衆議院

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第2号 令和7年2月28日(金曜日)

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令和七年二月二十八日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 高木  啓君

      山田 賢司君   佐々木ナオミ君

      波多野 翼君    藤岡たかお君

      早稲田ゆき君    大森江里子君

      山崎 正恭君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

   兼務 大空 幸星君 兼務 島田 智明君

   兼務 山本 大地君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   文部科学大臣政務官    赤松  健君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  藤岡たかお君     佐々木ナオミ君

  早稲田ゆき君     波多野 翼君

  大森江里子君     山崎 正恭君

  田村 貴昭君     辰巳孝太郎君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木ナオミ君    藤岡たかお君

  波多野 翼君     早稲田ゆき君

  山崎 正恭君     福重 隆浩君

  辰巳孝太郎君     本村 伸子君

  吉良 州司君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  福重 隆浩君     浜地 雅一君

  本村 伸子君     田村 貴昭君

  福島 伸享君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  浜地 雅一君     大森江里子君

  田村 貴昭君     堀川あきこ君

  北神 圭朗君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  堀川あきこ君     赤嶺 政賢君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     田村 貴昭君

同日

 第七分科員島田智明君、第八分科員大空幸星君及び山本大地君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

高木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎正恭君。

山崎(正)分科員 おはようございます。公明党の山崎正恭です。

 本日は、予算委員会の第四分科会で質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。

 また、大臣、夜遅くから朝早く、大変御苦労さまです。

 貴重なお時間ですので、早速質問の方に入りたいと思います。

 先日、二月二十五日に、公明党、自民党、維新の会による教育と社会保障の三党協議が合意に至りまして、私も教育者会議の方に実務者として参加させていただいていました。その中で、今後取り組んでいこうと合意された教育の無償化について、まず何点かお伺いしたいと思います。

 今回の教育の無償化の議論の中で、こういった議論がありました。高校への進学率が九九%の中、そもそも公立高校の定員だけではその受皿というかパイとして足りないので、私立を合わせて受皿、パイとなっているのだから、無償化すべきという議論がありました。

 私の地元高知県では、実は調べてみたんです。公立高校の定員充足率は、僕が自分で新聞で見て、合格した後の定員を見たら、大体六八%ぐらいだったように思います。私立高校への進学率は高知県は約三割ですので、そういう意味では、高知県は六八%の定員充足率で、三割いっているので、受皿、物理的パイが公立だけでもあるんですけれども、実際には、そういう状況だと、公立高校の定員はもうかなり充足されていない状況になっています。これを四国、私の四国比例ブロックで、ほかの三県で見ると、愛媛、香川、徳島は大体九〇%前後じゃないかなというふうな状況です。

 そこで、これから少子化が更に進んでいく中で、高知県もいろいろな議論があって、もっと定員を減らすべきだというふうにも言われていますが、今後の高校の定員の考え方について、私立と公立とを合わせた全体観の中で、文科省としてはどのように考えているのか、認識をお伺いします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 高校進学率が九九%になる中におきまして、公立と私立それぞれが公私間の協議の中で定員を決めている、これは各自治体によって異なっております。

 元々、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律第四条がございます。その規定では、「都道府県は、高等学校の教育の普及及び機会均等を図るため、その区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならない。」と。これは、小学校、中学校は就学義務がありますから、市町村に設置の義務を課していますけれども、高等学校の場合は、都道府県教育委員会が、まさに高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければいけないという努力義務が課されているわけでございます。「この場合において、都道府県は、その区域内の私立の高等学校並びに公立及び私立の中等教育学校の配置状況を充分に考慮しなければならない。」という規定になってございます。

 公立高校につきましては、今申し上げました規定に基づきまして、例えば地理的な状況、あるいは生徒の学習の状況、あるいは地域における人材育成の状況などを俯瞰して、定員割れの場合においても、教育委員会等において検討の上、配置をする必要があると判断される場合があろうかと思ってございます。一方で、私立高校につきましては、その建学の精神に基づき、特色ある豊かな教育を提供するという役割を担っているところでございます。

 自治体によってそれぞれ状況は違いますけれども、公私間の学校数、生徒数、そしてその割合、つまり定員につきましては、各都道府県におきまして、公私間での協議等も行いながら、その状況に応じまして、地域の状況に応じまして、適切な配置及び規模を検討いただくことになろうかと思っております。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 だから、法律では、配置とか規模の適正化とかの努力義務が都道府県にかかっているということと、地理的な状況や学習ニーズや地域における人材育成も非常に大事だと思いますので、そういった観点から、定員割れの場合なんかでも、教育委員会の中で検討していくことだと思うんです。

 公私間の協議も含めて、しっかりと適切な規模、配置、なかなか難しい問題であると思うんですけれども、多様なそういう学びの機会が設置されていくということと定員のバランスを考えながら、是非今後も取り組んでいただけたらと思います。

 次に、今回の三党協議で、令和七年度からは所得制限を撤廃して、今、九百十万の中で年間十一万九千円が支援されていると思うんですけれども、それの所得制限を撤廃していったり、令和八年度からは、同じく所得制限を撤廃しながら、私立加算を現在の三十九万六千円からどこまで上げていくかということの議論がこれから始まっていくというふうに承知しています。

 このことにつきまして、今のところ、若い世代の方は割と喜んでいまして、私立が無償化されるのはありがたいというふうな御意見がある一方で、公立の支援はどうなるんだという、僕は元々公立の中学校の教員なので、すごく言われます。公立はいいのか、私立は元々選んで行っているのに全額無償化する必要があるのかというふうに厳しく詰め寄られる場合もあります。

 私たち公明党としては、長年、教育的な理由によって子供たちが行きたい進路を諦めることがあってはならない、こういった理論の下で取り組んでまいりました。今回の教育の無償化の議論を受けて、どうしても公立高校が衰退していくのではないかという心配の声が多く上がっています。

 そんな中、総理からは、私がこの間、予算委員会で質問に立たせてもらったときには、農業高校や水産高校、林業高校等の専門学校の振興に力を入れていくとの答弁がありました。それはそれで本当に大変ありがたいことで、重要なことでありますけれども、ただ、これも言われるんですけれども、では、普通科は私立で、専門高校は公立へというふうなことなのかというふうに捉えている方もおいででした。

 もちろんそういうことではないと思っているんですけれども、そういった誤ったメッセージにならないことを、心配しているんですけれども、教育の無償化を今後進めていく中で、公立の普通科高校の支援についてはどのように考えているのか、お伺いします。

金城大臣政務官 山崎先生にお答えいたします。

 公立高校は、高校教育の普及及び機会均等を図るとともに、地域人材を育成する、そういった重要な役割を担っていると認識しております。

 また、現在、高校生の約七割が普通科に在籍しているというところでありまして、普通科を含む全ての高等学校において、生徒や地域の実情に応じた特色化、魅力化、これが進められ、生徒の学習意欲や興味、関心を喚起する教育が実現されることが重要であると考えております。

 このために、文部科学省といたしましては、例えば、各高校における社会的役割を踏まえた特色、魅力ある教育活動指針の策定の義務づけ、また、学習指導要領が目指す主体的、対話的で深い学びの実現、また、地域社会や学際領域に関する学科等を設置可能とする普通科改革などに取り組んでいるところでございます。

 今後は、さらに、今回の自民党、公明党、日本維新の会による三党の合意内容に沿って、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保など、様々な論点について十分な検討を行った上で、必要な取組を速やかに進めてまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 普通科もしっかり応援していくということだったと思いますので、そうやって応えていきたいと思いますので、どうか普通科への支援もよろしくお願いいたします。

 次に、私の地元高知県では、今後の県立高校の在り方の指針となる県立高校振興再編計画を立てて、分校を含めた全三十三校を各地域で果たすべき役割ごとに五つのグループに分けています。高知市や南国市などの中心部の学校、地域の拠点校、中山間等の小規模校、商業、農業、工業、海洋などの産業系の学校、定時制、通信高校に分けています。そして、高校改革と魅力化と称して今回の予算案に事業費二億三千百万を盛り込んで、中山間地域の小規模校十三校を中心に、各学校と地元自治体が連携し、地元の子供たちに選ばれる学校を目指して取組を開始するというふうに、今取組を進めようとしています。

 こういった取組の全国的な現状をお伺いします。

金城大臣政務官 ありがとうございます。

 ただいま山崎委員の方から、中山間地域の小規模校を中心に、地元自治体が連携を図りながら高校の魅力化に取り組んでいるというような事例について御紹介をいただきました。ありがとうございます。

 文部科学省といたしましても、いずれの高校においても、一つの学校だけでなく、様々な関係者と連携をしながら、高校教育の充実に取り組んでいくことは非常に重要だと考えています。今月取りまとめられました、中央教育審議会の高等学校教育の在り方ワーキング審議まとめにおきましても、小規模校の教育条件の改善や全ての生徒の学びの充実に向けて、学校と地域社会の連携、協働の推進、そして、産業界等と専門高校の連携、協働の強化などに取り組んでいくことが必要と示されたところであります。

 御紹介いただきました高知県と同様の取組につきましては、例えば、島根県におきましては県立高校魅力化ビジョン、これを策定しまして、各学校において、地域との協働による魅力ある高校と地域づくりや、生徒自らが選び、学び、夢をかなえる高校づくりなどに取り組んでいると承知しているところでございます。高校の魅力化の取組が地方創生にも貢献していると認識しております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、地域の実情に応じた高等学校の特色化、魅力化に資する取組を進めてまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 実は、三党協議の中でもずっと議論されてきたのが、単に無償化するだけでなくて、やはり大切なのは教育の質を上げていくことだということです。やはり、先ほど言った島根のビジョンの中にもありましたけれども、地域と一緒になって、地域の魅力や自分たちの学校の魅力づくりをしていくことであるとか、生徒自らが選び、学び、夢をかなえる学校づくりというのは、まさに教育の質に関係するところだと思いますので、こういったものをしっかりとこれからも展開していっていただきたいなと思います。

 また、この事業には、総理の肝煎りで倍増される新しい地方創生交付金を一部使って行われる予定になっています。こういった取組は、子供の成長、そして教員も地域と一緒になって考えていきますので、教員の能力の伸長にもつながり、先ほども申しましたように、教育の質の向上につながる重要な取組であるというふうに思いますし、やはり地方に活力を生む、地方に高校があって、そこで高校生が躍動して地域の中で生きていく、何より皆さん方が元気になる取組であります。

 そこで、教育の無償化を行うに当たり議論された公立高校への支援、教育の質の向上に対して、こういった事業をしっかり財政的に支援していくということは非常に重要であると思いますが、大臣の認識をお伺いいたします。

あべ国務大臣 山崎委員にお答えさせていただきます。

 高校の特色化、魅力化を進めるに当たりましては、一つの学校だけではなく、また、様々な関係者と連携をしながら高校教育の充実に取り組んでいくことが、地域にとっても、日本全体にとってもまさに重要だというふうに考えています。

 このため、文部科学省といたしましては、高校改革推進事業を通じまして、地域、関係機関との連携協力体制の整備、DXハイスクール事業の推進、また、地方創生二・〇に向けまして、委員御指摘の新しい地方創生交付金を活用させていただいた専門高校を拠点とする地方創生支援、地域人材育成など、普通科、専門学科、総合学科といった学科の別にかかわらず、教育の充実に取り組んでいるところでございます。

 今後は、さらに、今回の自民党、公明党、日本維新の会による三党の合意内容に沿いまして、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保など様々な論点につきまして、十分な検討を行った上で、必要な取組を速やかに進めてまいります。

山崎(正)分科員 これは公立、私立に関係なく、やはり高校と地域が一緒に取り組んでいくというのが非常に重要だと思いますので、是非お願いいたします。

 次の大きな質問に行きたいと思います。中学校の部活動の地域展開についてお伺いします。

 今、文科省、スポーツ庁さんが中心となって、そして県や区市町村も一緒になって、教育委員会も一緒になって、頑張ってこれを推進していまして、部活動の地域移行から、今、地域展開となったんですけれども、私どもの地元でも進み始めました。私も地元で、今まさに一人の地元の人間として取り組んでいます。

 私は、小さいときからずっと野球をやってまいりました。私が出た地元の中学の野球部は、もうここ十年ぐらい、単独でチームを組めなくなってきました。三学年そろっているときはいいんですけれども、三年生が八月に引退すると、チームが組めなくて、近隣の様々な学校と合同チームを組んできました。

 そこで、地元の野球がしたいという子供たちのために、これからも野球を続けていける環境をつくっていこうと、学校関係者、そして地域の少年野球の指導者、私は地域の体育会に入っているんですけれども、体育会の関係者として、官民が一体となって協議会を設置しまして、地域野球クラブチームの設立に向けて、何度も協議を重ねてきました。

 最初は、現在、中学校の部活動として合同チームを二つの中学校区で組んでいますので、その二つの中学校区をイメージしていたんですけれども、実は、協議会の中で少年野球の指導者の方がデータを示してくれまして、それよりも大きな四中学校区のグループが少年野球の支部の単位なんですけれども、そこで小学生が一年生から六年生まで何人野球をやっているかというデータを示してくれると、どうも、我々が想定していた二つでクラブチームを組んでも、すぐに厳しい状況になって、存続が不可能だろう。やはり先々見ていくと、四中学校区、少年野球の支部単位でやっていくのがふさわしいのではないかということが協議の中で練られまして、今進めておるところでございます。

 この議論の中で一番難しかったのが、こういった話をすると、もし地域野球クラブチームが立ち上がったら、手伝いに行くよといって、要は指導も含めて手伝ってあげるよという人はたくさんいたんですけれども、じゃ、いざ誰が中心となって運営するのか、誰が中心となって指導をするのか、ここがなかなか難しくて、これがいなかったんです。全国的にも先進事例がありませんので、無理もないところでございました。

 そんな中で、私とともに、地元の出身者で、今地元に住んでいる、地元の野球部出身者でNPO法人を運営しているある方が、子供たちの挑戦と未来を地域全体で支えていきたいということで、チームの運営及び指導を引き受けてくださいまして、この度、地域クラブチーム、S・T・ライズというチームが今回設立されました。このチームを設立するに当たり、私たちがこだわったことは、時代の大きな変換点に差しかかった、ちょうどここに当たった子供たちなんですけれども、できる限り今の状態に近い環境で野球を続けさせてあげたい。

 具体的には二点。一つは、平日も含めて、できるだけ近い範囲、今の中学校区で練習ができたらいいなというのが一点と、もう一つは、経済的にも負担が大きくならないように、今までの部費の範囲で何とかやらせたいなというふうなことで、様々考えていったところでございます。

 そういったことも含めて、それは一例でありますけれども、今、高知県なども含めて、それぞれの地域で、子供たちのためにやってあげよう、クラブチームを立ち上げようという動きが活発になってまいりました。その中で、私が皆さんからふだん聞かれることや相談を受けることを中心に、何点かお伺いします。

 まず一点目が、地域展開が進んでいった場合、子供たちの受皿としてクラブチームが立ち上がった場合の活動場所について、中学校の施設を使用できるのかどうか、お伺いします。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 部活動の地域展開により実施される地域クラブ活動の活動場所として、生徒の移動の利便性等を考えますと、既存の学校施設を活用することは重要でございます。今後、地域展開が更に進み、多様な活動が地域クラブ活動として広がっていくということに対応するためにも、学校施設の更なる活用が必要だと考えてございます。

 令和五年度の地域クラブ活動への移行に向けた実証事業におきまして、約八割の地域クラブ活動で学校施設を活用しているとともに、地方公共団体の取組として、例えば、地域クラブ活動に対して施設の優先利用を認めている場合や、施設利用料の減免等が行われてございます。

 現行のガイドラインにおきましても、地域クラブ活動の活動場所として学校施設等を活用する旨を示してございまして、文部科学省といたしましては、引き続き、実証事業において学校施設等の活用に向けた取組を進めるとともに、地域クラブ活動における学校施設の活用事例の周知を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 これは最初の議論で、スポーツ議連でも出たんですけれども、諸外国の中で日本ほど運動施設で学校施設が充実しているところはない、そういったことも聞いておりますし、実証事業で、約八割の地域クラブが中学施設を利用というふうに今お伺いしました。

 やはり大事なのは、使えるのはあれなんですけれども、費用なんです。先ほど言ったNPO法人さんも、子供たちの経費を抑えるとしたならば、なかなか大変なので、我々としても、そういった趣旨に賛同して寄附で応援していただこうという人たちを何とか集めていこうとも思っていますけれども、ゼロから立ち上げる段階において、非常にその費用が要ります。

 本来、今まで学校が行っていた部活動を地域でやってくれようとしておるわけですから、なかなかスポーツ庁の立場からは言えないというのはよく分かった上なんですけれども、やはり現場レベルでいったら、減免等の措置が行われてしかるべきではないかなというふうに思います。

 強制的には言えないと思いますけれども、やはり中学校の施設を使うこととともに、減免等も行いながら、子供たちのために立ち上げてくださった地域クラブの皆さん方がしっかりと運営できるような体制の環境整備には努めていっていただきたいというふうに思います。

 次に、地域展開が進んでいった場合、これは同じように、用具をどうするのかということについても度々御質問を受けます。もちろんケース・バイ・ケースであると思うんですけれども、用具について、今まで使っていた部活動のものをどうしていくのか。この考え方についてお伺いします。

寺門政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域クラブ活動の実施主体や生徒の御負担を考えますと、学校施設等の活動場所における用具を活用していくということは重要だと認識をしてございます。

 その際には、用具が破損した等の場合の対応ですとか責任の所在等をあらかじめ地方公共団体において整理しておくことが必要だろうと存じます。文部科学省の有識者会議におきましても、取組の方向性として、学校備品等の活用に関する規定を地方公共団体において整備することが御議論されてございます。

 文部科学省といたしましては、この会議の議論も踏まえながら、学校備品の活用を含め、地域クラブ活動に必要な用具の確保に向けた更なる検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

山崎(正)分科員 今お答えがあったように、やはり破損の場合の責任の所在等が大事だと思いますので、是非、規定を作っていただけたらと思います。

 もちろんケース・バイ・ケースだと思うんですけれども、先ほどのチームなんかの場合は、多くの子供たちがそのままクラブチームに移りますので、恐らく学校や保護者の皆さんも、そのまま使っていただきたいというような話になると思うんですけれども、あくまでケース・バイ・ケースですので、できるだけ、そこも費用がかさんでいくところですので、それぞれで柔軟な運営がなされたらいいなと思います。

 次に、これも最近増えてきたんですけれども、地域展開が進んでいった場合に、子供たちは中学校の部活からクラブチームに移ることになりますが、この場合に、クラブチームでの成績等が、部活動のときと同じように、高校受験の際のいわゆる内申書、報告書に反映されるのかという生徒や保護者からの心配の声が上がってきておりますが、文科省の認識をお伺いします。

