衆議院

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第2号 平成30年2月26日(月曜日)

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平成三十年二月二十六日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 福井  照君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      岩屋  毅君    工藤 彰三君

      杉田 水脈君    岡本あき子君

      後藤 祐一君    古本伸一郎君

   兼務 平野 博文君 兼務 杉本 和巳君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   財務副大臣        木原  稔君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           山本 麻里君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     杉田 水脈君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  岡本あき子君     早稲田夕季君

  後藤 祐一君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  杉田 水脈君     伊藤 達也君

  早稲田夕季君     亀井亜紀子君

  柚木 道義君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  亀井亜紀子君     岡本あき子君

  古本伸一郎君     後藤 祐一君

同日

 第五分科員平野博文君及び第七分科員杉本和巳君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

福井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 希望の党の後藤祐一でございます。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 問題数が多いので、早速行きたいと思いますが、まず冒頭、野球くじに関する報道がございました。プロ野球の試合を対象とした野球くじを導入するという記事が出ておりますけれども、実際、そのような検討がなされているんでしょうか。事実関係について、林大臣、よろしくお願いいたします。

林国務大臣 この報道の、実は、詳細についてまだ把握をしておるわけではございませんが、我々としては、スポーツ議員連盟が検討しておられるということについては、既に予算委員会の二月二日だったですか、答弁したとおりでございます。昨年の八月のスポーツ議員連盟総会で、スポーツ振興くじ、totoの対象競技をサッカー以外にも広げる議論というものが再開をされておられるというふうに承知をしておりまして、その御検討、動きを今後もしっかりと注視をしてまいりたいと答弁したとおりでございまして、そういう状況でございます。

後藤(祐)分科員 まだ見守っているという状況だそうでございます。わかりました。

 平昌オリンピックが閉会をいたしましたけれども、次は東京オリンピックでございます。野球とソフトボールは、これは日本においても大変人気があり、メダルも期待される競技なんですが、東京オリンピックでは正式競技になっておりますが、その先が決まっておりません。二〇二四年のパリ、二〇二八年のロス、あるいは永久に正式種目になるということも含めて、これはぜひ日本として働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今、後藤先生からお話がありましたように、二〇二〇年の東京オリンピック競技大会では、北京大会二〇〇八年以来、野球、ソフトボールが十二年ぶりに追加競技として実施競技に含まれているわけでございます。

 御案内のように、実施競技については、追加競技も含めてIOCが決定をするということになっておりますので、各大会で何を追加競技とするかについては、開催都市の組織委員会や当該国際競技連盟との協議の上、IOCにおいて判断されるということでございます。

 そのためにも、まず、二〇二〇年の東京オリンピック競技大会において、今お話しになった野球やソフトボールが盛り上がって、やはり将来の機運醸成に向けた環境が整うということが重要である、こういうふうに思っておりますので、我々としても、東京オリンピックの競技大会の成功に向けて、オール・ジャパンで取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 ロス・オリンピックは野球の盛んなアメリカですから、かなり期待できるかなという気もするんですが、パリのあるフランスは必ずしも野球、ソフトが盛んな国とは思えませんので、二〇二四年は大変心配なんですね。ぜひ日本国政府としても、東京オリンピックを盛り上げるのはもちろんですが、IOCその他、働きかけをしっかりとやっていただきたいと思っております。

 続きまして、埋蔵文化財の調査についてお聞きしたいと思います。

 埋蔵文化財が出てきた場合、営利事業の場合は全額原因者負担となりますが、これは実際、大変困っております。実際、私の地元でも、高速道路をつくっておりまして、インターチェンジの周辺なんかを再開発して、ここを工業団地にしようですとか、いろいろな事業があるわけですけれども、地主が再開発事業組合を結成して、実際、これはかなり公的な意味合いでもって進めているところなんですが、埋蔵文化財が実は相当出る地域でございまして、これを地主の方々、組合を組んでいるという形ではありますけれども、全額負担していただくというのは大変酷な状況でございまして、実際、事業の進捗の妨げになっているというふうに伺っております。

 全ての場合について営利事業を補助するというのはなかなか難しい面があるのは多少理解するところもなくはないんですけれども、こういったかなり公的色彩があるような場合に、形式的には今営利事業になってしまうというようなケースであっても、再開発事業組合を結成しているようなケースについては何らかの国の支援措置を講じるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財保護法上、埋蔵文化財に係ります業務は地方公共団体が行うこととされておりますことから、開発事業に伴う埋蔵文化財の記録作成のための発掘調査は、当該事業者による費用負担のもとに主に地方公共団体が担い、国は開発事業者が零細な場合に一定の経費の一部を補助している、そういう状況になっております。

後藤(祐)分科員 ちょっとこれは詳しく通告しているので、もう少しお答えいただきたいんです。

 再開発事業組合を組んでいるケースで、これは法律に基づいてやっているわけですから、かつ、目的がかなり公的な場合に限ってもう少し補助できないかという御質問なんですが、ちょっと今のですとかなり手前のところの話になっちゃうんですが、もう少し御答弁いただけませんか。

中岡政府参考人 私どもといたしましては、基本的には開発事業者の費用負担というのを求めておるわけでございますけれども、国が出てまいりますというのは、そういった、事業者自体が非常に零細というような状況のもとでやっておられるものにつきましては経費の一部を補助する、そういう仕組みになってございます。

後藤(祐)分科員 林大臣、これは日本全国で起きていることだと思うんですね。ちょっと残念な御答弁だと思うんですが。

 今の事業組合の場合もそうなんですけれども、確かに非常に貴重な価値のある文化財が出てくる場合もございます。そのような場合に非常に丁寧に調査をすることは当然必要なんですが、結構、このぐらいのものは出るだろうというものが大量に出てくるようなケースもかなりありまして、そのような場合で、かつ財政面では大変厳しいというようなときには、特に公共事業に係るような場合に事業の進捗の妨げに相当なってしまっているケースは日本全国で起きていると思うんですね。

 少しやってみて、このぐらいのものかというようなときには、財政面のことも考えて、もう少し進捗の方を重視したような対応を可能にすべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。これはちょっと、方向性なので、大臣に答えていただきたい。

林国務大臣 これはなかなかのトレードオフで、文化財というものも大事であるという一方で、委員がお話しになられたように、完全な、大きな会社が営利でやるというところと、今お話しになった例と、なかなかこの線の引き方は難しいかもしれませんが、やはり開発事業の円滑な実施のために効率的に文化財の発掘調査も進めなきゃいけないということでございまして、発掘調査を行う地方公共団体において、事業計画の変更によって発掘調査の必要箇所を少なくするとか、民間の調査の組織を導入して工期を短縮する等で開発事業者側の負担を減らすための調整、こういうことを行うことはあり得るんじゃないか、こういうふうに思っておりまして、引き続き、埋蔵文化調査に係る地方公共団体の適切な指導助言に努めてまいりたいと思います。

後藤(祐)分科員 ぜひ、地方公共団体の工夫の余地を、今大臣おっしゃっていただいたような方向で裁量を少し広げていただいて、工夫の余地を持っていただくよう、文科省にはお願いしたいと思います。

 続きまして、自殺やいじめ対策におけるSNSの活用に行きたいと思います。

 現在、いじめを含めてさまざまな悩みに、児童生徒さん、たくさん直面しておられます。この状況を受けまして、SNSを活用した相談体制の構築という予算が、二十九年度補正で二億円、三十年度予算で五千万円、これは新規というふうに伺っておりますが、予定されております。これは大変重要な取組だというふうに思っております。

 ことしの三月からSNSを通じた相談体制が始まるというふうに聞いておりますけれども、どのようなもので、今までこういうところはなかったけれどもこういうのが可能になったと、簡単に御説明いただけますでしょうか。

高橋政府参考人 近年、若年層の多くがSNSを主なコミュニケーション手段として用いている状況を踏まえ、全国の子供たちがSNS等を活用していじめ等のさまざまな悩みを気軽に相談できるような体制の構築を目指すことが重要であると認識しております。

 このため、文部科学省では、今御指摘いただきましたように、平成二十九年度予算及び三十年度予算案に、合わせて地方公共団体二十五カ所でのSNSを活用した相談体制の構築を支援するための経費を計上しております。

 具体的には、児童生徒がスマートフォンなどを使って相談員と文字情報でやりとりを行う形を想定しておりますが、相談内容等に応じて、SNS等から音声通話へ切りかえて相談を継続する場合も含まれるものと考えております。

 今後、文部科学省としては、引き続き、SNS等を活用して子供たちが気軽に相談できる環境が構築されるように取り組んでまいります。

後藤(祐)分科員 まず始めたことを評価したいと思いますが、二十五カ所というわけにはいかないと思うんですね。これを全市町村でやるには相当なお金がかかってしまうという面もあるのかもしれませんし、あるいは、市町村という単位でやらなきゃいけないことなのか、もう少し違うアプローチがあるのかということも含めて、全ての、どこにお住まいの児童生徒さんでも利用できるような環境を整えていただくよう要望申し上げたいと思いますが、今後の拡大について、どうされるおつもりでしょうか。

高橋政府参考人 本事業は、新規の事業でございます。二十五カ所で始めますが、そういったところで得られた知見などを広げながら、将来的には事業展開を図っていく。そのためにも、まずは、今回のこの事業においてしっかりと成果や課題を研究して、知見を関係者と共有できるように努めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)分科員 これは自殺対策の方でも話が始まっておりますし、いじめ対策でも当然必要になってまいります。それぞれの、これは厚生労働省がやっている面もあると思いますが、知見をうまく使い合って、何かお役所仕事的にならないように柔軟な、命を救うお仕事だと思いますので拡大を、そして、どこに住んでいるお子さんたちでも使えるような体制を早急に構築していただくよう、お願い申し上げたいと思います。

 続きまして、学習指導要領の改訂案に関連して幾つか質問したいと思います。

 昨年、幼稚園、小中、そして、この二月十四日に高校の学習指導要領の改訂案が示されましたが、ちょっと一点、私は疑問なところがございまして、それは、LGBTについての記述が全くないんですね。LGBTという用語を使うか、あるいは性的マイノリティーといった言葉を使うか、ここはいろいろな御判断もあるのかもしれませんが、こういったことについての記述が全くないんですね。これは、なぜないんでしょうか。

高橋政府参考人 いわゆるLGBTあるいは性的マイノリティーについて、今回の高等学校学習指導要領の改訂案においては、保護者や国民の理解、教員の適切な指導の確保、個々の生徒の発達の段階に応じた指導などを考慮し、指導内容としては盛り込んでいないところでございます。

 一方、同改訂案の総則においては、新たに、生徒の発達を支える指導の充実に関する項目を設け、個々の生徒の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うことなどを示しております。

 また、文部科学省といたしましては、平成二十七年四月三十日に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知を発出しており、この通知等を踏まえ、各学校において、個々の生徒の実態等に応じたきめ細かな対応が行われるように指導をしてまいります。

後藤(祐)分科員 これは林大臣にぜひお伺いしたいと思いますが、指導内容としては明確には入っていないけれども、総則にはもう少しふわっとした形で入っていて、これを実際、学校現場でどう適用していくかというときの工夫なんだと思うんです。

 通常、学習指導要領が改訂されますと、その解説的な文書が作成されると思うんですけれども、解説というのをさらにかみ砕いたような本ですとか、そういったものができて、現場の先生の皆さんは実際の指導をされるわけですけれども、ぜひ大臣、学習指導要領を解説する文書ができるときに、今、局長がおっしゃったような観点から、このLGBTあるいは、性的マイノリティーという言葉は私はちょっといかがなものかと思う点もあるんですが、具体的な対応ぶり、実際クラスにお一人、二人、いらっしゃるのが平均的だと思うんですね、現場の先生方はもう既に、先ほどの二十七年の通知に基づいていろんな対応を図っているわけですから、これをぜひ解説的な文書の中に織り込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今、後藤委員がおっしゃったように、この性的マイノリティーという言葉も、最初に入れるときは、いや、まだ早いんじゃないかというふうに言われていたのが、今は、ちょっと若干、使うことはいかがなものなのかなというような、語感が変わってきておりますし。それからこの間も、私がなるほどなと思ったのは、どなたかの御質問で、性同一性障害という言葉があるんですね、ただ、障害なんですかねというのがあって、SOGIですか、セクシュアル・オリエンテーション・ジェンダー・アイデンティティー、そういう言葉をお使いになられているということも聞いて、なるほど、言葉の使い方はなかなか難しいなと思いました。

 したがって、今指導要領については説明したとおりですが、それを受けてどういう言葉を使うのがいいか。これは、一回やると何年かは使うことになりますので、そういうことも含めて、指導要領の解説に盛り込む内容というのは、要領が確定した後、内容を踏まえて検討しておることになっておりますので、その段階でしっかりと考えていければというふうに思っております。

後藤(祐)分科員 前向きな答弁ありがとうございます。

 言葉は、どれを使うかはよく御議論いただいて決めていただければいいと思うんですが、やはり性同一性障害という言葉で全体を語ることだけはやめていただきたいと思いますし、その感じを大臣が持っておられることに安心をいたしました。障害を持っておられる方もおられるかもしれませんが、そうでない方もたくさんおられますので。

 あと、性的マイノリティーという言葉も、全体を表現する言葉としてはいかがなものか。私、LGBT議連のメンバーでもあるんですが、これは与野党を超えてそういう議論をしておりますので、SOGIという言葉もあるかもしれませんし、LGBTという言葉でいく手もあるかもしれませんし、いずれにせよ、言葉の使い方を決めていただいて、配慮が大事なんだということは明確に解説の中に織り込んでいただくようお願いいたします。

 その上で、LGBTの話とはまた別なんですが、発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援、あるいは特別支援教育の充実、こういったことについては明確にされているわけですけれども、足元の平成三十年度予算での対応、あるいはその先の新しい学習指導要領の中でこの先どうしていくかということも含めて、さらなる充実が必要だと思いますが、これについての文科省としての対応をお願いいたします。

高橋政府参考人 新しい学習指導要領においては、発達障害を含む障害のある児童生徒に対し、家庭、地域及び医療や福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点で児童への教育的支援を行うために、個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに、各教科等の指導に当たって、個々の児童の実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとしております。

 文部科学省としては、個別の教育支援計画を活用した取組を推進するため、就学前から学齢期、社会参加まで、切れ目ない支援体制の整備のための補助事業を平成二十九年度から実施しており、平成三十年度については、前年度から三十地域増の六十地域への拡充を予定しております。

 また、平成二十九年度から発達障害のある児童生徒等に対する教科指導法研究事業を実施し、教科ごとの学習のつまずきに対する指導方法の研究を実施しているとともに、平成三十年度から制度化される高等学校における通級による指導に対応するために、発達障害に関する通級による指導担当教員等専門性充実事業や、発達障害の可能性のある児童生徒の多様な特性に応じた合理的配慮研究事業など、平成三十年度には約二・八億円を予算に計上しております。

 引き続き、発達障害の可能性のある児童生徒一人一人のニーズに応じた教育を実施するため、適切な支援に努めてまいります。

後藤(祐)分科員 発達障害の可能性のあるお子さんというのは、数としてはすごくたくさんのお子さんがおられると思うんですね。これは、学校教育に入る前の段階をどうするかということも含めて、ぜひ国から、これは厚生労働省とかかわる部分もあるかもしれませんが、ある特定のところだけというのではなくて、どこにお住まいの方であっても活用できるような支援策をぜひ積極的にお願いしたいと思います。

 学習指導要領に関して、もう一問だけ。

 これは大臣にお願いしたいと思いますが、今回、さまざまな内容が盛り込まれて、かなり分厚いものになっております。しかも、教える内容が、具体的にというよりは、知識及び技能という項目と、思考力・判断力・表現力等という、大きく二つに分けてそれぞれが記述されていて、内容的には実は重なる部分があったりですとか、これからこれを具体化していく上で相当な試行錯誤もあると思うんですが、ちょっと心配になるのは、これは現場の学校の先生にもこの前発表されたものをごらんいただいていただいた感想は、いいことが書いてあるんだけれども、これは実際にやろうとすると物すごく仕事量がふえるのではないかということを懸念されておられます。

 もちろん、きめ細かな教育をする上でお仕事が必要になる部分はあると思うんですけれども、減る部分というのがそんなにあるわけではなかったりするんですね。なので、この学校現場における仕事量の増加ということにつながらないように。あるいは、小学校の五、六年生では、外国語の七十時間というのは、これは純増で時間もふえているわけでございます。

 この学習指導要領の改訂の後、現場での先生方の仕事量の増加につながらないような工夫をしていただきたいと思いますが、これについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

林国務大臣 今お話がありましたように、かなりちょっと分厚いものになっておりますので、その第一印象が、ふえたというような印象にならないように、しっかり説明をしてまいりたい、こう思っております。

 各教科の目標や内容は、今お話しになったように、知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性の三つの柱で整理をしておりますが、内容がふえたというよりは、このやり方ですね、どうやって教えていくか、育成を目指す資質、能力を明確にして授業改善につなげるということで、その趣旨をきちっと説明していくことがまず大変大事なことだというふうに思っております。

