衆議院

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第1号 令和6年2月27日(火曜日)

会議録本文へ
本分科会は令和六年二月二十二日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井出 庸生君    岩屋  毅君

      亀岡 偉民君    大西 健介君

      漆間 譲司君    角田 秀穂君

二月二十六日

 井出庸生君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年二月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 井出 庸生君

      石原 正敬君    岩屋  毅君

      亀岡 偉民君    鈴木 英敬君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      大西 健介君    篠原  豪君

      道下 大樹君    漆間 譲司君

      角田 秀穂君    山崎 正恭君

   兼務 古川  康君 兼務 井坂 信彦君

   兼務 神谷  裕君 兼務 堀場 幸子君

   兼務 岬  麻紀君 兼務 日下 正喜君

   兼務 吉田久美子君 兼務 鈴木 義弘君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   内閣府副大臣       古賀  篤君

   財務副大臣        矢倉 克夫君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           坂田  進君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     田中 英之君

  大西 健介君     櫻井  周君

  角田 秀穂君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     鈴木 英敬君

  櫻井  周君     山岡 達丸君

  中野 洋昌君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     田畑 裕明君

  山岡 達丸君     道下 大樹君

  角田 秀穂君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     石原 正敬君

  道下 大樹君     篠原  豪君

  山崎 正恭君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     亀岡 偉民君

  篠原  豪君     大西 健介君

同日

 第一分科員岬麻紀君、第二分科員井坂信彦君、日下正喜君、第六分科員古川康君、第七分科員神谷裕君、吉田久美子君、鈴木義弘君及び第八分科員堀場幸子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

井出主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることとなりました井出庸生でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。

盛山国務大臣 予算の説明に先立ち、令和六年能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、御遺族、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 文部科学省といたしましても、学校や文化財などの復旧や、子供の環境に応じた学びの継続の確保への支援に向けて、被災地に寄り添いながら最大限の努力をしてまいる所存でございます。

 さて、令和六年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を説明申し上げます。

 令和六年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千三百八十四億円、エネルギー対策特別会計千八十五億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

井出主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井出主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井出主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)分科員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 冒頭でございますけれども、文部科学大臣に対する通告をしておりませんので、大臣、本当に公務は大変だと思いますので、御退席いただいて結構でございます。

井出主査 では、大臣、退席されて結構です。

田中(英)分科員 改めて、おはようございます。

 大臣からお話がございましたとおり、私からも、この元旦の能登半島における地震によりましてお亡くなりになりました方々に御冥福をお祈り申し上げますとともに、いまだなお避難をされている方々に改めてお見舞いを申し上げる次第であります。

 偶然ですけれども、昨日、石川県の航空高校の野球部の方から電話がありまして、甲子園に春には出るということでありますが、姉妹校である山梨の方で二次避難をしながら、石川県の皆さんを始め災害に遭われた方の夢と希望を持って戦っていく、そんなことを部長の方がおっしゃっておりました。そういう若い皆さんがその期待を背負って頑張ってやるという、その思いに強く心を打たれたところでもございます。

 さて、早速質問に入りますが、近畿なんかでは、高校の、私学を含めた無償化の話が、大阪始め近隣府県ではいろいろと話題になっております。そのことについてちょっとお伺いしたいと思います。

 この高等学校の無償化を始めとするものは、若い世帯の皆さんの負担がかからないようにと、様々な政策を打たれる中の一つであるというふうに思います。幼児教育の無償化なんかもやっていただいておりますからあれでありますが、中でも高校の授業料の無償化に関しては、自治体もこれまでからかなりの努力をしていただいたということがあり、国の方も後押しをするという形で進めておられますし、京都においても、京都府が取り組んできたところ、プラスアルファの制度によって、公立高校はさることながら、私立高校もほぼ無償の形に授業料の方はなっているというふうに聞いています。

 私も私立高校の関係をしておりましたので、制度ができるまで、本当に、定員割れをするような状況があったのも事実で、経営も大変な状況になっておりました。今は、国の制度と自治体の制度、これを生かしてやることになって、高校生を抱える御家庭の方、保護者の皆さん、ある意味では大変喜んでおられると思いますし、支えていただいているという実感も感じていただいているものだと思います。

 さて、冒頭申し上げましたように、大阪府が進めようとしている授業料の無償化でありますが、保護者から徴収する額を国の制度と大阪府の予算で賄うのでそれ以上取らないようにということであったかというふうに思います。

 まずこのことについて、大阪府が言う高校の無償化について文部科学省としてどのように捉えておられるか、お答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました高校段階を含め、教育費負担の軽減は重要と考えておりまして、国においては、教育の機会均等を図る観点から、高校生等の修学支援を行っているところでございます。

 他方、地域によって、私立高校の授業料の平均額や、私立高校に進学する生徒数やその割合が大きく異なる実態がございます。そこで、今お話のありました京都府、大阪府を始めとした自治体において、地域の実情を踏まえた、国の支援に上乗せして独自の支援が行われていると承知しております。

 文部科学省といたしましては、教育の機会均等を図るために基盤として行う国の支援と、それに上乗せして取り組まれる地方自治体の独自支援が一体となって教育費負担の軽減が図られることが望ましいというふうに考えているところでございます。

田中(英)分科員 実態に即した部分と、保護者の皆さんの負担軽減を図ると。ただ、自治体によって、授業料の額や、さらには生徒数、そういったものが違うので、ある意味では、いろいろと精査をしていく必要は当然ながらあるんだと思います。

 私立学校、高校にはそれぞれ、実はやはり建学の精神というものがあって、それぞれの思いがあって創立をされたというふうに思いますし、要は、少し公立高校とは違う性質のものだというふうに思っております。

 保護者の方も生徒の方も、この建学の精神を理解しながら、学校を選んで受験をして、そこで学ぶことによって、その学校が理想とする人物像を描いて、その先に進んでいただければという思いを持って教育をされるところであろうかと思います。

 そういう意味では、公立高校と少し違って、そういった部分に係っては、当然ながら、経費等々、こういったこともかかってくるんだと思いますし、中には、更に高度な教育、授業を提供するためにも、こういった授業料がそれぞれの学校によって違う設定となっているんだというふうに思っています。特色のあるそういう教育の実践、また、その中には、先ほど申し上げた学業、勉強の部分もあれば、スポーツに特化したり、文化面でもいろいろと特化してやっているところもありますので、そういう意味では、公立高校とは違う部分の、授業料を含めた様々な経費がかかってくると思います。

 今、大阪のみならず先ほど申し上げた近隣府県にまで、大阪府は同じような形でできないかというようなことを近隣府県に申されているというふうに伺っております。すなわち、キャップ制の話です。六十三万円を頂点として、それ以上は取らないようにということであります。

 京都府域内の私立高校は、比較的、他府県よりも若干、私の調べたところでは、授業料が高いなというところはあるのかも分かりません。しかし、そこには、先ほど申し上げたように、高度な教育であったり、特色のある教育、そしてさらに、それに伴う、施設を維持するとか、教員の皆さんもそろえているという、様々な要素があるやに私は感じております。

 仮に大阪府がおっしゃっているようなことを実践すると、恐らく今までと同じようなことは京都府の中の私立高校ではできなくなると思うんですよね。人件費も多分変わってくる、影響が出てくるだろうと思いますし、さらには、やはり建学の精神の下取り組んできた教育が、教員も、ともすれば、給料が減ったりすると離職する可能性もありますから、ある意味では、育ってほしいなと思う、願う、そんな人物像というものが養成できず、また、学力の低下も引き起こしてしまうのではないかなんということも心配しております。

 そこで、このキャップ制、高校生を持つ保護者をサポートをするということはあるんだと思いますが、長期的な視点で見ると、やはり申し上げたとおり、学力の低下につながると考えられないでしょうか。また、経営状況も悪化するんじゃないかなということも考えられます。さらには、建学の精神の下、様々な学びを失ってしまって、最終的には、私の感覚ですけれども、何か、全ての高校が公立高校のようなイメージになって、同じ色になってしまうような感じがするんですが、そういった点に関して、いかが思われますか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員から今御指摘のございましたように、私学の建学の精神を踏まえて考えていくというのは非常に重要なことだと思いますが、今回、大阪府が独自で行うものでございまして、大阪府知事の責任の下で制度設計が行われているものでございます。

 その上で、本制度に参加するか否かは各学校法人の判断に委ねられているものと認識しておりますが、学校が授業料収入を十分に確保できないことによる影響について、なかなか一概にお答えするのは難しいですが、国公私を問わず、高校教育の質の向上を図るということは重要でございまして、文部科学省といたしましては、いずれの高校においても全ての生徒の可能性を最大に引き出すことができるよう、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、教育機会の確保や教育水準の維持向上といった観点から、関係者と丁寧な意見交換を行い、合意形成がなされた上で制度設計が行われることが重要であるというふうに考えております。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 質を維持するということ、これは大事だというふうに思います。六十三万円以下の授業料の高校なんかは、余り関係がないというか、影響がないという意味で賛同されるところはあると思いますが、それ以上の授業料を保護者の方におっしゃっているような学校は、恐らく、それぞれの学校の特色や高い教育、また、様々な特色というものを維持するためには、なかなか難しいんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 慎重にいろいろと、各都道府県始め、文科省も、この状況を見たときに、今までの高等学校の在り方なんというところは、いろいろと仕事として取り組んでいただいたものだと思いますので、やはりちょっと注視しながらいていただきたいなという思いでありますので、その点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、学校の施設整備の件でございます。

 日本中には多くの公立の小中学校があるわけでありますが、地元を見ていますと、やはり大分老朽化しながら、改築や改修、さらには新しく建て直すなんというところもよく見るわけであります。恐らくこれは数珠つなぎで、今やらなあかんところをやり切れば次のところが出てくるということで、ここは多くの予算が使われるものだと思います。

 学校の施設というのは、やはりこれは一つのよりどころでありますので、大切なものでありますし、そういう意味では、今、災害時も体育館なんかが避難所になるというようなところでもあるんだというふうに思っています。

 寒い季節になると、当然ながら体育館の中も大変寒いですし、夏の暑いところは、我々が子供の頃に比べると、暑さも変わり、蒸し風呂のような状況でスポーツをする方、風が影響するスポーツは完全に閉めてやっていますので、私も娘の部活動を見に行った際には、とんでもないところでやっているなという思いで見させていただいております。

 と考えますと、やはり今までの建て替えとかのみならず、体育館なんかも含めると、必要な整備というものが、これから冷暖房やそんなことも含まれてくるんだというふうに思います。

 ただ、文科省なんかが教育に関わっていただく際には、そういう箱物も大切ですけれども、やはり人というものが大事であるということ、さらには、授業を進めていくという過程の中で様々なことも、これは投資していただくことも必要なんだと思います。子供たちやまた生徒たち、こういったところに予算をかけることが人を育てるという意味では、多ければ多いほどやはりいいんだと私は思っております。

 仮に施設整備費を、人や授業、こういったところに投資ができれば、今普及しようとしているタブレット、これから更新時期というものが始まりますが、教育機材にも使うことができるでしょうし、学校の先生方は、部活動をするときの給特法なんかも、どうなんだろうという意見も正直言ってあります。ですから、そういったところにも生かすことができるんじゃないかなということも想像しています。

 例えば、学校施設整備をするに当たって民間の活力を使うことはできないのかなということも考えてまいりました。学校施設整備を例えばPFIの手法などによって整備してもらうことと、それからまた管理もしていただくことが可能となれば、人や授業を始めとしたものに別の投資ができて、そういう意味では新たな時代の教育環境を築くことができるんじゃないかというふうに思っております。

 そこで、学校施設整備を民間の活力、PFI等の手法を使ってやってみること、こういったことを検討されてきたことがあるのか。あるとすれば、どんな検討をしてきたか、なければ、なぜこういったことも考えてこられなかったのかということをお伺いしたいと思います。

笠原政府参考人 議員御指摘のとおり、国、地方共に厳しい昨今の財政状況の中、多様な整備手法や財源を活用して公立学校施設の整備を進めていくことは大変重要な観点と認識をしております。

 こうした観点を踏まえまして、文部科学省におきましては、地方公共団体がPFIの検討や円滑な実施ができるよう、手続等を示したマニュアルを作成するなど、その取組を支援しているところでございます。

 また、公立学校施設整備にPFIを用いる場合には、PFI法に基づいて選定された民間事業者から施設の所有権を地方公共団体に移転する際に支払う費用を国庫補助の対象ともしてございます。

 こうした取組を通じまして、今後とも、PFI方式を活用した公立学校施設整備について必要な支援を行ってまいります。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 積極的に実はやっていっていただきたいなと思います。

 なかなか全てのところではできないのであれば、少し地域を限定してでも実践していただくこと、それがよければ全国に波及するものだと思いますし、ひいては、その予算が人に投資をできるというふうになれば、更にいいことだと思います。

 このことを進めていただく中で、私、実は今、中学校のPTA会長をしていて、校長先生がいつもいるんですよね、教頭先生も。いつ休んでいるのということをよく聞きます。

 地域の皆さんとコミュニケーションを学校の先生が取るということは決して悪いことでなく、いいことなんだというふうに思っていますが、ただ、休みが管理職の方にないというのは、一緒に動いていて気の毒だなという思いがあります。

 じゃ、何で出てくるのと言うと、コミュニケーションを取らなければならないよねということもあれば、実は、小学校や中学校というところを会場にしながら、いろいろな行事ごとを地域ではやりますから、施設の管理者としてやはり出てこざるを得ないんだろうなということを、これはあくまでも私が推測しました。学校の先生はこんなことは言えないんだと思います。

 そういう状況がある中で、働き方改革のことも、これはかなり学校でも進んでおります。一方では、部活なんかでは、我々のときは毎日やっていたようなものが今はもう毎日やっていないし、休日のときでも、もう休日になれば、我々なんて朝から夕方までずっとやっておりましたが、今はそういう状況もなく、休みも取って、先生方にも休んでいただいて課外活動を進めるというようなことをしていますし、そういうところでは働き方改革が進んでいるんですよね。

 でも、少し見えないところ、今申し上げたようなところはなかなか、見えないところで、管理職の先生方は、地域とのコミュニケーションもさることながら、管理者としての責任感をすごく持っておられるので出てくるというふうに思うと、今申し上げたような民間活力、PFIを活用して施設整備をしていただき、管理なんかもお任せすることができれば、教員の働き方改革の一助となるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

笠原政府参考人 公立の学校施設について、PFI等の手法により民間活力を取り入れ、施設整備だけでなく、維持管理を効率的かつ効果的に行っていくことは重要であり、学校の働き方改革を進める上でも有効な方策の一つになり得ると考えております。

 地方公共団体の中には、例えば、他の公共施設等と複合化した学校施設において、PFI事業者が学校を含む当該施設全体を管理し、安全を確保している事例もあると承知しております。

 文部科学省では、地方公共団体における多様な官民連携手法の検討に資するよう、こうした事例を含めた事例集を作成し、周知をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、学校、教師が担う業務の適正化の一層の推進とともに、管理職を含めた教師の負担軽減と施設の維持管理に係るサービス水準の向上の両立が図られるよう、必要な取組を進めてまいります。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 こういう部分もやっていただくことによって、学校の先生の働き方改革なんというものが進んでいくと思います。

 民間の活力を使うというのは私自身は大賛成でありますので、施設整備に関してもそうであれば、こういった管理なんかも、今既にやっていただいているような地域はあると思いますが、学校の先生方がある意味で安心して休日、休暇を取っていただける、そんな環境をもつくる意味では推進を図っていただきたいと思いますので、ひとつ、教育委員会や自治体、こういったところとも連携をしながら、前進させていただけるようにお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 次に、交通不便地域の生徒、学生さんの通学のサポートの件であります。

 地方創生と推進してまいりましたけれども、やはりなかなか人口減少というのは、歯止めが利かない地域があるのはしかりであります。

 当然ながら、人口が減ってしまうと、地域の利便性というのは、これはもう低下していってしまいます。やはり一番困るのは、交通の足がなくなってしまうと、高齢の方もではありますが、実は学生の皆さんも、学校に通うに当たって、早く出なければならないとか、親が送っていかなければならないとか、いろいろなことが、想定していなかったことが起こってしまうということがあります。

 全国いろいろなところで鉄道やバス、移動手段が、直近では、新型のコロナウイルス、この影響を受けて経営が悪化してしまって、減便したり、ダイヤ編成をしたり、便数を減らし、ともすれば廃線なんということも考えられた地域もあると思います。

 これは、一つの法律で、地方公共交通活性化再生法によって、何とか維持していこうということができる地域も出てきているのは事実でありますけれども、いまだやはり、それをうまく使っても将来的には不安だなという地域があるのも事実です。当然ながら自治体の負担も出てきます。

 私の選挙区でも同じようなことがあって、やはり新型コロナウイルスで赤字になって、黒字路線分で補っていたところを、実はこの黒字路線も厳しくなったので、ダイヤを再編して便数を減らすというところがございました。JR西日本や、また山陰線、さらにはJR西日本バス、こういったところでそういう話があって。

 まず一つは、中学生の課外活動の時間を短縮しなければならない。その時間に帰る電車があったのに、なくなってしまって、充実できないという。これは実は、春のダイヤ改正で、何とかJRが頑張るということはおっしゃっていただいております。

 また、通学のバス、JR西日本のバスでありますが、もう本当に経営が厳しくなったので、先ほど申し上げた新法を使って二社が何とか努力をするということで、通学に関しての維持ができるようになっているのは事実であります。

 このことが起こったときに、文科省の皆さん、また都道府県の教育委員会にもちょっとお伺いしたことがありますが、義務教育課程で交通不便地域の子供たちにはスクールバスなんかを使いながら通学のサポートができているというわけでありますが、義務教育以上、高等学校、さらにはそれ以上の教育というところにはそういったサポートがなく、ある意味では、運輸事業者、バス事業者や、また鉄道事業者なんかが自ら学割といった制度を使いながらサポートをしてきたというのが事実であります。

 そこで、義務教育課程においてだけではなくして、高校生や、また大学生なんかも学割を使いますが、文部科学省として、地方自治体の教育委員会とも連携をしながら、学生の皆さんが通学する際、学割相当分の額を何とかサポートしてあげてもらうことができないかなというふうに思っております。そうすることによって、運輸事業者をサポートすることもできれば、学生の皆さんの通学を守ることができるものだというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、交通が不便な地域におきまして、子供たちが安心して通学ができるように、地方の運輸事業者の活用を始めといたしまして、通学手段の確保に取り組むということは重要であると考えてございます。

 また、これも御指摘ございましたように、義務教育段階、小学校、中学校においては、へき地児童生徒援助費等補助金におきまして、スクールバス、スクールボートの運行の委託に対する経費、あるいは通学定期代等に対する支援を行ってございます。

 一方、高等学校、大学の段階では、経済的負担軽減の観点から、北海道等を始めとして、それぞれの地域の実情を踏まえて、各自治体における必要な支援が行われているものと承知してございます。

 教育行政を所管する文部科学省としまして、地域公共交通の維持のために運輸事業者に対して直接的な支援を行うことはなかなか難しい面もあるとは思ってございますけれども、現在、国土交通省を中心といたしまして地域の公共交通リ・デザイン実現会議も開催されているところでございまして、こうした議論も踏まえながら、全国どこに住んでいても学ぶ意欲のある子供たちが安心して通学し教育を受けることができるような文科省としての取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

田中(英)分科員 直接運輸事業者に補助をすることは難しいということでございますが、地方創生の観点からいっても、やはりそういった地域は、人口が減っていくと、どんどんどんどんそういう状況になりかねないのは事実でありますので、少し、そういうことも加味すると、学割というものに関しての考え方を文科省で一回考えてもらったらいいかなと思っています。

 でないと、どんどんどんどんそういう地域では足がなくなり、高校生を始めとする学生がなかなか学校に通学することが難しくなってくるのも事実でありますし、なおさら、その学校に行かなくなると、その地域から人がいなくなって、町中の学校に行くということにつながってしまうと思いますので、しっかりこの点は、今おっしゃったようなことは理屈としては分かりますが、考えをちょっと一回していただいた上で、その地域に高校がなくならないようなことを考えると、やはり足というものを守るという観点から、御検討いただきたいというふうに思います。

 あともう一分少々でありますので、申し訳ございません、文化庁についてお伺いしたかったんですが、京都移転が、昨年の三月二十七日から業務を開始し、五月十五日から全面移転いたしました。

 簡潔で結構でございますので、移転した、ほぼ一年になろうとしておりますが、その感想をお答えいただければと思いますので、よろしくお願いします。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 京都あるいは関西の皆さんに大変な御尽力をいただきまして、京都移転が行われたところでございます。

 移転後、文化芸術と観光、産業、暮らし、町づくりの連携、好循環の観点から、関西広域連合、関西経済連合会との共同宣言の採択、あるいは京都府、京都市職員との祇園祭や漆などを軸とした共創、連携活動などが進んでまいりまして、これは非常に私どもとしては感謝もいたしておりますし、これをまさに進めていきたいと思っております。

 他方、課題といたしましては、国会対応や他省庁との調整において急な業務が生じた場合などの対応、迅速な対応が取りづらいこともございまして、今後、デジタル技術の活用と東京で勤務する職員との連携というのを更にしっかりと進めていく必要があるというふうに思っております。

 私どもとしては、京都に拠点を置いたメリットというものを今後も最大限生かしまして、日本全体において文化を保存、継承しつつ、CBX、カルチュラル・ビジネス・トランスフォーメーションなど、文化と経済の好循環に全力を傾注してまいりたいと考えてございます。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 充実させていただきたいと思いますし、私が目玉と思っているのは食文化になります。いろいろ取組をやってきていただいておりますが、更に日本全体の食文化に関してもこれからいろいろ取り組んでいただきますようよろしくお願い申し上げて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて田中英之君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 おはようございます。

 本日は、教育の質について、大きく三つのテーマで伺います。

 まず、教員不足についてです。

 全国の自治体、学校が教員不足で困っています。教科の教員免許を持っていない人を免許外教科担任にしたり、臨時免許、特別免許を発行して教員の人数をそろえています。免許外が多いのは、中学校では家庭科、技術、美術に数学、高校では情報、公民、工業ということで、理工系を強化するSTEAM教育とは真逆の実態であります。また、臨時免許を発行して人件費を使うぐらいなら、正規教員に使った方が授業の質が高まると考えます。

 大臣に伺いますが、免許外教科担任や臨時免許や特別免許の濫用ではなく、普通免許を持つ教員を十分に採用すべきではないでしょうか。

盛山国務大臣 免許外教科担任や臨時免許状は、担当する学校種、教科等の相当免許状を有する教員を採用できない場合に限って活用できる制度です。

 また、特別免許状は、優れた知識経験等を有する社会人を学校現場へ迎え入れることがその趣旨であり、必ずしも教師不足への対応を主眼とした制度ではありません。

 基本的には、教師の任命権者である教育委員会において、各教科等の相当免許状を有する教師人材を確保、配置することが重要となります。

 文部科学省としては、教師不足の解消に向けては、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていくことが重要であると考えております。加えて、喫緊の課題への対応として、令和五年度補正予算において、全国の教育委員会が教師人材の発掘、確保を強化する取組への支援を計上しているところです。

 引き続き、十分な教師人材の確保に向けて、国としても必要な支援を行ってまいります。

井坂分科員 今は、年度の初めから教員が足りないという学校、自治体もあるわけですが、多くは、年度の途中に産休や育休、また病気で教員が減ったときに、その代わりを臨時で探すのに苦労しています。

 一部の自治体は、年度途中で必要になるであろう代わりの代替教員を、あらかじめ年度当初から正規教員として多めに採用し始めています。この場合、自治体は自腹で教員の人件費を払っていますが、大臣、これを国庫負担の対象にできないでしょうか。

盛山国務大臣 病気休職している教師や産休、育休を取得した教師は、休職、休業期間の終了に伴い、復帰が想定されるところです。このため、それらの代替教師については、一般的に任期つきや臨時的任用で対応されており、義務教育費国庫負担金の算定上も、これを前提として国庫負担の対象としています。

 他方で、教師不足の状況も踏まえ、文部科学省においては、令和五年度より、加配定数を活用し、年度途中に産休、育休を取得することが見込まれる教師の代替者を、任命権者である教育委員会が年度当初から任用する取組の支援を行っているところです。

 引き続き、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

井坂分科員 今は、自治体が自腹を切ってもそういうことをやるというニーズがある状況でありますから、是非、教職員定数を改善して、僅かな人数でもあらかじめ配置をするということがよりできるように御検討いただきたいというふうに思います。

 続きまして、小学校の教科担任制について伺います。

 例えば、算数や理科の先生を追加で雇って、今いる先生は国語や社会を担当するということで、それぞれ授業の専門性が高まり、教育の質が向上すると考えられます。しかし、この教科担任制加配というのは、科目が外国語、算数、理科、体育に限定されていたり、あるいは担任を持ってはいけないという縛りがあるため、そういう先生を探すのに苦労をしている状況であります。

 例えば、算数、理科じゃないけれども、国語の先生を追加で、加配で雇って、今いる先生が得意な算数を担当する、こういうパターンがあってもよいと思いますし、あるいは、年度途中、どうしても欠員が埋められないときは、一時的にこの加配教員が担任を持ってもよいのではないかと考えます。

 参考人に伺いますが、自治体や学校の裁量で教科担任制加配の条件を緩和できないでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度から配置を進めております小学校の高学年における教科担任制推進のための加配定数に関しましては、中学校の学びにつながる系統的な指導の充実等を図る、こういう観点から、外国語、理科、算数及び体育を優先的に対象とすべき教科としているところでございます。

 一方で、この加配定数につきましては、現状においても、小規模校等において、一人の専科指導教員が、小学校高学年の優先教科に加え、他の教科の専科指導等を実施することも可能となっており、また、校長の判断により、学級担任を持つことも可能となっております。

 また、この加配定数とは別に、特定の教科に限定せず活用可能な専科指導のための加配定数も予算案に計上しているところでございます。

 引き続き、学校や自治体の実情等を踏まえつつ、学校における指導体制の充実に努めてまいりたいと思います。

井坂分科員 小規模校についてはそういう緩和をしてくださっているということで、小規模校は元々先生の人数が少ないですから、そういう柔軟なことをしないと回らないということで認めておられると思います。

 ただ、今、私のいる神戸のような大都市でも、やはり本当に特定の条件、縛りがあればあるほどそういう先生を探すのが難しいという状況で、これは余り縛りがきつ過ぎると、じゃ、その縛りに合う先生が一人しかいなかったら、もう質も何もないわけですよ、ちょっと変な言い方になりますけれども。やはりいろいろな人がいて、本当に今必要な先生、質の高い先生を選んで雇うという状況が私は大事だと思いますので、是非、小規模校で認めてくださっているようなことを大規模校あるいは大都市でも柔軟に対応するということを御検討いただきたいというふうに思います。

 続きまして、小中学校の授業時間五分短縮について伺います。

 この小中学校の授業時間を一こま五分ずつ短縮をするという案が先日報道をされました。現在、まだそういったことを決めた状況ではないというふうに事前に伺っておりますので、その制度そのものについては今日はお聞きをしませんが、仮に小中学校で一こま五分ずつ授業を短縮するということになると、年間で合計八十五時間分が短縮をされます。

 じゃ、八十五時間短縮されて子供たちが早く下校できるのかというふうに思いきや、報道によると、全くそうではなくて、その浮いた八十五時間分、また別の何らかの授業、とにかく授業時間は減らさない、年間の授業総時間は。浮いた八十五時間は、また新たに何か授業を考えてしなければいけない、そういうことが各社で報道をされているわけであります。

 大臣、これはなかなか酷な話かなというふうに思っておりまして、今ある仕事は、別に授業内容は減るわけじゃないんですよ、今ある仕事は短い時間で今までどおりきっちりやれ、浮いた時間はまた新たに、その時間で新しい授業を考えてきっちりやれということであれば、これはちょっとブラック企業的な話にもなりかねないのかなというふうに考えています。

 授業時間を短縮するなら、やはり同時に年間の授業時間数も減らして、生徒が早く下校するという日をつくるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 現在、学校教育法施行規則におきまして、小学校は四十五分、中学校等は五十分という授業の一単位時間を定めておりますが、現行制度上でも、実際の授業時間は各学校で柔軟に決めることができるようになっております。

 そんな中、次期学習指導要領の改訂に向けて、この授業の一単位時間の取扱いについて、今の時点で何か方針を決めているという事実はありません。

 ただ、委員御指摘のとおり、授業の一単位時間と関連しまして、国が定める年間の授業時間は、子供たちに必要な資質、能力を育成するために必要な内容を指導するために必要な時間であり、教育の質を量的に支えるものとして重要と考えています。

 その上で申し上げれば、変化の激しい時代の中にあって、より一層、学校や教師が学校における働き方改革を進めるとともに、目の前の子供たちの多様な実態に応じた教育活動を行いやすい環境を整えていくことは重要と考えています。

 この点、昨年末の中央教育審議会の特別部会の中間まとめにおいて、授業時数も含めた教育課程の編成に関する学校裁量の在り方について検討することが必要と指摘されているところでもあり、授業時間も含めた教育課程の在り方についても今後の論点の一つになり得るものと考えています。

 いずれにしても、現行の学習指導要領の実施状況等を適切に確認しながら、今後の検討を進めていきたいと考えております。

井坂分科員 私も、この浮いた八十五時間を丸々カットすべきと申し上げているわけではないんです。現状でも、この年間総時間の更にその外側で、ドリル学習とかを独自に追加して、勉強の時間を取っている学校がたくさんあります。そういう時間外にやっている独自学習が八十五時間の中に入ってくるということも十分考えられますので、要は、年間総時間を一切減らさずに、なおかつ新しい内容というよりは、その独自学習の有無、取捨選択も含めて、ある程度学校に、あるいは自治体に裁量を持たせるべきではないかというふうに考えております。

 次に、大きなテーマの二つ目の、大学など高等教育の質の向上について伺います。

 今、経済や労働の議論では、日本人の生産性が低いのではないか、高度な専門性を持って付加価値の高い仕事をする人材が必要だ、社会人が大学院に行ってリスキリングしよう、こういう議論になっております。

 じゃ、日本の教育ではそういう高度な人材がつくれていないのかというと、少なくとも中学三年の時点では、日本人の学力、思考力は世界トップクラスと評価をされています。OECDが三年に一度行う世界学力調査では、科学的リテラシーは世界二位、数学的リテラシーは世界五位、読解力は世界三位ということで、三科目とも順位を上げて、総合でまさに世界トップクラスの能力ということになっております。

 大人には今リスキリングが必要と言われている、でも、中学三年生は世界トップクラスと評価をされているということは、やはり大学受験から大学、大学院に至る高等教育の質に何らかの問題があると考えるのが普通であります。

 政府も同じ問題意識で、教育未来創造会議において、諸外国に比べて理工系が少ないとか、あるいは修士課程、博士課程が少ないというような課題を挙げて、今後は、文系、理系を両方やる文理融合や文理横断教育を進めるということであります。

 実は、私も、高校、大学とも文理横断教育を受けた人間であります。理系なのに、やはり高校三年まで歴史も地理もやるし、大学に入っても理系専攻と同時に文系専攻も持ちましたので、大学入学時や卒業時に求められるべき理系としての専門性、学力を維持する、得るというのが大変でありました。

 参考人に伺いますが、文理融合、私はこれはいいことだと思っていますが、文理融合や横断を進めた場合、大学入学時に普通求められるべき、あるいは理系専攻の決定時に普通求められるべき理系に必要な専門性、基礎学力をどのように担保をするのかということを伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省としては、文理横断、文理融合教育を行う場合においても、各大学が、学生が入学後の学習に必要な資質、能力や卒業時に必要な資質、能力を備えていることを保証することが重要だと考えております。

 大学教育におきましては、各大学が自ら定める卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受入れの方針という三つの方針に基づいて、教育課程の編成、実施、入学者選抜等を行うこととなっております。

 このため、これらの方針に基づいて、各大学において、入学時点で備えていなければならない資質、能力等を適切に定め、評価するとともに、学習目標等を踏まえた体系的で組織的な教育の展開やその成果の点検、評価、自律的な教育改善を行う内部質保証の仕組みを整備し、適切に機能させることなどが必要であると考えております。

 また、入学後に専攻する領域を決定する場合には、いわゆるカリキュラムツリー等による履修順序の明示等やきめ細かな履修指導、特定科目に関する履修条件の設定等を行うことも考えられます。

 文部科学省といたしましては、文理横断、融合教育を行う場合も含めて、こうした点をまとめた教学マネジメント指針や好事例の周知等を通じて、各大学における教育の質保証の取組を促してまいりたいと考えております。

井坂分科員 今でも日本の大学では、入学後に高校レベルの補習、復習をするところが多いわけであります。世界標準の大学レベルの専門性、特に理系の専門性をちゃんと得てから社会に出られるように、やはり形式的ではなく、本当に質的な何らかの担保が必要だということは申し上げたいと思います。

 政府は、理工数学のSTEAM教育を強化して、理系を専攻する大学生を現状の三五%から五〇%まで増やすという目標、また、デジタル分野とグリーン分野の人材を増やすという方針を掲げておられます。

 オーストラリアは、これはもう十年以上前ですが、データサイエンスの時代を見越して、二〇一一年の早い段階で、数学、統計学、科学の分野を国家的優先分野として指定し、その分野を学ぶ学生の授業料をほかの学問分野より安く設定した、こういう政策を取っている国もありました。

 大臣に伺いますが、本気で理系専攻の学生を増やすということであれば、理系の学費を安くするべきではないでしょうか。

盛山国務大臣 令和四年五月の教育未来創造会議の第一次提言では、自然科学系を専攻する学生について五割程度を目指すことが盛り込まれております。

 このため、文部科学省では、デジタル、グリーンなどの成長分野を牽引する高度専門人材の育成に向けて、令和四年度補正予算で措置された約三千億円の基金により、意欲ある大学、高専の取組を支援しているところです。このほかにも、初等中等教育段階からの理数系教育の一層の充実にも取り組んでおります。

 また、授業料等は各大学の判断により設定されるものですが、教育費の負担軽減を図ることは重要であり、低所得世帯の学生等を対象に令和二年度から開始した高等教育の修学支援新制度を令和六年度から中間所得世帯の理工農系の学生等へ拡大し、授業料の一部を支援することとしています。

 文部科学省としては、引き続き、こうした様々な施策を通じて、理工農系分野も含め、我が国の成長を牽引する人材の育成に努めてまいります。

井坂分科員 今、特に私立中心に、理系はむしろ学費がめちゃくちゃ高いんですよね、だから、逆インセンティブが起こっておりますので、せめて学費をそろえる、理系と文系。できれば、理系全般とは思わないですけれども、デジタル人材とグリーン人材、そこまで限定しておっしゃるのであれば、やはりそういうところを目指す学生は学費を安くする、明確なインセンティブをつくってやるべきだというふうに考えます。これは、今日御提案して、今日そうですという話にはならないでしょうけれども、本当に増やすということであれば、是非考えていただきたいと思います。

 続きまして、OECDの調査で、せっかく大学を出ているのに、大学レベルの専門性が求められる仕事には就いていませんという人が、日本は先進国の中で一番多い。要は、せっかく大学を出たのに、結局、大学を出なくてもよかったじゃないかというような仕事に就いている方が、ほかの国はちゃんと大学レベルの仕事に就くんですが、日本はそうじゃない人が多い。

 社会が求める専門性と高等教育、大学の教育の内容にずれがあるのではないかということが指摘をされておりますが、大臣の御所見を伺います。

盛山国務大臣 我が国におきましては、大学等を卒業したものの、高卒相当の学歴しか要求されない仕事に就いている方の割合が高いとのデータがあることは承知しております。

 大学は、知的創造活動の基盤となるだけでなく、社会が求める人材を育成することで我が国を支える使命を有しており、大学が、人材の育成に当たって社会のニーズを把握することは重要と考えております。

 昨年の九月に中央教育審議会に対して、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について諮問をしたところであり、その中で、現在、社会で求められる資質、能力についても御議論いただいているところです。

 今後、これらの議論も踏まえつつ、大学改革にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

井坂分科員 私も、大学教育が全て社会に求められるスキルを得るためのものとまでは思っていないです。実際、学術研究をするアカデミックなそういう大学も当然必要だと思いますが、ただ、今、社会が求める、いわゆるリスキリングではなくてスキリングですよね、再びじゃなくてスキリングそのものがやはりできていないのではないか、そういう問題意識で、政府も、実は専門職大学とか専門職大学院、まさにそういう目線で新しくそういうものを立ち上げておられるわけであります。

 なるほどと思ったんですが、実際、じゃ、そこで何を教えているのかというふうに見ると、政府が目指すデジタル人材とかグリーン人材を目指すような、そういう専門性を持つ専門職大学や大学院が非常に少ない、これはどうしたことかということで、参考人に伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会情勢が加速度的に変化する中で我が国が成長、発展を持続していくためには、課題発見や新たな価値を創造することができる専門職業人材の養成が不可欠であると考えております。

 専門職業人材の養成を目的とする機関として、今御指摘いただいたような専門職大学と専門職大学院がございますが、専門職大学では、二十三大学のうち五大学で、専門職大学院では、法科大学院と教職大学院を除く八十専攻のうち四専攻で、情報分野の専門職業人の育成が行われております。

 大学等の設置や、どのような分野の教育内容を行うかという設定は、各設置者の自主性に基づいた取組の結果であることから、このような状況にある理由は必ずしも明らかではありませんが、文部科学省におきましては、引き続き、法人等からの設置の相談があった際には真摯に対応してまいります。

 また、専門職大学院、専門職大学も含めて、意欲のある大学などが情報分野を含む成長分野への学部転換や機能強化といった改革に踏み切れるよう、令和四年度補正予算で措置された約三千億円の基金を通じて支援を行ってまいりますので、これもしっかりと進めてまいります。

井坂分科員 やはり先ほどの学費とか、あと教育内容、これは大学の自由だというのは、私は大変不満な答弁だというふうに考えています。一方で、あれだけ議論して、国家戦略でデジタル人材、グリーン人材を増やすんだ、理系を増やすんだと言っておりますから、やはりそこは大学の自由だで終わりにするのではなく、そこに強烈に人を集めて、きちんと質的に担保された人材をつくるということを是非文部科学省としてやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 最後に、大きな三つ目のテーマで、創造性、クリエーティビティーの教育について伺います。

 教育基本法を改めて読み直しますと、最初の前文に、やはり豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期すとはっきりど真ん中に書いてあるわけです。また、第二条、教育の目標にも、個人の価値を尊重し、能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養う、これもど真ん中に、培うべき能力として書いてあるわけであります。

 今、日本の教育は、私も子供を、小中高と教育を受けて見てまいりましたので、昔に比べたら、本当に創造性が求められるような教え方を随分してくれているとは思います。ただ、創造的な国語教育とか創造性も培える数学教育とかいうのではなくて、やはりど真ん中、真正面から、創造性、クリエーティビティーそのものを鍛える、強化をする、そういう教育も私はやっていただきたいというふうに思います。

 生徒の創造性を伸ばすための教育プログラムとか、生徒の創造性を伸ばすための教育環境が必要ではないかと考えますが、大臣に伺います。

盛山国務大臣 今議員がおっしゃったとおり、教育基本法第二条第二号には、教育の目標として創造性を培うことが掲げられており、子供たちに創造性を伸ばす教育を行っていくことは大変重要であると考えております。

 このため、現行の学習指導要領においても、創造性の涵養を目指した教育の充実に努めることと示しており、学校教育全体を通して、予測困難な社会を生きる子供たちに、自ら課題を発見し、新しい意味や価値を創造していく力を育成することを目指しているところです。

 具体的には、例えば、小中学校の総合的な学習の時間や、高等学校の総合的な探究の時間や理数探究において、児童生徒が主体的に自ら設定した課題について探求する活動を通じて、互いのよさを生かしながら、新たな価値の創造に向けて積極的に挑戦しようとする態度等を養う取組を進めているところです。

 今後とも、学校教育全体の充実に努める中で、子供たちに創造性を育む教育の充実にもしっかり取り組んでまいります。

井坂分科員 いろいろやってくださっているのはよく分かっておりますが、これはデザインソフトを作っている民間企業のアンケートなんですけれども、世界の子供に自分をどう思うかというアンケートを取ったら、日本の子供だけが、自分が創造性があるとは思えないという率がぶっちぎりで高いんですね。

 これはやはりゆゆしきことだと思っておりまして、子供が自分自身は創造的ではない、クリエーティブではないと思っていたら、それは創造性の発揮なんかないと思いますから、やはり日本は子供の創造性を育む、伸ばすということに対して、私は何らかの課題があるというふうに考えております。

 既存の取組に満足をせずに、問題がある、やはり子供たちの創造性を、多分、生まれたときはみんな持っているはずなんですよ、それが何らかの形で芽を摘まれているおそれがありますので、日本の子供の創造性をたゆめることなく、きちんと開花をさせていく、そのための技術とか心構えとかを正面から教えていくという創造性教育ということを是非考えていただきたいと思います。

 最後、短い時間ですが、これはなかなか一朝一夕にできることではないと思います。というのは、今、教育、教える側も、創造性そのものを教えるという訓練は受けていないからであります。

 参考人に伺いますが、生徒の創造性を伸ばす技術を教員がどう身につけるか、お伺いいたします。

望月政府参考人 子供たちの創造性を伸ばしていく、これは大変重要であると考えてございます。そのためには教師の役割というものが大変重要であると認識してございます。

 また、教師の養成段階でございますけれども、学習指導要領に掲げる事項に即しまして、児童生徒の資質、能力を育むための主体的、対話的で深い学びの実現に向けた内容を取り扱うということとしてございます。特に、総合的な学習の時間、先ほど大臣から御答弁させていただきましたが、総合的な学習の時間の指導法の中におきましては、コアカリキュラムにおいては、広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉えて、実社会の課題を探求する学びを実現するための具体的な指導の方法を身につけることを全体の目標としてございます。各大学は、これを踏まえて教師の育成を行っているところでございます。

 また、教師の姿は、児童生徒にとっての重要なロールモデルとなるわけでございます。教師自身の学びを子供の学びの変革に合わせて転換していくことが重要でございまして、現職の教員につきましては、独立行政法人教職員支援機構が実施する研修におきまして、教師自身が課題を探求する力、あるいは探求的な学びをデザインしてマネジメントする力を育成する取組を進めているところでございます。

井坂分科員 教育の無償化だけでなく教育の質が大事であるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷分科員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日は質疑の時間をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 また、盛山大臣、本日は一日、大変御苦労さまでございます。長い時間だと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、私からは、一番最初、ちょっと地元の課題とも言える問題なのでございますけれども。私の選挙区には実は離島がございます。非常に小さな島でございまして、周囲で大体十二キロ程度、実際に住んでいる方、大体二百名程度の島が二つございます。ただ、当然、島といっても、そこに児童生徒がいらっしゃれば学校を設けなきゃいけないということになります。最近になりまして、最近というわけではないんですが、耐震化や老朽化の問題もありまして、改築を計画しているというようなこともございます。