望月政府参考人 高等学校の入学者選抜につきましては、都道府県教育委員会が、基本的に、学力検査、そして調査書その他資料、面接で行っているのが通常でございます。

 部活動の成績やその努力の成果につきましては、これまで、多くの自治体で調査書に記載をされていたところでございます。

 その上で、地域クラブ活動につきましても、部活動が担ってきた教育的意義を継承、発展させた活動であるという観点から、文部科学省では、令和四年十二月に、地域クラブ活動等の成果につきまして調査書に記載する際には、活動歴等のみではなくて、活動から分かる生徒の長所等に言及するなど、記載を工夫することが望ましいこと、また、調査書に限らず、生徒による自己評価資料、あるいは面接や小論文等の方法を用いて多面的に評価をするといったことを都道府県教育委員会等に通知をしているところでございます。

 地域クラブ活動を含めた課外活動につきまして、受験生への面接での評価等の実施も検討している事例も多くございまして、引き続き、こうした通知の趣旨、あるいは多面的な評価の観点から、多様な取組事例についても周知をしてまいりたいと考えてございます。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 私もたくさん報告書を書いてきたんですけれども、多くの先生方が子供たちのいい部分を見て今書いてもらっていると思うんですけれども、大事なことは、要は、令和四年十二月の文科省からの通知でそういったこともお願いしたということの確認が今日はできたというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、地域展開の受け手として有力な候補の一つが、小学生のクラブチームがそのまま中学生まで面倒を見てもらう、そういうふうなことが考えられるわけですけれども、その指導者から聞かれる声が、もちろんやらせ過ぎがいけないんですけれども、どこがネックになっているかというと、実は今、ガイドラインにある週十一時間という時間制限について、それでは少な過ぎるという声が上がってきています。

 今後、地域展開が進んでいった場合、平日よりも週末に活動時間のウェートが置かれるようになると思うんですけれども、このままのガイドラインでいくと、今ある平日は一日どこか休んで二時間程度、週末は土日どっちか休んで三時間程度、それを足したら十一時間になるんですけれども、それでは少な過ぎるというふうな声も上がっておるところでございます。

 この十一時間について、どういった根拠でこの十一時間が設定されているのか、これについて、やはり弾力的な運用ができないのかということについて認識をお伺いいたします。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 委員御高承のとおりでございますけれども、そもそも現行のガイドラインにおきましては、スポーツ医科学の観点から、ジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究等を踏まえまして、生徒が健康な生活を送れるよう休養日等を設定するなどを示しているところでございます。

 今後、これも御指摘のとおり、休日を中心に様々な地域クラブ活動が普及していくということが見込まれる中にありまして、私どもといたしましては、運動の強度等に応じまして生徒の健康に配慮した活動がなされるよう、今後の地域展開の状況や有識者会議の議論等を踏まえまして、休養日や活動時間等の在り方について更に検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 先ほども言いましたけれども、なかなか我々も、協議の中で、みんなもう長く部活動に慣れているので頭の切替えがいかないですけれども、これから、恐らく平日というのは、本当に移っていったら、例えば硬式野球なんかは、昔から首都圏とか大阪ではクラブチームなんですけれども、大体平日一日、週末二日やっているところがほとんどなので、そういう展開をしていきます。

 そうした場合に、やはり柔軟な運用が、やらせ過ぎはもちろん駄目ですけれども、そうなった場合は、今の部活動よりもずっと活動時間は減るんです。子供への体の負担は小さい、だから十一時間は科学的根拠で出てきているので譲れないというのは分かるんですけれども、もう一方で、現場で言われているのは、我々高知県でいうと、昨年、桜井つぐみさんとか清岡幸大郎君がレスリングで金メダルを取りました。じゃ、この子たちが本当に、ジュニアのときから積み重ねていくときに、今のガイドラインの規定の中で十一時間でいけたかといったら、それは難しかったんじゃないかなというふうに思います。

 十分けがをしないように将来のことを考えながらも、十一時間内では収まらない、現にナショナルオリンピックセンターなんかでやっている子供さんもいますよね。そことの整合性はどうなんだということも聞かれるわけですよ。

 だから、十一時間を外す必要はないですけれども、やはり将来そういった子供たちもそういう地域クラブの中から生まれるかもしれないと考えた場合には、十一時間から一定柔軟性を持たせたガイドラインの設定等も今後は十分に考えていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんけれども、最後になります。

 地域展開が進んでいく中で、今までの習い事のようにクラブチームも分かれていくんじゃないかなというふうに、今高知でも、脱サラをして、例えば、私はしっかりと陸上なんかで世界を狙える子供たちをつくっていくんだということで、その方なんかは、高い月謝を取ってそういったチャンピオンスポーツを目指すというふうなところがあります。

 ただ、多くの地域クラブは、先ほど言ったように、地域の今までの部活動の受皿として、できるだけ地域の子供たちのためにやってあげたいというふうな、そういったクラブチームになってくると思うんです。

 そうやって地域性や経済的な負担を考えた場合には、できたら後者の方は、地域の認定クラブみたいな形で認定してあげて、先ほど言った活動場所等もできるだけ優先してあげる等の、そういったクラブチームの認定か何かも必要ではないかなと思いますが、最後、よろしくお願いいたします。

寺門政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域クラブ活動につきましては多様な形態があり得るところ、有識者会議の中間取りまとめでは、民間のクラブチーム等との区別や質の担保等の観点から、地域クラブ活動の定義、要件や、認定方法等の必要性が示されてございます。

 文部科学省といたしましては、この会議の議論や、既に一部の地方公共団体で実施されている事例等も踏まえまして、今後、地域クラブ活動の認定に関わる新たな仕組みについて検討してまいりたいと存じます。

山崎(正)分科員 是非、その認定のところも考えていただきながら、もう一つは、やはりそこに、全て無償ボランティアでお願いしていくかという観点もかなり言われますので、その辺の支援的なところも、例えば認定しているところには支援していくというふうなことも今後必要ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

 以上で質問を終わりたいと思います。

高木主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次に、大空幸星君。

大空分科員 自由民主党の大空幸星です。

 冒頭、大臣には質問通告しておりませんので、こちらで御退席をいただいて結構でございます。

高木主査 あべ大臣、どうぞ御退席ください。

大空分科員 本日は、主に留学支援、そして学生相談等についてお伺いをしたいと思っております。

 この質問の趣旨は、何も外国人留学生の受入れをやめるべきだとか、そういった議論をしようとしているのではありません。これは、状況がどんどん変わっていく中にあって、より日本人が留学をしやすいような環境をつくっていくためにはどうすればいいのか。プラスの話であるということを冒頭申し上げておきたいと思っております。

 まず初めに、ちょっと質問の順番が前後して大変申し訳ございませんけれども、外国人の留学生の受入れのための制度、そしてその予算総額についてお聞かせください。

伊藤政府参考人 お尋ねをいただきました大学における外国人留学生受入れのための奨学金制度とその予算額でございますが、文部科学省では、外国人留学生を対象といたしました奨学金制度として、国費外国人留学生制度、留学生受入れ促進プログラム、高度外国人育成課程履修支援制度及び海外留学支援制度等の各制度を設けてございます。

 これらの制度に関し、令和七年度予算案におきましては、国際交流、友好親善の促進や我が国の大学等の国際化の進展を目的とした諸外国の優秀な人材を我が国の大学等に受け入れ、奨学金等を支給する国費外国人留学生制度に百七十六億円を始め、全体で約二百三十三億円を計上しているところでございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 最も予算総額が大きいのは国費外国人留学生制度、これが百七十六億円ということであります。この国費外国人留学生制度、始まったのは昭和二十九年ということでありまして、この間、七十一年間、百七十か国から十二万人の外国人留学生を受け入れてきた。当然その中には、首相になられたりとか国会議員になられたりとか、外国において指導的立場にある元日本の外国人の国費留学生というのも一定数いらっしゃる。知的国際貢献ということで、この七十一年間、我が国が国際社会に対して国際貢献をしていったということの評価は当然でき得るんだろうと思います。

 一方で、この国費外国人留学生制度、当時の文部大臣の裁定によって始まったということでありますが、昭和二十九年というのは、神武景気が始まった最初の年であります。そこから一九七三年まで、世界に例を見ないほどの経済成長をしてきた。そのときの日本の状況と、今の我が国の置かれている状況というのはやはり少し違うんだろうと思うんですね。

 経済がどんどん成長していって、そして外国、特にアジア諸国から将来の指導的立場になる方をどんどん受け入れていって、日本のことをよく知っていただく。また母国に戻って、これは政治、行政だけではなくて、民間の企業の分野におきましても、ある種のリーダー層となっていただいた。非常に重要だと思っておりますが、今、どんどんどんどん、残念ながら、我が国の経済成長が諸外国に比べまして低下をしてきた中にあって、必要なのは、やはり我が国の優秀な人材を含めて、意欲のある日本人の皆さんが行きたいと思ったら海外に留学ができるんだ、そういった状況をつくっていくことではないかなというふうなことも考えております。

 当然、政府としても、二〇三三年までに五十万人という目標が今まさに掲げられているところでありますけれども、特に日本人が海外に留学をしたいと思ったときに政府として用意をしている制度の主たるものとして、海外留学支援制度というものがあろうかと思っております。

 この海外留学支援制度、今、令和七年度の予算としては九十六億円ということで、前年度から七億円増えていると思っております。この海外留学支援制度、増加分につきましては日本人に対して充てられているということでございますが、ただ、この海外留学支援制度、まだまだ、国費外国人留学生制度と比べまして、非常に不十分な内容もあろうかと思っております。

 まず、この海外留学支援制度、今回予算を拡充された目的についてお聞かせいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今委員御指摘いただきましたとおり、日本人の海外への留学を促進していくということは、我が国の成長と高等教育の国際競争力、また通用性向上のため、大変重要でございます。未来を担うグローバル人材を育成するために日本人学生の海外留学を促進することで、大学等での多様性、また流動性を高めることにもつながるというふうに考えてございます。

 令和七年度予算案では、昨今の物価高騰等を踏まえた日本人の海外留学に係る奨学金単価の改定を行うために、海外留学支援制度のうち日本人の留学に関する部分について、対前年度で七億円増の七十九億円を計上しているところでございまして、これにより日本人学生の負担軽減を図ることとしてございます。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じまして、引き続き、意欲と能力のある日本人学生の海外留学の促進に努めてまいりたいと考えております。

大空分科員 ありがとうございます。

 海外留学支援制度、特に学位取得型については、これは国費留学生ということに実質的になるんだろうと思います。日本政府がお金を出して、海外の大学で学んできてください、まさに国費留学生でありますけれども、今回の予算拡充において、この学位取得型、学部、大学院合わせて七百四十八人ということですから、前年度六百六十三人から八十五人増やしていただいている。大変大きなことだと思っておりますけれども、国費外国人留学生制度と比べまして、まだ千人にも達していないというのは、やはりこれは数字の開きが非常に大きいんじゃないかと思っております。

 また、今回予算を拡充しておりますけれども、同時に削られた部分というのもあるんだろうと思っております。特に、海外留学支援制度の学位取得型、臨時渡航支援金というものが一万円ということで、削られている。この臨時渡航支援金、まさに先ほどおっしゃっていただいた物価の高騰、燃料費の高騰等もある中で、航空券の価格がどんどん高くなっていっているという中にあってもこの臨時渡航支援金が削られた背景について、是非教えてください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、海外留学支援制度の学位取得型におきます臨時の渡航支援金でございます。こちらは、御指摘いただきましたとおり、減額という形にはなっておるんですけれども、今回、奨学金単価全体の改定に当たりまして、これまで臨時的な措置として給付をしてきました渡航支援金を、恒久的な奨学金月額へ振り替えるというような措置を行いました。

 これらを含め、全体として支援額の引上げを行いまして、学生への給付額が増額するよう支援を拡充したところでございますので、予算費目の中での振り分けではございますが、むしろ全体としては増額をさせていただいたということでございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 恒久的な奨学金月額を上げていく、ベースをしっかりと確保していくということも非常に重要でありまして、実際に、令和六年度以降の採用者の方につきましては、最大月額三十五・二万円支給をされている。やはりアメリカやヨーロッパ、物価も非常に高い国では三十五万円では残念ながら学べないというような状況もあろうかと思いますが、非常に重要だったと思う。

 ただ、この渡航支援金、一万円といっても、一万円では新幹線にも乗れないわけでありまして、この一万円を削って月額の奨学金の方を増やしていく、このやりくりが非常に正しいかどうかというのは、これは少し冷静に見ていかなくてはいけないんだろうと思っております。

 といいますのも、先ほど御紹介をした国費外国人留学生制度につきましては、招致と帰国の費用において、最寄りの国際空港からの下級航空券の最低額を支給をしていくというようなことも書いてある。

 この下級航空券、額の定めというのはあるんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国費外国人留学生として採用されました外国人留学生については、日本に渡日する際の旅費及び日本での留学を修了し帰国する際の旅費を支給しているところでございます。

 この旅費につきましては、留学生の国籍国における渡日前の住所の最寄りの国際空港から受入れ大学が通常の経路で使用する日本国内の国際空港の間で最も経済的な経路を指定をし、この間の下級航空賃、いわゆるエコノミークラスの料金の額につきまして、予算の範囲内で支給することと定めてございます。

 実際には、それぞれ旅行代金、チケットを手配をして、最も安いチケットを手配したものをお渡しをするような形で、必要最小限のものをお渡しをしているということでございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 ということは、実質的には、これは実費で支給をしているということでよろしいんでしょうか。

伊藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 国費外国人留学生制度は、先ほど御説明をいただいたように、帰国をするときも含めて、行くときとそして帰るときと、実費で航空券がある種支給をされているわけであります。ということは、今、航空券代が高くなっているといっても、これは国費外国人留学生の方については実費で支給をされる。

 一方で、日本人のある種の実質的な国費留学生でもあります海外留学支援制度における協定派遣型、これは一年以内の短期のプログラムでありますけれども、こちらは家計基準による渡航支援金が十六万円。そして、学位取得型については、先ほど申し上げたとおり、渡航支援金が一万円ということになっている。そして、これは渡航支援金でありますから、帰ってくるときというのは、当然ここには含まれないわけであります。

 やはり日本人の皆さんが海外に、そして、しかもある種の国費で留学をしていただくときに、外国人留学生については一方で下級航空券を支給し、日本人の留学生については渡航支援金、臨時で一万円でというのは、私は、これは国民の皆さんの御理解もなかなかいただけないんじゃないか。

 また同時に、こういった取組というのは、当然、今世界で優秀人材の競争が起こっている中で、我が国として優秀人材をしっかり獲得をしていくという観点も重要ではありますが、やはり経済格差、非常に経済的に裕福な御家庭の学生さんだけが海外に留学をできてという状況というのは好ましくないんだろうと思っております。

 この渡航支援金一万円という状況では、残念ながら、経済的に余裕のある学生さん、ないしはその御家庭の学生さんが渡航をしやすいという仕組みと捉えざるを得ないわけでありまして、この予算、非常に財政的にも厳しい中で、どの項目を削ってどこに乗せていくのか、様々な調整をしていただいたんだろうと思っておりますが、やはり削ってはならない部分というのもありますし、同時に、これは不断の見直しというのもまた必要なのではないかと思っておりますので、しっかりと、与党の立場におきましても、皆さんと一緒に議論を進めさせていただきたいと思っております。

 次いで、教育費について是非お聞かせをいただきたい。

 国費外国人留学生制度の教育費、これは何か額の定め等があるんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国費外国人留学生のうち大使館推薦で採用されました国費外国人留学生については、国が教育に必要な経費を負担することとしてございまして、当該学生を受け入れている公私立大学等に対し教育費を支払っているところでございます。

 この教育費につきましては、授業料、入学料等の各大学が教育に必要な経費とし、学則等に定める経費及びその金額について、予算の範囲内で支払うこととしてございます。

大空分科員 ありがとうございます。

 大使館推薦の教育費については、実質的には留学生の方が負担をすることはないということだろうと思っております。特に額の定めがないわけであります。

 一方で、繰り返しになりますが、日本人の海外留学支援制度のうち学位取得型については、最大二百五十万円の授業料の支給。上限、てっぺんがこっちは決まっているわけですね。特に海外の大学においては、学費は非常に高い。複数の給付型の奨学金や貸与の奨学金を組み合わせて何とかやりくりをしているという留学生も非常に多くなっている。理系の学生さんについては更に様々な経費もかかってくるということで、こちらはてっぺんがあって、国費の外国人留学生制度というのは額の定めが具体的にはないというのも、やはりこの差をどう埋めていくかという話だろうと思うんですね。

 冒頭申し上げましたとおり、じゃ、国費外国人留学生制度の授業料なんかをもっと負担してもらおうかとか、そういう議論をしているわけではなくて、やはりそこをある種のスタンダードにして、日本人の国費の留学生の皆さんについてもそこのスタンダード、基準に、授業料についても、そして渡航支援金についても合わせていくんだということも含めた今後の議論が必要ではないかというふうに思っております。

 これまでのお話というのは主に大学生に向けてでございましたけれども、ここからは高校生の留学支援についてお伺いをしたいと思っております。

 まず、高校生の留学支援制度の意義、そして目的についてお聞かせをいただけますでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 意義、目的についてのお尋ねがございました。

 これからの時代を生きる子供たちがグローバルに活躍していくためにも、高校生の段階から海外留学などの国際的な交流活動を経験する、こういったことは大変意義深いものと認識しています。

 このため、文科省では海外留学を支援する事業を行っているところでございます。この国費高校生留学促進事業におきましては、異文化体験や同世代の外国人との総合コミュニケーション、あるいは学校教育における国際交流等を通じまして多様な価値観に触れる機会を確保する、こういったことを目的としているものでございます。

 子供たちに国際的な視野を持たせるとともに、自らが主体的に行動できるようなグローバル人材の育成を目的としており、今後、こういった取組などを通じまして子供たちの留学を後押ししてまいりたいと思います。

大空分科員 ありがとうございます。

 この国費高校生留学促進事業、これは今、事業規模が一千七百人、一人六万円の支給、かつ、支援対象というのは原則十日以上一か月未満ということで、短期の留学ということになっております。

 実は、私も、高校生のとき一年間ニュージーランドに留学をいたしました。これは学校が用意をした、ある種の交換留学のようなプログラムでございまして、現地での高校で取得をした単位というのを日本の高校の単位に置き換えることによって、日本の高校を三年間で卒業をできるという制度でした。

 やはり、もちろん短期で、多くの皆さんにまずは広く海外を知っていただくというのも重要だろうと思いますけれども、一か月間で学べることと一年で学べること、これは当然大きな乖離があるわけであります。私は、高校生ほど、是非海外に行く機会というのを増やさなければならないんじゃないかというふうに思っております。

