衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 牧原 秀樹君

      大岡 敏孝君    土屋 品子君

      根本  匠君    深澤 陽一君

      松本  尚君    後藤 祐一君

      阿部  司君    漆間 譲司君

   兼務 宮路 拓馬君 兼務 石川 香織君

   兼務 岡本あき子君 兼務 鎌田さゆり君

   兼務 寺田  学君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        北波  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 岸本 武史君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  土屋 品子君     深澤 陽一君

  阿部  司君     漆間 譲司君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     勝目  康君

  漆間 譲司君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     松本  尚君

  足立 康史君     和田有一朗君

同日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     土屋 品子君

  和田有一朗君     阿部  司君

同日

 第三分科員石川香織君、寺田学君、第四分科員宮路拓馬君、第六分科員鎌田さゆり君及び第八分科員岡本あき子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

牧原主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。深澤陽一君。

深澤分科員 おはようございます。自由民主党の深澤陽一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 冒頭、まず一点目でありますが、経腸栄養コネクターの継続と半固形栄養剤、ミキサー食についてということでありますが、この経腸栄養コネクター、旧規格というものの継続に関しましては、ちょっと私も今日緊張しておりますが、当初から、私が議員になった三年ほど前からこの問題に取り組んでおりますが、今、御出席されています根本予算委員長には、議員連盟を始め、様々な機会をいただいて御助力をいただいて、今この事態が進展しているということで、心から感謝し、まず報告をさせていただきたいと思っております。

 この問題、経腸栄養コネクターに関しましては、誤接続防止の観点から、厚生労働省として、旧規格から新規格、ISO規格への切替えを平成二十九年十月に決定し、通達を行いました。その後、平成三十年三月に新たに通達を出され、二〇一九年十二月以降に新規格製品を出荷することが望ましいということと、旧規格は二〇二一年十一月末までということを示されました。

 この誤接続防止のための経腸栄養コネクターの新規格への切替えは、医療現場で様々な治療を受けて、特に複数のチューブを治療に使用している患者の誤接続を未然に防ぐという意味では必要性は理解するところであります。そして、医療従事者の誤接続に対する余計なストレスを排除する意味でも理解するところでございます。

 しかし、この切替えを受けて、旧規格の経腸栄養コネクターの存続を望む多くの皆様が声を上げました。特に、在宅や療養型施設、重症心身障害児者施設の利用者に関わる小児医を始めとした医療関係者の方々、あるいは、重症心身障害児者の団体及びそれを支援する団体、また、私の地元では、ミキサー食注入で健康をのぞむ会という団体まで結成されました。

 なぜ旧規格が必要なのかということですが、旧規格に比べ新規格は、シリンジと胃瘻チューブの口径が狭く、栄養剤を注入する際により力を入れる必要があり、手首への負担が増しております。具体的には腱鞘炎がひどくなるということであります。また、半固形栄養剤や薬をシリンジで吸い上げる際に、新規格では、シリンジの先が複雑な形をしているため隙間に入ってしまうなど、手間がかかってしまったり、洗い残しによる感染症のリスクがあるといったことも心配をされております。

 そういった点を御理解いただき、厚生労働省は、令和二年度から、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会で旧規格に関する検討を行っていただき、その結果、当面の間、旧規格の使用を可能とするということを決定してくださいました。

 旧規格を残すということは、医療従事者やシリンジを使用する方々の身体的負担を減らすといった点以外にも大きな目的があります。それが、半固形栄養剤、ミキサー食の普及であります。

 ミキサー食は、アメリカで普及が始まったと言われておりますが、二〇〇〇年頃からと歴史は浅く、そこから徐々に広まり、その後、日本でも普及し始め、これからというものであります。

 これまでは、医療現場など、経腸栄養といえば液体栄養が中心でありましたが、ミキサー食、半固形栄養剤が普及され始め、患者、利用者の体調が改善したというケースが多く報告をされております。

 大阪の千里リハビリテーション病院のドクターである合田文則先生の造影剤を用いた胃の運動機能の観察によりますと、液体栄養による療養中患者の胃から食道への逆流による誤嚥性肺炎で亡くなられる率が一〇%から二〇%の方がおられ、そこに半固形栄養剤を用いたら、誤嚥性肺炎のリスクが大幅に減少したことを示すデータの報告がありました。

 また、液体栄養を使用する方に見られる難治性下痢の症状も、半固形栄養剤を導入後、早い方で一日で、平均でも五日程度で下痢の症状が改善したとの報告がございました。

 今述べたことも大変すばらしい成果なのでありますが、私が一番感動いたしますのは、不思議なことなんですが、例えば、ミキサー食の食事を取っているお子さんが、胃に食事を流し込んでいるのですが、口がもごもごと動いたり、うれしそうに笑う姿を見られたり、つまり、食事を取ることが再び喜びになって、その姿を見た親にとっては何よりの喜びになるといったことがある点であります。その可能性を残していただけた厚生労働省の所管の方々には心より感謝を申し上げます。

 そこでまず質問ですが、厚生労働省として、旧規格の経腸栄養コネクターの存続を認めた経緯についてお答えいただきたいと思います。

八神政府参考人 経腸栄養コネクターの規格の経緯についてお尋ねをいただきました。

 経腸栄養コネクターを含む複数の製品分野のコネクターにつきましては、製品分野間の相互接続を防止するための国際規格の制定が進められております。我が国においても、医療・介護時の事故防止や、製品の安定供給のため、国際規格の導入に向けて取り組んでいるところでございます。

 こうした国際規格の導入に伴い、ミキサー食注入に使う経腸栄養コネクターについて、当該規格に整合した新規格製品への切替えを進めるため、平成三十年三月に、旧規格製品の出荷期間を令和三年十一月末、二〇二一年十一月末までとすることとする周知をする通知を発出をしたところでございます。

 ただいま委員からお話ございましたように、その後、例えば日本重症心身障害学会等より、重症心身障害児者の医療的ケアにおいて新規格製品を使用した際に発生する課題が示された、こういったことから、令和三年二月に、旧規格製品の出荷期間を令和四年十一月末までに延長する、これとともに、このような患者等における製品の切替えに伴う課題の整理それから対応策の検討を行うための研究を実施をしたところでございます。

 令和四年、二〇二二年五月に、研究結果を踏まえて審議会で検討した結果、経腸栄養コネクターについては、新規格製品への切替えを促進することが基本であるものの、新規格製品の使用が困難なケースも認められる、こういうことを踏まえ、当該ケースにおいて、当面の間、一定の条件を担保した上で旧規格製品の使用を可能とすることが適切であるとされたところでございます。

 このため、同月に切替え方針の一部見直しに係る通知を発出をし、旧規格製品は新規格製品の使用が困難なケースにおいては引き続き使用可能であるということを周知をした、こういった経緯でございます。

深澤分科員 ありがとうございます。

 ただいま御説明いただきましたけれども、新規格製品の使用が困難なケースのときに旧規格が認められるということでありますが、そのような表現ですと、基本的には、新規格が一般的には適合するという理解があるんですけれども、現場の感覚といいますか使用者の感覚でいきますと、やはり旧規格製品でないと困るというところ、あるいは、新規格でも使えるけれども旧規格の方がより望ましいというところも含めて、もっともっと柔軟に、もっと広めていきたい、広めていただきたい、理解いただきたいということが望みですので、今の、新規格製品の使用が困難なケースという表現をより一層柔軟にしていただけるとまたありがたいということで、これからも、私もこの普及に頑張っていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、旧規格の経腸栄養コネクターの存続に関する質問を引き続きさせていただきます。

 旧規格の経腸栄養コネクター存続の経緯は先ほど述べていただいたとおりでございますが、現在、大変困った状況になっております。

 厚生労働省から旧規格製品の存続の通知は発信されておりますが、平成二十九年から、新規格への切替えが基本であるという通知が出ていた影響で、シリンジやチューブの製造をやめてしまったメーカーもあり、現在、供給力は弱く、心配されている状況であります。

 加えて、製品を医療機関に納める卸会社も、製品が少ないので将来はなくなると見込んで旧製品を仕入れなくなってしまったり、今まで仕入れていたメーカーが製造しなくなったため、残っているメーカーの製品は扱わないという方針を取ったり、中には、なくなったと思っている会社もあるようです。

 そのため、現在、医療現場などでは、旧規格から新規格に完全に切り替えてしまう事例が大変増えております。そのため、患者側から旧規格の利用を望んでも、当病院では扱えない、新規格しか支給できないと断られ、主治医の機嫌を損ねないよう、それ以上は言えないという声も寄せられております。

 主治医の承諾がなければ支給してもらえず、自力で手に入れたとしても、その分は自腹となり、大変困っているといった事例も伺っております。

 旧規格経腸栄養コネクターの存続は、ミキサー食、半固形栄養剤を利用するために、先ほども申し上げましたとおり、なくてはならないものであります。それが存在するのに手に入らないという現状は改善すべきものと感じておりますが、そのために、今以上に厚労省として御理解、御協力を賜りたいというふうに思います。

 今御説明いたしました旧規格の経腸栄養コネクターの存続の意義と現状について、羽生田副大臣に御感想なり、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、大岡主査代理着席〕

羽生田副大臣 ありがとうございます。

 経腸栄養コネクターの国際規格というものを導入するということにつきましては、医療・介護時の事故防止ということ、あるいは製品の安定供給のために取り組んできたものであるということは御理解いただきたいというふうに思います。

 一方で、必要な患者に必要な医療を届けるという観点から考えますと、これも非常に重要なことでございまして、経腸栄養コネクターにつきましては、関係学会や使用者等からの旧規格製品の継続に関する要望を踏まえ、関係する専門家の審議会における議論を経て、国際規格の使用が困難なケースにおいて、旧規格製品の使用を認めたものでございます。

 これまでも患者が必要とする医薬品や医療機器が届くよう対応してきたところでございますけれども、議員御指摘の状況があるということも配慮しつつ、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

深澤分科員 ありがとうございました。

 もう医療のエキスパートの羽生田副大臣におかれましては本当に釈迦に説法で、十分御承知だと思います。また、今、必要な患者に必要な医療を届けるということは大切なことだというお言葉をいただきました。まさにその言葉どおりの、これから厚労省としても御協力いただけるというふうに思いますし、御理解をいただいているということで感謝を申し上げたいと思います。

 先ほど、繰り返しになりますが、この通知が、厚労省からの通知が、例えば医療機器メーカーあるいは卸会社の方に、厚労省としては何度も届けていただいておりますが、基本的には、国際規格、ISO規格に移行するのがこれは基本だ、だけれども、先ほど御答弁いただいたように、新規格製品の使用が困難な場合にはということが厚労省から何度も通知が行くと、基本的には、国際規格が基本です、国際規格が基本ですということが何度も行くということですので、アクセルとブレーキを両方踏んでいるようなものですので、できればここを、旧規格も残っていますというところをしっかり卸会社とかメーカーが理解できるように、是非何か工夫して、一度でもいいですから通知を行っていただけるとありがたいなというふうに思っております。

 それと、やはりミキサー食というものが、先ほど申し上げましたように、まだまだ、二〇〇〇年ぐらいから、以降から、日本でも普及し始めて、これがいかに患者さんとかそういった利用者の方に体にいいのかと。やはり人間がそしゃくして、食べ物が食道から胃の中に入ってくる、いわゆる高粘性とよく言うんですけれども、このねばねばした、粘度がある程度あるものが胃に入ってくるというものがいかに人間の体にとって適切なのかということを、まさにこのミキサー食、半固形栄養剤が食事を代替してくれるということが徐々に広まってきていますが、まだでありまして、これを今、普及しようとしているときにこの旧規格が今、先細っているということですので、ちょっと、両輪で進めているんですけれども、その片方が足りなくなってくるとなると本当に厳しい状況ですので、是非ここは御理解をいただけたらありがたいなというふうに思っております。

 では、羽生田副大臣におかれましては、答弁は以上でございますので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、質問を移らせていただきます。

 新型コロナウイルスに感染した妊婦の帝王切開についてお伺いをさせていただきます。

 既に報道で取り上げておりますが、日本産婦人科医会の調査では、新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産について、第六波では六七・五%、第七波では五一・三%の医療機関が速やかに帝王切開すると回答しておられました。

 新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産につきましては、計画的な出産によるリスクの回避、あるいは医療従事者の感染リスクの軽減、出産後の隔離施設の不足などといった理由があり、帝王切開が選択されてきたケースがあると認識をしております。

 しかし、帝王切開には、合併症や次の出産に対するリスクが発生するなど、そういったことを理解し出産に臨むことが求められます。

 新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産に関して、それまで順調に出産に近づいていても、あるいは順調な経過で陣痛を迎えた方であっても、新型コロナ感染者は帝王切開を行うという病院の方針が決まっていた場合、そこでは緊急に帝王切開が行われるため、出産後、なぜ帝王切開だったのかと心の整理ができない悩みを抱えてしまうという話があるようです。

 新型コロナウイルス感染症は間もなく五類に移行されますが、感染対策は引き続き継続することとなっておりますので、出産に関しては、帝王切開の方針を取っている医療機関では、その方針が続くものと思われます。

 今までも感染対策を施し、新型コロナウイルスに感染した妊婦でも普通分娩、いわゆる経膣分娩を行ってきた医療機関がある中で、今後、厚生労働省として、新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産を普通分娩で行うための知見を集め、全ての医療機関に共有していただき、新型コロナ感染という理由だけで帝王切開が行われるようなことはなくし、できる限り普通分娩で出産が行えるよう期待をするという観点でこの問題を取り上げました。

 質問させていただきますが、厚生労働省として、今後、新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産を基本的に普通分娩で行う考えについて、お考えをお答えいただきたいというふうに思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、分娩の方法につきましては、各医療機関において、医学的な観点などを踏まえまして、妊婦と話し合った上で決められているものと承知してございます。

 現在、厚生労働省の新型コロナウイルスに関するホームページで、一般の方向けのQアンドAということで、妊婦が新型コロナウイルスに感染しておられる場合、感染を理由に帝王切開を行わなければならないということはないということ、また、妊婦の全身状態などを考慮して分娩時間の短縮が必要と判断される場合は帝王切開となる場合もあることなどを周知しているところでございます。

 医療従事者が診療において参考にするための新型コロナウイルス感染症診療の手引におきましては、新型コロナウイルスに感染した妊婦の分娩に関して、二〇二〇年十二月の第四・〇版から記載が加わっておりまして、分娩短縮のため、原則帝王切開とすることもやむを得ないというふうにされておりましたが、二〇二二年五月の第七・二版より、母子及び医療スタッフの安全と医療体制の維持などに十分に配慮し、個別に産婦人科主治医が判断するとの記載になったところでございます。

 また、今先生の方から御紹介がございましたけれども、日本産婦人科医会が二〇二二年九月から十月までに産科医療機関を対象に行った調査によりますと、いわゆる第六波から第七波の間に新型コロナウイルスに感染した妊婦の分娩に関しては、帝王切開を実施する方針である施設は、六七・五%から五一・三%まで減少したというところでございます。

 この妊婦の分娩様式を基本的に普通分娩とすることはできないかというお尋ねでございますけれども、これまでも必要に応じて、感染状況の変化に合わせて、新型コロナウイルス感染症診療の手引について改定が行われてきているというふうに承知をしてございます。

 今御指摘いただきました新型コロナに感染した妊婦の分娩様式については、引き続き専門家とよく相談してまいりたいというふうに考えているところでございます。

深澤分科員 御答弁ありがとうございました。

 これも厚生労働省の方から、診療の手引という先ほどお話をいただきましたが、例えば、先ほど一問目の質問の経腸栄養コネクターの場合にも少し共通している問題があるなというふうに認識しておりますが、いわゆる、厚労省から、まず通知なり、あるいは先ほどの手引とか方針などを示されますと、先ほどの説明でいきますと、二〇二〇年の、まず三月の通知で、分娩方法は、原則的に帝王切開するということもやむを得ないがということで、原則的にというふうな通知が発せられて、その後また、そこが削られたと。

 経腸栄養コネクターの場合も、一度、新規格に全て替わりますと言った後に、旧規格も認めますみたいになりますと、基本的に一番初めに受けた方を、医療機関でもそういった様々な関係者にとっては、基本はそっちだということで、なかなか考えを切り替えていただくことが難しいなというふうに思いまして、厚生労働省からまず出す通知というもの、あるいはいろいろな案内というものは、本当に、一度出したものの方が切り替えるのが難しいということを是非御認識をいただきたいなというふうに思っております。

 今回も、基本的には、二度目の、五月に出された診療の手引の方でも、原則的にという言葉がなくなったとしても、母子及び医療スタッフの安全と医療体制の維持などに十分に配慮しというような言葉が入っていると、当然、医療スタッフの安全と医療体制の維持などに十分配慮し、では、そのために何が一番望ましいかというその議論をするよりも、医療現場は大変ですから、元々帝王切開を続けていた皆さんは、それがベストだということでそこを選択しがちになるのは当然だというふうに思っておりますので。そういったところも、一度出したものを改善といいますか修正といいますか考えを違う方向に持っていくためには、新たに工夫した十分配慮した通知を出していただければありがたいなというふうに思っております。

 それともう一点、帝王切開を行っている医療機関と行わない医療機関というものが今回分かれております。これは何が違いがあるかというと、先ほども申し上げましたが、医療資源が足りないところにおきましては、どうしても、そういった施設がないので、帝王切開をやる場所がない、あるいは隔離施設が少ないということで、このような対応になっております。

 つまり、医療資源がないのであれば、今回のコロナ対応においても、病床を確保するとか、あるいは緊急に何かを作るとかということもありますけれども、こういった細かなところも検討して、今後の様々な感染症を想定した場合に、出産に関しても、何か、感染症が広まったときに、すぐに帝王切開という選択肢が今後も選択されないように、こういった部分に関しては、より医療資源を手厚くできるような国の方針なりメニューなりを新しく作っていただけると、検討していただけるとありがたいというふうに思っております。

 いずれにしても、まだまだ、医療現場で帝王切開をできるだけ行わないというその選択肢を、今までやっていたところがそういう選択肢を導入してもらうにはまだまだ時間がかかると思いますので、そういったところにも配慮して、是非、厚労省にはこの問題には取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、働き方改革についての質問をさせていただきます。働き方改革のうち、時間外労働の上限規制に関してお伺いをさせていただきます。

 長時間労働は、健康、仕事と家庭のバランス、女性のキャリア形成等を阻む原因であり、ワーク・ライフ・バランスを向上させる等の狙いで上限規制が設定をされたものと承知をしております。

 今まで、力関係ではどうしても雇用者側に有利なケースが多く、働く方々の健全な労働環境を確保するためには法的に条件を決める必要があったことは十分理解できます。

 これからも、働く方々が健康で自分らしく働ける環境を整えるためにも、この上限規制への理解を広めていくことは大変重要であると考えております。

 しかし一方で、地元を回っておりますと、この上限規制があるために大変困っているという声を、雇用者側だけでなく被用者側からもお伺いすることがあります。

 私が伺った製造業の現場では、子育て中の方で、しっかりと稼ぎたいが、上限規制ができたため、家計が大変になってしまったという話を伺いました。また、シングルマザーの方からも、自分が稼がなければならず、子育て中は大変お金がかかるので、今までどおり働けるのなら働きたいという話も伺いました。また、これも女性の方だったんですけれども、ダブルワークを推奨されても、また一から違う仕事を覚えなければならず大変で、慣れた仕事でやれるのが一番いいといったお話もお伺いしました。

 雇用者側では、例えば元請の生産計画が年間で、一年間で示されるため、複数月平均八十時間を守ることができない、仕事量が多いならば人を増やせばいいとよく言われますが、次の年も元請から同じ量の発注が来る保証は全くなく、雇用も設備投資も大変難しいといった話も伺います。また、運送業では、荷主側の受入れ体制が変わらなければ、自分たちの働き方も変えようがないといった話もありました。

 時間外労働の上限規制には先ほど述べたような効果もありますが、一方で、働きたい方が働くことができない状況もつくり出してしまいます。働き方改革とは、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革ですと、厚労省の解説書の冒頭に書かれております。

 時間外労働の上限規制の効果は維持しつつ、例えば、労使間の合意があった場合、あるいは第三者の仲介を加えることもいいと思いますが、働きたい方には働かせてあげる手段を御検討いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 時間外労働の上限規制についての御質問でございますけれども、この規制は、誰もが心身共に健康で、希望に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために、これは必要不可欠なものであると考えてございます。

 他方で、議員御指摘のような課題もございますので、これに対応するためには、まずは、働く方がその成果に見合った賃金をもらえるようにしていくこと、これが何よりも重要かと思っております。そのためには、長時間労働の是正と併せまして、時間当たりの生産性を高めていくこと、そして、それを賃上げにつなげていくということが、何よりも重要かと思っております。

 このため、厚生労働省におきましては、生産性を高めながら労働時間の短縮などに取り組みました中小企業に対しまして、働き方改革推進支援助成金というものを支援してございますけれども、この助成金につきましては、時間短縮と併せまして、賃金を引き上げた場合の加算というのも行ってございます。また、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げまして、生産性向上に資する設備投資などを行いました中小企業に対しましても、業務改善助成金というものを支給してございます。

 こうした支援を中心としまして、より多くの中小企業などがこうした支援策を活用いただけるよう、一層の周知に取り組みつつ、上限規制の施行状況も把握しながら、働き方改革の推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。

深澤分科員 ありがとうございます。

 はい、よく分かります。これは地域によってもいろいろと事情が違うと思いますし、業種によっても事情が違ってくるというふうに思っております。やはり、賃上げにつなげる、あるいは生産性を高めていく、それで労働時間を短縮してやっていく、これはよく分かる話なんですけれども、ちょうど今、その途中ではないかなというふうに思っております。

 岸田政権でも、成長と分配、成長の果実をという話がございますが、ここでやはり一つ抜けているのが、成長というところが、いわゆる製造業とか、いろいろな業種に関わってくると思います。やはり、地方でいきますと下請が多い。大企業がもうかってくると下請もそれなりの利益が得られるというような、その成長の部分もないと、全ての業種、全ての仕事で生産性を高めていく、あるいは賃上げにつなげるということが、なかなか難しいというふうに思いますので、是非、まだまだその途中だということも御理解いただきまして、その生産性が、先ほど申し上げましたように、できるところとできないところがある。そんな意味では、今働きたいという人が今の環境でどう働くことができるのかということも、ひとつ考えていただければ、ありがたいというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

