて、オール・ジャパンで見れば相当の土地を売っているわけですから、要するに非常に土地を売ることに対してたけている専門的な人間である、しかもそれだけの責任を持っているということですから、売り主に対して大変責任を重く考えられるというのが一般的だと思います。そういう中で、本件がどういう扱いをされるかということで考えなきゃいかぬというのが国の立場だろうというふうに思ってございます。

早稲田分科員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、売り主の責任は重い、それは当然だと思いますが、リーガルチェックの中でも、これだけ無理難題を言われて、もう貸さなくてもいいのではないかというような文書まで入っているんですよ。そういう普通のお相手ではなかったわけですね。

 それから、今、大阪府の方で認可を受けたとおっしゃいましたけれども、一回は延びているじゃないですか。附帯意見もついていますよ。これも異例のことだったんです。何かの力が働いたのかよくわかりませんけれども。そういう中でのこれは契約だったのではないでしょうか。

 次に進みます。売買契約解除後の土地についてです。

 売買契約が、現在、森友学園用地については二十九年四月一日付で解除となっておりまして国交省に土地の所有権が移されておりまして、また、工事事業者である藤原工業の方では建物の留置権を有しているようであります。

 こちらは森友の管財人と藤原工業、国の三者で土地の扱いを協議中と伺っておりますので質問いたしますが、まず、この契約解除に伴い国有財産に戻った当該地は、現在帳簿、台帳にあるんでしょうか。そして、評価額はどのようになっておりますでしょうか。また、売却代金もあわせて、確認の意味でおっしゃっていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 現在の土地につきましては先生御指摘のとおり国の方に返還をされておりますけれども、国有財産台帳というのがございまして、そちらの方に所在や価格などを記載しなければいけないということになっております。この国有財産台帳上の価格は約七億六千万円となっております。売買代金の方は一億三千四百万円ということでございます。

早稲田分科員 七億六千万円って、どういうことなんでしょうか。これは国が一億三千四百万円で売った土地ですよね、しかもごみが入っているからということで。それなのに、何で七億になるんですか、戻るんですか。九億とは言わないまでも、ほとんどそちらに近い額になっておりますけれども。

 それでは、重ねて伺いますが、これまでの森友学園との交渉経過ということはなかったということなんですね、もとに戻ったんですから。ごみはなかったということになりますが、いかがですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 国有財産台帳上の金額というものは、実務上、相続税路線価に基づいて算定をされているところでございます。そういう意味で、本件土地につきましても相続税路線価に基づいて算定を行っておりまして、その価格が約七億六千万円ということになってございます。

早稲田分科員 今、もう一つ御質問させていただいています。交渉経過はあったのか、契約解除に伴って交渉経過もなくなるのか、チャラになるのか、ごみもなくなるのか、それを伺っています。

和田政府参考人 本件土地は買戻しということでございますので、そういう意味では契約前の状況に戻ったということでございます。そういう意味で、本件土地の売却前の台帳価格と同様の約七億六千万円という記載をさせていただいておるところでございます。

早稲田分科員 それはおかしいでしょう。だって、交渉経過の中でごみはあったということになっているんですから。それから、先ほど申し上げました、理財局長、二万トンのごみがあっても、これは評価額だから、これを撤去するか搬出するか、それは関係ないけれども、評価としてはその実際の価格なんですと。だったら、国に戻った途端に何で路線価でやるんですか、実際の価格が出ているのに。だったら、帳簿、台帳の信憑性が疑われます。こんなことをほかもしていらっしゃるんでしょうか。

 まさに売買契約がない土地については路線価でやられると思います。でも、これは、売買契約をして、これが解除になって、そしてその中でいろいろなこれだけの疑念が出てきている中で、ごみがあるということで一億になったわけですから、きちんとその価格に訂正をしていただかなければ納得できないと私は思いますが、いかがですか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 本件土地につきましては、売却後に校舎の建設工事が行われるなど、見積り当時とは状況が大きく変わってございます。したがいまして、本件土地についても、具体的な金額というのは必ずしも明らかではないというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、国有財産台帳の価格につきましては、実務上、相続税路線価に基づいて算定をされているということでございますので、そのような形で記載をさせていただいているところでございます。

早稲田分科員 契約前に戻るということは、じゃ、一切のいろいろな交渉はないわけですか。なくなっている、そういうことですか。ごみがあったかないかも関係ない、契約前なんだから九億に近い七億に戻るんだ、路線価なんだと。

 それでは、これだけやってきたいろいろな交渉、ごみがある、ないと会計検査院までやって、そういうことが全てなくなるという理解なんでしょうか。評価額とさっきおっしゃっていますよね。二万トンのごみのことは別に搬出云々は関係ない、だけれども評価なんだ、だから、その所有者、その当時は学園ですけれども、そちらの額としては一億三千万なんだと。

 でも、それが契約前に戻ったからといって、なぜ路線価にそれが変わるんですか、実際の価格があるのに、売却した代金があるのに。それは絶対におかしいです。そんなことをしていたら、帳簿上でやっていること自体もおかしくなります。訂正を求めます。

柴山主査 和田次長、質疑時間が終了しているので、わかりやすく、簡潔に御答弁ください。

和田政府参考人 本件土地の扱いにつきましては、現在、森友学園の管財人との間で土地や存置されている建物の取扱いなども含めましてさまざまな交渉中ということでございますので、そういう意味で、その中で適切な評価がなされるものと認識をしております。

早稲田分科員 終わります。ありがとうございました。

柴山主査 質疑時間が終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 おはようございます。よろしくお願いします。

 時間が三十分しかないので、そしてたくさん教えていただきたいことがございますので、さくさく動いていただいてよろしいですか。

 まず、平成二十八年度の補正予算で百二十億円の予算が組まれた、財務省の方で予算化をされた、NexTEP、産学共同実用化開発事業の緊急募集の事実関係についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 この緊急募集は、補助金詐欺、そしてまた脱税でも逮捕、起訴されている、経済財政諮問会議のその下にある会議体のメンバーでもあった斉藤さんという方が代表取締役を務めていたエクサスケーラー社というところに六十億円の枠の融資を設けたものというふうに聞いておりますけれども、六十億円とはすごい金額だなと思いますが、この融資は五回にわたって行われたというふうに聞いておりますが、それぞれ、いつ、幾ら融資が行われたのか、御説明をお願いします。