 それから、外国語教育ですが、今まで五年生からやっていたものが三年生からになる、こういうことですが、ここはもう純増でございまして、年間三十五こまという標準授業時数でございますが、これに対応して、質の高い英語教育を行うことのできる専科指導教員の確保ということで、この御審議いただいております平成三十年度予算においては、千人の教職員定数の改善、これは計上させていただいているわけでございます。

 そういうことをあわせてしっかりやっていくことによって、学校現場の負担増、今、教員の働き方改革ということも一方でやっておりますので、負担増につながらないように、新しい学習指導要領の円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 先ほどの学習指導要領の解説のところでどういう形になるのか、あるいはこれをめぐって事前のいろんな準備ですとかもあると思いますので、その中で結果として学校現場での仕事の時間が過度にふえるということのないように、ぜひそこの御配慮はお願いしたいと思います。

 続きまして、憲法及び現行法における子女という言葉についてお聞きしたいと思います。

 きょうは、法制局長官にもお越しいただいております。外務省岡本政務官にもお越しいただいております。ありがとうございます。

 憲法二十六条には「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務」というのが規定されておりますが、この子女という言葉、大変古めかしい言葉でございまして、実際、平成十八年の教育基本法改正、十九年の学校教育法改正では子と改められています。それまで子女と書いてあったところが子と改められております。

 まず、これは文科省にお伺いしたいと思いますが、この十八年と十九年の法改正のときには、なぜ子女という言葉を子に改めたんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年に教育基本法の改正が行われたわけでございますけれども、平成十八年の法改正時点におきまして、その時点での最近の立法例に倣い、子に改めるということとしたというふうに承知をしてございます。

後藤(祐)分科員 ということは、立法例によれば、子女という言葉は子に改めるというのが立法例だということでございますが、憲法以外の現行法で子女という言葉が残っているのは、在外公館名称位置給与法第六条の子女教育手当に関する規定と、これと関連するんでしょうが、文部科学省設置法第四条の海外に在留する邦人の子女のための在外教育施設とこれに関連する部分だけであります。

 いわゆる帰国子女という言葉、実際、学校の先生に聞きますと、帰国子女の方に子女と言えないと。学校現場でも子女という言葉は現実には使えないというのが現場の声なんですね。やはり現場で使えない言葉を法律で規定しているのは、まさに立法例がそうなっているように改めるべきだと思いますが、ぜひ、この在外公館名称位置給与法における子女という言葉は子に改めるべきだと思いますが、岡本政務官、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 御質問、御指摘いただきましてありがとうございます。

 在外公館で勤務する外務公務員が同伴するお子様方が海外で学校等に就学する場合に必要となる追加的経費につきまして充当する手当の一つとして、子女教育手当を支給することにしております。

 今御指摘のあった子女という言葉を用いているのは、文科省の設置法並びに外務省の在外公館名称位置給与法の二つでありますけれども、実は、政省令におきましては子女が使われているケースもございまして、社会一般的に使用されている用語と今は承知をしております。

 現時点においては、子女という言葉遣い、それ自体は適切なものというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 法制局長官にもお越しいただいておりますが、先ほど、最近の立法例に倣えば、子女という表記は子に改めているということでございますが、法改正がある場合には、子女という条文がある場合には子に改めるというのが法制局の方針なんでしょうか。

横畠政府特別補佐人 子女という言葉でございますけれども、これは、今でも広辞苑などに載っておりまして、現用の言葉であろうと思います。御指摘のように、やや古い感じはいたします。

 ただ、この言葉の意味としては、子女の子(し)は息子のこと、子女の女の方は娘のことということで、男女両性の子供ということを端的にあらわしている言葉でございまして、御指摘のように、何か法改正の折に子女という言葉を見つけたらこれを子に改めるという、特段の方針というのはございません。

後藤(祐)分科員 ないんですか。

 そうしますと、最初の局長の答弁の、立法例に倣って子女を子に変えているというのは、何ゆえに変えたんでしょうか。そういう方針はないと法制局はおっしゃっていますけれども。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年の教育基本法の改正において、子女を子に改めたのはどういう理由かということを私ども調べさせていただきました。その中で、当時の改正についての逐条的な解説をしている資料がございまして、それを見ましたところ、旧法では憲法を受け子女との文言が用いられていたが、近時の立法例に倣い、子と改められているという記載がございましたので、その旨をお答えさせていただいたというわけでございます。

後藤(祐)分科員 同じ答弁しかされませんが、立法例というものと先ほどの法制局長官の言葉、若干ずれはございますが。

 なぜこの話を持ち出しているかと申しますと、憲法二十六条の改正の議論が今与党の方でもあるわけでございまして、この二十六条を改正するのであれば、「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務」という書き方は、子女という言葉を、まあ子という書き方がいいのかどうか私は決めつけませんが、これを機に改められた方がいいのではないかということを提案させていただきたいと思います。

 先ほどの局長の、立法例という言葉が何を意味するのかということは、ぜひこの後教えてください。法制局は、そういう方針で全部改めさせるような方針でやっているわけではないというお言葉でしたが、ちょっとここの関係がどうなっているのかは後で教えていただきたいと思います。

 これは法制局長官に伺いたいと思います。

 二十六条を改正する場合には、子女を子とすることが、現代に生きる日本国民から見た場合にもわかりやすさという意味ではわかりやすいと思うんですね。確かに子(し)というのが息子を指すというのは、古来、中国の古典からそうなのでありますけれども、なかなか現代でそういうふうに若い方が理解できるかというと、理解しにくいと思うんです。子と書けば、誤解の余地はないと思うんですね。子という表現の方がより国民になじみやすいというふうに考えますが、いかがでしょうか。

横畠政府特別補佐人 憲法第二十六条の子女という語でございますけれども、これは、御承知のとおり、昭和二十一年の制憲議会の折に、政府原案は、児童に対して初等教育を受けさせる、そういう規定だったもの、芦田小委員会と言われていますけれども帝国憲法改正案委員小委員会において修正されまして、子女に対して普通教育、そういうふうに修正されたものでございます。

 その議論、児童では狭過ぎる、青年では広過ぎる、青少年であるとか子弟であるとか、そういういろいろな言葉が出てきたのでございますけれども、最終的には子女という言葉で決着したということでございます。

 一定の年齢層をあらわすという意味であるとか、親の保護のもとにあるというようなニュアンスを考えたのだろうと思いますけれども、いずれにせよ、国会において議論の結果、今の子女という言葉になっておりますので、御指摘の憲法の改正につきましてもぜひ国会で御議論いただきたいと思います。

後藤(祐)分科員 自民党の改正案がこの前出たときに、この子女は直っていなかったんですね。ちょっと残念でした。

 与党の先生方がたくさんおられますので、これは割合、国民から見たときに、子の方がなじみやすいんじゃないかと言う方が多いと思うので、ぜひ、この二十六条の議論をする際は、この子女という言葉を子に改めることも含めて、これは与野党超えて検討をしていただきたいことを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

福井主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉田水脈君。

杉田分科員 自由民主党の杉田水脈です。

 文科省での質問が初めてになりますので、大臣、そして答弁いただく皆さん、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、独立行政法人日本学術振興会交付の科学技術研究費助成事業について質問させていただきたいと思います。

 いわゆる科研費と呼ばれているものなんですけれども、皆さんのお手元に昨年十二月の産経新聞の紙面の方を資料としてお配りをしております。「「徴用工」に注がれる科研費」ということで載っておるんですけれども、結構、この科研費という名目でかなりの金額が、いろいろな大学の教授であるとか研究室であるとか、そういうところに交付をされているようなんですね。

 この記事の中では、例えば、京大の水野教授というところには一千七百二十九万円、それから、これも大きいですね、東大の外村教授というところには三千八百九万円、そして、立命館大学の庵逧由香という准教授の方のところには二百八十六万円ということで、これは単年度ではなくて数年にわたってという形にはなっておるんですけれども、かなり多額の金額が科研費として、研究費として注がれておるんです。

 これは、問題とされましたのが、これも昨年の三月なんですけれども、松本市で開かれました強制動員真相究明全国研究会というところで、この三名の教授が基調講演を行っているんですよ。この強制動員真相究明ネットワークというところは、韓国の市民団体の民族問題研究所というところと一緒になって、「「明治日本の産業革命遺産」と強制労働」というガイドブックを作成しているんです。

 この明治日本の産業革命遺産なんですけれども、これは大臣も下関にいらっしゃって、よく御存じかと思いますけれども、欧米が四百年ぐらいかかってなし遂げた産業革命をいかに短期間で日本がなし遂げたかということで、これは世界遺産になったんです。

 これは、対象とされている年代が江戸の後期から明治の中期ということになりまして、韓国とかが主張しております強制労働というのがあるんですけれども、その期間には朝鮮半島からの労働者が全くここのところにはいないということで、年代からして、向こうが言ってきていることは全く筋違いということがわかるんです。

 今、慰安婦問題の次に徴用工の問題というのは非常に反日のプロパガンダとして世界に情報がばらまかれておりまして、昨年は「軍艦島」というような本当にうそだらけの映画が韓国で公開されまして、そういったことがある中で、そこのところに、日本の科研費で研究が行われている研究の人たちが、その韓国の人たちと手を組んでやっている。

 最近は、外務省の方がこういった日本の真実のことを発信するのに前向きな動きになってきているんですけれども、文部科学省の方がこれを後ろから弾を撃っているみたいなものではないかということで、この報道が非常に話題になったんですけれども、この報道が出た後に、文科省の方で、なぜこういう構図になっているのかとか、そういうことについての真相究明とか、いろいろな動きとか何かあったんでしょうか。最初に質問をさせていただきたいと思います。

林国務大臣 今先生からお話がありましたとおり、これは昨年の十二月十三日の産経新聞でこの報道がありまして、六件の研究課題が科研費において採択されている、これは事実でございますが、一方で、この中で、審査において思想的な偏りがあるという報道もなされておりますが、この報道された研究課題についても、これは仕組みの話でございますが、複数名の審査委員で複数段階にわたる審査を行っておりまして、研究課題の採択自体は公正に行われているもの、されたものと承知をしております。

 科研費は、この事柄の性格上、研究者の自由な発想に基づく幅広い分野にわたる学術研究を支援するということで、評価能力を十分に持っている研究者によって構成される審査組織が、個々の研究の学術的価値を厳正に評価をして採択課題を選定するということでございます。

 このことは、今御指摘のあった件についてもそういうような手続が踏まれているということでございまして、今後も適切な執行を行うとともに、多様な学術研究の発展に寄与していかなければなりませんので、科研費制度の充実と適正な審査の実施には努めてまいらなければならないと思っております。

杉田分科員 科研費と聞くと、私なんかが一般的に思い浮かべるのは、科学技術だとか、そういう分野の研究に注がれている予算なのかなというふうに考えるんですけれども、この記事の中にも「自然科学分野と違い、歴史学はどうしても思想的な偏りがある」というふうに指摘をされているんですね。

 例えば、この中にもう一人、立命館大学の徐勝という方、大学教授なんですけれども、この方のところにも結構な額が入っているんですね。二千百六万円、三年度にわたって支給がなされているというのがあったんですけれども、この方は、最近御自分の講演会なんかにおいて、ベトナム戦争における韓国軍の蛮行は日帝時代の日本から教育されたからというような発言を繰り返しているんですよ。

 こういう方が正しいことを発信するのであれば全然それは問題ない、研究したことの結果、正しいことを言うのであれば全然問題ないと思うんですけれども、これは全くのでたらめですよね。こういったことを世界じゅうに日本の大学教授という肩書を使って発言するような人のところに二千万円以上のお金が研究費として入っているという、これは私は非常にゆゆしき問題だと思うんですね。

 それで、先ほど大臣の方からは、非常に公正に行われていて、科研費というのがちゃんと配られているという答弁だったんですけれども、公正であるとおっしゃられるのであれば、ぜひ私は、これの審査をしている方、どういう方が審査員で、どういう方がこれを決定して、ここの大学には、この研究室にはこれだけのお金を配りますというようなことをやっていらっしゃるのか、名簿を公開していただきたいと思うんです。公正だとおっしゃるんだったら、名簿を公表することは何の問題もないかと思うんですけれども、これは可能なんでしょうか。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 科研費の審査委員の選定方法、それから名簿の公開についての御質問がございました。

 科研費の審査委員につきましては、日本学術振興会または文部科学省におきまして、審査を担当する分野全体をカバーできるように、主として科研費の採択者が登録されたデータベース等をもとに公正で十分な評価能力の者を選定しているところでございます。また、審査終了後、審査の検証を行い、不適切な審査を行った者は審査委員から除外するなどの対応をとっております。

 それから、審査委員の公開でございますが、基本的には審査が終わってから、科研費の審査委員につきましては名簿は公開をいたしております。

杉田分科員 終わってからの公表ということなんですけれども、きちっと、これも国民の目にわかるような形でしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 先ほどは、科研費を使って韓国の団体と一緒になって反日プロパガンダをやっているというお話をさせていただいたんですけれども、次は、これも中国の問題なんですね。

 情報通信研究機構未来ICT研究所というところなんですけれども、ここと中国の科学院とがお互いに覚書というか契約書を交わしておりまして、そこで研究開発されたことは無償で提供するというような契約書を交わしているというのを私の方でちょっと入手させていただいたんですね。

 日本で公的機関が公的なお金を使ってやった研究が、無償で、中国のところと契約を結んで、それが流れていくというようなことで、これは本当にゆゆしき問題じゃないかなと私は思ったんですが、実は、この情報通信研究機構というのは総務省の管轄であるので、ここでは質問ができないということで、レクのときに言われました。

 そこで、私、これに関連してなんですけれども、孔子学院というのがありますよね。この孔子学院というのが実はFBIの捜査対象になったということで、こちらも参考資料として皆さんの方に配らせていただいておるんですけれども、筑波大学名誉教授の遠藤誉さんという方が書かれた記事を皆さんの方にお配りしております。スパイ容疑なんですよね。スパイ容疑でFBIがこの孔子学院というのを捜査の対象にした、そういう記事なんですけれども。遠藤教授も書かれているんです。日本はこれに対して非常に無防備ではないかという指摘があるんですけれども。

 まずお尋ねしたいのは、孔子学院というのは一体日本にどれだけあるのか、数についてお答えいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 孔子学院のホームページ及び日本孔子学院協議会の本年度の幹事校として関西外語大学がございますけれども、そこの、関西外語大学孔子学院のホームページによりますと、平成二十九年十二月三十一日現在、日本には十四校の孔子学院があるとされているところでございます。

杉田分科員 ホームページによりますとという答弁だったんですけれども、実はこれもレクで伺ったときに、きちっと把握をしている部署がないということだったんですね。

 この記事にも、日本は非常に無防備ではないかというような指摘を受けておるんですけれども、こうして、我々が、もとを言えば税金ですよ、私たちが払った税金で、日本がよくなるように、技術科学であるとかいろいろな分野であるとか、それを国が支援をして研究をしていくということは、これは私は当然あっていいことなんですけれども、それが学術的なところでも、こういうふうな形でどんどんどんどん海外に流れていってしまう。特に中国とか、そういうところに流れていってしまうということについて、余りにも無防備であると。

 これの最後に、締めくくりのところに遠藤先生も書かれているんですけれども、「アメリカのFBIが動き始めたのだから、アメリカと「足並みを揃えている」日本も、正しい認識を以て警戒を強めた方がいいだろう。」というようなことで書かれております。

 先ほどの情報通信研究機構の件もあるんですけれども、こういったことをもうちょっときちっとやっていかないと、我々の技術がどんどんどんどん海外に流出してしまう。まずは、これは本当に文部科学省で、一番上の部分でしっかりと対応をしていっていただきたいというふうに思います。

 この問題についてはこれ以上答弁がちょっとできないということをレクのときにお聞きしておりますので、次に、学習指導要領についての質問に移りたいというふうに思います。

 高校の学習指導要領の改訂案で、いわゆる領土問題ですよね、竹島、尖閣について、地理の歴史教科書で、固有の領土と定めて明記するということが今回決まったんですけれども、これについて、今月、二月十五日の朝日新聞の社説なんですけれども、「高校指導要領 木に竹を接ぐおかしさ」という社説が載ったわけなんですね。

 この中でどのように書かれているかというと、領土問題に関する書きぶりを見ても、例えば、尖閣は我が国の固有の領土であり領土問題は存在しないことも扱うなどとなっている、政府見解を知識として生徒に伝えることは大切だ、だが、これを正解として教え込めという趣旨なら賛成できないと書いているんですけれども、尖閣は我が国の固有の領土であり、領土問題が存在しないというのは、政府見解なんですか。私は、これは歴史的事実だというふうに思っておるんですけれども。

 明らかに朝日新聞の社説はおかしいと思うんですけれども、これに対して、文部科学省の方から何か抗議みたいなものは朝日新聞にされたんでしょうか。

高橋政府参考人 我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について正しく理解することは、主権国家における公教育においては当然のことであると考えております。