 やはり、大学生になって、もちろん国費留学生以外の留学生もたくさん大学等にはいるわけでありまして、多くの皆さんと触れ合う機会があるかもしれない。また、当然、大学に進学をされない高校生の方もたくさんいらっしゃる。そういった皆さんも、社会に出たときに、じゃ、日本の中でずっと過ごしていて、日本企業で、なかなか外国の皆さんと国際的に触れ合う機会も少ない方もいらっしゃるかもしれない。

 高校生のときに国際経験を持っていただくということが非常に人材育成の観点からも重要だというふうに思っておりますけれども、やはりこの事業規模、そして支援金額というのが、残念ながら、これはまだまだ我々がしっかり頑張って拡充をしていかなくてはいけないと思っております。

 かつ、この国費高校生留学促進事業、やはりこれは派遣をされるに当たって様々な要件があるというふうにも伺っております。例えば成績の要件です。

 私がニュージーランドに留学をしていて非常に驚いたのは、現地には日本の高校というのをドロップアウトされた方がたくさんいたんですね。例えば不登校を経験をされたりだとか、様々な事情で学校に通えなくなって、そして、親御さんが現地の高校に留学をさせていくということがありました。みんな生き生きしているわけですよ。全く日本と状況が違う。当然、海外で生活をする、海外の高校に短期間ないしは長期間通うに当たって様々な課題や困難もあろうかと思いますが、そういったものを一つ一つ乗り越えていくんだと。環境を変えるというのは、私は、不登校であるとか様々な悩みや不安を抱える方にとっては、実は一番重要な要素の一つなのではないかということを、自分自身の体験も含めて思っております。

 ただし、このように成績要件があるとなると、不登校で学校を休んでおられるお子さんというのはもう真っ先にその対象からは除外をされかねないわけでありまして、やはりこの国費高校生留学促進事業、これは国がしっかり予算を取って、多くの高校生の皆さんに海外を、しかも短期のことでありますから、まずは体験をしてみてくださいというような趣旨で派遣をしているわけですから。

 この成績要件なんかの見直しも含めて、不登校や悩みを、困難を抱える高校生の皆さんが、国費高校生留学生制度を含めた海外経験、触れるということの意義ないしは受け止め等について、お聞かせをいただけますでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました国費の話、この事業と並行する形で、実は官民協働の海外留学支援制度、いわゆる「トビタテ!留学JAPAN」がございます。これにおきましては、成績や語学力、こういったものを不問といたしまして、意欲ある留学計画を支援しているところで、二〇二三年度からの五年間で四千人の高校生を派遣することとしております。

 実際に、今お話がありました、不登校の経験のある生徒が留学をしたことによりまして将来への志を抱くなどの事例も聞いており、留学が大きな影響を与えるものと考えております。

 実際、先般、この「トビタテ!」の子供たちの報告会がございまして、そこで芸能人の「キンタロー。」さんが来てお話をしてくださいました。その中にも、今御指摘のありましたように、学校における悩みというのが、留学によって非常に解消されたというか、いかに小さい悩みだったかということに気づかされたなどの話をいただいて、非常に感銘を受けたところでございます。

 いずれにいたしましても、子供たちが多様な価値観に触れる機会というものを確保することは極めて重要と考えています。今後とも、高校生の海外留学を促進してまいりたいと思います。

大空分科員 ありがとうございます。

 もちろん、悩みというのは主観でありますから、そんな環境を変えたぐらいでは変わらないんだというお声もたくさんあると思いますし、現実的にそんな簡単な問題ではないと思うんですが、重要なのはやはり選択肢を増やしていくということでありまして、望めば環境を変えることもできる、そのある種の安心感というのが悩みや不安の軽減につながるという側面もあると思いますから、「トビタテ!」の活用も含めまして、是非とも、多くの高校生が海外に触れる機会というのを引き続きつくってまいりたいというふうにも思っております。

 続いて、学生相談の支援体制についてお伺いをさせていただきます。

 今、児童生徒の自殺については五百二十七人と、昨年、過去最多を更新をしてしまいました。一方で、学生の自殺者数については、令和六年の数字になりますけれども、これは四百三十二人ということで、コロナ禍でやはり増加のトレンドにはあるわけですけれども、かつては五百人台の頃もございましたので、そこと比較をいたしますと、減少をしているというふうな捉え方もできるかもしれない。

 一方で、私も大学生生活の後半はほとんどコロナ禍でございまして、オンライン授業を経験をいたしました。やはりこのリモート授業、もう全く友達や学友と触れ合う機会がないわけでございまして、特に一年生、二年生のときにコロナになって、そして、その後つながりがなかなか回復をしていかなかった、こういった事例も多く見てまいりました。

 ここで重要となってくるのは、大学等の高等教育機関が、しっかり学生に向けたフォローアップ、ないしはメンタルヘルスの支援ができているかということです。コロナ禍で、多くのこういった支援というのが残念ながら一時期止まってしまったわけですね。オンラインに切り替えたりとか、一生懸命現場で努力をしていただいた部分もございますが、学生相談の体制の今の整備状況、そしてカウンセラー、特に常勤のカウンセラーの配置状況等について教えてください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構の令和五年度の調査によりますと、ほぼ全ての大学において学生相談に対応する組織を設置をしているところでございます。また、カウンセラーを設置している大学は九四・八%でございますが、そのうち常勤のカウンセラーを配置している大学は四五・一%となっております。

大空分科員 ありがとうございます。

 やはり常勤のカウンセラーを持っているところは半分に満たないわけですね。これはコロナ禍でも非常に課題となりましたけれども、今、じゃ、ちょっとしんどいな、苦しいなと思っている学生さんが、大学に設置をされている保健センターであるとかカウンセリングルームの予約をしようと思っても、一週間後とか二週間後にしか予約が取れないんだと。それは、やはり人も足りないし、少ない人員で回していただいているという現状もございますので、是非ともそういった常勤のカウンセラーの配置につきましてはしっかりと進めていただきたいと思っております。

 また、ちょっと時間が少なくなってまいりましたので、大学等が学生に対して相談支援を提供していかなければいけない根拠というのを是非お伺いをしたい。

 といいますのも、今、昭和三十三年の学徒厚生審議会というところから正課外の教育の遅れが指摘をされ、そして、平成十二年にいわゆる広中レポートが出されて、教員中心から学生中心への大学運営というものが言われ始めてきた中にあって、まだまだこれだけ常勤カウンセラーの配置も含めて遅れているということは、やはり大学側が是非とも主体的に学生支援をしていかなければならないということの認識をいただく必要もあると思いますが、その辺りについてお考えをお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今まさに委員御指摘いただきましたように、各大学におきましては、まさに学生を中心に据えて学生生活支援の充実に取り組むことが大変重要だというふうに考えてございます。

 その根拠、しっかりした根拠が必要ではないかという御指摘でございますけれども、現在、大学設置基準におきましては、大学等が学生の修学、心身の健康等に関する指導及び援助等の厚生補導を組織的に行うための組織を編制すること、こういうことを示すとともに、実際、大学評価の基準の一つといたしまして、例えば、大学基準協会が定める大学評価の評価基準では、学生支援の観点が取り上げられ、学生の生活支援として、心身の健康等に係る相談等を適切に行うためにカウンセリング等の体制整備に加え、学生の生活環境に配慮した支援の必要性というものが示されているところでございまして、大学等における学生支援の重要性というのは制度的にも明確に位置づけられているところでございます。

 文部科学省におきましては、引き続き、各大学において、学内外の連携を図りながら、学生相談体制の整備充実が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

大空分科員 ありがとうございます。

 学生の相談支援を含めまして、しっかりと学校側が内外の機関と連携をしていただくということが重要だろうと思いますので、しっかりとサポートをしてまいりたいと思っております。

 そして、最後、災害共済給付について一点だけお聞かせいただきたいと思っております。

 先日、我が党の子供の自殺対策PTにおきまして、災害共済給付の課題等について取上げをさせていただきました。共済掛金を保護者が負担をしているにもかかわらず、保護者の方には実質的に請求権がないがゆえに、残念ながら、学校側が主体的に動かなければ、教育委員会が主体的に動かなければ、どんどんどんどん時間が過ぎていってしまって、今なお苦しんでおられる御家族、御遺族がたくさんいらっしゃる。今日もこの質疑を見ておられる御遺族、御家族の方もいらっしゃるそうでございます。

 是非とも、この災害共済給付の現在の課題認識についてお聞かせください。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 災害共済給付制度は、学校の管理下での災害につきまして、国、学校の設置者及び保護者の負担により救済を図るもので、負傷等した児童生徒等の保護者の経済的負担の低減のために大変重要な制度だというふうに認識をしております。

 今御指摘いただきました本制度の課題といたしまして、例えば、学校の管理下での災害が生じた際に、保護者が本制度を認知しておらず、また、学校が本制度を必ずしも十分に理解していないような場合に、日本スポーツ振興センターに対して給付の申請がなされないといった課題があると認識しております。

 また、速やかな救済を図るため、法律上、給付を受ける権利については、給付事由が生じた日から二年間行わないときは時効によって消滅すると定めてございますけれども、学校で発生した事故は詳細な調査が長期間に及ぶ、そういう場合もあると認識をしております。

 こうした課題への対応につきましては、これまでの給付実態等も精査しつつ、様々な御意見を伺い、どのような対応が考えられるか、関係省庁と連携して検討してまいりたいというふうに思っております。

大空分科員 ありがとうございます。

 まさに学校側に起因する、例えば指導死のような場合には、二年というのはあっという間に過ぎていってしまうわけでありまして、先ほど保護者の方への周知が十分じゃないということをおっしゃいましたけれども、実のお子さんが亡くなったときに、この制度を自分たちで探して、そしてそこから申請をしていくために教育委員会に働きかける、こんなことは絶対にあってはならないわけであります。是非とも、こういった悲痛な声というのを受け止めていただいて、関係省庁と連携をして、検証も含めて行っていく。是非、私どもも一緒に頑張ってまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 学生や子供たちを含めて多くの方が命を絶っている、若しくは不安に悩んでいるという状況もございますので、この災害共済給付の見直しも含めまして、様々な課題に対処をしていただきたいと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

高木主査 これにて大空幸星君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木ナオミ君。

佐々木(ナ)分科員 立憲民主党、佐々木ナオミでございます。

 本日のこの分科会では、私から、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校、いじめ対策等の推進について質問させていただきたいと思っております。

 昨年十月三十一日に発表されました令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果では、不登校の小中学生が十一年連続増の三十四万六千四百八十二人に、初めて三十万人超えになったということです。また、小中学校、高校などのいじめの認知件数は過去最多の七十三万二千五百六十八件、このうち、子供の心身に重大な被害が生じた疑いがある事例などが認定される重大事態も過去最多の千三百六件。小中学校、高校の子供による暴力行為は過去最多の十万八千九百八十七件、これは三年連続で増えております。そして、自殺した小中学生は三百九十七人となっております。

 大変深刻な状況で、この状況を踏まえ、文科省では、児童生徒の課題の早期発見や支援のため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などによる児童生徒の教育相談の充実を進めていると承知をしておりますが、やはりいじめの重大事案へとなる前に何とか対応ができなかったのか、子供が自ら死を選ばなければならなくなる前に何らかの救済ができなかったのかと、この大変深刻な数字を前に、多くの方が胸を痛めているかと思います。私もその一人でございます。子供たちの命の問題として、教育相談体制の充実、まさに待ったなしだと考えております。

 令和七年度でも、更に予算を拡充して、取組を強化していくというふうに受け止めておりますが、まずは、現状の児童生徒の教育相談体制の充実の取組状況と令和七年度予算での拡充について、御説明をお願いいたします。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、不登校児童生徒数、そして、昨今、中間報告ではございましたけれども、自殺の中高生の数というものが増えている、深刻な状況であるというふうに認識をしてございます。

 教育相談の充実のため、どのような形で支援をしているかということでございます。学校現場における様々な課題を抱える児童生徒に対しまして適切な対応が実施されるよう教育相談体制を整備するという観点から、一つは、児童生徒の心理に関する支援に従事するスクールカウンセラー、これを全小中学校に配置をするという観点でずっと進めてきてございまして、更にその重点配置的なものを進めるというのが七年度でございます。

 児童生徒の福祉に関する支援に関するスクールソーシャルワーカー、これも順次進めてきてございまして、全中学校区に配置をするという積算でやってきてございまして、これも重点配置を進めていくということを考えてございます。

 また、七年度は、教室で学習することが直ちには難しいけれども、学校には復帰をして、別の場所でまず学びをしていくという観点から、学習支援あるいは相談支援等に従事することが、乗ることができる校内教育支援センター、これを設置する自治体あるいは学校にその相談員を補助していこうということ。そして、児童生徒の抱える課題の解決に向けた校内外の調整役である教育相談コーディネーターなどを進めていく。

 あわせまして、子供たちだけじゃなくて保護者も不安になっている部分があろうかと思います、令和六年度の補正予算では、保護者に対する相談体制の充実として、いろいろな箇所でいろいろな相談ができる体制というのを強化をしているところでございます。

 SNS等を活用した相談体制の強化の観点では、引き続き、SOS二十四時間いじめダイヤルとか、そうした従来からのものを含めまして、いろいろなチャネルで子供たちの悩み、あるいは相談とかができ、それをできる限り共有しながら、早期発見、早期対応につなげていくということを進めているところでございます。

佐々木(ナ)分科員 ありがとうございます。

 それでは、今御説明があったものの中から、ちょっと私が気になっているものを一つずつ少し掘り下げて、聞かせていただきたいと思っております。

 まず、スクールカウンセラー、そしてスクールソーシャルワーカー、専門家の設置ですね。前年度よりも二億円増しで、令和七年度は八十六億円を予算計上というふうに承知はしております。これなんですが、拡充に御努力をいただいている、重点校にも更にというお話がありました、それは本当に御尽力いただいているというふうに思っておりますけれども、学校現場では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーに関して、もっと大幅に配置時間を増やしてほしい、できれば毎日でもいてほしい、つまり、常勤化を求める声が根強くあるということは御存じなのではないかと思います。

 限られた時間、スクールカウンセラーは、今、積算では週四時間だと思います、それでは、子供や保護者、また教職員が相談に乗ってもらいたいときにいない。相談に乗っても、次に学校に来たときには状況が変わってしまう。仕事を持つ保護者も、相談したいと思っても、土日では相談できなかったり。

 また、文科省としては、教育相談の充実のためには、学校内の関係者がチームとして取り組む体制づくりを進めております。これはチーム学校としておりますが、これに対応してもらうには、スクールカウンセラーと、それからソーシャルワーカーは中学校区にお一人なので、さらに巡回しているわけですね、このお二人がそろった形で連携ができないと、十分にこのチーム学校が機能しないのではないかというようなことも問題となっております。

 子供たちを取り巻く状況がここまで深刻になっている中、常勤化に一刻も早く取り組むべき、そのための更なる予算確保が必要なのではないかと考えておりますが、御見解をお尋ねいたします。

あべ国務大臣 佐々木委員にお答えさせていただきます。

 子供たちを取り巻く環境が大変厳しくなっている中でありますが、各自治体で今雇用されているスクールカウンセラー、またスクールソーシャルワーカーの多くの方が非常勤であることを私どもは承知をしているところでもございます。

 ただ、このスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの任用につきましては、実は、各自治体の権限と責任の下に適切に判断されるものではございますが、学校現場において様々な悩みを抱える児童生徒などに対して適切な対応が実施されなければいけないという体制づくりに取り組んでいただきたいと私どもも本当に考えているところでございまして、文部科学省といたしましても、令和七年度予算案につきまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置時間の充実を図っているところでございまして、引き続き、各学校の教育相談体制の充実にしっかりと努めてまいります。

佐々木(ナ)分科員 大臣のお気持ちは本当にそうなんだろうとは思うんですけれども、やはり現場では、いつもいてほしいというのが根強くあるというのは御承知のとおりだと思います。

 やはりそれには予算の根拠がなければなかなか設置ができないというのが、自治体の工夫といっても、あるのではないかと思います。もちろん、常勤化している自治体もありますけれども、お配りしている資料の方を見ていただければお分かりのように、スクールカウンセラーは、常勤の方は一・二%、ほぼ非常勤、それから、スクールソーシャルワーカーも三・三%、ほぼほぼ非常勤というようなことになっております。

 それで、この資料の中にあります相談件数を見ていただきたいんですが、スクールカウンセラーの方だけちょっと取り上げますけれども、年間約四百万件、今いらっしゃる方が一万六百七十八人。これを、教育指導要領では年間約三十五週ですので、三十五週で割りますと、この方お一人が週に十件から十一件の相談に乗っているという計算になるわけです。一応、文科省の設置の根拠としては、週四時間の配置、重点校でも八時間ということになると思いますので、この大変短い時間で十一件も相談に乗っている。

 そして、スクールカウンセラーは、相談業務などのケース対応だけではなく、先ほど来言っている早期発見、早期解決、これにつなげるための心理教育などの活動や、例えば、校内会議に出たり、教師の方とお話合いをするような校内連携の活動、こういうことにも取り組んでいただく必要があるんですが、配置時間が短過ぎて、そこまで対応し切れておりません。勤務時間外に相談記録や各種報告書などを作成しているオーバーワーク、これも出てきているという調査もあります。

 常勤でなければやれないお仕事なのではないかと改めて感じるわけですが、御見解をお尋ねいたします。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーもそうですけれども、子供たちのいろいろな相談あるいは悩みに乗って、チーム学校として、専門家として、学校の中のうち、今は職員会議でもできるだけ入っていただいたり、あるいは、そうしたケースワークの場合というのは、いろいろな教員の役割分担の中でスクールカウンセラーにも入っていただいているという、役割を大きく果たしていただいていると思います。

 今日お配りいただいております相談件数、スクールカウンセラーは約四百万件でございます。これは、我々の方の調査でも、スクールカウンセラーの勤務の時間が長ければ、やはりそれだけ相談件数も多いし、相談時間も当然長いということは出てございます。そしてまた効果もあるということも、いろいろ予算折衝でも我々も一生懸命お示ししながら折衝、相談に乗っているというところでございます。

 今、常勤化というお話もいただきました。自治体によっては、地域によっては、非常に相談体制が、より手厚くしなきゃいけないところ、あるいは、その中で、高等学校も一緒にスクールカウンセラーが見るところ、いろいろ面として、つまり、点ではなく面として相談体制をどうしていくのかということを考えながら配置をしている。重点校に置いて、重点校から派遣するのか、あるいは各学校に配置をしながらという、それぞれの地域のそれぞれの状況も踏まえながら配置をしてございまして、その自治体の権限と責任の下で、非常勤ではございますけれども、これは守秘義務がかかった地方公務員という任用行為もございますので、非常勤であっても、自治体の方で考えていただいた必要な報酬等も含めて、権限と責任の下で御判断いただくというふうに考えてございます。