真先参考人 お答えいたします。

 NexTEPは融資型の委託開発事業でございますけれども、開発費の限度額の範囲内で、開発実施企業からの請求に基づき開発費を段階的に概算で支払いしてございます。

 委員の御指摘のとおり、概算払いにつきましては五回に分けて支払いを行ってございます。その時期と金額でございますけれども、まず一回目でございますが、平成二十九年一月二十六日、これが八億二千六十万九千円でございます。二回目でございますが、平成二十九年二月二十二日、九億九百五十二万一千九百八円。三回目でございますが、平成二十九年三月二十九日、十二億一千二百万ちょうどでございます。四回目、平成二十九年四月二十六日、十六億七千八百八十万ちょうどでございます。五回目でございますが、平成二十九年六月二十八日、これが五億九千九百二十万ちょうどというふうになってございます。

 以上でございます。

川内分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、このNexTEPの産学共同実用化開発事業、平成二十八年度の補正予算で組まれた緊急募集にベンチャータイプというものができたと。ベンチャータイプというのは、この平成二十八年度補正が初めてであったということでよろしいですね。ちょっと確認だけ。

真先参考人 事業としてベンチャータイプという名前のついたのは、これが初めてでございます。

川内分科員 エクサスケーラー社はこのベンチャータイプに応募したということですよね。

 もう一回、済みません、確認だけ。はい、そうですと言って。

真先参考人 もう一度答弁いたしますけれども、エクサスケール社はこのベンチャータイプの事業に応募なされ、私どもが採択をしたということでございます。

川内分科員 この五十二億円の融資には五十二億円の現金の担保を徴求しているということですけれども、それでよろしいでしょうか。

真先参考人 このNexTEP事業につきましては、貸倒れリスクを防ぐということで、開発実施企業の財務状況によっては開発開始時に担保の差し入れを求めるというふうにしてございます。

 エクサスケール社につきましては、これに該当するということで担保を求めているところでございますが、その担保の種類につきましては預金であるということでございまして、これはエクサスケール社の判断によるものというふうなことでございます。

川内分科員 ベンチャーというのは、お金は持っていないけれどもアイデアや技術があるよ、あるいは優秀なエンジニアがいるよというのがベンチャーというふうに僕らは一般的にイメージするわけですけれども、五十二億円も現金を持っているんだったらわざわざ融資を申し込む必要もないんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうなんでしょうか。

真先参考人 ベンチャーの資金調達のやり方については、多分、いろいろあろうと思います。

 そのときの状況によって申請がされ、私どもはそれを確認して、採択する、しないというのを判断して、審査をして、それで採択する、しないを決めるということでございます。

川内分科員 ちなみに、今回の事件に関して、JSTは、検察あるいは司法当局の捜査あるいは事情聴取というものはお受けになっていらっしゃらないんでしょうか。

真先参考人 御質問の内容につきましては、捜査当局の活動に関することでございますので、私の方からお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

川内分科員 その五十二億円の融資の支払い先、融資を申し込むに当たって、その申込書のことを課題提案書というふうにJSTさんの方では呼んでいらっしゃるようでございますけれども、その融資の申込書、課題提案書の外注先及び外注内容などに示されたものの中に、斉藤さんのグループ企業、ペジー社という名前が最近よく出るわけですが、斉藤さんというのは、このペジー社、ウルトラメモリ、ディープインサイト、インフィニティーキュレーション、それからエクサスケーラー、たくさんの会社を何かかかわっていらっしゃったようなんですけれども、こういう、斉藤さんが経済財政諮問会議などに報告をされている資料に載っている会社五つが、支払い先あるいは外注先などに入っていたのでしょうか。

真先参考人 NexTEP事業に関します今の外注先の話でございますけれども、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、この規定にのっとりまして、特定の個人を識別することができるものや、特定の企業又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものなどに該当する情報を除いて開示情報としているところでございます。

 外注先につきましては、これを公にすることにより、当該企業の開発内容等が推測されるおそれがあるというふうに考えてございまして、これが当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるということから、私どもといたしましては、不開示情報に該当するというふうに考えてございます。

川内分科員 斉藤さんのエクサスケーラー社は、去年の十二月まで斉藤さんが社長さんで、ペジー社も斉藤さんが社長さんなんですけれども、斉藤さんが斉藤さんに幾ら外注して支払ったのかということを言えない、今、こうおっしゃったわけです。

 さらに、エクサスケーラー社のホームページには、エクサスケーラーがつくるコンピューターの部品は、ペジー社の優秀な部品を使っているよというふうに広報をしていらっしゃるわけで、エクサスケーラーの外注先がペジー社であるというのはホームページに出ているんですけれども。

真先参考人 もう一度回答させていただきますが、課題提案書に記載されております、いわゆる外注先についての情報でございます。これにつきましては、同じ答弁になりますけれども、不開示の対象となるというふうに考えてございますので、その点、御理解賜れればと思います。

川内分科員 また、今後ゆっくり明らかにしていただくことになろうかと思いますが、エクサスケーラー社、ペジー社の資本金の額、株主構成というものは把握していらっしゃいますか。

真先参考人 お答えいたします。

 NexTEP事業のいわゆる申請会社でございますが、エクサスケール社につきましては、この資本金は、申請当時でございますけれども、十四億五千三百万円ということでございます。

 株主構成につきましては、審査の過程で情報を入手してございますけれども、開示情報ではございませんので、その点、お答えは控えさせていただければと思います。

 その他の社につきましては、私どもの方からお答えする立場にないというふうに存じ上げております。

 以上でございます。

川内分科員 申請当時十四億五千三百万円って、こんなにでかい資本金の会社がどこがベンチャーなのかよくわからないですけれども、おいおいまたいろいろ教えていただければというふうに思います。

 さらに、十月の緊急募集の際は、公募が十月十二日から始まっているわけですけれども、エクサスケーラー社は事前に相談をJSTとされていたというふうに思いますが、それは八月ぐらいから事前相談が始まっていたということでよろしいですか。

