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第1号 令和6年2月27日(火曜日)

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本分科会は令和六年二月二十二日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      越智 隆雄君    加藤 勝信君

      後藤 茂之君    橋本  岳君

      早稲田ゆき君    緒方林太郎君

二月二十六日

 橋本岳君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年二月二十七日(火曜日)

    午前九時四分開議

 出席分科員

   主査 橋本  岳君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      越智 隆雄君    加藤 勝信君

      後藤 茂之君    仁木 博文君

      鎌田さゆり君    西村智奈美君

      柚木 道義君    早稲田ゆき君

      緒方林太郎君    北神 圭朗君

   兼務 国光あやの君 兼務 斎藤 洋明君

   兼務 青山 大人君 兼務 野間  健君

   兼務 沢田  良君 兼務 角田 秀穂君

   兼務 鰐淵 洋子君 兼務 高橋千鶴子君

   兼務 西岡 秀子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   内閣府副大臣       古賀  篤君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上野 有子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 滝澤 幹滋君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   参考人

   (独立行政法人国立病院機構副理事長)       大西 友弘君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     畦元 将吾君

  早稲田ゆき君     柚木 道義君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     仁木 博文君

  柚木 道義君     西村智奈美君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     山口  晋君

  西村智奈美君     鎌田さゆり君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     山本 左近君

  鎌田さゆり君     神津たけし君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     上田 英俊君

  神津たけし君     早稲田ゆき君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     越智 隆雄君

同日

 第一分科員沢田良君、第二分科員鰐淵洋子君、第三分科員斎藤洋明君、第四分科員角田秀穂君、第六分科員青山大人君、高橋千鶴子君、第七分科員野間健君、西岡秀子君及び第八分科員国光あやの君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

橋本主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

武見国務大臣 令和六年度厚生労働省関係予算案の概要について説明をいたします。

 厚生労働省所管一般会計予算案の総額は三十三兆八千百九十一億円であり、令和六年度から国土交通省等に移管される経費を除いた令和五年度当初予算額三十三兆一千四百八億円と比較いたしますと、六千七百八十二億円、二・〇%の増加となっております。また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計、年金特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しております。

 以下、令和六年度予算案の重点事項について説明をいたします。

 第一に、今後の人口動態、経済社会の変化を見据えた保健、医療、介護の構築について、ドラッグラグ、ドラッグロスの解消に取り組むとともに、創薬力強化のためのイノベーションの基盤構築を推進します。また、医療、介護におけるDXを推進するほか、地域医療構想等の推進、地域包括ケアシステムの構築、救急、災害医療体制等の充実、賃上げ、処遇改善への対応を含む報酬改定の実施など、地域医療、介護の基盤強化に向けた施策の推進に取り組みます。さらに、健康寿命の延伸に向けた健康づくり、予防、重症化予防や認知症施策を推進するとともに、次なる感染症に備えた体制整備等に取り組みます。

 第二に、構造的人手不足に対応した労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進について、最低賃金や賃金の引上げに向けた中小企業等の生産性向上の支援、非正規雇用労働者の処遇改善等に取り組むとともに、リスキリングによる能力向上への支援、労働移動の円滑化の推進等に取り組みます。また、多様な人材の活躍と魅力ある職場づくりに向けて、フリーランスの就業環境の整備、多様な正社員制度の普及促進、ハラスメント防止対策の推進、仕事と育児、介護の両立支援等に取り組むとともに、高齢者、障害者、外国人、就職氷河期世代等の就労支援に取り組みます。

 第三に、包摂社会の実現について、地域共生社会の実現に向けて、対象者の属性を問わず、包括的に相談を受け止める重層的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、障害者支援、困難な問題を抱える女性への支援、自殺対策等を推進いたします。また、戦没者遺骨収集等の推進、持続可能で安心できる年金制度確立等に取り組みます。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 人口減少や超高齢社会に対応した、持続可能な地域医療、介護の基盤構築や地域共生社会の実現、イノベーションや新しい資本主義による成長の加速化を図り、国民一人一人が豊かさを実感できる社会を構築するため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いを申し上げます。

 以上であります。

橋本主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橋本主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畦元将吾君。

畦元分科員 自由民主党の畦元将吾です。

 分科会で質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まずは、私のライフワークでもある、先ほど大臣からも言葉がありましたが、認知症関連からの質問をさせていただきます。

 本日、大臣に直接御答弁いただく必要、予定はございませんので、御退席いただいても構いません。

 では、始めます。

 高齢化に伴い、認知症患者の数は急増しています。その数、六百万人以上。六十五歳以上の高齢者の三人に一人が認知症かその予備軍というデータもあります。

 そこで、質問です。厚生労働省が把握、認識している最新情報では、日本の認知症患者数は何百万人でしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 認知症の方の人数につきましては、直近の把握しているものが二〇一二年とやや古いものでございますが、ここでは二〇二五年に六百七十五万人と推計されておりまして、現在新たな調査を行っておりまして、今年前半には取りまとめられるよう努力してまいりたい、このように考えております。

畦元分科員 ありがとうございます。

 続いて、男女の比率はどれぐらいでしょうか。また、認知症の中で六割近いと言われるアルツハイマー認知症の比率は、現時点の最新情報としては、厚労省としてどれくらいと認識されていますでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 男女比でございますけれども、認知症の原因となる疾患の発症率が年齢によって異なりますので分けてお答えしますけれども、六十五から六十九歳では、男性が一・五%、女性が一・六%と、ほぼ同率でございます。他方、八十五歳から八十九歳と上の年齢になりますと、男性が三五・六%、女性が四八・五%となっております。

 また、お尋ねのアルツハイマー型認知症の方の割合につきましては、六十五歳以上の認知症の方の中では約六七・六%、これは二〇一二年の先ほどの調査でございますけれども、他方、六十五歳未満の方におきましては、二〇二〇年度の調査におきまして約五二・六%と報告されております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 次の質問ですけれども、六十五歳未満で発症する若年性認知症についてお伺いします。

 若年性認知症の人は、就労や生活費など経済的問題が大きいことや、家族の負担も大きいと考えております。オレンジプランの七つの柱の中にも、若年性認知症ということを強化という言葉があります。

 そこで、質問させていただきます。厚生労働省では、若年性認知症患者や御家族に対しての支援は具体的にどのような対応をされているか教えてください。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 若年性認知症の方は、就労や経済面、社会参加等様々な課題を抱えていることが多いと承知しており、そうした状況を踏まえた施策の推進が大変重要であると考えておるところでございます。

 そのため、現在、各都道府県等に配置されている若年性認知症支援コーディネーターが中心となって、若年性認知症の方やその家族に対する相談支援、医療、福祉、就労等の関係機関のネットワークの構築による就労、社会参加支援等を行っているところでございます。

畦元分科員 政務官、ありがとうございました。

 続けて、二つほど、関連した質問をさせてください。

 最近の動向として、若年性認知症患者の増減数はあるのでしょうか。もう一つ、最新の情報として、若年性認知症患者の方は国内でどれぐらいいるのでしょうか。分かる範囲で教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 十八歳から六十四歳における人口十万人当たりの認知症の有病率で申し上げますと、二〇〇九年の調査では十万人当たりで四十七・五人、二〇二〇年の調査では十万人当たり五十・九人と、おおむね五十人前後ということで、この十年で大きな変化はないというふうに考えております。

 また、この数値を基に全国の若年性認知症の方の人数を推計いたしますと、この年代の人口が二〇〇九年と二〇二〇年では減少していることから、二〇〇九年の推計から若干減少しておりまして、二〇二〇年で三・五七万人と推計されているところでございます。

畦元分科員 ありがとうございました。

 それでは、次は、軽度認知障害、MCIについてお伺いしたいと思います。認知症の予備軍と言われておりますが、認知症を発症する前段階の認知症予備軍とも言われている軽度認知障害、以下、MCIと言いますけれども、それについてお伺いします。

 MCIは認知症手前のことなので、そこで見つけることは大変重要と私は考えております。

 質問です。MCIの方が認知症へ移行する確率はどの程度と厚労省としては認識していますでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 日本神経学会がまとめておられるガイドラインによりますと、今委員御指摘の軽度認知障害、MCIの方が認知症へ移行する割合は約五%から一五%、これは若干幅がありますけれども、このように見積もられております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 それでは、また、厚労省の具体的な認知症予防対策を教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 認知症予防についてですけれども、これまで、通いの場という厚労省の施策でもありますけれども、通所系の事業に継続的に参加すると認知症の発症リスクが低減するといった研究もございます。

 こうした各種研究の推進によりましてエビデンス収集に努めるとともに、認知症予防に資すると考えられる取組の事例集や活動の手引を作成し、自治体等に対する周知を進めてございます。

 さらに、本年一月に認知症基本法、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行されました。これも踏まえまして、引き続き、科学的知見に基づき、認知症予防に関する研究の推進や、予防に関する普及啓発、地域における活動の推進等に取り組んでまいりたい、このように考えております。

畦元分科員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 MCIが重要だということがあるんですけれども、今、日本の高齢者人口が、世界比較で日本がどれほど高齢化が進んでいるかということで調べましたら、二〇二〇年には日本の高齢者人口は世界一位となっているということとか、認知症の高齢者の人数の推移が、二〇二五年、高齢者の五人に一人が認知症とも言われております。そういう意味で、MCIの段階、認知症予備軍の段階で発見することは大変重要と私は考えております。

 質問の内容ですけれども、MCIは、記憶力や注意力の軽度な低下が見られる一方、日常生活では問題なく過ごせる状態と定義されており、周囲の方はもちろんのこと、本人ですらふだんの生活で気づかないまま過ごしてしまうことが少なくありません。だからこそ、健康なときから定期的な認知機能検査をして小さな変化を見逃さないことが重要と考えております。

 現在、健康診断の有料のオプションとして、脳検診、脳ドックに健常者の認知機能の維持管理を目的としたことをしておりますが、これは正直、三万とか五万とかかかって、富裕層がやっていらっしゃるということが多いと思います。

 現在、五分程度で結果が出る、心電図と同等の検査時間ですけれども、視線追跡とか、今一般的になっているMOCA法を利用した認知機能を測定するヘルスケア機器とか、血液検査の進歩、また、これはMRIなんですけれども、AIによる認知症将来リスク予測のプログラムを持つソフトウェアなどが国内で使用され始めております。しかし、多くの方は、先ほども言ったように有料オプションなので、富裕層とかそういう方々がやられている、部長さんとかがやられているということでお聞きしております。

 諸説でありますが、MCIの段階で早期に認知機能の衰えに気づき、その後の適切な処置や生活習慣の改善、行動を行えば、一四から四四%が健常レベルまで認知機能が回復するという諸説もあります。

 MCIから認知症への移行を大幅に減少させる効率の高い手段として、四十歳以上の国民の健康診断の中にMCI検診を導入することを強く提案したいと思います。

 現在、乳がん検診、胃カメラ検診と同様に、既に認知症対策をする時期に来ていると考えております。検診の結果から必要に応じて、二次検査によって、MRIとかその他の検査をしていけばよろしいのかと思っております。

 MCI検診は認知症患者さんへの減少につながると私は思っております。四十歳以上としたのは、アルツハイマー認知症の場合、発症する原因となるたんぱく質は発症二十年ほど前からたまり出していると考えられているからです。加えて、四十歳からの検診データは、今後、医療に対しても、認知症対策、予防、治療などに大きく役立ちます。現在、そういう情報を今取っているとは聞いているんですけれども、AIというのは皆様も御存じのとおり統計の塊ですから、人数が多ければ多いほどデータが正確になるということで、そういう検診の方も使えるのではないかと思っております。これは国益とも考えております。また、今言った検査は、人体に無害の検査をお話ししております。

 そこで、質問に入ります。認知症患者さんの大幅な激減のためには、四十歳以上のMCI検診を導入することが将来の日本のためにも重要と私は考えています。このことに関連した内容を教えていただけますでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 認知症の診断に関しましては、様々な研究開発がなされているというふうに承知をしております。その中でも、現時点におきましては、脳脊髄液バイオマーカーとそれからアミロイドPETが実臨床で用いられるようになったというのは、委員御案内のとおりでございます。

 その上で、認知症に関する委員御指摘になられましたバイオマーカーなどにつきまして、その臨床使用につきましては、各学会の監修の下、適正使用指針が作成されておりますけれども、その中で、特に、血液バイオマーカーを実用化するには、より一層のデータの蓄積と多様な集団における性能の検証が必要であると示されていると承知をしております。

 こうした状況も踏まえまして、令和五年度補正予算において、共生社会に向けた認知症の早期発見、早期介入実証プロジェクトを開始したところでございます。このプロジェクトにおきましては、全国十五か所程度の自治体と連携して、希望者は血液バイオマーカーなどいろいろな認知症のスクリーニング検査等が受けられるようにすること、そして、その結果などを踏まえて、認知症疾患医療センター等と協力して、本人、御家族の意思を尊重しながら、診断後は地域包括支援センターや地域活動につなげられるような体制をモデルとして構築することとしております。

 こういう研究成果を踏まえながら、委員御指摘のような認知症の早期発見、早期対応の体制構築に努めてまいりたい、このように考えております。

畦元分科員 ありがとうございます。

 MCIで見つけるということは大変重要だと思いますので、是非今後ともよろしくお願いいたします。

 軽度認知障害、MCIの段階で早期に認知機能の衰えに気づき、その後の適切な処置や生活習慣の改善、行動を行えば、健常レベルまで認知機能が回復する可能性があります。認知症になってくるとなかなか難しいとは思っておりますが、この軽度認知障害の段階で何とか見つけることができないかと思っております。将来の本人、家族の人生が大きくよい方向に変わると思います。四十歳以上の健康診断の中で、MCI検診、軽度認知障害を発見し、一人でも多くの方が認知症への移行を防ぐ環境の実現をするためにも私は努力を継続していきたいと思います。よろしくお願いします。

 既に、国産のMCI発見の目的の検診機器も幾つかできており、会社名はいいと思うんですが、そういう検診センターなんかで使われているということもお聞きしております。機能性や信頼性、検査時間などをしっかりと確認することは重要だと思いますので、それを確認した後、検診に利用できる装置かどうかを判断していただき、またその調査もしていただき、利用できれば、五分でできれば心電図と変わりませんので健康診断にできるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 認知症関係はそこまでにしまして、次ですけれども、次に、先端医療としての高額機器に関してお伺いいたします。

 患者さんがどこで検査しても安心して検査を受けることができ、患者さんのデメリットが限りなく少なくなるようにしたいと日頃から思っております。

 そこで、一つの課題ですけれども、CT装置、MRI装置、DSAなどの最先端医療高額機器に関して、十年から十五年以上使用するといずれのものも故障したときの部品の欠品があるのをメーカー側から聞いております。現在、それは中古の機器から持ってきたりとか、工夫して特別に作ったりとかしているけれども、いろいろ困っている状況もあるみたいです。

 もう一つの問題が、最先端医療機器といっても、十年のシステムは、現在のシステムと比較しますと、機能や病気を発見する能力、検査時間、画質の低下、又は電気代なんかも入るんですけれども、変わってまいります。それは患者さんのデメリットにもつながる。同じように検査をしても、見つかるCTがあれば見つからないCT、まあMRIもDSAも同じなんですけれども、被曝線量も増えてくるということになります。場合によっては、紹介された病院で同じ検査をやり直すということもあります。加えて、CTやDSAでは、古いシステムを使うと患者さんへの被曝線量などが数倍から時には数十倍違うということもメーカーが言っております。

 そこで、質問です。新しい装置と古い装置において、装置の性能や被曝の線量の違いに関して事実関係を調べていたら教えていただけますでしょうか、お願いします。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 エックス線CT診断装置でございますが、もちろん製品によって異なるものでございますので、一概にどれぐらいという比較ができるものではございませんけれども、こういったものの解析能力等の性能は年々向上しているところでございます。ですので、御指摘のような最新のCT装置の場合は、古い装置よりも少ない放射線の照射量で精度の高い診断が可能ということでございます。

 もちろん、管理医療機器としての認証基準を満たした製品が認証を受けておりますので、古いものだからといって一概に、有効性、安全性がどうこうということではございませんが、同等の撮影条件で同等の解像度を得るということであれば、必要な放射線量は相当少なくなっているということだと認識をいたしております。

畦元分科員 ありがとうございました。

 実際に病院で検査というかシステムのチェックをするのは、被曝の量とか、あと、すごいアーチファクトが出たらいけないというのはするんですけれども、現実面として、先ほど言った病気の検査能力だとか、また、画質がどう低下しているか、管球がどうなのか、MRIでしたらば同じようなことですけれども、安定性があるか、そういうところは余りしていないんですよね。確かに機器の管理というのは、おかげさまで厚労省から出たので病院の中でやっているんですが、そういう実際の画像の評価に関してはなかなか難しいところもありますので、その辺りも何かできたらいいのかなと思います。

 患者さんの病気が見つかる見つからないとか、二回同じ検査をしないといけないとか、そういうことにもつながりますので、何らかの対応、買換えが一番いいんでしょうけれども、お金のかかることなので、今この状況で病院さんがそれはどうなのかとなるとまた国からの支援になってくると思いますので一概には言えませんが、何とかどこに行っても同じようになるような工夫ができないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 では、もう一つ質問します。軽度認知症で、金銭面やその他の理由で二〇二三年十二月に保険適用となったアルツハイマー型認知症治療薬のレカネマブについての質問です。

 レカネマブは、投与の可否を判断するアミロイドPET検査、又は脊髄液ですけれども、仮にレカネマブ投与の対象でないと判断された場合でも、アミロイドPETとか、又は脊髄液のことですけれども、保険診療の対象となりますでしょうか。これは確認なんですが、よろしくお願いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年十二月二十日に保険適用されました検査でございます、アミロイドPETイメージング製剤を用いたポジトロン断層撮影につきましては、厚生労働省が定めるレカネマブ製剤に係る最適使用推進ガイドラインに沿って、レカネマブ製剤の投与の要否を判断する目的で実施された場合には算定できるとしてございます。

 そういうことでございますので、先生御指摘のように、検査の結果、レカネマブ製剤の適用がないと判断された場合でも、実施された検査それ自体は保険適用になると考えております。

畦元分科員 ありがとうございました。ちょっと不安に思っていらっしゃる患者さんもいますので、ありがとうございます。

 では、質問ではないんですが、もうちょっと時間がありますので、二〇二五年、高齢者五人に一人が認知症と言われている時代で、認知症の話をさせてもらいますけれども、平成二十九年度高齢者白書によると、二〇一二年には、認知症患者数が約四百六十万、高齢者人口の一五%といった割合だったものが、二〇二五年には五人に一人、二〇%が、このまま何もしなければ認知症になるという推計もあります。

 認知症の要因は加齢にあることから、超高齢社会で暮らす私たちの誰もが認知症になる、他人事ではないということなんですが、それをもっと一般の方が、認識しているんですけれども、よくレクなんかでもしゃべっていると、がんと違って認知症はという言葉が出るんですけれども、糖尿病という病気もありますけれども、糖尿病、認知症も同じだと思いますので、それが国民がみんな分かるような方法を厚労省としてもPRしていただけると、認知症に対して検査をしないといけない、例えば先ほど言った軽度認知障害のときに分かれば、まあ、いいやと放っておく人もいるかも分かりませんが、今、糖尿病の予備軍と分かったら結構お酒を控える人とか生活習慣を変える人もいらっしゃいますので、認知症に対してもそういう形にならなければいけないと思っております。将来の日本のためにもそういうことをしていただければ幸いでございますので、よろしくお願いします。

 これで私の質問は終わります。ありがとうございました。

橋本主査 これにて畦元将吾君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 立憲民主党・無所属の柚木道義です。

 今日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。武見厚労大臣、よろしくお願いいたします。

 御案内のように、来年度予算案の質疑も大詰めを迎えております。聞くところによれば、まさに裏金、脱税問題で政治倫理審査会、我々は、当然、国民の皆様に対しての全面公開を要求しておりますが、残念ながら、自民党、与党の方で、元々は全面非公開と言っていたところを、渋々、議員のみ傍聴というような今状況があるみたいですが、国民の皆さんが見られない状況で到底我々としては受け入れ難いということで、大臣、このままいくと、国民世論も九割以上が、国税庁が調査をして裏金、脱税議員の皆さんにはちゃんと納税してほしい、そういう民意もある中で、その説明責任すら国民に全面公開せずに果たさないということであれば、予算案の成立が遅れて、国民生活に重大な支障を及ぼしかねません。

 ましてや、厚生労働省の予算というのは、当然政府の中でも最大です。来年度予算案、百十二兆七百十七億円ですね。これは税金です。そしてまさに、そのうち最大の厚生労働省の予算は、年金、医療、介護、労働、子育て。

 本当に、岸田総理もおっしゃっているように、信なくば立たずの中で、今この裏金、脱税問題で国民の皆様に、今回、政治倫理審査会が仮にあした、あさって、まだ合意に至っていないようですけれども、開かれるとして、議員のみの傍聴可で国民の理解、信頼を得られるんでしょうか。国民の理解、信頼を得られるためには、まさに国民の皆様に対して全面公開で行うこと、これがまさに政府として信なくば立たずという立場だと思いますが、武見大臣、是非、国民の皆様に全面公開で行われた方が政府の予算審議に資すると思いませんか、いかがですか。

武見国務大臣 私は今政府の立場にいるものでありますから、政倫審を含めて国会における審議の在り方ということになりますと、やはり国会においてお決めいただくものであると思います。

柚木分科員 その政府の立場だからこそ本当に考えていただきたいと思って、今日あえて事前通告しているんですよ。

 まさに、政府の中でも最大の予算規模の厚生労働大臣をお務めになられている中で、年度内成立しなければ、国民生活に本当に重大な影響を及ぼしかねません。しかも、それは、皆さんがまさに政治倫理審査会を国民に全面公開でやると言えば、少なくとも衆議院では年度内成立に向けて前に進んでいくことができる可能性があるわけじゃないですか。だからこそ問うているわけです。

 政府の一員でなくて個人の所見でも結構ですが、私たちもみんな思うんです。多分、与党の先生方も同じだと思いますが、そういう意見も拝聴していますよ。国民の皆さんに公開されずに、我々議員が、今回、五人ですか、裏金、脱税議員の方が説明されるのを聞いたところで、国民の皆さんが直接聞けないのに、どうやって国民の皆さんの理解が得られると思われますか。

武見国務大臣 先ほど申し上げたとおり、政府の立場として、国会においてお決めいただくものについて発言は控えさせていただきたいと思います。

 その上で、やはり今回の政治と金に関わる問題で国民の不信を買ってしまったということは、これは深く反省をして、そして信頼の回復のために最大の努力をするということは当然のことだというふうに私は思います。

柚木分科員 まさに最大の努力をするという意味においては、これは昨日も予算委員会で岸田総理大臣御自身も、今、ハッシュタグ確定申告ボイコットという言葉がトレンド入りしたり、いまだに非常に皆さんの中で使われる状況があります。

 この後、通告もしています子育て増税の議論もさせていただきますが、こんなことをやっていたら子育て増税ボイコットにもなっていきますよ、勝手に我々の保険料を上げるなと。まさに保険料、保険の所管である厚生労働大臣ですよ。

 岸田総理はこうおっしゃっていますね。確定申告ボイコットという国民の厳しい目を感じている、国民の信頼回復に強い覚悟で臨まなければならない。まさに今、武見大臣、最大の努力をしなければいけないとおっしゃいましたね。今できる最大の努力は、政治倫理審査会を国民の皆様に全面公開でやることだと思われませんか。

橋本主査 柚木君に申し上げますが、武見大臣は今政府の立場でお越しいただいており、また、違う院の議員でおられるので、本院の審査会についてお話はされにくいのではないかと思いますから、そのことを頭に置いてください。

武見国務大臣 同じ答えで大変申し訳ございませんけれども、やはり政府の立場として、国会でお決めいただくことについての発言は控えさせていただきます。

柚木分科員 岸田総理御自身も政府の、まさに行政府の内閣総理大臣という立場ではありますが、まさに自民党総裁。武見大臣も自民党の所属の議員ですよね。自民党の所属の議員という立場で是非一言コメントしてくださいよ。何でそんなに答えられないんですか。この間の厚生労働大臣も、議員個人の立場でのコメントを幾らでもしてきていますよ。私、過去にいろいろな例を出したこともありますよ。

 まさに今の状況であれば、子育て増税の話も、これは健康保険、もちろんその他の、今日通告もしていますよ、年金だったり、介護だったり、雇用だったり、それぞれの保険の所管の大臣ですね。健康保険料の値上げ、今の、政治倫理審査会、国民の理解も全く得られない状況の中で、これを、保険者当たり五百円とか、二週間もたてば千円とか、どんどん説明も変わる、共働きで年間二万、三万円の負担増になる、そういう世帯も出てくる。こんな保険料の値上げ、国民の理解を得られると思いますか。

武見国務大臣 御指摘の支援金制度でありますけれども、基本的にこれはこども家庭庁にお尋ねいただくものであります。

 国会の審議におきまして加藤大臣の方から、支援金の総額を一兆円程度と想定する二〇二八年度の拠出額として、医療保険の加入者一人当たりで月平均五百円弱という粗い試算をしております、負担能力に応じて支援金の拠出をお願いする観点から、所得の高い方の場合には平均よりも拠出額は大きくなります、そうしたいわゆる応能負担の考え方も組み合わせて御理解をいただくということをお願いしているところであります。

柚木分科員 限られた時間なので、後ろから間違ったサジェスチョンをしないでくださいよ。私の質問の答えになっていない。それは次の質問ですよ。いいかげんなサジェスチョンをしないでくださいよ。

 私が聞いているのは、今、国民の皆様が九割以上が、調査によっては九四パーとか九三パーとか、裏金、脱税議員に国税は調査すべき、追徴課税すべき、そして政治倫理審査会は国民に全面公開で行うべきと答えている。これをやらずして、子育て増税、今説明された保険料の値上げは国民の理解を得られると思いますかと聞いているんです。ちゃんとそこだけ答えてください。

武見国務大臣 したがって、今の説明をさせていただいたわけでありまして……(柚木分科員「得られると思っているんですか」と呼ぶ)

橋本主査 御静粛に。

武見国務大臣 支援金という形で、実際に、いわゆる医療保険の保険料とは区別されたものであります。

 そして、これらの理解を得るために今そうした詳細の説明をさせていただいているわけでありまして、その説明をきちんと続けることで国民の御理解を得る努力をするというのが私の立場でございます。

柚木分科員 区別をする、こういう説明は、保険料を納めている方に理解されると思われているんですか。ここのところ、言葉遣いが、裏金、脱税を還付金と言ってみたり、これは税金をちゃんと納め過ぎの人に返ってくる言い方でしょう。違うじゃないですか。子育て支援金といったら何かすごくいいことをしているように感じるけれども、実質負担なしと総理は言うけれども、負担金じゃないですか、実質負担は増えるじゃないですか。給料が上がらない人、給料をもらっていない人、年金受給者とか、実質負担増だけじゃないですか。言い方をごまかすのは、本当にちょっとやめていただいた方がいいと思いますよ。

 ちょうど今振り返ったら加藤前厚労大臣もいらっしゃるから、ちょっとお尋ねしますけれども、通告もしているから。社会保険料、特に健康保険を子育て支援金に回すことについて、当時、加藤厚生労働大臣はこうおっしゃっています。医療や介護、年金など、既存の社会保険料を財源とすることについて、医療は医療に使う、年金は年金に使う、それぞれ目的と負担の関係で制度をつくっていて、例えば、医療に使うお金、まさに今回ですね、これを子供に持っていくというのは、正直余地はないと明確に否定されているんですよ。

 この考え方は、厚生労働省として、じゃ、変えたんですか、いかがですか。

武見国務大臣 現在、私、厚生労働大臣として仕事をさせていただいておりますけれども、その立場からの御説明というものは、健康保険法の改正案の中で、子供、子育て支援金に関わる料率は、医療保険に関わる料率とは区分をしております。本来医療に充てるものとして徴収している健康保険料を子供、子育て支援金に充てるものではないという、まず基本的な認識を申し上げておきたいと思います。

 その上で、先生御存じのように、健康保険制度の中では、疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する給付を中心としつつも、国民の生活の安定と福祉の向上を目的として、予防的かつ広範な事業も含んでおりまして、後期高齢者支援金や出産一時支援金など、世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれております。

 このため、将来の健康保険制度の担い手の育成を支援をして、健康保険制度の持続可能性を確保するという観点から、今般、子供、子育て支援金に関わる料率の設定をして、その支援金の徴収は制度の目的の範囲の中であるというふうに私どもは考えております。

 今後とも、社会保険料については、各社会保険制度の目的に沿った形で、それぞれ制度において徴収されるものでございまして、この考え方にのっとって、引き続き適切に対応していきたいと思います。

柚木分科員 今、驚くべき答弁ですよ、厚生労働大臣。そんなことを言っていたら、何でも流用できちゃうじゃないですか。今のロジックでいったら、年金保険料だって将来の年金の払い手を確保するためにとか、雇用保険だって言えちゃいますよ、全部。今、後ろで加藤前厚生労働大臣は、変わっていないとおっしゃっていましたよ、厚生労働省の方針は。今のようなロジックでやるんだったら、全部流用できちゃいますよ。

 今後、同じような形で、健康保険のみならず、年金保険、介護保険、雇用保険、こういった保険も今のような形で、それぞれ、年金の担い手、雇用の担い手、介護のまさに支え手、こういった方々を確保するためには流用することはあり得るんですか。

武見国務大臣 私は今、今後のことを申しているわけではなくて、この支援金というものの性格について申し上げているわけであります。

 したがって、今後のことについては、将来どういう形のものが改めて検討されるか、今ここの場で申し上げることはできないと思います。

柚木分科員 否定されないんですね。非常に私は驚きますよ。

 武見大臣のこの間の論文、レポート、国会図書館から取り寄せていろいろ拝見しました。大変御所見を有していらっしゃることは重々承知していますよ。だからこそ驚いているんですよ、大臣。健康保険についてもいろいろなレポートを書かれているじゃないですか、今後の持続可能性、負担の公平性。どこに負担の公平性があるんですか、今のようなロジックで。十円、二十円上げるのも大議論しているじゃないですか、審議会で。

 もう一回だけ聞きますよ。今後、今否定しませんでしたけれども、健康保険料はもとより、年金保険、介護保険、雇用保険を子育て支援金のような形で流用、転用する可能性はあるんですか、否定しないんですか。

武見国務大臣 先ほども申し上げたとおりでありまして、社会保険料については、今後とも、各社会保険制度の目的に沿った形で、それぞれの制度において徴収されていくというふうに考えております。この考え方にのっとって、引き続き適切に対応していきたいと思います。

柚木分科員 私は本当に、今後の厚生労働行政、大変不安ですね。解釈改憲じゃないけれども、それぞれの保険の趣旨を、目的に沿ったといって、これは何でもやれちゃいますよ。

 病気になったときのために保険を掛けている。全額自己負担は大変ですからね、一定の負担で必要な医療が、全国どこでもフリーアクセスで一割、二割、三割負担で受けられるように。これをどんどん子育て支援金に入れて、その分保険料が上がっていく、そんな流用を今後もその他の保険も含めて許していく道を開くような今の答弁、私は到底認められませんが、ちょっと時間がないので、これはまた厚労委員会でもやります。

 介護保険の訪問介護の基本料削減、つまり在宅介護の切捨て問題について議論いたします。

 私はこの間、今日も資料に、今日おられる早稲田委員も予算委員会でもされましたので、資料の九ページ目にそのときの資料もつけておりますし、その次にまさに収支差率をつけていますので、この収支差率のページを開いておいていただければと思いますが、ちょっと時間がないので、通告三問目の三、四の辺りから入りたいと思います。

 そもそも、今回、介護従事者の処遇改善、我々も、全国で署名活動もありました、介護従事者団体から。私も正直協力しましたよ。とにかく、当時、私も与党時代に医療、介護の担当をしておりましたので、そのときの取組も含めて、その後の自民党政権に戻られてからの取組も含めて、ずっと全産業平均、十万円ぐらい月収ベースで違うのをちょっとずつ縮めてきて、今、七万円ぐらいまでたしか来ていたと思いますが、最近ちょっとまた広がっているんですよね。

 そして、その中で、訪問介護事業者については、まさに直近の東京リサーチによる倒産件数の調査で、過去最悪の倒産件数、六十七件。これは、今回のような基本報酬の二%強の削減ということをやっていれば、昨日の朝日新聞も、大臣、御覧になっていますかね、資料をおつけしておりますが、これはかなり詳細に現場の状況や厚生労働省のコメント、十六ページ、十七ページあたりにつけておりますけれども、想定をされると。

 そもそも、処遇改善加算、厚生労働省は、取れるように努力する、相談等応じると言っているけれども、最大のところが取れたとしても減収になるという、これは資料十七ページのところにもつけておりますが、グレースケア機構の代表の柳本さん、ここに書いておりますように、二三年度分の実績を基に現行と改定後の報酬を試算されています。これはダイヤモンドにも、今日資料がついていますかね、同じことが載せられています。処遇改善加算分では年間約百四十四万円の増収だったが、基本報酬引下げで年間二百二十二万円のマイナス、全体では約七十八万円の減収。

 私、御本人とも直接やり取りしておりますが、こんなことをやっていたら本当に、サ高住、一つの建物にたくさんの方が入居されていて、効率よく介護を提供できる大規模な事業者さんは別として、小規模で、しかも地方の方で、そういう大規模な事業者さんが担えない、担わない、そういう訪問介護サービスをやっている事業者はどんどん潰れ、求人倍率十五倍という本当に人手不足の、しかも多くが高齢世代の方、こういうところに若者がどんどん来なくなる。

 さらに、今回、日本介護クラフトユニオンさんからも緊急アンケートが実は取られていて、昨日一日だけでも大変な数の返事が来ていて、ベストスリーを申し上げますと、今回基本報酬が下げられるとどのようなことが起こるか、八一%、訪問介護等のサービス事業の運営に不安を感じ新しい人材が入ってこない、それから、約七割が二つ、今後の事業に不安を感じて退職する人が増える、あるいは賃金が下がる、そしてもう一つは事業所が倒産する、こういう状況です、大臣。

 ちょっと三の四の方に行きますね。せめて、私は今回、訪問介護の基本報酬引下げ二%強、これをまず撤回して、撤回した上で次のような見直しをしてほしいんです。

 例えば、先ほどの収支差率のページがあったと思いますね。これを見ていただくと、全体の平均は七・八なんだけれども、資料十ページ目ですね、これは訪問回数の階級別になっていて、大規模で二千一回以上のところの収支差率、収益率ですね、一三・二パー、しかし、一番少ないカテゴリーの二百回以下の場合は一・二%なんですよ。全体の産業平均よりも半分以下ぐらいの利益率ですよ。

 つまり、そういった小規模な、しかも、地域特性、リソース、そういう事業者、大規模なところが行かないような、そういう訪問介護事業所は、せめて今回の二%引下げを撤回した上で見直して、利益率の低い、訪問回数も少ないような事業所はむしろ引き上げるように見直しをしていただけませんか。大臣、いかがですか。

武見国務大臣 今回のこの基本料の見直しについて、その理由をまずちゃんと御説明をしておきたいと思いますが、改定率、プラス〇・六一%、それから介護職員以外の職員の賃上げが可能となるような配分をすることとされている中で、訪問介護の現場というのは、そのような職員の割合は低いですよね、小さいから。それから二つ目は、訪問介護の事業所、今先生御指摘のとおり、収支差率については、介護サービス全体平均二・四に関して、相対的にやはり七・八というこの数字は高いわけであります。

 したがって、そういう中で、改めて、そうした小規模であっても処遇改善加算というものを強化して、そしてまたその申請手続をより簡素化させ、一本化させて、それを活用していただくことによって、小規模事業者においてもむしろ賃上げが可能な形で加算措置が取れるように今回は工夫がされているわけであります。

 したがって、そういう観点から、小規模事業者の方々に対してもそうした処遇措置が確実に取れるように周知し、そしてまた、その手続が取りやすいようにこちらからも働きかけをするということをやろうとしているということを是非御理解いただきたいと思います。

柚木分科員 そういうことは全部我々も説明も受けているし、私も、現場の事業者さん、従業員、職員、介護職員の方から話を聞いた上で今申し上げているので。これまで、まさに処遇改善加算、最大の加算を取れているところでも、今回の基本報酬の二%強の引下げによって減収になるんですよ。ましてや、取れていないところという話になるんですよ、大臣。ちょっと認識が甘過ぎるんじゃないんですか。

 逆に伺いますが、じゃ、今回、そのような措置をすれば、介護の経営実態調査が出ていますけれども、収支差率が下がる事業者は出てこない、倒産件数は増えない、そう断言できますか、大臣。ヘルパーの離職、失業が増えないと断言できますか。

武見国務大臣 小規模事業者の中で、御指摘のように、処遇改善関係加算を取得していない事業者も想定されるところでありますから、加算未取得の事業者が加算を取得して、既に取得している事業者は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行していただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう必要な対応を講じることとしておりまして、小規模な事業者も含めて、更なる取得促進に向けた環境整備を進めてまいります。それによって、結果として加算となる、こういうふうに私は理解しております。

柚木分科員 ちょっと時間がないから、最後、マイナ保険証もやりたいので、この項目、まとめてあと二問聞きますよ。

 私たちは今週にも、厚生労働大臣、申入れに行きますので、改めて。その中で申し上げようと思っていますが、我々は撤回、見直しを求めていますが、せめて、今後、介護事業者経営実態調査では、訪問介護事業者を一まとめではなくて、これは、私も聞きましたら、通所介護なんかはまさに事業所規模に応じた報酬にしているんですよ。だから、こういったものも参考にしていただいて、規模ごとの収支差率を算定して、それを踏まえた報酬改定にしていただきたいのが一つ。

 それからもう一つは、仮に四月から訪問介護切捨て、基本報酬引下げを強行したら、確実に、倒産件数、離職者、家族の介護離職。もっと言うと、今、介護しながら子育てもしているダブルケアの人もいる、ヤングケアラーもいる。子育て増税で逆にあおりを受けて、今回、ほかの予算も削らなきゃいけない中で、この介護報酬、訪問介護切捨ても起こってきているんですよ、全体のスキームの中で。