 御案内のとおり、地方の自治体です。今、財政力は非常に弱いというような状況もあって、そういった小さな島ですから、そこに、例えば学校を改築するとなれば、コンクリートから何から、全部資材は島外から持ってこなければいけない。大体フェリーで一時間程度かかるような島でございますので、実は輸送も、大きなフェリーではありませんから、船に乗せられる車の数あるいは大きさ、こういったことも制限もありまして、なかなか経費というかコストを削減するということになりません。というよりは、むしろ、普通に学校を造るよりも、かなり余計に経費がかかってくるというようなことになります。

 今回、またそういった形でございますので、改築するというような考えでございますが、なかなか、最近の資材高騰もありまして、大変に高いというか、かかってくるというような状況でございます。

 ただ、当然、義務教育となれば、学校ということは、就学児童の学びを確保するという意味でも、どうしても造らなければいけない、改築しなければならないということになっております。

 そういう状況の中で、こういったかかり増しというか特殊な事情に対して、文科省としてもできることであればしっかりと支援をしていただきたい、できることというよりは是非支援をしていただきたいと考えているわけでございますけれども、大臣のお考えを伺えないでしょうか。

盛山国務大臣 離島だけではないんですけれども、そのような状況に置かれている小中学校等があるということはよく承知しております。

 離島における建設工事に要する費用につきましては、島外からの資材の運搬費や建設労働者の確保のための経費など、離島以外に比べて高額になると認識しております。

 このため、通常、公立の小中学校の改築事業への国庫補助においては補助割合を三分の一としているところを、離島に立地する学校への補助に際しては、離島振興法の規定等に基づき、割合を十分の五・五にかさ上げしております。

 さらに、これに加えまして、離島に立地する公立小中学校の改築事業への国庫補助においては補助単価の加算も行っております。

 なお、国庫補助単価については、昨今の建築資材の高騰等を踏まえ、令和六年度予算案では、公立小中学校校舎の国庫補助単価を鉄筋コンクリート造で前年度比一〇・三%増とする見直しを予定しており、これが成立すれば三年連続で一〇%を超える増となるなど、その充実に努めております。

 文部科学省としては、引き続き離島における公立学校施設整備が適切に行うことができるようしっかり支援を行ってまいります。

神谷分科員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、聞いていただくと、やはり相当大変らしいです。特に財政力、やはり地方の自治体は今本当に厳しいですから、大変ありがたいかさ上げの補助はあるというふうには承知をいたしておりますが、是非そういう現場というか地域自治体の声を聞いていただいて、例えばいろいろなアドバイスを含めて是非やっていただきたいということを重ねて御要望申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、学校施設の空調設備について、お話を伺いたいと思います。

 先日、長期予報が公表されました。この夏も大変暑いんじゃないかというふうに予想されております。私は北海道の選出でございますので、北海道は御案内のとおり冷涼な気候でございました。そういったこともございまして、実は学校における空調設備はほとんどついていないというような状況でございます。大臣御案内のとおりでございますし、文科省の皆様御案内のとおりでございますが、全国でも青森と北海道、特に北海道の整備率というのは非常にひどいものだということはよくよく御存じだと思います。

 ただ、昨年、北海道でも大変暑い夏でございました。そうでなくても暑さに慣れていない北海道の皆さんですが、特に児童生徒においても同様の状況でございまして、慣れていないところにこういった暑い夏がやってきたということもあって、実は不幸な事故もございました。亡くなる方が出ました。

 そんなようなこともあって、北海道でも空調の設備、これは早急につけなきゃいけないというようなことで、様々議論もされ、準備も進められているところでございます。

 ただ、やはり細かく自治体の話を聞いてみますと、耐震化の問題があるよとか、あるいは統廃合を近く考えているとか、そういった様々な事情もあって、空調の設備を遅らせるというわけではないんですけれども、ちょっと考えてしまっているというような状況だというふうに聞いております。

 ただ、先ほども今年は暑いというようなことを申しましたけれども、この後、温暖化というのはなかなかこの傾向が変わることはないと思いますし、だとするならば、この夏だけ、昨年の夏だけ暑いわけではないということでありますから、当然早急に空調設備をやっていかなきゃいけないと思っております。

 国においては、御案内のとおり空調設備についての様々な支援策、既に御準備をいただいているというふうには承知をしておりますが、ただ、それであっても、先ほども申し上げたように、財政の問題であるとか、あるいは様々な課題があって遅らせているような状況がございます。

 そういった自治体の背中を押すというわけではないんですけれども、是非補助率のかさ上げとか、あるいは、当然予算額はあると思いますが、北海道の大部分の学校が一斉に手を挙げたとすると、とてもとても予算額は今のままでは足りるとは思えないわけです。ですので、高さの問題、幅の問題を含めて、是非、できる限り手を挙げた自治体が速やかに御採択いただけるような、そういった予算をお願いをしたいと思うんですけれども、これについての所感を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 今御指摘ありましたとおり、学校の施設は、子供たちの学習、生活の場であるとともに、今回の能登半島地震でも明らかですが、災害時には避難所にもなることから、空調設備等の整備により熱中症事故を防止するなど、安全、安心な環境とすることは極めて重要な課題であります。

 このため、文部科学省においては、公立小中学校等における空調設備の新設や更新に係る経費について、学校施設環境改善交付金による国庫補助を行っているところです。

 特に、体育館は、災害時に避難所としての活用が期待されるにもかかわらず、空調設置率が全国的に低い状況にあることから、体育館への空調設備の新設については、断熱性の確保を前提に、本年度から令和七年度までの間、国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げたところです。

 他方で、御要望の、更なる補助率の引上げにつきましては、国と地方の役割分担についてのこれまでの整理を踏まえる必要があるとともに、国の厳しい財政状況の下、必要となる予算総額や事業採択数に直接影響があることから、慎重な検討が必要であると考えております。

 また、採択時期の早期化については従来から努めているところであり、引き続き速やかに通知できるよう取り組んでまいります。

 これらを含め、文部科学省としては、引き続き北海道を含む各自治体が計画的な空調設備の整備等を行えるよう支援を行ってまいる所存です。

神谷分科員 体育館のお話もしていただきました。体育館は、御案内のとおり、普通の教室でさえ未整備でございますから、体育館なんというのは、北海道においてはほとんど整備されていないというような状況だと思います。

 ただ一方で、断熱という意味では、冬の対策は進んでいるものですから、そういう意味では冬場はいいんですけれども。今御指摘いただきましたとおり、夏場ですね、特に体育館においては避難者の方々にも御利用いただく、御活用いただく、そういった場面もございますので、早急にやはりこれも整備していかなきゃいけないんだろうと思います。

 ただ、いずれにしても、体育館ばかりでなく、やはり、本来の校舎の方、できる限り早期にやらないと、本当にいろんな意味で問題が出てくるだろうと思っているところでございます。もう内地、東京並みに暑くなっているという現状もございまして、そういう中だと、階を上がるごとに本当に暑さが実感できるというような状況でして、そうでなくても本当にきつい状況だということでございますので、全国のことを見てなかなか北海道だけというわけにはいかないというような御答弁かと思いますけれども、是非いろんな意味で北海道の実情を御勘案いただいて、できる限りの範囲で是非御協力賜れればと思う次第でございます。

 また、御指摘をいただきましたが、体育館ばかりでなくて、実は北海道だと、教室も申しましたけれども、いろんなケースがございまして、パソコン教室だけあるよというようなケースだったり、あるいは保健室だけついているよとか、そういうようなケースもございます。

 もちろん、それも大事なんですけれども、パソコン教室だけ冷えていて、パソコンが冷えているけれども学校の生徒児童が暑いところにいる、これもいかがなものかと思いますし、あるいは、本当に、多分お金がないのかなとは思うんですが、職員室だけつけていないとかいうケースもありまして、学校の先生も暑いものは暑いですから、そこはやはり考えていただかなきゃいけないと実は思っております。

 そういった意味で、財政面ばかりではなくて、ここだけつけて、ここだけつけないというわけではなくて、全部つければいいというわけではありませんが、押しなべて学校施設等に対して空調を、そういったものをしっかりとつけろというようなことを、自治ではございますから言える範囲は限られているかと思いますけれども、そういった意味で、国からも御助言というか、少しそういった御示唆をいただけたらいいんじゃないかなと思うんですが、この点についてはいかがでございましょうか。

笠原政府参考人 文部科学省におきましては、公立小学校等について、学校施設環境改善交付金において、児童生徒及び教職員等が使用する全ての部屋を対象に、その空調設備の設置や更新に要する経費の一部に国庫補助を行ってございます。

 また、各自治体における学校施設のニーズにしっかり応えられるよう、空調設備の整備を含む公立学校の施設整備費として、令和六年度予算案に六百八十三億円を計上し、令和五年度第一次補正予算一千五百五十八億円と合わせて、総額二千二百四十二億円を計上しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、安全、安心な教育環境の構築と避難所としての機能強化を図るため、各自治体が計画的な空調設備の整備等を行えるよう、引き続き支援を行ってまいります。

神谷分科員 ありがとうございます。是非お願いをしたいと思います。

 その上で、一つ御提案なんですが、当然、空調をつけると電気代がかかってまいります。電気代もばかにならない昨今でございますので、北海道では、従来、雪氷冷熱、雪を使った冷房というようなこともやっております。ただ、これをやるとなると、当然、通常よりはお金もかかり増しになってくると思いますので、こういった部分ですね、例えばトータルで見て費用あるいは環境にも優しいというようなこともあるので、こういったことも是非文科省としてお進めいただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでございますか。

盛山国務大臣 今御提案の雪氷冷熱でございますけれども、文部科学省では、冬季の雪を貯蔵して夏季の冷房等に利用する雪氷熱利用設備について、脱炭素化の推進や環境教育の観点から有効であると認識しております。

 このため、文部科学省においては、一定の要件を満たした雪氷熱利用設備を設置するために必要となる工事について国庫補助の対象としているところであり、引き続き、学校設置者へその活用を促してまいります。

 なお、公立小中学校等の冷房設備に係る電気代など光熱水費については各学校設置者が負担することとされており、こうした経費については、他の公共施設と同様に、地方交付税による措置が講じられているところと承知しております。

神谷分科員 是非、雪氷冷熱を使っていただけたらと思いますので、是非、御周知のほど、お願いを申し上げたいと思います。

 質問を進めさせていただきます。GIGAスクール構想について伺いたいと思っております。

 GIGAスクール構想が進んでいます。子供たちにタブレットが配られ、様々な学習に活用していくことは、非常に時宜にかなっているんじゃないかなと思います。

 しかし、学校の先生方、誰もがITに詳しいというわけではありません。当然、中には、高齢というか年齢のいった先生の中には、非常に、これが得手不得手というか、不得手な方も多いんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、しっかりと活用していただくためには、当然、ノウハウの研修、専門の方による支援などが不可欠だと思うわけでございますが、現場からも、そういった支援員というのか専門家の方の派遣要請、そういったものがあるんだと思います。ニーズがあることも承知されていると思うんですけれども、こういった派遣というか、そういったことの支援策についてお伺いできればと思います。いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 GIGAスクール構想を進めていく上で、全ての教師のICT活用指導力の向上は重要な課題ではありますけれども、教師の活用のハードルを上げないことが肝要だというふうに考えております。

 このため、文部科学省では、ICT支援員の配置促進やトラブル時の遠隔サポート体制を構築するとともに、全国に指定校を設けまして、使いやすい標準的なアプリを用いた効果的な事例の横展開を進めているところでございます。

 また、あわせまして、放課後に手軽に参加できるオンライン学習の開催とアーカイブ配信、省内の特命チームによる研修支援や全額国費によるアドバイザーの派遣などを通しまして、年間切れ目なく行っているところでございます。

 御審議いただいている来年度の予算案におきましてもこれらに必要な経費を計上しておりまして、予算をお認めいただいた後は伴走支援を一層強化してまいりたいと考えております。

神谷分科員 是非お願いをしたいと思います。

 ただ、ICT支援員なんですけれども、どうしてもやはり都会に偏るというか、人材が地方まで行き渡らないというようなところがございまして、令和三年の文科省の調査ですと、四校に一校の目標というICT支援員、東京では一七五%に対して、実は目標達成率、北海道は僅か一七%というようなことで、二割にも満たないというような状況でございます。

 そういった中で、かなり格差があるものだと思っておりますので、もちろんそういった準備、予算等用意をいただいているということは理解をするんですけれども、現実の問題として、それが機能できるように是非お考えをいただきたいというのがその趣旨でございますので、考えていただけたらと思うわけでございます。

 そういった意味で、国内には、IT分野で活躍され退職された皆さんとか、今後退職される予定の皆さんであるとか、電機業界にいらっしゃった方とか、そういった方々が、再就職、再任用等を考えられている様々な人材もおられるんじゃないかなと実は思っております。そういった人材を、例えば電機産業やIT業界の皆さんに助力を求めて、連携していく、そして手当てをしていく、そんなことはできないかなと思ったりもするわけでございますけれども、これについてはいかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 GIGAスクール構想で整備された一人一台端末が十分に活用されるためには、支援体制の強化が不可欠でございます。

 こうした業務を中心となって担っているICT支援員については、四校に一人という基準で地方財政措置を講じておりますが、現在、全国平均で四・六校に一人となっており、配置の加速が必要です。

 加えまして、今委員から御指摘のありましたとおり、地域によっては人材確保が思うように進んでいないという実態もございますが、御提案のありましたIT業界の退職人材等の助力を得ながら実際進めている自治体もございます。

 こういう事例を、私どもとしましても好事例ということで横展開を図ってまいりたいと考えております。

神谷分科員 是非しっかりとそういう業界と例えば文科省の間で何らか連携というのか覚書というのか一回結ばれたらいかがかなと実は思っていまして、そこまでいくと、好事例の展開も分からなくはないのですが、安定的に人材も供給できるでしょうし、退職された方々も、安定してというか生きがいというか、もちろんいろいろな方はいらっしゃると思いますが、実はそういうところにマッチングできるんじゃないかと思うものですから、是非お考えをいただけたらと思う次第でございます。

 また、今後、タブレットの更新も国の支援の下に行われるというふうに伺っております。タブレットの更新については本当に進めていただかなきゃいけないんですけれども、ただ、ハードの面だけじゃなくてソフトの面についてもしっかり考えていただかなきゃいけないんじゃないかなと実は思っております。

 それがちゃんと考慮されているのか実は心配でおりまして、というのは、間もなくウィンドウズ10もサポート期限が二〇二五年十月で終了になりますから、ハードは更新したけれども、基本OSをどこまで考慮して整備計画を進められているのかなと。これがひょっとすると一緒のタイミングであればよかったのかなとも思うんですけれども、その辺、先にハードの、機械だけいって、基本OSはそのうち使えなくなるって、これもまた考えなきゃいけないところでございますので、この辺についてどのように考えるのか。

 あるいは、もう一つ伺いたいのは、併せてなんですけれども、小中学校において、義務教育学校においてはタブレットが貸与されておりますけれども、高校において各家庭の御負担となっています。やはり、このタブレット、結構負担だというふうに聞いておりますし、御案内のとおり高等学校無償化も進んでいるような世の中でございますから、高校についてもタブレットの貸与、こういったことも進めていくべきであるというふうに思うわけでございますが、所感を伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 GIGAスクール構想の第二期を見据えた学習者用端末の整備、更新につきましては、この一月末に「学習者用コンピュータ最低スペック基準」というものをお示ししております。

 この基準では、整備、更新した端末を五年程度活用する前提で、OSのサポート期限に留意の上で整備するよう求めるとともに、各OS事業者にこの基準に基づく製品を供給するよう要請しているところでございます。

 また、もう一つお尋ねでございました高校の端末整備についてですが、これまでも地方財政措置を活用しつつ整備が進められてきておりますけれども、設置者負担を原則とする自治体がある一方、保護者負担、BYODを原則とする自治体もございまして、現在、令和七年度以降の地方財政措置に係る方針を中央教育審議会で議論中でございますが、こうした多様な整備実態も踏まえながら、適切な支援を検討してまいりたいと考えております。

神谷分科員 是非、ここの部分は拡大をお願いしたいと思います。

 やはり、高校といっても、いろいろなお金がかかってきますし、家庭の負担、実は簡単ではないというふうに聞いております。特にこういった部分、一番出てくるというような話でございますので、できることであればみんな同じものを使った方が、当然、機械の使い勝手もありますし、先生方の使い勝手というか指導の仕方も楽になると思いますので、是非、高校においても、貸与型なのかお渡しするのかは別にして、お考えをいただけたらと思うわけでございます。

 次に、御案内のとおり、北海道、今後ラピダスも新設されるということもあって、IT人材がやはり多数必要になってくるということもあります。

 人材の養成というのは、実は高校、大学からというよりは、やはり小さいうちからこういうIT環境に触れておくということは非常に重要なことじゃないかなと思っております。そういった意味では、先ほどの高等学校の話もそうなんですけれども、やはり投資を惜しんではいけないと思いますし、早くから環境整備のための様々な施策、考えておかなきゃいけないんだろうと思います。

 そういった意味では、このタブレット端末というのはその第一歩だろうとは思うんですが、やはり、未来への投資の話になりますので、こういったところを積極的に是非やっていただきたいと思うんですけれども、大臣の所感、伺えたらと思います。

盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、国全体としてソサエティー五・〇という理念を掲げ、デジタルによる社会変革を目指す中、学校教育においてもデジタル人材の育成をこれまで以上に重視していく必要があると認識しております。

 このため、学習指導要領の改訂に際し、情報技術を適切に使って問題解決を行う情報活用能力を学習の基盤として位置づけるとともに、小学校でプログラミングを新たに導入し、中学校で技術分野においてプログラミングに関する内容を充実させるとともに、高校でもプログラミングやデータサイエンスの基礎を含む情報1を必履修科目とする等の大幅な改善を図ったところです。GIGAスクール構想による一人一台端末の日常的な活用が進めば、こうしたプログラミング教育の更なる充実にも大きな効果を発揮すると考えております。

 早い自治体では令和六年度から始まる端末の更新については、令和五年度補正予算においても必要な経費を措置したところでありますが、デジタル人材育成に係る予算については、現在御審議いただいております令和六年度予算案も含め、今後ともしっかりと確保していきたいと考えております。

神谷分科員 大臣おっしゃっていただいたとおり、やはり理系人材、全て理系の人材でいいというわけではないんですけれども、やはりどんどん増やしていかなきゃいけない。また、工業大学等の人材不足の話もございます。そういった中で、やはり早くからこういった、今おっしゃっていただいたようなIT環境であったりプログラミングの授業であったり必要だと思うので、そういった意味において、さっきの話に立ち返るんですけれども、専門家というか専門的に指導できる方が少ない中、これではやはり先行きがなかなか見通せないんじゃないかなと思うところが正直なところでございます。

 そういった意味で、先ほど、IT支援員も四校に一校、しかも、その部分でさえ僅か一七%という北海道の現状を考えましたときに、これから大規模なそういった立地というか集積回路の工場を造ると、それだけじゃなくても、実は理系人材、実質全然足りないような状況なので、だとするならば、やはり早くからやっていかなきゃいけない。でも、実は肝腎なところでそのチャンスを失っているようにも思いますので、もちろん文科省の考え方というのはそれだけだとは思わないんですけれども、やはりしっかり理系人材を育てていく、その一番最初のところが実はこういったところじゃないかなと思うものですから、改めてそういった意味での質問を一連としてさせていただいたと是非御認識をいただけたらと思うわけでございます。

 それでは、次の質問に移らさせていただきます。教職員の多忙化の話を最後に伺いたいと思います。

 御案内のとおり、社会的に教員の多忙化の問題が認知されております。そしてまた、早急にこの課題は解決しなきゃいけないというふうに言われているところでございます。

 ただ、私が見ていると、徐々に課題疲れというか問題疲れというのか、解決の機運がなかなか進んでいかないというような感じに見えてなりません。現実にいろいろな提案もされているところでございます。例えば部活動を社会化したらどうだろうかとか、あるいは業務の見直し等も提起をされているということでございますが、私から見ていると、なかなか進んでいないんじゃないかなというふうに思います。

 もちろん様々な理由がございます。先ほど、ITの支援員と同じように、実は、部活動を社会化しようとしても、地域に専門的に指導できる方がいないであるとか、あるいは場所であったり、あるいはそもそも学校の生徒さん、児童さんの数が少なくてなかなかできにくいみたいな、あるいは土日にやる場合に、どちらにしても体育館なり学校の施錠、解錠は教員の仕事になるとか、様々いろいろなことを言われているところでございます。

 ただ、なかなか進んでいないとはいえ、この多忙化をやはりしっかり解決していかなければ、現に教員のなり手、人材の方もどんどんどんどん少なくなっているということでございますし、先ほどの話ではないですけれども、教育は未来への投資、この国の礎でございますから、ここをやはりしっかりやっていただかなきゃいけないんだろう、そういった意味では教員を大切にしていくことも大事なんだろう、このように思うわけでございまして、この間の教職員の多忙化の解消についての進捗について、率直な大臣の評価あるいは思い、この辺をお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

盛山国務大臣 学校における働き方改革は、国、学校、教育委員会が連携し、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備することが重要だと考えます。

 令和四年度の教員勤務実態調査の速報値においては、平成二十八年度の前回調査と比べ、平日、土日共に全ての職種で在校等時間が減少しており、働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教師も多いことから、取組を加速化させていく必要があると考えております。

 文部科学省としては、学校、教師が担う業務の役割分担、適正化等に取り組むとともに、令和六年度予算案に、小学校高学年における教科担任制の強化等のための教職員定数の改善や、教員業務支援員の全ての小中学校への配置を始めとする支援スタッフの充実、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行、これらに必要な経費を盛り込んでいるところです。

 引き続き、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

神谷分科員 ここでしっかり解決しないと、いろいろなところでまたマイナス面、出てまいりますので、是非そのことをお願いをして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀場幸子君。

堀場分科員 日本維新の会、そして教育無償化を実現する会の堀場幸子です。

 今日は予算委員会の分科会ということですので、お金に関わることを言いたいなということなんですが、今回の質疑の大きな目標の一つは、先生になりたいなと思っている人がもっと増えるように、希望のある質疑をしたいなと思っております。

 今、教育実習に行くと、皆、先生の業務はこんなに大変だから先生になんかなりたくないなといって、せっかく教員免許を目指したけれども、実際の学校の現場に行ったら、ちょっと無理かもといって就職しない人が非常に多いと聞いておりますし、現状として、学校で教頭先生や副校長先生が教鞭を振るっていらっしゃるところもたくさんあります。

 だから、これを何とかしないといけないというのは日本にとって非常に大きな課題、そして、文部科学省にとって、そして文部科学の委員としてもこれは絶対に前に進めなきゃいけない大きな問題だと思っておりますので、それについて質疑をさせていただきたいと思います。

 一番最初に、教育基本法の職務の特殊性というものについて大臣にお尋ねしたいと思います。

 第九条というところは、法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責をやっていかなきゃいけないんですけれども、まず、この崇高な使命とは何か、教えてください。

盛山国務大臣 堀場委員と問題意識は共有しているつもりでございます。

 教育基本法第九条におきましては、今御紹介していただいたとおり、「学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と規定されております。ここで言う教員の崇高な使命とは、単なる知識や技術の伝達にとどまらず、教育を受ける者との触れ合いを通じた人格の完成を目指し、その育成を促すという教師の重大な職責を指すものと考えております。

堀場分科員 私も、新学習指導要領で言うところの生きる力なんだろうなと思っているところなんですけれども、でも、そもそも、こういう法律ができたときと今の先生たちの仕事の内容というのは本当に変わっているんじゃないかなというのは実感として持っているところです。

 定められた当時の先生たちのお仕事と今の学校教員、学校の先生たちのお仕事というのは本当に全然違うなと見ているんですが、教員の仕事というのは常に研究と修養が含まれているんですが、一方で、教師の自発性、創造性に基づく勤務ということもいつも課題になると思います。ここの線が引けないから、いつも、先生がずっと長い時間働いても残業手当がないんだよねみたいな、そういった議論になってくるかと思うんですが、この範疇に入るのかなというのを教えてください。

盛山国務大臣 教師は、教育基本法において、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職務の遂行に努めなければならないとされております。

 教師が行う個々の業務が研究と修養に該当するか否かについては、それらの業務の内容等によるため、一概にお答えすることは困難でございますが、例えば、授業の実施に向けて自発性、創造性に基づき教材研究を行うことは、研究と修養に含まれ得るものと考えております。

堀場分科員 校長先生が残業を命ずることができる超勤四項目というのがあるんですが、これだけじゃなく、今、議論の中で、先生たちに残業代を出すという話が出てくるというところで、まず、これが何に残業代が出せるのかというところが議論の肝なんじゃないかなと思っておりまして、私は、先生たちが授業準備のその先にある、例えば、ICTを活用した新たな指導方法の研究とか、個別最適化の授業をどうしたらいいかなというような取組は先生たちの研究や修養に入っていると思っているので、残業代が出るべきじゃないかなと思うんですね。

 でも、やはり超勤四項目以外はなかなか出せないというところがあるので、今後議論が行ったときに、残業代をどうするのか、勤務をどこで切るのか、時間だけじゃなくて業務で切るということも考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思いまして、こういう質問をさせていただいております。

 ここまで来たところで、教員の、先生方の職務の特殊性というのは何を指しているのか、大臣、お願いします。

盛山国務大臣 給特法における教師の職務の特殊性とは、子供の人格の完成を目指す教育を職務とする教師が有している、極めて複雑、困難、高度な問題を取り扱い、専門的な知識、技能を必要とされ、また、そのために絶えず研究と修養に努めることが求められるなど、個々の教師の判断、責任に委ねられている側面があり、どこまでが職務であるのか切り分け難いという職務の特殊性のことを指すものと我々は認識しております。

堀場分科員 そういう考え方なので、裁判が起きたときに、特殊性というところに全部丸め込まれて、先生方がなかなか勝っていくことがないんだなというのが大きな課題。だから、特殊性というものはないんだというふうに様々なところで議論があるのかなと思っていて、私自身は、教員の先生方はすごく特殊だなと思っているのは、特に労働時間、勤務時間が非常に特殊だな。休憩なしでぶっ通しで働いていますよね。お昼御飯も給食指導という形でやっておりますので、先生たちは、実は、子供が学校にいる間は休み時間はないので、トイレもなかなか行けない先生がいたり、大変多忙なんですけれども、そういう状態は非常に特殊である、労働基準法で定めたとおりになかなかできない、これが私は一つ大きな特殊性だと思っているんですね。

 だから、高い専門性、人格形成という子供たちの人生に大きな影響がある職務だから特別だではなくて、こういう働き方であったり、持っている専門性ももちろん特殊だと思いますが、そちらの方が特殊なんだなと考えたときに、先生たちの働き方改革に答えが見えるんじゃないかなと少し思っているところがあります。

 そして、大きな枠でいうとそういうところなんですが、次に、ちょっと細かいお話をさせていただきたいなと思っていて、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律というものがあるんです。要するに定数の話、これについて質問させていただきたいなと思っています。

 そもそも、担任の先生が学級規模に応じて配置の基準が決まっていて、現行の乗ずる数及び小中学校の標準授業時数を基に、学級規模別に先生の、教員一人当たりの週間のこま数が分かるようになっている法律だと思っているんですが、そもそもこれに入っていない先ほども話題に出ていましたスクールカウンセラーさんやスクールソーシャルワーカーさんも学校規模に応じて適正配置しないと、人数が多いところも一人、中ぐらいのところも一人、小規模校も一人、生徒一人当たり平均で割ったときには、確かに、課題のある学校と、なかなかうまくいっている学校とか先生のスキルがあるとか、いろいろな問題はあるにしても、この配置の方法はもっとできるんじゃないかなという思いがあるんですが、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 様々な課題を抱える児童生徒に対しては、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーと教師が連携協力し、チームで支援を行うことが重要であると思います。

 御指摘いただきましたスクールカウンセラー等の配置に当たっては、各教育委員会において、地域の実情に応じて、学校規模等に合わせた配置がなされているものと認識しております。

 文部科学省としては、令和六年度予算案において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置について、基礎配置に加えて、それぞれ一万校に対して重点配置を行うとしているところであり、教育委員会において学校規模等に合わせた配置ができるよう、引き続き必要な支援の充実に努めてまいります。

堀場分科員 実は全然足りていないなというので、例えば、アメリカだったら常設されている、カウンセリングというのは身近にあって、何か困ったことがあったらカウンセリングしていいんだよという体制が整っているんですけれども、今、学校によっては、予約がいっぱいで、全然カウンセラーさんと会うこともないし顔も分からない、カウンセリングルームがどこにあるか分からないみたいな子供たちがいる学校も存在しています。

 ということは、もっともっと、全校に毎日カウンセラーさんがいるんだよという体制をつくるんだと言ってもいいんじゃないかなと思うんですけれども、先生方の配置を見ても、財務省さんからお金をもらわなきゃいけないので、いろいろあると思うんですよ。でも、今、文部科学省が目指している教育の形、新学習指導要領であったりその次のステップというのはどうしてもお金が必要だし、教育が日本の国力、これは当たり前じゃないですか。資源がない国において、日本では人という大切な財産がこれからの日本をつくっていくというのは誰もが分かることなので、もっともっとここにお金を使わないといけない。

 そして、今の子供たちはカウンセリングが必要です。なぜならば、コロナ禍でたくさんの経験をしました。例えば、マスクが怖かった、目しか見えていなくて、マスクをする人間がたくさんいて怖い、何か目だけが強調されて、見られているみたいで怖いという思いにすごく悩んでいる子供もいるし、マスクが外れたら大丈夫なのかといったら、そうでもないですよね。今度はマスクを外すのが怖い。顔パンツとかいって、それぐらい顔からマスクを外すことを嫌がる子供たちも非常に多いと聞いています。

 もっともっと言うと、今、地震がありました、ここにカウンセラーさん、ソーシャルワーカーさんを多く投入しなきゃいけないんじゃないかな、そういう議論もあるでしょう。では、過去に終わったわけではなくて、復興の最中のところは要らないんですか、もっと大きくなったら要らないんですか。そんなことはないですよね。過去のトラウマがあって長くカウンセリングが必要だという人はたくさんいるわけですから、そう考えたときに、この国の一つのレジリエンスというか、やり直しというか、立ち直る、そのためにはカウンセラーさんの力は非常に必要なので、ここは遠慮せずに、もっともっと常勤でスクールカウンセラーを置くんだということを目標にしていただきたいなというお願いでございます。

 次に、ここからちょっと細かいお話にはなるんですが、小学校において基礎定数が、学級担任、担任外、これは専科ですよね、生徒指導、これは大型校しかほとんど配置されませんが、この三項目、中学校では、教科担任そして生徒指導の二項目になっている。これは現状に合っていないと考えているんですが、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 現行の義務標準法に基づき算定される小中学校の教員定数は、御指摘の学級担任や生徒指導担任等の配置を想定した基礎定数のほか、平成二十九年の義務標準法改正により、少人数指導、通級による指導や日本語指導等に対応するための教員も基礎定数として算定されており、改善を行っているところです。

 このほか、小学校高学年の教科担任制の推進、不登校など生徒指導への対応など、様々な教育課題への対応といった政策目的を実現するための加配定数も措置しており、令和六年度予算案において更なる改善を図ることとしております。

堀場分科員 その加配が駄目なんじゃないかということを言っていて、加配するということは一時的な人員補強でしかなくて、そうじゃなくて、やはり定数というものを見直す時期じゃないんですかということを言っているんですね。

 例えば、通級の人数、これも十三人ですよね。十三人に一人、こういうのも決まっていますよというお答えだと思うんですけれども、これも十人だったのを十三人にして、ちょうど十三人になったときに私は中学校で時間割りを組む仕事もしていましたけれども、組めないですよね。十人の先生でもいっぱいいっぱいだったのに、十三人に一人になったら一気に中学校では彼らの希望どおりの時間割りは組めないわけですから、やはり十にしなきゃいけないですよね。

 もっと言うと、それをおっしゃるのであれば、養護教諭だってこんなに少ないですよ。子供たちの心のよりどころとして、先生たちも安心して任せられるところとして保健室があるのに、保健室がカウンセリングルームみたいになっていて、実際に必要な業務ができなかったり、保健室登校をしている子供たちがどれだけいて、助けられているかと考えたときに、八百人で一人とか、そんな大きなレベルでは駄目ですよね。養護の先生たちも何度も要望されていると思うんですよね。これはもう先生たちはやっていけません。

 しかも、養護の先生は一人ですからお休みがなかなか取れないですよね、代替がいらっしゃらないので。それはどうするんですかという課題がありますよねということなんです。

 だから、もっともっと定数というものを考えて、加配ではなくて定数で考えてほしい。

 それから、高学年で教科担任制になりました。私はよかったなと思って、これはもうちょっと三年生か四年生ぐらいからやらないかなと思っていますけれども、教科担任制をしくということは、教員数が増える学校も当然多いわけですから、これを加配で対応するんじゃなくて、制度として教科担任制にしたのであれば、ここも教科担任と生徒指導という形に変えていかないといけなくないですかということなんです。つまり、定数を時代に合わせて改革する必要があると思っているんですね。

 法律を見ていても、すごい大型校というのは今はそんなに少ないですよねというところがまだ規定されていて、そういうところは、確かに養護が二人になったり、副校長先生、教頭先生が二人になったり、生徒指導がついたりしますよ。だけれども、そうではない、今、現状でそんなに多くない学校ではなくて、大きなパイになっているエリア、ここをちゃんとやっていくためには、基礎定数というものは時代に合わせて改革する必要があるにもかかわらず、加配とか特例で対応している理由は何かあるんですか。

盛山国務大臣 質の高い教育の実現や、複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善は重要だと考えております。

 このため、基礎定数の改善については、令和六年度予算案においても、小学校における三十五人学級の計画的な整備や、通級による指導や、日本語指導教育等の充実に必要な経費を盛り込んでいます。さらに、小学校高学年教科担任制の一年前倒しでの実施や、生徒指導など、様々な課題に対応するための加配定数の改善に要する経費も計上しております。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、引き続き基礎定数を含む教職員定数の改善に全力で取り組みます。そして、さらに、そこに加配というのも加えて対応していきたいと考えています。

堀場分科員 この間、テレビを見ていて、財務省さん側の言い分としては、これだけ少子化が進んでいって、子供一人当たりに出しているお金はとても多いんですよ、なのに何で文部科学省はもっとお金をくれと言ってくるのか分からぬみたいな、要約するとそういうお話だったんですよね。私はテレビに向かって何でやねんと思いましたけれども、今変わりつつある教育というもの、そして、今、令和の日本型の教育というのは本当に必要で、いろいろな海外の方が、日本の教育はどのようにやっているのか勉強したいと、この間も違う国の方が来られて、日本型の学校教育について教えてほしいということで、私は様々な議論をしましたけれども、本当にたくさんの国の方が、日本の今の、ずっとやってきた一斉指導の形とか、その中で個別最適化をどうやるかという大きな課題に挑戦しているということに注目もしてくれているし、高い評価も得ているわけですよね。

 だから、私はすごく大事だと思っていて、これを推進する、でも、先生たちのお仕事はぎゅうぎゅうですよね、これを何とかしなきゃいけないですよということを言うときに、根本的な解決方法は、人がいないということ、つまり、それは、この後に出てきますけれども、お休みの取りやすさという問題に直結するんですよね。

 だって、二十四こまですよということを言っているんですけれども、乗ずる数で、授業時数というのは小学校で二十四こま、そして中学校で十八から二十なので十九前後だと思うんですが、これは、普通に考えたら、今は週休二日なので、来ているのは五日間ですよね。二十四こまあって、五時間マックスで、大体水曜日だと思いますが、水曜日に四時間ですよね。このスタイルは、全部授業をやっているじゃないですか。どうやって授業の研究をするの、修養していくのといったら、時間外労働しかないですよねというぱつんぱつんの状態になっています。ここにお休みした先生が入ったら、例えば、小学校だったら補教に行くわけですよね、補教を回すわけですよね、その空いている一こまを。

 こんなぎりぎりでやっている状態でお休みを取れますか。休みますと言って有休を取れますか。できないし、残業なしにできますか。できない、不可能ですよね。いい授業をしようとすればするほど不可能になっていく。ということは、やはりこま数二十四とか十九とかというところが違うんじゃないかなと思っているんですけれども、一個飛ばしてしまったので、大臣、このこま数に対する思いをお願いします。

盛山国務大臣 現行の義務標準法に基づき算定される教員の基礎定数は、同法の制定時より、おおむね、勤務時間の半分は指導時数、残り半分は準備を含めた校務に充てることを想定しております。

 その上で、特に授業の持ちこま数が多い小学校の高学年については、加配定数の改善を行うなど、教科担任制を進めることにより、持ちこま数の軽減を図ることが重要と認識しております。

 このため、令和六年度予算案においては、小学校高学年の教科担任制の一年前倒しでの実施に必要な教員定数の改善のための経費を計上しているところであり、引き続き、学校の指導、運営体制の充実、そして、委員がおっしゃっておられる働き方改革に資するよう努めてまいりたいと考えています。

堀場分科員 大臣、こまの感じでいったらきつきつで、半分を準備にしますというのはできないですよね、現実として。だって、その昔は週休は一日だったので、六日間の中で千十五というこま数がありますよね。その後、ゆとりになって、しかも、週休二日になって週五になって、こま数も減りましたよね。でも、また新学習指導要領で戻ってきましたよねとなったときに、週休二日は変わらないわけですからどうするんですかという課題を解決しなければ働き方改革の根本にならないと思うんですよね。

 それを加配でやろうとする、つまり、教科担任制を入れて加配してというふうなその場しのぎではなくて、根本的なところから、もうそういう体制でいくんだと決まったのであれば、定数自体を変えるという作業に着手するべきだと私自身は思っていますし、それをやらない限りは、先生たちがきつきつなのは、幾ら加配でも、加配する人がいないですから、夢を持って入ってくれないので、それをまずしっかりと考えていただきたいなというふうに思います。

 次に行かせていただきます。

 公立義務教育諸学校等の教職員の給与に関する特別措置法、給特法と働き方についてということですけれども、まず、大臣、一年単位の変動労働時間制の導入を推進されていると聞いているんですが、これについて、推進している理由を教えてください。

盛山国務大臣 令和元年の給特法改正により導入した一年単位の変形労働時間制は、その導入自体が勤務時間を縮減するものとは考えておりませんが、長期休業期間に一定のまとまった休日を確保することで、教師のリフレッシュ期間の確保や教職の魅力向上等にもつながるものと考えております。

 本制度は、各地域の実情等に応じて実施するか否かを御判断いただくものでありますが、文部科学省としては、本制度の趣旨について、引き続き各教育委員会に対して丁寧に周知してまいりたいと考えています。

堀場分科員 私は、これを最初に見たときに、先生たちは夏休みもめちゃくちゃ働いてますけどと思ったわけですね。保護者会をやったりとか研修会をやったりとか、それこそ、ふだんできないたまっている業務をこの期間に片づけていくとか、いろいろなことを夏休み若しくは長期休暇、長期休業のときにやっているわけですね。

 だけれども、それでお休みを長い時間を取るというのは、だからほかのところを頑張って働いてねというのは、先生たちからすると、夏休みは遊んでないしと思うんじゃないかなという懸念を持っていて、実際、先生たちも、夏休みだからといってそんなに休めないんだよねみたいな、そういう思いを聞くことがあったので、私自身は、休むというものを規定していくというよりは、休むというものを規定するというのは、こういうことでここで休みなさいねみたいなのじゃなくて、通常の学校がある期間でも何かあったら休暇を選べる、ちゃんと取れるという仕組みがないと駄目で、その環境を調整しないといけないと思うんですよね。

 例えば、入学式シーズンには、自分の子も入学する、だから休みたい、でも学級担任が入学式にいないなんてどうなんだ、そういう議論が毎年四月になると出てきて、先生も親だよねというところを優先していいのかどうか、でも、崇高な任務なんだから学校に行きなさいよ、子供をほったらかしなさいよと言うのか、そういう根本的なところを今の若い人たちは見ていると思うんですよね。

 だから、私としては、選べるという環境をつくってあげたい、そのためには加配じゃなくてしっかり定数で人を配置してほしい。そして、やるべき仕事を、崇高な任務、それはそうですよ。子供の人格、生きる力を身につけていく。教科指導の中にも、例えば道徳的な指導であったり様々な考え方を入れていく、ICTを活用していく、自分の子をアクティブラーニングしていく、自分の意見をちゃんと言えるようになろう、自分で考えよう、そして、最終的には自己選択、自己決定ができるようになろう。そういう考え方には非常に賛成しているんですが、そのために、先生が伴走して子供たちと一緒にいるためには、自分の人生も謳歌できるという環境じゃないといけないと思っているので、ここは変えた方がいいんじゃないかなと思っているんです。

 つまり、こういう導入を推進するのもいいんですが、それよりも、もっともっと有給休暇を選択できる環境調整を文部科学省のリーダーシップでつくっていただきたいなと思っております。

 それで、授業準備とか学習評価、成績処理について、SSSさんを活用していきますということを掲げられているんですが、私は、スクールサポートスタッフさんというのはいいと思うんですよ。ただ、使い方と言うとちょっと語弊がありますが、やっていただく業務というものをもう少し考えた方がいいんじゃないかなと思っているんです。授業準備や学習評価、成績処理というものは、やはり先生たちが行うべきことじゃないかなと思っています。

 例えば、我々が今考えているところですけれども、評価というものを考えたときに、今の評価というのはテストの点数で評価しているわけじゃないですよね。新しい評価基準になって指導と評価が一体化していっているという時代にあって、それを、丸つけをして、例えば、同じバツでも、計算ミスだったなというのと、立式ができないな、この子は割り算は無理かもとか、いろいろなことが分かるというテストを通じてのコミュニケーションがあるわけですけれども、それを人に任せるんじゃなくて、そういう業務は教員の先生がやったらいいと思います。

 今、多分、学校によっては、スキャナーで入れちゃって全部添削してもらってそれが出てくるわけですよね。それが全部エクセルデータになっているので、データ入力とかも、デジタル化が進んでいけばそういう業務を、つまり、機微な個人情報に触れるところをSSSさんにお願いしなくてもできるんじゃないかなと思っています。

 一方で、例えば、運動会をやろうと思ったら、玉入れの玉を全部拭くとか、大玉を一回膨らませて全部拭いて、そしてまた収納するとか、いっぱいあるんですよね。細かいことを言うとたくさんあります。線を引くとかテントを建てるとか、そういうことを一緒にお手伝いしてもらう。例えば、卒業式のときに祝辞を全部壁に貼ったりするのをやってもらう、かわいいデコレーションを学校にしてもらう、そういうことをSSSさんにお願いする、これは活用としてすばらしいなと思うわけです。

