衆議院

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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      田野瀬太道君    吉野 正芳君

      川内 博史君    太田 昌孝君

二月二十六日

 田野瀬太道君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 田野瀬太道君

      青山 周平君    秋本 真利君

      伊藤 達也君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    古川  康君

      古田 圭一君    穂坂  泰君

      吉野 正芳君    川内 博史君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      横光 克彦君    太田 昌孝君

   兼務 道下 大樹君 兼務 森山 浩行君

   兼務 稲富 修二君 兼務 斉木 武志君

   兼務 白石 洋一君 兼務 岡本 三成君

   兼務 宮本 岳志君 兼務 丸山 穂高君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   文部科学副大臣      永岡 桂子君

   文部科学副大臣

   兼内閣府副大臣      浮島 智子君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室次長)         住本  靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤 文一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 馬場竹次郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         森山 茂樹君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       宮川  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   平井 明成君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       松尾 泰樹君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 大山 真未君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            平岡 成哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 鳥居 敏男君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     杉田 水脈君

  吉野 正芳君     斎藤 洋明君

  川内 博史君     金子 恵美君

  太田 昌孝君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     古川  康君

  杉田 水脈君     古田 圭一君

  金子 恵美君     堀越 啓仁君

  高木美智代君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     吉野 正芳君

  古田 圭一君     上杉謙太郎君

  堀越 啓仁君     山本和嘉子君

  浜地 雅一君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     尾身 朝子君

  山本和嘉子君     阿久津幸彦君

  太田 昌孝君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     穂坂  泰君

  阿久津幸彦君     矢上 雅義君

  遠山 清彦君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     青山 周平君

  矢上 雅義君     横光 克彦君

  稲津  久君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     伊藤 達也君

  横光 克彦君     山本和嘉子君

  浜地 雅一君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  山本和嘉子君     川内 博史君

  高木美智代君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  浜地 雅一君     太田 昌孝君

同日

 第一分科員森山浩行君、岡本三成君、第三分科員道下大樹君、第六分科員宮本岳志君、第七分科員稲富修二君、斉木武志君、白石洋一君及び丸山穂高君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

田野瀬主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました田野瀬太道です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うこととなっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。柴山文部科学大臣。

柴山国務大臣 おはようございます。

 平成三十一年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成三十一年度予算の編成に当たっては、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ、文化関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆五千二百八十七億円、エネルギー対策特別会計千九十三億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

田野瀬主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。太田昌孝君。

太田(昌)分科員 おはようございます。公明党の太田昌孝でございます。

 私、文部科学大臣に質問をさせていただくのはこれが初めてでございまして、本日は、ずっと実は思い入れのある質問、たった二問でございますけれども、させていただきたいというふうに思います。どうかお酌み取りいただきまして、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 きょう取り上げるまず最初が、私立の高等専修学校についての支援ということでございます。高等専修学校を若干だけ、少しお話しさせていただきたいと思います。

 高等専修学校、今、大阪、愛知など、少子化にもかかわらず、大変にそこの在籍生徒数がふえている地域が多く見られます。高等専修学校各校、それぞれ特徴、特色を生かしながら、二十三年度から実施されている高等学校就学支援金の対象にも組み込んでいただきましたし、二十五年には授業料軽減に関しての地方交付税の拡充も認めていただいた。地方自治体における授業料軽減措置も、現在のところ、過半を超える三十都道府県で実施もされているところでもあります。

 就学支援金、生活保護世帯の割合ということになりますけれども、生活保護の割合は、これは二十九年度になりますが、二四・七%と大変に高い値。また、これは日本全体では高齢世帯を除くと約二・二%でありますから、大変に、高等専修学校に通う御家庭の方は、平均の十倍以上、厳しい家庭環境の生徒が多いということがわかります。

 また、授業料免除、軽減を受けている現状でございますが、年額で四十五万円を超える、そうした免除を受けている地域から、全く実施していない地域まで、地域によって非常に大きな格差があるということも特徴的なところでございまして、大変進んでいるところでいえば、この東京都においては、年収七百六十万円以下の生徒の授業料は無償化になっております。

 ここからいよいよ特性ですが、一人親の家庭、両親のいない家庭の割合も全体で二七・七%と大変高い割合。平成二十八年度の厚労省の調査によりますと、児童のいる世帯に対して一人親と未婚の子のみの世帯の割合が六・九%ですから、高等専修学校の生徒が一人親あるいは両親のいない家庭に属している割合は約四倍というようなことになっております。

 高等専修学校は、課題を抱えた子供を受け入れている、今、大変特徴的な教育が行われています。

 不登校についてですが、中学校時代に不登校であった生徒の割合が、二十九年度ですけれども、二一・六%。文科省の二十七年度の調査結果では、全国の中学校における不登校生徒の割合は二・八%ということですから、高等専修学校は、全体で比較しますと、不登校の生徒が通っている、入学する割合というのは、平均値からすると八倍もいるという非常に高い値となっています。

 また、発達障害及び身体障害のある生徒の割合も全体の九・一%、あるいは支援や特別措置が必要な生徒の割合も六・二%ですから、合わせて一五・三%。発達障害のある生徒あるいは支援、特別措置の必要な生徒の割合に関しましても、二十八年度の調査結果と比べた場合に、在籍生徒の減少にもかかわらず、右上がり傾向になっております。

 ちなみに、発達障害等困難のある生徒の高等学校の進学者全体に対する割合というのは大体二・二%でありますので、これからも、こうしたさまざま、障害があったり、発達障害があったり、困難を抱えている、そうした子供の進学は増加の傾向にあるということ、これは全体的な傾向としても推測がされるところでもございます。

 全国の高等専修学校では、発達障害のある生徒を受け入れている学校の割合が全体の六〇・九%と高い割合になっております。その中でも、発達障害、支援、特別措置の必要な生徒の一校当たりの受入れ数、割合の多い学校だと七〇%を占める、そんな学校も見えております。

 発達障害や支援、特別措置の必要な生徒の教育に関しては、高等専修学校が日本の教育の中で非常に大きな役割を果たしている、こんなことが言えるのかなというふうにも思います。

 文科省におかれましても、十七年に施行された発達障害支援法の中でも、専修学校の高等課程に在籍する者を、教育に関する支援の対象である発達障害者に含めるというような文言も掲載していただいておりまして、大変に支援をしていただいています。

 これまでの話を総括しますと、高等専修学校に通う生徒の特徴は四つありますが、一つは、経済的に大変厳しい家庭の生徒が多い、あるいは二つ目に、一人親の家庭、両親のいない家庭の生徒が大変に多い、また、中学校時代に不登校であった生徒が多い、発達障害や支援、特別措置の必要な生徒が多い。こうした生徒たちに対して、高等専修学校がセーフティーネットとしての受皿として十分に機能して、社会貢献の一端を担っているということがわかります。

 また、高等専修学校は、高卒の資格は得られないんですが、大学進学の受験の資格は得られるというようなことから、次の進路、就職も含めてですが、橋渡しを精力的に行っておりまして、今後も、こうした多様な生徒が、授業料等経済的な障壁を感じることなく、安心して専修学校に通い、自己実現できる夢をかなえることができるような環境づくりに取り組んでいく必要があることを再認識したところでもございます。

 もう少し話をさせてください。

 この高等専修学校、実は私の地元には、豊野高等専修学校、長野県において大変にすぐれた教育をしているところがございます。この話も後ほどしたいと思いますが、東京においても、武蔵野東学園、大変に有名な教育をされておられる専修学校がございます。

 在籍者数、学園は幼稚園から高等専修学校まであるんですが、千六百十二名在籍をしておりまして、うち自閉症の子が四百六十二人いる。初めて開園をしたときに、志願者の中にいた自閉症児を受け入れたことがきっかけとなって、健常児と自閉症児が分け隔てなくともに学ぶ混合教育、また、自閉症の子供に対しての愛と根気による独自の教育という生活療法というのが始まった。

 これが武蔵野東学園の最大の特色ということになり、また、その教育の成果が大変にあるということから、今は、多くの見学者あるいは武蔵野東学園で学ばせたいという御家庭が多くなっているということでございます。

 ちなみに、二〇一七年までにこの高等専修学校を卒業した自閉症児千三十一人、そのうち、企業への一般就労が五百六十二人で五五%、作業所等への福祉就労が三百六十一人で三五%。九〇%が無事に企業に自閉症の子が就職することができている。また、短大、大学、専門学校等への進学者も九十八名いまして、これは九%となっている。九九%の子供たちが、さまざまな課題を抱え、発達障害を抱えている子供たちが進路を選択することができた。私ども、文部科学部会で視察をさせていただいて、大変に感動的なお話を伺うことができました。

 もう一つ、済みません、話ついでに。

 私の地元で、先ほど、豊野高等専修学校というすぐれた教育をしていると。実は、八年前になりますが、私がこの高等専修学校にかかわることになったきっかけの子供がおります。中学校にほとんど行けなかった子が、この豊野高等専修学校に入学したことによって、家族の励まし、周りの励まし等々もあって大学に進学をし、そして、今度は教員となって、この豊野高等専修学校で今も元気に教鞭をとっております。

 その子に許可を得て、その子の手記というのを持ってきたので、これもあわせてちょっと紹介をさせていただきたいというふうに思います。

 私が今この場にいるのは、この学校で自分が変われたから、その恩返しをしたいと願ってきたからです。以前は無理だと思っていた大学にも進み、服飾の技術に磨きをかけ、教員免許を取りました。乗り越えた姿を見てほしい、その一念で大学の四年間を走り抜けてまいりました。

 もともと勉強が苦手だった私は、小学校二、三年生のころは、学校で周りからだめだだめだとばかにされ続けて自信をなくしました。中学に入ってからは、新たな気持ちで通学しましたが、そこでもばい菌扱いされて悲しい思いをし、抑えてきた、私は誰からも認められていないという感情が爆発したかのように、学校に行けなくなりました。中学二年になってすぐのころです。

 それから、地獄を見る思いでした。人に会うのが怖くて電話の音にもおびえる日々。家の外から同級生がのぞいているのではないかと恐ろしくなって部屋に閉じこもりました。照明コードで首をつろうか、ベランダから飛びおりようか。毎日、両親に死にたいと言っておりました。

 そんな苦しい日が一年余り続いたころ、母の乳がんが再発。私がお母さんを悩ませたからだ、私がお母さんの気持ちを明るくさせてあげなければと、それまでできていなかった家事を手伝い、学校にも少しずつ顔を出すようになりました。担任の先生とも相談をし、進学先を豊野女子専門学校、現在の豊野高等専修学校に決めました。

 中学にほとんど二年間行っていなかった私にとって、この学校での友達づくり、勉強、全てが挑戦でした。ですが、被服の授業で作品を縫って完成させていくにつれて、以前はあれもこれもできないと考えていた私が、あれもこれもできると考える自分に変わっていきました。親友と呼べる友達もたくさんできました。

 母へのスーツをつくる授業があり、不登校のときに支えてくれた恩返しのつもりでピンク色のスーツを製作。母に渡したときに、一生の宝物にするねと言ってもらえたことが本当にうれしかった。

 私が教員を目指したのは、学校に行けなかったころ母が薦めてくれた本の影響だと思います。誰よりも苦しんだ君は、誰よりも人の心がわかる君だ、いじめられている君だからこそ、将来、いじめられている子供の味方になってほしい。そんな趣旨の言葉を読んで、この自分の悩みは人の役に立つかもしれないと、はっとしたのです。

 今は、悩んでいる生徒に寄り添える教員を目指して挑戦中です。生徒たちに伝えていきたいことは、みんな一人一人意味があって生まれてきたということ。自分が悩んできたときに父から教えてもらった言葉に桜梅桃李という言葉があります。桜、梅、桃、スモモ、それぞれに美しい花を咲かせるのと同じように、人にはその人にしかできない生き方がある。自信を持って生きようと。

 こんな手記でございます。

 こんなことをずっと考え合わせると、今、実は、子供に寄り添って、今本当に求められている教育を本当に必死になってやっている。

 ただ、一方で、これからいよいよ質問なんですけれども、実はずっとかかわってきたのは、例えば長野県の例なんですけれども、私立高校、高等専修学校には県の教育振興費補助金が交付されて、学校運営の財源になっています。この補助金が、私立高校に対しては生徒一人当たり三十一万円余りが交付されている。高等専修学校、実は四万六千四百四十円なんですね。ちなみに、公立の全日制では一人当たり百六万余りの税金が投入されている。

 本当に、これを考えると、私立高校に通っている子の七分の一、県立高校に通っている子供の実に二十三分の一の支援しか受けていない現状。そんなことに実はずっとかかわって、県からの支援を、実は私、応援をさせていただいてきたところでもあるんです。何とかそのほかの支援策なども含めて、何がしかプラスはさせていただいたんですが。

 そこで、ちょっと伺わせていただきます。

 私立学校振興助成法の対象外でもあります高等専修学校ですから、経常費補助について認められていないわけでございますが、全国各都道府県、一部の自治体で、先ほど東京の例も紹介しましたが、設備費補助、生徒への助成、授業料軽減等を行っていただいているようであります。

 文部科学省として、経常費以外に、その他の助成等について、学校法人である高等専修学校に対して現段階でなし得る助成等があるか、御確認をさせていただきたいと思います。

 それと、もう一つ、済みません。せっかく、今これだけ紹介をさせていただいて、大変に長話をしてしまいましたが、こうした多様な生徒を受け入れている高等専修学校において、どのような取組を文部科学省として行っておられる、あるいは、大臣、どのように評価されておられるものか。まずは御認識から、重ねて、あわせてお伺いをさせていただければと思います。よろしくお願いします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 高等専修学校に対する文部科学省としての評価と、またその支援策というお尋ねかと思います。

 まず、評価につきましては、先生から御紹介いただきましたが、高等専修学校、専修学校の高等課程は、中学校の卒業者に対して中学校教育の基礎の上に教育を行う課程でございますが、平成三十年度では、全国で四百十二校、五百三十三学科で、約三万六千人の生徒が学んでおります。

 そして、制度上、柔軟なカリキュラム編成が可能であるという特性を生かしまして、職業教育等を通じて、生徒の社会的、職業的自立につなげていく。地域の職業人材の輩出に貢献しておりますし、先生から御指摘のありましたとおり、発達障害のある生徒、その可能性のある生徒、また不登校経験者など、多様な事情を抱えた生徒を受け入れて、個に応じた指導を行うという取組が見られるところでございます。

 こういった多様な背景を持つ生徒に対する多様な学びの場を提供する教育機関として、高等専修学校は、後期中等教育段階における多様性を支えるという重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。

 そして、文部科学省からの支援でございますが、施設の支援という制度はあるところでございます。専修学校の教育基盤の整備を図るために、高等専修学校も含めまして、学校施設の耐震化、アスベストの除去、情報処理教育に必要な機器の購入等に必要な経費を補助しているところでございます。平成三十一年度予算案におきましても所要の経費を計上しております。

 また、東日本大震災や熊本地震など大規模災害の際には、高等専修学校を含めまして、学校法人が設置する専修学校に対する災害復旧といたしまして、他の私立学校と同等の支援を行ってきているというところでございます。

 以上でございます。

太田(昌)分科員 ありがとうございました。

 大変に評価もいただき、ありがとうございます。

 なかなか財政基盤が弱いものですから、耐震改修をやるにしても当然自己資金も必要なわけで、なかなか進んでいないのが実態であろうかというふうに思います。

 当然、制度等々もありますので短兵急にはいかないとは思いますが、先ほどおっしゃっていただいたとおり、あるいは私が紹介させていただきましたとおり、さまざまな課題を抱えた子供たちが現実にそこで学び、そして、先ほど言ったとおり、中学校でほとんど通学できなかった子供が、ほぼ一〇〇%、就職、進学ができているという、それだけのやはり教育をしているということでございますので、どうか、今後の課題で結構でございますから、いわゆる日常的なといいますか、経常経費の補助、ここについての検討をぜひ進めていただければということを、これは御要望しておきたいというふうに思います。

 さて、その上で、私立高等学校への授業料の実質無償化というのが二〇年に向けてスタートをいたします。この制度は、いわゆる消費税を財源としていないことから、なかなか将来が見通せないということで、高等専修学校の皆様方は大変に心配をしておられます。

 そういう中で、この無償化の対象として、高等専修学校をこの授業料実質無償化の対象と私はするべきと考えるのですが、この点について確認をさせていただきたいと思います。

 それともう一つ。高等専修学校の話ばかりずっとさせていただいたのですが、もう一つ更に御要望がありまして、同じく受皿になっております通信制の高校、ここにつきましても、この私立高校の実質無償化の対象になるかどうか。この点についてお伺いをいたします。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 もちろん、財源上の手当てということが課題になっているということではございますけれども、まさしく御党より御提案をいただきました年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化について、対象となる学校は、今お話をいただきました高等専修学校や通信制の高等学校を含めて、現行の高等学校等就学支援金制度の対象と同じ学校種を私どもとしては想定をしております。

太田(昌)分科員 大臣、ありがとうございます。大変に喜んでいただけるというふうに思います。

 厳しい状況の中で、本当に、子供に寄り添う教育を必死になってやはりやっている、また結果も出している。そこに対しては、どうかさらなる御支援をよろしくお願いいたします。

 次に、これもずっとかかわっておりまして、予算委員会で大変に早口の中で、しかも時間外に大臣に無理やりお答えいただいたようなことで、まことに申しわけありませんでした。子供の、若者のいじめ、自殺対策についてということで、あのときできなかった残余の質問をちょっとさせていただきたいというふうに思います。

 現在、我が国の自殺者数は九年連続で減少傾向にありますけれども、十五歳から三十四歳までの若年層においては、G7各国の中で唯一死因の一位となるなど、高どまりの傾向にあります。

 さきの予算委員会でも紹介させていただいたところでございますが、二〇一七年度、長野県において、私どもの青年局が主導する形で、LINEを利用したいじめ、自殺相談を実施しましたところ、わずか二週間の取組で、電話相談の一年分の相談件数の二倍以上に当たる相談実績があり、さらに、私ども党文科部会の総理に対しての申入れ、あるいは山口代表の代表質問などから、全国で本年度は三十件で実施がなされているところで、そのお取組に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 そんな中で、今現在の、若者、とりわけ児童生徒を対象にしたSNSを活用した相談の取組の現状についてお伺いをしたいと思います。

永山政府参考人 近年、若年層の多くがLINE等のSNSを主なコミュニケーション手段として活用いたしてございます。

 文科省といたしましても、平成二十九年度補正予算、それから三十年度の当初予算、それらにおきまして、児童生徒を対象にいじめ等のさまざまな悩みを受け付けるSNS等を活用した相談体制の構築に必要な経費を計上いたしてございます。

 今年度は、当該事業の補助を受けて、お話ございましたとおり、三十の自治体が事業を実施したところでございます。

 また、平成三十一年度予算案でございますけれども、本年度に引き続きまして、SNS等を活用した相談体制の構築に対する支援を行うとともに、SNS等を活用した相談体制のあり方に関する調査研究を行う経費、これを計上したところでございます。同調査研究では、SNS等を活用した相談と電話相談の有機的な連携の仕組みを構築する等のための調査研究を実施することといたしてございます。

 文科省といたしましては、これらの取組を通じて、厚生労働省とも連携を密にしながら、SNS等を活用した相談体制の構築を目指してまいりたいと思ってございます。

太田(昌)分科員 これも実はずっと思い入れのある事業でございまして、私、長野県議会議員のときに、若者の自殺率、十万人に対しての自殺率が、我が県、実は全国でワースト一位になってしまった。

 そんなことから、ライフリンクの清水代表などに講師に来ていただきながら、一年間にわたって、私ども、先ほど青年局と申し上げましたけれども、そこで実は勉強会を開きました。そして、こうした調査、先ほどのさまざまな調査というのは、通知であったり電話であったり、さまざまなとり方をするわけですが、ちゃんとこれは対面して聞こうということで、二千人余りの人に対面調査を行いました。

 大変に衝撃的なデータがございまして、自殺を本当に考えたことがあるというふうに答えた人が四分の一、二五%もいたんですね。また、何を求めますかと聞いたときに、SOSの出し方教育が必要だ、そういう回答が三〇%、大変多かった。

 そのようなことの中で、さまざまな協議をしていく中で、しかも、今の子供たち、電話をしないということもわかったものですから、実は、さまざま各教育委員会などで行っているところのいわゆる電話相談が余り実は活用されていない、そんなようなことがわかったものですから、子供たち、日がな一日LINEをやっているものですからね。そこで、LINE社とつながせていただき、そして、県とLINE社で協定を結んで、そこから始まった。先ほど申し上げましたとおり、わずか二週間で大変な数の相談件数が、たった二週間で一年の相談の倍以上のアクセスがあったということになっております。

 こんなようなことの中で、さらに、最近、新聞などでこれは報道されたものですが、全国から私どもの県に、私らに言われても困るんですが、要望がたくさん来るんですよ。つまり、十九県とその他、政令市始め市で、三十自治体でやっている。だけれども、それを聞いたときに、私の地元でも、私の県でも、やはり子供たちが悩んでいるからぜひそれを実施してもらいたいという要望がたくさん実は届いているんですよ。

 新規に取り組みたい自治体、これは当然のことながら制約もあろうかとは思いますけれども、三十自治体に今なっているわけですけれども、そこについて、更に新たな、取り組みたい自治体に対する要望にこれからどう対応していくものか、お伺いをしたいと思います。

永山政府参考人 先ほど少し触れましたけれども、平成三十一年度の予算案におきましては、まず一つは、本年度において、SNS等を活用した相談体制の構築事業を実施している三十自治体、これはもう既存のものでございますけれども、そこに対しまして、相談技法やシステムの確立等の実証事業、これを実施いたします。

 それともう一つ、新たに、SNS相談と電話相談の有機的な連携の仕組みを構築する等のSNS等を活用した相談体制のあり方に関する調査研究、これを、民間の団体、一団体ですけれども、そこに委託をいたして実施をする経費、これを計上しております。

 これは一団体に委託ということではあるんですけれども、もし今後、この事業の実施を新たに希望する自治体におかれましては、後の方の事業、民間団体に委託する予定のこの事業に御参画をいただくということで、実践的な取組を進めていただきながら、その成果を当該自治体に還元いただくことを考えてございます。

 文科省といたしましては、これらの取組を通じて、各自治体においてSNS等を活用した相談体制の構築を支援してまいりたいと考えております。

太田(昌)分科員 ちょうどと言ってはなんですが、いよいよ三月の声を聞くわけでございまして、三月というのは最も自殺者が多い月で、自殺対策強化月間にもなっているところ、ちょうど二年前に、まさにこの時期に合わせて、私どもも事業をスタートさせていただきました。

 今そのようにおっしゃっていただいて、さまざまな研究事業というか、その中で受入れが少しは可能かなという御返事も頂戴をいたしました。ぜひお願いします。

 長野県のSNSの相談を受けていただいている、これは公益財団法人ですけれども、これは大阪の方でございます。当然、相談を受けるに際して、もしかしたら返しにちょっと方言を使ってみるとか、あるいは地域性もあるから、そのことを随分と勉強をしていただいて取り組んでいただいているという実情もあります。

 ただ、昨年、厚労省で全国を対象に十三団体が行った事業などもあるわけですけれども、やはり、そういうことを受けられる人、そういうスキルを持った人というのは限られているんですよ。

 だから、そういう中では、そういう人のこれからの育成も必要でありますし、あるいは、既に予算委員会で大臣がお答えいただいております、その先の、スクールソーシャルワーカーあるいはスクールローヤー等々の実際の支援に向けた窓口も開いていただいていることも感謝をし、そして、そこにさらなる拡大と推進をお願いし、きょうは、済みません、演説みたいな質問になってしまいましたけれども、どうかよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

田野瀬主査 これにて太田昌孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山分科員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 きょうは朝からお疲れさまでございます。大臣、長丁場でございますが、よろしくお願い申し上げます。

 今回の予算委員会、いろいろな、我が党も質疑させていただいたんですけれども、私の方から一つ、アイヌの関連で予算が出ている、そして今回、今国会に、国交委員会の方に付託されるということですが、新法が出ている、この関連で、予算委の分科会ですので、細かいところを聞いていきたいというふうに思います。

 大臣は、弁護士でもいらっしゃるんですね。これは非常に私、気になるんです。何のことかというと、このアイヌの新法も、今、文科省の関連の予算でも、アイヌの方々に対する特別な予算がついています。例えば、調べていくとびっくりするんですが、自動車運転免許を取るための特別なアイヌの方だけの支援、就職するときの支援、お風呂をつくるときになぜか支援金が出る。お墓もそうです。家をつくる、新しくする。あらゆるところで、特別にアイヌの方だということで出るんですね。

 確かに、国民の皆さんが聞いたら、ああ、アイヌの方々か、なるほど、しっかり文化も守っていかなきゃいけない、そういう御意見はあると思います。

 でも、一方で、この国は法治国家です。そして、憲法十四条には法のもとの平等が書かれていて、生まれ、門地によって一切差別されません。例えば、私がどう頑張っても、アイヌの人になりたいといってもなれない。当たり前ですよ。でも、これが門地ですよね。これによって政治的にも経済的にも社会的にも差別されないと、法のもとの平等が書かれています、日本国憲法に。

 生まれによって政策が何かしら打ち出された、余りないと思う、見たことがないと思うんですね。なぜかこの点、このアイヌの方々に対する政策だけ出ているわけですよ。ほかにないならわかります。でも、お風呂につけるかどうかは別ですよ。それは政策的な価値観があると思うので違いますけれども、例えば奨学金もあるわけですよ、生活保護だってあるんですよ。一般の国民の皆さんから見たら、あるのに何でプラスであるのと。これこそ十四条で禁止している経済的な差別じゃないですか。差別というのは言い過ぎかもしれませんが、しかし、何かしら憲法上疑義が、これはプラスである意味があるんですかねと、普通、見たら皆さんお思いになると思います。

 大臣、弁護士でもいらっしゃいます。そして、文科省でこれは予算がついているんですよ、奨学金の。このあたり、率直にどう思われますか。いかがでしょうか。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 総理が先日答弁をさせていただいたとおり、北海道庁が実施しているアイヌの方々の子弟に対する修学資金の貸付けにつきましては、まず、アイヌであることの確認に当たって、北海道アイヌ協会理事長などの推薦書の提出を求めているところ、同協会におきましては、戸籍など客観的な資料をもとにしながらアイヌであることを確認した上で推薦書を作成していると承知をしております。

 また、北海道庁においては、当該推薦書を踏まえ、貸付けの可否については、その上で適切な認定を行っていると承知をしております。

 この修学金の貸付けにつきましては、アイヌであることの確認に加えて、各家庭の経済状況なども含めて総合的に判断をしているということでありますので、門地等の解釈についていろいろと学説上争いはありますけれども、そういったことを踏まえると、法のもとの平等を定めた憲法十四条に反する措置ではないというように認識をしております。

丸山分科員 大臣なので更問いしちゃいますけれども、お答えいただける方だと思いますので。

 これは、大臣、お答えになっていて変だと思われると思いますよ。御自身でお答えになって、本当にそれでいいのかなと思われると思いますが、こう思うのが普通だと思うんですけれども。だって、今のお話だったら、じゃ、もともとの奨学金制度でいいじゃないですか。何が違うんですか。何でそんなプラスで出るんですか。

 そして、総理もお答えになって、今大臣も、議事録に残っちゃいますけれども、それは正しいんです。確かに、戸籍で見ている、これが私は逆に問題もあると思いますけれども、戸籍をごらんになっていることが問題がある。ただ、協会に委ねている。でも、調べていくと、戸籍は関係なく、最後は、そういうのを調べてもわからなかったら、口頭でアイヌ協会の方が聞いて、それでお支払いする可能性があるという話があるんですよ。

 あらゆる点で、大臣がおっしゃっているのは矛盾されているんじゃないですか。いかがですか。今お聞きになって、それでよいんですか。大臣、どうですか。

柴山国務大臣 まず、認定につきましては、先ほどお話をさせていただいたとおり、客観的な資料をもとにして確認をするということであります。

 それであれば通常の奨学金でいいじゃないかということなんですけれども、通常の奨学金、現在、確かにこれまで実績等ございます。教育振興事業費補助金、これはアイヌ子弟高等学校等進学奨励金ということで実績があるんですけれども、平成二十三年度から平成二十九年度までの支給実績人数四千二百八十五人。そして、教育振興事業費補助金、これはアイヌ子弟高等学校等進学奨励費、こちらは大学ですね。そちらの方の実績については、同じく平成二十三年度から二十九年度までの支給実績人数一千六十六人ということであります。

 こういった実績は確かにあるんですけれども、これに加えて、先住民族の方々の生活について、非常に困難を伴っている部分があるのではないかという実態を踏まえ、協会側の適切な推薦をもとに、アファーマティブアクションの一環としてプラスの支援を行うことが適切ではないかということで、今般、特別の措置がとられるようになったということでございまして、既存の制度に加えて、一定の合理性のある補助をしているものと私どもとしては考えております。

丸山分科員 全く説得力がないです、大臣。

 だって、一般の方も、同じような、同様の奨学金制度があるわけですよ。全くもって別枠でつくる必要はないですし、本当に困っている方がいるのなら生活保護だって、今回、奨学金の話、今、大臣なので文科関係で絞ると、ほかの制度があるんですから、それと同じ、一般の皆さんと、普通のほかの方と一緒の制度でいいわけですよ。

 大臣、おっしゃいませんけれども、例えばここにある資料を見ますと、確かに、申請書には家系図、戸籍謄本等の添付資料が必要です。これを見ることがいいかどうかも、これは議論があると思います、戸籍を確認していって、門地で確認しているわけですからね。それに対して国が補助金を出しているわけですよ。

 ここも議論がありますが、もう一つ。添付書類でアイヌの血族等であることが確認できない場合、北海道アイヌ協会から先祖がアイヌであることについての情報をお尋ねすることがあります。つまり、わからなくても口頭で確認されるわけですよ。口頭で確認できれば出るわけですよ。ちょっとやはりおかしな制度だと私は思います。

 ただ、同じ御答弁が続きますし、柴山大臣は頑張っていらっしゃる、私はすばらしい大臣だと思っていますので、これに関してやんや詰めても同じことになると思いますのでこれ以上は言いませんが、本当におかしな制度だと思いますので、これはしっかりぜひ、この場でとは言いませんけれども、大臣、持ち帰って、これはどういうことだと詰めていただきたいというふうに思います。

 これは実は奨学金だけじゃないんです。今回、大臣、文科関係ですけれども、それ以外でも、さっきもちょっと申し上げた、運転免許を取るときになぜかほかの人はない補助金がつく、新しいお風呂をつくるときにつく。全体の、例えば本当に困っている方に対する生活保護だったらわかります、一般の国民の方にあるあの制度。当然です。憲法上保障されている生存権。でも、何でこんな、あらゆる点についているんですか。

 同時に、何で、逆に言えば、お風呂とか自動車免許を取るとか、限定しているんですか。変な話ですよ。本当に、大臣がおっしゃるように生活に困っていらっしゃるのなら、生活保護制度みたいな、そういう制度が妥当だと思うんですけれども、どうしてこんな限定になっているんでしょうか。このあたり、政府参考人、いかがですか。

住本政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の支援策につきましては、就職の支援の必要性、又は生活環境の向上の必要性、あるいは住宅改善の必要性など、それぞれの制度におきまして、担当省庁又は道内の地方公共団体におきまして、それぞれの制度の趣旨、目的に照らしまして支援策を適切に判断し、実施しているものと承知しております。

丸山分科員 いや、アイヌ室の方が承知していただいても困るんですよ。おかしいと言っているんです。答えになっていないんですけれども、制度上、やはりこれはおかしいと思いますよ。

 しっかりこれは、今回新法を出されるということなので、この辺も含めて、補助金の関係も含めて確認していかなきゃいけないんですけれども、同じ予算委で私、これもおかしいなと思うんですけれども、話を聞いておかしいと思いました。これはアイヌ室の方がお答えいただきましたけれども、アイヌ協会の方が、政府の関係の、例えば推進会議とかにお名前が並んでいるわけですね。

 アイヌ協会さんは、実は、いろいろな不正問題が道内ではマスコミで報道され、二〇一〇年のお話をあのとき予算委で言及されました。実は、二〇一〇年以降もいっぱい出ているわけですよ。数えると記事がいっぱいあるのであれですけれども、例えば、二〇一二年にまた新たに出ています。あのとき、二〇一〇年の話しか、あえて触れなかったんだと思うんですけれども。

 私、調べますと、協会さんの理事長はずっと、その不正がある時期も同じ方なんですね、加藤さん。じゃ、支部が不正問題をしたから、支部がちゃんと処分した、支部がやったからいいんだという御回答があったんですけれども、例えば釧路支部、一回、支部長も副支部長も皆さん、この不正資金の件で辞任されている。本人たちはそうじゃないと言っているんです。でも、全員、一応役員を辞任しているんです。でも、なぜか、同じ年すぐに、その辞任された副支部長がそのまま支部長になられているんですよ。

 こんな団体、公的なところは一切あり得ないし、同時に民間でもないですよ。その方々が、しかもずっと同じ方がやっているその理事長が、推進会議の、政府の機関のところにもお名前を連ねている。これはおかしくないですか。こんなのでいいんですかね。

 このあたりについて、どうお答えになりますか。

住本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、御指摘の不正発覚後におきまして、アイヌ協会を監督いたします北海道庁の指導のもと、アイヌ協会として再発防止策の策定や組織の強化などに取り組まれたと認識しております。

 また、同協会の理事長の在任、若しくは、御指摘が今ありました釧路支部の支部長への就任につきましては、アイヌ協会及び同協会を監督する北海道庁において適切に判断されるべきものと承知しております。

 つけ加えて申し上げますと、従来から、先生御指摘のように、アイヌ関連予算の適切な執行というのは非常に大事だと内閣官房として思っております。したがいまして、アイヌ関連施策を執行します関係省庁に対しまして、再発防止策の徹底を要請するなど、予算の適正な執行が図れるように努めてまいりたいと考えております。

丸山分科員 全く聞いてくださっている方は理解できないと思いますよ。だって、大丈夫ですよと今も答えて、そして、指導します、やってくれよと言う。でも、現にずっと同じ方がトップで、それは内部の人事かもしれません。でも、政府の機関の、官邸の一番トップの大事な機関のメンバーに連ねている。支部長だって、さっき申し上げたように、結局同じ方がついている。こんなの、国民の皆さんは納得できないですよ。うんうんおっしゃっていますけれども、本当にそう思うので、これはおかしな話だと思いますよ。

 だから、やはりちょっと何となく、こういうことがあると、本当にやらなきゃいけないことに対して疑義がつくわけですね。しっかりこういったところをやっていただきたいというふうに思うんですが、新法が出てきますので、しっかりそこでも、恐らくいろいろな方が、これも含めて、人事も予算も、そして法の中身も見ていくと思いますので、しっかりお答えください。今のようなお答えじゃ全然答えになっていないですし、委員会がとまりますよ。ぜひぜひ、しっかりお答えいただきたいと思います。

 時間がないのであれですが、きょう、主査、済みません、委員長じゃないので、本来ならば委員会のところで参考人で呼びたいんですよ、この方々を。今回の新法についてどう思われるか、皆さんに聞きたいと思う。

 同時に、私は、来ていただいて、この不正の件もお聞きしたい。ずっと人事で同じ方がやっている、支部で一回おやめになった方がまたやっている、この件も含めて、来ていただいて聞きたいので。

 主査、これは委員長に御報告をぜひいただきたくて、理事会の協議で、このアイヌの方々、今お名前を挙げました加藤さんや、小野さんは亡くなられている、釧路支部の方は亡くなられているので、加藤さんを始め推進会議でお名前を連ねている方を参考人招致、ぜひとも予算委員会若しくは国交委員会でやるように、これは予算委員会なので、予算委員会でやっていただくように理事会で協議いただきたいんですけれども、お願いします。

田野瀬主査 ただいまの丸山君からの発言につきましては、委員長に私の方から申し伝えさせていただきます。

丸山分科員 主査、ありがとうございます。しっかりこれは確認していただかなきゃいけないと思います。

 きょうは分科会、文科の関係なので、文科の関係で特に詳しく聞きたいんですけれども、奨学金、さっきお話ししました、大臣に。

 政府参考人の方でいいんですけれども、アイヌの方々に対する奨学金、これまでどれぐらいの方が受けたかは、今大臣がちらりと言っていただきました。その数字は今お聞きしましたが、特に大学なんかは貸与の方が千六十六人という話でしたけれども、何人が申込みされて、そしてどれぐらいの倍率なのか。これは非常に大事な数字だと思うんですけれども、このあたり、政府、予算を出すからには把握いただかないとおかしいと思いますが、これはどういうふうに把握されていますか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 支給実績人数は、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。

 その倍率についてでございますが、文部科学省としては把握をしておりませんが、北海道から申請のあったものに対しては全員分の措置を行っているというものでございます。

丸山分科員 把握していないのに全員分というのはよくわかりませんが、まず把握してください。同時に、全員出ているということですね、つまり、恐らく今の御回答を見ると。

 もう一つ聞きたいのは、大学のところは貸与なんですね、高校とかは差し上げる形になると思うんですけれども、この貸与の部分について、ちゃんとお返しいただいているのか、返還率については把握されていますか。いかがですか。

伯井政府参考人 奨学金の貸与部分についての返還率のお尋ねでございます。

 平成二十九年度における返還計画に基づき、返還期限が到来し、当該年度に返還を要する額の債権を確定させたもののうち平成二十九年度における返還金収入の割合、すなわちこれを返還率といいますと、九六・六%であるというふうに把握しております。

丸山分科員 もう一つお聞きしたいのは、先ほどちらっと大臣にお話をしました、本当にその方がアイヌの方か。構成要件になっていますので、それを確認していかなきゃいけないんですけれども、確かに、総理がおっしゃったように、大臣がおっしゃったように、家系図、戸籍謄本を出すという話なんですけれども、しかし、その下に、限定、プラスアルファがついていまして、先ほど申し述べたように、確認できない場合は、北海道アイヌ協会から先祖がアイヌであることについての情報をお尋ねすることがありますというふうに書かれていますけれども、こんな曖昧なのでいいんですか。だって、口頭だけで証明できないじゃないですか。これについてどうお答えになりますか。

伯井政府参考人 奨学資金の貸付けにつきましては、先ほどこれも大臣がお答えいたしたことと重複いたしますが、アイヌであることの確認に当たりまして、北海道アイヌ協会理事長等の推薦書の提出を求めているところでございます。同協会におきましては、戸籍等の客観的な資料をもとにしながらアイヌであることを確認した上で推薦書を作成しているというものでございます。

 北海道庁において、その推薦書を踏まえ、貸付けの可否について、各家庭の経済状況なども含め総合的に判断し、適切な認定を行っているというふうに承知しておりますが、引き続き、北海道庁において適切な認定が行われるよう我々としても対処してまいりたいと考えております。

丸山分科員 その推薦書を出される方が誰かといったら、先ほど来申し上げている北海道アイヌ協会の方々ですね。今回予算がつく別の慰霊施設の文化財団も兼ねていらっしゃったり、役職をいろいろ兼ねています。政府の推進会議の役職も兼ねている。

 でも、今申し上げたように、不正なやつがどんどん出ているんですよ。解決済みだとおっしゃいますけれども、また新たなのがおっしゃった先にも出ている。その支部はどうなっているかといったら、また同じ方がついているみたいな。その方々が推薦するって、普通に聞いたら大丈夫かなと国民の皆さんは思いますよ。国民の税金ですよ、これ。ですよね。お金が出るかどうかの推薦状に、不正があった組織の方の推薦がつくんですよ。えっ、大丈夫かなと思うと思いますよ、当然。これについてどうお答えになるんですか。

伯井政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、引き続き、北海道庁において適切な認定がなされるよう対処してまいりたいと考えております。

丸山分科員 逃げているというか、もう信じられないですね。これは予算の審議なのに、自分たちが予算をつけておきながら、北海道庁に任せると。何の審議もできないじゃないですか。(発言する者あり)そうだと。ありがとうございます。そのとおりなんです。とめたいぐらいですが、おかしいだろうと言ってとめたいぐらいですが、しかし、新法も出てきますし、建設的な議論をしたいので、これは、ほかのことも言いたいのでここで終わりますが、おかしいですよ、本当におかしいと思います。心からそう申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、関連で、遺骨収集のお話が出ています。アイヌの方々の遺骨を収集する施設、象徴となるような施設をつくって、そこで保管するんだという施策なんですけれども、これも私、疑問符が幾つかつくんですよね。

 何をもってまずアイヌの方の遺骨か。血縁関係の証明ができない他人の遺骨であっても、調べていくと、特定の遺骨とまた別の二種類あって、検討されているんですけれども、血縁証明がない他人の遺骨であっても、その地域で、地域のアイヌの方々の団体に対してこれがお渡しされるという話。こんな事例、例えば戦没者の遺骨だって、こんなのはありますかね。ほかの、他事例で存在するのか。

 そして、まず、そもそもその確認は難しいと思いますよ。専門家の方にお話を聞いたら、そもそもDNAレベルで、個人はわかりますけれども、その方がアイヌかどうか、遺骨がアイヌかどうかは非常にわかりづらい。それは副葬品とかで判断しなきゃいけないけれども、でも、全部がそれでわかるわけじゃないですよ。非常に難しいんですけれども、これはどうお答えになりますか。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 遺骨収集の御質問でございました。

 文部科学省におきましては、大学や博物館などに対しまして、アイヌの人々の御遺骨の保管状況に関する確認調査を実施をしております。その調査に当たりまして、出土場所、骨の形態、記録などからアイヌの人々の御遺骨として認識し保管しているものを、アイヌの人々の御遺骨として報告を求めております。

 したがって、何をもってアイヌの人々の御遺骨とするかについては、各大学等において、これらの調査における要領に照らして、アイヌの方々の遺骨であることを裏づける記録を根拠として判断をしていただいているわけでございます。

 また、先ほど御指摘の、血縁関係の証明ができない他人の遺骨であっても地域で所有権を得られる事例につきましては、文部科学省としては把握をしておりませんけれども、政府の方針を踏まえまして、アイヌの人々における御遺骨の尊厳ある慰霊の実現に向けまして、関係省庁と連携しつつ適切に対処してまいりたいと考えております。

丸山分科員 ほかにないのに、他人の遺骨が関係ない方に入るわけです、地域に、地域の団体に入るわけですよ。これは大問題だと思いますが、しっかりこれは確認していきたいと思います。

 しかし、ちょっと時間がなくなってきたので、もう一個聞きたいんですね。

 これも、私は憲法上の問題が生じ得ると思っていまして、今回、この保管施設をつくる。予算も多額についています。何億単位で、何十億単位でついています。ただ、じゃ、保管してどうするんですか。遺骨ですから、何かしらの祭礼が必要です。ただ、千鳥ケ淵みたいに、政府で、例えば戦没者の方はあります。これは無宗教でやる、これはわかります。でも、アイヌの方が無宗教で御遺骨を、それでいいんですか。

 例えば、何かしらアイヌの祭礼をされたとします、仮にですよ、そこで。これは明らかに、国が補助金を出している、そういう機関で、憲法上定める政教分離、この辺に反するんじゃないですか。

 でも、逆に、一切そういうのをやらなければ、そんな保管施設でいいんですか。アイヌの方々の恐らく祭礼があるんでしょう。それをやらずに保管する、そんなのでいいんですか。どちらにしてもおかしな施設なんですけれども、まさか憲法上のそうした問題は起きないですよね。そういうのはされない、ただ保管されるだけなんですか。どうですか。

住本政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘の慰霊施設でございますが、現在、北海道白老町におきまして、民族共生象徴空間、いわゆるウポポイを構成する区域及び施設の一つとして、アイヌの方々の遺骨の尊厳ある慰霊を実現するために慰霊施設を整備中でございます。

 この慰霊施設にアイヌの方々の遺骨が集約された後に尊厳ある慰霊を実現するために、今御指摘のように、政府としてどのような協力を行うことができるかにつきまして、今後、アイヌの方々や関係する大学の御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。

 なお、御指摘ございましたように、当然、政教分離につきまして十分配慮し、政教分離の問題が生じないようにしていきたいと考えております。

丸山分科員 いや、本当にそれで尊厳ある、御遺骨に対してそういった対応ができるのかも甚だ疑問ですし、そもそもこの施設、いろいろ、先ほど来少しお話ししたように、遺骨がわかるのかどうかも含めて私は疑義があると思いますけれども、同時に、恐らく、アイヌの方々からしても御満足いただけないような祭礼になっちゃうんじゃないんですか。

 あらゆる点で矛盾が、この法案にしても関連予算にしてもあるんですよ。指摘しなきゃ何となくするっと通りそうな、閣法で出されたんですね、感じでしたけれども、私は、これはしっかり、今こそ議員の皆さんに本質を議論いただきたいですし、これは、文科大臣、委員会じゃないので、国交委に付託されるということですけれども、しっかり御議論いただきたいというふうに思います。

 時間が最後なくなってきたので、実はきのう、ちょっと話がかわるんですけれども、著作権法関連の改正の話でお聞きして、役所の方に、まだ実は今回、静止画ダウンロードの違法化の話が、いろいろなかいわいで皆さん不安を覚えていらっしゃる方がいます。悪意のない状況で逮捕されてしまうんじゃないかとか、表現の自由が萎縮しちゃうんじゃないか、非常にこれは大事な論点だというふうに思いますが、ただ、お聞きしている感じでは、すごく文科省の方もそこは考慮いただきつつあるなと。ただ、実はまだ法案が出ていないので、その辺の詳しい話は、お聞きはしていますが、恐らく公式答弁としては、きのうもそうでしたけれども、言っていただけない状況です。

 ただ、大臣にお伺いしたいのは、二つ通告しているんですが、一個目は、実はきのうも役所の方にお聞きしたんです。同じ御答弁になると思うので、重ねてお答えいただいてもいいとは思いますけれども、大事なのは、大臣から、政治家から、不安に思っていらっしゃる方にメッセージを出していただきたいんですよね。今、最終の詰めをされて、もうすぐ閣議決定される方向だと思うんですけれども、大臣として、やはりこういう表現の自由、新たな文化を生み出していく可能性がある、これは守っていく、これは当然な状況だと。

 一方で、とはいえ、クリエーターの方も、本当に困っていらっしゃる方は、何で私がつくったはずのものが勝手に使われているんだと思っていらっしゃる方もいます。表現の自由という名のもとに、実はクリエーターの方を困らせている可能性がある。

 だから、ここは節度ある利用が要ります。バランスが必要なんですが、見ていると非常に、法案の法文が出てきたら詰めていきたいと思いますし、必要があれば修正があるのかもしれませんが、閣法なので、その辺も含めて難しいところもありますし、議論があるのかもしれません。

 でも、まず、この段階なので、まだ法文が出ていない段階なので、大臣として、この問題、どういうふうにお考えで、そして、今申し上げたような不安を感じていらっしゃる方にどうお答えになるのか、お答えいただけますでしょうか。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 ダウンロード違法化について対象範囲を拡大することにつきまして、インターネットによる情報収集や二次創作活動の萎縮を懸念する御意見を始めとして、多くの不安の声が上がっている。私の耳にも当然届いております。

 こうした不安に対処するためには、今御指摘があったように、クリエーターの皆さんのために海賊版対策の実効性を確保する一方で、過剰規制による国民の萎縮を招かないように、さまざまな形でしっかりと制度設計を行うということが必要でありますし、またあわせて、制度の趣旨、内容について丁寧に周知、普及、啓発を行うことも極めて重要であると考えております。

 このため、今、御指摘のとおり、閣議決定に向けた詰めの作業を行うとともに、周知、普及、啓発用の資料及びQアンドAの作成も鋭意進めているところでありまして、同時期に、つまり法案の閣議決定と同時期に公表することを想定をしております。

 文部科学省といたしましては、こうした取組を通じて国民の皆様の不安を解消できるように、しっかりと対応していきたいと考えております。

丸山分科員 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて丸山穂高君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉田水脈君。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

杉田分科員 自由民主党の杉田水脈です。

 きょうは、初めに教科用図書についてお尋ねをいたします。

 平成二十六年に検定を受け、二十七年に発行された東京書籍の小学六年生の社会科の教科書「新編 新しい社会」にこのような記述があります。実物を読み上げます。

  朝鮮の植民地化と世界へ進出する日本

  日露戦争に勝利した日本は、一九一〇年に人々の抵抗を軍隊でおさえ、朝鮮を併合しました。

  植民地となった朝鮮の学校では、日本語の教育を受けることになり、朝鮮の歴史は教えられず、朝鮮の人々のほこりが深く傷つけられました。

また、同じ教科書の百三十三ページには、

  戦争と朝鮮の人々

  戦争が長引き、日本に働き手が少なくなってくると、多数の朝鮮人や中国人が強制的に連れてこられて、工場や鉱山などでひどい条件下で、厳しい労働をさせられました。

  また、朝鮮人は、姓名を日本式に変えさせられたり、神社に参拝させられたりしました。さらに、男性は日本軍の兵士として徴兵され、若い女性も工場などで働かされ、戦争に協力させられました。

このような記述があるんですが、まずは大臣にお尋ねします。この記述は事実でしょうか。

柴山国務大臣 御案内のとおり、私は、自民党の日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会の事務局長として、こうした歴史問題についても関係者の方々にいろいろとヒアリングをするなど、進めてきたことは、これは事実であります。

 ただ、私は今この場に文部科学大臣として立たせていただいております。

 一般論として申し上げると、教科書検定は、国が特定の歴史認識や歴史的事実を確定をするという立場で行うものではなくて、検定時における客観的な学説状況などに照らして、検定審議会における専門的、学術的な調査審議により行われるものであります。今読み上げてくださった教科書についても、こういったプロセスを経て検定に合格したものであります。

 ということで、今この場で、私の立場で、検定に合格した教科書の個別の内容に立ち入ってコメントすることは、済みません、差し控えさせていただきたいと思います。

杉田分科員 この次の質問で、この教科書を検定した経緯ということを質問しようと思っていたんですが、先に大臣にお答えいただきました。

 私といたしましては、これは学校で歴史を教えているわけです。歴史というのは、そういった学者の見解を教えるのではなくて、事実を子供たちに教えるのが歴史であるというふうに私は考えております。

 というところで、この教科書の全国での普及率を教えていただけますか。

永山政府参考人 御指摘の教科書、東京書籍の社会科、小学校六年生だと思いますけれども、私ども毎年度、翌年度に使用する教科書の需要数について各都道府県教育委員会から報告を受けてございまして、その数値によれば、平成三十年度使用教科書の小学校社会科における当該教科書の占有率、これは約五四%となっております。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

杉田分科員 私は、この記述は大いに事実と異なるところが多々あるというふうに感じております。この事実と異なることが書かれている教科書が約半数以上の学校で教えられている、この教科書をもって教えられていることを非常に私は問題だと思っておりますので、このことにつきましてはまだ引き続き追及をしてまいりたいと思います。

 続きまして、またこれも同じく教科用図書についての質問になるんですけれども、先週の二月二十二日は竹島の日で、私も島根県の記念式典に行ってまいりました。昨年も、高校の学習指導要領の改訂案で、教科書に竹島、北方領土、尖閣諸島は日本固有の領土と定めて明記するということが決まったということについて質問をさせていただき、「我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について正しく理解することは、主権国家における公教育においては当然のことである」という答弁をいただきました。

 その際にも、韓国では、領土教育の副読本、独島を正しく知るというもので、数十ページにわたって教育されていることを紹介させていただきました。韓国ではこのほかに、永遠の我が領土独島、日本人が知らない十の独島の真実、古地図にあらわれた東海と独島、行きたい我が領土独島などが中学用の副教材として発刊されています。

 平成二十九年六月九日の山陰中央新報によりますと、韓国の中学生三人が送った手紙が島根県内の中学校五十六校の社会科の先生宛てに届き、手紙には、次期学習指導要領と関連して、先生方は、独島と関連する歴史的事実をよく知らない日本の生徒たちに正しい歴史を教えてくださいと記されていたといいます。

 このようなことが起こっている中で、日本の教育において、韓国のような、竹島の教育をする副教材はありません。教科書にたった一文、竹島は日本固有の領土ですと書かれているだけで十分なんでしょうか。

 一体なぜ教科書に竹島は日本固有の領土ですと書かなければならないのか。それは、竹島が韓国によって実効支配されているからであり、日本が、歴史上、国際法による平和的解決を試みて、国際司法裁判所への付託を何度も韓国側に提案してきたといった、そういう記述もない状態で、我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について正しく理解することができるのでしょうか。見解をお尋ねします。

柴山国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の将来を担う子供たちが自国の領土について我が国が正当に主張している立場を正しく理解することは、主権国家における公教育において当然のことであると考えます。

 御指摘の竹島については、平成二十九年三月及び平成三十年三月に新しく公示した小中高等学校学習指導要領において、竹島が我が国固有の領土であるということを明記をさせていただきました。本学習指導要領に基づいて、各学校における指導の充実が図られると認識をしております。これは、固有の領土であるということについては初めての明記なんですね。

 ちなみに、ちょっと加えて申し上げますと、その学習指導要領の解説におきましては、現在、竹島が韓国によって不法に占拠されていることや、韓国に対して繰り返し抗議を行っていること、我が国の立場が歴史的にも国際法上も正当であること、我が国が平和的な手段による解決に向けて努力していることなどについて取り上げることとしております。

 ちなみに、委員が御指摘になった教材につきまして、韓国に比べて見劣りをしているのではないかという御指摘もいただきました。

 教材につきましては、内閣官房領土・主権対策企画調整室のホームページにおいて、埼玉県や島根県が作成した教材や関係省庁が作成したリーフレットなどが掲載をされております。

 こういったことにつきまして、ぜひ、全国の都道府県等教育委員会の指導主事を集めた会議において周知を行い、教育の充実を促しているところですけれども、今後とも、関係の省庁と連携をして、一層領土に関する教育の充実が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

杉田分科員 今大臣がおっしゃったとおり、島根県なんかではかなりしっかりとした副教材を使って教育をしているようなんですけれども、やはり、私、実際に足を運んでみて、島根県とそして全国のほかの地域との間で非常に温度差があるというふうに感じているんですね。なので、島根県ですばらしい副読本を使って教育をしているのであれば、ぜひ全国でもそれを使って子供たちに教育をすることを検討いただければというふうに思います。

 続きまして、韓国は、一九五二年、海洋主権宣言に基づく漁船立入禁止線、これは李承晩ラインと言われておりますが、これを引き、竹島は韓国の支配下にあると一方的に宣言しました。一九五二年のこの宣言から一九六五年の日韓基本条約締結までに、韓国軍は、ラインを越境したというのを理由に、日本漁船三百二十八隻を拿捕し、日本人四十四人を死傷させ、三千九百二十九人を抑留しました。また、韓国側からの海上保安庁巡視船への銃撃等は十五件に及び、十六隻が攻撃されました。その後も竹島を軍事力で支配をしています。