佐々木(ナ)分科員 恐らく、常勤化が必要だというのは重々共有している思いなんじゃないかというふうに受け止めております。

 文科省の方では、この常勤化に関する調査が予算計上されております。どういう調査でしょうか。

望月政府参考人 今委員御指摘の文部科学省の調査でございますけれども、これは、やはりチーム学校制をできる限り進めていこうという観点から、平成二十九年以降、この調査を進めてございます。スクールカウンセラー等が常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等に関する調査研究で、七年度予算においてもその経費を計上しながら進めているところでございます。

佐々木(ナ)分科員 二十九年度からということなので、七年、八年調査をしているということになるんじゃないかと思いますが。

 二〇一八年三月に、文科省が立命館大学に委託した調査研究の報告書というのがありまして、このまとめと提言の中で、一として、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー共に常勤化が必要であると書いてあります。引用しますと、生徒、保護者、教員それぞれから、常に学校にスクールカウンセラーがいることの意義が示されたことは、常駐化が求められている、スクールソーシャルワーカーについては、スクールカウンセラー以上に長時間勤務が多く、その必要性は高いとされています。

 既に七年も前に、必要性、ちゃんと調べて、さらに、提言まで出ています。常勤化に向けて、今がかじを切っていくタイミングだと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 今、平成二十九年度の立命館大学に委託をした調査の内容について委員から少し御紹介いただきました。

 実は、その後、三十年、令和元年からずっと今回まで、いろいろな委託先に、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの常勤化へ向けた調査研究を続けてございます。

 例えば、令和二年度の大阪府立大学の行いました調査において、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーを常勤職として配置した場合の教員と児童生徒の状況の共有や関わりとかについて少し詳しく調査し、あるいは関係機関との連携の方策ということについても、在り方についても調査研究を実施したり、いろいろな観点から調査研究を進めながら、我々としても、やはり毎年毎年予算の中で、できるだけ地方のニーズ、あるいは子供たち、この状況に対応できるように、配置数あるいは配置時間数を伸ばしてきたところでございます。

 引き続き、調査研究についてはいろいろな観点から御示唆をいただくよう、進めてまいりたいと思っております。

佐々木(ナ)分科員 調査を続ける、大体答えは出ているんじゃないかと私は思っておりますので、是非大きくかじを切っていく。なかなか予算の確保が難しいというところかなとは思いますので、是非とは思っています。

 それで、これはちょっと違う観点からいくと、やはりこの方たちの働き方が不安定だというのも社会問題化しております。

 昨年九月に、東京都の非正規公務員として働く十名のスクールカウンセラーが、会計年度任用職員の更新の上限に達したということで雇い止めになり、東京都に対して雇い止めの撤回と損害賠償を求めて東京地裁に提訴したというニュース、大変記憶に新しいと思います。同様にこのときに東京都で雇い止めになった方が、スクールカウンセラーで二百五十人にも上ると、大きな話題となりました。

 そして、私は、この会計年度任用職員という制度、一年更新で更新上限が二回とか三回とか、それ以降は公募ですから、これまでのキャリアが勘案されず、再度採用される保証もない、こういう大変不安定な働き方、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーという大変子供たちにとって重要な役割を担う方がやる働き方ではないんじゃないかと思うんです。

 これでは十分に力を発揮できるとはとても思えません。その辺りはどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

望月政府参考人 いろいろな職種の、自治体の方でも任用行為があると思っております。今、東京都における事例を御紹介いただきましたけれども、その上で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、学校教育法の施行規則で、学校において必要な職であるというふうに位置づけを平成二十九年にいたしました。

 その上で、その任用の形態の在り方、そして報酬の在り方について、我々としても補助金という形でやっておりますけれども、最終的には自治体の方で予算化をしていただいて、その上で、人材の確保の状況ということも踏まえて、しっかり検討をしていただきたいというふうに考えてございます。

佐々木(ナ)分科員 この働き方の在り方については、今度は総務省の方でも、再採用の上限について、令和二年に、応募要件に制限をかけることは避けるべきというのが出ています。また、昨年六月には、総務省のマニュアルから上限回数を削除したというふうに認識をしておりますが、実は、私の地元の神奈川県の令和七年度のスクールカウンセラーの募集案内、これを確認をしてまいりました。すると、来年度もやはり会計年度任用職員で、再採用は二回までとなっております。会計年度任用職員の在り方の見直しがまだまだ十分になされていないのではないかと思います。

 一月二十四日の石破総理の施政方針演説でも、会計年度任用職員の在り方の見直しをするというお言葉がありました。

 今苦しんでいる子供たちのために、多くの方が会計年度任用職員であるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーから、会計年度任用職員の在り方の見直しをするべきだと思っておるんですが、こちらは総務省からの御見解をいただきたいと思います。

小池政府参考人 複雑化、多様化する行政需要に対応するために、常勤職員に加えまして、非常勤職員も地方行政の重要な担い手であると認識をしてございます。

 会計年度任用職員の一般的な制度について御説明を申し上げます。

 会計年度任用職員として任用する場合には、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用する必要がございます。その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えておりますが、自治体に対しては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどについてこれまでも通知をしており、丁寧な情報提供に努めております。

 また、御指摘のございました公募ルールでございますけれども、昨年六月に、国の期間業務職員について、人事院が、公募によらず、従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは、同一の者について連続二回を限度とするよう努めるものとするという取扱いを廃止したことを踏まえまして、総務省においても、会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルにおいて国の取扱いを例示していた箇所を削除するなどの改正を行いまして、その旨自治体に通知をしております。

 その上で、具体の取扱いにつきましては、各自治体において、地域の実情などに応じて適切に対応いただくべきものであると考えております。

佐々木(ナ)分科員 制度のことは分かったんですけれども、それが、先ほど来申し上げている、子供たちにとって、できたらいつもいてもらいたいという専門職の皆さんに適用が十分になされていないという現実がありますので、ここは、文科省なのか総務省なのか、少し連携をしていただいて、各自治体がしっかりと対応できるよう、お取組を強化していただきますようお願いをしておきます。

 それから、先ほど、一番最初に説明がありました教育相談の充実で大きな役割を担っている、教職員の方が担っている教育相談コーディネーターについてちょっとお尋ねしたいと思います。

 これはどういうものか、御説明いただきます。

望月政府参考人 御指摘の教育相談コーディネーターは、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのように、学校教育法施行規則、つまり省令で規定を置いているわけではございませんが、児童生徒の抱える課題の解決に向けた学校内外の調整役として学校長が指名する者として、各学校で、例えば生徒指導主事の先生方とか、あるいは校務の主任的な役割を担っている方が校長の職務命令で発令されていると思います。

 職務を遂行する上での一定の役割を持っていただくということで、学校の実情に応じた教育相談体制をやはりチームとして発揮できるようにする、そういう潤滑油のような役割を果たしていると考えてございます。

佐々木(ナ)分科員 つまり、チーム学校の結構大事な役割であるということと、あわせて、教育相談コーディネーターは、例えば、ケース会議を開催したり、校内研修の充実、こういうことにも取り組まなければならない。現場の教職員の皆さんからは、担任を持ちながら兼務でこれをやるのは大変難しいと。逆の立場からいうと、どの方がコーディネーターなのかというのが保護者の方も分からずに、相談がなかなかできないというようなこともあります。

 教育相談コーディネーターは、私も、かねてから、これもやはり専任で先生がしっかりと取り組めるような体制をつくらねばならないかと思っておるんですが、それに対する御見解をいただきたいと思います。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、学校には様々な役割を担う先生方が、それぞれ職責に応じての、チームとしての学校として機能するということが大事でございます。

 その観点から、例えば、学年主任にしても教務主任にしても、いわゆる自分が担当する授業時間というのを軽減した上で校内の調整に回っていくとか、あるいは、今般国会に提出をさせていただきました給特法の一部改正でも、新たに主務教諭というのを活用する、そうした者は、学校内での特定の事項についての調整を担うというふうに置いてございます。

 これまでの教育相談コーディネーターの職務、そうしたものの重要性に鑑みまして、学校の実情に応じた授業の持ち時間数の考慮でありますとか、あるいは、学級担任以外の教職員とするなどの配慮も必要に応じてしてはどうかということも通知をしているところでございます。これは、各学校のマネジメントの中で、役割をしっかり分担しながら果たしていただくということが必要かと思っているところでございます。

佐々木(ナ)分科員 ただ、学校現場は、今、先生方が大変少ない、もうぎりぎりで学校を回していらっしゃる。また、教科担任制にしても、空き時間は、やはり先生方にはちゃんと教科の準備をしていただきたいなというふうに思います。そう思うと、これはきちっと専任でできる体制を整えた上で取り組むべき事業なのではないかと思っておりますので、是非今後検討していただきたいと思います。

 それからもう一つ、校内教育支援センターについてのお話もありました。学校にはいるけれども、自分のクラスには入れないときに、少し気持ちを落ち着かせてリラックスするときに利用できる、校内フリースクールとも言われている制度です。こちらも、現状、設置率が四六・一%。この設置率を上げる予算に取り組むということでございましたが、こちらも、支援員の人材確保が難しいことで設置をためらう声があるとのことです。

 この事業の成果としては、約五三%の生徒の不登校の状況が改善されたというデータもあります。できたら常時の開設が望ましいと思います。更なる人材確保に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 校内の教育支援センターは、不登校から学校に復帰する段階にある児童生徒、また、不登校の兆候がある、そういう児童生徒が学校内で本当に安心して学習したり、また相談支援を受けることができるという点でまさに有効だというふうに私どもも考えておりまして、不登校の状況が改善するなどの成果もしっかりと見られているところでございます。

 私ども文科省といたしまして、これまでも校内教育支援センターの設置を促進してきたところでもございまして、令和七年度予算案におきましては、校内教育支援センターにおいて学習支援また相談支援を行う支援員を配置をし、その設置促進、機能強化を図るために、新たに校内教育支援センター支援員の配置に関わる経費も計上してきたところなのでございますが、引き続き、この校内教育支援センターを含めた多様な学び方の場の整備を含め、誰一人取り残されないための学びの保障に向けた取組を進めてまいります。

佐々木(ナ)分科員 これは、るるお話をさせていただいたのは、全て、人が足りていない、人を十分に措置していただきたい、そのための根拠となる予算をしっかり確保していただかなければならない、恐らく同じ思いだと思います。御尽力いただいているのも十分分かっていますが、まだまだ足りないという現実、そして、子供たちの今日の苦しみにどう文科省として寄り添っていくのか、この国の在り方として寄り添っていくのか。更なる充実を求めまして、済みません、お時間が来たので、これで質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて佐々木ナオミ君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、学校給食無償化について質問します。

 二月二十五日の自民党、公明党、維新三党の合意では、いわゆる給食無償化、まずは小学校を念頭に、地方の実情などを踏まえ、令和八年度に実現する、その上で、中学校への拡大もできる限り速やかに実現するとされています。

 石破総理は、二月十七日の予算委員会で、この合意に先立って、まずは小学校の給食無償化を念頭に、安定した恒久財源の確保策と併せまして、令和八年度以降、できる限り早期の制度化を目指したいと考えておりますと、具体的年度を挙げて答弁されました。

 そこで、あべ大臣に伺いたいんですけれども、あべ大臣は、その後の二十一日の会見で、文部科学省といたしましては、まずは政党間による協議の状況を注視してまいりたいというふうにおっしゃっていました。その後の会見でも学校給食無償化については触れていないんですけれども、学校給食無償化、文部科学省は目指さないんですか。

    〔主査退席、山田(賢)主査代理着席〕

あべ国務大臣 いわゆる給食無償化については、委員がおっしゃった三党間の合意も踏まえまして、まずは小学校を念頭に、地方の実情を踏まえ、令和八年度に実現する、その上で、中学校への拡大についてもできるだけ速やかにということで、地方自治体に対しまして、重点支援地方交付金を活用した対応を促すとともに、学校給食法との関係の中で、児童生徒間の公平性、また、支援対象者の範囲を含む考え方、さらには、地産地消の推進を含む給食の質の向上、国と地方の関係、効果検証といった論点について十分な検討を行う。また、施策の実現に当たりましては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことによって安定財源を確保することにしております。

 具体的な進め方については現段階ではお答えできませんが、いずれにしても、今回の合意内容の実現に向けて、三党を始めとする関係者の意見もよく拝聴しながら取り組んでまいります。

田村(貴)分科員 大臣はいろいろおっしゃったんですけれども、この三党合意と石破総理の答弁は、令和八年度に実現するとなっているんですよ。令和八年度実現を目指して文部科学省はやるということでいいんですか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 三党合意を踏まえましてこれから検討を進めていくということでございます。

田村(貴)分科員 どうも釈然としないんですよ。

 文科省は、学校給食の無償化について、地方自治体からいろいろ国民の声が上がっているにもかかわらず、例えば、昨年十二月二十七日の給食無償化に関する課題の整理においても、給食未実施校や、実施校でも喫食しない児童生徒には恩恵が及ばない、児童生徒間の公平性、低所得世帯の児童生徒は既に無償化されていることに伴う支援対象の妥当性等々の課題を挙げて、無償化に対して前向きではなかったというふうに私たちは捉えています。

 あべ大臣、そういう課題はあったんだけれども、課題は課題として、学校給食無償化を国の責任でやるということですか。さっき地方重点交付金というのもあったんだけれども、それは一部無償化の話なのか、国の責任においての無償化なのか。どう考えているんですか。

あべ国務大臣 学校給食費の無償化につきましては、令和五年の六月に閣議決定されたこども未来戦略方針におきまして方向性が示されたところでございまして、令和六年六月には全国ベースの実態調査を行いまして、十二月には課題の整理の公表をさせていただきました。

 また、今般の政党間の協議においての合意内容を踏まえまして、まずは小学校を念頭に、地方の実情を踏まえ、令和八年度に実現することといたしまして、その上で、中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現してまいります。

田村(貴)分科員 一部無償化ではないですよね。国の責任において無償化を図る、そういう方向性ですよね。

日向政府参考人 お答えいたします。

 先ほども大臣からお答えをさせていただきましたが、今回の三党間の合意内容の中では、学校給食法との関係、児童生徒間の公平性、支援対象者の範囲の考え方、地産地消の推進を含む給食の質の向上、国と地方の関係、効果検証といった論点について十分な検討を行うとされております。

 この点、こうしたことに基づきまして今後検討を進めさせていただきたいと思っております。

田村(貴)分科員 石破総理も来年度から目指すと言っているんですけれども、無償化が何で必要なのか。文部科学省はどう考えているんですか。無償化が必要な理由というのは何ですか。

日向政府参考人 学校給食、いわゆる給食無償化につきましては、これは地方からもいろいろな声もいただいております。

 私どもとしては、いろいろ今回検証も進めてまいったところでございますが、その中でも、地方の声といたしまして、子育て支援ですとかいろいろな観点から給食無償化が行われているというふうに承知をしておるところでございます。

 また、今回、三党間の合意というものも行われましたので、こういうことも踏まえて今後検討を進めていくということでございます。

田村(貴)分科員 内閣府の地方重点交付金は、学校給食費の引下げが推奨メニューなんですよ。国として給食費の引下げを掲げているんですよ。何でそこを言わないんですか、子育て支援とか。子育て支援というのは、教育、子供たちの学校にかかる費用を引き下げる、負担を引き下げる、そのためにやるというんでしょう。どうしてその観点に立たないのか。

 今、学校給食は大変ですよ。米の高騰、野菜の高騰、食材の確保にも、学校も自治体も本当に苦慮しています。やむなく給食費の引上げを行う自治体が相次いでいます。

 例えば埼玉県新座市では、おととしに値上げしたんだけれども、今年新たに米の高騰分を追加徴収しました。来年度、更に値上げをせざるを得ない。

 川崎市では、給食費を抑えるため、今年度は学校給食運営基金を取り崩して、更に一般会計で補正予算五億円を入れたけれども、結局足らずに、来年度からは値上げに踏み切るんですね。

 横須賀市、補正予算一億円弱を充当したんだけれども、このままでは給食の質を維持できないと、来年度から大幅に値上げを行う。教育委員会は苦渋の判断としています。

 どこの自治体も交付金を活用しているんだけれども足らずに、そして一般財源から持ち出しても足らずに、給食の値上げに踏み切っている。資材高騰、物価高騰、そして今、お米、野菜の本当に大変な高騰、この中で、自治体が、学校がこういう状況にあります。

 これは、文部科学省はどういう対策を進めていくんですか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 学校給食費の保護者負担軽減につきましては、物価高騰が続く現状を踏まえ、令和六年度補正予算において、重点支援地方交付金が〇・六兆円追加されたところでございます。私どもといたしましては、引き続き、各自治体に対して交付金の活用を促してまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 ちょっと数字をお伺いします。

 学校給食費を無償化するには、費用はどのぐらいかかるんでしょうか。どのぐらい見積もっているんでしょうか。小中学校別に分かれば、教えていただきたいと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 公立学校につきまして、学校段階別に推計をしたところ、小学校段階については約三千百億円、中学校段階については約千七百億円となっております。

田村(貴)分科員 合わせて五千億円ですよね。

 その財源について、文部科学省は今の時点でどういうふうに措置しようと考えていますか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 三党間の合意内容の中では、施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保するとされてございまして、こうしたことも踏まえて今後検討を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 三党合意では、中学校はできる限り速やかに実現するとされています。石破総理は、二月二十六日の答弁でも、中学校でも条件が整えばやるというふうにおっしゃいました。

 中学校実施の条件というのは何でしょうか。小学校との違いは何でしょうか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる給食無償化につきましては、三党間の合意内容も踏まえ、お尋ねの内容も含めまして今後検討していくものであり、現時点でお答えすることは困難でございます。

 なお、中学校につきましては、完全給食実施率が小学校よりも低いこと、一部の自治体においても、給食を喫食するか、家庭からの弁当を持参するか、その都度選べる選択制給食を実施していることなどから、検討すべき課題が多いものと認識をしております。

田村(貴)分科員 確かに、中学校の完全給食の実施は九割に満たないという状況にあります。完全給食の実施率はほぼ一〇〇%の小学校とは格差があるわけですよ。しかし、そもそも給食が未実施の自治体において、昼食費用というのは就学援助の対象になっていません。全く何の支援もないわけなんです。

 支援がないことは支援実施を遅らせる理由にはならないと私は考えますが、いかがですか。

日向政府参考人 今先生からいろいろお尋ねがございましたが、今後、私どもといたしましては、三党間の合意内容を踏まえて検討してまいるということでございます。

田村(貴)分科員 給食未実施自治体では、低所得者層への支援は全くないわけです。

 学校給食法四条は、自治体に対して学校給食実施の努力義務を課しているんです。でも、努力義務にとどまっているために、一〇%の自治体では学校給食は実施されていないんです。

