衆議院

メインへスキップ



第1号 平成30年2月23日(金曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成三十年二月二十一日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      岩屋  毅君    福井  照君

      岡本あき子君    後藤 祐一君

二月二十二日

 福井照君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 福井  照君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    岩屋  毅君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    高木  啓君

      中曽根康隆君    岡本あき子君

      初鹿 明博君    日吉 雄太君

      後藤 祐一君    西岡 秀子君

      もとむら賢太郎君

   兼務 道下 大樹君 兼務 山川百合子君

   兼務 赤羽 一嘉君 兼務 佐藤 英道君

   兼務 中川 正春君 兼務 穀田 恵二君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   文部科学大臣政務官    新妻 秀規君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平垣内久隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  源新 英明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山脇 良雄君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 坂井 孝行君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     大見  正君

  岩屋  毅君     高木  啓君

  岡本あき子君     初鹿 明博君

  後藤 祐一君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     尾身 朝子君

  高木  啓君     中曽根康隆君

  初鹿 明博君     櫻井  周君

  もとむら賢太郎君   関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     石川 昭政君

  中曽根康隆君     岩屋  毅君

  櫻井  周君     日吉 雄太君

  関 健一郎君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     上杉謙太郎君

  日吉 雄太君     岡本あき子君

  西岡 秀子君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     伊藤 達也君

同日

 第一分科員佐藤英道君、第三分科員道下大樹君、山川百合子君、第五分科員中川正春君、第六分科員穀田恵二君及び第七分科員赤羽一嘉君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

福井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました福井照です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。林文部科学大臣。

林国務大臣 平成三十年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度予算の編成に当たっては、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ、文化関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千九十三億円、エネルギー対策特別会計千八十八億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

福井主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

福井主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大見正君。

大見分科員 おはようございます。自由民主党の大見正でございます。

 本日は、分科会トップバッターとして質問の機会を与えていただきましたことを心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 大きく三点質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、水中文化遺産というものについて質問させていただきたいと思います。

 それは何ぞやということでありますけれども、世界の海には約三百万そうの沈没船があると言われております。

 一九六〇年代以降に、スキューバダイビングの普及とともに、水中考古学が盛んになってまいりました。それに伴いまして、いわゆるトレジャーハンターという方たちが、水中遺物の引揚げ、あるいは大規模なサルベージ船を用いての沈没船からの遺物の引揚げやオークションを利用した売買、転売、科学的調査が行われない水中遺産の破壊や収集に歯どめをかけなければいけないということになって、一九八二年に発効した国連海洋法条約によって、水中文化遺産についても、領海内の無断調査の禁止や当該文化遺産の起源を有する国への配慮が盛り込まれました。

 その後、二〇〇一年、ユネスコ総会で、水中文化遺産保護条約というものが採択をされ、二〇〇九年に発効した条約が、海洋法条約にない管轄権に関し、沿岸国に与える権限が強過ぎるなどの点から、全ての国での批准というのはまだ至っていない。我が国もまだこれは批准をしていないというものであります。

 海洋国家であります我が国には、沿岸部また海岸部には多くの水中遺跡がありまして、そこから得られる情報を活用するということは、我が国の歴史や文化をよりよく理解する上で極めて重要だと考えております。

 例えば、弘安四年、一二八一年に蒙古襲来というのがありまして、その際に、長崎県伊万里湾の鷹島沖に集結していた当時の軍艦の多くが暴風雨によって一夜にして滅んだと言われる鷹島海底遺跡や、今、全国で巡回展を行っておりますけれども、「発掘された日本列島二〇一七」の中で展示をされております、明治維新の函館戦争で沈んだオランダ製の軍艦、開陽丸の遺物が展示をされておりますけれども、これなどは水中遺産の価値と同時に歴史のロマンも感じる人は多いのではないかというふうに思っております。

 しかし、水中遺産保護の取組というのは、ヨーロッパや近隣の韓国、台湾、中国などと比べて大きく見劣りをしているというのが現状だというふうに思っております。

 中でも中国は、日本、アメリカ、イギリスとともにユネスコの水中文化遺産保護条約をまだ批准をしていないものの、水中文化遺産の盗掘の防止、海洋環境の保護の必要性を訴える一方で、交易などを通じて古くから海洋進出の実績を強調して、海洋権益の拡大を狙っているとも考えられ、我が国はこの点もしっかりと留意をした対応がこれから必要だというふうに考えております。

 そういう中、文化庁におかれましては、昨年十月末に水中遺産保護のあり方についての報告書がまとめられまして、方向性を出したということは、水中遺跡保護の第一歩を踏み出したという点で高く評価をしたいというふうに思います。

 一方で、人材や調査方法、機材の開発、保存技術、費用など、陸上とは全く違う環境の中に置かれております遺跡でありますことから、非常に課題も多いというふうに感じております。

 とりわけ人材につきましては、陸上の考古学の知識、知見を有していると同時に水中に潜れるという技術等々も必要だということでありますので、非常にこの人材の確保というのが大事になってくるのではないかなというふうに思いますけれども、まず、文化庁におかれましては、その水中遺跡保護を担うそういう専門人材がいるのか、どのような状況になっているのか伺いたいというふうに思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁におきましては、水中遺跡のみを専門に担当する職員は配置されておりませんで、陸上の埋蔵文化財の保護を担当する専門職員が水中遺跡についても担当しているという状況でございます。

大見分科員 そういう意味では、陸上はやれるけれども、まだ水中に対する知見を持った方が正直いない。兼務をしているということでありますけれども、専門的にやることができるという方はいないということだろうというふうに思いますので、そうした点もしっかりと、人的な配置もしていただいてまずお取組をいただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、調査や保存処理の技術、あるいは具体的な保護や活用方法、地方公共団体との関係、予算確保、あるいは先ほど申し上げましたトレジャーハンターのような乱掘防止や、一般の人の水中遺跡への理解を求めていくことなど、これからいろいろと課題をクリアしていかなければいけないことが多いというふうに思いますけれども、そのためには、先ほどの人材の確保と同時に、水中遺跡保護のセンターのような拠点を整備をして保護を加速していく必要もあるというふうに考えておりますけれども、このような点の認識はどうか、お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のさまざまな課題につきましての対応でございますけれども、本年二月に文化審議会において取りまとめられました文化芸術推進基本計画、第一期になりますけれども、そこの答申におきまして、水中遺跡の保存、活用に向けて、国、関係機関及び地方公共団体が連携をして、実施体制の充実を図るとともに、調査研究を推進し、地方公共団体の取組を促進するということとされているところでございます。

 文化庁といたしましては、先ほどの委員の御指摘あるいは本答申を踏まえまして、関係機関等と連携した地方公共団体等への支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

大見分科員 やはり、国の施設の中にどこか、しっかりとしたこういうことを担当する拠点、博物館が中心なのかもしれませんけれども、しっかり定めていただいて、そこにはその専門の人が常駐するという環境、これをまずつくっていく必要があるというふうに思いますので、その点しっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 それから、水中文化遺産というのは、水中、水上も含めて、水がふえたり減ったり、水に触れているというものも含めて、百年間そこにあると遺産としての価値というか認証ができるということだと思います。

 そういう意味では、日本周辺あるいは排他的経済水域、あるいは太平洋諸島の、例えばパラオであるとかチューク諸島であるとかパプアニューギニアだとか、戦争で沈んだ戦艦あるいは艦船、あるいは戦車、航空機、こうしたものは結構あるわけでありますけれども、そうした保護。そこの中には、そうした遺物もそうでありますけれども、みたまの英霊等も安らかにお眠りになっているという場合もあろうかというふうに思いますので、しっかりと日本の目が届くような体制というのをこれから組んでいくというのも一つ大事な課題だというふうに思っております。

 そのために、水中文化遺産の保護、まずこれができるような体制を組んでいくということが第一歩だというふうに思いますので、今後もまたしっかりと取り組んでいただきますように、この場をかりてお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 次に、日本語教育の指導員の育成等々についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 平成二十六年の資料でありますけれども、外国人児童生徒の数、外国人児童生徒が二万九千百九十八人、日本国籍であっても日本語指導が必要な児童生徒というのが七千八百九十七人の合計三万七千九十五人お見えになって、この数というのは十年間で約一・六倍に増加をしているということがわかっております。

 今後、人口減少が進む中で、労働力を確保するために、製造業だけではなくて介護や農業などの幅広い分野で、外国人の増加と比例をして、日本語指導が必要な児童生徒がふえるということが予想をされております。

 居住地域も集住化と散在化が同時に進行しておりまして、製造業が集中する地域の中でも、公営住宅がある学区では集住化が進み、そうでないところでは散在しているというようなことで、同じ自治体の中でも大きく異なる状況が生まれてきております。

 実は、私の選挙区にあります愛知県知立市、市立知立東小学校というところでは、昨年、全校児童二百七十四人のうち、外国籍の児童が百五十五人。実に五六・六%、外国籍の児童が在籍をしているというような状況になっております。本年度の一年生について言いますと、六十三人の新一年生のうち、外国人が四十六人。実に七三%が、公立の学校であっても外国籍だというような状況になっております。

 国籍も、これはちょっと、去年の資料ではないのかもしれませんが、ちょっと古いかもしれませんけれども、ブラジル、フィリピン、ペルー、ベトナム、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、アメリカ、インド、パキスタン、ネパール。日本を除いて十一カ国来られているということで、多言語化というのも非常に進んでおります。

 日本人の方が少数派ということで、地元の方に言わせると、多文化共生でいいじゃないかという話もないわけじゃありませんけれども、そんな聞こえのいいものではなくて、大変な状況になっているというような感じだというふうに私は認識をしております。

 現在、日本語の指導につきましては、加配教員の八名と、それから日本語が堪能な日本語補助助手、あるいは翻訳あるいは通訳を担っていただける方、そうした方の御協力を得ながら、また、教材については、愛知教育大学からリライト教材の提供、学生の協力、こうしたものを得ながら、何よりも現場の教師の情熱と献身的な努力によって、日本人より外国人の方が多いという学校の現場を支えているというのが現状だというふうに思っております。

 日本語指導を担当する加配教員が、まあ、ふやしていただいたということは大変ありがたいわけでありますけれども、必ずしも日本語を教えるという専門性を有しているわけでもありませんので、現場では毎日手探りの状況が続いているということが言えるというふうに思っております。

 また、指導方法もはっきりと確立されているとは言えません。人材育成、研修の機会とともに、質、量の双方の充実を図ることが今急務だというふうに考えております。

 そこで、日本語教育を担当する人材の育成又は研修のあり方、指導内容や方法などについて、今後どういうふうに進めていくのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

林国務大臣 公立小中学校等における日本語指導が必要な児童生徒数はこの十年間で一・七倍に増加しておりまして、これらの児童生徒への指導、支援体制の充実は重要な課題である、こういうふうに認識をしております。

 日本語能力に応じた特別の指導のための必要な教員については、平成二十九年三月の法律改正によりまして、対象児童生徒十八人につき教員一名の定数を措置するということとしております。これにより、必要な教員を安定的、計画的に確保してまいりたいと思っております。

 また、平成二十五年度から、こうした児童生徒の在籍する学校への日本語指導員及び母語支援員の派遣などの、地方自治体が行う取組を支援する補助事業も実施をしておりまして、来年度予算案におきましては、これまでの取組に加えて、新たに就学前の幼児への支援や多言語翻訳アプリ等ICTを活用した取組などのメニューを追加をしたところでございます。

 さらに、今先生からもお話がありましたが、日本語教育に携わる人材の確保、資質能力の向上が重要であることから、日本語教育人材の養成研修に関するカリキュラム開発等を実施するための経費についても計上をさせていただいたところでございます。

 文科省としては、引き続き必要な予算の確保に努め、日本語教育のさらなる充実を図ってまいりたいと思っております。

大見分科員 ありがとうございます。

 今しっかりといろいろな面で取組が始まったということで、大変うれしく考えております。

 日本語指導が必要な児童生徒の増加というのは、実は、企業による外国人の雇用の増加とともに、あるいはまた企業の進出先とともに、いろいろ多様化しているというのがその理由だというふうに考えております。したがいまして、外国人労働者を雇用する企業、あるいは派遣会社から外国人労働者の派遣を受けている企業というのは、その社会的責任の一部として、例えば、十一カ国もの国から来てしまいますと、正直、通訳もなかなか難しい、確保ができないというのが現状であります。

 ただ、それを雇って受け入れている企業には、何らかの形で、通訳等々の、意思疎通を図ることができる人材というのがいるはずでありますので、そういう意味では、企業からの通訳の派遣。

 あるいは、学校教育というのは、学校の現場だけで行われるというのは当然でありますけれども、ただ、地震や台風があったり、あるいは子供が急病で熱を出したとかいって家庭に帰さなきゃいけないというような、学校の時間帯で急に対応しなきゃいけないところというのは、やはり企業の、連絡をしたら、工場のラインに入っていても、それを学校の方に向かわせてもらえるというような、そういう協力体制も必要になってくるというふうに思っておりますので、そういう意味では、企業も巻き込みながら外国人の児童生徒の指導というのを行っていく必要というのがこれから出てくるんだろうというふうに思います。これは日本の社会ではちょっとなかった現状だというふうに思いますけれども。

 そういう意味では、外国人がいる都道府県の教育委員会の中に、教育委員会や学校、保護者とともに企業も入って、一度こういう問題をいろいろな面で協力をしようというようなことを協議をする場というのをつくって、意思疎通やあるいは問題意識の共有等、協力体制をしっかりと整えていくというのがこれから必要になってくるだろうというふうに思っております。

 経団連などに聞いても、製造業には確かに多いですよねと。でも、銀行や、デパート等サービス業、あるいは鉄道、あるいは電力会社、こうしたところには全く外国人はいないと言っていいほどの状況でありますので、経済界でも認識がやはり共有できていないというのが現状だというふうに思っておりますので、そういう意味では、しっかりとまた文部科学省を中心に、こうした協議の場の設置、こうしたこともやはりこれから行っていっていただきたいというふうに思っておりますけれども、その点についての大臣の御所見をお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいた、こういうふうに思っております。

 もとよりコミュニティースクールという仕組みはあるわけでございますが、更にそういった取組も踏まえながらも、今、企業も巻き込んでということが、特に外国人の御子弟の皆様についてもありましたので、しっかり受けとめて、何ができるか考えてまいりたいと思っております。

大見分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、また時間があれば、知立市の小学校の状況、外国人が公立学校であっても半分以上いるというようなすさまじい状況、あるいはまた、その周辺の自治体の公営住宅の中にある自治会、公営住宅に入る方というのは結構高齢な方が多いものですから、公営住宅というのも実は外国人の方が多いわけでありますけれども、そういう意味では非常に御苦労されているということもありますので、そういう実態も含めて、時間があればまた御視察をいただきたいということ、これは御要望させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたしたいと思います。

 もう一点、最後の質問になりますけれども、瓦、日本の和瓦、あるいは伝統文化の発信、これについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 今まさに平昌オリンピックが開催をされておりまして、連日、日本選手の活躍に胸躍る思いでテレビを拝見をさせていただいておりますけれども、同時に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、ここでの選手の活躍、またこれに向けての施設等の準備、これもしっかりとやっていかなければいけないというふうに感じているところであります。

 東京オリンピックまたパラリンピックというのは、スポーツだけではなくて、我が国のすぐれた先端技術や文化芸術、こうしたものの日本の魅力というものを発信する場にもしていかなければいけないというふうに思っております。

 政府は、日本文化の魅力を発信することを、二〇二〇年東京オリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針というもので表明をされておりまして、その中には、実は、伝統文化、技術であります木造、石材、畳等を活用した日本らしい建築というものについても書かれております。

 私の選挙区には、全国シェア六割を誇ります、日本の瓦の三大産地の一つであります三州瓦というのがありまして、日本のそうしたすぐれた伝統美、工芸美というのを世界に発信するまたとない機会だということで、東京大会の競技施設で日本の瓦が使われるということを非常に熱望しておるというのが現状であります。

 平成二十八年三月の二十四日に、自民党の窯業建材推進議員連盟の総会というものが開かれまして、そこで、全国陶器瓦工業組合連合会から、東京オリンピック・パラリンピック大会施設への粘土瓦の採用についての要望がなされております。その際に、政府側からは、内閣官房の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局の参事官が出席をしていただきました。そこでまた要望を申し上げたところであります。

 粘土瓦というのは、屋根に載せるだけではありませんで、景観材として、例えば保水力のある歩道だとかアプローチ、こうしたところにも使用ができますことから、どういう形でもぜひ協会としては協力をしていきたい、産地としてはぜひ世界へ発信をしていきたいというふうに、大変強い熱意を持って今期待をしているというのが現状だというふうに思います。

 一昨年要望をさせていただいたということでありますので、その後どのような対応をしていただいたのか、まずお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

多田政府参考人 議員御指摘の瓦についてでございます。

 お話がございましたように、御要望を二十八年三月にいただきまして、私どもとしては、関係の方面に情報提供するなどして対応してまいったところでございますけれども、現時点におきまして確認している限りにおきましては、瓦を活用するといった事例については、まだ情報を持ち合わせていないところでございます。

大見分科員 主体が東京都ということもあるので、なかなか政府としてどうだというのは言いにくいというのも実情だろうというふうに思いますけれども、ぜひ、いろんなところでいろんな形で、瓦だけではなくて、日本のいろんな伝統技術、すぐれたそうしたものが、日本の美というものが発信できるようなことというのは極めて大切なことだというふうに思っておりますので、これから、正直、まだ実績は全くないということだと思いますので、これは実績ができていただけるように、政府としてもしっかりと御努力をいただきますように、これは強く要望をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、伝統瓦の技術の保存、継承についても伺っておきたいというふうに思っております。

 今月、二月の七日に開催をされました文化審議会無形文化遺産部会におきまして、ユネスコ文化遺産への平成二十九年度の提案案件として、建造物修理、木工を始めとする十四件の国の選定保存技術を、伝統建築工匠のわざ、木造建造物を受け継ぐための伝統技術としてユネスコに提案する予定だというふうに発表されました。

 瓦もその技術の中に入っておりまして、日本固有の選定保存技術の制度あるいは技術を保存している者や団体、これがユネスコ文化遺産に認定をされるというのは非常にすばらしいものだというふうに考えております。

 一方で、選定保存技術者や団体の構成員の減少という問題がございまして、対応を急いでいかなければならないというふうに感じております。

 文化庁は、選定保存技術者や団体の人材育成の取組をいろんな機会を捉えて保存団体に呼びかけているというふうに承知はしておりますけれども、実際のところ、その実効が上がっていない。上がっていないから、ユネスコの遺産登録も含めてしっかりと位置づけをして、保護また育成を図っていかなければいけないということだろうというふうに思います。

 また同時に、この制度、ユネスコの登録等をすることで、地方自治体が文化財の保存修理を行う際に、選定保存技術者やあるいは団体を実績などから選ぶ傾向というのが、一層拍車がかかってくるのではないかなというふうに思います。

 技術の保存という点では非常に大切なことだというふうに思いますけれども、一方で、地元の文化財を自分たちの手で守るために意欲と熱意を持っている、そうした地元の若い職人たちが、地元の自治体が保存をする際に、選定保存技術者あるいは団体が選ばれてしまいますと、若い職人たちが参入する機会を失ってしまうということも一方であるのではないかなというふうに思っております。

 そこで、選定保存技術者や団体の人材育成を実効ある形でどういうふうに進めていこうというふうに考えておられるのか。また同時に、地元の文化財を自分たちの手で守っていきたいという地元の人材をどのように育てて、あるいは保護の際に参入する機会を与えていこうとされているのか。その点について、文化庁から御見解を伺いたいというふうに思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 瓦は、我が国の伝統的な建造物の保存修理工事において欠くことのできない重要な資材でございます。しかし、一般の建築におきまして瓦の需要が少なくなっていることなどから、瓦製作技術者や瓦ぶき技術者が次第に減少傾向にあるということがございます。

 文化庁におきましては、文化財の保存のために欠くことのできない文化財修理技術やそれに用いられる材料及び道具の製作技術を、文化財保護法に基づきまして、先生御指摘のような選定保存技術として選定をし、その保持者や保存団体が行う伝承者養成あるいは技術の向上等に要する経費について補助を行っているところでございます。

 そして、屋根瓦でございますけれども、文化庁におきましては、屋根瓦ぶきにつきまして選定保存技術として指定をいたしまして、保存団体が行う後継者養成事業への補助などを通じて、引き続き瓦製作技術者や瓦ぶき技術者の確保に努めてまいりたいと考えております。

 先ほど、いわゆる選定保存技術に入っておられない業者の方の人材育成ということでございますけれども、私どもといたしましては、こういった建造物の修理ということにつきましては、地方公共団体あるいは寺社仏閣等におきまして競争入札が実施されているということはございますけれども、多くの技術者が存在するということ自体は、我が国のこういった技術を後世に伝える上で非常に重要な点だと考えておりますので、そういったところも幅広く我々としては気配りをしながらしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

大見分科員 時間が近づいておりますので、まとめ的な話でありますけれども。

 確かに、入札でということで、参入の機会は設けていただいているというのは確かだと思います。ただ、貴重な文化財の修理でありますので、技術、実績というものを勘案をしていかなくてはいけないということで、入札というような形の、値段だけの話ではないというふうに思います。

 そういう意味では、やはり、地元に貢献したいというそういう熱意を持った人たち、職人、こうした者がしっかりと参入できるということも、地元の文化財を自分たちの手で守って後世にしっかり伝えていくんだということが酌み取れることができるようなそうしたシステムというのを一方で考えていく必要がある。一業種一団体ではもう人材確保ができないという状況の中で、少し細分化をするなどして守る人たちをふやしていく、こうした取組もしっかりとこれから考えていただきたいということを強く要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

福井主査 これにて大見正君の質疑は終了いたしました。

 次に、山川百合子君。

山川分科員 立憲民主党の山川百合子でございます。

 衆議院では初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 フロム・ザ・クレイドル・ツー・ザ・グレーブ、揺りかごから墓場までといえば、戦後のイギリスにおける社会福祉政策のスローガンであり、その後、ウエルフェアステーツ、福祉国家という一つの国家観が世界じゅうに広がりました。

 残念ながら、この理想は、やがて英国病と呼ばれる逼迫した財政事情の中で、一度は破綻したかに見えました。しかし、その理念は、国家のために国民があるのではなく国民のために国家があるのだという、私自身の国家観の根底に深く刻まれています。

 その観点から、きょうは、出産、育児、教育、医療、介護といった一連の重要な政治課題に着目して、一番、出生率を向上させるための不妊教育について、二番、保育、幼児教育そして待機児童対策に関する認定こども園について、そして三番、児童クラブを含む学童期の放課後子ども総合プランの推進についての三点を伺ってまいりたいと思います。ぜひ、質問の趣意を十分に御理解くださり、今後の施策成果に違いをつくり出すような御答弁を賜りますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、まず、不妊教育についてでございます。

 実は、私は、みずからの不妊治療の体験から、不妊という問題が実は日本の少子高齢化の大きな原因の一つであることを実感いたしました。私の母は四十五歳で一番下の妹を出産していましたので、不妊という問題が、実は三十代前半から始まり、女性の場合は三十五歳ぐらいから非常に深刻化してくるという認識は、当時は全くありませんでした。

 一方、子供のころ見ていた金八先生で、中学三年生の女の子だったと思いますが、妊娠するエピソードに衝撃を覚えて、妊娠することには慎重でなければいけないというふうに学んだ気がしています。

 私は不妊治療の病院、医院などを幾つか回ったんですけれども、三番目に行った病院で、その院長が、日本では避妊は教えるが不妊は教えない、これが問題なんだというふうに指摘されたこと、私はとても深く共感を覚えています。

 事実、学習指導要領では、感染症予防などの観点から、避妊についての指導は長年にわたって行ってきたと思います。そして、避妊具の使用は既に一般化していると思います。しかし、同じ学習指導要領の中には、不妊というテーマに特化した項目は明記されているのでしょうか。

 まず最初に、このことについてお伺いをしたいと思います。

今里政府参考人 避妊と不妊の学習指導要領での扱いでございますけれども、中学校の学習指導要領では、今委員も御指摘のとおり、感染症の多くは、発生源をなくす、感染経路を遮断する、それから主体の抵抗力を高めることによって予防できるということが記述されてございまして、その解説におきまして、特に性感染症の予防の観点から、主な感染経路は性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにするとされてございます。

 また、高校の学習指導要領におきましては、「生涯の各段階における健康」というところでございます。結婚生活と健康について取り扱うことを示してございまして、家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響などについても理解できるようにすると示しております。

 御指摘のとおり、避妊については指導はされてきたところでございますが、これも御指摘のとおり、一方、不妊につきましては、学習指導要領それから解説におきましては、明示はしてはおりません。ただ、一方で、一部の教科書には、コラムとして不妊問題が掲載されているものがあるというのが現状でございます。

山川分科員 ありがとうございます。

 今御説明いただいたんですが、これまで学校教育では、望まない妊娠や家族計画といったテーマで避妊教育を実施してきたわけですけれども、その結果、妊娠とか出産の適齢期を避妊をして過ごすことが習慣化して、不妊になるリスクというものを見落としがちな傾向を同時に生み出してきたという実態が存在しているというふうに思います。このことを林大臣はどのように受けとめていただけるでしょうか。また、これは御見解をお伺いしたいと思います。

 実は、私は、この自分の不妊治療の経験から、埼玉県議会の議員をしておりましたので、その県議会時代に、不妊という問題を啓蒙、啓発する必要性を訴えて、この「願うときに「こうのとり」は来ますか?」という不妊の啓発冊子を作成していただいた経験がございます。

 これは、今、約十三万部ぐらい毎年つくられて、県下の自治体に婚姻届を出す方々に配られたり、あるいは成人式で配付をされたり、また、中学校や高校に配付をされたり、いろいろなところで活用されています。

 この冊子の中には、女性の問題と思われがちな不妊の原因の実は半分は男性にもあるんだということから始まって、あるいは加齢が妊娠することに影響を与えるということ、これは女性も男性もそうであるといったことなど、わかりやすく漫画形式で書かれているんですね、これが配付をされているわけであります。

 そこで、林大臣に、あわせてこれはお願いなんですけれども、ぜひとも文科省として、避妊と同様に、不妊を教えるための副教材を作成して、中学生や高校生にあまねく配付していただきたいというふうに思っています。

 過去に類似の副教材は作成したことがあるということは聞きましたが、それは文章のもので、こういう漫画形式ではなかったようですが、これに特化したものではなくて、あるページに載っているということは私も拝見しましたが、これも予算カットで、現在は配付できていないというふうに、その実態も伺っています。文科省としての予算確保が必要と思いますが、いかがでしょうか。

 そして、実は、不妊が日本の少子高齢化の片側の大きな原因であるのに、その問題意識が欠如、若しくは十分に対策が講じられていないために、本来国策として取り組むべきいわゆる不妊教育の徹底がなされていないことは、大変ゆゆしき問題だと私は感じています。

 不妊教育を文科省としてどのように推進していかれるのか、林大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。お願いします。

林国務大臣 出産と年齢の関係を知らずに過ごしてしまって、妊娠を望んだときには、その今お示しいただいたパンフレットですと、望んだときにコウノトリが来るのかというのは、非常におもしろい、わかりやすい表現だと思いますが、結局、望んだときには妊娠が難しい年齢になってしまっているという、不妊に悩む人がいるというふうに理解をしておるわけでございます。

 私の周りにも、もう少し前、十年、二十年前ぐらいの話ですが、同年代の夫婦の中にはやはりそういう方がいらっしゃって、随分苦労していらっしゃるということ、私の友人にもおりましたので、やはり、妻の問題だけでなくて、夫の方の問題でもあるということを身をもってその例で学ばせていただきましたが、出産と年齢については、やはり発達段階を踏まえて正しい知識を得るということが重要であると思っております。

 先ほどお触れいただきましたが、妊娠、出産等を含む児童生徒の健康問題を総合的に解説した教材、これは全学校に配付したわけでございまして、その中で妊娠と年齢の関係について記載をしておるところでございます。

 この教材の活用を促すことで、学校における不妊等を含めた性に関する指導の充実に努めてまいりたいというふうに思いますし、そういうわかりやすい取組を埼玉県でされておられるということでございますので、そういうわかりやすさ等、参考になるところはしっかり取り入れて、今後も充実を図ってまいりたいと思っております。

山川分科員 ありがとうございます。

 これは埼玉県のなんですが、実は大分県もやっていて、私は大分県のを参考にして埼玉県に提案したら、上田知事が、ああ、これはこういう実態があるのかと、まず実態の認識と、それから、これはすぐやらなきゃいけないということで、予算委員会でやったんですが、二月でしたけれども、次の年度からもうすぐ冊子をつくったということで、まず正しい知識を持ってもらうということは人生の選択において非常に重要なことで、やはり教育現場というのはとても大事なことでありますから、ぜひともよろしくお願いをいたします。これは後で、こちらの方も大臣に読んでいただければというふうに思います。

 さて、不妊という問題解決に向けて今文科大臣にお伺いをしたわけでありますが、この問題の解決には、やはり社会環境全体の整備についても言及していかなければいけないと思います。

 不妊は、日本の少子高齢社会を抜本的に見直す大きな国策課題であると私は思います。そういうことですので、これは本来は安倍総理に御見解を伺ってみたいんですが、きょうは分科会ですので、あわせて厚生労働省の大沼政務官にも伺っていきたいと思うんです。

 具体的には、不妊治療が必要になる前に、いわゆる妊娠・出産適齢期に妊娠や出産するためには、女性も男性も、やはり働き方の改革とか出産のサポートとか、そういったことがますます重要な課題となってまいります。厚労省としては、これらが可能となる妊娠・出産適齢期に子供を持つことができるような、そういう社会環境の整備をどのように進めていくおつもりなのか、政府見解としてお伺いしたいと思います。

 あわせて、そうはいっても、子供が欲しいと思ったときに授からないということに直面している方々がたくさんいるわけでありまして、やはり不妊治療の助成制度の拡充といったものも私は必要であるというふうに思います。治療方法の拡充と助成制度の拡大をどのように進めていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。

大沼大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 私、今三十九歳でございまして、やはり同級生、男女問わず、この不妊の問題に悩む友人も多くおります。委員御指摘のように、しっかり厚生労働省としても多方面からいろいろなことを考えていかなければいけないと思っています。

 その中でも、やはり女性が自分自身の体をよく知るということが非常に大事でございまして、男性も同じではありますけれども、特に、妊娠、出産に関する知識を含め女性の体の健康に関する知識の普及啓発を図って、みずから健康管理をしていくことができるように支援していくということが重要な課題であると考えております。

 厚労省といたしましては、都道府県、指定都市、中核市におきまして、生涯を通じた女性の健康支援事業というものをしておりまして、その中に健康教育事業という項目がございまして、保健師、助産師などによる小中高大、学校での健康教室や講演会の実施、また、女性の健康教育に関する小冊子の配布等に努めております。

 また、委員御指摘のように、やはり働き方、これはまさに男女問わずワーク・ライフ・バランス、ここ何年か取組をしておりますが、しっかりと進める中で、そういった全体としての環境整備というものもしっかりしていかなければならないというふうに思っております。

 不妊治療に際しましても、自治体と連携をしながら、厚生労働省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

山川分科員 ありがとうございます。丁寧に御答弁いただいて、しっかりやっていきたいという御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 ただ、もう少し、今は女性の体のことをよく知れるようにということが御答弁の中心にあったかと思うんですが、男性不妊というのも非常に深刻になっていて、実は何が深刻なのかというのは、先ほど一番先に触れましたけれども、不妊の原因が男性にもある、あるいは男性にあるかもしれないということを男性自身が直面することがなかなかできない、そのことで夫婦のいわゆる治療がおくれるとか、それで女性も年を重ねていくとか、男性不妊についても本当に非常に深刻な課題なんだというところの認識が、やはり日本の社会全体にまだまだ足りないんだと思うんですね。埼玉県では、ダイアモンド・ユカイさんをこうのとり大使にするなどして、男性不妊の啓蒙啓発にも努めていますので、そちらの方もぜひお願いしたいと思います。

 また、その治療の助成について、自治体と協力しながらということはありましたが、日本の十五万円という金額は、実際の不妊治療にかかる、生殖補助医療にかかる費用に対して非常に少ないわけですね。そうすると、この助成をもらっても、治療ができる人というのは私は非常に限られていると思います。私の経験からすると、まあ、病院によるんですよね、一回の治療に三十万から六十万から、多いところでは八十万ぐらい、一回ですよ、一回に、一周期にかかる。まあ御存じだと思いますけれども。それに対して十五万というのは非常に低いと思いますが。

 自治体でも単独補助、上乗せ補助をしているところ、それぞれ出てきています。埼玉県でも上乗せしていますけれども、男性不妊治療にも出すんですけれども、そういった経済的な負担をやはり軽くしていかなければいけないというところは、ぜひあわせて御認識いただければと思います。

 それで、もう一つだけ、これは指摘だけにとどめておくんですけれども、日本では、生殖補助医療の実施件数が世界で一番であるにもかかわらず、採卵一回当たりの出生率が一番低い、一番件数は多いのに赤ちゃんが生まれない、なかなか成功しないということで出産に至らない、こういう現実もあるということです。

 やはり保険適用されていないことが私は一つの原因かなとも思うんですが、医療技術の平準化とかいうのもやはりこれからの課題だと思いますし、そういった点はまだ、きょうはここで全部できないんですけれども、これからこの問題、私も国会でも一生懸命取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、時間が限られているものですから、認定こども園について伺いたいと思います。

 認定こども園は、行政のセクト主義の影響で、保育園は厚労省、幼稚園は文科省と、子供たちを区別して扱うのでは、社会で活躍する若いカップルとその子供たちのニーズには十分応えることができないという反省から始まった、画期的な施策であります。いわゆる幼保連携という考え方がその背景にはあると思います。

 しかし、その後、待機児童はますます大きな社会問題化し、保育サービスの多様化が広がって、全国の自治体でも、民間の認可保育園や小規模保育所など、そのほか施策が展開してきましたから、認定こども園の役割も少しずつ変化してきているというふうに思います。

 そこで、認定こども園という制度が発足して十年がたちましたが、その間の認定こども園の設置数や国としての支援策はどのように充実してきたのか、お伺いをしておきたいと思います。

 特に、新制度発足以来、設置数や予算額が急速に伸びているようでありますけれども、今後どのような取組をお考えでしょうか。いわゆる社保一体改革における〇・三兆円メニューの財源確保がぜひとも必要であると思いますけれども、その中身についてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 認定こども園制度は平成十八年に創設されまして、平成二十七年四月に施行されました子ども・子育て支援新制度におきまして、幼稚園、保育所、認定こども園に共通の財政支援の仕組みを創設するなど、認定こども園制度の改善を図ってまいりました。

 こども園の数でございますけれども、新制度施行前の平成二十六年四月現在では千三百六十園でございましたけれども、それ以降、毎年約一千園以上増加をいたしまして、平成二十九年四月現在、五千八十一園となっております。

 この創設以降、平成二十七年度以降ですが、定員規模に応じた教諭等を加配するチーム保育加配加算、あるいは事務負担の増大に対応した事務負担対応加配加算等を創設いたしまして、給付面での充実を図ってまいりました。

 さらに、認定こども園の施設整備につきましても、文部科学省、厚生労働省におきまして施設整備費の充実が図られてきたところでございます。

 認定こども園への移行につきましては、地域のニーズ、あるいは事業者の意向を踏まえつつ、移行を希望する園に対しては、今後とも、円滑に移行できるように支援をしてまいりたいと思います。

 また、一体改革の関係の御質問がございました。

 社会保障と税との一体改革におきましては、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の拡充を図るためということで、一兆円を超える程度の財源が必要というふうに認識をされております。そのうち消費税が一〇%に引き上げられたときに実施することといたしておりました〇・七兆円分のメニューにつきましては、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、保育所などの整備の拡大に伴う運営費の増額、あるいは三歳児の職員の配置の改善、保育人材の三%の処遇改善など、全ての事項を実施をしてまいりました。

 それ以外の、さらなる質の向上を実施するための〇・三兆円のメニューにつきましては、保育人材の処遇の二%の改善、あるいは放課後児童クラブ、社会的養護の職員の処遇改善を平成二十九年度に実施をいたしました。また、これとは別に、技能、経験に基づく四万円の処遇改善というものも行っております。

 質の改善につきましては、骨太の方針二〇一七におきましても、「子ども・子育て支援の更なる「質の向上」を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していく。」とされているところでございまして、こうした方針に基づいて、引き続き、各年度の予算編成過程におきまして安定的な財源確保に努めてまいりたいと考えております。

山川分科員 ありがとうございます。ぜひ、この認定こども園制度が待機児童問題の解決に更に寄与することも含めて取り組んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 時間もありませんので、最後の質問ですけれども、放課後子ども総合プランの推進についてお伺いをしたいと思います。これは、教育改革全般についての提言も含めて問題意識を共有化したい、そういう意図からお伺いをいたしますので、どうぞ大臣にもよろしくお願いいたします。

 小学生の放課後対策には、以前から、学童保育と呼ばれた厚労省所管の放課後児童クラブと、文科省所管の放課後子ども教室があるわけでありますが、ここでも、対象児童へのサービスを、福祉と教育という異なる観点から別々の行政組織が担っておられるわけであります。しかし、実際にそのサービスを受ける子供たちの立場からは、そのような明確な違いはないというふうに思います。

 子供たちの放課後を質の高い時間と空間に変革していくことで、子育てを支援するばかりでなく、子育ちを力強く応援していく社会をつくり出していくべきではないかというふうに思っております。

 そこで、まず、放課後児童クラブの現状はどうなっているのかをお伺いいたします。

 待機児童数はどのような傾向であるのか、運営主体につきましても、NPOなどの参画もあり、また公設公営、公設民営など多様な形態がありますし、また、設置場所も、学校であることが一番望ましいわけではありますが、それでも児童館や学校外への設置例もあります。ですので、運営実態についてお伺いをしたいと思います。

 さらに、待機児童対策を推進していく上で、定員の大規模化にも対応しながら、多様な運営実態を想定した、児童クラブ設置のための補助制度はどのような予算規模で行おうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

 これは、厚労省から御答弁をいただきたいと思います。

 あわせて、放課後子ども教室の現状はどうなっているのかをお伺いをしたいと思います。

 現時点で放課後子ども教室の実態は、恐らく、一週間当たりの実施日数や時間は週に二、三日程度などと、まだかなり限定的だと思いますが、しかし、制度的には、これは一日四時間、そして年間二百五十日までは実施できるというふうに伺っているわけであります。つまり、学校のある日は実質的には毎日実施できるというような制度設計になっているはずでありますが、であるならば、これは毎日実施できないものか。

 これは生涯学習局長さんにお伺いをしたいというふうに思います。お願いします。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの現状につきましては、平成二十九年五月一日現在、児童クラブ数が二万四千五百七十三カ所、登録児童数が約百十七万人、待機児童数が一万七千百七十人となっております。

 設置・運営主体別のクラブ数の割合につきましては、公立公営が八千六百六十二カ所で三五・三%、公立民営が一万一千百七十六カ所で四五・五%、民立民営が四千七百三十五カ所で一九・三%となっております。

 設置場所につきましては、学校の余裕教室が七千二百三十一カ所で二九・四%、学校敷地内の専用施設が六千四十カ所で二四・六%、児童館が二千六百十七カ所で一〇・六%などとなっております。

 予算につきましては、平成三十年度予算案におきまして、受皿の拡充等により、対前年度七十四億円増の七百九十九億円を計上しており、年々増加傾向となっているところでございます。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後子ども教室でございますけれども、その実施要領におきまして、学校の稼業日数を勘案いたしまして、原則として年間二百五十一日未満まで積算をするということは委員御指摘のとおりでございます。そのことによりまして、制度上はほぼ毎日実施することということも可能でございます。

 その際に、放課後子ども教室につきましては、全ての子供たちに学習や体験あるいは交流活動の機会を提供するという趣旨から、地域のさまざまな方々の参画を得て成り立っているというものでございますので、やはり実施に当たっては地域の人々の協力が必要であるということから、それぞれの地域の実情を踏まえて適切な実施をお願いしているというところでございます。

山川分科員 ありがとうございます。

 学童の方は、予算を毎年増額していただいているということで、更に進めていただきたいと思います。お願いいたします。

 また、放課後子ども教室の方なんですが、制度設計としては一日四時間、二百五十日までできるんだけれども、地域の方々の御協力をいただいているので、事情もありますので、なかなか簡単でもありませんという意味だと思うんですが、御答弁としては。

 ただ、この放課後子ども教室を実質的に毎日実施することができれば、学童の待機児童というのはたくさんいるわけで、もちろん学童と放課後子ども教室の役割は違うとはいえ、しかし、その補完的というか機能も果たせるというふうに思いますし、また、習い事や塾と曜日が重なっても、毎日あれば、全ての児童が放課後の時間を充足させるためのインセンティブを保障されることになるというふうに思います。ぜひとも積極的に実施できるようなプログラムを充実させていっていただきたいと思っているんですね。

 そこで、そのために提案なんですけれども、大臣に伺っていきたいんですけれども、政策提案として、ぜひ、この日本の特に公教育の質を飛躍的に高めるための真剣な提言でございますので、どうぞ大臣には受けとめていただいて、前向きな御答弁をいただきたい。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 どういう提案かといいますと、まず、放課後子ども教室に積極的に教職志望の大学生をボランティア指導員として引き入れることはできないかという提案でございます。

 これにより、教職志望の大学生の教師としての適性が開花し、その経験が教員となった後も大いに生かされることになると思います。このボランティアを大学が単位認定する、また教員採用試験でも評価項目として加点されるなどすれば、大学生にとっては大変大きなインセンティブになると思いますし、さらに、教員採用試験では評価し切れない教師としての適性や資質を見ることにつながるというふうに思います。将来の教育界を担う人材を幅広く育成することにもつながりますし、何といっても、ボランティアですから、財政負担も最小限に抑えられると思うんですね。御検討いただきたいと思います。

 さらに、またあわせてお願いなんですけれども、この放課後子ども教室を毎日実施をしようと積極的に取り組んだ市町村については、みずから実施したこの教室の果実として得た将来有望な教職員となる見込みのある人材を、独自にその市町村の公立小学校で採用することができる採用枠というのを設置していただきたい。

 このことによって、市町村でも積極的に地域の教育力の向上を目指す画期的な制度とチャンスを手にすることができると。これは、自治体議員としての経験から切実に思っているんですね。ぜひ大臣の前向きな御答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

福井主査 林大臣、簡潔にお願いいたします。

林国務大臣 ちょっと時間が限られてまいりましたので、簡潔にお答えをしたいと思います。

 まず教員養成課程の学生、ボランティアでということで、既に御指摘がありましたように、いろいろなところで実際にそういうことが動いておりまして、教員免許取得のための単位として認めている大学もあるということでございますし、我々の方も、教育職員免許法施行規則を改正しまして、学校体験活動として明確に位置づけて、教育実習の単位の一部に置きかえることができるということになっておりますので、こういうことも含めて、しっかり進めてまいりたいと思っております。

