衆議院

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第2号 令和4年2月17日(木曜日)

会議録本文へ
令和四年二月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 今枝宗一郎君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    土田  慎君

      根本  匠君    渡辺 博道君

      源馬謙太郎君    長妻  昭君

      山岡 達丸君

   兼務 長谷川淳二君 兼務 松本  尚君

   兼務 山岸 一生君 兼務 伊東 信久君

   兼務 吉田とも代君 兼務 角田 秀穂君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         野崎 雅稔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           大谷 圭介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 大島 一博君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     上田 英俊君

  源馬謙太郎君     神津たけし君

  長妻  昭君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     土田  慎君

  神津たけし君     源馬謙太郎君

  笠  浩史君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     畦元 将吾君

  山岡 達丸君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     渡辺 博道君

同日

 第一分科員松本尚君、第二分科員伊東信久君、角田秀穂君、第三分科員長谷川淳二君、第六分科員山岸一生君及び第八分科員吉田とも代君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

今枝主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上田英俊君。

上田分科員 おはようございます。

 富山県第二区選出、自由民主党、上田英俊でございます。よろしくお願いいたします。

 今回、予算委員会分科会ということで質問の機会をいただきました。関係者の皆さんに改めて感謝申し上げたいというふうに思っております。

 今日は、雇用問題について質問をさせていただきたいと思います。

 私は、昨年九月まで県議会議員を務めておりました。六期目の途中ということで辞職をいたしまして、今日に至っております。

 今から約十五年ぐらい前でありましょうか、三期目の当選を目指して挨拶回りを重ねていく中で、四年に一度挨拶回りを当然させていただくわけでありますけれども、町の形が変わってきているということに気づきました。

 富山県というのは、御存じの方も多いと思いますけれども、持家率日本一の県であります。そうした持家率日本一の県で民間のアパートが大変増えてきているということに気づきました。しかも、駐車場に並んでいる車のナンバーを見ていると、他府県のナンバーばかりであります。

 一体どういうことなんだろうか、なぜ持家率日本一の富山県において民間アパートが増えたんだろうか。まさか全ての家庭でお嫁さんとしゅうとめさんが仲がよくないということなのではないんだろうというふうに思っておりますし、また、なぜ他府県のナンバーの車が多いのかということを考えていました。

 後日改めて調べたところ、実は、富山県は製造業が大変盛んな県でありますけれども、製造業において労働者派遣が認められたということに気がつきました。

 地元の町というのは、どの町もそうでありましょうけれども、地元から首都圏等へ出た人たちが帰ってこられるように企業誘致というものをやっているわけでありますけれども、企業誘致はして、企業誘致は成功したけれども、地元では働き手がなかなか集まらないということで、そういった労働者派遣という形態で他府県から労働者の方々が来ておられるということに気がつきました。

 私は、今回の質問に当たってもそうでありますけれども、派遣という働き方を否定する気は毛頭ございません。当然、派遣という働き方を積極的に選択される方もおられるわけであります。

 ただ、挨拶回りを重ねていく中でふと思ったのが、経済が好調であるならば、どんどんどんどん継続して、あるいは連続して、働くところが、派遣先といったものが継続されるということもあるかもしれないけれども、これは世の中が不況になったら大変なことになるだろうなという思いで見ておりました。そこに起こったのがリーマン・ショックでありました。

 私は、政治活動をしていく中で、いろいろな方々とお会いする中で、どういった社会を望みますか、どういった社会がいいんですかねと聞くと、あるいはまた、政治や行政にどういった政策を求めますかということを聞くと、必ず出てくる言葉というのが、安全、安心な社会をというふうに言われます。裏返して考えてみると、じゃ、今の世の中というのは安全、安心というものが多分脅かされているんだろうというふうに思っております。安全、安心な社会をつくる政策を、しっかりと政策として推進していかなければならないというふうに思います。安全、安心がキーワードであります。

 私は、安全、安心な社会のスタートラインというのは、安定した雇用から始まるというふうに思っております。安定した雇用から、高いか安いかはまた別問題として、安定した雇用からやはり安定した収入、所得を得ることができる。安定した所得があるからこそ、結婚をして、家族をつくって、家族を養うことができるんだというふうに思います。そうした円満な家庭があるからこそ、地域社会の様々な行事に参加できるんだというふうにも思っております。そして、そうしたいろいろな方々が地域の行事に参加して、地域社会が構成されるからこそ、地域社会そのものがやはりセーフティーネットとしての機能を発揮するんだろうというふうに思います。

 大変残念なことに、今日では、雇用の流動化といったものが進んでしまった結果として、格差社会という言葉であるとか、あるいは縦並び社会という言葉も出てきました。

 私は、お金持ちの方々がよりお金持ちになるということを全く否定するつもりはありませんけれども、貧しい方々、社会的に恵まれない方々が、より貧しくなる、より立場が弱くなるということは、これは断固として拒絶するものであります。貧しい方々がより貧しくなる、弱い立場の方々がより弱い立場になるということを、やはり、政治や行政といったものは防がなければならないというふうに思っております。誰もが明日も頑張ろうと希望の持てる、夢に向けて挑戦できる社会といったものに取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 そうした中において、非正規雇用と言われている方々が増加しているという報道があります。非正規雇用という働き方が社会の不安定要素になっているということも報道されています。

 働き方というのは、やはりいろんな働き方があると思います。いろんな働き方を個人として積極的に選択されておられる方もあると思います。パート、アルバイト、派遣等、様々な働き方がある中で、労働者、いわゆる被用者、労働保険、社会保険の観念でいう被用者と言われている用語の中で、パート、アルバイト、派遣という言葉もあります。

 まず確認させていただきたいのは、正規雇用とは一体どう定義づけられているのか、非正規雇用というのは一体どう定義づけられているのか、確認したいと思います。

山田政府参考人 お答えします。

 労働関係法令上、正規雇用の定義というのは存在しませんが、一般的には、労働契約の期間の定めはない、所定労働時間がフルタイムである、直接雇用である、その三つの要件を満たすものが正規雇用と呼ばれております。また、同様に、労働関係法令上、非正規雇用という確立した定義も存在しませんが、一般的には、正規雇用に当たらない短時間労働者、先生御指摘の派遣労働者、有期契約労働者等を指し、それらの雇用形態に応じた個別法が整備されているところでございます。

上田分科員 今ほど、労働法規上は厳格な定義はないというふうに認識をいたしました。

 ただ、私も、そうした挨拶回りの中で、働き方に対して大変強い問題意識を持ちまして、これは大変だなと。当時、その頃は、雇用問題だけではなくて、年金未納の問題だとか、社会保障関係で、医療関係、医療保険関係はどうなんだろうかということで、問題意識を大変強烈に持ったものですから、県会議員三期目から社会保険労務士の受験をいたしました。当時はもう四十歳を過ぎておりましたので、記憶力と忘却力の戦いだったわけでありますけれども、三回滑った後で、結果として四回目で社会保険労務士の資格を取得させていただきました。

 私なりに正規雇用とはどう定義づけるかと考えた場合に、今の答弁の中にもかぶる部分もありますけれども、まずは、期間の定めのないものであること、そしてフルタイムであるということ、そして直接雇用ということ。そして、更につけ加えるならば、雇用保険、労災保険という労働保険、健康保険、厚生年金という社会保険が完備されているもの。この四つの条件を満たしたものを私は正規雇用というふうに、私自身は認識しております。

 さて、労働者派遣法についてでありますけれども、かつては職業安定法において労働者供給事業といったものが禁止されていたということであります。言葉は悪いかもしれませんけれども、かつての親分子分的な支配関係であるとか、あるいは隷属的な関係によって、強制労働であるとか、あるいは中間搾取の温床となるということから、労働者供給事業といったものが認められていなかった、禁止されていたということなんだろうというふうに思います。

 そうした中において、様々な働き方が模索される中で、当初は請負から始まったということだろうと思いますけれども、その請負の中で、偽装請負を何とかしなければならないということなんだろうというふうに思いますけれども、やはり、今の社会の在り方に大変大きな影響を与えているのが労働者派遣法だろうというふうに思っています。

 昭和六十年に制定されました労働者派遣法は、働き方を、そして社会そのものを大きく変えたというふうに認識しております。

 労働者派遣法は、バブル経済崩壊後、企業にとっては、過剰な人員であるとか、過剰な設備であるとか、過剰な借金であるとか、そうしたものを解消することに対して、結果として労働者派遣法は貢献した、大きなメリットとなったというふうに思いますけれども、一方で、労働者の安定した雇用を奪ったという現実も多分あるんだろうというふうに思います。

 労働者派遣法は、当初、制定当時は、対象業務といったものが十三から十六、二十六へと変遷してきて、そして、これは派遣してもいいですよというポジティブリストから、これは駄目ですよというネガティブリストに変わった。そして、製造業への労働者派遣が解禁された。対象業務が順次拡大して、規制緩和という名の下に改正がされてきたというふうに思います。結果として、俗に言う雇用の流動化といったものが進んだというふうに思っています。

 そこで、お尋ねいたしたいのは、労働者派遣法という法律が当然社会に与えたメリットといったものもあろうかと思いますし、一方でデメリットもあろうかというふうに思います。労働者派遣法の功罪について、厚生労働省の見解を求めたいというふうに思います。

田中(誠)政府参考人 労働者派遣法は、昭和六十年に制定をされまして、その後、経済産業構造の変化や価値観の多様化に伴う企業や労働者の多様な働き方に対するニーズに対応すべく、幾つかの改正を実施してきたところでございます。

 そして、平成十一年には、当時の厳しい雇用情勢等に加え、労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を原則全ての業務で認めた上で、これを利用する労働者を保護することを目的としましたILO百八十一号条約が採択され、これを踏まえて、対象業務の原則自由化を実施するとともに、新たに対象となった業務に対する労働者派遣がいわゆる常用代替につながらないようにするため、派遣先の派遣受入れ期間を一年に制限する等の措置を講じたところでございます。

 これによりまして、多様な雇用の機会の拡大につながったものと考えておりますけれども、その一方で、非正規雇用労働者の待遇改善に向けた様々な取組が必要となった面もあったと考えております。

上田分科員 さて、岸田総理は、新しい資本主義といったものを掲げておられます。私なりの理解の仕方としたら、新自由主義的な発想、新自由主義的な政策によって、当然、光の部分もありますし、影の部分もあろうかというふうに思います。新しい資本主義というのは、そうした影の部分をなくしていこうという考え方なんだろうというふうに思います。

 思い返してみれば、昭和五十年代後半だったというふうに思いますけれども、日本では中曽根総理、イギリスではサッチャー首相、アメリカではレーガン大統領が、それぞれのそうした新自由主義的な政策といったものを行ってきた。俗に言う、考え方で言うところの、小さな政府という考え方なんだろうというふうに思います。民間でできることは民間に任せるということで、いわゆる国鉄、電電公社、専売公社が民営化されたという形であります。俗に言う市場原理主義、徹底した競争第一主義であります。

 その結果として効率的な政府といったものができたというふうに、そのメリットを評価するものでありますけれども、その一方で、新自由主義的な発想による影の部分といったものを、やはり政治に携わる者として危惧せざるを得ません。

 市場原理主義というのは、言ってみると、私は、経済の理論なんだろう、経済の理屈なんだろうというふうに思います。強者のみが生き残る、競争原理でありますから、それは当然そうなるということは結果として理解できるわけでありますけれども。新自由主義の影の部分に光を当てるということは、私はやはり政治や行政の仕事なんだろうというふうに思います。

 労働者派遣法が結果として生み出した影の部分に光を当てるということ、それが新しい資本主義という考え方に求められるんだろうというふうに思いますけれども、厚生労働省の所見を求めたいというふうに思います。

田中(誠)政府参考人 労働者派遣に関しましては、先ほど申し上げましたように累次の改正を行ってきておりますけれども、その中でも、労働者の雇用の安定を図る、あるいはキャリアアップを推進するというところについての制度の整備も図ってきたところでございます。

 具体的に申し上げますと、労働者派遣法では、一定の派遣期間が満了する場合の派遣先に対する直接雇用の依頼や、計画的な教育訓練の実施、希望者に対するキャリアコンサルティングなどを派遣元の義務として定めており、派遣労働者の方々の正社員化やキャリアアップということを法律上規定しております。こうした法規定に基づいて、派遣事業者あるいは派遣の業界の方々が現在大変努力をいただいているところでございます。

 また、派遣労働者の待遇改善につきましては、同一労働同一賃金の導入など、労働者の保護に欠けることのないよう十分に留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするため、必要な制度整備を行ってきたところでございます。

 引き続き、労働局による助言指導等により、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向け、法の履行確保を図ってまいりたいと考えております。

上田分科員 答弁の前半部分でありました、やはり雇用安定措置といったものは大変大切なんだろうというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、私は派遣という働き方を否定するものではございません。しかしながら、結果として、望まないにもかかわらず派遣労働という形でしか従事できないといったことに大変強い危惧を抱いております。

 団塊のジュニアを中心に、いわゆる経済情勢も大変悪かった就職氷河期の世代というのは、やはり、自己責任という言葉とは全く異なる形で、そうした社会経済情勢を受け入れざるを得ないということは大変残念なことでもありますし、これを何とかしなければならないというのが本来の務めであります。

 私は、そうした方々、団塊ジュニアの方々が正規雇用に移行できるような誘導策というものを本来もっと早くすべきだったというふうに思います。二十年遅かったというふうに思っています。産めよ増やせよと言うつもりは毛頭ありませんけれども、人口減少の時代に、団塊の世代がいて、団塊のジュニアの世代がいて、その団塊のジュニアの世代というのが学校等を卒業するときに買手市場だった、なかなか正規雇用として働くところがなかったということが今日までずっと続いてきている。二十五年、三十年ぐらい前だろうというふうに思いますけれども、大変残念なことだというふうに思っています。

 本来であれば、そうした団塊のジュニアの方々を中心に、非正規雇用という働き方でしか働けなかった方々を正規雇用に移行するということを、本来であるならば二十年以上前に、本来ならやっておかなければならなかったことなんだろうというふうに思います。

 非正規雇用という形態で働かざるを得ない、その結果として、当然、安定した収入といったものが望めないわけでありますから、ぎりぎりの生活を送らなければならない方々を正規雇用へと誘導する政策といったものを、しっかり、政治として、行政として行わなければならないというふうに思います。

 考えてみますと、企業というものも、当然、企業の第一義的な役割というのは利益を出すということでありますから、企業がどういった方々を雇うかというと、やはり学校を出たばかりの方々を雇った方が、当然、企業としてみたら、人材開発、人材育成という観点から、企業としてみたらそれがいいんだろうというふうに思います。三十代、四十代、五十代の方々を雇う必要性というのはなかなか見当たらない、見つけることができないというのが私は企業の理屈だろうというふうに思います。

 そうした中において、企業が新規学卒者でない人々を積極的に採用するようなインセンティブ、公的支援といったものが企業に対して私は必要と考えますけれども、厚生労働省の所見を求めたいと思います。

山田政府参考人 先生御指摘の、正規の職員、従業員の仕事がないから非正規雇用を選んだ、そういった不本意非正規雇用労働者の割合というのは、最近出た数字ですけれども、二〇二一年平均で一〇・七%と、統計開始以来八年連続の低下となっております。

 ただ一方で、そのことは、一割の人は不本意に非正規雇用をしているということだと思いますので、厚生労働省としては、正社員を希望する方が正社員として就労することができるように、一つには、非正規雇用から正社員への転換などを行う事業主に対してキャリアアップ助成金を支給することによる支援、それから、ソフト面での対応としては、ハローワークにおける正社員就職に向けた担当者制によるきめ細かな就職支援などを実施してきたところであります。

 さらに、今般、新たに、人への投資として三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設して、再就職や正社員化に向けた取組を強力に進めておりまして、今後とも、これらの施策により、引き続き正社員転換等の取組を進めてまいりたいと思います。

上田分科員 ありがとうございました。

 質問は四問という形でありましたので、これで終了させていただきますけれども、改めて、繰り返しになりますけれども、世の中の多くの方々、全てと言っても過言ではないと思いますけれども、やはり、どんな社会がいいですかといった場合に、安全、安心な社会ということを言われるわけであります。安全、安心な社会というものは私は安定した雇用から始まるというふうに理解をしておりますので、引き続き厚生労働省としてしっかりと安定した雇用の創出に向けて御尽力いただきますことを切に要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

今枝主査 これにて上田英俊君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本尚君。

松本(尚)分科員 おはようございます。自由民主党の松本尚でございます。

 今朝の産経新聞の一面でございます。資料が間に合いませんでしたので私の手元にしかありませんけれども、「DMAT、新興感染症に対応 要領改正 医療支援チーム創設」ということで、三段抜きで今朝出ておりました。

 私は、災害医療チーム、このDMATの派遣チーム、DMATの創設段階から深く関わっておりました。新潟の中越沖地震、あるいは岩手・宮城内陸地震、それから東日本大震災ではドクターヘリを使いましてDMATの活動を行ってまいりました。本日は、この経験から、我が国の自然災害やあるいは感染症などに対する災害時医療の核となってきましたDMATの持つ課題について質問させていただきたいと思います。

 平成七年の阪神・淡路大震災後の検証におきまして、発災後の急性期に適切な医療を受けられていたなら救命ができただろうというふうな避けられた災害死というものが約五百名存在した可能性があったというふうに報告されております。これ以前は災害時医療と申しますと避難所の巡回診療、これを災害時の医療というふうに認識されていたわけですけれども、この報告を契機に、医師が、あるいは看護師が災害の現場で医療を行う必要性というものが認識されたわけであります。それをもって、平成十三年度の厚生科学特別研究「日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究」という報告を受けまして、このDMATというのが平成十七年四月に発足しております。

 そこで、厚生労働省に質問したいと思います。現在のDMATの登録隊数と隊員数を教えていただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、国立病院機構に委託しまして、災害発生時に医療活動を行うスタッフとして、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATを養成しておりまして、令和三年四月一日時点で千七百四十七チーム、一万五千六百四十五名が養成研修を修了しております。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 お手元に資料があると思いますけれども、平成十三年度以降、これまでDMATが出動した主たる災害についてまとめさせていただきました。国民の皆さんがよく覚えているような自然災害に対して、DMATが迅速果敢に現場に出動して医療を提供している実績というものがお分かりいただけるかなと思います。

 さて、一昨年の二〇二〇年二月に発生いたしましたダイヤモンド・プリンセス号の新型コロナウイルス感染症事例におきまして、このDMATが船内の患者さんに対する医療提供あるいは患者さんの搬送に従事しておりました。

 感染症対応はDMATの本来業務ではなかったにもかかわらず、この時点でDMATの出動が要請された経緯と、それからDMATの活動に対する厚生労働省の評価について、簡単に伺いたいと思います。

伊原政府参考人 まず、御質問いただきました経緯でございますけれども、令和二年一月三十日の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、災害時のDMATの仕組みも活用し、そのために必要となる医師の派遣も迅速に行うべし、こういう御意見がございまして、まとまりましたことを受けまして、厚生労働省において、都道府県を介することなく、直接全国のDMAT指定医療機関に対しまして、ダイヤモンド・プリンセス号への対応にDMAT隊員の派遣を要請したものでございます。

 厚生労働省としましては、DMATが本来想定しております自然災害等での対応ではないという例外的なケースでありまして、様々な、ちょっと違う分野、文脈ではあるんですけれども、やはり、未知のウイルスへの対応という緊急的かつ対応の難しい医療支援ニーズに迅速に対応することができたのではないかと考えております。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 今朝の新聞にも、超法規的措置というふうな文言が書かれておりましたけれども、ああいった未知のウイルスに対しての対応として、非常に早い判断をされたなというふうに私も思っております。

 また、DMATは基本的に救急医を中心として編成しておりますので、いざというときに、今までやっていなかったミッションを見事に展開していただいたなというふうにも私は評価をしているところでございます。

 新型コロナウイルスの感染症では、第一波のとき、四十一の都道府県でDMATの関係者が、私もそうだったんですけれども、都道府県庁のコロナ対応に参画しました。最大で二十七都道府県において、DMAT関係者が県庁に常駐したということでございます。

 令和二年の三月二十六日付の厚生労働省事務連絡では、以下抜粋にはなりますが、都道府県調整本部には、円滑な搬送調整実施のために、患者搬送コーディネーターのうち少なくとも一人は、統括DMATの資格を有する者であることが望ましい、なお、都道府県庁の調整本部については、関係者と協議の上、実情を踏まえてDMATのメンバーの参画も考えられるというふうな文章がございます。

 この連絡に基づいて、全国でDMAT隊員が都道府県庁で医療調整業務を行ったわけでありますけれども、この新型コロナウイルス感染症対応におけるDMATの一連の医療調整業務活動についての厚生労働省の現時点での評価を伺いたいと思います。

伊原政府参考人 今般の新型コロナ対応におきましては、都道府県の要請に基づきまして、DMATの資格を有する方が都道府県調整本部に入りまして、これまでの災害医療の経験を生かしてコロナ患者の入院や搬送先等の調整を行う、あわせまして、感染症の専門家と連携しながら、クラスターが発生した介護施設等の支援を行ったと考えております。

 厚生労働省といたしましては、DMATによるこうした支援につきまして、地域の医療体制の維持、これに多大なる貢献をいただいていると考えておりまして、都道府県などからも高い評価をいただいていると承知しております。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 今、厚生労働省からの御回答にもありましたように、DMATの医療分野での、僕もやっていましたけれども、対策の立案能力だとか調整能力だとか、あるいは実動部隊の機動力というのは、ダイヤモンド・プリンセスや都道府県庁内の活動も通しまして、非常に感染症のパンデミックにあっても十分に機能していたというふうに思ってよろしいかと思います。

 さて、ダイヤモンド・プリンセス号内のクラスター発生では、一刻も早い医療活動が求められる中で、政府が即応させられる医療者は、自衛隊を除けばDMATしかないというふうに恐らく考えたんだろうと思います。先ほどの医政局長のお答えでも、迅速に対応というふうなお言葉があったと思います。

 ところが、この出動に関して、隊員が所属する医療機関の長、いわゆる病院長さんだと思いますが、その了承が必要というような規定というのが障壁となったという事案が起こっております。

 一番最初に招集がかかったときに出ていくDMATに関しては、どんなものかよく分からなかったこともありまして問題はなかったと思いますが、船内での活動の中で、この出動したDMAT隊員が感染したということが明らかになりました。そうしますと、二次隊、三次隊というふうな派遣要請には、帰ってきた彼らを通して自分の病院に感染が蔓延するということを恐れて、いや、だったらうちの病院からDMATは派遣しないよといったような病院が幾つか出たということがありました。

 自然災害に対する出動をちゅうちょするということはこれまでも一度もなかったというふうに認識しておりますけれども、このような感染症の、目に見えないような、こういう危険性のある現場への出動判断ということになりますと、DMATの所属する医療機関の長が出動の許可をちゅうちょするということが多くなってくるというふうに思います。

 そこで、DMATの出動のプロセスについて質問をしたいと思います。

 日本DMATの活動要領、これはつい先日、二月の八日にも改定されたところでございますけれども、これは、厚生労働省が独立行政法人国立病院機構に業務委託をしているDMATの事務局が定めたというふうなものだと聞いております。もうちょっと細かく言うと、その中に、DMAT検討委員会というものを設けなさいと、その検討委員会の中でこの活動要領が決められているわけですけれども、この中のDMATの派遣要請についてはどのように定められているか確認をしたいと思います。

伊原政府参考人 派遣要請についてお尋ねいただきました。

 日本DMAT活動要領では、被災した都道府県は、管内のDMAT指定医療機関に対しましてDMATの派遣を要請し、更なる支援が必要な場合には、被災していない都道府県に対しDMATの派遣を要請するよう求めるというふうになっております。そうしたプロセスになると考えております。

 なお、そうして派遣がなされた場合に派遣に要した費用につきましては、災害救助法におきまして、派遣を行った都道府県が負担する、県外派遣を行った都道府県は被災した都道府県に求償する、その上で国は災害の程度に応じて費用を負担する、こういう形になっております。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、現状のDMATの派遣というのは、今お答えにありましたように、当該都道府県あるいは被災都道府県の要請に基づいていることということが非常に大きな問題かと思っています。東日本大震災のような複数の都道府県にわたる広域災害や、あるいは今回の感染症のパンデミックというようなものが予測される事案におきましては、政府主導による迅速なDMATの派遣が現状できないということになっています。今回、ダイヤモンド・プリンセスについては、その部分のところで超法規的というような言葉が新聞にも書かれたんだろうと思っています。

 また、国が、特定の都道府県に対して、要支援地域へのDMAT派遣が必要だというふうに判断しても、その都道府県が派遣を容認しない場合、これは当該医療機関の長が容認をしないということも含めてですけれども、そういった場合には、要支援地域にDMATを派遣できないということになってしまうわけであります。