 あべこべな、むしろ子育て妨害みたいな話にもなっていく中で、この訪問介護の部分については、四月から切捨てを強行すれば、必ず、倒産、離職、介護離職、そして、まさにダブルケアやヤングケアみたいなことに悪影響を及ぼします。ですから、仮に四月から強行してしまったときには、早急にその実態を把握するためのサンプル調査を行って、必要な対策を講じていただきたい。

 以上二点、御答弁ください。

武見国務大臣 小規模事業者も含めて、更なる処遇改善加算を取得していただくように、その環境整備をしているということは今も既に何度も申し上げたとおりであります。こうしたことをしっかりと踏まえた上で、介護人材の確保、離職防止といったことも、私どもとしては確実に実行していこうと。

 もう既に令和五年度の補正予算で、ICTなどを活用した生産性向上の推進による現場の負担の軽減、職場環境の改善というのを行う場合であるとか、小規模事業者を含む事業所グループが協働して職員の募集や事務処理の集約を行う場合に、これをしっかりと補助をするという仕組みをつくる、それから、介護の仕事に対する理解の促進や魅力発信に取り組むなど、そうした総合的な対策を組み込むということで私どもとしては対応させていただこうと思っております。

柚木分科員 本当に、現場の声をもっと聞いてくださいよ、大臣。聞く力だけじゃなくて、こういうことをやったら介護離職も増える、家族介護で。下手をすれば、訪問介護、在宅介護を受けられるのが命の綱になっている人がいるんですよ、たくさん。私は、二〇一七年の介護保険改正のときに当時の安倍総理に申し上げましたよ。「介護殺人」という本、毎日新聞大阪社会部が書いているんですよ、無理心中とか介護殺人とかが起こりかねませんよ、増えかねませんよと。それで今回こういうことをやるんですか。是非見直しをお願いしたい。

 最後に一点だけ、マイナ保険証。

 これも大問題ですよ。国家公務員、進める方ですら四%台しか使っていない。全体の利用率も四%台。むしろ下がっていますよね、件数ベースでいうと、一月になっても。このまま利用率が改善しない状況で、マイナ保険証使ってみようキャンペーンで、公立病院で、五月末までに利用率を二〇パー、十一月末までに五〇パー引き上げることを目標とやっていますけれども、こういう目標を達成したら前に進めるのかと思ったら、いや、関係ありません、達成しなくても十二月で今の保険証を廃止しますと。何のために二百十七億円も税金を使ってやるんですか。

 今のこの利用率が改善しない状況のままであれば、十二月に今の保険証の廃止をすることは延期、見直しをしていただきたいんです。そして、その大前提として、まず率先垂範すべき国家公務員のマイナ保険証利用率、大臣も、手だてを講じなきゃ、これは低過ぎると言っているじゃないですか。だったら、今年度末までの利用率を集計して公表して、その上で必要な対策を講じてください。

 以上二点、御答弁ください。

橋本主査 武見厚生労働大臣、質疑時間が経過をしておりますので、簡潔にお願いします。

武見国務大臣 はい。

 国家公務員に関する、マイナ保険証を率先して使っていただくように、既に、各省庁の共済組合を通じて、組織を挙げて利用勧奨等を行っております。

 それから、国家公務員の共済組合における利用率については、率先して取り組む観点から、今後とも適切なタイミングで内容を公表させていただきたいと思っております。議員御存じのとおり、去年の十一月に一度公表はさせていただいております。

柚木分科員 終わりますが、公表いただいたときにもし利用率が全く改善していない、あるいは、国民全体の利用率も、最低過半数、三分の二ぐらいが利用もしていない状況の中で十二月に廃止とかしたら、しかもこれから、十月以降ぐらいですか、結局、やはりマイナ保険証を使いませんという人は返せるようなことになったら、殺到しますよ、今の保険証でいいと。大混乱になりますよ、現場は。

 そういうことにならないように、利用率が上がらなければ、少なくとも過半数とか三分の二、国家公務員はもとより国民の皆さんの利用率が上がらなければ、十二月の廃止は是非延期、今の保険証もマイナ保険証もどちらも使える選択制を我々は提案していますので……

橋本主査 御協力を、そろそろお願いいたします。

柚木分科員 是非その検討をお願いして、質疑を終わります。ありがとうございました。

橋本主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、野間健君。

野間分科員 立憲民主党の野間健です。

 大臣、世の中は、株価は史上最高の価格をつけています。また、大企業も空前の利益を上げ、税収も七十兆を超すような大変な、経済面でいうといい数字がいっぱい出てきているわけですけれども、私の地元の鹿児島県始め、地方は残念ながらそういう暖かい風というのはほとんど感じられません。高齢化また過疎化、人口減少、そして地場の農業、水産業、畜産業、こういったものも非常に厳しい状況にあります。

 そういった中で、私の地元、鹿児島県伊佐市の菱刈というところに、スカラー株式会社という、女性用のパンティーストッキングですとか、スポーツ用のサポーターとかの縫製などをやっている会社があります。

 先々週の二月十四日、下請さんを含めて約百名の従業員の方がいますけれども、二月十四日の朝、出社をしたら、大阪本社の社長さんが弁護士さんと一緒に来て、今日からあなたたちは解雇します、明日から来なくていいです、こう言われました。もちろん、本来、一か月前に解雇の場合は通告しなきゃいけないわけですけれども、その分、一か月分の給料は払いますということで、法的な問題はないとは思われますけれども、そういうことで、今この百名の方々が、どうしたものかと、次の仕事をどうやって見つけようか非常に困っております。

 世の中は人材不足云々と言っておりますけれども、これがやはり地方の、田舎の実態であります。価格転嫁もできない、もちろん労務費を上げるということも非常に難しい状況があるわけであります。

 今、この百名の失業してしまった皆さんは、もちろん労働組合もありましたので、いろいろと交渉はしておりますけれども、次の再就職、どうしようか。もうこれは創業五十年を超える非常に地元では優良企業で、親子で働いていた人もいれば、大体、年齢的に、やはり六十代ぐらいが平均の方々で、これから転職しろ、新しい仕事を見つけろと言われても、なかなか厳しい状況があります。

 もちろん、今、市は関連企業雇用対策本部というのをつくって、この人たちが路頭に迷わないようにということではやっていますけれども、国として、なかなか個別企業のことは難しいと思いますけれども、どういったことが一般的に考えてできるのかということを、是非大臣の御答弁をいただきたいと思います。

武見国務大臣 一般論としてお答えさせていただきます。

 解雇が発生して離職が生じることが見込まれた場合は、関係労働局において、事業主などから、まずちゃんと実情、情報を収集をする。それから、ハローワークにおいて、離職を余儀なくされる方に対してきめ細かな職業の相談、それから職業紹介などの再就職支援を適切に実施していくこととしております。

 また、離職された方に対しては、離職後の生活を支えるために、雇用保険制度による基本手当の支給、さっきちょっと発言されておられましたけれども、これと、それから無料の職業訓練と、月十万円を支給する求職者支援制度による安定した雇用につなげるための支援などを行っております。

 引き続き、こうした管轄の労働局やそれからハローワークにおいて必要な対応が図られるよう、助言指導を行って対応していきたいと思います。

野間分科員 是非、今お話にもありましたけれども、いわゆる今リスキリングということも言われています。そういった意味で、何とか次の職場が見つかるように、また、今お話がありましたように生活資金についても融通をしていただけるということでありますので、そういったものの周知徹底を地元の自治体にも是非行っていただきたいと思います。

 今回この会社が自己破産をするということになった大きな原因として、やはりコロナ禍でなかなか製品が売れない、そして外国との価格競争もありました。しかし、やはり、いろいろ事情を聞きますと、いろんな原材料、糸とかいろんなものの原材料が上がっている、燃料費も上がっている、そういう中で、この製品を売っている売り先のいわゆるアパレル企業といいますか、そういったところとの価格転嫁の交渉もなかなかうまくいかなかったということがあります。

 これは中小企業庁の方の担当ということになると思うんですけれども、現実には、中小企業庁さんはそういった価格交渉の促進月間をつくったり、いろんな協議を進めるということの政策はやっていただいているんですけれども、もう本当にこういった地域地域のところではそういうのがうまくいっていないという現状もあるんですが、今後こういうことがないようにしていただきたいと思うんですけれども、どういう政策を取られているのか、お答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 中小・小規模事業者は、日本経済の屋台骨でございます。そのような中小・小規模事業者は、現在、今御指摘いただきましたような原材料等のコスト上昇局面に直面しております。

 このような中で、適正な利益を確保するためには、価格転嫁対策を推進することが極めて重要でございます。

 具体的には、年二回の価格交渉促進月間、三月、九月でございますけれども、コストごとの価格転嫁率の調査、公表や、発注企業の価格交渉、転嫁の社名公表、また、状況が芳しくない親事業者の経営トップに対する事業所管大臣名での指導助言を行っておりまして、間近に迫る三月の価格交渉促進月間においても、引き続き取組を進めてまいります。

 また、サプライチェーン全体で共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の更なる拡大と実効性の向上にも取り組んでまいります。

 加えまして、昨年十一月に内閣官房、公正取引委員会が公表した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針について、説明会の開催を全国において行っておりまして、周知徹底を図っております。労務費の転嫁は一般的に厳しい、難しいとされておりますけれども、今後もこのような周知徹底を継続し、積極的な活用を促してまいる所存でございます。

 引き続き、公正取引委員会を始め、関係省庁と密に協力して価格転嫁をしっかりと推進してまいる所存でございます。

野間分科員 私ども地方は、とにかく中小、小規模、零細企業が多いです。恐らくもう九九%ぐらいがそうですね。ただ、それにつけても、中小企業関連の予算というのが非常に少ないと思うんですね。一千八十二億ですかね、令和六年度当初予算として。ですから、大企業については様々な優遇措置もありますし、もちろん大企業がもうかるというのはいいことですけれども、中小企業に対する支援、様々な手当てを是非厚くしていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 今、もう御承知のとおり、インフルエンザ、新型コロナ、また、アデノウイルス、プール熱というんでしょうか、こういったものが非常にはやっておりまして、薬局に行きますと、薬剤師さんに聞きますと、とにかく患者さんが多い、そして、休日に開いていると、さばき切れないぐらいな患者さんが来られて大混乱していると。特に、今こういった感染症関係のお薬、抗生物質も含めて、薬がない、薬が足りないということで、大きな混乱が薬局などの現場で起きていることも御承知のとおりであります。

 こういった中で、薬剤師さんは、従来使っていた薬がないので、これも同じような効能がありますからこっちに変えてください、こういった説明をしながら、これで大丈夫なのか、本当に効くのか、こういったこともちゃんと患者さんに詳しく説明をしながら変えてもらって薬剤不足に対応するなど、非常に苦労をしているのが現実の、現場で起きていることであります。

 こういったことに、せめて、薬剤師さんのそういった様々な説明とか、もろもろの、今、対応に当たっている状況に対して、少しはこの労に対して加算とかができないか、少しでも彼らが、今、薬剤不足という大きな国全体の問題に対して、非常に現場で個々に当たっているこの状況、これを何とかこの方々に報いることができないのかという声がいっぱい出てきておりますし、そうすべきだと思うんですけれども、大臣、これはいかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 医薬品の供給が不安定な状況が続く中で、薬局では医薬品の在庫をそろえることが難しいという場合も生じておりまして、ふだん使用しているものとは異なるメーカーの医薬品や、処方されたものとは異なる剤型の医薬品を調剤する場面が多くなっていると承知してございます。

 このため、患者に対して、ふだん服用している医薬品の変更理由や変更後の医薬品に関する情報などについて、薬局の現場で丁寧に御説明しなければいけない、こういう新たな負担が生じているというふうに認識してございます。

 こうした状況を踏まえまして、六月から新たに見直されます令和六年度の診療報酬改定におきましては、医薬品の供給状況によりまして、前回調剤した医薬品の必要な数量が薬局で確保できない場合において別のメーカーの医薬品に変更して調剤する際に、患者に対して変更に関する丁寧な御説明をいただいたということを評価して、調剤報酬を見直すということにしてございます。

 こうした報酬も活用し、引き続き、薬局の現場におきまして患者への適切な対応をお願いしたいと考えてございます。

野間分科員 今のお話ですと、そうすると、六月からそういう加算が行われるということなんですね。点数としたら、どれぐらいのあれになるんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました御説明をいたしますと、五点、一回につき五十円の評価をするというふうに承知しております。

野間分科員 是非、五点であってもその労に報いるということが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 とはいえ、薬剤全体の不足の状況というのは一向に、様々なそういう現場の努力もしながらも広がっているわけですけれども、いろいろ現場の声を聞きますと、例えば処方日数、一週間これを飲んでくださいというのを例えば五日間でもいい、あるいは、例えば去たん薬と鎮咳剤、この二つを飲まなきゃいけないけれども、これはもう取りあえず去たん剤だけでもいいんだ、二つのやつを一つだけ飲めばいい。こういう、薬数といいますか、数を減らすということで薬剤の不足に対応する、こんなことも必要ではないかと思います。

 それから、これは厚労省から医師会等に、今のような例えば処方日数の短縮とか、処方薬数の見直しを求めたり、あるいは患者さんも、確かに我々も、いっぱい薬をもらってそれがまだ残っている、飲んでいなくて残っているということもありますので、そういったことについて、やはり医師にそういったものの確認、あるいは日数の短縮、薬数を見直すとか、そういったことも依頼をしたり、やるべきじゃないかと思うんですけれども、今どうなっているんでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 現在不足が生じているせき止め薬、それから去たん剤など一部の薬につきましては、初期の段階で処方する際に長期間分を処方することを控えていただきたいこと、それから医師が必要と判断した患者さんに対し最少日数での処方に努めていただきたいこと、またその際に、残薬、残っている薬の有効活用についても併せて御検討いただきたいことを、御指摘のように、厚生労働省から医療関係団体に要請をしているところでございます。

 引き続き、国民に必要な医薬品を確実にお届けできるよう、対策を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

野間分科員 あと、是非大臣にお伺いしたいんですが、とはいえ、やはり薬はどうしても増産をしないと絶対数が足りなくなっているわけでありますので、この薬の増産依頼というのはもうずっとこの数年来されているわけですけれども、今現状はどうなっているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

武見国務大臣 製薬企業に対しましては、他の医薬品の生産ラインからの緊急融通であるとか、あるいはメーカーの在庫の放出、それから供給増加に向けたあらゆる手段による対応を要請をしております。

 この結果、昨年末までに、昨年九月末時点よりも一割以上供給量がもう既に増加をいたしました。さらに、令和五年度補正予算で、製薬メーカーが更なる増産への投資を行っていただくために緊急的な補助事業を設けまして、多くの企業から申請をいただき、採用を行ったところであります。既にもう十五社申請が出てきておりまして、この選定を終えております。

 さらに、こうしたところで、製造設備の整備であるとか、さらには、今回は人件費の補助も一緒に行うということができるようにしてありますので、こうした形を通じて生産ラインというものを増強していただくということを具体的に今進めているところでございます。

野間分科員 これは、ちょっと済みません、通告をしていないので、もし分かればで結構なんですが、今回の能登半島の地震で、そういう製薬関係については何か影響は出ているんでしょうか。

内山政府参考人 能登半島地震によりまして製薬メーカーやあるいは流通の段階の倉庫などに被害が生じておりますけれども、これによりまして大きく何か薬の供給が滞っていることはないというふうに考えてございまして、こうしたものが更にスムーズにいくように私どもも努めていきたいというふうに思ってございます。

野間分科員 ありがとうございました。

 とにかく、今、とりわけ地方の薬局、薬剤師さんがいろいろな厳しい中で頑張っていますので、是非、様々な意味での御支援をよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、先ほど柚木議員からも質疑がありました、訪問介護基本報酬の引下げについてお尋ねしたいと思います。

 先ほどの議論にもありましたけれども、やはり、私ども地方は、訪問介護といっても三十分とか一時間、車で山間部に行って、独り住まいのおじいちゃん、おばあちゃんの面倒を見るということがしょっちゅうあるわけですね。ですから、そういったところに対して今回、基本報酬を引き下げるって、もう信じられないと、事業者の皆さんは、何でこんなことが起きるんだろうかと。確かに、七・八%利益率があるんだとかいうこともありますけれども、全く、地方の実感としては信じられない思いだと。自分たちはもう必要とされていないのか、潰れてもいいのかとさえ思わざるを得ない基本報酬の引下げであります。

 もちろん、先ほど、いろいろ議論はあります。こうやってああやって、加算があるから云々ということもあるんですけれども、なかなかこれも、こう言ったら失礼ですけれども、継ぎはぎというかパッチワークで、基本的なところを、これだけ今、介護の人材もなくて厳しい状況、とりわけ地方は、やはり高齢者の方が一人で住んで、何とか命をつないでくださっているのが訪問介護のヘルパーさんの存在であります。そこまで糸を断ち切ってしまうのかということでの怒りというか、本当に諦めみたいなムードも地域では出ているわけであります。

 今回の報酬改定、本当にそういった地方の実態も反映されているのか、大きな疑問がありますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のような小規模事業者、特に地方の中山間地域における小規模事業者の果たしている役割の大切さということは私どももよく分かっておりますし、基本的に地域包括ケアの中で在宅というものを支援する方針に変わりはございません。

 ただ、他方で、先ほど申し上げたような収支差率というようなものもあって、それがなぜ起きているかというと、例えば大規模事業者もそうでありますし、あるいは、サ高住のようなそういう施設の横に小規模事業者として存在をして、そして、その一つの建物の中で一遍に何人もばっと回ってしっかりと報酬の方は確保してしまう、それによって非常に高い利益率を出してしまう、そういう特徴のあるところもあるわけであります。

 したがって、そういう状況の中で、適正化すべきところはきちんと適正化し、かつまた、こうした地方の介護事業者に関する支援というものは、同時に、そこの従業員の賃金の引上げということも非常に重視をした上で体制を再構築するということで、基本料金に関わる見直しをした上で、待遇加算というものについて、改めてそれを大幅に強化する仕組みを整えることによって、最終的には、特にこうした小規模事業者の皆さん方についても加算という形になるように制度がつくり上げられているということを御理解いただければと思います。

野間分科員 その御説はもっとも、もっともというか、つじつまがどうか分かりませんけれども、それも分かるんですが、実際に小規模事業者の皆さん、その加算のためのいろいろな事務手続とか、そういうのもできないんですよね、そんな時間も余裕もないですし。

 そしてまた、いろいろ先ほども話が出ましたけれども、実際に、本当に、じゃ、今おっしゃっている仕組みで報酬がプラスになるのだろうかというと、ならないという結果も、いろいろなデータが出ていますよね。

 ですから、私どもとすると、先ほど柚木議員からも話がありましたように、やはり、これは一度撤回していただいて、もう一回見直してほしいというために、近く大臣の下にもお訪ねして、そういった要請をしようと思っておりますけれども、一番の、最大の介護についての課題は、当然ですけれども、人材がもう圧倒的に足りないということです。今回、これを、じゃ、こうやって報酬改定、様々して、様々な加算をやることで、本当に人材が確保され、増やすことができるのか、その辺の検証はいかがなんでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のとおり、介護人材の確保というのは喫緊の課題であるという認識はしっかりと持っております。

 人材を確保して、しっかりとその処遇を改善していくということのために、この公的な価格の見直し、これまでも累次、実際に処遇改善を講じてきております。

 今般の介護分野の報酬改定では、政府経済見通しで、令和六年度の全産業平均の一人当たりの雇用者報酬の伸びが二・五%、それから、物価上昇率と同水準と見込まれている中で、こうした見込みと整合性がある、ベースアップに対応できるものというふうに私ども設計をしております。

 令和七年度分を前倒しして賃上げしていただくことも可能なようになっておりますし、このベースアップ分以外の賃金の伸びもあり得るわけであります。いわゆる定期昇給といったようなものでありますが。

 まずは、こうした物価高に負けない賃上げとして、令和六年度、二・五%のベースアップを実現するため、処遇改善加算の取得促進に全力を尽くします。そしてまた、その取得がしやすいように、実際にこうした申請の簡素化、迅速化、これをしっかりと行っていきたいと思っております。

野間分科員 事務の簡素化ということですけれども、それすらちょっとできないような、時間的な余裕がないというのが現場の現状ですよね。

 大臣も御承知だと思いますけれども、本当にヘルパーさんは、例えば、一人で住んでいるおじいちゃんのところにおかしな電話がかかってくる、特殊詐欺、オレオレ詐欺ですね、そういうのがしょっちゅう来るんですよね。そういうのに対して、ねえ、おじいちゃん、これはおかしいから聞いちゃ駄目ですよと。振り込めとか、いろいろなそういう特殊詐欺が来たり、おかしな人が訪ねてきて詐欺まがいのことに遭ったり、そういう様々な生活相談といいますか、生活全般にわたっていろいろな相談に乗りながらやっているわけですね。ただ単に身辺の介護ということだけではなくて、いろいろな意味で、その人の人生、命がヘルパーさんによって支えられているというのが現状であります。

 ですから、大規模とそういった小さなところとごっちゃにしていろいろな形でやるというのは、数字上はそういうことは分かるんですけれども、やはり、もうちょっと実態を知っていただいて、これを大きいところと小さいところ、分けるのがいいかどうかというのもありますけれども、基本的には、基本の報酬については下げていくということはやめるべきだと思います、介護については。

 その辺、大臣の哲学といいますか、理念、いかがでしょうか。

武見国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、やはり、多くの高齢者、実際に、特に女性などはより長寿でいらっしゃることによって、独居の女性の高齢者なども確実に増えてまいります。そうした中で、実際に在宅支援というものはこれからますます重要になってくることはもう明白でありまして、それに関わる基本的な方針は全く変わっておりません。

 問題は、実際にこうした制度、仕組みというものを持続可能なものとして再構築していく必要性がございます。

 したがって、こうした基本料に関わる見直しをした上で、実際に加算措置を通じて、小規模事業者についても、また地方の山間部における小規模事業者についても、その経営がきちんとでき、賃金の引上げがしっかりと担保できるように制度をつくっているということを御理解いただければと思います。

野間分科員 そのお話はもっともだとは思いますけれども、実際は、そういった加算を取るとか、本当にこれは大変なんですよね、事務が。ですから、その簡素化の中身、本当に手のかからないようにしていくんだということも改めてやりますと、大臣、おっしゃっていただけないでしょうか。

武見国務大臣 今回の改定で、事務の簡素化のために、改定でそれを一本化するということとしておりまして、訪問介護を始めとした現場で最大限御活用していただかなければ意味がございませんので、そうした仕組みを実際にいたします。

 従来より、介護事業者から複雑で分かりにくいという指摘はたくさん受けてきているわけで、処遇改善加算の取得のための事業者が提出する計画書などの様式、これもかなり簡素化をいたしております。加算により得られた報酬を職種間でこれまでより柔軟に配分できるようにすることもこれで可能になってまいりますし、事業所ごとに異なる実情にきめ細かく対応できるように、専門的な相談員による個別相談体制も整備することとしておりますので、それによって周知をさせていただいて、こうした簡素化、迅速化を進めていきたいと思っております。

野間分科員 今の訪問介護の問題、そして薬剤不足の問題、そしてまた、地元でも、これだけ人手不足や景気がいいと言われている中でも会社を廃業せざるを得ない、そういう地方の実態に、残念ながら、岸田政権にはそういった目を向ける姿勢が余り感じられません。是非、大臣におかれては、そういった地方の実情も御存じのとおりだと思いますので、岸田政権のそういった性格を是正していただくようにお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本主査 これにて野間健君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木分科員 自由民主党・無所属の会の仁木博文です。

 今日は、質問を展開したいと思いますが、まず冒頭に、今回、令和六年能登半島地震において命を落とされた皆様方にお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げたいと思います。

 大臣、通告していなかったことをちょっと聞きたいと思いますが、この間、特にテレビ等々で、避難所に避難された方々の災害関連死を予防するような啓発活動というのを報道等あるいは現地でも行っていたと思います。これは、例えば、それより前に起こりました熊本地震のときの、二百七十三名亡くなられたうちの八〇%、二百十八名が災害関連死であったという事態を踏まえての経験だと思います。例えば、エコノミークラス症候群を予防するための、脱水症にならないような水分補給であるとか、また、血栓症予防のための運動をしてくださいというようなことは報道されていましたし、現地の避難所でも伝わっていたと思います。

 私は、その項目に加えて、実は、避難所におきましては睡眠ということも重要だと思うんですね。私もかつて睡眠に関しまして厚生労働委員会の方で質問しましたけれども、なかなか眠れないんだけれども、睡眠不足が続くと体力が消耗し、様々な免疫力も低下したりということがありますので、そういった睡眠のこと、そしてまた心のケア的なことも踏まえた形で対応していただきたいと思いますが、その辺の、避難所での暮らし方というか、過ごし方というか、そういったことに対する啓発というのはどうお考えでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のとおり、やはり熊本地震のときの反省というのが、当初より大変高うございました。したがいまして、一か月のうちに八割の方が災害関連死で貴い命をなくされたということが起きないようにする、いかにするかということが、まず第一に優先課題として出てまいりましたので。

 特に、被災した六市町における自治体、介護施設などにいらした方々というものを、実際に現地で対応することが難しいので、一・五次、さらには二次施設に避難をしていただいて、いずれまた元に戻していただくけれども、その間、今先生御指摘の避難所で対応させていただく、そういうやり方を整えました。

 そしてまた、避難所の中で実際に、そうした医師の対応をさせるために一・五次施設の中にも緊急の診療所も設けて、そしてまた、保健師さんにも巡回をしていただき、それから、長期化したところもありますので、メンタルヘルスの観点からの支援もさせていただいて、そしてまた、それによって睡眠等における確保がちゃんと、きちんとできるように働きかけも行うといった、かなり今回はきめ細かな対応をさせていただいております。

 したがって、幸い、この一か月の中で、災害関連死、残念ながら起きてはおりますが、熊本の地震のときと比べれば、はるかに今の時点では抑え込むことに成功しているということは申し上げたいと思います。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。そういった熊本の経験がまさに生きていると私も思っています。

 そして、このことは、話が変わりますが、感染症法の改正に伴って、予防計画という名の下で、各都道府県が音頭を取って、予防計画の下で医療体制のことをあらかじめ準備している。そしてまた、人と人との、平時の、エッセンシャルワーカー、ドクターを中心とした形で情報共有していく。顔の見える関係にあるということは大切ですから、先ほど大臣がおっしゃったように、避難所における暫定的なクリニックのような開設、診療所のような開設、これも、これからの、災害立国日本でもありますので、設立をかなり計画的にしていただけたらということは要望したいと思います。

 その上で、私も、七尾市、穴水町、そして輪島市の方に行きまして、特に七尾市の方で特徴的な病院の方に行きました。恵寿総合病院という病院ですけれども、実は、その理事長と話をした際に、東日本大震災、私も行ってびっくりしたことがありました。

 それは、石巻日赤という大きな病院ですけれども、免震構造を施していたために、ほとんど、書棚から本が一冊、二冊落ちるぐらいで、あの大規模な東日本大震災を乗り越したということを聞いた理事長、私もその当時びっくりしたんですけれども、その理事長がおっしゃっていたのは、そのことを参考にして、免震構造、耐震構造だけの病院ではなくて、免震構造も持ち合わせた、そういう構造の建物にしたということを言われていました。そしてまた、水の確保がすごく問題になりましたので、井戸水を利用するようなことにしたということをおっしゃっていました。

 大臣、先ほど、災害に備えるという意味で、医療体制の構築は大切です。そういう意味でいうと、災害時に拠点病院となり得る病院の今後の新たな増改築あるいは建設に関して、この免震構造ということも、一つのアドバイスというか、ガイドラインといわないまでも、アドバイスにしてほしいと思いますが、そのことに関して、私の意見に対してどうお考えでしょうか。

武見国務大臣 災害拠点病院というのが自治体にはございますけれども、御指摘のような、恵寿総合病院のような民間病院におけるこうした災害対策というものが平時から事前に行われておるということは大変重要であるということは、今回、七尾市のケースからもよく分かってきました。

 したがいまして、こうした民間病院における、例えば、耐震性の強化であるとか、あるいは、実際に給水装置を通じて、何日間かは断水になったとしても持ちこたえることができるようにしておくこととか、そういった準備を恵寿総合病院の場合にはかなりされていたことによって、あそこは、先生御指摘のとおり、透析の患者も相当数受けてくだすっていたものですから、最初の数日間、何とか持ちこたえていただいて、そしてその後は金沢市の方に透析患者が移動し、そして、給水措置が、確保できるようになったら、一日十五トン水が要るということでありましたけれども、実際にそれが確保できるようになってからは、また再び透析の患者さんも受け入れてくださって、地元にまた戻ってくることができるようになりました。

 こうした役割は、やはりそうしたふだんからの準備があったからこそできたものでありますので、先生の御指摘のとおり、一つのモデルケースとしてこれから考えていくべきことだろうと思います。

仁木分科員 ありがとうございます。ですから、改めてハード面の、建物における衝撃、揺れを吸収する、免震構造を加味した、加えた、そういった病院等々、医療機関の建設も考えていただきたいと思います。

 ちょっと本題に戻りますが、通告しておりました医師の地域偏在そして診療科の偏在の問題がありますが、厚労省、どのように今現状、捉えているか、お答えいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 医師の地域偏在と診療科偏在につきましては、全国的に是正を図るべき課題と認識しており、実効性のある取組を行っていく必要があると考えております。

 このため、平成三十年の改正医療法によりまして、国において、都道府県ごと及び二次医療圏ごとの医師の多寡を比較評価する医師偏在指標を算定、算出し、その下位三分の一の地域が計画期間中に下位三分の一の基準値である目標医師数を超えられるよう、都道府県におきまして医師確保計画を策定し、取組を実施する仕組みを導入したところでございます。

 今後も、自治体等からの御意見を丁寧に伺いながら、医師の地域偏在、診療科偏在の是正に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

仁木分科員 答弁いただきました。

 ただ、地方とか、あるいは診療科目の偏在も最近問題になっておりますが、例えば、東大の医学部を卒業して医師になった人が美容整形外科に行くような現実もあります。やはり、医師も、QOLというか、御自身のQOLもかなり勘案して、メジャーな科からマイナーな科に行くような流れもあります。そのことももちろん現状把握としてなされていると思います。

 大臣、これは通告していましたが、この対策について、私も若い医師であったときのことを思い起こすと、ペイというか報酬より、やはり、一日も早く一人前になりたいとか、いわゆる症例を多く受けたい、そしてまたそれとキャリアアップ、スキルアップをすごく求めるわけです。特に、医師になって、医師免許を取得して二、三年というのはすごく重要だということは上の先生も言われていましたし、私自身も感じました。

 そういうことで、二〇〇四年に新研修医制度も始まりました。従来、大臣、医師の日本における各関連病院とか公的病院の派遣システムというのは、医局を中心になされていました。この新研修医制度の下で、それが一部崩れというか変わって、新たな仕組みになったわけでございます。

 この内容ですけれども、大臣、今の対策、今厚労省の方がお答えになっている、私が申し上げた地域偏在そして科の偏在に対する対策、そして、この新研修医制度が始まったことに対する、現状、二十年もう間もなくたちますので、その評価と問題点について、大臣、御答弁いただけたらと思います。これは大臣への通告一と二です。

武見国務大臣 この医師の、診療科の偏在の是正というのは大変難しい課題で、今まで何度もその仕組みをつくりながらもうまく機能してこなかったというのが実態にはございました。

 この地域偏在と診療科偏在、全国的にこの是正を図るということの必要性から、専門研修において、都道府県別それから診療科別の専攻医採用数の上限、シーリング、これを設定して、そして、各都道府県においても医師確保計画を策定した上で、地域医療対策協議会において医師派遣などの具体的な取組を調整していただいて、そして、国も地域医療介護総合確保基金によってそうした活動を支援するということで、国と都道府県が連携して取り組んでいるというのが今現在の状況でございます。

 さらに、専門医の場合のキャリアアップというようなことも考えると、専門医制度というものについて改めて、平成三十年度から、中立的な第三者機関であります一般社団法人日本専門医機構が、専門医の認定や養成プログラムの評価などを行って、新たな専門医制度が開始されております。

 これが先生の御期待に沿うキャリアアップになっているかどうかというのは、私の方ではまだよく存じ上げておりませんけれども、こうした新制度において専攻医の都市部への集中を抑制したり、それから、研修機会の確保を図るために、医師法に基づいて、日本専門医機構が、学会が厚生労働大臣の意見を聞かなければならない仕組みもつくっております。これによって、国がこの分野にもきちんと関与できるようにさせていただいております。

仁木分科員 私は、新しい専門医制度等々の創設、外郭団体をつくってというようになっておりますが、大臣が最後におっしゃったように、ある程度国の関与もありなのかなと思っています。もちろん、医師国家試験を受かった者がどの診療科に行って、診療を臨床で行っていくかというのは個人の選択の自由でございますけれども、やはりある程度あってもいいのかなというのは思っています。

 その上で、私、大切なことは、例えば、今、日本の医療の現場において、指導医、キャリアアップというのは、特に外科系においては手技を経験値でもって学んでいかなければいけませんが、相手が動物でもないわけですから、そんな、失敗は許されません。ですから、やはり、指導医がしっかりと教える、インストラクトする、そして、まさに、そこで大切な患者さんの治療を、より少ない症例数でできるだけ一人前、単独でできるようにやっていくというふうなことも大切だと思いますので、その指導医のステータス、指導医の立場を担保するような行政的な利用というのは、例えば診療報酬でやるとかあるいは何か行政的な措置を施すというのは必要だと思っておりますが、その辺に関しては大臣はいかがお考えでしょうか。

武見国務大臣 先生御指摘のとおり、こうした研修医を指導する指導医の確保というのがやはり非常に重要な課題であるということは、私もよく認識をしているところであります。

 専門研修における医師が少数の区域などへの指導医の派遣等に関わる財政支援というものを行うようになってきております。それから、臨床研修では、臨床研修病院に対して指導医に関わる経費の財政支援も行うようになってまいりました。

 こうした形で、令和五年度、例えば臨床研修費等に関わる補助金というものも百十一億円確保されて、教育指導等に必要な経費として指導医経費などを補助するというようにもなってきておりますので、こうしたものをしっかりと充実させていくことが必要、こういうふうに思っております。

仁木分科員 ありがとうございます。まさに、指導医のステータスというのは私は非常に重要だと思っていますので、比較的ちっちゃな病院でも、手術をしたりで様々な処置を行っている場合に、やはり、しっかりとした指導医に対する体制を組んでいくことがその地域の医療の充実にもなりますし、また、様々な形でより活躍できる医師の育成につながるというふうに思っておりますので、そのことをお願いしたいと思います。

 さて、大臣、最後の質問ですけれども、最後というのは大臣に対しての最後の質問ですけれども、地域偏在とか科の偏在というときに、私は、医療DXというのはかなり使えるんじゃないかというふうに考えています。

 例えば、この地域にどれだけ実際に臨床をしている、その科の治療をしているドクターがいて、どういうふうになっているかという現状を検証する上で、この医療DXというのは、将来的というか、今もそうでございますけれども、NDB、レセプトの情報等も重なっていくことになっておりますので。

 私は、レクのときにいろいろ問題となりましたが、例えば、医療における現物給付を施行したドクターなりの名前が、属性が必ずそこに反映された上で、そういった地域のよりディテールの反映をしていくということは、よりよい医療体制、例えば、二次医療圏というので、いろいろな医療計画、今度、八次の計画が今出てくるわけですけれども、そういう中で、その変遷とか、あと、患者さんも分かりますので、患者さんの属性も分かるようにすると、何年後どういうふうな状況になるのかというふうな医療の予測が立つわけですね。まさに本当の意味でのよりディテールで正確なデータが、計画が立てられるようなデータが獲得されるわけです。

 大臣、そういった医療計画と医療DXの組合せ、そのことに関しまして大臣の所見を聞かせていただきたいと存じます。

武見国務大臣 これからの医療の計画を策定する上において、医療DXを推進して、ナショナルデータベースと今呼ばれているものについてはレセプトのデータを基本とするものでありますけれども、これに加えて、電子カルテの標準化も進め、これを全国的なプラットフォームで結びつけることによって、リアルタイムでそうした個々の国民の健康に関わる情報というものが把握できる、そういう医療DXのシステムを推進することになっております。

 こうしたことによって、データベースそのものをより充実させつつ、それを、今先生御指摘になられたような地域医療計画等にしっかりと活用していくことが必要になってくるだろうというふうに思います。

 いずれにせよ、こうしたデータサイエンスに基づくしっかりとしたデータベースを構築をして、それに基づく、エビデンスに基づいたこうした地域医療計画などの策定がこれからは求められてくるものと理解をしております。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。全く意見が一致して、まさにそういうふうな医療体制、これがまさにEBPM、エビデンスに基づくポリシーメイキングだと私は考えます。

 先ほど野間議員の方の御指摘もありました、これは介護の分野ですけれども、いわゆるこういった報酬の引下げにおいても、多分、財務省的な考え方でいうと、不正に請求するような事案があると。ですが、私がさっき申し上げた一つのヒントですけれども、現物支給を行う人がどういう資格を持って、どういう人員配置、どういう体制で、どういうふうに行ったというディテールが分かれば、やはり、それは自分が施行したことを後で請求するわけですから、それが、さっき大臣もおっしゃったように、例えば医療の場合でしたら、電子カルテで入力したものがそのままレセプト情報に直結するというふうになれば、まさにより緊張感を持って、より責任を持って医療の現物給付ができる、診療ができるというふうになるわけです。まさに、そういった不正請求的なことも防げる。

 そしてまた、それを誰がどれだけ見れるか、そういう新たな法整備も必要でしょうけれども、そういった、施行者の名前、これは、介護において、例えば介護レコードとかいうのがあって、それと介護報酬の請求にまた直結するような仕組みができれば、私は、よりすばらしい形、限られた資源を有効に使っていくというふうなそういう社会保障の現場に、医療、介護の現場になると思いますけれども、最後の質問になりますが、それを、大臣、もう一度お願いします。

武見国務大臣 先生御指摘のとおりだろうと思います。

 今現在、もう既に、厚生労働省の医療、介護関係の統計、これを活用して、特にナショナルデータベースであるとか医療や介護の統計を通じて、医師の配置状況であるとか、それから患者の受療行動というのは実際に把握可能となってきております。