 だから、アナウンスをするときに、業務をもう少し規定する必要があると思うんですけれども、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 教員業務支援員は、教師の負担軽減を図り、学校における働き方改革を推進するために配置するものであり、教師がより児童生徒の指導や教材研究等に注力できる体制の整備に大きな役割を果たしていると考えております。

 御指摘の授業準備や学習評価、成績処理の中にも、教材研究など教師の専門性が求められる部分と、例えばデータ入力、集計の補助など、教員業務支援員が担うことで教師の負担軽減が可能となる部分があると考えられることから、適切に役割分担を進めていくことが重要と考えています。

 文部科学省としては、令和六年度予算案に全ての小中学校への教員業務支援員の配置に必要な経費を盛り込んでおり、引き続き、教員業務支援員との協働等を通じて、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に我々はしっかり取り組んでまいりたいと考えています。

堀場分科員 ありがとうございます。

 大臣、今、給特法廃止とか抜本的改革を求める声が非常に多いんですが、最後に大臣の強い思いを教えてください。

盛山国務大臣 公立学校の教師の処遇等を定めている給特法では、教師は、その自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどにより、どこまでが職務であるのか切り分けにくいという教師の職務の特殊性等から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとされています。

 給特法については、その在り方も含め、具体的に検討するべき課題と認識しており、現在、中央教育審議会において総合的に御検討いただいているところです。

 文部科学省としては、引き続き、教育の質の向上に向けて、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。終わります。

井出主査 これにて堀場幸子君の質疑は終了いたしました。

 次に、日下正喜君。

日下分科員 公明党の日下正喜でございます。

 私は、広島、中国ブロックが地元でございまして、文科省の関係では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、静かな有事と言われる少子化、人口減問題と同等に、教員不足、教育現場の疲弊は、日本という国の根本を脅かす脅威であると認識しております。

 少子化がもたらすものは、既に始まっておりますが、あらゆる産業分野での人材の欠乏、社会保障制度の崩壊であり、将来に対する希望の喪失です。政府も、異次元の少子化対策として取組を開始したところでございます。

 そして、教育でございますが、政治でも経済でもなく、社会の未来を決めるものは教育の深さであると思います。そして、教育こそが子供たちの幸福の礎になるものだと強く信じております。学校は、子供たちにとって学ぶ喜びの場であり、生きる喜びの場でなければならないと思います。

 その教育現場が、教員の長時間労働や周辺業務によるストレスなどによって疲弊し、教員は次々と病み、休み、そして退職していくという実態が、それが若い教員ほど顕著であると、私の周囲からもそうした声をよく聞きます。

 公明党はこれまでも、文科省に提言し、また協議し、こうした問題の解決に向けて様々な施策が施行され、準備されるに至ったわけでございますが、まず伺いたいのは、公教育の重要性と、それを支える教職員の職場環境はどうあるべきかということです。盛山文科大臣の御認識を伺います。

盛山国務大臣 教育は、国家、社会の礎であり、発展の原動力です。特に公教育の再生は少子化対策と経済成長実現の観点からも重要であり、あらゆる地域で、教育を通じ、一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展が実現できるようにすることが必要です。

 このため、公教育の担い手である教師が、その専門性を最大限に発揮して、子供たちによりよい教育を行うことができる職場環境を整備することが重要であり、これまで、教職員定数の改善、支援スタッフの配置充実、ICTを活用した業務効率化等に取り組んできたところです。

 現在、中央教育審議会において、教師を取り巻く環境の整備について総合的に御検討いただいているところであり、文部科学省としては、引き続き、教育の質の向上に向けて、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

日下分科員 ありがとうございます。

 教師の専門性を最大限に発揮していく、これが本当に大事だというふうに思いますし、今求められている要になる話だというふうに思います。しっかりと形になるように進めていただきたいというふうに思います。

 中学校や小学校教員の方々から聞くのは、本来業務と思われるもの以外の周辺業務が際限なく増やされ今日に至っていること、勤務時間も、始業時刻より早い生徒の登校、また終業時刻より遅い生徒の下校時間、宿泊研修の夜の業務はボランティアで代替措置もなし等々、切りがありません。宿題にだって目を通して適切なコメントを書いて返してあげる、三十五人学級としてもかなりの時間を要します。

 文科省としても、公立学校の教師の勤務時間の上限を指針として示したり、また、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実や校務のデジタル化、部活動の見直しなどを進めていることは承知しておりますが、勤務時間の上限を設定しても、家に持ち帰って仕事しなければ追いつかない、また、給食という業務によって、一般企業にはある昼休憩もまともに取れない、また、校務のデジタル化対応といまだ残る紙対応の二度手間、使い道の定かでない紙の記録を残す意味があるのかなどなど、課題は山積です。

 社会の要請や問題が起こるたびに何々教育が増え続け、スクラップ・アンド・ビルドではなくて、ビルド・アンド・ビルドだと言われております。STEAM教育は必要だと思います。これからの時代、特に必要になってくるというふうに思いますけれども、何かを思い切って削る勇気も必要だと思います。今あるものに乗っけられても、生徒も教師も容量オーバーで、学校自体が嫌いになってしまいます。

 教師の負担を軽くするため、地域ボランティア、事務職員、サポートスタッフ、外部人材などで業務を分担する、いわゆる三分類による取組も進められております。

 まず、ここで聞きたいのは、まずほかでは分担できない、教師が専門性を持って行う教科指導、標準授業時数の削減への取組について、現状と今後の見通しについてお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 国が定める標準授業時数は、学習指導要領に規定される内容を指導するために必要な時間でございまして、教育の質を量的に支えるものとして重要と考えております。

 一方で、各学校においては、標準授業時数を踏まえ教育課程を編成することとなっておりますが、令和四年度の教育課程の計画段階で、標準授業時数を大きく上回って授業時間を確保している学校がかなり存在しております。

 そういったことも踏まえ、令和五年九月の通知におきまして、全ての学校に授業時数の点検を行うよう求めるとともに、特に標準授業時数を大きく上回っている学校には、見直すことを前提に点検を行い、指導体制に見合った計画とするよう求めているところでございます。

 働き方改革は、何か一つやれば解決するといったものではございませんが、文部科学省といたしましては、教職員定数の改善、支援スタッフの充実、学校のDXの推進など、こういったものを総合的に取り組んでいるところでございまして、引き続きこれらの取組を進めてまいりたいと考えております。

日下分科員 ありがとうございます。

 昨年夏にも、永岡文科大臣の方から大変力強いメッセージを全国に対して発出をしていただいておりまして、かなりこうした取組が進むというように思います。また、期待しているのですが。

 また、これから新学期が始まって、現状がどうなっているのかということも踏まえて、更なる後押しをお願いしたいというふうに思います。

 私は、生徒が、学ぶということの面白ささえつかめば、好奇心と達成感でどんどん学び、吸収していけると考えております。

 学ぶ基本の力、表現する基本の力をつけること、そして、外に飛び出して、様々な仕事や郷土や地域社会、世界との結びつきを知るなどの社会性、また、感動や共感、そして、人を思いやる力など、人間性を育む教育が求められていると感じます。

 最近は、細かな知識、情報はネットですぐに調べることができる時代です。今後はこれまで以上に基本を身につける教育、考える力を身につける教育こそに力を注いでいただきたいと要望させていただきます。

 子供たちに学ぶ力、生き抜く力を与え、育む教員を守り、新たな教員のなり手を増やしていくには、教育の面白さをもっと追求できる時間と環境を整えることだと思います。

 具体的に言えることは、教員の仕事の総量を削減することだと思います。

 いわゆる三分類の取組によって、これも公明党が教員の負担軽減に向け推進してきた取組でございますが、必ずしも教師が担わなくてもよい業務をいかに減らしていくことができるか、この集中改革期間の三年間で、例えば一割削減、五年で二割削減など、将来の予見性を高めることも必要だと思います。そうすれば、これから教師を目指そうかどうしようかと思っている人たちも戻ってこれるのではないかというふうにも思います。

 文科省の所見をお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、学校における働き方改革の推進に向け、平成三十一年の中教審答申で示されました学校、教師が担う業務に係る三分類に基づき、業務の考え方を明確にした上で、役割分担や適正化を進めてまいっております。

 この三分類に基づく業務の見直しについては、全体的に順調な取組が進んでいる一方で、自治体間の取組状況の差も見られ、取組を更に加速すべき状況であるというふうに認識しております。

 昨年八月には、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体が自分事としてその権限と責任に基づき主体的に取り組むことが重要との認識の下、実効性向上を高めるため、各主体の具体的な役割等を整理した対応策の例を示すとともに、文科大臣からもメッセージを発出し、取組の徹底を促してまいっております。

 文科省といたしましては、引き続き、学校における働き方改革の取組状況についてのフォローアップや好事例の展開等を通じて、働き方改革の更なる加速化を図ってまいりたいと考えております。

日下分科員 ありがとうございます。

 私もあのメッセージを拝見いたしましたが、本当に地域社会に対しても、保護者の皆さん、また、地域の自治体、自治会、それぞれに対するメッセージも含まれておりまして、大変重要なことだというふうに思いますが、これがやはり前に、現実に進まないと、いつまでたっても教師の負担は変わっていかないということもございますので、もう様々、打てる手はしっかり打ちながら進めていただきたいというふうに思います。

 先ほど教員の昼休憩や持ち帰り仕事など、学校現場が抱える課題を述べましたが、休憩時間も含め、教員が生徒と向き合いながら過ごすべき時間に、すぐに対応を迫るような保護者からの電話や地域からの電話がかかってきて、その対応に神経をすり減らしてしまうことが少なくないと聞いております。

 私も長年、事務仕事をしておりましたので分かりますが、ややこしい苦情電話がかかってくると、業務が中断され、落ち込んだり、一日中もやもや感がつきまとうということがございました。

 教員の場合、生徒と向き合うことが第一義的に大切でございます。そうした電話対応、初期対応を行える、少々スキルは必要だと思いますが、そういう支援スタッフ、電話対応オペレーターみたいなものを是非導入してほしいという声も伺っております。

 各学校の支援スタッフに受け持っていただけるのか、また、新たに導入するかは別として、是非考えていただきたい、また、現場の声を一度しっかり吸い上げていただきたいというふうに思います。文科省の御見解をお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお話がございましたとおり、教師が安心して本務に集中する、志を高く、誇りを持って子供に向き合うことができるようにするため、教師を取り巻く環境整備の推進が重要だと考えております。

 一般的な電話や来客対応については、今御指摘のございました教員業務支援員が担うことで教師の負担の軽減が可能というふうに考えておりまして、その配置充実に向け、令和六年度予算案には、全ての小中学校への配置に必要な経費を盛り込んだところでございます。

 また、保護者等からの過剰な苦情など学校のみでは解決が難しい事案につきましては、行政による支援体制の構築が必要との認識の下、新たなモデル事業を開始予定でございます。

 教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

日下分科員 ありがとうございます。

 教師が向き合う時間、夕方までとしたら、その時間内にかかってくる電話は業務が終わってからかけ直させていただくとか、それはやはり中継ぎがどうしても必要になってくるんですね。そうしたら、ずっと生徒と向き合いながら、しっかりと集中して、そういう授業も、対応もできると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、読書活動の推進について質問いたします。

 先ほど、学ぶことの面白さをつかむということを申し上げましたが、読書も同じだと思います。自身にとって未知なるものを、こんなに広い世界があるんだ、深い世界があるんだ、自分と同じ悩みや苦しみを乗り越えた人たちがいるんだ、親や教師も教えられない経験や発見を自分の宝に、また、翼にしていくことができます。後々に至るまで、計り知れない財産になっていくものと実感しております。

 私は、小さいときからとにかく外で遊ぶのが大好きで、基本的に読書というのが性に合わない、苦手、嫌いというか、何の意味があるのかというぐらいの少年でした。高校の卒業前に友人から、面白いからと薦めてくれた吉川英治氏の「宮本武蔵」全六巻、こんな分厚い本をいただきまして、手渡されて、非常に困惑しながら、進学までまだ時間があるから読んでみようということで読み始めると、これが止まらず、時間はかかりましたが、一気に読んでしまいました。中学生のときにこうした小説に出会っていれば、高校三年間はもっと違ったものになっていたなというふうに、読者の持つ力に驚いた覚えがあります。

 その後は、国内外の様々な小説に引き込まれ、心の世界を広げながら、また、小さな自分というものに気づき、また、勇気や希望をもらってきたということでございます。

 公明党は、これまで子供の読書活動、読書運動を先頭に立って推進し、平成十三年に子どもの読書活動の推進に関する法律ができ、五年ごとに基本計画が見直され、現在、第五次に入っております。法施行当初の二、三年は、一か月の間、一冊も本を読まない不読率はぐっと減少したものの、その後は横ばい傾向、しかしながら、一月の平均読書冊数は、その当時から、小中では倍増、高校で一・五倍に増えております。読む楽しさを知った子はどんどん読むし、読まない子はなかなか読まないということだと思います。

 現在の計画の基本方針には、不読率の低減や多様な子供たちの読書機会の確保、子供の視点に立った読書活動の推進などが挙げられておりますが、私は、それぞれの生徒と本とのマッチングが一番大切だと思います。その子に合った本、必要な本をいかに提案していけるか、薦めていけるか、読書好きになるかどうかの分岐点になっていくと思います。

 私は友人からでしたが、教師から渡された一冊の本との出会いがその人の人生を大きく変えることだってございます。生徒の個性を一番理解している教師が、その子に合った、そういった良書というか本を推薦してあげるというのが一番いいと思うんですが、またこうしていくと教師の負担が増えてしまいますので、これも、教師を始め、学校司書を始め、地域の図書館等との連携を図りながら、読書コンシェルジュ的な役割をしていただける方々を増やし、更なる読書活動の底上げを図っていただきたい。また、快適で親しみやすい学校図書館の環境整備についても要望いたしますが、大臣の御所見をお伺いします。

盛山国務大臣 私も本を読むのは嫌いでしたし、作文はもっと嫌いでございましたが、それでも、あるきっかけで、「ドリトル先生航海記」だったと思いますけれども、これを読んで、それから本が面白くなった記憶がございます。

 子供の読書活動は、言葉を学ぶだけではなく、感性を磨き、表現力を高めることで、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであり、社会全体で積極的にそのための環境の整備を推進していくことが重要と考えています。

 このため、政府においては、令和五年度からの五か年を計画期間とする第五次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画を策定し、基本的方針として、不読率の低減や多様な子供たちの読書機会の確保、子供の視点に立った読書活動の推進などを掲げ、関係の施策に取り組んでいるところです。

 この計画においては、子供の読書活動を推進するため、司書教諭を含む教師や学校司書、司書、ボランティアなど、様々な機関や人々の連携協力を得ながら、社会全体で取り組むこととしています。

 また、子供たちに読書の魅力を伝える学校司書等の人材配置や身近な学校図書館の環境整備が重要であり、特に、学校司書の配置拡充を含む学校図書館の整備充実については、令和四年度からの第六次学校図書館図書整備等五か年計画において地方財政措置を講じているところです。

 文部科学省としては、引き続き、学校司書の果たす役割の重要性を周知するなどし、学校司書の配置拡充を促進するとともに、読書を取り巻く関係機関等との連携協力を図りながら、子供の読書活動の推進に取り組んでまいります。

日下分科員 ありがとうございます。

 特に学校図書館ですね、私も余り行った覚えがないのでございますけれども、やはり、子供に居場所をしっかり提供する、快適な、ここにいると安心だ、いろいろなものに触れられる、また、いろいろな読書についてのアドバイス等も受けられる、そういうふうな生徒にとってのオアシス的な空間になる、そういうふうな図書館を是非目指していただきたいというふうに思います。

 最後に、中学校の保健体育で必修になっている武道についての質問をさせていただきます。

 私は、小中学校時代は野球、高校時代は柔道部で汗を流してまいりました。スポーツからは、体を鍛え、技術を高めるほか、対人関係やチームワークなど、実に多くの大切なことを教えてもらったと実感しております。

 この二年ほどは地元の柔道場の初稽古に参加をさせていただいておりまして、そこでは、保育園児から高校生、社会人までが一緒に稽古に励んでおります。不登校児や発達障害の児童も受け入れているのですが、館長を始め指導員も、子や親の相談に親身に乗りながら登校できるようにしていく、そして、昔、不登校だった子供が社会人になって、今の不登校の子供を指導しているという成長の連鎖も生まれ、毎年一、二名の子供が学校に行けるようになっていると聞いております。

 では、なぜ柔道なのかということでございますが、武道には共通する部分であると思うのですが、一対一の闘技であること。どれぐらい強いのか分からない相手に勇気を出して踏み出していく、小学生、低学年の子が勇気を持って踏み出していく姿を見てまさに実感するわけでございますけれども、勝負を懸けてつかみ合うわけです。相手が大きいと怖いものですが、どのように倒すか短時間のうちに自分で考え、苦手意識に挑戦していかなければなりません。

 また、武道は、相手がいて初めて自分がいる。自分のことを思いやる気持ちも、相手のことを思いやる気持ちも教えられ、育まれていきます。

 館長いわく、不登校の子供たちは、対人恐怖症というか、人に対する苦手意識が先に立ってしまう。そうしたものが、柔道を通して、勇気を出して取っ組み合っていくうちに相手が怖くなくなっていくといいます。自分の力を知り、相手の力を知る。究極のリアルとスキンシップの世界、競技だというふうに思います。今、ゲームやSNSなどバーチャルな空間とは対極的な世界であるとも、そこに参加して改めて実感をするところでございます。

 勝ち負けについても、自分以外に責任を転嫁できない。勝てば勝ちなんだけれども、負けたら完全に自分の負け。野球とかほかのスポーツではちょっとない、一対一の勝負、しかもつかみ合いの勝負ということでございまして、ほかには転嫁できない、そういう厳しさがあると同時に、勝ちにも勝ち方があり、負けるにも、自分には負けなかった、一歩も引かなかったという称賛すべき負け方もございます。

 平成二十四年から中学校では武道は必修化されており、外部指導者の活用等を行う武道推進モデル校も指定されていると聞いておりますが、この時代だからこそ、礼節や伝統を学ぶとともに、こうした大切な意義を持つ武道指導の中身の充実を一層図っていただきたい、また地域における武道の振興についても要望したいと思いますが、盛山文科大臣の御所見をお伺いします。

盛山国務大臣 私は中学校で、必修で、うちの場合には柔道でございましたけれども、週一こまやらされました。やらされたというのは、私、小柄で、いつも投げ飛ばされてばかりだったものですから。その当時は、柔道というか、武道のよさというのを余りよく認識できませんでした。

 しかしながら、今は、武道は、我が国が世界に誇る歴史と伝統に培われた日本文化であり、心技体を一体として鍛え、礼節を重んじ、相手を思いやる気持ちを養うなど、豊かな人間形成に資するものであると考えております。

 文部科学省では、学習指導要領の改訂により、平成二十四年度から中学校で武道を必修とするとともに、武道指導の充実に向けて、外部指導者の活用や指導者向けの講習会の実施などの取組を進めてきたところです。

 具体的には、令和五年度は武道推進モデル校として中学校百三十二校を指定して、保健体育における多様な武道種目の実施や外部指導者の活用などの実践研究を実施しております。また、武道関係団体と連携し、武道指導者の養成講習会の実施や指導ガイドブックの作成などにも取り組んでいるところです。

 御指摘のように、子供たちが武道を通じて多くのことを学び、多くの学びを得て、心身ともに力強く成長していくことができるよう、引き続き、教育委員会や武道関係団体とも連携しながら、武道指導の充実や地域の武道振興に取り組んでまいりたいと考えています。

日下分科員 ありがとうございます。

 恐らく、中学校の必修化といっても、何こまか、練習というか、その授業に参加して指導を受けるということだと思うんですが、今私が申し上げたようなことを、教師の方がにわかに勉強して伝えられるものって、非常に、どうでしょう、大丈夫かなという感じがあります。

 私も、授業で習ったときにはこのような話は余り聞かなかったです。受け身の仕方とか簡単な動作、そういったものを学ぶということで、本来の武道の奥深さというか、そういったことはなかなかなかったものでございますので、こうしたことを、やはり、地域の外部指導者をしっかり学校に招いて、そして、限られた時間の中で、大切なものですね、考え方、また厳しさ、礼節、そういったものを伝えられる機会を是非持っていただければというふうに願っております。どうぞよろしくお願いします。

 時間はもう少しありますが、これにて終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

井出主査 これにて日下正喜君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 自由民主党の古川康でございます。

 質問に入ります前に、この度の能登半島地震で犠牲となられた皆様方に心から御冥福を申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。また、現地を含め、復旧復興に当たっておられる、災害対応をされている皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、質問に入ります。

 まず最初に、国指定重要無形民俗文化財の唐津曳山の行事の支援についてお尋ねをさせていただきます。

 唐津の曳山行事は、国の重要無形民俗文化財に指定をされています。平成二十八年にはユネスコ無形文化遺産にも指定をされたところでございます。

 私自身も、この唐津市に生まれ、小さい頃から曳山に乗り、曳山を曳き、曳山に育てられてまいりました。唐津くんちそのものは、十一月二日から四日までの三日間。私たちくんち関係者からいたしますと、一年がこの三日のためにあると言っても過言ではありません。逆の言い方もできます。この三日間のくんちのために、三百六十数日、いわばくんちのイブがあるようなものでもございます。

 この唐津くんちの曳山は、長いもので二百年を超える歴史を持ちます。木と紙と漆で作り上げられた近世、近代工芸の粋。当時は、地域の中に材料もあり、職人もいたために、地域において組立てをすることが可能であったようでありますが、それでも中には遠いところの技術を駆使して作られたものもあります。

 十三番山の水主町の鯱。この鯱の漆は、古くから輪島の職人さんの手によって塗られています。数年前にこの曳山の総修復が行われたときも、歴史に倣って、輪島の職人さんたちが唐津に来られ、そこで技術の粋を極めて漆を塗っていただきました。重要無形文化財である輪島塗。輪島の人が輪島の漆で輪島の技術で塗ったとしても、輪島で塗っていなくて唐津で塗ったものであるがゆえに輪島塗とは言えないと伺うところでございますが、間違いなく輪島の心と唐津の心が一つに溶け込んだものとなりました。

 お世話になった輪島塗の会社は、今回の震災で大きな被害を受けられました。今ようやく復旧に向けてお取組をいただくようになったと伺っておりますが、分業制によるきめ細かな役割分担によって初めて成り立つ仕事だとも伺っています。

 今回の震災に際して、水主町では、直ちに募金を行い、心のこもった義援金が少なくない金額集まってきておられると伺っているところでございまして、お一人お一人のお気持ちを大変ありがたく思うところでございます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 まずは、輪島塗についてでございます。輪島塗と申せば、重要無形文化財である輪島塗という側面と伝統的工芸品としての側面があるわけでございますが、ここでは伝統的工芸品としての輪島塗ということでお尋ねをいたします。

 今回の被害の状況はいかがなものでありましょうか。そして、それに対して国としてどのような支援を行っていただいておりますか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年能登半島地震におきます輪島塗関係者の被害は、建物損壊や輪島朝市通りでの火災による焼失など、大きな被害が発生しているものと認識いたしております。

 輪島塗は、能登地方の文化に根差した産業と雇用を支える重要な伝統産業でございまして、その事業継続や雇用維持を積極的に図ることが被災事業者を始めとする地域の方々の強い願いと認識いたしております。

 このため、輪島塗の再生と復興に向けましては、事業に不可欠な施設や設備の復旧に御活用いただけるなりわい補助金、事業再開に必要となる道具や原材料の確保を支援する伝統的工芸品産業支援補助金、被災事業者が仮設工房として活用できる集合型仮設施設の整備支援事業など、手厚い支援を講じております。

 引き続き、被災されました事業者の方々に寄り添い、きめ細やかに対応し、その再生を支援してまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 様々な補助金を駆使していただいて支援を行っているということでございまして、今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。

 また、重要無形文化財の保持団体としての輪島塗の支援というのは、今、実際に保持団体の皆様方が輪島から離れて別の場所で暮らしておられる、避難しておられるというようなこともあって、なかなか被害の状況がつかみ切れていないとも伺っているところでございます。必要な支援を必要な形でしていただきますよう、関係省庁を挙げて対応をお願い申し上げるところでございます。

 それでは、唐津くんちの曳山についてのお尋ねに移ります。

 唐津くんちの曳山については、その修復に要する経費について、これまで御支援をいただいているところでございます。どういう補助金で、補助率はどれくらいでありましょうか。そしてまた、総修復に十分な予算が、必要な予算が、確保しておりますでしょうか。お尋ねをいたします。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 唐津くんち曳山行事につきましては、先生御指摘のとおり、国の重要無形民俗文化財に指定されており、文化庁の民俗文化財伝承・活用等事業におきまして、行事で使用する曳山の修理に要する経費に対し、原則として総事業費の五〇%を補助する支援を行っているところでございます。

 この予算額につきましては、文化庁におきまして、毎年度、現地での協議等を通じて確認をし、所要の金額を措置しているところでございます。

 特に、本事業につきましては、本年一月に各都道府県を通じてヒアリングを実施してございまして、現時点におきまして、民俗文化財保存修理等に係る予算、御審議いただいている予算案には二億八千七百万円を盛り込ませていただいているところでございますが、その総枠の範囲内において、唐津くんちの曳山を含む各団体からの御要望に対応することができると考えているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 関係の都道府県から本年一月にヒアリングをしていただいているということ、そして、総額で二億八千七百万円の予算を確保していただいているということ、こうしたことを通じて、唐津くんちを始めとする関係の団体に対する必要な予算としては確保されているということのお話であったかと思います。ありがとうございます。

 そこで、大臣、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 こうして毎年予算措置をしていただいているところでございまして、大変ありがたいわけでございますが、一方で、御多分に漏れず、諸物価が上がっていく中で、この修復に要する費用というものも残念なことに高騰が続いております。特に、伝統文化に関するものというのは、物を調達することも難しくなりつつある、あるいは、ワシントン条約などなどによりまして非常に難しいというような要素も出てきておりまして、かつてに比べると、近年、必要としている金額がどうしても大きくなりつつあるという声を聞くところでございます。

 こうした状況に対しても、予算はしっかり確保できていると言えるのでありましょうか。すなわち、先ほど、予算は確保しているというところでございましたけれども、地元から上がってくる要望が削られて削られてその上に予算が確保されているということなのか、それとも、必要とされているものについてはしっかりと確保しているということなのか。今、総修復の費用が多額に及ぶことを思えば、こうした補助制度は大変ありがたいところではあるんですが、一方で、この制度がなくならないのか、あるいは十分に確保できなくなるのではないか、こうしたことを不安視する声もございます。

 今後の予算確保についての大臣のお取組の決意をお願い申し上げます。

盛山国務大臣 重要無形民俗文化財に指定された文化財に対しては、その保存に要する経費の一部を補助できることが文化財保護法に定められており、文部科学省ではこれに基づいて予算措置を行っております。

 唐津くんちの曳山行事を含め各地の民俗文化財が適切に保存されるよう、先ほど、物価の高騰ですとか材料がなかなか入手しづらい、そんなお話も伺いましたけれども、引き続き、関係者の要望等も伺いながら、これらの支援に必要な予算の確保にしっかり取り組んでまいる所存です。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 大変力強い御答弁をいただくことができました。大臣、ありがとうございます。

 ちなみに、この唐津くんちの行事に対して、歴代の文化庁長官が唐津くんちを御覧になるためにお越しいただいているところでございます。都倉文化庁長官も、十一月の上旬といえば文化の日の行事などもあって大変お忙しいこととは思いますが、是非ともお出かけ賜りたいと大臣からも一言お声がけいただければ大変ありがたく存ずるところでございます。

 これ以上文部科学大臣に通告はございませんので、大臣におかれては、どうか御退席ください。ありがとうございました。

井出主査 それでは、大臣は御退席お願いいたします。

 引き続き、古川康君。

古川(康)分科員 次に、栄養教諭の確保の問題についてお尋ねをさせていただきます。

 学校教育法第三十七条に教職員の配置に関する規定がございまして、第一項が必置義務、必ず置かなければならない義務、第二項が置くことができる規定になっています。そして、この置くことができる規定の中に栄養教諭が挙げられています。逆に言えば、栄養教諭は必ずしも置く必要がないという規定ぶりになっているということであります。

 以前このことをお尋ねしたときに、地方分権の趣旨と、そもそも学校給食自体が義務とはされていないからという御答弁をいただきました。それを踏まえてお尋ね申し上げます。

 最近の数字で、学校給食が実施されている公立の小中学校の割合を教えてください。そして、その割合は近年どのように変化をしているのでありましょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度に完全給食を実施している学校の割合は、公立小学校において九九・四%、公立中学校において九六・一%となっており、近年いずれも増加傾向にございますが、特に、比較的実施率の低かった中学校において、三年前の前回調査と比べて約三ポイント上昇したところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 いずれも九〇%後半の数値ということで、非常に高い実施率を示しております。確かに、法律上の必置義務、あるいは法律上、学校給食を必ず実施しなければならないということではないにせよ、現実としてはこうしてほとんどの小中学校で学校給食が実施をされているということかと思います。

 それでは、栄養教諭が配置されている学校、配置されていない学校、この配置率というのはどれぐらいになるでしょうか。そして、この割合は近年どのように変化しているのかもお示しください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度に完全給食を実施している学校において、これは栄養教諭と学校栄養職員を合計した教職員の配置率でございますが、公立義務教育諸学校において三七・九%となっており、配置数は増加傾向にある一方、配置率はおおむね横ばいとなっているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 三七・九%。つまり、学校給食を実施している率は一〇〇%近い中で、栄養教諭等、栄養教諭と学校栄養職員を合計した数字でも四割に達していないということであろうかと思います。

 それでは、更にお伺いしますが、栄養教諭等というもののうち栄養教諭の占める割合は何%でしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年現在、五九・四%となっております。

 なお、栄養教諭の配置数は、平成十七年の創設以来、年々増加傾向にはございますが、その配置の状況には地域差があると承知しております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 学校給食そして食育、こうしたことに責任を持って教育を実施している栄養教諭というものについて、数字そのものは上がっているけれども、地域によってかなり違いがある、差があるということを御答弁いただきました。

 そこで、ちょっと観点を変えますが、食育というものについて政府としてこれからどのような取組をしようとしているのかということについて、お尋ねをいたしたく存じます。

 今国会に食料・農業・農村基本法の改正法案が提出される予定になっています。この法律は、農政の憲法とでもいうべき大変重い法律でございます。まだ法案が提出されておりませんので、法案の中身そのものについてお尋ねすることはできませんが、今回の法案の提出に当たって、食育に関して農林水産省としてどのような取組をしようとしているのか、お尋ねをいたします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 現在、都市化や農村人口の減少等により食と農との距離が遠くなり、農業や農村に対する国民の意識、関心が薄くなっている中で、世界的な人口増加等に伴う食料需要の拡大や気候変動による食料生産の不安定化等により食料安全保障上のリスクが高まってきております。

 こうした状況の中、今後とも食料供給の持続性を確保していくためには、農業の生産から加工、流通を通じ消費者に届くまでの過程やその課題に対する国民の理解を醸成していくとともに、消費者がより主体的に持続的な食料供給に寄与していくことが重要でございます。

 このため、こうした食料・農業・農村基本法の見直しにおける議論を踏まえまして、国民理解の醸成を更に図るため、子供から大人までの世代を通じた農業体験等の食育を官民が協働して幅広く進めることとしております。

 具体的には、引き続き、食育推進全国大会や食育活動表彰等を通じて食育活動の全国的な普及啓発に取り組むほか、農林漁業体験や学校給食等での食育の充実強化により重きを置いて、各地域での食育活動を支援することとしております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 様々な場面において食育をしっかりと充実をさせていくという大きな方針を示していただきました。

 誰もが、食べるものでしか自分の体と健康を維持していくことはできません。そのことを子供の時代からしっかりと教育の場でも教えていくこと、体験させていくこと、このことによって農業に対する理解も広がります。また、世界情勢に対する理解も広がっていくかもしれません。何より、自分の体を形作っていく食料というものに対する思い、敬意、そういったものもしっかりと身につけることができるのではないかと私は考えます。

 そうしたことを考えたときに、私は、本来、学校に、栄養や給食のことについて専門的な知識を有するだけでなく、食育についてもその責任を果たすことのできる栄養教諭が配置されるべきであると考えています。学校栄養教諭の配置の向上に向けてどのように取組をされようとしているのか、お尋ねをいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 食を取り巻く社会環境が大きく変化し、児童生徒の食に関する健康上の諸課題が多様化する中、栄養教諭は、学校給食の管理のほか、教科等における食に関する指導や、その専門性を生かし、食物アレルギーや肥満、痩せ等の食に関する健康課題を持つ児童生徒への個別指導を行うなど、学校における食育を推進する上で重要な役割を果たしております。

 このため、文部科学省におきましては、栄養教諭等の教職員定数について、これまでも配置基準の引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたほか、近年では、児童生徒に対する食の指導の充実等のための栄養教諭等の加配措置を行っておりまして、令和六年度予算案においても改善分を計上しているところでございます。

 また、複雑化、多様化する現代的健康課題を抱える児童生徒等に対しよりきめ細かな支援を実施するため、栄養教諭の資格を有する者等を活用いたしまして、複数校を兼務している栄養教諭を支援する体制の強化などを図る事業を実施しておりまして、令和六年度予算案においても支援の拡充を行うこととしております。

 このほか、栄養教諭の職務の明確化、資質向上、能力の向上を図り、任命権者である都道府県教委等に対し、新規採用や学校栄養職員から栄養教諭への任用替え促進を働きかけているところでございます。

 引き続き、学校における食育の充実に向け、栄養教諭の配置の促進に努めてまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 まさに、そういう方向にとって配置の充実が図られんことを心から願うところでございます。

 最近、食の状況が変わってきているという御答弁がございましたが、例えばアレルギーを持つ子供の数というのは残念なことに増えてきております。例えば、卵アレルギーがあるといっても、卵そのものが駄目な子もいれば、てんぷらに含まれている卵の成分だけでも駄目という子供もいます。そういう個々の子供の食の状況に応じた形で学校給食を提供していくというのは、簡単なことではありません。まさに、そこに専門性が必要とされるという現場からの声というのもあります。どうか御理解のほどお願い申し上げる次第であります。

 さて、最後の質問になりますが、テーマになりますが、高等専門学校、高専についてお尋ねをいたします。

 高等専門学校、これは高等教育の一つとしての学校のことであります。高校とどう違うのかというと、様々な違いはありますが、一言で申し上げれば、例えば、そこで教える先生というのは、教諭ではなく教授を始めとする先生方が教えていただくということで、まさに大学と同じような先生方が教えていただけるということでありますし、そこで学ぶ人たちも生徒ではなく学生ということであります。五年間しっかりとしたことを学び、五年後には実社会に出る人もいれば、更なる教育を求めて進学する人もいらっしゃる、こうした存在でございます。

 今、高等専門学校、高専の果たすべき役割と期待される事柄について、まずお尋ねをいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 高等専門学校は、中学校卒業程度の学生を対象にした五年一貫の専門教育を展開することで、実践的、創造的な技術者を養成、輩出してきており、国内外から高い評価を受けているという状況にございます。近年では、高専生が持つ高い技術力や自由な発想力を踏まえ、半導体や蓄電池などの社会的要請が高い分野における人材育成や、イノベーション創出により社会課題の解決に貢献する人材育成への期待が高まっていると考えております。

 文部科学省では、令和六年度予算案におきまして、国立高専機構運営費交付金に関し前年度比一億円増の六百二十九億円を計上しており、その中で、半導体や蓄電池等成長分野における技術者育成やアントレプレナーシップ教育の強化といった教育の高度化などを図ることとしております。

 引き続き、高専の更なる高度化を推進し、社会ニーズを踏まえた実践的技術者を社会に送り出してまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 そういう高い期待がある中、今、特に半導体関連では、熊本にTSMCが立地するなど、半導体関連の事業所の立地が進んでおります。先日、その工場の開所式が行われまして、創業者のモリス・チャン氏も来られました。齋藤経済産業大臣も御出席をいただいたところでございまして、非常に期待感の高さを感じたところでございます。

 このTSMCの工場の運営会社はJASMという会社でございますが、この会社の堀田社長は佐世保高専の卒業生であります。ここでも高専の卒業生が大変活躍をされていることがうかがわれて私もうれしく思いましたし、また、母校を訪問されたときの学生諸君の感想を聞いても、非常に力強い反応があったと思っているところでございます。

 今、九州は半導体ブームということになっております。地域の人材育成、確保のために様々な取組が行われていると伺っておりますが、具体的にどのようなことが行われているのか、お示しをいただければ。そして、その中で高専はどのような役割を果たしておりますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 九州地域におきましては、経済産業省を中心に、文部科学省を含む関係省庁が連携して、令和四年三月に産業界、教育機関、行政機関等による九州半導体人材育成等コンソーシアムが設立され、半導体分野の人材育成、確保等に向けた議論、取組が行われていると承知しております。

 このコンソーシアムにおける検討内容も踏まえつつ、例えば、佐世保高専や熊本高専におきましては、産業界との意見交換や、産業界からの講師派遣による半導体に特化した科目の創設や、小中学生を対象とした半導体に関する出前授業などに取り組んでおります。また、こうした先導的な取組については国立高専機構が中心となって全国の他の高専にも展開を図っており、全国の高専生が半導体に関する様々な知識、スキルを習得できる仕組みの構築を図っております。

 引き続き、高専における技術者教育の知見を最大限活用し、地元産業界等のニーズを踏まえた半導体人材の育成という役割を積極的に果たしてまいります。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 まさに、高専に対する期待感は極めて大きなものがあるということを改めて感じるところでございます。

 高専については、そのように国内でも大きな期待があり、さらには、最近では、海外におきましても、日本式の、アルファベットで書くKOSENができつつあると伺っているところでございます。このように、いわばソフトの輸出というようなことが行われていて、日本の発展の秘訣として高専の存在が捉えられているものと思うところでございます。

 こうした世界展開が始まっている高専でありますが、一方で、残念なことに、日本国内に高専が設置されていない地域もまた存在するのも事実であり、佐賀県もその一つであります。佐賀県の中でも、高専空白県としてこの空白を埋めるべく様々な議論や勉強が行われているところでございますが、その空白県の一つであった滋賀県で、高専設置について具体的な動きが見られると伺っております。

 滋賀県では県立高専になると伺っていますが、その経緯と現在の状況について教えてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高専の未設置県が現在五県ございますけれども、このうちの滋賀県におきましては県立高専の設置に向けた検討が進んでおります。

 これは、令和元年度に高等専門人材の育成に向けた検討会が設けられ、令和三年二月に取りまとめられた中間まとめ二〇二〇におきまして、「工業系の教育機関は様々だが、「高等専門人材」の育成には、これまで本県になかった「高等専門学校」が最も適している」とされ、それ以降、高等専門学校の設置に向けた具体的な検討が行われまして、令和四年三月には、「令和の時代の滋賀の高専」構想骨子が策定され、公立大学法人滋賀県立大学が設置主体となり運営する方針などが示されておりまして、現在、令和十年度の高専設置に向けて構想の具体化に取り組んでいると承知しております。

 文部科学省といたしましても、滋賀県立高専の構想がよりよいものとなることを期待しており、設置に向けた相談、助言なども含め、引き続き支援してまいります。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 令和の時代にふさわしい県立高専ができることを心から御期待申し上げ、私の質問の締めとさせていただきます。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井出主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木英敬君。

鈴木(英)分科員 自民党の鈴木英敬でございます。

 今日は、質問の機会をありがとうございます。

 まずは、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りし、被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。一日も早い復興を願い、我々もしっかりと力を尽くしたいと思います。

 盛山大臣におかれましては、大学共通テストのこと、あるいは千五百台の端末を貸与いただくこと、様々、矢継ぎ早にリーダーシップを取っていただいて、被災地の子供たちの学びの継続、また文化財の復旧、そういうことに大変御尽力をいただいておりますことに心から敬意と感謝を申し上げたいと思っておりますし、また引き続きの、子供たちの学びの継続、文化財の振興のために御尽力を賜りますことを心からお願いを申し上げたいと思います。

 私は、今日は大変感慨深い思いで、高校の大先輩の盛山大臣に質問をさせていただく、先ほど午前中に柔道が必修であると言っていたあの学校ですけれども、でありますので、今日は大変感慨深い思いでやらせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今日は、テーマとして教育DX、ほぼ全部、一問を除いて全部、この教育DXの話で質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、情報教育の在り方についてであります。

 生成AIの台頭など、テクノロジー環境が目まぐるしく変化する中、情報技術を使いこなせるようになることは、次世代の子供たちにとって必須条件です。そのため、我が国における情報教育の一層の強化充実が必要不可欠であります。

 その強化に当たりましては、人、物、事。人というのは指導者の育成や外部人材の活用、物というのはGIGA端末の継続的整備や通信環境の更なる強化、これらに加えて、事というのはまさにこの情報教育のコンテンツを含めた抜本的強化充実について徹底的に検討し、やっていく必要があると考えております。

 現在、文科省におきましては、二〇二七年から二〇二九年の学習指導要領の改訂に向けて準備を進めていただいていると認識をしております。

 御案内のとおり、学習指導要領は十年に一回のペースで改訂をされますので、今回のタイミングで情報教育の強化充実を逃してしまったり、あるいは中途半端な改訂になってしまったら、これはちょうど二〇四〇年頃に情報教育がどういうところに到達しているかということを目指して今回改訂するわけでありますので、極めて重要な改訂であると思っておりますし、日本の子供たちのそういう情報技術が他国と比較して低位になってしまったり、場合によっては、結果として我が国経済社会の低迷、あるいは有為な人材の海外流出、こういうことにつながりかねないというふうに思っておりますので、こういう大いなる危機感と、情報教育が子供たちに新たな夢や希望を与えることができる、そういう可能性もある、この両方を意識して、大人の責任として取組を進めていかなければならない、そんな思いであります。

 世界トップレベルの情報教育の実現を目指すという観点からは、今般の学習指導要領の改訂は大変大きなチャンスであります。そういう観点から、文科省に、どういうふうに取り組むかを順次お聞きしたいと思います。

 まずは、今、私は問題意識を申し上げさせていただきましたけれども、文科省として、現在の情報教育の課題をどのように認識をしているか。学習指導要領は小中高に分かれていますし、教育に当たっては、発達段階というのを極めて重視して留意しないといけないと思っていますので、できれば小中高に分けて、課題の認識を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学習指導要領は令和二年度から順次実施されておりますけれども、例えば、小学校では、自治体間、学校間でプログラミング教育の取組に差が出ている、キーボードによる文字入力が十分にできていない児童が一定数見られる。中学校では、プログラミングに必要な教材が十分に整備されていない自治体がある。中学校、高校では、技術や情報の免許保有者の割合が少ない県がある。フェイクニュースなども広がる中、小中高を問わず、メディアリテラシーの育成に係る取組に差が見られる。こういったような課題があると認識しております。