 つまるところ、国民の健康危機事態に即応させたいと国あるいは厚労省が思ったとしても、国には出動の命令権がなく、強制力を持たないという状況で、DMATの出動があくまでも要請ベースであるということは、緊急時に対する即応性を確保するという観点からも私は問題があるだろうと、DMATの隊員としても感じているところです。本来であれば、DMATの組織全体を政府直轄の組織として位置づけておくのがある意味正しいんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、DMATの法律上の位置づけについてでありますが、実はこのようにDMATは極めて脆弱な設置根拠によって成り立っているということで、現行のDMATはどのようなルールを根拠に成立しているのか、災害対策基本法や感染症法にはDMATについての記述があるかどうかということについて、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 DMATにつきましては、災害対策基本法には位置づけられてはいないものの、災害対策基本法に基づき内閣府の中央防災会議が策定する防災基本計画において、災害治療の担い手として、DMATのほか、様々な医療チームが位置づけられております。

 こうした医療チームについては、今回の、今御指摘もいただいた新型コロナ対応等におきまして、本来想定している自然災害等ではないものの、これまでの災害対応の経験を十分に生かしていただいて、入院、搬送の調整を行うとともに、クラスターが発生した介護施設等の支援等を行っておりまして、地域の医療提供体制に、先生御指摘のように、本当に大きな、多大なる御貢献をいただいたと思っております。

松本(尚)分科員 大臣、ありがとうございます。

 今お答えいただきましたように、災害対策基本法そのものには文言が出ていないということであります。

 今日の新聞にも戻るんですけれども、ここでは最後のところに、厚労省関係者によると、活動要領に感染症対応の記載がなかったため、超法規的措置での対応だったというような記事が載っております。

 そもそも、超法規的と書いてあるんですが、法そのものに、DMATそのものが全く記載されていない。記載されているのは、今大臣の御答弁にありましたように、災害基本法に基づいた防災基本計画の中ということになります。

 しかも、その計画の中をちょっと眺めてみますと、国(厚労省)及び都道府県は、医療の応援について近隣都道府県間における協定の締結を促進するなど医療活動相互応援体制の整備に努めるとともに、災害医療コーディネーター、災害時小児周産期リエゾン、そして当該の災害医療派遣チーム、DMATの充実強化や実践的な訓練、中略しますが、を通じて救急医療活動等の支援体制の整備に努めるものとするとしか、ここには書かれていないわけですね。もう既にこの時点でDMATがあるという想定で計画の中に書かれています。

 また、国(厚生労働省)及び都道府県は、災害発生時に迅速な派遣が可能な災害医療チーム、DMATに参加する医師、看護師等に対する教育研修を推進するものとするというふうに、教育をちゃんと国と都道府県はやりなさいと書いてあります。いずれにしても、DMATというものがもう既にあるんだという前提で書かれています。

 じゃ、そのDMATは一体どういう根拠でつくられているかというと、実は、その上位法になる災害基本法にも書いていないし、確認したところによると、当然、感染症法にも書いていないということであります。

 それゆえ、前述しましたDMATの活動要領というのは日本DMAT検討委員会が策定しているんですが、それを定める上位の法的根拠というのは実は存在しないということであります。

 すなわち、東日本大震災等の自然災害やコロナウイルスによるパンデミックによるDMATの活動というのは、今もありました、厚生労働省も御答弁なされたとおり、高く評価されているにもかかわらず、DMATという組織体の根拠法というのは現状存在しません。

 平成二十五年の五月二十三日の第百八十三回国会、閣法第五六号附帯決議、これは災害対策基本法等の一部を改正する法律案及び大規模災害からの復興に関する法律案に対する附帯決議というものでございますが、その中には、災害派遣医療チーム、DMAT等の既存の組織の法制化、中略しますが、について検討を進めることというふうに書かれているわけであります。

 そこで、厚生労働大臣に伺いたいと思いますが、DMATの創設から二十年が既に経過して、ここまでの活躍をしているにもかかわらず、DMATが法的根拠を持っていないということは、これから先、継続的あるいは普遍的にこのDMATの活動を担保するという上でも、すなわち、国民の災害時、感染症時に生命と健康を守るというためにも、問題であるというふうに認識をいたします。

 DMATの法制化を行って、そして、このことによって、政府、厚労省が、厚労省自体が医療提供即応集団というものを直轄、保持できるようにするということが私は必要だというふうに思いますが、厚生労働大臣の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 政府としては、今後、これまでの新型コロナ対応を検証して、本年の六月までに、感染症危機などの健康危機に迅速、的確に対応するための抜本的体制強化策を取りまとめることにいたしております。

 今先生から御指摘していただいたような問題点も踏まえ、こうした検討の一環として、DMATを始めとする医療チームの在り方について検討していく所存でございます。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 是非、その抜本的体制という中には、DMATをきっちりと法制化して、法の上でDMATの存在というものをしっかりと体制を整えていただきたいというふうに思います。

 種々の災害対策の中で、国民の生命と財産を守るための三本柱として警察、消防、自衛隊ということがよく、いろいろなところで書かれているわけです。

 しかしながら、生命を守るためのこれらの組織の活動というのは、実は救助を意味しているというふうに思います。警察、消防、自衛隊、これらが生命を守るということは救助を意味している。医療提供というものを意味しているということでは決してないというふうに思います。

 ですから、ここで、将来も含めて、化学、生物、放射線、核といったものを含めたオールハザードの災害や、あるいは感染症のパンデミックにも対応できる医療というのを提供する組織体というものを警察、消防、自衛隊に加えないと、本当の意味で国民の生命を守るということは達成できないというふうに思います。

 警察、消防、自衛隊に並ぶ四本目の柱として、是非このDMATを、繰り返しになりますが、法的に規定することで、その組織根拠を明確にし、迅速かつ恒常的な運用を可能にするということが必要だと思いますので、是非、厚生労働大臣にはそういったことを進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 さて、もう一つDMAT関係で質問でございます。厚労大臣はここまでで結構ですけれども。

 災害時における医療提供の成否というのは、情報の収集と発信に懸かっております。

 自衛隊、警察、消防は、実は各々の専用無線の周波数帯というのを持っておりまして、被災地に点在する自組織間の情報連絡というのを行っています。しかしながら、DMATはこの専用の無線周波数帯というものを保有してはおりません。

 じゃ、今までどうやってきたかというと、私も東日本大震災ではもう随分と苦労しましたが、固定電話、あるいは個人の携帯電話、そしてインターネット、あと衛星電話ですね、そういったものを駆使して活動してきて、実は、東日本のときもほとんど電話はお互い通じない状況でありました。僕も、実際、本当に苦労して、もうのろしでも上げないと情報交換できないようなレベルだったと思います。

 災害の場所や種類、規模等により、これらのツールというのは時に非常に不安定となりまして、情報伝達、指揮命令が妨げられたことをしばしば経験しているわけであります。

 国民にこういった非常時において医療提供を行う組織体のDMATだけがこの周波数帯を持っていないというのはどうにも納得のできない、そういう状況であります。

 そこで、総務省に伺いたいと思います。

 DMATに対して、平時の訓練等も含めて、常時使用可能な専用の無線周波数帯というものを是非DMATに付与していただきたいというふうに思うんですけれども、御見解を伺いたいと思います。

野崎政府参考人 お答え申し上げます。

 災害対応を行うに当たり、防災関係機関における通信手段の確保は非常に重要と認識しております。

 このため、総務省では、災害発生時などにおいて、そのような機関内での安定した通信の確保、関係機関相互の円滑な通信や情報共有を可能とするために、携帯電話技術を活用した新しい無線システムである公共安全LTEの実証を進めております。

 これは、音声だけではなく、画像や映像等の送受信も可能なものでございます。実証には、昨年度以降、消防庁、防衛省、警察庁、DMATなどに参加いただいておりまして、令和四年度の運用開始を目指しております。

 DMATによる災害時の医療活動は極めて重要と認識しております。災害に際して臨機応変に対応するために、このような公共安全LTEを始め訓練時も含め常時活用可能な通信手段の確保に向け、総務省としてもしっかり取り組んでまいります。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 今伺いました公共安全LTE、これは是非DMATも活用できるようにしていただきたいと思いますが、災害時というのはやはり情報伝達手段というのは複数持つということが非常に大事だと思います。一つがシャットダウンしたらもうあと手段がありませんということは非常に問題があると思いますから、今お答えはありませんでしたけれども、やはり通常、警察、消防、自衛隊が使っている無線というものの波をDMATの中に入れて、DMAT自身も複数の情報伝達手段をしっかり持つということが必要だというふうに思っています。

 現状、今何を現場ではやっているかといったら、DMATは、携帯電話が使えないときは消防のところに駆け込んで、消防の無線をお借りしているというような状況です。それで本当に国民の皆さんに確実に医療を提供する体制をつくれるかどうかということをもう一度総務省さんにはよく御理解をいただいた上で、私の希望を是非お聞き願えればというふうにここで申し上げておきたいと思います。

 災害時のこういった医療需要の急激な増加に対する即応医療提供集団であるDMATというのは、国民の健康を守る貴重な貴重な人的資源であるというふうに思っております。国家の危機管理上、この資源が、繰り返しになりますが、曖昧な根拠で運用されている、あるいは、十分な確固たる通信を持たないというところで運用されている状態というのは、これは決して正常だというふうには思えません。

 先ほどお話のありました千七百四十七チーム、一万五千六百四十五人から成るDMATが政府主導で活動できるための法的根拠を早急に整えていただきまして、また組織設計をもう一度再考するということが今求められているんだということを改めて主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

今枝主査 これにて松本尚君の質疑は終了いたしました。

 次に、土田慎君。

土田分科員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。

 本日は、コロナ禍で省を挙げていろいろ御対応がお忙しい中、厚生労働省の大幹部の皆さんそろって、また大臣もお座りいただいて、大変恐縮しております。本当にありがとうございます。

 さて、我が国では、誰もが危機感を抱いているとおり、少子高齢化が進展し、二〇四〇年にはいわゆる労働生産人口が約二〇%減少するかもしれない、そういうような見通しがある中で、まさに国家の財産である人という資源を適切な場所に配置するということがより重要になってきていると考えております。

 また、労働者一人一人においても、求められるスキルが以前よりもより高度化、専門化している中で、一方で、求められているスキルが、陳腐化と言うと非常に言い方が悪いですけれども、求められるスキルが変化するスピードがますます速くなっていると私は認識しております。

 そうした状況において、政府においても、産業界でニーズがある人材をしっかりと戦略性を持って、そのスキルを習得できるような環境を整備し、かつ、その人材を適切な場所に配置できるような戦略を描かないといけないと思っております。この観点から、人への投資強化についてお伺いさせていただきます。

 厚生労働省は、令和三年度補正予算と令和四年度予算において約一千億円ずつ確保し、三年間で四千億円を投じる大胆な施策パッケージをまとめられました。この背景と目的についてお伺いさせてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、人への投資を抜本的に強化する必要があるということで、昨年の経済対策におきまして、三年間で四千億円の施策パッケージを講じることが盛り込まれました。企業や労働者のニーズに合った支援に、一定期間、一定の規模で強力に取り組んでいくこととされたところでございます。

 これを踏まえまして、令和三年度補正予算及び令和四年度予算案におきまして、それぞれ約一千億円を計上し、非正規雇用の方を含め、必要な学び直しや職業訓練等の機会を提供することにより、労働者のスキルアップ、希望する再就職、正社員化などの実現につなげていくこととしております。

 このパッケージの実施に当たりましては、民間の企業や働く労働者の皆さんから広くアイデアを募りまして、これを踏まえ、教育訓練の内容の充実や受講しやすい環境の整備など、効果のあるものにつなげていくこととしておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

土田分科員 ありがとうございました。

 デジタルやいわゆるグリーンといった民間発信のニーズを基に、そこに対して、人という資源を、労働力という資源を円滑に推進する政策、また、キャリアアップをする意欲がある、新たな能力を自分で身につけよう、そういう熱い思いがある、意欲がある労働者の支援は、更なる規模の拡大も視野に、積極的に推し進めていただきたいと思っております。

 また、それと並行して、やはり、何らかの理由によって職がなくなってしまったりだとか辞めないといけなかったような環境にある労働者の方の更なるキャリアアップであったりだとか再就職ということも、忘れずに、引き続き、今までどおり進めていただければと思っております。

 今申し上げたように、戦略的な人材の育成については、厚生労働省のみならず経産省も積極的に行っている部分でございまして、私の認識では、重複している分野もあるかと思っております。

 一概には言えないものの、私の頭の中の整理としては、厚生労働省は、人材育成という分野においては、視点として労働者目線のいろいろ施策を行っている、一方で経済産業省は、どちらかというと市場、使用者目線というか、いわゆるマーケット目線というのか、というような経営目線の人材育成を行っていると認識しております。

 そこで、質問させていただきたいのが、人材育成分野において、いわゆる両省が、経産省と厚労省がどのような観点から取り組んでいるのか、また、両省間でどのようなコミュニケーション、連携を取って政策展開をしているのか、お伺いさせてください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、厚生労働省におきましては、労働者の職業能力の開発、向上を促進する観点から、公的職業訓練の実施ですとか、あるいは企業が労働者に対して訓練を実施した場合の訓練経費等の助成など、労働者や事業主に対する支援を行っております。

 また、経済産業省におきましては、産業競争力強化の観点から、産業構造の転換を見据えた人材政策の検討ですとか、先端分野で求められる高度な専門性を有する研究開発人材の育成などを行っております。

 まさに、政府全体としてこうした人材育成施策がより効果的なものとなるよう、緊密な連携を図っていくことが重要だと認識をしております。

 この点で申し上げますと、例えば、昨年からでございますけれども、内閣府、文部科学省、経済産業省、厚生労働省によりまして、リカレント教育強化の観点から、関係省庁連絡会議を設置し、各省の人材育成施策についての情報共有等を図っておるところでございます。

 まさに、これから人への投資の強化というのが非常に重要な局面になってまいりますので、引き続き、経済産業省を始めとした関係省庁としっかりと連携してまいりたいというふうに思います。

土田分科員 ありがとうございました。

 本当に、単一的な視点からではなくて、いろいろな視点から人材育成をしていくということは非常に重要なことだと私は認識しております。しかし、結果として、知らなかったけれども別の組織が同じことをやっていましたよというようなことがないように、調整をしっかりしていただければと思います。

 人材育成分野において、今、厚生労働省と経産省における連携の必要性をお話しさせていただきましたけれども、同じような構図があるのは、いわゆる同様の構図があるのは、最低賃金という課題に対しても両省の綿密な連携が不可欠だと思っております。

 そもそも、一九五〇年代に最低賃金法が制定された背景として、働き口の、働くところの数が増えるよりも早く労働人口が増加していったという中において、いわゆる意欲がある労働者が安い賃金で買いたたかれないようにするというような背景も一端にはあったかと思っております。まさにこういう労働政策的な観点があったわけですけれども、当然今も、今申し上げたような労働政策的な観点の上で最低賃金というものが見られている側面もありつつも、やはり、国の生産性向上であったりだとか競争力強化という観点から最低賃金を見る視点もあるかと思っております。

 そうした状況において、しっかりと、要は、政策、最低賃金というような、何というんでしょう、題目がしっかり内包するような役割を機能させていくために、今まで以上に厚生労働省と中小企業庁が連携していくということが非常に大事だと思っておりますが、そこで、両省の連携の取組について具体的に教えてください。

吉永政府参考人 最低賃金の引上げにつきましては、先生が御指摘になったような目的もあり、これまで累次、毎年引上げを図ってきているところでございますが、一方で、引上げの影響を中小企業、小規模事業者などは大きく受けるところがございますので、こうした事業者におきましても最低賃金の引上げができるような環境整備ということを取り組んでいくことが必要だと思ってございます。

 このため、厚生労働省としても施策を持ってございますが、まさに中小企業、小規模事業者に対する施策を多く持っております中小企業庁とも連携をして、中小企業の生産性の向上や下請取引の適正化などに連携して取り組んでいるという状況でございます。

 具体的に申しますと、厚生労働省では、最低賃金の引上げに当たりまして生産性向上のために投資を行っているような場合につきまして、業務改善助成金のような支援施策を持ってございますが、中小企業庁の所管しているものづくり補助金などにおきましても、最低賃金の引上げに伴って一定の付加価値をつけるというようなことをやっていただいているところでございます。

 こういった両省庁それぞれ施策を持っておるわけでございますが、こういう施策が有効に、効果的に活用いただけるような形で、こうした支援策あるいは相談窓口をまとめて紹介したマニュアルを作成して、両省庁のホームページに掲載して周知を行っているという状況でございます。

 また、両省庁それぞれ相談拠点を持ってございます。経産省、中企庁であればよろず支援拠点、私どもで申し上げますと働き方改革推進支援センターというものがございますけれども、こうした相談拠点におきまして、相談者のニーズに応じた支援策をお互いに紹介するということをやってございます。

 また、労働基準監督署におきまして、様々な監督指導をさせていただいてございますけれども、メインとしては労働基準関係法令違反というものを取り締まっているところでございますけれども、こういったものの背景に買いたたきのようなものがあった場合につきましては、下請法の違反が疑われる場合がございます。こういった場合につきましては、中小企業庁に通報するといったことを行っているという状況でございます。

 先生御指摘のとおり、中小企業庁と連携をしながら効果的な取組を行っていくということは非常に重要でございますので、引き続きこうした対応に努めてまいりたいと考えてございます。

土田分科員 ありがとうございました。

 やはり、世の中の複雑性がどんどんどんどん増してくる中で、社会の安定という部分と経済の成長という部分、両方、二股をかけてしっかり担保していく、そういうことが非常に重要だと思いますので、両省のより綿密な連携をお願いしたいと思っております。

 ちょっと質問の順番を変更させていただきまして、予防医療について質問させていただきます。

 先ほどから、私自身も、いわゆる高齢化というようなワードをどちらかというとネガティブな文脈で使ってしまっておりました。よく言われるのが、日本は世界で一番高齢化率が進んでいる国ですよというようなお話を本当に毎週のように聞きますけれども、高齢化率が進んでいるということは、実は、裏を返してみると、日本は、お金持ちじゃない人であっても、普通の人であっても一番長く生きることができる確率が高い国であると、私、実は本当に、いろいろネガティブな側面もある中で、非常にポジティブな捉え方もしております。

 先ほど、長く生きられる確率が高いという話をしましたけれども、そもそも、本当に人類というのは、もう太古の昔から、いかに長く生きられるかということを研究というか追求してきたわけでございますけれども、その人類の長年の努力の最先端を行っているのが今の日本であると思っております。その長く過ごすことができるようになった時間を、いわゆる人生を、国として国民にいかに幸せに、最近、ウェルビーイングというようなワードがはやっておりますけれども、いかに幸せに過ごしてもらうかという観点も非常に大事だと思っておりまして、ここに対してしっかりと施策を講じる必要があるな、そういうふうに思っております。

 そうした観点から、国民全般への健康意識増進への取組と、生活習慣病予防を見据えた予防診療への取組を教えてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 健康寿命の延伸のためには、健康教育や知識の普及啓発を通じまして、生活習慣を改善して生活習慣病を予防するということが非常に重要なことと考えております。

 このため、国民の健康増進の推進を図るための基本方針であります健康日本21、第二次におきまして、適切な栄養、食生活、適切な運動、禁煙等の具体的な目標を掲げまして、ライフステージに応じた健康づくりの取組を総合的に推進しているところであります。

 また、こうした健康づくりの取組について普及啓発を進めるため、スマート・ライフ・プロジェクトを展開しておりまして、企業、団体、自治体の優れた取組についての大臣表彰の実施、またオンラインイベントの開催や動画の公開などを行っております。

 御指摘のように、引き続き、健康寿命の延伸に向けて、こうした各分野の施策の推進や広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。

土田分科員 ありがとうございました。

 誰もが誰かに、誰か分からないですけれども、誰かに、健康が一番だよというようなことを言われたことがあって、何だかんだ健康に気を遣っているのが日本人だと思っております。まさに、今いろいろな取組を紹介していただきましたけれども、こういった日頃からの取組が今の日本人の意識につながっているんだ、私はそういう認識でおります。

 一方で、私の世代、私は今三十一歳ですけれども、三十代、四十代という世代というのは、ある意味自分の能力を過信していて、ほかの世代と比べると、相対的にではあると思いますけれども、健康ということに対する意識が低いんじゃないかな、そういうふうに、私も自戒の念を込めて思っております。

 しかし、このまさに現役の世代の真っただ中の世代が、十年後、二十年後、三十年後、リタイアという言葉が今適切なのか分からないですけれども、いわゆる六十歳、七十歳になってくるときに、しっかりと健康であるという状態をつくっていくというのが非常に重要だと思っておりますけれども、私が申し上げた先ほどの、自分の健康を過信している現役世代という人たちに対して、健康診断を含めたいろいろな政策守備範囲にその人たちを入れるという考え方が大事だと思っております。

 そうした中で、現役世代、特に会社で働いている人たちに対する健康増進施策であったりだとか取組を教えてください。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 国民全般の健康づくりは非常に重要でございますが、先生御指摘のとおり、現役世代の方は大体の方が働いていらっしゃるわけでございますが、こういう労働者の方の健康意識の増進というのは非常に重要だろうというふうに考えてございます。

 そういう意味で、職場におきまして労働者の健康の保持増進のための取組が行われるということが、それは、労働者本人の健康リスクの低下ということにとっても重要ですし、一方で、企業の方から見ても、労働生産性の向上の観点からも重要なファクターになるだろうというふうに思っております。

 そうした観点で、厚生労働省におきましては、それぞれの職場における取組が適切かつ有効に実施されますように、取組を進めていく上で重要な基本的な考え方でありますとか、段取り、留意事項につきまして、事業場における労働者の健康保持増進のための指針、いわゆるTHP指針、トータル・ヘルス・プロモーション指針と申しておりますけれども、これを策定して、その周知啓発に取り組んでいるところでございます。

 また、この指針に基づきまして取組を行う上で、具体的な参考事例というようなものを、積極的に取り組む職場の事例収集、調査を行いまして、その結果を、職場における心とからだの健康づくりのための手引きとしてまとめて、好事例や取組のポイント、ノウハウ等の周知啓発に努めているところでございます。

 労働者が健康を保ち、その能力を発揮し続けられる職場環境の整備のため、引き続き、THP指針や手引を活用しながら、周知啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。

土田分科員 ありがとうございました。

 今おっしゃっていただいたとおり、既にいろいろな取組をされているんだと思っております。

 私自身、自分の案みたいな話ではございますけれども、例えば、日頃の健康管理状態というのをいわゆる人事評価に結びつけるような、ある種強制力を持ったような、民間発信でやる施策というのも検討に値するんじゃないかなというふうには思っております。

 予防医療という観点から、診療報酬体系についてお伺いさせていただきます。

 いろいろな事例があるとは思うんですけれども、一般的に、お医者さんがする予防ということに関しては、いわゆるフィーが発生しないかと思います。診療報酬が払われる制度にはなっていないかと認識しております。

 しかし、例えば、基礎的疾患というんでしょうか、非常に高血圧な人がいて、お医者さんにも相談しないし、自分で気をつけるわけでもない、こういう人が脳疾患だったりあるいは心疾患を実際発症して、そこに対してお医者さんが治療することで今、フィーが発生しているというような状態だとは思うんですけれども、それに比べて、例えば、お医者さんが、患者さんというんでしょうか、患者さんに日頃から指導して、血圧が高血圧までとはいかないような、いわゆる健康な状態をずっと維持している、予防しているというような取組の方が、実は、患者さんにとっても、国庫という、国のお金という視点から見ても、メリットがあるんじゃないかなというふうに思っております。

 そこで、予防という観点から、総合診療医、いわゆるGPを基本として、成果型の診療報酬体系の導入などは検討ないし議論はされているのでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、公的医療保険制度の仕組みでございますけれども、その発生が偶発的で予測できない疾病や負傷といったリスクに対しまして、被保険者相互の支え合いによって備えることを基本的な考え方としておりまして、現に疾病や負傷が生じていない状態で任意に受けることができる疾病予防につきましては、保険給付の対象とはしていないということでございます。

 一方で、健康保険制度におきましては、各保険者におきまして、特定健診、保健指導等の保健事業を実施いたしますとともに、データヘルス計画を策定いたしまして、PDCAサイクルに沿った効果的、効率的な保健事業の実施、あるいは、国が各保険者の予防、健康づくりの取組を評価して、その取組に応じて後期高齢者支援金の一定割合を加算、減算する仕組み等のインセンティブ措置を講じ、予防、健康づくりに対して一定の支援を行っております。

 議員御指摘のとおり、かかりつけ医さんといわば保険者が協働して予防、健康づくりを進めていく、こういった考え方もあろうかと思います。

 例えば、かかりつけ医さんが特定保健指導の受診を勧奨するとか、あるいは、保険者サイドで、疾病のおそれがある方について、お医者さんにかかってくださいというような受診勧奨、そういった連携の取組が重要だと思っておりまして、こういった保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防、健康づくりについては、実はモデル事業を今実施しております。

 こういった取組を通じまして、各保険者における予防、健康づくり、あるいはかかりつけ医と連携した予防、健康づくりについて支援してまいりたいというふうに考えております。