 こうしたことを、より精緻に、データベースを強化しながら、様々なこうした医療に関わる諸計画と結びつけて政策決定というものが行われるようにしていくというのがこれからのあるべき姿ではないかと思います。

仁木分科員 大臣、ありがとうございました。

 それでは、大臣、御退室いただいて。

 そうしたら、二番目の大きな項目の医療DXの利活用についてでございますけれども、電子処方箋が施行されて大分時間がたちました。厚労省の方で、電子処方箋に関しては、利用者である患者さん、国民に、ある種、ちっちゃいですけれども負担もかかっています。これに対して、患者さんが、まさにカスタマーズサティスファクションじゃないですけれども、満足度調査みたいなことはやられていますか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 電子処方箋につきましては、より多くの医療機関、薬局が導入することで、重複投薬のチェック等々の精度向上などの患者利益につながるということで、普及拡大に努めているところでございますが、現時点では、患者満足度調査については実施はしておらないところでございまして、好事例の収集等に努めているところで、患者目線での普及拡大に努めているところでございます。

仁木分科員 さっき私が大臣に質問した内容にもあるんですけれども、今のシステムですと、例えば、一人の患者さんが最初、午前中に内科を受診し、午後に耳鼻科を受診した場合、後医、耳鼻科のドクターは内科のドクターが処方した内容を見れるんですけれども、名前も見れますね、どのドクターが施行したかということ。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 電子処方箋のシステム上は、今はそういった情報は見れないということでございまして、処方を行った医療機関名や処方した薬剤名等を患者本人からの同意に基づいて閲覧することができる。それから、重複投薬や併用禁忌のアラートが出るという形でございます。

仁木分科員 今のことですけれども、大臣と私の答弁をお聞きになっていたと思うんですけれども、やはり大臣も、将来的には、そういった名前、いわゆる医療、介護における現物給付を行う施行者の名前を、属性をちゃんと分からせるということはあり得るとおっしゃいました。

 私は、例えば、同じ患者さんに薬を出しても、患者さんの状態が違うと、それが禁忌というか、出してはいけない組合せ、そういうふうになる可能性もあります。例えば、女性の方がふだん、妊娠していないときなら使えるお薬が、妊娠すると禁忌になるような抗生物質とか、そういうものがあります。それに関して、私は、将来的に、大臣もおっしゃったように、いいと思いますけれども、そのことも可能性としてはありでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 現在でも、不適切な処方の抑制等々につきましては、重複投薬や併用禁忌のアラート等で、一定つながっていると思いますが、御指摘のような医師個人の氏名まで共有すべきということにつきましては、これは医療現場の理解を得た上で、システム改修等も必要でございますので、コストとメリットの両面を考慮しつつ、今後の課題として検討をさせていただければということで考えております。

仁木分科員 その上で、誰がそういった医療行為を行ったかということ、これというのは、ある種、医療現場における情報セキュリティーにもなると思います。このことで、例えば、訪問系の医療、介護もそうですけれども、結構、情報手段として、SNSとしてLINEとかを使っています。そういうことに対する見解、これは通告していましたけれども、お願いしたい。

 あと、私も医療現場にいましたけれども、今いろいろな分野でDXが進んでいますけれども、やはり医療の現場はまだまだ、患者さんの命を守るというふうな医療そのものにおけるセキュリティーというのは高いわけですけれども、感染症予防対策とか。ただ、情報に対してはまだまだ啓発が必要だというふうに感じています。

 その辺は、まさに医療DXも急速に進んでいる中で、先ほどは電子処方箋の話をしましたが、大臣もお答えになったように、今後、電子カルテとNDBの直結、連携とかいう話も出てきますし、例えば病院の中とかあるいは訪問系とかそういったものでのマイナ保険証等々ありますので、やはり、そういったことで啓発的なことが、それぞれのコメディカルも含めて必要だと考えますが、その辺はどのように対策を講じられていますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 医療機関、医療関係者へのサイバー攻撃が近年、多様化、巧妙化しておりますので、医療DXの取組を進めていく上で、御指摘のとおり、情報セキュリティー対策の強化、これは大変重要なことだというふうに考えてございます。

 まず、医療機関につきましては、医療情報システムに関する安全管理ガイドラインを策定し、医療機関に周知するとともに、過去に病院において発生した事案がございますので、こうした事案も踏まえながら、医療機関の管理者が遵守すべき事項として、サイバーセキュリティーの確保のための必要な措置を省令に位置づけるといった対応をしてございます。

 また、これらに対応するためには、医療機関で、医療関係者がこうしたセキュリティーに関する知識とかそうしたものを持つ必要があると思っていまして、そうした人材を育成していくということが重要だと思ってございます。

 その意味では、特に医療機関の経営層の方、この方が意識が変わっていかなければいけないと思いますので、医療機関の経営層、それから御指摘のありました、看護師等も含めた従事者向けのサイバーセキュリティー対策に関する研修の実施等につきまして強化を図っているところでございます。

仁木分科員 ですから、例えば、比較的大きな病院においては、そういった医療情報のセキュリティーに関する責任者とか管理者等々を設置するということも、一つのガイドライン的に加えていただきたいとも思います。

 それと、私が今日、総論的に申し上げたかったのは、DXの基本ですけれども、やはり、それを享受する、医療DXにおいては患者、国民が、本当にうれしいというか、楽だとか、あるいはありがたいとか、本当によかったと思える、そういう原点から、その思いからやってほしいわけでございますが、やはり、このところの医療DXのありよう、具体的な、例えばどういったベンダーを使うとか、どういったシステムを使うかといったときに、既存の、使っているそういったシステムを何か改良してやっていくということにこだわり過ぎていると思いますので、それは本当に考えないと、大臣も、いわゆる日本全国で使えるようなプラットフォームに変えていくとおっしゃっていましたので。

 全体でいうと、いわゆるベンダーロックインは駄目なんですけれども、皆さんの頭がベンダーロックインしているかもしれないので、本当に、非常に重要なことだと思うんですね、デジタルをやっていく上で。ユーザーというか国民がうれしい、国民が楽だ、本当にデジタルになってよかったという原点からやらないと、幾ら言っても、本当にいろいろな、各ステークホルダーの、今まで、既存のステークホルダーのとおりになってしまうのでは、私は本末転倒だと思っております。それに、予算も幾らあっても足りないと思いますので、やはりこの辺、どこかの段階で抜本的に、医療DXに関しては、大臣も今日あのように御発言されましたので、実際、私は考えていっていただきたいと思います。

 そのことを最後に申し上げまして、私、医療DXのことも踏まえた質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 立憲民主党の西村智奈美でございます。

 今日は、私は、一月一日に能登半島沖を震源地として発生した地震について、とりわけ、私は選挙区が新潟でございますので、新潟県の立場で質問をしたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今回の地震でお亡くなりになられた皆様に心から哀悼の意を表します。それとともに、今なお多くの皆さんが大変先の見えない不安な状況の中で避難生活を送っておられるということにも心からお見舞いを申し上げます。

 石川県の被害状況は本当に甚大です。亡くなった方が二百四十人を超える、かつ、被害を受けた家屋が今は八万軒近くになっているでしょうか、そういう状況でありますので、本当に深刻であるということは私自身も強く受け止めつつも、実は新潟県内も家屋被害がもう既に二万軒近くになっております。今、罹災証明が出ているところではありますけれども、先が見えないということではやはりどこに住んでいても被災者は同じ気持ちであると思いますし、また新潟県内でいいますと、液状化の被害が非常に多く見受けられますので、そういう意味でも、ちょっと特徴的なところがあるかというふうに思います。

 まず、内閣府に確認をさせていただきたいです。

 内閣府として、今回に限らず、どの災害においても一人残さず被災者は復旧復興に際して取り残さないという考え方で取り組んでいるのだということで、確認をさせていただいてよろしいでしょうか。

古賀副大臣 今般の令和六年能登半島地震におきましては、今お話しされました西村委員の御地元の新潟県も各地で被害が出ていると承知いたしておりまして、まずは、被災された新潟県民の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今般の震災対応につきましては、被災者支援、一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援を行うことが重要であると考えておりまして、避難所あるいはホテル、旅館等の二次避難、在宅避難されているそれぞれの方の支援を丁寧に行っていただいているところであります。また、応急仮設住宅を始めとした住まいの確保、なりわいの再建、観光復興支援等、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えているところであります。

 今後とも、被災自治体や関係省庁と緊密に連携し、被災者の帰還、被災地の再生まで全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 もうちょっと踏み込んで答えていただきたかったんですけれども。

 それぞれ取り組んでいただいているということなんですが、今日、資料を何枚かおつけしております。A3の大きい資料、これは新潟県が先日政府に対して要請活動を行いましたときの資料です。

 一番最後のページが、これが液状化被害を受けた住家の復旧についてのものなんですけれども、一般財団法人日本建築防災協会が、沈下、傾斜した建物の復旧のためには大体二百万円から一千万円ぐらいかかる見込みであるというふうに言っているわけなんですね。結構かかるんです。私も現地でいろいろな業者の皆さんからもお話を伺いましたけれども、やはり結構かかる。

 やはり、被災者生活再建支援法、これに基づく判定が、この後もまた質問しますけれども、液状化ですと結構厳しくて、全壊とか準半壊とかになかなかならない、なおかつ、仮に全壊になったとしても上限三百万円ではこれはとても足りないということだと思うんです。

 私たち既にこの被災者生活再建支援法の支援金額を倍増するという法案を出しておりますけれども、是非、内閣府の方からも、先取りしていただいて額を増やしていただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。

古賀副大臣 一定程度以上の住家被害を受けられた方々に対しましては、被災者生活再建支援法に基づき、都道府県の相互扶助の観点から拠出した基金を活用し、被災者生活再建支援金の支給を行っているところであります。

 この支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者の方々を側面的に支援するものと位置づけられているものであります。

 支援金については、知事会においても、過去に取りまとめた報告書では、支給限度額は現行の最大三百万円から引き上げる根拠がない、あるいは、支給対象は大規模半壊から拡大することなどとされておりまして、こうした中、政府としましては、令和二年に法改正を行い、支給限度額は据え置きつつ、支給対象の拡大を図ってきたという経緯がございます。

 議員立法につきましては、まず国会において御議論いただくべきものと考えておりますけれども、内閣府としては、被災者生活再建支援金について迅速に支給することとした上で、災害復興住宅融資などの支援策と併せて、被災者の住まいを確保していきたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 とはいえ、やはりこれだけの被害で、簡単じゃないんですよ。沈下した家を直すというのも、上物は大したことないから大丈夫だろうといってもやはり相当なお金がかかるということです。

 厚労大臣に伺いたいと思います。

 こういった中で、私たちは、被災者生活再建支援金が倍増されるということであれば一定程度こういった被害にも対応できるというふうには思っておりますけれども、厚労省として、是非私は伺いたいことがあります。

 石川県の六市町のみを対象として新たな交付金をつくるということを二月一日に政府は明らかにされました。先日、総理の会見で、この対象世帯を住民税非課税世帯などにも拡充するというふうにおっしゃいましたけれども、今これはどういう検討状況になっていますか。提案理由と併せて説明してください。

武見国務大臣 委員も先ほど御指摘になられておりましたけれども、この能登半島における六市町というのが、まず第一に、高齢化が著しく進んでいること、それから第二には、半島という地形の中でこうした地域社会を再構築することが大変難しい条件であること、第三に、集中して被害が大きく出てきていること、こうしたことを踏まえて、この地域を対象として新たな交付金制度というものを創設することといたしました。

 具体的には、この能登地域六市町において住宅半壊以上の被災をした高齢者などのいる世帯、資金の借入れや返済が容易でないと見込まれる世帯を対象にいたしますけれども、家財などの再建支援に最大百万、住宅の再建支援に最大二百万、合計最大三百万の支援を実施をいたします。

 あわせて、新たな交付金制度の対象とならない、資金の借入れによる住宅を再建しようとする世帯についても遜色のない対応が必要であるのが石川県の実情でございますので、石川県の事業として最大三百万の自宅再建利子助成事業の実施が今現在検討されておりまして、中でも子育て世帯については、所得制限を設けない方向で検討が進められていると承知をしております。

西村(智)分科員 私は今の大臣の説明には全く納得できません。

 新潟県がこれまた予算要望したときの資料、後ろから二枚目を御覧ください。

 知事も、一つの災害については支援策は全ての地域に同一であるべきだというふうに述べています。当然のことだと思います。高齢者が多いというようなお話なんですけれども、本県、新潟県の六十五歳以上の人口は、災害救助法が適用された十四市町村で約五十七万人。石川県で今回新たな交付金の対象となると言われる六市町の五万七千人を大きく上回っております。

 何よりも、私は、厚生労働省というのは、本当に、一人一人の国民に寄り添って仕事をする、そういう役所なんじゃないですかということを言いたいんですよ。それぞれの地域に対して面的な復旧が難しいということはあるでしょう。それは能登半島の状況などを見ればそうだと思います。だけれども、それについては例えば国土交通省なり内閣府なりが別の支援策をつくってちゃんとカバーすればいい話であって、一人一人の被災者がどこに住んでいるかという地域的な居住地によって線引きをするというのはこれは分断以外の何物でもないし、対象から外された人たちを本当に厚生労働省は見捨てるんですかということなんです。

 地元紙に掲載された有識者の論評も御覧ください。資料の一枚目と二枚目です。

 関西大学の山崎栄一先生は、地域や年齢で制限するのは不公平であると。ちょっとここはあれですけれども、やはり、ニーズや公平性という視点に欠けるというふうにおっしゃっています。それから、日弁連の津久井進弁護士は、同一災害同一支援の原則を提唱してきた、自然災害では自治体の境界にかかわらず同じ支援をすべきだ、最初から地域や年齢で線引きすると取り残される被災者を生むということなんですよね。

 私、大臣、ここはもう一回考え直していただきたいと思います。いかがでしょうか。

武見国務大臣 この石川県の能登半島の六市町にまず限定した理由は既にお話をさせていただきました。しかし、他方で、新潟県であるとか富山県であるとか、新たな交付金制度の対象とならない地域の被災者の方々に対する支援というものも重要であるというふうに考えております。

 平成二十八年の熊本地震を始めとしてこれまでの大規模な災害時の対応も考慮して、生活福祉資金貸付の特例であるとか関係府省庁の支援策も組み合わせながら、政府として、熊本地震並みの対応は確実にこれらの地域に対しても行っていく考え方でございます。

西村(智)分科員 全く答えになっておりません。私は、一人一人の被災者に住んでいるところを問わず寄り添ってくださいと申し上げております。

 生活福祉資金貸付特例について、大臣から先ほどお話がありました。これは今回二十万円になるんですかね、特例措置として。この対象となる地域はどこですか。

武見国務大臣 生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金の特例措置は、災害によって生計の維持が困難となり、緊急かつ一時的に生活費が必要となった場合に最大二十万円の貸付けを行います。

 対象地域については、災害救助法が適用された地域と、被災したため特例措置が必要な地域として都道府県知事が設定した地域としておりまして、今般は、令和六年能登半島地震を受けた特例措置については、新潟県、富山県、石川県、福井県のいずれにおいても各県内の全ての市町村が対象になっております。

西村(智)分科員 そこは一定の合理性はあるんですよ、災害救助法が適用になった都道府県が対象になるということで。

 では、雇用調整助成金はどうですか。今回特例がありますけれども、これの対象地域はどこになっていますか。

武見国務大臣 雇用調整助成金の方については、経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図った場合に、事業主に対して休業手当等の一部を助成する制度でありまして、個々の労働者の居住地で助成内容を判断はしておりません。

 その上で、今般の雇用調整助成金の特例措置の対象ということになりますと、能登半島地震に伴う経済上の影響があった全国の事業主を対象として生産指標要件の緩和などの特例措置を講じるとともに、石川県、新潟県、富山県、福井県の四県については助成率を引き上げるなどの特例措置を講ずることといたしましたが、これは、能登半島地震の被災状況であるとか過去の災害時の特例措置の内容も参考にして、対象地域や特例措置の内容を判断したものでございます。

西村(智)分科員 厚生労働省はこのほかにも、医療、介護の一部負担金、利用料の免除に係る特別対策、それから障害福祉サービス等に係る利用者負担減免の特別措置というのをやってくださっていまして、これも災害救助法の適用自治体ということなんですよね。一定の合理性はある、なおかつ、雇用調整助成金については全国どこでも影響のあった方々、事業主が対象になるということで、なぜ新たな交付金だけが地域限定になるのか全く理由が分からないんですよ。近藤和也議員も、なぜ六市町だけなのかということもおっしゃっていました。

 しかも、新たな交付金、額が大きいんですよ。みんな罹災証明にひもづくことになりますでしょう。罹災証明の判定基準によってここはまた、額がどうなったというような分断が生まれることになるんですよ。

 私、大臣、ここはもう一回考え直していただきたい。また後で質問しますので、是非考え直してください。ちょっと時間が限られていますので、先に進みます。

 液状化の被害がなかなか広がっているという話は、私先ほどさせていただきました。やはり、罹災証明にあらゆる支援がひもづいてくるので、私も現場を歩かせていただいて、もうちょっとやり方を考えた方がいいのかなと思う部分があるんですけれども、とにかく今回は今の仕組みを前提で質問させていただきますが、一つは、液状化に合わせた判定基準にならないかということなんです。

 これも資料を御覧いただきますと、柱が傾いていないと例えば全壊扱いにならない、だけれどもそのままちょっと沈んじゃったりしている、そうすると二百万から一千万という修復費用がかかる中で、やはり結構厳しいというような声が結構出ていまして、今からはなかなか難しいのかもしれませんけれども、是非内閣府には考えていただきたいですが、どうでしょうか。

古賀副大臣 液状化の被害を受けられた住家につきましては、基礎の破壊状況からの全壊判定、外壁や又は柱の傾き、沈み込みからの大規模半壊や半壊の判定など、一次調査では外観のみで判定できるように簡素化を図っております。被災者の方から再度調査依頼があった場合には、二次調査として内観調査を行い、床や基礎に生じる液状化特有の被害に関して適切に算定できる基準としております。

 被災自治体に対してこうした取扱いを周知徹底することで、被害認定調査が適切に行われるよう、国としても積極的に助言を行い、支援してまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 お答えいただいていないんですが。

 液状化は繰り返す災害だというふうに言われております。これは新潟大学の災害復旧センターの方が調査に入られて、新潟地震のときにもやはり同じようなところが液状化の被害に遭っているんです。繰り返すんです。是非そのことを踏まえてお願いしたい。

 あわせて、新潟市議会が全会一致で意見書を上げておりまして、それも資料に入っているんですけれども、一項目めと二項目めについては質問をしたいと思っております。

 液状化による被害ですとなかなか半壊までいかないケースがある。だけれども、やはり家の中にいると気持ち悪いんですよ。家の中に入ると家があちこちでゆがんでいて、こっちの方は何か床の間の方に向かって沈んでいたり、こっちの方は大丈夫だったりというようなことがあって、やはり準半壊に引き下げるべきではないか。失礼、これはみなし仮設の話です。

 災害救助法でみなし仮設に入ることができる支援があるというのは半壊以上ということになっているんですけれども、これはやはり準半壊に引き下げていただきたいという声が市議会の方からも全会一致で出ています。県の要望にもありました。いかがでしょうか。

古賀副大臣 まず、みなし仮設住宅につきましては、住宅の全壊、あるいは半壊した場合であってやむを得ず住宅を解体する者、あるいは住宅の応急修理期間が一か月以上に及ぶ者など、原則として、住宅に半壊以上の被害が生じた場合を入居対象とさせていただいているところであります。

 その上で、西村委員御指摘の準半壊の世帯についてですが、例えば、ライフラインが途絶して長期間自宅に居住できない、あるいは仮設住宅に入居すべき個別の事情があると判断される場合には入居が可能とさせていただいております。

 引き続き、被災自治体とも連携し、こうした生活再建に向けた情報を丁寧に提供するとともに、被災者の方の意向にできる限り寄り添った形で柔軟に住まいを提供できるように取り組んでまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 市営住宅、みなし仮設の前に市営住宅に、当然入居の案内があるわけですけれども、これが申込みが倍率三倍だったということなんですよ。やはり結構多くの方々が一時避難をしたいと思っておられるということですので、是非そのことを踏まえて改善をお願いしたいと思っています。

 あと、みなし仮設の入居期間なんですけれども、応急修理の場合、建物を建て替えるという場合は二年で、それは比較的時間があると思うんですけれども、応急修理ですと発災から六か月というふうに、割と期間が短いです。

 今、罹災証明がまだまだ十分に出ていないという状況の中で、この後質問しますが、液状化で町内全部がやられているんです。そうすると、自分の家だけよくすることにどういう意味があるんだろうかと考えると、やはりどうしようかと考える時間も必要だと。

 期間を延長してもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

古賀副大臣 住宅に半壊以上の被害を受けられ、かつ、応急修理期間が一か月以上超えると見込まれる場合には、令和二年の七月より応急仮設住宅を使用できることとしたわけであります。その際に、できる限り早期に住まいの再建を図っていただけるように、仮設住宅の使用期間は原則として災害発生の日から六か月以内としているところであります。この期間内に応急修理が完了しない等の場合には、都道府県からの協議によりましてその延長を可能としているところであります。

 今般、こういった被災自治体から今後協議がありましたら、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 液状化で市街地全体がやられております。個々の住宅の建て直しとか復旧というのはそれはそれで内閣府と厚生労働省にちゃんと考えてもらいたいと思うんですけれども、面的な対応、これが必要だと思っております。

 技術的な支援も含めてお願いしたいと思っているんですけれども、同じように液状化の被害が発生した例えば熊本地震などではどう対応して、今回、能登半島の地震で被災地に対してはどういった支援が可能なのか、国土交通省に伺います。

尾崎大臣政務官 お答えいたします。

 国土交通省では、平成二十八年熊本地震で液状化による宅地被害が発生した地域におきまして、地方公共団体が実施する道路とか水路などの公共施設と隣接宅地等の一体的な液状化対策に対しまして、技術的助言や防災・安全交付金による支援を行ってまいりました。

 今回の能登半島地震につきましては、まず、TEC―FORCEによる現地調査などを実施いたしますとともに、被災した地方公共団体の職員を対象とした会議を実施して、対策工法や過去の災害における取組事例について情報提供をいたしております。

 また、先般決定をしました被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおきまして、宅地等の復旧に、引き続き、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援することといたしておりまして、エリア一体的に対策を講ずる支援措置の強化についても検討を進めているところであります。

 今後は、被災した地方公共団体への情報提供を引き続き行いますとともに、液状化被害の再発防止に向けた検討、調査や対策工事などへの支援も行っていくこととしたいと考えておるところでございます。

西村(智)分科員 熊本地震では復興基金によって液状化対策がなされたというふうにも聞いております。今回の地震でも復興基金、是非お願いしたいと思っています。

 さっきの資料で一枚目におつけしている山崎栄一教授は、一つの災害であれば、都道府県の別を問わず、復興基金を全体のものとしてつくるということがいいんじゃないかというふうにもおっしゃっていました。総務省の答弁を求めたいと思います。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 液状化につきましては、今回の地震によりまして広範囲で面的に甚大な被害が確認されていると承知をしてございます。この液状化への対応につきましては、隣接住宅地を含めてエリア一体的に対策を講ずる支援措置の強化について、総理からの指示を受け、国土交通省において検討されているものと承知をしてございます。

 復興基金は、個別の国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応するものでございますので、まずは、各省庁の支援策がスピード感を持って実施されることが重要であると認識をしており、その実施状況や各県の被災状況等を踏まえ、復興基金の必要性について適切に判断をしてまいります。

 いずれにしても、被災自治体の財政運営については、全体として支障が生じないよう、引き続き、丁寧に実情を把握し、地方交付税や地方債による地方財政措置をしっかりと講じてまいります。

西村(智)分科員 是非、やるべきことをスピーディーにやっていただいて、特に厚生労働省には一人一人の被災者に公平性を持って復旧復興に取り組んでもらいたい。

 その上で、是非、復興基金についても、先ほど申し上げた都道府県の別を問わずというのは、私は見識だなと思います。在り方を是非考えていただきたい。お願い申し上げます。

 国土交通省に、液状化の件で富山県が住宅・建築物耐震改修事業を活用して対応するというふうに聞いております。富山県以外でも活用可能というふうに考えますけれども、ほかの県にも情報提供していただいて、活用を促してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

尾崎大臣政務官 御指摘のとおり、他県の被災地にも情報提供を行わせていただきたいと思いますし、引き続き、地方公共団体と連携しながら住宅の耐震化の取組も支援していきたい、そのように思います。

西村(智)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきまして、最後ははしょらせていただきます。

 能登半島で地震がありますと津波が発生します。実は新潟県内でも沿岸部の方々はやはりほとんど避難されました。だけれども、実は新潟県内で津波観測点が少ないんですね。あんなに長い海岸線があるんですけれども、四か所しかありません。大体比べると日本海側の方が少ないんですけれども、県内四か所しかなくて、今回、私も要請いたしまして、気象庁の方から災害後に津波の実測調査に入っていただきました。それはありがとうございます。

 それで分かったんですけれども、やはり結構高い津波が来ている。佐渡の上の方で、津波観測所があるのでそちらの方で予測は出るんですけれども、能登半島から一番近いところというと佐渡島の南の方なんですよ。南の端っこ。ここに津波観測点がない。だけれども、後で調査に入ったら、三・八メートルの津波があったということが分かった。だけれども、発生時刻が分かりません。それから、ほかの新潟県内でも、四か所しかないので、どの程度、何時に来たのかというのがなかなか分かりません。

 昨日は新潟県議会でもこの件について議論がありまして、県知事が気象庁の方に照会をして、今回の震源域周辺における津波観測体制については強化の必要性も含めて検討するという回答があったということです。

 県議会での議論、私は本当にごくごく当然のことだと思います。今後の津波の発生を予測するという点においても、それから住民の皆さんが適切に避難するという点においても、是非、佐渡の南の方、小木とか羽茂というところなんですけれども、そういったところにも津波観測点が必要ではないかと思いますが、国土交通省、気象庁の答弁を求めます。

橋本主査 尾崎国土交通大臣政務官、質疑時間が経過しております。簡潔に願います。

尾崎大臣政務官 はい。

 令和六年能登半島地震の震源域周辺における津波観測体制につきまして、今回の経験も踏まえまして気象庁に検討をさせてまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 よろしくお願いいたします。

 終わります。

橋本主査 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

青山(大)分科員 早速質問に行きます。

 まずは、介護休業制度について伺います。

 二〇二二年四月段階で、特別養護老人ホームへの待機者は二十七・五万人とも言われます。介護施設の入居に時間がかかるケースが増えております。待機期間に自宅で家族の介護をしながら仕事も両立させないとならないケースも多いです。

 今後、このような状況は増えることが予想されます。仕事と介護の両立支援の充実のためにも、介護休業期間を現行の通算九十三日から一定程度延長する必要があるのではないか、そのように考えますが、まずは政府の見解をお伺いします。

武見国務大臣 家族の介護の必要性に直面した労働者が離職せずに仕事と介護の両立を実現するというのは大変重要だという点は、全くそのとおりだと我々も考えております。

 介護休業制度は、介護の体制を構築するために一定期間休業する場合に対応するものであることから、取得期間の限度を九十三日というふうに、こういう観点から定めてきております。労働者にその趣旨を御理解いただいて、ニーズに応じて効果的に活用されるように、周知や職場環境の整備にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 また、必要な方に必要な介護サービスが提供されることもまた同時に重要でありますから、引き続き、特別養護老人ホームを含めた施設サービスの基盤整備、それから地域医療介護総合確保基金などを活用した支援を行うとともに、介護をする家族への相談機能、支援体制、いずれもこれを整備して、必要な対応をしていきたいと考えております。

青山(大)分科員 そうしますと、大臣の考えでは、現行の介護休業期間九十三日から特段長くするようなお考えはないというような認識でよろしいでしょうか。

武見国務大臣 現状では、この九十三日という状況を考えております。

青山(大)分科員 そこは認識の違いということで、次の質問に行きます。

 介護休業は期間の短さから社会保険料免除の対象となっておりませんが、育児休業と同様に、介護休業も社会保険料を免除すべきではないか、そのように考えますが、大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 社会保険では、やはり保険料の納付に応じて給付を行う、この納付と給付というのが組合せで原則になってきております。

 育児休業期間中については、保険料の免除をする一方で、免除する期間についても保険料の納付があったものとして、その期間に基づく給付も行うという特例的な扱いになっています。これは、育児休業が将来の制度の支え手となる次世代の育成につながるものであって、免除した期間に関わる給付の財源を被用者保険全体で負担することについて他の被保険者や事業主の理解を得られると考えられるので、こうした措置を取っているわけであります。

 他方、介護休業期間中の保険料免除については、次世代育成という育児休業と同様の意味合いは見出し難く、他の被保険者や事業主の理解が得られるかという点では、私どもは慎重に検討しているところでございます。

青山(大)分科員 介護の方も、私は、仕事と介護の両立支援という観点から丁寧に説明していけば理解が得られるのではないか、そのように考えます。ここは、大臣も先ほど検討するとおっしゃっていましたので、是非一度検討してほしいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に行きます。

 二〇二二年の育児・介護休業法の改正によって、育児休業については、本人又は配偶者の妊娠や出産を申し出た労働者に対する制度の個別周知が事業主に義務づけられました。介護休業についても同様に、申し出た労働者への制度の個別周知や意向確認の措置を事業主へ義務づけ、介護への備えを促すべきと考えますが、いかがでしょうか。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 仕事と介護の両立支援制度を十分に活用できないまま介護離職に至る、こういったことを防止するために、制度の効果的な周知を図っていく必要があると考えております。

 そして、昨年の十二月になりますが、労働政策審議会の建議の中では、このような認識を踏まえまして、事業主に対して、介護に直面した労働者が申出をした場合に、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報の個別周知、意向確認を行うことを義務づけることなどが盛り込まれました。

 これを踏まえまして、今国会に必要な法案を提出することとしておりまして、介護に直面した労働者が希望に応じて仕事と介護の両立を実現できるようにしてまいりたいと存じます。

青山(大)分科員 そして、介護関係でもう一問質問いたします。

 介護福祉士の国家試験があるんですけれども、この試験会場が全国で三十五の都道府県にあるんですけれども、ちょっと私の地元の茨城県にこの介護福祉士国家試験の試験会場がないんですよね。全国で三十五もあるんですけれども、茨城ですとか、実はお隣の栃木もないんですけれども、そういう中で、受験する方にとって、東京とか他県へ行ったり、正直負担になっているということがございます。

 介護福祉士のニーズは今後も増加すると思いますし、茨城にも試験会場をつくるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 介護福祉士の国家試験は、受験者の八割以上が介護施設等で業務に従事しながら受験をしておりますので、受験者の利便性の向上を図るため、これまでも試験地の拡大を実施してきております。

 試験地の拡大に当たっては、試験地となる都道府県からの要望も踏まえながら、県庁所在地の主要駅から最寄りの他の都道府県の試験会場まで移動時間がどの程度かかっているのか、当該都道府県に国家試験を実施可能な会場が継続して確保できるのか、また、受験手数料によって試験運営費が賄われておる中で、試験運営費の増額に伴う受験手数料への影響がどの程度あるかなど、総合的に考慮して判断してきたところでございます。

 これまで茨城県内には試験会場は設けられておりませんが、試験を運営する試験センターなどの関係者に状況等を確認しながら、また受験手数料への影響も勘案しながら、総合的に検討してまいります。

青山(大)分科員 ここは実務的な観点だと思うんですけれども、ちょっとここは前向きに是非御検討をお願いいたします。

 次の質問に行きます。

 カスタマーハラスメント防止策の法制化について伺います。

 カスタマーハラスメント、悪質クレーム対策について、これまで私は、平成三十年、令和二年、令和五年と、度々、防止対策を国会の質疑で取り上げてきました。昨年、令和五年の五月二十五日の消費者問題に関する特別委員会では、法整備の必要性も提案をさせていただきました。カスタマーハラスメント防止対策に政府の方でも新たな予算が新設されるなど、政府の動きにも進展が見られておりますが、法整備はまだ実現しておりません。

 東京都では、カスタマーハラスメント防止条例が都議会の方で制定される見込みというふうにも聞いております。国に先駆けて、その必要性から地方自治体で条例化に動いたものと考えられますが、政府は東京都のカスタマーハラスメント防止対策条例制定の動きについてどのような見解をお持ちか、また、カスタマーハラスメント防止のための立法の検討状況についてお伺いいたします。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、厚生労働省の取組の状況を御紹介を簡単にさせていただきますと、パワーハラスメント防止指針におきまして、事業主はカスタマーハラスメント対策に取り組むことが望ましいという旨をお示しをするとともに、関係省庁と連携をしてカスタマーハラスメント対策企業マニュアル等を作成をしておりまして、様々な機会を捉えてこれらの周知啓発に努めております。

 それで、青山委員御指摘の、東京都におきましてカスタマーハラスメントについて検討がなされている、このようなことは報道等によって承知をしております。

 カスタマーハラスメント対策というのは、労働者を守るという観点からも大変重要であるというふうに考えています。厚生労働省といたしましては、東京都の取組も注視をしつつ、まずはカスタマーハラスメント対策を促すとともに、今年度、ハラスメントの実態調査を実施をしております。このような結果等も踏まえながら、更なる取組についても検討してまいりたいと存じます。

青山(大)分科員 ということは、近い将来、カスタマーハラスメント、悪質クレーム対策を、防止するためのそういった法制化も視野に入れているというような認識でよろしいのか、質問させていただきます。

堀井政府参考人 カスタマーハラスメントについて、以前、厚生労働省の審議会で御議論があったときは、やはり、カスタマーハラスメント、労働者を守る観点からは大変重要なんですけれども、一方で、顧客の方からの正当な申出などとの区別が難しいなど、様々な御意見がございました。また、業種など、職種など、様々な違いも生じているのではないかというふうに考えられます。

 厚生労働省としましては、いずれにしましても、丁寧にそのような実態を把握をすることがまず大事かというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、今年度実施をしておる調査結果、そのようなものも見ながら、引き続き必要な対策を検討してまいりたい、このようなことでございます。

青山(大)分科員 是非必要な対策を検討してもらって、その上で、法制化について、また今後議論の方をお願いいたします。

 次の質問に行きます。

 薬価の改定について伺います。

 これは多分いろいろな方からも質問や御意見が出ていると思うんですけれども、近年、毎年薬価改定が行われるようになりました。これは本当にいろいろな方からいろいろな御意見があると思うんですけれども、私は、中小規模の薬局の方の観点からですと、圧倒的多数を占める中小規模の薬局では、本当にその都度、改定の都度、事務作業も大変ですし、あと在庫管理が非常に大変です、そういう話もよく聞きます。

 毎年薬価を改定する必要性の検証や改定の頻度の妥当性について、見直しなども含めました政府の見解や今後の方針をお伺いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました毎年の薬価改定、中間年改定につきましては、そもそも、やはり国民皆保険の持続性の確保という点とイノベーションの推進、この両立の観点からどうしていくかという議論で考えていくべきことだと思います。

 中間年改定につきましては、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するという観点から、平成二十八年の四大臣合意に基づきまして、令和三年度から実施してございます。

 これまで、こうした市場実勢価格を踏まえた改定だけではなくて、例えば、前回の令和五年度薬価改定では、原材料費の高騰や安定供給問題、先ほどからこの委員会でも議論になっておりますけれども、こうしたことに対応するため、特例的に、不採算となっている医薬品の薬価の引上げ、こうしたことも行ってございます。

 こうした診療報酬改定がない年の薬価改定の在り方につきましては、中医協において先般了承されました令和六年度薬価制度改革の骨子におきまして、引き続き検討するとされておりますので、令和六年度に入りましたら、速やかに、関係者の意見も十分踏まえつつ検討を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 なかなか一概にはいかないかもしれませんけれども、ちょっといろいろ検討を加えてほしいなと思っております。

 次の質問に行きます。

 茨城県の土浦市にございます国立病院機構霞ケ浦医療センターの建て替え、改修についてお伺いいたします。

 霞ケ浦医療センターは地域に根づく歴史ある病院であり、茨城の県南地域の医療を支えております。私も、自分もそこに通ったり診断に行っていますし、子供たちも小児科医に大変お世話になっております。

 そんな病院なんですけれども、一方で、建物は老朽化が進み、すぐにでも改修が必要な状況でございます。ようやく自助努力で赤字経営から黒字に転換したところでもございます。改修には国立病院機構の積立金の充当が期待されるところ、昨年の法改正で防衛財源に回ってしまいました。

 霞ケ浦医療センターの建て替え、改修について政府はどのように考えているのか、国民に寄り添った対応をお願いしたいと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立病院機構は、全国に百四十病院を有しておりまして、地域医療、国の政策医療、ほかの設置主体では必ずしも実施されないおそれのあるような医療の提供を行う独立行政法人でございます。

 国立病院機構の施設設備整備につきましては、これまでも、当期の診療報酬等の自己収入や財政融資資金の借入れ等を財源といたしまして、法人が担うべき医療を長期的に安定して実施できるよう、中期計画に位置づけられた整備計画に基づき計画的に取り組まれているものと承知しております。

 御指摘の個別の病院の状況につきましてはコメントすることは差し控えますが、厚生労働省といたしましては、国立病院機構が引き続きその責務等を果たせるよう、今後の経営状況等を注視してまいりたいと思っております。

青山(大)分科員 もう少し具体的に答えてほしいと思ったんですけれども、今回、一部修繕の予算が多少ついているようですけれども、やはり地元としては全面的な建て替えを求めております。

 私がかつて仕えた丹羽雄哉先生も御地元ですし、丹羽雄哉先生も昔から、独法になる前から、霞ケ浦医療センターを何とかせにゃいかぬ、そういうようなこともおっしゃっておりました。

 御承知のように、ここは土浦市も寄附講座で提携をしたりですとか、本当に地元の土浦市、そして市議会のみんなも応援しております。政党云々じゃなくて、誰がやったじゃなくて、本当に地元にいる私たちみんながそれを望んでいる案件でございます。

