衆議院

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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      後藤 茂之君    坂本 哲志君

      根本  匠君    渡辺 博道君

      岡本 充功君    國重  徹君

二月二十一日

 後藤茂之君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 後藤 茂之君

      安藤 高夫君    木村 哲也君

      坂本 哲志君    根本  匠君

      穂坂  泰君    三ッ林裕巳君

      渡辺 博道君    岡本 充功君

      近藤 和也君    堀越 啓仁君

      山川百合子君    國重  徹君

      古屋 範子君    鰐淵 洋子君

   兼務 畦元 将吾君 兼務 今枝宗一郎君

   兼務 上野 宏史君 兼務 小田原 潔君

   兼務 大西 宏幸君 兼務 重徳 和彦君

   兼務 篠原  豪君 兼務 西村智奈美君

   兼務 山井 和則君 兼務 高橋千鶴子君

   兼務 杉本 和巳君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   国土交通副大臣      青木 一彦君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中 俊恵君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増島  稔君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 沖部  望君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山中  修君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   岡野 正敬君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           磯野 正義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            江坂 行弘君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     穂坂  泰君

  岡本 充功君     山崎  誠君

  國重  徹君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  山崎  誠君     岡本 充功君

  伊佐 進一君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     安藤 高夫君

  岡本 充功君     寺田  学君

  高木美智代君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     三ッ林裕巳君

  寺田  学君     緑川 貴士君

  鰐淵 洋子君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     根本  匠君

  緑川 貴士君     近藤 和也君

  國重  徹君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     堀越 啓仁君

  古屋 範子君     竹内  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     山川百合子君

  竹内  譲君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  山川百合子君     岡本 充功君

  鰐淵 洋子君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  伊佐 進一君     國重  徹君

同日

 第一分科員西村智奈美君、山井和則君、第二分科員今枝宗一郎君、大西宏幸君、重徳和彦君、杉本和巳君、第三分科員篠原豪君、第四分科員上野宏史君、小田原潔君、高橋千鶴子君及び第七分科員畦元将吾君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

後藤主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 おはようございます。

 令和二年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明をさせていただきます。

 厚生労働省所管一般会計予算案については、通常分の予算と臨時特別の措置との合計で、昨年度より三・一%増の三十三兆三百六十六億円となっており、また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計、年金特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しております。

 以下、令和二年度予算案の重点事項について説明いたします。

 本予算案では、人生百年時代の到来を見据え、誰もがより長く元気に活躍でき、安心して暮らせるよう、消費税率引上げによる増収分も活用して、全世代型社会保障の構築に取り組むこととしています。

 第一に、多様な就労、社会参加の促進について、誰もが働きやすい職場づくりのため、働き方改革や生産性向上に取り組む中小企業、小規模事業者への支援を強化するなどにより、長時間労働の是正、最低賃金、賃金の引上げ、同一労働同一賃金の実現等を推進します。また、あわせて、多様な人材の活躍を促進するため、就職氷河期世代に対して、お一人お一人に寄り添って就労、社会参加に向けた支援を行うほか、高齢者、女性、障害者等の就労支援、外国人材の受入れ環境の整備等に取り組みます。また、高齢期も見据えたキャリア形成支援を始め、人材育成の強化等を行います。

 第二に、健康寿命延伸等に向けた保健、医療、介護の充実について、地域包括ケアシステムの構築や健康寿命の延伸等を進めるため、地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の三位一体での推進、介護の受皿整備、介護人材の確保等に取り組むとともに、予防、健康づくり、感染症対策、ハンセン病対策等を推進します。また、データヘルス改革、保健医療分野等の研究開発を推進するほか、医療の国際展開、国際保健への貢献、医薬品、食品等の安全確保、水道事業の基盤強化等に取り組みます。

 第三に、安全、安心な暮らしの確保等について、子供を産み育てやすい環境づくりを進めるため、子育て安心プランに基づく保育の受皿整備、保育人材の確保、児童虐待防止対策、社会的養育の迅速かつ強力な推進等に取り組みます。また、地域共生社会の実現に向けて、断らない相談支援を中核とする包括的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、引きこもり支援の強化等を推進するとともに、障害児や障害者の支援、自殺総合対策、依存症対策、持続可能で安心できる年金制度の運営等に取り組みます。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されていますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

後藤主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。穂坂泰君。

穂坂分科員 おはようございます。自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、加藤大臣、そしてまた小島政務官を始め厚生労働省の皆様方には、新型コロナウイルス等の対策、日々大変かと思いますが、本当に御苦労さまでございます。

 私の地元でも、和光市の税務大学校等がございます。地元からの声も、そしてまた風評もございますので、私もしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず一つ目ですが、美容所、理容所等の事業承継についてお聞きをさせていただければと思います。

 死亡による事業承継と生前の事業承継、こちらの二つのパターンがあるというふうに思いますけれども、生前の場合だと手続が非常に煩雑だ、こういうような意見を地元の方からもいただきます。そのため、廃業を考えてしまう。この地元の美容師、理容師の皆さんというのは地域に根差した方が多くて、いろいろな、さまざまな地域行事にも参加をしていただけます。こういった廃業はもったいないな、そういうふうに思いますので、ぜひとも簡素化すべきであろう、そんなふうに思っております。

 この件について、令和元年の六月二十一日、閣議決定もされましたけれども、個人事業主の事業承継時の手続簡素化とあります。こちらにつきましての進捗、そしてまたどのような簡素化になるのか、また、簡素化する場合のスケジュール等を教えていただければと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、昨年六月の閣議決定におきまして、個人事業主の事業承継時の手続について簡素化のための措置を講ずることとされております。

 厚生労働省といたしましては、理容所、美容所などを事業承継した場合の許可申請等の手続において、提出書類の簡略化、削減を検討しているところでございまして、スケジュール等につきましては、閣議決定において令和二年中に措置するとされていることから、ことしじゅうに対応することとしております。事業者の負担軽減のため、可能な限り速やかに措置できるよう努めてまいります。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 現場は待ち望んでいると思いますので、速やかにスケジュール等を出していただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、二つ目の質問に入ります。

 要介護者三、四における投票環境の整備についてお聞きをさせていただきます。

 郵便等投票できる者、要介護度五でなければ認められない今の規定になっております。実際、現場からは、要介護度三、四でもやはり多くの方が投票できない、こんな声もございます。

 このたび、平成二十九年の六月の投票環境の向上方策等に関する研究会、この中の「高齢者の投票環境の向上について」、こちらの方の報告書がありました。要介護度三、四に関しても、何らかの形で郵便等投票の対象とする方向で一歩踏み出していくことが適当である、このような見解が示されております。

 現状の議論、そしてまた今後どのような対応をとっていくのか、こちらの方もお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

赤松政府参考人 お答えをいたします。

 在宅高齢者の中には、投票の意思があるにもかかわらず、歩行困難などのために投票に行くことが難しい方がおられるなど、高齢者の投票環境の向上は重要な課題と認識をしておるところでございます。

 このような認識のもと、御指摘のように、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会において議論がなされ、要介護四及び三の方々を郵便等投票の対象とすべきとの提言がなされたところでございます。

 総務省といたしましては、郵便等投票の対象に要介護者を追加をいたしました平成十五年度の法改正が議員立法でなされたということや、郵便等投票ができる者の範囲に係る重要な改正というふうになることに鑑みまして、各党各会派においても御議論をいただきたいと考えていたところでございます。

 現在、各党各会派における御議論がなされているというふうに承知をしており、その結論を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 こちらの投票環境の向上について、移動投票等もいろいろな措置をされているというふうに思います。ぜひとも、私の方でも会派の方ともいろいろ調整しながら進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、障害福祉サービスの報酬等について、少し細かいところになってしまうかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。現場の皆様からいろいろなヒアリングをさせていただいております。そのうちの幾つかを抜粋して、質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つ、特定相談支援事業所について、こちらの方が非常に経営が苦しい状況である、そんな意見をいただいております。

 やはり、障害福祉サービスを受けるに当たりまして、一番最初の窓口がこの相談サービスであるというふうに思います。ここに来る方というのが、すぐにサービスに結びつく人もいれば、本当に相談で、もう困っているから話を聞いてほしい、そんなような人がたくさんいるというふうに聞いております。

 今回のこのサービスがある意味報酬になっていくのが、しっかりとした公的サービスを使った場合、また支給決定された場合、こういったところにしかないということで、相談にとられる時間に関しては全く報酬に反映されてこない、そんなような声を聞いていて、実は、私の地元の方でも、この相談事業所、撤退する事業所もございます。

 ぜひとも、今後の改定について、こういった相談の時間というものもしっかりと御配慮いただきたい、見直しをしていただきたい、そんなふうに思っておりますので、ぜひとも、現在の認識と、そしてまた今後の見解についてお聞かせ願えればと思います。

橋本政府参考人 御指摘いただきました特定相談支援事業所でございますが、これは、障害者の希望に応じた生活を支援する観点から、大変重要なサービスというふうに考えております。

 これにつきまして、平成三十年度の障害福祉サービス等報酬改定におきましては、質の高い支援ですとか、相談支援専門員の手厚い配置ですとか、こういったことを各種の加算で評価する、その一方で、こういった加算を設けること等に伴いまして、基本報酬については一定程度引き下げるといった見直しを行ったところでございます。

 御指摘の点につきまして、特定相談支援事業所の方からは、報酬改定によるプラスの効果があるという声ですとか、あるいは御指摘のように大変厳しいといった声もいただいているところでございまして、引き続き、前回の報酬改定の効果や影響等について把握、分析を行う必要があるというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、今後、令和三年四月に予定される次の報酬改定に向けまして検討が本格化していく中で、特定相談支援事業所がしっかりと障害者の生活を支えることができるような、必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 実際、ベテランの相談員の方々にも話を聞いたんですけれども、やはり、一月で十件程度しかできないとか、そんなような話も聞いております。真面目な相談員の方ほど非常に苦しい状況になってしまっているのかなというふうに思いますので、ぜひとも今おっしゃられたような配慮をお願いできればなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、その障害福祉サービスなんですけれども、障害者を抱える家族の方、これが高齢化しているケースが散見しております。また、高齢化して免許の返上もしなければいけない、そんな御家族さんもいらっしゃいます。

 今まで、御両親等が送迎をして、施設、そしてまたサービスを受けたりする方がいらっしゃったんですけれども、今後こういった交通手段について高齢化とともに考えていかなければいけないな、そんなふうに思っている中で、事業所の送迎について、今現在、送迎加算が二十一単位、要件を満たせばプラス二十八単位、こういったことであるんですけれども、ある事業所では車両六台を使用して三十五名乗せているんですけれども、この施設を見ても、一日一万五千円程度の送迎の加算しかつかない。これではなかなかやっていけないというふうに、そんな声も聞いております。こちらもあわせて今後の報酬改定について御検討いただきたいというふうに思いますが、こちらにつきましても御意見をいただければと思います。

橋本政府参考人 御指摘いただきました障害福祉サービス事業所による送迎というのは、障害者の地域生活を支える上で大変必要な支援だというふうに考えております。

 この送迎加算でございますが、平成三十年度の障害福祉サービス等報酬改定におきまして、一定程度の適正化を図る一方で、生活介護事業所が重度者を送迎した場合につきまして手厚い対応が必要なことを踏まえて拡充を行う、こういった見直しを行ったところでございます。

 この送迎加算を含めまして、障害福祉サービス等報酬のあり方につきましては、今後、令和三年四月の報酬改定に向けて、障害者のニーズですとかあるいは事業者の実態、こういったものをしっかりと把握をした上で、丁寧に議論をしてまいりたいと考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 もう一つ、移動支援について御質問させていただきます。

 今、現状では、介護者が運転する車両が算定できない、そんなような体系になっております。常時介護ができる状態で付き添うことが前提であるというふうに書いてありましたが、やはり、高齢家族がふえている状況で、ここも考慮すべきだろう、そんなふうに思っております。これは全部が全部認めろというわけではないんですけれども、やはり、特例を認めながら、介護者でも送迎できるような体制、こういったものもつくっていかなければいけないのかなというふうに思います。

 ある自治体では、幾つかこういった介護している者が送迎するケースも認めているなんという話も聞いたことがあります。ぜひとも、こちらについても国の方からでも何か特例を認めるとか、そのようなことを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 障害福祉サービスの中に重度訪問介護というサービスがございます。こちらのサービスは、常時介護を要する障害者に対して、比較的長時間にわたって、日常生活に生じるさまざまな介護の事態に対応するための見守り、こういったことの支援等を行うとともに、食事や排せつ等の身体介護等を総合的に提供する支援を行うものでございます。

 この自動車の運転ということでございますが、自動車の運転をしながら見守りを行うということになりました場合に、運転していないときと比べましてさまざまな介護の事態への対応がおくれるという懸念もあるわけでございます。

 このため、安全運転に専念しながら障害者の様子に意識を向けることを重度訪問介護における見守りという形で報酬の算定対象とすることについて、これはなかなか慎重な検討が必要であるというふうには考えてございますが、いずれにいたしましても、今後、令和三年四月の報酬改定に向けて、障害者のニーズですとか事業者の実態等をしっかりと把握した上で、これも丁寧に議論してまいりたいと考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 やはり、こういった施設の話を聞いてみますと、対象となる方が増加傾向にある、そんなふうに思っておりますし、また、国の財政の事情もわかっているつもりであります。その中で、要件を緩和したり現場に即したりするものによって大分現場は楽になる、そんなこともあると思いますので、ぜひとも、令和三年の四月の改定に向けてさまざまな面で御配慮いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、保育園関係について、四点質問をさせていただきます。

 今、保育園は、待機児童が多い地域、そしてまた定員を割っている地域、そんなところが出てきているというふうに思います。今後、少子化により空き保育園というものも出てくるのかな、そんなふうに思っている中で、そういった空きスペースの活用というものが今後大事になってくるかな、そんなふうに思っております。

 例えば、そこに、児童発達支援事業所、こういったものをつくって併設をさせていこうという考えの保育園も出てくると思うんですけれども、このときに、やはり、保育園が国庫補助金でできたものですので、用途変更というのは容易に認められない、そしてまた、もしも用途変更するならば国庫補助金を返せというようなことも言われているというふうに聞いております。

 ぜひとも、こういったものではなくて、もう少し柔軟な対応で用途変更を認める、それがまた保育園の空きスペースの活用にもつながってくるのかな、そんなふうに思っておりますので、ぜひ、こちらの方の見解、もしございましたらお願いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました保育園の空きスペースも含めまして、そういった国庫補助金を受けた児童福祉施設の処分につきましては、これは一定の財産処分という手続は必要になります。厚生労働省の方に申請していただくことになりますが、御指摘のありましたような、例えば障害児の福祉あるいは障害者の福祉に関する施設等に転用することはこういった手続をとっていただければ可能でございますし、個別の審査によりますけれども、国庫補助金の返還等々もその中で審査をしていくことになると思いますので、我々の方もできるだけ柔軟に対応したいと思いますので、具体的な事例がございましたら、また御申請をいただければというふうに思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 保育園の空きスペース、本当に今後は重要になってくると思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。また、今いただいたこと、また現場の方にしっかりと伝えていければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 二つ目なんですけれども、今言った児童発達支援センター、こちらの方の重要性、今非常に求められているというふうに思います。待機児童がいなくても、こういった専門の対応ができる児童発達支援センター、こちらの方を待っている子供たちがたくさんいるというふうに私は聞いております。

 こういったことで考えると、やはり、今、認可保育園とあわせて、児童発達支援センター、こういったものを併設することは考えていくべきじゃないかな、私はそんなふうに思っております。

 専門家に聞いても、やはり、設備が整っている、重症心身障害者、知的障害児、発達障害児、健常児、こういった方々が一つ屋根の下で暮らす超インクルーシブなモデルというものはやはりいい効果をもたらすんじゃないか、そんなことも聞いております。

 ただ、また、これを進めようとすると、自治体からもそういった必要性を聞いているんですけれども、この二つの施設というのは保育施設と障害児施設であって、スケジュールとか、一番違うのが設置補助金、こちらの方の申請の時期とかもらえる時期とか、こういったものがばらばらであって、なかなかこういったモデルができないんだという声を聞いております。

 ぜひとも、この保育園と児童発達支援センターの併設モデル、これを新しい国のモデルとして進めていっていただきたいな、そんな、保育と障害の行政の壁、こういったものを取った、新しいモデルのこういった施設を認めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 ただいま委員からお話もございましたように、障害の有無にかかわらず、子供やその保護者が地域の中で必要な支援を受けていく、そういった社会をつくっていくことは大変重要なことというふうに私どもも考えております。

 認可保育所と児童発達支援センターの一体型の併設施設につきましては、現行制度におきまして、認可保育所の建物に係る部分については保育所等整備交付金等によりまして、また、児童発達支援センターに係る建物部分につきましては社会福祉施設等施設整備費補助金によりまして、それぞれ補助を受けることが可能でございますが、先ほど御指摘いただきましたように、担当部局が異なり、別のスケジュールで事務を行っているというのが現状でございます。

 委員からの御指摘も踏まえて、今後、認可保育所と児童発達支援センターを併設する施設の整備につきましては、関係局が協力いたしまして、可能な限り申請スケジュールを調整した上で周知をする、それから内示のスケジュールを合わせる、こういった改善を図ってまいりたいと考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 三点目ですけれども、保育園の人員基準について、六対一、二十対一、三十対一、こういった施設基準がございます。今まで保育園というものは預かりがメーンだったものが、やはり今、教育とか養護、こういったものに移り変わっている中で、現実に即していないとの現場の声があります。

 横浜、東京あたりは、財源が豊かなところは独自財源でしっかりとした配置をしているんですけれども、一方で、ほかの地域におきましては、やはり規定の人数では回らない、ある意味自分の持ち出しで保育士を配置しているところが多いというふうに聞いております。また、地域手当の問題もあるんですけれども、こういった配置基準、今後も見直しが必要なんじゃないか、そう思っておりますが、そちらの方の見解もお願いします。

渡辺政府参考人 御指摘のございましたように、人員配置の充実は、質の高い保育を確保するために大変重要なことだと考えております。

 これまでも、税と社会保障の一体改革の中の子ども・子育て支援の質の向上のメニューとしまして、例えば、平成二十七年度から、三歳児につきましては保育士の配置を二十対一から十五対一にするという改善等も実施してまいりました。

 残りの〇・三兆円、これは財源を確保してということになっておりますが、その中にも、いわゆる職員配置基準の改善を含めた質の向上策が盛り込まれておりますので、今後の財源の確保も検討しつつ、できることから少しずつ取り組んでいきたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。こちらも前向きな検討をぜひお願いいたします。

 保育園の四点目なんですが、社会福祉施設における施設機能強化推進費、これも一例だと思うんですけれども、この使われ方がやはり各自治体で異なる。例えば、災害用備蓄品を購入する際にも適用されるはずですけれども、複数の自治体を比べてみると、これを出さないところもあって、基準がまちまちじゃないか、そんなことを現場の方から話を聞いております。

 ぜひとも、この国の指定する補助金についての出し方、どのように考えているのか、お聞かせいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所における施設機能強化推進費加算でございますけれども、これは公定価格の中の加算ということで位置づけられているものでございまして、保育所が火災、地震などの災害時に備えまして施設の総合的な防災対策を図る取組を行うため、避難訓練の実施ですとか避難具の整備等を支援する経費でございます。本加算は、施設からの申請を受けまして市町村で加算の適否を判断するものでございますが、議員御指摘の災害備蓄品の購入につきましても、加算の対象経費に含まれるものでございます。

 今後、FAQの発出などによりまして、本加算の対象範囲について、地方自治体に対して周知をしっかりと図ってまいりたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございました。

 やはり国が決めた基準があるんですけれども、それが、ある県によってはこういう解釈、ある県によってはこういう解釈、結構あるというふうに聞いております。ぜひとも、混乱しないような、今おっしゃられたような対策をしっかりとっていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、薬剤師の訪問指導料について、こちらの加算についてなんですけれども、薬剤師の訪問指導料、医師の指示のもと、訪問指導料と緊急訪問服薬指導料、この二つがあるというふうに思いますけれども、平日の日中の計画的に行う訪問指導料と休日の緊急訪問指導料が変わらない点数である、これが一つ、現場の方から声が出ております。

 所要時間、緊急に呼び出された場合には、やはり二、三倍の時間が通常よりかかってしまう。ほかの職種、看護師、ドクター、そういったところを見ると、やはり平日の訪問報酬に更にプラスがついた休日の加算等があるというふうに聞いております。

 薬剤師の方にもこういった見方をしていかなければいけないんじゃないか、そんなふうに感じておりますが、ぜひとも見解と今後の検討についてお聞かせいただければと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 医療保険におきましては、医師の求めに応じまして、薬局の薬剤師が患者宅を訪問いたしまして必要な薬学的管理指導を行った場合には、調剤基本料、調剤料がまず算定できますけれども、これに加えまして、御指摘のとおり、計画的な訪問時には在宅患者訪問薬剤管理指導料、緊急の訪問時には在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できることになっております。

 薬局の薬剤師が夜間、休日に患者宅を訪問した場合には、これらの指導料に対する直接の加算はございませんけれども、同時に算定できます調剤基本料と調剤料におきまして時間外加算あるいは休日加算等の算定ができることとなっております。そういう意味では、薬局の薬剤師の夜間、休日の在宅対応についても一定の配慮はなされているというふうに考えております。

 薬剤師の夜間、休日の在宅訪問を含む調剤報酬のあり方につきましては、御指摘のような関係者の意見も聞きながら、引き続き中医協において検討してまいりたいというふうに考えております。

穂坂分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 最後の質問に入ります。

 点字名刺の普及についてというタイトルで上げさせていただきました。これからオリパラが控えている中で、バリアフリーの推進、こちらもしっかりとしていかなければいけないというふうに思います。まさに共生社会の実現、これを目指してやっていきたい。そしてまた、一九六四年の大会では障害のある人々の社会活動参画を促した、日本はそういった意識の高い国だということをぜひともアピールをしていただきたいな、そんなふうに思っております。

 今、こちらの方に点字名刺というものがあるんですけれども、これは、所有する本人はもちろん、受け取った方も意識を高めることができる。また、この点字名刺は障害施設での仕事につながってまいりますので、そういった施設の大きな収入にもつながってくる、ともにバリアフリー社会、共生社会を推進することにつながっていくんじゃないかな、私はそんなふうに思っております。

 厚生労働省が積極的にこういった名刺を推進していくこと、これも一つ、日本の意識の高さを見せつけることにもなるのかな、そんなふうに思っております。

 点字名刺の使用、さらにはこれからの共生社会に向けた意欲についてお聞かせ願えればと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

小島大臣政務官 点字名刺の使用などを通じまして、障害のある方や障害への理解を広げることは大変重要であると考えております。

 ことしはいよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催の年でもありますし、この機会に、ハード面だけでなくて、こういった、今言われましたソフト面のバリアフリー化を推進する絶好の機会であるというふうに考えておるところでございます。

 厚生労働省内におきましても一部の職員は点字名刺を使用しておりますが、バリアフリー化の推進の一環として、委員の御指摘、御提案を踏まえまして、省内に点字名刺の理解を広め、点字名刺を発注できる障害者団体を紹介するなど、職員の点字名刺の活用などの取組を推進してまいりたいと考えております。

 障害の有無にかかわらず、一人一人がお互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会の実現に向けまして、積極的に取り組んでまいります。

穂坂分科員 ありがとうございました。

 私も、共生社会、一緒になってつくっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤主査 これにて穂坂泰君の質疑は終了いたしました。

 次に、小田原潔君。

小田原分科員 自由民主党の小田原潔であります。

 本日は、予算委員会の分科会、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 この状況下、我が国が抱える、また直面する喫緊の課題、コロナウイルスとその対処についてお聞きしたいと思います。

 どこへ行っても、どなたと話しても、この話題が出ないことはありません。テレビも雑誌もトップで新型コロナウイルスに関する事柄を報じる日々が続きます。しかし、中には、大騒ぎするのを目的にしているのではないかと勘ぐりたくなるようなものも見受けられるように感じます。

 きょうお配りしました資料の一枚目、一例ではありますが、毎日新聞の社会面、見出しは、「新型肺炎 自民「中国人入国拒否を」 対策本部、暴論相次ぐ」という見出し。これは恐らく、会社として、又は記者の意見として、中国人の入国拒否というのは暴論だ、やるべきではないという前提で書かれているものでありましょう。事実、「「邦人の救出・帰国を除き、中国からの渡航は全面停止を」といった過激な見解や、」という書きぶりであります。

 片や同じ日に、二月の二十七日号というんでしょうか、発売された有力週刊誌の見出しには、新型肺炎は人災だ、現政府が中国渡航禁止を言い出せない三つの理由という小見出しをつけてのつり広告。記事も入手をいたしましたが、週刊誌なので委員会に回付することは遠慮したいと思います。この見出しや小見出しからすると、中国の渡航禁止は当然するべきなのに、現政権はもたもたしている、何だかんだと理由をつけてそれができないというような書きぶりであり、こういったつり広告を見ながら通勤客、通学の人たちは日々を過ごすわけであります。

 さらには、同じ日のもう一個別の有力週刊誌のつり広告、記事も読んでおりますが、世界から忌避される大感染列島日本というようなつり広告を車内に垂らすわけであります。これは、真実を伝えるという職業人としての構えや矜持を感じるのか、そういったところから私は考えたいと思います。

 どのテレビ番組も、きょうも新たに何人が感染したというところから始まります。そのアナウンスは、読み上げるだけではなくて、不気味な、不安をあおるような効果音が必ずついています。けさの情報番組では、塾に通っている小学生に、政府には何とかしてほしいとかそういったことまで、言わせているとは言いませんけれども、どういったやりとりがあった結果、その子供はそういう発言をしたのか、政府の対応を小学生がどれぐらい知っているのかということが伝わらないまま、その部分だけ朝から全国に放映するわけであります。不安だということはよくわかりますし、受けとめるのが我々の仕事でありましょうが、報道の責任ということについても考えていただければなと思います。

 と申しますのも、コロナが怖いの一言で、国内に対する水際対策、そしてその後の国内の二次感染と感染経路、さらには別建てで、国内と必ずしも言えないクルーズ船内での感染、これを混乱して取り上げているように思います。

 ついこの間までは、中国に次ぎ世界第二位の感染者を出したことを非常に恥ずかしいと思うというような論調さえありました。急激に感染者数を抜いた国があるのでそういう論調がすっかり鳴りを潜めましたが、一カ月間の間、国内由来の感染者が昨日現在で百四十五人、この大都会の東京で三十二人。亡くなった方がお一人出たことは痛恨のきわみでありますし、ほかに亡くなった方々にもお悔やみを申し上げますが、これが本当に、つり広告どおり、大感染列島日本というのに値するものなのかということも冷静に考えてもらいたいと思います。この状況、毒性の強弱やほかの要因で肺炎を起こして重篤になった事案の数などに鑑み、冷静な情報発信を期待するところであります。

 騒ぎが大きくなったのはクルーズ船事案からだというふうに思います。しかし、私を含めて普通の一般人は、なぜダイヤモンド・プリンセス号が横浜に来たのか、なぜほかの船を断ったのか、理解をしている人がどれぐらいいるでしょうか。

 責める気持ちはありませんが、おととい、朝のテレビの討論番組がありました。各党の政策責任者が出席する番組でありましたが、そこで他党の党首の方も、何でダイヤモンド・プリンセスだけ入れてほかは返したのかと。そこから先は、ダイヤモンド・プリンセスも入れるべきじゃなかったという御本人の意見がつくのでありますが、ダイヤモンド・プリンセスはもともと横浜に帰る予定の船で、もう一隻、入りたいといったところはもともと寄る予定がなかったが、さまよっているところをお断りしたというような経緯を把握しているのかどうか、疑わしい発言だったと私は捉えました。

 そこで、順を追って、事実確認のためにお聞きをいたします。

 ダイヤモンド・プリンセス号に関する対応についてですが、もう一度、なぜダイヤモンド・プリンセス号は横浜に来たのか、時系列で教えてください。

 また、ほとんどの人は、ずっと着岸したままだと思っている人もいると思います。コロナウイルスの陽性反応が出た人物が乗っていたことが判明した経緯と、日本の横浜港に寄港することになった経緯と対応を教えていただきたいと思います。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 ダイヤモンド・プリンセス号については、本年一月二十日に横浜港を出港いたしまして、二月四日に同港に帰港する日本発着のクルーズツアーを実施していたところであります。しかしながら、二月一日に那覇港を出港後、同船において検疫法に基づく臨船検疫が実施されることとなりましたので、二月三日二十時ごろに横浜港内の検疫錨地に停泊いたしました。

 一定期間停泊後、二月五日十二時ごろに真水精製等のため外洋へ出港したのち、二月六日午前九時ごろに同港大黒埠頭に着岸したところでございます。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 検疫の関係について補足させていただきます。

 クルーズ船は今のような動きでございましたが、二月一日に那覇にクルーズ船が寄港した際には、水際対策兼検疫としまして、健康カードの配付とかサーモグラフィー等を実施したところですけれども、特に大きな問題は認められないということで、仮検疫済み証を交付しております。

 その後、二月の二日になりまして、国際保健規則に基づきまして、感染者が発症した国の保健当局から患者が出たという通告がございました。それが香港のケースでございます。二月三日の日に、一度出しました仮検疫済み証の効果を失効させまして、同日中に横浜港に入港したクルーズ船について検疫に着手しているという状況でございます。

小田原分科員 二月の一日にダイヤモンド・プリンセス号は那覇に入って、通常の検疫手続をして、後は堂々と横浜港に帰れる状況であった。ところが、二日になって、香港の保健当局から、実は以前に香港で下船した人からコロナウイルスの陽性反応が出たという連絡が国際的な約束に基づいて我が国の当局に来たので、船上にあったダイヤモンド・プリンセス号の船長に、検疫をしなければいけないし、また、入管を拒否できるという通知をしたところ、検疫錨地というんですか、いかりをおろす場所にとどまったというのが本当の経緯でありましょう。

 しかしながら、国籍が英国、旗国主義というのからすると、公海上ではイギリスに主権が及び、運航会社はアメリカ合衆国、また、沿岸国が日本で、さらには船には船長の権限が及ぶ、そういう状況の中のダイヤモンド・プリンセス号にはどの国の主権が及ぶのか、教えてください。

岡野政府参考人 英国船のクルーズ船については、先ほど委員申されましたとおり、公海上におきましては英国の排他的管轄権に置かれます。

 この船が領海又は、今回、横浜港の中にいる場合、内水ということでございますけれども、この場合は基本的に沿岸国の管轄権が及ぶということであります。

 ただ、この管轄権というのは、法的な規制を及ぼすことができる権利ということでございますので、それとどこの国が責任を負うかということは分けて考える必要がございます。

小田原分科員 ありがとうございます。

 内水に入っているので我が国の主権が及ぶ、したがって、入管法五条で入国を拒否して、検疫法三十四条で隔離を強化するという権限が及ぶのだということでありましょう。

 さて、ダイヤモンド・プリンセスの新しい感染者というのは、きのうの段階ではふえていない、ゼロ人ということになっています。そうすると、今後の国民の関心、そして私たちが注力しなければいけないのは、全国の検査体制の状況、そして今後の見通しということでありましょう。これについて、現状と見通しを教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、国立感染症研究所、検疫所だけではなくて、地方衛生研究所、それから民間検査会社、大学などの協力も得まして、今、現時点で一日三千件を上回る検査能力を維持、獲得してきたところでございます。

 さらに、今後、患者さんの発生等に備えるために、全国の医学部附属病院や感染症指定医療機関などのうちPCR検査が可能な施設につきましては、地方衛生研究所に対してと同様に、検査キットの配付を実施しているところでございます。

 加えて、二月の二十日から民間検査会社に対しても同様の配付を始めているところでございまして、検査を必要とする患者さんが確実に検査が受けられるよう、今後とも必要な検査体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

小田原分科員 中国での感染者、八万人に近いような感染者と死者の数を鑑みますと、毒性の強弱というよりは、検査体制や治療や病床数などの、対応できるキャパシティーをはるかに超えたときに大きな危機に直面するというような性質のものではないかというふうに感じるわけであります。

 厳密に言えば、一日三千人というのが多いか少ないかという議論はありましょうが、本当に安心して大丈夫だと言い張るためには、特にいろいろな意見の方々を納得させるためには、理屈の上では、我が国を一旦密閉して、一億二千万人以上を全員同時に検査をして、しかも、宅配の箱とかコンビニの商品とかスーパーの食品とか、全て消毒をした上で全員が検査をし、結果を見なければ信用できないということになってしまう。一日でも検査する人をずらしたら、翌日陽性反応が出た人と一緒にいた前日に陰性反応が出た人という、その陰性反応の結果は信用できないということになってしまう。

 私たちは、日々、生活の活動、経済の活動、グローバルにつながっている人と物の動きをとめることはできません。だからこそ、限られた状況でどういった対処をするというところが重要なところであり、理解を求めながら国民の健康、安全を守っていくということなのであろうと思います。

 先週、ダイヤモンド・プリンセス号での我が国の対処をSNSに、どちらかといえばかなり厳しい論調で投稿された方がいらっしゃいました。これをテレビ局も何局かそのまま放映をしました。翌日その方は投稿を削除しましたが、削除したということはテレビ局は言いませんでした。したがって、世の中には、まだそういう状態で、御本人もそういった主張を続けていると思っている人もきっといるでしょう。

 さらには、削除した翌日に、外人記者クラブで一時間ぐらい、今度は英語で外人記者に御自身の持論を展開されていました。私が見た感じでは、英語でのやりとりは立て板に水でお話しされていて、そこも立派だったと思いますけれども、応分に合理的な指摘もあったように思います。

 そこで、お伺いします。

 ダイヤモンド・プリンセス号の現状、特に下船した人への対応、それから船内の指揮系統の管理体制。と申しますのは、DMATが入ったり、自衛隊が入ったり、厚労省の検疫官が入ったりといった、恐らくそれぞれ分かれた指揮系統で動く組織が幾つかあったのではないかと想像いたします。また、エリア区分の変更。この投稿した人が、二月の十九日にルールの変更を含めて劇的なエリア管理の改善が見られたので投稿を削除したと外人記者クラブで発言していることから、少し気になって、お伺いいたします。そういったエリア区分の変更等の対応状況について教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、船内の状況についてでございますが、船内の区域管理、ゾーニングが適切に実施されているかを含めまして、感染制御支援チームの医師が船内のコンサルテーション及び巡回を連日実施いたしまして、指摘された点は全てその日のうちに対応を行っているというような状況でございます。御指摘の十九日も同じような状況でございます。

 ダイヤモンド・プリンセス号の区域管理につきましては、感染症の専門家の御意見も聞きながら、船舶という限られた空間や担当者が定期的に交代するという現場体制の特殊性も踏まえた上で、業務を行うゾーンと検体採取等で汚染したガウン等の感染防具を脱ぐゾーンを分離して、ウイルス感染のリスクを避けているところでございます。

 これらにつきましては、こういう状況だということを厚労省としても改めてホームページにも発信しておりますし、その英訳も外務省さんの御協力をいただきまして発信しております。そういう形で、世の中の人にも御理解いただけたらというような取組も行っているところでございます。

 このクルーズ船を下船された方がその後どういうふうになっているかということでございますが、まず、船内で感染が初めて確認された二月五日の日に、感染予防のため、船内での行動基準をお示ししておりまして、この注意事項を守っていただければ感染拡大は防げているものと考えております。

 また、二月十五日に国立感染研が発表しました武漢からのチャーター便五百人以上のPCR検査の結果なども踏まえまして、政府としては、症状もなく、PCRが陰性である方の下船後の健康観察につきましては、十四日間の健康観察期間が終わってから下船する方については、健康カードを配付して、毎日健康観察を行うとともに、不要不急の外出を控えていただく等の対応をお願いしておりまして、十四日間の健康観察期間が終わる前に下船した方につきましては、宿泊施設等に滞在していただきまして、健康観察期間である十四日間が終わるまで健康観察を行っていくというようなオペレーションとなっております。

 また、健康観察期間中に同室者が陽性になった場合等につきましては、その方について感染拡大防止がとられた時点から同様の対応を行うというような形としております。

 それから、船内の指揮命令系統の関係についての御質問でございますが、クルーズ船の現地対応のため、現地に橋本厚生労働副大臣が派遣されておりまして、そのもとに、DMATを所管する厚労省に加えまして、自衛隊を所管する防衛省や、その他各省庁が連携して、政府一体となって対応を行っているところでございます。

 船長は毎日定期的に副大臣とミーティングを行っているほか、随時連絡し、必要な情報交換も行っているところでございまして、船内の感染拡大の防止や水際対策に万全を期するため、引き続き、船長とも緊密な連携をしながら、政府一丸となって対応に取り組んでいきたいというふうに考えております。

小田原分科員 ありがとうございます。

 この投稿された方は、感染症の専門家というふうに御自分ではおっしゃっていて、情報を見てみるときっとそうなんだろうと思うんですけれども、ダイヤモンド・プリンセス号に民間人として乗船を果たし、下船をお願いされた際に、私がおりたら感染症の専門家は一人もいなくなっちゃいますよと言ったのにおろされたと投稿し、それが百万人以上の方々に拡散をされました。

 現実的にはそんなことはないというふうに思いますが、当時、ダイヤモンド・プリンセス号の中にいた感染症専門家というのは船内でどういった役割を果たしていたか、教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘がありましたように、まずは、その方は、感染症の専門家でもありますけれども、当時の状況を申し上げますと、DMATということで、医療支援ということで入られたんですが、なかなかそのような活動を十分されていないということで下船いただいたというふうに現場からは報告を受けています。

 そんな中で、感染症の専門家というのは、医師、看護師等も含めまして常時常駐できるような体制をとっておりますが、その中でどういう役割を果たしているかということでございますが、今申し上げましたように、連日、感染症の専門医を環境感染学会、国立国際医療センター、国立感染症研究所、あるいは国際医療福祉大学等の組織から招いておりまして、感染防止の指針の策定とかゾーンの設定とか、あるいは、現場での入船者に対して感染防御法を指導するなどの役割を担っていただいているところでございます。

小田原分科員 ありがとうございます。

 我々がこの新型コロナウイルスを怖がる恐れの源というのは、えたいが知れないこと、動物からうつったというふうに思われること。また、十二月三十一日現在で、武漢市の衛生健康委員会の発表では、人から人への感染は確認していないと発表したにもかかわらず人にうつってきたこと、それが心理的な焦りを生んでいるのだと思います。

 しかしながら、その毒性の現実、そして、何といっても一番いいのは、特効薬が開発されて、これを飲めば死滅しますよということが言えれば一番いいわけでありますが、まず、新型コロナウイルスから肺炎を起こすリスクは、いわゆる風邪と言われるような、これもコロナウイルスの一種だと聞きましたが、肺炎になるリスクとどの程度異なるのか。また、新型コロナウイルスに有効な新薬開発については現状どうなっているのか。さらには、ウイルスの基本的な組織構造と、今できる予防法を教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスに感染した場合に肺炎になるリスクについてでございますが、なかなか、まだこのウイルスの状況はわかっていないところもありまして、予断を持って申し上げることはできないところでございますが、中国等の発生状況も踏まえれば、高齢者の方や基礎疾患をお持ちの方については、特に重症化するリスクが高いというふうに考えております。

 このため、国民の皆様におかれましては、手洗いやせきエチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動に御協力をお願いできればと思いますし、今申し上げました高齢の方とか基礎疾患をお持ちの方については、人混みの多いところもできれば避けていただきたいなどの注意が必要かというふうに考えております。

 このウイルスに関する治療薬等の開発状況でございますが、これは先日まとめました緊急対策でも、予備費の活用等も含めて早急に着手していくこととしておりますが、具体的には、国内で既に患者等に投与経験のある他の抗ウイルス薬の有効性等を確認するために、国立国際医療センターを中心に多数の医療機関における臨床研究などを速やかに開始するというようなことを取り組んでいるところでございます。

 それから、このウイルスがそもそもどういうウイルスかということでございますが、コロナウイルスは一般にRNAウイルスでございまして、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスでございますが、このコロナウイルスのエンベロープというか外側につきましては、石けんでの手洗いとかアルコール消毒によってその表面の脂質成分を含むエンベロープの構造が破壊されるために感染力が失われると言われておりまして、そういうアルコール消毒等が有効であるというふうに承知しております。

 以上でございます。

小田原分科員 こういった取組にもかかわらず、私が冒頭申し上げたようなメディアの取上げ方、なかなか、個人的には本当にこれでいいのかと思う報じ方もあるのでありますが、政府として、こういった情報の混乱を何とか収束し、正しく警戒していただくため、どのような取組をされるか教えてください。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症に関しまして、誤った情報の拡大を防ぎ、国民の皆様に迅速で正確な情報を提供することは、先生おっしゃるように、まさしく重要なことであります。

 誤った情報が拡散することのないように、厚生労働省といたしましては、SNSへの主な投稿を確認、分析し、ウイルスや感染予防策などの誤った情報が広がっていれば、正しい情報をSNSで積極的に発信しているところでございます。

 さらに、SNS業者から新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を発信したいという要望がありまして、二月七日金曜日に公式アカウントが開設されました。厚生労働省から情報を提供しまして、発信していただいているところでございます。

 また、関係省庁や国立感染症研究所では、国民の皆様に必要で正確な情報を周知するため、新型コロナウイルスに関する基本情報や感染予防策、患者の発生状況などの情報について、それぞれホームページなどで周知しているところでございます。

 新型コロナウイルスに関するQアンドAをつくっておりまして、患者の発生状況、感染予防策、潜伏期間などの基本情報等について丁寧に情報発信をするとともに、一月二十八日にコールセンターを設置いたしまして、国民へ具体的な情報提供をしっかり行うために、一日当たりの電話対応人数もふやしまして、体制の増強を図ってきているところでございます。

 今後とも、個人情報の保護に留意しながら、国民の皆様の不安に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

小田原分科員 最後に、手短に、介護保険と介護人材の確保について教えてください。

 介護保険につきましては、国の法定負担分というのは二五%なんですが、私の地元日野市においては、交付割合が三・六四%で、三十年度の決算では一億六千万円程度が不足をして、保険料などに転嫁している状態であります。同市では、一般会計から介護保険特別会計への繰り出し金が十九億五千万、これも同年度決算でありますが、毎年約四・五%増加しています。

 今後急速に進む高齢化には、市町村の財源だけでは対応できません。市町村負担を一〇%程度まで引き下げないと厳しいという声もあります。国の取組状況と今後の見通しを教えてください。

大島政府参考人 お答えいたします。

 介護保険の国庫負担の中で、二五%のうち五%分は、調整交付金としまして、市町村ごとに、それぞれの加入者の後期高齢者の割合それから所得水準の違いに応じて配分することとしております。

 これは、保険者の責めによらない要因による市町村間の差の平準化が目的でございまして、後期高齢者の割合が低い市町村、あるいは加入者の所得水準が高い市町村は交付割合が低くなることになっております。その分、そうでない市町村が助かっているわけでございまして、この点は、そういった市町村の御理解を賜れればと思います。

 介護保険の中では、保険料、公費、利用者負担の組合せで制度の構成をしております。国、県、市町村はそれぞれ二五%、一二・五%、一二・五%という負担割合をしておりまして、市町村の負担割合を引き下げるべきという御指摘につきまして、これは長年、制度創設以来の分担ルールを変更するものでありまして、市町村の介護保険における重要性も考えますれば、なかなかその変更は難しい点もあるかということで考えているところでございます。

 他方、市町村、都道府県の、特に市町村の高齢者の自立支援、重度化防止に対する取組が重要であるということから、全額国費で保険者機能推進交付金というのを二〇一八年に創設しておりまして、来年度の予算におきましてこれを倍額する予定にしております。全額国費でございます。こういった取組を通じまして、市町村の応援をしてまいりたいと考えております。

小田原分科員 終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて小田原潔君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村哲也君。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

木村(哲)分科員 自民党の木村哲也でございます。

 時間もかなり押してきておりますので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思います。

 今、小田原先生からコロナウイルスの件についてお話がありましたけれども、私からも一点だけお話をさせていただきたいと思います。

 まずもって、お亡くなりになられた方々に対して御冥福をお祈りし、そして御遺族の皆様にお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方におきましては、心よりお見舞い申し上げる次第でございます。

 また、誠意を尽くしてしっかりと連日対応くださっておられます厚生労働省を始め所管関係の皆様には、心から感謝をいたすところでございます。

 新型コロナウイルスの感染症は、国内で流行期、蔓延期に向け、かじを切り始めました。つまり、フェーズが変わってまいりました。既に感染経路がはっきりしない患者もふえ始め、封じ込めの時期はいよいよ過ぎてきまして、私たちは、ある程度の国内感染拡大は許容しつつ、いかに、インフルエンザと同様、国民の皆様には感染対策をして日常生活を守っていくのか、また、政府や我々政治家は行政機関と医療機関の機能を守っていくかという対策を考えていく時期であると思います。

 今、小田原先生がおっしゃられたように、後出し議論の批判というものがかなり多く見受けられますけれども、私が非常に理解するのは、この水際対策は、やはりある程度は広まってしまうのはやむを得ない、しかしながら、その先の重症患者をいかに出さないかというところが重要でありましたし、やはりその裏には経済対策というものもありました。

 そのような中で、やはり一番これから重要なのは、基本指針も示される中で国民がどう行動すべきか。

 例えば、マスクなんかにおいても、正しい情報。手洗い、うがい、マスク、そして、感染予防をしなさいというようなアドバイスをしても、町中でマスクが買えなければ予防ができない。こういうことをしっかりと、これは、正しい情報を国民にお知らせする、そして、事実誤認の情報があれば、政務官もおっしゃられたように、今、SNSでも、これは新たに開設をしたということでもございますので、しっかりと事実誤認がありましたら正していく。そして、強い情報、しっかりと正しい情報をより一層これから国民に発信をしていき、マスクもいつからしっかりと国民に手渡されますというような情報もしっかりとした上で指針も強化をしていくというところが必要だと思いますので、今後とも期待をさせていただきたいと思います。

 それでは、順次質問に入らせていただきますけれども、まず、マイナンバーカードについてお伺いをさせていただきます。

 一四%という普及率だったマイナンバーカードでございますけれども、ここ最近、普及率が伸びてまいりました。一五・五%、そして、約二千万人の方々に普及がなされているということでございます。しかしながら、まだまだ進んでいないこの現状、端的に、なぜ進んでいないのか、お答えをいただきたいと思います。

森政府参考人 マイナンバーカードでございますが、本年二月二十日の時点でございますが、約千九百五十八万枚、人口の約一五・四%の方に交付をされておりまして、先月の一カ月間で五十万人を超える方に申請をいただいております。半年前と比較いたしますと、二倍以上の申請ペースとなっているところでございます。

 マイナンバーカードの取得につきましては、内閣府が昨年度実施した調査におきまして、回答者の四四%の方が取得済み又は取得予定ありと回答している一方で、取得されていない方の理由としては、必要性が感じられないとか、身分証明書になるものはほかにあるなどが挙げられているところでございます。

 このため、さらなる普及に向けまして、カードの活用場面をふやし、その利便性を国民の皆様に御理解いただくことが必要と考えております。

 現在、住民票の写し等のコンビニ交付サービスを始めとした行政手続などのほか、オンラインでの新規証券口座の開設、住宅ローン契約締結など、民間分野でもマイナンバーカードの利用が拡大してきているところでございます。

 今後更に、マイナポイントによる消費活性化策、それから健康保険証としての利用など、政府全体でさまざまな普及、利活用策を進めるというふうにされておりますので、これらを通じましてマイナンバーカードの普及促進を更に進めてまいります。よろしくお願いいたします。

木村(哲)分科員 では、このマイナンバーカードを世界に目を向けてみますと、例えば欧州、デンマークとかオーストリア、こちらは日本に近いような状態で利用、活用がなされているんですけれども、その中でもオーストリアに関しましては、公的個人認証用の電子証明書を携帯電話とかスマートフォンに搭載をしたり、利便性を非常に高めているというような状況もあります。

 そしてまた、余り日本では知られていないんですけれども、中南米とかアフリカ、こちらにおきましても国民IDカードがどんどん活用されている。

 そして、電子政府として一番有名なのがエストニア。これは人口の問題もありまして、人口が千三百万人ぐらいですよ、東京都にプラスアルファの人口だからこういうことができるんだよと言う方もいらっしゃいますけれども、やはり世界で一番進んでいる電子政府であるということであって、特徴的なのが、社会保障や税、医療、民間サービスなどを統合するエックスロード。こちらにつきまして、エックスロードにつきましては、自分の所得情報や銀行の残高をひもづけて納税額が自動的に換算をされる、そういうところも含めて非常に有効活用がなされているというのがエストニアであります。

 医療情報も税も全てが含まれている。自分の個人情報、医療にどういうものがかかったか、薬が必要なのか、そして介護情報も全て含まれている。そして、三年、五年ではなくて、今までの流れの中で全ての医療情報も入れられていると伺っておりますけれども、これがエストニア。

 そして、日本においては、九月にポイント還元制度を行うということで、今、一四%から一五・五%に徐々に広まりつつあって、普及がなされているところでございます。また、二〇二一年には保険証として活用がなされる、二〇二三年の三月には医療機関、そして診療所、薬局等々でもしっかりと活用されるようになると言われております。

 ことしのポイント還元までには三千万人から四千万人への普及というところで、そして二〇二一年三月までには六千万人から七千万人、二〇二三年の医療機関、薬局でも全て完了するときには国民全体にという目標を掲げておるところでございます。

 こちらにおきまして、今、地方で懸念されていること、危惧されていることは、今でも一カ月から一カ月半かかります。例えば、三週間で国から地方に来たとして、そこから電子ロックを解除しなければいけない、こういう手続も含めて、一カ月から一カ月半、お渡しをするまでかかってしまうわけでございます。

 ここで問題なんですけれども、今、土日も開庁しながらこういう形になっているんですね、地方自治体は。本当に、駆け込みがあったときにどうなるのかというところ。一番懸念しているのは、今現在、二千万人になりました。ポイント還元のときまでに三千万人から四千万人に普及をさせるという目標値があって、四年間で二千万人なんですけれども、あと半年間でまた二千万人。駆け込みがあったときにどうなってしまうのかというところがあります。

 ポイント還元に間に合うのかどうなのか、地方自治体で本当に交付できるのかどうなのかという懸念材料があります。その対策がありますか。お知らせをいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 本年九月からのマイナポイント施策の開始などによる今後のカード交付の大幅な増加に対応するためには、市区町村の交付体制を計画的に整備するとともに、御懸念のような一定の期間に申請が集中するということを防ぎ、カードの申請、交付を円滑に行うために、住民のカード申請や交付の機会を拡大していくということが重要と考えております。

 このため、全国の市区町村に対しまして、交付枚数の想定あるいは交付体制の整備予定などを盛り込んだ交付円滑化計画というものの策定を要請したところでございます。昨年十一月までに全ての市区町村で計画を策定をいただいておりまして、各市区町村におきまして、政府の交付枚数の想定に沿った交付枚数を想定いただき、窓口の増強、土日、平日夜間開庁の実施などの交付体制の整備や出張申請受付などにも取り組んでいただいているところでございます。

 住民の皆様からの申請に対する円滑なカード交付に支障が生じないように、総務省として、引き続き、計画をフォローアップしていくとともに、財政面も含めまして市区町村の取組をしっかりと支援してまいる所存でございます。

木村(哲)分科員 やはり体制をしっかり整えていっていただいて、これは間に合わないということになったらポイント還元も全く意味をなさないということになりますので、しっかり地方自治体とともに取り組んでいただきたいと思います。

 それで、二〇二一年三月より保険証として利用可能になりまして、二〇二〇年十月にはNDBと介護DBの連結解析が始まります。そして、二〇二三年三月までに病院、診療所、薬局で利用できるよう整備をしてまいります。これは、国民皆保険イコール、健康保険証を一〇〇%マイナンバーカードへ移行するということが私は必要ではないかと思います。その意気込みも必要ですし、その体制も整えていかなければならないと思います。

 このマイナンバーカードの普及に向けて、医療、介護といった社会保障分野のさまざまな場面で活用できるようになるという国民のメリットをしっかりと訴えていく必要がありますし、国民の皆さんがマイナンバーカードを積極的に取得できるように、保険証制度を所管する厚生労働省としてこれからしっかりどのように取り組んでいくのかというところの御見解を伺います。

小島大臣政務官 厚生労働省におきましては、令和三年三月からマイナンバーカードを健康保険証として利用できるよう、来年度予算に医療情報化支援基金のさらなる積み増しをお願いしております。令和二年度は七百六十億円を要望しております。医療機関へのカードリーダーの導入、システム等の早期整備を支援していくこととしておりまして、マイナンバーカードを保険証として利用できる仕組みを導入することは、医療保険の資格情報を医療機関でリアルタイムで確認できるなど、利便性の向上や事務の効率化につながると考えております。メリットでございます。

 また、御自身の薬剤情報や特定健診情報、健康診断記録等をマイナポータルにおいて閲覧し、いつでも御自身の健康、医療等の情報を安心して確認できるようになることで、みずからの健康管理や予防等に役立てていただくことが可能となってまいります。

 国民の皆様がこうしたマイナンバーカードのメリットを感じていただけるよう、昨年十二月に閣議決定しました新たなデジタル・ガバメント実行計画に沿いまして、利活用の取組を進めてまいりたいと考えております。

 さらに、健康保険証制度を所管する厚生労働省としましては、所管する約二百の関係業界団体等に対しまして、積極的な取得と利活用の促進へ協力を要請してきたところであります。引き続きまして、その普及に全力で取り組み、マイナンバーカードを基盤とした、国民にとって利便性の高いデジタル社会の構築に努めてまいりたいと考えております。

木村(哲)分科員 ぜひとも、厚生労働省分野だけではなくて、さまざまな分野に必要不可欠になるマイナンバーカードでありますし、これから一億人を目指すということでもございますから、これは身分証明書というか、本当に国際的なIDカードになるわけでございますから、しっかりと内容等々も含めて取り組んでいただきたいと思いますし、この半年間でまた二千万人、どのようにふやしていけるのか、目標値に達するようにしっかりとこれは周知徹底をしていただきたいと思います。

 それでは、介護人材についてでありますけれども、介護人材不足、これは今、地方で待ったなしという状況にあります。介護福祉施設の待機者は依然として減っておりません。そして、施設をつくっても、介護士が不足していて、フルにサービスが提供できない場合も存在しております。

 私の地元の自治体を調べさせていただきましたけれども、介護人材は大きな課題でありまして、令和二年に実施した、市内三十三の介護老人福祉施設、定員二千二百六十四名と、十五の介護老人保健施設、定員千四百三十五人に、人材不足を理由に受入れ制限をしている内容を確認したところ、介護老人福祉施設八施設で百四十床分の受入れ制限をしている状況がわかったところでございます。

 これはまさに介護人材不足が深刻化しているあかしであります。全国でも、事業者の九割が採用の困難さを、そして二割が離職率の高さを訴えています。世界を見ても、これだけの人材不足はまれな状況にあると言えます。問題なのは、なぜ介護職につこうと思わないのか、それを理解しなければ改善策はないというところにあります。

 第一に、処遇改善がうたわれておりますけれども、令和二年度における新しい経済政策のパッケージには、リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準を目指しとありますけれども、人材確保にまで至っていないのが現状であります。つまり、仕事内容と賃金が魅力ある状況に達していないということでありましょう。まずはここを改善せねばなりません。

 そして、賃金を上げるためには、同時に、合理化を図り、効率性を高めていくという、生産性を上げなければなりません。厚生労働省の推計で、二〇二五年までに二百四十五万人の介護従事者が必要で、五十五万人が不足すると言われております。賃金を上げたからといって福祉で働こうという意識が芽生えるか、そんな安直な問題ではなくて、仕事内容改善や賃金アップを図り、イメージの底上げ、イメージアップを図らなければ解決しない問題であります。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 一点目でありますけれども、ICTなどの合理化を図るのに五年も待てないという地方の現状を鑑み、即戦力的に期待をさせていただけるのは外国人就労の方々であります。EPA、留学生在留資格、技能実習というのは厚生労働委員会でも質問させていただいておりますので、理解をしております。その中で、特定技能の就労拡大としての目標値を、一年間で五千人、五年で六万人と設定をいたしました。各国で特定技能に関する取組が行われておりますけれども、現状をお伺いさせていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護分野におけます特定技能制度の在留外国人の数でございますけれども、本年一月末現在で二十一名でございます。いずれも、EPA介護福祉士候補者から特定技能一号への移行者でございます。

 試験の実施状況でございますけれども、現時点では、フィリピン、カンボジア、インドネシア、ネパール、モンゴル、ミャンマー及び日本国内で、これは東京と大阪でございますけれども、試験を実施しておりまして、本年一月までの試験の実績の累計でございますけれども、介護技能評価試験に計千九百四十九名、介護日本語評価試験に計千九百八十八名が合格しております。入管庁を通じまして、早期に送り出しが開始されるよう働きかけていきたいというふうに考えております。

 また、できる限り試験の受験機会をふやして、希望する方が試験を受けられるようにするために、本年は新たに、海外ではベトナム、中国、タイにおきまして、また、日本国内では全ての四十七都道府県において試験を実施できるよう準備を進めていきたいと考えております。

 当面、こうした取組を通じまして特定技能の外国人材の確保に努めていきたいと考えております。

木村(哲)分科員 非常に厳しい現状は理解をさせていただいております。

 私もこれはずっと国会でも追わせていただいているんですけれども、そのほかの、EPAとか留学生の在留資格とか技能実習とかさまざま含めて、今の日本の現状は待ったなしというような状況でありまして、さまざま改善をする中で、やはり今、即戦力的な人材が必要不可欠でありますので、ここの部分をしっかりと、また厚生労働委員会でも議論しながら進めさせていただきたいと思います。

 二点目は、希望を持って福祉業界で働いていただいている介護従事者の労働環境整備をしなければならないと思います。

 ある施設に伺いますと、介護従事者は、利用者との対面上のサービスが得意であっても、書類作成が苦手な方が多くいらっしゃいます。この事務的な作業に多くの時間を要してしまう。各自治体でも形式の違いが存在することから、国として早急に、肥大化して煩雑となっている自治体のローカルルールを解消し、全国統一のルールを形成して、電子化、ペーパーレス化を進める必要があると思います。

 そして、今、限られた人材でいかに福祉の質を下げずにサービスを提供できるのかが焦点であります。AI、IT、ICT化を進めて、労働生産性を高めていくことが重要であります。

 現在、全国の特養、老健に対して調査を進めておりまして、電子化の格差が生じております。一番は、病院や福祉施設を多数運営しているところで、AI、ICT、ロボット等、エビデンスをとりながらモデル的に進んでいるところもあれば、その次の段階で、自信を持ってICT化を進めていますよという施設もいっぱいあるんですけれども、見守り的な排せつ、転倒センサーをつけている、インカムそしてバイタル、そして介護記録をICT化をしている、しかしながらエビデンスはとられていないというところも多くあります。三番目は、介護施設の中で、千人を超える、二千人を超える職員を持たれている方でもICT化を全く図られていないというところがございます。大きく施設内で格差を生んでいるというところもございます。

 一言でICT化と言っても、その標準基準をどう統一化していくのか、この二つの観点でお伺いさせていただきたいと思います。

大島政府参考人 まず、文書削減の点でございます。

 介護需要は増大しますが、一方で、人手不足、人的制約が高まっておりまして、介護分野の文書の作成に関する負担軽減は急務の課題と認識しております。

 このため、昨年八月に、審議会の下に、自治体の職員、介護事業者の関係者、それから学識経験者から成る介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会というものを設置いたしまして、関係者で協働して検討を行い、昨年十二月に中間まとめをしていただきました。

 この中間取りまとめにおきましては、介護事業所の指定申請、介護報酬の請求、それから自治体の指導監査に関連する文書につきまして、簡素化、これは様式や添付書類の見直しでございます、それから二つ目に、標準化、自治体ごとのローカルルールの解消であります、そして三つ目に、ICTの活用、これはウエブ入力、電子申請でございます、の三つにつきまして、具体的なスケジュールとあわせて、推進すべきとの方向性が示されたところでございます。これに沿って早急に取組にかかりたいと思っております。

 それからもう一つ、テクノロジーの活用による介護施設間のばらつきの底上げについてお尋ねがございました。

 介護職員の負担軽減を図るとともに、同時に、質の高いサービスを効率的に提供するためには、介護施設におきまして、ICTやセンサー、ロボットといったテクノロジーの活用は重要な課題と考えております。