真先参考人 エクサスケール社からJSTへのいわゆる事前相談でございますけれども、これは八月と九月に合計三回ほど面談を行ったというふうに聞いております。

川内分科員 ベンチャータイプをNexTEP事業でつけ加えたのは、この平成二十八年度補正が初めてである。公募は十月に始まるわけで、それ以前に事前相談ができるというのは、何らかの情報なり、あるいは紹介なりということをエクサスケーラー社はJSTに対してしてもらっていたのではないかというふうに思うんですが、事前相談に来たときに、中身は別ですよ、中身は別だけれども、どなたかの御紹介でJSTの方にいらっしゃったんでしょうか、エクサスケーラー社の斉藤さんは。

真先参考人 事前相談のいわゆる経緯でございますけれども、これも、残念ながらちょっと私どもの方では詳細を承知してございません。恐縮でございます。

川内分科員 事前相談の経緯については承知していない。

 事前相談をしたのは八月と九月で合計三回だが、事前相談の経緯を承知していないというのはどういうことなんですかね。

真先参考人 これは、エクサスケール社が事前相談しようということを思われた経緯というふうに理解しておりますけれども、どなたかのアドバイスなのか、御自身で情報を集められたのか、その点の経緯は、私ども、よく承知していないということでございます。

川内分科員 では、誰かから紹介があってJSTに来たわけではないということなんですか。

真先参考人 そこについて、私どもの方で承知していないということを申し上げております。

川内分科員 これからおいおい、またいろいろ教えていただこうというふうに思います。理事会等でも、この決裁についてはいろいろ御議論があったやに聞いておりますので、理事長さんなども本委員会にお運びをいただいて、また事情について聞かせていただければというふうに思います。

 では続いて、森友学園の問題についても聞かせていただきたいというふうに、教えていただきたいというふうに思います。

 二月二十一日の財務金融委員会の答弁では、法的な相談の記録については、個々の検査の必要に応じて提出等を求めることもあるというふうに会計検査院長さんがお答えになっていらっしゃるわけですが、近畿財務局における過去の国有地の売却、貸付けに関する検査、森友学園以外ですよ、森友学園以外で、近畿財務局における過去の国有地の売却、貸付けに関する検査で、法的な相談の記録の提出を求められたことが検査院さんとしておありになられるでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院の行う検査におきましては、どのような資料の提出を求めたかなどの検査過程に係る情報につきましては、特定の検査事項に対する具体的な検査の着眼点等の検査上の秘密に属する情報を含むものでございますことから、お示しすることは困難でございます。

 情報公開法におきましても、国の機関が行う事務に関する情報であって、公にすることにより、検査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがあるものにつきましては、不開示情報とされております。

 したがいまして、報告書において概括的に記載いたしました以上の、どのような資料の提出を求めたか、あるいは、どのような事項について説明を求めたかなどの検査過程に係る情報につきましては、お示しすることは困難であることを御理解いただければと思います。

川内分科員 理解はしませんけれども、示さないとおっしゃられるのであれば仕方がないということですが、会計検査院さんは、昨年七月二十日の財務本省会計実地検査において、会計検査院法第二十六条に基づく資料の提出の求めやあるいは説明の求めを、説明を求めますからねということを財務本省に対して行っていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 一般的に、会計検査院は、検査の実施に当たりましては、関係書類の提出を受け、その内容を確認するとともに、口頭等による説明を受けまして、会計経理の妥当性について検証を行うための必要な事実を確認してございます。

 お尋ねの昨年七月の財務本省会計実地検査につきましても、資料の求めや説明の求めを事前に行っているところでございます。

川内分科員 近畿財務局及び大阪航空局は、くい打ちの工事において新たな廃棄物混合土が確認されたとしているわけですが、会計検査院さんは、これが新たな廃棄物混合土であるというふうに判断をしていらっしゃいますか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 近畿財務局及び大阪航空局が確認したとしている新たな廃棄物混合土につきましては、報告書において、本件土地に埋設されている廃棄物混合土は、森友学園が行った対策工事において撤去されていないため、近畿財務局及び大阪航空局が確認した廃棄物混合土が既知の地下三メーター程度までの深度のものなのか、くい先端部の地下九・九メーターの深度のものなのかについては確認することができなかったと記述しているところでございます。

川内分科員 昨年四月の近畿財務局会計実地検査の際、行政文書の管理状況について、近畿財務局総務部に対して検査を実施されましたか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 昨年四月に、近畿財務局におきまして、学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する行政文書の管理状況につきまして会計実地検査を実施しておりますが、具体的にどの部局に対しましてどのような検査を実施したかなどの検査過程に係る情報につきましては、特定の検査事項に対する具体的な検査の着眼点等の検査上の秘密に属する情報を含むものでございますことから、お示しすることは困難であることを御理解いただければと思います。

川内分科員 近畿財務局総務部の中に、統括法務監査官セクションがあって、そこに書類が保存されて、保管されていたわけですから、そこに対する検査をされたのか、されなかったのかというのは大変国民的にも関心を持たれるところではないかというふうに思いますが、検査院さんとして、引き続き慎重にさまざまなことを御検討していただけるように、要請をしておきたいというふうに思います。

 それでは、配付資料を配らせていただいておりますけれども、二ページ目から十一ページ目までは、上脇神戸学院大学教授の情報公開請求に対する、平成二十九年五月二日、十二月四日、平成三十年一月四日と、三度にわたる近畿財務局長の開示決定通知書などの資料でございます。上脇教授の許可を得て、許諾をいただいて配付をさせていただいております。

 官房長にまず確認をさせていただきますが、情報公開の責任者として、これらの開示決定通知書の記載は、訓令による財務省情報公開事務手続規則どおりに行われたということでよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 財務省におきましては、開示請求に対する開示決定に当たりまして、今御指摘の財務省情報公開事務手続規則におきまして開示決定通知書の様式を定めておりまして、その中で、開示する行政文書の名称を記載することといたしております。

川内分科員 開示する行政文書の名称、一のところは開示する行政文書の名称。

 官房長、もう一回確認しますが、開示決定通知書の一、開示する行政文書の名称のところには、開示請求者が請求する文書の名称ではなく、開示することを決定した行政文書の名称を記載するということでよろしいですね。