 文部科学省としては、領土に関する教育を充実するため、今月十四日に公表した高等学校学習指導要領の改訂案において、中教審答申を踏まえ、昨年改訂した小中学校学習指導要領と同様に、竹島、北方領土、尖閣諸島について、我が国固有の領土であることを明記いたしております。

 委員御指摘の朝日新聞の記事に対して文部科学省として抗議は行っておりませんが、我が国の将来を担う高校生が自国の領土について我が国が正当に主張している立場を正しく理解することは、主権国家における公教育においては当然のことであると考えておるところでございます。

杉田分科員 抗議を行っていないということなんですけれども。

 学習指導要領にこういうのが載りましたということを国民が知るときには何をもって知るかというと、報道、マスコミ、そういうのをもって国民は知るわけですね。そこがこういう間違ったことをしているのであれば、それはおかしいということを直ちに私はただすべきだというふうに思うんですね。これを一切なさっていらっしゃらないということなんですが、まあ、でも、正しくこういうふうなことは子供たちに伝えていくということなんですが。

 先日、二月二十二日、竹島の日でございました。竹島の日で、私、島根県の式典の方にも出席をしてきたんですけれども、そこで島根県の地元の方々といろいろな意見交換をしていく中で、今回学習指導要領に載ったということは、地元の方々も非常に評価をしていらっしゃいました。

 ただ、韓国側の教科書、これは二〇一一年に、独島を正しく知るという教科書、実に八十ページに及ぶ、小学生から教える教科書というのが出ているんですね。その内容なんですけれども、ちょっと驚くべきことに、韓国の、これは小学生に教えている教科書の中ですよ、日本の子供に会ったら、独島は韓国の領土と言いましょうと書いてあるんですよ。これは本当に八十ページにもわたる教科書で、子供のころから教育をされている、これが韓国です。日本が、これは日本の固有の領土だということを、今回初めてこれは学習指導要領に載ったということで、周回おくれじゃないかというふうな、そういう指摘が非常にありました。

 今後、こういう向こうの間違った教育に対して、我々正しい教育が勝っていかないといけない。根本は教育だと思うんですね。やはり、勝つためには敵を知らないといけないと思うんですよ。こういった教育を、韓国の方ではこういう教科書を使ってこういう教育をしている、だから、日本の方では正しいことを広めるためにはその倍も三倍もやっていかないといけないと思うんですけれども、教科書における領土問題についての今後の展望といいますか、今後の戦略といいますか、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。

林国務大臣 我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について我が国が正当に主張している立場を正しく理解をするということは、主権国家における公教育において当然のことであると思っております。

 このため、文科省では、平成二十六年の一月に学習指導要領の解説を改訂するとともに、昨年三月には小中学校学習指導要領に、竹島、北方領土、尖閣諸島が我が国固有の領土であることを明記し、今月公表した高等学校学習指導要領の改訂案においても同様に記載の充実を図ったところであります。

 また、これは内閣官房になりますが、領土・主権対策企画調整室や内閣府の北方対策本部と連携し、これらの関係省庁等が主催する領土に関する教員研修に多くの教師が参加できるよう、全国の都道府県教育委員会等に対して周知を図っております。

 さらに、全国都道府県等教育委員会の指導主事を集めた会議において、関係省庁のホームページに掲載されている領土に関する教材も含めて、領土に関する教育の充実を図るよう周知を行っているところであります。

 今後とも、関係省庁と連携を図りながら、領土に関する教育の充実が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

杉田分科員 大臣から、領土に関する教育の充実に取り組むという前向きな答弁をいただきました。

 ただ、これは、幾ら教科書に載っても、学校の先生が教えなければ子供たちには伝わらないわけです。

 学校の先生がきちっとこのことを教育した、例えば、もしかしたら教えない先生もいらっしゃるかもしれません、そういうふうなことはどのようにして知る形、ここの学校はきちっと教えましたよというような形のフィードバックとか、そういうシステムというのは文科省の中にあるんでしょうか。

高橋政府参考人 小中高等学校においては、学習指導要領に定められた事柄を、その内容が正確に記載された検定教科書を使って授業を行うことが基本でございます。

 基本的には、これについては一義的には各設置者における教育委員会においてしっかりとその内容を把握することになっておりますが、問題があったような事例があれば、それは文科省にも報告が来まして、文科省においても内容をしっかりと調査して適宜指導する、そういった対応をさせていただいているところでございます。

杉田分科員 問題になったようなところなんですけれども、報道においても、問題になった報道とかは問題になるんですけれども、報道しない自由とかいうのがあるんですね。教育においても、問題のある教育をしたところは、それは問題になるかもしれませんけれども、教育をしない自由みたいなものが先生の中でもしも行使されてしまうと、本当に子供たちに正しい知識が伝わらないというふうに思いますので、そこはしっかり、どのような教え方をして、ちゃんとそれが子供たちに知識として身についているのかというところまでしっかりと管轄、きちっと見て初めて教育だと思いますので、そこのところはよろしくお願いしたいと思います。

 教育指導要領について、もう一点質問をさせていただきたいと思います。

 高大連携歴史教育研究会ということについて、その報告書がございまして、これについての質問なんです。

 最近、これはいろいろなところで報道をされておるんですが、高大連携歴史教育研究会というところが報告書を出していまして、というのが、例えば歴史を一つとったとしても、日本の子供たちの歴史は覚えることが多過ぎると。日本史も世界史も、単語をたくさん覚えて、いっぱい暗記しないといけない、その暗記をする教育から、考えさせる教育に変えていかないといけないというようなことで、この高大連携歴史教育研究会というところが報告書を出しているんですね。

 この報告書の中には、恐るべきことが書かれているんですよ。例えば、幕末から明治にかけての人物では、吉田松陰、高杉晋作、坂本竜馬、こういった人たちの名前がばっさり削られているんですよ。そして、そのかわりに、考えさせる教育ということで、なぜか南京大虐殺、従軍慰安婦、基地反対運動、ベトナム反戦運動、戦時性暴力といった、こういう言葉を載せろという形になっているんですけれども、この高大連携歴史研究会というのはそもそも何であるのか。

 それから、これが指導要領にどのような影響を及ぼしているのかということについてお答えいただけますか。

林国務大臣 今お話のありました高大連携歴史教育研究会が昨年十一月にまとめた歴史用語の精選案についてのお尋ねですが、この団体は、あくまで任意の有志により構成される団体でございまして、みずからの考えに基づいてこういうのを作成されたということで、少なくとも文科省がその作成に関与したというものではないわけでございます。

 したがって、当たり前のことですが、この民間団体の提案は、先日公表した高等学校学習指導要領の改訂案に全く影響を与えていないということでございます。

 また、この学習指導要領の改訂案における歴史用語の扱いについては、生徒が親しみのある具体的な歴史的事象に触れて、興味、関心を持って学ぶということが重要だと考えておりまして、生徒が歴史を豊かに学べるように、歴史用語を削減するような規定は設けておらないところでございます。特定の見解だけを取り上げるなど、偏った指導内容とならないような関連の規定、これはちゃんと設けておるところでございます。

杉田分科員 先ほど大臣の方から、ここの団体が出した報告書は、別に全然、教育指導要領の方には影響を及ぼさないという答弁をいただいて、非常に安心したところであるんですけれども、そもそも用語改革についての方針を出したのは、文部科学省の中教審の答申の中で出てきているんですね。

 この中教審の委員の中に実は油井大三郎という人物がいるんですけれども、この方が高大連携歴史教育研究会の会長になっていらっしゃるということ。これは「正論」の三月号に拓殖大学の藤岡信勝教授が書かれているんですけれども、そういう指摘があるんです。

 要するに、中教審の答申の中で用語改革をしよう、中教審の委員がこの油井さんという方だと。今度は、油井さんという方が会長となっている高大連携歴史教育研究会というのが、こういう形で用語改革はしましょうというのを出してきたとなると、これは、一つの機関がこういう方針を出した、それに対して請け負う方の機関が、またそのトップの人たちが同じ人物でということ。これは本当に自作自演じゃないかというようなことがこの「正論」の中で書かれておるんです。

 この中教審の委員というのは、一体どういう方がなられるのか。それから、これも先ほどと同じなんですけれども、名簿とか在任期間とか、そういったものというのは公表されているんですか。

高橋政府参考人 中教審の委員につきましては、それぞれの分野について学識経験が豊かな方について省内で案をつくり、最終的には文部科学大臣にも決裁を得た上で決めております。そして、その委員の任期や氏名については基本的には公表させていただいております。

杉田分科員 基本的には公表されているということなので。

 ただ、在任期間が、一定の方が非常に長い間在任されていたりというようなことが見られるというふうに思いますので、そういったところはきちっと公平にやっていただく。これもやはり子供たちの教育にかかわることですから、ある一定の人物の方が長期の間ずっとしていらっしゃるとか、そういうふうなことはあってはならないと思っておりますので、そこのところはしっかりとやっていっていただきたいなというふうに思います。

 昨年、聖徳太子という言葉が教科書からなくなるのではないかということで非常に問題になりました。このときにパブリックコメントを行って、最終的には聖徳太子という言葉が残るということになったんですけれども、これまたそもそもおかしいと思うんですよね。歴史的真実を教科書に書くということで、これを書いていいですか、書いてよくないですかというようなことをパブリックコメントで求めるというようなことは、そもそも、ちょっとこれは、本来からはかなり逸脱しているんじゃないかというふうに思うんです。

 このパブリックコメント、この間も、私、レクで伺いましたら、今回の用語の件につきましてもパブリックコメントなどを行って正しくやっていきたいというような回答だったんですけれども、このあたりは、今回もまたパブリックコメントみたいなことで皆さんの意見を募るんでしょうか。

高橋政府参考人 学習指導要領は、学校教育法等の規定に基づいて、各学校における教育課程の基準として文部科学省告示で定めるものでありまして、行政手続法第三十九条等の規定に基づいてパブリックコメントを実施しているものでございます。

 今月十四日に高等学校の学習指導要領案は公表して、今パブリックコメントに付せられておりますので、今後その意見も踏まえながら、今年度中を目途に正式な告示をすることを今予定しております。

杉田分科員 国の根幹である教育、子供たちの教科書にどういうことを載せるかというようなことは、やはり国が責任を持ってやることだと思うんですよ。パブリックコメントで意見を求めるようなことでは私はないと思います。そこのところは、やはり我々が、国がちゃんとしっかり子供たちの教育を責任を持ってやっていくんだという気概を文部科学省の方々には持っていただいて、しっかり考えていっていただきたいというふうに思います。

 例えば、先ほどの用語、考えさせる用語の中に従軍慰安婦という言葉が出てきました。そもそも、従軍慰安婦なんて言葉はないんですよね、間違いなんです。従軍看護婦とかいうのはありますけれども、従軍慰安婦というのはありません。

 また、いわゆる慰安婦問題という言い方を私たちはするんですけれども、強制連行はなかったとか性奴隷ではなかったとかというようなことは、これは日本の政府の立場として、正しく今もう海外に発信をされているんですね。

 だから、強制連行がなかったのであれば、例えば、戦時中に慰安所みたいなものがあって、そこではこういうことをやっていましたということは、わざわざ私は教科書に載せる内容ではないと思うんですよ。

 これが、もしも強制連行があって、日本軍はひどいことをやったというのであれば、これは今までも載せていた教科書があったかと思いますけれども、それがもう全て事実ではないということが明らかになって、それで日本政府も方針をきちっと出しているのであれば、これは教科書に載せる必要はないということで、そんなふうに思うんです。

 レクのときにちょっとお伺いしたんですけれども、学習指導要領には、慰安婦、従軍慰安婦というのは載っていないというふうに伺ったんですけれども、この認識で正しいですか。

高橋政府参考人 現在の小中学校の学習指導要領あるいは現在改訂案を公表中であります高等学校の指導要領案には、そのような言葉は載ってございません。

杉田分科員 ありがとうございます。指導要領に載っていないという明確な答弁をいただきましたので。

 載っていないんですよ。だから、今後、教科書に従軍慰安婦というのを載せた教科書、これは検定が通るんですか。

高橋政府参考人 教科書検定制度は、教科書の著作、編集を民間に委ねることにより発行者の創意工夫に期待するとともに、文部科学大臣が、教科用図書検定調査審議会の専門的、学術的な審査に基づいて教科書として適切か否かを決定し、これに合格したものを教科書として使用することを認める制度です。

 具体的には、学習指導要領や教科用図書検定基準等に基づき、申請図書の具体の記述について、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして欠陥を指摘するものでございます。

杉田分科員 指導要領に載ってるものは載せないといけないという、これは原則なんですけれども、載ってないものについて載せるか載せないかは、これはそれぞれのところに任せるということなんです。先ほどから何度も申し上げておりますとおり、やはり事実に基づいたことを教科書は書かないといけないわけですよね。

 事実に基づいた記述をするということであれば、今現在は、慰安婦というものの強制連行はなかったわけですから、そういったことは教科書に載せるべきではありませんし、なかったのであるならば、そのこと自体を教科書に載せるべきではないというふうに思いますので、できれば、今後、検定の中では、逆に、こういった誤った歴史、そういううその歴史を書いてある教科書というのは検定に合格させないような形、そういうふうなことをしっかりと、文部科学省も事実に基づいた形で取り組んでいっていただきたいということを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問は終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

福井主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本分科員 質問の機会を頂戴して、ありがとうございます。

 久々の文部科学部門の質疑というか、国会自体も三年ほど浪人しておりましたので、新鮮な目で、お茶の間から、現政権であり、あるいは林大臣、農水大臣もされたりしている中で御活躍いただいているということで、まずもって敬意を表したく存じます。

 それで、冒頭、教育の無償化について。

 私、日本維新の会所属でございますが、憲法改正の議論、しっかりと審議をして、まずはよく与野党ともに話合いをするということが極めて大切だと存じますけれども、私の憲法についての考え方というか、日本の法律についての考え方全体について感じるところでありますけれども、日本の多くの現実と法律といったものの関係でいくと、どうも曖昧なところでの解釈によって物事が進められるということが、憲法であっても、あるいは一般の法律であっても、そういうことが非常に多い我が国の、ある意味でよさでもあり、しかし一方で不明確さでもありということでもあると思います。

 教育の無償化については、ぜひとも憲法の中に、新しい改正をするのであれば、九条の問題というのもマスコミは取り上げがちでございますけれども、教育の無償化、教育の機会均等あるいは家計の負担軽減、こういった観点から積極的な議論が国会でなされて、そして来るべき日に発議が行われという流れが成ることを、私は、世の中の変化、蛻変の経営ということを先般本会議でも申し上げたんですけれども、やはり、会社であっても、あるいは国家であっても、世の中の流れに対して、変化に先駆けてか応じて変わっていくことが、企業体であり、あるいは国家そのものが営々と存続していくためには必要なことではないかと思っておりますので、ぜひとも教育の無償化については積極的な御議論と積極的な考え方で前に進めていただきたいと各党にお願いを申し上げます。

 それで、たしか、自民党が野党になられて、そして民主党政権だったときに、私、文科委員会で、当時、下村先生であったり馳先生であったり、あるいは松野先生がまだ大臣に就任される前の時期に、ちょっと道徳関連のことで提言というか、恥ずかしながら、橘先生は万葉集を歌われますけれども、私は、実は「蛍の光」四番というのがありまして、それで、きょうはメロディーをつけると恥ずかしいので詩だけ読みますけれども、詩は、

  千島のおくも、沖縄も、

  八洲のうちの、守りなり。

  至らんくにに、いさおしく。

  つとめよ わがせ、つつがなく。

こういう、「蛍の光」四番で、メロディーはスコットランド民謡ということの中で、この詩が戦前は、戦前という言い方がよくないかもしれません、昔は結構歌われていたようですけれども、これを私、実はメロディーつきで文科委員会で歌ったときに、下村元大臣は御存じなくて、ちょっと来い、教えてくれというようなことを言っていただいた記憶があります。

 あれから、私が浪人期間を含めて国会に戻らせていただいて、「心のノート」と前は言われていて、今「私たちの道徳」という教材になって、それを最近何ページかめくらせていただく中で、かなり教材として充実したものができ上がっているというふうに率直に思っています。

 この間どなたか国会議員の方に申し上げたんですけれども、子供のころにこの教材があったら私はもうちょっといい勉強ができたのではないかなという思いは実は率直に思いました。

 そんな意味で、この教材、「私たちの道徳」が使われるようになって、非常に前に進んでいるなという印象を持っておりますし、下村先生に歌った効果があったのではないかなというふうにも率直に思っております。

 そんな意味で、この道徳教育が進んでいて教科となるというような流れの中で、今後、今までのような、文科省主導で教材、「私たちの道徳」が作成されるのではなくて、教科書会社がそれぞれ試行錯誤の中で、教科書検定を受けて各地域で選定されるというような流れになると思われますけれども、この中で、考える道徳、議論する道徳をどのように実際に行っていくのか、具体的な授業の進め方、指導の仕方みたいなところで、ひな形などもあればお示しいただきたいというふうに思っておりますが、これは委員の方でも結構ですので、お願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度から小学校で、平成三十一年度から中学校で始まる道徳の特別教科化を機に、児童生徒が、答えが一つではない道徳的な課題を自分自身の問題として捉え、本音で語り、向き合う、考え、議論する道徳へと質的な転換を図っていく必要があると認識をいたしております。