 小学校の給食無償化と併せて、中学校においてこの一〇%の格差を埋める、こういう努力は必要だと思いますが、いかがでしょうか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 学校給食につきましては、学校給食法上、学校設置者が実施に努めるものとされております。その上で、実施に当たっては地域の実情等を踏まえる必要があり、学校設置者において適切に判断されるものと考えてございます。

 他方、文部科学省としましても、学校給食が果たす教育的意義は大きいと考えており、自治体が学校給食の開設及び学校給食の改善充実を行うための施設整備を行う際にかかる経費を補助しているところです。

 引き続き、様々な機会を捉え、学校給食の果たす教育的意義を周知するなど、関係者の理解を求め、学校給食の普及促進に努めてまいります。

田村(貴)分科員 文科省の課題のところで一、二点質問したいんですけれども、経済的困窮世帯については、生活保護による教育扶助、就学援助により基本的に無償化しているとされています。無償化で困窮世帯に対して追加的な恩恵はないともされています。しかし、その数は公立児童生徒の一四%と書いてあるんですね。

 内閣府の調査によれば、世帯収入の水準が最も低い年収百五十八万円未満のいわゆる貧困世帯でも、就学援助の利用割合は六割にとどまっているんです。そして、生活保護は六%です。理由も、制度が分からない、知らない、利用しにくいという回答があるんです。

 ですから、低所得世帯でも、やはり今度無償化になればかなり恩恵を受ける、無償化によって救済される世帯が私は増えると思うんですけれども、その意味でも給食無償化の意義は大きいと思いますが、いかがでしょうか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 学校給食費につきましては、先生今御指摘いただきましたが、経済的困窮世帯において、既に、生活保護による教育扶助や就学援助等により、基本的に無償になると認識しております。

 なお、今回の三党合意につきましては、給食の質の向上についても論点の一つと示されており、既に無償になっている世帯に影響が生じることのないよう丁寧に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 文部科学省において学校給食の調査がありました。一千七百九十四自治体中七百七十五自治体、四三・一%において、何らかの形で無償化が地方自治体において実施されています。

 大臣、私は福岡県の北九州市に暮らしています。北九州市は未実施なんです。同じ政令市の福岡市は今年の二学期からやるんです。無償化をしている自治体と、していない自治体がある。無償化に踏み切った自治体に移り住もうという声も県内にあるわけなんです。

 憲法二十六条では、義務教育は無償と定められています。文科省も、給食を通じた食に関する理解や判断力の育成を給食の目的としています。ですから、給食は教育の一環であることは間違いありません。

 何らかの形でもう四割やっている、住むところによって差異が出ている、この状態をどうされますか。

日向政府参考人 お答えいたします。

 既に無償化をしている自治体につきましては、各自治体の抱えている課題や住民のニーズ、行政サービスの重点などを踏まえ、保護者負担の軽減や少子化対策、定住、転入促進などの目的で、各自治体の判断により実施されているものと認識をしております。

 文部科学省としましては、これまでも教育委員会等に対して重点支援地方交付金の積極的な活用を促してまいりましたが、今回の三党協議における合意内容も踏まえ対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 政権として学校給食無償化に踏み切った、やると決めたからには、一日も早く実施していくということを強く要求したいと思います。

 次に、高等教育修学支援制度について質問します。

 高等教育の修学支援の問題について、高等教育の奨学金給付は、成績を理由に毎年五%前後の学生の支援が打ち切られています。我が党の堀川あきこ議員が二月六日の予算委員会で取り上げました。成績要件が特に低所得の学生にとって厳しい制度であることを指摘したところであります。

 資料一を御覧ください。

 これは、修学支援制度の継続、停止、廃止等の適格認定を収入区分で表したものであります。第一区分は生活保護世帯を含む住民税非課税世帯です。第二区分、第三区分はそれに準ずる世帯とされています。1、2の表は、その傾向を見やすいものにしたものであります。

 一番右の2の廃止のところ、二〇二三年のところを御覧いただければ分かりやすいと思うんですけれども、第一区分を一としたら、第二区分は〇・七三五、第三区分は〇・八七二となっています。大体どの入学年度を取っても、警告、廃止の発生割合は、第一区分が第二区分、第三区分よりも大きい傾向にあります。

 警告、廃止を理由ごとの内訳で見ていきますと、修業年限、修得単位数、出席率のどの要件を見ても、第一区分の学生は家計収入の多い他の区分より発生割合が高くなっています。

 こういう傾向が明らかになっているんですけれども、この奨学給付金というのは、低所得者層ほど警告や廃止になりやすい、そういう傾向にあることは間違いありませんね。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度におきます学業要件の判定を受けた学生でございますが、いわゆる住民税非課税世帯では、警告が約一二%、停止が約四%、廃止が約四%。また、非課税世帯に準ずる世帯では、警告が約一一%、停止が約四%、廃止が約四%となっており、その傾向が大きく変わらないことから、所得が低いほど学業要件の判定が厳しい結果となりやすいという御指摘は、現時点では必ずしも当てはまらないのではないかというふうに考えております。

田村(貴)分科員 でも、数字がこうなっているじゃないですか。第一区分の人たちがこういう扱いになっているじゃないですか。

 大臣は、公費を投じる給付学生としてふさわしい者に支給することを明確にする必要があると答弁されました。しかし、高等教育修学支援制度というのは、低所得者世帯であっても、社会で自立し、活躍できる人材を育成する大学等において修学できるようと説明されてきました。そうであるならば、低所得者であるということが不利になっている現状はおかしいのではありませんか。

伊藤政府参考人 ただいま私の方でもデータで御紹介をさせていただきましたけれども、現時点において、いわゆる警告等を含めた学業要件の判定をされた者は、所得に応じて大きなデータ的な差異はないというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、私ども、所得の低い家庭の子供たちも含めて、しっかりと、意欲を持ち、また能力のある学生が大学に進学をし、学びができるよう支援をしていきたいというふうに思ってございます。

田村(貴)分科員 これは文科省が出した数字なんですよ。分かりやすく第一区分を一としたら、第二区分、第三区分はどうなのか。一以下じゃないですか。そこを認めないと駄目ですよ。

 なぜこんなことが起こるのか、ちょっと見てみたいと思います。

 あべ大臣は、特に経済的にお困りの方に対しては、いわゆる授業料などを除く学生生活費の水準を総合的に勘案させていただきながら、学生生活費を賄える額となるように設定させていただいていると答弁されました。

 そして、給付制奨学金が現在の額になったのは二〇二〇年からですけれども、その当時の学生生活調査を根拠に、授業料以外の納付金と、居住費、食費など生活費の平均的な額を賄える額と設定されたというふうに私たちは聞いてまいりました。では、これで賄えるのでしょうか。

 資料二を御覧いただきたいと思います。

 資料二なんですけれども、非課税世帯相当世帯が属する区分一の学生が、高等教育の修学支援制度を利用して、自宅外の、いわゆる独り暮らしで私立大学に通った場合、学費と生活費による経済的負担がどうなったかを試算したものであります。

 二〇二三年に、大学への納付金というのは、ここにあるように百四十七万円です。ここから入学金と授業料の上限を控除し、学生支援金を充てたら、一番右のcですね、三十七万三千円、これが残ってくるんです、これしか残らないということですね。一方で、自宅外で、いわゆる独り暮らしで学生生活に必要な生活費というのは百三十五万円であります。年間九十八万円の生活資金の不足が起こっていくわけです。このようになっています。

 私立大学に通う独り暮らしの学生というのは、修学支援制度を利用しても、学生生活を送るためにアルバイト等で相当な費用を賄わなければなりません。学生生活費を賄える額とは、大臣、答弁されましたけれども、そういう額になっていないんじゃないですか。実態に合っていないんじゃないですか。やはりこれだけの額が生活に不足しているということになるんです。いかがでしょうか。

あべ国務大臣 給付型の奨学金の金額につきましては、通学費、住居費、保健医療費、食費を含む生活費などの平均額に加えまして、教科書などの修学費、また、施設整備、実習費など様々な名目で授業料以外に学校に納付する費用も加味して設定しているところでございまして、例えば、私立の大学で自宅外通学の学生であれば、年間九十一万円を支給させていただいているところでございます。

 このため、本制度の支援を利用することで、一般的な学生生活を送る上で必要な費用を賄えるものと考えておりますが、加えて、それぞれの御事情に応じまして、生活に必要な資金が不足する場合には貸与型奨学金も併せて利用することを可能としておりまして、こうした支援も活用いただきながら学生生活を送っていただきたいというふうに考えているところでございます。

田村(貴)分科員 これは、数字は厳格なんですよね。今大臣もおっしゃった、実験実習料とか施設整備費とか、これらをちゃんと数字の中に入れて、そして学生支援金を引いて、生活費が足らないという状況なんですよ。しかも、第一区分の人たちはもっと厳しい状況になっている状況なんですよね。

 高等教育修学支援制度というのは、学生生活費を賄える額とはなっていません。長時間のアルバイトを余儀なくされている学生はたくさんいます。それに準ずる区分二や区分三の学生も同様であります。支援が少ない分、不足分を確保するための負担感というのは非常に重い問題があると思います。この負担感をやはり緩和させる。

 そして、学業要件の一つであるGPA、履修した科目の成績の平均値、これは、どんなに成績がよくても、下位の四分の一に入ると警告、二年連続すると支援を打切り。こういう制度というのはやはり撤廃しないといけないですよ。

 親の収入がない、一生懸命アルバイトで学費と生計費をためて、授業にも眠たい目で出て、そして頑張っている学生、そうして頑張っていて、ちゃんと成績要件もあるのに、四分の一以下で切られていく。これはもうやめた方がいいんじゃないですか。大臣、いかがですか。

伊藤政府参考人 御指摘の学業要件でございますが、高等教育の修学支援新制度は、公費で学生の学びを支えるということでございますので、支援を受けた学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と、支援が公費で賄われるものであるということを踏まえ設定をしているものでございまして、学業要件では、学修意欲と学修成果の質について一定の要件を満たすことを求めており、修得単位数、授業への出席率のほか、各科目の評定平均であるGPAを用いているところでございます。

 また、もう一方で、GPAを用いてございますが、例えば国家資格の取得率などが高い学校においては、所属する学生全体の学修成果の質が高く、支援を受ける学生が資格取得に至る成果を上げているにもかかわらず、結果的に下位四分の一に属し警告を受ける可能性があることから、こうした点については特例も設けているところでございます。

田村(貴)分科員 元々区分一に含まれる生活保護利用世帯というのは、予約採用時に成績要件を課していません。一方で、支援対象になれば、十分な支援もなくアルバイトに精を出さざるを得ないのに、ほかの学生と同じような成績を上げることが求められる。これはどう考えても公正とは言えません。

 大学卒業が資格取得要件となっている学校の場合は、GPA四分の一に該当する場合でも警告しないという特例措置が設けられています。資格取得にかかわらず、大学卒業ができる状況であれば、ちゃんと支援をやっていくべきではありませんか。警告、廃止なんか、そういう脅しはやめて、頑張って卒業ができる、そういう学生をこの制度でちゃんと応援していくべきではないですか。どうなんですか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、高等教育の修学支援新制度は、支援を受ける学生がしっかりと学べるよう、公費により支援を行う制度でございます。この制度の目的や趣旨を踏まえまして、進学後の十分な学修状況を見極めた上で支援を行うことができるよう、学修意欲に加え、学修成果の質の観点から一定の学業要件を設定しているところであり、これについては今後とも必要と考えてございます。

 なお、病気や災害など不慮の事由がある場合などにおいては、個別の状況に応じた配慮を行うこととしており、現行制度の取扱いというものは妥当であるというふうに考えてございます。

田村(貴)分科員 所得の低い世帯であっても高等教育が受けられる、そして、大学に行って学び、社会に巣立っていく、このたてつけはいいんですよ。だけれども、成績要件、そして、一生懸命勉強して成果も出しているのに切られていく、この理不尽な要件というのはやはり撤廃すべきであります。

 そのことを重ねて要求して、今日の質問を終わります。

山田(賢)主査代理 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本大地君。

山本分科員 自由民主党、和歌山一区から選出いただきました山本大地でございます。

 冒頭、済みません、文部科学大臣に通告はありませんので、連日お疲れなことと思いますので、退席していただいて結構でございます。

    〔山田(賢)主査代理退席、主査着席〕

高木主査 御退席ください。

山本分科員 では、改めまして、質問の機会をいただき、感謝いたします。

 私は、昨年の総選挙で当選をさせていただきまして、それまでは、地元和歌山で和歌山市議会議員をさせていただいておりました。私の未熟な政治家経験で、どうしても地元和歌山中心の質問となりますが、御容赦いただきたいというふうに思います。

 まずは、日本遺産についてお伺いをしたいというふうに思います。

 私の地元和歌山県は、全部で七つの日本遺産が認定をされており、全国二番目の多さとなっております。特に、私が生まれ育った和歌山県北部を含む日本遺産は三つありまして、認定された順で、「絶景の宝庫 和歌の浦」、そして、岐阜県を始め七府県にまたがる日本遺産であります「千三百年つづく日本の終活の旅 西国三十三所観音巡礼」、もう一つは、奈良県を始め三府県にまたがる「「葛城修験」 里人とともに守り伝える修験道はじまりの地」があります。

 所在をする市役所を含め地域の皆様は、様々なイベントや取組を通じ、更なる魅力向上に努力していただいておりますが、文化庁が取り組んでいるこの日本遺産事業について、どのような制度であるかをいま一度御説明いただきたいというふうに思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本遺産は、今先生からお話をいただきましたように、地域の歴史や伝統に根差した魅力あるストーリーを文化庁が認定する仕組みとして、平成二十七年度に創設されたものでございます。今日、先ほど御指摘をいただきました和歌山県の日本遺産を含めまして、全国各地に百四件の日本遺産が認定されているところでございます。

 この日本遺産の狙いは、地域の魅力ある文化資源をストーリーでつなげることで、個々の点、文化財の点としてではなくて、地域全体の面として活用いただくことにございます。このような一体的な活用を通じて地域の活性化や観光振興を進めていただくことが、制度創設当初からの一貫した日本遺産の目的でございます。

 この目的に基づきまして、日本遺産の各認定地域におきましては、子供たちを始めとする地域の方々や国内外から訪れた観光客の方々が当該地域の歴史や文化の理解を深められるような環境整備にお取り組みをいただいているところでございます。

 具体的には、それぞれの文化資源の意義や価値を解説する案内板の整備あるいは多言語化、日本遺産の認定ストーリーを体験、体感できる旅行商品の開発や地域内外に向けたウェブ媒体による情報発信など、多様な取組が進んでございまして、文化庁としても、これらを支援をさせていただいているところでございます。

 このような取組を通じまして文化や歴史に対する理解が深まることで、ひいては、それらの継承の必要性に対する機運も高まることを期待をいたしてございまして、文化庁としては、日本遺産を通じた文化と観光、経済の好循環の実現を図るべく、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。

山本分科員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げました私の地元、「絶景の宝庫 和歌の浦」について、先ほど御答弁にもありましたとおり、いわゆるストーリーを少し紹介をしたいというふうに思います。

 潮の干満によって干潟が現れては消え、刻一刻と変化をしながら四季折々の多彩な風景を見せる和歌の浦。万葉歌に歌われ、芸術や文化を育んだ歴史ある風景は、今もなお人を魅了し続けている。

 芸術と文化を生んだ絶景というタイトルがつけられており、和歌の浦は、和歌山市南部と海南市北部に位置する和歌浦湾を取り巻く景勝地でございまして、和歌川の河口に広がる干潟を中心に、南は熊野参詣道、そして藤白坂から、西は紀伊水道に面した雑賀崎まで、緑豊かな山並みと大海原に抱かれた絶景の宝庫でございます。

 今から千三百年前の奈良時代、若の浦と呼ばれていたこの地を訪れた聖武天皇が、玉のように美しく島々が連なる絶景に感動して詔を発し、玉津島の神とアカノウラノミタマをお祭りし、この風景を末永く守るように命じたことによります。行幸に従った万葉歌人の山部赤人がこの和歌浦の絶景をたたえて詠んだ躍動感あふれる歌は、今も広く知られておるところでございます。

 平安時代の歌人、紀貫之がこの山部赤人の歌を、和歌の聖典ともされる古今和歌集で取り上げたことから、和歌の聖地としてあがめられ、和歌の神が祭られ、やがて、和歌山の和歌を取って和歌の浦と呼ばれるようになりました。熊野参詣や西国巡礼の際に、時の関白や大臣までもが訪れ、多くの和歌や物語に詠み込まれたとされております。

 江戸時代には、万葉歌や新古今和歌集に歌われた情景を描いた和歌浦十景が描かれまして、数々の美術工芸品の題材ともなりました。また、和歌の浦を模した庭園、六義園が江戸に造られるなど、和歌の浦の風景は天下に名をはせる名所となり、文化人たちの憧れとなりました。

 戦国時代、紀州攻めを行った豊臣秀吉は和歌の浦を遊覧の後、その北方の岡山に和歌山城を築かせ、この和歌の浦にちなんだ名前が現在の県名の由来ともなっております。

 徳川幕府の治める世となりまして、家康の十男である頼宣公が、紀州五十五万五千石の初代藩主として和歌山城に入ることになるんですが、頼宣は、和歌の浦の北西にそびえる権現山の中腹に父、家康を祭る東照宮を建立し、干潟に浮かぶ妹背山には母、お万の方をしのぶ多宝塔を建て、妹背山に三断橋を架けて観海閣を設け、風景を楽しむ場として民衆に開放をいたしました。

 近代の和歌の浦には夏目漱石など文人墨客も多数来遊しており、琴の浦には温山荘が築かれ、皇族や大臣もたくさん訪れております。

 そして、現代、約四百年の歴史を伝える和歌の浦の豪華けんらんな行列、和歌祭りが和歌の浦の水辺を彩りながら行進をする様子は、その祭りに参加する若者や子供たちの姿が非常に印象深いものとなっており、環境保全や万葉歌の勉強会などの活動も地元で進められておりまして、時代を超えて人々を魅了し続けるすばらしき遺産を次世代に伝える仕組みが行われている、そういうストーリーとなっております。

 このストーリーをお聞きになって分かるとおり、先ほどの御答弁にもありましたが、地域や歴史、和歌、そしてまた絵画やお祭りを通じて、我が国の文化、伝統を語るストーリーを日本遺産として認定をし、今までばらばらに点在していた文化財を面として活用するのは非常に効果的である、私もそう考えます。