矢野政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

川内分科員 それでは、理財局長、この配付資料二ページ目の平成二十九年五月二日付の開示決定通知書の(六)、(七)の行政文書の名称を教えてください。

太田政府参考人 読み上げさせていただきます。

 (六)「当該土地の賃貸、売払いに関する学校法人森友学園との面談・交渉記録」、(七)「当該土地の賃貸、売払いに関する学校法人森友学園以外の者との面談・交渉記録」でございます。

川内分科員 今、理財局長に教えていただいたとおり、昨年の五月二日、交渉記録、面談記録があるとかないとか大きな議論になっていたときに、この開示決定通知書、行政が開示することを決定した行政文書の欄に、面談・交渉記録というものを開示しますということを、昨年五月二日の時点で決定をしていらっしゃる。理財局長、よろしいですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先般、財務金融委員会で川内委員から御質問いただいて、その際、訴訟の過程であるのでお答えがなかなか難しいということを申し上げました。ところが、本日委員から、上脇教授の許可を得てというふうに今委員おっしゃられましたけれども、その五月二日付のものだけではなくて、それ以降の十月三十日付のものとか十二月四日付のものとか、いろいろなものを全て、全てといいますか、提出をされましたので、そういう意味では、訴訟の相手方の方からここまでされているということであれば、ずっと川内委員が疑問に思っていらっしゃって、そこにストレートにお答えができないというのは大変じくじたるものがありますので、きちんとお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 その上でということですが、委員御指摘いただきましたように、五月二日のときに、確かに(六)、(七)というものも含めて開示をするというふうに書いてございます。このときの私どもの意識は、委員にこれまでも別のところで御質疑をいただいてあったように、いわゆる面談記録あるいは応接録といったものは、一年未満、事案終了まで。それはなぜかといえば、最終的に決裁文書に集約をするからだというふうに申し上げてきていました。

 この五月二日時点において、売払い決議書等を最終的に開示をしております。売払い決議書には調書というものがついておって、そこには、結果的に検査院からも指摘をいただいたように、不十分だということにはなっておるわけですが、一定の経過なりそういうものが記されておりますので、そういう意味で、これまでの交渉記録というものが付されているということで、こういう出し方をさせていただきました。

 ただ、委員からこういう御指摘をいただいて、あるいはその前からですが、こういうふうになっているのは、委員からこういう御疑問を抱かれるのは、やはり一のところで開示している文書といって挙げているものが、先方が請求してきたものをそのまま書いて、それについて何らかの形で答えているのであれば、先方から来たものをそのまま書いているということは、そのものずばりが、(六)、(七)、あるかのように委員が思われ、あるいはそう思われる方が、ある意味ではそうかなと私どもも思いますので、この当時はこういうやり方をしておりましたが、いろいろな意味での、今の委員の御指摘も含めて、御指摘を受ける前にもう既に反省しているんですが、反省した上で、次の十月三十日付とか十二月四日付、十月三十日というのは、実は期限を延長しているだけのものなんです。

 一番なのは、十二月四日付なんですが、一の開示する行政文書の名称というものについては、先方の請求のものを書くのではなくて、むしろ、出す文書そのものをストレートに書くということで、別紙一のとおりということで、委員が御指摘の十二月四日の、最初の表紙の次のところに別紙一というのがあるわけですが、一番左側のところに、先方から御請求があってきたものを書いて、それに対して該当する、我々の文書の名称はこうだというふうに書いておりますので、そこは、ある意味での疑念を持たれないようになって変えてきていると思っています。

 最初の分については、ある意味で、委員が御指摘されるような、御疑念を抱かれるようなことは、なるほどもっともだと思っておりまして、そのときにそういう対応をしていたのを、以後反省を含めて変えてきている。そのときの整理は、今ほど申し上げたような整理で対応しておったということが事実でございます。

川内分科員 答弁が長過ぎて私にはなかなか理解できなかったんですけれども、もう時間もないので。

 結局、面談・交渉記録は決裁文書の内容の中にある、こうおっしゃられたわけですけれども、その答弁、さすが、そう来たかという感じですけれども、そうはなかなかいかないんじゃないかなというふうに私は思いますので、また答弁を精査させていただいた上で、今後また議論を深めてまいりたいというふうに思いますが。

 資料の一番最後のページを見ていただきますと、先ほどの早稲田議員も取り上げていらっしゃいましたけれども、「将来の損害賠償請求等を防止する手続きについて」という法律相談文書、法令照会の回答ですね、これは統括法務監査官セクションから第一統括国有財産管理官セクションに回付をされたもの。これは、右上に、二〇一六年五月十九日付の文書だよ、五年保存だよ、統括法務監査官というふうに書いてありますね、スタンプが押してあります。

 このスタンプは、管財部統括国有財産管理官セクションに回付される前に押されたスタンプでしょうか。

太田政府参考人 スタンプといいますか、今、パソコンで基本的に書類をつくっておりますので、パソコンでそういうものをつけております。

 基本的に、これは、文書を作成した者が、ということは、最終的に保存をしないといけない者ということになりますが、それがここに、印といいますかこういうものを書くということになってございますので、当然ですけれども、統括国有財産管理官の方に来たときにはこれがついておるという状況で来ております。

川内分科員 では、第一統括国有財産管理官は、この五年保存の右肩にある、この印刷というかスタンプを、気がついたかどうかは別にして、このまま受け取って読んでいる、見ているということでよろしいですね。

太田政府参考人 もう昨今、基本的に全ての文書にこういうものがついておりますので、それは承知しておりますが、中身の方ばかりを見ている。基本的には、これを五年というのは、つくった者及び保存する者の方にとっての最終的な責任という観点で仕事をしておるというのが実態ではございます。

川内分科員 時間が来ましたので、新たな地下埋設物の定義、これは後で文書でいただけますか。理財局長に、最後、文書でいただけるかと。委員長。

柴山主査 ただいまの御要請については、政府におきましてしかるべく措置を願います。

 質疑時間が終了しております。(川内分科員「じゃ、最後」と呼ぶ)