土田分科員 ありがとうございました。

 様々な難しい問題が関わっているのがこの分野であるとは思っておりますけれども、国民一人一人の健康寿命を延ばしていかないといけない、この重要性においては誰もが認識している点だと思いますので、過度に慎重にならずに、議論は積極的に行っていただければと思っております。

 最後に、済みません、メディカルツーリズムについてお伺いさせていただきます。

 これから日本がどういうふうに食べていくのか、どういうふうな産業を育成していくのかという観点に立ったときに、既存の医療の枠組みとは別に、産業という観点で医療を捉え直すということも必要だと私は思っております。

 当然、日本人に対しては、現行の医療体制、医療サービスを変わらずに行っていく、その体制を担保していくというのは大前提の話でございます。

 一方で、海外の方、海外から日本に医療を受けに来てくれる方のことを考えると、言い方が難しいですけれども、ただの平均的な収入の外国人ではなくて、いわゆるかなりの富裕層の方が日本に医療を受けに来てくれるんだと思っております。その方が家族を伴って日本に来日して、診療、治療を受けて、そして観光もして帰ってくださる。こういう一連の流れを見ると、非常に、産業という側面においては付加価値の高い領域である、そういうふうに私は思っております。

 そこで、メディカルツーリズムについて政府はどのように考えていて、また、海外での動向などを、市場規模を踏まえてお話しいただければと思います。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 世界におけるメディカルツーリズム市場、これは民間の調査、幾つかありますけれども、年成長率として一割から二割が見込まれる成長産業とされているものもあると承知しております。

 日本においても、医療滞在ビザ発給件数が二〇一一年の制度創設以来、新型コロナ直前の二〇一九年まで年々増加しております。

 経済産業省としては、今後とも、世界で高まる医療渡航市場の需要を取り込むことができますよう、関係省庁と連携してまいりたいと思います。

土田分科員 お医者さんを始め、看護師さんであったりだとか、いろいろ検査を担当される方々、専門職の方々が多いと思っておりますけれども、先ほど、日本の今、現行の医療の枠組みとは別で考える必要があるというようなお話はしましたが、そういうような専門の方であったりだとか、かつ、施設というのをプラスアルファで考えていかないといけないんじゃないかなというふうに、大前提としては思っております。

 そういう中で、非常に難しい問題ではありますけれども、日本でメディカルツーリズムを進めていこうという話になったときに、現状として把握されている課題というものを教えてください。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 世界に誇る日本の医療技術を外国人の方にも提供するということは、意義あることだと考えます。

 でも、他方、日本の場合、医師、看護師等の医療従事者など、地域の医療資源にやはり限りがございます。そうした中では、まずは日本の地域住民が安心して暮らせるように医療提供体制を確保するということが重要でございまして、いわゆるメディカルツーリズムにつきましては、こうした体制に支障が生じない範囲で進められることが必要ではないかと考えております。

 厚生労働省におきましては、都道府県に対しまして、外国人患者の受入れ体制につきまして、地域の医療関係者と十分協議して方針を決めてくださいとお願いしているところでございます。

 こうした協議の場において、医療提供体制において支障が生じないよう、地域の実情を十分に踏まえつつ、しっかりと御議論いただくことが大切だと考えております。

土田分科員 ありがとうございました。

 今、様々な課題をお示しいただきましたけれども、私も全く同じ課題認識を共有しているところでございます。メディカルツーリズムを推し進めた結果、国内の医療が崩壊してしまって、日本人が病気になったときに診てもらうところがない、入れるところがない、そういうようなことは絶対に避けないといけないと思っておりますけれども、ただ、そこに慎重に、いわゆる保守的になり過ぎるが余り、いわゆる新しい産業の芽を摘んでしまうというようなことがあってはならないんだと思っておりますけれども、ガイドラインの策定などを踏まえて、今後の具体的な取組というか、検討方針を簡潔に教えていただければと思います。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 メディカルツーリズムを推進していくためには、利用者が安心して受診することができる受入れ体制の整備や、サービスの質の向上が重要であると考えております。

 我が国におきましても、関係省庁とともに策定した医療渡航支援企業認証等ガイドラインに基づきまして、一般社団メディカル・エクセレンス・ジャパンが、医療渡航患者の受入れ体制を整備し、積極的に取り組んでいる医療機関をジャパン・インターナショナルホスピタルとして認証を行っており、現在、五十一機関が認証を受けております。

 また、医療渡航患者がスムーズに医療機関を受診できるように通訳や出入国手続などの支援を行う企業を、医療渡航支援企業として認証を行っており、現在、四社が認証を受けております。

 加えて、諸外国に日本の医療の強みをアピールするため、医療関係団体の協力も得ながら、中国語、ベトナム語での広報資料の作成にも取り組んでおります。

 今後とも、新型コロナの状況も見据えながら、関係省庁とも連携し、日本への医療渡航を推進していきたいと考えております。

土田分科員 ありがとうございました。

 最後に、締めの話になりますけれども、私、厚生労働省が管轄されている分野というのは、国民一人一人の本当に根底にある安心というものを担保する分野であると思っておりまして、守り抜かないといけないところはしっかりと守り抜かないといけない、そういうふうに思っていると同時に、やはり、まだまだ新たな可能性に満ちあふれた分野でもあるな、そういうふうに思っております。私も、これからますます、更に一生懸命勉強させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

今枝主査 これにて土田慎君の質疑は終了いたしました。

 次に、長谷川淳二君。

長谷川分科員 よろしくお願いいたします。愛媛四区で初当選をさせていただきました自由民主党の長谷川淳二でございます。

 本日は、貴重な質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染拡大が始まってから約二年が経過をいたしました。この間、最前線で治療に当たっておられる医療従事者を始め、関係者の皆さんの献身的な御尽力に心から敬意を表し、また感謝を申し上げます。

 今、まさにオミクロン株による感染拡大が続いております。コロナ医療対応と通常医療の両立という極めて困難な課題に立ち向かっている中で、医療提供体制に関する国民の関心はかつてなく高まっていると思います。

 新型コロナ対応に全力を挙げる、それが最優先でありますが、同時に、コロナ禍において医療をめぐる様々な問題が顕在化し、国民に共有された今こそ、我が国の医療提供体制を強化する大きな契機ではないかと考えております。

 そうした観点から、本日は、医療提供体制の在り方について順次お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず初めに、新型コロナ対応において病床の逼迫が生じた原因について、様々な分析、検証が行われております。

 厚生労働省の地域医療構想ワーキンググループ座長の尾形裕也九州大学名誉教授によりますと、我が国は、病院の数、病床の数自体は多いものの、手薄な人員配置のため、有事の急性期医療に十分対応できるような体制ではなかったという指摘がなされています。こうした、限られた医療資源が広く薄く配置をされている、また、医療機能の分化が不十分である、こういう構造的な我が国の問題点がコロナ禍で明らかになったと指摘をされています。したがって、地域医療構想を一層推進する必要があると尾形裕也先生は指摘をされています。

 私は、愛媛県の副知事在職時代に、県の地域医療構想の策定に携わりました。私も、今回のコロナ対応を踏まえまして、地域医療構想が目指す医療機能の分化と連携の取組を一層推進していく必要があると考えています。

 一方で、今回の病床の逼迫の問題を始め、受入れ病院と後方支援病院との連携の問題など、コロナ対応で明らかになった様々な課題を踏まえまして、医療提供体制を、感染症に備えた有事対応、さらには、アフターコロナ若しくはウィズコロナの時代に対応した体制に見直していく必要があると思います。

 さらに、私は、地域医療構想についても、人口減少、高齢化という構造的な問題が一層深刻になることを踏まえまして、見直しが必要ではないかと思っております。

 そこで、お伺いをいたします。現在の医療提供体制について、感染症拡大時への対応という観点からどのような課題があると考えておられるのか、また、新型コロナ対応を踏まえた医療提供体制の見直しの方針、見直しのスケジュールについてお伺いをいたします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナ対応の中で、先ほど尾形先生の御指摘もございましたけれども、地域における医療機関の間での連携、役割分担の明確化、あるいは病床数に比して医療人材が薄いというお話ございましたけれども、こうした医療人材をどう確保していくかといった問題、そうした地域医療の課題が改めて浮き彫りになったと考えております。

 こうした課題も踏まえまして、今後の新興感染症等の感染拡大時に病床や人材の確保など必要な対策が機動的に講じられるよう、備えの取組を進めることが重要だと考えております。このため、昨年、医療法改正を行いました。これに基づきまして、都道府県が今後策定します第八次医療計画、ここに、新興感染症等の感染拡大時の対応、これを追加したところでございます。

 具体的には、受入れ候補となる医療機関を始めとした地域の医療機関における役割分担、あるいは、患者の状態に応じた円滑な転院など医療機関の間の連携の在り方、それから、感染管理の専門性を有する人材等の確保、こうしたことを定めていくということを想定しておりまして、現在、こうした医療計画策定に向けた基本方針、この作業を始めております。二〇二四年度の実施に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

長谷川分科員 ありがとうございます。第八次医療計画に向けた取組をしっかり進めていただきたいと思います。

 続いて、新たな感染症の感染拡大時に備えた医療機関の施設整備の必要性についてお伺いしたいと思います。

 現在、多くの医療機関が一般病床をコロナ病床に転用して対応に当たっておられますが、元々感染症対応を想定していない医療機関では、応急的に動線の分離や病室の陰圧化を行うなど、相当な御苦労をされていると思います。

 したがって、今回の新型コロナ対応を踏まえまして、平時から、感染拡大時に対応可能な、いわば有事即応の医療機関や病床を確保しておくことは、今後の新興感染症の脅威に備えた危機管理における最も重要な課題の一つではないかと考えております。

 しかしながら、医療機関の立場からすると、感染拡大時をあらかじめ想定して動線の分離や病室の陰圧化に費用をかけても、平時に収益を生まない以上、施設整備にはちゅうちょせざるを得ないと思います。

 そこで、今後、新たな感染症の感染拡大時に備えて、平時から対応可能な医療機関の施設整備を国の責任で支援していく必要があると思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

伊原政府参考人 先ほど答弁申し上げましたけれども、昨年の医療法改正を踏まえまして、今現在、第八次医療計画の策定に向けた検討を行っておりますが、その中の大きな柱が、新興感染症の感染拡大時の医療を地域の中でどう確保するかというテーマでございます。そうした中で、医療機関を地域の中でどう確保していくかということは重要なテーマだと思っております。

 あわせまして、政府全体としまして、今後、これまでの新型コロナ対応を検証しまして、今年六月までに、感染症危機などの健康危機に迅速、的確に対応するための対策、これを取りまとめることとしております。

 その中におきましても、この医療提供体制の在り方、今申し上げたような医療機関の確保が課題だと思っておりまして、新興感染症に対応可能な医療機関を地域においてどう確保するか、しっかり検討してまいりたいと思います。

長谷川分科員 ありがとうございます。予算措置も必要であることですので、十分に御検討いただきたいと思います。

 次に、今後の地域医療構想の進め方、特に、公立・公的病院のリスト公表から一連の経緯を踏まえた今後の対応について、お伺いしたいと思います。

 少し遡りますけれども、令和元年の九月に、厚生労働省は、地域医療構想への対応方針の再検証を要請する対象として四百二十四の公立・公的病院のリストを公表されました。このリストの公表は、対象となった病院の病床削減や統廃合ありきではないという説明がなされていますが、私の地元愛媛県も含めまして、各地域において、地元の病院が統廃合されないか、大変大きな不安を招いたところでございます。

 こうした地方の不安の声を踏まえまして、国と地方の協議の場を迅速に設置をいただき、これまで七回にわたって国と地方が率直に話し合う場を持っていただいたと思います。高く御尽力を評価をさせていただきたいと思います。

 何より、新型コロナ対応では、再検証リストに掲載されていた病院も含めまして、公立・公的病院が感染患者の受入れで大きな役割を果たしています。

 本日配付させていただきました配付資料一枚目を御覧いただきたいと思います。

 再検証リストの公立・公的病院のうち、八一%、八割を超える病院が入院患者を受入れ可能であった、さらに、そのうちの八四%が実際に入院患者を受け入れた実績ありと報告をされています。私の地元の市立宇和島病院、八幡浜総合病院も、地域の中核病院としての機能を果たしつつ、患者の受入れにも大きな役割を果たしております。コロナ対応において、公立・公的病院の重要性、改めて認識をされたと思います。

 同時に、地域医療構想を推進するためには、公立・公的病院だけではなくて、多くの病床を担う民間医療機関の御協力も不可欠でございます。このことは、今般の新型コロナ対応においても明らかであると思います。

 そこで、後藤大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、地域医療構想の実現に向けた今後の取組を進めるに当たって、今後、地方の意見をどう取り入れていく方針なのか、また、民間医療機関に対して地域医療構想に沿った対応をどのように要請していく方針なのか、御方針をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナ対応が続く中におきましても、人口構造の変化を踏まえまして、地域の医療ニーズに合わせて地域医療構想の取組を進める必要があるというふうに考えております。

 その際、各地域において、それぞれの実情を踏まえつつ、しっかりと御議論いただくことが重要であり、こうした議論において重要な役割を担う地方自治体とは、今委員からも御指摘のありました、地域医療確保に関する国と地方の協議の場等を通じて御意見を伺い、密接に連携していくこととしております。

 昨年十二月には、先ほどもおっしゃられた協議の場において、第八次医療計画の策定作業と併せて、二〇二二年度、二〇二三年度において、公立、公的、民間の各医療機関の対応方針の策定や検証の見直しを行うことについて確認したところでございます。

 引き続き、地方自治体や医療関係者の皆様の御意見を伺いながら、取組を進めていきたいと思っております。

長谷川分科員 後藤大臣、ありがとうございます。地方、民間、それぞれの協力関係の下に、また車の両輪で地域医療構想を進めていただきたいと思います。

 続いて、医師の偏在是正対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 持続可能な医療提供体制の構築に向けた取組の中で、医師の働き方改革が進められています。令和六年度の適用開始まで、あと残り二年少しとなっております。

 医師の長時間労働の解消は喫緊の課題であると思います。一方で、多くの地方の病院が医師不足で苦労している中で、地方の医師不足に拍車がかかるのではないかと懸念する声も数多く聞いております。例えば、私の地元の宇和島市の市立吉田病院と津島病院は、いずれも百床規模の病院ですが、常勤医師は、吉田病院が三名、津島病院は四名という最小限の体制の下で、救急医療も含めて、病院機能を懸命に維持をしております。医師の働き方改革を進めるに当たっては、医師不足地域での医師の確保、医師の偏在を是正する対策を車の両輪で進めていくことが不可欠であると思います。

 そこで、まず、医師偏在是正対策の一つとして、臨床研修制度の見直しについてお伺いします。

 平成十六年の臨床研修の必修化後、研修医が大都市部に集中したことを踏まえまして、厚生労働省は、都道府県別の募集定員の上限を設定され、医師不足の県の募集定員を確保していただいています。この結果、平成二十年には募集定員が希望者の一・三五倍まで拡大したものが、令和五年度募集時には一・〇九倍まで縮小する予定となっています。研修医の大都市部への集中は着実に是正をされていると思います。

 しかしながら、現在の募集定員の算定方式、お配りした資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。

 募集定員の算定方式、大変精緻な算定方式になっていますが、この真ん中、地域枠による加算や地理的条件などによる加算によって医師が不足している県への配慮がなされておりますが、左下のところ、4とあります、激変緩和として、直近の採用数を保障する措置が設けられています。

 厚生労働省によれば、令和五年度募集における激変緩和として、四つの都府県に合計百六十六人分の募集定員がいわば保障されることになっています。

 医師不足が深刻な県からは、この激変緩和措置を廃止するなど、大都市部への研修医の集中を是正する対策を講じるべきという提言が出されております。研修修了後の定着率が高い臨床研修医のより一層の確保は、医師不足が深刻な県にとっては極めて切実な要請でございます。私も、臨床研修制度の更なる見直しが必要であると考えております。

 そこで、お伺いいたします。医師の地域偏在の是正を一層進める観点から、募集定員の激変緩和措置の廃止を含め、臨床研修制度見直しにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のあるように、医師少数県にできるだけ研修医の方を確保していくということは重要な視点だと考えております。そうした観点から、臨床研修医の定員につきましては、国におきまして都道府県ごとの定員数を定めることとしておりまして、その際、研修医が集中する都市部の都道府県については募集定員を圧縮するということとしております。ただ、その際、さっき御指摘ございましたけれども、地域医療への影響に配慮するということから激変緩和措置を設けておりますが、これも縮小する方向で議論をしております。

 他方、医師が少ない都道府県につきましては、一定面積当たり医師数や医師少数区域の人口などの地域事情を勘案し、定員の加算を行っております。こうしたことをする中で是正を進めてきております。

 厚生労働省としましては、こうした認識に立って、地域における医師の確保に資するよう、医道審議会医療臨床研修部会におきまして臨床研修医の定員配分の在り方に関する議論を行っておりますが、引き続き、こうした問題意識の下に、必要な取組を実施してまいりたいと思っております。

長谷川分科員 ありがとうございます。大都市部への研修医の集中を更に是正する見直しを講じていただきたいと思います。

 次に、医師不足地域での勤務促進策についてお伺いをいたします。配付資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。

 令和二年四月から、医師少数区域などにおいて六か月以上勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度が創設をされております。地域医療支援病院の管理者は認定医師でなければならないという制度が設けられております。そして、大臣認定を取得された医師は、この一番下ですが、医療レベルの向上のための経済的な支援を受けられることとなっております。

 私は、医師の偏在是正のためには、医師不足地域で勤務をする医師に対して、医師御自身のキャリア形成にも十分に配慮した思い切ったインセンティブの付与が必要だと考えております。したがって、今回、医師不足地域での勤務を評価し、認定し、支援する制度を創設された意義は大変大きいと思っております。

 しかし、一方で、地域医療支援病院は、全国に今のところ六百七あるにすぎません。医師少数県などは、公立・公的病院はもとより、全ての医療機関の管理者について、医師不足地域での勤務実績を要件とするように提言をしております。私も、今回、いわば小さく産んだ制度をいかに大きく育てていくかが課題であると思っています。

 そこで、お伺いをいたします。今回の医師少数区域経験認定医師制度の拡充を始め、今後、医師不足地域での勤務を促進する方策をどのように講じていく方針か、お伺いをいたします。

伊原政府参考人 医師不足地域での勤務を促進するために、令和二年度に、先ほど先生から御紹介いただきました、医師少数区域等で一定期間以上勤務を経た医師につきまして厚生労働大臣が認定する制度を創設しました。現在まで、百八十人の方が認定されております。

 認定を受けた場合には、それも先ほど先生から御紹介いただきましたように、地域医療支援病院の管理者となれるようなインセンティブが設けられております。

 この認定を受けた方が管理者になれる制度につきましては、もっと範囲を拡大するという御意見がございます。まさにそのインセンティブを高めて、もっとほかの医療機関も対象にすべきといった御意見がございます。他方、その一方で、やはり医師少数区域等での診療を実質的に義務化することになるので、まずは現在の取組の効果を見守るべきといった多少慎重な御意見もございますので、今後、こうした御意見なんかも踏まえつつ検討していく必要があると思っております。

 ただ、いずれにしましても、このほかにも、認定を受けたお医者さんに対しまして、引き続き医師少数区域で診療を継続していただける場合には、学会への参加とか能力研さんのための研修受講に必要な経費の支援など、経済的な支援も行っております。今後とも、どのような形で進めるのがいいかも含めまして、この支援の在り方を考えていきたいと思います。

長谷川分科員 ありがとうございます。

 勤務促進策については、一方では、義務化に結びつくんじゃないかという御議論があることも承知をしています。先ほど申し上げたように、医師不足地域で働くハンデを解消する思い切ったインセンティブという観点から、この政策をより強化していただきたいと思います。

 それでは最後に、偏在是正対策の加速化について大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。配付資料の四枚目でございます。

 厚生労働省におかれましては、先ほど申し上げた臨床研修制度における偏在対策を始め、医師養成課程を通じた医師の偏在対策を進められております。

 一番上、最も中心となるのが地域枠の設定でございます。

 平成二十年度から、特定の地域や診療科での勤務を条件とした地域枠を中心に、臨時的に医学部定員を増員する措置が講じられております。この地域枠によって、医師不足県においては医師の確保に大きな効果を上げつつございます。

 私の地元の愛媛県では、これまで約二百三十人に奨学金を貸与いたしまして、現在、初期臨床研修修了後の四十八名の医師がそれぞれ地域医療で活躍をしております。今後、最大百五十人の地域枠医師の配置が予定されているところでございます。

 一方で、この地域枠などによる臨時定員増に関連して、先般、今月の七日に取りまとめられました医療需給分科会の第五次中間取りまとめによりますと、今後も入学定員を現在の水準に据え置いた場合、令和五年度の医学部入学者が医師となる令和十一年度頃には医師の需給が均衡するという推計がなされています。

 これに対しては、医師不足に悩む県からは、マクロベースで医師の需給が均衡するからといって、医師の地域間、診療科間の偏在が是正されない限りは、現在の臨時定員増を延長すべきだ、あるいは、この地域枠を恒久的な定員とすべきという強い要請が寄せられております。

 一方で、医師偏在の解消の目標年は、令和十八年、二〇三六年。今から十四年後、働き方改革に遅れること十二年後となっております。現状の偏在是正対策では、その解消に長い期間を要するのが現状となっております。

 後藤大臣、私の地元では、先ほど御紹介させていただきました宇和島病院、八幡浜総合病院、津島病院、吉田病院のほかに、大洲病院、西予市民病院、野村病院、北宇和病院、そして久万高原町と愛南町に国保病院がございます。それぞれ、設置者である市長、町長は、医学部に医師の派遣を要請したり、あるいは自治医科大学の勤務医の確保に奔走されるなど、医師確保に苦心に苦心を重ねているところでございます。

 偏在是正、現状では長い期間を要するということを踏まえましても、先ほど来申し上げてまいりました、臨床研修制度の更なる見直しや医師不足地域における先ほどの勤務促進策の拡充、そして、今回時間の関係で触れられませんでしたが、専門医制度における偏在是正対策など、あらゆる政策手段を導入して、医師の地域間の偏在や診療科間の偏在を是正する対策を加速していくことが何より必要であると思っております。

 そこで、お伺いをいたします。医師の偏在是正対策の加速化に向けた後藤大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 医師数につきましては、医学部定員を臨時的、段階的に増員してきたことによりまして総数は増加している一方で、地域間や診療科の間での偏在が依然として存在しておりまして、偏在対策を講じる必要があるということを認識しております。

 先ほどから本当に丁寧に、地域、地元の病院の状況等も御説明をいただきましたけれども、そうした説明は、私自身も、長野県の選出ですが、信州の山をたくさん抱えている選挙区として、おっしゃっていることの意味はよく理解をさせていただきます。

 こうした状況でございます。厚生労働省では、臨床研修、専門研修といった医師養成課程において、道府県ごと、診療科ごとの定員を設定するとともに、医師少数地域での勤務を経た医師を認定し、一定の医療機関の管理者となることができるようなインセンティブを設定する、まさに今委員が言及された点でございます、そうした偏在是正の取組を進めております。

 道府県においても、各地域で必要な医師を確保するための方針、取組などが盛り込まれた医師確保計画を策定し、取組が進められております。

 今後、これまで取り組んできた医師偏在対策の状況を踏まえつつ、自治体の御意見も伺いながら、対策の更なる強化、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

長谷川分科員 後藤大臣、ありがとうございます。

 特に、医師不足に苦しむ地元の声を踏まえた今回質問をさせていただきました。特段の偏在是正対策の取組をお願いさせていただきたいと思います。

 もとより、医療制度は、地方に住む方にとっても、また都市に住む方にとっても、国民ひとしく共有の財産でございます。世界に冠たる国民皆保険をしっかり守っていって、持続可能な医療提供体制の実現に向けて、私も力を尽くしてまいる決意でございます。

 その決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今枝主査 これにて長谷川淳二君の質疑は終了いたしました。

 次に、畦元将吾君。

畦元分科員 中国ブロック比例の衆議院議員、畦元将吾です。

 本日は、予算委員会第五分科会で質疑をさせていただくお時間をいただき、誠にありがとうございます。では、早速、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 最初の質問です。

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法の一部改正の法律案として、医師の働き方改革ができました。重要な法案であると認識しております。

 その中で、長時間労働の医師の労働時間の短縮及び健康確保のための措置の整備などを目的として、医療関係職種の業務範囲の見直しもありました。

 医療関係業種である診療放射線技師、臨床検査技師などの医療従事者は、医師の働き方改革の業務分担のための告示研修を、個人で費用負担をして、年休や休日を使って対応しているのが事実でございます。それは、日本の医療のため、患者さんのためを思い、やっていると思われます。

 その努力や貢献度に対して、依頼をした国、厚生労働省として、今後の取り組み方、また彼らがやる気を持つようにする方法があれば教えてください。よろしくお願いします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 診療放射線技師等につきましては、タスクシフト、タスクシェアを推進し、各医療従事者の専門性を最大限に生かしながら、質の高い医療を提供することができるよう、昨年の法改正によりまして、RI検査のための行為等につきまして、業務の範囲が拡大されたところでございます。

