衆議院

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第2号 令和6年2月28日(水曜日)

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令和六年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 井出 庸生君

      岩屋  毅君    亀岡 偉民君

      国光あやの君    山本 左近君

      大西 健介君    吉田 統彦君

      漆間 譲司君    角田 秀穂君

   兼務 柳本  顕君 兼務 白石 洋一君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 吉良 州司君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   文部科学副大臣      今枝宗一郎君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     国光あやの君

  大西 健介君     吉田 統彦君

  角田 秀穂君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     山本 左近君

  吉田 統彦君     大西 健介君

  國重  徹君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     亀岡 偉民君

同日

 第三分科員白石洋一君、第五分科員吉良州司君、第六分科員赤嶺政賢君及び第八分科員柳本顕君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

井出主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。

吉良分科員 有志の会、吉良州司です。

 今日の質問は、以前、私が文科委員会に属していたときにも取り上げた問題なんですけれども、非常に高い問題意識を持っておりますので、また盛山文科大臣にも直接聞いていただいて、議論の上、よりよい方向に導いてもらいたいという思いで、ちょっと三点について取り上げたいと思っています。

 一つ目は英語教育全般、そして新しく必修化された、小学校における英語必修化という問題について、そして二番目は外国人児童生徒に対する教育について、それから三番目が核融合の更なる投資について、この三点を取り上げさせていただきたいと思っています。

 まず、一点目、二点目は共通するんですけれども、最初の英語教育、小学校の英語教育について、これを取り上げる問題意識をまず披露させていただくと、私たち日本は、人口減少、少子化、これが、ある意味では国家としての最大の課題だと言っても過言ではないと思います。そして、これから、それでも一億二千万人の社会として成り立ったインフラ等を維持していくためには、人口減少の中で、端的に言えば、外国人労働者、そして外国から移民を迎え入れなければならない。

 これはここにいらっしゃる皆さんの中では釈迦に説法ですけれども、去年生まれた赤ちゃんは七十五万人、それを考えると、生物学的に言わせていただくと、女の赤ちゃんが恐らく三十八万人ぐらいだと思うんですけれども、これは二十年後も二十五年後も三十年後も三十五年後も三十八万人と変わりませんので、そういう意味では、足下の短期、中期を見たときには、外国人労働者に、ある意味では日本の社会を支えていただかなければいけない、こういう問題意識を持っています。

 そういう意味で、外国人労働者を受け入れる際に、私の言葉で言いますと、迎え入れる英語。その対比となるのは、実は打って出る英語なんですけれども、打って出る英語というのは、アメリカだイギリスだ、またシンガポールだに行って、ある意味では、流暢に英語を使いこなして、そしてビジネスまた生活、まさにネイティブと遜色なくやり合う、こういう英語を私は打って出る英語と申し上げているんです。

 一方で、迎え入れる英語というのは、今言いました外国人労働者、外国人移民を受け入れる、そして、今、日本政府の方針は、母国で日本語を勉強してこい、一定のレベルにさせろ、こういう方針なんですね。気持ちは分かります。けれども、この日本語という特殊な極めて難しい言語を日本に来る前に習得してこいといっても、ほぼ不可能であります。

 よく例に出すんですけれども、犬の数を数えろと。イッピキはヒに丸がついて、ニヒキは丸も点もつかない、サンビキは点がついて、ヨンヒキはなし、ゴヒキはなし、ロッピキ、これはどうやって説明して理屈をつけていいか。たんすが一個だ二個だと言ったら、違う違う、それは一さおというんだと。こんなものは無理ですよ、正直言って。そういう意味で、この日本語の難解さ。

 そしてもう一つは、言葉というのは私は生活だと思っているんですね。ですから、実際に生活する中でその場面に立ち会わないと、本当に有効な、効果的なというんですかね、通じる言葉にはならない。

 これも私はよく言うんですけれども、後で言いますけれども、私はむちゃくちゃ英語が下手なのに、ニューヨーク駐在を五年もやらされたんですよ、五年半も。五年アメリカにいる間に、私が誰かにサンキューと言ったときに、学校で習ったのは、サンキューと言われたらユー・アー・ウェルカムと答えろ、どういたしましてと。英語の意味からいったら、あなたは歓迎されていますよ、どういたしましてと読むんでしょうけれども。私の経験で、サンキューと言ったときにユー・アー・ウェルカムなんて返ってきたのはほとんどないです。大概はシュア、これです。

 エレベーターで混み合っているときに、ちょっと、エクスキューズ・ミーと言って出て、サンキューと言うと、シュアかノープロブレムですよね。

 コンピューターにえらいてこずって、技術者のジョンに来てもらって、ちょっと何とかしてくれよと言って、直った。それで、サンキュー・ジョンと言ったら、彼はアメリカ人ですから、こんな大きなジェスチャーをしながら、エニータイム・キラ、いつでもおまえのためならやってやるよと言ってくれた。こういうふうに全て場面場面で、生活の中で言葉というものは出てくる。

 ですから、正直言って、母国で日本語を学んでこいなんというのは無理な話です。実際に日本に来てもらって、そして生活の場面場面で覚えていってもらうしかない。

 じゃ、いきなり来るときに、最初、どうやって駅に行くんですか、どうやって市役所に行くんですかと。これは、英語というのは、さっき言ったように、私もむちゃくちゃ下手なんですけれども、日本語に比べれば、やはりどの国民にとっても一番覚えやすい、使い勝手がいい。そういう意味では、彼らにも簡単な英語を。日本に最初に来たときの半年、一年ぐらいは英語で何とか日常生活を送れる。

 そして、大事なのは、日本側も、片言の英語でしゃべるベトナムの人、インドネシアの人、ネパールの人、それに対してほとんどの日本人が簡単な英語で答えられて、そこでコミュニケーションができる、これが私は極めて重要だと思っていまして、そういう言葉、そういう英語を迎え入れる英語というふうに言っています。流暢に話す必要なんか全然ない。

 これもよく言うんですけれども、さっき言った、私自身が、英語が下手くそのくせに、仕事で使わざるを得ない、アメリカ人とコミュニケーションするのは本当に苦労しました。

 こんなうそをついてまでやっていました。だから、聞くのも苦手なので、電話でやり取りするというのは、最初の三分、五分、集中力を利かせて何とか聞けるのはそれぐらいですね、三分、五分。ところが、仕事上は二十分でも三十分でも話さなきゃいけない。そういうときに何と言ったかというと、相手に、申し訳ない、俺は今から急用があってすぐ出なきゃいけないので、申し訳ないけれども、今言ったことと、これから本来聞きたかったことをちょっとメールかファクスで送っておいてくれないかと言って、送ってもらう。そうすると、行く用事なんかないですから、堂々と、受験英語は勉強したわけですから、書いたり読んだりするのは不自由ないので、そこで、こういうことを言っていたのかとか、こういうことを言いたかったんだなというのが分かって、何とかコミュニケーションを取った。

 そんな僕ですけれども、ただ、ペルーに行って、ペルー人と、最初だけスペイン語みたいな簡単なことをやって、後は英語でしゃべる。むちゃくちゃ楽なんですよね、相手も下手くそだから。下手くそ同士が一生懸命限られた単語をひねり出しながら何とかコミュニケーションをする、むちゃくちゃ楽です。

 でも、それでいいんです。何とか通じる英語、それが迎え入れる英語、どっちも気が楽、これを普及させなければいけない。

 済みません、もう一点あります。

 じゃ、今度は、人口減少の中で、実は、流暢な、打って出る英語も必要だと思っています。

 これはどういうことかというと、私もビジネスをやっていたときに、デンマークの会社とかスウェーデンの会社とつき合うことがよくありました。そういう意味で、物すごく驚いたというか、誰と話しても、ネイティブじゃないかというぐらい英語がうまいんですよね、むちゃくちゃうまい。なぜだと考えて、実際に聞いたこともあるんですけれども、彼らは、御承知のとおり、一人当たりGDPということになれば日本の二倍、非常に豊かな国ですけれども、人口はというと五百万とか一千万しかいない、そういうマーケットとして見れば非常に小さなマーケット。その中で自分たちが豊かな生活を送るためには、デンマーク市場だけ、スウェーデン市場だけを相手にしていたら、全く豊かになれない。ですから、必ず大陸ヨーロッパを相手にする、世界全体を考える。そうすると、おのずと、今言った、スウェーデン語が母語なんだけれども、英語はもちろんだけれども、ドイツ語かフランス語を当たり前のように使いこなさなければ、そんな少人口国家の豊かさを保てないということがあります。

 日本の場合は、ある意味、非常に特異な、特殊な国で、日本語をしゃべっているというのは世界の中でこの日本列島しかないわけです、駐在員とか一部の人を除いたら。にもかかわらず、これだけ新聞、雑誌、本があって、本屋があって、それが一応成り立っている。これは、一億二千万いて、みんなリテラシーが高いからですよね。けれども、今後はその人口がどんどんどんどん減っていく。それを考えたときに、我々も北欧に倣い、多くの人たちが、ある意味では、常にアジアを、ヨーロッパを、アメリカを意識しながら自分の語学力を高めていかなければいけない。

 こういう人口減少一つを取ってみても、今言った外国人労働力、移民、そして、より豊かな生活のために打って出る、この両方が必要だというふうに思っています。

 そういう問題意識の中で、文科省もそういう意識があるからこそ、英語教育の充実と、それを早い段階からというふうにして、小学校にも英語の必修化という制度をつくったんだと思います。

 ただ、私が心配をしているのは、一つは、小学校の教員の場合は、それじゃなくてもやはり教師不足の中で非常に苦労されている、そして、働き方は、問題だと言われるぐらい、ブラックだと言われるぐらい大変な状況にある、その中でまた慣れない英語も教えろということが入ってきて、専任も、とてもじゃないけれども、人数は足りていない。そうなってくると、私が心配するのは、今までは、中学校以降で英語が大好きな子、いや、苦手だ、嫌いだという子がいたのが、その嫌いだ、苦手だという年齢を早めるだけの効果になる場合もあり得る、こういう問題意識を持っております。

 そういう意味で、これまで申し上げましたように、今後の日本のことを考えれば英語教育というのは極めて重要、そして、できれば小学校から早く慣れることにこしたことはない。けれども、既存のインフラとでもいいますか、経営資源とでもいいますか、教育資源とでもいいますか、それにはかなり限りがある。

 そういう中で、今私が申し上げたのは一点でありますけれども、小学校の英語教育を必修化することによってのいろいろな課題、問題が出てきてはいないか、出てきているとすれば、今どういう形でそれを解決しようとしているのか、その辺についてまず伺いたいと思います。

盛山国務大臣 大変示唆に富むお話を拝聴させていただきました。誠にありがとうございました。

 どういうふうに答えようかというふうにちょっと悩むわけでございますけれども、その吉良先生の御意向にしっくり応えられる御答弁になるかどうかは自信がありませんが、私も、限られた期間でしたが、在外におりましたので、先生と同じような意識というのは持っております。

 ただ、やはりそれぞれの民族はそれぞれの言葉があって、そして、それが文学や歌やいろいろな伝統だとか、そういうものにつながるものですから、日本は日本語、今、大河ドラマで紫式部ですとか、ああいうようなものが出ていますけれども、そういうような日本語の成り立ちですとか日本語自体を大事にするというのが一番ベースだと思います。そこは吉良先生も御異存はないと思いますが。

 それに加えて、やはり限られたマーケット、限られた人口ということを考えると、事実上、世界言語として一番広く使われているのは英語でございますので、そうすると、第一外国語として英語を早くから学ぶ必要があるというのはそのとおりだろうと思います。

 ただ、これまでの我々がやってまいりました英語の教え方、教育がいいかどうかということには問題点は多々あろうかと思いますが、ただ、やはり文法とか、これは大事なことだと思います。先生も、文章で書いてくれたものをファクス、メールで送ってもらって、それで読んで理解して、返事をされたということでございますので、話す、聞くももちろん大事でございますし、そして、その時代時代に応じた対応の仕方というんですかね、サンキュー、ウェルカムじゃなくて、シュアだとかエニータイム、ウェルカムだとか、いろいろな表現があろうかと思います。

 そういうものは、やはりその生活の中でないと、あるいはその置かれた環境でないと理解できない、学べない、こういうことはあろうかと思うんですけれども、そんな中で、我々も、文部科学省としてはいろいろ工夫をしながら、英語の教育、そして小学校の教育というのを担当しているわけでございます。

 そして、様々な場面で、迎え入れる言葉としての英語、それから、けんかをするというか、打って出るための英語、いろいろな、その求められるものが違うと思うわけですね。

 そんな中で、最低限私たちが何をしないといけないのかということで、英語によるコミュニケーション、これを学校教育においてそのための資質、能力を育成し、外国語、英語を用いてのコミュニケーションを図ろうとする態度を養っていく、これが大事なことであると考えております。

 それで、先ほど来御指摘がありましたが、これまでの我々の英語教育では、ともすると、文法や語彙、ボキャブラリー、こういったもの、あるいは文章の読解に重点が置かれておりましたので、コミュニケーション能力の育成を意識して、特に、話すこと、そして書くことなどの言語活動が十分行われてきていないという課題が指摘されております。

 このため、現在の学習指導要領では、読むことだけではなく、聞くこと、話すこと、書くことの四つの技能をバランスよく育成し、子供たちに、言語活動を通して、英語でコミュニケーションを図る資質あるいは能力を育成することを目標としているところです。

 こうした目標を踏まえて、具体的には、例えば、小学校においては、専科教員の配置、これもある程度進みました、そして外国語指導助手の授業参画の促進に加えまして、今、一人一台の端末、タブレット、これが小学校の一年生から支給されるようになりましたので、こういったデジタルの機器を活用した取組なども推進していくところでございます。

 引き続き、初等中等教育段階における英語教育の充実に向けて必要な取組を進めてまいりたいと考えておりますので、今後とも御指導を賜れればと思います。

吉良分科員 大臣の答弁自体については、何ら異論は私自身もありません。しっかりとお願いしたいんですが、ただ、一点だけ、指摘と提案をしたいと思っているんです。

 一点目は、大臣、文法も大事だと確かにおっしゃいました。私もそう思います。助かった部分もあります。けれども、英語教育とか、英語を学科としてとか学問として、学問とは言い過ぎなんですけれども、見たときに、学科になった途端に嫌いになる、苦手な子が出てくる。だって、日本人の赤ちゃん、幼児、アメリカ人の赤ちゃん、幼児は、文法なんか何も知らなくたってどんどん言葉を覚えていって、これはちょっと表現がいいかどうか、将来的に学力が高い子も、必ずしも高くないと言ったらあれですけれども、子も、ちっちゃい頃は誰でもが同じように覚えていくわけですよ。けれども、それが学科になって試験をするとなると、高い子とそうじゃない子とが出てきて、そうじゃないとだんだん苦手、嫌いになっていくということがあるんですよね。

 ですから、高校とかになってくれば、先ほど言いました打って出る英語で勝負したいという子供たちも当然出てきますので、いいんですけれども、私が、さっき、あえて迎え入れる英語の必要性を説いたのは、迎え入れる英語については、同級生が百人いたら百人全部が、そこまでは好きだ、使えるというふうにしていかなければいけないので、そういう意味で、文法だ何だと学問的にしていって、そこで何か学力とかいうレベルにしていっては本末転倒だという問題意識をお伝えした上で、問題なのは、教員によって、海外に行ったことのある小学校教員と行ったこともない人でやはり違うわけですよ。

 そういう意味で、全国の子供たちの底上げをするためには、私は、小学校の英語授業は、ディズニーとジブリのDVDというか、それを来る日も来る日も見せた方がいいと思います、ジブリの英語版もありますから。

 ちょっと理想論になりますけれども、小学校のジブリ、ディズニー寸劇甲子園大会みたいなものをして、見ながら、ただ面白いだけでは覚えないですから、それを子供たちで劇にするぞと。君はメイちゃんだ、君はサツキちゃんだ、おまえはトトロだとやって、トトロはオーと言うだけだから、言葉にはならないけれども。でも、そうやって子供が楽しみながら、みんなが覚えられる。

 何がいいかといったら、打って出る英語というのは、実は、今の大人にとっても必要なんです。だから、子供たちが家で一生懸命、自分はメイちゃん役でこれを全部覚えなきゃとやっているときに、親もそれを見ながら一生懸命覚えて、トトロは何十回も見たけれども、こういう日本語は、英語にしたらこういう表現だったのかと親が初めて理解しますよね。そういうようなことも是非取り上げていただきたいということを申し上げて、もう時間が、俺はいつもこういうふうに横道にそれるので。

 次に大事なのは、外国人の児童生徒への教育なんです。

 これも私の経験なんですけれども、アメリカでの経験で、メキシコからとかエクアドルとかペルーからアメリカに入ってきた一世は、気の毒なぐらいこき使われます。それでもアメリカに行きたがるのは、一日十ドル稼いでも、本国ではとても稼げないお金、もう一つは、子供たちがアメリカの公教育、非常にいい教育を受けさせてもらえるから。高校まで公教育を受けたら、スペイン語と英語のバイリンガルの大人になって、アメリカの場合は中南米向けのビジネスが山のようにありますから。私自身の、自分の秘書の採用条件もスペイン語と英語、バイリンガルだということだったんです。そういう意味で、幾らでも就職先があって、子供たちはいい就職ができて、いい収入を得て、いい暮らしができる。苦労した一世に報えるんですね。

 そういう意味で、私は、外国人の人たち、一世は、日本語も、さっき言ったように難しい、そういう中で来てもらう。日本は、今、選んでもらいたいという国になってしまいましたから、そういう外国の人に来てもらうためには、子供たちの教育だけは、とにかく、一世がこれでよかったと思えるような教育をしますよと。

 そのためには、一つは、まさに外国人の子供たちへの教育の充実、それは日本語もそうですけれども。ただ、最初のうちはなかなか追いつかない。そのときに、母語支援員をできるだけ多く育成して、養成して、母語で不自由なくアシストできるように、ちょうど大谷選手の通訳のようにですね、ということが大事だと思っているので、この外国人生徒児童への教育の充実について、文科省として最大限の力を入れていただきたいと思いますが、短くお願いします。

盛山国務大臣 外国人材の受入れ、共生、これは大変大事な課題であると思います。そして、そこにおいて、今、吉良委員が御指摘されたとおり、外国人児童生徒に対する教育の充実は非常に重要な要素であると認識しております。

 令和三年度現在で、日本語指導が必要な外国人児童生徒等は五・八万人を超えております。母語が多様化するとともに、集住化、あるいは逆の散在化、両方の要素が進んでいる状況にございます。

 これらの状況を踏まえ、文部科学省では、日本語指導が必要な児童生徒に対して取り出して指導などを行う特別の教育課程の制度化、あるいは日本語指導に必要な教員定数の着実な改善、そして母語支援員の配置など、指導、支援体制の整備に取り組む自治体への支援などを行ってきております。

 また、外国人児童生徒等教育を担う教員の養成、研修プログラムの開発、普及、日本語指導担当教師の研修のためのアドバイザーの派遣や動画の配信などを通じて、外国人児童生徒等の教育に携わる教員の資質、能力の向上に取り組んでおります。

 引き続き、これらの施策を通じて、外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援に取り組んでまいりたいと考えております。

吉良分科員 ありがとうございます。本当に力を入れていただきたい。

 さっき言いましたように、一世は日本語の難しさ等から苦労するのは見えているし、残念ながら、彼らが日本語を形の上でしゃべっていても、日本人のネイティブがその言葉の意味する、理解するところと、発している人の意味するところが違ったりしている可能性もあるんですよね。だから、一世は非常に難しい。だけれども、その子供たちは、子供の頃から日本の文化、日本語に慣れ親しんで、日本人と全く遜色のない大人として育っていってくれますので、さっき言った人口減少の中で、日本としても非常に助かる、本当に日本の仲間として迎え入れることができると思っていますので、そこの充実を重ねてお願いしたいと思います。

 最後に、核融合、これも私はずっと言っていることなんですけれども、資源小国日本の中で、核融合、使途というのはいろいろあるわけですけれども、まずは、やはり核分裂の原子力に比べれば極めて安全性が高い、そして、さっき言った資源小国日本、ましてやウクライナ戦争、ガザ戦争で分かるように、地政学的リスクが世界中に散らばっている、また現に起こっている、こういう中で、自前のエネルギー源を確保するということは、本当にこれも最大の日本の課題、重要課題だと思っています。

 そういう中で、やはり核融合に対する投資を、今も力を入れてやっていただいていることは分かっているんですけれども、御承知のとおり、今言った地政学的リスクも高まったこともあって、イギリスだアメリカだというのは、それまでの開発計画を十年ぐらい前倒しにするようになっています。

 そういう意味で、日本としても一刻も早い実用化、原型炉、そして発電所へというふうに持っていかなければいけないと思っていますので、今も予算を確保していると思っていますけれども、物理学的な基礎段階では、私は、国の投資、大きな予算投入が必要だと思っています。これが工学系になってくれば、民間に任すことができる。特に、民間に、工学系に任すまでの間は、国としても最大限の投資をしていただきたい。これは要望、お願いなんですけれども、一言あれば、お願いします。

盛山国務大臣 近年、エネルギー安全保障や環境問題の解決策として、世界各国でフュージョンエネルギーに対する投資が拡大し、国際競争が過熱しております。

 そのため、昨年四月、我が国として核融合分野で初となる国家戦略を策定し、関連産業の育成や技術開発など、関係省庁が一丸となって推進しております。

 文部科学省としては、ITER計画や、昨年運転を開始したJT60SAなどで培った技術や人材を最大限活用し、原型炉に向けた研究開発など、必要な基盤整備を加速してまいります。