大岡主査代理 これにて深澤陽一君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆間譲司君。

漆間分科員 日本維新の会の漆間と申します。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、保育士の待遇改善についてお伺いいたします。

 保育士の処遇改善に関わる公の支援については、現在の制度では、その地域に子育て世代が多いか少ないかではなく、その地域に大企業が多いか少ないかのみで保育士に手厚く支援されるかどうかが決まっております。

 例えば、地域区分。保育士の報酬の公定価格は公務員の地域手当に準拠し、公務員の地域手当はその地域の民間企業の賃金水準に準拠します。つまり、保育士の報酬の公定価格はその地域の民間の賃金水準に準拠すると言えます。必然的に、大企業の多い地域ほど、保育士の報酬は高くなります。もう一つの例としては、保育士宿舎借り上げ支援事業。これも、その地域の有効求人倍率で決まります。

 大企業が集積する地域よりも子育て世帯が集積する地域の方が保育のニーズが高いにもかかわらず、その分の考慮が今の制度には入っておりません。子育て世帯の多い少ないを保育士の処遇改善に関わる現在の公の支援基準の中に加味すべきだと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

自見大臣政務官 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援新制度の公定価格における地域区分は、民間の給与水準が地域によって差があることを反映するために設けられているものであります。

 御指摘のように、隣接する地域において公定価格の地域区分に差があることなどにより、地域区分が低い地域においては保育士等の人材確保が困難であるといった声があることも承知してございます。

 内閣府の子ども・子育て会議におきましても、令和二年六月及び十二月に議論を行っておりまして、統一的かつ客観的なルールや他の社会保障分野の動向等を踏まえるべきではないかとの意見が主に出された一方で、一部の委員からは、隣接地域や同一の生活圏を構成する周辺地域との地域区分差に配慮すべきではないかとの意見もありました。

 これらの議論を踏まえまして、今後の検討の方向性といたしましては、公務員の地域手当の支給割合に係る地域区分に準拠して設定するという基本的な考え方を維持しつつ、他の社会保障分野における補正ルールとの整合性を踏まえ、必要となる財源の確保と併せて検討されるとされています。

 今後とも、国家公務員の地域区分の手当の見直しの動向、他の社会保障分野の状況等も踏まえながら、自治体や事業者団体の皆様の御意見を伺いながら、子ども・子育て会議において検討してまいります。

漆間分科員 先ほど御答弁にもありました同一の生活圏、これをしっかり包含する広域の地域で区分しているんだったらまだしも、市町村という狭い区域での区分の分け方なので、有利不利の差が市町村ごとに激しく、真に保育ニーズが多く、保育士の処遇改善が必要な市町村に支援が行き届いていない状態になっております。大企業が集中する都心部に多くの労働者を送り込む都心部近隣の市町村、いわゆるベッドタウンでは、全国的に見ても特にこの問題が顕著だと考えられます。早急に改善をよろしくお願いいたします。

 続きまして、コロナ類型後の対応について幾つかお伺いさせていただきます。

 五類変更後の国民のワクチンや治療費負担についてお伺いいたします。

 現在は、飲み薬が約九万円、点滴が約二十四万円、保険で三割負担だとしても、薬価が高く、不安の声がございます。

 治療薬や検査費の落ち着きと合わせた段階的変化とするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの五類感染症への位置づけの変更によりまして、感染症法に基づく入院等の措置は終了することになるため、こうした一定の行動制限に伴い行ってきた医療費等の負担軽減措置についても見直すこととなります。

 ただし、御指摘のとおり、急激な負担増が生じないように、自己負担分に係る一定の公費支援につきましては期限を区切って継続することとし、これについては三月上旬を目途に具体的な方針をお示しすることとしております。

 また、ワクチンの接種につきましては、五類変更にかかわらず、予防接種法に基づき実施することとなります。

 本年四月以降のワクチンの接種をどのように行うべきかにつきましては、現在、厚生科学審議会において検討を行っておりまして、二月八日の部会において、接種対象者や接種スケジュール等に関する取りまとめを行ったところ、今後、その上の親会の分科会で更に議論し、これも三月上旬までに最終的な結論を得ることとしております。

 審議会における議論の結果、接種が必要とされた対象者については、四月以降も自己負担なく接種を受けられるようにすることとしており、こうした接種の方針について、結論が得られ次第、速やかに国民の皆様に考え方を説明してまいりたいと考えております。

漆間分科員 続きまして、子供へのワクチン接種についてお伺いいたします。

 一月二十七日のコロナ対策本部決定において、「必要な接種については、引き続き自己負担なく受けられるようにする。」とされております。

 その上で、日本維新の会としては、第十弾提言で、五歳から十一歳までの子供への接種努力義務を外すことを提案いたしましたが、一方で、政府は、オミクロン株流行下での一定の科学的知見が得られたことを理由に、令和四年九月六日から、子供、五歳から十一歳に対する初回接種、三回目接種共に努力義務としたところです。

 子供への接種を努力義務とした結果はどうだったのか、効果検証と子供への接種をどう総括しているのか、お伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 五歳から十一歳までの小児に対する新型コロナワクチンの接種につきましては、これは、昨年の二月の接種開始当初は、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会におきまして、小児におけるオミクロン株の感染状況が確定的でないこと、また、従来ワクチンでありまして、従来株に対する有効性は確認されているものの、オミクロン株に対するエビデンスが必ずしも十分でないなどの御意見がありまして、接種を受ける努力義務を当初は課さなかったということがございます。

 その後、オミクロン株流行下での小児の感染者数の増加のほか、小児に対するワクチンの有効性、安全性に関する知見の収集等を受けまして、改めて分科会で議論を行い、昨年九月からは、小児に対する接種についても努力義務を課すこととしました。

 このように、科学的な知見に基づきまして、慎重にその接種を進めてきたものと考えております。

 本年四月以降の取扱いにつきましては、現在、審議会で審議中でございますけれども、先日に開催しました予防接種・ワクチン分科会の基本方針部会では、成人のみならず、乳幼児も含めた小児に対する接種に関する科学的知見等を再確認するとともに、小児については、接種開始からの期間が短いため、接種期間を四月以降も延長することが妥当との意見が取りまとめられております。

 これを踏まえ、今後、予防接種・ワクチン分科会におきまして、御指摘の努力義務の扱いも含めまして更に議論し、三月上旬までに結論を得ることとしたいと考えております。

漆間分科員 日本維新の会が主張した五歳から十一歳の子供へのワクチン接種の努力義務を外すべきであるという提言には一定の合理性があると考えております。そのことも踏まえて、子供に対するワクチン接種に対する総括と今後の方向性をしっかりまとめていただきたいと思います。

 続きまして、検疫感染症から外れることについてお伺いいたします。

 一月二十七日のコロナ対策本部決定によると、新型コロナ感染症が検疫感染症から外れます。具体的にどう変わるのか、社会活動の回復に当たっては何が最も重要な水際対策緩和と考えているのか、タイムスケジュールなどを含めてお答えをお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナが五類感染症に移行した場合ですが、検疫法上の検疫感染症から外れることにより、検査や隔離等の検疫法上の水際措置が適用されなくなるということです。

 現在の水際対策につきましては、国内の医療提供体制にかかる負荷等を勘案して、ワクチン三回接種を条件としつつ、これを満たさない場合には、出国前七十二時間以内の陰性証明の提出を引き続き求めております。

 これは、G7では、米国がワクチン接種証明を外国人の入国の条件としておるところでございます。

 今後につきましては、内外の感染状況、また、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、引き続き適切に判断してまいりたいと考えております。

漆間分科員 五類変更後、新型コロナが検疫感染症から外れた後に、現在の中国のような新型コロナの感染状況が急速に悪化するとともに、詳細な状況の把握が困難であることが起こったような国からの入国については、また特別な水際措置を講じることができるんでしょうか。お伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナが五類感染症に移行した後も、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるときは、検疫法に基づく政令指定の手続を経て、水際措置の実施が可能となります。

 ですので、実際の状況に応じて、政府として機動的に対処していきたいと考えております。

漆間分科員 柔軟な対応をお願いいたします。

 水際対策については、特に関連産業の方々がしっかりとリスクを認識できるように、政府の明確な方針説明をよろしくお願いいたします。

 続きまして、一月二十七日のコロナ対策本部決定において、「外来については、位置づけの変更により、幅広い医療機関が新型コロナウイルス感染症の患者の診療に対応する体制へと段階的に移行していく。」とございますが、しばらくは感染症対策を不備に、診療しない医療機関が存在しても、それを国が認めるということか、お伺いいたします。

 段階的移行に関する具体的なタイムスケジュールと詳細なども併せてお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴いまして、入院や外来の取扱いにつきましては、原則としてインフルエンザなど他の疾病と同様となりますことから、幅広い医療機関で新型コロナの患者さんが受診できる医療体制に向けて、必要となる感染対策や準備を講じつつ、国民の安心を確保しながら、段階的な移行を目指すこととなってまいります。

 このため、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる医療体制に向けて、関係者の御意見も伺いながら、現在、具体的な内容の検討、調整を進めておりまして、三月上旬を目途に、具体的な方針をお示しをするということとしてございます。

 また、より多くの医療機関が新型コロナの診療に当たることができますように、エアロゾルへの対策に必要なHEPAフィルターつき空気清浄機などの設備への支援を行うほか、学会のガイドラインに沿った効率的な感染対策について周知するなど、取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

漆間分科員 段階的移行期間においては、インフルエンザの診療をするがコロナの診療はしないといったような医療機関が存在することがあり得るんでしょうか。新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策について、季節性インフルエンザと異なるのかどうか。季節性インフルエンザにおける感染症拡大防止対策以上の対応が必要なのか。従来、季節性インフルエンザ患者を診ていた医療機関ではコロナ患者を診ることができないとする科学的根拠はあるのか。併せてお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療機関におけます新型コロナへの感染対策について、学会が示しておりますガイドラインにおいて推奨される対策は、インフルエンザで一般的に実施されております感染対策と比較をいたしますと、飛沫対策としてのサージカルマスクの着用や直接接触する場合のガウン、手袋の着用に関する考え方は同様でございますけれども、新型コロナでは、換気や気管挿管などのエアロゾルを発生する手技を実施する場合などでのN95マスクの着用など、エアロゾルへの対策が求められているところでございます。

 今回、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる医療体制に向けて、必要となる感染対策や準備を講じつつ、国民の安心を確保しながら段階的な移行を目指すということとしてございまして、このため、エアロゾルへの対策に必要なHEPAフィルターつき空気清浄機などの設備への支援を行うほか、先ほど申し上げましたように、学会のガイドラインに沿った効率的な感染対策について周知するなど、取組を進めていきたいと考えているところでございます。

漆間分科員 ちょっと追加で質問なんですけれども、逆に、季節性インフルエンザの診療においては、換気も必要なく、エアロゾル感染もしないというような確たる証拠はあるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 病原体ごとにエアロゾル感染対策がどの程度必要かということにつきましては、エアロゾル感染が発生するリスクの程度に応じて、学会などにおいて医学的に議論されるものというふうに考えてございます。

 インフルエンザにおきましては、例えば、国公立大学附属病院感染対策協議会の病院感染対策ガイドラインにおきましては、感染対策としては、飛沫感染対策と接触感染対策が推奨されてございますけれども、エアロゾル感染のリスクについては医学的に議論があり、現段階では明確な方向性が示されていないところというふうに理解しているところでございます。

 一方で、新型コロナにおきましてはエアロゾル感染についての知見が蓄積されておりまして、国内外のガイドラインにおいて、換気や状況に応じたN95マスクの使用などが推奨されているというふうに把握しているところでございます。

 いずれにいたしましても、幅広い医療機関で新型コロナの患者さんが受診できる医療体制に向けて、必要となる感染対策や準備を講じつつ、国民の安心を確保しながら段階的な移行を目指していきたいと考えておるところでございます。

漆間分科員 日本維新の会としては、診察室における感染拡大防止策の方法やそのレベルは季節性インフルエンザと同等であると認識しております。なので、もし、季節性インフルエンザは診られるけれども新型コロナは診られないという対応をする医療機関があるとするなら、それは国民感情として理解できないし、もしそのような対応が大丈夫だというのなら、なぜそのような対応になるのかについて、厚生労働省や専門家会議等から国民に対して合理的な説明が必要だと思います。その点、是非注意を払っていただきたいと思います。

 続きまして、障害福祉サービスについてお伺いいたします。

 障害福祉に必要なサービスは地方自治体が担うものとされ、全国ほぼ共通の自立支援給付と、地方自治体の創意工夫による地域生活支援事業に分かれておりますが、自治体によっては、必要なサービスを全て賄うことができず、サービスを受けられない人が生じているため、以下三点、お伺いいたします。

 医療的ケアが必要な重症心身障害者の増加に伴い、生活介護、短期入所事業所への受入れニーズが高まる中、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定において、生活介護の常勤看護職員等配置加算の拡充、医療型短期入所の基本報酬引上げ等、一定の報酬改善は図られておりますが、依然として報酬体系は十分と言えず、自治体独自で補助せざるを得ない状況であります。また、福祉型短期入所事業所は、利用ニーズに対し、現在の報酬体系では採算が合わないことから、受入れ体制の整備が困難な状況です。

 今後も、医療技術の発展により高度な医療ケアが必要な重症心身障害者の増加が予測されることから、実情に見合った医療ケアに係る報酬体系の見直しを図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 医療的ケアを必要とする障害者への支援体制を整備していくことは重要であると認識をしております。

 このため、御指摘いただきましたように、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、生活介護において常勤換算で看護職員を三人以上配置した場合の加算の創設、医療型短期入所の基本報酬の引上げなど、医療的ケアが必要な者への支援の充実を行ったところでございます。

 今後、令和六年の次期報酬改定に向けた検討を行っていくこととなりますが、生活介護や短期入所における支援体制を含めまして、障害福祉サービス等の報酬の在り方について、障害者のニーズや事業者の実態等を把握した上で、丁寧に議論をしてまいります。

漆間分科員 二点目、自立支援給付について。

 国の費用負担について、本来、国二分の一、府四分の一、市四分の一の負担割合が決まっております。自治体は、国の通達に従い、地域の実情に応じたサービス支給基準を定め、運用しておりますが、訪問系サービスに係る国庫負担額には国庫負担基準による上限があるため、負担割合どおりの負担金が交付されておりません。国も実情相応の負担を行うべく、この基準を撤廃、若しくは、国が一律の支援基準を定めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 障害福祉サービスの利用に当たりましては、市町村が、利用者一人一人に対し、障害の種類及び程度、その他の心身の状況、本人のニーズや置かれている環境等を総合的に勘案し、支給決定を行っているところでございます。

 また、障害者総合支援法では、障害福祉サービスに係る国の費用負担を義務化することで財源の裏づけを強化する一方で、限りある国費を公平に分配し、市町村間のサービスのばらつきをなくすため、訪問系サービスにおいて市町村に対する国庫負担の上限を定めているところでございます。

 その上で、支給額が国庫負担基準を超過している市町村の過大な負担を軽減するために、訪問系サービスの利用者数や当該人数に占める重度訪問介護等の割合に応じた国庫負担基準総額のかさ上げを行うとともに、訪問系サービス全体の利用者数に占める重度訪問介護対象者の割合が一〇%を超える場合における一定の財政支援、さらに、国庫負担基準をなお超過する小規模市町村に対しては人口規模等に応じた一定の財政支援を行うなどの措置を講じているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、必要な方が訪問系の障害福祉サービスを受けられ、市町村にとっても過大な負担が生じないように努めてまいります。

漆間分科員 三点目、地域生活支援事業についてお伺いいたします。

 事業実績に対して市町村の超過負担が生じていることから、統合補助金制度を見直すとともに、国の財政責任を明確にし、義務的経費として適切な財源措置を講じるべきだと思います。特に、移動支援事業については、全ての障害者にとって日常生活上必要不可欠な介護支援であるため、地域生活支援事業に含めるのではなく、自立支援給付に含め、義務的経費として財源を確保されたいと思いますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 障害者総合支援法の地域生活支援事業は、自立支援給付である個別給付のサービスと異なり、地域の実情や利用者の状況に応じて地方自治体が柔軟な形態で事業展開をするため、統合補助金として実施をしているところでございます。

 その国庫補助に係ります予算につきましては、事業の対象や支援の内容を地方自治体の裁量により設定できる性格であることを踏まえまして、裁量的経費としているところであり、これを義務的経費とすることは考えておりませんが、障害のある方の地域生活を支援する上で地域生活支援事業の予算措置を充実させていくことは重要な課題であると認識をしており、引き続き財政支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

漆間分科員 次に、利用者支援事業の基本型についてお伺いいたします。

 複合化した課題に対応するため、関係機関との連携など、全体をコーディネートする子育て支援コーディネーターの育成が必要です。市町村の実情等を踏まえ、より身近な実施場所できめ細やかな情報の収集及び提供が行えるよう財源確保を図られたいが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子育てに関する課題に対応するためには、利用者の個別ニーズを把握をし、ニーズに応じた情報の収集、提供や、相談、助言を行うとともに、利用者が必要とする支援につながるよう、関係機関との連携を行うことが非常に重要でございます。

 お尋ねの利用者支援事業は、子ども・子育て支援法による市町村事業の一類型でございますけれども、厚生労働省では、コーディネーターを配置をし、子育て家庭の個別ニーズに応じた相談や情報提供及び関係機関との連携を行う利用者支援事業に要する費用を子ども・子育て支援交付金により支援するとともに、コーディネーターを育成するための研修の実施に必要な経費についても補助を行っているところでございます。

 子育て家庭が安心して地域において子育てができるよう、引き続き事業の実施や人材の育成に必要な財源確保に努めてまいります。

漆間分科員 次に、地域子育て支援拠点事業についてお伺いいたします。

 相談内容などが多様化する中、相談業務に係る職員の資質向上等に向けた研修の充実など人材育成に係る経費及び支援策となる各種講座や事業費等も必要であります。また、地域子育て支援拠点に係る事業の民間活力の活用に向けた財源確保も今後の課題であります。

 子供や家庭が抱える様々な複合する課題に対し、切れ目のない包括的な支援を進める必要があり、事業内容、相談支援の充実、職員の育成が必要であります。乳幼児を持つ子育て世代の孤立感や負担感を軽減し、虐待の未然防止の役割も担い、より充実した支援体制を図るために補助基準額を拡充されたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御紹介がありましたように、子育て世帯の孤立感や子育てへの負担感を軽減をし、虐待等を未然に防止するためには、子育て支援拠点事業のように、身近な場所で、子育て世帯、親同士が不安や悩みを相談し合える場を提供することが重要でございます。

 このため、厚生労働省では、地域の身近な場所において、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安や悩みを相談できる地域子育て支援拠点事業の実施に当たりまして、基本事業の運営費補助に加えて、地域ボランティアの育成や障害児等のいる家庭への対応などの取組に応じまして基準額を上乗せをして補助をしているところでございます。

 また、この事業の実施主体は市町村ではございますけれども、NPO法人など様々な民間事業者の方々への委託も可能となってございます。

 さらに、地域子育て支援拠点における職員の資質向上を目的といたしまして市町村が行う研修、これは、基礎的な研修、専門的な研修、指導者の養成研修などございますけれども、こういった研修に係る費用の一部を補助しているほか、研修代替職員の配置に係る費用についても補助を行っているところでございます。

 子育て家庭が安心して地域において子育てできるよう、引き続き地域子育て支援拠点事業の実施に必要な財源確保に努めてまいりたいと考えております。

    〔大岡主査代理退席、主査着席〕

漆間分科員 放課後等デイサービスについてお伺いいたします。

 発達の特性から集団行動が難しい場合、個別又は小集団での支援が必要です。朝決まった時間に起床し外出するといった生活習慣をつけるため、午前中から不登校児を受け入れている放課後デイサービスがあります。その場合においては、受入れ時間が短いため、単価が休日単価に比べて低い平日単価が適用されております。

 不登校児を受け入れる放課後等デイサービスが増えるよう、不登校児を朝から受け入れた場合休日単価が適用されるよう、報酬体系の見直しをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 放課後等デイサービスにつきましては、就学している障害児に対しまして、授業の終了後又は学校の休業日に発達支援を提供するサービスでございまして、平日につきましては、授業終了後にサービス提供を行うことを想定した単価となっているところでございます。

 一方、障害児の不登校への対応につきましては、学校による対応を基本としながらも、放課後等デイサービスなどの関係機関が、その役割に応じて連携しながら、子供の状態に応じた支援を提供していくことは重要であると考えております。

 現在厚生労働省において開催をしております障害児通所支援に関する検討会において不登校児への対応についても御議論をいただいているところでございまして、こうした議論を踏まえて今後対応を検討していく必要があると考えております。

漆間分科員 重症心身障害児を受け入れている事業所では、保護者負担軽減のため入浴介助を実施しているところが多いです。その場合でも、そのための職員配置や光熱費に対して補助がないため、事業所の負担が増加し、受入れが減少するおそれがあります。

 重症心身障害児の入浴介助について、通所支援事業に対し入浴介助加算の支援措置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 放課後等デイサービスにつきましては、保育士等が、自立支援と日常生活の充実のための活動、創作活動、地域交流や余暇の提供などの支援を行う発達支援を目的としたサービスでございまして、重症心身障害児とその御家族を支えていく上で大切な役割を果たしていると考えております。

 一方で、御指摘の入浴の介助につきましては、発達支援を直接の目的とはしていないことから、放課後等デイサービスではなく、入浴の介助などを提供する居宅介護や短期入所などの他のサービスを組み合わせながら支援していくことが基本と考えております。

 令和六年度から令和八年度までを計画期間といたします次期障害児福祉計画の策定に向け、議論を進めているところでございますが、特に、重症心身障害児につきまして、そのニーズをより丁寧にきめ細かく把握し、支援体制を整備するといった内容を国の基本指針に盛り込む方向で、現在審議会で御議論いただいているところでございます。

 今後とも、様々な支援を必要とする重症心身障害児とその御家族に対して、地域において必要なサービスが適切に提供される体制の整備を支援してまいりたいと考えております。

漆間分科員 特別支援学級及び通級による指導の適切な運用についてお伺いいたします。

 令和四年、昨年の四月二十七日、四文科第三七五号の文科省の通知では、「一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要」としながらも、「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。」と示されました。