 そういう中で、昨年法改正で剰余金が防衛財源に回されてしまったということは、本当に非常に我々もがっかりですし、もちろん、様々な理由があるかもしれませんけれども、この建て替えについては、土浦市始め茨城県みんなの悲願でございますので、是非、厚労省もそこをきちっと認識していただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 ここの霞ケ浦医療センターでは、月経からの激しい痛みや不妊を引き起こす子宮腺筋症の診療のうち、子宮を温存する外科手術、いわゆる高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術が先進医療の対象として保険が適用されておりましたが、昨年の三月、先進医療の対象から外れてしまい、患者が全額自己負担を求められるようになってしまいました。

 子宮腺筋症は子宮摘出手術で解消することもできますが、将来子供を産みたい、子供を望む患者にとっては、子宮を温存する子宮腺筋症核出術は必要な選択肢でございます。

 このように、産婦人科医療の中で必要不可欠な手術であり、症例数も増えているところ、昨年、先進医療から外れることで、患者の経済的な負担が増加してしまいました。保険適用になるまで先進医療を継続し、患者を置き去りにしないように是非お願いしたいと思います。再考を求めますが、政府の検討状況を伺います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問の子宮腺筋症に係る先進医療につきましては、先進医療会議での議論を踏まえまして、平成十七年の十月より先進医療Aという形で位置づけられまして、全国六か所の医療機関で実施されてまいりました。

 しかしながら、先進医療会議において保険導入に係る議論をしたところ、この技術につきましては、先進医療として継続しても有効性や安全性に関する分析を実施することが難しいということで、昨年の三月三十一日をもって先進医療から外すことが妥当と判断されたところでございます。

 こうした中、この子宮腺筋症核出術に関する動きとしまして、本年一月に、新たな先進医療として、東京大学医学部附属病院から子宮腺筋症病巣除去術の申請がなされたところでございます。この内容は、以前議論になっておりました高周波切除器のみではなくて、広く一般に利用されています電気メス等を使った計画となってございます。

 この子宮腺筋症病巣除去術につきましては、今月の先進医療会議で先進医療Aとして審議することとされまして、来月、先進医療会議でその適否について審議予定となっていると承知してございます。

青山(大)分科員 是非来月そういう前向きな結果が出るように、当予算委員会の分科会でもそういうような議論があったということも、審議会の皆様にもそういう話を是非出してほしいなというふうに思います。

 私は男性ですので、正直、実際自分がそこの患者になることはないですけれども、やはりそこを、実際、子宮腺筋症になってしまって、この医療センターで手術をしたことによって、そのことによって子供を産むことができたというような話も、そういうことも結構地元で何人からも聞いております。今、少子化対策と言われていますけれども、そういう可能性を残す意味でも、是非前向きな議論をお願いいたします。重ねて要望させていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 マイナ保険証について、これももういろいろな方が質疑をしていますけれども、トラブルが相次ぐマイナ保険証ですが、利用が伸びていないことが指摘されていますし、全国で百十の地方自治体、地方議会から意見書が提出されている、これは私は重く見なきゃいけないと思うんですよね。私も茨城の県会議員をやっていましたけれども、やはり地方議会からのこういう意見書、それも百十の地方自治体から出ているということは非常に重く見るべきだと思います。

 個人情報漏えいのおそれがあるとして、現行保険証の廃止の延期や存続を求める声が多い状況です。現実を直視すれば、現行保険証の廃止の延期や存続について検討すべきではないでしょうか。改めて政府の見解をお伺いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 マイナ保険証につきましては、患者御本人の医療情報に基づくよりよい医療を受けることができる、あるいは外来の窓口で限度額を超える支払いの免除が受けられるというメリットがございます。また、リアルタイムでの薬剤情報が連携可能な電子処方箋、これが今、去年からスタートしておりますが、来年度に向けて全国に普及が進むとなってございます。こうなりますと、それを使うためにもパスポートとしてマイナ保険証が重要になってくるという状況でございます。

 一方、先生御指摘のように、マイナ保険証に関しましては、昨年、登録データのひもつけ誤りとかいう話がございまして、国民の皆様に御心配をおかけしました。

 そうした中で、新規のひもつけ誤りを防止するための措置を講じるほか、全保険者による自主点検を完了しました。さらに、入念な取組として、昨年十一月末までに、登録済みデータ全体について住民基本台帳との情報の照合を完了いたしております。こうした対応を行っております。

 この利用率につきましては、昨年五月以降低下傾向にございましたが、今年一月には改善が見られたところでございます。また、各種調査で調べてみますと、国民の四割の方がマイナンバーカードを常に携行しておられるという実態がございます。

 こうしたことを踏まえますと、マイナ保険証の利用促進のために医療現場における利用勧奨が重要だと考えておりまして、先月から、本年度の補正予算で設けました医療機関への支援金、これがスタートしてございます。さらに、令和六年度の診療報酬改定におきましても、医療機関における利用実績に応じた加算措置、これを導入することとしてございます。

 こうした取組を進める中で、是非マイナ保険証をできるだけ多くの国民の方に御利用いただきたいと考えてございますが、あわせまして、このマイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間を設けるということで最大一年間の現行保険証の使用を可能としたほか、それから、マイナ保険証を保有していない方には申請によらず資格確認書を発行するといった、全ての方が安心して確実に保険診療を受けられる環境整備を進めてまいりたいと考えてございます。

 いずれにしましても、本年十二月二日に健康保険証については発行を終了するとしてございますので、しっかりとマイナ保険証の利用促進に取り組んでいきたい、かように考えてございます。

青山(大)分科員 これも本当にたくさん、いろいろな方も質問していますし、その答弁なんですけれども、私はやはり廃止の時期の延期は少し考えた方がいいのかなというふうに思います。これは個人的な意見ですので、それは見解の相違ですので、これ以上は聞きませんけれども。

 最後の質問に行きます。

 医療系の学校におけるコロナワクチンのハラスメントの防止について伺います。

 昨年の四月の四日、医療系学校におけるワクチンハラスメントの防止について、私は衆議院の消費者問題に関する特別委員会において取り上げました。その後、厚労省さんと文部科学省さんからの連名で四月二十五日に即そういった防止のための通知を出してくれたことは、これは本当に非常に評価いたします。ありがとうございました。さらに、昨年十月十七日にも二回目のそういった、新しく、医療系の学校に対して、ワクチンを打った、打たないで差別をしないような、そんな通知を出してくれたことは本当に評価をしております。

 また今年もそろそろ入学のシーズンになりましたけれども、そうやって通知を二回も出してくれているんですけれども、やはりいまだに一部の医療系の学校や医療系養成機関では、いわゆるコロナワクチン接種を入学要件として、又は、医療現場が求めるからという理由で、実習とコロナワクチン接種をてんびんにかけて、実習単位取得にコロナワクチン接種を要件にしている学校などがあるというふうにも聞いております。そういった現状のため、やむなく中途で退学する方や入学を辞退するなど、無理にワクチンを接種し重い副反応に陥った学生もいるとのことでございます。

 ワクチンをめぐる状況は、私費負担に移行し、副反応や後遺症の存在も知られるなど、コロナ禍に比べて変化してきていますが、いまだにこのような対応を取り続ける学校などがあることを踏まえ、ワクチンの副反応への理解や、接種しない者へ不利益な扱いをしないよう、再度、政府から医療系学校などへ啓発などの対応をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

西條政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、接種を入学要件としているかどうかというこの調査はちょっとやっていないんですけれども、臨地実習受入れ時にワクチン接種を受入れ要件とする施設数等について調査は実施しておりまして、こちらの方につきましては、看護系大学の実習において新型コロナワクチンの接種を要件とする実習施設は、令和五年度は令和四年度と比べまして大幅に減少しているという状況になってございます。

 文部科学省におきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、最近では令和五年十月十七日付の事務連絡において、厚生労働省との連名によりまして、医療関係の各学校に対して、ワクチン接種について実習の受入れや入学の必須要件としないよう、関係者の理解と協力を得られるように周知をお願いしているところでございます。

 文部科学省といたしましても、看護系大学等の関係者が集まる会議の場において上述の事務連絡や調査結果を紹介することで、引き続き、ワクチン接種をしない学生等が不利益な取扱いを受けないように対応してまいりたいと考えてございます。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省といたしましても、昨年十月、議員御指摘の通知でございますが、ワクチン接種に関して不利益のないように依頼を行う事務連絡を改めて発出したところでございます。実際に問合せの数も、網羅はしていませんけれども、肌感覚として、担当者としては、減ってきているだろうということでございます。

 新型コロナワクチンの接種につきましては、その有効性や安全性に関する情報を国が分かりやすく発信した上で、それらの情報を踏まえ、国民の皆様が自らの判断で接種いただくものでございまして、こうした接種の強制や、接種を受けていないことを理由とした差別的な取扱いをすることがないよう、厚生労働省ホームページやQアンドA、リーフレット等の様々な媒体を通じて周知を行っているところでございます。引き続き、こうした周知に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 ありがとうございます。

 間もなく入学シーズンですので、そういった学生が出ないように引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

橋本主査 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 自由民主党の斎藤洋明です。質問させていただきます。

 早速質問させていただきますが、まず第一に、歯科医療に関してお尋ねいたします。

 我が国は、医療に関しては国民皆保険制度が堅守されていることとその質の高さを考えると、世界最高水準の医療を確保していると思います。その表れの一つが歯科医療であると思いますけれども、この歯科医療に関して、国際情勢等の影響を受けまして、材料費と報酬点数との間に逆ざやが生じているという指摘がございました。

 今般の診療報酬改定では、この点ではどのように対応したかということと、それから、今後とも材料費の高騰というのはあり得ると思います。そういう場合に、どのように迅速に実態を把握して対応していくことができるか、政府の取組の状況をお尋ねいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問の、歯科用金銀パラジウム合金の素材価格につきましては、令和四年三月、国際情勢等の影響によって高騰いたしました。

 このため、令和四年度の診療報酬改定では、素材価格の変動によっても適切に対応できるように、中医協における議論を踏まえまして、素材価格の変動幅にかかわらず、年四回改定を実施するということにしました。また、より直近の平均素材価格を告示の価格に反映するような見直しを行いました。

 その後、今年度に入りまして、金銀パラジウム合金の素材価格は緩やかな下落傾向、下降傾向にあると認識してございます。

 こうした状況を踏まえまして、今回の六年度の診療報酬改定におきましては、現行の改定方式、これをしっかり継続するとともに、今回、診療報酬改定の施行時期を従来の四月から六月に後ろ倒ししておりますけれども、診療報酬改定を後ろ倒しする中でも、歯科用貴金属の素材価格の変動への対応ということから、価格改定については、四月にも価格改定を実施するという形で、きめ細かな対応を行うこととしてございます。

 こうした価格改定につきましては、歯科医療に与える影響も大きいということもございますので、現在の運用をしっかり注視しながら、そして関係団体の意見を聞きつつ、中医協において議論していきたい、このように考えてございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 見直しの回数を増やしていただいたことと、それから後ろ倒しのことも含めて、大変ありがたいと思っています。歯科医療の環境が崩壊しますと、全身の健康管理の後退によって、医療費の増大につながるおそれもあると私も思っておりますので、金、銀、パラジウムについては投機の対象になっているというような報道もございます、しっかり価格の推移を注視して、適切な対応をお願いしたいと思います。

 次に、地域包括ケアシステムとの関連で、地域のニーズに応じた適切な医療や福祉サービスを提供していっていただきたいと考えておりますが、訪問看護や訪問介護も充実させていくことが重要と考えております。

 令和六年度の報酬改定では、こうした分野の手当ては十分になされていますでしょうか。また同時に、とりわけ小規模多機能型の居宅介護事業所が、特に経営環境が厳しいということも言われております。政府の認識と報酬改定での対応状況についてお尋ねいたします。

間政府参考人 お答えいたします。

 令和六年度の介護報酬改定におきましては、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえまして、委員御指摘の地域包括ケアシステムの深化、推進などを基本的な視点として、地域において委員御指摘のサービスが適切に適用されるよう、各サービスごとに必要な改定を行ってございます。

 やや技術的でございますが、具体的なものを御紹介させていただきます。

 訪問看護につきましては、医療ニーズを有する方に対するサービスがより適切に評価されるように、より円滑な在宅移行を推進する観点から、初回加算というものにつきまして、退院、退所当日の看護師による訪問を評価するといった改定でありますとか、ターミナルケア加算と申しまして、医療保険の訪問看護におけるターミナルケアと同様であることを踏まえた評価充実を行っているところでございます。

 また、訪問介護につきましては、介護職員等処遇改善加算のほか、みとり期の利用者など重度者のサービス提供を適切に評価する観点などから特定事業所加算の要件の見直しや、認知症高齢者の重症化の緩和のため、日常生活自立度二の者に適切に認知症の専門的ケアを行うことを評価する観点から、認知症専門ケア加算の利用者の受入れに関する要件の見直し、対象者を拡大しているのでございますが、こういったことも行ってございます。

 さらに、委員から、特に厳しいという御指摘のありました小規模多機能型居宅介護につきましては、こちらの介護の経営実態調査におきます収支差は、全サービス平均二・四%に対して三・五%でございました。

 こういったようなことや、介護職員以外の処遇改善の観点も含めまして、基本報酬の引上げ、それから介護職員等処遇改善加算のほかに、総合マネジメント体制強化加算というものにつきまして、地域包括ケアの推進と地域共生社会の実現に資する取組を評価する新たな区分を設ける等の見直しや、認知症加算について、新たに認知症ケアに関する専門的研修修了者の配置や認知症ケアの指導、研修等の実施を評価する新たな区分を設けるなどの対応を行っているところでございます。

 こうした改定事項を通じて、必要な方に必要なサービスが提供できるように取り組んでいきたい、このように考えてございます。

斎藤(洋)分科員 是非お願いしたいと思います。

 今お話しいただいた中では、特に、認知症の専門ケアのニーズが非常に高まっているということを感じております。皆が皆、施設に二十四時間入所するということではなくて、本当にニーズは様々でありますので、訪問看護や介護など在宅のニーズにも適切に対応していっていただきたいと思います。

 関連でお尋ねいたします。介護事業であります。

 介護士不足が慢性化している状況であります。看護師、介護士の処遇改善による離職防止は不可欠だと思いますが、ほかの産業との比較も含めて介護士の処遇の現状と、それから報酬改定での対応状況をお尋ねいたします。

間政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、介護職員については、全産業平均に比べ給与が低い状況が続いておりまして、こうした事態に対応し、人材確保を図るために、公的価格を見直して、これまで累次の処遇改善を講じてきたところでございます。

 こうした取組の成果によって、全産業平均との差は、中期的には縮小してきたところでございますが、今般の介護分野の報酬改定では、政府経済見通しで令和六年度の全産業平均の一人当たり雇用者報酬の伸びが二・五%と物価上昇率と同水準と見込まれている中、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところでございます。

 さらに、七年度分を前倒して、今回措置したのは二年分でございますので、七年度分を前倒しして賃上げいただくことも可能な上、ベースアップ分以外の賃金の伸びもあり得ますけれども、まずは、物価高に負けない賃上げとして、令和六年度二・五%のベースアップを実現するため、処遇改善加算の取得促進に全力を尽くしていきたい、このように考えております。

斎藤(洋)分科員 介護士の報酬は、いわば官製市場、官製での賃上げが重要でありますので、是非お願いしたいと思います。

 介護報酬制度、介護保険制度が始まって以来、我が国の介護保険による介護の仕組みは、全体としては非常にうまくいっていると思います。ただ、介護士の方々の数の確保というか、離職を食い止めなければ、その成果も上げられなくなってしまいますので、是非継続してお願いしたいと思います。

 四点目に、これも地域包括ケアシステムとの関連だと私は思っておりますが、高齢化はしております、また、地方では人口減少も激しくなっておりますが、そうであっても、国民の健康寿命そのものであったり生活の質を維持向上しながら、ただ、医療費も、これは無制約に増やすというわけにはまいりませんので、成果も上げながら結果として医療費も抑制につながるという取組は非常に重要であると思っています。

 そのためには、病気になる前の段階、あるいは病気した後の状態の管理も含めた専門職であるリハビリ関連職種が非常に重要な役割を負うと考えておりますが、政府の見解をお尋ねいたします。

間政府参考人 お答えいたします。

 やはり介護予防であったりとか健康づくりというのは、まず国民の幸せにも非常に重要な点だと思いますし、また今委員御指摘になられましたように、疾病や障害を抱える方々であっても、生活の質の向上を図る上で、リハビリテーション専門職の方々のお力というのは非常に重要だというふうに考えています。そして、急速に高齢化が進行する中で、その期待は更に高まりつつあるというふうに認識をしております。

 このため、令和六年度、まず介護報酬改定におきましては、自立支援、重度化防止に向けた対応を基本的な視点の一つとして位置づける中で、通所リハビリテーションの基本報酬におけるリハビリテーション専門職の配置を評価するなど、リハビリテーション専門職によるサービス提供がより適切に評価されるよう見直しを行うこととしております。

 さらに、令和六年度の診療報酬改定におきましても、ADLの低下の防止等を効果的に行うために、より早期から取組の評価や切れ目のない多職種による取組を推進するために、例えば、急性期医療におきまして、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理の連携推進を図る観点から、新たな加算を新設するなどの見直しを行っているところでございます。

 リハビリテーション専門職の皆様が重要な役割を担い、必要な方に必要なリハビリテーションが提供されるように、関係者の御意見も伺いながら、引き続き必要な対応を行ってまいりたい、このように考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 様々な疾病ですとか身体の状態はございますが、ある段階、ある状態の方々には非常に、このリハビリテーションの専門職の方々が関わることによって、劇的に状態が改善するという場面があることを、私も政治の現場でいろいろ見聞きをしてまいりました。是非、彼らの、リハビリテーションの専門職の方々が専門性を最大限発揮できるような環境の整備をお願いしたいと思います。

 関連してお伺いいたします。

 その専門性ということで、リハビリ関連職種、P、O、Sの方々が、具体的には、例えば、日頃の健康講座であったりですとか、あと、私の地元で一昨年水害がありまして、かなり避難所の生活が長引いたケースがございました。コロナがある中で、非常にちょっと困難な状況も見られたんですけれども、そういう中で、P、O、Sの方々、現場に入っていただいて、かなり地域貢献していただきました。正直、リハビリの関連職種のことを御存じなかった被災者の方も、非常にありがたかったというお話、いっぱい伺いました。

 これを、こういう活動をどんどん広げていきたいというお話も伺う一方で、行政からもいただいた意見として、リハビリ関連職種の方々の交渉の窓口、必ずしも一元化されているわけではないという実情も見てまいりました。私の地元で申しますと、ごく一部を除いては、士会の役員の方が個人として窓口も兼ねているような状態でありまして、なかなか勤務時間中は電話を取れないとか、そういう課題もございます。

 既に一部都道府県においては実施されていると承知をしておりますが、リハビリ関連職種のこういった方々の一元的な窓口をつくるということを、いわば手挙げ方式で、例えば実証事業のような形で拡大していってはどうかと考えますが、政府の見解をお尋ねいたします。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員も御指摘のように、今、能登でも、そういった避難所、あるいは一・五次避難所なんかにおきましても、リハビリ職の方が御活躍いただいて、ADLの低下などを防ぐための取組をしていただいていると認識をしております。

 おっしゃるように、高齢者の自立支援、重度化防止のためには、個人の状態に応じた適時適切なリハビリテーションが地域で提供されることが必要であり、それを支える体制を構築することが重要だと思っています。

 今、一元的な窓口という話でありましたけれども、やはり、関係者がちゃんと集って話し合う場があるということが大事なのではないかと私ども考えておりまして、これまでも、地域リハビリテーションの推進のための指針というのを示して、関係団体等を含めた都道府県リハビリテーション協議会の設置、あるいは地域の拠点となる都道府県、地域リハビリテーション支援センターの指定というのを推進して、医療機関や介護事業者等の協力を得て、リハビリテーション専門職を地域に安定的に派遣できる体制等の構築に取り組んできたところでございます。

 今のところ、これを設置している都道府県が半分強といったところでございまして、これを更に進めていく必要があるだろうというふうに考えています。

 このために、令和六年度から開始いたします第九期の介護保険事業支援計画の基本指針、これは国が示しているものでございますが、ここにおきましては、都道府県に対して、関係団体等を含めた協議会を設置すること、あるいは市町村に対しては、地域の医師会を始めとした関係団体、関係機関等との協議の場を設けた上で具体的な取組を進めることを、介護保険事業計画の記載事項として明確に位置づけたところでございます。

 こうした取組を通じて、全国においてリハビリテーション専門職の方に御活躍いただきながら、適時適切なリハビリテーションが提供される体制が確保されるように取り組んでいきたい、このように考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 是非、窓口の在り方も含めた、医療関連職種の方々ですとか、あと、行政との関わりを、もっともっと強めていっていただきたいと思っています。私の地元の新潟県におきましても、私も少しお手伝いもさせていただいて、今、行政との関わりを強めていただいています。

 従来、例えば、健康講座ですとか、ボランティアも、ボランティアというか被災地の支援も、役員が個人で持ち出しで、ガソリン代も自分で持ってやっていただいているような状況があって、もちろん、その志はすばらしいと思うんですけれども、でも、属人的な努力によらないで、組織として継続的にやっていけるのが本来の姿だと思いますので、そういう取組を組織的に定着させるためにも、行政の側にも支援を求めるにしても、やはり事務的なやり取りがどうしても発生しますので、そこを個人のやり取りではなくして、パーマネントな組織の中でやっていくということが重要だと思っていますので、引き続き御支援をお願いしたいと思います。

 次に、公立・公的病院の機能再編のことについてお尋ねをしたいと思います。

 厚生労働省からの問題提起もございましたし、様々な意見も出たと思います。私が思いますのは、少なくとも客観的事実として、人口が減るし、人口構造の変化に伴って医療ニーズも変化する、これは間違いがない。医師の働き方改革もあるわけですから、十分な医療資源を確保して、医療圏ごとにちゃんと適切な医療を提供していただくというための努力はいずれにしても必要であって、これは主体的に政府も動かなければいけないことだと思います。

 病床数ですとかあるいは病院の数で見ても多数を占める、特に地方においては公立病院や公的病院が多数を占めているわけですから、そこが呼び水となることは非常に重要だと考えます。

 医師を始めとして、医療資源といえば医療スタッフが最たるものですが、そのスタッフの確保のためにも、例えば、拠点病院とその周辺の支援病院だ、あるいはうちはリハビリでやっていくんだというような役割分担を明確にしていくことが、それぞれの医療圏の中で重要だと考えますが、政府の見解をお尋ねいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 中長期的な人口構造の変化に伴う地域の医療ニーズに応えるため、公立、公的、民間医療機関の病床機能を明確にして、相互に連携することによって質の高い効率的な医療提供体制を持続的に確保することは重要であり、そのためには地域医療構想に取り組むことが必要であると考えております。

 具体的には、構想区域ごとに設置されました地域医療構想調整会議におきまして、議員御指摘のとおり、各医療機関の役割分担に係る協議が行われていると承知しております。

 厚生労働省といたしましても、こうした取組状況を把握しながら、協議が着実に進むよう、役割分担の好事例の周知や地域医療介護総合確保基金の活用など、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 新潟県も医師不足県となってしまっております。また、医療機関同士の役割分担ということもしっかり見直していかなきゃいけないと思っておりますし、医療構想調整会議で、まさにその議論をしていただいている状況であります。そういう中で、重点支援地域に新潟県の医療圏を幾つか選定していただいたことは大変ありがたいと思っていますし、また政治の側からも、ちゃんとこういったことの必要性を発信していきたいというふうに思っております。

 病院が患者、利用者にとって、地域住民にとって魅力的であることはもちろん大事でありますし、また、医療人材にとっても魅力的である必要があると思っておりまして、そのためにも、その役割を明確化して、ミッションを持って、明確なミッションを持った病院に明確な目的意識を持って医療人材が集まる、それは地方であっても何かはっきりした役割を持ってもらって、そこに優秀な人材が集まるというような姿にしていっていただきたいというふうに思います。私も情報発信していきたいと思います。

 最後、何点か、医師の確保の問題についてお尋ねしたいと思います。

 この医師の確保ということについて、常々問題意識を持っております。都道府県ごとの状況が計数的には一番分かりやすいと思いますが、私は新潟県なので、特に新潟県と大都市圏を比較した場合ですとか、あるいは、同一都道府県内であっても、医療圏ごとに医師の偏在ということはあろうかと思います。我が県におきましてもございます。

 ですので、その辺りの状況をお尋ねしたいのと、そのような状況を是正するために政府でどのような現在対応を検討しておられますでしょうか。お尋ねいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 医師の地域偏在につきましては、都道府県間、また各都道府県内の中でも、いずれにおきましても存在していると認識しており、全国的に是正を図るべき課題と考えております。

 お尋ねの新潟県につきましては、令和五年十二月の時点におきまして、医師偏在指標で全都道府県中四十五位の医師少数県でありまして、県内におきましては、新潟医療圏のみ医師偏在指標が上位三分の一に属し、ほかの二次医療圏は全て下位三分の一に属している状況でございます。

 地域におきまして必要な医師を確保するため、各都道府県におきましては、医師確保の方針などを盛り込んだ医師確保計画を策定し取組を進めているところであり、具体的には、医学部の入学定員に地域枠を設定し、こうした学生を対象に修学資金を貸与するほか、専門医の取得など本人のキャリアパスに配慮しつつ、医師不足地域等で診療に従事することができるようなキャリア形成プログラムを策定し充実させるなどの取組があり、地域医療介護総合確保基金等により支援を行っているところでございます。

 今後とも、自治体等から御意見を丁寧に伺いながら、医師の地域偏在の是正に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。地域枠の成果が出てくるのはこれからだと思いますし、大いにそれは期待をしています。

 医師数でいえば、今、臨時定員のこともしていただいていますので、先進国の中で必ずしも絶対数が日本が足りないというわけではないとは思います。ただ一方で、やはり偏在の問題というのはあると思っています。これは、ドクターへの働きかけだけではなくて、先ほど病院の機能分担のことも申し上げましたが、医師少数県においても、どのように医師に選んでもらえるような環境をつくっていくかということも大事だと思いますし、一方で、専門医のこともお話しいただきましたけれども、国においても是非環境の確保はお願いをしたいというふうに思います。

 次に、これも関連でお尋ねいたします。今、都道府県ごとの状況であったり、また都道府県内の二次医療圏ごとのお話もいただきましたけれども、そういった地域ごとの差もさることながら、産科ですとか小児科ですとか、診療科目間で医師の偏在ということもあると思います。実際、地方の現場で生じているのは複合の問題であります。つまり、地域にも医師が足りないし、その中でも、診療科目間でも足りない分野があるというふうな状況だと思っています。

 この辺りの認識と取組状況をお尋ねいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員の御指摘どおり、医師の診療科偏在につきましても、同様に是正するべき重要な課題と認識しております。特に、産科や小児科の医師確保、これが重要な政策上の必要性が高いということから、都道府県におきましては個別に医師の確保計画を策定し、例えば助産師外来の開設など、産科医師以外の職種へのタスクシフトによる勤務環境改善、分娩を取り扱う医師や新生児担当医師等の処遇改善に取り組む医療機関への支援、産科医の不足する地域の医療機関に都市部から産科医を派遣する際の派遣手当等の費用の支援などの取組を行っておりまして、国におきましても地域医療介護総合確保基金による支援を行っているところでございます。

 加えて、医師養成過程を通じまして、先ほど御答弁申し上げた地域枠の設定、また、臨床研修におきましては産婦人科及び小児科の研修の必須化、専門研修におきましては都道府県別、診療科別の専攻医採用数のシーリング、上限の設定などに取り組んでいるところでございます。

 厚生労働省といたしましても、こうした取組を通じて、引き続き診療科偏在の対応を進めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。この診療科偏在の問題も、是非引き続き取組をお願いしたいと思います。

 臨床研修の必修化のお話ですとか、また、専門医の育成のところでの配慮のようなお話もいただきましたけれども、人材の育成なので、やはり長い時間がかかりますので、なかなかすぐ即効性のある対策ということは難しいかもしれませんが、でも、長い目で見た人材の確保を是非お願いをしたいと思います。

 逆に、これは我々も、私も地域から声を上げるときに、とにかく来てくれということではやはり駄目だということで、地域医療構想調整会議の方向性もちゃんとウォッチして、じゃ、この二次医療圏はどういうふうにして医師を呼び込むんだということを、やはり戦略的に、長期的にやっていかないといけないと思いますので、その辺りもお知恵を引き続きいただければと思います。

 また、済みません、これは通告していないので質問ではないんですけれども、大学病院とか大学医学部の機能の在り方というのも、もっと踏み込んで考えていかなきゃいけないなということを感じています。

 私の地元の新潟大学の医学部も、かなり頑張って、働き方改革で、結果としての医師の引揚げにならないようにということで、いろいろ知恵も出していただいているんですけれども、そこの機能、コロナ後の患者の減少と、あとはやはり設備投資がありますので、そういった経営面のことも含めて、しっかり政治からも支援をして、全体として、やはり、どこそこの病院にこの診療科目の医師が来てほしいなんて単発でやっても駄目なので、全県あるいはより広域でやっていかないといけない話だと思いますので、是非その辺りもお知恵を継続的にいただきたいと思います。

 質問としては、最後になります。

 医師の需給調整ということについても、生身の医師の、ドクターも、大いに議論が必要だと思います。武見大臣がおられる前で恐縮ですが、大いに議論をさせていただきたいと思っています。

 地域枠は、先ほど申し上げましたとおり、医師偏在問題の是正にこれから大いに効果を発揮していただくものと期待をしているんですけれども、もちろん、医師自身の職業選択の自由や経済活動の自由は大前提としながらも、いずれ、医師多数地域における開業の何らかの歯止めであったりですとか、あるいは勤務医の絶対数を確保しなければいけないということに、政府も今まで以上に踏み込んだ何か対応ができないかということを、少しロングスパンで検討していただきたいと考えておりますが、見解をお尋ねいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員から御指摘の、例えば医師の開業規制につきましては、自由開業制との関係の整理、新規参入抑制による医療の質の低下への懸念、また、駆け込み開設への懸念、こうした課題がございまして、慎重な検討が必要であるとの認識をしております。

 一方で、地域の実情に応じた医療提供体制を構築することは、大変重要な課題でございます。地域医療構想を始め、医療機能の現状等につきまして医療機関に報告を義務づけるとともに、これに基づき、自治体が関係者と協議をする仕組みを通じて、それぞれの地域における医療提供体制の整備を進めてきたところでございます。

 こうした取組を、引き続き、全ての国民がそれぞれの地域において質の高い医療を必要として、応じることができるような体制、こうしたものを都道府県自らが考えて確保できることを御支援してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 もちろん、地域が考えて、医師に選ばれる環境というのをつくっていくことが大原則だと思いますし、需給調整のような余り極端なことは、本来は望ましい姿ではないと私も思います。

 ただ一方で、私、議員になりまして十年を超えましたけれども、この十年に限っても、かなり環境とか感覚も変わってきているように思います。従来、こういう話をすると、いやいや、そんなことはとんでもないという空気だったと思いますが、今、結論はどうであれ、大いに議論しましょうというふうに医師会の方でもおっしゃる方が増えてきたというふうに感じています。

 ですから、いきなり極端な政策を取るべきかどうかは別にして、様々な政策の選択肢を大いに議論した方がいいんじゃないかということを強く感じています。

 当の医師の方々の意見も含めて、本当に多様な関係者の方の御意見を伺っていければというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。

橋本主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、鎌田さゆり君。

鎌田分科員 今日はよろしくお願いいたします。立憲民主党・無所属会派の鎌田さゆりでございます。

 まず最初に、小児移行期医療支援について伺います。

 資料の一番を御覧をいただきたいんですけれども、小児移行期医療支援は、平成二十七年から二十九年度に、小児慢性特定疾病児童成人移行期医療支援モデル事業として予算化もなされています。なんですけれども、令和五年十二月時点では、この資料一番のとおり、全国で九か所にしかまだ整備されていません。医療的ケア児等支援の議員立法の法律がありますけれども、ここには移行期医療も包括されています。

 全国に九か所しかまだないというこの理由をまず伺いたいんです。なぜ進んでいないんでしょうか。

大坪政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、この事業はモデル事業で過去にやっておりまして、これを継承する形で、三十年から全国に広げるべく努力をしております。これは、取組を進めているところは今全国九か所にとどまっているわけでありますけれども、国におきましては、まずその実態調査、課題ですとか実態の把握、こういったことに取り組んでおりまして、令和四年度も移行期の医療支援体制実態調査、こういったことを行いまして、課題を精査するなどしております。

 また一方で、成功要因の分析ですとか都道府県でのモデル的に行っているところ、これを普及啓発をするなどして、自治体に御案内をしているところであります。

 引き続き支援を進めてまいりたいと考えております。

鎌田分科員 少し驚きました。モデルだからこれから全国に広げるべく努力、それから、令和四年度、調査をしていると。医療的ケア児等支援、この法律にこれは包含されているはずなんですね。ですので、大臣、医療的ケア児等支援センター、これは全国に設置されています、こことやはり小児移行期医療支援は、歩み、歩を合わせるべきだと私は思っています。

 厚生労働省として、全国の現場で受け入れられる成人診療科、医療機関の整備の進捗をどのように把握して、そしてあわせて、日本内科学会や日本外科学会などに働きかけを行っているのか。

 今役所から御答弁ありましたけれども、大臣、これはやはり、モデルとはいえ全国に九か所というのは余りにも。これから先ちゃんと進めていくという大臣の御発言があってこそ、全国のこの問題と向き合っている方々には安心の材料になるんですが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 全国で九か所というのがまだ少ないという御指摘なのでありますけれども、設置できていない主な理由として、残念ながらまだ現状把握が十分できていないというところがあるので、まず現状把握をしっかりするというのがまず第一段階だというふうに思います。

 関係医療機関との調整ができていない、それから、難病の医療提供体制整備を優先しているといったようなことが、実際に今この九か所にとどまっているということの主な理由として挙げられてきておりますので、これらをしっかりと現状把握して確認をして、その次、対応の仕方についての検討に入りたいと思います。

鎌田分科員 資料二を御覧ください。

 今、なかなか、現状把握をしながらで、やっていないわけではないけれどもという御答弁だったと思うんですが、この資料二は私の地元宮城県なんですが、宮城県では、重症心身障害児者の方々に特化しての医療療育園は、下に出典元の仙台エコー医療療育センター、そこの院長のお名前が書かれてありますが、その方が作成したものなんですけれども、この資料二から分かることは、特に下の三つの箱部分三段なんですね。完全に成人診療科に移行する人、患者さんもいます。その次、二番目となっていますけれども、小児診療科から成人診療科、小児診療科の両方にかからなければならない患者さんもいます。それから、最後の三番なんですけれども、これは小児診療科に継続して受診をしなければならないというケース、それぞれ様々あります。これは私の地元の宮城の話なんですけれども。

 右側に赤字で、宮城県では患者と保護者には説明されていないと書いてありますのは、ここで私から提案も含めて問題提起なんですけれども、本来、小児移行期医療には移行しない、移行できないんですから移行しないという選択肢も私はあってしかるべきだと思うんですね。

 この認識は大臣も共通して持っていただけますでしょうか。

武見国務大臣 小児期から成人期への移行をどのように考えるかという点であります。

 この点に関しましては、小児慢性特定疾患児童等が自身の医療に関わる意思決定を自主的に行う、そして、成年後も適切な医療が受けられるように患者を支援する体制の整備というのが大事で、移行期における本人の意思、これらをしっかりと踏まえて支援する体制を整備していくことが必要だというふうに私どもは考えておりまして、その上で、実際に現状の把握をいかに適切に行って、それによって、今の先生御指摘の九か所にとどまっているじゃないかという点についての検討を再度するということになっていくだろうと思います。

鎌田分科員 大臣、大変お言葉なんですけれども、本人の意思、それから移行できるような環境ということをおっしゃいましたけれども、現場、現実は、御本人の意思を確認することができなかったり、それから、小児病院からは成人科診療への移行を促されます、現場では。そして、今度保護者が移行先の医療機関を探すんですね。探すけれどもそれがない。どこに移行したらいいのか、ない。そして、患者さんによっては、移行した先の病院で幾つもの診療科での受診をしなければならない。そうすると、もう丸一日、一つの病院に行って何科と何科、別な病院に行って何科と何科と、そういうのが現場、現状なんですよ。

 ですので、移行期医療支援はやっていただきたいです、是非。だけれども、大臣に今、共通の認識をお持ちいただけますかと伺ったのは、移行しないという選択肢も残っていますよね、ありますよねという、認識を持っていただけますかというふうに質問したわけです。

 再度よろしいでしょうか。

武見国務大臣 どうするかという、これは一つの選択になるんだろうと思います。その選択ができるように整備をすることが大事で、そのための自主的な意思というものは、御自身を含めて家族の皆さん方等でしっかりとお考えいただくということになるんじゃないかと思います。

 それを支援するというための一つの仕組みがこの移行医療センターでありますから、このようなものについて、現状でどの程度実際に対応できているのか、そしてさらに、新たにどういう仕組みが必要になるのかというのは、現状をしっかりと把握した上で考えていきたいと思います。

鎌田分科員 今の大臣の御答弁ですと、選択ができるという表現のところで、患者さん御自身、それから周りの、保護者の方や周りの方々が選択できるということを大臣は今おっしゃっていただいたと私は理解をいたしましたので、選択をしないということも選択肢の中にはあると。移行ですね、何としても移行しなくちゃいけないんだということではなく、選択ができるというふうに私は捉えさせていただきました。

 次に、資料の三番を御覧いただきたいんですが、特になんですけれども、重症心身障害、これと医療的ケアを持つ重複の障害の患者さん、これをこの資料三に示したんですけれども。この移行期医療に適しない患者の群、患者群というのが、この表でいきますと右側の上の部分、それから左側の下と、それから右側の下、右側の下は難民化というふうに記してありますけれども、特にこの右下の、自立も課題が大きい、それから、転科も課題が大きい。

 重症心身障害、それから重度知的障害、そして医療的ケアも必要だ、こうなってくると、本当に、移行期医療の、もう難民化してしまっている、行くところがない、そして保護者さん、周りの方は路頭に迷うというのが地方の現場で起きているんです。