 このため、平成三十年度に、テクノロジーの活用を含めた好事例をまとめた生産性向上のガイドラインというのをつくりました。それから、厚生労働省と介護関係団体が一体となった介護現場の業務省力化のための会議を立ち上げまして、業務の洗い出し、整理、切り分けやテクノロジーの活用を進めるための基本方針を取りまとめました。今年度は、その基本方針を踏まえたパイロット事業を全国七自治体で実施しているところでございます。

 令和二年度におきましては、各都道府県にあります地域医療介護総合確保基金という基金を活用いたしまして、ICT、センサーの導入補助の拡充を行うとともに、新たに、テクノロジー活用などの業務効率化に取り組む地域のモデル施設を育成するための補助を行う予定にしております。

 これらによりまして、現在七地域のパイロット的な取組を全国に広げていき、底上げを図ってまいりたいと考えております。

木村(哲)分科員 ありがとうございます。

 今、介護予防を徹底的に進めることも必要でありますし、その上で、自立支援という法目的に立ち返り、利用者の要介護度や自立度が改善した場合は事業者にインセンティブを強化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 自立支援や重度化防止といったことに軸足を置いた介護を進めていくことが重要でございます。こうした観点から、利用者の状態の改善に着目した介護報酬上の評価としまして、平成三十年度の改定におきまして、日常生活動作、ADLの維持、改善につながった利用者が多い通所介護事業所に対して加算する仕組みを導入したところでございます。

 今後、この加算につきましての効果や影響を検証して、次期報酬改定、これは令和三年度四月からでございますが、次期報酬改定に向けまして、このインセンティブ措置の強化につきまして、関係者の御意見をお伺いしながら、積極的に検討してまいりたいと考えております。

木村(哲)分科員 人材不足についてお話をさせていただきましたけれども、人員配置については、今、一・八対一、これがICTが進めば三対一、四対一になるというところでもございますけれども、まだまだ、施設はだんだん改善してくるかもしれないですけれども、在宅介護を推し進めている中で、やはり在宅介護は非常に厳しい現状があると思います。

 例えば、二十四時間介護が必要なんですけれども、私も母を介護してことしで四十一年目になるわけでございますが、なかなか年末年始になると業者さんもいらっしゃらないという中で、手が足りていない。二十四時間介護をどうするか。センサーを使ってのということもありますけれども、なかなか在宅介護でセンサーを使ってということはできませんから、一人っ子の場合は在宅介護をどうやって解決していくのか。

 というところで、やはり、これから介護離職者もまだまだふえてきてしまう可能性があるので、介護の問題、いかに地方に手厚くできるか、施設においてもICT化を早急に進めて改善をしていく必要があると思います。ぜひとも、まずは施設においてICT化をしていただいて、そしてまた、在宅介護においても、しっかりとこのICTを活用した、ITを活用したような在宅介護ができればというところも考えております。

 では、もう一点だけ、済みません、国民健康保険についてなんですけれども、加入者の減少により保険料収入が減るとともに、一人当たりの医療費はふえ続けております。加入者は低所得者が多く、現行の保険料では収支が均衡せず、一般会計からの繰入れが多大となっている中で、県単位化で決算補填の目的の繰入れは是正をせざるを得ず、そのため、保険料は段階的に上げざるを得ない状況にあると聞いています。

 これによって一番影響を受ける低所得者に対しては、現在でも軽減措置はあるものの、なお一層の軽減措置制度の拡充を望む声が大きいのが現状であります。

 また、国民健康保険料は所得割と均等割とにより算定されますけれども、この均等割額は世帯の被保険者一人ごとに課されることから、子供がふえるごとに、当然、世帯の負担がふえていくことになります。

 昨今、子育てに関してさまざまな政策が進められていく中、子供の均等割保険料の軽減について御検討いただきたいが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 国保におきましては、全ての被保険者がひとしく保険料を受ける権利がございます。また、被保険者全体の相互扶助で支えられているものでありますことから、応分の保険料負担をしていただく必要があるものと考えております。

 他方で、委員も御指摘がございましたけれども、所得の低い世帯につきましては、子供も含めまして、被保険者数の人数が多いほど保険料の軽減対象になりやすくなるような仕組みを導入いたしまして、平成二十六年度からこの軽減措置の対象を拡大したところでございます。

 また、御指摘の子供の均等割保険料の軽減につきましては、地方団体からも御要望をいただいております。この点につきましては、今申し上げましたような、支え合いであるというような保険料の趣旨、あるいは国保財政に与える影響などをまず考慮する必要があると思います。その上で、国保改革の施行状況も踏まえながら、国保制度に関する国と地方の協議の場というところがございまして、この場におきまして引き続き丁寧に議論してまいりたいというふうに考えております。

木村(哲)分科員 本日、まずもってコロナウイルスのお話をさせていただきましたけれども、こちらにおいては、質問が小田原先生とも重複をしてしまうことも鑑みまして要望だけにさせていただきましたけれども、しっかりとこれから広がりのないよう、広がることによっても重症化を防いでいくんだ、そして、医療機関はしっかりとその整備をしていくんだというところをもって取り組んでいただきたいと思います。

 国民不安の払拭をしていくことが私たちの一番の役目でありますので、協力体制をとりながら進めていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて木村哲也君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西宏幸君。

大西(宏)分科員 失礼いたします。お時間を賜りまして、本当にありがとうございます。自由民主党・無所属の会、衆議院議員大西宏幸でございます。

 さて、冒頭、これはあくまでも要望でございますけれども、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今、厚生労働省の皆さんが大変昼夜を分かたず御努力をしていただいていることを、心より感謝を申し上げる次第でございます。

 それだけではなく、各都道府県の関係各位、そして自衛隊の医務官、看護師を含めて、全力を挙げて対応していただいております。これは国民を含めて国も各地方も全員野球で取り組んでいかなきゃいけないことだと思っておりますし、また、情報が少ない中、いろいろなことが錯綜をしておる中で、二十二日に、政府が、備蓄している新型インフルエンザの投与についても、投与するということで報道もありました。

 この中身は何かというと、実は今、効くであろうと言われているのが、あくまでも適応外使用ということなんですけれども、アビガン、カレトラ、レムデシビルという、およそ三つの薬がそういうことに効くと言われているんですけれども、その一つが、実は、富士フイルムの子会社ですよね、富山化学株式会社が開発しました抗ウイルス剤アビガンという薬がありまして、これはエボラ出血熱にも効果があったと言われているんですけれども、これは何かというと、ウイルスのRNAですね、ポリメラーゼという機能を、いわゆる複製機能、コピーして複製する機能を、増殖するのを一定遮断するという効果があるということです。

 実は、インフルエンザの対策として二〇一七年に政府は二百万人のストックを指示されておられます。これは、同じアビガンのライセンスを中国の浙江海正薬業という会社も持っておりまして、中国が発症場所でございますので、アビガンの臨床実験等々も終えて生産ラインに入っているとも言われております。

 確かに、アビガンは日本で生産できる唯一の薬だと言われているんですけれども、今、副作用としましては、妊婦さんに投与すると奇形児になるリスクが増すということで、大変そういう部分は問題視されておりますけれども、あとは、お年寄りの人の飲み合わせ等々にも気をつけなきゃならないことを鑑みても、現在の二百万人のストックでは絶対数が足りないということでございまして、きのう、自民党の岸田文雄政調会長にもお声がけをしまして、できるだけ早急に生産ラインを敷いていただくようにということでお願いをしております。厚生労働省としても、政府としても、世界に先んじる気概で、早期の対応をよろしくお願いをする次第でございます。

 さて、その中で、やはり感染が大変問題になっているのが実は地元の大阪でございまして、大阪を含めて関西は昨年は一千百八十万人の海外の方々がお越しになられて、思い出をつくっていただいて、楽しんでいただいたわけでございますけれども、それ以外にも、工業部品等々が手に入らない状況で、東日本大震災も大きな経済的な痛手をこうむりましたけれども、これは東日本大震災を大きく上回る経済破綻を起こす可能性もあるということで、特別貸付け等々も進めていただいておりますけれども、さらなる拡充をしていただきますように、これも改めて要望をさせていただく所存でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、質問の本題に入らせていただきます。

 きょう、この厚生労働の分科会にも座っていただいていますけれども、前厚生労働大臣根本匠先生が勉強会を立ち上げていただいておりまして、その事務局長を務めさせていただいております。間もなく議員連盟に移行する予定でございますけれども、将来の日本に向けての重要な課題となります。その中で、介護、医療、保育、各分野における将来に向けて必要とされる人材というのを今後考えていかなきゃいけないということでございまして、それに対して、充足率等々、そういう資料がありましたら、お聞かせいただけますようにお願いします。

谷内政府参考人 まず、私から、介護分野につきましての状況につきましてお答え申し上げます。

 介護分野におきます将来の人材需要につきましては、平成三十年、二〇一八年五月に、第七期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について公表したところでございます。これによりますと、二〇二〇年度末までに二百十六万人、二〇二五年度末までに約二百四十五万人の介護人材が必要と見込んでおります。

 また、介護の仕事に従事する方の見込みでございますけれども、二〇二〇年度末までに二百三万人、二〇二五年度末までに約二百十一万人と見込んでおります。

 これらによりまして充足率を計算いたしますと、二〇二〇年度末におきましては約九四%、二〇二五年度末におきましては約八六%となっているところでございます。

吉田政府参考人 医療分野につきまして、看護職員についてお答えいたします。

 看護職員の需給につきましては、昨年十一月の看護職員需給分科会、ここで検討をいただきました中間取りまとめによりまして、看護職員の労働環境の変化に対応して幅を持たせた三つのシナリオで二〇二五年の需要推計を公表いたしました。この推計によりますと、全国で、需要の方の推計が百八十八万人から二百二万人程度、供給の方が百七十五万人から百八十二万人程度と見込んでございます。

 これらによりまして充足率を計算いたしますと、ワーク・ライフ・バランスの充足度合いなどによりますけれども、約八六%から約九七%の全国の見通しとなってございます。

渡辺政府参考人 私の方から、保育分野の人材確保につきましてお答えさせていただきます。

 まず、保育分野の需要でございますが、現在、平成三十年度から来年度、二年度末までの三年間で子育て安心プランというのを進めております。その中で三十二万人分の受皿整備をしていくわけですが、これに伴う保育人材、三年間で七・七万人が必要だということで見込んでいるところでございます。

 まだ三十年度の実績が出ておりませんので、まだちょっと充足率という形でお答えできませんが、その前の三年間の二十七年度から二十九年度で見ますと、大体合計で常勤換算で八・三万人ということで、今目標としております七・七万人を超える数が充足できているところでございます。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。

 各分野でお答えをいただきました。女性活躍推進や外国人材の受入れなど、効果的な対策で充足率を上げていくものもあると思うんですけれども、やや不足しているところもあります。特に介護、看護等々についてもそうだと思うんですけれども。

 それでは、分野における有効求人倍率ということではどうでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 各分野の有効求人倍率の推移でございますが、平成二十四年度と平成三十年度を対比させてお答えさせていただきます。

 まず、介護関係職種でございますが、平成二十四年度が一・七三倍、平成三十年度が三・九五倍ということで、二・二ポイント上昇しております。

 また、看護師、准看護師でございますが、二・八三倍が二・三五倍ということで、〇・四八ポイント低下しておりますが、依然として二倍を超える水準となっております。

 また、保育でございますが、一・〇八倍が二・八八倍ということで、一・八〇ポイント上昇している状況でございます。

大西(宏)分科員 今、二〇一二年等々から教えていただいたんですけれども、医療と看護師さんはそれほど大きく変化はされていないんですけれども、保育と介護に関してはそれぞれ倍近くになっているということで、これは意味深なデータなんですけれども、高齢化の進展や女性の社会進出なども大きな影響があるのかなと思っております。

 介護、医療、保育の人材確保のために、処遇改善など、厚生労働省としてさまざまな取組をされておられると思うんですけれども、そこで、人材確保のための取組の今後の方向性などがありましたらお聞かせください。

谷内政府参考人 まず、介護分野の取組状況についてお答えいたします。

 介護分野の人材確保につきましては、処遇改善や就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成への支援などを含めまして、総合的に取り組むことが重要であると考えております。

 具体的には、昨年十月より、消費税財源も活用して、経験、技能のある介護職員に重点化を図りながら、さらなる処遇改善を実施しております。また、介護分野へのアクティブシニアなどの参入を促す入門的研修の普及、ICTや介護ロボットを活用した生産性向上の推進による現場の負担軽減や職場環境の改善、各種研修の受講支援などによります資質の向上、外国人介護人材の受入れ環境の整備などを実施しております。

 これらの取組を着実に推進することによりまして、介護人材の確保に全力を尽くしていきたいと考えております。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

大西(宏)分科員 確かに量的な確保も大切なんですけれども、我々のお父さん、お母さん、身内の人間を面倒を見てもらう施設のことも考えたら、やはり質的な向上も重要な課題であると思うんですね。現場環境の改善とか処遇改善など、適切に対応していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、復職のことにつきましてお聞かせをいただきたいと思います。

 妊娠や出産、介護などで一度職場を離れた方、子育てが終わった、まだまだ働きたいと考えているシニアの方も多いと思うんですけれども、もう一度職場に戻っていただくことは有効な人材確保の一つと考えております。どのような復職施策があるのか、お聞かせいただきたいと思います。これは本当に、きっかけさえあれば戻ってこられる方も多々おられると思うので、よろしくお願いいたします。

谷内政府参考人 まず、私から、介護分野の復職支援策につきましてお答え申し上げます。

 介護人材確保につきましては、介護福祉士の資格を持ちながら介護職に従事していない、いわゆる潜在介護福祉士の復職支援を含めまして、総合的に取り組むことが重要であると考えております。

 このため、離職した介護福祉士の再就業を促進するため、その所在を明らかにして効果的な支援を行う観点から、平成二十九年四月から、離職した介護福祉士に住所、氏名等を都道府県福祉人材センターに届け出る努力義務を課しているところでございます。また、これらの離職した介護福祉士に対しまして、地域医療介護総合確保基金を活用して、再就業に向けた研修や職場体験の実施を支援しております。また、再就職する際に必要となる経費につきまして、再就職準備金の貸付けなどに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、こうした取組を着実に進めることで、介護人材の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

吉田政府参考人 看護職員についてお答えいたします。

 看護職員の人材確保は、その質の向上も念頭に置いて、新規養成、定着促進、そして今御指摘いただきました復職支援という観点から総合的に取り組んでおります。

 特に、復職支援につきましては、看護師等の人材確保の促進に関する法律という法律に基づきまして、各都道府県ごとのナースセンター事業として無料職業紹介事業あるいは復職研修などを実施しているところでございます。

 また、平成二十六年に成立いたしました医療介護総合確保促進法に基づいて、看護職員が離職した際に連絡先を届け出る制度を創設していただきました。この届出情報を活用した都道府県ナースセンターによる復職支援の強化も図っているところでございます。

渡辺政府参考人 保育人材についてお答え申し上げます。

 保育分野におきます復職支援につきましては、平成三十一年四月時点でございますが、都道府県、指定都市等六十四カ所に保育士・保育所支援センターというのを設置しております。ここでは、保育所等の求人情報を集約するとともに、離職する保育士に登録をいただきまして、求人情報とのマッチングを行うことによって再就職支援も行っております。

 また、保育士という職業あるいは働く場としての保育所の魅力の向上、その発信方法につきまして、現在、有識者による検討会を行っておりまして、そこでもさまざまな工夫を凝らしている取組も紹介されておりますので、こうしたことの横展開も含めて、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

大西(宏)分科員 我が国の最大の潜在能力と言われているのが、やはり女性活躍だと思っているんですよね。

 実は、私の事務所でも秘書の方が妊娠されて、妊娠、出産、子育ての間少し休んでいただきましたけれども、そのまま働いていただく、また、お子様を事務所でスタッフとともに面倒を見るというような環境というのをつくっていくことができたわけですけれども、やはり妊娠や出産とか介護などでキャリアが中断しないような現場環境が重要だと思いますので、その対応をどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ここからは有料職業紹介所についてお聞かせいただきたいと思うんですけれども、いわゆる有料紹介事業者として登録すると、港湾運送業とか建設業務を除いて全ての業種で紹介可能ということになっています。こういうことについて、ここからは、有料紹介事業についてどう考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 求人の充足を図っていくということは非常に重要な課題でございまして、ハローワークでも最大限努力いたしておりますし、各事業者の方におきましても、処遇改善等を通じて、できるだけ求職者のニーズに応えようという御努力をされておると思います。

 ここ十年ぐらいの間に医療、介護等の分野の就業者数というのは実は一・五倍ぐらいに膨れ上がっているということがございまして、そういった中で非常に充足の努力を重ねておるというのが実態でございます。そうした中で、民間事業者も活用して充足せざるを得ないという状況が近年特にふえてきておるというふうに承知をしております。

大西(宏)分科員 いわゆる紹介事業で問題というのは、やはり紹介手数料なんですよね。これは上限はもちろん決まっているということでお聞きしているんですけれども、実際、どれくらいの紹介手数料が支払われているのか。これは把握していますよね。

小林政府参考人 まず、先ほどのお尋ねに補足させていただきますが、有料職業紹介事業所数というのが全体で約二万事業所ほどございます。そのうち、医療、介護、保育等で紹介実績のあった事業所数というのが、医師系で七百二十五事業所、看護系で八百三十三事業所、介護系で九百七十八事業所、保育系で二百十七事業所ということで、近年の傾向としては、特に介護系、保育系で紹介事業者の活動が活発となっております。

 そういった中で、今お尋ねいただきました手数料額でございます。これは、医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査というのを行いまして、昨年十二月にその内容を公表させていただいております。求人者が支払った採用一件当たりの手数料額でございますが、医師が二百七十六万六千円、介護士、准看護師が九十一万八千円、介護職員が五十万一千円ということになっております。

 民間の紹介事業者でございますが、基本的に、年間の所得収入の一定割合を手数料としていただくというのが一般的な形態となっておりまして、今、金額は違いがございましたけれども、全体としては、他の職種と同様、大体年収の二から三割というぐらいの水準になっておるところでございます。

大西(宏)分科員 おおむね年収の二割、三割ということで、他業種についてもデータをいただいているんですけれども、あえてここの詳細は問わないわけでございますけれども、やはり、実際に現場でお話をすると、大変な負担になっているということも確かなんですよね。

 地元で、介護事業者の方や保育園の理事長先生とか、我々自民党も勉強会をさせていただいているんですけれども、特に介護、保育の分野では人材確保がやはり難しいんですよ。やむを得ず有料事業者に頼って、高額の手数料を、本来ならば職員の厚生で使わなきゃいけないんですけれども、これをも抜いてまで使う、これは苦渋の選択だと言っておられますね。

 ようやく採用できたけれども職員がすぐにやめてしまう、これは更にダメージが大きく、本当にその施設の浮沈にもかかわるようなことになってきておりまして、みずからあっせんして就職が決まった方に、これは悪徳業者ですけれども、転職を勧めて、別の施設に再度あっせんし直すというような悪徳の業者もいるということと、また、同じ業者でも、例えば同じ保育園で、年間に手数料がそれぞれ違う、お金を高く設定して、だんだん金額が高くなっているものも資料として見させていただいたんですけれども、そういうこともあるんですよね。

 厚生労働省は、こうした悪質な業者についてやはり把握していますよね。そして、対策は講じていらっしゃるんでしょうか。お聞かせください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたような民間紹介事業者の問題、こういった問題はかねてより御指摘をいただいていたところでございまして、現在、職業安定法及びその指針に基づきまして、例えば二年間はみずから紹介した方の転職勧奨というのをしてはならないといったようなことを指針で定めまして、各都道府県労働局におきまして指導を行う体制というのを整えているところでございます。

 そういった中でございますが、いろいろ業界団体の皆様の声などをお聞きしておりますと、依然として不適切、悪質な事業者があるという声もお聞きをしておるところでございます。

 こうした中で、本年一月からでございますが、一つは、この指針等の内容の周知を徹底しようということで、先ほど申し上げたような、これらの分野で紹介実績のある全ての紹介事業者を対象として、各労働局の方で集団指導の取組を行いつつあるところでございます。

 また、あわせまして、この一月からでございますが、医療、看護、保育分野で有料職業紹介事業を行う事業主に対して、先ほど申し上げました職業安定法あるいは指針の遵守をみずから図っているということを宣言してもらうことを促す、そして遵守している旨の宣言をした事業者を厚労省のサイトで公表する、見える化するという取組を開始したところでございます。

 悪質な事業者を排除していく、そして良質な事業者による適切な紹介が促されるような環境整備を引き続き図ってまいりたいというふうに思います。

大西(宏)分科員 一月から医療・介護・保育分野適合紹介事業宣言というのをされているということなんですけれども、この宣言をされた業者はサイトで公表するんですけれども、それを使う各分野の皆さんが全然わかっていらっしゃらないというか、一月なので宣伝がまだ足りていないし、これは我々の勉強会で根本先生にも御指摘いただいたんですけれども、優良業者の証明書というか、例えばロゴマークみたいなものを張るとか、各事業者のホームページ上でロゴマークをつけてもらうとか、何かしなければ、一見してわからないのに、一々それを探して、検索をしていかなきゃわからないというのは、これは本末転倒だと思うんですよね。

 そういうことも踏まえて、皆さんがわかりやすいように、また、悪徳と優良、きっちりと分けられるようにしていかなきゃいけないと思いますので、ここは要望をさせていただきたいと思います。

 ここまでは民間事業者について聞かせていただいたんですけれども、やはりハローワークのことについてもお聞かせいただかなきゃならないということでございまして、仕事をやめたときとか仕事を探すとき、一番に選択枠としてハローワークが候補に挙がると思うんですけれども、この医療、看護師さんで構いません、それぞれ、看護師さんや保育士さんを始め、技能、技術が必要な職業について求人数や就職件数というのを把握されておられると思うんですけれども、お聞かせください。

小林政府参考人 御指摘いただきましたように、ハローワークは無料の紹介機関でございますので、こういった国の機関が積極的な役割を果たしていくことがこれまで以上に重要となっているというふうに思っております。

 ハローワークにおける最近の実績で申し上げますと、平成三十年度、新たに介護、看護、保育の分野で求人申込みをいただいた事業所の件数でございますが、介護の関係は百十万件の申込みをいただきました、看護が四十万件、保育が二十二万件ということで、計百八十一万件の求人申込みがございまして、平成三十年度、約二十万件の就職が実現しているという状況にございます。

 ハローワークにおきましては、人材確保対策コーナーと申しまして、特に人手不足職種に対応した専門の窓口を整備しつつあるところでございます。引き続き、関係機関とも十分連携をいたしまして、人手不足分野の人材確保支援に努めてまいりたいというふうに思います。

大西(宏)分科員 ハローワーク、本当にこういう技能者の復職支援というのに有効な部分がありまして、地方と都市部というのも違うんでしょうけれども、今はスマホでも見られるということで、この間もお話を聞かせていただいたんですけれども、またスマホが使いにくい。もう少し、ちょっと、厚生労働省、そんなにお金がかかるものじゃないので、わかりやすいように。また、この間見たら、ちょうど勉強会で見させていただいたら工事中だったので、工事中はもう外れたの。わからないけれども。ちょっと状況を教えてください。

小林政府参考人 ハローワークの求人情報は、ハローワークインターネットサービスということで一般に公開をされております。

 その上で、この一月から実は順次、ハローワークシステムの更改と申しますか、刷新を行いつつあるところでございまして、段階的に整備しておるところでございますので、まだ十分至らない点がございますが、これから逐次、充実を図ってまいりたいというふうに思います。

大西(宏)分科員 済みません、言うてないのに答えていただきまして、ありがとうございました。

 ともかく、ハローワークというのは、実は、技能者ではなくて一般の方々の助け船というか、就職をしたくても就職するところが探せない方々等々についても本当に有効な力になると思うので、その部分についても、どうぞ全力を挙げて対応していただきますようにお願いします。また、ネットで登録そして採用ということになると、顔が見えない部分もありまして、その部分も逆に指摘も受けております。そこら辺の部分もよろしくお願いします。

 ところで、介護分野に関して、ハローワークと介護労働安定センターの連携強化というのに取り組んでいらっしゃるということなんですけれども、どうでしょうか。

小林政府参考人 介護従事者の雇用管理改善を支援する介護労働安定センターというのがございますが、ハローワークと介護労働安定センターが連携した取組を行っております。

 一つは、ハローワークに求人を行う事業者の方に対しまして、やはり雇用管理改善を図らないとなかなか求人が充足されないということを周知する必要がございますので、介護労働安定センターが作成した各種パンフレット等を活用して御説明申し上げております。

 また、事業者を訪問し、必要な助言、援助を行うということも行っておりますが、その際も、ハローワークの職員と介護労働安定センターの職員が同行いたしまして、専門的支援が行えるようにしているところでございます。

 また、首都圏の取組でございますが、特養、特別養護老人ホームの開設を目指している地方自治体、それからハローワーク、介護労働安定センターの三者が連携をいたしまして、モデル事業でございますけれども、人材確保支援に向けた取組を連携して図るというようなことも行っておるところでございます。

大西(宏)分科員 今いわゆる就職支援ということでお聞きをしておるわけでございますけれども、改めてこれは議員連盟を立ち上げて積極的に細かく議論させていただきまして、厚生労働省の持っているもので足らないものを含めて、お互いスキルアップをさせていただきたいと思うんです。

 話はちょっと最初に戻るんですけれども、介護にしても、看護にしても、医者にしても、医者自身が今回のコロナウイルスに罹患したという話もあったり、やはりそういう人たちを守っていかなければ信頼がなくなるということで、薬の政策をしている若いチームとの勉強会でも、これは別に裏づけがあるわけでもないんですけれども、例えば、先ほどから言った富士フイルム、アビガンが予防薬になるんじゃないかという話もあったりするんですよね。そういうことがもし予防薬であるならば、そういう人たちとかお年寄りとか、投与できるところは早々に投与して、薄いといっても副作用は多少あると思うんですけれども、そういう対応ができるように守っていきましょうよ。

 厚生労働省が足らずは我々が力を合わせますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、時間が来ました、質疑を終わらせていただきます。

 以上です。

後藤主査 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤高夫君。

安藤(高)分科員 本日は、御質問の機会をどうもありがとうございます。衆議院東京比例の安藤でございます。

 私の方からは、コロナ関係三つと、あと、そのほか四つを御質問させていただきたいと思っています。

 質問一ですけれども、これはコロナ対策の行政の対応です。

 現在、相談所の一つになっている保健所においても、多くの電話が殺到して機能していないような状況が続いています。保健所も、そうであったらまずかかりつけ医に相談をしてくださいという対応をする例も出てきています。

 コロナの対策で、一般病院から診療所においてローリスクの方は診ないといけない段階に、移行期と言われていますけれども、来ているのではないか。そういう場合、いきなり受診せずに、まず電話などで相談した上で指示を仰ぐのが最低のルールになってくると思います。ぜひこれを広く国民の方々にアピールをする必要があるのではないか。例えば、全国放送で頻回に頻回に、テレビで何度も何度もこの予防法も含めて行っていくとした方が、いい結果が出ると思います。厚生労働省が考えている広報戦略について教えていただきたいのが一点です。

 もう一点は、現在マスク不足が言われていますけれども、基本的にはせきをしている患者さんがマスクをすることが最低限ですけれども、それが基本として、マスクの優先順位も重要だと思いますが、そこら辺はどう考えているのか、厚労省のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この新型コロナウイルス関連に対する広報の関係でございますが、まず予防をしっかりしていただくということが大事で、手洗いとかせきエチケットなどにしっかり取り組んでいただくとか、人混みのところは避けていただくなど、積極的な周知、広報に努めているところでございます。

 また、国民の皆様に感染症の基本的な知識や予防策などを正しく御理解いただくためには、QアンドAをつくって厚労省のウエブサイトから情報を発信したり、あるいはお問合せに対応するためにコールセンターを設けたり、また、先生から御指摘のありました受診の関係につきましても、受診の目安というものを公表させていただいて、大臣も積極的に会見で御説明をさせていただくなど、積極的に広報をしているところでございますが、引き続き、先生御指摘のように、広報は大事だというふうに認識しておりますので、取り組んでいければというふうに考えております。

 また、マスクの関係でございますが、一般用につきましても現在品薄状況になっているというふうな御指摘がございますが、効果的な感染予防の観点からは、風邪とか感染症の疑いのある方が使用するというのが大事だということで、そういうようなことも広報させていただいております。

 また、医療用マスクにつきましては、新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たる医療従事者に確実に供給していくことが大変重要だというふうに考えておりまして、厚生労働省としては、その生産、流通状況をきめ細かく把握しつつ、あと、適正販売、購入に向けた周知啓発を図る、あるいは増産の要請などの供給体制の拡充等に取り組んだ上で、感染拡大の防止に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。ぜひ、テレビというか、動画の発信もお願いしたい、そう思っております。

 次に、コロナ対策の二番として、現場の病院、診療所の対応です。

 コロナウイルスの現場対応として、今でもやっていますけれども、今後、民間病院の役割が非常に大きくなってくると思います。感染症対策の設備費用等について、これは、自治体病院だけではなくて民間医療機関に対しても、更に感染症患者さんを迎え入れるための空床手当等、国として何か支援ができるものはないのかということをちょっとお尋ねしたいと思っています。

 二つ目として、検査の需要がますます大きくなってきていると思います。民間医療機関からも民間の検査センターである例えばビー・エム・エルやエスアールエルへPCR検査を直接依頼することができれば、非常にうまく回っていくと思います。また、できれば民間医療機関においてもコロナウイルスの検査が実施できるように、その可能性についてはどうお考えになっているのか、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス対策を進めていく上では、民間の医療機関の先生方のお力も大変重要だというふうに思っております。

 感染症指定医療機関につきましては、これまでも必要な支援を行ってきて、具体的には、同医療機関の運営費として空床を確保するための費用、それから施設の新設とか増設に要する費用の一部を補助をしてきたところでございます。

 加えまして、今般、今後患者が増加する局面を想定いたしまして、必要な医療体制を整備することが重要ということも踏まえ、特に受入れが急務となります患者さんが発生した場合に備えまして、一般医療機関を含めまして、帰国者・接触者外来の設置に当たりまして、設備に必要な費用に対して補助を行うこと、それから、二月の十八日には、都道府県を通じてでございますが、特定、第一種、第二種の感染症医療機関におきまして、新型コロナウイルス感染症以外の新規入院を制限し、病床を確保するようにお願いしますとともに、指定医療機関における感染症病床以外の病床及び指定医療機関以外の医療機関の病床を厚生労働省の要請を受けて確保した場合には、当該病床の確保に要した費用について補助を行うこととしたところでございます。

 引き続き、こういう対応をとって、患者さんの変化に速やかに対応できるような取組を進めてまいりたいと考えております。

 それから、検査の関係につきましても御質問いただきましたが、現在、PCRの検査につきましては、国立感染症研究所、検疫所に加えまして、地方衛生研究所、それから民間の検査会社、大学などの協力も得まして、一日三千件を上回る検査機能を維持、獲得しているところでございます。

 民間の検査機関につきましては、新型コロナウイルスのPCR検査が可能となりましても、検査の集荷などの体制に課題があるとか、あるいは現時点で各医療機関から個別の受託が難しいというようなことも承知しております。

 このため、民間の検査機関におきましては、直接医療機関の検体を受託するのではなくて、国とか地方自治体などを経由してまとまった検体を受託する対応をとっているというような状況でございます。

 次に、医療機関の検査実施につきましては、実施できる医療機関をふやすために、地方衛生研究所の方に配付したものと同じPCRの試薬キットを配付する取組を進めてございます。二月十四日付ではございますが、医学部、医科大学には文科省経由から、それから感染症の指定医療機関等につきましては地方自治体経由で申込みの受け付け開始を始めたところでございます。

 こういうもろもろの取組を通じまして、PCR検査の体制の充実を図っていきたいというふうに考えてございます。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。ぜひまた、できる範囲で裾野を広げていただきたいと思っています。

 私のところに医師会とか病院団体からいろいろな要望が来ておりまして、都内における感染者の搬送について、消防庁の救急車による転院搬送が断られるパターンもあると聞いております。また、ラッサ熱のラッサ車も数が少なくて限度があるということで、ぜひ消防庁の救急車の一部をこれらの対応に分けていただくとありがたいかなと思っています。

 また、新型コロナウイルスの感染に対して、AMATあるいはDPATを始めとする民間団体においても、活動費用を日本DMATのように評価をしてもらいたい。詳しく言いますと、感染症を受け入れる病院に対して機能係数をつけたらどうかとか、あるいは、今回、患者を診た場合の費用は指定感染症と診療報酬の兼ね合いが非常にわかりづらい、そこら辺も明確にしていって、さらに、ステージによって変わるならばそこも明確にしてほしいという意見もいっぱい来ております。

 また、これは大きな問題ですけれども、コロナ関連に出動した病院の医師、家族、そして病院の風評被害が出ている、これの補償も必要があるのではないか。また、患者さんを診るだけで外来を閉じるなどの実害が出ている、こうした病院へのフォローをどうしていくのかということもきちっとしなきゃいけませんし、また、もし医療スタッフが罹患した場合の休業補償というものも考えていただきたいと思っています。

 また、今後は、もう既に考えていらっしゃると思いますけれども、重症の方は国立とか公立の感染症指定病院さんの方に搬送する、軽症は民間の病院できちっと診られるような、そういうふうな仕組み、フローが必要だと思います。それを含めて、よろしくお願いしたいと思っています。

 コロナの最後の質問に移らせていただきます。情報の利活用の仕組みと治療に関してです。

 エビデンスによる構築というのは非常に重要になってきています。コロナウイルスの発生状況とか罹患者の背景や経過、そしてまた現場で治療しているさまざまな治療法、あるいは薬の中で有効なもの、これを集約していって治療法を標準化していく必要があると思います。そういうことに関して厚労省の御意見はどうなのかというのが一点。

 もう一つ、治療という意味では、今後、弊害が結構出ると思われているのは、例えば、抗HIV薬を目的外使用する場合は現状でも倫理委員会を通して行わなきゃいけない。倫理委員会というのは、またこれは非常に時間がかかる場合もありますので、それを何とかうまく簡略化、スルーしていくことが必要だと思います。

 そこら辺の御意見をお聞かせいただきたいと思います。二つでございます。よろしくお願いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症対策に当たりましては、現在、国立感染症研究所それから地方衛生研究所を設置して常時感染症のサーベイランスの業務を実施しているところでございますが、今般の関係で申し上げますと、感染症法の規定に基づきまして都道府県知事が患者等について調査を行った場合、その結果が国立感染症研究所に報告され、集約されることとなってございます。

 今般も、二月二十日付で通知を発出して、新型コロナウイルス感染症として入院した者に関する調査をお願いしております。サマリーとかを寄せていただくようなことをお願いしておりまして、結果を取りまとめた上で、治療に当たっての参考となる情報というのを第一線の先生方にお伝えしていくというのは大変重要だと思いますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それから、その流れの中で、治療薬の御指摘がございました。今、新コロナウイルスに関しては、なかなかこれといった治療薬がないということで対症療法が中心となっているところでございますが、今先生からも御紹介がありましたが、医師が必要と認めた場合には、適応外使用を含め医師の裁量によって必要な医療が行われる場合がございまして、研究のためではなくて患者さんのために適切な医療を実施するために行われる場合におきましては、事前に患者さんに説明し理解を得るよう努める必要はございますが、倫理審査の必要はないというのがルールでございます。

 ただ、適応外の薬剤を使う、この薬剤を採用するということで病院の組織として意思決定をするという仕組みはあるかもしれませんが、そういう状況でございます。

 今後、更に進めて研究とか医師主導治験を実施する、そういう場合には必要な倫理審査等の手続を経るということになるというふうな流れでございます。

 具体的な例を申し上げますと、今、新型インフルエンザの治療薬でございますアビガンは専ら備蓄用となっておりまして国内に流通しておりませんけれども、ウイルスを増殖させる酵素を阻害する仕組みがあるので新型コロナウイルスにも適用できる可能性があるのではないかということで、国際医療センターを中心に研究班を立ち上げて、観察研究というような形で始めているというような事例がございます。

 以上でございます。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。また引き続き、しっかりよろしくお願いしたいと思います。

 次、四番目の質問ですけれども、急性期病院におけるリハと介護職のあり方なんですけれども、救急病院、急性期医療を行う医療機関において、QOLの向上や早期の在宅復帰を行うためには、身体抑制を行っている急性期病院が多いんですけれども、それを外す取組とか、長期間の膀胱カテーテルの適切な管理というものが必要になってきます。それとともに、早期からのリハビリテーションが非常に重要になってきています。

 今でも取組があるんですけれども、もう少し一歩進んだ取組が必要で、例えば、病院の中に介護福祉士を入れて基準介護のようなものをつくっていく、あるいはリハビリ専門の職種をきちっと病棟に配備して基準リハのようなものを設けていくと、非常にこれは在宅復帰なりADLの向上にはよくなると思うんですけれども、そこら辺の見解はいかがでしょうか。よろしくお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、急性期医療におきましても、入院患者のQOLの向上あるいは早期の在宅復帰を行う取組は極めて重要であるというふうに考えております。

 現在、診療報酬におきましては、先生御案内のとおり、身体的拘束の軽減を含めた患者への質の高いケアの提供、あるいは入院患者のADLの維持向上を図るために、看護補助者、リハビリテーション専門職種の配置につきましては加算による評価を行っております。

 今般の令和二年度の診療報酬改定におきましても、例えば、排尿の自立に係る評価の拡充、それから看護補助者の配置に関する評価の引上げ等も行うことといたしております。

 引き続き、先生の御意見あるいは関係者の御意見もよくお伺いしながら、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。

 あと、これは多くの議員の方たちも言っていらっしゃいますけれども、介護施設の介護職員に関しては処遇改善加算がありますけれども、病院で働いている介護職員には何もないということで、多少、今診療報酬の評価のお話がありましたけれども、自腹を切っている状況がございます。ぜひ、そこら辺も、フェアな仕組みをつくっていただくと患者さんのためになると思います。よろしくお願いしたいと思います。

 次、五番目ですけれども、これもちょっと角度を変えて、身体拘束の話ですけれども、身体拘束と車椅子の課題ということでございまして、今、介護施設においては身体拘束においては厳しいペナルティーがあるんですけれども、例えば、車椅子に安全ベルトを装着すると、これは今お話ししたように介護報酬が減算されます。しかしながら、QOLの視点からいうと、逆に、車椅子に安全ベルトを装着して座位を保持することによって、QOLが向上したりとか、あるいは社会活動に積極的に出ることができるという例があります。

 現在、野田聖子先生が会長で、高橋ひなこ先生が事務局長の、シーティングで自立支援と介護軽減を実現する議員連盟もこのことに関しては問題視をしています。

 このような、安全ベルトを有効利用して社会活動とQOLの向上につながるものに関しては介護報酬上何か評価をした方がいいのではないかと思いますけれども、厚労省の御見解はいかがでしょうか。よろしくお願いしたいと思います。

大島政府参考人 介護施設における身体拘束についてでございますが、指定基準省令におきまして、緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならないという規定をしております。

 また、同じ指定基準省令におきまして、身体拘束等を行う際の緊急やむを得ない場合の理由の記録、それから身体拘束の適正化のための委員会の開催、指針の整備、研修の実施といったものを義務づけておりまして、こういった措置を講じない場合には介護報酬上の減算をするということをしているところでございます。

 それで、先生お尋ねの車椅子での安全ベルトの件でございますが、一般的には車椅子にベルトを装着するということは身体拘束に該当する場合が多いかと承知しますが、利用者の心身の状況や生活環境やあるいは適切な使用方法等によりましては、座位保持等によりましてQOLの向上につながることもあるかと考えられます。

 まだこの点の知見が我々はちょっと不足しておりまして、そのため、こうした車椅子に安全ベルトを装着する場合におきまして、どのようなケースであればQOLの向上になるのか、あるいはそうではなく身体拘束になるのかといった点につきまして、専門家の御意見をお伺いしながら、線引きの考え方等につきまして検討を行ってまいりたいと考えます。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。議連からもデータとかエビデンスをお示ししますので、ぜひアクティブに、よろしくお願いしたいと思います。

 六番目ですけれども、地域医療構想、地域医療計画に関係するんですけれども、過疎地の医療提供体制でございます。

 今後、過疎地域とか人口減少地域の医療をどうするのかということは大きな問題でございます。同じ医療圏の中でも地域格差がございます。

 例えば、その地域の中で、公的・公立病院がなくて民間病院しかないようなところで政策医療を行っている病院に関しては、公立病院は基礎自治体からの繰入金が入っているわけですけれども、そうでない民間医療機関さんにも、きちっとした人件費とかあるいは設備関連の費用を何かしら補助してさしあげた方がいいように思われます。

 今後の日本で大きな問題になっていきますけれども、そこら辺の厚労省のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、人口減少などにより医療の提供が難しくなった地域における必要な医療提供体制の確保につきましては重要な課題であると、我々も認識を共有してございます。

 このために、医療機関がなくて、医療提供体制の確保が必要な、いわゆる僻地に医療を提供している僻地医療拠点病院あるいは僻地診療所に対してはこれまでも支援を行っております。具体におきましては、これは公立、民間を問わずということでございますが、人件費を含む運営に必要な経費の支援、巡回診療を行うために必要な経費の支援などでございます。

 また、このような医療機関に対する支援を含めて、現在御審議いただいております令和二年度予算案におきましては、僻地保健医療対策、これは全体といたしまして二十五億七千五百万円余を計上しているというところでございます。

 引き続き、これらの支援を通じまして、必要な医療がそれぞれの地域で受けられる体制の構築を行ってまいりたいと考えております。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。

 どこまでを僻地と考えるかということもあると思うんですけれども、私がちょっと行ってきたところは、四国の徳島県のところです。徳島県は三つの医療圏があるんですけれども、西部医療圏の美馬市というところは公立・公的病院がなくて、民間病院しかない。非常に救急車の需要もふえてきているんですけれども、地域医療構想的には、医療圏の中が病床過剰地域で、美馬市のところに増床したくてもできないという事例もあります。

 こういうのは地域医療構想調整会議の中できちっと話し合うことになると思うんですけれども、そういうところもぜひ、国の方からも、問題点があるということを御認識いただければと思っています。

 最後の質問になりましたけれども、これも昔から言われている食事療養費の扱いですけれども、医療機関においての入院中の食事については、公費部分の食事療養費に関しては、四分の一世紀ぐらい食事療養費が上がっていないというような状況を聞いております。これは今、原材料費も上がり、また人件費なども上がっていて、そしてまた、ひいては委託費、そして病院での給食にかかる費用が増加している現状があり、それが非常に組織運営に関しても大きな影響を与えています。

 この入院時の食事療養費に関しては財源の確保ということが非常に大きな課題でもありますけれども、ぜひ、病院の負担軽減をしていくために今後どんな取組を考えていらっしゃるのか、厚生労働省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、前提といたしまして、今般の診療報酬改定では、医療機関の経営状況、物価、賃金の動向、保険料負担等の国民負担のあり方等を総合的に勘案した上でプラス〇・五五%の診療報酬改定を行うこととしておりまして、そういう意味では、医療機関の経営全般についても一定の配慮を行っているというのがまず一点目でございます。

 その上ででございますけれども、入院時食事療養費につきましては、医療機関等の負担の軽減あるいは業務の効率化の観点から見直しを行うこととしております。具体的にでございますけれども、入院時食事療養費において求めている帳票に関しまして、まず、電子的な作成、保管を可能とすることといたしております。また、患者ごとに個別に栄養管理が実施されている場合には帳票の一部の省略も可能とする、こういったことで医療機関の負担をできる限り軽減するようにしてまいりたいというふうに考えております。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございます。

 本当に、食事に関しては、その質に関しても国民の方々のニーズというのが非常に上がってきています。医療機関としても、しっかりした、おいしいお食事を提供していきたいと思っています。

 同じことが介護保険の世界なんかにもありまして、介護事業所においては原則、給食に関しては全額自己負担になってきておりますけれども、低所得者の方の対策も含めて、介護保険の財源もあるでしょうから、介護保険の仕組みを持続的にできるようなことを前提にして、何かきちっとした取組が今後必要になってくると思います。

 また、ますます今後、食事に関しては、栄養ケア、摂食嚥下等、きめ細かなことをしていかなきゃいけないと思いますけれども、それも含めて、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間が余ってしまいましたけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて安藤高夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本分科員 維新・無所属の会の杉本和巳であります。

 きょうは、この分科会、尊敬する後藤主査の議事進行のもとで質疑させていただく光栄を感謝申し上げます。

 きょう、私の質問は、最初に年金の問題をお伺いして、その後、COVID―19の対策について、時間が許せば、少子化問題について少し自分の意見だけ開陳させていただければという運びで進めさせていただければと思っています。

 では、まず初めに、年金の所得代替率についてお伺いをしたいと思っています。

 OECDが、ペンションズ・アット・ア・グランス二〇一七、年金一覧というのを実は出していまして、これは代替率の一覧なんですが、参考までに申し上げますと、アメリカの場合は、義務的加入年金が三八・三パー、私的年金が三三パー、合計、計算すると七一・三パー。もう一つ、フランスが、義務的加入年金だけで六〇・五パー。もう一つ参考に、イギリスが、義務的加入年金が二二・一パー、私的年金が三〇パーちょうど、合計で五二・一パーということです。

 日本のその同時期の数字が、これは計算根拠とかがいろいろあってなかなか整合をとるのは難しいと思いますが、日本の場合、義務的加入年金が三四・六、私的年金が二三・一、合わせて五七・七ということで、数字だけ見ますと、年金の所得代替率というのは、アメリカが七〇で、フランスが六〇で、日本が五七で、その下にイギリスが五二であるというように、単純比較、根拠は違いますけれども、見てとれるということがあります。

 そこでなんですけれども、我が党の幹部も現場の年金受給者の方々などからお問合せをいただき、また改善要望を受けているというのが、この年金の所得代替率の計算のあり方でございます。

 それで、きょうは計算式の根拠の説明を、これは小島厚労大臣政務官にお運びいただいて御回答いただくというやに聞いておりますけれども、問題意識としては、なぜゆえ、分母は経費を控除する収入、すなわち分母を小さくする傾向にある。一方で、分子の方は支給額面、いわゆる各種控除の前で、分子を大きく見せるというような形に見てとれます。

 計算上は、常識的に考えれば、分母と分子は同じ土俵で計算するべきであるという指摘が、この要望を下さった年金関係の受給者の方々や、あるいは専門家の方々等からも、同じ土俵で分母、分子を計算するのが日本の年金の所得代替率の本来の姿ではないかと思いますけれども、数字のいろいろなマジックが働いちゃうと、数字は高いんだというようなことで、先ほど申し上げたイギリスより高いというような説明がかなうような計算式になっているやに私は見えてしまうんです。

 繰り返しになるかもしれませんが、計算上、分母、分子が同じ土俵になっていない点と、この計算の仕方をなぜゆえとっているのか、そして、今後もこの計算の仕方を続けていくのか。このあたりについて、明快な御説明をいただければありがたく存じます。

小島大臣政務官 厚生労働大臣政務官の小島敏文でございます。

 お答え申し上げます。

 まず、委員おっしゃいましたヨーロッパ、OECD諸国のことですけれども、私もちょっと調べてみましたけれども、前提となる日本の計算方法と根拠が全然違うということがございます。

 要するに、ヨーロッパの計算方法と日本は違うということをまず申し上げた上で、年金の給付水準をあらわす指標につきましては、現在、我が国では、モデル年金の男子の平均的な手取り賃金に対する比率であります所得代替率を物差しとしております。その際、現役男性の可処分所得、ネットを分母として、税や社会保険料などを控除していない年金額、グロスを分子と定義しております。

 所得代替率について、分子を名目の年金額としているのは、支給する年金の水準をあらわすのに、税や他の制度の変化を受けない名目、グロスといたしまして、一方、分子の新規裁定者に係る名目年金額が可処分所得の変化に応じて変動する仕組みであるため、今申し上げたのは分子ですけれども、分母ですけれども、これまで所得代替率の分母も可処分所得、ネットとし、年金の水準をあらわす指標としてきております。

 二〇〇四年の改正から、現在の形の所得代替率の定義は法定化されました。この定義のもとで五〇%の水準を確保することとしております。物差しとしての継続性も踏まえて、引き続き今の形で所得代替率をお示しすることが適切と考えているところでございます。

杉本分科員 御説明はなかなか複雑というか、いろいろおっしゃられたので、可処分所得の変化に対応している、二〇〇四年からだ、五〇%の水準は守っていきたいとか、あるいは、分子がグロスでネットが分母だというような御説明だったと思います。

 今、ネットとグロスというのは、最近私はほとんどしていませんけれども、ゴルフでもそういう表現がありますが、要は、その計算の仕方が分子と分母で違うというのが、今まさしく御説明にあったグロスとネット、分子がグロスで、ネットが分母ということだと思います。

 二〇〇四年からとおっしゃっているので、過去からの連続性、そういった意味での理解というのはできるんですけれども、やはり、すっと腑に落ちるというか、もらっている方々が、あるいはこれからもらう世代の方々がすとんと理解するには、この計算の仕方が、過去からやってきているとはいえ、わかりにくいというのは間違いなくあると思いますし、実際、私も財務金融で、日本の財政の問題、相当問題意識を持っています。

 そして、年金の支給開始年齢を上げなきゃいけないとか、オーストラリアが二〇三五年、十五年ぐらい先に、その実行を決めるのを与野党合意して、七十歳から支給にするというような、大胆というか、本当に、国家の財政を何とか守っていくために、皆さんに御苦労をおかけするけれども、やはり、すぐ変化が起きると皆さん生活が立ち行かなくなるから、大分先からそれをお願いするんだということで、十五年後から、オーストラリア、政権がぶっ飛んだり、あるいは与野党がしっかり合意したりという、政治の大決断でそういうことをしていらっしゃる。

 ということで、年金財政の大変なことは私も十分わかっておりますけれども、一方で、本当にこの年金を頼りに暮らしていらっしゃる方々が日々何とかやりくりされているという実態もあるので、そして、将来不安があって、年金に加入してもしようがないやというふうに若い方々が思ってしまうような、わかりにくいところですと、なかなか年金全体がうまく回っていかないというふうに私は思います。

 そういった意味からは、きょうは質問だけにとどめますけれども、問題意識としては、この分母と分子を合わせていくということを、政府・与党でも、あるいは与野党を超えて、オーストラリアの例を申し上げましたけれども、改めてわかりやすいものに変えることによって、将来世代の方々に未来への責任を我々は果たし、そして、OBになられた先輩方の年金の安定的な受給についても何とか確保していくというような解を見出していくためにも、この分母、分子を合わせるということをお願いをしておきたいなというふうに思っております。

 以上で、質問は、この年金の所得代替率については、きょうのところはとどめさせていただきます。

 政務官、ありがとうございました。もし、お忙しければ。

 まだ、この後、御答弁いただけるのかな。ありがとうございます。

 では、次に、COVID―19について質問させていただきます。

 まずもって、きょうもここにたくさん来ていただいている厚生労働省の方々あるいは内閣府の方々、関係官庁の方々が本当に頑張っていただいていることは、心から感謝を申し上げたいと思います。

 しかし一方で、ガバナンスあるいはマネジメントというか、対策、対処、防疫の徹底、こういった点では、厚労省の方々が罹患してしまった、あるいは内閣府の方が罹患してしまった、あるいはDMATの方の看護師さんが罹患してしまったという実態があります。

 そういった意味で、今はとにかく終局させていくということが、クルーズ船でもそうですし、市中感染の問題でも、できるだけそのピークを後ろ倒しにして山を小さくする、こういう目的に向かって、与野党は、批判ではなくて、前も予算委員会で安倍総理に申し上げましたが、ワンチームで、とにかく終息というか、ピークを終わらせていくというような方向に与野党が協力すべきだと思っています。

 問題意識としては、やはり終わった後しっかりレビューをしていただく必要があるし、今回、防衛省の関係の方々は罹患していないという実態があります。自衛隊が出てきて何でもかんでも指揮すればうまくいっちゃうみたいなこともあるかもしれませんが、余りそういうことが日本の仕組みになじむかどうかみたいなところも議論する必要があると思いますけれども。

 あともう一点、ちょっと一方的にお話ししますが、どうも何か怪しいのでということで保健所に連絡して、この土日祭日、電話が通じないとか、何か極論をすると、保健所も休みだったみたいな話もちょっと聞こえてきたりしております。

 私も、この間の総理との質疑のところで、これは加藤厚労大臣に答弁いただいたかと思いますが、役所の点で御指摘しましたけれども、地方公共団体が土日祭日、ちゃんと問合せに答えられているんでしょうか、しっかり徹底をお願いしますということを申し上げましたが、ちょっと幅広く言えば役所だけじゃなくて保健所も、いまだ、事ここに至っても対応ができていないんじゃないかという心配をしています。

 ここの部分については、また土日は来るわけですし、この一週間、二週間が瀬戸際だということを中心的な専門家の方がおっしゃっているわけでありますので、この席をかりまして、ぜひ、土日祭日、あるいは二十四時間体制にできればですけれども、保健所の対応も、まずは保健所にと言っているんですから、そこがやっていないというようなことがあってはならないと思いますので、お願いをさせていただきます。

 さて、先ほども安藤先生が、やはり手洗いとかそういうことを徹底することが大事じゃないかということをおっしゃられました。

 ここから質問に入っていきますけれども、予防方法、初期対応の仕方、国民への伝達という点において、ACジャパンを使って広告してはいかがですかということで、十二日のテレビ入りの質疑で総理に申し上げました。私は、即刻というか、翌日十三日にでもというふうなお願いをしましたけれども、日にちは少したちましたけれども、総理は二月十七日から開始をしたということを予算委員会の答弁でもされていますし、インターネットのテレビ広告も、インターネットの政府広告というんですかね、これも見させていただいて、シェアさせていただいて、我が党の幹部を始め皆シェアをして、できるだけいい意味の拡散を、感染症は拡散しちゃ困るんですけれども、この予防策については拡散させていただいているということなんです。

 一方で、NHKの独立性という点はもちろん担保する必要があるんですけれども、一瞬だけNHKで、私は、夜の首都圏ニュースの直前に、予防策について何か注意喚起しているプログラムを見ました。これはコマーシャル的な、スポット的なものを一瞬見たんですけれども、それ以降、番組の中ではいろいろと、手洗いしましょうとか言ってくださっております。

 例えば、番組でストップ詐欺被害とかいうのを今やっていますね。しかし、ストップ詐欺被害、恒常的にある詐欺、きのうもフィリピンで何か逮捕されたりなんかして、日本に戻ってきたり、送還されたりしていますけれども、例えばストップ詐欺被害だとか、あるいは夜の七時、十九時のニュースの前の時間、あるいは今申し上げた二十時四十五分の首都圏ニュースの前の時間、この時間が、ここのところ、私、あえてその時間にNHKを見ていますけれども、残念ながら、きょうの番組の紹介とか、あるいはきょうのBSの番組、こんなものがありますとか。まあ、視聴率をとらなきゃいけないのは民放ですよ、NHKも高い方がいいでしょう。

 しかし、インターネットで政府広告を見られる若い人たちは、スマホを持っている人たちはいいんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんがスマホを見るのかということを考えると、まさしく高齢者は、命の、重症化する、重病化するリスクがある方々に対して、まさしくNHK総合放送、総合チャンネルを頼りにしている人たちに対してそういったスポット的な報道をNHKがしてくださっているのかという点を見ると、私がチェックした限りは、一回だけしか見ていないということです。

 公共放送に鑑みれば、まさしくこういった本当の危機的なときに、手を洗ってもらって、最終的な瀬戸際という言葉が、一、二週間の瀬戸際という表現が専門家からありましたけれども、まさしく防疫する、病気にかからない最後の瀬戸際は、一人一人の手洗いであるわけですね。

 そういった意味で、そこの徹底を政府も、もっと厚労省さんもNHKに、総務省が介入したとかいろいろ議論があったりしますけれども、丁寧な言い方をしつつも、こういったスポット的な予防対策の徹底をNHKにもっともっと強く働きかけるべきかと私は思っていますが、現状認識として、具体的に厚労省さんは、どんな感じでNHKがスポット広告をしているのかしていないのか、あるいは強く要望しているのかしていないのか、こういった点について、小島政務官から御答弁いただけるんでしょうか。お願いいたします。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、国民の皆様に感染症の基本的な知識や予防策などを正しく御理解いただくことが重要であります。さまざまな媒体を通じまして情報を発信しているところでございます。

 放送事項に係る要請は、放送法上、国際放送等の実施要請に限定されるものと承知をいたしております。議員御指摘のNHKへの依頼は行っていませんが、テレビを活用した広報としては、政府において作成したスポット広告を各社で放送いただき、国民の皆様に、感染を予防するための手洗いやせきエチケットなどの重要性をお伝えしてまいりました。

 国民の皆様の不安を解消するために、これに応える体制を整備するとともに、正確な情報の周知を行うことが必要でありまして、各報道機関に対しましても、報道の自由を尊重しながらも、各報道機関が正確な情報を発信できるよう、引き続き最大限努力をしてまいります。

杉本分科員 答弁ありがとうございます。

 最大限努力をするというお言葉があったんですが、最大限の努力には、NHKにも、圧力じゃないんですよ、圧力をかけると問題になってということなので、お願いベースで、政府・与党が、あるいは、たまには与野党が一緒に行こうじゃないかということで野党第一会派の方と要望に行くとか、そのぐらいの懐の深さみたいなものを持ちながら、そういった要望をしていくことによって、一人でも多くの命を守り、罹患する人を減らすというようなことをぜひぜひしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 NHKの新会長が、かわられまして、中立公正でいくとおっしゃられていました。しかし、NHKの会長に例えばお願いしても、番組の制作というのはまた独立性があって、会長からも圧力はかけられなくて、会長も番組の編成の方に、プロデューサーなのかわかりませんが、お願いをしなきゃいけないような、そういった放送の独立性というのは絶対に担保しなければなりませんけれども、一方で、本当にこういう事態で、自分たちの自覚として、私はBBCだったら流していると思うんですよ。

 しかし、NHKは流してくれているのかというと、ちらっと見た程度だなというのでは、またきょうもやってくれるぞ、おじいちゃん、おばあちゃん、意識しているかと。もう九十代、八十代の方々はスマホをいじらないわけですから、パソコンをいじらないわけですから、何かといえばNHKしか見られない地域もあったりするわけですから。

 そういう意味では、ぜひ、より積極的に、そういったお立場で今、小島政務官はいらっしゃるので、省内のことでも、そういったことが、杉本が言っていたということは、私の個名は結構ですけれども、そういった要望があるということをぜひお願いしたいと思います。

 次に、交通機関の除菌、感染予防について確認をしておきたいんですが、今、韓国が、新興宗教の関係で急に、感染した方がどっと数字がふえたりしている中で、ニュースなんかで見ますと、ぶわっと消毒をしているようなシーンを、飛行機の中だったり、あるいは建物の中だったりというのを見ますけれども、私は、何か日本のニュースではそういうのは余り出てこないというのが率直な印象でして。

 この間、大分、屋形船のときにタクシーの運転手さんが発症して、その方はTBSの、TBSと個名を言ってもいいですかね、個別に何かインタビューを受けている中で、あなたは陽性になりましたみたいな、そういった、突然、実は発症していたというか、陽性になったという報道がありましたけれども、タクシーについては国交大臣は視察をされて、除菌の状態とかを調べておられるんですけれども、密室に近いような飛行機の中だとか新幹線だとか、実際に、これまで市中感染のような形で発症した方が新幹線に乗って出張していたとか、航空機に乗って羽田から富山に行って、富山から岐阜に行って、岐阜の白川郷を見たとか、そういう事例が出てきております。

 そういった意味で、除菌とかはきちっとされておられるのか、あるいは、地下鉄あるいは在来線等の換気とか、そういったことはされておられるのか。それについて、あくまでも自主的にやっていただいているのか、政府から要請、勧奨をしているのか。こういった点を確認をさせていただきたいとお願い申し上げます。いいですか。お願いします。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 委員御懸念のことは十分に理解できます。

 感染症の蔓延を防止し、感染症による健康リスクが個人や社会に与える影響を最小限にするためには、感染症の発生状況等に関する情報を積極的に公表する必要があります。

 感染症に関する情報公開につきましては、公衆衛生上の必要性と個人情報保護に係るリスクとを比較考量いたしまして、そもそも公衆衛生上の必要性を欠く場合や、個人情報保護に係るリスクが公衆衛生上の必要性を上回ると考えられる場合につきましては、情報は公表しないということにいたしております。

 また、自治体等を通じまして行動歴等の詳細確認を終えた後に濃厚接触者が特定できた場合につきましては、そのルートがわかっていますから、公表していない、公表する必要がないというふうに考えております。