 その際、こうした業務を行う方に対しまして、厚生労働大臣が定める研修を是非受けていただきたいということでお願いしているところでございます。

 先生が御指摘のこの研修の受講料でございますけれども、職種によって価格が違いますが、やはり一定の負担が生じているということは承知しております。

 ここにつきまして診療報酬の対象にできないかとかいう御指摘もいただいているところですが、やはり一度受講すれば足りる研修でありまして、受講料の負担が恒常的に発生するものではなく、やはり個人負担ですので、この部分を診療報酬の対象にするというのはちょっと難しいと考えております。

 ただ、他方、この研修をできるだけ多くの診療放射線技師の方に受けていただくということは非常に大事なことだと考えております。私どもとしましても、この研修受講促進を図るために、研修の修了者に対しまして、研修の主催団体と私どもとで連名で修了証書を交付しております。

 是非多くの方に、受講できるように、我々としても支援してまいりたい、このように考えております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 診療報酬にこだわっているわけではないので、そこは訂正します。

 日本の医療従事者の多くは、患者さんのためにと思い、医療の心を持って頑張っていると思います。彼らのやる気とか、そういう環境が継続できるようにお願いしたいと思います。

 また、この告示研修を受けなければ五年後はちょっと仕事ができなくなるような話も聞いておりますので、そういう部分もいいのかも分かりませんが、先ほど言った、何か文面で、修了証みたいなものを出してもらうことはとてもいいことだと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に行きます。画像診断情報などの適切な管理による医療安全対策に係る評価の新設についてお伺いいたします。

 具体的な内容として、医療機関の画像診断部門や病理診断部門が医療安全部門と連携し、画像診断報告書、病理診断報告書の確認漏れなどの対策を講じ、診断又は治療開始の遅延を防止するための体制を整備している場合の評価を新設するとあります。大変いいことだと思います。以前、ニュースでもあったことの対策だと思っております。

 これは、実施した医療従事者又は管理者に対しての評価と思われますが、現段階での方向性として、誰にどのような評価をお考えでしょうか。結構、ちまたでいろいろうわさになっていますので、もしよければ教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 画像診断の結果等が院内で適切に共有され、速やかな診断や治療開始につながることは、医療安全上重要でございます。

 しかしながら、国の研究事業によりますと、主治医が画像診断レポートの確認を忘れる、あるいは確認しても重要な所見を見落とすことによりまして、治療開始が遅れる等の事案が見られました。

 これを受けまして、中医協の議論を踏まえまして、御指摘のとおり、令和四年度診療報酬改定におきましては、組織全体で確認漏れ等の対策を講じることを評価するために、新たに報告書管理体制加算を設けることといたしました。

 具体的には、医療安全対策に係る研修を受けた専任の臨床検査技師又は専任の診療放射線技師等を報告書確認管理者として配置すること、それから、当該報告書確認管理者に加えまして、画像診断や病理診断を担う医師、医療安全部門の医師など複数の部門で構成される報告書確認対策チームを設置すること等を算定要件といたしております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 医療従事者が持続的に、持続的にが大事なんですけれども、責任とやりがいを持って業務ができるように、偏らない対応をよろしくお願いいたします。

 多分、これは簡単に話していますけれども、これをすることによって、やはり、告示研修ではないんですが、ある程度の知識をつけないといけないと思っております。そのためにもまた、皆さんがやる気を持つような対応をよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。CT検査などの医療被曝管理について、厚生労働省として、現在の考え方をお聞きしたいと思っております。

 現在、政府として、環境省、復興庁を始め、放射線被曝の問題や放射線による風評被害に関して、重要課題とされております。私も診療放射線技師の国会議員として、ライフワークとして取り組んでおります。

 医療被曝の線量管理として、新規で、平成三十二年四月に、医療施行規則の一部を改正する省令について、最初はCTだけでしたが、後から血管造影検査、核医学検査の医療被曝管理が新たに規定されたことは知っております。そこで、患者さんへの検査被曝量の低減にもつながる重要な省令と私も認識しております。

 国内百施設以下の特定機能病院や、MRI装置の最上位機器の三テスラを有する一部の病院には定着しました。省令でもあるので、機械的に患者さんの被曝線量は保存している施設は増えているものの、本来目的の被曝線量低減のための統計データの分析をした情報を、患者さんの被曝低減のために利活用している施設の広がりは、多分期待よりも少ないと思っております。

 理由の一つを考えてみたんですけれども、特定機能病院は、CTなどの検査の被曝線量の統計分析を含む線量管理をすることにより、年間五千万、多いところでは一億に近い上乗せがあると聞いております。なぜか。さきに挙げたCTなどの検査の被曝線量の統計分析、線量管理をしているのですが、放射線を出さない最上位の三テスラの頭部MRIだけには百点の画像加算がつきます。

 繰り返しますが、国内の特定機能病院は百施設以下です。百施設以下が、五千万から約一億までいきませんが年間上がっているということを聞いておりますが、百施設以外のほとんどの医療施設は、患者さんの被曝線量を低減するための努力の一つとして、同じように改正された省令に対応した統計分析をすると、当然、担当者は残業につながります。画像加算は、しかしゼロ円です。結構それに対して中小病院又は多くの病院が、不平というか、不公平じゃないかという意見も出ているのもあります。

 放射線被曝低減に取り組む医療施設を拡大して、患者さんの検査による医療被曝を極力低減するためにも、この不公平感を持っている医療施設が納得できる説明や、施設や担当者が被曝線量管理、統計分析をして、被曝線量低減に意欲を持って対応できるような厚労省の今後の取組を御検討していただきたいと思っております。

 画像加算についての説明はもう理解していますので、そこは結構です。今後の取組について具体的な対応があるなら教えてください。よろしくお願いいたします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、先般の医療法施行規則の改正によりまして、診療用放射線を用いた診療機器などを設置する全ての病院等の管理者に対しまして、放射線診療における被曝線量管理やその記録など、診療用放射線の安全利用のための対策を義務づけさせていただきました。

 具体的な内容については、関係学会が決めたガイドライン等で実施されていると承知しております。

 厚生労働省としましても、こうした医療機関における医療被曝低減の取組を進めるために、昨年度の厚生労働科学研究におきまして、全ての医療機関が適切に取り組むことができるよう、放射線診療における被曝の低減策などに関する研修動画を作成しまして、各医療機関に御活用いただいております。

 それからまた、先生から御指摘いただきましたように、被曝線量管理とか分析を通じまして被曝線量を低減するための具体的な手法ですが、これにつきましても厚生労働科学研究等を活用しまして検討してまいりたいというふうに思います。

畦元分科員 ありがとうございました。

 被曝線量管理が患者さんの被曝線量低減にしっかりとつながるように、厚労省として御対応をよろしくお願いします。実は、私、議員になる前に、被曝線量管理のソフトウェアを作っておりました。会社をやっていまして、一応業界三位だったんですが。結構時間のかかることなので、よろしくお願いします。

 参考までに、いい話なんですが、この被曝線量管理が始まった頃に、子供のCT検査の線量で、被曝を意識した場合の検査と意識していない場合ではかなりの差が出まして、結構子供の頭部CTに関しては是正したサイトがあることを私も存じております。また、統計分析をすることによって、病院間でいろいろ情報共有をしまして、適正な線量を見つけようということの動きもありました。

 ですから、できるだけ多くの病院が参加して、また、病院長が、言い方は悪いんですけれども、加算も何もつかない残業になってしまうので、サービス残業になるとかいろいろ言われることもあるので、そういうことのないように、実際にやる気のある方々がちゃんとできるような環境づくりをしてもらいたいと思います。

 最初はかなり統計分析の時間は必要です、いろいろ合わさないといけないので。ここで言うと時間が長くなっちゃうので省きますけれども、テスラとかもありますけれども、いろいろな値を設定しないといけないので、半日から一日かかります、最初は。そういうことで、その後も計算、統計管理や分析のことをやったりとか、一月に一回ですか、医師と、また技術者と、また病院の責任者で話し合うこともしないといけないということもあるので、かなりの工数を使うものなんですけれども、それに対して何もないというのはやはり不公平になっちゃうので、何かそういう、いい説明、どうしてもとは言いませんが、ちゃんとできる説明。

 特に、MRI三テスラに関しては、CTの被曝管理をしていて、何でMRIの三テスラの頭に画像加算がつくのかというのは結構言われております。理由として聞いたところは、CTをしっかりやっていればMRIの安全管理もやっているということは聞きますけれども、かなり苦しい言い訳であると思いますので、その辺よろしくお願いいたします。

 では、次に行きます。診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士の教育期間のことについてお話しします。

 国家試験受験資格期間を四年にしたいと希望している団体が多いことは存じていらっしゃると思います。ついこの間決まったので、またすぐにというわけではありませんが、将来的なことでお話しさせてください。

 歴史的に、エックス線技師がエックス線以外の放射線を扱う業務拡大に伴い、二年から三年制教育に変わった歴史もあります。現在の診療放射線技師、検査技師もそうでしょうけれども、特に診療放射線技師で説明しますと、教育期間が三年になって既に五十年以上過ぎているんですよ。

 この五十年を見ると、エックス線CT、MRI、DSA、PET、核医学部門とか、放射線治療部門とか、比較にならないほど多くの検査が増加しています。加えて、数年はデジタル化に大きく変わっている、AIも導入されている。

 近年、卒業単位は確かに厚労省様のおかげで増加はしているんですが、教育期間は変わっていないので、患者さんに対して、安心で最適な放射線検査業務又は患者さんの病気の早期発見をするためにも、専門性の高い人材育成、詰め込みでない教育の実現のために検討をお願いします。

 私が放射線技師の学校へ行ったときの、もう四十年前ですが、それでも三年生の夏休みはなかったんですね。ということを考えると、もうかなり厳しい状況。

 私も客員教授を二つやっていますけれども、かなり詰め込みになっています。そういうことですね。医療人養成の概念からも、卒後教育というのをよく厚労省さんから言われるんですが、確かにいいことだと思います。ただ、卒後教育があるからもうこのまま行こうというのはそろそろ限界に来ているのではないかなと思いますので、御検討をお願いしたい。

 今後の厚労省のお考えや取組などあれば、教えていただければ幸いです。お願いします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士を始めとした医療関係職種につきましては、チーム医療の重要な担い手であり、安全で質の高い医療を提供するため、養成課程を通じて、医療現場において各職種に求められる知識や技能を身につけていただくことが極めて重要だと考えております。

 厚生労働省におきましては、平成二十九年度から令和二年度にかけまして、今申し上げました各職種のそれぞれの養成カリキュラムの見直しを行うために、職能団体、学校協議会、臨床従事者等を構成員とする検討会を開催しまして、教育内容、それから先ほど先生がお話しになりました総単位数、臨床実習の在り方、この見直しを行ってまいりました。その結果、報告がまとまりまして、総単位数の充実を図るといった見直しが行われました。

 これを踏まえまして、理学療法士さんにつきましては令和二年度の入学生から、それから、診療放射線技師とか臨床検査技師につきましては四月からの入学生から新しいカリキュラムということが適用されることになっております。まさに今、ちょうどそういう見直しを行ったというところでございます。

 さらに、厚生労働省としましては、今後とも、各職種を取り巻く環境や求められる知識、技能の変化、臨床や教育の現場からの要望等を踏まえながら、養成カリキュラム等の見直しをしていきたいと考えております。引き続き、安全で質の高い医療を提供できる医療関係職種の養成に努めてまいります。

畦元分科員 ありがとうございます。

 今お話しになったように、カリキュラムが増えるのは分かるんですけれども、カリキュラムが増えて忙しくなって、教育期間は変わらないというと、かなり、ごめんなさい、僕は、普通に素朴な質問なんですけれども、厳しいことも感じるんですが、その辺りはどのようにお考えか、もしよければ、分かる範囲内で結構ですけれども、今後検討するでも構わないんですが、ちょっと教えていただくことは可能でしょうか。

伊原政府参考人 当然、カリキュラムの今回の見直しの際には、修業年限の中で収まるかどうかというのは当然念頭に置きながら議論しております。そういう意味で、今回の見直し、総単位数の充実につきましては、現行の修業年数を前提としております。

 ただ、先生御指摘のように、今後いろいろ、医療の現場の実態が大きく変わっている中で、その修業年限と単位数の問題、もちろんそれも考えていかなきゃいけない要素だとは思っておりますので、今後の現場の状況を見ながら、あるいは現場の臨床や先生方の御意見も伺いながら考えていく課題だと思っております。

畦元分科員 ありがとうございました。ちょっと追加の質問をして申し訳ございませんでした。

 実は、私もおかげさまで東邦大学の医局に入っていて、たまに放射線技師の仕事なんかも見させてもらうんですけれども、一番怖いのが、本当に詰め込みになったんだなと思うのが、もうボタンを押して絵が出るだけ。要は、ちょっとした応用、病気に対する応用をやろうというときに追いつけなくなっているんですよ。ですから、多分、国家試験とやらないといけないことの詰め込みで、応用ができる方々はすごく減ってきていると思うんですね。そうなると、医療の質、又は早期発見なんかも結構ずれますので。

 ひどい場合には、画面に出ている値を、これは何の値でどうなのと聞いたら、慌ててマニュアルを持ってきて、最後は分かりませんと言う現場の先生方もいらっしゃるので、そういうことのないようにしないといけないんじゃないかなと思ったので、こういう質問をさせてもらっています。これは現実です。

 患者さんのため、将来に対して安心、安全な医療の継続をしていく、また、病気に対してある程度の知識を持ってもらわないといけないと思いますので、そういうところに関してのこともあるので、何とか教育期間。僕は大学にしろと言っているわけではなく、団体は、教育期間の年数が、実際に四年制がほとんどなんですね。放射線技師学校は結構ありますけれども、十一を除いて、もう大学になっちゃっているんですよ。

 ですから、そういう現実もあるので、何もそこでわざわざ三年制にこだわることはないんじゃないかなというのは先日も学会の人間と話をしたんですけれども、そういう辺りも考えて、国民の健康のためにも、よろしくお願いいたします。済みません、長々と。

 では、最後の質問に近づいてきたんですけれども、現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症法で、新型インフルエンザなど感染症、いわゆる結核と同じ二類相当になっておりますが、ワクチン接種の状況や飲み薬の広がり、もちろん、新型コロナウイルスの有識者、専門家の御意見を尊重することは大変重要だと思っておりますが、後藤大臣の現状でのお考えとして、どのようになってくれば季節性インフルエンザのような五類にできるのでしょうか。

 現在、経済、文化を始め学校教育などもかなり打撃を受けております。国民が希望の光が見られる、ここまで頑張ればと考えられるような目標が欲しい国民も結構いると思います。

 確かに、絶対とは言えないと思うんですが、現時点での情報や、現在の環境の中で、希望的なお考えで、現状がどのようになれば新型コロナウイルスを季節性インフルエンザのような対応ができる可能性があるのか、もしお答えいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。

 仮に新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に変更する場合は、感染症法上の入院勧告、措置、それから検疫法上の隔離などの措置が行えなくなり、また、特措法の適用もなくなります、蔓防等を含めて。そういうことも含めて、今、総合的に勘案する必要があるというふうに考えております。

 その上で、五類感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する感染症が指定されておりまして、仮に新型コロナウイルス感染症の分類を五類感染症に変更する場合は、そうした、例えば重篤性等、危険性は高くないというような要件に該当する必要が出てまいります。

 しかしながら、オミクロン株については、専門家から、感染力が高い一方で、感染者の多くは軽症、無症状であり、重症化率は低い可能性が高いといった分析が報告されてはいるものの、まだまだその特性は十分に明らかになっていないということでございます。このため、オミクロン株の感染が続く中、今このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないというふうに考えております。

 例えば、他の感染症との比較、インフルエンザとの比較も含め、オミクロン株を含めた変異を繰り返す新型コロナの特質をしっかり考えた上で、今後の感染状況等を踏まえまして、厚生労働省の審議会等において、専門家の意見を十分に踏まえながら議論していく課題であるというふうに考えています。

畦元分科員 ありがとうございました。とても丁寧で、分かりやすい説明、ありがとうございます。

 可能性が見えると、人は頑張れるとか、耐えれることができると思うんです。

 私、医療人なもので、ちょっと、ついついCTの話を例えますけれども、CTの検査で息止めをするんですけれども、あと何秒息を止めてくださいという表示のものがあるかないかで、かなり気持ちが違うんですね。安心感とか、あと少しだから頑張ろうとか、そのためにはこうしようとか。

 ですから、もし、今の段階では、もうよく分かりましたので、無理とは分かりますが、どこかで言えるときがありましたら、みんながこうやってやれば、五類に移せというわけではないんですが、もっといろいろ変わってくるというようなことをお答えいただければ、国民も光が見えるということで喜ぶのではないでしょうか。

 本日の大臣の話を聞いて、私も、多分、国民の頑張ろうという声が聞こえたような気がしますので、引き続きよろしくお願いいたします。感謝申し上げます。

 もう時間もないんですが、最後にちょっと、質問ではないんですが、補足で、まだ二、三分ありますので、させてください。医療被曝線量についてちょっと補足をしておきたかったんですが、質問ではありませんので、状況とか話したいんですが。

 患者さんのため、先進国として恥ずかしくない医療被曝実現のために、線量管理や統計分析は必要だと思っております。

 これが始まったのは、もう厚労省の方は御存じかも分かりませんが、アメリカで、CTの頭の検査で、ちょっとした、頭に線が入るような、同じ場所を撮っていたら事故があって、それが話題になって、日本でちょっとまた同じようなことがあって、起こったということは私も存じております。担当していましたので、その頃。そういうこともありましたので、何とか日本として恥ずかしくない、日本は医療被曝が多いというレッテルがいっときつけられたこともありますので、それを緩和又は是正しないといけないと思っております。そのためにも、線量管理、統計分析は必要と認識しております。

 先ほども言いましたかも分かりませんが、平成三十二年四月に、医療施行規則の一部を改正する省令として、医療被曝線量管理が新たに規定された背景も理解することが重要だと思っております。

 ところで、被曝線量が多ければ線量ノイズが少なくなる方向というのもちょっとあるんですね、実際使っている人間は。要は、線量を下げると画質が落ちます。ということは、早期発見なんかしたいときには、やはり線量を上げてでも小さな病気を見つけないといけない、目的に応じて。ただ、健康診断なんかのときにはそんなことはしなくていいとか、そういう考え方もいろいろあるわけなんですけれども、有用な診断目的の画像と適切な線量管理のバランスがすごく大事です。

 このバランスをしっかりと日本の国がやっていくことによって変わる、かなりいろいろ、被曝線量低減ができると思っておりますが、線量を決める場合、撮影する場所、頭なのか、骨の多いところなのか、空気の多いところなのか、ありますし、年齢又は検査目的、体格にも関係します。

 最近、御存じだと思うんですが、生殖腺、遺伝的影響はちょっと違うんじゃないかという論文がすごい出てきて、今、論議していますよね。前、生殖腺には防護しようとかしていましたけれども、それよりも、股関節を見るときには防護しないで、ちゃんとした正確な検査をした方がいいとか、いろいろなことが変わってきているのが現状です。ですからこそ、この被曝線量管理に関しては力を更に入れていただければと思っております。

 機器も年々進化して、線量が低くなる機器もあるんですが、そうじゃない機器もあるので、そういうところも関与しないといけないと思っております。

 それで、一度決めればもう終わりじゃないんですよ。機器が変わればまた変わりますし、また検査目的、今、委員長の今枝先生もドクターでいらっしゃいますから、そのドクターの先生がこれを見たい、もっと見られるんじゃないかとなると、また検査方法、線量も変わってきますので、これは永遠にしていかないといけないことだと思います。

 ですから、これをちゃんと基本的にみんながやっていけるような環境づくりを是非とも、もう終わったから、一応改正したから終わりだというんじゃなくて、どういう形で、別にこれは保険点数をつけてくれとか、そういうことを言っているわけじゃないです。まあ、今ついているところとついていないところの不公平さは感じるところがあるので、そこは説明してもらって、誰もが納得する。普通に考えて、何で放射線のCTをやっているのに、MRIの三テスラにつくのと言われたら、すごい答えるのがつらい状況ですけれども。そういうことも含めて、みんながやろうという形であれば、日本が一番線量管理がしっかりできる国だと思いますので、是非ともよろしくお願いします。

 時間となりましたので、私の質疑はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

今枝主査 これにて畦元将吾君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)分科員 日本維新の会、伊東信久でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 本日は、大きなテーマで二点、御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初のテーマなんですけれども、私のいわゆる地元、私は大阪第十九区といいまして、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、田尻町、岬町、熊取町という七つの市と町から成るところの選挙区なんですけれども、その中の泉佐野市の互礼会が一月の五日にございました。その互礼会の場で心肺停止が起こりまして、その場でです、私、居合わせていましたので、やはり自分自身もそういった救急のスキルがございますので、いわゆる蘇生させていただきまして、呼吸停止、心肺停止が起こったんですけれども、本当によかったことに蘇生されまして後遺症もございませんでした。

 そのまま救急車に乗り込みまして病院にも付き添いまして、結論としたら、泉州南消防署から表彰状をいただくということで。これは私がすごいとかというよりも、元々トレーニングを受けていますから。病院で心肺蘇生しても表彰状をいただくことはなくても、こういった現場で救命救急すると表彰状がもらえるんだなということで、改めて、何かちょっと恥ずかしいような、うれしいような、そんな気持ちだったんですけれども。やはり、医師たるもの、医療たるもの、生命を救う、そういったことに我々は精神、身体をささげておるんですけれども。

 いわゆる寿命というのは一方で有限でございまして、前CiRAの所長である山中伸弥教授もおっしゃっていますけれども、幹細胞のテロメアとかも含めての寿命を考えると、人間は百二十五歳まで生きられるよと、何事もなければ。ただ、逆を言うと、それ以上は、やはり寿命というのは有限であるものの証明にもなっていると思います。

 そういった中で、国の方も考え方の改定があったようで、平成三十年三月十四日に、人生の最終段階にある医療の決定プロセスに対するガイドラインの改定により、アドバンスト・ケア・プランニング、こういった概念が生まれてきました。ACPといいまして、このACPについて冒頭、御質問させていただきたいと思うんです。

 まだACPについてお知りになられない方もおられると思うんですけれども、ACPについて、まず冒頭、ちょっと御説明いただいてもよろしいでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年三月にできましたガイドラインにつきましては、平成十九年の策定から十年ほど経過していたこともございまして、その間に、地域包括ケアシステムということで介護のテーマも大きく上がってきた、そういう状況変化がありましたこと、あるいは、英米諸国を中心に、先生御指摘のACP、アドバンス・ケア・プランニング、こうした概念を踏まえた研修、取組が普及してきた、こういうことを背景に見直しが行われました。

 具体的な内容は、心身の状態の変化に対応して本人の意思は変化し得るということを前提に、医療やケアの方針や、どのような生き方を望むかなどを日頃から繰り返し話し合うことが大事だ、それを強調しているという点です。

 それからもう一つが、本人が自らの意思が伝えられない状態になる前に、家族など本人の意思を推定できる者を前もって定めておく、これが重要だということにしております。

 三つ目ですけれども、病院における延命治療だけではなく、在宅医療や介護施設の現場を対象とした内容、こうした見直しが行われました。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 伊原医政局長のお話にありましたように、地域包括ケアシステムの構築に対応したものということをおっしゃられました。

 先ほどの私の心肺蘇生の話で、幸いにしてそこで心肺蘇生できましたけれども、そこで、病院に運ばれて、病院で亡くなられるということなんですけれども、この地域包括ケアシステムとACPの両方の趣旨を考えるに当たり、病院以外で亡くなられる、つまり在宅医療のことも考慮に入れていると思うんですけれども、つまりは自宅か施設で亡くなられる方も考慮に入れていると思うんです。

 地域包括システムの構築に対応したものにする必要があるとおっしゃっていましたけれども、この具体的な構築の中身というのを更にちょっと御説明いただければと思います。

伊原政府参考人 先ほど私が申し上げたような見直しの中に、やはり在宅や介護施設での現場で亡くなる方もいらっしゃるので、そうした内容に改めたと申しましたが、具体的に申し上げますと、そうした中には医療・ケアチームというのが必要になるわけですけれども、従来はやはり医療従事者の方を念頭に置いたものでしたが、今回の見直しによりまして、日頃から介護の支援を行うケアマネジャー、あるいはその他の介護従事者、こうしたことが含まれるということを明確化いたしております。こうした介護従事者の方も医療・ケアチームの一員として丁寧に本人の意思を酌み取り、関係者と情報を共有し、一緒に取組を進めていく、こうしたことを強調した次第でございます。

伊東(信)分科員 私自身、実は今も医療現場にいまして、一つはいわゆる椎間板ヘルニアのレーザー治療とNKT細胞という理化学研究所がやっていたやつなんですけれども、その二つのいわゆる元々の先進医療だったところの診療をやっています。こっちは命を助けるということなんですけれども。もう一つは、地元の泉州で訪問診療をやっておりまして、その中でいわゆる住宅型の老人ホームの方を訪問診療しています。もちろん介護従事者の方と連携しながらやっているんですけれども。