 それから、採用の方でございますが、これは一義的には、市町村立学校の教職員の採用は、都道府県・指定都市教育委員会が任命権を持っておりますので、そこで、提出書類に自己アピールやボランティア活動について記載する欄が設けられておりますほか、この放課後子ども教室における活動を継続に行っている者を対象として、いろいろなものを免除したり加点する制度を既に設けている教育委員会もあるということで、名古屋市では、トワイライトスクール、トワイライトルームで子ども指導員、学生ボランティアなどの活動をしている者に対して、平成二十七年、二十八年度は一部試験科目の免除、平成二十九年度、一部試験科目の加点ということを実際行っておられるということでございますので、こういう取組をいろいろなところでやっていただくように促してまいりたいと思っております。

山川分科員 ありがとうございました。

福井主査 これにて山川百合子君の質疑は終了いたしました。

 次に、尾身朝子君。

尾身分科員 おはようございます。自由民主党、群馬一区選出の尾身朝子でございます。

 本日は、我が国の科学技術政策について質問させていただきます。

 林文部科学大臣を始め、文部科学省、内閣府の皆様方に御出席いただいております。ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 第五期科学技術基本計画についてお伺いいたします。

 我が国の経済成長と雇用創出を実現し、国及び国民の安全、安心の確保と豊かな生活の実現、そして世界の発展に貢献すべく策定された第五期科学技術基本計画が、平成二十八年度からスタートしました。この基本計画には、与党自民党の提言を踏まえて、政府の研究開発投資目標、対GDP比一%、総額二十六兆円が数字として盛り込まれております。

 中国、インドやアメリカ、ドイツなどの諸外国が政府の科学技術予算を大幅に伸ばしている中、日本は、二〇〇〇年度から二〇一七年度で一・〇九倍の伸びと、ほぼ横ばいとなっております。我が国の科学技術イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・イノベーション会議の強いリーダーシップのもと、この投資目標を確実に実行していき、政府の科学技術予算をしっかりと確保することが求められます。

 第五期科学技術基本計画で掲げた政府の研究開発投資目標の二十六兆円の着実な達成に向けて、政府はどのように科学技術関連予算の拡充に取り組んでいくのか、現在の進捗状況をお聞かせください。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議は、第五期科学技術基本計画に掲げられた政府研究開発投資目標の達成に向けて、昨年四月、具体的な道筋を改めて示しました。

 これに基づいて、平成三十年度予算におきましては、従来の研究開発事業の拡充に加えまして、公共事業を始めとする既存施策に新たな科学技術の活用を促す取組、いわゆる科学技術イノベーション転換というものを進めることによりまして、対前年度比二千五百四億円の増額、七%の増となります三兆八千三百九十六億円が確保されたところでございます。平成十三年度以降の十六年間で科学技術関係予算は三百億円程度の増額にとどまっていたということからすれば、一定の評価はできるかなというふうには考えております。

 また、昨年から、この総合科学技術・イノベーション会議の議員と関係省庁の局長クラス等によります政策討議というものを開始し、政府事業のイノベーション化の推進などにつきまして議論を開始したところであります。

 今後は、ことしの夏を目途に策定いたします統合イノベーション戦略に向けて、この政府事業のイノベーション化の加速などを検討し、平成三十一年度以降の科学技術関係予算の増額につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

 これらの取組を通じまして、第五期科学技術基本計画中の政府研究開発投資目標が達成できるよう、関係省庁と連携し、今後も継続して努力をしてまいりたいと考えております。

尾身分科員 今後も、着実な達成に向けて、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、官民研究開発投資プログラム、PRISMについてお伺いいたします。

 総合科学技術・イノベーション会議が、司令塔機能を発揮して、府省の枠を超えた科学技術イノベーションを実現する戦略的イノベーション創造プログラム、SIPは、我が国の科学技術発展に向けた重要な取組であり、具体的なプログラム実施を積み重ねていくことが非常に大事だと考えています。

 また、第五期科学技術基本計画では、官民合わせた研究開発投資を、対GDP比の四%、官が一%、民が三%以上とすることが目標に掲げられています。

 そのような中、新たなSIPとして、平成三十年度に、官民研究開発投資拡大プログラム、PRISMが創設されます。

 その概要と、SIPを進めている中、SIPとの違いはどういった点にあるのか、新たなプログラムを始める意味は何かについて、内閣府に伺います。

山脇政府参考人 お答えいたします。

 SIP、戦略的イノベーション創造プログラムにおきましては、平成二十六年度の創設以来、府省連携、産学連携、基礎から出口まで一気通貫に行う研究開発、プログラムディレクターへの権限集中といった、いわゆるSIP型マネジメントというものを構築して、内閣府みずからが各省連携して取り組んでいるという研究開発プログラムでございます。

 一方、平成三十年度予算において創設を予定しております官民研究開発投資拡大プログラム、PRISMについては、平成二十八年十二月にCSTIと経済財政諮問会議が合同で取りまとめたイニシアチブに基づきまして、官民の研究開発投資の拡大を主たる目的として準備を進めてきております。

 このPRISMにおきましては、各府省の事業に対して追加の予算を配分することによりまして、民間投資の誘発効果の高い領域に、各府省、施策を誘導するということとともに、産業界からも評価の高いこのSIP型マネジメントを各府省に展開するということなどを目指しているところでございます。

 また、SIPを中核プロジェクトとして、各府省の事業をこのPRISMとも連携させるということで、両者を一体的に戦略的に進めて、相乗効果を高めていきたいというふうに考えておりまして、このような取組を呼び水といたしまして、先生御指摘の、民間の研究開発投資、対GDP比三%への拡大を促し、科学技術基本計画に定められた、官民合わせて対GDP比四%という目標達成に向けて、引き続き努めてまいりたいと考えております。

尾身分科員 官民一体として、この新しく始まりますPRISMがしっかりと成果を上げることを期待しております。

 続いて、オープンイノベーション、イノベーションエコシステムについてお伺いいたします。

 我が国においては、ソサエティー五・〇そして第四次産業革命の実現に取り組んでおり、これに伴って、デジタル革命の主戦場は、バーチャルからリアルな世界、つまり実社会へと移りつつあります。技術を実社会に実装していく点においては日本企業に優位性があるとも言われており、我が国がこの分野でフロントランナーの役割を果たすチャンスでもあります。

 そのためには、企業の枠を超えたオープンイノベーションの活性化とイノベーションエコシステムの構築が重要となってきます。

 改良型イノベーションと破壊的イノベーションを合わせたハイブリッド型イノベーションを目指すべきとの有識者の指摘もありますが、政府の取組状況についてお伺いいたします。

山脇政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、物づくりを中心に、よりよい性能、価格、競争力を持った製品を市場にもたらすというような、現場を中心とした改良型のイノベーションあるいは持続的なイノベーションというものには強みを持っているというふうに認識しています。

 一方で、ゲノム編集技術の登場でありますとかディープラーニング等の人工知能技術が飛躍的に発展するといったことに見られるように、基礎研究が短期間で社会実装に付されて、急激に経済社会構造に変革をもたらすという、いわゆる破壊的なイノベーションというものも世界的に加速しているという状況になっております。

 このような中にありまして、我が国としても、このイノベーション創出を支えるデータ連携基盤等の構築、大学改革等の制度改革、産学連携の強化、ベンチャー企業の育成など、イノベーション創出のための統合的かつ具体的な政策の遂行というものが必要と考えているところでございます。

 このような視点から、今夏までにまとめる予定の統合イノベーション戦略というものにおきまして、最高水準のイノベーションエコシステムの実現に向けた政策立案に取り組んでまいりたいと考えております。

尾身分科員 世界経済フォーラムが発表している世界競争力ランキングを見ると、日本は二年連続でこの力が低下し、二〇一七年においては九位にランクダウンしてしまっています。これは、我が国の産学官連携においてオープンイノベーションが活性化していないためだと指摘されております。

 そこで、今も御答弁がありましたけれども、産学官連携の強化、活性化、またイノベーション創出に向けた省庁横断的な取組について改めて内閣府に伺います。

山脇政府参考人 御指摘のとおり、イノベーションを迅速かつ効果的に実現するというためには、知的な資源、人材、知識、資金という、これらの流動性を高めて好循環をしていくということが極めて重要でありまして、民間企業と大学、国の研究機関との連携を推進することが重要な課題となっていると認識しております。

 このような観点から、政府におきましては、産学官連携の強化、活性化に関する取組といたしまして、産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインの策定、オープンイノベーションのためのさまざまな取組の推進、組織対組織の産学官連携推進に取り組んでおるところでございまして、二〇二五年までに、大学、国立研究開発法人等に対する企業の投資額を現在の三倍を目指すという産学官連携に関する政府目標の達成に向けて努力をしているところでございます。

 また、内閣府におきましても、イノベーション創出の課題解決に向けた政策討議におきましても、この産学連携も重要なテーマの一つというふうに掲げています。その結果も踏まえながら、産学連携オープンイノベーションの促進をするための方策というものの検討を進め、その充実策を検討していって、引き続き関係府省と連携した体制で臨んでいきたいというふうに考えております。

尾身分科員 引き続きしっかりと取り組んでいただきますことを重ねて要望させていただきます。

 続いて、沖縄科学技術大学院大学、OISTについてお伺いいたします。

 二〇一一年に創立された沖縄科学技術大学院大学、OISTは、世界じゅうから一流の研究者を招聘し、すぐれた研究環境のもとで、世界トップクラスの研究を行っている大学院大学です。

 サンゴの保全につながる研究論文が科学誌ネイチャーに掲載されるなど、研究内容も充実してまいりました。また、明日、初めての学位記授与式が行われ、更にOISTの評価が高まっていくことが期待されています。

 世界との産学官連携のハブとなるような大学院大学として、政府は積極的に支援していくべきです。国としてOIST関連予算をしっかり確保する、優秀な研究者の数を着実に伸ばしていくなど、確固たる方針でOISTのさらなる発展を後押ししていただきたいと思っております。

 沖縄科学技術大学院大学に対しましては、政府が確実かつ手厚い予算措置をしていくことが非常に重要です。また、例えば、一般の大学と同様に外部研究資金獲得の目標を課すような運用は見直していただきたいと考えております。

 これらの点について政府の見解をお聞かせください。

北村政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度予算案におきますOIST関連予算は総額で二百三・一億円、対前年度比三十五・八億円、二一・四%増となっております。

 具体的には、従来の基礎的な研究等を実施するための学園の運営に必要な経費等に加えまして、まず、教員、PIの数について、六十五人から七十人に五人増員するために必要な経費、それから、新たな研究棟の整備に必要な経費として、第四研究棟の建設費、これは四年計画の最終年に当たります、及び第五研究棟の基本設計費など、OISTの規模拡充に向けた取組に要する所要額を計上しております。

 内閣府としては、今後とも、沖縄の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与することを目指して設立されたOISTが所期の目的を達することができるよう、その発展を適切に支援してまいりたいと考えております。

尾身分科員 大変心強いお言葉、ありがとうございました。引き続き、OISTに対する強力な支援をお願いいたします。

 続いて、研究力向上についてお伺いいたします。

 我が国の研究力、基礎科学力を更に向上させるためには、さまざまな環境の整備が急務です。

 具体的には、若手研究者が創造力を十分発揮して研究できるためのポストの拡充や研究資金の調達、管理、知財の管理、活用などをマネジメントする人材、いわゆるリサーチアドミニストレーターを始めとする研究支援者の充実、また、各大学や研究機関をつなぐ学術情報基盤の高度化などが考えられます。

 女性研究者の活躍に向けての課題とあわせて、文部科学省の取組についてお聞かせください。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の研究力、基礎科学力の向上のためには、議員御指摘のとおり、研究支援人材や若手研究者のポストなど、さまざまな研究環境の整備が重要です。

 このため、文部科学省では、大学におけるオープンイノベーションなどを担うURA等の研究支援人材の充実強化や、SINET、学術情報ネットワークの整備等による学術情報基盤の高度化、卓越研究員事業や国立大学における人事給与マネジメント改革を通じた若手研究者のポスト拡充等の取組を進めております。

 また、女性研究者の活躍促進に当たりましては、研究活動と出産、育児等のライフイベントとの両立などに課題があると認識しております。ライフイベント中の研究者の研究継続を支援するための人材の配置を行う大学などを支援するダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ事業や、出産や育児から円滑に研究へ復帰できるよう研究奨励金を支給する特別研究員、RPD事業などを実施しております。

 これらの取組を通じまして、今後とも、我が国の研究力、基礎科学力の強化に向けて、研究環境の整備や女性研究者の活躍促進に努めてまいりたいと思います。

尾身分科員 日本が引き続き科学技術イノベーションの分野において世界トップを走れるためには、若手研究者をしっかりと育成していただくことが大切だと思います。研究職というのが魅力的な職場であるように、引き続きお取組をお願いいたします。

 個別的分野についてお伺いいたします。

 光・量子プログラムについて伺います。

 光・量子分野における技術開発はソサエティー五・〇の実現のための鍵であり、またその強力な推進が必要であります。特に本分野は、基礎的研究と社会課題解決のための技術開発が一体となって、しかも非連続に進展する知識集約型のプログラムの推進が重要であると認識しております。量子コンピューターを含む情報処理技術、計測技術、レーザー技術などを一体として進める必要があり、今回、大臣の強いリーダーシップによって予算に組み込まれたものと承知しております。

 光・量子技術は量子コンピューターなどを実現する上で大変重要な技術であり、ぜひとも本分野で世界に先駆けた成果を上げることを期待しているところですが、文部科学省としての取組方針と大臣の御決意をお伺いいたします。

林国務大臣 今お話がありましたように、量子コンピューターを始めとする光・量子技術は、新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術であると考えております。欧米等では、既に第二次量子革命とうたいまして、世界的な研究開発競争が激化する中で、我が国の光・量子技術に関する研究開発を更に強化していくことが必要であると考えております。

 このため、我が国のこの分野での基礎研究における強みを生かした研究開発を推進する光・量子飛躍フラッグシッププログラム、Q―LEAPと言っておりますが、これを平成三十年度より開始すべく、私が財務大臣と大臣折衝させていただきまして、来年度予算案に二十二億円を盛り込ませていただきました。

 文部科学省としては、今後、Q―LEAPを始め光・量子技術の推進を図ってまいりたいと思っております。

尾身分科員 大変力強いお言葉、ありがとうございました。Q―LEAPの推進ということで大幅な予算を獲得していただいたということ、また、これが引き続き日本のコア技術となって、世界の中での光・量子の研究開発、そして競争に日本がぜひとも勝ち残っていけるように、引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 続いて、宇宙開発についてお伺いいたします。

 我が国の基幹ロケットは、二〇〇五年度以来四十機連続で打ち上げに成功しており、その成功率は九七・八%と大変すばらしい数字で、非常に喜ばしいことだと思っております。

 他方、スペースX社が大型ロケットの打ち上げ実験に成功するなど、海外においても新たなロケット開発が進められております。

 市場ニーズへの対応に資する新技術や低コスト化に向けた新技術を世界に先駆けて開発していくことで国際競争力の強化を図ることが非常に重要だと思います。また、来週、東京で開催される宇宙探査に関する閣僚級の国際会議、第二回国際宇宙探査フォーラム、ISEF2は、我が国がリーダーシップを発揮し、国際情報発信をする絶好の場であると考えます。

 そこで、我が国の宇宙開発の取組方針について、文部科学省にお伺いいたします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙の開発や利用は、安全、安心で豊かな社会の実現や、産業の発展などに貢献する重要な分野であり、その中において、ロケットの低コスト化など、国際協力の強化は大変重要であると認識しております。

 このため、文部科学省といたしましては、官民一体となり、低コスト化や顧客ニーズへの柔軟な対応などを可能とする新型基幹ロケットH3の開発、衛星重量の削減により打ち上げコストの大幅な低減につながるオール電化の衛星バス技術を獲得する技術試験衛星九号機の開発、民間企業などが製作する超小型衛星や部品を宇宙で実証する機会の提供などを行っております。

 宇宙の開発やその利用はさまざまな分野に貢献できる重要な取組でございますので、先生御指摘のISEF2の開催を含め、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。

 宇宙の分野というのは大変重要ですし、また、子供たちに夢を与える大きな可能性を持っているところだと思います。

 国際宇宙ステーションに常に日本人宇宙飛行士が滞在しているというようなこと、また、「こうのとり」がしっかりと物資を運んでくれているというようなこと、日本の宇宙開発また利用における技術力の高さというものを、ぜひとも今回のISEFにおきましてもしっかりとアピールしていただければというふうに期待しております。

 続いて、大学改革についてお伺いいたします。

 タイムズ・ハイアー・エデュケーション、世界大学ランキング二〇一八において、東京大学が四十六位、京都大学が七十四位と、トップ百に入っているのがわずか二校だけという状況がございます。

 ランキングというものは絶対視すべきものではないと思いますけれども、やはり、我が国における抜本的な大学運営の改革が必要なのではないかと考えます。このままでは、日本再興戦略二〇一六に明記された、今後十年間でトップ百に十校以上入るという政府目標が達成できないのではないでしょうか。

 有識者のお話では、日本の大学は、経営者、総長や学長が短期間で交代するということも、なかなか成果が出せない一つの要因だというふうにも聞いたことがございます。

 そこで、大学改革の現状を認識するとともに、あるべき大学の姿についてどのようにお考えか、文部科学省にお伺いいたします。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、第四次産業革命ですとかグローバル化が進展する中において、我が国が持続的な成長、発展を遂げていくためには、人材育成とイノベーションの創出の中核でございます大学の役割が一層大事だということでございます。

 御指摘のランキング、タイムズ・ハイアー社のランキング以外、いろいろなランキングがございますけれども、一概に評価するということができないというのは委員御指摘のとおりでございますが、その指標を分析いたしますと、総論文数が伸びていないですとか、あるいは論文の引用度が低いなどの、研究力の面での課題がございます。また、留学生の比率ですとか外国人の教員の比率など、国際化に関する課題があるということについて認識しているところでございます。

 このため、文科省におきましては、日本再興戦略なんかを踏まえまして、大学の国際化を一層推進していくための支援をするということで、スーパーグローバル大学創成支援事業、さらには、世界の競争力ある大学とベンチマーキングして、大学全体として経営資源をしっかり投入して戦略を立ててやっていきます指定国立大学法人制度、さらには、平成三十年度から実施を予定しております卓越大学院プログラム、これは、産業界と連携して、大学を挙げて共同研究と人材育成のハブとしての大学院をつくっていこうというプログラムでございますが、そのようなものを更に加速することによって、大学の国際競争力の強化、イノベーション創出のための教員の研究環境の整備、国際ネットワークの強化に向けて取組を推進してまいりたいと思います。

 さらに、先生御指摘のとおり、ガバナンスの問題については、これは課題でございます。さらに、文科省においては、中教審においても、その問題についても議論しているところでございますが、経営力の強化を図るための取組について議論を更に進めていきたいと思います。

 さらには、それを実現していくにおいては、財政基盤の問題がございます。国費の投入に加えまして、例えば、国立大学法人が持ちます資産の有効活用のための規制緩和ですとか、あるいは、寄附の促進を進めるための税制改正等を通じまして、外部資金の獲得によりまして財政基盤の確保にも取り組んでまいりたいと存じます。

尾身分科員 ありがとうございます。

 大学改革というのは、本当に長い目で見て、しっかりとこれから先、日本の大学がどのようにあるべきかということの大きな大きな課題だというふうに思います。

 今の御答弁の中にもありましたけれども、ガバナンスそして大学を経営するという観点をこれから入れていくことが非常に重要なのではないかと考えます。また、そのことによって、若手研究者にとって魅力的な場所であり、また、さらには、先ほど来お話が出ておりますオープンイノベーションの活性化、そして、イノベーションエコシステムの構築において、大学というものは非常に大きな役割を果たすと考えておりますので、これからもしっかりと大学への取組も力を入れていただくことをお願いしたいというふうに思います。

 さて、最後になりますが、我が国の科学技術の姿についてお伺いいたしたいというふうに思います。

 地球環境変化が現実のものとなるとともに、あらゆる分野でのデジタル化が進む国際化の社会の中で、SDGs、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールなど、そして、持続発展可能な経済社会を実現し、我が国が将来的にも発展や繁栄を続けていくためには、科学技術の力、イノベーションの力、そして人材の力が最も重要です。

 中国やインドなどの台頭が著しく、欧米も政府の科学技術予算を大幅に伸ばしている中、このままでは、我が国の科学技術は諸外国に大きくおくれをとってしまうおそれがあります。

 先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、科学技術基本計画をしっかりと実現して、そしてまた、科学技術基本法の精神にのっとって、科学技術を日本の政策の大きな柱に据えていくということが非常に重要だというふうに思います。

 科学技術分野での我が国の発展を更に実現するために、今何が必要でしょうか。また、今後、大幅な予算拡充の実現を含め、どのように改革しようとしておられるのか、具体的な例もございましたら、それもあわせて文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 科学技術イノベーションは、今先生からお話がありましたように、日本が将来にわたって成長と繁栄を遂げるためのかなめであるということで、今政府が一丸となってやっております生産性革命の中核を担うものであると思っております。

 先生からもお話があったように、中国やインドなどの台頭、グローバルな競争が激化をする中で、ほかの国もかなり政府の研究開発投資を伸ばしているという状況があります。第五期科学技術基本計画に掲げられているように、経済・財政再生計画との整合性を確保しながら、GDP比一%、この目標達成を目指してまいりたいと思っております。

 持続的なイノベーションの創出に向けまして、中核となる大学それから国立研究開発法人の機能強化、さらにはオープンイノベーションの促進、こういった改革に取り組むことによって、予算は無限ではございませんので、限られた予算をしっかりと有効に活用するということの意味でも、こういう改革をしなければならないと思っております。さらには、基礎研究、人材育成、最先端研究基盤の強化等についても、引き続き進めてまいりたいと思っております。

 科学技術政策の中核的な役割を担う文部科学省として、新たな未来社会の姿で、ソサエティー五・〇の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

尾身分科員 力強い御答弁ありがとうございました。

 科学技術イノベーション政策というものは、国を挙げて、府省横断として、一体化として実現していくことが大変必要だというふうに考えております。また、さまざまな分野がある中で、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔の機能をしっかりと果たしていくということ、また、先ほどお話がございましたとおり、大きなリーダーシップのもとに進めていただくということが大事だというふうに思います。

 また、経済、社会的な重要課題がさまざまある中で、それへの対応、それから、国の経済成長、安全保障の基盤となるような基幹技術の推進、基礎研究の推進や若手研究者の育成、最先端研究大学の施設の整備など、先ほど来お話が繰り返しになっておりますけれども、また、特定研究開発法人などのしっかりとした役割を与えて成果を出していくこと。オープンイノベーションが活性化されていないという中で、それをいかに活性化していくか。また、官民の民の方を、先ほどのPRISMなどのプロジェクトをしっかりと実現することによって民の投資を誘発し、最終的にGDP比一%を達成していくということ。そのようなこと、オープンイノベーション、イノベーションエコシステムの構築など、さまざまな課題があるというふうに認識しております。

 それら全てを包含した形で第五期科学技術基本計画というものがあるわけですから、冒頭から何回も繰り返し申し上げておりますけれども、二十六兆円という目標をしっかりと実現していくことが、その一つの鍵になるのではないかなというふうに考えております。

 政府におかれましては、科学技術イノベーション立国実現のために、また、大臣からも力強い御答弁ございました。これからの日本にとっての科学技術政策というものをしっかりとした柱として、成長戦略なども重要な課題となってまいります、科学技術イノベーション政策を国家戦略としてしっかりと位置づけて、引き続き推進していただくことを強く要望させていただきます。

 このような政策の推進におきましては、特に重要な役割を果たしていくのが文部科学省です。林文部科学大臣のリーダーシップのもと、より一層強力に幅広い科学技術イノベーションの取組を展開していただき、また、日本が、科学技術イノベーション、そしてイノベーションエコシステムの構築により、世界の中で科学技術の分野においては引き続きしっかりと光っている国、光り続ける国となることを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔主査退席、あべ主査代理着席〕

あべ主査代理 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 林大臣におかれましては、連日の予算委員会、また、きょう、月曜日と、終日にわたりまして分科会の対応、大変お疲れさまでございます。どうか、三十分でございますが、よろしくお願いいたします。

 きょうは、我が国の教育行政諸般にわたりまして、幾つかの点について質問させていただきたいと思います。

 まず、教育費用負担軽減の問題についてでございますが、私ども公明党は、教育は未来への先行投資、また、誰もが経済的事由にかかわらず公平に良質な教育を受けられる国であらねばならない、そうした思いの中で、結党以来、一貫して教育費負担軽減に取り組んできたわけでございます。特に、大学生等を対象といたしました奨学金事業の充実はその柱でありまして、今から振り返りますと、平成十年、公明党が自由民主党と連立政権を組む際に、さまざまな政策合意、議論がございまして、そのうちの大きな柱の一つがこの奨学金に関する対応でございました。

 当時は、日本育英会奨学金というのは優秀な学生を支援する。しかし、我々は、成績は多少できなくても、学習意欲のある者はしっかりと教育を受けられるようなバックアップをするべきだということで、実は、奨学金の要件に、成績条件を実質的に外して、学習意欲のある者というふうにしたらどうかという提案をさせていただきました。自民党からも賛同をいただきまして、その合意の結果、新しい、きぼう21プラン奨学金、この有利子の奨学金については、実質的には成績要件が外されたわけでございます。

 平成十年度のときにはおおよそ三十八万人の学生が奨学金を受けておりましたが、成績要件を外した結果、翌年から大変な勢いで、予算規模も大きくなって、十年後には最多で百四十万人を超えるまでにふえたわけでございまして、これは、間違いなく、日本の多くの青年たちの大学また専門学校進学への大きなバックアップになったというふうに考えておるところでございます。

 特に本年度は、給付型奨学金を我が国として初めて創設をするとともに、また、無利子奨学金について、低所得世帯の子供たちの成績基準の実質的な撤廃ですとか残存適格者の解消によりまして、希望者全員への貸与を実現しております。今、安倍総理のリーダーシップで実現をした、私は大変大きなところだと思いますが、これは大変大きく評価すべきことと考えております。

 そこで、本年度から先行実施をいたしました給付型の奨学金、いよいよ来年度、平成三十年度から本格実施となるわけでございますが、その予約採用状況、進んでいると承知をしております、このことについて、社会的養護を必要とするお子さんの状況も含めて、その予約採用状況についてお答えをいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 給付型奨学金、委員御指摘のとおり、平成三十年四月から進学を予定されている方につきまして予約採用を今実施しておりますけれども、全体で二万一千百四十二人を採用候補者として決定しているところでございます。

 その内訳としましては、社会的養護を必要とする者がそのうちの六百三人、住民税非課税世帯の者が二万五百三十九人となっているところでございます。

赤羽分科員 今御答弁ありました、社会的養護の進学者数、私のこれまでの認識ですと、毎年四百五十名程度であったと認識をしておりますが、これが六百名を超える、百五十名以上の方が進学を希望しようということで予約採用された。これはまさに、新しい給付型奨学金に背中を押されたお子さんたちが多く、実現できたということで、私は、まさに人づくり革命、政府が今考えていることの一端を実現したものだというふうに大変高く評価をしたいと思います。

 ここで、進学を断念する子供たちを更になくすためにも、給付型奨学金のさらなる拡充が必要であると考えておりますし、また、政府としても昨年十二月に閣議決定をされました、新しい経済政策パッケージの高等教育無償化にも大いに期待をしているところでございます。

 現在の文科省におきまして、高等教育無償化の制度の具体化につきまして、有識者会議、専門家会議を立ち上げられて検討が始められると承知をしておりますが、その状況についてお伺いをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に閣議決定いたしました新しい経済政策パッケージにおきましては、「所得が低い家庭の子供たち、真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現する。」とされたところでございます。

 その際、閣議決定で具体的に定まっていない詳細部分につきましては、検討を継続しまして、夏までに一定の結論を得るということとされているところでございまして、それを踏まえ、文科省におきます検討のための専門者会議を一月に設置したところでございます。

 専門者会議におきましては、学校種に応じた給付のあり方、支援対象者の要件のあり方、外部の人材の登用など対象となる大学等の要件についてのガイドライン、さらには円滑かつ確実な実施に際して必要な事項等について御議論をいただいているところでございます。第一回会議を一月三十日に開催いたしまして、これらの事項について幅広い観点から御意見をいただいたところでございます。

 引き続き、関係者の声に丁寧に耳を傾けながら、本年夏までに結論を出していきたいと考えているところでございます。

赤羽分科員 今の御答弁にあるように、これから精力的に会議が持たれるというふうに思うわけでありますが、一つだけ、そこでちょっと要望しておきたいのですが、昨年十二月八日閣議決定をされた新しい経済政策パッケージ、高等教育関連の部分にそうしたことを書かれているんですが、ここで、具体的な内容として、支援措置の対象は、低所得者世帯に限定する、こう明記されているんですね。

 それを受けて安倍総理が、この通常国会で、いろいろな場面での御答弁で、これは相当深掘りをしようという意欲が感じられる。この低所得者世帯に対しては、授業料のみならず、生活費まで出せるような充実したものにしたいという、その意欲というのは大変私はすばらしいと思っておるんですが、他方で、どうもそのことを聞いていると、いわゆる住民税非課税世帯とかに限って大変な深掘りをされて、その上の、経済的な、何というか、非課税世帯ではないけれども、いわゆる庶民の、いわゆる苦学生、林大臣ではなくて私みたいな出自の学生も大変なんですよね。これは、冗談みたいに言いましたけれども、私も子供を二人大学に進学させて、やはり東京の私立大学に行かせるということは大変な金額がかかる。これは、こうしたことをやはり勘案しないと、せっかくいい制度をつくろうとしても、逆に不公平になってしまうのではないか。

 私は、深掘りをしていただくというのはすごく大事だし、財源的なこともいろいろあると思いますけれども、やはり、いわゆる低所得ということを限り過ぎないで、一般的な、庶民的な家庭の子弟もぜひ対象にするようなことを考えていただきたい。

 というのは、実は、いろいろなデータを文科省からいただいておりますと、お子さんが大学に進学する際には、ほとんどの世帯で貯蓄を取り崩している、大変な家計の一番最大の要因は教育費の負担なんですね。なぜ子供をつくらないかというと、教育費の負担が大きいからといったような回答もいろいろなデータで出ております。

 私は、この中間層の家庭の子弟の教育費の負担につきましても当然対象として、何らかの検討がなされていくべきだというふうに考えておりますが、この点についての文科省の御検討、御意向をお聞かせいただきたいと思います。

義本政府参考人 委員御指摘のとおり、住民税非課税世帯については厚い支援をするということをしておりますけれども、同じ政策パッケージの中におきましても、全体として支援の崖、谷間が生じないよう、住民税非課税世帯に準ずる世帯についても、非課税世帯の子供たちに対する支援に準じた支援を段階的に実施し、給付額の段差をなだらかにするということを定めているところでございます。その点についても更に検討してまいりたいと思います。

 さらに、委員御指摘のとおり、それ以降の中間層の方々についての負担が重いということについては大きな声を聞いているところでございますが、このパッケージの中におきましても、中間層におきますアクセスの機会の均等について、ことしの夏までに継続的に検討するということになっているところでございます。

 その点を受けて、そのあり方について、奨学金の問題も含めて、全体として検討を進めてまいりたいと存じます。

    〔あべ主査代理退席、主査着席〕

赤羽分科員 そこで、給付型奨学金の中にいろいろな推薦の要件があって、当然野方図にはできないとはいいながら、成績については、おおむね満足できる学習成績というような、内規ですか、そういうものが要件としては書かれているというふうに承知をしております。

 これは、やはり、そうすると、大体五段階で三・五から四・二ぐらいみたいなものが想定されるというようなふうにも聞いておりますけれども、私は、これは何らかの制限をしなければいけないという事の考え方もよくわかりますが、先ほど御紹介しましたきぼう21プラン奨学金では、成績要件にかかわらないで、学習意欲のある者は広く教育を受けられる環境をつくっていこうという、これは、私はすごく、日本の奨学金の精神というか、大変大きなターニングポイントだったというふうに思います。

 そうしたことが、その精神というのは私は非常に大事にするべきであると思いますので、この給付型奨学金につきましても、過度に成績で切るような状況じゃなくて、なるべく拾っていこう、幅広く採用していこうというふうな精神は大事にしながら、今後枠が広がっていくように我々も頑張らなきゃいけないと思います。そのときには、ぜひ、きぼう21プラン奨学金と同じように、余り成績要件にはこだわらないで、一人でも多くの未来のある子供さんたちの将来を支えていこうというふうにすべきだと私は考えておりますが、大臣、その点について御意見をお聞かせください。

林国務大臣 現行の給付型奨学金制度においては、今委員からお話がありましたように、一定の学力、資質要件を設けまして、学習成績、進学意欲などを確認の上で各高校等から推薦された生徒について支給の対象とする仕組みになっております。

 高校における学習成績については、生徒を評価する一つの指標として重要なものであると認識をしておりますが、他方で、必ずしも高校の成績が芳しくなくても、学びへの強い意欲を持って進学、卒業し、社会で活躍をしていらっしゃる方もいらっしゃるわけでございます。

 こういうことを踏まえて、新しい経済政策パッケージにおいては、給付型奨学金及び授業料減免の要件として、高校在学時の成績だけでなく、本人の学習意欲を確認し、支援の対象とする、こういうふうにしたところでございます。その上で、大学等への進学後は一定の学習成果を上げることを要件とする、こういうふうにしておりますので、今後、この政策パッケージの詳細な制度設計をこれに基づいて行ってまいりたいと思っております。

赤羽分科員 なるべく入り口で排除しないで、ぜひ、その後フォローアップをするという、今の御答弁どおり、一生懸命つくっていただきたいと思います。

 この奨学金につきまして、実は、この二月、朝日新聞が実に大変センセーショナルな記事を上下として連載をされました。「奨学金破産」という、一つは、「娘が破産 四百万円の重荷」「定年後も仕事 月三万円返還」「控える予備軍「無力感しか」」ないみたいな、大きな題字で、下の方は、「息子の死から八年 督促状」「保証人追いかけ 延滞金も」「「家族主義」見直し求める声」というようなことがございました。

 この記事によれば、奨学金に絡む自己破産者は、平成二十八年度までの五年間で延べ一万五千人というふうになっているという報道がございます。

 この事実の真偽も含めて、文部科学省としてのこの奨学金破産についての認識はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 奨学金の債務を有する方が自己破産になった直接の理由は、日本学生支援機構において必ずしも把握しておらないところでございますが、奨学金の債務のみによる自己破産でない方も、ほかに債務を抱えておられて、それが引き金になって自己破産したという方も多く含まれていると考えております。

 一方、さまざまな事情によりまして、卒業後、厳しい経済状況に置かれまして、奨学金の返還が困難な者がいるということについては事実でございまして、そのような方に対してきめ細かい対応が必要だと考えております。

 このため、返還困難者に対しましては、従来より、状況に応じて毎月の返還額を当初の返還額の二分の一又は三分の一に減額して、長期間かけて返還いたします減額返還制度ですとか、経済困難、困窮によりまして返還期間の猶予を設けるというふうな制度によりまして対応するとともに、その制度の充実を図ってきておるところでございます。

 奨学金の返還に際しましては、長期にわたって延滞に陥らないことが重要でございまして、引き続き、延滞初期段階での返還促進や返還困難時の救済措置の案内をしっかりやっていくということとともに、今年度より、奨学金の返還を含む進学のための資金計画について、例えば高校の教員ですとか保護者に対して助言を行いますスカラシップアドバイザーの制度を設けまして、その派遣を新たに実施するところでございまして、これらを活用しまして、延滞の防止、解消に努めてまいりたいと考えております。

赤羽分科員 これは、給付型奨学金、昨年、一昨年ですか、さまざまな議論をしたときに、やはりこの返済困難者の問題というのが議論になりました。

 そして、平成二十九年度の新規貸与者から所得連動返還型奨学金の制度も新しくできたものと承知をしておりますし、それと同様の、同程度の措置ということで、既存の返還困難者について、今局長から御答弁があったような制度ができているはずなんですね。

 ただ、このことがありながら朝日新聞のような記事が真実であるならば、こうしたことが、制度があるということをやはり現場で周知徹底をしたりアドバイスをするということがすごく大事だと思っております。

 そして、ちょっと気がかりな点が一点ございまして、返還猶予が十年間が最大で、その十年を経過するとこの猶予ができなくなる。そのことについても新聞では記事、報道があって、この返還猶予制度は、この記事によれば、延べ十万人が利用している、その十万人のうち、一九年春から猶予期限が切れ始める、ですから、この人たちはもう大変な状況になるんだ、自己破産ドミノが起こるんだというようなことが書いてあります。これは本当かどうかはわからないんですけれども。

 そうした人たちに対して、体を壊されて仕事ができない方とかいらっしゃるようなことも書かれておりますので、そうした方については、十年たったらもう返還を求めるみたいな、取立てみたいなことを、やはり現場でよく、教育資金の問題ですから、丁寧に対応していただきたいと思いますし、この返還猶予十年ということについても、今後どうするか、ぜひ検討課題として捉えていただきたいと思いますが、もう一回、どうですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、返還の困難な方についてはいろいろな特別事情がございます。JASSOにおきましても、きめ細かく一人一人に対して寄り添った形でのアドバイス、相談を受ける形にしてまいりたいと思いますし、その返還の問題についても、全体の中でその議論をし、また課題として受けとめさせていただきたいと存じます。

赤羽分科員 それと、ここに、家族主義を見直し求める声だとか保証人とか連帯保証人まで追われて大変だという記事が書かれておりますが、私は、文科省から聞くと、平成十六年度から、保証人、連帯保証人が必要でない機関保証制度というものが実施されていると。最初のころは、すごく、一割を満たない方が利用していますが、今は、実は四十数%が機関保証、保証人、連帯保証人が要らない制度をチョイスしている。私は、やはりこちらの方をあっせんしていくべきだというふうに思いますし、そうしたことがこうしたような悲劇が起こらないことであるということが第一点。ですから、ぜひ、そのことについて、再度ですけれども、御答弁をいただきたいのが一つ。

 もう一つ、この新聞記事について文科省がどう対応されたのかはよくわかりませんけれども、こうした事実があるのは、事実だったと思いますけれども、しかし、家族主義の見直しを求めるための措置としてもう既に機関保証制度があるとか、そうしたことは全く書かれていないわけですね。一万五千人という数字も、私、文科省から聞いている数字とは随分違うので。

 こうしたことについて、何か、この十年間以上にわたって国が奨学金制度を拡充してきたことがあたかも悪かったかのような印象を与えるような記事については、私は、文科省として、やはり事実は事実として毅然として対応するべきだというふうに考えますが、その二点について、局長から答弁いただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、十六年から、従来の保証人制度に加えまして機関保証をするというふうな制度を設けまして、自己破産に陥らないような形での対応をしているところでございます。まだその利用率自身については四割程度にとどまっているところでございます。それを更に周知して、その利用を、活用したいと思っております。

 なお、ちなみに、無利子奨学金のいわゆる所得連動返還型については、機関保証で対応するという形で新規は受けるところでございますので、その制度の普及に努めてまいりたいと思います。

 それから、先ほど委員御指摘のとおり、マスコミの報道においては誤解に当たる表現等もございますので、しっかりその点については事実関係を、個別には対応しておりますけれども、しっかりした広報をするという形にして、その制度についての理解、あるいは正しい記事が書いていただけるような形での取組を我々としては重ねてまいりたいと存じます。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。教育費用負担軽減をめぐる悲劇というのはやはり起こってはならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、小学校、中学校、義務教育における邦楽教育について質問させていただきたいと思います。

 実は、大臣、このことについて、私、国会で平成十五、六年ぐらいから何度も取り上げてきております。実は、私の小学校は大変立派な先生がいらっしゃって、音楽教育、和楽器、お琴ですとか和太鼓とか、そうしたものになじんでいくことが大事だ、それは実は、日本人のアイデンティティーを学び、そしてやはり愛国心にもつながる、そうした思いでさまざまな御指導をいただいて、こう見えても、琴で「さくらさくら」ぐらいは弾けるようになった。

 このことは楽しい思い出だったんですけれども、これは実は、社会人になって、大臣も一緒ですけれども、海外に商社マンとして勤務をしたときに、日本人としてのアイデンティティーというのが問われ、そのときに、いろいろな質問をされるときに、案外自国の文化ということを知らない。しかし、自分は辛うじて琴はさわったことがあるということは、私、大変大きな助けになりましたし、そこのことで非常に人間関係もふえたわけでございます。

 平成十八年に教育基本法の議論があったときにも、愛国心をどうするかというような議論がありましたけれども、私は、その中で、ぜひ邦楽教育、日本の伝統文化を学ぶ機会を多くするべきだということで、実は、指導要領が改正になり、平成十年度の中学校の音楽科の学習指導要領から和楽器を使ってという、その後、教育免許法も改正されて、音楽の免許取得につきましては、和楽器や伝統的な歌唱法が必修になった。こうしたプロセスが、実は平成十年から約二十年間にわたってあるんですね。

 その中で、いろいろな問題があるわけです。教員をつくっても、その人たちが本当に指導できるのかとか、そもそも楽器がない。全国の小学校、中学校に行くと、ピアノは絶対にありますし、オルガンも全部ある。しかし、琴がある学校というのはほとんどない。楽器がないので、実際なかなか授業ができない。また、教材もないし、その指導方法も確立されていないというようなことが随分問題としてはありました。

 私、遅々としてではありますけれども、着実に、文科省としては誠実にいろいろ取り組まれていて、それは随分変わってきたものだと思いますし、教員の和楽器に対する、何というか、あれも深くなっていると思いますが、結局、私が思うに、これをしっかりやらなきゃいけないのは、とどのつまり、やはり全国の小学校、中学校にお琴が配備できるかどうかということだと思うんです。

 これが目の前にあれば、子供というのは、さわってみたいし、本当に音が出るのか、やると案外簡単にできるというようなことから、私は非常に、やはりちょっと財源上の問題ですけれども、ここは文科省として腰を据えて、この小学校、中学校で全て、ピアノ、オルガンと同じようにお琴が配備できるようにしっかり頑張るということがすごく大事だと思う。

 これは、実は国際人に通用する日本人をつくることに必ずつながる、私はかたくその信念を持っておるわけでございますけれども、その点について大臣の御答弁をいただければと思います。

林国務大臣 赤羽委員とは長いおつき合いでございますが、きょう初めてお琴をたしなまれるということを聞きまして、その幅の広さに、体格ではなくて、人格の幅の広さに大変感じ入ったところでございます。

