衆議院

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第2号 令和4年2月17日(木曜日)

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令和四年二月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 青山 周平君

      石橋林太郎君    勝目  康君

      亀岡 偉民君    下村 博文君

      青山 大人君    石川 香織君

      櫻井  周君    伊佐 進一君

      山崎 正恭君

   兼務 石原 正敬君 兼務 後藤田正純君

   兼務 源馬謙太郎君 兼務 掘井 健智君

   兼務 穀田 恵二君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   環境副大臣        務台 俊介君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   宮地  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       千原 由幸君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  下村 博文君     勝目  康君

  石川 香織君     青山 大人君

  伊佐 進一君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     石橋林太郎君

  青山 大人君     櫻井  周君

  中野 洋昌君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     下村 博文君

  櫻井  周君     太  栄志君

  山崎 正恭君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  太  栄志君     石川 香織君

同日

 第一分科員後藤田正純君、掘井健智君、第三分科員穀田恵二君、第五分科員源馬謙太郎君及び第八分科員石原正敬君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

青山主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。

勝目分科員 おはようございます。京都一区の、自由民主党、勝目康でございます。

 昨日の第五分科会に続きまして、朝一、トップバッターでの質疑に立たせていただきます。貴重な質問の機会を頂戴いたしまして、関係の皆様全てに心より感謝を申し上げます。末松大臣、そして文部科学省の幹部職員の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 文部科学省といいますのは、教育、研究、スポーツそして文化といったものを通じて、未来をつくり、そして人と社会を豊かにしていく、そういう役所だと思います。本日は、私の地元京都が文化首都であるということを踏まえて、文化政策について、そしてまた、ここ数年で一気に進んでまいりましたGIGAスクール構想について順次御質問をさせていただきます。

 初めに、文化政策についてお伺いをいたします。

 文化というものは、それぞれの国や地域に固有の歴史、風土、こういったものに根差しつつ、担い手となる個人の独創性あるいは研さんを重ねた技に支えられておるわけでございます。グローバル化が進む中で、日本らしさというもの、日本ならではの価値というものを提供できる基とも言えます。

 しかしながら、近年の社会経済情勢の変化、あるいは現在進行中のコロナ禍により、文化の担い手が持続的に活動できるかどうか、非常に懸念される事態になっております。文化の担い手をしっかり守って、支えて、そして文化が社会経済の発展の源として生かされるようにしていく、こういう必要があると思います。こうした観点で何点かお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症との戦いは既に二年を超えました。コロナ禍により、飲食、宿泊サービス、運輸、小売等々、地域経済を支える中小零細事業者の皆様と並び、文化芸術関係者もまた、集まることができない、発表の場が持てない、観客を入れることができないということで、大変厳しい状況の中での活動を余儀なくされておられます。フリーランスで細々とやっておられる方が非常に多いというのも文化分野の特徴でありまして、ここで様々な活動が途絶えてしまっては我が国の文化の灯が途絶えてしまう、そういう大変な危機感がございます。

 こうしたことを背景に、昨年十二月に成立した令和三年度補正予算におきまして、コロナ禍からの文化芸術再興支援事業、いわゆるアーツ・フォー・ザ・フューチャー2、AFF2には五百五十六億円という大変大きな額を計上いただいております。関係者の御尽力に心より感謝を申し上げたいと思います。

 一方で、時期的には予算成立後からになりますが、オミクロン株の感染の急拡大で全国三十六の都道府県、蔓延防止等重点措置が実施をされまして、文化芸術関係者はいまだ先の見えない大変な不安の中で作品をつくり、あるいは発表をされています。

 こうした中で、昨日ようやくAFF2の募集要項が公表をされ、事業の具体的な姿が明らかになりました。文化芸術関係者が活動を継続していくためにも大きな役割を果たしてほしいこのAFF2、AFF1では様々な課題も指摘をされたわけでありますが、今般改善された点、文化芸術関係者へアピールしたい点、お聞かせいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度第三次補正予算、アーツ・フォー・ザ・フューチャーにおいては、予想をはるかに上回る多くの団体から申請を頂戴いたしまして、次期事業に向けた様々なお声もいただいているところでございます。

 こうしたお声も踏まえながら、より多くの団体に支援を届けられるよう、次期のアーツ・フォー・ザ・フューチャー2においては、予算の拡充を図るとともに、審査体制の倍増により審査迅速化、随時申請とすることにより申請準備に十分な時間を確保する、AFF1の採択団体につきましては申請書類の一部免除などの改善に努めてまいりたい、このように考えております。

 さらに、三月末から予定しております募集開始に向けまして、説明会を開催するなど、広く御活用いただきますよう丁寧に周知してまいりたい、このように考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 文化芸術関係者にとりましてより使いやすい、そして速やかに審査を行っていただいて時機を失せず給付が行われる、そういう制度になるように、しっかりとした執行体制を組んでいただきたいと思います。説明会も開催していただけるということでありますので、なるべく広く、多くの関係者に周知をいただきますようによろしくお願いをいたします。

 こうしたいわゆる文化芸術には従前含まれてきませんでしたけれども、重要な文化の柱の一つに、茶道、華道あるいは食文化といった生活文化がございます。生活文化は、平成二十九年、議員立法により制定をされました文化芸術基本法第十二条に明確に位置づけられておりまして、その振興を図っていく必要がございます。

 特に食文化につきましては、素材を生かした調理法、いわゆる旬を意識した季節感の表現、年中行事との関わりなど、日本ならではの特色を有し、だからこそユネスコも和食を無形文化遺産として登録されたんだろう、このように考えるところでございます。

 加えまして、和食をいただく空間であります料亭、料理屋さん、こういったところは、建物、庭、器、和装、掛け軸、生け花等々、しつらえからおもてなしまで、日本らしさの詰まった、総合的な日本文化の実践の場だ、このように言えるものだと考えております。

 我が国におきましても、昨年の文化財保護法改正によりまして、登録無形文化財の仕組みが導入をされたところであります。今、私の地元京都では、単なる飲食というものを超えまして、日本文化の粋を集めたとも言える京料理につきまして、無形文化財としての登録を目指し、関係者間で協議を重ねております。

 あくまで例えばでありますけれども、総合プロデューサーである主人、料理を手がける料理人、そしてサービスを担当する仲居さんといった様々な担い手たちが重層的に関わってこういう場をつくっているわけであります。いずれもが重要な要素と言えるわけでありまして、これらを総合的に無形文化財と観念できないかな、個人的にはそのようにも考えるところでございます。

 京料理の無形文化財登録につきまして、お考えをお聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国には、豊かな自然風土と精神性、歴史に根差した、世界に誇る多様な食文化が存在しております。また、委員からも御指摘ありましたとおり、文化芸術基本法におきましては、平成二十九年六月の改正時に、生活文化の例として食文化が明記され、国がその振興を図るということとされたところでございます。

 そこで、文化庁といたしましては、そのような食文化の文化財登録に向けた調査研究等を支援する「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業を実施しておりまして、その中で、京都府による京料理についての事業も支援しているところでございます。

 現在、京都府が主体となっていただきまして、京都の料理屋、料理人等、幅広い関係者を巻き込む形で調査を実施しております。年度内には調査報告書が取りまとめられる予定でございます。

 また、今後、文化財の登録等を目指す場合、学術的な研究の積み重ねや文化審議会における議論等も必要でありますことから、調査報告書の精査を進め、京料理の文化的価値をどのように位置づけていくかの検討を進めてまいります。

勝目分科員 ありがとうございます。

 京料理の登録が成りますれば、日本各地、特色ある食文化の登録の先鞭となるということでないかなと考えておりますので、しっかり京都の関係者と連携をいたしまして、まずは報告書をまとめるというのが先に来るんだ、こういうことでございますので、そこはあるわけでありますけれども、検討を進めていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 なお、この料亭、料理屋さんが風営法の許可対象事業者になっているということにつきましても、文化の担い手をいつまで風俗営業として置いておくのか、こういう課題もあるわけでございます。本日は時間の都合もありますので指摘にとどめますけれども、また警察庁さん等も交えてしっかり議論をさせていただきたいな、このように考えております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、今ほどは無形文化財についてお伺いをしたところでありますけれども、これまで、伝統的にといいますか、取り組まれてこられました有形文化財の保存あるいは修復といったことにつきましても、その持続性という点で課題が山積をしております。保存技術を有する方も減ってきておりますし、また、さらに、その川上部分、例えば和紙におけるコウゾのような原材料の確保といったものについても政策的に対応をしていかないといけない、こういう状況にあるというふうに認識をしております。

 文化庁としてこうした課題にどのように対応されるのか、スケジュール的なところも含めてお伺いをできればと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財の修理技術者や、コウゾを始め修理のための原材料の生産者の高齢化や減少により、その保存、継承をめぐる状況が大変厳しくなってきたと認識されております。

 こうした現状を踏まえ、昨年十二月、文化財の保存、継承を持続的にするため、文化財の匠プロジェクトを大臣名で決定しました。このプロジェクトに基づき、来年度からの五か年計画で、文化財の修理技術者、用具、原材料の確保のための支援の充実や、文化財修理の事業規模の確保に計画的に取り組んでまいります。

 あわせまして、同プロジェクトを通じて、国立の文化財修理センターを京都に設置することも検討することとし、来年度は設置に向けた調査から着手したい、このように考えております。

勝目分科員 どうもありがとうございます。

 文化財の保存、修復の担い手、この減少というのは本当に長い長い時間をかけて進んできてしまっているものであります。なかなか一朝一夕に、その担い手が一気に増えるというのも難しいことではないかなと思いますけれども、やはり地道に、若い人たちから、こういう文化財の保存、修復に魅力を感じていただいて、この世界に入っていただく、そういうしっかりした仕掛けといいますか、そういうのが必要になってくると思います。

 計画的にこの取組をお進めいただく、そしてまた、その方針を末松大臣の下で匠プロジェクトという形でおまとめいただいた、このことはこれまでに例のなかったことではないかなというふうに思いますので、大変評価をするところでありますし、地元京都に文化財修理センター、これの設置に向けて検討していただけるということでもあります。

 日本らしさというものが詰まっている有形文化財がなくなってしまうことのないように、あるいは、せっかく保存、修復しようにも技術者がいない、技術者が仮にいたとしても、それを作るもととなる原材料がない、こういう状況になってしまっては、日本らしさって一体何なのかな、こういうことになってしまうわけであります。極めて重要なプロジェクトだというふうに思いますので、しっかり計画的にお進めいただき、予算の方も事業規模の方も確保をしていただきたい、このように思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、これまで、コロナ禍への対応、そして食文化、有形文化財の保存、修復の担い手につきまして質問をしてまいりました。文化の担い手を支え、持続性を確保していくという、いわば守りの文化政策と、それから、文化を基軸として、まちづくり、社会経済の発展につなげていくという攻めの文化政策と、両面で強化をしていく必要があるんだろう、このように考えるところであります。

 文化庁の京都移転をこうした文化政策の強化にしっかりつなげていくということが重要であります。私は常々、京都の選出の議員でありますけれども、京都のためだけの文化庁移転であっては、これは絶対にいけないんだ、全国各地から、文化庁が京都に移転してよかった、こう言っていただけるような文化庁を目指すべきだ、このように申し上げてきております。

 現場の状況等によりまして、当初予定していた移転スケジュールからは若干の遅れも見込まれるようでありますけれども、まずは早期にかつ円滑に移転を完了することが極めて重要でございます。その上で、諸外国と比べ少ないとされます文化予算を大幅に増やすであるとか、それから、先ほど申し上げました、生活文化の保存や活用振興への支援を抜本的に強化をして、全国各地の地域の誇りの再生につなげていくといったように、京都への移転を契機に文化庁が果たす機能、役割は強化していっていただきたいな、このように考えるところであります。

 文化庁の円滑な移転と機能の強化に向けた大臣の御決意を伺いたいと思います。あわせて、末松大臣には是非現地を御訪問いただきたいなというふうに思いますので、併せて御答弁賜れればと存じます。よろしくお願いをいたします。

末松国務大臣 勝目先生、これからよろしくお願いを申し上げます。

 今先生から、京都の文化は全国のためにある、日本のためにあるという趣旨のお話があったと思います。勝目先生には、来年の春から大変お世話になります。特に地元中の地元でありますので、御指導のほどよろしくどうぞお願い申し上げます。

 文化庁の京都移転につきましては、京都府が工事を進めている新庁舎、令和四年十二月に竣工しました後、令和四年度中の業務開始を目指してございます。このため、文化庁の中核となる組織は令和五年三月中に京都へ引っ越しを行いまして、その他の組織は、同年五月初旬の大型連休を活用しつつ、可及的速やかに移転を進めることを目指しているところでございます。

 引き続き、京都府、京都市を始め関係方面と連携協力しつつ、移転に向けた準備を着実に進めてまいりたいと思います。

 また、令和三年度補正予算では、コロナ禍における文化芸術支援のため、当初予算に近い規模であります九百五億円を確保いたしました。さらに、令和四年度予算における食文化や生活文化の振興事業の充実、また、今お話もありましたが、文化財の修理に係る取組の更なる推進など、地域の誇りである文化の伝承と発展に一層貢献できるように、文化行政を支える予算の確保に努めてまいります。

 この夏には令和五年度の概算要求を控えております。今回の京都移転を契機に、文化庁の一層の機能強化を図ってまいりたいと思います。

 国宝が、京都は二百三十七ございます。東京の二百八十八に次ぎます。奈良は二百六ですから、数の上では奈良より京都の方がはるかに多いということになろうかと思います。

 それと、今先生がお話しになられました、三年前に議運の委員長を参議院でやっておりまして、京都御所とか迎賓館なんかをずっと回りましたときに、やはり文化財の補修の話が出てまいりました。これはもう、共産党の先生も含めあらゆる議員が指摘をされまして、材料も作られない、職人もいないという問題があって、この匠のプロジェクト、先生らを中心にしまして前へ進めていきたいということ、そのことを私なりには強く願っているところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

勝目分科員 力強い御答弁、誠にありがとうございます。是非、現地にもお越しいただければと改めてお願いをいたします。

 京都では、京都府、京都市が、文化庁移転に係る土地建物、これの半分を負担をするということでありますし、また、経済界はこのコロナ禍で大変な状況になっておるわけでありますけれども、文化庁の長官公邸、こちらの方の整備費を負担するということで、負担するといいますか、整備そのものをやっていくということでございます。まさにオール京都で文化庁をお迎えする、その準備を今進めているさなかでありますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、GIGAスクール構想について質問をさせていただきます。

 令和元年度の補正予算以降、累次にわたる予算措置によりまして、一人一台端末と高速大容量ネットワークを一気に整備をしていくという一大プロジェクトでございます。小中学校に関しましては、昨年度末で九六%まで整備が進捗をいたしまして、一人一台が実現したと言ってもいい状況になってきておるわけでございます。

 教育のICT化というものは、長らく取り組まれてきたという経緯があります。普通交付税措置を活用して三人に一台の整備を目指して取組を進めてきたわけでありますが、地域間のばらつきも大きゅうございましたし、また、整備水準も、目標としていた三人に一人より大幅に少なかったというのが実情でございました。ですので、GIGAスクール構想について、関係者の努力には並々ならぬものがあったんだろう、このように思います。心より敬意を表する次第でございます。

 当然のことながら、GIGAスクール構想のゴールというものは、機器整備それ自体にはありません。いかに一人一台となった情報端末を駆使して、そして、新たな学習指導要領に定められた個別最適な学びあるいは協働的な学びといったものの実践に生かすか、そこにあるわけでございます。

 その意味では、端末及びネットワークの整備とともに、教員の皆さんが情報端末を使いこなして、いかに実践に使っていくか、そこが問われるわけであります。一人一台ということは、どこかの先進的な教員が個人技でやるものではなくて、標準装備になるということでありますので、これは全体の底上げが必要になってまいります。

 そこでお伺いしたいのが、現在、どれぐらいの教員の方が授業等学校教育活動で使えるレベルに達していらっしゃるのか、文科省として把握をされていらっしゃいますでしょうか。そしてまた、把握をされているのであれば、その程度についてどのように評価をされているか、課題があると認識されているのであれば、それをどのように改善されていかれるのか、お聞かせください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、ICTを活用しながら全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で、教師のICT活用指導力の向上というのは極めて重要な問題であります。

 GIGAスクール構想に基づくICT端末の本格的な整備前である令和三年三月末時点の調査におきましては、七〇・二%の教師が、授業にICTを活用して指導する能力について、できる、ややできるといった肯定的な回答をしております。しかしながら、やはり、一人一台端末を活用した学びは、多くの学校にとって初めての取組ということなんですが、全国の水準の底上げを更に図る必要があるというふうに認識しております。

 このため、文部科学省内に、GIGA StuDX推進チームということで、そういうチームを設置し、取組に課題のある自治体に対する個別の伴走支援であったり、ICT活用に関する専門的な助言や研修支援を行うICT活用教育アドバイザーの派遣など、プッシュ型の支援も充実をしているところでございます。

 また、ICT端末整備というのは一応小中学校はおおむね完了したものの、運用の課題は、ネットワークの通信速度あるいは教師の設定等の負担、それから、指導者用端末が十分に整備されていないといったようなことなどがあるということを踏まえまして、学校でのICT活用を日常的にサポートするGIGAスクール運営支援センター整備事業に要する経費を来年度予算案におきましても計上しておりまして、この運用面の支援の強化も併せて図っていくことによって、一人一台端末の活用が功を奏するよう取り組んでまいりたいと考えております。

勝目分科員 どうもありがとうございます。

 全体の底上げのためにはまだまだ改善していかないといけない、そういう課題が多くある、そういう状況がうかがえるところであります。

 教員用の、指導用の端末がまだ十分配備されていないということでありますし、そういったところは早急にやっていかないと、結局、子供たちに配っても、授業で十分使えない、活用できない、こういうことになりかねない話であります。せっかく多額の予算を投じて一人一台整備をしてきたわけでありますし、ネットワークの整備も順次図ってきているところであります。これが無駄になってしまいますし、何といっても、一人一台整備されたということは、これを活用された授業を受けるというのは子供たちにとってはもう権利になっているということだと思います。

 底上げについて、本当に緊急的に取り組んでいただきたいと思いますし、各都道府県、市町村の教育委員会の役割も極めて大きいと思います。個別的な、伴走的な支援と相まって、全体の底上げ、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そして、冒頭申し上げましたとおり、新学習指導要領にある協働的な学び、個別最適な学び、これが盛り込まれているわけでありますけれども、この実践は、デジタル、あるいは一人一台端末がなければできないというものでは必ずしもないんだろうとは思いますけれども、ただ、デジタルがこれらの実践に非常に大きな役割を果たしていく、アナログではできない取組が可能になるということもまた事実であろうと思います。

 一人一台端末を活用して、デジタルならではの協働的な学び、個別最適な学びを実践されている自治体もいろいろ出てきているんじゃないかと思います。好事例をお聞かせいただければと思いますし、また、それらの取組をあまねく広く、全国津々浦々に浸透させていくための取組についてお聞かせいただければと思います。

伯井政府参考人 個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で、一人一台端末をしっかり活用しながら取り組んでいくということが重要でございまして、委員御指摘のとおり、好事例を発信していくということも重要でございます。

 先ほども紹介いたしましたが、文部科学省内の推進チームにおきましては、特設ウェブサイトなどを設けまして、学校現場で参考となる事例の紹介などをいたしております。

 具体例といたしまして、先生御地元の京都市における取組として、児童生徒の発話量とか内容等をデータで可視化しながら、児童生徒それぞれに気づきを与え、主体的な学びにつなげるような特色ある取組を行っている自治体。それから、六ケ所村、青森県でございますが、プレゼンテーションソフトの共同編集機能を使って、グループで話し合いながら、クラウド上で資料を作成する、クラスで発表するような取組。あるいは、春日井市におきましては、新型コロナ感染症の感染拡大の中にあっても、オンラインを使って学校の外の人々や機関との交流活動を実施している取組などなどがございます。

 文科省といたしましては、こうした優良事例の発信を通じまして、学校現場でのICT活用のイメージを具体的に共有しながら、効果的な活用をより推進してまいりたいと考えております。

勝目分科員 どうもありがとうございます。

 ともすると、集合的、画一的、一方的なものになりかねなかった従前の授業の在り方から、デジタルを活用することで、まさに新学習指導要領が目指す教育の実践が可能になるものと考えております。いいところ、先進的なところだけをピックアップしてお茶を濁すなんということがないように、速やかに全体を底上げできるようにしていただきたいと思います。子供たちにとっては、一年の遅れは、私たちにとっての一年とは全然意味合いが違うわけであります。文科省さんの仕組みづくりと個別のサポートが不可欠でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間が参りましたので質問を終わります。誠にありがとうございました。

青山主査 これにて勝目康君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤田正純君。

後藤田分科員 大臣、お疲れさまでございます。予算委員会での誠実な、また心のこもった答弁に本当に敬意を表しますし、だからこそ今日は期待を込めて、現状認識、そしてまた、私の提案、そして即実行、これについて明確な御答弁をいただきたいと思います。

 お手元にお配りさせていただいています、大臣にも行っていると思いますが、これは我々自民党の本部でも、以前、子供・若者白書、子若ですね、この資料を見たときに、私は愕然といたしました。この資料です、ありますか。

 私自身の非力や、国会の、また大人の非力。これはもうひどいですよね。二〇一五年、一六年から、そして直近まで、子供たちの自殺は増え、いじめは増え、SNS被害は増え、虐待は増え、不登校は増え、若者無業者は増え、これは、国会は何をやっているんだ、大人は何をやっているんだと言われても仕方ありません。

 このことこそ、私は緊急事態だと思っています。緊急事態宣言を、まさに、子供社会、そして学校現場、今、学校の先生の不足の報道もされています、また働き方の問題も指摘されています。その点について、まず、大臣の現状認識、緊急事態宣言、これぐらい出して、本当に一つ一つすぐに解決策を出していくべきだと思いますが、大臣の、総括的な答弁で結構です、心の答弁というか、お願いしたい。

末松国務大臣 先生から資料をいただきまして、いじめ重大事態、二〇一五年三百十四件、四年たって、まあ五年ですか、五年たって、七百二十三件と倍増をいたしてございます。恐らくは、これだけの数字でとどまっているかどうかということもはっきりはいたしてございません。

 この重大事態の問題について、一つは、私、先生からの資料をいただきまして、ある種、学校内でのいじめというようなことは、これはかなり顕在化するようになったんですけれども、昨今、ネットの中で、特に、GIGAスクール構想が前へ進んでまいりまして、タブレットを皆それぞれ持って帰っておるということがあります。町田市の事件でも、実際に、先生が気がつかないところで悪口を書き込まれていた、そういった実態があって、どうも、表に現れないところで、教師が気がつかないところでそういった深刻ないじめが行われているということ、そのことがあると思うんです。

 それともう一つ、子供さんは、親にサインを送り、そして同時に先生にもサインを送るんですけれども、必ず何か助けてくれると思うんですけれども、それが助けられていないという実態が自死につながっているということ、このことは本当に残念というか、責務を果たしていないというその一言に尽きると思っております。

 早期発見、そして早期対応、きちっと保護者にも情報提供を行うということ、ひどかったら出席停止も行わなきゃならぬということを求めなきゃならぬと思うんですけれども、あらゆることを総合的にやらなきゃならないと思います。

後藤田分科員 ありがとうございます。しっかり自分の言葉で、自分の体験を基に答弁いただいて、本当にありがとうございます。

 今、政府のビジョンというかミッション、いわゆる子供ど真ん中、そしてまた経済安全保障、そしてまた男女平等、人への投資、働き方改革、地方創生、成長戦略、あらゆるビジョン、ミッションがありますが、私はやはり、こどもまんなかという政策は、子供の安全保障、こういうつもりでしっかり文科省は真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 その中で、これは、歴代大臣がもういじめを減らすんだとやっていたら減っているはずなんですよ。だけれども、増えているんですよね、どんどんどんどん。だから、済みません、歴代、さっきいらっしゃったのにいない、別に批判しているわけではありませんが、やはり、具体策を政治家が出さなきゃいけない、大臣になった方。

 私、一つ提案なんですよ。よくよくいろいろ考えて、いわゆる内申というのがありますね。これは、小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学も含めて、ただ受験のためのというよりも、その子供のよさ、そしてまた問題点、こういったものが引き継がれていくわけですが、いろいろ文科省に聞きますと、内申というのはいいことしか書かない、そして、これを決めたのは教育委員会である、こういうことらしいんですよ。だから、私は、いじめをしたとか、いじめに加担したも、軽いものから重いものまで、これはちゃんと記述して、そして内申に入れるべきだと思いますよ。そして、それを、小一から、初等、中等、高等教育まで毎回、学校現場で保護者会をやるわけでしょう、こういうことが起きたら内申に響きますよと、これを必ず親に言う、保護者に言う、そして子供に伝える。こういうことをやはりもうやる段階に来ていると思いますよね。

 いいことしか言わないんですというのは文科省さんの説明でした。百歩譲って、例えば、いじめを止めたとか、いじめを通報したとか、いじめと戦ったとか、こういう子供にはプラスの内申を与えるとか、これぐらいのことをもうやらなければいけない。

 今、学校現場も大変だ、忙しいというけれども、こういう問題も、規制と規制緩和の話と一緒ですよ。事前規制すると楽なんですよね、その後の仕事がなくなる。事後規制になると、ある程度自由を認めるわけですから、いろいろな問題に対処しなきゃいけない。だけれども、僕は、ここまで異常事態のいじめ問題は、ある程度、これはやはり具体策としてこういうことをやるべきだと思うし、何ら問題ないと思うし、受け入れる中学校、高校、大学だって、その人間の人となりが見られる、そしてそれを抑止力として小さい頃から保護者にも伝える、こういう仕組みを文科省が、大臣が、やるべきだと言っていただけないかなと。これも教育委員会、我々政治は介入できませんから、文科省だけが指導できるんですよね。

 是非そこの点について、具体案として申し上げましたが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 大変鋭い御指摘と同時に、大変難しい今御質問を受けたと思ってございます。

 先生おっしゃったように、内申書というのは、やはり長所を書いてあげるということであります。そこに、いじめをした子が、内申書に、この子はいじめをして他の生徒に迷惑をかけたということで、極めて傷をつける、減点的なことを書く、そういうことをルール化しましょう、内申書に書きますよとなれば、私もこの前、文科省の幹部を集めたときに、それって抑止力につながることにはならないかという話をしたんですけれども、本来的に言えば、どうしても、内申書というのは得点主義的に考えてあげる、そういう考え方が文科省も強い。最終的には、各教育委員会がどういうように考えるかという判断になってはまいります。

 したがいまして、現状において、伝統的手法というんでしょうか、きちっと、いじめを早く見つけて、そして対処する方法を決めて、どうしようもないときにはいじめている子供の出席の停止を求めて、親にも通報し、更に悪化するようでしたら警察すら相談しても差し支えはないというような事態を迎えるかもしれません。内申書にそれを書き込んで抑止力になるかどうかといったら、それは、全国、議論は百出すると思います。

 大変難しい宿題を今日いただいた、そういうところで今日はちょっと受け止めておきたいと思います。現状においては、文科省はまだできないという状況です。

後藤田分科員 ありがとうございます。

 さっき冒頭申し上げましたように、いじめの状態というのはもう異常事態なんですよ。でも、異常事態ですが、誰も実は何も具体的なことをやれていない。度々に、僕は本当に涙が出ますよ。被害に遭われた、亡くなられた方、そして、教育委員会は知りませんでした、気づきませんでした、これを何年続けているんですか。これはやはり抑止力としてちゃんと考えていただきたいんですよね。