 このため、文部科学省では、道徳科の特質を生かした学習指導案の作成や自由な思考を促す発問等について解説した新しい小中学校学習指導要領解説を昨年七月に公表し、説明会等を通じて周知徹底を図っているところです。

 また、こうした道徳教育の質的転換を促すため、小学校では平成三十年度から、中学校では平成三十一年度から、使用する教科書を無償給与し、全国で確実に質の高い授業が行われるようにすることといたしております。

 さらに、各地域の道徳教育の指導者となる教師に対する研修を行うこと、各都道府県が行う研修や郷土教材の作成への支援の実施、授業映像や全国から収集した実践事例などをインターネット上で公開する道徳教育アーカイブの整備、こういったことに必要な経費を平成三十年度予算案においても計上しており、こうした取組を通じて、各学校におけるさまざまな取組を支援することといたしております。

 各学校においては、こうした取組を参考にして、考え、議論する道徳の充実を図っていただきたいと考えております。

杉本分科員 ありがとうございます。

 道徳教育、特に大事ですし、平成三十年に小学校、平成三十一年に中学校で無償教材ということでございますけれども、先生方、御負担も多いと思いますけれども、ぜひとも道徳教育を進めていただきたい。

 ちょっと言い忘れましたけれども、戦前、修身という授業があって、戦という言葉を使うのが正しくないかもしれないんですが、戦争にかかわるような修身の教材の内容というのは決して好ましくないというふうに思いますけれども、一方で、礼儀作法であったり挨拶であったりというのが、実は、SNSというか、コンピューター、IoT社会の中で、人と人とが接するというのは極めて大事ですし、朝の挨拶であったりおはようございますであったりというのは、月並みな話ですけれども、実際にそれができているかできていないかで人間関係のコミュニケーションの円滑化につながると思います。そういった意味でも、戦前の修身の、戦争にかかわらないような、軍国主義的な考えではないようなところの、人間関係であったりという部分での教育をぜひとも進めていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、同じ道徳教育関連で、道徳教育推進教師という立場の方が置かれるようなのでございますけれども、この立場の方というのはどのような資格要件で、あるいはどのような能力を要件とされているのか、求められているのか、この役割を含めて、事務方の方で結構なんですが、確認をさせてください。

高橋政府参考人 道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳教育推進教師には、学校における道徳教育を推進する上での中心となり、全教師の参加、分担、協力のもとに、その充実に向けて働きかけていく役割が望まれます。

 この道徳教育推進教師の役割をもう少し具体的に申し上げますと、例えば、道徳教育の指導計画の作成に関すること、全教育活動における道徳教育の推進、充実に関すること、道徳科の指導体制に関することなどが考えられますが、各学校においては、道徳教育の推進体制を整える上で必要な役割を明確にすることが重要であります。

 こうした内容に鑑み、道徳教育推進教師については、校長が適切に任ずるとともに、学校の実態に応じて人数等に工夫を加えるなどの創意工夫が求められるものと考えております。

杉本分科員 校長先生が任ずるというようなところはちょっと耳に残ったんですけれども、何となく明確でないような気がしますし、どなたがするんだというと、意外とみんなお互いに顔を見合わせちゃって、誰なのかなみたいなことでは困ります。片一方で、指名された先生が唯我独尊でちょっとずれたような方がなってしまってもいけないと思いますので、ここのところの選定というのは、慎重、かつ、本当に適切な方を選んでいただくということをお願いしたく存じます。

 次に、これはちょっと大臣に答弁をいただいてもいいですか、いわゆる道徳教育の評価についてなんですけれども。

 評価という表現が、やはり道徳の場合、点数であったりというのはなじまないような気が私はいたしまして、ちょっと、いわゆるコメントを書いていただくような、総合評価みたいなところの書き方に近いような、通知表に書かれる書かれないの問題もあるかもしれませんけれども、熟成度とか理解度とか、そういったようなところの方が望ましいような気がいたしますけれども、もし大臣に御答弁いただければ、その考え方についてお示しいただきたいと思います。

林国務大臣 まずは、杉本委員が浪人時代を乗り越えてカムバックをされたことに敬意を表したいと思います。

 また、美声をお持ちですから、ぜひ、歌詞を朗読だけではなくて歌っていただいてもよかったのではないか、こういうふうに思っておりますが。

 今お尋ねの、道徳と違って、国語や数学などの各教科における学習評価については、指導要領に定める目標に照らして学習の実現状況を数値で評価する、目標に準拠した評価として実施をしておるんですが、今お話のあった特別の教科、道徳の評価は、これに比べますと、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受けとめて認め、励ます個人内評価ということで記述式で行うということでございますので、相対的に数字でやるというものはそもそもなじまないという考え方が根底にあるわけでございますので、これをやることによって、一人一人のよさを伸ばして、その子が成長していくということにつなげていくということでございます。

 各教科の評価は、目標というものがあって、それに対してということになるんですが、この特別の教科、道徳では個人内評価でやるということはもう明確にしておるところでございますが、やはりどうしても、評価という言葉が出ますと、現場が誤解をしてはいけませんので、この点について周知を徹底して、学校現場の混乱を招かないようにしていきたいと思っております。

杉本分科員 前向きな御答弁をありがとうございます。道徳教育は以上をもって終わりたいと思います。

 次に、英語教育について確認をさせていただきたいんです。

 またちょっと手前みそですけれども、私は銀行員を二十二年弱やっていましたけれども、いわゆる人事研修担当をしておりました。それで、新入社員教育をするんですけれども、事前にTOEFLスコアを登録させまして、いざ四月一日に新入社員の研修を始めるときには、ちょうどゼミの部屋がたしか十五あったんですけれども、十五クラスに分けたんです。

 というようなことをいたしまして、どなたとは申し上げませんが、今、大手、非常に先鋭的な大企業のトップをされている方が、余り言うとなんですけれども、決していい点数ではなかったんですね。しかし、その事前のスコア登録、部屋に物理的に入れられて、おのずと自分のレベル感というのがわかるんですね、同じ同期の中でどのぐらいにいるか。そうしたら、その方は非常に発奮されまして、英語を勉強されて、海外留学をされて、そしてその後、会社を羽ばたいて、今は某大手企業のトップをされているという方がいらっしゃるんです。それ以来、私自身も、林先生と違って英語はそんなに得意でなかったので、時間を要してTOEFLのスコアを上げていったみたいなところが私の場合はあるんですけれども。

 TOEFLという仕組みが今また新しくなって、私は今のTOEFLの形態をいま一つ、自分で受けていないのでわからないんですけれども、子供たちの教育にはTOEFLがいいというようなことを、よく勉強会なんかでも、ビジネスマンの方々とも話しても、よく話合いをしていたんです。

 こういったTOEFLあるいはTOEFLに準ずるような、あるいは類似のような英語のテストについて、ちょっと現行の仕組みを私は理解していなくて、勉強不足でお恥ずかしいんですけれども、ちょっと質問が飛ぶかもしれませんが、二〇二〇年から導入予定の大学入試共通テストの英語の試験について、いわゆる民間の資格・検定試験を活用して、四技能、読む、聞く、話す、書くを評価するというふうに変わると聞いているわけなんですけれども、大学の入学選抜基準、TOEFLのようなスコアの最低点の取得といったものをやっていくのか、事前登録みたいな形にするのか、あるいは一発勝負の英語の試験を行っていくのかみたいな、この外部テストの活用をどう考えていかれるのか。

 それと、その外部テスト間の、たしかTOEFLとTOEICというのは昔は互換性があったんですが、今はなくなったのかもしれないんですけれども、こういった互換性みたいなところも含めて民間のテストをどう活用されていくか、あるいは事前に行うのか一発勝負なのか、この辺のことをちょっと御示唆いただければと思います。

    〔主査退席、あべ主査代理着席〕

林国務大臣 委員がお触れになった某大企業のトップが、少し後輩になられるんだと思いますが、最初はそういうことだったのかと、今度会ったら言っておこうかなというふうに思いますが。

 今お話のあったTOEFL等、確かに、私も、日本で受けて向こうに行って、その後、もう一度大学に入り直すときにもう一度向こうで受けておりますが、その間に一年以上向こうでインターンをやっておったので、同じような試験を受けてこれだけ違うのかと自分で実感したことがございましたが、まさに大変大事なことである、こういうふうに思っておりまして、二〇二〇年度からの大学入学共通テストの枠組みにおいては、高校の指導要領を踏まえまして、聞く、読む、話す、書く、この英語の四技能を評価するために民間の検定試験を活用していこうということになっております。

 まず、活用に当たっては、大学入試センターが民間の検定試験の成績を各大学に提供するシステム、これを構築するということにしておりまして、現在、昨年十一月に公表いたしました参加要件に基づきまして、英検ですとかTOEFLなど、申請のあった検定試験の内容、実施体制等をセンターにおいて確認をしておるのが今の段階でございまして、三月までに参加団体を決定する予定になっております。

 この各検定試験の結果が相互に比較できなければいけない、委員の御指摘のとおりでございますので、各試験のスコア等と外国語の能力をはかる国際的指標というのがありまして、CEFRというのがございます。この六段階評価をあわせて各大学に提供をして、その対照表というのをさらに公表いたすことによって、各大学で円滑に活用をしてもらうように促していきたい、こういうふうに思っております。

 英語の四技能、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング、こういうことですが、この評価と育成のために、検定試験の活用促進に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

杉本分科員 私の理解が間違っていればなんですけれども、例えば、英検なんというのは質問が日本語で言われて、そしてテストみたいな形ですし、TOEFLの場合はいきなり英語で質問が投げかけられるということで、英語の苦手な子にとっては質問は日本語で聞きたいというのはあるのかもしれないんですけれども、やはり、試験というか、英語になじむという意味では、英語で質問を投げかけられて答えていくとかいうような仕組みの方が私は望ましいと思います。いろいろな過去の経緯で英語の試験会社さんというのはあると思うんですけれども、できる限り英語での質問で英語で答えるというようなことによって、日本人ならではの、恥ずかしながら発音がフラットになってしまうというよりは、抑揚のついた発音ができる日本人を育てていくというような観点からも、耳の方から、質問も英語で聞いていただくというような流れをつくっていただければということを、ちょっと僣越ですけれども、お願い申し上げます。

 次に、これは後藤さんが質問されていたのをちらっと聞いたんですけれども、小学校の教員免許の更新のときに英語教育の研修内容が対象となっているかと拝察しますが、ここがなっているかどうかの確認と、その研修による指導技能の定着というのをいかにはかっていっているのか、これはちょっと事務方の方で結構ですので、御答弁いただけますでしょうか。

高橋政府参考人 免許状更新講習においては、小学校の教師の英語指導に関する内容は、選択必修領域及び選択領域において取り扱われ、各教師が希望に応じて選択して受講しております。各講習の履修認定については、試験による成績審査に合格した者に実施することとしており、講習内容の着実な習得を担保しております。

 また、更新講習とは別になりますが、各地域では、研修講師や助言者としての役割を担う英語教育推進リーダーや、各学校で指導の中核となる教師の養成、小学校の現職教師が中学校外国語の免許状を取得することができる講座の開発、実施などにも取り組んでおりまして、こういったことを通じて小学校の教師の指導力の向上に努めているところでございます。

杉本分科員 ありがとうございます。

 あと、英語の専任教員の配置については、先ほど千人規模の定数改善というような御答弁をさっき後藤さんにされていたのを伺いましたので、これは飛ばさせていただきまして、英語教育については、引き続き英語が得意な大臣が就任されておられるので、引き続き大いに推進していただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、歴史教育、近現代史教育についてお伺いをしたいと思います。一つ飛ばすかもしれない、時間があればまた聞きますけれども。

 平成二十九年に告示された小中学校の次期学習指導要領では、高校での歴史学習をスムーズにするために、中学校の授業時間における地理が五時間減となっていると聞きます。世界の中の日本、貿易国家日本、海洋国家日本国から世界に羽ばたく子供たちを育むという点からは、地理を教えないというのはマイナスファクターのような気がしてなりません。

 先ほど、ちょっと冒頭引いた「私たちの道徳」の中に、二百十九ページに緒方貞子さんのメッセージというのがあって、ちょっとだけ読みますが、「人間がどんな場所、どんな環境のもとで生まれるかは、全くの偶然です。現在の日本のように、いろいろな困難はあっても、衣食に不自由することの少ない社会に生まれ合わせた私どもは、世界のいろいろな地域で、多くの人たちが貧しさや各種の争いのために不幸な生活をしいられ、日夜、苦労を続けていることを忘れてはなりません。」一つ飛ばしまして、「みなさんも子供のときから、自分の住む社会や国のことだけでなく、世界各国の情勢についてもつねに関心をもち続けてください。外国のことを学び、世界中の人たちに対する思いやりを忘れないような大人になってください。 緒方貞子」こう書いてあって、非常にいい教材と、また重ねて申し上げますけれども。

 こういった点と重ね合わせて、やはり地理というものは世界に、大臣は商社マンでいらして、南米の担当をされていたかと記憶しているんですけれども、今たばこ税の問題もあります、その分野の担当だったかと記憶していますけれども、この点について、地理の教育が減になるということについては、いかなる御理解というか、ほかで補完しているんだということも答弁であれば、お伺いできればと思います。

林国務大臣 委員は大変御記憶が正しくて、私は、中南米、グアテマラ、ブラジル、アルゼンチンに加えて、またトルコ、ブルガリア、ギリシャ、幅広くたばこの原料の調達を担当しておりましたが、そういう意味では地理も大変に大事であるということは、もう委員の御指摘のとおりでございます。

 昨年三月に告示された次期の中学校の学習指導要領、社会科では、御指摘のとおり、地理的分野に配当する授業時間を五時間減らして、歴史的分野に配当する授業時数を五時間ふやしております。これは、中学校の段階で、我が国の歴史の背景となる世界の歴史の扱いの充実を図ったということで、地理と歴史の間の授業時数を見直したということでございます。

 例えば歴史的分野で、より世界的な広い視野から歴史を理解できるようにする。例えば、元寇というのが、たしか十三世紀ですか、ございましたけれども、これをユーラシアの変化という構造の中で捉える学習ですとか、ムスリム商人などの役割と世界の結びつき、かかわりに気づかせる学習ということで、そういうことが、この世界的な広い視野ということを学んでもらうというふうになっております。それから、地理的分野でも、日本の地域構成の特色を周辺の海洋の広がりなどに着目して考察をしたり、それから海上輸送などの物流をもとに日本と世界の結びつきを理解したりする、こういう充実を図っておりまして、やはり中学校社会科全体として、今委員からお話のあったグローバル化時代の社会を担う子供たちを育成するという観点で、内容が後退しているということはないと考えております。

 それに加えて、高等学校の学習指導要領の改訂案を先日公表いたしましたが、これまで選択科目だったんですね、高校の地理は。今後は、全ての高校生が学ぶ必履修科目として地理総合、これを新設するとともに、その中で、世界の中の日本の位置と領域、物流を支える海運、貿易や交通、通信、我が国の海洋国家としての特色などを取り上げるようにしておりまして、初等中等教育を通じて地理教育の充実を図られている、こういうことでございます。

杉本分科員 地理総合というお言葉を伺いました。

 自分が子供だったころは、違う教材というか違う分野分けで授業を受けていたわけで、今改めて話を伺っている中で、改めて勉強し直してみたいなというのが、実は、正直、率直に感じるところであります。

 世の中、社会人になられ、税金を納めてくださって、一生懸命、お子様を授かった方は子育てもあり、あるいは親御さんが御高齢になって介護があるというのが、皆さんの日々の暮らし、御苦労かと思うんですけれども、そういった方々にも、日本が変わっていっていて教材も変わっていっているんだということをぜひとも、今後、たしか、ちょっと飛ばしましたけれども、歴史総合というのも必修教科となっているようでございますので、なかなか社会人になると学ぶ機会というのは少なくなってきますけれども、そこの分野についても現政権は着目されているということで、ありがたいなというふうに思っています。

 こういった教材が、いわゆる本屋さんのところ、あるいはネット販売もあるかもしれないんですけれども、比較的スムーズに手に入りやすいような環境というのもつくっていく必要があるかなということで、雑感でありますけれども、感じさせていただいています。

 あと二点、時間があればなんですけれども、その他の質問ということで、いわゆる世界ランクに入るような大学をつくっていくんだということで、トップトゥエンティーだサーティーだとかという言葉は昔よく聞いた記憶はあります。日本の大学の欠点というのは、これはちょっと私のうがった見方かもしれませんけれども、やはり象牙の塔という表現で非常に批判的にされてしまうような、学校の先生は学校の先生、大学の教授は大学の教授ということで、一方で、実社会との交流というのが非常に少なくなっていて、ビジネスマンをやった方が教壇に立つというようなことが非常に少なくなってきているような気がするんです。

 これはそれぞれの学校に問われているような難題だとは思いますけれども、文科省としては、こういったことに対する取組をどのように行っていかれる所存なのか、伺いたいと思います。