 さらに、関連人材の育成や、小型化、高度化等の新興技術への支援を強化するなど、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて取り組んでまいります。

吉良分科員 日本は、これからは技術立国として生きるしかないと思っています。技術の裾野を広げるには、頂点を高くしなければいけない。その頂点、山脈は、私は、本来なら軍事と原子力と宇宙とそして生命科学だと思っていますけれども、日本の場合は、軍事が事実上タブーになって、また原子力も、既存の原子力についてはいろいろ問題がありますので、そういう意味では、原子力の一分野としての核融合は、裾野を広げるという意味でも、また技術立国の基盤をつくる意味でも極めて重要だと思っていますので、更なる投資をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて吉良州司君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田統彦君。

吉田(統)分科員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、予算委員会第四分科会、文部科学省関連ということで、盛山正仁大臣に質問させていただきます。

 今、ITER計画の話がございましたが、核融合を、もっと正確に言うと、核分裂は臨界点を超えると制御できませんが、核融合はすぐ止まりますので、極めて安全というか完全に安全な技術。逆に言うと、実現は難しいわけでありますが、後ほど、時間があれば、ITER計画も質問させていただきたいと思います。

 今日は、科学技術、とりわけ、学問的な、アカデミックな話をさせていただきたいんですが、盛山大臣も、本当に優秀な方で、学者みたいな方でもあるなと常々思っております。たしか、「田村元とその時代 五五年体制を生きた政治家」でしたか、先生が書かれて、それを私も読ませていただいた記憶がございます。やはり、あれを見ると、その優秀さ、聡明さ、そして本当に学者肌な政治家だなと思って、私も尊敬しております。

 では、始めていきたいんですが、大臣、もう御承知のとおり、日本の研究開発力の低下は著しいわけであります。これはもう厚生労働委員会や内閣委員会で私も数度質問させていただいております。

 様々な委員会で、我が国の研究開発力の低下の一指標として、我が国の論文数、やはりこれは重要です、国際的な順位の低下ということを、最近特に、各委員会で、私はかなり早期から、もう二〇〇九年から申し上げておりますが、とみに最近、いろいろな議員から指摘をされています。

 二〇二三年の科学技術指標によると、一九九九年、これは私が医者になった年、大学を卒業した年ですが、二〇〇一年の三年間で、論文数は世界二位なんです。トップ一〇%が四位、トップ一%は五位、これはすばらしい数字です。十年後は、それぞれ、論文数五位、トップ一〇%が八位、トップ一%が十一位。二十年後、現代に近い二〇一九年―二〇二一年の三年間では、各々、六位、十二位、十二位と極めて大きく下がってきています。

 医学研究について調査をされている鈴鹿医療科学大学の学長の豊田長康先生、私もよく存じ上げている方ですが、の分析によると、論文の質と量を掛けた国際競争力が、日本は二〇〇四年頃を境に断崖絶壁を転がり落ちるように低下したと言っています。日本の臨床医学論文数は、二〇〇〇年を過ぎた頃、しばらく停滞していました。これは、私がやはり医師としていろいろな研究をしていた時代とも重なるんですが、米国、中国、イギリス、ドイツからの論文数は増加しております。特にアメリカと中国の伸びは著しくて、日本との差は拡大する一方であり、その他は韓国も急速に伸ばしています。豊田先生は、人口当たりで計算すれば、日本は更に低い、二〇一六年時点で既に世界二十七位と指摘しています。

 アメリカは、もう先生御承知のとおり、アメリカを抜くのは無理なんです。これは、有名な教授たちがエディトリアルボードに載っていますので、自分たちのジャーナルを持っているんですよ。だから、最終的に、どこも取られずそこに通すということをやりますので、これはちょっと勝負にならないわけですが、やはりアメリカを除いた部分では日本はトップクラスにいなきゃいけない。

 論文の質の指標として、インパクトファクター、あと、こっちの方が大事だという学者もいますが、サイテーションインデックス、こういったものがあります。インパクトファクターは、大まかにその雑誌の論文が一年間に何回引用されたかということ、サイテーションインデックスというのは、個々の文献の引用回数であります。これでも我が国の停滞は拡大しています。非常にこれはもう悪くなってきています。

 そこで、まず大臣にお聞きしたいんですが、こういった状況に関して、文部科学大臣としてどのような所感をお持ちか、お聞かせください。

盛山国務大臣 今、吉田先生が御指摘されたように、論文数だけではないと思いますけれども、科学技術の水準というんでしょうか、特に高い水準、こういうものが、アメリカだけではなく、特に中国ですとか、ほかの国に比べて相対的に低下しているのではないかということに対しては、我々もそのように、同じような、大変強い問題意識を持っているところでございます。

 それで、論文の数だけで見るのがいいのか、引用されている数で見るのか、何で見るのがいいのかというのは御議論があろうかと思いますけれども、いずれにせよ、問題は、やはり研究であり、どの分野でもそうだと思うんですが、山、高みを高めていくためには裾野をある程度広げないと、パイが小さかったらなかなかそこから急に上がるというのは難しいと思うものですから、基礎の部分を広げていくこと、そして、それと同時に、それと併せてというんですかね、高みを高めていく、それが必要ではないかと思っております。

 ですから、我々は、そのために、研究、こういったものの環境を整える、あるいは博士後期課程、こういったものへの支援をするですとか、戦略的な国際共同研究等を通じた国際頭脳循環、こういったことにも取り組んでいるところでございます。

 第六期の科学技術・イノベーション基本計画に基づいて、関係の省庁と連携を取りながら、研究力の向上に向けて取り組んでいきたいと考えています。

吉田(統)分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣、私、全文、文書を送っておいたので、大臣のお言葉でお答えになった方が、役所が書いた文章より大臣の言葉の方が多分いいので、多分今は役所の文章を読まれているので、大臣、そのために私、もう全部、文書を丸ごとお渡ししていますので、是非大臣のお言葉でお答えいただきたいなと思います。

 本当に難しいところはあります。中国の論文というのは、やはり私は、ちょっと質には問題があるんじゃないかと思います。これは、実際私がアメリカで仕事をしていて、隣の女性は、北京大学卒業の優秀な方でしたが、お産して二日後からもう研究室に来るんですよね、そのガッツや、非常にアンビシャスなんですが、すごく隠すんですよね、ラボのチームのメンバーとかに対してもデータを出さないんですよね、絶対に。だから、そういう意味ではやはりちょっと疑義があるなという思いも私も実際してきたわけでありますが。とにかく頑張っていただきたいと思います。

 先ほど御紹介した豊田学長は、二〇二二年五月二十日の日本記者クラブで行った会見で、どういう理由で日本の研究が低下したかという点に関して、論文の量を決める要因であるFTE、フルタイム相当研究従事者数、これだと。研究者と研究支援者の合計に研究時間を掛けたもの。研究支援者のうち、研究者の指示に従って研究や実験をする職種、テクニシャンは、日本の研究者一人当たりの数が先進国で最も少ないんです、大臣。国公立、私大共に、教員の社会サービスの時間が増えて、研究時間が減っているという趣旨の御発言もされています。

 実際、私が日本で研究していた際は、研究チーム一人で一人のテクニシャンでしたね、やはり。ただ、アメリカでは多くのテクニシャンが私一人の研究を支えてくれました。また、ジョンズ・ホプキンスだけでなく、例えば、ハーバードからドクター吉田と研究したいといって、学生がやってきたりするわけですね。彼らはテクニシャンとして研究をやはり手伝ってくれますが、非常に野心的なわけであります。彼らは、別にただで研究しているわけじゃなくて、私の推薦状が欲しいとか、あと、私と共著者に論文でなるとか、そういうことを目的にしています。非常にアンビシャスなんですね、大臣。これは好感が一部持てるところももちろんあります。

 それに続いて、日本の論文の数が少ないことは、このFTE研究従事者数がそれ相応であることで説明できるということをおっしゃっています。政府が支出する大学研究費も、多くの国が増やしている一方で、日本は、二十年以上ほぼ横ばいで、先進国最低だとの趣旨を述べられています。つまり、さきの研究従事者が少ないことも、また後ほど議論しますが、予算の削減そのものが大きな要因になっていると私も以前から考えて、また委員会でも発言させていただいています。

 豊田先生も、日本の研究力低下の最大の要因は、二〇〇四年度の国公立大学の法人化と選択と集中、教員数の計画的な削減と指摘されていますが、この点、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 いろいろ御批判があることは承知しておりますけれども、運営費交付金のことであろうかと思いますけれども、運営費交付金自体は、減らさないような形で、ちゃんと底支えをしております。

 そして、運営費交付金ということに変わったことで、各大学、大学法人の自由裁量、こういったところがそれなりに広がっているのではないかなと思うものですから、そういったことも是非お考え合わせいただきたいんです。

 そして、それと同時に、さっき裾野を広げると言いましたけれども、運営費交付金はやはり裾野をしっかり支えるためのものであると思いますが、それと同時に、高みということでは、国際卓越研究大学ですとか、あるいは地域中核、強みを持つといったようなところにもお金をちゃんと入れるようにしておりますので、両方やっております。

 ただ、やはり背景が大分違うと思うんですね。先生がおられたアメリカのように、研究者と、サポートスタッフというんでしょうか、テクニシャンというんでしょうか、そういうものが日本とアメリカやほかの国で大分違っているんじゃないかと思うものですから、そういったことを含めて日本の研究がもっとうまくなるように、これは処遇のこともやはり無視するわけにはいかないと思うんですけれども、そういったことを含めてどうすれば日本の研究がもっと進んでいくのか。あるいは、アメリカに行く人が、それでも日本に戻って今度研究しようかと思うようになれるのか、そういったことをちょっと、問題意識をもっと強く持って、変えていく必要があるんじゃないかなと思います。

吉田(統)分科員 大臣は、自由裁量が増えたとはおっしゃいますが、運営費交付金が徐々に減らされている中で、逆に言うと、例えば、医療なんかはお金を稼がなきゃいけなくなっちゃったんですよね。はっきり言うと、大学がお金を稼ぐ最大の手段というのは、やはり医療ですよ、病院で収益を上げていく。そうすると、収益を上げられない教授は教授になれないし、特に外科系は、手術しない教授はもう要らない、そういったような風潮が非常に広がっている部分も実際あります。これは、だから注意していかなきゃいけない部分だと思います。

 私も、大臣がおっしゃったように、文部科学省が全く手をこまねいていたとは言いません。もちろん、十兆円規模の大学ファンド、今大臣はおっしゃらなかったですけれども、これも大臣、やっていただいています。これは対象が一部の大学に限られますが、研究資金の増加は期待されますよね。

 これも私、前から言っていると思います、寄附税制をもっと進めるということがやはり大事ですよね。ふるさと納税というのは、寄附先の市町村などが何にお金を使うのか、自治体の用意した幾つかの選択肢の中から選べるものもありますよね。ですから、納税者である国民が、例えば払う税金の一割を自ら政府のどの省庁のどの政策に使用するか決定できるようにすると、みんな喜んで税金を払ったり、科学技術を進めたいという方や、子育て予算を増やしたいとか、そういった国民の意思を反映できるんじゃないか。納税意識の向上だけじゃなくて、研究開発予算の積み増しにもつながるかもしれないと思うんですが、こういうフレキシブルな予算、どうですか。なかなか、大臣のお立場だと難しいかもしれないですが。

盛山国務大臣 十兆円ファンドのこともメンションしていただきまして、誠にありがとうございました。

 予算の仕組みをどうしていくのか、これはなかなか難しいところが正直ございます。そして、ちょっとしつこいですけれども、基盤的経費につきましても、それなりに、減らないように支えているつもりではございます。

 他方、寄附税制というのは、これはいろいろな分野に影響する話で、すごく私も問題意識を持っているわけなんですが、まずベースに、アメリカが典型だと思いますが、アメリカと日本で寄附に対する取組というか考え方がすごく大きく差があると思うんですね。日本人の方も、寄附というものに対して、もっと積極的に取り組んでいただけるような土壌ができればと思います。そして、そこで必要なのは、やはり寄附に対するメリット、これをもっと高めていくことができるかどうかということではないかと思うんです。

 さっき、ふるさと納税のお話もございましたけれども、ふるさと納税ですと、例えば特定の市町村に税金が入っていくわけでございますが、先生の問題意識は大学でということなのか、あるいは更にもうちょっと狭めた、大学の中のこういう研究に、あるいはこういう分野にということなのか分かりませんが、例えば、国立大学法人であれば、今でも寄附を受けて、そしてそれが免税の対象にはなるわけでございます。

 そういうようなことをもっと周知をすると同時に、もっと寄附に対してのメリットを何らかうまく打ち出すことができないか、あるいはそういうことで、これは財務省とのけんかになると思いますけれども、寄附というものをもっと位置づけをはっきりさせて多くの人に取り組んでもらうといったようなことを考えていきたいなとは思っております。

吉田(統)分科員 本当に、大臣、しっかり頑張ってください。

 ふるさと納税は、申し訳ないですけれども、ちょっとお金持ちのカタログショッピング的な部分もありまして、だって、額が多い方はむちゃくちゃできますものね。盛山大臣は収入があるからたくさんできるかもしれませんけれども、一般庶民は本当にそんな潤沢には、役所の皆さんはそんなできないでしょうね、たくさんは。下向かなくて大丈夫ですから。本当に、ちょっと、そういう意味で、お金持ちのカタログショッピングとやゆされる方もいますが、とにかく、やはりジョンズ・ホプキンスも、大臣、御承知だと、あれはたばこで財を成した人がつくった大学ですから、今は世界に冠たるジョンズ・ホプキンスはたばこですから、原資は。ですから、頑張っていただかないといかぬですね。

 あとは、ここら辺、本当は役所の方に対するメッセージなんですけれども、現在、政府の様々な審議会に参加している研究者、学者の方、学者としての一面よりも地位がやはり上がってくると政治的な面を持つ方がどうしても増えてくるんですよね。これは私がおつき合いしている方も、全員がそうじゃないですが、そういう方もいらっしゃいます。そういった方じゃなく、例えば真の学者、生涯一研究者みたいな姿勢の方を文科省の政策決定に関与していただくということを何でできないのかなと、私、いつも思うんです。

 超一流の学者って、やはりサイエンスを楽しんでいますよね、サイエンスを楽しんでいる。名大の大先輩、坂田先生、後輩がみんなノーベル賞を取りましたよね。坂田研究室の教え子たちがノーベル賞をたくさん取りましたね。だから、そういった方、こういった方に政策決定過程に参加していただきたいなと思います。

 ただ、こういう方は逆に言うと、教授を辞めたり学長を辞めたりした後も世界各国から引く手あまたで引っ張っていかれちゃうんです、本当に。中国がすごいですよね、優秀な一流の学者。そうじゃない方が残っちゃったりということではないとは僕は信じたいんですが、こういったことで、やはりこういった優秀な方にいつまでも政策に入っていただくということは、大臣、どうですか。何かいい御提案があれば。

盛山国務大臣 今、厳しい御批判を吉田先生からいただきましたけれども、我々としても、できるだけ優れた人材を一生懸命選定し、そして、そういう方に審議会の委員その他になって政策決定に参画をしていただいているつもりではございますが、それだけではなくて、政府その他の審議会ではない顧問ですとか、いろんな役回り、あるいはいろんな、ある特定の分野について何か新しい政策をつくるときにヒアリングその他のディスカッションをして御意見を賜ったり、そういうこともしておりますので、今後とも我々も努力をしたいと思いますし、また吉田先生の方から、こういう分野でこういう方の話を是非聞いた方がいい、使った方がいい、そういうようなことがあれば教えていただければと思います。

吉田(統)分科員 大臣、ありがとうございます。是非、大臣の目でもっと見ていただきたいと思いますけれども。大臣、人を見る目はある方で、奥様もすばらしい方ですし、本当に。尊敬していますけれども、ちょっと余計なことは言わずに。

 我が国の研究開発、先ほどから申し上げているように、やはり人材の問題は非常に大きなウェートを占めます。いい人材を確保して研究を続けていただくためには、常勤雇用といった形で人材を採用していくのがベストですよね、大臣、それは。一方で、科学技術関係の研究財源というのは有限のものが多いわけですよね。寄附講座しかり、また科研費しかり、恒久的な財源に基づくものがない。だから、これは難しいわけですよね。我が国の科学技術政策分野における雇用政策と労働環境というのは、いわゆるパラドックスなわけですよね。

 つまり、まず、やはり大学の運営費交付金の増額が欠かせないとは思うんです。令和六年度予算における運営費交付金は一兆七百八十四億円で、令和五年度と横ばいですよね。補正予算で百九十六億円の追加がされていますが、電気、ガスその他、物価の高騰も、もちろん研究は影響を受けるわけです。

 ちょっと長くなっちゃうのであれですけれども、二〇二三年八月二十九日の日刊工業新聞には、文科省は二〇二四年度予算の概算要求で、国立大学の光熱費高騰に対応した省エネルギー機器導入などの設備整備に四百四十六億円を盛り込む、前年度予算額と比べ四・三倍となる、また、運営費交付金による教育研究の組織改革に新規で八十五億円を充て、七大学を支援する、福島大学の水素エネルギー総合研究所や千葉大学の宇宙園芸の研究、京都大学の研究データ基盤整備の全学改革などが対象となる、運営費交付金内の設備整備は照明機器の発光ダイオード化など、省エネの新型に置き換えてもらうのが狙い、設備は大学の資産として残るため、電気代を補助するよりもよいと判断した、要求額は環境やデジタル化の対応が中心だった前年度より大幅増になる、国立大は大型機器を使う研究を含め電力消費量が大きい、物価上昇で負担増が年数十億円となっている大学もあり、国立大学協会が文科省に支援の緊急要望を出していたとの記事がありました。

 しかし、運営費全体の予算が横ばいですと、肝腎の研究に回せる予算が減少するということに必然的になります。これは、さっきから減らさないようにということですが、減っていますよね、大臣。実質減っているわけです。どうですか、ここは。

盛山国務大臣 できるだけ、先生が御指摘の問題意識は我々も共有しておりますので、補正ということで百九十億ぐらい、光熱費その他については五年度の補正でも手当てをしたところでもございますし、予算全体のシーリングという仕組みがあるものですから、私たちの力だけではなかなかうまくできないところはありますが、できるだけ大学その他の研究に影響が出ないようにということは我々も配慮しているつもりではございます。

吉田(統)分科員 大臣、ただ、ここはちょっと本当に科学技術の危機なので、ドラスチックな改革が必要だと思います。やはり私は、これは思い切って大学の運営費交付金を何倍にも引き上げる、そういった措置が要ると思います、特にトップクラスの大学に関してですよね。

 さっき、PhDのお話もちょっとしていただきましたね。ただ、テクニシャンを含む人員の大幅な増加を実現しなければいけないといつも申し上げますが、ちょっと医学の話で恐縮ですが、例えば、ある国立大学の第一内科、あるいは臓器別になると消化器内科とかに今なっていますね、主任教授以外にもやはり複数の教授が存在して、私立はそうなってきているんですけれども、その中に、例えば、MDではない、純粋なPhDの教授なども混在する。つまり、第一内科だけれども医者じゃない教授がいる形、お互いに補完し合ってすばらしい業績を上げる、これが理想ですし、実際、日本以外の医学のアカデミアというのはこういう形を取っているところは多いんですが、大臣、ここはどう思われますか。

盛山国務大臣 それは、別に諸外国を見習うだけではなく、日本の中でも、そういった問題意識を持って、それぞれの大学病院でということなのか、医学部でということかどうか分かりませんですけれども、変革をすべく取り組んでいるんじゃないかと思います。

 特に、今、医学の分野は、ほかの、工学ですとかいろいろな分野と関係が深いということで、場合によっては文理融合ということで、これまでではなかった分野との一緒になっての研究開発なんかもずっと進んでいる。東工大と医科歯科が統合するのも、一つの表れだろうとは思いますけれども。

 そういうようなことで、いわゆるメディカルドクターだけではなくPhDの方も含めてその分野の研究であり、そういったことに取り組んでいくということは、当然、それぞれの分野で御検討していかれればよろしいのではないかと思います。

吉田(統)分科員 大臣おっしゃったように、医工連携、非常に大事ですね。

 ただ、これも医工連携の潮流は世界ではもう十五年、二十年前に動いていたんですが、日本は、まあ民主党政権のときにちょっと頑張ってやった部分もあるんですけれども、やはりなぜか医薬連携の方が長く潮流として、まあ医薬連携も大事なんですよ、もちろん。ただ、医工連携、日本は本当に遅れたと思いますね。だから、今からだと本当に、各国の後塵を拝しているので大変ですが、頑張ってやっていただかないといけないと思います。

 次、行きます。

 大臣、運営費交付金の問題は大事なんですけれども、アカデミアの働き方には、いろいろ問題というか改革が必要だと思います。それはまず、労働法制上の無期転換ルールの問題。

 昨年の理化学研究所の非常勤研究員の問題の際にもクローズアップされましたが、二〇一三年四月一日に改正労働契約法として施行された法律に基づいて、有期雇用の期間が五年を超えた労働者は無期雇用への転換を求められるルールが定められ、長期間のプロジェクトも多い研究者は、特例で期間は十年超とされていました。