 いずれにしましても、感染症に関する情報の公表に当たりましては、適時適切な情報の公開が必要と考えておりまして、今後とも、個人情報の保護に留意しつつ、必要な情報の公表に努めてまいりたいと考えております。

磯野政府参考人 委員御指摘の公共交通機関の対応につきましてお答えいたします。

 多くの方々が利用する鉄道車両内や航空機内におきましては、新型コロナウイルスの感染対策を一層強化していくことが大変重要でございます。

 国土交通省におきましては、鉄道や航空を始めとしました公共交通機関に対しまして、従業員のマスク着用、手洗い、消毒液の設置等の感染予防対策を徹底することの要請を行ってきたところでございます。

 具体的に申しますと、新幹線全駅等への消毒液の設置、外国航空会社を含めました日本と中国本土の間を運航する航空機の機内消毒の対応を図ってきております。

 国土交通省としましては、引き続き、事業者における感染防止対策に向けた取組の着実な実施を徹底してまいります。

 なお、お尋ねのありました鉄道車両内の換気につきましては、厚生労働省より、有効な手段である可能性はあるものの、現時点では、基準として示すには確実な科学的、疫学的根拠を持って論じられる段階にはないと伺っております。

杉本分科員 済みません、疫学的問題はないかもしれませんが、地下鉄も含めて、換気とかをぜひ私はお願いしておきたいなということだけ、これは素人考えかもしれませんが、一応そういう要望が私の周辺からはありますので、お伝えしておきたいと思います。

 次に、ちょっと関連で、重なるかもしれないので指摘だけにとどめたいと思いますけれども、地方公共団体任せで、和歌山県はかなりよく開示している、名古屋市もかなりよく開示している、大阪府もよく開示している、北海道は一拍置いて二回情報発信があって、ようやっとその内容が、罹患した人の情報が出てきたみたいなことで、いわゆる地方公共団体任せで、感染者の経路等、今おっしゃっていた個人情報保護というのはわかりますけれども、一方で、事ここに至っては、風評被害も、個人のいわゆるいじめみたいな話も出てきていますけれども、一方で、やはり、最大の目的はいじめ対策ではなくて、罹患しないというところに目的を置くべきだと思っていますので、そういった意味で、地方公共団体に投げちゃうんじゃなくて、質問はしないですけれども、やはり厚労省が、政府がリーダーシップを持って情報の発信、経路の情報開示、こういったことをしていただきたいなと思っております。

 時間もなくなってきました。

 それでは、クルーズ船のことについて、ファクトファインディング、いろいろ情報が出てきて、レッドゾーンとグリーンゾーンだとか、いや、それは一面的な意見だとか、いろいろネット上も拝見して、現場の声を聞くことは大事だと思いますが、一方で、やはり総合的に判断することも大事だと思っています。

 ただ、事実として私は確認をしておきたいということで、私が質問したのが二月十二日ですが、十二日よりは十三日の方が切りがいいかなと思ったので、二月十三日という二十四時間をとって、これを一断面として、このクルーズ船について、厚労省さん、あるいは内閣府さん、専門機関、防衛省さん、何人入っていたのか。そして、何人入っていたかの内訳も、例えば、長期間きちっと専従で入っている人、臨時で入った人、そういった区分けを少ししていただいて、ファクトファインディングとして事実認識をしておきたいので、この二月十三日の二十四時間について、どういった方々が、対策本部が外にあるとか、中に入った方はたくさんいると思いますけれども、状況にあったかを確認させておいていただきたいということで、お願いします。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 ダイヤモンド・プリンセス号の検疫に関しまして、現地で業務に当たっている者は、二月十三日時点におきましては、医師四十一名、看護師四十二名、薬剤師二十四名、そのほか、事務職の検疫官など十八名、現地対応を行う厚生労働省の職員等は十九名でございます。合計百四十四名が業務に従事しておりまして、このうち六名の者は一度も乗船せず、船外で業務に従事しております。そのうち、専従者の定義が不明ですが、当日の検疫を応援していただいた者は百十五名でございます。

 政府としては、まずは国民の皆様お一人お一人の命と健康を守ることに全力で取り組んだ後に、一連の政府の対応につきましても、どのように評価するか、適切な検討を行っていきたいと考えております。

杉本分科員 ちょっと民放の報道にもあったんですけれども、今、厚労省さんの数字という認識でいいんですか。それとも、内閣府さんも入っているのか、専門機関も入っているのか。この辺がわからないのが一つと、もう一点は、最大のポイントは、防衛省の関係の数字を全く把握していないということですね。後藤主査、どうでしょうか。

 ちょっとだけしゃべらせてください。そういった意味で、やはり全体でどうやってこのオペレーションをしているんだ、司令塔は一体誰なのか、防衛省なのか、厚労省なのか。いや、そこは完全に分離したものになっているということがあれば、それもまた、実は政府の中で統一がとれていないという認識にならざるを得ないので。

 今はとにかく解決することですよ。しかし、今後似たような疾病が起きたときにどう対処するのかみたいなことも含めて、これはしっかり把握しておく必要があると思いますが、さらなる御答弁があれば、確認をさせていただきたいと思います。

小島大臣政務官 先ほど答弁しました専従者の人数を百十五名と申し上げましたが、百十四名です。訂正します。

 そして、DMATが七十、防衛省が三十一、その他の機関が十四名という数字を把握しています。

杉本分科員 ありがとうございます。

 一遍に答弁いただければ、では防衛省も把握できていたんじゃないかということになったのかもしれないんですが、何となく、今の御答弁を聞いていても、正直申し上げて、厚労省さんの指揮命令ラインと防衛省のライン、その他の方々みたいなところとか、あるいは、船内に入っている人と外の本部にいる方というのがわかりにくいと思いますので、こういった部分は改めてレビューをしていく必要があると指摘申し上げまして、時間となりましたので、私の質疑を終了させていただきます。

 御答弁ありがとうございました。

後藤主査 これにて杉本和巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 三十分間、コロナウイルス対策について質問をさせていただきます。

 まず冒頭に、質問通告をさせていただきましたが、先日、テレビ番組の中で、例えばサンデーLIVE!!というところでは、関西福祉大学の勝田教授が、風邪やインフルエンザ対策でお茶などのカテキン効果がいいと聞きますが、新型コロナウイルスにもお茶は有効でしょうかということに関して、証明されているわけではないが、私はいいと思うと教授がおっしゃったり、あるいは、TBSの五分で読める前と後、休めないあなたに、インフルエンザに負けない予防法の新常識という番組で、大谷クリニックの大谷義夫院長が、私は二十分置きにお茶を飲むことにしています、喉を湿らせることによって喉の免疫が上がってウイルスを外に出してくれるので、うがいよりも重要ですと。喉の免疫細胞は乾燥すると機能が弱ってしまうため、小まめに湿らせることで免疫機能が高まるというのだ、特にお茶は殺菌作用があるのがお勧め、二十分置きに喉を湿らせて、大谷院長のようにインフルエンザやコロナウイルスを寄せつけない体を手に入れよう、こういうふうなテレビ番組がありました。

 マスクやアルコール消毒を買いに行ったんですけれども、売っていないんですね、残念ながら。そういう中で、こういう緑茶、日本茶を飲むことはインフルエンザやコロナウイルスの予防に有効ではないか、こういう発言もお医者さんからあるんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 緑茶とかそれぞれの中にある、まず、水分の補給につながるということ、また、そこに入っている成分がそれぞれどういったものに効果があるか、これはもう科学的に出されているというふうに承知をしております。

 ただ、その上で、今回の新型コロナウイルスの感染対策として直接効果があるかないかということについては、正直、今の段階ではエビデンスはないと思います。

 ただ、水分を補給する等々によって体の状況をよくしていくこと、このことは対策そのものではありませんけれども、これは大変大事なことだと思いますので、水分を補給していただいたり、十分休養をとっていただいたり、そういった対応は、まず、コロナウイルスだけじゃなくて、さまざまな病気に対する基本的な姿勢なのではないかなというふうに思います。

山井分科員 こういう緑茶とか日本茶とか、そういうことにおいて、感染症の予防に力を入れていく必要があると思います。

 そこでなんですが、サウジアラビアのGサミットで麻生大臣が、四月か五月になればコロナは落ちつくだろうという発言をされたんですね。東京オリンピックも控えているわけで、この発言は非常に反響を呼んでいるわけなんです。

 加藤大臣、加藤大臣としては、コロナは四月か五月に落ちつくだろうという見通し、認識を持っておられますか。

加藤国務大臣 今の段階でそういう認識を持ち得る状況にはないと思っています。ただ、こうした措置をさまざましていただく、国民の協力をいただく中で、一日も早く終息の道をたどっていきたい、そういう希望は持っています。

山井分科員 おっしゃるように私も希望は持っておりますが、副総理、そしてコロナ対策本部の委員でもある財務大臣、このコロナ対策について、経済にどういう悪影響を及ぼすのか、あるいは東京オリンピックがどうなのかという中で、危機感を持ってここ一、二週間が山場だということが言われている中で、副総理が四月か五月には落ちつくだろうという認識を示されたら、そうか、暖かくなったらこのコロナウイルス問題というのは自然となくなるのかという認識を与えるというのは、私は、残念ながら、私もそういう願望は持っています、持っていますが、問題ではないかと思います。

 そういう意味では、この麻生副総理のコロナは四月か五月に落ちつくであろうという認識は、政府の認識ではないということでよろしいですか、改めて。

加藤国務大臣 政府の認識ではありません。

 それから、きょう基本方針を決めさせていただくわけでありますが、きのうの専門家会合においても、今が非常に大事だ、これからより増加をする経路を行くのか、かなり抑制してそんなに拡大しない方向に行くのか、まさにそれが今、その分かれ道に立っている、そして、そのためにも国民の皆さんにさまざまな御協力をお願いしたい、こういうことを発言がありました。

 それを踏まえて基本方針をつくっていきたいと思っておりますから、そういう厳しい状況認識を私はみんなが共有していくことが大事だろうと思います。

山井分科員 私は、残念ながら、本当に後手に回っている部分があると思うんですね。今までから私はそれほど厳しい質問はもちろん応援する意味を込めてしてきませんでしたが、やはりちょっと危機感が欠けているんじゃないかと思う中で、麻生副総理のこういう発言を聞くと、ああ、やっぱりかと。そういう認識で、ほっておいても四月、五月にはこの問題は終息するわ、安全、安心にオリンピックもできるわ、そういう認識を持っているのかということになれば、私は大問題だと思うんです。

 実際、シンガポール、今、感染者がふえております。湿度が約八〇%、気温が約二十七、八度ですね。東京の夏と似たような環境ではないか。そういうところでも今コロナウイルスはふえているわけですから、そういう意味では、根拠のないこういう楽観論というのは、私は問題であると言わざるを得ません。

 そこでなんですが、大臣、今一番不安の声が出ているのが、検査を受けたくても受けられないという声なんですね。けさも報道されていましたけれども、例えば、九歳のお子さんが一週間発熱をした、しかし、病院、保健所でも検査をしてもらえない、三十八度以上の高熱が四日間続いた、それで帰国者・接触者相談センターに電話をした、小児科を受診してくださいと言われた、病院で肺炎と診断された、新型コロナウイルスの検査を希望するが、お医者さんに断られる、保健所からも検査基準を満たしていないと断られる。また、妊娠七カ月の妊婦の方も、十六日からせき、二十二日から三十八度の発熱、産婦人科医に相談、新型コロナの感染の疑いありと診断、しかし、保健所で断られる。

 これは釈迦に説法ですが、重度化すればするほど、そのときに気づいても、それまでに多くの人にうつしてしまうわけですよね。そういう意味では、早期に、もちろんお医者さんや病院の判断のもとで検査を受けられるようにすべきだと思うんですが、今、検査を保健所を通してということになっていますが、保健所を通さずに、病院やお医者さんの判断で、もちろん大前提として必要があればですけれども、直接民間の検査会社に頼むなりして、大幅に検査を受けやすくする、早期に検査を受けやすくするべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私は、その点について委員と意見を異にしているわけではありません。

 ただ、足元の能力を見きわめていかないと、やはり必要な方を優先的にしていくということがどうしても求められざるを得ないんだろうと思います。そのためにも能力アップをしなきゃいけないということで、これまでも逐次上げてきて、そして、現在も、医療機関あるいは民間の検査所等で、自分のところでやりたい、やれるというところには、試薬を積極的に私どもが提供する体制もとり、逐次そういったところも出てきているというふうに承知をしておりますので、更にそういった努力をすることで全体としての能力を上げていくということが一つだと思います。

 それから、今委員御指摘の点、もともと地域縛り、要するに湖北省とか浙江省とか、それがかかっていたというお話があったものですから、私どもはあえて、それではなくて、発熱かつ呼吸器症状かつ入院を要する肺炎が疑われる場合、また、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルスの感染症を疑う場合にはPCR検査を保健所に申し出てほしい、また、保健所はそれを踏まえてしっかり対応してほしいということを流させていただいておりますが、委員の指摘がございますから、もう一回そこは徹底していかなきゃいけないと思います。

 その上で、最終的に、今は全額その分については公費でやっております。今、委員の御指摘になると、これは保険診療ということになりますので、量が出てこなければなかなか保険診療には移行できないんですが、ただ、保険診療に移すとなれば、保険の報酬単価を決めなきゃいけません。そういった作業を逐次進めて、いつでもスタートできるような状況はつくっておきたい、そして、それに向けて能力を上げていきたい、こういうふうに思っています。

山井分科員 次に質問しようと思っていたんですが、ということは、このウイルス検査の保険適用を今後目指して検討していくということでよろしいですか。

加藤国務大臣 その場合は、ウイルス適用だけではなくて、現在は、措置入院という措置をとっていますから、自己負担全額を公費で見させていただいております。ですから、医療費になると、その負担は三割分も含めて本人負担には移行せざるを得ませんけれども、しかし、いずれにしても、そういう時期をつくっていかなければならないというふうに思っています。

山井分科員 それでは、加藤大臣は認識は異ならないとおっしゃいましたが、私は大きく異なっていると思うんです。

 実際のところ、これは質問通告をさせていただいておりますが、今日まで累計で何件PCR検査を日本ではされたんですか。クルーズ船内とクルーズ船外を分けてお答えください。累積、何件やったんですか。

加藤国務大臣 済みません、オール・ジャパンの数字は持っておりませんけれども、例えば、地衛研がありますね、については、二月以降で少なくとも二千四百件以上の検査が、特に、直近、ちょっと週末だったということもありますから、二月二十日の木曜日で、私どもの方に報告が上がってきているのは五十四施設なんですけれども、そこで六百九件の検査を行っているというふうに承知をしております。

山井分科員 韓国などは既に万単位でやっているわけですよね。二月に入ってから二千四百件って、少な過ぎるんじゃないんですか。といいますのは……(加藤国務大臣「地衛研だけで」と呼ぶ)地衛研だけでね。

 そもそも、トータルで、じゃ、今まで何件PCR検査をやったかというのを把握されていないんですか。

加藤国務大臣 クルーズ船とかチャーター便のやつは全部把握していますけれども、一般の、それ以外の国内での発生件数については、陽性は逐次もちろん報告がありますけれども、陰性についてあわせて報告があるわけではなく、別途、それぞれの地衛研等々について我々がヒアリングした、その数字が先ほど申し上げた数字ということになります。

 したがって、例えばクルーズ船について申し上げれば、延べで三千九百九十件の検査をさせていただき、また、チャーター便については八百二十九件の検査をさせていただいているということであります。

山井分科員 私は、これは深刻な問題だと思います。もちろん陽性が何人というのも重要ですけれども、分母として何件PCR検査を今までしたか、加藤大臣が御存じない。それは大問題じゃないですか。

 これは質問通告しておりますので続けさせていただきますが、じゃ、この一週間で、二月十八、十九、二十、二十一、二十二、二十三、二十四、この一週間、一日ごとに何件PCR検査をしたんですか。(発言する者あり)

後藤主査 じゃ、ちょっととめましょうか。

 とめてください。

    〔速記中止〕

後藤主査 じゃ、時計を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 済みません、失礼いたしました。

 これは疑似症サーベイランスということで、クルーズ船はちょっと除いてという数字になることをお許しいただきたいと思いますが、十八日が……。(発言する者あり)

後藤主査 じゃ、またとめてください。

    〔速記中止〕

後藤主査 それじゃ、時計を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 失礼しました。

 二月十八でよろしいですかね。二月十八が八十六、二月十九が七十一、それから二月二十日が九十、それから二月二十一が八十五、それから二月二十二日が九十六、二月二十三日が三十九、二月二十四日が百四という数字になっています。

山井分科員 これは、はっきり言って驚きの数字ですよ。加藤大臣は十八日の日に、三千数百の検査キャパシティーがある、三千数百検査できるということをおっしゃったので、私はもうてっきりこれからは一日三千件ぐらいPCR検査をされるんだろうなと思っていたんですけれども、十八日八十六件、十九日七十一件、二十日九十件、二十一日八十五件、二十二日九十六件、二十三日三十九件、二十四日百四件。各都道府県二人ずつぐらいじゃないですか。これは陽性じゃなくて検査している数ですか。

 ちょっとこれは話にならないんじゃないですか。韓国は一万数千件検査しているというのに、三千数百件の検査を一日にできると言っておきながら、一日に百件も検査していないって、あり得ますか、こんな話。

加藤国務大臣 先ほど、疑似症サーベイランスの定義を満たしている方、したがって、例えば、東京都が今回、濃厚接触者についてかなり幅広くPCR検査をしておりますけれども、それはこの中には含まれておりません。

山井分科員 含まれておりませんじゃなくて、じゃ、含めてトータル何件、それぞれの日にやったのかをお答えください。

加藤国務大臣 ですから、それはそれぞれの地衛研等から数字を上げていただかないとわからないものですから、我々は、いただいた数字をさっき一部お示しをいたしましたけれども、適宜それぞれの地衛研からは報告をいただくようにしていますが、正直言って、全部から即日上がってきているわけではないというのが今の状況であります。

山井分科員 ここ一、二週間が山場だということを専門家会議からも指摘している中で、三千件の検査能力はあるけれども、一日何件検査されているかは知りません、それは余りにも私は無責任だと思いますよ。

 実際、身近に子供さんが五日間高熱が続いている人がいます。コロナ対策課に三時間近く電話がつながらず、やっとつながったかと思ったら、渡航歴がないから、肺炎の症状も、若しくはレントゲン検査で異常がないから検査できないと断られた、そういう声も出ております。さらに、強い倦怠感や熱があり、本日四日目になりました、家族に勧められ、相談窓口に電話、武漢や感染者との濃厚接触がなければ検査対象ではありませんというふうに断られたと。だから、検査を受けたくても受けられないという声がいっぱい出てきているわけですよ。

 ですから、先ほどの質問にお答えいただきたいと思うんですけれども、私と意見を異にしないというのであれば、保健所を通じてやるのではなくて、直接病院や主治医の方が民間検査会社に検査を依頼できる、そのことにしないと、先ほども言ったように、三千件能力があると言いながら、把握しているのが一日九十件とか八十件とか。私は何もぜいたくなことを言っているんじゃなくて、韓国でも一万数千件PCR検査をされているわけですよ。海外並みに、諸外国並みのことをやってくれということをお願いしているんです。

 ここは政治決断だと思います。基本方針の主な内容を見ましたけれども、肝心の、一番今苦情や非難の声が出ているこの検査の拡大が十分に入っていないんです。ぜひとも、保健所を通じてということをやめて、主治医や病院から直接民間の検査会社に依頼できるようにする、こういうふうに変えるべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今御指摘の声がいつの時点かというのは、ちょっとよくわかりません。もともとそういう声があったので、通知を出させていただいて、先ほど申し上げた基準にのっとって積極的にPCR検査を受けてほしいということを申し上げているところでありますので、そういった意味での徹底はまさに図らせていただきたいと思います。

 その上で、民間ということでありますけれども、今、民間でできるところというのはかなり限られているというのは、もう委員御承知のとおりであります。ですから、結果的にそこをうまく、PCR検査を効率的にやっていかなきゃいけない。別に私は委員の考え方を否定しているつもりはありませんけれども、今、一定の能力に限界がある中で、そこをどううまく活用していくのかということだと思います。

 委員のおっしゃるような民間という筋を置くと、頼んだものはどんどんどんどんいくということになります。片一方で公的なものがあります。そこをどういう形で役割分担をしていくのか。その整理をせずにそれをやると、逆に混乱を生むんじゃないのかな。私の懸念は最大そこなんですね。

 ただ、委員御指摘のように、現場ではPCRが進んでいないんじゃないか、この御指摘もしっかり受けさせていただきますので、ちょっとその辺を含めて検討させていただきたいと思います。

山井分科員 余りにも私は後手後手だと思います。

 東京大学の稲葉教授も、水面下で広がっていた潜在的な感染者が日本で目に見える段階に入ってきた、一カ月前の武漢のようだと。結局、実際、武漢市では、検査キットの不足から感染者の把握が進まず、家庭内や地域での感染が広がった。

 さっきも言ったように、検査をほとんど断っているから陽性の人の数が少ないだけで、実際はもっと日本じゅうに蔓延しているんじゃないんですか。こういう陽性隠しと受け取られかねないようなことをやっていると、私は国際的に信用されないと思いますよ。

 これは、加藤大臣、政治決断だと思うんです。今後一、二週間が山場だというけれども、遅過ぎるわけです。

 例えば、先日の質問で、チャーター機からおりた人を一千人解放して電車に乗ってもらうのは問題だ、二週間、頼み込んで、快適な、国の施設かどこかで隔離すべきだということを言いました。実際、調べたら、私が知る限り、全ての国で二週間隔離しているんじゃないんですか。

 加藤大臣、クルーズ船から下船して陰性の人で二週間隔離していない国というのは、日本以外どこがあるんですか。

加藤国務大臣 全てのことを承知をしているわけではありませんから断言的なことは申し上げられないと思いますが、ただ、我が国は、クルーズ船におられたそれぞれの方の事情、特に、高齢者が多く、身体的にも精神的にも大変きつい、もうこういう状況は耐えることが難しい。また、さまざまな御意見をいただきました。他方で、感染拡大をしてはならない。そういった意味で、感染研のチャーター便に対する知見、また、現在そうした感染防止策がどうきいているかという判断、それを踏まえて先ほどの判断をさせていただき、あわせて一定のフォローアップをさせていただくということで、下船をお願いしました。

 途中で専門家会議から、しっかりとフォローアップが必要であること、さらに、今回感染者が一人出た、このことは私どもも強く重く受けとめておりますので、さらに毎日フォローアップをして、そうした方が生まれれば直ちに医療機関等で的確な診察を受けていただく、そういう体制を整えていただいているところであります。

山井分科員 アメリカのニューヨーク・タイムズを始め世界から、千人もの人をクルーズ船からすぐ一般に外に出して大丈夫なのかと、国際的に非難が出ているんですよ。日本の信用も低下しているんです。はっきり言って、この政策は間違っています。私も指摘したでしょう。

 私のもとに、クルーズ船から下船した女性の方からも連絡がありました。バスで行くときは防護服を着て運転手さんがしていた、そのまま駅でおろされた、運転手さんが防護服を着ているのに、何で私たちが駅におろされて大丈夫なんですか、案の定、翌日電話があって、公共交通や電車を利用しないでくださいと言われたと。その方はおっしゃいましたよ。公共交通、電車を利用しないでというけれども、きのう電車にもう乗っちゃったじゃないの、乗せたじゃないのと。

 これは矛盾しているじゃないですか。明らかに、公共施設や電車に乗せたのは、十八、十九、二十のクルーズ船の方、失敗だったんじゃないですか。

加藤国務大臣 一定お帰りになる間においては、そうした手段も使わざるを得ない方もおられました。したがって、マスク等の着用をお願いいたしました。

 ただ、自宅に戻った後は外出を極力控えていただきたい、こういうことをお願いしているところであります。

山井分科員 これは素人が聞いてもおかしいですよ。おかしいですよ。千人もの方をほとんど駅におろしておきながら、今後は乗らないでください。そうしたら、最初から電車に乗せなかったらよかったじゃないですか。

 例えば、下船された方からこんなことも言われています。三月四日まで、二週間たったら大丈夫だと言われているけれども、自分たちも安心できない、三月四日までに、下船した人間にPCR検査、もちろんしてくださるんでしょうね、そういう要望も聞きました。

 千人の方々に二週間以内にですけれども、PCR検査を全員にするということでいいですね。

加藤国務大臣 今回の判断の中で、委員御指摘のように、快適な場所とおっしゃいますけれども、千人を受けてそれだけのサービスをできる場所が国内の中にあるのか、そういった判断から、まさにクルーズ船の中でこういった医師の感染防止措置をとりながら一つの対策をとらせていただいた、こういう流れであります。

 それから、今の委員の御指摘、御質問に対しては、基本的には、健康フォローアップの方々については二週間たったところで、そこで終了するということで、これまで他の事例でもやらせていただいておりますので、今回もそうした事例に沿って対応することになるわけであります。

山井分科員 やっていることがちぐはぐ過ぎて、結局、イスラエル一人、香港一人、イギリス四人、オーストラリア二人、陰性で帰った人が陽性になっているんです。日本でも千人の中で陽性になっている人は本当はもっと多いと思いますよ。

 ところで、橋本副大臣は、クルーズ船で感染した厚労省職員と接触されていて、一緒に仕事をされたのでPCR検査を受けてくれとお願いしましたら、記者会見で、検査を受けるということだったらしいです。検査結果はどうでしたか。今、橋本副大臣は仕事をされているんですか。どうですか。

加藤国務大臣 橋本副大臣は引き続き船内で活動しておりますから、今の段階でPCRを受けるということではなくて、この活動が終わった段階で検査を受けさせていただくということを私は申し上げたところであります。

山井分科員 おかしいんじゃないですか。三人一組で厚労省の方が仕事をしていた、そのうち二人が感染した、もう一人も感染しているんじゃないんですかといって、野党が申し入れて、それで調べてみたら、やはり感染していたじゃないですか。そんなもの、野党から言われてやるべきことですか。同じように橋本副大臣も一緒に仕事をしているんでしょう。

 本当に楽観的過ぎて話にならない。どういうことですか。副大臣はまだ仕事をしているんですか。だめでしょう。どこで仕事をしていて、どこに泊まっているんですか、副大臣は。

加藤国務大臣 船内のこうしたことをする事務所といいますか、事務スペースで仕事をしております。

 本人は近くのホテルに泊まり、そして、移動に当たっては基本的に公共機関は一切使っていないというふうに聞いています。

山井分科員 私は、日本じゅうの方に、自粛要請をしろとか、イベントの中止をしろとか、満員電車に乗るなとか、一、二週間がこれから勝負だと言いながら、そのクルーズ船の対策の本部長でしょう、司令塔の一人である橋本副大臣が、感染した人と一緒に仕事をしていたけれども、検査もせずにまだ仕事をしています、ホテルに帰っています。考えられません。

 いつ検査するんですか。きょうにでも検査しないで、感染していたらどうするんですか。後手後手で、感染していたら、これはもう責任問題ですよ。いかがですか。

加藤国務大臣 山井委員も御承知のとおり、PCR検査をしたからといって、その後発症しないかどうかというのは、これはわからない。結果的にそれを確定するために、二週間の間を置かなきゃならないんですよ。その間に発症しなくて初めて感染したかどうかがわかる、加えてPCR検査をしましょう、これがルールでありますから。山井委員のことをおっしゃれば、今働いている者は全員二週間隔離をしなければ感染したかどうかわかりません。当然、活動中でありますから、それはできない。

 したがって、一定、通う限りにおいては、公共交通機関を使わないとか、そういうレギュレーションをする、そして、もちろん発熱等があれば直ちに対応する、そういった中で、引き続き船内で活動していただく。

 確かに、船内で活動するのは常にリスクがあることは委員御指摘のとおりであります。きょう大丈夫じゃなくても、あしたはどうなるかわからないという部分は常にリスクはある。そのことはみんな抱えながら、したがって、必要な標準装備等をやりながら、そして、特にリスクの高い方は更にそれ以上の装備をして対応していただいている、これが現実であります。

山井分科員 時間が来ましたので、最後に一問だけ質問をさせてください。

 今の答弁も全く納得できません。

 さらに、きのう、スギ薬局、薬ヒグチ、マツモトキヨシに行っても、コロナウイルスの予防のためにマスクを着用し、アルコール消毒と言っているけれども、店に行ったらアルコールもマスクも売っていないんですよ。

 緊急基本方針もいいですけれども、基本方針もいいけれども、まず、マスクとアルコール消毒を国民ができる体制を整えてください。いつになったらマスクとアルコール消毒を私たちはできるんですか。いつですか。

加藤国務大臣 日本のマスクについて申し上げれば、七割、八割は中国から輸入をしてきていた、そして、その輸入がほとんどとまっている中で、国内のメーカーに対して二十四時間のフル操業体制をお願いをし、この体制にすることによって、当然、相当の供給量が出てくるということは想定しているわけでありますけれども、今もお話ありました、まだ正直言ってそこまで行き渡っておりませんけれども、これから逐次増産をすることによって、それぞれのところに行き渡っていくよう努力をしていきたいというふうに思っています。

山井分科員 以上で終わらせていただきますが、とにかくこれだけ検査が受けられないということで全国から悲鳴が上がっている中で、きょう聞いてびっくりしました。一日、把握しているのが数十件。そして、保健所を通さずに直接という私の提案に対しても十分な、前向きな答弁がない。このままでは私は本当に感染が拡大してしまうと思います。

 しっかりと私たち野党も協力しますから、もっともっとスピードアップしていただいて、きょうの基本方針では全く不十分ということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重分科員 公明党の國重徹でございます。

 きょう私が質疑をしたいのは、大きく一点、不妊治療に対する支援の拡充についてでございます。

 新型コロナウイルスの対応を踏まえまして、きょうは加藤厚生労働大臣の答弁は求めません。稲津副大臣に答弁をお願いしたいと思いますけれども、ぜひ大臣に成りかわって、厚生労働省を代表して、前向きな答弁をぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 まず冒頭、稲津副大臣にお伺いいたします。

 今まで副大臣は、不妊治療をされている方、またその経験のある方からお話を伺ったことはあるのか、また、話を伺ったことがあるのであれば、そのときに自分ではどういうような印象を受けたのか、また、どういうようなことを感じたのか。これについてまず答弁を求めます。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員から、不妊治療を実際にされている方、また、そういう方のお話をお聞きになったり、あるいはまた、それに対してどのように私自身が受けとめてきたのかということについてのお問合せでございますけれども、例えば私の職場の同僚であったり、それから友人、知人にも実際に不妊治療を受けている方が、これは御夫妻ともどもという方もいらっしゃって、そういう方々のお話も直接聞いたこともございます。

 私が思うには、やはり、例えば一つは精神的な苦痛、これは非常に大きいものがあると思っています。これは、例えば、不妊治療のために職場を休まなきゃいけない、上司や同僚の理解も得なきゃいけない、また、それに対して多少なりとも、さまざまな、偏見とは言いませんけれども、厳しい言葉をかけられたこともあるというお話も伺っています。それから、やはり肉体的な苦痛、これも伴うわけでございますから、それもありますし、それからもう一つ大事なことは、やはり経済的負担が非常に大きいということ。

 私は、そういう話を伺ったときに、不妊治療についてこうした、私自身でもそういうことを経験している、恐らく多くの方々、お身内やあるいは知り合い等に必ずそういう方がいらっしゃって、そうした方々の不安やあるいは御負担をどういうふうに共有して政策的に反映していけるかが非常に重要なことであると思っております。

國重分科員 今、副大臣からも、この不妊治療に関する支援というのは極めて重要だというようなことで、受けとめていただくとの答弁をいただきました。

 不妊の悩み、これに関しましては、私も、多くの地元の皆さん、また不妊体験を持つ当事者の団体の皆さんからさまざまなお声、御意見、御要望を伺ってまいりました。さらに、私ども公明党は現在、全国各地で青年議員が若者の声を直接受けとめる取組、ユーストークミーティングというものを開催しておりますが、そこでも多くの御意見、御要望をいただいております。

 加えて、今回の質問に当たりまして、不妊治療をしたけれども残念ながら妊娠、出産に至れなかった方たちが書いた本も、私、改めて三冊読んでまいりました。きょうは、そういった生の声、当事者の思いを受けて、質問をさせていただきたいと思います。

 晩婚化、晩産化が進む我が国におきまして、今や五・五組に一組のカップルが不妊に悩んでおります。国際的に見ても、我が国は不妊治療経験者の割合が先進国の中で一番高いとも指摘をされております。不妊に悩む方たちをいかに支えていくか、これは非常に重要な政策課題であります。

 不妊治療には四つの負担があると言われます。治療に伴う身体的な負担。焦りや悲しみ、周囲との関係での悩みなど、心、精神的な負担。高額な治療費、長引く治療による経済的な負担。そして、仕事と通院との両立という時間的な負担。この四つの負担があると言われております。

 その中でも、大きな壁として立ち塞がっているのが経済的な負担であります。不妊治療には、タイミング法、また人工授精など、さまざまな段階があります。その中でも特に高額な治療費がかかるのは体外受精や顕微授精でありますけれども、こういった高額の治療費がかかる特定不妊治療につきましては、政府として公的な助成制度を設けて、これまで累次の拡充がなされてまいりました。

 しかし、まだまだ当事者の経済的負担は重い、これが今の実情でございます。現在、特定不妊治療費助成につきまして、初回は三十万円、二回目以降は十五万円となっております。では、なぜこの金額に設定しているのか、まずその理由についてお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました体外受精あるいは顕微授精に係る助成額の根拠でございますが、これは、平成十年に行いました厚生科学研究におきまして、これは産婦人科医とそこに通っていらっしゃる患者さんを対象とした大規模な調査でございまして、そこでの約八百名の患者さんへのアンケート調査に基づきまして、おおむね、この体外受精、顕微授精にかかる、中央値でございますけれども、金額が大体三十万円から四十万円ということで、その約半分を助成するという考え方で設定しているところでございます。

 それから、先生からも御指摘ございましたように、二十八年の一月から、早期の受診を促すため、できるだけ初回の方が出産に至る確率が高いという有識者会議の御報告もございまして、初回治療の助成額を十五万円から三十万円に引き上げたところでございます。

國重分科員 今の答弁で、治療費の約半分をカバーできるようにしたいという思いからこの金額に設定されたというようなことがございました。

 この点、NPO法人Fineの二〇一八年の調査によりますと、体外受精の一周期当たりの平均治療費につきまして、五十万円以上は四三%、三十万円以上となりますと八七%になるという結果が出ております。顕微授精につきましては、一周期当たり、五十万円以上が六〇%、三十万円以上は九二%との結果も出ております。

 さらに、同様の調査は二〇一八年だけではなくて二〇一〇年、二〇一五年と行われておりますが、それらと比較すると、高額な治療費が必要なケースが年々ふえております。こういったことからしますと、この助成金額、十五万円だけでは治療費の半分も賄えず、経済的負担をますます感じるようになってきているのが現在の実情でございます。

 このようなことを踏まえまして、政府としても、できる限り早期に実態を把握して、助成額をそれに見合う金額に引き上げるべきだと考えます。稲津副大臣、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 委員から今御指摘の、体外受精や顕微授精が大変高額である、一方で、助成額についての十五万円というのはいかがか、ぜひ引き上げよという、もちろん調査の上でという御質問でございましたけれども、この不妊治療について、議員御指摘の助成額の拡充を始めさまざまな御意見がある、このように承知をしております。

 そのために、厚生労働省において、これまで、平成十年度の厚生科学研究、ここにおいて産婦人科医及び患者を対象とした意識調査をしてまいりました。また、このこととともに、平成三十年度には、厚生労働科学研究におきまして、助成事業の実施主体、都道府県、指定都市、中核市を対象にした調査も実施してきたところでございます。

 今後、さらに、来年度、令和二年度、ここで実施予定の調査研究を通じて、この不妊治療に関する実態調査を行った上で、金額の引上げ等を検討してまいりたいと考えております。

國重分科員 来年度に実態調査をするということでございました。それを踏まえてまた検討するということでありましたけれども、引上げは必至、必ずこれはしなければならないことだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 やはり、現在の助成額では、治療費を補うのに、賄うのに余りにも不十分であります。

 実際、カップルの半数以上が経済的な理由で治療のステップアップをちゅうちょ、延期、断念をしております。そして、その傾向は特に三十代前半までの若年に多いという調査結果も出ております。不妊治療は一面では時間との勝負であるにもかかわらず、貯金ができるまで治療に進めず、その間に機会を何度も逃してしまう、そのことに焦って苦しんでしまう人たちもたくさんいらっしゃいます。

 当事者の皆さんは、いつまで高額な治療費を払い続けられるのか、どれだけお金をかければ、どれだけ治療すれば子供を授かれるのか、先の見えないトンネルの中でジレンマを抱えながら、それでも望みを捨てたくないと、懸命に治療に取り組んでいらっしゃいます。その苦しさを少しでも軽減するために、実態に即した金額に、ぜひこれは上げていただきたいと思います。

 その上で、来年度、この調査をして検討するということでございましたので、今すぐにこの金額を上げるのは難しいとしても、まずは特定不妊治療費助成制度を柔軟に使える制度に変えていただきたいと思います。

 具体的には、治療期間の初日における妻の年齢が四十歳未満の場合、現在の制度では通算六回までは助成を受けられることになっております。この金額は、男性不妊を除きますと、原則として、初回三十万円、二回目以降は十五万円、通算六回の治療で、トータル、最高額で百五万円の助成が受けられることになっております。

 そこで、総支給額のこの枠の中で、いつの治療に幾ら分の助成額を受けるのか、これを自分たちで選択、決定できるような制度設計に変えていく。そうすれば、経済的な理由で治療のステップアップを断念するカップルは今よりも減ります。また、早い段階から治療がスタートできて、妊娠、出産の確率も上がります。この柔軟に選択できる制度というのは、当事者の皆さんからも強く御要望をいただいているところであります。

 稲津副大臣、ぜひ、一回当たりの助成金額の上限を撤廃して、一人当たりの総支給額という考え方のもとで、一回当たりの助成金額を柔軟に選択できるような制度への見直し、これをぜひ検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 委員から今御指摘のとおり、やはり御夫婦の方々の年齢的なこともございます。また、時間的な問題もある、そして何よりも経済的負担の大きさ、御指摘のとおりだと思っております。

 百五十万上限で、初回三十万、それ以降十五万という今の制度がどういったことになるのか。これは先ほども御答弁を一部させていただきましたけれども、来年度における、不妊治療にかかった費用等について調査研究を実施する、このように予定をしております。

 この調査研究等を通じて、例えば、不妊治療、体外受精や顕微授精や男性の不妊治療等の実施件数、それから治療周期当たりの妊娠、出産率、また不妊治療にかかった費用、こうしたことを把握するなどして、不妊治療に関する実態調査をしっかり行い、御指摘の一回当たりの助成金額の考え方についても検討してまいりたいと考えております。

國重分科員 これは選択肢が多いことにこしたことはありませんので、当事者の方も望まれていることですので、ぜひ当事者の心情に寄り添った取組をよろしくお願いいたします。

 時間が予定よりちょっと押していますので、少し巻いてやっていきたいと思います。

 次に、特定不妊治療費助成の所得制限についてお伺いします。

 不妊治療の助成金は、所得制限にかかってしまえばこれは活用できません。現行制度の所得制限のボーダーは、夫婦合算の所得ベースで七百三十万円となっております。では、そもそもこの七百三十万円という金額が設定されているのはなぜなのか、まずこれについてお伺いいたします。

渡辺政府参考人 御指摘の所得制限は特に経済的負担の軽減の必要性の高い方に絞るということで設けられているものでございますが、具体的な設定の考え方は、平成十六年の国民生活基礎調査に基づきまして、二十五歳から四十四歳までの女性が属する世帯、これは夫婦のみの世帯と夫婦と子一人の世帯ですが、その世帯の約九割がカバーできるというか、そういう形で設定をしているものでございます。

國重分科員 九割をカバーすることを狙いとしてこういった所得制限を設けているというようなことでございました。

 この所得制限のボーダーが七百三十万円になったのは、平成十九年、二〇〇七年でございます。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によりますと、ざくっと言いますと、夫婦ともに会社員の共働き世帯というのは、平成十九年は千十三万世帯、これが令和元年では千二百四十五万世帯。所得制限が七百三十万円になってから、共働き世帯が約二百三十万世帯ふえております。これに伴って所得も上がっており、九割カバーという観点からしますと、所得制限の金額設定も本来は上げるべき、これが筋であります。

 現に、前述のFineの調査によりますと、不妊治療をしたことがある人、不妊の心配をしたことがある人のうち助成金を申請したことがない方が六割、そして、その理由の四割が所得制限を超えるということでございました。つまり、世帯の九割の方たちを現在の制度ではカバーすることができていないということであります。また、体外受精、顕微授精の費用も年々上がっておりまして、三百万円以上の高額な治療費を払う人の割合も調査を経るに従ってふえております。

 所得制限にかかる層であったとしても、これだけの経済的負担があると治療を継続するのは本当に難しい。夫婦ともに必死で働いて、貯金をして、不妊治療の費用を工面する、そうやって働いた結果、助成対象から外れてしまう、これは余りに酷ではないか。所得制限の引上げは不可欠と考えますけれども、稲津副大臣の答弁を求めます。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど局長から答弁がございましたが、この不妊治療の所得制限について、特に経済的負担の軽減の必要性の高い方から対象とするために設けているというのが今の現行制度でございます。

 委員からの御指摘で、果たして二〇〇七年から勘定してカバーができているのかどうかという問題。私どもは、今後、この不妊治療の所得制限については、まず来年度実施予定の調査研究等を通じた不妊治療に関する実態把握を実施した上で、今議員の御指摘も踏まえてしっかり検討してまいりたいと思っております。

國重分科員 NPO法人Fineの調査結果からも九割をカバーできていないことはもう明らかでありますので、また、先ほどは四割の方が所得制限にひっかかるということでありましたので、私は、この内容はもう明らかであると思いますので、あとは金額設定の問題だと思いますけれども、ぜひ、これについても政府としての本気の取組、この姿勢を見せていただきたいと思います。

 共働き世帯がふえている中で、不妊治療と仕事の両立、これも大きな課題であります。仕事か子供か、この選択を迫る、あるいは仕事も子供も諦めさせてしまう、そういう社会に持続可能な未来はありません。職場で当たり前のように不妊治療が理解され、仕事との両立をサポートできる環境の整備が不可欠であります。

 しかし、仕事をしながら不妊治療を経験したことがある人の九割以上は仕事と不妊治療の両立が難しいと感じているのが実態であります。その最大の理由、これは、急に、頻繁に仕事を休む必要があるということであります。不妊の原因は男女ともにありますけれども、何度も通院が必要となるのは女性であります。月経周期に合わせて、体の状態、卵子の入った卵胞の状態を見ながら治療を進めることになるので、どうしても通院回数が多くなるし、周期によってタイミングも変わるために事前に予定も立たない。

 厚生労働省の調査で、仕事と治療の両立ができていると答えた人の割合は、男性は七五・三%であるのに対して、女性はわずかに四二・〇%。さらに、Fineの調査では、両立が困難で働き方を変えた人が四割、そのうち半分は退職していることも明らかとなっております。これは、御本人はもとより、企業にとっても社会にとっても大きな損失であります。不幸なことであります。

 不妊治療と仕事との両立を支えるためには、頻繁な通院に対応できるような柔軟な働き方、柔軟な休暇制度、例えば、時短やフレックス、テレワーク、半日単位や時間単位の休暇制度などの整備が必要であります。

 加えて、不妊治療を周囲に知られたくない方たちもいらっしゃいます。これも当然のことだと思います。

 企業の中には、この思いに配慮して、不妊治療や婦人科の受診、あるいは生理痛など女性特有の体調不良の際に活用できる休暇制度を整備して、その上で、通常の有給休暇も含めて、女性社員が取得する休暇は全てエフ休、このエフというのはフィメールのエフであります、こういったエフ休と呼ぶような工夫をしているところもございます。こうした当事者目線に立った制度設計も必要であります。このような取組をこれまで以上に企業に促して、それでうまくいかないのであれば、国としても必要な制度を早期に整えていかなければならないと考えます。

 その上で大事なことは、制度と風土というのは一体に考えないといけないということであります。休暇制度があったとしても、それを使えるような企業風土がなければ休暇はとれません。不妊治療に対する理解が経営者や上司、また同僚になければ、制度は絵に描いた餅となります。

 当事者からは、治療内容を知らない人が多くて、また休むのと言われた、治療で休みがふえることを上司に告げると、妊活か仕事かを選べ、こう言われて退職をした、職場では不妊治療は全く理解が得られませんが、子育ての場合は優遇されることがとてもつらかったです、こんな声が届いております。これが実態であります。

 柔軟な休暇制度を普及させる、また、国としても必要な制度を検討する、不妊治療への理解を促す、さまざまな取組で不妊治療と仕事の両立支援を更に進めること、これは極めて重要なことと考えます。この問題意識、これを副大臣また厚労省として共有するかしないか、まずこれについてお伺いします。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、仕事と不妊治療が両立できるような職場環境の整備は大変重要な課題であるというふうに認識をしてございます。

 また、今おっしゃいましたように、頻繁に通院をする必要が生じるわけでございますけれども、一回の治療にかかる時間は治療内容によってもさまざまなものとなってございます。

 このため、時間単位で取得できる年次有給休暇制度など、通院に必要な時間について柔軟に取得できるような休暇制度の普及を進めるなど、不妊治療と仕事の両立支援を推進をしていくことが大変重要であると考えているところでございます。

國重分科員 では、具体的にどのようにしてこれを進めていくのか、お伺いします。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今年度は、時間単位で取得できる年次有給休暇制度やフレックスタイム制度など、不妊治療と仕事の両立を支援する企業内制度の導入に向けたマニュアルを策定することとしておりまして、都道府県労働局や地方自治体、経済団体等を通じて事業主に対して周知を行うことを予定をしております。

 さらに、来年度でございますけれども、企業などを対象としまして、不妊治療と仕事の両立支援のための柔軟な休暇制度など、企業の取組や今申し上げました導入マニュアルの紹介も含めましたシンポジウムの開催なども行うことを予定をしているところでございます。

 こうした取組を通じまして、職場における理解を深めながら事業主の取組の促進を図ることで、仕事と不妊治療が両立できる職場環境の整備を進めていきたいと考えております。

國重分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その上で、稲津副大臣、私、こういった取組だけではやはり不十分だと思っております。制度と風土、これが一体だと言いましたけれども、今言ったやり方だけではなかなかこの理解は広がらないし、制度も普及しないと思います。

 事前に聞いたところによりますと、この休暇制度の創設を促す企業向けのマニュアルというのは二万部、不妊治療に理解を促すパンフレットは十二万部作成するということで聞いております。日本の企業数約三百五十万者という規模感からすると、届くのはごく一部であります。

 そもそも、マニュアルとかパンフレットという形、好事例の横展開というような取組というのはこれまでもやってきていると思われます。これだけで広がれば苦労はしないわけであります。平成二十九年度には、企業向けのリーフレットを作成して周知啓発を推進されておりました。きょうはこれはもう聞きませんけれども、その効果を検証した上での今回の取組なのか。

 これまでの取組を全く、私、全否定するわけではありません。しっかり進めていただきたいと思います。ただ、本当の意味で伝わらないと、これは何もやらないのと同じであります。国民の心に届く取組でなければ意味がありません。

 役所の皆さんは、私は非常に優秀な皆さんだと思っております。ただ、政策のプロであったとしても、広報のプロであるわけではありません。いかに間違えず正確に表現するかということにはたけていて、今も答弁とかも書かれたりしております。ただ、なかなか、じゃ、この答弁で、国民の心に届くような答弁ができているかというと、これまた別問題であります。

 心に届ける、心を動かす、こういうことに関してはやはり謙虚に、民間の知恵、伝えることをなりわいとしている広報のプロとタッグを組んで、アドバイスを受けながら、実効性ある広報のあり方をもっと考えていかなければならないと思っております。これは、不妊の分野にかかわらず、いろいろな政府の取組、広報に対しても重要だと思っております。私、これはずっと感じてきたことであります。

 これについて事前に担当部局の皆さんとやりとりしましたけれども、そのときには、当初は、今後しっかり検討していきたいというようなお話でございました。ただ、私の方で、こちらの方でいろいろと更に調査を進めていくと、厚生労働省には既に広報専門のアドバイザーである広報戦略推進官というポジションがあって、民間の広報出身の方が担当しているということがわかりました。これを活用しない手はない。

 ただ、なかなか、この原課の方というのはそういう存在自体も忙しくて認識それ自体をしていない、こういった現状もございました。これでは宝の持ち腐れであります。

 そこで、事前にこちらで広報戦略推進官にも連絡をとりまして、今回の件についてもお話をさせていただきました。非常にこの件についても関心を示されまして、不妊に関する広報の大切さ、これもよく理解をしていただきました。早速この原課の方と連携をとっていただくようにお願いもしたところでございます。

 稲津副大臣、ぜひ、今後は、専門家であるこういった広報戦略推進官の意見も真摯に聞きながら、しっかりと連携をとって、不妊治療に関する効果的な広報、周知活動を行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 不妊治療と仕事の両立支援、このことにおいては、やはり職場における不妊治療に関する理解の促進を図ることが何よりも重要である、御指摘のとおり、効果的な広報、周知を行っていくことがその上で大変重要なことだ、こう認識しております。

 このために、今年度は不妊治療と仕事の両立を支援する企業内制度の導入に向けたマニュアル、それから来年度は企業等を対象としたシンポジウムの開催を実施、推進してまいりますけれども、今委員から御指摘のとおり、民間の人材の登用、活用というのは非常に重要なことでございまして、この広報戦略推進官、これを設置しておりますが、今後、担当部局と連携、相談すること等によりまして、不妊治療と仕事の両立に関する効果的な広報、周知の方法をよく検討していきたい、そして、職場における不妊治療への理解の促進を図ってまいりたい。この広報戦略官のそうした役割等、省内での共有をしっかり図って進めていきたいと思っています。

國重分科員 ぜひよろしくお願いします。

 ほかに、企業のインセンティブ施策とか不妊に関する正しい知識の教育、これについてもお伺いしたいと思いましたけれども、ちょっと時間の関係で、これはもうなしにさせていただきます。きょう来ていただいて本当に申しわけありませんでした。しっかりとまた別の角度で進めていきたいと思いますが、よろしくお願いします。

 生き方や働き方、価値観、幸せの定義、これは人によって違います。その多様性が理解されて尊重される社会を築かないといけません。きょう、不妊治療についてお伺いしましたけれども、子供を産みたい、仕事と両立したいという願いが実現できる環境づくり、これが必要であります。また、それを支えてくださる周囲の方には、結婚や出産をしない、こういった選択をした方もいらっしゃいます。そういう方たちも疎外感を抱かないように、こういったところにも思いをいたした取組を進めないといけません。

 人生のさまざまな選択が尊重されて、誰もが自分の能力を最大限に発揮して、真に活躍できる社会の実現に向けて更に力を入れて取り組んでいただきたいことを切に要望いたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて國重徹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)分科員 きょうは、新型コロナの問題について、引き続き分科会でもお聞きをしたいと思います。

 きょうは、感染研の脇田所長にもまたお越しをいただいています。

 ちょっと確認をしたいんですけれども、これは通告していないので、わからないのならわからないで結構です。

 この三連休、全国の衛生研究所、PCR検査、全て動いている、こういう理解でいいんでしょうか。よもや、お休みのところがあったやのことをちょっと情報として聞いたんですが、そんなことはなく全部動いている、こういう理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 済みません、動いているところがあるとは承知していますが、今委員御指摘の、全部動いていたかどうかはちょっと確認いたします。

岡本(充)分科員 ぜひ、質問の間にちょっと確認ができたらお願いします。

 その上で、よもやこの三連休に検査を一件もしていないというところはないとは思いますけれども、本当に危機的状況なんですよね。本当に、厚労省、感染研の皆さんは大変だと思いますけれども、危機的状況ですから、ぜひみんなで力を出し合って乗り切らなきゃいけないと思います。

 そんな中で、ちょっと確認をしていきたいんですけれども、もう一つは、これまでも、なぜPCR検査がこれほど数ができないのか、いろいろ聞いてきました。また、PCR検査についても限界があるのではないかということを聞いてきたわけです。

 前回、ちょっと答弁がかみ合いませんでした。少し整理をしたいと思いますけれども、いわゆる科学的に、実験系として自信をお持ちだということはよくわかりました。ただ、うまく検体がとれなかったり、検体がとれてきたとしても、途中で遺伝子の抽出にミステークがあったりして、広い意味で、本来感染している患者さんなのに、PCR検査で陰性になる人が理論的には出得ると思います。一体それをどのくらいの割合だというふうに感染研では考えているのか、お答えいただきたいと思います。

脇田政府参考人 お答えさせていただきます。

 議員が御指摘のとおり、今回の新型コロナウイルスに関するものを含めまして、リアルタイムPCR検査の過程におきまして、その検査手技の人為的な誤り等により本来陽性となるはずが陰性と判定される可能性は検査の性質上存在いたします。

 ただ、そのリアルタイムPCRの検出の過程におきましては、人為的な誤りなどにより本来陽性となるはずが陰性と判定される場合を最終的な検査結果と捉えることのないよう、被験者の検体とは別に、検査をすれば必ず陽性となるポジティブコントロール、そして検査をすれば必ず陰性と判定されるネガティブコントロールを用意して、これらを一斉に検査するという手順になっております。

 したがいまして、ポジティブコントロールの反応を確認し、それが万が一陰性になっていた場合につきましては、手技的な問題などにより本来陽性となるものが陰性と判定されたということになりまして、検査は不成立ということになりまして、再検査を行うこととしております。したがって、検査の手技的には最終的な検査結果には影響はないと考えております。

 なお、ポジティブコントロールが陰性となる割合につきましては、この結果を最終的な検査結果としては捉えておりませんので、把握をしておりません。また、一般的なリアルタイムPCR検査と同程度と前回申し上げた部分につきましては、その考え方が同程度、同様であるということを示したものでございます。

岡本(充)分科員 つまり、今、ポジティブコントロールが陰性になればおかしいということはわかるんです。ただ、ポジティブコントロールの、要するに、ウエルのところはうまくいっていたけれども、患者さんのウエルの方がうまくいかないということがあると、結果として本当は陽性と言うべき人を陰性と言ってしまう。ポジコンは光っているから検査自体はうまくいった、ポジコンが光っているからうまくいったと思ったけれども、それ以外のウエルのところはバンドが出ていなければ、これは、患者さんじゃないや、感染していないな、こう判断されてしまうわけです。

 それで、私は聞いているんです。ポジティブコントロールをやってみて、少なくとも何回かに一回は失敗することもあるんじゃないか、それは何百回か何千回かわからない。まあ、あり得るという話をしました。これは、やはり検査の限界がどのくらいなのかということをきちっと私は示すべきだと思っているんです。

 そういう意味で、じゃ、数字を言われたくないのかもしれませんけれども、ほかの検査と同程度という表現ではなく、一体、一般論として、どのくらいあるというふうに考えているのかということを更に問いたいと思います。

脇田政府参考人 今御質問がありました、新型コロナウイルス感染症に限らず、一般的に、臨床症状から有病者と考えられるがリアルタイムPCR検査で陰性となる場合については把握をしておりませんけれども、国立感染症研究所におきましては、検査試薬メーカーが開発する感染症のリアルタイムPCRの検査キットの一部について承認前の試験を行い、また、検査メーカーの結果を確認するということを行っております。既に臨床で使用されている同等の試験法で陽性、陰性が確認されている臨床材料、臨床検体を用いまして、陽性パネルの検体を九五%以上陽性、陰性サンプルパネルは全て通常陰性ということで検出できる精度を求めているところになります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の検査キットに対する性能試験では、新型コロナウイルスの変異が極めて少ないために、現在用いている陽性サンプルパネルの検体は一〇〇%陽性と検出をされております。

 その上で、先ほど申し上げました、検査で陰性になった者が再検査で陽性と確認をされるというような場合におきましては、そもそも当初の検査と再検査の時点が異なり、対象者のウイルス量が検出限界を超えたことにより陽性と判定されるという場合も含まれておりますので、リアルタイムPCR検査の限界という意味においての偽陰性とは別のものというふうに考えております。

 このような臨床診断における判断につきましては、国立感染症研究所が病原体検査に関する性能試験あるいは検査に対する精度管理を実施する機関でありまして、臨床診断を実施する機関ではないことから、具体的なデータについては持ち合わせてはいないということになります。今後、新型コロナウイルス感染者の検査データが蓄積されることによりまして、臨床診断の場で検討されるものというふうに承知をしております。

岡本(充)分科員 いや、そういう答弁をされると、結局、検査の精度がどうなのかと、ひとり歩きするとこの間言われましたけれども、逆にひとり歩きしますよ。やはりちゃんと、どういうところに限界があって、どういうような課題がある検査なのかというのをきちっと私は公表するべきだと思いますよ。一定数やってみえるのは感染研しかないわけですから、現実、今の段階でね。私はそれは指摘をしておきたいと思います。

 時間が限られていますから、次の視点で聞きたいと思います。

 所長、ちょっと確認ですけれども、この間の答弁で、要するに、下船させていいのか、加藤大臣が、検査できていなかった人も下船していたと、これは論外の話ですけれども。あのときの答弁では、二月の十日が最も古い検査、それ以降検査していなくても、そのとき陰性だったら下船させていると。この前提条件は、船内の隔離が完璧にできていたら、こういう前提だと言われました。

 この間、先日になっても、厚生労働省の職員が、二月十五日以降に船に入った職員が感染しているなどという実態を見ると、船内の隔離は完璧にできていたと言えないんじゃないか。完璧にできていない、その可能性が排除できないんじゃないかと思うんですけれども、所長はどう思われますか。所長、科学的にどう思いますか。やはりおかしいですよね。

脇田政府参考人 クルーズ船の乗客の方々につきまして、症状がある感染者数を発症日ごとに確認をしております。

 隔離が始まりました二月五日以降、拡大防止の措置が適切にとられた。そして、二月七日に発症者のピークがございましたけれども、それ以降徐々に発症者数が減少しているという事実からは、隔離が適切に有効に行われているということを確認しております。

岡本(充)分科員 いやいや、それは、二月の十五日に入った厚生労働省の、政府の職員が感染しているという実態を見ると、隔離が完璧には行われていなかった、やはりうまくいっていないところがあったと言わざるを得ないんですよ。ピークの話は政府がつくっている答弁だから。客観的に科学的に考えたら、二月の十五日に乗船した政府の職員が感染するという実態を見れば、やはり課題があったと、これはやはり率直に認めなきゃしようがないと思いますよ。そこは課題があったんじゃないんですか。ピークがいつだったなんという話は、それは政府の答弁ですから。

 科学者として、やはりそこは、私は、良心に照らして考えれば課題があったと言わざるを得ないんだと思います。どうですか。

脇田政府参考人 ありがとうございます。

 クルーズ船の隔離におきましては、先ほど、乗客に関するピークと、それからそれ以降の発症者数ということをお話をしました。一方で、乗務員の発症につきましては、それよりも少しピークが遅く発症してきているというところになります。

 ですから、もちろんクルーズ船が隔離に適した場所であるかどうかという議論もありまして、乗客に関しては適切に隔離が実施されてきたということを申し上げたところでございます。(岡本(充)分科員「ほかの人はどうなんですか。乗員とか」と呼ぶ)ほかの人に関しましては、今申し上げたとおり、例えば、発症者と同室の乗客の方、それから乗客を、何といいますか、サービスをしていた乗務員の方々、そして、やはり、発症者の方をいろいろ検査をしたりというような厚生労働省の職員の方々につきましては、今回の発症者を見ますと、そこはきちんと、どのような感染経路があったかということを今後適切に解析をしていく必要があると考えております。

岡本(充)分科員 いや、ちゃんと科学的に考えたら、やはりそこは、更に聞きますけれども、課題があったんでしょう。課題がなかったら、それは検証する話じゃないです。やはり課題があったんですよ。そこだけは認めてくださいよ。これは本当に問題がなかったと言い切れるかといったら、残念ながら事実として感染しているんですから、どうですか。科学的に考えて、やはり課題があったでしょう。それだけは、あったのかなかったのか、それだけ答えてください。

脇田政府参考人 これまでに、三千七百人の乗客乗員を客船において隔離を実施したということがこれまでの歴史にはありませんので、それをいかに適切に実施するかということで行われてきました。これは、この結果をもちまして、科学的に先生のおっしゃるように解析をして、どのような問題点があるのかということを解析をしていくということでございます。