 では、川内君、一言。

川内分科員 全ての文書に、右肩の上に、保存期間が印字される、スタンプが押される、いや、それは見ていませんわと。これは、官房長、文書管理規則上とんでもない発言だと思いますよ。文書管理、文書の保存についてそれほど注意を払っていませんということを公然と言い放たれたわけでありまして、私は、苦し紛れにおっしゃられたのかなという気もしますので、また答弁をしっかり精査させていただいた上で、更に議論をさせていただきたいというふうに思います。

 終わります。委員長、ありがとうございます。

柴山主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階分科員 希望の党の階猛です。

 きょうは、私も森友学園の土地の取引の問題について取り上げさせていただきたいと思うんですが、私も、この法律相談の文書、二月九日に出されたものを一通り読みました。法律相談を受けた部署ではいろいろなリスクを指摘されている中で、当初、貸付契約を結び、途中から売払い契約になっているんですが、そのリスクが余りカバーされない契約をしているのではないかというふうに、私はそういう印象を受けました。そのリスクが今顕在化しているんだと思っておりますけれども。

 まず最初に、理財局長にお伺いしますけれども、森友学園から国が買い戻した土地、この土地は、なぜ今なお更地で返還されず、国が自由に売払いできない状況になっているのかということを、法的な観点から御説明をいただけますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本件については、先方から、小学校の認可申請を取り下げて、小学校の用途に供されないということでございましたので、管財人と交渉の上、昨年の六月二十九日に、土地の所有権が国、国土交通省に返還をされているということでございます。

 その上で、委員御指摘のように、では、更地で何でまだ返ってきていないかということでございますが、本件土地は国に返還をされておるわけですけれども、土地について工事業者が、本件土地に係る工事代金が支払われていないということを理由に、国に対して、土地全体に対して留置権が発生しているということを主張しておるというのが、法的な状況、一つございまして、そういう状況のもとで、まだそこに建物があり、そこに留置権を主張されているということで、建物が残ったままの状態で、今、これから先、いろいろな協議、交渉していかなければならないという状況になっているということだと承知をしております。

階分科員 これから先、いろいろな交渉ということなんですが、留置権を主張している工事業者に立ち退いてもらって、それで、その上物を撤去するというふうなことになりますと、国が追加での出費を迫られることになるんじゃないですか。違いますか。

太田政府参考人 基本的には、原状回復というか、土地の所有権に基づいて、先方にきれいにして返してくれということだろうと思っています。

 その上で、もともとは契約に基づいて原状回復請求権というのを持ってございました。ところが、契約に基づく原状回復請求権というのは九億八千五百万ほどと見積もって、民事再生の計画の中で、その原状回復請求権も含めて、九億八千五百万も含めて約十億円、九億九千五百万というものを債権として提出をしておったのですが、民事再生計画が、国は実は反対したんですが、結果的にはそれが可決されて、ことしの一月二十日には効力が発生する、三%分だけ返ってくるという格好になりましたので、契約に基づいた原状回復請求権というものは私どもとしては主張できなくなりました。

 ただ、最初に申し上げましたように、やはり国に土地の所有権は返ってきておりますので、所有権に基づいた、更地にして返してくれという権原はあるというふうに思っていますので、それを第一義的には主張していかなければならないというふうには思ってございます。ただ、現状、こういう状況になっていますので、それがそう簡単ではないということは重々承知をしておるというところだと思っております。

階分科員 所有権が戻ってきたのは、工事業者が建物を完成した後、あるいは工事業者がある程度建物を建設した後だと思っていますから、法的には留置権の方が、所有権に基づく妨害排除請求に優先しませんか。どうですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 法律の専門家の委員に対して何らかお答えするのも本当におこがましいのですが、おっしゃるように、留置権が大変強いという議論があるということは承知をしております。

 特に留置権成立に当たっては、債権が弁済期にあることというのが条件の一つで、それが満たされなくなるというような解釈も一方であるということもあります。

 我々なりに勉強した限りでも、判例でいろいろな議論がありますので、委員のおっしゃることは重々わかります。留置権があると留置権が大変強いということは重々承知をしていますが、一方的にそれだけだというふうにも承知はしておりません。

 ただ、留置権があって国として非常にやりにくい困難な状況にあるという意味では、委員のおっしゃることは重々承知をしているというか、同じような認識ではあるというふうには思ってございます。

階分科員 土地を不適切な取引で売却されかけたものを取り戻した。取り戻したのはいいんですけれども、やはり不要不急な資産を早く売るのもやらなくちゃいけないという中で、今、なかなか膠着状態になって進んでいない、これはこれで問題だと思っていまして、これは、法的に対抗できるという立場であれば、ちゃんとしかるべき法的手段、裁判に訴えてでも早く妨害排除して更地に戻す、こういうことをやるべきではないんですか。

太田政府参考人 当然、そういうことも視野には入れております。

 ただ、やはり一方で、委員もおっしゃられるように、いろいろな案件を抱えているので、この件についてもできるだけ速やかに処理をしないといけない。それと、基本的には、法的に訴えて、最終的に、森友学園の方に弁済する資力はなかなかないんだろうという状況だと思いますし、工事業者の方もなかなか、森友学園と一緒だとは全く思っておりませんけれども、という問題もあります。

 そういう中で、裁判に訴えてでも完全に更地にするというのも一つの判断、一つの視野に入れなければいけないとは思っていますが、一方で、現状、建物があってという中で、その建物もある程度しかるべき建物でございますから、建物と土地とあわせて売却する、それは、ある意味で、工事業者といいますか、先方側の協力をいただかないとうまくは進まないわけですが、その方がある意味では合理的だという考え方も成り立ちますので、軽々にどちらだということを申し上げるようなことではないと思っていますが、慎重に、しかしながらできるだけ速やかにそういう対応方針を決めて臨まなければいけないというふうに考えております。

階分科員 今言ったように、いざ学校が開設できない、そして工事代金も払えないといった場合に、国は、買戻し権というのがあったとしても、その実効性がなかなか難しい状況に陥っているわけです。

 こういうリスクについて、きょう、お手元に資料を配らせていただいておりますけれども、三ページ目の右側の方に、「補論」という中に書いていますね、下から三行目ぐらい。「定期借地契約を解除せざるを得ないような局面では、相手方に建物収去費用を支弁する資力が残されていない可能性が高く、最終的に国の費用をもって建物収去を行わなければならないリスクがあるため、その点留意されたい。」と。