 今、具体案を申し上げました。これは別に何ら問題ないと思いますよ。これをしっかり保護者に説明して、子供に説明する。もちろん、それの影響を余り強く進学には求めない。けれども、抑止力です、申し上げたいのは。こういうことを保護者や子供に伝えるということぐらいしないと、もうこれは減りませんよ。逆に、ほかに何か具体案を出していますか、今。是非前向きに、抑止力という観点で、いじめを本当になくしていただきたい。

 そして、もう一つ、これは先ほども申し上げました、政府のビジョンの中の、子供ど真ん中と男女平等という話もございますね。

 これはやはり、文科省という立場で、教育、スポーツをつかさどる省庁で、男女共同というものは本当に責任があると思いますよ。やはり、子供の頃から男女は平等なのだと。もちろん、身体的な、医学的、生理的な違いがありますけれども、やはりそれをしっかり、対等なんだ、だけれども、対等だけれども、力が弱かったり、いろいろ体力的な問題はあります。

 この資料、この黄色いやつありますかね、これは、あるNPO団体が作った資料であります。

 アメリカのタイトルナインという法律、大臣、御存じでしたか。(末松国務大臣「いや、存じていません」と呼ぶ)ですよね。歴代大臣、歴代局長、歴代課長はタイトルナインを知らない。これが本当に問題ですよ。

 アメリカで一九七二年に制定されました。もう五十年前です。これはまさに、公的な教育機関における性別による差別禁止。大臣の年代だと、ビリー・ジーン・キング、キング夫人、御存じですね、テニスの。あの方がまさに言っている、タイトルナインが全てを変えた、法律とその精神が守ってくれたと。もう一つ、一九八四年のロス五輪で競泳三冠、今、弁護士をやられていますナンシー・ホグスヘッド、この人もこう言っています。参政権を除けば、タイトルナインほど女性の人生に大きな影響を与えた法律はない。

 この法律によって、アメリカの女性の学校スポーツに参加する割合、昔は、法律制定前は二十七人に一人が、五人に二人、高校でスポーツに参加している女性、二十九万人だったのが三百二十万人、大学でスポーツに参加している女子学生の数、三万人が二十一万人、オリンピックの女子選手、九十人だったのが二百九十一人。なおかつ、フォーチュン五〇〇という経済誌によりますと、女性CEOの八割は元アスリート。

 フィットネス、トレーニング産業、これは成長戦略にもつながっています。アメリカは一・八兆円、日本は八百億円、二十倍です。人口、経済規模三倍と見ても、二十倍は開き過ぎです。

 そして、スポーツを経験した女性が増えれば、人口の半分ですが、大人になってもスポーツをやる。スポーツ用品が売れる、スポーツ観戦に行く、子供にスポーツをやらせる。いろいろな意味でプラスがあるんだけれども、これも文科省は何にも手をつけていない。

 裏にあります。日本の場合。

 日本の中学校及び高校における男女の団体スポーツへの参加率、中学校男子は七五%であります。そして、女子も五四・九%。高校になると下がって、五六・四%、男子。女子は何と半分になっちゃうんですよ、二七・一。

 ですから、この問題をやはりしっかりやるために、大臣、是非、タイトルナインに匹敵するような教育機会の均等、これをまさにスポーツを中心にやってもらいたい。

 もっと言うと、NHKの放送の枠、これもちょっと注意深く部下の方に調べさせてもらいたいんだけれども、御承知のとおり、相撲が六場所やっていますよね、年に。あれは土俵に女性は上がっちゃいけないんですよね。だから、男女平等から真逆のことが年に六場所行われていて、じゃ、女子スポーツの枠って、NHKでほとんど見たことないですよ。今、オリンピックでカーリング、頑張っていますよね、昨日も私も拝見しましたけれども。

 そういうことも含めて、公共放送のNHKが放映しないことも、やはり、文科省としてそういう男女の教育機会の均等というものを先頭に立って発信しないから、NHKのような公共放送のいわゆる放送枠も男子ばかりになって、女子が少なくなっている。これも、僕は、NHK、公共放送として大問題だと思いますよ。おまけに、放映権を払っているんですね、何十億も、相撲協会に。だから、こういうことに全部影響してきているということなんだと思います。

 甲子園球場でも、何か女性マネジャーが入ったらこらっと怒られたとか、いまだにそういうことをやって、最近、改革したという話になっていますが。

 まさに、スポーツにおける男女共同というものが実は社会全体の男女共同、そして、女性が活躍することによって経済、社会、成長戦略に全部つながっていく、少子化にもつながっていく。

 ですから、文科省の、男女平等、こういう意識が本当に大事なんですよ、子供の頃から。是非、具体的なことをやるべく、大臣、指示してもらえませんか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のスポーツにおける男女平等、ごもっともな御指摘の部分もあるかと思ってございます。女性を始め多様性に配慮しながら、特に、大学スポーツへの参画を促進していくということは重要だと認識しております。

 このため、スポーツ庁の令和四年度予算案におきまして、性別、障害の有無などに関わらない大学スポーツ環境のユニバーサルデザインの取組を推進するといった予算を計上しております。

 また、女性のスポーツを、全般的に、参加していくというような支援につきまして、現在、スポーツ審議会におきまして、第三期スポーツ基本計画も議論しているところでございます。その中に盛り込んでいくといったようなことも考えているところでございます。

 スポーツ庁としては、引き続き、大学スポーツの統括団体であります大学スポーツ協会、UNIVASとも連携しながら、大学のスポーツ参加に、女性を参画していくといった取組を進めてまいりたいと思ってございます。

 また、テレビスポーツ中継について御指摘がございました。テレビ中継におきますジェンダーバランスなどにつきましては、必要があれば、各放送局、あるいは放送局を所管する総務省等において検討がなされるものというふうに基本的には承知しております。

 先ほど御指摘ございましたけれども、現在開催されております北京オリンピックの冬季大会では、男女問わず多様な競技が中継されているというふうに認識しております。

 その上で、我が国の女性スポーツについて申し上げますと、女子プロサッカーリーグでありますWEリーグが昨年九月にスタートいたしましたし、さらに、女子のソフトボールリーグでありますジャパン・ダイヤモンド・ソフトボールリーグも来月開催するといったようなことで、女性のスポーツ、競技といったものが全般的に魅力あるようなコンテンツとなるよう、競技力向上、あるいはデジタル技術の活用などにスポーツ庁として取り組んでまいりたいと思います。

後藤田分科員 当然、オリンピックをやった国ですからね、枠としては、男女比率、広がったんですよ。ただ、参加者の話を言っているんですよ、皆さん。さっき言ったように、中学校から高校になるとがくっと減ってしまうとか。

 やはり、ビリー・ジーン・キングさんとか、三冠を取った水泳の女子が言っているように、法律というものが我々を守ってくれるんだ、国を動かしてくれるんだという、こういうことなんですよ。

 だから、やっています、やっていますとずっとこの間来ているから、やはりここは是非、大臣、これは話題にするだけでもみんな考えますよ、国民が。大臣という立場は、それをみんなにサラウンドする役割もありますよね。さっきの内申の話だって、問題がある、これは役人答弁としてはそうですよ、いろいろな意見がある。だけれども、これはどうなんだろうと。

 大臣は、一年、二年、長くて三年、その中で、僕は、末松先生だったらレガシーを残してくれると信じて、今日は質問にあえて立ったんですよ。やはり女性の、男女問題というのは教育からだと。さっきのいじめもそうです、緊急事態なんだと。この発信ですよ。それで国民を動かす、現場を動かす、これはやはり、大臣、政治家じゃなきゃできないと思いますね。この男女平等についての、文科省としての、スポーツ庁としての具体案を是非これから指示していただきたいと思います。

 三番目、最後の質問になると思います。最後の質問は、学生スポーツ、いわゆる部活のガバナンスについてであります。

 最近話題になりました、高野連、新聞社が主催をされる春の選抜高校野球、この選抜の仕方について様々な意見がございます。地元の浜松市長、知事も、おかしいという話がありました。私も報道で見る限り、個人の力量で勝てるチームを選んだというような言及もあったやに聞いています。

 これはつまり、文科省がしっかり法律若しくは学習指導要領で規定している、スポーツというのはまさに教育の一環であるということから鑑みて、さきの高野連の判断については文科省としてはどう考えるか。そして新聞も、毎日新聞、当事者も、いろいろコメントを出していますが、それを文科省としてはよしとしたのか。その点について御意見を聞かせてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 選抜高等学校野球大会の出場校を選出するための選考基準につきましては、大会主催者であります日本高等学校野球連盟が、開催目的等をもって、責任を持って定めるべき性格と考えております。したがって、今回の問題に対しまして、文科省から主催者に対し見解を求めるといったような働きかけは行っておりません。

 こうした選考基準、選考の在り方につきまして、様々な御意見、御質問があるような場合には、それらを決定した主催者が責任を持ちまして、学校関係者等に対しまして丁寧に説明すべきものと考えております。

後藤田分科員 これはそもそも、大臣、役人は今までずっとこれを変えてこなかった、触らなかったんですよ。つまり、何が言いたいかというと、これは高野連の問題だけじゃなくて、学生スポーツって、大臣、主催者は学校じゃないんですよ。全部、興行主なんですよ、スポーツ団体とか連盟とかね。

 その割に、資料を配りましたけれども、日本野球連盟の野球憲章、これもずっと、改正もなされているけれども、そこの前文の一丁目一番地に「学校教育の一環として位置づけられる。」「学生野球は経済的な対価を求めず、」と書いてあるんですね。だけれども、経済的対価を求めないといっても、毎日新聞と読売新聞が主催してやって、NHKがそれを公共放送なのにがんがん放送して、甲子園球場のあらゆるメーカーのスポンサーの名前ががんがん報道されているんですよ。

 つまり、高野連は対価を求めないけれども、子供たちの感動の対価は新聞社や企業が持っていくんですね。アメリカのNCAAは、さっき話がありましたが、大学がしっかり管理して、そして放映権もしっかり管理して、そしてそれを大学に公平に、公正に分配しているんですよ。僕は、その方がよっぽど正しいと思いますよ。

 しかも、野球憲章ってすごいことを書いていますよ。これは、文科省や教育委員会よりも上位概念の団体なんですか。そういう人たちが、何か教育をすごく語られて、なおかつ自分たちの主催する大会しか出ちゃいけませんよみたいな、こういうことを文科省、教育委員会、学校はずっと許してきたんですよ。

 もっと言うと、学生スポーツ、サッカーも読売新聞、高校バレーもフジテレビ。でも、ああいうところはちゃんと、例えばスポーツメーカーのマークがついても何も言わない。だけれども、野球だけは、グローブとスパイクは駄目だとか、何か訳の分からないルールがあるらしいんですよ。

 私の友人も、大学で監督をやっていたら、マークが大き過ぎるとか、そういうのを注意されたと。いやいや、いいじゃないですか。それでメーカーからスポンサーいただいて、それを子供の安全だとか指導者の給与とかに使えばいいじゃないですか。何で頭が凝り固まったやり方をいまだにやっているんですか。

 それで、やっとUNIVASがNCAAを通じてできました。ここからですよと、また多分、局長さんや次長さんは答弁すると思うんだけれども、今すぐできます。来年から、いや、すぐに国が、学校が主催することはできないと思う。しかし、主体的に、例えば高野連の安全問題だって、球数問題だって、本来、高校生、学生スポーツの安全を守るのは文科省でしょう、学校でしょう、教育委員会でしょう。それを、この一興行団体のルールにのっとって決められているということなんですよ。

 出場停止ルールだって、文科省は認めたんですか、あれ。一人の人の非行か何かによって全員が出られなくなる。本当にいいんですか、それで。全員、ほかの人たち、余りに気の毒じゃないですか。もう一回やり直せるとか、イエローカードだとか、こういうのは本当は文科省や学校設置者や教育委員会が決めることじゃないですか。何で一主催者団体に一方的に決められているんですか。

 選抜のルールだってそうですよ。我々、国会議員、一票の格差というのをやっていますよね。一勝の格差があるのを知っていますよね、大臣。神奈川県が一番大変。人口の少ないところは五勝ぐらいかな。そういうのもそうだし、じゃ、チーム編成、環境、グラウンド、ナイター、これもやはり差があるのに、同じ土俵で競争させている。これを文科省も教育委員会も全部見て見ぬふりしているんですよ。

 じゃ、トーナメントが本当に正しいのか。リーグ戦の方がいっぱい試合できますよね。出られない学生も出られますよね。何でそういうのを文科省や教育委員会が前へ出てやらないんですか。

 アメリカは、一九〇五年に、セオドア・ルーズベルトが大学の学長を全部呼んで、学生の安全を守る、そこからNCAAは始まったんですよ。それから、ちゃんと放映権も含めて収入を得ることを是として、そしてそれをしっかり、子供たちの安全やグラウンド整備、様々なものに使った。

 一言で言いたい。もう学生スポーツの大政奉還、これを、文部大臣、是非やってください。学生スポーツの感動の対価を最大化しましょう。そして、感動泥棒を、私は、大人や民間じゃなくて、その感動の対価を最大限、学生、子供たちに還元しましょうよ、これを是非、大臣、やっていただきたい。

 最後に、大臣、今、明確にどうこうじゃなくても、ちょっと気持ちを伝えてください。これは政治家の答弁をお願いします。

末松国務大臣 後ほど事務的なことについては次長から答弁があるかもしれませんけれども、先生から、私の言葉でということでありますから。

 せんだって、春の高校野球、選抜につきましての出場校の選び方について、いろいろな意見がありまして、記者からも聞かれましたけれども、確かに、これは主催者側の判断であるということ、文科省はあくまで後援をする立場でございます、今確認をしましたけれども。主催者はあくまで、新聞社が行ったりとかしておりますので。その主催者が出場校の選定に当たっての一つのルールは書いてございます。だから、矛盾したことをやったわけではないんですけれども、ただ、説明責任はきちっと果たしなさいということは申し上げました。県民も、また選ばれなかったチームも納得できないということでは困る、説明しなさい、そういうことは申し上げております。

 今先生から、るる、アメリカとの対比をしながら、学生の感動の対価を最大限にしようという純粋なお気持ちのお話がございました。一度、自分なりによく、今どういう実態であるかということと、プロとアマの関係であるとか、男女の関係とか、女性、男性のジェンダーの問題とか、全て念頭に置いてちょっと整理はしてみたいということを、そのように思ってございます。

 やはり、若者たちを裏切っちゃいけないと思います。

後藤田分科員 期待しています。

 終わります。

青山主査 これにて後藤田正純君の質疑は終了いたしました。

 次に、石橋林太郎君。

石橋分科員 おはようございます。自由民主党の石橋林太郎でございます。

 昨年の十月に初当選をさせていただきまして、衆議院の方に来させていただきました。こうした国会の場での初めての質問の機会をいただきまして、誠にありがたいというふうに思っているところであります。

 私は前職で広島で県議会議員を務めさせていただいておりましたけれども、一貫して私のテーマは三本の柱でありますけれども、教育、家庭、そして地域、この三本の柱をテーマにして活動をしてまいりました。また、歴史、文化、そして伝統というものを大切にしながら、誇りある郷土広島県、そして誇りある祖国日本づくりを目指して活動を続けてまいったところであります。本日も、その思いを持って質問させていただきたいと思いますので、どうぞ真摯な御答弁を頂戴したく、よろしくお願いを申し上げます。

 先ほどの後藤田先生の質問にはかないませんけれども、人づくりというのは我が国にとって本当に国づくりそのものでありますし、何より人材づくりというのが大切だというふうに考えております。その意味におきまして、文部科学省の担う役割というのは実に重大であります。よく教育は国家百年の計ということも言われますけれども、まさにそのとおりでありまして、特に混迷するこの時代におきまして、どういった人材をつくっていくか、どういった国民を育てていくかということは、私たちにとって大変重要な責務であるというふうに考えているところであります。

 その観点から、まずは、学校における建国の由来、建国の歴史の取扱いについて質問をさせていただきたいと思います。

 先日、二月十一日は、御承知のとおり、建国記念の日でありました。私は、その日は地元広島におりまして、地元の護国神社にお参りをさせていただき、紀元祭並びに奉祝式典に参列をさせていただいたところでありますけれども、その中で祭典が執り行われ、そしてまたみこ舞が舞われておりました。そういったものを拝見しながら、私は、長い日本の歴史と文化、また伝統に基づくそうした行事がこうして今現在も守り伝えられていることに改めて感動いたしましたし、これを後世に残していかなければならない、その意義も含めて子供たちにしっかりと伝えていかなければならないというふうに改めて感じたわけであります。

 また同時に、先般、衆議院では中国の人権決議をさせていただきましたけれども、中国共産党によって迫害を受けている、人権侵害を受けている民族の皆様におかれましては、そうした伝統的な行事、文化、宗教、言語、そういったものがもしかしたら今後後世に守り伝えられないかもしれないという事態が私たちの目の前にあることを思うとき、こうした危機というのは決して対岸の火事ではなく、私たち自身も、私自身も我が事としてそれを捉え、そして、この国で、私たちの国でしっかりと伝えていくことに尽力をしなければいけないし、また、目の前で困っている方があるのであれば何とか手を差し伸べていきたい、そういったことも併せて思ったところであります。

 そうした中ではありますけれども、国民の祝日に関する法律では、第二条に建国の日が定められておりまして、日付は「政令で定める日」となっており、その意味合いとしては、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」というふうに書いてございます。また、教育基本法の第二条にも、教育の目標として五つ目に、伝統文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこととあります。

 先ほど申し上げましたとおり、こうしたことは大切なことでありまして、これをしっかりと子供たちに教えていく、伝えていくことはまさに重要であります。その中で、特に自分たちの国の建国の歴史、建国の由来を知ることというのは、一体私自身が、自分自身が何者なのか、そして、私自身、自分自身が育ってきたこの日本という国が一体どういった国であるのか、そういったことを自覚し、認識し、日本人としてのアイデンティティーを確立することにおいても大変重要なことであると思っているわけであります。

 また、今後、世界で活躍する人材を文部科学省としても多く育てていく方針だと思いますけれども、日本人として世界で活躍していく、そのときの日本人としての根幹はどこにあるのか、そういったことを確認するためにも、建国の由来、建国の歴史をしっかりと子供たちが身につける、知るということは大切であるというふうに思っているわけであります。

 質問の前に一点確認でありますけれども、建国の由来と私は先ほど来申し上げておりますけれども、この建国の由来を確認させていただくために、まず、建国記念の日がなぜ政令で二月十一日と定められているのかということと、また、あわせまして、建国記念日ではなく建国記念の日と、間に「の」が入っていますけれども、その理由もお聞かせいただきたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 建国記念の日につきましては、昭和四十一年の祝日法の改正で国民の祝日として定められたところでございます。

 この日付につきましては、当時、提出法案では、明治初年以来七十余年にわたり祝日として国民に親しまれてきた伝統を尊重するという観点から二月十一日となっていたところでございますが、国会における御審議の結果、政令で定める日と修正されるとともに、改正法の附則におきまして、内閣総理大臣が政令を立案しようとするときは、審議会に諮問し、その答申を尊重しなければならないというふうな規定が追加されております。

 これを受けまして、総理府に設けられました建国記念日審議会において審議が重ねられ、昭和四十一年十二月に、二月十一日とすべき旨が答申されたことから、これを尊重して、政令で日付を定めたものでございます。この審議会の委員からは、二月十一日に賛成する理由といたしまして、世論調査の結果等において国民の多数が希望していることなどが挙げられたと承知をしているところでございます。

 続きまして、建国記念の日と法律上されているところの趣旨でございますが、建国記念の日は、昭和四十一年の祝日法改正によりまして、建国をしのび、国を愛する心を養うという趣旨で定められております。このような、遠く我が国の建国をしのぶという趣旨にふさわしい名称として、建国記念の日とされたものと認識をしているところでございます。

石橋分科員 今御答弁いただきましたけれども、済みません、審議会の方で答申をされて、そして二月十一日が出てきた、そしてまた、理由として国民の多くがその日を希望しているということもありましたけれども、できましたら、なぜその日が希望されたかということも併せてお答えいただけませんか。

宮地政府参考人 ちょっと、その辺の詳細について、かなり前のことですので、なかなか正確には今承知していないところでございますが、申し上げましたように、当初の提出法案でも、明治初年以来祝日として国民に親しまれてきたということも念頭に提出法案を出しております。そうしたことと恐らく関連があると思います。国民の多数が希望しているということは、そうしたことが国民の中にあるのではないかと思っております。

石橋分科員 済みません、重ねてで申し訳ございません。明治初年以来二月十一日だと。私の理解では、なぜ二月十一日かということは、古事記にありますとおり、初代の天皇陛下であります神武天皇が天皇として即位をされた日、これが旧暦では一月一日というふうに聞いておりますけれども、それを今の暦に直したときには二月十一日に当たるから、二月十一日が従来、紀元祭、建国記念の記念日ということで、国民全体で祝われてきたというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

宮地政府参考人 明治の時期に二月十一日が祝日とされた経緯につきましては、明治六年になりますが、神武天皇即位日を祝日とするという旨を定めたという経緯がございます。それは明治の経緯でございまして、建国記念の日の経緯につきましては、祝日法の改正によりまして、昭和四十一年の改正によりまして、建国をしのび、国を愛する心を養うという趣旨で定められたというところでございまして、そういう趣旨を踏まえた祝日として定められたということでございます。

石橋分科員 分かりました。建国をしのびということでありますけれども、その建国をしのぶということでありますが、用意している質問は、その建国の由来というのを、学校、特に義務教育でどのように扱っているか、学校においてどのように教えているかということを私は質問したいわけであります。

 建国の由来、建国をしのぶ、そのためにはどういった内容を学校で教えるべきであり、また、どのように今教えていらっしゃるかということを、できましたら、古事記、神話のこともなぞらえながらお答えをいただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど教育基本法を引用していただきましたが、未来を担う子供たちが我が国の歴史や文化を大切にし、そして、国際社会の中で日本人としての自覚と誇りを持って生きていけるようにするためには、義務教育段階から歴史教育を充実していくということは極めて重要であるというふうに基本認識を持っております。

 この中で、お尋ねの建国の歴史に関しましては、国の教育課程の基準であります学習指導要領におきまして、例えば、小学校の社会科で村から国へと変化したことを学ぶ際に、「神話・伝承を手掛かりに、国の形成に関する考え方などに関心をもつこと。」ということが学習指導要領上明記されておりまして、学校現場においては、これに基づきまして指導がなされているということでございます。

 学習指導要領に基づく歴史教育がしっかりと行われて、子供たちがその理解を深めるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

石橋分科員 お答えありがとうございました。

 学習指導要領において、神話、伝承を踏まえながら、しっかりと子供たちに伝えていくということであります。

 その中で、私、特に、先ほど来こだわってというか、初代の天皇陛下が即位したことをもって我が国の起源とされているんだということを重ねて申し上げてまいっておりますけれども、なぜそういうことを申し上げるかといいますと、少し古い、二〇一五年の民間の団体のアンケートではありますけれども、まず第一に、この二月十一日が建国記念日だということの認識がないという方が、このアンケートにおいては、実は八割以上の方がそういった認識がない。これは子供だけではなくて大人も含めてのアンケートではありますけれども、そういった結果が出ていましたり、また、その中で、義務教育課程で建国の歴史を学んでいないと答えた方が七割に上っているというアンケートがございます。

 そうした結果を受けて、この団体としては、国民に対してきちんとした、先ほど御答弁いただいた歴史の教育、建国の歴史の教育を充実することが必要であるということを言っているわけであります。

 私がなぜこれをお伺いするかというと、先ほど来重ねて申し上げますとおり、私たちが日本人としてこれから日本の国で生まれ育っていく、また世界で活躍をしていくときに、その根っこの部分である自分の国の由来、自分の国の起こりをきちんと認識をしていないというのは、私は、国際人を育てる、国際的な日本人を育てていく上では非常に大きな問題だろうというふうに思っているから、こういったことを重ねてお伺いをしております。

 一点お伺いしますけれども、文部科学省におかれましては、子供たち、また大人も含めて、日本の建国のことをきちんと認識をしているか、分かっているかというような調査をされたことがありますでしょうか。もしあれば、その結果も併せて教えてください。

伯井政府参考人 文部科学省としての調査というのはございませんが、建国記念の日をどのように指導しているのかということにつきましては、そもそも、国民の祝日については、その意義をしっかり考えさせるよう指導要領上も明記されておりまして、建国記念の日につきましても、国がつくられた昔を思い、国を愛する心を養うなどの記述が教科書上も見られますので、今後とも、建国記念の日についてもしっかりと各学校において適切な指導が行われるよう、我々としても取り組んでまいりたいと考えております。

石橋分科員 今、しっかり取り組んでいただきたいというのはまさにそうでありますし、本当にお願いをしたいところでありますけれども、事実として、先ほど私は、二〇一五年の民間のアンケートで、約八割の方が建国の歴史を知らないというようなアンケートがあるということをお伝えをいたしました。あと、直近、ネットで確認しただけではありますけれども、実は別のアンケートがありまして、そこでは、建国の歴史を知っている、認識があるという方がたったの一四・六%であるというようなアンケート結果も出ております。

 学校現場におきまして、私自身のことを振り返ってみましても、余り、その他の国民の祝日も含めて、建国の歴史についてきちんと教えていただいたという認識は正直薄いのもありますし、また、様々祝日はありますけれども、その中で、先ほど来申し上げますが、我が国の建国である、我が国の由来である、それを学ぶということは、その他の祝日ももちろん大切な日ではありますけれども、その中でも特段重要な日ではないかというふうに私は思っております。

 また、建国の由来におきまして、先ほど来、建国をしのびということも言っていただいておりますけれども、建国をしのぶためには、建国の歴史を知らなければしのびようがないのではないかなというふうに思います。そして、建国の歴史というのは、私の創作でも何でもなく、それは、古事記であり、日本書紀であり、我が国の古来の歴史書に書いてあるものが、私たちの御先祖様が私たちに守り伝えてきてくれた建国の歴史であろうかというふうに思います。

 そのことをしっかりと子供たちに学校現場でお伝えをいただくということは極めて重要なことだというふうに思うわけでありますけれども、先ほど申し上げた建国の歴史、古事記、神話、そういったことを、由来をきちんと子供たちに伝えていくことに関しまして、もう一度御答弁をいただければと思います。

伯井政府参考人 先ほども申し上げましたが、小学校の社会科では、「神話・伝承を手掛かりに、国の形成に関する考え方などに関心をもつこと。」という記述がございます。そうした中で、例えば、小学校におきましては、古事記や日本書紀などの中で、国が形成されていく過程に関する考え方を酌み取ることができる、神武天皇の東征の物語などが取り上げられるといったことも想定されるものと考えております。

 引き続き、先生御指摘のような建国の歴史に関する教育というのが正しく行われるよう、文科省としても取り組んでまいりたいと考えております。

石橋分科員 ありがとうございます。

 最後にもう一点、つけ加えで、要望ではありますけれども、今、神武天皇の東征という話もありましたけれども、神話、古事記の中で神武天皇が出てこられるその前に様々な神々もあります。そして、建国の歴史、建国記念の日は神武天皇の即位した日を記念する、祝う日だと思いますけれども、まだその前に長い長い歴史があるわけであります。そして、これは私たちの日本の国の、私たち日本人の民族的な財産であろうというふうにも思います。