岡本(充)分科員 問題がなかったら、解析はないんですよ。問題があったでしょう。だから、問題があったということを、問題があったけれども、それは誰の責任だと言っているわけじゃないんですよ。誰の責任だと言っているわけじゃないんですよ。ぜひ、それは、課題があったんだということだけはちゃんと認めていただかないとスタートしませんよ。

脇田政府参考人 どのような問題があったかも含めて、今後検証をしてまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 問題があったかも含め、問題があったんだと私は思います。

 大臣はどういう所見ですか。やはり課題があったんじゃないんですか、これは。そういう意味では、隔離について課題があったということをしっかり大臣に御発言いただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず一つ、今の感染研の所長の御答弁を踏まえながら、やはり、乗客、乗組員、あるいは私どものスタッフ、それぞれリスクの状況は違った。それぞれグループが違っているわけです。活動している範囲も違っていますから、それはそれぞれ別々に考えていかなきゃいけない。

 そういう意味で、乗客については、感染研等が分析していただいたいわゆるエピカーブというやつですね、それを分析して、いわゆる感染防止策が有効に機能していた、そういう前提で私たちはやらせていただきました。

 ただ、先般、栃木で、下船後、陽性の方がおりましたから、その事実は私どもは重く受けとめていかなきゃならないと思っていますし、そういった点も含めて、もちろん、事後的な検証、これだけじゃありません、全てについて今回の件についてはオープンにして、検証を受けていかなきゃいけないとは思っています。

岡本(充)分科員 まさにその話も聞こうと思いました。

 海外では、オーストラリア、イスラエルなどで、陰性だといって、陰性の方だけを集めて航空機で移送したら、本国に帰ったら陽性だったという報道がありました。だから先ほど言ったんです、感染研の検査方法と多分違うはずです。したがって、PCR、プライマーが違うのかわかりません、何が違うか知りませんけれども、何か違うんだと思います。

 だから、先ほどからお話をしているように、感染研では陽性と確認できない、そういうケースだったのか、これは一つ考えられる。それからもう一つは、やはり船内で、日本で陰性と確認した後にこの乗客は感染してしまったのか。このどちらかしかあり得ないんじゃないんですか、所長。所長に聞いています、科学的に。このどちらかしかないんじゃないんですか。

脇田政府参考人 我々としましては、感染研の検査とどのような違いがある検査法なのかということに関しては承知をしていないということになります。

 検査感度に関しても、我々の検査法の感度については申し上げたとおりでございますが、先ほども言いましたとおり、発症者の経過によって検出される時期が違うということもあると思います。

加藤国務大臣 国によって乗せられた方の特質が違って、例えばアメリカは、陰性と我々が判定した人に加えて、わからない方、それから途中でもう、乗ったときに陽性だということを申し上げた方、そういったいろいろな集団があるんですね。イスラエルについていえば、もともと濃厚接触者の方も乗せていますので、そこはよく分析をしていかなきゃいけないというふうに思います。

岡本(充)分科員 だから、そこも聞きたいところなんですよ。濃厚接触者で、症状がなければ日本は検査しないんですよ、基本的に。そういうことですよね。感染が確定された方と濃厚接触があったというだけでは検査の対象にならないんです。柔軟に判断してくださいという範疇には入るかもしれないけれども、感染が確定した方と濃厚接触をしただけの方、症状がない方は必ずしも検査対象じゃないんですよね。

 これがやはり……(加藤国務大臣「一般にね」と呼ぶ)ええ、一般論としてそうですよね。だから、そういう意味でいったらそこは検査対象じゃないし、そういう意味でいうと、今回、なぜ、日本で陰性だと一旦判断をされて、飛行機に乗ってオーストラリアに帰ったら陽性になったか。この二つしかないんじゃないか。

 今言ったように、日本の検査の感度、いや、時期が違うと言うけれども、だって、感染するチャンスが、本当にコンプリートに隔離されていたら感染する機会はないわけですから、ウイルス量が少なかったということであれば、いずれにしても、感染研で検査をしたときには本当はウイルスの遺伝子があったはずだけれどもディテクトできなかったというパターンが一つ。それからもう一つは、やはり隔離が完璧にできていなかった、この可能性がもう一つ。

 この二つ以外にないんじゃないかということを科学的に聞いているんです。これ以外にあるのなら教えてください。ないのなら、これしかないと言ってください。

脇田政府参考人 先ほど大臣がおっしゃったとおり、エピカーブを分析しますと、乗客の隔離に関しては適切に行われていたと我々は判断しております。その上で、新たに乗客の方から感染が起きました事例については、詳細に船内での行動等をしっかりと解析をしていく必要があるというふうに考えております。

 何分、新型コロナウイルス感染症、まだ、一月から我々も症例を確認しているところですから、これから更にこの感染症に関して解明をしていかなければいけないというふうに考えております。

岡本(充)分科員 所長、役所的な答弁ですよ。せっかく来ていただいているんだから、この二つの考え以外にあるんですかということを聞いているんですから、ほかの理由があるのであれば教えてくださいと言っているんです。エピカーブの話を聞いているんじゃないです。この二つ以外のルートがあり得ますか、こう聞いているんです。いやいや、所長に科学的に聞いているんです。

脇田政府参考人 今お答えしましたとおり、まだ、この新型コロナウイルス感染症に関しましては、完全に感染経路あるいは潜伏期間等につきまして解明されているわけではございません。ですから、現時点で知り得る限りの適切な対応をしているということになります。したがいまして、そういった例外的な症例もきちんと解析をして、今後の対策につなげるべきと考えます。

岡本(充)分科員 こうやって答えてもらえないところが、本当に僕は不信感を生んでいると思いますよ。だって、二つ以外にあるのなら教えてください、この二つの考え方なのか、どちらなんですかと言ったら、わからないことが多いんですと。それは、わからないことが多いんですと話をすりかえているんですよ。やはり、それ以外のことがあるのなら、科学的にこういうことがあり得ると。

 いろいろな感染経路があるかもしれない。この間もエアロゾル感染のお話をしましたけれども、いろいろな感染経路があって、知らない感染経路があるかもしれない。だとすれば、やはり隔離が完璧にできていなかったということに帰結するわけですよ。わからなかったから、この隔離でいいと思ったけれども、ほかの感染経路があって、極端な話、空気感染するということを知らなくて、実は空気感染するんですと後からわかるかもしれません。そうしたら、それは、確かにそのときはわからなかったですよね、そういう結論になるかもしれないけれども、その場合は、やはり隔離が十分できていなかったという結論になるわけですから。

 やはり、そういう意味で、私は、先ほど言った、この二つのどちらかですかと言ったときに、これ以外のことがあり得るんですということであればそれは教えていただきたいし、ないんですというのならそれまでの話だということを言ったんです。いや、大臣、科学的な話ですから。いやいや、科学的な事実関係を聞いているので。

 やはり、ここを隠していくのは僕は本当によくないと思いますよ。ちゃんと素直に、やはり船の中でいろいろうまくいっていないことがあったと。したがって、繰り返し僕は言っていますけれども、自宅にいてくださいということをもっと強く言う、若しくは、今からでもこの施設で受け入れますから来てくださいと呼びかける、これをやるべきじゃないかと私は思っているんです。どうですか、大臣。

加藤国務大臣 いや、まず委員の御質問の前提が、もともと全ての人が我々の下船対象者だったということが前提になっているんですが、オーストラリアの場合はそうではないんですね。例えば、乗組員の方も一緒に行かれている、濃厚接触者の方が行かれている、あるいは未判定で、後で、積んだ後に陽性になった方も一緒に行かれている、それから、残念ながら、私どもがPCR検査を本来すべきときにやっていない、こういう方もいらっしゃるんですね。

 したがって、そんな、いろいろな方がいらっしゃって連れていかれたわけですから、これ自体が陰性グループとは言いがたいという部分も一方であるんだろうと思います。ただ、ここは断定的なことは言えませんから、そこは、委員御指摘のように、しっかり個人情報もいただきながら、これは検証していかなきゃいけないというふうに思っています。

岡本(充)分科員 大臣、それは、飛行機の中といったって、オーストラリアまで何時間かかるか知りませんよ。車も含めて、十二時間ぐらい。それで、そこで感染したと言われたいのかもしれないけれども、普通に考えれば、感染して、本当に接触して十二時間でPCRで陽性になるか。よっぽどのウイルス量を出している、そういう患者さんと一緒になったというのなら別でしょうけれども、今言われた程度の、症状があるかないかぐらいの方、陽性だけれどもという方を連れていって、十二時間で陽性になるということはなかなかないんだと思いますよ。

 だから、私はこの議論で時間を使いたくないんです。現に栃木で陽性になった方がいるということを踏まえると、やはり隔離がうまくいっていなかったんじゃないかと私は疑念を持っているんです。素直にここは、隔離がうまくいっていなかったから、皆さん、どうか自宅から出ないように、そしてなおかつ家庭内でも家族の方と離れて暮らしてもらうなど、それが難しければ来てください、ここで用意していますと言うべきじゃないかということを聞いているんです。どうですか。

加藤国務大臣 それは、委員御指摘のように、栃木の方が出られましたので、我々も、これまで定期的にと申し上げておりましたけれども、毎日フォローアップを、これは地域の保健所の御協力もいただきながら、かけながら、そして、それぞれの方に対しては、毎日検温やさまざまな体調をいただく、不要不急の外出は避けていただく、こういうことを改めてお願いしているところでありますけれども、更にそうしたお願いをしっかりやっていきたいと思います。

 加えて、自分としてぜひ自宅じゃなくてどこかにということがあれば、既に和光のところにはいろいろな方に入ってきていただいていますから、そういったところも確保して、そういう御希望があればそういった対応も考えていきたいと思っています。

岡本(充)分科員 この前、委員会で、議事録が残る形で、御要望の方がいらっしゃると言いました。十四日間、一日、二日じゃないんです。いたいという方、じゃ、今なら対応してもらえるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今、私どもにも具体的な、ある方と言いますけれども、お話がありますので、今そちらの、和光の方と連絡をとって受け入れていただくという話をほぼしておりますので、それを踏まえてその方と話をしていきたい。

 ただ、その方が、先生の言っているその方と一緒か、ちょっとそこは確認させていただきたい……(岡本(充)分科員「ほかの方でもやっていただける」と呼ぶ)もちろんそうです。

岡本(充)分科員 ぜひ、それは広く言っていただきたい。やはり、自宅で不安だという方に、どうぞお越しくださいと、広く、ぜひ周知していただけますか。今、重要なことを言っていただいたんです。ぜひ、周知のほどをよろしくお願いします。

加藤国務大臣 どういう形で周知するかはあると思いますけれども、フォローアップをさせていただいておりますから、そういう中を含めて考えていきたいと思います。

岡本(充)分科員 そのフォローアップを聞きたいんですけれども。きのうの時点でまとめてくれという話をしましたけれども、症状があった方、連絡がとれない方、現時点ではいらっしゃらないということでよろしいですか。

加藤国務大臣 現在、下船をされて、今我々がフォローアップをしている方が八百六十。これは二月二十四日の二十三時時点でありますけれども、これは逐次ふえていく数字であります。八百五十七人ということであります。

 そのうち、全員に連絡をとって、回答があったというふうに我々のところに現時点で来ているものが七百八十二人であります。そのうち発熱等の症状があると言われている方が二十八人おられますが、そのうち、受診をする、あるいは予定の方は七名というふうに承知をしております。現在、PCRをかけて陰性の方が三名、陽性の方が栃木県の方、それから一名は今かけている最中と聞いております。あと二名は、きょうは二十五日ですよね、きょう受診をするというふうに聞いています。

岡本(充)分科員 大変重要な話ですね。現時点で二十八人の人が熱がある。なぜPCRをかけないんですか、残りの二十一人は。どういう理由で、熱があるのに受診もせず、PCRもかけないんでしょうか。

加藤国務大臣 これは、それぞれの保健所がいろいろお話をしている中で、それぞれの判断というか、保健所と相談をした中で七人が受診をされるというふうに承知をしております。

岡本(充)分科員 もう一つ確認させてください。これも通告していますから。下船された方の中で、先ほど話がありました濃厚接触、感染が確定した方と濃厚接触があったけれども、症状がないから再検査せずに下船をした方は何人いるんですか。

 いいですか。新型コロナ陽性と確定をした、その人と例えば同室だった、何らかの形で濃厚接触があった、だけれども、かつて一回PCRで陰性だったがゆえに二回目の検査をせずに、症状もないので下船をした方というのは、この八百五十七人のうち何人いるんですか。

加藤国務大臣 濃厚接触した、いわゆる同室の方が陽性反応になって、その方は病院に行かれます。病院に行かれた後、私どもの判断では、二十四時間たってから十四日間という算定を、これは感染症の専門家と指定させていただいています。そして、その間にはPCR検査をしていただくことにしています。

岡本(充)分科員 ということは、今おりている方で、症状がないけれども、濃厚接触、新型コロナ陽性と診断され、その方と濃厚接触があったけれども無症状の方、この方はおりていないという理解でいいですね。

後藤主査 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤主査 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 さっきの説明と一緒になりますけれども、いわゆる陽性の者と離脱して二十四時間あけてから十四日間の間のどこかでPCR検査を必ず実施をし、そこで陰性であり、しかもこの十四日間健康に変調がない方は、和光に行かれて、今、逐次退所というんですかね、していただいているということであります。

岡本(充)分科員 それが何人いらっしゃるかと聞いているんです。

後藤主査 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤主査 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 済みません、下船のときに、要するに和光から出た人の数は把握しているはずなんですが、下船のときはもう既に二日、三日たっておりましたから、そこで直接おりられた濃厚接触者の方も下船の数字の中に入り込んでいるので、ちょっとそこが仕分ができていないので、早急に調べて、御報告をさせていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 ちゃんと議事録が残る形で私は残したかったんですが、出ていないのなら仕方ありません。これは繰り返し私は聞いているんですよね。

 どうでしょう、この三連休がどんな感じだったかというのは、検査の状況は、全部動いていたかどうかわかりましたか。

加藤国務大臣 動いていたかどうかはちょっと別として、実施をしていたというところで押さえていますけれども、二月二十二日で少なくとも二十八の地衛研、二十三日は少なくとも二十六。済みません、二十四日はちょっと今把握しておりません。

岡本(充)分科員 動いていなかったのは、じゃ、四十前後動いていなかった、こういう理解でいいですか。

加藤国務大臣 今のは手元に報告が来たベースでありますので、それで少なくとも申し上げました。もしかしたら、まだ報告が来ていなくて、実態はやっているところがあるのかもしれません。

岡本(充)分科員 およそ半分の衛生研が動いていたかどうかわからない、こういう状況になっているというのは私は大変驚きました。

 そもそも、PCR検査、三千八百できると言っていますけれども、一日にやっている検査はそれより桁が一つ少ない。数百とは言いませんけれども、千前後だ、こういう理解ですよね。どうですか。

加藤国務大臣 今の委員の御指摘は、全国というと、いっとき、クルーズ船のやつはかなりやっているので、それを除くということで考えると、若干、この中に、地衛研レベルでしかありませんけれども、先ほど申し上げた二月の二十日、これが一番報告した数字の中では多かった。これは六百九件という数字が上がっています。

岡本(充)分科員 つまり、本当に、もっとたくさんやってほしいという声が上がっていて、くどいようですけれども、前回私が質問したときにも随分言ったはずです、いろいろな工夫をするべきだと。いやいや、契約をするのは民間の衛生検査所と契約するんだ、できるんだ、できそうだ、こういう話をしているけれども、じゃ、民間で今一体どれだけできているんですか。通告していないから、答えられるのならどうぞ。

加藤国務大臣 従前、約三千八百という数字を申し上げさせていただきました。

 あの後、約百の医療機関から自分のところでやりたいというお話があって、そこには、検査キット、平均すると二百五十回分、とりあえず試薬を送らせていただいて、今、逐次やれる状況をつくっています。

 それから、検査会社も十を超えるところからやりたいというお話があるので、そこにも検査試薬を送らせていただいて、そこでやれるよというような状況になっていますので、それぞれ、やれるよという報告があれば、それも含めて、検査体制の中に組み込んでいきたいと思っています。

岡本(充)分科員 未来形なんですよ。ここまでできましたというのをやはり早くやらなきゃいけないし、何がネックになっているかわかりません、正直言って、国民から見て。

 じゃ、加藤大臣、最後に、何がネックでPCR検査の数がふえないと認識をされているのか、それだけ聞いて、終わりたいと思います。

加藤国務大臣 これは、もともと新型コロナウイルスのPCRが確立していなかったところから、感染研が一つのやり方を確立をし、そして、それをそれぞれ、地衛研、検疫所、逐次拡大をし、それから民間においても、基本的にPCRはできるベースは持っていますから、新型コロナウイルスについての対応を逐次お願いをしているということで、まさに新しいウイルスでありますから、ちゃんと検出できる、その精度を上げる作業にそれぞれ時間がかかっているというふうに認識をしています。

岡本(充)分科員 時間ですから終わりますけれども、つまり、だから、精度がネックなんです。だから、それをちゃんと感染研で公表するべきだと繰り返し申し述べていますけれども、お話を申し上げて、きょうは時間ですから、終わります。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 西村智奈美です。

 新型コロナウイルス感染症対策について質問させていただきます。

 大臣、それから脇田所長、連日お疲れさまでございます。しかし、国民の間には言い知れぬ不安が広がっております。その理由の一つは、私はやはり政府の情報発信、ここにあると思っております。わからないならわからないなりにリスクコミュニケーションをとるというのは非常に大事なことだと思っておりますし、また、政府として、エビデンスに基づいた議論をきちんとしているんだということを国民に明らかにしてもらいたい。

 国民の皆さんは、実は薄々気づいておられることがあるんです。本当はこうなんじゃないかというふうに思っていることを、ずばりと政府の方から情報発信がないがゆえにますます不安になって、そして、感染をした人たちへの排除といいますか、差別までも生んでしまうようなことになってしまっている。これは大変ゆゆしきことだというふうに思っておりますので、本日、私は、本当はこうじゃないかというふうに国民が素朴に思っていることに対して、明確に政府の方から答弁をいただきたいというふうに思っております。

 まず冒頭、加藤大臣にお伺いしますけれども、先ほど、冒頭申し上げたエビデンスに基づいた情報発信、これが重要であるということは大臣は認識として持っておられますか。

加藤国務大臣 エビデンスに基づいた分析、そして専門家による分析、それを専門家の方から発信をしていただく、あるいは専門家会議で確認をして発信をしていただく、これは非常に大事だと思っていますし、加えて、さまざまな発生をしたことについて、私どもはできる限り速やかに、どういう事象であっても国民の皆さんにお知らせすべく努力をさせていただいているところではありますが、今委員から、さまざまな不安がある、リスクコミュニケーションの仕方の問題、いろいろ御指摘をいただいておりますので、その辺はしっかり踏まえながら今後対応させていただきたいと思います。

西村(智)分科員 その点で確認をさせていただきたいのが、先ほど岡本委員からも質問のあった、クルーズ船での対応についてであります。

 二月十五日に、専門家会合の第一回目が開催されました。十九日に二回目が開催されました。いずれも、大臣と脇田先生、お二人で記者会見をされておられるんですけれども、十五日の専門家会合の後で、脇田座長の方からは、船内の感染管理は十分にできていたという判断をこの会議でも判断したというふうに述べておられるんです。

 しかし、先ほど来ありますように、下船をした人の中から国内でも感染者が出ているし、先ほど、国外に帰国された皆さんについてはカテゴリーがごちゃごちゃになっている可能性もあるというふうに大臣からは答弁がありましたけれども、実際に、オーストラリア、イスラエルだけじゃなくて、アメリカ、それからイギリスとアイルランドですか、そのほかにもあるのかもしれませんけれども、そういったところからの感染者が出ているということからすると、船内で感染管理が十分に行われていたのは本当なのかなというふうに、国民の皆さんはまずそこを疑うわけなんです。

 これはシンプルにお伺いしますけれども、検疫中の船の中でやはり感染が起きていたというふうに見るのが相当ではないかというふうに思うんですけれども、脇田座長にお伺いをいたします。

脇田政府参考人 お答えさせていただきます。

 クルーズ船の乗客の方々につきましては、症状のある感染者数を発症日ごとに確認をしております。それはエピカーブと申しますけれども、それを確認いたしまして、二月の一日に最初の患者さんの報告があり、そして二月五日以降に隔離をされたということになっております。二月五日以降、感染拡大防止の措置が適切にとられて、二月七日に発症者のピークになったわけですけれども、徐々に発症者が減少しているという事実から、船内における乗客の隔離が有効に行われているということを確認をさせていただいております。このことから、検疫中の船内において乗客の中で感染が拡大していたということは断言はできないというふうに判断をしております。

 もちろん、発症した方と同室の乗客の方、それから乗務員の方におきましては船内での感染があったという状況は我々としても判断をしているところですけれども、新たに発生をした患者さんにつきましては、船内での行動などの状況を調査して、感染経路については今後検討する必要があるというふうに考えております。

西村(智)分科員 WHOがこういうふうに述べています、船内で予想以上に感染が広がったことは明らかである。米国のCDCは、日本政府の検疫は、公衆衛生上の効果はあったが、船内で感染を防ぐには不十分であったというふうに述べております。

 こういうふうに見ますと、船内で二月の五日以降、感染のピークが去ってからも、感染がなかったという立場に立っているのは日本政府だけではないかというふうに思うんですけれども、この点、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 その辺も、どのくらいが、要するに、二月五日以前に感染があったのか。委員御承知のように、感染と、発症と、そして実際にPCRの結果が出るまで、これはかなり時間差があります。したがって、そういった分析もこれからしていただかなきゃならないと思います。

 ただ、今、脇田所長からもお話がありました、乗客というグループについてどうだったのか、乗員というグループについてはどうだったのか、あるいは後から入った政府職員がどうだったのか、これはそれぞれ違っていると思いますし、実際、同室の方、いわゆる濃厚接触者については、もちろんその後も残念ながら同じ部屋におられましたから、その感染が出てきた。あるいはクルーについては、特に、同室のみならず、トイレやシャワールームも一緒だったということもありますから、そこで拡大してきた。そういった事実は少なくともあるというふうには認識しています。

西村(智)分科員 大変申しわけないんですけれども、今の大臣の答弁は大変言いわけのように聞こえます。

 つまり、私が聞いているのは、検疫中の船内で感染が起きていたということではないか、あるいは大臣はそれについてどう思うかということなんです。

 乗客と乗員を分けて、そちらの方でカテゴライズしているのはわかりました。ということは、乗客は感染の防止はできたけれども、乗員は防げなかったと認めているということですか。あるいは、同室の人については起こっていたかもしれないということは、これはやはり感染管理ということについては十分できていなかったというふうに政府あるいは専門家会合の方から率直に認めてもらうことが、国民とのリスクコミュニケーションを成り立たせる第一歩だというふうに私は思うんですよ。だって、今、大臣も言葉をちょっとかえて答弁されたんだけれども、WHOとアメリカのCDCは、感染が広がった、そして感染を防ぐには不十分だったというふうに言っているんです。

 脇田座長、いかがお考えですか、この点について。感染の拡大は防げなかった、感染の管理は十分にできていたけれどもその効果を十分に上げられなかったということなのか、それとも、十分に感染管理もできていて、そして感染も広がっていなかったということなのか。わかりやすく、国民の皆さんにわかるように答弁してください。

脇田政府参考人 船内の感染管理の認識におきましては、二月十九日に開催されました専門家会議におきまして、厚生労働省及び船内の活動にかかわった構成員の方々から、船内の区域管理の実施、医療従事者の感染防御、感染症の専門家が常駐していることなど、船内の感染管理の状況について御報告をいただきました。その上で、専門家会議として見解を取りまとめて、船内での感染管理は適切にできていたということを判断いたしたところでございます。

 ですから、座長としての観点からいいますと、その見解については適切な議論の上で取りまとめられたというものでございます。

加藤国務大臣 そこは、先ほど申し上げていますように、乗客の中でも、濃厚接触者等を外した中で、私どもは、先ほどの脇田所長の分析をして、そうした一定の要件がある者については下船をしても大丈夫だという判断、下船をしていただくという判断をしたわけでありますけれども、ただ、委員御指摘のように、確かに、同室者において拡大をしていく、同室者の範囲をちょっと超えますがクルーの中に拡大していた、これは私どもは事実だというふうに認識をしております。

 ただ、そこは既に、船の中での隔離をしなきゃいけない、あるいは船の中での拡大防止という選択をせざるを得ない中において、その可能性はもちろん一定程度認識をしながら、今回の感染拡大防止をとらせていただいたということではあります。

西村(智)分科員 二月の十五日以降、船の中で仕事をした厚労省の職員も感染しております。ですので、感染の可能性があるということを認識しながらというふうに大臣はおっしゃるのではなくて、やはり船の中で検疫中に感染の可能性はあったと認めてほしいんですが、大臣、もう一回だけ答弁してください。

加藤国務大臣 それは当然、後から陽性者が出ていますし、そして陽性者に対応しているというわけでありますから、そうした者とおられる、あるいはそうした方を例えば診察する、あるいはそうした方を搬送する、そういった段階においては感染の可能性があったことは間違いない事実だと思います。

西村(智)分科員 次に、この船は下船が始まっていて、今千人ほど船内に残っているということなんですけれども、私は、やはり、この史上最大の船舶検疫というのは失敗したという認識に立った上で、今後の取組を進めるべきだというふうに思います。

 ですので、今も乗組員の方は千人ぐらい残っていらっしゃるということですけれども、この方々に対してもきちんとした感染防止をやっていただきたいということと同時に、下船した方々へのフォローアップを強化するというふうに、先日、大臣は会見でしたかで述べておられました。どういった方々を対象に、何人を対象に、どういう体制で行うのか、教えていただけませんでしょうか。

 今でさえ、恐らく、検疫関係の、あるいは健康局関係の厚労省の職員、リソースは大分船内にとられていたんだというふうに思います。そのフォローアップ、今後は、検査とあわせて、治療とそれから予防、こういったところに人間を割いていってもらいたいというふうに思うんですけれども、どういう体制でこれを行うことになりますか。

加藤国務大臣 下船されて国内におられる方、これが今、私ども、二月二十四日二十三時時点では八百五十七名と把握をしておりますけれども、そうした方に対するフォローアップ、これは基本的に、保健所を通じてこのフォローアップ体制というのをこれまでもしいてきているところであります。それにのっとって、それぞれの保健所、大変御負担をおかけしておりますけれども、そちらの方からチェックをしていく。また、それに当たっては、各都道府県とも情報を共有しながらやらせていただきたいというふうに思います。

 それから、委員御指摘のように、確かにこの間、厚労省全体としても、クルーズ船の対応に相当なマンパワーを、あるいはエネルギーを注いでまいりました。それから、実際問題、東京や横浜の病院においても、かなりその受入れをしていただいておりますから、その分だけ埋まっているという事実があります。

 その辺も踏まえながら、まさにこれから国内の発生というものが、大変重要な分かれ目に来ているというふうに申し上げておりますけれども、これから増加するということも想定しながら、体制をしっかりと組み直していきたいと思っています。

西村(智)分科員 それで、もともとのところを考えますと、やはり、あのクルーズ船をなぜ横浜港にとめ置いて、船内で検疫をするという判断をしたのか、ここのところにどうしても戻らざるを得ません。もっと別の選択肢があったはずです。

 それを、例えば船外におろして検疫するとか、各国に協力をお願いするとかいうことで、いろいろあったと思うんですけれども、どういう分析をして、どういう検討をして、その経過をきちんと教えていただきたいんですが、その結果として船内で検疫をするという判断になったのか。これは大臣が一番よく御存じのはずです。

加藤国務大臣 当面は、二月の五日に既にPCR検査をした中から陽性が出てきた、したがって、もともと香港で、乗船された方が陽性反応を示したということから全部スタートしているわけでありますけれども、一定程度感染のおそれがあるということで、私ども、臨船の検疫を更に強めていったということであります。当初は着岸することもできませんでしたけれども、その後、着岸ができるようになる、あるいは、一定程度外洋に行かなきゃいけないという事情を行かなくて済むような状況にしながら対応させてきていただいた、こういう流れであります。

 その中で、今委員御指摘のように、海外の話もありました。例えばアメリカが、しかし、今の中でやるのが適切だという判断が途中で下されていることは委員も御承知のところだと思います。それから同時に、では、我が国でこれだけの、三千七百人の方を一人一人管理できる場所があるかというと、残念ながらそういう施設もありません。それから、そうした状況の中で、最終的に、このクルーズ船の中で、必ずしも条件はよくないわけでありますけれども、一定の管理をしていかなければならないという判断の中で対応させていただいた、こういう経緯であります。

西村(智)分科員 それについて私も反論はありますけれども、きょうは時間も限られておりますので、また次のときにぜひ質問をさせていただきたいと思います。

 次に、PCR検査について伺いたいと思います。

 午前中も山井委員から質問がありました。三十七・五度以上が四日続いたら相談をしてください、その相談で、都道府県の判断によってPCR検査が受けられる。実際のところは、一日わずか数十件程度しかPCR検査が行われていない。

 しかし、これは大臣も会見等で述べておられますけれども、私が聞いたのは三千五百、四千近い数字の一日のPCR検査の可能数があるということなんですけれども、三千五百件可能だと言う割には、一日当たり数十件しか行われていないというのは、極めて規模が小さいと思います。

 三十七・五度以上で四日以上というのと、それから、妊婦さんは早目に相談してくださいというふうな相談の目安というのが出されましたから、恐らく各地の相談ダイヤルはパンク状態じゃないかと思うんです、なかなかかからない。そういう中で、かかったとしても、なかなか検査を受けさせてもらえないという状況にあるんじゃないかというふうに私は思っております。

 まず、この三千五百件の数字なんですけれども、これの根拠は一体何でしょうか。ここに民間に依頼できる部分というのが含まれているかどうか、それをお答えください。

加藤国務大臣 三千八百と申し上げた中には、国立感染研が四百、検疫所というのが羽田、成田、横浜等十三カ所ありますが、そこで五百八十件、いわば公的機関で九百八十件。地方の衛生研究所で、今、八十三カ所中七十四カ所で体制ができているということで、約千八百件。民間検査会社が五社で九百件。大学で、これは二大学で百五十件というのが、これまで説明させていただいたところであります。

 その後、現在、医学部の附属病院等で百カ所から検査を行いたいというお話がありますので、感染研から、まず、必要な試薬等のセット、これを送らせていただいているところであります。また、民間検査機関からも、十社を超えるところからお話がありますので、そういうところにも検査キットを送らせていただいて、まずは試しといいますか、やれる体制をつくっていただいて、やれるところから逐次具体的な検査をやっていただきたいというふうに思っています。

西村(智)分科員 感染研の脇田所長にお伺いしますけれども、他国、海外から日本に検査キットが届けられた、それも感染研に届けられたという情報があります。この事実関係について教えてください。

脇田政府参考人 中国大使館を通しまして、中国から検査キットを受け取りました。

西村(智)分科員 今、それはどういう状況になっていますか。

脇田政府参考人 感染研におきまして性能試験を実施して、その結果を厚生労働省に報告をしたというところになります。

西村(智)分科員 大臣、その結果を受け取って、どうされますか。(加藤国務大臣「ちょっと待っていただけますか」と呼ぶ)

後藤主査 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤主査 それでは、速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 感染研からは同等というお話をいただいておりますので、あとは、もともとある供給力と中国からの輸入、これはよく調整していきたいと思っております。

 ただ、申し上げておきたいのは、今、PCR検査が、先生の認識ではなかなか進まない背景には、試薬がボトルネックになっているわけではないというふうには思います。

西村(智)分科員 簡易キットだというふうに……(発言する者あり)簡易キットではない。

 ちょっと確認させてください。届いたのは何でしょうか。

脇田政府参考人 リアルタイムPCRのキットでございます。ですので、感染研で開発をしたリアルタイムPCRキットと性能を比較して、同等性があるという判断をしました。

西村(智)分科員 検査で健康被害が出るという話は聞いたこともありませんし、ぜひ、海外のものですぐれたものは私はどんどん使っていくべきだというふうに思います。

 それとあわせてなんですけれども、やはりこの検査の件数が少な過ぎます。現に三千八百件なのに毎日百件足らずというのは、やはり人為的に抑えているんじゃないかというふうに思わざるを得ない。これをもう少しふやしていくということを考えていただけませんでしょうか。現行でいえば都道府県が必要と判断した場合にということなんですけれども、医師の判断で行うことができるようにする。

 先ほどの午前中の答弁で、保険収載できるようにというようには答弁はいただいたんですけれども、やはりその体制を早急に整えてもらいたい。そのためには、やはり相談の目安、あるいは相談センターに電話のあった方への対応等々をもう一回見直すべきじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 相談の目安は、まず診療所に行っていただくという、まさに手おくれにならないという意味もあります。それから、余り早くに来ると、逆に、いろいろな方が待合室にいて、逆の意味で感染を広げてしまうリスク、これはきのうも指摘を受けたところであります。

 そういったことを踏まえながら、ああした目安、もちろん、高齢者や基礎疾患のある方は早目早目に対応していただく。ですから、そこでまず受診をしていただく、そして、受診をしていただく中で、やはりこれは肺炎がある、新型コロナウイルスの疑いがあるということであれば今委員御指摘のようにPCR検査を受けていただく、こういう流れをつくっていく必要があるんだろうと思います。

 そのために、やはり今、先ほどちょっと申し上げましたけれども、医療機関でPCRができるようにしておくということがすごく大事なんだと思っています。したがって、この能力が一定程度立ち上がれば、一々保健所でチェックをしなくてもそこで検査をしてもらえるとか、そういったことも含めて、我々も積極的にPCR検査を進めていくべきだと思っておりますので、それに向けて、体制をより前に進めていきたいと思います。

西村(智)分科員 やはり診療所というか病院、医師のところで直接行うことができるようにするというのが、これが早急の課題だと思っておりますので、民間のところにも、ぜひ、これからも依頼を強化していっていただきたいというふうに思います。

 時間がちょっとなくなってきましたけれども、きょう、大変残念なことに、午前中、クルーズ船から下船された方のうち、四人目の死亡者が出られたということです。大変残念です。また、これは国際社会に向けても大変大きな影響が出てくることは避けられないというふうに思います。

 きょうは外務省にもお越しいただいていますけれども、各国の日本渡航に関する状況、私が聞いているところで、米国や南太平洋の島嶼国等々は危険度を上げたというふうに聞いていますけれども、ざっくり申し上げて、どういうふうになっていますか。

長岡政府参考人 お答えいたします。

 中国を始め各国、地域における新型コロナウイルス感染症の確認を受けまして、一部の国、地域の関係当局は、日本を含めて感染者が所在する国、地域への渡航の禁止、渡航の延期勧告等の呼びかけや、あるいは注意喚起を行っています。また、感染者が所在する国、地域からの渡航者の入国の制限等も行っていると承知をしております。

 これまで確認したところでは、ミクロネシア、トンガ、サモア、イスラエル、キリバス、ソロモン諸島、韓国、タイ、ブータン、バーレーン、オマーン及びパラオの十二カ国の関係当局が、日本を含め新型コロナウイルス感染症の感染者が所在する国、地域への渡航の抑制の呼びかけを行っているものと承知しております。また、米国、台湾、豪州の関係当局は、渡航の中止や渡航の延期の勧告ではなく、注意喚起を行っているというふうに承知をしております。

 これまでも外務省は、厚生労働省と協力して、東京におきまして、あるいは関係の国の大使館を通じて正確な情報発信に努めてまいりましたが、これからも引き続き、そういう点で努力をしてまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 やはり政府の方から適切に情報発信をするということが、私は国際社会に対して長い目で見れば安心を与えるということになると思いますので、ぜひ、そういう立場で大臣からお願いしたいと思います。

 あと、駆け足で質問いたします。

 治療法についてです。早急に確立をしていただきたい。これは国内外の知見を集めて、ぜひお願いしたいと思います。アメリカではエボラウイルスのお薬が効くとか、中国ではどうだとか、あと、神奈川県知事が要請したインフルエンザのお薬とかいろいろありますけれども、臨床試験を、特にこれは時間をかけないでやっていただきたい。今まで、とかく日本はそういう意味では時間がかかっておりますけれども、国の機関、例えば国際医療研究センターなどを通じて早急にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 新型コロナウイルスの治療薬になり得るのではないかと言われている中で、今、エイズで承認されているカレトラ、インフルエンザで承認されているアビガン、エボラ、これは未承認ですが、レムデシビルというのがございます。それぞれについて、観察研究というスキームで、医師が、自分の医療機関の審査を通れば、患者の同意を得てそれぞれ投与するというやり方、もう既にカレトラでも行われております。アビガンでも行われております。レムデシビルではこれから行っていくというふうに承知をしております。

 それと加えて、今委員御指摘の治験ということについては、レムデシビルについては、米国との国際共同医師主導治験というのが三月からスタートするという運びになっているというふうになっております。これは、どうしてもレムデシビルを提供していただかなきゃいけないということでもございます。

 ただ、レムデシビルそのものについての観察研究、要するに、実際に患者さんに投与して効果を見るというものは、もう既に今月からやるべく、今、段取りが進んでいるというふうに承知をしています。

西村(智)分科員 抗HIVのお薬などについては、在庫の確認もぜひお願いしたいと思っております。これから感染が拡大していくということになれば、重症者をとにかく救う、そのための取組を最大限にやっていくことが必要だというふうに思っておりますので。

 最後に、脇田所長、一点だけお伺いしたいと思います。

 先ほど、私、PCR検査の対象者について、例えば相談センターに電話のあった方だけではなくて、もっと、今出ている相談・受診の目安ですとどうしてもハードルが高くて、検査にまで行き着かないんです。今、実際に一日三千八百件可能なところを、もっとマックスのところまで全国で行われる検査の件数が近づいていけるように、もう一回この受診、検査の相談の目安を見直してもらいたいというふうに思うんですけれども、あるいは各保健所に対しての指導を見直すべきだというふうに思うんですけれども、いかがですか。

脇田政府参考人 目安につきましては、私の方から今こう変えるべきだということではないんですけれども、検査体制におきましては、今、感染研におきましても、迅速検査キットを開発しまして、できるだけ臨床の場で迅速に診断できるキットを鋭意開発をしているところでございます。

西村(智)分科員 もうそろそろ時間ですので終わりますが、やはりこの間の政府の対応は余りにも後手であったという印象を私は持っております。国民に対して、こうではないかと思っていることについて率直に話していただくこと、それが何よりも信頼確立の第一歩であるというふうに思いますが、きょうは、残念ながら、その点については明確な答弁もいただけませんでした。

 今回、基本方針、きょうのお昼に対策本部で決定されたということですけれども、ここにおいてもいま一つ、PCR検査のことについて踏み込んだ記述もありません。

 ここは与野党問わずだと思っておりますので、ぜひ、この時期を乗り切っていけるように、重要局面だという認識をしっかりと持っていただいた上で、特に菅官房長官は、二週間前に、マスクが来週はもう十分供給できるんだというふうに言われましたよ、記者会見で。ところが、一週間たっても何にも品薄状況は改善されていない。こういった発言が続くということが、やはり私はこの問題を混乱させるもとになると思っておりますので、十分、対策本部に持ち帰っていただいて、対応をとっていただきたいと申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 皆様、こんにちは。ただいまから質問を始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 私は、医師不足などの課題に苦しむ地方の医療体制の再生のために、十五歳で国会議員を目指してまいりました。現場を知らなくてはならぬと思い、医師になり、過疎地での医療にも従事をしてきました。ゆえに、地方の医療体制の再生には並々ならぬ思いがあります。これまでも予算増や医師の地域枠の増加に対しても努力をしてきましたが、まだまだ厳しい状況にありますので、本日は国会質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、愛知県東栄町の東栄医療センターについてであります。

 ここは、人口約一万人の北設楽郡唯一のベッドがあります国保直営の有床診療所です。ちなみに、北設楽郡は面積が約五百五十平方キロメートルで、静岡県境や長野県境があり、端から端まで一時間から一時間半かかります。その中で、東栄町は人口約三千人で、人口規模や財源からいっても非常に苦しいわけです。

 実は、昨年三月までは東栄病院としてやってきましたけれども、今は有床診療所になりました。さらに、二〇二二年には病床をなくさざるを得ないというふうに東栄町役場は考えているようです。

 さらに、人工透析も行っております。これは北設楽郡のみならず、静岡県の佐久間や水窪といった地域からも通ってきておられます。静岡県側にも透析医療施設がないんです。これもことしの三月で終了する予定だということです。もちろん、東栄町も代替手段として別の透析病院へ患者さんの転院を決められたり、また、通院支援なども今後あり得るでしょう。

 しかし、人工透析は、隔日で週三日、毎回四、五時間かかります。透析後は、個人差はありますが、血圧の低下によるふらつきもあり、運転を不安視される方もいらっしゃいます。そもそも、御高齢の方は車が運転できないこともあります。往復二時間かけて通わなければならないとなれば、東栄町や北設楽郡に住むこと自体が難しいと思われてしまうかもしれません。その思いは本当に筆舌に尽くしがたいものであります。地方の医療を支える国会議員として何とかしてお助けをしたいと考えております。

 地域医療計画は地方の役割かもしれませんが、過疎地医療を国としてどのように守るのか、人工透析の継続や病床確保の支援、医師や看護師などの医療従事者の確保を充実する必要がありますが、国はどのように支援を行うのか、お聞かせください。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 僻地における医療供給体制については、地域ごとの地理的条件ですとかあるいは人口構成によって異なる医療需要等を踏まえて、僻地の医療対策の総合的な企画、調整を担う僻地医療支援機構の設置、それから僻地医療拠点病院や僻地診療所の整備、また無医地区等への巡回診療などの各種対策が行われておりまして、厚生労働省としては、このような取組に対して財政支援を行っているところでございます。

 こうした中で、まず、医師養成課程を通じた医師確保対策として、大学医学部地域枠の増員について、将来時点における不足医師数を満たすために必要な医師数を都道府県知事から大学に要請を可能としていること、それから、臨床研修において、地域偏在の状況を踏まえ、都道府県別の採用上限枠数を設定すること、専門研修において、厚生労働大臣からの意見、要請を踏まえて、日本専門医療機構が都道府県、診療科別に必要な医師数に基づいた採用数の上限、シーリングを設定すること、これらのことによりまして、医師の地域偏在、診療科の偏在対策を進めているところでございます。

 看護職員についても、この不足に対して、あるいは地域の偏在について、新規の養成、復職支援、定着支援、こうしたことを通じて、医療介護総合確保基金等による支援ですとか、あるいは、看護職員の確保等の課題について、都道府県ナースセンター、地方自治体、病院団体等が連携して取り組む地域に必要な看護職員の確保推進事業、これらを推進するための財政支援などに取り組んでいるところでございます。

 厚生労働省や都道府県が協力をしながらこれらの取組を行うとともに、さらに、厚生労働省としては、都道府県が策定する医師確保計画に基づきまして、地域医療介護総合確保基金の活用等を通じて必要な支援を行い、僻地における医療の充実及び医師、看護職員の確保に取り組んでまいる所存です。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

今枝分科員 ありがとうございます。いろいろと御紹介をいただきましたし、また、地域医療介護総合確保基金については特に深くお話をいただきました。ただ、これは県で計画をつくらないといけませんし、一義的には県に対する支援であることも確認できました。県にはこれまでも申し上げてきましたけれども、より一層申し上げていきたいというふうに思っています。

 それでは、具体論として、もう一つ、僻地運営費について質問いたします。これは、僻地医療支援の予算全体の三分の二、約五十億もあります。僻地医療を支援する私としては、これまでもふやすように求めてきたところで、御尽力をいただいている関係者の皆様には感謝をしたいというふうに思います。

 この助成金において、東栄医療センターは二種僻地に当たると思います。東栄町は小さな自治体であり、申請がおくれてしまいましたけれども、私たちも十分な支援をする中で、愛知県にも御支援をいただき、結果として申請をすることができました。多少のおくれにかかわらず、僻地医療を確保する重要性から御助成をいただけませんでしょうか。御答弁ください。お願いします。

稲津副大臣 僻地運営費の助成についての御質問だと受けとめておりますが、国民健康保険の直営診療施設は、民間の医療機関の進出がなかなか期待できない地域ですとか、あるいはまた医療機関の整備が不十分な地域などにおいて、国保被保険者への保険給付を確保するために保険者が設置、運営を行うためのものでございます。

 こうした直営の診療施設に対しては、僻地運営費として、僻地に所在する国保直営診療所の不可避的な運営赤字に対し、一定の助成を行っているところでございます。

 御指摘の件につきまして、愛知県から一月二十九日に申請をいただいたところでございます。本日、議員の僻地診療施設に対する考え、また思いについてお伺いをいたしました。この愛知県の東栄医療センターにつきましては、申請自体はややおくれたものの、当方としては、僻地の医療の確保は大変重要である、このように考えておりまして、また、県からは、申請がおくれる、そうした事前の連絡もあったことから、これを受け付け、審査をしているところでございます。

 これまでに、当該施設については、半径四キロメートル以内に他の医療機関がなく、本件補助金においては二種僻地に該当すると確認がとれたところでございまして、事務方には、しっかり引継ぎをして手続を進めるよう指示をしたところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。このようなお話を受けて、わざわざしっかりとした指示を事務方にもおろしていただいて、心から感謝を申し上げます。ぜひとも御助成いただきますようにお願いをいたします。

 さて、過疎地医療を救うための方策として、もう一つ、巡回診療、移動診療車がございますが、最近は大きく進化をしつつあります。

 私は、自民党のMaaS推進議員連盟の事務局長としてこれを大いに推進をしておりますけれども、その一つとして医療MaaSというものがあります。私の選挙区に隣接をする長野県南信地域で、看護師同席の移動診療車でオンライン診療を活用するプロジェクトも始まりました。

 これらさまざまな分野でどんどんどんどん進めていって過疎地医療の支援をすべきだと思いますが、例えば、現在、東栄町で危機に瀕している透析を移動診療車内で行うことはできるのでしょうか。安全性の担保は非常に重要でありますが、腹膜透析の適用拡大を、この移動診療車内で行うことなど、過疎地の透析医療体制不足の支援をするためにさまざまなことが考えられると思いますが、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 腹膜透析を移動診療車、MaaSのオンライン診療で行うことが可能かどうかというお問合せでございますけれども、オンライン診療については、患者の通院負担の軽減ですとか、あるいは医師の少ない地方における医療の確保の観点等から、その適切な普及、推進を図っていくことが重要でございまして、オンライン診療の適切な実施に関する指針、これを策定いたしまして、診療する医師等が最低限遵守する事項、推奨される事項、その考え方を示しておりまして、医療現場における運用等を踏まえて定期的に指針の見直しを行うこととしているところでございます。

 一部の地域においては、過疎化に伴いまして人工透析のための通院の負担が増加している、こういう実情があることは承知をしているところでございます。

 御指摘の、移動巡診車内での人工透析を実施することが可能か否かということでございますけれども、これは、オンライン診療の普及状況、安全性、有効性、そうしたことに係るデータ等の収集結果などを踏まえて慎重に検討を行う必要があると考えているところでございます。

 今後、医師が少ない地域における医療の適切な確保という観点も踏まえて、必要な指針の見直しを検討し、適切なオンライン診療の普及、推進に努めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。ぜひ抜本的な支援をお願いをしたいというふうに思っています。

 ただ、このオンライン診療を活用しなくとも、例えば移動診療車内でさまざまできることはあるというふうに思います。また、例えば、診療報酬を請求できるような医療機関としてこの移動診療車が認められていくということも重要でありますし、例えば、在宅血液透析の受診をオンライン診療で行うというようなこともあり得るというふうに思います。南相馬市立総合病院で行われているようなドクター・ツー・ペーシェント・ウイズ・ドクターを進めることも非常に有効だというふうに思っています。

 現在、病院の再編、統廃合の流れがありますけれども、透析は、週三回、四、五時間という、頻回で長時間という特徴から、再編、統廃合一辺倒ではなく、地方の透析が残せるように、国からの特別な支援が必要だと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。副大臣、うなずいていただいてありがとうございます。

 それでは、新型肺炎対応でお忙しいでしょうから、副大臣はここで御退出いただいて結構でございます。まことにありがとうございます。

渡辺(博)主査代理 では、稲津厚生労働副大臣は退席願います。

今枝分科員 では、質問を続けさせていただきます。

 続いて、地域の医師不足、偏在問題について質問します。

 前自民党政権時の平成二十年にスタートをした医学部入学者の臨時定員増は、平成三十一年までに順次ふえて千十一名となりました。さらに、医学部地域枠も平成二十年に始まり、現在は九百二十七人までふえています。

 これは本当にありがたく、例えば、私の地元の蒲郡市民病院も、一時期は医師不足、医療崩壊した病院であるというふうに言われていましたけれども、昨年、八名も医師を一気にふやすことができ、医師不足から閉鎖をしていた病床も全てあけることができ、今年度は本当に久しぶりに黒字となる見込みであります。地方財政の面からも医師不足の解消は非常に重要です。

 一方で、平成三十年には、充足していない地域枠を一般枠として流用していたという、あってはならない事案もございました。これらを踏まえて、平成三十一年までの地域枠を令和二、三年度は別枠方式のみ認めることとして延長し、令和四年以降は春までに議論をして決めるということになっています。

 まだまだ地方の医師不足、偏在は本当に厳しい状況があり、地域枠を継続すべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域の医師確保につきましては、委員御指摘のように、平成二十年度から医学部の定員を、暫定的な臨時定員という形で恒久定員に上乗せして増員をしてきております。平成三十一年度には九千四百二十人ということで、過去最大規模でございます。このままいくと、長期的に供給が需要を上回るという水準でございます。

 一方で、医師数を増加させてもなお、地域偏在あるいは診療科偏在というものは解消しておりませんので、こうした観点を踏まえて、大学医学部地域枠のあり方について検討をしております。

 お尋ねの令和四年度以降の医師数につきましては、医師の働き方改革の推進に関する検討会で今議論をしております働き方改革の結論、医師偏在対策の状況等を踏まえまして、再度医師の需給推計を行った上で検討を行うということにしております。都道府県の実情に留意しながら、地域枠のあり方も含めて議論をしてまいりたいというふうに思っております。

今枝分科員 ありがとうございます。ぜひ、地域の医師不足、偏在の大きさを鑑みて、今後も継続すべきと改めて強く申し上げておきたいというふうに思いますので、よろしく御検討のほどをお願い申し上げます。

 また、今回、その基礎となる調査をいろいろとしていらっしゃると思いますけれども、実は抜けがあります。初期研修後、どの都道府県に残ったかは検証されていますが、その後、都道府県内の医師不足の医療圏、そういった地域で勤務しているかについては実は検証されておりません。

 地域枠の医師がいつ、どのように専門性を磨き、いつ医師不足地域に行くかについて決めるキャリア形成プログラムも、これまで作成していない都道府県が存在したことから、全国でことし三月までにつくることになっていますが、地域枠医師が医師不足の医療圏で勤務しているかをきちんと検証しながら都道府県内の偏在是正を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域枠の医師の方々につきましては、修学資金の貸与の要件において、都道府県が策定するキャリア形成プログラムに参加をして、医師が不足している地域などの医療機関に一定期間従事していただくということにしてございます。この仕組みを通じて、医師としての能力開発、向上の機会を確保していただきながら、都道府県内の医師偏在是正に貢献いただけるというふうに考えております。

 二〇二〇年度以降は、厚生労働省から発出したキャリア形成プログラムの運用指針におきまして、医師の確保を特に図るべき区域、例えば医師少数区域あるいは医師少数スポットでありますけれども、その地域の医療機関において一定期間就業するようなキャリア形成プログラムの策定を求めております。我々厚生労働省といたしましては、各都道府県の策定状況を確認しながら、医師のキャリア形成と地域の偏在対策に資するプログラムになるよう、フォローアップを行っていきたいと思います。

 また、地域枠の医師が各都道府県内のどの二次医療圏で勤務しているかにつきましても今後調査をいたしまして、よりよいキャリア形成と地域の偏在対策に資するプログラムの策定を推進できるよう、都道府県とも連携を図ってまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。きちんと検証されるということでありますので、納得をいたしました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 続いて、新型コロナウイルス肺炎対策について御質問させていただきます。

 亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げ、また、被害に遭われている方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 そしてまた、現在対策に御尽力をされている方々に心から感謝と敬意を申し上げます。特に、医療現場の関係者の方々、厚労省を始め政府、自治体、行政の皆様に敬意を申し上げたいと思います。

 そのような中でこうして国会質問をするのは心苦しいのですが、防疫体制、検査体制、医療体制、国民の皆様への情報提供など、さまざまな問題があり、どうしても質問せねばなりません。

 先日、自民党からも緊急提言をした緊急対策において、検査体制も約四倍に強化でき、専用ベッドの確保や医療提供体制の支援、ほかの抗ウイルス剤が新型コロナウイルスに効果があるという報告もあり、臨床治験を推進をしていただいております。

 さらに、キヤノンがつくられた新たな診断機器は、これまで以上の効果を発揮できる可能性があり、利用を進めるべきであります。

 また、院内感染対策とあわせて、感染拡大防止策としては、肺炎かなと思った方が、通常の医療機関ではなく、指定医療機関に確実に受診をしてもらうということも重要だと思っております。そのための相談体制の整備が必要不可欠です。全ての都道府県や多くの保健所で相談体制をとってもらっておりますけれども、二十四時間体制の回線を一つでも多くふやさねばなりません。また、濃厚接触者や海外渡航歴がない人もきちんと対応できるような体制も、これから検査体制の充実も含めてしていかないといけないと思います。

 月に六億枚のマスクの超大量増産も来月をめどに進むようになりましたが、もっともっと必要でありますし、消毒液も三倍ぐらいの増産体制が今とられておりますけれども、まだまだふやさねばならないと思っています。

 医療機関への優先的な物資の支援はいいのですが、介護施設や障害者施設などへの物資支援も重要です。

 これら新型コロナウイルス肺炎対策について今後どのように対策をしていくのか、御説明をいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス対策について、全般にわたる御質問、御指摘をいただきました。私の方からは、特にその後段、物資の関係について御答弁申し上げたいと思います。

 マスクにつきましては、今委員御指摘いただきましたように、厚生労働省と経済産業省、政府一体となってメーカーに対する増産要請をいたしました。メーカー側においても、それに対応して徐々に供給量をふやしていただいている段階でございます。

 また、消毒液につきましても同様に増産要請を行い、国内生産主要各社では先月比で約一・四倍の増産予定と承知をしております。

 今後、この医療用マスク、あるいは消毒薬につきましては、各都道府県の備蓄量を調査するとともに、今御指摘いただきました中にもありました感染症指定医療機関に備蓄を振り向ける、あるいは備蓄の増強を要請するなどの対応を図ってまいりたいというふうに思っております。

 御指摘いただきましたメーカーの診断装置、例えば、国立感染症研究所とメーカーの共同で研究開発に着手しているものも出てまいりましたので、このような取組を進めながら、全体としての新型コロナウイルス対策を政府一丸となって進めさせていただきたいと思っております。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 前半についての御指摘でございますが、先日、自民党の方から提言をいただきましたのも踏まえまして、緊急対策のパッケージをまとめさせていただきまして、それをしっかり取り組んでいくということが一つ。

 それから、今般、きょうのお昼でございますが、政府の対策本部でも基本的な方針を取りまとめておりますので、それを踏まえて、今もそうですし、今後にも備えまして、検査体制、あるいは国内の医療体制、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 続きまして、今、新型コロナウイルス肺炎の全体のお話をいただいたわけでございますけれども、ちょっと一つのところに絞ったお話を聞きたいと思います。それは、急遽搬送されました藤田医科大学岡崎医療センターに関連したことでございます。

 この病院は四月に開院予定でございましたけれども、既に工事などは完了していた状態でした。岡崎市には事前連絡があったものの、近隣自治体や地元の医療、介護、福祉関係者には連絡もなく、地域の方々は不安に感じておられます。

 政府としても、緊急の取組で非常に難しい対応であったことは理解します。昼夜を問わず対応されていることも理解をいたしますので、これ以上は言いませんけれども、一点、どうしてもお願いをしたいことがあります。それは、地元住民や自治体、医療関係者からの要望に真摯に対応することであります。

 今、愛知県内ではさまざまな不安の声が上がっています。その中には、現時点ではこのウイルスの詳細な実態がわかっていないことからくる不安感も、恐怖感もあると思います。なぜ突然うちの地元に来るんだというお怒りもあると思います。ですから、医療従事者が使う感染防護用の資材などについて、地元自治体にしっかりと届けることで、地元の方々の安心につなげることが国に求められる役割だと思います。

 幸田町、岡崎市から、救急搬送に当たる隊員用の感染防御物資の支援を行うよう、厚労省に要請が上がってきています。また、近隣の医療、介護、障害者施設、学校や保育園、幼稚園なども特に心配されておられますから、民生用のアルコール消毒液、マスクといった物資も優先的に支援をしてほしいと思います。

 また、今後、消毒などを徹底的に行い、ウイルスの心配なく、四月の開院は予定どおりお願いをしたいと思います。

 政府にはしっかりと受けとめていただき、対応してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回、新型コロナウイルスの陽性でありながら症状のない方を岡崎医療センターの方に搬送させていただいております。今回のこの搬送に当たりましては、非常に急を要する中で、大学関係者、センター関係者に御決断をいただいて進めさせていただいているところでございまして、私どもとしては大変感謝を申し上げております。

 そのような中で、今委員御指摘のように、今月十九日には岡崎市から、二十日には幸田町から、厚生労働省に対して、今回の受入れに対して、先ほど委員も御指摘いただきましたような救急隊員用の防護服の確保、周辺地域におけるマスク等の優先確保、あるいは隣接する小学校児童に対する十分な説明、そして広域的な医療提供体制の構築などなど、御要望を頂戴いたしております。

 私どもとしては、今回御協力いただいております岡崎市を始めとする地元の方々からの御要望でございますので、これをしっかりと受けとめて、愛知県とも連携しながら、医療体制の確保や住民の安心の確保に全力を挙げてまいりたいと思っております。

 具体的には、これまでに救急隊員用の物資を岡崎市に向けて発送しております。今後もその他順次対応してまいりますし、その際には、幸田町など周辺地域のニーズもしっかりと把握した上で、それらの地域にも物資ができるだけ行き渡るように対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。しっかりと対応をお願い申し上げたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス肺炎の影響で、観光業、商業、また、中国とのサプライチェーンが切れた製造業、特に中小企業に大打撃が起きています。現時点で、まずは五千億円の枠で資金繰りを支援し、さらに、従業員の方に休んでもらう事態も起きておりますので、雇用調整助成金という休業補償のような支援も拡充していただいております。

 今後は、資金繰り支援だけでなく、打撃を受けた経済に対して大型の補正予算による支援も必ず必要になるでしょうから、できるだけ素早く、適正な規模で行えるように準備をせねばならないと考えています。

 特に、観光業などは、ふっこう割などの需要喚起の支援策が必要です。また、中小企業についても、資金繰り支援だけでは、長期化した場合、支援は足りません。影響が大きかった企業への支援は、震災復興と同じような真水の支援ができないものでしょうか。観光庁と中小企業庁にそれぞれお答えいただきたいと思います。お願いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のコロナウイルスの拡大に伴い、訪日中国人旅行者の大幅な減少や日本人旅行者の旅行の手控えにより、各地域の観光産業にも大きな影響が出ていると認識しております。

 こういった状況を受けまして、委員御指摘のとおり、先日、政府において取りまとめた新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策、こちらにおきまして、関係省庁と連携して、セーフティーネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援、あるいは雇用調整助成金制度の要件緩和等による雇用の確保などに取り組んでいくことが盛り込まれております。

 また、私どもの関連の地方運輸局におきまして特別相談窓口を設置し、こういった取組を御紹介するとともに、御相談があった場合には、地方の経済産業局ですとか労働局に担当者を御紹介し、支援制度の活用も含め、フォローしていくこととしております。

 また同時に、喫緊の課題への対応といたしまして、国内感染防止対策が必要でございます。宿泊事業者等に対しまして、改めてマスク着用や手洗いなどの感染予防対策の徹底を要請する。また、こういったことに加え、正確な情報発信に努めることで、風評被害の発生防止に全力を挙げてまいります。

 なお、今般の事態が我が国のインバウンドや地域の観光産業にどの程度の規模、期間にわたって影響を及ぼすことになるのか、これはしっかりと状況を見きわめていきたいと思っております。

 この状況を見きわめながら、特に、本年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される、こういった絶好の年でございます。状況を見きわめながら、適切な時期に機を捉えたプロモーションを展開するなどの取組を進めてまいります。