 これは、土地売却の前の貸付契約の段階ですけれども、私は、そもそも、そういうリスクが指摘されていながら貸付けをしたこと自体、間違っていたと思うんですね。あるいは、貸付けするにせよ、こういうリスクが指摘されているんですから、それをカバーするような方策を検討すべきだったと思うんですが、現に今、リスクがカバーされていないからこういう問題になっているんです。

 なぜわざわざこんな危険な取引をしたのか、その動機が私はわからないんです。なぜリスクをカバーする契約をせず、向こうとの間でイレギュラーな貸付契約、売払い前提の貸付契約を結んだのかどうか、これをお答えいただけますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員が御質問いただいた件は、大きく分けて二つの点に整理できると思います。一つは、相手方のことをある意味で考えた上でですけれども、委員の言い方をそのままかりれば、どうして無理やりといいますか、こういう貸付けをしたのかというのが一点。それからもう一点は、しかし、最終的にこういう状況に至っている、そのリスクは、ある意味で法律相談文書にあるように認識できたはずだから、そのリスクをなぜカバーしなかったんだ、もう一つがその二点目だと思います。

 まず一点目のところでございますが、事ここに至れば、おっしゃること、あるいは委員のおっしゃることはよくよくわかっておるんですが、一方で、基本的には、国有財産についてはできるだけ有効活用するというのがずっと長らくの基本的な方針です。そのために、まず公用、公共用というのを優先にして、国が使わない国の国有地をほっぽっておいてもしようがないので、できるだけ公用なりあるいは公共用に使っていただくことが最終的には国民の皆さんには裨益するのではないかという考え方で取り組んでいて、その中で、公用というのは地方公共団体だし、公共用というのは基本的には社会福祉法人なり学校法人ということであります。

 そういう中で、貸付けということについても、従来、売却だけが基本の方針でしたけれども、それではなかなか進まないので、貸付けも、特に社会福祉法人、介護施設については、介護施設がなかなかうまくつくれないということで、貸付けを非常に積極的に進めるという方向で進んできております。

 そういう中で、特に介護施設については相当貸付けも含めて進めておるので、学校法人も、ある意味では、介護施設と全く一緒ではなくて、いろいろな意味で学校法人の方が介護施設ほどは優先度を高くしていないんですが、やはり国有財産を有効に活用するという観点から、できるだけそういうところについては積極的に対応するというのが基本的な政府としてのスタンスだという中で臨んでおったということだろうと思います。

 ただ、今回のこういうことに鑑みますと、基本的にはそういう方向というのは非常に、言葉を選んでお話をしないと私またいけないとは思っているんですが、ある意味で、先方が基本的に性善説に立ったような対応だったろうというふうに思います。ただ、いろいろなことを考えると、単純にそう考えてもいけないんじゃないかというのが、今回の反省の一つだというふうに思っています。

 その上で、二点目の方なんですが、二点目で、では、いろいろなリスクがあったのに、そうはいったって、リスクをちゃんとカバーすればよかっただろうというお話がありました。

 この点は、正直に申し上げて、委員のおっしゃっていることは重々そうだと思います。法律相談文書で答えていることもそういうことだと思っています。リスクをカバーするということであれば、抵当権を設置するとか、あるいは保証金を納付させるとか、いろいろなやり方があったろうというふうに本当に思います。

 ただ、ただと言うまででもありませんが、仮にそういうことをやろうとするのであれば、相手方を選んでそういうことをするというわけにもなかなか難しいかなと思うと、およそ公共用、社福なりあるいは学校法人なりのときに、何らかの形でこういう形の貸付けをやって、後で売却をして、建物も建って売却をしてというときに、そういうリスクをとることを考えれば、今申し上げた抵当権なり保証金なりと考えると、ある意味での、先方に負荷をかける、負担を多少あれするというようなことになると思いますので、有効活用する、できるだけそういう人に活用していただくということと、一方でこういうリスクをちゃんとカバーするということを、どっちをどういうふうに重要視して考えるかということだろうかなと思います。

 決定的な答えになっているとは思いませんが、そういう中で、この時点においては少なくとも、優先的に、まず公共用に活用していただくというのが優先していた、リスクということはカバーしていなかった、今までこういうリスクが顕在化していなかったことは事実なので。ただ、顕在化したことも含めて、今後その方法でいいかというのは重々考えなければいけないと、本当にそういうふうに思ってございます。

階分科員 性善説に立ってしまったという反省の弁もありましたけれども、なぜ今まで取引もしていない人に対して性善説に立てるのか、そこがよくわからないんですね。何がしかつき合いがあって、この人は信頼できるとなれば、性善説というのはわかるんですけれども、一見のお客さんに対して性善説に立って、リスクを指摘されているにもかかわらず、そこは捨象して契約を結んでいるというのは、全く理解ができません。

 それから、今回、売払い前提で国有地を貸し付けるという契約を結ぶという際に、国のルールによると貸付期間は三年が上限。なぜこの三年ルールというのはそもそも定められていたのか、この趣旨を説明いただけますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 お答えをする前に、一点、最初に委員が整理されたところで、相手方のことを性善だと私は申し上げているつもりではなくて、社会福祉法人なり学校法人というもの、およそそういうものに対してという意味でそういう言葉をちょっと、表現が適切だったかどうかはよくよく考えますが、という意味です。

 それで、その上で、三年というのは何でかということですが、今、だんだん変えようとはしていますけれども、でも、基本的には国有地は貸付けではなくて売払いが原則だ、大原則は売払いだということでやっております。ただ、一方で、貸付けをやらざるを得ない、それは、売払いが将来的には確実なんだけれども、とりあえずまず賃貸借でなければいけないということで、三年を決めた。

 何で三年かといえば、先ほども基本的には売払いが原則だと。だから、賃貸借というのはできるだけ短い方がいいという、まず基本的な発想があります。

 その上で、何で三年かと申し上げますと、貸付料。貸付けをするときには、当然、貸付けの期間も決めないといけないですし、貸付けの料金も決めないといけないということになるんですが、貸付料については、市町村の交付金の算定となる固定資産税の評価額は基本的に、御案内のとおり三年ということなので、貸付料は三年で決めているものですから、その三年が一番短いところだということで、短い基本で三年だということで、三年のルールを決めておったというのが実際上の取扱いだったということでございます。