 我が国の教科用図書の検定基準には近隣諸国条項が定められています。近隣のアジア諸国との間の近現代史の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされることという規定になっておるんですけれども、事実を教育することもこの近隣諸国条項によって制限されるのでしょうか、お尋ねします。

柴山国務大臣 先ほど紹介をさせていただいたように、主権者教育において正確な領土に対する知識を普及をさせるということは極めて重要だし、当然のことだと思っております。

 近隣諸国条項につきましては、昭和五十七年の宮沢官房長官談話を受けて検定基準に追加をされたものなんですけれども、確認できる限り、平成三年度の検定を最後に、この基準に基づく意見が付されたことはありません。

 以上です。

杉田分科員 レクのときに、平成三年以降、そのようなことはないということはお聞きしておったんですけれども、今現在、韓国との間にはさまざまな問題が起こっております。韓国側は、隣国日本との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮を全くしない教育を行っているわけです。

 だから、そのようなことを行っている韓国に関して、昨今、日韓間で起こっているさまざまな問題に鑑みると、日本だけが韓国に対する近隣諸国条項を後生大事に守り続けていることに違和感を禁じ得ません。これは外務委員会で改めて議論してまいりたいと思っております。

 では、次も教育について質問をさせていただきたいと思います。

 千葉県我孫子市にある千葉県立湖北特別支援学校で、校長や教頭らが、生徒の下校後、授業で配付したプリントを無断で生徒の個人用ファイルから抜き取り、廃棄するというニュースがありました。回収したプリントは、道徳の授業を担当した教員が皇室について考えてもらうために作成し、外国に誇れる文化の最たるものが皇室ですといった記述があり、教員の主観が強く出ていて問題だと思ったことが原因だそうです。また、プリントを配付した教員は、その後、道徳の担当を外されたそうです。

 私自身は、外国に誇れる文化の最たるものが皇室ですという記述のどこが問題視されたのか全くわかりませんし、日本国憲法第一条に規定されている天皇陛下について正しく理解することは必要な教育だと考えますが、この記述は可である、この記述は不可であるといった判断基準は一体どこにあるんでしょうか。また、それは誰が判断するんでしょうか。

柴山国務大臣 当該プリントの記述内容の全体や授業での取扱いなどの状況につきましては具体的に把握していないので、個別案件についてコメントを差し控えたいと思いますけれども、一般的に、各学校で使用するプリントなどの教材については、校長の責任のもとで有益適切なものを活用することになっておりまして、必要に応じて設置者である各教育委員会が指導助言するというたてつけになっております。

 文部科学省といたしましても、各教育委員会等に通知を発出して、設置者としてそういった指導助言をするという立場でございますので、学校における教材の適正な取扱いについて周知を図っている、権限とか指導関係についてはそういう状況でございます。

杉田分科員 大臣、その通知の中に明確な基準とかいうのはあるんでしょうか。

柴山国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおり、プリントなどの教材については、道徳科で使用されるものも含めて、法律に基づき、有益適切なものに限り、校長や先ほど申し上げたような設置者の判断で使用できるという、学校教育法の三十四条で、「有益適切なものは、これを使用することができる。」という基準となっております。

杉田分科員 その有益適切というところに対しての明確な基準がないので、先ほど紹介したようなことが起こってしまったのではないかというふうに思っております。

 このような明確な基準がないまま運用を現場の判断に任せていたら、教育、特に道徳教育は、このように学校側や教員側の意見に左右されることが多々起こり得るのではないかと思いますし、また、教員としても、明確な判断基準が示されないまま教育を行った結果、この方のように担当教科を外されるようなことが起これば、萎縮してしまって授業を行うことになって、現場の混乱を招きかねないと思います。

 ぜひ、道徳教育につきましては、日本人としての心を育てる基準をしっかりと示していただけるようお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 先日来、毎月勤労統計調査における不適切な調査が話題になっています。

 私は、西宮市役所に勤務していたときに、基幹統計を行う部署に七年間在籍しており、地方自治体の職員として実際に調査を行う側の立場に立っておりました。現場の実態として、例えば国勢調査を始めとする基幹統計調査への回答拒否は多々あります。また、意図的に拒否をしなくても、調査員がなかなか対象者に会えなくて調査できないこともよくあります。

 基幹統計調査の根拠法であります統計法第十三条には報告の義務がうたわれています。また、第六十一条には、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者は五十万円以下の罰金に処すると定められています。しかし、この事実は余り国民に知られていません。

 国民の三大義務である勤労、納税、教育を受けさせる義務と同様に、基幹統計調査への報告義務も義務教育の時点で教えられて周知されていれば、今回のような不適切な調査は防ぐことができたのではないかと考えています。

 教育の場において、統計調査への協力ということ、これが義務であるということは今教えられているんでしょうか。また、教えられていないとすれば、今後こういったことは検討されていくのでしょうか。

永山政府参考人 学校におきます指導内容ということにつきましては、学習指導要領にどういうふうに取り扱われているかということが一つのポイントになるわけでございますけれども、御指摘の基幹統計調査あるいはその報告義務そのものにつきましては、現行の学習指導要領、特に関連の記載というのはございません。

 一方で、例えばですけれども、中学校の社会科、公民的分野におきまして、社会生活における物事の決定の仕方、決まりの意義について考えさせる、そういった記述もございますし、こういった法や決まりに関する教育については、これは一般的に教育が行われているということでございまして、そういった中で御指摘のような内容につきましても必要に応じて取り組まれているものというふうに考えております。

杉田分科員 法は守らなければならないというところの一環で取り扱っているということなんですけれども、やはり私、今回、この調査の問題、今非常に予算委員会なんかでも議論がされておりますけれども、これというのは、非常に日本という国が統計という分野を軽んじてきたことによって起こっている問題であるというふうに思っております。

 これはやはり、統計というものがないと政策立案もできないわけです。日本の未来を示す指標もとれないわけなんですね。だから、そこのところをもっとしっかりと子供のころから教育することによって、統計というものの重要さ、せっかく法律の中には義務化ということがちゃんと書かれているので、これをいかに周知していくかということ、これを教育の分野でぜひやっていただきたいなということを要望しておきます。

 では、続きまして、文化庁予算についてお尋ねをいたします。

 日本の伝統と文化を継承するために、文化財の適切な修理等による継承、活用等に対する予算は非常に重要だと考えますが、現場の声を聞いていると、文化財の修復事業などは複数年にまたがって行われることが多いために、現在の単年度予算における課題が多々聞こえてまいります。

 例えば、神社の式年遷宮が行われるとき、材料はもとより、伝統のわざを受け継ぐ職人さんたちを全国から集めなければなりません。予算の確保もさることながら、現在の財務会計システムでは職人さん個人との随意契約もできない状況で、確保が難しいと神社の方々は頭を悩ませています。

 この現状についてどのような解決法があるのか、お聞きしたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、単年度主義のお話でございますけれども、国の歳出予算は、財政法によりまして、会計年度独立の原則が定められております。これに基づきまして、文化財補助金につきましても、単年度ごとに予算が計上され、毎年度、交付決定を行っているところです。

 しかしながら、文化財は、伝統的な技法や用具、原材料を用いて保存、修理を行う必要があるということで、先生御指摘のとおり、工期が長期化する傾向にあったりすることによりまして、文化財の補助事業の工事契約に当たりましては、地方公共団体の方の会計規則によりまして、複数年契約を行うことも可能としているところもございます。

 また、随意契約ができないという御指摘でございます。

 この補助事業の遂行に当たりましては、補助金の適正かつ効率的な使用や契約等、手続の透明化を確保することが重要でございますので、補助事業者には、原則として、国又は地方公共団体の契約方法に倣い、競争入札による契約を締結することを求めているところでございます。

 しかしながら、文化財は、熟練を要する伝統的な技法や伝統に即した用具、原材料を用いて保存、修理をするという必要がございますので、一般競争入札以外にも、例えば指名競争方式や総合評価方式による入札や、一定の条件を満たした場合には随意契約を認めるということなど、補助事業者の判断によりまして、価格のみによらない契約方法をとることも可能としているところでございます。

杉田分科員 そこのところがなかなか実情に合っていなくて、多分、競争入札に参加しようと思いましたら、会社とかでなくてはだめで、そこのところが、個々の職人さんを集めて、会社の下に置いた形で競争入札に臨むというようなことになっているらしくて、これが非常に現場では本当にやりにくいというようなことも聞いておりますので、ぜひ、現行の会計システムに伝統文化を無理やり合わせるのではなくて、我が国に合った会計システムを再構築して、これからも大事な伝統文化が安心して後世に受け継がれていくことを強く願っております。ぜひ、検討の方、よろしくお願いをいたします。

 次に、ことし、千葉県野田市で小学校四年生の女子児童が父親からの虐待によって殺害されるという大変痛ましい事件がありました。虐待の早期発見の必要性は言うまでもありません。

 学校であるとか、いろいろなところでの早期発見のことは言われておるんですけれども、きょうは特に放課後のところなんですが、放課後児童クラブや放課後子供教室において、指導員が児童に対する虐待の疑いを発見することや相談を受けること、また、虐待に限らず、いじめその他についても同様のことが考えられますが、放課後児童クラブや放課後子供教室において、このような疑いが見つかった場合、どのような対応をすることが定められているのでしょうか。また、児童相談所や警察との連携についてもお尋ねしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 放課後の対策につきましては、放課後子ども総合プランというものを平成二十六年七月に文部科学省と厚生労働省が共同で策定いたしまして、放課後児童クラブと放課後子供教室の両事業を全小学校区において一体的に連携して実施するということを目標として進めてまいりました。また、昨年の九月には、二〇一九年度から向こう五年間を対象とする新・放課後子ども総合プランを厚生労働省と共同で策定をしたところでございます。

 この放課後児童クラブと放課後子供教室の実施に当たりまして、そこに来る子供たち、虐待やいじめを受けた児童等に対して特別な配慮が必要だ、そういった児童が参加することも想定されるということでございますので、児童相談所や警察等と連携していくということは、御指摘のとおり、重要であると考えております。

 このため、現行の総合プランにおきましても、市町村の教育委員会と福祉部局が連携をして、学校関係者と両事業の関係者の間で共通理解、情報共有を図るための体制をつくるということを求めております。

 特に、今回策定いたしました新・放課後子ども総合プランにおきましては、新しいプランの中で「特別な配慮を必要とする児童への対応」といった新しい項目を立てまして、虐待やいじめ等が疑われる児童の状況について、必要に応じて、児童相談所や警察等の専門機関、また要保護児童対策地域協議会等の関係機関とも連携して適切に対応するといったことを明記したところでございますので、引き続き、文部科学省といたしましても、厚生労働省と連携をして、こういった特別な配慮を必要とする児童への対応も含めて、放課後子ども総合プランの推進に努めていきたいと考えております。

杉田分科員 実は、一問質問を飛ばして、放課後総合プランについての進捗状況というのが、まず質問があったんですが、ちょっとそこを飛ばしたんですけれども、御回答いただきましたので、それについてもちょっとコメントをさせていただきたいと思います。

 新・放課後子どもプランでは、「新たに開設する放課後児童クラブの約八〇%を小学校内で実施することを目指す。なお、既に小学校外で放課後児童クラブを実施している場合についても、ニーズに応じ、小学校の余裕教室等を活用することが望ましい。」と掲げています。

 でも、私自身、市役所に勤務していたときに、放課後児童クラブ側の事業を担当していたんですけれども、学校の壁が大変厚かったんですね。余裕教室どころか、図書室や保健室の利用も禁止する学校が多々ありましたし、学校内に児童クラブがあったとしても、運動場を通っていけばそのまますぐ行けるのに、学校は、わざわざ一旦校門から外に出させて、ぐるっと回って専用門から入れというような指導をするんですね。一旦放課後に帰ってしまった子供は、これは学校は関係ない、あとは福祉の分野だ、そういう切り分けなんですよ。また、日教組から教育施設を福祉に使用させてはいけないという通達が出ていたというような、そういう事例もありました。

 なので、子供を狙った事件が多発する昨今、共働きか否かに関係なく、放課後の子供たちの安全は最優先課題です。なので、文部省、厚労省の縦割りの弊害を取り除いて、子供たちが伸び伸びと放課後を過ごせるように、新・放課後子ども総合プランが全小学校区で早期に実施されることを強く求めたいというふうに思っております。

 また、虐待の分野におきましても答弁いただいたんですが、新・放課後子どもプランでは、放課後児童クラブや放課後子供教室に勤務する指導員以外にも、地域の大人や大学生、教員OBなど、多くの方々が運営に参加するので、さまざまなそういった虐待に対してのマニュアルを定めたのであれば、マニュアルだけではなくて、臨機応変に対応できるように周知徹底をして、虐待を受ける子供の早期発見、救出ができるように対策をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは最後に、独立行政法人学術振興会交付の科学技術研究費助成事業についてお尋ねをいたします。

 昨年の予算委員会第四分科会、この場でも科研費についての質問をさせていただきました。

 学問の自由は尊重いたします。しかし、国民が納めた税金が原資である科研費が正当に使われているかどうか、主権者である国民は知る権利があり、疑わしきものがあれば調査されるべきです。私は、大半の国民と同じく、科研費の専門家ではありません。また、学問の自由に介入するつもりはありません。だからこそ、国民の目線に立って科研費助成による研究を見た際に、疑念を抱かざるを得ない研究については、その研究の科研費による助成が正当なものであると納得できる説明を求めたいと思います。

 昨今の日韓関係において、旧朝鮮半島出身労働者問題が大きな課題になる中、科研費助成を受けての本件の研究もなされていると認識しております。

 東京大学の外村大教授は、「デニズンシップ:非永住・非同化型広域移民の国際比較研究」という科研費の助成を受けた共同研究の成果物として、岩波新書から「朝鮮人強制連行」という著書を出版しています。本著は多角的な視点から書かれているのですが、例えば、「今日までの歴史研究は、本人の意志に反し暴力的に朝鮮人を労働者として連れて来る行為が行われていたことを明らかにしてきた。」といった記述があります。

 同様に科研費の助成を受けた、これはまた違う研究なんですけれども、「市民による歴史問題の和解をめぐる活動とその可能性についての研究」、これの研究報告書によると、外村教授は研究成果として、韓国のプリワイパリという出版社から同じタイトルの書籍を韓国語で出版されています。

 日本と韓国で出版された同タイトルの著書が、内容や記述まで同じなのかどうかはわかりません。しかし、同様に、「今日までの歴史研究は、本人の意志に反し暴力的に朝鮮人を労働者として連れて来る行為が行われていたことを明らかにしてきた。」との記述が、韓国で出版されている韓国語の著書に書かれているとしたならば、この記述を韓国側に切り取られて政治利用される可能性も否めないと考えます。

 実はここで質問したかったんですが、終了の時間が参りましたので、終わりにしたいと思いますが、私自身、世界で技術革新が起こる中で、日本もおくれをとらず、官民一体となって研究支援をすべきと考えています。なので、そのためにも、科研費という制度を充実させることは必要不可欠であるというふうに考えています。しかし、税金を使って行う以上、研究も公のものと言えると思っています。科研費の助成を受けての研究は、それに資する過程や成果が透明性を持って国民に疑念を抱かれないものである必要があることを願って、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 柴山大臣、本当にお疲れさまでございます。きょうは夜まで本当に大変だと思いますけれども、心からの敬意を表しながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 きょう、私は三十分お時間をいただいておりますので、漢字のことについて、文部科学省と議論をし、そしてまた、NHKさんにも、お忙しい中、来ていただいております。本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。そして、お願いというか要望というか希望を申し上げさせていただいてまいりたいというふうに思います。

 大臣、障害とかあるいは障害者という言葉があります。漢字で書くと「害」という字を、今は常用漢字表で指定をされ、使っているわけでございますけれども、オリンピックとかパラリンピックに向けて、安倍内閣も、インバウンドをふやしていこうね、たくさんの外国からお客様に来ていただこうねということを目標にし、そして、オリパラに向けてさまざまな施策を講じていらっしゃるというふうに承知をしておりますが、漢字圏、中国とか韓国とか台湾など、日本はもちろんそうなわけですけれども、漢字圏において、障害とかあるいは障害者という言葉を使う場合にどのような漢字を使っているのかということについて、私が承知をしているところでは、「害」ではなく、「碍」と書いてガイと読む漢字を使うというのが一般的であるというふうに思います。

 まず、参考人に来ていただいているので、「害」を使っているのは日本だけであるということを確認していただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国で用いられております障害は、江戸末期の文献から見られ、明治期には一般にも用いられるようになったものでございますが、他の漢字圏、国、地域ではほとんど用いられていないと承知しております。もっとそれを正確に申し上げますと、ないことの証明は非常に難しゅうございますので、これまでのところ、文化庁といたしまして、他の漢字圏諸国での障害の用例は確認しておりません。

川内分科員 「害」の字については、文化庁として、日本国政府として、ほかの外国で用いられている事例を把握しておらないということでございます。

 「害」は、主査、害虫とか害悪とか害毒とか、あるいは傷つけるとか殺すという意味ですね。漢字というのは、漢字一文字で意味をあらわすわけですね。他方で、「碍」の字というのは、文字どおり、道端に置かれた旅人を遮る石というそもそもの意味で、バリアという意味なんですね。

 これは、漢字圏の人たちが、害毒の「害」を使って障害とか障害者という表記を見ると、ぎょっとするわけですね。これは一体どういう意味なんだと。

 だから、きょう、大臣のお手元にも資料を配付をさせていただいているわけでございますけれども、資料をめくっていただいて、六枚目に写真をつけておりますけれども、バリアフリー通路という意味で「无障碍通道」ということで、この「碍」の字が使われているというのが、漢字圏における用例の一つということになる。

 もともとは、日本でも「碍」をよく使っていたわけです。ところが、戦争が終わって、私はこれは大変申し上げにくいことなんですけれども、優生思想などの影響もあり、「害」の字を国語審議会等で、使うように政府としてしむけていったのではないか。ここはまだ論争があると思うんですけれども、それはもう過去のことですから、いいです。

 ただし、やはり、漢字圏の人たちに「害」の字で障害という言葉を読ませるというのは、大変に日本という国を誤解させることにつながるのではないかということで、実は大臣、一九五九年に、石橋湛山先生が周恩来さんに石橋三原則ということで書簡を送っているわけですけれども、その三原則の二に、経済において、政治において、文化において、できる限り国境の障碍を除去し、お互い交流を自由にすることというふうな書簡を送っているんですけれども、ここの障碍を除去しの障碍は、「碍」を石橋先生は使って送っているわけです。やはり、中国の国家首脳に「害」という字を読ませるわけにいかないという石橋湛山先生の御配慮だったのではないかというふうに想像をするんですけれども。

 オリパラに向けて、これは非常に、例えば馬術などでも障害飛越とかありますから、今までは、我々は「害」を見せられることになれているので、何げなく「害」で障害飛越と見せられても、ああ、そうなのかというふうに思うわけですが、それが、漢字圏の選手やあるいはその応援に来る方たちにしてみたら、これは一体どういう意味なのということになるわけです。

 なぜなら、日本の過去の大変反省すべき歴史の中で、韓半島や台湾を、あるいは満州、中国を植民地支配していた時期があるわけですけれども、そういう時期を経た漢字圏の人たちも「害」は使っていないわけです、使わないわけです。日本国政府は、「害」を使わせようとずっとしていたわけです。しかし、「碍」をその方たちはずっと守り続けているというのが歴史ですよね。

 これは、実は私は受け売りでございまして、御党の文部科学大臣経験者である馳先生の御持論に私も感化されて実は申し上げているのでございますけれども、オリンピック、パラリンピックに向けて、昨年、衆参の両院で委員会決議が行われて、「碍」の字を使えるように、常用漢字表への採用を文化審議会国語分科会で検討してくださいねという決議がなされたわけでございます。

 今、この審議の状況を教えていただけますか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月に衆議院文部科学委員会において、また、昨年六月には参議院文教科学委員会におきまして、委員御指摘のとおり、障害者の障害の表記につきまして、「碍」の字の常用漢字表への追加の可否を含め、所要の検討を行う旨の決議をいただいております。

 これを受けまして、直ちに文化審議会国語分科会におきまして検討を開始をし、昨年十一月二十二日の同分科会におきまして、「「障害」の表記に関するこれまでの考え方(国語分科会確認事項)」が示されております。

 そこでは、「現在、「ショウガイ者」の「ショウガイ」は、法令や国の公用文では、常用漢字表に従い「障害」と表記することとなっている。」こと、しかし、常用漢字表は、地方公共団体や民間の組織におきまして、「表にない「碍」を用いて表記すること等を妨げるものではない。」ことが示されております。

 その後も、この分科会のもとで審議が継続しておりまして、更に審議を進めていただくこととしております。

川内分科員 大臣、配付資料の一ページから四ページを見ていただくと、今御説明いただいた文化審議会国語分科会の確認事項等を添付させていただいておりますが、今御説明をいただいたように、「常用漢字表は、地方公共団体や民間の組織において、表にない「碍」を用いて表記すること等を妨げるものではない。それぞれの考え方に基づいた表記を用いることが可能である。」というふうに記載をされております。

 この文章の意味は、内閣告示や内閣訓令のもとにある国の法令の条文や、国の法令の引用などの国の公用文を除いて、地方公共団体や民間の組織、また新聞、雑誌、放送などのメディアも含めて、障害という言葉に「碍」の字を使用することはそれぞれの団体の考え方であるという理解でよろしいでしょうか。

柴山国務大臣 今委員が指摘をしてくださったとおり、昨年十一月二十二日の文化審議会国語分科会において示された「「障害」の表記に関するこれまでの考え方」のとおり、常用漢字表は、現代の国語を書きあらわす場合の漢字使用の目安であり、一般の社会生活と密接に関連する語の表記については、この表を参考とすることが望ましいとされているものでありますけれども、常用漢字表は、表に掲げられた漢字だけを用いて文章を書かなければならないという制限的なものではなくて、個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものでございます。

 国語分科会でも示されたとおり、常用漢字表は、地方公共団体や民間のさまざまな組織において、表にない「碍」を用いて表記することを妨げるものではございませんので、今おっしゃったとおり、それぞれの団体がそれぞれの考え方に基づいた表記を用いることが可能であるということでございます。

川内分科員 大臣、ありがとうございます。

 この国語審議会の確認事項を受けて、早速、兵庫県の宝塚市が、資料をつけてまいりましたけれども、宝塚市の公文書に「碍」の字を使うということを発表されて、この四月から運用を始められるということでございます。

 この宝塚市の方針、これはもう全く問題がないという理解でよろしいでしょうか。

柴山国務大臣 今御指摘の、宝塚市が市で作成する公文書において、障害を「碍」を用いて表記をするという方針を決めたとの報道があったことは当然承知をしております。

 先ほど私が説明をさせていただいたとおり、地方公共団体において、表にない「碍」を用いて表記をすることを妨げるものではありませんので、全く問題はありません。

川内分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣、衆参の両院で全会一致で、これは馳先生の大変な御尽力、御指導があったからなわけですけれども、このような決議が行われて、今、審議会で御議論をいただいている。

 このきっかけというのは昨年の通常国会でのスポーツ基本法の改正でありまして、スポーツ基本法の条文の中の公益法人日本障害者スポーツ協会が、この障害者スポーツ協会の「害」の字を平仮名に改めると。要するに、「害」を使うことに関して団体として抵抗があるという意見があるので、平仮名にとりあえず変えたいんだということでの法改正だったわけです。

 しかし、例えば、この法律の字を変えるに当たって、多分団体も、政府との兼ね合いとかあるいは他の法令との兼ね合いとか、物すごい悩んだと思うんですよね、恐らく。文科省からも恐らくいろいろなことを言われたんじゃないかと思うんです。それでも、やはり「害」を使うことについてはオリパラに向けて抵抗があるということで法改正に至った。

 それを私ども国会は受けて、政府に対して、これは長い議論のある漢字ですから再検討を求めているわけでありまして、大臣、御無理な答弁はしていただく必要はないんですけれども、今審議会で検討していただいているわけですけれども、検討を急がせていただきたいというふうに思いますし、さらに、私は、「害」を、漢字圏の人たちに障害あるいは障害者という言葉を使う場合に、なるべく、やはり政府の使用する文書においても、余り使うのは得策ではないのではないかというふうに思うのですが、これは大臣の個人的見解でいいですから、政府見解じゃなくていいですから、そう思いませんか。

柴山国務大臣 私は、今この場に文部科学大臣として立たせていただいておりますので、そういう立場で答弁をすることをぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、先ほど話があったとおり、この「害」は、さっき優生保護の思想ではないかという御指摘もいただきましたけれども、江戸末期の文献から見られ、明治期には一般にも用いられるようになった。確かに、他の漢字圏の国、地域ではほとんど用いられてはおりませんけれども、そういう歴史的な経緯というものもございます。

 今、御決議をいただいたことも踏まえまして、まさしく、引き続き、文化審議会国語分科会において、どのような制度にするのかということも含めてしっかりと検討していただいておりますし、それを見守りたいというように私の立場としては答弁をさせていただきますけれども、ただ、障害という表記が用いられる場合であっても、それが差別的な考え方を容認するものではないということは、当然のことながら申し上げたいと思います。

川内分科員 きょうはNHKさんにも来ていただいているので教えていただきたいんですけれども、NHKさんは、放送用語委員会というところで、言葉に関して、漢字に関して、どの漢字を使うかということを御議論されていらっしゃるようでありますけれども、障害に関しての表記、「害」の字を今は使うということになっているそうであります。

 文化審議会国語分科会は、今お聞きいただいているとおり、新聞、雑誌、放送等のメディアも、それぞれの考え方で漢字を使うことは構わないことだよというふうに確認をしていただいております。

 私は、特にNHKさんは国際放送などもありますし、「害」を使うというのは、日本以外の他の漢字圏の国の人々に対して、日本という国を誤解させることにつながるのではないかというふうに思います。

 あるいは、障害者を社会的に有害とみなすような昭和の差別意識とか差別構造を今も日本は引きずっているのかというような、全く、今大臣がおっしゃったように、「害」を使うから、そんな差別意識などでは全くないんだ、全然別なんだ、それが我々の共通の理解ですよ。

 だけれども、漢字圏の他の国の人々にその漢字を見せることは、日本という国はそういう国なのかという誤解を与えてしまうおそれがある。そこを払拭するためにも、「害」の字を使うことを再検討して、「碍」の字をお使いになられることを御検討いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

木田参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、NHKでは、今、固有名詞、団体名などを除き、障害者というときには「害」の字を使った表記を基本としております。これは、漢字表記につきましては、常用漢字表を基本的なよりどころとしているためであります。放送に使う言葉は、正確であると同時に、やはりわかりやすさが基本であるので、専門知識を持たない視聴者にも理解してもらえるように配慮した結果であります。

 ただ、御指摘のように、いわゆる漢字文化圏の国や地域によっては、それぞれ漢字の意味や使い方について異なる歴史があるということも承知しております。一方、現状、「碍」の字は、常用漢字表にないということもあるのかもしれませんが、一般の方にはまだ、確かにちょっとなじみが薄いのではないかというような点もございます。

 さまざまな御意見がありますし、先ほどの常用漢字表の審議も進んでいるというふうにも聞いております。今後、より適切な表現が、どういうものがあるか模索してまいりたいというふうに考えております。

川内分科員 曖昧な、ちょっとよくわからない答弁だったんですけれども。よく考えてまいりたい。

 放送用語委員会で、それは御検討をぜひいただきたいんですよ、国語審議会とは別に。国語審議会は国のことをやっているわけで、それとはもう、メディアは別だよということは確認されているわけですから、NHKさんはNHKさんとして独自に御検討いただきたいんです。

 というのは、大臣、実は、一九五六年の七月五日に、文化庁から、仮名遣い、漢字の問題として、「「同音の漢字による書きかえ」について」という報告文書が出ておりまして、この報告文書の中で、文化庁が、障害については、「碍」から「害」に変えろという、報告というか通知、通達みたいなものを出しているんですよ。これは政府が誘導しているんですよ。だから、「害」がずっと使われるようになって、それに僕たちはならされてしまっている。

 しかし、漢字圏の他の国の人々はそうではないので、オリンピックやパラリンピックに向けて、そして日本をこれから世界に向けて開いていこうね、たくさんの人々が日本に来て幸せを感じられる国にしていこうねというときに、やはり、障害やあるいは障害者という言葉を、漢字をどう使うのかということについては、歴史的な経緯を含めてしっかり考える必要があるというふうに思うんです。

 放送用語委員会で御検討いただけませんか。

木田参考人 二〇二〇年のオリンピック、パラリンピック、特にパラリンピックはNHKが放送を担当しておりますけれども、これはやはり社会的に非常に大きな契機になるのではないかというふうに考えております。

 放送で使う言葉は、不断に見直しを行っております。正確さやわかりやすさを基本としつつ、適切な表現を引き続き検討してまいりたいというふうに思います。

川内分科員 「碍」の字は、ですから、今申し上げたように、ある一時期から使われなくなってしまったので、みんなが知らないわけですね。日本人が知らない、知らないからなじみがないということであって、障害者権利条約の障害者という言葉の意味は、あるいは障害という言葉の意味は、その人の行く手を阻むバリアのことなんだよということが障害者権利条約に書いてあるわけですけれども、文字どおり、「碍」の字はその意味なんです。

 日本のメディアを代表する機関であるNHKさんが、放送用語委員会で適切に不断に見直してまいりますという言葉の意味の中に、NHKさんが使う漢字については放送用語委員会で決めると書いてあるので、その放送用語委員会で検討するという意味でよろしいか、もう一回確認させてください。

木田参考人 放送で使う言葉は放送用語委員会で決める仕組みになっておりますので、引き続き検討していくということは、そこの場を活用していく、そのほかにもいろいろな調査をしたりというようなこともあるかとは思いますが、主要な検討の場はそこになるかと思います。

川内分科員 放送で使う漢字は放送用語委員会で決めると。その放送用語委員会で、オリンピック、パラリンピックってめっちゃ大事じゃないですか。日本という国のイメージとか、日本という国がこれからどういう方向に向かっていくのかということを世界の人々に指し示していくときにすごく大事なイベントだと思うんですけれども、そこでどういう漢字を使うのかというのは、NHKさんとしてもしっかり御検討をされるべきであるというふうに思うし、そこに向けて、障害の「害」の漢字について、放送用語委員会でオリンピック、パラリンピックに向けて検討していくよという理解でよろしいでしょうか、済みません、何回も。

木田参考人 それで結構です。

川内分科員 NHKさんに御答弁をいただきました。

 大臣、漢字一文字ですけれども、日本という国の国柄とか、あるいは日本人の民族性とか、あるいは日本人がこれから何を目指していこうとしているのか、本当のバリアフリー、みんなが尊重される世の中にしていくんだよという政府としての意思を示すためにも、漢字一文字を変えることが物すごくいいメッセージになるというふうに思うので、ぜひ、文化庁、文化審議会国語分科会での検討を督励していただくように、大臣、最後に御発言いただきたいと思います。

柴山国務大臣 しっかりと検討を促したいと思います。

川内分科員 ありがとうございます。

 終わります。

田野瀬主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本(三)分科員 皆様、おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。柴山大臣、よろしくお願いいたします。

 きょうは、教育とSDGsという大きなテーマで大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 SDGs、十七のゴールの第四番目は教育であります。教育現場におけるSDGsを指針とした取組というのは今後も非常に重要になっていくというふうに思うんです。

 私も、昨年の秋まで外務大臣政務官を務めさせていただいたときに、全力でSDGs推進をさせていただきましたし、我が党の中にSDGs推進本部をつくりまして、その中でも地方議員の方も含めたさまざまな取組をしておりますけれども、初めに、大臣、教育現場におけるSDGs推進の重要性の認識、どのようにお考えか、御答弁いただければと思います。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、SDGs、持続可能な開発目標は、先進国を含む国際社会全体の目標でありまして、教育も、この持続可能な社会づくりの担い手の育成を通じて、SDGsの全てのゴールの達成に寄与する極めて重要なものであると考えております。

 私ども文部科学省といたしましては、持続可能な社会のつくり手となることが期待される児童生徒に必要な資質能力を育むことを目指す新学習指導要領の実施や、持続可能な開発のための教育、ESDですね、エデュケーション・フォー・サステーナブル・ディベロップメントの推進などを通じて、各学校段階におけるSDGsの教育の着実な推進を図ってまいります。

岡本(三)分科員 その上で、SDGsを教育現場にもしっかりと根づかせるという意味において、きょうは、二つの大きなテーマについて、ぜひ大臣にお願いをさせていただきたいことがあるんです。

 一つ目は、子供の国際性をより豊かにしていくために、英語教育を更に充実させていくというテーマ。二つ目は、SDGsの一番目にうたってある貧困の撲滅、二つ目にうたってある飢餓の撲滅を総合的に考えて、義務教育における給食の無料化について議論させていただきたいと思います。

 まず、国際性をより増していくための教育現場の取組ですけれども、やはり英語教育は重要なんだと思うんですね。いろいろな、AIを駆使した通訳の機械等も出てきますけれども、相手と直接コミュニケーションがとれるというのは非常に重要だと思います。ただ、私、通訳になるわけじゃないので、ぺらぺらになる必要はないと思っているんですね。片言であっても、自分の言葉で自分の思いが相手に伝えられれば。

 私、海外に長く住んで働いていましたけれども、例えば、ドイツ人とコミュニケーションをとるときも、ロシア人とも、中国人とも、英語さえそれなりに話せれば直接コミュニケーションをとれるので、そういう意味で、アメリカやイギリスを信奉するということでは全くなくて、コミュニケーションのツールとして通じる英語を教育現場でしっかりと子供たちに学ぶ機会を与えていくというのは大事だと思っているんです。

 日本政府もその哲学を持って物すごく力を入れていらっしゃることはよく認識しているんですけれども、にもかかわらず、日本人の英語力、今さまざまな世界標準でのランキングが出ていますけれども、大変残念なランキングで、そのランキングがもっと下がっていくような傾向。

 大人にアンケートをとると、英語を話せますかと聞くとほとんどの人が私は話せませんと言っちゃうという状況の中で、ここまで政府が力を入れているのにこの程度の英語力になってしまっている結果が出ているんですけれども、この原因は何だというふうに思われますでしょうか。

柴山国務大臣 まず、社会のグローバル化が急速に進展する中で、初等中等教育段階から外国語によるコミュニケーション能力を育成することは極めて重要であると考えております。

 しかしながら、教育振興基本計画では、英語力に関する目標として、中学校卒業時点で英検三級相当以上、高校卒業時点で準二級相当以上の生徒の割合をそれぞれ五〇%以上とすることを目指しているところなんですけれども、現実はいずれも約四〇%程度にとどまっており、改善傾向にはあるものの、目標までには到達していない状況にあるということは否めません。

 その要因としては、まさしく、先ほど申し上げたとおり、コミュニケーションを図ることが語学の目的であるにもかかわらず、その意識がこれまでの教育の場面に必ずしも生かされていなかったということが大変大きな問題であろうというように感じております。

 そういったこれまでの成果や課題を踏まえまして、まさしく、新しい学習指導要領においては、小中高校一貫して、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの力をバランスよく育むよう目標を設定するとともに、小学校では、中学年に外国語活動を新たに導入いたしまして、聞くこと、話すことを中心として外国語になれ親しんだ上で、高学年の段階では、教科として読むこと、書くことを加えた系統的な指導を行う、中学校では、対話的な言語活動を重視し、授業は外国語で行うことを基本とする、高等学校では、五つの領域を総合的に扱う科目群や、ディベートや、ディスカッションを行い、発信能力を高める科目群などを設定するということとしたところでございます。

 文部科学省といたしましては、この新学習指導要領の実施に向けて、教員の養成、採用、研修の一体的な改善、小学校における専科指導の充実、外国語指導助手の活用促進などによって必要な教育環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

岡本(三)分科員 大臣、ありがとうございます。

 これからちょっといろいろ御提案したいこともあるので、お話を聞いていただいて、答えを求めるような質問では必ずしもなくて、方向性であったり大臣の決意をお伺いしたいと思います。

 私たち日本人が英語ができない、しゃべれない最大の理由は、教える先生が英語をしゃべれないからだと思っているんです。これは先生をばかにしているわけではありません。先生は、文法や読解は得意です。このことも大事です。文法や読解も英語を学ぶ上ですごく大切なんですけれども、先生自身が英語を話せないのに、コミュニケーション能力として、子供が話せるわけがありません。

 であるがゆえに、今いらっしゃる先生とともに、スピーキングをネーティブとした英語の先生がペアでやることがすごく大切だと思っているんですね。自分ができないことを人に教えられるわけがないんですよ。

 なので、今、文科省さん、JETプログラムをやっていただいて、これはすばらしいんです。すばらしいんですけれども、それでもなかなか結果が上がっていないということに関して、より改善のポイントをぜひ議論させていただきたいというふうに思っているんです。

 初めにお伺いします。

 JETプログラムの中で、アシスタント・ランゲージ・ティーチャー、一緒にこうやって二人三脚で教える方、今日本に五千五百二十八人いらっしゃって、これは継続される方もいるので、新規でいらっしゃった方は二千二百一人なんですね。この二千二百一人の昨年新規でいらっしゃった方に対して、応募者は何人いたんでしょうか。数を教えてください。

宮川政府参考人 昨年のJETプログラムの応募者総数、平成三十年度でございますが、七千九百四十四名でございます。今御指摘いただきました二千二百一名の新規来日との比較で、応募者の倍率は約三・六五倍でございました。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 ということは、十分母集団はあって、十分に外務省としても選べる状況にあったということですね。

 それで、このALTの方を選ぶ基準は幾つかあるんですけれども、その中に、外務省は面接もしていただいていて、教員免許や経験がある方を優先するようなことも書いてあるわけですけれども、きのうレクのときに聞いたら、じゃ、何人、教員免許を持っていらっしゃる方はいらっしゃったんですかといったら、把握していませんというふうに言われたんですが、それは把握していらっしゃいますか。

宮川政府参考人 教員免許の人数でございますが、その後確認いたしまして、平成三十年度につきましては四百七十二名が教員免許を所持しております。

岡本(三)分科員 つまり、日本で五千五百二十八人教えていらっしゃる方の中で、実際に教える訓練を受けた方は一割もいないということですね。

 宮川さんは日本語を話せますよね。外国人に日本語を教えられますか。

宮川政府参考人 御指摘のとおり、割合にして八・五%になります。

 私自身、今、外務省の省員ということで、そういう機会があれば教えられるように努めております。

岡本(三)分科員 済みません。質問が乱暴でした。ごめんなさい。

 教える能力はありますかと聞いたわけで、私は日本語を話せますけれども、外国人に日本語を教えるすべは持っていません。難しいんですね。ちょっと日本にいらっしゃって、このJETプログラムの方々も研修を受けますけれども、やはり、外国語として英語を外国人にどう教えるかという経験やディグリーを持った方というのは別次元なんです。そういうところをより注意しなければ、アメリカ人が来ました、はい、英語しゃべれますね、子供に教えてください、無理ですという状況なのにもかかわらず、形だけ整えているような現状がないかという問題提起を私はさせていただきたいというふうに思っているんです。

 実際に、ちょっと事例を紹介したいと思いますけれども、茨城県に境町という町があります。今から約三年前に、そこの町長さんに相談を受けたんですね。岡本さん、茨城の境をもっと人口流入の町にしたいんだ、特に、若い御夫婦に来てほしいと思うんだけれども、どうしたらいいと聞かれましたので、私は、じゃ、コンセプトはこれでいきましょう、境町で義務教育を受ければ、中学校を卒業したら英語ぺらぺらですというのはどうですか、日本人の大人は大体英語に苦労しているので、子供たちにそのコンプレックスを背負わせたくないんですと。それいいですねということで、プロジェクトが始まりました。

 私、今、公明党の北関東比例ブロックというところから議員になっているんですが、私の前の先輩は遠藤さんという議員で、この方はもともと外務省のキャリア官僚だったんですね。議員を終わった後に、今、国際交流をしたいということで、子供たちを海外とつなげるようなプロジェクトのお仕事をやっていらっしゃって、遠藤さんに相談して、一昨年の九月から、境町の全ての小中学校には、フィリピンから、フィリピンはネーティブスピーカー・オブ・イングリッシュですからね、しかも、英語を教えることをディグリーを持っていらっしゃる方を選別して、全ての小中学校に配置をしています。私も授業を視察に行きましたけれども、物すごいクオリティーが高いです、教えることのプロですから。

 一年半たちまして、先日、全ての小中学校でアンケートをとりました、子供たちに、どうですかと。九割以上の方が、授業が待ち遠しい、物すごく楽しくなった。そして、多くの子供たちは、三分間ぐらい英語で自己紹介とか将来の夢とかも語っちゃうんですよ。すごいことになっているんですね。

 要は、非常にストラテジックに、ゴールを子供たちがコミュニケーションがとれるということを実現することだということに置いて、ストラテジックに準備をしていけば十分にできていくということがここで証左として挙がっているのではないかなというふうに思っていて、国全体となるとなかなか難しいとは思うんですが、JETプログラムを活用して、同じような戦略で、目的は人をいっぱい連れてくることではなくて、そこから学んだ子たちが自分の言葉でコミュニケーションがとれるようになることですので、もう一度、クオリティーを高めるということに主眼を置きながら、JETプログラム自体もよりクオリティーを高めていただきたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 貴重な事例の御紹介、ありがとうございました。

 まさしく、今御紹介をいただいたように、ALTを積極的に活用することについては、生徒が英語に触れる機会を充実させ、そして授業を実際のコミュニケーションの場面とするために、大変有意義なことだと考えております。

 それも踏まえて、文部科学省としては、各市町村教育委員会において、地域の実情等を踏まえながらではありますが、ALTの配置など、英語教育に関する指導体制の充実にぜひ取り組んでいただきたいと考えております。

 今後とも、ALTを効果的に活用している事例等を幅広く収集をし、そして情報提供をさせていただきたいと考えます。

岡本(三)分科員 大臣、ありがとうございます。

 そういう自治体を実は支援しておるということで、総務省さんは、プログラムをつくって、自治体で独自に、自治体間交流に基づいて外国籍の方を招致したときの財政措置というプログラムをやっていらっしゃいまして、これはすばらしいんですけれども、境町もこれにアプライしていますので、ぜひ前向きに財政措置をする御検討をいただきたいなと思うんです。

 時間がないので、このJETプログラムに対して、もう一つだけお願いしたいことがあります。

 きのう、文科省の方に伺ったんですよ。何で五千五百二十八人なんですか、アプライは七千人以上あるのに何で。クオリティーを担保することも必要だと思いますけれども、日本には小学校は二万あります、中学校は一万、高校は五千、小から中、全ての学校に一人ずつ配置しようと思うと三万五千人、それでも全然回らないのに、たった五千人なんですね。

 何でですかと聞いたら、文科省の方にこう言われました。いやいや、実際に募集がこれぐらい必要です、人が必要ですというのは、CLAIR、総務省なんですよ、その総務省の自治体からの依頼を受けて探してくるので、もともとCLAIRがそんなに必要ないというふうに言っているんですというふうに言われましたので、きのう、CLAIRに聞きました。CLAIRは、いやいや、何を言っているんですか、自治体は教育委員会とか学校現場のリクエストに基づいてその数字を集めてきているだけなので、文科省にもっと学校や教育委員会にモチベーションを与えてほしいと言うので、お互い、向こうがやらないから人が要らないんだと言っているんですね。これは、誰の責任じゃないと思うんです。だって、政府全体で取り組んでいこうとしているわけですから。

 文科省が総務省、CLAIRと一体となって、だって、目的は子供たちの国際感覚や英語の水準を上げていくことですから、誰が担当とかという話じゃないじゃないですか、一体となって、より適切な人員を確保して配置できるようなことに取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 学習指導要領も、先ほど紹介させていただいたとおり、このように改訂をされたわけです。そして、ALTの積極的な利活用が特に初等中等教育における英語の習得に極めて有用であるということも論をまたないところだと思います。

 ただ、今御紹介いただいたように、応募状況等も踏まえると、やはり急激に人数を全校に対して拡大するということも難しいと思いますので、まずは、先ほど申し上げたとおり、私どもといたしまして、こういった非常に優良な事例があるのでぜひ認識をしてくださいということをきちんと周知、広報した上で、それぞれの自治体に、ぜひ積極的に検討し、手を挙げてほしいということを促してまいりたいと思います。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと視点を変えまして、子供たちに異文化を学んでいただく、国際感覚を身につけていただくということで、国を挙げて、国費で留学生を海外に送るというプロジェクトをやっていらっしゃいます。すばらしいと思います。けれども、税金を使ってやるわけですから、一部の人に大きな恩恵が行くよりは、多くの方に薄くても恩恵が行くような視点も大事だと思うんですね。

 その意味において、今、文科省の中で、海外の学生の方を日本に国費で留学をしていただくというようなプロジェクトをやっていらっしゃいます。すばらしいです。今まで十四カ国から百十五人いらっしゃって、これから五年間でアジアから千人ぐらいお招きをするというようなことでのプログラムなんだというふうに伺っているんですが、私はこれはすごい大事だと思っています。

 例えば、中学校の全てのクラスにたった一人でも外国からの留学生がいる、アメリカ人であっても、アフリカの方であっても、中東の方であっても、いろいろな異文化の方がいると、そのクラス全体が、その人から受ける刺激、学び、物すごく大きな波及効果があると思うんですね。それで、中学、高校でそういう経験をすれば、大学に行ったときに、あのときの刺激を持って自分が留学しようということになるかもしれません。

 同じ予算を使うのでも、日本人を送ると何百万円もかかる。それで、その一人に恩恵が行くわけですけれども、同じ金額で、海外、広いところから、これも、先進国だけではなくて途上国からも来て、いろいろな国の苦しさみたいなことも共有していただいて、子供たちに刺激を持ってもらうというようなことは、大変コストパフォーマンスのいい政策だと思います。

 ぜひここはもっともっと力を入れて拡大していただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 外国人高校生を日本の高校に招聘することは、外国人高校生にとって日本への理解が深まる機会であるとともに、まさしく今議員が御指摘のとおり、日本人高校生にとっても、語学力ですとかコミュニケーション能力、また異文化理解の精神などを身につける上で極めて有意義であると認識をしております。

 実は、そのことも意識して、安倍総理が、二〇一七年六月五日に開催された「アジアの未来」第二十三回国際交流会議において、「日本語を学ぶアジアの高校生たちに、十カ月、日本で暮らせる機会を提供します。規模は今後五年で千人。」と。まさしく今御紹介をいただいたような、この発言をきっかけとしてできましたアジア高校生かけ橋プロジェクト、これは、文部科学省では、二〇一九年度予算案において、前年度予算を倍増して、今議員が御紹介になった百十五人という人数も、更に二倍となる二百名の高校生を日本に招聘する予算を計上させていただいております。

 そしてさらに、これに加えて、異文化理解ステップアップ事業につきまして、よりお手軽に来ていただく事業として、前年度と同様に、百十五名の外国人高校生を日本に招聘する予算を計上しております。

 今後とも、日本人高校生の海外留学への支援とともに、今お話がございました外国人高校生を日本の高校に招聘する取組についても、しっかりと拡大、推進をしていきたいと考えております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 残りの時間、給食の無料化について、質問というか御提案させてください。今の政府のスタンスはよくわかっていますので、ちょっと未来志向で、いろいろな問題提起、そして提案させていただきたいんです。

 柴山大臣も私も、義務教育のとき、教科書を購入していませんよね。私の娘たちは、昔は教科書を購入しなければいけなかったことも知りません。それがすばらしいと思っているんです。これから、十年後、二十年後に、昔って給食代を払っていたのという日本を私はつくりたいんです。

 昔、教科書を買っていたときに、昭和三十八年、我が党の参議院議員柏原ヤスさん、もともと学校の先生が、池田勇人総理に訴えて、国会で答弁をとり、それから大きな流れとなって、教科書は無料化になりました。

 このSDGsも、一丁目一番地は貧困の撲滅、飢餓の撲滅なんですよ。今、日本は、民間の統計では、この二十年間、子供の貧困率は倍増です。特に一人親家庭においては貧困率は五割を超していまして、OECD最悪の数字です。給食代が払えない、制服が買えない、文房具代が払えない等々ありながら、子供にだけは恥ずかしい思いをさせたくないということで、プライオリティー一番で給食代を払っているという一人親の方はたくさんいらっしゃるんですよ。

 小学校では九九%以上給食をやっています。中学校でもほぼ九割。ほぼ、ほとんどのお子さんが給食の恩恵を受けているんですね。憲法二十六条には、義務教育は無償と書いてあります。給食は私は食育だと思っていますから、教育という考え方に含めてしまえば、憲法でも十分正当化できます。

 大臣、ここを私、大臣にぜひ共有させていただきたいんです。

 仮に、小学校と中学校の給食を全部無料化すると約四千三百億円です。私は、めちゃくちゃ安いと思うんですよ。百兆円使う日本が、全体の予算の〇・四%、一%もいかないんですよ。〇・四%使えば、全ての給食は無料です。

 先進国において、教育費用、文科省がたった五兆円しか予算を使わない。全体の予算の五%なんというのは、これは議会の責任ですけれども、少な過ぎます。将来に投資をしよう、未来を開こうということであれば、教育投資は企業でいえば研究開発、設備投資ですから、私は、文科省の予算は十兆、二十兆あって当然だと思っているんですよ。しかも、この給食は、たった全予算の〇・四%でみんなが恩恵を受けるわけです。

 方向性について、今いろいろなできない理由、もう文科省の方に山ほど聞きましたけれども、子供たちの未来のために、そして、今日本が抱えている現状、日本が国際約束したSDGs、費用対効果を考えて、給食を無料にしていく方向のそのトレンド、真剣に文科省に考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 恐らく、議員のところに、現状について当省の説明があったかと思います。

 千七百四十自治体のうちに学校給食の無償化を実施する自治体、小中学校とも無償化を実施しているのが四・四%、七十六自治体、小学校のみ無償化を実施しているというのが四自治体、中学校のみ無償化を実施しているのが二自治体という極めて低い数字になっております。

 ただ、今おっしゃったSDGsの視点ですとかあるいは食育の視点、そういったことも考えると、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるという学校給食法の立法趣旨に基づいて、各地方公共団体がより積極的に検討いただくということが確かに望ましいのかなというように考えます。

 文部科学省といたしましては、まずは、小中学校における学校給食の実施率、今、確かに大変高い数値ではありますけれども、改めてその普及充実に努めていくとともに、保護者が負担する学校給食費について、家庭の経済状況が厳しい児童生徒に対しては教育扶助や就学援助などによって支援が実施をされているところでありますけれども、それについてもしっかりと支援を強化していくよう啓発をしていくことが望まれるというように考えております。

岡本(三)分科員 大臣、ちょうど三年前のこの分科会でも、私、この給食無料化を取り上げさせていただいて、そのときに文科省に伺ったんですね、全国の自治体で無償化に取り組んでいる自治体は幾つありますかと。把握していませんという答えでした。そこで、じゃ、調査してくださいと言って出てきた数字が、今大臣がおっしゃった八十二です。調査していただいたのはすごくありがたいんですが、それ以来アップデートをやっていらっしゃらないんですね。きのう聞いても八十二と言われましたが、ふえています。

 昔は、これは同じ埼玉ですので、やっていらっしゃる自治体は、金がかかりますので、ちっちゃい自治体でした。埼玉でいうと滑川とか小鹿野町とか、大事ですよ。けれども、最近大きな自治体もやってきているんですね、栃木の大田原、群馬の渋川。市長はすごい苦労をしてやっているんです。

 こういう市長、大田原とかみどり市とか渋川の市長に伺ったんです、国がどういうふうにやればこれが全国に広がると思いますかと。そうすると、市長にこう言われたんです、インセンティブを与えてください。自治体は子供の未来に責任がありますから、当然、自治体も努力しなければいけません。例えば、無償化すると決めたら、国が三分の一補填、まあ、補填とは言いませんね、補助、助成してあげますとか、二分の一とか、幾つかインセンティブを与えてもらえれば、国の方向性も考えながら、じゃ、うちもやろうとなる、全額、全部国にやってくださいなんて、そんなこと言いません、ただ、自治体が頑張るインセンティブを下さいと言っているんです。

 僕、これは結構いいなと思っていまして、そうすると、四千億ではなくても、五百億でも一千億でも少ない規模の予算でも、自治体とともに子供の未来を開いていくことができるんですが、自治体の取組に国がインセンティブを与えていく。

 今やりますなんて約束できないのはわかっているんですが、ともに、自治体と国が一体となって、学校教育の無償化、子供の未来を開いていくというコンセプト、ぜひ大臣、どういうふうに考えられてお取組になるか。これは柴山イニシアティブを、もし柴山大臣の時代にこの方向性が決まったら、五十年後も百年後も、給食無料化にするスタート地点は柴山大臣から始まったと一生名前が残りますからね。ぜひ、そのことを踏まえて御答弁をお願いします。

柴山国務大臣 子供の貧困撲滅あるいは食事に対する支援ということで、民間の子供食堂の支援がこれだけやはり全国に展開されているということは、まさしく議員がおっしゃったような危機的な問題意識を本当に多くの方々が共有していることのあらわれだと思います。

 これについて、国としてできるインセンティブは何かということを、今極めて貴重な御提案もいただきましたので、しっかりと我々としても検討をしていきたい、このように考えております。

岡本(三)分科員 私の孫が振り返ったときに、え、昔って給食代払っていたのというように、そして私の孫が、そういえば、学んでみると、給食代が無料になったのは、柴山大臣のイニシアティブで起こったことなんだというふうに言われる未来が来ることを期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

田野瀬主査 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

 次に、古田圭一君。

古田分科員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 山口県の下関市で高校と自動車学校を設置している学校法人の理事長でもありますので、私学の立場からも幾つか質問させていただきたいと思います。

 最初の質問は、高等学校の専攻科の教育無償化についてであります。

 問題は、高校の専攻科に通っている生徒は、高等教育の無償化の対象にも、高校の就学支援金の対象にもなっていないということです。

 総理は、施政方針演説で、公立高校だけではなく、私立高校も実質無償化を実現します、真に必要な子供たちの高等教育も無償化し、生活費をカバーするために十分な給付型奨学金を支給しますと述べられ、高校も高等教育も実質無償化すると言われておられます。

 高等教育の無償化につきましては、支援対象となるのは住民非課税世帯及びそれに準じる世帯の学生であって、対象となる大学等は、社会で自立し、活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等であるということですが、この大学等とは、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に限定されておりまして、高校を卒業した者が無償化の対象となっております。そして、高校に在籍している期間につきましては、高校の無償化の対象ということになっております。

 高等専門学校、すなわち高専につきましては、四年生、五年生が高等教育の無償化の対象で、高専の一年、二年、三年生につきましては高校の就学支援金の対象ということで、高専に通う生徒につきましては、一年から五年まで無償化の対象ということになっております。