 まさに、お互い商社のOBとして、グローバルな中で、私なんかはピアノとかエレキギターとか、そっちの、人もやるようなことばかりやっておりますので、やはりここでそういうものが一つあれば、なるほどそうかということになるということは痛いほど感じてきたわけでございますので、こういった日本人としての美徳やよさを生かして、グローバルな視野で活躍するために必要な資質、能力を育成することは大変重要であると思っております。

 委員も御紹介いただいたわけでございますが、平成十年に改訂した学習指導要領で、和楽器の指導については、中学校で箏や太鼓などの和楽器を用いた表現活動を必修というふうにしております。また、小学校でも、表現活動や鑑賞活動において和楽器を選択して扱うことができるということになっております。

 学習指導要領に対応しまして各学校が教材を整備する際の目安として教材整備指針を作成しておりまして、音楽の道具、実習用教材として和楽器も掲げております。この指針に例示される教材が安定的かつ計画的に整備されるように、義務教育諸学校における教材整備計画を策定しまして、これに基づいて地方財政措置が講じられております。

 こうした状況の中、小中学校における和楽器の整備が進められてきておりまして、平成二十七年五月時点で、小学校で約六二・五%、中学校で約八〇・六%、これをちょっと見て、私、自分のときと比べて、すごいな、こういうふうに率直に思ったんですが、これを更に進めていかなければならない、こういうふうに思っております。

 児童生徒が我が国の伝統音楽のよさを味わって、委員のような豊かな情操を培うことができるように、和楽器の指導の充実に努めるとともに、各学校、各教育委員会の御判断で和楽器の整備を進めていただきますように、今後とも要請をしてまいりたいと思っております。

赤羽分科員 しっかり、財源の問題も大きいと思いますので、二十年間なかなか進んでこなかった原因がそこにあるということで、何らかの支援制度もぜひ検討していただきたいと思います。

 最後に、今ニュースになっております中央区立の公立小学校の標準服をめぐる問題について、ちょっと一点だけ、いろいろ報道がありますので確認したいんです。

 この問題について、十四日、中央区の教育長は記者会見で、今回は関係者への説明が不十分で校長への指導が足りなかったと反省している、こう陳謝されて、銀座だからブランドという考えは、公教育には望ましくないと見解を述べられた、こういう報道がございます。私は、もしこれが事実ならば、教育長としてそれだけのコメントをした以上、どうやってその決着をつけるんだということは、しっかりやはり文科省として求めるべきだと思います。

 きのうの予算委員会で、大臣から、再発が防止できるようにということで通達を出されるというようなことは大変大事だと思いますが、この時期に来てなかなかもう身動きがとれないというようなこともわかるんですけれども、やはり一部の保護者からは、負担が重くて購入ができない。そうした場合、私服で行かせるのかとか、その中でいじめとかが起きないだろうかとか、やはり大半の国民が心配をしているようなことがこの問題には内在してしまっていると思う。

 それは、中央区の教育長自身がそう認めているのであれば、教育委員会として、最後はどうなんだ、謝罪で終わらせるのか、おかしいと思うという指摘で、そんなのでどうなのかという最後のところが私は大事だと思うんです。

 いずれにしても、物理的な制約とかあるかもしれませんが、教育長がこうした見解を示した以上、そのことについてどうなんだということを最後まで、私はちゃんと責任ある対応をすべきだと考えておりますが、文科省としてどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小学校等のいわゆる制服のあり方については、基本的には各学校において適切に判断すべき事柄だと考えております。

 標準服導入の再検討の要否については、学校において適切に判断がなされるよう、まずは区の教育委員会において必要な指導等を行っていただくことが基本であると考えております。

赤羽分科員 時間が来ましたのでもう終わりにいたしますが、ぜひ、区の教育委員長がそうした見解を述べた以上は、ちゃんと総括させるということが大事だということを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

福井主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら分科員 希望の党のもとむら賢太郎です。林大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、スポーツ関連について数点お伺いしてまいりたいと思います。

 高校野球についてでありますが、春の選抜大会、ことしは、二十一世紀枠で、文武両道を実践されている大臣の母校である下関西高校も出場されるというふうに伺っておりまして、頑張っていただきたいと思いますけれども……(林国務大臣「出られない。残念、最後で」と呼ぶ)出られなかったですか。済みません、それは失礼しました。

 この春の選抜、そして夏の選手権大会とございますが、高野連の竹中事務局長は、野球部の部員数が減少しているという問題に関して、この流れは加速していく、それを食いとめるため、野球の普及に力を入れたいというお話もありますように、少子高齢社会の中で、野球を選択していただくお子さんたちが多くいらっしゃることはうれしいことであります。

 例えば、夏の選手権大会、東京は高野連に所属しているのは二百七十四校、北海道が二百二十八校ありまして、二校出場できるわけでありますが、私の地元神奈川では、高野連加盟数が三番目に多く、百九十四校、そして、次に愛知が百九十一校、大阪百八十九校、千葉百七十二校と、私どもの神奈川でいうと、八回勝たなければ夏の選手権大会に出られないという厳しい地域もあれば、三回勝って甲子園に行ける地域もございます。

 こういったことを、球児たちに平等な機会を与える観点から、これは高野連の分野だと思うんですが、神奈川など人口が多い都道府県は出場枠をふやすことを検討したらいかがと考えておりますけれども、どうお考えでしょうか。

林国務大臣 私の母校に触れていただきまして、ありがとうございました。候補のリストまでは行って、私も含めて同窓生みんな大変期待をしておったんですが、最後の選にはなかなか難しかったということで、残念に思っておるところでございます。

 今先生からお話があったように、この高校野球の大会に球児が平等に参加できるということは大変意義があるというふうに考えておりますが、この全国高等学校野球選手権大会の参加校については、主催者である、今お話のあった日本高等学校野球連盟等が開催日程等も踏まえて適切に判断するものだと考えております。

 なお、第百回記念大会、ことしの夏にはそうなるそうでございまして、加盟校の多い七府県の出場校を二校にふやして、五十六校が参加して行われるということで、神奈川県もその七府県の中に含まれておるというふうに承知をしております。

もとむら分科員 八十大会、九十大会、そしてことし夏の百回大会と、七府県が今回は二校出場できるということでありますが、先ほど申し上げていましたように、神奈川も本当に激戦区で、八回戦って甲子園に行くと投手の肩も大分疲れてまいりますし、そういったことも鑑みながら、高野連の方にも文科省としてお話ししていただけると大変うれしく思います。

 次に、ラグビーワールドカップについてお話しさせていただきますが、いよいよラグビーワールドカップが近づいてまいりました。私もラグビー議連に入る一人でございますが、昨年十月に、大会組織委員会が調査した結果では、大会認知度の全国平均が五一%、観戦する意向を持っている人が七・八%と非常に低い位置にございます。このラグビーワールドカップは、オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界三大スポーツ大会の一つでありまして、今回アジアで初開催となるわけであります。

 そういった視点に鑑みながら、国民の認知度が上がっていない、大会まであと一年半あるわけでございますので、これを盛り上げていくために取組が必要だと考えておりますが、文科省の見解をお伺いいたします。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 ラグビーワールドカップ二〇一九、委員御指摘のように一年半後に迫っているわけでございまして、他方、その機運がまだ盛り上がっていないのではないかという指摘も間々聞かれるところでございます。

 こういった大会に向けての機運醸成のために、文部科学省といたしましては、二〇一九年ラグビーワールドカップ普及啓発事業といたしまして、小中学生の年代を始めとした幅広い層に対しましてラグビーの普及や啓発を推進する、このために、ラグビーを通じた国際交流の推進を図る必要な予算をこれとともに昨年に引き続き計上している、このような取組をしているところでございます。

 また、ラグビーワールドカップ二〇一九の組織委員会におきましては、千日前イベントですとか予選のプールの組分け抽せん会、そして二年前イベント、さらには、試合日程発表イベントの実施、公式マスコットの公表などの機運醸成に向けた取組を行っているところでございまして、今後も、五百日前イベントですとか一年前イベント、百日前PRイベントなどを実施する予定と聞いてございます。

 さらに、政府といたしましては、国交省におきまして、昨年四月からラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレートの交付を行っているほか、ラグビーワールドカップ大会特別措置法に基づきまして、本年八月には寄附金つきの記念切手を販売する予定でございます。

 大会の成功に向けまして日本全体で盛り上げていくために、引き続き、組織委員会を始めとした関係機関と一体となって、オール・ジャパンで着実な準備に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

もとむら分科員 タグラグビーをお子さんたちに普及啓発したり、さまざまな取組があると思うんですが、二〇二〇年の東京オリ・パラリンピックに注目が集まっており、ラグビーワールドカップの方が少し置かれている感じがしておりますので、その東京オリ・パラリンピックの前年にこの大会がございますので、ぜひ国民全体でラグビーを盛り上げていただくようにお願いしてまいりたいと思います。

 私の地元神奈川県では、このラグビーワールドカップの決勝戦が行われる予定でございまして、実は、私は神奈川県議会出身なんですが、このラグビーワールドカップを控えて、地方警察官の増員を求める意見書が出ております。国会議員になって、地方議会で積み重ねてきた意見書が残念ながら国会議員の目に触れることが非常に少なくありまして、これは本当に与野党の枠を超えて一字一句各議会で取り扱う意見書でございますので、文科省に限らず、各省庁におかれては、この意見書を重んじていただきたいなと思うんです。

 神奈川県議会から警察官の増員の意見書が出ておりますが、政府としてどのように受けとめているのか、お伺いしてまいります。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から今御指摘がございました神奈川県議会からの意見書を始めといたしました地方自治体からの体制強化を求める要望等につきましては、その内容をしっかりと受けとめ、また、依然として厳しい治安情勢を踏まえまして、平成二十七年度から二十九年度の三年間で、事態対処能力の強化等喫緊の課題に対処するため、地方警察官三千人の増員を措置したところでございます。

 また、先生からお話がございましたとおり、ラグビーワールドカップ二〇一九は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の前年に開催されます国際的な競技大会でありまして、その安全確保は極めて重要であると認識をしております。

 警察といたしましては、関係機関と緊密な連携を図りながら、必要な警備対策や交通対策を推進し、大会の安全確保に万全を期してまいるとともに、今後とも、すぐれた人材の確保、育成など、人的基盤の充実強化を推進し、国民の安全、安心の確保に努めてまいる所存でございます。

もとむら分科員 二十七年から二十九年の三カ年にかけて三千人の増員、そして神奈川県警においては百八十人の増員というふうに伺っておりますが、なかなか、まだまだ手当てが足りない部分はあります。

 特に、神奈川県警は、人口比率からいうと東京に次いで二番目に多い県でございまして、三番目に多い大阪府のいわゆる一人当たりの警察官よりも、神奈川県の県民が抱える警察官の数の方がはるかに小さいわけであります。一人当たり五百八十人ぐらいだったかな、たしか非常に少ない警察の数でありましたので、この辺も注視していただきたいと思います。

 次に、日本相撲協会についてお伺いいたします。

 これは、一連の事故や不祥事が相次いでおりまして、先ほど第一分科会でも公益性について内閣府にお尋ねしてまいりましたが、昨今の報道も、この日本相撲協会のガバナンスについて、公益財団法人という、平成二十六年一月にこの形をとられたわけでありますが、国民からの疑問の声が公益性の問題で上がってございます。

 既に、昨年十一月二十八日には、日馬富士さんの暴行事件を受けて、スポーツ庁長官と八角理事長が会談をしたり、また、スポーツ庁長官からは、相撲は日本で最も歴史あるスポーツという自覚と責任を持って、二度と国民の期待を裏切ることがないよう、暴力の再発防止に取り組んでいただきたいと述べられておりますけれども、文科省としてどうこの問題を受けとめていらっしゃるのか、お伺いしてまいりたいと思います。

林国務大臣 改めて、相撲界でこのような問題が起きたことは極めて遺憾であると申し上げたいと思います。スポーツの現場での暴力、これは断固として根絶していく必要がありまして、私自身も、初場所のたしか総理杯をお渡しに行くときに、八角理事長にお会いをいたしました。一連の不祥事については、危機感とそれからスピード感、これを持って再発防止にしっかり取り組んでいただきたいと要請をいたしたところでございます。

 相撲協会におかれましては、暴力問題再発防止検討委員会、これを設置しまして、過去にさかのぼって実情の把握をするということも含めて、実効性のある再発防止策を検討する、こういうふうに承知をしております。

 スポーツ庁長官の言葉も御紹介いただきましたが、まさに、長い伝統を有して、多くの人々に親しまれ、発展してきたものであります。私も、当然、総理杯ですから最終日、これは優勝が既に決まっているんですね、決まっていても、やはり最終日にあれだけの方が、ファンが詰めかけていただくということで、こうしたファンの皆様の期待にきちんと応えられるようにしっかりと取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。

もとむら分科員 民主党政権時代に、当時の高木文科大臣にも、私、この相撲協会のガバナンスの問題を何度も質問させていただきまして、当時は夏場所が開催されず、多くの国民が、放送がされないことに、非常に悲しみの声を聞いてまいりました。国民に親しまれるこの大相撲が、これからやはり、特に、若い、中学を卒業した方々や高校を卒業した、社会を知らない方々が相撲協会に入ってまいります。この業界しか知らなく育っていくということも問題を指摘させていただきましたが、ぜひとも、若年世代の皆さんもこの協会に入って、やはり夢や希望が持てる協会の発展にまた大臣としてお力をいただきたいと思っております。

 次に、教育関連について数点お伺いしてまいりたいと思います。

 きょうお配りの資料一から三がございまして、全国の学力テストが昨年秋口に公表されました。私どもの地元相模原市も政令市でありまして、四十七の都道府県そして二十の政令市の中で公表されまして、非常に厳しい学力の結果が出てきたのと同時に、私どもの地元でも、体力の問題も非常に大きな問題だというふうに伺ってございます。

 この問題の中で、三枚目の中に、お茶の水女子大学の、学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究や、そして、ここにはございませんが、昨年十一月に日本財団が発表した、家庭の経済格差と子供の認知度の差を関係分析した資料などもございますけれども、こういった資料を見ると、各都道府県や政令市でも地域間格差が非常に生まれてきているという結果が出ております。

 この背景には、稼いでくるお父さん、お母さんの、親の経済力の格差が問題ではないかという研究結果もございます。私も、ゼロ歳からシングルマザーの家庭で育ってまいりまして、母が一生懸命働く姿を見て、自分自身も頑張っていこうと思ったわけであります。今、シングルマザーを始めとする片親の家庭では約六割が貧困家庭とも言われておりますので、総理も言われているように、そういったさまざまな家庭環境で生まれてくるお子さんたちが、親の経済的な理由によって勉強ができないとかスポーツができないとか、そういったことがないように、政府全体として、給付型の奨学金制度も始めていただいたわけでありますけれども、今回こうした格差が出てきたという結果で、親の所得格差が子供の教育格差にもつながっているんじゃないかという御指摘に対して、大臣はどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いしてまいりたいと思います。

林国務大臣 今お話のあった全国学力・学習状況調査における、まず地域差、都道府県の平均正答率の状況については、平均正答率が低い都道府県が徐々に全国平均に近づく傾向が見られまして、平成二十九年度調査においては、ほぼ全ての都道府県がプラスマイナス五ポイントの範囲内にあって、大きな差が見られない、こういうふうに考えております。

 一方で、今お話があったように、家庭の経済状況と学力の関係については、全国学力・学習状況調査に基づく調査研究によれば、家庭所得や保護者の学歴に基づき設定した指標である家庭の社会経済的背景、これが低い児童生徒の方が各教科の平均正答率が低いという傾向が見られるというふうに示されていると承知をしております。

 まさに、文科省としては、子供たちの住む地域や家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供が質の高い教育を受けられるよう、今度の経済パッケージもそうでございますが、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

もとむら分科員 私ども相模原市、政令市でありますが、三区あります。南区、中央区、緑区とあるんですが、その区の中でも学校間の格差が非常に生まれているという話もございまして、相模原市の関係者にお話を聞くと、市の中でも地域格差があり、世帯収入や生育環境との相関が見られるんじゃないかという御指摘もございます。やはり格差是正という観点も非常に大切な視点だと思いますので、今後も注視をしていただきたいと思います。

 次に、この学力格差を是正するために、東京二十三区の足立区、ここは全国平均をかなり下回っていた時代がございます。しかしながら、二十六年から始めた全国学力テストでは、就学援助率が小中学校ともに国や都の平均を大きく上回り、全体で国平均の二・三倍。そうした中、二十四年から取組を進めているということでございます。

 例えば、足立区では、はばたき塾という塾を開講してみたり、また、私どもの相模原市の隣に大和市という市があるんですが、ここでは、平成二十六年度の全国学力テストの結果が全科目で県内平均を下回り、同年から放課後寺子屋やまとという取組をしてみたり、私ども相模原市も、加山市長の英断によりまして、来年度から市独自の取組を導入していきたいという話もございます。

 指摘をしていきたいのは、日本財団の調査でも、貧困状態の子供の学力は十歳を境に急落すること、学年が上がるにつれて学力の逆転が起きにくいことが指摘をされておりまして、いち早く、やはり各自治体、基礎自治体、都道府県の努力も必要かもしれませんが、やはり文科省として、国としても支援をしていくことが必要だと考えておりますが、大臣のお考えをお伺いしてまいりたいと思います。

林国務大臣 この足立区の例は大変注目をされておられまして、私も実は、小学校、中学校をちょっとお訪ねして、いろいろなことを聞いてまいりました。なるほどなと思わせていただくことが幾つかございまして、実際に数字も、今、委員がおっしゃったとおり、よくなってきているということでございますので、いろいろなやり方を工夫するということが大事だと思っております。

 そういう意味で、家庭の経済状況に左右されることなく質の高い教育を受けられるという、この原則をしっかりとやっていくということが大事であるというふうに思っております。

 地域の教育資源を活用しまして、学習がおくれがちな中学生や高校生等を対象とする原則無料の学習支援である地域未来塾の充実等々を通して、地域によって学習支援をやるということを推進していかなければならないと思っております。

 また、学校教育においても、きめ細かな指導の充実のため、貧困による教育格差の解消のための教員定数の加配措置、これはさっきの足立区でもやっておられると思いますが、補習等のための外部人材の配置に対する支援等に取り組んでまいりたいと思っております。

 全ての子供たちがそれぞれの夢にチャレンジできる社会、これを実現するように全力で取り組んでまいりたいと思っております。

もとむら分科員 ぜひとも国として、頑張っている地域がございますので、御支援をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、ちょっと飛ばさせていただきますが、いじめ、自殺対策についてお伺いしてまいりたいと思います。

 いじめをなくしていくためにも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用のほか、LINEなどのSNSを生かした相談窓口の拡充を検討してはいかがかなと思います。

 これは、既に長野県で教育委員会が実施したLINEによる中高生向けの相談事業の実績によりますと、二週間で千五百七十九件のアクセスがあり、十人の専門相談員が五百四十七件の相談に乗ったということで、前年度一年間の電話相談二百五十九件をわずか二週間で超えたという結果もございますので、こういったSNSを利用した窓口も開設してはいかがかなと思うんですが、その点についてお伺いしてまいります。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめは決して許されないことですが、一方、どの学校でも、どの子供にも起こり得るものです。いじめ問題については、文部科学省としてこれまでも、いじめ防止対策推進法等に基づき、心理や福祉に関して高い専門性を有するスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実に取り組んでまいりました。

 一方で、今委員から御指摘もございましたが、近年、若年層の多くがSNSを主なコミュニケーション手段として用いるという状況を踏まえ、これまでの取組に加え、全国の子供たちがSNS等を活用して、いじめ等のさまざまな悩みを気軽に相談できるような体制の構築を目指すことは重要であると認識をしております。

 そのため、平成二十九年度補正予算及び三十年度予算案に、SNSを活用した相談体制の構築に関する事業に係る経費を初めて計上したところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、いじめを含むさまざまな悩みや課題を抱える子供を支援するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充に努めるとともに、SNS等を活用した相談に関する事業を実施し、その成果等を踏まえた事業の展開が図られ、子供が相談しやすい環境が構築されるよう、今御指摘にありました長野県などの事例も大いに参考にしながら取り組んでまいりたいと考えております。

もとむら分科員 ぜひ、いじめに遭われているお子さんたちが声を出せないことがないように、その声を拾い上げていただけるような環境づくりをぜひお願いしてまいりたいと思います。

 次に、厚生労働省にお越しいただいておりますが、厚生労働省が設置する自殺相談の電話窓口において、ネット電話がつながらないというさまざまな問題も承知をしているわけでありますけれども、子供の多くがネット電話を使っているというデータもある中で、改善すべきではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 こころの健康相談統一ダイヤル等の自殺対策関連の相談窓口につきましては、〇五〇で始まるIP電話あるいは電話番号を使用しないLINE無料通話等には技術的に対応できない仕組みになっております。

 このため、厚生労働省としては、昨年十二月に、まずホームページを見直しまして、こころの健康相談統一ダイヤルと同じページに〇五〇で始まるIP電話から接続可能な都道府県別の直通番号を明示することといたしました。

 また、本年三月、自殺対策強化月間におきまして、〇五〇で始まるIP電話に対応した全国共通の電話番号を設定して、民間団体の協力を得て相談を実施することとしております。

 また、同じく、自殺対策の強化月間におきまして、広く若者一般を主な対象としたSNSによる相談事業を実施することとしておりますが、この中で、LINE無料通話に対応する事業への支援も行うこととしております。

 今後、こうした事業の実施結果を検証しつつ、若者のコミュニケーション手段の現状を十分に踏まえながら、若者が相談しやすい体制の整備を図るように努めてまいりたいと考えております。

もとむら分科員 ネット電話が使えなかった理由も私も勉強させていただきましたが、ぜひ、先ほどから文科省の方にもお願いしたように、心の声、叫び、これらをぜひ厚生労働省としてもしっかり受けとめる体制、環境づくりにまた御尽力いただきたいと思います。

 次に、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京大会について二点お伺いしてまいりたいと思います。

 先般、大島議長を先頭とした委員派遣に私も、平昌オリンピックに行ってまいりまして、現地で日本人選手の活躍を見てまいりましたし、既に長野の冬季大会を超えるメダルの数を獲得しておりまして、これも競技の技術力の向上などさまざまな環境整備があったからだなというふうに考えられますけれども、次の東京大会では、さらなる技術向上が期待をされ、どのような取組を文科省として行っていくのか、お伺いしてまいりたいと思います。

林国務大臣 平昌大会における日本代表選手の輝かしい活躍に、まずは心からお祝いを申し上げたいと思っております。選手及び関係者の皆様の日ごろの努力の成果だというふうに思います。

 また、大会がきょうを入れて残り三日間ありますので、残された競技種目においても、選手のさらなる活躍に期待したいと思います。こうした活躍は、国民に夢と希望を届け、チャレンジする勇気を社会全体にもたらすものであると思っております。

 平成二十八年度に策定した競技力強化のための今後の支援方針、それから第二期スポーツ基本計画、こういうものを踏まえまして、東京大会に向けて、日本が得意とする競技の強化を一層図るとともに、メダルを獲得できる競技の増加に向けて選手強化支援に取り組んでおります。

 ちょっと具体的に申し上げますと、各競技団体の日常的、継続的な強化活動や東京大会で活躍が期待される次世代のアスリートの発掘、育成等への戦略的な支援、それからオリンピック競技、パラリンピック競技のさらなる共同利用を見据えたナショナルトレセンの拡充整備、トップアスリートのための強化、研究活動等の拠点であるハイパフォーマンスセンターの機能強化などによって多面的に支援をしておるところでございます。

 引き続き、関係機関と一丸となって、二〇二〇年東京大会に向けた競技力の向上に取り組んでまいりたいと思っております。

もとむら分科員 次に、パラリンピックについてお伺いしてまいりたいと思います。

 東京都の小池都知事や、そして、私の県会議員時代の同期であった川崎の福田市長などもこのパラリンピックに非常に関心を高く持っておりますし、パラ議連にも私は入って、野田聖子会長を先頭に、パラリンピックを盛り上げていこうという機運も高めてまいりたいと思うんですが、平成二十八年の日本パラリンピアンズ協会の調査では、二割の選手が一般体育館で利用を断られた経験があるというお話もあったりとかしているわけでありまして、パラスポーツの選手が使いにくいという声も伺っております。特にナショナルトレーニングセンターについても、ちょっと使いづらいなという声をパラリンピックの選手からも伺っておりまして、ちょっときょうはその声を代弁して質問させていただいております。

 パラリンピックを盛り上げていくためにも改善をする必要があると思いますけれども、文科省の見解をお伺いいたします。

林国務大臣 二〇二〇年東京大会でパラリンピック選手が活躍できるようにトレーニング環境を計画的に整備していくこと、これが大変重要であると思っております。

 今お話のありましたナショナルトレーニングセンターについては、平成二十六年度にパラリンピック競技を含む障害者スポーツが文部科学省に移管されて以降、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化の取組、これを進めておりまして、平成二十八年度においては延べ三千六百七十二人のパラリンピック選手に利用され、年々増加傾向にはあるということでございますが、委員から今いただいたような御指摘もあるということであろうというふうに思っております。

 二〇二〇年東京大会に向けて、強化活動が一層活発になって、ナショナルトレーニングセンター利用者の増加が見込まれるために、現在、パラリンピック競技の使用を想定したトレセンの拡充整備を進めておりまして、平成三十年度予算案においては、整備工事費として三十六億円を計上しております。二〇二〇年東京大会開催の一年前の完成を目指して整備を進めてまいりたいと思っております。

 このほか、昨年十二月に、日本パラリンピック委員会、日本オリンピック委員会、日本スポーツ振興センター、これらを構成員とするトレセンの運営体制等に関する検討会議、これを設置いたしまして、パラリンピック選手が利用しやすい運営体制の検討も進めておるところでございます。

もとむら分科員 ぜひパラリンピックにも注目をいただき、オリパラ大臣とともに、文科大臣として、強いリーダーシップを期待してまいります。

 最後に質問いたしますが、先ほど、教職員の加配のお話もございました。この中で、三十五人学級の問題や、あとは支援学級の教員が足りないという声もいただく中で、実は、来年度から、小学五、六年生で英語が教科化されるわけでありますし、小学校三、四年生では外国語活動が開始をされます。

 そういった中で、小学校の英語専科教員は、平成三十年度で千人ふやすことになっていますが、これでは十分とは言えないと思います。より一層の増員を求めるとともに、ALTの配置に係る財政措置を講ずるべきだと考えております。

 学校現場の先生方の調査によると、小学校教員で英語教育免許を持っている割合はわずか五%。そして、二十六年の文科省調査では、英語活動を指導するに当たり自信がありますかという問いに対して、そう思わない、どちらかというと思わないと答えた教員が六五%に上るという結果もございます。

 こういった中で、ALTの配置に係る財政措置や、英語専科教員をふやすべきだと考えておりますが、文科省の御見解をお伺いいたします。

高橋政府参考人 小学校の中高学年における外国語教育の充実などを図る新しい学習指導要領の円滑な実施や、学校における働き方改革に向けて、学校の指導、運営体制の効果的な強化充実を図ることが必要でございます。

 このため、今御指摘いただきましたように、質の高い英語教育を行うことのできる専科指導教員の確保が必要と見込んで、平成三十年度予算案においては、必要な加配定数として千人の改善を盛り込んだところであり、平成三十二年度の小学校学習指導要領の全面実施に向けて、引き続き必要な取組を進めてまいります。

 また、ALTを活用する際の財源については、JETプログラムにより招致する場合には地方財政措置が講じられております。このほか、文部科学省においては、自治体において英語が堪能な外部人材を授業で活用する取組を支援しているところでございます。

 文部科学省としては、学校の働き方改革と新学習指導要領の円滑な実施に向け、学校における業務改善の取組を進めつつ、必要な学校の指導、運営体制の効果的な強化充実に引き続き取り組んでまいります。

もとむら分科員 最後にしますが、私ども相模原市では、日本語の発話能力や指導力、事務負担等の観点から、JETプログラムによる採用を行わずに労働者派遣で配置をしている関係から、労働者派遣によるALTの配置に係る措置を要望しておりますので、ぜひ御期待に応えていただきたいと思います。

 最後に、大臣、大変冒頭失礼いたしました。下関西高校、甲子園で出場できるように、私も応援してまいりますので、ぜひ学校を挙げて頑張ってください。

 ありがとうございました。

福井主査 これにてもとむら賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 主査そして分科員、そして大臣また文科省の皆様、きょうはよろしくお願いを申し上げます。

 私からは、まず一つ目に、教職員の長時間勤務について伺いたいというふうに思います。

 今、国会で、働き方改革、裁量労働制の課題について議論が行われておりますが、ある意味で、裁量労働制というか、一定額の給与で本当に幾らでも働かされているというような状況に置かれているのが教職員の皆様だというふうに考えております。

 連合総研が二〇一六年に調査したものによりますと、小中学校の教員の週の労働時間について、小学校教員の七二・九%が六十時間以上、中学校教員に至っては八六・九%が六十時間以上勤務しているということが公表されました。

 同様のものを文部科学省も、平成二十九年四月二十八日、これは初等中等教育局ということで、教員勤務実態調査ということで発表されました。もう皆様御承知だというふうに思いますけれども、これによりますと、勤務時間に当たっては、副校長・教頭が一番長くて、小学校で十二時間十二分、これは一日当たりでありますけれども、中学校では十二時間六分、その次に教諭、校長、講師、養護教諭などなど、こうした方々が、本当に一日当たり、そして一週間当たりの勤務時間が他の産業の労働者と比べて非常に長いということであります。

 こういった点について、まず大臣、こうした、長年にわたって、教職員の働き方、長時間勤務を解消しなければならないというような議論が行われてきたわけでありますけれども、それでもまだこのような状況が続いているということについて、文部科学省の今の認識を伺いたいというふうに思います。

高橋政府参考人 今委員から御指摘いただきましたように、昨年四月に文部科学省が発表いたしました調査結果では、十年前の調査結果に比べても、教員の長時間勤務の実態が明らかになりました。

 これを受けまして、昨年六月から、中央教育審議会においてこの問題について審議を行い、昨年十二月には中間的なまとめをいただいたところでございます。そこでは、業務改善を行うことなどさまざまな指摘をいただきまして、それを踏まえて、昨年末には緊急対策を取りまとめ、そして、この二月九日には、それを各都道府県教育委員会等に通知をいたしたところでございます。

 まだまだ中教審の方では引き続きこの問題について審議を重ねてまいりますので、文科省としてもこの問題についてはしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

道下分科員 この問題は今に始まったわけではありませんし、長年、この超過勤務の解消に向けて、文科省も含めて、またそれぞれの学校現場で取り組んできたことは皆様御承知かと思いますけれども。

 ただ、残念ながら、先ほどお話ししました、この文科省が昨年公表した数値によりますと、これは平成十八年度と平成二十八年度と両方の集計結果が出されているんですけれども、これは、小学校、中学校、校長先生、副校長・教頭、教諭、講師、養護教諭、全てのところで、十年前と比べて、十年前から、長時間勤務だ、長時間勤務だ、解消しなければならないというふうに議論が行われていたんですけれども、全ての役職の方々のところで、平成十八年よりも平成二十八年度の方が勤務時間が長くなっている。

 この状況、どうしてこれまでの超過勤務解消の取組がうまく効果を上げてこなかったのかという認識について、伺いたいと思います。

高橋政府参考人 平成十八年調査と二十八年の調査の間に、平成二十年度に学習指導要領の改訂がございまして、小中学校においては授業時数が増加しております。

 今回の勤務時間の増加を内容的に見ますと、授業や授業準備、成績処理といった授業関連のところに特に伸びが大きくなっておりますので、こういったことが影響しているのではないかと考えております。

道下分科員 そういったことの課題の解消に向けてこれまで取り組んできて、そして中教審としても中間まとめを先日公表されましたけれども、その具体的な中身について、端的にちょっと御説明をいただければというふうに思います。

高橋政府参考人 中教審の中間まとめにおきましては、幾つかの論点がございましたけれども、まずは業務の役割分担、適正化を着実に実行する、これが一つの中心でございました。

 この取りまとめにおきましては、教員の典型的な業務を十四に分類いたしまして、例えば、学校徴収金の徴収管理など、基本的には学校以外が担うべき業務であるというもの、それから部活動や校内清掃など、学校の業務であるけれども必ずしも教員が担う必要のない業務、要は教員以外のスタッフに委ねて教員の負担を軽減するべき業務、それから教師の業務であるが負担軽減が可能な業務といった形で、かなり詳細な議論をいただきまして、それぞれについて対応を進める、例えばそういったようなことが一つ大きな柱になっております。

 それから、教員が勤務時間について必ずしも十分な意識がないということも指摘されましたので、勤務時間に関する意識改革や時間外勤務の抑制のための必要な措置、こういったようなことも提言の中に含まれております。

道下分科員 今、一つ、勤務時間のしっかりとした把握ということであります。

 ICT技術やタイムカードを利用した勤務時間、それぞれが、教職員そして管理職がどれだけ働いているのかということの認識が一つの目安としてわかるわけでありますけれども、ただ、タイムカードについても、これは自宅への持ち帰りの残業は含まれません。

 また、これは一部だと思いますけれども、校長、副校長・教頭の指示によって、本当は夜七時、八時、九時、十時まで働いているんですけれども、勤務時間のところでタイムカードを押せという、暗にそういう強制をさせるような話をする管理職もいるということなので、これはしっかりと、実勤務時間のときにタイムカードを押したり、ICTを活用した勤務時間を打刻するようにという指示の徹底をしていただきたいということと、あと、部活動でちょっと離れたときにタイムカードを押せないだとか、いろいろとさまざまな問題がありますので、こうした実勤務をしっかりと記録する柔軟な発想というか取組をしていただきたいと思います。

 それと、今、中教審の中間まとめでちょっと話がありませんでしたけれども、学校の組織運営体制のあり方の見直しということも中間報告であったと思います。その中では、校長、副校長・教頭、主任、主幹教諭、指導教諭などによる組織マネジメントを重視するというふうに出されたと思います。

 ただ、これによって教職員の長時間労働が解消されるかというと、私はそうではないというふうに思います。先ほどもお示ししましたとおり、一日当たりの勤務時間、副校長・教頭、また主幹教諭だとか、これがいる中で、この十年間たっても、授業時間数とかがふえたという理由もありますけれども、それぞれの管理職がいながらうまく組織マネジメントができていないというのが、これまでの十年と比べると、今の勤務時間がふえてきた結果だろうというふうに思います。

 こういった役職、管理職を幾ら配置しても、こうした長時間勤務の解消、ある意味で組織マネジメントというか役割分担というのは、うまく流れるどころか、さまざまな、連絡体制だとか、管理職そして一般教職員の方々の連携などで時間がかかって、逆に手間、時間がかかるというふうに現場の方から声は上がっています。むしろ、こういった組織マネジメントを重視することが多忙化を助長するというふうに言われておりますので、この辺、じっくり中教審での議論を注視していきたいというふうに思っております。

 この教職員の長時間勤務の原因というのは、やはり、文科大臣も御承知だと思いますけれども、給特法の問題があると思います。

 この給特法、一九七一年ですか、成立したときに、このときの教職員の時間外労働、これについて裁判がたびたび行われて、それで国側が敗訴した。それによって、長時間労働というか、残業に対してある一定程度の手当をつけて、そして裁判を終わらせたというか、問題を解決しようとしたということであります。

 この給特法が成立したときの残業時間が、当時約八時間ということでございまして、そこから逆算して手当を四%ということでしたんですけれども、先ほどもお話ししたとおり、当時と比べて今の教職員の方々の長時間勤務というのは、もう八倍近いわけですね。そうすると、簡単に考えると、四%のいわゆる時間外勤務、四、八、三十二、三割以上掛けると。そうすると、何千億円でしたかね、文科省が一回、数値は計算されたと思いますけれども、手当とは言いませんけれども、そうしたものが必要になってくる。

 もうこの給特法ができたときと今の教職員の勤務時間の実態というのが全くかけ離れているということで、今、給特法の見直しを含めた議論があちこちで行われておりますし、中教審でも、その面についても、ある意味で、見直しとまではいかないかもしれませんが、給特法のあり方について議論が行われていると思いますが、その議論経過について今どうなっているか、伺いたいと思います。

高橋政府参考人 中央教育審議会では、昨年六月の諮問以降、給特法についても議論がなされており、例えば、勤務時間そのものの短縮に向けた取組がうまく機能しないと、給与上の評価がいかなる制度であっても機能しないなど、多様な意見をいただいているところです。

 ことしの二月八日に行われた中教審特別部会では、今後議論すべき論点を三点整理いたしましたが、その中でも、教師の長時間勤務を是正していくために、教師の勤務の特殊性や児童生徒の学びの質を担保するために持続可能な勤務環境のあり方も考慮しながら、給特法のあり方も含む教職員の勤務時間等に関する制度のあり方について検討を行うと示されております。

 このように、今後、中教審においては引き続き、この給特法も含めた勤務時間のあり方について議論をされていくものと承知をしております。

道下分科員 この給特法のあり方を議論、できれば給特法の見直し、そして考えられるのは、廃止だとか、これを廃止して時間外勤務手当というものに変えていくべきだという議論も行われています。

 これはなぜかというと、同じ教壇に立つ先生方の中で、公立の学校の先生と国立大学附属の小学校、中学校の先生、そして私立の学校の先生、これは違います。給特法の対象になるのは公立の学校の先生だけであります、公立というか、小中学校とか市町村とかですね。国立大学附属小中学校と違います。私立は違います。同じ教壇に立つのに時間外勤務に関してはちょっと違うということで、対応の差があるということで、この差は、差別というか区別というか。長時間勤務の解消に向けた取組に関しては、やはり他の現場で活動する教職員、国立大学附属だとか私立の学校だとか、そういったところの教職員と同一にすべきだというふうに私は考えております。

 では、働いた分時間外手当を出せばいいのかというと、そういうわけではありません。やはり今の先生方は、もっともっと子供たちに寄り添い、そして子供たちとの時間を長くしたいということと同時に、一人一人の個々の時間というものもしっかりと持ちたいというふうに思っていると思います。

 そういった意味で、今本当に、英語の授業だとか入ってくる、そして保護者との対応がある、いろいろな中で、先生方に対しての、また学校に対しての社会や地域からの希望、要望がたくさんある中で、非常にこれはもうキャパを超えていると私は考えております。

 そういった意味で、先ほどもありましたけれども、あるべき役割の明確化、これは必要なんですけれども、そもそも論として、仕事量の削減、そして私は、教職員定数の拡充、拡大、これは少人数学級のさらなる推進だとか、これでやっていく必要があるかなというふうに思っております。

 少人数学級は、もちろん、子供たちの学力向上に非常に教育的な効果があるというふうに言われておりますし、私は、この少人数学級の推進によって、もう一方では、先生方一人当たりの子供たちと接する時間が長くなる。そして、十分な行き届いた教育ができるし、そして先生自身も、学校、そして自分の生活におけるそれぞれの時間を、ゆとりある中で暮らしをすることができるというふうに思いますので、この少人数学級の教育的効果、先生の長時間勤務の解消という点についてもぜひ御検討いただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくてごめんなさい。ということで、この教職員の長時間勤務については最後なんですけれども、今後の中教審の議論、これは私、しっかりと注視していきたいと思っておりますし、できれば、給特法の見直しをしっかりと議論していただきたいと思います。

 それも含めて、今後、文科省として、教職員の長時間勤務解消に向けた取組、どのようなことを検討されているのか、文科大臣から伺いたいと思います。

高橋政府参考人 まず、私の方からお答えをさせていただきます。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、二月八日の中教審の特別部会では、今後の議論すべき点としては、学校の組織運営の体制のあり方、それから学校の労働安全衛生管理のあり方、そして、先ほどと重なりますが、時間外勤務抑制に向けた、これは給特法も含めた制度的措置のあり方について、この三点について今後審議をしていくことが確認されております。

 文科省としても、この中教審の審議を深めながら、教員の働き方改革についてはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

林国務大臣 今局長から答弁いたしましたように、冒頭先生からもお話がありました、かなり時間数がこの勤務実態調査で多いということがわかっております。一方、先生がまさにおっしゃっていただいたように、やはり子供たちと過ごしたいというところもございますので、一般の企業の雇用関係のような、指示があって残業するというところと同列に論じ切れないところがやはりあると思っておりますので、そういうところをしっかりと中教審で議論していただいて、我々もそれに沿って対応してまいりたいと思っております。

道下分科員 大臣、ありがとうございました。そういった点を含めて、力強く推進していただきたいというふうに思っております。

 次に、インクルーシブ教育といいますか、障害児に対する合理的配慮について伺いたいというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で、はしょって結論から伺いたいと思いますけれども、障害者の権利に関する条約や障害者差別解消法というものがあります。そうしたもとで、インクルーシブ教育、文部科学省としてはインクルーシブ教育システムというような名称で、定義で進められておりますけれども、私は、この日本国内における教育の現場においては、合理的配慮、そして基礎的環境整備というものはまだまだ不十分だというふうに思います。

 北海道の事例で申し上げますと、実は、二年前、障害のある子供が道内の公立の定時制高校に入学を希望した。そのときに、入試における環境整備が十分でなかった。さらには、何度も、二次、三次、四次の面接試験を受けたけれども、不合格になった。これは、不合格といっても定員内不合格でございまして、その定員内不合格、たくさん受ける人がいて、それで不合格だったら納得できるんですけれども、定員内なのに不合格という実態がありました。

 このお子さんは、もう一度、その次の年にも同じ高校を受けて、そして、残念ながらまた定員内不合格になった。最終的には、他の地域の定時制高校を受け直して合格できた。その子にとっては十五の春を一年間無駄にしてしまったというか、その子にとってはいい経験だと言うかもしれませんけれども、我々としては非常にこれは問題であると。

 もちろん、入試に関しては、学校そして校長先生の総合的な判断によってなされることはわかりますけれども、ここで学びたいとはっきり答えた子供に対して定員内不合格にした、これは北海道では、障害当事者、そして障害者の保護者の方々に、これは非常にショッキングな出来事でありました。

 そのときに話を伺うと、なぜ定員内不合格にしたのか、漏れ伝わるところによりますと、その子が高校にもし入学できても、その後、この高校で学んでいけるのか、暮らしていけるのか、それがわからない、わからないというか心配だから不合格にしたという判断をしたということも漏れ伝わっています。

 こうしたある意味で障害を理由とした不合格決定だと私は考えますが、このような障害を理由とした、しかも定員内不合格、こうしたものは日本国内においては今後は絶対に起こしてはならないというふうに思いますけれども、障害児に対する合理的配慮についてはこの一点だけでございます、文科大臣から伺いたいと思います。

林国務大臣 高等学校の入学者選抜の方法等は、都道府県の教育委員会等の実施者が決定をいたしまして、今委員からも御紹介いただきましたように、各高等学校長が、その学校及び学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力、適性等を入学者選抜により判定し、入学を許可するということになっております。