林国務大臣 今杉本委員からお話がありましたように、世界の大学のランキングというのがございます。

 これはいろんなものがございますけれども、それぞれで評価指標も区々に異なっておりますが、やはり大学の国際競争力、これは大事な観点でございますので、こうした客観的な指標を通じて、どういう課題が我が国の大学にはあるのかということをしっかりと把握して改善に生かしていくということが大事だと思っております。

 この各指標というのを分析しますと、我が国の大学の主な課題として、論文引用の評価が低いというのがあります。余り引用されていない。それから、留学生や外国人の教員比率、これも低い。それから、国際共同研究等の指標、国際研究での指標が低い、したがって、その指標で構成される国際面の評価が低いということが見てとれるわけでございます。

 こういったことを率直に受けとめて、教育再生実行会議の提言、また日本再興戦略でもいろんな提言がなされておりますので、スーパーグローバル大学創成支援、指定国立大学法人制度、それから、これは来年度から実施予定ですが、卓越大学院プログラム等々、いろんなプログラムを用意しまして、大学の国際競争力というのを強化してイノベーションをつくっていくという教育研究環境、これを整えるとともに、国際ネットワーク強化、人脈をしっかりと海外に持ってやっていただく、こういった取組を推進してまいりたい、こういうふうに思います。

 そういうことで、国際競争力がつくというのが大事なことでございまして、結果としてランキングはついてくる、こういう考え方でやっていきたいと思っております。

杉本分科員 大臣の人脈も生かしながら、日本の大学が世界に伍していくというか凌駕して、オリンピックのてっぺんをとるような、そういう大学になることを期待したいと思います。

 最後、日本相撲協会のことを質問しようと思っていましたけれども、とにかく、日本の国技、日本の歴史と伝統の象徴的なものだと思っていますので、ぜひとも文科省の適切な指導を引き続きお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

あべ主査代理 これにて杉本和巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、工藤彰三君。

工藤分科員 おはようございます。自由民主党の名古屋の工藤彰三でございます。

 質問のお時間を頂戴しました。感謝申し上げます。

 きょうは、大臣始め政府参考人の皆さんに三点お尋ねしたいと思います。

 まず初めに、現在、少子化が進む中、公立小中学校の改築工事のことについてお尋ねしたいと思います。

 私は、昭和三十九年の生まれ、東京オリンピックの生まれでありますけれども、小学校の同級生は三百人おりました。四十五人クラスで七学級ありまして、大体三百でありました。これから卒業式や、また四月には入学式がやってまいりますけれども、地元の小学校の入学式に伺いますと、もう今は百人を切っております。昨年の場合は九十二人ということで、クラスが四クラス、二十数人ずつでということでありました。

 非常に寂しいなという思いがありますのと同時に、今、廃校や統廃合、そしていろんなところで学校のあり方が考えられておりますし、学校におけるいろいろ、両親の学校に対する介入問題、いわゆるモンスターペアレントの問題とか、さまざまな問題があるわけです。自宅の目の前が小学校、母校でありますので、いろんな児童たちの声が聞こえたり、放課後の動き方もつぶさによくわかるわけでありますので、そういうことを踏まえながら、現状を知っていただきたいと思います。

 名古屋は、リニア新幹線の建設や、今、景気が少し上向いてまいりまして、地価高騰とかさまざまな面であるんですが、やはり中心部、駅前、名古屋駅前、中区の栄、そういう中心部の学校というのは、子供の数が急速に減って、廃校、そして、廃校に伴い小学校をインターナショナルスクールに入札で転売したり、あと、やはりいろいろなところでPTA、OB会の方が学校をなくすのはやめてほしいとかそういう声もある中で、実は逆のことも起きております。

 人口が減っている中で人口がふえることは非常にありがたいんですが、選挙区ではないんですが、名古屋市の中に東区というところがあります。東区、中心地から近いところでございますが、そちらに砂田橋小学校という小学校があります。

 この小学校、そして、名古屋においては、名古屋は二百六十六の小学校、百四十四の公立の中学校がある中で、毎年文科省にお願いをして、グラウンドの整備や、老朽化した天井、そして、今、子供たちはトイレは当たり前のように和式から洋式に変わっております、このトイレの改修工事、さまざまな面で交付金をお願いしているわけであります。

 補正予算の中で、文科省も大変苦しい選択だったと思いますが、砂田橋小学校というところの小学校の問題についてきょうはお話しさせていただきます。

 実は、この小学校の近隣に巨大なマンションが建設されることになりました。これは大手のディベロッパーが三社競合して建てるマンションでありまして、東京においては江東区のマンション問題がいろいろ取り沙汰されておりますが、名古屋においてもあるわけであります。

 マンション名はメガシティテラスというマンションで、戸数が五百五十三戸の建設予定であります。五百五十三戸、そして換算して、その中で、例えば転居してくる子供たち、小学生の人数がおおむね百二十名増員する。これはクラスにおいて大変なことでありまして、特活室や音楽室やさまざまなところを変えて、開放して、改築しても全く追っつかないわけであります。

 それに対して、プレハブの仮校舎等の工事をこれから行うわけでありますが、その補正予算を申請したところ、大変厳しい現状だと思うんですけれども、やはり、老朽化がもっと進んでいる、四十年以上建築して使われている校舎が優先的に改築されるべきだという見解があって、この砂田橋小学校は、残念ながら、開校三十八年です、わずか二年足らないだけで補正予算というものの対象から外れてしまいました。

 ぜひともお願いしたいことは、私は別にお金が欲しいからこの質問をしているわけじゃないんですが、実際問題、子供たちが路頭に迷ってしまうという問題。

 名古屋市は十六の行政区がございます。十六の行政区の中で、その区ごとに、小学校、中学校を自分たちで選ぶことなく、その地域に住んでいる方々がその地域の小学校に通う。私学は別の問題として。例えば砂田橋小学校は、砂田橋一丁目から五丁目までの方々が東区において暮らしている、その中の小学生が通う学校であるわけであります。

 百二十数名ふえた場合、どのようになってしまうのか、こういう問題を早急に解決していただきたいな。こういう問題も実際あります。

 また、プレハブ校舎というのは今非常にうまくできているんですが、私の前の船方小学校、母校でも耐震や改築工事が行われて、文科省の局長さんは御存じのとおり、学校は、夏、冬、春、この休みの期間しか工事はできません。授業を行っている間、放課後に工事をするというのはなかなか難しい問題があります。土曜日、日曜日も休日を返上して工事されている姿を見ると、大変だな、学校改修は大変だってよくわかりますけれども、この砂田橋小学校のことについてどのように対処していただけるか。

 そして、今話しましたけれども、プレハブにすると、結構近隣の父兄から私の事務所の方にもクレームが来ます。同じ小学校に通っていて、なぜ本校舎じゃないんですか、プレハブなんですか、エアコンはしっかりしていますか、ハウスダストはどうですか、そして、塗料におけるアレルギーはないんですか、食事するときはその中でしなければいけないんですかと。そういうクレームを言っていらっしゃる方が多い中で、一旦プレハブで小学校を仮設し、そしてどのようにするのかということをきょうお尋ねしたいんですが、私も、ただ質問するだけではなく、考えました。

 名古屋市の教育委員会にも知恵を出して、お金が必要ならお金の話はしますけれども、例えば、東区であるけれども、東区の東の方ですから、隣の千種区の千代田橋小学校に行くとか、同じ東区にある西側の矢田小学校に、越境とは言いませんが、臨時でそちらに児童を通わせてみたらどうだということも考えましたが、やはりそういう事例をつくってしまうと、名古屋市の教育委員会始め公立の先生方、そして学校の区割りというものが大幅に変わってしまいますので、そういうことはなしにして、やはり文部科学省にきちっとこの問題を対処していただきたいと思います。

 本来でありましたら、この選挙区の国会議員が質問するべきじゃないのという話がありますけれども、予算委員の当番で質問することができませんので、ぜひともお願いしたいという話がありましたので、きょうはまげて、大臣始め局長さんに、このようなことが起こっているんですよと、これをお願いしたいと思います。

 また、逆もあるわけです。

 私の生まれた熱田区というところは、名古屋の中で一番小さな行政区で、小学区でいうと七学区しかございませんが、その中の、私は船方小学校の育ちで、船方小学校、大宝、野立、三つの小学校が合わさって、公立中学でいきますと日比野中学といって、サッカーが非常に強い学校があるわけです。信じられませんけれども、公立の中学校で全国優勝を二回している学校はこの中学だけであります。

 いっとき、私の四つ下の妹が通っているころは人口が急激にふえまして、逆に今の話と一緒ですが、信じられませんけれども、日比野中学には本校と分校があります、人数が多くて。三つの小学校から中学校へ上がってきた、中学校一年生のときには日比野中学校の南校舎、分校に通って、それから二年、三年は本校に行く、こういうシステムをとっておったんですが、この中学校も徐々に人口が減っておりますので、いろいろな面で、これから、グラウンドも二つあります、ナイターもついております、屋上にプールもある、非常に珍しい学校で、モデルケースの中学校でありましたが、ここも今後どうなるのかという問題があります。

 小学校、中学校、人口がこれだけ急激にふえたり減ったりしたら、文科省としても対応するのは大変厳しいと思いますけれども、ぜひとも、この砂田橋小学校の件は、逆に言うと、一度見に来ていただきたいな、どういうことがこの名古屋市内において起きているんだということをわかっていただきたいな、そういう面でありまして、要望を兼ねた一つ目の質問といたします。政府参考人の考え方をお示し願いたいと思います。

    〔あべ主査代理退席、主査着席〕

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま三点御質問があったかと思います。一つは老朽施設の改善、一つはタワーマンションの開発に伴う増築の話、あとプレハブへの対応ということでございます。

 まず、老朽施設の改善でございますが、公立学校施設につきましては、老朽化は大変深刻な状況でございまして、今回の補正予算でも防災、減災の観点から予算をいただいているところでございますが、それに対応する各地方自治体からの老朽施設の改修等の御要望を多数いただいているところでございます。

 そういう中で、今回は先ほどお話のあった四十年というところで一応させていただきましたけれども、私どもといたしましては、それより若いものについても何とかしたいという考えでございまして、文部科学省といたしましても、計画的に各地方公共団体が深刻な老朽化対策等施設設備を行えるよう、引き続き予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 タワーマンションに伴う増築のことでございますけれども、タワーマンション等大規模な住宅の建設により今後の児童生徒の増加が見込まれる場合において、教室不足は避けなければいけません。三年後までに増加が見込まれる児童生徒数に基づいて設置者が行う新増築の事業に対し国庫負担を行うことができることとされておりまして、これも、地方自治体の要望を聞いて、しっかり対応してまいりたいと思っております。

 また、三点目でございますが、プレハブの対応でございます。

 文部科学省におきましては、義務教育諸学校等施設費の国庫負担に関する法律に基づきまして、公立小中学校に教室不足が発生した場合、その改修のために行う校舎等の新増築に要する経費の一部を負担することにより、地方公共団体が行う事業を支援しているところでございますが、学校施設の工事中などに暫定的にプレハブ校舎等により教育を行う場合もありますが、その場合も、学校環境衛生基準に基づいて、設置者である地方公共団体において、適切な教育環境が保持されるよう環境整備がなされているものと承知してございます。

 なお、増改築等に関して、プレハブ校舎等を整備する場合も、合理的な範囲で、必要となる費用については補助対象経費としているところでございます。

 文部科学省といたしましても、地方公共団体が学校施設の計画的な整備を行うことができるよう、必要な予算の確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

工藤分科員 答弁ありがとうございました。

 済みません、通告していなかったプレハブの話まで今しっかりと答弁していただきまして、ありがとうございます。

 大臣お見えですからしっかり要望しておきますが、大変さまざま、いろいろな学校がありますので、予算というのは厳しい状況がありますけれども、やはりこういう、私は別に建設、ゼネコンさんやマンションディベロッパーを批判するつもりは全くありませんし、よくよくマンションのカタログとか見せていただいたら、すごくゆとりのあるつくり方をしているんだなというふうで、こういうところの環境で暮らして、近隣の小学校で友達や先輩、後輩ができるといいな、そんな思いできょうは立たせていただいております。

 お金がないことは承知しておりますけれども、ぜひともこういう問題にしっかり対処していただきたい、これが私からの一つ目の質問に対する要望でございます。

 二つ目の質問に移りますが、二つ目の質問は、これは文科省が直接全て行っているわけではないんですが、きょうは大臣お見えですが、味覚の一週間というのがあります。

 これはフランスで始まったものでありますが、ルソン・ド・グーという、私が言うと何を言っているんだと言われるかもしれませんけれども、味覚の一週間というものがありまして、もう既にこれは二十六年前からフランスの、十月の第三週に、小学校三年生、四年生ぐらいの子たちを中心に、自分たちの味覚をきっちりと学校の授業の中で覚えようと。体育、徳育、知育、そして食育でございます。

 この食育、もう日本に普及し始めて七年を迎えるんでしょうかね。後援しているのは、全て文科省じゃなく、食材の農林水産省、そして衛生面で厚生労働省も所管していることでありますけれども、やはり今、非常に私たちの、特にお子さんたちの味覚が狂ってしまっている問題があります。要は、簡単に言うと、スナック菓子が多くて、塩とコショウで味覚が狂ってしまっている。そして、何かあれば、お米をしっかりかんで食べたり、だしものを飲んだりとかそういうことはなくて、スナック菓子とファストフードそして炭酸飲料、こういうものを食事にしているわけで、味覚が狂ってしまっている。

 これに対して、学校の教室の中で、特にこれは、学校の教員、先生じゃなくて、ホテルのシェフ、そしてレストランのオーナー、そういう方々に出張してきていただいて、味覚の授業を行う、こういうものが普及しておりますが、私も最初、非常に苦労しました。

 名古屋市で、これを普及させたらどうだという話があったんですけれども、やはり学校の先生の中には、自分の教室の中に父兄、児童以外を余り入れたくない、そして、いろいろなものを批判の対象にされたくないから、なるべく教室は自分の教室だけでありたいという方がいたらしいものですから、なかなか、当時、教育委員会も壁が高かったんですけれども、何とかお願いして、まず、自分の母校からでもやらせてほしい、母校だと手前みそですから、隣の小学校からやらせてほしいということで得て、そしてこのことを私と、そしてうちの家内と後援会の皆さん、バックアップしていただいて、授業を開始したのが四年前であります。

 最初は一つの小学校、二年目は二つの小学校、三年目からは自分の住んでいる熱田区全七校、ことしに入って熱田区以外の学校も味覚の授業をするということであります。

 大臣にお尋ねするわけじゃないんですけれども、味覚、さあ皆さん、これは五つの味覚というのは何か、ぱっとわかりますか。では、済みません、大臣、お願いいたします。

林国務大臣 必ずしも文科省の所管であるかどうかは別にして、いわゆる味覚というのは四つだ、こういうふうにもともと言われておったわけでございます。塩分に対する塩辛さと糖分に対する甘さ、それから、もともとは毒を識別するための苦み、そして腐敗をしていることをはじくための酸っぱさ。

 これに加えて、最近は、まさに日本のうまみ、これはグルタミン酸ソーダということでございますが、これを感知する能力が日本人は古来から非常に強かったということで、最近は、フレンチなんかでも、このうまみを入れた、五番目の味覚として、味覚は五つあるということが定着しつつあるのではないかと、うれしく思っておるところでございます。

工藤分科員 もう名回答でございます。さすがだなと思います。

 まさに、今、四つの味ということがありました。塩味、酸味、苦み、甘み。そして、今欠如していると言われたのが、だし、グルタミン酸、かつおぶし、そしてシイタケ、このようなもののうまみ。これは向こうでいうとボーといいますが、フォン・ド・ボー、要はスープのだし、これが味覚で大切なことなんだということを言われている。

 この授業をシェフに出てきていただいて、これからまず拡張していきたい、そんな思いで私は活動している一人であります。

 文部科学省としても、これから、これは他の、省庁だけじゃなくて、教育の一環として食育を、三十数県の都道府県だけでなく、各自治体の教育委員会にもやはり指導していただいて、できたら、日本全国で、日本人ってやっぱりだしがわかるんだな、うまみがわかるんだな、そういうことを学校の授業でも教えていただきたいと思います。

 本来であれば家庭で行う話かもしれませんけれども、今はなかなか、共稼ぎで、お母さんが食事をつくらずに、そのままパートに出かけたり職場に行ってしまうということが多いので、ぜひとも学校で進めていただきたいと思いますので、文部科学省の所見を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 今委員からも御指摘いただきましたが、フランスにおける味覚の一週間という取組に倣って、日本においても味覚の一週間実行委員会による取組が行われているものと承知をしております。

 この取組においては、シェフや生産者等が全国の学校に出向いて、子供たちに味の基本や五感を使って食べる大切さを教える味覚の授業が行われており、文部科学省としても、農林水産省や厚生労働省とともにこの取組を後援しているところでもございます。

 学校における食については、学校給食の時間や各教科など、学校の教育活動全体を通じて行うとともに、今御指摘いただきましたように、教職員による指導のみならず、食に関する専門家や生産者等との連携を図りつつ推進することが重要であると考えております。