 冒頭で、今、中国共産党によって迫害を受けている方々の話を少ししましたけれども、彼らは、若しくはその方々以外にも、国を持たずとも民族の歴史を、神話をしっかりと紡いできた、つないできたという方々もあるわけであります。私たち日本人は、幸い、歴史も残っている、そして言語も残っている、そして何より、この国土に住み続けていることができる。

 今、対内的にも対外的にも様々問題はありますけれども、私たちは、やはり、日本という国を守り、この歴史、文化、そして伝統というものを後世に残していかなければならない。その残していく主体であるのが私たち国民であります。その国民を育てるのが学校教育であり、特に義務教育においては、国民全てに対して無償でそれが提供される、どなたもが受けることができる教育であります。その中でしっかりと国民を育てていく。そして、その国民、私たち一人一人が力を合わせて、この国を、未来に向かって、強く、明るい、豊かな国としてつないでいくんだということに直結するところだというふうに思っておりますので、引き続き、どうか力強く歴史教育も学校現場で教えていただきますように心からお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 済みません、宮地官房長におかれましては、御退席をいただいて大丈夫であります。ありがとうございました。

 続きまして、学校現場における国旗・国歌の取扱いにつきお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は広島県から参っておりますけれども、実は、平成十一年、少し古い話で恐縮ですけれども、平成十一年に、広島県立世羅高校の、駅伝で有名な高校ですが、この高校の石川敏浩当時校長先生が、卒業式の前日、二月二十八日に自殺をされるという痛ましい事件がございました。

 文部科学省の方は皆さん御承知かと思いますけれども、これは、当時、国旗・国歌法が成立前でありまして、学校における卒業式における国旗掲揚、また国歌斉唱をどのように実施をするかということで、教職員組合、また外部の運動団体とのあつれきの中で石川校長は自殺をされたわけであります。遺書ではない、手書きで残されたメモには、自分の選ぶ道がどこにもないというようなことが書かれていたということであります。

 当時、これは大変ショッキングな、大変痛ましいニュースでありまして、このことをきっかけに、国会でも、きちんと国旗・国歌を法律として制定していこうという動きがあって、同年、平成十一年に国旗・国歌法が成立したというふうに認識をしているところであります。私の広島県では、実は、その大問題があったということを踏まえて、法律制定後に、必ず学校で国旗・国歌が掲揚されていることを調査をしろということになっておりました。平成十一年、前年から当時の文部省から是正指導を受けていたということもありまして、そういったことがなされて、調査がなされていたわけであります。

 卒業式、入学式、そういった人生の節目において、先ほど来申し上げるように、日本人としての自覚、認識を持つということは、非常に重要な場面ではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、お伺いしますけれども、当時は、そういった入学式、卒業式で国旗の掲揚もできず、また国歌の斉唱もできないような学校が全国にも多くあったというふうに聞いておりますけれども、今はどうなっているのかということを教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 学習指導要領におきましては、社会科や音楽科において国旗・国歌の指導をするということがされているほか、今御指摘いただきました入学式とか卒業式におきましては、学習指導要領上、入学式や卒業式などにおいて、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると、これは国旗・国歌法の制定前から、学習指導要領上、そうしたことが規定されております。

 したがって、学習指導要領上、入学式や卒業式などにおいて国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは当然であるというふうに我々は考えておりまして、実施状況の調査は現在は行っていないわけですけれども、当然、各学校でそうしたことが行われるものというふうに考えております。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 国旗掲揚、国歌斉唱は当然であるということで御答弁いただきました。私も全く同感であります。

 その点で、入学式、卒業式以外の場面における国旗掲揚について少し教えていただければと思います。

 つぶさに確認をしたわけではありませんけれども、学校によっては、毎日、常時掲揚ですか、毎日掲揚をしている学校もあるかと思いますけれども、そういったことの現状の認識と、また常時掲揚することに対してどのようにお考えか、教えてください。

伯井政府参考人 まず、国旗・国歌の指導は、先ほど来、先生も御指摘いただいていますように、児童生徒が、我が国のみならず、他国も含めた国旗・国歌の意義を理解して、それを尊重する態度をしっかり育てていくということで、入学式、卒業式のみならず、社会科など教科指導においても、そうしたことをしっかり指導していくという意義があるというふうに考えております。

 ただ、学習指導要領上は、そういう局面としては、入学式や卒業式などにおいて、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとするというふうにされているところでございますが、そうした学校行事以外の具体的な国旗掲揚の実施方法等については、これは各学校において、それぞれの実情、地域の実情等に応じて判断していただくということが適当であるというふうに考えております。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 各学校で実情に応じてということで、それでいいんだろうなというふうに思うところでありますが、一点、確認も含めて質問です。

 旗の取扱いをする際に、ぞんざいな取扱いをしてはいけないというのは世界共通の認識であろうかというふうに思うわけでありますが、実は、これは私の地元の話で恐縮ですけれども、残念ながら、校庭に掲揚されている日の丸が物すごく色あせてしまっていたり、若しくは、旗はたなびきますから、ちぎれたり破れたりというような旗が掲揚されているというようなことが、そういったものを見ることもありました。

 正しい旗の取扱いというのを、私も余り詳しくはないんですが、参考になるものは何かないかなと探しましたら、外務省のプロトコルというものにぶち当たりまして、そこには、破損した国旗や汚れた国旗の掲揚はしない、これは日の丸に限らず、外国の国旗に限らずですが、破損したり破れたような国旗は掲揚しない、それからまた、雨天や日没後の掲揚はしない、また、国旗と団体旗の併揚、併せて掲揚はしないというようなことがプロトコルというのであるというふうなことが書いてございました。

 こうしたことを子供たちが知る、また、子供たちに指導する先生も知っておくということは、これから子供が海外に行ったときに、知らず知らずのうちに、その相手方の国の旗に対して失礼な態度を取るということを防ぐためにも重要なのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、こうした自国及び他国の国旗・国歌を尊重する態度を養うに当たりまして、こうしたプロトコルのようなものを児童生徒並びに教員に対してどのように指導されていらっしゃるのか、教えてください。

伯井政府参考人 これは先ほども申し上げましたが、児童生徒が、我が国のみならず、他国も含めた国旗・国歌の意義を理解し、それらを尊重する態度を育成するということは重要であるということでございます。そういう意味で、学習指導要領には、我が国や外国には国旗があることを理解し、それを尊重する態度を養うよう配慮するということも記載されております。当然、国旗を掲揚する場合には、破損等がない状態で掲揚することがあるべき姿かなというふうに考えているところでございます。

 そして、そういう国旗・国歌の意義を理解し、尊重する態度を育てるというふうに社会科等で記述されておりますし、あるいは特別活動での学習指導要領の記述がございますので、関係教科等の学習指導要領の趣旨、内容に関する周知徹底ということを行いまして、教員の理解を図ることを通じて取り組んでいるというものでございます。

石橋分科員 ありがとうございました。

 しっかりと、この問題に対しても、この取扱いに関してもやっていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 今国会にこども家庭庁の設置法案の提出が予定をされているというふうに理解をしています。子供たちの問題、子供を取り巻く問題をしっかり解決していくためにも重要なことであろうと思いますけれども、この名称が、当初こども庁でありましたが、こども家庭庁になりました。私は、非常によかったなと。子供と家庭というのは密接不可分でありますし、子供を支援するということは、イコール保護者、家庭を含めて支援をしていくことではないかというふうに思うわけでありますけれども、このこども家庭庁に名称が変わったその理由、また意義をお伺いしたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、昨年十二月に閣議決定をいたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針を踏まえまして、子供政策を我が国の社会の真ん中に据えて、子供の目線に立って、縦割りを排した行政を進めていくための司令塔として、こども家庭庁を創設をすることとしてございます。

 御指摘の家庭につきましては、児童の権利に関する条約の前文の考え方におきましても、子供は「家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべき」とされてございます。子供は家庭を基盤あるいは居場所としております。子供の健やかな成長にとりましては、家庭における子育てを社会全体で、議員御指摘のようにしっかりと支えるということが子供の幸せにつながるのではないかと考えておりまして、こうした考え方から、新たな組織の名称をこども家庭庁というふうにしたところでございます。

石橋分科員 ありがとうございます。

 こども家庭庁、しっかりとお取組を進めていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、包括的性教育というものについて質問させていただきたいと思います。

 今申し上げたこども家庭庁の議論に加わらせていただく中で、包括的性教育というものを耳にする機会が最近ありました。これはセクシュアリティー教育とも呼ばれるようでありますけれども、国際セクシュアリティ教育ガイダンスというユネスコ編の本がありますが、この本の翻訳者の方である浅井春夫さんという方が書かれた、そのものずばり「包括的性教育」という本があるんですが、その本の中に気になる一節がありました。

 読み上げますが、政府、文部科学省が強引に進める道徳教育の目的と内容に真っ向から対抗するのが性教育であるという記述や、また、道徳教育と性教育とは相入れない目的と内容があるということですといった記述がその「包括的性教育」という本に書いてございました。また、この本の帯には、国際標準の包括的性教育の拠点は学校というふうにも書かれています。

 私も、もちろん、子供たちを性被害、性虐待等々から守る、子供たちが安全、安心の中で暮らすことができる環境づくりをする、このことに関しては全く異論がないわけでありますけれども、この「包括的性教育」という本に書かれているように、今文部科学省さんが進めている道徳教育と真っ向から対抗すると明言されるようなものがこの包括的性教育であるならば、それは少しおかしいなと違和感を感じざるを得ないところであります。

 そこで、最後の質問ですが、こうした道徳教育と相入れない包括的性教育なるものについての御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘の包括的性教育につきましては、これは文部科学省として定義しているわけではございませんが、今御指摘いただいたユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスにおいて挙げられているものでございます。

 我が国の学校における性に関する指導というのは、学習指導要領に基づきまして、保護者の理解を得ながら、児童生徒の発達段階に応じて、保健体育科や特別活動を始め学校教育活動全体を通じて指導するということとしております。

 性に関する指導に関する価値観は国によって異なるものでございますので、このガイダンスの有用性を含め、学校における性に関する指導の在り方については慎重に検討していくことが重要であるというふうに考えております。

 その上で、道徳教育につきましては、かつての特設道徳の時間から、平成三十年度、道徳の教科化を図ったわけでございますが、その中では、考え、議論する道徳への質的転換ということで、一層の充実を図っております。

 この包括的性教育と道徳教育との関連ですけれども、あくまで性に関する指導は、先ほど言ったように、学習指導要領に基づいてしっかりやっていくということでございますし、道徳教育というのは、特別の教科道徳を要として学校教育活動全体を通じて行うものであるということから、例えば、保健体育科と適切に関連を図り、異性に対する理解を含む人間関係の重要性などについて効果的に指導していく、これは学習指導要領に基づいて、そうしたことを指導していくということが重要であると我々は考えております。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

青山主査 これにて石橋林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。

 私、四国比例ブロック選出の新人議員でありまして、長く我が党の政調会長を務められました石田祝稔先生の後任になります。本日は、委員長、理事の皆様に質問の機会をいただきましたので、初質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 通告と順番が逆になってしまいまして申し訳ありませんが、まず初めに、公立学校施設整備、特に学校へのエアコン設置についてお伺いいたします。

 我が公明党の強力な推進により、公立小中学校の普通教室へのエアコン設置は急速に進み、現在、全国の小中学校普通教室へのエアコン設置率は九二・八%であります。急速に設置してから約二年近くたちますが、普通教室へのエアコン設置の効果について文部科学省の見解をお伺いします。

    〔主査退席、亀岡主査代理着席〕

下間政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省において複数の学校設置者にアンケートを行ったところでは、普通教室への空調の設置により、授業に集中できるようになった、快適に過ごせるようになった、体調が安定した等の回答が得られておりまして、学力向上の取組と併せた学習環境の整備を進めたことにより、学力の向上が見られた事例もございます。また、ある中学校においては、空調設置後には熱中症により保健室を訪れた生徒の数がゼロ人になったとの検証結果も出ていることから、児童生徒の熱中症の防止にも寄与していると考えられます。

山崎(正)分科員 やはりそうですよね、大変な成果が出ているように思います。

 実は私は、議員になる前には、二十四年間、中学校の教員をしておったんですけれども、やはり多くの現場の教員、またスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家の方からも、よかったというふうな声がたくさん上がっております。特に、やはり感覚過敏などの特性があると言われる発達障害の児童生徒さんなどにも非常に大きな効果があるというふうに言われております。そういった健康面とか学習面、様々な面で大きな効果が見られているということを大変うれしく思います。

 それだけ効果の大きい施策でありますので、是非特別教室へのエアコン設置も進めていただきたいと思いますが、現段階の特別教室へのエアコン設置の進捗状況及び今後の設置に向けての見通しについてお伺いします。

下間政府参考人 お答えいたします。

 公立小中学校等の特別教室への空調設置率は、令和二年九月一日時点で五七・五%となってございます。普通教室への空調設置に一定のめどがついてきたこともございますので、特別教室への設置についてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

山崎(正)分科員 次に、公立学校の体育館へのエアコン設置についてお伺いします。

 公明党は今までも、教育面における必要性とともに、災害時には避難所として活用される体育館へのエアコン設置についても強く要望してまいりました。普通教室よりも多額な費用がかかることもあり、現在、全国で五・三%しか設置が進んでおりません。

 来るべく南海トラフ地震はもとより、近年、豪雨等による災害が多発しており、避難所として体育館を利用する可能性は必然と高まっています。体育館は教育施設であるが、地域防災の拠点であるということを改めて確認したいと思います。

 国民の命を守るためには、今のペースで体育館にエアコンを設置していけば、例えば南海トラフ地震等が発生したときには間に合わなかったという状況があり得ます。

 先ほども言いましたように、多額の費用がかかるため、なかなか進みづらいということは十分分かりますが、先ほどの普通教室のエアコン設置につきましても、私はその設備が行われる直前まで中学校の教頭をしておりましたが、そのときは全ての普通教室にエアコンが設置されるなんというのは夢のような話でありました。しかし、全国で熱中症の児童生徒が相次ぎ、小学生が亡くなるという事故も発生する中で、政治的な決断として短期間で実行された結果、さきにもありましたような、子供たちの命を守るだけでなく、学習面等、様々な成果がありました。

 そういった前例も含め、例えば、南海トラフ地震が発生したときに被害が大きいと想定される地域の避難所となる体育館に優先的に設置していく等の方法で、公立学校の体育館へのエアコン設置をもっとスピード感を持って進めていくべきだと思いますが、大臣の見解をお伺いします。

末松国務大臣 高知県内で先生は四校で教鞭を執られた、教頭先生もお務めになったということでありますので、現場のことを先生はお詳しゅうございます。いろいろと御指導いただきますように心からお願いを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、学校施設は児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害時の地域の避難所としても役割を果たすことから、体育館への空調の設置は大変重要な課題でございます。

 これまで文部科学省では、児童生徒が長い時間を過ごす普通教室への空調設置を優先して支援していたこともあり、体育館等への空調設置率は、令和二年九月一日現在で九・〇%にとどまってございます。文部科学省としては、現状に大きな課題があると認識をいたしております。普通教室が九三%、特別教室が五七・五%で、それに引き換えて九・〇%ですから。

 文部科学省では、普通教室の空調設置に一定のめどがついたことから、避難所としての機能強化を図るためにも体育館への空調設置を進めていきたいと考えており、国庫補助を行っております。

 今後とも、安全、安心、教育環境と快適な避難所の環境の整備が進むように、各地方公共団体と密接に連携しながら、その取組をしっかりと支援してまいりたいと思います。

 平成七年に阪神・淡路大震災のとき、私は神戸におりましたので、体育館等によく参りましたけれども、どういう状況になるか、どれほど大変な生活を送っていただくかということはよく分かっておりますので、心して進めていきたいと思います。

山崎(正)分科員 大臣、ありがとうございました。本当に災害が多発する中ですので、是非スピード感を持った設置をよろしくお願いいたします。

 次に、今国会の文部科学省の目玉政策とも言える、いまだかつてない規模の予算を投じて十兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益で我が国の大学の国際力の強化及びイノベーションの創出を目指す、世界と伍する大学、国際卓越研究制度のビッグプロジェクトの計画が現在進められております。

 欧米の大学と比べ、その基金規模が圧倒的に少ない日本の大学の運営体制を抜本的に強化し、国際的に卓越した研究成果を創出していくことで、国内外の若者や若手研究者から、この大学で自立して研究したいと強く思われるような魅力的な研究環境をつくっていくことを目的としており、私も大変期待をしておる政策でございます。

 今回のこのビッグプロジェクトを成功させる、特に研究面での成果を上げていくために、昨年ノーベル物理学賞を受賞された、愛媛県四国中央市出身の真鍋淑郎先生の研究の歩みから学ぶべき重要な点が多くあるように思います。

 真鍋先生は、アメリカでは研究でやりたいことが何でもできました、非常に恵まれた中で、コンピューターの購入金など、全てアメリカ政府がやってくれました、非常に多くのお金を使いました、私のような科学者が研究でやりたいことを何でもできるんですと語られています。

 この言葉の中から、無名の若い研究者が資金的に恵まれた状況で研究できる環境があったということが分かりますが、私は、もう一点、やりたいことが何でもできるという点が重要であると思います。

 といいますのも、私が現場の大学の先生のお話を伺ったときに、多くの方がアメリカと日本の大きな違いとして言われていたのが、研究に費やすことのできる物理的な時間の違いについてでした。日本の大学の先生は、研究以外にやらなければならない業務がむちゃくちゃ多い、授業のほかにも、出さなければならない書類や会議等がたくさんある、特に近年は国からの評価に関係する業務が増え、ますます忙しくなっているというのが皆さんの一致した御意見です。

 その中に、若いときにアメリカの大学で勤務され、現在日本の大学で勤務する教授の方が言われていたのは、アメリカでは毎日必ず半日は研究する時間が確保されている、日本に帰ってきて余りの仕事の多さに驚き、私はいつ研究をしたらいいのですかと上司に尋ねたら、そんな時間はないよと言われたのが衝撃的だったと言われていました。

 ほかには、アメリカは研究をサポートする助手さんや事務職さんがしっかり配置されているため、研究者が好きな研究に没頭できる研究があるというのがアメリカと日本の大きな違いだと言われていました。昔は日本にももう少し多くの助手さんがいたが、今はどんどん減らされていると言われておりました。

 今回の十兆円ファンドのビッグプロジェクトを成功させる、特に研究面での成果をしっかりと出していくためには、これは非常に重要な要素であると思います。

 そこで、研究者がしっかりと研究に打ち込める環境をつくるために、物理的な研究時間の確保や、研究をしっかりとサポートする助手や事務職さん等の配置を、国際卓越大学の認定の際に提出させる計画書にしっかりと位置づけていくということも重要であると思いますが、そういった様々な面につきまして、大臣の御見解をお伺いいたします。

末松国務大臣 欧米の著名な大学の基金といったものは物すごい大きな金額でございます。ハーバード四・五兆円、イエール大学三・七兆円であったかなと思っております。これではなかなか勝負にならない、全く新しい手法で進めようということで、大学ファンドの手法を取ることにいたしました。大学ファンドの支援対象となる大学には、世界から優秀な研究者が集まりまして活躍する研究大学となることを目指していただきたいと思います。

 山崎先生御指摘のとおり、研究者が独立し、十分な研究時間を確保した上で、存分に研究できる環境を構築していただくことが必要であると考えてございます。

 このため、大学の選定に当たりましては、研究支援者の積極登用や、大学改革を通じて研究と経営の分離を図る、これは総理もおっしゃっています、このことによりまして研究者が研究に専念できる環境の整備を求めていきたい、そういう考えであります。

 現在、文部科学省といたしましては、令和六年度から支援開始に向けて、具体的な大学の選定基準についての検討等を行ってございます。御指摘の点を踏まえながら今後の検討を加速してまいりますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。是非そういった環境の整備をお願いしたいと思います。

 次に私が気になるのが、この事業の評価についてです。

 国際卓越大学として数校認可し、三%の事業成長等の許可条件を課し、その基準を満たさなくなった等のときには認定許可の取消し等もあると伺っています。経営面においては、おおよそ二十五年をめどに大学が自走できることを目指していると伺っていますが、肝腎な研究面での成果をどう測っていくのかが非常に重要であると思っています。

 といいますのも、これも現場の先生方ほぼ全員の方から言われることですが、最近ますます文部科学省の大学の評価が近視眼的で、それによる業務に追われる、また、すぐ目に見える成果を出さなければならないので、研究のスケールがどうしても小さくなりがちになるといった声を聞きます。今回の事業の目的のスケールの大きさからすれば、今までにない思い切った長いスパンでの評価が重要であると思います。

 ここでも真鍋先生の研究の歩みを見てみると、真鍋先生は、一九五八年に東京大学博士課程を修了後、アメリカ海洋大気局でコンピューターによる気候シミュレーションモデルを開発し、一九六七年に、世界に先駆けて二酸化炭素の増加が地球温暖化に影響することを示し、一九六九年に、二酸化炭素が増加すると地球全体の気候がどのように変化するかを導き出し、現在、あらゆる学問が絡み、世界中で地球温暖化の研究が進んでいますが、その源流は全て真鍋先生の研究であると言われるまでの第一人者となり、九十歳を迎えた昨年、ノーベル物理学賞を受賞されています。実に、研究開始から六十年を超える月日がかかっています。

 また、科学技術振興機構の浜口理事長が実に興味深いことを示唆されています。浜口理事長は、ノーベル賞の受賞者が受賞理由となった論文を発表した年代は三十代がピークと指摘されています。ということは、ノーベル賞受賞者の年齢を見ても、恐らく三十年を超える研究によって世界的な発明、研究がなされているということを示唆する発言だとも取れます。

 実は、このことは、私が話を聞かせていただいた日本の大学の理系の研究者の方も同じように、ノーベル賞を受賞した先生方の研究は大体が三十年ぐらいかけて研究してきたものが多いと指摘されていました。

 そこで、私は、今回の世界に伍する大学、国際卓越研究大学の取組においては、世界的な研究成果の事例からも、思い切って三十年スパンといった大きな視野で研究面においての強化をしていくことが重要ではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

末松国務大臣 三十代を大切にしろという先生のお話でありまして、ノーベル賞を取られました先生方は必ず衆参の議長のところへ行かれます。議院運営委員会の理事をやっておりましたので、本庶佑先生をお迎えしたことがございます。

 先生は、私たちに対して、三十代という年齢を大事にしてほしい、三十代は、失敗しても失敗しても立ち上がる、それだけの能力を発揮できる年代なんだと。そのことを信じて、幾ら出してやってくれとは言いませんけれども、大変そのことを述べられて、政治家はそういうような環境整備をしてほしいということをおっしゃっておられました。

 今般の大学ファンドでありますけれども、欧米のトップレベルの大学の仕組みをモデルといたしまして、その運用益により、大学の研究基盤や若手研究者へ長期的、そして安定的な支援を行うことで、世界で伍する研究大学の実現を図ることを目的といたしております。

 支援対象大学の評価につきましては、高い自律性と厳しい結果責任を求めるとともに、研究の特性を踏まえながら、客観的な指標に基づいて実施することを想定をいたしております。その際には、長期的、安定的に支援を行いまして、世界と伍する研究大学を実現するという大学ファンドの趣旨を踏まえて、短期的な成果主義に流されず、長期的な期間で見ていくことが大変重要であるというように考えております。

 現在、文部科学省としては、令和六年度からの支援開始に向けて、大学の選定基準と併せて、具体的な評価の在り方についての検討を行っているところでございます。各大学の計画や既存の各種制度との関係も踏まえた上で、大学ファンドの趣旨にふさわしい評価周期を含めた評価の在り方について検討を加速していきたいと思っております。

 先生の今あった二十年から三十年という長いスパンの話、真鍋先生とも電話会談をしたんですけれども、一九五八年から向こうに行かれてしまいましたけれども、研究を始められたんですかね、先生も人間の活動が初めて地球環境に与える影響を予測された先生でありますので、先生のお話もよく念頭に置きながら反映できればなということを思ってございます。

 いずれにしましても、御指導のほどお願い申し上げたいと思います。

山崎(正)分科員 大変にありがとうございました。

 やはり、非常に多額の税金を投入するわけですので、なかなか、例えば三十年に設定したとしても、途中何もチェックしないということは駄目だと思いますし、例えば三十年に設定したときに、三十年たって何の成果も出なかったということになると国民への説明もつかないといった面もあるかもしれませんが、そういった点についてやはり現場の研究者に聞いたところ、山崎さん、たとえ三十年となったときに三十年後にノーベル化学賞は取れなかったとしても、何も成果がないということはないんだ、研究というのは日々いろんな小さな小さな失敗も含めた研究の積み重ねで大きな研究結果が出ていくわけであって、成果がないというのはないということですので、是非そういった長期スパンでの、じっくりと腰を据えた、そういった評価方法を取り入れていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、今回の世界に伍する大学、国際卓越研究大学は、数校程度の認定になる予定だと伺っています。世界各国と切磋琢磨しながら、日本の研究分野、教育を牽引していく役割として非常に重要でございますが、それと同様に、いや、それ以上に私が重要であると思っているのが、研究者の裾野をどう拡大していくかということであります。小さいときから研究になれ親しんでいく、興味を持たせていく環境づくりが非常に重要であると思います。

 そういった点におきまして、現在、文部科学省が、突出した意欲、能力を有する児童生徒の能力を大きく伸ばす、出るくいをもっと伸ばすというふうなキャッチフレーズが大変面白いなというふうに思うんですけれども、小中学生を対象にジュニアドクター育成塾、高校生向けにグローバルサイエンスキャンパスという事業を行っていますが、非常に重要なすばらしい取組だというふうに私も思っております。

 小中学生向けの事業の方を実施している徳島県の鳴門教育大学では、県内の三大学や、阿南高専、徳島県教委などと連携し、徳島県内の理科、技術、情報領域に高い意欲と才能を持つ小学五、六年生及び中学生を対象に、自ら考え、手を動かし、広い視野から探求し、成果を伝えるコミュニケーション能力など、科学技術者に求められる能力を育んでいます。

 プログラムは三段階になっており、最終の応用コースでは、子供たちの科学技術への夢や将来の進路に関係が深い目標テーマを設定させ、活動が展開できるように工夫されており、修了生の中から、日本学生科学賞において大臣賞を受賞したり、国際学生科学技術フェア化学部門で日本人最上位の三等になるなど、子供たちの能力をしっかりと伸ばし、将来の研究者の輩出に向けての成果を積み上げています。

 そこで、こういった事業は、これからの日本の科学分野の発展、研究分野の充実、そしてイノベーションの創出に向けて大変有意義であり、今回、世界に伍する大学、国際卓越研究大学の取組のスタートにおいて、この取組の裾野を広げていく上でも、今まで取り組んできたこういった事業の好事例を横展開するとともに、更なる事業の拡充をしていくことが重要であると思いますが、文部科学省の見解をお伺いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、将来にわたり日本が科学技術で世界をリードしていくためには、次世代を担う才能豊かな子供たちを継続的、体系的に育成していくことが重要と認識しております。

 このため、今詳しく御披露いただきましたが、文部科学省では、優秀な意欲、能力のある高校生等を対象といたしました高度で実践的な講義や研究を実施する大学への支援でありますグローバルサイエンスキャンパス、あるいは、理数分野で特に意欲や突出した能力を有する全国の小中学生を対象とした高度な講義や研究支援などの特別な教育プログラムを提供する大学等への支援でありますジュニアドクター育成塾などの取組を推進しているところでございます。