 障害のある生徒に対する入学試験の実施に際して、文科省においては、別室実施や出題方法の工夫など、可能な限り配慮を行うよう通知をしておりまして、各高等学校において適切に対応いただくよう促しておるところでございます。

 引き続き、障害のある生徒に対する入学者選抜が適切に実施をされますよう、各都道府県等に対して、各種会議等を通じて促してまいりたいと思っております。

道下分科員 なぜこの高校で入学不合格になって、なぜこっちの高校では入学できたのか、非常に問題があるというふうに思います。

 この問題は、私が道議会議員時代も、道議会で一年半にわたって、それ以上ですね、本当に議論が起きて、本当にショッキングな問題であり、一年後、そのお子さんは別の高校に入学できましたけれども、絶対にこれは二度と繰り返してはならないということを、我々としては認識というか強い決意を今持っているわけであります。今文科大臣が答弁されました、これは、もっともっと、文科大臣としては、そうだよなと、私と同じ気持ちだと思いますので、ぜひその点をお酌み取りいただいて、そうした定員内不合格を日本国内においては発生させないように、起こさないように、ぜひ御尽力をお願いしたいというふうに思っています。

 次に、夜間中学について伺います。

 二〇一六年に教育機会確保法が成立しました。それで、公立夜間中学を都道府県に少なくとも一カ所以上設置するということでありますけれども、なかなか、自治体もまだまだ、私の選挙区でありますと、札幌市は北海道と連携して今進めていますけれども、他のところでは、公立夜間中学の設置を求める市民団体、全国組織の方々から伺いますと、ちょっと地域差があるということで、やはり公立夜間中学のニーズがどれだけあるのか、どれだけ学びたいという意欲のある方々がいらっしゃるのかということをしっかりと調査した上で設置について検討を進めていく必要があると考えております。

 今後の公立夜間中学の設置推進に向けた取組と、もう一つは、公立夜間中学というのは平日五日間です。でも、札幌の自主夜間中学は、七十代、八十代の高齢者の方々も学びに来るんですけれども、週一回、毎週水曜日だから、何とか遠く離れたところからでも通学できる。でも、毎日毎晩だとちょっと体的にきついという方々もいらっしゃるので、公立夜間中学だけができればいいというわけじゃなくて、自主夜間中学というものも、非常にこれは、地域としては、学びたいという高齢者、そして不登校の方々にとっても重要かというふうに思っておりますので、公立夜間中学の推進と、自主夜間中学に対する国からの直接的、間接的な支援というものが必要だというふうに思いますが、文科省の考えを伺いたいというふうに思います。

高橋政府参考人 平成二十八年十二月に成立したいわゆる教育機会確保法の成立等を踏まえ、文部科学省においては、各地方公共団体における夜間中学の設置に向けた支援を行っているところであります。

 ことしの一月には、夜間中学の新設準備を進める自治体等を対象とした連絡協議会を開催するとともに、自治体からの設置に係る具体的な相談に個別に応じているところでございます。

 また、平成三十年度予算案においては、今年度同様、自治体における新設準備に係る調査研究を行うための予算を計上しているところでございます。

 また、校舎の改修、新築につきましては、通常の公立の中学校と同様に国庫補助の対象としております。

 夜間中学校に通う学齢経過者に対する通学費等の支援といった課題もございます。こちらにつきましては、生徒の状況を踏まえながら、どのような対応が必要か現在検討しているところでございまして、今後も各地方公共団体における夜間中学設置に向けた取組をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

常盤政府参考人 今、公立の夜間中学についてのお話がございましたけれども、公立夜間中学のみならず、いわゆる自主夜間中学、この点につきましても、義務教育を卒業していない者等に対する重要な学びの場として機能しているというふうに認識しております。

 文部科学省では、昨年の三月に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本方針というものを策定いたしまして、その中で、自主夜間中学に係る取組につきましても、各地方公共団体において、地域の実情に応じて適切な措置が検討されるように促す旨、支援についても定めたところでございます。

 これを踏まえまして、文部科学省では、基本方針を参酌し、必要な措置を講じていただくよう、各都道府県教育委員会等に対して周知をしているという状況でございます。

道下分科員 私も、超党派の議連、馳浩元文科大臣が会長を務めておられる夜間中学やフリースクールの推進議員連盟に入って、事務局次長でしたか、取り組ませていただいています。

 こうした学びの場というのは、ある意味で、どういった場でもしっかりと環境整備されなければならないと思いますので、ぜひ取組を推進していただきたいと思います。

 最後の質問でございます。いじめ対策であります。

 私ども立憲民主党としては、先日、LGBTの団体の方から直接お話を伺う機会がありました。そういった中では、LGBT、少しずつ、例えばパートナーシップ宣誓制度などを実施する市町村もできましたけれども、LGBT、そしてSOGIという、性的指向、性自認という事柄に関する知識、認識というのがまだまだ十分に広まっていないのではないか。

 これは、社会的には、例えば国、そしてこの前は経済団体そして労働組合も、そうしたものに対する差別解消、LGBTやSOGIに対する差別解消に向けたガイドラインや指標というものを公表していますけれども、これはもう一つ、教育の中でも、こういったものはしっかりと取り組む必要があろうかと思います。やはりいじめの対象になってしまうということもあるので、それを絶対にいじめにしない、予防するそして解消するということでの教育現場での取組が大変重要かと思います。

 先日、そのLGBTの団体の方からお話を伺った、SOGIに関する実態と困難ということで、教育現場では、こういったいじめの実態が、実例があるそうです。

 担任の先生にカミングアウトしたら、翌日には親と教職員全員に広まってしまい、それぞれから問いただされた。あしたからどうすればいいんだろう。それから、職員会議で話題にされ、教職員の中でも具体的な対応策をどうするか決めることができず、腫れ物扱いをされるようになった。それから、うわさが広まってしまったことが原因でいじめられてしまった。学級会議の議題にされ、担任の先生にも、こいつも直そうと努力をしているんだと言われてしまい、ひどく傷ついたという事例が私どもに報告をされました。

 もちろん子供たちに関しては保護者等又は社会からのさまざまな情報にもよるかもしれませんが、やはり学校現場においては、教職員の皆様にとっても、このSOGI、性的指向そして性自認の事柄に関して、人々の気持ちをしっかりと認識して、そしてこれがいじめにつながらないよう、そしていじめが発生したときには必ず対応することが必要だというふうに思っております。

 先ほど、もとむら議員から同じようなものがありましたけれども、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの人たち、SNS対策もありましたけれども、これも必要かと思いますが、そういうスクールカウンセラーの方々は、毎日ずっと学校にいて生徒と接するわけではありませんので、そういった意味では、やはりこうした問題を予防する、そして解決するためには、学校そして特に教職員の方々の力が必要だというふうに思っております。

 これまで、そうしたいじめの予防、特にLGBTやSOGIに関係するいじめの予防、解消に向けた教職員向けの対策というか取組、今後どのようにして取り組んでいかなければならないのか、そういう検討している対策について伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 今お話がありましたように、学校における性同一性障害に係る児童生徒やLGBTなどいわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒への対応については、今ちょっと御紹介いただきましたけれども、いろんな事案があるということであろうと思いますので、そういった個別の事案に応じて、こういった児童生徒の心情等に十分配慮したきめ細かな対応を行うことが重要であるというふうに考えております。

 それをやるにはやはり理解というものがないとできないわけでございますので、そういった意味でも、文科省では、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知を、平成二十七年ですが、発出をしております。また、教職員の理解促進のためのパンフレットを作成しまして、これは二十八年の七月ですが、全ての小中高等学校への配付をしておりますが、こういうことを通じて学校における適切な対応を促しておるところでございます。

 やはり悩みや不安を抱えていらっしゃる児童生徒が、先ほどのケースのような自己否定に陥らないように、教育委員会や学校の生徒指導、それから人権教育担当者等を集めた各種会議や研修会等における通知やパンフレットの趣旨の徹底、こういうものを通じまして教員の理解の促進に努めてまいりたいと思います。

道下分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、今の点については、性同一性障害という、障害という名前がついているかもしれませんけれども、これは、その当事者にとっては障害ではないんだというのがありまして、人口の七%の人がこのLGBT、SOGIと言われていますので、障害ではないんだという認識を私たちもしっかりと持たなきゃいけないというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

福井主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

福井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 林文部科学大臣におかれましては、当時、農林水産大臣時代に私も政務官として一緒に仕事をさせていただきました。大変に貴重な御指導をいただき、大変に感謝をしているところでございます。

 当時は農林水産省でございまして、農業はまさに国の基であるというお話がございましたけれども、やはり教育も国の基であると私も思っております。大臣はミュージシャンでもございますので、本当に文化行政始め文部科学行政に対しても非常に御見識があると思っております。ぜひとも御答弁のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず初めに、今まさに韓国で開催中の平昌オリンピック、これも残すところあと三日となったわけでございます。過去最高十一個のメダルを獲得するなど、日本選手の活躍に大いに国じゅうが沸き返る日々が続いているところでございます。

 平昌の後は北京大会が決まっております。その次の二〇二六年大会は、現在、非公開での対話ステージ期間にありまして、既に日本からも、私の地元札幌市が立候補を検討するための情報収集に当たっているところでございます。札幌市が二〇二六年に立候補するかは、今はまだ調査段階で未定ということでありますけれども、二〇三〇年の大会も含めて、いずれ札幌市が正式に立候補する際には、政府を挙げて全面的な御支援をお願いを申し上げたいと思います。

 また、こうした大会で活躍するトップアスリートの方たちが存分に力を発揮するためには、過酷なトレーニングが当然あるわけでございますけれども、最近は世界的なレベルアップもあり、もはや科学的なトレーニングやメンテナンスも不可欠な状況になっていると私は思います。現在、東京都北区に、ナショナルトレーニングセンターがこうした機能を果たす全国の拠点になっていますが、冬季競技の選手たちにとっては、競技環境の違い等から日常的な活用が難しいという現実があります。また、世界で活躍する選手を輩出する競技種目を見れば、ジュニア世代からの選手強化が大変に活発な状況でもあります。

 そこで、私は、我が国の冬季競技の中心的なホームグラウンドとも言える札幌に冬季競技のナショナルトレーニングセンターを開設すべきではないかと考えております。御見解をいただきたいと思います。

新妻大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 トップアスリートが、同一の活動拠点で集中的そして継続的にトレーニング、強化活動を行える環境の整備は大変に重要です。このために、今、佐藤委員から御指摘がありました東京都北区のナショナルトレーニングセンター、NTCのみでは対応が困難な冬季競技等については、全国の既存のトレーニング施設を強化拠点施設として指定し、優先利用やスポーツ医科学サポートなどが実施できるように支援をしております。

 また、平成二十七年一月に取りまとめられました有識者会議の最終報告では、冬季競技等については、それぞれの競技会場の自然環境への適応が求められるという特性があるため、日本国内で強化拠点の設置になじまないと思われる競技種別もあるという課題が指摘をされております。

 文部科学省としては、NTC拡充整備が進められている現状や昨今の厳しい財政状況等も踏まえ、競技力向上の観点から、どのような方策での対応が可能か、日本オリンピック委員会や関係団体等と緊密に連携し、しっかりと検討してまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 平昌オリンピックでは日本人の選手の活躍が大変に目覚ましいものでありますけれども、やはり結果を見ると、フィギュアスケートやスピードスケートなど、練習環境が国内にあり、選手の層が厚い競技ではやはりメダルに届いている。国内に練習環境が十分でないような競技では、やはりなかなか厳しい状況もあるのではないかなと思っております。

 東京の北区にあるナショナルトレーニングセンターにおいては、競技種目別にトレーニング環境が整備され、科学的な計測機器や選手のための医療、リハビリ施設など、ハード、ソフトの設備も充実していると伺っております。ぜひ、今御答弁がありましたとおり、御検討のほどお願いを申し上げたいと思います。

 次に、現在、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせまして、二〇二〇年四月のオープンを目指して、北海道の白老町に民族共生象徴空間の整備が進められているところであります。アイヌの方の歴史、文化を学び伝えるナショナルセンターとして整備される民族共生象徴空間の中核に、国立民族共生公園と並んで開設されるのが、国立のアイヌ民族博物館であります。

 関東以北では初めての国立の博物館となるわけでありますけれども、この国立アイヌ民族博物館の理念には、先住民族であるアイヌの尊厳を尊重し、国内外にアイヌの歴史や文化等に関する正しい認識と理解を促進するとともに、新たなアイヌ文化の創造及び発展に寄与するとあります。

 さらに、平成二十一年の政府のアイヌ政策のあり方有識者懇談会の報告書には、言語や音楽、舞踊、工芸等に加えて土地利用の形態等も含む民族固有の生活様式の総体としてのアイヌ文化の復興の拠点を担う施設でありますとあります。さらに、同懇談会が、先住民族としてのアイヌの人々がアイヌとしてのアイデンティティーを誇りを持って選択し、アイヌ文化の実践や継承を行うことが可能となるよう環境整備を図っていくことや、経済活動との連携等により自律的な生活の回復に結びつけていくような取組を促進していくべき、そう指摘されているところであります。

 私は、やはりこうした指摘を踏まえますと、この博物館での研究成果につきましては、博物館内にとどめるのではなく、北海道を中心とした各地域において、誇りあるアイヌ文化の担い手育成につなげられるよう、広く活用できるようにすべきではないかと考えます。御見解をいただきたいと思います。

林国務大臣 国立アイヌ民族博物館における調査研究につきましては、平成二十七年の七月に文化庁が策定をいたしましたこの博物館の基本計画におきまして、専門家とアイヌ文化の伝承者、実践者が協力して推進していくこととしておりまして、その成果を広く発信するというふうになっております。具体的には、北海道を始めとする国内外の博物館、研究機関、アイヌ文化の伝承活動を行う団体等とネットワークを構築しまして、成果の共有、共同研究の促進、さらには人的交流等を進めるということになっております。

 国立アイヌ民族博物館は二〇二〇年四月に開館予定でありまして、今先生からお話もありましたように、調査研究の成果が館にとどまらず広く活用されるように、アイヌの方々を始めとする関係者、地元自治体とも協力しながら準備を進めてまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。ぜひ鋭意御検討をいただければと思いますし、機会があれば、ぜひ林大臣におかれましても現地を御視察いただければ地元の北海道も喜ぶと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、一昨年十二月に教育機会確保法が議員立法で成立したことを受けまして、文部科学省は「夜間中学の設置・充実に向けて」の手引書を作成し、一月に公表されました。その後、四月に改訂版が出され、本年、さらなる改訂版を検討中と聞いておりますけれども、そうした取組の結果、平成三十一年四月には川口市で埼玉県初の、また松戸市では千葉県で二校目となる夜間中学の開設が決定しました。

 しかし、全国で見れば、夜間中学が設置されたのは、決定した二校も含めて九都府県二十七地区三十三校であります。法整備の結果、都道府県に最低一校の開設が義務化された後、他の三十八道県の検討は進んでいるのかどうか心配であります。

 文科省もこれからさらなる調査を行っていくと承知していますが、設置に踏み切れない自治体では、やはり、ニーズを把握しづらいという声、考えられているケースも多いのではないかと思います。

 しかし、教育の機会確保という前提に立てば、たとえ一人でも希望すれば、機会を提供しなければならないと思います。

 現在、学齢期にある不登校の小中学生は、全国で十三万四千人と承知しております。もちろん、こうした子供たちが皆登校することができればすばらしいことでありますが、そうなる保証がない以上、夜間中学の開設の意義がいかに大きいかは推して知るべしです。

 文部省は、自治体がニーズ把握に使える予算を、平成三十年度、倍増させております。夜間中学開設が前進している自治体では、市長や知事がはっきりとした意思表示をしているとも聞いております。つまり、夜間中学の設置については、首長に直接働きかけることも大変に有効であるということではないかと考えております。

 国は、あらゆる機会を通じてこの働きかけを推進すべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 文部科学省におきましては、平成二十八年の十二月に成立した、今お話しいただきました教育機会確保法、これに基づき策定をいたしました基本指針におきまして、各都道府県に少なくともやはり一校の夜間中学設置を目標に掲げたところですが、残念ながら、現状ではまだ全国八都府県二十五市区三十一校の設置にとどまっておるところでございます。

 このため、各地方公共団体における夜間中学の設置に向けた検討が進むように、設置、運営上の工夫や具体的な事例などを紹介する手引を作成するとともに、平成三十年度予算案においては、夜間中学の設置促進に係る調査研究、広報活動を実施するための予算も計上しておるところでございます。

 委員からお話がありましたように、首長さんのリーダーシップというものも大変大事でございますので、これまでも、全国首長会議等の機会を通じて、夜間中学の設置を促してきたところでございます。

 今後も、この基本指針に基づきまして、各都道府県に少なくとも一校は夜間中学が設置されるように、市町村長等に対して設置を働きかけることも含めて、必要な取組を行ってまいります。

佐藤(英)分科員 ぜひ、一日も早く全都道府県に最低一校設置できるように、よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、次は、修学旅行についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 修学旅行は、ふだんの学内での学習を実体験によってより深く学ぶ上で重要な教育の場でもございます。政府が今年度本格化させようとされております北方領土隣接地域への修学旅行の誘致について、学校教育の充実の観点からも、ぜひとも広く紹介してまいりたいと思うのでございます。

 北方領土に関する意識調査によれば、返還要求運動への参加促進に最も有効な手だては、学校教育の充実と考えられております。第二次世界大戦後、ロシアの一方的な占領によって生じた北方領土問題について、直接、現地である隣接地域を訪れ、当時どのような事態が起こり、七十二年を経た今どうなっているのかなどを、直接、元島民の方や隣接地域の方から伺う機会は、子供たちにとっては貴重な学習体験となると思います。

 また、ことしの春に向けまして、日ロの与党交流や日ロ首脳会談の調整が行われると聞いておりますけれども、今まさに動いている課題を通して、政治や外交に関心を持つよい契機にもなるのではないかと思います。

 北方領土の隣接地域は、第一次産業も盛んで自然豊かな地域でもあり、ふだん都市部にはない経験もできると思います。地域の活性化や返還運動の理解の醸成にもつながり、地元地域は受入れに大変積極的であります。

 ことしの夏から始まる中高の教員対象の下見ツアーなどについて、ぜひとも文部科学省からもあらゆる機会を通じて紹介していっていただきたいと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について正しく理解することは極めて重要であり、各学校においては社会科等において北方領土等に関し指導がなされているところであります。

 北方領土隣接地域への修学旅行誘致については、内閣府が取組を進めており、内閣府の平成三十年度予算案には、これまでの北方領土教育を取り入れた修学旅行への支援等に加え、新たに、修学旅行を担当する教員等が北方領土隣接地域の下見を行う際の支援を行うための経費として約一千万円が計上されているものと承知をしております。

 文部科学省といたしましては、北方領土に関する指導の重要性に鑑み、内閣府と連携しつつ、各種会議等を通じて各教育委員会等に対して、これらの事業の周知を図ってまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 この下見のツアーでありますけれども、北海道東部の根室市や別海町、中標津町、標津町、羅臼町の一市四町に日本国内の中学生や高校生を招こうと、ことしの夏から教員を対象に下見ツアーを実施するものでございます。このツアーは、全国の中高の教員に向けまして、北海道の東部が過ごしやすい、ことしの夏から秋をめどに計画をしているとも伺っております。

 観光施設にも加え、戦前の北方四島の生活がわかる資料を展示する北方館など、北方領土の啓発施設を見学できるとも聞いております。海上から北方四島を視察し、元島民の話も聞かれるという話も聞いているところでありまして、ぜひ、今御答弁がありましたように、多くの学校で実現できるように、御紹介のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、我が国を訪れる外国人の観光客は、御承知のように、年々大幅に増加をしているところでございます。真に観光立国を実現していくためには、長期滞在型の観光客の増加や、アジア偏重の来日観光客層を欧州などからも引き寄せる必要があると考えます。

 特にリピート率の向上が重要でありますけれども、そのためには、現在、東京や名古屋、大阪と、その近接地域に集中する外国人観光客の流れを、美しい田園風景や独自の文化を持つ山村など、日本の隅々にまで誘引していくことが極めて重要と考えます。

 日本の地方部には、多くの外国人観光客がいまだ知らない、驚くほど魅力的な観光資源がまだまだたくさん眠っております。これらに磨きをかけることによって、観光による成長を地域に取り込むことができれば、多くの地域が新たな活力を創造していくことができると確信します。

 文化庁は、古民家や遺跡、民謡舞踊、仏像、神社仏閣、お祭りなど、地域の文化財について、その価値と魅力を守り、かつ大いに生かしていくためにどのような施策を講じていかれようと考えていらっしゃるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化財は、地域にとってかけがえのない宝であり、観光振興や町づくりに取り組む上で中核的な役割を果たす貴重な財産でございます。

 文化財を後世に確実に継承しつつ、その一層の活用を図り、文化財とそれを育んだ地域の持続的な維持発展につなげていくことが今後ますます重要なものとなってくると考えております。

 文化庁におきましては、これまでも、日本遺産を始め、各種の文化財活用の取組を行ってまいったところですが、昨年十二月の文化審議会第一次答申、「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」を踏まえまして、文化財の保存、活用の総合的かつ計画的な推進など、地域社会総がかりの取組が進みますよう、現在、文化財保護制度の見直しについても検討を行っているところでございます。

 文化庁といたしましては、地域の貴重な文化財の価値と魅力を守りながら町づくりの中で生かしていけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 大変に鋭意検討されていらっしゃるという御答弁でございましたけれども、文化財の保護はもちろんのこと、活用というものが、ある意味では地方の観光の一つの起死回生にもつながるのではないかというぐらい、私はやはり重要な取組であると考えますので、ぜひ鋭意御検討のほど、お願いを申し上げたいと思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 二〇〇一年、文化芸術振興基本法制定時には文化芸術に係る予算は大幅に増額されましたが、それ以降、横ばいの状態が続いております。

 かつての大平研究会、「文化の時代」報告、一九八〇年の報告でありますけれども、この報告では、文化芸術予算を国家予算全体の〇・五%まで引き上げるとされておりました。現在は、予算全体の〇・一%程度にとどまっているのが現状であります。三十八年たった今も、達成にはほど遠い状況と言わざるを得ないのではないかと考えます。

 文化芸術は、自由な表現によりまして、人々の創造性を育み、表現力を高め、心のつながりや相互に理解、尊重し合う土壌を提供するとともに、人間共通のよりどころでもあり、心豊かな活力ある社会を形成する上で極めて重要な意義を持つと思います。特に幼少期、青年期に本物の芸術に触れることは、人格形成の上からも極めて大切なことであると思います。

 私自身、学生時代に演劇部の部長を務めるなど、幸いなことに舞台芸術のすばらしさに触れる機会に恵まれ、文化芸術の振興に強い思いを持っております。冒頭、林大臣もミュージシャンというお話をさせていただいておりますけれども、大臣も、思いは私以上に強いものがあるのではないかなと思います。

 平成三十年度の予算では、文化芸術による「創造力・想像力」豊かな子供の育成のために六十五億円予算を計上しておりますけれども、今後、文化芸術予算全体を押し上げるとともに、こうした子供たちのための事業についてさらなる充実を図っていただきたいと私は強く要望させていただきたいと思います。

 あわせて、多くの芸術家の方々が参加する文化芸術フォーラムから求められております文化省の設置についても御要望をさせていただきます。

 ぜひ御見解と御決意を伺いたいと思います。

林国務大臣 佐藤委員とは農林水産大臣政務官としてお支えいただいたときから長いおつき合いでございますが、演劇部長だったということはきょう初めて聞かせていただきました。

 文化芸術水準の向上を図って、すぐれた文化芸術を継承、発展させ、創造していくためには、もう御指摘があったとおりでございます。平成三十年度予算案は、これでも過去最高なんでございますが、総額千七十七億円、前年比で三十五億円増、三・三%増ということでございます。

 先ほどお触れになった、まだはるかに高い目標があるわけでございますが、特にその中でも、次代を担う子供たちがすぐれた芸術文化や伝統文化に身近に触れ、体験をするということは、大変豊かな感性、情操、想像力などを養う上で重要であると考えております。

 私も時々、交響曲を聞くと、昔聞いた記憶があるなというふうにちょっと懐かしく思うことがありまして、多分、母がレコードをたくさん持っておりましたので、子供のころに意識せずに聞いていたということがその根底にあるのかなと時々思ったりもするわけでございますが、レコードよりも本物のすばらしい演奏等に若いころに触れていただくということはとても大事なことだというふうに思っております。

 そういった意味で、地方公共団体における自主事業等も含めて、義務教育期間中九年の間にすぐれた文化芸術の鑑賞、体験機会をより充実するように取り組んで、何とか平均二・四回ということになっておりますが、伝統文化、生活文化を体験、習得できる機会の充実を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

 また、今御要望がありました文化省の設置でございますが、国の行政組織のあり方に関する全体的な議論の中で検討する必要があるものと認識をしておりますが、昨年六月に成立した文化芸術基本法においては、文化庁の機能拡充等について必要な措置を講ずる、こういうふうになっておりますので、今般、文化庁の機能強化に向けて、文科省の設置法の一部を改正する法律案を国会に提出をしたところでございます。

 今後、この法案の速やかな成立を目指して全力を尽くしてまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 文化芸術振興に強い思いのある林大臣に大いに期待をしまして、最後の質問に移ってまいりたいと思います。

 最後の質問は、子育て世帯の教育負担軽減策であります。

 昨年の十二月八日に閣議決定された二兆円規模の政策パッケージについて、二〇二〇年度までに、年収五百九十万円未満の世帯を対象にした私立高校授業料の実質無償化が明記されました。大学進学時の給付型奨学金制度の創設や無利子奨学金の大幅充実も実現し、今般の私立高校の授業料無償化によって、子育て世帯の家計に対する教育負担の軽減は大きく進むことになります。奨学金で教育資金が不足している場合に、日本政策金融公庫が実施している教育一般貸付け、いわゆる国の教育ローンを活用するという方もおられるわけであります。

 昨年、国に先駆けて、東京都が私立高校の授業料の実質無償化を実現しましたが、このほかにも、奨学金制度や教育ローンの利子補給など、教育負担軽減を積極的に行っている自治体の存在も忘れてはならないと思います。今回、高校授業料の無償化など国の施策が大変に充実していく背景で、こうした自治体独自の支援策も後退することのないよう、よく目を配っていかなければならないのではないかと思います。

 この教育ローンの利子補給については、学生支援機構が行う有利子奨学金と教育ローンの金利差を縮めることになり、子育て世帯にとっては大変にありがたい施策であると思います。地方交付税に反映するなど、国からも何らかの支援が行われればそれほど多額の財源も要しない事業でありますので、新たに取り組む自治体も出てくるのではないかと考えます。

 こうした、国から自治体の取組を促すインセンティブを与えていく新たな取組の必要性を含め、教育負担の軽減や、及び、教育を通しての人づくり革命への取組について御見解をいただければと思います。

林国務大臣 教育の負担軽減につきましては、国において全国的な教育の機会均等等の観点から必要な施策を実施するのみならず、各自治体においてそれぞれの地域における教育の振興を図るために独自の支援を行うということは、大変意義があることだと考えておるところでございます。

 今お話もありましたけれども、高等学校段階では、自治体は、国の就学支援金制度に加えて、それぞれの地域の実情を踏まえて独自の授業料減免や入学金等への支援を行うほか、奨学金事業の中心的な役割を担っていただいております。

 また、高等教育段階では、国が教育費負担の軽減について役割を担う中で、文科省として、総務省と連携しながら、奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進事業を実施して、地方経済の牽引役となる産業への就職といったことを条件にして、日本学生支援機構、JASSOの無利子奨学金の返還を支援する地方自治体に対しまして特別交付税による支援を行っておるところでございます。

 今後も、今お話のありました人づくり革命の一環ということで、教育費の無償化負担軽減を進めていくに当たっては、自治体との適切な役割分担のもとで的確な実態把握に努めまして、主体的な取組が更に促進されるよう留意しながら対応してまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 近年の文部科学省におかれましての教育費の負担の軽減について、大きくやはり前進されていらっしゃることに心から感謝を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

福井主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、初鹿明博君。

初鹿分科員 お疲れさまです。大臣も一日ずっと張りつきで大変だと思いますが、私の質問もどうぞおつき合いをいただきたいというふうに思います。

 きょうは初めて林大臣に質問をさせていただきますが、大臣とは、私が二〇〇九年に初当選した際に、一緒に台湾に行かせていただきまして、その際に、自民党の議員さんの中にもこんな立派な方がいるんだなと。中にもと言うと失礼ですけれども、立派な方がいるんだなと思いまして、私も見習って、しっかり勉強をしていかなければならないなという気持ちにさせていただいた先輩でありますので、きょうは、そのことを思い出しながら質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、きょうは、昨年の十二月五日にペジー社の斉藤元章社長が東京地検特捜部に逮捕されたことから始まったスパコンの疑惑について質問をさせていただきます。

 既に十二月二十五日に起訴をされて、NEDOからの助成金詐欺については、これは司法の場での解決を図っていくということになるんだと思いますが、逮捕後に明らかになったように、文科省の所管団体であるJSTから融資を受けているということも判明しましたので、その点について、きょうは何点か確認と質問をさせていただきたいと思います。

 容疑となっているNEDOの助成金は、容疑の対象金額、四億円が詐取をされたということで対象になっていて、五回助成金を受けていて、その総額、一回の多い分でも十億円で、総額で大体三十五億円ぐらいなんですね。それに対して、JSTの融資額は六十億円なんです。非常に大きいですよね、そう考えると。NEDOで五回助成金を受けて、そして、最後に公的なお金が斉藤氏に支払われるというか、この場合は融資ですけれども、支払われたのがこのJSTの融資であるということを考えると、ある意味、これまでうまく助成金をだまし取ることができたから、最後、大きな金額で不正を働こうと考えていたと推測もできないわけではない、断定するわけではないですけれども。そうであるからこそ、きちんとした検証が必要ではないかと我々は考えているわけであります。

 昨年末に、この事業の対象となっているスパコンが設置されている海洋研究開発機構、JAMSTECに行かせていただきました。そこでいろいろお話を聞いていて、非常に不自然だなというか、不思議だなと思うこともありました。何が不思議かと思ったかというと、JAMSTECと共同開発しているわけではないわけですよね。なのに設置がされていて、これはどういうことなんですかと言ったら、単なる賃貸借契約で、大家とたな子の関係だというわけですよ。何で貸したんですかと言ったら、あいている場所があったから貸したというんですけれども、本当にそういうことがあるのかなと疑問に思ったわけです。

 大臣、文科省の一室にあいているスペースがあって、そこを民間企業が自分の事業のために貸してくださいといって、簡単に、わかりましたという話になりますかね。ならないですよね。

 この経緯を調べてもらえないかということで、確認をしていったわけですけれども、まず、そもそも、このJAMSTECと斉藤社長がどこで面識を持つことになったかといったら、平成二十七年の七月の中、下旬に、国際会議の席でペジー社がブースを出していて、そこで知り合ったと。そして、皆さんのお手元に資料を出させていただいておりますが、八月十七日、JAMSTECが斉藤社長を招いてスパコンの勉強会を開催し、講師をしてもらったというわけですね。どうもその際に、横浜研究所の地球シミュレーターが置いてあるところを見学したということであります。

 JAMSTECの方や、また文科省の説明だと、その見学をした際に、地球シミュレーターが置いてある部屋の一角にスペースがあるということをきっと斉藤さんは見て、知っていたんじゃないかというわけですね。それから平成二十八年にNexTEP事業の申請をし、そして、それが採択をされ、そこにスパコンが設置されることになるわけですけれども。

 皆さん、不思議に思いませんか。地球シミュレーターの置いてある部屋の一角があいているからといって、そこに自分の会社のスパコンを置いて、そこで開発することができるか。余り、すぐに想像できないですよね。普通に賃貸物件として、ここを貸しますよというのが出ているならともかく、そんなこともなく、そして、海洋研究開発機構に聞いたら、そもそも貸すようなものではないから、非常に特別なことであるというのは認めているところなんです。

 まず伺いたいのは、斉藤社長がいつこのスペースを借りたいと言ってきたのか。そして、そのときに誰が対応をしたのか。また、斉藤社長が一人で来たのか、何人か複数で来たのか。これをまずお答えいただきたいと思います。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年四月ごろに、斉藤氏から海洋研究開発機構に対し、スーパーコンピューターの開発構想について説明がございました。その際、構想するスーパーコンピューターを海洋研究開発機構の横浜研究所に設置することは技術的に可能かどうかというような相談があったと伺っております。

 その際の面談につきましては、斉藤氏から海洋研究開発機構の地球情報基盤センターに対して相談があったと伺っております。

初鹿分科員 その際に、斉藤社長が一人で来たのか、それとも誰か一緒に来た方がいるのか。そして、対応したのは誰なのか。それを聞いたんですけれども、お答えできますか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 斉藤氏の同行者については、今、手元では確認できません。

 それから対応者につきましては、地球情報基盤センターの部長クラスの者が対応したと伺っております。

初鹿分科員 では、同行した者の氏名、又は、氏名が公表できないということでしたら、肩書等をぜひ調べて報告をしていただきたいと思います。

 その上で、一回だけじゃないですよね。当然、最初、その話を聞いて、わかった、貸しますよというふうにはならないですよね。きっと内部でいろいろな議論があったんじゃないかと思いますが、最終的な決定はどこで行ったんでしょうか。理事会で行ったんでしょうか。もし理事会で行ったというのでしたら、議事録を提出していただきたいと思いますが、いかがですか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 海洋開発研究機構といたしましては、その後、技術的な相談に断続的に応じていたというふうに聞いております。

 先ほど先生が御質問のございました、いつかという時点につきましては、まず、事前の相談の際にも、スーパーコンピューターの開発に向けためどが立ち、正式に施設貸付けの申請があった場合に判断する旨、お伝えをしてございます。その結果、二十九年の一月に貸付申請書の提出があり、不動産管理規則等に基づき貸付けの手続を実施したと伺っております。

 なお、この手続に際しまして、理事会等は求められていないといいますか定められておりませんので、特に理事会での決議等はございません。

初鹿分科員 誰が最終的に判断をする権限を持っていらっしゃるんですか、決裁権限は。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 文書決裁を行ったと聞いてございますが、ちょっと今手元では、誰が決済権者かということについては確認がとれておりません。

初鹿分科員 では、それも確認次第、報告していただきたいと思います。

 その上で、文科省にお伺いしますけれども、いつ、文科省は、JAMSTECにスーパーコンピューターが設置をされた、それも賃貸借契約で設置されたということを知りましたか。

佐伯政府参考人 文科省が確認した時期につきましては、申しわけございませんが、今手元に具体的な日時はございません。

初鹿分科員 では、大臣、いつ知りましたか、海洋研究開発機構にこのスパコンが置かれているという事実を。

林国務大臣 報道がいろいろあったので、その中で見た記憶はございますが、正式には、こういうことが国会で取り沙汰されるようになってから省内でレクを受けたということだったと思います。ちょっと、正確な時点がなくて恐縮ですが。

初鹿分科員 恐らく、この十二月の事件が発覚するまで余り文科省の中でも知られていなかったのではないかと思うんですね。やはり、このあたり、経緯をきちんと説明をされないと非常に誤解を生じるのではないか。イレギュラーですよね。

 これは、NexTEPの事業の採択がされていなくて、エクサスケーラー社が単独で自主事業でやるといった場合も貸していましたか。いかがですか。

佐伯政府参考人 その場合の判断につきましては、先ほど申し上げました海洋研究開発機構の中の規定に基づいて判断をされることとなりますが、その点について、今の段階で仮定の想定にお答えすることは差し控えたいと思います。

初鹿分科員 なかなかその場合、貸すという判断はしづらいと思うんですよ、民間企業の一事業に。地球シミュレーターという非常に重要なスパコンの横に置かれるわけですから。ですから、これは、融資がされるという前提の上で話が進められていたとしか考えられないということを指摘をさせていただきます。

 では、もう一回表に戻っていただいて、今度はNexTEP事業について聞いていきます。

 まず、これは二十八年十月十一日に補正予算が成立して、その次の日から緊急募集が開始をされるわけですが、この前に先立って、八月二日にまず経済対策が打ち出されて、そして八月二十四日に補正予算の閣議決定が行われるわけですね。それで、この事業が組み込まれ、国会が行われて補正予算が成立して、事業の公募となるということですけれども、このJSTの産学共同の開発事業というのはこれ以前にもやっていたものであって、今回新たに緊急募集ということで二十八年の補正予算に組み込まれてきたわけですが、今までの事業、従来のものと、この二十八年の緊急募集したもので、違うところはどこですか。

 ちょっと、時間をとめてください。

福井主査 通告はしてあるの。(初鹿分科員「しています」と呼ぶ)通告あり。

 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

福井主査 では、速記を起こしてください。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度補正予算の産学共同実用化開発事業、NexTEP事業未来創造ベンチャータイプは、平成二十八年六月に閣議決定されましたニッポン一億総活躍プランや日本再興戦略二〇一六におきましてベンチャー競争力の強化の方針が明示されたことを受けまして、ベンチャー企業が大学等の研究成果に基づくシーズを用いて、開発リスクは高いが未来の産業を創造するようなインパクトの大きい開発を行うことを支援するということで設けられたものでございます。

 今までの事業におきましては、別の、NexTEP事業の一般タイプというものはございましたが、それとは異なる形で、成長するベンチャー企業が申請しやすいような内容に一部申請条件が変更されているところでございます。

初鹿分科員 ベンチャータイプを新たにつくったということで、開発企業の要件がここで変わっているわけですよね。どのように変わりましたか、開発企業の要件。これまで必要とされていたもので、なくなったものがありますよね。

佐野政府参考人 これまでの一般タイプには、開発成功後、開発費の返済の見通しがあることという記載がございました。また、経営基盤として、原則として以下に該当しないことということで、直近三期の決算期において三期連続して経常損失を計上している、直近三期の決算期において一期でも債務超過となっている、直近三期の決算報告書がないといった点が、未来創造ベンチャータイプでは要件としては記載されていないところでございます。

初鹿分科員 直近三期の決算書とかが必要なんですよね、債務超過していないとかそういうことが。エクサスケーラー社は二十六年設立なんですよ。ぎりぎり三期目の決算書があるかどうか。つまり、場合によってはというか、恐らく一般タイプで融資が受けられない可能性が高かったと思うんですね。

 ここで伺いたいんですけれども、斉藤氏は、この事業が決まる前、つまり補正予算が成立前から相談に行っていますよね。伺ったところによると、八月に一回、九月に二回行っているということですが、斉藤社長と一緒に相談に行った同行者はどなたでしょうか。名前が言えないようでしたら、その方の役職名を教えてください。そして、対応された、JST側になるのか文科省側になるのか、その方はどなたでしょうか。また、ほかの役所の方が同席しているということはありましたか、なかったですか。

佐野政府参考人 エクサスケーラー社からJSTへの事前相談は、先ほど先生がおっしゃいましたように、平成二十八年八月二日に経済対策が閣議決定された以降、公募を開始するまでの間に、エクサスケーラー社からの問合せに応じまして、八月と九月に計三回面談を行っているというふうに聞いております。また、相談者の中には、先ほどおっしゃいました斉藤氏が含まれているということも聞いてございます。他の相談者につきましては、同社の社員というふうに聞いてございます。

 以上です。

初鹿分科員 何名来られたんですか。そして、こちら側は誰だったのかというのを聞いているので、そこもお答えください。

佐野政府参考人 具体的な個人名ですとか肩書につきましては、JSTにおきましては、産学連携事業において、通常、多数の企業の方々と面談している状況でありまして、特定企業との面談の情報は、面談があった事実も含めて原則公開しないというふうに聞いているところでございます。

初鹿分科員 聞いていることという答弁ですけれども、では、文科省として把握されていますか。このときの相談内容の中に、この開発企業の要件について相談がされましたか、されていませんか。決まる前ですよね、要件が。要件が決まる前の相談です。この件について相談を受けたか、受けていないか、お答えください。

佐野政府参考人 JSTにおきましては、産学連携事業におきまして、先ほども申し上げましたが、常時多数の企業と面談している状況ですが、個々の企業との面談の情報は、当該企業の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、面談があった事実も含めて、原則公開していないこととなってございます。

初鹿分科員 私は、それは明らかにしてもらいたいと思いますので、それも求めさせていただきます。

 この事業なんですけれども、今も募集しているんですよね。緊急募集は一回締め切りましたけれども、今も募集をしていて。二枚目の資料を見ていただきたいんですが、緊急募集の際にエクサスケーラー社ともう一社の二件の申請があって、この二件が採択されました。そして、その後、通常募集をずっと行っているんですけれども、申請数十件あって、八件は不採択で、まだ二件は審査中ということで、新たに採択されたものは一つもないということであります。

 そして、二件採択されたうちのエクサスケーラー社と、もう一つの方は融資額二億円程度だというふうに聞いております。それで間違いないですよね。

佐野政府参考人 そのとおりでございます。

初鹿分科員 そう考えると、このエクサスケーラー社の六十億というのは、非常に額が大きいですよね。

 しかも、この融資額には上限があって、それは五十億なんです。五十億の上限があるのに、それを上回る融資をしたということですが、その理由は何でしょうか。十億上回った理由についてお聞かせください。

佐野政府参考人 産学共同実用化開発事業におきましては、開発費の申請可能額は、先ほどおっしゃいましたように、原則として一億から五十億となっておりますが、開発の性格でありますとか重要性に鑑みまして、上限を超える申請についても受け付けることとしておりまして、これは公募要領にも記載されているところでございます。

 エクサスケーラー社の申請課題につきましては、JSTの評価委員会で独創性、優位性、イノベーション創出の可能性等の観点から評価がなされまして、申請された開発費の限度額につきましても、開発計画の内容を踏まえて、約六十億という規模が妥当と判断されたものと承知しております。

初鹿分科員 六十億が妥当だという判断の中に、なぜそこまでかかるのかという説明があったと思いますが、それについてお答えいただけますか。

佐野政府参考人 個別の審査内容については、お答えを差し控えさせていただきます。

初鹿分科員 先日の我が党のヒアリングの際に説明をされた方が、高額のプロセッサーを大量に購入するということをおっしゃっていたんですね。高額なプロセッサーを大量に購入する、まあそうだろうなと思いますね、高性能のスパコンですから。

 では、このプロセッサーはどこから購入したのかということになるわけですね。これは、エクサスケーラー社がその関連企業というか親会社であるペジー社から大量に高額なプロセッサーを購入したのではないですか。

佐野政府参考人 具体的な購入先につきましても非開示情報となってございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