 それに対しまして、高校の専攻科の生徒、学生というのか、どちらで呼んでいいのかわからないんですけれども、その生徒たちは、一年から三年の間は高校の無償化の対象ということで経済的な支援を受けられますけれども、四年生、五年生につきましては高等教育の無償化の対象外ということで、高校の就学支援金の対象外でもありまして、四年生、五年生につきましては何ら支援を受けられないということになっております。

 例えば、看護師の資格を取得するルートは幾つかあるんですけれども、高校や中等教育学校を卒業して大学、短大、専修学校に進学した場合には、全ての期間で無償化の対象となり得ますけれども、高校の五年一貫教育の看護師課程のルートをとる場合、あるいは高校の准看護師養成課程を卒業して高校の専攻科に進学するルートをとった場合には、高校の課程を卒業した後の二年間につきましては無償化の対象にはなっていないということです。高校卒業後に大学や短大に進む生徒よりも、高校の五年一貫教育の衛生看護科や准看護師養成課程に入学する学生の方が、経済的に恵まれていない生徒が多いように思っております。授業料の無償化の必要性が高い生徒の方が無償化の対象とならないのは、どうも納得がいかないということであります。

 高校の専攻科の修了生につきましては、大学の三年次への編入も認められています。その点では、現実的には短大生や高専の学生あるいは専門学校生と同じということですけれども、専攻科については無償化の対象になっていないということです。

 先ほど述べたように、繰り返しになりますけれども、高校の就学支援金は支給期間、限度が定められていまして、専攻科は就学支援金の対象にもなっていない。高校の専攻科の生徒も授業料の無償化の対象となるような制度の創設が必要というふうに考えております。

 同様に、特別支援学校の高等部の専攻科というのもありまして、ここにも千人程度在籍しているということなんですけれども、この人たちも無償化の対象外になっているんじゃないかと思います。

 ぜひ、真に支援が必要な低所得者世帯の人に漏れなく支援の手が行き届くように強く要望いたしますけれども、専攻科の無償化について検討していただけますでしょうか。柴山大臣に答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 高校及び特別支援学校高等部の専攻科は、学校教育法において、高校卒業者等を対象として、より精緻、そして深い程度において特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的とする修業年限一年以上の課程であります。

 先ほど、看護についての御指摘もいただきましたし、あとは、特別支援においては、例えば理療科の専攻科で、はりやきゅうなどの資格を取るためのプログラムがあるなどというように伺っております。

 一方、高校などの授業料を支援する高校等就学支援金制度は、高校等の三年間の学びを保障し、教育の機会均等を図ることを目的としておりまして、こうした専攻科に在籍する生徒は、おっしゃるとおり対象とはなっておりません。したがって、大学、高等教育における無償化の対象ともならないし、まさしく高校の実質無償化の対象にもならないという仕組みになっております。

 ただ、高校及び特別支援学校高等部の専攻科には、今紹介をさせていただいたような、資格取得に対応した教育を行っている課程もありまして、一定の社会的役割を担っているということは、委員も同じ問題意識だと思いますが、そういった実態もあるというように伺いましたので、そういった御指摘も踏まえて、まずはその実態を丁寧に研究していきたいと考えます。

古田分科員 しっかり研究した上で、実現に向けて頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、総理が述べられた来年四月からの私立高校の実質無償化についてですけれども、まだちょっと誤解されている方もおられますので、確認させていただきたいというふうに思います。

 その誤解というのは、来年四月から、住民非課税世帯については実質無償化、年収約三百五十万円未満の世帯については最大三十五万円、年収約五百九十万円未満の世帯につきましては最大二十五万円、年収約九百十万円未満の世帯については十一・九万円、そういうふうに思っている方がおられます。また、あるウエブサイト上でも、昨年五月時点での情報というふうに断った上で、そのような記載がありました。

 来年四月からは、年収約五百九十万円未満の世帯につきまして一律に実質無償化となって、その無償化となる額は私立高校の授業料の全国平均額であり、年度進行ではなくて、全学年一斉に無償化となるということを大臣からはっきりおっしゃっていただければ、関係者も安心すると思います。

 また、進学先を決めるのに、校納金がどれくらいになるかというのは大きな影響を与えます。来年高校を受験することになる生徒の保護者に対して、できるだけ早く、無償化となる金額など、その内容を知らせることが必要というふうに思います。

 広報もしっかりやっていただきたいと要望いたしますが、いかがでしょうか。柴山大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。

柴山国務大臣 私立高校の授業料の実質無償化につきましては、年収五百九十万円未満世帯の生徒を対象として、高等学校等就学支援金の支給上限額を私立高校の平均授業料の水準を勘案した額まで引き上げるということを想定しております。

 そして、対象となる学年につきましては、いろいろと今御指摘をいただきましたけれども、安定的な財源を確保しつつ、全学年一斉に無償化ということを今検討をまさにしているところでございます。

 また、低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減するための高校生等奨学給付金につきましては、来年度予算案において支給額の増額を図っているところでございます。

 来年四月からの私立高校の授業料実質無償化に当たっては、この四月に中学三年生となる中学生やその保護者の進路選択におっしゃるとおり影響があることから、関係機関と相談しながら、できるだけ早期にしっかりとお知らせできるように努めてまいりたいと考えます。

古田分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 この就学支援金の給付の手続につきましては、各学校とも事務手続がふえて大変だという話を聞いておりますが、手続を簡素化する対策につきまして、何か検討されていることがあればお伺いいたします。

永山政府参考人 現在の高等学校等就学支援金の支給事務につきましては、生徒の保護者等の所得確認を行うために、各学校におきまして、高等学校等在籍中の三年間で計四回、課税証明書等の取りまとめが必要となってございます。

 文科省としましては、こうした事務処理や生徒からの申請あるいは届出手続を簡略化するために、平成三十一年度よりマイナンバーに対応した事務処理システムの導入を予定をしております。このシステムの導入後は、入学時の申請において、課税証明書等のかわりにマイナンバーを提出して受給資格が認定される、そういったことで、その後の生徒からの届出あるいは課税証明書等の提出、これが原則不要になるということでございますので、学校においても、書類の取りまとめなどの事務に関しては一定程度の負担軽減になるものと考えております。

古田分科員 どうもありがとうございます。しっかり進めていただきたいというふうに思います。

 次に、高校の定員の問題についてお伺いをいたします。

 生徒急増期に、公立高校だけでは生徒の受入れが難しくて私立学校も受入れに協力した経緯もありまして、その当時とは逆に少子化が急激に進む現在、公立高校と私立高校の定員の割合を協議している県もあります。

 定時制の高校につきましては、ここ五年間の傾向を見ても、夜の部だけ設置している高校の数は減少して、昼の部も設置している高校はふえております。夜の部だけを設置している定時制高校では、卒業するのに四年間かかりますが、昼の部も設置している定時制高校では、最短で三年間で卒業できます。その点では全日制と同じということが言えると思います。私の地元でも、公立定時制高校の統廃合で昼の部を設置したところ、志願者が大幅にふえております。

 少子化が進む中、公立の全日制の定員設定におきまして、公立の定時制の昼の部の定員を考慮すべきというふうに考えています。すなわち、公立高校の定時制の昼の部の定員に相当する人数を公立高校の全日制の定員から減らすことが適当と考えておりますけれども、文部科学省の見解をお伺いいたします。

永山政府参考人 高等学校の定時制課程でございますけれども、戦後、勤労青少年に高等学校教育の機会を幅広く提供するということで発足をした制度でございますけれども、近年では、御案内のとおり、不登校ですとか中途退学の経験者等の学びの場としての機会を提供するなどの多様な学び方のニーズの受皿という位置づけを担ってございます。

 定時制課程では、このような多様なニーズに応えるために、昼間に授業を実施する形態をとっているものがございます。近年、昼間に授業を実施している学校数としては横ばいですけれども、生徒数の割合としては増加をしている状況にございます。

 ただ、公立高等学校における全日制、定時制課程の設置及びその定員の設定等につきましては、私ども文科省といたしましては、設置者である都道府県等が地域の実情やあるいは生徒のニーズ等を踏まえて適切に判断をされるものというふうに考えております。

古田分科員 それは当然の答弁だと思いますけれども、しっかり各都道府県が私学と協議をするように指導していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次に、通信制高校についてお伺いをいたします。

 いつの時代でも、物事を解決するにはいろいろな人との協働が必要となってまいりますけれども、通信制高校では、全日制高校に比べて、生徒同士の触れ合いあるいは教師との触れ合いの場が少なくて、物事を他者と力を合わせてなし遂げていくという機会が少ないように思います。取組で工夫している例があれば教えていただきたいと思いますし、また、主体的、対話的で深い学びの実践につきまして、通信制高校ではどのように進めていくべきか、お伺いをいたします。

永山政府参考人 通信制高校は、対面の授業を主とする全日制課程とは異なりまして、添削指導、面接指導、それから試験により教育が行われております。限られた日数の中で、面接指導において教師による個別指導を受けたり、特別活動等においてさまざまな背景を持つ生徒と交流したりすることが生徒の学びにとっては極めて重要でございます。

 各通信制高校における具体的な事例ですけれども、例えばということで、スポーツ大会や研修旅行等のさまざまな学校行事や部活動を実施して、集団生活や人間関係づくりのスキルを育成する、あるいは、添削指導において、メール機能による質問やテレビ会議システムの利用により、生徒と教師が双方向のコミュニケーションをとりながら学習理解を深める、さらには、宿泊を伴う職業体験活動を実施する、そういったさまざまな取組がなされているところでございます。

 それから、新学習指導要領におきましては、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けた取組を活性化することとされておりますが、通信制高校におきましても、教育手法の違い、あるいは在籍生徒の実態を踏まえながら、主体的、対話的で深い学びの視点から、添削指導や面接指導等を改善していく必要があると考えております。

 文科省といたしましては、新学習指導要領を見据えた効果的な学習プログラムのモデルの構築に向けた調査研究の実施等を通じまして、通信制高校において創意工夫を生かした取組がなされるよう支援をしてまいりたいと考えております。

古田分科員 具体的にどのようにすればいいかというのをまたいろいろ調べていただきまして、また各学校に伝えていただければというふうに思います。

 次に、広域通信制高校の質の確保についてお伺いをいたします。

 平成三十年度までが集中点検期間であったと思いますけれども、点検でこれまで明らかになったことをお伺いいたします。

永山政府参考人 文科省におきましては、一部、広域通信制高校における学校運営等において問題が生じたということを踏まえまして、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを策定をいたしまして、それに基づいて所轄庁とともに実地による点検、調査を行っているところでございますが、これまでの点検、調査におきましては、これも事例ですけれども、添削指導が正誤の採点のみにとどまっていた例、あるいは、添削課題の提出期限の定めがなく、試験前にまとめて添削指導を実施していた例、さらには、施設設備面での制約等から、理科や家庭等の教科における実験、実習が必ずしも十分に行われていなかった例などが明らかになっているところでございます。

古田分科員 今幾つか課題を言われましたけれども、それがどう解決されたかというのはどのようにチェックされるのか、お伺いをいたします。

永山政府参考人 さまざま課題が出てまいりました場合に、それぞれの学校の点検、調査において明らかになった課題、これにつきましては、まず文科省から所轄庁に通知をいたします。その後の学校運営の改善状況について、一定期間後、大体三カ月ぐらいが目途ですけれども、それを目途に報告を求めるということにしておるところでございます。

古田分科員 平成三十一年度も予算計上されていますけれども、今後も引き続いて、点検が済んでいない学校について点検を続けて、全ての学校について点検する予定なのでしょうか。お伺いいたします。

永山政府参考人 平成三十一年度予算案においても、点検、調査のための経費を盛り込んでおるところでございますけれども、文科省としては、所轄庁に全面的に協力しつつ、今後とも広域通信制高校の質の確保、向上に努めてまいります。

 また、全ての学校を調査対象とするかどうかにつきましては、この調査の状況等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

古田分科員 しっかり質の確保をお願いしたいというふうに思います。

 次に、働き方改革に関連して質問させていただきます。

 昭和四十六年に、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法が制定されました。

 趣旨は、教育が特に教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいこと、夏休みのように長期の学校休業期間があることなどを考慮すると、その勤務の全てにわたって一般行政職と同様な時間的管理を行うことは必ずしも適当ではなく、とりわけ超過勤務手当制度は教員になじまないということでした。

 そのため、公立学校の教員は、労基法で定めるところの超過勤務時間に応じた時間外手当は支給されず、給特法で定められた調整手当が支給されています。

 給特法を今後も適用し続けるのか、お伺いをいたします。また、その理由についてもお伺いをいたします。

永山政府参考人 今お話がございましたとおり、給特法は、教師の職務と勤務態様の特殊性から、勤務時間の内外を問わず教師の勤務を包括的に評価することとして、時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないとし、これにかえて、給料相当の性格を有する給与として教職調整額を支給するものでございます。

 本年一月二十五日の中央教育審議会の答申におきましては、まず、教師の職務につきまして、「社会の変化に伴い子供たちがますます多様化する中で、語彙、知識、概念がそれぞれに異なる一人一人の子供たちの発達の段階に応じて、指導の内容を理解させ、考えさせ、表現させるために、言語や指導方法をその場面ごとに選択しながら、学習意欲を高める授業や適切なコミュニケーションをとって教育活動に当たらなくてはならない。これこそが教師の専門職としての専門性と言えるものであり、時代が変わり社会全体が高学歴化しても相対化されることがない教師の職務の特徴である」と、改めてその特徴について捉え直したところでございます。

 その上で、審議の過程においては、給特法を見直した上で、労働基準法に定められた三六協定の締結や時間外勤務手当の支払いを原則とすべきといった意見も示されましたけれども、先ほども述べました教師の職務の本質を踏まえますと、教育の成果は必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではないのではないか、給特法だけでなく、人材確保法、人確法によっても形づくられている教師の給与制度を考慮すると、必ずしも教師の処遇改善につながらないのではないかとの懸念が示されました。

 そのため、まず、給特法の基本的な枠組みを前提とした上で、教師の在校等時間の縮減のための取組を総合的かつ徹底的に推進し、学校における働き方改革を確実に実施する仕組みを確立し、成果を出すこととしたものであります。

 なお、同答申におきましては、中長期的な課題として、労働法制や教師の専門性のあり方、公務員法制の動向等も踏まえ、給特法を含む公立学校の教師に関する労働環境についての法制的な枠組みについて、必要に応じて検討を重ねることが必要だとも指摘されておりまして、今後、学校における働き方改革を推進する中で、この提言も踏まえてまいりたいと考えております。

古田分科員 超過勤務につきましては私立学校も大変頭を悩ませているところなので、私もしっかりいろいろ勉強したいというふうに思います。

 志ある教師が勤務の長時間化で過労死等に至る事態が発生することは大変痛ましいことです。基本的には一日八時間の勤務かと思いますけれども、それ以上の時間を勤務しなければならないことが常態化をしています。一方、生徒が早目に帰宅するなどして、特に用事も入らず、思いがけず早く帰宅できることもあるのではないかというふうに思います。

 通常の勤務時間より前に帰宅しても職務に支障を来さない場合には、柔軟に勤務時間を調整できれば、トータルの勤務時間を抑制することにつながると思うんですけれども、臨機応変に勤務時間を調整することは認められないんでしょうか。お伺いをいたします。

永山政府参考人 公立学校の教職員は、地方公務員ということですので、自治体が定める条例等に基づいて、あらかじめ定められた勤務時間に従って勤務をすることとされております。

 一方、御指摘のような仕組みとして、労働基準法第三十二条の三に規定されているフレックスタイム制がございます。これは、一日の労働時間の長さを固定的に定めないで、一カ月以内の一定の期間の総労働時間を定めておいて、労働者はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決めることができる制度ですけれども、公立学校の教師を含む地方公務員にはこれは適用されておりません。

 また、労基法上、日によって勤務時間を延長、短縮する制度としては、このほか、あらかじめ業務の繁閑に応じ労働時間を配分する一カ月単位の変形労働時間制や一年単位の変形労働時間制がありますけれども、一年単位につきましては、公立学校の教員を含む地方公務員にはこれも適用されておりません。

 このような柔軟な勤務時間の設定に係る制度のうち、先ほど触れました本年一月の中央教育審議会答申におきましては、一年の間に夏休み等の児童生徒の長期休業期間が存在する教師の勤務の実態を踏まえ、一年単位の変形労働時間制について検討が行われ、地方公務員のうち教師については、地方公共団体の判断により適用することができるよう法制度上措置すべきとの答申もいただいているところでございます。

 文科省といたしましては、この答申も踏まえ、公立学校の教師の勤務実態に即して柔軟な勤務時間が設定できるよう、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

古田分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、外部人材の活用につきましてちょっとお伺いをいたします。

 外部人材の活用というのは、教員の働き方を変えるのに有効で、中央教育審議会でも答申をされております。

 私立学校に対しましても、平成三十一年度の私立高等学校等経常費等補助につきまして、教育改革推進特別経費の中に外部人材活用等の推進のための予算を計上していただいてありがたく思っておりますけれども、例えば、放課後に、外部人材、教員のOBとか予備校の講師などを呼んで学習指導を依頼した場合に補助対象となるのかどうかをちょっと確認したいと思います。よろしくお願いいたします。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、私立高等学校等経常費助成費補助金の特別補助におきまして、外部人材の活用等によって私立の高等学校の教育の質の向上を図る、このために都道府県に対して補助を行っております。

 御質問の件につきましては、私立高等学校等の所轄庁は都道府県になっておりまして、都道府県が、放課後に外部人材を活用した学習指導を行う私立高等学校に助成を行う、こういった場合には、国から都道府県に対する補助の対象になる、このように考えております。

古田分科員 ありがとうございます。

 また、その場合でも、一校当たりの単価の上限が最大四十五万円ということで、これも増額してきてもらっていると思いますけれども、今後更に拡充をお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 それから、部活動におきまして、非常勤職員として雇用した部活動指導員の場合、この場合には、教師がいなくても単独で試合の引率や練習の指導ができるということでよろしいんでしょうか。

今里政府参考人 お尋ねの部活動指導員でございますけれども、平成二十九年三月に学校教育法施行規則を改正いたしまして、中学校等の部活動に係る技術的な指導などを行う職務とする部活動指導員の制度化を行ったところでございます。

 部活動指導員は、先生も今言及されましたように、学校の設置者が任用する学校の職員でございます。校長においては、部活動指導員に顧問を命じることもできるということになってございます。

 したがって、部活動指導員が任用されれば、教員にかわって顧問となり、お尋ねの単独で指導や大会への引率を行うこと、これが可能になるということでございます。

古田分科員 部活動指導員となる方もほかに仕事を持っていて、企業等で働いている方もおられるかと思います。その場合に、学校の方でまた職員となるといわゆる兼職になると思いますので、その辺はちょっと難しい場合も出てくるかと思いますけれども、兼職を認める企業がこれからどんどんふえてきてくれることを望んでおります。

 時間が参りました。残りの質問はちょっと省かせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田野瀬主査 これにて古田圭一君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀越啓仁君。

堀越分科員 よろしくお願いいたします。立憲民主党・無所属フォーラムの堀越啓仁と申します。

 初めて文部科学所管に関する質問の機会をいただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。

 私は、今現在、環境委員会そして農林水産委員会に所属をさせていただいております。初当選以来、環境省の自然系職員、いわゆるレンジャーに倣いまして、自称自然系国会議員を目指しているところでございます。

 本日御答弁いただく柴山大臣におかれましては、プロフィールの趣味の欄のところに星を見ることということが書かれております。私も大臣のお隣の群馬県の出身でございまして、山々に囲まれた自然の中で空気の澄んだ夜空を眺めていますと、本当に心が安らぐ、そして宇宙のロマンに胸が高鳴る、そういう思いを持っております。

 そういった観点からは、やはり、先週、小惑星探査機の「はやぶさ2」が地球近傍小惑星のリュウグウに着陸した、成功したというニュースはとても感慨深いもの、改めて我が国の宇宙航空技術のレベルの高さを実感しているところでございます。

 現在、柴山大臣は公務、政務等々大変多忙ではあると思いますが、どうぞ昔と変わらず夜空を見上げていただいて、未来ある子供たちの将来をつかさどる文部科学大臣として、自然豊かな地球環境の大切さ、また宇宙へのロマン等々を伝えていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 私の生まれ故郷の群馬県でございますみどり市にある遺跡に関する質問でございます。

 みどり市は平成の大合併により平成十八年に誕生した市でございますが、この地には、中学校の歴史の教科書でも確実に取り上げられている、私も中学校のときにその教科書で勉強しましたが、岩宿遺跡というのがあるのが大変有名でございます。

 この岩宿遺跡は旧石器時代の遺跡になるわけですけれども、この遺跡が発見される前までは、我が国において縄文時代が一番古い歴史だというふうにされていたわけですが、まさしくこの岩宿遺跡が発見されたことによって、我が国にも旧石器時代が存在していたということが考古学史上証明された、そうした大変に価値のある遺跡であります。

 少し長くなりますけれども、ちょっと述べさせていただきたいんですが、昭和二十一年、一九四六年に、切り通しの道となっていた岩宿遺跡を通りかかった相沢忠洋さんという方が、切り通しで露出していた赤土、これは関東ローム層になりますが、ここから石器を発見したのが発端です。相沢氏はその後も赤土の中から次々と石器を発見しましたが、しかし、土器が伴うことはありませんでした。

 当時、一万五千年以上前の火山灰でできた関東ローム層には人間が住めなかったと考えられていたわけでしたが、そこで相沢氏は自分を信じ、これは考古学を独学で学んだ方でございますが、昭和二十四年、一九四九年の夏に、誰が見ても疑いようのない黒曜石でできたやり先形尖頭器を発見しました。この発見をいち早く東京の学者に知らせ、そしてその後、相沢氏と明治大学が岩宿遺跡を発掘することになったわけでございます。そして、その結果、昭和二十四年九月に、発掘調査隊はそれまで未知の地層であった関東ローム層に挑んで、ついにその地層の中から石器が出土することを確認をしたわけです。その年の十月、昭和二十五年四月にも発掘調査は行われております。

 この結果というのが、やはり我が国における旧石器時代の存在が考古学上証明されたという経緯なわけですが、まず冒頭、大変な歴史的価値があるこの遺跡について、柴山文部科学大臣に御所見を伺いたく思います。

柴山国務大臣 今お話がございましたとおり、岩宿遺跡は、群馬県みどり市に所在をし、確実な旧石器時代の人工品が我が国で初めて出土し、日本列島における人類文化の起源が、それまでは、今おっしゃったように、縄文時代と言われていたのが、旧石器時代にまでさかのぼることを立証した遺跡として、昭和五十四年に史跡指定をされております。

 また、おっしゃるとおり、この遺跡が発見されたのは、在野の考古学者である相沢忠洋氏による石器の採取が契機であったということも伺っております。

堀越分科員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいたとおりでございまして、本当に歴史的価値が非常に高い遺跡になるわけです。

 ことしは、実は発見されてから七十周年の記念の契機になります。みどり市にあるこの岩宿遺跡を何とか更にまた皆さんに知っていただこうという取組で、歴史博物館の方ではいろいろイベントごとを企画しているということでございますし、七十年たった今でも新聞やあるいはテレビ、インターネット等々では注目を浴びているところでもあります。先日も、二月十九日でしたね、読売新聞の夕刊に記事が掲載されております。

 群馬県人にとっては、やはり考古学を志す人にとっては、この相沢さんという方はもう非常に有名で、ヒーローのような、そういう存在になっているわけですが、次は、この相沢さんの功績に係る質問をさせていただきたいと思います。

 この岩宿遺跡の物すごさ、繰り返しになりますが、日本史を大きく変える世紀の大発見であったわけですけれども、その第一発見者というのはやはり相沢忠洋さんなんだろうと思います。

 この相沢さんは大学の先生や考古学の専門家ではありませんでした。戦前に青年学校を出ただけという方でございます。戦争からの復員後、大好きな考古学のため、群馬から東京に通って大学の先生に教えを請うて、そして学問的な素養を養い高め、この遺跡の発掘にその生涯をささげております。先ほど大臣おっしゃっていただいた、いわゆる在野の考古学者ということでございます。しかしながら、我が国における旧石器時代の存在を証明する相沢忠洋氏の功績というものは大変なものであるというふうに思っています。

 しかしながら、国で最初に発見したこの黒曜石のやり先形尖頭器、いわゆる石やりは、現在、文化財としての指定を何も受けるに至っておりません。現地にある相沢忠洋記念館で一般公開されているのみでございます。一方、明治大学においては、岩宿遺跡からの出土品が昭和五十年に重要文化財に指定され、大学の博物館で保管されています。

 在野の考古学者であった相沢氏については、確かに学術的あるいは学界的な地位というものは存在しませんでしたが、しかし、一生懸命勉強をして、学問的な知識を確実に得て、そして、それをもとに発掘を行った結果、これが世紀の大発見につながったということだと私は思っておりますので、この方の功績をしっかりと評価をするということが非常に重要な観点だと私は思っています。そういった観点からいえば、最初の発見後にやってきた大学の先生たちの発掘チームは重要文化財という実がとれているわけですが、やはり相沢さんにとってはそういった評価には至っていないというところが非常に私としては心苦しい観点でございます。

 私も先日、この相沢記念館、実際何度か見に行きましたけれども、今は亡き忠洋氏の奥様とお話をさせていただきました。本当に、奥様は、七十年たった今でも当時のことをしっかり記録をし、そして、歴史的な記述がある書籍に関しては全て保管をし、この館を運営しているわけでございますけれども、本当に大変聡明な方でございました。

 私は、この在野の考古学者、相沢さんの功績を正しく評価するべきだと先ほどから述べさせていただいています。確かに、今までは、勲五等瑞宝章や吉川英治文化賞、あるいは群馬県の功労賞を受賞されているということはもちろん承知をしています。しかし、それにとどまらず、やはり私は重要文化財としての指定を行うべきであるというふうに思っています。

 この件について、昨年の五月十八日に文部科学委員会において、我が党の先輩である川内博史議員が詳細に質疑を行っております。私も会議録を取り寄せて読んでみましたが、実に熱のこもった質疑でありました。

 当時の質疑の中で、川内議員は、在野の考古学者であった相沢氏の業績を正しく評価し、すぐれた業績に対しては高く評価するべきであり、そのためには、岩宿遺跡において相沢氏が発見した黒曜石の石やり等を重要文化財として指定するべきではないかと強く主張しておりました。それに対して、文化庁や当時の林文科大臣は、川内議員いわく、始終冷たい対応であったということでございましたので、私も、このことについては、ぜひ大臣含め皆さんにお願いをさせていただきたいということであります。

 まずは、そのために、ぜひともこの黒曜石の石やり等を重要文化財等として指定等を行うべきであると思いますし、文化庁において指定等に向けた検討や調査が行われるべきであると考えております。改めて、この点について柴山大臣に御見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、相沢氏は既に平成元年にも叙勲を受けておりますし、また、それ以外にもさまざまな栄誉に浴しているということで、その業績は高く評価されております。

 他方、重要文化財の指定基準には学術的価値の特に高いものという要件があり、学界や展覧会などを通じて学術的な検証と評価が定まっているということが必須要件になってきます。

 相沢氏が採取したやり形尖頭器は、先ほど紹介させていただいたとおり、岩宿遺跡の発掘調査のきっかけになったことは事実でありますけれども、そのものにつきましては、出土位置、また地層の位置、層位の正確な学術情報を欠いておりまして、それがゆえに学術的評価が確立しておりません。

 このため、現時点においては、当該やり形尖頭器を重要文化財に指定することは難しいと考えておりますけれども、文部科学省としては、今後の学術的研究の進展を注視してまいりたいと考えております。

堀越分科員 ありがとうございます。

 川内委員に対する御答弁と内容は同じでありましたので非常に残念ではありますが、確かに、そのきっかけになったというのはもう間違いない事実でもあります。そして、更に言えば、やはり一番最初、当初、明治大学の芹沢教授と発掘調査を行った際に、細かい史実が私は残されているのではないかと思っています。その際のやりとりの中に、それがどこから出土したのかという調査結果等々は、やはりこれからも追求していくべきであろうというふうに思います。

 奥様を含め、相沢さんのこの記念館を有志で守っておられる後援会の皆様は、これを相沢の功績として何としても認めてもらいたいという強い思いというよりは、やはり、一連の岩宿遺跡の中に、そのきっかけになったやり先形尖頭器が、その博物館に存在しない、一体として見ていただけないというのを非常に心苦しく思っているところでもありますので、ぜひ引き続きの調査等々も文科省にも御尽力を賜りたいと思います。

 そして、今でもインターネットで、個人のブログになりますが、相沢さんの功績をたたえる記事等々もございますし、今でも、相沢記念館を見に来て、やり先形尖頭器を一目見たいという熱いアマチュアの考古学を学んでおられる方々がいらっしゃって、その方々がブログに書いているのは、素人目かもしれないけれども、この相沢さんが発掘をしたやり先形尖頭器が重要文化財に指定されていないというのはおかしいんじゃないか、そういう見解を我々普通にやはり持つわけですよね。ですので、そこを何とか一体に考えられるような取組をぜひお願いしたいというふうに思います。

 また、先ほどお話もさせていただきましたが、明治大学に対する資料提供要請ということで、川内議員が質疑の中で、文科省に対しまして、その当時の明治大学の発掘資料の中に、相沢氏が最初に発見をしたやり先形尖頭器に関する発掘調査隊としての資料があるのではないか、発見された位置等を含めて、状況を含めて、そういう資料があれば御提供をいただきたいという旨の要請が国会で正式になされた旨を明治大学の方に伝達することを依頼し、文科省も伝える旨の答弁をなされております。

 その後、半年以上経過しております。明治大学からは何らかの回答があったのか、そのあたりについて、文科省、お答え願います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年五月十八日の文部科学委員会の川内博史議員の発言を受けまして、六月十一日に、文化庁職員が明治大学博物館におきまして、明治大学の協力のもと、大学収蔵の岩宿遺跡発掘資料を確認してまいりました。

 その結果、大学による発掘調査時の大学側の記者発表原稿の中で、相沢忠洋氏が昭和二十一年秋、村道で黒曜石の破片を発見した旨の経緯は確認できましたが、しかしながら、やり先形尖頭器始め相沢氏採集石器の出土位置、層位など、学術情報についての記述は確認できなかったところでございます。

堀越分科員 ありがとうございます。

 これは六月に調べていただいたということでよろしかったでしょうか。

中岡政府参考人 六月十一日に職員が直接出向いてまいったということでございます。

堀越分科員 ありがとうございます。

 五月十八日に、川内さん、質問していただいて、六月に早速動いていただいたということでございますが、私もこの質問に際して川内議員とちょっとやりとりさせていただいたんですけれども、川内さんにそれはお伝えしていただいていないと思うので、これは川内さんも思い入れがあるからこそ質問させてもらっているので、そのあたりについては、ぜひその後のフィードバックも含めてお願いをしたいところでありますし、なかなか学術的な位置関係がないと登録は難しいという観点も非常にわかるんですが、これが何とか進む方法、手だてももしあれば私の方にぜひ御教授いただければというふうに思っております。

 このことについて、またちょっと奥様の方にもお伝えをさせていただきたいと思います。

 これは質問通告は特にしていません。今現在答えていただきたいことではないんです。これは宿題としてお願いしたいんですけれども、この岩宿遺跡が重要文化財に指定されたときの、七十年前になりますが、委員会のメンバーを後でわかれば教えていただきたいので、もしわかればよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に入りたいと思います。文科になりますので、教育のことについてお話を伺いたいと思います。

 子供たちの豊かな教育環境をつくるため、日々奮闘している教育現場の職員に係る質問をいたします。

 今年度、小学校の外国語活動や特別の教科、道徳など、新学習指導要領の先行実施のために、教職員の仕事が質、量ともに増大をいたしました。

 文科省は、一昨年の八月末に、新学習指導要領の円滑な実施と働き方改革の推進として三千四百十五人分の教職員定数の改善を概算要求しましたが、財務省の査定が厳しく、千五百九十五人分しか改善されていないということであります。つまりは、文科省は、仕事をふやすので、あるいは、ふえ過ぎた仕事を見直さなければいけないので三千四百十五人の教職員増が必要だと言っているのに対して、財務省は一千五百九十五人しか認めない。文科省にとっては大変つらいことだと思いますが、そんな中で、ふやしますという仕事だけは予定どおりふえてしまっているわけです。当然、現場の先生方は大変な状況になっています。

 これまで長い間言われてきておりますが、OECD加盟国の中で、我が国日本は教育に関する公的支出というのは最低レベルであります。さらに、仕事をふやしたのにそれに見合う人材をふやせなかったという問題が今年度行われてしまいました。しかも、学校における働き方改革を進めなければいけないといいながらこの状況なので、現場は本当に疲弊しております。

 文科省、つまり政府は、言っていることとやっていることがやはり矛盾していると言わざるを得ない状況だと思います。もちろん、教職員増を訴えていたが蹴られてしまった、はねつけた財務省もひどいと思いますが、これを是正していかなければいけないということだと思います。この矛盾をそのまま放置していけば、これで子供の教育にいい影響を与えられるはずがありません。

 そこで、子供たちの教育環境改善のため、教職員定数改善を計画的に行うこと、そのための財源措置は喫緊の課題だと考えておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 おっしゃるとおり、教職員定数の改善は極めて重要だと考えます。

 子供たちの学習環境改善の観点から、平成二十九年三月に義務標準法を改正して、発達障害などの障害を持つ児童生徒への通級指導、また、外国人児童生徒に対する日本語指導教育などのための加配定数について、対象となる児童生徒数等に応じて算定される基礎定数といたしました。

 この基礎定数化を平成二十九年度から十年間で計画的に進めることによりまして、二〇二六年度には、例えば通級指導については、対象児童生徒十六・五人に対して一名だった配置が、十三人に対して一名に改善されるなどの措置を講じております。

 都道府県・指定都市の教育委員会にとっては、これまでの加配定数約六万四千人の約三割が基礎定数化されることから、教職員定数について先の見通しが立てやすくなり、安定的、計画的な採用、研修、配置が行いやすくなると考えております。

 さらに、二〇一九年度の予算案には、これに加えて、小学校の英語教育のための専科教員千名を始めとする合計千四百五十六人の定数改善の予算を計上しているところでありまして、これらに引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

堀越分科員 財政措置、私も強く求めていきたいと思います。これは本当に切実な問題であるというふうに私は思っています。仕事がふえて、やることがたくさんある中で、当然ですけれども、お子さん一人一人に向き合う時間は教職員の方々は確実に減っております。そんな中で、不登校傾向にある児童は今増加傾向にありますので、こうした問題に歯どめをかけていくためにも、やはり教職員の皆さんの働き方改革を進めるためにも、人員をしっかりふやさなければいけない、このことはしっかりと訴えをさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、まさしく現場の問題なんですけれども、二年後から本格導入となる新学習指導要領において、外国語教育の早期化と教科化を行うとしています。小学校三年から六年で週一時間の授業増となる見込みなわけですが、当然、学校現場では、一時間の授業がふえるだけで、教材研究や授業の準備等を行うことから、現在よりも長時間労働に拍車がかかることは明らかであると思います。文科省の概算要求において、週一時間の授業増に対応するための定数改善として二千二百人を要求したものの、それも実現しておりません。

 現在、日本には国公私立合わせて小学校が一万九千八百九十二校あります。その全てで外国語活動が早期化、教科化されることを考えると、長時間労働是正どころか、長時間労働を更に深刻化させることは必至と考えております。

 私の地元の群馬県でも、昨年十月から十一月の抽出調査で、過労死ラインで働いている教職員の皆さんは、小学校で六%、中学校では三二・五%、非常に高い数字。このことについて、県教育委員会は、これを喫緊の課題として、一カ月当たりの時間外労働が八十時間を超えるような働き方を早急に解消する必要があるとしております。

 これは、文科省がことしの一月二十五日に出した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインとの考え方が余りに乖離していると言わざるを得ない状況だと思います。過労死ラインを何とか食いとめようとしている学校現場と、民間に適用される改正労基法と同じように、時間外労働を月四十五時間、年間三百六十時間としたい文科省との考え方の開きが余りに大きいと、現場は実行する意欲を失いかねないと私は思います。

 そこで、今後、ガイドラインの月四十五時間、年間三百六十時間を実現するために、文科省として何が必要だと考えておられるのか、文科省に伺いたいと思います。

永山政府参考人 現在の教師の勤務実態を踏まえますと、お話のありましたガイドラインで定めた上限の目安時間を達成するためには、一つ二つということではなくて、さまざまな施策に総合的に取り組んでいく必要があると思っております。

 先般の中教審の答申でも、諸施策の実施による在校等時間の縮減の目安について示されておりまして、例えば、登校時間等の見直しによる出勤時刻の適正化で年間合計約百五十時間、あるいは、中学校において、部活動ガイドラインの遵守と部活動指導員の活用で年間合計約二百八十時間、校務支援システムの導入で年間百二十時間等々、さまざまな事例が挙げられております。

 それから、例えば、夏休み期間のプール指導ですとか、地域や保護者の期待に過度に応えることを重視したような運動会等の過剰な準備といったものも大胆に見直す、あるいは削減することが提言されておりまして、これらを参考にしながら、各教育委員会、学校においてさまざまな施策を組み合わせて取り組んでいただくことが必要だと思ってございます。

堀越分科員 総合的に多面的に見ていただくということでありましたので、それはぜひお願いをしたいところであります。

 先ほどお話しさせていただいた、教職員の数を一律にふやせばいいというものでももちろんありませんし、そうはいっても、では、教科をもう少し縛りを緩めるということだけでもないでしょうから、いろいろな観点からぜひ取組をお願いしたいというふうに思います。何より大事な日本の未来を背負ってくれる子供たちの教育に対することですので、何をもってしても私も応援をさせていただきたいと思います。

 そして、その点について、私は環境委員会と農林水産委員会に所属をさせていただいているところで、もともと環境保全についてはライフワークとして取り組んできた経過から、この教育の点についても環境教育の観点で、最後、一つ質問させていただきます。

 今、御存じのように、日本は、あるいは世界は、もう大変な気候変動の時代におります。環境の問題というのは、やはりこれから我々国民の生命と、そして暮らしと、そして財産をしっかり守っていくということに直結する大問題であると思います。

 しかしながら、昨今問題となっているマイクロプラスチック、海洋ごみの問題であるとか、あるいは森林の保全が暮らしにどう影響してくるのかといった、循環の中に生きている、そういう環境に対する意識というのは、深く理解している方が実際どれぐらいいるのかと言われれば、やはりまだまだ少ない、そういう状況にあるというふうに思います。

 その環境のことについて、やはり、未来を担う子供たちには、環境教育、非常に私は重要なものであると思っております。現在も小中高等学校を通じて横断的な環境教育への取組がなされているというふうに承知をしておりますが、その上で、学習指導要領の改訂により、具体的に環境教育がどのように充実されたのかということについて文科省に伺いたいのと、あわせて、学校教育の中で環境教育を推進するに当たって、環境教育に特化した教本等を作成して教育現場に配付する、そうすることによって教科間で学習が有効に展開されるというふうに思っておりますが、これについての文科省の見解を伺いたいと思います。

永山政府参考人 平成二十九年三月に改訂いたしました小中学校の学習指導要領におきましては、例えば、小学校の理科において、「人は、環境と関わり、工夫して生活していること。」これは第六学年。それから、中学校の社会科において、「国際連合における持続可能な開発のための取組についても触れること。」これは公民的分野です、を新たに明記するなど、環境教育に関する内容を充実したところでございます。

 それから、環境教育に関する教本等につきましてですけれども、もちろんこれは重要な視点でございますが、例えば国立教育政策研究所におきまして、実践事例を含めた環境教育指導資料を作成をいたしまして、平成二十六年十月には幼稚園・小学校編、二十八年十二月には中学校編を全国の各教育委員会等に配付をいたしております。

 それから、今回改訂いたしました学習指導要領の解説の総則編において、各学校が教科等横断的に環境教育を推進していく観点から、環境に関する内容を参考資料として示しております。

 こうした取組を通じまして、引き続き環境教育の充実を図ってまいりたいと思っております。

堀越分科員 ありがとうございます。

 まさしくこういう、本当に子供たちに受けてもらいたい教育をしっかりと受けていただくためにも、学校の教職員の体制を含めて改善を求めていきたいと思います。また、宿題の件もよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて堀越啓仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本和嘉子君。

山本(和)分科員 お疲れさまでございます。

 立憲民主党・無所属フォーラムの山本和嘉子と申します。きょうはよろしくお願いいたします。

 まず、文化庁の京都移転についてお伺いをしたいと思います。

 昨年六月に法案が成立をいたしまして、移転が正式に決まりました。そのとき、本格移転に向けましては遅くとも二〇二一年を目指すということでございました。

 移転の状況について、進捗状況などなど詳しくそのあたりも教えていただきたいですし、また、移転の時期の確定等々そのあたりも現時点でわかることをぜひ教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の京都移転につきましては、平成二十八年三月の政府決定以降、平成二十九年四月には、先行移転ということで地域文化創生本部を京都の地に設置いたしました。

 また、先ほど委員御指摘のように、昨年の通常国会におきまして、文化庁の機能強化もあわせて図る必要があるということで、文部科学省設置法を改正し、平成三十年十月には、この設置法の改正も踏まえました、京都移転を見据えた新たな組織への再編を行ったところでございます。

 現在は、その次のステップといいますか、テレビ会議システムなどを活用いたしまして、本格移転にかかわります検証をしていく必要がございます。これは、前の国会での附帯決議の中でもそういった、きちっと検証しながらやっていくということの御指摘でございましたので、それに取り組んでおりますとともに、この入れ物でございます本格移転先庁舎の整備に関しまして、京都府、市と調整を現在行っているというところでございます。

 先ほど、遅くとも平成三十三年、二〇二一年ということの本格移転に向けまして、これは実際の職員が異動するということになりますので、職員の住環境の確保や、家族の、教育、保育への適切な配慮につきましての検討を進める必要がございます。

 引き続き、京都側も含む関係方面と連携しながら、精力的に取り組んでいきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 私も地元が京都なものですから、この件に関しましては大変関心もございますし、府民の方も、国の機関が京都に来るということで、大変御期待もあると思います。

 そういった意味でも、検証等もやっていただけるということですので、そのあたりもしっかりお願いしたいところではございますし、連携という言葉もありました。府と、あと商工会議所等と連携を深めていっていただいて、しっかり進めていっていただきたいと思います。

 引き続きまして、文化政策についてもお尋ねしたいと思います。

 京都府に特化して移転を決められたということでございます。その活用等々も教えていただきたいと思いますが、京都にはさまざまな分野のお家元がいらっしゃるということでございまして、例えば、茶道そして華道といったことも京都市の小中学校でもう体験できる、授業であるということも聞いております。

 伝統文化を学ぶ授業を全国的に展開するという意味で、文化庁がそういったことをぜひイニシアチブをとっていただきたいというふうにも思いますし、また、京都はインバウンドが大変多いですので、外国人の方に、日本の文化、京都の文化も含めまして、それをお持ち帰りいただいて、文化を広めていただく、そういう政策を文化庁も全面的にやっていただきたいと思います。そういった施策があれば教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化財が豊かで、伝統的な文化が蓄積した京都に移転することを生かしまして、日本の伝統文化を学ぶ機会や外国人観光客が体験する機会を充実させることは重要でございます。

 平成二十九年度に京都に設置をいたしました、先ほども申し上げましたが、地域文化創生本部におきましては、茶道や華道、食文化といった生活文化の振興、文化財を活用した観光振興、さらには外国人観光客向けの効果的な文化発信など、こうした取組を熱心に進めておられます京都の地で進めるということを行っているわけでございます。

 例えば、子供たちが保護者とともに生活文化、伝統文化を計画的、継続的に体験、習得できる機会を提供いたします伝統親子教室事業におきましては、小中学校を会場といたしました華道や着物教室などを実施しております。

 また、文化財を活用した地域における観光拠点づくりを推進する事業を通じまして、外国人観光客等に向けました古民家を活用した観光拠点施設や宿泊施設の整備、あるいは、文化財をわかりやすく多言語で解説するパンフレットの作成等の支援を行っております。

 今後とも、このような取組を通じまして、伝統文化を学ぶ機会の充実や観光振興などを全国に展開してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 全国への展開ともおっしゃっていただきました。京都だけでなくて、日本各地にはいろいろな伝統文化もございますので、そういったものを学校教育でもしっかり取り入れていただく。京都だけに観光が集中するのではなくて、全国的にそういうインバウンドの方が分散できるような施策も、文化庁、観光庁とも連携して、ぜひお知恵を絞っていただいて、お願いしたいところではございます。ありがとうございます。

 引き続きまして、ICT教育に関してに質問を移りたいと思います。

 今、日本では、人口減少そして高齢化ということが言われておりまして、それらが原因といたしまして、いろいろな社会問題そして経済問題等も言われています。最新の情報通信技術とネットワーク等々を最大限に、効果的に活用していただいて、さまざまな課題を解決していく、いろいろなシステムを構築するということは、先々、私たち、国民生活が安心できる、安心できる生活を送っていくという上では、このICTというものは本当に重要な政策課題だと思います。

 特に、ソサエティー五・〇時代ということで、IoTやビッグデータ、AI、ブロックチェーンの技術など、そういうことを活用することも欠かすことのできないイノベーションということでございます。

 新しいソリューションの開発や提供、そして普及、展開のスピードが鍵を握っているというふうにも思いますので、それを担う人材を育成するかどうかというのが国の将来を決めるのではないかなとも言われています。

 それらを担うための人材育成、そして日本のICT教育に関して、文科省の基本的な認識はいかがかということを大臣にお聞きしたいと思います。お願いします。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいた、予測困難かつ変化の激しい社会において、情報や情報技術を、受け身で捉えるのではなくて手段として活用していく力がますます求められてくると思います。

 このため、文部科学省では、学習指導要領を改訂いたしまして、情報活用能力を言語能力と同様に学習の基盤となる資質、能力と位置づけ、小学校においてプログラミング教育を必修とするなど、小中高等学校を通じて指導内容の充実を図ったところです。

 また、文部科学省においては、新学習指導要領の趣旨を踏まえた情報活用能力の育成が図られるよう、情報活用能力を育むカリキュラムマネジメント事例の創出、プログラミング教育に関する指導事例の創出や教員研修用教材の開発等、情報モラル教育の教師用指導資料の作成など、指導についての取組にも力を入れているところでもございます。

 さらには、二〇二〇年度からの小学校プログラミング教育の実施に向けた機運を醸成するために、先日発表させていただいたんですけれども、ことしの九月を「未来の学び プログラミング教育推進月間」として、「みらプロ」と略させていただいておりますが、民間企業と連携をした取組を集中的に行うこととしております。

 こういった施策を通じて、ソサエティー五・〇社会に向けて、子供たちの情報活用能力が育まれ、我が国のICT人材が育つよう懸命に努めていきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 今大臣が御説明いただいたこと、すごくよく理解はするんですが、ただ、日本という面では今そういう取組があるということなんですけれども、やはり、欧米とか先進諸国から比べると、そういうICT分野の人材育成に関しては少しおくれがあるのではないかなという御指摘もあります。将来的には、日本は約八十万人のIT人材を育てていかなきゃいけないということも言われていると思います。

 例えば、イギリスではプログラミングはもう義務教育の必修科目であるというふうにも言われていますし、フィンランド、スウェーデン、そういう北欧諸国も、もう本当にゲーム感覚で小学生がプログラミングを覚えていくというような授業もあるというふうにも聞いております。

 そういう意味では、日本では、プログラミングを教えるのは高校からということでございまして、小学校はプログラミング的な思考を学ぶということで、ちょっと抽象的かなとも思うんですけれども、ICTの機器に関しても、三クラスに一クラス分を持つというのが今目標というのも聞いています。そういうことを考えますと、世界との差というのはちょっと歴然とするのかなと思います。

 こうした先進諸国とのギャップをどのように埋めるか、どう捉えておられるかという見解をお聞きしたいと思います。

永山政府参考人 ソサエティー五・〇時代を迎える中で、ICT教育の重要性に鑑みますと、もちろん、諸外国におくれをとることがないように進めていく必要、これは十分認識をいたしてございます。残念ながら、いろいろなデータを見ますと、我が国でおくれている面というのも確かにある状況がございます。

 そのためにということで、先ほど大臣の答弁にもございましたけれども、新学習指導要領におきまして、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけまして、その育成を図るとともに、各学校において、コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整えて、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとしております。

 こういった施策を通じて、諸外国におくれをとることのないよう、学校におけるICT教育の充実を更に図ってまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 今御説明いただきました、世界のレベルでもちょっと劣っている部分があるというのは国としても認められているところではあると思うんですが、日本の中でも、各都道府県別に見ると、追いついている県、そうでないところというのがやはりありまして、全くパソコン台数がほかの都道府県と比べて追いついていないところ、本当にさまざまだと思うんですけれども、国内においてその格差を埋める、これも必要なのかなと思います。都道府県によって教育の格差が生まれるというのも、それはかなり懸念だと思います。

 そういう格差を埋めることの方策はあるのかないのか、教えてください。

永山政府参考人 御指摘のとおり、学校のICT環境整備は極めて重要でございます。

 これまで、文科省におきまして、新学習指導要領の実施を見据えまして、自治体における学校のICT環境整備を促進するために、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画というのを策定いたしました。単年度千八百五億円の地方財政措置の積極的な活用の促進、それから、市区町村単位ごとのデータ公表による整備状況の見える化ですとか、あるいは、自治体の要請に応じてICT活用教育アドバイザーの派遣、こういった取組を実施してきたわけなんですけれども、情報通信技術が進展する一方で、各自治体における整備が十分に進んでいないということにつきましては、やはり私どもも危機感を持っております。

 このため、昨年十一月に公表いたしました「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて 柴山・学びの革新プラン」におきましても、先端技術の活用のための学校のICT環境の整備促進を一つの柱として掲げたところでございます。

 各自治体で整備が進まないのはさまざまな要因があると考えておりますけれども、このプランをキックオフとして、まずは各自治体における要因の調査及び分析を進めているところでございます。

 今後、このプランの取りまとめの中で、各自治体における環境整備に向けた国としての働きかけを進めていきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいた格差を埋めるため、危機感もお持ちということだったんですが、各都道府県の教育委員会に、地方に任せるのではなくて、やはり国としてしっかり方針を、今大臣もプランを出されていると思うんですが、そういうのをもっと徹底していただいて、埋めていくというのはしっかりと進めていただきたいと思います。少子化が進んでいるので、IT人材を将来にわたって育成していくという意味で、しっかり取組を進めていっていただきたいと思います。

 続きまして、ICT教育の中身についてお聞きをしたいと思います。

 教育は、ICT教育に限らず、個別学習や共同学習の質の向上と、一人一人の多様性を大事にしたボトムアップの教育が大切だと思います。今後、そういったことがもっとどんどん求められていくとは思うんですが、要は、子供たちの家庭の状況、住んでいる地域、障害のあるなしなどにかかわらず、一人一人の興味や関心、個性や習熟度に応じた多様で豊かな学習環境を提供することが必要だと思います。

 先ほど申し上げた、今回はICT教育に関することをお伺いしておりますけれども、都道府県別の環境格差の問題と同じく、子供への格差がないようにどういうことが大切だと思われるか、文科省の考えをお聞きしたいと思います。

永山政府参考人 教育におけるICTなどの先端技術の活用は、教育の機会均等や質の保証を一層担保しやすくするものでございまして、有効に機能していくべきと考えております。

 昨年十一月に公表いたしました新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて、柴山プランにおいても、先端技術は教師を支援するツールとして、全ての児童生徒に質の高い教育を実現することを目指しております。

 具体的には、例えば、中山間地や離島などのさまざまな状況に応じた教育の充実ですとか、あるいは、病気療養とか不登校、そういった特別な配慮が必要な児童生徒の支援等の観点からの遠隔教育の推進、それから、先端技術の活用等によって個々の児童生徒の学習状況に応じた指導の充実、こういったこともあろうかと思います。

 今後、個々の児童生徒のさまざまな状況も念頭に置きながら、このプランを具体化して、全ての児童生徒に対してICTなどの先端技術の活用による教育の質の向上を図ってまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 いろいろな面で習熟度とかの差が生じないように、遠隔の教育というのもとても大事だと思いますし、そういう意味でも、いろいろな角度からの教育環境をつくっていっていただきたいと思います。

 そういう中で、やはり先生方の質もとても大切だと思うんです。先生方のICT活用についてもお聞きしたいんですが、ICTやクラウドを活用した校務システム、そういう教務支援システムの導入を促して、教材や成績管理などをシステム化することで教職員の負担軽減をすることができると思います。現在どのような状況まで進んでいるのか。

 また、ICT教育とは別ですけれども、先生の負担軽減という意味で、タイムカードの導入なども今どのような状況か、教えていただければと思います。

永山政府参考人 校務のICT化でございますけれども、統合型校務支援システムというのがございます。さまざま、学籍関係ですとか学習関係、健康関係とか、いろいろなシステムを統合した一つの校務のシステムであるわけなんですけれども、そういった統合型校務支援システム導入による校務のICT化、これは教職員の業務負担軽減を図る観点から大変有効であるというふうに思っております。

 現在、全国の学校における統合型校務支援システムの整備率は五二・五%、平成三十年三月現在ですが、となっております。

 システムを導入している教育委員会に伺いますと、まずは、校務の効率化による在校等時間の縮減が図れた。それから、教材研究などの授業準備にかける時間が、逆にこれはふえたということですね。それから、児童生徒と向き合う時間も、これもふえたといった、単に業務負担の軽減にとどまらない効果も見られるところでございます。

 それから、タイムカードの御質問がございましたけれども、特に、教員の毎日の退勤時刻の管理について、タイムカードなどで退勤の時間を記録していると回答した学校は、小学校で一〇・三%、中学校で一三・三%、まだまだそういった状況でございます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 校務支援システムは五二%というふうにもお聞きしております。これも、全国平均でですよね。恐らく、都道府県別にいうと、またそれも少し格差があるのかなという気もします。タイムカードも、そんなに進んでいないという感覚なんですけれども、そういうことも全て、時間管理等、先生の負担軽減という意味では、導入の義務化も含めていろいろと検討していっていただきたいというふうにも思います。

 続きまして、先ほど来から御紹介であります柴山・学びの革新プランについてお聞きをしたいと思います。

 質の高い教育の実現のための先端技術の活用を推進することが目的ということでございまして、教員は技術への学びによって質が向上する、個々の児童生徒への指導に対する課題への割り出し、そういうのもスムーズになるというふうにも思います。質の高いICT教育を受けた児童生徒は、将来的に社会を牽引する人材となっていってほしいというのも、すごく内容はよくわかります。

 しかしながら、児童生徒に対してはICTリテラシーについても懸念ですし、教員に対して最先端技術を身につけていくということは、教員一人一人のスキルというのもまちまちだと思います。