 いずれにいたしましても、引き続き、観光産業のニーズにしっかりと耳を傾け、対策に万全を期してまいる所存でございます。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、インバウンドが減少し、観光関連事業者に影響が生じていることに加え、製造業などのサプライチェーンへの影響に対応するため、二月十三日に政府全体で取りまとめた緊急対応策に企業活動への支援を盛り込んだところでございます。これに基づきまして、中小企業の資金繰り対策に万全を期するとともに、サプライチェーン対策につきましても、国内での生産体制の強化に向け、設備投資や販路開拓などで支援をしていくということでございます。

 具体的には、令和元年度補正予算で措置をしているものづくり補助金などにおきまして、サプライチェーンの毀損に対応するための設備投資や販路開拓等に取り組む中小企業につきまして、優先的に支援を行う予定でおります。

 これらの対策を即座に実行に移すとともに、今後とも、国内外の状況を丁寧に見きわめ、必要な対策をスピード感を持って実行してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 今後については、これからどういう状況になっていくかというところをしっかりと注視をしながらも、やはり、私は、予備費を活用しながらも、大規模な補正予算を御検討いただくことによって国民の皆様に安心をいただくということも非常に重要だと思いますので、ぜひとも今後検討をお願いをしたいというふうに思います。うなずいていただいて、ありがとうございます。

 さて、続きまして、もう時間がありませんが、簡潔にダイヤモンド・プリンセス号の感染防御についてどうしてもお聞きをせねばなりません。

 当然でありますが、感染症の専門家が当初から入って、区域管理や感染防御、船内での行動についての指導があって、その後も、いわゆるレッドゾーン、グリーンゾーンを分けるような区域管理などが適切に行われていることが重要です。船内が狭いですとか、複数の経路を確保できないとか、いろいろと難しい問題がありますけれども、できる限り行わねばならないというふうに思っております。また、この船内においての感染は、そのペースがふえているのか減っているのかは、結果として感染コントロールが適切に行われていたのかを判断する材料になると思いますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のクルーズ船の区域管理につきましては、感染症の専門家の意見も聞き、船舶という限られた空間や、担当者が定期的に交代するという現場体制の特殊性を踏まえた上で、業務を行うゾーンと検体採取等で汚染したガウン等の感染防具を脱ぐゾーンを分離して、ウイルス感染のリスクを下げているところでございます。

 また、船内の区域管理が適切に実施されているかを含め、感染制御支援チームが船内のコンサルテーション及び巡回を連日実施し、指摘された点は全てその日のうちに対応してきたところでございます。

 なお、クルーズ船の対応につきましては、専門家会議における議論では、二月五日以降、感染拡大防止の措置がとられ、徐々に発症者が減少し、現在ではほぼ感染者の発症がないという状況まで確認されており、隔離が有効に行われていることを確認したとされているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わらせていただきますが、最後、こういったことがあると、やはり病院船の検討も重要だと思いますので、私も議連をやっておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、上野宏史君。

上野分科員 上野宏史でございます。よろしくお願いいたします。

 私も、新型コロナウイルス関連について質問をさせていただきます。

 この間、厚労省を始め、政府においては、大変不確実な状況の中で、また困難な状況も伴う中で精力的に御活動いただいている、対応いただいていることに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、これまでも多くの感染症の危機がありました。今後もまた、いろいろな事情、状況というのがあるというふうに思います。今回の政府の対応について確認をさせていただいて、今後の政策対応であったり、そうしたことに資するような意味で、ぜひ確認をさせていただきたいというふうに思います。

 また、あわせて、私、地元が群馬県でありますけれども、この週末、地元に帰って地域の方々の声を多く聞いてまいりました。既に多くの経済的な影響が生じているというところでもあります。ぜひそうした面についても政府に万全の対応をお願いしたいということで、御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、新型コロナウイルスについてどのような評価を政府がされていたのかということを確認させていただきたいというふうに思います。

 これまで、感染症ということでいうと、SARSであったり、又は新型インフルエンザというものもございました。また、いわゆるインフルエンザ、今シーズン、アメリカにおいては既に一万人以上の方々が亡くなっているという状況でもございます。

 こうした多くの感染症が既にある中で、今回のこの新型コロナウイルス又はそれによる肺炎ということでありますけれども、例えば、感染のしやすさ、感染力、又は、お亡くなりになった方々もいらっしゃるわけでありますけれども、そういった危険性ということについてどのように評価をされてきたのか、まずお伺いをしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のコロナウイルスは人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスでございますが、この人に感染症を起こすコロナウイルスは六種類がこれまで知られておりましたが、委員からもございましたように、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスのほかに、通常の風邪等の重症でない症状にとどまる四種類のウイルスもあるところでございます。また、コロナウイルスで、今回がその六種類プラス一ということで、新型ということでございます。

 新型コロナウイルスと他のウイルスとの感染力や重篤性の違いについては、現時点ではなかなか、感染力とか感染可能期間等、十分な基礎データがないことから予断を持って申し上げることはできませんけれども、ただ、現時点で得られている情報ですと、例えば新型コロナウイルスの重篤性は中国でのこれまでの公表されている患者数とか死亡者数を見ますと約二%程度と推計されておりまして、SARSコロナウイルスの場合はそれが一〇%、MERSコロナウイルスの場合は約三〇%ということで、それに比べると致死性、重篤性は低いというふうに言われておりますが、高齢者とか基礎疾患を有する者は重篤になりやすいというような指摘もあるところでございます。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

上野分科員 ありがとうございます。

 まさに新型のウイルスということで、例えば潜伏期間であったり、又は感染力、また発症する前に感染するか否かといったことを含めて、なかなか見きわめが難しいということもあったのではないかなというふうに思います。なかなかその性質についても特定ができていないということでもあるというふうに思います。

 また後ほど、正確な情報発信をぜひしていただきたいという話はまた質問、御要望させていただきますけれども、ちょっと振り返って確認をさせていただきますと、一月末ぐらいから二月当初にかけて、新型コロナウイルスの関連の肺炎ということで大きな国民的な注目がまさに起きていた当初の時期でありますけれども、例えばこれは報道でありますけれども、ヒト・ヒト感染が生じる可能性について否定的な報道があったりということもございました。場合によっては、新型コロナウイルスの影響ということについて過少評価をされていた、また正確に伝わっていなかったという面もあったのではないかなというふうに思います。

 政府の方でどう捉えているのかということももちろんあるんですけれども、そういったことも含めて、これまで政府は、新型コロナウイルスの性質について把握をして、そしてその性質に基づいてどういう対応をとったらいいのかというのをるる検討してきた上で、今まで、この間政府として対応していただいたということだと思うんですけれども、この間を振り返ってみて、そうしたウイルスの性質の把握も含めて、今後の感染症対策、対応に資するという観点から振り返ってみた現時点、もちろん今現在進行中の案件ですのでなかなかお答えしにくい面もあると思うんですけれども、振り返ってみて、例えば改善点であったり、又は、こうした部分はこの先感染症対策でこう対応していくべきだ、そうした今回の経験を踏まえた何かしらの知見というか、得られた点というのがあれば、お聞きをしたいというふうに思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から大変難しい御質問をいただきましたが、今まさに対策実施中でございますので、どこがどうかというのは、もう少し時間がたってからいろいろ我々は検証していかなきゃいけないと思います。

 例えば、これまでの対策の経過で申し上げますと、中国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして、これまで政府として、一月三十一日にWHOの方で今般の事態について国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当するという宣言が出されましたが、我々としては早目に指定感染症にするということで公布させていただきまして、さらに、施行日がその後だったんですけれども、二月一日付で二類の指定感染症に繰り上げて施行するようにしたとか、あるいは二月七日からは中国湖北省を入管法に基づく入国拒否の対象にしたとか、更に加えて二月十三日からは浙江省も追加されるということで、それぞれのリスクやその地域の状況などに応じて、入管も含めて、検疫も含めて、サーベイランスの対象も含めて見直してきたという経緯がございます。

 また、更に加えまして、二月の十四日よりは、検疫法上も隔離、停留が可能とできるようにするとか、あるいは感染症法上も無症候の病原体保有者についても入院措置ができる、入院措置をしますと公費負担の対象になるわけですけれども、そういうような形で水際対策を強化してきたというような経緯がございます。

 それから、専門家会議の御議論なども踏まえまして、やはり国民の皆様にもいろいろ発信していかなきゃいけないということで、例えば、先ほどもありました、特に高齢者とか基礎疾患のある方などは確実に必要な診療が受けられるようにということで、国民の皆様にわかりやすい受診の目安というものを二月十七日に出させていただいたり、あるいは、適切な医療につながるように、帰国者・接触者相談センターを設けさせていただいて、二十四時間対応できるように都道府県にも御協力いただいたり、そこを踏まえて接触者外来につながるような形とか、それにあわせて検査体制も、かなり需要ができていますので、十分供給できるようにということで拡充に努めてきたというような経緯がございまして、それぞれ、その時点、その時点で精いっぱいの取組をしているところでございますが、こういうことにつきましても今後いろいろ検証していく必要があるんだろうとは思っております。

上野分科員 ありがとうございます。

 まさに今対応中の案件ということでもありますけれども、今回の新型コロナウイルスの対応ということをぜひしっかり踏まえて検証していただいて、恐らく今後も新たな感染症というものが発生をするリスクというのはあるんだというふうに思います。そのときに、今回の経験をしっかり踏まえて、何らか、より改善された対応ができるようにお願いをしたいというふうに思います。

 今の御答弁の中でも少し触れていただきましたけれども、入国管理についてちょっとお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 不確定要素は確かに多かったわけでありますし、危険性ということについてもなかなか判断ができないという状況もあったというふうに思います。さらには、中国の国内でどういう状況にあるのかなかなか判然としない、そういった面もあったというふうに思います。

 そうした中で、我が国は、入国の制限ということでいうと、湖北省と浙江省について入国の制限をかけているということでもあるというふうに思います。一方で、各国の状況をお聞きをすると、中国全土からの入国について、より厳格な対応をしている、より厳格な措置をとっている国も多くあるというふうに理解、承知をしています。

 これまで、政府において、日本は湖北省と浙江省ということでありますけれども、どういう議論を経て、どういう検討をされて今のこういう対応をされているのか。そのときに、さまざま、例えば制度的な、いろいろな課題もあったのではないかなというふうに思います。

 そうしたことも踏まえて、更に言うと、多くの方々から恐らくそうした声も寄せられているというふうに思うんですけれども、より厳格な、例えば中国全土からの入国を規制をすべきではないか、そうした声もいろいろな報道でも我々もお聞きをするし、また、そうした声も寄せられているところではないかなというふうに思います。

 これまでどういう検討をされてきたのか、また、今後、この先の感染拡大の状況にもよるというふうに思いますけれども、どういう対応があり得るのか、お伺いをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染が中国国内で拡大しておりまして、我が国への感染症の流入を阻止するためには包括的かつ機動的な水際対策を講じることが不可欠というふうに考えているところでございます。そこで、政府部内でいろいろ議論、検討いたしまして、先ほど御指摘のとおり、湖北省及び浙江省に滞在歴のある外国人などにつきまして上陸拒否という運用を行うようになったということでございます。

 感染拡大の状況というのは時々刻々と今変化しておりますので、どこの地域を危険地域として捉えるか、それから上陸拒否の措置の対象地域をどのように定めるかということにつきましては、これは、政府全体としましてさまざまな情報、知見に基づいて検討しまして、新型コロナウイルス感染症対策本部が公表するということになっております。

 出入国在留管理庁といたしましては、その内容を踏まえまして、今後とも弾力的な措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 先ほども少し触れましたけれども、ぜひ、今後、今回の新型コロナウイルスへの対応、さまざまなことが明らかになっていくその過程で、これまでの検討の経緯であったり、そうしたこともしっかり検証していただいて、また、まさに現在進行中の案件でありますので、今後の感染の状況に応じて、ぜひ柔軟な対応をお願いをしたいというふうに思います。

 次に、先ほども情報発信ということについてお話をさせていただきました。御答弁も少しいただきました。

 まず、今回の新型コロナウイルス対策ということでいうと、実際の感染の拡大を防ぐということがこれは当然第一であるというふうに思います。その上で、政府がどのような対応をしているのか。しっかり対応しているということであったり、又は、新型コロナウイルスの先ほど申し上げたような性質について正確な情報発信をしていくということが例えば国内においては過剰な不安を呼び起こさない、さらには風評被害を起こさないということにもつながるというふうに思いますし、さらには、諸外国に対しても日本がしっかりこの感染症対策をやっているんだというのを発信していくということは国際的な日本の信頼の確保といった観点からも大事なのではないかなというふうに思います。

 あわせて、特に当初、なかなか中国の国内の情報、状況というのが伝わってこなかった、又は正確に国民に伝えられていなかった。さらには、最近の状況で申し上げると、例えばSNSなどで、さまざまな情報、これは真偽、正しいもの又は正しくないもの、それぞれ混在していると思うんですけれども、そうしたものが非常に多く拡散をされるという状況でもありました。

 政府として正確な情報をしっかり把握をした上で、国内外に対して正確な情報と政府の対応状況というのをしっかり発信をしていく、誤った情報が伝わらないようにしていくということが大事なのではないかというふうに思うんですけれども、今後の対応方針についてお伺いをいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 情報の収集、それから発信は大変重要だというふうに考えております。

 例えば、御指摘のありました中国を含む外国の発生状況、これは、国際保健規則に基づく感染症発生国の保健当局からの通告や外務省を通じた情報収集を行っておりますし、あとは、中国の情報ということで申し上げますと、当初、御指摘のとおりですが、WHOと中国で実施した合同調査団に日本人専門家も派遣されておりまして、そういうところから入手した情報も国内に適切に発信していくということは重要だというふうに考えております。関係省庁や国立感染症研究所などを通じまして正確な情報の周知を行っているというところでございます。

 具体的には、改めて申し上げますと、厚生労働省のホームページ等を通じて周知しているとか、あるいは新型コロナウイルスに関するQアンドAをつくってアップしているとか、あるいは厚労省の方で、これは地方自治体もやっていますけれども、コールセンターを設けまして御相談を受け付けているとか、あるいは外務省さんの御協力を得まして外国のプレスとかあるいは在外公館を通じて情報を発信していくというようなこともございますし、あと、SNSの話もありましたが、これもウオッチする仕組みを厚労省の方でとっておりまして、変なというか、ちょっと誤解を与えるような情報があればそれは反論するような情報も厚労省で流していくとか、そういうような取組も進めておりますが、引き続きしっかり情報発信には努めてまいりたいと考えております。

上野分科員 ありがとうございます。ぜひ、積極的な情報発信と、誤った情報、誤解を与えるような情報が流通をしないように、役所としても、政府としても対応をお願いをしたいというふうに思います。

 政府の対応、組織についてちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、今回、厚生労働省が中心になって新型コロナウイルス対策の対応をされているということだと思います。一方で、担当の部署が結核感染症課ということだと思いますし、また、今回の対応に当たっては、省内から多くの方々がまさに担当されるということで集められているというふうにも聞いています。

 感染症はこれまでも、先ほど申し上げたように、SARSであったり、新型インフルエンザであったり、定期的に発生をするわけですし、ぜひ、そうしたときに迅速に、かつ専門性を持った方々がしっかり対応できるように、さらにはその責任をより明確にできるように、まさにこうした感染症対策の専門的な部署というのをしっかりつくった上で、より組織、人員というのを充実をさせていくということが、今後、感染症の問題、また、いつ、どういう形で発生するのかわからないわけですけれども、しっかりと対応できる体制というのを構築をしておくべきではないかというふうに思うんですけれども、政府としての見解をお伺いをいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症対策につきましては、一月二十八日に厚生労働大臣を本部長とする対策本部を設置して、全省を挙げて取り組んでいるというような仕組みでございます。これは、前の新型インフルのときもこういう同じような本部形式で、あるいは災害のときなどもこういう本部形式で、しっかり厚労省として取り組んでいく。

 体制を組むに当たっては、例えば、今回の感染症対策ですと、感染症課、健康局が中心になりながら、外は感染研とか国際医療センターはもちろんですけれども、それだけでは当然人手が十分足りないわけでございまして、省内の幅広い部局からも人員も集まっていただくということとか、他省庁にも御協力いただきまして、他省庁に出向している人にも本部に入っていただくというようなことで今回必要な人員を確保しておりまして、延べで申し上げますと、五百人規模の体制で今対応しているというような状況でございます。

 引き続き、今般の事例も検証しながら、適切に対応できるように、今後とも関係機関と連携しながら、状況に応じて必要な人員、体制を確保して、そういう体制を組むようにしてまいりたいと考えております。

上野分科員 まさに進行中の案件でもありまして、当面しっかり対応いただくということではあるというふうに思いますけれども、ぜひ、厚労省に対する行政ニーズというのも多くある中で、どういう組織又はその人員、体制が適切なのかというのをしっかり検討していただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと地元の話をさせていただきます。

 私は週末に、私は地元が群馬県なんですけれども、みなかみ町、それから渋川市、もとの伊香保町というところが合併をしているところなんですけれども、観光地が多くあるところに行ってまいりました。もう既に経済的な影響というのは多数出ていて、中国からの観光客というのはもちろんなんですけれども、台湾からのツアー客も本当に大きな規模でキャンセルが出たり、日本の方々もなかなか旅行に行ったりしなくなっている、又は大規模な会合なんかもなくなっているという状況を聞いてまいりました。

 私が聞いてきたのは本当に個別の事例であるんですけれども、例えばこういう現場の状況について政府としてどう把握をされているのか。又は、この先、この状況が仮に長引いていくとすると、日本の経済全体に対して大きな影響があり得るということだと思います。報道では、これは民間だと思いますけれども、例えばGDPの下振れ、どれだけの可能性があるというような報道も出ているというところでもあります。政府としてこうした経済への影響についてどう把握をされているのか、お伺いいたします。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 中国における新型コロナウイルスの流行が我が国経済に与える影響についての御質問でございますけれども、大きく分けて五つぐらいあるかというふうに考えております。

 まず、御指摘にもありましたけれども、インバウンドへの影響、それから二点目としては、我が国企業の中国向け輸出の減少や生産への影響、あるいは三点目としては、中国からの部品の供給が滞るなどサプライチェーンを通じた影響、四つ目として、中国経済の減速による世界経済全体の減速の影響が懸念されます。また、五点目として、先生からもちょっと御指摘ありましたけれども、消費に与える影響ということで、イベントや外出の自粛による下押しが懸念されるところでございます。

 消費につきましては、定量的な情報がまだ限られておりますけれども、例えば、百貨店各社の公表情報によりますと、二月上旬の売上高、新型コロナウイルス感染症の影響と見られる客数減によりまして、前年比でマイナス一〇%から二〇%程度の減少となっております。そのマイナス幅は一月から拡大しているところでございます。

 ヒアリングによりますと、マイナス幅拡大の要因は、インバウンド消費の減少、すなわち日本人以外の消費の減少でありますけれども、このところは日本人客数も減少傾向にあるという声も聞かれておりまして、個人消費への影響も懸念されるところでございます。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症が消費などに与える影響につきましてはしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 ぜひしっかり把握をしていただきたいということと、それに対してさまざま政府として対応いただくということをお願いをしたいと思うんですけれども、そのためにもまず現状をしっかり把握をされるということが大事だと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 その上で、こうした経済への影響、これを防ぐためには、まず何よりも、当然、感染の拡大の防止ということが必要になってくるというふうに思います。まずは全力でそこに当たっていただくということではあるというふうに思いますけれども、その上で、やはり、旅館、ホテルであったり、又は観光関係の事業、さらには小売であったり、又はそこから影響する全ての産業、中小企業を中心に多くの産業に影響が出ているというところであります。ぜひ政府としてこうした経済的な影響が生じている事業者又は業種に対して万全の支援をいただきたいというふうに思うんですけれども、対応をどうされるのか、お伺いをいたします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、新型コロナウイルスの日本経済への影響を踏まえまして、二月十三日に政府全体で緊急対策を取りまとめたところでございます。

 この中では、中小企業の資金繰り対策としまして、五千億円規模の融資、信用保証枠を確保することにより、的確に支援をしていくこととしております。また、中小企業にしわ寄せがないよう、下請取引に関する配慮要請も行っていくこととしております。また、サプライチェーン対策につきましても、国内での生産体制の強化に向け、生産、設備投資、販路開拓などの支援をしていくこととしております。

 中でも、資金繰り支援でございますけれども、中小企業の事業継続にとりまして資金繰りの確保は何より重要と認識しておりますので、二月七日には、関係省庁と連携し、官民の金融機関等に配慮要請を実施したところでございます。

 また、先ほど申し上げました緊急対策の中では、五千億円規模の融資、保証枠を確保したところでございますけれども、具体的には、信用保証協会が通常とは別枠で一〇〇%保証を行うセーフティーネット保証四号などを迅速に発動する、また、政策金融公庫のセーフティーネット貸付けの要件を緩和し、支援対象を今後の影響が懸念される事業者にまで拡大することとしたところでございます。

 これらの対策によりまして中小企業の皆様への対策に万全を期していきたいというふうに考えておりますけれども、引き続き、事業者の皆様の状況を丁寧に把握し、対応してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 繰り返しなんですけれども、まずはしっかり感染拡大の防止をしていただく、これが経済への影響を防ぐといった意味でも最も大事であるというふうに思います。その上で、あわせて、経済的な被害が現にもう生じているという状況でもあります。ぜひ、今後の状況も踏まえながら、必要に応じて本当に大胆な対策をとっていただけるようにお願いをしたいというふうに思います。

 時間が限られておりますので、最後の質問とさせていただきます。

 先ほど申し上げました、私、地元の群馬県で週末にさまざまなところに行って、この新型コロナウイルスの影響についてお話を伺ってまいりました。まだ具体的な発症者は群馬県では出ていないわけでありますけれども、そうした中でも大変な不安感を多くの方々がお持ちであります。

 自治体首長さんたちにお話を伺っても、仮に、では発症者が県内又は自分の自治体の中で発生をしたときにどう対応していくのか、さらには、事業所においても、自分の企業の中で、会社の中で発症した人が出た場合にどう対応するのか、さらには、休んでもらったときにその後の対応、事業運営をどうしていくのか、さまざまな不安があるという状況でもあります。

 ぜひ、政府として、これは厚労省を含めて今各省庁がしっかり連携をしながらやっていただいているというふうに思いますけれども、政府一丸となって、さらには各地方の自治体とも協力をしながら、しっかり連携をしながら、さらには事業者の方々に対しても明確な方針を示して、皆さん、不安があったり、又は不確実な情報の中でどう対応したらいいのかなかなか決め切れない、そうした難しい状況にもあるというふうに思います。こうしたときこそ、しっかり政府が明らかな方針を示す、そして地方とも連携をして対応していくということが大事なのではないかなというふうに思います。

 政府としての決意、今後の対応についての対応方針をお伺いをしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 新型コロナウイルスへの感染を心配される方々に対して、国や地方自治体、医療機関等が連携して対応することは極めて重要なことである、このように認識しております。

 このために、政府として、特に厚生労働省として、高齢者や基礎疾患のある方々が確実に必要な診療を受けられるよう、国民の皆様にわかりやすい相談・受診の目安等を取りまとめました。それから、イベントの開催等のあり方につきましても、専門家の方々の意見を踏まえて、国民の皆様向けのメッセージをお示しをさせていただいているところでございます。これらについて自治体宛てにも通知を行いまして、情報の共有を行ってまいりました。

 このほかにも、厚生労働省としては、これまで自治体に対して、患者等の入院や積極的疫学検査、検査実施に関する留意事項の周知を行い、また、設置、拡充に御協力をいただいている帰国者・接触者相談センターと帰国者・接触者外来についても逐次QアンドAをお示しをさせていただいているところでございます。感染症指定医療機関、保健所や衛生研究所に対し、必要な費用補助も行ってまいりました。

 その上で、本日、政府として基本方針を取りまとめ、これを発表し、さらに具体的な取組についてもお示しをさせていただいたところでございます。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、地方自治体や関係機関と連携を図りつつ、事態の推移を踏まえて、患者の皆さんが今後増加する場合も想定して、あらかじめ必要な準備を行ってまいりたい、このように考えております。

上野分科員 今、副大臣から大変心強い御答弁をいただきました。ぜひ、リーダーシップを発揮をしていただいて、そして政府一丸となって、この困難な状況に対応していただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて上野宏史君の質疑は終了いたしました。

 次に、三ッ林裕巳君。

三ッ林分科員 自由民主党の三ッ林裕巳でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、地域医療のことについてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 今、厚生労働省が、地域医療構想、医師偏在対策、医師の働き方改革等々、三位一体の改革と称し、そして、この改革に精力的に御尽力していただいていることに心から敬意を表したいと思います。

 この三位一体の改革が成功するかどうか、これが地域医療、これからの日本の医療に大きくかかわってきておりますし、私はこれが成功することを本当に強く期待しております。私も全力で応援させていただきたいと思っております。

 ただ、今なお、医師偏在に加えて診療科偏在は、地域医療を支える上で喫緊の政治課題でありまして、特に産婦人科、小児科、外科等の偏在は地域医療にとって深刻な状況であります。良質な地域医療の確保と医師偏在解消に当たって、医師のキャリアデザインに一貫性を持たせた上で、根本から医師養成課程の検証、また、働き方改革の議論、専門医制度の見直しについて、将来的な医師養成課程全体についての改革を行う必要があると私は考えております。

 そこで、質問でありますけれども、OSCEやCBTやいわゆるスチューデントドクターの制度的な位置づけについては、卒前の臨床実習をより強化していく観点からも必要だと考えています。医師養成の過程から医師偏在是正を求める議連としても要望しているところでありますけれども、政府としてどのような対応を検討しているか、お伺いしたいと思います。

 それにあわせて、きょうは令和元年六月十九日の医道審議会医師分科会の資料を提出させていただきましたので、この検討を見ると、公的な共用試験、こういったことに取り組んでいることはうかがえるんですけれども、今後どのように進んでいくのか、ぜひお答えを聞かせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただきましたように、我が国の医師の偏在を是正するに当たりましては、それぞれの養成課程、キャリアの中、それぞれの段階において是正の方策に取り組むべく、全体としての取組を進めております。

 具体的には、令和元年六月より医道審議会医師分科会において議論を行っておりまして、その中では、臨床実習前に行うCBTあるいはOSCEといった共用試験を法的に位置づけ、国家試験の受験資格とすること、あるいは、当該共用試験に合格した方が臨床実習において医行為を行うことを法的に担保する、いわゆるスチューデントドクターというものを法的に位置づけるということについても御議論をいただいているところでございます。これは医師法の規定の見直しも視野に入れた議論ということでございます。

 これまでの同分科会での審議では、卒前、卒後の一貫した教育を進めて質の高い医師を育てるためにも、共用試験やいわゆるスチューデントドクターを法的に位置づけることが必要であるとの意見がこの検討会においても多数であると私どもは認識してございます。

 医師の知識及び技能のさらなる向上に向けて、医学生の段階から基礎的な手技等の実習を通じて卒前の臨床実習をより強化していくことは重要であると考えておりますので、今後の分科会の審議を踏まえて、法制的な面も含めた必要な措置について検討を進めてまいりたいと考えてございます。

三ッ林分科員 ありがとうございます。ぜひ私はこの方向で進めていただきたいと思っております。

 ただ、さまざまな意見が出ているということも承知しております。やはり、医学生がしっかりとした人格形成、教養を身につけるべきだとか、余り技術を前倒ししてやることが本当にいいのかどうかとか、そういった意見が出ていることは承知しておりますけれども、ぜひともこの方向で進めていただきたいということ、また、二〇二四年の医師の働き方改革にしっかり間に合うようにこの仕組みをつくっていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、医師の働き方改革で兼業、副業の問題が大きな問題になっておりますけれども、労働時間を通算していくということによって、これまでは、大学病院から医師を派遣することによって地域の医療機関の宿日直、当直が支えられている現状でありますが、仮に通算する場合、どのような影響を考えられているのか、地域医療を守っていくためにどのような対応を考えているのか、お答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 現行の労働基準法第三十八条第一項におきましては、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」とされております。労働時間の規定が適用される労働者として副業を行っておられる場合には、医師につきましても労働基準法の労働時間に関する規定は通算して適用されるということになります。

 現在、労働政策審議会労働条件分科会におきまして、この兼業、副業の場合における実効性ある労働時間管理のあり方について御議論をいただいております。先月の分科会におきましては、日本医師会から、医師の働き方改革について、兼業、副業の実態も含めたヒアリングをさせていただきました。その席では、複数医療機関に勤務する医師の労働時間が通算された場合の地域医療提供体制への影響として、宿日直体制が維持困難になる、あるいは派遣医師の引揚げが起こるのではないかといった御意見を挙げていただいたところでございます。

 また、昨年九月に実施しました新たな医師の勤務実態調査におきましても兼業、副業の労働時間を含めた調査を行っており、さらに、医師の働き方改革による地域医療への影響に関しましては、大学病院へのヒアリングなどを行うことによりまして、厚生労働省としても文部科学省とも連携しながらその実態把握に努力をしております。

 日本医師会からのヒアリングで挙げられた御意見あるいは実態把握の結果というものについて今後しっかりと受けとめさせていただいて、働き方改革による地域医療への影響あるいはその対応案について、医師の働き方改革の推進に関する検討会などで更に幅広く議論を進めてまいりたいと考えてございます。

三ッ林分科員 ありがとうございます。

 そしてまた、この兼業、副業の問題は、働き方改革では、上限を超えると罰則。要するに、一生懸命、人のために、患者さんのために頑張って働いて、そして働き過ぎたら罰則があるという。これは、ぜひ、罰則がかからないような仕組み、そしてまた医師の健康確保をしっかりと担保できるような、そういった仕組みにしていただきたいと思いますし、ぜひとも丁寧な対応をお願いしたいと思います。二〇二四年ですから、ぜひそれまでに、さまざまな地域医療を担っている関係の方が納得できるような、そういった対策をお願いしたいと思います。

 次の質問です。

 また医師の働き方改革なんですけれども、今回、令和二年度予算案において、消費税を活用した地域医療総合確保基金と診療報酬による対応をして、救急病院に対する医師の働き方改革支援をされていく予定でありますけれども、対応の狙いや対象医療機関、こういった考え方はどうなっているのか、ちょっとお答えをお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医師の働き方改革を推進することによって、将来にわたり効率的で質の高い地域医療提供体制を実現していく、そして、その過程で地域医療の確保と医師の健康確保の両立を図るということが私どもは大事だと考えてございます。

 そのために、この改革の推進に当たって必要となる体制整備などのために、診療報酬と消費税を財源といたします地域医療介護総合確保基金、この二つのツールを通じまして医療機関に対する支援を行うこととしてございます。

 診療報酬につきましては、時間外労働の上限規制の適用が開始される二〇二四年四月を見据えて、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点などを踏まえながら、適切な評価のあり方について中央社会保険医療協議会において議論を行っていただきました。

 中医協における議論を踏まえて、令和二年度診療報酬改定におきましては、地域の救急医療提供体制における重要な機能を担う医療機関において、適切な労務管理のもとで働き方改革に資する体制整備を行っていることに対する評価として、地域医療体制確保加算というものを新設することとしております。

 一方、地域医療確保における特別な役割を担っている医療機関のうち、地域医療体制確保加算の要件を満たさないけれども過酷な勤務環境となっている医療機関につきましても、二〇二四年を待たずに労働時間短縮に取り組んでいただいているということに対する支援が必要であると考えております。このため、このような医療機関に対しては、医師の労働時間短縮のための体制整備に関する取組の実施に当たり必要な経費を地域医療介護総合確保基金によって個別に助成をするということを、今年度提案させていただいております予算案に盛り込んでいるところでございます。

三ッ林分科員 ありがとうございます。

 地域医療、特に救急を担っている医師又は病院においては、国がこういった支援をしていただいているということを、私も現場で聞いたところ、本当にありがたい、そして、こういったことをしっかりと頭に入れて救急医療に当たりたい、こういったことを話しているのを私も先日聞きましたけれども、こういった取組をぜひお願いしたいと思います。

 次の質問ですが、今度は歯科医療のことなんですけれども、医科歯科連携が、周術期の口腔機能管理を行うことによって入院日数が減る、そして医療費が削減される、これは多くの施設でのエビデンスが出ておりますけれども、なかなか進んでいないというのが現状だと思うんですが、令和二年度の診療報酬改定で医科歯科連携を推進するための診療報酬改定の対応方針はどのようになっているのか、お聞かせください。

吉田政府参考人 失礼いたします。

 先ほど、私、御答弁の中で今年度という言い方をしてしまいました。現在御審議いただいている令和二年度の予算案に盛り込んでいる、言い間違いでございます。おわびいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、近年、手術前後の入院患者に口腔機能管理を実施することによりまして在院日数が減少することが明らかになってきております。そういう意味では、口腔の健康が全身の健康にもつながるものというふうに認識いたしております。

 令和二年度の診療報酬改定におきましては、主として二つございます。まず一つは、化学療法や放射線療法等が行われている患者に対して実施されます口腔機能管理の評価を引き上げる予定でございます。また、二つ目でございますけれども、これも化学療法や放射線療法が行われております患者さんに対するものでございますけれども、歯、舌、口腔粘膜等の清掃処置の実施回数の充実を行うこととしております。具体的には、現在は月一回でございますけれども、月二回まで算定可能にする予定でございます。

 引き続き、周術期の口腔機能管理等における医科歯科連携を含めまして、適切な歯科医療が提供されるよう、関係者の御意見も踏まえながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。

三ッ林分科員 ありがとうございます。こういった医科歯科連携を進めているという国の方針をぜひ周知していただきたいと思います。

 大病院では歯科医が常勤しておりますけれども、中小の病院ではなかなかそういった状況にない、そういったことを認識していただくために、通達なり、ある一定規模以上のところには歯科医を置く、歯科衛生士を置く、そういった方向にぜひ進んでいただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、パラジウムのことなんですけれども、歯科の歯冠修復及び欠損補綴に用いられるパラジウム、これが大幅に今高騰しております。歯科医療機関の経営に多大な影響を及ぼしている状況なんですけれども、過去二十年間でまれに見る高騰に対して、国民の口腔の健康維持を担っている歯科医の先生方が大変心配しています。

 健康寿命の延伸のためにも歯科医の役割というのはこれから重要になってきますし、こういったパラジウムの問題をしっかりと解決することが国の役割だと思いますけれども、現状の認識と対応方針、もうこれは喫緊の課題ですので、ぜひ対応をお願いしたいと思いますし、答弁もお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 金銀パラジウム合金を含みます歯科用貴金属につきましては、その素材であります金やパラジウムの価格が変動しやすく、現在の金銀パラジウム合金の市場価格は告示価格を上回っております。いわゆる逆ざやの状態であることを認識いたしております。

 このため、まずはでございますけれども、令和二年度の診療報酬改定におきまして、市場実勢価格を踏まえた歯科用貴金属価格の改定を行うことといたしております。

 また、今回の改定におきましては、金属の価格変動に影響されないCAD・CAM冠の適用拡大を行ったところでございます。

 先生御指摘の金属価格の改定のあり方、現在は年に二回、半年に一遍、一定のルールのもとに改定するルールでございますけれども、こういった金属価格の改定のあり方等につきましては、今後、関係団体等の意見を踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

三ッ林分科員 ぜひ早急な対応をお願いしたいと思いますし、価格見直しの制度、診療報酬改定以外に六カ月ごとに五%以上実勢価格が高かった場合に見直しをするということですけれども、この見直しの制度も十分検討していただきたいと思いますし、また、代替材料の普及、こういったことの整理や、現行のパラジウムフリーの材料の整理、こういったことをぜひ総合的に検討して、地域医療を担っている歯科医の先生方に安心を持ってもらうために、ぜひ早急な対応をお願いしたいと思います。

 次の質問ですけれども、やはり歯科のことについてなんですが、私は、健康寿命を延伸すること、それから糖尿病の重症化予防、例えば、合併症である腎不全は、糖尿病を大体約二十年ぐらい経過すると腎不全に陥っていくわけですけれども、そうすると透析医療となってくるわけですが、糖尿病患者に対する口腔管理をやることが大変重要だと思っています。

 血糖コントロールを行う上で口腔管理は大変重要なことだと思うんですけれども、令和二年度の診療報酬改定でこういったことにしっかりと手当てしているかどうか、そしてどういう方針でいくのかどうか、その回答をお願いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 糖尿病と歯周病の関係につきましては、先生御指摘のとおり、相互に影響を及ぼすという知見が蓄積をされてきております。そういった意味では、糖尿病患者に対します適切な歯科医療が極めて重要であるというふうに認識いたしております。

 今回の診療報酬改定におきましては、糖尿病患者に対する口腔管理を充実する観点から、他の保険医療機関、例えば糖尿病を治療している内科医等でございますけれども、から歯科医療機関に紹介された患者への口腔清掃等の処置につきまして、実施回数の充実を行うことといたしております。

 引き続き、糖尿病と歯周病等の知見の蓄積等も踏まえながら、こういった適切な歯科医療が提供されるような診療報酬につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。

三ッ林分科員 医科歯科連携を進めること、そして、糖尿病の管理にはやはり歯科治療が欠かせないという点、こういったことをぜひ診療報酬でも反映していただいて、重症化することを予防することにぜひ努めていただきたいと思いますし、私も、これからも厚労省の取組を参考にしながら勉強もして、そしてまた発言もさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 あと、最後の質問になります、HPVワクチンのことについてちょっと御質問させていただきます。

 日本では、毎年約一・一万人の女性が子宮頸がんに罹患して、約二千八百人の女性が亡くなっております。HPVワクチンは、子宮頸がんを防ぐことが期待できるワクチンとして、百カ国以上で公的な予防接種が行われております。日本では、積極的勧奨の差し控えによって、接種率が一%を切る状況となってしまっているのが現状です。

 HPVワクチンはベネフィットがリスクを上回ることが科学的に明らかになっておりまして、積極的勧奨を再開しないのはどう考えてもおかしいと思いますし、HPVワクチンについて積極的勧奨を再開すべきと思いますけれども、その御見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 HPVワクチンにつきましては、委員からもお話がありましたが、子宮頸がんの予防が期待されるために、平成二十五年の四月から定期接種化されてございます。しかしながら、ワクチン接種後に多様な症状、広範囲にわたる痛みとか、手足の動かしにくさとか、不随意運動などを中心とする多様な症状が報告されまして、その年の六月から、これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、積極的な勧奨を差し控えているという状況でございます。

 HPVワクチンの積極的勧奨の差し控え以降、審議会におきましては、HPVワクチンの有効性、安全性に関する評価を行いますとともに、HPVワクチンについて、審議会での議論も踏まえてリーフレットを作成し、国民の皆さんに周知を行ってきたところでございます。

 自治体及び国民への調査の結果、これは昨年の八月三十日に審議会の方に報告させていただいておりますが、必ずしも十分にワクチンに関する情報が行き届いていないということが明らかになったことから、リーフレットを活用した情報提供のあり方につきまして継続して議論を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これら審議会の議論も踏まえながら、国民への適切な情報提供に努めますとともに、引き続き必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

三ッ林分科員 ありがとうございます。

 資料を見ていただきたいと思うんですが、二枚目の資料なんですけれども、左側のグラフは一九八五年と二〇〇五年と二〇一五年を比べているんですけれども、二〇一五年、青い折れ線グラフですけれども、二十代後半から五十代まで、これが過去に比べてふえているんです。要するに、若い女性が子宮頸がんになっている。これは大変な結果だと思うんです。

 それで、今月の十八日に北海道大学が、日本での子宮頸がんワクチンの積極的勧奨の中止が続いて接種率が一%にとどまった場合、七〇%に維持された場合と比べて今後五十年で死者が一万人前後多いという研究結果を発表いたしました。積極的勧奨の再開を期待するとしております。

 答弁は求めませんけれども、こういったエビデンスも出ていますし、さまざまな学術機関でこういったデータも出ております。ぜひとも厚労省におかれましては検討していただいて、やはりこういったワクチンというのはベネフィットとリスクの比較ですし、そしてまた、多くの国民が、そして若い女性が子宮頸がんのリスクに今さらされているわけですから、これを予防していくためにもHPVワクチンの積極的勧奨再開をぜひお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて三ッ林裕巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、畦元将吾君。

畦元分科員 ありがとうございます。

 本日は、第五分科会で質問させていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 まず、私、最初に、新型コロナウイルス関連に関しまして質問をさせていただきます。

 政府や関係各位の皆様方が水際対策及び国内対策で感染予防に全力で取り組んでくださっていることに、心から敬意を表します。我々は新型コロナウイルスの猛威を冷静に受けとめ、適切に対処していかなければならないと考えております。

 その一つとして、医療施設内の院内感染についてお伺いしたいと思っております。

 医療従事者自身の感染予防対策に関しては、新型ウイルス関連肺炎対策本部会議や報道などで、危機管理の一環としての対策、対応をされていると認識はしております。しかし、医療施設内の検査室、特に肺炎の検査で使うような放射線機器の検査室の換気は、他の部屋に比べると必ずしも良好とは言えません。

 資料一を見ていただけるといいんですけれども、まず、一枚目のページの左上の写真が肺炎などの検査をするエックス線CTの画像です。次を開いてもらいますと、二枚目になるんですが、右上がエックス線の検査室の写真です。このように、エックス線検査室とかエックス線CT室など、放射線を使う検査室は、放射線を外部に漏らさないという観点から部屋を鉛シールドしてあり、窓あけの換気はほぼ厳しい状況です。空気感染、室内感染が懸念されるところです。

 電話で二つか三つの病院に聞いてみたんですが、換気はどうされていますかといいますと、検査が終わった後にドアをあけて一々換気をするというのが現状のようです。空気感染などが懸念されるんですが、部屋にウイルス対策空気清浄機などの設置をすることなど、厚生省からガイドラインや通達などができないでしょうか。というのは、お金もかかることなので、通達がなければ、今までどおり、検査終了後に扉をあけるだけの換気になる施設も少なくありません。

 また、風評被害といいますか、先ほど電話がかかってきたんですが、順天堂大学と東邦大学などで、コロナウイルス患者さんがもし来たとしても後に回してくれないかというような意見も出ているということを聞きました。これは意見だけなので、どうしているかはまだわかりません。

 検査機器が高額なことや、また、院内の機器台数などから、大学病院や特定機能病院を除きますと、一般患者とコロナウイルス患者のエックス線室の分離はまず難しい状況と思います。一台の機械で撮るとか、多くても三台ぐらいの機械で撮るということになります。そのため、コロナウイルスの感染患者さんの検査後に、体力が低下している他の病気の患者さんも、同じ部屋で、同じ検査室で、同じ機械で検査することが予測されます。

 もう一個、資料二なんですけれども、二〇一九年三月一日に、日本診療放射線技師会医療安全委員会から通達している、放射線分野における感染症対策ガイドラインというのが出ております。目を通させてもらったんですが、このガイドラインは、作成中は現在の新型コロナウイルスの猛威は予測していなかったこともあり、患者さんへの二次感染防止に対しては少し具体的指示が弱いと感じております。

 例えば、現在、患者さんの触れた部分を消毒するとは書いてあるんですが、新型コロナウイルスに考慮した消毒液の濃度とか、どれを使っていいかとか、検査時に患者さんが触れる場所の具体的な特定はされていません。患者さん単位で常に新しい消毒綿などで消毒するということなども余り記載せず、消毒するとなっております。医療スタッフは手袋を着用し、感染症の患者さんの撮影後は手袋をかえる。手袋がまだ足らないので再々かえられるかどうかという疑問もあるんですが、そういうことも必要かと思います。

 操作室のシステムにもウイルスがつかないように心がける。どういうことかと申しますと、検査室と操作室は別々にあり、手袋をしたままエックス線ボタンを押すとそこがまた感染するということになるんですが、その辺の対応は一切書いていなかったように思います。

 また、大体今まではしていなかったんですが、検査をする前に患者さんにお願いをすることなども必要かと思います。通常、患者さんは、待って、そのまま来るんですが、検査前と後に、消毒、手洗い、マスクの着用、検査着に着がえるということも大事です。検査着も、実を言いますと、病院によっては同じ日は使い回しの場合もあるんですが、そういうのもかえないといけないということが考えられます。

 検査後の検査着を入れるときには、また分離。要は、感染者の方が着た検査着を、健康な、先ほど話がありましたが、例えば糖尿病の患者さんが着るということも十二分に考えられますので、それもしっかり分離しないといけないということも考えられます。

 検査中に、患者さんが、当然、肺炎なんかでありますとたんが出たりするんですが、そのたんを捨てる場所を確保する。当たり前と思うかもしれませんが、よく患者さんが、ティッシュに包んで、そのティッシュを持って、そのままエックス線の機械で検査をするということもありますので、そういうことが絶対にないように、そういうウイルスに汚染したものは捨てるということを徹底しないといけない。消毒対応の人員の必要性が出るかもしれないという可能性もあるんですが、感染防止をするためには重要なことと考えられます。

 厚労省からも、今私が話したような具体的対応、又は具体的な指針とかガイドライン、通達事項をしていただけると幸いです。資料の二のガイドラインにはここまで記載されていなかったように思います。

 医療スタッフの感染防止はもちろんなんですけれども、医療機関にいる体力の落ちている患者さんへの二次感染防止も重要と考えます。遅くなれば、その分、感染拡大につながる可能性があります。厚労省様の今後のお考えや、何か御意見があればお聞かせください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 感染対策につきましては、その基本として、新型コロナウイルス感染症に限らずではございますが、全ての血液、体液、分泌物、嘔吐物、排せつ物、創傷皮膚、あるいは粘膜等が感染源となり、感染する危険性があるものとして取り扱うという考え方のもとに、汚染源に触れたりする際には手袋やマスク等の着用を行うとともに、手袋等を外したときには必ず手指消毒を行うことなど、標準予防策をお示ししているところでございます。

 また、新型コロナウイルス感染症の院内対策につきましても、厚生労働省のホームページにおいてQアンドAで物品の消毒方法等をお示しいたしますとともに、医療機関等に対してガイドライン、これは国立感染症研究所と国立国際医療センターの方でお示ししているものですが、ガイドラインをお示ししているところでございまして、これもお示ししたバージョンのままというわけではなくて、十四日にも改訂しておりますし、今般、二十一日にも改訂してございます。

 先生からも今貴重な御指摘も幾つかいただいておりますので、そういう視点も踏まえまして、引き続き、院内感染対策につきまして、こういうガイドラインとかQアンドAとかを見直しつつ、適切に周知に取り組んでいきたいというふうに考えております。

畦元分科員 ありがとうございました。ぜひとも、引き続きよろしくお願いいたします。

 先ほど言った、空気感染というか、撮影室は換気ができないので、もし可能でしたらば、空気清浄機なども入れるようなことを考えていただけると、本当にドアをあけるだけの換気になっているのが現状なので、ぜひとも御検討をよろしくお願いします。

 次に、新型コロナウイルス感染者の受入れ病院関連に伴う、医療関係の中小企業の問題について質問いたします。

 飲食店やデパートなど、売上げに影響が出ているという報道もありますが、医療関係の開発企業、販売企業にも影響が出ております。特に小規模企業が深刻な状況になり始めています。

 どういうことかと申しますと、先端医療システムなど、新規CT、MRI、PET、核医学、放射線治療機器、その他、院内ネットワークなどの高額医療機器に付随した医療機器を販売している中小企業などの問題です。

 注文書は発行済みで納品日も決まっていたのですが、いたし方ないとは理解しておりますが、コロナウイルス感染者の受入れ施設になると、納入日が先で未定という形になっております。中小企業の中には、当てにしまして、まさかコロナウイルスでこうなるとは思っていなかったということもあると思うんですが、資金繰りにかなり困っておりまして、場合によっては倒産という方向になる可能性もあるようなところもあります。

 中小企業で、正規の注文書であれば買うことは間違いないだろうという話なんですが、銀行や正規の金融機関からの低金利、無金利でつなぎ融資が受けられるような救済措置が必要と考えます。まだこれからたくさんコロナウイルスの受入れの病院もふえると思うんですが、その分、中小企業、小企業というか小さい企業は資金繰りに困るという状況が出てまいります。

 一つ言いますと、今度できる藤田の岡崎の病院に入るところの中小企業の幾つかも、先になるという形で困っておる状況です。大きな機械、キヤノンさんとか大きな企業に関しては資金も潤沢にありますので心配はないんですが、中小企業がやはりお金がとまるということで、つなぎ融資ということをお願いしたいと思います。関係省庁の具体的な対応があれば、ぜひお聞かせください。お願いいたします。

石田政府参考人 金融庁におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業者への影響を踏まえ、こうした事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、先般、二月七日に、金融機関に対し、一つ目としまして、事業者を訪問するなどの丁寧な経営相談、二つ目といたしまして、経営の継続に必要な資金の供給、三つ目といたしまして、既存融資の条件変更など、適切な対応に努めることを要請したところでございます。

 金融機関におきましては、こうした要請を踏まえ、例えば緊急相談窓口の設置でございますとか、緊急融資制度の取扱いを開始するなど、積極的な事業者支援に取り組んでいるところが出てきているものと承知してございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、全国の各金融機関におきまして、当該要請を踏まえ、丁寧な経営相談を実施するなど、事業者のニーズを十分に把握の上、経営の継続に必要な資金の供給、既存融資の条件変更といった積極的な事業者支援をなされるよう、引き続き促してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

鎌田政府参考人 中小企業庁からもお答えいたします。

 経済産業省が開設しております新型コロナウイルスに関する経営相談窓口につきましては、資金繰りの悪化を懸念する声が多数寄せられているところでございます。

 議員御指摘の点も含めまして、今回のコロナウイルス感染症による影響はさまざまでございますので、二月七日には、財務省、金融庁などの関係省庁と連携しまして、官民の金融機関及び信用保証協会に対しまして、中小企業、小規模事業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、個別企業の実情に応じた十分な対応に努めるよう要請を実施したところでございます。その際、日本政策金融公庫などに対しましては、セーフティーネット貸付けを活用することをあわせて要請したところでございます。

 また、二月十三日に取りまとめました緊急対応策におきましては、事業者の資金繰りを徹底的に支援すべく、五千億円規模の融資、保証枠を確保したところでございます。

 具体的には、信用保証協会が通常と別枠で一〇〇%保証を行うセーフティーネット保証の四号などを迅速に発動する、また、日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付けの要件を緩和し、支援対象を今後の影響が懸念される事業者まで拡大することとしたところでございます。

 これらの対策によりまして、中小企業の皆様の資金繰りに万全を期していくこととしておりますけれども、引き続き、事業者の皆様の状況を丁寧に把握し、徹底した資金繰り支援を実施してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

畦元分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、エックス線CT検査のガイドライン、健康診断についてなんですけれども、質問させていただきます。

 二〇一八年四月の情報なんですけれども、日本のCT保有数は百万人当たり百七・二台であり、G7平均の二十五・二台、OECD関連国の二十五・四台と比べても、世界一と言っていいぐらいに断トツトップです。日本では、病院だけでなく、医師一人だけのクリニックですらCTを保有している。カナダにおいては、都心に行かないとCTがないというような事実もあります。

 日本は、人口密度が高い上に、CT保有数は一万人に約一台ですので、世界で類を見ないぐらいとても恵まれています。人口比の台数的に見ると、CTを使った健康診断をするとしたら、世界を見ても、日本以上に環境が最適なところはないと言われています。

 しかし、CTは、撮影方法によりまして画像の鮮明度が異なります。写真でいうと、ぼけたり、見たいところが見えなくなるということがあります。

 CT撮影には、大きく分けて、医療機関での病気の検査と、肺がんなどの健康診断があります。今回、健康診断にちょっと着目したかったんですが、病気のCTの検査は、病気があるかもしれない、病気があるだろうとか、手術前の情報、治療後の経過観察などで、見たい部分を考えて、医療施設の中で医者と技師が相談して、患者さんごとに病気のための撮影方法を設定しています。

 しかしながら、健康診断は、基本的な方を検査する意識が高いためか、一日の検査数を、まあ、たくさん撮ることによって利益が上がるということもあるためか、撮影方法が画質を軽視した撮影法になることが実際に多々あります。よく、健康診断をしていたのに見つからなかったということも画像診断の方でも言われるんですが、放射線科医の先生からも、診断が難しいのでなかなか診断できないよということも言われることもあります。

 健康寿命を延ばす点から、健康診断CTが最大限に早期発見の可能な撮影法になるように、厚労省からも、撮影方法のガイドラインなど、指導してもらうことを望みます。健康診断のCTは民間企業負担や個人の負担でありますので、医療費に関係しませんが、早期発見をするという意味では重要な課題だと思っております。

 資料三を見てください。

 左側の画像を見ていただきたいんですけれども、左上、右上、左下、右下と、これはCTを健康診断で撮るときのスピードです。テーブルを動かしながら撮るんですが、向かって一番左上が、病気、多分肺がんなんですが、見えていますけれども、これは同じ患者さんで、テーブルのスピードを変えただけでこういう形になります。フィグ八の下の方は、更に速くしたとき。まず病院では上の方の画像になることは間違いないんですが、健康診断のときは上の方の下の画像、若しくは下の方の画像、要は病気が消えているという人ですね。十センチとは言いませんけれども、五、六センチ以上にならないと見つからないというような撮り方も実際にあるのも現実です。

 肺がん検診CT画像診断において、撮影する条件は重要であり、結果を大きく左右します。スキャン中のテーブルスピードなど、目的に合った正しいガイドラインがあれば、正確な画像を医師に提供できます。

 現在、健康診断のCTでこういうふうに撮りなさいというのは、暗黙の了解又は病院同士の話合いはありますが、やはり、事務局長の方からペイしたいからたくさん撮れと言えば速くテーブルを動かすしかないというような状況で、ガイドラインという正式なものはないので、なかなか、ゆっくり撮りたくても撮れないというので困っているというような話を技師会その他からも聞くことも多々あります。

 健康診断の見落としを大きく減少させるためにも、CTで健康診断をするときは、厚労省お墨つきのような、医師会と話し合ってもらっても構わないんですが、撮影方法のガイドラインなどがあると、かなり見落としが減るのではないかと思います。放射線科医の先生方もこれは望んでおります。

 繰り返しになりますが、将来的に日本ほどCTの健康診断が実施できる国はありません。健康寿命の助けになる検査としてCT検査診断の撮影方法は重要と思い、広めていくことは検討してもらいたいと思います。例えば肺がんにしても、一般撮影よりかは肺のCTの方がいいというのは結構論文その他でも言われているのが事実でございますので、徐々に考えていただけると幸いでございます。厚労省様の御意見をお聞かせください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 がんを早期発見、早期治療し、がんによる死亡率減少を目指していくために、がん検診は重要だというふうに考えております。

 現在、国の指針におきましては、肺がん検診については、死亡率減少効果に加えまして、利益が不利益を上回るとの科学的根拠に基づき、胸部エックス線検査を定めているところでございます。

 御指摘のありました肺がん検診におけるCT検査につきましては、現在、日本医療研究開発機構、AMEDで有効性評価に関する研究が実施されております。御案内のとおり、線量の問題とかがありますので、低線量CTによる肺がん検診の実用化を目指した無作為比較試験及び大規模コホート研究というのが行われていると承知しております。

 厚生労働省としては、検査方法の有効性や利益、不利益のバランスに関する最新の科学的知見を踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、先生から御紹介ありました、今現在、任意でCTの検診を行われているケースもあるということでございますが、その任意の部分につきましては、ガイドライン等は、まずは専門家の間で議論して、専門学会等、専門家の間で検討していただくのがいいのではないかというふうに考えております。

畦元分科員 わかりました。

 引き続き検討をお願いしたいんですが、できましたら、実際に撮られている放射線科医の先生方の御意見も、今私がこれを言われたのは、例えば元阪大の教授とか、順天の青木先生なんかも同じようなことをおっしゃっていますので、できましたら放射線科医の先生も入れて、また、撮影をするのは技師なものですから、技師が一〇〇%なものですから、あわせて御検討をお願いできれば、これからこの国の肺がんがますます少なくなっていくのではないかと思います。無駄な被曝をさせても意味がないので、線量が少なければいいというものではないと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。

 エックス線CT、CTが多くて申しわけないんですが、最先端医療機器の購入の際、実際に扱う国家資格を持っている技術者、これは臨床検査技師、MRIなんかも同じなんですけれども、常勤としている条件などの検討をしてもらえないかということなんです。

 何を言いたいかといいますと、現在、放射線技師がいなくてもCTは購入できます。医師の指示のもとで、ほぼ一〇〇%、CT撮影の実務をしているのは診療放射線技師であり、MRIは臨床検査技師、放射線技師がやっておりますが、担当実務者のモチベーションを上げて、検査の質の改善を更に進めるためにも重要だと思っております。

 それで、ことしも無資格者が、歯科の方ですが、エックス線システムを扱い患者さんを被曝させたということで書類送検や実刑判決の報道も、実はことしになって二件あったと思いますが、最先端医療機器を購入する条件として、購入機器を主に扱う国家資格所有者が常勤していること、購入条件などを明確にして検討することは難しいでしょうか。要は、実際買ったけれども撮る人がいないからというのも聞いたこともありますので、そういう条件とかもあっていいんじゃなかろうかと思います。それは事故や検査の質にも大きく関係すると思いますので、専門性が強くなっている、急成長する最先端医療システムの購入時に、条件をつけて販売するというのも一つの案ではないかと思います。

 厚労省様が、今後、最先端医療機器に関して、どういうお考えなのか。極端に言えば、要は、医者が一人いれば、そんなことはないけれども、十台CTを買っても問題ないのかというふうなお考えなのか、若しくは、少し検討していかないといけないというお考えなのか、お聞かせください。お願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、医療機器の適正配置、適正運用という観点と、医療機器による検査の質を上げるという二点からの御質問というように受けとめさせていただきました。

 医療機器につきましては、当然、我が国の医療ニーズの変化あるいは医療サービスの担い手の減少という地域医療全体の環境変化の中で、機器の適正配置、適正運用につきましても、環境変化に応じて効率的な活用を図っていく必要があるというふうにまず思います。

 こうした観点から、私ども厚生労働省としましては、地域の医療ニーズを踏まえた地域ごとの医療機器の配置状況、多いとか少ないとか、あるいは、医療機器を有する医療機関をマッピングした情報という形で可視化をいたしまして、それらを医療機器の購入を希望する方に対して提供することによって、医療機器の適正な配置をまず促していきたいというふうに考えております。

 一方、質の向上といいましょうか、適正運用という観点からは、今御指摘いただきましたように、地域に医療人材がどういうふうにおられるのか、それに対してどういう医療機器が今後購入され、配置されるのかということを踏まえまして、質の高い治療、検査を行っていくということを考えますと、例えばでありますが、医療機器の共同利用という形も一つの選択肢ではないかというふうに私ども考えております。その際には、医療機器を導入する医療機関が医療機器の具体的な共同利用計画を作成していただいて、都道府県において当該計画について関係者間で協議を行うという仕組みも二〇二〇年度から開始したいと考えております。

 こういった取組、医療機器の適正配置、運用、そして人材を適正に活用することにより、質の向上という問題について取り組んでまいりたいと考えております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 二〇二〇年度からということなので、ぜひともよろしくお願いいたします。楽しみにしてまいります。

 もう一つ、資料の四なんですけれども、先週、自民党国会議員連盟で、被爆議連という形で広島の視察に行きました、旧陸軍被服支廠の質問です。

 昭和二十年八月六日の広島原爆投下の後に残った、老朽化した最も大きな建物、他に類のないぐらい最も大きな建物なんですが、旧陸軍被服支廠の建物の保存をどう検討しているか、お聞きしたいと思っています。

 原爆の悲惨さを目と肌で感じることができる数少ない文化財を後世に残すことの必要さを視察をして感じました。私、広島出身で、原爆二世なんですが、ゆっくり見たことはなかったんですが、今回ゆっくり見まして、とても悲惨さを、悲惨さというか、そのときの当時のことを感じる建物だと思っておりますので、後世につないでほしいと思っております。ユネスコ世界記憶遺産登録もしていこうという考え方もあるようです。

 厚労省として、国の原爆死没者慰霊等事業を活用した原爆建物の保存工事というのがあるとお聞きしまして、この旧陸軍被服支廠の建物の保存はどのような方向性で考えているのか、もしわかれば教えていただければ幸いでございます。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 旧広島陸軍被服支廠は、大正二年に建設された現存する被爆建物であり、被爆者の減少や高齢化により被爆体験の風化が危惧される中で、世代や国境を越えて被爆の実相を伝えていくことのできる建物の一つであるというふうに考えております。