初鹿分科員 非開示情報というんですけれども、お手元にもう一つ資料をつけさせていただきましたが、海洋研究開発機構名で出されているスーパーコンピューターシステム暁光がランキング一位、トップ五百の一位、グリーン五〇〇で世界五位になったというプレスリリースなんですよ。そもそも、共同開発もしていない海洋研究開発機構のクレジットでこれが出ていること自体、私は不自然だと思うんですけれども。

 これは、ちょっとめくっていってください。二枚めくっていただいて、最後のページに、今回申請時の暁光の主な仕様というところに、使用プロセッサー、PEZY―SC2と書いてあります。ペジー社から買っているんですよ。もうこれでわかるんですよ。公表しないと言っているけれども、これはちゃんと公表されていますからね。後ろに、ペジーコンピューティングのホームページからその製品のカタログをコピーさせていただいておりますが、こういうことになっているわけです。

 よく見ると、使用プロセッサー数一万個。一万個買っているわけですね、ペジー社から。この事実、認めますよね。

佐野政府参考人 開発の途中段階の情報につきましては不開示情報となってございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

初鹿分科員 今、ほかの、NEDOの助成金で不正がわかって逮捕されている案件です。

 これは、考えてくださいね。エクサスケーラー社は、斉藤さんが当時社長でした。ペジー社も斉藤さんが社長でした。斉藤さんがお金を国から融資してもらって、斉藤さんが斉藤さんにお金を払うという状況ですよ。これはオープンにしないでいいんですか。幾らでも利益を上乗せすることができてしまいませんか。

 例えば、一万個ですよ、大臣、一万個という数ですからね、一つ当たり一万円利益を上乗せしたら幾らの利益になりますか。一億ですよ、一万個ですから。これが不当な利益が上乗せされているとしたら、非常に問題だと私は思うんです。これは、事実かどうかは、私の推測ですからね、あくまでも推測だと申し上げさせていただきますが。

 だから、エクサスケーラー社からペジー社に一体幾らのお金が支払われたのかは、やはり明らかにした方がいいと思いますよ。明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 このNexTEPのエクサスケーラー社の開発課題に関する情報公開につきましては、これはルールにのっとってやるということではございますが、開示情報、不開示情報のいずれに該当するかの確認作業を、JSTがエクサスケーラー社との間で、弁護士とも相談しながら慎重に行ったもの、こういうふうに聞いております。

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律というのがございまして、その条文に基づいて、不開示情報に該当をする、こういう判断がなされたというふうに聞いております。

初鹿分科員 不開示だということですけれども、私は、これはやはり国民の疑念を抱くような取引のやり方だと思うので、今後の融資でも、やはり自分の関連企業から物を購入するような場合は、しっかりそれが市場価格として妥当かどうかの判断をしなきゃいけないと思うんですよ。

 今言ったように、一万個も同じものを購入しているとなると、例えば十万円の価格だとして、それが十一万で、一万円乗せても一億の利益になるわけですよね。でも、素人目で見て考えても、十万円と十一万で、金額がどちらが妥当かって、判断がなかなかつかないじゃないですか。つまり、うまく利益を還流できるような仕組みで、これは斉藤社長が考えたやり方ではないかと指摘せざるを得ないんですよ。だから、私は、疑念が持たれないように明らかにする必要があるということを申し上げているんです。

 その上で、このNexTEP事業というのは融資ですけれども、開発が成功しなかった場合はどうなるんでしょうか。

佐野政府参考人 開発が成功しなかった場合は、開発費の一割を返還していただくことになってございます。

初鹿分科員 目標に達成しなかったら、六十億の融資だったら六億返還するだけでよくなるわけです。事実上、助成金と言ってもいいような状態ですよね。

 現時点で、このエクサスケーラー社の事業は、本来だったら既に開発期間が終わっているはずですけれども、延長しておりますね。開発は成功しているんでしょうか、今の段階で。

佐野政府参考人 現時点におきましては、開発は一部中断しているというふうに伺っております。

初鹿分科員 このまま成功しないで終わってしまうと、六億返すだけで、五十四億円は手元に残る。また、ペジー社との取引がどういう関係になっているかわかりませんが、場合によっては、通常よりも利益を上乗せして、ペジー社が利益を得ている可能性もなきにしもあらずだという状況だということを指摘させていただいて、以上の流れを聞いて、大臣に最終的な感想をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

林国務大臣 先ほどの答弁に関連して、最後まで研究をやってうまくいかなかった場合は一割ですが、何らかのほかの理由で、例えば、万が一のことですが、例えば仮定の問題として不正があった場合とかいうのは、担保をとっておりますので、これは全額返していただくということでございますので、やはりしっかりと、法やルールに基づいてしっかりと説明をするということが、そういう、今御指摘のあったような疑念を招かないためには大事なことだというふうに思いますので、しっかりと手続を踏んだ上で説明をしていきたいと思っております。

初鹿分科員 よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございます。

福井主査 これにて初鹿明博君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川昭政君。

石川(昭)分科員 自由民主党の石川昭政です。

 林大臣、早朝からお疲れさまでございます。

 今ちょうど韓国の平昌では、冬季オリンピック、きょうは女子のフィギュアスケートということで、今まさに日本の選手が一生懸命氷上で戦っている真っ最中でございます。私も、ああいう姿を見て、若い人たちに負けられない、そして日本全体に元気を届けてもらいたい、国においてはスポーツ立国ということを目指しておりますので、やはりそういったスポーツ力、競争力の向上、こういったことにもぜひ東京オリンピックに向けて頑張っていかなければならないなというふうに思っている次第でございます。

 それでは、準備が整ったようですので、早速、本日は、我が国の科学技術イノベーション政策等につきまして、政府の取組についてお考えをただしていきたいと思っております。

 今世界では、御案内のとおり、第四次産業革命、大変なスピードで進行中でございます。一つは人工知能、これがどんどんいろいろな機械に装着をされていく、そしてロボット、IoTということで、これまで我が国が非常に得意としてきた高い品質の製造能力、それからすり合わせ技術、こういったものがだんだんと苦しい立場、厳しい立場に追いやられていっているのではないかな、私自身、見ていて、そう考えております。

 グローバルイノベーションインデックスという、世界の競争力を示すランキングがございます。このランキングで、二〇〇八年には日本は世界第三位の競争力を持っておりました。しかしこれが、二〇一三年には三十三位に落ちまして、二〇一五年二十六位。停滞したまま、今現在日本はそういう位置に沈んでおります。私自身、科学技術立国という日本の立ち位置が非常に危ういなというふうに日々感じているところです。

 これまで、政府においては、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔になりまして、革新的研究開発プログラム、いわゆるImPACT事業でありますとか、戦略的イノベーション創造プログラム、SIP、それから官民研究開発投資拡大プログラム、PRISM、こういったものを事業として推進をしてまいりましたけれども、これを今後こうした日本全体の科学技術の底上げにどうつなげていくか。研究の成果、それはすなわち我が国の競争力の源泉だと思っております。

 こういった観点で、今政府においてどういう考えで取り組んでいるのかというのをまず冒頭お伺いします。

林国務大臣 今お話がありましたように、科学技術、そしてそれがイノベーションにつながっていくということは、国が持続的に発展、成長していくために大変欠かせないものであるというふうに思っております。

 一方で、今先生からお話がありましたように、我が国の科学技術の現状では、今国際的なスタンダードのお話もありましたが、文科省の調査においても、論文数や注目度の高い論文における国際的な順位、こういうものが後退をしてきているということを把握しておるところでございます。

 どういうことが背景にあるのかということですが、新たな研究分野へ挑戦するということが減っているとか、若手研究者の研究環境というものが必ずしも芳しくない、それから産学連携の規模等に課題がある、こういうふうに認識をしております。

 このため、文科省としては、第五期科学技術基本計画に掲げられておりますように、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつではございますが、政府研究開発投資、対GDP比一%、二十六兆円という目標を掲げておりますので、この達成を目指すとともに、研究者が自由で大胆に挑戦をしていく、これを支援していくことを充実させるということと、やはりすぐれた若手研究者が安定かつ自立して研究できる環境の実現に取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、産学連携の規模と申し上げたのは、今まではどちらかというと、企業の一つの研究部門と大学の研究室ということで、その部分だけの産学連携というのが主でありましたが、大学全体と会社全体ということで、いわば戦略部門とか文系も含めて、本格的な組織対組織の産学連携を実現するための組織のマネジメント力の強化ということを図っていく所存でございます。

 科学技術政策の中核的な役割を我々文科省として担っておりますので、関係の省庁と連携しながら、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

石川(昭)分科員 今、林大臣にもお触れいただきましたけれども、やはりイノベーションの開発の舞台というのは大学、研究機関にあるわけですね。私も、若手の大学研究者の皆さんと意見交換をいたしますけれども、やはり口をそろえておっしゃるのは、研究費が少なくて苦しい、そして任期つきであること、さまざまなそういうしわ寄せが若手の研究者の皆さんのところに行っているんだなということがよくわかりました。

 そういうわけで、文部科学省としては、人材育成機能のかなめである国立大学運営費交付金等があるわけですけれども、この交付金が年々今削減傾向にあるのは御案内のとおりです。

 平成十六年には一兆二千四百十五億円あった交付金が、今般の予算案では一兆九百七十億円、引き算しますと、マイナス千四百四十五億円減少しているということです。そのかわりとして今進められているのが、運営費交付金から競争的資金、いわゆる科研費への移行を進めているということでございます。

 今、大学改革、国立大学改革プランの第三期に当たるかと思いますけれども、それを見ますと、非常にいいことが書いてあります。先ほど林大臣お触れいただきました、学長のリーダーシップであるとかガバナンスを強化する、あるいは日本人の海外の留学者数、そして外国から日本に留学する学生の数をふやしましょう、そして、今後十年間で世界大学ランキングトップ百に我が国の大学十校以上を目指すとか、かなり意欲的な数値目標がここに掲げられております。こういったことを今取組の真っ最中でありますけれども、タイムズ・ハイアー・エデュケーション、これまた大学のランキングが発表されまして、日本の東京大学が四十六位、京都大学は七十四位ということで、これも順位を下げているところです。

 こうした現状をごらんになって、文部科学省として、こうした大学あるいは研究機関の窮状をどうしていく方針なのか、お伺いいたします。

林国務大臣 このタイムズ・ハイアー・エデュケーションのランキング、私も見まして、やはりそういうランキング、少し落ちてきておりますので、これは幾つかある中の一つではございますけれども、一体どういうことでこういうことになっているかという分析はしっかりやる必要があると思っておりまして、たしか、五つか六つか項目がある中で、日本がもともと弱かった国際的なところは、去年に比べると、ちょっとですけれども上がっていて、もともと強かったところが若干下がっている。ですから、両方やっていかなきゃいかぬということだ、こういうふうに思っておりますが。

 まさに、マネジメントを、国立大学法人、せっかく法人になっているわけですから、経営力を強化するという上で、まずは財務基盤の確保は大事であろうということで、今お話のあった国立大学法人運営費交付金を確保しながら、例えば、大学の保有する土地等を第三者へ貸し付けるということの範囲を拡大するということ等の資産の有効活用、それから、寄附、共同研究等々を通じて、外部資金等を大学が自分で努力して得て活用していくということで、財源を多元化するということが大事だと思っておりますし、先ほどの繰り返しになるところでもございますが、産学連携を組織対組織でやって、やはり民間のお金を使っていくということが大事であろう、こういうふうに思っております。

 こういうことを取り組んでまいりまして、実際に、国立大学における外部資金受入額は、法人化以降増加をしてきておるわけでございます。これは平成十六年の寄附金の受入額、国立大学法人ですが、六百五十三億から八百六十四億、これは平成二十八年ですね、ふえてきておりますし、受託研究、受託事業、共同研究受入額も、平成十六年の千百七億円から平成二十八年の二千五百八十六億円までふやして、地道な努力は積み上がってきている、こういうふうに思っております。

 思っておりますが、今後も、マネジメントという意味では、やはり学長が強いリーダーシップを発揮していただくということで、そのもとで、組織全体で、それぞれの大学のミッションの実現に向けた経営力の強化が進むように、大学の財務基盤の強化、それから外部からの経営的な視点をきちっと入れる仕組み、こういうことの組織運営の推進、こういうことに取り組んでまいりたいと思っております。

石川(昭)分科員 今、林大臣が、大学のガバナンス改革についてお触れいただきました。

 先日、自民党にも、その識者をお呼びしまして、大学改革の今の現状をヒアリングいたしました。東京工業大学の学長さんでございましたけれども、かなり意欲的に大学の研究体制を変えたり、学生に対する教育、こういったものを非常に強化して意欲的にやっているんですけれども、任期の次の学長の選考から外れてしまったということです。これは根本的な課題として、改革をするリーダーというのは余り、既存の教員であったり職員からすれば痛みを伴いますから、なかなか再選されにくい。それを守るために、教授会のステータスを下げて学長選考委員会というようなものを設定したわけですけれども、そういった形で、改革をしたい、しようという学長ほどなかなか選ばれにくいという現状を何とか変えなきゃならないということで、自民党においても今改革案を考えてまいりますので、ぜひ今後とも御指導いただければと思っております。

 次に、「もんじゅ」の廃炉の計画についてお伺いしたいと思います。

 我が国の唯一の高速増殖炉、原型炉ということで「もんじゅ」があったわけですけれども、残念ながら、その研究がストップしてしまいました。これから廃炉に向けた課題としていろいろございますけれども、一つは、冷却材で使われております液体ナトリウムの抜取りというものが課題だということが報道をされました。しかし、それは事実ではなかったということで、国においても原子力機構においても訂正を申し入れたことは承知をしておりますけれども、現段階でこうしたことについてはどのような計画になっているのか、政府にお伺いいたします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」の設計は、安全性の確保を旨とした考え方に基づいておりまして、原子炉容器内での炉心燃料体の露出を確実に防ぐため、ナトリウムの液、液面の位置でございますが、これが一定以下にはならない構造となっております。これは事実でございます。

 一方で、原子力機構は、廃止措置段階におきまして、炉心から燃料体の取り出しを終了した後は、ナトリウムの抜取り自体は技術的に可能であるとしています。ただ、その具体的な工程につきましては、実際の廃止措置作業を進めていく中で、安全かつ確実な方法について検討が加えられた上で、廃止措置計画に適宜反映していくこととなってございます。

 文部科学省といたしましては、「もんじゅ」の廃止措置を安全、着実かつ計画的に進めるために、政府一体となってしっかりと進めていきたいと考えてございます。

石川(昭)分科員 局長おっしゃるとおり、設計上そうなっているわけですね、安全上ですね。それは当然だと思いますし、誤解のないように、適時適切に説明責任を果たしていただきたいと思っております。

 また、あわせまして、これからさまざまな原子力の研究施設が廃炉になり、それがバックエンドとして、これから重要な課題になってくるわけですね。原子力機構も、大半の施設が昭和の時代につくられたものばかりであります。この研究施設の老朽化それから高経年化対策というのが、組織としては非常に大きな課題となっているところでございます。特に、私の地元東海の再処理施設は、そういう意味ではリスクの低減というのが喫緊の課題となっております。

 これらに対して国はどのような支援、予算面を含めてです、行っていくのか、お伺いしたいと思います。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 東海再処理施設につきましては、昨年六月三十日に、原子力機構は、原子力規制委員会に対して廃止措置計画認可申請書を提出いたしました。当該申請書におきましては、まず、高放射性廃液のガラス固化処理、これを二〇二八年度までに終了するなど、約七十年間にわたる廃止措置工程を示してございます。

 また、廃止措置に要します費用といたしましては、施設の解体や放射性廃棄物の処理処分に約七千七百億円、それ以外に、ガラス固化処理施設の運転や安全対策等に当面十年間で約二千百七十億円が必要との試算を出してございます。これに基づきまして、平成三十年度予算案におきましては、高放射性廃液のガラス固化処理に必要な設備の整備や施設の安全対策、維持管理等に必要な経費を計上したところでございます。

 文部科学省といたしましては、東海再処理施設の廃止措置が安全、着実かつ計画的に進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

石川(昭)分科員 ぜひ着実に計画が進展するように、予算面、人員面含めて、御支援を、バックアップをしていただきたいと思っております。

 次に、極低レベルの放射性廃棄物のクリアランス制度についてお伺いしたいと思います。

 これから原子力発電所など廃炉が進んでいきますと、直接放射性物質に触れていなかった建物のコンクリートや鉄鋼など、そういった廃棄物が大量に排出をされます。原発一基につきまして大体五十四万から四十九万トンぐらいのそういった廃棄物が出てきて、その中で放射性廃棄物として処分しなければならないのは、わずか一万から二万トンということでございます。

 したがいまして、それ以外の廃棄物については、クリアランスを受けてリサイクルに回す、こういう制度になっているわけでございますけれども、現時点までにそのクリアランス制度がどのように進められているのか、その実績を含め教えてください。

青木政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほど議員から御指摘ありましたように、原子力規制委員会は、原子炉等規制法に基づきまして、クリアランス制度、こちらについては、測定及び評価方法の認可、そして第二段階として、測定結果の確認というのを行ってきております。原子力規制委員会の確認を受けたものにつきましては、核燃料物質によって汚染されたものでないものとして取り扱うこと、具体的には、再生利用や一般の廃棄物と同じ扱いによる処分をすることができることになっております。

 御質問にお答えしますが、これまでの実績でございますけれども、原子力規制委員会としましては、日本原子力発電株式会社東海発電所より約四百トン、日本原子力研究開発機構、JRR3及び人形峠環境技術センターより約三千九百トン、中部電力株式会社浜岡原子力発電所より約五百トン、これらのクリアランスを行ってきたところでございます。

 なお、確認を受けたもののその後の具体的な処分については、原子力規制委員会としましては、規制当局として安全を確認する立場でありますので、そこまでは承知しておりません。

石川(昭)分科員 今、規制庁から、クリアランスがこれだけ進められてきたと。組織改編がありまして、やはり一旦停滞した時期がございますけれども、原子力規制庁の中のしっかりとした組織がだんだんと動いてきたなという印象を持っているところでございます。

 これは、やはり運営側の電力会社あるいは国の資源エネルギー庁とぜひまた連携をとりながら、再生利用、リサイクル、こういったものにぜひ取り組んでいただきたい。それが廃炉、バックエンド対策の促進にもつながっていくものだというふうに考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、「もんじゅ」の計画から、高速炉の国内開発を海外との連携によって進めていこうということで、フランスとの共同研究に大きくかじを切ったわけでございます。

 先般、フランスの原子力庁が、六十万キロワット程度のASTRID計画を十万から二十万キロワットの計画に縮小すべきだと政府に申し入れたというような報道があったと承知をしておりますけれども、今現在、日本国政府とフランス政府との協議というのはどのように進んでいるのか、お伺いしたいと思います。

    〔主査退席、あべ主査代理着席〕

小澤政府参考人 お答えいたします。

 石川委員御指摘のように、ASTRID、これはフランスで計画されています高速炉の実証炉のプロジェクトでございますけれども、我が国は、フランスとの間で二〇一四年からASTRIDの協力に取り組んでございます。

 この協力の中では、我が国の高速炉の研究に関する成果を提供するだけではなくて、フランスから成果の提供を受けてございまして、相互に恩恵のある協力というものを進めてございます。これまでの成果としては、最新の高速炉に関する設計、ノウハウを取得してきているところでございます。

 さらに、二〇一六年からは、例えば、安全性を高める技術、それからプラント内部のナトリウムの動き、これを解析する技術など、日本において高速炉の実証炉を設計する際に重要となる協力項目を新たに追加いたしまして、共同研究を進めてきているところでございます。

 今後とも、日本が獲得し得る重要な技術へのアクセス、これが拡大していくように、フランス政府との協議を行いながら、協力をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。また適時、進捗状況などを確認させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、「もんじゅ」の廃炉によりまして、福井県に対しますさまざまな国の支援策が、もんじゅ関連協議会において協議をし、福井県と合意に至ったというふうに承知をしております。その中で、福井県側から新たな人材育成・研究施設をぜひ設置してほしいというような要望があり、それを約束を交わしているというふうに伺っております。

 この人材育成・研究施設は、日本の今後の原子力研究開発の方向性を決めるような研究施設になるのか、あるいは、原子力発電所で働いている方とか検査する方とか、いろいろな、そういうところで働くような人材を育成するのか、国の方向性がまず決まってから教育施設、関連施設、人材育成施設というふうに段階を踏むのではないかと思いますけれども、これについての検討状況をお伺いします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」のサイト内に新たな試験研究炉を設置することにつきましては、平成二十八年十二月に開催された原子力関係閣僚会議において決定されました。また、当会会議におきまして、将来的には、この新たな試験研究炉が我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるようにという位置づけがございます。

 これを受けまして、文部科学省におきましては、国内外から研究者や研究機関が集結するようなニーズのある試験研究炉のあり方やコンソーシアムの構築等について、有識者会議の議論等を経て検討を行っているところでございます。

 ただ、先生から御指摘のございました試験研究の全体のあり方につきましてでございますが、こちらにつきましては、昨年一月に、私どもの審議会のもとに原子力研究開発基盤作業部会を設置いたしまして、例えば、大洗にありましたJMTRの後継機や、「もんじゅ」のサイトを活用した新たな試験研究炉等、今後我が国において原子力研究開発を進めていく上で必要となる研究炉のあり方あるいは適切な運営体制などについて整理、検討を行っているところでございます。

 さらに、このような検討と先ほど申し上げました有識者会議の検討をあわせまして、しっかりとした計画を立て進めていきたいと考えてございます。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 まずその方向性が定まりませんと施設の概要等は決まらないはずでございますので、これについても、引き続き、適宜御説明、御報告をいただきたいというふうに思っております。

 それでは、最後の質問になりますけれども、林大臣にお伺いいたします。

 先ほど来、私が問題意識として持っておりますのは、やはり日本の研究開発、それを支える人材、こういった日本の科学技術を支えるかなめの部分が非常に今疲弊をしてきているという強い問題意識がございます。それがなぜこういう結果になっていったかと申しますと、やはりこれは日本の国の財政につながっていくだろうと私は考えているところでございます。

 今、政府においてはプライマリーバランスの黒字化という目標を掲げまして、二〇二〇年ということでございましたけれども、これを更に先送りをするという方向になりました。私自身は、この文部科学予算、とりわけ科学技術予算については、これは例外にすべきだというふうに思いを持っております。しかしながら、国全体のことを考えつつ、また、林大臣にはこの文部科学予算の拡充に努めていただきたい。

 その中で、ぜひ林大臣のお考えをお伺いしたいのは、やはり日本の財政、PBの黒字化という非常に大きな目標がございますけれども、やはりもう一つ、債務対GDP比という指標がございます。これは、日本の抱える借金、それと日本の一年間で稼ぐGDPの割合を示す指標でございますけれども、主要先進国はこちらの指標で財政運営の参考にしているわけでございますが、日本はPBをまず大きな旗に掲げているということでございます。

 林大臣におかれましては、こういった財政運営に関しましてぜひお考えをお聞かせいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

林国務大臣 党におればいろいろと申し上げたいことはたくさんあるのでございますが、今文部科学大臣としてここに立っております。

 委員から、プライマリーバランスとそれから債務とGDPの割合というのがありましたが、安倍政権においては、この両方をしっかりと目指していく。委員も御承知のように、プライマリーバランスを達成せずに債務のGDP比を下げていくというのはなかなか難しい経路だろうなということを、党で議論していたときのことを思い出しております。

 そういう中で、この予算、どうしても財政というものがございますので、一定の制約があって、無限の予算というのはなかなかないわけでございますが、その中で、やはりこれは将来に対する投資でありますから、そういう意味で、しっかりと、人工知能、ナノテク、光・量子、こういった新しい分野や教育関係でもいろいろな投資をしていくということは大変大事である、こういうふうに思っておりまして、制約のある中で、こういう将来的に投資になるようなものにしっかりと重点化をして、ワイズスペンディングという言葉がありますけれども、これをやはり私が担当している分野でしっかりやっていくということが大変大事なことではないかというふうに考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 大変な難しい判断だと思いますけれども、これは未来投資戦略の大きな柱だと思いますので、ぜひそういった観点で今後とも文部科学行政を引っ張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは、もう時間が参りましたので、私の時間を終わらせていただきたいと思います。本日はまことにありがとうございました。

あべ主査代理 これにて石川昭政君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木啓君。

高木(啓)分科員 自由民主党の高木啓でございます。

 本日は、第四分科会の質疑、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、きょう午前九時から第二分科会で国会において初めての質問をさせていただきまして、第四分科会、二回目ということになりました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 私は、昨年の十月の衆議院選挙で、東京比例代表の候補者として、貴重な一議席をお預かりさせていただくことになりました。そうした東京選出ということもございますので、きょうのこの分科会での質疑については、まず、オリンピック、パラリンピックの国においての取組状況ということについて順次お伺いをさせていただきたいと思っております。

 オリンピック、パラリンピック、今まさに平昌オリンピックの真っ最中でございまして、国民の関心は、どれだけメダルをとれるのかということもありますが、毎日毎日、一喜一憂をして、オリンピック観戦をしながら、テレビ観戦も含めてですけれども、楽しんでいるわけであります。

 先ほど、女子のフィギュアスケートの結果が出たようでありまして、我が国の有力二人の宮原さん、それから坂本さん、このお二人については、ちょっとメダルまで届かなかったということでございますが、自己ベストを更新するなどの大変いい成績をおさめていただいたようであります。金メダルはザギトワ選手、銀メダルがメドベージェワ選手、そして銅メダルがオズモンド選手、カナダの選手だと思いますが、ということだったようでございます。

 しかしながら、この平昌オリンピックを観戦いたしておりますと、二十五日に閉会式を迎えるわけでありますが、我が国としては、冬のオリンピックにおいては史上最高の成績をメダルの数では上げていると思います。最後まで、あとどれだけそうした成果が上がるのかというのはわかりませんが、しかし、今現在でも、選手の頑張りというのはもちろんのことでありますが、選手強化など、関係者の努力というものは大変なものがあったと思っておりまして、それがこうした成果につながっていると思いますので、そのことについては心から敬意を表したいと思うわけであります。

 この平昌オリンピックが終わりますと、いよいよ二〇二〇年、平成三十二年の東京オリンピック・パラリンピックに世界の注目が集まっていくわけでありますが、実は、私は二〇一六年の東京オリンピックの招致のときから都議会議員をしておりましたので、ずっとオリンピックにはかかわってきたわけでありますけれども、意外に実はオリンピックのルールというのは国民にも知られていないところがございます。オリンピックというのは一体誰がやるんだということですとか、責任の分担というのはどうなっているんだというのは、実は非常にわかりにくいと思っています。

 そこで、改めて確認をしておきたいのは、国、そして東京都、あるいは組織委員会、こうしたそれぞれの組織の役割というものがどういうふうになっているのかということであります。

 まずお伺いいたしますが、この二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの主催者というのは誰なのか。そして、国、東京都、組織委員会の立場というのはそれぞれどういうものなのかということを確認しておきたいと思います。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、東京都が国際オリンピック委員会、IOCからの委任を受けて開催するものでございます。その意味におきまして、主催者は開催都市である東京都ということでございます。

 次にお尋ねの三者の立場についてでございますが、平成二十七年十一月に閣議決定されました二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針というものがございます。ここにおきまして、大会の成功に向けた役割が整理されております。

 そこでは、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、大会の運営主体として、大会の計画、運営及び実行に責任を持つ。

 東京都は、開催都市として、組織委員会の行う大会準備を全面的にバックアップするとともに、外国人受入れ体制の整備、開催機運の醸成等に取り組む。

 国は、大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、各府省に分掌されている関連施策を一体として確実に実行するとともに、組織委員会、東京都及び競技会場が所在する地方公共団体と密接な連携を図り、オール・ジャパンでの取組を推進するため必要な措置を講ずるとされております。

 こうした役割のもと、国といたしましては、開催都市である東京都と大会の運営主体である組織委員会の取組をバックアップしてきておりまして、今後とも、連携をより一層密にし、それぞれの役割を確実に果たせるようしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

高木(啓)分科員 ちょっと大事なところなので確認をいたしますが、最初のくだりで、主催者、東京都とおっしゃいましたよね。

 主催者は東京都じゃないと思いますよ。主催者はIOCです、オリンピックですから。東京都は開催都市。IOCの意向を受けて運営をするのが組織委員会。そして、国が全体的なサポートをする。

 これがオリンピックの仕組みだと思いますけれども、もう一度確認しますが、主催者はIOCじゃないんですか。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 オリンピック憲章第五章三十二条二項にこのように記載がございます。オリンピック競技大会の開催都市に選定された一つの都市に対しIOCにより委ねられるということでございますので、一義的には、今御指摘のあったとおりIOCということになりますが、この規定に基づきまして、各開催都市に委任される、そういった図式でございます。

高木(啓)分科員 東京都は開催都市なんですね。オリンピック憲章には、開催の栄誉を与える、こう書いてあるんですね、都市に対して。

 つまり、ですから、東京都が主催者であれば、東京都が思うように全部できるんですよ、主催ですから。そうじゃないんです、オリンピックは。

 だから、ここはぜひ間違えないでほしいんだけれども、IOCが全体の統括の中で、IOCのルールでやっておるわけですよ。ですから、スポンサーも全部IOCが決める。あるいは、例えば平昌オリンピックもそうですけれども、競技の時間なども全部、IOCのルールの中で決まっている。

 ですから、東京都が全部できるんだったら主催者と言えるんだけれども、東京都は主催者じゃないんですよ。開催都市なんですよ。IOCの委任を受けて開催をする。だから、ここをぜひ間違えないでほしいということなんですね。

 ですから、勘違いがあるといけないのは、例えば、東京都の長は誰なんだといったら、東京都知事になります。では、都知事がオリンピックを全部差配ができるのかというと、そうじゃないんですよね。

 ですから、IOCがあり、東京都が開催都市であり、そして組織委員会はIOCの意向を受けて運営を担当する、その基本的なルールを間違ってしまうと、では、オリンピックは誰がどういう責任を持つのかということがわからなくなってしまうので、改めて私は確認をさせていただきました。ですから、主催者はあくまでもIOCなんですよ。このことをぜひ間違えないでいただきたいと思います。

 さて、ですから国は、そういう意味では、全体のサポートをするという立場で、招致の段階で、国は財政保証の閣議了解というのをしていると思います。平成二十三年の十二月に閣議了解をされたわけであります。

 改めてお伺いしますが、この東京オリンピック・パラリンピックの開催経費の総額、そしてそれぞれの費用分担は今どのようになっているでしょうか。

源新政府参考人 お答えいたします。

 東京大会の開催経費につきましては、昨年十二月二十二日、組織委員会が現時点での試算を公表しておりまして、総額は一兆三千五百億円とされております。

 その分担につきましては、組織委員会が六千億円、東京都が六千億円、国が一千五百億円を負担することとされております。これは、昨年五月三十一日、組織委員会、東京都、国、そして競技会場が所在する自治体の四者が合意した役割、経費分担の内容に沿ったものとなっております。

 その中で、国の負担につきましては、新国立競技場の整備費として約一千二百億円、パラリンピック経費の四分の一相当額として約三百億円、合計一千五百億円程度と見込まれているところでございます。

高木(啓)分科員 約一・三五兆円ということで、大体の開催経費はこれがほぼ、昨年の発表ですということであります。

 毎日毎日オリンピックに対する準備というのは、当然、開催の日までに向かって進んでいるわけでありますけれども、いろいろ状況の変化があると思うんです。それで、今後、その経費の総額が大きく変更される可能性というのはあるのでしょうか。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 東京大会の開催経費につきましては、先ほど申し上げたとおり、昨年十二月に組織委員会が最新の試算を公表しておりますが、組織委員会は、IOC、国際オリンピック委員会からさらなるコスト削減を要請されていることも踏まえまして、引き続きコスト削減と収入増に取り組む、こういうことを表明してございます。

 今後、大会準備の具体化と精緻化が進んでいく中で、今御指摘ありましたように、もしかしたら状況の変化に応じまして経費が増減することはあり得るとは考えられるところではございますけれども、国といたしましても、組織委員会と東京都と連携しつつ、現在公表されている経費総額からさらなるコスト縮減につながる部分はないか、一方で、レガシーの創出とアスリートファーストの観点にも配慮しながら、丁寧に取り組んでまいりたいと思っております。

高木(啓)分科員 コスト削減を要請されていて、コストが少なくなるということは、ある意味で皆さんがそれはよかったねということになると思うんですが、実は私が懸念をしているのは、ふえてしまう可能性というのがあるやなしやということなんですね。

 例えば、環状二号線の話がよく出ますけれども、築地市場の豊洲移転が延期をされたことによって、環状二号線は本線がつくられない可能性が非常に高い。今、間に合わない、こう言われています。

 これは、そもそもIOCと開催都市である東京都が招致の段階でお約束をしたことに反しておりまして、選手等の輸送を、この環状二号線を使って国立競技場まで運ぶということが当時言われていて、環状二号線は確実につくりますということが時の知事でありました猪瀬知事とIOCの間で結ばれていたという約束が、もうこれは事実であります。

 ところが、これができないということになれば、当然、この輸送の計画が変わってくる。これは今言われていることですが、環状二号線を、選手あるいはVIPも含めてだと思いますけれども、輸送に使わない、あるいは使えないということになりますと、今度は首都高速道路を使うというようなお話も聞こえてきております。

 そうしますと、首都高速道路は首都高速道路株式会社でありますから、専用レーンをつくるならつくるで、そこを借りなければいけない、当然、そうすると経費がかかってきますということになりますので、そういうことに対して、当然経費がかかる、開催経費の増大ということにつながらないかという懸念を私はしているわけであります。

 そこで、二つ聞きますが、一つは、環状二号線の建設が間に合わないということが既に明らかになっておりますけれども、代替案というのを国としてはどのように考えているか。それは組織委員会、東京都とも協議をすることだと思いますけれども、国としてのお考えがあればお聞かせをいただきたい。

 そしてもう一つは、首都高速道路をもし使うとなれば、先ほど申し上げたように、これは費用がかかると思いますが、どのぐらいの費用がかかるとお見積もりになられているのか、お伺いします。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の選手の輸送ルートにつきまして、選手村から主に首都高速道路を経由して各競技会場等に向かうということを検討しているというふうに組織委員会及び東京都からはお伺いしております。

 その選手の輸送ルートを含めまして、今後の輸送ルート等に関しましては、一義的に、東京大会の輸送の詳細について、輸送計画というものの策定に向け、組織委員会と東京都の方が検討中ということでございます。

 先ほどのもう一つの、首都高速道路を利用する場合にどの程度の経費がかかるのかというお尋ねでございます。

 この点につきましては、大変恐縮でございますが、先ほど御説明いたしましたように、現在、組織委員会と東京都の方で検討しているという輸送運営計画ということの内容を踏まえて見積もられるものというふうに承知してございます。

高木(啓)分科員 首都高速道路を使うということは、ある意味でこれから既定路線ということになると思いますので、これはもう一度、恐らく環状二号線は間に合わないということをIOCとの協議の中で合意をしなければいけないし、あるいは首都高速道路を使うということに対しての合意もこれは求めなければいけない、これが一点。それと、費用についてはまだわからないということだと思います。よくわかりました。

 ですから、こういうことが、今、二〇二〇年に向けて、これから一つずつ詰めていかなければならない大変大きな課題だろうなと思うわけであります。

 そしてもう一つ、築地市場の豊洲移転がおくれているということに関して非常に私たちが懸念をしているのは、築地市場の跡地を駐車場にするという計画だったと思います。大型バスあるいはVIPを含めた普通車の駐車場、トータルで約三千台というふうに私たちは聞いておりました。

 この築地市場の豊洲移転がおくれていることによって、この三千台の駐車場の確保というのができないのではないかというふうに、私たちは非常に不安を持っているんですけれども、今現在の見通しはどうなのか。そして、この三千台の確保ができない場合には、どの程度確保ができて、そして、あるいはできない部分はどういうふうにするという計画があるのか、教えていただきたいと思います。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 東京大会におきましては、現在の見込みでバス約二千台、フリート約四千台の大会関係者の輸送に利用するという予定でございまして、複数の車両基地を使用することを想定していると聞いてございます。先ほどの三千台もこの内数かと思われます。

 築地の車両基地にどの程度の車両を駐車するかは、駐車場としての利用可能な敷地面積と管理事務所等の必要な施設及び車両一台当たりの所要面積を勘案いたしまして、組織委員会と東京都で現在検討、精査を行っているというところでございます。

 また、組織委員会と東京都におきまして、築地の工事の状況、先ほど御指摘の築地の状況を踏まえまして、御指摘のような、築地で当初予定している駐車台数が賄えない場合、これも想定しながら、その場合、周辺の他の用地を活用いたしまして、大会輸送に万全を期すという方向で検討してございます。

高木(啓)分科員 今、他の用地の活用というお話がありましたが、これは都内ですか、都外ですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 まだ、どこということは決まってございません。御案内のとおり、当初から、もともと七カ所予定したところでもございます。これを更に拡張するという方策もあろうかと思いますし、いろいろな可能性があると思います。

 ただ、近いところで探していくというのが基本であろうかと思います。そういう意味でいえば、基本的に、これは決まったわけではございませんが、都内であるという可能性の方が高いのではないかと思っております。

高木(啓)分科員 両方の可能性はきっと排除できないんだろうと思いますが、実は、都内ですか、都外ですかと聞いたのは非常に大きな意味があって、都内であれば東京都が負担をする。ところが、都外の場合は、これは一時的な、要するに仮設になりますし、仮設施設は、ルールとしては、先般決めた仮設のルールでやらなきゃいけないということになりますので、この費用負担の関係が変わってくると思います。

 ですから、都内ですか、都外ですかというのも含めて慎重にここは検討すべき課題だなと思いますので、国の方でもその点はぜひ東京都や組織委員会と連携をしながら適切に対処していただきたい、こう思うわけであります。

 そこで、今までずっと幾つか聞いてまいりましたけれども、私は、衆議院議員になる前に都議会議員をやっておりましたので、オリンピックにずっと実はかかわってきたということは申し上げました。オリンピックの準備状況を見ておりますと、明らかにおくれているというのは、これは誰が見ても明らかにおくれているわけであります。

 どのぐらいおくれているかというのはそれぞれ判断が違うんですが、私はやはり、もう一年以上おくれを生じてしまっているのではないかというふうに思っております。

 そこで、率直に聞くんですけれども、二〇二〇年に間に合いますか。大丈夫でしょうか。

多田政府参考人 準備状況についてのお尋ねでございますが、東京オリンピック・パラリンピック競技会の準備状況につきましては、IOCと組織委員会とで、調整委員会という形でその進捗管理を行っておるところでございますけれども、昨年十二月に開催されました調整委員会の場におきましては、コーツ調整委員会の委員長から、今回の訪問においても、東京大会がすばらしい大会になるという確信を得ることができたという趣旨の御発言がありまして、おおむね順調に進捗しているという旨のことを評価されたものと考えております。

 また、IPC、国際パラリンピック委員会からも同様の評価をいただいているものと聞いてございますが、オリンピック、パラリンピックというイベントは大変大きなイベントで、さまざまな準備が必要でございますので、そのあたり、進捗管理は大変重要なものと考えてございます。

高木(啓)分科員 進捗管理をしっかりやっていただきたいと思います。

 オリンピックは過去に、大会に間に合わなかったということはないんですね。つまり、帳尻を合わせて、大会に間に合うようにやってきたわけです。例えばリオ五輪は、最初、高速鉄道をつくるという予定がありましたけれども、これも、財政とそれから時間の関係で、途中で計画をやめたということがあります。

 ですから、間に合うように、要するに、計画を常にリニューアルをしていく、あるいはローリングをしていくということになるんだろうと思いますけれども、先ほど答弁がありましたように、実はIOCは、東京大会は極めて高いレベルの大会ということで期待をしています。

 高いレベルの大会というのはどういうレベルなのかというのは、それもまた判断は議論があるところですが、しかし、東京という都市は、世界で一番の都市を目指していて、我が国の首都であって、そして、これだけすばらしい基礎、社会資本を持っている。だからこそ、東京に期待をするんだという声は非常に高いわけであります。ですから、IOCの期待というのは相当高いレベル、言うなれば、過去にあった大会の中ではロンドンとか、そういうところを目指して東京はやってくれるものとIOCは多分信じているんだろうと私は思います。

 ですから、帳尻を合わせることはもちろん大事なんですけれども、もともとの計画にあった、要は、やらなければならないことをできるだけ、一〇〇%、一二〇%の力でやっていただくということは大事だろうと思っておりまして、それができないということになってしまうと、東京はこの程度の力なのかと思われるというだけではなくて、実は我が国が失望をされるわけなんです。そこを私は非常に危惧をしているんです。

 東京という一つの都市が、世界的に、だめだったねと言われるのは、それはそれでしようがないといえばしようがないのかもしれないけれども、しかし、我が国全体が、日本はと言われたときに、これはやはり我が国にとって極めて大きな国益の損失だと私は思います。

 ですから、そういう意味で、国もしっかりとした役割を果たしていただいた上で、この二〇二〇年、平成三十二年の東京オリンピック・パラリンピックをぜひ成功に導いていただきたいと思うわけでございます。

 そこで、ぜひ林大臣の決意をお聞かせいただけないでしょうか。

    〔あべ主査代理退席、主査着席〕

林国務大臣 高木委員は、きょうはデビュー戦だということでございましたが、デビュー戦と思えない、実りの多い御質疑を今聞かせていただきまして、なるほど、いろいろなことがあるんだなということを改めて再認識をさせていただいているところでございます。

 鈴木オリンピック・パラリンピック担当大臣ともしっかりと連携をいたしまして、先ほどコーツ委員長のお話もありましたが、私もその場に出席をさせていただいておりましたので、しっかりと、これは東京のみならず、日本でオリンピックがあるということでございますから、我々もしっかりと対応してまいりたいと思っております。

高木(啓)分科員 次に、パラリンピックについてお伺いをしたいと思います。

 よく出る話ですが、オリンピック、パラリンピック、そしてパラリンピックこそ、やはりこの二〇二〇年の、よりオリンピック以上にレガシーを残していくべき大会なんだということは言われるお話でございます。

 そこで、パラリンピックについて、私が今までかかわってきた中で非常に感じてきたことは、パラリンピックの競技団体というものが、組織も運営も、あるいは財政もと言ったらいいんでしょうか、人材もですけれども、非常に団体の運営自体が脆弱な組織が多いということは、これは事実だと思います。

 そこで、そうしたパラリンピックの競技団体の育成強化について御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 パラリンピック選手が自分の障害と向き合いながらひたむきに挑戦する姿というのは、人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものでございまして、今委員からお話があったように、パラリンピック競技の選手強化やその競技団体の組織体制の強化は大変重要だ、こういうふうに思っております。

 たしか、前の東京オリンピックのときに初めてパラリンピックが始まったということで、そういう意味も含めて、この東京パラリンピックの成功は大事なことだというふうに思っております。