 そういう、今申し上げた懸念、課題について大臣がどのように思っていらっしゃるか、教えていただければと思います。

柴山国務大臣 今御指摘のとおり、先ほど来、柴山プランということで、恐縮でございます、紹介をさせていただきましたけれども、児童生徒の情報活用能力の育成のみならず、教師がICTを活用して指導する力を向上させていくことが極めて重要だと考えております。

 先ほどちょっと私の方からもお答えをさせていただいたとおり、児童生徒の情報活用能力につきましては、学習指導要領を改訂した、そして情報活用能力を、言語能力と同様に学習の基盤能力であると位置づけたという方向性は示させていただいております。

 また、教師のICT活用指導力の向上につきましては、実践事例集の作成や配付、校内研修リーダー養成のための手引の作成や配付、独立行政法人教職員機構における各地域でのICT活用に関する指導者の養成研修の実施など、さまざまな取組を通じて、今、教師がICTを活用するための具体的な指導方法の普及啓発に取り組んでおります。

 これらを通じて、教師、児童双方のICTリテラシーを高めて、私どものプランの実施を確実なものとしていきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 私がお聞きしたかったのは、教員一人一人のスキルアップという部分が特にちょっとお聞きしたかったんですけれども、プログラミングを教えるという意味で、先生の質も大事なんですが、例えば民間の力をかりるということも大事なのではないかなと思います。

 例えば、IT企業でそういうのを担当していた方とか、そういう方に、そういう先生のスキルアップも含めて、そこで児童生徒にも教えるということも含めて、力をかりるというのも必要だと思う。それについては大臣どうお考えになっていますか。済みません、通告していないです。

柴山国務大臣 全く御指摘のとおりだと思います。そういう意味では、ICT支援員の拡充ですとか、あるいは今委員が御指摘になられたように、ICT業界の方々から特別支援のための教員制度を活用して授業を持っていただくというようなことも、我々、しっかりと進めていきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 先生のスキルアップは本当に大切だと思います。先生の指導力向上や環境整備といったものは、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、こういうことは党派関係ないと思いますので、ぜひまた協力してやっていきたいと思います。

 最後に、先生の多忙化についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 先ほど来からもいろいろと質問が続いているかと思うんですが、英語の専科教員についてお聞きをしたいと思います。

 配置人数については、二〇二〇年度、新学習指導要綱が実施されるタイミングで四千人の配置というふうに伺っています。実際、公立小学校が約二万校ありまして、単純計算で約五校にお一人の配置となる計算でございます。五校に一人ということですけれども、専科教員が他校とのかけ持ち、そして普通教員が学校の中で別教科の方とかけ持ち、そういうことを前提にしていると、きのうちょっとレクでお話をお聞きしたんですが、こういうかけ持ちということが先生方の多忙化をかえって助長してしまうのではないかと思うんですけれども、それについての考えをお聞きしたいと思います。

永山政府参考人 二〇二〇年度から小学校で完全実施をされます英語ですけれども、三学年から六学年までの各学年におきまして、週一こまずつふえるということでございます。

 しかしながら、現在、小学校の教師というのは、平成二十八年度の調査において、一日四時間二十五分にわたって授業を担当しているということで、今回のこの英語の授業時数の増が教師の授業負担の増にならないような条件整備が必要だと考えております。

 具体的には、お話のありました、英語の専科教員を配置いたしまして、授業時間の増となる英語教育を担当することとしまして、二〇一八年度においては千人、二〇一九年度においては更に千人増の、合計で二千人を計上しているところでございます。

 この配置なんですけれども、少しお話もありましたけれども、各都道府県・指定都市の教育委員会におきまして、それぞれの学校の学級規模等に応じまして、例えば複数の小学校の英語教育を一人の常勤の英語専科教員が担当するケースもあります。それから、一人の教員定数の枠を活用して、複数の英語専科の非常勤の講師を配置するといった工夫もございます。いろいろなやり方がありますけれども、そういった中で負担軽減について十分配慮していきたいというふうに思っております。

 なお、中央教育審議会答申におきまして、今後の検討課題として、「小学校における効果的な指導と教師の一人当たりの指導時間の改善の両立の観点からの、小学校の教科担任制の充実、年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直し」も掲げられておりますので、条件整備とともに、これらの制度的な検討も進めてまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 一般的に見て、学校をかけ持ちしたり、学校内でもいろいろな先生が自分の専門外でかけ持ちするとかいうのは、やはり、生徒にとっては、先生に質問したいときに忙しいから先生に答えてもらえないとか、ちゃんとした、習熟した指導ができるのか、質の高い英語教育ができるのかというのはすごい懸念かなとは思います。

 今おっしゃっておられましたけれども、始まってみないと、スタートしてみないとわからない部分はたくさんあると思います。それに応じて予算や人数を見直していく必要があると思いますので、しっかりそれらは取り組んでいっていただきたい、質の高い教育を提供していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 これで終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて山本和嘉子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩をいたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田野瀬主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。上杉謙太郎君。

上杉分科員 ありがとうございます。自民党の上杉謙太郎でございます。

 本日は、この分科会の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、大臣、お忙しい中ありがとうございます。

 冒頭、幾つか御質問と御提案をさせていただけたらというふうに思います。

 大臣の柴山イニシアティブでありますけれども、すばらしいものだなというふうに思っております。このイニシアティブを今後進めていくに当たって大事なのは予算でありますから、ちょうどこの予算の分科会ということで、平成三十一年度の予算案のうち、柴山イニシアティブに関する主な事項について、どういったふうにめり張りをつけて配分をしていくのか、まず御教授をいただけたらありがたいと思います。

柴山国務大臣 御評価いただき、ありがとうございます。

 通称柴山イニシアティブにおいては、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保する一方で、高等教育、研究機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を車の両輪として徹底することにより、教育、研究、ガバナンス改革を一体的に進めることとしております。

 このうち、例えば二〇一九年度予算案では、国立大学法人運営費交付金においては、客観的な成果指標に基づく新しい評価、資源配分の仕組みの導入、私立大学等経常費補助においては、教育の質保証や経営力強化に向けためり張りある配分、そして、科研費、科学研究費助成事業においては、若手研究者の自立的な研究を支えるために若手研究者への重点的な支援を行うなど、めり張りある予算配分を行うこととしております。

 こうした取組を通じて、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに、最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍を促進していきたいと考えております。

上杉分科員 大臣、ありがとうございます。

 ぜひ進めていっていただきたいと思います。微力ながら、お手伝いできることをさせていただきたいというふうに思っております。

 その中で、ちょっと細かいところなのかもしれませんけれども、教育で、大学改革の中で一つ御提案になるんですけれども、現状、今、教職大学院というのがありますが、一つ、いろいろ改革を進めて、教員の質の向上もそうでありますし、未来の教員、教育学部の学生に新たに窓口を開く、ステップアップになっていく、いろいろなことで活用ができるというふうに考えております。

 イニシアティブのこの資料の中にも、いろいろ多々、教員養成系大学、学部の高度化ですとか、実務家、若手等の多様な教員の登用、また大学改革、教育体制の多様化、柔軟化とありますから、ぜひ、教職大学院が、一つ、教員の皆様のキャリアの一助になるということと、教員の質の向上というこの機能を持たせる。例えば、弁護士さんであれば法科大学院というのがあるように、教職大学院というものをもっと高度化させていくというのは非常に大事だというふうに思いますので、御提案をさせていただきます。

 今、大臣のお話の中にあったトップ大学群についてなんですけれども、ぜひ、世界を牽引するトップ大学群をやはり日本でつくっていかなければならないと私も非常に、本当に思っているところでありまして、少し具体的にどのように取り組まれる御予定か、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 世界を牽引するトップ大学群を形成していくということは極めて重要でございます。多様な学生の受入れ促進や大学の国際化を進め、教育の質の向上を図るということが重要であると認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、優秀な外国人留学生の受入れを推進するほか、平成二十六年度から、スーパーグローバル大学創成支援事業により、徹底した大学改革と国際化を進める大学の支援を行いまして、すぐれた能力を持つ人材を育成する環境基盤を整備するとともに、国際競争力の強化を図っております。

 本事業に採択した三十七大学におきましては、学生の流動性や大学の国際通用性を高めるための教育改革あるいは留学生支援体制の構築、さらには、国際化を全学的に進めるためのガバナンス改革などの取組が進められているところでございます。

 今後も、引き続き、このような取組を通じた大学の国際化や教育研究力の向上により、世界を牽引するトップ大学群の形成に努めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。

 アジア、中国もそうですし、東南アジア、また南アジアもそうですが、欧米も含めて、日本の大学に留学に来ることによって、日本の大学の中のキャンパスが、ある意味、グローバル化、国際化していく。日本の学生が、日本の大学に通いながら、四年間で、勉学を通じて、また課外活動を通じて世界じゅうの人たちと触れ合いをして、勝手にグローバル化してくるというのは、非常にいい、好循環を生むというふうに思うんですね。ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。

 続いて、グローバルな話から急にローカルな話になるんですけれども。

 高等教育機関へのアクセスの中で、そこに行くまでの、中学、高校の教育の中の、私は福島県選出の議員でありますから、中山間地域、また少子化、過疎化していって、子供たちが少なくなっている地域というのがあります。どうしてもやはり、首都圏始め都市部の学生さんたちと、教育における格差、機会の格差というのがあるというふうに思っております。

 やはり、そこに文科省さんが率先をして手厚くやっていくことによって、少しずつ格差を縮めていくということが必要だというふうに思っておりまして、既にいろいろと取組をされているということなんですが、地域未来塾について、もっともっと広げていくべきだというふうに思っております。

 この辺について御説明をいただけたらありがたいというふうに思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 地域未来塾は、地域において、教員のOB、大学生など地域住民の協力によって、学習がおくれがちな中学生や高校生を対象に原則無料で学習支援を行う重要な取組でございますが、文部科学省としても、地域学校協働活動の一環としてこれを推進しておりまして、平成三十年度においては、全国で約三千カ所で実施されているところでございます。

 政府としては、全中学校区の約半分に当たる五千カ所で地域未来塾を実施する、また、高校生への支援も全国的に広げていくといったことを目標に掲げてこれを推進しているところでございます。来年度の予算案の中でも、これの推進に必要な経費を盛り込んでいるところでございます。

 今後とも、こういった取組を通じて、全ての子供たちがそれぞれの夢にチャレンジできるような社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。

 高等学校についても、所得がありますけれども、無償化という方向で政府が取り組まれておりますし、やはり、地域による、教育デバイドではないですけれども、格差というものを限りなくゼロにしていくという努力も必要でありますので、ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。

 続いて、違う話になりまして、防災、減災と緊急安全点検についてなんですけれども。

 先日の陛下の即位三十年記念式典でも、陛下のお言葉の中にも、平成の世は災害が多発した世であったというお話もございました。倒れてきたブロック塀で犠牲になられた痛ましい事故もありましたし、子供たちの通学路の安全を確保する、これは非常に大事である。

 平成二十四年に通学路緊急安全点検ということを実施されて、随分進まれたということは聞いてはおるんですけれども、災害もありますし、建物も変わる、道路も変わるということでありますから、新しい点検項目というのは日々生じてくるんだというふうに思っております。

 そこで、この緊急安全点検について、平成二十四年の実施から時間もたっているところでありますが、今どのような状況か等々、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

清水政府参考人 通学路の安全、交通安全についての御質問でございました。

 御指摘いただいた通学路の緊急安全点検は、平成二十四年、京都府亀岡市における交通事故を契機として、学校と道路管理者、警察が合同で通学路の点検を実施したものでございます。このときの危険箇所、三万カ所、全国であったわけでございますけれども、これについては毎年度フォローアップを行っておりまして、教育委員会、学校で対策が必要とされたその三万カ所のうち、九九%は既に対策済みということでございます。

 それから、点検が二十四年度以降どうなっているのかということでございますけれども、これ以降も点検を続けていくのは必要でございますので、関係省庁、文部科学省と国土交通省、警察庁の連名で平成二十五年に通知を発出いたしまして、各自治体で、地域の学校、警察、道路管理者等の関係機関が連携して通学路交通安全プログラムを策定して、危険箇所の点検、対策の実施を継続するという取組をしているところでございます。

 文部科学省としては、関係省庁との連携を継続いたしまして、地域の関係機関、各地域でも関係機関が連携した取組を促進することで、通学路の安全を着実に推進していきたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 交通安全プログラムということで、日々やっていらっしゃるということで、ぜひ進めていっていただきたいんですが、確かに去年の四月に、私もPTA、自分の子供の学校のをやっていますので、ありました。それで、要望を出すというのがありました。

 また、ふだん、私も街頭に立ったりとかしていますので、そうすると、地域住民の方から声をかけられて、ここに歩道を設置してもらいたい、横断歩道を設置してもらいたいんだけれども、どこに言えばいいんだというふうに言われたりとかする。学校関係者であれば、そういうふうにやり方はあるんでしょうけれども、地域住民の方からすると、要望をどこに出したらいいかわからない等々もあると思うんですね。

 信号をつくってほしい、横断歩道をつくってほしい、ガードレールを設置してほしい、子供たちが危ないから。そういったときに、どのように伝えていって、どういう仕組みで実現していくのか等々、御教示を可能であればいただければと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁いたしました通学路交通安全プログラムということで、学校、警察、道路管理者等が、関係機関が連携をして推進する体制の構築を通知しているところでございますので、それぞれ、地域住民の方、通学路の安全箇所については、信号、ガードレール等々いろいろあるかと思いますけれども、学校、警察、道路管理者のいずれかに、一番相談しやすいところに相談をしていただければ、この通学路交通安全プログラムに基づきまして、学校から警察、学校から道路管理者に連絡をして、この枠組みの中で危険箇所に関係する機関に伝達をして適切な対処を相談していくというような形になっていくかと思いますので、一番相談しやすいところにまずは相談していただきたいと考えているところでございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 私の子供の小学校でも、横断歩道のないところが通学路に設定されていて、片側一車線ですけれども、いまだにそこを渡って毎日通学しているんですね。そういう箇所が数カ所ある。それは去年要望しているんですけれども、まだ実施されていないということでもあります。

 九十数%以上もう実現されているということでありますが、恐らくそういう、残りの何%の中に入っている事例だとは思うんですけれども、ぜひ、要望があった場合は速やかに実地検分していただいて、横断歩道を引くなりいろいろとやっていただきたいというふうに思います。

 やはり、子供が交通社会の犠牲になってはならないというふうに非常に思っておりまして、これは文科省さんも警察庁さんも思いは同じだと思いますので、ぜひみんなで総力を挙げて子供たちの安全を守っていく。通学もそうでありますし、交通社会もそうであります。ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、子供だけに関係するわけではないですが、道路交通法関係で一つ。

 やはり、ふだん子供たちが幾ら安全にということに気をつけて通学していたとしても、ドライバーの人たちが注意不足だったり違反をしていては元も子もないわけでありますよ。最近は、スマートフォンをみんなぽちぽち持ってやっていますけれども、運転しながらスマホをやるというのは、これはもう本当によくないというふうに思うんですね。厳罰化が必要だというふうに思っております。過去、飲酒については厳罰化しましたから、随分下がったというのがありました。

 ぜひ、ひとつ警察庁さんに御検討をお願いしたいんですが、スマホのながら運転の厳罰化というのはいかがでございましょうか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 自動車等の走行中に携帯電話を通話のために使用する、また、スマートフォンの画像を注視するというような行為は、安全運転を困難にする非常に危険な行為でございますので、道路交通法で現在も禁止されております。毎年八十万件以上の取締りを実施しております。

 しかしながら、過去五年間で交通人身事故全体の件数が三割以上減少する中で、携帯電話使用等が原因の事故は四割近く増加しております。

 こうした状況を踏まえまして、現在、走行中の携帯電話使用等について、罰則の引上げなどを検討しているところでございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 罰則、厳罰化がいいと思いますので、ぜひ御検討をお願いいたします。

 あと、子供たちの事故の中でやはり一番多いのは交差点だというふうに思いますので、車が左に曲がってきたら、横断歩道を手を挙げて渡っているのにひかれちゃったですとかということは、通学の朝と夕方だけでもいいんですけれども、交差点について、歩車分離式信号というのがあるじゃないですか、全部赤になって歩道だけ青になる、そうすれば、車と接触することはなくなると思うんですね。

 いろいろな方が案を出しているとは思うんですが、また、これをすると確かに渋滞がふえる等々もあるとは思うんですけれども、やはり、危険な交差点ですとか、子供が渡る時間帯ですとか、いろいろな点でこれは導入をもっと進めるべきだというふうに考えているんですけれども、お考えをお聞かせください。

北村政府参考人 ただいま御指摘の歩車分離式信号でございますが、歩行者が通行する時間と車両が通行する時間とを分離するというものでございますので、歩行者等の安全確保に有効な手段であると考えており、警察庁におきましては、平成十四年に歩車分離式信号に関する指針を作成して、その導入を推進しているところでございます。

 この指針におきましては、歩車分離式信号の導入を検討する交差点の中に、公共施設等の付近又は通学路等において、生徒、児童、幼児、高齢者及び身体障害者等の交通の安全を確保する必要があり、かつ、歩車分離制御導入の要望がある場合を掲げており、警察庁においては、その整備について補助金の対象といたしております。

 先ほどお話のありました平成二十四年の通学路の緊急点検の結果を踏まえまして、全国二百五十カ所で歩車分離式信号の整備を行ったところでもありますが、引き続きまして、文部科学省及び国土交通省と連携を密にし、歩車分離式信号の整備を含め、通学路の交通安全の確保に努めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 警察庁さんは、地元の警察署さんで、例えば、学校に来てくれて交通安全教室をやってくださったりとか、こういう何か一年生向けに配って、危ないんだよというのを教えてくださったりとかしていますので、あわせていろいろとお願いをしたいというふうに思います。

 本当に、毎年統計を見ると、交通死亡事故の中に子供たちの死亡数というのはやはりあるんですよね、一番少ないですけれども。これは、やはりゼロにしなきゃいけないというふうに思うんですよ。社会的犠牲者を出してはいけないということで、春の交通安全運動もありますし、子供の交通死亡事故をことしはゼロにするという目標をぜひ掲げていただきたいというふうに思うんですけれども、意気込みをお聞かせいただければありがたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 子供の交通事故など、事故の関係でございますけれども、平成二十九年に閣議決定された第二次学校安全の推進に関する計画の中で、学校の管理下における児童生徒の死亡事故を限りなくゼロにすることを目指すという目標を掲げているところでございます。

 ただ、一方、警察庁の統計でございますけれども、残念ながら、平成二十九年の通学中の交通事故で死亡した歩行者である児童は、小学生が二名、中学生が二名、そういう形になっているところでございます。

 文部科学省では、小学校の低学年向けの交通安全教室用のリーフレットを作成して全ての新小学一年生に配付することでありますとか、教職員の安全教育における指導力の向上に向けて、交通安全指導に係る教職員の講習会の開催を支援するなどの取組を行ってきているところでございます。

 通学路の児童生徒の死亡事故を限りなくゼロにしていくために、今後も、こうした取組を関係省庁とも連携しながら継続していきたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 限りなくゼロ、もう必ずゼロという目標でぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 交通関係で、最後、もう一問だけ。

 少子化もありますし、過疎化というのもあって、小学校も中学校も高校も統廃合をしていって、そうすると、統廃合して遠くの人が通うのが大変な状態にある。その中で、一時間も二時間もかけて徒歩で数キロ先の学校に通う。その間に交通事故に遭ってはならないわけであります。

 では、スクールバスというのがいいだろうということで、ただ、スクールバスの方も文科省さんが補助金を出してくださっておりますが、少子化、過疎化で統廃合していってしまう、これは地域の事情でいたし方ないんですけれども、やはりここにももうちょっとスポットを当てるべきでありまして、もっとスクールバスを活用して子供たちの通学をスムーズにしてあげる、先ほどの教育格差じゃないですけれども、これも一つそうだと思うんですね。

 ぜひ、スクールバスをより一層進めていっていただきたいと思うんですが、三十一年の予算においてはどういった形で対応される御予定か、お聞かせください。

永山政府参考人 平成三十一年度予算におきましては、スクールバス関係、へき地児童生徒援助費等補助金という補助金がございますけれども、その中で、特に、御指摘があった、学校統合によって遠距離通学となったような児童生徒の通学条件の緩和を図るためということで、まず、スクールバスの購入費に対する補助というのがございます。それから、スクールバスの運行を委託する経費、通学定期券代に対する補助、こういった補助もございます。

 そういったさまざまな補助を活用しまして、こういった児童生徒に対する支援を引き続き行うことといたしてございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 国三分の一、県、自治体、三分の一、三分の一だと思うんですけれども、難しいのかもしれないですが、文科省が十分の十ぐらいでやってあげるぐらいのことを、ひとり言としてお話しさせていただきます。ありがとうございます。

 続いて、きょうは分科会ということで、細かいところばかり質問させていただいていて恐縮でありますが、次は放射線教育についてであります。

 去年も質問させていただきました、復興委員会でも。そのときには、放射線の副読本というのが過去のものになっていて、新しく変えなきゃいけないという御提案をさせていただいて、今変えていますということでありました。また、去年、文科省さんから、新しいのをつくりましたと御報告もいただいております。

 この放射線副読本について、これは全国の学校に配付されましたでしょうか。また、この三十一年の予算にはしっかり新たに予算が計上されているか。また、ちょっと時間もなくなってきましたので、これは全国的に利用状況をしっかり把握して、より効率よく効果的に放射線の教育というのをしていかなければならないというふうに思っているんですが、あわせてちょっとお聞かせください。

永山政府参考人 御指摘の放射線副読本につきましては、平成二十六年に作成、配付して以降、そういった状況の変化も踏まえまして、昨年、御指摘のとおり、放射線に関する科学的な知識を理解した上で、原発事故の状況や復興に向けた取組を学ぶ構成としまして、さらに、いじめを防止する内容の抜本的な拡充、復興は着実に前進している様子の紹介、そういったものを加えまして、内容や構成を見直して改訂を行いました。

 この副読本ですけれども、昨年末までに、全国の小学校、中学校、高等学校等の児童生徒に配付をしてございます。

 それから、三十一年度予算案ですけれども、全国の小学校、中学校、高等学校等の新入学生等に改訂した副読本を配付するための経費、教職員等を対象としました研修、それから、児童生徒等を対象とした出前授業等に係る経費を盛り込んでいるところでございます。

 それから、配った後の、きちんと、活用状況のフォローアップということなんですけれども、御指摘のとおり、放射線教育を更に充実していくためには、学校における活用状況を把握していくことも必要だと考えておりますので、今後、授業での活用状況、あるいは活用した教科名とか、活用に当たって工夫した点、改善すべき点などについて、教師の勤務実態にも配慮しながらフォローアップを行っていきたいと思っております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。

 私は福島県民でありますので、また、福島県の小学生、中学生、高校生はある程度意識が高いんですよね、わかっているということであります。

 また、全国の子供たち、原発立地地域の別の子供たちにもしっかりと基本的な教育をすることで、放射線に対しての誤解ないような正しい理解というものが必要だと思うんですね。それが福島県の、我々の風評払拭にもつながってくることでありますので、ぜひ鋭意努力して進めていただけたらありがたいというふうに思います。お願いをしておきます。

 時間もなくなってまいりましたので、次は、学校の先生の働き方改革といいますか、業務過多になっているところを幾つかどんどん軽減していこうという話であります。スクールサポートスタッフの制度ですとか、中学校であれば部活動の指導員ですとか、特別免許状とか非常勤講師制度等々あると思います。

 これはまとめてお伺いしたいと思うんですが、三十年よりも三十一年の方が増額されておりますし、先生方のいろいろな負担をとるという意味で、サポートスタッフ制度は非常にいいというふうに思います。これをもっと進めるべきでありますし、部活の方は、例えば、剣道、柔道、武道関係であれば、地域の有段者の方に顧問を頼む。その有段者も、剣道であれば六十代、七十代でも強いですから、では、月曜から金曜まで全部中学校に来てもらって見てもらうということは可能かもしれませんが、地域の方に頼むときに、その方の、お仕事を持っておられたりとかいろいろあると思うので、なかなか物理的に難しくて、努力が必要な部分もあると思います。

 予算計上、上乗せは非常に評価するんですけれども、そこら辺の取組をもっと進めていかないといけないと思うんですが、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

永山政府参考人 まず、スクールサポートスタッフでございますけれども、これは、教師がより児童生徒の指導や教材研究等に注力できる体制を整備する、あるいは教師の負担軽減を図るということで大変有効でございます。三十一年度予算案におきましても、平成三十年度の三千人分、十二億円から、三千六百人、十四億円に拡充して対応することといたしております。

 それから、部活動の指導員ですけれども、これも増員ということで、三十年度の四千五百人分、五億円から、九千人分、倍増、十億円ということでの拡充を図ることといたしてございます。

 特に、御指摘のありました、なり手がなかなか集まりにくいということも耳にするわけですけれども、特に中学校の教師の長時間勤務の要因の一つが部活動であることは明らかになってございますので、まず、学校における働き方改革を進めるためには、中学校における部活動指導員の配置を進めることは重要であると考えております。

 ただ、我が国の長い学校教育あるいは部活動の蓄積の中で、教員経験者ですとかあるいはスポーツの経験者はいろいろなところにいらっしゃると思うんですね。そういった方々に加えて、例えば教師を志す学生さんなどもいらっしゃると思いますけれども、そういった方々に幅広くお声をかけて、例えば人材バンクみたいなものの整備といったことも含めて、そういう人材を確保する取組というものを積極的に進めていただく必要がありまして、私どもとしても、そういった好事例の横展開に努めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 人材バンク、いいかもしれないですね。ありがとうございます。

 あと、もう一つ。特別免許状ですとか非常勤講師の制度があると思うんですけれども、学校現場の、先生方の現場にも民間の方を入れて、そうしたら、教師の方々の雰囲気も変わったりとかしてよりよい刺激になったりもすると思うんです。

 この制度をもっと活用して、民間から教員を入れていったりですとか、特別免許状を渡して、こういうのが必要だと思うんですけれども、この辺はどのようにお考えでしょうか。

清水政府参考人 御指摘のとおり、教員免許状を持っていないけれどもすぐれた知識経験を有する、例えば企業の方々等を教員として迎え入れるということは、学校教育の多様化への対応、またその活性化を図るために重要なことだと考えております。

 そのための制度として特別非常勤講師、特別免許状といったものがございまして、特別非常勤講師につきましては、例えば、情報化の中で行うプログラミング教育とか、外国語科における英語、英会話など、教科の領域の一部を担当させるものでございますけれども、毎年度、全国で約二万件が利用されているところでございます。

 一方、特別免許状は、これは都道府県の教育委員会が行います教育職員検定に合格した場合に授与される、教科の全体を担任ができるという制度でございます。ただ、これは実は従来実績が少なかったこともございまして、平成二十六年度に、文部科学省として、特別免許状授与のガイドラインを作成いたしまして、活用を促進したところでございます。

 その結果、近年、授与件数がふえてきているところでございまして、平成二十八年度までの実績ですが、千百一件の授与が行われておりますので、引き続き、この二つの制度を伸ばしていく必要があると思いますし、また、柴山大臣が発表した柴山・学びの改革プランの中でも、外部人材の積極的活用を進めるといったことが打ち出されているところでございますので、更にこの活用方策について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、終了したいと思います。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて上杉謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲富修二君。

稲富分科員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 そして、大臣、長丁場でございますが、本当にこういう機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは内閣府の副大臣にもお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、きょうはたくさん質問をさせていただければ、せっかくの機会ですので、と思っております。

 まず、学校施設の老朽化対策、環境改善についてお伺いをいたします。

 我が福岡市の市立の学校施設は、約八割が築後約三十年を経過をしております。老朽化した施設の長寿命化、教育環境整備などが必要であると同時に、学校施設は福岡市の防災計画において収容避難所としても指定をされているということで、災害発生時には市民の安全を守る拠点としても活用されていくということで、施設としても、そして災害のときの拠点としても必要ということでございますので、施設の整備、必要と思いますが、国の予算、対応として、お伺いをいたします。

平井政府参考人 学校施設は、御指摘のとおり、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる極めて重要な施設でございます。

 このため、文部科学省では、公立学校施設の整備を推進するため、公立学校施設整備費、予算としましては、平成三十年度第一次補正予算では九百八十五億円、平成三十年度第二次補正予算では三百七十二億円を確保し、また、二〇一九年度当初予算案では一千六百八億円を計上してございます。これらを合わせますと、二千九百六十五億円となってございます。

 具体的な事業内容としましては、平成三十年度第一次補正におきましては、ブロック塀の安全対策及び熱中症対策としての空調整備、それから、二次補正予算としましては、学校施設の防災、減災対策に取り組むための耐震化、トイレの改修等、それから、当初予算案におきましては、防災、減災対策に加え、教室不足の解消やバリアフリー対策等、教育環境改善に係る事業となってございます。

稲富分科員 ありがとうございます。

 そして、私の地元の福岡でいうと、都心部には人口がむしろふえている場所がございます。大規模改修が必要な学校がございまして、築後三十年を経過する学校を対象に改築をしていっているわけですけれども、まだ未実施の学校があるということで、その解消が急務だというふうに思います。大規模対策についてもお伺いをいたします。

平井政府参考人 都市部の学校におきましては、一部、人口の流入により子供たちがかなり増加する地域もあると聞いてございます。

 文部科学省では、公立学校施設整備費の負担金によりまして、児童生徒数の増加により地方自治体が学校の校舎を又は体育館を増設する場合におきましては、工事費の二分の一を補助する。その他の事業に対して優先的に採択してございます。

 今後とも、各自治体が計画的な整備が行えるよう、必要な予算の確保に努めたいと思ってございます。

稲富分科員 ありがとうございます。

 そして、校舎あるいは体育館を建てかえるに当たってのことなんですけれども、今般、今国会で今審議中の森林環境税がございます。使途が限定をされていて、木材利用の促進がその法の中にも明記をされているわけでございますが、やはり、改築をするに当たって木材をより利用していこうというのが大きな流れかと思います。

 そこで、学校施設に関しても木材利用を促進する仕組み、これが望ましいということで、国としても仕組みをつくっていらっしゃるとお伺いをしておりますが、その内容についてお伺いをします。

平井政府参考人 木材は、やわらかく温かみがあり、湿度の調整もすぐれていることから、校舎等に用いることにも適した素材であると考えてございます。

 また、地元の木材を活用することは、地域経済の活性化にも資するものでもございます。

 文部科学省では、学校施設への木材の利用を促進するため、木材を活用した学校施設の整備に対して国庫補助を行う際も補助単価の加算をすることで木材利用の促進を図ってございます。

 また、学校施設への木材利用に関する手引書や事例集等の作成、また講演会等の開催を通じまして、地方自治体の取組を支援してございます。

 引き続き、各自治体において学校施設の木材利用について積極的な取組が図られるよう支援してまいります。

稲富分科員 ありがとうございます。

 私の地元のことなんですけれども、福岡市の中央区の平尾中学校というところがございまして、今、先ほどありましたように、マンションが一棟どんと建つと、生徒さんが急増して、体育館が狭隘化しているということがございます。恐らく、その福岡のみならず、その他の福岡市内でもそういう場所がございまして、都市部ではそういう大規模化が必要なところがあるかと思います。

 先ほど来、さまざまなメニューがあるということなんですけれども、やはり建てかえの際の、木材を使っていく、体育館に使っていくというのは大きな選択肢の一つだと思います。

 ぜひそういう仕組みが、先ほどの予算もかなり例年になく積んでいらっしゃると伺っておりますし、メニューもあります。ぜひ前向きに、より促進できるよう取組をいただきたいと思いますが、改めて御答弁をお願いします。

平井政府参考人 御紹介いただきました体育館の改築の件でございますけれども、先ほど御説明しましたとおり、不足する面積に対する補助に加えまして、木材利用の促進のための制度も利用できるものと考えてございます。

 なお、地方自治体において当該補助の活用を希望される場合には、事業を実施する年度の前年度の六月ごろに、各都道府県を通じまして文部科学省に事業の計画を提出していただくことになります。

 文部科学省としましては、各自治体が計画的に学校施設整備を行えるよう、個々の事業の内容を確認しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

稲富分科員 ありがとうございます。

 次に、チームとしての学校についてお伺いをいたします。

 チームとしての学校は、教員が大半を担ってきた学校のあり方を転換し、教員と、心理、福祉等の専門スタッフが連携協力をして学校運営、課題の解消に取り組む体制ということで政府が推し進められていらっしゃるということでございますが、その中において、スクールソーシャルワーカーは、我が地元でも大いに、課題を抱える子供たちが置かれた環境への働きかけ、関係機関とのネットワークの構築、連携など、そのチームの中で非常に大きな役割を果たされております。

 このように、社会的な要請がスクールソーシャルワーカーにはあると思いますが、その基本的な認識についてお伺いをいたします。

永山政府参考人 お話がございましたとおり、学校におきまして子供を取り巻く環境に働きかけながら福祉の専門家として支援を担う、それがスクールソーシャルワーカーということですけれども、その配置の充実を図っていくことは極めて重要だというふうに考えております。

 私どもとしましても、こうした認識のもとに、平成三十一年度までにスクールソーシャルワーカーを全中学校区に配置することを目標として、配置の拡充に努めているところでございます。

 さらに、より多くの優秀な人材にスクールソーシャルワーカーとして活躍いただけるよう、その職を学校教育法施行規則に明確に位置づけまして、スクールソーシャルワーカーが学校等において非常に重要な職である、そういったことの認知の向上を図っているところでございまして、引き続き、全国でスクールソーシャルワーカーが活躍できるよう配置の充実に努めてまいりたいと考えております。

稲富分科員 ありがとうございます。非常に前向きな答弁をいただきました。

 このスクールソーシャルワーカーを学校教育法において正規の職員として規定できないかということなんですね。非常勤の嘱託として採用されているのが現状でございまして、教職員定数として算定し、国庫負担の対象という形で、前向きにぜひできないかという御提案なんですけれども、御見解をお伺いします。

永山政府参考人 今の法制度上、学校教育法は、学校に共通して置かれることが求められる常勤の職、校長ですとか教諭とか、そういった方々、そういった職を規定いたしまして、それぞれの設置者の負担においてこれらの職を置くことを求めているものでございます。その上で、市町村立学校については、教育の機会均等の観点から、校長、教頭、教諭、養護教諭、栄養教諭、事務職員、そういった学校の基幹的職員については、国が定数の標準を定めて給与の三分の一を負担するという制度でございます。

 したがいまして、スクールソーシャルワーカーについては、実態上、職務や給与などを含めて常勤の職として確立するということがまず求められるところでございまして、文科省において全国的な実態把握もこれから重ねてまいりたいと思いますが、教育委員会や学校におけるこれらの職の活用を引き続きしっかりと支援してまいりたいと考えております。

稲富分科員 ありがとうございます。

 続きまして、スポーツの推進についてお伺いをいたします。

 ことしはラグビーワールドカップがございます。そして、福岡にとってみれば、来年オリンピック・パラリンピック、そして二〇二一年には世界水泳選手権ということで、大規模なスポーツ大会が三年続くということでございます。

 そこで、開催に当たっては、試合会場の整備、大会運営の計画策定、実行等々さまざまな取組が必要ということで、周知や広報などなど、さまざまな自治体の取組があると思います。

 そこで、そういった大規模スポーツ大会開催に対する、国の自治体に対する支援についてお伺いをいたします。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国で国際競技大会を開催することは、国際競技力の向上のみならず、広く国民のスポーツへの関心を高めるほか、大会に伴って実施されるキャンプですとかそういったことを通じまして、国際相互理解の増進、それから地域の活性化にも大きく寄与するもの、大変意義があると考えておるところでございます。

 先生お尋ねの大規模スポーツ大会の開催に対する支援につきましては、例えば、スポーツ振興くじ、totoでございますけれども、この助成により競技会場の整備、改修、それから大会運営に対してメニューを用意して支援を行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後も引き続き、我が国で開催されるさまざまな大規模スポーツ大会の円滑な開催に向けて、開催自治体及び関係団体と連携しながら支援に努めてまいりたいと思います。

稲富分科員 より具体的に伺います。

 ことしのラグビーワールドカップなんですけれども、私の福岡でも、地元で三試合行われます。このワールドカップ開催に当たっての支援、どのようにされるか、お伺いをいたします。

今里政府参考人 本年九月から開催されるラグビーワールドカップにつきましては、組織委員会を中心に本格的な準備作業が進められているところでございます。政府としても、その支援のための予算措置、地方財政措置、機運醸成等に向けた取組を行っているところでございます。

 具体的に申しますと、特に、全国十二開催都市にある会場の整備につきましては、スポーツ振興くじの助成金におきまして総額約二十九億円を助成するとともに、国交省の社会資本整備総合交付金等を通じて必要な財政支援を行ってきたところでございます。

 また、開催自治体が実施する海外から来日する選手たちの歓迎イベント、こういった地域交流の取組に対しても特別交付税措置が講じられるほか、施設改修についても地方債措置が講じられているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、大会の成功に向けて、組織委員会及び関係自治体と一体となって、オール・ジャパンで着実な準備に努めてまいります。

稲富分科員 続いて、二〇二一年の世界水泳選手権、福岡が開催都市なんですけれども、これについても、国の支援についてお伺いをいたします。

今里政府参考人 二〇二一年に福岡市で開催される世界水泳選手権でございますが、現在、国際水泳連盟と福岡市において、具体的な実施の計画について協議をしている段階というふうに伺っております。

 本大会に対する支援につきましては、この詳細な実施計画が協議中ということでございますので、それによるところがございますけれども、これまでのほかの大会と同様に、スポーツ振興くじ助成による国際競技大会の開催助成ですとかスポーツ施設整備助成等による支援を行うことが可能であるというふうに考えているところでございます。

 大会の成功に向けて、開催自治体及び関係団体と連携しながら支援に努めてまいりたいと思います。

稲富分科員 ありがとうございます。

 世界水泳大会は、二〇二一年の七月から八月、二百カ国そして地域からお越しになって、二千五百人余りが参加をされる。その後は、マスターズということで、終了後に一万人の方も参加をされるという非常に大規模な会でございます。ぜひ前向きにこれからも取組をいただければと思います。

 次に、パラリンピックについてお伺いをいたします。

 ぜひ、来年、これを大いに盛り上げていただきたいなという思いでございます。

 私、幸いにして、福岡市に大濠公園というのがありまして、非常にランナーが、たくさんの方が走っていらっしゃるところがございまして、そこで道下美里さんという方とお会いをいたしまして、福岡で走っていらっしゃる。道下さんは、リオのパラリンピックの銀メダリストということで、初めて私はそういうパラリンピックの方のアスリートとお会いをする機会があったわけです。

 その際に、伴走者であります堀内規生さんともどもそういう御縁をいただいて、それまでは、もちろん障害のある方のそういうアスリートの方を見る機会がなかったわけですけれども、改めて見て、アスリートとしてすばらしいのももちろんですけれども、そこに至るまでの個人の努力、あるいはそこを乗り越えてきた力といいますか、そういうのを非常に感じる経験をさせていただきました。

 私は、なかなか国民一人一人が、いろいろなトップアスリートを見るんですけれども、パラリンピックの選手たちを見る機会というのは非常に限られていて、私が経験したように、より多くの国民がそういう接する機会を設けてもらいたいなということを非常に強く思った次第です。

 それは、ひとえに、アスリートを見てもらいたいということだけではなくて、やはり障害がある方が乗り越えてきたもの、それは、これから日本が向かうべき共生ある社会とか、あるいは、何か未来に誰もがこの日本で安心して、そして希望を持って暮らせるという社会の大きな礎のことにもつながる。ぜひその契機にこのパラリンピックをしてもらいたいな、そのためにぜひとも盛り上げたいなということを思うわけですけれども、副大臣、わざわざお越しをいただきまして、ぜひともそれにかける意気込みをお伺いできればと思います。

浮島副大臣 稲富委員にお答え申し上げます。

 今お話がございました、接する機会が少ない等々ありましたけれども、私も、前回、前々回とこの招致に携わらせていただきまして、決まったときに総理ともいろいろお話をさせていただいたんですけれども、夏季パラリンピックが同一都市で二度開催されるのが東京大会が初めてでありまして、このパラリンピックの成功が東京大会の成功の鍵を握っているという認識のもと、今全力で取組をさせていただいているところでもございます。

 まず、今、接する機会が少ない等々お話ありましたけれども、若い世代に対してしっかりと接する機会を設けていきたいということでございまして、パラスポーツの体験を始めとするパラリンピックの教育、これを進めているところでございます。

 例えば、京都市の高校では、視覚に障害がある生徒さんとそれから障害のない生徒さんが、一緒にアイマスクをしまして合同チームで試合を行う、この交流を行って、しっかりとした教育をしていこうということで、今やらせていただいております。

 また、学習指導要領の中にも、今回、パラリンピックということを明記させていただいたところでもございまして、障害への理解と大会への関心、これを高めるように全力で取り組んでまいる決意でございます。

 また、大会に向けた事前イベント、そして各種のパラスポーツ大会の機会を通じまして、広く国民にパラリンピックに対する関心また参加意識を盛り上げていきたいと思っております。

 さらに、東京大会におきましては、それぞれの選手が存分に持てる力を発揮できるよう、ナショナルトレーニングセンター、このオリパラの共同利用化、これを通じましてパラリンピックの競技力の強化に取り組んでまいります。この共同の利用化というのは、この夏から始めていきたいと思っております。

 また、加えて、パラリンピックを契機といたしまして、共生社会、これを実現するために、文部科学省内に私をヘッドとする障害者活躍推進チームというのを設置をさせていただいたところでございます。今後、障害者活躍推進プランを策定いたしまして、スポーツを含めまして、障害のある人と活動を支える支援、これを全力で取組を進めてまいる決意でございます。

 これからの取組を通じまして、東京パラリンピックの成功を導くとともに、レガシーとしての共生社会を実現するよう、政府一丸となって取り組んでまいる決意でございます。

稲富分科員 ありがとうございます。

 今週末、東京マラソンで、先ほど申し上げた道下美里さんが恐らく走られると聞いております。そして、そこで、伴走者の方が、堀内規生さんも走られるということで、このときに、パラのところで、選手をもちろん支援をすることは当然としても、選手をサポートされる方の支援も同時に私は必要なんじゃないかということを思います。

 具体的に、選手、そして選手を支援をする方々へのサポート、どのように考えていらっしゃるか、お伺いをいたします。

今里政府参考人 パラリンピック競技の強化活動の支援についてでございます。

 スポーツ庁といたしましては、競技力向上事業を通じまして、各競技団体が行う日常的、継続的な強化活動ですとか、次世代アスリートの発掘、育成などの戦略的な強化を支援しておりまして、平成三十一年度予算案におきましては約百億円を計上するなど、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な支援を行っているところでございます。

 その中で、今先生から御指摘のございましたガイドランナーなどの競技パートナーでございますけれども、パラリンピックの競技の特性を踏まえまして、そういった競技パートナーについてもその配置に必要な経費を支援しているところでございます。

 また、選手の強化拠点といたしましては、先ほど副大臣からも御答弁のございましたナショナルトレーニングセンターの拡充整備を行っているところでございます。

 今後とも、我が国の国際競技力の向上、パラリンピック競技を含めまして、一層取り組んでまいります。

稲富分科員 ありがとうございます。

 浮島副大臣におかれては、非常に意気込みを本当に聞かせていただきました。これまでのパラリンピックと違う、より異次元の取組をぜひお願いをしたいなということを思っております。

 そして、オリパラについてもう一点、聖火リレーについてでございます。その日程あるいは聖火ランナーの選定について、どのようになるのか、お伺いをいたします。

諸戸政府参考人 お答えをいたします。

 まず、オリンピックの聖火リレーでございますが、大会組織委員会が検討を行っております。オリの聖火リレーは、二〇二〇年の三月十二日にギリシャの古代オリンピア市で聖火を採火をし、ギリシャ国内での聖火リレーを経まして、三月二十日に宮城県にある航空自衛隊松島基地に到着をするということとされております。その後、宮城、岩手、福島の三県でその聖火を復興の火として展示をいたしました後、三月二十六日に福島県を出発地として聖火リレーがスタートをいたします。そこから日本各地を回り、七月二十四日にオリンピックの開会式でゴールを迎えるということでございます。

 もう一つ、聖火ランナーにつきましては、公募を実施する方向で検討がされているということでございますが、具体の選定方法の発表につきましては、ことしの夏ごろを予定している全国の聖火リレールートの発表以降を予定しているというところでございます。

 また、パラリンピックの方でございますけれども、これも、大会組織委員会によりますと、パラリンピックの聖火リレーは、オリンピックの選手村の閉村翌日でございます八月十三日からパラリンピックの開会式の八月二十五日までの間で、最低七日間実施されるということになっているところでございます。

 こちらも、具体的な実施方法につきましては、大会組織委員会が、開催都市である東京都、それから競技開催県のほか各道府県と調整していくというふうにしているところでございます。

 以上でございます。

稲富分科員 ありがとうございます。非常に前向きな答弁を数々いただきまして、本当にありがとうございます。

 次に、PTAについてお伺いします。

 私も地元で小学校のPTAの会長などなどさせていただいて、これは非常に、地域活動であると同時に、私も最初は本当に勉強不足で知らなかったんですけれども、PTAというのは親御さんの会だと思っていましたけれども、親御さんと同時に教師もそこの会であるということ、まあ当たり前のことなんですけれども。あるいは、義務かと思ったら義務でもなかったということで、やってみると非常にさまざまなことがありますが、ただ、地域の一つの役割としても非常に大きい、学校あるいはそして家庭との役割も大きいと思います。

 しかし、やはりPTAは要らないんじゃないかという声も他方でございます。非効率な活動が多いだとか、働いているお母様には大変難しい、あるいは、嫌だけれども強制的にやらざるを得ないということで、ちょうど今どきは来年度に向けての役員のなり手を探すのに大変苦労されている会もあると伺っております。

 そこで、非常に基本的なことなんですけれども、PTAの必要性について大臣にお伺いをいたします。

柴山国務大臣 PTAは、児童生徒の健やかな育成のために、保護者と教師がみずから組織する任意団体であります。

 これについては、新学習指導要領に掲げられた、社会に開かれた教育課程の理念も踏まえつつ、学校、家庭、地域の連携、協働のもとで、地域全体で子供たちの成長を支えることが一層重要となっている中、特にPTAに期待される役割は大きく、その活動の充実が求められていると考えます。

 文部科学省としては、地域における優良事例の表彰や周知などを通じて、PTA活動の充実を後押ししてまいりたいと考えております。

稲富分科員 ありがとうございます。

 必ず問題になる一つが会費についてです。もちろん、任意ですので義務ではないということなんですけれども、実際、学校の中でいうと、そのPTA会費を使ってのさまざまな活動があって、会費を払っている親御さん、会費を払っていない親御さん、これはどうそのサービスをそれぞれ切り分けることができるのかというのは現実にございます。

 任意団体ということなんですけれども、それについての義務化ができないか、あるいは、そういうこと、何か統一的な会費ができないのかということについてお伺いをいたします。

清水政府参考人 お答えいたします。

 PTAは、非常に重要な役割が期待されているわけでございますけれども、一方で、法的な位置づけとしては、任意団体、自主的な団体、社会教育法上の社会教育関係団体に該当するという整理がされているところでございますので、やはり、会費の徴収でありますとか運営のあり方、活動内容につきましては、それぞれのPTAが地域の実情等に応じて協議をして自主的に決めていくといったような仕組みになっているところでございます。

稲富分科員 ありがとうございます。

 非常に不可欠だけれども任意だということで、今申し上げたような会費という極めて最も基本的なことですら、その徴収の仕方は各学校によって違う、PTAで違うというのが現状でございます。

 大幅にその活動内容についても各PTAさんによって違うということで、これはやはり不可欠であるということは、恐らく、私もそうですし、そういう御認識だということですので、やはり、ちょっと全国的な調査、あるいは実態調査というのをしてはどうかと思うんですが、その点、お伺いをいたします。

清水政府参考人 ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、PTAの性格から考えると、なかなか文部科学省が実態調査を行うというのがなじまない面がございます。

 ただ、PTAの活動につきましては、PTAの全国団体、小中学校の全国団体、高等学校の全国団体など、学校種別ごとの全国団体があり、そこで研修の事業あるいは情報交換等をしているというところもございますので、そういった場で文部科学省としてはPTAに期待するところをお伝えするとともに、各現場、PTAの実情あるいは課題の把握などを、そういったところを通じてしていきまして、それをまた文部科学省としての施策に生かしていきたいと考えているところでございます。

稲富分科員 ありがとうございます。

 恐らく時間になりましたので、最後、済みません、一問残りましたけれども、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて稲富修二君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 国民民主党の白石洋一です。よろしくお願いします。

 まず、最初のテーマとして、東京オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式での、私の地元、新居浜太鼓祭り、そして西条だんじり祭り、四国中央市の書道パフォーマンスの演技披露の機会について、一連の質問をさせていただきます。

 その中でも、新居浜太鼓祭りなんですけれども、これは毎年秋祭りとして、十月十六、十七、十八、これは神事ですので、曜日が何であろうと、その日にずっと江戸時代からやっているんですね。全部で五十四台ですけれども、実際演技する五十台以上の、金糸銀糸に彩られた豪華けんらんな、高さも五・五メートル、長さも十二メートル、重さたるや二・五トンから三トン、物すごく重いんですね。なものですから、かき手も多くて、百五十人から二百人の人が一台を担ぐ。祭り事というのは大体アルコールが入っているものですけれども、アルコールなんか飲めない。必死で担ぐのがこの新居浜太鼓祭りなんです。

 このような写真でありまして、それぞれ各自治会で、こういった特色を持った、でも統制のある太鼓台を、自分たちのお金を出し合ってずっと買って、そしてそれを保有しているということなんですね。もっと迫力のあるやつは、私の部屋にポスターをたくさん張っていますから、見ていただければと思うんですけれども。

 ここで、これはまたすごいということで、一九七〇年の大阪万博でも出て披露した実績がありますし、そして、来年の東京オリンピックを控えて、組織委員会でやっている東京二〇二〇応援プログラムの祭りにも参加しているんですね。こういうロゴをここにつけているわけです、パンフレットには。さらに、毎年一月、東京ドームで行われるふるさと祭り東京というのがあるんですけれども、それも二年連続で参加して実績を積み、大好評を博しているんですね。こういった記録なんかを地元でつくっているんです。

 そして、じゃ、組織委員会はどういうふうにオリンピックの、あるいはパラリンピックの開会、閉会式を考えているかということなんですけれども、二〇一七年の十二月二十日に出た文書、「開会式・閉会式について」というものがあるんですけれども、これはすばらしい報告書だと思います。

 その抜粋がお手元の資料にあります。一ページ目ですね。東京二〇二〇大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告の柱の内容とそれを支える意見ということで、「日本・東京」で、その中には、祭りやみこしなどの地域独特の文化とか、意見としては、日本文化、伝統、芸能、さまざまな伝統文化をと。そして、「参画」という柱では、みんなでつくる式典を目指す、パフォーマンスに参加できる機会をつくれと。意見としては、日本の祭りのように、地域で草の根で頑張っている文化、日本の祭りのみこしや山車、即興で誰もが参加できるように、こういったことが報告書に盛られています。

 さらに、そのベースとなるいろいろな御意見でも特筆すべきものがありまして、それは右側なんですけれども、はっぴを着て選手入場をしたらいい、屋台みたいなものを置いて五輪の祭りをやってほしい、協調し団結する力がすごいからと。それぞれの個性、これは地方独特の文化というふうにとれます。そして、日本全体の盛り上がり、東京だけじゃない、日本全体で喜び合いたいんだというふうなことが盛られているわけですね。

 そこで、浮島内閣府副大臣にお伺いしたいんですけれども、この壮観でインパクトの大きい新居浜太鼓祭りを、東京オリンピック・パラリンピック開会式、閉会式で演技披露をしたいという地元の熱い思いに応え、その思いを組織委員会にしっかりとお伝えいただきたいんですけれども、御所見はいかがでしょうか。

浮島副大臣 白石委員にお答え申し上げます。

 二〇二〇年の東京大会は、御存じのとおり、スポーツの大会だけではなく、文化の祭典でもございます。多様な日本の文化の魅力、これを発信していく大きな大切な機会と捉えております。

 今委員が御紹介されました新居浜の太鼓祭り、これを、二〇二〇年の東京大会を契機として国内外にその魅力を発信していくことは大変意義深いことだと私は思っております。

 御存じのとおり、二〇二〇年の東京大会の閉会式、開会式につきましては、組織委員会が取りまとめた基本コンセプトを踏まえまして、野村萬斎さんを中心に、四式典全体の総合的な演出、企画を行う東京二〇二〇総合チーム、ここにおきまして検討が進められております。

 今、熱いお話をたくさんいただきましたけれども、今いただいた御地元のお熱い思いということを私も組織委員会の方には伝えてまいりたいと思います。

白石分科員 政府が決めることではないということで、資料にもありますけれども、オリパラ開閉会式演出チーム、野村萬斎チームリーダー、オリンピックは山崎貴さん、そしてパラリンピックは佐々木宏さん、この方々にぜひお伝えいただきたいなと思います。

 加えて、愛媛にはそれだけじゃない。西条には、だんじり祭りというのがあります。だんじりといったら岸和田をすぐ思い浮かべる、よく報道されますけれども、あれは車がついていますけれども、西条のだんじりというのは担ぐんですね。担ぐだんじりが、やはり三日間、市内を百五十台が運行する。統一運行、自由運行する。これもまた壮観でありまして、最後にまた、川入りという非常に情緒のある行事が行われています。

 加えて、四国中央市、ここは紙の町で、大手の製紙会社だけじゃなくて、中小の、あるいは零細企業も、紙加工も含めて紙の産業が集積しているところ、だからこそ出てきた書道パフォーマンス甲子園というものがあります。これは、縦四メートル、横六メートルの紙に、高校生が、女子高校生が多いんですけれども、そこに音楽に合わせて揮毫する。歌詞だったり、思いだったり、青春をうたった思いとか、そういったものを揮毫する、それで競い合うというのが書道パフォーマンス甲子園なんです。

 この書道パフォーマンス甲子園については、内閣官房で行っていらっしゃるビヨンド二〇二〇のプログラムにも認証されているものなんですね。これも大変すばらしいものであります。そして、演技披露を切望する熱い気持ちがあります。この気持ちをまた組織委員会の方にしっかり、この方々にお伝えいただきたいんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

浮島副大臣 西条市の西条祭りは、伝統的な秋祭りということで私も伺っているところでございます。

 また、四国中央市の書道パフォーマンス、これも、今委員から御紹介ありました政府が推進するビヨンド二〇二〇プログラム、これの認証を受けており、二〇二〇年の東京大会を契機とした文化プログラムの一翼を担っていただいていることに感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今御紹介いただきました愛媛県には、歴史あるものから本当に比較的新しいものまでさまざまな文化があり、二〇二〇年の東京大会を契機にこうした文化の魅力を発信していくことは大変意義深いことだと思っております。