 昨年四月から施行され、理研では、九十七名の非常勤研究者が雇い止めになった。その中には何と研究リーダーまで含まれていて、その結果、チームが解散となり、失職するという人が増えるという事態になりました。

 記事によると、同様の問題を抱えたある大学では、半年から一年の休みを大学から打診されたとしています。大臣、六か月以上の空白があると、制度上、通算の契約期間はリセットされるというこういった制度、これは小手先の対応ですよね。本当にひどいと思いますよ。こういったことが続けば、有為の人材は本当に海外に流出しちゃいます。

 逆に、ひどい話だと、四年十一か月で解雇されてしまうなどという卑劣な事例もお聞きします。

 この無期転換ルールで起こっている諸問題に関して、大臣はどのようにお考えになられていますか。

盛山国務大臣 そういうような問題が報道されているというんですかね、あるということは承知もしておりますし、また、理化学研究所その他からも、それへの対応というのを説明も受けているところではございますけれども、無期転換ルールの適用を免れるために、今先生がおっしゃった四年十一か月ですか、こういうような雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨そのものに反することであって、これはもちろんあってはならないことであると思いますので、各研究所であり、今、いろんなところでの対応、我々も実態把握に努めますけれども、適切な対応をこれからも促していきたい、そんなふうに考えています。

吉田(統)分科員 この問題は、ただ、大臣、根底にあるのは、やはり運営費交付金や経常費補助金が削られて、研究者自ら獲得する競争的資金が増加し過ぎていることもあるんだと思います。これは私も、従前より指摘させていただいています。

 当然、潤沢な資金、例えば潤沢な運営費交付金が約束されているのであれば、優れた人材を終身雇用で雇うことは可能ですが、盛山大臣が運営費交付金を大幅に上げてくれない限り、それは現実的ではないわけであります。

 そうすると、この無期転換ルールの見直しや、リスキリングなども重要にやはりなってくるんだと思います。さらに、二、三年、そういった雇い止めをする場合、二、三年先には少なくともやはりそれを示す、そういったことも重要じゃないかと思います、そういったルールも。

 ただ、今のままだと、ポストも増やせませんし、研究者の給料も増やせないですね。逆に、大臣、終身雇用のポストを増やし過ぎると、研究開発に向かない人材だとか、海外との競争という意味ではちょっと駄目な人材を替えることも逆にできないという問題もあるんです。これは逆ですよね。これは研究室が硬直化している要因でもあるんです。やはりトップクラスの研究室になると、こういう悩みも逆に抱えてくるわけであります。繰り返しになりますが、さっき申し上げたパラドックスなんですね、ここは。研究現場は矛盾を抱えてしまっているんですよ。

 更に申し上げると、働き方改革もそうなんです。大臣、これは医師や研究者はやはり除外しないと、なかなか難しいと思いますよ。例えば医療の現場では、医師の働き方改革がもう始まりますよね、四月から。これによって、大学に勤務する医者がアルバイトをできなくなって、収入面での不安を抱えて、開業医になろうとする動きが今顕著です。一方で、地域の総合病院は、医局からの派遣が停止して、一層の人手不足になるということが指摘されています。

 さっきの、雇用はやはり大事であり、守らなきゃいけない側面と、逆に、やはり競争していく研究室というのは硬直化させてはならないという、この本当に相矛盾した状況を抱えている今の大学やアカデミアの状態に関して一言コメントいただきたいことと、さっき申し上げた、医師が開業をどんどんしていっちゃう、アカデミアの人材が枯渇していっている、この二点に関してコメントをお願いします。

盛山国務大臣 後半の方から言いますと、それは、それぞれのお医者さんの御意向というのもあろうかと思うんですが、もし、大学あるいは大学病院ですとか、研究室に残ってやりたいという人が、大学側の予算というのか制度というのか、そういった制約のために残れず開業にというのは残念なことではあります。

 ただ、これはある程度、長い伝統の話というんですか、大学の教授や何やらのポストがある程度限られているので、教授選で負けたら出ていくだとか、そういうことはある程度仕方がないんじゃないかなという気はいたします。

 他方、働き方改革の話は、これは、大変重い、深刻な課題だと思います。

 平成三十年の七月だったですかね、働き方改革法が成立しましたのは。それで、そのときに五年間の猶予をつけた。それがこの医師ということになるわけで、それがいよいよこの四月にやってくるということで、トラックなんかも含めて、盛んに今話題になっているということでございます。

 働き方改革という方向性自体に、それをさお差すということはできないと思うんですけれども、五年間の猶予ということでやってきたにもかかわらず、なかなかうまく現実が改善されなかった。それをどういうふうにしていくかということだと思うんですね。

 完全に適用除外をするというのが本当に望ましいのかどうか。やはり、それぞれの現場で、医師であり、医療関係者が足りないという声があるわけですから、あるいは現実にそういうのが背景にあるから、医療関係者の働き方がブラックな状況になっているということになっているので、そこの部分をどのように改善をしていくのかということをこれから関係者の方々とともに、我々も大学の医学部を所管しておりますので、我々も含めて検討していきたいと思います。

吉田(統)分科員 時間が来ていますので、最後、ちょっと簡潔に。

 ただ、大臣、ある、アメリカで医師免許を持った、アメリカですばらしい業績を上げた、ネイチャーとかサイエンスに載せていて、またイギリスでも医師として研究をして大活躍した、こういった方が名古屋大学の教授になってくれました。本当にこれは世界に誇る人材です。ただ、彼は、日本の教授は罰ゲームですとはっきり言いました。本当に、こういった状況になっていることを深刻に考えなきゃいけません。

 最後に一つだけ。

 日本の最大の問題の一つ、ブレーンサーキュレーションで人が呼べない理由は、NIHみたいに自前の予算を持っているところが自前の研究室を持てないからなんです。例えば、JSTやAMEDが自前の研究室をNIHみたいに持てて、そこに世界の、海外の人材を一本釣りしてこれるように、そうじゃないと、マッチングしないとなかなか、研究室は駄目なんですよ、簡潔に申し上げると。

 だから、JST、AMEDなどに自前の研究室を持たせて、給与もある程度自由に、五千万なら五千万、三千万なら三千万とやれて、世界の優秀な人材を引っ張れるようにしないと、多分、ブレーンサーキュレーションをやりたいというのは、僕は無理だと思いますよ。

 大臣、ここを最後に一言だけいただけますか。

盛山国務大臣 御意見として賜りますけれども、我々は、ファンディングのところと、それからファンドを出している先での研究機関、こういったところと連携してやっているつもりではございますが、それが不十分という御指摘があるのは重く受け止めていきたいと思います。

吉田(統)分科員 ありがとうございました。

井出主査 これにて吉田統彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 立憲民主党の白石洋一です。

 盛山大臣、よろしくお願いします。

 まず、一問目。昨年五月に要望させていただいた、大学共通テスト試験会場、愛媛県は県庁所在地松山にあるだけ。これは愛媛県みたいに広い居住面積のところは複数あるのが当然で、他県はそうなっています。それについて促してくださるという答弁でした。

 今の進展状況はいかがでしょうか。

盛山国務大臣 大学入学共通テストの試験会場につきましては、地域ごとに設置された各大学の実施責任者による連絡会議において協議を行い、教育委員会や校長会等の意向を踏まえつつ定めているところです。

 お尋ねの愛媛県の課題につきましては、大学入試センターを通じまして連絡会議の世話大学であります愛媛大学に確認しましたところ、今年度の入試日程が一段落するこの年度末以降、協議を進めていく旨の報告を受けております。

 今回の御指摘についても、改めまして担当部署から関係者にお伝えをいたします。地元の声を踏まえて充実した議論が行われるよう促してまいりたいと考えています。

白石分科員 是非促してください。これは、地域の問題でもあるし、やはり、そこに例えば移住してもらうときに、子供がいる、いずれ受験期を迎える、そういったときの一つの考える考慮要因、大事な要因なんですね。政府としても、是非、注視し、促しをお願いします。

 そして、次ですけれども、大学の面接入試、特に医学部において、社会人、そしてアンド、オアになりますけれども女性に対する差別がまだ行われているんじゃないか、そういう疑念を私は持っています、そういう話ももらっています。

 この面接差別が問題になって、文科省としても対応を打たれていますけれども、そのフォローとして、面接差別防止対策、どのようになっていますでしょうか。

盛山国務大臣 白石委員おっしゃるとおり、過去においてそのような事実がございまして、そして、それを踏まえまして、これまで文部科学省におきましては、医学部における不適切な入試の事案を受けて設置された有識者会議が取りまとめた最終報告を踏まえまして、令和二年度の入試以降、大学入試の共通ルールである大学入学者選抜実施要領において公正確保に関するルールを追加し、大学に対して毎年度通知するとともに、文部科学省が主催する大学の入試担当者を対象とした会議において有識者会議の最終報告の趣旨を説明するなど、大学入学者選抜の公正確保について周知徹底を図ってまいりました。

 御指摘の面接時における公正確保については、有識者会議の最終報告においても、実施方法や評価方法のマニュアル等を整備すること、評価、判定に用いるべきでない情報については、面接等の資料に記載しないことや、面接等の際に受験者に尋ねないことなどが指摘されるところであり、文部科学省としても、こうしたことを徹底していただくことが大学入学者選抜の公正性を確保する上で重要であると認識しております。

 我々が、今のところ、入試におきまして、あるいは面接におきまして差別的な取扱いがなされているとの具体的な事実は把握しておりませんけれども、我々は、引き続き、大学入学者選抜実施要領等の趣旨の周知徹底を図るとともに、不適切な入試の事案を把握した場合には適切に調査を行うなど、今後ともしっかり取り組んでまいります。

白石分科員 大臣がおっしゃった選抜実施要項、これを私も見させてもらいましたけれども、かなり抽象的で漠然としているところがあります。危ない、危険度が高いところというのは、面接入試なんですね。入試全体のものもあります、その中で特に面接入試です。

 お願いしたいのは、面接入試において試験官というのは複数人いるべきだということ、その中にできれば女性が入るということですね。これが一つ。

 もう一つは、NG質問というのを例示するということですね。私のところに訴えがあった人は、医学部というのは六年間だけれども、その間、結婚するのか、大丈夫かというふうに聞かれたということがあります。もちろん、これは大変な失礼な質問で、もしかしたら雑談の中で言ったのかもしれませんけれども、でも、それはまた情報として試験官の方に入るわけですね。

 そういったことも含めて、雑談も含めて、こんなことを聞いちゃいけないんだというNG質問というのをできるだけ網羅的に列挙し、それをこの要項、特に面接入試において特記事項ということで掲げていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 白石委員からの御指摘を踏まえさせていただいて、検討させていただきたいと思います。

白石分科員 よろしくお願いします。またフォローしますので、お願いします。

 次は、不登校児対策、特にフリースクールについてです。

 小学校、中学校で、原因が分からないんだけれども学校に行きたくなくなって、ずっと家にいるという子供たちが三十万人いるということです。そんな中で、何とか外へ出て、学びをしないかと、それをサポートするのがフリースクール。そのフリースクールにせっかく来てもらっているんですから、出席扱いにしてあげて、行く行く中学を卒業したという形になったら高校にも行ってほしい、これが願いだと思うんです。

 ところが、今、大臣、出席扱いにするかどうかというのは、生徒個々人について連携している学校長がそれを見て判断するということになっているんですね。非常に個別的で煩瑣になっているということです。

 でも、これだけフリースクールが普及して、社会的な重要性があるわけですから。関係者によると、フリースクールに来た子供たちの八割は学校に復帰しているというふうにも聞いております。

 ですから、フリースクールで、ちゃんとしているところについては、学校法人、私立の学校と認めるまではいかないにせよ、認定ということで、そこに行ってちゃんとやっていれば出席扱いに原則しますよというものをつくるべきだ、つくる時期に来ていると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 児童生徒の学校への出席等の判断を含む学校運営上の業務については、法令上、白石委員御案内のとおり、学校長の責任において行うこととされており、不登校児童生徒の学校外での学習に係る出席等の取扱いについても、在籍校の学校長がその学校の教育課程に照らして適切かどうかを判断するということになります。

 そして、不登校児童生徒の出席扱いの判断に当たっては文部科学省から一定の要件を示しており、特定の民間施設等に通っていることのみをもって学校における出席扱いとするのではなく、個々の児童生徒の学習の状況や、学校、地域の実態等を丁寧に把握した上で判断すべきものであると考えております。

 文部科学省としては、引き続き、出席扱いに関する制度の周知等を行いつつ、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に向けた取組を推進してまいるつもりです。

 そして、委員が御提案されたというんですかね、フリースクールの扱い、こういったものについては、フリースクールを経営されている方の御意向も踏まえながら、どういうふうな対応ができるのかを検討していくことになるのではないかと考えます。

白石分科員 フリースクールを始めようと思った創業者はいろいろな思いがあると思います、これは私立の学校とも同じものがあると思うんですけれども。

 認定とまではいかないにしても、例えば育児休業について積極的な企業について何か認定をしたりしていますよね。いろいろな、政府だったり県だったり市が、ここの企業はこういう企業ですということをお墨つき的なものを与えたりする。せめてそういうことを是非検討していただいて、やはりフリースクールも大事な子供の育ちを後押しする大事な機関だということを政府としても認めていくという時期に来ていると思います。

 文科省としてフリースクールというものを認めているのは、令和元年十月二十五日の不登校児童生徒への支援の在り方についての通知、これのみなんですね。ここで、民間施設との連携の在り方、ここに存在があるのみですけれども。もっとその地位を高めて、認定までいかないにしても、何らかの形で認めていく。ここで在籍した子供たちは何割が例えば進学しているとか、そういったKPIを立てて、それでこういうフリースクールですというものを認めていくべきだと思うんですけれども、大臣、積極的な答弁、お願いします。

盛山国務大臣 フリースクールというのも千差万別でございますので、やはりその内容次第ではないかと思います。

 今後、フリースクールを経営される方の御要望、そういったものを踏まえつつ、どこまでどういうふうにやっていただくのか、そういったことを検討した上で、どういう扱い、どういう位置づけをするのか、こういったことを検討していくということになるのではないかと考えております。

 いずれにせよ、白石委員からの御要望はしっかり受け止め、担当部局が今後検討していくことになろうかと思います。

白石分科員 お願いします。先ほど大臣おっしゃったように、いろいろなフリースクールがありますから、保護者としても迷うわけですね。そんな中で一つの考える鍵となりますし、是非お願いします。

 次は、フリースクールに通うことに対しての補助です。

 補助について、ここは憲法八十九条の私学助成についての規定がありますから、なかなかフリースクールそのものに国あるいは県、市が補助するのは難しい、これは理解します。

 であるならばということで、不登校児を抱える家庭に対しての支援、これが始まっています。二月、今月になって、東京都は月額二万円の補助をする、年間二十四万円。そして、もう一つは、東近江市では月額四万円の補助をするということが発表されました。このように、憲法八十九条の規定をクリアしながら、ちゃんとフリースクールに通う子供たちを支援するということは、これは全国的に行われるべきだと思うんです。

 その支援制度について、大臣、拡充についてお願いしたい。御所見はいかがでしょうか。

盛山国務大臣 不登校児童生徒への支援に当たっては、まずは公の機関であります教育委員会が主体となって学校内外の学習の場を整備することが重要と考えておりますが、子供の状況によっては、フリースクールなどの民間団体と連携しながら相談支援体制の強化等を図っていくことが必要であると思います。

 その上で、フリースクール等に子供を通わせる世帯への経済的負担については、現在、困窮家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究を実施しております。

 文部科学省としては、この調査研究等を通じて、経済的支援が不登校児童生徒の社会的自立に与える影響等の検証を進めてまいりますし、また、今委員からお話のありました東京都その他についての動きというのも我々承知しておりますので、そのような自治体の動きも含めて、検討を進めていきたいと思います。

白石分科員 大臣がおっしゃった、困窮世帯でフリースクールに通う家庭に対する調査研究費、この予算というのは年間幾らなんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度予算案として八百万円が計上されているところでございます。

白石分科員 大臣、八百万円なんですよ。本当に僅かなんですよ。

 でも、例えば東京都で月額二万円、年間二十四万円。掛ける三十万人だったら、七百二十億円ですね。ですから、七百二十億円とまでいかなくても、数百億円の予算が必要な分野だと思うんですけれども、今答弁があったように、八百幾ら、八百万円余りですよ。この規模で、これだけ社会的に問題になっていることに対して対応できないと思うんですよ。

 今、予算審議の一環ですけれども、もう出されていますけれども、もっともっと充実していく必要があるんじゃないでしょうか。大臣、お願いします。

盛山国務大臣 今局長が御答弁申し上げたのは、調査をするための調査費でございます。我々としては、その調査を踏まえた上で今後の検討を進めたいと思います。

白石分科員 調査を踏まえて、本格的に支援を始めるのがいつなのか、どれぐらいの規模なのか、大臣、見通し、お願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業は、始まって数年になるわけでございますが、現状、事例のサンプル数が非常に少なくて、経済的支援による社会的自立を示す客観的なデータが不足しております。よって、もう少し教育委員会のフリースクール等への理解が深まった上で、引き続き、補助事業も含めた、こうした関係機関との連携のための取組を支援していきたいと考えております。

白石分科員 把握をまだし切れていないということですけれども、ちょっと順番を変えて次の質問なんですけれども、文科省での不登校児対策の職員、対応している職員というのは何人ですか。

矢野政府参考人 現在、省内における不登校対策においての中心的な役割、これは児童生徒課という課が担当しておりますが、児童生徒課において不登校対策を主たる職務とする職員は五人となっております。

白石分科員 大臣、五人ですよ。三十万人の不登校児がいて、つまり、イメージ、一つのクラスに一人、二人は大体どの学校にもいる、不登校児、引きこもりの子がいるというときに、文科省でその対策を打っている職員というのは五人。少な過ぎると思いませんか。三十万人ということであれば、一万人当たり一人の職員で、やはり三十人は要る、一つの課を構成するぐらい必要だ。

 調査しているのは時間がかかります、当然ですよ、五人でやっているぐらいであれば。ここの充実というのを、大臣、どのように考えていらっしゃいますか。

盛山国務大臣 五人が少ないというふうに今御指摘を頂戴しましたが、私どもは必ずしもそうは思いません。いろいろな分野で、限られた役所の組織で、限られた人数でいろいろな懸案に対応しているわけでございまして、また、今、児童生徒課の主たる担当者は五人ということになりましたけれども、特定の課であります児童生徒課だけで対応しているものではなく、私も含め、局長も含め、広く教育に関係する者が連携をしながら検討を進めているわけでございます。部局を超えた検討チームを組織するなどの工夫を行っているところであり、引き続き不登校児童生徒への必要な支援をしっかり推進していくつもりです。

白石分科員 大臣、部局を超えた職員でということですけれども、じゃ、プロジェクトチームというのは考えていらっしゃいますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、部局を超えた検討チームを組織する、初等中等教育局を中心に、不登校について原因と考えられるような、そういった関係部局を全て束ねまして、初等中等教育局長の下にプロジェクトチームを現在編成しているところでございます。

 一つは、学校教育。学校が面白くない、宿題ができない、そういったような原因が一つ。もう一つは、いじめ等。そのほか、社会的な要因でございますね、家庭の貧困とか、そういった要因。あるいは、心理的、精神的、医学的要因。こういったものが考えられますので、そういった観点から担当部局を合わせまして、今、プロジェクトチームを編成しているところでございます。

白石分科員 そのプロジェクトチームの充実と、やはり大臣、文科省の職員が二千人ぐらいいらっしゃる中で五人というのはやはり少な過ぎると思います。これを上げるのは至難の業とも聞きますけれども、せいぜい十人、二十人体制にして、やはり配慮がより必要な子供たちですから、先ほど原因も言いましたけれども、原因が分からなくて引きこもりの子供はたくさんいるというふうに聞きます。ですから、寄り添っていく必要があって、それは文科省だけじゃなくて、日本全体、教育に関わる者で寄り添っていく必要があると思います。

 これは、三十万人の子供たちが、将来、社会的自立ができるかどうかというのは非常に重要です。ですので、その重要性に鑑みて、人員要求というのもお願いしたいと思います。

 そして、次ですけれども、放課後等デイサービスもフリースクールをやっていくという動きがあります。つまり、引きこもりになっている子供たち、不登校になっている子供たち、若干の障害をお持ちの子も多くて、そういった子が放課後等デイに行って、そこがフリースクール、学びも支援するということが起きているんですけれども。

 逆に言うと、フリースクールというのは本当に赤字運営でしかなくて、そんな中で、ある程度経営的に採算が取れるのが放課後等デイサービスなので、放課後等デイサービスである程度の経営的な安定を持ちながらフリースクールもやるというのが今実態だと思うんですけれども。

 そこで、お願いなんですけれども、放課後等デイサービスがフリースクールを始めている場合に、出席扱いにする条件とか手続、流れ、段取り的なところは余り周知されていないやに聞きます。もっともっと、文科省、地元でいえば教育委員会がそういったところに入っていって、フリースクール的なことをやっているのであれば出席扱いする、その場合はこういうふうにしてくださいと。もう少し入り込んで、放課後等デイサービスは元々は厚労省から来た、福祉から来ている。でも、その中に教育委員会ももっと入り込んで、連携を強めて、出席できる子をもっと増やしてほしいんですけれども、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 発達障害等の児童生徒をサポートする放課後等デイサービスがフリースクール等を運営するなど、学校の授業時間帯に不登校児童生徒を受け入れたりする場合においても、在籍校の学校長がその学校の教育課程に照らして適切かどうかを判断した上で、指導要領上の出席扱いとすることが可能となっております。