階分科員 そうしたら、本件の場合は、八年しないと学校の軌道が乗らないのでお金が払えませんということで、三年を八年にする特例の扱いをしていますね。さらに、八年にするために、どういうやり方がいいかということを、現場から法務セクションに相談して、いろいろな契約上のテクニックを駆使して、最終的には十年の定期借地権という方法をとったんですけれども、そもそも、三年が基本なのに八年という扱いを認めているのもおかしいし、その賃貸期間の間に堅固な建物、学校のような堅固な建物を建てられちゃうと、いざ契約違反があって解除しようと思ってもなかなか解除もできなくなるし、これは非常にリスクが高いことをやっているわけですね。なぜそういうことをやっているのか。

 例えば、三年というルールがありますよね、そういうルールを設けているにもかかわらず、本件のように堅固な建物の建設を賃貸期間中に認めたケースというのはあるんですか。

太田政府参考人 基本三年、先方の要望が八年ということでした。三年というのは、確かにできるだけ短い期間ということで決めたんですが、借地借家法の世界で、基本的には借り手の側をある意味で相当保護するというのが今の基本的な日本の仕組みだというふうに考えている中で、その中で、ずるずるといってはいけないという中で、最終的には定期借地という格好のぎりぎりで十年という判断をしております。

 その上で、今委員の御質問の、借りさせておいて、後で堅固な建物が建ってということはあるのかということですが、そういう前例は、あることはあります。一つは長崎県であった保育所の建設、それからもう一つは鳥取県であった校舎の建設です。

 三年をちょっと超えて、たしか二回目だったと思うんですけれども、六年の範囲内でだったと思いますが、というのはありますが、いずれにせよ、今申し上げた二つのものは、その期間内、一定の期間内に売却に至っていますので、そういう意味では、貸借でやったけれども最終的に売却に至ってこういう問題は生じていないということは、例としてはそういうことがあります。

 ただ、委員の御指摘は重々わかりますし、我々としてもそういう意味ではすごく、今回の案件を含めて反省というか考えましたので、国有財産分科会というところにかけて、今後の対応ですが、この話は、要するに、最初に貸しておいて後で売却ということでこういうことが起きたので、基本的には、売却でやるなら売却、逆に言うと貸借でやるなら貸借でやる。貸借をして後に売却するということが今回こういうことを招いたという反省も含めて、今後は、基本的には売却でいくものは売却一本。

 逆に言うと、その間の資金繰り云々のような、今回のも相手方のことを考えたんですが、その資金繰り云々ということが基本だと思いますが、それは、基本的にはやはり金融機関が、特に今のような金融状況の中で金融機関の対応もある程度可能だと思うし、金融機関がその資金繰りを含めて、経営として成り立つかということは金融機関がまず見ていただく、それが本旨だということで、買うものは買っていただいて、貸借でやるものは貸借でやるという、明確にそこは切り分けて今後対応していこうという方向で国有財産分科会でも議論があり、そういう方向で進めていきたい、今後はそういうふうに考えてございます。

階分科員 極めて、今回、そういうイレギュラーな取引をしたおかげで大変問題になっているわけですね。それが、現場だけの判断ではなくて、法務セクションにも相談しているし、あと、理財局の、本省にも情報が行っていて、本省からもいろいろ、契約のリスクを軽減するようなことができないかということで、法務セクションに相談が行っていますよね。

 こういういいかげんなというかずさんな契約については、本省の理財局の承認を得た上で行われたということでよろしいですか。

太田政府参考人 基本的に、いろいろな件で本省にも相談をするということはありますが、特に、貸借の部分は、貸し借りの部分については、委員からも御指摘がありましたように、三年という基本ルールを超えて最終的に十年という形にいたしましたので、その部分は特例でございますので、その特例については本省の決裁、理財局次長の決裁まで要るというルールでございましたので、そこまで視野に入れて、相当頻繁に近畿財務局から相談をしておったということでございます。

 売買代価のところの決裁は、本省決裁ということではありませんが、逐次、連絡なり報告なりあったということは事実でございます。

階分科員 貸付契約の段階では密に連絡をとり合っていましたから、当然、関心を持って本省としても見ている案件だと思うんですね。

 それにもかかわらず、きょうお配りしている資料、手書きで真ん中にページ番号を打っていますけれども、十二ページぐらいに、これは新たなごみなるものが発見されたということで相談が来ているわけですけれども、問い一ということで、国は本地を小学校敷地として学校法人に貸し付けており、貸し主として小学校が建築できる敷地を提供しなければならないため、校舎建築予定箇所に存在する廃棄物混在土壌を撤去する必要があると考えるが、その考え方というか、法的にどういう責任を負担することになるのかということで、これは本当に大事なことなんですね。法的に責任がどうなるかに応じて、そのままの貸付契約のもとで有益費の問題として処理するのか、それとも新たな契約方法を考えるべきなのか。

 まず、法的責任があるか、法的責任がどのようなものかというのを確定する必要があると思うんですが、回答を見ますと、まず三行目ぐらいで、明確な回答は困難であるというふうに言っていますよね。その上で、図表のように分類されると考えられるというのが、その下、二、三行目に書いていまして、図表というのは、手書きのページ番号で十四ページ目の右側にフローチャートがあって、この図表に基づいて、どういう責任が生じるかが変わってくるということなんですよね。

 この当てはめをしないと、法的責任がありやなしやというのは答えられませんということになっていたにもかかわらず、それについての検討が、法律相談の中ではなくて、次の、もともとの資料でいうと二十五番の法律相談文書ですね、きょうお配りしているものだと手書きの十五ページ以下のものになってくるわけですけれども、いきなり、ここではもう法的責任があるという段階。ごめんなさい、十五ページではなくて、その次のところ、手書きの二十三ページ以下です、そこの相談になってきますけれども、その段階では、もう国が責任があることを前提として、学校法人に対する売払いを問題解決の選択肢として検討していると。何かちょっと、途中が余りにも飛び過ぎているような気がするんですね。