 文科省においては、本年度より、関係者が連携して学校における食育を推進するモデル事業である、つながる食育推進事業を実施しており、この中では、地域の料理人や生産者等が参画した授業などが行われております。

 文部科学省においては、これらモデル事業における成果を普及するなどにより、食の専門家等と連携した食育の推進に努めてまいる所存でございます。

工藤分科員 ありがとうございました。

 しっかりとお進め願いたいと考えております。

 最後、三つ目の質問でございますが、今回の平昌オリンピック、冬季オリンピック、昨日閉会いたしました。これからパラリンピックに移るわけでありますけれども、非常に興奮して見ておりました。メダルの数も、長野大会を上回る、金が四、銀が五、そして銅が四つ、計十三のメダルを獲得し、そして、何よりもやはり感動的なものが多かった。

 そして、私はいつも思うんですが、大臣にお聞き願いたいんです。

 日本人というのは、やはり個々で戦うと、外国人に対してどうしても体格面やいろいろな面で勝てないところがあるんですけれども、前回も、リオ・オリンピックで日本の百メーターのリレー、十秒を切る選手は一人もいないわけです。でも、リレーをすると、団体で、四人がしっかりバトンを渡しながら、世界相手に銀メダルをとる。この団体戦という力は、日本のスポーツ界においてやはり傑出する、世界の中ではすごいな。日本人の体力に劣った部分をそういう連係でカバーをする、そういうものはすごいなと思っておりました。

 また、高木姉妹のパシュート、これも見ていて、考えられないけれども、やはり考えて考えて、よその、各国が四秒、六秒ごとに交代する、何秒ごとに交代する、それもきちっきちっとやって、それが集大成で勝てたんだな、そういう面で見ておりました。

 これから、平昌が終わり、いよいよ二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向かって我が国は進んでいくわけでありますが、当然、テロもなく、安全で、そして世界の方々が平和の祭典オリンピック、パラリンピックをこの首都東京で味わって感動していただきたい、そんな礎になれるよう、文科委員の一人として、今、少し微力ですが努力しております。

 では、そのオリンピックが開催され、無事終わった後に日本の景気はどうなるかとよくエコノミストの方が言われますし、その後のスポーツ大会はどうなるんだという話がありますが、ここで少し認識していただきたいのは、実は、多分、日本の方々に今聞いても、この大会は御存じですかと言っても、まずわからないと思われているのが、二〇二六年、アジア大会が開かれます。

 今のところ、まだ設立準備委員会で、組織委員会化までまだされておりませんけれども、既に地元の愛知県知事や市長、財界は、官邸を始めさまざまなところに、お願いしたいということで要望活動をしております。

 また、こちらは、ちょっと書面を用意しましたが、スポーツ庁は、第二期スポーツ基本計画を二〇一七年四月から五カ年の期間でスタートさせている。基本的な計画として、スポーツで人生が変わる、スポーツで社会を変える、スポーツで世界とつながる、スポーツで未来をつくるという四つの指針を大きな柱として、スポーツ参画人口を拡大するとともに、スポーツ以外の分野との連携、協力することで一億総スポーツ社会をつくっていきたい、こういう方針も出しているわけであります。

 何が言いたいかというと、オリンピックが終わった後に、燃え尽き症候群じゃありませんけれども、その後には、やはり愛知・名古屋でアジアの大きなスポーツの祭典があるということでありますので、今の間から認識していただきたいと思います。

 名古屋の町も、先ほど申し上げたとおり、最初の、昭和三十九年の東京オリンピックまでの戦後復興で立ち上がってきたまちづくりもありますけれども、それを変革しながらせねばなりません。アジア大会が行われるんだったら、選手村はどこにするのか、そしてメーンスタジアムはどこに置くのか、これがきちっと明確に定まっておりますけれども、それに対する、国が本当にこの愛知・名古屋のことをバックアップしてもらえるんだろうか。そんな思いがありまして、きょう質問に立たせていただきました。

 実は、私ごとで大変恐縮ですが、韓国のソウル・オリンピックがありました。当時、ソウル・オリンピックが決まる前に、候補地として手を挙げた都市がありました。これが実は、私の生まれ故郷、名古屋です。名古屋オリンピックの初代誘致委員長は、他界した私の父親でした。

 サマランチ会長が名古屋に見えるというときに、韓国・ソウルは国を挙げて歓迎して、韓国という国家をスポーツということで盛り上げてもらいたいという歓迎があったけれども、逆に、名古屋では、実はオリンピック誘致に対して一部の方から反対運動が起きた。

 そして、当時の大蔵大臣、今は懐かしい渡辺美智雄先生のところに上京したときに、うちの父親始め名古屋市関係者は、無理だよ、予算はないよと、非常に冷たいというか、それはそうだろうな、国を挙げた闘いと、一つの町が金がないから助けてくださいでは、これは勝ち目ないなと。

 今思えばそんなふうに思うんですけれども、そういう悲しい、そしてじくじたる思いがありますので、アジア大会は、ぜひとも名古屋、愛知でしっかりと実現してもらいたいと思います。

 私の選挙区に名古屋競馬場がありまして、その競馬場を閉ざして、そこに選手村を持ってくる計画がありますし、パロマ陸上競技場も、これを改築して、トラック数も大きくして、収容人員を多くする。

 そして、アジアの方々、五十カ国の方々が日本に来て、そして名古屋に来て。そして、当然ながら、愛知万博のときにちょっと苦い思いがあったのが、名古屋にはホテル、旅館が少ないんですね。今、民泊がふえておりますけれども、当時、収容できないよ、来ても無理だよという話があったんですが、そういうことのないように、アジア大会までに、先ほどの逆に、マンションじゃありませんが、さまざまな複合施設や宿泊施設も整備せねばなりません。

 それに対して、これから国はどのように支援していただけるのか、大臣のお考え方をお聞かせください。

林国務大臣 我が国でアジア競技大会を開催するということは、スポーツの振興、また地域の活性化にもつながるものでありまして、大変意義のあるもの、こういうふうに考えております。

 国としての支援ということでございましたが、前回の大会や他の大規模国際競技大会の例を踏まえつつ、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 また、スポーツ振興くじというのがございまして、これで助成をいろいろやっておるわけでございますが、競技会場の整備、改修、また大会運営に対して支援する枠組みがこのスポーツ振興くじにございますので、開催都市におかれてはこの枠組みを効果的に御活用いただきたいと考えております。

工藤分科員 林大臣から大変力強いお言葉を頂戴しました。

 スポーツ振興くじ、いわゆるtotoですが、これを活用して、しっかりと、二〇二六年、私たちも、地元の活性化を始め、そして、全国の方また各国の方が名古屋に来て、アジア大会も大切ですけれども、今よく言われるのが、一番政令都市の中で魅力がない、行ってもおもしろくないと言われている町が名古屋と言われておりますが、その率を逆転して、ぜひとも名古屋を訪れてみたい、そんな町に変えていきたい、そんな意気込みで今活動しておりますので、文科省におかれまして、大臣におかれましても、御支援を広げていただくことを切にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福井主査 これにて工藤彰三君の質疑は終了いたしました。

 次に、平野博文君。

平野分科員 おはようございます。無所属の会の平野博文でございます。

 きょうは、久々にまた質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 林大臣におかれても大変御苦労いただいている部分もあると思いますが、きょうは特に内閣府の副大臣にも来ていただいておりますが、特に昨今、東京二十三区の大学の学生の定員抑制、こういうことについて少し、どういう背景からこういうことになっているのかということを含めて聞きたいというふうに思っております。

 特に、定員抑制をする根拠、エビデンス等々について。私も文科大臣を担当したときがございました。こういうのはやるべきでないというふうに私は思っておりました。しかし、林大臣の告示を含めて、林大臣も本心からそう思って告示したのかどうか知りませんが、そういうところを含めて、やはりしっかりした背景が必要なんだろうと思っていますので、その点について少しお聞かせをいただきたいと思っています。

 まず、この背景というのは、今月六日に、東京二十三区における大学の収容人員の増加を認めない、こういう法案を閣議決定をされた、こういうことでございます。また、この法案については地方創生の特別委員会で審議をする、こういうことでございますが、なぜ地方創生特別委員会でするのか、こういうことも私自身は気になるところであります。しかし、どの委員会でやられようが、私はこの問題というのは非常に重要だと思っています。

 その背景は、全国知事会からの御要望ということで、昨年の六月に、政府は、まち・ひと・しごと創生基本方針、この方針の中に、原則として定員増を認めない、こういう閣議決定がされたと聞き及んでおります。具体的な施策としては、先ほど申し上げましたように、文科省が、昨年九月の二十九日、解散の翌日でございますが、大学設置基準の特例として、三十年、三十一年の大学の学部の新設を認めないとする告示を発表されたわけでございます。また一方では、昨年末にまち・ひと・しごと創生本部の有識者会議が法制化を求めたことを受けて、今般、国会に提出されたと聞き及んでおります。

 まずお聞きしたいことは、二十三区の大学の定員抑制について、全国の知事会は、大学への就学や就職をきっかけとした、若者が東京に一極集中していることに歯どめをしなきゃいけない、こういうことでございます。したがって、有識者会議の中では、ここ数年も東京圏の大学の定員増加が続いている、こういうことを前提とし、地方大学の経営の悪化、東京圏周辺地域から大学の撤退を招きかねないということを理由にこの立法の背景をつくっているわけであります。したがって、私は、この定員抑制がきちんとしたエビデンスに基づいての施策なのか、正しい事実認識に基づいているのか、ここのところについて確認したいわけでございます。

 したがいまして、まず、内閣府の副大臣、お越しいただいて恐縮でございますが、この閣議決定した法案の立法事実とその背景等々について、どういう考え方でこういう方向性を見出したのかということを、まず基本的な認識としてお聞きしたいと思います。

田中副大臣 お答えいたします。

 まず、二〇〇〇年から二〇一五年で、地方の若者、約五百三十二万人減少しております。また、東京圏への転入の超過数、近年十万人を超える規模で推移しております。そのほとんどが若者であるということであります。地方創生の開始から三年たつわけでありますけれども、この流れ、いまだに歯どめがかかっていない、こういう現実があります。

 今後、十八歳人口が大幅に減少すると見込まれております。今後も条件の有利な東京二十三区の定員増が進み続けることになりますと、東京一極集中がますます加速をし、そして、東京の大学の収容力が拡大する一方におきまして、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じて、地域間で高等教育の就学機会の格差、これが拡大しかねない。

 このような状況を踏まえまして、東京二十三区のみで四十六・三万人と、既に全国の学生数の一七・九%が占められております。また、二〇〇二年から二〇一七年の間で、東京二十三区の学部の学生数、これは八万人増と増加傾向にあるという状況にあります。それから、そうしたものを踏まえて、東京二十三区の大学の学部の定員の抑制、これを行うとしたところであります。

 また、地方六団体からも、東京圏全体ではなくて、学生数がふえ続けている東京二十三区において大学の学部の定員抑制をすべきである、こういう御要望もいただいているところであります。

平野分科員 今言われましたけれども、東京全体としては、私は決して学生はふえていると思っていません。今言われた、若者が東京に流入してきているというこの事実はあると思うんですが、学生としてはふえていないんです。この点の違いを、今厚生労働省でも、立法の背景になるデータ、比較するデータが違うんじゃないか、この点を私は指摘したいと思いますし、いや、それは平野が言うのは間違っているということなのか、この点についてははっきりしておきたいと思います。

 先ほど、今副大臣おっしゃったように、有識者会議では、抑制策の理由として、東京圏の大学の定員増加が続いている、こういう認識を示しています。しかし、学校基本調査等の調査、文科省の資料によりますと、東京圏の学生数は横ばいで推移しているんですよ。この点の認識の違いは、副大臣、どういうふうに受けとめますか。

田中副大臣 今お話ありました東京圏への人口移動でありますが、二〇一二年以降は四年連続で転入超過数が増加してまいりました。二〇一六年には若干減少したところであります。しかしまた、二〇一七年は再び若干の増加に転じました。約十二万人の転入超過となっております。東京一極集中の傾向、これは続いているものと承知をしております。

 この転入超過数の大半をやはり十五歳から二十九歳の若者が占めている、これを考えますと、若い世代の大学等への進学、就職が東京圏への移動の一つのきっかけとなっているものと考えているところであります。

 また、東京二十三区の学部学生数、これは、二〇〇二年から二〇一七年の十五年間で八万人増加をしております。加えて、東京圏外の高校から東京圏内の大学又は短期大学に進学した者の人数から、東京圏内の高校から東京圏外の大学又は短期大学に進学した者の人数、これを差し引いた差も、近年、約七万人となっている、こういう状況が背景にあります。

平野分科員 そこは副大臣、違うんですよ。学校基本統計から作成しますと、ほとんどこれは横ばいですよ、数字。確かに、若者が流入している、転入してきている、これは事実だと私は思いますよ。だから、数字のとり方が違うんですよ。

 特に、今副大臣がおっしゃった部分でいくと、東京都の一年の転入超過が十二万人のうち大学進学は七万人を占めている、学生の進学が人口流入の主要な要因になっている、こういうふうに指摘しているんです。しかし、厳密には、十万人は住民基本台帳上の転入者ですよ。七万人は出身校が東京でない学生の数なんですよ。異なる性質、調査の数字を比較して、いわゆる七万人が十二万人の内数ではありませんよ。ここをはっきりしておかないと、主な要因は、大学の定員の増加等々によって起こっているということではないんですよ。ここのところは、私、認識をはっきりしてもらわないといけない。

 その上でもやるというならば、その議論は成り立っていくのかもしれませんが、今副大臣がおっしゃった、データのバックグラウンドが全然違います。したがって、進学が主な原因と語っていくことについては、ある意味、データ上からのミスリードだと私は思います。

 十二万人の内数でいえば、就職年齢の転入者こそ七万人近くになる、就職するために転入してくる、このことは事実だと私は思います。

 就職でなく進学が東京一極集中の主な要因になっている、このような事実認識は、極めて不適切な認識だというふうに、データ上から見ても明らかであります。したがって、この点については、ぜひこれはまずただしておきたいと思います。

 したがって、東京は地方の大学から学生を奪っている、地方を創生するために、地方の大学のために東京に流入してくる学生を絞るということが、逆に地方の大学の定員を確保するということにつながる、これは私は全く違うんだろうというふうに思うんです。

 東京の大学の入学者のうち、地方の出身者は三割にしかすぎないんですよ。大多数が東京圏、その近郊での学生の移動なんですよ。地方との比較においては三割しかないんです。昔は、地方から東京へ、大学に来た。数が多かったからです。地方に大学が少なかった。今は、現実は三割しかいない。まずこのことをぜひ認識をしてもらいたい。

 もう一方、二十三区の学生増はどうなっているんだと。二十三区内の学生数はふえています。これは私は否定しません。このことは事実です。しかし、この要因というのは、何でこうなったかというのは、副大臣、御存じですか。工場等の立地制限を加えた二〇〇二年の法案を廃止したために、郊外から二十三区に入っただけなんです。

 だから、いわゆる東京都の数字、東京圏の数字、首都圏の数字、これを都合よく政策誘導しているだけにすぎない、私はこう思うんですね。もっと大事なことは、原因は違うところにあるんですよ。経済政策上のところにあるんですよ。大学の学部の定員を抑制することによってこの問題が解決するとは、私は到底考えられません。

 したがって、かつて郊外へ移転をせざるを得なかった大学が都心に回帰をする、東京の郊外から都心に移動しているだけであって、地方から大学、学生を吸い上げている、こういうことではないんだ、私はそう思っていますが、このデータは文科省から調査しているデータですが、大臣、私の今のこの認識とは異にしますか、同じ考え方に立ちますか。

林国務大臣 先生が今おっしゃられましたように、工場制限法というのが廃止になりました。この法律は昭和三十四年に制定をされたということで、平成十四年までの間に、都市部における大学の新増設や定員増、これを抑制する方針をやってきたわけでございます。

 大学については、原則として千五百平方メートル以上の床面積を持つ大学の教室の新設や増設禁止、こういうことだったわけでございますが、平成十三年に当時の総合規制改革会議から出された答申等を受けまして、この法律が廃止になったということで、平成十五年以降は大学設置や定員増に関する抑制方針、これは撤廃をされたわけでございます。平成十五年ですからおよそ十五年前、こういうことになるわけでございます。

 一方、十八歳人口ですが、もうこれは釈迦に説法でございますけれども、二〇一六年に約百二十万人の十八歳人口が二〇四〇年に八十八万人、二〇一八年問題なんということを世の中で言われているようでございますが、この中で、東京二十三区で四十六・三万人と、既に全国の学生数の一八%になっております。

 それから、先ほど内閣府の方からも答弁がありましたように、東京二十三区の学部学生数、平成十四年から十五年間、二十九年までの間で八万人増加ですが、東京の中でも二十三区を除く都下ですか、一・四万人減少、それから埼玉県でも〇・九万人減少、千葉県でも一・一万人減少、神奈川県は〇・三万人減少。