 ですので、大臣、成人診療科に移行しない、小児医療機関で外来、入院診療継続、これは正当な選択肢であるというふうに私は考えている一人なんですね。大臣にもその認識はお持ちいただけますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますように、移行期の医療というのは個別様々な事情があるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、平成二十九年に、都道府県における小児慢性特定疾病の患者に対する移行期医療支援体制の構築について、これは事務連絡を出させていただいておりまして、この中では、小児慢性特定疾病の患者の成人期医療への移行の医療の在り方につきましては、以下の三つの分類があるというふうにお示しをしております。小児科医療から成人医療に段階的に引き継いで転科ができる場合、また、先天性の疾病、障害等があった場合には、小児科診療で診療を継続しつつ、他の健康問題や成人期の疾病については成人診療科の医師に引き継ぐことができる併診する体制、また、それから、成人期であっても小児診療科の医師が引き続き診療することが望ましい場合、こういうふうに様々なことがあるというふうにお示しをしております。(鎌田分科員「それはさっき私が」と呼ぶ)はい、おっしゃったとおりであります。それについて、医療機関に対して医療従事者向けのガイドを作るなどして、これを取り組ませていただいております。

 令和四年度の調査の中でも、移行期がうまくできたところというものを、移行期支援センターを設置している運営協議会に確認したものではございますが、七二%が移行ができているという回答をいただいており、そのうち九割はセンターの関与がなくてもできたという場合もございます。ですので、個別事情を様々にお使いをいただけるような環境整備を整えてまいりたいと考えております。

鎌田分科員 今、その御説明をいただいたんですけれども、先ほど使いました資料の二番に私は書きました。説明しました。

 少なくとも宮城県では、その選択肢のところでの下の二つは、患者さん、患児ですね、子供さん、小児と保護者には説明されていませんので。どこが悪いとか誰のせいだとか言いません。周知徹底されていないんだと思いますので、こういう選択肢があるんだということをきちんと厚労省さんから各都道府県に漏れなく、今、七〇%以上、移行がうまくいっているという話がありましたけれども、少なくとも私が御相談を受けるのは、うまくいっていないんですよ。本当に大変路頭に迷う思いをしていますので、そこをしっかりやっていただきたいと思います。

 続けて、資料の四なんですが、今、御答弁の御提案の中にも入っていると思うんですけれども、これは簡単な絵なんですが、成人診療科に移行しない、移行できないという場合、これは小児診療科が、このイラストの中心にあります小児診療科がステーションになって、成人疾患の治療が必要な場合には成人診療科と連携、紹介などして治療に当たることは十分可能です。厚労省さんもそういう認識は持っていると思います。

 そこで、大臣にこれは是非ともお願いを申し上げたいんです。各都道府県に、患者や保護者に負担を強いる、無理に移行を進めるようなことがないように、無理な移行はしなくてもいい、移行期医療機関に適さない患児、患者さんはそのまま移行しないで小児医療機関で外来、入院診療ができるようにと各都道府県に通達を出していただけないでしょうか。少なくとも私の宮城県で知らない方々が非常に多いんです。いかがでしょうか。これは切に要望いたします。御答弁をお願いします。

武見国務大臣 今までも御説明したとおり、自主的にまず意思決定をしていただくということ、それから選択肢をきちんと整備するということが政策的に必要であろうということ、これらをしっかりと踏まえた上で実際に現状を把握をして、そしてその上で御指摘のような方針をきちんと確立をして周知徹底するという、こういう段取りになるんじゃないかと思います。

鎌田分科員 大臣、大変申し訳ないですが、再度粘らせてください。

 どうしても移行が無理だ、そういう小児患者さんをお持ちの保護者さんや周りの方々にとって移行しないという選択肢もある、小児診療を引き続き継続して受診してもいいんだよというようなことを、各都道府県に厚労省から、そういう選択肢もあるということを通知を、周知をしていただけないでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいましたように、宮城県ですとか、センターがないところにおいては、そういった不都合が生じているところもあろうかと思います。

 先ほど申し上げましたように、二十九年には、様々な類型があります、個別の事情に応じてお使い分けをいただいて適切な医療を選択していただきたい、こういった御案内は事務連絡で出させていただいておりますが、また改めて、実態を把握した上で、事務連絡という形で周知をさせていただきたいと思っております。

鎌田分科員 移行期医療については現場では非常に大変な思いをされている方々がいらっしゃいますので、その代弁の声としてお聞きをいただきたかったということでございます。

 次の質問に移ります。

 働き方改革が進められておりまして、御承知のとおり、この四月からは医師の働き方改革も進んでいきますが、ちょっと大きなところでまず大臣に伺いたいんです。

 医食同源という言葉がございます。まさに、医、医療の医。それから、食、食べ物。この医と食、体によい食べ物と、どこに暮らしていても安心できる医療体制というのは国民の安全保障であるという御認識はお持ちでしょうか。伺います。

武見国務大臣 自らの健康が極めて安心した形で守ることができる、これは、医療がそれをしっかりと支えるということがあってこそ確実なものになるというふうに私は思います。その意味で、先生の御指摘のような安全保障というような観点からの議論と重なってくるんじゃないかなと思います。

鎌田分科員 ありがとうございました。共通の認識と私は感じました。

 いわゆる医師の働き方改革というところからちょっと質問していきたいんですけれども、医師の働き方改革が真に中長期的に日本の医療制度を守ることになるのかという観点で伺いたいと思います。

 資料の五番目を見ていただきたいんですが、医師が長時間労働を強いられている原因の分析と是正はどの程度できているのかなというのが知りたいところなんですが、これは御答弁は要りません、時間の関係上。

 資料五では、令和二年の医師の働き方改革の推進に関する検討会の資料から引っ張ったものなんですけれども、赤く丸で囲んでいるところがあります。これは何を見せているかというと、皆様はもう御存じのとおりなんですが、どの診療科でも長時間労働はある、長時間労働者は医師の中であるということを示しています。

 そこで、私、提案させてください。これは答弁が欲しいです。

 厚労省として、月八十時間の時間外労働を超えている医師の抽出システム、これをまずお持ちなのかをお聞きしたいです。あわせて、各医療機関の判断では、八十時間の時間外労働を超えているのを申請するというか申出するというのはハラスメントなどによって隠蔽される可能性がありますので、ビッグデータを駆使して、この抽出システムの制度化、医師がどのように働いているかモニタリングできるように指導することが重要だと思うんですが、いかがでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員の御指摘のとおり、今回、法令上の義務といたしましては、全ての医師が当月の時間外、休日労働、これが一か月でも百時間を超える場合には、そういうふうになる前に面接指導を行う必要があります。これはまさに事業主、病院の義務なのでございます。

 先ほど御提案であったモニタリングの件でございますが、時間外労働を含めた労働時間の管理というものは労働安全衛生法上の事業主の義務であるために、医療機関において、労働時間については当該医療機関の事業主である管理者が把握することとなっております。ですので、医療機関の事業主がしっかり対応することが肝要ではないかと思っております。

 なお、労働時間の実績につきましては、労働時間短縮計画等に記載した上で、都道府県による特例水準の指定を受ける際に、計画又は計画変更を行った際に医療機関から都道府県に提出いただくこととなっておりまして、こうしたことで病院の労働環境の把握というのはできていると承知しております。

鎌田分科員 なかなか現状認識には違いが、ずれがあるんだなというのを御答弁を聞きながら感じるんですけれども。

 先ほど、需給のバランスのことを御質問されていた議員もいらっしゃいましたけれども、資料の六番を御覧いただきたいんです。これはOECDのデータなんですけれども、日本は、人口一千人当たりの医者の数、これは加盟国三十八か国中は三十三位です。右から数えた方が早い、赤いところがジャパンとなっています。OECDのアベレージはちょうど真ん中あたりにあるんですが、低い、いかに医者が不足しているかが分かります。

 今度は資料七を御覧いただきたいんですが、今度は人口千人当たりの総病床数、これを見ますと、人口千人当たりの総病床数は一位なんですね。ジャパンが一番左にあります。急性期病床とリハビリ病床に限っても二位です。非常に長時間労働の原因になっている指標としてこれは分かると思うんです。

 つまり、ここから分かることは、医師の、医者の絶対数が不足しているのにもかかわらず、医療のニーズは非常に高い状態だと分かります。

 令和四年の厚生労働白書、ここにも書かれてありましたけれども、医者の数は地域偏在による深刻な医師不足のため、二〇〇八年以降、医学部臨時定員を増加し、毎年三千五百人から四千人増加している、二〇二九年頃には需給が均衡すると推計されている、医師、二〇〇八年十二月、二十八万四千五百五十六人、二〇二〇年十二月、三十三万七千六百二十五人。一方で、依然として存在する地域別、診療科別偏在についての対応が必要と記載されています。これは看護師についても記載されていますよね、同じように。日本医師会の調査でも示されていますように、勤務時間のみ、この時間のみを機械的に制限することは医療安全管理上非常に危険であるということが明白ですと指摘されています。

 私が医師の働き方改革で質問するのは、機械的に単純に時間で切ってそれを評価していくということは、今の日本の医療体制の整備の状況、それから現状を見ると、果たしてそれが日本の中長期的に医療の体制の整備ということに寄与するのかどうかと危惧を抱いている一人として私は質問しているわけです。

 日本医師会が指摘をしているように、需給の均衡を待たずに推し進める理由と、医療安全上の危険についてどのように考えているか、御説明をいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員の御指摘のとおり、適切な医療現場の勤務状況、これを構築することがひいては医療の安全につながるという認識をしております。中長期の医療提供体制を安定して確保するためには、医師の働き方改革、医療提供体制の機能分化、連携、医師の偏在対策、これを一体的に推進することが重要であると考えております。

 医師の働き方改革につきましては、医師が健康に働き続けることのできる環境、これを整備することは、医師本人はもとより、患者、国民に対して提供される医療の質、安全を確保するためにも重要であり、この施行に向けまして様々な取組を進めているところでございます。

 また、人口構造の変化に伴う地域の医療ニーズに応じて病床機能を明確化し、連携することで、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指し、地域医療構想を推進しているところでございまして、議員御指摘の病床数の話というのはこちらの方に関与することとなります。

 さらには、地域によっては医師が不足する場合も考えられることから、長期的な施策といたしましては、特定の地域等での勤務を条件とする地域枠を医学部定員に設定し、こうした学生を対象に修学資金を貸与するほか、医師の派遣や確保に対しまして地域医療介護総合確保基金により支援を行っているところでございます。

 また、これは同時にやらなきゃいけないことがございます。医師の働き方改革、これを進めるためには、国民の皆様の御理解もいただくことが必要となると考えております。例えば、診療時間内の受診をお願いしたり、当直や夜勤後の医師が休みを取るために、いつもの医師とは異なる医師等が対応するといったことに対しまして国民の皆様の御理解をいただきたいというふうに考えております。厚生労働省では、特設サイトを開設し、国民の皆様への普及啓発も行っているところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、都道府県と緊密に連携を図りながら、どの地域でも切れ目のない医療を安心して受けられる体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

鎌田分科員 その意気込みはよく分かるんですけれども、現状を、現場の実態を見ていただきたいんです。

 残り時間も僅かなので、でも大事なので、ちょっと資料の九番を見ていただきたいんですが、働き方改革の制度開始以降の懸念事項ということで、日本医師会総合政策研究機構医療関連データということで、今日は皆様にも御覧いただきたい。

 左側に書かれてある懸念事項。救急医療体制の縮小、撤退。専門的な医療提供体制の縮小、撤退。把握できていない、何が起きるか分からない。小児医療体制の縮小、撤退。これは全体数が三千八十八の医療機関、医療施設なんですけれども、もうこういうことを見ているんですよ、医師の働き方改革で。

 厚労省が、一生懸命やりますやりますと言ったって、現場の病院ではこういうことを懸念材料として挙げているわけです。そこにきちんと国として、大丈夫だから、安定して経営していけるからということを示していかないと、ますます医師離職、医者離れ、それから病院がなくなっていきます。私の宮城県内の病院でも、夜間の救急車は受け入れませんと宣言しちゃった病院がもう発生しています。そうすると、さっき大臣が医と食は安全保障だと言ったことも覆っちゃうんですよ。

 そこでなんですけれども、タスクシフト、これは特になんですが、看護師さんのナースプラクティショナー、これは制度の創設、日本看護協会の方では一生懸命研修もなさっています。ここについて厚労省はどのような協力体制を整えていくか。

 それから、医療の偏在の是正。先ほどから説明を受けていらっしゃいますけれども、今の見ていただいた資料にもありますとおり、こんなに病院が経営が圧迫されていて大変な状況になったらもう崩壊してしまう。特に地方の医療が崩壊してしまいます。ここについてきっちり、そんなことはないんだという宣言をいただきたい。

 最後に二つ。

 大学病院の無給医で働いている医者、これを今後なくすということを、この場で私は実は宣言をしていただきたい。大学病院は、専門医取得を餌にして大学から足抜けできないようにしている、私はブラックだというふうに、現場を見ていると感じます。大学病院の無給医の問題は解決されていません、今のところ。この働き方改革で無給医問題を是非ゼロにしていただきたい。これが三つ。

 最後に、四つ目、資料にも載せましたけれども、学会、研究会の問題。これは実態調査を行って淘汰をしていかないと、もう自殺者も出ています。患者と向き合って、診療の研究とかそういったものにきちっと医者として向き合おうとしている医者にとって、学会だの研究会だの、そして、学会は細分化されて地方分科会もある……

橋本主査 質疑時間を経過しておりますので、御協力をお願いします。

鎌田分科員 そこに、資料を作成するのに時間を取られるのは、医者にとって余りにも酷です。

 この四つについて、最後答弁をいただいて終わります。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 たくさん質問をいただいたので全て把握した上で答えているかどうか分かりませんが、救急医療体制につきましては、今までも、地域医療計画、あるいは、軽度の外来を行う初期救急とか二次救急、三次救急というのを地域の中で体制を整備して、これの取組というのも地域の中でしっかりやっているところでございます。

 タスクシフト、タスクシェアにつきましては、特定看護の皆さんも今どんどん人数を増やしておりますし、病院ごとにおきましては、その病院の中でのタスクシフト、あるいは医師の中でのシェアリングということをしっかり取り組んでいるところでございます。

 給与体系につきましては原則その組織の中で考えていただくことと思いますが、無給かどうかの調査というのは我々の方では把握しておりませんので……(鎌田分科員「調査しなくたって分かるでしょう」と呼ぶ)

橋本主査 答弁をどうぞお続けください。

浅沼政府参考人 はい。

 私どもの方としましては、きちっとその情報収集等は行っていけるようにしっかりやっていきたいと思います。

 あともう一つは何でございましたか。

橋本主査 学会とかが多過ぎる。

浅沼政府参考人 学会の数の方につきましても、日本医学会等を通じまして、学会の現状等を確認しながら、しっかり注視してまいりたいと思います。

 以上です。

鎌田分科員 終わります。ありがとうございました。

橋本主査 これにて鎌田さゆり君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

西岡分科員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、武見厚労大臣に初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今年、私の地元長崎は、広島とともに、被爆七十九年目を迎えます。来年には被爆八十年という大変大きな節目の年を迎えます。被爆者の皆様の平均年齢も八十五歳を超えておりまして、高齢化が一層進んでおります。

 武見大臣におかれましても、去る一月二十九日、被爆者団体の皆様と面談をされまして、団体からは、人道的な見地に立って早急に被爆者認定基準を見直すよう、大臣に要請をされたとお伺いをいたしております。大臣からは、新しい科学的な知見がない中で、なかなか見直すことは難しいという御答弁があったということで承知をいたしております。

 まず初めに質問させていただきますけれども、被爆者認定の在り方についてでございます。

 一九七四年そして一九七六年に行われました第一種健康診断特例地域の指定及び拡大については、爆心地から十二キロ圏内で、指定された区域と除外された区域がございます。どのような科学的な根拠、知見に基づいて決定されたのでしょうか。

 長崎で被爆者と認められるのは、爆心地から南北十二キロ、東西七キロという、原爆投下時の行政区画を基に線が引かれた状況でございまして、長崎の場合は、南北に細長く、いびつな形となっています。いわゆるマンハッタン調査によっても半径十二キロ区域で高い線量が確認されているにもかかわらず、科学的な知見がないという理由で被爆者として認められない方々が、長年、今までの現状で続いているということが、現実がございます。

 そもそも、一月の、先ほど申し上げました、大臣の被爆者団体への御答弁にもあるように、科学的な知見、これは一体何を示しているのかということについて、厚労省にお伺いをいたしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の昭和四十九年、五十一年に指定されました第一種の健康診断特例区域、これにつきましては、既に指定をされておりました被爆地域との関係性、地形、距離を比較し、また、住民の方の健康調査の結果等を考慮して設定されたものであるというふうに承知をしております。

 科学的知見を用いるようにというのは、その後に、昭和五十五年、原爆被爆者基本問題懇談会の報告書の中で提言をいただいているものでありまして、これまでの被爆地域との均衡ということで地域拡大を図っていきますと、どうしても不平等、不公平を生み出す原因となる、そこで、被爆地域の指定は科学的、合理的な根拠のある場合に限定して行うべきという御提言をいただいております。

 これに基づいて、それ以降は、長崎の被爆の未指定地域においても、健康影響の観点から問題となる量の放射線被曝がないという調査結果などが取りまとめられたことを受けて、現在の形となっております。

 具体的に申し上げますと、平成三年六月、長崎県並びに長崎市が調査を行いました長崎原爆残留放射能プルトニウム調査報告書、いわゆる岡島報告書でございます、その中で、科学的、合理的根拠を示す調査方法、こういったことを岡島先生にお願いをしたわけでありますが、指定拡大要望地域住民の皆様の生涯の最大被曝線量が、調査時点におきまして最大二・五センチグレイ、これは実効線量でいいますと二十五ミリシーベルトに相当いたしますが、ほとんどの地域では一センチグレイ未満であったという推定がなされております。

 これを受けまして、国の方でも検討会を設置して、岡島報告書の調査方法がおおむね妥当であるということを確認をいたしまして、最大の推定線量が二・五センチグレイを下回っているため、健康影響がないというふうに結論づけさせていただいたというところでございます。

西岡分科員 今、科学的な知見ということについても御説明をいただいたわけでございますけれども、去る広島高裁判決、いわゆる黒い雨訴訟でございますけれども、この判決が出たことで大きく局面が変わったというふうに私自身は認識をいたしております。

 広島高裁判決は、黒い雨のみならず、空気中に滞留する放射性粒子や地上に到達した放射性微粒子が混入した飲食物を摂取して放射性微粒子を体内に取り込んだ、いわゆる体内被曝の健康被害を認める内容となっておりまして、また、原爆の放射線により健康被害を生じることを否定できない者も被爆者であると認められるとした、これまでからより踏み込んだ画期的な判決が出ております。

 広島の黒い雨訴訟、広島高裁判決について、当時の菅元総理が上告されなかったということがございます。政府として、上告をされなかったということについては、その判決内容を認めたという理解でよろしいのかどうか、武見大臣にお伺いをいたします。

武見国務大臣 先生御指摘の判決については、黒い雨や飲食物の摂取による内部被曝の健康影響を科学的な線量推計によらず広く認めるべきとした点については、従来の被爆者援護制度の考え方と相入れないものであり、引き続き、政府としては容認はできないという立場を取っております。

西岡分科員 上告断念ということの中で、菅元総理の、当時の総理の談話が発表されたわけでございますけれども、同じような事情にあった者という中に、長崎の被爆者は、自分たちも当然適用されるものだという理解をしたということがございますけれども、一方で、上告を断念した中で策定された広島の新しい認定基準でございますけれども、これは、黒い雨に遭ったことと十一種類の疾病をその要件としております。

 この広島高裁判決の内容とある意味異なる運用がされているということについて、武見大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 令和三年七月の総理談話において、政府としては、判決の問題点についての立場を明らかにした上で、上告を行わないというふうにいたしました。八十四名の原告の皆様に被爆者健康手帳を速やかに発行するとともに、原告と同じような事情にあった方々については、総理談話を踏まえて、判決の内容を分析した上で救済の基準を策定し、訴訟外においても救済することとしたものでございます。

 具体的には、厚生労働省が定める被爆者認定指針において、原告に共通する事情を基に要件を設定することとして、原告八十四名の方々の全員が、被爆への、原爆投下後の黒い雨に遭ったこと、それから十一類型の疾病を抱えておられたことが確認されたことから、この要件を被爆者健康手帳の交付要件としたところでございます。

西岡分科員 その判決の中で政府として認められるところと認められないところがあったということなんですけれども、判決自体は確定をいたしておりますので、この判決の内容というものは大きな意味を持つと申しますか、今後の被爆者援護施策について大きな影響を持つ判決であるということは言わなければなりませんし、この判決の内容とまた大きく異なる認定基準が広島で適用され、そして長崎では適用されないという状況が今生まれているということも事実でございます。

 次に、関連いたしましての質問ですけれども、上告断念の菅元総理の談話によりますと、被爆者援護法の理念に立ち返って、その救済を図るべきと考えるに至り、上告を断念したという言葉がございます。被爆者援護法第一条三号が被爆者と定義をする、原子爆弾が投下された際又はその後において身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情にあった者、このあった者に長崎のいわゆる被爆体験者が該当するというふうに思うんですけれども、これがなぜ該当しないという判断が、今政府で判断をされているのでしょうか。

 原告と同じような事情にあった人たちを被爆者と認め、早急に救済を検討するとされていることも談話に示されておりまして、広島に新しい認定基準が運用される中で、長崎に適用されず、ある意味、被爆者認定の基準がダブルスタンダードとなっているということは、一つの国家として、また、被爆地広島、長崎を分断するという意味でも法の下の平等に反するのではないかというふうに考えますけれども、武見大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 総理談話は、広島地裁や広島高裁を通じた事実認定を踏まえると一定の合理的根拠に基づいて被爆者健康手帳を交付することは可能であると判断して、示されたものでございます。この談話を踏まえて、原告と同じような事情にあった方々については訴訟外でも救済することを示したものであると認識をしております。

 一方、長崎については、過去に最高裁まで争われて、被爆地域として指定されていない地域においては、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えず、原子爆弾投下後も、間もなく雨が降ったとする客観的な記録がございません。こうした判決が既に確定をしております。

 このように広島と長崎とでは状況が異なるために、私どもはこれはダブルスタンダードであるとは考えておりません。

 長崎については、過去の裁判例との整合性に課題があり、そのため、黒い雨が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要があると考えておりまして、引き続き、こうした観点で長崎県、長崎市と対話を続けて、必要な対応をしていきたいと思います。

西岡分科員 今、長崎と広島では事情が違うという御説明があったわけでございますけれども、政府が長崎を認めない理由という中の大きな一つとして、最高裁でもう判決が確定をしているという御説明があるわけですけれども、今回の広島の判決を上告しなかったということは、ここでまた新しい局面に入っているというふうに私は考えておりまして、その政府の判断が長崎には及ばないということについては、私は大変疑問がございます。

 また一方で、そのときの菅元総理の上告断念の御判断の中には、政治家としての政治判断、政治決断をされたという面が、私は、一部なのか全部なのかそこは菅元総理にしか分からないんですけれども、明らかに政治的な、時の総理が判断をされたというふうに私は認識をいたしております。その時の総理の政治判断というものが、時の総理ですから、もう一方の被爆地長崎に適用されないということ自体が国家としては大変問題ではないかというふうに私は考えますけれども、武見大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

武見国務大臣 繰り返しになって恐縮ではございますけれども、広島と長崎については、今まで申し上げたような判決も含めて状況が異なっておって、長崎については、過去の裁判例との整合性に課題があって、そのため、黒い雨が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要性があると考えております。

 こうした科学的合理性、科学的根拠といったようなものが確認されれば、そこでまた新たに検討するということになっていくのではないかと思います。その中で、長崎県及び長崎市との話合いというのが進むんだろうと思います。

西岡分科員 今私が申し上げております被爆体験者と呼ばれる方々、地域外におられたために、被爆をして、先ほど申し上げました被爆者援護法第一条の三号の被爆者に該当するということで様々裁判でお訴えをいただいて、その後、様々な活動を牽引し、そして国にも行っておられる方々ですけれども、被爆体験者事業、これは、昨年には対象疾病の拡充が図られまして、この事業の根拠というのは、PTSDとの因果関係でこの事業がスタートしたわけでございますけれども、被爆体験によりPTSDがあるということの中でスタートした事業ですけれども、この対象疾病の拡充が図られたんですけれども、これは、PTSDと因果関係が明確ながんの一部が医療費支給対象に追加されました。また、更新手続が廃止され、従来、県外に居住されている方へは適用されていなかったんですけれども、県外移住者への適用という意味では、この事業の拡充が図られたことについては、大変敬意を表して評価をいたすところでございます。

 しかし、対象となるがんについては、胃がん、肝がん、膵がん、大腸がん、胆のうがん、乳がん、子宮体がんとなっておりまして、放射能の影響による白血病ですとか甲状腺がんが対象とならない、PTSDとの因果関係が証明できるがんしか対象にならない、今そういう状況になっている。ある意味不合理な状況となっています。

 PTSDが前提である現制度の矛盾、限界を示すものではないかというふうに私は考えておりますけれども、厚労省もこの制度の矛盾というのは認識をしておられるのではないかと私自身は拝察をいたしているわけですけれども、被爆者として認めていく方向で検討するよう、是非政策のかじを取っていただきたいと考えますけれども、厚生労働省の見解をお伺いをしたいというふうに思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がありました第二種健康診断特例区域におけるPTSDの事業、これは、先生御案内のとおりでありますが、平成十二年に長崎県が調査をした結果、当該地域において精神影響に関する、影響、健康不安、こういったものが認められるのではないかという御提案に基づいてできたものでございます。

 そもそも、この地域において放射線の被曝による健康影響というものは認められないというスタンスに立った上で、PTSDによる影響を提案をいただいて、事業がつくられたものでございます。

 したがいまして、PTSDに関連した疾患ということになりますが、令和四年の十二月に、合併症と発がんの関連性、ここを拡充するに当たりまして、被爆体験者精神影響等調査研究事業の拡充に関する検討会、これを立ち上げさせていただきました。専門家の先生に御議論をいただいた結果、事業の拡大に当たっては、精神的要因に関する疾病の合併症と発がんの関連性について一定のエビデンス、これがあるものから始めましょうということで、現在、胃がんなど七種のがんを調査対象とさせていただいております。

 原子爆弾の放射線による健康影響というものが直接認められていない中で立てられた事業でございますので、我々としては、特に矛盾があるというふうには考えておりません。

西岡分科員 被爆体験者の方々にとっても、この事業の拡充というのは、大変、ある意味ありがたいことではあるというふうに思うんですけれども、この事業がスタートしたときに、被爆体験者の皆さんにとっては、被爆者として認められるまでの一定期間の措置であるというふうな認識でおられたというところもございまして、大変落胆をされているのと、今回の、昨年のこの事業の拡充によって、被爆者として認められるという道がもう閉ざされたのではないかという大変悲痛な思いでおられるということは、是非お伝えをしたいというふうに思っております。

 被爆体験者につきましては、実は長崎においても、平成十一年に長崎市が、被爆時に、国が指定する区域外の証言調査というのを行いまして、回答者のうちかなりの方が、雨が降ったという証言をこの証言調査の中で証言をされております。ただ、国にとっては、この証言は科学的な裏づけがないということで認められていないという現状がございます。国が指定している被爆地域外で雨が降ったという客観的な記録がないこと、また、長崎の被爆体験者が、先ほど申し上げました最高裁での判決が確定をしている、この二つの点で今回、広島高裁判決が長崎に適用されないということを国が説明をされているわけです。

 これに対して、長崎県が専門家会議を設置をいたしまして、この国が示している二つの理由に対する検証を行って報告書を提出いたしましたけれども、この報告書の内容も国に退けられたという状況の中で、現在、長崎県と長崎市の要望によりまして、被爆者認定につながる記録、国が言うところの科学的な知見なのか、その記録を求めまして、現在、長崎原爆死没者追悼祈念館所蔵の被爆体験記を国が検証する作業が昨年七月からスタートいたしておりまして、精力的なお取組をいただいております。

 大体終了するのが一年間ということでおっしゃられていたわけでございますけれども、現在のこの検証の進捗状況について、また、一年後なのか今年の七月ぐらいなのか、検証結果が出た場合に、誰がどのような形で長崎において降雨、雨が降ったことや、放射能が入った灰が降ったということについての事実認定を行うのかどうかということをお聞きをしたいと思います。また、それが認められれば、広島同様に被爆者と認定をされるという理解でよいのかどうか、このことについて武見大臣にお伺いをさせていただきます。

武見国務大臣 国立原爆死没者追悼平和祈念館が所蔵する被爆体験記調査は、長崎県、長崎市からの要望を受け、祈念館において、過去の裁判例を覆すに足る新たな事実や知見の収集を目指して実施しているものであり、現在、体験記を読み込む作業を進めているところでございます。

 したがって、今まだ、現在、作業中でございますので、その結果どうするかということについては、今現在の段階で御返答することは難しいかと思います。

西岡分科員 この被爆体験記の検証とともに、放射線影響研究所、ABCCが実施しました残留放射線と降下物の研究結果の資料調査についても取り組んでいただいております。

 この進捗状況につきまして、厚生労働省にお伺いをいたします。

大坪政府参考人 お答えをいたします。

 ABCCが広島、長崎において実施したとされております原子爆弾投下後の残留放射線に関する調査の結果でございますが、昨年十月に民間事業者に委託をいたしまして、米国国立公文書館、また米国科学アカデミー、また米国トルーマン大統領図書館、この三か所において捜索をしているところでございますが、現時点でまだその書籍があるという報告は受けておりません。

西岡分科員 今、鋭意取り組んでいただいているというところでございます。この結果を待ちたいというふうに思っておりますけれども、今年も、八月九日、長崎原爆の日が参ります。この八月九日の長崎原爆平和祈念式典終了後には、総理大臣、厚生労働大臣に対しまして被爆者の皆様からの要望というものが例年なされておりますけれども、今まで質問させていただいております、いわゆる被爆体験者の皆様にはそういう機会がございません。是非、武見厚労大臣には、この被爆体験者の方々から直接お話を聞いていただいて、切実な要望を、直接お会いになってお話を是非聞いていただきたいと考えますけれども、武見厚労大臣の御見解をお伺いをいたしたいというふうに思います。

武見国務大臣 先生御指摘のように、八月九日の長崎原爆平和祈念式典後に、長崎市の主催で被爆者の方々から御要望をいただく会が開催されておりまして、厚生労働大臣も参加しております。

 この会は、被爆地域で原爆の被害に遭った被爆者の方々が安心して暮らせる援護施策をしっかりと進めていくという基本姿勢の中で長崎市が主催しているものでございまして、一義的にはその出席者は長崎市がお決めいただくものであります。

 ただ、その会の趣旨を踏まえれば、被爆体験者の追加には慎重な検討がやはり必要になってくると思います。

 なお、被爆体験者に対しては、昨年四月から医療費助成の対象に胃がんなど七種のがんを追加するなどの拡充を行ったところでございますので、引き続き必要な支援を実施していきたいと思います。

西岡分科員 今大臣からお話があったこと、その場でなかなかお会いするということは趣旨から難しいということは私自身も理解いたしますけれども、その場でなくても結構ですので、是非、厚労大臣、直接、被爆体験者の皆様とお会いをしてお話を聞いていただくという、それを是非要望したいというふうに思いますけれども、その場ではなくても結構ですので、御検討いただけるかどうかということについて御見解をいただいてよろしいでしょうか。

武見国務大臣 検討させていただきます。

西岡分科員 ありがとうございます。検討というお言葉をいただき、大変ありがたいというふうに思います。是非、直接お会いをいただくということ、これが大変、被爆体験者の皆様の願いでございますので、御検討をお願い申し上げたいというふうに思います。

 来年には、先ほど申し上げました被爆八十周年の節目というものを迎えます。これは、被爆体験者の皆様も大変高齢化をされておりまして、一刻の猶予もない状況でございます。

 これは岸田総理大臣に直接申し上げるべきところでございますけれども、特に、広島、被爆地出身の岸田総理のときに是非、政治決断を私自身として求めたいという思いでいっぱいでございますけれども、政府の一員である武見厚労大臣の御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

武見国務大臣 繰り返しになって本当に申し訳ないんですけれども、長崎については、過去に最高裁まで争われて、被爆地域として指定されていない地域においては、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えないと。原子爆弾投下後も、間もなく雨が降ったとする客観的な記録は今のところまだございません。そうした判決が確定をしております。広島と長崎とではそうした観点から状況が異なるために、長崎については、過去の裁判例との整合性に課題があり、そのため、黒い雨が降ったとする地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要性があると考えております。

 引き続き、長崎県、長崎市と対話を続けながら、必要な対応をしていきたいと思います。

西岡分科員 先ほどから検討していただいている被爆体験記ですとか、ABCCの資料を今捜していただいていることも含めて、是非この結果を待ちたいところでございますけれども、被爆者として認めてほしいというこの被爆体験者の切実な思いを是非国にも受け止めていただきまして、長崎市、長崎県にとっても大変重要な、この体験者の救済という課題でございますので、私も引き続き、大臣に様々な機会を捉えてお願いをしていきたいというふうに思います。

 是非一度お会いいただくことを重ねてお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

橋本主査 これにて西岡秀子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、後藤(茂)主査代理着席〕

後藤(茂)主査代理 次に、上田英俊君。

上田分科員 自由民主党、富山県第二区選出の上田英俊です。よろしくお願いいたします。

 今回の予算委員会分科会では、お金をテーマに厚生労働省に質問したいというふうに思っております。

 大臣、席を外されましたけれども、今回、答弁者は政府委員のみということでございますので、引き続き御退席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 さて、昨年一月以降、県内各地でいろいろな方々とお話をする中で、いろいろな声を聞いてまいりました。まず、電気料金、ガソリン代が高いよね、また、食料品、日用品の値上がりで生活が大変であるとか、あるいはまた、建築資材、農業用肥料等の急騰が経営を圧迫すると。物価上昇の悩みというものを、個人の方から、あるいはまた事業経営者の方々から聞いております。

 物価上昇を上回る賃金上昇が広く見られればよいわけでありますけれども、現状では、そういう状況ではないというふうに思います。政府、労働界、使用者の政労使が賃上げを共通の政策課題として、財政、税制等の政策をフル動員していると認識をしております。

 まず、今日に至るまで、労働者の実質賃金、可処分所得はどのように推移していると認識しているのか、また、上昇し続ける物価と賃金の関係をどのように見ているのか、まずは確認したいと思います。

森川政府参考人 お答えいたします。

 毎月勤労統計調査によりますと、名目賃金は令和四年一月から令和五年十二月まで二十四か月連続のプラスとなっている一方で、実質賃金は、御指摘のとおり、令和四年四月から令和五年十二月まで、二十一か月連続のマイナスとなってございます。

 消費者物価指数の伸びが名目賃金の伸びを上回る状況が続いているため、実質賃金がマイナスとなっているというふうに認識しております。

上田分科員 実質賃金は二十一か月連続でマイナスであるということでございます。

 生活を安定させるには、何といってもやはり使えるお金を増やすということなんだろうというふうに思います。可処分所得を増やすということに尽きるんだろうというふうに思います。パートであるとか、あるいは短時間労働者の方々、そして、社会保険である健康保険で言うところのいわゆる被扶養配偶者、国民年金における三号被保険者の方々にとって、もちろん全ての働く方々にとってでありますけれども、賃金が上昇し続けるということは非常に歓迎すべき点だろうというふうに思っています。

 しかしながら、百六万の壁であるとか百三十万といった年収の壁を意識せざるを得ないと考える人はたくさんおられるんだろうというふうに思います。時間給が上昇しても、百六万、百三十万の壁があることによって、結果として、就業調整せざるを得ない、労働時間を調整せざるを得ない、そして、そうした就業時間を調整するという行為そのものが更なる労働力不足に拍車をかけていると考えますが、どのように認識しているのか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたように、年収が一定の水準に到達いたしまして、そこで保険料負担が生じるということになりますと、その分手取り収入が減少しますので、これを回避する目的で就業調整をする方がいらっしゃるということを私どもとしても認識いたしております。

 こうした中で、年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しし、短時間労働者の所得の向上や人手不足の解消等の観点から、当面の対応策としまして、百六万の壁、百三十万の壁などへの対応を盛り込んだ年収の壁・支援強化パッケージをまとめ、今実施しているところでございます。

上田分科員 支援パッケージの詳細についてはまた後ほどお伺いしたいというふうに思います。

 まず、そもそもでありますけれども、百六万、百三十万等の年収の壁、税金であるとか社会保険の線引きでありますけれども、これは一体どのような趣旨で、また、どういった政策目的を狙って設けられたものか、確認をしたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘の二点のうち、まず、百六万の方でございますけれども、百六万円と申しますのは、短時間労働者に被用者保険を適用する際の賃金月額八・八万円という要件を年収に換算したものでございます。仮に、賃金月額八・八万円よりも低い賃金で被用者保険を適用した場合に、国民年金加入者よりも低い保険料負担で、基礎年金に加えて報酬比例部分の年金給付も受けられるというふうになることが公平でないのではないか、そういった観点からこのラインが設定されたというものでございます。

 また、もう一つの百三十万の方でございますけれども、いわゆる被扶養者の収入要件である百三十万円につきましては、健康保険法上の、主としてその被保険者により生計を維持するもの、この規定について、具体的指標として昭和五十二年に年収七十万円という基準を示し、その後、所得水準の伸び等を勘案して、数次にわたり改定を行った結果、平成五年より現在の年収百三十万円を基準としている、こういうものでございます。

上田分科員 昨年の八月だったと思いますけれども、岸田総理大臣が富山県の方にお見えになられまして、働く女性に優しい企業ということで現場を視察されました。私も立ち会わせていただいたわけでありますけれども、その日であったというふうに思いますけれども、総理の方から、年収の壁に対する対策を考えなければならないという発言があったというふうに記憶をしております。

 そこで、まず、詳細に教えていただけたらと思うわけでありますけれども、いわゆる年収の壁の対策のその内容といったものをまず確認したいというふうに思います。

橋本政府参考人 年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しし、短時間労働者の所得の向上や人手不足の解消の観点から、当面の対応策として、年収の壁・支援強化パッケージをまとめ、今実施しているところでございます。

 このパッケージには、一つは、キャリアアップ助成金のメニューを新設いたしまして、労働者本人負担分の保険料相当額の手当支給等を行う企業へ労働者一人当たり最大五十万円を支援する、それから、当該手当の支給に伴う新たな保険料負担が生じないようにする、そして、被扶養者が一時的に年収百三十万円以上となる場合にも、事業主が一時的な収入増である旨を証明することで被扶養者であることを円滑に認定する、こういった内容を盛り込んでございまして、今、着実に実行を進めているところでございます。