 情報モラル教育を含め、現行学習指導要領の着実な実施による情報活用能力の確実な育成を目指し、こうした格差の解消に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 局長がおっしゃっていただいたとおりだと思いますし、また、私が現場の方々とか関係する方々から聞くと、やはり小学校だと独立した時間が情報教育としてないので、いろいろな教科に分散をしてしまっているということ、あるいは、中学校では、例えば、全体ではないですけれども、三年間で二十時間から三十時間程度しかない、技術・家庭の中に入っているというような状況とか、高校では、少し座学中心で消化不良になっているのではないか、定性的な御意見ですので、全体的な課題ということではないかもしれませんけれども、そういう声もあるというようなことでありますので、今後、それらの課題を克服して、先ほど申し上げた世界トップレベルの情報教育になっていくように、そして子供たちに夢と希望を与える、そういう可能性を開く、そういう学習指導要領の改訂にしていかなければなりません。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思います。

 この秋にも中教審への諮問が想定される学習指導要領の改訂に当たりまして、文科省として、情報教育について、現時点で結構でありますけれども、どういう議論を期待するのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。

盛山国務大臣 学習指導要領の改訂につきましては、文部科学大臣から中央教育審議会への諮問に基づき、専門的な見地から御審議いただくものであり、その具体的な方向性について現時点でお答えすることは控えたいと思いますが、デジタル技術が社会を大きく変えていく世の中にあって、こうした社会を生き抜く資質、能力をしっかり育てていく視点から議論を行っていくことは当然必要になるものと考えております。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 是非、大臣がおっしゃっていただいたような、こういう時代を生き抜いていく能力や資質、それを養うための過程が発達段階においてどういうふうにやっていけばいいのか、充実した議論が中教審において行われるように、文科省からもしっかりと諮問をしていただき、議論を共にやっていただければと思います。

 大臣におかれましては、これ以上大臣への通告はございませんので、感慨深い時間をいただき、ありがとうございました、退席していただいて結構でございます。

井出主査 盛山大臣、退席していただいて結構です。

鈴木(英)分科員 それでは、今から言う問いだけはちょっと教育DXと関係ないんですけれども、学習指導要領の話が出てきましたので、それに関連してお聞きしたいと思います。

 部活動の位置づけです。部活動の地域移行というのが議論が始まってきていて、現場でもまだまだ戸惑いとかがあったりするともよく聞きますし、改革推進期間というのが現在進められております。

 他方で、学習指導要領において、部活動は、生徒が自主的、自発的な参加により行われるというふうに位置づけられており、加えて、教育課程外とされているにもかかわらず、教育課程との関連が図られるよう留意と書いてあって、どうすればええねんという話もありますし、さらに、最後の方には、これは中学校のものですけれども、その他、地域の人々の協力などの運営上の工夫を行うようにともなっていて、じゃ、これは部活動の地域移行との関係でどう理解すればいいのかというようなこともあると思います。

 そこで、今回の学習指導要領の改訂に向けまして、今後の部活動の、これは運動部だけじゃなくて文化部も含めて、主に運動部になろうかと思いますが、部活動のあるべき姿を見据えた上で、この位置づけを学習指導要領の改訂でしっかり議論する必要があると思っておりますが、これも諮問前でありますけれども、現時点における文科省、スポーツ庁の考え方をお聞きしたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年十二月に策定いたしました国のガイドライン、このガイドラインでは、令和五年度から七年度までを、今ほど御指摘がありました改革推進期間として位置づけまして、地域の実情等に応じて、休日の学校部活動の段階的な地域連携や地域クラブ活動への移行を進めているところでございます。

 このガイドラインを踏まえまして、地域クラブ活動の位置づけや学校との連携の在り方などを更に明確にするため、今後、国が行う実証事業の状況も踏まえながら、現行学習指導要領の解説にございます関連の記載の見直しを行いたいと思ってございます。

 また、加えまして、学校部活動につきましては、現行学習指導要領の総則に関連の記載が盛り込まれているところでございます。これは今ほど御指摘いただいたところでございます。

 今後の学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行の進捗状況、これについてしっかりと検証を行うこととしておりまして、そういった検証を踏まえて、次期改訂時に合わせてその見直しを検討してまいりたいというふうに思ってございます。

 いずれにいたしましても、文科省といたしましては、将来にわたり子供たちがスポーツや文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保するため、学校現場の声に寄り添いながら、この取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 茂里次長から、大変前向きな、よい答弁をいただきました。学習指導要領の改訂の前だけれども、解説のところをしっかり見直して、現場がしっかり取り組めるようにしていきたいということで、学習指導要領の改訂の前でもしっかり取り組んでいくということをおっしゃっていただいた上に、今の地域移行の状況を検証して、今後の見直しにつなげていきたいと大変よい答弁をいただいたと思います。

 部活動は、現行学習指導要領にも書いていますが、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養に資するものであるというふうに書いてあります。また、学校教育の一環であるとも書いてあります。

 どうか、そういう視点を育めるような形の見直し、改訂につながっていくようにしっかりとした議論をしたいと思いますし、我々もしっかり意見を述べていきたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、GIGAスクールについてお聞きしたいと思います。

 昨年の経済対策、令和五年度補正予算で、GIGAスクール構想実施のための複数年度にわたる基金が創設されたことは大いに評価をできると思います。これは、矢野局長を始め文科省関係者の皆さんの御努力に改めて心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 自治体では、来年、令和七年度以降、その更新がピークになって、どんどん進められていくわけであります、早いところは六年度からスタートしていくわけでありますけれども。基金の創設というのがあったことによって、自治体は財政面での予見可能性が高まるというようなこともありますし、また、メーカーにとって、ちょっと前は半導体不足なんかもありましたけれども、メーカーにとっては需要を見通せるということから、人員体制とかあるいは材料調達とか、そういうことに効率的に取り組むことができるというようなことで、非常に基金の創設というのはよかったのではないかと思います。

 また、今回、スケールメリットを生かす観点から、都道府県による共同調達を促進をするという方向性も打ち出されたこと、端末の単価を引き上げるという方向性も出されたこと、あるいは故障に備えた予備機もしっかり確保するということも言っていただいて、そういう辺りの予算を確保していただいたということは極めて重要で、評価されるべきだと思います。

 他方で、自治体によって指導者の端末の確保に差があったり、あるいは、端末利用の質的向上の観点からの学校のネットワークの速度とかそういうものの質の向上というところにおいて自治体間格差があったり、セキュリティーポリシーが策定されているところ、策定されていないところなどがあったりとか、数々の課題もまだやはり残るというふうに認識をしています。

 そこで、順次お聞きしていきたいと思います。

 まずは共同調達について、これは、確かに共同調達は望ましいんですけれども、自治体任せでは最適な状態にならない可能性がありますので、国がしっかりとサポートする必要があるというふうに考えております。

 共同調達実施に向けた流れと現在の準備状況についてお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 GIGA第二期における端末の共同調達につきましては、今後、都道府県における基金条例の制定、基金に対する国費の交付、共同調達会議の設置、共通仕様書の作成といった流れで進めていただく予定でございます。

 文部科学省では、端末更新の最低スペック基準や共同調達に係るガイドラインの策定とともに、都道府県の準備を支援するため、基金条例等の参考例をもう既にお示ししております。

 今後、地方公共団体からの個別の相談に丁寧に対応したり、必要に応じて国費によるアドバイザー派遣などを行うとともに、都道府県からの申請を受けて、国費を交付してまいります。

 また、本年四月には、地方公共団体における検討の一助とするため、端末メーカー等による提案の場として、デジタル庁との共催でピッチイベントを開催する予定でございます。

 以上でございます。

鈴木(英)分科員 よい形で進んでいると思います。

 先ほどの、デジタル庁との、メーカーも合わせたピッチイベントは非常によいと思いますし、基金条例の参考になるものも作っていただいているということ、それから、相談に丁寧にというふうにおっしゃっていただいた。まさにそうなんですね。共同調達を都道府県がやるにしても、既にそこの市町村の取組に結構差があったりとかするので、だから、かなりそれぞれ状況が多様だと思いますから、そこの相談に丁寧に乗っていただくというのは極めて重要なことだと思いますので、是非そういう方向でお願いをしたいと思います。

 続きまして、端末の単価引上げについてです。

 これは、人件費とか材料費とかが高騰しているということに対応するという側面もありますけれども、子供たちの学びにおける多様性や質の向上という観点から、端末のスペックを上げるということは大変重要であるというふうに考えております。

 今回の単価引上げによりまして、端末のスペックはどれぐらい上がるのか。多分、音で聞くと分かりにくいと思うので、分かりやすい答弁を是非よろしくお願いしたいと思います。

矢野政府参考人 この一月下旬に学習用コンピューター最低スペック基準をお示ししたところでございますが、この基準を前回の標準仕様と比較すると、主な向上箇所として、例えば、CPUの世代交代による約三〇%の性能向上、より高速かつ安定した通信規格であるWiFi6への対応、周辺機器としてタッチペンを追加、あと、インカメラとアウトカメラの両側のカメラを必須化、USB端子からの充電の可能化等が挙げられるというふうに考えております。

 以上です。

鈴木(英)分科員 大変重要なスペックアップだと思います。

 例えば、今のインカメラ、アウトカメラの必須なんかも、うちの息子は小学校五年生ですけれども、端末を使ってやっていますけれども、カメラを使ってそれぞれ個別の学習をすることも結構多いですから、そういうのが、隣の学校のところは、隣の市町村ではないけれども、こっちではあるみたいな、そういうふうに子供たちの学びに格差が出ないようにしてあげるという意味では、そういうふうなことをしっかり、必須であるというふうにしていただいているというのは極めて重要なことだと思います。ありがとうございます。

 続いて、自治体によって指導者の端末確保について差があるのではないかというふうに考えておりますけれども、その現状と格差解消に向けた文科省の取組についてお聞きしたいと思います。

矢野政府参考人 指導者の端末ということですね。

 令和四年八月時点の調査では、本務教員数に対する整備率が全国平均で一〇九・五%となっておりますが、その内訳を見ると、約六割の自治体で一人一台化が実現している一方、一人一台となっていない自治体も約四割ございました。

 指導者用端末の整備はGIGAスクール構想に基づく取組を進めるための前提条件であることから、今回の児童生徒用端末の更新に当たり、教員数分の指導者用端末を整備することを補助の要件としたところでございます。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。大変重要なところでありました。

 補助の要件としていただいたことは大変重要だと思います。私も、自治体で予算を編成する立場でありました。やはり子供たちのところは国でしっかり整備するけれども、指導者のところは自治体もしっかり頑張ってほしいということのメッセージをちゃんと出す必要があって、それを補助の要件化という形できっちりやっていただいているということは重要でありますので、またこれをしっかりフォローアップしていただいて、きっちり自治体でそれができているかどうか、ちゃんと見ていっていただければと思います。

 GIGAスクールの最後です。ネットワーク、ここが今回重要だと思っています。

 自治体で、ネットワークの速度とか容量、こういう通信環境も差があるんじゃないかと想定をしています。文科省として、こういう格差を解消する取組、あるいはアセスみたいなものをやっているのであれば、そういう取組も教えてほしいと思いますし、あと、目指すネットワーク環境のレベル、そのレベルを実現するための取組を是非教えていただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、GIGAスクール構想を円滑に進める観点から、一人当たり二メガbpsとの目安を示してきておりますけれども、令和四年九月に実施したサンプル調査におきましては、同時に半数の児童生徒が利用する場合にこの基準を満たした学校は四割弱にとどまっております。

 ネットワークの遅延の原因は様々であることから、適切なアセスメントが必要でございまして、このため、令和五年度補正予算で必要経費を補助する事業を盛り込んでおりまして、専門家による診断の実施を強く促しているところでございます。

 また、そもそも十分な回線契約が結ばれていないケースもございました。場合によっては、契約の見直しも必要となる場合があると考えております。

 文部科学省では、現在、全ての公立の小中高を対象として、通信速度や回線契約の実態を調査したデータを取りまとめているところでございまして、今後、学校規模ごとに必要となる通信帯域の基準を設定するとともに、調査結果に基づき、課題を可視化した資料を公表いたしまして、必要な改善方策を早急に検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 どれだけいい端末を作っても、学校の入口のところのネットワークが細ければ、その学校の生徒たちがいい使い方をできないわけですし、めっちゃいい教え方をしようかなと思っていた先生もそれができないということになりますから、入口の部分のネットワークを太くする、容量を大きくする、質を高めるというのは極めて重要でありますので、今局長がおっしゃっていただいた調査事業をしっかりやっていただいて、状況をきめ細かく確認していただいて、それを是非次の予算要求などにうまくつなげていって、全国で自治体間格差がなく、すなわち子供たちの格差がなく、しっかりGIGAスクールをやっていけるような、そんな形の環境整備を是非お願いをしたいと思いますし、我々も党の方からしっかり応援をしていきたいと思います。

 続いて、DXハイスクールです。

 今回、このDXハイスクールの事業ができたことは極めて重要です。これまで、小中はGIGAスクールをやって、大学や高専はデジタル人材育成のための予算があって定員も増やしたりできるというような形もやっている中で、高校のところだけすぽんと抜け落ちていたんですよね。そこを、今回、DXハイスクールという形で、DX人材の育成をシームレスにやっていくという観点から事業を入れていただいたことは極めて意義が大きいと思います。だからこそ、いい事業にしなければならないと思っています。

 まず、お聞きしたい一つ目は、これはハード整備だけに終わらせてはなりません。3Dプリンターができましたとか、そのハードが整備されたというだけでは駄目で、やはりソフト面、内容の充実というのが極めて重要だというふうに思っております。他方で、各都道府県教育委員会とかは、急な公募だったので、準備不足の可能性もあります。

 そういう意味で、ハード整備だけに終わらせず、内容も充実させる、そのための文科省の取組を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 全く御指摘のとおりだというふうに考えておりまして、DXハイスクールにつきましては、高等学校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成を抜本的に強化するための必要な事業でございまして、各学校の取組が充実したものになるようにしていくことが何よりも重要だ、ハードだけ整備されたらいいというものではないということを考えております。

 このため、交付申請依頼の前の段階から、教育委員会等に対して事業計画の検討を依頼することや、関係する大学や企業等にも説明するなど、円滑に準備が進められるよう、必要な取組を実施してきているところでございます。

 さらに、採択後も、大学や企業等との連携を促進していくことや、あるいは先進的な取組を横展開していくことを検討しているところでございまして、引き続き、本事業が充実した内容となるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鈴木(英)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 そして、このDXハイスクールでもう一つ、これは、今のところ、単年度事業なんですよね。単年度事業で終わらせてはならないと思っています。先ほども言いましたように、小中のGIGA、大学、高専のその他事業、高校だけ抜け落ちていたところを埋めて、シームレスにデジタルと携わっていく、あるいはその人材育成をしていくという観点からは、単年度事業では絶対あってはならないというふうに思っておりますので、今後につなげるための文科省としての努力、工夫というものを聞きたいと思います。

矢野政府参考人 これも全く御指摘のとおりだというふうに考えておりまして、各高等学校等におけるデジタル等成長分野を支える人材育成を抜本的に強化するための取組について、継続して推進していく必要があるというふうに考えております。

 このため、DXハイスクール事業におきまして、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムの実施、ICTを活用した文理横断的、探求的な学びの強化について、各学校に対して複数年度にわたる計画的な取組を求めているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、本事業による支援を各学校に十分御活用いただけるよう促していくとともに、昨年九月の緊急決議をいただいたように、複数年度をかけてこの取組を推進すべく更なる支援策の検討を進め、高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化を図ってまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 局長がおっしゃっていただいたとおり、是非、これでどういういい成功事例ができているのか、いい取組が始まっているのか、そういうことをしっかり把握していただいて、それを発信していくことで、単年度で終わらせてはならない、そういう機運をしっかりつくっていくことが大事だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、オンライン教育の推進についてお聞きしたいと思います。ちょっと二つあるものの順番を入れ替えて、後ろからいきたいと思います。

 オンライン教育は、学校での学びをより充実させるとともに、学びへのアクセスを保障するという観点から、学校や子供たちの実態に応じて積極的に活用することが重要だと思っています。

 活用の推進に当たっては、児童生徒等と教師、あるいは児童生徒同士が直接触れ合うということが基本である中で、そして、教育現場のICT化は教師数の合理化を目的として行われるものであっては決してならないということを踏まえる必要があると思っておりますし、特に、義務教育段階においては、教師が教室にいる一人一人に寄り添ってきめ細かな支援を行うために、教師が現場にいて、受け手も送り手もしっかり確認した上で授業を行うことが必要だと思っています。

 受信側の教師の配置についてお聞きしたいと思います。

 高校段階ぐらいになれば、多様な科目もありますし、生徒の多様な進路実現とかもある、それが困難になってはいけないので、教育上支障がないと考えられる場合は、一定の要件の下、職員の配置を、なしでもいいというような制度改正もやるという方向性が去年の年末に示されましたけれども、他方、義務教育段階は、学級マネジメントの観点とか、多様な子供たち、発達障害を抱えている子もいるかもしれません、あるいは外国人の子供たちもいるかもしれません、そういう子供たちの学びという観点から、やはり義務教育段階は受信側の教師配置が必須だと思っておりますので、その点について、文科省の考え方を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちの学びの充実やアクセスの保障のため、オンライン教育を積極的に活用すること自体は重要でございます。

 この推進に当たって、児童生徒等と教師等、児童生徒等同士が直接触れ合うことが基本であるということ、教育現場のICT化は教師数の合理化を目的として行われるものではない、こういうことを踏まえる必要があるというふうに考えております。特に、義務教育段階においては、先ほど委員から御指摘のございましたとおり、教師が教室にいる一人一人に寄り添ってきめ細かな支援を行うため、教師が現場にいて、受け手も送り手もしっかり確認した上で授業を行うことが必要であり、受信側における教師の配置は必須だというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、質の高い教育と児童生徒の安全、安心を前提に、学校現場の創意工夫によるオンライン教育の実施を後押ししてまいりたいと考えております。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 是非、その考え方を多くの皆さんに御理解いただけるように、文科省からもしっかり発信をしてほしいと思います。

 最後に、年末のデジタル行財政改革会議で示されました自治体における遠隔授業配信センターの整備の支援ということについて、現状と今後の進め方を教えてください。

矢野政府参考人 これは高等学校における遠隔授業についてでございますけれども、学校間で連携して実施する方式と、配信センターを置いて各学校に配信する方式がございまして、これまでの実証研究におきましては、学校間の時程の統一や配信側の教師の負担等の観点から、配信センターから各学校に配信する方式が円滑に実施しやすいという意見が多く出ているところでございます。

 このため、令和六年度の予算案におきまして、各学校・課程・学科の垣根を超える高等学校改革推進事業といたしまして、配信センターから遠隔教育等を実施する際、必要な機材整備や配信センターと各生徒の在籍校との間で連絡調整を行うスタッフの配置に係る費用などに対して支援を行うための経費を計上したところでございます。

 文科省としては、引き続き、いずれの高等学校におきましても生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びを実現し、全ての生徒の可能性を最大限引き出す、こういった観点から、遠隔授業の推進など、必要な取組を進めてまいります。

 以上です。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 終わりますが、教育DXは、是非、将来の可能性、子供たちの可能性を開くということで挑戦的、野心的にやってほしいと思いますし、一方で、格差が子供たちにしわ寄せが行かないようにきめ細かな対応、この両方を車の両輪としてしっかりやっていっていただきたいと思います。

 以上です。終わります。

井出主査 これにて鈴木英敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 国民民主党の鈴木義弘です。

 順次、質問をしていきたいと思います。

 まず一番目なんですけれども、これは古い資料になるんですが、OECDの国際成人力調査、PIAACというんですかね、第二回の調査が二〇二二年九月から二〇二三年三月にかけて行われていると聞きますし、それの調査結果が出るのは今年の十二月と聞き及んでいるので、古いデータしか手に入らなかったものですから。

 第一回の二〇一一年から一二年の調査結果では、日本人のおよそ三分の一は日本語が読めない、日本人の三分の一以上が小学校三、四年生以下の数的思考力しかない、三番目、パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は一割以下しかない、四番目、六十五歳以下の日本の労働力人口のうち、三人に一人がそもそもパソコンは使えない。更に驚くのは、この散々たる結果にかかわらず、全ての分野で日本人の成績は先進国で一位であったというものなんですね。

 OECD平均を基にPIAACの結果を要約すると、一番目、先進国の成人の約半分、四八・八%は簡単な文章が読めない、二番目、先進国の成人の半分以上、五二%は小学校三、四年生以下の数的思考力しかない、三番目、先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは二十人に一人、五・八%しかないという結果が示されたんですね。

 アメリカ教育省は、仕事に必要な成人のリテラシーを計測するために、一九八五年、一九九二年、二〇〇三年に大規模な調査を行って、文章リテラシー、図表リテラシー、計算リテラシーを、得点によって基礎未満、基礎、中級、優秀に分類して解析を行っています。

 日本でもPIAACの調査結果を基に成人のリテラシーを計測して、今の日本社会がどのような状況にあるのか把握した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、まず大臣にお尋ねしたいと思います。

盛山国務大臣 鈴木委員御指摘のとおり、アメリカにおきましては全米成人識字調査が複数回行われており、直近の二〇〇三年の調査では、文章リテラシー、図表リテラシー、数的リテラシーについての測定が実施されたと承知しております。

 成人のリテラシーについては、その後、OECDが二〇一一年から二〇一二年にかけて国際成人力調査、PIAACを行い、我が国やアメリカを含む三十三か国が参加しております。

 我が国は、読解力と数的思考力の二分野で平均点が参加国・地域中で第一位、ITを活用した問題解決能力についても中、上位の者の割合がOECD平均より有意に高い結果となっております。

 先ほど委員からも御指摘があったとおり、OECDにより、現在、PIAACの新しい調査が我が国を含む三十か国以上の参加により行われており、読解力、数的思考力、状況の変化に応じた問題解決能力について調査が行われまして、今年の十二月に結果が公表される予定と伺っております。

 我々としましては、その結果の分析を行い、今後の教育施策の改善、充実に生かしていきたいと考えております。

鈴木(義)分科員 今まで、戦後七十五年たってきた中で、いろいろな課題に取り組んできたと思うんですね。最終到達点は何なのかということになったときに、それをフィードバックさせて現場の学校教育に生かしていくということが必要なんだと思うんです。今大臣から御答弁いただいたように、調査結果を分析して学校現場に落としていきたいということなんです。

 それからいきますと、二番目の質問に入っていくんですけれども、このアメリカの調査結果を見れば、学歴による社会の分析が必然だと分かるというものなんですね。知識社会というのは、定義上、知能の高い者が大きなアドバンテージを持つ社会であり、知識社会における経済格差は知能の格差の別の名前なんだというふうに指摘している人がいます。

 まず大臣に、この結果に対してどのような所見をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

盛山国務大臣 鈴木委員のおっしゃる、この結果に対してどう思うのかというところがちょっとうまく把握できなかったところはございますけれども、私といたしましては、子供たちが、生まれ育った家庭環境や社会環境によらず、質の高い教育を受けられるチャンスを平等に得られるような社会にしていくことが重要であると考えております。

 このため、様々な課題を抱えている子供たちが、誰一人取り残されず、可能性を最大限に引き出す教育の実現に向けて、教育機会の確保に取り組んでまいりたいと考えています。

鈴木(義)分科員 よく教育の世界で、質の高い教育という言い方をするんですけれども、じゃ、質というのは何だろうかということなんですね。

 後段のところでも御質問いたしますけれども、研究でも同じだと思うんです。研究の質が高い低い、こういう話が必ず出てくると思うんですけれども、質の高い教育というのは何を指して教育なのか。いろいろなツールがたくさんあることで、それが質が高いというふうに言えるのか。じゃ、私たちが五十年前に習ってきた教育が質が低かったのか高かったのか、誰かがそれを検証したのかということですね。

 例えば、私も便利に使わせてもらっているんですけれども、五十年前は、これはないんですよね。じゃ、ない時代の教育の質は低かったのかということなんです。何でもこれを便利に使えば、質が高くなるというのは、ただツールを、ちょっと違う、はさみを、のりを、定規を、ただ便利なものに替えているだけにしかすぎないんじゃないか。

 そこのところをもう一回、質ということをおっしゃるのであれば、それこそ、分析するというんですかね、解析をするような形を取った方が、何が必要なのかというのが見えてくるんじゃないかと思うんですけれども、もう一度お考えをお示しいただきたいと思います。

盛山国務大臣 なかなか難しい、私にとっては御答弁が難しい御質問、御指摘でございますけれども、スマホに限らず、文明の利器というのはどんどん日進月歩で発展していきますので、そういうものを使いこなす、使いこなせるような能力というのも、その時代その時代に応じて必要なんだと思うんですね。また、文明の利器自身も、その時代でまた変わってきつつあると思います。

 ただ、それをうまく使いこなすだけが大事かというと、委員も多分同じ御意見だろうと思いますけれども、私もそうは思いません。そういうようなものを使って、身の回りにあるものを使いながらということかもしれませんが、工夫をして、どういうふうにしていくのがいいのか考えていくことが大事なんじゃないかなと思うんです。

 自分で考えて工夫をする、覚えることも私は大事だと思います。まず最初は、ある程度のことはやはり学ぶ、まねぶというんでしょうか、まねるというか、覚える必要があると思いますが、ある程度覚えた上で、自分の頭で考えて、どうしていくのか工夫をしていく、そういうようなことが重要ではないかなと思います。

 学校の教育でどこまでそういうことをうまくお子さんに、学びというものに対して向かい合っていけるのか、それを教えていけるのか、ちょっとそこは分かりませんですけれども、質の高い教育というものの中には、自分で工夫をして考えて、新しい課題が出ても取り組んでいく、そういうような力を身につけていくこと、そういうことが重要ではないかなと私は考えております。

鈴木(義)分科員 何で日本の社会では日本語を習うのかと子供に尋ねられたときに、何て答えるかということですね。

 例えば、昔聞いたんですけれども、日本人の御夫婦が子供を連れてアメリカに行って仕事をしているんです。それで、一世になる御両親は日本語を家の中でしゃべる、仕事ではイングリッシュを使うんでしょうけれども。子供は、学校に行けば、アメリカ社会ですからイングリッシュをしゃべるわけですね。自分の家に帰ってきたら、日本語をしゃべれと。あるとき、子供が聞いたんです。お父さん、何で家の中では日本語をしゃべらなくちゃいけないのということなんです。そこのところなんだと思うんですよね。

 だから、いつの間にか、何をどうしていいのかよく分からなくなっちゃっているから、新しいものを取り入れてやっていけばいいんじゃないのと言うんですけれども、もう一回、やはり、日本人で日本語を習っているとか、日本語の意味はどういうことなのかというのは、昔は情操教育とかといったんですけれども、今はほとんど使われなくなってしまったんですね。でも、意外とそこに本当はヒントがあるのかなと思うんですね。心根の優しさというのがやはり日本人の特性なんだと思うんです。

 では、三番目に移りたいと思います。

 次に、私たちは暗黙のうちにいるのに、今の社会が知能によって序列化されていることを受け入れているんですけれども、一方で、社会的、経済的成功を収めるのには、IQや学歴だけでなく、コミュ力、コミュニケーション能力ですね、やり抜く力、人間力だとも思っている。その背景には、知能だけが全てではない、全てであってはならないという信念あるいは願望がある。こうして、成功に重要なのは知能よりも自己コントロール力だ、教育で知能を伸ばすことができないとしても、やる気、堅実性パーソナリティーを高めることができるなどの主張が登場すると述べているんです。これは学者の方です。

 マイケル・ヤング氏がメリットを能力足す努力と定義したように、成功にとって努力などの性格特性が重要なのは間違いないだろう。だが、ここで無視されているのは、行動遺伝学の第一原則で述べられている、ヒトの行動特性は全て遺伝的である、これは二〇〇〇年に行動遺伝学者のエリック・タークハイマー氏が発表している原則で、知能だけでなく努力にも遺伝の影響があり、遺伝率という言い方をするらしいんですけれども、やる気が五七%、集中力が四四%で、努力できるかどうか、およそ半分は遺伝で決まるというふうにこの方は述べているんです。違う方のデータも同じような数字なんですね。

 現在の学校教育の根幹に関わる問題だと私は思うんです。努力すれば身につくんだ、知識が得られるんだ。それを反復練習するか、ストーリーを組み立てて、ある程度思春期を越えてくると、反復練習だけではそれ以上の学力が伸びない、ストーリーを組み立てていって、それで学習をしていく、いろいろな方法論があるんですけれども。

 そもそも、努力したから、できない、できづらい人も世の中にはいるんだということを考えて教育行政をやっていかなくちゃいけない時代に来たんだと思うんですね。その辺を、やはり脳科学がある程度分かってきたり、いろいろな学問で人間の行動パターンだとか遺伝子に関わるものというのが分かってきた中で、どうやって学校教育に落とし込んでいくか、制度をどう変えていくかというところに今差しかかってきているような気がするんです。

 どんどんどんどん高度に、もう先端、先端、先端を行く人は、私も量子コンピューターの理屈がまだ分からないんです、大半の人は分からないと思う、でも、それを造るのが国の至上命題だということで一部の人たちがやるんです。でも、ほとんどの人は理屈も分からないで、量子コンピューター、まあ、いいものなんでしょうという、概念で、やる人がやって、じゃ、そこにたくさんお金をつけて、早く物にしましょうとやるんですけれども。それだけじゃないような気がするんですけれども、もしお考えがあったら。ちょっと難しい質問かもしれません。

盛山国務大臣 私にとって、大変答えづらい質問でございますけれども。

 遺伝でどこまで決まっていくのか、努力というものがどこまでどうなのかということについて、なかなかちょっと答え難いところがございますけれども、我々文部科学省としては、国でございますので、お子さんというか国民というか、そういう人が、全体的に教育、学びというのを底上げをして、ちゃんと次のステップへ進むようにしていくことが我々の大きな命題だろうと思うんです。

 そこで、令和元年以降でございますけれども、学校教育の情報化でタブレットが配付されるようになりまして、今では小学校の一年生から一人一台になりました。これによって、小学校、中学校、高校の教育現場の在り方というのはすごく大きく変わったと私は思っております。

 それまでは、紙の教科書を手に持って、先生が黒板を後ろにして、どちらかというと一方通行で教えていたのが、今では、タブレットを持つことによって、生徒一人一人がどこで突っかかっているのか、どこまで進んでいるのか、そんなことも分かるようになってきましたので、これもうまく使いながら、個別最適な教え方と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、伸びるお子さんに対してはどんどん伸ばしていけばいいし、基礎的なところで突っかかっているお子さんに対しては手を差し伸べていく、そういうようなことが少しはできるようになってきているのではないかなと思います。

 もちろん、鈴木先生がおっしゃるとおり、脳科学なのか何か分かりませんですけれども、そういうような新しい、医学的な、あるいは教育に関係する知見、こういうものを我々は理解をし、学んで、そして、そういったものをうまく学校教育というものに反映させることが、できる限りそういったことについては今後とも取り組んでいきたいとは考えております。

鈴木(義)分科員 これは随分前の話なんですけれども、発達障害児をサポートしている団体の代表の方と話をする機会があったんですけれども、やはり、おぎゃあと生まれた赤ちゃんが、三歳までだというんですね、その方が言うには。だから、例えば、小学校一年生になって特別支援学校に入れても、もうそのときは既に遅いというわけです。いや、それは分かりませんよ。

 ただ、先ほど申し上げたように、いろいろな分野でいろいろな研究結果が出ているんだったら、今までの考え方とは変えていかないと。だから、例えば、〇―三歳までの間に治療だとかトレーニングをすれば、健常者に近いところまで回復をする可能性があるということですね。それが、だから、年代が下がれば下がるほど、なかなか、トレーニングしたとかしても、健常者に近づいていくことは難しい。

 そういうことが分かっているんだったら、なぜ、学校教育に当たるかどうかは別として、そういう、教育という考え方でいくんだったら、もう少し幼児教育、もう少し小さい子供というのかな、そういったところも、厚生労働省と組むなら組んでもいいんですけれども、やはりやっていく時代なんだと思うんですね。

 その次に、質問に入っていきたいんですけれども、先ほども述べた知識社会というのは、定義上、知識の高い者が大きなアドバンテージを持つ社会と言われているんです。アメリカでは、知識、頭のいい人イコール金持ち、これはもう誰も否定しないんだそうですね。

 ここにAIが発明されたので、現在はデータを集積、分析、修正し、結論を導き出す弱いAIと言われるものが、自分自身の欠点を修正することができる強いAIが誕生したならば、知識社会の根底が崩れてしまうんじゃないかと私は考えています。

 これは、過去に経済産業委員会でも質問に使わせてもらったんです、強いAIと弱いAI。要するに、今やっていることは、いろいろなコマンドを打ち込むことによって、最後にはリターンキーを押さないとコンピューターは考えないんです、計算しないんですね。それで一つの答えが出てくるんです。それを、リターンキーを人間が押さなくてもできちゃうというAIがもし出てきたときに、そのときも質問にしたんですけれども、結局、士業の五五%がAIに取って代わられちゃう。

 だから、知識を習得していって、今までの学校教育の中でそれが一番なんだということで、いろいろな、クリエーティブなことをやりましょうということでやってきたんだけれども、それの大半がコンピューターに置き換えられちゃう時代が、五年先なのか十年先なのか二十年先なのか、でも、もうそんなに遠い社会じゃない、時代じゃないんだと思うんですね。

 そうなってきたときに、私たちを育んでくれた教育が、やはり近い将来、今申し上げたように、大変革を起こさざるを得ない。例えば、日本語をしゃべれなくても読めちゃうとか、一足す一は二とかと数式を頭に入れる必要はなく、コンピューターが答えを出してくれちゃう、それを私たちの価値として認めるか認めないかはまた別の話なんですけれども。でも、そういう時代が、だって、さっき申し上げたように、これで言葉が、そこの国の言語が文字になっちゃう時代なんです。

 だから、そういうふうになる時代がもう目と鼻の先であるということになってきたときに、今の教育行政をそのまま進めていけばいいのか、どこかでちょっと変えていかなくちゃいけないと考えるか、そこのところの考え方なんです。難しいと思います。何が解だか分かりません。でも、解を求めるように努力していくしかないんじゃないかと思うんですけれども、お考えをお示しいただければと思います。

盛山国務大臣 これまた大変難しい御質問でございます。

 超スマート社会においては、労働市場の構造や職業そのものが抜本的に変わることが、委員おっしゃるとおり、予測されているところです。子供たちがこうした社会の変化に対応していくためには、他者と協働し、人間ならではの感性や創造力を発揮しつつ、新しい価値の創造力を身につけることが一層重要になるのではないかと思います。

 そして、では、我々文科省としてどうするかということになるわけでございますが、初等中等教育段階においては、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じて、次代を切り開くために必要な資質、能力を育成していく必要があると考えます。

 また、高等教育段階においても、文理横断的な知識やスキル、能力を身につけ、その知識や技能を活用し、新たな技術や価値を発見、創造していく人材を育成するため、個々人の可能性を最大限に伸長する教育を実践していく必要があると思います。

 こういったことを踏まえつつ、昨年六月に閣議決定した第四期教育振興基本計画においては、「二〇四〇年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」を掲げているところであります。この計画に基づいて、急激な社会の変化にも柔軟に対応していける力を育成していく教育を進めたいと考えております。

 いずれにせよ、自分で考えて何かを対応していく、つくり出していく、そういうようなことが、AIというのは、幾らこれからどんどん加速度的に進化していくにしても、私たち人間でなければできないような力をどう身につけていくのか、そういうことを少しでも、教育というか、学んでいただけるような環境を整えることができればと思います。

鈴木(義)分科員 ある学者の方が、能力主義の偽物と本物というような寄稿を目にしたんですけれども、真の能力主義と学歴や学力評価でつくり上げられたなんちゃって能力主義には大きな違いがあるということに気づくだろうと述べているんです。学歴それ自体はいかなる能力も表していない、それは何にでも努力できる能力だ、事務処理能力だなどというが、そもそもそんな抽象的な能力など、脳の固有のネットワークの中には存在しないというんですね、実在しない。それは、学校あるいは学校制度という人工物の中で構築された多様で膨大な課題を学校が求めるような形でこなすことができた能力の来歴への極めて雑な寄せ集め指標だ。確かに、学生時代、難しい数学や物理、化学の問題を解いたり、難しい古典、漢文や歴史を読み解くことはでき得た。しかし、そこで培ってきた数学能力や歴史能力を使って高学歴の人が就きたがる輝かしい高い収入と社会的地位が与えられる仕事だけが世界を正しく、美しく、よいものにしているわけではないと言っているわけです。そして、この世をよりよいものにすることに貢献する能力を発揮しているのは、必ずしも高学歴の人たちばかりではないと言っているわけです。

 でも、今やろうとしているのは、どんどんどんどん高学歴にすればみんな幸せになるんだというような固定概念でやり続けてきたんだと思うんです。そうじゃない人たちも世の中にいっぱいいて、私たちの生活を支えてくれている。そこにやはり意義と、尊敬の念というのかな、それを生み出すような学校教育の在り方が求められてきているんじゃないかと思うんです。

 先ほども申し上げましたように、AIで置き換わっちゃう仕事がいっぱいあるんです。弁護士業だとか公認会計士だとか、士業の業種のところがどんどんAIに置き換わる可能性が高いと言われているわけです。では、そうじゃない職種に就いている人は下等な仕事をしているのか、自分たちには必要ない仕事をしているのか。そうじゃないと思うんですね。その人たちが私たちの生活の基盤を支えてくれている、そこに価値があるんだというような社会のありようをやはり学校教育で学んでいってもらわないと、AIに本当に置き換わられちゃったら、やる仕事がないんです。

 そこは、来年からというのじゃなくて、やはり少しずつ考え方を変えていく時代に入ってきたんじゃないかなというのが、この一番から四番、五番までの御質問なんですけれども。

 もう一度、お答えいただきたいと思います。

盛山国務大臣 ちょっと言い古された言葉ですけれども、職業に貴賤なしという言葉があります、まあ、建前かもしれません。どんな仕事でも大事だということではないかと思います。そして、能力が高ければ、給料のいい、ペイのいい仕事に就けるかどうか、よく分かりませんですけれども、それだけが大事なことではないと私自身は考えております。

 今、日本人の場合は多くの方が大学まで進学する状況になっているわけでございますけれども、本当にそれが望ましいのか。ドイツではマイスター制度というものがありますけれども、そういうふうに、中学を出てからか高校を出てからか、そういう職人になるようなもの、コース、これ自体をドイツでは少なくとも評価をしているわけでございますし、日本においても、今、昔のように大学に行くのはごく一握りのエリートという時代から大きく変わっているわけでございますから、いろいろなコースがある、いろいろな進み方がある、いろいろな人生があるということではないかと思います。

 学校の教育におきましても、何も大学に行くということを、必ずしも学校で、それを目標として教えているわけではないと思いますけれども、我々としても、反省すべき点は反省をしながら、それぞれのお子さんにとって、あるいはそれぞれの個人にとって、自分は何を求めているのか、そして、そのためには何をどうすればいいのか、そういうことを考える、あるいは、そのためにはどうすればいいのかをお手伝いする、そういうような教育ということに力を入れていかなければならないのではないかなというふうに、委員の発言を聞いて感じた次第です。

鈴木(義)分科員 時間がないので飛ばさせていただいて、六番目の、私の地元は東京に隣接する埼玉県の三郷市というところなんですけれども、やはり児童が多い地域と、そうじゃない、どんどん減っていく地域と、同じ東京に隣接していながら起きてきているんですね。

 小中学校の中でやはり統廃合というのが話題になってくるんですけれども、なかなか大学の統廃合というのは話題にならないなと思うんですね。定員割れしているところがいっぱい出てきているのは承知しているんですけれども。やはり国が、大学自治だとか建学の精神だと言われちゃうとなかなか難しいと思うんですけれども、やはりある程度の競争力を持たせるような形で大学も統廃合していかないと、要するに、何を申し上げたいかといったら、大学は遊びに行くところじゃない、友達をつくりに行くところでもないんです。学校というのは、基本的に学ぶところなんだと思うんです、小学校、中学校、高校、大学も。

 だから、当たり前のことを当たり前にしていくようにする、制度なり仕組みをつくり直す時期に来ているんじゃないかと思うんですけれども、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

盛山国務大臣 大変耳に痛い言葉でございまして、私は、大学に遊びに行くつもりで行ったような感じがしますが。

 先生の御指摘とは別に私どもの耳に入ってくるのは、特に地方の大学でございますけれども、大変危機的な意識をお持ちでございます。やはり人口が減っているということでございます。

 そして、大学それ自体は、人材の育成、知的創造活動の基盤として、我が国の社会や経済を支えることのみならず、今我々が直面している課題の解決に貢献するという使命を持っているわけでございますけれども、急速な少子化の進行等、大学を取り巻く状況が大きく変化しておりますので、今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方など、これ以上先延ばしにすることができない課題であると我々は認識しております。

 このため、昨年九月に中央教育審議会に対しまして、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について諮問を行いました。現在、御議論いただいているところでございますので、今後、これらの議論も踏まえつつ、大学改革にしっかり取り組む所存です。

鈴木(義)分科員 終わります。ありがとうございました。

井出主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、岬麻紀君。

岬分科員 皆様、お疲れさまでございます。

 日本維新の会・教育無償化を実現する会、愛知五区の岬麻紀と申します。よろしくお願いいたします。

 さて、日本の将来を担う子供たちの教育の再生は、国の最重要課題であります。私も二人の男の子を育ててまいりました母親の一人でございます。子供たちが安心して安全な教育環境の下で学び、そして教養を身につけてほしいと願っています。今回は時間の許します限りお伺いしてまいります。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、一点目ですが、学校教育活動における多様な支援参画について伺います。

 現在、学校における教職員の多忙が大変問題になっております。そこで、働き方改革が喫緊の課題であり、国や自治体また学校において様々な取組が進められております。

 まず、学校や教員が担う業務の明確化そして最適化が必要なのではないかと考えています。これは、全て負担の軽減、そして本来の業務に集中して注力をしていただくためと考えますが。そこで、支援スタッフの参画、専門スタッフとの連携や協力、業務の見直しが図られていると認識をしております。多様な支援スタッフの参画によりまして、学校教育の活動がより活性化をしていく、また充実をさせることができるという期待も持っています。

 そこで質問ですが、教員業務の支援という、スクールサポートスタッフというものですけれども、実際、学校現場において、この方たちが働き方改革を推進していく上で欠かすことができない状況まで今あります。配置によって具体的な効果、どんなところに大臣、感じていらっしゃいますでしょうか。