 また、現在、内閣府総合科学技術・イノベーション会議に設置されました教育・人材育成ワーキンググループにおきまして、STEAM教育の推進に関する議論が進められております。

 文部科学省といたしましては、こうした議論も踏まえつつ、内閣府を始めとする関係府省と連携して、次世代を担う科学技術イノベーション人材の育成を図ってまいりたいと思っております。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 次に、日本の研究力の向上、イノベーションの創出を目指す上で、その裾野を拡大していくという点で興味深い調査が行われました。日本が世界に誇る一大産業である自動車業界において、大手四社の研究開発に携わる社員やマーケッターなどを対象にラジコン体験と現在の職業との関連性などを調べる調査が行われました。その結果、調査対象三百九十三人の約九割に当たる三百五十七人が過去にラジコンをやったことがあり、その中の三百四十二人、九割近い方がラジコン経験が車への興味、関心づけに影響すると答え、八四%が物づくり一般への興味、関心づけに影響すると答えています。

 ラジコンには、完成品を売っているおもちゃと自分で組み立てていく模型とに分かれますが、特に、組立てから行う模型作りを経験することで物づくりに必要な大きな学びが得られます。

 図面を見ながら作っていくのですが、全体を俯瞰し、完成をイメージしながら作らなければなりませんし、途中でねじが外れていても完成しません。また、図面どおり仕上がったとしても、もっとよい方法があったのではないかと自問自答し、修理も自分で行っていく中でよりよい方法を工夫するなど、試行錯誤を繰り返しながら、失敗から多くのことを学び、物づくりを体で覚えていきます。

 こういった感覚を小さいときからラジコンを通して身につけていくことの重要性、価値の一端が今回の調査結果に表れたのではないかと分析されています。

 そこで、こういったラジコン等、自らの経験を通しての物づくりの人材の育成も今回の国際卓越研究大学事業の裾野拡大という面において非常に重要であると思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、子供の頃に物づくりの経験をすることは、科学技術分野に対する興味や関心を飛躍させる点から、大変有意義、重要であるというふうに認識をいたしてございます。

 文部科学省では、ただいま局長が答弁いたしましたように、次世代の科学技術人材を育成するための小中高校生を対象とした教育プログラムの実施を支援をいたしております。この中には物づくりに特化したプログラムも含まれておりまして、こうした支援策を通じて子供たちの物づくりの経験を育んでおります。

 文部科学省といたしましては、今後、関係府省、内閣府のCSTIがございますけれども、これらともよく連携をしまして、先生御指摘のとおり、物づくり経験の充実の視点も含めまして、次世代を担う科学技術の人材の育成に向けて一層積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 先ほど先生のお話にあった三百九十人中三百五十七人ですか、そういう経験があったということでありますので、その数字も大切にしたいと思います。

 ありがとうございます。

    〔亀岡主査代理退席、主査着席〕

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 最後に、物づくり人材の育成という点についてもう一点、専門高校における物づくり人材の育成についてお聞きします。

 私が今、四国中を回っておりましても、建設業界、土木業界、また管工事や設備業界さんなど、多くの業界で人材不足の状況が深刻であり、私の地元の高知県の工業高校などにおいても求人率が十倍を超えるなどといった状況があります。

 そこで、一点、残念なことがありました。実は、労働者の有する技能の程度を検定し、これを公証する国家検定制度である技能検定制度、この制度は元々、働く社会人を対象にした制度でありましたが、対象が高校生まで拡大され、今となっては全国の工業高校生が在学中にチャレンジする検定となり、どこの工業高校に行っても必ず○○検定合格者何名といった掲示物が目立つ場所に貼られているほどの検定であり、高校生が自らの能力を伸ばしていくために大きな役割を果たしています。

 さらに、平成二十九年度からは、日本再興戦略の成長戦略を支える物づくり人材の確保と育成の取組の中で、技能検定受検料の減免措置が厚生労働省の取組として行われ、この措置の効果は大きく、昨年度は、高校生の受検者はそれまでの二割増加であったと聞いています。

 ところが、コロナ禍における財政状況の悪化もあり、今年から、その減免措置の対象から高校生が外されてしまいました。先ほども申しましたように、平成二十九年度から高校生の受検生は二割増加しており、非常に有効な支援策であったため、大変残念であります。

 特に、このコロナ禍にあり、経済的に大変厳しい状況の中で、この減免措置が打ち切られたことにより、物づくりに興味を持って意欲的に取り組もうとする高校生が、経済的な事情によりその機会が奪われていくのが残念でなりません。

 こういったことも含めて、文部科学省として、これからの日本の物づくりを担う若者の人材育成の環境整備は非常に重要であると思います。今後の取組等について、大臣のお考えをお伺いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 近年、第四次産業革命の進展やデジタルトランスフォーメーション、第六次産業化等、産業構造や仕事内容が急速に変化をする中で、先生御指摘のとおり、今後の産業界を支える物づくり人材の育成は極めて重要です。

 そのため、文部科学省では、物づくりの基盤となります高度な知識や技能の習得を図るため、本年四月から年次進行で実施されます新しい高等学校学習指導要領におきまして、工業科の教科目標に物づくりを明記するとともに、技術の高度化への対応や情報技術の発展への対応を盛り込む等、教育内容の充実を図っております。

 また、文部科学省と開催県が主体となりまして実施しております全国産業教育フェア、そしてまた全国工業高等学校校長会が主催します高校生ものづくりコンテスト全国大会を通じまして、専門高校生の学習成果を発表し、広く専門高校の魅力発信を行うとともに、全国の専門高校等の生徒の学習意欲の向上を図っているところでございます。

 文部科学省は、こうした取組を通じまして、関係省庁とも連携しながら、引き続き物づくりの人材の推進を図ってまいりたいというように思います。

 せんだって国技館で、去年でしたか、高専ロボットの大会を見に行きましたけれども、すさまじくすばらしいものであったということ、あれを見て、やはり若い人たちに物づくりをしていただくということの必要性というか、その熱意が伝わってまいりましたので、我々も更に応援しなきゃいけないな、そういう認識に立ちました。

 よろしくお願いします。

山崎(正)分科員 しつこいようですが、検定制度はやはり高校生がすごく励みにしている制度でした。省庁がまたがりますので難しい問題だと思いますが、国民目線からしますと、何とかして救っていただけるような施策をまた考えていただけたらと思います。

 本日は大変にありがとうございました。

青山主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

青山(大)分科員 二つ質問します。

 五歳から十一歳への小児コロナワクチン接種について伺います。

 二月の十日に開催された厚労省ワクチン分科会で、予防接種法上の特例臨時接種に位置づけられました。ただし、今回、努力義務の適用は除外されました。これは私も先日の予算委員会でも指摘をしましたが、オミクロン株について小児ワクチンの有効性や安全性がまだ確立されていないこと、オミクロン株は年代が低くなるにつれて重症化率は低くなり、死亡者も出ていない。一方、五歳から十一歳に近い、十二歳から十九歳向けのコロナワクチンの接種によって重篤な副反応の事例が多数起きていることについて、こういった努力義務の適用が外れたというふうにも認識をしております。

 そんな中、来週以降、小児用のコロナワクチンが各自治体へ配送される予定であり、接種体制が、三月を待たずに接種が開始される自治体もあるというふうにも聞いております。

 そこで、お伺いします。

 私は、予算委員会でも話しましたが、ワクチンそのものを、別に全てを否定するわけではありません。ただし、五歳から十一歳への接種は、努力義務が外されたことからも分かるように、接種するかしないかは個々の判断でございます。

 日本はどうしても同調圧力が強い。そういう中で、ワクチンを打ちたい、又は逆にワクチンを打たない、打ちたくても様々な事情で打てないような方もいるわけでございます。そういう子供たちの意思や親御さんの判断に対して、周りがやっているからとかそういうような同調圧力や、子供たちは素直なので、学校現場で、僕は打ったよとか打ってないよとか、そんな余計な、いじめとか差別が起きないようにすることはとても大切だと思っております。

 小児コロナワクチンの接種が学校現場でいじめや差別や偏見につながらないような対策をしっかりすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 青山先生おっしゃるとおりであります。青山先生のお考え、支持をします。もちろんでございます。

 ワクチン接種は、あくまで本人の意思や保護者の同意に基づいて行われるべきでありまして、身体的な理由や様々な理由で接種できない人や接種を望まない人もおられます。

 そのため、学校におきまして、接種の有無で差別やあるいはいじめなどが起きることのないよう指導し、保護者に対しましても理解を求めることが大変重要であるという認識をいたしております。

 また、御指摘のいわゆる学校集団接種につきましては、実施方法によりましては保護者への説明の機会が乏しくなる、また、接種への、今おっしゃった同調圧力を生みがちであるということ、そして接種後の体調不良に対するきめ細かな対応が難しい、そういった制約があると考えております。

 このため、専門家の意見を聞いた上で、昨年六月、十二歳以上への接種開始に際しまして、推奨するものではないことをお示ししたところでございます。

 文部科学省といたしましては、これから始まる五歳から十一歳への子供の接種に向けましては、専門家の意見を聴取した上で、接種に当たっての留意事項を改めて整理をしまして教育委員会等に周知するなど、厚生労働省としっかり連携をしまして必要な対応を迅速に行ってまいりたい、そういうふうに考えてございます。

青山(大)分科員 大臣も同じようなお考えということで、とても安心しましたけれども、今、十二歳以上のときには学校の集団接種は望ましいものではないというふうなことを過去やられたということで、今回は更に努力義務規定を外されたわけですから、確実に学校でそういった集団接種はやらないというようなことの認識でよろしいか、改めて確認させていただきます。

大坪政府参考人 恐れ入ります。厚生労働省からも御答弁させていただきます。

 先ほど文科大臣からお話がありましたとおりでございますけれども、今般の、お子様、五歳から十一歳のワクチンにつきましては、努力義務規定の適用を除外するということで、御意見を踏まえてそのような取扱いをすることとしております。

 ただ、努力義務規定等々の公的な関与、こういったものの有無に関わらず、ワクチン接種は御本人の自由意思に基づいて行われるものでございます。これにつきましては、厚生労働省としましても、十六歳未満の方ですので、今度は御判断は保護者の方の同意ということで、たてつけは多少変わりますけれども、そういったところ、接種の有無により不当な差別が起きないように、そういったことですとか、先ほど文科大臣からおっしゃいました集団接種の考え方、こういったところで注意すべき事項、こういったことを、既にこれまでも説明会ですとか、お示しをしているところですので、引き続きこのような情報発信に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 私、今聞きたかったのは、大臣、五歳から十一歳に対しては学校現場等での集団接種はないという認識でいいですかということを今お聞きしたので、それについての答弁で結構ですので。

 また、こういった公的関与の話で努力義務とおっしゃったけれども、私は予算委員会では接種勧奨について、そこを厳しく議論したわけでございますよ。またそこを私はぶり返すつもりはありません。そこはもう政府の判断で、今回は努力義務規定は外すけれども、接種勧奨は外さないというような政治判断をされたので、そこについて今更ぶり返すつもりはありません。私が聞きたかったのは、そういうことを踏まえた上で、小学校での集団接種はないということでよろしいんですかねということを聞きたかったので。

末松国務大臣 集団接種はございません。

青山(大)分科員 はい。承知しました。

 では、次の質問に行きます。

 次に、高校の無償化について、今後の考え方について伺います。

 現在、年収目安で五百九十万未満の世帯、そして九百十万円未満の世帯と二段階に分かれておりますが、私は九百十万円の所得制限の撤廃はすべきというふうに考えております。

 高校無償化を、単に教育だけじゃなくて少子化対策の観点からも進めていかなければいけないというふうに思っております。言うまでもなく、子供に、教育にかかる費用を軽減していくというのは、少子化対策の大変重要なことの一つであります。

 御承知のように、二〇二〇年の出生数は約八十五万人と過去最少となりました。新型コロナウイルスの影響が出生数に表れる二〇二一年以降は更に減少することが見込まれます。

 こども家庭庁が新設されそうになる、まさに今このタイミングで、私は高等教育の無償化の今後の道筋を、大臣のお考えでも結構です、そういった道筋を示すことが今求められると思いますけれども、お考えをお伺いします。

末松国務大臣 先生にお答えを申し上げます。

 子供たちの誰もが希望する質の高い教育を受けられる環境を整備することは大変重要だと思ってございます。経済格差が学力差につながらないようにというのは誰もの願いでございます。このために、教育の機会均等に関わる施策をより一層推し進めることが重要でございます。

 こうした観点から、先生御指摘の授業料支援の制度である高等学校等就学支援金につきましては、平成二十六年度に所得制限を設けることで捻出をしました財源を有効活用することで、一つは、私立高等学校へ通う生徒への就学支援金の加算拡充、二つ目は、授業料以外の教育費への支援である高校生等奨学給付金の創設の見直しを実は行ったところでございます。

 このような経緯を踏まえまして、高等学校の就学支援金において、所得制限を設けずに無償化すべきとの御提案につきましては、限られた財源を使ってどのような家庭を支援していくかという観点から慎重に検討する必要があるものと考えてございます。

 いずれにしましても、文部科学省としては、今後とも恒久的な財源をしっかり確保していく、そして教育費の負担軽減に向けて取り組んでまいりたいと思うんですけれども、私、いろいろと各党それぞれ思いがあると思うんですよ、九百十万円以上あっても。こちら、九百十万を下げて、そして上を上げた。どこにどう光を当てていくかということは、私、しっかりと話し合ったらいいと思うんですね、その都度検証しながら。そういうことを思います。

 だから、どちらがどうと、今、自公の政党はこの政策、ここに光を当てる当て方をしたわけですけれども、先生方からいろいろな意見を聞く中で、やはり、どういう効果があるのかということについては常に検証する必要はあると思ってございます。

青山(大)分科員 大臣、今、最後、いろいろな思いをおっしゃっていただけて、本当にそうなんですけれども、まさに低所得者世帯であれば、今回五百九十万で上乗せしたことも、これももちろん評価しますし、ただ、やはり、九百十万、そこなんですよね。

 結構やはり、一千万世帯でも、子供が三人いたら当然たくさん出ていくわけですし、例えば、これはまた少し政策のあれがずれますけれども、いわゆる児童制限とか、先日の十八歳以下の十万円給付の話でも、九百六十万円で分断されてしまったわけじゃないですか、まあ今回九百十万なんですけれども。だから、一千万円世帯、本当に何のそういった子育てをしている恩恵ってないんですよね。もちろん、それは、経済的な支援も大切ですけれども、やはり、社会全体で子育てをしようという機運をつくっていく中で、十一万八千八百円、そういうものは、やはり我々もしっかり受け取れるということが今後の少子化対策のメッセージにもなるなと私は思っているんですよね。

 それは本当におっしゃるとおりで、各党いろいろな考え方があります。私とか立憲民主党は、やはり無償化を制限を撤廃すべきと。もちろん、ここの上の部分については財源の限定もありますけれども。

 ですから、御承知のように、消費税法、現行の下でも、まさに少子化対策にもそういった財源を充てられるというふうにも明記されていますし、そこはちょっと、大臣もいろいろなお考えがあると思いますけれども、大臣個人的にはどういうふうにお考えですか、その辺の考え方については。

末松国務大臣 これは、先生今お話がありましたんですけれども、私の考えとしては、財源を確保して今こういう政策が、こっちを下げて、上を上げたわけですよね。ですから、今取っているこの選択が、今は正しいと、私はそう言わざるを得ないですね、自分としては。

 ただ、どうなるかという推移をずっと見て検証していかないと、どれほど評価する御意見と不満を言われる御意見とが出てくるのかということは常に見ておかないかぬということでありまして、考え方はそうです。財源がたくさんあれば、それはそういう対応はできると思います。

青山(大)分科員 大体、今、年収九百十万円以上で国公立に通われている方が四十三万人、私立が約四十万人。十一万八千八百円だとして、ざっと計算して約一千億円なんですよね。この一千億円を本当に大変だと見るか、その一千億円を、いや、これは本当に将来への日本の投資だと見るか、そこは本当に考え方だと思います。

 ただ、一点、私立の学校の実務的な、実務上の手続として、五百九十と九百十、二段階の所得で分けられているのがあって、私立の学校って事務的な処理が結構大変なんですよね。結局、これは後から入ってくるじゃないですか。ですから、資金繰りが含まれて、ちょっと実務上大変だと。県立高校なんかだと、県の方でいろいろな事務的なサポートがあるんだけれども、私立に関してはちょっと、二段階になっていて、後からお金が入ってくるので実務上大変だという事実については一応伝えさせていただきます。これは少し、学校側の立場になって改善できることがあるのであれば改善してほしいなというのは要望させていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 教員の負担軽減について伺います。

 教師の働き方改革と言われていますけれども、学校の先生が児童生徒とより向き合える環境をつくっていくに当たって、教員業務支援員、茨城では学校サポーターというんですけれども、その存在は、学校現場、教員はもちろん、自治体からもとても重宝されております。

 最近、新型コロナ感染症対策の関係で大幅に人員とか予算措置が増えたけれども、今後、このコロナが落ち着いてしまったら、また数だとか予算が減らされてしまうんじゃないか、そういった現場の不安の声もあるのも事実です。

 今後も教員業務支援員、学校サポーターを増やすべきと考えますし、もし政府もそういった方向であれば、しっかりとそのメッセージをしてほしいなと思いますけれども、どうでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 教員業務支援員、今御指摘いただきましたように、学習プリント等の準備、採点業務、あるいは来客、電話対応等を行うことを通じまして教師の負担軽減を図り、学校における働き方改革を推進するために配置しているものでございまして、教師がより児童生徒の指導や教材研究等に注力できる体制の整備に大きな役割を果たしているところでございます。

 令和三年八月に学校教育法施行規則に位置づけまして、一層の配置を促進するということで、来年度予算案におきましても配置拡充を盛り込んでいるところでございます。

 我々といたしましては、教員業務支援員が教師の負担軽減を図る上で必要不可欠な存在であるというふうに認識しておりまして、今後とも配置の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 力強い御答弁を頂戴しまして安心しました。コロナが落ち着いても、やはり教員業務支援員についてはしっかりと必要な数を増やしていくということで、強い意思をいただいて本当に安心しました。ありがとうございました。

 それでは、次の質問に行きます。

 小学校の授業のこま数について伺います。

 昨今の社会では多様な知識やスキルが求められる余り、教育現場でもカリキュラムが過密になる、いわゆるカリキュラムオーバーロードの傾向が、日本に限らずOECD加盟国の間でも課題となっております。一方、日本が抱える課題に教員の勤務時間の長さがございます。OECD加盟国の中でも突出しており、勤務時間は長く、教えることに割く時間が少ないとの指摘もされております。

 今のままカリキュラムを積み込んでいっては、教員負担の増加のみならず、学ぶ側の子供たちにとっても負担となります。既に議論は始まっていると思いますが、量より質の充実や、やはり、教員だけで現場を支えるのではなくて、今後はより地域との連携や外部リソースの利用が必要になるかと思います。

 例えば、さっき話したように教員業務支援員の積極的な活用ですとか、より踏み込んだ議論が必要かと思います。カリキュラムの実践においても、地域のインターナショナルスクールや留学生の集う大学機関などがあれば、学校の外国語授業の一環として日頃から交流を行うなど、地域との連携をしながら、社会で子供を育てるという視点でカリキュラムを実践していくのも一つの案だと思います。

 政府は、小学校の授業こま数について、カリキュラムオーバーロードとの課題がある中、どのような認識で、今後どのような対策を検討しているのか、お伺いします。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、小学校におきましては、新学習指導要領において、三、四年生の外国語活動、五、六年生の外国語科の導入に伴いまして、標準授業時数が週当たり一こま増加したところでございます。

 我々といたしましては、標準授業時数という形で必要な授業時数をしっかり確保していくということは、これは重要であるというふうに考えつつも、一方、御指摘いただきましたように、教員の勤務実態は大変厳しいということで、学校における働き方改革を進めていくことの重要性は重々認識しているところでございます。

 このため、小学校の三十五人学級の計画的整備あるいは高学年における教科担任制の推進ということで、こうした教員定数の改善によりまして教員の持ちこま数の軽減を図るような取組を行ったり、先ほど言った教員業務支援員などのスタッフの充実であったり、先生御指摘いただいた、開かれた教育課程を目指しておりますので、外部人材とのより一層の地域連携を進めていくといったことの取組も進めているところでございます。

 今後とも、学校における働き方改革というのをしっかり推進しつつも、新学習指導要領に基づく質の高い教育ということを着実に進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 まだ新しい学習指導要領が始まったばかりですので、本当にこれからですけれども、今新しいのが始まった中で、更にこの先どうするのかというのを、大臣、是非、本当に長い視点で、教育、もちろん大切なことは、与野党問わず、皆さん、それは認識していますので、是非大臣の強いリーダーシップで、これから先の教育をしっかり、目的を示して取り組んでいってほしいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 あと、スクールカウンセラー、そしてスクールソーシャルワーカーについて、現状と今後についてお伺いをいたします。

 学校教育現場で活躍をされているスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの存在が、日本では残念ながら一般的にはまだ余り知られていないのが実態でございます。ですが、児童生徒の、残念ですけれども、自殺者の数が近年増加傾向にもあるように、大変苦しい、つらい思いをしている児童生徒やその周囲の大人にとって、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのような専門家の果たす役割は、私は年々重要になってきているというふうに認識をしております。

 例えば、学校現場ではあらゆる対応を行い、もう行き詰まってしまったという段階で、スクールソーシャルワーカーが学校から相談を受けるケースがほとんどとのことです。学校側はどうしても指導という切り口で児童生徒と接してしまい、児童生徒が心を閉ざしてしまったとか、学校と家庭が対立し、進展が見込めないというような状況でございます。

 一方で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが学校に配置される時間には制約があり、週一回三時間から四時間、今回、令和四年度の予算案で盛り込まれた重点配置を活用しても、週に二、三回が限度でございます。かなり短い時間の中で、児童生徒に寄り添い、児童生徒にとって最善の方向を見出していくには難しいものもございます。将来的には、常駐するスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーが必要ではないでしょうか。

 また、一般に余り認知がされていないため、事態が複雑化する前の早い段階で介入する機会を逃していたり、問題に取り組む上で保護者側の理解が得られないということもあるようです。こうした専門家の存在をもっと社会に周知し、活用していくことは、児童虐待やいじめの問題が複雑化していく中、児童生徒を支えるためにも非常に大切と考えます。

 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー活用事業について、更に充実させていくには、制度の拡充や制度の周知が必要と思います。現状と今後の対策をまずは伺います。

伯井政府参考人 まさにおっしゃられましたように、学校において、様々な課題を抱える児童生徒に対しまして、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーと教師が有機的に連携協力してチームで支援を行うことが重要であるというふうに考えております。

 そのため、令和四年度予算案におきましても、今紹介いただきましたように、それぞれ更なる配置の充実ということで図っておりますし、これは今後とも取り組んでいかなければならないと思っております。

 また、教育委員会等からは、配置時間が少ないということとともに、スクールカウンセラー等の活用に係る学校の理解が、今御指摘いただきましたように十分ではなくて、うまく連携が取れていないというようなことも指摘されております。

 文部科学省といたしましては、こうしたスクールカウンセラー等の活用に係るガイドラインの周知であったり、うまく活用している好事例の活用事例集の作成、周知などを通じて、先生がおっしゃられるように、チームとしての、専門家と教師と一体となった支援ということができるような取組をより一層進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 是非、しっかり取り組んでいって、制度の拡充もそうですけれども、やはりその周知ですよね。まだちょっと一般的に知られていない部分もあるので、その辺、力を入れてほしいと思っていますので、重ねて要望をさせていただきます。御答弁ありがとうございました。

 次の質問に変えます。

 GIGAスクール実施に当たり、児童生徒への心身への配慮の対応状況について伺います。

 昨年の六月九日に、私の方で、GIGAスクール構想実施に当たって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮ということで、政府に質問主意書を提出させていただきました。

 私が懸念するのは、小学生は、読み書きを覚え、思考能力を育てて体の基礎をつくる重要な時期にあるこの時期に、タブレットを目で追うだけの時間が日常的に学校で取り入れられることで、視力や骨格等への影響の可能性、手書きで文字を書くなどで養われる運動能力の低下のおそれ、視覚や聴覚刺激のみの時間が長くなれば脳の発達への影響があるのではないかといった点でございます。

 体の発達において取り返しのつかない時期であることから、タブレット導入をするのであれば、あえて体を動かす時間を設けるといった配慮や取組も並行して行うことが必要ではないかというふうに思います。政府は、現在、どのような対策、対応を取られているのか、お伺いします。

伯井政府参考人 ICTの活用につきましては、児童生徒への視力への影響を含め様々な心身の健康に留意することが重要だということでございます。

 文科省におきましては、令和三年三月に、GIGAスクール構想の下で整備された一人一台端末の利活用に関する通知を発出し、その中で、ICTの活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関する配慮事項をお示ししました。また、四月には、児童生徒、保護者向けに、端末利用に当たっての児童生徒の健康への配慮等に関する啓発リーフレットを作成、周知しているところでございます。

 加えて、学校においてICTを活用した教育を実施する上での健康についての留意事項をまとめた、児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブックを作っておりますが、その改定を今年度中にも進めていきたいと考えております。

 児童生徒の視力に関しましては、令和三年度から近視の実態調査を進めておりまして、こうした調査により得られる知見も踏まえまして、児童生徒の健康には十分留意した取組を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 それでは、最後の質問に行きます。教員、学校の先生向けのLGBTQへの理解促進について伺います。

 LGBTを始めとするセクシュアルマイノリティーである児童生徒は、クラスに一人は存在するとも言われております。性的指向と性自認が世の中の大多数と異なるということで、その違いが原因で思春期や青年期に困難な状況に直面する可能性が多くあるとのことでございます。少なくとも、思春期、青年期の時間の大多数を過ごす学校の現場で、そういったことが原因でいじめや差別が起きないようにすることが大切だと思っています。学校現場の先生たちにその理解を促進することも必要であるというふうに思っております。

 LGBTを始めとするセクシュアルマイノリティーに係る児童生徒への対応について、今学校現場でどういった研修などが行われているのかお伺いいたします。

末松国務大臣 学校におけます性的指向、性自認に係る児童生徒への対応につきまして、個別の事案に応じ、当事者である児童生徒の心情に十分配慮した対応を行うことが重要であると考えてございます。したがいまして、先生はこのことをよく知っておかなければならないという認識でございます。

 文部科学省では、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施についての通知を発出をしました、平成二十七年です。また、教職員の理解促進のためのパンフレットも作成し、全ての小中高校へ配付をいたしております、平成二十八年でございます、四月。これらを通じまして、学校に適切な対応を求めております。

 また、教育委員会や学校の生徒指導、人権教育担当者等を集めました各種会議や研修会等においても趣旨の徹底を図りまして、教職員の理解の促進を努めております。

 なお、御指摘の教員研修につきましてですけれども、実は、平成二十九年は、約五割のところで、初任者研修において進めておったんですけれども、一年後の平成三十年には六割になっております。そこからちょっとアンケートを取れていないんですよ。約六割の、現在、教育委員会の初任者研修において、性同一障害や性的指向、性自認に係る児童生徒への対応に関する内容を扱っていると聞いております。