 この点、当然のことながら、支援を要する児童生徒の障害の状態や特性及び心身の状態の段階は千差万別であり、特別支援学級に在籍する児童生徒を一くくりにして週の授業数の半分以上を特別支援学級において授業を行うことは、学校の実情にはなじみません。この通知にある、週の授業時間の半分以上を特別支援学級において授業を行うことをそのまま学校現場に適用されることで生じる混乱は、想像に難くありません。

 そこで、国においては学校現場の実情に即した措置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。また、この件に関しては、昨年現場で混乱があったとお聞きしておりますが、その原因は何だったと総括しているのか、併せてお伺いいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の通知につきましては、特別支援学級に在籍する子供の範囲を、そこでの授業が半分以上必要な子供に限るとともに、その必要のない子供が特別支援学級に在籍している場合は、通常の学級に在籍を変更することを促すことを目的としたものでございまして、インクルーシブ教育システムを促進するものでございます。

 文部科学省としては、現在、有識者会議において、通常の学級に在籍しながら自らの学校で通級による指導が受けられるような支援など、通常の学級に在籍する障害のある子供への支援の充実について議論を進めており、年度内に取りまとめる予定でございます。

 引き続き、障害のある子供の適切な就学先決定を促すとともに、障害のある子供が通常の学級で学べるよう、支援の充実に努めてまいります。

 また、混乱があったということの原因の総括は、学校現場は様々ですので分析は難しいところがございますが、しっかりと様々な趣旨を徹底するという形で、コミュニケーションを取って周知に努めてまいりたいと思っております。

漆間分科員 ありがとうございました。

牧原主査 これにて漆間譲司君の質疑は終了いたしました。

 次に、鎌田さゆり君。

鎌田分科員 連日お疲れさまでございます。職員の皆様もお疲れさまです。立憲の、今日、四人続きますけれども、最初に鎌田です。よろしくお願いいたします。

 質問通告としましては、五項目を通告しております。一、二、三、四、五と通告しておりますけれども、済みません、順番を変えて、最初に一番、その次は四番、その次、五番、そして二番、三番と移っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず一番目は、通告どおり旅館業法に関連して伺いますが、これは通告していないんですけれども、加藤大臣、済みません、通告していないんですが、老舗の日本を代表する旅館とか、インバウンドや観光資源に資するようなそういったすばらしい旅館施設、日本国中にたくさんあります。そういったところで、客室に隣接設置されているテラス、ベランダに露天風呂がある、そういったような老舗旅館というものは御利用なさったことはありますか。若しくは、御存じでしょうか。伺います。

加藤国務大臣 部屋の外部分に露天風呂がついている、使ったことはあると思います。

鎌田分科員 ありがとうございます。是非、大臣もたくさん使って、日本のいいところを発信してもらいたいと思いました。

 大臣、実は、今日の分科会で最初に旅館業法について伺いたかったのは、この客室、老舗旅館についての、老舗と使わなくてもいいんですけれども、各地方にある観光やインバウンドに資するようなそういった旅館の部屋を、その構造基準でもって、客室からつながったテラスに露天風呂は、造るに当たって、まず内側にカーテン、それから外側には、中から見えちゃいけませんと。何でか。それは、性的好奇心をそそるから、あおるから駄目だという条例を作っている自治体もありまして、実は地域によってばらばらと言っても過言ではない状況なんですね。

 今、コロナ禍からウィズコロナになって、必死に、地方の旅館業を営んでいる方々は、お金を借りたりして様々な工夫をしています。新たな魅力を発信しようとしています。そういった旅館等を営む方々の経営者にとって、この構造上の問題というものが、条例で、地方でばらばらで縛りがあると、今大臣も利用したことがあるとおっしゃってくださったようなそういった風情ある客室、露天風呂が造れないという声で、困っている旅館もあるんですね。

 その辺のところ、厚生労働省さんにおかれましては、全自治体に向けて、そこの仕切り、風営法との仕切りもあると思います。きちっと分けて、そういったことで新たなオープンに向けて苦しむことがないように、厚労省、自治体への周知を徹底していただきたいと思います。政府参考人でも大臣でも結構です。よかったら大臣からの御答弁をいただけたらありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、厚生労働省が示しております、これはどういう示し方かというと、自治体に対しての技術的助言として示しております旅館業における衛生等管理要領の中で、御指摘のような、外から容易に見せてはいけない、それはなぜかというと、性的好奇心をそそるからだということで示しております。

 一方で、これは、まさに今委員御指摘いただいたように、それぞれの地方の実情に合わせて条例で定めることができるという性格のものでございますので、そのような技術的助言の趣旨、そして、それぞれの自治体が条例で定められるんだということについては、引き続き必要な周知を図ってまいりたいと思います。

鎌田分科員 加藤大臣、冒頭に大臣に伺って、そして今、政府参考人の方からも御答弁いただきましたけれども、全国どこの地方であっても、もちろん条例を設置してということは基本にありますけれども、それが足かせになったり縛りになったりして、日本の魅力を発信していくという、そうやって頑張っている人たちを応援するためにも、そういう構造に縛られることなく皆さん頑張っていただきたいんだなという認識は大臣にも持っていただけますかね。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、多分この法律の作りが、それぞれ都道府県によって条例で決めていく、我々はその条例を決めるに当たっての考え方をお示しをさせていただいている。

 まさに今、都道府県にとって、委員御指摘のような観光にどう取り組むか、大きな課題であろうかと思っています。元々、それぞれの地域に応じてお決めいただく、そして、地域の中でそういう声があれば、まさに都道府県において積極的にそれを取り入れていただくことが大事ではないかな、まずそこが基本なんだろうというふうには思いますが、さらに、今お話をさせていただいたように、幅広い団体の皆さん方から、私どもの決めているこうした要領等に対してまた御意見等々があれば、それはしっかり聞かせていただき、また必要な対応をさせていただきたいというふうに思います。

鎌田分科員 私は今、前向きな御答弁だったというふうに解釈をしておりますので、少なくとも、私の地元で、秋保とか作並とかいろいろな温泉があるんですよ。そこで今この条例でちょっと苦しんでいる方々もいらっしゃいますので、今の大臣の答弁をもって前に進めたらいいなと思います。地元の温泉の旅館の方々も、今これはネット中継で御覧をいただいていますので、大臣、ありがとうございました。引き続き見守ってください。

 それでは、続きまして、障害児者の福祉計画について伺います。

 さきの予算委員会でも伺ったんですけれども、本年、もう再来月ですね、告示となります第七期の障害者福祉計画、第三期障害児福祉計画に、施設から地域へと、インクルーシブの理念と併せてなんですけれども、ここで、重症心身障害児者への医療的ケアが担保されるように医療ケアの拠点の整備が必要だというこの一文を、私は今度の計画に一行でも二行でも入れるべきではないかと考えている一人なんです。でも、私、この声は一人じゃありません。現場を見て回っての声であります。

 そこでなんですが、加藤大臣、続けて済みません、お疲れのところ、また伺いますが、重症心身障害児者、超重症心身障害児者の方々の通う、あるいは暮らす医療療育園、そういった現場というものは、大臣、視察など行かれたことはございますでしょうか。通告していません。済みません。

加藤国務大臣 地元にもございますので、そういったところは、視察というか、実際そうした皆さんと意見交換もさせていただいたことはございます。

鎌田分科員 ありがとうございました。それではよく御存じだと思います。

 四月に告示をされる、来年の、令和六年から三か年、国が告示をしたその計画に基づいて、全国の都道府県、自治体が更に計画を練っていくわけですけれども、だからこそ、この計画というのはすごく私は大切なものだと思っています。重要なものです。それに基づいて各自治体が更にその実情に応じて練っていくわけですから、大切です。

 そこで、実態を把握するという文言が今度の計画には非常に目立っています。そこは本当に心から評価をしたいと思います。でも、足りないのが、施設から地域へという理念の下で、その理念の下でくくられる中で、重症心身障害児者あるいは超重症心身障害児者の方々にとっては、それで簡単にくくられてはやはり心細い、心もとない、医療的なケアの拠点がそこにないとどうするんだという心配は拭えないんですよ。ですから、私は、来年から発効されるこの計画の中に、医療的な拠点の整備、これは必要である、若しくは、その必要性を認識し検討していかねばならない、そういった認識を一文設けるべきだと思うんですが、これはどなたが御答弁いただけるでしょうか。

加藤国務大臣 足らなければ事務的に足させていただきますけれども、まず、今委員お話のあるように、重症心身障害児あるいは医療的なケアが必要な子供さんの支援、これは、医療を始め必要な支援が、大人になった後も含め、成長する中で切れ目なく体制整備を行っていくことがまず必要であるというふうに考えております。

 そうした中で、令和六年から令和八年までの次期障害児福祉計画に関する国の基本方針では、地域の重症心身障害児等の支援ニーズを把握して、これらのサービスを計画的に整備すること、また、移行調整等に係る協議の場を各都道府県等で設置することを基本とし、そこでの検討も踏まえた支援体制の整備を行う、求めることといった内容を国の基本指針に盛り込むべく、現在、社会保障審議会障害者部会で御議論いただいております。

 加えて、特に重症心身障害児や医療的ケア児について、その支援ニーズをより丁寧にきめ細かく把握すること、また、各都道府県が医療的ケア児支援センターを設置し、総合的な支援体制を構築する、こういった内容も国の指針に盛り込む方向で今議論させていただいているところでございますので、今いただいた御意見も踏まえながら、引き続き、当該審議会等での議論を深めさせていただき、こうした地域の拠点が整備され、医療的ケアの必要な子供さん、また御家族が安心してその地域で生活できるよう、取組を進めていきたいと考えております。

鎌田分科員 今、大臣の御答弁の後半の部分ですね、後半の部分に実は大事なところがあったと思いますので、厚労省の職員の皆様、是非、今の大臣の御答弁を基に、四月に告示される計画に反映されるように期待をしたいと思いますので、今、大臣の御答弁に期待をしていますので、そして厚労省の皆さん、是非、計画の方、よろしくお願いをいたしたいと存じます。

 そこで大臣、一つ私から提案なんですけれども、大臣も現場を御覧になっているというお話でした。特にコロナの中で大変だったのは、看護師さんの役割とそれから介護を担う方の役割と重複しているどころか、それから、人手が足りなくて、看護師さんは外部に委託しているお掃除もやらなくちゃいけなくて本当に大変でした。現場を歩きますと、新たな医療と介護のスキルを持つ資格、例えばなんですけれども、医療介護士、医療の面も介護の面も担っていけるような医療介護士のような人材育成を考えてみたらどうなんだろうというお声もございますので、これは御答弁は求めません、私からの提案でございますので、是非、今後の御検討課題に入れていただきたいと思います。

 大臣からの御答弁の中で、今、日本全国で、超未熟児で生まれた赤ちゃん、三歳や五歳で予期せぬ交通事故で脳に損傷を負ってずっと今人工呼吸器をつけて寝たきりになっている子供さん、ネグレクトや虐待等々で重症心身障害のハンデを持っている児あるいは者の方々、誰一人も置き去りにはしない、その方針でもってこれからの計画が作られるように期待をいたしたいと思いますので、注視をさせていただきます。

 続いて、移行期医療について伺います。

 今日は、お手元に、資料の一と二を配付をさせていただきました。一と二なんですけれども、この資料一と二は、一番目の方が、平成二十九年の四月十四日に、健難発〇四一四第三号のものです。それから、資料二の方は、平成二十九年の十月二十五日に同じように各都道府県の担当局長宛てに出されたものでございます。

 ここの中に書かれてありますもの、特に、私、改めて御覧をいただきたいのは下線を引いてございます。資料一の下の方に、成人期を迎えた後に必要とする医療等の提供の在り方については云々と書かれてありますが、専門委員会で議論されていますね、もう平成二十九年の段階で。それから一枚めくっていただきますと、支援の在り方に関する専門委員会。今申し上げましたね。

 今度は三枚目なんですけれども、近年の小児医療の進歩により、小児慢性特定疾患児童等も成人期を迎える患者が多くなってきていると。さきの予算委員会でも申し上げました。

 さらに、下に二ページと振ってあるところですが、(4)、成人期を迎える小児慢性が多くなってきている云々なんですけれども、それぞれの診療体制の医療従事者間の連携が円滑に進まず、現状では必ずしも適切な医療を提供できていない、このようにしっかり指摘をされています。

 資料二の方も同じような指摘がなされています。

 この移行期医療についてなんですけれども、先ほどの委員も質問されていました。この移行期医療については、私、ちょっとスピード感が足りないのではないかというふうに感じております。医療的ケア児、こちらの方は僅か一年余りでほぼ全都道府県に設置。しかし、この移行期は、平成二十九年を起点に五年が経過していますが、全国で十か所未満の現状だと私は認識していますが、これは間違いないですか。

 いいです。私が調べた限りでは、十か所未満なんですね。厚労省の皆様、御存じ、はい、何か所ですとお答えをいただけるのかと思ったんですけれども、十か所未満です。つまり、五年がたっているんですけれども、やはり進んでいないんですよ。

 この移行期医療については、二つの柱が大切だということもしっかり議論されていますね。されていますよね。誰もうなずいてくれないのが悲しいところですけれども。専門家、学者の皆さんたちは、二つの柱が大事だ、一つは何だ、一つは何だというふうに指摘をされています。

 ですけれども、私がここで指摘をしたいのは、重症心身障害児者の方々にとっては、特に児の方にとって、成人診療科の医師への段階的な引継ぎや転科、これが困難だということは明らかなんです。

 大臣、これは率直に、御正直にお答えいただいて結構です。移行期医療難民という言葉が実は現場では使われている、移行期医療にスムーズに乗れない障害児者の方がいる、そういったことを御承知でしょうか。

加藤国務大臣 例えば、十八歳までに対応する、まさに児としての対応から者の対応に移っていく、それに当たってなかなかスムーズな移行ができない、そういった意味で、例えば入所の関係でいえば、引き続き、過齢をしていても入所できるような対応もさせていただいている。あるいは、重症心身障害児の場合には、入所する医療型障害児入所施設については十八歳以降も障害者のサービスである療養、これは介護でありますが、介護ができる、こういう仕組みも入れさせていただいているところでございます。

 今委員が御指摘なのは医療ということなんだろうと思いますけれども、まさに、そうした子供の頃の様々な経験というか医療に係るものが次の段階にどう移行させていくのか、これは一般の人間でも言えますが、より一層、医療的なニーズが高い子供さんあるいは方においてはより重要な問題だと思っておりますので、そこは、スムーズに移行できるような様々な議論をする場、その一つが、まあもっと幅広いわけでありますけれども、協議の場を設置をして、そこで移行の調整、あるいは、必要な地域資源の検討等も行う場等々もございます。そうした努力を重ねながら、今委員がおっしゃったようなきちんとした移行が行われていける基盤、これをしっかりつくっていくことが必要だというふうに思っております。

鎌田分科員 大臣は本当に理解を示してくださって、でも、どうしてもお金のかかる話ですから、財務省との折衝で本当に御苦労されていると思います。ですが、これは大事な大事な話です。親御さん、いらっしゃいます。親御さん、働こうと思ったら働けるけれども、家族の介護で働けないような現状もあります。是非、大臣の答弁を厚労省の皆さん、しっかりと受けていただいて、この移行期医療がスムーズにいくように頑張っていただきたいですよ。お願いします。

 そこで、答弁は求めませんが、資料三を御覧ください。資料三、カラー刷りのものが行っていますでしょうか。

 私が申し上げているのは、移行期医療の問題点として五という数字が書かれていますけれども、このカラーのところなんです。今私が指摘をしたのは赤いところなんですね。自立をしようと思っても、無理です。転科を希望しようと思っても、無理です。障害は様々に及んでいますから、小児科医療を終わった後、はい、成人期医療、こっちですとスムーズにいくはずがないです。重度知的障害と医療的ケアを持っている、この方々にとっては、本当に、今、移行医療難民という言葉が使われるくらいなんですよ。そんな日本にしちゃいけないと思います。

 ですから、どうか、財務省もきちっと首を縦に振るように、加藤大臣を先頭に、是非、御苦労さまでございますけれども、頑張っていただきたい。そこは党派を超えて応援しますので、お願いします。これは答弁は要りません。そのことは指摘をさせていただきます。

 続いて、トランスジェンダーについて伺います。

 今日は法務政務官にも来ていただいております。ありがとうございます。

 トランスジェンダーについては、さきの総理の元秘書官の発言によって一気に何か世の中で浮上してきた感がありますが、冒頭、加藤大臣に伺います。性同一性障害とトランスジェンダー、これは違うという認識は明確にお持ちでしょうか。

加藤国務大臣 後で御質問があるのかもしれませんけれども、統計の基準においては、性同一性障害という形で、現在は、統計上は取られているというふうに認識はしておりますけれども。

鎌田分科員 率直に、御正直に、ありがとうございました。

 私も、近いときまでそういう感覚を持っていたかもしれません。ですが、もう国際社会、世界的には、そして、日本で活動している、自分はこうですと自分の個性をはっきりおっしゃる方々、そこでは、性同一性障害とトランスジェンダーは全く違うものです。トランスジェンダーの方々に性同一性障害という言葉を使うことは、はっきり言って失礼に当たります。そのことはまず申し上げたいと思います。

 性同一性障害は、あなたは性同一性障害ですと他者からつけられる疾患名です、御存じのとおり。トランスジェンダーは、私はトランスジェンダーですと、自発的に称するもので、つまり、アイデンティティーです。障害じゃありません。生き方の一つです。うなずいてくださってありがとうございます。この世界的な流れの認識、これを、今後、是非、大臣にも厚労省の皆様にも御認識をいただいて。

 そして、資料の四を御覧をいただきたいのですが、この資料の四は、国連が、世界保健機関、WHOが、前回の改定から三十年ぶりの全面的な改定が行われました国際疾病分類の最新版、いわゆるICD11、これが発表されまして、厚労省におかれましてもこの11のプレゼンを各所で行っているものだと思いますが、その中から抜粋させていただいたものです。

 一生懸命それの周知あるいは共通認識を持つということで御努力をされているんですが、この性同一性障害が、大臣、精神疾患から外されました。障害でもない、病気でもない、性の健康に関する状態、状態という分類の中のジェンダーインコングルエンスという項目になって、定義も示されています。

 このWHOの宣言は二〇一八年の六月の段階でした。今現在、厚労省、和訳では、性別不合の仮訳となっていますが、この和訳進捗と併せて、我が国での告示の見通し、お示しください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行のICD10に準拠いたしました現在の統計基準の告示におきましては、性同一性障害をこの分類の対象といたしまして、これを、精神及び行動の障害という章の中の一部として分類をして位置づけているところでございます。

 これに対しまして、御指摘のございました、新しい疾病分類基準であるICD11につきまして、これは二〇二二年一月にWHOにおいて発効したものでございますが、これにおきましては、性同一性障害は、それまでの精神及び行動の障害という区分ではなく、性の健康に関連する状態というふうに分類変更されたものでございます。

 これを国内においても適用いたしますために、現在、我が国におきまして、統計基準を定める告示について、全体についてICD11に沿って分類の変更を行う方針でございまして、現在、関連の学会とも相談をしてICD11の和訳作業などを行っているところでございます。

 ICD11の国内への適用については、和訳作業、これは、二〇一八年にまず最初のICD11が出たんですけれども、それに対して事務局案の和訳を作りまして、関係学会の皆様に御意見をいただいて、それを受けて二次案を作って、また御意見をいただいて、それでもA学会とB学会で同じ言葉に対して違う和文を当てたりすることがあるものですから、そういった調整を今行っているところでございます。

 WHOにおきましては、ICD11の発効、正式発効は二〇二二年一月でございましたが、昨年一月でございますが、そこから少なくとも五年の移行期間を設けることとされておりますので、そのことも踏まえまして、可能な限り早期に適用できるよう、令和九年以降の適用に向けて着実に準備を進めてまいりたいと考えております。

鎌田分科員 資料の四番、ICD改定の歴史を見ますと、それぞれ、日本での告示年、ICDが発表されて、それで日本の告示年もここで数字として見ることができます。今、五年という数字があったんですが、それはそれの決まりとしてなんですけれども、やはり、是非、英知を結集してスピードアップをしていただきたい。これは切にお願いをしたいというところでございます。

 次に、伺います。

 法務省、政務官、来ていただいてありがとうございます。

 今現在、戸籍上での性別変更を望むトランスジェンダーの方は、法律上、精神科を受診し、性同一性障害の診断名の下、性別適合手術を行うことが必須となっています。

 自分の生殖腺や外観に違和感を感じる方もいると思います。しかし、その逆の人もいると思うんですね。違和感も感じないし、手術は受けたくない、でも自分はトランスジェンダーです、そういうことを名のりたいという方々もいると思うんです。

 この特例法、これは所管は法務委員会になると思うんですが、議員立法でしたけれども、これは見直すときを迎えていると私、感じておりますけれども、政務官、お考えがございましたらお示しください。

高見大臣政務官 お答えをいたします。

 御紹介のように、性同一性障害特例法では、性別の取扱いの変更の要件として、生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあるということを求めています。これは、性別の取扱いの変更後に、残存する元の性別の生殖機能によって子が生まれるようなことがあるならば様々な混乱や問題が生じることになりかねず、妥当ではないという考えに基づくものでありまして、平成三十一年一月の最高裁判所の決定において、当該規定が憲法に反するものとは言えないものと判示をされております。

 性同一性障害特例法は議員立法であるということも鑑みまして、今後の対応については、この点に関する議論の状況等を注視してまいりたいと考えております。

鎌田分科員 私は所属は法務委員会ですので、共に議論を、是非、政務官も共にしていただきたいと思います。

 現状をよく、目をそらさず見ていただきたいです。トランスジェンダーの認識がある子供たちが学校現場でどのような状況にあるか。それから、トランスジェンダーをカミングアウトしたら離職を余儀なくされている若者。これは不条理です。生まれてくるときに、どのような遺伝子、DNAのプログラミングを持って生まれてくるかは、私たち、選べませんので、全ての人に共通の人権があってしかるべきと存じます。