上田分科員 支援策でありますので、当然これにもお金が必要であるということなんだろうと思いますけれども、キャリアアップ助成金、あるいはまた社会保険適用促進手当の財源といったものを、まずは、これはどこに求めているのか、確認したいと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 百六万円の壁対策としてのキャリアアップ助成金についてでございますが、この対応を行うことにより、労働者の処遇改善やキャリアアップにつながっていくとともに、労働者が就業調整をせずに働くことで、企業の人材確保にもつながることでございますので、雇用保険を財源として、雇用保険事業として実施をしております。

 なお、社会保険適用促進手当は、事業主が労働者に対して支給をする手当となっております。

上田分科員 キャリアアップ助成金であるとか社会保険適用促進手当なるものの制度そのものについて否定する気は毛頭ございません。もちろん、いい制度なんだろうというふうに思います。

 ただ、一つ気になるのは、雇用保険に財源を求めているということであります。

 この百六万の壁対策において、健康保険であるとか、あるいは、厚生年金保険といった社会保険の、いわゆる旧厚生省の所管の社会保険の適用に対する対応策として、旧労働省の労働保険である雇用保険から支出するということに対して、私は、新しい不公平、不平等といったものが発生するのではないかというふうに思います。

 つまり、当然これは、先ほど局長の答弁からもありましたけれども、雇用保険二事業ということでありますから、労働者ではなくて事業主のみが負担したものが財源になっている。ただ、結果として、このキャリアアップ助成金、社会保険適用促進手当なるものの恩恵を受ける事業主もあれば、恩恵を受けない事業主もあるということであります。

 繰り返しになりますけれども、雇用保険二事業として、全ての適用対象事業主が雇用保険二事業に対して支出しているものを、あまねく、全ての企業と例えておきましょう、全ての企業が支出しているにもかかわらず、その恩恵を受ける企業もあれば恩恵を受けない企業もある。確かに、世の中には、助成金とかそういったものだよと言ってしまえばそのとおりなんだろうというふうに思いますけれども、改めて、雇用保険から支出することに対して、新しい不公平であるとか不平等といったものが発生するのではなかろうかということが、厚生労働省内で議論としてあったのかなかったのかを、まず、確認させていただきたいと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘のございましたキャリアアップ助成金でございますが、そもそも、従来から、短時間労働者の処遇改善の一環として、労働時間延長による社会保険の適用と収入増加の取組を支援をする短時間労働者労働時間延長コースということで実施をしてきたところでございます。

 そして、上田委員御指摘の、今般の百六万円の壁対策としてのキャリアアップ助成金は、短時間労働者に対して、従来からの労働時間の延長や賃上げに加えて、一時的な手当の支給により労働者の収入を増加させる取組を行った事業主、この事業主に対して助成を行うことにより、年収の壁を意識せずに被用者保険に加入して働き続けることができる環境づくりを後押しをする、そのような助成金です。

 このような助成金の取組によりまして、短時間労働者が社会保険に加入して働き続けることで、本人の処遇改善やキャリアアップによる雇用の安定が図られる、そして、就業調整をせずに働くことで企業の人材確保につながる、そういうことで考えておりまして、これは、失業の予防や雇用機会の増大等を目的とする雇用保険の趣旨に沿った取組であるというふうに考えております。

上田分科員 繰り返しになりますけれども、支援策そのものは結構な制度だというふうに思っております。

 しかしながら、どうも、この話をまず最初に聞いたときに、話をただ、より複雑にしているのではなかろうかというのが私の率直な印象でした。やはり、政策というものは、どこからどう見ても分かりやすいのが一番いいんだろうというふうに私はかねてより思っておりました。

 そこで、私はどう考えたかというと、単純に、百六万の壁と百三十万の壁を上げればいいのではないかと。物価は、物の値段が大変上がっている、日用品が上がっている、食料品が上がっている、電気代も高いよね、ガソリン代も高いよね。そういった点において、百六万の壁、百三十万の壁というものを、行政の方に政治判断を聞くのはおかしい話でありますけれども、政治判断として、緊急避難として、単純に百六万、百三十万の壁を引き上げることが、どなたがどう見ても一番分かりやすいのではないかというふうに考えておりました。

 そういった議論はあったのかなかったのかということを、まず確認したいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方から、いわゆる百六万の壁、百三十万の壁について、その金額を上げたらどうか、そういう議論があったのかということですけれども、一部にそういう議論があったということは承知しておりますけれども、厚生労働省の議論、厚生労働省でいろいろな、年金とか医療保険とか、こういう議論をしている中においては、むしろ、この年収の壁という問題については、就労形態の多様化が進む中で、労働者が壁を意識せずに働きやすい環境を整えて、特に、短時間の労働者の方がしっかりと老後の年金等を厚くしていくためには適用拡大が重要である、こういう御議論がずっと続いてきておりまして、むしろ、本来、そういう労働者の長期的な保障を考えると、この壁の問題については、引き上げていくという方向ではない方向で考えていくというのが今までの議論だったと認識しております。

上田分科員 これは考え方の相違点と言ってしまえばそれまでなんだろうというふうに思いますけれども、当然、社会保険を適用する、厚生年金が適用になる、健康保険が適用になることによって、あるいは病気をしたときに傷病手当金が出てくる、あるいはまたお子さんが生まれたときに出産手当金であるとか、そうした制度が受給することができるということは大変結構なことだというふうに思います。社会保険の適用対象を拡大していくという方向性は、全く正しいというふうに思います。

 また一方で、厚生年金に関して言うと、被保険者となることによって、数年後、数十年後の主に老齢厚生年金が受給することができるということも正しいことだというふうに思います。

 しかしながら、数年後、数十年後の年金が増額される、二階建てになるということは大変結構な話であるけれども、一番冒頭の、二十一か月連続実質賃金が下がっている、物価は上がり続けているということを考えた場合に、数年後、数十年後の年金受給額が増える。増えるといったって、そんな倍になるとかという話じゃないですよね、これは当然。

 それよりも、これは行政の方に聞くのは酷な質問かもしれませんけれども、数年後、数十年後の年金の額が増えるということよりも、今現在、止めどもなくという表現が適切だと思いますけれども、物価が上がっている、物の値段が上がっている、そうした中において、緊急避難的に、いわゆる壁を、百六万、百三十万の壁を上げることによって、目の前の可処分所得、手取り額が増えるということが大切なのではないかというふうに私は政治家として思うわけであります。

 これについて、何かコメントがあれば。行政の方に聞くのは、ちょっと大変、適切ではないかもしれませんけれども、答弁できるのであるならば。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘は、昨今の実質賃金が減っているとかいう状況とか、物価が上がっている中で、緊急避難的でも一時的に上げたらどうかというお話だと思います。

 そこについては、さっき申し上げたように、基本的には、長い将来を考えると適用拡大という方向があるんですけれども、他方、昨年、パッケージの中では、一時的に年収百三十万円以上となる場合について、事業主が証明すればという対応をしました。これはまさに先生がおっしゃられた、今、むしろ人手不足という議論があって、一時的にやはりどうしても、事業者の事由で、より働いていただかなきゃいけない事態が経済的な状況としてあるということを踏まえて、緊急的に対応させていただきました。

 ただ、あくまでもこれは一時的な対応でありまして、本来、人生百年時代、長いことを考えますと、しっかりと社会保険を適用して厚生年金を受給していただくという方策を導いていくということが大事だろうというふうに考えてございます。

上田分科員 改めてでありますけれども、社会保障、これは健康保険法が一番多分古かったと思いますけれども、健康保険にしても、厚生年金にしても、全くゼロからのスタートであるならば非常に分かりやすい制度設計とすることができるのでありましょうけれども、それぞれ一九〇〇年代から始まった社会保障でありますので、どうしても、社会情勢であるとか人口構造であるとか、そういったものを念頭に置きながら、経過措置として、あるいはまた新しい措置として適用せざるを得なかったというのは、これは全く当然のことだというふうに思います。

 やはり、社会保障の一番大切なところは、持続可能であるということが一番大切なんだろうというふうに思っておりますので、引き続き、こういった議論というのは、主に政治の場で本来すべきものだということを改めてこの場でお話をさせていただきたいというふうに思っています。

 政治が判断すべきところを行政の方々に質問したのはちょっと乱暴だったかなというふうに思いますけれども、あえて、これが会議録となって、様々な場で政治に携わる方々がいろいろな議論をするということが大切なんだろうというふうに思っておりますので、是非御理解を賜ればというふうに思っています。

 次に、年金についてお伺いしたいというふうに思います。

 年金は、現役世代の約四十年間に保険料を納めて、基本的には六十五歳以降のシルバーの時代に受給するという、非常に長い期間の社会保険であります。大ざっぱに言うと、四十年間保険料を支払って、平均寿命というものを考えた場合に、二十年間、二十五年間受給するという非常に息の長いのが年金であります。これは、短期的な健康保険制度とは異なるものというふうに思っております。

 特に、老齢年金というものは、リタイアした後の収入の大黒柱であります。年金制度につきましては、厚生年金については、労働者年金としてスタートして、順次、被保険者の対象等を拡大してきて、昭和六十年の改正によって、老齢厚生年金として、二階建ての二階の部分として今日に厚生年金は至っている。一方、国民年金については、昭和三十六年の国民皆年金としてスタートして、同じく、昭和六十年の改正によって、こちらは、一階部分の老齢基礎年金として今日に至っている。

 まず、そこで、この議論のスタートラインとして、昭和六十年の改正点の論点について確認をしたいというふうに思います。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました昭和六十年の年金制度改正におきましては、非常に多岐にわたる事項について改正を行ったわけでございますが、特に二つの点に絞って申し上げますと、一つは、様々な制度に分立していた年金制度を、横断的な国民共通の基礎年金を土台とした仕組みへと再編をして、長期的に安定した制度体系を確立したということが一点でございます。

 そして、二点目といたしましては、それまで任意加入となっておりましたサラリーマン世帯の被扶養配偶者についても、第三号被保険者として自分名義の基礎年金を確保することで、女性の年金権を確立したということ、こういった内容が主たる内容として挙げられると思います。

上田分科員 今ほど答弁にもありましたように、年金制度というものは、これは元々恩給制度から始まった制度でありますので、公務員の方々、あるいはまた労働者の方々、そしてまた自営業、農家の方々、そういったそれぞれ別々の制度だったものを一つにしようじゃないかということで、昭和六十年の改正によって基礎年金制度ができて、労働者として働いておられる方は二階建ての部分ももらえるということであります。

 そこで、今ほど局長の答弁にもありましたけれども、三号被保険者の話であります。

 いわゆる被扶養配偶者である三号被保険者の保険料といったものは、その配偶者の年金保険料、つまり、今日では、事業主負担も含めて、標準報酬月額の一八・三%の中に三号被保険者の保険料も含まれているという認識でよろしいですか。

橋本政府参考人 第三号被保険者につきましては、本人からの保険料負担は徴収をしない、そして、基礎年金給付に必要な費用は、基礎年金拠出金の仕組みを通じて被用者年金制度全体で負担するということとしておりますので、第三号被保険者の配偶者を含む厚生年金被保険者の保険料負担の中にその費用は含まれているというふうな整理になるかと思います。

上田分科員 一時、社会保険庁があった頃に、年金というのは非常に大きな問題となりました。その結果として、今日でも、非常に残念なことなのは、年金に対する不安感とか不信感とか不満感とかというものがなかなか拭い切れていないのではなかろうかというふうに思っております。非常に残念なことだというふうに思います。

 そこで、年金について、年金の受給額といったものはそれぞれ一人一人異なるというふうに思っています。どのような働き方をしていたのか、あるいはどれくらいの報酬、給与をいただいていたのか、あるいはまた保険料の支払い期間、払込期間によっても当然異なってきます。さらに、六十歳からの繰上げ受給であるとか、七十五歳までの繰下げ受給であるとか、そういった、それぞれ一人一人年金といったものは異なってくるのは当然のことだというふうに理解をしています。

 そこで、一つ教えていただきたいのは、年金受給者、今現在年金をもらっている方々の最大のボリュームゾーンというのは、年金額というのは、幾らぐらいもらっておられるのか、そして、どのくらいの受給者の方々なのか、数ですね。そしてまた、推測で結構ですので、そういった方々、ボリュームゾーンの方々は、年金を幾らもらっていて、どのくらい日本におられて、そしてどのような働き方であったのかということを確認したいというふうに思います。

橋本政府参考人 まずは、委員今おっしゃっていただきましたように、年金受給者の実態というのは様々でございますけれども、令和四年の老齢年金受給者実態調査によりますと、本人の年間の公的年金の年金額につきましては、六十五歳以上の男性について見ますと、老齢年金受給者千四百八十万人のうち、約三割に当たる四百七十万人が年額二百万円から二百五十万円の区分に属しております。その多くの方々は、現役時代の経歴類型が正社員中心というふうな形になってございます。

 一方、女性の方でございますけれども、六十五歳以上の女性の老齢年金受給者千九百四十二万人のうち、約三割に当たる五百十七万人が年額七十五万円から百万円という区分に属しまして、そのうち、現役時代の経歴類型ということで見てみまして、最も多いものの順に申しますと、常勤パート中心であったという方が百二十六万人、それから、自営業中心であったという方が百三万人、そして、収入を伴う仕事をしていない期間中心であったという方が九十五万人、こういった実態になってございます。

上田分科員 最大のボリュームゾーンが二百万円から二百五十万円、そして、女性というふうに言われましたけれども、七十五万円から百万円ということでありますので、では、年金だけで果たして生活していけるのかということを考えた場合に、もちろん、個人の流動資産、固定資産をどれだけ持っておられるのかによって、なかなか簡単には話はできない、個人の資産状況により年金だけで生活していける方もおるかもしれないけれども、おられないかもしれない。

 年金は、リタイア後の収入の大黒柱ではありますけれども、年金だけで生活できるという制度設計にそもそもなっているのか。そしてまた、やはりこの数字では当然、年金だけでは生活していくのが大変厳しいよねという感覚になるんだろうというふうに思います。

 であるならば、年金だけでは生活が難しいという、やはり年金というものの在り方、年金教育といったものを学生であるとかあるいは現役世代のうちから早めにきちっと示しておく、年金教育といったものは物すごく大切じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 今おっしゃっていただきましたとおり、公的年金は老後を支える重要な柱ではございますけれども、それだけで老後の生活の全てを賄えるというものではありませんで、現役時代に構築しました生活基盤とか、あるいは貯蓄等を組み合わせて老後の生活を送るという考え方に立って給付の設計が行われております。

 年金教育という御指摘があったわけでございますけれども、厚生労働省におきましては、若い世代向けの参加型広報としての学生との年金対話集会ですとか、あるいは公的年金制度の意義等を解説する動画ですとか、あるいは将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターですとか、あるいは被用者保険に加入するメリットを紹介する厚生労働省ホームページの特設サイト、こういったことをいろいろ駆使しまして、普及啓発の取組を進めております。

 また、日本年金機構におきましても、大学や高校等において年金セミナーを開催するなど、周知広報に取り組んでいるところでございます。

 本年度におきましては、これに加えまして、中学生、高校生向けに分かりやすい新しい年金教育教材の製作ということを今進めているところでございまして、来年度におきましては、これを全国の中学校、高校に提供していきたいというふうに考えております。

 引き続き、分かりやすく正確な年金教育、広報ということに積極的に取り組みたいと考えております。

上田分科員 学校を卒業して社会人になったばかりの世代であるとか、三十代、四十代の世代というのは、年金というのはどういうものか分からないと思うんですよね。給与の明細票をきちっと見て、健康保険料が幾ら取られている、厚生年金保険料をどれだけ納めているかというのは、やはりなかなか分からないということが多分あるんだろうというふうに思います。そういった点において、やはり年金教育といったものをしっかりしていくということが大変大切だろうというふうに思います。

 最後に一点お尋ねしますけれども、年金制度について五年に一度の財政検証といったものが行われるということでありますけれども、多分、社会保障制度審議会の年金部会で議論される形になるんだろうと思いますので、この場ではなかなか言えないかもしれませんけれども、次の論点の主なものはどういったものが考えられるのかということをまず教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 年金制度におきましては、少なくとも五年ごとに、人口や経済の長期の前提に基づいて、おおむね百年間の収支の見通しを確認する財政検証ということを行うこととしておりまして、今年がその年に当たります。

 年金制度については、社会や経済の状況を踏まえて不断の見直しをこれまで行ってきておりますが、現在、社会保障審議会年金部会において、現役期との関わり、それから家族との関わり、高齢期との関わり、こういったライフコースと年金制度の関わりという切り口から様々な議論を行っていただいているところであります。

 これらの検討事項の中には、例えば基礎年金の給付水準に関わる論点ですとか、そのほか、御質問いただきましたいわゆる年収の壁にも関連するわけでありますが、被用者保険の適用拡大など、こういった多様な論点が含まれております。いずれも重要な課題でございますので、次期改革に向けてしっかりと検討していきたいというふうに思います。

上田分科員 終わります。ありがとうございました。

後藤(茂)主査代理 これにて上田英俊君の質疑は終了いたしました。

 次に、沢田良君。

沢田分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の沢田良と申します。

 本日、初めてこちら第五分科会で質疑をさせていただきます。厚生労働省の所管する分野は多岐にわたりますが、本日は、人口減少社会における働き方について議論させていただきたいというふうに思っております。

 少子高齢化や産業構造の変化、さらにAI等の技術革新が目覚ましい現代において、このままではいけないのではないかという危機感は、政府の掲げる三位一体の労働市場改革にも表れております。私も見させていただいたときに、本当に、これからこのままの方向に進んでいけば、今まで働いていた人が少し見えなかった景色が見えるんじゃないのかなというところも感じているところがあります。

 一番大事なところは、我々政治がどういう方向へ導きたいかということも当然あるんですけれども、それ以上に、労働者自身が安心して、納得して、私たちがつくる新しい方向性の改革の流れに乗っていただけるような議論を続けていかなければいけないということだと思いますので、是非、本日、お時間いただきましたので、大臣の率直なお考えも教えていただければと思います。

 まずは、昨夜遅くまで委員会の準備をしていただきました委員部の皆様にも感謝を申し上げて、そして質疑に入らせていただきたいと思います。大臣始め厚労省の皆様、財務省から中村審議官、どうぞよろしくお願いいたします。

 一番最初、まず、最低限の労働条件やハラスメントについて確実に企業に伝えるためにどのようなことをしているかということを質問させていただきたいので、よろしくお願いいたします。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 企業が守るべき労働法制につきましては、企業規模を問わず制度の周知を図っていくということは大変重要なことでございます。このため、都道府県労働局、労働基準監督署においては、特に中小企業等に対して、法令に関する知識や労務管理体制の状況を十分に把握し、理解をしつつ、きめ細やかな相談支援を行っているところでございます。

 最低限の労働条件でございますとかハラスメントといった労働法制は、労使双方に十分に周知をされること、そして遵守されることが重要であることから、説明会の開催や、個別の事業場を訪問して相談対応する等、中小企業にも制度が浸透するよう、引き続き、周知啓発の強化に努めてまいりたいと存じます。

沢田分科員 ありがとうございます。

 まさに、この情報をしっかり持って対応していけば全ての労働者が守られるということは、私は今の制度でもできるんじゃないのかなと思っているんですけれども、そうなっていないのが現状なのかなというふうに思うんですね。

 特に、私は元々飲食業をやっていたんですけれども、飲食かいわいは、まさに、汚い、臭いと嫌がられるというような仕事の中で、ブラック労働というものも、いろいろな角度で、経営者の指示であったり、当時のアルバイトのリーダーが真面目過ぎて、その人を見たみんながついていった結果、誰も時給が発生しないということが起こったりと、いろいろな要因で起こってしまう。

 だけれども、何かあったときに例えば労働基準監督署に行こうとか、例えば何かあったときに厚生労働省に相談をしようとか、そういった考え方がまずそもそもないという方が、私は、いろいろな生き方の中ですごく多くあるなと感じているんですね。

 大企業にいくと、当然最近厳しいですよね。社会的な制裁がもうインターネットで、こんなことがあったというと、こてんぱんにたたかれてしまう。こういう状況の中で、一時期、大変あってはいけないこととして、パワハラの行方の中で自死された方、電通なんかはやはり物すごく大きくたたかれました。

 こういうこととか、大企業は労働組合があったり、当然、労務であったりハラスメントの担当する部署というものを持っているような会社もあります。それに比べると、やはり中小零細企業ということであったり、もちろん個人事業主の方々、又は労働者本人、そういった方々が余りにもかけ離れた環境の中にいらっしゃるのではないのかというところを私はちょっと問題意識を持っております。

 そういった中では、先ほどのような準備があればいいんだけれども、やはり、これまでとは違った切り口で、どちらかというと、いろいろなものがあるんだよということを伝えていくと同時に、全ての人が分かっている状態にしていくという検討を、是非大臣の方にも御検討いただけないかなということと、もう一つ、ちょっと、早急な提案として、私はやはり、経営をつかさどる人間、人を雇う人間、まずはここからいわゆる資格制度みたいなものを持って、それは一日ぐらいの簡単な研修とかで構わないと思うんです、ハラスメントであったり、又は、最低限こういったことは雇用の中でしちゃいけないよねというようなことをまず導入していけば。

 私が見える現場で起こるのは、結構真面目な労働者の方が、要は、私は今ハラスメントを受けているんじゃないかということを相談をしたら、上から、あいつ面倒くさいなという扱いになってしまって、結果として余り会社でいづらくなってしまったと。でも、私、何となくイメージがつくんですね、自分が小さい会社にいたものですから。そういうところで、やはり、すごく難しい話をされたときに忌避感というか、すごく苦手意識があったのも事実あります。

 今、政治の現場に入って、厚生労働省さん含めてです、いろいろな仕組みの中に入ってみると、ああ、知っていたらこんなことがあったんだ、分かっていたらこんなことができたんだということを考えると、そういったことをまず上の方からやってあげないと、正しいやり取りも、下からしたときに、ああ、そうだよね、これはハラスメントだよね、ごめんねというところで直せないところも考えると、そういった早急な手はずとしてもまずやれることがあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、率直な御意見をいただけないでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、特に中小企業、こうした小規模な事業所なんかの場合には、いわゆる人事担当といったような人がきちんと置かれないとか、また、委員御指摘のような役割を担う方がいないために相談もできないというようなことが現実に起こり得るというふうに、確かに私も思います。そうした観点から、厚労省の労働基準監督機関による説明会とか、個別の事業場を訪問して相談対応を行うなどの取組は実施しております。

 例えば、令和四年四月に、パワーハラスメントの雇用管理上の措置義務が中小事業主まで適用拡大をされました。その際、中小企業事業主を対象としたリーフレットを作成をしたり、それから、ハラスメントについてより分かりやすい周知啓発が図られるように、啓発動画とか職場のハラスメント撲滅月間ポスターといったようなものを作成するなど、中小企業が分かりやすい形で周知を実施しようと私どもも努めてまいりました。

 ただ、それが先生のおっしゃるような全く角度の違う方法で周知される仕組みにどこまで近づいているかは、まだちょっと推測できかねますけれども、そうした努力を引き続きやる。しかも、そういうときにはいわゆる業界団体の、例えば地元の日本商工会議所みたいなところにも御協力をいただいて、そうした関係団体と連携して、中小企業やそこで働く労働者に理解しやすい形を整えていく、そして周知させていく、こういったことがやはり必要かなというふうに思います。

沢田分科員 大臣、今の前向きな御答弁、ありがとうございます。

 僕は、個人的にはやはり、本当は文科省さんが、我々、子供から大人になるときに必ず仕事というものとつき合うということにおいて、経営者とはどういうものなのか、また労働するということはどういうことなのかということを全員が広く知識を持った中で働く現場に入れるような世の中になるのが一番いいなと思うんですけれども。

 先ほどお伝えしたように、私も、前向きに、リスキリングであったり含めて、働きたいという方がより高みに上っていったり、企業においても、失業がいい形で、新しい方をどんどん採っていけるマッチングになっていくとかというのはすごくいいなと思う反面、やはり、私が今までいた環境というものは、どうしても、情報を自ら取れない方が多かったように感じるんですね。

 時給がやはり安い、そうすると働く時間も一日八時間を超えて長くなって、結局それを忘れるかのように夜お酒を飲んでしまって、そして、その中で、自分は何をして働いているんだろうということも考えられなくなっているときに、こういう情報があるんですよと言っても、やはり無理なところがあるというところは、是非、やはり、大臣の新しいお知恵であったり厚生労働省の皆さんの英知を結集していただいて、どちらかというと、仕組みがありますということよりも、カジュアルに、今情報を与えても拾えない人たちにどう伝えていくのかということと、あとは、責任のある人間にしっかりとまずは周知徹底をするために一体どういったことができるのかということを前進させていただければと思いますので、是非、大臣、これからの未来のためにも御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、今あるいわゆる労働法制というものが、私はかなり古い日本の構造の中ででき上がったものなのではないのかなというふうに感じておりまして。その中で、まずは、共働きというものが本当に増えている。

 今の法制度が大体つくられたのが、旧工場法ですか、というものが一つ基軸になっていて、そのときは、いわゆる工場であったり第二次産業というものがメインだった時期ですね。いわゆる共働きではなくて専業主婦で、単身の方が幾らでも働けるというような、そういうような環境の中に法制度ができたというふうに思っているんですけれども、今は、卒業を間近にして七〇%の学生が共働きを考えているというような意見もあるというデータを見せていただきまして。

 まさに共働きが増える中、今までのいわゆる無限定な働き方、無限定正社員なんて正式にはいうらしいんですけれども、いわゆる配置転換があります、それから残業もあります、それから勤務地も替わりますと。海外から見ると奴隷なんじゃないかというぐらい、これは実は日本では当たり前ですけれども、そういう厳しい目線で見られている部分でもあるんですけれども、そういった、いわゆる今までの日本の当たり前のこの無限定な正社員の在り方について、厚生労働省はどのように変わっていくというふうに考えているのか、教えていただければと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、沢田委員御指摘の無限定の正社員とか、正社員とか、そのような言葉に関してちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、法令上の用語ということではないんですけれども、一般に、正社員のうち職務、勤務地、労働時間が限定的でない者をいわゆる正社員というふうな形で呼び、あるいは、いずれかが限定的な者は、多様な正社員、限定正社員と呼ぶということがございます。

 そして、データ的なところも御紹介をさせていただきますと、平成三十年に実施をした調査では、いわゆる正社員で働く方のうち、引き続きそのいわゆる正社員としての働き方を希望するという方が六三・八%となっておりました。一方で、今後、五年先を見据えて、限定正社員という働き方を希望する可能性があると回答した方は三〇・三%となっておりました。

 厚生労働省といたしましては、このような労働者のニーズに応じて多様でかつ柔軟な働き方が選択できるようにということを考えております。例えば、多様な正社員について好事例の周知や企業への導入支援等を行い、制度の導入や定着、こういったことを推進してまいりたいと存じます。

沢田分科員 どうもありがとうございます。

 でも、この六三・八%の方が今の働き方をというのが、まさに私は今の当たり前に多くの方が縛られてしまっているという状況だと思います。

 今、政府が主管して、三位一体の労働市場改革、これはまさに今までの当たり前をちょっと飛び越えていこうということがこの軸になります。こうなってくると、私たちが今、戦っていくというよりも、目標とすべきは、この六三・八%をどれだけ下げていけるか、その中で、働いていただける方が今よりも満足度を高めていっていただくかということなんだなというふうには思っております。

 補足させていただくと、多分この六三・八%も男性がやはり多いという傾向もあると思うんですね、正社員の比率でいうと男性の方が圧倒的に多くなりますので。そうなってくると、やはり、これから女性の活躍ということも大臣も抱負をいろいろなところでおっしゃっているところで、こういった女性の意見も是非取り込んだ中で、データの方をいろいろとこれからも比べて、引き上げていけるように御尽力いただければと思います。

 そして、時代がどんどん変わっているという背景もちょっとお伝えしたいのが、新型コロナウイルスが大変長い間多くの皆様の暮らしを苦しめた。ただ、技術というものはその中で絶えず努力を続けて、テレワークなんというものは、私も正直こんなに定着するものなのかなというふうに感じていたものであります。けれども、本当に、我が日本維新の会でもこのテレワークでいろいろな人間とやり取りをしたり、例えば県の仲間とテレワークをしたりということが日常になったときに、今まで交通移動していたものがなくなったとか、あとは、実はパジャマを着ているんだけれども会議ができちゃうとか、そんなところがすごくカジュアルであり、実際、必要なことができるなと思って、いいなと思うんですね。

 ちょっとそれとは違うんですけれども、AIというものがいろいろなところですごい活躍を始めていまして、特にAIといえば、株式市場を物すごい引き上げているのもまたこのAIの可能性ということが全世界をめぐって引き上がっているわけなんですけれども、AIなども使い方によったりすれば新たな技術が雇用に与える影響というものは、私はかなり大きいんじゃないかなというふうに思っているんですね。これについて厚労省の方では議論されているのか。要は、働く現場の担当の厚労省さんがしっかりとした議論をしていただけているということが、やはり国民全体の安心感につながると思うんですけれども、教えていただければ。

山田政府参考人 委員の御指摘のAI等の新たなテクノロジーが雇用に与える影響については、新たなテクノロジーによって仕事内容が変化することが想定されるという指摘がある一方で、労働生産性や個々の労働者のウェルビーイングの向上が期待されるという意見もあると承知しております。

 厚生労働省としては、丁寧な労使コミュニケーションを通じて労使双方の納得感を高めながら、新たなテクノロジーを職場に導入することで働く人全ての活躍や労働生産性の向上を図ることが重要と考えております。

 今後とも、有識者との意見交換等を通じて、AI等の新たなテクノロジーが雇用に与える影響については注視してまいりたいと思います。

沢田分科員 どうもありがとうございます。

 是非、私もちょっともう見えないぐらい、今四十四歳なんですけれども、一応何とか頑張って時代に追いつこうとはしているんですけれども、やはり小学校三年生の息子の方が何かいろいろなものを新しく使ってどんどんどんどん進んでいっているのを見ると、ああ、やはりちょっと四十四でも厳しい時代なのかなと思うと、やはり、省庁の方で研究であったりとか議論であったり等、そういったものを忌憚なくいろいろやっていただけることがこれからの制度設計に大きく役立つと思いますので、是非、引き続きよろしくお願いいたします。

 これに続きまして、ちょっと先ほども紹介させていただいたんですけれども、いわゆる第二次産業というものから、今、第三次産業、いわゆるサービス業を中心にはなるんですけれども、時代が大きく変わってきているタイミングになると思っております。これがやはり、労働基準法制全般においても私は対応が必要なんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、これは厚生労働省はどう考えますか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のように、今の労働基準行政がいささか時代に合わない部分が出てきているという御指摘もありますことから、労働基準法制をどのような方向で見直していくかにつきまして、昨年、新しい時代の働き方に関する研究会というのを開催しまして検討してまいりました。

 この報告書が十月に出たわけでございますけれども、この中では、労働基準法制につきまして、全ての働く人が心身の健康を守るという視点と、働く人の求める働き方の多様な希望に応えるために支えるという視点を念頭に、企業を取り巻く環境の変化や働き方の希望の多様化などを踏まえまして、シンプルで分かりやすい制度を目指していくことが提言されております。

 これを受けまして、私ども厚生労働省では、本年一月から、具体的にどの条文をどう直せばいいのかということにつきまして、労働法や経済の学識経験者を参集させまして、労働基準関係法制研究会というものを立ち上げました。

 引き続き、労働基準関係法制の在り方につきまして、この場におきまして具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

沢田分科員 ありがとうございます。

 引き続き今の時代に合った形というものを進めていっていただければ。同じ問題意識を持っているということを確認できたので、安心しました。

 それで、大臣、今ちょっといろいろ話させていただいたんですけれども、いろいろな、働くということが大きく変わっている時代になっているというふうに思っています。

 例えば、第三次産業が中心となって、工場労働者を想定した法制度が限界を迎えていたり、変化のスピードがとてつもなく速くて、大企業でも安定した強さを発揮できない状況がこれからも想定できる。共働きが一般的な中、今までの無限定な働き方はどうしたらいいだろうか。又は、グローバル化など働き方を世界標準にも合わせなければいけなくなってきている。

 そもそも働く人口が大幅に減ってきているということがあるんですけれども、こういった状況を踏まえて、どのようにこれから少ない人数の中で経済を担っていくのがいいか、大臣、個人的な意見があったら教えてください。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、少子高齢化社会の進行の中で生産労働人口がどんどん縮小していく、特に二〇三〇年代に生産労働人口が急激に縮小していく傾向がございます。二〇四〇年のときには今度は高齢者人口もピークになって、減少に転じて、それによって我が国の人口というのは大幅に縮小をし、しかも社会の活力が確実に失われていくという、そういう人口構造の変化が見通せます。

 したがって、それに対応して、どうやって我が国の中で社会の活力を維持し、そして国民一人一人が生きがいの持てる社会を再構築していくのかということをやはり考えなければなりません。

 そういうときに、やはりまずは、健康寿命の延伸を図りつつ、そうした中で、働く希望のある方にはできるだけ長い期間、生産性の高い仕事にも就いていただくようにするとか、あるいは、御指摘のように共働き、女性にもっともっと社会に進出して活躍をしていただく。それからさらに今度は、外国人の方にもできるだけ優秀な方に来ていただければありがたいのでありますが、日本に来て働いていただく。そしてまた、AIとかロボットとか、人でなくてもロボットやAIが代わってできるものについてはそうしたものに積極的に関与させて、それによって、我が国の社会が少子高齢化、生産労働人口の縮小という傾向の中にあっても確実に社会のダイナミズムがきちんと維持できるようにするというのが、基本的な考え方として求められるんじゃないかと思います。

 その中で、現在、具体的に労働力という観点で見たときに、先ほどから先生から御指摘いただいております三位一体の労働改革を通じて、具体的にそうした大きな枠組みの中での重要な政策を労働政策として今展開させていただいている、こういうふうに御理解いただけるとありがたいと思います。

沢田分科員 大臣、ありがとうございます。

 本当に全く同じ問題意識で、今大臣がずっと言っていただけた部分、是非進めていけるように、私も野党の一員としてしっかりと声を上げていきたいと思いますので、頑張っていきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと具体的な話になるんですけれども、私は、この三位一体の改革を進めていく上で大事なことというのが、副業や兼業や出向、こういったものを、リスキリングとか、会社の方で協力もできるような範囲を広げていくことであったり、又は、会社以外のところになると、企業がやらなくなるような教育訓練を公的にサポートすること、こういったことがすごく重要になるというふうに考えるんです。

 その中で、やはり、今の正規、非正規という表現、これをずっといろいろ見ていても分からないことがいっぱいあり過ぎて、実際この言葉を使っていくのがいいのかどうかというふうに思うことが、指標でもあるんですね。やはり、正しくどういうふうに使われているのかというのを知るということが一番重要だなと思うと、正規、非正規という呼称は私は使うべきではないのかなというふうに思っているところがあります。

 ちょっと、質疑時間が詰まっているので、一番と二番を飛ばさせていただこうと思うんですけれども。

 大臣になんですけれども、私は、大事なこととして、短時間で働かれる方であったり、配転希望をしない方であったり、又は転勤はしたくないということであったり、そういったことがやはり大事な、いわゆる働く労働者の側のメッセージであったりすると思うんですね。そして、当然、今までと同じように、どんな状況でも働ける、転勤もいいよ、配属転換も構わない、それから残業もやるよという方も、それもまた働き方だと思うんです。

 ただ、これを正確にもし厚生労働省が認識することができれば、私は、その上で、例えばこの企業さんはかなり多くのものを受け入れている、ならばもっとこういうところを応援しようであったり、労働者の側も、ここにはもっとこういったアプローチができるんじゃないかなということができるんじゃないのかなというふうに思うんですね。

 そういった意味で、私は、非正規、正規という呼称を使うのをやめたらいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、政治的な断裂も生んでいるということも含めて、大臣、御意見どうでしょうか。

武見国務大臣 企業内において、いわゆる正社員とされる労働者とそれ以外の労働者の間には賃金、福利厚生などの様々な待遇差があるということは大きな課題になっております。

 これらの正社員以外の労働者には企業横断的に共通する課題もあることから、パートタイムそれから有期雇用などのいわゆる正社員以外の雇用形態を非正規雇用労働者というふうに総称して、私ども対象を整理させていただいております。それによって課題の分析や対策を講じているところです。

 一方、御指摘のとおり、正社員についても、職務や勤務地が限定されている多様な正社員など、働き方が多様化していることも事実でございます。

 厚生労働省としては、こうした雇用形態にかかわらず公正な待遇を確保するために、まず同一労働同一賃金の遵守の徹底などを図っているところでございまして、引き続き、こうした多様な働き方を自由に選択できるような、そうした社会を実現していくように目指していきたいと思います。

沢田分科員 どうもありがとうございます。

 是非、同一労働同一賃金なればこそ、肩書というものが、非正規、正規の区分けではなくて、より細かいものに多分なっていくと思いますので、是非、大臣在任中に少し御提起いただければというふうに思っております。

 続きまして、四番目に行かせていただくんですけれども、これはちょっと、財務省さんに来ていただいたんですけれども、済みません、ちょっと時間の都合で飛ばさせていただきます。申し訳ございません。

 これは、退職金の控除の在り方について、やはり、長く働いた方が余り得をするという仕組みが、しっかりと、労働移動であったりとかこれからの在り方にとってどうなんだろうという議論が度々出ているということをちょっと御紹介させていただきたかっただけなんですけれども。

 続きまして、今の在り方として、失業保険の在り方なんですね。自己都合、会社都合について今あります。これは、基本的には、今の三位一体の改革の方向性でも、できる限り自己都合ということの方向性じゃないようにしていこうというふうなことで、リスキリングを辞める一年前までにしていた場合又は後日した場合には、会社都合と同じようなところにしようというのが今国会にも出されるということは伺っているんですけれども。

 要は、問題意識としては、やはり、個人の都合であっても基本的には認めていく方に行こうよということであったらば、私は、分かりやすく、ここはもう自己都合も会社都合も一緒くたにしてやっていく、働くという意思を尊重する新しい当たり前を、大臣の方では、是非、ホップ、ステップのステップのところで上がってほしいなと思うんですけれども、大臣、どうでしょう。