 自治体によっては、放課後等デイサービスを所管する福祉部局と学校を所管する教育委員会が連携して、不登校となった発達障害等の児童生徒に対して柔軟な対応を行っている場合もあると承知をしております。

 文部科学省としては、こども家庭庁とも連携をして、出席扱いに関する制度の周知や制度を活用した好事例の横展開を図りつつ、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に向けた取組、周知、こういったことを推進してまいります。

白石分科員 少し前向きな答弁だと思うんですけれども、先ほど申し上げた、令和元年十月二十五日の不登校児童生徒への支援の在り方についての通知、これは文科省が発出したもの。でも、これが福祉部局には余り伝わっていない。ですから、そこに、文科省としても、福祉部局で特に放課後等デイサービスをやっているところにちゃんと届くように、そして、問合せがあったらちゃんと受け止めができるように、具体的な通知、通達を出していただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申しましたとおり、実際に例えば北九州市等でしっかりと周知された事例もございますので、こういう好事例をしっかりと横展開してまいりたいと思います。

白石分科員 現場で好事例があったら、それを全国展開、横展開というか、全国でそれをやっていく。これは全国的な問題で、どこに不登校児が多い少ないじゃない、どこも多いわけですから、是非入り込んで、周知をお願いします。

 そして、次に、引きこもりの子を抱えている親としては、その子が外に出てくれるだけでも万々歳なわけですね。では、どうやったら外に出てくれるかというのが、一つのきっかけとなるのがeスポーツだったりするわけです。これは、分かりやすく言えばテレビゲーム的なものと私は捉えています。

 それを、みんなでやろうということで、引きこもりの子が外へ出て、なるべく会場費を安くやるというところが公民館なわけです。ところが、eスポーツで不登校児、引きこもりの子たちの集まりをやろうとすると、なかなかそれを、公民館の館長、それの背後に控える教育委員会が、うんと言ってくれない、こういう現実があるわけです。

 でも、やはり、引きこもり、不登校児が多い、これを何とかしないといけないという観点から、もっとこういう子供たち、集まりに対しても公民館使用を認めていくべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 昨年の三月に策定いたしましたCOCOLOプランにおいても、学びたいときに学べる環境を整備することを柱の一つとして掲げており、その中には公民館等の社会教育施設の活用なども盛り込んでおります。

 公民館では、例えば、不登校児童生徒の居場所として学習や運動等の活動が行われていたり、保護者の個別相談や交流の場として活用されているほか、教育支援センターにおいても今御指摘されたeスポーツを通じたコミュニケーション力の向上を図る取組など、各自治体の創意工夫により様々な活動や学習が行われているものと承知をしております。

 文部科学省としては、各自治体における好事例を横展開するとともに、教育支援センターにおいてオンラインの活動が可能となるようICT環境を整備するための補助を実施しております。

 これらを通じて、各自治体における不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に向けた取組を支援し、また周知を図っていきたいと考えています。

白石分科員 先ほど大臣がおっしゃったCOCOLOプラン、これは不登校対策ということで、こういう冊子になっていることを言及されて、その中で、不登校の児童生徒の学びの場として公民館を活用します、このことをおっしゃっていますけれども、これがまだまだ浸透していない。

 やはり、公民館、公民館長がいて、そして、その使用については一応協議会というのがあって、その地域の長老的な人がいて、そういう人はやはり不登校対策ということをしっかり理解してくれないと使わせてくれないんですね。許可してくれない。例えば、学校から近くて、その学校で授業が行われているときにeスポーツをするのはいかがなものか的なことを言われたりする。

 でも、引きこもりの子が外へ出てくるだけで万々歳なんだというのが、今の不登校の子供たちで、それを抱える家族の思いなんですよ。それを安くやるというのが公民館なんです。

 ここをもっと強く、この一文、一行だけじゃなくて、公民館を所管するところに分かるように、もっと乗り込んでお伝えいただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。最後の質問になります。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 社会教育施設をもっと活用するというのは大変重要なことだというふうに考えております。

 例えば、習志野市の教育センター、フレンドあいあいとか、あるいは大東市の事例というような好事例も出てきております。御指摘にあったとおり、社会教育施設の認識、結構区々なところがございまして、我々としては、繰り返しになりますが、こういう好事例を是非全国に紹介していきたいというふうに考えております。

 以上です。

白石分科員 お願いします。ありがとうございます。

井出主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、国光あやの君。

国光分科員 自民党の国光あやのでございます。今日は質問の機会をありがとうございます。

 まず、盛山大臣、連日大変お疲れさまでございます。今回は大臣への御質問は直接ございませんので、御退席いただければと思います。

井出主査 では、大臣、退席なさってください。

国光分科員 では、早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、実は、私の地元茨城県なんですけれども、県内ほぼ全ての方が知っている一大イベントがございます。これは何か御存じですか。

 先に答えをお伝えしますね。今日は県立高校の受験日です。今ちょうどこの時間は高校受験中です。多分、今は数学を解いているんですかね。

 ということなんですが、その上で御質問なんですけれども、実は、県議会で一番質問がよく出る話が、県立高校のお話がございます。何かというと、茨城の特に県南、私の地元つくば市や土浦市なんですけれども、非常に大きな問題になっているのが、人口が日本一増えている地域が実はつくば市などなんですけれども、その一方で、県立高校の定員が人口当たり非常に少ないという課題があります。

 実際に、分かりやすくフリップでまとめてみたんですけれども、映っておりますでしょうか。実は、県庁所在地が水戸です。一方で、つくば市と仮に比べてみますと、中学三年生の人口が水戸とつくばは大体二千人ぐらいで余り変わりません。ほとんど全ての方が今日受験されています。

 一方で、県立高校の定員は県内で非常に格差がありまして、実は、水戸は、昔から県都で、弘道館もあったり、まさに水戸藩もあります関係で、昔から県立高校が多いです。定員数が二千五百六十人ということで、中三人口で割っても一・二ぐらいになります。つまり、中学生一人当たり一校以上の学校を選べますという状況になっております。

 一方で、つくば市の方は、新しい市ということもあります。筑波研究学園都市が四十年前にできてから何とか県立高校を整備いただいて、実際、今は四つの学校があるんですけれども、定員数にして七百六十定員しかなくて、人口当たり、中学三年生当たりを比べると、何と一もない。しかも、〇・五もない〇・四です。ほとんどの子は県立高校に行けません。

 さらに、もう一つすごい課題があります。子供さんを持つ親なら誰でも分かるお話で痛切なんですけれども、なぜか、県内格差だけではなくて、つくば市、土浦市辺りにおける学校の難易度が、すごい難関校、偏差値で例えたら余りよくないのは分かっているんですけれども、分かりやすく申し上げると、偏差値七十超えの公立高校か、偏差値四十を切っていますねみたいな学校しかない。つまり、中間層、一番マジョリティーの、文科省さんが何よりも大切にされていらっしゃる多様な学びや生きる力を育むための真ん中の中間層が行ける学校がほとんどないという課題があります。

 この受皿になっているのは、私立は幾つかあるんですけれども、それでもなお足りず、結構遠くの千葉や東京に流出していたりとか、かなり交通費がかかってしまったりして大変だという課題があります。

 こちらにつきまして、まずお尋ねは、県議会でらちが明かないので国へ聞いていますという状況なんですけれども、国として課題は認識されていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 茨城県議会で再編統合問題について議論がなされているということは承知しております。

国光分科員 ありがとうございます。

 こちらをなぜ国にお尋ねするかというと、実は法律があるんですね。どんな法律かといいますと、こちらのフリップを御覧いただければと思いますが、小中学校は義務教育ですので、児童の数にして自然に学校数は決まりますよね。高等学校も実はあります。何かというと、国で、公立高校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律というのがあります。ここに明確に書いてあるんですね。第四条、公立の高等学校の適正な配置及び規模。都道府県は、区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないとあります。

 実際に他県の状況もこの法律に基づいて調べてみました。そうしたら、同じく人口が激増している地域で、例えば東京都、あるいは福岡県、非常に先進県です。東京都でしたら、都立高校の改革がかねてからずっと進んでおりますけれども、例えば、今、港区とか、まさに千代田区近辺で子供さんが増えている地域がございます。そこで、東京都は数年前から、白金の公務員の官舎を高校にするということで、都立新国際高校を白金に新設しております。

 また、福岡県はもっと進んでおります。福岡県は、福岡市が非常に人口が増えていて、すごいですね、中学校の卒業者が今後十年間で三千人も増えてしまう、そういう状況にあるわけですが、エリア内の、つまり福岡市の県立高校の入学定員もそれに併せて、もちろん私立にも配慮しながら、千五百人、だから、増える中三の人口に対して半分の定員の増をしっかり対応していただいているという状況があります。

 翻って、同じく人口が増えていて、何と日本で一番増えてしまったつくば市近辺はどうなんでしょうということでいうと、定員増はほとんどしていただいておりません。正確に言うと、私もかねてからずっと県にお願いをしたり、県議会でも相当この話はもめまして、やっと今年の春、今日受験している学校の中で、牛久栄進高校という、いわゆる中間層の方が、ちょっと難しい学校ではあるんですけれども、行きやすい学校の定員を四十人だけ増やしていただきました。

 でも、地元で痛切にみんなに言われます。国光さん、これはありがたいけれども、それだけじゃ全然足りない。うちの子は遠くまで、東京まで通わざるを得なかったり、あるいは高いバス代を払って毎日毎日遠くの学校に行かなきゃいけなかったり、もう少し近くに、つくば市や土浦にいわゆる学力の中間層が行きやすい学校を造ってほしい。本当は新設してほしいんだが、新設はお金がかかってしまうのは分かっている。だったら、既存校の定員拡大を他県の福岡県や東京都などのように何でもっと早くできなかったのかという切実なお尋ねをいただきます。

 実際、こうして国の法律もあるわけですよね。是非、文科省から、県にお任せ、都道府県の自治ですからではなくて、地方交付税交付金も国が出していますよね、様々な補助金も出していますよね。であれば、せめて県に、丁寧に地元の状況を聞いて前向きに検討することはできないのかということの声かけぐらいはしていただきたいと思いますが、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 公立高等学校の配置及び定員の設定等につきましては、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律等に基づき、設置者である地方公共団体が、地域の実情や生徒のニーズ等を踏まえて適切に判断するものと考えております。

 茨城県においても高等学校の改革に向けた再編整備計画である県立高等学校改革プランを策定していると承知しておりますけれども、今後の県内地域ごとの中学校等卒業生数の増減等の見込み等も踏まえ、生徒や保護者、地域の方々に対し丁寧に説明しつつ、高等学校の在り方について引き続き適切に御検討いただきたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 その御答弁は想定の範囲内なんですけれども、お願いしたいのは、国が法律を作っていますよね、お金も出していますよね。ですので、文科省さんから、一言目、二言目には地方自治とか学校の自治とおっしゃいますけれども、でも、実際に、皆さんが何よりも大事にされる多様な学びが損なわれて、今、具体的に申し上げると、いわゆる行きたいと思える学校は偏差値七十ぐらいの学校になってしまいます。そうなると、そこに合格したいので、死ぬほどみんな塾に通います。東京かと思うぐらいの物すごい受験過熱が沸騰していて、つくばで子育てするにはめちゃくちゃお金がかかります。みんな言います。経済格差が教育格差になっていると。経済格差が教育格差になっちゃいけないというのが皆さんの金科玉条じゃないですか。

 是非前向きに県に働きかけをお願いしたいと思いますが、いかがですか。

矢野政府参考人 御答弁申し上げたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、公立高等学校の再編整備計画は、各地域における生徒の教育条件の改善という観点、これは非常に重要だと思います。生徒、保護者、地元の市町村を始めとする地域社会の関係機関との丁寧な意見交換等を経ながら進められていくことが大切だというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 お答えが若干すれ違っているので、もう一度お尋ねします。

 もちろん、定員を増やす、増やさないとか、県立高校をどうするかという権限が県にあるのはよく分かっています。でも、国も法律を作って金を出している以上は、もうちょっと働きかけをしていただけないですかというお尋ねなんです。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、県の判断が法律に明確に違反しているというような場合は、地方教育行政法等に基づく指導ということになりますけれども、あくまでも、今回の高校の設置、どの程度が教育の機会均等に資するのか、高等学校の教育の普及に資するかという点についての、裁量と申しますか、判断は都道府県にございますので、文部科学省としては、明確な法律違反がない限り、そこには踏み込まないというのがスタンスでございます。

国光分科員 権限に踏み込まないのはよく分かっているんです。

 ただ、例えば、国会でも聞かれたよ、状況はどうなっているんですかということのアスク、質問ぐらいはできませんか。

矢野政府参考人 繰り返しになりますが、文部科学省から問い合わせるということだけでも受け手の都道府県にとっては一種の圧になりますので、そこのところは慎重にしたいと思いますが、こういうやり取りがあったということぐらいはお伝えすることは可能かと思います。

国光分科員 ありがとうございます。そうおっしゃるだろうと思って今聞いているんですね。

 ちなみに、さっき担当の下の方に伺ったら、私も非常に驚愕したというか、非常に悲しかったんですけれども、今日は心を込めて質問を、みんなに聞いてくれと地元の県議会議員の方とか、らちが明かないから聞いてくれ、国光さん頼むよとずっと言われていて、やっと今日の番が来たと思って質問を用意して聞いたわけです。そうしたら、担当の方も、茨城県に状況は聞いてくださいましたかと言ったら、まだ聞いていなかったという状況。ちょっと驚愕しました。

 例えば、ほかの政策、もちろん、都道府県が権限を持っている例えば医療政策、私は元々医療が専門なのでよく分かるんですけれども、医療法とか医師法も都道府県の権限になっているものは非常に多いですが、状況はどうなのかとか、こういう議論があっているけれども、医師不足でこの病院は大変だから何とか工夫できないかとか、県に聞くぐらいはほかの省庁はやっていますよ。何で文科省だけできないんですか。お答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 繰り返しになり恐縮でございますけれども、茨城県においても、高等学校の改革に向けた再編整備計画である県立高等学校改革プランを策定して、その中でいろいろと真摯な御議論も行われていると理解しております。

 何かよほど違法あるいは不当な御判断がなされているというような場合はともかくとして、県の御判断によってこうなっている以上は、我々としてはそれを尊重したいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 でも、それだと、実際に不当かどうかの判断は非常に難しいんだと思いますが、実際に県議会でもあれだけ質問が出たり、実際に非常に教育格差になりつつあるという事実はございます。これはもう少し文科省には前向きに対応いただきたい。

 実際、そう言われると思って調べましたら、東京都や福岡県は、文科省さんと結構密にずっと連携を取りながら、二十年ぐらい前から、都立高校が冬の時代のときもそうでした。また、福岡県も、人口増を見越して、九州内から優秀な子が集まってきます、そういうときにどうするかというのを、前の前の局長さんにもお尋ねしたら、結構密に連絡を取っていたと言うんです。何で今それが茨城県だとできないんでしょうか。茨城県は嫌いですか。

矢野政府参考人 もちろん、茨城県が嫌いというわけではなくて、茨城県から御相談をいただいたら喜んで我々も御相談に応じたいと考えております。

国光分科員 是非茨城県からも相談をさせたいと思いますけれども、余り言うとあれなんですけれども、茨城県が何で余り相談をしないのかというと、一つは、県庁所在地は水戸なんです。つくばを始め茨城の県南は新参者で、県庁にとって、自分の地元の水戸であれば結構熱心に議論される風潮があるんですが、ほかの施策もそうなんです。茨城の県南、つくば辺りにはちょっと冷たいよねというのがほかの施策も結構見受けられます。

 でも、県民税はちゃんと払っていますし、消費税だって払って地方消費税でちゃんとバックもしていますよね。県内で何となく、県庁所在地が大事とか新参者は嫌いとか、ほかの県もそういうところはありますけれども、これほど人口が増えていると、もう少し、教育の機会均等、文科省さんのモットーですよね、是非、働きかけとは申しませんけれども、状況としてこういうやり取りがあった、これを踏まえて合理化計画に適切に反映していただきたい。

 具体的に言うと、先にお願いを言いますが、定員増もできる余地がある学校がまだあるんです。例えば、国会の場でバイネームで恐縮ですが、竹園高校、つくばのど真ん中にある学校です。そこも、学校の関係者に聞くと、校舎を増やせる余地はあると思うし、つくばの子供たちがこんなに困っているので、自分たちとしては、是非、県に判断さえいただけたらやりたい、もうちょっとクラスを増やしてあげたいとおっしゃっているんですね。

 そういう定員増であったり、あるいは、県がもうやっていますとよくおっしゃるのは、つくば市内も定員割れしている少し僻地にあるような学校があるんですけれども、そこの充実をもうやっていますと言うんですけれども、ちょっと遅過ぎるんですね。やっと今年から、例えば進学コースをつくってみましたとか、二年前から理工系の科学技術コースみたいなものをつくってみましたとおっしゃるんですけれども、人口がこんなに日本一爆発的に増えるのは、とうの昔、二十年ぐらい前から予想されて分かっていたことで、やはりちょっと遅過ぎるんじゃないか、これは下手をすると不作為になるんじゃないですかと思いますけれども、もう一回いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 県における議論におきましても今の人口増の話は議論になったようでありまして、県において適切に御判断いただきたいと思います。

国光分科員 局長、最後にお伺いします。今日のこのやり取りを県にしっかり伝えていただけますね。

矢野政府参考人 しっかり伝えたいと思います。

国光分科員 ありがとうございます。

 そのときに、参考に福岡県や東京都、特に福岡県ですね、茨城県はほかの県と比べられるのは余り好きじゃないので、福岡県ではできているぞということをしっかり情報提供として提供いただくことも是非お願いを申し上げたいと思います。福岡県の教育委員会も、茨城県から問合せがあったら前向きに回答しますというふうに既に言質も取っておりますので、よろしくお願いできればと思います。

 そして、もう一つ、地域の高校の話で恐縮なんですけれども、切実なので、済みません、委員長にお許しをいただいて行かせていただきたいんですけれども、高校問題の関係で、高校は県立だけではないんです。もちろん私立もあったりしますが、実は、筑波大学がありまして、現在、こちらのフリップのとおり、余りの高校不足と、そして、筑波大学も、筑波大附属高校というと、皆さんが想起されるのは、東京の筑波大附属高校、それから筑波大附属駒場高校、御出身者の方もたくさんいらっしゃるかもしれませんけれども、ばかりが出てきますけれども、筑波大学附属なんですよ、筑波大学附属。文科省さんが今大事にされている高大連携というのがありますよね、高大連携。筑波大学の悩みは、筑波大附属高校はたくさんあって、たくさん優秀な皆さんのような官僚も輩出したりしているのに、全然筑波大に来ないということが残念ながら非常に悲しい悩みです。

 その中で、筑波大学においては、この報道に出ているとおり、筑波大附属の坂戸高校、これは埼玉県の坂戸市に実はあります。総合学科で様々な、多様な学びを促進されている学校であります。私もお伺いしましたけれども、本当にすばらしい学校だと思います。こちらを、より高大連携に資するように、教育実習も更にやりやすくなるように、つくば市に移転を検討と報道に出ております。

 実際に中で今検討されている状況でありますけれども、この状況について、まず、文科省さん、この状況を知っておられたか、受け止めについてお伺いしたいと思います。

笠原政府参考人 先生御指摘の筑波大学附属高校のつくば市への移転検討につきましては、筑波大学において附属学校の将来構想検討の一環として、つくば市への移転なども可能性の一つとして検討しているということは承知してございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 これはつくば市二十三万五千人の期待を背負って今質問させていただいているつもりなんですけれども、つくばにとっても本当にウェルカム最大値。是非早めに移転を進めていただきたいということが地元のほぼ総意であります。

 先ほど申し上げたように、県立高校が非常に苦労している。かつ、高大接続が非常に悪くて、実は、つくば市という市は、いらっしゃると分かるんですが、小中学校は、ICT教育、盛山大臣を始め歴代の大臣が新任になられたら必ず、つくば市のみどりの義務教育学校というところにいらっしゃって、すごいICTのきらきら学校で、公立校なのにすごいみたいな学校なんですね。小中まではそれでいいんですよ、義務教育。ただ、高校が余りにもプアなものだから、外に出て帰ってきません。つまり、せっかく研究学園都市を、文科省さんの皆さんの大先輩によって昭和四十年代に決まって東京から移転してできたのに、高校になったら中抜けして、筑波大学を始め、つくばの地に余り頭脳が残らないというのが大きな課題です。

 その中で、筑波大附属高校が実際につくば市にできたら、坂戸は移転しますけれども、間違っても筑附や筑駒は移転しないので、そこはOBの皆さんは安心していただきたいと思いますが、つくば市に来ていただいたら、科学技術力や、さらには研究開発、研究力が国益に資することも大きく考えられると思います。この点の受け止めはいかがですか。

笠原政府参考人 今のところ、筑波大学において具体的な検討をしている段階とお聞きしておりますので、その内容等をお聞きして我々としてもどうするかということになろうかと思っておりますので、なかなか明確にお答えをしづらいところでございます。申し訳ございません。