 一方で、ACPのいわゆる講演会なりレクチャーというのをあちこちでやっていまして、本日もこの後地元に戻りまして、大阪市立大学、今度、大阪公立大学に府立大学と合併してなる大阪市立大学でのACPのウェブの講習が本日あります。これは二回目でして、一回目のときに医師が講演されていたんですね、教授が講演されていたんですけれども、やはり医師主導であるべきだとそのお医者さんは、その講師はおっしゃっていたんですけれども、ただやはり、現場で接することの多い介護従事者というのが必要であるというのは現場で非常に感じている次第でございます。

 じゃ、介護従事者が含まれることを明確化されましたけれども、やはりその具体的な役割というのを示してあげた方がいいと思うんですけれども、厚労省の考える具体的な介護従事者の役割というのはどのようなものなのでしょうか。

伊原政府参考人 実際、アドバンス・ケア・プランニングを実行していく段階になりますと、御本人の意思とか、それから御家族の状況とかをやはりできるだけつまびらかに皆さんで共有して、チームで取り組んでいくことが必要だと思っております。そうした中におきまして、やはり介護従事者の方々は日頃から接触する機会が多いわけですから、そうした方々が把握している情報をその他の医療従事者の方々を含めて共有するということが役割として必要なことではないかと思っております。

伊東(信)分科員 どうしても医師の場合は、対象となる患者さん及び御家族の方とお話しする時間的な制限もあるということで、介護従事者も含まれるということを明確化されましたけれども、やはり介護従事者の立場であれば、もっと更に、厚労省の中で、逆に介護従事者主導でそこに医師がサポートするような、そういった構築でもいいかなとも思っていますので、その辺りはこれはもう質問ではなく私の現場の御提案なので、考慮に入れてください。

 先ほども伊原医政局長のお話にありましたけれども、いろいろな段階において、本人がなかなか、やはり終末を迎えますと意思決定が難しい時期というのがあると思います。レベルといいまして、意識のレベル、委員長も含めて医療従事者が多いのでちょっと専門用語が多くなって申し訳ないですけれども、やはりレベルが二やら三にダウンしていくとなかなか意思決定が難しいということで、どうしても御家族の方とのコミュニケーションが必要だとは思うんです。

 その中で、やはり平成三十年の三月十四日のガイドライン改定の中に、家族等と。親しい友人等に拡大するとなっていましたけれども、具体的な範囲、どのぐらいまで範囲を広げていけばいいのかということで、これは、家族様とかの関わり合い、つまり、遠い家族もおられて、近い友人もおられまして、こういうところでやはり現場の混乱とかを防ぐためには、この具体的な範囲、家族等の等をどこの範囲までを考えていられるか、お示しいただければ幸いです。

伊原政府参考人 御指摘のガイドラインにおきましては、自ら意思表示ができない場合、本人にとっての最善の方針を取る観点から、家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重するということを基本としております。

 この家族等の範囲につきましては、今後、単身世帯が増えることも想定される中、家族だけではなく、本人が信頼を寄せ、人生の最終段階にある本人を支える存在も含まれると考えておりまして、法的な意味での親族関係のみを意味せず、親しい友人等のより広い範囲の人や、複数人存在することも考えられるということをお示ししております。

伊東(信)分科員 親しい御友人の中には、親しいというところのテーマが曖昧なのと、親しい友人を含むということに対してただし書を書いていますけれども、残念ながら、ちょっと言葉は悪いですけれども、申し訳程度な感じがしまして。

 ただ、冒頭おっしゃったように、単身世帯が増えているということで、全ての患者様の家族様とずっとお話ができるというわけではないと。やはり、それぞれの御家族の御事情で、遠方の方もおられるわけで、そういった事例も、私、経験しております。

 そういった意味で、友人だけじゃなくて、会社の上司であったり後見人であったり、本当に様々なところが想定はされるわけなんですけれども、厚労省としては、今後、この範囲をどのように広げていくかの一応議論なり話なり、ございますでしょうか。

伊原政府参考人 実際、恐らく地域事情もございますし、それから、それぞれの家庭によって個別性が非常に高いので、具体的にどこまでお示しできるかはちょっと分かりませんが、確かに、今後、更に単身化が進んできたときに、具体的な実践が積み上がっていくと思います。そうした中で、こうした方が対象になったとかいうことが見えてくれば見直すことは十分できるんじゃないかと思いますけれども、ちょっと今の段階で、具体的に、いつ、こうするということはまだ決めておりません。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 今の、本当に現段階の進捗具合とか、なかなか、このACPに関しては、後にもお話ししますけれども、やはり今から本当に構築していかなければいけない、必要なテーマであると思います。そういった段階ですので、今こういった段階ですという御答弁で十分私としては了承しています。

 その中で、先ほど申し上げましたように、やはり介護の方も含め、医療従事者である看護師も含め、我々医者ももしかしたら必要なのではないかなと思うんですけれども、ACP、誰がどのように従事していいのかということで、我々は、これに対応するために大学病院での研修も受けたりとかしますけれども、国においても、資格制度も含めて、やはり制度を構築すべきではないかなと思います。

 この聞き取り、この質問の際の事前の通告若しくはレクの段階で、現在行われている研修において、省内で修了証とかを与える議論もあるということでお聞きしているんですけれども、こういったところでACPを広げていくのに、やはり資格制度というのは必要ではないかなと思うんですけれども、ここはやはり責任者である大臣から、そういった制度についての取組とか、何かプランがあるのか、若しくはこれに対する大臣の何か意欲があるのかというのを教えていただければと思います。

後藤国務大臣 今委員からも御指摘がありました人生の最終段階、本人の意思を尊重した医療やケアが適切に行われることは大切だというふうに思います。そして、そうした医療やケアが適切に行われるように、広く、医療そして介護の従事者の資質の向上を図ることが重要であることもおっしゃるとおりだというふうに思います。

 このため、厚生労働省では、医療・介護従事者に対しまして、本人や家族等の相談に適切に対応するための研修を行っているところでございまして、今後は、こうした患者や家族等の方々が相談しやすい環境を整える観点から、研修修了者である旨をしっかりと見える化する、そういうような方策、まずこうした点なども検討課題というふうに考えております。

伊東(信)分科員 大臣、ありがとうございます。

 一方で、そういった資格制度に関してもそうなんですけれども、やはり、まだ国民の中でACPは浸透していない。普及啓発の方法として、教育機関で、学校における生命、医療、ケアに関する授業や講義の機会を通じとしていますけれども、やはり具体的なカリキュラムを設定していくべきではないかと思います。

 私、今三期目なんですけれども、たしか、一期目だったか二期目だったか忘れましたけれども、財務金融委員会で、中学生、高校生の段階で、いわゆる資産投資とかそういったところも学校のカリキュラムで勉強すべきじゃないかということを提案させていただきましたら、そういったことも何か含めていただけるみたいで、ACPに関して、生命、医療、ケアに関する授業や講義の機会を通じてACPを普及していくカリキュラムを設定していくべきではないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、ACP、具体的に申し上げますと人生の最終段階における医療やケアをどう受けていくのか、これを繰り返し話し合う取組が大事だということを多くの方に知っていただきたいということから、人生会議という愛称とかロゴマークを選定しまして、人生会議に関するインタビューや専門家による座談会の動画を厚労省のホームページ等で情報発信して、普及啓発を行っております。

 また、ACPにつきまして、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、医療、介護現場の方々により多く理解していただこうということで、平成二十六年度から、医療・介護従事者を対象とした研修も実施しております。このほか、一部の自治体では、研修、普及啓発など独自の取組が進められているとも承知しております。

 こうした自治体独自の取組も参考にしながら、人生の最終段階において適切な医療、ケアが本人の意思を尊重した形で実施できるにはどうしたらいいか、国民の方々にどう御理解をいただくかをよく考えていきたいと思います。

伊東(信)分科員 これは文科省マターであるので、厚労省に学校における具体的なカリキュラムと質問していくのもちょっと難しいとは思うんですけれども、そういったところも含めて、どうしてもやはり省庁間の縦割りというのが指摘される中なので、ここは、後藤大臣、イニシアチブを取ってこういったところをリードしていただければとお願いいたしますということで、これは希望です。

 やはり、ACPの認知において、二〇一七年度の意識調査では僅かに三・三%、ACPを知っていると。五年に一度の統計で、次回、来年となるんですけれども、どの程度の目標値とかというのを設定されているのでしょうか。

伊原政府参考人 ちょっと現段階で具体的な目標値のようなものは、つくっておりません。

伊東(信)分科員 是非とも、普及させるためにはやはり具体的な数値というのは必要になってきますので、よろしくお願いいたします。それがいけたのかいけなかったのか、いけなかったらまた、先ほどの学校教育とか今から質問させていただく各種団体を巻き込むということも必要だと思います。

 六月十五日の閣議決定で各種団体を巻き込んだ取組や周知をとしていますけれども、各種団体、それでは具体的に想定はされていますでしょうか。

伊原政府参考人 かなり、この具体的な場面というのはいろいろな場面が考えられますので、具体的にこの団体という形で定めたものはございません。

伊東(信)分科員 やはり、本当にこれからの取組だと思いますので、私の質問をきっかけにどんどん議論を進めていただきたいと思うんです。

 それでは、その責任者である担当大臣に、ちょっと時間も迫ってきたので、幾つか通告から質問を省略して質問させていただきたいんですけれども、法的拘束力が、現在はこの終末期医療にはございません。だけれども、やはり、議論が進むためには、この終末期医療に対する法的な取組もやはり今後必要ではないかなと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 一般に、医療の開始、変更、中止等については、患者等の意思を十分に尊重しつつ、医学的妥当性と適切性を基に総合的に判断すべきものだというふうに認識しています。

 人生の最終段階の医療ケアについて、自らが受けることを希望する医療の内容を記載した事前指示書、こうしたものを、自分が意思決定できなくなったときに備えて、どのような医療、療養を受けたいか、あるいは受けたくないかなどを記載した書面につきまして、法的拘束力がある文書ではないというふうには考えますけれども、しかし、その内容は十分に尊重されるべきものだというふうに考えております。制度的な問題については、今後、十分にそうした重要性を踏まえて考えていきたいと思います。

伊東(信)分科員 本当に、厚労大臣、意欲を持って取り組んでいただけると理解をしております。

 その中で、欧米の話も出ましたけれども、欧米においては、海外においては、ACPの話合いに使用するテンプレートとかというのがございます。

 このテンプレートの必要性というのは、今のコロナ禍において、やはりいろいろな、コロナ感染症に対する対応の難しさ、ACPの対応の難しさというのがございました。つまりは、今のオミクロン株では多少減少していますけれども、デルタ株以前では、血栓による肺塞栓とかも含めまして、突然亡くなられる方もおられます。この場でコロナの統計の取り方に関しての議論はしません。

 いわゆる遺言とか財産とか臓器移植とかいろいろな問題若しくは医師法二十条によるいわゆる死亡診断書の問題、いろいろあるんですけれども、そういったことも含めて、若しくは複雑な話にならないように、ある程度の話はおいておいて、この海外におけるACPの話合いに使用するガイダンスや、話合いにテンプレートが作成されています。

 コロナ感染症における突然に死亡される方、若しくはそれまでになかなか御家族を含めて話合いができないというところもありますので、このテンプレートの必要性というのを痛感しているんですけれども、このような取組を行う考えは現在ございますでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御紹介がありました新型コロナ禍におけるACPの取組、諸外国では、例えば、事前指示書を作っておこうとか、あるいはACPの話合いをしておきましょうといった話がイギリスやオーストラリアなどで出ていると承知しております。

 我が国におきましては、ちょっとこのコロナの関係でそうした動きがあるかということについては具体的には把握しておりません。

 しかしながら、やはりコロナとは直接関係はございませんけれども、近年、高齢多死社会がどんどん進展しておりますし、それから、先ほど単身者も増えていく、こういう社会情勢、地域情勢を考えますと、やはり、こうした本人の意思を御家族あるいはそれ以外の方も含めてしっかり把握して、それを医療ケアで適切に対応していくという状況を環境整備をしていくことは非常に大事だと思っております。

 具体的なやり方につきましては、今はACPの考え方を広げていくというレベルでございますけれども、先ほど先生が御指摘いただいたようなことも含めて考えていく必要があると考えております。

伊東(信)分科員 私自身、いろんな顔を持っていて、ウイルス学も医学博士でございまして学位を持っておりますので申し上げたいことはたくさんあるのですけれども、これにコロナウイルスの感染を絡めると、また話が複雑化しますので。というよりも、ACP単独でこれを前に進めるために、テンプレートの議論も進めていただければと思います。

 時間も大分なくなってきましたので、もう一つのテーマの御質問をさせていただきます。

 私自身、先進医療であるところの自費診療をやっております。先ほどのクリニック、在宅のクリニックとは別のクリニック、医療法人と個人クリニックと分けてやっております。

 医療法人でやっている取組、どうしても全国から患者さんが来ますので、医療広告、ネットにかかる割合がやはり高くなっております。予算の面も、媒体の使用もネット広告が多いんですけれども、お聞きしたところ、チラシとかビラでは禁止のものがウェブ上では限定解除条件があるということですね。でも、自ら取りに行く情報だから、情報を取りに行かない他の広告よりも、オンラインの場合は広告の規制が緩いと聞いたんですけれども、これはまず事実でしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 従来は、医療法の広告では、まさにチラシとか、そういう外部に表示されるもの、自ら取りに行くもの以外のものだけを規制の対象にしておりまして、ウェブ情報は対象外でございましたけれども、平成二十九年のときに法改正がなされまして、このとき、美容医療のホームページとかで消費者トラブルが非常に頻発したことから、こうした規制を広告規制の対象にしましょうと広げることにしました。

 ただ、その際、難病や悪性腫瘍の患者さんの団体等から、こうしたウェブサイトの掲載を一律に禁じると、患者の知りたいこととか、なかなか難しくなるんじゃないかということで、一定の条件、限定解除要件というのをつくりまして、その範囲で規制を行うというふうに見直した経緯がございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 伊原医政局長から、悪性腫瘍や難病のお話もいただきましたけれども、やはり、その中で、玉石混交というか、この辺りは医師の裁量に任せていただいているところで、医療人としてはありがたい面もありますけれども、やはり私自身がネットを見ていて、うんと首をかしげるものもあるのも事実です。

 そういったところを規制するために、ネットパトロールというのをやっておられるそうなんですけれども、具体的に、こういったネットパトロールで、年間の違反件数というのは今、現状どのようになっていますでしょうか。

今枝主査 時間がもう来ましたので、簡潔にお願いします。

伊原政府参考人 令和二年度に、医療機関宛てに、千五百六十九機関に内容的に不適切ではないかというような通知を行っております。

伊東(信)分科員 時間が来たのでもう終わりますけれども、こういったところの機能していない部分もやはり散見されますので、またこういったところを、厚労省の皆さん及び関係各位、大臣を含めて、議論させていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

今枝主査 これにて伊東信久君の質疑は終了しました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

今枝主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。角田秀穂君。

角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、移行期医療支援について。

 小児期に発症した病気を抱えたまま成人年齢に達した方が年齢に見合った医療を受けられるように、小児科から成人専門の診療科への橋渡しを円滑に行うほか、地域での生活、就労など、本人、そして家族への支援の重要性が指摘をされております。小児から成人期医療への移行支援を行うために、厚生労働省では、二〇一五年から小児慢性特定疾患移行期医療支援モデル事業を開始し、二〇一七年には、移行期医療の現状と課題を示した上で、各関係機関を調整して移行期医療を総合的に支援する移行期医療支援センターの設置などが各都道府県に求められました。これを受けて、現在、幾つかの都府県で支援センターが開設をされておりますが、まだ多くの県では未整備のようであります。

 現在開設されて三年目の支援センターで、取組の現状や課題等について現場の声を伺ってきましたが、必要な支援に結びつけていくために苦労されていること、本人や家族が抱える様々な困難を克服するためには更なる支援も必要ではないかとの思いを私自身強くいたしました。

 まず、移行期医療に対する理解が医療関係者の間でもまだまだ不十分であり、移行期医療に関するパンフレットを作成して県下の医療機関や保健所、医師会、看護協会に配布するなど広報、普及活動に特に力を入れており、少しずつセンターの存在が認識されてきつつあり、地域の支援機関からの相談も持ち込まれるようになってきた、現在そういう状況とのことでありました。

 小児科医自身が成人期の医療にどうつなげてよいか分からないため、成人期の対応可能な医療機関や自立支援に関する情報の把握とともに、それら機関との連絡調整などのコーディネーター機能を果たすことが支援センターに特に求められております。さらに、支援機関、患者、家族からの相談対応などの業務に小児科、内科、精神神経科などの医師、看護師、ソーシャルワーカー、事務スタッフのチームで取り組んでいますが、こうした機能をしっかり果たす上で、センター運営に対する財政的な支援も充実する必要があると考えます。

 例えば看護師にしても、複雑で解決困難な問題を抱える患者本人、家族に適切なケアを提供できるよう、小児看護専門看護師もチームに加わっておりますが、専任とするには国のセンター運営に対する補助では難しいため、兼任で業務に就いている。決して片手間でできることではありませんので、看護師の労力は並大抵ではありません。また、ソーシャルワーカーも、外部の医療機関や関係機関との連携や自立に向けた相談支援など高いスキルが求められておりますが、人材の育成に関する支援も必要との声も伺いました。

 そこで、質問しますが、支援センター整備の現状と今後の取組について、あわせて、今後、重要な移行期医療支援センターの全国的な開設を推し進めるためにも、診療報酬の加算も含めて運営に対する財政的な支援の更なる充実が必要と考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 移行期医療支援センターの整備は平成三十年度から開始した事業でございまして、現在、全国で七か所設置されております。

 移行期医療の支援につきましては、昨年七月に取りまとめられました難病・小児慢性特定疾患の見直しに関する意見書におきまして、指定難病の要件を満たす小児慢性特定疾患を着実に指定難病に指定していくとともに、移行期医療の体制整備や自立支援の強化を図ることが必要、まずは国において、その実態や課題の把握を行い、今後の移行期医療支援センターの設置促進のための対応について、財政支援の在り方を含め、検討すべきとされたところでございます。

 このことを踏まえまして、令和四年度予算案におきましては、移行期医療体制の整備を促進するため、移行期医療支援センターの整備事業の実施に必要な経費に加え、新たに、移行期医療支援体制に関する実態調査に必要な経費を計上しているところでございます。

 厚生労働省としては、こうした取組を通じまして、支援センターの更なる普及に努めてまいりたいと考えております。

角田分科員 小児期から高度な医療が必要なため大学の附属病院小児内科で治療を受けていた方が、十八歳になった以降は成人医療機関を探すように言われました。しかし、実際に受入れ可能な医療機関を見つけるのは難しい。訪問診療も勧められましたが、近隣の訪問診療は高齢者を対象としたところしかないという声も伺いました。こうした方々が一貫して適切な医療その他支援が受けられるようにするためにも、まず、移行期医療支援センターの整備と機能強化が求められます。現場の状況、実態等も踏まえ、必要な支援の充実を、これは要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 移行期医療の支援を進める上で、地域との連携体制の構築も大きな課題であります。支援が必要な患者の抱える疾患、障害も様々ですが、それ以外に本人、家族が直面する課題も複雑多岐にわたっております。適切な医療の提供とともに、成人期を迎えた本人の自立を支援していく。その際、あくまでも本人の自己決定を尊重しながら支援を行っていくためには、保健所や保健センター、発達支援センターを始め地方公共団体の保健福祉部局、さらには関係するNPOや民間などを巻き込んだ、地域と支援センターの連携体制を、関係する部局ともしっかりと連携をしながら構築していくよう努めていただきたいと思いますが、この点について御見解を伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 小児慢性特定疾患児童とその御家族は、慢性的な疾病を抱え、多岐にわたる悩みを抱えていると承知しておりまして、医療における円滑な移行を支援する上で、御指摘のとおり、医療のみならず、保健、福祉、教育、就労などの関係機関との連携を図ることも重要であるというふうに認識しております。

 こうした関係機関との連携を図るために、市町村の関係部局、保健所、医療機関、教育機関、患者会や支援団体などで構成されます慢性疾病児童等地域支援協議会を設置し、児童とその御家族の現状と課題を把握し、ニーズに応じた支援内容の検討を行った上で、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業によりまして具体的な支援を実施する取組を進めているところでございます。

 移行期医療支援センターで支援に携わる方もこの協議会の構成員として想定しておりまして、協議会を通じて様々な関係機関との連携体制を構築して具体的な支援につなげていく取組を推進することにより、円滑な移行を支援してまいりたいと考えております。

角田分科員 小児期から成人への移行期の支援ということに関してもう一点伺いたいと思いますけれども、患者の中には、成長に伴って小児慢性特定疾病から指定難病に移行して、医療費助成を受けながら治療を進めるケースもありますが、その一方で、小児期は慢性特定疾病の助成を受けていましたけれども、十八歳、場合によっては二十歳以降は、指定難病ではないために医療費助成を受けられないというケースもございます。

 小児慢性特定疾病と難病とでは、法律も違いますし、制度の目的も異なりますから、連続性もない。しかしながら、小児期から慢性疾患を抱えながら成人期を迎え、社会に出て生活する人が増えていることなどを背景に、成人期への橋渡しの重要性が言われるようになり、成人期への移行が重要な疾病については新たに指定難病に追加されるなど、制度の制約を超える努力もされてきたと承知をしております。ただ、そうした橋渡しがないために、例えば一型糖尿病患者など、医療費の負担を抱えて社会で生活している方も依然多くいらっしゃいます。

 小児期に発症し、社会で働いている一型糖尿病の方にお話を伺いましたが、一型糖尿病の医療費負担は月に数万円、この方は三万円とおっしゃっておりましたが、治療は続けなければなりません。そのために働くにも、まず就職する段階から様々な差別に直面すると言います。治療を続けながら働くにはなかなか正規の仕事も難しい。重い費用の負担に治療をやめてしまえば、合併症など、今までどおりの生活が送れなくなってしまいます。日々、合併症の恐怖と向かい合いながら、偏見も含め様々な困難と向かい合いながら暮らしていかなければならないつらさを訴えられておりました。

 移行期医療の支援を更に進める、小児期から病と闘ってきた方々が適切な治療を受けながら地域で自立した生活を送れるようにするという目的を達するためには、こうした現状、制度のはざまに置かれている方々に対する支援も是非とも充実していただきたいと考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 難病と小児慢性特定疾病の医療費助成につきましては、それぞれの根拠法である難病法、児童福祉法の趣旨、目的に照らして対象疾病の要件、対象者の基準等が設定されているところであります。小児慢性特定疾病のうち、指定難病の指定条件を満たす疾病については、順次、指定難病として追加をしております。

 また、今御指摘の一型糖尿病も含みます小児慢性特定疾病児童等への支援として、御指摘の移行期医療支援を行うとともに、幼少期から慢性的な疾病に罹患していることにより自立に困難を伴う児童やその御家族等からの相談に応じるほか、介護者支援や就労支援等を行う小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を実施しております。

 この自立支援事業については、更なる事業の充実を目的として、令和四年度予算案において、自治体での事業立ち上げを支援するための事業に必要な経費を計上しているところでございます。

 また、厚生労働科学研究におきまして、一型糖尿病も含めた糖尿病患者に対する患者調査を行い、患者目線からの課題を把握することとしており、これらの調査結果も踏まえて、引き続き支援体制を検討してまいりたいと考えております。

角田分科員 是非、こうした現状、はざまに置かれている方々に支援の充実ということ、検討、早期の充実をお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、権利擁護について、その一つであります成年後見制度について質問をさせていただきます。

 障害等の有無にかかわらず、全ての人が住み慣れた地域で、尊厳を保ちながら暮らし続けられる地域共生社会の実現を支える制度である成年後見制度の利用促進に向けた、第二期の基本計画の策定が進められております。令和四年度から、第二期計画に基づいて、任意後見制度の利用促進や、市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進、地域連携ネットワークづくりなどの施策の推進が目指されることになるかと思います。

 ここでは法定後見を中心に伺いますが、コロナ禍の中で地域においても人と人との結びつきが弱まっておりますが、それを乗り越えて地域共生社会を目指していく上でも、権利擁護支援、成年後見制度利用の促進に積極的に取り組んでいくべきとの考えから、以下、幾つか質問をさせていただきます。

 まず、独り暮らし高齢者や認知症高齢者が増加することが見込まれる中で、成年後見制度の円滑な利用に結びつけていく上で、市町村長申立ての必要性も今後更に高まっていくものと思われます。市町村長申立ての件数はこれまでも増加傾向で推移しておりますが、これまで後見業務に携わってきた方々の現場の声を伺うと、申立て件数の増加に伴って、持病があったり常時見守りが欠かせない方や、浪費が激しく小まめな対応が必要となる方、あるいは暴力行為など対応が困難な事例も増えているという声を伺います。こうした被後見人等への支援には、後見人等とともに、地元行政機関の関係部署や福祉、地域などのチームによる支援が不可欠であると考えます。