 私の質問時間はそろそろ終わりですので、最後に、加藤厚労大臣に要望を持っての質問をさせていただきます。

 このトランスジェンダーの方々、当事者の方々を真ん中に置いて、我が国の、日本ならではの寛容かつ多様性を持って議論をする協議体のようなもの、そういった場を設ける必要性があるんじゃないかと思いますが、大臣、お考えはいかがでしょうか。伺います。

加藤国務大臣 様々な皆さんが様々な思いで生活をされておる、そうした声をしっかり聞くというのは非常に大事だと思っております。

 今、そこに特化したという、でも、様々な方がいろいろな思いを持っておられますから、我々、常にそうした方々からお話を聞き、また、今議論がありましたように、必要な制度の議論であれば、またそういった場にそぐった形で議論を進めていくということが必要なのではないかなというふうに思います。

鎌田分科員 終わります。ありがとうございました。

牧原主査 これにて鎌田さゆり君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 寺田です。

 質疑の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず冒頭、大臣に一言御礼を申し上げたいんですけれども、保育園、こども園のおむつの持ち帰りの件に関しましては、本当に迅速な御対応をいただいて、ありがとうございました。

 一つ段階が進んだタイミングですので正直に申し上げると、めちゃめちゃ役所の方々、やる気がなかったんです。それで、駄目元で大臣の日程をいろいろ調整いただいて、直接おむつの持ち帰りをなくす運動をされている方々に会っていただいたときに、大臣から、ある意味当事者というか、御自身としてもおむつの持ち帰りを子育てのときにしていて、それに対する不合理性の理解があったということで進んだ案件でした。

 あれだけやる気が余り見えなかった役所が、大臣とお会いした翌日から調査を始めて、先ほど通知を出していただいてということは本当に大きなことですし、余りその体験をしたことがない人にしてみると、おむつの持ち帰りが何でそんなに大事なの、大事というか大ごとなのという話で捉えられるかもしれませんが、子育ての負担というものはこういうものの積み重ねだと思いますので、一個一個そういうことを解決していくことが、今、政府全体として掲げている問題の解決の一歩だと思っています。

 おむつの次が、今日、三十分使ってサウナの話です。余り詰問調にするつもりはないので、ゆっくり聞いていただいている中で要所要所で大臣にお伺いしたいと思いますし、答弁は基本的に秋田コンビの佐々木審議官と二人で秋田弁でやらせていただきたいと思いますので、大臣も是非ゆっくり聞きながら要所でお答えいただければと思います。

 まず冒頭ですけれども、大臣とサウナの関係を聞きたいと思っているんですが、サウナ、御愛好されているでしょうか。

加藤国務大臣 なかなか最近サウナへ行く機会がありませんけれども、前はよくサウナに行かせていただいて、汗をかいて、その後、少し体をほぐしてもらう、それを楽しみにしておりました。

寺田(学)分科員 今大臣もお触れいただきましたけれども、私もサウナが好きで、この間、サウナの愛好家と問題意識を持っている国会議員の皆さんで議連をつくりました。会長に武田良太さんに就いていただいて、会長代行に維新の遠藤さん、私が幹事長で、あと、自民党の辻さんと立憲の荒井さんで中核を組んでやっています。

 こういうのを立ち上げると、非常にサウナを好きな方々及びサウナ事業をされている方々でいろいろ意見がある方々からはかなり熱い応援メールをいただきましたが、一方で、冷たい反応もあって、何でこんなことを、あんたら暇だよねというような話がありましたが、実際のところ、大臣も触れられたとおり物すごい勢いで増えていて、そして物すごい勢いで様々な効果を全国に及ぼしている。

 一つ一つ挙げても仕方がないですけれども、一つの大きな効果がやはり地方創生、観光的な魅力の創出というところだと思います。挙げれば切りがないですけれども、例えば北だと北海道の十勝ですけれども、十勝は、早い段階、ブームになる段階の前から協議会をつくって、その中で、サウナのエリアの協議会の中で連携しながらサウナで盛り上げていこうということで大きな成功を今果たしていて、コロナ禍にもかかわらず、観光で訪れる、サウナを目的に訪れる方々がどんどん増えたということになっています。

 私はまだやっていませんけれども、アバントという催しもありまして、大臣、御存じか分かりませんけれども、サウナを楽しんで体を温めた後に、氷の張った湖に穴を空けて、その中にどぼんと入る。今、二万円でやっているそうです、一人。それでも相当な人数が、その体験をしたいということで、そのためだけに十勝を訪れ、二万円払ってそういう体験をしているというぐらいです。

 西でいうと、恐らく佐賀の武雄温泉のらかんの湯というところが、らかんの湯のサウナに入るためだけに佐賀を訪れて、らかんの湯を楽しんで、仲間の中で、この間、らかんに行ってきたよという話をする。やはりクオリティーがすごく高いですね。

 そういう形で、様々、地方創生、観光客の誘致ということで、相当程度、今、勢いを増している。

 大臣の御地元にもないかなということで調べたんですけれども、今度、新たに、えげつなく選挙区が広がるんですね。その中で、新たな選挙区、支部長に就任される美作市に、ミマサカサウナというのがあるそうです。大臣、知っていますか。テントサウナのレンタルだったり設置だったり、イベントの企画とかをやっているようですけれども、そこに間接的に話を聞いてもらったところ、温浴施設よりも、バーベキュー場とかでのアウトドア施設から相談、引き合いが多いと。そのほとんどが自治体が運営しているキャンプ場とかで、冬場、全然人が来ないのでサウナを設置して今のブームに乗りながら人を呼びたいというような相談があるんですけれども、結局、法律関係のことを踏まえて頓挫して、その可能性を失っているという話だそうです。機会があったら、ちょっと聞いてもらえばいいんですけれども。

 今回、そういう意味で、私、サウナを取り上げるのは、ただ好きだからということよりも、これぐらいのポテンシャルがありながら様々な形でその機会が失われている。その一つの要因に、法体系であったり、許認可の実態があるというのが問題意識です。

 私自身も、妻と一緒にサウナに入りたいなと思って、水着ですけれども、入ろうと思うと、混浴が禁止されているところが結構あるんです。多分ほとんど禁止されているんじゃないですかね。新宿区は男性同士で入るのが駄目だというのは、以前もあって、今もあるという話を聞いています。これはちょっと正確に調べますけれども。

 ここは答弁してもらわなくても大丈夫ですけれども、公衆浴場法で、法で厳格に禁止しているわけじゃないんです。大臣も御存じのとおりでしょうし、審議官も御存じのとおりでしょうけれども、基本的には都道府県に許認可、任せちゃっているんですよね。

 これは、地方に対して自由度を高めるという形でそういう方向性にしていること自体の大きな方向性は理解するんですけれども、結局、自治体で何が今起こっているかというと、法で禁止されていないことすらも、法に書かれていないから、オーケーと言われていないから駄目とか、様々な、保健所の責任者なのか、もしかしたら、私が聞いている限りは、担当官の考え方一つで、何も決められていないのに柵を造れとかなんとかだとかと言われて、結局コストが高くなったり、オープンが遅れたり、断念したりとなっている。

 更衣所に関しても、基本的には法では決めていないんですが、厚労省の方から技術指針みたいなのが出ていて、私が聞いたのは、オフィスの中に福利厚生的な意味でサウナを造りましょうと、いいことですよね、従業員であったり家族の方々が利用する。ただ、公衆浴場法の適用が必要なので、それを保健所と相談すると、その技術指針の中には、人数に応じた更衣所の面積が必要だというのをアドバイスとして載せている。別に、それに限定しているわけじゃないんです。

 ただ、それを物すごく自治体の人は厳守しようとして、更衣室の面積が足りないじゃないか、そんなの認めません、工事しろと言って、工事させられる。浴室の隣に更衣所がないと駄目だと。ただ、会社の中でいうと、それは会社の人たちが使うわけですから、ロッカールームで着替えて、ガウンを着て、その施設に行くということは、何ら別に公衆衛生的な観念からおかしいことじゃないんですが、その自治体としては、それが認められないといって、大変な苦労をしたと。

 もろもろ言うと、こういう今の法体系と地方自治に委ねている部分によって、これだけ大きなポテンシャルあるものが、さっきの大臣の御地元の件も含めてですけれども、頓挫し、機会を失っている。これを何とかしたいなというのが、私がサウナ議連を立ち上げた大きな役割の一つだとは思っているんです。

 これは確認答弁を取っていきたいんですけれども、テントサウナ、先ほど、大臣の地元もそうでしたし、資料を今回いろいろ作りましたけれども、「新たなサウナの潮流」という、これはちょっと資料を拝借しながらやったんですが、テントサウナというのは、アウトドアでテントでサウナをやって、うちの地元もありますけれども、田沢湖の湖畔でテントサウナをやって、温まったら田沢湖の中に飛び込んで、その後においしいコーヒーを飲むというサービスを東京から帰ってきた地元の人間がやってくれているんですけれども、このテントサウナが物すごいありまして。隣のチームラボ、六本木の一等地に大きいものを造ってやったイベントですし。今度、モビリティーサウナ、サバスといって、バスなんですけれども、大臣、来月の十八日に赤坂サカスに来るそうなんですけれども、ちょっと一緒に行きましょうよ。後で相談させてください。トレーラーハウス、コンテナハウス。ソロサウナがめちゃめちゃ今増えていて、これはちょっと、若干、僕は懸念点を持っています。いいですけれども。

 こういう様々な形があるんですが、テントサウナはすごい今、可能性を含めて増えているんですが、テントサウナ自体を法律で禁じてはいないと私は解釈しているんですが、テントサウナをいいとも言っていないので、定めていないので、禁止ですという自治体まで実際あるそうです。

 審議官、テントサウナの設置を国として禁止している事実はあるんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、様々御指摘いただいたので、せっかくなので、例えば、水着だとかについても併せて答弁したいと思います。

 まず、直接の今御指摘いただいたテントサウナの設置につきまして、厚生労働省が示しております衛生等管理要領においては禁止されておりません。ですので、この要領の中での、例えば、建築基準法の建物、建築物でなければならないという定めも当然ながらないというところでございます。

 ただ、もちろん、物によっては、我々のこの技術的助言には載っていなくても、他の法律がかかるということは当然あり得るかと思います。

 水着の着用ですけれども、これにつきましては、確かにそうなんですよね、我々の要領の中には、例えば、風紀的な観点で書いているのは、おおむね七歳以上の男女を混浴させないこととは書いておりますが、先ほど御紹介いただいた北海道ですとか、また山梨県等においては、水着の着用により混浴可能としているという実例もあるわけでございますし、また、脱衣所、更衣所につきましても、衛生等管理要領では、少なくとも一般公衆浴場という形では、浴室に隣室させるという定めはありません。ただ、当然、床面につきましては、戻ってきたらぬれているわけですから、その場合においては、耐水性の材料を用いることというのを定めているのみでございます。

 今申し上げたのは、冒頭委員が様々御指摘いただいた法律、その法律に定めているものの中で、都道府県知事等、これは保健所設置市もありますから、そこで条例に委任しているもの、それについての都道府県等、また条例の自由度、そこについての我々の周知というものをもっとすべきという御指摘だと思いますので、その点については引き続き努めてまいりたいと思っております。

寺田(学)分科員 大臣、今、審議官に説明してもらったとおり、基本的には、地方分権は私も進めるべきだと思っている人なので、地方の実情に合わせて地方で判断してくださいという仕組みがあれば、北海道であったり山梨であったり、あと、鳥取県も物すごい頑張って、知事を含めて、この間、サウナ学会、サウナ学会というのがあるんですよ、サウナ学会に私もゲストとして議連の人間として行ってきて、鳥取知事も来て、あと、お医者さんの方々で学会をやっているんですけれども、健康に対する寄与度みたいなことを発表してもらったりしているんですが、鳥取もかなり積極的にやっている。

 自治体によっては、物すごく実情に合ってやることがある、それは地方分権としての正しい一つの答えだと思うんですが、全体的な話を聞いてみると、やはり萎縮効果が強いというか、現場に任せると、現場の担当官の方が、いや、何かあって怒られたら嫌だからとか、オーケーと書かれていないから駄目みたいな、テントサウナが駄目と言われるんですよ、何の禁止もしていないのに。

 混浴に関しても、いかがわしいことをするやつはどんなところだってするわけであって、プールの採暖室だって水着同士で男女入っているわけですよ、体を温めるところ。

 そういう意味で、別に、サウナのところに水着を着て、大臣はお詳しいかもしれないですけれども、基本的に、ヨーロッパは全裸で男女入っていますよ。そういうことが行われているにもかかわらず、日本の中では、現場に任せちゃうと、こういうことが起きている。

 さっき建築基準法の建築物の話もありましたけれども、基本的に、建築物であることが公衆浴場法の要件でもないということは先ほどお話をされました。

 もちろん、建築物、定着しているのであれば、それ自体が建築基準法にのっとって様々判断されることはあると思うんですが、いずれにせよ、地方分権、任せていること自体が必ずしもいい結果だけを残しているわけじゃないということと、サウナに関わること自体が、厚労省の公衆浴場法と旅館業法だけじゃなくて、建築基準法だったり総務省の消防法だったり下水道法だったり、様々なことが入って、若い人たちだけに限らずですけれども、地方で工夫して、こういう形で人を楽しませようとか、こういう形で商売しようとか、こういう形で旅行客を呼ぼうということに関して、物すごく抑制的な力が働いていることは事実です。

 まず、この現場の様子をちゃんと聞く必要が政府はあると思っているんです。

 ちょっと大臣に聞きたいんですけれども、ちゃんと現場の様子を聞く。今、許認可に関して様々なことを自治体の保健所の担当官とやっている事業者が多いですよ。ただ、それだけじゃ収まらないので、全体としてどうなっているかというのを省として把握するために現状を聞く、そういう姿勢を持ってくれませんか。

加藤国務大臣 全体の状況をどう把握していくのか。

 一つは、今のお話は、サウナに限らず、各都道府県、市町村に様々な判断が委ねられている、国が一つの指針を出している、現場で聞くと、地元でも、何かすごい固い対応をしていて、当該役所に聞くと、いや、そんなことはないと言うずれがあるというのは、いろいろ我々日常感じるわけでありますので、是非、コミュニケーションというんですか、そういったものをしっかり図っていくということはまず必要だろうと思っております。

 したがって、今の関係するところ、あるいは団体の方から、また、厚労省の分野については、またそうした問合せをいただければ、それに対してお答えをし、そして場合によっては、それがかなりいろいろなところで同じような対応が行われているのであれば、またそれに向けて違う発信をしていく、こういったことが必要なのではないかなというふうには思っております。

 その上で、今お話があったような実態の把握とか、あるいはいろいろな声を聞く場とかいうのもあるかと思いますが、まずはそうしたやり取りをさせていただければなというふうに思います。

寺田(学)分科員 現場の意見、もちろん保健所の話もちゃんと聞かなきゃいけないと思います、保健所の言い分もあるでしょうから。そういうことを含めて、事業所の方々及びそれを許認可しようとしている行政体の方からも、話を是非、佐々木審議官、聞いてください。

 もう一点、大臣に聞きたいんですけれども、先ほど申し上げたとおり、厚労省だけで収まる話じゃないんですよね。総務省、国交省、もしかしたら警察も風営法を含めて入るかもしれないです。それで、事務官ベースでいいので、サウナに関する各省連携、連絡協議会でも何でもいいです、そういう協議会を任意で立ち上げて、話し合っていただくように、大臣から御指示いただけないでしょうか。

加藤国務大臣 役所ベースでお願いをするということになると、まさに総合調整機能は誰が持っているかという話になり、当該サウナに関しては、別に、厚労省が持っている、厚労省が持っているのは公衆衛生の部分だけで、先ほどお話があった消防法とか建築の話は、これはまた各省庁が別々にやっているわけでございますので、もちろん役所間の連携は様々な施策と同様に図っていく必要があろうかと思いますが、今お話があったように、議連でもいろいろ活動していただいているということでございますので、そうした場なども通じながら、全体としての調整を図らせていただければと思っております。

寺田(学)分科員 主管を決めましょうよ。もちろん様々なことは横断的に省庁が絡むんですけれども、ちょっと佐々木さん、佐々木さんがあれですよ、サウナ担当官ですよ。

 いや、大臣が言うとおり、いろいろなところの省庁がやれば、厚労省だけで収まらないのはそうなんですが、物事は、とはいえ誰かが主管しながらある程度連絡調整をしていくわけであって、サウナはどう考えても、まず一義的には厚労省ですよ、公衆浴場法で認められないと開けないんですから。

 大臣、まず、サウナ担当官を決めましょう。佐々木さんを推挙しますけれども、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 サウナ担当官というか、公衆衛生に関しては、今厚労省としてそれぞれセクションが決まっておりますから、そこでしっかり受け止めさせていただきたいと思いますし、正直言ってそれほど多くの人数がそこにいるわけではございませんので、その中でしっかりとそうした対応をさせていただければと思っております。

寺田(学)分科員 佐々木審議官、人員が少ないそうですよ、私も聞く限りにおいては少ないと聞いていますけれども。ただ、物すごい勢いで広がっているんです。後で質疑をしますけれども、懸念点だってあります。

 もちろん、公衆衛生の部分だけ持っているんだと言いながら、サウナ施設とか温浴施設を造るときには、公衆浴場法で認可されないとそもそも開けないわけですから、主管はどう考えたって厚労省ですよ。

 僕はフリースクールとか今までやってきましたけれども、担当をつくるところから決めないと何も進まなくて、今でこそフリースクール、文科省初中局でやっていますけれども、最初の頃は、そもそも文科省の担当じゃありませんと始まって、生涯学習局がやることになり、ようやく教育として認められたというのがあります。

 そういう形があるので、サウナに関しても、横断的に関わるし、厚労省だけじゃないとは言いながら、厚労省のまさしく審議官のところが一義的にはまず窓口ですよ。大臣が様々なことを配慮しながら今控えられていると思いますが、審議官、任意の意味で主体性を持ってやっていただくというような発想を持っていただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 私、生活衛生・食品安全審議官でございますから、当然ながら、生活衛生の視点で、先ほど委員から、これは公衆浴場法もあるし、場面によっては旅館業法といった、生活衛生行政横断的な部分もございます。その範囲においては、少なくとも私が事務方の責任を持って対応したいと考えております。

寺田(学)分科員 大臣をいろいろ引きずり回したい、いろいろなところに連れていって見てもらいたいと思いますが、本当に多分想像を、サウナユーザーの私の想像を超えるぐらい、今物すごい勢いで広がっていて、資料によると、これの発祥のフィンランドとかよりも、人口比に対してのサウナ施設の数というのは日本が多いらしいです。どんどんどんどん増えています。形態自体は、さっき資料で見せたとおり様々な形でやっていて、それがかなり効果をもたらしている。

 原点に返りますけれども、基本的にサウナは何のために入るかといったら、気分転換のためだとか様々ありますけれども、今日、資料の裏側の方にサウナ学会で出された資料をちょっとつけていますけれども、中段、下段の方に、メイヨー・クリニックとかで出されたものの本当の一部、抜粋とかを抜いていますけれども、サウナ自身は例えるなら運動と同じで、適切なサウナの入浴であれば非常に健康によく、やり過ぎると健康に悪いというものだと。なので、いずれにせよ、健康によいものであるということでサウナに入る方々もかなり多いと思います。心筋梗塞のリスクが半減したり、認知症のリスクが六割減ったり、精神疾患が七八%減じたりと。もちろん、これの捉え方をどう捉えるかというのは専門の皆さんのところだと思いますが。

 ここで一点、大臣にお願いです。多分、国として本格的にサウナと健康の関係、サウナに入った場合にどのような健康的、体に対しての効果があるのかないのかということの調査をやったことがないと思うんです。補正予算のタイミングとかでもいいですから、ちょっと調査費をつけませんか。つくかつかないかは最終的な判断は政府全体でしょうけれども、そういうような予算化の道筋をつけないかという提案です。大臣、予算をつけましょうよ。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 サウナに限らず様々これがいいとかいろいろあるわけでありますから、まさにそれはそれぞれの、今お話があった学会とかですね、そういうところでまずは深めていただきながら、その上で、また更に議論を深めさせていただくということになるのかなというふうに思っております。

寺田(学)分科員 補正のときなんて、何かめちゃくちゃなものを積んでくるじゃないですか。その中に、かなり有益なことです、ちょっと審議官、ちゃんと申立てを立ててくださいね。大臣がそれを認可するか、主計が何を言うか分からないですけれども。

 ちゃんとサウナが、僕自身、このサウナ議連を立ち上げたときに、何、暇やっているんだみたいに言われましたけれども、いや、体にいいんですよ。それこそ、これから医療費だ何だというのが増えていく中において、予防医療の観点から結構有益なツールの一つですよね。それを医学的にちゃんと調べる。フィンランドはかなり調べてやっているみたいですけれども、日本としても、サウナの数が相当増えているので、是非そこはやっていただきたいと思いますので、審議官、そこは、最終的に認められるかどうかは別として、ちゃんとその効果検証の調査をよろしくお願いします。いかがですか、審議官。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 私ども、当然ながら、生活衛生という視点の中で……。

寺田(学)分科員 そうですね、審議官に聞いてもジャンルが違います。大臣、よろしくお願いします。そこは強く議連としても訴えたいと思いますし、個人としてもやりたいと思います。

 逆の点でいうと、これは生活衛生の部分じゃないかもしれないんですけれども、今、どんどん増えていることによって、やはりクオリティーの部分で懸念点も出てきていて。

 アウフグースというのがあるんですよ。熱波師。いや、もう、ちょっとやはり体験するしかないですね。熱波師というのがあって、サウナに入ってばんばんに熱波をあおぐんです。熱波師というのもいて、職業として成り立っているし、鳥取とかはそれの何か全国大会、世界大会とかで上位成績を残した人たちを表彰したりとかしているんですよ、アウフグースというんですけれども。気持ちいいんですよね、私もそれは体感するときがありますけれども。

 ただ、それを体感するために、人気が高いので、結構早めに入っちゃうんですよね、サウナ室に、アウフグースのタイミングまで、熱波のタイミングまで。秘書官、がんがんうなずいているからサウナーな気がしますけれども、ちょっと、ちゃんとレクしておいてね。それを受けるために早めに入って、熱波を受けるんですけれども、ぎゅうぎゅうに入れるんですよ、人気なので。となると、二酸化濃度ががんと上がるらしいんです。それはもう、失神するレベルまで上がるところがあるというふうに聞いています。