 委員からいただきましたお考えについては、組織委員会の方にはお伝えをさせていただきたいと思います。

白石分科員 その思いだけじゃなくて、ぜひ実際に来ていただいて、十月十六、十七、十八、そして西条祭りはその一日前から始まります。来ていただいたら本当にわかります。さっき申し上げた、一台当たり二百人で、五十台あったら一万人ですから。それが市内をぐるぐる回っている。だんじりについても百五十台あって、ここは一台当たり三十人ぐらいなんですけれども、それだけでも五千人なわけですね。大変な行事であります。ぜひ見て、そして披露させていただきたいなと思います。

 そして、東京オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式だけじゃないぞと。それに関連するイベントとして文化プログラムが企画されていると承知しておりますけれども、このようなプログラムに地方のお祭りを披露する機会があると思いますけれども、どのようなものがあるのか教えてください。

浮島副大臣 二〇二〇年の東京大会を契機にいたしまして、文化を通じた機運醸成策に関する関係府省庁等連絡関係会議の場を活用いたしまして、国、東京都、組織委員会等の関係機関が情報共有を進めておりまして、一体感を持ってこの文化プログラムというのを取り組んで、進めさせていただいているところでもございます。

 内閣官房オリパラ事務局におきましては、先ほどからお話がございますビヨンド二〇二〇プログラムの推進をしております。約二年前にスタートさせていただいたところでございますけれども、全国各地のお祭りを含めまして、地域性の豊かな文化のイベント、これを認証してきた結果、今の件数は約九千五百件に至っているところでございます。

 また、文化庁を中心に検討が進められている日本博でございますけれども、この文化プログラムの中核的な事業といたしまして期待されているところでございまして、美術展、また舞台芸術の公演、そして文化芸術のお祭りなど、そういうものを全国で今展開をすることとされておりまして、今全国で展開をさせていただいているところでございます。

 また、東京都におきましてはTokyo Tokyo FESTIVAL、組織委員会では東京二〇二〇NIPPONフェスティバル、それぞれ実施をするということを承知しているところでございます。

 加えまして、東京都と組織委員会が共催でするということで、東京二〇二〇ライブサイトというものもありまして、これは大型ビジョンによる競技の中継などを行っておりまして、日本の魅力発信が計画されているところでございまして、今後これを具体化し、図られていくということで伺っているところでございます。

 こうした機会を活用いたしまして、地方の祭りを含むさまざまな文化プログラムを展開していくよう、関係機関がより一層連携を強化しまして、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

白石分科員 ありがとうございます。

 先ほど副大臣がおっしゃったことは、お手元の配付資料の三ページ目のところでありますね。それをお伺いして、本当にたくさんいろいろな機会があるということで、組織委員会にもアピールさせていただきたい、そして内閣官房にもアピールさせていただきたい、文化庁、東京都、いろいろあるわけであります。

 それは、アピールするとともに、手挙げ方式のものについては、抜かりなく申請していかないといけないというものがあります。ですから、これはちょっといい機会ですので、手挙げ方式の工程について少しお伺いしたいんですね。

 大会組織委員会の東京二〇二〇NIPPONフェスティバルの概要とその手挙げ方式の事業についての工程について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

諸戸政府参考人 お答えをいたします。

 ただいまお尋ねがございました東京二〇二〇NIPPONフェスティバル、これは、組織委員会が二〇二〇年の四月ごろから九月ごろにかけまして、国、地方公共団体、文化団体などと連携をして実施をするものでございます。現在行われております東京二〇二〇参画プログラムのいわば集大成と位置づけられております。

 このフェスティバルですが、大会を象徴する文化プログラムを創出する、国内外に強く発信をするということを目指しております。組織委員会の主催するプログラムと自治体などとの共催のプログラム、今委員からも手挙げということがございましたが、二つで構成をされているということでございます。

 このうちの共催の方でございますけれども、共催プログラムは、組織委員会が国、地方公共団体、文化芸術団体などから事業計画を受け付けるということになっておりまして、第一回目の事業計画の受け付け期間がちょうど今週末、三月一日まで、そして第二回の事業計画の受け付けが本年六月末までということにされているところでございます。

 こうしたプログラムも御活用いただきまして、愛媛県を始め全国各地の魅力ある文化を発信していただきますよう御期待を申し上げます。

 以上でございます。

白石分科員 ありがとうございます。

 組織委員会が主導でやるのは四件ということで、時期も含めてテーマが違っていて、私は、この二番目の、二〇二〇年七月ごろ、オリンピック直前にある、テーマは参加と交流、先ほど開閉会式のときの柱の中にもありました参加と交流で、日本文化を通じてさまざまな人々が交流する場、イベントを創出する、こういったところに、世界の心を一つにするフィナーレ、まさにいろいろな国の人が書き手になっていただいて書くとか、そういったことを考えていただければなと思います。

 そして、手挙げ方式の方では、三月一日、これは第一回目、ほぼ締切りになって、六月末ということなんですけれども、これは周知もされているでしょうし、大体どれぐらい、ちょっと概要を、何件の枠に今何件ぐらい手を挙げているとか、ちょっと通告はしていないんですけれども。

諸戸政府参考人 今お尋ねがございましたが、組織委員会の方で作業をしておられるということで、私どもの方も、済みません、今お伺いになったような点につきましては承知をいたしておりませんので、恐縮でございますが、御了承いただきたいと思います。

白石分科員 とにかく周知のところを抜かりなく、組織委員会をバックアップしていただいて、あっ、申請を忘れたというようなことがないように、特に愛媛県の方をよろしくお願いします。

 そして、次に、文化庁の方では日本博ということを企画しているということですね。今までは海外でやってきたのを、今回、オリンピックが近いということで日本でやろうじゃないかということで、これは文科省主管ということであります。

 柴山文科大臣、文化庁の日本博の概要と手挙げ方式の事業について工程を教えていただけますでしょうか。

柴山国務大臣 先ほども少しお話が出ましたが、日本博は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、日本の美を体現するさまざまな文化プロジェクトを、四季折々、年間を通じて全国で展開するという非常に大型のプロジェクトでありまして、昨年六月の安倍総理からの指示を受けて、文化庁を中心に検討が進められてきました。

 それで、つい先日、昨年末には、関係閣僚や有識者により構成される日本博総合推進会議も開催されまして、この日本博の総合テーマを日本人と自然とすることですとか、二〇二〇年を中心としつつ、その前後の期間も含めて幅広く展開する方針などが確認をされました。

 また、この日本博の事業類型といたしましては、政府が事業主体となる主催・共催型、そして、今お話があったいわゆる手挙げ方式により一部助成を行う公募助成型、ロゴマークを活用する参画型といったカテゴリーを想定しておりまして、今後、早ければ年度内をめどに、具体的な実施要綱などにつきまして策定、公表したいと考えております。

 引き続き、文部科学省、文化庁、関係府省などと一体となって積極的に推進していきたいと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 そのテーマがまさに日本人と自然ということであれば、日本人が古来から祭りということを、ずっと一つのパターンを決めてやってきた。何を祈るかというと、それは五穀豊穣を喜び合う、例大祭の一環としてやっていた。まさにこれはお祭りとぴったりなんじゃないかなと思いますので、その方も考慮していただき、また、公募助成型の方も、申請の周知の方もよろしくお願いしたいと思います。

 次のテーマに行きたいと思います。

 対象は同じ太鼓祭り、だんじりなんですけれども、文化庁として、ユネスコの無形文化財登録をずっと今までやってきているわけですね。その実績が手元の資料の一番最後のところにもあるんですけれども、ページでいうと六ページ目にあるんですけれども、そういった形でユネスコの無形文化財、文化遺産というのが登録されてきて、二〇一六年には、山・鉾・屋台行事ということで、まさに太鼓祭り、だんじり祭り、こういったものが対象になって、何と三十三もここに登録されている、グループ化されて登録されております。

 しかしながら、太鼓祭り、だんじり祭り、ここは登録されていないんですね。登録されている県を見ても、ずっと上からあるんですけれども、京都の祇園祭りがあって、そして次に行くのが福岡の祇園山笠行事と、瀬戸内海地域がぽんと飛んでいるんですね。三十三もある中で、どうしてこれだけ大がかりな太鼓祭り、だんじり祭りがないのかということ、ここをちょっと教えていただけますでしょうか。

柴山国務大臣 平成二十八年の山・鉾・屋台行事なんですけれども、ユネスコ無形文化遺産の登録基準では、提案対象の保護措置が図られていること、これはやはりどうしても客観的な基準ということで要件となっておりまして、文化財保護法による国指定の重要無形民俗文化財という基準で、今御指摘をいただきました山・鉾・屋台行事三十三件を一括登録させていただいたものです。

 今御指摘になりました西条祭りですとか太鼓祭り、この祭りにつきましては、大変勇壮なお祭りではありますが、現在のところ、重要無形民俗文化財に指定されておりませんので、そうなりますと、登録基準に照らして、現時点でユネスコへの登録対象とすることが困難だと考えられます。

白石分科員 豪華けんらん、勇壮華麗だけではだめで、国指定の重要無形文化財に指定されないといけないということですね。

 西条のだんじり祭りについては、市の指定無形民俗文化財には指定されているんです。それを国に上げるため重要な要件というもの、これを確認したいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 文部科学省では、地域の祭りなどの民俗文化財のうち、特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定しております。そして、指定するに当たっては、重要無形民俗文化財指定基準、この基準におきまして、「由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの」と定めており、類似したお祭りがある場合には、その典型例となるものを指定することとしております。

 このため、典型例であることを示す調査研究の実施が不可欠でありまして、同種の祭りの調査を行い、その中から典型例を選び出す必要があります。

 このように選び出された典型例は、文部科学大臣が、これは私どもだけで決めるわけではございませんで、外部有識者で構成される文化審議会に諮問をし、厳正な調査審議の上答申されたものを、文化財保護法に基づき指定をさせていただいているところでございます。

白石分科員 調査研究が必要で、それで典型例であるということが浮き彫りになる必要があるというふうに受けとめました。

 確かに、太鼓祭り、だんじり祭りというのはいろいろなところにあるわけですね。隣の香川でもある、兵庫でもある、大阪地域にもある。こういったところを調べて、その中で典型例だ、そこで保護措置というのが図られないといけない。

 これは確かに、調査としても大変な作業だと思います。地方自治体、それだけの人材を抱えるのも大変だと思いますけれども、国のサポートとしてはどんなものがありますでしょうか。

柴山国務大臣 国指定に向けた取組としては、まず、地域の意向を踏まえつつ、祭りの由来ですとか内容などについて調査するとともに、今申し上げたように、近隣の類似したお祭りなどともやはりあわせて調査をしていかなければいけないということがあります。

 こうした保護のための調査は、個別の保存会などでは限界がありますので、地方公共団体が事業者になることが望ましいと考えておりますし、また、必要に応じて、地方公共団体が行う調査への支援や、文化財の専門家である文化庁の文化財調査官による専門的、技術的な助言などを行うことは、これは可能です。

白石分科員 これは各県横断になります。先ほども申し上げました、京都から福岡まで空白になっていると。でも、これだけ山鉾、山車文化、盛んなわけですから、ぜひそこも寄り添って、プッシュ型で提案、サポートしていただければと思います。大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今の議員の御指摘、御要望も踏まえて、引き取らせていただきたいと思います。

白石分科員 終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、まず、高等教育の無償化について柴山大臣と議論してみたいと思います。

 国際人権A規約、社会権規約の十三条二項(c)には、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」が定められております。

 日本政府は、一九七八年五月にこれに署名し、国会の承認を経た後の一九七九年六月に国際人権規約を批准いたしましたけれども、この規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されない権利を留保するという態度をとってまいりました。この留保はいつ撤回されたか、外務省、お答えいただけますか。

長岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員の御指摘のありました社会権規約十三条2(c)の「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に関する留保につきましては、二〇一二年九月十一日に国際連合事務総長に通告をし、この日からこれに関連する義務を負うことになっております。

 以上です。

宮本(岳)分科員 これには長い歴史がございます。一九七九年以来、留保撤回を求める学生たちや父母、教員の運動が粘り強く続けられ、我が党の先輩議員たちも繰り返し撤回を求めてまいりました。

 二〇〇九年に誕生した民主党政権が初めて留保撤回の姿勢を示し、二〇一二年二月二十一日の衆議院予算委員会、私の問いに対して、当時の玄葉光一郎外務大臣が、国連への通告については、具体的な期日について現時点で申し上げるのはまだ困難と言いつつも、所要の準備が整い次第、速やかに行いたいと答弁をいたしました。

 それでも一向に国連に通告されず、とうとうこの第百八十回通常国会は閉会をいたしました。私が業を煮やして、九月十一日に外務省を呼び、通告がおくれている理由を説明せよと求めたら、やってきた当時の人権人道課の職員の第一声が、お喜びください、けさ、国連事務総長宛てに通告をいたしましたというものでございました。

 外務省自身がホームページで掲げているように、二〇一二年九月十一日以降は、この規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されるということになります。そうである以上は、漸進的、つまり一足飛びではなく徐々にであるにしても、高等教育、すなわち大学はもちろんのこと、短期大学や高専、そして大学院に至るまで、やがては全ての学生の学費を無償化する国際的責務を負っている、この事実を大臣に確認をしたい。あわせて、その国際的責務を果たすためにどのような施策を行うおつもりか、お答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、国際人権A規約では、高専や大学院を含め高等教育の漸進的無償化を図ることとされておりますけれども、ただ、無償教育の具体的な方法や、所得制限のない無償化を最終目標とするのかどうかということにつきましては特段の定めをしておらず、具体的にどのような方法をとるかについては加盟国に委ねられております。

 このため、我が国における無償教育の漸進的導入に当たっては、財政や進学率などのその時々の状況を総合的に判断をするべきであろうというように考えます。

 平成三十一年度予算案においては、給付型奨学金や無利子奨学金を始めとした貸与型奨学金を着実に実施するのに必要な経費を盛り込んでおります。

 また、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を対象とする新たな高等教育費の負担軽減方策につきましては、平成三十年十二月に幼児教育・高等教育の制度の具体化に向けた方針を関係閣僚会議において取りまとめ、その方針に基づいて、今国会に大学等における修学の支援に関する法律案を提出したところでございます。

宮本(岳)分科員 具体的な定めがないというお答えでありましたけれども、では、今あなた方が進めようとしている高等教育の無償化というものが、この国際条約の趣旨に合致するものであるかどうかについて聞きたいと思うんですね。

 事前の説明では、先ほどお話しになった、法案提出するその中身ですけれども、授業料減免制度の拡充、あるいは給付型奨学金の支給等々の拡充に、国、地方合わせて最大七千六百億円の予算を投入する、こういう御説明でありました。

 では、支援対象となる低所得世帯の生徒の高等教育の進学率が全世帯平均と同水準である八割まで上昇した場合、一体何人の学生が授業料減免や給付型奨学金を受けることになると想定しているのか、高等教育局長、お答えできますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 高等教育機関への進学率は、今御指摘いただきましたように、全世帯では約八割であるのに対しまして、住民税非課税世帯、今回は住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯を支援対象としておりますが、住民税非課税世帯の進学率は約四割程度と推計しておりまして、全世帯の半分程度にとどまっているわけでございます。

 今回の支援措置によりまして、低所得世帯の進学率が新入生から順次上昇して全体の進学率に達し、全員が要件を満たす大学等に進学すると仮定した場合、支援対象者は約七十五万人程度になるというふうに想定しております。

宮本(岳)分科員 大学、短大、高専から専門学校に至る各高等教育機関の在学者総数は三百五十万人程度で推移をしております。今答弁ありましたように、たとえ七十五万人が無償化されたとしても、まだ二百七十五万人の学生が残るということになります。

 では、聞きますけれども、その残る二百七十五万人、つまり全体の学生の大学の学費は、今、下がっているのかどうかということなんですね。

 留保を撤回したのは二〇一二年でありますけれども、留保を撤回して漸進的無償化条項を受け入れた二〇一二年度と比べて、私立大学の平均授業料は直近の二〇一七年度で一体幾らになっておりますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 私立大学の平均授業料でございますが、二〇一二年度は八十五万九千三百六十七円、二〇一七年度は九十万九十三円となっております。

宮本(岳)分科員 私学では授業料が四万円以上も上がっております。

 国立大学はどうか。法人化以降、ずっと標準額で推移してきた。一方では、運営費交付金が減らされる中でも授業料を上げずに頑張ってきた国立大学の中で、ことし、ついに二つの国立大学が十万円前後授業料を値上げすることを明らかにいたしました。下がるどころか、逆に上がっているというのが今の現状なんですね。

 漸進的ですから、一足飛びに無償にならなくてもいいんですよ。しかし、無償にしていく、下げていく、やがては無償にしていくと言っているときに上がる、これで漸進的無償化と呼べるんですか、大臣。

柴山国務大臣 今委員から御紹介をいただいたように、私立大学について、各大学の経営判断のもと、もちろん質の向上というところが非常に大きいと思いますけれども、緩やかな上昇が続いており、また、国立大学は、標準額を据え置いているものの、今御紹介のあったように、一部で経済的支援の充実とあわせた値上げを表明した大学も出てきていることは事実であります。

 ただ一方、やはり、高等教育の漸進的無償化についての留保撤回以来、国立、私立ともに授業料減免への支援というものは充実をしてきていると承知をしております。給付型奨学金制度の創設を始め奨学金制度、こちらもやはりしっかりと負担軽減という観点で進められております。

 今回、新たに高等教育の負担軽減方策を打ち出したことと相まって、中長期的に見て、質の向上とあわせて、非常に、必要な方々に対する漸進的無償化という方向性には私は沿ったものであるというように考えております。

宮本(岳)分科員 授業料の減免等々の免除の措置が拡充している、これは別に異論はないんですよ。それがふえていることは事実ですね。ただ、全体として授業料が上がるというような状況が許されていいのかという問題提起をしているんですね。

 全体は授業料が上がっているにもかかわらず、一部の貧困家庭の学生のみ無償化するという施策は、学生たちにいわゆるスティグマの感情、すなわち恥や罪悪感を持たせることにもなりかねません。これは国際条約の言う漸進的無償化ではなくて、私は、単なる救貧政策、救貧政策はもちろん必要ですけれども、これを無償化と呼ぶのは少し精神に反すると思うんです。

 根本には、私学助成や国立大学運営費交付金がずっと減らされ続けてきたこと、この間は何とか持ちこたえているとか、私学助成は去年に比べてわずかにふえたとかおっしゃっているんですが、減る前に比べたらずっと減ったままになっていることは否定し得ないですね。

 私は、私学助成や国立大学の運営費交付金を抜本的に増額して、少なくとも値上げするという事態はなくさないと、全体が上がっているのに、幾ら無料の学生が数がふえているといったって、それでは高等教育の無償化ということにならないと言わざるを得ないと思うんです。その政策の是非については、また法案が出てくるでしょうから、そこで議論されるでしょう。

 まず、こういう方向をとっているその趣旨を聞きたいんですが、政府がこの高等教育の無償化ということを打ち出しておられるのは、我が国における急速な少子化の進展に対処するというのが目的ですね。これはまず確認を。

柴山国務大臣 安心して子供を産み育てていく上で、子供が高校を卒業した段階で経済的に困難な状況であっても、意欲があれば大学などへ進学できる見通しが立つということは、極めて私は重要だと考えております。

 このために、条件は、今御紹介をいただいたとおり、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対してということではございますけれども、大学等における修学への経済的負担を軽減することは、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与すると私は考えております。

宮本(岳)分科員 我が党は、この財源を消費税増税で捻出することにはもちろん反対でありますけれども、少子化に歯どめをかけるために思い切った財源を振り向けることは必要だと思っております。

 ところが、全くそれとは逆のことが奈良では起きているわけです。少子化を口実に公立高校を平気で潰そうという動きであります。

 奈良県では、昨年六月の八日、突然、県立高等学校適正化実施計画案というものが示されました。魅力と活力あるこれからの学校づくりというような看板だけはかかっているんですけれども、結論は、今三十三校ある県立高校を三十校に減らすというものであります。

 とりわけ、在校生や受験生、父母やOBなどに幅広い怒りを広げているのが、地域住民が減歩という形で学校づくりに協力してきた歴史を持ち、定員もいっぱいに満たされている県立平城高校をわざわざ閉校にして、その校舎に県立奈良高校を移転させるというむちゃな計画なんですね。

 文部科学省に確認しますけれども、今の奈良高校のままで教育が続けられない理由はどこにあると奈良県は言っておりますか。

平井政府参考人 お答えいたします。

 奈良県教育委員会によりますと、現在の県立奈良高校の建物については、全十棟のうち五棟について耐震化が未完了となっているところでございます。

 このため、県立奈良高校は、県内の高校再編に伴い閉校となる高校の既存校舎に移転することにより耐震化の未完了の建物の解消を図る計画と聞いてございます。

宮本(岳)分科員 五棟は耐震化が未完了ということでありますけれども、しかし、奈良県が、辛うじて基準を上回っていると主張し、引き続き使用するとしている南棟という校舎のIs値は、二〇〇七年の調査で〇・三二。十二年前に辛うじて〇・三を上回っていたというだけの話なんですね。

 文部科学省のホームページの「耐震補強早わかり 地震に負けない学校施設」に掲げられているIs値の目安によると、Is値が〇・三より大きければ地震に対して倒壊又は崩壊する危険性はないと言えるのか、また、文部科学省では、公立小中学校の耐震改修の補助要件として、地震時の児童生徒の安全性等を考慮して、補強後のIs値をおおむねどのように定めているか、御答弁願えますか。

平井政府参考人 お答えいたします。

 耐震改修促進法の告示におきましては、地震に対し倒壊又は崩壊する危険性の低いとされる基準については、構造耐震指標、いわゆるIs値ですけれども、〇・六以上とされてございます。

 一方、文部科学省では、地震時の児童生徒の安全性の確保はもとより、災害時には地域住民の避難場所等々になることから、公立小中学校等の施設については、補強後のIs値がおおむね〇・七を超える補強工事に対して国庫補助を行っているところでございます。

宮本(岳)分科員 Is値〇・七を超えて初めて安全と言えるという答弁でありました。

 昨日も、政府の地震調査委員会が新たな地震の長期評価を発表いたしました。日本海溝沿いは三十年以内にマグニチュード七から八ということが話題になっていますが、南海トラフは何とマグニチュード八から九ということであります。父母や教員が心配するのは当たり前であります。

 そもそも、奈良県は、奈良県を代表する進学校であり、二〇二三年度に創立百周年を迎える伝統校でもある奈良高校が、既に二〇〇七年の耐震診断で耐震化が全く不十分であることをわかっていながら放置してまいりました。

 文部科学省は、公立学校施設について、耐震化を何年度までに完了するように要請してきましたか。

平井政府参考人 公立学校施設は、児童生徒の学習の場であるとともに、地震時などの災害時には地域住民の避難所等となることから、耐震化については安全性を確保することが極めて重要と考えてございます。

 このため、文部科学省では、平成二十三年に改正しました公立学校施設等の整備に関する施設整備基本方針におきまして、構造体の耐震性の確保されていない施設については、平成二十七年度までの五カ年間で、できるだけ早い時期に耐震化を完了させるという目標を記載し、取組を進めてきたところでございます。

 なお、平成三十年四月現在、公立学校施設の耐震化率は九九%となり、構造体の耐震化はおおむね完了しているところでございますけれども、個別の理由によりやむを得ず完了していないものについては、一刻も早い耐震化の完了に向けて、さまざまな機会を捉えて、早期の取組を指導しているところでございます。

宮本(岳)分科員 九九%と言っている残りの一%に属する話なんですよね。平成二十七年ですから二〇一五年までに終えろという要請をしているのに、ことし、二〇一九年ですから、既に四年経過しているわけですね。

 文部科学省は、毎年、学校の耐震改修状況フォローアップ調査の結果を公表しております。二〇一八年四月一日現在で、奈良県はいつまでに公立高校の耐震化率を一〇〇%にすると報告しておりますか。また、その理由について何と書いてありますか。

平井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省が実施しました平成三十年度耐震改修状況フォローアップ調査におきましては、奈良県では、県立高等学校の耐震化が完了する予定年度については未定とされてございます。

 また、耐震化が完了しない理由につきましては、学校全体の整備に係る検討に時間を要しているためと報告されてございます。

宮本(岳)分科員 まだ未定なんですよ。

 そこで、大臣、お渡しした資料を見ていただきたい。

 「打合せ等記録」と題したその資料は、奈良県自身が情報公開請求に対して公表した資料であります。

 資料一の日付は、平成二十七年五月二十六日、「奈良高校の耐震改修状況について」という件名が書かれております。奈良高校の校長、事務長と、奈良県教育委員会の学校支援課職員との生々しいやりとりが書き込まれております。

 耐震改修予算の状況を尋ねる校長に対して、学校支援課の香河課長は、「業者委託の予算は、平成二十七年度には付かなかった。」と冷たく語り、「財政課には引き続き予算要求を行っていく。」と言いつつも、「適正化配置の動きによっては、具体的な検討がどこまでできるか……。」などと述べております。

 さらには、「昨年度は、知事から教育委員会に対して「平成二十六年度中に適正化配置を決めること」という指示があり、その影響で、改築校等の検討事業の業者委託の予算がゼロ査定になった。」とあります。それに対して奈良高校の松尾校長は、「生徒の命に関わることなので、できる限り早く取り掛かってほしい。」と述べた上で、更にやりとりがあり、二枚目、資料二の最後に、再度、校長が、「生徒の命に関わることなので、本来は改築の方が大事だと思う。早急な検討について、よろしくお願いする。」と重ねて生徒の命を心配しております。

 この「打合せ等記録」に生々しく記されているやりとりは、平成二十七年、つまり文部科学省が耐震化の完了を求めた期限を迎えて、全く耐震化がおくれていることから、しきりに生徒の命を心配する奈良高校の校長に対して、教育委員会は、知事の指示などを理由に、学校の適正化配置の検討が先だなどといって取り合おうとしていないという実態であります。

 大臣、これが文部科学省の方針なんですか。文部科学省は、耐震化よりも高校の統廃合を優先せよなどと指示してきたんですか。

柴山国務大臣 当然のことながら、学校施設は生徒が一日の多くを過ごす学習の場でありますから、安全、安心で適切な学習環境を確保することがまず最優先であろうと私は考えております。

 先ほど答弁をさせていただいたとおり、個別の理由により耐震化が完了していない自治体もあるため、文部科学省としては、一刻も早い耐震化の完了に向けて、さまざまな機会を捉えて、早期の取組を指導しているところであります。

 今、適正化のための計画が策定をされていないということを紹介をしていただきました。設置者である地方公共団体がいろいろと地域の実情を考慮してそういうことを判断しているというのはわかるんですけれども、ただ、今申し上げたとおり、まず生徒の命を守るということが一義的には重要であるというように考えておりますので、とにかく早急に対応、決着をしていただきたいというように思いますし、文部科学省として何かそれに、工事をおくらせているというようなことは断じてありません。

宮本(岳)分科員 当たり前の話ですね。そんなことを文部科学省が言うわけないんですね。

 次に、資料三を見ていただきたい。

 平成二十七年十二月十六日の日付が入った「打合せ等記録」であります。これも奈良県が公表した開示資料です。「奈良高校屋内運動場の平成二十八年工事中止について」という件名がついております。

 知事部局である営繕課の職員と教育委員会の学校支援課との打合せの記録でありますが、左側の打合せ内容の二行目に「平成二十七・二十八年債務工事は中止する 吉田教育長指示事項」とあります。さらに、その下、「平成二十八・二十九年債務工事も現状では債務負担行為要求はできない」となっております。

 右側の打合せ結果、学校支援課の主事が、「来年度の工事を見合わせることになった。現在のところ、再来年度以降の結論は、まだ出ていない。」と言うと、営繕課の係長が、「それは、お金の問題か、それとも統廃合の問題か。」と聞き、教育委員会サイドは、「適正化の話で、色々と検討が必要になった。」と述べ、財政の問題ではなく高校の適正化計画のためだとはっきり語られております。

 この奈良県の県立高等学校適正化実施計画というものは、総務省が全国の自治体につくらせている公共施設等総合管理計画のもとに策定される個別施設計画という位置づけだと聞いております。

 総務省に来ていただいておりますが、総務省は地方自治体に、公共施設等総合管理計画を策定するに当たっては、生徒の命にかかわる学校の耐震化よりも学校の統廃合を優先させよなどと指導しているんですか。

多田政府参考人 お答えを申し上げます。

 公共施設等総合管理計画につきましては、公共施設等の全体の状況を把握する、長期的視点に立って総合的かつ計画的な管理を行うための計画というふうな考え方で各自治体の方に策定を要請してございますが、その中では、議会や住民への十分な情報提供等を行いながら進めていくことが望ましいということで私ども考えているところでございます。

宮本(岳)分科員 当然ですね。しかし、この奈良県の県立高等学校適正化実施計画というものは、内容もそうですけれども、進め方も余りにもひどいんです。

 昨年六月八日に初めて県が記者会見で案を公表し、県議会に提出するや、わずか二十日後の六月二十八日には、県議会文教くらし委員会で、我が党などの反対を押し切って採決を強行いたしました。

 資料四を見ていただきたい。

 奈良市議会の意見書であります。前段では奈良市民の間にもさまざまな意見があることを指摘した上で、この意見書の結論は、「六月定例県議会で議決せず、関係者の理解を得られるよう丁寧な説明を行うこと」を求めているんです。実に真っ当な意見書だと言わなければなりません。

 この意見書は、昨年六月二十五日、奈良市議会で全会一致で可決され、地方自治法九十九条の規定により、奈良県議会に提出されました。

 ところが、県議会は、この奈良市議会の意見書を受け取ったわずか三日後、県議会の文教くらし委員会を開いて、この意見書を一顧だにせず否決いたしました。さらに、その五日後の七月三日には、ついに県議会本会議での採決まで強行したのであります。

 文部科学大臣、公立学校の廃止や統廃合などという、在校生はもちろん、卒業生や受験生にもかかわるような重要な問題は、本来、奈良市議会の意見書も指摘するように、関係者の理解を得られるよう丁寧な説明を行うことは当たり前だと思うんですが、いかがですか。

柴山国務大臣 一般論としては全くおっしゃるとおりでありまして、学校の統廃合に関しては、設置者である地方公共団体が、児童生徒や保護者のニーズ、進学動向、児童生徒の安全や通学の便、学校の規模など、地域の実情を十分考慮しつつ適切に判断すべきであるというように考えております。その際、設置者である地方公共団体において、地域の声に耳を傾けて丁寧に説明を行うことも大切であるというように考えております。

 今回は、先ほどお話があったように、老朽化というファクターがありまして、ちょっと非常に事情が複雑であるというようには考えておりますけれども、そういう中で、やはり可能な限り丁寧に説明を行うことは必要であるというように一般的には言えると思います。

宮本(岳)分科員 関係者への丁寧な説明など全くなされておりません。

 廃校が強引に推し進められようとしている平城高校関係者への説明は、PTAなどが強力に要請して、やっと昨年六月十七日にたった一回開催されただけであります。しかも、計画に変更はないの一点張りだったと聞いております。

 だからこそ、この計画が明らかになって以降、制服姿の高校生たちが駅に立ったのを始め、父母やOB、多くの関係者が集めた署名は、わずか二週間に二万六千筆を超えました。その後も新たな署名が次々集められて、一万四千筆分を、先日、永山初等中等教育局長にお渡ししたはずであります。

 奈良高校を平城高校の校舎に移すといっても、県の計画でも二〇二二年度からですよ。この先まだ三年間も耐震化せずに過ごさせるつもりなんです。三年間といえば、ことしの新入生は耐震化しないまま卒業するということでしょう。

 けさ、奈良から届いた報告では、奈良高校では、名物のぺらぺらスリッパを上履きとして指定していたが、建物が倒壊してもすぐに逃げられるよう、運動靴の上履き使用を認めた、また、ヘルメット、防災頭巾の持参も認めたため、机の横にかけている生徒もいる、こんな報告まで届いております。

 奈良県は、奈良高校の耐震化を放置し、公共施設等総合管理計画の策定を奇貨として、何の落ち度もない平城高校を廃止し、耐震化済みのその校舎に奈良高校を移すという、全国に例のないやり方で強引に統廃合を進めようとしております。

 文科大臣、こんなやり方を文科省は認めるんですか。

柴山国務大臣 先ほどお話をさせていただいたとおり、地域の声に耳を傾け、丁寧に説明を行うことが大切であります。また、Is値〇・三未満という本当にゆゆしきこの校舎の耐震化ということも極めて重要でございます。

 その上で、地域でどのような対応がとられるかということについては、今、現時点で、私も確たる方針を国として持っているわけではありませんので、引き続きしっかりと注視していきたいと考えております。

宮本(岳)分科員 しっかりつかんでいただきたいと思うんですね。

 奈良県のやっていることは、奈良高校現地での耐震化改築なら四十二億円かかるところを、平城高校への移転なら三億円で済むなどという実に陳腐なそろばん勘定です。しかし、奈良県に金がないわけではありません。一方で、同じ奈良市内に不要不急のバスターミナルを四十五億円もかけて建設しようとしているわけです。

 無駄な大規模開発を推進するためには子供の命や安全も、学校も犠牲にして恥じない、そんな県政や、この計画に賛成した県議会議員には、来る地方選挙で必ずや県民の厳しい審判が下るであろうということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

田野瀬主査 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、尾身朝子君。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

尾身分科員 自由民主党、群馬一区選出の尾身朝子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、二月八日の衆議院予算委員会で、総理、柴山大臣を始め関係各大臣に、科学技術イノベーションについて質問をさせていただく機会を得ました。そして、それぞれの方から大変力強い御答弁をいただきました。

 その中で、総理が述べられたように、資源が乏しい我が国にとっては、日本人の人材の力と科学技術の進歩、イノベーションを生み出す力こそが国力の源泉である。日本がこれからも成長をし続け、さまざまな課題を解決していくためには、基礎研究や人材育成を始め科学技術イノベーションの力を一層発展させることが、科学技術立国日本のために不可欠です。

 また、二月二十二日の予算委員会におきましても、麻生財務大臣から、「はやぶさ2」のリュウグウへのタッチダウンを受け、科学技術は日本の重要な資産としてこれからもしっかりとやっていかなければならないとの趣旨の御発言もありました。

 本日は、引き続き、柴山文部科学大臣、永岡副大臣及び文部科学省、内閣府の政府参考人の皆様に質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先日の予算委員会におきまして、私は、山中伸弥教授のiPS細胞の研究や、昨年ノーベル賞を受賞された京都大学の本庶佑特別教授の研究などは、息の長い基礎研究に対して政府が継続的に支援してきたことが花を咲かせたというものであること、基礎研究、科学の振興はイノベーションの源泉であり、これを力強く支援していくこと、また、新たなイノベーションを生み出す知の拠点の中核である大学の改革をしっかり行っていくことなどが重要だということを述べさせていただきました。これを踏まえて、柴山大臣に対しましても、研究力と大学の強化について質問をさせていただいたところです。

 ここで、改めまして、柴山イニシアティブに関する柴山文部科学大臣の意気込みについてお伺いいたします。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 今後、より一層少子高齢化やグローバル化が進展するとともに、一方、大変残念なんですけれども、我が国の大学生の学習時間の短さなどが指摘をされる中で、ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学等の改革は、私は急務であると考えております。

 このため、国の責任において、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保する一方で、高等教育、研究機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を車の両輪として徹底することによって、教育、研究、ガバナンス改革をばらばらにではなく一体的に進めるための政策パッケージとして、今御紹介をいただいた、柴山イニシアティブという通称をつけさせていただきましたが、パッケージを取りまとめて、二月一日に発表させていただいたところでございます。

 具体的には、文部科学省では、今国会に、真に支援が必要な低所得世帯の高等教育機関へのアクセス機会確保につながる、大学等における修学の支援に関する法律案と、その一方で、進学先である大学の教育の質保証や教育研究基盤・ガバナンス改革等を後押しする、学校教育法等の一部を改正する法律案を提出するとともに、今、横に座っておられる永岡副大臣を座長とした研究力向上加速タスクフォースを設置して、我が国の研究人材、資金、環境の観点から具体的方策の検討に着手させていただいたところでございます。

 私といたしましては、文部科学大臣として、何としてでもこの一体改革をなし遂げ、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに、最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍をぜひ促進していきたいと考えております。

尾身分科員 大変ありがとうございました。

 ぜひ大臣のリーダーシップで柴山イニシアティブを速やかに、かつ着実に実行していただき、大学改革と研究力向上を主導していかれることを心より御期待申し上げます。

 次に、研究力の向上についてお尋ねいたします。

 ただいまも言及がございましたけれども、柴山イニシアティブの主要な柱の一つに研究力の向上があります。近年停滞していると言われる我が国の研究力の向上について、文部科学省が、政府の中で主導的な役割を担い、スピード感を持って対処していくことが重要です。

 現在、文部科学省は、省内に研究力に関するタスクフォースを立ち上げ、永岡副大臣を座長として検討されていると伺っております。柴山イニシアティブに位置づけられた研究力向上に関する取組につきまして、永岡副大臣にお伺いいたします。

永岡副大臣 御質問ありがとうございます。

 柴山大臣の命を受けまして、研究力の向上加速タスクフォースの座長を拝命いたしまして、今年度中の取りまとめを目指しまして、先ほど大臣も申し上げました、研究人材、そして研究資金、研究環境の観点から、大学改革と一体的に、研究力向上に必要な具体的な方策について、現在、検討を進めております。

 具体的に申し上げますと、まず、一番の人材の改革では、次代を担います研究者の確保に向けまして、優秀な若手研究者のポスト重点化、それから多様なキャリアパスの確保。そして、二つ目、研究資金の改革では、裾野の広い富士山型の研究支援体制の構築に向けまして、資金配分機関の、これはNEDOとかJSTが考えられますけれども、連携の強化、体制の整備。そして、審査の透明性の向上と評価、検証の徹底。そして、三番目の研究環境の改革では、研究の効率化や研究時間の確保に向けまして、研究設備、機器等の計画的な共用等の強化、そして研究者の事務負担の軽減など。

 これらのことを主な論点といたしまして、関係府省庁との連携や、大学におけます人事給与マネジメント改革等をあわせまして、研究の生産性の向上に向けた議論、検討を行っているところでございます。

 これらを通じまして、諸外国と比べ我が国の研究力が相対的に低下をしている現状を打破するべく、大学や国立研究開発法人等の研究力の強化に向けた具体的な方策を取りまとめ、そして、関係府省庁と連携をしつつ、政府一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

尾身分科員 ありがとうございました。

 ただいまも言及がありましたけれども、研究支援のあり方について、次にお伺いいたします。

 絶えず新たなイノベーションの源を生み続ける社会を実現するために、次世代を担う若手研究者の育成や確保が極めて重要です。若手研究者が独立して自主的な研究を行い、安定したポストを獲得する契機とするためには、研究費が意欲ある若手研究者に行き渡ることが重要だと思います。例えば科研費については、来年度予算において近年にない増額を行い、若手研究者への重点化をしていると聞いています。

 そこで伺います。若手研究者が独立して自立的な研究を行うためにも、科研費などの競争的資金について若手研究者がより獲得しやすいような取組を進めるべきと考えますが、具体的な方策についてお答えください。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の研究力の向上のためには、先生御指摘のように、科学技術イノベーションを担う創造性豊かな若手研究者の育成、確保が重要でございます。

 このため、御指摘いただいたように、二〇一九年度予算案におきましては、研究力向上加速プランといたしまして、科研費の大幅な拡充による若手研究者への重点配分や、海外で研さんする機会の拡充等に係る経費を計上しております。

 具体的には、特に科研費では、二〇一八年度第二次補正予算において五十億円、また、二〇一九年度予算案においても対二〇一八年度当初から八十六億円増となる二千三百七十二億円を計上し、若手研究者の新規採択を年間二千人以上増加させ、一万二千人以上に拡大することを見込んでおります。

 このほか、二〇一九年度予算案では、戦略的創造研究推進事業のさきがけとACT―Xにおいて新規採択者数を拡大、あるいは海外特別研究員事業において新規採用者数を拡大、あるいは新規事業といたしまして国際競争力強化研究員事業を創設など、若手研究者支援に係る経費を計上しているところでございます。

 以上に加えまして、先ほど大臣、副大臣から答弁がありました柴山イニシアティブに基づく研究力向上加速タスクフォースにおいて、今後更に議論、検討を行い、若手研究者への重点支援を強力に推進してまいります。

尾身分科員 ありがとうございました。大変心強いお言葉だったと思います。

 ソサエティー五・〇について、次に伺います。

 ソサエティー五・〇に向けた人材育成についてです。

 ソサエティー五・〇が進展していく中、研究者、技術者がその持てる能力を発揮していくに当たり、社会的リテラシーを身につけていることが重要になってくると考えられます。つまり、理系の学生や研究者、技術者も、人文社会科学系の素養が必要となります。他方、人文社会科学系の学生や研究者も、サイエンスの素養を身につけることが重要です。これを受けて、現在、将来を担う人材の育成のために、文理融合や文理横断などのさまざまな議論がなされていることも事実です。

 今後、どのような資質、素養を身につけた者を輩出し、ソサエティー五・〇を実現していくのでしょうか。少子化を迎える我が国にとって、人的資源の有効活用という観点からも一刻を争う死活的問題です。待ったなしです。

 そこで伺います。ソサエティー五・〇を担うことができる人材とはどのような人材でしょうか。また、その人材育成に向けた今後の文部科学省の取組についてお答えください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていくソサエティー五・〇の到来など、予測困難な変化の激しい社会においては、高い理数能力でAI、データを理解し、使いこなす力に加えて、課題設定、解決力や異質なものを組み合わせる力などにより価値創造を行う人材の育成が重要でございます。

 このため、文部科学省におきましては、まず、初等中等教育段階では、二〇二〇年度から順次実施される新学習指導要領において、情報活用能力の育成やプログラミング教育、統計教育を含む理数教育の充実を図ることとしております。また、大学等の高等教育段階では、柴山イニシアティブにおいて、どの学部に進学しても数理的思考力とデータ分析、活用能力を体系的に身につけられるよう、全学的な数理、データサイエンス教育を推進していくことを打ち出しております。

 このような施策の具体化を通じて、ソサエティー五・〇に向けた人材育成にしっかりと取り組んでまいります。

尾身分科員 ありがとうございました。

 続いて、ソサエティー五・〇に向けた取組について伺います。

 ソサエティー五・〇は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済社会と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会と定義されています。

 今回は、民間の活動との連携、協働という点で質問させていただきます。

 ソサエティー五・〇の提唱に中核的な役割を果たしてこられた経団連の中西会長は、社会的課題や自然との共生を目指すソサエティー五・〇が、国連が採択した持続可能な社会、すなわち、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズ、SDGsの達成にも貢献し、変革の方向性は軌を一にしているとして、ソサエティー五・〇フォーSDGsを提唱しています。

 持続可能な社会という世界的な目標に向け、ソサエティー五・〇の達成はその実現の大きな鍵となるものであり、もちろんのこと、民間とその社会実装に責任を持つ政府とが一体となってこうした課題に取り組んでいくことが極めて重要だと思います。

 そこで伺います。経団連が推進するソサエティー五・〇フォーSDGsを受けての政府の取組についてお聞かせください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、我が国が掲げるソサエティー五・〇は、世界の人類の共通課題であります持続可能な開発目標、SDGsの達成に大きく貢献できるものと考えております。

 昨年六月に閣議決定しました統合イノベーション戦略におきましても、ソサエティー五・〇の実現に必要な科学技術イノベーションを活用し、SDGsの達成に向けて、世界最高水準の取組を推進するとされているところでございます。

 同戦略に基づき、内閣府では、実行計画であるSTIフォーSDGsロードマップの策定と、科学技術イノベーションとSDGs関連課題とのマッチングを図るSTIフォーSDGsプラットフォームのあり方について、経団連等とも連携して検討を進めておるところでございます。

 引き続き、経団連を始め産業界、学術界、関係府省と連携し、日本の科学技術イノベーションを活用したSDGsの達成に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。

 あわせて、文部科学省としてのソサエティー五・〇フォーSDGsとの協働に向けた取組についてお伺いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 私ども文部科学省といたしましても、先生御指摘のソサエティー五・〇フォーSDGs、これは非常に重要なものだと考えております。

 その中でも、特に、先ほど内閣府からもございましたが、科学技術イノベーション、STIにつきましては、私ども文部科学省といたしましても、SDGs達成に向けた切り札であるというふうに考えてございまして、関係府省、そしてまた民間企業を含めた関係機関と連携しながら、セクターや分野の壁を越えた協働、共創、これが非常に重要になってくると考えてございます。

 具体的には、昨年八月に、私ども文部科学省におきまして、STIフォーSDGsの施策パッケージというのをつくらせていただきまして、これを活用しながら、関係府省、そして関係機関と連携しながら、協働、共創の場をつくっていきたいというふうに考えてございます。

 また、具体的なプロジェクトもさまざまございますが、開発途上国との共同研究、さらには研究成果の実装、そして、例えば、防災、減災や感染症などを含む分野別の取組など、しっかりと推進してまいりたいと考えてございます。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

尾身分科員 大変心強いお言葉、ありがとうございました。

 次に、沖縄科学技術大学院大学についてお伺いいたします。

 二〇一一年に設立された沖縄科学技術大学院大学、OISTは、世界じゅうから一流の研究者を招聘し、すぐれた研究環境のもとで世界トップクラスの研究を行っている科学技術大学院大学です。その研究成果は、既に、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学、オックスフォード大学に匹敵するレベルに到達しているとも言われています。また、国際共著論文も多数発表し、その存在は世界じゅうで認められ、海外の研究者がOISTで研究したいと多く来日しています。

 OISTが更に成長し、高い水準の研究成果を発表し続けることは、我が国の科学技術イノベーションを飛躍的に発展させることにつながります。また、卓越した存在として成長し続けるためには、上記のような大学と同程度の教員規模に達するまで、日本政府による継続かつ手厚い支援が不可欠です。

 二〇一八年六月十五日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太方針でも、「科学技術・イノベーションの国際的拠点を目指した沖縄科学技術大学院大学の規模拡充とともに、ITやものづくりの中核を担う人材の育成、米国の協力を得た英語教育の充実、深刻な子供の貧困への対策などにより、沖縄における人づくり革命と生産性革命を実現する。」と述べられております。

 そこで伺います。沖縄科学技術大学院大学に対して、政府が確実かつ手厚い予算措置をしていくべきと考えますが、政府の見解をお聞かせください。

馬場政府参考人 お答えいたします。

 沖縄科学技術大学院大学、OISTにおきましては、世界最高水準を目指し、科学技術に関する教育研究を推進しているところでございまして、今御指摘ございましたように、研究レベルに関しましては、例えば、世界有数の科学誌に論文が掲載されるほか、論文の引用率では国内の主要国立大学と肩を並べる水準にあると承知しております。

 これまでも、OISTにつきましては、沖縄振興政策の重要な柱の一つとして、その運営に必要な経費を確保してきているところでございます。

 先般成立をいたしました平成三十年度第二次補正予算におきましては、第四研究棟の供用開始に伴い必要となる機器、設備のための経費など、二十五・三億円が措置をされたところでございます。

 さらに、平成三十一年度予算案におきましては、OISTのさらなる拡充のため、新たな研究棟の整備や教員、PIの増員などの必要な経費として、百九十六・二億円を計上しているところでございます。

 今後とも、沖縄の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与することを目指して設立をされましたOISTが、所期の目的を達成することができるよう、運営について不断の改善を行いながら、その発展を適切に支援をしてまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 今の御答弁の中にもありましたけれども、OISTは非常に大きな成果を上げていると思います。この成果を出し続けるためには、政府によるしっかりとした支援が必要だというふうに考えております。今後もOISTの発展を政府としてしっかりと継続的に推進していただきたいと強く要望させていただきます。

 続きまして、次の話題です。

 小惑星探査機「はやぶさ2」のリュウグウへのタッチダウンが国民へのうれしいニュースとして報道されました。日本の探査技術の優位性を世界に示すものとして、関係者の皆様に敬意を表するとともに、二〇二〇年、地球に無事帰還することを心より祈念しています。

 さて、宇宙と並ぶ人類のフロンティアに海洋があります。特に、日本は四方を海に囲まれており、海洋に関する科学技術も、我が国の国家戦略上、非常に重要です。さらには、海洋資源開発や近隣国の海洋進出などの安全保障上の脅威といった課題に対応していくためにも、重要な役割を果たすと考えられます。

 また、日本が誇る海洋研究機関などが長年にわたり蓄積した知見とデータを活用することによって、海洋だけではなく、気候変動などの環境問題や大規模な地震、火山などの災害といった国際社会が直面する共通課題にも貢献できるものと思います。

 そこでお伺いいたします。このように、海洋・極域分野の研究開発は、人類のフロンティアの開拓及び国家安全保障・基幹技術の強化の観点で重要です。今後、どのように文部科学省として取り組んでいくのか、お伺いいたします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、四方を海に囲まれた我が国にとりまして、海洋科学技術は、産業競争力の強化や経済、社会的課題への対応に加えまして、我が国の存立基盤を確固たるものとする、国家戦略上、重要な科学技術でございます。

 このため、文部科学省におきましては、昨年五月に閣議決定されました第三期海洋基本計画などに基づきまして、来年度の予算案におきまして、我が国の海洋状況把握、いわゆるMDA、こちらの能力強化に向けました船舶、フロートなどによる統合的な海洋観測や、海洋ごみへの対応に資する調査研究手法の開発などの地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発や、海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発、さらには、北極域に関する国際共同研究や北極域研究船の建造に向けた検討など北極域研究の戦略的推進や、地球環境変動の解明に向けました南極地域観測事業などに取り組むこととしております。

 また、先生御指摘の国際貢献、協調の観点では、海洋観測などにより創出されました気候変動予測情報につきまして、データ統合・解析システム、DIASと言われておりますが、こちらなどを通じて国内外に科学的知見として提供するなど、持続可能な開発目標、SDGsに貢献しています。

 さらに、国際深海科学掘削計画、IODPのもと、世界じゅうの研究者が協力して、我が国の地球深部探査船「ちきゅう」を用いた科学掘削を行っています。

 また、極域分野におきましては、二〇二〇年には、アジアで初めてとなる、我が国におきまして、北極科学大臣会合を開催する予定でございます。

 今後とも、関係省庁との連携のもと、科学的知見の充実や基盤技術の強化を図りますとともに、国際貢献、協調の観点も踏まえまして、海洋科学技術に関する取組を推進してまいります。

尾身分科員 ありがとうございました。

 海洋科学技術というのは、一国だけの問題ではありません。地球規模での問題に貢献できるものだと思いますので、ぜひとも、引き続き伸ばしていただけるように、また日本の強みでございますので、日本が輝く国であるためにも、ぜひとも推進していただければというふうに考えております。

 二月八日の予算委員会におきまして、私は、中国がこの十年間で研究開発費を二・六八倍に増加させているにもかかわらず、日本はほぼ横ばいであることに警鐘を鳴らさせていただきました。

 第五期科学技術基本計画に定められた官民合計対GDP比四%以上を達成するためにも、民間投資の呼び水である政府研究開発投資の対GDP比一%、すなわち二十六兆円を確実に達成していくことが不可欠です。

 来年度、平成三十一年度は、第五期基本計画の四年目に入り、まさに二十六兆円達成に向けて正念場の年です。本日は、第五期の達成状況並びに第六期科学技術基本計画に向けた検討状況についてお伺いします。

 先ほどもソサエティー五・〇に触れましたが、これからますます技術や社会の進展が急激に速度を増す中、五年後すら予見できない社会が現実のものとなってきます。

 イノベーションの源である基礎研究やオープンイノベーションといった共通的、基盤的な要素は、不断にしっかりと推進していくべきと考えます。オープンイノベーションは、例えば私の地元群馬でも、十数年にわたって産学官金連携推進会議を行い、群馬大学発ベンチャーが本格的な事業展開に乗り出すなど、地方活性化にも貢献しています。

 その一方で、予見できない技術や社会の進展に応じて柔軟な課題設定や目標設定をしていくということも重要になってきます。また、言うまでもなく、第五期以上に政府研究開発の投資目標をしっかりと掲げていくことが不可欠です。

 これらを踏まえて、内閣府にお伺いいたします。

 第五期の達成状況並びに第六期科学技術基本計画の検討状況についてお知らせください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 平成三十一年度予算案における科学技術関係予算は、今年度と比べて一〇%以上増加しておりまして、平成七年の科学技術基本法制定以降、最大規模の四兆二千億円余りを計上しておるところでございます。

 今後とも、公共調達における科学技術イノベーションの活用促進等により、第五期科学技術基本計画において設定した対GDP一%を目指して取り組んでまいりたいと思っております。

 次期科学技術基本計画については、今後、本格的な検討を開始することとしておりますが、御指摘いただいた基礎研究やオープンイノベーションといった基盤的要素や各種目標についても、しっかり検討してまいりたいと思っております。

 また、これまでも、中長期的な政策の方向性を示す科学技術基本計画に基づき、毎年、統合イノベーション戦略等を策定してきており、さらには、昨年、研究開発力強化法の改正により、研究開発法人による出資の拡大や、基金を迅速に造成できるスキームが規定されましたので、これらの枠組みも活用し、急速に進展する破壊的イノベーションにも柔軟に対応してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 第五期科学技術基本計画には、実は、AIというようなものは余り入っていない。でも、今は、その三年目において、AIが非常に重要な、社会に影響を与えているというような状況でございます。先が見えない中で、でも、しっかりと五カ年計画を立てていくということが大変重要だと思います。基礎的なところをしっかりとカバーしつつ、柔軟に課題解決に向けて対応できるような第六期科学技術基本計画の策定にぜひ取り組んでいただければと御期待申し上げたいというふうに思います。

 以上、さまざまな科学技術イノベーションに関する質問をさせていただいてまいりました。

 関係施策の推進において特に重要な役割を担う文部科学省におきましては、柴山文部科学大臣の強力なリーダーシップのもと、より一層科学技術イノベーションの推進に取り組んでいただきたく存じます。

 そこで、最後に、柴山大臣の決意のほどをお聞かせください。

柴山国務大臣 大変熱のこもった御激励をありがとうございます。

 まさに科学技術イノベーションの推進こそが、我が国が将来にわたって引き続き成長と繁栄を続けていくためのかなめでありまして、政府が一丸となって実現する生産性革命の中核を担うと私は考えます。

 科学技術イノベーションをめぐるグローバルな競争が激化する中で、御紹介をいただいた第五期科学技術基本計画に掲げられたとおり、政府研究開発投資につきまして、対GDP比一%、総額約二十六兆円を目指して取り組むことは重要です。

 文部科学省におきましても、二〇一九年度予算案に、前年度比四・七%、九百七十四億円増の二兆千八百七十六億円を科学技術関係予算として計上させていただきました。

 こうした予算の確保に加えて、さきの臨時国会で改正された科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の着実な運用ですとか、研究開発税制の活用の促進なども通じまして、今後も、官民、力を合わせて我が国の科学技術の発展に尽くしていくため、私も全力を尽くしていく決意でございます。