 地域連携ネットワークづくりを進め、チーム支援を進めるに当たって、地域における取組の好事例などを収集し、広く発信していくほか、個人情報の共有についても、どこまで許されるのか現場には戸惑いもあります。デジタル技術を活用した情報共有システムの利用可能性の検討も含め、本人支援のための適切な個人情報の取扱いのルールについても更に明確化を図っていくべきと考えますが、これらの点も含め、チーム支援の在り方についてのお考えを伺いたいと思います。

 あわせて、地域連携ネットワークのコーディネートを行う中核機関の設置についても積極的に働きかけていく必要があると考えますが、今後の取組についてもお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 権利擁護支援チームでございますけれども、権利擁護支援が必要な人を中心に、本人の状況に応じ、本人に身近な親族や地域、保健、福祉、医療の関係者などが協力して日常的に本人を見守り、本人の意思及び選好や価値観を継続的に把握し、必要な権利擁護支援の対応を行う仕組みであると認識をしております。

 こうしたチームが適切に本人を支援していくためには、権利擁護支援に関わる様々な関係機関による地域連携ネットワークのコーディネート機能を担う中核機関が早期に整備されるとともに、各地域において支援チームをサポートする協議会が早期に整備されることが重要だと考えます。

 そのため、地域の好事例の発信、それから適切な個人情報の取扱い方法、これらを含めまして、自治体、中核機関職員向け研修や各種手引の作成などによる体制整備の支援、自治体、中核機関等からの体制整備や困難事案についての個別相談を受ける窓口、通称K―ねっとと呼んでおります、このK―ねっとの運営等の支援を行ってまいりました。

 このような取組の結果、全国で体制整備が一定程度進んできましたが、人口規模が小さく社会資源等が乏しい町村部などで中核機関等の体制整備が十分に進んでおらず、今後は、体制整備に向けて都道府県による市町村支援の機能強化を図っていくことが重要でございます。

 このため、現在パブリックコメントを実施している第二期成年後見制度利用促進基本計画案には、都道府県の機能強化として、都道府県が地域全体の体制整備を推進するための取組方針を定めることや、担い手の確保などの広域的な課題に対応するための家庭裁判所や専門職団体を含めた協議会の設置などを盛り込んでおります。

 厚生労働省としては、こうした取組が進むよう、都道府県職員向け研修の拡充や、都道府県で体制整備支援を行う専門アドバイザーの養成など、都道府県による市町村支援機能の強化を図り、中核機関の整備を後押ししていきたいと考えております。

角田分科員 既に中核機関が設置されているところでは成年後見人の受任調整なども行われておりますが、市町村によっては、本人と受任者のマッチングをしっかり行っているところもあります。ただ、その一方で、受任者調整会議の構成員団体からしか候補が選任されないであるとか、団体の名簿記載順に選んだりと、本人の状況に配慮した人選が行われているのかどうか疑問に思われる事例も見受けられます。本来の目的を達成するために機能しているかを見ていくところもこれからは求められてくると思いますが、そのためには、幅広い担い手の参画を促すことも大切なことかと思います。

 今後、高齢化の更なる進展で、市民後見人では対応の難しいケースに対する後見人候補者不足も懸念される中、弁護士、司法書士、社会福祉士のいわゆる三士業以外にも、これまで実績を積み上げてきている専門職の積極的な参画も促していく必要があると考えますが、この点について御見解を伺いたいと思います。

山本政府参考人 今後、高齢化が更に進展する中、成年後見制度の利用を必要とする御本人の意思、特性、生活状況等に配慮した成年後見人の人選が行われるために、幅広い担い手の参画を促すことが重要であると認識しております。

 御指摘の、弁護士、司法書士、社会福祉士以外にも、例えば行政書士等の方々も、成年後見人の業務に従事をしている実績があると承知をしております。

 現在、パブリックコメントを実施している第二期成年後見制度利用促進基本計画案において、国、都道府県、市町村、地域の関係者等は、それぞれの役割に応じ、市民後見人、法人後見、専門職後見人等の担い手の確保、育成等を推進するとの観点も盛り込んでいるところでありまして、厚生労働省としてもこの趣旨に沿って取組を進めていきたいと考えております。

角田分科員 収入、資産が少ない方が成年後見制度を利用しやすくするために、申立て費用や報酬への助成が市町村で行われておりますが、助成対象が市町村長申立てに限定されていたり、生活保護受給者に限定されていたりと、市町村によって取扱いが異なっております。要件に該当しない場合、後見人の報酬が確保できないまま本人を支えていかなければならない事例も増加するおそれがあります。全国どこでも必要とする方が支援を受けられるよう、助成対象についても統一が図られていくべきだろうと考えます。また、制度活用に向けては、市町村の努力のみならず、国の地域支援事業費、地域生活支援事業費についても必要な予算を確保すべきと考えますが、令和四年度以降どのような姿勢で臨まれるのか、お伺いをいたします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 介護保険制度や障害福祉制度におきましては、成年後見制度利用支援事業としまして、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者や障害者に対しまして、成年後見制度の申立て経費あるいは成年後見人への報酬等を助成しているところでございます。

 一部の市町村におきましては、先生から御指摘のございましたような状況があることを踏まえまして、厚生労働省におきましては、毎年度の担当課長会議等を通じまして、未実施市町村では当該事業を実施すること、市町村長申立ての場合に限らず本人や親族からの申立て等も対象とすること、広く低所得者を対象とするような要件の設定とすること等につきまして、繰り返し周知するとともに、取組を促しているところでございます。

 また、令和四年度の予算案でございますけれども、介護保険制度では、当該助成制度を含めた地域支援事業交付金全体としまして一千九百二十八億円、障害福祉制度では、地域生活支援事業費等補助金全体で五百十八億円を計上しているところでございます。

 さらに、令和四年度につきましては、これまでも実施してきました全市町村の実施状況の把握に加えまして、調査研究事業を通じて、未実施あるいは対象を限定している市町村の理由の詳細等の把握に努めまして、自治体の取組をより促してまいりたいと考えております。

 こうした取組を通じて、全国どの地域に住んでいても、成年後見制度の利用を必要とする人が適切に制度を利用できるよう努力してまいりたいと考えております。

角田分科員 成年後見制度についてもう一点、本人が亡くなった後の事務について伺いたいと思います。

 従来、成年被後見人等の死亡により成年後見等の業務は終了いたします。この場合、原則としては、本人の財産目録を整理して財産を相続人に引き継ぐことになりますが、身寄り等がなく、市長申立てによって後見業務等が行われていたというような場合、親族等に引き継げないということとなり、本来業務ではない葬儀や病院、施設使用料の支払い、年金停止等の手続まで迫られることもあります。この点について、平成二十八年の民法改正によって、成年後見人については一定の死後事務ができることとされましたが、保佐人、補助人については、法的な裏づけのない不安定な立場で事務を行っている実態があります。

 第二期基本計画案において、適切な成年後見制度利用のため、補助、保佐類型の利用を進めることも掲げられていることも踏まえて、死後の事務について更なる法的整備も必要と考えますが、見解を伺います。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十八年の民法及び家事事件手続法の改正によりまして、成年後見人には、本人が死亡した後にも一定の事務を行う権限が認められましたが、保佐人や補助人にはそのような権限は認められなかったところでございます。

 これは、保佐人及び補助人は、成年後見人とは異なり、基本的に包括的な代理権や財産管理権を有していないため、これらの者にも成年後見人と同様の死後事務に関する権限を認めますと、本人の生前よりもむしろ死後の方が強い権限を有することになりかねず、必ずしも相当ではないと考えられたためであるというふうに承知をしているところでございます。

 もっとも、現在、国、地方公共団体、関係団体等において、平成二十九年に定められた成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ、利用者がメリットを実感することができるよう運用の改善を進めるとともに、政府において新たな成年後見制度利用促進基本計画の策定に向けた検討が進められているところでございます。

 この検討におきましても、委員御指摘の保佐、補助類型の利用促進は、引き続き取り組むべき課題とされているほか、成年後見制度自体についても、その見直しの必要性が指摘されているところでございます。

 法務省といたしましては、これらの指摘を踏まえ、引き続き、運用面における改善の状況等を注視しながら、成年後見制度の在り方についても必要な検討を進めていく所存でございます。

角田分科員 成年後見制度の目的は、そもそも、能力の補完、あくまでも本人の自己決定権を第一に、本人の状態、抱える困難さの程度に応じて、後見、保佐、補助など、類型ごとに能力の補完を行うということだと思います。ただ、本人が亡くなった後も能力に違いがあるのかないのか、後見、保佐、補助の線引きが存在するのか。

 本来、本人死亡で事務は終了する。しかしながら、引き継ぐべき親族等がいないような場合、対応に苦慮するという実態があったからこそ、死後事務に関する規定が整備されたわけです、後見人については。しかし、同じ状況ならば、対応に苦慮するのは保佐人、補助人も全く同じであります。本人の尊厳を守りたい、最後までしっかり送ってあげたいとの思いで携わる人が困ることがないよう環境を整えていくことは、権利擁護、成年後見制度の利用促進の上でも極めて重要な課題と考えますので、これは是非とも積極的な御検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、コロナ禍での働く方々への支援についてお伺いをしたいと思います。

 障害者が地域で働く場の一つである就労継続支援事業所で働く方々も、コロナ禍で事業所の仕事がない、また、在宅でテレワークという方法も取りづらいケースが多いことから、やむなく休業を余儀なくされた方も多いと思いますが、この際、就労継続支援A型の場合は、障害者を含む労働者に対して一時的に休業等を行い、休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の対象となりますが、これに対して就労継続支援B型の場合は、職員は対象になるけれども、利用者は対象になりません。

 B型の場合は、利用者との間に雇用関係がないため、事業所側に休業手当支給の義務がなく、雇用保険でカバーすることができないわけですが、ただ、本人にとってみれば、自分は働いて給料を稼いでいるんだとの思いで毎日通っております。金額はお小遣い程度かもしれませんが、こういうコロナ禍であるとか非常時においては、こうした方々に対する賃金等の支援、そうしたものを是非考えていただきたいと思いますが、この点について御見解をお伺いします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、就労継続支援B型事業所などの障害者が働く場におきまして発注が減少しているなどの声を聞いております。

 就労継続支援B型におきます工賃につきましては、生産活動による収入の中から利用者に対して支払われるものでございますので、工賃が減少しないよう、生産活動が継続できるように支援を行っていくことが重要と考えております。

 このため、コロナの影響によりまして生産活動収入が大幅に減少している事業所に対しまして、新たな生産活動への転換、販路開拓等への支援を通じて事業所の生産活動を後押しする事業を、令和三年度補正予算により実施をしております。

 また、令和四年度予算案につきましても、事業所に対する経営改善やICT機器の活用のための支援などを行う事業を盛り込んでおりまして、生産活動に大きな影響が出ております事業所を積極的に支援をしたいと考えております。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症による影響を注視しながら、障害者の働く場や工賃確保のため、就労継続支援事業所の生産活動を支援してまいりたいと考えております。

角田分科員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今枝主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)分科員 失礼いたします。日本維新の会の吉田とも代と申します。

 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞ三十分間よろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、現在の新型コロナワクチンは、予防接種法上、臨時接種の特例と定められています。大人の場合は、接種対象者に対して接種勧奨が行われ、また努力義務の規定が適用されています。

 五歳から十一歳の子供への新型コロナワクチン接種については、先週、二月十日の厚生労働省予防接種・ワクチン分科会では、予防接種法上で定める努力義務の対象としないことが了承されました。

 そこで、質問です。

 日本維新の会は、本年一月十三日に、新型コロナウイルス感染症対策に対する提言第十弾を後藤厚生労働大臣に申し入れさせていただきました。この十弾の中で、五歳から十一歳の子供の接種努力義務を外すべきと述べています。日本維新の会としては、今回の努力義務を外すという決定を高く評価したいと思います。

 そもそも、努力義務を課すことと課さないこととでは、具体的に何が変わるのでしょうか。厚生労働大臣にお伺いいたします。

後藤国務大臣 予防接種を受ける努力義務の規定は、疾病の蔓延を予防するために可能な限り接種を受けていただきたいという趣旨に基づく、いわゆる訓示規定でございます。この規定に基づいて、直接な法的な義務や効果が発生するものではないものの、本人や保護者が接種の判断を行うに当たっての考慮要素の一つになり得るというふうに考えております。

 五歳から十一歳までの子供への新型ワクチン接種につきましては、緊急の蔓延予防のために実施する必要がありまして、今後流行する変異株の状況、有効性、安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況なども勘案して、総合的に判断しまして、特例臨時接種として実施することといたしました。

 ワクチンの有効性、安全性等に関する情報を丁寧に説明しながら、五歳から十一歳までの子供への接種を進めてまいりたいと思います。

吉田(と)分科員 後藤大臣、ありがとうございます。

 今の御答弁をお聞きしていますと、努力義務があるのとないのとでは、接種における手続論は余り変わらないのかなと思いました。

 そこで、私は、努力義務だけでなく、接種勧奨の仕方も考えるべきだと思います。そもそも、基礎疾患のない健康な子供に今回の新型コロナワクチンがどの程度必要なのか、真剣に考えなければならないと思います。

 お手元の資料を御覧ください。

 厚生労働省が出している、「五歳から十一歳のお子様と保護者の方へ 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」を読みました。

 新型コロナワクチン接種についてのお知らせの中で、こんな記述がございます。接種の対象として、「特に、慢性呼吸器疾患、先天性心疾患など、重症化リスクの高い基礎疾患を有するお子様は接種をおすすめしています。」とあります。

 では、具体的にどんな基礎疾患を指すのかといえば、次の資料を御覧ください。

 日本小児科学会のホームページには、この資料のように、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの高い疾患、十三項目の一覧が公表されています。

 つまり、ここに書いてあるような十三項目の基礎疾患を持っている子供とそうでない子供とでは接種勧奨の強さを変えるべきだと厚労省自らがおっしゃっているとも考えますが、その認識で間違いありませんか。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供に対する新型コロナワクチン接種につきましては、ワクチンの有効性、安全性に関する情報を踏まえまして、本人や保護者が安心して接種を受けられることが重要でございます。

 基礎疾患を有する子供については、厚生労働省の審議会において、ワクチン接種により新型コロナの重症化を防ぐことが期待されると、まさに御指摘のあった日本小児科学会から示されており、リーフレットにおいてもワクチン接種を特にお勧めしているところでございます。

 厚生労働省としては、基礎疾患を有する子供やその保護者に対しても、こうしたリーフレットを活用しながら、ワクチンの有効性、安全性に関する情報を丁寧に説明していきたいと考えています。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 厚労省の資料を読む限りは、基礎疾患を持っている子供により強く接種勧奨しているように思います。

 そもそも、私としましては、基礎疾患のない健康な子供が本当にこのワクチンを接種しなければならないのか、疑問に思っています。

 令和四年二月一日時点で、日本国内のこれまでの新型コロナウイルス感染症の全死亡者数は一万八千八百人であるのに対し、十歳未満の死亡者数はゼロ人、十代は四人です。このような状況であっても、後藤大臣は、基礎疾患のない健康な子供にも基礎疾患がある子供と同様に接種勧奨が必要だとお考えでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 接種勧奨につきましても、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会で御議論いただきました。その中で、現在オミクロン株がはやっておりますけれども、今後の別の変異株のこと、また諸外国における接種の状況、こういったようなことを踏まえまして、接種勧奨するということが適切ではないかという御意見をいただいているところでございます。

吉田(と)分科員 いろいろと心配されている保護者の方のお声を聞いています。

 オミクロンに限らず、全体的に子供に関しては死亡率や重症化は少ないと言える中で、重症化しやすいお子様にはより強く接種を勧奨していただき、そして、それ以外のお子様に対しては、御家庭で、保護者がお子様と一緒にリスクとそしてベネフィットをより自由に判断していただけるような、めり張りをつけた接種勧奨を厚生労働省にはお願いしたいと思います。

 また、子供へのワクチン接種については、アナウンスの仕方にも十分に注意をしていただきたく思います。

 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 新型コロナワクチンを接種された方には様々な副反応が報告されています。よくある症状としては、発熱、腕の痛み、腫れ、倦怠感などが知られていますが、接種後、何か月にもわたり様々な症状に悩まされている方の声もお聞きします。

 例えば、頭痛や吐き気が続いて通勤や通学ができない方、全身のしびれや発熱が続き日常生活に支障を来している方、また、記憶に障害が生じて学校の成績が急激に下がった方など、こういった方のお話を耳にすることがあります。接種直後に起こる副反応とは異なり、いわゆる後遺症のような症状が続いているように思います。

 厚生労働省としては、このような後遺症のような症状に悩まれている方々が存在することは認識されているのでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる状況については、副反応疑い報告制度によりまして常に情報を収集しておりまして、定期的に開催している審議会において評価が行われ、結果はその都度ホームページに公表しております。

 副反応疑い報告制度については、例えばアナフィラキシー等の接種後比較的短時間で発現する症状のみならず、副反応であることが疑われる様々な症状を幅広く対象として報告、公表をしているところでございます。

 御指摘のいわゆる後遺症のような症状についても報告は受けておりますけれども、今のところ、現状においてワクチン接種が原因と判断されたものはないというふうに聞いております。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 今、後藤厚生労働大臣から御紹介いただきました副反応疑い報告制度ですけれども、こちらは、予防接種については、接種後に生じる副反応を疑う症状を収集して厚生労働省の審議会に報告し、その意見を聞いて、予防接種の安全性に関する情報を提供するなど、接種の適正な実施のために必要な措置を講じる、いわゆるこれが副反応疑い報告制度だと言われています。

 現在では、この後遺症のような症状に悩む方というのは、医療機関を受診していろいろな検査を受けて、結果が異常なしとなれば、そのまま打つ手がありません。このような方々のサポートというのは受けられないままとなってしまいますが、このような後遺症のような症状に悩まれている方への対応について厚生労働省としてはどのように考えておられるのか、お教えください。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に対応するように、昨年二月に都道府県に対して通知を発出しておりまして、医療体制の確保を求めております。これを受けまして、現在、全ての都道府県におきまして、副反応であることが疑われる症状がある場合に専門的な医療機関を円滑に受診できる体制が確保され、また、接種を受けた方が相談できる窓口も各県一か所については整備をされております。

 引き続き、こうした医療体制の確保等を通じて、国民の皆さんが安心してワクチン接種を受けられる体制の構築に努めてまいりたいと思います。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 今、後藤厚生労働大臣の方から、自治体の方でしっかりサポートもしていただいているというふうに御案内いただきましたけれども、こういった自治体の窓口に実際に皆さんから報告が上がってきたときに、検査の結果で異常がなければ結局、その窓口がどこに、窓口、相談していっていいのかというのがたらい回しになっている状況が今ございます。

 医療機関や、企業、また製造販売業者ですね、からいわゆる後遺症のような症状について、この副反応疑い報告制度を通じて報告というのは上がってきているのでしょうか。

佐原政府参考人 御指摘の副反応報告制度に基づく報告は、医療機関から厚生労働省が所管しますPMDA、また企業等を通じてPMDAに、そして、そこで情報整理、調査をいたしまして厚生労働省に情報が来るという形になっております。

 また、その際の評価につきましては、厚生科学審議会で行われております。現在、約三週間に一回から四週間に一回程度、この審議会を開催いたしまして、個々の事例について評価、審査をしているというところでございます。

後藤国務大臣 先ほど、相談のできる窓口が一県一か所というふうに申し上げましたが、誤解がないように言い直しておくと、番号が一つで電話がつながるように、複数の電話で取れるように、相談番号を各県一つは持って、つくっているという意味ですので、補足答弁をいたします。

 診療受診以外にも、その後の相談等についてはそちらの方の窓口を開けているという趣旨でございます。

吉田(と)分科員 後藤大臣、ありがとうございます。

 接種してから一週間、二週間を超えても、長ければ半年から一年続くような症状について、困っている方がいるということをまず厚労省が認識していることが大切だと思います。

 今、このような症状で悩んでいる方、本当にたらい回しになっている現状があるんですね。初めてのワクチンでデータがない中、それぞれの医療機関が判断をして対応するということは難しいと思います。例えば集団接種の場合、問診、接種する医師と、それからかかりつけの医師が異なるなど、責任の所在も明確でない中、医師側としても、どのように対応すべきか、はたまた、どこまで報告するか、悩ましい点もあると思います。

 まずは、厚労省が積極的な姿勢を示していただきたいと考えます。医学界とも協力をして、そのような方々の声を拾うこと、また、リーフレットなどにワクチンでの後遺症のような症状があることも明記していただくことが、国民に対しての的確な情報提供だと考えます。

 その上でのツールの一つとして、医療機関に、積極的に副反応疑い報告制度も活用してデータを積み上げていただき、研究、分析していただけますよう、周知徹底もお願いしたいと思っております。

 中長期的なコロナ罹患後の後遺症についてはそれなりの知見はありますが、新型コロナワクチン接種後の中長期にわたる症状については、いまだ有効な対処法が確立されているとは言えません。厚生労働省として、是非真剣に受け止めていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、三点目の質問に入らせていただきます。

 新型コロナウイルス接触確認アプリ、COCOAについては、令和四年一月三十一日時点でダウンロード数が三千三百一万件となっています。令和三年七月三十日では二千九百十六万件と、半年間で約四百万件しか増えていないことになります。

 このCOCOAについては、安倍元首相が令和二年五月二十五日の記者会見で、人口の六割近くに普及すればロックダウンを避けることが可能となる効果が期待できると触れ込みをされましたが、この六割という数字は政府の目標であったと認識してよろしいのでしょうか。それとも、政府としては、現状のダウンロード数でも、COCOAに求められている機能は十分に発揮できているとお考えでしょうか。

後藤国務大臣 令和二年五月二十五日の会見におきまして、安倍元総理が、オックスフォード大学が発表したシミュレーションによれば、アプリが人口の六割近くに普及し、濃厚接触者の早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能となる大きな効果が期待できるという研究がありますというふうに述べておられると承知しています。

 あくまで、感染拡大防止につながることが期待される研究を紹介された、そして、ヨーロッパの一部の国で行われたようなロックダウンを日本が行わないという文脈の中でおっしゃったものだというふうに思います。

 接触確認アプリにつきましては、国民一人一人の同意と協力を得ながら御利用いただくものでありまして、普及に当たって数値目標を設定することがなじみにくいものだとも考えておりますが、できるだけ多くの方に御利用いただければというふうに思っておりまして、今後とも働きかけは続けていきたいと思います。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁で、六割近くという数字は研究事例ということで、政府側の目標としては特に設定はされていないということですけれども、より多くの方に登録をしていただくことでより効果を発揮するというのであれば、仮に人口の六割近くまで普及させようとするならば、約七千二百万件のダウンロード数が必要となります。現在の倍以上のダウンロード数が必要であり、現在のような半年に約四百万件増加というペースですと、約五年はかかる計算となります。

 政府としても、約五年もかけても構わないと考えていらっしゃるのでしょうか。それとも、ダウンロードを促進する方法を検討しているのでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 COCOAについては、人口の六割の普及などの目標は立てていないわけですが、その機能を十分に発揮するためには、御指摘いただきましたように、できるだけ多くの方にダウンロードいただくとともに、陽性となった方々の陽性登録件数を増やすことによって感染拡大防止につなげていくことが重要だと考えております。

 このCOCOAの利用者を増やす取組の具体的なところでありますけれども、例えば、イベント開催時などに、利用者へCOCOAの活用を促すよう主催者などに周知するとともに、COCOAの普及啓発のための広報を実施することで、更なる利活用を促進してまいりたいと考えております。

 また、陽性になった場合に陽性登録というのが必要なんですが、この陽性登録を増やす取組といたしまして、従来は、保健所職員がCOCOAの陽性登録に必要な処理番号を陽性となった方々に対してHER―SYSから手動で発行していたんですけれども、これを自動で発行するというふうに改修を行いまして、結果として、陽性登録件数もそれ以降大幅に増加しているというところでございます。

 引き続き、御指摘のように、COCOAの利用者を増やす取組、いろいろと続けていきたいと考えております。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 今、ダウンロードを促進する方法として更に周知徹底をしていただくということでしたけれども、今回のこのCOCOA、運用開始当初より、接触通知が多過ぎるというまず不具合があって、そして、システムを更新すると今度は接触しても通知されないという不具合があったりと、接触確認アプリの機能を成していない状態であったと言わざるを得ないと思うんですね。

 利用者サイドに立ったときに、このダウンロード数が現在ほとんど伸び悩んでいる中で、何を国民の皆様が懸念してというか、ダウンロードをされないのか、今その問題点を逆にお伺いしてよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 まず最初に、COCOAが、最初、作り込みをするときにうまくできていなかったりして、システムがトラブったということで、国民の皆さんに御迷惑をおかけしたことは大変に申し訳なかったと思っています。今は、そういう点については改良も加えられておりまして、国民の期待に応えられるシステムになっていると思います。