 広島市に所在します被爆建物につきましては、後世に伝承すべき歴史的財産として保存及び継承の取組が進められており、厚生労働省におきましても、地方公共団体が行う被爆建物の保存の取組等に対して従来から原爆死没者慰霊等事業として補助を行ってきたところでございまして、これは委員からも今御紹介があったところでございます。

 広島県が所有いたします旧陸軍被服支廠の取扱いにつきましては、同県内外からさまざまな御意見があり、建物の老朽化に対する安全対策の必要性のほか、被服支廠が有する価値の整理、保存を行う場合の建物の利活用のあり方等について、同県において検討が行われていると承知しております。厚生労働省といたしましては、広島県における今後の検討を踏まえ、関係者と連携して対応してまいりたいと考えております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 最後に一つだけ。

 医師の働き方改革に伴う問題で、医師不足、医師の過大な業務時間の緩和の目的のために、医師の仕事を受け継ぐチーム医療の看護師、放射線技師、薬剤師、臨床検査技師などがあるんですけれども、業務軽減の対応について、今後の進め方をお教えいただきたい。

 四月から、放射線技師に関しては患者さんの被曝管理が追加業務という形であるんですけれども、特にそれによって人の増員というのは、ほとんどの病院は考えておりません。

 今現在、どこの医療スタッフの方もいる人数でやりくりをしていると思いますが、特に当直のことに関して皆さん心配されておりまして、現在、当直、夜間勤務は大変な状況なところにあるのが多いようで、小さい病院になると、三人で一週間を回しているということになっていると話を聞いております。また、年休に関しても、順天堂大学でさえ年休は年間四、五日とるのがやっとという話も聞いておりますので。

 とはいっても、人をふやすのはなかなか難しいと思うんですが、今言われているAIとかICTの導入などの方向性などがあれば、お話を聞かせていただければ幸いでございます。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 昨年三月に取りまとめられました医師の働き方改革に関する検討会の報告書、これが全体、医師の働き方改革を進める現時点における一つのよすがになってございますが、それにおきましても、労働時間の短縮に向けて取り組む必要があるという項目の一つにタスクシェア、タスクシフトというものが挙げられてございます。

 このタスクシェア、シフトにつきましては、現在、厚生労働省の医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会という場において、負担軽減に資するかどうかという観点から、たくさんいただきました関係団体、関係者からの御意見を精査をさせていただき、議論をさせていただきながら、実効性を持った労働時間削減策となるような方策について議論を深めてございます。

 この検討会におきましては、医療現場で実際にタスクシェア、シフトを推進していくための具体的な方策についても検討をいただいておりますが、そのためには、御指摘のように、タスクシェアされる、あるいはタスクシフトされる受け手側の専門職の方々の負担軽減というのがやはり大きな課題の一つと認識をされております。

 それぞれの医療機関において事情がございましょうが、負担軽減のための方策としては、ICTの導入などによる業務全体の縮減でありますとか、医師以外の医療関係職種間でのタスクシェア、シフトというのもあわせて行うなど、従来の業務の担当職種の見直しによって一連の業務全体を効率化できないかということについても検討を進めていただいております。

 いずれにいたしましても、医師の働き方改革を進めるためにはさまざまな職種に能力を発揮していただくことが重要でありますので、引き続き、実効性を持ったタスクシェア、シフトが医療現場において着実に普及、推進されるように検討を進めさせていただきたいし、支援もしていきたいと思っております。

畦元分科員 ありがとうございました。ぜひとも進めてください。

 私の質問はこれで終わりです。どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて畦元将吾君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

渡辺(博)主査代理 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策について質問させていただきます。

 このたび、新型コロナウイルスに感染され、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、感染された皆様にお見舞いを申し上げます。

 また、厚生労働省を始め、感染防止対策に日夜取り組んでくださっております皆様に、心より感謝を申し上げたいと思います。大変にありがとうございます。

 国民の命と健康を守るのが政治の役割でございます。一日も早くこの事態を終息させるべく、皆で一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。

 現在、新型コロナウイルスに感染した方に対しまして、治療をし、そして通常の生活に戻るまでの支援に全力で取り組んでいただいております。あわせまして、感染した方を受け入れてくださる医療機関への支援もぜひともお願いを申し上げたいと思っております。

 感染者の医療機関への受入れが始まっている中で、先日、感染者を受け入れている医療機関の方からさまざま御意見や要望の声が届けられまして、それを厚生労働省の方にお願いをしたところ、すぐに対応していただきました。大変にありがとうございました。これからも、医療機関、医療従事者の声もしっかりと聞いていただきまして、安心して感染者の治療に専念できるように支援、サポートしていただきたいと思いますが、御見解、御対応をお伺いしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症関連につきましては、公明党の方でも本部をつくっていただきまして、いろいろ御指導いただいております。ありがとうございます。

 その中でもいろいろ御提言もいただいておりますが、今般、横浜港に寄港したクルーズ船を始めとした新型コロナウイルス感染症患者等の発生が一時的に多数報告されるなど、新型コロナウイルス感染症患者等の入院先を確保することが急務となっておりまして、第一線の医療機関の方には大変な御苦労をいただいているところでございます。

 こうした中、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れていただいている医療機関に対しまして、技術的な事項とかあるいは手続等に係る相談とかにも丁寧に対応することとしておりまして、引き続き、新型コロナウイルス感染症等の入院先の確保に政府一丸となってしっかりと対応してまいりたいというふうに考えておりますし、医療機関の声もしっかり受けとめて対応してまいりたいというふうに考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今の御答弁にもありました、医療機関によりまして課題はまちまちかと思いますので、ぜひとも丁寧に聞いていただきたいと思っております。そして、今も本当に必死に闘ってくださっている皆様ですので、ぜひとも寄り添っていただいて、繰り返しになりますが、丁寧に聞いていただいて、きめ細かい支援、サポートをお願いしたいと思います。

 その上で、本日、新型コロナウイルス感染症対策本部の基本指針が出されまして、今重要な局面を迎えておりますけれども、この基本方針のもと、今すべきことを全て全力でやっていく、そういった時期に来ております。

 その上で、今後の中長期的課題になりますけれども、今後も未知の感染症が出現し、対応する事態が出てくる可能性があると考えます。国民の命と健康を守るための危機管理をしっかりと行っていくためにも、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえて、しっかりと検証、総括をしていただき、感染症指定医療機関等へのソフト、ハード両面での総合的な対策強化を推進すべきと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症指定医療機関につきまして、今委員から御指摘ありました総括、検証ということは、今まだ対策の真っ最中でございますので、もうちょっと後のことかと思いますが、一方で、しっかりこういう医療機関に対応していただくためにこれまでも必要な支援を行ってきたところでございまして、具体的には、同医療機関の運営費として空床を確保するための費用、運営費補助、あるいは、施設の新設や増設に要する費用の一部については施設、設備整備の補助をしているところでございます。

 また、今般、横浜港に寄港したクルーズ船において新型コロナウイルス感染症患者等の発生が一時的に多数報告されておりまして、感染症指定医療機関における感染症病床以外であっても、あらかじめ厚生労働省の要請を受けて都道府県等と調整した病床に対しては、空床の確保や消毒等に係る費用を支援することとしております。

 引き続き、今般の新型コロナウイルス感染症に対応することも含めまして、感染症指定医療機関に対してしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 中長期的な課題ということでお願い申し上げましたけれども、言うまでもなく、今やるべきことをしっかりとやっていただきたいということで、引き続き、私ども公明党も全力で、同じ思いで頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 少子化対策、子育て支援は安倍内閣の最重要課題の一つでございます。その中で、それぞれ取り組むべき課題はございますが、働く妊婦をもっと支援する必要があるのではないかとの問題意識から、本日は質問させていただきたいと思います。

 昨年、働く妊婦の声を集め、現状等を特集した、妊娠と仕事という特集が一般紙で連載をされました。私もこれを読みまして、働く妊婦への支援がどうなっているのか、また、働く妊婦の皆さんがどのような御苦労、どのような思いをされているのか、改めて御意見を伺ってまいりました。

 まず、妊娠してからの働き方としまして、通常、七割から八割に仕事を制限できれば無事に出産できるとおっしゃっている医師の方もいらっしゃいます。個人差はありますけれども、心身ともに妊娠中の負担は大きいということでございますので、無理をしてしまうと流産、切迫早産する可能性が高くなります。

 安心して母子ともに健康に出産するためには、妊娠してからの働き方を見直さなければならないと思います。また、企業におきましては、その配慮をしっかりとしていくという対応が求められるかと思います。

 まず、働く妊婦を守る法律がどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 職場において母性が尊重され、働きながら安心して子供を産むことができる環境を整備することは重要な課題であるというふうに認識をしております。

 それで、お尋ねの点でございますが、妊娠中の労働者につきましては、一つには、労働基準法に基づいて、時間外・休日労働、また深夜業の制限、それから軽易業務への転換、危険有害業務の就業制限がございます。二つには、男女雇用機会均等法に基づいて、健康診査等を受診するために必要な時間の確保や、医師等からの指導事項を守ることができるようにするための措置がございます。こういったことで、関係法令でその保護規定などを設けまして、履行確保を図っているところでございます。

 このうち、今申し上げました男女雇用機会均等法に基づきます母性健康管理措置でございますけれども、妊娠中の労働者に対して医師等からの指導事項を事業主が的確に把握をすることが重要だというふうに考えております。

 厚生労働省では、医師の指導事項や事業主が労働者に講ずべき措置の内容を的確に伝えられるように、母性健康管理指導事項連絡カードというものを作成いたしまして、その活用を事業主の方々や労働者の方々には促しているところでございます。

 こうした取組を引き続き実施をしてまいりまして、働く妊婦の方々の職場環境の整備を行ってまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今御答弁していただきましたが、妊娠した方を、働く労働者を守る法律ということで、労働基準法、また男女雇用均等法等に明記をされているということでございました。

 簡単に申し上げますと、妊婦の求めに応じて事業主は仕事を軽いものに変えなければならない、残業、深夜業、休日労働をさせてはいけない、そういったことになると思います。

 今申し上げたように、働く妊婦を守る法律は複数にまたがっているということもございまして、わかりにくいということ、また、事業主や担当者が知らないために対応がまちまちである、適切な対応ができていないという声も伺っております。

 実際に、つわりがひどいので休みたいということ、また、時差出勤をしたいとか、そういったことを申し出るわけですけれども、しかし、実際にかわる人がいないために、もう少し頑張ってくれと言われて、無理をして仕事を続けたという方もいらっしゃいました。また、周りの方が一生懸命働いている中で、忙しい中で、休ませてくださいということすら言い出せなかった、そういった方もいらっしゃいます。

 そこで、働く妊娠した女性を守るためにこういった法律があるということを改めてしっかりと周知をしていく必要もありますし、安心して妊娠、出産できる環境を更に進めていく必要があると思っております。

 その中で、今、母健カードも御紹介いただきましたが、これもまだまだ御存じない企業主の方が多いのではないかと思いますので、この周知ということもお話ございましたが、改めて、働く妊婦を、職場はもちろんですけれども、社会全体で応援する環境整備をしっかりと進めていただきたいと思いますが、御見解と取組をお伺いしたいと思います。

藤澤政府参考人 職場において母性が尊重されて、働きながら安心して子供を産むことができるようにするためには、御指摘のように、労働基準法であったり男女雇用機会均等法に基づきます先ほど申し上げました各種の制度について、事業主の方々や労働者の方々にしっかりと周知や啓発を行っていくことが重要だというふうに認識をしてございます。

 このため、一つには、妊娠した女性労働者や事業主の方々に対して、自治体や都道府県労働局などを通じて、リーフレットやパンフレットの配布などによります周知を行っております。また、二つには、事業主や働く女性に対して母性健康管理に関する情報を提供する支援サイトを運営しまして、わかりやすい情報発信を行っております。三つ目は、先ほど申し上げまして、先生からもおっしゃっていただきました母性健康管理指導事項連絡カードにつきましては、より現場で使いやすくなるように、来年度にはカードの内容等を見直して、さらなる活用の促進を図るといったような取組を行っている、又は今後も進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 引き続き、こうした取組を進めていくことによりまして、事業主の方々や労働者の方々双方の理解を促して、働きながら安心して子供を産むことができる職場環境づくりを推進していきたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 これも妊娠して働き続けた方から伺ったお話でございますが、妊娠したときにちょうど御主人が単身赴任になりまして、妊娠しながら一人で働いていた、そういった方がいらっしゃいました。そのときに大変な思いをされましたので、もう二度とああいうつらい思い、大変な思いをしたくないということで、二人目は要らないと。妊娠中も働きながら頑張っていた方ではあるんですけれども、本当につらかったので二人目はもう無理だ、そのように決めたという方もいらっしゃいました。改めて、妊娠してから出産までの職場、家庭、社会全体の理解、協力、支援がいかに重要であるかということであるかと思っております。

 少子化対策、子育て支援は、先ほども申し上げましたが、安倍内閣の最重要課題の一つでもありまして、最近も育児休業につきましてさまざま話題にもなっておりましたけれども、きょう質問で取り上げさせていただきました妊娠から出産までの支援もしっかりと含めていただいて、切れ目のない総合的な子育て支援を更に進める必要があると考えておりますが、厚生労働省の御見解と取り組む決意をお伺いをしたいと思います。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 産前産後休業や、今おっしゃいました育児休業の取得、また短時間勤務などを利用しやすい職場環境づくりといった、出産し、仕事と育児の両立を図るための支援だけではなくて、働く女性が妊娠中から安心、安全に働けるよう、労働基準法や男女雇用機会均等法に基づく母性保護などの制度の周知啓発や履行確保などを行っていくことなどによりまして、働く女性に対し、妊娠から出産、育児までの切れ目のない支援を引き続きしっかりと行っていきたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 私たちも、改めて、妊娠して働く女性、一部分ではあるかもしれませんが、こういった方は大変な思いをされている方もいるということで、しっかりと具体的に支援ができるように取り組んでいきたいと思いますので、御支援のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 摂食障害につきまして質問させていただきたいと思います。

 この摂食障害につきましては、三日の予算委員会で我が党の石田政調会長が取り上げさせていただきまして、私も昨年十一月に関係者の皆様から現状や課題を伺いましたので、重ねて質問させていただきたいと思います。

 この摂食障害は、神経性痩せ症、いわゆる拒食症と、神経性過食症、いわゆる過食症と大別されておりまして、生物学的、心理社会的要因が複雑に絡み合って発症すると言われております。

 拒食症は、食事を極端にとらず、健康を損なうほどの体重減少を生じている状況を指します。体力や筋力の低下、骨粗鬆症に加え、女性は無月経になるなど、さまざまな支障を来します。発症年齢は十代に多いということでございます。

 過食症につきましては、一度に大量の食べ物を胃に詰め込みたいとの衝動に襲われ、制御できない状況でございまして、食後、激しい自己嫌悪に陥り、嘔吐や下剤乱用といった代償行動を伴うことが多いとのことでございます。こちらは二十代が多いということでございました。

 この摂食障害ですけれども、回復までには平均五年かかるということで、精神疾患の中で致死率が最も高いとも言われております。

 政策研究大学院大学教授の鈴木先生によりますと、摂食障害は、社会が女性に学歴、社会参画、容姿、気遣い、結婚、出産など、数々のハードルを乗り越えることを求めるようになった、それに挫折した女性が自信を取り戻すための手段が痩せるという行為だったとおっしゃっておられます。

 また、子供たちの間でも、細い方がかわいいとか、また、細い方がすてきで、みんなに好かれる、そういった偏った、誤った風潮があるために、十代の若い女性、十代の子供たちからそういった症状が出ているとも伺っております。

 国内患者数は約二十万人以上と言われておりますけれども、摂食障害は、ダイエットの延長とか、ただのわがままという誤解もありまして、正しく認識されないため、医療機関につながることができず苦しんでいる患者、その家族の方が潜在していることが考えられます。

 厚生労働省としまして摂食障害をどのように認識されているのか、現状とあわせてお伺いをしたいと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からの御説明もございましたが、改めて、現状と医学的研究についての厚労省の認識を申し上げます。

 摂食障害患者は全国で約二十二万人おられると承知しております。摂食障害には、食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症と、極端に大量に食べてしまう過食症がございます。

 拒食症では、食事量が減ったり、低カロリーのものしか食べなかったりすることから、体重が極端に減る、痩せて生理が来なくなるといった症状がございます。過食症では、食べ始めるとやめられない、食べては吐く、食べ過ぎたことを後悔し、憂うつになるなどの症状があるため、周囲の方の理解やサポート、早期の医療機関への受診が重要な疾患であると認識しているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。厚生労働省からも認識また現状を伺いました。

 この摂食障害を広く知ってもらうために活動していらっしゃいます愛媛県摂食障害支援機構が、この活動のシンボルマークといたしましてマゼンタリボンを考案されております。きょうは私もこのピンクのリボンをつけさせていただいておりまして、後ろの方もつけていただいております。大変にありがとうございます。

 こういった摂食障害につきまして、早い段階で気づくことによりまして、早期回復にもつながりますし、重症化を防ぐこともできるかと思います。学校や職場、自治体、そのほか広く地域におきましても正しく知っていただきまして、患者本人やその家族を理解し、支援していくことが必要であると思います。そのためにも、この摂食障害につきまして正しく広く知っていただくための周知啓発活動が重要と考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 摂食障害につきましては、ダイエットの延長、わがまま病、育て方が原因といった誤解が生じやすいとの御指摘もあり、患者本人及び家族を支援するためにも、疾患に対する理解と関心を深める啓発活動は重要でございます。

 厚生労働省といたしましても、摂食障害に対する理解を促進し、患者に適切な支援を提供する体制を整備するため、摂食障害に関する学校と医療のよりよい連携のための対応指針を作成し、養護教諭などの教育関係者に対して研修を実施する、厚生労働省ホームページに開設しているみんなのメンタルヘルス総合サイトや、摂食障害全国基幹センターのホームページを通じての普及啓発などに取り組んでいるところでございます。

 今後も、摂食障害に関する国民の理解の促進に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 先ほどの現状の中で、約二十二万人ではないかということがございました。先ほども申し上げましたが、やはりまだ医療機関につながっていない方が多くいらっしゃるかと思いますので、そういった意味で、広くいろいろな方々に摂食障害のことを知っていただいて、しっかりと医療機関につながれるような環境整備ということで、今御報告いただきましたことを引き続きしっかりと対応していただきたいと思っております。

 その上で、摂食障害の課題でございますが、専門の医療機関、相談窓口が少ないということが大きな問題だと思っております。

 現在、摂食障害治療支援センターが整備されておりますけれども、全国で四カ所、宮城県、千葉県、静岡県、福岡県の四カ所と聞いております。身近なところでこのような支援センターは必要だと思いますけれども、せめて県に一カ所だけでもあれば、患者やその家族への支援はもとよりですけれども、先ほどもお話ありましたが、例えば教育機関と連携をとって、教員向けの研修の実施、また情報発信ももっと充実できるのではないかと思っております。

 専門の治療機関、相談窓口を将来的にはしっかりと全国展開をしていただきたいと思っておりますけれども、御見解をお伺いをしたいと思っております。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 摂食障害の対応につきましては、現状、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターに設置されております摂食障害全国基幹センターと、地域に設置されている摂食障害治療支援センターが担っており、全国基幹センターにおきましては、摂食障害治療モデルの研究開発、全国の医療従事者向けの研修の実施、情報提供ウエブサイトの運営などにより、摂食障害治療支援センターへの助言、指導のほか、全国の摂食障害に対応する医療機関への情報提供等を行っているところでございます。

 一方、各地域の摂食障害治療支援センターは、摂食障害の治療、患者やその家族への専門的な相談支援のほか、医療従事者、患者やその家族等への研修の実施、地域の医療機関、自治体等との連携の促進などを担う、摂食障害に係る拠点機関でございます。

 当該センターは、委員御指摘のとおり、現在全国で四カ所整備されているところでございますが、厚生労働省といたしましては、摂食障害治療支援センターの全国展開を進めつつ、地域における摂食障害の治療支援体制が整備されるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 冒頭も申し上げましたが、やはり若い女性も多いということもございまして、こういった若い女性の未来を守るためにも重要な支援かと思っております。しっかりと私たちも応援してまいりたいと思いますので、拡充の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、骨折対策、骨粗鬆症対策について質問させていただきたいと思います。

 超高齢社会を背景に、大腿骨近位部を骨折される患者が増加をしております。今後、いかに骨粗鬆症治療に介入し、二次骨折予防に向けて取り組むのか、重要な課題であると思っております。

 よく、高齢者の方が転んで大腿骨近位部を骨折する、そういったことがございますが、その骨折が原因で歩行困難になり、寝たきりになる、介護状態になるということが多く、事実、要介護となる大きな原因の一つが転倒、骨折と言われております。

 昨年四月の厚生労働委員会でも骨折対策、骨粗鬆症について質問させていただきましたが、人生百年時代と言われる中で、いつまでも健康で元気に活躍するため、骨粗鬆症の予防の取組の推進、また骨密度検診の実施、そして骨折リスクの高い方への医療現場での適切なケア等が重要であると考えております。

 また、骨粗鬆症は女性ホルモンの減少が原因でもありますので、女性に多いという特徴もございます。女性活躍推進を掲げる安倍内閣としましても重要課題ではないかと思っております。

 厚生労働省の骨折対策、骨粗鬆症対策に対する認識、取組状況、今後の対応についてお伺いをいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 骨折予防にも資します骨粗鬆症対策を推進することは重要な課題であるというふうに認識しております。

 国では、市町村が健康増進法に基づき実施しております骨粗鬆症検診に対する補助を行っておりまして、平成二十九年度時点でございますが、千七百三十七自治体のうち千八十五自治体で実施しています。

 この検診の具体的な内容は、運動習慣や食生活等についての問診と骨量測定です。検診の結果、要指導に該当した場合には、希望者に対して栄養や運動などの日常の生活習慣について指導をしております。

 さらに、骨粗鬆症の予防及び検診提供体制の整備に向けまして、厚生労働科学研究費補助金におきまして、二〇一九年度から、今年度から研究を開始し、今後、その結果を踏まえ、骨粗鬆症予防マニュアルの改定等を目指してまいります。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますけれども、やはり、介護予防という観点、また女性の活躍という観点からも、骨折対策また骨粗鬆症対策は大変に重要になるかと思っております。

 しかし、骨折が直接命にかかわるということにはなりませんので、どうしても優先順位が低くなるのではないかということを懸念しております。女性活躍ということもありますし、しっかりとこの点につきましても、公明党としても力を入れてやっていきたいと思いますけれども、ぜひ全力でやっていただきたいということを、重ねてになりますが、要望させていただきたいと思っております。

 続きまして、昨年、女性活躍推進法が改正されましたので、この点について質問させていただきたいと思っております。

 男女共同参画の観点から女性が働きやすい環境づくりを進めるのが狙いで、国や自治体、民間事業主に対しまして、女性採用の比率、そういったものの数値目標を盛り込んだ行動計画の策定や、実施状況の公表を義務づけられておりますけれども、今回の改正によりまして、二〇二二年四月からは従業員百一人以上三百人以下の中小企業にも行動計画の策定義務が拡大されることとなっております。

 この義務化を前に行動計画を策定した中小企業もあるようでございますが、しかし、ほとんどの中小企業は、働き方改革の推進や人手不足への対応で、実際には行動計画の策定は大きな負担となっているのではないかと思っております。行動計画策定に向けまして、特に中小企業への支援を充実させていただきまして、女性の活躍を更に進める必要があると考えております。行動計画の策定状況とあわせて、中小企業への支援をお伺いしたいと思います。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 女性活躍推進法に基づきます一般事業主行動計画のまず届出の状況についてのお尋ねでございますけれども、現在、行動計画の策定が義務となっております常用労働者数が三百一人以上の一般事業主につきましては、昨年の十二月末時点で届出数が一万六千六百五十五社でございまして、その義務の対象企業のうち九八・九%が届出済みということになってございます。一方で、おっしゃいましたように、行動計画の策定が努力義務であります常用労働者数が三百人以下の一般事業主、規模の小さいところでございますが、これは届出数が六千四百三十六社にとどまっているところでございます。

 昨年五月末に成立をしました改正女性活躍推進法においては、一般事業主行動計画の策定義務を、今ほどおっしゃいましたように常用労働者数が百一人以上の一般事業主まで拡大をするということにしているところでございます。

 このため、その施行が令和四年の四月一日でございますので、二年後、令和四年の四月一日の改正法の施行に向けまして、中小企業に対しましては、行動計画の策定に関する説明会の開催であったり、電話や個別訪問等によるきめ細かい支援を行っていきたいというふうに考えておりますし、また、中小企業が行動計画の策定における状況把握や課題分析などに取り組みやすいように、行動計画の策定を支援するようなツールの作成とか周知といったようなことを行っていきたいと考えております。こういったことによりまして中小企業の行動計画の策定を促して、円滑な施行に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 中小企業は日本の経済の屋台骨とも言われておりますが、ほとんどが中小企業という中で、働き方改革もそうですし、女性の活躍はやはり中小企業から進んでいくことが重要かと思っております。そういった意味で、しっかりと支援を、再度お願い申し上げておきたいと思います。

 きょうは女性の生き方を支援する質問を中心にさせていただきました。引き続き女性が活躍できる環境整備ということで全力で取り組んでいきたいということをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 大変にありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて鰐淵洋子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 稲津副大臣、連日、新型コロナウイルスの対応、大変にお疲れさまでございます。

 きょうは、私が抱えております厚生労働分野の諸課題について質問してまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 初めに、母乳バンクの役割、有効性についてお伺いをしてまいります。

 母乳バンクは、二〇一三年十月、昭和大学小児科研究室内に設立をされました。母乳が出ない母親のかわりに、別の母親の母乳を小さく生まれた赤ちゃんに無償提供するものであります。低体重で臓器が未発達な赤ちゃんの病気のリスクを減らすのが狙いです。

 母乳バンクが必要とされる赤ちゃんは、千五百グラム未満で生まれた極低出生体重児、千グラム未満の超低出生体重児。医療の発達で多くの命が救われている中、特にこうした小さな赤ちゃんは臓器が未発達で、病気にかかるリスクが高い。こうした超低体重児が腸の一部が死滅する壊死性腸炎になると、五割以上が死亡すると言われております。母乳はこのリスクを低減することができます。

 日本小児医療保健協議会栄養委員会が昨年七月に提言をしております。早産、極低出生体重児においても自母乳が最善の栄養であり、早産、極低出生体重児を出産した母親に最新の情報に基づいた母乳育児、搾乳支援を提供しなければならない、もし十分な支援によっても自母乳が得られない、子に与えられない場合にはドナーミルクを用いる、このように提言をしております。

 産後、小さく生まれた赤ちゃんの母親、思うように母乳が出ずに悩んでいるお母さんにとって、母乳バンクは大変ありがたい制度だと考えております。

 初めに、この母乳バンクの役割、有効性についての認識をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘ございましたように、非常に低い体重で生まれた子供さんなどは、消化管あるいは心臓に疾患を持つリスクが非常に高いと言われております。

 その際に、早期から母乳によって栄養摂取を行うと、御指摘のありました新生児壊死性腸炎ですとか、さまざまな疾病を防ぐことができるということで、利点があると承知しております。

 他方、何らかの理由で母親みずからが提供できない場合には、十分に感染管理された環境のもとであれば、第三者からの母乳であるいわゆるドナーミルクにつきましても同じような予防効果があるということが、海外等の事例においても報告されていると承知をしております。

古屋(範)分科員 世界的にも、この母乳バンクを設立する動きというものがあります。母乳バンクの歴史、百年以上持っている。一九〇九年、ウィーンで誕生しております。母乳が赤ちゃんの病気を防ぐだけではなくて、赤ちゃんの将来にわたってよい効果をもたらすということがわかっておりまして、オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、トルコなど、多くの国で母乳バンクが広がっております。

 アジアでは、中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、インド、フィリピンなどで設立をされております。

 日本の現状といいますと、二〇一七年、国内唯一の母乳バンクである日本母乳バンク協会が発足をされました。この前身は、先ほど申し上げた、昭和大学の小児科の研究室内に設立をされた母乳バンクであります。現時点ではこの一般社団法人日本母乳バンク協会が営む一カ所のみでありまして、五年間で設立はゼロということであります。二〇一八年九月からの一年間で約百人にドナーミルクを提供しております。欧米社会では常識として広く普及している母乳バンク、日本ではまだドナーミルクの活用が十分進んでいないと思います。

 WHOやユニセフでは、母乳を乳児にとっての完全食品として位置づけておりまして、先進国、発展途上国を問わず、その利活用を強く推奨しております。

 母乳か人工乳か、どちらかしかないというのでは、母親も非常に追い詰められてつらくなります。その中間のドナーミルクがあれば、焦らずに母乳が湧いてくるのを待つこともできるというふうに思っております。

 普及への課題として、まず予算の確保、それから安全性の確保の上から運用基準を策定していくことが重要なのではないかというふうに思います。

 低体重児の栄養戦略、十分量の母乳が出ない母親のために、ドナーミルクを確保するこの母乳バンクは必要不可欠であると思います。日本も、今後、全国の需要に見合うだけの母乳バンクを整備するべきだと考えます。母乳バンクの全国配備を着実に展開すべきと考えます。また、そのときに、安全性を確保するための運用基準も策定する必要があると思います。

 この点に関する厚生労働省のお考えをお伺いいたします。

渡辺政府参考人 御指摘のございましたこの母乳バンクにつきましては、まだ非常に普及が低い状況でございますので、厚生労働省としましても、来年度、令和二年度から開始します厚生労働科学研究におきまして、我が国における第三者からの母乳の摂取に係る安全性の確保のあり方なども含めて、必要な知見の収集に取り組んでまいりたいと思っております。

 特に安全性ということでは、先行して今動いておりますバンクでも、例えば登録時に血液検査によってウイルスなどがないかということを確認したり、殺菌処理などさまざまなことをしておりますので、こういった先行事例も参考にしながら考えていきたいと思っております。

古屋(範)分科員 令和二年度からの厚生労働科学研究を着実に進めていただきまして、そのエビデンスに基づいて、ぜひ母乳バンクの全国整備に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 続きまして、こどもの国についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 こどもの国といいますのは、現在の上皇陛下が皇太子殿下の当時、御成婚を記念する事業の一つとして、一九六〇年に設立をされました。横浜の青葉区にございます。大体、神奈川県内あるいは隣接の東京都内も、子供を連れて一回は行く、そういう施設でございます。また、保育園、幼稚園なども遠足に行くような施設でございます。中央児童福祉審議会の答申に基づきまして設立をされております。児童健全育成のための中央施設として建設された施設でございます。

 一九六五年五月五日に開園をされました。園内は、非常に広い敷地がございまして、年代に合わせた遊具などもございまして、四季折々に花が楽しめます。プール、スケート場、キャンプ場、ボート乗り場、牧場、乗馬コーナーなどさまざまな施設がありまして、野外活動を学び、何よりも自然と親しめる施設となっております。

 ここは、多摩丘陵の地形をそのまま残している、自然に親しめる施設。また、歴史的背景も残しております。戦争の遺構も保存をされております。また、著名な彫刻家がこの建設プロジェクトにかかわりまして、五十年を経た今も、イサム・ノグチのものですとか、さまざまなそういった芸術作品も残されております。

 しかし、なかなか資金難で建設が頓挫をしたり、また、建設されたものも老朽化をしております。地元からも施設の老朽化の声が寄せられております。

 私も、この一月、視察に行ってまいりました。昭和四十七年竣工の皇太子記念館は老朽化が激しくて、台風で天井が破損しておりまして、雨漏りをしているという現状でございます。これまでも入場料を充てながらさまざま施設の維持管理をしてきたところでございますが、大規模なこうした耐震改修というのが難しい現状でございます。

 今後も、自然豊かな中での遊び場、このコンセプトを維持して、次世代に残すべきものは残しつつ、こどもの国でしか体験できないものを提供できる施設としてあり続けるためにも、各施設の老朽化に伴う大規模修繕の予算について着実に確保をしていただきたいのですが、この点、副大臣に御答弁を求めたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 こどもの国につきましては、私も数年前に一度訪問させていただいておりまして、大変自然豊かで、また、いろいろな意義深い施設も数多くあって、そういう意味でもすばらしい施設だと思っております。

 このこどもの国につきましては、特にシンボル的な存在であります皇太子記念館について、昭和四十七年の建設ということで、今議員からも御指摘のように大変老朽化が進んでいる、そこで、令和二年度の予算案において大規模修繕工事費として九億円を計上いたしまして、利用者の安全確保を図るともに、今後ともこの現状の形状を維持し、その記念を後世まで残す、このようにしたところでございます。

 昭和五十六年の国会での衆参における附帯決議もございますが、今後とも、利用者の安全確保とともに、児童の健全育成にふさわしい環境が保たれるように、国としても必要な助成を行い、その整備、発展に配慮してまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 令和二年度予算案の中に、この皇太子記念館、九億円の修繕費を盛り込んでくださっているということでございます。ありがとうございます。また、その先も必要な予算を確保しつつ、施設の維持管理、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、福祉用具について質問をしてまいります。

 昨年の分科会でも福祉用具関連について質問いたしました。

 昨年十月、消費税引上げとなりました。これに関しまして、福祉用具貸与価格の上限につきましては、消費税率一〇%となりました昨年十月以降の取扱いについて、税率分の引上げに対応していただきました。これについては感謝を申し上げたいと思っております。

 さらに、在宅また施設における介護ロボットについてお伺いをしたいと思っております。

 現在、施設や在宅において介護ロボットの導入が進んでおります。介護ロボットを継続的に活用していくために、職員に対する操作指導、機器のメンテナンスが不可欠であると思います。導入を促進しているけれども、導入したものの、その後使い続けていただくことが必要だと思います。倉庫に眠らせておいてはもったいないと思います。

 これは、老人保健事業推進費等補助金で行われました老人保健健康推進事業分の研究事業でございます。その報告書の中にも、ロボットの活用につきましてはその有用性が挙げられております。福祉用具専門相談員、介護支援相談員は総じて介護ロボットへの関心や普及への期待が高い、在宅への利用拡大に向けて自身が貢献する意欲も高い、このような調査結果が出ております。また、一定期間使うことによって、介護者の腰痛の問題、また、他の業務に従事する時間ができたなど、短期的、中期的、長期的に見ると変化がある。大変ロボットを活用していくということが重要であるというふうに思っております。

 こうした介護保険の居宅サービスで福祉用具サービスを効果的かつ安全に提供するために、福祉用具専門相談員がメンテナンスとかモニタリングを継続的に実施していく仕組みが導入をされているんですが、在宅、施設等で、介護ロボットについて、メンテナンスなど、どのような対策が講じられているのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。

大島政府参考人 委員御指摘のとおり、介護職員の負担軽減を図る上で、介護ロボット等のテクノロジーの活用は非常に重要な課題と考えております。

 これまでも、厚労省におきましては、介護ロボットの活用あるいは人材育成に取り組みやすくするための介護事業所向けの生産性向上ガイドラインというのをつくりまして、その普及に努めております。また、介護ロボットに着目した移乗支援や見守りセンサーなどの、それぞれの種類に応じた有効な使い方あるいは期待できる効果などをまとめた手引書もつくっているところでございます。

 一方、福祉用具専門相談員の方につきましては、在宅サービスの利用者を対象に、適宜、利用者の御自宅などに訪問されて、福祉用具の点検や修繕などの保守管理あるいは使用方法の助言等を行っているところであります。

 こういった方々に、ではそういう介護施設における介護ロボットの操作方法の指導あるいはメンテナンスにつきましてどうしていくのかというのは、まだ取り組んでいない分野の一つでございます。現実には、メーカー等が販売やレンタルの一環としてそういった部分をやっていらっしゃるところもあろうかと思いますが、今後ますます介護ロボットほかテクノロジーの普及を進める上で、操作方法ですとかメンテナンス、こういった分野におきまして福祉用具専門相談員の方々にどのように御活躍いただけるかにつきましては、まずは実態把握などを含めまして研究を行ってまいりたいと思います。

古屋(範)分科員 さらに、福祉用具専門相談員の更新研修の義務づけについてお伺いをしてまいります。

 昨年、この更新研修は重要であるけれども、団体独自の取組を注視していく、このような答弁をいただいたところでございます。

 その後、団体主催の更新研修修了者におきましては、この受講を通じて利用者本位のサービスの提供につながっておりまして、より専門的知識、経験を有する福祉用具専門員としての質の高いサービス提供に努めていることが確認をされております。研修を受けていない者との格差が大きく開いて、利用者にとっては、これが差がつくということはよい結果にならないと思っております。

 こうした観点からも、更新研修の義務づけが必要と考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

大島政府参考人 福祉用具専門相談員の資質向上につきましては、平成二十五年度の審議会の中で議論が行われまして、平成二十七年度から、指定基準省令の中で指定講習カリキュラムの見直しと講習時間の拡充を行っておりまして、さらに、自己研さんに関する努力義務の規定を設けているところであります。

 こうしたこともありまして、全国福祉用具専門相談員協会におきまして、平成二十九年度から、より専門性を高めていくための独自の研修講座を開設していただき、三年に一度受講するよう促しておられるところであります。

 こういった取組をまずはまだ、去年もそのように申し上げたかもしれません、見守りたいと思っておりまして、今義務化いたしますと、全体の事業所に占める受講した方の割合とまだ相当開きがございますので、まずは、団体の独自の取組、これは自己研さんの方法として望ましいものであると考えておりますので、こうした取組の広がりに期待していく段階ではないかなと考えております。

古屋(範)分科員 こうした更新研修の義務化に向けて、更に検討をお願いしたいと思っております。

 それから、福祉用具サービスの計画書についてお伺いをしてまいります。

 平成二十四年四月、指定居宅サービス等の事業人員、設備及び運営に関する基準等の改正におきまして、福祉用具貸与、特定福祉用具販売等のサービス利用者に対して、福祉用具サービス計画書の作成が義務づけをされました。

 この計画書に最低限記載すべき事項は利用者の基本情報などなどがあるわけなんですけれども、平成三十年度改正で利用者へ複数商品を提示する過程が追加をされました。この書式自体、任意の扱いになっております。

 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会の中間取りまとめが令和元年十二月四日に行われております。そこでも、書式の簡素化、標準化の検討がICT化の推進につながるということを述べております。

 ぜひとも、この事務負担軽減に向けて、福祉用具サービスの計画書の書式の統一をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 平成二十九年に、全国福祉用具専門相談員協会におきまして、この福祉用具貸与計画書の参考様式を作成していただいているところであります。今委員御指摘のように、利用者の方々の適切な選択に資するようにという観点からは非常にいい内容の様式をつくっていただいていると考えておりまして、厚労省としても、こうした様式の周知に取り組んでいるところでございます。

 今後、この書式自体は、自治体に対して提出を求めた場合に、自治体から、自治体独自の書式の要求などはございませんので、出して、ちゃんとそれが通用するようにはなっているところでありますが、利用者の方の利便性、適切な選択の向上という観点から、引き続き、この参考様式の周知に取り組んでいきたいと思っております。

 そうした過程を通じまして、まずは普及を図ってまいりたいと思います。

古屋(範)分科員 ぜひとも、この書式の統一、周知徹底をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 次に、認知症施策について質問をしてまいります。

 認知症のサポーター、二〇〇五年度に厚生労働省が創設をしたボランティア制度でございます。自治体、企業などが実施する原則無料の養成講座を受けると資格が得られます。私も受けました。政府は、二〇年度末までに一千二百万人のサポーターを養成するという目標を掲げていらっしゃいます。また、こうした認知症サポーターを一千二百万人養成するということなんですが、この方々の活躍の場もぜひともつくっていかなければならないと思っております。

 厚生労働省では、チームオレンジを全国展開していくということを打ち出していらっしゃいます。

 昨年十月なんですが、三重県の松阪市に行ってまいりました。ここでは、住民全体が認知症の方を見守っていく見守り隊というものをつくって活動しています。認知症の人が安心して地域で暮らせる、そういう見守り隊のシステムをつくっています。

 松阪市、人口約十六万なんですが、ことし三月末までのサポート登録者が二万四千人以上いらっしゃるということで、大変熱心な市であります。この方々は、道に迷っている認知症の人などに対して声かけをしていく、そういう研修を行って、認知症高齢者の見守りをしていくということであります。登録者は約千百人いらっしゃるということであります。声かけだけではなくて、ごみ出しの支援とか、さまざまな支援を行っていらっしゃいます。

 認知症施策推進大綱で、このチームオレンジを全市町村で整備していくということを掲げていらっしゃいます。しかし、チームをつくった、形をつくり、人を決めた、形をつくったとしても、こうした今まで取り組んでいるさまざまな地域での特色というものもあると思います。そうしたこれまでの取組も生かしつつ、地域に沿った実効性あるチームオレンジにしていかなければ意味がないというふうに思っております。

 このチームオレンジについて、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 昨年六月に取りまとめられました認知症施策推進大綱では、二〇二五年、ここを目標にいたしまして、チームオレンジを全市町村に整備することを掲げてございます。

 このために、令和二年度予算案では、市町村がその立ち上げや運営支援を行うコーディネーターの配置のための費用等の助成を設ける、また、都道府県がこの市町村の取組を支援できるように、コーディネーターに対する研修のための費用、これを地域医療介護総合確保基金の助成対象に位置づける、このように予算の充実を図ることといたしております。

 そして、これらの財政支援に加えまして、意欲のある市町村が、このチームオレンジの立ち上げ、これがスムーズにできるように、ただいま議員から御指摘のございました先駆的な取組を収集し横展開をしていく、こうしたことを通じて市町村が実効あるチームオレンジづくりができるようにしてまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 前に副大臣がおっしゃいましたように、今まで非常に積極的に取り組んでいる地域もございます。そうしたものを生かしながら、今、認知症の初期集中支援チームもあり、さまざまな会議体もございまして、複雑になり過ぎないように、実効性あるチームオレンジをぜひとも全国展開していっていただきたいと思います。

 私たち、昨年、公明党として、この認知症に関する認知症施策トータルビジョンという施策をつくり、政府に提出をいたしました。この中で、今まで厚生労働省では認知症対策室でありましたこの対策室を課に格上げすべきだということをこの中の提言で述べております。

 ぜひとも、今、現在でも五百万人の認知症の人がいる、二〇二五年には七百万人にまで増加をする、さまざまな意味で、認知症の施策の推進というのは我が国にとっても最重要課題であると思っております。ぜひ室から課に格上げをしていただきたいと思っております。この点、いかがでございましょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 認知症の人の増加が大変重要な政策課題になってきているということでございまして、御党についても、この認知症の施策の充実、とりわけ部署について室から課への格上げ、こういう要望をいただいてまいりました。

 令和二年度の組織・定員要求におきまして、認知症施策を担当する部署を室から課とする要求を行いまして、認められたところでございます。

 現時点では、地域支援の取組と一体として推進していく、このような観点から、名称を認知症施策・地域支援推進課、このように考えているところでございまして、新たな課の創設によりまして、認知症施策推進大綱に基づくそうした取組を着実に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。

古屋(範)分科員 認知症対策室を課に格上げしてくださるということでございます。感謝を申し上げたいと思います。しっかり、厚生労働省一丸となって、この認知症の施策に取り組んでいただきたいと思っております。

 最後の質問になります。

 介護離職が後を絶たない。なかなか、介護休業、介護休暇の取得が少ないと思っております。この介護休暇、これを時間単位で取得できるようにしていっていただきたいということを、私たちはこの認知症施策トータルビジョンの中で掲げました。

 骨太二〇一九の中で、働き方改革、少子高齢化対策の一環として、介護休暇を一時間単位で取得できるように法令の見直しを行うということが明記をされました。これは大変意義のあることだと思っております。この改正についてお伺いをしたいと思います。

 また、こうした制度改正を行ったとしても、やはり民間企業が理念を理解して、介護休暇、介護休業を取得できる、そうした雰囲気をつくっていかなければ、介護離職を防ぐことはできないと思っております。こうした介護離職を防ぐ環境をつくっていくためにも、今回の制度改正について周知徹底をしていただきたいと思っております。いかがでしょうか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、介護休暇の時間単位でございますが、今委員おっしゃいましたように、昨年の夏の骨太の方針のその後、労政審でも審議をいただきまして、昨年の十二月に育児・介護休業法の施行規則などが改正をされまして、来年、令和三年の一月から介護休暇制度について時間単位での取得ができるようになったところでございます。

 続けての御指摘の周知などでございますけれども、改正をされました内容につきましては、周知用のリーフレットを作成し、既にもう昨年十二月には厚生労働省のホームページに掲載をし、また一月には都道府県労働局に送付をするとともに、労働局より各種説明会の開催や事業主への個別訪問などによって周知徹底を図っているところでございます。

 加えまして、介護休業制度全般でございますが、これは、昨年六月の規制改革実施計画で、介護離職ゼロに向けた対策としまして、労働者への介護休業制度の周知徹底を図るというふうにされたところでございます。来年度の予算案におきましては、労働者への介護休業制度などの周知広報の強化、また、ケアマネジャーなどが仕事と介護の両立に関する知識を習得するための研修カリキュラムの策定、さらに、円滑な介護休業の取得と職場復帰に取り組む中小企業に対する助成金の拡充などの施策を盛り込んだところでございます。

 引き続き、今般の改正内容を含めて、介護休業等の制度について周知、定着を図って、仕事と介護が両立できる職場環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。

古屋(範)分科員 令和三年度から実施ということでございます。しっかり周知をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)分科員 石川県能登半島、立国社共同会派の近藤和也でございます。

 きょうは加藤大臣、今大変緊張感を持って、そしてお疲れのところだと思いますが、質疑をありがとうございます。

 今、大臣が頼りでございます。厚生労働省の方を始め関係省庁の方も、大変な緊張感のもとで見えない敵と闘っている、そして、こういったときには当然さまざまな批判がありますが、真摯に受けとめていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 きょうは、質問に入らせていただく前に、済みません、通告にはありませんが、私の地元の石川県でも新型コロナの感染者が発見されました。容体はまちまちということでございますが、このことの通告はありませんが、少しお伺いさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 実際には、皆様から、情報公開のあり方、そしてまたさまざまなイベントも含めて、国からの指示がはっきりしていない、現場任せが過ぎるんじゃないか、こういった声が随分上がってきております。

 例えばですけれども、石川県で一例目で発見されたときには、その方は四つの病院に行かれたようです。その病院、どこに行ったのかということは、やはり、多くの県民の方々からとってみれば、その病院に通われている方がそれぞれいらっしゃるわけですよね。そこに行かれたのかどうか、A病院なのかB病院なのかZ病院なのかわからないですが、それを知りたいという声は当然ながらあります。

 結果として、その患者さんが入院されているところと、そして一つの病院は私のところに来られましたよということは言われたようですが、残りのところは県としてははっきり示すことができていない。今、県庁にも相当電話が来ているようです。そういった方々も大変御苦労されておられるなというふうに思いますが、この公表基準がはっきりしていないということで、要は、県にその責任を押しつけているような状況になっています。

 そしてまた、同じような事例でいけば学校です。お子様も感染をしていたということで、その学校は公表はされているんですけれども、結果として学校をいつまで休むかなんですよね。今ちょうど、公立の高校受験が間もなく、三月の前半から中盤にかけて始まりますが、一つの見方をすれば、当然、ほかのお子さんにうつったらどうするんだということで、休まなきゃいけない。ただ、学校を休む基準が、数日であったり、十日なのか、二週間なのかといった基準も示されていません。これはもちろん厚労ではなくて文科というところになるとは思うんですけれども、その基準もはっきりしていない。

 一方で、受験を間近に控えたお子さん若しくは保護者の方からしてみたら、こういう見方もできるんです。こんなぎりぎりの段階で、一週間も二週間も学校を休まれたら、一番追い込みの時期に、受験に失敗したらどうするんだと。そうなので、学校を休めても休まなくても、どういった形でも批判が来るわけです。

 こういったことに対して、国として明確な基準というものが示されるのか。きょうは、午後の段階でしょうか、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を出されたというふうに伺っていますが、このことについて現状を教えてください。

加藤国務大臣 まず、公表基準であります。

 これはいろいろなケースがあるんですが、基本的な考え方は、まず、公衆衛生上必要があるかどうかということ。もちろんそれぞれの個人情報というものはまた別にありますけれども、まずは公衆衛生上必要かどうか。

 今の委員のお話であると、例えば、かなりの、待合室におられました、誰がいたかわからないということであれば、通常はそんなことはなくて、おられた方はわかりますから、そうすると、どなたとどなたとどなたがある意味では濃厚接触者の可能性があるといって、固有名詞がきちんとつかまえられるのであれば、その病院の名前を出していくといっても、公衆衛生上の必要性というのはそんなにないんだろうと思います。

 ただ、今のは待合の話ですけれども、そうではなくて、不特定多数の方がおられた場所が仮にあって、そこにその方がかなり長く、よく名前は知らないけれども、親しげにたくさんの人とお話をされましたというような事例だと誰が接触者かわかりませんから、そういった場合には明らかにしていただいて、むしろ接触者をしっかりと把握をしていく、こういう必要性のためにも公表していく必要があるんだろうと思います。

 したがって、その辺の判断というのは今申し上げたようにケース・バイ・ケースでありますが、ただ、私どもとしては、公衆衛生上の必要な観点に立ってまずは御判断いただきたいということはこれまで申し上げているということであります。

 それから、判断基準、例えば学校をどうするか、あるいはどういう場合にイベントを自粛するかということであります。これについては、私どもの方においては、先般、イベント自粛の考え方も示させていただきながら、なお、一律に自粛を要請するものではないというふうに申し上げさせていただいております。この基本方針でも同じような趣旨は書かせていただいております。

 ただ、他方で、一定の小規模な集団が発生をしている。この発生の仕方が、ぽつんと一件だけあって、そこから余り拡大していないケースと、そこを一つの起点としながら連鎖していくというつながり、こういう発生の仕方があります。後者の方が非常に、これがまた違う集団をつくって拡大していくということ、これをしっかりと抑制していかなきゃいけないというのが専門家の御意見でありまして、そういったものが発生している地域においては、私どもの専門家も場合によっては派遣をさせていただきながら、そうした集団に関係する施設とかイベントとか、そういった自粛は要請してもらうという考え方はそこに出させていただきました。

 したがって、最終的には首長さんの判断ということにはなりますけれども、それに向けて我々も最大限、情報を共有化したり、認識の共有化をしたり、場合によっては一定期間自粛をするということになれば地域経済への影響というのは当然出てくるわけでありますから、それに対する支援措置も含めて、しっかり連携をとっていきたいというふうに思っています。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 ケース・バイ・ケース、情報提供を密にしていく、共有を密にしていくということを伺いましたが、実際に、私は今農林水産委員会に所属をしています。アフリカ豚熱、豚熱、この水際対策、蔓延予防といったことについても、やはり同様に国からの明確な基準が欲しいということは多くの自治体からいただいているところであります。そして、今回は対象が全ての人ということでございます。多くの方々が、こういったときこそ明確な基準を示してほしい、はっきりしてほしいといったことを言っているということは、ぜひともお伝えしたいと思います。

 具体的に、きょうも、何人もの方にもいただいたんですが、例えば一例ですが、ある音楽教室をされている方で、三月の半ばに発表会を予定している。その上部の団体からは、これは国がやれと言ったらできる、何も言わなければやるし、やめろと言ってくれたらやめるしということらしいんです。ただ、その音楽教室ではホテルを借りてやる。例えば、ホテル側からやめてくれと言われる可能性もあるわけですね。若しくは、その生徒さん、お子さんが多いのであれば保護者さんから、何でやるんだ、いや、むしろやってくれと。その集団の規模ですが、五十人前後らしいんです。百人、二百人、千人になるとかなりの大規模だねというふうに言えますが、この五十という数字も、考えようによっては多いですし、考えようによっては少ないですよね。

 こういったことも含めて、はっきりしてほしいという悲鳴にも近い声が上がっているということはぜひとも認識をしていただきたいと思いますし、この地域等に対する情報提供ということでいけば、せめて、どこの病院に行ったかといったことぐらいは、私は、これは公表すべきだということは指示を与えてほしいなと。これは要望でございます。いろいろな検討をされておられると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、きょう通告していました質問に入りたいと思います。

 今回の新型コロナの件が出るまでもなく、地域における医療の大切さ、これはずっと大きな問題になってきています。特に人口減の社会、私のところは石川三区というところで、人口減少が非常に激しい。加藤大臣も同じように、山もあり、海もあり、のどかというよい言い方と、人が減って厳しい、そういった両面があると思いますが、こういった地域こそが、医師不足、看護師不足も含めて、医療機関の維持が厳しくなってきています。高齢化が進んで、そして、今までであれば車で通えた方も病院になかなか行きづらいという状況も生まれてきています。

 その中で、きょうは大きく二点質問いたしたいと思います。

 地域医療をどうやって確保していくかという問題、そして、さらには具体的に、特に過疎地域における人工透析が必要な慢性腎不全の方々の問題を取り上げていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず一つ目でございますが、昨年九月に公立病院などの再編統合へ向けたリストが公表されました。全国各地でかなりの反発がありましたが、この点についての受けとめをお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域医療構想、これは、今後の医療ニーズの変化あるいは医療サービスの担い手の減少という地域医療が抱える課題に対応するために、それぞれ、地域のニーズに合致した医療提供体制への転換、あるいはニーズの量に応じた医療機関数や規模の適正化というものを目的に進めさせていただいている取組でございます。

 今般、今御指摘いただきましたように、公立・公的医療機関の中で、これまで急性期を中心に担ってきていただいたものに対し、民間では担えない政策医療に重点化すべきという観点から、先行した集中検討期間を踏まえて、その検討結果から、改めて、更にその取組を進めていくために、骨太の方針二〇一九を踏まえまして、客観的なデータを分析し、その結果をお示しいたしました。それが結果、いわゆるリストという形になってございますけれども、私ども、このリストは、地域医療構想の、先ほど申し上げました目的あるいは方向性の実現のために、医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料として示したものでありますし、将来担うべき病院の役割あるいはあり方を機械的に決めたものではございません。

 その中で、この間、地域からいろいろなお声をいただきましたので、私どもとしては、その声に応えるべく、自治体の方々との意見交換会を通じまして各地で直接丁寧に御説明をさせていただきましたり、あるいは、総務省さんと一緒になって、地方三団体の方々と地域医療確保に関する国と地方の協議の場などにおいて、今申し上げましたような趣旨、位置づけ、あるいは今後の方向について意見交換を重ねさせていただいているところでございます。

 引き続き、関係者の方々、医療関係者も含めて御理解をいただくように丁寧に対応させていただきながら、この地域医療構想の実現に向けて取り組ませていただきたいと思っております。

近藤(和)分科員 実際には公表されたのは九月で、十月に全国七ブロックでこの意見交換会を行ったということですよね。ただ、これは恐らく予定していなかったかもしれないなと。相当お怒りの声、皆様からしてみれば、ここまで怒りの声が上がるとは思っていなかった、意外なところもあったんじゃないかなというふうに思います。

 ちなみに、私の地域でいきますと、もともとの、基礎データの一千四百の中のうちで十の病院が挙げられていますが、そのうちの三つが統合の点数をつけられてしまっているということで、やはり、それぞれの議会から、全てというわけではないですけれども、意見書が来ています。意見書といっても怒りの声ですよね、はっきり申し上げれば。

 例えば、過疎化や冬場の積雪といった個別要因が考慮されていない、住民や医療従事者に対し不安を与えている、医師と患者の信頼関係が壊れつつある。そして、強く要望するということで、この病院のリストを撤回すること、そして、地域の実情を十分に踏まえた地域医療構想の推進に努めること。こういった要望が来ていますが、このことについての回答をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回お示ししたリストの位置づけにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、それぞれの地域において、今後の公立・公的病院あるいは地域医療の担い手である医療機関の病床数でありますとか機能について、そのあるべき姿を考えていただく、そもそも、都道府県が既にお決めいただいた、二〇二五年に向けてのエリアごと、地域医療構想圏ごとの構想に向けて、どのように今後取り組んでいかれるかという御議論をそれぞれの地域で深めていただくための材料としてお示しさせていただいたものでございますので、その点を改めて丁寧に申し上げるとともに、地域地域におけるそれぞれの事情、今回お示しした分析は急性期に着目したものでございますので、必ずしも私どもでお示ししたデータだけですくい上げられない地域の事情なども、その地域における圏域構想会議における御議論を通じて深めていただいて、この地域医療構想の実現に向けての取組をそれぞれの地域でお願いしたい、私どもとしてはそれを支援させていただきたい、このように考えてございます。

近藤(和)分科員 丁寧な議論というのが本当に必要だと思います。今読ませていただいた意見書の出ていた自治体ですが、四年前に病院を新しくそこに移設して、本当にきれいな、いい病院ができたねとみんな喜んでいたんですね。そして、先ほど言われましたように、急性期から回復期、さらには慢性期の部分をふやして、全体の病床を減らした上でちゃんとその方針に従ってやってきているのに、あなた、だめよと。明確にそう言ったつもりはないと思いますけれども、勉強を頑張っている子供に対して、頑張っていたのにそれも見ないで勉強をやれと言ったら、それは怒りますよ。

 こういったことに対しては、全国各地に同じようなところはたくさんあると思いますので、皆様も頑張られているのは十分わかりますが、現場現場の方も相当苦しい思いをして頑張られている。そして、患者さんも、この過疎化、何とかこの病院はもってほしいな、この病院がなくなったら困るなという不安も持ちながら通っている。そういったことも、ぜひとも配慮をしっかりしていただきたいと思います。

 そして、今回は、民間病院は後々ということだったと思いますけれども、この民間病院についてのデータに関して作業が進んでいると聞いていますが、具体的にどういったものなのか。公立に近いようなものなのか、また、いつ、どのような形で誰に出すのかということ。現状について伺います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回お示しをいたしました公立・公的医療機関等に加えまして、地域で議論をいただくためには、地域医療構想、医療提供体制全体を見直す、あるいは御議論いただく必要があるということから、この公立・公的医療機関等と競合状態にある民間医療機関に関するデータにつきましては、本年一月十七日に都道府県に対しまして提供いたしました。それぞれの都道府県における圏域ごとの御議論に供していただくように、繰り返しになりますが、公立・公的医療機関と競合状態にある民間医療機関に関するデータについてお示しをいたしました。これをもって、それぞれの圏域において御議論がいただけることを期待しております。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 それは、公に出ているものという認識でよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 私どもが一月十七日に都道府県に提供させていただきましたこの民間データ、重ねてではございますが、地域の圏域会議において御議論をいただくための材料の一つとして提供させていただいております。これまで、それぞれの圏域調整会議は、基本的には公開の場において関係者の方々が御議論をいただくという形になっております。そういう形の中でこのデータについてもお使いいただくようにということで、私どもとしては都道府県にお示しをしたところでございます。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 実際のところは、医療介護総合確保推進法のところから地域医療構想がまとめられていった。そして、一方で、この地域医療構想調整会議の進捗も含めて、なかなか思ったようにいかないねといった部分はあったんだというふうに思います。それで今回の公立病院のデータ公表に至って、結果として皆さんから相当、私の地域もそうですけれども、冗談じゃないという怒りの声が上がった。そういった経緯もあったのではないかなというふうに思います。

 実際には、二〇二五年へ向けてということですよね。ベビーブーマーの方々が全て七十五以上になっていくまでにという、その必死の思いというのはわかりますが、やはり人は感情の生き物でもありますし、努力をしていることに対して更にといったところでは反発が生まれる可能性もありますし、やはり民間の方々も含めて、地域の方々の協力というのは本当に大事だと思っています。

 ことしの三月末までだ、ことしの九月末までだ、公の病院に関しては段階的に何とかするように、そういったものも出ていたと思いますし、どこかでは、民間病院のところも含めていついつまでに、進捗が何ともなっていないじゃないかといったことで、またおかしな一石が、おかしいと言ったら失礼ですが、怒りを買うような。そして、この方向が逆方向にならないように。

 私も、何とか田舎の病院は守ってほしいと思っております。今回は田舎だけじゃないですけれども、田舎は特にそうですから、そこはぜひとも気持ちを受けとめていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 そして、きょうは、一方で、地方の医療には総務省も当然ながらかかわっていることでございますが、地域医療構想にはどのようなかかわりを持ってきているのか、どのようなサポートをしていくのかといったことを伺いたいと思います。

沖部政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましても、持続可能な地域医療体制の確保が極めて重要であると考えておりまして、そのために、地域医療構想の実現、これは極めて必要であるというふうに考えてございます。

 既に総務省から公立病院の改革のガイドラインもお示ししておりまして、地域医療構想と整合性のとれた形で改革を進めていくようにというふうに求めておりまして、現状、全ての公立病院におきまして、改革プランを作成の上、取り組んでいただいているところでございます。