盛山国務大臣 教員業務支援員、いろいろおりますけれども、学校現場からのニーズの高いところ、そして教師が教師でなければできない仕事に専念するために、教員業務支援員にもお手伝いをしていただきながら、学校現場において対応をしているところでございますが。教員であり、教員業務支援員であり、それぞれの学校の規模ですとか内容、こういったものを認識しながら配置を行っているところでありまして、こういうような効果も見ながら、教員についても今充実を図っているところでありますし、さらに、教員業務支援員につきましても、令和六年度の予算案では全ての小中学校への配置に必要な経費も盛り込んでおります。

 教師とそれから教員業務支援員との協働により、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えています。

岬分科員 大臣、ありがとうございます。

 効果の部分ですね、具体的な効果はどんなところに感じているかという質問ですので、その辺りはいかがでしょうか。もう一度お願いします。

盛山国務大臣 学校現場における教員業務支援員の配置効果としましては、配置により、教師の在校等時間が着実に縮減できているというデータが出ております。また、教員業務支援員が配置されている学校は教師が事務等に費やす時間が少ないこと、こういったこともデータ上明らかになっておりますので、教員業務支援員というものをこれからもしっかり充実をさせていくこと、これが学校の教師が教師でなければできないことに注力をするということに大いに役立つものと考えています。

岬分科員 ありがとうございます。

 いろいろな業種で人手不足も心配されていますが、ここの人材確保の部分はどのようでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 教員業務支援員は、卒業生の保護者など地域の人材等に担っていただくということを想定しており、特別な専門性が求められる支援スタッフではないことから、既に導入が広がっている自治体では順調に人材確保はできていると伺っております。

 文部科学省では、全ての小中学校への配置に向けて、各自治体の取組を支援すべく、昨年末に、教員業務支援員との協働の手引きというものを策定したところでございます。

 手引の中では、人材確保について、例えば、市町村のホームページやハローワーク求人情報等への掲載、地域の情報誌や学校、役所の掲示板の活用など、先進自治体での具体的な人材募集の例も含めて、現在紹介しているところでございます。

 文科省といたしましては、引き続き、本手引なども活用しながら各自治体における取組を支援いたしまして、教師が教師でなければできないこと、これに全力投球していただく、そういった環境の整備に努めてまいりたいと思います。

岬分科員 ありがとうございます。

 まさに、最後におっしゃっていただいた、教員が教員でなくてはいけない業務に集中していただける、ここが重要だと思います。その支援をするための人たちが、我が子が学んだところで再度お手伝いができるというのは、地域の活性化にもなり、非常によい取組だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは次に、副校長、教頭マネジメント支援員というものがございますので、そちらも伺っていきたいと思います。

 令和六年度予算案では、新たにこの制度が、配置が盛り込まれました。副校長、教頭マネジメント支援員が必要である理由、そして導入をした背景、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 副校長、教頭は、学校におけるマネジメントに対して重要な役割を果たしている一方で、教員勤務実態調査の速報値などでは、副校長、教頭の厳しい勤務実態が改めて明らかになったところです。

 このため、副校長、教頭の学校マネジメント等に係る業務を専門的に支援するための人材の配置を支援することによりまして、学校全体の運営改善を図ることを目指し、副校長、教頭マネジメント支援員の創設に必要な経費を令和六年度予算案に盛り込ませていただきました。

 文部科学省としては、副校長、教頭マネジメント支援員の配置により、副校長、教頭の負担軽減と学校マネジメント機能の強化を図ってまいるつもりです。

岬分科員 さきの話ですと専門性は要らないということですが、こちらの副校長、教頭マネジメント支援員ですと、やはり専門性も求められるのではないかと考えます。そうしたときに、どのような業務を行って、どのような人材が就くことを想定されているんでしょうか、大臣。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 副校長、教頭マネジメント支援員については、副校長、教頭の学校マネジメント等に係る業務、例えば教育委員会への報告のエクセルをまとめるとか、そういったような事務的なもの等、ある程度はやはり業務に精通している方である必要があるというふうに考えております。

 このことから、退職した教員であるとか、あるいは教育委員会勤務経験者、民間企業等での事務経験者、学校や行政機関、民間企業等で一定の実務経験を有する、そういったような人材を想定しているところでございます。

 以上です。

岬分科員 ありがとうございます。更に少しハードルも上がるのかなと思いますが、是非よろしくお願いします。

 副校長、教頭の支援をするということですから、相当の専門性も必要であろうと感じます。さらに、処遇の問題も出てくるかと思いますが、令和六年度予算案では全国の小中学校に一千人ということで配置をされるというふうに伺っております。

 まずは、その千人をどのような学校に配置をされて、どのような処遇を想定されているんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、副校長、教頭マネジメント支援員、これは新規でございますので、とにかく創設するということが非常に重要だったというふうに考えておりますが、千名ということで、各都道府県、政令市当たり約十五名の配置を可能とする規模となっております。逆に言うと、これで終わりではないということでございます。また、令和六年度予算案において、一時間当たりの単価を千六百円として積算しております。

 ただ、実際の配置に当たって、これはあくまでも積算上の話でございますので、各教育委員会において現場の実情に応じた配置が検討されるというふうに承知しております。

岬分科員 ありがとうございます。まだこれからのことですので、非常に期待をしたいと思いますが。

 こちらの問題点、まとめとなりますが、学校で働く人材について、国が予算をつけて、はい、おしまいということでは、決してよろしくないわけですね。しかし、教員不足だけではなくて、人材不足というのは様々な職種、業界で問題になっていることはさきにもお伝えをいたしました。なり手がいなければ制度として成り立たないというふうにも感じられますが、文部科学省として、多様な支援スタッフの人材確保を、どのようにまず確保していくのか。理想としている人材像というのは伺いましたけれども、それをどのように確保するのか。そして、どこに、それをするために課題は当然出てくると思います、課題を認識されているのか、その課題をクリアしていくためにどのような対策をしていこうと考えられているのか。最後、盛山大臣、お願いします。

盛山国務大臣 複雑化、多様化する教育課題への対応を図る上で、教師の業務を支援するスタッフや、心理、福祉などに関する専門家、地域住民等との連携、協働を進め、チーム学校を実現していくことが重要であると考えております。

 そのためには、まず、教員業務支援員や副校長、教頭マネジメント支援員を始めとした多様な支援スタッフの配置充実に向けた予算の確保が重要であり、文部科学省として引き続きその確保に努めてまいります。

 また、各自治体においても着実に人材と予算の確保が進むよう、例えば、教員業務支援員との協働の手引きなどの参考資料や配置効果を示す事例集の展開などを通じて、それぞれの現場の実情に応じた支援スタッフ等の配置と協働を支援してまいりたいと考えております。

岬分科員 ありがとうございます。大変期待しております。

 ただ、教員の世界というのは聖域と言われていて、なかなかそこの連携が本当にできるのか、また、すみ分けという部分で、お互いに尊重し合って本当の業務連携ができるのか、そういった不安は一母親としてもございますので、恐らく課題として感じていらっしゃると思いますが、引き続き見守っていきたいと感じております。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の柱に行きたいと思います。

 子供たちを育成して支えていくのは、支援参画は学校だけとは限りません。保護者や地域においても、子供たちの育成を支える支援活動が積極的に行われております。それを踏まえまして、放課後児童健全育成事業についてお尋ねをしてまいります。

 私の選挙区は愛知県名古屋市なんですけれども、名古屋市というのは特殊でございまして、学童保育というものだけではなく、独自の取組であるトワイライトスクール、トワイライトルームというものがございます。放課後等に小学校の施設を活用して、学年の異なる児童との交流など、子供たちの自主性や社会性、創造性を育むことを目的として、取組が学校の一部を使って行われているというものでございます。このように、全国では地域色の非常に強い様々な独自の取組も行われているということを承知しておりますが。

 まずは、全体を通して、少子化であったり、また核家族化、防犯上の問題もありまして、社会の変化がございます。そこでまた、地域もいろいろ移動されたり、地場の方だけではなく、新しく移り住んできた方というように、地域の変化も非常に多くございます。現代の子供たち、このように学年の異なる子供たちとなかなか接する機会が少なくなってきたであるとか、一緒に外で元気に遊ぶということも少なくなってきたり、地域の人々とも接する、年代の違う方との交流というのも随分希薄になってきているのではないかなということを懸念しています。さらに、学習習慣の定着不足であるとか、自然体験型という学びも減ってきているなという心配の声が上がっております。

 いずれにしても、安全な活動場所の確保とともに、昨今課題となっているのが、子供たちの生活圏を取り巻く諸課題をどのように分析をしているのか、どのような見解を持っているのか、まずは大臣、全体を通して教えてください。

盛山国務大臣 今の御指摘は、我々文部科学省が所管しているところでもございますが、こども家庭庁と連携をしながらどのように対応していくのかということではないかと思います。

 いずれにせよ、学校の授業みたいな教育ということだけではなく、トワイライト教室ですか、ということかもしれませんが、名称はともかくとして、放課後の児童のケアということですね。そういったことを、こども家庭庁を中心に、ほかの関係省庁と協力をしながら、我々としても取り組んでいきたい、御協力をさせていただきたい、そんなふうに考えます。

岬分科員 ありがとうございます。

 それでは、今のお答えを踏まえまして、最初に申し上げた、いろいろお話をさせていただいた中で子供たちの生活圏を取り巻く課題、どのように分析をされて、どのような見解を持たれているのか、こども家庭庁の見解はいかがでしょうか。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 今議員おっしゃったとおり、社会状況にいろいろな変化がございまして、それに的確に対応して、まさに地域全体で子供を育てていく、これは大変重要な視点だ、我々もそのように感じております。

 その中でも、放課後児童クラブというのは、これは大変重要な取組だと我々も認識しておりまして、今、共働きの世帯が非常に増えておりますので、年々増えてきている、こういう状況でございまして、放課後の子供の遊びや生活の場、いろんな社会関係が希薄化している、そういった中で大変重要な役割を担っている、こういうふうに思っております。

 そういった状況の中で、今、国において放課後児童クラブ運営指針というものを定めておりまして、まさに自主的な学習活動への支援とか、あるいは子供たちが体験活動を含めた遊びを主体的にできるような、こういう取組を促していこう、こういったことを進めておりますし、あわせて、そうした地域で適切に放課後児童クラブが運営されるような、こういった財政支援も取り組んでいる、そんな状況でございます。

 先ほど議員が御指摘になった本当にいろんな課題がある中で、放課後児童クラブというのは、小学校の一年生から六年生まで、年齢や発達状況の異なる子供たちが一緒に過ごす場である、まさにコミュニケーションの場ということもございまして、子供同士が育ち合う場として大変重要だ、こういうふうに認識しておりますので、こうした意義を踏まえながら、引き続き放課後児童クラブへの支援に積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。

 以上です。

岬分科員 ありがとうございます。

 いわゆる学童保育という場所ですけれども、これは多くが、運営をして、そこに携わっているのは地域の保護者である場合が非常に多くなっています。そこで、財政の部分がとても負担になってきている。

 例えば、名古屋の、私が懇談をして、御相談をいただいたところに視察に行ってまいりました。地元の愛知県名古屋市中川区にございます、やぐま学童保育所の現場の声なんですけれども、やはり、一人のお子さんを預けるだけで月に二万円かかるということなんです。そうすると、複数の兄弟がいる場合は、二万円掛ける二であったり、二万円掛ける三になるわけですね。少子化といっても、中にはそういった多子家庭があるわけです。そうすると、その負担というのは、学童保育だけで何万円となる。

 調べてもらいましたら、こども家庭庁の方から、これは飛び切り高いです、名古屋市は一番全国でも高いというふうに先日のレクで御回答いただいたのですが。ただ、そこが一番か三番かとか、そういうことではなくて、それだけの負担を負っている御家庭があるという事実がまず大事な観点かと思われます。

 そして、そこで、保護者と指導員という方もいるわけですが、生の声を伺ってきますと、子供を預ける場所だけではなく、今お答えいただいたように、学年が異なる子供同士が仲間意識を持って、そして学校の時間よりも学童保育で過ごす時間の方が長くて、第二の家庭でもあるというふうなお話をいただいております。

 そういったことを踏まえた上で、とても大事な場所でありながら、それを運営するのは多くが保護者であるという話をしました。その負担というのは、事務的なもの、経済的なもの、時間的なもの、労力というふうに、大変負担が大きいということなんです。

 この運営費だけではなく、指導員も、待遇が大変、財政難ですから、賃金がとても安いこと、そして社会的な地位も余り高いとは言えませんので、学童保育指導員の環境の厳しさという声が非常に上がっております。

 この辺りはどのような御認識をお持ちでしょうか。

古賀大臣政務官 放課後児童クラブを的確に運営していくには、おっしゃったとおり、そういった人的な資源、いかに確保するか、そして、その方々をどう支えていくか、大変重要な視点であって、まさに肝の部分じゃないか、こういうふうに思っております。

 そういった観点から我々もこれまで取組を図ってきておりまして、まさに放課後児童クラブの職員の処遇をしっかりと支えていく、こういった視点でいろんな取組をやってきております。

 一つは、十八時三十分を超えて開所する放課後児童クラブの職員の賃金改善等に必要な経費を補助していく、あるいは、勤続年数や研修実績等に応じた処遇改善の事業をやっていく、また、これは令和三年度の補正から導入しておりますけれども、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提に、収入を三%、これは月額九千円ぐらいになるんですけれども、そういった収入を引き上げるための処遇改善事業をこれまで行ってきております。

 加えまして、新規といたしまして、こども未来戦略において、放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点が大変重要であるということで、常勤職員の配置、これを改善していこう、こういった趣旨で、令和六年度の予算案においては、常勤職員を二名以上配置した場合に補助基準額を引き上げる、こういった内容を予算案に計上させていただいている、こんな状況でございます。

 いずれにしても、児童クラブを支える皆さんをどのようにサポートしていくか、特に、経済面の今お話をされましたので、そういった観点から、処遇改善がしっかりとなされていくように、こども家庭庁におきましても自治体に対してそういった促しをしていきたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

岬分科員 ありがとうございます。

 やはり、ここでも人材確保という部分が非常に重要になりますけれども、指導員二名以上ということで、私が視察したところは常勤のそういった方が二名、ちゃんと写真が貼ってあって、周りのお写真、貼ってある方は、大学生の方がアルバイトで来てくださっているというお話を伺いました。

 しかし、処遇がよろしくない部分であるとか、社会的な地位が余り高くないということで、せっかくそのようなキャリアを積んで、子供たちともコミュニケーションが取れる、よき信頼関係が結ばれても、大学を卒業するときに、ではそういったことに就職するかというと、全く違う現場に就職をしてしまう、そしてそこを離れてしまうということが、人材が定着をしないということで、課題をお話しになられていました。

 そして、やはり専門性が必要な部分が非常に学童保育というのは多くて、例えば、声をいただいている、四つあるんですけれども、学童保育の運営についての就業規則や労務関連の指針の策定を自分たちでしなくてはいけない。そうすると、保護者はそれだけの知識を持っている人は余り一般的にはいないわけですね。そうすると、委託業者を探さなくてはいけない、専門性のある人にお願いをしなくてはいけないけれども、例えば社会保険労務士であるとか。そうすると、それは別途お金がかかる、料金がかかる、更に違うことをお願いすると更に加算されていくということで、とてもじゃないけれども難しいということ。

 あとは、先ほども申し上げたように兄弟で入所した場合の減免措置を行ってほしいということで、これは、名古屋は少しずつ進んではいくようですけれども、全国的にいろいろなところでこのような問題もあるのではないか。

 あと、学童保育としての施設ですね、プレハブであったり、どこか空いているところを使っているという部分もあるかもしれませんが、いずれにしても、時期に応じて移転であるとか改修であるとか、そういったことが出てきます。そうすると、場所を探すことから親御さんがされているということは、これは本当に聞いているだけでも負担が大きいですし、専門知識がなくてはとてもじゃないけれども難しいのではないかと思います。

 そして、もう一つが安全計画策定ということで、これは名古屋の取組ですけれども、やはり、こういったいろいろなものをつくったり報告をしたり、そして計算をしたりということは、とても親御さんにとっては、共働きだから預けているはずなのに、運営するために非常な負担がある。この辺りはどのようにお考えでしょうか。

古賀大臣政務官 大変いろいろな現場の御苦労があるということで、改めて私も、お教えいただいて、ありがとうございます。

 まさに、現場のそういった専門的な分野も含めた負担軽減というのは大変重要なポイントだと思っておりまして、我々もその点については留意をしておりまして、例えば子供への直接的な支援以外の業務ですね、先ほどおっしゃったいろいろな、間接的な、会計等々。会計事務などを担当する職への配置、これに対しても補助をしておりますし、また、あるいは、子供の支援や放課後児童クラブの管理運営に対する専門的なアドバイス、これを行うアドバイザー派遣に対する補助も取り組んでいる、こういった状況でございます。

 あるいは、今、各自治体でいろいろな取組がなされているということでありますので、それぞれの自治体の創意工夫を生かした取組を好事例集としてまとめて、よそではこうやっていますよと、こういった優れた取組の発信にも取り組んでいきたい、こういうふうに考えておりまして、そういった取組などを通じ、おっしゃるような現場の負担軽減に努めていきたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

岬分科員 ありがとうございます。

 是非、学童保育の運営という点で、今出てきました、例えば弁護士さんが時には必要になるかもしれません。社労士さん、税理士さん、司法書士さん、弁理士さんといった、いわゆる士業という専門性が高い部分への相談をしたい、アドバイスがもらいたいということが、サポートをいただきたいんですね。ただ、その士業という方々もいろいろ更なる専門があると思いますので、こういった学童保育にお詳しい方を探すのは一般には非常に難しいです。

 ですから、自治体の取組ではあるんですが、国として、そういった指針であるとか方向性を示していっていただくというのはとても重要なことだと思います。

 そして、各自治体が、何か一覧表のように、こういった、学童保育の運営に詳しい方若しくは適任であるよというような認定をされている方々をお知らせいただけるような、そういう仕組みもつくっていただくと非常によいのではないかなというふうに感じています。

 また、いろいろな補助金ですとか、支援をしていく中のところで、いつ、どのように支給がされていくのか、その申請も非常に一般の方には複雑で分かりづらいということをいただいていますので、その辺りも国から分かりやすい指針をお示しいただいて、具体的なアドバイスをしていただくということが必要なのではないかと思います。

 いずれにしても、親御さんというのは、自分のお子さんが学童保育に通っている間はその課題が非常に重要なんですが、多分、抜本的な解決がなかなかされないというのは、お子さんが大きくなるにつれて親御さんの課題意識が変わっていくわけですよね。そうすると、その課題が根本的な解決を見ないまま、またそこに新たに入ってくる方に繰り越されていく。そこで同じお悩みを毎年のようにお聞きするという悪循環にそれぞれの土地ではなっておりますので、これは名古屋市中川区のやぐまだけではなくて、いろいろなところで同じような現象は起こっていると思いますので、各自治体に保護者から声を上げてもなかなか難しいところがあります。

 是非、こども家庭庁が新たにできましたので、そういった部分を、指針を持って、アドバイスをしていただきたいと思うのですが、御決意をいま一度お聞かせいただけますか。

古賀大臣政務官 大変有意義な御示唆を賜りました。まさに、そういった経営のノウハウといいますか、そういったものを蓄積して、持続可能なクラブ運営というのが大変重要なポイントだと思います。

 そういった点も我々はしっかり念頭に置きながら、今後対策を考えてまいりたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

岬分科員 今日は本当にありがとうございます。

 なかなか学童保育には視点が行きづらい部分かと思いますので、是非こういった機会に、具体的な事例を申し上げましたので、お取組のほど、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

井出主査 これにて岬麻紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹でございます。盛山大臣、大変お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いします。また、政府参考人の皆様も長時間お疲れさまでございます。

 それでは、まず質問させていただきますが、今日の午前中に我が会派の同じ北海道選出の神谷裕委員も質問いたしましたけれども、北海道内の学校等子供関連施設における空調、冷房設備の整備の促進について伺いたいと思います。

 しばらく前までは、北海道は夏も非常に冷涼な気候で、住居や学校施設におけるエアコン設置率は全国と比べると非常に低かったのでございますが、近年の夏は三十度、三十五度近い日が連日続くような日が続いておりまして、それに伴って、新築の賃貸マンションや分譲マンション、そして自宅についても、最初からエアコンがついている家が多くなったり、又は、後でつける家が本当に多くなってきました。

 ただ、一方で、学校施設におけるエアコンの設置率というのは非常に低いままでございます。子供たちや教職員が猛暑の中での学校生活を余儀なくされております。

 私の子供も、中学生と小学生が一人ずつおりますが、夏休み前後になりますと、暑くて意識がもうろうとして授業がちゃんと受けられない。学校の先生も大変なんですよね。また、保健室も暑かったり、給食を作るところも、調理員の方々も暑い中でそういう調理をせざるを得ないという状況でもあります。

 道内自治体、教育委員会、また幼稚園などを運営する学校法人などは、空調設備の整備の取組を何とかやっとここ数年で進めてきているんですけれども、そのためには、やはり十分な予算が必要であります。

 私の地元札幌市は、小学校、中学校の普通教室のエアコンを来年から三年間の中で全て設置するという計画で、非常に速いスピードで設置するんですけれども、機材だったり電気設備の工事業者が非常に少ない。今、北海道では、札幌駅前の再開発事業やラピダスの工場の建設などで建設や電気設備関係の事業が非常に多くなって、人手が不足しております。そんな中で、エアコン設置に向けては十分な予算が必要でございます。

 我が立憲民主党北海道総支部連合会は、昨年十月三日に空調設備整備の促進に係る緊急要請を盛山大臣にさせていただきました。緊急要請を受けて、文部科学省としてどのような取組をこれまで行われてきたのか、そして、今後どのように空調設備の整備促進を図っていくお考えなのか、また、電気料金も非常に上がっておりますので、こうした点についても補助が必要ではないかというふうに思いますが、文科大臣の御見解を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 今御指摘がありましたとおり、昨年十月三日付で、立憲民主党北海道連合会の代表逢坂誠二先生の名前で要請を頂戴いたしました。

 空調設備の整備につきましては、公立学校の施設整備費として、令和六年度予算案に六百八十三億円を計上しております。令和五年度の第一次補正千五百五十八億円と合わせまして、総額が二千二百四十二億円となります。この中で空調設備の整備についても対応してまいります。

 また、私立学校の空調設備の整備につきましても、令和六年度当初予算案と令和五年度補正予算を合わせて三十一億円を計上し、各学校設置者が必要な施設の整備を行えるよう支援しているところです。

 令和五年度補正予算に係る事業については、既に事業内定等を行っているものもありますが、その中で北海道からの御要望には全てお応えできている状況と認識しております。

 また、暑さ対策に係る備品の整備につきましては、北海道教育委員会に対して、速やかに活用し得る関連制度の紹介を行ったところであり、地域の実情を踏まえつつ、必要な整備を進めていただいているものと承知しております。

 文部科学省としては、安全、安心な教育環境の構築に向け、各学校設置者が計画的な空調設備の整備等を行えるよう、引き続き支援してまいります。

道下分科員 令和五年度補正予算等で対応していただいているということに感謝申し上げます。

 ただ、これは一年、二年で終わるエアコンの設置ではないので、できれば、全国平均か全国と同様に、北海道や東北など、エアコンの設置がなかなか進んでいないところの学校施設のエアコン設置が全国平均を上回るぐらいまで、しっかりとこうした支援体制を続けていただきたいと心からお願い申し上げたいと思います。

 次に、二番目の質問、少人数学級について伺いたいと思います。

 義務教育標準法が改正されまして、二〇二一年度から公立小学校の一学級当たりの児童数を段階的に三十五人に引き下げることが始まりました。実に四十年ぶりに小学校における一クラスの生徒数の上限が変わったということでございます。

 以前、この予算分科会において、当時の萩生田文科大臣に少人数学級について伺ったところ、萩生田大臣は、本当は三十五人ではなくて三十人学級にしたかった、目指していたんだというふうに答弁されました。私は、非常に心強いお考えをお持ちだというふうにそのときは受け止めさせていただきました。

 今、文科大臣は盛山文科大臣がなられておりますけれども、現在の少人数学級の取組についてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

盛山国務大臣 今、道下委員から御指摘のとおり、令和三年の第四分科会におきまして委員から御質問があり、そして、当時の萩生田大臣から、元々は小中学校の三十人学級を目指していたという趣旨の答弁があったということを承知しております。

 その後、その年、令和三年に義務標準法を改正し、公立小学校の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることによりまして、児童一人一人のニーズに応じたきめ細やかな指導を可能とする指導体制を整備していくこととしたところであります。

 小学校の学級編制の標準を引き下げたのは約四十年ぶりのことでございまして、教育現場にとって大変有意義なことであると考えております。

道下分科員 私は、三十五人だったり三十人、さらには欧米並みの二十五人とか二十人の少人数学級化を進めていただきたいと思っているんですが、二〇二五年度まで五年かけて段階的に進められている公立小学校の全学年での三十五人学級について、義務教育標準法改正時に三十五人学級の効果を検証することが盛り込まれていたことを踏まえて、文部科学省は三十五人学級の政策効果の把握に取り組み始めたと承知しております。もちろん、学力だけではなくて、様々な、協調性だとか、共に取り組む姿勢だとか、そういったことが身についているかどうかということもあると思います。

 こうした効果検証の具体的内容や進捗状況、また、中間的な報告などの公表の時期などについて伺いたいと思います。

盛山国務大臣 委員お尋ねの効果検証につきましては、令和四年度から、小学校三十五人学級の学年進行が完成する令和七年度まで、実証研究を実施することを予定しております。

 具体的には、少人数学級の効果と外部人材活用の効果のそれぞれにつきまして、児童生徒の学力のみならず、社会情動的スキルなどに与える効果を多角的に検証するとともに、教師の指導方法や精神的健康への影響などについても検証することとしております。

 進捗状況としましては、一部の地方公共団体を対象として、それぞれの変化等を把握するため、昨年度と今年度に児童生徒、教師及び保護者に対する質問紙調査を実施し、現在、集計作業中であります。来年度も引き続きこの調査を実施する予定としております。

 今後、今年度末頃に実証研究の調査の進捗状況について公表するとともに、令和七年度末頃に分析結果の取りまとめを行うことを予定しております。

道下分科員 効果検証を進めていただいて、少人数学級化が子供たちの教育や様々なことにプラスに働いているということを是非導き出していただきたい。

 残念ながら、財務省が、少子化の中で、学校の先生を減らせばいいじゃないかというような、財政審議会でもそういう意見が出ている、これは非常に残念でございます。少子化の中で一人一人の子供たちの学びをしっかりと支えるということの環境づくりを考えれば、世界の中で、GDPの中で公教育の予算が非常に少ない、低い日本において、こうした少人数学級などを含めて、教育予算をもっと拡充することは非常に重要であります。

 そうした意味で、私は、この効果検証は早期に是非進めていただき、また、もし途中であっても、そうした効果検証で少人数学級化を進めるべきだというようなことでありましたら、欧米の取組を参考に、中学校や高等学校における更なる少人数学級化を、また、小学校も含めた更なる少人数学級化を進めるべきだと思いますが、文科大臣の御決意を含めて伺いたいと思います。

盛山国務大臣 先ほども申しましたけれども、令和三年に義務標準法を改正し、公立小学校の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることにより、児童一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制を整備していくこととしました。

 その際、改正義務標準法の附則において少人数学級等の効果に関する実証的な研究を行う旨が規定されたことを踏まえ、小学校における三十五人学級の効果検証をしっかりと行った上で、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方の検討を進めてまいります。

 こういったことを、できるだけ途中経過も含めて公表するということを今後行っていきたいと考えております。

道下分科員 コロナ禍において分散登校がありました。午前中にクラスの半分、午後にクラスの残りの半分ということで、だから、一クラス当たり二十人とか十五人ぐらいが登校していたときに、まず、先生方が子供たち一人一人に目を配ることができた、又は、児童生徒からも、先生にいろいろ話しかけたり、先生が相談に乗ってくれる、そういう時間が増えたということで、もう既に二十人学級ぐらいの効果というものはコロナ禍で実は実証されているんですね。私はそのように思っております。

 ですから、教育予算に関しては財務省から非常に厳しい意見が出ていますけれども、しっかりと、こういう教育現場、子供たち、学校の先生や国民の、そして私たちの後押しを受けて、是非、少人数学級化はスピード化を図っていただきたい、私はそのように思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、教員の働き方改革について伺いたいと思います。

 二〇一九年の給特法改正の際には、当時の萩生田文科大臣は、三年後の教員の勤務実態調査の結果を受けて、給特法の枠組みから見直すと発言されました。その後、文部科学省はどのような検討、取組を進めてきたのか、これは政府参考人に伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善、支援スタッフの充実、ICTを活用した業務効率化などを総合的に進めてきたところでございます。

 令和四年度の教員勤務実態調査の速報値におきましては、平成二十八年度の前回調査と比べ、平日、土日共に全ての職種で在校等時間が減少しておるということと、働き方改革の成果がそういうふうに着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教師も多いということから、取組を加速させていく必要があると考えております。

 給特法の在り方も含めた教師の処遇改善につきましては、現在、中央教育審議会で議論がなされております。

 文部科学省といたしましては、教育の質の向上に向けて、働き方改革の更なる加速化、教師の処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

道下分科員 先ほど答弁のあった調査においては着実に効果が出ているということでありますが、私が数字的に見たところによると、勤務時間が数分間短縮されたとか、又は変わっていないところもあるんですね。そういった意味では、まだまだ緒についたばかりだと思っております。この動きを方向性を間違えずに進めなきゃいけないと思います。

 教員の働き方改革や教員不足解消のための取組として、中教審では、給特法における教職調整額を上げることや、各種手当を支給するなどの議論がなされておりますけれども、私はこれは違うと思うんですね。これまでも教職員の労働組合や連合、日弁連などが強く訴え、指摘しているのは、教職調整額引上げなどは長時間労働の是正にはつながらないと言っているんです。これは明白だと思います。定額働かせ放題をいつまで続けるのか。続けてはならないと思います。

 教員は残業代が欲しいのではありません。一日八時間労働という、働く者であれば当然の権利というか、当然の労働環境を確保したいということなのであります。処遇の改善は働き方改革とは別の問題で、所定の勤務時間内に収まる働き方を基本とする必要があると思います。そのために、教員の定数を増やすだとか、教員がやらなくてもいい仕事を教員にさせないだとか、そういう環境づくりが大変重要だと思います。大臣の見解を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 教師が安心して本務に集中し、誇りを持って子供に向き合うことができるようにするためには、教師を取り巻く環境整備が重要です。このため、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実を一体的に進めることが必要と考えております。

 現在、骨太方針二〇二三や中央教育審議会の緊急提言等を踏まえ、学校、教師が担う業務の役割分担、適正化等に取り組んでいるところであり、引き続き、フォローアップや好事例の展開等を通じて、働き方改革の更なる加速化を図ってまいります。

 また、令和六年度予算案においては、小学校高学年の教科担任制の一年前倒しでの実施など、教職員定数の改善、教員業務支援員の全ての小中学校への配置、副校長、教頭マネジメント支援員の創設などに必要な経費を措置しており、教職員定数の改善や支援スタッフの充実を推進しているところです。

 引き続き、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に取り組んでまいります。

道下分科員 もっとスピードアップ化をして教員を増やしていく必要があると思いますし、先ほども分科会でお話がありました、聞いていましたが、養護教諭だとか栄養教諭、栄養教諭は何校も担当しているだとか、いろいろありまして、食物アレルギーを持った子供たちのためにそれぞれ給食を作らなきゃいけないとか献立を作らなきゃならないとか、本当に大変なんですね。

 昔の定数というか枠、これはもう今の社会に合っていないと思うんです。そこを改善していかないと、子供たちの健康や食といったものももう支え切れていないというのが教育現場の現状だと思うので、しっかりと、教員の方々を含めて、学校現場にマンパワーをもっと供給していくことを文科省に是非お願いしたいと思います。

 学校現場の校務による長時間労働が自主的、自発的行為との法的評価が今もなおされております。非常に残念です。教職の魅力を幾ら発信しても、教員免許保持者が学校現場で働くことをちゅうちょする傾向は変わらないのではないかと思います。

 私は、給特法の廃止若しくは抜本的見直しが必要と考えます。大臣の見解を伺います。

盛山国務大臣 子供の人格の完成を目指す教育を職務とする教師は、極めて複雑、困難、高度な問題を取り扱うなど、自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまでが職務であるのか切り分け難いという職務の特殊性を有するものとされています。

 しかしながら、教師の自主性、自発性が強調される余り、勤務時間を管理するという意識が希薄化し、在校等時間が長時間化しているとの指摘もあり、令和元年の給特法改正に基づき、教師の在校等時間の上限等を定める指針を策定するなど、時間外在校等時間の長時間化を防ぐための取組を進めているところです。

 給特法については、その在り方も含め、具体的に検討していくべき課題であると認識しております。現在、中央教育審議会において総合的に御検討いただいているところです。

 引き続き、教育の質の向上に向けて、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えています。

道下分科員 教員の働き方改革、これをしっかりと着手しないと、先生を目指す人が少なくなっていくだけじゃなくて、今働いている人も、精神的な病などで長期に休業し、そして辞めてしまうだとか、定年後の再任用で働いてほしい先生も、手当が下がってしまうので辞めてしまう、再任用を拒否するというようなこともあります。

 今、私の地元の北海道教育委員会は、次年度の教員採用試験で、民間企業で経験を積んだ人が免許がないんだけれども試験を受けて合格したら、その後、一定の期間大学に行って教職課程を取るということなんですけれども、今、一生懸命勉強して、頑張って教員免許を取って合格しようとしている人が、民間の人がそういう免許を持っていないのに合格して、後で免許を取ってもし採用されるとなったら、本末転倒というか、今学校の先生を目指している若い人たちがやる気をなくすんじゃないかなと思っているんです。

 いろいろな民間の経験を積んだ方が教育現場で頑張っていただくということは私は大変意義のあるものだと思うんですけれども、しかし、最初から学校の先生になりたいと思っている人たちの意欲を縮めてしまうようなことはよろしくないんじゃないか。これは意見として申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、公立夜間中学について伺いたいと思います。

 先日二月十九日に、基礎教育保障学会が盛山大臣宛てに夜間中学の在り方に関する要請書を申し入れました。大臣はそれを御報告を受けたと思います。

 二〇一六年に成立したいわゆる教育機会確保法は、公立の夜間中学が少なくとも各都道府県・指定都市に一校は設置されることが掲げられ、現在では十七都道府県に四十四校が設置されています。

 私の地元札幌市では、二〇二二年度に、札幌市星友館中学校という単置校が開校しました。長年運営されてきた自主夜間中学、札幌遠友塾などの取組や意見を十分に取り入れるなどして札幌市が力を入れており、生徒はもちろんのこと、全国的にも高い評価を得ています。

 そういう公立夜間中学校もある一方で、基礎教育保障学会が、残念ながら当事者である生徒の実情にそぐわない状況が数多く見られますというふうに要請書で指摘している点が幾つかあります。

 文科大臣もお聞きになったと思いますが、一つには、夜間中学校の設置は、これはもう既に設置されていたり予定も含む、そうした自治体では、基本的人権としての学ぶ権利の保障の場であり、国籍、在留資格、日本語力、障害の有無、学歴、経済状況、登校手段、定員、出席日数などで排除することなく、全ての義務教育未修了者や入学希望既卒者を受け入れられるようにしなければならないと考えているんですが、実は、日本語力が必要だとか、様々な入学条件をつけている夜間中学があるんですね。

 これは、いわゆる義務教育確保法の中の基本理念、第三条の四のところにありますけれども、ここから逸脱しているというか、違反するというか、そういう入学条件だと私は思っています。こうしたことは私はあってはならない、排除するようなことはあってはならないと思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過された方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられなかった方、我が国又は本国において義務教育を修了していない外国籍の方などの教育を受ける機会を保障するものとして重要な役割を果たしていると考えています。

 このため、文部科学省では、夜間中学の設置・充実に関する手引の策定、通知、事務連絡の発出による指導助言、各種行政説明会での情報提供、夜間中学の設置、充実に係る財政支援などを通じ、夜間中学の設置促進に取り組むとともに、教育活動の充実等による受入れ対象者の拡充に努めているところです。

 先ほど御指摘の要望書につきましては、団体において把握している具体的な事例も交えつつ、全国で夜間中学の開設が進む中、文部科学省に対して、改めて夜間中学における教育機会の確保等の在り方について自治体に指導助言を行うことを求めているものではないかと認識しております。

 当省としては、要望書の内容も踏まえつつ、引き続き、夜間中学における教育機会の確保等について、各自治体の取組を促してまいりたいと考えています。

道下分科員 よろしくお願いします。

 入学条件の中では、ある程度日本語がしゃべれるようにだとか、そういった条件をつけているところもあるんですね。夜間中学は中学ではありますけれども、小学校の学びも十分に受けられていないような方々だとか、外国人のお子さんだとか、いじめを受けて不登校になったお子さんとかもいらっしゃるわけで、全ての子供たちの求めに、ニーズに応じた教育を保障するというのが公立夜間中学の役割、責務だと私は思っていますので、その点を是非、文科省の皆さんは十分認識されていると思いますけれども、私は、各自治体、教育委員会に周知する必要があると思います。

 そのために、これがきっと最後の質問となると思いますが、夜間中学の管理職や教職員及び自治体、教育委員会職員については、こうした入学条件を課すことなく、全ての義務教育未修了者や入学希望既卒者を受け入れられるようにするだとか、そういった趣旨を十分に理解するための研修を必要に応じて繰り返し実施したり、自主夜間中学などと連携して、その取組や、学習者、生徒ですね、そうした学習者本位の姿勢を学び深めることなどが重要だと考えますが、研修のための予算措置も含めて大臣の見解を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 夜間中学等に携わる教職員に対し、教育機会の確保等に関する理解等を深めるための研修の充実を図ることは大変重要であると考えています。

 また、今御指摘がありましたいわゆる自主夜間中学については、夜間中学と同様に、義務教育を卒業していない者などに対する重要な学びの場となっており、各地方公共団体において地域の実情に応じて連携を図ることが重要であると考えています。

 このため、文部科学省においては、自治体が研修講師を招聘するための経費などについて支援を行うとともに、各種行政説明の機会を通じ、各教育委員会、学校担当者の教育機会の確保等に関する理解促進に努めているところです。

 また、文部科学省が主催する夜間中学設置促進説明会において、自主夜間中学との協力関係を築きながら夜間中学の設置に取り組んだ札幌市の事例を取り上げ、実際に自主夜間中学との連携に取り組んだ教育委員会の担当者から実践発表していただくなど、全国の担当者が自主夜間中学との連携の重要性について実感を伴いながら理解していただけるよう取り組んでおります。

 文部科学省としては、引き続き、夜間中学に関わる教職員等の研修機会の充実に努めるとともに、各地域における夜間中学と自主夜間中学との連携の促進に努めてまいります。

道下分科員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、教育機会確保法十五条には協議会の設置ができるとありますが、夜間中学を設置するに当たって、設置検討委員会を設置していないところもあれば、設置しても、教育委員会の職員など、身内などで固めてしまうところがあります。私は、是非、自主夜間中学など、当事者をしっかりとメンバーに入れて、充実した、そして高い評価を得られるような公立夜間中学校が全国でたくさんできるように文科省に御尽力をいただきたいと最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田久美子君。

吉田(久)分科員 公明党の吉田久美子です。

 幾つか質問をさせていただきたいと思いますけれども、文部科学大臣に通告はございませんので、退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。

井出主査 じゃ、大臣、退席していただいて大丈夫です。

吉田(久)分科員 冒頭、令和六年能登半島地震でお亡くなりになられました方々へ追悼の祈りをささげ、また、被災された皆様、いまだに先の見えない避難生活を送られている皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 政府一丸となって、被災者支援、被災地の復興を何より最優先して取り組んでいただくことをまずは強くお願いをして、質問に入らせていただきます。

 まず、献血について、若者の献血者の減少についてお伺いします。

 今回の能登半島地震におきましても、けがをされた方々を救うために輸血も多くなされたのではないかと推察をしております。

 また、先日、二月二十四日は、ロシアによるウクライナ侵略から二年が経過し、報道の中で、最前線で負傷した兵士の命を救うために最近導入された輸血システムが多大な役割を果たしており、輸血の可否が生死を分けることに直結するとのニュース映像を見ましたけれども、胸を締めつけられる思いがいたしました。

 平時においても、例えば、出産のときに大量出血をしてしまったとき、輸血が母子を救うなど、献血してくださる方の善意で輸血ができ、命がつながれていくケースは決して少なくないと思います。

 今、我が国の献血は五百万人、全人口のおよそ四%の方が安定的に御協力をくださって成り立っているとのことでございますが、内数を見ると、若年層の献血者が二十年で半減をしており、深刻化している少子化の進展も相まって、今後、輸血用血液、血液製剤の安定供給が将来にわたって維持できるのかどうか、大変危ぶまれている状況だと認識をしております。

 特に、血液製剤の原料となる血漿の需要が大変伸びており、必要量は、二〇一七年の九十三・五万トンから、二〇二二年には百二十五・三万トンと僅か五年で一・三倍になるなど、急激に増えており、これからも更なる需要の伸びが見込まれていると聞いております。

 これだけ医学が進歩していても、血液だけは人工的に作れない。人の血液製剤も、人の血液からでないと作ることができません。しかも、長期ストックが不可能で、それぞれ血液製剤には有効期間があり、長くても一年、血小板製剤は採血後四日しか有効期間がありません。

 先日、国は、人工の血小板を製造し、それを用いた血小板製剤を二〇二八年の実現を目指すとの報道に触れましたけれども、まだ実現までにはかなりの時間を要します。

 もちろん、血液型も一致しないと使えません。献血車の前で、日赤の方が街頭で必死に血液型を叫んでいらっしゃることがありますが、それはストックが不足をしているということではなく、一刻を争うせっぱ詰まった状況でされていることだと聞いて、恥ずかしながら、認識を改めた次第でした。

 厚労省も日本赤十字社も若い世代の献血者の減少に危機感を持って、安定的かつ継続的な献血によってしか救われない命があることを若いうちから知ってもらい、そして献血可能な十六歳以降の若者世代の献血人口につなげたいとパンフレット等を作成、小中学校、高等学校に配付し、啓蒙運動に取り組んでいただいていると承知をしております。大変に分かりやすいパンフレットで、しっかり読んでもらえれば、大きな効果が期待できる内容になっております。

 ちなみに、ドイツは、日本の七割弱の人口ながら、献血率が日本の四%のおよそ倍の八・五%、日本を超える七百万人が献血をしているという国で、若い人の献血も多く、献血推進については学ぶことが多くあるようです。