 このシステムがワークするためには、陽性になったときに確認を、やはりこれは自発的にしていただく必要があります。ですから、そういう意味で、お互いに感染を防いで、接触についてお互いに国民が知らせ合う仕組み、人の名前は分かりませんが、そういう仕組みとしていくためには、やはりその確認をきっちりとやっていただく必要もあると思いますし、そういう意味で、しっかりと、先ほど局長からも答弁いたしましたが、イベントなどで、皆さんが、少しそういうアプリみたいなものになじみの深い方たちが大勢集まるようなときにお願いをしたり、積極的に、できる限り多くの方に使っていただけるようにというふうに考えています。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 利用者サイドに立ったときに、やはりその反応が、通知があったときに、プライバシーが確保されているんだろうかという不安、本当にプライバシーが守られているんだろうかという点ですとか、はたまた、濃厚接触者として隔離されてしまうんじゃないか、こういった不安を懸念する点も伸び悩みの一つなのかなと思っております。

 この使用方法とか、そして個人情報についても丁寧に説明をしていくこと、そして、このアプリが自分自身の身を守る、そして安全、安心のためのアプリであるということを伝えていくことがまず大切なのかなと思います。

 昨年、九月にアップデートされて約四か月間も不具合が放置されていたという点、問題視されておりますけれども、厚労省さんとそして委託企業側との連携というのがうまく取れていたのでしょうか。そしてまた、感染者早期発見の成果と約四億円近い費用をかけての釣合いというのは政府として取れていると評価されているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 昨年来のシステムの不具合につきましては、厚生労働省とそれから委託先事業者との間の情報連携に不十分なところがありまして、国民の皆様方にいろいろと御心配また御迷惑をおかけしたところでございます。

 こういったシステムにつきましては、今修復しているところでありますけれども、委員から今御指摘ありました、例えば個人情報がどういうふうになるのか、これは、COCOAのサーバーがございますが、こちらの方で個々の個人情報を保有する、国の方で保有するような仕組みにはなっておりませんが、そういったことについても十分周知がなされていない可能性もあるかと思います。

 我々としては、COCOAについての正しい情報を流すことで、なるべく多くの方々に御利用いただきたいというふうに思っております。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 まず、プライバシーを守っていくというところ、そして御自身の身を守るアプリなんだということを積極的に勧奨していただくということと、それからあと、その開発それから保守、運用にかかった費用というのが約四億円近い費用と言われておりますけれども、先ほどもちょっと御質問しましたが、感染者早期発見の成果、今現状の成果とこのコストというのの釣合いは取れていると評価されているんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 COCOAのシステムにつきましては、御指摘のような費用をかけて開発また改修に努めてきたところでございます。

 これによりまして、三千万人超の方に登録いただくとともに、陽性登録件数につきましては、例えば本年一月では十五万二千四百七十四件の方々に登録していただいておりまして、引き続き、かけた費用にしっかり見合うような仕組みとして改修あるいは周知していくことが必要だというふうに考えております。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 このアプリというものも、世代間によってやはり利用率というのも異なってくると思うんですね。高齢の方というのは、やはり利用しづらい、慣れていないということもありますから、こういった利用に対する敷居をもう少し下げるというか、より利用しやすい方法をまず御紹介してあげるという点も大切だと思います。

 今、国民の皆さんが苦しい生活を強いられている中で、巨額な投資をして、感染防止対策と経済活動の両立を図ることを目的としたこのアプリが、様々な場面で活用できるツールとして、今後効果的な運用がなされることをお願いいたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

今枝主査 これにて吉田とも代さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山岡達丸君。

山岡分科員 山岡達丸と申します。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣におかれましては、コロナの大変厳しい中で、一線の中で、様々、行政の指揮をされていますことに心から敬意を表しながら、私、今日はいただいた時間でありますので、北海道選出なんですけれども、北海道だからこそ聞こえてくるといいますか、見えてくる幾つかの課題について質疑をさせていただきたいと思います。

 初めに、遠隔連携診療、この有用性について大臣にお伺いするわけでありますけれども、遠隔連携診療というのはオンライン診療の一つの形であると。コロナの中で、今、オンライン診療というのを広く厚労省全体で進めていただいているわけでありますけれども。

 この遠隔連携診療というのは、北海道でいえば、例えば、札幌の大病院の専門医がおられ、そして各地域のかかりつけ医とも、主治医ともおられますけれども、患者さんがそこに行ったときに、その地元のお医者さんと専門医とそして患者さん、この三者をオンラインで結びながら、様々、診断に当たっていくという考え方でありまして、特に、難病、専門性の大変高い病名のものに対して、やはり非常に大きな効果があるんじゃないかと私は思っております。

 二〇二〇年四月には、炎症性腸疾患、これもおなかの難病の一つでありますけれども、この遠隔連携診療が診療報酬の対象として定めていただくということで、様々、今厚労省の方でこの第一歩を踏み出していただいているという認識であります。

 北海道も大変広い地域でありまして、本当は患者さんが札幌に行かれるに当たって飛行機も飛んではいるんですけれども、おなかの大変不調だということもあって、そういう航空機に乗るのもなかなかはばかられる。自動車を使って、陸路を使って、何時間もかけて、五時間とかそういう時間をかけて、休みながら札幌に行く。こういう環境の中において、北海道だけではないんです、離島等も同じような課題を抱えていると思いますが、非常に重要な考え方、私は今後更にこうした診療のありようを広げていただきたいと思っておりますが、まず大臣の御見解を伺えればと思います。

後藤国務大臣 今、山岡委員から御指摘ありましたけれども、北海道のような広大な地域における難病患者の診療等に当たりましては、こうした患者の利便性を確保しつつ、適時適切に医療を提供するために、オンライン診療を活用していくということは非常に有効だというふうに考えております。

 そして、御指摘のあった遠隔連携診療につきましてですが、近隣の医療機関で診断が困難な希少性の高い疾患等、難病又はてんかんみたいなものですが、そうしたものに対して、かかりつけ医とともに専門の医師が遠隔地から情報通信機器を用いて診断を目的として診療を行った場合のみ算定されるということでございます。

 この遠隔連携診療の対象につきましては、御指摘いただいたとおり、令和四年度診療報酬改定において、関係学会の御意見等も踏まえて、知的障害を有するてんかん患者に対して、かかりつけ医とてんかん診療拠点病院等の医師が連携して治療を行う場合を対象に加えることといたしました。

 遠隔連携診療を算定する際に、連携する対象医療機関の拡大、難病においても治療の際にも診療報酬の対象に加えること等、いろいろな意味で、今後、関係学会の御意見を伺いつつ、引き続き考えていく課題だというふうに認識しています。

山岡分科員 ありがとうございます。

 大臣から、有用性というのをまた明言いただいたということ、そして、学会等のお話もしっかり聞きながら対応していきたいというお話をいただきました。

 その上で、北海道で具体的に取り組んでいる方がいらっしゃるということで、この具体的な中身は、先日、厚労省の方にお渡ししているので、大臣の元にも、お耳に届いているかもしれませんが、札幌医大の仲瀬教授という方、医局のチームの皆さんが、こうした難病の患者の診察を、オンライン診療の流れを受けて取り組んできて、昨年の四月から十二月までで三十六例、既に取り扱っておられるということであります。

 このチームは、実は、今、診療報酬の対象として広げているというお話をいただいているんですけれども、この診療報酬の対象にもなっておらず、国からも道からも支援を受けずに、ただ御自身の専門性、チームの専門性をしっかり北海道の中で活用していこうということで、この制度、オンライン診療を行っているというのが現状であります。

 といいますのは、いわゆる連携診療の対象になる病床が、対象になる医療機関が難病診療連携拠点病院のみということになっております。北海道では一つだけしか指定されていないんですけれども、ここは、札医大はその対象になっていないわけであります。しかし、専門性が大変高いという先生が、御自身、いろいろな工夫をして、独自に資金を集めて、三十六症例の対応をしてきたという状況であります。

 あわせて、仲瀬教授によれば、病名を決める段階、つまり初診の段階でこの遠隔連携診療は診療報酬の対象になるんですけれども、難病というのは、やはりその後の経過等をしっかり見て対処していくことが重要な中で、最初の段階でオンライン診療をしても、二回目、三回目と患者さんが地域の病院に行ったときに、そのときには地域のかかりつけ医の方はオンラインでやりたいと言っても、そこに診療報酬が専門医の方につかないということになってしまいますと、もちろん、医は仁術として、大変地域の福祉の向上のために皆さん頑張っておられるんですけれども、しかし、診療報酬できちんとそこを見ていかないとやはり長続きはしないということを、この仲瀬教授は指摘をしていただいております。

 是非、大臣、具体的な踏み込んだお話でありますけれども、いわゆる医療機関が限定されている現状、ここをまず拡大していただきたいということ。そして、この診療報酬の対象になるのも、病名が確定する最初の診断だけではなくて、その後の経過も、地域で安心して、医療を受けても専門医とつながれる、こういう環境をつくっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 先ほど遠隔連携診療料の定義につきましてはお話ししたとおりでありまして、その点から行きますと、例えば、診断を目的とした診療を行った場合のみというような限定等もついておりますけれども、遠隔連携診療を算定する際に、連携する対象機関の拡大とか、それから、難病においても治療の際に診療報酬の対象に加えることなど、今後の遠隔連携診療料の在り方については、関係学会の御意見も伺いつつ、引き続き検討していくということで考えさせていただきたいと思います。

山岡分科員 ありがとうございます。

 是非、私、具体的に申し上げましたけれども、人道上の観点からも、北海道、離島、そういう中で厳しく苦しい患者さんがおられて、そういう方にしてみれば、このオンラインという、この連携診療というのは、私は、極めて希望の光といいますか、大きな意義があることだと思っておりますし、この一歩を踏み出していただいていることについては、私は本当にありがたいと思っておりますので、是非、この事例を基に、またしっかり拡大の方に向けて検討していただきたいということを重ねてお願いをさせていただきます。

 あわせて、今度は、北海道全体の広域のオンラインの医療のことではなくて、地域医療のことについて少し伺います。

 北海道の室蘭市という町があるんですけれども、この室蘭市は、いわゆる国の法律、医療介護総合確保推進法に基づく地域医療構想において、人口減少で病床数が大変減少していくということが見込まれる、また、医師の確保、医療従事者の確保が大変厳しいということで、二〇一七年に、三病院の合併、統合という議論を進めてきました。しかし、これが、民間病院と公的病院ということで大きな注目もされていたんですが、この度、議論は凍結ということに至ったわけであります。

 まず、厚労省に伺いますけれども、この室蘭市の民間、公的病院の統合の議論、この経過を含めて、どのように認識されて、どういう分析評価をされているか、そのことを伺いたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の北海道の室蘭地域の事例は、異なる開設主体の三つの病院の間で、二〇一七年から今日に至るまで、関係者間でいろいろな協議が行われてきたと承知しております。ただ、現時点において進捗が見られない状況になっていると承知しております。

 一般に、医療機関の統合や再編を行う場合には、患者や住民の理解や協力が得られるか、また、病床機能を転換する場合には、転換後の機能に対応可能な能力を持つ医療従事者をしっかり確保することができるか、あるいは、既存債務が存在する場合には、その債務の整理をどうするかといった様々な解決すべき課題があると認識しております。

 そうした難しい課題を乗り越えていく必要があるわけですけれども、やはり、人口構造の変化、さらに、地域の医療ニーズが変わってきているということを踏まえますと、地域医療構想の取組を着実に進めることが必要であると考えておりまして、地域の実情を踏まえつつ、各地域において粘り強く議論を行っていただくことが重要であると考えております。

 国としましては、都道府県や医療機関等に対しまして、関係者の協議に資するデータの提供のみならず、地域医療介護総合確保基金による財政支援を特に積極的に実施して、地域の取組を後押ししてまいりたいと考えております。

山岡分科員 今、局長の方から、人口減少の中で、粘り強く議論を続けてほしいというお話がありました。

 しかし、いわゆる求められる医療のありようというのが、まさにコロナの中で大きく変わっているんじゃないかということも、これは考えなきゃいけないことだと思っているんです。

 大臣にまたお伺いしたいと思うんですけれども、人口減少のことについてのみを着目した地域医療構想なわけでありますけれども、今回、先ほど厚労省からのお話の中で多額の既存債務のお話も出ましたけれども、いわゆる公的機能を持つ公的機関が担う医療というのは、比較的採算性が取れない、取りにくいものを公的医療機関が持つというケースは多いと思っております。

 公的、民間というものの統合の議論の中でやはりそこが大きく壁になるという中で、コロナというのは、逆に言えば、平時は感染症に関する病床、病棟というのはそこまで活躍はしなくても、こういういざというときには必要となる、まさに公共性の高い、そういう病床、病棟なわけであります。

 その中で、やはり、地域医療構想のみならず、今、今回、新たな医療計画には、厚労省の方では、コロナなどの感染症への対応も含めよということを求めていく。一方で、地域医療構想では、病床数の減少を意識せよということを求めていく。これは、やはりきちんと整理して、きちんと示してあげないと、地域でこの話を、さあ、してくださいと言っても、これはなかなか進まないと思うんです。

 再整理と見直し、必要なんじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

後藤国務大臣 今般の新型コロナ対応では、北海道の室蘭地域の医療機関を始め多くの医療機関において、感染症患者の受入れや一般の患者への対応など、地域の医療提供体制の確保に重要な役割を果たしていただいていると認識しておりますし、私からも感謝を申し上げたいというふうに思っています。

 そして、質の高い効率的な医療提供体制の確保を図るためには、人口構造の変化を踏まえて、地域の医療ニーズに合わせまして、決して、ダウンサイジングをするとか、経営の統廃合をするということを目的としているわけではなく、地域の医療ニーズに即して地域の医療の機能の再編等を見ていくという地域医療構想の取組を着実に進めるとともに、今般の新型コロナのような新興感染症等の感染拡大時において機動的に対応できるようにあらかじめ準備を進めておくことが重要であるというふうに、これはもう御指摘のとおりだというふうに思います。

 このために、まず、地域医療構想につきましては、各地域におきまして、今般の新型コロナ対応等も踏まえて、しっかりと地域医療のニーズについて御議論をいただいた上で取組を進めていただくとともに、第八次医療計画から新興感染症等への対応を盛り込むこととしておりまして、感染拡大時において病床や人材の確保などが機動的に講じられるように医療を進めていく、そういう考え方でございます。

山岡分科員 今大臣からるる御答弁いただいたんですが、言うなれば、地域医療構想で求めていることに加わったわけですよね、コロナにも機動的に対応できるように議論をしてくださいと。しかし、この室蘭だって、市長が大変御苦労を重ねながら進めてきた、最終的には凍結になってしまっていますけれども。更にまた考えなければならないことが一つ増える。

 やはり、この現状を考えたときに、私は、国の役割といいますか、存在感をもっと発揮していただきたいと思うんですよね。全国津々浦々、各地いろいろ課題は違いますから、最終的には地域の議論なんだと思いますけれども、しかし、大きなテーマで、今、二つのそういう、人口減少とコロナということがある。これは難しい議題ですけれども、是非、厚労省の中で、大臣の下、ここは整理して、今もちろん厚労省もコロナのことを、これを何とかすることに当たっておられると思いますし、各自治体もそういう状況なんですけれども、その後必ずそういう議論の再整理の局面というのは私は必要だと思っていますので、是非こうしたことを考えていただきたいと思いますし、引き続き私もこのことについては質問させていただければと思います。

 ちょっと次のテーマに移るんですけれども、今度はクラスターのことについて少しお話を伺いたいと思います。

 北海道の苫小牧という町があるんですが、雪は少ないんですけれども気温は大変低くて、スケートとかそういうのに大変適した地域ということで、アイスアリーナ、アイスホッケー等の競技場も持っているところであります。このアイスホッケーのリンクで、昨年七月、競技大会では恐らく国内最大級、私もいろいろ調べた中では最大級とも見られる全国大会、アイスホッケーの、ここでクラスターが出る。そして、生徒はもちろんですけれども、教員、大会関係者、百五十人の、大変大きな、こういう状況が発生してしまった。

 その上で、さらに、今年一月には釧路でも発生して、デルタ株とオミクロン株の感染拡大状況を一概には比較できませんから、人数の一概な比較がいいのか分かりませんが、こちらは百六十六人ということで、屋内施設の、特にアイスリンクのこの状況というのが、非常にクラスター対策というのが悩ましいところであります。

 国立の感染症研究所も調査に入っていただいているという状況の中で、社会活動、スポーツ、これはしっかりやっていただく中で、しかし、クラスターの発生を抑えていくということが、この二つは極めて重要な、これも両方とも成し遂げなきゃいけないテーマだとは思いますが、大臣にお伺いしますけれども、この苫小牧のアリーナにおけるクラスターをどのように分析して、今後どのように対処、再発防止に取り組んでいくのか、お考えを伺いたいと思います。

後藤国務大臣 昨年、苫小牧で開催されたアイスホッケー大会において多数の新型コロナ感染者が発生し、北海道庁の要請を受けまして、厚生労働省クラスター対策班の現地支援チームを派遣して、感染経路の特定等の支援を行いました。

 チームの報告によれば、感染拡大の要因としては、健康記録の確認不足やアイスリンク周囲の換気不良が挙げられております。このため、この対策として、イベント主催者による二週間前からの健康記録の確認や換気の改善を求めるなどの提言を行っております。

 今後も、自治体からの要請等に応じて現地支援チームを派遣するなど、地域におけるスポーツイベント開催時の感染防止対策に貢献していきたいというふうに考えています。

 また、今、大会の開催等につきましては、それぞれ蔓延防止等重点地域の制限と、それから、それぞれ各地域の知事の判断、また競技団体の判断と、いろいろな形で開催等の判断はなされていると思います。

山岡分科員 大臣から今、開催等の判断は各団体等によるものというお話がありましたけれども、しかし、クラスターを発生させないということについては、厚労省のこれは極めて重大な使命だということは間違いないと思うんですね。ですから、判断を任せている以上、開かれる大会における発生防止ということについては是非存在感を発揮していただきたいと思うんですけれども、今日、スポーツ庁の皆様もお越しいただいているという状況であります。

 先ほど感染研の、大臣のお話もありました、国の感染研のお話もありましたけれども、確認不足もあった、あるいは換気不足もあったということの話があるわけでありますけれども、これは主催しているのは、苫小牧市も関わっているわけであります。ですから、苫小牧市は本当に何とか防ぎたいと思ってこれは開くわけですけれども、そういう指摘をいただいて、じゃ、今度開くときは、確認をするとか、何とかをするとかいうのは、また苫小牧市の独自の取組でいろいろやっていかなければいけないのかということで、現に今、大型のいわゆる扇風機というんでしょうか、換気のための扇風機とか空気清浄機、百六十五台程度入れるとか、こういう取組もしているわけでありますけれども。

 しかし、こういうのが必要だ、こういうのをやるべきというのは国の感染研が話を言う、あるいは大会開催のガイドラインも改定されるんだと思います。

 しかし、ここにかかるかかり増し経費とか、様々、人的にも物的にも、これは主催者側としては大変厳しい中でまた運営されるということになっていくわけであります。

 ですから、求めるばかりではなくて、開くということ、特にスポーツ庁は、大会開催、安全にしていくということについては、これは大いに応援していく立場であると思っておりますが、しかし一方で、しっかりとした支援、財政的な部分も含めた支援もこれはやっていっていただきたいと思うんです。

 これはスポーツ庁の皆様に、ちょっとこの辺り、是非こういう支援をしていくべきだという点についてちょっとお話をいただきたいと思います。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 スポーツ庁におきましては、令和二年度補正予算及び令和三年度補正予算におきまして、全国規模のスポーツリーグ等の主催者に対して、試合開催時における感染症対策や運営改善による感染症対策の徹底に係る経費を計上し、支援しているところでございます。

 具体的には、消毒液の購入や検温に係る人員の確保等の感染症対策の徹底に係る経費や、二酸化炭素濃度の測定等の技術を活用して人流を把握し、試合の運営改善などを行う際に係る経費等について支援をしているところでございます。

 引き続き、スポーツ庁といたしましては、各主催団体の要望を踏まえつつ、関係省庁と連携をいたしまして、必要な対応を行ってまいります。

山岡分科員 スポーツ庁さんに更に問うんですけれども、じゃ、新たにそこでも防ぎ切れない問題があったときに、更に必要な措置があったということになれば、これはしっかりと支援していくという考え方、これでよろしいんでしょうか、伺います。

大谷政府参考人 今、先生御指摘のとおりでございますので、必要な支援につきましては、関係省庁とも連携しつつ、支援団体の要望も踏まえて検討させていただきたいと思います。

山岡分科員 御答弁ありがとうございます。

 まさに、大会を開くということを安全にやっていただく上で、各関係者、努力を大変されている。それでもこういうことが起こってしまうわけでありますけれども、是非、スポーツ庁はスポーツ庁の役割を果たして、その中でそうした支援等もこれは大いにやっていただきたいということもお願いいたしますので、このことは、また具体的な事例をもって、今後いろいろあれば、また質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 残りの時間、少なくなってきましたが、最後のテーマを伺います。

 少しちょっとコロナの話からは離れるんですけれども、子供たちに対する虐待に関するお話であります。

 ここの部分も厚生労働省は所管されておられるので今回伺うわけでありますけれども、まさに、虐待という状況は、いろいろなケースもあると思うんですけれども、見過ごしてはならない、絶対この状況は放置してはならないという状況は、もう間違いない事実なわけであります。

 掲示させていただきますが、子ども虐待対応の手引きというのを厚生労働省さんは策定をされて、この中に、各関係団体の関係者が、児相の関係もそうですし、多くの関わる方々が、何をもって虐待を疑うべきかというようなことが書かれているということで、厚生労働省さんとしては、あくまでも参考文献の一つとして作っているというお立場なんでしょうけれども、しかし、皆様、現場で当たっておられる方は大変お忙しいですから、少なくともこのマニュアルに書かれていることは、かなりこれを徹底的にやろうという思いを持っておられます。

 しかし、いろいろお話を私も伺いましたら、これは策定されたのが平成二十五年ということなんですけれども、この中に、いわゆる脳神経外科医、子供が頭を何かけがをしたときに、その症例をどう見るかということについての知見を持った方が執筆に深く関わっておられないということで、二〇二〇年四月二十日付になりますけれども、これは、日本脳神経外科学会と日本小児神経外科学会のそれぞれの理事長が連名で、当時の加藤厚生労働大臣に申し入れるということがあったんですが、この虐待対応の手引に脳神経外科医の知見、意見が十分に反映されるように取り計らっていただきたいということを申入れをされておられます。

 これは二〇二〇年四月なんですけれども、このとき、コロナのタイミングともいろいろ重なったということもあるんですけれども、その後、関係者は、この申入れの状況が一体どういうふうに取り扱われているのかというのがちょっと聞こえてこないということのお話、私のつながりある、そういう脳神経外科の皆様からお話もいただきました。

 せっかくの機会なので、この申入れの取扱いは今どうなっているのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 厚生労働省としては、子ども虐待対応の手引きの乳幼児頭部外傷に関する記載、今話題になっておりますSBSに関わる問題でありますけれども、脳神経外科分野も含めて、医学における最新の知見や関係学会の議論の動向等を十分に踏まえることが重要であるというふうに認識をいたしております。

 このため、脳神経外科の医師を含めまして各分野の有識者に委員として入っていただきました、乳幼児頭部外傷に対する児童相談所の対応等の実態について分析する調査研究を、令和二年度から実施しています。

 引き続き、脳神経外科の医師等の知見を伺いながら対応していきたいというふうに考えております。

山岡分科員 令和二年度のいわゆる児童相談所への調査の中には、脳神経外科医の皆様、加わっていただいているんだというお話でありました。

 子ども虐待対応の手引きも、いずれ改定の時期が来ると思うんですが、これは大臣含めて伺いますが、一応この申入れは、この手引に我々の知見を反映させていただきたいということなんですけれども、自然な流れでいけば、現在の調査にも脳神経外科医の皆さんが関わっていただいているということでスタートしているわけでありますから、そうした手引を改定するに当たっても、当然今まで以上に関わっていただくということが自然に導き出される回答だと思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 虐待対応の手引の改正に向けて、脳神経外科による知見が重要であるという委員の御指摘はそのとおりだと思います。

山岡分科員 ありがとうございます。

 これから具体的な改定がもしされるのであれば、具体的な手法は検討されていくんだと思いますけれども、今の大臣の御発言は大変心強く思っております。

 まさに医学的見地から、これは虐待を見過ごしていいわけではないですし、一方で、虐待ではないような症例を虐待と認定してもいけないという大変難しい問題なので、是非、そうした関係者の役割というものの重要性、今御発言いただきましたけれども、それを踏まえて対応いただきたいと思います。

 厚労省に最後伺いますけれども、この子ども虐待対応の手引きは、平成二十五年改定ということで、もう十年近くになろうとしております。時代も変わればいろいろな状況も変わっているところだと思いますが、この手引の改定というのは速やかにやはり進めるべきだと思いますが、今、お考えはどういう状況でしょうか。

今枝主査 橋本子ども家庭局長、時間が来ていますので簡潔にお願いします。

橋本政府参考人 はい。

 御指摘のとおり、この手引につきましては、平成二十五年に改定され、八年を経過しているわけでございます。その間、様々な法制度の変更等もございますので、その見直しの必要性ということは認識しております。