近藤(和)分科員 きょうは時間がありませんので詳しくはできませんけれども、地方交付税であったり、特交であったり、ほかの基金も含めて、ありとあらゆる形で予算要求は、私は野党の立場でありますけれども、頑張って要求をして動いていただければなというふうに思います。

 そして、きょうのもう一つの質問の柱に移ります。

 地域医療のあり方で、具体的かつ現在進行形で当事者の方々が困られているというのが、慢性腎不全の患者さん、人工透析を必要とされている方々でございます。私のところにも何人もの方から御相談をいただきます。人工透析のために通院する費用が大変だということですね、具体的には。

 御理解いただきやすいように、二人の方の例を挙げます。

 お一人は、透析ができる病院まで車で十五分のところに一人でお住まいの方です。以前ならば車で何とか通えていたそうですが、今はお年を召されてタクシーだ。片道二千円、往復四千円、月だと大体十四往復ぐらいになるんでしょうか、十四掛ける四千円で五万六千円、年間でいけば六十七万円という計算になります。

 そして、もう一人の方は、車で十五分のところに民間の透析クリニックがありましたが、昨年末で透析の施設を廃止したと。現在は車で一時間です、別の病院に行くようになって。町も協力をしてくれているようなんですけれども、それでも月八万円、交通費で、移動費でかかってしまうという状況です。

 ここで伺います。通院助成について国としてのサポートができているのか、障害者総合支援法の範囲内も外も含めて伺います。加えて、慢性腎不全の方への特出し、これだけは別だよといったものがあるのかも伺います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今、地域、僻地といいましょうか、交通が不便なところにおける透析医療機関における通院支援ということの御指摘をいただきました。

 まず、医療機関をその地域においてどうやって確保するか、医療を確保するという点と、それに向けての足の確保という二つの要素があろうかと思います。

 私どもといたしましては、僻地等、医療の担い手の確保が困難な地域につきましては、御指摘の透析医療も含めまして、都道府県が地域の実情を踏まえながら、医療計画を通じてその確保に取り組んでいるというところでございまして、特に、厚生労働省といたしましても、地域の中核病院として僻地に代替医師等を派遣する僻地医療拠点でありますとか、現地の医療を担う僻地診療所などに補助を行うことによって、僻地の医療拠点の確保を行っているところでございます。

 また、あわせて、障害者総合支援法に基づきまして、移動支援事業というものを行っております。これは、屋外での移動が困難な障害者の方々に対して外出のための支援を行うということを目的としてございまして、自治体が必要と認める場合、透析を行っている障害者の方々の通院を支援することが可能ということでございますので、今御指摘いただきましたようなケース、個々のケースはここではコメントを差し控えさせていただきますが、仕組みとして、この対象になれば支援をさせていただくことができるということになってございます。

 私ども厚生労働省としましては、都道府県等とも連携をさせていただきながら、引き続き、透析患者の方々がそれぞれの地域で安心して療養いただけるような、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

近藤(和)分科員 幾つかのことを言っていただきまして、ありがとうございます。

 ただ、個別個別でいくと、国として、また自治体としてこれだけサポートしていますよといった部分があっても、それぞれ個人の方々にとってはかなり違う、足りないというのはやはりあるわけですね。大臣も地方であれば、なおさら遠いなといったところの想像がつくというふうには思いますが。

 また、各自治体によっても温度差がありますよね、実際には。そうなんです。住む地域によって、透析患者の方にとってみれば、住みやすいところと住みにくいところの差が発生してしまっているといったところは、やはりよいところを見習って、全体としてサポートをしていくといったところはぜひともお願いをしたい。今後、私も、この部分はどんどん質問していきたいと思っています。

 ちなみになんですが、今二例目で挙げさせていただいた方ですが、車で十五分のところにある、透析をしてもらえるクリニックが結果的にはもうやめてしまった。やめる一年三カ月前にはちゃんと患者さんには告知をしてくれたそうなんですけれども、その患者さんや地域の方々からとってみると、十五分で行けるところがもうやめてしまう。そのままだったら、今、透析をしてくれるところが一時間だとか四十分だとか五十分かかる病院。今は、そちらに皆さん行かれているようなんですけれどもね。

 でも、本当は、その十五分かかる病院の近くに公立の病院があるんです。その公立の病院は透析をしていません。そこの病院でしてほしい、してほしいということで活動されておられたんですが、結果としては費用の問題、人の問題でしてくれなかったということなんです。ちなみに、その病院というのは、今回四百四十挙げられた病院なんですよ。富来病院というところです。

 地域で細々と、何とかけなげに頑張られていらっしゃる方々の命をつなぐための公立病院の機能を、ほかのところでできなくなったものを何とかふやしてほしいという要望がある中なのに、片方では、いや、あなたのところはもう厳しいですよと。厳しいですよという見方はあると思いますよ。でも、私、ダウンサイジングという言い方そのものもごまかしだと思うんですよ、はっきり言えば、この片仮名の言葉。結果的に縮小じゃないですか。縮小、廃止の方向になる。

 改めてですけれども、機能充実を求めこそすれ、これを是としたとしても、減らすような方向性、皆さんの命を脅かすことがないように、ぜひともお願いしたいと思います。お金は本当にかかります。しかし、お金にはかえられないものが命だと思いますので、ここはしっかりと、よい意味で力を合わせていけたらというふうに思います。

 きょうは改めて、大変な激務だと思いますけれども、また一日頑張っていただいて、皆様に安心を与えていただけたらと思います。

 ありがとうございました。

渡辺(博)主査代理 これにて近藤和也君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳分科員 共同会派の重徳和彦でございます。

 先週の二月二十一日金曜日、私ども野党共同会派は、菅官房長官に対しまして、「新型コロナウイルス感染症について万全の対策を求める申し入れ」を手渡しました。私も、共同会派の政調会長の一人として同席をさせていただきました。その中に盛り込まれた項目でもありますのが、クルーズ船の陽性患者の受入れをした施設、地域を全力で支援することということでございます。

 具体的に念頭にありますのが、私の地元岡崎市、そこにあります藤田医科大学岡崎医療センターで、ダイヤモンド・プリンセス号から、今月十八日に乗員乗客の受入れを開始したということでございます。

 藤田医科大学岡崎医療センターはことし四月に開院予定ということでございまして、その前に、国の要請を受けて、PCR検査で陽性ではあるけれども発症はしていない、こういう方々を治癒するまでの間受け入れる、医療機関でなく観察機関として受け入れる、こういう位置づけであると聞いております。

 今からの質問は、もちろん岡崎市の話でもありますが、今後同じように受け入れる施設や地域があった際にも十分留意いただきたい、そういう思いも含めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、医療面での対応でございますが、今回、今のところ三日受け入れました。初日の、十九日未明になっちゃいましたけれども、二十四名の方を受け入れましたが、発症していない方々という一応の条件だったにもかかわらず、そのうち六名の方々が肺炎の疑いがあるということで救急搬送されましたが、受入先、搬送先の医療機関を見つけるのに、決めるのに四時間かかったということでございます。

 実は、本日、二月二十五日からは、今度は、乗客の方はおおむね下船が済んだということもありまして、いわゆるクルーの方、乗員の方々をまた本日から同じ医療センターで受け入れるということが決定をいたしまして、きょうは二十人受け入れるというふうに聞いております。

 これは同じように、発症した方は、病院じゃないものですから、指定医療機関を始めとした搬送先をちゃんと見つけなきゃいけないんですけれども、大変、県内にも一定の病床がありますけれども、本当にそれで十分なのかどうかということも含めて、これはきちんと事前に調整をして受入れを行っていかないと、もうこれ以上岡崎医療センターも受け入れられません、こういうことになりかねないと思いますが、ちょっと加えて言いますと、県単位で調整しづらいものもあります。他県の医療機関も含めて、国においてしっかりと事前に調整すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、今委員御指摘いただきましたように、今回、藤田医科大学岡崎医療センターにおかれましては、私どもの要請に応じて、患者の方々の受入れをいただきました。陽性で無症状とはいえ、患者の方々を受け入れていただきました。非常に、地元関係者の方々の御理解もいただくべく、大学の方でもいろいろと御努力をいただいております、私どもも一緒に汗をかかせていただいておりますが、まず、大学の方々の御決断を、ありがたい、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、委員御指摘のように、搬送された方々はPCRプラスであるとはいえ無症状という形でございましたけれども、これまで搬送させていただいた方は、やはり高齢者の方もおられましたので、結果的に、そこから容体の変化があった、その際には、その先の医療機関の受入れにおいて、私どもも、あるいは県も岡崎市もそれぞれ一緒になって取り組ませていただきましたけれども、時間のかかったケースもあったということは、私どもも正直、そのように認識をしてございます。

 今後、これから、今御指摘いただきましたように、クルー、こちらはちょっと若いので、同じような状況かどうかについてはこれから注意深く見守っていきたいと思いますけれども、同じように、お願いしました患者の方々に、容体、必要な状態があれば、地元岡崎市そして愛知県を越えて、私ども国としても、より広域的な観点から調整に汗をかかせていただきたい、そういう形で、岡崎医療センターの受入れに対して御理解をいただき、また、円滑に進むように努力させていただきたいと思っております。

重徳分科員 もちろん、現時点で発症していないということですから、何時間もかけて岡崎まで横浜から来られた皆さんが、発症すること自体には何の罪も患者さんにはございませんけれども、ただ、先ほど言いましたように、余り発症する方が多いと結果的に受け入れられなくなりますから、そうすると、受入れ施設として、観察機関としての役割も結果的に果たせなくなる。

 そういう観点から、今回、また乗員の皆さんを、発症していない方々ということで選定するということだろうと思いますが、これまで、そしてこれからも含めてですけれども、どういうふうにその選定をして藤田病院へと搬送をされたのでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の搬送でございますが、クルーズ船で感染者が非常に増加したという状況の中で、無症状でありながら陽性である方々を、一定の医学的管理のもとで生活することの必要性ということを踏まえ、岡崎医療センターの御理解を得て、このような形で搬送させていただいたところでございます。

 その対象となった方々は、先ほど来お話ございますように、ウイルス検査において陽性ではあるが無症状ということではありますが、個々、搬送に当たりましては、横浜の埠頭から送り出させていただく際に、医師がその旨及び本人の体調なども確認した上で搬送に当たらせていただいているというところでございます。

重徳分科員 適切な対応をお願いしたいと思います。

 また、この藤田岡崎医療センターへの受入れというのは、これはある意味クルーズ船からの下船の判断と同じように、この岡崎医療センターから退院をどのようにさせていくのかということで、同じようなことで判断に悩んだり対応に悩んだりすることがあるんじゃないかと思います。

 きょうの分科会で現に加藤大臣が明らかにされましたように、クルーズ船から陰性ということで下船された方も、今までのところで二十八人、その後熱の症状が判明したということでございますね。これは厚労省が健康状態のフォローアップ調査をして判明したということでございます。

 同じようなことが岡崎医療センターについてもそのまま言えるのかどうかということを確認したいと思います。つまり、岡崎医療センターから退院するというのは、クルーズ船からの下船と同じように、検査陰性の判定から完全隔離後二週間で退院、帰宅させるというふうに考えてよろしいんでしょうか。また、下船と同じように、退院をした後二週間でしょうか、毎日健康の確認をする、そういう対応も厚労省としてしていただくことになるんでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来出ております藤田医科大学の方に搬送された方というのは、全て無症状病原体保有者ということでございます。無症状の病原体保有者につきましては、陽性の確認から四十八時間ごとにPCRの検査を行い、陰性であると確認されたら、前回検体採取後十二時間後に再び採取を行い、二回連続で陰性が確認されたら退院可となっておりまして、同センターに滞在中の方も、同センターはまだ開院前ですので医療機関ではないですけれども、感染症法上の入退院ではないですけれども、同様の取扱いとなります。

 症状のなくなった方又は症状のない陽性者のPCR検査が陰性化したということは、当該者の新型コロナウイルス感染症が治癒したと考えられ、毎日の健康状態の確認はその後は不要と考えておりまして、退院後のフォローアップはしないというようなことになろうかと思います。

吉田政府参考人 若干、今の健康局長からの答弁を補足させていただきます。

 健康局長の方から、全てという言い方を申し上げましたが、今回の搬送に当たりまして岡崎医療センターにまず要請をさせていただいたのは、委員先ほど来おっしゃっていただくような、陽性の方であって症状がまだ発症していない方ということでございましたが、現実に搬送の手続といいましょうか取組を進める際には、そのような方々に同行されている御家族の方々が、岡崎に一緒に同行したいというような方もお申出がございましたので、そのような方々につきましては、いわば引き裂くということのないように、御一緒に行っておられますので、若干、陽性で症状のない方を中心に、もちろんそれを念頭にはいただいておられますが陰性の同行者もおられる。

 その上で、退院基準につきましては、先ほど大臣あるいは健康局長から申しましたように、今回、一連の新型コロナに関して整理をしております退院基準に基づいて、現場において判断をさせていただいているということでございます。

重徳分科員 いずれにしても退院をした後のフォローアップはしないという御答弁でしたが、そこが本当に大丈夫かということが今問われていることだと思いますので。

 この点について、今答弁は求めませんが、同じことだろう、クルーズ船の下船と、この岡崎医療センターからの、もともと陽性だった方が退院に至った場合の、その後をフォローアップする必要があるという、必要性は同じことじゃないかと思うんですけれども。

 では、もし御答弁があれば、お願いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 クルーズ船から陰性で下船された方につきましては、チャーター便等の五百名以上の方の状況も踏まえて、二月五日から十四日間の間に検査をしていて陰性であればほぼ問題ないだろうということで、今回のオペレーションになっております。

 その中で一例、栃木で陽性が出てしまったというようなケースは、ちょっと真摯に受けとめなきゃいけないと思います。そこはしっかり対応しなきゃいけないと思いますし、そういうことがあったので、クルーズ船から陰性で十四日たったからという枠組みで退院された方は毎日フォローアップしますという枠組みですけれども、藤田の方に行かれた方は無症状ですけれどもPCRがプラスということですから、これは、ほかのPCRがプラスの方、あるいは藤田じゃなくても医療機関に入院されている方も同じような考え方で、PCRを四十八時間ごとにやっていって、陰性になったら、更にもう十二時間やって、陰性が二回繰り返されたら退院できるということですので、その後のフォローアップはないというような整理になろうかと思います。

重徳分科員 またちょっと現場の状況も確認しながら、必要な対応を求めていきたいと思います。

 それから、今回は、クルーの方々、乗員の方々が新たに入ってくるということですので、これは乗客と比べて、一般的な話なんですけれども、なかなかクルーの皆さんを全員母国がチャーター機で、外国人の方の場合、アジアの、聞くところによるとフィリピンとかインドネシア出身の方が多いというんですが、そういった国々からチャーター機でお迎えに来られるということが果たしてあるかどうか。この辺はわからないし、確率は低いんじゃないかななんて思うんですけれども、そういう外国人の方が退院基準を満たした後の対応というのはどうするんでしょうか。家も家族も国内にはないわけですから、どうやって帰すんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 きょうから岡崎医療センターの方で受入れをしていただいておられる方々、クルーの方々で、今委員御指摘のように、外国籍の方もおられます。

 私どもとしては、もちろん岡崎医療センターには、内外無差別といいましょうか、同じ処遇を施設内において行っていただいておりますし、そのようにお願いもしてございますが、そこから出る際には、委員御指摘のような課題が、日本人の方とは違う課題があろうと思います。

 二つあろうかと思っておりまして、一つは、クルーということでございますので、そのあたりについては、やはり雇主である船会社の方々とこれから実際に退院に至るまでの間によく御相談をさせていただきたいということと、それぞれ、領事館といいましょうか、それぞれの国籍をお持ちの方でございますので、その大使館、領事館の方ともお話をさせていただく。まだ今具体的に、きょうからでございますので、退院までもう少しお時間をいただくことになろうかと思いますけれども、丁寧にそのあたりは、岡崎医療センターの方々の御負担をなるべくかけないように、私どもとして調整させていただきたいと考えております。

重徳分科員 そうですね、岡崎医療センターないし愛知県内の医療機関に過度な負担をかけないということによって、対応がより広くその分できるようになることでありますので、ぜひ各国政府とも連携をとっていただきたいと思います。

 そして、今のは医療面の話でしたが、もう一つ大事なのは、受け入れた地元でございます。

 地元への対応として、重要なこととして、これは一旦済んでしまったことではありますが、先ほど言ったように、今後のことも考えると、今回の件は、厚労省と岡崎医療センターで受入れを決めて、市役所にはほぼ間を置くことなく説明をされたと思いますが、地元への説明がどうも後回しになったというようなことで、やや、地元として、受け入れがたいというか、大きな不安があるということで、疑問視をされている市民の方もやはりおられます。

 今回の手順について、これが適切な手順だったかどうかということについてまずお尋ねします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の岡崎医療センターにおける受入れ、私どもとすると患者の搬送という形は、非常に急を要する状況の中で、とり得る準備をさせていただき、私どもが要請をし、受入れを御決断いただいたということでございました。

 結果的に、岡崎医療センターでの受入れを決定する前の段階で、愛知県あるいは岡崎市、行政に対しましては、国として受入れを要請していること、センター内で行われる支援の内容、あるいは自治体やセンターと連携して対応していくということを御説明いたしましたけれども、いわゆる地域住民の方々については、その時点では何の形でも御説明をする機会をいただくことがございませんでした。

 その後、周辺住民の方々からのいろいろなお話をいただきました。岡崎市からも御要請がありましたので、住民説明会という形を開かせていただいております。

 それにおきましては、今回の受入れが厚生労働省からの要請に基づくものということを私ども厚生労働省から、また、新型コロナウイルスが飛沫、接触感染をするという科学的な背景については私どもから、さらには、病院の方からは、センター職員の万全な防護策や動線管理等により、職員や市内への感染防止に全力で取り組んでいただいているということについて、住民の方々にお伝えをさせていただいているということでございます。

 限られた時間の中ででき得る限りの対応をさせていただいたというところではございますが、今後も、地元の自治体、あるいは地方厚生局、私どもの出先とも密に連携しながら、周辺住民の方々の不安についても丁寧に対応してまいりたいと思っております。

重徳分科員 岡崎医療センターの目の前には小学校もありますし、老人施設もあります。それから、やはりそこの地域住民の中には、一たび発症したら重症化に至るであろうということで、障害児の親御さんが大変心配されているんですよね。これは、やむを得ないことだ、やむを得ないというか、当然のことだと思います。

 けさも私、最寄りのJR岡崎駅で駅立ちをして、通勤客の皆さんにもいろいろと御報告をしておったんですけれども、その中には、今、地元説明会で局長さんが、地元の東海厚生局長が大変失言をされたということを、批判するというよりは、ああいうこともあったけれども、多くの市民の皆さんは受入れをちゃんと受けとめて、協力的な人が多いですよということまで言ってくださっている市民の方が現にいらっしゃいました。それから、地元の企業や団体も、あの岡崎医療センターに対して、日々差し入れをしたり、いろいろな応援をしていこう、こういう方々も大勢おみえになります。本当に温かいというか、すばらしい地域だと私は思っております。

 それだけに、政府は、こういった協力を求める以上は、病院はもちろん、地元への支援にも全力を挙げていただきたいと思います。

 具体的なこととして、これはもうさんざん言われていると思いますが、地元の住民に対するマスクとか消毒液といった資材を優先的に確保していただきたい。きょうの基本方針、先ほど発表されました基本方針の中にも、関連事業者に増産を要請するとか、あるいは過剰な在庫を抱えることがないように関係者に呼びかけていくと。

 こういったことまではわかるんですけれども、更に言うと、やはり配給制というか、必ず市民の皆さんに、特に地元の周辺の方々に対してはちゃんと行き渡るように、需給調整といいましょうか、きちっとそういった手だてまで地元とよく相談していただけないかなと。これは要望なんですけれども、一言ありましたらお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の受入れに当たりまして、地元岡崎市などから、患者の救急搬送業務を行う救急隊員用の防護服の確保でございますとか、周辺地域におけるマスク等の優先確保、あるいは受入れ患者の容体急変に備えた広域的な医療提供体制の構築、そして、先ほど委員お触れになりましたけれども、隣接する小学校児童に対する感染症等の説明の支援というような御要望を頂戴しております。私ども、受入れをお願いする関係の地元ということで、この要望をしっかりと受けとめさせていただいて、できるところから着実に進めさせていただきたいと考えております。

 具体的には、これまで、救急隊員用の資材のうち、感染防止キットなどの送付という形で準備をさせていただいておりますし、あるいは広域調整についてもいろいろな取組をさせていただいております。それぞれいただいた御要望について最大限の努力をさせていただきながら、地元の方々の御協力に報いたいというふうに思っております。(重徳分科員「何かもうちょっと、配給とか、どこに行けば手に入るか」と呼ぶ)

 今申し上げました、具体的な、例えばマスクあるいは消毒液などにつきましては、私ども、地元の市とも調整をさせていただいて、全体、全国的な需給の中で、岡崎市の御要望に少しでも応えるべく、物の確保を支援させていただいておりますが、その先、どういう形で市民の方々にお届けいただくかというところは、ある程度市の方でもお考えいただけていると思います。私どもとしては、市の御要望を踏まえて、市に対してきちっと物が確保できるように取り組ませていただきたい、このように考えております。

重徳分科員 では、ぜひ、岡崎市ともしっかりと調整して取り組んでいただきたいと思います。

 次に、やはり風評被害というものが心配されています。風評で、御商売の方の経済的な損失ももちろんであります。そしてもう一つは、やはり子供たちが、岡崎の子だとか地元の子だということでいじめられたり、あるいは大人の方でも、具体的に聞いたのは、よその地域出身の方が、ことしはもともとのふるさとの同窓会に行くのは控えようとか、やめてくれとまで言われたかどうかわかりませんけれども、そういう影響まで出てきております。

 そういった意味では、いろいろな対策が必要なんですけれども、売上げ減少といったような金銭的なことも含めて、風評対策というのはどのように行っていく方針なのか、教えていただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の国内における新型コロナウイルス感染症に対しましての不安が高まる中で、状況に応じて、風評被害による損失を防止するために必要な対応をとることは重要だというふうに考えております。

 その損失に対しましては、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策の中におきましても言及されてございますが、観光業等とか中小企業、小規模事業者等に対する緊急貸付けの枠を政策金融公庫に設けるとか、あるいは雇用調整助成金の関係等の対応もございますし、まず何よりも、私どもとしては、国民の皆さんとかにしっかりと今回の情報を正確にお伝えしていく、あるいは、コールセンターなども設けておりますけれども、いろいろ御不安とか御不満のあることも含めまして、しっかり相談に乗っていくというようなことも大変重要だと考えておりまして、あわせてそういう取組も含めて、全体を取り組んでいきたいと考えております。

重徳分科員 財政措置を伴う予算については、私どもの申入れにもありましたとおり、きっちりと措置をしていく必要があると思いますし、そして、もう一つありました、情報提供についてもお願いしたいと思います。

 これから具体的に申し上げますけれども、情報提供は重要なんです。

 岡崎医療センターの今回の受入れについて、理解をされる市民も相当おられます、地元でも。だけれども、それでも、やはり正確で迅速な情報提供がなければ、それは幾ら何でもないだろうという受けとめになってしまいます。ですから、緊急時ですから、何でも事前にとは言いませんけれども、事後、遅滞なく情報提供していただきたい。

 その中で一つ取り上げますと、やはり正しい知識を、これはインターネットももちろんですが、民放とか報道機関にもちゃんと徹底すべきだと思うんですね。

 きょうの基本方針を見ますと、例えば空気感染はしない、直接触れた場合と飛沫感染しかないんだというようなことが書いてありますが、しかし、最近よく言われるのがエアロゾル感染、空気感染みたいなものですよね。そういうことがあり得るんだ、こういう報道があったり、それから、一度感染した患者さんは、一回治りました、そうするとちゃんと免疫ができるから再発はしないのか、このあたりも知りたい、こういう声もあります。

 それからもう一つ、感染が新たに発生しました、また何人感染しました、こういう情報は多いんですが、しかし、基本方針にありますように、かかっても治る人も相当多いんですよ、こういうことも、実はそうなんですというレベルじゃなくて、やはり報道機関にもきちんと伝えてもらうように、これは国というか、いわゆる政府とそれから報道機関が一体となって取り組んでいかないと。無用な心配までは必要ないと思うんですね。

 ですから、正しい情報をきちっと伝える。これは特にこういった受入れをした地域においては極めて重要なことですので、そういったことに取り組んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘ありましたように、正確な情報を適時的確に発信していくことは大変重要だというふうに考えております。

 厚生労働省におきまして、これまでも、国民の皆様に迅速で正確な情報提供をするために、大臣みずからが定例の記者会見に加えまして臨時の会見を昼夜を問わず行うほか、ウエブサイトとかSNS等のさまざまな媒体を通じて、感染予防策、患者の発症状況等の情報もお伝えしております。

 あるいは、SNSについては、パトロールというか、情報も見て、間違っているような情報があったらば、それに反論するような情報発信も厚労省の方からもさせていただいているというようなこともございます。

 あるいは、その中で、具体的に御指摘がありました例えばエアロゾルの感染などにつきましても、二月十九日に中国当局がガイドラインの改訂版を発表して、比較的密閉した環境で長時間高濃度のエアロゾルにさらされた場合はエアロゾル感染の可能性があると言及しているところは承知しておるところでございますけれども、これがどのような状況で、どういう形でガイドラインに載っているのかというところはちょっと我々も情報収集をして、しっかりまた情報発信をしていかなきゃいけないというふうに考えております。

 それから、一度感染して治った人にまた感染が出た事例というのも、これも今の段階で確定的なことを申し上げられるような情報をちょっと余り持ち合わせていないんですけれども、一般的には、感染症は一度治癒したら短期間で再感染するということはすごく考えにくいので、いずれにしても、引き続きそういう情報収集をして、適時適切な対応をしていきたいというふうに考えております。

 また、委員から御指摘ありました、PCRの検査結果で陽性がきょうは何人出たとか、患者が何人出たというだけではなくて、我々が毎日発表しています資料でも、退院された方が何人とか、軽快、軽症の方もどのくらいとかというのは出しているところなんですけれども、なかなかPRが、PRというか広報がうまくいっていないところもありますので、更に工夫して、こういう退院とかの人数とかの情報もしっかり引き続き公表していきたいというふうに考えております。

重徳分科員 そうですね、やはり発信力がちょっと十分でなくて、何が正しい情報なのかがわからない、これが多くの国民の皆さんの感覚だと思います。

 最後に一点だけ。

 情報発信につきまして、感染者が発生しましたといった都道府県がどこまでその個人情報を出していいのか、これがはっきりしないものだから、都道府県ごとに対応が違っている。この人の職業は何なのか、どういう行動をとったのか、これが、もっと基準が、ルールが明確になっていないと、後出しで小出しにしていくとか、何か住民から言われて仕方なくとか。それは、やはり国がちゃんと、どこまでの情報をどういうときは出すべきだ、これをはっきりしないと、結局、各自治体ごとに適切にやってくれと言われても困ると思います。

 先ほどの、前の質問者にもあったとおり、例えばイベントもどこまで開催を自粛すればいいのかどうか、これも、適切に判断してくれと言うだけでは、何も示していないのと同じです。こういった情報提供の基準を明確にすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 基準をということですけれども、逆に、全国一律の基準というのも難しい面もあるのかなというふうには考えておりますが、考え方としては、感染症に関する情報公開につきましては、公衆衛生上の必要性と個人情報保護に係るリスクを比べて、そもそも公衆衛生上の必要性を欠く場合とか、個人情報保護に係るリスクが公衆衛生上の必要性を上回ると考えられる場合については、当該情報は公表しないというような取扱いをしております。

 個別に基準があるわけじゃないんですけれども、例えば、今回の新コロナの感染症のケースでは、国籍とかというのは公衆衛生上の問題としては関係ないだろうということで、国としては公表していないというような取扱いがございます。

 今申し上げましたような基本的な考え方を基本としつつ、個別の実情も踏まえて、それぞれの都道府県の責任において判断、公表しているというところもあるというふうに考えておりまして、個別の事例によって公表範囲が異なるのは、その判断の前提となる個別の状況が異なるためだろうというふうに考えておりまして、なかなか、ちょっと一律にというのは、状況によって難しいのかなというふうには考えております。

重徳分科員 ありがとうございました。

 お忙しいところ、大変感謝申し上げます。これからも頑張ってください。お願いします。

渡辺(博)主査代理 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

後藤主査 次に、堀越啓仁君。

堀越分科員 立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。

 本日は、厚生労働省所管に係る質問の機会をいただいたことを改めて感謝申し上げます。

 私は、作業療法士として十二年間、リハビリテーションの現場で、医療、介護、障害福祉サービスの中で働かせていただいたわけですが、今所属の委員会は、環境委員会と、そして特別委員会は消費者問題特別委員会という観点でございますので、この厚生労働省の所管の質問に立たせていただく機会というのはなかなか現在ないものですから、実はたくさんの質問させていただきたいテーマというのがあるんです。

 例えば、厚生労働であれば、私、動物福祉のことを今取り組んでおります。屠畜に係ることについては厚生労働省が所管になりますし、また、昨今、国民の皆さんがかなり関心をもちろんお持ちのコロナウイルス感染症対策についてもお伺いをしたいところではありますが、今回、貴重な時間であります。作業療法士としての観点でやはり今訴えていきたいことというと、障害者のいわゆる法定雇用、雇用の件についてでありますので、きょうは限られた時間の中で障害者雇用の点についてお伺いをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 先ほど重徳議員の方からも質問がありましたけれども、やはりコロナについてはかなり国民の皆さんが危機認識を持っていらっしゃる。これはこれで非常に大事なことだというふうに思いますが、ネットを見てみますと、科学的根拠に基づいたものでないものも相当やはり出ているんですね。

 先ほどの答弁の中にもいただきましたが、やはりネット上でもしっかり巡回していただいて、不用意な、科学的根拠に基づいていない情報についてはしっかりと打ち返しをしていくということが国民の皆さんの不安を払拭することにもつながりますので、このことについて私の方からもぜひお願いをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速、障害者雇用の促進についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、最初に三点確認させていただきたいんですが、障害者雇用促進法では、令和三年四月一日までに雇用率が〇・一%上昇するとありますが、その認識で間違いないのかということがまず一点。それから、令和五年三月三十一日までに新規で雇用された精神障害者は三年間に限って週二十時間で一・〇ポイントとする特例について、それ以降は継続していくのかという点が二点。それから三点目で、さらに、障害者雇用率制度は五年に一度の見直しでありますが、今回は経過措置として雇用率を令和三年四月一日までに〇・一%上げるとありますが、次の見直しは令和五年四月一日で間違いないのか。この三点について、まず伺いたいと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目でございますが、障害者雇用率、法定雇用率の〇・一%の引上げについてでございます。

 平成二十五年の障害者雇用促進法の改正によりまして、平成三十年四月から精神障害者の雇用が義務化されておりまして、法定雇用率の算定の基礎に追加されることになりました。これに伴いまして、法定雇用率の大幅な上昇が想定されたところでございます。

 これを受けまして、改正法の施行日でございます平成三十年四月一日に法定雇用率を〇・三%引き上げて二・三%とした上で、これを二・二%にするという激変緩和措置を設けてございまして、この激変緩和措置につきましては、施行日から起算して三年を経過する日でございます令和三年三月三十一日よりも前にこの激変緩和措置を廃止するということになってございます。したがいまして、令和三年三月三十一日よりも前に法定雇用率を二・二%から二・三%へ、〇・一%引き上げるということになってございます。

 それから二点目でございますが、精神障害者の短時間労働者の算定に係る特例についてでございます。

 繰り返しでございますが、平成三十年四月から精神障害者の雇用が義務化されましたが、精神障害者につきましては、身体障害者や知的障害者と比べまして職場定着が低いという状況にございます。

 一方で、精神障害者の職場定着率は週二十から三十時間の勤務の場合が最も高く、また、精神障害者は知的障害者に比べまして、就職時に短時間の就労であっても、就職後に三十時間以上の勤務に移行する割合が高いということもございます。

 このため、精神障害者の職場定着を進めるという観点から、精神障害者である短時間労働者の算定に係る特例措置を設けることといたしまして、具体的には、先生からもお話がございましたが、令和五年三月三十一日までに雇い入れられた精神障害者のうち、新規雇用者で三年以内の者などにつきましては、週二十時間以上三十時間未満の短時間労働者であっても、実人員一人を〇・五人としてではなく一・〇人と算定するとしているところでございます。

 なお、この特例につきましては、関係の審議会におきまして、時限的な措置を導入した効果を分析する等の課題があることも踏まえ、引き続き検討を行うことが適当であるとされているところでございます。

 このため、引き続き、当該措置の効果を分析した上で、その取扱いについて検討させていただくこととしてございます。

 それから、大きな三点目でございますが、障害者雇用率の見直しについてでございます。

 障害者雇用促進法におきましては、障害者雇用率は、少なくとも五年ごとに、労働者の総数に対する対象障害者である労働者の総数の割合の推移を勘案して定めることとされてございます。

 直近の見直しは先ほども申し上げました平成三十年四月一日に行われましたことから、次回の障害者雇用率の見直しは令和五年四月一日までに行う予定でございます。

 なお、先ほども御説明申し上げましたが、令和三年三月三十一日よりも前に雇用率が〇・一%引き上がることになってございますが、これは平成三十年四月一日の見直しの際の激変緩和措置を廃止することに伴うものでございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

堀越分科員 ありがとうございました。

 この週二十時間の特例の措置は、私は非常に重要だと思っています。

 先ほど御答弁いただいたように、やはり定着率に大きく影響してくるものですし、精神障害者の方々は、やはり環境の大きな変化に対応するまでに当然時間がかかりますので、いきなり週三十時間以上の勤務体制というのは、やはりこれは過酷なんだろうというようなところ。もちろん課題もあるというふうに先ほどおっしゃっていただきましたので、これは私はぜひ継続していただきたい。

 そして、その先に、特例でこれを認めるのではなくて、むしろ、精神障害者の御本人さんとあるいはその企業、これはある意味では就労後しっかりと安定的に雇用できるようなフォローアップの体制が整うという前提のもとにはなると思うんですが、二十時間なのか、あるいは三十時間なのかということを、適切に雇用者側と雇用される側のアセスメントをしっかり行った上で選択できるような形がとれるというふうなものも、仕組みとしては必要なんじゃないかなというふうに思っています。

 現在、続けられていて、それを検討されているということでございますので、そういったところも含めて検討していただければというふうに思っております。

 また、令和五年の四月一日にこの法定雇用率がまた見直しをされるということであります。基本的に五年に一度の見直しであるものが、今回、令和三年から、今度は令和五年の、がらっと変わるというところで、企業側にとっては非常に不安も感じているところもあるんじゃないかと思いますので、そのあたりのフォローアップもぜひ厚生労働省としてしっかりとしていただけるとありがたいというふうに思っております。

 先ほどお話をさせていただきました、就労されている障害の方とあるいは雇用を受け入れている企業側、このサポート体制というのがやはり精神障害者の安定雇用についても非常に重要なことだというふうに思いますので、その視点からお話をさせていただきたいと思います。

 まず、私、障害者雇用ということをこれからの日本の中で考えていったときに、身体障害者、あるいは精神障害者、発達障害、この三障害に当たるところのどこを注視していかなければいけないのかということを考えていったときに、やはり発達障害と精神障害をお持ちの皆さんなのであろうというふうに思っています。特に精神障害をお持ちの方だというふうに思っています。

 身体障害者手帳の取得者は四百三十六万人で、うち六十五歳未満の方は二六%で百十三万人、これは厚生労働省の平成二十八年のデータですね。それに対して、知的障害者の手帳取得者は百八万人、うち六十五歳未満の方は八四%で九十・九万人。そして、精神障害者の方は四百十九・三万人で、六十五歳未満は二百五十五・九万人、これは平成二十九年のデータになります。

 そのうちで精神保健福祉手帳所持者は八十五万人くらいになりますので、こういったところから考えても、やはり精神障害者手帳をお持ちの方の雇用を促進していくというふうにしていかなければいけない。しかし、実際、令和元年の障害者雇用状況報告書を見てみますと、雇用されている身体障害者の皆さんは二十六万人、それに対して知的障害者は十一万人、精神に至っては九万人と非常に少ない状況なんですね。

 数字の上から、やはり身体あるいは知的障害の働けない重度の方は当然いらっしゃいますので、この分野に関してはこれ以上の増加というのは非常に厳しいのではないかというふうに思っています。もちろん進めていかなければいけない部分もあるんですが、やはり全体としては厳しい部分もあるのではないか。

 そして、現在在職中の身体、知的の方は、定年する方も当然ふえてきております。やはりそういったところからしても、精神障害の皆さんを安定的に雇用ができる、そういった体制をつくっていくことは大事なんじゃないか。ハローワークの新規登録者数も、精神がほかの二障害を上回っています。

 こういったところも当然加味した上で、やはり精神障害を雇用していかなければいけない、そういう時代になってくるんだというふうに思っています。それと同時に、精神障害手帳をお持ちの方の就労意欲というのも高まっていますから、そこに対するサポート体制は非常に重要なんだろうというふうに思っていますが、その反面で、やはり精神障害者の方は就労後、一年後の職場定着率というのが非常に低い状況ですね。

 平成二十九年九月二十日に職業安定局の出した障害者雇用の現状の中で、精神障害者の就労後、一年後の職場定着率は四九・三%。これは身体障害者が六〇・八%、そして知的障害者は六八・〇%になっていますから、精神障害者の就労後の定着率というのは四九・三%と非常に低い結果になっているわけですね。

 ということは、私はこれも前、厚生労働委員会の中でも質問させていただいたんですが、現状のジョブコーチ制度がやはりこの精神障害者の場合はうまく機能していないのではないかというふうに思うわけですね。このことについてどう考えていらっしゃるのかということをまず一点伺いたいのと、それを踏まえた上で、精神障害者の職場定着率を上げる対策としてどのように取組をされているのか、この二点について伺いたいと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 精神障害者の職場定着状況についてでございますが、御指摘のとおり、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者の就業状況等に関する調査研究の調査結果によりますと、ハローワーク紹介で就職した精神障害者について、一年後の職場定着率は四九・三%と、他の障害、先生が御数字をお示しいただきましたが、に比べて低い状況が見られるところでございます。

 一方で、この同じ調査の中で、ジョブコーチ支援を活用した場合の職場定着率というのも調査してございまして、見ますと、これは精神障害者を含めた障害者全体の一年後の職場定着率ということになりますが、これは八一・五%ということでございまして、ジョブコーチの支援につきましては、職場定着に関して効果は高いのかなというふうに考えてございます。

 また、精神障害者の職場定着を促進するための対策について御質問いただきましたが、ジョブコーチ支援のほかに、ハローワークを中心に関係機関と連携し、就職から職場定着まで一貫した支援を実施するチーム支援というのも行ってございます。また、ハローワークの精神障害者雇用トータルサポーターによる専門的、個別的な相談援助、また、地域における就業面、生活面の一体的な相談、支援を行う障害者就業・生活支援センターによる支援、さらには医療機関とハローワークの連携による就労支援モデル事業などを行っているところでございます。

 また、加えまして、精神障害者を受け入れる企業の支援体制を整備するために各種助成金の支給を行ってございますし、あるいは職場において精神障害に関する正しい知識と理解を持っていただくための精神・発達障害者しごとサポーター養成講座等の実施等も行っているところでございまして、今後とも、精神障害者の職場定着に向け、こうした取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

堀越分科員 ありがとうございます。

 先ほどお話の中にあったジョブコーチ制度が、一年の中での定着率、三障害トータルでの割合というのは、これは内訳というのはあるんでしょうか。

達谷窟政府参考人 サンプル数がちょっと少ないものですから、御参考値ということになりますが、身体障害者の場合は六六・七、知的障害については七七・八、それから精神障害については九〇・五%ということでございます。いずれにしても、サンプル数がちょっと少ないので、参考値ということで申し上げさせていただきます。

堀越分科員 サンプル数、そうですね、やはりそこが重要になってくるんだと思うので、今後ともちょっとその辺は調査をしていただきたいというふうに思います。

 私は、作業療法士で就労支援なんかもいろいろやってきた兼ね合いから、やはりジョブコーチ制度だけではちょっと限界があるんじゃないかなと実は思っています。特に三障害、身体、発達、精神、この三障害をしっかり学んで、個別の対応ができるような形にまで就労支援の専門職として担うというのは非常に難しい点もあると思いますので、このあたりについては改めてしっかりと調査していただければというふうに思います。

 先ほどお話があったハローワークと医療との連携、これは私はすごく成果を上げるものだと思っているんです。むしろ、特に精神障害の場合には、医療的な訓練といいますか、生活訓練と就労訓練が一体となって行われることによって病気の改善にもつながる、こういう結果もあるわけですから、ある意味ではここをもうちょっと強化した方がいいんだと私は思うんですよね。

 やはり、医療と就労、これが一体となるのが、これから新しい精神障害の治療やあるいは社会参加にもつながる重要な観点だと思いますので、ここは私も、実は次の方の質問でやらせていただこうと思ったんですが、効果を上げているので、ここについてはぜひ推進していただきたいというふうに思っております。

 そして、定着支援事業もいろいろな形で行われていると思いますが、なかなかこれも、本当に効果があるのかどうか。始まったばかりだと承知しているので、これも効果が本当に期待できるものなのかどうかということも含めて、力強く、ちょっと内容と実態についての調査をしていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 いずれにしても、障害をお持ちの方の安定雇用のためには、企業側にちゃんと入って、そして企業側からも意見を吸い上げながら、困っていることは当然あると思いますので、ここをサポートしていく、そういう体制が非常に重要なのではないかなというふうに思っています。

 次の質問に移らせていただきます。

 第四次障害者雇用対策基本方針についてなんですけれども、この基本方針の中には、さまざまな障害の特性や措置に関する専門的知識を有する人材の育成が重要と書いてあります。ジョブコーチ制度、これはあるのは承知しているので、それ以外で何か検討されているものがあるか、まずちょっと伺いたいと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 ジョブコーチ以外の専門的な人材の育成についてでございますが、私どもも、先生御指摘のとおり、障害者の雇用の継続や職場定着を図るためにはやはり専門的人材の果たす役割が重要であるというふうな認識でございます。

 ジョブコーチ以外の専門人材につきましては、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において障害者就業・生活支援センターの職員向けの研修を実施しているところでございます。また、同機構におきましては、就労移行支援事業所を始めとした、福祉、教育、医療等の関係機関に従事する職員の方を対象とした就業支援基礎研修あるいは就業支援実践研修等を行ってございまして、地域において就労支援に取り組まれる人材の育成に努めているところでございます。

 今後とも、こうした専門的知識を有する人材の育成を推進して、地域の就労支援の充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

堀越分科員 先ほども私も意見として述べさせていただきましたが、このジョブコーチ制度だけでは、やはり、日本の法定雇用率達成、その後さらに安定雇用に結びつけることが私は難しいのではないかというふうに思っているんですね。

 今、これからちょっとまた質問の中でも挙げさせていただきますが、民間の団体で、専門的に職場の就労支援のサポートをする認定制度というのを設けて、それに対して登録をされておられる方々が非常にふえてきているんですね。特に、精神障害者に対する就労支援に関しては、精神保健福祉士さん、半分ぐらいの割合で作業療法士もそこにコミットしているんですね。

 なので、本来であれば、やはりジョブコーチとはまた別途、三障害を専門的に支援することができる専門職がないと、日本において企業が法定雇用率を達成することが極めて厳しい時代になってくるのではないか。特に、これからは、身体障害ではなく、精神障害あるいは知的障害、発達障害、こういった皆さんを安定的に雇用していかなければ法定雇用率が達成できないような形になりますから、これは企業としてもやはり不安を持っておられる方々は当然いると思うので、そこの不安を払拭するためにも、私は新しい職種の創設が必要なのではないかなというふうに思っています。

 その観点から、先ほどもちょっとお話しさせていただきました、民間の取組についてちょっとお話をさせていただいた後、どのような見解をお持ちなのかということを伺っていきたいと思います。

 やはり、就労した後だけではなく、就労前だけではなく、就労後も安定的にシームレスにつなぎとめていくような仕組みが必要なんだろうというふうに思っています。

 その観点でいうと、アメリカではもうこれは資格化されているんですが、エンプロイメントスペシャリスト、つまりは就労の専門職というのが存在しています。私は、こういった人たちの配置が非常に重要なのではないかなというふうに思っております。我が国においても、ぜひ、エンプロイメントスペシャリスト、ESですね、この就労支援が行われるような体制づくりあるいは資格化を目指していくことが必要なのではないかなというふうに思っております。

 実際にこのESが稼働して就労支援を行っていた研究の中では、就労率、一年後の職場定着率ともに高い数字を上げているんですね。就労率に関しては九二・一%、そして定着率、これは一年後の定着率ですが、九三%と非常に高い数字を出しています。

 そこで伺いたいんですが、現在ESを育成している協会がありますが、そのノウハウを第四次障害者雇用対策基本方針の中にある人材育成に取り入れてみてはどうかというふうに思っているんですが、これについての政府の見解をお聞きしたいと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からお話がございましたES、エンプロイメントスペシャリストにつきましては、職場における援助だけではなく、就労前からのアセスメント、職場開拓、職場における集中的訓練など、就労支援を担う方であるというふうに認識してございます。

 就労支援につきましては、先生からもございましたが、やはり、就職の前の段階、就職段階から職場定着まで一貫してきめ細かな支援をすることが大事だというふうに考えてございまして、このような観点から、生活支援や医療的ケアを考慮して、ハローワークにおいて関係機関と連携したチーム支援、先ほど御説明、お話を申し上げましたが、チーム支援として、現在、必要な支援を役割分担して実施しているところでございます。

 また、こうした就労支援に携わる人材の育成につきましても、先ほど御説明申し上げましたが、その人材育成に努めているところでございます。

 今後とも、精神障害者の就労支援に係る取組を進めるとともに、専門人材の育成に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

堀越分科員 現状行われている仕組みや、進められていることだけでは、やはり私は担保するのは難しいんじゃないかなと思っています。長期的にこれは新しい制度設計自体が必要なのではないかなというふうに思っていますので、ぜひ、民間からのオファーをというのは、なかなかこれはハードルが高いと思いますが、そういったところも柔軟に対応していただきながら、やはり大事なのは、障害者の法定雇用率を達成するんだという数字だけのゴールではなくて、就労したその先にある障害者の皆さんの社会参加であるとか、あるいは安定的に就労する仕組みを日本全体、社会全体としてつくり上げていくことによって、納税者として社会の一員として活躍することができる、そういう方々をふやすことにもつながります。ぜひ御検討いただければというふうに思っております。

 それでは、ちょっと一問飛ばさせていただいて、サテライトオフィスの問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 厚生労働省は民間企業において自社のサテライトオフィスを推進している立場であると思いますが、幾つかの民間企業では、このサテライトオフィスを事業化して、自社の事務所の一部をほかの企業へサテライトオフィスとして貸し出して、そして、そこで働いている障害者の面接などを行ったりしている。つまりこれは、サテライトオフィスのレンタルをしている企業、借りている企業の法定雇用の管理であるとかサポートをサテライトオフィスを貸している側がする、ケアをする。つまりは、お金を出してレンタルオフィスを借りてくれれば、法定雇用の管理もやるし、面接なんかもやり、ケアもやりますよというような、そういう形でやっているところも実はあって、これは農業ビジネスにも一部がかかわっているというふうに聞いています。

 例えば、自社の農地をほかの企業に貸して、農地を貸した側の企業がその全体の管理や農業サポート、雇用管理なんかも行って、借りている側の企業の法定雇用率を達成しているというような障害者ビジネスというのが実は見受けられるんですが、まずこの点について、この実態について把握されているかどうか、ちょっと伺ってもよろしいですか。

達谷窟政府参考人 お答え申します。

 御指摘のような事案については、私ども、事案の詳細については把握していないところでございます。

堀越分科員 ここをぜひ、ちょっと調査してみてください。

 実際、就労支援にかかわる方からお話を伺って、こういう事例があるんだけれども、ハローワークさん、これは問題じゃないんですかということを言ったらば、いや、これはもう本来まずいですねということでありましたので、ぜひここはちょっと厚生労働省の方でも調査をしていただいて、グレーなのかブラックなのか白なのか、そのあたりについてもしっかり精査していただきたいんです。

 というのは、これはやはり障害者雇用促進法の趣旨から離れていると思うんですね。簡単に言うと、企業が法定雇用率を自分の努力で達成せずとも、お金を出せば法定雇用率が達成できるといった仕組みにも捉えられると思いますので、自社で障害者雇用を一生懸命頑張っておられる方々についてもこれはちょっと違うんじゃないかというふうに思いますし、まず、そもそも障害者雇用促進法の趣旨から離れているというふうに思っていますが、こうした実態がもし仮にあるのであれば、障害者雇用促進法の趣旨と比較してどうなのかということをお伺いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 障害者雇用促進法におきまして、事業主は、障害者の雇用に関して、雇用する障害者について、その有する能力を正当に評価して、いわゆる適当な雇用の場を与える、そして同時に適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図る、このことに努めなければならない、このようにされているところでございます。

 このために、障害者を雇用する事業主には、労働条件それから安全等の面で適切な雇用管理を行っていただくとともに、障害者がその能力や適性を十分発揮し、活躍できる職場環境づくりを進めていただくことが必要、このようにしております。

 このような観点から、今委員からもさまざま御指摘いただきましたけれども、都道府県労働局それからハローワーク、ここにおきまして、適切な雇用管理がなされていない状況を把握した場合には、事業主が適切な雇用管理を行い、その責務を果たすよう指導をまずする、それから、障害者本人の特性に応じた仕事の切り出しですとかあるいは作業等に関する事業主への助言、これを実施する、このようにしているところでございます。

堀越分科員 済みません、質問しましたので一言だけ。

 障害者雇用の促進を図っていこうという傍らで、やはりこうしたビジネスというのが横行してはいけないというふうに思っています。私は、結果的に、障害を持っておられる方々が安定的に雇用され、そして、仕事をすることにやりがいが見出せるということについては何も文句は言いません。しかし、今の障害者雇用の企業側の理念としても、まだまだ日本の基準からすると、これから皆さんで意識を高めていかなきゃいけない。制度自体が保たれても、やはり意識自体が上がってこなければ難しいところもあります。その意識をこうしたビジネスが阻害してしまう可能性もあると思いますので、ぜひ、厚生労働省、これは厳しくチェックをしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて堀越啓仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原豪君。

篠原(豪)分科員 ありがとうございます。会派を代表して質問させていただきます。篠原豪でございます。

 大臣、お忙しい中、きょうはありがとうございます。

 ただ、きょう来ていただきましたのは、どうしても、やはり今、この国の国民の皆さんが、大変、新型コロナウイルスの政府対応によって心配がふえているといった状態があります。きのう専門家会議がいろいろとお話をされて、きょう政府も方針を決めましたけれども、その中身も十分じゃないんじゃないかということが言われています。報道を見ていますと、本当にこれで、政府に任せておいて大丈夫なのかという声がどんどんどんどんと大きくなっている現状がありますので、私からもしっかりと今の時点で必要なことを確認させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、ダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナウイルスの集団感染に係る日本政府の対応から伺っていきたいと思います。

 このダイヤモンド・プリンセス号は、二月三日以来、横浜の大黒埠頭に停泊しているわけでございますけれども、ここで新型コロナウイルスの集団感染が発生をして、五日以降、連日、乗員乗客の感染が広がり続けているという現状があるんだと思います。一月二十五日に香港で下船した乗客が新型コロナウイルスの感染者だったことから、三日の帰港後に検疫を開始した結果、五日に十名の感染者が判明しました。以後、乗客乗員に十九日まで個室待機を求めました。

 五日までの間に感染が広がっていることがわかったわけですから、当初、感染拡大を抑制するために乗客乗員の接触を断つことは妥当だったと考えています。しかし、その後、船内から毎日感染者がふえ続けて、感染拡大を抑止、ストップすることができませんでした。十九日の前の時点で、既に多くの専門家の方々から、政府の説明には説得力がないという疑問の声が多く上がっていたのは事実だと思います。

 こうした中、にもかかわらず、政府は、乗客の健康観察期間十四日間が過ぎたとして、発熱などの症状がなく、PCR検査で陰性だった乗客の方々を十九日以降下船させて、下船後、公共交通機関などを利用しても差し支えがないということで帰宅させてしまいました。これは明らかに失敗だったと思います。政府の対応、これはひどいものだったと思います。

 きょう政府から対応策が発表されましたけれども、このダイヤモンド・プリンセスの失敗と同じ感覚で、今国民の皆さんが心配しているのは、今度は日本全体でまた同じことが行われるんじゃないか、同じような危機認識の甘さでやろうとしているのではないかということで大変心配している。これはテレビでもきょうずっとやっています。

 そこで、同じ過ちを繰り返してはいけないんだと私は思います。これは、我が国の国民の生命財産、経済もそうですけれども、幸福追求の権利、憲法上書かれていることを守るのが国の責務ですから、そこのところをしっかりやっていくためには、政府は全力を尽くしていただかなければいけないと思っています。

 こういった視点から質問させていただきますが、まず、このダイヤモンド・プリンセスでの失敗の深刻さは、政府の認識の甘さがありました。五日以降、検査で感染が確認された乗客について、加藤厚労相は十五日の記者会見で、いずれも五日より前に感染したとの見方を示しました。菅官房長官も二十日の午前の記者会見で、隔離は有効に行われてきていると述べて、あくまでも五日以降の感染拡大はないとの主張を崩していません。ですので、十九日に下船をさせたわけです。

 このことについてまず確認します。きょうこの時点でこのような事態を起こしているのですけれども、このときの政府の判断は、今でも適正だった、適切だったと考えていらっしゃいますでしょうか。

加藤国務大臣 最終的には検証していただかなければいけないと思いますが、委員が何をもって失敗だとおっしゃっておられるのか。やはりこういうのはしっかり議論した方がいいと思います。感覚で議論をすると、やはり、こういった感染症の対応というのは、時として間違えることもあると思います。

 私どもは、当初の検疫のときにおいて、たしか二月三日の夜に日本に入ってきました。その前に香港でおりた乗客が感染していたというのは、実は那覇で一度仮検疫をした後これがわかったわけでありますから、そのとき出した仮検疫証を破棄いたしまして、もう一回きちんと検疫をしなきゃならない、そういうところからスタートいたしました。

 結果的に、この検疫を終わらせるためには、感染防御をしっかりやっていく中で、一定の観察期間を置いて、おそれがないという状況をつくっていかなければ当然検疫は終わらない、そういう中で私どもはいろいろやらせていただきました。

 そうした中において、もともとどの段階で感染がなされていたのか、これは大きなポイントだと思います。実際、感染は、その後の発症が大体五日から六日と中央値は言われております。それから、私どものPCR検査に二、三日かかりますから、言えば九日ぐらい、場合によって、これは中央値ですけれども、かかってきている。

 そういった全体像を見ながら私たちは判断をし、そして、今回のプリンセス号では、七十歳以上の方が約五割という、大変高齢化をされておりました。こうした状況の中で、精神的にも肉体的にもかなり厳しい状況を私どもは聞かせていただき、他方で、感染の状況を感染研等が分析をしていただいて、発症者のデータがベースでありますけれども、感染の防止が有効にきいていた、こういう判断、あるいはチャーター便における知見、これを踏まえて、感染防止をスタートしてから二週間以内においてPCRをし、体調に変化がなければ下船を、こういう判断をさせていただいたわけでありまして、この判断については、それぞれの皆さんの科学的な判断を踏まえて、最終的な責任はもちろん私どもにありますから、それで実施させていただいた。

 もちろん、その後、栃木県で一例、陽性が出てきている、このことはしっかり重く受けとめなければならないと思っておりますので、それに向けて更にフォローアップ体制等を強化し、こうした事態に対する対応の体制を強化させていただいている、こういうことであります。

篠原(豪)分科員 何を科学的にかと今おっしゃられましたけれども、栃木県の方は、おっしゃるように、まさに二十二日に、これは船内の検査で陰性と判断され、下船して、それで感染が確認されたので、これは失敗です。

 それだけではなくて、オーストラリア政府は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から下船して帰国した乗客の二人からウイルスの陽性反応が出たと発表しています。そして、これはクルーズ船で検査した際には陰性で、症状が認められなかった。そのほか、二十四日までの間に、英国で四人、イスラエルで一人、香港で二人の乗客が帰国後感染していると言っているから言っているんです。これが、だから、聞いている理由なんです。なければ聞いていないんです。

 その結果から見れば、これはうまくいっていないんですよ。どういった言いようでそういうことをおっしゃっても、それはいっていないんですよ。そういうことをずっとおっしゃっているから、国民の皆さんが不安に思っているんです。今、失敗ではなかったと。これは、いろいろな方々に聞いて、知見があってそういうことだったというふうにおっしゃいますけれども、私はそうは思わないです。

 この認識の甘さ、さっきおっしゃいましたけれども、これから、事後でどういうふうにやっていくのかということでおっしゃいました。これは外国政府も批判をしていると思います。

 では、外国がどう見ているかということについてお伺いします。

 米政府は、当初、自室にとどまることが最も安全な選択肢として、日本政府の対応を支持しました。しかし、さすがに、連日何十名もの感染者が発見されるようになると、クルーズ船内での待機中に感染したことを想定した対応をとるようになり、十五日にはチャーター機を手配し、十七日には三百二十八名をアメリカに退避させました。そして、米疾病対策センター、CDCは十八日、日本政府の検疫は公衆衛生上の効果はあったが、船内で感染を防ぐには不十分だったと評価しています。下船した全ての乗客の方々については、少なくとも十四日間は米国への渡航を認めないという判断もして、発表もしました。

 こういったことから、米国以外の政府も全て、船内隔離は失敗したことを前提に対応をとっている。日本は十九日におろしたんです。それで、駅で、お疲れさまでした、皆さん本当によく隔離に耐えていただきましたと、公共交通機関で帰ってきた。帰っちゃって、その後に何をしているかといったら、電話して、お出にならないでください、陰性だった方が陽性になりましたとやっているわけですよ。

 これを見て何が失敗じゃないのかというのが疑問ですが、私からそう言っても、先ほど言われたことを言うと思いますので、聞き方を変えます。今申し上げたような外国政府のこういった判断について政府はどのような評価をしているのか、お伺いいたします。

加藤国務大臣 外国の政府に対して一つ一つ私ども政府が事を言うというのは、これは常にお互いが控えているというふうに認識をしております。

 それは、それぞれの判断、特に米国の場合は、どういう方を一緒に連れていったのか。未判定の方もいらっしゃいます。中には、私どもが検査して陽性だった方も一緒になって米国政府に連れていかれた、こういった事情もあります。

 それからもう一つ、これはぜひお聞きをいただきたいのは、やはり、乗客の方と乗員の方と、それからその後入った我々政府の職員と、これはそれぞれリスクが違っているというふうに考えておりますから、もちろん、乗員の方については、私ども、下船をするということの判断もしておりません。そういう方も一緒に連れていった国もあります。

 したがって、やはりそれぞれのリスクを一つ一つ切り分けながらこれは判断をしていかなきゃいけない。それは、委員おっしゃるように、完全な隔離の状況ができればベストでありますけれども、そうでない状況の中でどういう形で答えを出していくのか、そういった中で、専門家の話も聞かせていただきながら一つの結論を得てきているところであります。

 それから、フォローアップの話は、もともとフォローアップをしていくということでありました。ただ、それが今回の事態があったので、毎日のフォローアップに変えた、こういうことであります。

篠原(豪)分科員 海外の政府は、実際には日本の政府の対応はまずかったと思って、それなりの対応を自分の国民を守るためにやっています。日本は十九日に下船をさせて、公共交通機関で、皆さんお疲れさまでした、本当に大変でしたといって、今こういう状態になっているんです。

 WHOも、マイク・ライアン氏、これは緊急対策責任者ですけれども、十八日、船内で予想以上に感染が広がったことについては明らかだとした上で、何が船内での感染につながったのかを調査することが非常に重要だというふうに、事後的な調査が必要だと先ほど大臣おっしゃいましたけれども、この認識を示しています。

 政府は、こうした意見を真摯に受けとめて、調査に協力する、あるいは、自分たちでこれをやるだけじゃなくて、WHOにも協力を求め、WHOも必要だと言っているのでしっかり一緒にやっていく、こういったことは考えていらっしゃるんでしょうか。