 そもそも、フローチャートに関する当てはめをして、もう一回法律相談をして、責任はどの程度あるのかということを確定した上で、売払いにするのか賃貸契約でそのままいくのかとか検討すべきだと思うんですけれども、なぜその間が抜けているのか、ここは理解に苦しみます。どうしてなんでしょうか。

太田政府参考人 委員が最初に御指摘をいただいたところのものは、恐らく、委員が手書きで書いていただいた四ページをスタートとする資料で、二〇一四年の九月九日の資料のところからお話はスタートしたというふうに思ってございます。

 それは、新たな地下埋設物と我々が称しているもの、あるいは先方も称していると我々としては思っていますが、その物が出てくる前ということですが、おっしゃるとおり、ここに書いてあるフローチャートというのは貸付けの段階で、それがまず基本的には合意書の五条に該当したかどうか、五条に該当すれば、それは六条で有益費の支払いということでフローチャートを当時法務部門がつくっていて、基本は、委員のおっしゃるとおり、その考え方はきちんと整理がされていると思いますので、それにのっとってやらなければいけないというふうに、当然、統括国有財産管理官の方でも考えてそういう対応をしていたということだと思っています。

 ただ、委員から疑念を持たれて御質問いただいているように、その次の段階、三月に地下埋設物が発見されて以降の段階は、法律相談の部分が薄いではないかということだと思います。

 当然ですけれども、そのフローチャートの部分は全部頭に入った上でやっていたと思いますが、フローチャートの部分は、やはり基本的に貸付けが前提だということだったと思います。

 平成二十八年の三月十一日以降、現地を視察しているのは基本的に統括国有財産管理官の方なので、そこが現地を視察したとき、あるいは先方と話をしたときの現状認識として、その前の平成二十七年の秋の段階で自分たちが称していた状況を、それは、貸付けの合意書の五条の部分を、相当というか完全に超えるものだという認識を統括国有財産官の方が持って、それは九・九メートルの掘削のところからも含めてそういう認識を持ってという中で、一方で、翌年四月に学校の開設が迫っているという時間的な制約もあって、まず現状認識の方があって、現状認識がそうであれば、そのフローチャートの世界は貸付けの世界だったので、その世界をもう超えているという中で、法律相談も前ほど十分には行われていないと言われればそうかもしれませんが、現状認識がそうだというもとで、法律相談も、その後、ごらんいただいたように二件ほどやっていますけれども、その中で、一方で、法律相談の中には、早くやった方がいいというようなくだりも出てきますので、そういう判断のもとでこういう行動をしたということだというふうに考えております。

階分科員 早くやった方がいいというのは、フローチャートの一番左下に当てはまる場合だけであって、それ以外の可能性もあるからちゃんと検討しなさいとなっているわけですね。ちゃんと検討したあかしがどこにも出てきませんということ。

 あと、常々この問題について、なぜあんな値引きを早急に、役所の通常とは違う手続で決めたのか、多額の値引きを。それについて、要するに損害賠償リスクがあるからやりましたという説明だったんですね。その損害賠償リスクというのは、このフローチャートでいうとどこに当てはまるのか、あるいは、当てはまらないとすれば、どういう損害賠償リスクなのか、具体的に、もし検討しているのであったら説明してください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 フローチャートリスクは、基本的には貸付段階ということだと思いますが、委員もおっしゃられたように、このフローチャートの左側の一番下のところでは、損害賠償の可能性もあるという整理を統括法務監査官部門はしているということだと思っています。

 その上で、損害賠償リスクとして、おまえたちは何を言っているんだという御質問だと思いますが、基本的に、売却のときに思っていた、いろいろなのがあるかもしれませんが、非常にざくっと大きく整理をすると、一つは、建設工事が既に進んでおりますので、そういう中で、建物をつくっている途中、その建物が残ったままで、もう先方が、小学校は開設できない、断念だということになれば、そういう意味で、開設できないという意味での損害賠償というのが、大きく分けると一つあると思います。

 もう一つは、いやいや、やはり小学校の建設を進めるんだ、進めるんだけれども、こういう状況が生じたので、これは翌年四月と言ったのがまたおくれる、おくれるということになると、それは、その分コストはかかりますし、あるいは、翌年四月から小学校に入学すると思っていらっしゃったお子様あるいはその保護者の方が、もうその学校には行かないということになると、受け入れる子供の数が減るという意味でのリスクもありますので、そのおくれるということに対するリスク、それに対する損害賠償。

 非常に大きく分けると、そういうことを念頭に置いて行動していたということだと思ってございます。

階分科員 そのおくれることが、一方的に国が損害賠償責任を負わなくちゃいけない性質のものなのかどうか、これをちゃんと検討しなくちゃいけないと思うんですね。まさにそこは事実関係をきちんと調べて、当てはめを行って、法律相談でちゃんと相談しなくちゃいけないのに、その損害賠償リスクが、今おっしゃったようなものがあるという前提に立って契約を結んでいるということは、先ほどの当初の土地の契約では、リスクがあると指摘されていたにもかかわらず、それをカバーせず契約を結んでおきながら、今回の方は、リスクがあるということをすぐに認定した上で、もう契約に走っている。何か、そのつじつまが合っていないというか、統一性がとれていないような気がします。

 最後に、時間なので、大臣に一言だけお尋ねしますけれども、今言ったように、私も法律家の端くれとしてこの法律相談でのやりとりを見ていますと、かなり法律のリスクを軽視したり、あるいは法律のリスクを安直に捉えたりして、いいかげんな契約がされている。これでは、国有財産を管理、処分する財務省のあり方として極めて問題ではないかと思っています。

 陰でどういう力が働いたかわかりませんけれども、本当に今の体制でいいのかということを改めて思いました。大臣の御所見をお願いします。

麻生国務大臣 今の御指摘ですけれども、これは会計検査院の中で、階先生同様に、法律違反等々はないけれどもいわゆる検討をすべきだという点で、早い話が、財産の処分のいわゆる保存期間の話とかいろいろありましたけれども、そういったものに関しましては、私ども、財政審議会において、今後この問題につきましてはきちんと検討する必要があるという御指摘も審議会からもいただいておりますので、その線に沿って、御指摘のように、こういったことのないように今後とも努めてまいらねばならぬと考えております。

階分科員 終わります。ありがとうございました。

柴山主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.