 文科省では、平成三十年度予算において、各競技団体が日常的、継続的に行う合宿、大会遠征といった強化活動及び次世代アスリートの発掘、育成などの戦略的な強化、こういったものに支援を行う競技力向上事業について、さらなる充実をこの予算案で図っております。

 また、今お話がありましたように、やはりパラリンピックの競技団体の組織体制がオリンピックの競技団体と比べますと脆弱であるという指摘があることは御指摘のとおりでありまして、JPC、日本パラリンピック委員会とそれから日本財団、これが連携をいたしまして、平成二十七年の五月に、日本財団パラリンピックサポートセンターが設立され、共同オフィスの設置など、パラリンピック競技団体への各種支援を行っているところでございます。

 さらに、文科省では、パラリンピック以外の競技団体も含めて、障害者スポーツ団体間の連携や体制整備への支援を行うとともに、財源確保のための民間企業への協力呼びかけなども行ってきているところであります。

 このようないろいろな取組を通じまして、パラリンピック競技団体の組織体制の強化に取り組んでまいりたいと思います。

高木(啓)分科員 林大臣よく御存じのとおりでして、東京は、パラリンピックという名前で行う大会を、世界で初めて二度目の大会を行う都市でございます。昭和三十九年のオリンピック、あのときにパラリンピックをやられたのが、たしかパラリンピックという名前では第二回目だったのかなという記憶をしておりますが、東京は、ですから、二度目というのは世界で初めての都市だということであります。

 このパラリンピック、先ほど日本財団のお話もございましたが、日本財団さんも大変協力をしていただいて、基金もつくっていただいて、この応援をしていただいている。東京都も、障害者スポーツ振興基金というのをつくって、二百億円積んでございまして、それを使いながら、これから競技団体の育成を図っていこうということをやっております。

 ですから、全体として、パラリンピックに対する手当てをしっかりやっていこうということは一つの流れですから、これもまたぜひ進めていただきたいと思うわけであります。

 そこで、パラリンピックと同時に、やはりパラリンピックを一つのきっかけ、契機として、ユニバーサル社会をつくっていこうというのが私たちの願いでもあるわけであります。

 国の方では、ユニバーサル社会をつくるために、アクセシビリティ・ガイドラインというのをつくっていただいて、これは、いろいろな施設、あるいは意識も含めてでございますけれども、そうしたものをユニバーサル社会に適応できるようなものをつくっていこうということのガイドラインだということでありまして、このアクセシビリティ・ガイドラインについて、国の役割は端的に何だと思っていらっしゃるのかということをまず一つの質問とさせていただきます。

 そしてもう一つ、国は、パラリンピックを通じて、このパラリンピックでどんなレガシーを、二〇二〇年、残していきたいのか。このことを、二つ同時に質問させていただきたいと思います。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、アクセシビリティ・ガイドラインというものがございまして、これは、IPC、国際パラリンピック委員会の承認を受けて、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインということを定めてございます。これの対象になっておりますのは、競技施設でございますとか公共交通機関でございますとか、その出入り口であります空港等、こういったところが全て対象になっておりまして、詳細なアクセシビリティーの基準が定まっておるというところでございます。

 まず、委員の御質問の、国の役割ということでございます。

 我々としては、まず全体的に進めていくということをやって、ある種スーパーバイズするということはあるわけでございますが、特に、施設でありますれば、東京都の直接やられているところは東京都さんが一義的にやられるということがあろうと思いますが、例えば鉄道事業者でございますとか、国でありますれば、成田空港、羽田空港といった、国が主にやっておるところがございますので、その辺も含めて国として積極的にこのガイドラインの適用に努めてまいりたい、こういうふうに思ってございます。

 あともう一つ、最後の、パラリンピックのレガシーとして何を残したいのか、こういう御質問でございます。

 これも、委員も御指摘ありましたように、東京のパラリンピック競技大会を同一都市で二度開催されるということでございまして、初めてのことということでございます。我々としては、ぜひこれを機に、ユニバーサルデザインによる共生社会を目指したい、こういうふうに思ってございます。

 そのため、昨年二月に、障害者団体等の参画を得まして、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画を、これは総理にも出席いただきまして決定してございます。それを確実に進めていくということでございまして、先月、一月には更に関係閣僚会議も開催いたしまして、このユニバーサルデザイン行動計画二〇二〇を更に加速していくことを確認していくといったことをやってございます。

 今後とも、共生社会の実現に向けて努めてまいる所存でございます。

高木(啓)分科員 ありがとうございました。終わります。

福井主査 これにて高木啓君の質疑は終了いたしました。

 次に、上杉謙太郎君。

上杉分科員 自民党の上杉謙太郎でございます。

 私も一年生でありますので緊張しておりますが、頑張ってみたいと思います。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 最初に、義務教育周辺のことについてお伺いしたいと思いますが、学校教育の中身というよりも、教育、また子育てを支える地域の、そういったところの取組について御質問をしたいというふうに思います。

 古きよき昭和ではないですが、昔は地域で子供を育てるというのがあったなというふうに思います。私の小さい小学生時代もそうでありました。近所にちょっと怖いおじさんがいて怒られたりですとか、地域みんなで育てていくというのがあったと思います。一方で、今は核家族化も進んでいて、地方でさえもなかなか、子育ては親御さんだけというような状態があります。

 しかしながら、文科省さんの方のことしの予算を拝見いたしまして、いい取組をされているなというのがありました。地域力強化プラン、とりわけコミュニティースクールの事業であります。ちょっとこちらについて御説明をいただければありがたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、子供たちを取り巻く環境は非常に大きく変化をいたしております。また、複雑化、多様化する課題に対応するためには、地域と学校が連携、協働いたしまして、社会総がかりによる教育を実現することが大変重要になっているという状況でございます。

 こうしたことから、昨年の三月でございますけれども、地方教育行政法及び社会教育法を改正いたしまして、地域と学校の連携、協働の推進という観点から、大きく二つのことを進めていこうということで法改正が行われております。

 一つは、今お話ございました学校運営協議会の設置、これはコミュニティースクールの導入といってございますけれども、これを努力義務化するということが一点。それからもう一点が、地域全体で子供たちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動、これを推進するために、教育委員会が地域住民などと学校との連携、協力体制を整備する、こういう旨の規定が設けられたところでございます。

 こうした法改正を踏まえまして、今御指摘ございましたけれども、文部科学省におきましては、地域と学校の連携、協働を推進したいと考えておりまして、平成三十年度予算案において、地域と学校の連携、協働の推進に関する予算といたしまして約七十億円を計上して地域における取組を推進しているという状況でございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 私は福島県の白河市というところに住んでおりまして、長男が小学生であります。うちの学区であれば、学校の先生とPTA、そして区長さん、町内会長さんですとか、地域でいろいろ連携をしてやっているという事実もあります。私どもの方は地方でありますから、首都圏に比べれば地域でみんな育てていこうというものはあるというふうには思っております。

 例えば、同じ私の選挙区、福島三区の中に三春町というのがありまして、日本三大桜の滝桜のある三春町、そこの三春小学校では、もう既にコミュニティースクールの事業を採択してやっておられて、協議会をつくっています。何かすごくいい効果があったそうなんですね。

 きょうも、この質問に立つに当たって、校長先生にちょっと電話で改めて御教示をいただいたんですけれども、例えば、先生側の効果としましては、五年生に家庭科の授業があって、その先生がミシンを子供たちに教える。ただ、最近の若い先生たちはミシンを使えるとも限りませんので、そこで、協議会に諮って、地域のおばあちゃんたちを呼んで授業に出てもらって、先生と一緒に子供たちにミシンを教えた、つまり指導の質の向上に貢献をした、こういうのもあって、また先生の業務負荷を軽減したと。

 また、例えば安心、安全という面では、うちの子供の学校もそうですけれども、福島県はみんな見守り隊というのをやっているところが多くて、交差点に立って、黄色い旗を持って。これを協議会で連携をして、PTA、保護者さん、あと、お子さんがいらっしゃらないおじいちゃん、おばあちゃんでさえもまじって交差点に立って、朝、通学の子供たちを黄色い旗で交通安全をする。これに加えて、放課後、最近、連れ去りですとか、ちょっと怪しい人もいたりする、そういうのを防ぐために、地域の皆様が監視の目になって子供たちの放課後の時間を見守ってあげる、見守りをしてあげる。こういうことがあって、安心、安全の効果が出たというのもあります。

 また、学校と地域が連携してやるようになったおかげで、双方の交流が盛んになったんですね、協議会だけでなくて。学区内の地域の人たちの声が学校の中に届くようになった。また逆に、学校でどんなことをしているのかというのを子供を通わせていない家族の方にも広報誌等を通じて届くようになって、すごく連携が図られるようになったというのがあります。さらに、一番これはいいなと思ったのが、子供たちが地域の皆さんと通り過ぎると挨拶するようになったんです、こんにちはと言って。これは非常にいいなと。

 子供たちにもいい影響があるということで、ぜひこのコミュニティースクール制度というもの、努力義務化ということでありましたので、現在、ちょっと御教示いただいた数字でいうと、全国約一万九千、二万ある小学校の学区のうち、現在二千三百ということでありました。私どもの福島県では、四百四十九校中二十一校が採択。これはぜひ多くの小学校で採択をして、地域連携を図って、さらには地域でみんな子供たちを育てるという形をつくっていけたらありがたいなというふうに思っております。

 実際、もう少し踏み込んでお伺いしたいんですが、この協議会等をつくってやっていくメリット、そういったものをちょっとお教えいただけるとありがたいと思います。

高橋政府参考人 コミュニティースクールは、法律に基づき、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画できる仕組みであり、具体的には、校長が作成する学校運営の基本方針の承認を行うなどの役割を持っております。

 こういったコミュニティースクールの導入により、学校と地域の連携、協働体制を組織的、継続的に確立することができ、学校支援活動とともに、地域の特性を生かした学校づくり、課題解決に向けた取組を進めることができる、そういったメリットがあると考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 校長先生始め、協議会、三春の小学校では、先生が七人、あと保護者の方で、合計十九名でやっていらっしゃったということでした。これは、取組は、やはり目指す姿を見て、そこに実際に到達するように努力していくというのが必要であると思いますので、私も文部科学委員を拝命しておりますので、ぜひともにやらせていただけたらありがたいと思います。

 では、続きまして、今度は小学校からちょっと幼稚園に行きたいというふうに思います。

 ちょっと小学生の話になりますが、三年後から小学校三年生以上に英語の教育が導入されるわけでありますけれども、これはちょっと検討していただきたいというお話なんです。外国語教育としての英語。

 これは、私も受験をしましたので、基本ネーティブは日本語であって、勉強として英語をやって大学受験する、これを変えなきゃいけない。世界もグローバル化していますし、IT化していますし、英語をやらないといけないということで、これから指導要領が変わっていくということでありますが、もう少し踏み込んで、できましたら、提案なんですが、やはり、本当に小さいときから英語に触れ合えば、母国語としての英語というような感覚も子供たちが持ってくれれば、これはもっとはるかにいいんだろうというふうに思っております。

 そういった意味から、行く行く三年生から導入されますが、ひいては、一年生から、そして幼稚園生から英語教育を導入するということについてはどのようにお考えか。

高橋政府参考人 グローバル化が急速に進展する中で英語の能力の向上が課題となっておりますが、英語教育の実施時期やその内容については発達段階に応じて考えることが重要であると考えております。

 幼児期の教育は、幼児教育の発達の特性を踏まえ、遊びを通して指導することを基本としておりますので、英語の知識を体系的に習得させるような指導にならないようにすることには留意が必要であると思います。

 一方、幼稚園教育要領には、音楽に親しみ、歌を歌ったりするといったことが内容として示されており、通常は幼稚園において日本語で行われているのが通例ではありますが、英語の歌を聞きながら体を動かしたりする活動を行う例もあるというのは承知をしております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 私も幼稚園の教育要領を読ませていただきまして、うちの下の子二人は今幼稚園生、年長と年少であります。私の子供が通っている幼稚園は、外人の先生がいて、英語で、リトミックというんですかね、ダンスをしたり、そういうのがあると思います。

 要領を見せていただきまして、これは言葉と書いてあるんですよね、言葉による伝え合いですとか。日本語とは書いていない。ぜひ、ここに日本語並びに英語という形で入れていただいて。その発達状況というのもありますが、では、アメリカ人は英語を学ぶに当たって大変なのかというと、そうではない。それはネーティブでありますから。ネーティブのような形で英語に触れ合うということが大事だというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただけたらなというふうに思います。

 あわせて、情報化社会、これだけITですとか情報デバイスがたくさんになってきております。同じ幼稚園において、ちっちゃい子供も、iPadなりゲーム端末なりいろんなIT機器に触れるような状態になっていますから、小学生にそういうITの知識、授業をやるというのも必要でありますし、幼稚園生の段階から、要領にも書いてありますし、少しITの教育というものも盛り込んでいく、これが必要かなと思うんですけれども、どのようにお考えですか。

高橋政府参考人 急速な情報化など社会が変化する中で、情報教育の一層の充実が求められております。これらは、子供の発達段階に応じて行うことが重要であると考えております。

 今御指摘いただきましたように、平成二十九年三月に改訂された幼稚園教育要領では、情報機器の活用について新たに項目が設けられ、視聴覚教材やコンピューターなど情報機器を活用する際には、幼稚園生活では得がたい体験を補完するなど、幼児の体験との関連を考慮するといったことが示されたところでございます。

 こうした記載を踏まえて、各幼稚園では、例えば、園庭で見つけた虫をタブレット型端末等のカメラで接写して、肉眼では見えない体のつくりや動きを捉えるなど、直接な体験だけでは得られない新たな気づきが得られるような有効な活用をすることが考えられるのではないかと思います。

上杉分科員 ありがとうございます。

 そうですね、おっしゃるとおりでありますね。先ほどの英語と同じでありますが、これからは情報社会でもありますので、本当に小さいうちから触れ合うというところが大事になるかなというふうに思います。

 続きまして、情報から科学技術というふうに移りたいと思います。

 未来社会の実現に向けて、では、今の幼稚園生は、私と同い年ぐらいになったころには、シンギュラリティーだったりとか、全然違う、本当に未来の新しい社会になっているんだろうというのは想像にかたくないなと思います。

 文科省さんの方で本当に一生懸命取り組んでいらっしゃるソサエティー五・〇等について、この実現に向けて、また実現されるであろう未来等について、ぜひ大臣の方からいろいろ御所見をお伺いさせていただければと思います。

林国務大臣 ソサエティー五・〇においては、サイバー空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させようという、いわば人間中心の社会である、こういうことで、二〇一六年の一月に策定された第五期科学技術基本計画において目指すべき新たな社会として初めて提唱されたわけでございます。

 この実現する社会の一例として、IoTで人と物がつながって、さまざまな知識や情報が共有されて、新たな価値が生まれる社会、少子高齢化、地方の過疎化などの課題がイノベーションにより克服される社会、こういったものが考えられているわけでございます。

 わかりやすい例としては、例えば、自動運転というのはかなり身近なものになってきておりますし、介護、医療の分野でも、人工知能を使って一番その人に最適の介護プランというのをつくる、こういうようなことが実際に研究で始まってきておりますので、こういった社会に向けてイノベーションを推進していかなければなりませんので、先端研究というものを抜本的に強化をしていかなければならないわけでございまして、革新的な人工知能の関連技術や光・量子技術、ナノテク、マテリアル、材料科学、そして次世代エネルギー、こういう鍵となる先端的な研究開発を推進するということと、それから、知恵と情報技術、人材が高い水準で大学等にそろっておりますので、情報科学技術が核になって実証研究を加速する拠点というものをつくっていきたい、こういうふうに思っております。

 ソサエティー五・〇の実現に向けて、まず、それが進展していきますと、広く国民の中でどのような能力が必要か、そういう社会をつくっていく、先導していくにはどういう人材が必要か、こういうことがどうしても課題になってまいります。

 先ほどまさにおっしゃっていただいたように、ことし幼稚園に入った人が社会に出るころにはかなりのことが変わっているということは容易に予想されるわけでございますので、私のもとにソサエティー五・〇に向けた人材育成に係る大臣懇談会というものを設けまして、いろんな方、技術の方に加えて、経済学者の方とか、それから地方の首長さんですとかアーティストとか、こういう方も入っていただいて、いろんな勉強をしておるところでございます。

 議論がそのままにならないように、そのもとに、新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース、これは課長さん方に集まっていただいて、この親会の方には必ず出席をしてもらって、このタスクフォースでそれを受けて実際に政策を詰めていこうという形で具体的に議論を進めておるところでございます。

 だんだんと社会の進展が速くなりますので、その進展に置いていかれないように、しっかりと、先ほど申し上げました経済発展、社会的課題の解決の両立をしていくソサエティー五・〇ということを実現してまいりたいと思っております。

上杉分科員 大臣、ありがとうございました。

 ぜひ、私も、微力ではありますが、ともにやらせていただきたいというふうに思っております。

 先端技術もそうですし、基礎研究ですとかいろいろやっていくに当たって、今回の文科省さんの予算を見せていただいて、随分予算が入っていて、頼もしいなというふうに思っているところであります。AIP、人工知能、ビッグデータとIoT、またセキュリティーですか、その総合プロジェクト、これも八十五億ついておりまして、これは非常にいいなというふうに思っております。

 このAIPについて、少し御教示いただけますでしょうか。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のAIPプロジェクトでございますけれども、これは、ソサエティー五・〇実現に不可欠である革新的な人工知能技術及びそれによるイノベーションの創出を目的としている事業でございます。

 具体的には、理化学研究所に革新知能統合研究センターというのがございまして、そこにおきまして、現在の人工知能技術ではまだ対応できていない、複雑、不完全なデータ等に適用可能な技術の実現といったような革新的な汎用基盤技術の研究開発などとともに、JST、科学技術振興機構の戦略的創造研究事業のうちで、人工知能などの分野における若手研究者の独創的な発想とか、新たなイノベーションを切り開く挑戦的な研究課題の支援などを一体的に実施をしております。

 具体的なプログラムのテーマといたしまして御紹介いたしますと、例えば、AIPプロジェクトといたしましては、極めて大量のデータを一般的なパソコンでもいわば簡単に処理できるようにするためのデータ圧縮の技術ですとか、あるいは、人工衛星の観測から得られるような大量なデータと実際の地球上の位置関係のデータをひもづけるような技術、あるいは解析の手法の開発といったこと、さらには、人工知能技術を活用して、大腸内視鏡検査における医師の診断を支援するシステムの開発などといったことを実施しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、ソサエティー五・〇の実現に向けて、若手研究者の独創的な発想ですとか挑戦的な研究課題の支援に努めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 若手の研究者というのがいいですね。ことしは、戊辰、また明治維新百五十年であります。近代を切り開いたのが二十代、三十代の若手でありましたので、ぜひ未来をつくる上で若手の科学者に対してスポットを浴びていただいて、これからもよろしくお願いしたいというふうに思います。

 あと、似たような内容になりますが、量子コンピューター、量子飛躍フラッグシッププログラム、これもすごくいいなというふうに私は思っております。ソサエティー五・〇を実現するために必要なものと考えておりまして、これはことしからついた予算でありますよね、これについて少し御説明お願いいたします。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきました光・量子飛躍フラッグシッププログラムは、量子科学技術に関する世界的な研究開発競争が激化する中、我が国のこの分野での基礎研究における強みを生かしまして、量子シミュレーター、量子コンピューター等の量子情報処理、量子計測、量子センシング、次世代レーザーの三つの技術力を対象といたしまして、重点的な研究開発を推進することを目的といたしまして、平成三十年度予算案におきまして二十二億円を新規計上しているものでございます。

 具体的には、公募により大学、研究開発法人、企業等の連携によるネットワーク型研究拠点を技術領域ごとに選定いたしまして、研究開発を推進し、実際に企業等で使用できる製品につながるプロトタイプ機による実証までを行い、企業等への橋渡しを目指す制度となってございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 そうですね、平成三十年からの予算ということで、ぜひ進めていただければと思います。

 今、御説明伺いましたが、やはり実現されることですとか成果物というのをしっかり具体的にされて、実用化の方に向けて取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 同じように、もう一つのメニューで、センター・オブ・イノベーション・プログラム、こちらもあると思うんですが、こちらについても御説明よろしくお願いいたします。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、大学等と企業との本格的な産学連携によって社会変革を起こそうとするようなイノベーションを実現するため、平成二十五年度よりセンター・オブ・イノベーション、通称COIと称しておりますが、そのプログラムを実施してございます。

 COIプログラムにおきましては、十年後に我が国が目指すべき社会像を三つのビジョンとして定め、その実現のために現時点で取り組むべき革新的な研究開発課題を選定すること、いわゆるバックキャストと言っておりますが。二点目といたしまして、研究成果の社会実装に向けまして、組織や分野の壁を越えて、大学、企業等の関係者が一つ屋根の下で一体的に研究開発に取り組むこと。三点目といたしまして、社会実装を目指す本格的な産学連携といたしまして、企業は自社のリソースを相当程度持ち込んでいただき拠点活動に参画することをコンセプトといたしまして、現在、全国十八の拠点において研究開発を推進しているところでございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 産学官連携ということでありまして、そうすると、これは行く行くは実用化等もお考えだということでよろしいでしょうか。

佐野政府参考人 COIプロジェクトにおきましては、その成果を実用化に結びつけていくことを目的としてございます。

 具体例で御説明させていただきますと、例えば、弘前大学を中核とした拠点におきましては、青森県が直面している日本一の短命県という社会課題に対しまして、青森県を始めとした自治体、地元の医師会、学校等も巻き込んだ形で拠点活動を実施いたしまして、弘前大学が持つ膨大な健康、医療のビッグデータを用いた疾患の予兆発見法の開発でありますとか、予兆因子に基づいた疾患予防法の構築でありますとか、そういったことなどによりまして、疾患後のニーズに応じた、医療から予防、先制医療への転換や個人の行動変容による健康寿命伸長の実現に結びつけていくことを目指しているところでございます。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。

 いろいろ未来社会に向けて、さまざまな技術革新ですとか、その目指す姿はおありかというふうに思います。

 また、ちょうど時間が残り少なくなってしまいましたので、最後は、科学技術の議論の延長としての、原発の廃炉について伺わせてください。

 私は福島三区選出であります。福島第一原発については、地元でもいろいろお話があります、いつ廃炉になるのかと。国会でもたくさんの先生が議論されておりますが、科学技術という視点から、この廃炉の技術、大変だというふうに思いますが、そしてまた多くの年月がかかるんだろうというふうにも思います。

 そこで、ぜひ廃炉に向けためど、そういったものを御教示いただければと思います。

林国務大臣 東京電力の福島第一原子力発電所の廃止措置終了までの期間についてでございますが、昨年九月に、官房長官を議長としまして経産大臣を副議長とする、廃炉・汚染水対策関係閣僚会議で改定をされました中長期ロードマップにおきまして、冷温停止状態が達成される二〇一一年の十二月を起点として、三十年から四十年を要する、こういうふうにされております。

 こういう福島第一原子力発電所の廃炉という長期にわたる困難な作業を国としても支えるために、基礎的な研究開発や人材育成は中長期的に進めていかなければならないと思っております。

 日本原子力研究開発機構に、国内外の英知を結集するための廃炉国際共同研究センターを設置し、これは私も見に行きましたけれども、廃炉研究拠点としての機能をしっかりと強化をするということと、それから、大学等における廃炉研究や中長期的な人材育成に取り組んでいるところでございます。

 福島の着実な復興に向けて廃炉を円滑に進めていくために、文科省としても関係省庁等と連携を図りながら今後もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

上杉分科員 大臣、ありがとうございます。

 この加速プラン、超速プランで、フル加速でぜひお願いをしたいというふうに思います。

 今の大臣のお話の中で、人材育成というふうにありましたが、この人材育成というのは具体的にどういうようなものになりますでしょうか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御発言がありましたように、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、これまでに経験のない困難な作業であり、廃炉作業の中でさまざまな知見が必要となります。

 このため、人材育成機能を担う大学等におきましては、原子力に関する知識に加え、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の特性に応じた知識を習得させること、過去に例のない課題に挑戦するため、多様な分野の知見を活用すること、大学等の教育プログラムに新たな知見を取り込むことなどの取組が継続的に行われることが重要と考えております。

 このような認識のもと、文部科学省では、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業を通じ、大学や高等専門学校におきまして、多様な分野の知見を結集した廃炉に資する遠隔技術や分析技術等の基盤研究を推進するとともに、産学連携講座やワークショップの開催などの教育プログラムを実施しております。

 例えば、福島高専では、廃炉創造ロボコンを開催いたしまして、ロボット製作等を通じまして、学生に廃炉に関する興味を持っていただくとともに、学生の方々の創造性の涵養を目指した取組を進めております。

 文部科学省といたしましては、このような取組を通じ、長期にわたる福島第一原子力発電所の廃炉に資する人材育成や研究開発に引き続き努めてまいります。

上杉分科員 ありがとうございます。

 もうすぐ時間になりますので、最後に。

 この廃炉については、大臣も一年半前の参議院選挙のときに、福島県南、私どもの選挙区にお入りいただきまして、ありがとうございました。ぜひ、廃炉を含めまして、文科省の視点から福島に対しての温かい御支援をいただけたらありがたいと思います。

 文部科学省、科学技術、そして教育、文化、スポーツというのは、ある意味、科学技術であれば、未来の仕組みをつくっていく、また先行投資といいますか、そういうものであろうかと。また、教育というのも、未来の日本人をつくるものであると。そういう意味で、まさに文科省は今にあって未来をつくっていく省庁であるなというふうに思っておりまして、大臣を始め省の皆様、日々の努力に敬意を表しておりますので、今後、自分も文部科学委員会ですから、ともに勉強させていただきながら、一翼を担わせていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。質問を終わります。ありがとうございました。

福井主査 これにて上杉謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川分科員 時間をとっていただいてありがとうございます。民進党・無所属会派の中川正春です。

 今、オリンピック、それこそテレビを占領していますけれども。私も開会式に参加をしてきました、日韓議連の仲間と一緒に。

 政治を超えてというか、対立を超えて、国民の一人一人の、あの半島を統一していく、あるいは同じ民族として平和の中で一緒に生きていこうとする、そういう機運というのはもうあの開会式のときからありまして、マスコミではいろいろ、政治的な思惑の中で解説をしたり、あるいは対立の構図をまさに演出したりというふうなことをやっていますけれども、やはりスポーツというのは、それを通じて、一人の人間と人間、あるいは民族としての、何といいますか、一緒にやっていく、いわゆる統合していくというか、そういう機運をつくり上げていくということについては本当にすばらしいものだなと思いますし、だから平和の祭典なんだろうというふうに実感をしてきました。

 東京オリンピックにつながるように、何とか一緒にその機運を東京まで持っていきたいというような、そんなメッセージを韓国の皆さんにも伝えてまいりましたので、大臣、頑張ってください。しっかりと東京オリンピックの目指すものを確認しながら頑張っていただきたいというふうに思います。

 まず冒頭、そのことを報告を申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、教育の無償化についてちょっと議論をさせていただきたいと思って、テーマに取り上げました。

 内閣府の方からの新しい経済政策パッケージの中で教育の無償化あるいは負担軽減という話も出たので、文科省としてもこれをしっかり取り上げて、そして予算化に向けて今歩み出したというような感じを私も持っているんですが、ここで、まず冒頭確かめておきたいのは、最終、どういう形で無償化を完成させようとしているか、その理念と、それから形態ですね。今まだ第一歩を踏み出したところだというふうに思うんですけれども、最終、どこに持っていこうとしているかという、その形というのをどのように描いているかということを、まずお話をいただきたいというふうに思うんです。

 一つはその体系というものと、それからもちろん財源ということもあるんだろうと思うんですが、その二つをあわせて、特にどういう体系でこの無償化というのを実現しようとしているのか、ここからまず入っていきたいと思います。

林国務大臣 まずは、中川委員には長い間御指導賜っておりますが、今回議連で平昌まで行かれたと。これは、オリンピックがなければ、これだけの日本の国会議員があそこまで行くということはないわけですから、それだけでもオリンピックの強い力を感じさせていただくわけでございまして、韓国の皆さんと先生が交流をされて、次に向けて頑張っていこうというメッセージをいただいたということは、我々にとっても大きな励みでございます。

 お尋ねの、教育の無償化に関することでございますが、人生百年時代というふうに言われるようになってまいりました。人づくりを行っていく上でやはり大事なことは、家庭の経済事情に左右されることのない、希望する質の高い教育を誰でも受けられるということが大変重要だ、こういうふうに思っております。

 もう一つは、やはり子育てや教育にかかる費用が重い、それが気になるということが少子化の要因の一つとなっておる、こういう状況でございまして、そういった考え方で、昨年、新しい経済政策パッケージの取りまとめを政府全体としてさせていただきましたので、これに基づく取組をしっかりと進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

 もとより、この無償化や負担軽減の取組を進めるに当たって、教育の質の向上を目指した改革というのが必要でございますので、しっかりと無償化をする、負担軽減をするということに加えて、教育の質の向上の改革ということをあわせた総合的な施策を通じて、結果として、子供たちの誰もが夢に向かって頑張ることができることが当たり前になる社会、こういうものをつくってまいりたい、これが基本的な考え方だと考えております。

中川分科員 その抽象的な話でとどまるんじゃなくて、具体的なシステム設計なんですけれども、これは大きく分けて、授業料を減免していく、あるいは、ちょうど義務教育でそれが実現されているように、幼児教育から大学まで授業料を無償化をしていく、この設計が一つあると思うんですね。

 それから、もう一つは奨学金ですね。この奨学金、今言われているのは、貸与型から給付型にどれだけ持っていけるかという側面で議論されています。最近の新聞でも取り上げられていますけれども、貸与型で借金を抱えて、そのまま卒業して、その借金が返せない状況がある。これは、ちょうどアメリカの大統領選挙のときも、サンダースがそれを争点にして争ったテーマでありますが、その二つがあると思うんです。

 これはどういうふうに最終的に持っていこうとしているのか。ここのところのいわゆる落ちつきどころといいますか、最終の完成形というのは、日本のこの無償化の議論の基本になるところだと思うんですよ。

 今のところは、どっちも、所得に応じてとりあえずここまでやっていこうじゃないかとやり始めるんですが、これはどこまで行ったら最終形になるのか、あるいは所得ということで切って両方いいのかどうか、そんなことが議論されないままに、なし崩し的に政策が今進み始めているんです。

 それはなぜかといったら、これは文科省の中でしっかり議論していないんですよ。どっちかというと、新しい経済政策パッケージで、官邸の方で経済分野からこの議論が入って、人材育成で、すとんとこっちを向いておりてきたから、それじゃ、とりあえず予算がつくからやりましょうというので両方引っ張り上げている、これが現状じゃないかというふうに私は推測するんですが。

 大臣、ここについての問題意識、もっと詳しく事前に言っておいたらよかったんですがそういう意図だったんです、恐らく聞き取りに来た人たちはそれをわからないんだろうと思うんですが、それをどのように整理をされていこうとしているかということを議論したいんです。

林国務大臣 よく質問の御趣旨がわかったような気がいたします。

 まず、三歳から五歳児の幼児教育のところ、これはもう無償化をしようとはっきり言っておるわけでございます。これに対して、高等教育の方は負担の軽減ということで、完全な無償化ということではないということが一つ大きな整理ではないかというふうに思っておりまして、消費税の財源を活用してということから議論がスタートしたところもあって、まずはその幼児教育の無償化と、真に必要な子供たちへの高等教育の無償化、これが二本柱になりました。

 そういう意味では、私も実は人生百年時代構想会議の副議長ということでございますので、大きな枠組みは既に今委員がおっしゃったように閣議決定されておりますが、これからこれを、では具体的にどう設計していくかというのは、特に幼児教育の場合は、御案内のように保育園と幼稚園と両方ありますので、両省と内閣府と一緒にということになりますが、高等教育の方については我々の方で検討する場を設けて設計をしていこう、こういうふうになっておりますので、主体的に我々がしっかりとやるということになると思っております。

 理念的にはやはり、今の段階では、幼児教育は無償化、高等教育は必要なところを無償化ということで、そこは理念的に差をつけているということでございまして、しからば、では、この先、最終的にどうなっていくのかというお問合せだ、こういうふうに思います。

 やはりこれはまだ今から議論していくことだとは思いますけれども、実際に、世の中に、大学に進むことを選択されずに、働いて税金を納められて、そして大きな成功を遂げていらっしゃる方もたくさんおられるわけでございますから、そういうことを考えると、高等教育が直ちに無条件に無償化ということは、なかなか今の段階でそこまでのものを示すというのは難しい状況なのかなというふうに思っておりますが、そういう状況の中で、まずはこの経済政策パッケージの枠組みを、詳細、制度をしっかりやって、これだけの税金を投入するわけですから、納税者の理解をしっかりと得られるような仕組みをつくっていくということが大事なことであるというふうに思っております。

中川分科員 ちょっと整理をしたいと思うんですが、新しい経済政策パッケージの方でうたっているのは、特に高等教育については、所得が低い家庭の子供たちに限って無償化を実現するという形で入っているんですよね。さっき言われた幼児教育については無償化をしていくということ、これは片方あるんですよ。

 そこで、私が最初言ったように、これは理念の問題でありまして、文科省のサイドでいけば、教育というのを国民に提供していくのに、理念として、国が教育というのは背負っていくんだ、だから国家でその環境づくりをしていくという理念に立てば、例えばドイツがそうであったように、奨学金じゃなくて授業料の方を無償化をしてその環境をつくる。だから、志のある人たちは授業料なしで、ちょうど義務教育がそうであるように、これは国家の責任でやっているように、高等教育まで、あるいは幼児教育も含めて、授業料という分野で無償化をしていくという目標を私は文科省としてはつくるべきだと。理念なんですよ、福祉政策じゃないんです、所得は関係ないんですよ。所得は関係なくて、理念として、教育理念として国家がそこは責任を持っていくということで考えるとすれば、授業料の方、あるいは保育料の方という形になるわけです。

 ところが、もう一つ、それだけで恐らく高等教育というのは充足されない。所得の低い人たちにとっては、例えば東京で生活するということになると、それだけの生活費が要りますね。これは学費じゃなくて生活費なんですよ。ある意味、これを考えていくとすれば、所得ということを入れてもいいだろうし、そうじゃなくて、両方入れちゃうと、このままで行くと、所得の低い人たちは授業料も減免されて、奨学金もそれを見てかぶさるわけです。大学に行かない人たちは、それじゃどうなんだと。生活費まで見て、私たち大学に行かないという意思を持っている人たちは、そういう税金の使い方をしていいのかという形になるでしょう。だから奨学金は貸与なんですよ。これは生活費だから貸与で返していきますよ。

 実は、私がそのとき自分の頭で整理をしたのは、ちょうどオーストラリアやイギリスなんかの国々でやっているように、卒業した後、ある程度の所得が形成されるまで待って、出世払いの奨学金制度というのをその中に入れ込んで、大学に行くということになるとすれば、それはもう親から独立をして自分がかりで、親がかりじゃなくて自分がかりで高等教育が受けられるような設計をそこでしてみたらどうかということで、両方を入れていく。その二つの理念をあわせた形の設計をしたらどうかというのが私の提案だったんですが、やりませんか、これを。こういう整理が私は必要だと思うんだけれども。

林国務大臣 実は、自民党の方でもそういう検討をされておられるということを私ちょっと聞いておりますが。

 今委員がおっしゃったように、オーストラリア、たしかHECSと呼んでいたと思いますが、所得層にかかわらず、高等教育は特に自分に対する投資である、その投資を社会に出ていって職業で所得を得ることによって回収をする、それでもって返していく、こういう仕組みであろうか、こういうふうに認識をしております。

 私はこれが非常におもしろいと思うのは、日本ではどうしても親が大学の費用を見る、こういう意識といいましょうかそういうものがあるわけですが、このHECSということになりますと、自分でその負担をする。いつ負担するかは、後で負担するということになるわけでございますが、その意識の転換というのが非常におもしろいところであろうというふうに思っております。自分自身、留学したときも、周りの学生を見ましても、ほとんど自分で何とかファイナンスをするということが原則であるということで、それだからかどうかわかりませんが、やはり自分で金を出しているだけに、本当に熱心に勉強しておるということも間近に見てまいりました。

 したがって、このことは実は政策パッケージの中にも、二〇二〇年四月からこのパッケージをやります、先ほど御説明したことがございますが、これに加えて、中間所得層のアクセスの機会均等について検討は継続してやっていくということになって、オンゴーイングでこのことは勉強していこうということになっておりますので、我々の方も、では、日本でこういうことをもしやるということになった場合には一体どういうことを考えていかなければならないのかということを、勉強を始めておるところでございます。

中川分科員 ぜひ進めていただきたいんですが、そのときに、もう一回確認をするんですけれども、理念なんですよね。金がないから授業料の無償化についても所得制限を入れたいという気持ちはわかるんだけれども、本来、これはやはり文科省としての理念で突き進んでいくとすれば、所得制限なしで大学まで国の責任でやりますということをやはり貫くべきだと思うんです。

 奨学金については、財源ということを考えたら、これは給付型の奨学金をやったら財源はとてつもなく毎年毎年要ってくるんだけれども、出世払いでも、少し猶予を与えて、そして金を回したら、ここで財源は浮くんですよ、逆に。さっきの話で、親がかりじゃなくて本人がかりですよという設計の中で。これも理念なんだと思うんです。

 そうした整理をまず文科省としてはやるということでないと、官邸というか、向こうに引っ張り込まれて理念がごしゃごしゃになっちゃって、これは一体福祉政策なのか、それとも教育政策なのか、あるいは国家として、それこそ憲法にかかわってきますけれども、どこまで、日本の最低保障をやる、教育の保障をやっていこうとするのか、そういうところはやはり文科省が頑張らないと。先にこっちが出さないといけないというふうに思っていまして、ぜひ頑張っていただきたいなと。

 それからもう一つは、この話をリカレントと組み合わすことができると思うんですよ。授業料を無償化して、そうした出世払いで、所得に応じた、これは出世払いということは所得に応じた形で返してもらいますよということだと思うんですが、これが組み込まれていたら、リカレントのチャンスはどっとふえる。考え込まなくていいんですよ。借金してでも行こうかという話になるということですよね。そんなことをちょっとしっかり指摘をさせていただきましたが、やってください。

林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 リカレント教育、一度社会に出てから戻るということは、うまくやればファイナンスそのものが必要なくなっていく。稼いだ後、教育を受けるということになりますから。

 実は、委員御案内のように、日本の大学に入学する年齢の二十五歳を超えている率というのがOECDの中で最低でございまして、イスラエルが一番だったと思いますが、三割ぐらいはそういう方であるということで。仕事に一旦ついて、所得を得てからもう一度教育に戻っていく、これも今度のパッケージで検討していくということにはなっておりますが、そこをしっかりと組み合わせて、理念的にしっかりとしたものを持ちながら、一方で、現実のいろいろな制約にも対応していかなければならないことも御案内のとおりでございますので、御激励をいただきましたので、しっかりとやってまいりたいと思います。

中川分科員 もう一つ、ちょっと時間がありますので取り上げていきたいと思うんですが、デジタル教科書なんです。

 今度、法改正の中で、デジタルの教科書も使えるようにしていこうということ、これも歩み出すということだと思うんですが、歩み出す限りは、最終的な、これも落ちつきどころというか、どういう形で最終的にはデジタル教科書を提起をしていくのかということが前提にないと、これを担っている教科書会社そのものも、あるいはデジタル関係の業界も、どうやって踏み出したらいいのかという話になるんだと思うんです。

 これについても、恐らく、まだ文科省の中であるいは審議会の中では十分に議論がされていないところだと思うんですが、しかし、法律を出すときには、やはり最終のものを見せて、それを今第一歩でこうやっていきますよという話にしないと、混乱とそれからいろいろな思惑の中で、物事が動いてこないということだと思うんですね。

 これも指摘しておきたいんですが、もし整理がしてあったら。例えば整理というのは、もう将来は紙は使わずにデジタルだけでいくよ、これは韓国ばりのことだと思うんですが、恐らく最終的には、時間軸があると思うんですが、しかし最終的にはそうなってくるんじゃないかなという予感もするんですよね。そうすると、教科書自体はこれも無償配付されているだけに、その辺の構造はどうなるんだということも十分考えておかないといけないことだと思うんです。そういう意味で、教科書会社は、どうしたらいいんだというので、いろいろ悩むんだと思うんです。

 私たちも自民党の皆さんと協力し合って、ICTを教育分野で進めていこうという基本法を、今それに取りかかっているんですが、そうした観点からも、大臣としての問題意識と、最終的にどう考えておられるかというのをここで聞かせておいていただければありがたいです。

林国務大臣 まさに、そういう整理をしているのか、最終的なゴールと言われますと、まだ今の段階は、この法律を閣議決定をいたしました。そしてやはり、今、審議会のお話にもちょっと触れていただきましたが、デジタル教科書がプラスとマイナスの両面の効果、影響があるということは御議論でも出ておりまして、まさに今からこれを導入をしていきながら、懸念があるものに対して本当にそうなのかということをしっかりと検証をしていくということで、段階的かつ円滑な導入を図っていくということになっております。

 今お触れいただきました韓国では、選択制がとられておるということで、デジタル教科書は大体三分の一ぐらいになっておるということでございますし、イギリス、フランスについては、教師が選択をする、こういうふうになってきておりますので、そういう諸外国の状況も見ながら、いろいろな違った仕組みもございますし、それから、情報通信技術そのものもまたどんどん進展していくということもありますので、こういうことを見ながらやってまいりたいと思っておるところでございます。

中川分科員 決定的に日本がおくれているんですね。年間、それこそどれぐらいの件数でモデル事業をやっているのか、最近のことはちょっとわからないんだけれども、モデル事業をやって取り上げて、そこで熱心な先生がいてそれなりに立ち上げてきて、その先生がいなくなっちゃったらそこでもとに戻るとかというようなことを繰り返しながら、モデルにも何にもなっていないという、私から言わせると、それはやったふり事業だ、やったふり予算だ、こう言っているんですが、その程度のことしかやっていないんです。

 私が気になるのは、やはり人。学校の先生がこの分野でしっかりアプリを使いこなす、あるいはアプリ自体を開発できる、あるいはそれが非常に効果的な授業を生んでいくような、そういう環境をつくっていく、ここが全く面的になされていないというか、個別的に、この人はこの分野が好きで、ある意味オタクみたいな形で進めているというところ、私もそういうところを見て、知らずに行ったんですけれども、すばらしいことをやっているんです。だから、点なんですよ、これは。点なんですよ。だから、このままでいって、そんな法律をつくって入れようと思っても、これは進みません。私の足元でもそういう形になっているんです。

 そういうことを政策の中にしっかり位置づけていかないと、形だけの、やっていますよやっていますよという、やったふり予算になっていく、そういう懸念をしていますので、ここについても指摘をしておきたいと思うんですが、ちょっとしっかり対応してください。