 このブームに乗った上での健康的なリスクというものもちゃんと考えなきゃいけないし、テントサウナもやはり間違えたら一酸化炭素中毒になりますので、それに関しても、やはりこのブームに乗っかって、よからぬ業者とかも出てきているというふうに聞いております。

 この安全性、それはちょっともしかしたら審議官じゃないのかもしれませんけれども、審議官だとすれば、この点に関しては役所としてもしっかりと取り組む必要があると思いますけれども、そこら辺の留意点があれば、審議官から。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 本来、アウフグースなどで、ばあっとあおぐので換気ができるはずなのですが、それができていないということでございます。

 私ども、先ほど申した技術的助言の中で、実際、二酸化炭素につきましては濃度を一五〇〇ppm以下、一酸化炭素、これはどちらかというと不完全燃焼で起きるものですけれども、これにつきましても、基本的に換気をすればよいわけですから、これについても一〇ppm以下ということを定めておりますので、こうしたものはきっちりと周知をして徹底してまいりたいと考えております。

寺田(学)分科員 私がちょっと聞く限りにおいて、熱波の中において二酸化炭素が上がる一つの要因として、消防法の中で、延焼を防ぐためにあえて換気を悪くしているというような仕組みがあるそうです。なので、そういうことも含めて、かなり横断的に関わることです。

 冒頭から申し上げているように、物すごいポテンシャルをつかんでいるので、ポテンシャルの中でそれを生かしていきたいという自治体が多くいる、事業者がある中で、法律が横断的に、任せていることはいいことだけれども、任せている結果として、現場では物すごい厳しい判断が伴っているということになっているので、これは本当に本腰を、衛生的な観点もそうですし、地方創生という文脈でもそうですし、健康増進というような文脈でもそうですけれども、しっかりと厚労省として取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 大臣、最後に、ちょっと前向きな答弁をしてくださいよ。サウナは厚労省が主管です。許認可権限を持っているんですから、厚労省からそっぽを向かれただけでサウナ施設は造れないですから。

 そういう意味で、厚労省としてしっかりと、伸びている産業であり、可能性を含めているこのサウナというものに対して、主体性、主管意識を持っていただきたい。そして、連絡協議会をちゃんとつくっていただきたい。つくれなければ、まずは佐々木さんを、任意でもいいですので担当官として、何が問題があるかということをしっかりと調べるようにということを大臣から御指示いただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 大変、サウナに対する熱い思い、まさにサウナのような熱い思いを聞かせていただいたところであります。

 先ほどから申し上げているように、主管という言葉、私どもはあくまでも公衆衛生等という立場でありますが、その中での課題もいろいろと今御指摘をいただいたというふうに思っておりますので、そうした課題も整理しながら、一方で、今お話があるように、我が国の観光というものを振興していくというのは一つの大きな柱でありますし、その中にこのサウナというものも位置づけられているという御指摘でもございました。そうした視点も持ちながら、まず、私どもの分野の中において、やるべきことをしっかりやらせていただきたいと思います。

寺田(学)分科員 佐々木さんからも最後に一言いただきたいんですけれども、本当に大きな可能性を含んでいるし、地方分権、地方に任せていること自体の、いいところと、はっきりと悪いところが出てきているので、そのことに対して国として主体的意識を持ってその問題を捉えて何かしらの対策が必要だと思っています。

 佐々木さん、今度、一緒にサウナに行きましょう。サウナの中でもちょっとレクをしたいとは思いますけれども、審議官から最後に一言いただいて、終わりたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今、質疑の中で明らかにしていただいた様々な、この法体系におけるメリット、デメリットがございました。それにつきましては、当然私ども、必要なことをしてまいりたいと思いますし、これも先ほど大臣からの答弁の中にございましたとおり、やはり、必要な情報をきっちり伺いながら進めていくということと併せて進めてまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

牧原主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織君。

石川(香)分科員 石川香織でございます。よろしくお願いいたします。

 寺田委員からサウナの質問がございました。私も後ほどサウナの質問をさせていただきますけれども、質問の中にも出ていました北海道の十勝というのは私の選挙区でありまして、熱波師の話も出ていましたけれども、カリスマ熱波師という方もいらっしゃいますし、あと、夏場に農家の方がD型ハウスにテントサウナを設けて、そこに入って、終わった後に、畑を前にしてコーラを飲むというのも最高ですので。いろいろな課題、若干、さっきの寺田さんとかぶっているところもあるかもしれませんけれども、後ほどまた、改めてお伺いできればなと思っております。

 まず初めに、トラック業界などの働き方改革についてお伺いをさせていただきます。

 来年の四月一日から、自動車運転者の時間外労働の上限規制が年間で九百六十時間となります。一般労働者は時間外労働の上限が年七百二十時間に設定をされておりますが、トラック、バス、ハイヤー、タクシーなど、運転する業種は、距離などの関係で勤務時間がどうしても長くなってしまうこともあるということもあって、時間外労働を年間九百六十時間に収めてくださいということになるということであります。

 もちろん長時間労働を是正するといった趣旨もある規制であると思いますけれども、これは物流の二〇二四年問題とも言われておりまして、現場からは困惑した声も上がっているということでありますので、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 私が住む帯広市でありますけれども、一年間の半分ぐらいは雪に覆われているというところであります。運送業者の方が除排雪を請け負って労働するということが多くあります。この除排雪に要する時間というのは相当なものがあります。先日も運送業者の方に聞きましたけれども、捨てる雪を乗せたトラックが雪捨場まで行くんですけれども、ここが一本道で、非常に渋滞になって、なかなか帰ってこれないとか。かなり、距離自体は本州ほどではないかもしれませんけれども、除排雪にかかる時間というのは非常にウェートが大きいということであります。

 また、農業が盛んな地域ですと、収穫時期などは仕事が集中することがあるということで、一年間満遍なく忙しいというよりは、忙しい時期は物すごく忙しいというような、労働のピークといったものもあります。

 今回の規制の中では、時間外労働を年間九百六十時間に収めれば、その月の上限を設けるというわけではないということですので、当然、忙しい時期と比較的緩やかな時期、これを最後、帳尻を合わせればいいということになっておりますけれども、雪に関しては、いつ降るか分からないということもありますし、最近は一度に降る量が非常に多いということもありますので、除排雪にかかる時間も実際、多くなっております。

 昨年末ですけれども、新潟、北海道も停電などありましたが、道路が大雪で通行できなくなりまして、多くの車が長時間にわたって立ち往生するということがありました。

 例えばああいったときに、年度末が近くてもう時間外労働が九百六十時間、上限いっぱいになりそうだ、これははみ出すと罰則があるから、うちは除雪できませんといったようなことになってしまったら大変だ、そういうことも現場から言われているわけですけれども、とにかく除雪が入らないと学校や勤務先にも行くこともできず、物流も緊急車両も通ることができず、生活がままならないということです。

 そこで、除排雪に関して、どのような扱いになっているかということですが、令和元年の通知でありますけれども、労働基準法三十三条に新許可基準ということになっておりまして、災害その他避けることのない事由として、雪害が、雪の害が記載をされております。細かく読みませんが、雪で交通の維持ができず、社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体から要請があったとき、人命への危険があるとき、社会生活への重大な影響が予想される状況において予防的に対応する場合など、こういった場合は非常時労働に当たるというふうに書いてあります。

 つまり、この上限九百六十時間の枠に入らないということになっておりますが、現場では余り周知されていないように感じます。もっと周知徹底するべきではないでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、労働基準法第三十三条第一項におきましては、先ほどの二〇二四年問題とおっしゃられましたのは三十六条の時間外労働でございますが、別の条の三十三条におきまして、事前の許可又は事後の届出により、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、使用者は時間外、休日労働させることができるというふうになってございまして、この中でも、雪害、いわゆる雪の関係につきましては、今委員おっしゃられましたとおり、安全で円滑な道路交通の確保ができないことにより通常の社会生活の停滞を招くおそれがある場合等々を例示しまして、通達で、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合に含まれるということを示しておるところでございます。

 こうした取扱いにつきまして、地域の実情はいろいろあろうかと思いますけれども、こうしたものを踏まえながら、今後とも周知を図ってまいりたいと考えてございます。

石川(香)分科員 今、地域の実情ということもありましたが、災害級の除雪はもちろんでありますけれども、日常的にも除排雪というのは必要であります。こういった除雪の労働時間が非常時労働になるかどうかというのは、最終的には労働基準監督署が判断するということですが、労働基準法三十三条で雪害に触れられている一方で、地域によって、雪の降り方のペースであったり、それから積雪の量であったり、その土地が例えば中山間地域だとか、どういうところかということも、それによって雪に受けるダメージも変わってくるのではないか。

 ある程度、雪害となる具体的な基準というものを設定するための議論というのも必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 雪害について今局長の方から答弁をさせていただきましたけれども、今、具体的な数値、ただ、今のように年々年々気候変動がいろいろ出てきて、どういう数値を取っていいのかという話と、それから、ある意味で、逆に、数値を使ってしまいますと、それがかえってその後の適切な運用が難しくなるという課題もあるのではないかなというふうに思っているところであります。

 委員の御指摘の背景にあることは十分、私ども、よく承知をしておりますので、まず、各労働基準監督署がどう適用していくのか、これについて適切に運用されるよう我々の方で徹底していくとともに、各事業主体がやはりそこを理解しながら従業員の方の雇用をしていただかなきゃならないわけでありますから、そういった意味でも、この内容についてより分かりやすい周知が図れるよう努力はしていきたいと考えています。

石川(香)分科員 大臣おっしゃるとおり、確かに、どの基準というのを設定するのかというのは、当然、気候変動があったり、いろいろなことがありますので、難しいなということも分かるんですけれども、ただ、現場では、雪が降ってしまえば一刻も早く現場に向かって除排雪をするということでありますので、この時間外労働の規制によって、これは行くべきかどうかということ、それは使命感を持ってやっていただいているので当然行っていただくということになるんだと思うんですけれども、そこで協議している時間もないわけですよね。だから、一定の基準というものも必要かどうかということは常に頭に入れておかなきゃいけないのかなと感じております。これは、現場の方もそんな話をしておりました。

 一方、現場の課題は、目下、ドライバー不足であります。西田政務官にお越しをいただきましたが、ただでさえドライバーがいないという中で、働く時間が短くなるということは、物流への影響は避けられないのではないかという声が多く上がっておりますが、物流への影響はどうでしょうか。

西田大臣政務官 石川委員の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 物流は、国民生活や経済を支える社会インフラでありますが、担い手不足、カーボンニュートラルへの対応など、様々な課題に直面をしているところでございます。加えて、トラックドライバーに対する時間外労働規制が適用される、いわゆる二〇二四年問題により、物流への影響が懸念されており、このまま何もしなければ、輸送能力が一四%不足するおそれがございます。

 このため、国土交通省では、これまで、貨物自動車輸送事業法に基づく働きかけや要請などによる働き方改革の推進に取り組んできましたが、さらに、経済産業省、農林水産省と共同で有識者による検討会を開催し、荷主や消費者も一緒になって、より実効性のある措置に取り組めるよう検討しているところでございます。

 引き続き、関係省庁、産業界と連携して議論を深め、社会インフラとして必要不可欠な物流機能の強化に万全を期してまいる所存でございます。

 以上でございます。

石川(香)分科員 今、一四%というデータを言っていただきました。あるデータでは、農産物の物流が三割ぐらい影響あるのではないかというデータもありますし、もう二〇二四年、来年スタートですので、ここが一番の現場の懸念だと思いますので、この物流への影響をどう最小化するかというところ、ここはしっかりあらゆるデータを基にして対応していかなきゃいけないと思います。

 過労死をするような働き方は是正しなければいけない、これはもちろんでありますけれども、一方で、働き手の収入も減ることになってしまう、これは業界にとって歓迎されるべきことではありません。収入を確保する取組がセットで必要ではないかと思いますが、この点についてお伺いをさせてください。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラックドライバーは、他産業と比較して労働時間が長く、低賃金にあることから、時間外労働の上限規制の適用などにより健康と安全を確保するとともに、適正な賃金水準を実現することにより魅力ある職場づくりを進めることが重要であると考えてございます。

 このため、国土交通省では、平成三十年に改正されました貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃の周知、浸透、また、適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対する同法に基づく働きかけや要請などに取り組んでまいりました。また、中小企業庁や公正取引委員会と連携し、下請代金法や独占禁止法等の法執行による取引適正化を推進しております。

 さらに、現在、先ほども御答弁ございましたが、経済産業省や農林水産省と共同で開催してございます検討会において、適正な取引環境の実現に向け、検討を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁、業界団体と連携し、適正な運賃収受による働き方改革の実現と安定的な輸送サービスの確保に努めてまいります。

石川(香)分科員 適正な運賃という御答弁がありました。荷主に対して要請をしているということもありましたけれども、現状、やはり力関係が当然ありますので、なかなか運賃が上がらず、厳しい経営を強いられているというのが今のトラック業界の現状だと思います。

 既に、原油価格高騰などによって、会社によっては何百万、何千万の赤字も出ているというところもありますので、今、非常にダメージが計り知れない、体力が弱ったということもございます。こういったときに、今するべき改革なのか、どういう改革をすればいいのか、どういう働きかけをすればいいのか、これは是非現場の声をしっかりと反映をしていただきたいと思います。

 西田政務官それから国交省の皆様はこれで御退席いただいて結構でございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 次に、医療的ケア児についてお伺いをさせていただきます。

 午前中の質疑でも若干触れておられましたけれども、医療的ケアを必要とする赤ちゃんの割合は十年間で二倍になりました。救える命が増える一方で、家族の負担の軽減、それから医療的ケアを必要とする人の居場所づくりというのは急務となっています。

 十八歳までは児童発達支援の枠組みで過ごしますが、十九歳になると生活介護に移行になるということで、移行医療難民という言葉も出ております。当事者の方からは、生活介護の制度が、人工呼吸器など医療的ケアが必要な子供たちが大人になっていくということが想定されていないのではという声がありました。今の報酬単価では十分な看護師配置も難しいといった声もありました。

 児童発達支援、放課後デイサービスでは、令和三年度の報酬改定で医療的ケア児に対して大幅な見直しがありまして、手厚い看護、ケア、療育が可能になってきましたけれども、今年高校を卒業するお子さんは、この児童デイサービスも卒業しなければならないという現状があります。

 この切替えのときに切れ目なく支援がきっちりと続いていける環境かどうかということが非常に大事なわけでありますけれども、現状、選択肢や環境を含め不十分ではないかという声が多く上がっておりまして、この点について国としての取組の強化が必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 医療的ケア児の支援に当たっては、医療を始め必要な支援が、大人になった後も含めて、成長する中で切れ目なく行われる体制をつくっていくということが重要であります。

 令和三年九月に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されました。同法律では、基本理念の一つとして、十八歳に達し、又は高等学校などを卒業した後にも適切な支援を受けながら生活できるように配慮すべき旨が規定をされているところであります。

 同法に基づく医療的ケア児支援センターの設置、また、保健、医療、福祉等の支援を総合的に調整するコーディネーターの配置に加えて、関係機関で地域の課題を把握し、その対応策を検討する協議の場の取組などを支援をしており、医療的ケアの継続的な実施又は障害児のサービスから障害者のサービスへの円滑な引継ぎといった、今御指摘があった課題への対応なども含めて、各地域において、法の基本理念を踏まえながら、支援の取組を進めていただいているところであります。

 令和六年度から令和八年度までの次期障害児福祉計画に関する国の基本指針では、今申し上げた対応に加えて、特に重症心身障害児や医療的ケア児について、その支援ニーズをより丁寧にきめ細かく把握するとともに、各都道府県が医療的ケア児支援センターを設置し、総合的な支援センターを構築をしていく、関係機関による協議の場を設置し、障害児の支援が成人期に円滑に引き継がれるよう対応するといった内容を国の基本指針に盛り込む方向で、現在、審議会で議論いただいているところでございます。

 医療的ケアの必要性が高い子供さんが大人になっても切れ目なく必要な支援が受けられるよう、また安心して生活できるよう、引き続きその取組を進めていきたいと考えております。

石川(香)分科員 国としても理解をいただいて、いろいろな取組も始まってきていると思いますが、この十年間で医療的ケア児と言われるお子さんが二倍になっているというこの環境も考えますと、まだまだ環境が追いついていないというところも実際あります。

 特に地方ですね、私が住む帯広市には、看護師さんがいる生活介護というものが皆無だと言っておりました。全国を見ますと、自治体によっては独自の加算もあり、これも地域格差を生んでしまうのではないか。やはり医療とか教育というのはどんな家庭の子でもひとしく受けるべきだと思いますけれども、残念ながら、こういった格差もあるというのが現状であります。

 また、在宅というキーワードが国によって推奨されておりまして、その結果、介護の負担が家族にのしかかってしまうという現状もあります。医療的ケア児を抱える御家庭では、両親はお仕事も当然ありますし、兄弟の子育てもあり、そしてケアは特にお母さんに集中する傾向にあります。医療的ケアを必要とする家族の介護をする日々を、新生児がずっと続くような感じであるという表現をされておりましたが、母親は慢性的な睡眠不足になって、妊娠も諦めざるを得ない現状にある、働きたくても働けない、こういったことがあります。

 家族の負担を減らすということは、本当に重要なことでありまして、このことに関してももっと国の積極的関与を求めますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 医療的ケア児が成人期に移行した後においても適切な福祉サービスを受けながら地域で安心した暮らしを送ることができるように、医療的ケア児及びその家族を支援することは重要であると認識をしております。

 障害福祉サービスの一つであります生活介護におきましては、看護職員の配置などにより、医療的ケアを必要とする障害者を含む障害者の日中活動における支援を行っているところでございまして、さらに、令和三年度の障害福祉サービス等報酬改定におきましては、医療的ケアを必要とする障害者に対する支援を充実するため、この生活介護の報酬について、より手厚い看護職員の配置を評価する加算の拡充を行ったところでございます。

 こうした取組によりまして、医療的ケア児が成人期へ移行した後につきましても地域生活を継続することができるよう、必要な支援の充実に努めてまいりたいと思っております。

石川(香)分科員 医療的ケアというのは、本当に朝から夜まで二十四時間ずっと続くわけでありまして、特に夜間のサービスというものも非常に必要でありますけれども、なかなかこのサービスを民間がやるというのも難しいのが現状だと思います。医療的ケアを必要とされる方、そしてその家族の方がその土地で暮らしていけるためには自治体の工夫だけでは限界があるということで、是非、国の積極的な関与、これを私からもお願いを引き続きしていきたいなと思っております。

 続きまして、医薬品を取り巻く環境についてお伺いをさせていただきます。

 まず、医薬品の不足が続いております。二〇二〇年の十二月に起きましたジェネリックメーカーの会社の事故が発端と言われておりますが、今も尾を引いておりまして、医薬品不足が続いております。この医薬品不足の解消の見通しについてまずお伺いをさせていただきます。

城政府参考人 医薬品の不足についてお尋ねをいただきました。

 後発医薬品メーカーの薬機法違反を契機とした供給量の低下、新型コロナウイルス感染拡大による需要の増加によりまして、メーカーの限定出荷による供給不足のほかに、薬局や医療機関が正確な供給状況を把握することが困難であるために、先々の医薬品の確保に不安を感じて過大な注文を行うことによって更に需給が逼迫するという事態を生じていると承知をしております。

 このため、一概に解消の見通しということを申し上げるのはなかなか厳しいところがございますが、業界団体を通じまして、後発品を含む全ての医薬品につきまして、欠品が生じたものやその代替品について供給状況を把握をした上で、供給量が十分ある製品につきましては、製薬企業に対しまして限定出荷の解除を求めるといったこと、また、医療関係者に対しましては、これらの供給状況を取りまとめて公表しまして、安定供給に取り組んでいるところでございます。

 さらに、来年度からは、毎月こうした調査、公表を行いまして、より迅速に各医薬品の供給状況を医療現場に対して提供することといたしております。

 また、医薬品の安定供給確保につきましては、現在、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会を開催しております。ここにおきまして、ジェネリック医薬品の産業構造の在り方も含めて検討を進めているところでございまして、この議論の内容も踏まえまして、安定供給の確保に向けて必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 製薬会社もなかなかすぐ増産できないということで、どこか一社でも工場が停止してしまうとこのような状況になってしまうということで。更に追い打ちをかけるのが、毎年薬価改定がありますけれども、薬価が下がり続けるということで、なかなか厳しい状況にある。

 物価高騰やエネルギー価格高騰の影響で、原材料を輸入に頼る医薬品、それから、この原価がどんどん上がっております。それでも末端価格は薬価として決められていますので、これを価格転嫁するにも限界があるということで、不採算品に対する手当てというものが二三年度でつきましたけれども、それでも市場は三千百億円のマイナスの状況であるということは変わらないという状況です。

 供給不足が大変であっても、メーカーが新しい工場を造って何とかしようという動きも取れないというのが現状である中で、岸田総理や加藤大臣が薬価について聞かれますと、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立するようバランスを取るのが大事だという答弁をされておりますが、実際もうけが出ないという状況の中で、メーカーが薬を作れず、そして薬局には薬が入ってこない状況でありますけれども、これが果たしてバランスが取れているとか言えるのかということについて、お伺いさせていただきます。

伊佐副大臣 医薬品の供給不足につきましては、先ほど審議官の方からも答弁させていただきましたとおり、その要因としては、後発医薬品メーカーの薬機法違反を契機とした供給量の低下というものと、また、新型コロナウイルス感染拡大によります需要の増加というものが考えられるというふうに思っております。

 そういう意味では、必ずしも収益性の悪化が供給不足の原因とは認識はしておりませんが、ただ、今委員御指摘いただきましたとおり、後発品、とりわけ急激な、今、原材料の費用が高騰しておりますので、これが収益性に影響を与えているのも事実だというふうに認識をしております。

 こういう観点から、今回の令和五年度の薬価改定におきましては、不採算品再算定というものについて、臨時特例的に全品を対象に適用する。つまり、四月に薬価を引き上げるというようなことも決めさせていただいております。