武見国務大臣 今委員御指摘になられた、自らの意思により離職をする者について、原則二か月は基本手当を受給できない給付制限期間が設けられたりしております。

 昨年六月に閣議決定された骨太の方針を踏まえて労働政策審議会で御議論をいただいた結果、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点から、現行の二か月の給付制限期間を一か月というふうにするとともに、自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合には給付制限を課さずに基本手当を支給する、こういったこととされておりまして、この見直しの内容を含む雇用保険法の改正法案を、先生御指摘のとおり国会に提出したところでございます。

 転職を試みる労働者の皆さん方が安心して再就職活動が行えるようにするということが、非常に重要な基本的な考え方になるだろうと思います。

沢田分科員 済みません、時間ぎりぎりで最後の質問をさせていただきたいんですけれども、日本経済新聞で、七十歳以降働きたいというのが最多三九%という記事が載ってあって、これは大変うれしいことでもあり、元気な方々が増えているなというふうに思います。

 令和三年の高年齢者雇用安定法の改正により、七十歳までの定年年齢の引上げが、努めることと、努力義務になりました。

 今、失業保険の給付対象年齢が六十五歳未満と六十五歳以上だと劇的に変わる状況があるんですね。六十四歳十一か月で辞めると一応百五十日間ぐらいもらえてしまう、パターンによっては。それが、六十五年まで頑張ると五十日に減ってしまう。これはやはり、努力義務ではあっても、法制度の穴になってしまうのではないのかなと。

 やはり、七十歳まで働きたいという三九%の人たちを六十四歳十一か月で辞めさせないためにも、私は、一旦七十という目標を出している以上は、七十歳まではしっかりと適用を広げていただきたいと思うんですけれども、大臣、最後にお言葉をいただければと思います。

武見国務大臣 意欲のある高年齢者の方がその能力を十分に発揮できる環境を整備するために、高年齢者雇用安定法において七十歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とするなど、高年齢者の就業を促進するという政策を今もう既に取っております。

 御指摘の六十五歳以上の求職者に対する雇用保険の給付については、これまで培ってきた人間関係やスキルを活用して再就職される方も大変多いので、六十五歳未満の求職者のように、ハローワークに四週間に一回来所し、求職活動の実績の報告を求める方式が必ずしも効果的な再就職支援とは言えないために、一回の失業認定でまとめて一時金を支給することによって御本人が自由に求職活動を行うことができるような仕組みとしているところであります。

 今後、働く高年齢者の増加が見込まれる中で、高年齢者に対する就職支援と雇用保険給付の在り方については、その求職活動の実態をしっかりと踏まえながら検討を進めていきたい、こう考えております。

沢田分科員 大臣、御丁寧に最後までありがとうございました。

 今日は質疑をちょっと飛ばしてしまって申し訳ございません。

 今日はありがとうございます。

後藤(茂)主査代理 これにて沢田良君の質疑は終了いたしました。

    〔後藤(茂)主査代理退席、主査着席〕

橋本主査 次に、北神圭朗君。

北神分科員 有志の会の北神圭朗です。大臣、よろしくお願いします。

 まず質問に入る前に、昨年、厚生労働委員会で、私、一回代打で質問させていただいて、そのときに、病院の勤務医とか歯科医師の給料、この公定価格のことで、あの当時、悪の権化である財務省がなかなか要求を認めないということを言っていたんですが、大臣に私も要請して、十分でないかもしれないけれども、それなりに前進したことに厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 質問に入りますが、ちょっと順番、一番最後の質問を最初にして、ちょっと毛色が違う質問なので。要望でございます。

 これは、いわゆる葬祭業、葬儀屋さん、この業界が、我が国においては全く監督官庁がないという非常に珍しい状態に置かれています。

 今、高齢化が進んでいる中で大変需要も当然増えていますし、それなりに非常に重要な役割を社会で果たしていただいているんですが、残念ながら、悪質な業者というものがかなり増えている。

 例えばお金の問題でも、最初は、三十万円でやりますと言っておきながら、いざ請求のときにはその二倍ぐらいの金額になっているとか。大体、消費者庁の相談件数で年間六百から千件ぐらい苦情が入っている。

 そういうこともありますし、もう一つは立地の問題で、重要な役割を果たしていながら、当然、住宅街とかで葬儀屋さんができるというのは、それなりにやはり環境の問題というものがどうしても出てくる。これは心情的なことかもしれませんが。

 私の地元は京都なんですが、太秦というところがありまして、広隆寺という弥勒菩薩のあるお寺さんなんですが、その近くの本当に住宅街で、家から大体二メーターぐらいのところで一つできてしまった。もちろん、いろいろな行政にも働きかけてきたんですが、結局、法律上は葬儀屋というものが明確に位置づけられていなくて、集会場としてみなされているんですよ。単なる集会場と葬儀屋というのはやはり全然違うわけですね。だから、そういうことで、いろいろこれも、正直、偽りのことを言いながら、例えば京都市からお墨つきをもらったんだとかこういうことを言いながら周りに説明に行ったり、事実上もう造られてしまって、結局泣き寝入りになってしまったということなんです。

 ですから、墓地とかあるいは埋葬法を所管する厚生労働省さんに、やはり監督官庁としてきちっと見てもらわないと、今後多分こういった業者がどんどん増えていくというふうに思いますが、これについて大臣に是非要望したいというふうに思います。

武見国務大臣 確かに火葬場は厚生労働省の所轄なんですけれども、葬儀社は実は私どもの管轄外にあります。しかし、実際に御遺体を扱うという点ではつながりがあることははっきりしておりますので、やはり一番近いところを私どもが所轄しているんだろう。ただ、また他方で、そういう取引としての観点から見ると、もし問題が起きたとしたら消費者庁が担当することになるんだろうというような観点も考えられます。

 実態をまず相当きちんと調べて、その課題をやはり私どももしっかりと理解をして、そして、御指摘のような葬儀社の従業員の資質の向上といったことに関わる調査をして、私どもの対応を考えるべきだろうというので、調査は始めました。その調査の結果を踏まえ、事業者の届出制等の要否を含めて、関係省庁と連携をしながら御遺体の取扱いに関する規制の在り方として検討していきたいと考えております。

北神分科員 ありがとうございます。

 是非その調査を進めて、できるだけ早くこの位置づけをはっきりさせていただきたいというふうに思います。

 御遺体のことでいうと、昨年の十一月だったと思いますけれども、参議院の予算委員会で山本香苗委員が、たしか静岡の例で、葬儀屋さんがもう終わってビルが廃墟になっていたんですが、そこに何か棺おけが二つ見つかって御遺体が残っていた、こういう話もありますので、つまり、極端なことを言うと、誰でもこの業界に入れるんですよ。何の事前の官庁のチェックがないということなので、是非、大臣の指導力を発揮していただいて、進めていただきたいというふうに思います。

 次、質問に入りますが、生活保護の、いわゆる外国人にこれを支給している。これ自体はいろいろ賛否両論あるというふうに思いますが、これが法律では、生活保護法では第一条に、国民が対象になっていると限定されています。ところが、厚生労働省は七十年前にこれを局長通達でやっている。国民に準じて取り扱うようにという話なんです。確かに、政策の話に入る前に、やはり法律上、本当は位置づけるべきではないかというふうに思います。これを局長通達だけでやっていることというのは、ある意味で異常だというふうに思います。

 私の議論を裏づけるものとして、資料もお配りしていますけれども、行政学の先生で大橋洋一先生ですが、この方が重要事項留保説というものを唱えていまして、大体今や学説としては主流、多数説になっています。この文章にありますように、民主主義の観点から、行政上の基本的決定について法律の根拠を要する、補助金についても、まあ生活保護というのは補助金ですから、基幹的な補助金については法律の根拠が要請されるということが書いてあります。最後に、基幹的制度である点に着目して、議会による授権が要請されるのであるとあります。

 私はどう考えても、まあ、この基幹的というのは何ぞやという議論はあると思いますが、私も不勉強なので、大橋先生がどういうふうな定義をしているのか、ちょっと調べてもまだ見つからないんですが、でも、局長通達で外国人に。そして、その局長通達には、法律ではいわゆる外国人というのは請求権はないということを間接的に言っているわけですよ。だから、一種、新たな人道上の支援ということで設けているので、これはやはり基幹的制度以外の何物でもないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 先生御指摘の法的根拠に関わる行政法上の考え方でありますけれども、確かに、重要事項留保説という観点でいえば、重要事項、本質的事項について法律の根拠が必要であるということになります。

 ただ、もう一つ、侵害留保説というのもあって、侵害留保説という立場というのは、個人の権利を制約し、義務を課すような侵害行政についてのみ法律の根拠が必要であるという説です。

 行政実務はむしろこの立場に立っているというふうに私どもは理解をしておりまして、その観点から、生活保護法、憲法二十五条の理念に基づいて日本国民を対象として定めており、外国人の生存権保障の責任は第一義的にはその者が属する国が負うべきだという考え方に立ってはおりますけれども、人道上の観点から、永住者を対象としてこうした生活保護を行っているものでございまして、このことを踏まえれば、行政措置にとどめるべきものと現状では考えております。

北神分科員 侵害留保説に基づいて局長通達で決めているという話なんですが、確かにその説はありますけれども、大臣、是非ちょっと調べていただきたいんですけれども、七十年前はこの説が主流だったかもしれません。要するに、権利を侵害するとかそういったことについてはやはり法律で規定すべきだ、通達なんかではできないという話なんですが、もはや、今、福祉国家というものが進んできて、非常にこれは国民に対して大きな影響を及ぼす分野でありますので、今は、侵害説よりは重要事項留保説というものが大分、学者の間では支持を得ています。

 学説の論争をするつもりは全くございませんが、是非ちょっと調べて、まあ、下の官僚の皆さんは、どうしてもこの局長通達を守りたいからそういう説を大臣にもおっしゃっているかもしれませんけれども、もう全然それは時代遅れの説であるということを是非認識をいただきたいなというふうに思います。

 本質論からいっても、堀勝洋先生、これは資料にもありますけれども、この人は厚生労働省の先輩ですよ。この方が書いてあるのに、これは下線のところですね。現実に通知、要綱等によって行われている社会保障の給付を見ると、個々の国民の生活にとって重要なものが少なくなく、また、法令に基づかない社会保障の給付は国民の権利保障という面から見て問題があるということを言っています。

 皆さんにしてみたら、いやいや、対象は外国人であって、別に国民に直接ではないという話かもしれませんけれども、私はそうではないというふうに思います。

 この方は、要するに、ほかのところで、社会保障の給付というのはほとんど法律上根拠を設けています、何も通達とかそんなものでやっておりません、生活保護だけ、まあ、だけかというとちょっと私もそこまで調べていませんけれども、かなりこれは珍しい形で外国人に対して給付をしていると。

 ですから、学説をちょっと離れて、武見大臣も議員の一人でありますので、やはり、議会からすれば、生活保護法は国民だけに限定している、しかし局長通達で、それにもかかわらず外国人にある意味では裁量を持って給付をしている、それも自治体にそれを指示しているということですので。私は、いい、悪い、いろいろあると思います。私はどちらかというと反対なんですけれどもね、これは。しかし、いずれにせよ、これは国会で議論をして決めるべき話ではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

武見国務大臣 平成二十六年の七月十八日の最高裁判決というのがございます。それで、外国人に対する生活保護について、平成二十六年七月の最高裁判決では、外国人が生活保護法の適用対象に含まれないと判示するとともに、外国人については行政措置による事実上の保護の対象となり得るにとどまるとしており、現行の行政措置による外国人の保護についての取扱いを否定したものではないという解釈を取っております。

 したがって、それが現在の、通達を通じてこうした措置を講じているということの一つの判例上の根拠というふうに御理解いただきたいと思います。

北神分科員 判例上は、私もそれは存じ上げておりますけれども、通知でなし得るという話なので。要するに、やはりこういう問題は国民的な関心も非常に強いというふうに思います。

 私は、何でこれが重要な、大橋先生の言葉でいうと、基幹的な制度であるかということを申し上げますと、一つは金額ですね。

 厚生労働省さん、事務方にお聞きしたいのは、幾ら外国人に出されているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 世帯主が日本国籍を有さない世帯に属する被保護人員数、こちらは令和三年度で六万七千三百八十人ですが、外国人に対する生活保護費負担金の執行額につきましては、外国人に関わる分としては把握してございません。

北神分科員 大臣、これもおかしいと思いませんか。把握できるんですよ、六万七千人とやるんだから。御党の片山さつき議員さんが以前どこかで質問していましたけれども、単純計算すると、大体千二百十五億円ぐらいだろうと。そんなに的外れな数字じゃないというふうに私も思います。

 千二百十五億円、これを公開していないこと自体が、私は、何か厚生労働省にやましいものがあるんじゃないかと。堂々と公表したらいいじゃないですか。

 だから、千二百十五億円というのは、毎年そのぐらいの金額ですから、それなりの、私は、やはり国民にとっては重要な話だと思いますよ。これがずっと七十年続いているわけですから、ウン兆円の国民の税金がこれに使われている。その根拠は通達ですよ。どうでしょうか。

武見国務大臣 通達ではありますけれども、同時に、外国人といっても、最近急に日本に来られるような外国人というわけではなくて、永住者という規定の中での外国人ということになります。

 その場合に、様々な、我が国の国内におけるこうした外国人の、外国籍の方の社会的な存在というものについては、社会的にも様々にやはり微妙な問題も抱えてきているところがあることは御存じだろうと思います。そうした観点の中で、こうした生活保護の適用対象に人道上はするということで対応してきたのではないかというふうに思います。

 ただ、先生御指摘のとおり、やはり、その実態については、きちんと数字を含めて把握しておく必要があるということは、私も今日の御議論の中で学ばせていただきました。

北神分科員 絶対に、要するに、正確に言うと、把握しているんですよ。ただ、公表しないんですよ。人数だって、六万七千人いるというのもホームページに載せていないんですよ。聞いたら教えてくれますけれども。だから、何か私は、厚生労働省さんにしてみたらやましいものがあると。公表したらいいんですよ。皆さんが堂々と、これは人道上の根拠があるんだということだったら、堂々とやったらいいというふうに思いますよ。

 今おっしゃった永住者とか定住者とか、もちろん全部の外国人は入っていないというふうに思いますけれども、まず、その話はちょっとまた後でしますけれども、これはなぜ重要なのか、なぜ法的根拠が、私は絶対に必要かというのはちょっと分かりませんけれども、今の学説の話とか、国民にとって重要な制度であるという観点からいうと、金額、今申し上げた千二百十五億円ぐらい毎年使われている。

 もう一つ挙げるのは継続性ですね。

 通達には、当分の間支給しますということが書いてあるんです。七十年が当分の間ですよ。これも、私は、普通、法律で当分の間というと、三年か五年とか、そのぐらいの話ですよ。継続性でいうと、七十年、もうずっと支払い続けている。

 大臣がおっしゃるような微妙な問題というのはよく分かります。当時、先生、釈迦に説法ですけれども、講和条約を結んだときに、今まで朝鮮半島とか台湾の方々は日本の国民であったのが、急に国籍がなくなった。これは、私は、全く問題ないですよ。当然、それこそ人道上の観点から手当てすべきだというふうに思います。

 しかし、今や、そういう人たちだけじゃなく、永住者、定住者といっても、国民と同じではないんですよね、当然。長年ずっと住んでいる社会的構成員だけれども、基本は、先ほど大臣がおっしゃったように、生活保護、必要最小限の生活の保障というのは本国が第一義的にはその義務を負うべきであって、我が国が絶対にやらなければいけない話ではない。

 いずれにせよ、こういう議論がありますので、私は、局長通達でね。

 そして、もう一つ重要なのは、七十年続いてきたのみならず、当分の間で七十年続いたから、未来永劫続くんですよ。そして、大臣が先ほど私の前の質疑者に答弁されていたように、今、政府は、これも私はいろいろな問題意識があるんですけれども、どんどん外国人労働者は入ってくれ、こういうふうになってきますと、当然この人たちも、三年、五年、最悪十年かかって永住権を取ることができるわけですよ。こういう人たちがどんどん増えて、この金額というものもどんどん増える可能性もあります。

 これは、私は、賛成、反対の議論よりも、このぐらいの大きな話というのは、やはり法律で、議会の与野党を含めたいろいろな意見を闘わせて、そして、国民にもその議論を見てもらって、最後は国民が選挙で判断をする、そういうことをすべきだというふうに思いますけれども、私の言っていることはそんなにおかしいでしょうか。

武見国務大臣 歴史的な経緯は御理解をいただけたようでありますけれども、同時に、永住者に関わるこうした措置を講じている国は日本だけではございません。欧米の主要国もおおよそこうした永住者に対する同様な措置を講じております。したがって、そうした観点からも、現状のこの措置については私は肯定できるものと考えております。

 その上で、今後の在り方については改めて検討してみることも必要かなというふうに思います。

北神分科員 外国の例を取られましたけれども、先進国だけに限って言うと、例えばヨーロッパなんかはあると思います。ありますね。ただ、これは、EUという、昔はECで、ヨーロッパ共同体ですね、これはまたちょっと違うんですよ。彼らは、一種、一つの大きな、国民国家を超えた、そういう共同体をつくろう、こういう中での話がかなり大きい。アメリカは、私の知っている限りでは外国人は対象になっていない。そもそも包括的な生活保護というものがない。そういうことからいうとちょっと違うし、例えばドイツなんかでは、生活保護というのは、日本の生活保護と違って、失業手当みたいなものとの組合せがありますので、やはり、そういうことからいうと簡単に外国との比較はできない。

 もう一つ言うと、岸田総理も、私、別の質問で、彼もおっしゃっていましたけれども、我が国は我が国の外国人とのつき合い方があるということなので。

 もうしつこく言いません。大臣も、ちょっと見直して検討をしていただけるということですので。これは本当にしないと、私が今言っている、私だけじゃないと思いますけれども、数人の議員が言っているだけかもしれませんけれども、これはどんどん増えていく。日本の経済もどんどん行き詰まっていく。いかないと皆さんはおっしゃるかもしれませんけれども、厳しい状況になっていくと、やはり、感情論的なものが沸き起こるおそれがあります。これを私は逆に心配しています。だから、そういった観点からも是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 同時に、先ほど大臣がおっしゃったように、やはり金額の数字は少なくとも公開すべきだというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に入りますが、これは去年の厚生労働委員会でも、たしか局長さんが私に言ったのは、生活保護の対象となる外国人を、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者などの在留資格を有する場合とか、日本国内で活動に制限がない在留資格という前置きを置いて。私だけじゃなく、ほかのこういう類似の質疑を聞いていますと、大体この枕言葉を置いているんですよ。あたかもこれが何か、国民と大体同じように活動に制限がないから当然それは生活保護の対象になるんだのように聞こえるんですけれども、なぜこの枕言葉を頻繁に使われるのか。これを厚生労働省として、堂々と、外国人だって当然もらっていいんだという根拠にしているのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 生活に困窮する外国人につきましては、今まで御議論いただきましたように、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者などの在留資格を有する場合に、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うことにしています。

 ここで、永住者等でございますけれども、出入国管理及び難民認定法の別表第二において、本邦において行うことができる活動に応じて付与される在留資格ではなくて、本邦において有する身分又は地位として付与されておりまして、その意味で、国内で制限なく活動できる在留資格と整理されてございます。

北神分科員 ちょっとごめんなさい、いまいち分からなかったんですけれども、別表の話をしているわけですね、出入管理の。だから、大して意味がないということでよろしいんですか。何でそれを繰り返し繰り返し、どの質問でもそういうふうに答えるのか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 出入国管理難民認定法の在留資格で、永住者等は、国内で制限なく活動できると整理されている。それを踏まえて、要するに、就労の活動に限られていないという在留資格でございます、身分で日本にいられる。そこに着目して、日本人に準じた措置を生活保護で講じている。そういう趣旨でございます。

北神分科員 つまり、やはり意味があるんですね。一種、一つの国民に準ずる取扱いをする根拠として言っているわけですね。国民と同じようだと、同じ活動ができると。

 しかし、これも、私から言わすと、それをもって本当にそれが生活保護の対象になり得るのかというのは、ちょっと疑問だと思いますよ。

 今大臣がおっしゃったように、厚生労働省の立場としても、第一義的には本国がやはり面倒を見るべきだということが厚生労働省の考えだというふうに思います。別に、活動が自由だから、国民と似ているからといって、出す、出さないといけないという、少なくとも根拠にはならない。皆さんにしてみたら出し得る根拠になるということなんでしょうけれども、非常にこの議論も、私から言わすと、活動に制限がないといっても、それなりにありますよ。よくみんな、同じように納税しているとか言っていますけれども、相続税とか贈与税とか、これも、もちろん払っている人もいますけれども、基本的に、財務省に聞くと、やはり十年以上住んでいないとなかなかそういう税金は取れないということもありますし、政治活動にも制限がありますし、就労だって、公務員にはなれないわけですよ。

 しかも、こんなのは瑣末な議論で、できるからといって外国人に出す必然性は少なくともないということだけ申し上げたいというふうに思います。

 次に、私は別に外国人だけをいじめるつもりは全くございません。生活保護でいうと、いわゆる国民も不正を働いているという話があります。

 去年局長にも質問しましたけれども、厚生労働省さんが各自治体に調査をして、生活保護の不正行為の事例がある、うちの自治体でも不正があったというふうに答えた自治体というのは四〇%あると。そうしたら局長は何と言ったかというと、四〇%程度や、すごい多くあるわけではなく、例外的に発生していると。

 しかし、私は四〇%というのは決して例外的とは言えないと思いますよ。どうですか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の調査につきましては、百二十九の都道府県、指定都市、中核市において、複数の事務所で保護を受給する不正行為の事例があったか否かをアンケート調査したところ、該当事例が一件以上あったと回答した自治体が四〇・三%だったというものでございます。一般的に言う不正受給の件数とか割合を表すものではなくて、特殊なアンケート調査です。

 例外的とお答えいたしましたのは、一つの自治体の中ですごい多くあるわけではないですという意味で申し上げました。

 一方、毎年集計しております生活保護法七十八条に基づく費用徴収決定が行われた不正受給の件数は、二〇二一年度には二万七千八百九十一件でございまして、一定の件数が発生しているものと承知しております。

 こうした不正受給は正すべきものでございまして、厚生労働省としては、引き続き、自治体と連携し、調査の徹底により不正受給の発見、防止に取り組むなど、適正な法の実施に努めてまいりたいと考えております。

北神分科員 もう質問を終わります。是非お願いします。ケースワーカーは、一人当たり八十世帯を超えている人たちもたくさんまだいますので、そういった観点から、是非取締りをよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

橋本主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今日は、主に化学物質過敏症の問題について、武見大臣に質問します。

 二〇一七年の第六分科会を最初に、何度かこの問題を取り上げてきました。その病状ゆえに、リアルでは会えない方が多いです。でも、待っている方々は全国にたくさんいますので、どうかよろしくお願いします。

 最初の質問は、要介護度認定を受け、ケアプランまで作られたのに、介護のサービスを提供できないと断られた利用者の問題です。この方は慢性疲労症候群の患者でありますが、介護度は三です。断られた理由は、香害を併発しており、柔軟仕上げ剤などの香料に反応するから介護を受けられないと。同じような理由で訴えている相談は非常に多いんです。

 そこで伺いますが、これは一般論でお答えください。ケアプランがあっても介護サービスが提供されないという事態は、あってもいいんでしょうか。

武見国務大臣 一般論としてお答えをいたしますと、介護サービスの取扱いを申し上げれば、例えば、訪問介護などの指定居宅サービス事業者は、運営基準上、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないというふうにされております。

 また、ケアプランに基づくサービス提供については、事業者が、利用申込者に対して自ら適切なサービスを提供することが困難であると認められる場合には、居宅介護支援事業者等へ連絡、適当な他の事業者等の紹介などの必要な措置が速やかに講じられなければなりません。

 事業者においては、こうした基準の趣旨を踏まえて、適切なサービス提供を行う必要があると私は思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 仮にできない場合でも、別の方を紹介するなど適当な措置を取るべきだということでのお答えだったと思います。

 この方は、居宅介護、通院介助、外出介助も入れて月に七十五時間の介護が必要だと認められたんですけれども、たった十時間しか提供がされませんでした。現在は、週三回、一回一・五時間、ヘルパーさん、たった一人の方が受けてくださって、来てくださっています。同じ患者仲間で千葉の方は、障害の方なんですが、障害支援区分四なんです。でも、月六十時間の利用ができるはずなのに、現在、一時間も提供がありません。市役所からも何もできないと言われました。生きるために必要な介護ですから、こうしたことがないように、実態把握と指導をお願いしたいと思います。

 そこで、内閣府に伺います。

 今年四月一日から、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供が義務化されます。資料の一は内閣府のリーフレットです。改めて、左下の、障害者差別解消法の対象となる障害者とは、これを読みます、一部省略しますけれども、手帳を持っている人や身体、知的、精神だけではなく、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人全てが対象ですとあります。二〇一七年の質問において、この定義に照らせば、化学物質過敏症も障害者差別解消法でいう障害の対象になり得るとの答弁をいただいたところです。

 今お話ししたように、サービス提供側が、利用者の訴えに基づき、例えば柔軟仕上げ剤などの使用を控えるというのも合理的配慮として必要なことだと考えますが、いかがでしょうか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案において特定の行為が合理的配慮の提供に当たるか否かは、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものですが、改正後の障害者差別解消法第八条第二項では、事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害の状況等に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするようにしなければならない旨規定されておりまして、御指摘のような案件も、同項に該当する場合には合理的配慮の提供に当たり得るものと解しております。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 まず意思の表明があった場合にはって、表明をしておりますし、特別難しいことをしているわけではないわけですよね。今紹介した内閣府のリーフレットの中には、特別扱いできませんとか、前例がありませんとか言っちゃ駄目ですよということがあるわけですから、しっかりと対話をしながら、できる措置を取りなさいということを指摘していると思うんです。その趣旨にのっとって対応ができるんじゃないかと今聞いておりました。

 それで、問題は、内閣府のホームページにある合理的配慮サーチには、残念ながら化学物質過敏症に関係すると思われる記述が一切ないことなんです。

 この間、資料の二にあるように、省庁横断で啓発ポスターも作られました。前回質問したときは、左側、「その香り 困っている人がいるかも?」だったのが、今回は、「その香り 困っている人もいます」と断定している。変わったのは、少し理解が進んだのかなと思うんです。化学物質過敏症は、まず、周りの人に理解されることが一番の鍵なんです。

 重ねて伺いますが、私が紹介したような香害や化学物質過敏症に悩む人に対する合理的配慮、あるいは不当な差別的取扱いなどを事例集に加えていただきたいのですが、いかがですか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月一日からの改正障害者差別解消法の円滑な施行のためには、合理的配慮の提供に関する具体的な事例を含め、広く国民に周知し、正しい理解を促していくことが重要と考えております。

 御指摘の合理的配慮サーチや同じく内閣府ホームページに掲載しております障害者差別解消に関する事例データベースは、各省庁や地方公共団体から取組や事例の具体例を御確認いただき、内閣府において内容を確認、整理した上で掲載しているものでありますが、随時更新等を図っているところでありまして、今後これらの更新等を図る際には、御指摘のような視点も踏まえ、より充実した内容となるよう努めてまいります。

高橋(千)分科員 更新に是非期待をしたいと思います。

 そこで大臣に伺いますが、全国の自治体において、ホームページなどで香害や化学物質過敏症について何らかの啓発を行っている自治体がどのくらいあると承知をしているでしょうか。また、啓発ポスターも、今紹介しましたが、作ったはいいんだけれどもちっとも見かけないよという声もあるんですね。そういう点で、どの程度普及されているのか、御存じだったらお答えください。

武見国務大臣 基本的なことでちょっと申し訳ないのでありますけれども、厚生労働省で、平成二十九年度からこの化学物質過敏症について研究を行っておりまして、その中では、化学物質過敏症を訴える患者のうち約七〇%の方が、柔軟剤等の香料が症状出現の契機であったとの報告もございます。

 しかし、この病態であるとか機序、そうしたことが実は明らかになっているとはまだ言えません。診断基準や治療法もまだ確立していないというのが現状の我々の認識だということを、まず申し上げておきたいと思います。

 ただし、香りでお困りな方々がいることは事実であり、国では、令和三年から、厚生労働省を含む五省庁連名で、香りにより困っている方がいることへの理解や、香りの感じ方には個人差があることなどを周知するポスターを作成して、自治体などに対して配布をさせていただいております。

 また、自治体の中で、滋賀県、それから神奈川県などの複数の自治体では、ホームページにこのポスターを掲載するなど、啓発を行っていると承知しております。

 引き続き、自治体とも協力しながら、香りへの配慮についての周知をしていきたいと思います。

高橋(千)分科員 理由のところ、ちょっと診断基準がまだできていないんだという話はもうずっとされている話であって、様々な研究がされておりますし、やはりそこは踏み込まなきゃいけないと思うんですね。

 ずっとお話ししていますが、やはり相談窓口を設け、専門外来を設け、そして、やはり訴える人たちのデータを積み上げていくことによってしか診断基準というのはできてこないんだろう、それは難病対策でも同じルートをたどっていると思うんですね。今日は、そのことは、ちょっと次にやりたいことがあるので、指摘だけにしたいなと思います。

 それで、大臣、滋賀県、神奈川県のお名前を出していただきました。二〇一七年の最初の質問をしたとき、その直後に、大阪や京都の当事者の会から十八項目の要望書を託されたんです。この方たちもリアルでは会えなかったんです、やはり病状が深刻で。ただ、その会の皆さんの調べで、ホームページに香害や化学物質過敏症とある都道府県を調べたら、僅か九しかありませんでした。県庁所在地を調べたら、それも九でした。それが今はどうなっているかということで、高橋事務所で調べました、ホームページを全部検索をして。資料の三につけてあります。

 都道府県は、四十七のうち三十九、丸がついております。ついていないところがちょっと目立ちますが。政令指定都市は二十、全部ホームページを持っています。市町村は、千七百四のうち三百七十二、二一・八%まで広がっています。この省庁のポスターをただリンクしているだけのところもあれば、独自のポスターを作っているところもあるし、保健所などに相談窓口がありますよということを言っているところもある。いろいろ努力されていると思います。

 消費者連盟の消費者リポート、二〇二〇年によれば、地方議会での意見書採択は、東京都の三鷹市、埼玉県の所沢市、吉川市、さいたま市、宮城県名取市など、増えてきております。また、宝塚市の教育委員会は、保護者へのネット調査で回答を得た三千八十七人のうち、人工的な香りで体調不良を起こしたことがあると答えたのは二百四十一人、八%に上ったと発表しました。昨年六月二十二日の読売新聞です。

 大臣、自治体から意見書も採択されているわけですよね。独自調査をやっていることもある。こうした自治体の取組に国も応えていくべきではないでしょうか。

武見国務大臣 先ほども申し上げたとおり、自治体と協力して、こうしたポスター等を含めてホームページで周知するということをやった結果が、今、先生御指摘のように、最初の九のところから確実に広がってきたんだろうというふうに思います。そういう点では、確実に前進しているというふうに思います。

 引き続き、自治体としっかりと連携をしながら、この問題に取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)分科員 自治体も悩んでおりますから。やはり意見書の中には、例えば私がずっと言い続けている専門外来の問題ですとか、相談を受ければ、じゃ、どうしよう、病院がどこにもないよねというのとか、NPOの案内をしてくださっているところとか、様々悩んでいます。ですから、今、せっかく協力し合ってということをおっしゃっていただきましたので、頑張っていただきたい、このように思います。

 国交省に伺います。

 住宅性能表示制度、これは住宅の性能を評価する十の分野があるんですが、空気環境に関することという項目があって、その中に、室内空気中の化学物質の濃度などが含まれています。ただし、任意であって必須ではありません。

 資料の四を見ていただきたい。

 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会発行の「建築基準法に基づくシックハウス対策」というリーフであります。もちろん、国交省の住宅局が協力をしているわけですが、この図を見ますと、たくさんの線が、矢印というか、ポイントがあって、台所と居間の絵に対して、カーテンから壁から天井からストーブから、食器棚、じゅうたん、ワックスをかけた床など、あらゆるところに化学物質の発生源があることを示している図なんですね。右側にその注意事項がありますが、なるべく減らすこと、適切な換気を心がけるとあります。

 私が言いたいのは、まさしくこれなんです。化学物質過敏症の皆さんの多くは、自宅若しくは近隣のリフォーム工事がきっかけで発症しているという方がすごく多いんですね。そういう認識はあるのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとして、住宅回りで空気環境の関係で健康被害を訴えられる方々から我々の関係機関の方に御相談をいただいているということは承知をさせていただいております。

 その中で、私ども国交省としては、厚生労働省が定める化学物質の室内濃度指針値を踏まえ、先ほど先生の方からも御紹介いただきました建築基準法においてホルムアルデヒドなどを使用した建材の使用制限や換気設備の設置の義務化を導入しておりますし、また、住宅性能表示制度において建材からのホルムアルデヒドの発散量の少なさ等において表示することを選択できるようにするとともに、これもまた先生から先ほど御紹介いただきましたが、分かりやすいパンフレット、こうしたものを通じてその普及を図っております。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、これらの取組を通じ、居住者の方々、多くの方々が安心して住宅を取得できる、住まわれる環境の整備を進めてまいります。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 住宅性能表示、私は任意ではなく義務にしたらいいかなと、今の項目のところは。是非お願いしたいと思います。

 青森の方なんですが、真冬に暖房を一切使わず、ベンチコートなどを重ね着して我慢している女性に会いました。きっかけは、今お話ししたように、リフォームしたときの塗料だったんですね。五十代ですが、専門医も見つからず、ひたすら家の中で過ごしていました。この方は、石油ストーブも電気ストーブもエアコンも使えなくなったということなんですね。

 最初の物質をしっかりと除外できて対策を取れていればここまでにはならないんですが、結局、最初がうまくいかないと次から次と原因物質が増えていく、これが過敏症の特徴でもある、そう思います。

 大臣に伺いますが、私に相談を寄せる方は、本当に住むところがなくて転々と引っ越しを重ねている、こういう方が多いんです。そして、例えば公営住宅に入るんだけれども、リフォームしないでほしい、リフォームしないところに入れてほしい、そういうことまで声として上がっています。こういう実態をお分かりいただけるでしょうか。

武見国務大臣 こうした化学物質等に関わる過敏症の問題、それからシックハウスの問題、これらについては、もうかねてから、それぞれ、厚生労働省の立場、それから国土交通省の立場、それから環境省の立場で議論されてまいりました。そういった中で、環境規制であるとかあるいは健康規制といったような観点で取り組まれてきたのが今日だというふうに私は理解しております。この観点から、引き続きこの問題に取り組んでいけばよいのではないかと思います。

高橋(千)分科員 いろいろな角度から、少しでも突破口を開きたいという立場でお話をさせていただいています。シックハウス等の関係も是非認識していただきたいと思います。

 二〇二二年、本委員会での質問の際に、国民生活センターへの柔軟仕上げ剤等の相談が増加していることを取り上げて、一方で販売量は増えている、二〇一八年の数字で三十七万トンでした、このように指摘をして、少なくともマイクロカプセルや香りづけのためだけに使用する製品などは販売しないなど、規制を検討すべきだとただしました。資料の五にあるように、昨年は販売量で四十・六万トンと、更に増えております。

 EUは、二〇二三年九月二十五日、化学物質規制法、化学物質の登録、評価、認可及び規制に関する規則、REACH規則、これに基づいて、製品に意図的に添加されたマイクロプラスチックを制限する措置を採択して、経過措置を経ますと、二〇二八年十月からは原則販売禁止となります。駐日欧州連合代表部のプレスリリースによると、新規制により約五十万トンのマイクロプラスチックの環境への放出が防がれるとしています。有機性、不溶性、分解抵抗性で五ミリ未満の全ての合成ポリマー粒子が対象となるため、洗剤、柔軟剤も含まれます。

 日本でも、香料をマイクロカプセルに閉じ込め、いわば意図的に添加された洗剤や柔軟仕上げ剤、この使用について禁止すべきと思いますが、どうでしょうか。

武見国務大臣 洗剤や柔軟仕上げ剤などに使用されているマイクロカプセルが健康に与える影響というものでございますが、科学的にはまだ明らかにされていないものと承知しております。このため、現時点でその使用を規制することは難しいというふうに思います。しかし、他方で、まずは情報の収集が非常に重要であるとも考えております。

 確かにEUなどにおいて、こうしたマイクロプラスチックで五ミリ以下のプラスチック粒子が非常に分解されにくく、環境中に放出されると除去することが困難なため、水生環境への影響を防ぐことを主な目的として、二〇二三年九月にマイクロプラスチックを添加した製品の販売を順次禁止する規制が採択されたと理解しております。これは明らかに環境規制という観点からの規制でございます。

 これに対して、香料を微小なプラスチックの玉、これは数十マイクロメートル程度の玉に封入したマイクロカプセルという技術が使われておりまして、このマイクロカプセルについてもEUで規制対象になるというふうに理解をしております。

 いずれにせよ、こうした環境規制と健康規制という観点で、この問題には科学的な根拠に基づいて取り組んでいきたい、また、海外の動向というものも着実に注視しながら考えていきたいと思います。

高橋(千)分科員 ちょっと時間が迫ってきましたので、はしょっていきたいと思います。

 今、環境規制なんだというお話がありましたけれども、海外で活躍する日本の石けん関係の企業なども当然EUのルールを守るわけですよね。だけれども、日本はまだそのルールになっていないから、守らなくていいんだ、日本のルールに準ずるというふうにダブルスタンダードになっておりますので、できるんだったらやればいいんですよ。これは検討していただきたいと思います。

 それで、今言った柔軟仕上げ剤や香りカプセルなんかは、まさに家庭用品と思いますが、家庭用品規制法の対象にすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 化学物質過敏症につきましては、現時点では、どのような化学物質が関与しているのかでありますとか、どのような体内の変化が症状を引き起こすのかといったことにつきまして未解明な部分が多いものと認識をいたしております。