 ただし、ドイツにおいては、売血が合法化されていたり、血漿分画製剤製造事業が盛んで、採血活動を国を挙げての社会活動として取り組まれており、町の至る所に貼られたポスターや、テレビやパソコンで目にする広告は我が国の比ではなく、大量に展開をされているそうで、日本とは背景が異なることがありますが、オープン採血という献血事業は、地域連携の大きな役割を果たしているといいます。小学生から高齢者まで、ボランティアが五万人もドイツの赤十字社には所属をしており、採血会場では、その友人や地域の方たちもボランティア活動に参加。参加をする中で、まるで日本の昔の村祭りのように、子供たちは地域の縦横のつながりを通して助け合いの精神を学び、献血可能な年齢に達したら自然と献血に協力をする、これがドイツの若者の献血率が非常に高い理由であるという研究もあります。非常に参考にすべき取組だと思います。

 我が国で昨年取りまとめられた骨太の方針二〇二三には、献血への理解を深めるとともに、血液製剤の国内自給、安定的な確保及び適正な使用の推進を図るというふうに明記されたところです。元々の骨太の方針の原案では、血液の理解を深めるとともに、血液製剤の安定的な確保を図るとしていたところを、公明党の浮島智子議員、秋野公造議員の修正意見を反映して、血液製剤のの後に国内自給という言葉、また、安定的な確保の後に及び適正な使用という言葉を加えて、献血への理解を深めるとともに、血液製剤の国内自給、安定的な確保及び適正な使用の推進を図る、こういうふうになったわけです。

 なぜ国内自給が大事か。それは、過去に、血液製剤の過度の使用により、国内献血だけでは血液製剤を賄えなくなったことから、やむなく使った輸入血液によって薬害エイズ、C型肝炎が起こってしまったという反省を込めての修正であり、適切な血液製剤の使用というルールを守りながらも、必要な血液は国内の献血で支え合うことが重要だということ、つまり、命と健康を支える血液はお金を出して外国から買うものでは賄えないということを是非学校現場で学んでもらいたいというふうに思います。

 我が国では、献血教育が課題となっております。献血教育推進の会の有田美智世代表からも、若いときに献血の大切さを教えることが将来的な献血推進につながる、是非協力をお願いしたいと公明党に対しまして御要望をいただき、骨太の方針の、献血への理解を深めるの後に注を入れ、欄外に、注、小中学校現場での献血推進活動を含む、こういうことを公明党が働きかけて明記をしてもらったと承知をしておりますけれども、具体的に、現在、学校現場ではどのような推進活動が行われているのかをお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、少子高齢化の影響等により、若年層の献血者数の減少が顕著になっており、将来にわたって安定的に血液を確保するために、若年層を対象とした献血の普及啓発が重要であると認識しております。

 学校におきまして、現在、学校教育活動全体を通じまして、厚生労働省及び日本赤十字社が提供する献血に関する啓発資料や動画コンテンツ、出前講座等を活用しながら、児童生徒の発達の段階に応じて、献血への理解増進に向けた取組が行われているところでございます。

 具体的に申しますれば、例えば、小学校や中学校の学校行事において、都道府県赤十字血液センターの協力を得て献血セミナーを実施し、センター職員からの説明や動画の視聴を通して献血の歴史や大切さ、献血によって互いを助け合うことを学ぶ、高等学校の保健体育科において保健、医療制度について学習する際に献血の制度を取り上げ、輸血や献血の意義や制度、課題について学んだ上で、若年者の献血者を増やすため自分たちができることについてグループで考察する、さらには、高等学校のボランティア部の活動として、赤十字献血センターを見学したり、希望者により献血啓発ポケットティッシュを製作、配布するような、そういった啓発活動を行ったりするなどの活動が行われていると承知しております。

 このため、文部科学省におきましては、厚生労働省と連携いたしまして、日本赤十字社が作成した小学生向け献血啓発資材、みんなで学ぼう、献血のことのほか、厚生労働省が作成いたしました中学生を対象とした献血への理解を促すポスターや、高校生向けテキスト「けんけつ HOP STEP JUMP」などの啓発資料の配付に協力するとともに、出前講座を行う都道府県赤十字献血センターの連絡先を周知しているところでございます。

 また、令和六年度予算案におきましては、学校において、がんや難病など、様々な病気を抱える人々への共感的理解を深めるとともに、そうした人々とともに生きる社会づくりに向けた意欲や態度を養うため、医師や患者等を外部講師として活用する教育活動を支援する事業として約四千四百万円を計上しているところでございます。この事業では、献血への理解を深めるために、例えば、都道府県赤十字献血センターの職員や輸血を受けた患者を外部講師として活用する際の経費を支援することも想定しております。

 引き続き、厚生労働省と連携し、各学校において献血への理解増進に向けた取組の充実が図られるよう努めてまいります。

吉田(久)分科員 献血教育といいましても、もちろん、学校教育だけで担っていただくような類いの問題ではないと承知をしております。日本でも、ただ机上でパンフレットを教材に学ぶだけでは、献血行為に結びつくことは難しいのではないかと考えます。

 これは提案ですが、ドイツに学んで、例えば、地域の献血会場に放課後の学校を使って、その会場づくりや啓発運動、例えばチラシ作りや地域への配布等などに、小学生から献血ボランティアとして大人に交じって主体的に携わる経験をすれば、献血に来る大人を格好いいというふうに思うし、自ら献血できなくても、間接的にも人の命を守ったり病気を治したりできたという貴重な体験にもなり、献血可能な年齢になりましたら自ら献血という行動にダイレクトにつながることになるのではと考えます。

 その連係で、学校献血についてお伺いいたします。

 なぜ日本では若い世代の献血が減ったのか。その原因の一つに、学校献血が減っている、献血車を見かける機会が減少したという点が言われております。高校献血は、平成三年には六割以上の高校で行われていましたが、令和三年度には二割以下に落ちてしまっております。学校の方針で減少してきたということですが、命を救う、支え合うという究極のボランティアである献血を若いときに経験することは貴重な体験で、大きな意義がある、また、同級生と一緒なら初献血に挑むハードルが下がるとも言われておりまして、大人になってからも自然と献血をする行為につながり、非常に重要だと思います。

 ちなみに、栃木県は、高校生の献血が大変多いということで、高校生の献血した割合は一五・〇二%、全国平均三・四一の五倍弱だそうです。県内の高校の九割近くで献血が行われており、献血は学校でが普通だそうです。献血デビューは学校で、このことをより多くの高校生も可能にすべきではないかと思います。

 ただ、これ以上学校の先生方の仕事や負担を増やすことには私も反対でありますし、学校が進めることで、強制的なものと感じたりすることがあってはなりませんから、あくまでも献血事業の主体と責任は日赤また厚労省であり、運営の協力を地域のボランティアの方が担う、こういうことが大事だと思いますけれども、学校はあくまで会場提供にとどめるべきだとは思いますが、改めて、より多くの高校という場所を使っての学校献血の実施また再開を期待したいと思いますけれども、文科省の見解をお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校に献血バスが出向いて実施する学校献血について、今委員から御披露があったとおり、令和四年度におきまして実施率が約二割程度にまで減少しているというふうに我々も承知しております。

 学校献血の実施は、これも委員から御指摘のありましたとおり、設置者や学校により判断されるものではございますが、文部科学省におきましては、これは昨年の十月でございますが、都道府県教育委員会等を通じて各学校に対して、高校生が献血に触れ合う機会の一つとして、学校献血の活用について積極的に受け入れていただくよう周知しているところでございます。

 引き続き、学校献血を含め、学校における献血の理解増進に向けた取組の充実が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 献血の重要性をしっかりと学校現場では学んでいただき、献血という極めて重要な社会事業の下支えをする上で、果たすべき役割は是非担っていただきたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

 続いて、養護教諭についてお伺いをしたいと思います。

 今、この学校の負担という話も出ましたけれども、今、多様な子供たち、様々な課題を持った子供たちが増加をする中で大きな役割を担ってくださっている養護教諭、いわゆる保健室の先生についてお伺いしたいと思います。

 不登校や、また回復期における子供たちを支える手だてとしての保健室登校なども増えておりまして、養護教諭に対して大きな役割が求められており、かつてより仕事量も増大している現状があるとお聞きをしております。

 ほとんどの学校では、突然のけがや発熱、体調不良などの初期対応をたったお一人の養護教諭が対応してくださっており、その責任の重さは、同僚や先輩がいない中では相当なものであり、そういう悲鳴のようなお声が上がっていると聞いております。

 先ほど質問もしましたけれども、そもそも学校献血が減少した背景には、過度の役割や責任を学校や養護教諭の皆さんに押しつけてしまったこともあるのではないかというふうに思っております。

 もう一度、学校の養護教諭が担うべき役割を明確にし、複数体制を当たり前にするなど、現状に対応できる体制について強化すべきではないかと考えますが、文科省の取組についてお伺いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒が抱える現代的な健康課題が複雑化、多様化する中で、一人配置となっている養護教諭を支援する体制を強化することが重要と考えております。

 このため、文部科学省におきましては、令和五年度から、経験豊富な退職養護教諭等を学校へ派遣し、繁忙期や大規模校における業務支援や研修機会の確保等を図る事業を実施しており、令和六年度予算案におきましては、昨年度比倍増の約一億円を計上しているところでございます。

 本事業では、域内における規模の大きい学校のうち、養護教諭の配置が一人である学校に退職養護教諭を派遣し、二人配置にする、学びの多様化学校や校内教育支援センターがある学校に、通常業務を行う養護教諭に加えまして、不登校の未然防止や不登校児童生徒の心身の健康について主として対応する退職養護教諭を配置する、さらには、若手養護教諭が配置されている学校に経験豊富な退職養護教諭を派遣し、日常的な指導助言や研修時の業務代替を行う、こういったことを通して各地域、学校の実情に応じて柔軟に活用していただく、こういうことを想定しているところでございます。

 本事業を通じて各学校における養護教諭の業務支援の体制強化を図り、児童生徒に対して、よりきめ細かな支援が実施されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 一人と二人では大分違いますので、是非そういう退職者の方も協力していただく体制を更に強化していただいて、複数が当たり前の体制を是非強力に進めていただければと思っております。

 最後に、特別支援学級の先生を支える仕組みの強化をということでちょっと質問したいと思います。

 小中学校に通う障害のある児童生徒に対して、個々の障害に即応した指導を行うため、学校現場では、特別支援学級、通級指導教室等が置かれ、インクルーシブな教育とともに、子供に合わせた教育に取り組んでいただいております。

 ただでさえ教員不足が大変な中で、この特別支援学級や通級教室の対象となる児童生徒の方が増えているということで、クラスの数が増え続けているという現状も聞いております。

 学校現場では、専門的な障害児教育の知識や技能を有する教員の不足は本当に深刻になっております。知識経験もない中で、時には新規採用の教師であっても担任に就くということがあり、新米の先生方にとっては特に、何を目指せばいいのか、何が正解なのか本当に分からない中で、孤軍奮闘の末に悩みを深めて休職をしてしまったり、また、時には、その子に対する認識や教育方針のずれから保護者の方との関係が悪化をしてしまったり、保護者の要望に教師がうまく応えられないということで自信を失って休職や早期退職につながってしまうなど、専門性が問われる場面に対応できずに苦労されている先生方、また、児童生徒だけでなく保護者との関係でも悩む教員の方が少なくないと聞いております。

 教員をしている私の友人も、支援学級で長く務めた経験から、経験を積めば積むほど子供たちの成長にやりがいも感じ、子供たちとの関係は、時間はかかっても良好なものになっていくそうですけれども、難しいのは親御さんとの関係ということで、本当に神経をすり減らして、もう教師をやめようかというふうに何度思ったか知れないと語っていました。それほど、やはりどちらも、親御さんが悪いということではなくて、どちらも真剣だからこそぶつかる、そういうことだとは思うんですけれども。目の前にいる、目にしている子供たちの障害だけではなくて、養育の背景、様々な背景を子供たちは持っておりますので、対応せざるを得ない難しい場面にも直面をし、先生方は苦悩しながら現場に立ち続けてくださっております。

 何か事故や事件が起こったときに先生一人をやり玉に上げる風土のままでは、結局は教師のなり手不足を助長し、教育の荒廃を招くだけではないか。子供たちを育てる責任は親や教師だけにあるのではなく、周りの大人全員に責任があり、インクルーシブな社会は皆でつくるものだという考えに変わっていかなければいけないと強く感じております。

 その上で、発達障害も含めた障害者教育のニーズも高まる中で、先生方が自信を持って子供たちに向かい合い、支援学級の担任を務められるような専門的な知識の学びが保障されているのか、また、一人の教師だけで対応するのではなくて、学校としての受皿、ガバナンスが機能しているのか、学校外の機関とどう連携するか、過去の事例など、ケースワークが共有されているのか、先生を支援する仕組み、相談できる体制としてスクールローヤーやソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等が整備されているのか。

 公明党としましては、チーム学校の整備強化を訴え続けてまいりましたけれども、将来にわたる子供の最善の利益となるように、特に、特別支援学級におきましては、先生方を孤立させないような仕組みをつくり、教師が安心して子供に合わせた教育に取り組める環境整備を更に強化していくべきではないかと考えます。

 文科省としまして、障害児教育を担う先生方を支える体制についての考えをお聞かせいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化に伴って全体の児童生徒の数が減少する一方で、特別支援教育を受ける児童生徒数は増加しており、特別支援教育を担う教師を支えるということは大変重要であると認識しております。

 専門的知識ということでございますが、文部科学省におきましては、特別支援教育を担う教師の養成、採用、継続的な学びを支える研修等、専門性向上のための取組を進めているところでございます。

 具体的には、令和元年度から、教職課程において特別支援教育に関する科目を必修とする制度改正、初めて通級による指導を担当する教師のためのガイドの作成及び周知、発達障害の可能性のある児童生徒に対する指導経験の浅い教員の専門性向上に係る支援の構築に関する事業の実施などを行ってきております。また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所におきましては、各都道府県の指導的役割を果たす教員に対する専門研修や、教員向けのインターネットによる講義配信を実施しております。

 学校としてのガバナンス、学校外の機関との連携についてでございますが、昨年三月に取りまとめられました文科省における検討会議の報告を受け、全ての学級に特別な教育的支援が必要な児童生徒が在籍しているという可能性があることを前提に、校長のリーダーシップの下、全教職員で組織的に対応するための校内支援体制を確立する必要性について都道府県教育委員会等に通知しております。

 教師を支援する仕組み、相談できる体制でございますが、教師をサポートするために、スクールローヤー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのほか、特別支援教育支援員や、特別支援教育の充実を図るための外部専門家などの支援スタッフの配置充実に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、教員のメンタルヘルス対策も含め、学校における働き方改革や、チームとしての学校の実現に向けた取組の推進など、特別支援教育を担う教師の支援体制の充実を図ってまいります。

 以上です。

吉田(久)分科員 本当に大変な現場に立っていただいている先生方を支えることが、ひいては子供たちを支えることに直結をすると思いますので、チーム学校、この体制をしっかりと進めていただき、強化を、強めていただきますよう、心からお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

井出主査 これにて吉田久美子君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑裕明君。

田畑分科員 自由民主党の田畑裕明と申します。

 第四分科会、文科省の皆様方に質問させていただきたいと思います。盛山大臣もお疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。委員長も御苦労さまでございます。

 それでは、最初、ちょっと通告を逆にしまして、高度医療人材養成拠点形成事業について、一問確認をしたいというふうに思います。

 これは、令和五年補正予算でしっかり盛り込んで、そして引き続き六年度予算にも入れて、医師の働き方改革のスタートも含めて、地方大学病院におけるそうした勤務体制についてのしっかりとした拡充だというふうに理解をしているところでございますが、各大学病院でどのように有効に予算を活用した人材育成につなげていくのか。

 特に、各地方都市、私、地元は富山になりますが、地方都市において、やはり医師、医療人材のなり手不足、そしてまた偏在是正、このことについてはオール・ジャパンでも、これは厚生労働省も含めて対応していかなければならないところでございますが、文科省として、この拠点事業を通じて、どのような事例を含めて取り組んでいくのか、まず御説明を聞きたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度から医師の時間外労働等の上限規制が適用されることから、大学病院において、質の高い医療の提供や地域への医療人材の派遣の継続と教育研究機能の維持、活性化、これらの両立を図ることが喫緊かつ重要な課題でございます。

 文部科学省といたしましては、大学病院の教育研究機能を維持強化するために、医学生や大学院生が大学病院で行う臨床実習や臨床研究の環境を整備し、高い臨床能力を有する医師の養成を図るため、令和六年度予算案、そして今御指摘いただいた令和五年度補正予算において必要な経費を計上しております。

 各大学病院におきましては、これらの事業を活用して、例えば、手術支援ロボット等の整備などを通じた教育研究環境の整備を図ったり、医学系大学院生等が教育研究に参画する機会を創出したりすることにより、地域医療にも貢献できる高度医療人材を育成することが期待されております。

 文部科学省といたしましては、厚生労働省を始め関係省庁とも緊密に連携しながら、引き続き、大学病院の機能を維持するため、必要な方策を講じてまいります。

田畑分科員 ありがとうございます。

 これは、予算、どれだけあっても、私、足りないんじゃないかなというふうに思いますし、踏ん張っていただいて、補正と新年度でという、この予算であります。

 また、各大学も、四月からのスタートに向けて、いろんな準備は大学病院は行ってきているところでありますが、しっかり呼び水的に活用していただきたいと思いますし、えてして横並び意識も当然高いわけでありますので、そうじゃなくて、やはりとがってしっかり前に進めていくというか、そんな大学病院を是非後押しをしていただきたいというふうに思います。

 院生ですとか研修医ですとか、それぞれのポジションポジションで学ぶべきことについて、やはり重層的に支援できるような体制をしっかりお願いしたいと思います。私も大変関心が高く、常にまたチェックしていきたいなというふうに思いますので、そのことを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、これで池田局長は、もし答弁がなければお下がりいただいて結構でございます。

井出主査 じゃ、池田局長は結構です。

田畑分科員 今日は、教職員の方のメンタルヘルス、そしてまた養護教諭の在り方について是非文科省の方に問いたい、質問させていただきたいと思います。

 国会図書館に、教職員のメンタルヘルスの関係で、最近の新聞記事等の照会をかけると、あっという間にたくさん答えが、最近の新聞記事のコピーを今もらっております。いかほどに教職員のメンタルヘルスに対する対応、世間的にも当然関心が高い、イコール、非常に休職者も残念ながら増えているという社会課題がございます。

 いろんな識者の方々の指摘があったりですとかございますし、文科省や各都道府県教委中心に、当然、御苦労の中でも、お一人でもそうした苦しむ方を減らす、そして子供たちとしっかり向き合う、そうした教職員の方々の支援、サポートされているというふうに当然承知をしているところであります。

 直近だと、これは文科省では平成二十五年度でしょうかね、教職員のメンタルヘルス対策検討会議でしっかり議論され、一定の方向性が出され、いわゆるガイドライン的なものを出しているというふうに承知をしています。

 セルフケアですとか、いわゆるラインですね、校長を含めた縦のラインによるケアですとか業務負担の軽減ですとか、また、当然、相談体制を充実させること、また職場環境の改善をするということ、また、不幸にして休職をされても、復職への支援であったりですとか、復職プログラム自身をしっかり改善をしていくことですとか、復帰後のフォローを行う等々がこの検討会議で示されて、今、各教育現場に下りているというふうに承知をしています。

 平成二十五年ということでありますから、少しやはりバージョンアップもしていく必要が私はあるというふうに認識をしてございますし、社会情勢、今、包摂社会ですとか、またダイバーシティーも含めてでありますが、インクルーシブという中の考え方、概念というのは、これは学校教育現場においてもどんどん入り込んでいる中でありますから、そうしたガイドライン、メンタルヘルスについての考え方というのをもう少し改めてバージョンアップする必要があるということを繰り返し指摘したいというふうに思います。

 その中で、今年度から、モデル事業として、教員のメンタルヘルス対策調査研究事業というのが行われているというふうに承知をしているところでございます。

 まず、この取組状況、少し確認を込めて、御答弁をお願いしたいというふうに思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度から実施しております公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業におきましては、域内でのメンタルヘルス対策に課題意識を持つ自治体に御応募いただき、外部有識者によって構成される推進委員会による審査を経て、沖縄県、千葉市、神戸市、宮城県白石市、大阪府枚方市の五つの自治体を採択しているところでございます。

 各自治体における事業につきましては、令和五年七月から順次開始しておりまして、各自治体において専門家等と協力しながら、域内の自治体、学校においてセルフケアやラインケアの充実、ICT、SNS相談員等を活用したメンタルヘルス対策のモデル事業の実施及びその効果検証等を行っていただいているというところでございます。

 各自治体におきましては、必要となる事業期間も含め、適切な事業内容を計画していただいたものと承知しておりますが、引き続き病気休職の原因分析や各種取組の効果、課題についての分析を進めていただき、文部科学省としては、採択自治体における取組を参考に、全国の自治体に対してメンタルヘルス対策を普及していきたいというふうに考えているところでございます。

田畑分科員 ありがとうございます。

 今、五つの教育委員会ですよね、御報告があって、大臣の御地元の神戸市もお取組をなさっているというふうに承知をしております。

 今、答弁の中では、令和五年の、今年度の七月からということですが、ちょっと確認ですけれども、五市とも七月から調査を含めたものが動いているという認識ですか。それとも、少しばらつきというか誤差はありますか。

矢野政府参考人 一部自治体、八月からというところもございます。

田畑分科員 あわせて、細かいですけれども、お尻は三月までということなんですか。それとも、一月、二月で切っているのか。

矢野政府参考人 三月までということでございます。

田畑分科員 まずモデルで行うということでありますし、まず、その五つの自治体、ちょっと規模感も異なったりする中で状況を見ているんだというふうには承知をしておりますが、このモデルの事業をつくっていただくということも、私なりにもいろいろ文科省さんにも提案をさせていただいて動き出しているということは大変うれしく思っているところでありますが。

 当然、半年そこらやってもすぐに効果は出ないのではないかなというふうには承知をするわけでありますし、今後の取組も含めてでありますし、新年度の中にもこれをやるよというふうに盛り込まれているというふうには承知をしておりますが、継続も含めてでありますし、二か年度目に入るときに改めて募集をかけたりするのかも含めて、できることならば、新年度入ってすぐとか、やはり早めの対応と、調査期間も含めて、いろいろなデータ取得も含めて、一定の期間をしっかり落ち着いた形で調査をできる、そしてまた、教育委員会関係者の方々もいろいろまたフィードバックを得て学校にまた対応できるという、そのローリングが必要なのではないかなというふうに思いますが、現状どう考えていらっしゃるのか、もう少し詳しくお聞かせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度に関しましては、まさにこの事業が立ち上がったということもございまして、少し立ち上がりが遅れたということでございます。

 原理原則といたしましては、一年度、年度でということでございますが、もちろん、今委員から御指摘のあったように、ある程度継続してというものもございます。その辺、この場ではなかなか申し上げられませんけれども、適切に対処してまいりたいと考えております。

田畑分科員 大臣、答弁は結構なんですけれども、神戸市も取組をされていますし、どうしても、モデル的な事業でぶつ切りで半年間とか七か月やるだけではなくて、やはりせっかくやったものを更につなげていくであったりですとか、連続性ですとか継続性、そしてまた、一定の期間をやはり一年度、一年間を有効に使ってしっかりやるということを私は大変意義のあることだというふうに思いますので、答弁は結構でありますが、今局長がいろいろ、思いの一部を私は披露していただいたんじゃないかなというふうに受け止めたいと思いますから、これはしっかり期待をしたいと思いますので、是非お願いをしたいというふうに思います。

 そもそも、この事業の背景は、精神疾患による病気休職者が非常に高止まりをしている、今、二十代、三十代の若い教職員の方々の休職というのも増えつつあるということが指摘をされておりまして、やはり高止まりですとか増加するということは、学校現場における教員の人手不足も相まって、子供たちへの影響については相当注視をしなければいけないという背景でこのモデル事業が今動いているというふうに承知をしているところでありますから、これは危機感は当然共有をしているというふうに思いますし、誰も好きこのんでこうした苦しい思いで休職をされている方はいらっしゃらないわけでありますから、なんとか隘路を解きほぐしたりですとか、休職に至るもうちょっと手前のメンタルケア、また福祉的なケア、こうしたことを是非心がけていただきたいというふうに思います。

 その上で、ちょっと改めてお聞きをしたいのが、どんな認識でそもそも課題解決に、今の令和の時代の学校現場、そして、先ほどから言いますとおり、いろいろな報道を見ても、ちょっと検索をしただけで教員のメンタルヘルスに関わる事案についてはたくさんの記事があふれているわけであります。

 これまでも、いろいろな有識者の提言を受けた対策であったりですとか、一部の自治体、学校で取組が実施されていると思いますが、果たしてこれは功を奏していると言えないんじゃないかなという問題意識を提示をさせていただきたいというふうに思いますが、改めて、初等中等教育局において、やはり、現場の教職員は疲れている、そしてまたいろんなストレスを抱え込んでいる、ここに対して、もっと、新しい取組も含めたアプローチについて、力強く御答弁をお願いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 各教育委員会におきましては、先ほど委員から御指摘のありました平成二十五年の有識者会議において取りまとめられた、教員のメンタルヘルス対策についても参考として、メンタルヘルスの不調の未然防止、休職期間中における復職に向けた支援、復職後の支援等に取り組まれているところ、病気休職者数が減少している自治体もあり、一定の効果を上げている側面もあるのではないかというふうに認識しております。

 一方、先ほどこれも委員から御指摘のありましたとおり、精神疾患による長期療養者数が過去最多となる中、全国的にはメンタルヘルス対策は喫緊の課題となっていることから、文部科学省におきましては、令和五年度予算及び令和六年度予算においてメンタルヘルス対策に関する調査研究に必要な事業を計上しており、病気休職の原因分析やメンタルヘルス対策等に関するモデル事業を実施し、効果的な取組の研究や事例の創出に向けて今取り組んでいるところでございます。

 引き続き、教師が心身共に健康な状態で児童生徒と向き合うことができるよう、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいりたいと考えております。

田畑分科員 もう少し細かなことを聞きたいと思いますけれども、全国の公立の小中学校で、やはり、教職員数が五十人に満たない、五十人未満の学校も非常に増えているというふうに承知をしています。

 いわゆる民間事業所ですと、五十人以上で、産業医だったりですとか、衛生委員会ですとか、安全委員会の設置というのが義務づけられているところでございますが、学校はカテゴリーが異なりますから、一般の労基の基準ではないというふうにはもちろん承知をしていますが。

 やはり、小規模な学校におけるいわゆる労働安全衛生上の配慮的なことについて、繰り返しますけれども、法的な義務はないにしろ、一般事業場においても一定の労働安全衛生の対処をしなければいけないというのはむしろ当然であるわけでありますから、今後更に増えるであろう小規模な小中学校を含めた公立の学校における労働安全衛生の観点も含めた取組、これは好事例のいろんな収集だったりとか、これは、小さくなればなるほど学校長の裁量でいろいろ風通しのいい職場環境づくりをやっている学校もあるのではないかなというふうに思います。やはり、文科省として、そういうのをしっかり、好事例を吸収したりですとか、各都道府県教委への情報提供とか、小規模学校ということに少しフォーカスをした中での取組について現状どう行っているのか、お聞かせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 常時五十人未満の教職員を使用する学校においては、産業医の配置はもちろん義務ではありませんが、衛生推進者の選任や面接指導体制の整備等が義務づけられておるほか、ストレスチェックの実施等が努力義務、これが努力義務となっているため、各都道府県教育委員会に対して、整備状況の調査の結果を周知するとともに、常時五十人未満の教職員を使用する学校における適切な労働安全管理体制の整備を改めて求めてきたところでございます。

 また、地方公務員安全衛生推進協会におきまして、小規模な公立学校における安全衛生管理の好事例を含めた事例集を作成しているところ、文部科学省におきましても、この当該事例集について都道府県教育委員会等への周知を行っているところでございます。

 今後も、各自治体の整備状況等を踏まえながら、労働安全衛生管理体制の整備が全国的に速やかに進むよう、必要な取組を行ってまいります。

田畑分科員 ありがとうございます。

 今、ストレスチェックというワードも出たところでありますが、これは、一般事業場においても、ストレスチェックの実施はなされているが、ストレスチェックのその後の、事後フォローだったりとか、そのチェックであぶり出された課題を改善にまでつなげているかというと、まだまだ少ないというのが一般的に出ているデータだというふうに言われています。

 ですから、まず、当然ストレスチェックをすることも大事でありますけれども、その次のステージには来ているのではないかなというふうに思いますので、是非、その利活用を、一般事業場の取組も含めて、お取り入れをしたりですとか取組をお願いしたいと思いますし、今るる御答弁がございましたが、きちっとそれが全国に網がかかって、ワークされるように、引き続き体制の点検、チェックをお願いをしたいというふうに思います。

 改めて、学校においては、大規模校、中規模校、小規模校というようなカテゴリーが分類されるんだというふうに思いますが、場合によっては、やはり、企業においても、いわゆる大企業と中堅・中小企業、小規模事業所の企業においては、職場の人間関係であったり、また、大規模であれば、職場の配置転換とかというのは割と柔軟にできるわけでありますが、小規模の場合は、基本的には同じ職場環境の中で配置換えというのは現実的に厳しくて、転勤なり異動ということが一つの善処策なのではないかなというふうに思います。

 それぞれ、カテゴリーごと、あえて言えば、大規模、中規模、小規模としますが、そこにおけます職場環境づくりのための休職者数に、何かの相関関係とか、また課題ということについては、何か文科省として認識しているのか。

 また、各都道府県の教育委員会に、いわゆる労働安全衛生の専門的な知識を持った方がしっかり配置されているのかというのも、ちょっと、私、いろいろ調べては、はっきりよく分からないので、把握しているデータで結構でありますけれども、各教育委員会にいわゆる産業保健分野に精通した者の配置ということについては、何らかの配慮がなされているのか、少しお聞かせをいただきたいと思いまして、配置されているのであれば、人数ですとか、ここ数年の推移みたいなことをお聞かせをいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目、平成二十四年に文部科学省が実施した調査におきまして、教諭等が学習指導、生徒指導、部活指導、校外行事への対応及び保護者への対応に強いストレスを感じる割合、これを取っておりまして、中規模校が最も多く、続いて大規模校、小規模校の順であるということが分かっております。

 一方で、教諭等が業務の質、同僚との人間関係、上司との人間関係にストレスを感じる割合は、学校規模が大きいほど多くなるという傾向があることが分かっております。

 また、各都道府県教育委員会における産業保健の専門家の配置状況でございますが、誠に申し訳ございません、網羅的には把握しておりませんけれども、県教育委員会におきまして、労働安全衛生管理について、各市町村教育委員会と情報共有を図り、一体的な体制を構築する事例があるということは承知しておりまして、好事例として情報発信を行っております。

 学校規模以外にも教師のメンタルヘルスに影響を与える要素は様々あるところ、個々の教師や学校が置かれた状況を踏まえて、適切な対策が取られるよう、調査研究事業等を通じて、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいりたいと考えております。

田畑分科員 ありがとうございます。

 産業保健の専門家の数等については、昨日の夕方通告したので、余り調べ切れないのはあるのではないかと思いますので、そこもまた、いろいろなことの隘路にならないように、また点検を是非お願いしたいと思います。

 ここで、大臣にちょっとお聞きしたいと思いますが、今、人事院は、ミッション、ビジョン、バリューという、いわゆる公務員、国家公務員としての働きやすさを含めた世の中に対する健康経営的な視点のビジョンを発表されたところでございます。

 これは、文科省として、大臣として、各教育委員会、教職員の心身の健康をしっかり守るんだというようなやはりメッセージをしっかりお出しをされることがよろしいのではないかと思いますし、いわゆる学校の健康経営宣言的なものを盛山ビジョンとして是非打ち出され、教職員の心身の疲労に対するしっかりとした対応をやっていくということについて、是非力強く打ち出されてはいかがかなというふうに思いますが、御見解を含めて、御意向、お聞かせをいただきたいと思います。

盛山国務大臣 御指摘のとおり、教師の心身の健康を確保することは、教師自身にとっても、あるいは教師と過ごす子供たちにとっても大変重要なことだと認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、令和元年の給特法改正に基づき、服務監督権者である教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を令和二年一月に策定したところです。

 この指針の中では、教師の健康及び福祉を確保するため、在校等時間が一定時間を超えた教師に対し医師の面接指導を実施すること、年次有給休暇の取得を促進すること、心身の健康問題についての相談窓口を設置することなどの留意事項を示しています。

 各教育委員会においてこの指針を踏まえた取組が行われているものと認識していますが、文部科学省としては、中央教育審議会における議論も踏まえ、引き続き、指針を踏まえた取組が実効的に行われるよう、教育委員会や学校等に対する指導助言等に取り組んでまいります。

田畑分科員 今日もこうして苦しんでいる教職員の方がいらっしゃるということにも思いをはせながら、是非、大臣のリーダーシップを御期待を申し上げたいと思います。

 もう一項目は、養護教諭の多忙解消について、改めてお聞きをしたいと思います。

 直近ですと、令和五年一月に、これは養護教諭と栄養教諭併せて、資質能力の向上に関する調査研究協力者会議というのが持たれ、その取りまとめにのっとって、令和五年七月に、各都道府県教育委員会へ課長通知ということで、職務の明確化ですとか学校管理規則の参考例を作成されて発出されているというふうに認識をしているところでございます。

 それを踏まえてでありますが、まず一点目は、養護教諭の複数名配置についてであります。ひょっとしたら今日もこの分科会でも議論があるのではないかというふうに思いますが、定数配置の改善は、平成三年及び平成十二年の改善以来、二十三年間養護教諭については改善がないというふうに理解をしているところでございますが、細かくは申しませんが、養護教諭の職務は、非常に幅広いわけでありますし、業務の中身は減ることはなくて、時代の趨勢とともに更にどんどんどんどん増えているのではないかというふうに思います。一校当たりの養護教諭の複数名配置についても、非常に悲痛な声というのは文科省にも寄せられているんだというふうに思いますが、ちょっとその現状についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 複雑化、困難化する教育課題への対応を図るため、養護教諭を含め教職員定数の改善を行うことにより、学校の指導、運営体制の強化充実を図ることは大変重要なことだと考えております。

 このため、文部科学省では、養護教育の教職員定数について、これは平成十二年以来できていないという御指摘がございましたけれども、引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたほか、近年では、児童生徒の心身の健康への対応を図るため教員加配の措置を行っておりまして、令和六年度予算案においても改善分を計上しているところでございます。

 また、複雑化、多様化する現代的健康課題を抱える児童生徒等に対しよりきめ細かな支援を実施するため、退職養護教諭等を学校に派遣する事業を実施することとしており、令和六年度予算案においても支援の拡充を行うということとしております。

 引き続き、養護教諭の定数の改善を含めた学校の指導体制の充実に努めてまいります。

田畑分科員 ちょっと、二問一緒に聞きたいと思います。

 これは養護教諭の皆さんから私も直接お聞きしたわけでありますが、自ら行う業務とそれ以外の業務が養護教諭の現場レベルでは相当整理がされていなくて、膨大な事務を養護教諭個人で処理せざるを得ない状況もそれぞれあるというふうにお聞きをしたところであります。

 学校内におけるやはり役割分担をしっかり行って、組織マネジメントを行う、過度に極端な属人的な仕事にならないようにしなければいけないというふうに思いますが、これは一つの提案でありますが、教員の養成カリキュラムに学校保健など養護教諭の職務内容を学ぶような科目を設定するであったりですとか、むしろ、養護教諭の養成課程の中においてもいわゆる学校内でのコーディネート力ですとかマネジメント力、こうしたことを、保健室がセンター的な機能、役割を果たせるような、そんな科目の学びの機会、カリキュラムみたいなものを新設するということの案も私のところにも寄せられているところでありますが、ちょっとその見解をまずお聞きしたいのが一点であります。

 もう一つは、質の向上のための研修制度の在り方でありますが、一校一人配置、幾つか今加配とか学校の基準を下げてきたというのもお聞きをしておりますが、そうは申せ、数百人をお一人で見るということについて、やはり経験の浅い養護教諭の方々にとっては大変厳しいものもあるというふうにお聞きをしています。研修に行きたくても、自分の代替の方がいなければ研修にも行けないということでありますよね。

 健康相談業務の中でも心の健康、子供たちの心の健康についてもケアするには、やはり一定の研修や、また常に情報のブラッシュアップというのは、私は必要なのではないかなというふうに思います。実際、養護教諭のアンケートも、ちょっとここは時間の関係で全て細かくは御報告いたしませんが、やはり心の理解と対応についての研修を受けたいという声が、アンケートを取っても一番高いというふうに言われてございます。

 先ほど、冒頭あった会議の課長通知の中では、任命権者のその判断によっていろいろ研修を行ったりですとか研修課程を作成しなさいということ、できますよということがあるよというふうには私も承知をしていますが、任命権者の判断だけではなくて、やはりもう少し、立法したりとかちゃんとした規定にのっとってきちっとどこでもワークされるという方向にまでもう少し踏み込んで私は進める必要があるのではないかなというふうに思います。

 学校現場における養護教諭自身が、心のケアや、もちろん身体的なケアも含めてでありますけれども、幅広い形でしっかり力を発揮できるような研修の体制、このことについてもお答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目の養護教諭の養成でございますけれども、小中学校等の教諭免許状の教員養成課程における教職の意義及び教員の役割、職務内容に関する科目におきまして、チーム学校運営への対応について学習することとなっており、養護教諭を含む校内の教職員や多様な専門性を持つ人材との連携や組織的な諸課題への対応について理解することとなっております。また、生徒指導の理論及び方法の科目におきましては、課題を抱える児童生徒への対応について、養護教諭等との連携等を理解するということとされております。養護教諭の養成課程におきましては、学校保健や養護教諭の職務の具体的、基本的な内容について、学校保健や養護概説などの科目を履修することとされております。

 養護教諭が、その専門性を生かし、学校保健の全体的な推進体制の中核として学校内の教職員や学校外の関係機関との連携をコーディネートすることも重要な役割であることから、各大学の養成課程の科目の設定に当たり、こうした内容の充実が図られるよう、関係団体と連携して取り組んでまいりたいと思います。

 また、研修でございますが、養護教諭として職務を遂行するに当たって求められる資質、能力を明確化し、任命権者において資質の向上に関する指標を策定することが重要と考えており、本指標を教員養成と採用、研修の結節点として、関係者が共通認識を持ち、養成段階において指標を活用した取組を行うことや、教員研修計画に反映し、教師の自己研さんに当たってのよりどころとすることなどが期待されております。

 このため、文科省におきまして、都道府県・指定都市教育委員会において、養護教諭の職務の専門性が反映された質の向上に関する指標と、それを踏まえた教員研修計画が策定されるよう、各教育委員会に働きかけているところでございます。

 さらに、一人配置が多い養護教諭の研修機会が確保されるよう、昨年度より、先ほど申しました研修時の業務代替のための退職養護教諭を派遣する事業を実施しております。令和六年度に、予算案において、昨年度比倍増の一億円を計上しているところでございます。

 引き続き、学校保健の中核を担う養護教諭の資質、能力の向上が図られるよう取り組んでまいります。

田畑分科員 終わります。ありがとうございました。

井出主査 これにて田畑裕明君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原豪君。

篠原(豪)分科員 立憲民主党の篠原豪でございます。

 本日は、予算分科会での質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 今日は、今回の質疑に当たって、一年後に教育現場を御卒業される地元中学校の校長先生からメッセージとお話を聞かせていただきまして、そこで、大臣には、今日のお話を聞いていただいて、日本の教育の未来について大局的な議論をさせていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 金八先生を始め、学校で活躍する教師に憧れて教職を目指した人が多かった世代の先生からのお話であります。そのためか、当時は、教員の採用試験の倍率が十倍を超える、そういう狭き門でありました。御自身も、よく合格できたなと、今でもそう思うそうです。

 ちなみに、去年の質疑でも、この予算分科会でさせていただきましたけれども、今、横浜市の教職員の応募倍率というのは二倍を切るんです。実際には、近隣の川崎市とか相模原市とか、神奈川県は政令市が三つありますので、幾つか受けると倍率は一倍を割ってしまう。全然時代が違うということで、そのぐらい、教員になりたいという方が今いない、減っているという、大変な問題だということでございます。

 当時は、民間企業に比べて給料は安いんだけれども、時間を気にすることがなくて、全てを子供たちのためにと考えて、子供たちの笑顔と成長に喜びを感じる姿が理想で、浪人してでもなりたい、そういう方々がたくさんいた、そういう時代だったそうです。

 しかし、実際に教職に就いてみると、テレビの番組とは違って、いろいろ憧れで入ったんでしょう、子供たちや保護者との対応に悩んで、校内暴力や子供たちの非行に苦しむ日々だったということでした。校内暴力は、子供たちの荒れに対して、体を張って、そして、時間を全く気にすることなく指導、支援に当たってきたそうです。

 子供や保護者の方々に寄り添って信頼関係をまず構築する、そして、丁寧な指導、支援を行うことで子供たちの荒れの克服をしてきた、これが大事だったということだそうです。その作業には時間の制限もありませんでしたし、夜中の三時まで、家出した生徒を捜したこともあったということです。かつて、子供たちのためにと頑張る多くの教員の存在が子供たちの健全育成を担ってきたということでございます。

 もちろん、返ってくるものも大きかったとおっしゃっていました。そこには喜びとやりがいがずっとあった。いじめの対応にも御苦労はありますけれども、現在の日本全体の学校の落ち着き、当時みたいなことは今は余りないわけですよ、本当に学校が荒れている時代があったので、こういったものを、教職員が子供や保護者との信頼関係の構築を目指して丁寧に寄り添って指導、支援をそういう時代から長年やってきた、こういった成果だというふうに考えているそうです。

 このお話を聞いて、大臣、十倍だった、あの人気があった時代と今と、そして、この先生方が果たしてきた社会的な日本の歴史の中における役割、こういったものを今聞いてどのように感想を持たれたのか、お伺いさせていただきたいと思います。

盛山国務大臣 私も、武田鉄矢さんの金八先生の番組なんかを、それ以外にもいろいろあったと思いますけれども、拝見させていただきました。それだけではないんでしょうけれども、学校の先生になりたい、子供をうまく育てていきたい、そういう熱い思いの方が多かったんだろうと思います。

 そして、残念ながら、それに比べて今は、受験倍率、これを見ると相当程度下がっている、これは事実だと思います。ただ、それは、学校の先生というものに対して、最近、大変だ、あるいは、いじめや不登校や、長時間労働である、働き方改革の一番求められている分野である、そういうようなネガティブな報道、あるいはそういうような実態もあるのかもしれませんが、それだけではないんじゃないかなという気持ちがございます。

 多分、学校の先生以外の、それこそ私が金八先生を見ていたような時代であれば、外資ですとか海外に行って働くなんてことは余り考えられない時代でありました。けれども、今はそれももう当たり前になっております。海外への、場合によったら高校からの留学も当たり前になりつつあるところでありますし、そしてまた、給与の処遇の面ですとか、いろいろな面で魅力のある、あるいは少なくとも魅力があるように見える職場が増えている、そういうこともあるのではないか。