 先ほどの、大臣の答弁も引用していただいた、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立が重要だ。新薬においてはこれが重要であることは論をまたないものでございます。

 この点については、先ほども審議官からも答弁があった検討会を昨年の九月以降、進めさせていただいておりまして、流通や薬価制度など、幅広い観点から今検討を行っておりますので、先ほどの両立が重要だという認識の下で、しっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

石川(香)分科員 薬局は、このコロナ禍、ワクチン接種であったり、在宅の方へ薬を届けたり、地域のインフラとしてずっと頑張ってきたと思います。もっと評価されるべきだと思いますけれども、今、いろいろと取り巻く環境が厳しいという御説明がありましたが、今後の取組に大いに期待をしたいのが、動く薬局こと災害救援車であります。

 これは、災害時に救護所などで調剤や医薬品の供給を行う車でありまして、これは今まで北海道になかったんですが、先日、ナカジマ薬局という薬局が北海道で初めて導入をいたしました。これを実際に見せていただきましたけれども、北海道では日本海溝、千島海溝の地震による深刻な被害予想が予想されている中で、そういったことも導入するきっかけになったと中島社長はおっしゃっておりましたが、これは民間がやるレベルの話ではないのではないかと感じております。

 是非、やる気のある民間の救護車を、動く薬局を後押しする制度、若しくは国が先導して配置していく、その姿勢が必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 薬剤師法で、災害により薬局での調剤ができない場合等には薬局以外の場所で調剤することが認められておりまして、これを踏まえて、今委員お話があった調剤設備を備えた災害時医薬品供給車両、いわゆるモバイルファーマシーでの調剤が行われたことがありました。私の地元でも、西日本豪雨災害のときに、地元で持っている、これは薬局で持っているんですけれども、それを使っておられて、ああ、こういうのがあるんだなと実感をさせていただきました。

 まさに災害時の対応として重要な取組の一つというふうな認識をしておりますが、ただ、災害時の医療品の提供体制全体ということを考えるときに、各都道府県それぞれの地域の医療資源も様々でありますし、事情もありますから、その中で具体的に検討されることが適当ではないかなというふうに考えてはおります。

 また、災害時に対応可能な薬剤師の育成、災害薬事コーディネーターの配備等の推進によって、地域における災害時の医薬品の提供体制の確保、これは非常に重要でございます。それに対する支援をしっかり行っていきたいとは考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 現状、災害時のみ使用が認められているということでありますが、先日、岐阜薬科大学が、医療過疎地での実証実験として厚労大臣から認定を受けて、平時にも使えるというふうにしているということでありますので、平時から活用が広がっていくということも大事ではないのかなと思っております。

 では、最後の質問になるかと思いますが、先ほどのサウナの質問を一点させていただきたいなと思います。

 いろいろなお話がございました。私も、地域の特色を生かしながら、ポテンシャルがあるサウナを国として後押ししてほしいということに尽きるのでありますけれども、公衆浴場法については都道府県の許認可ということで、自由度だとか裁量がどの程度持てるのかというところは非常に重要な論点であります。

 先ほど、北海道の十勝の話をしていただきました。北海道ルールとしては、着替え場所以外は水着を着れば混浴オーケーとか、トイレも個別として管理できるのであれば男女兼用でもオーケーとか、それぞれの都道府県で特色を出しながらやっているということであります。

 大臣に最後、お伺いさせてください。これは、国による安全基準をしっかりと確立をした上で、これを満たした上で、それぞれの地域の特色を生かすということは大変、サウナ、重要だと思っております。都道府県の自由度がより高まるように、例えば通知などで、国がどんどんやっていいよというような後押しをするようなことは必要ではないでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。

加藤国務大臣 今お話があった、厚労省として公衆浴場における衛生等管理要領を示させていただいておりますが、この要領はあくまでも都道府県などへの技術的な助言であります。都道府県等が、地域の実情を踏まえ、衛生等管理要領とは異なる内容の基準を条例で定めることは可能であるということでございますので、そうした点について更に周知を図っていきたいと思います。

石川(香)分科員 ありがとうございました。質問を終わります。

牧原主査 これにて石川香織君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、まずは産科医療補償制度について伺いたいと思います。

 二月八日の予算委員会でもやり取りをさせていただきました。昨年の一月から補償の対象が拡大され、分娩時に発生する脳性麻痺のお子さんが広く救済されること、この間の関係者の御努力に本当に敬意を表したいと思います。

 ただ、一方で、出生した時期で対象外となったお子さんが今なお置き去りにされたままです。広く救済を求めて、まず、先日予算委員会で質疑をさせていただいた中身で、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 資料一にありますとおり、加藤厚労大臣、答弁で、これは、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、また、学識経験者や医療保険者等における議論を踏まえて定められたそうした基準で運営をされ、実際、補償されているという御答弁がありました。

 ただ、その時点の医学的知見や医療水準と御答弁されたんですが、当時、専門委員会では、調査が限定的で、基準を設定することは現実的に困難という意見も付記されておりました。医学的知見というのは十分にあった状態ではなくスタートしたのではないでしょうか。この点、確認をさせてください。

加藤国務大臣 産科医療補償制度の創設前に日本医療機能評価機構に設けられた産科医療補償制度調査専門委員会において、今お話がありましたように、出生体重や在胎週数により基準を設定することは適当でないという意見もあり、平成十九年の報告書にはそうした記述があるというのも事実でありますが、ただ、一方で、同じ報告書で、成熟児と未成熟児との間で脳性麻痺のリスクは大きく異なっていること、日常診療上も未熟性による脳性麻痺が多い事実を踏まえ、出生体重や在胎週数に基づいた基準を設定することが考えられると記載をされているわけであります。

 さらに、報告書では、出生体重や在胎週数に関して一律の基準を設定したときに、基準より小さい未熟的な児であっても、分娩に係る医療事故により生じた脳性麻痺と考えられる事例があり得ることについても配慮することが望まれるとされ、そして、それを踏まえて、産科医療補償制度の創設に当たっては、医療関係者や学識経験者等が参加する準備委員会において、一般審査と個別審査による補償対象を決定する方法を盛り込んだ報告書が取りまとめられたわけでありまして、医学的にも適切な議論を経て基準が設定されたものと認識をしております。

岡本(あ)分科員 医学的に適切な基準だということをおっしゃったので、ちょっと驚きなんです。資料二では、オレンジ線を引いていますけれども、この制度は見切り発車とも非難されているという状況です。

 そもそも、この制度の立ち上がった経緯は、分娩時の医療事故で裁判で争われるケースが非常に増えてきて、紛争が多いことが産科医不足の理由の一つであるとされ、また、産科医不足の改善、産科医療体制の確保というのが喫緊の課題だというところからスタートしておりました。また、データが不足をしているということは、日本医療機能評価機構さん御自身も、早期に創設するために限られたデータを基に設計されたんだということを認めていらっしゃいます。また、そういう状態だからこそ、遅くとも五年後をめどに本制度の内容を検証しなければならない、それを受け止めてこの間の動きになっているかと思います。

 改めて、やはりこの制度自体、制度が発足したことは評価はしているんですよ。早期に解決しなきゃいけない、そういうニーズがあったということは重々踏まえていますし、この制度のおかげで産科医の方々が、医療事故、過失の有無関係なく出産、分娩に臨めるという、産科医の安定供給にも一定の効果があるということは高く評価をしております。ただ、スタート時点ではやはりデータ不足、そして元々改正を視野に入れた不完全な基準との認識の下に始まったのではないかと思います。もう一度お答えください。

加藤国務大臣 まず、報告書では、適宜必要な見直しを行うという記載もありますが、これは、この制度の発足時、保険料収入、補償金及び事務経費の収支が破綻しないように余裕を持った制度設計とした中で、制度を運用することで明らかとなる改善点について適宜見直しを行う必要があったということから記載をされたもので、よくある、通常、様々な法案でも見直し規定というのは入っているわけであります。

 また、五年後の見直しで補償対象基準も見直しをしているわけでありますけれども、この産科医療補償制度の補償対象基準については、先ほど申し上げたように、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえて、学識経験者や医療保険者等による議論を経て定められているわけでありますから、その時点においては、先ほど申し上げた、適切な基準が設定されているものと考えております。

岡本(あ)分科員 不適切とは言えないとは思いますが。

 資料三を御覧ください。

 この間、データも一定程度蓄積された部分だと思うんですが、線を引いておりますが、補償対象外とされた事案の多くで分娩に関連する事象が認められる等医学的な不合理が明らかになったと表現をされていらっしゃいます。

 また、医療現場からは、結構、この制度がスタートした直後から、既に現場では、医学的に不合理な点、周産期医療の現場の実態に即していない、こういう御意見もあったと記録されております。

 そのときそのときで医学も技術も進歩をしているところは重々受け止めつつも、やはり早期に、まずは見切り発車でも、まあ、見切り発車とおっしゃらないかもしれませんが、私も一連を見ていると、まずはスタートさせることありきで、その中で、脳性麻痺の事例もなかなか数が少ない中で検証を重ねて、本当であれば、そのときそのときにどんどんリアルタイムで改善をしていくべきではないかと思いますが、この間、新たに昨年一月で制度が変わった、その前に置き去りにされたお子さん、この方々、制度を改正するための検証としても、対象外になったお子さんの事例が使われているんです。

 今の制度でいけば、この方々も当然救済してもおかしくない。医学的な不合理な点が明らかになったということも出ておりますし、三十三週未満のお子さんでも有意差がなかったということも明らかになっています。この制度の中で、一月以前、去年の十二月までに生まれたお子さん、これは五歳まで申請できるので、今申請できるお子さんもいらっしゃるんです、こういう方々が置き去りにされる、取り残される、こういう制度設計ということは、私としては耐え難いと思っています。

 改めて、この方々も対象にできるような、救済ということを検討されることはないでしょうか。

加藤国務大臣 まず、補償対象基準については、先ほど申し上げたような議論を踏まえて、その時点における様々なデータ等も踏まえながら設定がされているものと考えております。

 また、この産科医療補償制度、これもいろいろな議論がある中で、民間の制度として、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担するという形で実施がされているわけであります。民間の保険契約によってあらかじめ定められた補償の範囲内において支払われるということになっているため、個別審査で補償対象外となった子供さんを救済する、今おっしゃったような前倒しというか後ろ倒しということで、ということは現状においては難しいものと考えております。

 また、先ほどの、令和四年一月に個別審査を撤廃した背景でありますが、これもやはり、近年の周産期医療の進歩等によって、実態を見たところで、それを踏まえて個別審査を廃止したという経緯があるものと承知しております。

岡本(あ)分科員 私は、医学が飛躍的に進歩をしたというよりは、分析が、明らかになってきたんだと思っております。

 今、民間の保険を活用しているという御答弁がありました。ただ、そもそも民間ですから、無理をしない設定ということで最初は三万円の、保険金の設定をされております。保険金の支給に関しても、保険料に対しては十分余裕があり、剰余金が六百億を超えて六百七十にもなるんじゃないか、あるいは六百三十五億円あるんじゃないか、そういう御批判がかなり前から出ておりました。結果、保険料を下げることにもなっています。

 剰余金を活用してということも、掛金に戻すということも含まれておりましたけれども、一方で、基準とかこういうのも見直すということも並行で行う条件になっていたと思います。これの見直しの検討は、もう二〇一二年から始まっておりました。もう十年前からこういう見直しの検討というのは始まっております。

 しかも、日本医療機能評価機構さん、ここが運営をして、民間保険を活用してですが、ここに委託をするためには、社会保障審議会が中身もちゃんと審査をして、あるいは、一番最初の制度設計も、この社会保障審議会を経ての制度設計になっています。社会保障審議会というのは厚生労働省の諮問を受けて、あるいは重要課題で審議をすることになっていますので、何もないところから、民間が自主的によかれと思って、民間の制度設計で始まったものではございません。

 やはり、政府の意向が反映されての今回の見直し、これは歓迎しますが、どこの基準を適用して、どこまで対象にするのか、これも政府としては、助言をするなり、制度設計の中で取り残される方がいない、こういうような考え、発想に立つことも可能なのではないでしょうか。財政上も決して、無理をする、赤字を覚悟でやれと言っているものではないという中で、厚生労働省としてのお考えはありませんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘がございました産科医療補償制度の剰余金でございますけれども、これの使途につきましては、本来であれば、費用の実質的な負担者である医療保険者に返還するという選択肢も当時あったわけでございますけれども、学識経験者あるいは医療保険者などによって、運営組織である日本医療機能評価機構の運営委員会でありますとか、今御指摘がありました社会保障審議会の医療保険部会におきまして、複数回にわたって御議論いただいて、安定的な制度運営の観点から、関係者の合意の下で、将来の保険料に充当するということで決まったという状況がございます。

 そういう意味で、今、先生の御意図としては、その剰余金を活用して救済に充てられないかということであろうかと思いますけれども、剰余金の使途を変更するということについては、こういった議論の積み重ねの上でこうなっているということもございますので、これを活用するということはなかなか容易な課題ではないということも御理解を賜ればありがたいというふうに思ってございます。

岡本(あ)分科員 制度上容易じゃないという御答弁でした。ただ、前回の予算委員会のときも、やはり政治的な解決ということも必要なんじゃないか。

 特に、障害を持って生まれたお子さん、ほぼほぼ分娩に関連して障害を持ったお子さん、障害があるお子さんです。特に出産に関して重い障害を持ったとなると、産んだ母親はまず自分を責めます。分娩に際して障害ということであれば、あのとき、もしかしたら、もうちょっと自分で我慢をすればよかったんじゃないか、あるいは、医療機関は別なところを頼ればよかったんじゃないか、もしかしたら、陣痛促進剤を断ればよかったんじゃないか。まず自分を責めるんです。出産ですから、母体から生まれるんですから。

 障害のあるお子さんを分断させない、こういうための制度設計ということも必要なんじゃないかと思います。

 今、子供、子育て関係、次元が違う、あるいは異次元とおっしゃってくださっております。障害児、障害のあるお子さんを持った、経済的な支援、あるいは精神的なサポート、こういう意味でも、資料の二で「一時金数百万円案」というのが右側に、タイトルになりますが、こういうところで分断をしたり金額で格差をつけることはあってはならないと考えます。

 政治的判断も含めてですが、是非、加藤大臣、お考えを示していただければと思います。

加藤国務大臣 出産に当たって、母親の方がまさにいろいろな思いを持っておられる、また、特にその後にこうした脳性麻痺等があれば、またそれに対するいろいろな思いを持たれている、これは十分私も認識を共有させていただいているところであります。

 ただ、その上で、この仕組みは仕組みとしてこれまでやられてきたという、それ自体の背景があるわけでありますので、民間の制度という仕組みを考えると、行政が直接物を言うというのはなかなか難しいかなというふうに考えているところであります。

岡本(あ)分科員 今は厚労大臣としての御答弁なのかと思います。

 ただ、先ほども申し上げましたとおり、この制度は政治判断からスタートしていると思います。元々は、自民党さんの中にあります医療の紛争の在り方検討会から始まっているかと思います。ちょっと正式名称はここで確認が取れませんけれども、やはり政治的な判断から始まった制度です。

 この中で剰余金があって、この使い方、保険料に反映させるけれども、制度の見直しも含めて変えていくんだと。その制度の見直しは、将来にわたってのみしか駄目だとはどこにも書いていないんです。ですので、私からすると、この産科医療補償制度の中で、特にやはり子供たちを分断しない、障害がある子供たち、そのお子さんを育てている親御さんをサポートするためにも、格差を生じさせない、分断をさせないということが絶対必要だと思います。この点は引き続き求めていきたいと思います。

 そして、出産時の障害ではないですけれども、障害児福祉手当、特別児童扶養手当、これの所得制限についてもお考えを伺いたいと思います。

 今、児童手当の所得制限撤廃、私たち立憲民主党、日本維新の会で法案を提出させていただきました。やはり、子供を分断させない、そして中間層の方々の子供を持つこと、子育てをすること、このことを支えていく、その意味で法案を出させていただきました。

 最後になりますけれども、資料五を御覧ください。

 実は、欄の一番右側ですけれども、所得が八百万、九百万を超えると、障害児福祉手当、それから特別児童扶養手当、これもほぼほぼ所得制限は同じですけれども、対象になりません。

 この手当のほかに、各自治体では補装具の費用助成等も行っています。重度の障害を持たれると、住宅も改修しなければなりません。子供たちの成長に伴って補装具等も替えていかなければなりません。成長とともに一時利用したいけれども、対象のものがレンタルがなくて、結局購入しなければいけない。

 障害のあるお子さんを育てる経済的負担を考えると、そのほかに更にお子さんを持つべきか、やはり障害があるお子さん、このお子さんに全ての経済を投入するべきか、非常に悩みます。御兄弟を持ったら、その兄弟がヤングケアラーになってしまうんじゃないか、それをさせないためにも、障害があるお子さんが成長した先にも一生を送れるように財産を残さなきゃいけない、本当に不安が高まっています。

 障害の有無にかかわらず、どの子も一人一人の個性が尊重される社会になることが、子供、若者に未来がある世の中になると考えます。この所得制限の撤廃も求めたいと思います。お答えください。

加藤国務大臣 これまでも申し上げているとおり、障害児に関する手当として、特別児童扶養手当及び障害児福祉手当がございますが、各制度においては、所得制限を設けるかどうかも、個々の制度の目的また支援方法などに応じて、制度の持続可能性、公平性の観点も含めて判断をしているところであります。

 特別児童扶養手当や障害児福祉手当は、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともにこれらの児童の福祉の増進を図るとの目的に照らして必要な範囲で支給をするということから、制度発足時から所得制限が設けられているところでありますが、しかし、この間、様々な、障害児あるいは障害児がおられる家庭への支援については、都度都度見直しも行わせていただいているところでございます。

 引き続き、こうした経済的支援のみならず、個別のニーズに応じた障害福祉サービス等も含めて総合的に支援をしていくことが重要だと考えております。

岡本(あ)分科員 子供、子育て、少子化社会を考えたときに、次元の異なる、異次元のと言ってくださっておりますので、障害があるお子さんにとっても未来がある社会をつくるために、是非御尽力をいただきたいと思います。

 続きまして、マイナ保険証について伺いたいと思います。

 これは総務委員会で伺ったんですけれども、マイナ保険証、学校行事の際よく、コピーを持ってきてください、まあ、コピーでも駄目ですよというところもあるんですけれども、ただ、番号確認から本人確認ができるということで、保険証のコピーを持参する例があります。

 先日、総務委員会で文科省に聞いたら、厚労省に相談をして検討中ですと。去年の十月も予算委員会で聞いたところ検討中ですとおっしゃっています。四か月たっていますが、その後どうなりましたでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードと健康保険証とを一体化した後の資格確認につきましては、二月十七日に公表いたしましたマイナンバーカードと健康保険証一体化に関する検討会中間取りまとめにおきまして、マイナンバーカードにおけるオンライン資格確認を基本としつつ、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人の申請に基づいて発行される資格確認書により被保険者資格を確認する、こういう取りまとめがなされております。

 先生御指摘の学校行事における病気やけがに備える対応でございますけれども、これをどのように対応していくかについては今後の課題と考えておりますけれども、一つは、児童がマイナンバーカードを持参するといった形も想定されますけれども、他方、何らかの事情によって保護者の申請に基づき発行されている資格確認書を使用するといったケースもあり得るところでございまして、今後、学校現場の話でもありますので、具体的な取扱いについては関係府省と連携しながら丁寧に検討していきたい、このように考えております。

岡本(あ)分科員 今、子供本人がマイナ保険証を持参する話が出ましたが、学校現場でマイナ保険証を管理する、こんな怖いことはないです。コピーとかであればまだいいですけれども、マイナンバーカード自体を、例えば、宿泊を伴う、何日も子供に持参させて、子供自身に自己責任で管理を徹底しろ、こういうことを多分学校現場では怖くて言えないと思いますので、是非その点はしっかり踏まえていただきたいと思います。

 あと、マイナ保険証、読み取りができない、エラーが起こるケースが散見されるという、ちょっとほかの先輩方からもありましたけれども、その際、診療料金というのはどうなるでしょうか。もし、マイナ保険証を持って行って、読み取り機が読み取れない、もう紙の保険証は廃止になっている、こういう場合の診療料の負担というのはどうなりますでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 例えば、お尋ねのシステム障害などによりまして医療機関などで顔認証つきカードリーダーでマイナンバーカードの読み取りができなくなった場合どうするかということでございますが、まず、医療機関等は、オンライン資格確認等コールセンター、こういうところに御連絡いただくことになっております。御連絡いただきますと、オンライン資格確認等システムのシステム障害時モード、これを立ち上げることが可能となります。このシステムを立ち上げていただくと、マイナンバーカードの券面上の氏名、住所等を入力していただくと検索できまして、その方がどういう保険資格であるかということが医療機関で調べることが当然可能になります。

 その場合には、当然その場で資格確認ができますので、本来の自己負担分を、三割負担等を受け取る、こういうことになると考えております。

岡本(あ)分科員 十割負担がないということで安心をしました。

 今のケースは子供にも使えるんじゃないかと、ちょっと聞いていて思いました。住所、名前、性別が分かれば保険証の確認が取れる可能性もありますので、その点も踏まえていただきたいと思います。

 あと、子供医療費助成用の資格証を各自治体で発行していると思います。これもマイナ保険証に、ICに載せてくれという要望が出ておりますが、過去には、厳しいという話がありましたが、その後動きはありましたでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの子供医療費助成用の資格証を含め、公費負担医療の受給者証もマイナンバーカードと一体化を求める当事者などからの御意見を承知をしております。それにより、国民や医療現場にとってのメリットの実感が大きくなるものと考えております。

 二月十七日に公表されましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の中間取りまとめにおきましても、マイナンバーカードによるオンライン資格確認は、今後の医療DXの基盤となる仕組みである、また、将来的には、診察券や公費負担医療の受給者証もマイナンバーカードと一体化していくことにより、ますます、国民や医療現場にとってのメリットの実感が大きくなると考えられるとされておりまして、デジタル庁とも連携をいたしまして、医療DXの取組の中でその実現を図ってまいりたいと考えております。