林国務大臣 先ほど来御指摘いただいておりますように、また私からも申し上げましたように、プラスとマイナスがあるという意見がまだございます。

 したがって、まさに、非常に得意な先生がやる、しかし属人的にとどまるということでは、先生がおっしゃるようにだめなわけでございますから、そういう前提のもとで、このデジタル教科書の効果的な活用のあり方、それから導入に当たっての留意点等に関するガイドラインを策定をいたしまして、やはり点ではなくて面的にしっかりと使っていくという例が広がっていくということをしっかりと図ってまいりたいと思っております。

中川分科員 やはり、大学なんだと思うんですね。私、一番気になっているのは、大学の教育学部というのは各県に大体あって、そういう先生をつくっているわけですよ、ここが時代についていっていないというか。あるいは、現場の中で起こっていることと教育カリキュラムのニーズというのがどこまでそれに即したものになっているかとか、あるいは、今の教育現場の中で大学のやっていることがどれだけシステムとしてハーモナイズしているかということを見ていくと、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そういう観点からトータルで見ていく。デジタルは、そのまずワン・オブ・ゼムで、いろんな課題の中にある一つなんですけれども、そういうふうに見ていくと、何となく、みんながちぐはぐになっているような気がするんです。

 そこのところも指摘をさせていただいて、もし答えがあるなら答えて、大体時間が来ていますから、そこで終わりたいというふうに思います。

林国務大臣 おっしゃることは私も時々感じておることでございまして、教育学部の教える人、教授と、学生、それが先生になる、この先生が赴任したときの子供、これがちゃんと世代を超えて同じところにいてもらわなければいけないということであろう、こういうふうに思いますので、これは、高等教育の場での教師の育成というところと今みたいな話を、しっかりと文科省全体として横串を刺してやっていかなければならないというふうに思っております。

中川分科員 ありがとうございました。

福井主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、中曽根康隆君。

中曽根分科員 自由民主党の中曽根康隆でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私、初当選、初質問ということで、その記念すべき質問が尊敬する林大臣ということで、大変光栄に思いますと同時に、ふなれな点があるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、文化財の活用についてお伺いをしたいと思います。

 私の地元である群馬県には、上毛かるたという、群馬県に関するふるさとの偉人やまた名所、名物が詠み込まれた、県民であれば誰もが知っている郷土かるたというものがございます。これは、戦後間もないころに、後に群馬文化協会の初代理事長となる浦野匡彦さんという方、この方が人一倍郷土群馬を愛しておりまして、群馬の子供たちに愛すべき郷土の歴史や文化を伝えたい、そういう思いからこの上毛かるたというものを発案されたそうでございます。

 昭和二十二年の誕生から去年で七十年を迎えまして、小学校、中学校のかるた大会、全県の大会が毎年行われると同時に、去年は社会人のこういった群馬県のかるた大会も行われまして、県民には広く親しまれているものでございます。

 この上毛かるたのように、子供でも日常的に遊びながら学べるものを通じて、郷土の歴史とか文化を知って、郷土への愛情を自然な形で育むことというのは非常に重要なことだと私は思っております。このようなことの積み重ねが、日本人であることの誇りを持つことになり、またアイデンティティーを確立することにもつながっていくと思っております。

 更に言えば、郷土への愛情が深まれば、郷土の発展のために頑張ろうという人もふえてくるでしょうし、長期的な視点で見れば、これが地域の活性化にもつながっていくのではないかなと思っております。

 上毛かるたには、世界遺産にも登録されました富岡製糸場、また、いわゆる世界記憶遺産となりました上野三碑なども句に詠まれておりますけれども、長い歴史を誇る我が国には、全国各地にこういった誇れる伝統であるとかまた文化というものがあると思います。

 そこで、御質問でありますけれども、伝統や文化に理解を深める教育、これは近年、文部科学省としても力を入れているということは承知をしておりますけれども、それぞれの地域への愛情を深める教育についてどのように考えられているのか、また、実際の教育現場でどのような取組がされているのか、お伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 郷土でのさまざまな体験など、積極的、主体的なかかわりを通じて、郷土を愛する心を持ち、よりよくしていこうとする態度を育成することは非常に重要であり、各学校においては、各教科等の特性に応じ、また、地域の特性や学校の創意工夫を生かしたさまざまな取組が行われているものと承知しております。

 平成三十年度から小学校で始まる特別の教科、道徳においては、我が国や郷土の伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国や郷土を愛する心を持つことを取り扱うということにもなっております。

 具体的には、各地域においてさまざまな郷土教材が作成されておりまして、例えばでございますが、福島県教育委員会では、東日本大震災や原子力発電所事故の中から生まれてきたさまざまなエピソードをもとに、命のたっとさや、自分を育ててくれた郷土への愛着などをテーマとした道徳教育資料を作成し、活用していると承知をしております。

 文部科学省においては、各都道府県が行うこういった郷土の文化財なども活用した郷土資料の作成への支援を行っているほか、授業映像や全国から収集した実践事例などをインターネット上で公開する道徳教育アーカイブの整備に取り組んでいるところでありまして、引き続き、これらの取組の充実を図ってまいる所存でございます。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 今お話にもありましたけれども、教育基本法、又は学校教育法にも、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する態度を養う、こういうことが教育の目標として掲げられております。そのためにも、全国各地にある文化財などを教育の場でしっかりと活用して、身近な歴史や文化を学ぶ機会を充実させることが重要ではないかと考えております。

 子供たちが自主的に歴史、文化に触れる機会というのがだんだん減少していると私は肌感覚で感じておりますけれども、日本の誇る文化財というものを、ただ単に観光目的というだけでなく、しっかりと教育というものにも有効活用していただきたいなというふうに思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 幼児教育の無償化についてお伺いをいたします。

 言うまでもなく、幼児教育というのは子供の人格形成の基礎となるものであり、その重要性というのは誰もが認めるところであると思います。子育てにおける問題点は何かというアンケート調査においては、やはり、教育にお金がかかるという回答が一番となっております。また、私も、県内の多くの幼稚園を回らせていただいて視察をさせていただいたり、また、保護者の皆様の集まりに顔を出させていただいていろいろな生の意見を聞いてみると、やはりこういった財政的な意見というものが非常に多く出ているとの実感があります。

 現在、政府は、幼児教育の無償化に非常に強く取り組まれ、政策を進めておりますけれども、この無償化を進めることによって一人でも多くの子供が保育園や幼稚園でしっかりとした教育を受けることができる、また、保護者の金銭的負担を少しでも軽減していくことによって、働くお父さん、お母さん、若い世代の社会進出の手助けになったり、また少子化対策にもつながると私は考えております。

 現在、認可外保育園を無償化の対象にするかどうかということが、検討会を発足させて議論が進んでいると聞いておりますけれども、一方で、幼稚園や認定こども園での預かり保育、こちらは全国の多くの公立、私立の幼稚園、また認定こども園でも実施をされております。

 学校教育法や認定こども園法できちんと法的に位置づけられている幼稚園、認定こども園での預かり保育というのは、待機児童の非常に重要な受皿となっておるのは事実でありまして、幼稚園、認定こども園の預かり保育についても無償化の対象にするべきなんじゃないかと私は思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 まず、若手のホープである中曽根委員のデビュー戦に立ち会うことができて、私も大変うれしく思っております。

 今お話のあった幼稚園における預かり保育ですが、待機児童対策としても大変重要な取組である、今御指摘があったとおりであります。子育て安心プランの中にも、より一層の推進が既に求められているところでございます。

 預かり保育の取扱いを含めた無償化の対象範囲について、先月、一月二十三日でございますが、新しい経済政策パッケージに基づいて設置された有識者の検討会におきまして既に検討が開始をされたところでございまして、現場や関係者の声を丁寧に聞きながら、ことしの夏までに結論を出すことになっております。

 文部科学省としては、預かり保育に関する現場の実態をよく把握しながら、具体的な検討にしっかりと参画をしていきたいと考えております。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 今、多くの幼稚園は、未来の日本を担う子供たちのために日々さまざまな努力をされております。それぞれの幼稚園の建学の精神に基づいてしっかりとした運営が続けられるよう、またその人材の確保、質の向上のためにも、引き続き、教員の処遇改善であったり又は施設への助成拡充を進めていただきまして、子供たちに不利益や不公平感が出ないように努めていただきたいと思います。

 続きまして、先ほどちょっと局長の方からもお話が出ましたが、道徳教育について御質問をさせていただきたいと思います。

 昨今、やはり、子が親を殺してしまうとか、非常に悲惨な、また非道徳的な事件が多発をしております。こういった時代だからこそ、道徳というものが非常に重要になってきていると私は考えております。日本人とはどういう誇りや倫理観、又はアイデンティティーというものを持っているのかということを一人一人が幼いうちから身につける、そういうためにも、道徳教育というのは極めて大切であると考えております。

 安倍内閣においても道徳教育の抜本的改善充実が唱えられておりまして、平成三十年度の予算においても前年比の二倍弱が要求をされているようでございます。

 政府としては、これからの道徳教育、これはどういうふうにあるべきか、その道筋、展望をお伺いしたいと思います。また、この道徳教育の抜本的改善には当然私も賛成でございますけれども、これをどのように検証を行い、またそれをどう生かしていくか、そういうところについても、具体的なお話があればお伺いしたいと思います。

林国務大臣 道徳教育は、児童生徒に規範意識、公共の精神、それから豊かな人間性、こういうものを育む上で大変重要なものでございます。一方で、これまでの道徳教育では、教師の指導力に差があるということ、ほかの教科に比べ軽視をされがちであること、それから形式的な指導に偏りがちであること、多くの課題が指摘をされてきたところでございます。

 こういうことを受けて、文科省では、道徳を特別の教科にいたしまして、平成三十年度から、この四月からですが、小学校で、平成三十一年度から中学校で、児童生徒が、答えが必ずしも一つでない道徳的な課題を自分自身の問題として捉えて、本音でほかの児童生徒と語り合って、向き合って考え議論する道徳、こういうものに質的に転換を図るということにしております。

 我々としては、特別の教科、道徳、これが円滑に実施されますように、各都道府県に対する説明会等を通じた趣旨の周知徹底、それから自治体等がそれぞれ行われる研修や郷土教材、先ほどかるたの話がございましたが、郷土教材の作成等に対する支援を行ってまいりたいと思っております。

 また、道徳担当の指導主事等を対象とした連絡協議会等において、各地域における道徳教育の進捗状況に関する検証結果を共有してもらって、そして、その共有をしながら、各地でこういういい例がある、ここはこうやっているというものをお互いにとっていただいて、そういうプロセスを通じて、道徳教育のさらなる改善充実に努めてまいりたいと思っております。

中曽根分科員 ありがとうございました。

 他国では宗教なんというものが非常に行動規範の軸となっていることも多いですけれども、宗教観が比較的薄いこの日本において、何をもって行動規範の軸とするか、そういったときに非常に道徳というものは大事になってくるのかなと私は思っております。

 なかなかその結果というものが見えづらく、またその投資効果といいますか、そういったものを実感しにくい、そういった分野かもしれませんけれども、人間の最も大事な部分を養う教育だと私は思いますので、今大臣おっしゃられたような教え方であったり教材の検証をしっかりと行っていただきながら、継続的な道徳教育を進めていただきたいと思っております。

 続きまして、英語教育について御質問をさせていただきたいと思います。

 明らかに以前と違い、グローバル化を迎えている中で、ツールとしての英語の重要性というのは日に日に増しております。これからは、ビジネスでもスポーツでも教育でも、あらゆる分野においてボーダーレスが進んでいき、英語を話せないということによる機会損失というのはますます大きくなっていくものだと考えております。

 私自身も、高校のときに米国の高校に留学をいたしまして、その際に、言語、ツールとしての英語の重要性、それがあることによる選択肢の広がりだったり可能性の広がりというものを痛感いたしました。

 また、今日本じゅうが盛り上がっているオリンピックもありますけれども、金メダルをとった羽生選手にしても、コーチとの会話というのは英語で直接やられている。そういった意味で、英語を話せるということは、非常に人生を豊かにし、また物事を広げていく可能性があるというふうに思っております。

 大臣は英語が非常に流暢で、もうネーティブばりの英語でございまして、私も大変尊敬をしておりますけれども、やはり一般的には、諸外国と比較しても日本の英語教育というのはおくれているのかな、また、一般的に日本人が英語をツールとして使う能力というのは低いのかなというような実感を私は受けております。

 そんな状況下で、新学習指導要領には、英語に親しむ活動、これの開始を小学校三年生に早送りする、前倒しする、そして小学校五年生から英語を正式な教科とするというふうに伺っておりますけれども、具体的に、これにはどのような狙いがあるのか、教えていただきたく思います。

林国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、グローバル化がここまで急速に進展してまいりますと、外国語、英語によるコミュニケーション能力というのは、一部の業種とか職種で必要ということでは全くなくて、生涯にわたるさまざまな場面で必要とされることが想定をされてきております。

 先ほど出していただいたことにつけ加えて言いますと、例えば情報を検索するときも、日本語で検索するサイトと英語で検索するサイト、どれぐらい量が違うかというものを見たら、そういうことも含めて、やはり大変大事な、生涯にわたるさまざまな場面で必要とされるということが、もうここまで来ておるわけでございますので、やはり初等中等教育段階から外国語によるコミュニケーション能力を育成することが大変重要だと思っております。

 新学習指導要領では、児童の発達の段階などを踏まえまして、小学校中学年から、聞くこと、話すことを中心とした外国語活動を導入しまして、まずはなれ親しんでもらって、これをやりたいなというふうに思ってもらう動機づけをまず行う。その上で、その次の中学校との接続を重視して、高学年から、五年生、六年生ですが、段階的に読むこと、書くことを加えていって、その段階では、教科として体系的な指導を行うということにしておるわけでございます。

 こうした小学校における外国語教育を充実させるとともに、中高等学校における指導と円滑に接続をさせることで、外国語によるコミュニケーション能力が確実に育まれるように努めてまいりたいと思っております。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった外国語活動、これは非常に私は大事だと思っております。今の話を伺っていて、私が昔ピアノを始めたときに、無理やりやらされているから全然続かなかった思い出がありますけれども、やはり何事も、英語もそうだと思いますけれども、スタートの時点で何か抑えつけられて始まるものというのは、なかなか好奇心も湧かないですし、長続きもしないというようなことを今考えておりました。

 私自身、小学校、中学校の英語の授業というものを思い返してみますと、やはり英語の教科書をまず先生が朗読して、それを生徒が一斉にその後にみんなで読む、また、先生が文法を黒板に書いて、それをノートに写す、そういったことで授業が終わっていった、そういう記憶があります。

 この知識を詰め込むということに重点を置いた授業、これも別に否定はしませんけれども、やはり、さあ、これから英語を勉強していくんだ、そういう子供たちの好奇心とか、又はモチベーションというもの、これはなかなか生まれてこないのではないかなというふうに感じております。

 そこら辺も踏まえまして、やはり子供たちが自主的に英語を勉強したくなるような、また英語を好きになるような、そういったこれまでとは違う発想の授業、今も大臣もおっしゃっていただきましたけれども、そういったものが必要になると思いますけれども、そこら辺に関してはいかがお考えか。また、既に実施されている、具体的な効果のあったような先進的な取組に関して、代表的な事例等があれば具体的に教えていただきたく思います。

高橋政府参考人 外国語教育を通じて、子供たちが言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、外国語の学習意欲を高めるためには、外国語の授業の改善充実を図ることが重要です。

 そのため、新しい学習指導要領では、授業の中で、コミュニケーションを行う目的、場面、状況等を明確に設定し、学習した語彙や表現などを実際に活用する活動を充実することにより、子供たちが自分の考えや気持ちなどを伝え合い、外国語を学ぶことに対する興味、関心を高めるような指導を充実することとしております。

 一、二、具体例を挙げますと、これは研究校の例でございますけれども、例えば、教師やALTが英語の絵本の読み聞かせを行う活動、あるいはカードをつくって友達やALTに送る活動、こういった活動を通じて、英語への興味、関心が高まったり、英語で伝えたいという意欲が向上したりしたといった成果を承知しておりまして、教育委員会を集めた会議でも周知などをしているところでございます。

    〔主査退席、あべ主査代理着席〕

中曽根分科員 ありがとうございます。

 私のめいやおいも、まだ四歳とかですけれども、アンパンマンの英語版を見て、それで勝手に英語をしゃべるような時代ですので、やはり入り口というものの重要性を非常に感じております。

 参加型、体験型、又はそういったアクティブラーニングなど、子供の英語に対する自主性を高めるような、そういった授業が行われることを期待しております。同時に、それを教える側、教師の質の向上というものも非常に大事であると思います。

 やはり小学校、中学校は、非常に生徒たちの吸収力が高く、また感受性も高い。この時期に、例えばネーティブの英語に触れることは非常に有効であると思いますし、そういった意味では、外国人の教師の採用、又は英語教育に特化した人材の育成また確保、そういったものが非常に大事になってくると思います。その際の処遇の改善だったり、又は教材の質の向上等もあわせて必要になってくると思いますけれども、いかがお考えでしょうか。また、現在、取組があれば教えていただきたく思います。

高橋政府参考人 新学習指導要領に基づき、児童が質の高い英語教育を受けられるようにするためには環境整備が不可欠であり、効果的な新教材の開発や、研修、養成、採用の一体的な改善、学校の指導体制の強化などを総合的に支援することが必要だと考えております。

 具体的には、平成二十九年度中に、教師用指導書や学習指導案例などの、授業に役立つ資料を含めた新学習指導要領に対応した教材や指導資料の開発、配付を行うとともに、JETプログラム、語学指導を行う外国人青年招致事業でございますが、JETプログラムによる外国語指導助手、ALTを任用する自治体に対する地方財政措置などの支援を行っているところでございます。

 文部科学省としては、各学校においてしっかりと準備が進められるよう、各教育委員会とも連携しながら、教師の指導力の向上や指導体制の構築、教材の整備などに努めてまいります。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 やはり教える側の質により生徒の英語力というのは大きく影響され、またそれが地域でばらつきがあってもいけないと思います。生徒たちの吸収力が高いときにこそ、間違いない質の高いインプットをすることが大切であると思います。

 今まで少し英語教育に関する質問をさせていただいてきましたけれども、将来世代においては、英語というツールが今まで以上に必要不可欠になることは間違いありませんし、言語としての、ツールとしての英語が理由で他国にさまざまなおくれをとることは避けていかなくてはいけないと思っております。今後もしっかりとした、スピード感のある、そして成果の出る英語教育の推進をよろしくお願いを申し上げます。

 そして最後に、これからの時代に不可欠なAIに関連した質問をさせていただきたいと思います。

 これからの世の中において、人工知能の重要性というのは確実に高まってまいります。各国が巨額な資金を投入して開発、又はその分野の人材育成に力を入れております。アメリカにおいても、ホワイトハウスがAI白書というものを相次ぎ出したり、また、中国も次世代AI発展計画を発表して、二〇三〇年までにAIの中核そして関連産業合わせて百七十兆円を目標とする、非常にスケールの大きい数字を打ち出しております。

 このAI競争とも言える状況下において、日本も昨年度の倍増となる千億円近くの予算案を出しておりますけれども、規模を見てもスピードを見ても、やはり米中にはおくれをとっているのかなと個人的には思っております。

 もちろん、これは総務省さんであるとか経産省さんにも大きくかかわりのある分野ではありますけれども、文部科学省として、日本のAIによる技術革命に対する意気込み、また戦略があれば教えていただきたいと思います。

林国務大臣 このAIは、今回第三次ブーム、こういうふうに言われておりますが、今回は、一回目、二回目と大分制約状況が変わってきましたので、本格的なものになるのではないかというのが関係者の間の共通の認識ではないかというふうに思っております。

 我々も、人工知能技術によってイノベーションをつくっていくということについては、未来投資会議のもとに設置をされた人工知能技術戦略会議、これを司令塔として、同会議がつくりました人工知能技術戦略に基づいて、今お話のあった総務省、経産省を含めて、関係府省が一丸となって取組を進める、そういう体制もできておるところでございます。

 我々文科省においても、革新的な人工知能技術やそれによるイノベーションの創出に向けて、AIPプロジェクト、アドバンスト・インテグレーテッド・インテリジェンス・プラットホーム・プロジェクトということでAIPと称しておりますが、これを推進しておりまして、理研の革新知能統合研究センター、AIPセンターによります人工知能技術を活用した社会的な課題の解決等に向けた研究、また、JST、科学技術振興機構での戦略的な創造研究事業のうちで、人工知能等の分野に係る若手研究者の独創的な発想や新たなイノベーションを切り開く挑戦的な研究課題の支援、こういうことを通じて、一体的に実施していくことによりまして、この分野は大変重要でございますので、しっかりと進めてまいりたいと思っております。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃったとおり、これがブームでなく本格的なものであるならばこそ、乗りおくれてはいけない波だと感じております。日本としても先見性を持って、また大胆なスピード感を持った対応をしていただきたいと思っております。

 そして、そのためには、日本を牽引する高度人材育成も非常に大切になると感じております。この育成のための原資である財政的なサポートの強化も必須であると考えております。

 日米の政府の科学技術予算を比較しても、日本は四分の一以下でありまして、また、人材育成において非常に重要な役割を果たす大学の資金力また研究資金にも日米で大きな開きがあります。大学の特性も違うので比較は一概にはできないですけれども、運用益だったり寄附金というものもやはり非常に大きな乖離があるのが現実でありまして、生徒一人当たりに使える予算も日本は非常に少ない状況であります。

 このままでは、やはり優秀な人材の海外流出、こういったものも加速しかねない、そういった中で、日本としての高度人材育成の戦略及び大学の基礎体力の向上、こういったものについての御意見をお聞かせ願えればと思います。

林国務大臣 技術革新や社会制度の変革など、新たな価値を創造して、我が国社会の持続的な成長、発展を図っていくためには、今御指摘のあったとおり、支える人材の育成とイノベーション創出の中核である大学の役割が大変重要だと思っております。

 大学における人材育成や経営力の強化を進める上で、経営を支える財務基盤の強化は重要であり、まずは国立大学法人の運営費交付金等を確保するということですが、まさに委員から御指摘があったように、資産を有効に活用するとか、寄附を募るとか、共同研究をやるとか、こういうことを通じて大学がみずから外部資金を得ていくということも大変大事なことではないかというふうに思っておりまして、こういうことを応援するということが一つ大事なことではないかと思っております。

 これまでも、法律の改正によります国立大学法人の資産の有効活用を図るための規制緩和や、寄附の促進につながる税制改正、それから産学連携を研究所と、企業の一研究所ではなくて、大学全体と会社全体でやっていくという、組織対組織の本格的な産学連携にしていく、そのことによって民間投資を拡大する、こういうようないろいろなことに取り組んできておりまして、結果として、国立大学における外部資金受入額が法人化以降大きく増加はしております。

 今後とも、文科省としては、学長の強いリーダーシップのもとで、組織全体で各大学のミッションの実現に向けた経営力の強化を図っていただいて、財務基盤の強化ですとか、それから外部から経営的視点をしっかりと持ち込んでいただく、こういう意見等を踏まえた組織運営の推進、こういうものに取り組みまして、教育の基盤となる研究力の向上、優秀な学生の育成強化をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

中曽根分科員 ありがとうございました。

 日本がこのAIという分野でどういうポジションを狙っているのか。本当に米中に肩を並べる世界のトップレベルを目指しているのであれば、これは中途半端なことでは当然いけないと思います。この人工知能に対する国家戦略、またそれに伴う研究施設としての大学の役割、そして高度人材育成がしっかりとかみ合って、結果が出るような取組、御尽力をお願いいたします。

 時間も参りましたので、以上をもって私の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

あべ主査代理 これにて中曽根康隆君の質疑は終了いたしました。

 次に、日吉雄太君。

日吉分科員 立憲民主党・市民クラブの日吉雄太でございます。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 この予算委員会第四分科会、こちらは文部科学省所管の問題について、本日、林大臣にお話をお伺いさせていただきたいと思います。

 私、公認会計士として、これまでさまざまな会社の会計監査、そして内部統制の監査を行ってまいりました。

 今、スーパーコンピューターの開発をめぐりまして、斉藤社長、国の助成金を詐取したということで斉藤容疑者が逮捕される、そういった事件がございます。そこに文部科学省が所管する科学技術振興機構、JSTが融資を行っておりまして、この融資をめぐりまして、国民の皆様の間で大きな疑惑がある、渦巻いている、こういう状況でございます。

 まずは、このスーパーコンピューターの開発会社であるエクサスケーラー社、こちらの会社が総額どれほどの開発費を想定して研究開発を進めていくことになっていたのか、お答えいただけますでしょうか。

佐野政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、スーパーコンピューター全体の開発費でございますが、六十億の融資を限度額としているところでございます。

日吉分科員 融資自体は六十億ですけれども、それ以外に、会社が持っている資金、自己資金があると思うんですけれども、その自己資金が一体どのぐらいであって、その自己資金が全体の開発費に占める割合はどのぐらいだったでしょうか。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、自己負担金ですとかその比率につきましては、当該企業の開発内容、製品の原価構成などが推測されるおそれがありますので、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、JSTにおいては不開示情報となっております。

日吉分科員 とはいえ、自己負担ゼロでという開発はないと思いますので、ある程度の金額を持って会社は研究開発を進めていたのかな、こういうふうに思っております。

 六十億円の融資をされたということでございますけれども、この使い道としましては、例えば、人件費とか、そして物を買ったり外注を行ったりと、さまざまでございます。

 この六十億円の妥当性というものをどのように検証されているのか。例えば人件費であれば、採用する人数が妥当なのか、そのそれぞれの人の給料はどうなのか、物を買うならその価格は適正なのか、外注するのならその外注先は適正か、そして外注費は妥当なのか、こういったことを検討していかなければならないと思います。そこのあたりの検証の仕方、これについて教えてください。

佐野政府参考人 お尋ねの、六十億の使い道につきましては不開示情報になってございますが、金額の、六十億の妥当性につきましては、六十億という限度額につきまして、JSTにおきまして、外部専門家から成る評価委員会におきまして、独創性、優位性、イノベーション創出の可能性等の観点から評価がなされ、開発計画の内容も踏まえて、妥当と判断されたものと承知しております。

日吉分科員 その検討の期間というのがどのぐらいなのかなというのが少し気になったんですけれども、先ほど私が申し上げました点を事細かに検討しているのか、それとも、全体としてこの金額だったら妥当なのかなというふうに判断されているのか、このあたりが少しよくわかりません。

 本来、五十億円というのが上限でありますけれども、それを六十億円ぐらいまでに引き上げている。こういった状況ですと、より慎重な価額の検討というのが必要になると思いますが、そのあたりはどのように行われたのでしょうか。

佐野政府参考人 本件の審査に当たりましては、公募要領にございますように、課題の独創性でありますとか優位性を始め、目標の妥当性といった幾つかの選考の観点があります。その中に財務等の状況というものもございまして、財務基盤、事業計画、その他の事情を勘案し、開発成功時に開発費を返済できる原資が見込まれることというようなことが審査の基準になってございます。

 審査期間につきましては、これら全体を合わせまして二カ月間ということでございます。

日吉分科員 実際、審査を行うことによって当初申請していた開発費を減額するような、こういった判断というのはなされるんでしょうか。

佐野政府参考人 科学技術振興機構、JSTの産学共同実用化開発事業、NexTEPにおきましては、申請課題の審査の過程で開発計画や開発規模の妥当性を評価し、その審査の結果、採択に際して、企業から申請された開発費から減額されて採択されることもあるというふうに聞いてございます。

日吉分科員 少し質問を変えさせていただきます。

 この融資に当たりましては、融資ですので、しっかりと資金を回収しなければなりません。それに当たりましては、通常、保証をつけていただいたり担保をとったりすることになります。担保というと、普通、不動産が想定されると思いますが、このケースでは、預金を担保にしている、六十億の預金を担保にしているというふうに伺っております。その預金はエクサスケーラー社の名義の預金というふうに伺っております。

 この担保なんですけれども、そもそも、エクサスケーラー社は研究開発を始めたばかりなので、売上げが余りこれまで上がっていないということで、自己資金を持っている可能性が少ないのかなというふうに想定されます。その状況で六十億の担保を提供できる自己資金があるということになりますと、増資を行ったり銀行借入れを行ったりして調達した、こういうことが想定されると思うんですけれども、例えば銀行借入れによって調達した資金を担保にJSTから融資を行う、こういったことはあるのでしょうか。

佐野政府参考人 銀行の借入れにより調達した資金を担保としているか、そのような質問でございますが、JSTのNexTEP事業におきましては、採択条件として、開発の開発時におきまして担保、保証の差し入れを求める場合がございますが、これは、貸倒れのリスクを回避し、国費をいたずらに毀損することのないようにするためというふうに聞いてございます。

 このため、仮に預金担保という形をとる場合につきましては、JSTとしては、その預金の原資の確保の仕方について、特段条件はつけておらず、銀行からの借入れによるものであっても問題ないというふうに承知しております。

    〔あべ主査代理退席、主査着席〕

日吉分科員 そうしますと、ちょっと関連の質問なんですけれども、例えば、このJSTからの融資があるということを前提に銀行がお金を貸すというようなことも考えられるんですけれども、そういった前提で銀行から借りた資金をもとに、その資金を担保に差し入れるということで融資を行う、こういったケースということも問題はない、そういうことでよろしいでしょうか。

佐野政府参考人 仮に、預金担保という形をとる場合、JSTとして、預金の原資の確保の仕方について、特段条件は設けておらず、借入れによるものであっても問題はないというふうに承知しております。

日吉分科員 ありがとうございます。

 そうしたら、もう一つ、この融資にする条件についてお尋ねさせていただきます。

 この融資制度、当初は、財務の条件としまして、過去三期経常損失を計上していないことや、債務超過にこの三年間でなったことがないとか、できたばかりの会社ではないとか、こういった条件があったんですけれども、今回のエクサスケーラー社に対する融資におきましては、特にそういった、ベンチャー企業ということもありまして、そのような要件を削除しております。

 仮に、ベンチャー企業といいましても、過去ずっと経常損失を計上していたり債務超過であった場合において、融資をするという決定をすることはあるんでしょうか。

佐野政府参考人 今先生御指摘のように、二十八年度第二次補正予算において措置されました産学共同実用化開発事業の未来創造ベンチャータイプの公募要領では、急速に成長するベンチャー企業を支援の対象にし得るよう、従来用いられている一般企業用の公募要領にあった経営基盤に関する記載を変更したところでございます。

 こうした本事業の趣旨を踏まえまして、設立後急速に成長しつつも、直近三期の決算期において連続して経常損失を計上しているなどの財務状況にあるベンチャー企業、先ほど先生から財務状況が悪いベンチャーというふうなお話がございましたが、そういった企業から申請があった場合でも、例えば担保や債務保証が確保される見込みがあれば、それを条件として、当該申請課題を採択する可能性はあるというふうに聞いてございます。

日吉分科員 ありがとうございます。

 そうしましたら、もう一つお伺いするんですけれども、その募集要項に財務等の検討もするという項目がございまして、一方で債務超過であったり経常損失があるという悪い状況であっても融資をすることがあると言っている反面、財務の検討をすると言っていらっしゃいます。この財務状況を検討して融資を断るケースというのは、どういうケースなんでしょうか。

佐野政府参考人 一般的に、先ほどの産学共同実用化開発事業、NexTEP事業の審査におきましては、開発に必要となる人材や施設など開発に取り組めるだけの経営基盤があること、開発成功時に開発費を返還できる原資が見込まれるかなどを評価しているところでございます。

 審査におきまして、開発する製品等に関する事業計画や担保や保証の確保等を評価した結果、開発費を返済できる原資の見込みが立たない申請課題については、当該申請課題を不採択とするという可能性はあるというふうに聞いているところでございます。

日吉分科員 ありがとうございます。

 もう一つ御質問させていただきたいんですけれども、こちらの、開発費として使う内容なんですけれども、例えば、先ほど申し上げましたが、外注先に融資を受けたお金を使う、こういったことが考えられるんですけれども、この外注先に関して何らかの制限というのを設けられているかどうかということをお伺いしたいです。

 例えば、このエクサスケーラー社の関連するグループ企業、ペジー社、ペジーコンピューティング、こういった会社との取引をする、グループ企業と取引をするということは特に問題がないと認識されているのかどうか、ちょっとお伺いいたします。

佐野政府参考人 申請企業からの外注先につきましては、NexTEP事業の開発委託契約事務処理説明書におきまして、反社会勢力を排除することは求めているというふうに聞いてございますが、そのほかはございません。

日吉分科員 としますと、グループ会社との取引も問題ないということなんですけれども、ただ、グループ会社ですと、その価格の決定という点で非常に不透明なところが出てくるのかな、より適正な価格ではなくて高い価格で発注してしまうとか、こういったこともあり得るのかなということで、より慎重な対応が必要になってくるのかなというふうに考えております。そういった意味で、ここのところは非常に重要なのかなというふうに思っているんです。

 ここでちょっと林大臣にお伺いしたいのですが、この六十億という金額、五十億を超えて六十億にしたそのときの検討というので、いろいろな観点から有識者の方々が検討したということなんですけれども、お金をお貸しするときには、やはりそれなりにしっかり詳しく調べたいなというふうに思うのが人の常だと思うんですけれども、大臣としまして、今の検討内容、そしてグループ会社との取引もした上で、ちょっとグループ会社内で適正な価格で取引が行われているか不安な中で、今の状況、この審査体制について、お感じになるところをお聞かせください。

林国務大臣 一般的に、JSTでは、外注費を含めまして、開発実施企業が支出した開発費の妥当性を裏づける資料ということで、企業に対して、証拠書類、例えば見積書ですとか納品書、請求書等の提出を求めております。

 仮に一〇〇%子会社や自社等から調達を行う場合であっても、やはり恣意的な値づけというのが行われてはなりませんので、こういうものを排除するために、原則として競争原理を導入した調達を行うということを求めておりまして、競争によらない調達を行う場合には、製造原価又は仕入れ原価を用いることによって利益排除を開発実施企業に求めるとともに、あわせて製造原価の証拠書類等の提出を求めている、こういうふうに聞いております。

 開発費の精算に当たっては、それらの証拠書類をもとに、金額、内容ともに妥当とJSTが判断した場合にのみ支出を認め、妥当でない場合には支出を認めない、必要に応じて返金を求める、こういう対応を行うということを聞いております。

 こういうことをしっかりやることによって、外注費の価格の適正性について判断をすることになっておる、こういうふうに聞いております。

日吉分科員 今大臣から御説明いただきましたけれども、やはりグループ会社間の取引というのは非常に不透明なところが出てきてしまいます。そういったこともありますので、競争入札というお言葉、御発言がございましたけれども、そういった形を通して、適正な価格で取引を行っていただくように注視していただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、もう一つ、次の問題としまして、加計学園問題につきまして、少しお話を伺いたいと思います。

 お手元に資料をお配りさせていただいております。こちらは加計学園が、「報道資料 今治キャンパス建設費の妥当性について」ということで、建設費が坪単価百五十万円ぐらいするんじゃないかと言われているのに対しまして、いやいやそうではない、百二十六万円であるということを説明した資料です。

 この中に、百五十万円と言われる計算方法には含まれない金額として、真ん中より少し上のところで、「2設置経費の施設費から除外される費用」、二十一億六千四百万円という金額がございます。この金額は坪単価の計算には入れてはいけませんよというふうに主張されている内容でございますが、ではその中身は何かといいますと、真ん中より下のところに、「上記計算式について」というところで、「設置経費の施設費の中に、施設整備計画の延床面積に含まれない外構工事費及び設計監理料等を含んで計算されているため、」と。ですので、この二十一億円の中身は外構工事費と設計監理料等、等が何を示しているかはわかりませんけれども、主として外構工事費、設計監理料ということになります。

 この二十一億円、総工事費の百四十八億円に占める割合というのが一四・六%ぐらいを占めております。直観的に、少し高いんじゃないのかな、割合が高いんじゃないのかなというふうに感じております。

 そういったことがちょっと疑問に思いまして、国立国会図書館にちょっと調べていただきましたところ、加計学園が持っている実験室、BSL3レベルの実験室が設置されている沖縄県の中央食肉衛生研究所、こういったところの総工事費に占める設計監理料の割合というのを調べさせていただきましたら、約四・二二%というふうになっております。

 これ以外に外構工事費というのが含まれております。ただ、外構工事費で、一四・六%の残りの一〇%外構工事費があるのも、ちょっとそれも高過ぎるかなといった場合に、この一四・六%という加計学園の二十一億円が少し高いのではないかなというふうに思っているところでございます。

 そこで御質問なんですけれども、ずばり加計学園の設計料が幾らで、その金額は市場価格に比べて妥当なのか、ここのところについて御説明をいただきたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのございました岡山理科大学獣医学部の校舎等に係る設計監理委託料は、約四億三千万円と承知してございます。

 その上で、大学設置・学校法人審議会におけます設置認可の審査に当たりましては、教育研究内容とともに、その教育研究を行うにふさわしい施設が備えられているかということを確認されることになってございます。

 このため、校舎などの建物については、審査基準において最低基準額は定めてございますけれども、一方で、経費の上限あるいは平均的な単価ということについては基準を定めていないところでございまして、したがいまして、お尋ねのございました、設計費用が平均的な相場の金額であるかどうかということについては、審査の観点では含まれていないところでございます。

日吉分科員 ありがとうございます。

 四億三千万円、それは設計費用だけなのか監理料も含まれているのかをちょっと確認させてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 この経費につきましては、設計監理委託料という費目でございますので、監理委託ということも含めた数字だと考えてございます。

日吉分科員 そうしますと、いろいろな報道等で聞いた情報によりますと、加計理事長の御夫人が役員を務められている加計学園のグループ会社である株式会社SID創研、こちらにお支払いをした金額が四億三千万円、こういった理解でよろしいでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども確認してございますのは、この設計監理料につきましては二社が共同で委託を受けたということでございまして、そのうちの内訳はちょっと、恐縮でございますけれども、存じてございません。

日吉分科員 ありがとうございます。

 昨年の十二月一日の文部科学委員会で、私、質問をさせていただきました。加計学園の建設につきまして、建設業者の決定そして建設費の決定に際してお尋ねさせていただいたときに、林大臣からの御答弁で、「学校法人の公共性の観点、また、校舎整備に対して自治体からの補助金支出が予定されている、こういうこともありますので、加計学園において必要に応じて丁寧な説明がなされることが望ましい、こういうふうに考えております。」との答弁がございました。

 これを踏まえまして、大臣といたしまして、そうはいっても加計学園の建設費が高いとかこういった状況がございます、それにつきまして、加計学園の方に対しまして、もう少し丁寧な説明をするというような御指導というか、こういったものをなされるかどうか、こういったお考えがあるかどうか、ちょっとお伺いできますでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、昨年の十二月一日の文部科学委員会におきまして、今御指摘のあった校舎の建築費や建築業者の決定につきましては、学校法人の公共性の観点や校舎整備に対して自治体からの補助金支出が予定されていることから、加計学園において必要に応じ丁寧な説明がなされることが望ましいと答弁をいたしました。

 その後、事務方から、国会において建築業者等の決定についてお尋ねがあったということと、それから加計学園において必要に応じて丁寧な説明がなされることが望ましい旨の答弁をいたしましたということを加計学園に伝えておるところでございます。

日吉分科員 その後、加計学園としましては、何か対応をされているようなところがあるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 加計学園の説明の状況につきまして、法人側に確認したところでございますけれども、現時点では、これは御案内のとおり、今治市からの補助金についての手続が進んでいるということ、あるいはその金額の妥当性等について検証する第三者機関が設けられたことという事情がございますので、現時点においては、今治市に対する必要な説明、情報提供を中心に対応を行っているという状況だというふうに考えてございます。

日吉分科員 ありがとうございます。

 そういった御指導をいただくということは非常にありがたいことだと思います。

 ただ、このスーパーコンピューターの問題にしましても加計学園の問題にいたしましても、国のお金が入って、それをグループ企業等に使っているのではないか、使っている、こういった現状がある中で、その内容というのが上場会社ではないので事細かに公開されない、こういった、ある意味限られた空間の中で取引が行われているという状況によって、国民の皆様もいろいろな疑問や疑惑等をお持ちになるというふうに思っております。

 そういった意味でも、こういった、もう少し情報開示ができるような制度を今後検討していただくということもお考えいただければなというふうに思っております。

 そして、時間が大分なくなってきましたが、最後にもう一つ、ちょっと話題はかわるんですけれども、働き方改革というのが今国民の皆様の間で非常にクローズアップされているところでございます。先般の予算委員会、こちらで、裁量労働制で働く方のデータにつきまして、安倍総理がこれは撤回しましておわびされた、こういった状況がございます。

 そもそも、働き方改革、裁量労働制によって、働き方の格差の是正とか、同一労働同一賃金、長時間労働を是正していく、こういったことが求められるのかなというふうに考えております。

 そんな中で、教育の現場で働く先生方、職員の方々の状況について、林大臣、率直に今の状況をどのようにお考えになっているのか、お教えいただけますでしょうか。

林国務大臣 昨年四月に公表いたしました教員勤務実態調査の速報値における教師の勤務実態を踏まえまして、教師の業務負担の軽減を図るということが喫緊の課題であるというふうに認識しておりまして、もう委員も御承知のとおりだと思いますが、小学校で五十七時間二十五分、中学校で六十三時間十八分、こういう勤務時間ということでございますので、喫緊の課題として取り組んでいかなければならないと思っております。

 昨年六月から、中教審において、学校における働き方改革に関する総合的な方策について御審議をいただきまして、十二月に中間まとめが取りまとめられたところでございます。これを受けて、文科省では、学校や教師の業務の役割分担や適正化、これを着実に実行するための方策などを盛り込んだ緊急対策を取りまとめまして、学校における業務改善や勤務時間管理等に係る取組の徹底とあわせて、文部科学事務次官通知により各教育委員会へ周知したところでございます。

 また、学校における働き方改革を推進するために必要な経費を平成三十年度予算案に盛り込んでおります。

 今後とも、教師の長時間勤務の是正に向けて、教育関係者と一丸となって対処してまいりたいと思っております。

日吉分科員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁の中で、やはり先生方の仕事量が多いし、そういったところで現場は非常に大変な状況かと思っております。実際に私も現場で働く先生方のお話、こういったことを聞きまして、本当に大変な状況なのだなとつくづく思っているところでございます。そのために、先生の状況によって、人それぞれあるかと思います、一緒くたにみんな条件が同じかということではないかとは思いますけれども、やはり、それぞれの方々がしっかりと、当初、この教師という仕事、学校で働くという希望を持って、その志を遂げていくために、充実した職場の生活ができるようにいろいろな改善をこれからしていかなければならないのかなというふうに思っております。