国光分科員 ありがとうございます。難しいところをあえて前向きに御答弁いただきまして、大変ありがとうございます。

 一方、どうやったら早くできるかというと、実は、新しく校舎を移転して実際に新設しようという方向になっていて、校舎の新設費用をいかに捻出するかということが一つの律速段階であり、逆に、それがめどがついたらできる。言ってみれば、ボトルネックになっているわけですね。

 ちょっと調べましたら、国立大学の附属高校を、小中高とかを設立するときに、いわゆる建築費などは設備補助金があって、そこから、大学が文科省さんに要望いただいて、それで文科省の中で審議会等で議論していただいたらば、全額十割、三分の一とかじゃなくて十割、建築費等が支援対象になるというふうにお伺いしていますけれども、状況はいかがでしょうか。

笠原政府参考人 国立大学法人の施設整備の仕組みにつきましては、一般の施設につきましては定額の補助になってございます。ですので、全額といいますか、大学の適正な予算で要求していただいたものに対して、その中を審査していただいて、定額補助をするという仕組みになってございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 定額とはお幾らぐらいになるんでしょうか。

笠原政府参考人 恐縮ですが、建物の規模ですとか内容によって違いますので、一概に幾らと申し上げることは困難です。

 上限は、規模が大きくなれば、非常に大きな規模の大学も当然ございますので、上限も特にございません。

国光分科員 ありがとうございます。

 学校を新設するときに、土地は筑波大がお持ちの土地を利用される御予定でいらっしゃるので、上物は平均的に小中学校ですと大体、規模感によって十から二十億ぐらいと承っております。大体それくらいの費用であれば検討の俎上にはのせていただけるという理解でよろしいですか。

笠原政府参考人 先ほどの答弁とダブる部分がございますけれども、規模とかによって予算が変わってきますので、まず、規模の設定が適正なのか、建物を造る単価が適正なのかということをそれぞれ判断させていただく必要があろうというふうに思っております。

国光分科員 ありがとうございます。

 是非、アフォーダブルな範囲、許容できる範囲でしっかり筑波大の方も検討いただいて、これほど高校問題は非常に切実ですので、可及的速やかに進めていただきたいと思っております。文科省さんの方も、筑波大から御相談や正式に申請が、恐らくそのうち、数年以内には来るかと思いますので、是非その辺りは前向きに御対応いただけるように心からお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 最後に、奨学金のお話をお伺いしたいと思います。

 実は、二月の上旬に予算委員会で盛山大臣に奨学金のお話をお尋ねさせていただいております。そのフォローアップも兼ねてお伺いしたいんですけれども、お尋ねさせていただきたいのは、まず、奨学金は今回いろいろ拡充していただいていて、もちろんいろいろおっしゃる方もいますが、総論的には、拡充していること自体はありがとうというふうにおっしゃる方は非常に多いです。

 ただ、問題は、それが分かりにくくて、今、フリップの資料も、貸与型とか給付型とか、いわゆる返還型、出世払い型と言われていた奨学金など、それぞれ動きがある、前向きに拡大していく予定なんですけれども、二月になっても全体を一覧できるような資料がなかったり、どこのホームページを調べても情報が細切れで非常に分かりにくい。分かりにくいから、奨学金を欲しいとは思っているんだけれども、申請が面倒くさいからいいやとなったり。

 あと、私の地元の大学や高校にほぼ全て聞いてみました。奨学金が拡充されるんです、高校三年生の受験生が大学に受かったりしたらば、奨学金の拡充メニューを知っていますかと聞いたら、そうしたら、半分弱ぐらいの学校は知らなかったと言うんです。何となく奨学金が増えるらしいというのは知っているけれども、例えば、多子世帯で理工系の学部だったりすると拡充されますよね。間もなく修士からは、出世払い型、返還型の、後払い制度とも言いますけれども、奨学金が増えますよね。そういう情報を余り知らない。

 大学も肝腎ですけれども、大学も、どことは申し上げられませんが、筑波大を始め幾つかある大学に伺ったら、三分の一くらいの大学が知りませんでしたと言うんです。

 文科省さんは周知されているとおっしゃっていましたけれども、伝わっていますか。これは是非受け止めをお願いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先日の予算委員会で盛山大臣からも御答弁申し上げたとおり、高等教育の負担軽減策について、必要な方々に支援を届け、御活用いただくために、積極的な情報発信が非常に重要だと思っております。

 私どももかなり力を入れているつもりですけれども、今先生が御指摘のようにまだまだ十分ではない。それは恐らく制度が、かなり昔からある貸与型に加えて、給付型の新制度ができたり、それから、令和六年度からは後払い制度ができたり、やや複雑になっていることもありますので、しっかりと周知していきたいと思います。

 文科省としては、まずは学校における周知が重要だと思っておりまして、大学や都道府県の教育委員会や高等学校等にしっかりと御協力をいただきながら周知をしているのと、それから、高校への進路が決まる前の子供たちにもきちんとお伝えする必要があると思っておりまして、今、十四道県の公立中学校などに対しても奨学金の情報を提供したりしております。

 これらに加えて、様々なメディアとかテレビ番組、あるいは日本学生支援機構や文部科学省のホームページなどを通じて努力しております。

 一方で、先生からまだまだ不十分だという御指摘もありましたので、一層しっかりと取り組んでまいります。

国光分科員 是非、学生さんや親御さんなどの当事者を含めて広報をお願いしたいと思います。

 済みません、最後、質問が時間切れになりました。私が注目しているのは、井出委員長も熱心に取り組んでおられた後払い制度、こちらは、今、修士から始まることになっていますけれども、よくよく聞くと、これはいいねという方は非常に多いです。是非、学部への拡大も、検討中でいらっしゃいますけれども、可及的速やかに検討いただけるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。

 次に、柳本顕君。

柳本分科員 自由民主党、大阪の柳本顕でございます。

 第四分科会、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昨日、厚生労働省は、二〇二三年の国内出生数が過去最少の七十五万八千六百三十一人だったと発表いたしました。過去最少の更新は八年連続でありまして、日本における少子化は想定を上回るスピードで進んでいるという認識を持たねばなりません。

 今通常国会でも少子化対策は一つの大きな論点となっていますが、中でも教育の負担軽減策は極めて重要な項目であるというふうに考えています。

 その一方で、最近、無償化という言葉が独り歩きする傾向にあることに対して注意をしなければならないと思っています。何が無償なのか、そして、何をもって無償化と言っているのか。そして、言うまでもなく、教育の現場において安かろう悪かろうなどということはあってはなりません。

 教育の負担軽減策として、いわゆる教育の無償化が進むことには大賛成です。しかしながら、併せて教育環境を充実させ、教育の質を確保し向上させていくという責務を特に公という立場は持っている、そういう視点に立って、以下、質問を進めさせていただきます。

 まず、いわゆる高校の無償化についてお聞きをいたします。

 資料を配付させていただいておりますが、大阪府においては、この度、所得制限を撤廃して、公立高校、私立高校全てにおいて授業料を無償化するという案を示しました。大阪府の負担額も大きく増加することが想定される中、思い切った施策に踏み出したと感じています。まずは、この施策、すばらしいことだと思います。

 しかし、大阪府の授業料の無償化については、従前から上限額を定めて、その額を超える部分については私立学校側に負担させるという、いわゆるキャップ制を取っているという問題があります。

 そこで、まず、私立高校の授業料というものは誰が決めるのか、教えていただけますでしょうか。

寺門政府参考人 お答えいたします。

 私立高等学校の授業料につきましては、その設置者である学校法人が設定をするものでございます。

柳本分科員 学校が自主的に決めるわけですね。

 では、その授業料について、各私学が協議して、幾つかの私学が協議して、一定地域において一律の額に設定することは、例えばそういうことがあったとすれば、こういう事象は独占禁止法上問題はないのでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案につきましては、それぞれの判断が必要になりますので、お答えは差し控えたいと思うんですけれども、一般論として申し上げれば、各私立学校が共同して授業料を一律の額に設定するということは、独占禁止法上問題となり得る可能性がございます。

柳本分科員 改めて、資料一枚目を御確認いただきたいと思います。

 これまでからも国の方が負担をする教育の無償化というものが提示されておりまして、この部分を赤で、そして大阪府について、大阪府独自で行っている無償化についての負担の部分を黄色で、そして保護者負担を緑で、そして学校負担については青で記させていただいております。

 こういったことを見た上で、大阪府における高校授業料無償化は、各私立学校が無償化に参画するかどうかを選択することができるというふうにされているわけです。しかしながら、参画しないとするならば、府負担の部分、すなわち黄色の部分が保護者の方々に負担していただくことになりますよと。緑になるわけですね。となると、当該私立学校は生徒に選択され難いという状況に陥ることになります。

 保護者負担を軽減するという観点から無償化に参画しますということを私学が考えた場合は、授業料がキャップ制の、今回示された案で六十三万円を下回っていれば授業料についての学校側の負担はないんですけれども、六十三万円を上回っている部分について、超える部分については、保護者に負担を求めることは許されず、学校側が負担しなければならないということになるわけです。これが大阪方式の学校の無償化であります。

 キャップ制と言われる部分がそこにあるわけですが、現状、大阪府内に所在する私立高校の多くは、六十万円から六十三万円にアップされたということもありまして、授業料は六十三万円を切る状況におおむねあります。よって、今回の制度改正によって学校の負担が増加するという私立学校が多いわけではありません。

 しかしながら、私立学校の経営状況は全般的に必ずしもいいわけではなく、良質な特色ある教育環境を整えていく上では、授業料に跳ね返る一定の費用が負担となるわけでありまして、キャップ制上限を超える部分を学校側が負担するということになれば、おのずと上限までの授業料に抑えようとするベクトルが働くわけですよね。そういう傾向になるというふうに思います。初年度はそうでなかったとしても、そういうことを継続していけば、おのずと学校側の負担を抑えようとするような傾向になるというふうに想像されます。

 一方で、キャップ制上限以下の授業料を設定する私立学校については、上限額まで、今回のケースでいうと六十三万円まで授業料を増やしたとしても、その部分は学校側負担は必要ありません。府側が負担していただけるということになりますので、上限額に寄せていこうという動きが出てこないとも限らないわけですよ。

 そうなると、すなわち、キャップ制を取るということは、私立学校の基準額を定めるということにほかならないということになるわけです。

 大阪府におけるキャップ制については、これは結果的に、結果的に価格統制となり、私学の建学の精神、あるいは教育の自由度を損ねる可能性があると考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

盛山国務大臣 まず、私の理解が十分かどうか分かりませんが、柳本先生がお示しされた資料で、学校側の授業料が仮に六十五万円ですとか七十万円で、この大阪府の制度に参加をされないという場合においては、ここで黄色で書いてある府の負担も全て府は負担しないということになりますので、保護者の負担がその部分も増えるということではないかと思いますので、そういう点で、今回のそのプランは、大阪府の御提案は、私学の高校の年間授業料を六十三万円までに抑えようというベクトルが大変強く働くものではないかというふうに思います。

 それで、こういうような制度というのは、大阪府が独自で行うものであり、大阪府知事の責任の下で制度設計が行われているものであります。そして、その上で、本制度に参加するか否かは各学校法人の判断に委ねられているものと認識しておりますが、先ほど来柳本先生がおっしゃっているとおり、そのようなベクトル、方向が働いていくということは、十分に考えられると思います。

 私といたしましては、昨年十月に大阪府知事と面会した際、関係者と丁寧な意見交換を行い、合意形成を図ることをお願いしたいとお伝えをいたしました。教育機会の確保や教育水準の維持向上といった観点から、丁寧な制度設計が行われることが重要であると我々は考えているところです。

柳本分科員 ありがとうございます。

 冒頭、御認識を御説明いただきましたが、まさにそのとおりでございまして、大阪府民、大阪府内に住む高校生を対象とするものではありますけれども、大阪府内の高校生は必ずしも大阪府内の高校に通うとは限らず、兵庫県の高校に通ったり、奈良県にも通ったりするわけでありまして、そういった府域外にも影響を及ぼす可能性があるわけなんです。

 大阪府域外の学校についても、この大阪府の無償化に参画するかどうかということが注目されてきたわけでありますが、基本的には、大臣御出身の灘高も含めて参画されないという現状でございます。大阪府から通う生徒のみを対象とすることで、例えば灘高でそういうふうな無償化、大阪府の施策に参画しますよとなると、兵庫県民の灘高在校生は無償化の対象にならないとか、そういう不具合も生じてくるということが懸念されるというのが一つ課題としてありますし、学校負担が生じることによって施設更新などが遅れて、大阪府内の子供たちの無償化に対応するとしても、それが結果として全生徒に対する教育環境の悪化にもつながりかねないという意見があるというふうに確認をさせていただいております。

 資料二枚目になりますけれども、こちらの方は、東京都が私立高校授業料の無償化ということで出してきた案なんです。

 この案によりますと、四十八・八万円ですか、一定の水準というか、それを定めていることは大阪府とは変わらないんですけれども、こちらは学校負担を求めるような形にはなっていません。一定額以上は保護者が負担するという形なんです。この方式であれば、価格統制作用は働きません。ただ、これも無償化なんです。

 そして、大阪の場合でも、そうしたら、私学、学校に通わせる御家庭において保護者負担は全くゼロかというと、授業料という意味においてはゼロかもしれませんけれども、例えば入学金であるとか旅行の積立金など、関係費負担はあるわけです。これを考えると、何か授業料だけに特化した形で保護者負担はありませんよと言うことも、ある意味においてちょっとナンセンスなのかなというふうに感じなくもありません。

 今は、まだ大阪府だけの大阪方式なので、課題がさほど顕在化しておりませんけれども、この高校無償化の手法として大阪方式が、例えば奈良県であるとか兵庫県であるとか、同じような形が広がるようであれば、まさに実質的な価格統制につながるということを指摘しておきたいと思います。文科省としても、しっかり動向を注視して、学校側あるいは各自治体側の判断に委ねられるものであるとしても、全体的に価格統制につながるような状況があり得るとすれば、場合によってはしっかりと改善を求めるようにもお願いをしておきたいというふうに思います。

 実は、大阪での高校の無償化については、更なる別の課題も引き起こしているんです。それは何かといいますと、公立高校の衰退です。

 大阪では、以前では、公立の方がどちらかというと人気があったんですね。倍率が高く、入りにくかった。私学は、まさに建学の精神に基づき、特色ある学校として選択をされてきたように思います。これはちょっと主観も入っておりますが、そういうふうに思います。

 ところが、大阪府で高校無償化が始まってから、私学シフトの傾向が出てきているように感じます。それ自体が駄目だということではないです。私学も選択され得るというのは、選択できるというのは、それは非常にいいことなんですけれども、結果として、今回の無償化案が示される状況にあって、大阪府内の公立高校の志願倍率が低下しております。全日制普通科で、昨年一・一六倍だったのが、今年は一・〇四倍なんですね。

 これは、もちろん無償化だけが原因ではないというふうに思いますし、少子化とか様々な課題があるというふうに思うんですけれども、定員割れするような公立高校で教育の質が低下しないか懸念がされます。また、地元大阪では、高校の無償化は公立高校の統廃合を進める呼び水になっているのではないかという声すら聞かれるわけです。

 しかし、公立の高校というものには、やはり公立としての、公としての意義、役割があるというふうに思っていまして、それが損なわれるようなことはあってはならないと思いますし、堅持されるべきだというふうに思うんです。

 そこで、高校における公立高校の在り方をどのように考えているのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

盛山国務大臣 公立の高等学校については、例えば、多様な背景を有する生徒に対して手厚い支援を提供する学校、あるいは地域産業の担い手を育成する専門高校などを含め、地域のニーズや生徒の学習ニーズに対応した多様な教育の提供を通じて域内における高等学校教育の普及と機会均等を図る上で重要な役割を果たしていると考えております。

 その上で、国公私立にかかわらず、各高等学校においては、多様な学習ニーズに対応した特色、魅力ある教育を行い、生徒に選ばれる学校となっていくことが重要でございます。

 その観点から、文部科学省においては、各高等学校における入口から出口までの教育活動の指針の策定を義務づけるとともに、普通教育を主とする学科についても特色、魅力ある学科の設置を可能とする普通科改革や、理数系教育や国際的な教育、産業界との連携、協働の強化など、各高等学校における特色ある教育活動の展開に向けた支援などを実施しているところであり、引き続き、高等学校の特色化、魅力化に取り組んでまいりたいと考えています。

柳本分科員 高校教育において、市場経済に委ねるような形で、民間で私学があるんだから、もう私学でほとんど補完できるじゃないか、だから公立高校は別に要らないんじゃないかというような考えすらあるように感じるんですね。

 ところが、やはり、今大臣御答弁いただきましたように、公立の高校にはしっかりとしたまた意義があるわけでございますので、これをしっかりと堅持していただきながら、公立高校という一つの選択肢、しっかり守っていただくようにお願いをしたいと思います。

 大臣に通告はこれ以上ありませんので、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。

井出主査 盛山大臣、どうぞ御退席ください。

柳本分科員 せんだっての予算委員会の議論の中で、無償化によって教育の質が向上するという意見が野党議員からございました。これに対して盛山大臣も、無償化と教育の質との間には因果関係は見られないという答弁をされていたと記憶しております。私自身もそのとおりだと思っています。

 よって、無償化とか教育の負担軽減とはパラレルに、並行した形で、教育の質向上に向けての取組が必要です。とりわけ、今、全ての業種において人材不足と言われる中、教育の現場においてもしっかりと人材を確保し、その上で、教育の質向上のためにも教員の質向上が求められます。

 文科省として、教員の質向上に向けてどのような対策を講じているのでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますとおり、教師は子供の教育を直接担う公教育の要でございまして、教育の質というのは教師の質によるところが大きいというふうに考えてございます。

 文部科学省としましては、望ましい教師の姿として、社会や環境の変化にも、前向きに受け止めて、生涯学び続ける姿を持ち、子供一人一人の学びを最大限に引き出す役割を果たす、あるいは、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての役割も求められているものと考えてございます。

 こうした教師あるいは教師全体としての教職員集団を実現するために、教師の養成、採用、研修の一体的な改革が必要だと考えてございまして、養成段階においては、大学と教育委員会が連携、協働した質の高い教師養成の取組による教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化、そして、採用の段階では、心理や福祉などの強みや専門性を身につける科目の履修の両立を可能とする教職課程の創設などによりまして、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成、そして、研修の部分におきましては、主体的あるいは積極的な学びを続ける教師の姿の実現という観点からの研修の充実ということを図っているところでございます。

 引き続き、養成、採用、研修の一体的な改革によりまして、教師の資質の確保、向上のために進めてまいりたいと思っております。

柳本分科員 是非ともお願いをいたします。

 そして、質向上を図るとともに、今、学校における、これは高校と限らず小中も含めてでありますけれども、教員の方々の負担が非常に大きいんですね。教育にもっと集中をしたいんだけれども、後ほど議論させていただきます不登校問題であるとか学校事務に追われるような状況があって、なかなか対応できないというような話も聞きます。また、産休や育休があって、それに対して、人材不足であるがゆえに、一人当たりの教員に対する負担が過度に増えているというような話も聞くわけであります。

 併せ持って、現下の賃上げの状況を鑑みたときに、教員という、教育の現場の職種ではありますけれども、そこでも、やはり賃上げも含めて、やりがい、生きがいを感じられるような状況を構築していけるように取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。

 その上で、無償化については、授業料以外についても、保護者の負担軽減という観点が必要だというふうに思うんですね。ちょっと話はずれるかもしれませんけれども、先ほどの教員の方々のいろいろな負担という中で、小中学校、小学校なんかで特に、給食費の徴収に対して一定時間を取られるみたいな話もあるわけです。

 それを理由としてこの議論をするつもりはないんですけれども、給食費の無償化、これについてはこの間もいろいろと議論があったところでありますが、食育の観点からも、また保護者負担の軽減の観点からも、私自身は、実施すべきである、国で責任を持って一定実施すべきであるというふうに考えています。

 もちろん財源の問題があるのも理解します。ただ、やり方については検討していくにしても、コロナ禍以降、交付金を活用していろいろな形で実施している自治体があるわけでありますから、まずは国として、どういうふうにやっていくかは別として、取り組むんだという方向性を示していくべきではないでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食費につきましては、現下の物価高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、重点支援地方交付金の活用を教育委員会等に促してきたところでございまして、令和五年度補正予算においても、重点支援地方交付金の推奨事業メニュー分といたしまして〇・五兆円が追加計上されたところでございます。その結果、ほとんどの自治体において学校給食費の値上げが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところでございます。

 他方、学校給食費の無償化の検討に当たっては、一部の自治体や学校におきまして学校給食が実施されていないというような状況もございますため、児童生徒間の公平性や学校給食費の負担の在り方といった観点から、学校給食の実態を把握した上で丁寧に課題を整理する必要があるというふうに考えております。

 学校給食費の無償化につきましては、昨年十二月に閣議決定いたしましたこども未来戦略において、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、こども未来戦略方針の決定から一年以内にその結果を公表するということとしております。

 調査中の現段階で、お尋ねの学校給食費の無償化の時期についてどういうやり方をするかとお答えすることは困難でございますが、実態調査を行った上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含めた課題を整理してまいりたいと考えております。