 また、お尋ねの小児医療証など、地方自治体が単独で実施をされております医療給付事業の医療証などにつきましては、自治体それぞれで実施をされているものでございますので、直ちに一体化をすることには難しい側面がございますけれども、まずはどのような課題があるか整理をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 マイナ保険証を出して、その後に紙の資格証を窓口に出す、これは患者さんにとっては二度手間をかけるということになります。本当は、デジタル化、ワンストップで済む話のところを、あえて二回も手間をかけさせるということは、やはりデジタル化を進める意味では、デメリットだけで何らメリットがないと思います。

 あわせて、子供医療費助成、今回、自治体に、この助成を実施しているところのペナルティーは、未就学だけは何とかペナルティーを外してくれておりますけれども、本来であれば、やはり、子供の医療費助成、今二割負担には下がってはいますけれども、この二割負担も、子供の健康を守る意味では国として認めるべきですし、少なくともペナルティーということは、実施をしている自治体全てにおいて、全ての年齢において、減額ということは直ちにやめるべきだと思います。

 それと、今申し上げたとおり、本来であれば、子供医療費負担、国で二割の負担ということも、子供の健康を維持するためには、無償化に向けて判断をするべき時期ではないかと思います。

 この二点、お答えください。

加藤国務大臣 まず、国民健康保険の減額調整措置、これは、市町村が行う医療費助成により窓口負担が軽減される場合、国保財政に与える影響や限られた財源の公平な配分等の観点から、増加した医療費分の公費負担を減額調整しているところであります。

 このうち、未就学児までを対象とする医療費助成については、全国の自治体での取組状況なども踏まえて、平成三十年度以降、委員御指摘のように減額調整措置の対象外としております。

 減額調整措置の更なる見直しについては、助成内容等に地域差がある中、限られた財源の公平な配分等の観点から課題が多いものと認識をしております。

 それから、子供の医療費負担を全額無償にするというお話、現在、未就学児については通常三割のところを二割とさせていただいており、更に加えては、各自治体においてそれに重ねた措置をされている。それが今、この減額調整とも絡む話であります。

 それをそれ以上進めるかについて、例えば無償化したときにどういう影響が出るのかという問題もあると思います。それから、現時点において、様々な自治体の取組もばらばらであります。ある自治体においては、無償化したやつを、やはりいろいろ課題があるからといって有償化したという自治体もあるわけでありますので、そうしたことも踏まえて、政府としては慎重に判断していく必要があると考えております。

岡本(あ)分科員 否定はされませんでしたけれども、資料四にあるとおり、未就学まではもう一〇〇%行っております。小学生に関しても、二%が助成なしとなっていますけれども、九八%が行っているんだということ、それから、財源がなくて判断できないという事情も自治体にもあるということも是非酌み取っていただきたいと思います。

 少子化対策の異次元の対策ということに、私は、子供の健康ということ、それから障害の有無によって分断をさせないこと、このことは是非取り組んでいただきたい、そのことを申し上げ、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧原主査 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

牧原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮路拓馬君。

宮路分科員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、離島医療についてお伺いをしたいと思います。

 私の選挙区には、三島村、十島村という離島があります。ちなみに、三島村は全国最下位、財政力指数。そして、十島村は最下位から二番目ということで。一方で、有人国境離島として国境の形成に寄与しているということで、大変重要な自治体になるわけですが。そのほかにも、かつての私の選挙区には甑島という離島がありました。そのほかにも、屋久島、種子島、奄美大島等々、鹿児島は有人国境離島数で全国第二位ということで、まさに離島を擁する鹿児島県。がゆえに、植生も多様ですし、多様な文化が育まれてきた。おかげをもちまして、奄美、琉球については、一昨年、世界自然遺産に登録をされたところです。

 そうした中、厚労省におきましても、僻地における医療提供体制、これは大変医療政策の中でも重要であり、その分、御支援もいただいているところでございますが、医療法上の医療計画に位置づけた上で、都道府県を通じて僻地医療を担う医療機関に対する支援を行っていただいております。さらに、僻地医療等を担う公益性の高い医療法人については、社会医療法人に認定するという仕組みを設けておりますが、こうした支援を行っている趣旨や目的についてまずお伺いをしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 離島などの僻地におきまして必要な医療提供体制を確保するということは、大変重要な課題でございます。その確保に当たりましては、都道府県が地域の実情を踏まえながら医療計画を策定をし、僻地診療所の運営などの取組を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした各都道府県の取組を踏まえまして、僻地診療所の運営や施設設備の整備、あるいは僻地医療拠点病院による僻地診療所への医療従事者の派遣などにつきまして財政支援を行っているところでございます。

 さらに、今委員から御紹介ございましたけれども、こうした僻地医療を担う医療法人のうち、一定以上の実績及び公益性を有する法人に対しましては、社会医療法人の認定を受けることによる税制上の優遇措置も講じているところでございます。

 このような支援や措置につきましては、僻地において医療サービスが継続して実施される体制を構築することを目的としているものというふうに認識しているところでございます。

宮路分科員 私も長らく離島政策に携わっておりますが、やはり、離島に住み続けられるための基礎的要素として、医療に対するニーズは非常に高い。一方で、やはり離島においては医師の確保が難しいという現実もある中で、そうした僻地のまさに最たる例が離島になるわけですが、社会医療法人の仕組みを設けて、それを御支援いただいているということは大変ありがたいことだなと思っております。

 ただ一方で、今の僻地の医療提供体制については、僻地診療所等が中心に担うこととされており、医師の派遣先に病院は想定されていない扱いになっていると承知をしております。したがって、社会医療法人の実績要件上も、病院への医師派遣は含まれない扱いとなっているというふうに伺っております。

 それは恐らく、病院はそれなりの機能を有し、かつ医師も十分にいるという前提なんだろうと思います。ところが、離島などにおいては、たとえ病院だったとしても、例えば乳がんへの対応など、必要な設備はあれども、専門の医師が不在などによって特定診療科の対応ができず、遠方の医療機関からの医師の派遣に頼らざるを得ない地域もある。まさに、私の地元鹿児島においてはそうしたところが多々あるわけですけれども、そのように認識しているところであります。

 こうしたことから、僻地の医療提供体制を考える上で、それらの地域の、つまり診療所だけではなく病院に対して医師の派遣を行う医療機関の存在、これも大変重要であると考えておりますし、したがって、そうした医療機関について社会医療法人の実績要件上もしっかり認めていくべきであると考えますが、厚労省の見解をお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療計画の、僻地の医療体制の構築に係る指針におきまして、無医地区などにおける医療は、僻地医療拠点病院による医師の派遣などを受けつつ、僻地診療所が提供するということになってございます。

 それからまた、社会医療法人の僻地医療における実績要件につきまして、今委員御指摘いただきましたように、医療計画における僻地医療対策の考え方に基づいて要件を設定しているものですから、病院に対する派遣は実績には含まれないという扱いとなっているところでございます。

 今御指摘ございましたけれども、認定要件に含まれる医師の派遣先に病院を含めるべきかどうかという点につきましては、離島などの地域の実情や、あるいは自治体などの御意見なども踏まえる必要があるかと思っておりまして、僻地医療への支援の在り方を含めて、どのような支援が適切か、よく検討してまいりたいというふうに考えております。

宮路分科員 確かに、社会医療法人は、税制上の優遇措置を含めて、大変、財政的な支援、裏を返せば、行政からの財政負担、行政における財政負担も要するものでありますから、軽々にその要件が広げられるべきではないと思いますが、やはり、離島特有の事情があるということを念頭に、しっかり、今御答弁いただいたとおり、地元の意見や実態なども踏まえながら、その要件について見直しをお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、難聴対策について質問をさせていただきます。

 実は、午前中の第四分科会、文科省関係でも、難聴対策について質問をさせていただきました。実は私は、そのときにも申し上げたんですが、国会議員の中で非常にレアな、手話ができる議員の一人であります。大学時代、手話サークルに入って、そして手話を学び、そして聾の友人ができ、さらに、先天性盲聾児、つまり生まれながらにして目が見えず耳の聞こえない子供さんのサポートをしていた経験もあり、であるからして、聾、聴覚障害者あるいは難聴の方との触れ合いも多くあったことが今、政治家として大変貴重な財産となっておりまして、そうした経緯から、今、自民党において、難聴対策推進議員連盟の事務局次長として政府に対し様々な政策提言を行わせていただいております。

 その提言を受けまして、厚労省においても、新生児聴覚検査、これは、生まれてくる子供の千人に一人が聴覚障害を持って生まれてくる。これは、先天性の疾患においてはかなりな割合だというふうにも言われておりますが、そうした状況がある中で、やはり早期に対応する必要がある。そのためには、まず、新生児全員に対して聴覚検査、スクリーニング検査を行わないといけない。ただ、やはり、実費負担があると、そこにためらいを感じてしまう保護者の方もいらっしゃるでしょう。したがって、自治体によって差はありますが、公費負担による支援を行って聴覚検査の推進をしている自治体も多々出てきております。

 残念なことに、昨年の出生者数はついに八十万人を切ってしまったというふうに言われております。子供の数が減るからこそ、一人一人の子供の健やかな成長が非常に大事になってまいります。そうした意味では、今こそ、全額公費負担によって、保護者負担をゼロにした聴覚検査の全数実施が必要と考えますが、厚労省の見解を伺います。

    〔主査退席、大岡主査代理着席〕

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 聴覚障害につきましては、その早期発見、早期療育を図るため、新生児に対する聴覚検査を実施することが重要であり、新生児聴覚検査について、家庭の経済状況にかかわらず受検できるよう、検査費用の公費負担を行い、保護者の経済的負担の軽減を図ることが重要でございます。

 このため、この検査費用については、市町村に対して地方交付税による措置を講じているところでございますが、厚生労働省の調査では、令和元年度時点で、検査費用の公費負担を実施いただいている市町村は五二・六%にとどまっているというのが現状でございます。

 こうした新生児聴覚検査の公費負担の実施実態を踏まえまして、令和四年度に、地方交付税措置において、これまで少子化対策に関係する経費の内数として算定をしておりました従来の取扱いを見直しまして、保健衛生費における新生児聴覚検査費として明示をいたしまして、市町村の標準団体当たり必要な所要額を計上させていただいたというところでございます。

 この交付税の見直しにつきましては、総務省とも連携をいたしまして、地方自治体の母子保健担当課に加えまして、財政担当課にも周知をさせていただき、また、市町村に対しては、検査費用の公費負担により保護者の経済的負担の軽減を積極的に図っていただくべきこと、それから、都道府県に対しては、管内の市町村における検査の実施状況の把握ですとか、実施体制整備に向けた支援を行うこと、こういったことについて昨年依頼を行ったところでございます。

 全ての新生児を対象に聴覚検査が実施できるように、引き続き、全国自治体への説明会などの機会を使いながら、地方自治体における検査費用の公費負担の実施について更に働きかけていきたいと考えております。

宮路分科員 私も、総務官僚として十年、地方行財政の場に身を置いておりましたし、その中で、広島市役所で財政課長も経験をさせていただきました。ですので、今御答弁いただいた、総務省と連名で、しかも自治体の財政当局に対しても、交付税でしっかり地方財政措置を行っているということを明示的に示していただいたのは大変意味があると思っています。

 えてして、交付税は一般財源ですからその使い道は確かに自由なんですが、とりわけ、この子供、子育て支援については、やはり国が責任を持って、どの自治体においても同じようなサービスが提供されるべきだと思っておりますので、私も地元においてはしっかりとPRをしていきたいと思いますし、総務省とこれからも連携を図りながら、財政当局にもしっかりとその意向が伝わるように展開をしていっていただければというふうに思っております。

 続いて、昨年八月まで、内閣府大臣政務官としてこども家庭庁設置に向けた動きに携わらせていただきました。その中で、こども家庭庁ならではの未就園児に対するアウトリーチ支援というのが行われることになるわけですが、こども家庭庁の発足を待たずして手を打つべきことはしっかり手を打っていくという中で、このアウトリーチ支援、これまで行政がなかなか不得手としていたプッシュ型の支援になりますが、その中で、やはり、困難を抱える子供に聴覚障害があるかどうかをしっかり確認するということは大変重要なことであるというふうに思っております。

 誰一人取り残さない社会、小児期の難聴の早期発見、介入が大きく進展することが期待されるところでありますが、厚労省の見解をお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたこの難聴の問題も含めまして、子供の心身に関する課題や家庭の抱える問題などをできるだけ早期に把握をし、関係機関が連携をして支援に当たっていくことは非常に重要でございます。特に未就園の子供に関しては、家庭以外の者との日頃のつながりが希薄になりがちであるということを踏まえた、丁寧な対応が必要であると考えております。

 このため、厚労省といたしまして、未就園児等全戸訪問事業を実施をし、市町村が未就園の子供のいる家庭を訪問しまして、その子供の養育環境の把握ですとか状況の確認を行うという取組を支援しているところでございます。

 さらに、令和五年度の予算案におきましては、未就園児等全戸訪問事業を拡充をいたしまして、訪問により把握をした子供、子育て家庭に対して、その家庭の困り事に応じた、申請手続などの支援を行うなどのアウトリーチ支援事業を新たに盛り込むこととしております。

 このアウトリーチ支援事業においては、様々な課題を抱える子供や子育て家庭を支援していくこととしておりまして、難聴の早期発見、早期支援の重要性や、難聴が疑われる子供を把握した場合に市町村の担当部門や医療機関などにつなぐことの必要性、これは委員が御指摘いただいたとおりと私どもも考えております。

 このため、アウトリーチ支援事業を今後実施していく中で、難聴も含めて、子供や家庭の抱える課題などを早期に把握をし、適切な支援につなげられるための必要な対応策を是非検討していきたいと思っております。

 引き続き、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

宮路分科員 アウトリーチ支援、大変重要です。やはり、支援を必要とする人ほど、どこに支援を求めればいいのか分からない、ここが非常に難しい問題ですから、今般、こども家庭庁創設を機に、そうした声の拾えなかったところにプッシュ型で、アウトリーチで支援を行っていく中で、やはり難聴の問題は大変その子の成長にとって重要な問題ですから、そして、多くの保護者の方がどうすればいいのか分からないという問題でもありますので、しっかりと対応していただければというふうに思っております。

 その難聴児支援の地域での体制整備についてお伺いをしたいと思います。

 先ほど申し上げているとおり、難聴議連からの提言を受け、政府においても、厚労省、文科省が連携をして、難聴児に対する早期からの支援、療育支援というのを事業化をしていただきました。

 私の地元である鹿児島聾学校を先般視察をさせていただきましたが、そこにおいても、聾学校の先生方が、未就学児、つまり、今までであれば聾学校で扱うことのなかった未就学児のお子さん方、そしてその保護者の方をも対象として療育、あるいはどうやって難聴の状況に応じた子育て支援を、教育を行っていけばいいのかというのを、本当に丁寧にサービスを提供している現場を見てまいりました。

 こうした取組が全国に展開される、そしてそれがしっかりと、実は鹿児島聾学校は身銭を割いてというか、やっている状況にありまして、なかなか人繰りも厳しい中で、それでも先生方がある意味自己犠牲を払って対応していただいているところでありまして、まさにそうした取組こそ、しっかりと財政的に国、県、市、行政が支えていくべきだと考えております。

 そうした中で、そのような取組を更に展開するために厚労省としてどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。

辺見政府参考人 聴覚障害児につきましては、乳児期から切れ目なく、また多様な状態像を踏まえまして、保健、医療、福祉、教育の各分野の多職種が連携して支援を行っていくことが重要と考えております。

 厚生労働省といたしましては、令和二年度からモデル事業を実施し、都道府県等において中核となるコーディネーターを配置し、巡回支援や家族支援、人材育成などを行い、福祉、教育などの関係機関が連携した聴覚障害児の支援体制を整備する都道府県等の取組を支援しているところでございます。

 また、令和四年四月には、難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針を定め、各都道府県において、難聴児の早期発見・早期療育を総合的に推進するための計画を策定することを求め、地域の難聴児支援のための中核的機能の確保と支援体制の整備を推進をしているところでございます。

 さらに、令和六年度から令和八年度までを計画期間とする次期障害児福祉計画の策定に向けまして、国の基本指針に、都道府県による難聴児支援に関する計画の策定や体制確保などを成果目標に取り込む方向で、社会保障審議会障害者部会において御議論をいただいているところでございます。

 今後とも、自治体と連携しながら、難聴児支援のための支援体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 あらゆる地域資源を用いて対応していただきたい。

 私は、特別支援学校、まあ聾学校ですね、の中で福祉政策としてそうしたことが行われている現場を見て、ああ、これぞまさに組織を超えた、縦割りの弊害を超えた取組だなと大変心強く感じましたし、まさにその現場で頑張っておられる先生方の姿を見てまいりましたので、是非、国としても応援をしていただきたいというふうに思っております。

 続いて、難聴に絡めてですが、少し大きな話をさせていただきます。

 聴覚障害に関して言えば、補聴器あるいは人工内耳といった、いわゆる補装具がございますが、こうした補装具費に関しては支給制度が設けられております。これ自体は大変いいことだとは思うんですが、やはりそこには、利用者負担額、所得制限が設けられております。そしてこれは、補装具費支給制度だけではなく、いわゆる障害児を持つ家庭が対象になる特別児童扶養手当、あるいは障害児本人に対する福祉手当、これらについても所得制限が設けられております。

 今般、異次元の少子化対策が必要となる中で、児童手当の所得制限の撤廃ということが議論をされております。これ自体はしっかりと進めていくべきだというふうに考えておりますが、それ以前に、この特別児童扶養手当あるいは障害児福祉手当そしてまた補装具費支給制度における所得制限、その撤廃は喫緊の課題、明日にでも実現していただきたい課題だというふうに思っております。

 障害は社会でしっかりと支えていかなければいけません。その意味では、所得制限の撤廃を強く求めたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

辺見政府参考人 補装具費支給制度を始めとする障害児福祉に係る各制度におきまして所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じて、制度の持続可能性や公平性の観点からそれぞれ判断しているところでございます。

 例えば、補装具費支給制度におきましては、原則として補装具の購入等に要した費用の一割を利用者負担とし、世帯の所得に応じて一月当たりの負担上限額を設定しているところでございますが、高所得者につきましては全額御負担いただくこととしているところでございます。

 また、特別児童扶養手当や障害児福祉手当は、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に資する、寄与するとともに、これらの児童の福祉の増進を図るとの目的に照らしまして必要な範囲で支給するため、制度発足当時から所得制限が設けられているところでございます。

 これらの所得制限や利用者負担につきましては、制度の持続可能性や公平性などを踏まえて考える必要があるものと認識をしているところでございます。

宮路分科員 時代は変わってきました。確かに、制度の持続可能性、公平性、これは大変重要な観点だと思いますが、その前提となる社会構造が変わってきている、あるいは、人々の意識が変化をしてきている。その中で改めて、持続可能性、公平性についていかにあるべきか、これはこれまでとは全く違った状況になってきていると思いますので、それをしっかりと組み入れた上で検討を早期に実施をしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、医療的ケア児の支援についてお伺いをしたいと思っております。

 私も、超党派の永田町子ども未来会議という議員連盟において、この医療的ケア児の問題を取り組んできました。おかげをもちまして、議員立法で支援法が成立をして、様々な支援措置の拡充が図られてきました。ただ、まだ道半ばというか、まだ始まったばかり、緒についたばかりというのが現実だろうというふうに思っております。

 実は、昨日なんですが、地元の薬局に行ってまいりました。その薬局においては、医療的ケア児のお子さんが必要とする薬剤を、特殊な調剤方法が必要なものですから、そこで様々な薬剤を点滴に混ぜて、混合し、そしてそれを毎日、残念ながら口から栄養を取ることができないと、血管に直接点滴を刺して日々の栄養を取っているというお子さんの親御さんも含めて話を聞いてまいりました。

 その中で、私も不勉強で存じ上げなかったんですが、スモフリピッド、これはスイスの製薬メーカーが製造している薬剤だというふうに伺いましたが、その薬を使っていると。ただ、世界各国、アフリカや中東、本当に一部の国を除いて承認されている、認定されているそのスモフリピッドという薬が我が国においては承認がされておらず、したがって保険適用がなく、自己負担で投与を行っている、結果、年間百万、自己負担がかかっていると。

 ただ、今流通している、薬事承認が下りている別の薬剤に関して言うと、肝機能に障害をもたらすリスクがあるということで、親御さんとしては、せっかく成長している医療的ケアが必要な我が子にこれ以上のリスクは背負わせられないということで、保険適用がないにもかかわらず、そのスモフリピッドを投与しているということでありまして、この一刻も早い承認が必要であるというふうに考えておりますが、状況と見解についてお伺いをしたいと思います。

八神政府参考人 国内未承認薬につきましての承認ということで、お尋ねをいただきました。

 国内で未承認の薬につきまして、患者さんの声をお伺いをして医薬品の実用化につなげる、こういった取組がございます。厚生労働省では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議というものを開催をしてございます。この検討会では、患者団体、学会等から、医療上の必要性の高い医薬品の開発、これに係る要望を受け付けまして、当該薬の海外承認の状況、対象疾患の重篤性や他の治療薬の有無等について検討を行った上で、製造販売業者に対して開発要請等を行う、こういったことをやってございます。

 この検討会も活用しながら、患者さんの声に耳を傾けて、必要な医薬品が医療現場に届くよう対応してまいりたい、このように考えてございます。

宮路分科員 昨今の晩婚化あるいはそれに伴う高リスク出産などにより、医療的ケア児の数はますます増えていっております。したがって、そうした要請は今後更に高まっていくものと考えられますので、当然、家族会や学会の皆さん方の御協力も得ながら、早期の承認に向けて是非動いてまいりたいと思いますので、国もその動きを受け止めていただきたいというふうに思っております。

 最後に、国連障害者権利委員会の総括所見、対日審査についてお伺いをしたいと思います。

 その中で、やはり、二つ、インクルーシブ教育と障害者の生活の地域移行について、大きな懸念と我が国に対する要請がなされたところであります。やはり、脱施設というのを強く打ち出し、障害者生活の地域移行を図っていくべきだということを強く要請をされました。厚労省においても、これまでもそうした流れに沿って対応していただいておりますが、今回の総括所見を受け、更にその推進を図るべきと考えております。見解についてお伺いをいたします。

辺見政府参考人 昨年の八月に審査が行われて、九月に公表されました国連障害者権利委員会の総括所見におきまして、御指摘のような、施設等からの地域移行を推進すべきとの御要請があったところでございます。