 御指摘の乳幼児頭部外傷の記述につきましては、調査研究事業の成果ですとか、あるいは関係学会等の動向を踏まえる必要がございますし、また、手引全体の見直しについては、今回の通常国会の方に提出を検討しております児童福祉法の制度改正の内容等も含めて考える必要がございますので、手引の改正をどのように進めていくかにつきましては今後十分検討してまいりたいと思います。

山岡分科員 質問を終わります。御答弁、様々ありがとうございました。

今枝主査 これにて山岡達丸君の質疑は終了いたしました。

 次に、山岸一生君。

山岸分科員 東京都練馬区から参りました山岸一生です。

 新人らしく元気よく質問してまいりますので、今日ラストバッターで、後藤大臣始め厚労省の皆さんもお疲れかと思いますけれども、あと三十分、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今回初めてこの予算委員会での質疑の機会をいただきまして、改めて、国会質疑は何のためにあるんだっけということをよく考えました。というのが、私自身、元々新聞記者を長らくやっていまして、記者時代には、国会審議が形骸化している、こういうふうな記事をさんざん書いてきた立場でございます。そんな自分が議席をお預かりして質問する立場になりまして、改めて国会審議の意義というものを考え直すところがありました。

 正直、野党の一年生議員の私がいきなり後藤大臣に、どうですかといろいろ提案をしても、はい、分かりましたということはなかなか難しいんだろうなというふうにも思います。そういった中で、野党の若手の議員として、こういった貴重な質疑の場をお預かりしてできることは何だろうか。一つは、自分が地域を回ってお伺いをしている現場の声、一つ一つの現場の声を丁寧に伺って、その声をお届けしていく、なかなか政府には届きにくいような一つ一つの声をお届けしていく、そういった中で、政策が少しでも現場にとって使いやすいものになるように変化を促していく、そういう仕事なのかなというふうに自分なりに整理をいたしまして、今日は質疑に臨んでいきたいというふうに思っています。

 その点でいうと、この分科会という場は、私は非常に意義の大きい場かなというふうに思っています。というのが、やはり予算委員会といいますと、これはその時々の大きなニュースであったり注目されている事柄というのを議論することが多い。しかし、社会全体幅広く見ますと、そういう大きなニュースにはならないけれども、地域で様々な方々が努力をして取り組んでいらっしゃるという社会課題もたくさんあるわけです。まさに、こういう分科会だからこそ、そういう草の根の現場の声を取り上げる貴重な機会だろうと思います。なので、今日は、こういう視点から、私、地元は東京都練馬区でございますけれども、地域を歩いて伺ってきた声を基に質問していきたいと思っております。

 三点お伺いしてまいりますけれども、全て子供に関わる問題でございます。児童相談所の話、そしてコロナに伴う保育園の休園の話題、さらにはそれに伴って仕事を休まざるを得ない保護者の皆さんへの支援の問題、いずれも子供そして子育てに関わる話題でございます。

 私自身、四十歳ですが、私自身はまだ子供を授かってはいないんですけれども、やはり、子育て世代に属する者として、この世代の声がなかなか今政治には届いていないなという実感がございます。こういったふだんなかなか話題に上らないような声もしっかり届けていきたい、そう思っています。

 最初に、児童相談所のことからお尋ねしていきたいというふうに思うんです。

 先ほどちょっと予算委員会のことを申し上げましたけれども、やはり、予算委員会もそうなんですけれども、今、日本の現状ですと、児相の話というのは、不幸にして子供さんが命を落とされるというふうな悲しい事件、事故があった場合には、予算委員会ですとかあるいはメディアも含めて大きな議論になるわけなんですけれども、日頃、行政の現場がどういうふうな努力をされているのか、今どういうふうになっているのか、問題の重要性に比べて、必ずしも日々の注目というのは大きくないんだろうと思います。私も、かつて報道の世界にいた者として、半ば自戒を込めて思うところでございます。まさに今この瞬間も、本当に自治体の現場では必死な努力をされております。

 今、東京都内におきましては、児相の設置というものが、開設、新設ラッシュを迎えております。平成二十八年、二〇一六年の法改正によりまして、中核市、特別区においても児相の設置が可能となり、東京に関して言いますと、二〇一九年、世田谷区で特別区立の第一号の児相がスタートして、既に世田谷、江戸川、荒川、港の四区では始まっていて、この春には中野、板橋でも設置をされるということでございます。

 これは、平成二十八年の法改正で児童福祉法に明記をされた、子供の権利、児童の権利を守るという考え方の下、地域の子供は地域で守るという考え方から自治体の現場で懸命な努力をされているものだと承知をしています。

 ここでまず、大臣、国の基本姿勢をお聞きしたいというふうに思うんですけれども、今、特別区や中核市がそれぞれ自前で区立あるいは市立の児相、児童相談所を設置する、このことが相次いでいますけれども、国としても、こういった新設を支援していく、この方針に変わりはないんでしょうか。区立、市立の児相ができることでどういうふうなメリットがあると考えているのか、まずお願いいたします。

後藤国務大臣 特別区や中核市における児童相談所の設置については、今委員から御指摘あったように、平成二十八年の児童福祉法等の改正附則で、その設置に係る支援やその他の措置を講じるとした上で、令和元年の改正法附則でも、その整備や職員の確保、育成の支援等、措置を講ずるということとされております。厚生労働省として、設置を希望する区や市を支援する方針に変わりはありません。

 それから、お尋ねのメリットについてですけれども、より身近な地域で、子育て支援から虐待対応まで切れ目のない一貫した対応を行うことができる、これが児童相談所設置のメリットだというふうに考えます。

山岸分科員 お答えいただきましたように、子育て支援から虐待対応まで一貫して地域で対応していくということがメリットだということで進めてきた議論でございます。

 ちょっと東京に絞って少しお話を進めたいと思うんですけれども、制度上は東京二十三区と中核市というのは同じ位置づけになりますので、分かりやすく東京のことに絞ってお話ししますけれども、全国的に同じ構図であるということでお聞きいただきたいというふうに思います。

 東京特別区二十三区への児相の設置というのは、長年、地域の議論のテーマ、懸案でございました。この二十年近くの間、東京都と特別区の間では、区への児相の移管というものが議論をされてきました。もちろん、これは一義的には都と区の話ではあるんですけれども、国としても、先ほど大臣からも御答弁いただいたような理由で設置を促してきたという側面がございます。

 しかし、今、自治体の中にも温度差が出てきている状況でございます。かつて、特別区長会そろって児相の区移管を求めてきて、今、二十三区のうち二十二区は児相をつくりたいという意向を持っています。一方、私の地元である練馬区ではつくらないという方針なのでございますけれども、残り二十二区については、準備ができたところから区立の児相をつくっていく、今はそういう移行期に入っておりまして、ある区では都立の児相が見ている、隣の区に行ったら自前の区立の児相がある、こういうふうなまだら模様の配置に今はなっております。

 これというのは行政側の事情であって、実際に支援を必要としている子供たちには関わりのない話でございます。児相が区立であるか都立であるかということで、あるいは中核市立であるか都道府県立であるかということによって子供たちへの支援に差が出ることはあってはならないと思います。こういったことに差が生じないように国としてどういうふうなチェックを今行っているのか、教えてください。

橋本政府参考人 特別区や中核市が児童相談所設置市に移行する場合には、国としては、その区や市を政令におきまして指定するということが必要でございます。

 その区や市が児童相談所設置市に移行するに当たりましては、地域住民にとって不都合が生じないように配慮する必要がございますので、政令指定の際には、都道府県同様の子供への支援が可能かどうかということを私どもとして確認するということにいたしております。

 もう少し具体的に申し上げますと、厚生労働省におきまして、希望する区や市において、子供への支援に当たって十分な人的体制や施設が確保されているかどうか、それから、一時保護や児童福祉施設への入所、専門的な相談対応が円滑に行われるように都道府県との連携体制ができているかどうか、それから、希望する区や市と都道府県が十分に協議して、移行後も連携した対応が可能かどうか、こういった点を確認させていただいているところでございます。

山岸分科員 国としてのチェックをしているということなんですけれども、書面のチェックももちろん大事なんですけれども、やはり、実質的な内容ということが大事になってまいります。

 この児相の移管の本来の目的というのは、子供たちを守るということであります。どこが設置主体になるかということによって子供への対応に差があってはならない。そういう中で、一つちょっと具体的なポイントをお伺いしていきたいと思います。

 私、都道府県立と中核市立あるいは特別区立、この設置主体によって何が違ってくるか。一番違うのは、やはり、一時保護のケースだというふうに思います。東京都特別区の場合ですと、一時保護所を自区内に設けるか、東京都内全域で、都内八か所、一時保護所がありますけれども、都内全域で処遇をしていくのかという違いが出てまいります。

 これは、いろいろなケースがあるというふうに思います。確かに、集団での非行事案のように、あえて地域とのつながりから遠くに離すことがいいというふうなケースももちろんあります。しかしながら、学校に通いながら、地域とつながりながら一時保護を受けた方がよいという子供さんもいらっしゃる。実際、数の上では、こちらの方が多いんだろうというふうに思います。

 私は、法にうたわれた子供の権利を守っていくためにも、できる限り暮らしや学びを継続できるように特別区内あるいは中核市内で一時保護をして、本当に身体的な危険が懸念をされる場合には、これはもちろん都道府県が広域調整して子供の命を守る、こういうふうな整理をすることが望ましいというふうに私は考えております。

 そこで、この一時保護の在り方に関してお聞きしたいというふうに思います。

 中核市や特別区が児相を設置して、そこに一時保護所をつくれば、市内、区内での対応ということが基本になり、子供の生活環境をできるだけ変えずに処遇していくという点からは望ましいと考えられますけれども、国として、市内、区内で一時保護を進めていくためにどういった支援策を取っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘いただきました一時保護におきましては、児童相談所の設置主体を問わず、子供の最善の利益のために、安心、安全な環境で適切なケアが提供されるということが大事でございます。

 子供が身近な地域において家庭的な環境で生活できるように、一時保護所の整備はもちろんでございますけれども、それ以外にも、里親とか児童福祉施設等に対する一時保護の委託ということも併せて進めさせていただいております。

 それで、生活圏が異なる場所に一時保護された場合に特に課題として指摘されているのが学校への通学でございますが、通知におきまして、元の学校に通学させることを原則とするとともに、令和四年度予算案におきましては、一時保護所等から元の学校への送迎費の補助ということを新設することにいたしました。

 市とか区の児童相談所が一時保護を実施する場合におかれましても、子供の生活環境を可能な限り維持できるように、今申し上げたようなこれらの支援策を活用いただければというふうに考えております。

山岸分科員 元の学校への通学が原則であるということを支援していくという立場でございます。子供たちの生活環境を守っていく、サポートしていくということが大事でございます。繰り返しになりますけれども、中核市や特別区ができるだけ自前で児相を持てるように応援をしていく、支えていくというのが、私は国としての一つの姿勢ではないかなというふうに思います。

 大臣、通告しておりませんけれども、今の一時保護の在り方の点も含めて、やはり、地域の中で子供たちを守っていくんだ、こういうふうな取組が望ましいというのが私の立場でございますけれども、国のお考えがあると思いますが、大臣、もし何かお考えがありましたらお伺いいたします。

後藤国務大臣 先ほど申し上げたように、生活圏が異なる場所に一時保護された場合でも、指摘されている学校への通学なども、元の学校に通学させることを原則とするとともに、一時保護所等からの元の学校への送迎費の補助を新設するなど対応しておりまして、そういう意味では、子供の生活圏あるいは子供の地域に対する一体感、そうしたことは重要であるというふうに思っています。

山岸分科員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 一つ飛ばして次のテーマに行きたいと思うのでございますけれども、まさにこういった今、児相を新設、開設していこうという取組の中で、現場で今非常にネックになっているのが児童福祉司の人手不足ということでございます。

 国が今、五千人を超えて増員していこうというプランを策定しておられまして、来年度末、二〇二二年度末が目標年度になっていたかと思いますけれども、これは厚労省さんにお聞きしたいと思うんですけれども、現在の達成状況を教えてもらえますか。

橋本政府参考人 児童相談所の体制強化につきまして、児童虐待防止対策体制総合強化プランというものがございます。俗に新プランというふうに呼んでおります。この中におきましては、児童福祉司を二〇二二年度までに約五千二百六十人の体制とするということを目標としておりました。

 児童相談所における児童虐待相談対応件数の増加ですとか、自治体の増員状況等を踏まえまして、この新プランの目標につきましては、目標達成を一年前倒しということで行いました。

 その結果、二〇二一年の四月一日現在の児童福祉司の数というのは、今年度中に任用予定の方も含めまして、目標をおおむね達成する人数である五千百六十八人ということになってございまして、これは二〇一七年度と比べますと千九百三十三人増加するということになります。

 また、児童相談所における児童虐待相談対応件数が増え続けているということで、令和四年度におきましては、児童福祉司につきまして、新プラン当初の目標から更に五百五人を増員いたしまして、約五千七百六十五人の体制とすることを目標とさせていただいております。

山岸分科員 ありがとうございます。

 目標を一年前倒しで達成するということでございます。これ自体は歓迎したいなと思うんですけれども、しかし、じゃ、足下でどういうことが起きているかというと、本当に人手不足の悲鳴が起きています。東京都内でも、特別区が新設の児相をつくろうと思っても人手が集まらないということで、計画を後倒しをするということが今相次いでおります。

 全体として数は想定以上に足りているんだけれども、必要なところに適正な人材が配置できていないという現状でございます。とりわけ新規の場合ですと、やはり自治体の内部における職員の配置転換あるいは研修等々、様々な課題が出てきております。全国の総数で見れば有資格者は足りているんだけれども、質が高い人材を、特に新規で開設をする児相が確保できる、そのための国としても、私は支援が必要なんだろうと思います。

 これから先、今あらわになっている人手不足ということも踏まえて、児童福祉司の確保、育成に向けて、とりわけ新設の児相への配慮という点も含めて、国がどういうふうな支援を行っているのか、教えてください。

橋本政府参考人 児童虐待の相談件数が増加いたしまして、子育て世帯が抱える問題が複合的かつ困難化するという状況の中で、児童相談所におきましては、対応する児童福祉司等の人数の確保ということはもちろんでございますが、その育成、質の向上ということも、併せて大変重要なことでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、区や市を含めまして児童相談所の設置を予定している自治体に対しまして、一つは児童福祉司等になる人材の採用活動に係る費用、それから児童福祉司の任用資格の取得のための受講料等、それから現場で働く児童福祉司等の質の向上のための研修に係る費用、以上申し上げたようなものにつきまして補助を行うなど、様々な形で支援をさせていただいておりまして、引き続き、児童相談所における人材の確保や育成、質の向上といったことに私どもとしても全力で取り組んでまいりたいと考えます。

山岸分科員 御答弁ありがとうございます。

 是非とも、地域の子供は地域で守るという考えの下に動き始めている自治体に対しては、それが実現できるように支援していくのが国の責任だと思います。引き続き子供たちのためにも息の長い支援を求めていきたいと思いまして、次のテーマである保育園の休園について移っていきたいというふうに思います。

 私も、今朝も駅前でお話をしておりましたらば、やはり保護者の方からこの問題、非常に心配な声が今日もありました。コロナ、特に第六波においては、大変子供さんへの感染が多いという中で、保育園の休園が非常に増えている。

 私、せんだって、今月三日の議運委員会でこの問題を取り上げまして、山際大臣から御答弁いただいたのでございますけれども、保育園の休園について何らかの基準が必要ではありませんかとお聞きしましたところ、基本的に基準というのはなじまないんだ、今の仕組みが機能しているんだ、こういう答弁でございました。そうなのかなと思いつつも、少しひっかかったものですから、私も、それから二週間、地域を歩いていろいろお話を聞いてきました。

 保育園の現場、こういう声がございます。園が板挟みになっているということなんですね。保護者はやはり、ニーズとしてはぎりぎりまで開園してもらいたい。一方で、園の方で保健所に問い合わせれば、それは閉園してください、休園してくださいという話になる。非常に保護者のニーズと感染防止の要請との間で板挟みになっている。

 あるいは、保育園の園医を務めていらっしゃる地域のお医者様、ドクターにはこんなことをお聞きをいたしました。感染者が保育園で出てしまうと、保健所に園は問い合わせる。そうすると保健所は、園医に聞いてくださいという話になる。園医の先生というのは地域のお医者様ですから、毎日毎日、発熱外来あるいはワクチンの接種でてんてこ舞いになっているところに、更に、保育園どうしましょうかといって時間を割かれて、本当に疲弊していらっしゃるというふうなお話もありました。

 こういったお話を聞くにつけ、保育園の休園については、全て現場にお任せをしますということではなく、基準という言葉がふさわしいか分かりませんが、やはり何らかの目安なりガイドラインというものが私はあった方がいいんじゃないかなと改めて思いを強くしています。

 実際、二月四日の衆議院予算委員会では、感染症研究所所長の脇田先生も、学校、保育園などの休校、休所は最小限にすべきだが、その基準も明確にしておく必要があると考えている、こういうふうにおっしゃっています。

 こういったことが影響したのかどうか分かりませんけれども、おととい厚生労働省が新しい通知を出したというふうに伺っております。これは、まず内容、保育所の休園に関しての考え方、どういうふうな通知なのか、教えてもらえますか。

橋本政府参考人 保育所は、社会機能を維持するために事業の継続が求められてございますので、従来より、感染予防に最大限配慮しながらも、原則開所するということをお願いしてきたところでございます。

 一方で、こうした考え方につきましては、これまで発出してきました事務連絡において必ずしも統一的な考え方になって、言えない面もちょっとございましたので、二月十五日に、今般のオミクロン株の特徴を踏まえた感染症対策の内容を現場に周知するのに合わせまして、感染者発生時の休園の考え方を改めて整理してお示しをしたものでございます。

 その考え方でございますけれども、一つは、休園の判断というのは、保育の実施主体である市区町村が、地域の感染状況や保育の提供状況等を踏まえ、都道府県の保健衛生部局と連携して行うこと、それから、休園する場合でもできる限りその範囲と期間を限定するようにすること、それから、休園する場合も代替保育を実施するなど地域の保育機能を維持できるようにすること、こういったことをお示しさせていただいております。

 具体的な休園の基準や運用ということにつきましては、こういった国の方からの考え方を踏まえて、引き続き各市区町村の方で判断するというふうになります。

山岸分科員 これまでの通知を更に見直して、これまで必ずしも統一的なものとは言えなかったというふうな若干の反省を込めてのお話だったかと思います。

 確かに、これまでの通知ですと、園に一人でも出ればすぐに全面休園だというふうに現場では読まざるを得ないような内容だったというふうにも、現場の声も聞いております。やはり、政府の方で明確なメッセージが大事だということは厚労省も御認識だからこそ、今回の通知になっているんだろうなと思います。

 ここ、ちょっと大臣、これも通告しておりませんけれども、もし御所感があればと思うんですけれども、これまで、どうも基準が統一的ではなかった、明確ではなかったということで、現場にかなり御負担をかけた面があったのではないだろうか。足らざるところを認めて今回修正をされたということなのであれば、大臣からも一言、国民あるいは保育園の現場の皆さんに対して、おわびとは申しませんけれども、この間の経緯、丁寧な御説明があってよろしいかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 先ほどちょっと委員から御指摘のあったのは、学校の休校等に関わる、教育の現場の休校等に関わる条件を引いて、そういうことなのではないかというふうに考えておられたということかもしれません。

 従来から厚生労働省は、原則開所するようにということで、これは社会機能を維持するために、事業の継続、エッセンシャルワーカーの皆さんを支えるためにも必要だ、そういう認識を持っておりました。

 従来から、理屈を余り言うつもりはありませんけれども、保育の実施というのは児童福祉法に基づく市町村の責務でありまして、保育所は保育を提供する福祉施設ということなものですから、それは、設置者であるそれぞれの市町村が、実施主体として、休園の判断についてもしてもらうべきだということでございました。

 しかしながら、考え方を整理すべきだろうということで、先ほど局長からもお話をさせていただいたように、できる限り限定的なものになるように、都道府県の保健衛生部局と連携しながら、地域の感染状況や保育の提供状況等を踏まえて判断をする、休園する場合も代替保育については支援も行うというようなことでお示しをしたところです。

 我々としては、制度上の原則は制度上の原則として、やはり、社会機能を支えるエッセンシャルワーカーのこともございますし、そういう意味で、社会的機能を支える保育園の特別な役割を踏まえてこのようにさせていただきました。できる限りルールを明確に、的確に国民にお知らせをする必要があるというふうに考えています。

山岸分科員 御答弁ありがとうございます。

 大臣からもちょっとおっしゃってもらったように、学校に関しては、一応、数字を出しての基準、ガイドラインというものがございます。一クラスで二人出れば学級閉鎖、学年で二クラス閉鎖になれば学年閉鎖、こういうふうな順を追った基準があって、もちろん、それが全て保育園に、私は当てはまるとは当然思いません、全く違いますけれども、しかし、幼稚園、小学校、中学校でこういった一定のガイドラインを持ってやっているという中にあっては、やはり、保育においても参考になる部分はあるんじゃないだろうかというふうに思います。

 今回、おととい新しい通知を発出されましたので、是非ともこれが現場でしっかりと運用に生かされるような形での周知徹底というものをお願いをしたいと思います。

 そして、この保育園の休園とも関連しますけれども、最後のテーマであります保護者の皆さんへの支援というところについて伺っていきたいと思います。

 今、小学校休業等対応助成金あるいは支援金、二つの制度がございます。名前は小学校となっていますけれども、もちろん保育所も含まれるわけでございます。これは、事業として、昨年三月までの、第一期と言えばいいですかね、第一期と、去年八月から今に至るまでの第二期というふうに分かれているわけですけれども、厚労省、それぞれ、今、実情、申請件数、そして支給決定件数、支給決定金額、教えてください。

山田政府参考人 先生が今、第一期というふうに言われた分、令和四年二月十日現在で、小学校休業等対応助成金の方、申請件数十七万九千三百件、支給決定件数十六万二千九百七十五件、支給決定金額六百三・七億円、それから、小学校休業等対応支援金の方は、申請件数三万三千四百件、支給決定件数二万七千六百二十七件、支給決定金額五十六・一億円となっております。

 第二期と言われた分については、令和四年二月十日時点で、先ほど申し上げた助成金の方については、申請件数一万三千七百件、支給決定件数は九千八百七十三件、支給決定金額は九・八億円、それから支援金については、申請件数二千四百件、支給決定件数千百二件、支給決定金額一・一億円となっております。

山岸分科員 四つに分けてお話しいただきましたのでまとめますと、私、第一期と申し上げましたが、昨年三月までの分で手元に届いているのが、足したら六百六十億円ですね。第二期の分、昨年八月からの分は、足したら十億円余り、十一億円というふうな数字になります。随分開きがございます。もちろん、前半の部分には、当然、おととしの一斉休校の分が入っておりますから違いがあるのは当然なんですけれども、今も休校というのは日に日に増加しておる状況で、これから数百億円規模の恐らく申請になってくるんだろうと思います。

 というときにちょっと気になるのが、支給決定率が低いということなんです。今お話しがあった助成金の方で申しますと、去年までの第一期の方は支給率九〇%、八月以降の第二期だと六八%。さらに、支援金の方になりますと、第一期の方が八二%、今に至る第二期は四五%。非常に低くなっております。とりわけやはり、支援金というのはフリーランスの方々の方ですよね、こちらの方が圧倒的に数字が低いという状況になっております。もちろん、今現在審査中だからということはあると思うんですけれども、やはり支援が必要な方には迅速に届けていくということが大事になってまいります。

 今、この支給率が低いなという状況、原因をどういうふうに分析されているのか、さらに、改善できる点はあるのかどうか。大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 小学校休業等対応助成金、支援金の申請件数と支給決定件数の差については、山岸委員御指摘のとおり、大きな差、今のところあるわけですけれども、そのほとんどは支給に向けた審査等の段階にあるものと考えております。現在、順次審査を進めているところで、上がってくると思います。

 スムーズな審査、支給決定に向けましては、申請書類の不備をあらかじめ減らす努力も必要でありまして、このため、申請者が書類を準備しやすいように、令和二年三月に本制度を創設して以来、申請書類の削減、簡素化、金額等が自動計算される様式への見直しなど、順次見直しも行っていっております。

 今年度も、申請に必要な書類を分かりやすくするために、厚生労働省ホームページに掲載している申請の手引やQアンドAを随時見直すなど、スムーズな審査、支給決定に向けた取組を順次進めております。

 引き続き、迅速な支給に努めてまいります。

山岸分科員 改善をされているということでございます。

 しかし、実際に地域を歩いていますと……

今枝主査 山岸君、時間が過ぎておりますので、終わってください。

山岸分科員 あの制度使いづらいよねという御意見が大変ございますので、是非とも、今あるイメージをもっともっと使いやすいものに変えていく、積極的な発信もお願いをして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

今枝主査 これにて山岸一生君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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