 こういうふうになっておりますので、やはり、工場制限法のときの条件と少し変わってきておりまして、二十三区の定員増がこのまま進みますとますます一極集中が進むということと、地方大学、御案内のような状況で、経営悪化によって撤退が出ておりますので、結果として、地域間で高等教育の就学機会の格差、これがどうしても拡大をしかねない、こういう背景で今回の措置に至ったわけでございます。

 いろいろな御意見もお伺いしながらやってまいりましたが、例えば、留学生や社会人を受け入れる、今からやはりリカレントというのは大事になってまいります。それから、総枠はふえないということですが、最先端の学部、学科をスクラップ・アンド・ビルドで新設してもらう。それから、高度な教育研究を行う大学院における定員数、こういうのは例外で外しておりまして、東京の特に二十三区内、この国際競争力を損なわないようにしっかりとやっていかなければならない、こういうふうに思っております。

平野分科員 大臣も言いにくいところを言っていると思いますよ。

 地方の格差は是正をしなきゃいけない、これは私は認識いたしますよ。ただ、東京の大学の定員を抑制することが地方の大学の入学者をふやし、地方の大学を経営の悪化から救うということについてのエビデンスが本当にあるんですか。ここのところは私はしっかり認識してもらわなきゃいけないと思うし、これは、文科省、告示を、大臣の行政告示としてやっているわけでしょうが、本当にこのエビデンスはあるんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣、副大臣から答弁させていただきましたように、東京二十三区につきましては八万人の増加という形になっている一方、他の地域においては減少しているというところがベースになっているところでございます。

 それに歯どめをかけるという意味で、定員の抑制という形で、法律に先行する形で、三十年度の大学の新設それから大学の定員増についての抑制の告示という形でさせていただいたところでございます。

 委員御指摘のとおり、この規制、抑制によって直ちに地方大学の活性化につながるというわけではございませんで、地方大学の振興を並行して進めるということが肝心でございます。

 その点から、文科省におきましても、内閣府と共同ということでございますけれども、地方の学生の定着、雇用の促進を図るという観点から、いわゆるCOCプラスという事業をここ数年やっておりますけれども、その事業を推進するとともに、地域の中核的産業の振興や専門人材の育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援することを目的としまして、今般、平成三十年度予算におきまして内閣府が創設いたしました、新たな地方大学の振興の交付金制度と連動する措置を講ずるなどによりまして、地方大学の振興に一層取り組んでまいりたいと存じます。

平野分科員 私、ちょうど大臣のときに、大学改革の提言をいたしました。そのときには、各大学の本来持っているリソースをしっかり使って、地域の経済活動と一緒に頑張れる大学のマスタープランをつくりかえないとこういう問題が起こってくるんだということで、私は提言をしたことがございます。

 今局長の方からお話がありましたけれども、すぐ効果が出てくるかわからないけれどもということを言い出すと、経済政策と違うんですから、教育ですから、人を育てていくんですから。私はさっき、大臣からお話がありましたように、工場等を制限する法律、経済政策上に伴う施策によって大学が都心から出たり入ったり、そんなことは僕は安直にすべきことではないと。いわゆる行政施策によって、大学の自治まで逆にゆがめられる可能性がある。

 特に私学は建学の精神に基づいて自由に頑張らなきゃいけない。まして、公的資金の補助金が減っている中で、大学自身がもっと頑張ってやらなきゃいけない。加えて、グローバル化した時代にあって、国際競争力に勝っていく人材を育てていくための大学でなきゃならぬのに、こういう仕組みで学校の自治まで奪っていくということに対して、私は極めて課題があるんだろうと思います。

 また、学生の、どの大学を選ぶかというアンケートを少しとってみますと、おおむね上位に来るのは、就職や将来の進路に備えての項目が一番大きいんですね。東京の大学に来れば就職が非常に広がっている、こういうことで大学を選ぶんですよ。それは逆に、地方の大学を出ると東京へ上がってくる、こういうケースもあるでしょう。地方に、就職する、そういうキャパがないから上がって来るんですよ。

 したがって、これは経済政策の不備なんですよ。地方創生、一極集中を是正しよう、これも大事なことです。したがって、大学の定員を抑制することが地方の経済の活性化につながる、就職口を間口を広げていく、ここのところにはつながっていかない、もっとやらなきゃならないことが別にあるんだろうと。内閣府から打ち出したまち・ひと・しごと、こういう概念から見たら、もっと違う次元の話があってしかるべきなんだ、こう思っています。

 したがって、まず、政策効果との、この立法措置をしたエビデンス、全然背景が違うんだということをぜひ指摘をしておきたいと私は思います。

 先ほど言いましたように、大学の生き残りをかける経営努力、これに法律によって、告示によって足かせをする、これは本当に大学の自治や経営の自由を脅かすものであります。ここは、ぜひ大臣、よく見ていただいて、お考えをいただきたいと思います。

 大阪でも、都心部というか、大阪の市内に大学がありました。この考え方のもとに、例えば大阪大学が万博の跡地の方へ行ったり、郊外に移転をしていきました。その結果の帰趨、大学関係者から聞くと、あの方式は間違っていた、ここまで言うわけですよ。

 学生はより便利なところに集まってくる。便利なところに集まってくる学生こそ、将来伸び代になる学生になってくる。なぜならば、その学校の風土あるいは学校の持っているスキルに憧れてくるんですから、それを抑制してしまうということについては、この施策は大きな禍根を残すのではないでしょうか。かつての失敗をまた同じこのことで繰り返すような気がいたしてなりません。

 もう一つは、規制緩和をする、こういうこと。今回は規制を強める。森友学園では、岩盤規制を告示によって緩和をいたしました。今回は、告示によって規制を強化する。これは、首尾一貫した政策とは私はとても思えないのであります。したがいまして、この問題についてはまた文科委員会でもやらせていただきたいと思います。

 国の施策に従ったやり方で、文科省がいろいろな行政施策でもって大学を振り回す、これはあっちゃいかぬ。学問の自由、大学の自治、経営を何とか頑張れと文科省が私学助成をどんどん膨らます、こういうことであればまだしも、今、私学助成の比率は幾らですか。いいですよ、わかっていますから。もう一〇%切っているんですよ。そういう中で、大学頑張れと言って、一方では、しかし定員は抑制するぞと。これは、やっていることと言っていることとが支離滅裂のような気がします。

 私は、本来こういうことは、こんなことを振り回したら、過去、振り回されて出ていった大学はひどい目に遭って、何とか自助努力で都心部へ回帰をする、こういうアクションが今どんどんとられていますよ。特に大阪でもそうですよ。関西大学も、天六に、都心部へどんどんどんどん学校が帰ってきています。それは、大学自治、大学の経営を考える、更にグローバル化した社会に対応していくための教育機関のとるべきことだと私は思いますが、それに足かせをはめる、このことにつながらないようにしていただきたいと思うんですが、林大臣、どうですか。

林国務大臣 今委員がお話になりました大学の自治でございますが、憲法二十三条に、「学問の自由は、これを保障する。」こういうことが書いてございまして、この学問の自由の精神に大学の自治というのは由来をしておるということで、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度、慣行であるというふうに理解をしております。

 そういう意味で、二十三区の今回のこの件でございますが、地方創生や東京一極集中是正の観点から、大学設置や収容定員増等について抑制したということは、今議論のあったとおりでございます。

 各大学の教育研究の内容、活動、こういうものを制限をするということではないわけでございまして、それぞれの大学の自治を侵したり、各学生が大学で学ぶ機会を妨げたりするものではない、こういうふうに考えておるところでございます。

平野分科員 きょうは入り口で終わってしまいますけれども、やはりこれからの大学のあり方も改めて求められていることは事実でありますし、今までと同じような考え方で大学の経営というのは成り立っていくものではないと思っています。

 しかし、これだけグローバル化した時代にあって、我が国の大学、特に、私学についての部分でいきますと、七十数%が私学でありますし、その人材によって我が国が支えられていることも事実であります。

 そういう中で、国際競争力に勝っていくための人材をどう養成していくのかということも一方では求められておりますし、先ほど大臣おっしゃったように、留学生についてはとか、いろいろなところは例外の領域に置いておりますが、私は、基本的なところでもっと私学が頑張れる環境をやはり自由にしてあげなきゃいけない、こういうことでございます。

 特に、経済政策に基づいた施策を、告示という単純な、単純といったら語弊がありますが、行政施策によってだけ、はめてしまう、これはやはり私は大きな問題を残すと思っておりますので、今後、しっかりとまた機会があれば大臣とも議論をしたいと思いますし、内閣府におかれては、地方創生、こういう立場で学生の定員を縛る、これはちょっと本来の趣旨と、大学のあり方から見ると違うような気がしますので、ぜひ、いま一度深い検討をしていただきたい。

 このことを申し上げまして、ちょうど時間となりましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

福井主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、古本伸一郎君。

古本分科員 おはようございます。希望の党の古本伸一郎でございます。

 予算委員会第四分科会、文部科学省所管ということで、きょうは林大臣にもお尋ねしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 また、財務省、木原副大臣にもお出ましいただいております。財源にかかわるところは、ぜひ補足をいただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、中学校の部活の指導員の配置、来年度予算に五億円盛られております。

 先日も地元で、シングルマザーさんですけれども、お母さんが、子供が部活を一生懸命やりたいんだけれども、学校の先生が、巷間言われている多残業問題で、早く帰りたいという、帰りたいというか帰らなきゃならない世の中の変化により、部活が早目に切り上がるということなんですね。その意味では、今回のこの予算は、第一歩ということで多としたいと思います。又は、予算規模でいえば、一校当たり平均二、三人のそういった部活の指導員ということ。これは運動部、文化部ともに使えるというふうに聞いていますけれども、全体の規模感でいうと五億円です。たった四千五百人。

 今回、こういったことをきっかけに、学校の先生の負荷も下がればいいし、何より子供たちが、これは、吹奏楽部であれば全国大会を目指してトランペットの練習をしたいわけですし、運動部であれば筋トレをしたいわけですから、ぜひその第一歩にしていただきたいと思うんですけれども。

 これは、北欧では、例えば大学生がボランティアで、シングルマザーのお母さん方というのは父性には成りかわれませんよね、例えばサッカーの相手をしてほしいとかアイスホッケーの相手をしてほしいという場合には、大学生がボランティアで行くらしいですね。

 常に税金を使ってやるというのもいいんですけれども、この指導員、予定しておられる民間人も、恐らく、かつて腕に覚えのある、実業団を経験した人とか、そういう人を想定するんでしょうけれども、私は、知恵を出せばいろいろなことが考えられると思うんですけれども、思い切って、大臣、大学の単位の認定の一つに盛り込んだらどうですか。そういう運動部の生徒さん、体育会の学生とか、あるいは体育大学の学生とか。こういうのも一つのアイデアだと思うんですけれども。感想で結構です。

林国務大臣 たしか放課後教室というものをやっておりまして、そこは、やってもらった、教員の課程ですか、そういう方になるべく来てもらおうということで、たしか単位に位置づけている学校も出てきていると承知をしておりますので、それとのパラレルの中で、大変おもしろいアイデアだな、こういうふうに思いました。

 一方で、サッカーのように、もう地域でスポーツをやっていこうじゃないか、何も学校の部活だけがスポーツじゃないんだというのもかなり出てきておりますので、このあたりはいろいろなことを総合的に考えながら、要は、今お話ししていただいたように、子供さんがやはりしっかりとやりたいという気持ちに全体としてどう応えていくかということではないかと考えております。

古本分科員 今後、学校の先生が、中学校は約一万校前後、一万校弱ですか、とても土日の部の遠征、県大会とかいろいろなことでもうしょっちゅう駆けずり回っているという部が、全部が全部ではないと思うので、例えば文化部も加えて一校当たり十部あるとしたら、吹奏楽部なんかすごいですよ、物すごく遠征していますから、そうすると、単純に言って十万部あるわけですよね。そうすると、おおよそこの四千五百人というのは第一歩と捉えるべきだし、その先生方は、わずか四%のみなし残業代でやろうじゃないかという、モラールとやる気で、依拠してやってきたわけですけれども、これは、仮に残業代をまともにつけたら、幾らぐらいいくんですか、事務局。そういう計算はありますか。

高橋政府参考人 仮に教職調整額一%が国費で約百二十億円程度、三分の一の国庫負担ですので、地方負担を入れると三百六十億円程度になっております。

 それから、現在の教職調整額については、当時は超過勤務が約月八時間程度というような状況でございましたので、現行からいいますと、相当大幅な財政負担が必要になるものと考えられます。

古本分科員 局長は遠慮がちにおっしゃいましたけれども、大臣、これは試算したら一兆円は超えるという試みの算もあるやに聞いています。それを、学校の先生方のやる気とモラールだけに依拠するというのは甚だ遺憾であるというふうに思いますので、今回のこの五億円は第一歩という意味では多としますけれども、今後ぜひ拡充できるように。問題は、県単位あるいは市町村単位で独自のいろいろな制度を導入しているところもあるので、よく連携をして、何せその指導員をしてくれる人を見つけないことにはできませんので、いろいろな意味で国のバックアップを期待したい、このように思うわけであります。

 続いて、幼児教育の無償化なんです、大臣。

 大臣は、今回の幼児教育の無償化には賛成されていますか。

林国務大臣 賛成、反対というよりも、自分たちでこれをつくって、閣議決定までしておるので、これを推進する立場にあると思っております。

古本分科員 実は、自民党の公約をひもとけば、二〇〇五年の郵政解散ですごく耳目を集めましたけれども、あのときから、幼稚園の無償化、保育園を含む幼児教育の無償化を公約されていますね。

 その御党が、二〇〇九年の、手前どもが政権交代選挙の際に高等学校の授業料無償化を掲げ、そして、連日の予算委員会の審議のときに、なぜに無駄遣いだとののしったんでしょうか。

 これは、私は論理構成がわからないんですね。つまり、幼児教育の無償化は公約とされていたんですね、既に。高等学校の授業料無償化は、こんなのは無駄遣いだと連日予算委員会で御批判賜ったわけなんですね。ちょっと、きょう、その辺の議論をしたいというふうに思うんですけれども。

 今回、少子化対策に消費税を充てるというふうにくだんの三党合意のときに書き込みました。大臣もあのとき党税調側の幹部でいらっしゃったので、もう昔話はしませんけれども、懐かしく思い出すわけでありまして、消費税法の第一条に、「消費税の収入については、」「少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」と高らかにうたわれておりますので、幼児教育の無償化が少子化につながるかどうかということなんです。

 大臣にとって、少子化対策というのは、射程はどのあたりですか。つまり、出生率が上がれば少子化対策になったとするのか、幼稚園や保育園に通わせている親御さんの経済的負担が軽くなれば少子化対策になるのか。一概には言えないと思いますけれども、ニュアンスで結構です。

林国務大臣 必ずしも所管として私が担当しているわけではございませんので、感想ということでございましたけれども。

 やはり、かつて、私は四人兄弟なんですが、父親も母親も五人兄弟、うちは今二人しか娘がおりませんが、人口がずっと推移していくための置換水準ですか、二・一ぐらい、こういうふうに言われております。こういう全体的なマクロの状況をどうやって回復していくかということが一つあるのと、それから、日本の場合は、特に特徴的なのは、平均今一・四ぐらいだと思いますが、東京都でたしか一・〇、沖縄では二・〇ということですから、先ほど平野先生と地方創生の話をやりましたけれども、やはりそういうところが環境としてあるんだろう。

 要は、結婚をされたい、また、されて子供を持ちたいという方の希望がしっかりかなっていくということが大事なことではないかという感想を持っております。

古本分科員 そして、高等学校の授業料無償化は、政権が再交代し、手前どもが大変拙い政権運営により下野したわけなんですけれども、高等学校の授業料を無償化するという政治的な哲学、予算分配の哲学は、恐らく自公の皆様もこれは多としていただけるんだろうと思っていたら、これはやはり継続されましたね。つまり、いいものは生き残るんだと思ったんですけれども、つまり政策が正しかったということですね、ですけれども、残念ながら、所得制限が入りました。

 憲法二十六条には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」とあります。これが義務教育の根拠になっていると思うんですが。高等学校は義務教育じゃありませんけれども、授業料無償化を現政権は政府・与党一体で実施されていますね。この根拠はどういうところから来ているんですか。

高橋政府参考人 平成二十二年度から開始した公立高等学校の授業料不徴収制度及び高等学校等就学支援金制度においては、制度創設後も、低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいこと、公私間の教育費格差等の課題がございました。

 このため、厳しい財政状況のもとで限られた財源を有効に活用する観点から、平成二十六年に所得制限を導入して財源を捻出し、年収九百十万以下については引き続き無償を継続するとともに、それ以上の所得については実施しないことにして、その財源によりまして、私立高校に通う生徒への就学支援の加算拡充、授業料以外の教育費を支援するための高校生等奨学給付金制度の創設など、制度の見直しを行い、これによって、さきに述べた課題の是正を含め、所得に応じた教育費負担の軽減を図ることにより、教育の機会均等をより一層推し進めた。このような考え方をもとに実施したものでございます。