 厚生労働省としては、これまでも、障害福祉計画に係る国の基本指針における、施設入所者の地域移行に関する目標値の設定、地域生活への移行、定着を支援するサービスの充実や、地域ニーズに応じた自治体による計画的なグループホーム等の整備などを通じまして、施設等からの地域移行の取組を進めてきたところでございます。

 また、昨年成立いたしました障害者総合支援法の改正におきまして、体験の機会の提供などによる、障害者が施設などから地域生活へ移行することの支援、また、緊急時における相談やショートステイでの受入れなどを行います地域生活支援拠点等の整備が市町村の努力義務と位置づけられたところでございます。

 引き続き、国連障害者権利委員会の総括所見における指摘も踏まえまして、関係者による御議論をいただきながら、障害福祉計画における目標値の設定やその実現に向けた取組に加え、地域生活支援拠点等の整備などを図ることにより、障害者が、その希望に応じ、身近な生活で安心した暮らしを送れるよう、その実現に向けて計画的に取り組んでまいりたいと考えております。

宮路分科員 様々な施策を講じていただき、更に障害者総合支援法の改正によって加速していくというふうに思っております。

 この地域移行というのは、しかし、若い世代からやはりインクルーシブであることが重要です。受け入れる側の社会の方にも障害者に対する理解が必要であり、それは若年世代のときからそれを育むことが必要だと思っておりますので、地域移行に関して言えば、世代を通じた、人生を通じた、しっかり、目で制度設計をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、済みません、時間をオーバーしておりますが、一点だけ聞かせてください。

 総括所見の中でも肯定的な評価もありました。障害者差別解消法が改正をされ、そして、事業者に対しても合理的配慮義務が課されることになった。大きく障害者施策が変わろうとしております。

 そうした中で、内閣府においては、今年から障害当事者の方を職員として受け入れられたというふうに聞いております。民主党政権時代、障害者施策の企画立案に障害当事者の方が立たれた。これは大変レガシーだったというふうに思っております。いいものはしっかりと引き継いでいくという意味では、今般の障害当事者を職員として迎え入れたことは大変意義があると思います。

 しかし、受け入れただけではいけません。しっかりとそうした方に実のある仕事をしていただくことが大事だというふうに思っております。ナッシング・アバウト・アス・ウィズアウト・アスの精神で、どのように内閣府としてその職員の方に期待をしているか、最後にお伺いをしたいと思います。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者施策アドバイザーについてでございます。

 私どもといたしましても、障害者施策の推進に当たっては、障害をお持ちの方に参加していただいて、その当事者の視点を反映させていくというのは極めて重要なことだと思っております。このため、先生御指摘のとおり、障害者施策に関して学識経験のある方をアドバイザーとして委嘱して御指導いただくという仕組みを設けております。

 御指摘のとおり、現在、改正障害者差別解消法の円滑な施行に向けた準備を進めておりまして、その一環として、周知啓発、説明会などを予定しているところでございます。こういった取組がより効果的になるようにということで、御指摘のとおり、本年一月付でアドバイザーにお一人就任いただきました。

 御質問の点ですが、合理的配慮義務の提供の対象となる事業者はもとよりですが、広く国民の皆様にその改正法の趣旨、内容について周知していって正しい理解を得ていくというのは非常に重要なことでございます。したがいまして、新たに就任いただいた方には、当事者の視点から我々に様々な御助言をいただきたい、そういったことを大いに期待しているところでございます。

 ありがとうございました。

宮路分科員 障害当事者だからこそ発信できる、説得力を持つことができる分野は多々あろうかと思います。最大限活用していただくように最後にお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡主査代理 これにて宮路拓馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本尚君。

松本(尚)分科員 自由民主党の松本尚でございます。

 本日の分科会では、災害時のトリアージについて質問をしたいと思います。

 まず、平時の医療、今のこの状態ですね、平時の医療というのは医療に対する需要、医療ニーズと言っていいんですけれども、その需要に比べまして、供給量、医療のリソースの方が十分に存在している、足りている状態だということで、その状態で成立しているわけです。一方で、災害時の医療というのは、リソースとニーズが完全に逆転をしてしまって、急激にニーズが増えて、それに対してリソースが追っつかないという状態の中で災害時の医療というものが行われることになります。このため、治療の優先順位を決めていったりしていかなければならない、このために実施されるのがいわゆるトリアージという行為であります。医学的に言うと、ざっくり言うとそういうことなんですけれども、医療の世界の中でトリアージはきっちりとこういうものだということは実は定義はされていないんですけれども、ここではそういう定義というか、そういう認識の下に質問を進めたいと思います。

 医療資源の需給バランスが崩れて、枯渇寸前になる医療資源をより多くの患者さんに提供するためには、日常とは異なる対応が必要となります。多数の患者さんに対して限られた医療資源を有効に分配するため、より緊急性とかあるいは重症度の高い患者さんをよりすぐっていくというのがトリアージの目的ですから、結果的に最大多数を救命しようとする、こういった行為であります。

 この概念、実は、阪神・淡路大震災前までは余り知られてはいませんでした。あの大震災後に普及し、今では多くの医療従事者がこのことについては十分に理解をする状態となっているんですけれども、東日本大震災の折に、このトリアージをきっかけとした損害賠償請求事件が発生しています。

 まず、厚生労働省に尋ねたいんですけれども、この損害賠償請求事件について把握をされているでしょうか。どうでしょう。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災における事案の把握状況でございますけれども、私どもの承知しております範囲で申し上げますと、石巻市の当時九十五歳の女性が、自宅で東日本大震災に被災されまして、三日後に石巻赤十字病院に搬送された際に、治療の優先度を決めるトリアージで最も軽い緑と判定をされましたが、その後、院内で脱水症によりお亡くなりになった事案がございまして、これについて、遺族から石巻赤十字病院に対して損害賠償を求めて訴訟が提起されたという事案でございます。

 その後、日本赤十字社が遺族に対して哀悼の意を表明するなどの内容で和解が成立したというふうに承知してございます。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。今の報告のとおりだろうと思います。

 実は、緑と判定されて、その後の管理の問題に多少問題があったのかなと。それによって脱水症で亡くなられたわけですから、このトリアージの緑という判断と、それから、死亡に至った直接の因果関係というのは、医学的に見てもないだろうというふうには思います。ですから、ここだけ取り上げればトリアージは問題なかったというふうになるんだろうと思いますけれども、告訴状においては、トリアージの判断に対する過失というのが原告の主張とされているということには、ちょっと注目しなければいけないというふうに思うわけであります。

 劣悪な環境の中、不特定多数の初対面となるそういった傷病者を対象とする災害時のトリアージですから、診断機器を用いる間もなく、短時間で実施する必要があるため、その判断には高い精度が期待できないわけであります。また、医療資源の需給バランスの状況で資源配分が左右されますから、緊急度や重症度の判断基準は不変ではなく、相対的なものであろうというふうになります。

 このように、トリアージは、一定の不的確性を許容した上で行うことが前提となっておりますから、結果的に誤りとなる可能性が回避できない、そういった性質のものであります。したがって、事後に、今回のこの訴訟事案のように、ミスがあったんだというふうに判定されるというべきものではないだろうというふうに思うわけであります。

 トリアージの実施者が、最終結果の正診、正しく診断ということですね、を基に、それができたかどうかということで責任を問われる、つまり、今回のような訴訟の対象になるということであれば、今後、災害が起こってトリアージをやらなければいけないときに、誰もトリアージをやりたがらなくなる可能性があるんだろうというふうに思います。そうなりますと、結果的に、より多くの被災者の方の生命が失われ、被災者の不利益にもつながるだろうというふうな理屈になろうかと思います。

 そういった観点の質問になるわけですけれども、一般に、救急医療において、救急医療そのものは一般の医療とはまたその特殊性があるわけですけれども、そういった特殊性を考慮したとしても、注意義務が軽減されるということはないとされています。一方で、災害時において、そういった注意義務というのは、程度や範囲というのは、災害時の場合は平常時よりも何かしら軽減される、考慮されるということはあるのかないのか、その辺りは厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 トリアージによって図らずも患者さんに不利益が生じたような場合、民事上の責任が問われる可能性というのは想定されるところでございます。

 トリアージにおける民法上の過失がどのような状況下で認められるかということにつきましては、予見可能性の存在でありますとか、あるいは結果回避可能性の有無など、個々の状況ごとに判断されるということでございますので、災害時における注意義務の程度を一般化するというのはなかなか困難な面がございますが、一般論として申し上げれば、トリアージを行われる医療従事者の方が注意義務を尽くしてトリアージを実施した場合には、トリアージに関する民法上の損害賠償責任を負うことにはならないのではないかというふうに考えられるところでございます。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 予見可能性とか結果回避性をどれぐらい考えてトリアージをできるかどうかということに多分なると思うんですけれども、それがあって初めて注意義務が問われるんだろうと思いますが、先ほど申しましたように、トリアージというのは物すごいスピードでやっていかないといけない。例えば、電車の事故だと、一両当たり百人近く乗っていて、二、三両だともう四、五百人が、ばっとそこに患者さんが急に出ていて、最初に駆けつけた例えば医師であれナースであれ救命士さんであれ、そういった人が順番にどんどんどんどんトリアージをやっていくとなりますと、一人当たり、一分、二分、三分、まあ三分もかけられないぐらいのスピード感になってしまいます。そういったときに、予見可能性を考えながら、あるいは結果回避性を考えながらその判断ができるかというと、これはもう物理的、時間的にも非常に厳しいものだろうと思います。

 したがって、平時の医療に対するこういった注意義務の問題というのと、災害時の、限られた、そういった過酷な環境の中で注意義務というものを考えていくというのは、同一視はなかなかできないだろう。やった結果、平時の判断基準で注意義務違反がもし問われるようなことがあるとなれば、それはトリアージをやった人には相当の、逆に不利益になるのではないかというふうに思うわけであります。

 たとえ、災害時に注意義務の程度を変えることをこうやって容認をしたとしても、場所によっては、医療ニーズそして医療リソースのバランスが均衡若しくは平時同様に保たれている場合もあるとは思います、大きな災害の場合は。ゆえに、注意義務の程度を変えることが正しいのか、そうであるとしても、今言ったみたいに、どこで線を引くかというようなところがこの問題の非常に難しいところであるのではなかろうかと思うわけであります。

 さて、平成二十六年の十月十五日の衆議院の厚生労働委員会において、公明党の古屋範子委員が、当時、二〇一三年の第十八回日本集団災害医学会でのアンケート調査結果を披露されながら、このアンケート結果からも分かるように、現在、幸いなことに訴訟事件というのは起こされていないんだけれども、そういう可能性を考え、また、刑事事件として起訴され、又は損害賠償請求が提起される、その結果、災害医療から撤退をする、あるいは萎縮をしてしまうような危険性がある、また、患者の権利意識が年々高まり、それらのリスクが高くなっている、こういうふうに考えられます、今後、広域災害の発生が予想されて、トリアージを含む災害医療の重要性が増加をするということになりますと、法的位置づけがなく、医療従事者の精神的負担が大きい、これについては法的整備が必要ではないかと考えられますというふうに述べていらっしゃいます。

 このアンケートの詳細を披露しますと、二百三十八名の医療従事者の方にアンケートをしていて、例えば、看護師、救命士の判定内容に対し家族が過誤があると主張した場合、当事者は守られると思いますかという問いに対して、法律で守られると答えられているのが二二・七%、五人に一人しかいなかった。一方で、過誤があると主張された場合、刑事事件として逮捕や起訴されることがあると思いますかというのに対しては、可能性が高いというのが三五%いらっしゃったということになります。さらに、最後の質問で、トリアージを実施することを明文で認めた法律や免責に関する明文の法律はありませんが、これらを明文化した法律を作るべきだと思いますかという問いに対しては、二百三十八名中二百九名、八八%の人が必要だというふうな答えをしている、こういう内容でございました。

 この古屋委員の質問に対する厚生労働省の当時の回答というのはどんなものだったか、教えていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、古屋委員から御質問いただいた件につきまして、厚生労働省の方からはこのような御回答を申し上げております。

 一部の法律関係者に法整備を求める意見があることは承知しているが、災害時には適切にトリアージが実施されていると考えており、また、災害医療や救急医療の関係学会等からも法整備の要望は出されていないことから、今後、関係学会等から必要に応じて御意見を伺うなど、動向を注視していきたい旨御答弁をさせていただいたところでございます。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 僕は今のお話を聞いて、災害時に適切に実施されているだろうというふうなあれなんですけれども、その根拠は一体どこにあるのかなというのをちょっと不思議に思ったりもしました。

 実は、災害時にトリアージをやっているというのは、僕が知る限りそんなにたくさんはなくて、例えば、東日本のときはあったでしょう。それから、JRの福知山線事故のときは確実にやっています。そうそうたくさんはないので、その時点でそれが適切であったかどうかということを回答しているのは、ちょっと何か言い過ぎではなかろうかという気もしますけれども。この平成二十六年の時点では、トリアージに係る損害賠償請求事案というのは、実はこの時点ではなかったんですね。しかし、冒頭で示したとおり、その後、こういった事案が生じてしまった。また、このときには、今御回答がありました、災害医療や救急医療の関係学会等からも、要望という形では、法整備の要望は出されていないというふうに回答がされているわけであります。

 ところが、平成三十一年に、日本医師会、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本災害医学会の四団体による災害時のトリアージに関する合同委員会というのが立ち上がりまして、トリアージの免責に係る法制化を目的とした議論を始めていました。その議事録等々読みますと、法制化のハードルは高そうだねということを彼らの中でも議論をしています。法制化と諸制度の整備の両面で可能性を探るというようなところで一旦会議が終わっているんですが、残念ながら、その後、コロナ禍に見舞われてしまい、議論が止まっていました。

 しかしながら、先日、この委員会が再開されまして、私もたまたまそれを知ったものですから、お願いをして、オブザーバーの参加もさせていただいたところです。

 災害によって生じた大量の傷病者に対するトリアージ全体の結果が正しかったとしても、この中の個々人に対するトリアージ結果に訴訟リスクが存在しているということは、トリアージの実施者にとっては大きな負担になります。いわゆるトリアージというのは最大多数の最大幸福みたいな、最大多数の人を助けましょうというものですから、全体で見れば、そのトリアージは多くの人を助けたからよかったねという行為であっても、その個々の人たちに対しては、緑にされたからどうだった、黄色だからどうだったという結果が当然生じるわけです。

 ですから、どこに焦点を当てるかということによってこのトリアージの法制化という問題は随分と変わってくるんだろうというふうに思います。トリアージの実施者は、法律による保護の対象に、ゆえに、してあげないといけないのではないか、先般の損害賠償請求事案が一つの立法事実になり得るのではないかなどの意見が、この再開された委員会の中では出ていたわけであります。

 他方で、トリアージに対する免責の法制化というのは国民の訴訟する権利を奪うのではないかといったような意見も出ていました。なるほどなというふうにも思ったところなんです。もっと簡便に厚生労働通知などで何とかなるんじゃないかというふうな意見もありましたが、行政行為や国会答弁というのは裁判の規範にならないというふうにされていますので、医療従事者の法的責任の緩和にはなりません。ゆえに更なる立法事実を重ねることを目的として、この学会等においては再アンケートをもう一度実施しようというふうな方針になっています。是非、そのアンケート結果にも注目をしていただきたいところです。

 このように、関係学会は合同で、法的にも十分考慮しながら真摯な議論を行っていますので、近い将来、要望書をまた提出をしようというふうになっているそうであります。

 さて、災害時という非日常的な状況下において医療を提供せざるを得ない場合は、その医療を平時の基準で評価するということに正当性があるかということを、我々はもう一回ちゃんと考えなきゃいけないと思います。

 欧米には、いわゆるよきサマリア人の法理、つまり、災難に遭ったり急病になったりした人らを救うために無償で善意の行動を取った場合、良識的かつ誠実にその人ができることをした、無過失であったということですが、であれば、それにより生じた損害については免責されるというような法理が欧米には存在しますが、我が国において、このいわゆるよきサマリア人の法理に相当する法律というのは存在するんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、アメリカやカナダなどにおきましては、善意で傷病者の救急蘇生を行った場合には、その結果について責任を負わないというふうにする、いわゆるよきサマリア人の法が制定されているというふうに承知をしてございます。

 一般に、我が国におきましては、善意に基づいて、注意義務を尽くして救急蘇生を実施した場合には、医療関係者かどうかによらず、民事上の責任を問われることはございません。また、刑事上の責任については、自己又は他人の生命、身体等に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合には、罰しないものとされているところでございます。

 我が国の法体系におきましても、実質的には、いわゆるよきサマリア人の法理とおおむね同様の対応が可能な法整備がなされているものと承知しているところでございます。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、アメリカでは、五十の州とコロンビアの特別区にはよきサマリア人法というのがあって、実は、これは緊急の治療行為の免責であって、トリアージの免責法ではないというふうな説明もされているところです。ですから、トリアージそのものについて規定したり免責したりする明確な法整備というのがアメリカには実はないというのが、私、国会図書館でちょっと調べてもらったんですが、そのような回答が出てきました。

 ドイツでも、トリアージが法的に正当化されると解する説が通説らしいんですが、いわゆる限りある医療資源の配分に関する法的基準、倫理指針というのは存在せず、明確な立法化はなされないということだそうです。

 もっとも、よきサマリア人の法理というのは、旧約聖書を起源とする英米の法理で、大陸法を継承する我が国の法理にはなじまないものではないかとも思われます。

 そういったことを踏まえて、平成二十九年四月十日の衆議院の決算行政監視委員会において、こんな答弁がされています。

 やはり、同じような、トリアージについての、よきサマリア人についての質問ですけれども、当時の厚生労働副大臣の答弁によりますと、民法上では、第六百九十八条に緊急事務管理という項目がございまして、これに当たるだろう、だとすれば、悪意又は重大な過失がなければ、責任を問われることはございません、また、刑法上も、第三十七条の緊急避難に該当するだろうということで、これも違法性が阻却されるものと考えておりますと。

 今、厚生労働省からお話のあったとおりの内容かというふうに思いますが、一方で、このお話は、法律家の先生によりますと、例えば、緊急事務管理というのは患者さん本人に対して措置を行った場合の規定であって、トリアージのように、多くの患者さんの、被災者のマスとしての、傷病者のための行為を想定はしていない。つまり、誰かを緑にすることで、ほかの誰か、全く見ていない誰かが優先順位が上がって、その人が利益を、出てくるというような問題ですから、一対一の関係で緊急事務管理というのを想定されていますけれども、そういった他の人に対している緊急事務管理というのは成立しないのではないかというような意見もありました。

 また、緊急避難についても、トリアージ自体を行うことは正当の業務行為と認められますけれども、一方で、ミスをした、もし、明らかに赤なのに黄色とか緑にしちゃったとかというような人は、果たしてそれが正当業務行為、緊急避難と言えるかは疑問であるというような法律家の意見もあったわけであります。

 このように、法解釈上の意見の相違がある中において、また、実際の現場、例えば先ほど申し上げました学会での動き等も受けて、トリアージの法的免責に関するこれの法律化、法制化について、厚生労働大臣の見解を伺いたいと思います。

    〔大岡主査代理退席、主査着席〕

加藤国務大臣 ただいま松本委員から、トリアージについて、まず、大規模な事故や災害が発生した場合には、まさにそうした中でより多くの命を救うためにトリアージを実施することの意義は大変大きいと思っておりますし、また、そのトリアージを実施する医療従事者を守っていくために法的免責をどう確保していくのかという視点も重要だと考えています。

 一般論としては、今までも説明させていただいて、あるいは委員からもお話がありました、民法上において損害賠償責任を負うのか負わないのか、あるいは刑法上の刑事上の責任を問われるのか問われないのかということでありますけれども、これまでは、それぞれにおいて、七百九条の不正行為による損害賠償の規定、あるいは第三十七条の緊急避難の規定を踏まえて、基本的には損害賠償責任を負わないもの、あるいは刑事上の責任を問われない、こういうふうに認識をしているところではありますが、ただ、実際、過去において、先ほどありましたような損害賠償の事案もあった。

 それらを踏まえて、今、関係学会、団体において、トリアージを実施する医療従事者を守る手法として、災害時のトリアージに関する社会への普及、災害時のトリアージに関する現状の法律での免責の是非、そしてさらに、トリアージの法的免責に関する法制化などについて様々な議論が行われているというふうに承知をしております。

 そうした議論も参考にさせていただいて、どのような対応が取り得るか、検討していきたいと考えております。

松本(尚)分科員 ありがとうございます。

 恐らく、今のこのやり取りの中で、幾つか、法的に多分免責されるであろうというような、例えば緊急事務管理であるとか緊急避難であるとか、いろいろな言葉が出てきたと思います。注意義務もそうですね。

 ですけれども、恐らく大丈夫だろうというようなところで今成り立っている。今まさにトリアージが行われようとした場合に、そういったちょっと不安定な部分のところに立脚した上で皆さんがトリアージをやっている。それは非常に不安に思いながらやっているということにもなってしまいますので、やはりそこは、不安なく、確実に実力を発揮して、より正しいトリアージをやってもらうためには、やはり法的に何か担保を与えてあげないといけないのではないかなというふうに思います。

 よきサマリア人法の話もありました。これと割にごっちゃにしやすいんですけれども、そういったよきサマリア人の法というのは平時のいろいろな緊急的な行為に対しての免責であるし、私が今日話題にしているのは災害時に対するトリアージの免責でありますので、少し切り分けて考えないと、ごちゃごちゃになってしまうと少しいけないなと思いますけれども。

 少なくともこれから、災害大国である我が国であります、これからどういう形で医療者がトリアージをやらなければならない局面に遭遇するかということは分かりませんが、恐らく多いだろうということも想定されます。そのためにも、そのときのためにもしっかりとあらかじめ準備をしておくということが、余計な訴訟というか、また、医療者側にとってはあらぬ嫌疑をかけられるようなこととか、そういったことのないように準備をしてあげたいというふうに私も医療者の一人として思いますので、是非、今後の学会からの要望等も含めて、積極的に、前向きに法制化については御検討いただきたいというふうに思います。

 以上申し上げまして、私の質問、終わりたいと思います。ありがとうございました。

牧原主査 これにて松本尚君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後一時五十九分散会


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