 ただ、一つ、この認定制度におきまして、一回認定をされたから終わりというわけでなく、先ほど答弁にもありました、また統括評価なり継続審査の仕組みを導入して、いわば入替え制のような制度で今ブランド力の向上を図っているところでありますが、先ほど数字も出ていましたが、百四か所という数字、この数字ありきになってしまうのは非常に私は危険ではないかなというふうに思っております。もちろん、無尽蔵に増やしていいものだとは思いませんけれども、ただ、いいものは加えていってもいいと思いますし、百二十、百三十、魅力あるものを増やしていくのも一つの手ではないかなというふうに思います。

 そして、互いにブラッシュアップを行い、国内外にしっかり発信し、観光資源としての活用、そして文化財の保護、経済の好循環を目指していくべきと思いますが、今後の日本遺産制度につきまして、今日御出席いただいています赤松政務官に、思いや決意をお聞かせいただけますでしょうか。

合田政府参考人 恐縮でございます。大臣政務官からお答え申し上げる前に、先ほど御指摘がございました百件程度という枠組みについて、事務的に御説明をさせていただきたいと存じております。

 日本遺産におきましては、先生御案内のとおり、制度を創設した当初から、令和二年度までに百件程度を認定する、日本遺産としてのブランド力を保つために認定件数を一定程度限定をするということでスタートしたところでございます。

 令和二年度には認定件数が百四件になりましたので、改めて有識者会議において議論を行いました結果、百件程度の認定件数を堅持すること、あるいは、日本遺産の活性化を図るために、新たな日本遺産を認定する場合には、既存の認定地域の取組状況を評価し、入替えを行うこととされたところでございます。

 私どもは、その提言を踏まえまして、令和三年度から、先ほど先生からおっしゃっていただいたような、取組状況を評価するとともに、新たに日本遺産に認定を希望する地域を候補地域とする仕組みを導入したところでございます。

 今年度、この審査を改めて行う中で、やはり日本遺産の認定件数は堅持すべきとの意見が審査委員会でも強く出たところでございまして、この方針に基づきまして厳正に審査を行いました結果、新たに小樽市の日本遺産を認定すると同時に、一件の既認定地域を候補地域に移行したということでございます。

 私ども文化庁といたしましては、日本遺産のブランド力を維持向上する観点から、引き続き百件程度とする認定件数というのは堅持しつつ、そのことにより、まさに先ほど先生からもお話をいただきました和歌山県の「絶景の宝庫 和歌の浦」、和歌と絶景とお祭りと歴史をかけ合わせたこの日本遺産のブランド力というものをしっかりと維持しながら、この評価それから審査の仕組みということを公正に運用することによって、各認定地域の積極的な取組を促し、日本遺産の文化資源としての更なる磨き上げを図ってまいりたいと考えているところでございます。

赤松大臣政務官 ありがとうございます。私からもお答えいたします。

 日本遺産に関しては、地域の歴史の魅力とか特色を通じて、我が国の文化、伝統を語るストーリーということになっておりまして、その主たる目的は、魅力ある文化資源の活用を通じて、地域の活性化や観光振興を図っていくということにあります。

 委員御指摘のとおり、観光の視点というのは非常に重要です。文化と観光の連携を密接にしまして、これによる経済効果が文化の振興に再投資されるということで好循環をつくっていくということが非常に大切であります。

 昨年、日本遺産オフィシャルパートナーシッププログラム、これを創設しまして、現時点で、旅行事業者、交通事業者など五十七の企業、団体とオフィシャルパートナーシップを締結しまして、旅行商品の開発、広報誌でのPRとか、日本遺産の魅力発信に御協力いただいております。

 日本遺産オフィシャルパートナーなどの応援団とともに連携を図りながら、日本遺産をより一層盛り上げていきたいと考えております。

 以上です。

山本分科員 政務官、ありがとうございました。

 今後とも、是非この認定されている地域との対話も重ねていただいて、日本遺産の振興に御尽力いただきますようお願いを申し上げたいというふうに思います。是非和歌の浦にもお越しくださいませ。よろしくお願いいたします。

 次に、学校体育館への空調の設備についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 文部科学省の調査を確認したところ、公立小中学校の普通教室における空調設置率は九九・一%まで進んできた一方で、体育館における設置率は一八・九%と全国的に進んでおりません。昨年の能登半島地震を始め、近年、自然災害が激甚化、頻発化している中で、中学校体育館の避難所機能強化を図る観点から、設置率の向上は喫緊の課題であります。

 昨年の臨時国会で、石破総理より、学校体育館の空調設備の設置ペースを二倍に加速すると述べられておりましたが、政府として、今後どのように全国の公立小中学校の体育館への空調設備を進めていくのか、改めて見解をお伺いしたいというふうに思います。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたけれども、公立小中学校につきましては、その九五%が避難所として指定を受けているにもかかわらず、体育館の空調設備の設置率につきましては一八・九%となっておりまして、全国的に非常に低い状況となってございます。

 そのような中、先生の御指摘もございましたけれども、学校施設は、避難所機能の強化ですとか耐災害性の向上を図る必要がございます。そういう中で、体育館への空調設備の設置の加速化は極めて重要であるというふうに認識してございます。

 そのため、文部科学省におきましては、避難所となる公立小中学校の体育館への空調整備を加速するために、令和六年度補正予算におきまして、新たに臨時特例交付金を設けたところでございます。

 今後、文部科学省といたしましては、効率的な整備事例の周知ですとかを各自治体に積極的に働きかけをしながら、全国の公立小中学校の空調設備の加速化を図ってまいりたいと思います。

山本分科員 ありがとうございます。

 新たな臨時特例交付金は、学校体育館の空調整備に特化した財政支援であり、非常に有効な施策と私も感じておりますが、自治体によって、具体的なメリットを認識できておらず、その活用に至っていないという場合もあるのではないかなというふうに思います。

 今回の臨時特例交付金は、どんなメリットがあって、従来の支援との違いであるとか、整備した空調のランニングコストへの支援等も含めて、改めて教えていただけたらと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 今般の臨時特例交付金の主なメリットでございますけれども、まず、補助率が通常より手厚い二分の一になってございます。それと、補助単価ですけれども、これも通常よりアップをしておりまして、従来の一・五倍ということに単価を設定させていただいております。

 また、断熱性につきましては、その確保を要件化しているわけですけれども、必ずしも空調設置と同時にやることを求めない、柔軟な対応をしていただくということにしてございます。

 また、財政面としましては、地方財政措置等も活用することによって、実質的な地方負担が二五%になるということが挙げられるというふうに思っております。

 もう一点、先生の方からランニングコストの御心配をいただきました。これは、いろいろなところから御要望もいただいておりますので、令和七年度から地方交付税措置が講じられるものと我々も承知をしているところでございます。

山本分科員 ありがとうございます。

 私としても、今述べていただいたメリットをしっかり地元でPRをして、本交付金の活用を促していきたいというふうに思います。

 先日、私の地元、古巣であります和歌山市からも一次申込みをさせていただきまして、八校の採択をいただきましたが、その実務の担当者から少しお話を聞いてまいりました。以下三点の要望、課題をいただきましたので、お伝えをさせていただきたいというふうに思います。

 一点目は、空調の設備とともに行われる断熱性の確保が、柔軟になったというお話がございましたが、柔軟になったとはいえ、ほんまにやらなあかんのかなという、難しいというお話が一点ございました。

 そして、二点目は、交付金の計算が、空調面積単価、単位で二分の一となっていますが、単純に、かかった事業費の二分の一にしてほしい、そういう要望がございました。

 三点目は、この新基準の交付金を学校施設だけでなく、いわゆる市民体育館などの社会体育施設、これも災害の際は避難所になる可能性があるところでございますので、適用をできないのかという点がございました。

 確かに、一点目についてはなかなか難しい、気持ちは分かるんですが、断熱性の確保は空調効率的に考えても避けて通ることはできないと思われますし、つけていただいている資料等も見させていただきましたが、かかる時間そして事業費の比較から、比較的安く、早くできる方法も紹介をしていただいておりますので、ここについては私がしっかりお話をして、周知してまいりたいというふうに思います。

 残りの二点について、どのように対応していくのかをお伺いをしたいというふうに思います。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、二点ということでお話をいただきましたので、まず、単価の問題だというふうに思います。

 交付金額につきましては、我々としましても自治体からの様々な話を伺いながら制度設計を進めてきたところでございますけれども、我々といたしましては、まず、交付金額につきましては、標準的な仕様を想定した国庫補助単価を基に算定していただくということで、各自治体の算定もしやすいように工夫をさせていただいておりますし、様々な算定方法に係る自治体からの問合せ等につきましても丁寧に対応させていただいております。また、今、我々の方も、各自治体の研修会ですとか様々な場で内容の周知をさせていただいているところでございます。

 もう一点、社会体育施設について御指摘がございました。

 今回の臨時特例交付金は、公立の小中学校が、先ほども申し上げましたように、九五%が避難所になっているということと、熱中症等の問題もございますので、まず公立小中学校についてこの臨時特例交付金をもって進めさせていただくということにさせていただいております。

 一方、御指摘をいただきました社会体育施設の空調設備につきましては、現在の学校施設環境改善交付金の交付対象としてございます。この場合でも、空調を新設する場合は補助を行っておりますので、御活用いただければというふうに思ってございます。

 もう一点、断熱性のこともお話しいただきました。

 我々の方も、例えば、遮熱シートですとか遮熱の塗料ですとかという形でも進めていただくということと、やはり効果的な空調設備を設置するに当たっては断熱性は一定程度必要だというふうに思っておりますので、御理解をいただけるように我々も自治体の方に働きかけていきたいと思っております。

山本分科員 ありがとうございました。

 社会体育施設についてではございますが、別制度もあるということでございますので、私もしっかり地元に周知をしてまいりたいというふうに思います。

 学校体育館以外の社会体育施設のお話もありましたが、まず、そもそも学校体育館への空調設備は、先ほど答弁にもありましたとおり、避難所の機能強化に加えて、教育活動における熱中症対策にも資する取組であると思いますので、是非、子供たちのため、また地域のため、学校体育館への空調整備の加速化に向けて、引き続き対策の充実をお願いしたいというふうに思います。

 これに関連をいたしまして、学校施設の老朽化についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 我が国では、インフラの老朽化対策の遅れが顕在化しておりますが、まさに学校施設も、第二次ベビーブーム時代に建てられた多くの公立小中学校が更新期を迎えていると思います。ついては、現在の公立小中学校の施設の老朽化の現状を、もし把握されているなら、お聞かせいただきたいというふうに思います。

 また、国として、避難所機能強化等の防災機能強化だけではなく、老朽化対策も国土強靱化に位置づけて、着実に推進すべきではないかと考えますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、地域のコミュニティーの拠点となり、災害時には地域の避難所としての役割も果たすことから、文部科学省といたしましては、老朽化対策は非常に重要であるというふうにまず認識をしてございます。

 現状でございますけれども、しかしながら、公立小中学校施設の老朽化の状況につきましては、半数以上の施設が築四十年以上経過しておりまして、そのうち約七割が改修を要するという状況になってございます。

 こうした状況を踏まえまして、これまで学校施設の老朽化対策につきましては、これは令和二年十二月に閣議決定されております防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に位置づけられて、当該対策に基づき取り組んできたところでございます。

 さらに、国土強靱化に位置づけるべきではないかという先生の御指摘がございましたけれども、まさに文部科学省といたしましても、国土強靱化実施中期計画の策定に向けた議論において、御指摘の老朽化対策の位置づけを検討するなど、自治体による計画的な学校施設の整備が推進されるよう、しっかりと取り組んでまいります。

山本分科員 ありがとうございます。

 老朽化対策は、耐震化と異なり、一度工事をすれば終わりというわけではなく、日常的な維持管理を適切に行うとともに、計画的に改修を進める必要があると認識をしております。

 また、おっしゃるとおり、自治体においても、厳しい財政状況を抱える中、コストの縮減や整備量の平準化を図る取組が重要であると考えておりますが、文科省においては、効率的、効果的な老朽化対策としてどのような取組を行っているのか、現状を教えていただけたらと思います。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに将来の財政負担の縮減と老朽化による事故等のリスクの低減を図り、安全で安心な教育環境を維持するためには、従来の改築型の整備手法から長寿命化型へシフトして、トータルコストの縮減ですとか、整備量の平準化を促すことが重要だというふうに考えてございます。

 このため、文部科学省におきましては、建物の長寿命化を図る工事につきましても、予防改修を行う工事も含めて補助対象としているところでございます。

 また、学校施設の長寿命化に係る事例集ですとか解説書等、様々策定してございますけれども、それらを各地方公共団体に対して周知をするなどしつつ、地方公共団体の職員を対象とした講習会の開催ですとか様々な取組を通じて自治体の取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

 今後とも、公立学校施設の老朽化対策にしっかりと取り組んでまいります。

山本分科員 ありがとうございます。

 老朽化対策は、単に学校施設の寿命を延ばすだけでなく、教育の質の向上やバリアフリー、また多様なニーズに対応できる施設に一新をするという極めて重要な取組だと思います。引き続き、政府におかれましては、予算の確保を始め、対策の充実をお願いできればと思います。

 ちょっと話が変わります。

 最後に、中学校給食の無償化についてお伺いをしたいというふうに思います。

 今週二十六日に、我が党、自民党と公明党、日本維新の会が教育の無償化について正式合意をいたしましたが、もちろん、この合意内容についてこの質問で掘り下げることはいたしませんが、私の地元和歌山市において、給食費の無償化、特に中学校給食を無償化した場合、懸念される点がございますので、一点、御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 和歌山市の場合、現在、中学校給食は行われておらず、一部の希望する生徒がデリバリー型の給食を利用するのみで、大半は自宅からの弁当を持参する形で行われております。こういった場合に中学校給食が全国的に無償となった場合、どのようになるのかという点でございます。

 一部のデリバリー給食を利用している生徒のみが無償化となるのか、それとも、公平性の観点から問題があるとするのであれば、弁当持参の生徒に無償化した給食分を返還するのか、その辺りをどのように想定、検討をされているのかをお伺いをしたいというふうに思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 学校給食費の無償化につきましては、昨年十二月に課題の整理を行いました。給食未実施校が存在することや、先生から御指摘いただきましたが、中学校については、一部自治体において、給食を喫食するか家庭からの弁当を持参するかその都度選べる選択制給食を実施していること、また、給食実施校においても、重度のアレルギーや不登校等により喫食しない児童生徒には恩恵が及ばないといった児童生徒間の公平性、低所得世帯の児童生徒は既に無償化されていることに伴う支援対象の妥当性、三位一体改革の経緯を踏まえた国と地方の役割分担、少子化対策としての政策効果や安定的な財源確保といった課題が明らかになりました。このような先生から御指摘いただいた課題を始め様々な課題に対し、丁寧に向き合い、検討することが重要だというふうに考えております。

 なお、物価高騰が続く現状を踏まえ、令和六年度補正予算において、重点支援地方交付金の推奨メニュー分として〇・六兆円が計上されたところであり、各自治体に対し、重点支援地方交付金の活用を促し、給食費の保護者負担軽減に努めてまいります。

高木主査 山本大地君、申合せの時間が過ぎておりますので。

山本分科員 是非とも、これからもいろいろな問題があると思いますけれども、向き合っていただきたいというふうに思います。

 終わります。

高木主査 これにて山本大地君の質疑は終了いたしました。

 次に、島田智明君。

島田(智)分科員 自由民主党の島田智明でございます。

 私は、昨年八月二日まで、大阪府河内長野市において市長を二期八年務めさせていただきました。そのときに深く関わったこととして、本日は二点、日本遺産の活用、そして私立高校授業料無償化が公立高校に与える影響についてお伺いいたします。

 本日は、大臣に質問通告がございませんので、文部科学大臣におかれましては、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございます。

高木主査 あべ大臣、どうぞ御退席ください。

島田(智)分科員 本日、様々な御質問や御意見をいたしますが、日本遺産の活用、そして私立高校授業料無償化を推進する立場から申し上げることをまずは御理解ください。

 私の地元には、四つの日本遺産がございます。まず、「中世に出逢えるまち 千年にわたり護られてきた中世文化遺産の宝庫」、これが河内長野市単独で日本遺産に認定されております。ちなみに、私が河内長野市長を務めていた二〇一九年に日本遺産に認定していただいたのですが、四度目の挑戦でございました。日本遺産認定に向けて文化庁に何度も足を運び、かなりの労力を費やしたのを記憶しております。「女性とともに今に息づく女人高野 時を超え、時に合わせて見守り続ける癒しの聖地」、こちらについては四市町が関わっているのですが、このうち河内長野市が私の地元でございます。

 同様に、私が河内長野市長を務めていた二〇二〇年に日本遺産に認定していただいたのですが、それまでの様々な経験が生かされ、また河内長野市が取りまとめ役となって四市町が懸命に頑張ったので、一回目の挑戦で認定していただきました。

 ほかにも、「「葛城修験」 里人とともに守り伝える修験道はじまりの地」、こちらは二十市町村にまたがっているのですが、このうち河内長野市、河南町、千早赤阪村、太子町が私の地元でございます。

 最後に、「千四百年に渡る悠久の歴史を伝える「最古の国道」 竹内街道・横大路」、十市町村が関わっているのですが、このうち松原市と太子町が私の地元でございます。

 それでは、日本遺産の活用についてお伺いいたします。

 日本遺産の認定対象は、有形、無形文化財ではなく、ストーリーでございます。有形、無形文化財が具象的なのに対し、ストーリーは抽象的ですので、日本遺産に認定されている地域の地元の人ですら、何が日本遺産に認定されているのかをはっきりと説明できないことがよくあります。ストーリーではなく、日本遺産の構成文化財自体が日本遺産だと誤解したり、また、世界遺産までは至らないが文化財として十分な価値があるので日本遺産に認定されていると誤解したり、日本遺産制度をよく理解していない人がたくさんおられます。

 そこでお伺いしますが、文化庁が求める日本遺産の目的は何でしょうか。観光振興でしょうか、地域活性化でしょうか、それとも文化財保護でしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、島田先生におかれましては、河内長野市長でいらした頃から日本遺産に対して大変な御尽力を賜っていることに、心からお礼を申し上げます。

 その上で、今先生から御指摘いただいたとおり、平成二十七年にスタートいたしました日本遺産は、地域の歴史や文化に根差したストーリー、このストーリーというのは、すなわち、国宝や重要文化財といった一つ一つの文化的な価値をつなぐ歴史や文化をめぐる物語でございますが、これを文化庁が認定する仕組みでございます。ストーリーに関連する有形、無形の文化財自体は、その構成要素ということで取り扱っているところでございます。

 日本遺産の主たる目的は、魅力ある文化資源の活用を通じて、地域の活性化や観光振興を図っていただくことにございます。このため、観光客として訪れた方々や子供たちを始めとする地域の方々が、地域の歴史や文化への理解が深められるような環境整備を私どもは期待しているところでございます。