古本分科員 つまり、所得制限を入れて、無償化にならなかった人の授業料として入れるべきだった分を私立学校の方に回した、こういうことですよね。

 それは知恵だったと思うんですよ。予算の配分技術としては知恵だったと思うんですが、高等学校の授業料はあまねく無償化しようじゃないか、これは非常に公益性ですよ。当時の提案された川端大臣の文案は覚えていますよ。これは、教育の効果が広く社会に還元されていることから無償化すると、衆議院の本会議で趣旨説明されました。つまり、制度として確立していないんだけれども、歳出で対応したわけですね。

 今回の幼児教育の無償化は、財務副大臣、これは制度でやるんですか、歳出でやるんですか。

大島政府参考人 今般の幼児教育の無償化につきましては、制度化をした上で無償化する方向で考えております。

古本分科員 ということは、高等学校の無償化は歳出でやったんですよ。現在も歳出ですよね。現在、制度があるんですか。

高橋政府参考人 現在においても法律に基づいて実施しておりますので、そういった意味では、制度化されたものだと考えております。

古本分科員 ということは、民主党政権のときの高等学校無償化は歳出だった。あの当時の仕組みと今の仕組みは、ほぼ一緒という理解でいいですか。

高橋政府参考人 民主党政権時代の、これも法律に基づいておりますので、法律に基づいているということでは制度化ということであろうと思っております。

古本分科員 これは質問が下手くそでした。つまり、恒久財源を確保して、見合い財源を得ている制度になっているかということなんです。

 あのとき、何と特定扶養控除を倒して財源を確保したんですよ。そして、子ども手当は年少扶養控除を圧縮したんですね。多くの親御さんは喜ばれたかもしれませんけれども、年少控除が大変、増税できいた親御さんで、しかも、一人目が別に経済的な負担と感じていなかった親御さんからは、テレビのインタビューで赤ちゃんを抱きながら、こんな無駄遣いはやめてくださいと言われて、私たちは首が回らなくなったんですよ、当時。

 話が少し前後しますけれども、きょう、百年室、内閣官房が来てくれていますね。先日の財務金融委員会では失礼しました。きょうは、しっかり答弁をいただきたいと思います。

 総理が再三言っておられる、少子化対策になるんだという幼児教育の無償化の根拠は、これは、国立人口問題研究所がやっておられる出生動向調査の第十五回調査、二〇一五年調査なんです。これは、一九七〇年代からずっと五年おき、ほぼ五年おき、定点でとってこられている調査なんですけれども、総理が言っておられる、七〇%以上の人が、経済的な負担があるので、子育てにはお金がかかるので三人目を諦めておられると言っておられます、大臣。総理は、この三人目というところを飛ばしていつも答弁されるんです。

 一人目がもうけられない方の答えがその裏に載っているんです。きょう、配付資料はちょっと間に合わなかったので失礼しましたが、読み上げますね。理想の子供の数が一人なんだけれども、予定がゼロ人にとどまっているという奥様、これは夫婦にインタビューしていますから、その大半は、七四%は、欲しいけれどもできないからだと言っておられます。

 百年室。つまり、第一子をもうけることが少子化対策なのか、第三子以降を、林大臣の御親族のように四人、五人もうけていただいた方が少子化対策になるのかで、これは政策は百八十度異なってきますよ。

 第一子をもうけることが少子化対策なんですか、まずは。どう思って政策立案をされていますか。

大島政府参考人 今般の政策におきましては、第一子も含めて、少子化対策と考えております。

 今般、第一子から教育費負担を軽減いたしますと、第一子のみならず、第二子以降も生まれやすくなるという効果はあると考えられますが、第三子に限定してはいない考えでございます。

古本分科員 これは、副大臣、幼児教育の無償化には、財務省として何兆円ぐらい確保されているんですか。

大島政府参考人 認可外施設の関係がございますので正確な試算はございませんが、以前、自民党の百年本部で試算されたときは七千億円台ということでありましたので、それぐらいと考えられます。

古本分科員 これは所得制限を入れますか。

大島政府参考人 所得制限はない前提での計算でございます。

古本分科員 つまり、所得制限を入れないということは、全員、全世帯、シングルマザーさんから一億円プレーヤーまでも、全ての人がすべからく幼稚園と保育園がただになるんです。

 でも、一人目がどうしても授かれないんだという方の理由の七割は、授かれないからだという不妊治療のことを言っておられます。二番目は、高齢で産むのがしんどいからだと言っておられるんですよ。つまり、晩婚化の問題なんですよ。

 では、百年室、第一子、第二子も射程に入っていると言われましたけれども、今回、消費税の使い道の対象に不妊治療は入っていますか。

大島政府参考人 入ってございません。

古本分科員 それから、去年の統計、人口動態調査によれば、初婚年齢はいよいよもう三十歳を超えてきましたね。それから、興味深いデータが同調査、これは厚生労働省の国立人口問題研究所の同調査にありますけれども、二十五歳までに結婚した女性の完結出生児数は二・一人です。三十一歳以上で結婚した人の完結出生児数は一・五人です。

 大臣、完結出生児数という言葉は御存じですか。

林国務大臣 この所管ではないですが、最終的に何人だったのかという言葉ではなかったですかね。ちょっと承知しておりません、詳しくは。

古本分科員 私、林大臣より物知りなことが一つあるなんて、ことし一番のうれしいことですね。

 かつて、乗数効果、子ども手当はあるのかで大臣の答弁がとまり、委員会が空転したことを思い出します。

 完結出生児数というのは、婚姻関係が十五年から十九年続いた夫婦の間に生まれる子供の数ですね。生涯女性が産む数字は、もう御存じのとおり合計特殊出生率ですね。

 つまり、普通に婚姻関係が続けば、不妊治療されている方はまことに心身ともに大変な、物心両面で御苦労されているわけですから、そこを応援してほしいというのが私の主張です。そして、少子化対策に、全ての御家庭に幼稚園と保育園をただにするという財源があるのであれば、不妊治療にも回すべきじゃないかという提案です。

 さらに、晩婚化が原因で完結出生児数が頭打ちになっているとするならば、なぜならば、申し上げたように二十五歳までに結婚した女性の完結出生児数は優に二・一人、二・〇人を超えていますから、であるならば、なぜ、結婚適齢期で結婚できないんだろうか、あるいは結婚をしようとしたときにちゅうちょするんだろうかというアンケートもとっていますよ、ちゃんとこの調査の中で。もちろん、恋人がいるのに結婚しないと答えている人の理由に、二人の時間を楽しみたいとか、結婚しない自由があるとか、いわゆる大臣と僕らの世代からしたらすとんとは落ちない理由を述べておられる若い方もおられますが。それは結婚しない自由はありますよ。なんだけれども、他方で、ここが大事なんですよ、結婚しちゃったら自分のキャリアがとまってしまうと言う女性が結構いますよ。結婚しちゃったら仕事と両立できるか不安だと言う人がいますよ。

 つまり、結婚したくなる社会、結婚すると世の中全体がすごく自分を認めてくれるような社会につくりかえていくことこそ、真の少子化対策なんじゃないんですか。

 大臣は今文科大臣ですけれども、やがて国を背負う方だと。今も大分背負っておられると思いますけれども。だから、私、所管を超えてこういう話をしているんです。

 今、御党の人生百年時代研究会ですか、小泉進次郎さんを中心にやっておられる、あそこでの提言というのは大変興味深いと思いますけれども、かつて小泉政務官と国会でやりとりしたら、実は私は第三子以降に傾斜配分して、多産の御家庭が、それは三人より四人、四人より五人おられる御家庭の方が、林家は別にして、一般的には経済的な負担は大変ですよ、だからそちらを経済的に、幼稚園、保育園を無償化したり、子ども手当もそういうふうに傾斜配分した方がよかったんだけれども、第一子から子ども手当を配っちゃったんです、民主党政権は。

 再度お尋ねしますね。

 幼児教育の完全無償化、所得制限を入れないことについて、見直す価値は十二分にあると思うんですけれども、いかがですか。

林国務大臣 百年時代のパッケージですから茂木大臣に聞いていただくということが一番いいと思いますが、幼児教育の重要性については共通認識があるわけでございますので、どれをとってどれをやらないかということではなくて、できればやれることを全部やっていく。

 私がさっき感想として申し上げたのは、希望することがかなうということですから、やはり結婚したい方がまだ、まだと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、九割ちょっと切るぐらいでしょうか、いらっしゃる。そして、結婚された方々の中で、子供を持ちたいという方がいらっしゃる。しかし、持ちたいという希望の数と現状が変わっている。そこには、まさに今委員がおっしゃったような、不妊治療というものも当然カップルによっては含まれているわけでございますので、それをトータルとしてやっていくということは大事なことでありまして、その中で、どこにどうやって優先的に限られた財政の資源を配分していくか。これは財務大臣ではありませんので、そこまで答弁するのはちょっと僣越でございますが、そういう感想を持っております。

古本分科員 党税調をずっとリードされてこられた大臣ですから、私は言語が通じると思っていますけれども、財源もないのに政策を措置すると、その政策は不安定になりますね。高等学校の授業料無償化は、手前どもは残念ながら恒久財源は見つけられなかったんです。結果として、御党に政権が再交代した結果、所得制限が入っちゃったんです。

 ということは、今回、幼児教育の無償化も、全国のママさんたち、お父さんたちは喜びますよ。もちろん喜ぶし、一つの御見識だと思いますけれども、全世帯無償化ということを一たび導入しておきながら、財源がないわけですから。これは消費税を充てるということになっていますけれども、これは企業の負担も含めて当てにしていますよね。そして、その消費税は少子化に使っていいということになっていますけれども、恐らく国会でこういう話を今しているのは私ぐらいのような気がします。余り言っていないですね。

 少子化対策の定義なんです。本当に出生率を上げたいんだということが言えるかどうかなんです。当時、私たちが子ども手当を党内で議論したときに、少子化対策だとはっきり言ったらどうだと発言しましたけれども、経済効果があるという意見の人もいたし、あるいは子は社会全体で育つんだという人もいた。最後は、子は社会で育てるというところに落ちついたんですね。

 この子ども手当は、当時、どっちから配るかによって角度が変わるという意見もあったんです。つまり、親が子育て費用を負担しているんだから親に振り込むという意見もあれば、子供に渡すという発想もあったんです。じゃ、二歳、三歳、四歳の子に預貯金を持たすのか。それはおかしい。したがって、信託です。イギリスは、たしか信託で、十八歳成人のときにそれが解除され、進学したい子は大学の授業料に使い、あるいは就職して商売を始めたい子はその資金に使い、それは自由に使えますね。

 今回、幼稚園、保育園の三年間の授業料、幾らか知りません、全部で試算すると子だくさんの人だと結構な金額になると思いますけれども、例えば、その分を子供に信託させて、子供が将来、高卒で働くのか大学に行くのか、あるいは中卒で働くのか高校に行くのかというときの一つのバジェットに使えたとしたならば、これも新しいと思いますね。

 大臣、なんという議論をせんだっての本会議で提案したんですけれども、大変忙しい大臣とこうやれたのはきょうは光栄ですけれども、副大臣、政務官以下、役所は、きょうは局長は原局ですから来てくれていますけれども、課長以下、場合によっては課長補佐でいいですよ、このメンバーで通年で文部科学委員会に小委員会を設ければいいんですよ。幼児教育無償化は本当に出生率、少子化対策に効果が上がるのかどうか検証小委員会を設けるべきですよ。

 なぜならば、消費税は極めて痛税感のある税です。だけれども、財源のない社会保障は打ってはいけないという信念で、あのとき三党で合意したんじゃないですか。だとするならば、幼稚園と保育園を全部ただにするということに消費税を使うことの効果があるのなら、私は大賛成です。それがあるかどうかを、この限られた、三月に予算をそちらは通したい、こっちはそうじゃないということで連日やっているんでしょうけれども、これはそんな議論じゃないんですよ。

 国家百年の計に立った小委員会を設けるということを、財務金融委員会では提案しました。税の小委員会の設置を提案しました。文部科学委員会で、大臣が自民党の部会に、やろうじゃないかと指示して、うちの副大臣、政務官を出すよと言っていただけたら、これは動きますよ。そして、その分大臣は、国際会議でも現地の調査でも、シングルマザーの皆さんがどんな思いで子育てしておられるかというところを大いに調査に行かれて、国会の張りつきを解放する、これは大きな国会改革だと思うんですが、大臣の御所見を求めます。

林国務大臣 国会のことでございますから、御提案いただいてということにならざるを得ないんですが、ちょっとその手前の問題で、幼児教育はそもそも論として、消費税を使って財源を措置するということにおいては、まさに先ほど委員から御議論いただいたように、制度化されたという条文が、これは財務省の所管ですが、ございますからそういうことになっておりますが、そもそも論として、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うということで、そのこと自体に大変意味があるということがまずあって、それがすなわち少子化対策に資する、この第一段目もあるということを文科大臣としては申し上げておかなきゃいけないと思っております。

古本分科員 実は、御党の公約を読んでいて、私はそれに気づいたんです。

 私たちは、高校生になれば、部活をやっていて、バットが欲しい、スパイクを買ってほしいということがあるので、そして場合によっては予備校に大学受験で通いたいといったらとってもお金がかかりますね。他方、幼稚園児や保育園児は、焼き肉に連れていっておなかいっぱい食べたとしても、そんな高校生の部活の、野球部の子みたいには食べないですよ。つまり、養育費も教育費も、ともにそんなにはかからないんです。だから、恐らく高等学校の授業料無償化という政策は、家計の経済支援という側面が大変強いと思いますね。大臣が言っておられるのは、幼児教育というのは人格形成の基本、三つ子の魂百までという部分を税を投入してでもやろうという側面を言っておられると思うんですね。

 これは多分、御党の哲学と私たちが申し上げていることと、若干違うんだと思うんですよ。このことを詰めていこうと思うと、最後に、憲法に、高等学校の無償化もあるいは幼児教育の無償化も読み取れるように、二十六条に思い切って書き込むというアイデアもあったっていいと思うんですけれども、いかがですか。それで終わります。

林国務大臣 憲法論そのものになりますと、先ほどの国会の話と同じような紋切り型のお答えになってしまうんですが。

 幼児教育を義務教育化するという議論が、委員も御承知のようにあります。先ほど申し上げたような意義が、まさに三つ子の魂百までということで、人格形成の基礎であるということでございます。

 義務教育にするということは、実は例えばイギリスは五歳から義務教育をやっておりますし、学校教育制度全体のあり方にかかわるということに加えて、現在、日本で仮にもし検討するとすれば、幼稚園、認定こども園、保育所、こういうところに在園していない方がまだいらっしゃる、こういうことも踏まえて検討するべき課題ではないか、こういうふうに思っております。

古本分科員 もう時間が参りましたけれども、きょうは厚労省もせっかく来てくれたので、最後に一回だけ、委員長、出番をつくってもらっていいですか。お許しいただいて。不妊治療の話を、ぜひ決意をお願いします。

山本政府参考人 不妊に悩む方の支援についてお答えさせていただきます。

 患者の経済的負担の軽減を図るため、高額な治療費がかかる体外受精や顕微授精について、その費用の一部を助成しているというところでございます。

 これにつきましては、二十八年一月から、早期の受診を促すために、出産に至る割合が高い初回治療の助成額について、十五万円から三十万円に拡充をいたしております。これに加えまして、不妊の原因が男性にある場合に、精子回収を目的とした手術療法について、更に十五万円を上限に助成額の上乗せをするという拡充を行ってきたところでございます。

 これに加えまして、不妊に悩む方々の心理的負担の軽減を図るために、不妊専門相談センターにおいて不妊に関する相談支援や情報提供等を行っているところでございます。

 これらを通じまして、子供を持ちたいと願う夫婦の希望がかなうように支援に努めてまいりたいと思っております。

古本分科員 不妊治療と、あと、特別養子縁組ですね、大臣。やはり、不妊治療を十何年続けておられる方は、おつらいかもしれませんけれども、特別養子縁組、恐らく、去年、おととしで年間五百件です。アメリカのもう何百分の一ですよ。

 それはやはり、失わなくてもいい命、この世に授かることができたかもしれない命を、中絶ということにより産むことを諦めているお母さん、あるいは、期待せぬ、予期せぬ妊娠をされて、そして、この世に命が生まれなかった赤ちゃんが年間で何十万人いるわけですよね。厚労省の把握分だけで十八万件ですよ。アングラを入れたらもっとあると思いますね。

 だから、本当に少子化対策に消費税を使うというんだったら、各般にわたるところに使わなければ、あまた国民に負担していただく消費税だからこそ、ぜひ、その使い道を財務省はよくチェックしていただきたいということを申し上げ、副大臣の決意を、御発言がなかったので、ひとつ聞いて、終わりたいと思います。

 消費税は、そう簡単じゃないですよ。だからこそ、ちゃんと見ていますかということのお尋ねです。

福井主査 では、簡潔に。

木原副大臣 古本委員、民主党政権下では財務省の中でお仕事をされて、その御議論、また、きょう出された資料に基づくきょうの御議論を踏まえて、しっかりと頑張らせていただきます。

古本分科員 ありがとうございました。

福井主査 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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