 やはり、人をふやすだけではだめでありますし、システムそのものも大きく変えていかなければならない、こういったお話も伺っております。そういった意味で、きょうはもう時間になりましてこれで終わりますけれども、今後、いろいろとまた大臣にその働き方についてお伺いしていきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

福井主査 これにて日吉雄太君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、文化財の問題について質問したいと思います。

 まず、文化財保護の目的について確認しておきたいと思います。

 文化財保護法は、その目的をどのように規定しているか、まずそこから始めたいと思います。大臣、お答えください。

林国務大臣 文化財保護法、その第一条において、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」、こういうふうに一条で規定をしております。

穀田分科員 要は、文化財が国民的財産であるということを含めておっしゃっているわけですよね。大臣からありましたし、保護法にはそう書いています。その目的の達成のために、これまで、保護すべき文化財の指定、指定文化財の管理、保護、公開、調査、記録の作成など、長年にわたって関係者が努力してきたことに私は改めて敬意を表したいと思います。

 そこでお聞きしたいんですが、昨年十二月八日に発表された文化審議会の第一次答申、「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」では、文化財の保存と活用に関する基本方針として、文化財の保存と活用は、互いに効果を及ぼし合い文化財の継承につなげるべきで、単純な二項対立ではないとしており、これを受けて、新しく今準備されておられる文化財保護法の改正案の説明文によると、「経済の振興の核」としています。

 これは、文化財の保存に重点を置いてきた従来の方針と大きく違って、経済振興、すなわちもうかることを基準にする大後退じゃないかと思うんですが、大臣の見解をお示しいただきたい。

林国務大臣 昨年の十二月の文化審議会第一次答申、「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」においては、冒頭で文化財の保存と活用に関する基本的な考え方を整理しておりまして、「文化財の保存と活用は、共に、文化財の次世代への継承という目的を達成するために必要なものである。」としております。この答申では、「文化財の保存に悪影響を及ぼすような活用はあってはならない。」とも言及をしておりまして、何か保存より活用を重視するということでは一義的にはないというふうに考えております。

穀田分科員 私だけが危惧を抱いているわけじゃないんです。

 私も大臣が持っておられる答申を持っていますよ。確かに文章はそう書いているんだけれども、先ほど述べたように、この文化財保護法の改正の概要には、ちゃんとそういう中で地域の文化や「経済の振興の核」としてと書いているわけですよね。

 それで、単に私が危惧しているだけじゃなくて、メディアも、例えば「読売」の方は、「活用の目的とは何だろうか、収益さえ上げればよいのか」、こう報じています。また、「朝日」は、「思い出すのは、一番のがんは学芸員、観光マインドが全くない。この連中を一掃しないとという山本幸三前地方創生相の暴言であります」、暴言だと書いているんですよ。そして、「学芸員の仕事に対する理解を欠き、先人が守ってきた遺産を、単なる金もうけの道具としてしか捉えない考えが透けて見えた。最近は文化庁も文化で稼ぐをアピールする。だが、目先の利益とは別の価値を大切にし、その意義を説くことこそ、本来の役割ではないか」、こう言っておられるわけです。

 こうして見ますと、必ず活用と保存という言い方をされるんだけれども、そっちにシフトしているんじゃないかということを私は言っているんですよね。その際に、そういうふうに見てみると、事実、文化庁の平成三十年度予算の概算要求、第二項目めの「かけがえのない文化財の保存、活用及び継承等」には、「文化財で稼ぐ」という文言がきちんと出ているんですね。やはりそうかと思うんですよ。今探しておられるんでしょうけれども、あるから。

 そこで、日本歴史学協会が昨年十月に声明を出して、この方向は、つまり今の第一次答申ですね、「もうかる文化財とそうでない文化財という価値序列を創出しかねず、地域の文化、教育にとって特に重要な文化財であっても、短期的かつ金銭的な利益を生まなければ顧みられることがなくなる恐れがある」、こういうふうに言って、文化財保護法の目的、理念と乖離すると警告している状況があるんですね。そのことを私は踏まえる必要があると思っています。

 したがって、文化財保護行政は、やはり自然や文化と歴史の保護の観点を貫くべきであって、もうけ第一などという転換は絶対許されないということを指摘しておきたいと思うんです。

 あわせて、大臣、一言言っておきますと、答申では、この文化財行政と権限を、教育委員会文化財保護課から開発行政を主に担う首長部局に移すことも可能としています。これは、教育委員会の果たしてきた歴史的な役割を後退させるものじゃないかと私はこれまた危惧している、ここも厳しく指摘しておきたい。腹におさめておいてください。お互いに、どうなるかということを見ようじゃありませんか。

 そこで、私は、文化財保護のための技術者、技能者の育成について質問したいと思います。

 私の地元で、日本共産党京都府会議員団は、文化財修復に係るアンケートというのをやっていまして、業者の要望を聞き取っています。それをもとに、三回にわたる文化財修復事業者懇談会・シンポジウムを開催してまいりました。その内容をもとに、ポイントを絞って質問をしたいと思うんです。

 まず、文化財を守るための技術者、技能者の育成、若手継承者の育成についてです。

 一人前の技術者、職人になるにはおよそ十年の年数がかかる、それは、単に年数ということではなくて、あらゆる現場を経験して初めてさまざまな現場要求に対応できる一人前の技術者、職人になれると、巷間、特に京都では言われています。

 今触れたアンケート調査で、「それぞれの仕事で一人前になるには何年かかるか、その養成にはどのような支援が必要か」という問いを私どもは出しているんですね。

 それに対して、畳職人は、「畳の仕事がどんどん少なくなっている現状です、伝統的な仕事の量がふえなければ若い人の養成もままならない」と。また、宮大工さんは、「宮大工の仕事には頭脳と肉体労働が表裏一体、不可分、新人の見習期間中は、ほとんど戦力にならないが、賃金は世間並みに支払うので親方の経済的負担が大きい」、「弟子を抱える親方に賃金補助がほしい」と述べています。

 そこで、現場では、文化財を守るための伝統工法だとかそれの継承、さらに技術者、技能者の育成のために、本当にいろんな努力が払われています。文化庁としては、若手育成のために課題がどこにあると認識しているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

中岡政府参考人 先ほど委員御指摘のように、技術、技能を習得するためには、熟練の職人等による一定の年月をかけた指導が必要でございます。

 課題といたしましては、そもそも特殊な分野でございますので、後進の指導を行える職人等の数が今非常に少ない、多くないということ、また、日本人の生活様式の変化等によりまして、伝統的な技術、技能を習得いたしましても、それを発揮できる機会が減少しているということなどがあるのではないかと考えております。

 今月、文化審議会が取りまとめております答申におきましても、文化財の修理等の文化芸術の担い手につきましては、その育成、確保が求められていることが指摘されているところでございます。

穀田分科員 何かというと様式の変化といつも言うんだけれども、それを決まり言葉みたいに言っていたらだめですよ。それにどうあらがっていくのかということを、方向を示さなんだら、そんなことを言われた日には、やっている人たちはどうしようもないよ。文化庁までそんなことを言い出していたら、誰が助けてくれるんだと私は思いまっせ。

 そこで、私は、若い職人さんを育成する、今担い手の問題がありましたけれども、最低限二つ大事なことがあるんじゃないかと思っているんです。

 一つは、親方はもとより、若い職人の生計が成り立つだけの賃金保障。

 二つ目には、経験を蓄積できるだけの仕事の確保、そして受注機会の保障ということが私は必要だと思うんですよね。それがあれば、さっきありましたように、生活様式がどう変化しようと、ええものはええ、それから、そういう工法が大事だとか、そのよさをはっきりさせればできるんですよ。それなのに諦めはっては困るんですよ。

 そこで、私は、この賃金保障と受注機会の拡大にとって大きな弊害となっているのが文化財修復における大手企業の一括発注じゃないかと思うんですね。

 大臣、聞いてほしいんだけれども、例えば姫路城の屋根瓦の修理工事はどうだったか。

 この工事は鹿島建設を中心とするJVに一括発注されたんですが、屋根瓦はおよそ八万枚、一枚一枚の、テレビでもごらんになったと思うんですけれども、瓦の調査を行って、種類や寸法、使用箇所、取付け位置、保存状態、そして屋根の形状まで実測し、詳細に記録する。文化財工事では、使えるものはできるだけ再利用するのが原則だから、解体した瓦は、汚れを落とすために研磨、水洗いし、反りやゆがみ、割れなどの状態を確認し、選別する。姫路城の場合、八割が再利用され、約一万六千枚の瓦が新たに作製されたと聞きました。

 専門家の見積りで、この工事には少なくとも三億二千万円かかる。ところが、鹿島は一億五千万で下請に工事を丸投げした。兵庫県の業者が落札したが、結局工事ができなかった。そこで、奈良県生駒市の業者が、一億五千万で受けて、赤字覚悟で、職人の意地をかけてやり上げたと聞いた。

 この事実を掌握してありますか。

中岡政府参考人 文化庁におきましては、国宝姫路城大天守の管理団体でございます姫路市が、平成二十一年から二十六年度にかけまして実施した保存修理事業に対しまして補助を行っております。

 この補助事業の実績報告書におきましては、工事請負契約書の写しの提出を求めておりますので、工事に要した総額については把握はしておりますけれども、元請業者と下請業者との契約額については承知をいたしておりません。

穀田分科員 そういうことだからだめなんですよ。下請がやって、実際に働いている人たちの、先ほどの生活様式なんて関係ないんですよ。仕事しとんのやから、仕事をしている人たちがどういう給料をもろうているか、この人たちが大丈夫かと聞けばしまいですやんか。しかも、こんなこと、世の中は全部知っているんですよ。知らないのはあなただけで、知っていればもう話しているわけだけれども。あなたも知っているわけでしょう、こういうひどいことをやっているというのは。ひどいのかどうか、あれなんだけれども。

 日本初ですよ、その世界文化遺産の修理が、ホームページを見たら出ていますやんか、赤字覚悟で、業者の意地で仕事をするというようなことで支えられてええのかと。現行の制度下でも、受注した大手企業、ゼネコンに対して、下請単価を保障するように厳重に指導、点検し、大企業の社会的責任を果たさせるように求めるべきではないですか。そのことがやはり若い人たちの育成につながるということから見なくちゃならぬと私は思います。ですから、そんな通り一遍の話をしちゃだめですよ。

 そこで、それやったらもうちょっと聞きましょう。

 素屋根のような大規模仮設工事と一般的工事をジョイントしたゼネコン一括発注になると、下請の業者はたたかれて、単価の切下げが工期の短縮を引き起こして、親方は若手職人に技術を教える時間さえない、こうした事態が常態化する。これでは到底生計が成り立つ仕事と言えないし、親方は若い後継者の育成などできない。だから、そういう意味でいうと、先ほどの事実は知らないか知っているかは別として、こういうやり方の一括発注が弊害をつくっていると思わないか。どうですか。

中岡政府参考人 補助事業の遂行に当たりましては、補助金の適正かつ効率的な使用が求められております。

 また、補助金という性質上、その使用手続の透明化を確保することが重要であることから、補助事業者が地方公共団体以外の者である場合には、地元地方公共団体の会計規則などの定めに準拠して実施するよう指導しております。

 さらに、極端な安価での契約になりませんように、最低制限価格制度が設けられている場合にはそれを導入するよう指導しており、一括発注が必ずしも下請業者の負担に結びつくものとは考えておりません。

穀田分科員 じゃ、大臣に聞きますけれども、今言いましたように、少なくとも三億二千万かかるのを一億五千万でやるのが安価なやり方と思われませんか。そういう話が出ていたら、ほんまかと聞くのが筋じゃないですか。日本で初めて世界遺産に選ばれたもので、しかも、いわば技術の結集が求められている、こういうときに丸投げしたらこうなっている、これで若い職人が育つのかという角度で物を言っているわけですやんか。それを一般論の原則をとうとうと述べたって、それはみんな、姫路城にかかわっている人たちがこれで納得すると思いますか。

 ほんまに文化財を大事にしているんやったら、もうちょっと突っ込んだ話をするのが当たり前じゃないかと私は思うんですが、大臣、いかがか。

林国務大臣 一般的なルールについては今文化庁が説明したとおりだと思いますが、委員から御指摘のあったように、姫路城というものは世界に冠たる文化財でございますので、どういう状況であったかというのはしっかりと注視をしてまいりたいと思います。

穀田分科員 注視をしていただき、もう少し洗っていただければ、私はよくわかると思います。そのことがまた、地域経済をどう振興するのか、文化の今後の発展にどう寄与するのかという長い目で見たら、私はよくわかっていただけると思うので。

 そこで、私は提案したいんですけれども、ある意味では、そういう意味で国宝だとか文化財、建造物、そういう立派なもの、こういう補修工事の場合、今ありましたように、当然、会計規則でやるわけですけれども、大手企業への一括発注じゃなくて、分野、工事、種類ごとに分離分割発注を基本とするよう制度改善をすべきじゃないか。そのために、都道府県等は、経験と技術を持つ事業者をあらかじめ名簿登録しておいて、丁寧な分離分割発注を行うことによって、工賃を保障し、若手育成をできるようにすべきではないでしょうか。

中岡政府参考人 委員から御提案がございました分離分割発注でございますけれども、大規模な保存修理工事の場合には、分割発注いたしますと、現場管理や工程管理を一元的に行うことが困難となり、契約事務の複雑化、煩雑化とか、工期の長期化、工事経費の増額にもつながる可能性がございます。

 このため、分割発注につきましては、工事内容や規模などを十分に勘案した上で導入を検討すべきものと考えております。

穀田分科員 工期などというのは逆なんですって。今、単価を下げることによって、それでこれだけしかやらぬから工期が短くなるんですよ。

 現場へ行ってごらんなさい。そんなのは、分割発注したからふえているんじゃないんですよ。大手が一括発注を受けて、それで、これだけしかやらないから金をこれだけやると。そうしたら、長い期間できへんから工期が狭まるんですよ。そんなことも知らぬの、あなた。そんなのは、現場に行ったら、職人に聞いたら一言でわかりますよ、そんなこと。だから私は、デメリットばかり言ったけれども、メリットがあるんですよ、これは。

 現実に、例えば、京都府の教育委員会文化財保護課は、やはり修復事業にかかわる専門技術者や宮大工を直接雇用して、日ごろから競争入札参加資格者名簿を作成し、国宝、重文の修復については、行政が文化財所有者から直接受託し、工事を屋根工事、塗装工事、金具工事など種別に分割して発注しているわけです。そのことによって管理ができへん、そんなことはないですよ。ちゃんとできているんですって。だから、そういう意味でいいますと、原則、約九割が京都の府内の地元業者に発注されるという効果もできるわけですね。

 ですから、私、質問を四個も取り下げたけれども、もうちょっと、デメリットの話をちょこちょこっとするんじゃなくて、こういうメリットもありますというぐらいのことを考えてくれな、聞いている方はみんな驚きまっせ、そんなこと言うておったら。あきまへんで、それでは。

 そこで、私は、じゃ、もう一つ聞くけれども、安定した仕事の確保の見通しと申請実務、それこそ実務が煩わしいというんでしょう、さっき言うてはったやんか。そういうものを、煩わしさを解消することからいえば、工事の複数年契約を奨励、指導すべきだと思うんですが、それはいかがですか。

中岡政府参考人 委員の方から、複数年契約の御提案をいただいたところでございます。

 この文化財の補助事業の工事契約に関しましては、確かに、京都府、滋賀県、奈良県におきましては、工事内容により複数年契約を導入しておるということは承知しております。

 しかしながら、国からの補助金でございますけれども、単年度ごとの交付をしてございまして、複数年の交付を確約はできないということでございまして、次年度以降の工事費の支払いに支障が生じる可能性がございます。慎重な判断も必要となると考えております。

穀田分科員 可能性があるということは否定しないです。だけれども、現実は、きちんと大体は出している。

 あかんかったという例はほとんどないということも言ってくれな。すぐ、そういうあかん話ばかりして。こういうこともあるんですが、こうなんですって現実は、そこを言ってくれな。私は、それを知っておるねんから、そういうことはやるべきだというふうに思います。

 もう一つ、やはり伝統技術の継承への補助の拡充、事業者の社会的評価の向上について、これは大臣に答えてほしいんです。

 やはり京都の職人集団が培ってきた技術というのは、千二百年の歴史と伝統、技が分業構造のもとでしっかりと引き継がれてきています。建築技術、錺金具、左官、瓦、建築板金等々、在来工法建築や仏像、それから各種工芸品などの修復には、この匠の技が不可欠であります。

 ところが、文化財保護を支える選定保存技術保持者、保存団体について、個人についての一定の補助と、団体については三十二団体に約二億九千万円が補助されていますけれども、一つ一つの団体への補助は定額のまま据え置かれています。

 私は、この際、業界や関係団体の意見をよく聞き、保存団体の伝承者養成の努力への正当な評価を行い、補助枠の拡大と一つ一つの団体への補助金の引上げを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 文化庁においては、文化財の保護のために欠くことのできない文化財の修理技術やそれに用いられる材料、また道具の製作技術、今先生から御指摘があったところでございますが、文化財保護法に基づいて選定保存技術として選定し、その保持者や保存団体が行う伝承者の養成、技術の向上等に要する経費について補助を行っております。

 これらの保持者、保存団体に対しては、文化庁の文化財調査官が毎年訪問するなどして実情検分や意見交換、こういうものを行っているところでございます。そこでいただいた御要望や御意見などについては、職人の技術の継承、発展に向けた文化庁の事業に可能な限り反映するなど、適切な支援に努めてまいりたいと思っております。

穀田分科員 私は、現場で行われている努力に対して、一人、個人の方でいいますと、伝統の技術保持者、これは亡くなられたら新しくやるのは、それはそのとおりなんですけれども、やはり今、もう一度それらの裾野を広く評価するという必要があるんじゃないかということを言っているわけであります。

 それで、あと、今大臣から原材料とありましたので、原材料の問題について聞きたいと思うんです。文化財修理に欠かせない漆なんです。

 文化庁は、ことし四月一日から、国宝、重文の修復には、原則として国産漆の使用を求めています。

 漆は、古くから、漆器の塗料や京仏壇等に代表される金箔押しの接着剤として活用されて、伝統的建造物の修復には欠かせない原材料であります。

 現状は、安い中国産の漆に押され、国産漆では日本の岩手県の浄法寺が中心で、国内需要の数%でしかありません。国産材をふやす以外にない。

 産地を見ると、私の地元京都では、福知山市夜久野町は、かつて漆の一大産地であって、明治時代には漆掻き職人が五百人もおられたが、今や数名なんですね。それでも、現地では植栽に取り組んで、京都府緑化センターにおいて品種の改良の研究がなされていると聞いています。

 原則、国産漆の使用を求めるならば、国として本格的な支援を行うべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 委員御指摘のように、平成二十七年の二月の通知で、原則として国産漆を使用するということをお願いしておるわけでございますけれども、そのためには原材料が必要不可欠になるわけでございます。

 特に、供給の逼迫している、先ほど御指摘の漆などの植物性資材の安定的な確保を図るために、文化庁におきましては、その産地をふるさと文化財の森として設定をしておりまして、夜久野の丹波漆につきましては、平成二十年にふるさと文化財の森に設定しているところでございます。

 このふるさと文化財の森設定の所有者等を対象にいたしまして、資材採取等の研修、あるいは普及啓発活動の実施、ふるさと文化財の森管理業務支援事業を実施しているところでございます。

 今後とも、関係機関とも連携をしながら、修理用資材の安定的な確保や普及啓発を促進してまいりたいと考えております。

穀田分科員 私は、やはり病害虫のリスク対策だとか植栽及び漆生産の技術支援などをやって抜本的に強めなければ、国産材の使用を唱えていながら、やるというのは無理なんだよ。価格は中国の方が安くて、しかし、実際は品質は抜群なわけですよ、使ってみたらすぐわかるという代物ですからね。私は、業者の意見をしっかり聞いてやってほしいと思うんです。

 今、植物材のお話が出ましたから、私はもう一つ、別の方の、鉱物性資材のことについて一言言っておくんですけれども、深草土があります。これは、古くから建物の壁や瓦屋根のふき土、土間のたたきなど、良質な原材料として、京都でも二条城を始めとする寺社仏閣などさまざまな文化財建造物に使用されて、日本でピカ一の土と言われています。

 文化庁指定の文化財壁技術保存会、つまり左官ですな、それから伝統瓦技術保存会など、関係者から材料確保と採掘の要望が出されていると思うけれども、文化庁の事業は、現時点で、檜皮や漆など、先ほどありましたよね、植物性の資材の確保に向けた事業が主となっている。

 植物性資材とともに、深草土など鉱物性資材の確保を支援して、文化財修復の良質な資材が将来にわたって安定して供給されるようにすべきだと思うんですが、大臣の所見をお伺いしたい。

林国務大臣 我が国の貴重な文化財を確実に後世へ伝えていくためには、先ほどの漆のような植物性資材のみではなくて、今御指摘のあった鉱物性資材の重要性、これも同様に大事なことである、こういうふうに思っております。

 植物性資材とは異なって再生できない鉱物性資材でございますので、どのような取組が可能か、今後検討してまいりたいと思っております。

穀田分科員 長らく要請しているものでして、そろそろそういうものに踏み切ってほしいと思うんです。

 時間もそろそろ来ていますからあれですが、最後に、私は先ほど、一番最初に文化財の、文化審議会の第一次答申の話をしましたよね。そこにこう書いているんです。「文化財を守る技術者、技能者や原材料の確保などに係る現行制度の見直しと今後着手すべき施策」というのが一つ。二つ目に、「文化財修理に関して、職人等の資質を担保する仕組みなど修理事業の質の維持向上と人材育成の質の施策」など、重要な課題とされつつ、これらが「中長期的観点から検討すべき課題」とされています。

 今、私がずっと質問してきた内容はこのことなんですね。現行制度の見直しを、特に技術者、技能者、原材料の確保、これと、文化財修理に関しての資質を担保する仕組み、そして修理事業の質の向上、人材育成、こういった問題が、単に中長期というだけじゃなくて、私は喫緊の課題と考えるんです。ですから、その点で、今手を打たなければならないということを私は強調したいと思うんですね。だから、審議会の第一次答申の中長期じゃなくて、喫緊の課題として捉まえてやっていただきたい。

 その件を最後にお伺いして、終わります。

林国務大臣 中長期というのは、今やらなくていいということではもちろんないとは思いますけれども、きょう大分具体的なお話もいただきましたので、しっかりと、すぐにできることはすぐにやるという精神でもって取り組んでまいりたいと思います。

穀田分科員 終わります。

福井主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

西岡分科員 希望の党、長崎一区選出、西岡秀子でございます。

 本日は、予算委員会分科会におきまして発言の機会をいただきました。心より御礼を申し上げます。

 また、本日の第四分科会における最後の質問者でございます。大臣を始めといたしまして、大変長時間お疲れのことと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、教育は国づくりの基本であるというふうに思いますし、子供たちが、生まれた環境にかかわらず夢と希望を持って成長できる社会をつくっていかなければならない、この思いを持ちまして、本日質問をさせていただきます。

 まず、少子化社会におけます大学のあり方について質問をさせていただきます。

 先日、大学進学者についての統計が文科省より出されたと思いますけれども、その数字につきまして教えていただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 現在、中央教育審議会においては、我が国の高等教育の将来構想について議論していく中で、今後の高等教育の規模について推計を行っているところでございます。

 これまで、我が国の十八歳人口は減少する一方、今までは、大学進学率が大きく上昇していることから、大学進学者数自身はむしろ増加傾向にあったところでございます。

 一方、今後少子化が進行していくという中において、今後の推計を今現在しておりますけれども、その中においては、都道府県別、男女別の進学率の相違を勘案しながら、これによりますと、二〇一八年以降は、十八歳人口のより一層の減少に伴いまして、大学進学率の上昇が一定程度見込まれたとしても、大学進学者数は減少局面に入りまして、中教審の出しました推計によりますと、二〇四〇年には、二〇一七年と比較しまして約十二万人の進学者数が減少するというふうな見込みになっているところでございます。

西岡分科員 今御説明がありました、二〇四〇年の大学進学者数が昨年一七年度よりも二割減の五十万六千人になるとの推計が出されております。また、十八歳人口は、一七年度の百十九万八千二百九十人から、四〇年度には八十八万千七百八十人に減るという推定が出ております。

 既に今、定員割れをしている私立大学も増加をいたしております。少子化の進展の中で、今後の大学進学の見通しを踏まえた上で、今後の大学のあり方につきまして、大臣にその所見をお伺いいたします。

林国務大臣 今局長から答弁をいたしましたように、十八歳人口が減り始めてから、ことし、去年ぐらいまでは入学者はふえていたということですが、ことしから、まさにこの入学者が率を凌駕して、減っていくということになりますので、ちまたでは二〇一八年問題などとも言われておるわけでございまして、そういう時代を迎えたということに加えて、第四次産業革命が進展し、ソサエティー五・〇になっていくということを見据えますと、この成長を担う質の高い人材育成を進めるためには、今後の高等教育の規模も視野に入れた、地域における質の高い高等教育機会の確保のあり方について検討する必要があると思っております。

 昨年三月に、中教審に対しまして、我が国の高等教育に関する将来構想について諮問を行いまして、それを受けて、国公私の設置者の枠を超えた連携、統合等の可能性、この検討がされているところでございます。

 中央教育審議会大学分科会の将来構想部会におきましては、地域における大学、地方自治体、産業界、これの連携強化、また、国立大学の一法人複数大学方式、さらには私立大学の学部・学科単位での円滑な事業譲渡の方法等について御議論をまさにいただいておりまして、昨年末に、今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理が既に取りまとめられているところでございます。

 中教審において引き続き専門的な議論を進めていただきまして、その結論を踏まえて適切な対応をしてまいりたいと思っております。

西岡分科員 今大臣から御説明がありましたさまざまな取組がなされておりますことは、大変意義深いことであるというふうに思っております。

 その大学改革に関連をいたしまして、今国会に、内閣府提出予定の、地域における大学振興及び若者の雇用機会創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案の中に、特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制という法案がございます。

 若者の東京一極集中を是正して、地方に若者の雇用の場を創出するという方向性は、私、大変評価し、支持をしたいというふうに思いますけれども、今回の抑制法案は、特に全国の私立大学にとりまして大変深刻で複雑な問題であるというふうに思います。

 十年の時限立法でございますけれども、これからの十年というのは大変大切な時間であるというふうに考えます。学問の自由や教育を受ける権利に対する重大な制約であるという意見書が文科省に出されたということを承知いたしております。

 この法案に対する大臣のお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学は、高等教育への就学機会の提供のみならず、地域のニーズに応える人材育成や研究の推進などの重要な役割を担っているところでございます。

 一方、地方の多くの若者が東京に転入してきている現状がございますけれども、今後、十八歳人口が大幅に減少していく、二〇一六年には約百二十万人ございました十八歳人口が、二〇四〇年には、先ほど委員御指摘のとおり、約八十八万人に減少していくというふうなことが見込まれる中におきまして、現在、東京二十三区のみで四十六万三千人と、既に全国の学生数の一八%を占めているということ、それから、二〇〇二年から二〇一七年の間に東京二十三区の学部の学生が八万人増加している一方で、東京二十三区を除く東京都におきましては一・四万人、あるいは埼玉では〇・九万人減少するなどの形で、かなりバランスが悪い形になっているところでございます。

 そのために、今後も二十三区の大学の定員増が進み続けますと、東京一極集中がますます加速しかねないこと、さらには、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じまして、地域間での高等教育の就学機会の格差が拡大しかねないなどの懸念がなされることから、二十三区におきましては、大学の国際競争力の低下などが生じないように留意しながら、今回、政府として、大学の定員増を抑制することが必要であるという形での整理をしているところでございます。

 もとより、委員が御指摘のとおり、国際競争力を考えていくとか、あるいはソサエティー五・〇の中において、新しいニーズに応えるような大学の新陳代謝を図っていくことは非常に大事でございます。

 その観点から、二十三区での定員規制の例外措置として、スクラップ・アンド・ビルドによって新しい学部・学科を設置するとか、あるいは社会人ですとか留学生については例外措置をするとか、あるいは大学院については例外措置をするとかいうふうな形での取組を、専門家会合での御議論を踏まえまして、そういう形で法案の中に盛り込んでいるところでございます。

 もとより、文科省としましては、都市部の定員抑制のみならず、地方大学の活性化が極めて重要であると考えております。この法案においても、地方の大学の振興策という形での新しい支援の枠組みということについても法律事項として盛り込んでいるところでございますが、私どもとしましても、地方創生を担当します内閣官房と引き続き連携しながら、地方大学の振興にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 今御説明がありましたように、私も長崎選出でございますけれども、長崎も大変若者が都市部に流出をいたしておりまして、大変若者の県外流出が長崎の人口減少の大きな要因になっているという意味では、地方大学に本当にお力をいただいているということは大変ありがたいことであるというふうに思っております。

 ただ一方、この問題は東京だけの問題ではなくて、全国的に同様な問題があって、私は大変全国的な視野が不足をしているのではないかということをきょうは指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げました、私、長崎でございますけれども、九州においても、また北海道、東北、近畿など、その区域内での特定の都市への一極集中という問題も大変深刻な問題としてございます。

 また一方で、国公立大学の地方移転などの議論というものが、私は全て承知しているわけではないんですけれども、十分になされていない面があるのではないかというふうに思っております。

 地方創生という中での議論と別に、文教政策が大変場当たり的な対応を続けていくことによって、全体が大変整合性のとれない形となって、また、この対応で、間近に迫っている危機に対しまして本当にその解決に資するのかということについても、もっと根本的な議論が必要ではないかという視点を私は持っております。

 このことについて、大臣の所見をもしお伺いできればと思います。

林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 私も山口でございますので、東京に行く人もいますけれども、それより多くの方が九州の福岡とか広島へ行くということがどうしてもあるわけでございますので、ただ、一番規模的に、今、局長からお話をしましたように、八万人という数があるということで、ほかの、北海道ですと札幌ですとか、東北ですと仙台とは桁違いの流入というのが行われているというのも一方で事実でございますので、そういういろいろな意見も、御議論も踏まえまして、十年ということで時限を切ってやっていこうということになったと承知をしておりますので、このことだけで地方創生をやるということではなくて、今答弁しましたように、地方大学の振興をしっかりと図って、それも大学だけではなくて、その地元の経済界の皆様等々、皆さんと一緒になって、一体この地域でどういう大学が地域の目指す姿として必要なのかということを地域の皆様と一緒になってやっていく、こういう枠組みが大事なのではないかというふうに考えております。

西岡分科員 今大臣からございました、きらりと光る大学づくりということで、地方にいる者にとりましては、地方大学が大変磨きをかけていく、そしてまた地方の雇用をみずから地場産業として創出をしていくということは大変ありがたいことだというふうに思っておりますけれども、先ほど大臣も、問題点を共有していただいているというふうに思いますので、文部科学行政の中で、この一極集中というものが、そういう全国のさまざまな区域の中で、東京だけではなくて起こっていることも含めて、この大学改革についてぜひお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 続きまして、私学振興についてお尋ねをさせていただきます。

 大臣御承知のように、私立学校は、本当に長年にわたって、公教育の役割、またそして独自の理念に基づいての教育というものは、日本の教育において大変重要な役割を果たしてきております。

 先般、私も、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願というものをお受けをいたしました。日本は、家庭における教育費の負担が諸外国に比べて大変重く、特に、公私間格差を含めて、私学の教育費の負担軽減というものは大変喫緊の課題でございます。

 平成三十年度予算におきまして、高等学校以下の私立学校経常費助成国庫負担分総額が増額計上されましたことは大変評価をいたしたいというふうに思いますし、公私間格差是正に積極的に取り組んでいただいております。しかし、まだなお十分でないという現状がございます。

 また一方で、地域によって自治体独自で授業料の無償化や入学金の補助の創設が実現をいたしてきております。これは大変評価するものであるというふうに思いますけれども、一方で、実現できていない自治体も大変多く、住んでいる自治体によって学費の負担額の格差が生じているということも私は大変問題であるのではないかというふうに思っております。

 また、先般創設をしていただいた高等学校等就学支援制度というものは、今大変効果を現場で示しているというふうに思っておりますけれども、ますますこの制度が充実していくことを望んでおります。

 私学振興の裏づけとなっております私学振興助成法につきましては、昭和五十一年に成立をいたしましたけれども、これは大臣も御承知のことと思います。議員立法で成立をいたしまして、当時は二分の一の補助を目指していたということを聞いております。

 私学助成に対する大臣の現状の認識と今後の取組について、お話をいただきたいと思います。

林国務大臣 今お触れいただきました議員立法、委員のお父上が大変尽力されたということを我々も記憶しておるわけでございますが、私立学校は、幼稚園で約八割、高等学校で約三割、大学等で約七割の学生生徒が在学をし、建学の精神に基づいて、社会や時代のニーズを踏まえた個性、特色ある教育を実施しておりまして、我が国の学校教育の発展に質、量両面にわたって大変重要な役割を果たしている、こういうふうに考えております。

 私立学校振興助成法は、こうした役割の重要性に鑑みて、教育条件の維持及び向上、修学上の経済的負担の軽減、私立学校の経営の健全性の向上、これを図ることを目的として、昭和五十年に、先ほど申し上げましたように、議員立法により制定されたものでございます。同法は現在も私立学校の振興には大きな役割を果たしているもの、こういうふうに認識をしております。

 文部科学省としては、こうした法の趣旨を踏まえまして、引き続き、私立学校が社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育を行えるよう、私学助成の確保に努めてまいりたいと思っております。

西岡分科員 先ほど申し上げました地域間格差につきまして、少し御説明をいただけたらと思います。

林国務大臣 高校生等への就学支援でございますが、各都道府県において、国の支援に加えて、私立高校に通う生徒数や割合など、それぞれの地域の実情を踏まえて独自の支援に取り組んでおられる、こういうふうに承知をしております。

 昨年十二月に新しい経済政策パッケージを閣議決定いたしましたが、全国どこであっても、年収五百九十万円未満世帯を対象に私立高等学校授業料の実質無償化を実現すること、こういうふうにしておりますので、文科省としては、今後、その実現にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 また、その中においても、国の支援と都道府県の支援が一体となって教育費の負担の軽減を図ることが重要である、こういうふうに考えておるところでございます。

西岡分科員 どこに住んでいても、同じように私学に通う生徒さんたちが、またその家庭が、教育費の負担というものが同じように軽減をされていくということがやはり必要であるというふうに思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 次に、教員の働く環境につきまして質問をさせていただきます。

 これはもう大臣も御承知のとおりでございまして、教員の勤務実態調査によりますと、教員の皆様の過重労働の問題というものが大変深刻化いたしております。公立小学校の三割、また中学校の六割が過労死ラインを超える時間外労働を行っていて、大変社会問題となっておりますし、文科省における調査におきましても、そのデータが如実に出ているというふうに思います。

 時間外のほとんどの業務は、教員の自主的な活動と分類されているために、教員の皆さんに大変大きな負担がかかっております。現状は、子供たちに向き合うという本来の先生方の業務に専念できない状況があり、教員の先生にとっても子供たちにとっても、大変深刻な状況であるというふうに思います。

 昨年、中教審から、働き方改革の方策の中間まとめがあり、教員の業務の振り分けと勤務時間の上限を数値目標で示すことが文科省に要請をされました。

 教員の先生方の過重労働は、今、裁量労働制の問題が大変社会問題化しておりますけれども、基本的な問題点は同じであり、働く方の命にかかわる、また人生にかかわる重要な問題であって、早急な取組が必要であると考えております。現状に対する認識と今後の取組につきまして、お話をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 今御指摘いただきました、昨年四月に公表した文部科学省の教員勤務実態調査の速報値では、教師の勤務実態を踏まえ、教師の業務負担の軽減を図ることが喫緊の課題である、こういうことが明らかになりました。

 これを受けまして、昨年六月より中教審において、学校における働き方改革に関する総合的な方策について御審議いただき、昨年十二月には中間まとめをいただいたところでございます。

 これを受けて、文部科学省では、学校や教師の業務の役割分担や適正化を着実に実行するための方策などを盛り込んだ緊急対策を取りまとめ、学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底とあわせて、文部科学事務次官通知により、各教育委員会へ通知をしたところであります。また、学校における働き方改革を推進するために必要な経費を平成三十年度予算に盛り込んでおります。

 今後とも、教師の長時間勤務の是正に向けて、教育関係者と一丸となって対処してまいる所存でございます。

西岡分科員 関連いたしまして、このことを論じるときに、私は、やはり給特法の問題というものが論点として切り離せない問題だというふうに思います。

 半世紀も前に成立をした給特法は、現状と前提が大きく異なってきておりますけれども、給特法の存在によって、勤務実態を把握するということに必然性がなくて、長時間労働を生じさせているという声も多くございます。タイムカードなどで先生方の退勤の時刻を記録しているのは、小学校においては一〇・三%、中学校においては一三・三%にすぎないというデータもございます。

 まず、実際の退勤時間の把握が必要であるというふうに思いますけれども、そのための取組につきましてお尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘をいただきました、勤務時間をしっかりと把握することは、これは働き方改革のまず基本と考えております。

 これにつきましては、中教審においてもその提言をいただき、そして、各学校においてはタイムカードなどでしっかりと管理職が勤務時間を客観的に管理するということが提言されまして、先ほど申し上げました二月九日の事務次官通達においても、この点にしっかりと取り組むように、現在、各教育委員会を指導しているところでございます。

西岡分科員 大変難しい問題であるというふうに思いますけれども、給特法の見直しにつきまして、今現在、もし大臣の所見をお伺いすることができればと思います。

林国務大臣 現在の教師の勤務実態、今御指摘いただきましたように、かなりの時間働いて、過剰労働になっているということであろうというふうに思っております。

 この実態を踏まえて、先ほど来議論になっています、中教審に対して昨年六月に、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について諮問をしたところでございます。

 委員もお触れいただきましたけれども、昨年の十二月に中教審中間まとめを取りまとめていただきまして、給特法についても、「給特法の在り方も含む教職員の勤務時間等に関する制度の在り方については、引き続き議論を進めていく必要がある。」こういうことになっておりますので、こうした議論を踏まえつつ、慎重に検討していきたいと思っております。

西岡分科員 大変難しい、いろいろな問題があるというふうに思いますけれども、引き続いて、給特法につきましての議論もぜひ現状を踏まえた上で進めていただきたいというふうに思います。

 教師の皆さんへの負担が大変ふえているということに関連をいたしまして、平成三十二年度から、学習指導要領の改訂によりまして、小学校でのプログラミング必修化や英語教育の導入によって、現場に新たな負担が生じる懸念というものが今心配をされております。

 特に、プログラミング教育につきましては、今、自治体ごとに教育委員会において人材育成や指導内容の検討が行われておりますけれども、やはりなかなか、長崎もそうでございますけれども、プログラミングの必修化といっても、どういう指導内容にするのかとか、どういう人材を育成していくのか、確保していくのかということについて、やはり全国共通の、ある基本となる指針というものが必要ではないかという議論もございます。

 自治体間格差がない形でこの必修化がスムーズに進行するために、基本的な指針、その指導の指針というものが早急につくられるということが望まれますけれども、このことについて教えていただきたいと思います。

常盤政府参考人 今委員御指摘のとおり、新しい学習指導要領の中で、小学校でプログラミングに関する教育が充実をされるということで位置づいております。

 そのことをしっかりと学校現場で理解をしていただいて、教育を前進させるという観点から、現在、文部科学省の中でも、今おっしゃっていただいたような指針について検討を進めているところでございますし、また、さまざまな、アドバイザー等の派遣というようなことも支援として行っておりますので、そういうことを通じて、現場の先生方がプログラミング教育の推進に当たってしっかりと進めていっていただけるように、我々としても努力していきたいというふうに考えてございます。

西岡分科員 今お話がございました、大変専門性が必要な指導が含まれていくというふうに思いますので、専門のスタッフの方、外部人材の登用ということもやはり必要になってくるというふうに思いますので、できましたら、基本となる指針というものをきちんとお示しをしていただくことが、よりスムーズに教育現場でこのことに取り組んでいく、人材確保も含めまして、また人材育成も含めまして大変大切なことではないかというふうに思っております。

 一方、教育の現場にすぐれた人材を確保するということは、大変教育にとりまして基本と言えることだというふうに思います。

 その根幹として、教職員の人材確保法という法律がございます。これも大変以前につくられた法律でございますけれども、次世代を担う子供たちの教育に当たるという職務の重要性に鑑みまして、当時は裁判官並みの給与水準という議論もあったというふうに聞いております。

 今、やはりいろいろな今の現状の中でその実効性というものが大変問われているというふうに思いますけれども、このことについて、もし大臣の御認識がありましたら、一言お願いいたします。

林国務大臣 人材確保法は、教師の給与を一般の公務員より優遇することによって、教師にすぐれた人材を確保して、そしてそのことによって学校教育の水準の維持向上に資すること、これを目的として制定をされたところでございます。

 この人材確保法を踏まえて、現在においても教師の給与は一般の公務員よりも高い水準を維持しているところであり、人材確保法の趣旨は現在も生かされている、こういうふうに考えております。

 一般行政職が年収ベースで五百九十八・一万円のところ、小中学校教育職が六百八万九千円ということで、大体十・八万円ぐらい年収ベースで上回っているということでございますが、今後とも、優秀な教師を確保していくために、人材確保法の趣旨を踏まえて取り組んでまいりたいと思っております。

西岡分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今いろいろ大臣からもお話がございましたけれども、今、教育現場でいろいろな問題がございますけれども、教育の問題というのは本当にすぐに結果の出るものではございません。大変長い時間をかけた政策の積み重ねの中で方向性を示していくものだというふうに思っております。

 特に、今、大変財政が厳しいという中で、財政健全化ということもありながら、財源を確保していくということは大変難しいことであるということも大変私は認識をいたしておりますけれども、やはり教育というものは今我が国が抱えているさまざまな問題の根幹にかかわる大変重要な、この教育というものが重要な、その解決をする大きなポイントだというふうに私は思っております。

 その意味で、教育に予算をもっと十分に投入していくということも私は大変今後必要なことであるというふうに思いますので、よく言われます、GDP比が先進国の中でまだ依然として最低レベルであるということ、このことも鑑みまして、やはり教育にもっと予算を集中的に投資をしていくということが、将来の日本にとって、また子供たちにとって本当に大変資することだということを踏まえて、これは大臣も十分御承知のことというふうに思いますけれども、長期的なスパンに立って、新しい教育行政についての第一歩をぜひ林大臣にお示しをいただいて、長い時間がかかるかもしれませんけれども、やはり教育が大切であるということをぜひ林大臣のもとでお示しをいただいて、教育行政が本当に子供たちの未来を切り開く、そして日本にとっての私は一番の成長戦略になるというふうに思いますので、引き続き、ぜひ大臣のますますの御活躍を願い、私も全力で取り組んでまいる決意でございます。

 本日は本当にありがとうございます。

福井主査 これにて西岡秀子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.