 また、教職員支援機構におきましては、校内研修シリーズの一つとして、これらに関する研修動画を作成しましてホームページ等において公開いたしているところであります。

 教育委員会や学校におきまして適切な対応が取られるように、先生のお考え、御趣旨も踏まえまして、引き続き周知徹底を図ってまいりたいと思います。

青山(大)分科員 ありがとうございました。

 やはり、一度そういう研修をしているのとしていないので全く違うので、そういうふうに、今、六割ぐらいとおっしゃいましたけれども、それも増やしていってもらいたいと思っていますし、重ねて、教職員の養成課程においても、そういう、ちょっと学ぶ機会をつくってほしいなと思います。

 最後になりますけれども、今、超党派で教育立国推進協議会ということで、各党のいろいろな議員が集まって、そういう協議会を立ち上げています。そういった議論の過程も、大臣に是非、まとまったら受け止めてもらって、まさに教育については与野党関係なく、本当に我々国会議員みんなで考えることですので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

青山主査 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。

 私の地元、京都北区、足利義満ゆかりの鹿苑寺・金閣寺と並ぶ建造物、幻の塔と言われる北山大塔について議論したいと思います。

 鎌倉中期以降の政治、経済、社会に関する必須の歴史史料であり、ユネスコの世界記憶遺産でもある、東寺百合文書によれば、足利義満はこの地に、北山大塔と呼ばれる、東寺の五重の塔の二倍もの建造物を建立したとされています。

 この文書によると、北山大塔は、一四〇四年四月三日に、立柱の儀、いわゆる起工式が行われ、基礎工事、塔本体の建設工事に入ったと書かれています。しかし、義満はその完成を見ることなく世を去り、立柱の儀の十二年後、一四一六年一月九日、北山大塔は落雷により炎上。北山大塔の最上部を飾る九輪もこのとき焼け落ちてしまったとあります。

 大臣に聞きます。

 まず、北山大塔の基壇あるいは土壇、つまり、大きな建造物を建てるために土を固めた基礎部分と見られる金閣寺庭園の北東にある方形の高まりについて伺います。

 従来、この方形の高まりについては、京都市の発掘調査資料によって、土壌が軟らかく、北山大塔のような大重量を支える基壇とは考えにくいと評価され、これが北山大塔を幻の塔とする根拠ともなってきました。

 しかし、文化庁が指導し、京都府、市が行った二〇二一年の調査、そのまとめの第二十五次、これですね、全文はもっと長いんですけれども、この報告書によると、「堆積はむしろ密で、土質の柔らかさは後世の風化によるものと判断された。」と。堆積は軟らかくではなく、むしろ密、すなわち、巨大な建造物である北山大塔を支える土壇であったと、これまでの見解を覆し、再評価するものとなっている。こうした認識で間違いありませんか。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、鹿苑寺の敷地内にかつて北山大塔と呼ばれる七重の塔があったと文献上の記録がございます。

 平成二十八年度の京都市の発掘調査によりまして、北山大塔の九輪の一部との可能性がある破片が三点発見されまして、さらに、令和二年度の調査によりまして、七重の塔が建つのに十分な硬い地層であった可能性が明らかとなりました。

 今回、文化庁の担当課が京都市文化財担当部長に確認したところ、総合的に考えると、北山大塔があったという可能性は否定できないとのことであり、調査としては一定の進展があったものの、現時点では、この遺跡が北山大塔であったかどうかということを判断するにはちょっと情報が少ない、そういうことであるという報告を受けておるところであります。

穀田分科員 私が昨日問いただしたところで京都市の話をしたものだから、担当部長にも聞いていただいたということだと思うんですね。

 担当部長はどう言っているかというと、実は、この二十五次の調査報告書というのは文化庁の臨検と指導を受けて書かれているんですね。だから、別に京都に聞かなくたって、おたくのところが全部分かっているはずなんだけれども、そこだけ指摘しておきたいと思うんですね。

 大臣がお話あった文化芸術都市推進室文化財担当部長、この方は、私どもの井坂博文市会議員の質問に対して、発掘調査の技術の知見は日々進歩、今回、新たな知見を得たことによって見解が変わってきた、新たな発見があったものと考えております、これなんですね。ここまで言ってくれへんと、なかなか、担当部長の話だけ言われても、何が変わってどうなったのかということは必要ですわな。

 そこでです。この土壇の、先ほど述べた南西角の、室町時代に焼けた層の土を調べたところ、焼けて炭化した木片が発見され、木片の炭素量の年代分析から、一二二五年から七四年の鎌倉期の木片でほぼ間違いないとされています。この木片が焼けた太い柱の内側の部分であって、この柱の使用時期が鎌倉期の後の足利義満の時代、北山大塔建立期である蓋然性はますます高まったと言えると思うんです。

 先ほど話があったように、あったことは否定できないとおっしゃっていました。ということは、見解が変わったという京都市の部長答弁、新たな木片の出土という事実を踏まえて、北山大塔はなかったとは断定できない、あった可能性が強い、そういうふうに見解を理解していいですね。

末松国務大臣 今のお話でしたら、そういう可能性がありますよね、先生がおっしゃったようなことは。私は十分な情報を持っていませんけれども、今のお話でしたら、そういう可能性があります。

穀田分科員 可能性があったということで、とても大事な答弁です。

 私は、このことが可能性があるということからしますと、今度は、それをきちんと立証すれば画期的なことになるということだと思うんですね。

 したがって、京都に来るわけだから、文化庁は、しかもその部隊が肝腎なところから来るわけですわな。ですから、現状保全は当然だけれども、本格的調査を後押しすることは当然の責任ではないかと思うんですが、簡単にお答えいただけませんか。

末松国務大臣 ちょっと整理して答弁せないかぬわけですけれども、平成十二年からこれは自治事務になっておりますから、そういう意味では、京都市がまずその気にならないと、指導助言を国から、文化庁が与えるにしましても。敷地は鹿苑寺の持ち物であると聞いておりますので、そこの了解がないと、だから、まず鹿苑寺と京都市がその気になるということが必要です。

穀田分科員 それは百も承知しているんです。だけれども、文化財のことについては、それこそ大臣は地元でも、垂水区で、孫文記念館を始めとした様々な尽力をされた、そういう、造詣が深いと私は聞いております。私も文化財の問題というのはずっと何回も質問しておりまして、やはり大事なものは大事なものできちんとして、一定のこういう配慮を行いながら、指導的イニシアチブを取っていくということが必要だと私は思います。

 そこで、関連して聞きたいんですけれども、これなんです、こんなにでかいものなんですね、これは、二〇一九年、九州国立博物館で開催された「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」の図録であります。そこで、皆さんにお配りしているところを見ていただければありがたいと思うんです。

 資料、これですね、分かりやすくしましたけれども、資料の一は北山大塔の九輪の説明。この大きさは、北山大塔は百十メートルと言われている、九輪というのはここにあるものですね。それは大臣、知っていると思いますけれども。これが発見された地域の地図。私は、この辺の、ちょっと下の方に住んでいるねんけれども、まあそれはいいんですが。

 二のこれ、これが先ほど大臣がおっしゃった九輪、これの断片ですね。この九輪は、ここにもあるんですけれども、ここから私は取ってきたんですね。これが、その原本の、写真に載っているものです。これです。

 この九輪は、文化庁所管の九州国立博物館が目玉の一つとして展示している。これは、これまでの記録上の存在だった北山大塔の実在を裏づけるものだからではないのか。

 大臣、これは価値があるから展示しているということは、当然そう思われますわな。どうですか。

末松国務大臣 御指摘の展覧会では、これというのは、先生、室町幕府の歴代将軍に関係する多様な文化財を紹介したものであると聞いておるんですけれども、御指摘の評価は九州国立博物館としての見解ですが、九州国立博物館としては、展示に当たって、今後の研究の進展を期待して前向きな評価をしたものと聞いておりますね、私は。まあ、説明を受けただけでございますけれども。

穀田分科員 私が聞いているのは、価値があるから展示されていると。研究員や学芸員の方々の、内容は分かるんですよ。そうじゃなくて、大臣は、こういうものというのは、展示する場合、何か、瓦れきなの、それとも大事なものなのということを聞いているわけですよ。単なる瓦れき、石ころじゃなくて、価値のあるものだから展示しているんでしょうと。裏から指しておりますけれども、中身ですよ。大事なものだから展示しているんでしょう。

末松国務大臣 さっき申し上げたように、室町幕府の歴代将軍に関連する多様な文化財を紹介したものであるから、大事でないか大事であるかと言われたら、それは、相手方にとって、責任者にとっては大事なものであるというふうに、私はそう思いますね。大事でないものを展示はしたりはしないと思うんですけれども。

穀田分科員 大事なものだと普通は理解できると。

 私、この問題を質問するということにしまして、こういうものについて書かれてあるということについて、そういうことを担当の部局にお伝えしたら、早速、この書いた研究員の人におととい電話したそうですよ。それまでは知らなかったということやねんけれどもね。なかなか手早いというか、そういうものがあったと確証できるのかというような話までしているらしいけれども、まあ、ちょっとやり過ぎかと私は思うんだけれども。

 やはりこういう問題というのは、この図録で主任研究員の方は、九輪の解説を、「本品はこの北山大塔の九輪と考えられ、これまで記録上の存在だった北山大塔の実在を裏づけるものである」と述べているんですね、この説明は。

 私は、先日、京都市の埋文研の保管庫を訪れ、この九輪を実際に見てきました。幅三十七・四センチ、高さ二十四・六センチ、厚さ一・六センチ、重さは何と八キロ以上あるんですよ。ずしりと重たいもので、これを復元すると、九輪というのは、二・四メーター、そして巨大な輪である。これは結局、五十キロ近いものになる、それが九つも上にある。材質は、お聞きすると、青銅、表面に金メッキを施したものであり、きらびやかな金銅製のものであったと。現場の職員は、この九輪は北山大塔が存在した物的証拠です、こう語っておられました。私は持って、この瞬間、歴史のロマンを感じわくわくすると感想を述べました。そうしたら、職員の方も同感ですと意気投合したわけです。

 重要文化財の指定基準は、歴史的価値の高いもの、学術的価値の高いものなどですけれども、北山大塔が存在した物的証拠であるこの九輪を、この際、重要文化財と指定して、その歴史的価値にふさわしい取扱いをすべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

末松国務大臣 文部科学省としては、先生、有形文化財のうち学術的な価値が特に高いものを文化財保護法に基づいて、もう先生分かっておってですが、重要文化財に指定し、その保存と活用を図ってございます。有形文化財には地下から発見されました遺物も含まれますが、指定するためには学術的な価値の高さを立証する十分な蓄積が必要である。

 今回出土した破片が北山大塔のものかどうか判断するには、冒頭申し上げたように、情報が少し少ないため、まず京都市において敷地を所有する鹿苑寺の意向を十分踏まえながら適切に対応いただきたいということで、これは私の考え方、答弁でございます。

 もう一つ、今日、私が指示を出したのは、まず、文化庁の人間も、これは国ですけれども、まずは京都市がきちっと意向を固めないかぬのですけれども、先生が質問されるので、参考程度には見てこいと言っていますので、行かせます。そういうふうに思っています。

穀田分科員 見てきたら歴史のロマンを感じると思います。何か、今日の午前中では京都のことを言ってはったから、せっかく京都に文化庁が来はるねんから、大臣も来ていただいて、その重さを実感すれば、その中身が分かると私は思います。

 しかも、先ほど述べましたように、舞子公園の孫文記念館だとか、ジェームス邸だとか、そういったものについて、重要文化財の指定と保存などにかつて尽力された、そういう意味では思いは共有できると思う。大切なものだということだけは確かですよね。

 今日は新しいそういう答弁もいただきましたし、これに基づいて、せっかく京都に来るのやから、今見に行かせると言っていましたけれども、みんなで確かめて、このものを大事に扱って、私は重要文化財として指定されるための努力をしていただきたいと思っています。

 申し訳ありません、次に、国土交通副大臣にお聞きします。

 私は、建設残土と盛土に対する法規制について伺いたいと思います。

 昨年七月三日の熱海土石流事故の記憶は新しいところであります。住民は、二十七人もの大惨事となった下で、建設残土による山津波とも表現していまして、住民の命に関わる問題であります。

 これは熱海の問題だけではありません。総務省が十二都道府県、二十九市町村に限定して調べた昨年の調査では、百二十の不適切の埋立てがあり、その七割が土砂流出などの被害があった、あるいはそのおそれがあるというものでした。

 私の地元、京都市北区杉阪道風町周辺でも、北山杉の産地として有名な山林が切り開かれて、大量の建設残土が投棄され、不法な盛土がされており、住民から大きな不安が寄せられています。

 私は、先日、このうちの二つの現場を実際に見てきました。資料を皆さんにお配りしています。資料三ですね。

 これは航空写真です。これは、京都市北区鷹峯笹ケ尾の二、三番地の五千六百平米の林地開発であります。京都市への申請によると盛土面積は二千九百五十平米とされており、京都市の土砂条例の許可要件三千平米を僅かに下回っているんですね。しかし、地元住民の話によると、実際の面積は縦二百メートル、横四十五メートルで、約九千平米にもなり、ここへの取付け道路がまた二千四百平米もある。これは市土砂条例の許可要件をはるかに、三千平米をはるかに超えていますけれども、市当局は、元々申請が三千平米以下であることや土砂条例制定以前の残土が含まれていることをもって、規制の対象外であるとの態度に立っています。

 しかし、この現場は、急傾斜地に建設残土を盛土したもので、熱海市と同様の土石流災害の危険があります。また、昨年七月上旬の大雨の際には、直下にある杉坂川が突然白く濁る事態となり、この水を飲料水、農業用水として使っている地域住民は、これまではなかった事態に、有害物質による汚染水、健康被害への強い不安を私のところにも訴えてきておられます。

 もう一か所は、資料四ですね。これも見ていただければ分かります。これです。

 これは、北区杉阪東谷七、八番地の山林で、合計八ヘクタールにも及ぶ大規模な林地開発であります。七番地の八割方は既に森林伐採が完了し、事業者が跡地に杉二千本の植林をすることを約束しながら、期日内にこれを実行せず、資料五のような、これは見ていただくと、私が行ってきた現場ですけれども、この五にありますように、もう、何というんですかね、ひどい実態になっていて、既に資材置場、メガソーラー用地として、今度は一億八千万で売りに出されているというようなことまで来ているわけですよね。

 したがって、地域住民は、熱海市のような土石流災害が起こらないか心配で、何度も京都市に足を運び協議しているけれども、排水施設や土留めのための擁壁など具体的対策が取られないばかりか、京都市は適切に対応すると言うだけで、違法に毅然と対処する立場には立っていない、口先だけだとみんな怒っているわけですね。

 また、先ほど述べた杉坂川が白濁した際に、京都市は、七キロ以上も離れた下流の清滝川、これはとてもきれいなところなんですよ、そこの水質検査を行って、汚染はないと言うあきれた対応で、住民は、なぜ残土投棄現場の直近の川の水質検査をしないのかと、これは度重なっていって、怒り心頭に達しておられるわけであります。

 そこで、聞きたいと思うんですね。これらの事態は、京都市の対応が全く弱腰であるということが大問題であるけれども、その上で、現状の森林法や土砂条例の規制だけでは現実問題に対応し切れないということを示しているんじゃないかと。したがって、災害から人命と安全を守るためには、不法で危険な盛土自体を規制する隙間のない新たなる法規制が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。

泉田大臣政務官 まず、昨年熱海で起きました大規模な土石流で亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと思います。また、被害に遭われた皆様方にお見舞い申し上げたいと思います。

 盛土に関する規制についてでありますけれども、昨年の事例を受けまして、有識者会議の提言や知事会からの御要望もいただいております。危険な盛土を包括的に規制する法制度、これを構築することといたしております。

 具体的には、これまで規制をかけることができなかった地域も含めまして、全国一律の安全基準を作成し、人家等に被害を及ぼし得る盛土行為、これを許可制とすること等について検討を進めております。

 現在、関係省庁とも調整を行っているところでございます。可能な限り速やかに調整の上、閣議に諮りまして、三月上旬にも国会へ法案を提出できるようしっかりと取り組んでまいります。

穀田分科員 報道によりますと、既に、森林や農地などの土地利用区分にもかかわらず、そういう意味での許可制にするという方向性が出ているということは重要だと思います。近畿ブロック知事会を始め全国知事会も意見を述べているわけですから、それらがどのように反映され、具体化されているのかについては、法案を見させていただいて、検討していきたいと思います。

 ただ、その上で、報道によれば、建設残土自体の適正処理に関しては、今回の法改正とは別に、今後対応するとされております。しかし、日々建設残土は大量に発生しており、新たに建設残土規制法あるいは建設残土処理適正化法を作ることによって不適切な残土処理を根絶することが急がれている、これは誰しもが思っていることだと思うんです。

 そこで、私は提案したいと思うんです。

 具体的には、第一に、建設残土の排出者、工事発注者が最終処分まで責任を持ち、受入れ地、最終処分場を必ず確保することを義務づけること、第二に、建設残土を工事現場から外に搬出する際は、民間事業者も含め指定処分制度を義務化し、建設残土が仮置場やストックヤードを経由した場合も、安全な構造基準を満たした最終処分場に確実に搬入されているかチェックできる仕組みを創設すること、第三に、以上の点が、ここが大事なんですけれども、工事契約段階で明確でない場合、工事に着手させないよう厳しく対応する。

 これらについての、私が今提案した内容ですけれども、国交省はどのように考えるのか、見解をお聞きしたいと思います。

泉田大臣政務官 委員御指摘のとおり、建設発生土の適正利用、こういった観点も踏まえて対応していくことが必要だろうというふうに思っております。現在検討中の新たな盛土規制と併せまして、建設工事から発生する土の搬出先の明確化等、この取組は必要というふうに認識をいたしております。

 昨年十二月の盛土による災害防止に関する検討会の提言によれば、建設現場から搬出される建設発生土の約八割、これは公共工事が占めております、工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定する、そしてまた、指定利用等の取組を徹底していくことが重要というふうにされております。

 この提言を踏まえまして、発注者による指定利用等の徹底に取り組んでまいります。

 また、提言では、民間工事も含めまして、建設発生土の搬出先等の明確化等を図るため、現行の資源有効利用促進法に基づく再生資源利用計画の仕組みを活用いたしまして、これを強化すべきとされました。

 これを踏まえまして、元請業者に対しまして、一つは、搬出先の新たな盛土規制に基づく許可の事前確認や、実際に搬出されたことを土砂受領書等で確認することを義務づけるということなどによりまして、建設発生土の搬出先の明確化、適正化にしっかりと取り組んでまいります。

穀田分科員 一、二の、二の辺りまではいろいろ言うてはるけれども、結局、我々の提案がどう具体化されるか見極めたいと思うんです。ただ、民間事業者も含めた対応が確実に実行できるかどうか、その担保はあるのかどうかということと、あわせて、工事契約段階で明確でない場合、工事をストップする、そのぐらいの厳しい対応をしなければ、やはり命と健康に関わる問題なんですよね。

 そこの角度が、地方自治体の長もやられた、そういう方ですから、その意味でいうと、現場の現実というのは法律の隙間を縫って動いてくる、どうしたら止めることができるかという点の立場に立たないとあかんということは言っておきたいと思うんです。

 環境関係に行きたいと思うんですけれども、私は、より根本的な問題は、トンネル掘削など建設工事で発生する建設残土が大量過ぎる、これへの排出者責任が曖昧にされていることにあると言わなければなりません。

 多過ぎる建設残土自体の総量規制に踏み込むべきところに来ているんじゃないのか。また、建設残土が逆有償の場合、建設瓦れきや建設汚泥と同様に産廃として扱い、廃棄物処理法の対象にし、排出者が最後まで責任を持つ仕組みづくりを構築すべきと考えるが、いかがでしょうか。

務台副大臣 廃棄物につきましては、適正に処理しなければ、それ自体が腐敗、悪臭の発生等によって生活環境や公衆衛生に支障を生じさせることから、廃棄物処理法によって規制しております。一方で、建設発生土は、建設工事から搬出される土砂ではありますが、それ自体が腐敗等による生活環境の保全や公衆衛生上の支障を生じさせるものではないということから、廃棄物として廃棄物処理法で規制するものではないというふうに考えております。

 建設残土の適正処理については、国土交通省でしっかりと検討していただけるものと承知しております。

穀田分科員 そういうことを五十年間言ってきて、やってきたから、こうなっているんじゃないですか。私、よう言うわと思うね。信州でも大変でしょうが。そういうことを言っていたらあきませんで。

 だって、結局のところ、七〇年に廃棄物処理法が制定された際に、建設発生土、残土は再活用すべき資源であり廃棄物ではない、こういう線引きがされて、国が厳格に規制すべき対象とされなかった、その大前提があるためにこんな事態になってきているわけじゃないですか。そこを一歩踏み込むというところにやらなければ、事態は打開できませんよ。

 そういう姿勢で、私は、盛土崩落などの大規模災害、不適切な残土処理による環境破壊から住民の命と健康を守ることができるのかと。できるというのやったら、任せておいてくれと言ったらいいですよ。大丈夫やと言えますか。一言だけ。

務台副大臣 これは法律で、どういうものをどの法律で対象とするかという仕分の問題にも関わると思います。

 いずれにしても、建設廃土の問題は日本全国の問題になっているので、どういう処理が適切かということをしっかりと調整してまいりたいと思っております。

穀田分科員 そういう姿勢ではなかなか大変やなと思いますよ。

 穴になって、そこが問題になってきたというところを、今いろいろな形で隙間を埋めるということについて検討会議なんかで出ているわけじゃないですか。この隙間の最大の問題はここにあるということぐらい言ってくれな、環境省がそのぐらいの立場に立ってくれな、どうしますねんな、チェックする機関が。

 最後に一言だけ言っておきますと、私の地元では、リニア中央新幹線と北陸新幹線の延伸計画があります。例えば北陸新幹線延伸計画は、何と、大体百四十キロメートルのうち約八割がトンネル区間なんですね。発生する残土は、少なく見積もっても約八百八十万立方メートル、甲子園球場に積み上げると数百メートルの規模なんですね。また、ルート上の地域は、自然由来のヒ素濃度が高く、丹波地域はマンガン鉱山があったくらいで、有害残土や汚染地下水が大量に発生する危険性が指摘されているんですね。

 こういうときに、やはり環境省がそういう現場の実態をきちんと見ていただいて、どうしたら国土交通省と環境省との間を埋めながら全体として命を守る、安全を守る、そういう役割を果たすのかどうかが問われていると私は思うんですね。ましてや、この工事のために二兆一千億円もかけようなんて膨大なやり方がやられているということについて、きちんと見て、そういうことについて物を言うという機関でなけりゃならぬということを一言述べて、終わります。

青山主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

青山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石原正敬君。

石原(正)分科員 お疲れさまでございます。自由民主党の石原正敬です。

 本日は予算委員会の分科会の質問の機会をいただき、関係各位に御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 本日は、文部科学省に関する質問ということで、大きく二つ、一つ目は高等教育について、そして二つ目はGIGAスクール構想に関する、それに関連した形でのいろいろな支援のお願いというか、状況ということを確認したいというふうにして思います。

 そもそも、今回の質問の着想になったといいますのは、岸田内閣が新しい資本主義というものを掲げまして、成長と分配の好循環に向けまして、科学技術立国の実現、デジタル田園都市国家構想、そして経済安全保障、この三つの柱を打ち立てたところであります。この三つといいますのは、全て教育に大きく関わる、特に、高等教育もそうですし、小中高、特別支援学校、全部含んだ形で大きく関わっているんじゃないかというような問題関心の下で本日の質問に至ったというところでございますので、その辺り、御理解をいただければと思います。

 まず、一つ目の高等教育でありますが、新型コロナが二〇二〇年の一月に日本に感染者が発見されて以降、丸二年以上たったわけでありますが、大きな影を落としているというところであります。

 その間、学校も、休校措置ですとか、あるいは遠隔授業などをやりながら創意工夫を凝らして学びの保障という形で進んできているということは、皆さん方の御努力であるというふうにして感謝申し上げるところであります。

 また、新型コロナにつきましては、医療従事者の皆さん方、本当に懸命に努力をしていただいておることに改めて敬意と感謝を申し上げるところでありますし、事業者の方も、一部、大変な御苦労をされているということで、お見舞いを申し上げるところであります。

 そういう中におきまして、日本の、これまで、国内のみならず国外との関係でありますが、例えば、二〇二〇年に訪日外国人客数を四千万人にしようということで、二〇二〇東京オリパラに向けて各種施策を動員しまして外国人観光客を誘客する、そういった努力をして日本の魅力を発信してきましたが、残念ながら、コロナによりまして、二〇一九年に三千百八十八万人あった訪日外国人客が、二〇二一年、昨年は残念ながら二十一万人と、激減したというところでございます。

 関係者、大きな落胆があったのではないかなというふうにして思うわけですが、経済界のみならず、やはり教育の分野でもこれは影を落としておりまして、二〇一九年に新規の留学生の入国者数といいますのが十二万二千人あったというわけでございます。昨年一年間でどうだったかといいますと、約五万人ということで、コロナで入国措置があったにもかかわらず五万人あったというのは、一方で評価できる点ではあるんですけれども、考えた中で、約四〇%ぐらいになっているわけですので、相当、大学と日本語学校に対する影響は大きいんじゃないかなというふうにして思っています。何せ、世界の留学生が日本に入ってこれないという期間が続いているわけでございますので、ここら辺りの影響というのはすごく大きいと思っております。

 私の地元の日本語学校の状況を聞いてまいりましたら、この四月以降、生徒は、学生さんは何人になりますかと。百八十名の定員の日本語学校でありますけれども、四月以降は六名ですという回答でありました。最後に学生が入ってきたのはいつですかといいますと、二〇二〇年の四月ということになっておりまして、二〇二〇年の十月に入ってくる予定の学生から、それ以降一人も新規では入っていないということになっております。

 百八十名の定員のところ、四月以降六名しかいないというのは、これは経営上成り立たないんじゃないかなというふうにして思いますが、経営努力をしながら、何とか歯を食いしばって頑張っていきますと。非常勤の先生には雇用調整金を使って何とか、給与保障をしながら学校の維持をしているというところでございます。

 恐らく、大学は、新規の留学生はなくとも、日本の学生もいますので、経営上、少しダメージはあるかも分かりませんが、いいわけでありますけれども、特に日本語学校なんというのは外国からの生徒を対象にした学校でありますので、恐らく日本全国津々浦々の日本語学校の状況というのはほぼこの状況と変わりないのではないかというふうにして思っております。

 でありますので、このコロナの期間、留学生に関して大学及び日本語学校がどういう影響を受けたのか、そしてそれを文部科学省がどういう認識でいるのか、その認識の状況、状況確認をお聞かせいただきたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 国内の大学、大学院の正規課程に在籍する留学生の合計人数につきましては、現時点で顕著な変化は見られていないというふうに考えておりますが、ただ、これまで大学等への進学者を多く送り出してきた日本語学校におきましては、先生御指摘のとおり在籍者が減少していることから、今後は、大学における国際交流や人材育成の面のみならず、財政面においても影響が生じ得るものと考えているところでございます。

 このほか、日本語学校を経由せずに直接外国人留学生を受け入れております大学においては、多くの外国人学生が他国の大学あるいは自国の大学への進学を選択することによりまして入学辞退者が急増するなど、経営上の影響が出てきている事例があるという声も重く受け止めているところでございます。