 それから、辞める人と入る人との関係での倍率ですとか、そんなこともあろうかと思いますので、一概に倍率だけで評価をするというのはいかがかなとは思いますが、それにしても、働き方改革が求められ、そして、教師になろうという方の数が減っているというのは事実であろうかと思いますので、こういった状況を変えていかなくてはならないと思います。

 また、あわせて、篠原先生がお話を伺った、学校の現場で長くお勤めになった先生のように、そういうような多くの先生が、献身的にと言っていいんじゃないかと思いますけれども、我が国の、これは小学校、中学校、高校だけではないと思いますが、いろいろなレベルの教育段階、ここに取り組んでくださった、そのおかげで、日本の教育が、OECDのPISAという一つの結果が出ておりますけれども、そういうものでもほかの国に比べて日本はトップのレベルの学力、こういったものを今有している、そういうようなことにつながっているのではないかな、そんなふうな感想を持ちました。

篠原(豪)分科員 今のお話を伺っていますと、ほかに魅力的な仕事があるということも要因じゃないかというふうなお話でしたけれども、この先生方の世代の方が言うには、民間企業に比べて給料が安いということはその当時から分かっている、だけれどもそっちを選んでいた、それが夢のある仕事だったということでありましたので、そこのところをしっかりとまた考えていただきたいと思います。そこに要因があるというふうに思います。

 今から今のお話を基に少し質問させていただきますけれども、この世代の先生方が教員になった頃は、土日は、半日の授業日でした。私たちはそうですね。私もそうでした。その土日のほとんどは部活動に費やされていたと。授業とは異なる姿を見せる子供たちとの関わりは楽しかったですし、疲れた感覚もさほどなかったそうです。大半を費やしているわけですね。大会で試合に勝ってうれしくて涙する子供たちの顔を見ることが先生御自身の部活動の目標ともなり、うれしいことはたくさんあったんだと。

 もちろん、最も大切なことは授業だと、先生としてですね。ただ、子供の意欲を引き出す、魅力的な授業を提供することが教員の使命でありますし、生活指導の基本である。その上で、授業や放課後の活動、部活動を通して子供たちとの関わりを心から楽しく思っていたし、中学校の教員、この方が中学校に入ったのは部活動で毎日のように顔を合わせることができるからだということで中学校を選ばれているんですけれども、今でもつき合いが続いているそうです。

 本来であれば、教員の仕事は、子供たちの笑顔と明るい声に囲まれ、教員自身も笑顔で楽しい時間を過ごせる、魅力のある仕事であるというふうに思っているそうです。だからこそ、教員は、子供たちの成長に携わる、楽しく、笑顔があり、魅力的な仕事であるべきだということなんですが、基本的にこういったことが今現場でなかなか思われていないんじゃないかということだそうです。

 ですので、やはり、この基本と今の乖離をどういうふうに考えていらっしゃるのかということを少しお伺いします。

盛山国務大臣 なかなか難しい、厳しい御質問でございます。

 篠原先生がお話を伺った方は中学校の教員になられたわけであります。私の場合には、比較をするといけないかもしれませんが、役所に入ったわけでありまして、土曜日は半ドンといいながら、日のあるうちに帰れればラッキーでありましたし、もう今から言うと四十年以上前になりますが、フランスのOECDという国際機関にトレーニーで行って、戻るときに、なぜおまえは、土日週休二日でない、ここに残ることを選ばずに、土曜日も働く、しかも給料が安いと聞いている日本に戻るんだ、そんなことを言われた覚えがありますけれども。

 多分、篠原先生がお話を伺った先生も、当時の私も、やはり、教師として、あるいは役人としての使命感であり、そういった、やりがいがどこまでかはちょっと、その先生の場合と私は分かりませんですけれども、当時はそんなものだというような感じでやっていたのではないかなと思います。ただ、篠原先生がおっしゃるように、本来であれば、教員の仕事は、子供たちの笑顔と笑い声に囲まれ、そして、教員自身も笑顔で楽しい時間を過ごせるような魅力ある職場、仕事にしなければならない、ここについては本当におっしゃるとおりだと思います。

 どの時代においても、教師は公教育の要でございます。子供たちに寄り添いながら、その成長を実感することができ、ほかでは得難い経験、感動を得られる魅力的な職業であります。とはいいながら、その働き方改革がこれだけ大きな課題になっているということは、やはり教師を取り巻く環境に今大きな課題がある、問題があるということでございますので、我々文部科学省としては、一人一人の教師がその魅力を実感しつつ、生き生きと子供たちの指導に当たり、そしてその姿が次世代の教師志願者を引きつけることにもつながるよう、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えています。

篠原(豪)分科員 ちょっと先のところまでお話しされたのかなと思うんですけれども。

 まさに、今言ったような、夢のある職場だった。子供たちを育てて、日本を支える、そして次の時代を担う人材を育てて、全体でいい国をつくっていこう、豊かな社会をつくっていこう、そして笑顔のあふれる生活環境をどんな世代でもと思って、そのためには国力がないといけないし、しっかりとした若い方々が国を支えなければいけない、そのために教育をしなければいけないということでやってきた。

 ただ、今おっしゃったように、いつの間にか、残念ながら、教師はブラックではないかと言われて、時間外手当の代わりに給料月額の四%を付加しただけで働かせ放題の厳しい仕事と思われるようになってしまっているわけですよね。これは伝え方の問題もあるのかもしれないけれども、制度上そういうふうになっているので。去年もこの分科会でお話ししましたけれども、一日十九分分の残業代なんです、四%って。一日十九分分で、あとはもう出ないということになりますと、これは大変だということなんですけれども。

 さらに、この現状に加えて、当時と比べて教員の方々の負担が大きくなっていることは事実だそうです。例えば望んでいない部活動の顧問をしている方々もいて、これは負担です。

 また、保護者への対応の苦労が言われています。確かに初期対応の失敗に起因することもあるということなんですけれども、保護者の方々の意識にもやはり課題を感じているそうです。教員を、つまり、言えば、リスペクトと言うのか分かりませんけれども、そういう姿勢がなくなっているというふうに多分現場の方々は感じていらっしゃるんじゃないかと思います。ちなみに、アメリカでは二十数年前に、入学時に保護者との約束の中で、教員をリスペクトするということが書かれている。アメリカではそうなんですよ。

 学校では丁寧な寄り添った対応と時に毅然とした対応が必要なんですが、この毅然とした対応に今大きな課題を感じているということです。クレームに対しては、法的な対応や警察との連携、こういったものも進めていく必要があるんですが、教員の地位向上もなければ対等に話ができないということだそうです。

 これは私からお話しすることもありませんけれども、かつて田中角栄政権の時代に、教員の地位向上を目指して教員の待遇改善に着手をして、一九七四年、人材確保法が成立をしました。私が生まれる一年前なんですけれどもね。段階的に給与改善が行われていき、最終的に二五%改善したんですよね。二五%ですよ。そのぐらい大きな改善を国のためにしなければいけないという、当時そういう政治の判断があった。今とちょっと、大分違いますね。

 教員の仕事を地位向上するためには、やはり、学校が将来を担う子供たちをしっかり育てなければ、日本の未来は厳しいものになります。日本人が世界に誇れるマナーや人間性、高い能力ということも含めて、これは教育の成果なので、今、日本の子供たちはしっかり育っていると冒頭でおっしゃっていましたけれども、こういうことをやってきたのは学校なわけですよ。もちろん家庭でもやられていますけれども。

 そういった中で、優れた人材がやはり教師の中に必要です。日本の将来を担う人材を育てるということは、有能な人材が教育に携わりたいと思うように、魅力的な仕事にしてほしいと強く願うわけです。そのためには、やはり今申し上げたような、諸外国と比べても、諸外国というかアメリカしか言っていないですけれども、とりわけ教員の皆さんの地位向上とか処遇改善が必要であると考えています。

 このことについて文科行政の中ではどのように位置づけているのか、大臣の御説明を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 田中角栄政権のときというのは、ちょっと間違っていたらごめんなさいなんですけれども、第一次オイルショックですとかそういうような時代でありましたので、教員だけではなく、大幅にインフレ、そしてお給料を改善したタイミングだったのではないかなと思います。それにしても、このような人材確保法で教師の処遇の改善を図ったというのは立派な方向性だったと思います。

 そして、他方、教師というものに対して、少なくとも私が子供の頃は、先生の言うことを聞きなさいと親が言い、そして、教員に対して、教師に対して、世の中全般が学校の先生というものにそれなりに敬意を表していた、高いモラルの人であるという意識があったと思うんですが、モンスターペアレンツという言葉もありますけれども、最近はいろいろな人が出てきて、学校の先生方もそういうものへの対応で疲弊しているようなことも増えているということで、世の中全般の流れ、在り方が変わってきているというのもその背景にあると思います。

 そして、お問合せのことでございますけれども、教育は人なりと言われるように、学校教育の成否は教師に懸かっていると思います。教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保することは大変重要であると認識しております。

 骨太の二〇二三におきましても、人材確保法の趣旨等を踏まえ、教職調整額の水準や新たな手当の創設を含めた各種手当の見直しなど、職務の負荷に応じためり張りある給与体系の改善を行うなど、具体的な制度設計を進め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されております。

 現在、中央教育審議会において御審議していただいており、文部科学省としては、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援について、文部科学行政の最重要課題として一体的に進めていきたいと考えております。

篠原(豪)分科員 改善が必要だということで、ちょっと部活動の話もしましたので、部活動の話もさせていただきたいと思うんですけれども。

 その前に、教師の待遇改善は財務的な問題もありますので、手短にで結構でございますので、今のお話を聞いて、財務副大臣に財務省としてのお考えを伺いたいと思います。

矢倉副大臣 教員の仕事は魅力あるべきであるというのは、まさに篠原先生がおっしゃるとおりであると思います。

 教師が安心して本務に集中し、士気高く誇りを持って子供に向き合うことが大事であり、今大臣からもお話がありました骨太二〇二三などにおいても、教員勤務実態調査の結果等も踏まえ、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導、運営体制の充実、育成支援を一体的に進めるとされているところでもあります。

 また、令和六年度予算案においても、人事院勧告も踏まえて教員の給与を改善しているほか、教員業務支援員を全小中学校へ配置すること等もしております。

 財務省としましては、教員の働き方改革等を進めることと併せて、教員の処遇改善の在り方について検討していくことが重要であると考えており、議論をしてまいります。

篠原(豪)分科員 部活動なんですけれども、教員の本来の業務ではないかもしれませんが、自らの意思で取り組むのだというふうに考えた場合、今は、なり手がなくて仕方なく部活の顧問を引き受けているという状態になっていて、負担になっているそうなんですね。

 そこで、例えば部活の地域移行というのが今行われていますけれども、部活動と同数の指導できる人材がいるかといえば、いない。アメリカのように、自治体の活動として会費を払ってみんなが参加するような制度を確立できるかといえば、これもできないでしょう。ただ、今、私の地元の横浜市では、各学校が部活指導員を依頼していますけれども、時給千八百円なんですね。幾らか一生懸命頑張っても月に十万円程度でございます。だから、引き受けてもらえる人材は限られていますよね。非常に責任を伴いますし、時間も取られますから。

 そういった中で、一つの打開策として、教員の中には、子供たちの教育に熱心に取り組んで、そしてその上で部活動を大切に考え指導に当たっている教員もたくさんいますので、一部の自治体で始まっているそうなんですが、部活動に費やす時間を学校の業務から切り離して、ボランティアではなくて教員の兼業としてやっていくということができるんじゃないかというふうに思っていますが、この点についてどう考えていらっしゃるのか。ちょっと時間がないので、少し手短に。

盛山国務大臣 地方公務員である公立学校の教師が希望される場合に、教育公務員特例法第十七条等の規定に基づき、服務を監督する教育委員会の許可を得た場合には兼職、兼業を行うことが可能となります。

 文部科学省においては、例えば、土日など勤務時間外に公立学校の教師が地域クラブ活動に従事する場合の兼職、兼業の許可に関する考え方や留意点等をまとめた手引を作成しております。この手引も活用しながら、部活動の地域移行が円滑に進むよう、引き続き、教師の兼職、兼業に関する考え方についても周知してまいりたいと考えています。

篠原(豪)分科員 幾つかの自治体では実証的に活動も始めたということですので、これがうまくいくように是非していただければ、部活動も、やりたい方が支えていって、それがちゃんと評価されるということになりますので、文部科学省さんにおかれましてはしっかりと進めていただきたいと思います。

 次は、先ほどの委員からもまた加配の話もありましたけれども、教科担任制の導入について。

 具体的には、今お手元に資料をお配りしていますけれども、新しい時代の学びの環境の整備ということで、これまで、令和二年の予算から、チームティーチング六千八百人というものを、活用が見込まれる四割を除いて、学校の働き方改革の観点から、専科指導のための加配定数に発展的に見直すことにしました。令和二年、三年で二千人ずつ増やして、四、五で九百五十人ずつ増やして、これを今度の予算では千九百人に一気に倍増しようということにしているんです。

 このことに当たって、これまでの運用はいいので、今、このことについて現場からニーズがあるのは、高学年における教科担任制は子供たちの学びの充実や教員の持ち時間数の削減につながる優れた手法であると、これは現場の方もおっしゃっているんです。ですが、全ての学校現場では、算数を中心に、少人数制、チームティーチングができるきめ細やかなニーズが強いという現状だそうです。

 このような中から、私の地元からは、今回、この千九百人分、これは当初計画の二年分を前倒しして一気に増やすということになるんですけれども、これを実施すると問題が起きるんじゃないかという懸念が指摘されています。

 具体的には、元々措置されていない付加定数からの振替が多くなり、学校現場ではチームティーチング加配などがいなくなり、代わりに教科担任になったという実感が増すんじゃないか。新たな加配より振替部分の数が多く、増員の実感が湧かない。そして、全国知事会、あと全国教育長協議会からも、このことについては令和六年度予算案に際して意見が出ています。

 そういった中で、全国知事会や市町村教育長会でも振替はやめてくださいという要望を出しているということでしたので、今回の予算案では、今の申し上げたチームティーチングの実施と少人数学級の実施のために措置している加配定数の一部の振替をどの程度想定しているのかをお伺いします。

 これは短めに教えていただければいいので、今言ったような現場のお声に対して、大臣、どのように考えていらっしゃるのかということを教えていただければと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 振替につきましては、少人数指導のための加配定数四百人を活用し、千九百人の定数改善ということでございますので、四百人ということでございます。

盛山国務大臣 今、振替の話がございましたけれども、こういう加配定数の振替も活用しつつ、振替以外の定数改善も含めて、各年度九百五十人の定数改善に必要な経費を計上しているところでありますし、今後、現場のお声も伺いながら、各地方の教育委員会ですとかそういうところの御要望にうまく合うような取組、こういったものを今後とも進めていきたいと考えております。

篠原(豪)分科員 是非そうしていただければと思います。

 というのは、機械的に振替を行うということになれば、やはり、学校現場での教科担任制の推進とともに、チームティーチングの加配にも重要性がある中で、加配申請にも手が挙げられづらくなるんじゃないか、このことを非常に気にされていますので、今の話が現場であるということを今大臣おっしゃいましたので、ここのところはしっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 最後に、校舎の施設整備のお話を伺います。

 今、学校の老朽化というのが進んでいて、校舎の建て直しも必要になります。温暖化の影響で、冷房というのは今どんどん、必要なのでつけていただいているんですけれども、体育館の空調設備設置というのがほとんど進んでいないんですね。私もしょっちゅういろいろな学校の体育館に行くんですけれども、この週末も行きましたけれども、いろいろ催物がありますので。そうすると、災害の際に避難所として活用していく必要もあるので、体育館や武道場の空調設備も早急に進める必要があるんじゃないかということを学校の先生がおっしゃっているんです。受け入れる側として、やはり、これがないのですごく心配だということで。

 ですので、文部科学大臣に今後の整備予定というものについて伺いたいということと、せっかく、防災担当副大臣、現場を見ていますから、今回の輪島も含めて、能登半島も含めて、是非、こういったことに対して優先的にやるお考えはあるのか、また、その予定はどうなっているのかということを伺いたいと思います。

盛山国務大臣 学校の体育館や武道場といった屋内運動場については、災害時に避難所として活用されることが期待されているにもかかわらず、その空調設置率は全国的に低い状況であります、これは篠原委員のおっしゃるとおりで。空調設置を促進することは喫緊の課題と認識しています。

 この点、小中学校の屋内運動場への空調設備の設置については、各自治体の申請に基づいて、学校施設環境改善交付金による国庫補助を行っております。その設置率が全国的に低い状況にあることから、屋内運動場への空調設備の新設については、本年度から令和七年度までの間、断熱性の確保を前提に、国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げたところであります。

 文部科学省としては、引き続き、各自治体が計画的な空調設備の整備等を行えるよう支援を行ってまいります。

古賀副大臣 学校の体育館や武道場につきましては、災害時に避難所となることも多いことから、避難者の生活環境の確保の観点からも空調設備を整備することは重要であると認識しております。

 内閣府では、そうした観点から、文科省、消防庁、関係省庁と連携をし、国の各種支援制度を通じて支援をしているところでありますし、また、指定避難所のエアコン等の冷房機器について、自治体に対し、避難所における取組指針や避難所ガイドライン等により平時から導入の推進をするよう促すとともに、冷房設備の整備、確保の先進的な事例を収集し事例集に取りまとめ、自治体にも周知をさせていただいているところであります。

 引き続き、関係省庁や自治体と連携をし、避難所の生活環境確保のため、空調整備の普及に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

篠原(豪)分科員 是非、しっかりそちらの方も進めていただきたいと思います。

 もうちょっと時間がありますので、もう一つお伺いさせていただきます。

 教員の定数についてです。

 今日、最初にお話しさせていただいた先生方、学校の現場の方々は、どうぞ教育にもっと大きな予算を投入してください、教育は国家の根本です、日本の将来を担う人材の育成に力を入れていただきたいということでございます。それが日本の未来につながると考えています。

 実際に実態を見ますと、今はGIGA端末を活用する授業があって、クラスの人数が四十人は多いということです。OECDは、御存じのように、小学校が平均でいうと二十人ちょっと、中学校も二十人ちょっとですね。今、日本は四十名だということであれば、やはり、教員が十分に力を発揮できるよう負担軽減を図るというために教員定数を増やしていただきたいと思いますので、最後に、そのことについて短く大臣に御意見をいただいて、財務省としても、副大臣にもそのことを受けての御見解をいただけたらと思います。

盛山国務大臣 質の高い教育の実現や、複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善は重要と考えております。

 このため、令和六年度予算案においても、まず、小学校における三十五人学級の計画的な整備や、高学年における教科担任制の強化、通級による指導や日本語指導等の充実、生徒指導など様々な教育課題への対応に必要な定数改善を計上しております。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、教職員定数の改善に全力で取り組みます。

矢倉副大臣 教職員定数については、平成以降、少子化による減少要因が発生する一方で、少人数学級の計画的な整備や多様な学校スタッフの増員などにより教員の負担軽減に努めてきたところであります。

 令和六年度予算案については、先ほど、今大臣からお話があったとおりの施策を考えているところでありますが、改めて、財務省としては、引き続き教員の働き方改革や教員の負担軽減を推進していくことが重要と考えております。

篠原(豪)分科員 田中内閣のときに二五%の改善があったということですが、国としてたまにそういうことをやるということも大事ですし、今大きな本当に岐路に立っていますから、是非、大きな視点で、文部大臣には、そして文部省の皆様には取り組んでいただきたいということをお願いをさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆間譲司君。

漆間分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間譲司です。

 まず、文部科学大臣に通告はありませんので、退席していただいても大丈夫でございますので、よろしくお願いいたします。

井出主査 では、大臣、どうぞ。

漆間分科員 まず、通告の大きいところの一番、学びの多様化学校を始めとする不登校支援充実のための自治体への財政措置の拡充についてお伺いいたします。

 令和五年度予算において設置準備に関する経費が措置されましたが、令和六年度予算案においては、設置準備に加え、設置後の運営支援に係る経費について新たに措置されております。設置準備、設置後の運営支援について具体的にどのような経費が補助対象となるのかの詳細について、もし明らかになっているようであればお答え願います。是非とも、自治体の教職員の人件費、施設設置、改修に係る経費にまで補助対象を拡大していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の学びの多様化学校の設置促進事業につきましては、御紹介のありました、設置前の準備経費を補助の対象としていることに加えて、令和六年度予算案におきまして、開校後の運営アドバイザーへの謝金や教職員研修に係る経費等を計上したところでございます。

 また、更なる設置促進のための教職員の配置についてでございますが、この事業というわけではございませんが、生徒指導等のための教職員の加配定数の優先的な措置等が可能となっております。

 さらには、学びの多様化学校を設置する際、これまでも新しく校舎等を建てる新増築には支援を行ってきたところでございますが、これに加え、令和六年度予算案におきまして、地方公共団体が新しく校舎等を建てる代わりに、廃校や余裕教室等の既存施設を活用して学びの多様化学校を整備する場合において、補助率二分の一で支援する新たなメニューを計上したところでございます。

漆間分科員 ありがとうございます。是非今後も拡充の方をよろしくお願いいたします。

 学習指導員等の校内教育支援センターへの配置等による不登校児童生徒への支援については、令和六年度予算案においても措置されておりますが、実施主体は都道府県や指定都市となっております。事業対象を市町村に拡大していただきたいのですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 補習等のための指導員等派遣事業は、学校の指導、運営体制の充実に向け、教職員配置の役割を担う都道府県・指定都市が他の補助金等との連携を含めた効率的な運用を図ることが期待されていることから、現在のところ都道府県及び指定都市を事業主体としております。

 なお、本事業は、都道府県が実施主体となる以外にも、国庫補助は都道府県が負担する経費の三分の一ではあるものの、市区町村が実施する事業に対して都道府県が補助をする、いわゆる間接補助という形も可能でございます。

 事業の実施に当たっては、都道府県は市区町村の意見も聞き、その意見を十分に尊重することが望ましいとの留意事項も示しておりますので、補助金活用を希望する市町村におかれましては、まずは都道府県に御相談いただければと思います。

漆間分科員 今、市町村の役割も拡大しておりますので、是非補助対象の拡大をよろしくお願いいたします。

 続きまして、スクールソーシャルワーカー活用事業の継続、補助額の増額及び補助割合の増加、及びスクールカウンセラー等活用事業の継続、補助額の増額について、共に令和六年度予算案において措置されており、特に、重点配置校については配置の拡充が図られていると認識しております。その詳細と今後の方針についてお伺いいたします。

矢野政府参考人 スクールソーシャルワーカーの令和六年度予算案の配置については、基礎配置に加えて、一万校に対して重点配置として配置時間の拡充、倍増しておりますけれども、計上しているところでございます。また、スクールカウンセラーの配置につきましても、基礎配置に加えて、一万校に対して重点配置としての配置時間の拡充を行う、そういった計上をしているところでございます。

漆間分科員 自治体の方から、特に配置日数を小学校でも中学校でも増やしたいという要望が強くありますので、よろしくお願いします。あわせて、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの待遇改善のところも是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、不登校児童生徒に対する支援推進事業は、学びの多様化学校の設置促進や教育支援センターにおける多様な相談支援体制の強化を内容とするものであり、令和六年度予算案においても措置されておりますが、補助事業者は、これも同じく都道府県・政令指定都市となっております。是非とも市町村への拡大をお願いしたいところですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの不登校児童生徒に対する支援推進事業につきましては、学びの多様化学校の設置促進のほか、不登校児童生徒への支援に向けた関係者協議会の設置や、教育支援センターの支援強化等に係る経費を補助する事業でございます。

 不登校児童生徒への支援の充実に向けては、学校設置者の設置判断と直結する学びの多様化学校の設置支援を除いては、まずは都道府県の各地域において好事例の創出と共有、普及啓発を図ることが急務である、当面は、各政令市・都道府県において一つ学びの多様化学校を設置していただきたいというのが今のところの我々の直近の目標でございます。補助事業者としては、現時点では都道府県・政令指定都市としているところでございます。

漆間分科員 こちらも同じく、市町村、特に中核市とかでは役割も増えてきているところですので、是非拡大の方をよろしくお願いいたします。

 続きまして、通告の大きな項目二番目、学校教育活動に係る費用の公費負担についてお伺いいたします。

 現在、関係法令に基づき、国公立の義務教育諸学校の授業料及び国公私立の義務教育諸学校の教科書、教科用図書は無償となっております。また、義務教育段階においては、市町村は生活保護世帯などに対して就学援助を行っているところです。就学援助のうち、要保護者に対する所要経費の二分の一を国が補助しているところです。

 その上で、現在保護者が負担している体操服だったり上靴だったりの学用品の費用や、修学旅行費などのいわゆる学習実費を公費で負担する自治体に対しては、国による財政支援は行われていないところであります。

 今、隠れ教育費と言われている問題が指摘されておりますが、自治体が保護者に負担していただいている学校教育活動に係る費用を公費で負担した場合、自治体の負担となる費用に対して国による財政支援をお願いしたいが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 その前に、訂正させていただきます。

 先ほど、学びの多様化学校の設置支援についても、都道府県・政令指定都市のみというふうに御答弁申し上げましたが、この事業に関しては市町村も対象にしているということでございます。失礼いたしました。

 今御質問いただいた教材費についてお答え申し上げます。

 これは、釈迦に説法で大変恐縮ですが、憲法二十六条の二項で規定する義務教育の無償とは、授業料不徴収の意味と解することが相当との最高裁判例が示されているところでございます。

 一方、家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供に教育の機会均等が実現されることが重要でございまして、義務教育段階においては、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して、市町村が宿泊行事や副教材等を含む学用品等を支援する就学援助を実施しているところでございます。

 そのうち、生活保護の対象となる要保護者への支援については、国が経費の二分の一を補助しております。令和六年度予算案においても、小学校の新入学児童生徒学用品等の単価引上げを計上しており、これまでも支援の充実を図ってきたところでございます。

 文部科学省といたしましては、家庭の経済状況のいかんにかかわらず、誰もが安心して教育を受けられるよう、関係省庁と連携しつつ、国庫補助の充実や、各市町村における就学援助の実施状況を毎年調査、公表することにより、支援の充実を促し、教育費の負担軽減に努めてまいります。

漆間分科員 低所得者だったり、そういったところへの支援はもちろん必要なんですけれども、是非、自治体が今独自でやっているところに関しても国による支援をよろしくお願いいたします。

 続きまして、大きな項目三番、学校施設環境改善に係る補助制度の拡充についてお伺いいたします。

 今日の第四分科会でも、何回もこれまで質疑をされていると思いますが、学校施設のトイレの洋式化や学校施設のエアコン設置について、自治体における学校施設のトイレの洋式化は、学校に通学している各家庭での洋式トイレの普及状況、バリアフリー化等の観点から、計画的に取り組む必要があります。また、学校施設のエアコン設備については、設置後年数の経過や、猛暑による熱中症予防の観点から、空調設備の需要が年々高くなってきております。さらに、屋内運動場、体育館への空調設置については、災害時には避難所として活用されることから、早期に空調設備を設置する必要があります。学校施設の環境を改善することにより、教育環境の充実にもつながることから、計画的に実施する必要がありますが、改修には多額の費用がかかることが一番の課題となっております。

 そこで、公立学校施設整備の国庫補助事業における配分基礎額の算定単価及び算定割合の引上げのお願いに加え、公立学校施設整備の国庫補助事業における公立学校施設整備費負担金について、現行では二年以内の工事が対象となっておりますが、工期が二年を超える工事についても対象としていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

笠原政府参考人 先生の方から、補助単価と補助の割合、それと、二年を超える工事についてお尋ねがございました。

 まず、国庫補助単価につきましては、昨今の建築資材の高騰等を踏まえまして、令和六年度予算案では、公立小中学校校舎の国庫補助単価、鉄筋コンクリート造でございますけれども、前年度比一〇・三%増とする見直しを予定しており、これが成立しますと三年連続で一〇%を超える増となるなど、その充実に努めているところでございます。

 続きまして、補助割合につきましては、学校施設のバリアフリー化につきまして、まず、令和三年度より国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げているほか、災害時には避難所としても活用される体育館について、断熱性の確保を前提に、令和五年度から令和七年度までの間、空調の新設に対する国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げているなど、各種の喫緊の課題に対し、必要な支援の拡充を図っているところでございます。

 また、二年を超える工事についてでございますけれども、公立学校施設整備負担金に係る国庫債務負担行為の年限延長につきましては、令和五年に、地方分権改革に関する提案募集における指定都市市長会からの御提案を受け、検討を行いまして、令和五年十二月に、政府の対応方針として、三か年の国庫債務負担行為を令和七年度から可能とする旨、閣議決定されたところでございまして、今後、同方針に基づきまして、法律の改正により措置すべき事項については、所要の一括法案を令和六年度通常国会に提出することを想定してございます。

漆間分科員 よろしくお願いいたします。

 公立学校施設整備の国庫補助事業における学校施設環境改善交付金の学校体育諸施設整備事業について、学校の水泳プールの改修事業についても補助対象としていただきたいところですが、いかがでしょうか。また、大規模改造、空調整備事業について、屋内運動場、体育館に空調を新設する場合の算定割合が令和七年度まで二分の一となっておるところでありますが、是非とも、この空調整備率に鑑みて、令和八年度以降も延長していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 先生から二点いただきました。

 まず、学校の水泳プールの改修でございます。

 学校プールの老朽化が全国的に進行し、各自治体における改修のニーズが高まっていることは承知しているところでございます。他方、自治体におけるプールの維持管理費の確保というものが大きな課題となっており、一学校一プールという考え方ではなく、公営プールや民間プールを活用するなどの工夫も見られてきているところでございます。

 文科省といたしましては、このような状況も踏まえつつ、引き続き、プールの改修に関する必要な対策について検討を進めてまいりたいと思います。

 もう一つの、体育館の空調の新設補助率の引上げについてでございます。

 防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の期間でございます令和七年度までの間に集中的に取り組んでいただきたいという趣旨で設定しているところでございます。まずは、この令和七年度までの整備について、各自治体の検討を促してまいりたいと思います。その上で、御指摘の八年度以降の国の支援につきましては、空調整備の進捗状況等を見極めた上で検討すべき課題と認識しております。

漆間分科員 同じく、これは総務省になると思うんですけれども、令和七年度までの緊急防災・減災事業債について、令和八年度以降も延長していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

濱田政府参考人 お答えいたします。

 緊急防災・減災事業債の事業期間につきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を踏まえ、令和三年度から令和七年度までの五年間としておるところでございます。

 この事業期間終了後の同事業債の在り方につきましては、今後の国の国土強靱化実施中期計画や地方団体の実情などを踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

漆間分科員 両者とも、令和七年度までのものを、是非とも、状況を踏まえてだと思いますけれども、八年度までの延長をお願い申し上げます。

 総務省の方は、恐らくこれで終わりですので、大丈夫でございます。

井出主査 では、総務省は御退出ください。

漆間分科員 続きまして、公立学校施設整備に係る国庫補助制度は、改修や改築といった整備に対しての補助制度となっておりますが、リース手法により対応する場合においても補助対象として加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

笠原政府参考人 公立学校施設の改築や改修に係る整備については、長期的に使用される公の資産の形成に資することから、財政法第四条に基づく建設国債を財源とすることができるところ、リース方式による施設整備につきましては、その経費の性質が、賃貸料や維持管理費等のランニングコストであって公の資産の形成に資するものではないことから、建設国債を財源とすることができず、公立学校施設整備費による国庫補助の対象とすることは困難となってございます。御理解いただければと思います。

漆間分科員 そうはいいましても、是非、実情を踏まえて、新たな制度だとか財源での確保をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、大きな番号でいいますと、八番の自治体のICT環境整備に係る財政措置の充実について、ちょっと飛ばして八番に行かせていただきたいと思います。

 GIGAスクール構想により整備された一人一台端末のランニングコストに対する財政措置について、令和五年度補正予算において、一人一台端末の更新に当たっては、基金を造成し、当面、令和七年度までの更新分に必要な経費として二千六百四十三億円が計上されたところでありますが、GIGAスクール構想の次のフェーズに向けて、児童生徒タブレット等の維持は必須であることから、機器更新費用だけでなく、インターネット回線料など通信費、運用保守費用などのランニングコストについても自治体への財政措置の継続を願いたいが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体からの御要望を踏まえ、修理や保守に係る負担軽減の観点も含め、一五%分の予備機を今回補助対象といたしております。各自治体において十分な予備機を購入することにより、保守コストの軽減も見込めると考えております。

 通信費を含むICT環境整備につきましては、現在、令和七年度以降の地方財政措置に係る方針を中央教育審議会で議論中でございまして、必要な支援について今後検討してまいりたいと考えております。

漆間分科員 中央教育審議会の議論もあると思いますが、是非よろしくお願いいたします。

 指導者用端末、普通教室等への大型掲示装置などの導入、更新費用について、令和六年度においては学校ICT環境整備に必要な経費について地方財政措置が行われる予定と聞いておりますが、教育水準の維持向上に向け、デジタル教科書などのデジタルコンテンツを更に活用していくため、アクセスポイントなどICT環境整備費用や、教員が児童生徒タブレットを活用した教材研究や授業研究を行うため、児童生徒と同様の機能を有する端末及び予備端末、並びに普通教室及び特別教室への大型掲示装置などの導入、更新費用を始め、実態に即した更なる財政措置及び運用経費に対する自治体への財政措置をお願いしたいが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 今御指摘のございました指導者用端末や大型提示装置等の整備等に係る経費につきましては、教育のICT化に向けた環境整備計画に基づき地方財政措置が講じられておりまして、令和六年度まで引き続き措置されることとなっております。

 現在、令和七年度以降の地方財政措置に係る方針を中央教育審議会で議論中でございますけれども、実際の整備の状況や活用の実態も踏まえながら、適切な支援を検討してまいりたいと考えております。

漆間分科員 是非よろしくお願いいたします。

 セキュリティー対策等の費用や、AIドリルを始めとする各種ソフトウェアのライセンス費用、運用保守費用や、個別教科でなく全教科についての学習用デジタル教科書の無償化、及び令和六年度予算案では対象となっていない指導者用デジタル教科書の補助金や地方交付税等の自治体への財政措置を求めますが、いかがでしょうか。

 また、オンライン授業やタブレット端末による教材送信など、学校における授業目的で著作物を公衆送信する際の補助金について、国による無償化制度の確立をお願いしたいところですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 学校ICT環境整備に必要な費用につきましては、教育のICT化に向けた環境整備計画に基づき地方財政措置が講じられているところでございます。この中で、セキュリティー対策の費用は含めておりますが、いわゆるAIドリル等は含んでおりません。

 いずれにせよ、この計画は、先ほど申しました令和六年度で終了するため、令和七年度以降の方向性について総合的な見地から検討し、必要な地方財政措置につなげてまいりたいと考えております。

 また、学習者用デジタル教科書につきましては、小学校五年生から中学校三年生を対象に英語、次に算数、数学から段階的に導入することとしており、この方針を踏まえて、全ての小中学校等を対象に英語、五、六割の小中学校等を対象に算数、数学のデジタル教科書を導入するための経費を現在計上しているところでございます。

 指導者用デジタル教科書につきましては、既に各自治体で購入されている実態もございまして、学校現場等での活用状況や効果等について引き続き注視してまいりたいと考えております。

 あと、授業目的公衆送信補償金制度の利用に当たって、自治体など学校設置者が負担する補償金経費については、地方財政措置が既に講じられているところと承知しております。

漆間分科員 是非とも、様々な点、たくさん申し上げましたけれども、拡充の方をよろしくお願いいたします。

 教育データ一元化のためのシステム経費については、各種システムの教育データを統合し、ダッシュボード化するためのシステム構築費用、ランニングコスト、運用面で費用が必要でございます。教育データを一元化することにより、子供たちの学力向上、問題行動の早期発見につながることから、これに関連して、令和六年度予算案にも、次世代の校務デジタル化推進実施研究の経費として二・七億円が計上されていることは承知しておりますが、是非とも補助金による自治体への財政措置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、ICT環境を抜本的に改善する中で、安全、安心を確保した上で教育データを効果的に利活用し、見える化することで、学力向上あるいは問題行動の発見につながるという効果があると認識しています。

 文部科学省におきましては、地方自治体と連携いたしまして、ダッシュボードを活用したデータ分析を含む校務デジタル化の実証研究、教育データの効果的な分析方法等に関する調査研究、あるいは、個人情報の取扱いなどデータ利活用に当たりまして留意すべき点のガイドラインなどを今作成してございまして、地方自治体の支援をしてございますけれども、更に利活用が地方自治体でも進むよう、引き続き必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

漆間分科員 続きまして、ICT支援員に関しては、教育のICT化に向けた環境整備計画において四校に一人配置することとされて、地方財政措置が行われることになっておりますが、これも国の補助金とはなっていないところです。是非とも補助金による自治体への財政措置を要望したいところですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 ICT支援員のニーズについては、地域や学校で相当の差があるというふうに考えておりまして、こうした経常的な経費について一律の補助制度がなじむとは一概に言い切れない部分がございますが、いずれにせよ、どのような支援方策が適当か、中央審議会において御検討いただきたいと考えております。

漆間分科員 平成三十一年三月の文科省通知では、勤務時間管理を円滑にすることなどを狙いとした統合型校務支援システムについて、都道府県単位での共同調達、運用に向けた取組を進めることとされております。

 現在、特段の財政措置は講じられておりませんが、統合型校務支援システムの共同調達、運用に向けた取組を進められるよう、自治体への財政措置を願いたいところですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省は、昨年三月に、専門家会議での議論を踏まえまして、教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化に向けた次世代の校務DXの方向性を示しました。ここでは、今後数年かけて、校務系、学習系ネットワークの統合、クラウド活用を前提とした次世代の校務支援システムの整備を行うこととしております。こうした仕組みが実現すれば、ロケーションフリーでの働き方改革が可能になるため、当然、出退勤を含む勤務時間管理も一体的に行うことになろうと考えております。

 いずれにいたしましても、この方針を踏まえ、文部科学省におきましては、令和五年度から実証事業を開始したところでございまして、御審議いただいている令和六年度予算案でも実証二年目の予算を計上したところでございまして、御指摘の財政措置については、この実証事業の成果も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。

漆間分科員 次は、大きな項目、給食無償化に要する財政措置についてお伺いいたします。

 文部科学省は、こども未来戦略方針を受け、学校給食の実施方法や学校給食の無償化を実施する地方公共団体の取組状況について調査を実施しているところでありますが、学校給食における保護者負担分に対して自治体間に格差が生じることのないよう、国の制度として学校給食を無償化し、財源の確保も含めて、国の責任において全ての自治体が学校給食の無償化を実施できるよう強く求めますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食につきましては、現下の物価高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、重点支援地方交付金の活用を教育委員会に対してお願いしてきたところでございまして、令和五年度補正予算においても、重点支援地方交付金の推奨事業メニュー分といたしまして〇・五兆円が追加計上されたところでございます。その結果、ほとんどの自治体において学校給食費の値上げが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところでございます。

 他方、学校給食の無償化の検討に当たっては、一部の自治体、学校において学校給食が実施されていない状況もあるため、児童生徒間の公平性や学校給食費の負担の在り方といった観点から、学校給食の実態を把握した上で丁寧に課題を整理する必要がございます。

 学校給食の無償化については、昨年十二月に閣議決定いたしましたこども未来戦略において、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、こども未来戦略方針の決定から一年以内にその結果を公表することとしております。

 調査中の現段階で、お尋ねの学校給食の無償化の時期についてお答えすることは困難ですが、実態調査を行った上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等を含めた課題を整理してまいります。

漆間分科員 最後にまとめて三つ質問させていただきます。

 自治体の教職員の配置定数及び配置基準の拡充について、まず、効果検証や検討中だと思いますが、中学校へも三十五人学級を拡大していただきたいということが一点。そして、二点目として、是非とも不登校対応や小中学校生徒指導担当、それぞれの基礎定数化が図られるよう強く求めるということ。三点目、栄養教諭による食育の推進を図るため、各小中学校に一人配置するよう基礎定数を見直し、また、民間調理場を活用する学校への栄養教諭を配置基準の対象としていただくよう求めますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 質の高い教育の実現や、複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善は重要と考えております。

 このため、令和六年度予算案におきましても、小学校における三十五人学級の計画的な整備や、高学年における教科担任制の強化、生徒指導など様々な教育課題への対応、そして、食の指導の充実のための栄養教諭等の加配定数の改善に必要な経費を計上しております。

 また、小学校における三十五人学級の効果検証をしっかり行った上で、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方の検討を進めてまいります。

 引き続き、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、教職員定数の改善に努めてまいります。

 以上でございます。

漆間分科員 これで質疑を終わらせていただきます。

 内閣府の方、質問を準備していただいたのに、時間が足らず、できずに申し訳ございません。またの機会にお願いいたします。

 失礼いたします。

井出主査 これにて漆間譲司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、委員長、理事の皆様に第四分科会での質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず初めに、令和六年能登半島地震関連についてお伺いします。

 本年一月一日に発生いたしました能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。

 今回の地震が発生したのはお正月、元旦でしたが、公明党としましては、発災直後に寄せられた高校生からの、ここまで頑張ってきたのに大学入学共通テストを受験できないかもしれないとの不安の声を受け、浮島文部科学部会長から盛山大臣へ、受験生に対して、心配しなくても大学共通テストを受験できるということ、そういった見通し、安心感を早急に与えてあげてほしいという御要望をいたしました。

 盛山大臣は、それを受け、発災二日後の一月三日に、受験生に対して、能登半島地震の影響で本試験を受けられない受験生には、追試験を受験できる特別措置を講じるとともに、被災地に追試験会場を設置するとの発表をしてくださいました。さらに、その後、一月九日に、石川県の金沢大学角間キャンパスを追試験会場に指定してくださいました。大臣、受験生に希望を与える早急な御対応、本当にありがとうございました。

 今回は、能登半島地震に関連した学校の防災機能強化や老朽化対策についてお伺いします。

 学校の耐震化につきましては、公明党は、これまでもその重要性を政府に訴えて、国庫補助の拡大を提案し、地震防災対策特別措置法を改正して、学校の耐震化を進めてまいりました。今回の能登半島地震では、液状化により校舎が傾いた学校はあるものの、一校も倒壊せず、大きな被害を防ぐことができたとお伺いしております。

 また同時に、公明党は、災害時に避難所となる学校の体育館のエアコン、空調の設置にも取り組んでまいりました。二〇一八年七月の西日本豪雨のときに、エアコンがなく、高齢者や持病を持っている方など、被災者の健康に大きな影響を与えたことで、更にその重要性を訴えてまいりましたが、今回の真冬の地震により、今までは暑さ対策が強調されていましたが、寒さ対策においても非常に重要であるとの声が上がってきております。