尾身分科員 大臣から大変頼もしい御答弁をいただきました。

 私は、先般の予算委員会で、安倍総理に対しましても、科学技術振興につきましての御意見を伺いました。安倍総理は以下のようにそのとき述べられておりますので、引用させていただきます。

 今、我が国は少子高齢化を始めさまざまな社会課題に直面していますが、その解決の鍵もイノベーションです。ソサエティー五・〇を実現し、日本がこれからも成長していくため、基礎研究を始め科学技術イノベーションの力を一層発展させることは、我が国の未来にとって死活的な問題であり、今後とも、科学技術立国日本の発展に向けて、政府として全力で取り組んでいく考えであります。

 この安倍総理の大変力強いお言葉を聞いて、私は意を強くいたしました。日本が科学技術立国としてこれからも世界の中で輝き続ける国であるために、ぜひとも科学技術イノベーションの推進を一層推進していかなければならないと思っております。

 また、先ほど大臣も触れられましたけれども、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律が一月十七日に施行されました。このような法律改正によって、より柔軟な研究開発を行うことができるようになり、また、単年度ではなくて複数年度にわたって資金を提供することができるということ、これも、いつ芽が出るかわからないような、ムーンショット型と言われるようなものに対して国が支援をしていく、そのことの心意気のあらわれだというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、科学技術立国創造のため、そして日本がこれからも発展し続けていくために、科学技術イノベーションは大変重要であることを改めて私からも主張させていただき、私の質問を終わりたいと思います。私自身も、科学技術推進のために全力で頑張ってまいります。

 本日はありがとうございました。

田野瀬主査 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの横光克彦でございます。

 柴山大臣に初めて質問をさせていただきます。

 まず、質問に入る前に、大臣のお考えをちょっと確認というか、認識をお聞かせいただきたいと思います。それは、民主主義の民意についてであります。

 大臣、教育現場で子供たちを前に民主主義の民意とはと問われましたら、大臣でしたらどのように教えますか。お聞かせください。

柴山国務大臣 民主主義とは、基本的には、治者と被治者の自同性という言葉がございますけれども、さまざまな施策、統治の客体となっている主権者、あるいは、主権者のみならず、構成されている住民の方々一般が当該統治にしっかりと参加をできるようにする、そういった仕組みがやはり民主主義の非常に重要な要素であるというように考えております。我々の憲法にも、当然のことながら、重要な原理として書き込まれているところでもございます。

横光分科員 私は、民主主義の民意とは、民主主義の原点だと思うんですね。つまり、国民、住民の意思であり意見である。一番大事なもとになるのがこの民意だと私は思うんですが、では、この民意が明らかになった場合、その場合はまた、大臣、どのように子供たちにお答えいたしますか。

柴山国務大臣 先ほど、憲法が民主主義あるいは国民主権を重要な要素としているということを申し上げましたけれども、一方で、我が日本国憲法は、間接民主制、いわば代表を通じた民主主義による統治ということも明示をしているわけでございます。

 いろいろと、住民投票とかあるいは国民投票というような制度は想定をできますし、直接民主制が望ましいという見解も一部にありますけれども、例えば、EUにおけるブレグジットの投票ですとか、あるいはさまざまな各地で行われている住民投票を見たときに、果たしてそれが継続的にさまざまな施策、特に専門的な施策を検討するのにふさわしいかどうかというのは、これは極めて難しい議論を提示されるところだと考えております。

 現に、日本国憲法における国民投票は、御案内のとおり、憲法改正における国民投票、これを直接的には想定をしているだけでありますので、今委員から御指摘の、民意を問うための仕組みというものをどう考えるべきか、民意をどのように尊重するべきかということは、一概には申し上げることは難しいというように考えております。

横光分科員 先ほども私は申し上げましたが、民主主義における民意とは、まさに民主主義の原点だと思うんですよ。ですから、いろいろな民意が問われてきた、そして民意がはっきりした、そうした場合は、では、子供たちに、その民意はどうあるべきかということをどうお答えするかということをお聞きしたんですよ。

 ですから、沖縄で先般、二十四日に県民投票が行われましたよね。これは何回も民意を問われてきたんです、いろいろな形で、知事選を含め。そして、しかし、今回の県民投票は、まさにワンイシュー、つまり単一争点で問われた。沖縄の辺野古の埋立てを是とするか否とするか、この答えを県民が出したわけですよ。

 このことに対して、総理は、真摯に受けとめるとおっしゃっております。真摯に受けとめるということは、この結果を尊重するということになると思うんです。ですから、こういった重要な結果が出たことを、子供たちが、出たにもかかわらず、どうなっているんだというような状況になってほしくない、私としてはそう思うんです。

 ですから、国の政策は、民意に支えられなければ、民主主義の正当性というのは当然のように失われてしまいます。また、地方自治も形骸化してしまいますよ。

 もっと言えば、私たちの国が、日本という国が、人権と民主主義をあまねく保障する国であるのかどうか、はたまた、特定の地域によっては保障しない国であるのか、それが問いかけられた、私は、今回の県民の皆様方の、大変、賛成でも反対でも苦しみながら一票を投じた結果だと思うんです。この結果をいかに大事にするかということは、やはり政治には問われていると思うし、これからの子供たちにも、民意が出た以上、その民意が、当然、思っているような形で進むことを期待していると思うんです。そこのところを裏切らないでほしい。子供たちの教育をつかさどるトップとして、その認識だけは持っていただきたい。

 ですから、有力な閣僚の一人ですから、総理に強くこの民意の大切さをお伝えしていただきますことを私からお願い申し上げたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 安倍内閣で進めてこられました働き方改革については、特に、近年の学校の先生方の現状、長時間労働を始め、さまざまな問題が取り上げられております。そして、今やこの問題は社会問題にもなっておりまして、国民はもちろん、保護者の方々も大変危惧をしているような状況にまで、ある意味では追い込められているんですね、教職員の皆さん。

 そこで、大臣にお聞きいたしますが、教職員の長時間労働など、働き方改革について、このままではいけない、何とかしなくてはならない、そういったお考えのことと思いますが、それでよろしいでしょうか。

柴山国務大臣 そのように考えております。

横光分科員 確かに、当然のお答えだと思います。

 これまで、政府の働き方改革の中では、公務員である、学校における働き方改革というのは除外されておりました。それが、今回、文科省として、中教審の答申を受け、ガイドラインを定めて、私から言うと、まさにようやく学校における働き方改革についての具体案の着手が始まったと思っております。私は、このことにつきましては一歩前進であり、評価したいと思っております。

 しかし、抜本的な改革となるべき、教職員の長時間労働の原因と言ってもよい給特法の廃止、見直し、ここまでは踏み込んでおりません。これからの課題ということで、その間にいろいろな対策をこれから文科省が取り組んでいくということだと思います。

 現状をちょっとお示ししますと、毎年五千人ほどの教職員が病気などで休職されたり、あるいは労災認定者まで出るというような状況であるとお聞きしております。そんな状況がここ数年高どまりなんですよ。

 五千人規模の先生たちが休まざるを得ない、今そういった状況にあるということ。このようなことが起きること自体、その原因は、現状の教職員では全く足りないということに行き着くんだと思うんです。ですから、大臣も、今まさに何とかしなくてはならない、そういった認識をお示しいただきました。

 そういった中で、例えば文科省の現在進めております加配対応では、私は、この問題解決の一つである安定した教職員の確保にはなかなかならないのではないか、そんな気がしてなりません。

 現在の定数法では学級数をもとに定数を算出しておりますが、長時間労働の是正の観点からすると、私は、先生たちの持ちこま数、これをもとに定数を決めていく算出方法もあるのではないか、そっちに改めていく必要があるのではないかと考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

柴山国務大臣 先ほど申し上げたとおり、教師が子供たちの指導に使命感を持ってより専念できるように、一月二十五日の中教審の答申を踏まえて、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定を始め、あらゆる手段を尽くして取り組む必要があり、私ども文部科学省が学校と社会の連携の起点、つなぎ役としての役割を前面に立って果たさなければならないと考えております。

 その際、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実が非常に重要だと考えております。

 今お話をいただきました教職員定数の改善につきましては、二〇一七年三月に義務標準法を改正いたしまして、加配定数の一部について、対象となる児童生徒数等に応じて算定される基礎定数といたしました。この基礎定数化を二〇一七年度から十年間で計画的に進めることにより、二〇二六年度には、例えば通級指導につきましては、対象児童生徒十六・五人に対して一名だった配置が十三人に対して一名に改善されるなど、措置を講じております。

 また、二〇一九年度予算案においては、この基礎定数化に伴う定数増も含め、小学校の英語教育のための専科教員千人を始めとする合計千四百五十六人の定数改善に係る経費を計上しているところでございます。

 今委員が指摘されたとおり、それじゃ足りないじゃないかという部分はあるかと思います。ただ、持続可能な形で一歩一歩進めていかざるを得ないという部分がございます。

 ですので、学校における働き方改革に関する中央教育審議会の答申においては、教育課程や教員免許などのあり方について検討を行うこともあわせて提言をされておりまして、これら教育制度も必要に応じて大胆に見直すことも含めて、文部科学省を挙げて学校における働き方改革に取り組み、成果を出してまいりたいと考えております。

横光分科員 今、大臣、文科省としては、答申を受け、あらゆる手段を講じていろいろと対策に取り組むというお話がございました。また、英語専科指導員のこともお話しになりました。私は、いろいろなところで今取り組まれている文科省の活動はよく知っていますし、非常にありがたいなと思っているんです、働き方改革のためにも。

 その中で、私が申し上げたのは、こま数によって教員の定数を決めていくという算出方法もあるのではないかという気がしてならないんです。これは何とかして、文科省の皆さん方も知恵を絞って検討していただければと思っております。

 今、英語の専科のお話もございました、指導員のことが。こういったこともやはり長時間労働を是正するための一助になると思いますし、また、こういった専科の先生を、英語だけでなくて、もっともっと広げることも考える必要があるのではないか、理科専科とか、いろいろなところに。

 そこも行き着くところは財源でございますけれども、皆さん方のお気持ちをどうにか、いろいろな知恵を絞って、少しでも今の長時間労働を是正していく必要があるということを申し上げておきます。

 なぜこれが必要なのかということは、行き着くところは、究極の目的である、子供たちのためなんですよね。ゆとりある教育をするためにどうすればいいかというと、これは、逆からすれば、教職員が本当に安心してしっかりと子供たちに向き合える教育環境をつくるということなんですよね。ですから、強く私はこれを危惧しながら、改善してほしい、こう思っているんです。

 それともう一つは、外国に比べて日本の働き方がいかにすさまじいかということをちょっとお示ししたいんですが、OECDの調査で、教員の勤務時間調査によりますと、中学校の一週間の国際比較では、教員の勤務時間は、調査参加国中最長の勤務時間、日本は。OECD各国の平均の勤務時間が三十八・三時間としますと、日本の中学校の教員は五十三・九時間にもなるんですね。これはもう長時間どころか、過労死の範囲にも入っていると思うんです。ですから、いろいろな形で負担の軽減に取り組んでいただきたいと強く要望しておきます。

 先ほどお話が出た英語の専科指導員の件ですけれども、これもやはり国際的な流れの中で、一定の英語力を有し、質の高い英語教育を行うという専科指導員の充実のためにスタートしているわけでございますが、学習指導要領実施の二〇二〇年、ここにはこれまでの分と合わせて四千人が配置されるということでございますが、よく考えてみたら小学校は二万校あるんですね。ここに四千人ということは、五校に一人ということになります。

 五校に一人の配置ということは、一人で五校を飛んで回りながら指導していかなければならない、教えていかなければならないのか。そうしたら本当に質の高い英語教育ができるのか。更に言えば、義務教育の本旨であります同質で安定した公教育を継続できるのか。甚だ私は心配になってくるのでございますが、どう対応されるんでしょうか、大臣。

柴山国務大臣 まず、その御質問に対するお答えの前に、専科教員を英語以外にもいろいろと措置をするのはいかがかという御指摘がありましたけれども、これは極めて私は貴重な御提言だと思っております。やはり専科教員を指定することによって、組主任の負担が役割分担をして軽減されるというところを、私は実際に今そういった取組をしている学校を視察して、現にそうした工夫をしているところもありますので、定数の問題ももちろんあるんですけれども、極めて貴重な御提言だなというように感じさせていただきました。

 その上で、今、二〇二〇年度から完全実施される新学習指導要領においての英語教育の充実、週当たり一こま相当の授業が増加するということについてなんですけれども、おっしゃるとおり、今回の授業時数の増が教師の授業負担の増にならないような条件整備をあわせて進めることが不可欠であります。そのための、小学校に英語のまさしく専科教員を配置して、授業時間の増となる英語教育を担当とすることといたしまして、二〇一八年度においては千人を措置、そして二〇一九年度においては更に千人増の累計で二千人、国費約四十四億円分を計上しているところであります。

 この英語の専科教員の配置についてなんですが、各都道府県・指定都市の教育委員会においてやはり計画的に行うということが極めて重要です。それぞれの学校の学級規模に応じて、今お話があったんですけれども、複数の小学校の英語教育を一人の常勤の英語専科教員が計画的に担当して回る、それだけではありません、一人の教員定数の枠を活用して、複数の英語専科の非常勤講師を配置する、こういった工夫をしながら、知恵をしっかりと使って活用されている部分であります。

 なお、中央教育審議会答申においては、今後の検討課題として、「小学校における効果的な指導と教師の一人当たりの指導時間の改善の両立の観点からの、小学校の教科担任制の充実、」先ほど委員御指摘のとおりです、「年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直し」、こうした課題も掲げられております。

 条件整備とともに、これらの制度的な検討もしっかりと進めていきたいと考えております。

横光分科員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられたように、さまざまな知恵を絞りながら対応するということで、いろいろなことの可能性が出てくると思うんですね。ですから、先ほど言った英語以外の専科教員のことを御検討してくださるということで、非常にありがたいな、このように思っております。

 ただ、私は、この問題はちょっとバランスというものが崩れる可能性があるんじゃないか、そういった積極的な自治体、あるいはそうでない自治体、いろいろなところによって変わってくるんじゃないかということをちょっと心配しているんです。

 本当に、英語力を有して質の高い英語教育を行う指導員を確保するということは相当私からすると難しいこと、時間がかかることだと思うんですが、大臣、そのあたりは、何か免許制のこととかいうこともお話しになりましたが、これはどういうことなんですか。何か特別免許というようなことも考えるみたいなお話がございましたけれども。そういった能力を持っている人たちに免許を臨時的に与えるということですか。

柴山国務大臣 今、特別免許制度もあるんですけれども、要は、外部人材を柔軟に活用するために、現時点において教員免許を持たない方、英語が堪能な外部人材を積極的に、補助という形じゃなくて単独で授業を持てるような工夫というのを、これは一部規制緩和を伴うかと思うんですけれども、そういったことについてもいろいろと検討する余地があるのではないかということでございます。

横光分科員 いろいろ検討する余地、あるいは知恵を絞る余地があるというお話でございます。

 確かに、そういった能力を持っている人に臨時的に免許を与えるということも一つの手段でしょう。しかし、学校の先生の免許というのは、免許更新制があるほど厳しいんですよね。一方では、強制的に、免許を更新しなさいよ、十年に一回はというようなことがありながら、簡単に臨時的に免許をやるということの説明で、どこまで理解を得られるかということも慎重に考えていただきたいと思っております。

 いずれにしても、文科省がいろいろな形で取り組んでいることがよくわかりました。

 その中で、スクールサポートスタッフ、私は、これは働き方改革には相当の効果があるんじゃないか、教職員の負担軽減につながる可能性があるなという気がしておるんです。

 現在実施している学校の教職員からも、これまで持ち帰り仕事だった授業準備が学校でできるようになったとか、翌日に疲れを残さずに授業ができるようになったとか、非常に現場では好評の声も聞かれるわけです。私は、これをもっともっと広めていけば、随分教職員の負担軽減につながるのではないかと期待しているんです。

 しかし、ここでもやはり、現在三千六百人の配置となりますと、これまた八校に一人という配置となりますよね。これは、導入の趣旨に沿って更に拡充すべきだと考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 学校における働き方改革を進めるためには、教師の負担を軽減して、教師が教師でなければできないことに全力投球できるように、多様な人材との連携を進めて、チームとしての学校を実現することが必要だと考えております。

 この一環として、学習プリントなどの印刷等を教師にかわって行うスクールサポートスタッフの配置につきましては、平成三十一年度政府予算案において、平成三十年度の三千人分、十二億円から、三千六百人分、十四億円に拡充して対応することとしております。

 このスクールサポートスタッフにつきましては、実際に導入した学校における効果も、今御紹介いただいたとおり、生じております。学校現場からのニーズは高いと考えております。

 ただ、教育委員会によっては、その効果の認識が十分でなくて、予算や人材の確保の取組がまだ進んでいないケースもあるというように伺っております。

 また、スクールサポートスタッフは、卒業生の保護者など地域の人材を活用することを想定しておりまして、このため、各教育委員会や学校が卒業生の保護者などにスクールサポートスタッフとしての協力を求めることなども考えられると思います。

 いずれにいたしましても、やはり理解とそのニーズの掘り起こし、こういったものを行っていくことによってニーズが拡大し、またそれに対する予算というものもつけやすくなってくるのではないかなというように考えております。

横光分科員 ありがとうございます。

 まさに私もそのとおりだと思うんです。非常にいい取組をスタートされたので、これをいかにして拡充していくか。そのためには地域の協力も必要でしょうし、いろいろな人材をいかにして発掘するかということも必要でしょうし、いろいろ時間がかかりますけれども、とりもなおさず、やはり拡充していくことが働き方改革の大きな目的にかなうと思うんですね。

 ただ、先ほども申し上げましたけれども、これまた正直、自治体によって、取り組んでおるんですが、これもばらばらという感が否めません。時給も違えば、社会保障や交通費の対応もそれぞれ自治体によって違うんですよね。始まったばかりですけれども、ぜひ、このスクールサポートスタッフの制度が確実に前に進みますよう、また、人員の配置や財政面の力強い支援をお願い申し上げたいと思っております。

 また、もう一つ、教職員の皆さんの負担軽減といえば、部活動の問題もございます。

 部活動もいろいろな課題があると思うんですが、やはりこれが、いろいろな形で協力してもらえると先生の負担が減るわけでございますが、これはどうですか、大臣、部活動は学校で対応することになっていますよね。これはやはり、そういった協力してくれる人たちも、午後からの、あるいは三時過ぎ、四時過ぎからの時間に協力してくれるかとか、あるいは報酬の面、処遇の面で十分なのかとか、いろいろな課題があるんですね。

 ですから、私は、部活動の問題は、これからやはり、中学校、高校、こういった学校対応になっている部活動については、これは将来的ですが、これも学校から切り離すことはできないのか、あるいは社会体育、社会教育への移行を目指していくことはできないのか、そういったことも検討していただければと思うんですが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 まさしく方向性としては、今委員が御指摘の方向性に向かって進んでいると思います。

 部活動は、生徒への指導内容の充実、それと教師の負担軽減の観点から、実技指導の専門性ある外部人材を学校職員として積極的に参画をさせるということをまず目指しておりまして、平成二十九年度に部活動指導員の制度化を、そして今年度より部活動指導員配置の補助事業を進めております。

 あわせて、昨年策定した運動部、文化部のガイドラインでは、活動時間の基準を設けて、できるだけ部活動を、短時間で効率的な活動を行うということ、また、スポーツ、文化関係団体が部活動の手引を策定するなどの協力を行うこと、各学校では、生徒、教師数等を踏まえた適切な数の部活動を設置すること、学校と地域のスポーツ、文化団体等が協働して部活動改革に取り組むことなどが示されております。

 まずは、現段階において、このような部活動指導員の活用や地域との連携等を進めることで、これまでのように学校だけが部活動を担うのではなくて、地域と学校が連携をして、一緒に子供のスポーツ、文化環境の充実を図るという観点に立つことが現実的であり、必要であるというように考えております。

田野瀬主査 大臣、申合せの時間が過ぎております。簡潔な答弁、御協力よろしくお願いします。

柴山国務大臣 では、最後、一言だけ。

 ただ、将来的には、まさしく今委員が御指摘になったように、部活動を学校単位から地域単位の取組にして、学校以外が担うということも積極的に進めることを視野に入れて適切に検討していきたい、このように考えております。

横光分科員 ありがとうございます。

 もう時間がないんですけれども、一言、お願いだけいいですか。

田野瀬主査 簡潔に、どうぞ。

横光分科員 大臣、話が全然かわるんですが、ちょっと耳の痛い話になるんですが、文科省が所管しております原子力の研究開発施設、これが随分役割が終わったものがあって、もう廃止に向かっているところもあるんですね。このことに対して、大変、廃止するまでの期間あるいは膨大な費用、こういったことがありながら、文科省としては国民に何ら説明をされていないんですよね。やはりここは、最終的には国民負担になるわけでございますので、このあたりはしっかりと国民に知らしめること、お知らせすることが大事だと思っておりますし、どうかその対応をよろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて横光克彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、穂坂泰君。

穂坂分科員 埼玉四区より選出をいただきました衆議院議員の穂坂泰です。

 柴山大臣におかれましては、大臣、激務の中、大変御尽力いただいていることに埼玉一同誇りを持っておりますので、ぜひ引き続き頑張っていただければと思っております。

 それでは、質問をさせていただきます。

 まず、高等教育について、先日、柴山大臣が提唱されました、いわゆる柴山イニシアティブについて質問をさせていただければと思います。

 今、世の中の流れを見させていただきますと、ソサエティー五・〇、この社会に向けて動いております。ロボット、人工知能、そしてIoT、ビッグデータ、新たな技術をあらゆる産業や社会、そういったものに取り入れてイノベーションを創出、一人一人のニーズに合わせた形で社会的課題を解決する新たな社会をつくることが大きな課題になっているというふうに思います。

 この課題に対してやはり何より大事なのは人材育成であろう、私もそういうふうに思っておりますし、大臣もそう感じていらっしゃるというふうに思います。グローバル化の社会の中で活躍する人間をどう育てていくのか、またイノベーションの基盤となる高等教育、そしてまた研究改革がまさに急務であるというふうに思っております。

 また一方では、全世代型の社会保障制度が安倍政権のもとで進められて、そしてまた、経済的な理由によって大学にアクセスできない、これは私も何とかしなければいけないというふうに思っております。

 柴山大臣のさまざまな発言を見ても、そういった方々にしっかりとアクセスをつくっていく、そんなところも感じさせていただいているところでありますけれども、ぜひとも、そんな背景のもと、先日の予算委員会で発信された、柴山大臣の強い思いのもと出された柴山イニシアティブについて、その内容、意気込みについて教えていただければと思います。

柴山国務大臣 同じ埼玉の議員として、引き続き力を合わせて頑張っていければというように考えております。

 今後、より一層少子高齢化やグローバル化が進展するとともに、我が国の大学生の学習時間の短さも指摘をされている中で、ソサエティー五・〇に向けた、今お話があった人材育成、またイノベーション創出の基盤となる大学等の改革は急務であると考えております。

 このため、国の責任において、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保する一方で、高等教育、研究機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を車の両輪として徹底することにより、教育、研究、ガバナンス改革をばらばらにではなく一体的に進めるためのパッケージを柴山イニシアティブとして取りまとめ、二月一日に発表させていただいたところです。

 この改革を実行するため、文部科学省では、今国会に、真に支援が必要な低所得世帯の高等教育機関へのアクセス機会確保につながる、大学等における修学の支援に関する法律案と、進学先である大学の教育の質保証や教育研究基盤・ガバナンス改革等を後押しする、学校教育法等の一部を改正する法律案を提出するとともに、永岡副大臣を座長とした研究力向上加速タスクフォースを設置し、我が国の研究人材、資金、環境の観点から具体的方策の検討に着手したところであります。

 私といたしましては、文部科学大臣として、何としてでもこの一体改革をなし遂げ、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに、最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍を促進してまいりたいと考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 今、手厚い支援、そしてまた、しっかりとした評価をやっていきながら人材育成をされていく、そんな力強いお答えをいただいたというふうに思っております。

 産業界を見ても、今、時価総額、まあ、時価総額だけで評価できるわけではありませんけれども、軒並みトップの中から日本が消えてしまっている、そんな状況でもあります。私はまだまだ日本のポテンシャルはあるというふうに思っておりますので、ぜひ、この柴山イニシアティブを推進をしていただきながら、またどんどんどんどん強い日本にしていただければ、そんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、公立小学校の校舎増設の助成について御質問をさせていただきます。

 今、日本、人口減少が起きている中で、都市を始め都市近郊、また地方でも人口減少が進んでいる昨今だというふうに思っております。また、子育て支援、そしてまた定住人口、移住者、交流人口を積極的にふやそうと努力をしている自治体が結構どこもあるというふうに思っております。

 そういった努力が実って人口がふえていって、これは一つ成功だというふうに思いますけれども、それによって多大なる負担がまた新たに生まれてくる、インフラ整備であったり、またソフトサービスの充実であったり、こういった負担が新たに出てくると思うんですが、その一つに公立学校の整備、そういったものも新たに生まれてくるんだろう、そう思っております。

 そこで、お聞きしたいのですが、こういった努力をやった成果のもと、子供たちがふえた、ですので、公立学校の校舎の新増築について、これはぜひ支援をしていただきたい、そう思っておりますけれども、その見解について教えていただきたいのと、また、そういった制度があるならぜひ教えていただければと思います。また、そういった申請があれば全てに対応できるのか、よろしくお願いいたします。

平井政府参考人 お答えいたします。

 近年、都市部への人口流入等によりまして、一部の地域では、児童生徒の増加のため、校舎の狭隘化が問題になっている場合がございます。

 学校施設は、子供たちが一日の多くを過ごす学習の場であり、教室の不足を解消することにより、その学習環境を確保することは重要であると考えてございます。

 このため、文部科学省では、公立学校施設費負担金によりまして、児童生徒の増加により地方自治体が学校の校舎等を増設する場合に、その工事費の二分の一を補助し、その事業につきましては他の事業に優先して採択するということをしてございます。

 今後とも、各自治体が計画的な整備を行えるよう、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 前向きな答弁をいただいたというふうに思っております。

 人口をふやす、それは国家にとっても非常に重要なことだというふうに思います。でも、それを達成したら新たな負担がふえる、インフラ整備、教育の負担、そういったものがあると思いますので、ぜひとも、その成果が逆に負担にならないような、そんな支援をお願いできればというふうに思います。

 もちろん、交付金を受ける条件、そういったものは必要になるというふうに思います。何人以上ふえた、若しくは何キロ以内に学校がない、そういった場合、そんな一定の条件をつけなきゃいけないというふうに思うんですけれども、今後、未来を担う子供たちの支援として、特に学校の新設、増設など、文部科学省、今二分の一という話がありましたけれども、更にもっともっとふやしていくべきなんじゃないか、そう思っておりますけれども、改めて答弁をいただければと思います。

平井政府参考人 児童生徒の急増に伴いまして学校が不足する、例えば団地の開発等により新しい学校が必要になるという事態がいろいろ生じてくる、個別のケース、いろいろあるところでございますので、その個別のケースケースの事情をしっかりお聞きしながら、適切に対応したいと思っております。

穂坂分科員 済みません、ありがとうございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

 真面目にやった方が損をする、以前、柴山先生の方からも、お話をしたときに聞いた言葉でありますけれども、ぜひ、頑張っているところにはしっかりと支援をしてあげられるような、そんな視点での御支援をいただければと思います。ありがとうございました。

 続きまして、ブロック塀・空調設備対応臨時特例交付金について御質問をさせていただければと思います。

 今回、緊急対策として、普通教室のエアコン設置を措置していただきました。これはタイムリーな対応として非常に私もありがたいな、そう思っているところでありますけれども、特に空調設備に関して、これだけ猛暑が続いている中で、熱中症の対策は非常に私の地元でも大事な重要な課題というふうになっております。

 その中で、早急な対策はありがたいと思っているんですけれども、ここでもやはり、先ほど述べた、真面目にやったところが損をするようなことがあってはならないというふうに思っております。

 というのは、この措置が出る前にもう既に実施したところがやはり何校かありました。かなり多くのところがあったんだろうというふうには思っておりますけれども、まず質問なんですけれども、今回、この支援を受けると、自治体の実質負担が二六・七%。でも、独自でやったところというのが実質負担は五一・七%になってしまっている。この差についての何か措置、支援がありましたら教えていただければと思います。

平井政府参考人 お答えいたします。

 公立小中学校等は、先ほど申しましたけれども、児童生徒が一日の多くを過ごす学習の場であります。大変厳しい気候の中においても、その学習環境の安全を確保することは大変重要な問題になってございます。

 昨年十一月の七日に成立いたしました平成三十年度の第一次補正予算におきましては、熱中症対策として公立小中学校へのエアコンの整備のための所要額を計上いたしまして、それに加え、新たな交付制度として、先ほど言いました負担義務の、地方負担の軽減を図る特別な措置を創設したところでございます。

 これによりまして、児童生徒の日々の学習に際し、熱中症を防止し、安全を確保する観点から、まずは、児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室のエアコンの新設につきまして優先的に措置をさせていただいたところでございます。

 実は、その背景としましては、まず、昨年までは、約半数のところにいまだに設置されていないような状況が今の日本にありましたということでございまして、まずそこに、ないところにつけるという事業を早急にやるということで、国としては手厚い負担としてそれを交付させていただきました。

 あとは、当然、以後の整備につきましても計画的にやっていくということが必要になろうかと思いますので、そこについても引き続き対応してまいりたいと思います。

 なお、避難所となりますことも考えられますので、いわゆるその他の教室、体育館等につきましては、避難所指定を受けている場合はエアコンの整備を地方単独事業で整備する場合もございます。

 こういった事業につきましては緊急防災・減災事業債の制度がございますので、そういったものを活用することもできるということを文部科学省としても地方自治体に周知をして、エアコンの整備の促進を図りたいと思ってございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 この差額については特別な支援はないということで理解をさせていただきましたが、これはこれで緊急ということで仕方ないかな、そういうふうに思っております。

 ぜひとも、国がやるなら、先にやるのがちょっとばかを見るみたいな、そういったことにならないように、これは、先を見越すというのは難しいことだと思いますけれども、ぜひ、そういったことも視野に入れながら今後また進めていっていただきたいなと思います。

 今触れていただきました体育館についても、これはかなり地元の要望も強いところであります。今回は教室に限定ということではありますけれども、やはり、体を鍛えること、強くすること、こういったことも非常に大事なんですが、これだけの炎天下だとやはり外ではできない、そしてまた、体育館に行ってやろうと思っても、体育館も猛暑でできないという状況が私の地元の方でも続いているところであります。また、特に都市部となりますと体力の低下、こういったものも著しく見られる地域でもありますので、ぜひ体育館の空調整備、推進をしていただきたいなと思っております。

 また、先ほどおっしゃられました防災力の強化、こういったことにもつながると思います。私の地元の小中学校では、ほとんどの体育館がやはり避難所、避難場所になっておりますので、以前、災害があったときにも、プッシュ型の支援でその環境を整えていった。それにはやはり時間もかかることだと思いますので、既に整備がされていれば避難もスムーズにいくのかなと思いますので、こちらの方もよろしくお願いをいたします。

 そしてまた、空調を入れるに当たって少し気になる点がありまして、幾つか質問させていただきます。

 三つあるんですが、一つ目は、この単価。空調というのは、耐用年数とか型落ちとか、またエネルギー効率のいいもの悪いもの、こういったものがあると思いますので、まず、そういった単価の違いをしっかり確認をされているのか。

 そして二つ目。教室、体育館、空調を入れていくと思いますけれども、耐熱とか断熱とかをしている施設だとやはり空調というのは非常にききやすくなったりしています。でも、こういったものができていないところだと、もう電気代を垂れ流すような、そういった施設もございますので、その点の確認をしっかりできているのか。

 そしてまた、三つ目なんですけれども、先ほどの体育館のお話にもございましたけれども、これは公立小中学校だけではなくて、市が運営しているような体育館でも適用がされるのかどうか。先ほど緊急防災・減災の助成金があったと思いますけれども、ああいったものが使えるのかどうか。

 ちょっと三点、まとめて済みませんが、お願いします。

平井政府参考人 お答えいたします。

 まず、導入に関する単価につきましては、各地域の工事の発注状況によって変動はあるということもお聞きしてございます。文部科学省としては、一応、補助制度上の統一的な単価を定めて交付してございます。

 ただ、その中で、一つの交付の市町村の中で多少高い低いがあった場合、それが高いところから低いところに流せるような、設置単位で流動できるような弾力的な取扱いをさせていただいて、その単価差をできるだけ軽減させるということを一緒に取り組んでおるところでございます。

 それから、もう一つございました、空調整備をするに当たって、そもそも学校施設に断熱効果が薄いところがあるんじゃないかということもございます。

 文部科学省としては、ただ、空調の整備にあわせまして同時に断熱改修を行うということも非常に重要であると考えてございます。ですから、本来であれば、空調単独で工事をするということではなくて、計画的に、建物の大規模改修を行うに際しまして同時に諸問題を解決するという手法で、単発単発でやるのではなくて、一くくりとして整備が進むような補助制度を考えてございます。

 それからもう一つ、市民体育館等々についてのエアコンの措置につきましては、これも先ほど紹介いたしました、その市民体育館が避難所指定、大概の場合は受けていると思いますので、そういった場合にはいわゆる緊急防災・減災事業債の対象になりますので、そういったこともある旨各自治体の方に周知して進めてまいりたいと思います。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 空調に関しては、単価もその商品までぜひしっかり確認をしていただきたいなと思いますし、また、工事の後の電気代とかメンテナンスとか相当変わってくると思いますので、ぜひそういったところの視点もいただきながら進めていただければというふうに思います。

 また、今後の体育館の支援、今の緊急対策の方が三十二年で終わる制度だというふうに思いますので、その先もぜひ御検討いただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いての質問に入ります。

 空き教室の活用について質問させていただきます。先ほどはふえた子供たちに対する新増築の話でありましたけれども、今度は学校の空き教室の話をさせていただきます。

 空き教室の活用、これから非常に大事なんだろうと思っております。

 よく地元からさまざまな声を聞いております。例えば、地域の方々、会議をする場がない、集まる場所がない、いろいろな打合せをする場所がない、そんな話もありますし、高齢者の皆様におかれましては、集まる場所とか体操とかサロンをやる場所、そういったものがない、子供たちも今は伸び伸びとボールを使って遊ぶ場もない、そんなふうに聞いております。また、お母さんたちも集まれる場所を探していて、特に家で子育てをされているお母さんたちというのは、同じぐらいの子供たちと集まるというのがすごく大切なことで、また気持ちもリラックスできるし、そしてまた自分の子供の成長も改めて確認できる、そういった場があれば不安が解消されるという話も聞いております。あと、学童とか、今、保育園を整備をしておりますので、これからどんどん足りなくなってくるんだろうな。

 そういったことを思っている中で、やはり学校というもの、立派な建物ですし、またコミュニティーの中心の施設でありますので、この学校の活用というものはどんどん考えていくべきだな、そういうふうに思っております。

 そこで、質問なんですけれども、この学校の空き教室はいろいろな用途に活用できるのか、また、文部科学省なりの教育の用途でしか活用ができないのか、そういったところを御質問させていただきます。

平井政府参考人 お答えいたします。

 近年の児童生徒の減少によりまして、一部の公立小中学校においては余裕教室が生じている状況でございます。これらの余裕教室につきましては、地域の実情に応じて有効に活用されているところでありまして、近年の調査によりますと、平成二十九年五月一日現在で、公立小中学校の余裕教室数は八万四百十四室と報告されてございます。そのうち約九八・五%に当たる七万九千二百十六室が既に活用されているということでございます。

 活用されている余裕教室のうち、約九五・七%に当たる七万五千八百十七室が学校施設として活用されているところでございまして、具体的には、学習方法、指導方法の多様化に対応するため、多目的スペースや特別教室、さらには、近年、外国子弟に対する日本語教育のための教室や通級指導のための教室として活用されているところでございます。

 また、約四%に当たる三千二百四室につきましては学校以外の施設として活用されているところもございまして、具体的には、放課後児童クラブや地域の防災用の備蓄倉庫として活用されている事例等々ございます。

 文部科学省では、余裕教室の活用を促進するため、国庫補助を受けて整備された公立学校施設を転用して使う場合、財産処分の手続を大幅に弾力化すること、また、余裕教室の活用事例を掲載したパンフレットを作成、配付すること等によりまして地方公共団体の取組を支援してまいっているところでございます。

 今後とも、地方公共団体の創意工夫によりまして、学校に限らず、多様な余裕教室の活用が図られるよう支援してまいりたいと思います。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 今話を聞きました。空き教室の九五%ちょっとが学校の施設に使われている。これは、空き教室なのに九五%がその学校でまた使うという形になっておりますので、私は、その足りないと言っている市民の方々にもっと開放していくのもまちづくりの一つかな、そういうふうに思っております。

 この空き教室をなぜ自分たちの学校で使うのか、大きく三つ理由があるというふうに思っておりまして、本当に活用しているところもあると思うんですけれども、多分、あいているから、こういったものがあったら便利だよね、その程度でしか使っていないのかな。やはり、そういったところのコスト意識といいますか、有効活用というものをもっともっと考えていかなければいけないのかな、そういった意識の啓蒙、そういったものもぜひ、先ほどのパンフレット等もある、そんな話も聞いておりますので、発信をしていただきたいというふうに思います。

 また、二つ目なんですが、やはり学校の用途以外には使っちゃいけない、例えば厚生労働省管轄の施設としてはだめなんだとか、そういった意識もあるのではないかなと思っています。また、用途変更が、先ほど財産処分という話がありましたけれども、そんな煩わしい手続をするぐらいだったら自分たちの学校で使った方が楽だ、そんなこともあるというふうに思いますので、まだまだ数%しか使われておりませんけれども、いろいろな事例があるということもまたぜひ周知をしていただきたいなと思います。

 あと、三つ目なんですけれども、管理上、安全上、手間がかかる、こういったできない理由というのがたくさんあるのかな。できない理由なんというのは挙げれば切りがないというふうに思いますけれども、市町村の方から、また教育委員会の方から、あいたら地域にどんどんどんどん開放していこうよ、そういうような姿勢のもと、その方向づけをぜひしていただければありがたいなと思います。

 子供の支援センターとか高齢者の居場所、こういったものをつくるにしても、家賃とか改修費、物すごいお金がかかってくると思いますし、ましてや建築になったら物すごいお金が更にかかってくると思いますので、ぜひとも、先ほどのお母さんたちや地域の高齢者、地域の方々が、もうこれは長期的でなくてもいいと思うんですよね、一年限定でもいいと思いますので、そういった活用ができるように、ぜひ柔軟な運用ができるという発信を国の方からもお願いできればというふうに思います。ありがとうございました。

 続きまして、済みません、コミュニティースクールについて御質問させていただきます。

 平成二十七年の十二月の中教審の答申を受けて、学校運営協議会の設置を努力義務に格上げという形になりました。私も、コミュニティースクールですけれども、自分の地元でPTA会長として、また地域の人間として、また学校評議員としてもかかわらせていただいた関係で、これはぜひ推進をしていただきたいという立場で御質問させていただければと思います。

 学校には今いろいろ課題があるというふうに思います。先ほどるる質問もありました。学力の向上、生徒指導、いじめ、虐待、そういったところもありますし、新しい教科、どんどん出てくる中で先生方は非常に大変なんだろうと思います。そしてまた、こういった問題を学校だけで解決するというのはもう今は難しいのではないか、そう思っています。

 今も働き方改革等が言われている中で、先生たちは非常に頑張っているところで、また、いろいろな課題が、特に保護者対応というのが非常に困難だというふうに聞いておりまして、そういったことまでやらせていくのは、子供たちの教育上、子供たちに時間をかけるのが本来の先生の仕事なのに、それが滞ってしまっている現状がある。これはやはり、学校だけじゃなくて、地域全体で解決すべき問題だろうなと思っています。

 女性の就業率も今七割を超えておりますので、昔はPTAとかそういったところが担っていたものが、だんだんと希薄になってくる、支援体制が薄くなってきているのかなというふうに思っております。

 また一方、地域を見ても、人間関係、地縁的なつながりの希薄化、少子化、核家族化、都市化、こういったものが進んでおります。まさに、学校と地域、私は一緒になってまちづくりをしていくべきだというふうに思っております。

 このコミュニティースクールの狙いの中の一つであって、学校と地域が同じ目標を持って、同じ方向を向いて歩んでいくこと、そしてまた、子供たちを中心として、それぞれの課題を解決しながら、みんなで子供を、学校を、そして地域をつくっていく、これが私はコミュニティースクールのだいご味であるというふうに実感をしているところであります。

 まさに、学校を中心としてまちづくりを行うこと、また、地域を活用して学校をつくっていくこと、これがコミュニティースクールの狙いであり、そして、その成果は、連絡協議会また文科省さんの資料を見ても如実に出ているところだというふうに思っております。地域が協力的になったとか、管理職が異動してもつながりを保てるようになった、学力の向上、いじめの減少、こういったものがあるというふうに思います。

 一方、本当にいい効果というものが、この学校運営協議会ができたことによって先生たちの負担が大幅に減ったということも、私も実感として感じております。特に、学校運営協議会ができて、それがコントロールをする地域学校協働本部、いわゆる学校応援団の集まりだというふうに思いますけれども、そういった人たちがどんどんどんどん学校に入っていくことによって先生たちの業務負担も変わってくる、楽になっていく、そんな効果も聞いております。

 そこで、質問なんですけれども、現在五千四百三十二校コミュニティースクールがあるというふうに思いますが、今後、文部科学省はコミュニティースクールをどのように考えていくのか、また、推進していくならばどのように推進していくのか、お答えいただければと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中で、地域と学校が連携、協働して、社会総がかりで教育を行うことが必要となってきておりまして、コミュニティースクールの重要性は一層高まっていると思います。

 昨年の六月に閣議決定をいたしました第三期の教育振興基本計画におきましては、今後五年間で、全ての公立学校において、学校運営協議会制度、コミュニティースクール制度を導入する、また、地域学校協働活動、地域の側からでありますけれども、これも全国的に推進するということを目指しておりまして、その推進の加速化に取り組んでいくこととしております。

 具体的には、コミュニティースクール、先生御指摘のとおり、五千四百三十二校、前年が三千六百校でございましたので、大幅にふえているところでございますけれども、ただ、全ての公立学校にというところでは、まだまだでございます。

 このため、平成三十一年度予算案におきましては、市町村の全域にコミュニティースクールを導入しようとする自治体への支援でありますとか、小中学校に比べて学校運営協議会の設置が少なかった高等学校や特別支援学校等への効果的な導入、運営方法に関する調査研究、また、啓発、助言のためのフォーラムの開催やアドバイザーの派遣といった予算を計上しているところでございます。

 こういったものを活用いたしまして、全ての公立学校がコミュニティースクールとなることを目指しまして、必要な支援に取り組んでまいります。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 平成三十一年度の予算を見ても、学校教育活動支援では退職教職員や教師志望の大学生、こういったものをどんどん入れていこう、スクールサポートスタッフもどんどん入れていこう、こういったこともありますので、ぜひ地域との連携をお願いしたいのと、また、部活動に関しても、一番問題が出ているのは、支援に来てくれるのはいいんだけれども、この人は教育方針に合わないとか、断りがなかなか先生方は厳しいという話も聞いております。

 ぜひとも、こういったコミュニティースクールをつくって地域がコントロールするような体制をとれば先生方の負担がより減っていくのかな、そういうふうに思っておりますので、ことしの三十一年の施策を更に進める上でも、まず基盤整備としてのコミュニティースクール推進をお願いできればというふうに思います。

 最後に一点、済みません、時間がなくて恐縮なんですけれども、柴山大臣にぜひエールをいただきたいなと思っております。

 今回も、学校現場における業務改善加速事業という形で、先生方の働き方改革をどんどん進めていこうという話があります。今、部活動も、一生懸命やっていた先生たちがなかなかできないとか、我々が一生懸命やってきたことが間違っていたのかなとか、いろいろ言われるたびに自信をなくしているような先生方がいるんだなと思っております。本当に、大方の先生方は一生懸命子供たちのために頑張っていこうという中で、文部科学省のこういった方針にも何とか対応していこう、その中で頑張っております。

 ぜひとも柴山大臣には、全国の小中学校の先生に、そしてまた私の選挙区を中心に先生方にエールをいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

柴山国務大臣 やはり、現場を預かっている先生方の御負担、そしてさまざまな工夫が極めて重要だというように思っております。

 我々、先ほど申し上げたように、教員の働き方改革も含めて、我々文科省が社会との窓口役となってしっかりとサポートさせていただきたいと思いますし、誇りを持ってお仕事ができるように、またぜひ頑張っていただければと思います。

穂坂分科員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

田野瀬主査 これにて穂坂泰君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)分科員 立憲民主党の森山浩行でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず最初でございますけれども、私の地元にございます百舌鳥・古市古墳群が、多くの皆様の御努力をいただきまして、世界遺産登録、国内推薦にまで至ってきたというようなこと。もちろん、地元、市役所やら市民の皆さんも当然ですけれども、官民を挙げて、そしてまた国会でも多くの先生方に御支援をいただいてきた結果でありますが、これが本番、ことしの夏に向けまして、本登録に向けての活動ということになっております。

 この状況についてお知らせをお願いいたします。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 百舌鳥・古市古墳群につきましては、平成二十九年七月の文化審議会におきまして推薦案件として選定され、平成三十年一月に閣議了解を経てユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出いたしました。昨年九月に世界遺産委員会の諮問機関でございますイコモスによる現地調査が行われまして、今後の審査を経て、本年五月ごろにイコモスの評価結果の勧告が出される予定でございます。この勧告を踏まえまして、本年夏に開催をされる予定の世界遺産委員会におきまして世界遺産登録の可否が決定されることになります。

 文化庁といたしましては、我が国のすばらしい文化遺産を世界遺産に登録できますように、地元の自治体や関係省庁としっかり連携しながら全力を尽くしてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 勧告が五月ということは、今の段階で、こうせい、ああせいというような話は来ていないということでよろしいですか。

中岡政府参考人 今の審査状況につきましてはお知らせすることはできないわけでございますけれども、通例、世界遺産委員会の前のイコモスの審査の段階におきましては、さまざまな照会といいますか御質問を頂戴したり、そういうやりとりは通常あるものでございますので、そういったものが順調に進んでいるということでございます。

森山(浩)分科員 順調に進んでおるという御答弁をいただきました。ありがとうございます。ぜひ、夏に向けてともに頑張ってまいりたいというふうに思います。

 続きまして、小中学校のスマートフォンの持込みについてでございます。

 先日、大阪でスマートフォンの持込みを小中学校において解禁する方向だというような報道が出ました。それにつきまして、各種、賛否両論含めましていろいろな意見がかしましくなってきているところでございますけれども、このスマートフォンの持込みについて、現在の文部科学省の取組あるいは見解、それと、この解禁について大阪でどのような状況にあるのかというような部分についてお知らせください。

永山政府参考人 まず、大阪府の状況です。これはまだガイドラインの素案の段階でございますけれども、簡単にちょっと御紹介したいと思います。

 この素案におきましては、携帯電話、スマートフォンも含めて、の持込みの禁止を、小中学校ですけれども、緩和をする、その一方で、家庭での使用時間は平日三十分、休日六十分を目安とするとか、あるいはフィルタリングを必ず設定する、それから、SNS等に人の悪口や悪意のある内容等いじめにつながるようなことは書き込まない、そういった携帯電話の取扱いに関するルール、それから、その適切な使用について児童生徒それから保護者に条件を課しておりまして、携帯電話の利用に関する問題にも一定の配慮がなされているものと認識をしております。これをこれから紹介をして意見集約するというふうに聞いてございます。

 文科省の方なんですけれども、平成二十一年に通知を発出いたしております。これは、内容としては、小中学校における携帯電話の持込みは原則禁止をするということと、それから学校における情報モラル教育の充実、それからネット上のいじめ等に関する取組の徹底についての周知をしている、そういった通知でございます。

 この適切なルールの設定ですとか情報モラルを身につけるということは大変重要でございますけれども、二十一年に通知を出しましてから、学校を取り巻く社会環境、あるいは児童生徒の状況の変化というのも大きくなってきてございますので、これからさまざまな御意見をしっかりと受けとめながら、この平成二十一年の通知について見直しに係る検討をこれから進めてまいりたいと考えてございます。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 このスマートフォンに関する文部科学省の通達というのは、もう既に大分年月がたっておりますね。当時はそれほどスマホが普及をしているという状況ではなかったかと思います。

 ということで、これについての議論をしなきゃいけないというのは私も理解をするところでありますけれども、しかしながら、先ほど条件をつけてとおっしゃいましたけれども、大阪府の今回の提案の中では、家では三十分にすることとか、フィルタリングソフトを入れることとか、あるいはどのような形のルールにするのかという部分で、何か自分でやることではあっても、学校でチェックしたりとか、あるいは学校で何か線引きをするというのは難しいような話も入っているような感じがいたします。

 それから、どのように情報機器を使うのかという部分の教育については、これは一つ大きな問題として、しっかり教育をしていく。どんな形でやるのか。私もテレビ局出身でして、情報の内容について国がとやかく言うとかいうのはなかなか難しい、やるべきではないというふうな立場でありますけれども、ただ、マナーがあるよね、ルールがあるよねというような部分、これは最近のツイッターやフェイスブックやSNSの書き込みを見ていると大人も大事なんだなという気がいたしますけれども、物、言葉の使い方なども含めて、どのような形が教育としてあるのかという部分。

 また、行き帰りに地震が起こったらどうするんだと。特に大阪については去年地震がありましたので、行き帰りに連絡がつかないのが心配だというような声もお聞きをしております。行き帰りについて必要なのであるならば、じゃ、学校に着いたときに職員室に預けるのか、あるいは教室の前に保管しておくのか。授業中にやらないような、こういう部分の方がルールとしては重要な気がいたします。

 そんなことも含めて、どんなルールをつくっていったらいいのかということを、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。いかがですか。

永山政府参考人 この持込みに関しましては、報道等にもありますけれども、さまざまメリットとデメリット、言われております。

 大阪府の場合には、災害時の緊急の連絡、あるいは防犯といったことを理由に挙げておられるようですけれども、一方で、やはり、保管をどうするかとか、それこそネットいじめにつながらないかとか、盗難の問題だとか、あるいは登下校の際の安全の問題とか、やはりネガティブな面もさまざま指摘をされておりまして、そういったいろいろな御意見をしっかり聞いていくことだろうと思います。

 私ども、二十一年に出した通知の中でも、ネットモラルとかいじめについてはきちんと指摘をしておりますので、そういったことについては、これは今でも十分適用するといいますか、むしろ強調すべき事柄だろうというふうに思ってございます。

 そういったことも含めて、これから考えていくということではないかと思ってございます。

森山(浩)分科員 また、このネットに関しては依存の問題などもございます。授業中も含めて持っている、あるいは昼休み中もずっと手元にあるというようなことになってくると、そういった部分も心配をされますので、いかに扱うかというところ、しっかりと意見を聞いていただきたいと思いますが、大臣、それでよろしいですかね。

柴山国務大臣 先日、この件について私が閣議後会見で申し上げた、ぜひ全文を再度ちょっとチェックをしていただきたいと思います。スマートフォンという言葉を使っておりませんし、また、解禁に向けて検討するというような方向性も出しておりません。まさしく今議員がおっしゃったように、大阪の取組も踏まえて、さまざまな方向から検討を進めるということを申し上げているだけであります。

 ただ、全くさわらなければ、今委員が力説をされた情報リテラシーもずっとそのままだということも、これもまた私は事実だと思いますので、そういうことも踏まえて、どのような普及というか啓発が必要なのかということも含めて、しっかりと検討していきたいと考えております。

森山(浩)分科員 新たな事態でございます。しっかりと今後も議論をしていきたいというふうに思います。

 続きまして、教員の働き方改革関連予算についてということで、今回、多彩な人材の参画による学校の教育力向上ということで、前年度四十八億円だったものが、五十五億円の予算がついております。これについて御説明をお願いいたします。

永山政府参考人 済みません、ちょっと手元に細かい数字はございませんけれども、御指摘いただいている、恐らく、スクールサポートスタッフの件、それから部活動指導員、こういった配置の問題ではないかと思ってございます。

 まず、スクールサポートスタッフでございます。これは、教師の負担軽減を図るということで、学習プリント等の印刷などを教師にかわって行うといった方々なわけなんですけれども、人数として、平成三十年度、三千人、十二億円だったんですけれども、これを三千六百人分、十四億円に増額をしているということでございます。

 それから、部活動指導員ですね。部活動指導員につきましては、平成三十年の四千五百人、五億円から、倍増いたしまして九千人、十億円に拡充をしているということでございます。

 その他、まだあろうかと思いますけれども、とりあえず代表的な二つについて申し上げました。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。済みません、きのういただいた資料からでした。

 スクールサポートスタッフということで、これは昼間の先生のサポートをするんだということでございます。これが、三千人が三千六百人。それから、中学校における部活動指導員が、四千五百人を九千人ということでありますけれども、部活動の先生となってくると、毎日部活はあります、そこへ指導に行こうと思うと、二時間程度の部活の活動のために、毎日そこを縛られることになってまいります。

 もちろん、年金で生活しているよ、あるいは、基本的には家庭でいるんだけれどもその時間だけ行っていいよ、若しくは、大学生でその時間は何とか帰ってこれるよというような人であればいいんですけれども、これを生活の糧として考えていった場合には、なかなかこれだけでは食べていけない上に、ほかの仕事をしにくいなというような事態も考えられるかと思います。

 今の状況だと、九千人ぐらいであれば、全国で募集をしたらすぐ集まるよという話なのかもしれませんけれども、実際これは、部活動指導員をやっていただく方に、昼間、例えばこのスクールサポートスタッフであるとか、あるいは学力向上を目的とした学校教育の支援というような形で、別の枠で、昼間学校で別の仕事をしていただいて、夕方には部活動のサポートをするなどというような形にすると、人を募集するときにも、じゃ、それはフルタイムでこの仕事をできるなというような人も集められるのではないかというふうに思いますが、そういうことは想定をされていますか。

永山政府参考人 御例示いただいたのは、部活動指導員とそれから学力向上を目的とした学校教育活動支援、この二つの事業かと思いますけれども、これらの事業につきましては、特に部活動などで申し上げますと、競技経験のある有識者ですとか、あるいは退職教職員、それからさらに、教師志望の学生さんとかも外部人材ということで活用するといったことは考えられるわけでございます。