加藤国務大臣 もともと官房長官からも、今回については検証していく必要があると思います。

 それから、WHOやあるいは国際的な方等も一緒に入っていただいて、やはり、ここの課題は、クルーズ船においてこうした感染が生じたときに本当にどうすればいいのか、これはずっと我々も悩みながらやってまいりました。

 正直、三千七百人の方を隔離する施設は日本にはありません。そして、これだけ感染が出たときの医療提供体制というものもやはり必要であります。それらも含めて、広くこれから、まさにクルーズ船における観光というのはまだまだ進んでいくんだろうと思いますけれども、そういった中で、仮にこうしたことがあったときにどうするのかということも含めて、我々は今回のデータをしっかり提出して、お互いしっかり議論をさせていただきたいと思っています。

篠原(豪)分科員 本当に、しっかり事実を明らかにするのが大事で、今、不作為じゃないかというようなことをテレビでもやっているわけです。こういうことを国民の皆さんが不安に思うので、それはしっかりやっていただきたいと思います。

 先ほど、今度は乗員の方々、そして乗客の方々、また、厚労省の方々がこの船内に入られました、四十一名ですね。そして、こういった方々では考え方が違うんだというふうにおっしゃっていましたので、少しそこを確認させていただきます。

 政府職員の皆さんは、まず十二日に横浜検疫所の検疫官の感染が、男性検疫官の方ですけれども、判明をしました。

 ちょっと時系列でお話しいたします。

 この方々は、二日間、マスクと手袋のみで乗客らの体温測定や質問票の回収に当たったとされています。その後、本省の職員さんの感染が、乗客と切り離され安全なエリアとされる場所で事務作業をしていたというふうにずっとおっしゃっていましたけれども、感染をいたしました。

 二十日に、厚労省、内閣官房の職員さんが感染をした。この事務室では、四十代の職員さんが三人仕事をしていた。しかし、一緒に働いていた人を、もはや政府は、これは本当に国民の皆さんも聞いていて非常に違和感を感じているんです、もう余り信じていないと私は思うんですけれども、いわゆる政府説明の濃厚接触者に当たらないため検査の必要がないんだ、なので執務制限を行う必要もないとして、一昨日の昼までPCR検査をせずに、業務継続は適正だと言って、結果、これも失敗しているんです。

 この業務継続は適正だったのかということを、今、切り離して、職員さんではまた違うというふうにおっしゃっていましたので、これについてはどう考えていらっしゃるんでしょうか。

加藤国務大臣 いや、中で業務をしている限りは、当然、今回の、クルーズ船の中ですから、完全にクリーンなところはできない、これは前提にしてまいりました。そこで、明らかにリスクの高いところとそうでないところを分けて対応していますし、したがって、そういうところでありますから、基本的に職員はマスクは必ず着用する等々、あるいは手指の衛生は頻繁に行うとか、いろいろなことが指示されていたところであります。

 検疫官については、質問票の回収と検温をしていたということでありますから、その辺は、検温するに当たって適正なやり方にしていたのかどうか、これはしっかり確認しなきゃいけないと思います。

 それから、三番目の、一緒に働いていた方は、やはり発症したということを踏まえて我々はPCR検査をしたということ、そういう事実ということであります。

篠原(豪)分科員 いや、だから、濃厚接触者じゃないといって、もう二人出ているわけですよ。それで、判明したのが、その後にやって、濃厚接触して、同じ空間に入れた、そういう認識で大丈夫なんですか、実際そうなっていないんじゃないんですかというお話をしています。

 今、クリーンなところとそうじゃないところを分けてやっていると言っていましたけれども、神戸大学の岩田先生も、ウイルスがいない安全な区域とそうでない区域の区別ができていないというふうにおっしゃいました。

 これが今、実際そうだったんじゃないか。例えば、きょうここにいらっしゃいませんけれども、橋本岳厚労副大臣、写メをSNSに上げました。こっちから先がグリーンでこっちからこっちはレッドですよと書いてあるんだけれども、その前のところはどうなんですか、実際そうじゃないところで撮っているんじゃないですかと。これは全然違うよということを皆さんが見てわかったということの実態があるんだと理解しています。

 私、一つ確認したいんですけれども、そこはちゃんと考えた方がいいですよ。そういう認識の甘さが僕はよくないと思っているし、今大事なのは、ここに学んで直していって、国民の皆さんを安全に守っていくという方針を政府にとっていただきたいというその一点なんです。ですので、このお話をあえてさせていただいています。

 なぜならば、失敗したなら、失敗したと思われるところから直していかなければいけない。そのときに、厚労省の認識が、きょうなぜ大臣に来ていただいたかというと、やはり大臣がトップなので、大臣がしっかり指示をしていただかないとここは示しがつかないし、今までのところですね、では伺いますけれども、例えば、マスクをつけずに入って、職員さんがどういう格好で今までやってきたかというと、目撃情報によれば、十四日には、本省からの国家公務員の皆さんと思われる方五名が八時二十七分に全く装備なしでダイヤモンド・プリンセスに乗っていた、そして、大坪審議官は十七日の午後にマスクのみでクルーズ船に乗船した、こういうふうに言われているんです。これは見た方がそうじゃないかと言っているんですけれども、この事実は把握されていますか。

加藤国務大臣 済みません、一つ一つの事実は把握しておりませんけれども、基本的に、まさに一つのクルーズ船という中で、これはほかの方もおっしゃっていますけれども、完璧な分離ができない中でどこまでコントロールするかというところがポイントなんですよ。

 これは、全く違う空間をつくれるのならそれはみんなつくりたいわけですけれども、クルーズ船という限られた中で我々は作業しなきゃいけない。そして、それに対しては、感染症の専門家からさまざまな御指導をいただきながらつくり込んできた。そして、先ほど申し上げた、全くクリーンなところはないことは、我々、前から申し上げている。どちらかというと危険なところと、より危険度が低いところ、二つに切り分けながら運用しています。

 そして、そういうところに入るときは、マスクの着用は必ずするようにという指示をして、今のお話であれば、大坪さんはマスクをして入られた。残りの四人の話はちょっと私は確認できないからわかりませんけれども、それは一つのルールといいますか、基準にのっとった対応だというふうに思います。

篠原(豪)分科員 大事なのは、マスクでは予防にならないんですよ。それそのもので何が悪いんですかというのは、とても私は認識としてよくないと思うし、残りの方も確認をしてください。なぜならば、そういう体制で入っていって、見ている方々は本当に大丈夫なのかと思って、やっていたら大丈夫じゃなくて、次から次に出てきているわけです。

 ここはやはりきちっと変えていかなければいけないし、今、四名の方はわからないと言っていますけれども、では、橋本副大臣ぐらいは、どういう格好で最初に船内にいらっしゃったかぐらいは大臣として把握されていますか。

加藤国務大臣 マスクをするというのは、やはり、WHOの標準を踏まえながら感染研がつくった一つのルール、これを踏まえてやらせていただいているということで、そこは、その標準そのものをいいかげんに私たちはやっているわけではない。

 ただ、実際の中で、いろいろな作業の中で結果的に感染したという事実は、これは重く受けとめなきゃいけないと思いますし、したがって、そうした日々日々の、一つ一つの行動をしっかり注意していくということを、緊張感を持って、それは委員もおっしゃった、緊張感を持ってやっていかなきゃいけないと思います。

 それから、橋本副大臣の話がありましたけれども、橋本副大臣におかれては、マスクを常に装着しながら、基本的には事務的なスペースで仕事をしているというふうに聞いています。

篠原(豪)分科員 マスクをしていて、それで皆さん、感染した方もみんなマスクをしているんだと思いますよ、今の話だったら。でも、マスクをして感染しているわけです、厚労省の職員さん。

 これまでは、濃厚接触者じゃないからPCR検査は厚生労働省の職員さんもしませんよと言っていたのを、今度はすることにしました。しかし、DMATの皆さんはしないんですよね。これはいかがですか。DMATの方々はされなくていいですか。

 厚生労働省の看護師さんとか検疫官の方は、なぜDMATの方々はやられないかといったら、その理屈は、感染のプロフェッショナルだから大丈夫なんだと。だけれども、プロフェッショナルで大丈夫だったら、この二人は出ないじゃないですか。それも厚労省さんの方ですよ。だけれども、出ているという事実があるので、そこはしっかり見直してください。まだ船は泊まっているんですよ。ここはしっかり直していただきたいと思いますから、今時間がないので、そのことは指摘しておきますので、ぜひ対応してください。よろしくお願いします。

 この対応のまずさは、現場に混乱を起こさせたということがあります。

 下船作業を二月十九日にするときに、港運関係の皆さんが、当然、フォークリフトを運転したり、あそこはSOLAS施設ですから警備員さんがいます、二メーター以内で接触する方々もいらっしゃいます。そういった中で、いろいろな荷役も含めてやっている方々がいる中で、彼らは、実はインストラクションマニュアルをしっかりと政府に示してほしいというふうにお願いをしていたんです。ところが、お願いして何が起きたかというと、防護はマスク程度にしていただければいいですよ、手洗い、うがいをしっかりしてくださいねというのが来たというふうになって、私もそのペーパーは拝見をしています。

 それで、港の方々は、今何が起きているかというと、世界では、飛行機で迎えに来たときに見たことがあると思いますけれども、海外の感染の疑われる方々のところも、しっかりとした装備をしているんです。ゴーグルをして、体も防護服を着て、ちゃんとやっているんですよ。日本はやっていない。やっていなくて、それで心配なので、世界標準で彼らは考えた。なぜなら、港の皆さんは世界とやっているから。横浜の港のこれを失墜をさせるわけにはいかない、日本の経済を守っているんだと。私の地元でもあるんですけれども、この横浜の港です。

 この港の皆さんはしっかりした格好をしますと言ったのに、担当者からマスク程度にしてくださいと言われたのは、これは、副大臣、正しいですか。

青木副大臣 事実関係だけ、正確に述べさせていただきたいと思います。

 去る二月十九日のダイヤモンド・プリンセス号の乗客の下船時のオペレーションについては、横浜港の港湾関係者から不安の声が上がっていたことは事実です。

 このため、二月十八日に国土交通省港湾局の担当課長が横浜港運協会に伺い、二月十九日以降下船される乗客については、新型コロナウイルスに感染しているおそれがないことが明らかであるとの厚生労働省の同日付プレス資料を示したところ、埠頭での作業者の防護基準を厚生労働省から文書で示してほしいとの要請を受けました。

 これを受けまして、同省よりマスクを正しく着用することなどが記載された文書を受領し、横浜港運協会に電子メールにて送付いたしたところでございます。

篠原(豪)分科員 そうすると、大臣、やはりマスクをやっているだけでいいですよと言っているのは厚労省なんですね。

 厚労省の方々はそう言っているんですが、今、現場で何をいろいろ言っているかというと、彼らは結局防護服を着てやったんです。そして、その後にこうやっておりた方々が、この栃木県の方もそう、海外の方もそうですけれども、実は感染をしていた。それが自分たちの目の前で一緒に通られるわけですから、それをやって本当によかったなと言っています。政府の方針に従ってやっていたらどうなったかわからない、安心したよ、安全だったよというふうな話をしているんです。

 このことについて、下船に携わった港湾関係者の皆さんにきょうの時点で伝えたいことがあれば、お伝えください。

加藤国務大臣 下船のみならず、今回の幅広いさまざまな対応、これは政府の職員だけではありません、DMAT始め、民間の医療業者の方々、自衛隊の方々、そして、こうした下船においては、港の方々、さらにはバス等で運送された方々、本当にそういう多くの方々の献身的なお力でなし遂げている、そのことに対しては本当に頭が下がる思いでありますし、心から感謝を申し上げたいと思います。

篠原(豪)分科員 対応のまずさについていろいろ言っていて、自分たちでやってよかったなと言っているんです。そこのところを指摘しておきます。これからしっかりやっていただきたいと思います。

 話を少しかえますけれども、PCR検査、これは午前中の質疑でもありましたけれども、やはりPCR検査を日本が全然できていない。

 これは、三千八百三十件、何でかといったら、地方の衛生研究所が千八百件、民間の五社が九百件、検疫所が五百八十件、国立感染研が四百件、それで大学が百五十件です。

 今、何が市中で起きているかというと、例えば、これは報道にありましたけれども、妊婦の方が、これはもしかしたらコロナウイルスかもしれないというふうに、疑いがあってお医者さんに行く、お医者さんに行って、お医者さんが保健所に、コロナウイルスかどうかPCRをやってくださいと言っても、上の県とかそういったところが、今、日本の政府が定めている基準である濃厚接触者、若しくは武漢とかそういった疑われる地域からの渡航じゃないからできないといって、重症化をするかもしれないのに家に帰される。

 そして、小さな子供、九歳の男の子の話がきょう報道でありましたけれども、この子ももう九日間、十日間近くになって、ずっと三十八度の熱が出て、お医者さんに行っても保健所に行っても、保健所の先生もやりたくても全然やらせてもらえない、それは政府の判断がなかなか検査できない体制をしているからだというふうに言っています。

 見ていますと、お医者さん、報道では、三十年間やられている方も今一番怖いと言っているんです、呼吸器専門の方です。この方も、聞くと、民間の検査会社にやればと。民間の検査会社というのはいろいろな検査をしています。HIVだったり結核だったり、いろいろな遺伝子検査をやっていて、当たり前というか、ちゃんとお墨つきを与えられてやっているようなところがあって、そういうところには依頼が来ていないんだけれども、やれば自分たちもできますというようなことを言っています。保険適用をしてやれば、これは一気に進むんだと思います。そのときに保険適用をするのか。

 もう一度伺いますが、保険適用をすることが大事だと思うんですけれども、その体制がいつできるのかということを伺います。

加藤国務大臣 今回のものは新型コロナウイルスで、新しいタイプでありますから、それを分析する。そして、感染研が中心になって一月二十日にいわゆるコンベンショナルPCRを、そして今使っているのは、一月二十四日にリアルPCRを確立し、その中で、まず衛生研に配り、実は、一月三十日にはもう民間検査会社には受託の呼びかけをしているんです。そして、機材を渡して実際にできるまでに時間がかかるんです、これは。だから、そのことをしっかり踏まえないと、急激にふやすといっても、検査の精度というものがありますから。やはり、受託機関としては、きっちりとした精度にするために一定の期間がかかる。そのために今やっと民間が出てきて、さらに、民間の医療機関にも私たちは手を挙げていただきたいということで、もうこの二十日からはどんどん渡していますけれども、これが立ち上がるにはもちろん時間がかかります。

 そうした体制をつくる中で、しっかりといろいろな需要に応えていける、こういう体制をつくり、そのタイミングの中で、まさに診療報酬の体系に移していくのかどうか、ここはよく判断していかないと混乱をしますので、そこはよく見きわめなきゃいけないなというふうに思っています。

篠原(豪)分科員 コロナウイルスが武漢で大流行したのは二カ月前ですよ。日本にも来るかもしれないと言われていて、二十日からじゃ遅いんです。

 今一生懸命やっているのはわかります。だけれども、そのそもそもの判断の、当初のミスから、マスクぐらいして船に入ってという、そういうところもやはり心配だという声が多いので、ぜひ、厚労大臣、一刻も早くしっかりと、それは、すみ分けは難しいと感染研の方々は言うかもしれないけれども、そうじゃなくたって、民間の会社だって、やっていただくということも含めて、今やっていると言いますけれども、一刻も早くやっていただかないと。

 今、本当に困って、子供もそう、そして妊婦の皆さんだって、肺炎になったといって、レントゲンを当てたら胎児に影響があるんです、放射線だから。こうやって鼻孔をスワブすれば、インフルエンザと一緒ですから、早くできるようになれば、そんなにどんどんどんどん重たい検査をして、これでやっと、本当に重症化してからみたいな、今政府が言っているように、一、二週間が正念場だというんだったら、この一日、二日が勝負なんですよ。

 この一日、二日の勝負なので、でも、これはどこかで誰かが対応しないと。難しいといっても、私たち国民の側としては、やはりお願いしたい、ほかに頼るところがないんです。ですので、それをお願いをさせていただきたいと思いますので、そのことを申し上げます。

 最後に一つだけ、国土交通省に伺います。

 船の港で、飛鳥2がきのう、今週末の海外世界一週の旅行をやめました。やめたことは大変な英断だったと思うんですけれども、今こういう声があるんです。港湾の現場からは、ダイヤモンド・プリンセスの感染事件以来、国交省の今後の方針が全く見えてこない。全て民間にお任せの状態です。そこで、統一された基本方針を、日本郵船ばかりじゃなくて、実施に移すべきだと。感染した大型クルーズ船の受入れは、ダイヤモンド・プリンセスだけで我々はもう十分だと言っています。

 このことについて、各社まちまちの対応が続いていますので、港湾関係者の皆さんから、望むらくは、政府から、今般のコロナウイルスの経験を受けて、クルーズ船に対する対応方針と事業者への指導をしていただきたいと思いますが、最後にこれをお伺いして、私からの質問を終わらせていただきます。

宮武政府参考人 御指摘のとおり、飛鳥2につきましては昨日、また、これに引き続く形で本日も、別の運航会社におきまして、クルーズ船の運航を当面中止したという報道がなされております。

 国土交通省におきましては、運航会社が適切に判断を行うことができるように、厚生労働省等の関係機関と連携しまして、情報提供を必要に応じて行うなど、適切に対応してまいりたいと思っております。

篠原(豪)分科員 終わりますけれども、厚労大臣、今おっしゃったように、クルーズ船もこういう状態なんです、これからも来るんです。ぜひしっかりとした対応をお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。

 次に、山川百合子君。

山川分科員 立国社の山川百合子でございます。

 大臣におかれましては、コロナの対応で大変な中、出てきていただいてありがとうございます。

 今、コロナで大変なときではありますが、たくさんの議員がコロナについては質問しておりますので、私の方からは、せっかく大臣との機会でございますので、不妊治療の現状と課題について、ぜひ大臣の御認識を更に深めていただいて適切な対応をしていただければという思いで質問をさせていただきます。

 御承知のことと思いますけれども、不妊に悩むカップルは、日本では今、全体の三組に一組にも上ると言われております。不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは五・五組に一組であります。

 二〇一七年の数字でありますけれども、生殖補助医療で誕生した子供が五万六千六百十七人。このときの出生児の数は九十四万六千六十人ということでありますから、大体十六・七人、約十七人に一人がこの生殖補助医療で誕生したという数字になります。これは全体のほぼ六%であります。

 少し数字を追ってみますと、二〇一五年には五万一千人、これは出生児数に対して五・一%、二十人に一人であります。また、少し下がりまして二〇一〇年、このときは三十三人に一人ぐらい、約三%になります。そして、これが二〇〇〇年までさかのぼりますと、大体九十七人に一人ということで、この十七年間の間に、九十七人に一人、約一%だったのが、もう十七人に一人、約六%にまでなっているというこの数字を加藤大臣には改めて御認識いただいて、生殖補助医療がいかに子供の出生の数の中での割合が多くなっているかということをぜひ御認識をいただければと思います。

 私自身が不妊治療をしておりまして、そして、不妊治療をしているということをいわゆるカミングアウトしますと、周りに本当に驚くほどたくさんいらっしゃいます。私がカミングアウトすると、実は私もそうなのよとか、私の息子や娘もそうなのよとか、あるいは、親戚縁者、お友達を含めて、この話をすると必ずと言っていいほど、お一方、お二方は必ずいらっしゃいます。それが大きな集団ではなくて、一対一で話していてもそうでありますから、いかに今この不妊治療という問題が日本の社会で深刻な課題になっているかということがうかがわれるというふうに思います。

 この点について、加藤大臣の御認識をまずお伺いできればと思います。

加藤国務大臣 今の状況は委員からお話がありましたので触れませんけれども、私の周り、いろいろな話をする中で、やはり不妊の話というのは出てくるわけであります。

 そして、実際に不妊治療をされている方が、経済的な負担だけじゃなくて、精神的な負担等、本当に御苦労され、そして、不妊治療をした結果、出生に結びついている方、何回も何回もやりながら残念ながら子供を持つに至っていない方、いろいろいらっしゃって、本当にその思いというのは、どういうふうに表現していいかあれですけれども、何とも言えない思いを持ちながらそれぞれが向き合っているということ、このことは私どもしっかり承知をしながら、不妊治療に対する適切な支援をしていかなきゃいけないと思うと同時に、やはり妊娠そのものに対する理解を深めていくということも同時に大事なのではないかなというふうに思っております。

山川分科員 御認識をいただいているということで、本当にぜひ適切な支援に更につなげていっていただきたいなという思いで、この後を続けさせていただきます。

 私は、自分が治療してきたということもありまして、幾つも医院も回りましたし、クリニック、医院の状況というのはさまざまなんだなということは私の経験としてよくわかっているつもりであります。

 私の話になりますけれども、少しさせていただきますと、私は四つの医院に行きました。最初は、どうしていいのかわからないですから、ネットで検索をしまして、何となくよさそうかなと思ってまず行ってみますと、まず最初に言われたのが、あなたは非常に遠いですよ、不妊治療って大変なんですよ、ここまで通い切れないと思いますよ、もう少し家から近い方がいいんじゃないんでしょうかと言われまして、今度は少し近いところに、どういうところがいいですかと、特に紹介するというわけじゃないんですが、こういうところがありますよねみたいな感じで、そこに行ってみました。

 そこに行ってみますと、非常に大きなところで、正直、規模に圧倒されましたし、非常に流れ作業的な治療でありまして、主治医の先生がつくわけでもなく、いろいろな不安がありますけれども、そこの御相談を丁寧にするというような状況ではなくて、流れ作業的に検査が行われて、そして、たくさん先生がいらっしゃいますから、そのときにあいている先生に面会して、いろいろ聞きたいこともあるんですけれども、なかなかそこまで時間をとっていただけない。たくさん待っていらっしゃいますから、余り時間をとるのもなという感じで、とにかく流れ作業的に治療を行っていくというような感じでありました。

 何となくそれでいいのかなという不安があって、周りのそういう治療をしているという話を聞くと、どこでやったとか成功したとかという話になっていって、ある違うところのクリニックに移りました。そこでもやりまして、またそこでもどうなんだろうというふうに思いまして、総合病院に行った方がいいんじゃないかと思って、今度は総合病院に行きました。

 そこでも検査をしたところ、私は甲状腺の値が悪いと言われまして、甲状腺の値が悪いと幾ら卵子がよくてもほとんど着床しないんですよと言われました。私はそれを初めてその病院で聞いて、今までそういう検査をしてこなかったなと。今まで採卵もして移植もしましたけれども着床しなかったという経験で、それだったらもっと早くその検査をしてほしかったし、甲状腺の値は薬を飲みさえすれば改善しますので、治療としては大変なことでは全くなかったんですけれども、じゃ、私のこの何年間は何だったのだという思いにさいなまれたわけであります。

 それは私自身も自分で経験してようやくわかったことでありますけれども、それ以来、私の周りのそういう人たちとの話になると、甲状腺の検査をしたかとか、そうなの、そんなの知らなかったといって、先生に聞いてみたとかということになるわけですね。これは私の経験でありますけれども、こういう経験をしている人たちはたくさんいらっしゃいます。

 それで、治療の現場がどういう医療を行っているのか、どういう基準を持って治療を行っているのかということが、いわゆる患者である私たちには全くわからないんですね。ネット情報、口コミ情報というんでしょうか、そういうところで、何となくこれでいいのかなと手探りでやっていくわけなんですけれども、こういったクリニック、それから医院等の現状について大臣はどのように把握をされているか、お聞かせいただければというふうに思います。

渡辺政府参考人 まず、私の方から現状について御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、先生から最初に御指摘のあった、そもそもどういう医療機関とかを受けたらいいだろうということに関しましては、厚生労働省の方で、今これは七十六の自治体にございますけれども、不妊専門相談センターというところで事業を行っております。大体年間二万五千件ぐらいの御相談があるんですが、不妊治療を実施している医療機関の情報を求める方が千五百件ぐらい、それから、御指摘のありました検査とか治療の中身についての相談が四千九百四十五件、約五千件ぐらいということでございまして、我々は、こういうところに寄せられている情報というのをもう少ししっかり把握をしてきちっと整理をしていく必要があると思っております。

 それから、おっしゃられた医療機関の治療そのものの精度を上げていくということに関しましては、今は基本的に自由診療ですので、何か国の方でガイドライン等を出しているわけではございませんが、今年度の事業としまして、いわゆるAMED、日本医療研究開発機構の研究事業で、不妊症の解明とか、あるいは質の高い不妊治療も含めた生殖補助医療の研究開発に取り組んでいるところでございまして、こういったあたりの成果あるいは知見というものも治療水準の向上につなげていきたいというふうに考えております。

山川分科員 今やっていることがあるんです、もう少し実態把握もというお話なんですけれども、物すごい数の人が不妊治療をやっていて、そして多くの当事者たちが口をそろえて言うのは、本当にどうしたらいいのかよくわからないということなんですよね。叫びでもあるこの思いというものを加藤大臣がどのように受けとめていただけるか、加藤大臣から伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今委員からのお話もありました、どこの病院に行っていいのか、あるいは、そうした中で、それぞれ病院ごとに、どう言ったらいいんでしょうね、治療のやり方と言っていいんでしょうか、あるいは時には治療の水準なのかもしれませんが、ばらばらであるというお話がありました。

 まず、先ほども局長から答弁させていただいたように、できるだけ情報を提供するということで、不妊専門相談センターを各都道府県、指定都市、中核市に配置をして、それぞれでそうしたセンター事業を実施をしていただいております。

 また、全体としての治療水準の向上は、我々としてはいろいろな研究事業の結果を提供させていただく、あるいは、それぞれ学会の中でもいろいろな御議論があるんだろうと思いますけれども、そういったことを通じてより高い医療水準、治療水準を目指していただく、これを我々としてもしっかり支援をしていきたいと思います。

山川分科員 ありがとうございます。

 治療水準の向上を図っていきたいというお答えをいただいたんですけれども、お手元にもお渡しさせていただいたと思いますが、少し資料を見ながらお話をしたいと思うんですが、これは、二〇一一年のデータを二〇一八年に整理されて、この出典のとおりのところから引いてきた数字なんですけれども、これを見ていただきますと、採卵周期数は日本が断トツに多いわけであります。あと施設数ですね、真ん中の方にある施設数、日本がやはり断トツに多いわけであります。それに対して、妊娠率、生産率というのが左側にございますけれども、妊娠率を見ると日本は非常に低いわけであります。それから、その隣の生産率、妊娠しても流産をしてしまうというのもありますから、生産率というのは、出生した、子供が生まれたということであろうかと思いますが、これを見ても非常に日本は低いということであります。

 もう一枚めくっていただきますと、こちらになるわけでありますが、このグラフは、生産率のところ、最初の一枚目のところは五つの国を取り出しておりますけれども、こちらの二枚目の方、赤い方は生産率を各国ずらっと並べてあるわけであります。ちょっと文字が小さいので見づらいと思いますけれども、一番左の矢印がついているところ、これがジャパンでありまして、日本であります。低い順に並べてあるわけでありますけれども、この二番目に低いところの国と比べても極端に低いのが日本であるということでありまして、このグラフは私も見たときは非常に衝撃的でありましたけれども、これほど、いわゆる成功率というんでしょうか、が非常に低い。

 施設数もたくさんある。世界一だというふうに聞いておりますけれども、施設の数も世界一。そして、いわゆる治療の回数ですね、行っている治療の回数も世界一。しかし、成功率はこれほど低いという数字が出ておりまして、この実態についてどのような御認識をお持ちでしょうか。

渡辺政府参考人 データの関係ですので、先に私の方から御説明させていただきますと、今委員からお示しいただいたもの、ちょっと私も初見ですので必ずしも十分なコメントになるかどうかわかりませんが、恐らくこれは、確かに施設数とかもありますが、実際に不妊治療を受けている方の年齢構成といったようなことも多分補正をしないと単純に比較できないのかなとも思っております。

 おっしゃられたような生産率ということになりますと、当然流産率とかもかかわってくるわけですが、私どもが平成二十五年にやった有識者検討会でも、やはり四十歳を超えるとかなり流産率が高くなると。諸外国に比べましても、日本は今四十三歳まででございますので、比較的四十代の方も受けていらっしゃるということもあって、ちょっと年齢的なことも加味して見てみないといけないのではないかというふうに思っております。

山川分科員 年齢が関係しているんじゃないかということはございましたけれども、このデータというのはこの出典のところから引いてきたものでありまして、そうじゃないかと今おっしゃいました。年齢も入れて見なきゃいけないんじゃないかとおっしゃいましたけれども、この実態について、世界一施設数が多くて治療数も多いんだけれども、実態はどうなのか。そのことによって子供が欲しいと思う人たちが授かることができているのかという、この実態について厚労省として独自の調査をすべきというふうに思うんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。

渡辺政府参考人 御指摘の不妊治療につきまして、現在、私ども厚労省の方で一定の経済的な負担に対しての補助を行っておりますけれども、そういった実際の治療費用とか、あるいは受けていらっしゃる方の年齢構成とか、そういったことにつきましてもう少しきちっとしたデータをとる必要があると思っておりまして、来年度、令和二年度に厚労省としまして研究事業を立ち上げまして、こういった不妊治療の実態、経済的な面、あるいは実際に受けていらっしゃる方の状況、そういったあたりを少しデータの収集をして、今後の不妊治療のあり方ということで考えていきたいと思っております。

山川分科員 来年度、少し調査をするということなんですけれども、私も自分の経験からいろいろなことを知るようになっているわけなんですけれども、成功率が低い要因の一つとして、男性不妊に対しての認識あるいは対応が的確ではない部分があるのではないかという懸念を持っております。

 WHOによると、不妊の原因の半分は男性にあるということはもう一般的にも知られていることというふうに思いますけれども、また、政府としても男性不妊に対する助成の拡大ということもされているわけではありますが、しかし、そうでありながら、やはり、日本の社会の中での男性不妊に対する認識、あわせて、医療機関においても、不妊治療というのが女性の治療を中心として、そこに男性も精子の検査をするというような形で加わってはくるけれども、基本的に女性の体外受精というところに非常に重点化されているということが成功率の低い要因の一つではないかということを懸念をしているわけであります。

 少し私もいろいろな先生からお話を聞いたりもしたんですけれども、その中に、精索静脈瘤、一般的に男性の十人に一人はいると。それで、一人目不妊、不妊外来に来る男性の方の三割はこの精索静脈瘤だ、二人目不妊の場合は七割がそうであると。しかし、実際にその治療を受けているのは、統計はないんだけれども、数字をとっているわけではないので、感覚的には二割程度かなというふうにおっしゃるわけですね。

 それから、卵子の老化というのは、NHK、クローズアップ現代でしたでしょうか、随分前にやって知られるところとなりましたけれども、その言い方がいいかどうかというのはありますが、認識はされるようになりましたが、精子も三十五歳を過ぎると質が低下し、さらに四十歳以上になると一年間に三%ずつ遺伝子損傷が起こるということ、これはもう知られていることのようであります。

 しかし、こういう現状がありながら、不妊治療というと、男性の方はプラスアルファで、検査はされるけれども、基本的にはやはり女性の体外受精というところに重きが置かれていて、そして、男性不妊のところが見過ごされたまま女性の体外受精が繰り返し行われている。当然ですけれども、精子のDNA損傷があったらなかなか妊娠はしませんから。

 こういったところが見過ごされているのではないかというふうに思うわけであります。この点についての御見解をお願いいたします。

渡辺政府参考人 御指摘のございました男性不妊の現状ということでございますけれども、私ども、平成二十七年度に実施した調査研究によりますと、これは、男性不妊に対しての専門医の在籍する、非常に少ないんですが、三十九施設に来た一年間の新規の患者さんの数は七千二百五十三名、こういうデータがございます。

 また、その調査の中では、当事者の方に対してアンケート調査を行っております。これはインターネットを使ったアンケート調査でございますが、やはり、先生御指摘ございましたように、男性不妊に関して悩んでいることの大きいこととしましては、不妊の原因は男性にもあるということが社会的に認識をされていないんじゃないか、そういうことが挙げられているということでございます。

 こうしたことから、今御指摘もございましたように、厚労省としては、二十八年一月から助成対象に男性の不妊治療も加えたり、さらに、今年度からは初回を三十万に引き上げるというようなこともしております。

 また、御指摘のございました男性不妊の問題、あるいは女性の年齢との関係などにつきましても、三十年度の調査研究事業で、自治体が不妊相談を受けるときのガイドラインというのを我々の方でつくっておりまして、そういった中で、そういう正しい知識といいますか、そういうことをきっちり伝えていくということも盛り込んでおりますが、そういったあたりのガイドラインの見直しも含めて、しっかりと正しい知識が伝わるように周知していきたいというふうに思っております。

山川分科員 社会的な認識の問題ももちろんですが、やはり医療機関においても、先生方のお話を聞くと、なかなか婦人科の先生は泌尿器科の先生との連携がないとか、そもそも、窓口として助成の申請をできるのが婦人科の先生だけなんでしょうか、泌尿器科の先生は直接助成の申請ができないという現状もあるやに伺っています。本当に、社会の認識だけじゃなくて、やはり医療の現場でも連携がまさに必要だと思うんですが、このことは、時間も少ししかないので、また継続してやっていきたいと思います。

 ぜひ、この点、男性不妊、知られてきつつはありますけれども、制度の中でもどうやって扱っていくか、助成の対象もかなり限られているようでありますから、その辺の見直しもぜひお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、政府としてこれまで助成を拡充してきていただいていることは私もよく認識をしているんですけれども、ちょっと数字を、お配りをしている資料にもあると思うんですが、これは、FineというNPO法人、当事者の方たちが二〇〇四年に立ち上げて、二〇〇五年にNPO法人化して、当事者間のコミュニケーションとか医療機関への働きかけとかをやっている、御存じだと思います、政府への提言などもされていますので。ここが調査をかなり綿密にやっているんですね。

 ネットなどからも含めて五千人から集めるというような、かなり大規模な調査をしていますけれども、そこで出されているのが、治療費がだんだん年々上がっているという数字がこの資料にも示されていると思うんですけれども、顕微授精の平均治療費をお出ししていますけれども、二〇一〇年、一周期当たり五十万円以上かかっている、三二%だったのが、二〇一八年には何と六〇%にもなっている。

 助成をしていただくのはすごくありがたいんですが、自由診療で、私も自分の経験から、医療機関の言い値なんですよね。幾らと言われたら、わかりましたと言うしかなくて、言い値でかかるわけです。そうすると、助成を拡大はしていただいているけれども、実際、治療費が上がっている。この現状をどうごらんになりますか。これは大臣に、この数字を見ていただいて、どういうふうな印象をお受けになるか。

渡辺政府参考人 先にデータ的なところだけお答えさせていただきますと、御指摘のございました今の助成費用、これは初回以外は十五万でございますが、これは平成十年の調査研究に基づくデータでございまして、このときは三十万から四十万ぐらいが顕微授精であれば平均的だということでつくっております。

 これにつきましては、直近の状況がどうなっているかというところは調べたいと思っておりますが、同時に、今御指摘ございましたように、これは自由診療ですので、まさに、例えば、実際の不妊治療以外にもいろいろな、その前の検査などをたくさんやっている医療機関とそうじゃない医療機関とでもいろいろ差があると思いますので、そういったあたりの、金額だけではなくて、もう少し具体的な中身というようなことも来年度の調査の中で調べていきたいというふうに思っております。

加藤国務大臣 基本的な考え方は局長から申し上げたところでありますけれども、委員御承知のように、これまでも、平成十六年からこの特定治療支援事業をスタートして、逐次対象の助成額を上げていく、あるいは男性に対する助成をメニューに入れる、また、令和元年度からは初回の男性の不妊治療費を十五万から三十万に拡充する、逐次拡充させていただいているところでありますので、今答弁させていただいたように、治療の実態を見ながらその方の経済的な負担を一部支援していく、こういう考え方にのっとってこれまでもやってきているわけでありますから、引き続き、そういった考え方によりながら、どういう形で支援をしていくということがいいのか、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

山川分科員 ありがとうございます。

 支援の拡充をしていただいていることには本当にありがたいと思っておりますし、さらなる拡充によって、せめて経済的負担は軽減していきたいというふうに思うわけなんですが、片側で、やはり、自由診療であるがゆえに、非常に、今現在、医療水準の標準化というところにも課題があると思いますし、治療費の適正化というのにも課題があると思うんですね。

 そこで、当事者の方が大臣にも要望されていると思いますし、当事者から本当に声が上がっているのは、やはり保険適用に向けていろいろな課題を整理していく。このことによって課題が整理されていく、医療水準の標準化というのもなされていくというふうに思っているわけであります。

 きょうは時間が来てしまったので、この保険適用に向けて課題を整理していくということをぜひ政府の今後の検討の中に入れていただいて、本当に適正な医療とそして適正な価格で、これだけの人たちが大変な思いをしているわけでありますから、ぜひその方向に向かって検討をいただければと思います。

 最後に大臣に一言お願いできればと思います。

加藤国務大臣 不妊治療についても、他の疾病と同様で、治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性、安全性等が確立しているものは保険適用の対象とすることで、例えば、卵管閉塞に対する卵管形成術、精管閉塞に対する精管形成術、子宮内膜症に対する医薬品等については保険適用としているところではあります。

 ただ、このうち、体外受精や顕微授精といったいわゆる生殖補助医療の保険適用は、疾病に対する治療と位置づけられるのかという課題があるというふうに考えております。そういった課題をどうこれから捉え直していくのか、これはしっかり議論はしていかなきゃいけないと思います。

山川分科員 ありがとうございました。引き続きこの問題は委員会等でやらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて山川百合子君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。大臣、きょう最後ですので、よろしくお願いいたします。

 まず、新型肺炎対策で一言だけいただきたいと思うんですけれども、心配しているのは、市中感染が次々と明らかになる中で、もはや感染経路をたどることが意味のないことになっているにもかかわらず、今、感染者イコール犯人捜しのような状態になって、差別やいじめなどが起こっているのはゆゆしき事態だと思います。

 災害医学会の声明にもあるように、命がけで救援のために奮闘された方々が非難をされたり、クルーズ船のクルーの方たちも一緒だと思います、こうしたことがないように、政府がしっかりとしたメッセージを出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 本日、本部決定いたしました基本方針の中にも、一つは、中国から一時帰国した児童生徒へ、学校の受入れ支援、いじめ防止等の必要な取組の実施と、加えて、患者や対策にかかわった方々等の人権に配慮した取組を行うということを明記させていただいております。

 やはり、まずは、こうした取組に本当に献身的に取り組んできていただいたにもかかわらず、それぞれの病院に戻ったり、あるいは中には御家族に対してそうしたいわれなき誹謗中傷が行われているということ、これは大変ゆゆしき事態だと私どもも思っております。

 そうしたことに対して、やはり大事なことは、正確な情報をしっかり発信をしていきながら、皆さん方のこの病気に対する、あるいはどう対応していくべきなのかに対する理解をしっかり深めていく、そういった努力を更に続けていきたいというふうに思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。現場の皆さんにその思いがしっかり届くように、政府の姿勢を求めたいと思います。

 次に、きょうはまさに差別がテーマと言えるかもしれないんですけれども、先日、地元青森市の松丘保養園、ハンセン病療養所でありますけれども、百十周年式典に行きました。在園者が既に五十八名になりまして、十年後のことを考えずにはいられませんでした。

 代理で読まれた大臣の祝辞には、昨年の臨時国会で成立したハンセン病家族補償法に触れて、ハンセン病基本法第十一条の医療及び介護に関する体制の整備及び充実、この充実という一言が入ったことを紹介して、改めて療養体制を維持、充実させることに言及していただいたことを心強く思いました。

 そこで、ハンセン病基本法の第四条、国は、第五条、地方公共団体は、元患者及び家族の福祉の増進等を図るための施策を策定、実施する義務を明記しております。そして、第十二条でハンセン病療養所の土地や建物、設備などを地方公共団体や地域住民の利用に供することができると規定がありまして、つまりは、入所者が最後の一人になっても、地域社会の中で、住みなれた療養所で送ることができるようにとの思いを込めたものでありました。

 全国十三園の入所者自治会が何らかの将来構想を策定していると承知をしていますが、その実現の見通しはどうでしょうか。描くのはいいけれども、実現するにはたくさんの規制もあると思います。高齢の入所者たちに丸投げでは難しいし、自治体が熱心なところもあれば、そうでもないところもある、アンバラのままでよいのかということなんです。

 厚労省が、様子見ではなくて、行政と自治会との間でイニシアチブを発揮して進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今委員が引用されましたハンセン病問題の解決の促進に関する法律では、「国は、」「ハンセン病の患者であった者等及びその家族の福祉の増進等を図るための施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と規定をされておりまして、厚労省としても、入所者自治会が地方自治体などの協力を得て策定した将来構想の実現に向けて、しっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

 全部で十三の療養所において将来構想をつくられておりますが、中身はさまざまであります。それぞれの策定の経緯、各療養所の歴史的背景や立地条件、地元自治体のニーズなどの差によって中身はさまざまでありますし、また進捗状況にも違いがあります。厚生労働省の職員も直接現地に出向き、入所者の皆さんの御意向をお伺いしながら、地元自治体に対して積極的な協力を求めてきているところであります。

 また、やはり、高齢化が進む中で、もう時間がないんだという強い要望を私どももいただいているところであります。将来構想の早期実現を図るため、国立ハンセン病療養所の運営管理を行っている担当部署については、令和二年四月に、訓令室から省令室に拡大させていただき、人員も定員を三人から七名へ拡充するなど、体制強化を図ることとしております。

高橋(千)分科員 三名しかいなかったんだと今ちょっと驚いて聞いておりましたけれども、体制を強化しながら、時間がないという中で積極的に国が関与していくというお答えだったと思いますので、それを本当に前向きに受けとめたいと思いますので、まさに十年後が展望できるようにお願いしたいと思います。

 さて、きょうは、あと残りはHPVワクチン問題について質問していきたいと思います。

 二〇一三年四月に予防接種法に基づく定期接種となっていますが、わずか二カ月後の六月十四日、健康局長通知で積極勧奨しないということになりました。あれから七年、ワクチンが世に出てからは十年です。当時中高生だった少女たちが二十前後となり、なりたかった夢を果たせずに、出口の見えない闘病生活を送っています。大臣は、こうした少女たちの声を直接聞いたことがありますか。

加藤国務大臣 HPVワクチン接種後に症状が生じた方々の御意見に関して、毎年八月、全国薬害被害者団体連絡協議会との協議の際にHPVワクチン薬害訴訟の原告団の方々から事務方が話を伺っておりますし、私自身も、これは前のときですけれども、当事者の方にお会いをしたことがございます。

高橋(千)分科員 毎年大臣が聞いていると言ってくれればとてもよかったんですけれども、大臣になる前にはお話を聞いたことがあると。(加藤国務大臣「いやいや、前の大臣のときに」と呼ぶ)ではなくて、大臣のときに一度は聞いたことがあるという意味ですか。わかりました。

 では、それをやはりこれからの議論に生かしていかなきゃいけない。どんなふうに思っているのかということを次に聞きたいと思うんですけれども。

 今月五日に行われた院内集会で発言した森さんという女性は、大変お話もはきはきとして、理路整然とお話をされました。一見、どこも悪くないように見えるんです。それだけ体調に波があるんですよね。発言をしたその日は寝込んでいたと聞きました。十四歳で接種し、一回目以降、あらゆるところに痛みが起きて、二百ミリリットルの牛乳パックさえも持てなくなったと言います。記憶が飛んで、母親の顔がわからなかったり、家に帰れなくなったりします。森さんは、左目が失明したと医師から診断をされてうれしかったと言ったんです。これは、友達にも信じてもらえない中で、初めて自分がうそを言っていたのではないとわかってもらえるからだという意味でうれしかったんだと言うんですね。大変衝撃でした。

 その意味がわかるでしょうか。痛みや不自由な体のつらさよりも人に誤解されることのつらさの方が上回るという、この現実を受けとめるべきだと思いますが、いかがですか、大臣。

加藤国務大臣 何といいますか、感覚的なものというのは、要するに機能的に明らかに出てくれば外から見てもわかる、ただ、中身の痛みとか倦怠感とか、こういったものは外からはなかなかうかがい知れない。場合によっては違った意味でとられることもあるわけでありまして、そういった意味での御苦労の中で今のお話があったんじゃないかなというふうに思って、聞かせていただきました。

高橋(千)分科員 理解をしてくれていると思いたいわけですが。

 それで、続けて聞きたいんですが、大事なことは、彼女たちあるいは保護者たちに対して、反ワクチン派のレッテル張り、これは間違いだということなんです。

 HPVワクチンも、定期接種になったときに、今のうちだと学校から勧められて、素直に受けただけなんです。これまでも、彼女たちは国が推奨するワクチンを信じて、真面目に全て打ってきただけなんです。まして、今現在PMDAを通して報告がある大半は、定期接種が始まる前の二〇一一年ごろ、つまり自発的に受けた方たち、この方たちもいるということです。だとすれば、ワクチン反対とか、そういう議論をしているんじゃないんだということをわかっていただきたいんです。

 詐病だ、演技だと言われ、冷たい言葉を浴びせられ続けた少女たちが何でわざわざ演技をする必要があるのか。それも十年間ですからね。弁護士や社会福祉士、看護師、介護職、幼稚園教諭、なりたかった職業です、理学療法士になりたいな。さまざまに夢を持ちながら、しかし記憶障害になって進学を諦める、センター試験を受ける体力がない、断念せざるを得なかった。彼女たちは治りたいだけなんです。このことを本気で議論していくべきだと思うんです。

 そこで、まず伺いますが、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議が、長いのでこの後は合同部会と呼ぶようにしますけれども、開催されてきましたけれども、販売開始された二〇〇九年十二月以降、ガーダシルは二〇一一年八月ですけれども、合同会議に報告された昨年八月末までの接種延べ人数は、九百万二千八百六十三回、平均接種回数がありますので、三百四十三万人が接種をしていると言われています。このうち何人の副反応報告が報告されて、うち重篤な例は何人か。他の定期接種ワクチンと比べるとどうなのか。伺います。

樽見政府参考人 HPVワクチンの副反応疑い報告というものについて、御指摘の合同部会で定期的に評価を行っているわけでございます。そこに副反応疑いの報告を上げていただいているわけでございますけれども、その報告件数につきまして申しますと、最近の数字とこれまでの数字を持っておりますので申し上げますが、直近では、令和元年五月から八月までの四カ月間に、製造販売業者から十四件、医療機関から四件という報告がされておりますが、販売開始から令和元年八月までの累計ということでいいますと、製造販売業者から千百十一件、医療機関から二千九十五件というものが報告をされているという状況でございます。

 ほかのワクチンと比べてというお話でございますけれども、ほかのワクチンといいますと、そもそも、医薬品医療機器総合機構法で、健康被害の方の迅速な救済を図るという制度の趣旨を踏まえまして、厳密な、医学的な因果関係というよりは、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするということで報告をとっているということがございますし、また、接種の種類によってその接種の回数が違ったりということもございますので、ほかのワクチンの割合と比較して高いか低いかということについては、なかなかこれは論ずることが難しい問題であるというふうに考えております。

 また、それぞれのワクチンによって、それによって防ぐ感染症というもののリスクと予防接種によって引き起こされるリスクというものについても比較をして考える必要があるということになりますので、単純に副反応の件数が多い、低いということでの議論というのはなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)分科員 今、重篤な例を聞きましたが、答えていません。

樽見政府参考人 失礼いたしました。

 販売開始以降の累計で、副反応報告が、先ほど、製造販売業者から千百十一件、医療機関から二千九十五件というふうに申し上げましたけれども、重篤ケースということでの数字は、この重篤例というのは、死亡、後遺障害、入院などのほか、報告医が重篤と判断したものということでございますけれども、製造販売業者からのケースは千百十一件が重篤例ということでございます。医療機関からのケースについては七百四十二件が重篤例ということでございます。

高橋(千)分科員 合わせて千八百五十三件になると思うんですけれども、これは十万人当たりで見ますと五十四人で、定期接種のワクチンと比べれば、比べるのは意味がないとおっしゃいますので、ここでけんかする時間がもったいないですので、同じワクチンで見ますと、これは二年前と比べて一・五人ふえております。有害事象報告も十万人当たり九十三・四人で、一・三人ふえています。同じワクチンだけれども報告はふえているということでいいですよね。それは事実ですから。単なる数字の話です。

樽見政府参考人 済みません、ただいまちょっとそれに相当する数字を手元で確認することができませんので、恐縮でございますけれども、今はちょっとお答えすることができません。お許しください。

高橋(千)分科員 じゃ、後で確認してください。私が今言った二年前の数字というのは、厚労省が二〇一八年一月に出したリーフレットの中に書いております。ちょうど二年たったかなと思って、それと比較しましたので、お願いします。

 それで、ちょっと時間がもったいないので次に進みますけれども、そもそも合同部会では重症例についてどのように選択し、どのような議論を行っているんでしょうか。

 例えば、今、HPVワクチンの訴訟を行っている全国の原告百三十一人の方が、合同部会の資料がありますから、それを見て、接種の日とかを見ると自分のことだとわかるわけですよね。そうすると、実際に重症とカウントされたのは十九人だけだ、その百三十一人の方たちのうちで。だけれども、カウントされていない百十二人の原告の中にも、少なくとも三十六人は障害認定をされています。

 さっき、どういう人が重篤な例かと質問する前に答えたので、障害のある方、後遺障害ということもおっしゃった。だけれども、そういう障害を持っておりながらもカウントされていない人がいるわけですよね。一人が持つ症状が多くて、カルテも大変な、膨大な量になります。それが実際には審議会の中ではスルーされている。見られていないということでしょう、厚労省が選んだ例しか資料として報告されていないわけですから。そういうことじゃないですか。

樽見政府参考人 まさにこの合同会議の場で、重篤例ということで報告された症例につきまして、個々の症例の概要について報告をし、評価をいただいているということをやっているわけでございます。

 重篤例ということにつきまして、先ほど申し上げたとおり、死亡、後遺障害、入院のほか、報告医が重篤と判断したものということでございますが、それ以外の症例を含めまして、一旦報告した症例、あるいはそれ以外のものも含めて、経過が悪化したというようなことで追加報告があった場合は、改めて審議会にそれも報告して評価をしていただくということはやっているところでございます。

高橋(千)分科員 悪化したという場合はとおっしゃいました。でも、私が言ったことには答えていませんよね。障害として認定された方たちでさえも、重症例として報告、きちっと、こういう例がありますよという議論には供されていない。やはりそれは問題じゃないですか。因果関係がある、ないの問題の前の話なんです。まず、その実態をちゃんと見るべきだ。それは違いますか。

樽見政府参考人 この合同会議の運営ということになってまいりますので、これについて合同会議の先生方とも相談してまいりたいと思います。

高橋(千)分科員 運営を変えてください。この方たちの声を聞いてください。そうして、どこに違いがあるのか、しっかりと見てください。実際に診療している方たちの声を聞かずに、カルテだけで議論しているんですよ。そのカルテさえもスルーされているんです、厚労省が選んで。こういう実態なんだということなんです。

 そして、こういう中で合同部会が今何をやっているか。HPVワクチンの情報提供に関する評価についてということで、さっき言った二〇一八年作成のリーフレット、この内容見直しについて検討を始めています。これは積極勧奨を再開したいためですか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 HPVワクチンの積極的勧奨の差し控え以降、審議会においてHPVワクチンの有効性、安全性に関する評価を行うとともに、HPVワクチンについて審議会での議論を踏まえてリーフレットを作成し、国民に周知を行ってきました。これは過去形であります。

 自治体や国民への調査の結果、必ずしも十分にワクチンに関する情報が行き届いていないということであります。例えば、ウエブ掲載や窓口設置、配布をしていないというような自治体は約七割、リーフレットを見たことがないというのは、調査対象者、これは十二歳から六十九歳ですが、そのうちの八六・三%、こういう数字もあります。情報提供のあり方について審議会において議論を行っているところであります。

 HPVワクチンの情報提供については、公費によって接種できるワクチンの一つとしてHPVワクチンがあることを知っていただくとともに、ワクチン接種について検討、判断するための有効性、安全性に関する情報等を接種対象者及びその保護者に届けるという方向で議論がなされているというふうに承知をしておりまして、決して積極的勧奨の再開を行うための議論ではないというふうに認識をしております。

高橋(千)分科員 しかし、昨年十一月二十二日の合同部会の中で、日本医師会の常任理事である長島委員は、最も有効な方法は積極的な接種勧奨を再開することだと思います、こう言っていますね。この後のヒアリングで、十分な広報を行う中で、第一歩として、積極的勧奨の再開というところに向いていただくことを希望しますとはっきり言っています。そして、国立感染研名誉所長だった倉根委員は、再開に向けての議論、少なくとも議論を始める時期に来ているのではないか、こういうことを合同部会の中で言っているんですよね。

 その中で、今までは自治体にお任せしていたこのリーフレットを対象年齢のお宅に全戸配付するというわけでしょう。これは積極的勧奨と見られたって当たり前じゃないですか。

加藤国務大臣 一月三十一日の審議会資料、HPVワクチンの情報提供の目的及び今後の方向性ということにおいて、一つの方向性として、自治体からリーフレットの個別送付を行うことにしてはどうか等々について、それを踏まえて議論がなされたということは承知をしております。

高橋(千)分科員 ですから、全戸に配るんでしょう。

宮嵜政府参考人 一月三十一日の審議会の状況について御報告させていただきます。

 今委員御指摘のように、HPVワクチンのことについて情報が行き届いていないということで、個別に送付をするということも議論されたところでございますけれども、あくまでもそれは情報提供を個別に行うということであって、積極的勧奨を行うというような議論ではなかったというふうに承知しております。

高橋(千)分科員 一月三十一日の議事録がまだアップされておりませんので、早くアップしてください。

 ただ、ネット上で流れている情報などでは、全戸配付はする、しかし、ただし書きで積極的勧奨ではないと書くというふうなことで一応決着をしているというふうに聞いております。そうすると、どういう情報を出すのかというのが大変重大なんですよね。

 十一月の合同部会で、博報堂とか、広告宣伝のプロを招いて議論をしているわけですよ。すばらしくわかりやすい広告の仕方というのは学んでわかると思います。だけれども、何を伝えようとするのかがはっきりしなかったら、どんなにプロがやったってわかるわけがないじゃないですか。そこが求められているんですよ。

 この、HPVワクチンは積極的にお勧めすることを一時的にやめていますという言葉を、これは意味がわからないよ、どっちなのと聞かれたときに、皆さんはどう説明するんですか。この二〇一七年のリーフレットには、ワクチンを受けた人も二十を過ぎたら二年に一回は必ず検診を受けてください、ワクチンで感染を防げないタイプのウイルスがあります、そのため、ワクチンを受けても子宮頸がん検診は必要です、こう書いています。すごく大事なことですよね。これをちゃんと書きますか。

 さらに言えば、十一歳の少女がワクチンを打っても、二十を過ぎたらもう効果はなくなっていますよね、臨床結果では九年と言われていますから。そのことをどこにも書いていません、今のリーフには。書きますか。お答えください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国民の皆様に広告をするというわけではなくて、情報提供をいかにしていくかということで、その情報提供、リスクコミュニケーションとかの専門家の御意見もお伺いしたところでございます。

 そんな中で、今のリーフレットでわかりにくいところもあるので、情報が欲しい人に簡単にわかるものと、更に知りたいときには詳しくわかるものとか、あるいは、これを見て更に考えたい人はどういうリーフレットが必要かとか、そういうようなリスクコミュニケーションの手法というのが必要じゃないかというような御議論があったやに聞いてございます。

 それを踏まえての一月三十一日の議論でございましたが、リーフレットにつきましては、今の段階で、こういうものにするというのを、確定的に決まったものはございませんで、これから更に審議会で議論をしていって、どういう内容のものをつくっていくかというような段階だというふうに承知しております。

高橋(千)分科員 わかりにくい、わかりやすいと今おっしゃいましたけれども、正しい判断ができる情報を隠しちゃだめなんですよ、ゆがめちゃだめなんです。

 時間の関係で紹介だけにしますけれども、大臣の地元の岡山県が出しているリーフレット、これは問題があると思いますよ。検診を三年前に受けたのに、異常なしと言われたけれども、子宮頸がんがわかって赤ちゃんごと子宮を取ってしまった、これは実例なんですけれども、お話を書いています。

 だけれども、三年前じゃだめでしょう。三年前に検診を受けたら、その一年前にも受けていなきゃいけなかった。そういうことをきちっと教えるための症例ならいいんですよ。そうじゃない。これだったら、まるで、ワクチンを打っていないからこんなことになっちゃうよというふうなメッセージが伝わっちゃうんです。正しいことをきちっと書かないで、ここだけ強調すると問題なんですよ。そういうことを私は指摘しています。

 原告らが一番訴えている学習障害や記憶障害、これも症状の中で書いていないんですね。医療用には書いているんです、医療従事者用には書いているけれども、お子様、保護者の皆様に配るものには書いていません。こういうところが、やはり配付されてしまったら大変なことになるなと思います。

 そして、最も大変だと思うのは、今出されているリーフの囲み記事の中に、ワクチン接種後に起こり得る症状として、「痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について」という囲みがあります。この中で、HPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を有する方が一定数存在したことが明らかになっていますと。つまり、打っても打たなくても同じ症状が出るのよというメッセージなんですよ。

 でも、これは、二〇一七年三月十七日の厚労委員会で私は指摘しています。いわゆる祖父江班の調査ですよね。でも、これは、このとき、十二月二十六日の合同部会、そして四月十日の合同部会、二度、追加調査をやって報告していますけれども、これで因果関係を言及することはできないと。つまりは、あるともないとも言えない、不十分である、バイアスがかかっているということが結論なんですよ。その結論を省いて、同様の症状がある、ここを書かれたら本当にそれこそ動揺するじゃありませんか。そうじゃありませんか。

 これは不適切な表現だと思います。いかがですか。

宮嵜政府参考人 現在のパンフレットも含めて、どういう形にするか、審議会の方で議論していただく予定としております。

高橋(千)分科員 全部これから検討するという議論にしてしまいましたけれども、私が指摘したことを、結局、審議会になったらそのままやっちゃったということがないように、これは重ねて指摘をしたいと思います。続きを見せていただきたいと思います。

 それで、大臣に最後に伺いたいんですけれども、今も原告の少女たちは八八%が何らかの入院、通院をしています。だけれども、受診した医療機関は平均で十三・九カ所、五人に一人は二十カ所以上を回っているんです。過去に一度でも協力医療機関を受診している方は半分います。

 ところが、協力医療機関であるのにもかかわらず、詐病だと言われて、別の病院に行けばと。指定された病院に行っているのに、別の病院に行けばと言われる。子宮頸がんワクチンの副作用はない、そんなのはない、認めてほしいのか、こう言われて通院できなくなった、仕方がないから交通費をかけて遠くの病院に今通っていると。

 おかしくないですか。因果関係がわからなくても、否定できないという事例がある、それに類似の事例もある。それを積み上げていって、治療法に結びつくんじゃありませんか。これでは結びつきようもないんです。協力医療機関がしっかりと全都道府県にありますから、この方たちの声を受けとめて、向き合って、そして治療法を見つけていくように努力をするべきだ、国が改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 HPVワクチン接種後に症状が生じた方に対しては、平成二十七年九月、HPVワクチン接種後に生じた症状に対する当面の対応に基づき、医療面の支援も含めたさまざまな支援の充実に取り組んでいるわけでありますし、具体的な取組としては、身近な地域において適切な診療を提供するため、平成二十七年十一月以降、各都道府県に一カ所以上の協力医療機関を選定して、ホームページで公表し、地域における医療、診療体制の中核的な役割を担っていただきたいと考えているところであります。

 接種後の症状に不安のある方々が安心して医療を受けられるよう、協力医療機関における医師等に対する研修を、これは平成二十八年から毎年一回実施をしていると聞いておりますが、実施し、診療内容の向上を図ることで、受診される方の訴えの内容にかかわらず、適切な診療がなされていくよう支援をしていきたいと考えております。

 また、厚生労働科学研究班においては診療の経験を集積、共有する取組も行っているところでありまして、いずれにしても、関係者の御意見も踏まえながら、協力医療機関がやはりそうした医療の担い手の中核にならなければならないわけでありますから、そうした整備に向けた支援をしっかりと行うとともに、そうした医療機関の周知等にも努めていきたいと考えております。

高橋(千)分科員 残念ながら時間が来ましたが、もし研修を毎年やっているんだったら、こんなことは起きないんですよ。続いているから指摘をしています。どんな研修をしていますかと聞いて、その資料を公開していただけませんでした。

 大臣、約束していただけますか。これで終わります。

加藤国務大臣 よく中で検討させていただきたいと思います。

高橋(千)分科員 お願いします。

 終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時十七分散会


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