 今回の能登半島地震で、石川県において避難所になった小中学校は三十六校ですが、当初、段ボールベッドもない中で、とてもじゃないけれども、極寒の体育館では寝られないと。そういった状況でどういう対応が取られたかというと、これも我が党が強力に推進してきました、エアコンが設置されている普通教室において寝泊まりをされた避難所があったとお聞きしております。

 そういう面において、普通教室のエアコン設置を進めていたことにより被災者の皆様のお役に立てたわけでございますが、その後、課題となったのが、学校再開に当たり、被災者の方が寝泊まりをされている普通教室をすぐに使うことができなかった避難所もあったとお聞きしています。

 さらに、民間企業のボランティアにより、プールの水を生活用水に変えて、シャワー室を体育館に設置して被災者の方に提供された事業者がいらっしゃいましたが、やはり入浴後のヒートショック等のリスクを考えると、体育館にエアコンが設置されていればよいのになと強く感じたとのお声も聞かせていただきました。

 今回の能登半島地震を通して、避難所となる体育館へのエアコン設置、そして、今まで何度も主張してまいりましたが、災害時に電源を消失した場合でも、直後にしっかりとエアコンや照明等に電源を供給することができるバックアップ電源の整備も併せて急ピッチで進めていかなければならないと感じました。

 そして、三点目として、今、各自治体の課題となっているのが、学校の老朽化した外壁対策であります。

 昨年、福岡県北九州市の小学校で、老朽化した外壁が落下し、児童五人がけがをしましたが、文部科学省によると、全国の公立小中学校の約半数の施設が築四十年を経過し、そのうち約七割が改修を必要としています。

 この件につきましては、先日の本会議で、我が党の石井幹事長が、この外壁対策を今後の国土強靱化に関する政府の指針となる国土強靱化実施中期計画の中に位置づけ、取組を進めていくべきであるとの質問を行い、総理からも、国土強靱化実施中期計画への老朽化対策の位置づけや必要な予算措置等を進め、自治体による計画的な学校施設の整備への支援を行ってまいりたいとの前向きな御答弁をいただいたところであります。

 そこで、学校の耐震化対策においては、体育館空調、バックアップ電源の整備やトイレの洋式化等が中心の現行計画に加えて、今後は、老朽化対策、特に外壁落下対策をしっかり国土強靱化実施中期計画の中に位置づけ、取り組んでいくべきだと考えますが、文科省としての取組の決意を大臣にお伺いします。

盛山国務大臣 いつも山崎先生を始め公明党の先生方にはいろいろ御指導、御協力を賜りまして、ありがとうございます。

 今の御質問でございますけれども、学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所としての役割を果たすことから、老朽化対策や防災機能の強化等は重要であると認識しております。

 これまでも阪神大震災あるいは東日本大震災もございましたが、何しろ今回の能登の震災は雪国でございますので、これまで以上に寒さ対策というものが必要であるということが認識されたところでございます。

 今回の能登半島地震におきましては、これまで文部科学省において構造体の耐震化を進めてきたこともありまして、一部には柱やはりなどに大きな損傷を受けた校舎があったものの、倒壊するような被害はございませんでした。

 他方で、先生御指摘のとおり、外壁や照明器具の落下等の被害が発生するなど、引き続き老朽化対策等をしっかり進めていく必要があると改めて認識したところであります。

 今回の地震における課題等も踏まえ、国土強靱化実施中期計画の策定に向けた議論において、老朽化対策や御指摘の外壁落下対策の位置づけの検討や必要な予算措置等を進め、自治体による計画的な学校施設の整備が推進されるよう、文部科学省としてしっかり取り組んでまいります。

山崎(正)分科員 大臣、ありがとうございました。

 次に、能登半島地域における中学生の集団避難についてお伺いします。

 今回の地震を受けて、輪島市や珠洲市、能登町の中学生のうち、保護者の同意が得られた生徒の皆さんが、白山市や金沢市の施設で集団避難しています。余震が頻繁に続く中、また三年生にとっては高校受験が間近に迫る中で、子供たちの学ぶ機会を確保したいと選択制で学習環境を整えたこの取組は非常に重要だと思います。

 子供たちが生活、学習するこの施設には、本来在籍の中学校の先生方とともに、全国から教員が派遣され、子供たちの学習や生活の支援に当たられています。子供たちは、地震により、ふだんの日常生活にはない非日常の大きな衝撃を受け、非常に不安定な状態で生活しているため、先生方も、子供たちの様子を注視しながら、日々丁寧に接しておられることと思います。また、在籍している先生方も被災している中での子供たちへの支援となっています。

 さらに、そういった状況下において、ふだんの子供たちの様子を知らない、応援に駆けつけてきている他県の先生方も、生徒への指導、支援には非常に悩まれながら頑張っておられるんだろうなというのが想像できるわけであります。

 そこで、今回の能登半島地震における中学生の集団避難について、子供たちの生活の様子はどうなのか。また、集団避難を受け入れた各避難所の運営については、子供たちの状態に合わせた柔軟な対応が何より重要でありますが、本来の中学校在籍の先生方と応援に駆けつけてきた先生方が、発災後の非常に難しい時期に一緒に運営していく上では、一定の統一された方針やルールがあった方がよいのではないかなと考えます。

 今まで日本において、今回のような集団避難の実践例はなかったと思いますが、今回のこの経験を生かして、そういった指針等を作成していくことが重要だと考えますが、文部科学省の認識をお伺いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年能登半島地震におきましては、輪島市、珠洲市、能登町から希望する中学生が石川県内の施設に集団避難しており、昼食の提供を受けつつ、周辺の学校施設も活用しながら、現在、学習を行っております。

 文部科学省では、集団避難先での子供の学習や生活を支援するため、学習指導や夜間の生活指導等を行う教職員の派遣や、授業で使用する一人一台端末の無償貸与、教科書の無償給与への支援、スクールバスによる通学支援等を実施したところでございます。

 今委員から御指摘のございましたとおり、集団避難先で子供たちが、一定の規律の下、学習や生活を確保することは重要でございまして、石川県内の各施設においては、現在では、避難している中学校の管理職が運営の責任者として位置づけられ、日々の変化に柔軟に対応しつつ、集団避難施設の運営が適切なマネジメントの下で行われるよう努めているものと認識しております。

 こうした集団避難先の運営方法については被災地の自治体においてしっかり整理される必要があることから、文部科学省といたしましては、集団避難先における適切な運営が行われるよう、引き続き必要な助言を行うとともに、今後の対応に生かしていけるよう、状況を把握してまいりたいと考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 難しい取組をやっていただいていますので、是非次の備えに生かしていただけたらというふうに思います。

 次に、公教育の再生についてお伺いします。

 昨年決定しましたこども未来戦略には、公教育の再生が盛り込まれました。

 公明党は、不登校児童生徒が十年連続過去最多となる等の状況の中、教育は子供の幸せのためであるとの理念の下、子供の可能性を開くことに焦点を当てた公教育の再生に取り組むべきと考えます。これにつきましては、文科省においても、子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向けたタスクフォースを開催し、取り組んでくださっていると承知しています。

 そこで、公教育の再生に向けて、子供たちが自らの興味、関心に応じた主体的な学びが多様な形態で展開されることが重要であると考えますが、現在、文科省で取り組んでいる実践例の中から、子供たちが主体的に学べる探求的な多様な学びについて、どのような効果が生まれてきているのか、お伺いいたします。

矢野政府参考人 文部科学省におきましては、学習指導要領が目指す主体的、対話的で深い学びの実現に向け、各学校において、子供たちが自らの関心や特性に応じ、主体的に学ぶことができるよう、様々な施策を講じているところでございます。

 こうした取組の中で把握している様々な実践実例がございますけれども、例えば、各教科の学びにおきまして、ICTも活用しつつ、子供自身が学ぶペースや教材、場所等を自分で選びながら学ぶ教育活動や、総合的な学習の時間等を活用し、子供自身が学ぶテーマを決めて主体的に探求していく教育活動など、多様な実践が生まれているところでございます。

 これらの実践に取り組む学校からは、子供たちが主体的に学ぶ力が育ってきたという声が聞かれるほか、長期間不登校になる子供が減少しているといった声も聞かれているところでございますが、子供たちの学力や学校での幸福感等に与える影響といった点において、定量的なデータはまだまだ不足しているというふうに認識しております。

 引き続き、様々な事例の収集、分析に努めるとともに、効果が上がっている取組については、その普及にも取り組んでいきたいと考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 先ほどあったように、不登校の子供たちのことや、そしてまた学力自体もやはり上がっていくんじゃないかというような声も聞かれておりますので、しっかりデータを集めてエビデンスにしていただけたらなと思います。

 次に、先日、次期学習指導要領に向けて、小中学校で授業時間を五分短縮し、年間で八十五時間を生み出し、学校の裁量を拡大し、弾力的に取り組んでいくのではないかとの報道がありましたが、最近は、実践研究校や学びの多様化学校などでこういった教育課程の弾力的な取組が進んでいると承知しています。

 教育課程の弾力的運用で各学校での裁量を今よりも多く持たせ、それぞれの子供たちや地域に合わせた学習内容にしていくことは大変重要な取組だと思いますが、現在行っている柔軟な教育課程の実践例の中から、どのような効果が生まれてきているのか、お伺いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の学習指導要領は、令和二年度に小学校から順次実施され、現在、高校二年生まで実施が始まっているという中にあって、御指摘の報道にあったような、次期学習指導要領の改訂に関し、何らかの具体的な方針を決めたという事実はございませんけれども、御質問の点に関しては、現在においても、授業の一単位時間を変更するなどの工夫をしながら柔軟な教育課程の編成に取り組む学校が見られているところでございます。

 具体的には、小学校において、授業の一単位時間を五分短縮した上で、年間の授業こま数を増やし、その時間を活用して一人一人の子供の状況に応じた個別学習や探求学習等に充てるといったような取組が行われているほか、令和六年度からは、渋谷区の小中学校全校において、授業時数特例制度を活用しつつ、午前中に各教科の授業を行い、午後には総合的な学習の時間などを実施する中で個々の関心に応じた探求的な学びを行う、こういった取組が実施される予定と聞いております。

 このような柔軟な教育課程の編成の効果は、その目的や方法によって様々でございますけれども、学校が、目の前の子供たちの多様な実態に応じた教育活動を展開できるよう、創意工夫を凝らした教育課程を編成することで、学校教育目標の実現や子供たち一人一人の資質、能力の育成に資するものというふうに考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 先ほどお聞きした、やはり主体的な探求的な学びとセットの考え方だと思います。そして、学校自体も主体的にそういった学びをつくり出していくという意味でも効果が出てくるのではないかなと思いますので、また更なる研究の方をよろしくお願いいたします。

 次に、私ども公明党は、先日の参議院本会議において山口代表からもありましたように、例えば、午前中は現行の集団形式の授業を行い、友達と協力して学ぶことのよさや大切さを学びながら、午後は思い切って個別学習の形式に変更し、子供たちの興味に合わせた主体的で探求的、そして体験活動等を通して学び方を学びながら、自分の強みや得意を伸ばしていこうということを考えています。

 そこで、先日NHKでも紹介されました、お隣の国、韓国では、教育課程のうち、必須授業は半分程度で、あとの半分は生徒自身が自由に時間割りを作る、生徒自身が授業を企画するという代案学校が国内に九十二校あります。自分の中から湧き上がる興味について主体的に学び、勉強の楽しさよりも学ぶ楽しさを感じたとの声が生徒から上がっています。

 そこで、この代案学校の学びについての文科省の見解を大臣にお伺いします。

盛山国務大臣 委員が御紹介していただきました韓国における代案学校について、その取組を詳しく把握しているわけではありませんが、代案学校の中には、生徒の興味、関心に応じて選択的に学べる機会を増やすなどの取組を行っている事例もあると承知しております。

 御指摘の事例は他国の一部の教育機関における取組であり、その是非を論じる立場にはありませんが、一般論といたしましては、一人一人に応じた教育を進め、子供たちが学びの楽しさを実感し、主体的に学びに取り組む意欲を持てるような教育の実現を図ることは大変重要であると考えております。

山崎(正)分科員 御存じのように、韓国では、日本を上回ると言われる受験戦争や、現在の日本と同じような不登校の増加等の課題の中、中学三年生の女子の自殺をきっかけに代案学校の取組がスタートしたと聞いております。日本におきましても、公教育の再生に向けて、今、大きな変革のときが来ていると強く感じています。

 この項の最後に、これからの公教育の再生に向けては、子供たちが主体的に学べる探求的な多様な学び、そして教育課程の弾力的な運用とともに、不登校の児童生徒の中に集団活動が苦手な生徒が一定割合いると言われているこの状況の中においては、従来の日本の教育の、朝から夕方までほぼ全て全体学習というこの学習スタイルが限界を迎えていると感じます。もちろん、社会性や一緒に学ぶ楽しさ、大切さを学ぶためには全体学習は重要ですが、時間的バランスを調整する時期に来ていると思います。

 そこで、子供たちが主体的に学べる探求的な多様な学び、教育課程の柔軟な運用とともに、個に応じた個別学習形式の実践研究も重要だと考えますが、大臣の認識をお伺いします。

盛山国務大臣 現行の学習指導要領が目指す主体的、対話的で深い学びの実現に当たっては、各学校が創意工夫を凝らして柔軟な教育課程を編成できるよう支援していくことに加えまして、子供たち同士が互いのよい点や可能性を生かしながら一緒に学ぶ協働的な学びとともに、多様な子供たちの一人一人の特性や学習の進度等に応じた個別最適な学びを充実していくことが大切と考えております。

 現在、既に子供一人一人に応じた個別の学習については先進的な取組も展開されてきており、文部科学省においては、令和六年度予算案において、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に向けた指導の手引を作成する費用を計上しているところです。

 こうした予算も活用しながら、皆で協働しながら学ぶ場面と子供たち一人一人がそれぞれの特性に応じて学ぶ場面とを効果的に組み合わせた教育実践の収集、普及に努めてまいります。

山崎(正)分科員 個別最適な、探求的な学びは本当に重要ですけれども、やはり協働的な学びがそもそも苦手な子供さんがいるということで、その研究の中で、物理的な時間配分についても是非研究を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、部活動の地域移行についてお伺いします。

 現在、中学校の部活動の地域移行が全国で進んでおります。今までずっと学校教育で担ってきた部活動を地域へ移行していく、ある意味、戦後日本の中学教育の大転換であり、また、何よりそれぞれの地域、学校によって状況が千差万別であり、現場においては、関係者の皆さんが、未開の分野を切り開く取組に懸命に努めてくださっています。

 そのように地域移行が進んできた中、最近、私どもに多く寄せられる中学生、またその保護者の皆さんの声が、クラブチームに在籍しているが、全国中学校体育連盟ではクラブチームの選手の大会への出場が認められているはずなのに、都道府県中学校体育連盟主催の県大会に、都道府県中学校体育連盟が設ける細かい規則により出場できないとの声が上がってきていますが、今後、部活動の地域移行を進めていく中で、この問題にどのように対処されていくのか、認識をお伺いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度の全国中学校体育大会におきましては、地域クラブに所属する中学生が初めて大会に参加できるようになりました。

 しかしながら、今御指摘にありましたように、競技によりましてはいまだ制限が残る場合や、また、所属校のある自治体と異なる自治体からの大会参加が認められない場合、こういったことが問題として上がっておりまして、より一層の参加資格の拡大の声が届いているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、スポーツ庁では、日本中学校体育連盟に対しまして、令和六年度全国中学校体育大会におきまして、地域クラブに所属する生徒の一層の参加機会の確保の観点から、必要な規定の見直しを依頼しているところでございます。

 また、所属校のあります自治体と異なる自治体からの大会参加が認められない場合につきましても、今ほど申し上げました日本中学校体育連盟と、その下部にあります都道府県中学校体育連盟において検討を進めていただいているところでございます。

 スポーツ庁といたしましても、引き続き、日本中学校体育連盟と必要な連携を図りつつ、生徒の大会参加の機会の確保にしっかりと努めてまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 今、本当に日本中学校体育連盟の皆さん方には御理解いただいていると思うんですけれども、またその次の段階へ丁寧な周知をしていただかないと、なかなか、やはり子供たちが不利益を被るような状況になるとかわいそうですので、また丁寧な推進をよろしくお願いします。

 次に、部活動の地域移行が進み始めた中で、教員の兼職、兼業への問合せも増えてきました。この制度のスタート時から、部活動を続けて指導したい教員には兼職、兼業を許可していくというのが一つの大きな柱であると承知しています。

 また、各自治体さんからは、指導者がいないというのが最も多く聞かれる課題であります。そういった自治体には、例えば、私の地元高知県では、約二割の教員が、地域移行後も部活動の指導を行いたいという調査結果が出ておりますので、そういう教員と、指導者がいない自治体とをマッチングしていくことがこれから絶対に必要であると思います。

 また、もっと突っ込んだところでいえば、今後、クラブチームの練習場所については、世界で最も充実していると言われる日本の中学校の施設を積極的に使用していくと承知していますが、生徒の安全面を考えれば、兼職、兼業でクラブチームの指導を行う教員は、クラブチームの練習場所である中学校で勤務する、又は練習場所から近い学校で勤務することが望ましいと考えますが、兼職、兼業におけるマッチングと勤務地に関する大臣の見解をお伺いします。

盛山国務大臣 教師の異動を含む任用は、任命権者である教育委員会等の権限と責任において行われるものですが、委員御指摘の点につきましては、特に、任命権者が行う異動等の際の考慮要素の一つとして、地域クラブでの指導に関する個々の教師の希望の有無を聞くなどの方法が考えられます。文部科学省としては、こうした方法があることについて、先月、各都道府県、指定都市教育委員会に周知を行ったところであります。

 引き続き、地域クラブ活動の円滑な実施に向けて取り組んでまいります。

山崎(正)分科員 大臣、ありがとうございます。

 やはり国と都道府県の権限の問題で、強く強制できないというのは十分理解しますが、例えば、高知県なんかでは、異動調書の中に、今後、地域移行後も部活動の指導を続けたいかという項目を作り、競技名とともに、本人に記載させて意思確認をする取組を始めています。

 繰り返しになりますが、指導を続けたい教員にはその機会を確保していく、そして、指導者の確保、子供たちの安全面の確保という点においても勤務地の配慮は絶対に必要だと思いますので、各都道府県教育委員会等への配慮のお願いについては引き続き丁寧に行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 この項の最後に、部活動の地域移行が進む中で、外部の方が指導を行う場合は、どうしても今までの部活動の活動時間よりも遅くなります、仕事が終わって駆けつけてまいりますので。先ほども言ったように、施設は既存の中学校の施設を積極的に活用すると承知していますが、そうなった場合、屋外競技についてはナイター設備が必要となってくると思いますが、このことに対する国の補助の考え方について大臣にお伺いします。

盛山国務大臣 学校のグラウンドなどの夜間照明施設の整備に対しましては、これまでも独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成金、これはtoto助成のことです、により支援を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、部活動の地域移行が進むことによりまして、活動の受皿や指導者が多様になるため、夜間等での指導に伴うナイター設備の設置の必要性がより高まることが想定されます。

 文部科学省としましては、地方自治体に対し、こうした助成金の活用等に関する情報提供を適切に行い、自治体が行う中学校等への夜間照明設備の整備を引き続き支援してまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 ただ、もう一段といいますか、やはり先ほども言ったように、今までずっと学校がやってきたものを任せていくことでありますので、もう一段の応援を是非検討いただけたらと思います。

 最後に、学校で行う健康診断についてお伺いします。

 文部科学省は、正確な診察に支障のない範囲で、原則、上半身裸ではなく体操服等で体を覆うなど、子供たちのプライバシーや心情に配慮した環境整備を行うよう、令和六年一月二十二日付で全国の学校に具体的な取組などを通知しました。

 現場からは、前回の令和三年に出された通知をきっかけに校医さんにも強くお願いすることができて、女子の健診がブラジャーを着けた状態でオーケーになった、診察時に保健室に一人ずつ入る形式に変更したなど、現場での取組が大きく進んだ、今回の通知もきっかけに更にプライバシーに配慮した環境整備を進めていきたいとの声が聞かれます。

 そこで、ここまでの文科省の取組により、女子に対する配慮が大きく進んだように思いますが、これからは男子への配慮や性的マイノリティーの生徒への配慮が重要になってくるとの声がありますが、その点についての文科省の見解についてお伺いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の通知では、具体的には、例えば、検査、診察時には、児童生徒等の身体が周囲から見えないよう、個別の検査、診察スペースを用意する、検査、診察時の服装については、正確な検査、診察に支障のない範囲で、原則、体操服や下着、タオル等により体を覆い、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮する、正確な検査、診察のために、必要に応じて、体操服や下着、タオル等をめくって視触診する場合があることについて、児童生徒等や保護者に事前の説明を行う、こういったような考え方を示しております。

 本通知で示した考え方は、性別にかかわらず全ての児童生徒等に対して配慮するもの、そういう趣旨で示しております。また、性的マイノリティーの児童生徒など、他の児童生徒とは別の時間帯や場所で実施を希望する場合は、個別の対応を行うよう示しているところでございます。

 引き続き、各学校において、本通知の趣旨を踏まえ、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した対応や工夫が十分に行われるよう、様々な機会を通じて周知に努めたいと思います。

山崎(正)分科員 済みません、少し時間をオーバーしてしまいました。最後までどうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

井出主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原正敬君。

石原(正)分科員 お疲れさまでございます。

 まず、冒頭でありますけれども、私は盛山大臣には通告がありませんので、御退席いただいて結構でございますので、ゆっくりされてください。

井出主査 では、大臣、どうぞ退席してください。

石原(正)分科員 改めまして、皆さんお疲れさまでございます。今日一日、最後ということで、お疲れのところでありますけれども、井出主査におかれましても大変お疲れのところ、残り三十分、よろしくお願いします。

 また、今回、このような形で質問の機会を与えていただきまして、予算委員会の理事の皆さん方あるいは関係各位に心から感謝を申し上げます。

 自由民主党の石原正敬でございます。

 今回は三つの点から質問をさせていただきます。

 一つ目は、コミュニティースクールに関してであります。

 二つ目が、部活動の地域移行に関して、先ほど来、今日も朝から結構この話題は出ていたのではないかなと思いますけれども、私なりに少し思うところもございますので、質問をしたいと思います。

 そして三つ目に、公立小中学校の統合につきまして質問をいたしますので、よろしくお願いします。

 では、一問目でございますが、コミュニティースクールというのは、学校運営協議会を設置した学校ということで、校長が作成する学校運営の基本方針を承認する、そして、学校運営について教育委員会又は校長に意見すること、そして三つ目が、教職員の任用に関して教育委員会に意見すること、この三つの役割で定義されていると承知しております。

 平成十七年、二〇〇五年から導入されまして、その後、平成二十九年、二〇一七年に努力義務化がなされまして、全国の公立学校で導入されている。平成十二年の教育改革国民会議の提案を受けて、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究が開始され、地域に開かれた学校の実現を目指して導入されてきたと私は解釈しているところであります。

 逆に申し上げるならば、それまでやや閉鎖的であった学校にいかに外部の目を入れていくか、外部の力を入れていくかということ、その手法の一つとして期待されてスタートしたものであると認識しております。

 そこで、まず初めに、平成十七年に導入されて以来、全国の公立学校での実施状況及びその導入の状況を文部科学省としてどのように捉えているのかについてお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、子供たちを取り巻く様々な課題あるいは地域の課題の解決のために、学校と家庭、地域の連携、協働が重要でございまして、そのためのコミュニティースクールの設置を努力義務で課しているところでございます。

 昨年五月現在、全国の公立学校、これは幼稚園から高校まで三万四千六百八十七校ございますけれども、そのうち、一万八千百三十五校、五二・三%、半数を超えたところでございます。平成二十九年に努力義務となりましてからの比較では、過去に比べて五倍以上に増加しているところでございまして、各教育委員会において計画的、主体的な取組が進められているものと考えてございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 全国の公立学校で、三万四千六百八十七校のうち一万八千百三十五校、五二・三%が導入されたということであります。

 いただいた資料を少し拾ってみまして、まず、小学校が五八・六%、中学校が五七・三%、これは、全国平均が全体でいきますと五二・三%ですので、それより上回っている。高等学校は三三・一%。

 私は、意外と言うと怒られるんですけれども、特別支援学校が四五・七%と、一般の高等学校よりも高い数字を得ている、割合を得ているというところはすごく評価できるなと思っています。それは、多分、現場の先生方、あるいは地域の皆さん方が、学校を支えていこうとか、そういった意味でいろいろ協力していく体制ができているのではないかというのが数字だけからうかがえるわけであります。

 また、いわゆる中高一貫校、義務教育学校は七五・二%ということで、極めて高い設置率になっている。これも、地域の象徴的な場所としての学校というものがいかに重要かということで、こういうコミュニティースクールとして皆さん方に受け入れられている証左ではないかなと思っています。

 ただ、一方で、都道府県とか都市別に見ますと、導入状況が少し変わっているのではないか。

 事前に資料をいただいていますので拝見しますと、和歌山県とか山口県ではほぼ一〇〇%に近い状況で導入されている。一方で、過去三か年の導入率からいくと極めて低い導入率の都道府県も散見されるわけでありますが、この地域差の状況について文部科学省としてどのようにお考えになっているのかをお答えいただけますか。

望月政府参考人 御指摘のとおり、既に一〇〇%近い県が複数ある一方で、導入状況が二五%にも満たない県も三県ございまして、地域差があるというふうに考えてございます。

 コミュニティースクールを導入していない自治体にいろいろ聞いてみますと、法律に基づくコミュニティースクールの仕組みではないんだけれども、元々、地域住民が学校運営とか教育活動について意見を述べることができるような仕組みが別にあった、改めてコミュニティースクールという制度化をしなくてもいい、つまり類似の仕組みがあるからということとか、あるいは、既に学校と地域の連携がうまくいっているから、この法律に基づく制度を活用する必要までないんじゃないかというような御意見、そうした指摘があることを承知しているところでございます。

 ただ、一方で、先ほどの高等学校や特別支援学校が小中に比べて設置率が低いということもございます。地域差もあるわけでございまして、学校と地域の組織的あるいは継続的な連携体制を確保していくためには、類似の仕組みがあったとしても、法律に基づく権限あるいは責任を有して、学校の応援団、支援ができるような体制を、この学校運営協議会、いわゆるコミュニティースクールを発展、充実させていくことが必要であると考えてございまして、引き続きこの導入加速に努めてまいりたいと思っております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 地域独自での取組を進めている都道府県があるということで、数字としてのばらつきの説明としては一方では納得できるわけであります。

 例には出されなかったんですけれども、長野県は、昔から信濃教育ということで大変地域に根づいた教育が展開されているところでもございますし、北陸の方も教育熱心な県も多くて、自主的な授業研究がやられていたりとか、地域と連携した、そういった教育熱心な、あるいは教職員の熱意も高い、そして地域の熱も帯びているような都道府県がこの導入率が低いというのは、私としては大変興味深い数字として拝見したところでありまして、これから、法的な位置づけも大事でありますけれども、それぞれの自主性というのも一方で尊重されるべきところでありますから、文科省として大変心苦しいところではあるかも分かりませんけれども、文部科学省としては、施策の展開としては、法的な位置づけとして学校運営協議会を設置してくださいねという一方で、それぞれの独自の取組も尊重しながら、アクセルを踏みながらブレーキを踏むわけではないんですけれども、しっかりとその辺だけは配慮しながら進めていただければありがたいなと思っています。

 数字の上ではそうなんですが、実質上、例えば、地域と学校が連携、協働して行う学校内外における活動を支援する地域学校協働活動推進員という存在があります。私も、地元におりまして、朝、登下校を見守るスクールボランティアの方々とか、小学校の低学年などでは、授業の補助として、地域住民の方がお手伝いに入ったりとか支援をしているというような活動も見受けられるところでありまして、まさしくそれがコミュニティースクールの一番原初的なといいますか、原点にあるような活動が展開されているところもあります。

 こういったことが地域に開かれた学校という本当の実現に近い存在であろうなと思うんですが、文部科学省が考えるコミュニティースクールのこれまでの成果でありますとか、今後こういうことをやっていきたいな、こういうことがもう少し課題としてあるなというようなことがございましたら御答弁願いたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、コミュニティースクールと一体となって、例えば放課後の子供の見守りとか、あるいは学習支援、それから生活支援といった、まさに地域と学校が連携して活動する地域学校協働活動も広がってございまして、制度化したコミュニティースクールと一体として推進しているところでございます。

 コミュニティースクールの成果についてのお尋ねでございますけれども、これは、まさに学校や地域を取り巻く課題解決のプラットフォームとなり得るものであると考えてございまして、これまでも幾つかの成果の事例の報告がございます。例えば、学校の働き方改革に成果があった事例、あるいは、不登校支援に成果があった事例、学力向上に効果があった事例などがございます。コミュニティースクールの仕組みを活用して、また、保護者と地域住民が学校の目標や課題を共有して、学校業務の見直しを実現した事例もございます。

 こうした学校運営の改善を図る観点から、学校運営協議会の議題として、保護者や地域住民が当事者意識を持って部活動の在り方について取り上げたりすることも、コミュニティースクールの趣旨に合致するものであって、意義のあるものと考えているところでございます。

 引き続きましてコミュニティースクールの導入加速と導入後の取組の質的向上を図ることが必要だと考えてございまして、これまで、全国フォーラム、あるいは、コミュニティースクールマイスターなどを全国に派遣してその趣旨を広める、あるいは、先ほど申し上げました地域学校協働活動推進員の配置を促進して、コミュニティースクールと地域学校協働活動を一体的に進めるといったこともやってございまして、今後とも更に推進してまいりたいと考えてございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 地域に開かれた学校づくりという問題は、冒頭に述べました、校長が作成する学校運営の基本方針を承認するとか、学校運営について教育委員会又は校長に意見するとか、教職員の任用に関して教育委員会に意見する、この三つの役割である学校運営への関与を超えて、地域に根差した学びの在り方にまで踏み込んで考えるべきだと私は思います。

 ですから、今までは外形的な、運営とか、そこに地域の人に入ってもらいましょうというところの踏み込みはこれまでしっかりとできてきた。その副産物ではないんですけれども、それまで実は存在していた地域の皆さん方が学校に協力するという極めて実践的な部分が、これで形とプラスアルファで制度として何となく形ができ上がってきたなと私は感じています。ですから、そこをもう少し踏み込むような形で柔軟な制度設計をこれからやっていくことが必要なんだろう。

 子供、子育てというと、すぐに予算がどうだとか、予算は後から私も要望しますけれども、お金の面がどうなんだとか無償化はどうなんだというような話だけが先行するんですが、こういった地域と連携した取組の中で、真にと言うと怒られますけれども、教育にとって何が必要なことなのか、子供の育ちにとって、学びにとって何が必要なのかというようなことを眼目に置きながらしっかりと文部科学省には取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さらに、先ほど、地域に根差した学びの在り方と、少し踏み込んだことを申し上げたんですけれども、このことは学習指導要領の問題と大きく関わると思っています。

 つまり、学校現場が有しているカリキュラム編成権を柔軟に持たせることが必要だ。いわゆるナショナルカリキュラム的な制約である学習指導要領の法的拘束力と学校独自の柔軟なカリキュラムを地域と協働でどのようにつくり上げていくのかという問題と私は深く関わっていると思います。

 ここでは答弁は求めませんけれども、制度設計として、コミュニティースクールをやりながら、ナショナルカリキュラムの学習指導要領と地域の独自性、このいわゆる相反するような課題に対して整合性をつけていく、これが新しい学びの実現に不可欠なものであろう。

 戦後七十八年たちます。昭和二十二年に学習指導要領ができて、三十三年に告示化された後、やや硬直性がある学習指導要領をいかに地域の観点から柔軟なものに変えていくかということは、私は文部科学省の大きな役割があるだろうというふうに仮定しておりますので、そこら辺を含めて、引き続き、コミュニティースクールだけでなく、全体的な学校運営に目くばせをしていただきますようよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、コミュニティースクールと関わりもあります部活動の地域移行について質問いたします。

 平成三十年に策定されました運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン及び文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを足がかりに、学校における部活動の在り方の議論が始まりまして、平成三十一年一月、中央教育審議会の答申において、学校における働き方改革に言及される形で、学校部活動の在り方を見直し、例えば、休日の部活動や学校外の多様な地域団体への部活動の移行などを各自治体に求め、令和五年から令和七年までを改革推進期間と位置づけております。ここは御案内のとおりでございます。

 現場からの声といたしましては、学校単位での活動を地域単位に移行する際の困難性、特に、総合型地域スポーツクラブなどの受入れ団体の有無や不足などが指摘されておりまして、地域移行に関して自治体間で相当な違いが顕在化しているという現状だと思っています。

 順調に進んでいる地域もあると思いますけれども、文部科学省として、部活動の地域移行に関する取組の現状と課題を教えてください。

茂里政府参考人 今ほど御指摘のございました部活動の地域連携等を進めるため、文部科学省といたしましては、令和五年度から実証事業を実施いたしまして、運動部活動については三百三十九自治体、文化部活動につきましては九十七自治体において現在取組を進めているところでございます。

 今、課題という話がございましたので、運動部活動と文化部活動を分けて答弁申し上げたいと思います。

 まず、運動部活動の地域移行を進めるに当たりましては、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、こういった実施主体の体制整備、加えまして、生徒のニーズに応じたスポーツの指導者の確保、あるいは参加費用負担の在り方などの様々な課題があると認識してございます。

 また、文化部の活動の地域移行を進めるに当たりましては、運動部活動に共通する部分も多くありますけれども、異なる点といたしましては、例えば、総合型地域スポーツクラブと同じような総合的な受皿がないということ、あるいは、学校外の文化施設を活用する場合の大型楽器などを伴う移動手段をどう確保するか、こういった課題があることを認識してございます。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、引き続き、このような自治体の多様な取組を支援するとともに、この実証事業を通じまして、課題の整理、そして解決策の検討に取り組み、地域の実情に応じた環境の整備をしっかりと進めてまいりたいと思います。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 今お答えのとおりでございまして、費用の面とか受皿の面という、地域でも非常に指摘されるところを把握していただいておるわけでありますが、まさしく、三百三十九と九十七をやっただけでも相当な千差万別が浮き彫りになっていると私は思いますので、一つ一つきめ細やかにやっていくということも重要でありますけれども、私は、後の小学校の統廃合でも申し上げるんですが、文部科学省の予算編成自体、いろいろな取捨選択ができるようなパッケージ型の予算編成ができないかな。

 よく言うのは、中小企業庁なんかが各中小企業とか小規模事業者を相手に、うちの企業は、うちの事業所はこの補助金は要らないけれどもこの補助金なら使えるよという中で、みんなが選択できるわけですね。

 そうなりますと、自治体とか学校相手になりますと、それぞれ置かれている地形も地域も人口密度も交通手段も全く違う中で、一律のある一定のルールをはめ込んでこちらからどうですかというよりは、これとこれはうちは当てはまりますよというようなパッケージ型の予算編成、政策支援というのは私は必要だと思うわけでありまして、恐らく皆さん方もそういうことを考えていただいているとは思うんですが、是非、過渡期であるがゆえに、そういうことをチャレンジングにやっていくことは私は非常に面白い取組になろうかと思いますので、現在、改革推進期間という二年目に当たりますので、ここから先、しっかりとそういう視点から事業を検証していただけるとありがたいと思っています。

 なお、今年も、令和六年度の予算において、実際に政策課題に対応した形での重点地域における取組も進めていただくようでありますが、そこでどんなふうな取組をされるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました令和六年度の取組でございますが、これは改革推進期間の二年目となるところでございます。

 取組を更に進めていくために、令和五年度補正予算及び令和六年度予算案におきましては、実証事業の規模の拡大、こういったものに加えまして、新たに、重点地域における政策課題への対応に必要な経費を計上しております。

 具体的には、これは都道府県を対象としたものでございますが、地域スポーツや文化芸術環境の整備に先導的に取り組む都道府県の公募を行い、重点地域として指定し、政策課題への対応を進めていくこととしております。

 また、御指摘のありましたとおり、改革推進期間における成果や課題、そして自治体の意向なども踏まえて、令和八年度以降の支援方策の検討につなげていくということも非常に重要であると認識しております。期間後を見据えながら、課題の整理や解決策の検討を着実に進めてまいりたいと思います。

 また、先ほどお話がありましたパッケージ型であり、その中のメニューを選ぶ方式、そういった方式などもしっかりと実証事業の中で研究してみたいと思います。

 今後とも、このような取組を通じまして、文科省が一丸となり、しっかりとした取組を進めてまいりたいと思います。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、受皿の問題と予算の柔軟な使い方みたいなところをしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、答弁にもありましたけれども、まず、令和七年まで改革推進期間ということなんですけれども、そこで完成することはないと思います。やってほしいですけれども、ここで終わることはないと私は思いますので、ここで終われるんだったらすぐできるわけですから、今までの大きな課題がすぐ解決できるわけがないと思うんです。

 ですので、令和八年度以降、今ありましたけれども、そこも見据えながら、それ以降もしっかりと予算を確保していくことも見据えながら取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そのときには、更に数が増えるわけでありますから、更に予算規模を拡大していくことは私は必要なことだと思いますので、それを説得できるようなしっかりとした取組をこの改革推進期間で実現してほしいと思います。

 それと、自治体から言わせますと、都道府県経由で基礎自治体、市区町村に行きますので、それが委託契約のような方式に予算上なっている、そうすると、四月とか年度末の三月の予算執行がちょっと不具合が生じる。補助金のレベルでの予算執行であると、年間を通じて何ぼですよというので、補助額三分の一とか補助額二分の一で回せるんですけれども、そこの使い勝手が少し悪いということでありますので、それを、自治体ごとの現状に即して、その執行はどちらがいいのかというようなことを判断していただけるとありがたいなと思っていますので、改めて都道府県を通じてそういう問題がないかということも確認いただければと思っております。

 さて、最後ですけれども、学校の統廃合ですが、時間もなくなってきましたので、急いでまいります。

 この質問をしようとしまして、私は、前段のコミュニティースクールも部活の地域移行もこれはこれで非常に勉強になったんですが、学校の統廃合で一番驚いたのが、平成元年から平成十年度の十年間で児童が約二百万人減少しているという数字を見て、私は目を疑わざるを得なかったところであります。後の、平成十一年から二十二年の十一年間では五十一万強、そして、平成二十四年から令和五年度の十一年間では七十万人ということですので、いかに平成元年度から平成十年度の十年間で小学生の児童が激減したかというのが一目瞭然なわけでございまして、私も、漠とながら数字は分かっていたんですけれども、やはり、二百万人という数字を突きつけられると、大変なことだったんだなというインパクトがありました。まさしく、小学校の児童数の減というのが現在の学校の統廃合に大きな影響を及ぼしている、タイムラグがありますので、私はそういうふうに感じるところでございます。

 まとめていきますけれども、まず、統廃合の考え方とかこれまでの経過についてお聞かせいただきたいのと、今後どういうふうな見通しを持っておられるのかということを併せて御答弁願いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、平成二十七年に公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する手引というものを策定しております。この中で、まず、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人一人の資質や能力を伸ばしていくという特質を踏まえると、学校については一定の規模を確保することが望ましいということ、また、学校規模の適正化の検討は、あくまでも児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据え、学校教育の目的や目標をよりよく実現するために行うべきものであるということ、さらに、学校は、地域のコミュニティーの核として、防災、保育、地域の交流の場等の機能を併せ持つものでありまして、学校統廃合が困難な場合や、小規模校として存続させることが必要な場合もある、こういったことを基本的な考え方として示したところでございます。

 こうした中、近年の少子化の進展に伴う公立小中学校の児童生徒数の減少等により、公立の小中学校の数については、過去十年間で約一割程度減少したところでございます。

 今後どういうトレンドになるかということでございますが、令和四年に生まれた子供の数が八十万人を下回るということで、近年、少子化が更に加速していると認識しております。新しい時代に対応した教育が求められる中、各学校の設置者においては、学校施設の老朽化の状況等も踏まえつつ、それぞれの実情に応じた今後の学校教育の在り方を主体的に検討することが求められているということを踏まえますと、今後も、各地方公共団体においてそれぞれの実情に応じた学校の適正規模、適正配置に関する検討が進められていくものと認識しております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 まさしく、先ほど二百万人近い話をしたのは、それが起こってから現象としては十年、二十年のスパンで児童の減が学校の減に連動するわけであります。ですから、今御答弁いただいたように、令和四年の出生数がもしかすると二十年後ぐらいに大きく影響を及ぼすんだろうなと思いますので、そこら辺りをしっかりとウォッチしながら、適正規模ということを踏まえながらでありますけれども、地域の事情を踏まえて、しっかりと対応できるような準備だけはしていただきたいと思いますし、それ相応の予算も確保していかなければならぬということだと私は思っています。

 予算ということからいいますと、全部の学校を統廃合していくというのはなかなか困難なところもありますので、統廃合に関していろいろな支援策を持たれていると思いますので、まずその支援策をお尋ねしたいのと、もう一つ、私の地元で恐縮なんですけれども、約五十年ぐらい前に開発が進んだ団地がありまして、そこの中に中学校ができました。それが、時代とともに、その地域の団地自体の高齢化が進みまして、その中学校の周辺の住宅からその中学校に通う人はほとんどいなくなりました、ほかの地域からその中学校に通っています。でありますので、現時点で見ますと、通うところはもっと最適な場所がありますよというところに新たに改築移転したい。こういうことに関してなかなかメニューがないというのが現状でございまして、そこら辺り、もし何か支援策がある、若しくは考え方の整理としてはこういうことがあるんじゃないかということがあれば御答弁願いたいと思います。

笠原政府参考人 まず、文部科学省におきましては、小中学校等における教育の円滑な実施を確保することを目的としまして、学校統合に必要な施設整備に対して国庫補助を行っております。

 具体的には、公立の小学校、中学校、義務教育学校を適正な規模にするための統合に伴い校舎等の新増築を行う場合には、原則として、法律に基づき、国が経費の二分の一を負担しております。また、統合に当たり、既存の学校施設に対し長寿命化改良等の改修を行う場合にも国庫補助を行っておりまして、新増築を行う場合と同様、国が経費の二分の一を補助しております。

 また、老朽化を理由として学校移転を伴う施設整備を行う場合のお尋ねもございました。この場合、構造上危険な状態にある建物の改築に要する経費に対して国庫補助を行っておりますし、そのほか、教育環境向上と老朽化対策を一体的に行う長寿命化や、非構造部材の耐震化等の防災機能の強化に向けた取組に対しても支援を行っております。

 引き続き、地方公共団体が地域の実情に応じた施設整備を行えるよう、必要な予算の確保にも努めてまいりたいと思います。

石原(正)分科員 時間も参りました。

 今後、個別具体的、課題解決型のパッケージの予算をしっかりと検討していただきますよう、統廃合で校舎の移築、改築についても検討いただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて石原正敬君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十分散会


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