 ただ、それほどその単価が高いわけではないということもございますので、おっしゃったような状況というのはあるんだろうと思いますけれども、仮に、これらの事業で考えている方が、部活動指導員とそれから学校教育活動支援、その双方に適性がある方がいらっしゃったとすれば、いろいろな条件が合えば、それは同一の方がその両方に任用されるということは可能ではありますけれども、いずれにしても、単価はそれほど高くない中で、これらの事業で外部人材の方々が事業の報酬等のみをもって生計を立てるということまでもは必ずしも前提としてはいない事業かなというふうには思います。

森山(浩)分科員 ですので、ちょっと、単価設定も含めて、何か、部活動をちゃんとやるんだということを軸とした形で、いろいろな形の雇用形態というのも考えていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 続きまして、文部科学省所管の諸団体に対する国際機関の人材推薦という部分です。

 今回の政府四演説、外交演説の中で、これは特筆するような形で、国際機関に対して日本から人材を送り出していくんだという演説がございました。政府全体で取り組んでいくんだというお話でありました。

 現在、日本がその国力、人口やら、あるいは経済力、また国連の分担金、こういうものに比して、まだまだ国際機関に対する人材派遣が十分ではないという状況に関して、どうやってこれを埋めていくのかというところで、まずはしっかりとこっちから送り出していかなきゃいけないんじゃないかということだと思いますが、この現状について、まずはお聞かせください。

柴山国務大臣 国際社会における日本の存在感を高め、国際的に貢献する観点から、国際機関における日本人職員数をふやしていくことは、私どもも非常に重要なことであると考えております。

 そのため、文部科学省においては、外務省と連携をして、国際機関での活躍が期待される専門家等に対して、国際機関のポストに積極的に応募するよう情報提供をさせていただくとともに、国際機関側にも働きかけて、日本人職員のポストの確保、開拓に努めているところでございます。

 さらに、国際機関で活躍する人材の育成に当たっては、教育において早期からの意識づけが必要であると考えられることから、初等中等教育段階において、国際機関職員による出前授業などの活用について、こういった制度があるんだよと周知をするとともに、スーパーグローバルハイスクールなどの事業を通じて、グローバル社会で活躍する人材の育成に努めているところであります。

 また、高等教育段階においては、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムによる国際機関でのインターンシップを含む海外留学支援ですとか、スーパーグローバル大学創成支援事業などの事業を通じて、国際機関で活躍する人材養成を促進させていただいております。

 確かに、今、いろいろとメニューは、紹介させていただいたとおり、つくってはいるんですけれども、具体的な人数ということでいえば、まだまだだというところがございます。文部科学省としては、引き続き、このような取組を更に拡充をさせていただくことによって国際機関における日本人職員をふやすよう努めていきたい、このように考えております。

森山(浩)分科員 前向きな意思を含めて御答弁をいただきました。

 私も、大学のときに、カンボジアの学校建設に行くというところで、こんな世界があるんだ、そして、我々、日本で本当に恵まれた環境でいるだけで、何とかこれを返していかないかぬなというところが社会活動のスタートでございました。もっと早くから何らかの意識づけがあれば、もっと違う進路もあったななんというようなことも思ったこともありました。そういう意味でも、スーパーグローバルハイスクールを始めとして、早い時期からの意識づけというものに関しては、ぜひ力を入れていっていただきたいなと思います。

 また、国全体としては、今の日本のキャリアのメーンのコース、特に文系の方に行きますと、大学四年間を出ると、そのまま就職をしていく、どこかの組織に入っていく、あるいは資格を取っていく、このような形が多いかと思います。ところが、国連の一定以上のポストというのは、マスター、修士号が要ったり、あるいは、博士が要るんだ、マスターが二つ要るんだ、このようなところが多いという状況になっておりまして、人材、なかなか、その辺にいる人に、じゃ、きょう思い立ったからあしたから行けるよというような話にはなっていないという部分が一つ大きなハードルになっているかなと思います。

 実務経験を積まれた方に、じゃ、社会人からもう一回マスターを取るんだ、あるいは大学に行き直すんだ、逆に、大学でずっと学んできたけれども、国際経験を積んで、そして国連の機関の方に行くんだというような、さまざまなコースがあると思います。特に、文部科学省さんの管轄の中では大学がありますので、その両方に対して後押しをするような仕組みづくり、あるいは呼びかけ、こういったものをぜひ含めて頑張っていただきたいというふうに思いますが、大臣、よろしいでしょうか。

柴山国務大臣 先ほど、トビタテの紹介ですとか、あるいはスーパーグローバル大学創成支援事業などの事業について紹介もさせていただきました。

 今御指摘のとおり、さまざまな、大学院ですとか、あるいは実務を経験をした方でないと、なかなか国際機関に対して応募ができないというようなところもあろうかと思いますので、そういったことも踏まえて、そういった国際機関で活躍する方も育成できるようなプログラムをしっかりと工夫をしていく必要があるのかなというように考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 ほかの分科会でも申し上げましたが、ODAの額自体は年々減ってきておりまして、金をたくさん出している日本というだけの国際貢献というのではなかなか難しい。むしろ、こういう形で、人材を派遣していくなどというような形での貢献というような部分にもしっかり力を入れていっていただきたいというふうに思います。

 さて、次です。

 公立学校の施設の用途変更という部分なんですが、実は、私、市議会に九九年に当選をさせていただいたときから、学校の寺子屋化というのが大事だというふうに主張してまいりました。地域の中で子供が学ぶ、その場所というのは、大人が行き来をする、あるいは村の行事はそこでやる、若しくは、赤ちゃんもいればお年寄りもいる、村の伝統やら町のしきたりやら、そんなことも教えてもらう、そういうたくさんの人が出入りをする場所で、子供たちは総合的に教育を受けていく。悩みがあったら相談する相手もたくさんいる。このような中で、その町や村の文化を含めて継承されてきた部分というのは多いと考えています。

 ところが、明治時代に公立小学校を機械的にというか全国一律につくっていく中で、そういう村や町の社会とは切り離されたところで、先生と生徒だけ、児童だけの空間をつくっていって、何でもかんでも先生が担わなきゃいけない、相談相手も、教えるのも、また教える内容も含めて先生にどんと負担が行く中で、どうしてもこぼれてくる子供たちがいる、また、社会の大人たちの考えていること、あるいは村の伝統なんというのも伝わっていかないというようなことが続いてきたという部分が非常に大きいかと思います。

 かといって、今、じゃ今から寺子屋だといってお寺にそれをお願いをするというようなわけにはまいらない。今、これを取り戻していくには、公立小学校、あるいは公立中学校、こういった部分で継承していくというのが一番大事なことではないかなと思っております。

 以前、廃校を利用するんだという部分につきましては、廃校プロジェクトというような形で、さまざまな活用事例を出していただいています。しかしながら、我々、都市部におきましては、なかなか廃校というには至っていないんだけれども、私は昭和四十六年生まれでして、第二次ベビーブーム、このころに比べて、今、子供の数は半分以下に減っておるというのが現実であります。当時つくった教室がどんどん余ってきているという中で、これをほかに転用する、文部科学省以外の事業に転用するとなると、補助金返せというのが基本になっておったと思うんですが、これを緩和をしてきていただいている中で、今、余裕教室をほかに活用するという事例が生まれてきているかと思います。

 現在の事例を御紹介ください。

平井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近年の児童生徒の減少によりまして、一部の公立小中学校においては余裕教室が生じてきている実態でございます。

 直近の調査によりますと、平成二十九年五月一日現在では、公立小中学校の余裕教室数が八万四百十四室ということで、そのうち九八・五%に当たる七万九千二百十六室が既に活用されている状況でございます。

 具体的な活用事例としましては、まず、学校施設として活用されているものとしましては、学習方法、指導方法の多様化に対応するため、多目的スペースや特別教室、さらには、近年は外国子弟に対する日本語教育の教室や通級指導のための教室として活用されている実態でございます。また、学校以外の施設としての活用としましては、放課後児童クラブや地域の防災用の備蓄倉庫として活用されている事例等々ございます。

 文部科学省では、余裕教室の活用を促進するため、国庫補助を受けて整備された公立小中学校施設を転用する場合、例えば、十年以上使用したものであれば、無償転用の場合については補助金の返還を免除する等々の財産処分手続上の大幅な弾力化を行いながら進めているところでございます。

 また、関係省庁と連携しながら、余裕教室を児童福祉施設や高齢者福祉施設へ等、幅広い活用事例を掲載しましたパンフレットを作成するなどして、各地方公共団体の取組を支援しているところでございます。

 今後とも、地方公共団体の創意工夫により余裕教室が有効に活用されるよう支援してまいりたいと思います。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 いただいた余裕教室の活用事例というのにおきましては、例えば保育所への転用、大阪府豊中市ですけれども、小学校内に設置したことにより園児と児童の触れ合いの機会が生まれて、有効な整備であったと考えますというような御感想もいただいたりしておるわけです。

 やはり人と人とがいろいろな形で出会うというのが非常に大事で、また、特に近年、災害等のときにも、小学校単位、中学校単位での動きというのが基本になってくるかと思います。岡山の豪雨災害におきましては、中学校が避難所になって、そこで中学生たちが大活躍をしたような話も伝わっておりますが、これなんかも、小学校、中学校の中で閉じているならば、避難訓練というのは先生と生徒がどう逃げるかというところにとどまるわけですが、ふだん、たくさんの大人たちがそこにかかわっているならば、じゃ避難所運営どうしようか、じゃ子供たち同士でどうやって助け合うのか、こういったことも含めて、広い視野で物事を考えていけるようになっていくのではないかと思います。

 そういった意味で、いろいろなことを総合的に学ぶ場を、公立の学校として、まさに生きる力、子供たちにしっかりと伝えていくべきことを総合的に伝えていく場所として考えた上で、整備を進めていただきたいというふうに思います。

 最後、大臣、それでよろしくお願いいたします。

柴山国務大臣 今答弁をさせていただいたとおりでありまして、今後とも、地方公共団体が学校や地域のニーズに合わせて公立小中学校の余裕教室を有効に活用できるよう、私どもとして、さまざまな工夫をしていきたいと思いますし、支援をしてまいりたいというように考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございました。

 まさに地域主権、地方分権、その地域でどう活用したらいいのかというのをしっかりと提案をしていただいたらそれをバックアップしていくよというような文部科学省であっていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて森山浩行君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤洋明君。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。自由民主党の斎藤洋明です。きょうは、長丁場、大変お疲れさまでございます。

 それでは、早速質問させていただきたいと思います。

 まず、教員の働き方改革ということについて、非常に重大な関心を持っております。まず第一番目に、部活指導の外部化を進めるべきだと考えておりますが、御所見をお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 部活動につきましては、教師の勤務負担の軽減やあるいは生徒への指導の充実の観点から、活動時間の抑制ということは重要だと考えておりますし、それから、顧問について、学校の教育方針を共有した上で、学校職員として実技指導等を行う部活動指導員や外部人材に積極的に参画していただくことが重要だと考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、運動部活動それから文化部活動のあり方に関するガイドラインも作成をいたしまして、各自治体等に対して、適切な休養日あるいは練習時間の設定、遵守等を求めるとともに、ガイドラインの遵守を条件として、部活動指導員の配置を補助する事業について今年度から新たに開始し、平成三十一年度予算案では員数の倍増を計上しているところでございます。

 その上で、外部化というお話がございましたけれども、一月の学校における働き方改革に関する中教審の答申にありますように、地方公共団体や教育委員会において、地域で部活動にかわり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進めて、環境を整えた上で、将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にして、学校以外が担うことも積極的に進めることが適当というふうに考えております。

 文科省としては、次年度の部活動指導員の配置事業を地方公共団体が活用する際にも、地域それぞれで部活動にかわり得る体制を整える取組を進めるための検討体制の設置を求めるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 あわせてお伺いしたいのですが、個々の保護者の対応ですとかあるいはPTAの対応、これも教員の大きな負担になっていると認識をしております。教職員をしっかり加配をしていただいて、渉外担当者というものを設けていただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 校長あるいは教頭、教諭といった公立小中学校の基幹的な職員の給与の三分の一を国が負担する義務教育費国庫負担制度がありますけれども、その枠組みの中で、法律でいいますと義務標準法ということになりますけれども、義務標準法に基づいて、児童生徒数等から算定される基礎定数とは別に、今御指摘のありました加配定数というのが措置をされております。

 この加配定数なんですけれども、基本的には、少人数指導などの学習指導の充実ですとか、いじめ対応などの生徒指導の強化、あるいは先導的な調査研究など、個別の学校の状況に応じて、子供たちの学びや生活を支えるために特に教職員を追加して配置して支援をするというようなものでございまして、保護者あるいはPTA対応のための加配ということにつきましては、現行制度上ではできない仕組みになってございます。

 他方、加配定数をまた活用しまして、主幹教諭の配置促進、これは可能でございますし、それから、学校共同事務化などを行うことによりまして学校全体の機能強化を図る、それからコミュニティースクールというものを促進をする、そういったことで学校と保護者の円滑な連携の確立に努めてまいりたい、こういうことは可能でありますし、進めてまいる必要があると思ってございます。

斎藤(洋)分科員 渉外ということが非常に業務の中で大きなウエートを占めているのではないかということを感じていまして、ぜひ、この渉外業務ができる職員の加配ということを今後御検討いただきたいと思っております。

 PTAのお話で関連しまして、PTAのあり方につきましても、いろいろな議論がなされておりますけれども、PTAでやるべきこと、やらなくていいことというのをぜひ政府としてもしっかり整理を示すべきではないかと考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 PTAは、児童生徒の健やかな育成のために保護者と教師がみずから組織する団体でございます。学校、家庭、地域の連携を強化していく上でも重要な役割が期待されているところでございます。

 特に、学校における働き方改革を進めるに当たりましては、地域と学校の連携、協働のもとで、幅広い地域住民等とともに、地域全体で子供の成長を支えるという考え方が大事でありますので、PTAに期待される役割は非常に大きいところでございます。PTAは、学校、地域と役割分担等を話し合い、共通理解を得つつ、活動の充実を進めていただきたいと考えております。

 ただ、一方で、PTA自身としても、真に必要な活動の取捨選択、運営の効率化など、改善を図ることが必要な場合もございます。実際、活動の見直しとか組織のスリム化等を推進することで効果的なPTA活動を実現しているといった例も聞いているところでございますので、文部科学省としては、PTA活動の円滑な実施に資するよう、地域におけるこういったすぐれた事例を集めて周知するといったところを努めていきたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 PTAにつきましては、自由参加というか自主的な組織であるがゆえの難しさというのもかえってありまして、つまり、今まで先輩たちがやってきたことを自分たちの代で見直すというのは非常に勇気の要ることであります。

 そこで、やらなくてもいいことという言い方が適切かどうかわかりませんが、優先度といったものを政府なりが示すことで議論を始めるきっかけにもなると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思っています。

 私個人の見聞きした範囲で一つだけ紹介しますと、例えば、二十人の親御さんが集まって、延べ二時間、商品についているポイントがつくマーク、名称は申し上げませんが、それの切り抜きをやったというのを拝見して、仮に時給千円で計算すれば四万円相当の労務を使って、数千円分のポイントをみんなで集めましたというようなこともあります。それがいいとか悪いとかじゃないんですけれども、ぜひ、棚卸しをするきっかけになるような何か御提言を将来いただければ大変ありがたいなと思っています。

 次に、また教員の負担軽減のことでもう一つ問題意識を持っていることがありまして、書類作成とかがどうしても大変だという声をよく伺います。その中で、調査物、それから統計のためのアンケート、これは国からも来るし、県からも来るし、それから市からも来るしという場合がありますということを言われることがあります。

 これは、当然それぞれの政策目的があってやっているわけなんですけれども、質問項目が共通するようなものにつきましては整理ということができないか、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 御指摘のとおり、教員の負担軽減を考える場合には、この調査物、統計物への回答に要する時間、労力というのは非常に重要なポイントではなかろうかというふうに思います。これが減ることによって相当な負担軽減になるということも聞いてございます。

 文科省におきましても、これまで調査の廃止ですとか、頻度あるいは時期、項目等の見直しを行ってきておりまして、平成十九年度以降で御紹介しますと、定期的な調査については三十四件から二十六件に、それから、このうち毎年実施する悉皆調査は二十三件から十一件にそれぞれ削減をしてきているところでございます。

 また、これらの調査結果については、ホームページなどで広く公表して情報共有を図っておりまして、都道府県あるいは市区町村において活用でき、まさにおっしゃった、重複した調査が行われることがないような、そういった取組も進めているところでございます。

 こういった取組につきましては、文科省だけということではなくて、もちろん、都道府県、市区町村、関係機関におかれても一丸となって取り組むということは大変大事だと思いますので、文科省といたしましても、こうした取組が広く実施されるように働きかけるとともに、好事例の横展開を図るなど、教師の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ぜひ引き続き取組をお願いしたいと思います。

 もう一点、我が県で、少子化で学級の規模が非常に小さくなっています。それで、三十五人学級という政策提言が昔からあるわけですが、事実上、三十五人学級化が進みつつあるという事実上の状態があります。これは、高校ですと県ですし、また、それ以下ですと市町村がお決めになることなんですが、仮に、じゃ、もうこういう状況なんで、もう少し加配をして、事実上の三十五人学級化を推進しようかという話になった場合に、国として御支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

永山政府参考人 御案内のとおり、今、国が定める公立小中学校の学級編制の標準でいいますと、小学校の一年生は三十五人学級ですけれども、小学校第二学年から中学校三年生までは四十人学級ということになっております。

 この国の標準のもとで、各教育委員会や指定都市の教育委員会において、国の加配教員等も活用しながら、平成三十年度は六十三の都道府県・指定都市が独自の少人数学級に取り組んでおりまして、これもそれぞれの地域の状況を踏まえた一つの創意工夫ではなかろうかというふうに思っております。

 なお、国の学級編制の標準のあり方につきましては、平成二十三年の義務標準法改正の附則において、「小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。」とされていることも踏まえまして、今後とも、国として、教育政策に関する実証研究等の知見を生かした必要な検討を行ってまいりたいと思っております。

 引き続き、教育の質の向上を図るとともに、学校における働き方改革の観点を踏まえつつ、学校における指導体制の効果的な強化充実に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 一点だけ申し上げておきたいんですが、一年生のときは三十五人で、二年生のときは四十人ということで、二年生の壁というような言葉が現場にはあります。一年生に比べて二年生が簡単だということはやはりなくて、そういったことも踏まえて、ぜひ今後とも御検討をお願いしたいと思います。

 いじめの認知件数につきまして、ちょっと一点お伺いをしたいと思います。

 いじめの認知件数、これは各都道府県によって、御案内のとおり、差があります。これは、いじめは積極的に認知してほしいという文部科学省からの方針もありまして、努力していただいている県はやはり多くなります。多くなるんですけれども、報道のされ方を見ますと、残念ながら、まだ、いじめ認知件数と言ってもらえればいいんですが、いじめが多い県と少ない県ととられかねないような報道のされ方をされている場合もあります。

 これは、公表方法をぜひ工夫していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

永山政府参考人 直近ですと、平成二十九年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果というのがございますけれども、その中で、いじめの認知件数は約四十一万四千件、前年度比で約三割増と大幅にふえておりました。あわせて、都道府県別の認知件数も把握をしておりまして、御指摘のとおり、一番多い県と一番少ない県では相当な差があった。しかも、これは棒グラフで示しておりましたので、一目瞭然という形になっておったわけでございます。

 一方で、私どもとしましては、いじめの認知件数が多い学校について、いじめの初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けて取組のスタートラインに立っていると極めて肯定的に評価をしている。逆に、いじめを認知していない学校、これも四分の一ぐらいあるんですけれども、真にいじめを根絶できている場合も存在するであろうが、解決に向けた対策が何らとられることなく放置されたいじめが多数潜在する場合もあると懸念している。こういったことも示しているわけでございまして、三十年十二月、昨年十二月に発出した通知におきましても、いじめの認知件数が多かった府県の取組を具体的に示して、他の地域における積極的な認知の推進をお願いしているところであります。

 文科省としては、いじめの積極的な認知を推進するため、認知件数の少ない都道府県・指定都市も含めて、引き続き、各教育委員会に職員を派遣して説明会を実施するなど、いじめの正確な認知を行うよう指導してまいりたいと考えております。

 それから、御指摘のあった、いじめの認知件数の公表の仕方につきましても、いじめの積極的な認知に対して文科省が肯定的に捉えている姿勢がより伝わりやすい資料となるような工夫をしてまいりたいと考えております。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

斎藤(洋)分科員 ぜひ、工夫をお願いします。

 私立学校への助成につきまして、私立学校への経常費助成国庫補助金、これはぜひ増額していただきたいと思っておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 私立学校は、高等学校で三割、大学等で七割を超える学生生徒が在学し、我が国の学校教育において重要な役割を果たしているというふうに認識しております。

 私学助成は、こうした私立学校が果たす役割の重要性に鑑みて、教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、私立学校の健全な発達に資することを目的とされており、私立学校振興に大きな役割を果たしているものと認識しているところでございます。

 そのため、文部科学省では、二〇一九年度予算案におきまして、私立大学等経常費補助を対前年度比五億円増の三千百五十九億円、私立高等学校等経常費助成費等補助を対前年度十億円増の一千三十一億円、それぞれ計上しているところでございます。

 今後とも、私学助成を通じて、我が国の学校教育の発展に重要な役割を果たしている私立学校の一層の振興に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ぜひお願いします。

 例えば、親御さんに子供さんを私立学校にやった理由を聞きますと、環境の変化ということについてちょっと心配があったもので、担任の先生がかわらないということで私立高校を選択したというふうな話があって、ぜいたく品ではないということですので、ぜひ、引き続き私立への助成、力を入れていただきたいと思います。

 続きまして、高等教育関連でお伺いをしたいと思います。

 まず、国立大学の運営費交付金のことですけれども、競争的な資金の配分の方法も取り入れられていますけれども、大学経営というのは長期的、戦略的にやらなければいけないものだと思っておりますので、競争的な配分の割合はちょっと抑えて、かつ、金額も、一旦決定したらある程度は長期的に配分していただきたいと考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、二〇一九年度予算案につきましては、法人化のメリットを生かした一層の経営改革を推進するといった観点から、客観的な成果指標に基づく新たな資源配分の仕組みを導入することにいたしました。

 この評価に基づく資源配分につきましては、改革インセンティブの向上と、それから、御指摘いただいたように、教育研究の安定性、継続性といったこととのバランスが必要であるというふうに認識しております。

 今回の仕組みの導入に当たっては、既に評価対象となっていた経費を新しい仕組みの経費の中に盛り込むことで、評価対象となる経費が全体として大きく増加しないようにしつつ、評価に基づき変動する幅を、来年度においては各大学の評価対象経費の九〇%から一一〇%の間に設定することとしたわけでございます。

 評価に基づく配分の割合を過度に高めると、長期的、戦略的な大学経営を困難にするという御指摘があることは承知しているところでございまして、我々といたしましても、国立大学協会を始めとした関係者とも十分に議論を重ねて、教育研究の継続性、安定性に配慮しつつ、一方で大学改革をしっかり進めていく、そういう環境を整えていきたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 大学改革というお話もありましたが、ぜひ、長期的視野を持って取り組んでいただきたいと思っております。

 本日は教育分野で質問しておりますが、教育は政策の分野として非常に難しいのは、一つは、評価指標が極めて多様であるということがあると思います。たくさん年収を稼ぐ人を輩出することが成果なのか、それとも豊かな教養で地域のリーダーになる人を育成したのが教育の成果なのかということもありますし、もう一つ、時間軸も相当長く見ないと、真によかったことなのかどうなのか。カリキュラムの見直しは、かつてゆとり教育と言われて批判をされたことがありますけれども、この期間に養成された学生の学力はむしろ高いのではないかという研究もあります。ですので、ぜひちょっと長期的視野で取り組んでいただければ大変ありがたいと思います。

 あと、高等教育関連で何点か通告しているんですが、ちょっと残り時間との関係もございまして、一点、科学研究の分野で質問したいと思います。基礎研究です。

 というのは、応用研究にどういうふうに予算を入れていくかという議論が非常に多いんですけれども、我が国の科学研究の水準を高めるためには基礎研究が不可欠であると考えております。国として基礎研究の投資をしっかりやるべきではないかと考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 基礎研究は、御指摘のとおり、社会のイノベーションの源泉となるシーズを生み出すとともに、新たな知的、文化的価値を創造することによって未来を切り開く役割を担う大変重要なものだというふうに考えてございます。

 文部科学省ではこれまでも、基礎研究の振興を図るために、継続的、安定的な研究活動のための基盤的経費の確保に加えまして、科学研究費助成事業、いわゆる科研費を通じた継続的な支援、あるいは、世界最高水準の成果を生み出すため、戦略的な基礎研究の推進、例えばCRESTですとかさきがけといったプログラムを含みます戦略的創造研究推進事業がこれに当たります。それから、世界じゅうから第一線の研究者が集まる世界トップレベル研究拠点の形成、いわゆるWPIのプロジェクト等の取組を進めてきたところであります。

 例えば、特に科研費につきましては、二〇一八年度第二次補正予算において五十億円、また、二〇一九年度予算案においても、対二〇一八年度当初から比較しますと八十六億円増となる二千三百七十二億円を計上しており、こうしたことを通じまして、引き続きしっかりと基礎研究の振興に取り組んでまいります。

斎藤(洋)分科員 ぜひよろしくお願いします。

 もちろん応用研究も大事なんですけれども、やはり基礎研究がしっかりしていないと国のサイエンスの水準全体が下がってしまうので、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。

 例えば、医学部の大学院を見てみますと、今、バイオの分野が応用研究で非常に盛んで、大学院に入ってくる人に医学の学位を持っている人が余り多くなくて、生物学の学生がすごく大量に入ってきているというような話があります。もちろんそれもいいことなんですけれども、それぞれの学術分野で基礎研究をしっかりやっていただかないと裾野が広がっていきませんので、ぜひ、基礎研究への投資を引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思っております。

 あと、ちょっと質問する時間がなくなってしまったんですが、若手、中堅の研究者への支援もぜひお願いしたいと思っています。どの研究者のどの研究が花開くかというのはその時点ではわからないものでありまして、である以上は、ある程度均等に、若手、中堅の研究者に幅広く支援を行うしかないというのがサイエンスの分野ですので、ぜひしっかり投資をしていただきたいと思っています。

 次に、奨学金のことについて一点お伺いしたいと思います。

 給付型奨学金、今どういうふうにやっていくかということが注目されていますけれども、貸与型奨学金もそれと同じぐらい大事だと思っておりますが、この貸与型奨学金制度をしっかりと今後も存続させていくということについて、見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまでも奨学金制度の充実は年々努めてきたわけでございます。平成二十九年度には、給付型奨学金制度を創設したほか、無利子奨学金の貸与人員を増員し、受給資格がありながら予算上の制約から貸与を受けられなかったいわゆる残存適格者を解消するとともに、低所得世帯の子供たちに係る成績基準の実質的撤廃を行ったところでございます。

 平成三十一年度予算案においても、その着実な実施に必要な額を計上しているところでございます。

 また、卒業後の所得に連動して返還月額が決定され、所得が低くても無理のない返還が可能な所得連動返還型の奨学金制度の無利子奨学金制度への導入や、奨学金の返還猶予、減額返還制度により、返還負担の軽減にも努めてきたところでございます。

 今御指摘いただきました、二〇二〇年度より、真に支援が必要な低所得世帯の子供たちに対しては授業料減免と給付型奨学金の拡充を行うということで、関係の法案を国会に提出させていただいているところでございますが、その対象外となる世帯に対しましても、引き続き、貸与型奨学金による支援を着実に実施してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ぜひよろしくお願いします。

 一点、スーパーグローバルハイスクールの取組について質問したいと思います。

 我が国から外国に留学する学生の数が減っているということを指摘されておりますので、このスーパーグローバルハイスクールの取組は非常に重要だと思っておりますが、どういう成果を特に期待しておられるか、お伺いしたいと思います。

永山政府参考人 スーパーグローバルハイスクールでございますけれども、社会の持続的な発展を牽引するために、高等学校の段階から、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図ることを目的として実施いたしております。

 このスーパーグローバルハイスクールにおきましては、社会課題に関する関心と深い教養、それからコミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身につけることを期待いたしておるところでございます。

 平成三十年度に実施いたしました事業検証の調査結果を見ますと、将来留学したり仕事で国際的に活躍したいと考える生徒は約六割に達するということで、取組の成果も出ているというふうに考えております。

 今後とも、本事業のさらなる成果の向上に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ぜひ引き続きよろしくお願いします。

 我が県からは新潟県立国際情報高等学校が採択をいただきまして、非常に特色ある取組をやっていただいていると承知をしております。ぜひ引き続きよろしくお願いします。

 最後に、学校施設の改修についてお伺いしたいと思います。

 学校のトイレ改修、それから長寿命化対策、これはエアコンでしっかり取り組んでいただいておりますけれども、それ以外にも、こういった課題、非常に多くのニーズがあります。

 予算をぜひ引き続き確保していただいて、各学校、御支援をお願いしたいと思っておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

平井政府参考人 お答えいたします。

 学校施設は、子供たちが一日の多くを過ごす学習の場であり、安全、安心で適切な学習環境を確保することは重要であると考えてございます。

 このため、学校施設の安全に係る強靱化を図る緊急性の高い事業や、計画的に教育環境の改善を図るための事業に対応するため、各自治体からの要望を踏まえ、二〇一八年度第二次補正予算としては三百七十二億円を確保するとともに、二〇一九年の当初予算案では一千六百八億円を計上しているところでございます。

 今後とも、各自治体が計画的な整備が行えるよう、必要な予算の確保に努めてまいります。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 私の地元でも、例えば五泉市、五泉南小学校、橋田小学校、大蒲原小学校、村松幼稚園、それから阿賀野市からも京ケ瀬小学校、安田中学校と、たくさんニーズがありますので、ぜひとも、ほかの学校と同じように御支援をお願いしたいと思っています。

 特に、最後に一点、トイレ改修、これは非常に大事だと思っていまして、今の子供たちは洋式トイレで育っていますので、学校のトイレが嫌だ、学校のトイレで用を足したくないという子供が非常にいて、健康を害しているという実態があると思います。

 それからもう一つ、手洗い場がきれいでありますと、みんな喜んで手を洗うんですね。手を洗うところを改修したことによってインフルエンザの発生件数が減ったというような取組も報告されておりますし、ぜひ、子供たちのためにきれいな水回りを整備していただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山周平君。

青山(周)分科員 自民党の青山周平です。

 本日は、予算委員会の第四分科会、質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 今月の五日に繰上げ当選をいただきまして、ついこの間国会に戻らせていただきました。

 もちろん、柴山大臣に御質問させていただくのは今期初ということになりますし、この国会において、繰上げ当選以降、初めての質問ということなので、緊張感を持って御質問させていただきたいと思っております。

 落選中のことでありますが、国会から離れて、この国会を報道などで見ておりました。さきの選挙戦で自民党が政権公約で掲げた各種政策を本当にスピード感を持って推進しているということで、本当に大変心強く感じております。

 特に、教育費に対する負担軽減に関しては、消費税の一〇%の導入に合わせてということで、着実に進んできているということ、長年、党の文部科学部会ですとか委員会ですとか、いろいろな場所で無償化に向けて積み上げられた議論でありましたが、今まさに実現を目前にしているということで、本当に大変感慨深く思っております。

 まず、大臣に御質問させていただきます。

 柴山イニシアティブ、私も二月五日に上がってきて初めて読ませていただいて、きのう説明をいただきました。今まで、横串というか、トータルのパッケージで高等教育をどうしていこうかというところに、本当にすばらしい指針、方針を定めていただいたというふうに思っております。

 まずは、大臣のこのイニシアティブにかける意気込みをお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 青山議員が国会の場に戻ってきていただいて、更にこれから飛躍をされることを心から期待をしております。

 今後、より一層少子高齢化やグローバル化が進展するとともに、一部我が国の大学生の学習時間の短さが指摘されるような状況の中で、ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学等の改革が急務であると考えております。

 このため、国の責任において、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保する一方で、高等教育、研究機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を車の両輪として徹底することにより、教育、研究、ガバナンス改革をばらばらにではなく一体的に進めるためのパッケージを柴山イニシアティブとして取りまとめ、二月一日に発表させていただいたところであります。

 この改革を実行するため、文部科学省では、今国会に、真に支援が必要な低所得世帯の高等教育機関へのアクセス機会確保につなげる、大学等における修学の支援に関する法律案と、進学先である大学の教育の質保証や教育研究基盤・ガバナンス改革等を後押しする、学校教育法等の一部を改正する法律案を提出するとともに、永岡副大臣を座長とした研究力向上加速タスクフォースを設置し、我が国の研究人材、資金、環境の観点から具体的方策の検討に着手したところです。

 私としては、文部科学大臣として、何としてでもこの一体改革をなし遂げ、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに、最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍を促進してまいりたいと考えております。

青山(周)分科員 ありがとうございます。

 午前中からこの委員会を院内のインターネットで見させていただきますと、この柴山イニシアティブを聞かれる方が大変多くて、それはひとえに大学改革に対する委員の皆さんの期待が込められているんだ、そんなことを感じております。

 特に、手厚い支援と厳格な評価というところで、今回、高等教育機関へのアクセスの確保というところに、今後、七千億円以上の大きなお金を使ってそこに力を注いでいくという中で、学生にも厳しい要件を課すし、大学にもしっかりと改革に取り組んでもらう、ここは非常に重要なところだと思いますし、これをやることによって、やっとこの消費増税財源、お金が生きてくるんだというふうに実感をいたしております。

 大臣には、引き続きといいますか、これからでありますが、改革に邁進していただきたい。しっかり今後応援させていただきたいと思っております。

 経済的な理由で大学に行けない子たちが行けるということは本当にいいことであります。チャンスに恵まれるということ、また人材も幅広く登用できるということ、すばらしいことだと思っております。このことはしっかり進めていただきたいと思っております。

 このたび、予算案で科学研究費助成事業、通称科研費ですね、これも質問でよく出てきていると思うんですが、本当に御努力で八十六億円増の二千三百七十二億円というお金が計上されております。

 予算増に関しては、もうすばらしいことで、大いに評価できるんですが、無償化予算は七千億円なんですね。将来の科学技術に戦略的に投資していく科研費はすごく重要だと思うんですが、優秀な人材を育成して、大学も改革したんだけれども、研究するのにお金が全く足りないということではいけない。

 今、全く足りないということではないと思うんですが、以前から、例えばアメリカですとか、特に中国は飛躍的に科学技術の研究費を伸ばしてきている。そういう他国に比べて、将来日本も追いついていくような、八十六億円増はすばらしいことなんですが、更に推進をしていっていただきたいというのが私の思いであります。

 以前、前回、いるときに、文部科学部会の中でも、教育国債だとか、教育は投資なんだ、将来、費用対効果も高い、その子たちが育って成長したときに返ってくるお金も高い、そういう議論も党内でしたことがありました。

 科学技術予算も全く同じで、科学技術に投資することによって将来必ず国に返ってくる、そういうお金だと思っておりますので、これからの課題として、何とかこの科学技術予算、しっかりと増額に向けて動いていっていただきたい。これは本当に願望でありますが、大臣からお考えをお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 今議員が御指摘になられたとおり、我が国の科学力を強化するために、国力の源である学術研究を担う若手研究者の育成、確保を進めていくためにも、研究費の充実を通じた支援が極めて重要であると思います。

 そういう観点から、確かに増額ではあるけれども不十分ではないかという御指摘はいただきながらも、若手研究者を対象とした若手研究の新規対策を、大幅増加をこの科研費においてさせるということなど、我が国の研究力向上に向けた科研費改革を着実に推進していきたいと思います。

 ただ、この科研費の増加ということだけが若手研究者の財源ではないわけでありまして、先ほど、永岡副大臣を座長とした研究力向上加速タスクフォースにおいて、いかに資金の確保を、例えば産学連携の強化ということをどのようにやっていくか、また、しっかりと、組織対組織において、海外への留学も含めて支援をしていくかというような幅広い観点で力を入れていきたいというように考えております。

青山(周)分科員 ありがとうございました。

 本当に、ここに関しても、柴山イニシアティブ、厳しい評価をしながら、しっかりと大切なお金を使っていく、そういうことで、それをしなければやはり予算を伸ばすことというのはできないというふうに思いますので、ぜひ強力なお力で進めていっていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、話題は随分かわりますが、全世代型社会保障の中の幼児教育の無償化に関して質問させていただきたいと思います。

 高等教育無償化に関しては、今の話でありますが、来年度以降、整備をして進めていく、高等教育の無償化といいますかアクセスの確保に関しては、この後、来年度以降ということでありますが、幼児教育に関してはもうことしの十月からスタートということで準備が進んでいることと思います。

 私、以前から問題意識を持ってこの無償化に取り組んでまいりました。実はこの一年四カ月の間というのは本当に劇的な変化で、その前までは、いつ質問しても、幼児教育の無償化に向けた段階的な取組と。この段階というのは、どこまでいったら無償化に到達するんだろう、随分長い道のりだなと思っていたら、これは平成二十九年、新しい経済政策パッケージの閣議決定、ここを皮切りに、選挙公約でもありました、急速に無償化の道が開かれていった。本当に、この期間で、帰ってきたら、もう無償化をどのように進めるかという段階に至っている。このスピード感と変化に本当に感慨深いものがあります。

 その当時から、私、この無償化に関しては、運用もすごく大事だというふうに認識をしてきました。どのように無償化していくのかというところが重要、特に、ここは文部科学なので、旧制度に残ったままの私学助成の私立幼稚園に関して問題が残っているのではないかというふうに思っております。

 それについてちょっと質問させていただきたいのですが、二十七年に子ども・子育て支援新制度がスタートしました。ちょっとこれは質問通告しておりませんでしたが、旧制度から新制度に変わるとき、一番苦労したのは私学助成の私立幼稚園であったと思います。制度が私学助成から公定価格に変わったわけで、劇的な変化だったと思うんです。

 二十七年から、今、二十八年、二十九年、三十年と、ことし三十年度で、どれぐらいの旧私立幼稚園が新制度に移行したかというところ、おわかりでしたらちょっとお答えいただきたいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元にございます数字で恐縮でございますけれども、全体で約半分程度の私立幼稚園が新制度に移行したというデータを今持っておりまして、三千八百十二園が、二〇一五年度以降、新制度に移行したというふうに承知をしております。

青山(周)分科員 ありがとうございます。

 これは多いのか少ないのかというのはちょっとわかりませんが、当初、パーセンテージが高かったと思うんですが、この一年ぐらいちょっと減速ぎみなのでしょうか、ちょっと間違った認識もあるようなところがあって、私学助成の幼稚園から公定価格、要するに新制度に入ると、何となく、幼稚園ではなくて保育園と一緒だみたいな、そういう考え方が私立の幼稚園の中に少しあったような気がいたしております。それとともに、制度ががらっと変わるので、今までの経営方針のままやっていくというところ、もうこのままいこうという決心をしているところも多いと思いますが、半分というのはそういう数字なのかなというふうに感じております。ただ、まだ半分移行していないわけであります。

 以前もお伺いをいたしましたが、新制度にどんどん加入してくれ、旧制度に残っていたらもうすぐなくなるよということはしないということを以前からお伺いをいたしておりますが、これは無償化に向けて、財源は、多分これは内閣府といいますか、そちらの財源、消費増税分の財源になると思うんですけれども、そういった誘導は、無償化になったとしても、継続して私学助成のまま文部科学省の管轄で私立幼稚園ができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立幼稚園の、子ども・子育て支援新制度へ移行するかどうかということにつきましては、これは事業者におきまして、新制度における財政支援、また運営上の要件などを総合的に勘案して判断をしていただくということは変わりないところでございます。

青山(周)分科員 ありがとうございます。

 先日、資料をいただいてといいますか、平成三十年の十二月の三日、教育無償化に関する国と地方の協議の中で、幼児教育無償化に係る国・地方の負担割合の基本的な考え方というところが出されておりました。これは、私、どうなるのかなと思っておりました。

 実は、これまで就園奨励費補助金、旧制度の幼稚園は、国が三分の一、市町村が三分の二の財源負担をしていたんですね。これが今回、一応まだこれは検討中ということでありますが、国二分の一、県四分の一、市町村四分の一というふうに財源の分担が変わる。

 これは、このままいっていたら、市町村は、私立の幼稚園を抱えると持ち出しが大きくなってしまうので、何となく、そういう変更しなきゃいけない圧力が働くんじゃないかということを感じておりましたら、新制度の園と全く同じように、二分の一、四分の一、四分の一という形にしていただいた。ここはすごくありがたいと思いますので、ぜひ検討いただき、そのようにしていっていただきたいと思っております。

 次に、幼児教育、今回の無償化に当たって、一つだけ取り残されているところがあるとするならば、二月十二日の、これも閣議決定だったと思いますが、無認可の保育園に関しては、要するに二号認定に関しては補助がおりる、これはすばらしいことだと思うんですが、一号認定でも二号認定でもない幼児教育施設、これは実は日本全国、必ず知っているところがあると思うんです。私の地元にもあります、山の中でやっているところなんですけれども。ほとんど、PTAというか保護者がその協議会のようになって、みんなでお金を出し合って施設をつくったりしながら、認可もされずにやっている教育機関、そういったところが存在をいたしております。そこを認定していただかなくて、ほかのところは全部ただになって、そこだけ残ってしまうというのは、本当に存続の危機が訪れると思っております。

 ここに関して、文科省としてどのように取り組んでいくかというか、認定はすごく難しいと思うんですが、取組を教えていただければと思います。

永山政府参考人 まず、今般法案で決まりました無償化の対象施設という観点で申し上げますと、その対象範囲といたしましては、法律により、幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としながら、御指摘ありました、待機児童問題により認可保育所に入りたくても入れない方もいらっしゃるということから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象とはなるわけでございます。

 ただし、いわゆる幼児教育類似施設ですね、幼稚園ではない、保育所でもない、類似施設につきましては、これは法令上の定めとか基準が一切ない、形態も多種多様だということで、一律にこれを無償化の対象とするということは、これはもう困難だということで法律上は外れているわけでございますが、一方で、そういった施設の中には、地域や保護者のニーズに応えて重要な役割を果たしているものもあるというふうに承知をいたしておりますし、保育の必要性がある子供については、認可外保育施設ということで届出をしていただければその子供は無償化になるわけですが、保育の必要性のない子供の保護者負担軽減のあり方につきましては、まずは各自治体が主体的に御判断いただく、御検討いただくということではないかというふうに考えております。

 ただし、今般の無償化というのは、この自治体独自の取組と相まって、子育て支援の充実につなげていくということも重要でありますので、そういった施設について、今、関係府省と少し連携をしながら、国と地方が協力して何らかの支援ができないかという形での議論をしているという最中でございます。

青山(周)分科員 ありがとうございます。

 本当に、前向きな取組をいただくということは大変勇気になると思います。ぜひ進めていただきたいんですが、検討に当たって、多分、問題はさまざまあると思うんです。

 要するに、認定をしないわけですので、普通の塾みたいなところはどうなるのかとか、もっと特殊な例を挙げたら、幼児教育、幼稚園の施設は基本的に四時間の保育を基本にしておりますので、朝八時から十二時までやって、一時から五時までやったら、両方で無償化になるのかとか、どういうことが起きるかわからないところでもありますので、ぜひ慎重な検討をいただいて、ある程度の線引きをつくっていただいて、誰が見てもこれは他の幼稚園若しくは保育所と同じような保育をしているというところを抽出しながら、ぜひともそういったところにも支援の手を差し伸べていただきたいというふうに思っております。

 次に、これも無償化になったときに重要な問題だと思うんですが、利用料の支給方法に関してお伺いをしたいと思います。

 今まで、幼稚園の就園奨励費補助制度というのは、ほとんどが償還払いというんでしょうか、年度末に一回のところが多いと思うんですけれども、多いところで年に二回というところもあるとお伺いしました。また、この間お話を聞いたところ、約九割が償還払いをしているというお話でありました。

 授業料を軽減するために補助を出しているんだけれども、年度末に一括に還付されてくると、授業料の負担軽減という感覚になかなかならないと思います。もちろん、事務的な問題もあるわけです。所得に応じて就園奨励費補助金の額は決まってきますので、六月の市町村民税の確定が出ないとそこから事務手続ができない。ですので、補助をする金額が決まるのが遅いわけですね。そうなってくると、国からの補助がおりるのも遅く、市が措置するのも遅く、そして最後、保護者の手元に届くのは年末ということになっていたものだと思います。

 これは、無償化になれば、そういった所得に関する調査というものは要らなくなります。早い段階で施設に無償化の財源を届けることができるのであれば、できれば、通う子たちが月々の保育料を納めずに、施設型給付と同じような体制で無償化が実現されていかないと、ここにもまた差がついてしまうというふうに思っております。

 そこに関して、文科省で検討されているところはありますでしょうか。

永山政府参考人 関係府省でいろいろ議論しているということではございますけれども、まず、新制度未移行の幼稚園につきましては、今回の無償化に当たっても、現行の就園奨励費と同じように、償還払いとするか現物給付とするか、そういった支給方法につきましても、制度のつくりとしては、実施主体である市区町村が実態に応じて柔軟に支給方法を選択できるようにする、そういう方針でございます。

 一方で、御指摘ございましたとおり、償還払いに比べて、現物給付というのはさまざまなメリットがございます。一番はやはり保護者が一時的な利用料の立てかえが不要となって負担感が軽減するということがありますけれども、更に加えて、事務負担、これが非常に軽減される。市区町村が個々の利用者への給付事務が不要となるということでの負担軽減、これも非常に大きなことだろうと思います。

 制度上はどちらでも選べるということですけれども、国としては、各市区町村が現物給付を行うことを支援するために、例えば市区町村や幼稚園の資金繰りに支障を来さないように年度当初に国費を交付する、そういった支援策も検討していきたいと考えております。

青山(周)分科員 本当に前向きな御答弁をありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。

 ただ、ことしの十月からスタートというのは難しいのかなと思っていますが、どのタイミングで先にお金が施設に渡り、それが実質的な授業料軽減、負担軽減になっていくかというところ、非常に興味深いといいますか、大切なところだと思いますので、ぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、償還払いで現金で還付するところは結構多いんです。二人兄弟がいると、例えば、保育料が二万円でも四十八万円とか、そういう金額になってくるので、これは無償化に当たっては絶対マストだと思いますので、どうか国の方でも早急な対応、検討をお願いしたいと思います。

 最後に、話が大きくかわりますが、重要無形文化財に関して質問をさせていただきたいと思います。

 このたびの予算案には文化財に関する多くの予算ももちろん計上されております。有形、無形を問わず、文化財を後世に引き継いでいくということは、歴史の深い我が国にとっては非常に重要なことと考えております。

 私の地元にも、岡崎、西尾なんですが、数多くの文化財が存在しておりまして、特に、観光ブームで来場者数も、どの施設も、有形の施設も無形のお祭りみたいなものも、人数がふえてきております。外国の方もちらほらと目立つようになってまいりました。取組としてはすばらしいことだというふうに思っております。

 地元だと、県指定で瀧山寺の鬼祭りですとか、千万町神楽ですとか、熱池のてんてこ祭りとか、田貫の棒の手とか、説明を一つずつするといいんですが、名前を聞いたのではわかりませんが、そんな県指定があって、国の重要無形民俗文化財でいいますと、鳥羽の火祭り、三河万歳、この二つが無形文化財であります。

 私、実は昨年、比較的時間がありましたもので、それで、厄年だったんです。厄年会の仲間から鳥羽の火祭りに参加しろと言われまして、真冬の海に、みそぎで、一キロぐらい走っていって、遠浅の海を五百メートルぐらい、肩につかるまでふんどしで歩いて、また一キロぐらい戻ってくるという、それは二月にやるんです。寒風吹きすさぶ中、みそぎをして、その後、すずみに火をつけ、そこにネコと呼ばれる衣装を着た若い男性、村の男の人たちが飛び込んで、その中から神木というんですが、真ん中に入った木を神社の前にお供えするという、本当に見ていて勇壮で、非常にいいお祭りがあります。これは、国が重要無形民俗文化財に指定をいただいております。

 その若い人たちと一緒に活動する中で話を聞いたことが、実は千二百年続いているんです。村でできるように、もう本当に、すずみをつくるのも、全部村のその町内のカヤを使う。竹もそれを使う。安くできているんですが、最近、もう千人、二千人、三千人と人が集まるようになってしまって、小さなところで、存続がすごく難しいという声をいただきました。

 無形文化財なので何か補助金のパッケージがあるんじゃないか、補助できる体制があるんじゃないかと調べてみましたら、要綱を見ても、例えば、すずみも燃やしてしまいますし、伝統技術の存続をしようとしても、代々伝わるならわしで、必要なものは気合いぐらいなんですね。何かで練習するとかじゃないんです。なので、そういったものにもはまらないし、文化財の国庫補助要綱を見させていただいても、なかなか補助できるところがない。

 何かそういったところを助けられる、三百九件という、厳格な審査の上で認定されているわけでありますので、それを助けるすべはないのかなというふうに思っております。いい案があれば教えていただければと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の無形文化財につきましては、日本の歴史、風土の中で生まれまして、世代から世代へと繰り返し受け継がれた非常に貴重なものでございます。

 この無形の民俗文化財のうち、特に重要なものを、先ほどお話に出ておりましたが、重要無形民俗文化財に指定をして、その伝承、活用を図るため、行事等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成というのを補助を行っております。

 また、重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、特に必要のあるものを記録作成等の措置を講ずるべき無形の民族文化財として選定をして、記録作成という方式で支援をしているというものもございます。

 また、委員の先生方、さまざま要望がある中で、例えば、指定されていないものにつきましても、地域活性化を支える伝統文化の継承、基盤整備を行う観点から、用具の修理、新調、後継者養成、記録の作成等への補助を今実施しております。

 先ほど委員御指摘の部分につきましては、今の段階で私ども申請をいただいてはいないのでございますけれども、さまざまな御提案をしていただければ、我々としてもしっかりと耳を傾けて、また御指導等もさせていただきたいと思います。

青山(周)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

田野瀬主査 これにて青山周平君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉木武志君。

斉木分科員 斉木武志です。

 きょうは、柴山文科大臣そして政府参考人に、福井県若狭町にある水月湖の年縞についてお伺いできればと思います。

 柴山大臣、長時間の審議、御苦労さまです。ここからは、三十分間、肩の力を抜いて、夢のあるお話を展開させていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 この福井県若狭町にある水月湖の年縞なんですけれども、これは、ユネスコが開催しております世界放射性炭素会議で最も多くサンプル採用されまして、実は、時代測定のメートル原器になった、世界でも唯一の存在なんですね。

 この福井県若狭町、水月湖の年縞なんですけれども、これは学術的、国際的にどのような価値があるというふうに国の方ではお考えでしょうか。

中岡政府参考人 文化庁の方からお答えさせていただきます。

 福井県の若狭町にある水月湖では、二〇〇六年の調査におきまして、湖底から採取されました堆積物コアから七万年間分の年縞と呼ばれるしま模様が採取されておりまして、これを数えることによりまして、地層の堆積した年代を一年単位で知ることができ、さらに、これを利用して、化石や遺物の年代を特定する放射性炭素年代の誤差をより精密に補正できるというふうになったと伺っております。

 国立科学博物館、私ども文化庁が所管をしておりますけれども、こうした研究成果が国際的に高く評価をされまして、二〇一三年には放射性炭素年代の国際標準時計に採用されております。そうした成果を踏まえまして、二〇一五年には、この国立科学博物館におきましても、企画展をそのために開催をさせていただいたということもございます。

 なお、専門分野の近い、十分な評価能力を有する研究者によりまして、個々の研究の学術的価値を評価をし、採択課題を選定する科研費におきましても、水月湖に関する研究課題が採択されております。

 このように、大変貴重なものというふうに我々としても認識しております。

斉木分科員 ありがとうございます。

 時代測定、考古学の世界では、この水月湖の年縞に関しては、イギリスにあるグリニッジ天文台のような存在になったと。いわゆる世界標準時を決める、世界の時代測定の基準を決める存在が我が国の水月湖の湖底にあるということで、二〇一三年のIntCalという国際標準に最多数のサンプルが採用されまして、非常に私としては、歴史的にも、そして学術的にも価値のあるものではないかなというふうに思っております。

 この水月湖の年縞について、きのう霞が関の方々と議論しても、まだ余り把握されていない部分があったので、これは単なる泥ではなくて、いかにこの水月湖が世界でオンリーワンの存在なのかということをちょっと御紹介したいと思います。

 この水月湖というのは、こちら、福井県の資料なんですけれども、非常に風光明媚なリアス式海岸のところに五つの湖が存在しておりますけれども、年縞というのは泥なんですね。ただ、泥も、夏には黒い色をします。これは、プランクトンなど有機物が繁殖をしまして、それが湖底に沈むと黒っぽい色を示す。冬になりますと、今、黄砂が飛んできますね。冬の時期というのは中国の黄砂とか無機物がふえるので、白っぽい色になる。白黒、白黒がオセロのように積み重なっていって、白黒ワンセットで一年というのが正確にわかる泥の堆積なんですね。

 そんなもの、世界じゅうにあるじゃないかというふうにおっしゃるかもしれませんが、実は、世界でもこの水月湖というのは非常にオンリーワンの存在でして、どういうことかといいますと、まず、河川が流れ込んでおりません。川があると、どうしても泥が雨のときに流れ込んできますので、かき乱されてしまうんですね。でも、水月湖にはこの三方湖という、手前に大きな湖がありまして、天然の砂防ダムみたいな形で、ここの湖が全部、河川流入の泥を受けとめてくれます。ですので、つながっている水月湖の方には上澄みのきれいな水しか行きませんので、まず泥が入らない。河川がないという、ここはオンリーワンの条件です。

 もう一つは、この周りを見ていただくと、山に囲まれていますね。山に囲まれているので、風が吹いても、吹送流といいまして、表面がかきまぜられる現象が起きません。表面がかきまぜられないとどういうことが起きるかといいますと、まず、湖底に酸素が行かなくなるんですね。大臣、熱帯魚を飼っていらっしゃるかわかりませんけれども、水槽というのは、必ずかきまぜて酸素が循環するようにします。その吹送流が起きないと湖底に酸素が供給されないので、水月湖は三十四メートルという非常に深い湖なんですが、そこの湖底がほとんど無酸素状態が保たれております。ですので、生物がいない。エビやカニがいないので、泥をかきまぜる生物がいないから、きれいに一年ずつ泥が堆積していくという、そういったメリットがございます。

 そしてもう一つ、あそこは断層地帯になっておりまして、数千年、いまだにこの水月湖というのは沈んでいっています。湖はほっておくと泥で埋まりますので、泥が入ってこないこと、年々沈んでいっていることによって、七万年分も貴重な泥の層が誰もさわらない状態で維持をされているという、ここは私は奇跡的な条件だなというふうに思うんです。

 こういった諸条件を鑑みるに、そして、世界の時代測定のメートル原器に認定されたということを受けまして、私は、これは世界自然遺産に日本としても登録申請するような価値があるのではないかと思っております。