 いずれにしても、日本への留学を心待ちにしている多くの外国人留学生が一日も早く入国できるように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど高等局長の申し上げたのと少し重なるところがございますけれども、日本語教育機関が受け入れます外国人留学生は、これまで、卒業後、大学、大学院、専門学校等への進学が七割以上、外国人留学生三十万人計画達成時において約三割を占めるなど、我が国の留学生政策において重要な役割を担ってきた、このように考えております。

 外国人留学生の新規入国の制限によりまして、日本に関心が高く、日本で学ぶ意欲の高い人材を獲得できなくなったり、受入れの日本語教育機関が財政的に厳しい状況に陥り、教師や施設等の教育基盤の維持が困難な状況になるなど、我が国の国際交流や人材育成に大きな影響が生じているというふうに認識しているところでございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 いずれも、大学の方はそう大きな影響はないということでありますけれども、徐々に体力を奪っていくような、あるいは国際交流の観点から問題が生じてきつつあるというような認識だと。日本語学校の方は、本当に経営基盤を揺るがすようなインパクトがあるということで、引き続き、情報収集しながら支援をしていただけるとありがたいというふうにして思っております。

 先ほど答弁にもありましたけれども、やはり、留学生が日本を進学の目標としていたにもかかわらず、こういう状態で、進路を断念するといいますか、日本のほかの国に留学生が流出していくということは、極めて日本の国際交流ですとかあるいは学問の国際化ということに関して危惧する状況が生まれている、生じているということだと思います。

 一方で、国際的価値が低下したりですとか、あるいは留学生、交換留学生をしている場合に、日本が受け入れないのに日本の学生を受け入れられないというような、双方の関係の、信頼関係が崩れるというようなことも考えられますので、留学生の新規受入れ、当然これはいろいろな制約があって困難な状況もあるかと思いますが、一定のルールを設けながら、日本国内への影響をないようにした形で国外からの留学生を受け入れるということを私は希望するわけでありますけれども、文部科学省のお考えはいかがなものでしょうか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先日、十五日に、自民党の政務調査会より文科大臣に対しまして、万全な防疫対策を取ることによりまして国民の安全を確保しつつ、二月末までとされております水際対策の骨格について早急に見直しを行うことなどを求める決議文を受け取ったところでございます。

 また、水際対策に関しましても、総理からも、オミクロン株に関する科学的な知見が蓄積されたこととか、あるいは内外の感染状況の変化、海外の水際対策のありようなどを総合的に勘案いたしまして、新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で緩和に向けた検討を行うというふうに述べられたと承知しておりますので、この辺を踏まえまして、文科省といたしましても、関係省庁と緊密に調整を行って全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 ちょうど自民党の文教部会からそういった決議が出されるというタイミングもありましたし、総理も一定の方向性としては明るい方向に向けてのメッセージを発信していただいておりますので、三月以降、是非とも、皆さん方の、現状を踏まえた判断ができるように、御助力賜りますようお願い申し上げます。

 さて、次なんですけれども、高大接続というテーマであります。

 高大接続というのは、文部科学省は高大接続改革というようにして改革をつけているわけなんですけれども、政治若しくは一般社会の場で語られる高大接続といいますのは、大学入学者選抜、いわゆる入試ですね、大学入試に焦点化され過ぎるんじゃないか、そういう嫌いがあるなというふうな印象を私は受けているところであります。

 お手元に配付した資料を御覧いただくといいんですけれども、そもそも、本来的に高大接続といいますのは、大学入学者選抜と高等学校教育と大学教育、この三つの要素が組み合わさって初めて高大接続というふうな概念でまとめられると思うところでありますが、なかなかその議論というのが難しいなという印象を受けております。

 二〇一二年八月に中央教育審議会の高大接続特別分科会というのが設置されまして、大学入試や高大接続についての諮問がなされ、議論がスタートしたというのがここ最近の大きな流れだと思っております。その後、二〇一三年一月には教育再生実行会議が設置され、いじめ問題、教育委員会制度、そして大学入試、高大接続、こういったテーマが集中的に議論され、その結果としまして、特に高大接続に関しましては、英語四技能の評価のための英語民間教育活用、そしてまた、思考力とか判断力とか表現力とか、そういったことを評価するために大学共通テストの中に記述式を導入するというようなことが一定の成果として進められたというふうなところでありますが、その後、紆余曲折の議論の末、二〇一九年の十一月と十二月にそれぞれ見送りというようなことになりました。

 その後、さらに、二〇二〇年の一月に設置された大学入試のあり方に関する検討会議では、再び、英語四技能評価の在り方、記述式出題の在り方、経済的な状況や居住地、障害の有無にかかわらず安心して試験を受けられる配慮、そして、その他大学入試の望ましい在り方などの検討が始まりまして、昨年、二〇二一年の七月にその答申が出たところであります。その際、二〇二二年春の受験において、今まさに行われているこの受験においては、二〇二一年と同じ受験の形をやるというふうなこととなりました。

 そこでなんですけれども、高大接続の大学入学者選抜は以上のような経緯になっているんですけれども、これらを踏まえまして、文部科学省として高大接続をどのように認識されているのか、お聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話しいただいたように、文科省では、我が国の将来を担う若者が未来を切り開いていくために必要な資質、能力の育成を目指しまして、高等学校教育改革、大学教育改革、そしてその間をつなぐ大学入学者選抜改革を一体的に推進するということにしたところでございます。

 このうち、特に大学入学者選抜の改革につきましては、高等学校までに育成した学力の三要素を大学入学者選抜において多面的、総合的に評価するということで、大学入学共通テストの実施とか、個別入学者選抜の改革に取り組んでいるということでございます。

 こうした改革の一環として準備を進めておりました英語成績提供システムあるいは大学入学共通テストにおける記述式問題、これについては見送りということになりまして、一年半、文科大臣の下に検討会議を設けて提言を取りまとめたということでございます。この提言では、記述式問題の出題、あるいは英語力評価につきましては、各大学の個別の選抜で推進することが重要だということになった経緯がございます。

 文科省といたしましては、この提言内容を踏まえまして、各大学の個別選抜において、記述式問題の出題とか総合的な英語力の評価に関する取組について、まずは好事例を認定して、それを公表するということを通じて、大学入学者選抜改革、高大接続について着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 先月、名古屋大学大学院教育発達科学研究科附属高大接続研究センター主催の高大接続研究の対象と方法、高大接続の何をどう研究すべきかというリモートシンポジウムに、私、ゲストスピーカーとして参加したんです。その際、ほかのパネリストの皆さん方が、特に中教審の、安彦先生なんかもそこにおられたんですけれども、まず一つは、下からの接続、上からの接続の緊張関係が存在している。つまり、先ほど御答弁の中にもありましたように、要するに、小中高までの学習指導要領に基づく学びと専門性を有した大学教育、これがどういうふうにして接続するのか、そこに緊張関係があるんだよ、そこを何とかしないといけないよねというようなこと、これはもちろん御省としても大きな課題として捉えていただいているとは思います。

 二点目が、やはり、テストの妥当性の研究の困難性ということで、大規模、一斉にテストをする共通テストのようなものの、しかも多科目に及ぶ、そういった試験の妥当性をどう担保していくのかということの研究を更に進めなければならないというような知見が披露されました。

 三つ目は、大学進学の大衆化と進路選択の課題。すなわち、大学入学者率が五〇%を超えてきて大衆化する。かつては専門教育を大学で行うという中において、その専門性を有するところに大衆化された学生が入ってくるところの乖離といいますか、あつれきといいますか、これを制度としてどう担保していくんだというようなことだと思います。

 四つ目が、大学教育や高等教育あるいは大学入学者選抜に対する、人間形成とか主体性ですね、児童生徒、学生のそういった人間形成の部分をどのようにして包括していくのかというような議論がなされて、ああ、なるほどなと。まさしく大きな課題である、確かに大きな課題であるというふうにして認識したところであります。

 恐らく、御省の問題意識もそういうことは十分認識していただいているとは思うんですが、引き続き、そういった総合的な、様々な知見を活用しながら、大きなくくりでこの高大接続というものに検討を進めていただきたいというふうにして思います。

 さらに、大学入試共通テストに記述式を導入する際に、もう御案内のとおりでありますが、国立大の二次試験において、国語、小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員が全体の六割だという調査を基に、大学入試で記述式を取り入れている募集人員は約四割しかないというような、言ってみれば、世論に対するミスリードがあったということも否めない。でも、その後の検討会議では新たな資料が提出されて、データに基づくそういった議論が重ねられたということは一定の評価はしているところであります。

 是非、やはり科学的見地、あるいは、データに基づいたそういった議論を積み重ねられることによって、よりよい制度が、より精緻な制度ができ上がる、そしてまた妥当性の高いものができると思いますので、引き続きの、その辺りにも十分留意した検討を重ねていただきますようお願い申し上げます。

 続きまして、国立大学法人運営費交付金についてであります。

 冒頭触れましたように、新しい資本主義、例の三つの柱ですね、科学技術立国の実現、デジタル田園都市国家構想、そして経済安全保障、この三つの柱、いずれも特に大学に関わってあると言いました。

 しかし、ある一面で申し上げますと、それは研究機関としての大学の側面を強調したところがあるなという印象を受けておりまして、もう一方で、大学といいますのは、学生を教育する教育機関の側面がある。やはり、研究機関であることと同時に教育機関である、この両側面をしっかり捉まえていかなければ、まさしく先ほどの高大接続の問題もそうなんですが、なかなかうまく回っていかないといいますか、運営できていかないという現状があろうかと思います。

 是非、そういう面から申し上げますと、一つのポイントとなりますのは、やはり国立大学法人に対する運営費交付金が重要になるということで、二〇〇四年に一兆二千四百十六億円ありましたのが、二〇二二年度では一兆四百八十六億円と、約一千六百三十億円、一五%削減されている。この間、ある識者によれば、大学一、二年生向けの、いわゆる一般教養教育の教員を非常勤に切り替えるなどして削減を行った結果、さきの大学入学者選抜の試験作成の人員が不足し、入試作成に影響を及ぼしている、こういうような指摘もあるわけであります。

 このような観点から申し上げますと、やはり、自由で、そしてまた教育機関としての大学の機能を十分発揮させようとするならば、この国立大学運営費交付金を充実させていく、そういうことが必要であると考えております。是非、この辺りの文部科学省の認識をお聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人の運営費交付金につきましては、先生御指摘のとおり、毎年削減されておりましたが、平成二十七年度以降は、前年度同額程度は確保できているところでございます。

 令和四年度の予算案における運営費交付金につきましては一兆七百八十六億円を計上しておりまして、対前年度で見ますと四億円の減となっているんですが、各大学の基盤的な教育研究活動に自由に活用できる基幹運営費交付金につきましては、対前年度で実質十四億円の増額を確保しているということでございます。

 文科省といたしましては、引き続き、国立大学が、我が国の人材育成、学術研究の中核といたしまして継続的かつ安定的に教育研究活動を実施できるように、運営費交付金の確保にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 実質、プラス十四億円と、いろいろな工夫をしながら、やりくりしながらやっていただいている、そういう御苦労が見える、本当に細かな数字ではありますけれども、その数字が非常に大事だと思いますので、引き続き御努力をお願い申し上げます。

 続きまして、科研費でありますが、先ほど教育機関としての大学を申し上げましたが、科研費に関しては、主に研究機関としての大学というような側面が強くなろうかと思います。個人であろうと共同であろうと、いずれも研究目的や意義を審査を受けた上で認められた研究に対して科学研究費が交付されるということでございます。

 ただ、目先の成果だけにとらわれていますと、やはり基盤的な研究あるいは萌芽的な研究といったことがおろそかになるということは御案内のとおりでございまして、そこをしっかりと科研費でフォローしていくというようなことが重要になろうかと思います。

 それともう一つ、これは私の経験上申し上げることなんですけれども、萌芽的研究の前の、更にもう少し小さな、種の種みたいなところのレベルの研究も、若干、これは今、現時点では無駄かも分からないなということも、もしかすると、その知見によって、ミステイクな研究によって正しい研究が導き出される、そういうような可能性もあるわけでございますし、特に若手にチャレンジをさせていくという観点からいくと、額の大小はちょっとここでは問いませんけれども、そういったことを数多く出していくということがやはり重要なことだなと思っております。

 是非、この科学研究費に対する文部科学省の現在の認識をお聞かせください。

池田政府参考人 科研費は、人文学、社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、研究者の自由な発想に基づく独創的な研究を格段に発展させることを目的としており、我が国の学術研究の振興に資するため、科研費の予算の充実は重要な課題であると認識しております。

 文部科学省におきましては、科研費の予算につきましては、国際共同研究の推進や若手研究者支援の充実などを図っており、また、近年では、先生御指摘のとおり、若手への、研究の採択率も上昇しております。こうした取組により、人文学、社会科学を含めて全ての分野の研究を支援しているところでございます。

 また、予算の充実に加えまして、研究者から要望の多い、研究費を柔軟に使用できるようにするための基金化の推進や、多角的な視点から独創的で優れた研究を支援する新たな審査システムへの全面移行など、制度改善にも取り組んでおります。

 文部科学省といたしましては、今後とも、研究者が自由に研究を行える環境の整備に努めるとともに、多様な研究を支援するため、科研費制度全体の充実を図ってまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 国立大学の場合はやはり税金から出ているという、そういう制約はあるものの、自由闊達な研究がなされる、教育がなされる中にやはり日本の将来の発展があると私は思っておりますので、しっかりとそういう理念の下に文部科学省は大学を支える、そういう姿勢を貫いていただければと思います。

 時間が押してまいりましたので、次、GIGAスクール構想に関連する質問に移ります。三点、一気に質問させていただきます。

 まず一つは、リモート学習における家庭支援についてであります。これは、各家庭の環境によってリモート学習に差が出てはいけないということで、文部科学省も苦慮しながら様々な支援策を講じていただいております。最初の混乱に比べますと、現在では落ち着きを取り戻しまして、ほぼ通常運行になったなということを考えておりますが、まず、リモート学習に対する支援につきまして、文部科学省の認識をお聞かせください。

 そして、次ですが、情報環境整備に関しまして、地方自治体、現場の学校は、教育委員会を含めまして、やはり人が足りない。人材不足で、サポートセンターみたいなことができないんだ、個別具体の相談に対して適宜適切に対応ができない、そういう苦慮の声が現場サイドとしては上がっております。是非、その辺り、サポートを充実する人的支援につきましてお考えをお願いいたします。

 そして、最後、三点目でありますが、GIGAスクール構想、一気にこれを進めましたので、当然、リース契約をしたり、あるいは様々な契約があるわけですけれども、四年か五年後、もしかすると三年か四年後ぐらいには一斉にまたリプレースの時期が来るということだと思います。是非、そのときに地方自治体が財政的に困らないような、そういう支援策を今から考えていっていただくということを私は要望するものでございまして、その認識もお聞かせください。

 以上三点、お願いします。

伯井政府参考人 まず、インターネット環境がない家庭への支援についてでございますが、文部科学省におきましては、令和二年度補正予算を始めとした累次の予算措置により、経済的に困難な家庭に対しまして、通信環境がない家庭の児童生徒に貸出し可能なモバイルルーターの整備の支援、あるいは通信費の支援を行っているところでございます。必要な経費を令和四年度予算案にも計上しているところでございます。引き続きこうした取組を進めてまいりたいと思います。

 二点目が、運用面での支援についてでございました。

 文部科学省としては、民間事業者を活用して学校のICT運用を支援する体制を広域的に整備したいと考えており、具体的には、学校への支援をワンストップで行うGIGAスクール運営支援センターを各都道府県等に緊急整備して、専門性の高い支援を安定的に提供していこうというふうに考えておるところでございます。

 また、本事業におきましては、日常的なICT運用支援を行う地域の人材、そうした人の活用、育成のための取組もそれぞれの事業の実情に応じて行っていただこうということで、サポート体制についてもしっかり対応していきたいと考えております。

 最後は、今後の更新への検討ということでございますが、まずは、今般整備されたICT端末等を積極的に活用していただくべく、様々な支援策を講じていくことが重要であるというふうに考えております。その上で、今後の機器更新に係る費用負担の在り方、これも極めて重要な課題でございますので、今回整備した一人一台端末等の利活用状況や地方自治体からの意見等も踏まえまして、関係省庁と協議しながら、継続的にこれを活用できるよう検討してまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 今後もしっかりと文部科学省全体として国民の教育向上のために御努力いただきますようお願い申し上げ、私の質問を終結いたします。

 ありがとうございました。

青山主査 これにて石原正敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井分科員 立憲民主党・無所属の会派に所属しております衆議院議員の櫻井周です。

 本日、分科会での質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、末松大臣は同じ兵庫県ということで、兵庫の事情にもちょっと踏み込んで質問をさせていただきますので、是非よろしくお願いいたします。

 あと、この分科会というのは、与野党対決というよりは、本当に国民の皆さんのために、また、特にこの文部科学行政においては子供たちのためにということで、建設的な意見交換、議論とさせていただきたいと思いますので、その点、胸襟を開いてお答えいただければ幸いでございます。

 それでは、まず最初に特別支援教育について質問させていただきます。

 資料一に示させていただいているとおり、公立の小学校、中学校の特別支援学級の一学級当たりの平均在籍児童数、生徒数についての推移でございます。これは文部科学省からいただいた資料でございます。

 この特別支援学級の定数は八名ということになっておりますが、八名いっぱいになるということはそんなに多いわけではないんですけれども、平均するとどれぐらいかというと、お一人でもいらっしゃれば、該当する児童がいれば学級が立つということになるわけですけれども、この十年間を見ますと、小学校では、平成二十四年度には三・五人ぐらいの平均だったというのが、令和三年度には四・六人ということで一人以上増えている。それだけ、生徒数が三人ぐらいだったところが、もう四人とか五人のクラスが増えている、場合によっては七人、八人というようなクラスもどんどん出てきている、こういうことです。中学校についても、平成二十四年度に三・四人だったのが、令和三年度には四・二人ということで随分増えております。

 また、これは私の地元、大臣の地元でもありますけれども、の数字でございますが、兵庫県の伊丹市におきまして、これは二〇〇〇年度の小学校の全児童数が一万一千七十七人でした。うち、特別支援学級に通う児童生徒が百十名ということで、大体一%ぐらいの割合でした。あっ、メモを取っていただくほどのものではございませんけれども。中学校について見ますと、全児童数が四千九百三十七名のうち特別支援学級の生徒数十五名ということで、割合としては〇・三%だったのが、二〇一〇年には、全生徒数は余り変わっておりませんが、特別支援学級の児童数、小学校では二百二十七名ということで、一・九%に上がっております。さらに、二〇二〇年度には五百三十六名ということで、四・八%まで増えているという状況です。中学校についても、二十年前は十五名だったのが、五十九名、一・一%、そして二〇二〇年度には百五十六名ということで、三・一%、十倍に増えているという状況になっております。

 これは大臣も、特別支援学級の児童生徒数が増えているなというのは御実感されていると思うんですけれども、済みません、もしこの御実感をお持ちであれば、何で増えているとかいうことについて、もし御所見があれば教えていただけるとありがたいです。

末松国務大臣 特別支援学校、学級、通級と体系が三つございますけれども、様々な要因が関連し合っているものと思いまして、断言はなかなか申し上げにくいんですけれども、一因としては、医療の発達、情報発信の取組及び早期からの教育相談、就学相談の充実が背景として、特別支援教育への理解と各障害への理解が進んだことがあろうかと思います。

 個別に言いましたら、私たちの幼い頃と違って、やはり自閉症の方とかそういった方々が随分増えてきたなと現場を見て感じるところでございます。

櫻井分科員 済みません、大臣、御所見を述べていただきまして、ありがとうございます。

 これは科学的に分析しろと言われても、増えている要因を調べようと思ったら、過去に遡って調べなきゃいけないということですので、なかなかこれを分析するのは難しいというところではございますが、ただ、現実として、増えているという事実はございます。

 そうした中で、私も学校現場へ行かせていただいて、それで実際に特別支援学級の様子を拝見しました。

 やはり生徒数が四名とかになってくると、本当に一人の教員で見るというのは大変なんですよね。もう四人が限界じゃないかなというのが、私がちょっと拝見したときの感覚でした。これが、定員は八人ということですから、理屈の上では八人まで一人の教員で見なきゃいけないという場合もあり得るわけなんですけれども、とても無理じゃないかなというふうに思っております。

 実際、平均値を取りますと大体四・六名ということになっていますけれども、ただ、クラスによっては一名とか二名のクラスもありますから、そうすると、クラスによっては七名とか八名のクラスもある。昔は、平均値も低いということは、一名とか二名とか三名のクラスも結構あったから、六名とか七名のクラスがあると、ちょっとその辺、先生のやりくりをしてとか、それこそ、普通学級に行っている間、クラスの子がいなくなったら別のクラスに応援に行ってとか、いろいろやりくりをしてできたんですけれども、平均が四・六とかということになってくると、とてもじゃないけれども回らないというのが学校現場の実態だと思います。

 実際、小学校の中で、これは本当は余りやっちゃいけないことなんでしょうけれども、実態として手が足りない、だから、音楽の先生とか家庭科の先生とか図画工作の先生、専科の先生にそういったところに応援に回ってもらう、空いている時間に応援に回ってもらうとか、逆に、図工の時間をやっている間に担任の先生が空いていると、空いている時間にほかのクラスの特別支援学級とかの応援に回るとか、いろんなことをしてやりくりをしているというようなことがございます。それでも足りないときには、校長先生とか教頭先生まで駆り出されてやっている、こういう現状がございます。

 やはり、私は、全ての子供たちがしっかりと学び、それぞれの個性に合わせた学びができるようにしていかなきゃいけない。そして、障害のある子もない子も、みんな共に暮らしていけるような、そういう学校であり、それが行く行くはそういう社会をつくっていく大事な場面だというふうに思っております。

 そうしたときに、やはり今、現状、定数が八名というのは、いかにもちょっと大き過ぎるんじゃないのかなと。せめて、平均値を引き下げる意味でも、定数七とか六とか、こういうふうに、もう少しクラスの最大の定数を減らしていくというようなことで、特別支援教育の教員を増やしていく、こういうことが必要だと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

末松国務大臣 現場を見られて、先生のお話を伺いまして、私も訪ねた特別支援学級、学校のことを思い出したんですけれども、確かに、特に学級の場合は、普通科学級から通級へ行って、そこで見てもらう、たしか、そのときは四人で六人の先生方が入っておられた。恐らくは、手の空いた先生方がお手伝いに行って、みんなで助け合っているなということはよく伝わってくるところでございます。

 公立小中学校の特別支援学級の学級編制の標準につきましては、一学級の児童生徒数は障害の区分ごとに八人、先生おっしゃるとおり、八人を上限として学級編制をすることとなっておりまして、こうして編制された学級数に応じて必要な教員定数が算定をされます。これは義務標準法に基づきまして、特別支援学級も小学校八人、中学校八人となってございます。

 この学級編制の標準の下に、特別支援学級の数は少子化の下でも実は増加をしている、学級は増加しております。実際の学級規模については、約半数の学級が、これは一応は今四人以下となっているところでございます。

 なお、小中学校における特別支援教育の充実に向けましては、平成二十九年に義務標準法を改正しまして、それまで加配定数であった通級の指導のための教員定数を令和八年度までの十年間で計画的に基礎定数化する、そういう今動きをやっております。

 その一方で、全体の児童生徒数が減少する中で特別支援学級も増加をしておりますので、毎年度これに対応した定数を確保しているところでありまして、文部科学省としては、引き続き、特別支援教育の充実には、必要な教員定数の確保に向けても取り組んでまいりたいと思ってございます。先生の御趣旨はしっかりと受け止めておきたいと思います。

櫻井分科員 大臣、ありがとうございます。

 これは、来年から増やせと言われても、急に増やせるものではないということは重々承知はしておりますけれども、やはり、すごい勢いで特別支援学級の児童生徒数が増えているものですから、それに合わせてといいますか、それ以上のペースで是非とも教員の確保に努めていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 それから、特別支援学級の中には、教員だけではなくて、介助員というふうに地元では呼んでいるんですけれども、そうした方々の御協力もあって学級運営がなされております。特に、肢体不自由の方に対してこの介助員がつくという傾向はあるんですけれども、ただ、現実問題、自閉症とかそういった精神面の方であったとしても、やはり、誰かついていないとちょっとしんどいという場面もありますので、そういった場面も臨機応変に対応しているということなんですが、ただ、この介助員の方が全然足りていないということで、是非ここも充実させてほしい。教員を定数を変えるというところ、充実させていくということはすぐにはできないとしても、介助員の方だけでも、少しでも増やしてもらえないかという、これもお願いでございます。

 現状、多分、小学校当たり一人とか二人とか三名とかですけれども、やはり、小学校の場合、一年生から六年生まで六学年ありますから、なかなかこれだけではとても目が行き届かないという状況もございます。これについては、各市町村において、これを自治体の負担でやっているということですが、地方交付税で地財措置はされているというところの中でやりくりをしている状況です。

 地財措置を充実させるのか、それとも、それこそ学校の先生のように国や県でしっかりと定めて、その分予算も確保し、定員も確保するというふうにするのか。私は、学校の先生並みにやって、はっきりと確保していくという方向が必要なのではなかろうかと思いますが、今、地財措置でやっているものですから、ともかく、ここについても充実をお願いしたいと思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

末松国務大臣 今、櫻井先生、御指摘がありましたけれども、改めて、全児童生徒数九百九十万人、平成二十四年。直近の令和三年は、今九百万人まで生徒数は落ちたんですけれども、しかし、特別支援学級に在籍する生徒数は、平成二十四年十六万三千人が令和三年に三十二万三千人になっておる。四万七千五百七十九学級が七万二千四百九十一学級になっておりますので、その事の重大さ、しっかり認識をいたしているところでございます。

 そこで、先生お尋ねいただきましたけれども、近年、特別な支援を必要とする児童生徒が増加傾向にございまして、これらの生徒に対して学校生活上の介助や学習活動のサポートを行う、今おっしゃられました特別支援教育支援員の活用が一層重要になってまいりました。やはり、お手伝いの方はたくさん必要でございます。

 この特別支援員の配置につきましては、政府として、今先生御指摘のように、地方財政措置を講じてございますが、具体的には、各学校における配置実績を踏まえて年々拡充に努めておりまして、平成四年度において、前年度から千三百人増の六万七千三百人の措置を予定をいたしております。

 しかし、それでも数は足らないというのが先生の御趣旨だと思いますし、この数字を見てみましても、大変大きな数字になってございます。引き続き努力をいたしてまいりたいと思います。

櫻井分科員 御努力いただけるということで、是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。教育における男女平等実現ということについてお尋ねをいたします。

 お渡ししております資料の方で、下の方、表になっておりますが、こちら、国立大学、公立大学、私立大学で、男女の学生の比率でございます。公立大学と私立の大学については、男女比、おおむね学部については五対五ぐらいになっておりますけれども、公立はむしろ女子学生の方が多いという状況ですが、大学院になってくると、公立、私立でも男性が六割、女性が四割弱ということで、男女比のアンバランスというのが出てきてしまっている。国立大学については、学部でも大体六対四ぐらいということで、男子学生が六割ちょっと、女子学生が四割に満たないという状況です。