柳本分科員 ありがとうございます。

 実際、コロナ禍において、あるいは物価高対策の交付金を受けて、いろいろな取組が行われているわけです。ところが、交付金が切れちゃうとなかなかできなくなるとか縮小するとか、右往左往している各自治体もあるわけです。これは、ひいては保護者や生徒たちにも影響が出てくるわけですから、一時期は自治体の単費で扱うような状況があったとしても、行く行くは国が一定何らかの形で、サポートがあるんだよということをしっかりと示していくことによって安定的な給食環境をつくっていく、それがひいては教育環境の質向上にもつながっていくと考えておりますので、併せて、併せてというか重ねて要望をしておきます。

 最後に、不登校関係について何点かお聞きをします。

 小中高における最近の不登校人数の推移、不登校となる原因について、状況と併せてお聞かせください。また、不登校の多い地域など、地域性などがあるかについても併せてお聞かせいただけますでしょうか。

 それと、ちょっと時間の関係もありますので、今急増しているということらしいんですけれども、現在の不登校対策も重点的に取り組むべきであるというふうに考えますので、対策も、どういう対策を打っているか。

 お二方になるのか分かりませんけれども、併せてお答えいただけますか。よろしくお願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 不登校児童生徒数の推移につきましては、小中学校においては十年連続で増加し、特に直近の二か年で一・五倍となるなど大幅に増加しているところでございます。

 また、高校につきましては、平成三十年以降減少傾向でございましたが、直近の二年間で大きく増加しているという傾向にございます。

 また、地域別の不登校児童生徒数については、各年度において変動がございますが、全国的に増加している状況でございます。

 不登校の要因についてでございますが、令和四年度の問題行動等調査によると、不登校の半数以上が無気力、不安によるものとされておりますけれども、その背景には様々な要因が複雑に関わっている場合が多いというふうに認識しております。

 その上で、近年の不登校の増加について、例えば、学校に対する保護者、児童生徒自身の意識の変化など、社会全体の変化の影響や、新型コロナ感染症により学校生活においても様々な制約がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や、登校する意欲を持ちにくい子供、こういった可能性があるということが考えられております。

 そして、文科省の不登校対策でございますけれども、昨年十月十七日に不登校・いじめ緊急対策パッケージ、これは補正予算も併せてその後組んでおりますけれども、策定したところでございまして、そのパッケージにおいては、昨年三月のいわゆるCOCOLOプランを前倒しし、校内教育支援センターの設置促進、教育支援センターのICT整備やアウトリーチ機能の強化、ICT端末を活用した心の健康観察の推進や、より課題を抱える学校へのスクールカウンセラー等の配置充実、こういった取組を速やかに進めるということをしており、令和五年度補正予算において措置したところでございます。

 加えて、令和六年度予算案、今御審議いただいている予算案につきましても、学びの多様化学校の設置促進のための経費等計上しておりまして、引き続き、子供たちに寄り添いつつ、こども家庭庁を始めとする関係省庁とも連携しながら、誰一人取り残されない学びの保障に向けてしっかりと取り組んでいく所存でございます。

 以上です。

柳本分科員 まさに、来年度予算、令和六年度予算でも取組を拡充していただくべく動いていただいているということなんです。今このときに、コロナ禍なども一つの要因として急増しているということでありますので、これは本当に喫緊の課題として取り組んでいただきたいと思います。

 小学校は、中学生なり、また高校に進学される方向性があるわけですから、そういった意味でいうと、今このときに対応しながら、不登校状態が常態化してしまって対応が遅れてしまうと、それが結果的に長引いてしまう、いつの間にやら学校に通えないという状況のまま成人を迎えてしまうような状況もあるわけでありますから、子供たちにとっては待ったなしの状況であるという認識を共有させていただきながら、我々も持ちたいと思いますし、文科省の方でも持っていただきながら、こども家庭庁などと連携をして取組をしていただくように求めさせていただきます。

 その上で、不登校対策というわけでもないんでしょうけれども、私立の通信制高等学校が増えていると聞きます。現状と課題についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 高校の通信教育につきましては、制度創設当初は勤労青年が主な対象でございましたけれども、近年では、不登校経験など様々な事情を有する生徒に対して教育機会を提供する、こういった役割に徐々に変質しつつあるということでございまして、通信制高校の学校数、生徒数は大きく増加しているところでございます。

 一方で、一部の通信制高校においては、これは問題点でございますが、違法又は不適切な学校運営や教育活動が行われているという事例が見受けられるなど、課題も指摘されているところでございます。

 このため、文科省におきましては、通信制課程の教員配置等の基準の整備、サテライト施設の教育水準の確保、国と所轄庁との合同による点検調査の実施、設置認可基準に係る標準例の提示等に取り組んできたところでございまして、今後とも、引き続き通信制の質向上に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

柳本分科員 不登校対策も含めて、通信制も一つの選択肢として、私は決して悪いことではない、いいことだというふうに思うんですけれども、課題として、御答弁いただいたように、やはりちょっと閉鎖的なところがありますし、そこでリアルの現場での学校教育に代わる状況があるかといえば、友達をつくれるかどうかとか、コミュニティーの中でどう生活していくかとか、あるいは学年の上下関係とかを学ぶとか、そういったことも含めて、やはり学びの深さという意味においてはなかなか課題もあるというふうに思うんです。そういったことを考えますと、しっかりと通信制についても注視をしていただきながら、対応へとつなげていただきたいと思います。

 最後に、基本的には、今ちょっとお聞きしますと、中学生、義務教育課程を経て高校に進学される方が九九%ぐらい、九割を超えるということなんですね。となれば、基本的に、義務教育課程を終えても進学という選択肢を選ばれる傾向にあるということです。であれば、仮に小中学校の義務教育課程で不登校になって、その不登校状態を解消できず、恐らく進学の道を歩んでいたであろうに引きこもってしまうことがあるとするならば、これは義務教育課程における責務を国、公が十分に果たせていないということになるのではないでしょうか。教育から福祉へのフォローをせざるを得ないという状況をつくらないという使命感を是非文科省には持っていただきたいというふうに思うんです。

 このような視点に立って、特に中学校における不登校についてケアをして、まず教育、進学につなげるということを軸に、社会の中で自立できるような方向性を導いていただくべきと考えますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりだというふうに考えておりまして、不登校児童生徒の社会的な自立の観点からも全ての不登校児童生徒が学べる環境を整えるということが非常に重要でございまして、公の機関である教育委員会が中心となり、学びの多様化学校、校内教育支援センターの配置促進による多様な学びの場の確保を進めるとともに、不登校児童生徒が学校外の施設やICT等を活用した学習活動を行った場合、校長の判断で指導要録上の出席扱いとすることや、その成果を成績に反映することができること等としております。

 また、高等学校段階におきましては、不登校生徒の学習機会の確保のため、全日制又は定時制高校におきまして、不登校生徒が自宅等から同時双方向型の遠隔授業やオンデマンド型の学習を可能とする通信教育を受けられるようにするための制度改正を行うなど、柔軟で質の高い学びの実現に向けて取組を進めてまいりたいと思います。

 引き続き、不登校児童生徒の学びの機会の確保に向けて取組を推進してまいります。

柳本分科員 不登校から引きこもって、社会的に孤立するということにならないように、お願いをしておきます。

 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

井出主査 これにて柳本顕君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、沖縄県における教師不足、教師の長時間労働の問題について質問をいたします。

 沖縄県教育委員会によると、沖縄県内の公立小中高校と特別支援学校の教員の未配置数は、二〇二四年一月時点で百三十七人に上っています。その要因として、病休や産休などに対する臨時的任用教員の配置が追いついていないこと、特別支援学級の増加を挙げています。特に、精神疾患による休職者の多さは深刻であります。

 文科省が実施した二〇二二年度の調査結果によると、精神疾患を理由に休職した教職員は全国で六千五百三十九人と過去最高になりました。沖縄県でも二百二十九人と過去最多で、文科省が公表を始めた二〇一八年度以降、五年連続全国ワーストの状況が続いております。

 こうした要因について、琉球大学の西本裕輝教授は、厳しい労働環境が一因であることは間違いない、このように指摘しております。とりわけ沖縄県は、子供の貧困率も高く、母子家庭を中心に一人親家庭が多く、一人一人の子供に向き合うだけの教員の数が全く足りておりません。

 大臣に伺いますが、このような状況についてどのように受け止めておられるか、そしてその背景には何があると考えておられるか。いかがでしょうか。

盛山国務大臣 令和三年度及び令和四年度の人事行政状況調査においては、沖縄県における教員の精神疾患による休職者の割合が全国最多となっております。

 一般的に、精神疾患による休職の要因としては、業務の質の困難化や、教員間の業務量や内容のばらつきなどといった要因が考えられますが、沖縄県教育委員会からは、教員職員の精神疾患による病気休職の要因について、職務内容に起因するものだけではなく、家庭の状況や生活環境等様々な背景があると考えられると聞いております。

 文部科学省としては、令和五年度から、病気休職の原因分析やメンタルヘルス対策等に関するモデル事業を実施しており、沖縄県教育委員会においても本事業に取り組んでいただいているところです。

 令和六年度予算案においても同事業に必要な経費を計上しており、引き続き、個々の教員や学校が置かれた状況を踏まえて適切な対策が講じられるよう、メンタルヘルス対策の取組を進めてまいります。

赤嶺分科員 今おっしゃったような事例があるわけですが、私も、今回、問題意識を持って多くの先生方や組合の方々にも意見を伺ってまいりました。その中で、教員のメンタルヘルス対策で必要なのは、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの抜本的な増員が求められるということを切々と訴えられてきました。

 沖縄県の教職員組合の話を伺いましたら、現場のニーズからするとまだまだ足りない、子供は心を開くのに時間がかかる、常駐してくれることにより先生も生徒のことなど相談することができると話されておりました。子供だけでなく先生にとっても求められております。

 二〇〇七年に文科省が行ったスクールカウンセラーに関するアンケートで、相談の割合については、約三割から四割が教職員からの相談となっています。

 大臣、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの役割が先生たちにとっても求められているという認識、これは間違いないですね。

盛山国務大臣 不登校児童生徒数が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にあって、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置は、児童生徒に向き合う教師の負担を軽減する観点からも有効なものと認識しており、その配置拡充のために必要な経費を令和六年度予算案に計上しているところです。

 加えて、文部科学省においては、メンタルヘルス不調などの健康障害に関する相談窓口の設置、周知などに取り組むことを各教育委員会に対して求めるとともに、令和五年度より、教師のメンタルヘルス対策に関して、セルフケアやラインケアの充実、ICTやSNS相談員などを活用したモデル事業を実施しており、令和六年度予算案においてもその実施に必要な経費を計上しております。

 引き続き、教師が心身共に健康な状態で児童生徒と向き合うことができるよう、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいります。

赤嶺分科員 大臣も、その必要性と効果について認められております。

 私も、この方々のお話を聞いてまいりました。そうしたら、子供にとっても教職員にとっても大変必要とされている実態をみんなが認めておりながら、私たちは非正規だ、一人で何校も受け持ち、巡回は一校当たり週一回だ、これでは子供や教員が安心していつでも相談することはできない、このようにお話しされているんですね。現場の認識と余りにもかけ離れている制度の仕組みになっています。

 正規雇用で常駐という労働環境が整ってこそ、子供や先生たちがいつでも相談でき、信頼関係が生まれます。現場からの強い要望であります。これに応えて、彼らを教職員定数に加え、全ての学校への常勤配置、これを決断すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 様々な課題を抱える児童生徒に対しては、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと教師とが連携協力し、チームで支援を行うことが重要であります。

 このため、文部科学省では、令和六年度予算案において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置について、基礎配置に加えて、それぞれ千校に対して重点配置を行うこととしており、引き続き配置の充実に努めてまいります。

 また、委員の御指摘も含め、スクールカウンセラー等を常勤化すべきとの御要望があることは承知しております。文部科学省においては、スクールカウンセラー等が常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等の検討に資する調査研究を実施しているところです。

 他方で、スクールカウンセラー等の常勤配置に当たっては、財政的な課題を始め、学校設置者の受入れの体制、適切な人材の確保など解決すべき課題も多いことから、今後、検討を引き続き進めていきたいと考えております。

赤嶺分科員 スクールカウンセラーの役割について、高い評価で、常勤化も本当に目指したいという気持ちは表れておりました。

 二〇一五年十二月の中教審の答申があります。ここでは、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカー共に、これらは、「国は、将来的には学校教育法等において正規の職員として規定するとともに、義務標準法において教職員定数として算定し、国庫負担の対象とすることを検討する。」これが中教審答申なわけですね。

 それで、こういうことを求めたのが八年前です。あれから八年過ぎました。現場の要求に応えるために、正規雇用あるいは常駐の体制をいち早く整えるべきだと重ねて強く要求したいと思います。

 財政云々の話ではないと思います。子は、子供たちの教育は、本当に日本の未来の宝でありますから、お金がないからというようなことを文科省から言い始めたら、これはもう本当に、いい教育環境をつくる上で一体文科省は何を考えているかということを言われかねません。

 次に……(盛山国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)

井出主査 何か訂正があるそうで、どうぞ。

盛山国務大臣 済みません。先ほど、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、私、千校と言いましたが、一万校の間違いでございます。

 そして、今の御発言もしっかり受け止めさせていただきます。

赤嶺分科員 今の発言は八年前の中教審答申の話ですから、八年かかっているということを是非認識していただきたいと思います。

 教師のストレスとの関係で現場からもう一点指摘があったのは、教員評価システムの問題であります。この教員評価システムは、地方公務員法に基づくもので、一般の地方公務員に適用されているものと事前に文科省から説明を受けました。

 では、実際に学校現場において誰がどのように一人一人の教員を評価しているのか、説明していただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 教員評価システムにつきまして、具体的な方法ということでございますが、具体的な方法については各教育委員会において定められているものでございますが、校長等の管理職が、日常の職務活動の観察を通じまして得られた情報などを総合的に踏まえつつ、各教師の能力と業績を期末面談等において確認した上で評価を実施する、こういうものでございます。

赤嶺分科員 現場の校長は、教師にとっては、教育の先輩としていわば大変尊敬、敬愛の対象となっている存在だったと思います。

 ところが、この教員の評価システム、学校で管理職である校長先生が一人一人の教職員と面談、評価し、さらにはその評価が給与にまで反映されているということでした。これが教師にとっては相当のストレスになっている、このように現場の先生方から話を伺いました。給与に反映するから校長に意見ができない、どうして自分の評価が下がってしまったのか分からない、やる気がなくなった、家に帰ってからも評価が気になって頭から離れない、このような声を聞きました。自分のどこが悪かったのかと自分を責めている、そういう自分を責めている先生方が子供にどんな気持ちで向き合えるのか、本当に深刻な話だなと思いました。

 先生たちは、一生懸命支え合って働いています。本来、実践の経験を共有し、能力を高め合うはずの同僚を評価し、教師の間に競争意識と分断を持ち込むような仕組みになっております。こうした評価制度の学校現場への持込みは大変異質なものだと思います。やめるべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 公立学校の教師は地方公務員であるため、地方公務員法に基づく人事評価制度の下、人事評価を実施し、任用、給与等の人事管理の基礎として活用する必要がございます。

 文部科学省としても、教師の能力と業績を適正に評価し、評価結果が処遇上も報われるようにすることは、学校教育全体への信頼性を高め、頑張る教師を励まし応援していく上で重要と考えており、評価結果を給与等に活用するなど、人事評価を活用した人事管理に一層努めるよう、各教育委員会に対して通知しているところです。

 引き続き、各教育委員会において、地方公務員法の規定を踏まえた上で、人事評価の実施、及びその活用を適切に実施していただきたいと考えております。

赤嶺分科員 現実は学校の先生方の激励になっていないですよ。多くの人たちが、評価を気にして、自分のことが気になって、子供たちとの向き合い、それを本当に真摯に真っすぐやっていけるような状態になっていない。私は、こういう評価制度は、学校現場にそぐわないこうした仕組みが教職員にストレスを与えていること、これを文科省が正面から受け止めて、廃止するよう強く求めていきたいと思います。

 教員の業務改善のために指摘したいのは、全国学力テストの問題であります。

 毎年四月に全国の小学校六年生、中学校三年生を対象に行われ、その結果が都道府県別に公表されます。そのため、学力テストのための対策テストなどが行われています。これも私が伺ってきた話でありますが、ある学校では、三年生のときから既にこの対策テストが行われており、子供たちはテスト漬けの日々になっているとのことでした。現場では常に数字が求められ、テストの採点など、教員の負担が重くなっていました。

 学力テストが現場にこうした混乱と教員への更なる負担を、また子供たちにとってもストレスを与えている状況、こうした実態、大臣、どのように把握されておりますか。

盛山国務大臣 全国学力・学習状況調査は、単に平均正答率のみに着目するのではなく、個々の児童生徒がどの点を理解し、どの点につまずいたかなど、具体的な解答内容や学習状況等を把握することで、児童生徒一人一人への学習指導の改善等に役立てることを目的として実施しているものです。

 各学校においては通常の授業時数の中で実施するものであり、児童生徒や教師にとって過度な負担になっているとは認識しておりません。

 また、調査の結果公表に当たっては、学校の序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することも重要であると考えており、都道府県教育委員会等に対してもそのような配慮を求めております。

 なお、学校等において、仮に、この調査の数値データの上昇のみを目的にしていると受け止められかねないような行き過ぎた取扱いがあるのであれば、それは調査の趣旨、目的を損なうものであると考えております。各種の機会を通じて、その旨を周知しております。

 今後とも、全国学力・学習状況調査の結果の積極的な活用を通じて、教育委員会や学校における取組がより一層充実したものとなるよう支援してまいります。

赤嶺分科員 文科省が行っている学力テストの趣旨をよく理解してほしいということですけれども、その趣旨は達成されるに至っていないと思います。結局、学校現場では、学力テストがある限り点数や序列を気にせざるを得ないというものを文科省の学力テストがつくっているんですよ。

 いろいろ通知を出しているとおっしゃいますけれども、今月の十四日、参議院の国民生活・経済及び地方に関する調査会でも、参考人の小国喜弘先生、東京大学大学院教授からこの点で何度も指摘がありました。先生の御指摘は、学力テストの点数が〇・五点全国平均よりも高いだけで校長先生は舞い上がり、〇・五点低いだけでも落胆している先生もいる、こういうことを参議院の調査会で指摘しておられました。

 能力や学力は数字では測れないものがあります。繰り返し文科省が学力テストの趣旨の通知を出しても、競争教育の渦中にいながら、順位や数字を気にしないということの方がとても難しいことのように思います。学力テストがある限り過剰な対策テストはなくならないということを現場に行ったら実感します。文科省は全国学力テストの中止を決断すべきだということも申し上げておきたいと思います。

 次に、こうした教員の働き方、教師不足の解決には抜本的な対策が必要であります。

 まずは、教職員の大胆な増員です。そのためにも少人数学級を進めることが重要です。少人数学級がいかに大切なのか、沖縄県で中城村の事例を学んできました。

 中城村では、二〇一八年度から、小学校一年生から小学校三年生を対象に一クラス十六人程度の少人数学級編制を実施しております。これにより長期欠席はゼロになりました。その背景として、地元の新聞にも次のように現場の先生の声を紹介しております。子供一人一人にかけられる時間が多くなった、あるいは、変化に気づきやすくなった、朝から子供と会話できる、このように話しております。

 効果は子供の成長だけではありません。教師の働き方の改善も報告されております。少人数制実施によって学校に配置される教員が増えるため、校務の仕事も分散できている、体育の実技など、少人数だから順番が回ってくる回数が多い、多くチャレンジできる分、上達も早いと思う、ノートチェックや採点も、これは沖縄県の基準よりも半分のクラスですから、半分の量と時間で済む、学級事務も少なくなった。

 このように、少人数学級の効果が子供の面や学校の先生方の働き方の面でも報告がされているんですね。子供にとってもよい学習環境が、先生たちにとってもよい働く環境になっております。

 中城村の事例から分かるように、少人数学級を進めることが教員の働き方の改善につながると思います。大臣も同感だと思いますが、いかがですか。

盛山国務大臣 学校における働き方改革は、何か一つやれば解決するというものではなく、国、学校、教育委員会が連携し、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備することが重要だと考えます。

 国に期待される役割の一つとして、小学校三十五人学級の計画的な整備を含む教職員定数の改善が重要と考えており、令和六年度予算案において、小学校五年生の学級編制の標準の引下げや高学年における教科担任制の強化、教員業務支援員の全ての小中学校への配置を始めとする支援スタッフの充実などに必要な経費を盛り込んでいるところです。

 引き続き、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいるつもりです。

赤嶺分科員 働き方改革はそれだけにとどまらないというのはそういうことなんでしょうが、少人数学級、今文科省が段階的に進めている、これを一気に解決して、そして教師の負担も減らし、子供たちにも目配りが行けるようにしていただきたいと思います。

 もう時間がありませんけれども、給特法ですね。

 今日は、この廃止についても強く大臣に申し入れて、何か、四%が一〇%になれば残業させても構わないような議論ではなくて、給特法の廃止こそ、ブラック労働の教師の状態をつくっており、なり手不足をつくっている、この廃止も大事だということを申し上げて、質問を終わります。

井出主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 立憲民主党の大西健介です。

 お昼の時間に入りましたけれども、おつき合いをお願いしたいというふうに思います。

 今日は、分科会の質疑の時間をいただきましたので、地元の問題について、副大臣、政務官も愛知県選出ということですので伺っていきたいと思うんですけれども、その前に、福岡県のみやま市の小学校で、二十六日に、一年生の男子児童が給食でウズラの卵を喉に詰まらせて死亡する事故が起きました。亡くなられた児童と御家族には心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 ウズラの卵による小学生の窒息事故というのは、二〇一五年にも起きています。こども家庭庁は、保育園や幼稚園向けに出しているガイドラインで、ウズラの卵を給食では避けるように推奨していますけれども、小学校ではこうした個別の食材に関する規定というのはありません。