島田(智)分科員 了承しました。

 国土交通省の中にある観光庁が観光振興、文部科学省の中にある文化庁が文化財保護という解釈をしがちですが、そういったわけでもなく、文化庁がしっかり観光振興も考えていくということで、是非その考えを国宝、重要文化財についても生かしていただきたい、そんなふうに思います。

 では、先ほど御回答していただいた日本遺産の目的なんですが、日本遺産の継続審査項目に十分反映されておられるのでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度から開始をいたしました、先ほど御指摘をいただきました日本遺産の認定継続に関する審査におきましても、先ほど申し上げたような日本遺産の目的を踏まえまして、日本遺産を生かした地域づくりの将来像や、その実現に関する具体的な方策が適切に示されているか、日本遺産を通じた地域活性化の推進に必要な体制が整備されているかという観点から、各地域の日本遺産の御地元の取組につきまして、有識者による審査、評価を行っているところでございます。

島田(智)分科員 了承しました。十分反映されているということだと理解しました。

 先日、太宰府天満宮を構成文化財に含む「古代日本の「西の都」」が日本遺産の認定を取り消されました。決して文化財的価値が低いわけではなく、文化庁が求める日本遺産の方向性にそぐわなかったということだと理解します。認定取消しの理由として、集客力の高いエリアから周辺への誘客、周遊方策の不足、自治体間の連携不足、認知度不足などが挙げられておりますので、現在、日本遺産に認定されている地域においては、これらの項目に特に着目して日本遺産の認定を維持されることを願っております。

 次の質問に移ります。

 世界遺産と比較して日本遺産の認知度は低い現状ですが、文化庁として、日本遺産の知名度向上のためにどのような取組をされておられますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本遺産の認知度というのは、私どもの力不足もございまして申し訳なく存じておりますが、依然十分ではないというふうに認識をいたしてございます。

 そのため、文化庁におきましては、日本遺産の日である二月十三日に合わせたシンポジウムや、各地域が出店する日本遺産マルシェ、それから全国の日本遺産認定地域が集い、情報発信や関連商品の販売等を行う日本遺産フェスティバルを毎年度主催してございます。

 加えて、今年度は日本遺産十周年ということでございまして、これは島田先生にもお越しをいただいたわけでございますが、二条城で記念式典を行うとともに、全国の主要な鉄道駅での広告の発出や、SNSを通じた日本遺産の情報発信など、日本遺産の周知啓発に取り組んでいるところでございます。

島田(智)分科員 了承しました。

 日本遺産フェスティバル、日本遺産の日記念シンポジウム、日本遺産マルシェなど、ただ、それだけでは不十分のように思っているところが正直なところございます。

 先ほど御回答いただいた知名度向上の取組について、その評価はどのように考えておられますか。効果的と考えられていらっしゃるでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただきましたように、私ども、まだまだ日本遺産の知名度は十分ではないというふうに考えてございます。

 そのような認識の上で、さらに、今年度からは、日本遺産の認知度向上に御協力いただける企業や団体との間で、日本遺産オフィシャルパートナーシップを締結する取組を開始をしてございます。現時点で、旅行事業者や交通事業者など五十七社をオフィシャルパートナーとしてございます。

 文化庁としては、これらの施策は着実に日本遺産の認知度向上に資しているというふうに考えておりますが、更なる広報効果の創出を図るために、先生御案内のとおり、既に旅行代理店の中には、日本遺産ということをテーマに一冊の旅行ガイドブックを出版いただいている、それを多くの方々に御覧いただいているというようなこともございます。企業の方々など様々なアクターと連携をしながら、今後もあらゆる手段を尽くしてまいりたいと考えてございます。

島田(智)分科員 ありがとうございます。

 個々の日本遺産認定地域に任せるのではなく、予算の都合もあるのでしょうが、文化庁主導で日本遺産の全体的なPRイベントを、先ほど申し上げました日本遺産マルシェとか日本遺産フェスティバル以外にも、もっと開催すべきではないかなと思っております。

 特に、二月十三日が近づくと、二月十三日は何の日か知っているかと周りの人に聞くんですが、知っている人は全然おりません。関係者だけが日本遺産の日ですと答えてくださるんですが、本当に、二月十三日が近づけば、日本遺産の日だなというふうにみんなが答えてくださるような、そんなふうになっていくことを願っております。

 いろいろな認知度向上の取組は考えられるんですけれども、全体的な取組の中で、デジタルスタンプラリーの開催、それをすることによって日本全国の日本遺産を回ることになりますし、あるいは、その地域に行かなければ手に入らない日本遺産カードの発行というようなこともすれば、各地域を回り、そして収集する方が増えていくんじゃないかな、それが知名度向上につながっていくんじゃないかな、そんなふうなことを思っております。

 また、日本遺産、現在百四つありますが、横のつながりを更に深めることで相乗効果が期待できるのではないか、そんなふうに思っているところでもございますので、引き続き、日本遺産の認知度向上に関するいろいろな取組をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 日本遺産は、元々二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを意識したものでございまして、二〇一五年から二〇二〇年まで六年かけて、約百か所が指定されました。

 多くの外国人観光客が期待できるイベントとして、もうすぐ大阪・関西万博が開幕しますが、この大阪・関西万博と連携して日本遺産をPRする取組を計画されておられるでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、大阪・関西万博は、日本遺産にとって、広報のための絶好な機会だというふうに認識をいたしております。このため、大阪・関西万博を契機とした観光情報を掲載する公式観光ガイドのウェブページにおきまして日本遺産に関する情報を掲載しておりまして、万博のために来訪した外国人観光客が日本遺産にもアクセスできる環境を整えているところでございます。

 さらに、日本遺産認定地域が地方自治体として大阪・関西万博に出展する場合には、併せて日本遺産の周知、広報をいただくよう要請をいたしているところでございまして、会場でも、日本遺産の広報につながるよう調整を進めてございます。

 同時に、文化庁といたしましては、日本遺産を活用しながら、我が国の文化の魅力を世界に発信するための日本博二・〇を展開してございまして、この日本博二・〇、日本遺産、それから万博というのが一体となりまして、万博を盛り上げるための施策として、大阪・関西万博が開催される来年度、一層強力に推進してまいりたいと考えてございます。

島田(智)分科員 了承しました。

 御提案なんですが、大阪・関西万博という名称ですので、これは関西も含まれているわけでございます。文化庁の京都移転を有効利用して、万博会場の夢洲だけでなく、京都で万博関連イベントを開催するというのはいかがでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、文化庁においては、まさに京都に移転したということを踏まえ、そのメリットを最大化するという観点から、二〇二三年七月に関西経済連合会等との共同宣言を行いまして、万博開催を契機に、オール関西で、文化芸術立国の実現に向けて官民一体となって取り組むということといたしてございます。

 万博開催に向けまして、訪日機運の醸成と万博から地方への誘客を図ることを目的にした、先ほど申し上げました日本博二・〇を展開しておりますが、その中で、ただいま御指摘をいただきましたように、京都でも、国際写真展「KYOTOGRAPHIE」や京都観世会で実施される能楽の取組等を支援してございます。また、京都国立博物館におきましては、万博の開催を記念した取組として、特別展「日本、美のるつぼ 異文化交流の軌跡」を開催するなどの取組も進めているところでございます。

 今後とも、ただいま先生から御指摘をいただいたことも含めまして、万博機運醸成のための一層の取組を図らせていただきたいと存じております。

島田(智)分科員 御回答ありがとうございます。

 せっかくの機会ですので、万博と日本遺産に相互作用が働くような取組を期待しております。

 文化庁の皆様、ありがとうございました。

 次に、私立高校授業料無償化が公立高校に与える影響についてお伺いいたします。

 私は、小学校は公立ですが、中学校と高校は中高一貫教育の私立でした。高い授業料を支払ってでもその私立校に通う価値があると両親も私も判断しておりましたので、決して私立高校授業料無償化の流れに反対するものではございません。

 ただ、私立高校授業料無償化の先行地域である大阪府において、様々な課題が露呈いたしました。大阪府内では、私立高校への人気が高まり、次年度、一般選抜を行う全日制公立高校百二十八校のうち、半分以上の高校で定員割れが予想されております。

 文部科学省として、どのように捉えられておられますか。

望月政府参考人 今、島田委員から御指摘がございましたように、大阪府の公立の中学校長会の調べで、一月末の現在、令和七年度入試の進路希望調査によりますと、公立高校の倍率が一・〇倍を切っているという数が五六・二%に上がってございます。今回、私立高校の授業料支援を拡充ということに関して、減少面だけを見ますと、公立高校への進学者数が減少する可能性があるなど、公立高校に一定の影響があるのではないかと考えてございます。

 その上で申し上げますと、国公私立にかかわらず、多様な学習ニーズに対応した教育を行い、生徒の多様な個性や長所を伸ばしていくことのできるような、そうした学校づくりに取り組んでいくことが大事かと思っております。

島田(智)分科員 御回答ありがとうございます。

 また、大阪府では、大阪府立学校条例第二条の2において、「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする。」と規定されております。

 大阪では、この条例改正の二〇一二年度から二〇二二年度までの十年間で、十七校の公立高校で募集停止が決まりました。事実、私が市長を務めておりました河内長野市においても、私の任期中に大阪府立長野北高校が三年連続定員割れで募集停止となり、統廃合されました。

 多くの市民からたくさんの御意見をいただきました。長野北高校の卒業生からは、母校がなくなるのを何としても食い止めてほしいという御要望。また、長野北高校近くに居住する方々からは、地域の活気がなくなるので、何らかの形で学校を維持してほしいという御意見。結局、大阪府とともに高校跡地の活用をしっかり考えていくという流れになりました。

 そして、河内長野市におけるもう一つの公立高校、大阪府立長野高校。こちらが二〇二二年度に定員割れを起こしたときは、とても大変でした。三年連続定員割れを起こすと、長野北高校と同じように再編整備の対象となることを理解しておりましたので、河内長野市として、長野高校と連携協定を締結し、様々な取組とともに、長野高校の魅力向上に努めました。そのかいあってか、また校長先生を始め長野高校関係者の努力もあり、翌年は定員割れをぎりぎり回避することができ、三年連続がリセットされ、関係者一同安堵したということがありました。

 文部科学省として、このような三年連続定員割れを条件に再編整備を規定する条例について、どのようにお考えでしょうか。

望月政府参考人 大阪府府立学校の条例第二条の2におきまして、「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする。」こういう規定がございまして、他の県ではなかなか、余り私も聞いたことがない事例だと思ってございます。

 一方で、公立高校につきまして、これは公私立の定員のこうした協議にも関わってまいりますけれども、高校教育の普及あるいは機会均等を図るために、配置及び規模の適正化の努力義務がかかってございますけれども、地理的な状況、生徒の学習の希望、あるいは地域における人材育成の観点から、教育委員会等におきまして配置の必要があると判断する場合には、定員が割れていても、その状況をよく踏まえながら検討をするといったような運用も、これは大阪府の方でもそうした柔軟な考え方もあるというふうにはちょっと聞いてございます。

 公私間の学校数や生徒数やその割合というのはそれぞれ都道府県によっても異なるものでございまして、今先生から御指摘いただいた条例の適否は、我々の方でどうこう申し上げることはできないと思ってございますけれども、いずれにしましても、地域の状況に応じました適切な配置及び規模を検討していくものというふうに考えてございます。

島田(智)分科員 御回答ありがとうございます。

 私立高校は、公立高校と比較して、多くの場合において、試験日程が早いとか、都道府県を越えた越境入学ができ、併願制が認められるなど、学生募集について有利な条件が幾つもあります。

 私立高校授業料無償化に伴い、公平性の観点から上述の条件を見直すことが必要になると思いますが、文部科学省としてどのように捉えておられますか。

望月政府参考人 公立高校の入学者選抜の実施方法、いわゆる高校入試の実施の方法等につきましては、これは私が申し上げるまでもなく、各都道府県教育委員会等が設定をしているところでございます。

 その上で申し上げますけれども、文部科学省の平成三十一年度の、少し古い調査になりますけれども、県外からの生徒受入れにより学校や地域の活性化を図るなどを目的としまして、三十五道府県、三百四十一校におきまして県外募集がされている実態がございます。

 具体的な日程や併願制の取扱いを含めて、実施方法等を改善するという場合には、県を越えて募集をしているという場合には、その過程において、やはりそれぞれの都道府県の県民の方々の御理解を得る必要があるということがあろうと思います。そして、当該都道府県の生徒の就学に過度な影響を及ぼすことがないように配慮を行いながら、募集の意図、目的等について十分な説明を行いまして、その意見を十分に考慮した上で検討をいただきまして、都道府県において適切に御判断いただきたいというふうに考えているところでございます。

島田(智)分科員 これは大阪府だけじゃなく、多くの都道府県において、辺境に位置する公立高校というのは、越境入学ができないところが多いという条件の中、やはり定員割れを起こしがちです。高校授業料無償化が日本全国で進むと、少子高齢化の社会潮流とともに、学校施設の充実等でどうしても引けを取る公立高校が定員割れを起こし、集団教育が成り立たなくなる可能性が予見されますので、公立高校と私立高校の公平性が維持されるような仕組みづくりを期待しております。

 私立高校授業料無償化におけるほかの問題点として、これは多くの方々が同じような質問をされておりますが、私立高校の授業料便乗値上げ、あるいは、授業料じゃなくても、授業料以外の部分での費用、例えば入学金や施設費の値上げの可能性があります。文部科学省としてどのように捉えておられるでしょうか。

望月政府参考人 高校の授業料無償化に関しましては、一般論として申し上げれば、教育基本法等の規定に鑑みまして、特に私立高校の授業料を含む経費につきましては、私立学校の建学の精神に基づきまして、そして自主性の尊重に留意すること、ただ一方で、支援の拡充に伴いまして、各学校で合理性のない授業料の値上げ、いわゆる便乗値上げが行われないように留意する必要があるというふうに考えてございます。

 今回、三党合意に基づきまして検討する際にも、高校教育全体にとって意義のあるものになるよう、本年度から取組を行っております大阪府あるいは東京都のそうした事例の成果や課題等も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。

島田(智)分科員 御回答ありがとうございます。

 私立高校授業料無償化は、公立高校の民営化、あるいは私立高校の新設を推進することにつながりかねませんが、文部科学省としてどのように捉えておられるでしょうか。

望月政府参考人 先ほども御答弁させていただきましたけれども、私立高校の授業料の支援の拡充というものは、公立高校への進学者数が減少する可能性があるなど、公立高校への一定の影響があるものと考えてございます。一方で、私立高校のそうした建学の精神に基づいた特色ある豊かな教育を提供する、そういう役割も考えなければいけないというふうに考えてございます。

 公私間の学校数あるいは生徒数、その状況は自治体によってそれぞれ様々でございます。そうした各都道府県の状況も踏まえて、地域の自主性に応じた適切な配置を検討いただくものと考えてございますけれども、今回の三党合意の内容に沿いまして、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保、多様な人材育成の実現、公立や私立の関係など様々な論点につきまして十分に検討を行いまして、必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。

島田(智)分科員 特に、今、公立高校しかない地域に私立高校が新設され、目新しさから一気に公立高校から私立高校に学生がシフトすることのないよう、様々な対応策が実施されることを期待しております。

 最後にお聞きしたいことは、文部科学省が描く高校のあるべき将来像についてでございます。

 幼稚園、こども園、保育園においては半分以上が私立でございます。ところが、小学校、中学校、高校においては半分以上が公立です。また、大学においては半分以上が私立です。そう考えると、今後、高校においても半分以上が私立という考え方も一理あるわけですが、文部科学省が考える高校のあるべき将来像はどのようなものでしょうか。

望月政府参考人 十五歳までの義務教育段階を終えた高等学校につきましては、その目的、意義としては、生徒が国家、社会の形成者として主体的に参画して活躍できるようになるように、一人一人の個性や実情に応じた多様な可能性を伸ばし、社会で生きていくために広く必要となる資質、能力を共通して身につけることができるようにすることが必要であるというふうに考えてございます。

 その際、公立、私立それぞれの学校においても、そうした生徒の個性や長所、あるいは自信というものを深め、伸ばし、各学校が特色化、魅力化に切磋琢磨しながら、生徒のそうした多様な学習ニーズに応じた多様な教育ができるよう我々としても支援をしていきたいと思っておりますし、全体像として、高等学校が、義務教育の上に、さらに、社会や職業に一番身近な存在であるということを意識した教育がどこの学校でも展開されるということが必要かというふうに考えているところでございます。

島田(智)分科員 いろいろな御回答、ありがとうございました。

 最近、「三年B組金八先生」の第一シリーズと第二シリーズを見る機会がございました。その当時は同年代でしたし、ただの青春ドラマ、あるいは教育を受ける立場からドラマを見ておりましたが、今回は大人として、教育を考える立場からドラマを視聴し、大いに学ぶものがございました。

 現在の少子高齢化、人口減少という社会潮流の中、教育の在り方について、これが正解という解はございません。日本の教育の質を下げることだけはないようにお願い申し上げまして、私からの質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて島田智明君の質疑は終了いたしました。

 次に、波多野翼君。

波多野分科員 立憲民主党の波多野翼です。今日もよろしくお願いいたします。

 お昼前ということで、ちょっとおなかもすいてきたところなんですけれども、まずは学校給食の質問からさせていただきたいなというふうに思います。

 令和六年十二月二十七日に公開された「「給食無償化」に関する課題の整理について」ですが、本当に年末のぎりぎりまでまとめていただきまして、本当に敬意を表したいというふうに思っております。

 福井県の方でも、保護者の要望に応えて学校給食の無償化に取り組む自治体が増えてきております。

 そこで、幾つか質問をさせていただきます。

 給食無償化の実施状況の中で、自己財源と回答した自治体が七百二十二自治体中四百七十五もあり、一番多いという回答でしたが、その四百七十五自治体の中で、自己財源のみで学校給食の無償化をしている自治体がどれだけあるか、教えていただければと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月に公表した学校給食に関する実態調査の結果によりますと、令和五年九月一日時点におきまして、独自に学校給食費の無償化を実施している七百二十二自治体のうち、無償化の財源を自己財源と回答したのは四百七十五自治体となっており、そのうち、自己財源のみで実施していると回答した自治体は三百十七自治体となっております。

波多野分科員 ありがとうございます。

 自己財源のみでやっているところもあれば、ほかの自治体は、地方創生臨時交付金ですとか臨時の交付金を活用したりですとか、又は制度の変更により受入額が大きく変動するふるさと納税の財源を充てているというところが多いのかなというふうに思っております。

 こうした不安定な財源を元に学校給食の予算編成をしている各自治体のことを考えますと、いろいろと苦労も多いかなというふうに思いますので、国の恒久的な財源の中で実施するのが望ましいと私自身は思っているところであります。