 その理由としては、まさに世界放射性炭素会議ですね、先ほど言及されました。もともとはユネスコが開催をしております。そういった学術会議で五万年分のメートル原器として認められたこと、そして、こういった自然条件が非常にまれであることということを考えると、私としてはこれは世界自然遺産に十分なると考えておるんですが、そのあたり、政府としては、この水月湖、世界自然遺産になる可能性に関して、どういうふうにお考えでしょうか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 まず、世界遺産の登録に必要な条件、そして選考基準についてお答え申し上げます。

 世界自然遺産に登録されるには三つの要件がございますが、まず一つ目が、世界自然遺産委員会が定める四つの評価基準である自然美、地形・地質、生態系、生物多様性のうち、一つ以上に適合することというのが一つ目の要件でございます。二つ目が、遺産の価値を将来にわたって維持していくために、法令等の制度によって保護されていることというのが二つ目でございます。そして三つ目が、遺産の価値を長期的に維持できるように、十分な保護管理体制があること、この三つが要件となっております。

 これらの三つの条件を満たすかどうかで登録の可否が判断されるというふうに承知しております。

 私ども、平成十五年度に、これらの条件を満たすかどうかも含め、我が国の自然遺産の候補地を押しなべて、有識者を交えた検討を実施しておりますけれども、水月湖につきましては、この候補地としての選定がされていないというところでございます。

斉木分科員 まさに、私も世界自然遺産に関して、前職時代もいろいろ調べたことがあるんですけれども、例えば、富士山がなぜ自然遺産になれなくて文化遺産になったか。やはり、麓、山麓地域で開発が行われてしまって改変が行われていること。そういった、オリジナルが保たれていないとなかなか世界自然遺産にはなりにくい。あと、保護の基準ですね。そういったものがないと、なかなか登録、申請はできないということでした。

 やはり、水月湖の場合は、私はこれは十分可能だと思っておりまして、まさに七万年間、誰も手に触れない形で泥の堆積が行われているということ。無酸素状態ですので、湖底を例えば底びき網漁とか漁網でさらうような漁法というのは、生物がいないと価値がありませんので、そもそもあそこではそういった底びき網漁みたいなものは存在していないということ。

 そして、あそこはラムサール条約の登録湿地でもありますし、若狭国定公園ですか、国定公園には既に登録をされている。ただ、自然遺産ということであると、ハイエスト、ですから国立公園ですね、国立公園ででも一番厳しい基準、ここを適用しないとなかなか日本としては登録できないということだと思うんです。

 仮に、では、国立公園の一番ハイエスト、最高基準ということで認定をされれば、水月湖はこれは申請できるという解釈でよろしいんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が申し上げました基準、条件でございますけれども、あくまでも、それに合致しているかどうかを総合的に判断するということでございますので、必ずしも、国立公園、もちろんそれになるにも面積要件とかいろいろな要件がございますけれども、それの第一種特別地域、あるいは特別保護地区とか非常に規制の厳しいところになったからといってすぐに自然遺産になり得るかどうかというところについては、いろいろクリアしなければいけない課題があると考えております。

斉木分科員 多分、国定公園か国立公園かというのも、きのうのレクでも、やはり国立公園でないと申請はできませんということだったんですが、私は、この年縞というのは、二〇一三年のIntCalという、まさにユネスコの、炭素、C14ですね、これの変動値を調べる国際基準、これで二〇一三年に正式採用されました。ですので、多分、若狭国定公園に指定されたのはかなり前だと思うんですね。国立公園、二〇一三年に新しいこういう学術的価値、しかも世界のメートル原器、グリニッジ天文台として、あの湖の年縞が認められたので、新しい価値が生まれてきたと思うんですよ。

 やはり、そういったものを鑑みれば、新たなバリューが出たので、それを含めて、若狭国定公園ではなくて国立公園として指定し直すというようなことは、不可能ということなんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 国立・国定公園につきましては、二〇〇七年から一〇年にかけて、足かけ四年ほどかけまして総点検事業というものをやりました。

 これも、全国の国立・国定公園を押しなべて、もう一度その資質を評価をした上で、一部は国定公園から国立公園にしてはどうかとかというような再評価をしたわけですけれども、その際におきましても、水月湖が含まれるのは若狭湾国定公園ですが、若狭湾国定公園を国立公園にということにはなっていなかったという事実がございます。

斉木分科員 ただ、それも、二〇〇七年から二〇一〇年と今おっしゃったとおりで、IntCalに採用されたのが二〇一二年から二〇一三年にかけてですよね、まさにそこにバリューがあるわけで。世界に湖はあまたあります。この水月湖は何がオンリーワンかといえば、そこから時代が正確にわかるということ、これこそが、そして世界基準になっていること、グリニッジ天文台のような存在になったということ、これがバリューなんですね。

 それを受けて、それをでは日本としてどう活用するのか。教育研究拠点とするか、観光拠点とするか、いろいろなやり方があると思いますけれども、そのバリューというのは私は考慮すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 水月湖が非常に学術的にも価値がある、貴重であるということについては、私どもも伺っているとおりでございますけれども、国立公園の見直しだとか、世界自然遺産への候補地の選定ということにつきましては、それぞれ、平成十五年あるいは二〇〇七年から一度作業をしてございますので、現時点ではそのときの判断を尊重させていただきたいというふうに考えてございます。

斉木分科員 ユネスコの世界自然遺産というのは、例えばグレートバリアリーフであるとかグランドキャニオンとか、見えるような、先ほどおっしゃった一つの地形・地質要件とか規模感、そういったものが重視されると思うんですが、この水月湖というのは見えない世界自然遺産だと私は思っております。湖底の泥ですので、これは要するに、景観上、人が見ても見えないものなので、なかなかこれまでの世界自然遺産とは違うなというふうに思っております。

 ただ、私はそれも有利な点だと思っておりまして、世界自然遺産というのは大分数がふえてきましたし、ユネスコとしても、同じようなものは規模感で上回らない限り認めないという傾向になっていると思いますが、近年の世界遺産の認定、特に世界自然遺産の認定されるものというのは、どういった特徴があると認定されやすいという傾向なんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 自然遺産の場合、やはり、世界で唯一性、完全性とか、非常に高いレベルの科学的な価値の証明、あるいは先ほども、管理の仕組み、制度とか体制についてが要件、条件であると申し上げましたけれども、そういうような社会的な体制がどうなっているのかというのも非常に厳しく最近は審査されるようになっているというふうに承知しております。

斉木分科員 私は、その唯一性と完全性に関しては、結構クリアできるのかなというふうに思っております。

 年縞というのは、世界にも幾つか例があります。例えば、ドイツのアイフェル地方であるとか、ベネズエラはカリアコ海盆という海中の海盆、そして、イタリアのモンティッキオであるとか、中国の龍湾等で発見をされておるんですが、この唯一性ということでいくと、放射性炭素の年代測定をするときに、例えばベネズエラの海盆の年縞ですと、海水中の炭酸ガス、CO2の影響などにより、やはりどうしても不確かになってしまう。また、海中のサンゴを用いる方法でも、やはり、海の中ですから、海水中の炭酸ガス、C14にもやはり影響しますよね、Cですから。そういったものが邪魔をして、なかなか正確な年代測定が十年単位では行えない。

 そこが、水月湖の場合には、汽水湖であるということ、そして、河川の泥の流入がないというところがやはり唯一のところで、非常にほかのサンプルに比べると厳密に。考古学の世界ですと一千年単位の誤差はしようがないというぐらいのアバウトな方法なんですね。

 先ほど申し上げた放射性炭素年代測定、C14というのも、さかのぼれて一万五千年前の氷河期までです。これは何でかといいますと、樹木の年輪に含まれるC14の濃度というのを調べるんですが、氷河期が一万五千年前から始まってしまったので、それ以前のものに関しては、樹木のサンプルというのは、そもそも木が生えなくなってしまったし、一万五千年たてば全部腐ってしまいますので、なかなかこのサンプルそのものが手に入りにくい。

 これが湖底の泥というもので正確に測定できるというところが、このIntCalに大量採用された私は価値だと思っておるんですけれども、こういった、ちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんが、ほかの年縞であるとか時代測定法に比べたこの水月湖年縞の優位性というのは、どのようにお考えでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 ユネスコの方でも、その評価をされて、今先生がおっしゃったような見解を出されているということにおいては、やはり貴重性というものについては一定程度のものがあると伺っているところでございます。

 ただ、何度も申し上げますけれども、世界自然遺産になり得るかどうかというものについての検討ということに関しましては、現時点では、さっきも申しましたように、平成十五年の委員会で一通りの結論が出ておりますので、これを尊重しつつ、今後またいろいろな各方面の御意見を聞きながら検討していきたいというふうに思っております。

斉木分科員 ちなみに、今認定されている世界自然遺産で、年縞を理由に認定されているものというのは存在するんでしょうか。

鳥居政府参考人 私どもが把握している中では、そのようなものは存在していないということでございます。

斉木分科員 こういった見えないものの学術的価値、世界オンリーワンの存在であることはユネスコも認めている。ただ、見えないものだ、湖の底のものだ、そういったものというのは世界自然遺産の選考上、不利にはならないですか、どうですか。

鳥居政府参考人 一義的には、IUCN、国際自然保護連合あるいはユネスコの世界遺産委員会で御議論いただいて判断することだと思いますので、ちょっと私の方でその価値について言及することは差し控えたいと思います。

斉木分科員 世界自然遺産でいきますと、我が国は、知床、白神山地、小笠原、そして屋久島という四つの自然遺産が既に認められており、登録されております。

 地元としましては、昨年の夏に年縞博物館という福井県立の施設ができまして、四十五メートルぐらいですかね、世界でも最長の年縞の標本展示というのが行われておりまして、先般、秋篠宮御夫妻も御視察をなされて、非常に注目を集めています。ただ、オープンから半年もたっておりませんので、まだまだ始まったばかりの、いわゆる教育ツーリズムみたいなものなんですけれども、これまで、世界自然遺産登録された日本の四つの地点で、そういったツーリズム、入域観光客がふえたであるとか減ったであるとか、インバウンドで、知床の方では、観光船が沖をめぐるような航路ができて、中国人観光客の方なんかは入域客がふえて、インバウンドの売上げが上がっているというようなことも聞いたことがあるんですけれども、そういった地域経済への波及効果、特に観光面というのはいかがでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 我が国の世界自然遺産に登録されている地域、これは四つございますが、そのうち、白神山地、屋久島、小笠原諸島におきましては、各自治体等の調査によれば、登録後に観光客数の増加が見られているという状況でございます。

 例えばでございますけれども、屋久島では、世界遺産登録前は観光客数が二十万人台前半であったところでございますが、平成五年に登録がなされた。その後、平成七年度に二十五万人台、平成十九年度には過去最高の四十万人台に到達しているという状況でございます。

 また、小笠原諸島では、登録前は二万人前後であったところ、登録年の平成二十三年に三万人を超え、平成二十四年には約四万人に達しているところでございます。

 一方で、近年、これらの地域におきましては、先生御指摘のとおり、外国人観光客数は伸びを見せている、こういう状況でございますけれども、観光客数全体で見たときには伸び悩みを示す傾向も見られているところでございます。

 例えばでございますけれども、屋久島では、近年大体二十五万人から三十万人ぐらいで推移をしている、それから、小笠原におきましては、三万人弱で推移をしている、こういう状況でございます。

 こうした状況を踏まえれば、世界自然遺産への登録による経済効果を一過性のものとしないよう、地域一体となって、旅行者目線で満足度向上に向けた不断の取組を進め、持続可能な観光地域づくりを実現する、こういった視点があわせて重要であるというふうに考えております。

斉木分科員 まさに、インパクトがある、当初は耳目を集めるのでわっとふえるけれども、それをいかに持続させるかというところがキーになるということだと思います。

 この水月湖の年縞は、博物館という、非常に、建築も斬新な、モダンな建物ができまして、非常に人の関心を引きやすい環境は整っておるんですけれども、世界自然遺産登録を仮にされたとすれば、教育拠点でもあるし、研究拠点でもあるし、観光拠点でもある、既に箱はもうできているので。しかも、三方湖という、ちょっと一歩離れたところで、いわゆる自然を邪魔しない、湖底環境に影響を与えないところに研究、そして観光拠点もできております。そういった意味でも、自然遺産の保全にもタッチをしない形で、私は、あそこは教育とか研究ツーリズムみたいなものができるんではないか。また、台湾等からも、既に修学旅行先に選ばれるような形で広がっていっております。

 こういった考古学上のメートル原器が日本にあるということは、まだまだ実は知られていないんですね。これを知っていただくということは、学術研究上も非常にインパクトがあるのかなというふうに思うんですけれども、柴山文科大臣にも、まだきょう聞いていないので、もし、このあたり、柴山大臣、この年縞の意義、価値について御発言願えますでしょうか。

柴山国務大臣 その意義について、きょうはさまざまな御示唆をいただきました。ただ、私どもといたしまして、有識者の一員ではございませんので、その学術的な価値について、ちょっとこの場でコメントする立場ではありません。

 ただ、今いろいろとるる御説明をいただいたとおり、その意義を例えば観光や経済などにうまく生かすために、何らかのお墨つきというか、そういうものがあれば、非常に大きなきっかけになるのかなというように考えております。

 ということで、そういったこともやはり十分検討をし、そして、できることならば何らかの認定がされればよいなというように、今お話をお伺いして感じたところではあります。

斉木分科員 後押しをするために、何らかのお墨つきということなんですけれども、何らかのお墨つきというのはどのようなものなんでしょうか。お答えになれればで結構ですが。

柴山国務大臣 今御指摘があったように、これまで、ユネスコの自然遺産とか、ユネスコの世界ジオパークですとか、いろいろなオプションというものはあるんでしょうけれども、ちょっと私の立場で、今どういうものが現実味を帯びているのかということについては、具体的な知見もございませんので、軽々にはコメントを控えたいというように思っております。

斉木分科員 それはレクのときも、環境省の方ですかね、世界ジオパークは十分可能性があるのではないかみたいなことをおっしゃっていましたけれども。

 福井県は、勝山の恐竜が日本ジオパークにたしか認定をされていたと思います。福井県のビジョンとしては、恐竜の化石は勝山に、福井県にあるし、その恐竜とか古代の時代をぴたっと当てるメートル原器も福井県にある。要するに、時代検証とか考古学のメッカとして地域を位置づけられるのではないかと思うんですけれども、そういった世界ジオパークの登録というのも一つ、手だとは思うんですが、そのあたり、世界ジオパーク登録、まず自然遺産の前に、そういった可能性というのはあるとお考えでしょうか。

大山政府参考人 お答えいたします。

 ユネスコ世界ジオパークは、国際的な地質学的重要性を有する地層、岩石、地形、火山、断層などの地質遺産を保護し、科学、教育、地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業でございます。

 ユネスコ世界ジオパークの認定に当たりましては、国際的な地質学的重要性、地域住民による保全、活用等について、ユネスコの示す審査基準に則して科学的、専門的見地から審査が行われ、最終的にはユネスコ執行委員会において認定の可否が決定されると承知しております。

 したがいまして、文部科学省といたしましては、ユネスコ世界ジオパークに認定される価値の有無について判断する立場にはございませんが、今後、関係自治体においてユネスコ世界ジオパークへの申請を目指す場合には、本件に関し、専門的知見を有する日本ジオパークネットワークとも連携しつつ、協力してまいります。

斉木分科員 私は、それも一つ、非常にいい手だなというふうに思うんですけれども、ちなみに、世界ジオパークと世界自然遺産に重複登録されているようなところというのは、世界にあるんでしょうか。

鳥居政府参考人 今手元にある資料でございますが、世界自然遺産のうち、先ほど申しました地形・地質で自然遺産に登録されているところは、グランドキャニオンとかいうのが代表的なところかと思います。

 ただ、ここは、済みません、ジオパークになっているかどうかということにつきまして、ちょっと今手元に資料がないので、これは現時点では確認できない状況でございます。

大山政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今手元に資料で、両方重複しているものがあるかどうかということは持ち合わせてございませんが、例えばということで、ユネスコの世界ジオパーク、代表例といたしましては、中国・敦煌でございますとか、ギリシャ・レスボス島といったものがございます。

斉木分科員 私としては、福井県選出の議員ですので、やはり恐竜で、恐竜博物館で非常に売っております。そこに、こういった時代測定のメートル原器が、世界標準ができたということで、やはり地元としても、また日本としても、考古学検証の拠点は日本、福井県にありというような位置づけをぜひしていきたいなと思っております。

 そして、世界自然遺産は、確かに一足飛びの議論かもしれませんので、まず世界ジオパーク認定を目指していくというのも、いろいろ方策はあるだろうなというふうに考えております。

 世界で唯一の、奇跡とも言われる地形条件でできた貴重な史料ですので、これはジオパークなり世界自然遺産なり、ぜひ前向きな検討をお願いいたしまして、本日の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田野瀬主査 これにて斉木武志君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹です。

 きょうは、朝早くから大変お疲れさまでございます。あと二人ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、幾つか教育課題について伺いたいと思いますが、まず、働き方改革と三六協定についてちょっとお伺いしたいというふうに存じます。

 昨年の通常国会で、働き方改革について関連法案が成立しました。学校においては、教職員の長時間労働、超勤、多忙化の解消に向けてということで、文部科学省としては、学校における働き方改革を進めていくということで、先日、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインというものを出されました。今回は、そこで示されている、いわゆる給特法の中における対象者でない方々についての働き方改革と三六協定について伺いたいというふうに思っております。

 まず、給特法の対象ではない公立の義務教育諸学校等の教育職員は、いわゆる学校の先生以外でいうと、公立学校の事務職員だとか学校栄養職員という方々であります。こういった方々は給特法の対象ではないんですけれども、労働基準法の別表第一に掲げる事業に従事しているということで、そうした従事している者に対して校長が残業を命令する場合、労働基準法三十六条に規定されているいわゆる三六協定を締結していなければならないというふうに私は考えているんですが、それでよろしいかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 公立学校に勤務いたします、今御指摘の学校事務職員、学校栄養職員につきましては、いわゆる給特法は適用になっておりませんので、こうした職員に対して法定労働時間を超えて勤務をさせる場合には、いわゆる三六協定の締結が必要となると考えております。

道下分科員 今、三六協定が必要であるというふうに確認をさせていただきました。

 ちょっとそこで伺いたいんですけれども、では、この三六協定を締結するということなんですが、誰と誰が協定を結ぶのかということをちょっとお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 基本的には、各学校、実質的には校長先生の場合が多いと思うんですけれども、それと、いわゆるその学校の労働者の過半数を占めるものの代表者ということになろうかと思います。

道下分科員 例えば、事務職員となれば、学校の中では一人しかいないと思うんです。そうした場合、学校の中の全労働者の過半数ということになると、学校の教員も全部含めた上での過半数というふうに考えるんでしょうか。それとも、これは、教員と職員はやはり法律上違うものだから、事務職員であれば学校に一人しかいない、じゃ、その一人が校長先生といわゆる三六協定を締結することもできると考えるのか、伺いたいと思います。

永山政府参考人 これは厚生労働省とも確認は必要かなとは思いますけれども、基本的には各学校の教員も含めた全労働者ということかと思いますが、ちょっと済みません、恐縮ですけれども、確認させていただければと思います。

道下分科員 ちょっと済みません。事前の通告ではなくて、ただ三六協定についてということは通告していたんですけれども、ちょっと深く掘り下げたところまでは通告していなかったので申しわけございませんが、文部科学省としては、ここに、平成三十年十一月二十九日に、都道府県の指定都市教育委員会に対して、文科省の初等中等教育局財務課長のお名前で、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行についてという通知があって、そこでは、いわゆる三六協定は必要ですよ、労働基準法の改正内容等に十分に留意の上、適切に対応されるようお願いいたしますというふうに出しているものですから、その点については、十分細かいことも御承知なのかなというふうにちょっと思って伺ったんですが、後日、それは厚生労働省と詳細について詰めていただきたいというふうに思います。

 申しわけございません、もう一つ。協定を締結するというのは、校長先生とその学校の事務職員の方が、決められた様式の書面にいろいろと書いてサインして、お互いに持っておくだけでこれは十分なのでしょうか。

永山政府参考人 大変恐縮です。そこも含めて確認させていただければと思います。

道下分科員 私が調べたところによりますと、それだけでは締結されたということではないということで、しっかりと行政官庁にこの書類を提出しなければ効力を発揮しないというふうに私はいろいろ調べてみたので、その点についてもぜひ御確認をいただきたいというふうに思います。

 この場合、三六協定を結んでくださいよという通知は出されましたけれども、では、もし三六協定を結ばずに校長先生が事務職員に残業させた場合は、これは労働基準法に違反するという、他の企業でも、会社の社長さんが従業員、社員に残業させるときには三六協定がなければ残業させるわけにいかないわけでありまして、これは、校長先生と学校の事務職員の方々の間も同じなのか、労働基準法に違反するのかどうか、ちょっとその点だけ端的にお願いしたいと思います。

永山政府参考人 先ほど申し上げた、校長先生と一事務職員でいいのかどうかというのはちょっとおいておいて、一般論として、三六協定を結ばないでこういった超過勤務を命ずる場合には、これは労基法違反ということになろうかと思っております。

道下分科員 文部科学省は、十一月二十九日に、そういう三六協定の締結について、これは必要ですよということで、十分に留意の上、適切に対応してくださいという通知を出されました。

 その前も、これは本当は働き方改革関連法案の成立に関係なく、もともと三六協定というものが必要であったということでありますが、二〇一八年、昨年の九月二十四日、中日新聞の記事等によりますと、岐阜県内の全ての市町村立小学校が三六協定を事務職員と結んでいないことが県教委の調査でわかっただとか、これは、学校、校長先生、教育委員会、また働く側にとっても、もしかしたら、三六協定というのが必要だということがなかなか認識されていなかったんじゃないかなというふうに思うんです。

 そういった意味で、しっかりと三六協定を結んだ上で働いてもらって、そして残業が必要であれば残業していただくということになりますし、その上で、その残業、例えば学校の事務職員の方々は特に年度がわりのときには大変忙しくなるわけでありまして、何か、月百時間も残業するという例もありまして、そう考えれば、しっかりと法律を守る、そして残業した分は割増し賃金がしっかりと払われる。自分で上司に気を使って、本当は夜十二時まで働いていたんだけれども、夜九時までで自己申告するという過少申告をするということにならないように、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今後、こうした三六協定の締結について、十一月二十九日に発出されましたけれども、その後、どれだけしっかりと三六協定が結ばれているのか。文科省で、そういう地域における、しっかりと全て締結されているかどうか、何か報告とか連絡若しくは調査とかはこれまでされたことはあるのでしょうか。もしされていた場合、もしお手元にどれだけ締結されているという割合などがあれば、教えていただきたいと思います。

永山政府参考人 特におっしゃったような調査というのは私どもはしてございませんので、また引き続き周知について徹底してまいりたいと思っております。

道下分科員 ぜひよろしくお願いします。

 先ほど、一番最初に伺ったときには、労働基準法に違反するかどうかも含めて厚生労働省などと検討されるということであります。

 普通の民間企業であれば、三六協定違反であれば処分も受けることになりますので、そういったことも含めてしっかりと、働いている学校職員の方々が法律でしっかりと守られた上で、三六協定を締結した中で働いていただく、そして、できる限り働きやすい環境で、やむを得ず残業する場合はそういう三六協定の中で、そしてしっかりと割増し賃金が支払われる、そういう環境づくりを文部科学省は徹底的に取り組んでいただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。

 次に、小学校の英語教育について伺いたいと思います。

 私もこれまで、きょうの分科会の内容を院内放送で見させていただきまして、何人かの委員の方々がこの点について伺っておりましたので、重複するところは割愛をさせていただきたいと思います。

 文科省としては、二〇二〇年度新学習指導要領全面実施に伴いまして、英語教育の教科化、早期化が本格的に実施されるということで、英語教育を行う専科教員を二〇一八年度は千人配置、二〇一九年度は一千人のまた配置ということで予算を閣議決定したということを伺っておりますし、二〇二〇年度は二千人を新たに配置予定ということで、累積四千名ということは伺いました。また、一人当たり何こま担当するかということは、二十四こまというふうに伺いました。

 そこで、学校の規模もいろいろあると思うんですけれども、二十四こまを担当するということは、一校で二十四こま、大規模校だったら、二十四こま、小学校五年生、六年生でたくさんのクラスがあって、そこで、一校だけでできるんだったら移動する必要はないと思うんですけれども、この場合、文科省ももう既に想定されていると思います、複数校、幾つもの学校を担当する場合、学校と学校を移動しなければならないわけであります。そういった場合の移動時間の目安だとか、またその移動する場合の費用について、どのように考えているのか、伺いたいと思います。

永山政府参考人 特に移動時間の目安というものを定めているわけではありませんけれども、当然、その教員の負担を考えれば、複数校担当する場合でも、なるべく近隣の学校同士での勤務ということが重要だろうというふうに思っております。

 それから、費用の関係ですけれども、例えば、自宅から二つの学校、A校、B校をかけ持ち、担当しているといった場合に、自宅からA校に行く場合、それから自宅からB校に行く場合、これはそれぞれ通勤手当ということで支払いがなされるだろうと思いますし、また、勤務の都合で自宅を経由しないといいますか、A校から直接B校に行くという場合もあろうかと思います。これは旅費で処理されている場合が多いのではないかというふうに考えております。

道下分科員 自宅から学校に、これは通勤手当、学校から学校は旅費ということになりますと、さまざまな事務的作業が多くなるのかなというふうに思いますし、単純計算すると、きょう、前の委員の方々も、例えば、全国における小学校の数は約二万校、二〇二〇年度で英語専科教員が四千人であったとしても、五校に一人という計算、五校全部回るのかと。専科教員だけでこれが賄われるわけではないというふうにわかっておりますけれども、単純計算しても、五校若しくは四校を複数担当するということになりますと、非常にこれは移動も含めたら大変だと思います。

 私の選挙区であります北海道、特に地方に行きますと、その町に一校とか二校しかないとか、小学校と小学校が非常に離れている、また、冬の時期だと、積雪で道路状況も非常に、何分かかるかわからないといったときに、果たして文科省が想定している週二十四こまというものを全て埋めることができる先生ばかりなのか。若しくは、二十四こま持ち得ない、担当できない英語専科教員の方もいらっしゃるんじゃないかというふうに思うんですが、例えば、週二十こまとか十六こまとかしか担当できない場合、そういうことも想定されているのか、それと、給与とか賃金がどうなるのか、文科省として、伺いたいと思います。

永山政府参考人 非常勤講師の場合は時間給ですので、勤務した時間に応じてということになりますけれども、常勤であれば、持ちこま数に直接は関係せずに一定の給与なりが支払われるということになろうかと思います。

道下分科員 そういった場合、常勤だったら給料は変わらないということでありますけれども、自治体によって、教育予算が十分な自治体であれば、そういうふうに常勤の先生を雇うことが、自治体というか都道府県・政令指定都市ということになりますけれども、できるのかなというふうに思いますけれども、非常勤の場合、全ての二十四こまじゃない場合、非常勤の場合は時間給になるのかちょっとわかりませんけれども、給料が安くなる場合、募集しても集まるのかどうか、ちょっとその点は心配になるところでございます。

 二〇二〇年度までには累積四千名ということでございますけれども、それ以降また増員を予定、計画をされているのか、伺いたいと思います。

永山政府参考人 ことしと来年度で合わせて二千人、これはもう確定しているわけなんですけれども、その後の配置状況につきましては、実態も踏まえながら、あと、この英語が本格実施になった場合に、一方で、例えば教育課程のあり方だとか、あるいは教育の標準的な時間数のあり方だとか、こういったものについても別途検討するというふうな方向性も出ておりますので、そういったものの検討とあわせて、最終的にどういった配置状況になるのか、目指していくのかにつきましては、現時点ではまだ未定でございます。

道下分科員 わかりました。

 やはり、グローバル社会の中で活躍する人たちをふやすためには、子供のころから英語に親しむということは大変重要かというふうに思っておりますし、その英語教育における環境整備、しっかりと充実した環境整備に取り組んでいただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 次に、栄養教職員について伺いたいと思います。

 学校における食教育の推進のために、学校給食を充実させることが基本だというふうに考えております。それは政府も同じだと思います。そのために、栄養教諭、学校栄養職員の定数改善、拡大、学校給食の単独校方式が私は望ましいというふうに考えています。

 しかしながら、学校給食は今、民間委託、また給食センターをつくって、それが以前よりも大型化されている、またデリバリー方式というのが進んでいます。昨今では、食物アレルギーの子供たちがふえておりまして、その子供たちへの対応も求められております。こうした状況下で、栄養教職員一人当たりの仕事量が非常に増大しているのが今の現状であります。

 食教育の充実と推進のため、全ての学校に栄養教諭又は学校栄養職員を配置することが私は必要なのではないかというふうに考えております。当面は、栄養教諭、学校栄養職員の定数配置基準を児童生徒数から学級数に変更すること、また、大型化する学校給食センター勤務の栄養教諭、学校栄養職員の配置定数を改善すること、食教育を充実するため、栄養教諭の加配措置を維持、改善することが必要と考えますが、見解を伺います。

永山政府参考人 栄養教諭等の定数につきましては、これまでも計画的に配置改善を図ってきたところでございますけれども、例えば、児童生徒数が五百五十人以上で学校給食を単独で実施する学校には栄養教諭等を一人、それから、児童生徒数の合計が千五百人以下の共同調理場には栄養教諭等を一人など、給食が提供されることとなる児童生徒数に基づいて基礎定数を算定する仕組みと今はなっているわけでございます。

 また、基礎定数に加えまして加配という措置もございまして、児童生徒に対する食の指導の充実を図る学校に加配定数の措置を行っておりまして、二〇一九年度予算案におきましても、食の指導に係る栄養教諭等のための加配定数三百九十七人、これは対前年度で十人の増ですけれども、そういった人数を計上しているところでございます。

 それから、食の指導の充実を図るためには、まず、任命権者である都道府県・指定都市の教育委員会に働きかけを続けまして、学校栄養職員から栄養教諭への任用がえ、これを進めていくということが必要だろうと考えております。

 御指摘の定数の算定方法、これらも含めまして、今後の栄養教諭等の定数のあり方につきましては、栄養教諭の配置状況も踏まえて検討することとしたいと考えております。

道下分科員 学校の子供たちの数が減ってきている、少子化、そして学校の規模も非常に小規模な学校がふえてきた、それを幾つも合わせて、そして大型給食センターで対応する。子供の数、給食を出す数は多くなるんですけれども、それに十分に、今の基準では、栄養職員の方々、十分な人数が足りていない。本当に、だんだんだんだん食物アレルギーの子供たちもふえて、その子供一人に一人の栄養教諭だとか職員とか、それぐらい必要なぐらいなので、そう考えますと、やはりもっと人数をふやすべきだというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、障害者雇用の促進について伺いたいというふうに思います。

 文部科学省に限らず、中央省庁全体で障害者雇用の水増し問題が発覚いたしました。文部科学省においては、最新の資料をいただきますと、平成三十年十二月二十五日付の公表された資料によりますと、平成三十年六月一日現在の障害者の職員の任免状況ということで、実際に雇用している障害者の数が二十二名、実雇用率〇・七九、不足数が四十七。四十七人の障害者雇用が足りていないということでございます。

 今、中央省庁全体を挙げて障害者雇用の拡大に取り組んでいることというふうに存じますけれども、文部科学省における障害者の法定雇用率達成に向けた取組と今後の見通しについて伺いたいと思います。

柴山国務大臣 今御指摘のような、大変恥ずかしい実態がございます。

 現在、浮島副大臣を総括リーダーとした文部科学省障害者雇用推進チームを形成いたしまして、省全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底して、法定雇用率の達成に向けた取組や、障害者が職場に定着し活躍できる環境づくりを進めているところであります。

 こうした中で、一月から現在まで非常勤職員五名を採用するとともに、今後、文部科学省における障害者採用計画に基づいて、平成三十一年中の法定雇用率の達成に向けた採用を行っていく予定でございます。

道下分科員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、既に民間企業は法定雇用率達成に向けてさまざまな努力をされてこられた、そうした中で、今回、中央省庁が障害者雇用を拡大していくということで、民間企業から中央省庁の方に障害者の方々が転籍するというか転職するという形になると思います。そうすると、今度は民間企業やいわゆる就労支援の事業所などが、これは困る、大変だということになると思いますので、その点も十分考慮されながら取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今のは、文部科学省自体における法定雇用率達成に向けた取組について伺いましたけれども、これは、地方の都道府県教育委員会や市町村教育委員会、学校も同じでございます。法定雇用率達成に向けて本当に努力をしている。私も北海道議会議員を三期十一年させていただきましたけれども、その中でも、法定雇用率達成に向けて非常に努力というか苦労されているわけでありまして、そのときに、やはり障害があっても学校の先生になれる免許を取れるという環境づくりが必要だというふうに私は申し上げてきました。

 そういった意味で、そのときには、道教委と教員養成大学と協力し合って、例えば、大学受験又は大学進学したときの大学生活で、例えば、障害があっても、車椅子を利用していても、そこで十分な大学生活を送れる、入試を受けられる、こうした環境が必要ではないか、整備が必要ではないかというふうに要請いたしましたし、大学を受験するためには、今度、高校で障害のあるなしにかかわらずしっかりと障害者の方々も学べる環境づくり、そして高校への入学も、障害があっても十分な教育環境を整備して入試を受けられる、そして高校に進学できるというような環境づくりが重要ではないか。

 そういう、しっかりと、ただ障害者を雇用するというここの一面だけではなくて、いかに障害があっても学校の先生になれる、又は公務員になれる、そういう人生のルートというか道筋をつくる必要がある、環境整備を行う必要がある、その責任は政府にあるというふうに考えておりますけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 極めて重要な御指摘だと考えます。

 都道府県等の教育委員会における障害者雇用の状況は不十分でありまして、例えば、平成三十年六月一日現在の障害者雇用率は、都道府県の機関においては、法定雇用率二・五%のところが二・四四%、ほぼ充足をしているんですけれども、都道府県等の教育委員会、こちらの法定雇用率二・四%に対して一・九%というようになっております。

 障害者雇用については、それぞれの任命権者が責任を持って対応する必要があるんですが、今委員御指摘のとおり、教員等については、その育成段階から息の長い形で取組をするということが必要でありますし、意識改革も含めて、大変壮大なというか、大きな取組というか、必要が出てくるのかなというように考えております。

 文部科学省においては、これまで、教員採用選考における障害のある方への配慮の状況について調査を行い、その結果を公表する、また、都道府県等の教育委員会に対して、会議等の場を通じて障害者雇用の現状や教育委員会における改善事例等について情報を提供するなどの取組は行ってきたところでありますけれども、今の御指摘も含めて、先日、先ほど紹介をさせていただいた、浮島副大臣を総括リーダーとする障害者活躍推進チームにおける検討課題の一つとして、教育委員会における障害者雇用の推進を取り上げることとしたところであります。

 今後、今私が申し上げた、教員養成課程における障害のある学生への支援のあり方等も含めて検討を深めていきたい、このように考えております。

道下分科員 今大臣から力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 教員養成課程のみならず、生まれたときからしっかりと、障害のあるなしにかかわらず、自分が行きたい学校、自分が住みたい場所、自分がなりたい仕事につけるように、そうした環境づくりは、私たち大人、また政府、政治家に責任があると思いますので、一緒に頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

田野瀬主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 ありがとうございます。自由民主党の古川康でございます。

 それでは、いよいよ分科会質疑の最後を飾ります番となってまいりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、唐津の曳山の補助金についてお尋ねを申し上げます。

 私は佐賀県は唐津市の生まれでございまして、小さいころから山に乗り、山を曳き、山に育てられてまいりました。平成二十八年にこの唐津くんち、唐津の曳山がユネスコ無形文化遺産に指定をされました。ことし、新元号元年のこの秋に二百年を迎えます。一番山の刀町赤獅子が唐津神社に奉納されてから二百年が経過するということでございます。

 この中核をなす十四台の曳山の保存については、これまで文化庁におきまして並々ならぬお力をいただき、毎年必要な修復を実施しているところでございます。大変感謝申し上げるところでございますが、そこでお尋ねをさせていただきます。

 唐津曳山の修復につきましては、これまで民俗文化財伝承・活用等事業で御支援をいただいてきたところでございますが、今回の平成三十一年度の予算案においては幾ら確保できているのでありましょうか。また、予算額に対して十分でございましょうか。お尋ねをいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、平成三十一年度の予算案におきましては、民俗文化財伝承・活用等事業に一億六千三百七万円を計上し、対前年度百三十五万円の増額となっております。

 本予算額は、唐津くんちの曳山行事など、山・鉾・屋台行事の保存、継承に必要な要望額をおおむね確保しているものと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 私も、そして地元もほっとしていることと思います。

 地元に帰って話をしていると、この十四台の曳山の総修復について不安に思っていることがありまして、それは、このように、大体二年間に一台の曳山の修復が行われているのでありますけれども、十四台掛ける二年間ということで二十八年、大体三十年かけて十四台、一回りしていくわけであります。そうすると、一巡してしまうともう支援がなくなるんじゃないかということを、随分前に修復をした山が不安に思っております。確かにかなり傷んできている部分もあります。

 こうした曳山の総修復についてはこれからも引き続き必要だと私は認識しておりますが、いかがでございましょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お話ございました、毎年開催するお祭り等に使用する曳山や山車などの用具は傷みが進みますので、継続的な補修が必要と認識しております。

 唐津くんちの曳山行事につきましては、毎年一台又は二台、曳山の修理を行っておりますが、修理の補助はあくまでも修理が必要な状態になっているか否かをもって判断されるべきものであり、十四台の曳山修理が一巡したからといって補助を打ち切るというものではございません。

 文化庁といたしましては、重要無形民俗文化財に指定されております行事等の保存と継承を図るために、これに用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等につきまして引き続き支援をしたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 まことに力強い御答弁、ありがとうございました。

 しっかりと大切に、そしてこの伝統を次の時代に伝えるべく、地元と一体となって活用してまいりたいと存じます。

 二番目が、学校栄養士の配置問題についてでございます。これは先ほども議論がございましたが、私からもお尋ねをさせていただきます。

 学校教育法第三十七条に教職員の配置に関する規定がありまして、その第一項には、校長や教頭、教諭といった形の学校になくてはならない人たちの職名が書いてあり、いわば必置義務が課せられているわけでございます。そして、同じ条文の二項というものには、置くことができる規定として、副校長を始めとして幾つか並んでいて、そこに栄養教諭が挙げられています。すなわち、栄養教諭は置いても置かなくてもよいという規定ぶりになっているということでございます。

 そこで、まずお尋ねをさせていただきます。

 栄養教諭はなぜ必置義務が課せられていないのでしょうか。

永山政府参考人 栄養教諭の必置義務の関係でございますけれども、必置義務になっていない、置くことができるというふうに規定されているということですが、これは一つに、地方の自主性を尊重するという地方分権の趣旨、それから、そもそも学校給食自体が義務とはされておりませんので、そういったことも踏まえまして、地方公共団体が地域の実情等に応じて判断することとして、置くことができるというふうに規定されたものと承知をいたしております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 そもそも学校給食が義務化されていないということを考えて栄養教諭も義務化することができなかったということと、置くか置かないかについては自治体の判断に委ねるという趣旨である、そして、先ほどもお話ございましたが、とはいいつつも、必要な財源措置については一定していただいている、こういうことかと理解をしているところでございます。

 学校給食や栄養教諭というものについては、確かにこれまではそのように、学校にとって必ず必要というものではないということはあったのかもしれません。しかしながら、恐らく皆様方も感じておられると思いますけれども、かつては食べることに必死だった、そういう時代に、どういうものを誰と一緒に食べるのかということについてはそれほど大きな関心事ではなかったわけでありますけれども、今や、どういうものを口にしていくのか、そういったことが大きな課題になってきています。

 いろいろな作文なんかを読んでいると、朝御飯はチョコレートでしたというような子供たちも結構います。それでも、食べていればまだいい方なのかもしれません。朝御飯の喫食率なんという、かつては問題にならなかったようなことも今問題になってきています。子供も大人も一緒ですが、食べるものでしか体はできていきません。そういったことを考えると、この食べるという行為が子供の学びと育ちに大きく影響している、このことをみんな感じていくようになっているのではないかと思っています。

 私は現場の栄養教諭の方々から年に二、三度お話を聞かせていただくことがあります。例えば、アレルギーがふえていると言われます。問題なのは、アレルギーがふえているからといって、一番単純なのは、アレルギーのある子供についてはお弁当にしてくださいという解決法が一番です。これだと事故は起きません。しかしながら、みんなが同じものを食べている中で、自分だけが別のものを食べるということを強いられることになります。そういったことにならないようにということで、栄養教諭の方々は必死になってその子のアレルギーに対して対応できる食事を提供していただいています。卵アレルギーというのがありますけれども、卵アレルギーについても、塊になっている卵がだめな子もいれば、フライにするときの、卵の成分が入っているだけでもだめな子もいます。こうした一人一人の子供の食に対する特性を見ながら仕事をされているのが栄養教諭だなということをつくづく感じています。

 そこでお尋ねをします。

 栄養教諭、配置されている学校と配置されていない学校があります。この配置率はどれぐらいになっていますか。一体、ふえているんでしょうか。こうしたことについてお示しください。

永山政府参考人 栄養教諭の数自体は、平成三十年五月現在で六千三百二十四人ということで、これは年々ふえております。割合的には、学校栄養職員が四割、栄養教諭が六割、おおむねそういった割合であったかと思います。

 それから、都道府県別に見ると、いわゆる配置率には大きな差がございまして、その理由といたしましては、各地域の実情の違いということもあるでしょうし、それから学校における食育とか、あるいは、先生が今おっしゃいました、食育に対する考え方の違い、栄養教諭の配置の重要性についての意識の違い、こういったものも背景にはあろうかと思っております。

古川(康)分科員 やはり地域によって大きな違いがあるというところでございましたが、食べることの重要性は地域による違いというものはないものではないかというふうにも考えます。

 子供たちが安心した状態で食に対して向き合うことができるように、栄養教諭の方たちは、安心で安全な給食を提供するという仕事とあわせて、保護者や子供たちに食べることの楽しさや意義というものをしっかり伝えていただくという仕事をしていただいています。

 栄養教諭の配置向上によって、各校一人の配置を目指すべきである、こう考えますが、いかがでありましょうか。

永山政府参考人 栄養教諭は、申すまでもなく、学校における食育を推進する上で重要な役割を果たしているものとまず認識をいたしております。

 現在、先ほど申しました、栄養教諭と学校栄養職員合わせて約一万人の配置でございますけれども、栄養教諭についてはそのうち約六割と申し上げました。

 このため、まずは、任命権者である都道府県の教育委員会等への働きかけを続けまして、学校栄養職員から栄養教諭への任用がえを進めていただく必要があると考えております。

 文科省といたしましては、栄養教諭が専門性を発揮して、学校における食に関する指導が一層充実するよう、各種会議における栄養教諭の意義や役割についての周知、それから事業を通じての栄養教諭への支援体制の充実、こういったものに取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 続いて、学校への携帯電話の持込み、スマホの持込みについてお尋ねをさせていただきます。

 このたび、学校へのスマホの持込み、携帯電話の持込みについて、原則禁止から見直しに係る検討を進めていくということになったと聞いております。私は極めて高く評価をしているところでございます。

 まずは、文科省の方に方針を確認したいと思います。

 大臣、これは大臣の閣議後会見で表明されたと伺っております。どういう気持ちで、どういう方針でこの問題に臨もうとされているんでしょうか。

柴山国務大臣 これは、大阪府における震災の後の保護者等の要望に応じて、携帯電話の持込みについて、さまざまな条件を付した形で検討するというように発表されたことに呼応しまして、私ども文部科学省といたしまして、既に平成二十一年に文部科学省が発出されました、学校における携帯電話の取扱い、これはスマートフォンというふうに会見では申しておりません、携帯電話の取扱いについて、小中学校においては、学校への持込みは原則禁止とすべきであり、やむを得ない事情がある場合は、学校での教育活動に支障がないよう配慮しつつ、例外的に持込みを認めることも考えられること、高等学校においては、校内における使用を制限すべきであり、学校及び地域の実態を踏まえて持込みを禁止とすることも考えられることといった、十年前の通知、内容がこのように示されているところであります。

 ただ、文部科学省といたしましては、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化も踏まえつつ、平成二十一年に発出した通知について見直しに係る検討を進めることといたしました。

 今後、さまざまな御意見をしっかりと受けとめつつ検討を行っていきたいと考えております。

古川(康)分科員 わかりました。

 確かに、災害時における、緊急時における連絡、対応をどうするのかということは本当に大きな問題だと思います。

 そもそも、災害時には一般の電話は余りつながりません。仮にスマホや携帯電話を持っていたとしても、普通の電話だとなかなかかからない、けれども、一方で、IP電話とかSNSの機能を使った通話だったらつながるというようなところもあるわけです。そういったことを子供たちにきちっとわかってもらうためにも、私は、一定のルールのもとに持込みを認めていただくというのは極めて意味があると思っております。

 そこで、ちょっと確認のためのお尋ねなんですが、今大臣からお話しいただいたのは携帯電話、スマホの学校への持込みでした。それでは、小学生の子供、中学生の子供がそもそも携帯電話を持つことそのものについて、文部科学省として何か方針をお持ちでありましょうか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 小学生など子供にそもそも携帯電話を持たせるかどうかといった点につきましては、基本的にそれぞれの家庭において適切に判断されるべきということで、文科省あるいは政府が一律に制限をするというものではないと考えております。

 ただ、文部科学省としては、家庭における適切な判断の基礎となるという意味で、児童生徒、子供に対しては情報モラル教育をしておりますけれども、保護者に対しても、普及啓発ということで、子供の携帯電話あるいはインターネットの危険性でありますとか、家庭でルールをつくることでありますとか、そういったことを、ネットのモラルのキャラバン隊というような形で啓発事業を行ったりとか、保護者向けの啓発資料を作成してホームページに掲載したりとか、そういったような啓発的な活動は一部しているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 子供にスマホや携帯電話を持たせるかどうかについては保護者の判断ですよ、文科省が判断することではないけれども、学校に持ち込むことについては、小学生については原則禁止というふうにされていたところを、これをどういうふうな見直しをしていこうかという流れなのかなというふうに理解をしたところでございます。

 その際なんですが、青少年インターネット環境整備法という法律がつい先日成立をいたしまして、十八歳未満には、携帯電話を販売するときにはフィルタリングの設定が義務づけられています。つまり、有害なサイトにはアクセスできないようにすることが義務づけられているというか、親と一緒に買いに行って、そういったものの設定について説明をすることが義務づけられているわけであります。

 まずはそれを徹底するということが何より必要なのではないでしょうか。学校に持ち込むスマホや携帯は不適切なアプリやウエブサイトを利用できないようにするということが重要だと思いますし、携帯電話会社によっては、学校にいる時間帯に限っては不要なアプリを利用禁止にできる、こういった機能も提供できているんですね。

 学校にいる時間帯は、緊急時の連絡に必要な電話とかメールとかは使っていいよとしつつも、学校生活に不要な動画とかゲームは禁止にする、こうしたことをしていけば、不適切なスマホ利用は抑制できるし、緊急時の連絡体制は強化できる、確保できる、こうしたことにもなるんじゃないかなと思っています。

 加えて、結構心配されているのが通学途上の歩きスマホであります。これは大人も子供も一緒でありますけれども、その歩きスマホを警告するアプリというようなものも一部の携帯電話会社から提供されていまして、こうしたアプリを活用することも子供たちの安全に役に立つのではないかと思っております。

 このように、フィルタリングとか、利用時間によるアプリの制限機能とか、歩きスマホの警告機能だとか、こうした機能が実は今ついているんだよということを知らないと活用していこうということにならないわけでありまして、例えば、こうした機能をちゃんとうちの子供のスマホは使っているよというようなことを保護者が学校に紙で提出するといった施策も考えられるんじゃないかなと思ったりしているところでございます。

 こうしたことを通じて初めて保護者も安心して子供にスマホや携帯を持たせることができるようになりますし、仮に学校に持ち込むことについて条件付で認めるということになるについても、今のスマホの持つ新しい機能をしっかりと把握した上での検討を進めていただきたいと考えておりますけれども、いかがでありましょうか。

永山政府参考人 携帯電話あるいはスマートフォンを使用する場合、それこそ持つ場合には、情報モラルということももちろん重要ですけれども、おっしゃったように、さまざまな機能、新しい機能をきちんと理解をする、それを使いこなす、それで有害情報のシャットダウンをやったりとか、みずからにいろいろ害悪が起こらないようにそういった知恵をつけるということも非常に大事でございます。そういった事柄もあわせて、並行して子供たちの身につくように努めていきたいというふうに思っております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 まさにこうした方面に詳しい方から、恐らくこれから何か検討会とか有識者会議とかを立ち上げられるかもしれませんけれども、ぜひそういった方からもしっかりとお話を聞いていただければと思います。

 あわせて、スマホの使い方の教育というものについてお尋ねをしていきたいと思っています。

 スマホの持込みというか、そもそも所持を認めていない小学校や中学校というのも世の中には結構存在しております。私の地元にも結構あります。学校としてはということでなく、PTAが、うちの子たちには、地域の子供たちには携帯を持たせませんということを発表している、そういったことで取組をしている地域もあります。

 こうした学校では、そもそも持っていないことが前提になっていて、スマホの利用における注意点というのをなかなか教えにくいというところがあるとも聞こえているんですが、そもそもなのでありますけれども、小中学校や高校では、どういう学校の場面でスマホ活用のルールについて教育というものがなされているんでしょうか。

永山政府参考人 先ほど私は情報モラル教育というふうに申し上げましたけれども、現在、小中高等学校等のさまざまな教科等におきましても、スマートフォン活用のルールを含む情報モラルの指導が行われているところでございます。

 それから、二〇二〇年度から順次開始されます新学習指導要領におきましても、情報活用能力、これは教科等横断的に育成することといたしておりまして、そこでも情報モラル教育が充実されることとなってございます。

 さらに、文科省におきましても、この学習指導要領の趣旨を全国の学校に周知、普及していくとともに、動画教材を含む教員向けの指導資料の作成、配付ですとか、スマートフォン等をめぐるトラブルや犯罪被害等の防止のための児童生徒向けの啓発資料の作成、配付等の施策を講じてきているところでございまして、引き続き、学校における情報モラル教育のさらなる充実に取り組んでまいりたいと思っております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 さまざまな取組がなされているということでございました。

 こうしたことをやっていくについては、学校の先生がされることもあるでしょうし、外部の方がされることもあるだろうと思います。そして、条件付とはいえ、こうしたデバイスというか携帯やスマホについても、あるいはもちろんコンピューターについても、使っていく、それについては光も影もある、一定のルールとモラルが必要、こうしたことについて広げていこうとすると、どうしても外部講師の活用ということも必要になるんだろうと思います。

 今は、外部講師のいわばボランタリーに協力をしていただいているということで、学校現場に随分来ていただいているんだろうとは思いますけれども、これから本格的にこうしたことをやっていくときには、どうしても資金が必要になっていくということもあるかなと思います。

 学校というところはなかなかお金がないので、大体いろいろな人に来てもらうときもほぼ無料で来てもらったりしているようなところがあるので、この分野だけお金を払うということは難しいのかもしれませんが、未来を担う子供たちに必要なきちんとした教育を提供していくためにも、私は何らかの財源を確保してでもやっていかなくてはいけないのではないかと思っているところでございまして、これについては引き続き検討をする必要があるということを申し上げて、次に移りたいと思います。

 さて、最後の質問でありますが、学校図書館における学校司書の配置問題についてでございます。

 学校図書館の充実が叫ばれています。大変望ましい、うれしいことだと思っています。恐らく、大臣も学校の図書館、全部読んだぐらい活用されていたのではないかと思います。ただ、私は、望ましい図書館のあり方というのは、それぞれ地域によってあるいは学校によってさまざまな選択肢があってよいのではないかと思っています。

 文科省にお尋ねをいたします。

 学校図書館について、直営方式と委託方式というものが存在すると聞きますが、これはいずれも適法なものなのか、そこを教えてください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 学校図書館の管理運営につきましては、直営によるもののほか、外部への委託により行われているケースもございますけれども、この取組につきましては、学校図書館の運営のあり方について、各設置者の判断において行われているものと承知しております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 そうすると、直営というのはわかるわけですけれども、委託方式という場合、どこの部分を委託されているということが多いんでしょうか。ちょっと委託のイメージが湧かないものですから、教えてください。

清水政府参考人 委託する業務の内容につきましては、それぞれの契約の内容によって異なりますので一概には言えないと思いますけれども、少し例として聞いてみたところでは、学校図書館のカウンター業務、図書資料の整備、管理、書架の整理、レファレンス等、そういったものを業務委託の内容として含めている、そういった例を聞いたところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 ということは、委託方式の場合、そうやって委託されている会社のいわば従業員といいますか、そのスタッフとして働いておられるということなんだなというふうに理解をいたしました。

 学校図書館法で学校司書という制度が法制化されているわけでありまして、学校図書館の健全な発展を考えたときに期待するところ非常に大なんですが、この学校司書というのは、常勤の人も非常勤の人もあると思うんですけれども、これはどっちにしても学校の職員であるということで間違いございませんか。

清水政府参考人 平成二十六年の学校図書館法改正によりまして、新たに学校図書館の職務に従事する職員、これを学校司書ということで置くように努めなければならないという規定が追加されたわけでございますが、この学校司書につきましては、学校の設置者が雇用する職員というふうに認識をしております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。わかりました。

 ということは、逆に、委託方式の場合には、学校に雇用されているということにはならないので、そういうレファレンス業務だとか書架の業務だとか、そういったことをやっている人がいても、それは学校司書にはならないんだなというふうに理解をしたところでございます。

 この委託のあり方というのはさまざまで、どういったことを前提にするのかといったことがいろいろあるんだろうと思いますが、学校司書はいないけれども、そういう委託方式で充実した図書館運営というものをしている例もひょっとしたらあるのかなというようにも思っているところでございまして、そうしたところについては学校司書ゼロとなるのがちょっとかわいそうかなと思ったりしているところでございますが、いずれにしても、関係者の努力で学校図書館について新しい光を当てていただいていること、本当にうれしく思います。

 先日、お茶の水女子大学の入試で、何を見てもいい、図書館を使った入試というのが行われました。図書館にある資料を何を見てもいいからこの課題に答えなさいという、新フンボルト方式入試というふうに呼ばれていましたけれども、今、世の中にあるさまざまな課題に対して、図書館というものを活用して自分なりの答えを導き出す、これがこれからのまさに文科省の目指す姿ではないかと思います。

 そういったことを日常的にやっていくためにも、学校図書館というものの充実は極めて重要な意味があると思っておりまして、ぜひともこれからも力を入れていただくように心からお願いを申し上げる次第でございます。

 時間となりました。以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

田野瀬主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十分散会


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