 消費者庁によりますと、食べ物を詰まらせるなどして死亡した子供の約九割は五歳以下ということでありますけれども、ただ、未就学児の場合は一年生と年齢は余り変わらないというふうに思います。

 この点、みやま市の教育委員会は、ウズラの卵については当面使用しない、こういうふうに決めたということでありますが、一方で、給食は一年生から六年生まで食べますし、また、給食には様々な食材に親しむという食育の意味というのもあると思います。

 再発防止に向けて、リスクのある食材の使用を避けるという方法と、児童によくかんで食べるよう指導するとともに、よく児童の様子を観察すること及び事故が起きた場合の対応を学級担任等に徹底するというこの二つのアプローチが私はあると思うんですけれども、文科省はどういう考え方に立っているのか、文科大臣にお聞きをしたいと思います。

盛山国務大臣 今御指摘の、一昨日、福岡県みやま市での小学校一年生の男児が学校給食を喉に詰まらせて亡くなる事故が発生したことは、我々も承知しております。貴い命が失われたことは大変残念であり、亡くなった児童の御冥福をお祈りするとともに、関係者の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。

 我々文部科学省では、従前より、食に関する指導の手引において、学校給食時における安全に配慮した食事の指導の在り方や、窒息への対処方法、給食等の指導に当たっての留意点等を示しているところでございます。

 今回の事故の詳細については、現在、教育委員会等において調査中でございますけれども、今回の事案を受けて、昨日、二十七日付で、学校給食における窒息事故の防止について、改めて、各都道府県教育委員会等に対し、指導の徹底を求める事務連絡を発出したところでございます。

 引き続き、学校給食の安全な実施に万全を期してまいりたいと考えます。

大西(健)分科員 私は、特定の食材を使うのを避けるというよりかは、しっかり現場の先生に安全管理をお願いするということだと思うんですが、ただ、なかなか目が届きにくいという部分もありますので、先ほどの赤嶺委員の話じゃないですけれども、特に低学年においては、少人数学級であれば、先生たちも様子をしっかり見られるんじゃないかなというふうに思います。

 それでは、地元の課題に入っていきたいんですが、二〇二六年、愛知・名古屋ではアジア競技大会が開催される予定です。私の地元でも、例えば安城市の総合運動公園のソフトボール場が競技会場の一つになっているんですけれども、このソフトボール場は、デンソーブライトペガサスのホームグラウンドであって、全日本大学女子選手権大会の会場にもなっている、よい球場だと思うんですけれども、アジア大会では多くの観戦客が来ることが予想され、観客席の増設が必要になります。海外からのお客様を含めて、できるだけ多くの皆さんに安全に観戦をしてもらうためには観客席の増設というのが重要になると思いますけれども、安城ソフトボール場は、インカレの会場にもなっているように、この機会に整備すれば、今後のソフトボールの競技振興にも大いに役立つんじゃないかというふうに思っております。

 愛知県や安城市も努力いたしますけれども、国からも、是非アジア競技大会の成功に向けて、このソフトボール場の観客席の増設について財政的な支援を含めて御支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 文部科学省として、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会の国内開催は、スポーツの振興や国際親善、共生社会の実現等に大きな意義を有すると認識をしております。

 他方で、御指摘の安城市総合運動公園ソフトボール場につきましては、現時点におきましては設置者である安城市から直接具体的なお話は伺ってはおりませんけれども、今後、安城市の方から具体的な御相談を頂戴すれば、地域スポーツの振興の観点からの文部科学省の補助制度や、あるいは地方創生の観点からの他省庁の補助制度の活用も含めて、どのような支援を行うことができるかについては真摯に対応してまいりたいと思います。

大西(健)分科員 安江政務官も同じ愛知ですから、アジア競技大会の成功に向けて、是非一緒にやっていければなというふうに思っています。

 次に、愛知は、昨年、大河ドラマ「どうする家康」で沸きましたけれども、第二十一回の「長篠を救え!」では、今枝副大臣の地元、新城も舞台になりました。また、私の地元の安城市では、三河一向一揆の拠点になった本證寺が大きく取り上げられました。

 その本證寺は、国の史跡に指定をしていただいておりまして、また、安城市では、令和九年を目指して史跡公園として整備する計画もあります。さらに、国指定の文化財、絹本著色聖徳太子絵伝は、十幅の絵伝というのはなかなかほかにないそうでありまして、大変貴重なものであって、修復すれば国宝にもなり得るような非常に価値のあるものだと聞いております。

 つきましては、本證寺境内の発掘調査、石垣や築地塀の修理、復旧、また、聖徳太子絵伝の修理のための補助金について十分な予算の確保をお願いしたいと思いますが、同じ三河の今枝副大臣から温情のある御答弁をお願いしたいと思います。

今枝副大臣 どうもありがとうございます。

 本證寺は、三河一向一揆で中心的な役割を果たすなど、我が三河の歴史にとって非常に重要な場所だということを私も実感をしております。「どうする家康」でも本證寺はたくさん出てきたのでよかったですし、我が地元も、長篠の話を言っていただいて、ありがとうございます。蒲郡の上ノ郷城もうちの地元なので、すごく、二回も出てきてうれしかったです。

 本論に入りますけれども、史跡の本證寺境内につきましては、本年度、安城市に対して、地形造成や植栽整備等の事業費用として約二千万円の補助を行っております。

 また、重要文化財の絹本著色聖徳太子絵伝については、令和四年度から十か年の計画で本格的な修理が実施をされており、本年度は、本證寺に対しまして約七百九十四万円の補助を行っております。

 なお、国庫補助は原則として五〇%でありますけれども、本證寺には、加算措置で六五%の補助が適用されているということであります。

 今後とも、お尋ねのあった文化財も含めまして、我が国の貴重な国民的財産である文化財が次世代に確実に継承されるように必要な支援を行っていきたいと考えております。

大西(健)分科員 是非よろしくお願いします。

 次に、私の地元、愛知県の西三河地方は製造業で働く外国人が多く、知立市では、外国人の集住率が七・五%と非常に高くなっています。今朝の一番目の吉良委員も外国人児童の教育の話をされておりましたけれども、特に、URの知立団地の中にある知立東小学校は、全児童のうち約七割が外国人。七割が外国人ですから、日本人の方が少数派ということですけれども、言語数でいうと、十一か国の子供たちが学んでいます。

 そのため、知立市では、外国から来て全く日本語が分からない子供たちをまず受け入れるために、杜若教室という早期適応教室を設けています。この早期適応教室については、国、県それぞれから三分の一ずつ補助をいただいていますけれども、教室や教員の確保など、市の財政負担も重くなっています。

 全国的には早期適応教室のない自治体も多く、障害のある子供たちが通う特別支援学級で対応している自治体もあると聞きます。国として外国人労働者の受入れを推進する以上、外国人児童の教育についても、自治体任せにするのではなくて、国が責任を持つべきだと思います。

 知立市における杜若教室のような先進事例を参考に、早期適応教室というのを制度化して手厚い財政支援を行うべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 愛知県知立市の杜若教室のように、日本語指導が必要な児童生徒に対して、基本的な日本語の指導や小中学校への適応指導を集中的に行う早期適応教室は、外国人児童生徒が日本語を習得する上で効果的な取組と認識しております。

 他方、日本語指導が必要な児童生徒の状況は地域によって大きく異なるため、現在のところ、御指摘の早期適応教室の全国的な制度化については考えておりませんが、文部科学省においては、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業により、地方自治体における日本語指導のための取組に対する支援を実施しているところであり、令和六年度予算案においては約十億円を計上しております。

 これらの取組を通じて、引き続き、日本語指導が必要な児童生徒に対するきめ細かな支援に努めてまいります。

大西(健)分科員 使う必要がないところは使わなければいいんですけれども、先ほども言ったように、国として外国人労働者の受入れをどんどん進めていくというわけですから、制度があれば、先ほど言ったように、制度がないために特別支援学級で対応しているようなところもあるということですから、まず、私は、これは制度としてしっかり整えるべきじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 次に、電気代を始めとする光熱水費の高騰、これは大学など教育機関にとっても大きな負担になっています。

 私の地元には、卒業者の教員就職者数が三年連続全国一位の愛知教育大学がありますけれども、愛教大でも、令和五年の見込額が、令和三年決算額、約一億二千万円から倍増の約二億四千万円になるという状況でした。

 そこで、学長自ら先頭に立って、緊急節電対策中のポスターを掲示して、大学の本分である教育研究活動にはできるだけ直接の影響が出ない形で、例えば、夏季一斉休業日の設定、講堂の使用制限、事務局の一斉在宅勤務日の設定などの節電対策に取り組んで、上半期で約九百三十二万円の削減成果を上げました。

 しかし、年間二千万円以上の節約ができたとしても、令和三年度決算額より一億二千万円も光熱水費が増えるということでは、これは自助努力だけでは限界があると思います。このままだと、安定的な教育研究活動にも影響が出かねない状況であります。

 文科省におかれましては、これまでもやってはいただいていますが、この実情を勘案の上、光熱水費高騰への追加の支援をお願いをしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 光熱費などの物価高騰については、大学関係者そのほかから、大学経営への影響等を懸念する声があることは承知しております。

 文部科学省においては、こうした状況も踏まえ、光熱費等が高騰する中にあっても国立大学は常時稼働を要する施設を数多く有していることなどから、令和五年度補正予算等において、全ての国立大学に対して、激変緩和措置としての緊急的な支援を行ったところです。

 また、私立大学に対しましては、令和六年度予算案と令和五年度補正予算において、光熱費等の高騰に影響されないよう、恒常的な節電効果を図ることができる省エネルギー対応の照明、空調設備の導入など、各学校設置者が必要な施設の整備を推進できるよう後押しをしているところです。

 さらに、公立大学への対応としましては、令和六年度の地方財政措置において、大学を含む自治体施設の光熱費等の高騰を踏まえ、一般行政経費が計上されております。

 文部科学省としては、各大学が教育研究活動に支障を来すことのないよう、引き続き、各大学の状況を注視しつつ、必要な対応について検討を続けてまいります。

大西(健)分科員 本当に現場では涙ぐましい努力をされていますので、そういうこともしっかり見ていただいて、是非しっかりと支援をお願いしたいと思います。

 次に、愛知県は、二〇二五年度から県立高校四校で中高一貫教育を導入する予定で、私の地元では、西三河屈指の進学校である刈谷高校に附属中学ができる予定になっています。高校入試がない分、ゆとりの中で特色ある教育を提供できることから、社会の変化が速く、将来の予測が難しい時代に対応できるチェンジメーカーを育成するというふうにしています。

 私は、この狙い自体は大変すばらしいと思いますけれども、保護者の皆さんの関心も高くて、既に受験産業が中高一貫対策コースを設けるなど、若干地元は過熱ぎみのような状況であります。

 首都圏では中学受験が当たり前になっていて、二十三区で私立中学校進学率が最も高い文京区では約半分の小学生が私立に進学するという状況であり、塾代や授業料を考えると、親の収入によって子供の受けられる教育に差が出てしまっている現実があるというふうに思います。

 この点、これまで、旭丘高校とか岡崎高校出身の国会議員もたくさんいますけれども、公立王国だった愛知ですけれども、公立一貫校の導入がきっかけになって受験競争の低年齢化を招くのではないかということが懸念されます。

 公立の中高一貫校については、他の都道府県でも先行事例があると思いますけれども、文科省としてどのような点に留意すべきと考えているのか、母校の半田高校も附属中学ができることになった安江政務官に御答弁をお願いします。

安江大臣政務官 お答えを申し上げます。

 中高一貫教育は、六年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会を選択できるようにすることにより、中等教育の多様化を一層進めようとするものでありまして、各自治体におきまして、現行の中学校、高等学校に加える形で選択的導入が可能となっております。

 その上で、各学校における入学者の選定に当たっては、いわゆる受験エリート校化や、まさに委員御指摘のとおり、受験競争の低年齢化といった懸念を招くおそれがないよう、十分に留意をなされる必要性があると認識をしております。

 文科省といたしましては、設置者である各教育委員会等や学校におきまして、児童生徒や保護者、地域の状況を踏まえつつ、多様な学習ニーズに対応した特色、魅力ある教育が実施されるよう、適切に御対応いただきたいと考えております。

大西(健)分科員 ちなみに、今枝副大臣は、愛知県を代表する私立の雄の東海中、高出身でいらっしゃいますけれども、愛知県の公立中高一貫校導入によってその状況というのがどう変わっていくのかというのを我々も注視していきたいと思いますし、いい意味で、本当にチェンジメーカー育成のような形になればいいなというふうに思っています。

 次に、私の地元というのは、いわゆるトヨタカレンダーというもので動いていまして、国民の祝日であっても、トヨタ系企業が稼働日だと、地域の経済は平日のように動いているという地域であります。

 そんな中で、愛知県は、事前に学ぶ日程、場所、内容などの届出をすれば平日に学校を休めるラーケーションの日という制度を導入しました。

 私の地元に限らず、実は、日本では、有業者のうち、土曜日に働いている人の割合が四五・五%、日曜日に働いている人の割合が三〇・四%となっており、保護者と子供の休みが合わずに、一緒に過ごすことが難しい家庭が多くあります。我々国会議員も日曜日、土曜日もいろいろ忙しいわけですけれども、日曜日、土曜日に休めない人は実は多いんですね。

 ラーケーションというのは、保護者の休み方改革の推進につながるだけではなくて、子供が豊かな経験や学びを得る機会となることも期待できるというふうに思います。

 このラーケーションのような取組、愛知県がまず導入したということですけれども、全国に広めていくことについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

盛山国務大臣 ワーケーションならぬラーケーション、ラーンとバケーションを合わせたというふうに伺っておりますが、御指摘のラーケーションの日を含め、学校の休業日や子供たちの休みの日の設定については、地域や子供たちの実態をよく踏まえながら、各教育委員会や学校において御判断いただくものとなります。

 愛知県においては、学校外での多様な学びにつながるなど、効果が出ているとのことでありますが、文部科学省としては、各教育委員会や学校において、そういった事例も参考にしながら、関係者間の調整を図りつつ、御判断いただければと考えております。

大西(健)分科員 先ほども言いましたように、企業の休みと子供の休みが合わないということですから、これはうまく活用していただけると本当にいいんじゃないかなと。あるいは、例えば、これは地域経済の活性化という意味においても、みんな一斉にゴールデンウィークだとかお盆休みだとかに休みますと、どこのホテルも観光地も人だかりでいっぱいなわけですけれども、平日に有給休暇を取っていただいて、子供も学校を休んで一緒に行けば、そういうすいた中で休みを楽しむこともできるということでありますので、いろいろな意味で私は活用ができることではないかなと。

 これは、働き方改革、休み方改革という観点でもそうですし、そのためには、やはり子供の休みと親の休みを合わせるというこの観点が重要じゃないかと思いますので、これは文科省のみならず、他の省庁ともよく連携をしていただいて、政府として取り組んでいただきたいなと思っています。

 次に、GIGAスクール構想によって整備を進めてきた一人一台端末の多くが、令和七年度以降、更新の時期を迎えていきます。

 この点、処分するノートPCやタブレットにはレアメタル等が多く含まれていて、これは税金を使って購入したものである以上、適切に処分をする必要が私はあると思います。

 家庭で不用になったPC等は、小型家電リサイクル法の下で認定事業者が回収、再資源化等を行っていますけれども、全国の学校の一人一台端末となると、かなりまとまった量になりますので、ビジネスの面でも、それは大きなビジネスチャンスという見方もできるかもしれません。

 文科省としては、この更新によって不用となるPC等をどのように回収、処分する方針か、大臣にお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 GIGAスクール構想に基づいて整備されました一人一台端末の更新が、委員御指摘のように、これから始まろうとしております。関係法令に基づき、リユース又はリサイクルを含めた適切な処分が行われることが重要であると認識しております。

 このため、環境省、経済産業省との連名で、文部科学省も入ってという意味ですが、昨年十月に事務連絡を発出し、リユースの具体例や関係機関の相談窓口等を示し、適切な処分の検討を行うよう周知しております。

 今後とも、関係省庁と協力をしながら、各都道府県教育委員会等において適切に処分が行われるよう取り組んでまいります。

大西(健)分科員 先ほども言いましたように、学校の一人一台端末というと、すごい数になりますから、まとまった数ですよね。

 私の知っている小型家電リサイクル法の認定事業者の中には、こうした小型家電を分解して、その中からレアメタルを取り出すような作業を障害者の施設にお願いをしてやっていただいているみたいなところもあるんですけれども、例えば、定期的に更新がなされて、定期的にこの量が出るということになれば、これは障害のある人たちの仕事をつくることにもつながるんじゃないかというふうに思いますので、是非、先ほどの繰り返しになりますけれども、税金を使って整備するものですから、この処分の仕方、再資源化についてもいろいろと配慮をいただければありがたいなというふうに思っております。

 少し時間がありますのでちょっと戻って、本当は、時間がない、できないかなと思っていたんですが。

 先日、二十二日、東京地裁で、旧統一教会の解散命令に関して審問が行われましたけれども、審問は、非訟事件ということで非公開であります。ただ、教団側は、審問後すぐに会見を開いて、自らの主張をマスコミを通じて社会にアピールをされているということであります。

 これは弁護団の皆さんも言っておられることなんですけれども、これだけ国民の関心の高い事件なので、政府の側からも会見を行って、差し支えない範囲で、審問の概要について発表すべきじゃないか、そうでなければ、教団側に有利な形で一方的に情報が流される、そういう情報戦みたいなことにもならないとも限らないという指摘がありますけれども、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 報道等によりまして、旧統一教会が会見等を行っていることについては承知をしております。しかし、その動向について逐一コメントをすることは差し控えます。

 そう申し上げた上で、今回の件でございますけれども、非訟事件手続法第三十条では、非訟事件の手続は公開しないと定めております。これは、非訟事件の手続においては、公益性の観点から実体的真実に合致した裁判をすることに対する要請から、秘匿性の高い資料であっても収集することが求められることがあるなどの理由とされております。こうした非訟事件手続法の規定、趣旨に照らしまして、政府の一員であります我々の方から公表することは差し控えたいと考えております。

 他方、審問以外の部分、これは、裁判所に非訟事件手続として今委ねられております、議論の場が移っております非訟事件以外のことで、我々の方で公表できること、これにつきましては、タイミングを見ながら御説明をしていきたいと考えております。

大西(健)分科員 旧統一教会の問題については、大臣が、弄ばれている感じという発言をされましたけれども、まさに向こうは情報戦でいろいろな情報を流しているわけですよね。確かに、これは非訟事件でありますから、今言っていただいたことは私も承知の上で、それでもできる範囲で。向こうはやっているわけですから。向こうは、審問が終わった後にすぐさま会見を開いて、一方的に自分たちの主張を社会に向けてアピールしているわけですから、これは、やはり弄ばれないようにこちらからちゃんと言うべきことは言わないと、まさに情報戦に負けてしまうし、まさに世論がどういうふうに判断するかですから、世論に向けてしっかりと文科省の立場というのも、これは言えないことを言えと言っているわけじゃないので、それは私は言われた方がいいのではないかなというふうに思いますので、重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、通学用割引普通回数券の廃止についてお聞きをしたいと思います。

 昨年から今年にかけて、交通系ICカードが普及してきたこともあって、回数券の利用者が減ったことを理由にして通学用割引普通回数券を廃止する鉄道会社が相次いでいます。

 実は、通学用割引回数券というのは、自習やリポートの提出が基本で登校頻度が多くない通信制高校に通う生徒が多く利用していました。先ほどほかの委員が通信制の学校の話をされていましたけれども。

 ところが、これが廃止されてしまうと、交通費の負担が足かせになって、学校から足が遠のくようなことにならないかという懸念があります。

 昨年の六月に、当時の永岡文科大臣に対して、全国高校通信制教育研究会の皆さんから、通学定期券の要件緩和や通学用割引回数券の再開に向けて取り組むよう要望書が提出されていると思いますけれども、こうした声を受けて、文科省ではどのような取組をしていただいているのか、弱い立場の一人一人に寄り添う公明党の安江政務官に御答弁をお願いしたいと思います。

安江大臣政務官 お答えを申し上げます。

 通学用の割引回数券につきましては、一部の鉄道会社で廃止の動きがあったことを承知をしております。

 通信制高校につきましては、かつては勤労青年が中心であったということでありますが、現在は、不登校経験者や特別な支援を必要とする生徒等、多様な生徒の受皿となっております。

 この通信制高校の生徒も、面接指導や試験、進路相談、心身の健康等に関わる相談など、必要な指導や支援を受けるために、一定程度通学をする必要があります。先ほど委員の御指摘にもあったとおりでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、通信制高校に通う生徒もひとしく通学費負担の軽減を図られるよう、全国の通信制高校から構成される団体から提出された、先ほどの委員御指摘の要望も踏まえまして、令和五年八月に、国土交通省を通じて各鉄道等の事業者に対しまして、通学回数券の販売や通学定期券の要件の柔軟化など、交通費負担軽減に係る配慮を依頼する通知を発出したところであります。