 これは去年もいろいろな角度から質問させていただいたんですけれども、やはり、国立大学でこれだけ差があるというのは何でだろうと。入学試験で男子にげたを履かせたりとかいうことはやっていないと思いますので、以前、私立大学の医学部で男子学生にげたを履かせるとか現役の学生にげたを履かせるみたいなことがあって大問題になりましたけれども、このことについては、もうそういったことはないようにということでされているかと思いますが、ただ、そういうことをやらなくても、やはりこうした差が出てきてしまう。これは何でだろうというので、これまで何度もそれを文部科学委員会なり予算の分科会で質問として取り上げさせていただきました。

 改めて、国立大学だけこれだけ差がついている、これはなぜだというふうに、原因、大臣はお考えでしょうか。

末松国務大臣 御指摘のとおり、日本の大学における女子学生の割合比、国公私立全体で四五・六%であるのに対して、国立大学は三六・九%と大変低い状況になっております。

 一方で、分野別を見ますと、特に、理学部、工学部系の学部に在籍する女子学生の割合は、国公私立全体で一七・八%と大変低い状況になる。この理学部、工学部の学生が全体の学生に占める割合については、国立大学が最も高く、三四・五%を占めており、公立大学の一九・七%、そして最後に私立大学の一三・八%より高くなってございます。

 先生御質問の、国立大学の女子学生が少ない理由につきましては、これはやはり学部構成上の要因が一つあると思うんです。やはり私学に行きやすいと思うんです。それと、進学先に対する保護者とか生徒本人の意識がやはり一番大きく影響しているんじゃないかな、そういうように分析をしてございます。

櫻井分科員 いろいろな諸説はあるわけなんですけれども、しかし、これは一体どこに原因があるのかということをやはりきちっと調べていかないと、対策の打ちようがないのかなと。各大学は、それぞれいろんな形で努力をされているやに聞いております。女子学生に対して奨学金を手厚くするとか、ないしは、もし親元を離れてということであれば女子生徒用の大学の寮を整備するとか、いろんな形で努力はされているかと思いますが、しかし、根本的な原因が、例えば高校の、学校の指導過程の中にもしかしてあるのかもしれませんし、特に女子校の場合には、例えば物理とか化学の授業がそもそも少ないとか、そういうことがもしあるのであれば、そこは見直していかないと、そこを変えていかないと、やはり、なかなか女子学生が理科系に進学する、国立大学に進学するというのが増えていかないのではなかろうか。

 高校までは、男女の差というのは余り日本では出ていないんですけれども、ジェンダーギャップ指数を見ますと、大学に入る頃に大分差がついて、大学を卒業するときにもっと差がつくというような形で、大人で、だんだんある程度、一定、責任ある地位になってきますと、例えば今日のこの部屋でも、ほとんど男性というようなことになってしまうわけですね。

 文部科学省は、まだそれでも、赤松大臣のときに女性をたくさん採用するんだと。ちょうど私も国家公務員試験を受けて就職活動をしているときだったので、何か文部科学省は女子ばかり採るらしいぞとか、何かそんなことがうわさになっていまして、えっと思いましたけれども、ただ、逆に言えば、今までほかの全ての省庁が男性ばかり採っていたんですから、たまにはそういう時代もあっていいのかなというふうにも思いましたけれども。

 文部科学省はまだそういう素地が少しはあると思うんですけれども、ただ、そうは言っても、大学から差がどんどん開いてしまって、それが積もり積もっていくと、なかなか、いつまでたっても男女共同参画は実現しない。そうしますと、やはり、日本の人口の半分いらっしゃる女性、その能力が十分に発揮されないということになりますと、これはまた日本の社会の活力も半減してしまうということになりますので、是非これは進めていかなきゃいけないというので、是非これは大臣にお願いしたいのは、根本的な原因はどこにあるのかというのを一回ちゃんと調べていただきたいということです。

 これは文部科学省だけでは調べ切れないことかもしれません。日本の社会とか家庭の状況もあるかもしれません。是非、内閣府なり関係部局とコラボレーションして、きちっとこの原因を分析していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 分析のお話でございますので、今日先生から御意見をいただきましたので、省内で一度検討したい。

 というのは、先生、林大臣のときにも男女比率のことについて議論をされました議事録を昨日ちょっと夜読ませていただきまして、ハーバード大学は五対五やぞ、なぜだというところの議論で、いろいろと意見交換を興味深く読ませていただきました。ちょっと内部で検討させていただきたいと思っております。

 それと、理科系の女子というのは、やはりいろんなプログラムをつくって、女子中高生の理科系進路選択支援プログラムをつくったりとか、いろいろやっておりますのですけれども、私は、個人的にですけれども、やはり小中の先生に、理科系の、勧める、何となく伝わってくる、そういう意識をつくり出すというのが若干弱い面もあるのかなという思いもあります。行け行けと言う先生はそういなかったような感じも受けております。

 これは余談でございますけれども、ちょっと自分の思いを少し述べさせていただきました。

櫻井分科員 是非調べていただきたいというふうに思います。

 あと、それから、これも、時間も迫っておりますので御要望とさせていただきますが、四十七都道府県ある中で、都道府県立の公立の高校についてなんですが、東京都立の高校だけ男女別の定員を設けているということ、これも一年ちょっと前に問題になりました。東京都としては、今年については緩和措置ということで、若干バッファーを設けるというようなことをやっているんですが、これは根本的には憲法十四条で定める差別に当たるんじゃないのかと私なんかは思うわけですね。

 実際、男女別の定員を定めていて、女性の方が、女子学生の方が高い点数を取らないと合格できない。女性の方が合格ラインが高くなっている。かなり差が出ている学校もありますので、これはおかしいんじゃないかなと。それをやはり、これはもう憲法違反だと私は思っているので、直ちに解消するべきだというふうに思っているんですが、ちょっと東京都の取組が甘いようにも思いますので、憲法違反であれば、これは文部科学省としても看過してはいけないと思いますので、是非この点についても、男女共同参画、高校生の段階からそういった差が出て理不尽な思いをするということがないようにしていただければというふうに思います。

 続きまして、残り時間五分少々となっておりますので、三点目の質問に移らせていただきます。

 児童生徒中心の学校づくりを私は是非やっていきたいというふうに思っております。その中で、昨年も質問させていただきました、理不尽な校則がいろいろ残っているんじゃないのかということで、あるんじゃないかということで質問させていただきました。

 当時の萩生田大臣にも、確かにおかしいものもあるよねということで、下着の色ですとかそういったものについて校則で決めるというのもおかしいと。だって、チェックしようがないですからね。チェックしようとすれば、それはそれでわいせつ行為ですから、それはチェックしちゃいけないですし、チェックしようのないものを何かそうやって決めるというのは、本当におかしなことだと思うんですけれども、それについては、その後、改めていただくような方向に変わっていったというふうにも聞いております。

 ただ、根本的な問題として、やはりいろいろ課題は残っているというふうに思っております。例えば、私の地元の宝塚市の中学校、これは大臣の地元でもありますけれども、の校則で四条というのがあって、校則、結局、教員の指導の下で、それから職員会議でこれを承認しないと決められませんよ、そういうような規定があったりするわけです。

 そうすると、自主的な学校運営といいますか、生徒会活動は結局できないことになってしまう。学校の先生の顔色を見ながら学校運営する、学校生活を送るということになってしまうわけだと私は思いますし、もっと言うと、兵庫県の場合、特にひどいんですけれども、内申書、ほかの地域に比べて兵庫県の場合は内申書の割合が高いんですよね。二百五十点が内申書、二百五十点が当日の試験というふうになっていまして、半分が内申書なんです。

 内申書で悪い点数をつけられちゃうと、学校の先生と折り合いが悪くて内申で悪い点数をつけられちゃうと、当日の試験でもう挽回できないんですよ。だから、学校の先生の顔色を見ながら暮らすか、もうそこは振り切って反発しまくるか、どっちかになっちゃうんですけれども、そういうことが起きちゃうので、やはり中学校の間から忖度することを覚えるような教育では個性は伸びないと思うんですけれども、この点も含めて、やはり生徒中心の学校運営、逆に、例えば世田谷区のとある中学校、桜丘中学校でしたか、校則をもうなくしてしまうと。

 別に校則がなくたって、刑法は学校の中でもあるわけですから、本当にやっちゃいけないことはちゃんと刑法なりで罰せられるわけなので、別に校則はなくても私はいいと思うんですけれども、こうした何か理不尽な校則、下着の色だけじゃなくて髪型とか服装とか、上に何か、冬寒いときでも防寒着を着ちゃ駄目よとか、いろいろなことがまだ残っているようですので、こうしたことについて是非改めていただきたい。

 理不尽な校則、合理的に説明できないような校則はもう一切禁止だということを、是非大臣のお力で全国の中学校、小学校は校則は余りないですけれども、中学校に広めていただくようお願いしたいんですが、いかがお考えでしょうか。

末松国務大臣 集団であります、学校は。だから、ルールはやはり必要だと思うんです。さっきの先生がおっしゃった下着の色というのはけしからぬ話でして、社会常識は働いているのかというのが私の思いでございます。

 生徒がこういうルールにしたいということにして、当然、生徒会で決めたら、学校側と、校長先生と話をしていくという、もちろん法律ではありませんから、校長が最終的な権限を持っている、私はそういうふうに思っておるんですけれども、文科省から、校則については、各都道府県、そして校長先生が、きちっと生徒と保護者と向き合いながら決めていくということが、そこへしっかりとした社会常識を働かすということが私は基本だというふうに認識をいたしております。

 ただ、校則は常に見直していくということが正しい方向でありますから、例えば、岐阜県の教育委員会とか長崎県の教育委員会とかほかの教育委員会も、ホームページでこういう校則になったということを学校側がうたいなさいとか、こうしなさいとか、いろいろな指示を出しておられます。それはそれで私は評価するところが大いにあると思いますので、できるだけ今のことは文科省としても受け止めますけれども、現場でしっかり、設置者である教育委員会、校長先生が社会常識を働かせて学校運営に努めていただきたい、そういう校則であってほしいと思います。

櫻井分科員 大臣、ありがとうございます。

 是非、地元兵庫県でもそうした取組を進めていきたいと思いますので、その点については是非よろしくお願いしたいと思います。

 何でこの校則のこととかいろいろ申し上げるのかといいますと、四点目、ICT活用による学び方についての質問とも関わってくるんですが、もう時間が余りないので、短く手短にいきますけれども、やはり、これからデジタル社会といいますか、ICTが発達して、人工知能、AIが発達してきたときに、ある程度決まったことについてやる、繰り返しやるような、そうした仕事についてはもうコンピューターが取って代わってくれる、ロボットができるよと。人間に、できないことは何かというと、過去にやったことのない新しいこと、創造的なことだというふうに私は考えます。

 人工知能というのは、何か偉そうに見えますけれども、過去の経験を全部、いろいろな経験を覚えさせて、その経験の中から選んでいく、これがディープラーニングの基本的なやり方ですから、逆に言うと、過去の経験がなければ、それは人工知能も働きようがないという部分があるわけです。ところが、人間はそうじゃない。新しいものをつくり出せる。だからこそ人間の意味があるし、一人一人の価値があるんだというふうに思っているんです。

 ただ、こうした日本の中学校なり高校で、理不尽な校則なんかで、内申書で抑えつけられてしまうと、そうしたものが働かなくなってしまう。学校の先生の顔色を見ながら過ごしてしまうというようになってしまうと、創造性が全然伸びないということになってしまうので、やはり、これからの時代、創造性豊かな子供たちを育てていくためにも、ICTを活用して、いろいろ様々な取組をしていくと同時に、やはり伸び伸びと暮らせるような中学校、高校の学習環境をつくっていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

 その上で、もう時間になりましたので最後の質問とさせていただきますが、個別学習、個別、一人一人の学習理解に合わせた学び方と、それから、コミュニケーション能力を育てるとか、いろんな人との交わり合いの中で学ぶというグループ討議、こうしたものの組合せこそが大事で、一斉授業みたいな講義形式の授業というのはもうほとんど要らなくなっているんじゃないか。やはり、タブレット端末、せっかくGIGAスクール構想でやったわけですから、是非これをうまく活用していただきたいと思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

末松国務大臣 先生のお考えに私も近い考え方でございまして、GIGAスクール、各一人一人に一台の端末が配付されまして、習熟度別に応じたドリル、宿題も与えることができるし、第一、個人の思いですけれども、大きな声ではいはいはいはいという、教室を支配してしまうような、そういう光景がなくなって、やはりきちっとみんなが参加できる、そういうような環境が少し見えております。

 どちらも大事だとは思うんです、私は、対面も大事、デジタルも大事ということで思っておりますのですけれども、この端末を使った限り、単にそこから求める知識、そしてその知識の再生だけでは意味がないので、やはり想像力を働かせるような、その方策がどうかということを、中教審の中でもそういうことを考えてございますので、しっかりと先生の言葉を念頭に置きながら、子供たちに、やはり個性豊かな、想像力豊かな子供たちが育めるような、具体的にこうだと今は決めつけられませんけれども、そういう先生の期待に応えられるように現場で努力したいと思います。

櫻井分科員 時間になりましたので、これで終わりにします。

末松国務大臣 先生、済みません。先ほど、特別支援学級のところで平成四年度と言ったんですけれども、令和四年度の間違いでございました。済みません。訂正いたします。

櫻井分科員 じゃ、時間になりましたので、これで終了とさせていただきます。

 大臣、どうもありがとうございました。

青山主査 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井分科員 日本維新の会、兵庫十区の掘井健智でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。私は、昨年の総選挙で当選したということで、今日が初の質問になります。どうぞよろしくお願いします。

 今日は、市議、県議時代から取り組んできました学校における働き方改革、それと、いじめ防止対策などについて質問していきたいと思います。時間もありませんので、早速質問をさせていただきます。

 まず、教員不足について質問します。

 以前から学校現場で指摘されていた教師不足につきまして、今年一月三十一日に文科省が実態調査の結果を公表いたしました。学校現場の状況が、今回、形で見えるようになったわけであります。担当がいないクラスもあるとのことでありますが、学習面だけではなくて、生徒指導にも非常に大きな影響が及びます。教員不足につきまして、文科省はこれを本当に深刻に受け止めるべきだと思うんです。

 では、まず、この実態調査の結果を端的に説明していただけますでしょうか。また、教員不足の原因をどのように分析しているのか、文科省の御見解を伺います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 臨時的任用教員等の確保ができず、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足が課題となっております。このため、年度当初における教師不足の全国的な実態を把握するため、今年度、初の全国調査を実施をいたしました。その結果、令和三年五月一日時点の公立小中学校の教師不足は千七百一人、不足率は〇・二八%という実態が明らかになったところでございます。

 この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られたところであり、懸念すべき状況として危機感を持って受け止めているところでございます。

 こうした教師不足の要因としては、近年の大量退職、大量採用を背景として臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手の減少、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられているところでございます。

 このような状況を踏まえ、文部科学省といたしましては、学校における働き方改革、教職の魅力向上、教育委員会における計画的な教員採用の促進等の取組を進めますとともに、現在中教審で行われている教師の養成、採用、研修等に関する包括的諮問に基づく議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けた検討を進めてまいりたいと存じます。

掘井分科員 ありがとうございました。

 今御答弁いただきましたけれども、重要なのは、今、学校が採用したくても埋まらないのは、非正規雇用教員、臨採の枠だということなんですね。文科省の定義でも、教師不足とは、臨時的任用教員等の確保ができず、実際に学校に配置されている教師の数が、各都道府県、指定都市の教育委員会において学校に配置することとしている教師の数、配当数でありますが、これを満たさず、欠員が生じることとされております。ポイントは臨時的任用教員のことであります。

 では、この臨採に依存してきた理由と臨採の役割について、文科省の御見解を伺います。

伯井政府参考人 臨時的任用教員についてでございますが、臨時的任用につきましては、正規教員が産休や育休を取得することや、あるいは学級数の変動が生じることなどにより、常時勤務を要する職員に欠員が生じた場合に、その欠員を補充するために行われるというものでございます。

 産休、育休は、御案内のように年度途中で発生し、事前に正確な人数を予測することが難しいということ、あるいは、特別支援学級を含む学級数は年度開始直前まで確定しないといったことなどから、臨時的任用教員を一定程度配置せざるを得ないということと考えております。

 そして、この臨時的任用教員の役割でございますが、基本的には、正規教員の行っていた役割を代替するということでございますが、具体的な役割につきましては、各学校の実情やその臨時的任用教員の経験等に応じまして個別に決定されているものでございます。

掘井分科員 確かに、そのようないい面、欠員の補充、ピンチヒッターの部分があると思うんですね。しかし、この臨採の依存には大きな問題があると思っておるんです。

 二〇〇一年以降の構造改革の結果、学校教育現場では正規雇用教員のポストが減らされ続けてきたんですね。そして、臨採への依存を高めて教師不足を補うことが構造化しております。これでは、ピンチヒッターがそのままスタメンになってしまった、こんなイメージなんですね。ここを解決しないと教員不足の根本的な解決にならないのではないか、このように思っております。

 文科省も、正規の教員採用選考を経ず、体系的な研修を受けていない非正規教員の割合が過度に大きくなることは、体系的な研修を受けていないんです、学校運営面や教育内容の質の維持向上の面で問題があること、特に、増加が顕著な臨採の増加抑制等を講じる必要をこれまでにも指摘しております。正規職員の割合を高めていく必要があるのではないか、このように思っております。

 この非正規教員の依存度、つまり、正規教員から減らされた割合も自治体によってまちまちなんです。

 臨採が教員総数に占める割合で比較してみますと、令和三年のデータでありますけれども、沖縄県が一七%、三重県が一一・一%、奈良県は一四・八%など、これらは全国平均七・三%よりもずっと高いんです。沖縄県では、先生が二十五人いたら四人は非正規の先生だということになります。一方、東京都は〇・三%、山梨県は四・八%、新潟県は三・八%のように、臨採の割合が低い自治体もありまして、ちなみに、今回の教師不足に関する実態調査でも、元々正規職員の数を多く採用している東京都は、小中学校とも欠員がゼロであります。

 このように自治体で臨採依存の格差があることについて、文科省の御見解を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 まさに、先生に御指摘をいただきましたように、教員定数に占める臨時的任用教員の割合はばらつきがございます。今御指摘いただきましたように、全国平均は七・三%である一方で、一〇%を超える自治体は、沖縄県、三重県を挙げていただきましたけれども、十五ほどございます。

 それぞれ、我々としても、その理由を各自治体に確認をいたしながら今後の採用計画の見直しなども指導しているところでございますが、具体的な理由といたしましては、定年退職者の大量退職に当たりまして、年齢構成を平準化させるために、全て正規採用するのではなくて、一部を臨時的任用にしているということ、あるいは、見込み以上に特別支援学級が増加しており、予定した教員数では足りず、臨時的任用教員を任用せざるを得ないということを挙げている自治体がございましたが、このような状況を改善するため、今後、採用計画を見直すなど、正規教員の計画的な採用を進めていきたいというふうに回答する自治体もございました。

 やはりこうした状況を改善するためには、各教育委員会が正規教員の採用や適切な人事配置を行うことができるよう、今後の教員定数の見通しを持てるということが何より重要であると考えております。

 このため、小学校三十五人学級の計画的実施、あるいは小学校高学年の教科担任制の推進に向けた定数改善の計画的な実施ということで、より一層計画的な正規教員の採用が行えるよう、引き続き我々も努力し、促してまいりたいと考えております。

掘井分科員 ありがとうございました。

 自治体が裁量を持つということはいい面もあるんです。しかし、積極的に非正規を雇うことにつながっていると思うんですね。臨採、非常勤講師は、低賃金労働で働かす結果にもなっております。都道府県の教育予算不足を臨採雇用で穴埋めする構造があって、こういったことが結果的に教員不足をそれぞれの現場に託す、そんな構造になっていることが問題だと思うんですね。

 そもそも教育というものは、憲法の要請に基づいて、義務教育の根幹、つまり、機会均等、水準確保、また無償制を国が責任を持って支える制度であるべきだと思うんです。教員不足を非正規職員で埋めるという目先の解決策にとらわれず、ちゃんと国が責任を持って正規職員を採用していく、教員の増員に本気で文科省が取り組まなければ解消しないと僕は考えております。今後、子供の数は減っていくんですけれども、定数がそれほど変化しないように、現場じゃなしに文科省が頑張っていくことが大切だと思っております。

 そこで、各都道府県が正規採用を安定的に計画的に採用できるように、国が計画的に定数改善を進めていくべきだと思いますが、文科大臣の御所見を伺います。

末松国務大臣 教師の現場が大変厳しゅうございます。働き方改革を進めていく上でも、定数改善は重要な事項でございます。

 計画的な教職員定数の改善の重要性については認識を今いたしておりまして、これまでも、発達障害の児童生徒に対する通級の指導であるとか日本語指導等のための教職員定数について、平成二十九年度から令和八年度まで、十年間で計画的に基礎定数化や、そしてまた、先生御存じのとおり、小学校の三十五人学級の計画的な整備を図るなど、中長期的な見通しを持って教員確保が行えるように取り組んできたところでございます。年末も財務省と折衝いたしました。

 また、文部科学省としましては、小学校高学年における教科担任制の推進につきましても、令和四年度から四年程度かけまして計画的に進めてまいりたいと思います。三千八百人を見込んでございます。

 各教育委員会に対しましては、より一層計画的な正規教員の採用、人事配置を行うよう引き続き促すとともに、文部科学省といたしまして、各教育委員会が教員採用計画を見通しを持って作成できるように、今後とも計画的な教職員定数の改善に努めてまいりたい、そのように考えてございます。

掘井分科員 本当に文科省がリーダーシップを取っていただきたいと心から思います。

 続いて、働き方改革について質問をいたします。

 以上のような臨採への依存以外にも、教師不足は、労働環境の悪化によって教員志願者数の減少が原因であると指摘されております。教員の職場をもっともっと魅力あるものにして、優秀な人材が多く志願するような、そんな改革をしていくべきだと思っております。

 中教審では、学校における働き方改革の一環といたしまして、学校と教師が担う業務を明確にするために、業務の考え方を三つの枠に整理するように答申しております。一つは、基本的には学校以外が担うべき業務。二つ目は、学校の業務でありますけれども、必ずしも教師が担う必要がない業務。三つ目は、教師の業務でありますけれども、負担軽減が可能な業務。学校にはいろいろ作業があります。徴収金の徴収、また、調査、統計の回答、登下校の見守り、これらを担っている具体的な活動がこの三つの枠の中に整理されます。

 中教審のこういった答申は、どうしても現場任せになりがちなんですね。ここは是非、文科省が業務の改善を共通認識として現場と共有して、実効性のある仕組みや強い指導をしていくことが文科省の役割であると思っておりますが、見解を伺います。

伯井政府参考人 今御紹介いただきました平成三十一年一月の中教審答申で、学校教師の業務を三つに分類をいたしまして、教師の業務の適正化を図ることが提言されました。

 文科省は、これを踏まえ、学校の教師の業務の役割分担、適正化を進めるため、一つは、支援スタッフの配置支援を始めとする指導運営体制の充実、あるいは地域の力をかりて学校運営を充実させるための仕組みづくりなどを行ってまいりました。

 具体的には、教育業務支援員であったり、部活動支援員であったり、スクールカウンセラー等々の配置充実に努めるとともに、先ほど答弁が大臣からもございましたが、小学校三十五人学級の計画的整備など、教職員定数の改善を進めるとともに、コミュニティースクールなどの推進も行っております。

 加えて、学校徴収金を教職員が関与しない方法で徴収、管理することなど、様々な、多様な取組事例の横展開を図るよう、各教育委員会、学校における取組を促しているところでございます。

 このような様々な施策を総合的に推進していくことで、引き続き、教師の業務の役割分担、適正化というのを進めてまいりたいというふうに考えております。

掘井分科員 同時に、教員のスキルを高める必要もあると思っておるんですね。この度の学習指導要綱が求める授業展開ができますように、先生に時間的な、また精神的な余裕を与えて、技術、知識、生徒指導力を高める研修を充実させるための改善が今すぐ必要だと思っております。

 そこで、この度の免許更新制度の廃止に伴いまして、今こそ充実した研修にしてほしいと考えております。文科大臣の御所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 大事な点を御指摘いただきました。

 未来を担う子供たちの学校教育の直接の担い手であります教師にとって、その資質、能力の向上に資する不断の研修は極めて重要でございます。

 昨年末の中央教育審議会の審議まとめにおきまして、社会や研修環境の変化を受けまして、教師の学びの姿も変化することが必要であるという、そういう指摘がなされました。具体的には、教師自身が変化を前向きに受け止め、取り組む主体的な学び、個々の教員のニーズに応じ、学校現場の課題に対応するための個別最適な学び、単なる知識、技能の修得ではなくて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるような教師間での協働的な学びなどが今後必要な学びとして求められております。

 昨日も文科省内でいろいろな話をしまして、この教師間というのは、校内研修ということが大変意義が一層深くなってくると思います。

 これを踏まえまして、文部科学省としましては、十年に一回の免許状の更新講習を発展的に解消しまして、オンライン研修を含め、様々な質の高い研修機会を活用するとともに、研修受講履歴の記録や、それを活用した受講の奨励を義務づけるなど、新たな研修システムに移行したいと考えておりまして、今国会に関連法案を提出する予定でございます。そのときに、またいろいろと先生から御意見なりをいただきたいと思ってございます。

掘井分科員 ありがとうございます。

 今、研修システムを考えておられるということであります。今、新教育課程では、やはり質の高い学びが求められておるということで、また、今は生活指導の役割も大きい。であるならば、現場の先生が本当に望むような、授業改善に役立つ研修であるとか、また、人間力を磨く、そんな研修を是非していただきたいと思っております。

 では、次に、いじめ防止対策についての質問をさせていただきます。

 全国各地でいじめが後を絶ちません。特に、いじめ防止対策推進法が定めます重大事態の運用ができていないという以下の例があります。

 まず、旭川の事件です。

 二〇一九年、旭川市内で、わいせつ行為の被害を受けた生徒が自殺未遂を起こしました。転校の意思まで示していじめを訴えてきましたけれども、学校側は、被害生徒に聞き取りをしないままに、いじめを認められなかったと市教委に報告しました。後に、被害生徒は自宅から失踪して、北海道旭川市内の公園で凍った状態で発見されました。

 この市教委の報告に対しまして、実は、道教委が、二〇一九年に一回、二〇二〇年に一回、計二回市教委に、いじめがある、こういうことがあるんじゃないか、もう一回調べよ、こういう指導をしております。しかし、市教委は、指導とは受け止めていないとして、改めて調査はしていなかったことが後に分かりました。

 これは重大事態と認めずに防げなかったケースです。

 次に、加古川市の例があります。

 これは私の地元でありますけれども、いじめによって生徒自らがその命を絶つという本当に痛ましい事件がありました。加古川市いじめ問題対策委員会、第三者委員会といいますけれども、これが設置されまして、その結果、被害生徒が自殺行為をした原因はいじめであると認定すべきである、学校側は被害生徒の訴えに対応していなかった、深く反省すべきであることが結論づけられたんです。

 しかし、学校や教育委員会からは、この事案に対し法的責任はないとして、ただいま係争中となり、振り返りができておりません。でありますので、原因究明、再発を防止することにつながらないと思うんですね。

 これは第三者委員会の結論が反映されていない例であります。

 これらの重大事案について検証すると、やはり学校側の姿勢は、穏便に済ませたい、こういった意識から来るんでしょうかね、いじめを隠すことや、いじめをなかなか認めない学校現場があぶり出されるんですね。幾らいい法律を作っても、運用する側がきちんと行うことができなければ効果がないんです。