 そこで、報告書の中で、生活保護の教育扶助や準要保護者への就学援助などにより、全児童生徒のうち要保護者が約一%、準要保護者が約一三%ということで、全部で一四%の世帯が減免になっているということであります。

 あべ大臣の方にお伺いしたいんですが、この一四%以外の世帯は困窮をしていないという認識でいるのかどうかというのを是非お伺いしたいなというふうに思います。

あべ国務大臣 波多野委員にお答えさせていただきます。

 学校給食費につきましては、経済的困窮世帯におきまして、既に生活保護による教育扶助また就学援助等によりまして基本的に無償となっているところでございまして、令和五年度におきましては、その割合は約一四%となっているところでございます。

 就学援助につきましては、基本的に申請に基づいて実施されているものと認識をしておりますが、対象となる児童生徒の保護者に対して漏れなく実施するよう、各教育委員会におきまして、広報を通じて制度の趣旨及び申請手続について周知徹底を図っているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、児童生徒に対して必要な支援が届くように努めてまいりたいというふうに思います。

波多野分科員 ありがとうございます。

 私自身も福井県の越前市役所の方に十月八日まで勤めておりまして、十五年間、市役所の仕事をしてきたわけですけれども、そのうち五年間は生活保護のケースワーカーと生活困窮の自立支援の担当をしていたということで、実際の保護者の方々に話を聞くと、制度を知らないという方もいますし、制度を知っていても、やはり周りの目が気になって申請に及ばないと。そういった申請ができない中、本当に生活を切り詰めて切り詰めて、最終的にもうどうにもならないということで生活保護の申請とか困窮の相談に来るというのが実態であります。

 さらには、生活保護の捕捉率も二割程度ということで、実際に、支援をしてほしいけれども受けられない、そういった世帯がいるということは是非十分に認識していただきまして、対応していただきたいと思います。

 そういった面でも、学校給食の無償化ということが精神的な負担を和らげる、そんなこともあるのかなというふうに思いますし、やはりその精神的な負担が減るということは、子供へゆとりを持って接することができる、そういった家庭での教育にもつながると思いますので、学校給食の無償化は、全体として、小学校のみといわず、中学校もやっていっていただきたいなというのが私の思いであります。

 続きまして、報告書の中にも、公立に限って給食費を無償化するということに関しましては約四千九百億円の財源が必要だというふうに書かれておりました。立憲民主党としましては、本気の歳出改革に取り組む中で、予算、基金の見直しで約三・八兆円を確保できると予算委員会の中でも何遍も述べさせていただきました。

 財源に関しましては、そういった部分では問題ないと私自身は思っているのですが、あべ大臣のお考えを是非お聞かせいただければと思います。

あべ国務大臣 学校給食費の無償化につきましては、政党間の協議における合意内容も踏まえまして、まずは小学校を念頭に、地方の実情などを踏まえまして、令和八年度に実現することにしております。その上で、中学校への拡大についても、できるだけ速やかに実現をしてまいります。

 また、地方自治体に対して重点支援交付金を活用した対応を促していくとともに、学校給食法との関係、また児童生徒間の公平性、さらには支援対象者の範囲の考え方、地産地消の推進を含む給食の質の向上、国と地方の関係、効果検証といった論点について十分な検討を行いながら、施策の実現に当たっては安定財源を確保することとしたいというふうに考えているところでございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 今回まとめていただいた調査についてですけれども、この調査も、令和五年度の六月十三日に閣議決定したこども未来戦略方針において、学校給食の無償化の実現に向けての調査だというふうに私は認識しております。ですので、いろいろと課題等々がたくさんあるというふうに報告書の中にも書かれていましたが、その課題を、やらない理由ではなく、乗り越えるものだというふうに皆さん捉えていただいて、早急に、令和八年といわず、令和七年度、来月、新年度からできるように力を入れていただきたいなというのが私の思いではあります。

 本当に福井県もたくさんの保護者の意見があって、要望があって、学校給食をやる自治体が増えてきているというふうに思っておりますので、そういった部分では、いろいろな壁はありますけれども、それは取り除く、乗り越える壁だというところで皆さんには頑張っていただきたいなと思いますし、私自身も協力できるところは協力していきたいと思っていますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。

 続いて、ちょっと給食に絡めてですけれども、私自身、越前市役所で働いていたときに一番最後の就いた仕事が農政の仕事ということで、その経験を踏まえて、学校給食における、先ほどあべ大臣もありましたけれども、地産地消、あとは有機農業の促進の取組について一つお聞きしたいと思います。

 現在、農林水産省が策定したみどりの食料システム戦略において、耕作面積に占める有機農業の割合を二〇一八年の〇・五%から二〇五〇年までに二五%まで拡大する、そういったKPIを掲げて今取り組んでいるところであります。

 その中で、学校給食は、地元の生産者や新規に就農する農業者にとって、安定的な供給先として、持続可能な農業を確立する場として本当に寄与する、学校給食はそういった場だと私自身は感じております。

 そこで、学校給食で有機農産物を導入した場合に補助が出たりとか、そういったことができる政策があれば、是非教えていただきたいと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 学校給食における地場産物、有機農産物の活用については、地域の食文化、産業への理解や生産者への感謝の気持ちを育むなど、子供たちの食に関する理解を深めるために有効であると考えております。

 他方で、実施に当たりましてはコスト面や量の確保などの様々な課題があることから、文部科学省では、令和七年度予算案において、地場産物や有機農産物を学校給食において活用する際のかかり増し経費等への支援と、学校給食等を活用した子供たちへの食育の充実を一体的に推進するための調査研究事業に要する経費を計上しているところです。

 また、現下の食材費の高騰が続く中でも学校給食の質が確保されるよう、これまでも重点支援地方交付金の活用を促してきたところであり、引き続き学校給食の充実に取り組んでまいります。

波多野分科員 ありがとうございます。

 そうした政策をしっかりと、文部科学省ということで教育委員会の方に通知を出していると思いますけれども、こういった地産地消とか有機農業の取組は農政部門でもやっているところがありますので、しっかりと情報連携をするように、そこも含めて周知をしていただければというふうに思います。

 続きまして、全国学力テストについて質問をさせていただきます。

 福井県でも、学力、トップクラスということで、毎年この話題が新聞等々で取り上げられるんですけれども、この結果の公表について、都道府県がランキング化されて、序列化や過度な競争が生じているのではないかというふうに思っております。実際、テスト対策として、授業を削減したりですとか、放課後に補習を行ったりとか、勉強が苦手な児童を欠席に追い込むといった事例があるということも聞いております。

 今、ワーキンググループが設置されて、この議論をされていると思いますけれども、今の現状を踏まえて、結果の公表の方法やランキングの取扱いについて、今後どう対応していくのか、御見解をお聞かせいただければというふうに思います。

あべ国務大臣 この全国学力・学習状況調査におきましては、一人一人の学習課題を把握をいたしまして、エビデンスに基づく学習指導に生かすために、約二百万人の児童生徒を対象に実施をしているところでございます。

 ビッグデータを蓄積、活用する観点から、学びの改善につながる各種データはできる限り公表することが重要というふうに考えております。一方、結果公表によりまして、学校の序列化、また、過度な競争が生じないよう、教育上の効果や影響などに十分配慮することが、まさに委員おっしゃるように重要でございまして、学校現場で公表数値の上昇のみを目的とする行き過ぎた取扱い、これがされないよう、毎年適切な指導をお願いしてまいりました。

 文部科学省といたしましては、CBTの導入を機に、学力、学習状況がより細やかに分かる形で調査結果を提供していきたいというふうに考えておりまして、昨年十二月に設置いたしました有識者会議におきまして、公表方法、これも含めまして、調査結果の取扱いの改善の方向性を議論いただいているところでございます。

 本調査により、よりよい形で実施できるよう、しっかりと検討を進めてまいります。

波多野分科員 ありがとうございます。

 ランキングがされることによって、教育現場、生徒もプレッシャーがかかるというのは余りよくないというふうに思いますので、しっかりと議論していただいて、対応していただければというふうに思います。

 今、CBTの導入という話がありましたけれども、この導入によって、今後のスケジュール感とか、メリット、デメリットがあれば、教えていただければと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 全国学力・学習状況調査に、今御指摘がありましたCBTを導入する、そのメリットといたしましては、まず、電子データにより問題、解答を配信、回収できる、こういった点が挙げられます。これにより、教師の負担の更なる軽減が期待できるほか、問題、解答用紙の印刷、配送、回収が不要になったり、機械採点の導入をすることによって採点コストの縮減、こういったことも見込まれると考えております。また、不登校等の児童生徒が柔軟に学校外から参加したり、IRTを活用した精度の高い分析によって、きめ細やかな結果返却を行ったりすることも期待されているところでございます。

 他方、課題といたしましては、端末やネットワークを利用するため、その不具合をゼロにするというのはかなり難しい点があります。事前に不具合を特定、改善できるよう、サンプル問題を提供したり、トラブル発生時の対応、対処方針などを周知することで、できる限り技術的なトラブルを生じさせず、CBTやIRTを活用する意義を最大限反映させた調査を実施してまいりたいと思います。

 なお、スケジュールにつきましては、七年度からは理科を先行して実施させていただきたいと考えているところでございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 CBTの導入ということで、教員のそういった負担軽減ですとか、日程も少し、同一日じゃなくてできるというところもあるのかなというふうに思いますし、コストも削減できるという面ではとてもいい取組かなと思いますけれども、本当に全校でする必要があるのか。もしあれでしたら、抽出する形ですとか、若しくは三年ごとの開催ということで、より教師の負担、生徒の負担がなくなるような取組を是非考えていただければというふうに思います。

 続きまして、避難所の体育館への空調設備ということで、それを加速化させる空調設備整備臨時特例交付金について質問させていただきます。

 この交付金ですけれども、地方交付税交付団体が空調の補助単価内で事業を行った際に、最終的な地方自治体の負担割合がどうなるか、教えていただければと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 まず、空調設備整備臨時特例交付金を活用して学校体育館の空調を整備した場合につきましては、先生御指摘いただきましたように、まず、国庫補助率が二分の一になってございます。とともに、国庫補助事業に係る地方負担分の全額に、まずは地方債の充当が可能になってございます。また、後年度の元利償還金につきましては、その五〇%に地方交付税措置が講じられるため、実質的な地方公共団体の負担割合は二五%となってございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 地方自治体の負担が、事業費の、最小で二五パーになるということです。

 また、エアコンと断熱を年度をまたいで実施する場合にも、この交付金を活用していれば、またいだ場合でも適用できるというふうに聞いております。

 ただ、例えば、エアコンを先にこの特例交付金ではない別の交付金などを活用してつけた場合において、次年度に、エアコンを設置した体育館に断熱の工事をする場合には、この空調設備整備臨時特例交付金を利用することはできるんでしょうか。教えてください。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の空調設備整備の臨時特例交付金につきましては、学校体育館における空調設備の新設に要する経費を補助対象としてございまして、断熱化工事につきましても、空調設備工事の関連工事として補助をしているところでございます。

 このため、先生御指摘いただきました、臨時特例交付金を活用せずに学校体育館の空調を設置した後に断熱化工事を行う場合については、この断熱化工事に係る経費については、臨時特例交付金の対象としてはございません。

波多野分科員 ありがとうございます。

 それでは、一番自治体の負担が少なくエアコンが設置できるというのは、この臨時特例交付金を活用してエアコンをつけて、次年度、同じ臨時特例交付金を使って断熱工事をしていくということが一番経費を落とせるのかなというふうに思いますけれども、なかなかここが分かりにくいという声も聞いております。

 是非、文部科学省ということで、各教育委員会に通知は出していると思いますけれども、自治体の声を聞きますと、やはりこういった体育館が避難所ということで防災関連の部署が予算の要求をしているということもありまして、そういったところへの情報提供もするように、併せて通知をしていただければというふうに思います。

 それから、令和七年度から、多子世帯に対して、大学の無償化に向けて話が進んでいるというふうに思いますけれども、教育費の負担が減るというのはとてもいいことだなと思う反面、是非これを全体に拡大してほしいという思いもあります。

 その中で、低所得者世帯については、給付型奨学金の活用をというふうになっております。

 ただ、二〇二四年度行政事業レビューにおいて、給付型奨学金を含む大学等における修学支援に必要な経費について、当初予算が約五千二百億円ありまして、執行額が約三千百億円、執行率が五九・三%と、若干低くなっているなというふうに思いますけれども、その原因と対策について教えていただければというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度におきましては、非課税世帯等の高等教育進学率が全世帯進学率と同じ水準まで向上することを想定をいたしまして、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、十分な予算を確保してきているところでございます。

 他方で、非課税世帯の進学率が現時点におきましては全世帯進学率と同じ水準までは達していないことに加えまして、この支援対象となる学生等に制度の情報が十分に届いていないこともあると考えてございます。こうしたことから、執行状況が予算額に満たない状況にあるものと認識をしてございます。

 これへの対策でございますが、やはり高等教育の修学支援新制度、必要な方に支援を届け、御活用いただくためには、積極的な情報の発信、また関係者への分かりやすい説明が大変重要であるというふうに考えてございます。

 文部科学省では、学生等や進学を控えた高校生等に向けまして、SNSや動画の配信、またテレビの放映、インターネット広告等で制度内容を分かりやすく発信をするとともに、進学前の早い段階にある中学三年生の生徒等に対しても周知資料を作成、配付するなど、積極的に情報発信に努めているところでございますけれども、引き続き、こうした情報発信の改善に努め、必要な方にしっかり支援が届くようにしてまいりたいというふうに思ってございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 全員が活用できる、それで予算を取っているということでありますけれども、本当に全員が修学できればいいですけれども、今言うように、全員が大学に行くというわけではないので、それを見越してつけるというのはちょっとつけ過ぎかなという部分も思うところであります。

 さらには、周知を頑張っているというふうに言われますし、私自身、ホームページも見させていただいて、分かりやすくしようという形で載っているなというふうに思いますけれども、その対象となる条件とか要件が余りにも複雑過ぎて、現場の声を聞くと、利用者は自分が対象になるかどうかが分かりにくい。その相談を学校の方にしても、先生も、制度が複雑過ぎて、すぐに対象になるかどうかが分からない。機構の皆さんも、そういった部分では、仕組みが難解だということで、あなたが対象になりますよと自信を持って推奨できないという状況もあるのかなというふうに思います。

 そういった声が届いていないか、そして、そういった状況を踏まえて、複雑な制度の見直しについてどう考えているのか、是非お聞かせいただければというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、やはり新しくできた制度でございますし、順次、今拡充もさせていただいているところでございますので、毎年、今回も多子世帯に対する支援の拡充という形で法案の審議をお願いをしているところでございますが、こうした制度がどんどん動いているところでございますので、私どもは、その制度の見直しの中でしっかり分かりやすい制度にしていきたいというふうに思ってございますし、何よりも、やはり情報がしっかり当人に届くことが大事だというふうに思ってございます。

 例えば、今、JASSOの方では、進学資金シミュレーターというような形で、それぞれの家庭の状況等を入れていくと、支援対象にどういう形になるのかというのが個人でも確認できるような形でのものを提供させていただいたり、また、先ほども答弁を申し上げましたけれども、やはり早い段階から、自分はお金の心配をしないで大学に進むことができるから、しっかり勉強していこうということを、高校三年生の段階でいきなり言われても準備が間に合わないというのがございますので、中学校の段階からそうした情報が届くよう、中学生にも分かりやすいような資料を作成をさせていただいたところでございます。

 こうしたことをしっかり実施をしていくとともに、今後とも、制度の見直し、簡素化なども含めて、状況を踏まえて、しっかり対応してまいりたいというふうに考えてございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 周知徹底ということで話がありましたけれども、正直、シミュレーターの方をさせていただきましたけれども、やはりいろいろな要件があり過ぎて、実際、やっていても、自分がどうそこに当てはまっているのかちょっと分かりにくい。更に言えば、それを自分が分からないから学校の方に聞こうと思うと、いろいろな情報を学校側に言わなきゃいけないという部分での精神的な負担も結構大きいなと思っております。

 なので、周知徹底という部分はありますけれども、それ以上に、制度的にもっと分かりやすくしていただける方がいいのかなと思うんですが、そこの制度を変えるという部分は、考えはないでしょうか。

伊藤政府参考人 この制度を充実する中で必要な見直しも行っていかなければならないというふうに思ってございますが、まずは、今、この国会の方で御審議をお願いをしたいと思ってございます多子世帯の支援、これが、法律の方をお通しいただきまして実施がなされましたら、その実施状況もしっかり踏まえた上で、必要な見直しということについても今後検討してまいりたいというふうに思います。

波多野分科員 ありがとうございます。

 是非使いやすい制度になるよう、見直しをお願いいたします。

 今回、大学の、多子世帯が無償化するということで話が進んでいますけれども、その一方で、中央教育審議会の特別部会において、委員の一人から、国立大学の授業料を現在の三倍の百五十万円にするみたいな話が出ていますけれども、これについて文部科学省はどう考えているのか。さらには、これが値上がりするとなったときには、多子世帯の補助ももちろん上がっていく、そういった認識でよろしいのでしょうか。是非お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の方から御指摘がございましたのは、中央教育審議会の特別部会で幅広く御審議する中で、委員の一人が一つの問題提起として御発言をされた部分でございます。

 最終的に、この答申を先般頂戴をいたしましたけれども、この答申の中で、直接、授業料の値上げをするというような答申にはなっていないところでございます。

 当然、高等教育費については、いい教育をするためには費用がかかる部分もございますので、この費用というものについて、国を含めた公、また経済界を含めた社会、そしてその受益を受ける個人、保護者、こういうような負担の在り方というのは絶えず必要な見直しを行っていかなければならないというふうに思ってございますけれども、まずは、私どもは、特に所得の厳しい方々を中心にしっかりと支援の充実を図ってまいりながら、中長期的に、当然そうした問題についても検討しなければいけないというふうには考えてございます。

波多野分科員 ありがとうございます。

 質の高い教育にお金もかかるということは重々分かるところではありますけれども、そういった中でも、誰もが教育を受けられる、そして、いつも大臣の方も言いますけれども、やはり国づくりは人づくりだというところでは本当に必要な教育だと思っておりますので、誰もが質の高い教育を受けられるよう、対応をお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、予算委員会の省庁別の審査の中で、無駄な予算が大分浮き彫りになったかなというふうに思います。これを踏まえて、日本の未来を担う子供たちのために、私自身もこうして現場の声を反映させたいろいろな提案をさせていただきたいなと思っておりますし、今後とも、私自身も三人の娘がいて、今後いろいろな教育の中で、未来を担っていく、そんな人材になってほしいなというふうに思っておりますので、いろいろな提案をしていきますということで、その意気込みをお伝えさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて波多野翼君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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