 引き続き、全ての生徒の学びの保障のために努めてまいります。

大西(健)分科員 是非、依頼をして、その結果どうなっているのかというのもフォローアップをしていただければなというふうに思っております。

 今日は、分科会ということですので、愛知県選出の副大臣、政務官にもお越しをいただいて、地元の課題についてもお聞きをさせていただきました。

 私も、予算委員会でもずっと盛山大臣の御答弁をお聞きをしておりますし、議員会館で同じフロアということで時々トイレ等でもお会いしますけれども、是非、いろいろな疑惑もありますが、これを払拭していただいて、しっかり信頼を取り戻していただいて、今日の分科会でも、他の委員の質疑を聞いておりますと、本当に真面目に、真摯に御答弁をいただいていると思いますので、今後とも文部科学行政に精励されますことを、エールを送らせていただいて、今日の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

井出主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本左近君。

山本(左)分科員 自由民主党、東海ブロック比例代表選出の山本左近でございます。

 冒頭、先日二十六日、福岡県みやま市の小学一年の生徒が給食中に窒息死されるという痛ましい事故がありました。心より御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様、また関係する皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。

 また、文部科学省、教育委員会の皆様には、こういった痛ましい事故が再発しないよう、防止策にしっかりと取り組んでいただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 二年前、初当選後初めての国会質問、この分科会で質問に立たせていただきました。夢や希望を描ける、誰もが挑戦できる社会を実現したい、文科省の皆様にはたくさんの役割があり、皆様とともに頑張っていきましょうとそのとき私は質問を締めくくったわけですが、まさかその半年後に、自身が文部科学大臣政務官として、昨年の九月まで四百日間、本当に皆さんと一緒に働く機会をいただけることになるとは思ってもおらず、大変びっくりしたわけですが、そうした御縁をいただいたこと、また皆様に大変お世話になったことを、まずもって感謝を申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まずは教育についてです。

 私の地元愛知県豊橋市の八町小学校では、国語と道徳の授業以外を主に英語を使って学ぶというイマージョン教育を二〇二〇年度より実施しています。これは、公立小学校で全国初の試みだそうです。

 二〇一七年に学習指導要領が改訂され、小学三年生から英語を学ぶことになったのがきっかけで、英語で学ぶモデル授業研究を開始。最初は図工や体育などの教育から英語を使って学ぶ授業を始め、二〇一九年に、小学校三年生の一年を通して算数の授業を英語で始めたところ、一定の学習効果が認められることが分かったため、二〇年度から正式にイマージョン教育コースが開設されました。

 一般枠が二十名、帰国子女や外国籍など特別枠が六名で、今では入学希望者が多く、倍率も約三倍まで膨れ上がっていますが、抽せんで選ばれているそうです。一年生から六年生までの各クラス、日本語話者の教員と英語話者の教員の二名担当で、英語話者は市内の学校で長年ALTとして英語教育に携わってきた方々です。

 実際に視察させていただいたとき、先生からの質問に英語で答えたり、また、自分の意見を言ったりするときも、間違いを恐れず積極的に英語でコミュニケーションを取っている様子を拝見させていただきました。また、絶対英語でなくてはいけないというわけではなく、分からないところは日本語で、でも話せるところは英語で、そういう努力をしている様子にすごく感動しました。

 また、私が学生だった頃の日本語の英語教育を思い返してみると、英語の文法など正しい知識を教える場ではあったと思いますが、このイマージョン教育は英語を使う場として機能していると感じました。

 私も、海外に住み、母国語の日本語以外で生活をしていた経験があることから話をすれば、英語など、こういった言語というのは、あくまで手段であり、道具であります。よく日本の英語教育を受けても話せないとか言われがちなんですが、道具である英語の使い方を学ぶ環境を整えているこのイマージョン教育は、公立の英語教育に一石を投じる重要な取組と感じました。

 一方で、小学校六年間で終わってしまい、中学校、高校への接続がないことが課題でしたが、これについては、二六年から、豊橋市にある愛知県立時習館高校が中高一貫校となると同時に、国際的な大学入試資格が取得可能となる国際バカロレアの導入が決まり、つながりが見えてまいりました。

 そして、希望者が多いという話もしましたが、ほかの小学校へ広げようとしても、これまで市の単独の予算で実施していることでもありますので、なかなか広げることが難しく、簡単ではありません。

 英語教育の一つの最適解でもあると思うこのイマージョン教育という新しい試みや、課題を乗り越えながら頑張っているところへ積極的に人的、財政的支援をするということは、文部科学省にとっても価値あることだと思いますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 間違いを恐れずに英語に取り組むということは、まず英語の上達の第一歩だという認識は、私も同感でございます。

 その上で、英語によるコミュニケーションを図る資質、能力を身につける上で、児童が英語に触れる機会を充実することは大変重要でございます。

 御指摘の愛知県豊橋市の八町小学校では、市独自の取組として、いわゆるイマージョン教育を行う学級を設け、ほとんどの教科で教師とネイティブスピーカーを配置した授業を行うなど、非常に創意工夫ある取組を行っていると承知しております。

 こうした取組を充実するためには、ネイティブスピーカーや、より高い英語力、指導力を有する教員の配置など、学校の指導体制を充実することが必要でございます。

 このため、文部科学省では、外国語指導助手、ALTの活用を進めるため、JETプログラムによりALTを招致する場合等の地方財政措置、そして、教師の専門性向上のため、小学校の教師が中学校の英語の教員免許を取得するための認定講習の実施など、こういった支援措置を行ってきたところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、これらの取組を通じて、児童が英語に触れる機会の充実を図り、市町村等が質の高い英語教育を展開できるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 続いて、STEAM教育を推進する取組について御質問させていただきます。

 STEAM教育とは、STEM、科学、技術、工学、数学に、A、芸術、アートが加わったものです。この五分野を横断的に学ぶことで、課題を自ら発見したり、物事を様々な面から捉えて解決したり、新しい価値を創造したりする力が身につくという考え方で、アメリカが国家戦略として取り入れている教育です。

 知ると作るのサイクルを生み出すことを目的としたこのSTEAM教育は、技術革新が加速度的に進み、AI、人工知能の影響で大きく価値観が様変わりしていくこの世の中において、デジタル社会に順応した競争力のある人材を養っていくという点でも大きな期待を集めています。

 GIGAスクール構想の個別最適な学びと協働的な学びの双方とも相性がよく、高校における分野横断的な学びが取り組まれていることは承知していますが、小学生や中学生においてもSTEAM教育の推進は必要と考えますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 各教科等における学習を実社会での問題発見、解決に生かしていく、創造性という議論もございましたが、こうした問題に生かしていくために、いわゆるSTEAM教育等の教科等の横断的な学習を推進していくことはとても重要であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、小中学校における総合的な学習の時間や高等学校における総合的な探究の時間等を中心といたしまして、教科等横断的な学習や探求的な学習などの充実を推進しているところでございます。

 また、各学校における取組の充実に資するよう、総合的な学習の時間や総合的な探究の時間の指導方法や事例等を紹介した教師用の指導書を作成するとともに、各学校の取組を支援する外部機関等に関する情報を教育委員会等に周知しているところでございまして、引き続き、関係機関とも連携しながら、STEAM教育の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 探求的な学び、しっかりと、ますます支援をいただきたいと思います。

 続いて、GIGAスクール構想についてです。

 GIGAスクールにおいて一人一台タブレット端末が配られておりまして、これは日本が世界で最も進んでいる教育に取り組んでいると言っても過言ではありません。

 導入されて五年がたとうとしておりますけれども、タブレットPCの更新についてですが、スペックの要件が変更になったり、また費用が上がっていたりすると思いますけれども、教育現場における安心感や、自治体においての負担が少ない形でお願いしたいと思いますけれども、文部科学省の対応はいかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 一人一台端末の更新につきましては、令和五年度補正予算におきまして、都道府県に基金を造成いたしまして、五年程度かけて計画的に端末更新を進めるということとしております。前回の、第一回の端末配備とはそこが違う点でございます。

 補助率については、児童生徒数の三分の二に当たる台数を全額国費で措置した前回のスキームを改めまして、児童生徒全員の端末を対象といたしまして三分の二の定率補助を導入しておりますが、地方負担割合は前回と同様というふうに考えておりまして、残りの三分の一の部分につきましても地方財政措置が講じられております。

 また、更新に当たってでございますが、自治体からの御要望も踏まえ、補助単価を一万円増額するとともに、修理や保守に係る負担軽減の観点も含め、一五%分の予備機を補助対象としたところでございます。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 まさに教育現場の声、自治体の皆さんの声を聞いていただき、しっかりと対応いただけること、そして、順次更新がスムーズにいくことをお願いしたいというふうに思います。

 続いて、科学技術に関する質問に移らせていただきます。

 兵庫県播磨にある大型放射光施設SPring8。放射光とは、加速器で生み出される光で物質を照らし、未知の現象を明らかにする大型計測装置です。つまり、物質に光を当てて事象として起こっていることは分かるが、なぜそれが起こっているのかが分からない、そのなぜを解き明かし、世の中に役立てるのがこのSPring8の役割と承知しています。

 SPring8では、放射光を用いてナノテクノロジーやバイオテクノロジーなど様々な研究が行われていて、長年、研究など貢献をしてきましたが、一方で、共用開始から既に二十五年がたち、施設は老朽化をし、輝度、光の強さですね、輝度の低さでも世界に今後れを取っています。

 視察させていただいたときに、すばらしい施設や、これまで御尽力をいただいたすばらしい研究者の皆様がいらっしゃることを知りましたが、と同時に課題を知り、高度化の必要性を痛切に感じました。

 まず、SPring8のこれまでの実績や、そして高度化をすることによってどんな未来が待っているのか、教えてください。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 大型放射光施設SPring8につきましては、山本委員御指摘のとおり、一九九七年の共用開始以降、学術的な研究への貢献はもとより、自動車、蓄電池などのハイテク分野から私たちの生活の身近な分野における成果まで、画期的な成果、そして大きな役割を果たしてきたところでございます。

 特に、身近な分野における成果の事例を少し御紹介したいと思いますが、例えば、コンタクトレンズの例でございますけれども、透明度と酸素透過性に優れた材料は白濁してしまうという課題がございますが、その原因を放射光により突き止め、課題を克服した新たな材料による製品が実現をしておりますし、また、シャンプーなどのヘアケア製品の例でも、加齢とともに髪の艶が失われるとか癖毛の緩和に有効な成分、これを放射光により明らかにすることによりまして、今までにない製品が実現しております。さらに、初期の虫歯のメカニズムを放射光によって解明することによりまして、虫歯を予防するガムが製品化されております。このように、私たちの日常生活に大変身近な成果もSPring8から多数出ております。

 他方、共用開始から二十五年以上が経過しておりまして、施設の老朽化が課題となっているほか、世界では同種の放射光施設のアップグレードや新規建設が急速に進んでおり、性能の面でも後れを取りつつあります。

 山本委員十分御承知のことではございますけれども、文部科学省では、昨年五月に、当時の山本大臣政務官を座長に、そして当時の井出副大臣を顧問とするSPring8の高度化に関するタスクフォースを設置いたしまして、外部有識者や専門家を交えた検討を行い、同年八月に報告書を取りまとめております。

 この報告書では、現行の百倍の性能を持つ世界最高峰の放射光施設を目指して、SPring8の高度化に着手すべきとの結論が出されております。放射光施設の性能である輝度が百倍になることで、分析能力が一ナノメートルまで向上することになります。これは、現在、国際競争が激化している次世代半導体の研究開発において、製造技術や品質評価等の面で大きく貢献することを意味しております。

 文部科学省といたしましては、現行の百倍の性能を持つ世界最高峰の放射光施設の二〇二九年度までの共用開始を目指して、経済安全保障の観点からも最重要の基盤施設の一つとして、SPring8の高度化であるSPring8―2の整備を進めてまいります。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 今御答弁にもありましたとおり、当時、井出副大臣にも大変このタスクフォースはお世話になりまして、高度化に対する道筋を一緒につけられたんじゃないかというふうに改めて思っています。

 今答弁いただきましたとおり、こういった大型放射光施設の研究というと、どうやらすごく難しいことを行っている、そして実生活に余り関係のないような感じを受けることが大半なんですけれども、今答弁いただいた中で、例えば、コンタクトレンズであったりとか、シャンプー、髪の毛の艶を科学的に分析することで、その艶を出す成分を入れたシャンプーや、また虫歯の予防ガムといった、本当に身の回りの生活にすごく直結をするものなんだと改めて知ることで感じますし、また、答弁にはなかったんですけれども、例えば、低燃費を促すタイヤであったりとか、リチウムイオン電池、そして冷蔵庫とか、そういったものもこのSPring8の研究実績によって、私たちの生活がより豊かな環境に整っているということを、いわゆる多種多彩な製品開発に貢献しているということをよく理解できました。

 そして、こういったことを、より積極的に広報活動も取り入れていただけると、国民の皆様も、あそこで、SPring8で行われていることが自分たちの生活につながるんだなということをより体感できるんだと思います。

 一方で、アメリカや欧州でのアップデートが進んでいる、中国では新規施設建設も進んでいるというところでいうと、やはり日本が、このまま輝度が低いままですと、日本の研究者たちが研究をするために他国へ行かなければいけない。日本の研究情報や技術開発力が海外に流出してしまうことは、日本の安全保障を考えた上でもリスクが非常に大きくなると感じます。

 高度化の目標数値百倍というふうにおっしゃっていただきましたが、これはまさに世界圧倒的一位の数値であり、その一ナノメートルの光の幅を出せることによって、次世代半導体である二ナノメートルの半導体で何が起きているのか分析することができる。そして、これから日本が世界で勝っていかなければならない次世代半導体、データ駆動型社会を構築するための最重要基盤施設として、高度化は待ったなし。しっかりと予算獲得、そして現場の皆様と連携して確実に進めていただくことを改めて期待をいたします。

 続いて、文化に移りたいと思います。

 我が国の漫画、アニメ、音楽、ゲームなどのメディア芸術は、広く国民に親しまれ、新たな芸術の創造や芸術全体の活性化を促しており、とりわけ漫画、アニメなどは、人種や習慣、宗教などの違いを乗り越えて世界の多くの皆様に楽しまれ、浮世絵などと並ぶほどの高い評価を受けています。

 一方で、アニメーション業界の現場の課題や文化外交などの課題を感じ、大臣政務官のときにタスクフォースなどにて取組をさせていただきました。

 これまで課題であった日本の文化コンテンツの発信力、また文化外交など世界戦略への新しい試みや取組についてお伺いしたいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の文化芸術、コンテンツの戦略的な国際発信につきましては、先ほどお話もございましたように、山本先生が大臣政務官御在任中に、タスクフォースなどを通じて強いリーダーシップで牽引をいただいたところでございます。そういったタスクフォースなどの成果を踏まえまして、昨年九月より、関係省庁や政府機関から構成される日本文化の国際発信強化に向けた関係省庁連絡会議が動き始めているところでございます。

 その結果、例えば、今月開催されたベルリン国際映画祭におきましては、文化庁、経産省の協力の下、海外プロモーションのための若手日本人監督三名の派遣を行ったり、在ドイツ日本国大使館主催によるレセプション、ジャパン・ナイトを開催したりいたしまして、日本映画の魅力発信や海外映画関係者との国際的なネットワークの構築を図ったところでございまして、引き続き、御支援を賜りながら、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 関係省庁連絡会議を立ち上げていただき、一歩一歩取り組んでいただけることに感謝いたします。

 そして、日本の伝統産業への支援について質問させていただきます。

 令和六年能登半島地震によって輪島市も被災し、日本の伝統産業の一つである漆器、輪島塗も大きなダメージを負いました。まずは一日も早い生活再建、そしてなりわい支援、そして重要無形文化財などの伝統文化を継承する担い手支援など、幅広い支援が必要だと思いますが、文部科学省の取組はいかがでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁では、重要無形文化財の保護のための伝承者養成等の取組に対する支援を行っておるところでございます。

 御指摘のございました今般の能登半島地震におきましては、この重要無形文化財の一つである輪島塗の技術保存会の会員の皆様、その多くの関係者が被災をされているところでございますが、文化庁では、被災前におきましても、これらの保存会などが実施する研修事業で用いられている用具、原材料等に対して支援を行ってきたところでございます。

 文化庁といたしましては、今回の震災によって伝承者養成のための活動が途切れることがないよう、経済産業省、中小企業庁が実施する伝統的工芸品産業支援事業でありますとかなりわい再建支援事業といった補助金について、まずは保存会の会員の皆様方にしっかりお伝えをし、その周知の状況というものを把握するなどの連携を行っているとともに、さらに、必要となる支援策の内容について、関係者から私どもの専門家である調査官なども交えてヒアリングをしながら、検討を進めているところでございます。

 その過程で得られた情報を関係省庁とも連携するなど取組を進めてまいりたいと思っておりまして、これも、山本大臣政務官に御指導いただいた関係省庁の連絡も含めて、しっかり取り組んでまいりたいと存じております。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 まさに、保存会の皆様と連絡を取っていただき、そして連携を取っていただくということですが、この輪島塗についてもお話を伺うと、これまで使っていた道具というのは、新品の道具になって同じことができるというわけではなくて、やはり、長い年月を使ってきたことによって出せる味といいますか、輪島塗のすばらしさもあると思います。

 ただ一方で、やはり目の前の足下の支援というのがまずは急務かと思いますので、その辺り、経済産業省とも連携もしていただきながら、情報をしっかりと文化庁からも発信していただいて、困る方がないように、そして、こういった日本の伝統文化やまた重要無形文化財などが途切れることがないよう、幅広く支援をいただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 クリエーター、アーティスト育成支援についてお伺いいたします。

 令和五年度の補正予算で三年分として六十億円という大型基金をかち取ったこと、これは文化庁としては初めてのことと承知しており、本当に、盛山大臣を始め、皆様方の御尽力いただいたことに感謝を申し上げます。

 それだけ、そして、世界に誇る我が国のコンテンツが、日本の成長力の強化に資するだけではなく、世界における日本のプレゼンス向上につながる価値あるものと認められたということと私は理解しました。

 今回の基金での支援は、企画から制作、国内外での展開まで一体的に支援することとなっていまして、漫画やアニメだけでなく、音楽、映像、現代アート、伝統芸能などに携わる皆さんの中で、この基金に非常に期待するアーティストやクリエーターの皆さんは多くいると思います。

 また、こういった基金だからこそ、ふだんの取組を超えたコラボレーションや、ジャンルや枠組みを超えた挑戦が、新しいイノベーションや文化、価値創造につながるのではないかと、私自身とてもわくわくしています。

 この育成支援についての取組と、文化への造詣も大変深い盛山大臣の意気込み、またお考えをお伺いさせていただければと思います。

盛山国務大臣 我が国の漫画やアニメ、音楽、現代アート、伝統芸能などのコンテンツは海外でも高く評価されており、国内市場にとどまらず、世界に発信することにより、我が国の成長力の強化にも資するものと考えています。

 これまで文化庁において、メディア芸術クリエーター育成支援事業や舞台芸術等総合支援事業、そして新進芸術家の海外研修支援等を通じて若手芸術家の表現活動を支援してまいりましたが、その中でも、特に才能があり、今後、国内外で活躍が期待されるクリエーター、アーティストについては、戦略的に選抜し、公演の企画、制作から海外展開まで、複数年度にわたって支援することが重要と考えております。

 このため、令和五年度補正予算において、音楽や舞台芸術、伝統芸能、漫画、アニメ、現代アート等の分野における次代を担うクリエーター、アーティストの育成支援、その活躍、発信の場である文化施設の機能強化支援に弾力的かつ複数年度にわたって取り組むための基金、六十億円の基金を、令和五年度補正予算で独立行政法人日本芸術文化振興会に設置することとしたところでございます。

 この基金による支援を通じて、次代を担うクリエーター、アーティストの活動をしっかり後押しし、我が国の文化芸術の国際的なプレゼンスの向上、コンテンツ市場の拡大、海外との文化交流を通じた相互理解の促進につなげてまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 盛山大臣、ありがとうございます。まさに、これから日本が、ますますこの文化芸術というソフトパワーで日本のプレゼンスを世界の中で上げていく、そして、日本の成長に資する産業として、文化庁、文部科学省が牽引していくという大変心強い御答弁をいただきました。

 是非お願いさせていただきたいのは、例えば、コロナ禍において、アーティストの方や皆さんを守るためのアーツ・フォー・ザ・フューチャーといった支援がありましたが、このとき、取組としては大変すばらしい取組であったわけですが、一方で、例えば事務的な負担が非常に煩雑だったといった声もありました。

 今回は、特に才能のあるクリエーターやアーティストを選抜し、そして複数年度支援していくということですので、そういった事務手続等、また公募要件等は変わると思いますけれども、やはり日本が世界に誇るコンテンツを生み出すのは人でありますから、人への支援というのを中心的に行っていただきたいと思います。

 教育、科学技術、文化、スポーツなど文部科学省が所管する仕事というのは、今我々が生きる現代の日本人、そして、これから生まれてくる日本の子供たちが夢や希望を持ち、挑戦できる社会の実現に直結する大切な役割があると改めて感じております。

 前回、二年前、私はこの場で、引き続き共に頑張ってまいりましょうと言って締めさせていただきましたので、今日も、共に引き続き頑張ってまいりましょうと締めさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 本日は誠にありがとうございました。

井出主査 これにて山本左近君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後一時五分散会


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