 そこで、いじめの重大事態につきまして解決の方法はどんなものであるか、大臣の御所見を伺いたいと思うんです。

末松国務大臣 旭川のお話を伺いました。市長さんも大臣室を訪れました。個々の案件であり、今調査中でございますので、それについてのコメントは差し控えたいと思っておりますけれども。

 いじめというのは、もちろん絶対に許されないことでありますし、どこの学校でも起き得ること、どの子供にも起き得ることである、そういったことで、全体としてその認識を共有していくということが必要でございます。

 先生御指摘のとおり、学校や教育委員会におけるいじめの重大事態における対応につきましては、調査組織の迅速な設置や調査の開始に至らなかった、委員の選定において中立性、効率性が担保されていない、調査の目的や進め方、調査組織等の説明が不足しているなど、様々な指摘がなされております。

 このため、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの重大事態調査の適切な運用を徹底することが重要であると考え、昨年十一月に有識者会議を立ち上げまして、調査体制や運用面で改善すべき事柄等について御議論いただくことになりました。

 文部科学省として、本協議会の審議の結果を踏まえて、重大事態の調査における初期対応の改善や、いじめに対応する体制整備など、更なる推進を図ってまいりたいと思います。

 ただ、私が思うのは、やはり、事が起こったときに学校全体として、教師が相談を持ちかけられたときに自分だけで情報とかを預からないで、みんなで共有していくということが必要であるという、その認識はやはり一番大事かなと。まずそこで止めさせて、必ず被害をそこでまず抑えるという早期対応、そのことが一番大切であると思ってございます。

 取りあえず、答弁に代えさせていただきます。

掘井分科員 先進的な取組の中に、これは大阪の寝屋川なんですけれども、市長部局が直接対応に当たる監察課を設置しております。ケースワーカーの経験がある職員など九人の体制で、教室にも出向いていって生徒に通報を呼びかけたり、子供や保護者、教員に聞き取り調査を行って家庭訪問をしたり、謝罪の場を設けて立ち会ったりもしたりします。そして、昨年度は、確認したいじめ行為百六十九件を一か月以内に停止させたと聞いているんです。

 効果があるように思うんですけれども、文科省にも事前にこれを調べていただいておると思いますけれども、こういった寝屋川市のような先進的な事例、教育行政とは別個の行政機関がいじめ防止に取り組む仕組みについて、どのように評価されますでしょうか。

末松国務大臣 寝屋川市の事例では、教育委員会とは独立して、地方公共団体の長が所管する人権尊重や青少年の健全育成等に関する職務の権限の観点から、市長部局にいじめ対応に取り組む体制を構築しているものと伺ってございます。

 いじめ問題の対応につきましては、先ほど申し上げましたように、どの子供にも、どの学校にも起こり得るものという認識を社会全体で共有して対応していくことが必要でございまして、その対応に当たっては、学校や教育委員会のみならず、例えば、寝屋川市の事例のように、首長が一定の関与を行うことも意義があると認識をします。

 いずれにしましても、いじめの対応に当たっては、学校そして教育委員会に対応の責務があることを前提としつつ、法律に基づくものでありますけれども、総合教育会議などを通じまして、首長部局とも連携を図っていくことが重要であると考えております。

 教育委員会や学校の主体性や、そして独立性を留意するとともに、いじめへの対応を徹底されることが大事です。

掘井分科員 何でこんな話をするかといいますと、僕は、教育の現場のことは本当は教育で解決しなきゃいけないんですけれども、ひょっとしたらできないんじゃないかな、こんなふうに思っておったりします。というのは、いろいろな仕組みはあるんやけれども、やはりそれでは解決しない。やはり運用に問題がある。だから、思い切って違う機関で見ていった方が成果があるんかな、こんなふうに思っておるわけであります。

 しかし、いい政策をまねしようとした自治体が、政治的中立性に問題がある、教育委員会の中に入っていくということに対して問題がある、こんなことで断念したという例がありました。

 こういう事態に対して、教育委員会に、行政の部門が、市役所とか違うセクションが勧告することができるんでしょうか。政治的中立性に問題があるんでしょうか、ないんでしょうか。お答えいただけたらありがたいです。

伯井政府参考人 寝屋川市は、いじめ対策の観点からこういう条例を策定されまして、市長が学校等に対し出席停止等の勧告権を有することとしております。これは、地方公共団体の長が所管する人権尊重や青少年健全育成等に関する職務権限の観点からであると認識しております。

 また、勧告は法的拘束力はなく、勧告を受けた者の判断の任意性が確保されているということを踏まえますと、今回のいじめに関する条例ではございますが、これのみをもって教育の政治的中立性等が損なわれるとは一概には言えず、御指摘の条例について、問題があるとまでは言えないというふうに考えております。

掘井分科員 分かりました。そのように認識いたしました。

 これからの子供のことを考える新しい機構にも非常に期待するわけでありますけれども、やはり教育のことを考えていくには予算が必要であります。

 最後に、教育予算の確保について質問していきたいと思うんですけれども、私たち日本維新の会は、昨年の総選挙で、維新八策を挙げて選挙を戦いました。よく出てくる話なんですけれども、OECD加盟国で最下位となっている教育予算の対GDP比をもっともっと上げて、教育への公的支出をほかの先進国のレベルに向上させる、このことを公約しております。

 二〇一八年のデータでは、公財政教育支出の対GDP比において、日本はたった三%。OECD平均四・四%を大きく下回って、OECD加盟国では、よく出る話でありますけれども、最下位であります。

 そこで、教育予算の現状と、教育予算の対GDP比の引上げについて、文科大臣の所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 せんだっての予算委員会で、野党の先生方から、教育予算は十分かというお話がありましたので、平成四年度予算の審議をしておりますので、更に充実させたいというお答えをさせていただきました。

 済みません、よく間違えます。令和四年でございます。

 先生御指摘のとおり、我が国の教育に関する公財政支出の対GDP比、OECD諸国中一位のノルウェーの七・四%、OECD諸国の平均四・四%と比べて、日本は三・〇%と低い水準にあることは事実でございます。

 子供は国の宝、教育は国の礎といいます。人への投資は総理のスローガンでありますけれども、新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環の流れを加速していくための鍵でもございます。

 こうした認識の下で、文部科学省としましては、幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援新制度などの経済的負担軽減策、また、GIGAスクール、小学校三十五人学級の計画的整備などを着実に進めてまいりました。加えて、令和四年度予算案では、小学校高学年の教科担任制を推進するため、教職員定数の改善に努めているところでございます。

 冒頭申し上げましたように、更なる教育の質の向上を図ってまいりたいと思っておりまして、引き続き教育予算を確保するために精いっぱいの努力をしたいと思いますので、よろしく御支援のほどお願い申し上げます。

掘井分科員 ありがとうございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきました。時間が終了いたしましたので、私からの質問を終了いたします。ありがとうございました。

青山主査 これにて掘井健智君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬分科員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 大臣、連日お疲れさまでございます。分科会も私が最後だと思いますので、三十分間、どうかよろしくお願いいたします。

 今日は、まず初めに、春の選抜高校野球の出場校選考問題について伺いたいと思います。

 前回、予算委員会で取り上げようと思ったんですが、ちょっと時間の関係でこちらの分科会で取り上げさせていただくことにいたしました。

 大臣も御存じだと思いますが、先月末に発表された、春のいわゆる選抜高校野球の出場校について、私が住んでいる東海地方の出場校の選考に非常に疑問があるという声が多数上がっているわけです。ニュースにもなっておりますし、インターネット上も非常に大きな話題になっております。私も、実際に監督にお話を伺ったり、あるいは地元のメディアや、それから高野連の方にもお話を伺いました。

 秋の東海の地方大会で優勝したチーム、東海地方は二枠あるわけなんですが、優勝した日大三島高校が選ばれて、そして、聖隷クリストファー高校が準優勝したんですが、結果的に選ばれなかったということがございました。

 一九八五年に創部して、初めての甲子園出場がもうこれは堅いんじゃないかと、地元も含めてみんな大いに期待をしていたわけなんですね。そして、成績も見事に準優勝でしたし、これはもう文句なく選抜されるだろう、こういうふうに思っていたところ、まさかの落選がございました。これには、ダルビッシュ投手とか、巨人の元投手の上原選手とかも、ちょっとこの選考はおかしいんじゃないかという声を上げております。

 もちろん、大前提として、どの高校が選抜されるかということは、これはもちろん主催者である高野連や毎日新聞社、主催者が決定権があるものだと思っています。ですから、それについて、どの高校が選ばれるべきだというふうに言うつもりはもちろんありませんし、それは、政治家としても、あるいは行政としても言うべきことではないというふうに思います。

 ただ、当事者である高校生たち、それを支えてきた地元の方たち、あるいは親御さんや関係者の皆様、こういった人たちが納得ができるような選考内容でないと、これはやはり問題があるのではないかと思います。

 まずは、この件について大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 先生に以前この質問をいただく予定でございましたし、記者会見でも申し上げたんですけれども、今年の三月に開催されます選抜高等学校野球大会、先日発表された東海地区からの出場校として、昨年の秋に開催された東海大会で優勝された日大三島高校とベストフォーに入った大垣日大高校の二校が選ばれたことについては、もう既に承知をいたしてございます。

 選抜は、野球に打ち込んできた高校生たちにとって憧れの舞台でございますので、そういう意味で、もとより、こうしたスポーツの大会の選考基準の策定や個々の基準について、主催者の責任により決定されたものでありますから、私としては、きちっと納得できるように、説明責任は、説明を果たしてやっていただきたいという、丁寧に、そのことを会見でも申し上げましたし、今この場所でもお話を申し上げているわけでございます。

 ただ、秋の大会の成績が、イコール春の大会につながる、私は過去、割と野球の強い高等学校におりましたので、巨人の淡口選手とか、後輩に当たるんですけれども、そういうことを思っていたんですけれども、選抜要項にはそのことは書いていないんですよね。だから、それをもってしても、確かにどこが選ばれたとしてもそれは不思議ではないわけなんですけれども、私としてはやはり、頑張ってきた子供たち、どうして選ばれなかったかということに疑問を持った場合に、説明はやはりしてあげてほしい。同じ説明であっても、きちっと誠意を尽くして説明してあげてほしい、そういうふうに思ってございます。

 会議録は公表されないということを聞きましたけれども、私はやはり、大人としての対応が必要かなということを、そんなことを考えてございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 確かに、大臣おっしゃるとおり、要項に外れた選抜の仕方をしているかというと、決してそういうことはないと思うんですね。試合結果だけではない、試合内容も見るんだとか、いろいろなことが書かれておりまして、それに反しているとは私も思いませんし、多分、当事者の皆さんもそうは思っていないと思うんです。

 じゃ、試合内容を見るんだったら、どこを誰がどう見たのかとか、いろいろな報道によりますと、選考委員長は一回戦、二回戦を見ていなかったという話もありますし、全員が全部見なきゃいけないかどうかも、またこれは別問題ですが、大垣日大の方が個人の力量が勝っていて、甲子園で勝てる可能性が高いと思ったなんということをおっしゃっていましたけれども、そんなことを言ってしまったら、野球というのは、球を速く投げたり遠くに飛ばしたりするスポーツじゃないんだ、これは聖隷クリストファーの監督もおっしゃっています。

 このことによって何が一番問題なのか。大臣、大分分かっていただいているような今御答弁だったので少し安心しましたが、生徒もすごくダメージを受けているんですよね。

 例えば、選考基準が明らかになっていて、それが満たされなかったから自分たちは駄目だったなら、次また頑張ろうと思えるんですけれども、どういう中身か分からない、しかも、自分たちは最善を尽くして結果もある程度出した、でも選ばれなかった、でもその中身は説明しない、これではやはりダメージの回復のしようがないと思うんですよ。ですから、今、大臣おっしゃっていただいたように、やはり更なる説明をしっかり求めていただきたいと思います。

 大臣が記者会見でおっしゃっていただいた二月の四日、この日に新聞記事が出ているわけですが、毎日新聞社から、これは、私、見ても、要項に反していないとか選考の手順とか基準とか、そういったものが書かれているだけで、なぜこの二校が選ばれたのか、なぜ聖隷クリストファー高校が選ばれなかったかという理由は何も述べられていないと思うんですよ。十日になって、毎日新聞社は、もうこれ以上の説明は差し控えるというコメントも出しています。これは余りにも冷たいじゃないですか。

 大臣、これ以上説明を控えると言っている主催者側にもう一言、是非説明を求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 お答え申し上げます。

 本件、様々な意見が生じているということについては承知しております。

 この選考に当たりまして、選抜の選考に当たりましては、御承知のとおり、高野連が既に定めております選考基準に基づいて実施されるものでございまして、このような基準にのっとって、主催者の選考委員会が責任を持って判断されたものと理解しております。

 その後、二月十日に高野連サイドで公表した資料によりますと、選考の在り方、選考過程の説明方法などについて今後検討していくといったような姿勢も示されておりますので、今後、関係者の納得が十分得られるよう、しっかりとそうした検討を進めていただきたいというふうに考えております。

源馬分科員 ちょっとその前に、これは部活動の一環ですよね、高校野球のその大会というのは。部活動の意義というのはどういうものなのか、参考人に伺いたいと思います。

串田政府参考人 部活動についての御質問でございます。

 部活動につきましては、中学校及び高等学校の学習指導要領におきまして、学校教育の一環として、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであり、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養など、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するものと位置づけております。

 学校現場におきましては、こうした指導要領の趣旨にのっとりまして、運動部活動や文化部活動の中でこうした目的に沿った活動が行われているものと考えております。

源馬分科員 そういう意味で、学習指導要領にも、部活動というのは学校教育の一環として行われるものだと。そして、活動を通して自己肯定感を高めたりする教育的意義は高いとありますよね。自己肯定感を高めたりすること、部活動の一つの目的じゃないですか。今この状況というのは、まさにそれが損なわれていると思います。

 私は、地元の浜松市に聖隷クリストファー高校がありますが、それだけじゃなくて、大垣日大の選手もかわいそうですよ、こういう状況になっているのは。何にも悪くない。大垣日大の選手も頑張って、選抜されて喜ばしいはずなのに、その説明の内容が不十分なために、何かあたかも大垣日大が悪者かのような扱いをされてしまう。生徒たちだって、これも心にダメージを受けますよ。だから、どちらの高校の生徒にとっても、やはり説明は必要なんです。

 これは、大人の我々が納得するかとか応援者が納得するかではなくて、当事者の、まだ十代の、未成年の子供たちですよ。その子たちが青春を懸けているこの部活動の、この大会のときに、それは主催者が責任を持って決めたんだから、それで後は国は知らないじゃなくて、確かに、大会の責任は主催者ですよ。でも、子供たちの教育に責任があるのは文科大臣じゃないですか。違いますか。文科大臣が子供たちの教育に、毎日新聞社じゃなくて、高野連じゃなくて、文科大臣が子供たちの健やかな成長に、教育に、私は責任があると思っています。

 ですから、してもらいたいじゃなくて、毎日新聞社なり高野連に、説明を果たしなさいと、そこまでやはり踏み込んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

末松国務大臣 私、省内でも少し話をいたしました。私自身もいろいろと考えました。

 文科省として、心から彼らに説明をしなさい、丁寧に説明してあげてくださいということを申し上げました。それがああいう記事となって、選考法はこうであった、そして会議録は公表する気がないというお考えでありますから、それは彼らの考え方でございます。それを尊重するかしないかにつきまして、今先生からいろいろなお話をいただきましたので、よく私も考えてはみたいと存じます。

 ただ、社会のルールにおいて、主催者が全てを、大会において責任を負う、選考から試合まで、優勝校を甲子園で決める。ですから、そこにおいて、文科省として、規約の中でというんでしょうか、選考要領の中できちっと、秋季大会が、優勝したところが必ずしも選ばれるとは限らない、いろいろな要素を盛り込んでいるということが入っていますので、そういう意味では、それはそれで一つの事実でありますから、それを尊重しなきゃならぬということも私は受け止めなきゃいけないと思うんです。しかし、彼らの理解が不足しておるのならば、やはり、もう一度私の頭の中でちょっと考えてはみたいというふうに思ってございます。

 回答はここでは申し上げられません。

源馬分科員 ちょっと残念ですね。かなり前向きなのかなと思いながら、もう一歩やはり大臣には踏み込んでいただきたい。

 もちろん、この大会と文科省、直接関係ないとはいえ、全く無関係じゃありませんよね。例えば、これはこの高校野球大会だけではありませんが、コロナということもありまして、国の補助金も出ています、今度の大会に。一千二百万円ですが。これも別に、ほかの一般企業も受け取っているところもあるし、だから密接な関わりというわけではないかもしれません。あと、大臣もいつもこの春の選抜大会には始球式や開会式に呼ばれますよね。無関係ではないわけなんですよ。

 ですから、今日は私、この質問に先立って監督ともお話をしましたし、選手たちも見ていると思います、ネット中継を。監督も、この結論を覆してくれなんてもちろん言っていないんですよ。私もそんなことは思いませんし、誰も思っていない。大垣日大の選手だって頑張ったし、それはもう頑張ってもらいたい。甲子園に出させてくれと言っているわけでもない。署名はかなり集まりましたが、選手たちが求めているのはそこじゃないと思います。

 ただ、理由が分からなくて苦しんでいる生徒がいるんですよ、今、学生が、若者が。ここを、大人もちゃんと僕たちのことを分かってくれているんだ、世の中そんな理不尽じゃないな、頑張ったら報われるんだ、そう言うなら、分かってくれるなら、夏頑張ろう、そう思えるメッセージを、大人の代表である大臣が、是非、選手たちに向けて出していただきたいと思います。いかがでしょうか。

末松国務大臣 高校野球に出場される選手というのはすごい努力だなと。

 私、三田学園というところを卒業しておりまして、実は亀岡先生、早大ですけれども、ピッチャー、前田正美というのが、ちょうど江川選手と同時期でありまして、その前田正美と私は寮で二人部屋だったんですけれども、夜の八時頃帰ってきて、そして私は何をさせられるかと思ったら、新聞紙を丸めてトスバッティングの球を上に投げる、それを頼まれていて、夜中の十二時までやらされた。夜中の十二時までバットを振り続けて、朝も早く出ていく、トンボでグラウンドをならさないかぬという。野球一筋に懸けてきた、甲子園に懸けてきた、そういう子供たちの気持ちは、私、彼を見ていて思い出しました。もう四十七、八年前になりますね。

 それを見ていまして、やはり納得いくということは大事である。しかも、大人の社会がこうであるのかということを、そういうように思わせたくはないということは事実なんです。しかしながら、一つの社会的なルールはあるということは、先生御承知をいただきたい、そのように思ってございますけれども。

 先生おっしゃる、大垣日大の学校の生徒、皆さん頑張っていただきたい。聖隷クリストファーの高等学校の選手の皆さんも、いろいろなことがありましても、元気を出して、しっかりとこれから自分たちの夢を描いて前へ進んでいっていただきたい、そのことを思います。決して今回のことでもってくじけないように頑張っていただきたいということ、そのことを思ってございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 これまでの御答弁の中で、やはり説明は引き続きしていくべきだ、大臣がどういうことができるかをまたお考えいただけるというお話をいただきましたので、それをしっかりと私も承って、地元にも持っていきたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、いわゆる教員不足について伺っていきたいと思います。

 まず、文部科学省は一月三十一日に、教員不足の実態に関する初めての全国調査結果を公表されました。調査によると、全国の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に今年度当初に配置された教員数が、各教育委員会が予定していた教員数に比べて二千五百五十八人不足をしていたという結果だったと伺いました。

 この学級担任不足という、あってはならない事態だと思いますが、このことについての御所感を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 教師不足の御質問でございます。

 今お話ございましたように、今年度初の全国調査を実施したところでございます。その結果が、令和三年五月一日時点で、公立小中学校の教師不足千七百一人、不足率は〇・二八%という実態が明らかになったわけでございます。この中には一時的欠員も計上はされておりますけれども、中には、小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られたところであり、懸念すべき状況として危機感を持って受け止めております。

 こうした教師不足の要因としては、近年の大量退職、大量採用を背景として、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手の減少、産休、育休取得者や、特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられておるところでございます。

 このような状況を踏まえ、文部科学省といたしましては、学校における働き方改革、教職の魅力向上、教育委員会における計画的な教員採用の促進等の取組を進めるとともに、現在中央教育審議会で行われている教師の養成、採用、研修等に関する包括的な諮問に基づく議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けて検討を進めてまいりたいと存じます。

源馬分科員 そもそもこの教員が足りなくなるという事態は、幾つかの要因はあると思いますが、どういったものが主な要因だと文科省では分析をしているのか、伺いたいと思います。

藤原政府参考人 この教師不足の調査の中で、原因につきましても各教育委員会に調査をしているわけでございますけれども、その中では、先ほど申し上げました、近年の大量退職や大量採用、そうした中で臨時的な任用者の名簿に登載されている人の数が減少しているといったような内容、あるいは産休、育休の取得者が見込みより増加してしまったといったような事由、あるいはまた特別支援学級が見込みよりも増加してしまったといったようなことなどが挙げられているところでございます。

源馬分科員 そういう中で、現場からは、これから、昨年成立した改正地方公務員法で、二〇二三年度から定年の年齢が二年ごとに一歳ずつ引き上げられて、二〇三一年には六十五歳定年になるという法改正がありました。

 これが起こると、不足した分を補うという新規採用枠が、年によって、二年ごとに多くなったり増えたり、つまり、定年が引き上げられるときには新規採用が少なくなったりとかということが起こるんじゃないか、それにどう対応していけばいいんだというふうに現場では戸惑いの声もあるわけなんですが、これに対してはどのようにお答えになりますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員法の改正によります教師の定年年齢引上げの影響につきましては、各都道府県ごとに教師の年齢構成が様々であることから、その影響は一概に言えないところでございますけれども、御指摘のとおり、定年を引き上げるその年度におきまして、退職者数が減少するということになるわけでございます。

 各教育委員会におきましては、各地域の教員養成大学等と協議を行い、定年退職者が生じない年度においても一定数の採用を行うよう採用計画を策定あるいは検討している状況でございまして、この定年延長により急激な採用数の変動が生じないように取組が行われているというふうに承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、各教育委員会に対し、従前から、中長期的な視野に立って計画的に教員採用を行うよう促してきたところでありますけれども、教職を目指す学生が不安に思うことがないよう、各教育委員会において定年引上げの影響も加味した採用計画を早めに示していくなど、情報の提供をしっかりと行っていただくよう、引き続き指導してまいりたいと存じます。

源馬分科員 影響はないようにするということでしたが、定年の引上げと今の再任用とはやはり制度が違うわけなので、必ずしも同じような人数がリタイアを希望したり、あるいは延長を希望したりするということではないと思います。これは事前のレクでもいろいろやり取りさせていただきました。必ずしも同じ程度ということはないと思うので、きちんと、現場の教師不足というのが発生しないように、きめ細やかに手当てをしていただけたらと思います。

 次に、コロナ禍で、特に今、オミクロン株の蔓延におきまして、先日、二月四日に発出された事務連絡があると思いますが、このポイントを少し御紹介していただけますでしょうか。

伯井政府参考人 オミクロン株につきましては、従来株に比べて、感染性、伝播性が高いということが明らかになっているところ、御指摘のとおり、今月四日に事務連絡を発出し、オミクロン株に対応するため特に留意いただきたい対策について各教育委員会にお知らせいたしました。

 当該事務連絡におきましては、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会において示された知見や専門家の意見も踏まえ、特に感染リスクの高い教育活動は、地域の感染レベルにとらわれず、基本的に実施を控えることとするなど、感染症対策を強化、徹底するとともに、併せて、切れ目なく学びを継続するため、オンラインと対面の学習を組み合わせたハイブリッドの学習の実施などを求めていくことなどを示しております。

 また、例えば、感染が拡大していない地域においては、感染リスクの高い教育活動について慎重に実施を検討すること、感染収束局面においては、可能な限り感染症対策を行った上で、感染リスクの低い活動から徐々に実施することを検討して差し支えないことなど、地域の感染状況に応じた判断についても併せて示しております。

 感染対策の徹底について、教職員の方々には、多大な御協力、また様々なストレスをおかけしているということでございます。

 文科省としては、学びの継続が何よりも重要ということで、学校全体の休業は慎重であるべきという方針で臨んでおりますが、一方、感染拡大の場合においては、いま一度、感染対策の強化、徹底にも御理解いただきたいということで、感染対策と学びの継続の両立を図るべく、必要な対策を取り組んでいるところでございます。

源馬分科員 これはもう文科省も当然いろいろな声を聞いていただいていると思いますが、先生はただでさえ多忙化していて、本当に厳しい状況の中で、さらにコロナでまたやることが増えて、教室の消毒をしたりとかいろいろな、生徒のケアをしたり、大変な状況だと思います。

 是非、オミクロンだけではありませんが、このコロナという大変な状況ということも加味して、先生方の多忙化についての、業務の多さを解消することについての御配慮を引き続き検討していっていただきたいと思います。

 最後に、今日は厚労省にも来ていただきました。以前、私、分科会でちょっと取り上げた、幼児教育等の教員の確保という分野でちょっと伺いたいんですが、人材紹介会社、例えば介護士とかあるいは保育士、こういった方たちを雇うときに、去年までは、手数料はもちろんかなりの額がかかる上に、それに、転職をしたらお祝い金を渡して、そうすることによって引き抜かれてしまう、こういうような問題点について前回指摘させていただきました。

 これは、そのときの御答弁でも、四月からそれは禁止になったということであるんですが、更に質のよい人材をきちんと教育現場が確保できる、そのために今取り組まれていることを少し御紹介いただけたらと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、利用者のニーズに合った職業紹介事業者を安心して選択できる環境を整備するということが重要と考えてございます。

 このため、平成三十年一月から施行されております改正職業安定法に基づきまして、手数料等の情報開示を義務づけております。

 また、職業紹介事業の利用者である医療、介護、保育分野の業界団体等が参画した、医療、介護、保育分野における職業紹介事業に関する協議会、この協議会におきまして適正な職業紹介事業者の基準を策定いたしまして、昨年十一月から、基準を満たす事業者を認定する制度の運用を開始してございます。

 認定制度の周知につきましては、基準の策定に参画いただいた保育分野の関係業界にも御協力いただいておりますほか、今後も、認定事業者に対する評価をいただくこととしてございます。

 それから、今お話ございました、昨年のこの分科会におきましても、議員から、職業紹介事業者のお祝い金の提供により求職者が転職しという御指摘をいただいています。こうしたお祝い金を職業紹介事業者が求職者に提供することにつきましては、昨年四月から、指針において、原則として禁止してございます。

 こうした取組を通じまして、利用者が優良な職業紹介事業者を選択することが可能な環境を整備することにより、引き続き、労働市場において職業紹介事業者が適切に役割を果たせるようにしてまいりたいと考えてございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 今御説明もいただきましたけれども、レクのときもお伝えしましたが、こういう紙で御紹介いただいたわけなんですが、URLが書いてあるんですけれども、これ、一々、今どき打つ人はいないので、こういうところにもやはりQRコードをつけて、議員もここでしっかりぱっと、あるいは関係者も見られるような、そういう御配慮をしていただきたいと思います。

 大臣、今日はありがとうございました。是非、前向きな御答弁をいただきましたので、引き続きの、しっかりとした、生徒たちが納得できる説明を大臣のお口から、また何らかの方法でしっかりと発信をしていただくことを改めてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

青山主査 これにて源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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