 家庭用品規制法で規制をいたしますためには、有害物質を特定する必要がございます。しかしながら、今申し上げたように、化学物質過敏症には未解明な部分が多く、有害物質の特定が困難であるということがございまして、御指摘の洗剤や柔軟仕上げ剤に含まれる香料成分やマイクロカプセルにつきまして現時点で規制することは困難ということでございます。

高橋(千)分科員 ここのくだりで有害物質の特定が困難だとおっしゃるとは思いませんでした。

 家庭用品というのは何ですかというQアンドAを見ますと、ホームセンターに並んでいるものがそうですと言っているわけですよ。その中で化学物質を使っていると言っているんだから、これを、やめろとまでは言っていない、規制の対象として分析すべきだということを言っているわけなんです。

 皆さんが言っている二〇二二年度の家庭用品に係る健康被害の年次とりまとめ報告を見ますと、吸入事故などの五十六件のうち、洗浄剤や、芳香剤、消臭剤、脱臭剤に関する事例が二十件もある、そういうふうに書いているわけですよね。

 だったら、起こっている事象、これは家庭用品規制法第三条で、規制の対象になっていない物質であっても、きちっと把握しなきゃいけないということが書いてあるわけ。だから、それに基づいて把握していると思うんですよ。

 だったら、今、対象物質選定のスキームを見直す取組をしていますよね、パブコメをあしたまでやっています。この機会に更に検討すべきだと思いますが、いかがですか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 家庭用品規制法でございますが、家庭用品とそれから有害物質の組合せで規制をするものでございまして、有害物質として二十一の物質群を指定して、含有量の基準等を定めているものでございます。

 こうした観点から、今申し上げましたとおり、有害物質としての指定が難しいというところでございます。

高橋(千)分科員 ですから、その有害物質が二十一物質しか指定していなくて、五十年代から全く手をつけていない、だからスキームを今見直しているんでしょう。そのときに検討しなさいと、皆さんが出したデータの中にあるでしょうということを言っています。これは指摘にとどめます。

 それで、今度は労災のことなんですが、化学物質に起因する労災が、毎年どのくらい発生報告があり、そのうち保険給付がどのくらいあるのか。また、これをきっかけとして、慢性的な症状となって休職ですとか退職につながる事例もあると思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 労働基準監督署におきまして報告を受けました、休業四日以上の死傷災害のうち、化学物質の性状に関連の強い災害は、令和二年で四百九十八件、令和三年で四百七十二件、令和四年で五百十二件となっております。

 一方で、その内数ではございませんけれども、労災保険におきまして、がんを除く化学物質等による疾病として新規に支給決定を行った件数は、令和二年度で二百十三件、令和三年度で二百三十五件、令和四年度で二百二十八件となっております。

 また、お尋ねの慢性的な症状となって休職、退職につながる事例につきましては、当方では把握が困難でございますけれども、化学物質への暴露による負傷や疾病の労災申請があった場合には、最新の医学的知見を踏まえまして適切に審査を行って、業務との間で相当因果関係が認められれば、必要な療養の給付を行いますとともに、療養のため労務に服することができない場合には、休業補償を給付しているところでございます。

高橋(千)分科員 ここも指摘にとどめますが、厚労省の職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会の報告書によりますと、休業四日以上の労災のうち、特定化学物質の障害予防規則等の対象外となっている物質を原因とするものが約八割なんですよね。ここにやはり注目しなくちゃいけないと思うんです。

 管理が必要な化学物質が増える一方で、規模の小さい事業所ほどリスクアセスメントが十分にできていないと報告書は言っています。それなのに、政府は事業者の自主管理を基本とする安全衛生対策にシフトしようとしている、このことは矛盾すると思います。指摘をしておきます。

 どうしても最後に一言言いたいことがあるので、次に進みます。

 大臣に聞いてほしいんです。

 思春期や若年世代、十代後半から三十代の方たちをAYA世代と呼ぶそうですが、この世代のCS患者がオンラインで語り合った内容の一部を紹介します。本当に胸の潰れる思いです。社会経験ゼロということの意味なんです。

 中一で入学してからほぼ学校に行けていない。弟が部活できているのが羨ましい、青春という感じがして。何で私はできなかったのか、青春が奪われた。余りにも小さいときからCSで、小学校も一か月も行っていない。経験の幅が物すごく狭い。自分が元気だったらこういう人生を歩めたんじゃないのかなというのはあるのに、現実にはほとんど何も体験しないで終わってしまった。小学校には一年くらいしか通っていない。勉強は好きだったけれども、スポーツも得意だったけれども、どこまで伸ばせるのか、その可能性を試せる機会がなかった。元々は自分にどんな能力があって、何を失ったのか、それ自体を知らない。

 この対談の記録を読んで感想を求められた私は、言葉を失いました。当たり前の人生経験を重ねることができないということの圧倒的な意味、想像を絶するものがあります。だから、私は、この問題を取り上げなければならないと思っています。

 当たり前の人間としてのライフイベントを経験することができない、社会経験を積めないこの方たちは、でも、いろいろな可能性を持っていました。社会の損失です。もっと厚労省が前に出て、標準医療の確立、各都道府県に一か所は専門外来、あらゆる知見を、今いろいろなことをいろいろな角度からお話ししましたが、あらゆる知見を総合して取り組むべきだと思いますが、大臣の言葉でお答えください。

武見国務大臣 化学物質過敏症については、病態解明などの研究をまさに今進めているところと理解をしております。一刻も早くその診断基準や治療法が確立することを私も期待をしております。

 その上で、実際に診断基準や治療法の確立に向けて、まずは、病態解明のための研究を通じての知見をきちんと確保をして、やはりそうした科学的なエビデンスで、先ほども申し上げたような機序がきちんと解明されるということが、対策を練る上でのやはり基本になってくることを申し上げておかなければならないと思います。

高橋(千)分科員 隣にいる後藤元大臣が二年前に答弁したのと同じなんですよ。進歩しないわけ、この問題が。

 研究も読みました。様々な研究をされています、あるいは先生方は遺伝子の研究もされています。だけれども、私が、ずっと労災だとかいろいろなことをやってきたのは、やはり化学物質に携わるいろいろな部署でいろいろな知見を積み上げているんですよ。だって、労災なんかは指定病院に行かなきゃいけないわけでしょう。その知見はどうなんですかというと、いやいや、対象が違いますからという形で終わっちゃうわけなんですね。そういう意味で、厚労省が本当に役割を果たしてほしい。この方たちの思いは伝わったと思いたいので、是非、大臣、それに応えて頑張っていただきたい。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

橋本主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 まず、年収の壁に関して質問をいたします。

 今後、人口減少、労働力不足が進む中、あらゆる産業分野での人材の確保がますます深刻な課題になっていく時代にあって、働けるのに、働きたいのに、働くことを控える就業調整は働く本人や社会にとっても非常にもったいない話で、就業調整をしなければならない壁があるならば、その壁は取り除かれなければなりません。

 昨年十月から前倒しで開始された年収の壁・支援強化パッケージは、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主への助成、社会保険適用に伴い手取り収入を減らさないよう支給した手当を社会保険料の算定対象としないことなどを通じて、壁を気にしないで働ける環境づくりを進めようとするものですが、大事なのは、この制度が広く活用されて、壁を乗り越える人が増えることだと思います。

 まず、この制度の活用促進への取組について、大臣にお伺いをいたします。

武見国務大臣 年収の壁・支援強化パッケージにつきましては、パート、アルバイトの方々や、その方々を雇用する事業主の皆様にその支援策を広く知っていただき、実際に活用していただくことが非常に重要です。仕組みはつくりました。したがって、周知して活用していただくという段階が現状でございます。

 このパッケージについては、コールセンターを開設して様々な問合せに対応しているほか、各省庁を通じて、パート、アルバイトを多く雇用する業界団体向けに周知用資料の提供や説明会の開催を実施しております。また、政府広報との連携であるとか、あるいは都道府県労働局、それから日本年金機構における周知などにも取り組んでおります。

 また、対応策の一つでありますキャリアアップ助成金については、十二月末時点で、事業主からの計画届の受理件数は千七百十八件になりました。その対象となる労働者数は、令和五年度から七年度の合計で二万七千二百七十六名となっております。現在、一月末までの計画届に関し、取りまとめに向けて集計中でございますけれども、対象となる労働者数などは大幅に増加をすることが見込まれております。

 引き続き、多くの方々にこのパッケージを活用していただくように、様々な機会を捉えて積極的に周知広報に取り組んでいきたいと思います。

角田分科員 ありがとうございます。

 大臣に通告した質問は以上ですので、武見大臣におかれては御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 年収の壁を乗り越えやすくするための支援施策は、主に、厚生年金に加入している配偶者の収入で生計を維持している国民年金三号被保険者を念頭に置いた支援として論じられておりますが、二〇二二年十月に短時間労働者への厚生年金、健康保険の適用が常用雇用五百人超から百人超に拡大された際に、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った、社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査及び働き方に関するアンケート調査によれば、適用拡大で厚生年金、健康保険適用となった労働者がそれ以前に加入していた社会保険は、三号被保険者が三二・八%に対して、国民年金一号被保険者が四九・六%を占めております。そして、一号被保険者で適用にならないよう就業調整した人は六・八%、これに加えて、厚生年金、健康保険は適用されておらず、今後も働き方を変える予定はないが約四割を占めております。

 また、この調査では、全国の短時間労働者に、今後更なる適用拡大が行われ、自身の働き方が対象になった場合に、厚生年金、健康保険に加入するのか聞いております。国民年金一号被保険者に限って見ると、加入しないとした理由の一位が手取り収入が減少するから、五〇・五%、次に、加入するメリットが分からない、三一・七%が挙げられています。一号被保険者にも年収の壁が存在をされていることが示唆をされております。

 一号被保険者が就業調整をする理由は何か、これが私の問いです。

 例えば、国民年金保険料の申請全額免除者などにとっては、厚生年金、健康保険の適用となることで手取り収入が減ってしまいます。令和二年国民年金被保険者実態調査。国民年金一号被保険者は千二百三十八万人。うち、パート、アルバイト、臨時として働く人の割合が三二%と最も多く、特に女性では四割を占めています。保険料の納付状況は、一部納付、滞納、申請全額免除の合計が五百十二万人。四割強が保険料を完納できていません。

 また、一人親世帯の九割弱は母子家庭ですが、令和三年度全国ひとり親世帯等調査によれば、母子世帯の母の九割弱が就業しており、四割はパート、アルバイト。母子世帯の母の年間収入二百万円未満が二一・四%。社会保険加入状況は、三割強が国民年金、国民健康保険に加入をしています。母子世帯で給与所得のみの母親の年収二百万円未満なら、国民年金保険料申請全額免除の対象となります。

 これらを重ね合わせると、パートなど短時間労働する母子世帯の母親にも国民年金の保険料を完納できていない人が相当数いると考えられますが、政府として実態を把握しているのか。また、一号被保険者が就業調整する理由について把握しているのか伺います。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたとおり、令和四年十月の適用拡大に伴う被用者保険の加入状況を見ますと、適用拡大前に国民年金第一号被保険者であった方においては、約七八%が被用者保険に加入いたしましたけれども、残りの約二二%の方については、就業調整をして、被用者保険への加入を回避したという調査結果がございます。

 国民年金第一号被保険者には、今御指摘いただきましたような母子世帯の母親でありますとか、そういった方々のほかにも、例えば親の扶養に入っておられる方など、非常に多種多様な属性の方々がこの中には含まれて混在しておりますので、これまでの適用拡大に伴って被用者保険の加入を回避した理由について、私どもとして正確には把握できていないところでございます。

 令和四年十月の適用拡大に伴って被用者保険の加入を回避した理由につきまして、一号被保険者に限ってということではなく、三号被保険者なども含めた全体で見た場合には、手取り収入減少というところが五六・一%であり、配偶者控除を受けられなくなるからというところが四三・九%、健康保険の扶養から外れるからというのが三七・四%、加入するメリットが分からないからというのが二二・三%、こういった結果になっておるというふうに承知しております。

 今後、第一号被保険者が就業調整する理由につきまして、本年十月の適用拡大というものも控えてございますので、こういったものも踏まえて、どのように把握することが可能なのかということも含めまして、実態把握について検討してまいりたいというふうに考えております。

角田分科員 働く人にとっての壁があるならば、それを一つ一つ取り除いていく取組とともに、壁をつくらないように常に意識する必要があると考えます。そのためにも、壁がどこにあるのか、今年十月の五十人超への適用拡大後にも同様の調査を行うとのことですので、その際、国民年金一号の就業調整について、その理由についてもより詳細な実態把握を要望したいと思います。

 厚生年金加入のメリットとして、定額の老齢基礎年金に報酬比例の老齢厚生年金を上乗せしてもらえるということが挙げられますが、国民年金保険料を完納できていない短時間労働者は、老後に満額の基礎年金さえ受け取ることができません。

 働く人を前提とした被用者保険加入は、老齢年金額だけでなく、障害を負って働けなくなった場合の給付や、本人が死亡した場合の遺族への給付、また、健康保険でも、病気やけがで働けない場合の傷病手当金など、国民年金、国民健康保険に比べて、生涯を通じた保険としての機能は数段強いものです。一号被保険者である短時間労働者の約三割が加入するメリットが分からないと答えていること、加入するメリットが分からない、私は、ここが一番大きな問題だと思っています。

 今後の年金制度改革の方向はまだはっきりと見えてはおりませんが、社会保障制度の中でも、とりわけ年金制度は、現役世代、高齢者世代双方の制度に対する正しい理解があってこそ成り立つ制度、将来にわたって持続可能な制度となり得ます。したがって、制度に対する理解を得るための努力が極めて重要だと考えております。国の審議会の議論の中などでも、被用者保険が適用されることのメリットを分かりやすく説明することの重要性が指摘をされているところであります。

 働く人が被用者保険に加入することのメリットの説明、理解増進のための取組、これに徹底して取り組んでいただきたいと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。

橋本政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、被用者保険の適用拡大を進めていくためには、対象となる事業主や被用者の方々に対しまして、被用者保険の適用に関する正確な情報や、そのメリットについて分かりやすく説明をして、そして理解を得ながら進めていく、これが極めて重要であるというふうに私どもとしても考えております。

 これまで厚生労働省におきましては、被用者保険に加入するメリットについての理解を促すため、年金や医療給付が充実することなどを紹介する特設サイトを厚生労働省ホームページに設ける、また、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターを公開する、こういった様々な普及啓発の取組を行ってまいりました。

 加えまして、本年度は、各企業が従業員に対して被用者保険加入のメリットを実際にどのように説明しているかなど、具体的な好事例を調査、分析いたしました上で、被用者がメリットをより実感しやすいチラシですとか動画を作る、あるいは、事業主が企業内での検討や従業員への説明等を円滑に進めていくための手引を作る、こういった政策活動を今進めているところでございまして、令和六年度からは、こうした新たな広報コンテンツを活用して、周知広報の充実を図るということとしております。

 様々な年代の方々に被用者保険への加入の意義やメリットを御理解いただけるように、引き続き、分かりやすく正確な周知広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

角田分科員 短時間労働者への被用者保険適用拡大に向けて、専門家が職場に出向いて従業員や事業主に被用者保険加入のメリット等を説明する専門家活用支援事業が令和三年度から行われておりますけれども、昨年九月までの実績が累計で三百八十件、昨年四月から九月までに限ってみますと実績は十九件にとどまっております。この数字が多いのか少ないのか。私は、もっと力を入れていただきたいと考えています。依頼を待つだけでなく、積極的な利用の働きかけを要望させていただきたいと思います。

 政府が持続的な賃上げ実現に力を入れる中で、各種の公的な制度、特に、収入制限を設けている給付が壁になってしまっていないかという視点での点検も、これから重要になってくると考えております。

 例えば、今年十一月分から、近年の一人親の就労収入の上昇等を踏まえ、児童扶養手当の所得限度額の引上げが予定をされておりますが、所得限度額見直しは、全部支給については、平成十四年に行われた次が平成三十年、そして今回。一部支給については、平成十四年以来の見直しとなります。

 この児童扶養手当の収入基準設定の考え方について、お伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当につきましては、一人親世帯の自立を支えるという観点から、その所得と手当額が連動し、所得が一定額を超えると手当額を減額する仕組みとなってございます。

 この所得限度額につきましては、一人親の所得状況などを勘案して設けているところでございますけれども、手当の減額等を心配して働き控えを考える人がいるといった課題があると承知しております。

 このため、今回の見直しでは、近年の一人親の就労収入の上昇等を踏まえまして、働き控えに対応し自立を下支えするという考えから、手当が全部支給となる限度額は百六十万円から百九十万円に、手当が一部支給される限度額は三百六十五万円から三百八十五万円に引き上げるということにしてございます。

角田分科員 令和五年版労働経済白書で、仮に最低賃金が千円、千二百円となった場合のシミュレーションを行っておりますが、ここでは、最低賃金を千二百円まで引き上げることで、最低賃金プラス七十五円以内のパートタイム労働者の割合が大きく上昇をして、最低賃金引上げの効果が更に高まっていく可能性が示唆をされております。全国加重平均で千五百円を目指して引き上げていくにつれ、最低賃金の持つ政策的な意味がますます重くなっていくことは、これは間違いないと思います。

 ここで取り上げました児童扶養手当は、あくまでも一例です。収入、所得制限を設けている給付について、新たな年収の壁となっていないかとの視点での点検を常に行って、必要な見直しを行っていただきたいということを、これは要望とさせていただきます。

 次の質問に移りまして、成年後見制度について質問させていただきます。

 成年後見制度は、認知症その他精神上の障害により判断能力が不十分な人のために、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人の財産管理や生活支援をすることで、本人の権利や尊厳を守ることを目的に、平成十二年に誕生し、現在、第二期成年後見利用促進基本計画に基づき、更なる利用促進への取組が進められているところです。

 制度の利用促進策の一つとして、申立て費用や後見人報酬などを助成する成年後見制度利用支援事業が各市町村で実施をされておりますが、助成対象者は多くの市町村で生活保護を受けている、あるいは世帯全員が非課税などに限られています。ここでは年金収入が非課税に該当しないものの、介護施設等の利用料や入院費用を賄うには十分ではなく、結果として、後見人報酬が低報酬、無報酬となってしまうようなケースについて質問をさせていただきます。

 被後見人の収入が年金のみならば、当然、受給する年金から生活に必要な経費、施設の利用料や医療機関への支払いなどを賄うことになりますが、被後見人本人が死亡した場合、その時点で年金を受け取る権利が消滅をいたします。

 老齢年金は本人の生活を保障するのが目的ですから、その受給権は一身に専属する権利として、譲渡や相続はできません。本人が死亡したときに受給権は消滅する。ただし、年金は後払いであることから、本人が受け取れるはずだった未支給の年金というものが発生をいたします。現行法では、未支給年金は、受給権者が死亡した当時、生計を同じくしていた三親等内の親族に支給をされるということになっていますが、第三者の後見人には請求権がないため、生前に発生をした介護や医療費等の経費をこの年金で賄うことができません。

 後見業務に携わっている方の話を伺う中で、そこまでやるかと思いますけれども、例えば、入院代を払わなければ死亡診断書を書きませんというような医療機関もあります。後見人を受任をしている人の多くは、本人の権利擁護のために半ばボランティア精神で働いています。葬儀や火葬など次の段階に進むこともできないために、結局、後見人が費用を支払って、その費用をどこからも回収することができないというケースがあります。

 現在の法律の規定では本人の尊厳を守ることができず、後見人のなり手も増えない。結果として、成年後見制度の利用も進まないということになってしまいます。未支給年金の規定も、これは是非見直すべきと考えますが、この点について見解をお伺いします。

橋本政府参考人 今御指摘をいただきましたように、年金は、その方がお亡くなりになるまで終身で所得を保障するものであり、法律上、年金を受ける権利は他人に譲り渡すことができない、御本人限りの一身専属の権利とされております。したがって、一般の財産とは異なり、相続の対象となるものではございません。

 そして、死亡した月までのまだ受給されていない年金については、死亡した方と生計を同じくしていた配偶者や子供など一定の御遺族がおられる場合には、御本人限りという大原則に対する例外といたしまして、未支給年金という位置づけで、その御遺族にお支払いする仕組みになっております。

 世帯構成が多様化し、生計を同じくする御遺族がいないようなケースもあるというふうには考えられるわけでございますが、第三者である成年後見人などに未支給年金の支給対象範囲を拡大するということにつきましては、年金が御本人限りの一身専属の権利とされているということですとか、あるいは民法上の扶養義務の範囲などとのバランスといったこと、そういった様々なことを踏まえた慎重な検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

角田分科員 老齢年金が一身専属の権利であるということであるならば、家族に支給するのも本来駄目なはずなんですよね。

 誰もが成年後見制度を利用できるようにするためには、成年後見制度利用支援事業の予算ももっと増やすべきだと考えますが、ここで申し上げていることは、成年後見制度利用促進のために予算措置をしろであるとか、財政支出を増やせということを言っているのではなく、本人のための年金を本人のために使えるような見直しを求めているわけです。

 高齢者を同居の家族が介護や看病をするのが一般的な時代であれば、生前の費用であるとか、葬儀の費用の足しにしてくださいという意味を込めて、同居家族に未支給年金を支給することの理屈は一応立つと思いますけれども、今は、単身、身寄りのない高齢者が増加をしております。

 年間で未支給年金が幾ら発生しているかというのは分からないということでしたけれども、こうした状況、社会構造が変わる中で、未支給年金というのもこれからますます増えてきて、これをどう生かすかというのはますます大きな課題になってくると思います。

 単身の高齢者だとか身寄りのない、そして支援を必要としている、そうした方の権利擁護の必要性が高まっているこの現状に合わせて、是非とも考えていただきたい。これは、ここで要望とさせていただきます。よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 介護現場におけるハラスメント対策について、質問をさせていただきます。

 介護の現場での介護職員に対する利用者や家族によるハラスメント対策について、利用者の抱える困難というものも様々で、本人にその意図がなくてもハラスメントと受け取られるような行為を行ってしまう場合もあり、ヘルパーなど職員も忍耐強い対応を迫られる場面も多くあります。

 私が聞いた事例でも、訪問介護事業所が利用者からの執拗なハラスメントにどう対処してよいか困っているとの事例でしたが、特に訪問系の場合は、原則一人で利用者と向き合うために、適切な対応、支援が難しいという面があります。暴力や受忍の限度を超えるような言動への対応について、警察や弁護士に相談するしかない現状があります。

 介護現場における利用者、家族等によるハラスメント対策として相談窓口を設置している自治体は、東京都、埼玉、神奈川県など、現状、七都県にとどまっております。

 高齢化、人口減少が進む中、介護人材の確保のためにも、安心して働ける環境整備が必要だと考えます。その一つとして、ハラスメントに対処するための支援、相談窓口の設置についても、厚労省として積極的に推進、取り組んでいただきたいと思いますが、この点について見解をお伺いをいたします。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のように、今後更に高齢化が進み、介護のニーズがより一層高まっていく中で、介護従事者の方の安全を確保して、安心して従事できる体制を整えることは大変重要だというふうに思っております。

 厚生労働省では、介護現場における利用者、家族等による暴力、ハラスメント対策として、対応マニュアル等を作成するとともに、自治体が介護従事者等に対して実施する研修や相談窓口の設置等に対して支援を行っています。ただ、これについて、今委員御指摘のように、まだ限られているというのが現状でございます。

 また、介護サービスの指定基準に係る通知において、カスタマーハラスメント防止のために事業者が講ずべき措置について明確化をしています。

 また、介護報酬におきまして、例えば、暴力行為とか、著しい迷惑行為とか、あるいは器物損壊行為等が認められた現場で、複数名で訪問看護や訪問介護の提供を行った場合の加算などを設けております。これは、やはり一対一だということの難しさから、このような措置も設けています。

 こうした取組については、厚労省のホームページや自治体の説明会の場などを通じて、広く周知を行ってございます。

 さらに、介護に限りませんけれども、一般的な取組としては、企業におけるカスタマーハラスメント対策の観点から、カスタマーハラスメント対策企業マニュアル等を作成するなど、取組を行っています。

 その上で、引き続き、委員の御指摘も踏まえまして、自治体の更なる働きかけも含め、介護従事者の皆様の安全を確保し、安心して従事できる体制を整えてまいりたい、このように考えております。

角田分科員 是非、お願いしたいと思います。

 特に、やはり現場は困っております。サービス事業をする側としては、そのサービスの依頼を原則断ることができないという中でどういうふうに対応していいのか、そういう相談窓口が身近にあることで、また、そういう窓口に様々な事例を集約して、どうすれば利用者も含めた利益になっていく解決策が取れるのか、そうした具体的なアドバイスもより効果的なものができるようになると思いますので、是非とも、この相談窓口の設置については積極的な開設に向けての働きかけをお願いをしたいと思います。

 まだ時間がありますけれども、予定した質問は以上となりますので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、国光あやの君。

国光分科員 自由民主党の国光あやのでございます。

 今日は、質問の機会をありがとうございます。

 本日は、持ち時間三十分ということで、大変恐縮ですけれども、私の地元の茨城県土浦市で一番と言っていいほどの課題であります、ローカルの話で恐縮なんですけれども、国立病院機構霞ケ浦医療センターについての御質問をさせていただきたいと思います。

 こちらにはフリップ、御覧いただければと思います。

 国立病院機構霞ケ浦医療センター、実は、私も元々、新人医師のときに勤めておりました。さらに、私自身は厚労省に勤めておりましたので、そのときも、国立病院機構、今日もいらっしゃっておられますけれども、そこに二年間、医療課長としても勤めた経験がございます。その経験を踏まえて、できないことをやってくれとは言いませんが、ちょっとこの病院、もったいなさ過ぎるんじゃないのということを、心を込めて、地元の期待を背負い、質問をさせていただきたいと思います。

 といいますのが、この霞ケ浦医療センター、土浦で地域医療のまさに要でございます。昔、実は、十五年ほど前に医師が非常に多く撤退をしてしまって、当時は廃院かという話もあって大騒ぎだったんですけれども、そこからいろいろな努力によって医師を、例えば筑波大学が臨床教育センターを設置していただいて医者が増えたり、あと、地域の方も、草刈りを地域の方が四半期に一遍してくださる。私、いろいろな病院を仕事柄見て回りましたけれども、地域の方がここまで、草刈りを四半期に一遍やっていただいて、しかも無償奉仕、余り聞いたことがございません。これほどまでに愛されていらっしゃる。

 実際、診療実績としても、コロナの診療のときに、ダイヤモンド・プリンセス、橋本委員長も非常に御尽力されておられましたけれども、その頃からコロナ診療には率先して、土浦市内で一番と言ってもいいぐらい取り組んでいただきました。さらに、救急搬送は土浦医療圏の約二・五割を占めております。また、眼科や整形、産婦人科などはもう半分以上のシェアを占めていたり、非常に医療機能としては重要です。

 余り重要ではない医療機関を何とかしてくれとは、私も医者の矜持にかけて言いませんが、やはりそういう非常に地域から期待をされている、まさに土浦市民やそしてつくば市民の生命を守っている病院が今大変なことになっています。

 実は、この四月付近に常勤医が何と十人近く退職をされます。それは理由は何ですかといいますと、もちろん医局のいろいろな御事情なども一部ありますが、突き詰めていくと、原因は、この医療センター、一番の困難は病院が古過ぎることであります。築五十四年です。ちょっと、五十四年というのはなかなかないですよね。地元でも一番古いのがこの医療センターです。かなり頑張っていらっしゃるわけですけれども。

 国立病院機構さんも私も何度も、国会議員になってもう七年目になりますけれども、本当にいろいろお願いをさせていただいて、この病院、このフリップのとおり、今まで予算をつけていただいて例えば雨漏りの改修、これは本当に外来に入ってすぐのところにこんなに大きな穴が空いているんですね。雨漏り、本当にすごいんですよ。コロナのときも雨漏りでした。この雨漏りを改修していただいたり、あと、分娩室のひび割れ、ひび割れも多数あって、大変な状況、隙間風も吹く、それを改修いただいたり、そしてまた、手術室を改修したり、自動ドアを設置いただいたり様々していただきましたが、やはりなかなかこれだけでは十分とは到底言えず、医師もやはり、改修の見通しが、どうも去年あたり予算が更についたと仄聞はしているけれども、何か見通しが見えない。

 しかも、この病院は電子カルテでもないんですね。紙カルテなんです。電子カルテは、やはり医療従事者としてはもう当たり前で欲しいですよね。それもいつになったらできるんだいということで、全く見通しが立たない。そうこうしているうちに、本当にだんだん心が萎えてしまい、バーンアウトしてしまったという状況がございます。

 これは、できないことをやってくれとは言いませんが、例えばこの改修も、幾らとは言いませんけれども、今年、数億円ほどもう予算を確保して改修するとなっていますよね。なっているんだけれども、一体それは、入院を、外来を、病棟を、あるいは駐車場もぼろぼろなんですけれども、どこをどうするのというのは全く知らされていない。そうしたら、やはり地域住民の方も医療者も萎えますよね。

 この辺りの課題を、電子カルテも、一応これは言っていいということなので申し上げると、来年の三月に導入をなさると決めていただきましたが、医療者は、今日も今朝聞きましたが、誰も知りません。えっ、そうなの、国光さん、そうだったのと。辞めたドクター、辞める予定のドクターも知らなかったです。これはやはりちょっとおかしいんじゃないですか。

 広大な土地の利活用も未利用地が長らく放置されていて、これも、私も当選以来、もうちょっと利活用して、貸すなり売却するなりして、建設費用、改修や施設整備の原資にしたらどうだということをして何とか動いていただきましたけれども、ちょっとやはり遅過ぎます、歩みが。

 この辺りを是非、しっかり、整備計画や建設の公示や、そしてまた着工などを可及的速やかに見える化して、地域やそして医療者に示していただきたいと思いますけれども、是非御見解をお伺いしたいと思います。

大西参考人 まず、このような説明の機会を設けさせていただきまして、本当にありがとうございます。

 また、霞ケ浦医療センターにおきますこの度の医師の大量な退職、それからそれに伴う診療制限につきましては、患者様あるいは近隣住民、医療機関等に多大な御不便、御迷惑をおかけしておりまして、大変申し訳ございません。病院と法人本部で連携協力して、地域医療に支障のないように努力していきたいというふうに考えております。

 ただいま委員から御指摘のございました国立病院機構の各病院における施設整備の基本的な考え方でございますけれども、当機構は国の交付金による運営ではございません。いわゆる自収自弁ということで、赤字の病院があってもそこを黒字の病院からの拠出等で支え合っていくというような形で投資資金を捻出するというような構造になっておりますので、病院の施設整備に当たりましては、各病院の経営状況などを踏まえながら、どのような投資が必要かということを病院と本部とで調整しながら進めていくということにいたしておる次第でございます。

 霞ケ浦医療センターにつきましても、そうした経営状況と併せまして、病院が有すべき、委員からいろいろ御指摘をいただきましたとおりでございますけれども、医療機能、地域の医療に果たしている役割、そういったものを考慮しながら、建物、医療機器等の投資方針を検討していくということにしております。

 現時点で既に決定しているところにつきましては、今御紹介いただきましたような手術室の内部改修ですとか自動ドアの設置等の工事につきましては今年六月に完成する予定ということで、現在工事を進めているところでございます。

 また、電子カルテにつきましても、先生から御指摘ございましたとおりですが、六年度中にカルテの導入をするということは決定をしておりまして、このことは地域の方々にもあるいは働いていらっしゃる方々にもきちんと説明をしていかなければならないなというふうには思っております。

 さらに、委員の中で御紹介がございました更なる外来棟ですとか駐車場などの改修につきましては、まだ現時点でいつまでというようなことは具体的に申し上げられる段階ではございませんけれども、本部と病院で相談しながら改修の計画案作成を進めております。

 今御指摘ございましたように、これをなるべく早く病院の方々あるいは地域の方々にお示しするということが非常に大事なことだというふうに考えております。改修工事自体は病院が主体となって行うものでございますので、地域の皆様等に御説明できる段階で病院において適切に対応していただくということになりますけれども、その点、本部としても、病院の手助けをして可能な限り速やかに整備計画を取りまとめまして、工事着工という手続にかかれるように、早期化を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

    〔主査退席、後藤(茂)主査代理着席〕

国光分科員 ありがとうございます。

 先ほど、前段のところで、副理事長、経営の関係で、赤字病院と黒字病院の話がありましたけれども、赤字病院を何とかしてくださいとはさすがに私も言いませんが、このフリップを見ていただいたら、以前はもう経常収支約八〇パーとか七〇パーとかえらい時代もあったんですけれども、相当努力されて、コロナの前ですからコロナ補助金以外の、コロナの前も経常収支一〇三パーぐらい黒字化しています。

 ここまでみんなで、あとちょっとで改修だ、整備促進だと、本当に、病院の中も、そして地域の方も、土浦市も、そして関連の医師を出してくれている筑波大学病院も、そして近隣の高度急性期である土浦協同病院なども本当に期待していたんです。でもいまだに余り見えないというのは、私はやはり、本当に不作為に近い、予算もついているのに何で言ってくれないのかということは、本当にゆゆしき事態だと思います。本当にこうやって人の心は離れていくんだなというふうに思いますので、是非そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 ちなみに、着工の話がありましたけれども、それは今年中ぐらいにはちゃんとやっていただける予定が、見通しがあるんでしょうか。

    〔後藤(茂)主査代理退席、主査着席〕

大西参考人 お答えいたします。

 今御指摘の部分は、恐らく、後から、これから整備する部分、外構ですとか外来棟の部分のお話だと思いますけれども、ここにつきましては、まだ現時点では、どのようなタイミングでその着工にかかれるかというようなことをお示しするのがまだちょっと難しいような状況でございます。

 速やかに整備計画を病院と本部で相談して、どういうタイミングでかかれるかというようなことを早く御説明できるように努力してまいります。

国光分科員 是非、可及的速やかに、一度説明会は病院の中の医療従事者に対しても、地域に対してもしていただけるように。やはり、医師が大量にいなくなる、これは正確に言うと、頑張って、入院医療は消化器がちょっと減ってしまうんですけれども、消化器以外は継続し、外来もきちんと消化器も含めて何とか医者をかき集めて、本当に私も六人ぐらい医者を紹介させていただきましたけれども、何とか機能しますが、やはり地域の住民の方、非常に不安です。

 是非、できれば三月とか四月とか、早い段階で説明の機会は持っていただきたいなと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 三月、四月はなかなか難しい部分があると思いますが、病院と協力しながら、なるべく早くお示しできるように努力いたします。

国光分科員 ありがとうございます。

 何でこういうふうに遅くなってしまうかというと、私からちょっと見ますと、何度も病院に伺っていますと、やはり、ドクターの方や医療従事者の方は非常に頑張っているんですけれども、もちろん事務の方も頑張っているんですが、元々これは旧療養所の病院でしたから、事務の方もそんなに元々数が多くないんですね。そこにこれほど患者さんが増えてきて、一気に医師確保や、そして救急や、入院や、外来のパワーが増えて、ちょっと事務として回っていない部分というのも随分あるようには承っています。

 副理事、是非、事務の、緊急的に、例えば週二、三回でも、改修工事をやったことがあるようなすてきな事務員の方に助っ人で来ていただくとか、何らかの、更に、やはり事務の今緊急事態ですから、補強をしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 お答えいたします。

 病院の事務部門は、こういった整備計画をきちっと物にしていくという観点で申しますと、非常に重要な役割を担っておりますので、その部分についてしっかり本部としても支援をしてまいりたいというふうには考えてございます。

 具体的な人繰りの手当てまではなかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、そういうことで、事務部の能力の不足がその整備の遅れにならないように、私どもとしても最大限の配慮をしてまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 本当に、一言で言うと、ポテンシャルが非常に高い病院で、期待も大きいのにもったいない、この一言に本当に尽きると思います。よろしくお願いします。

 あと一つ、御提案なんですけれども、今フリップの真ん中に分娩室の話が出ております。実は、近隣のつくば市も土浦市も人口が非常に増えていて、つくば市は、この病院はつくば市に非常に近接している立地になっているんですけれども、何と全国で一番の人口増加率になりました。今後分娩増えますよね。もう本当に、その中で、つくば市の、この病院以外の病院は、実はもう分娩の予約が取れないぐらい大変な状況になっております。

 ただ、副理事長、この医療センターは、実は、自由診療の産科、分娩ですけれども、費用が一番、近隣病院に比べて安くて、何と五十五万円で産めるんですね。ほかはみんな八十万ぐらいしますよ。安いんですけれども、妊婦さん、余り行かないんですね。何と、今でも空床があるんです。

 これは古いからです。ひび割れている分娩室とか、委員長笑っていらっしゃいますけれども、ひび割れていたり、本当に風が吹いたりしていると、それは、まあ私はもちろんここで産みたい、次の子供を産むときは産みたいなと、まだ諦めていないんですけれどもね、思うんですけれども、やはり普通の妊婦さんは、やはりちょっと医療センターは、レベルは高いと聞いているけれどもちょっととやはり言います。これはもったいなくないですかね。

 是非、産科の部分は収益源にもなりやすいですし、個室代とか特別食で選定療養費を取ったら、やはりこれは収益源になりますよね。この分娩のところも地域の医療ニーズが非常にある部分ですので、是非対応いただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 お答えいたします。

 分娩を御検討される奥様、お母様になるんでしょうか、そういった方々にとって、分娩の環境というものが本当にすばらしい、優れている病院というのをどうしても選ばれる、選択されるということで、当センターの場合はその点が少し、老朽化のために魅力がその分下がっているという部分はあろうかと思います。

 何ができるかということにつきましてはこれから検討させていただきたいと思いますけれども、そういったことで、地域の分娩を希望する方々に選んでいただけるような病院になるように、私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 ちょっときれいになったらたくさんいらっしゃると思います。実際にアンケートもしましたけれども、本当は、できればやはり、医療センターの信頼度というのは、地元ではずっと長らく国立病院と言われていますが、国立病院の信頼度は抜群です。ドクターも本当に信頼できる、すばらしい方ばかりです、論文数も、症例数も。ですので、ここの改修の部分は是非優先的にお願いをしたいと思います。

 さらに、この改修に関して、今具体額は申しませんけれども、今年中に改修費用が○○億円ついて、予算化していただいて、本当に感謝を申し上げます。ただ、できれば、非常にポテンシャルのある病院ですから、最近コロナもやっとちょっと落ち着いて、全国的にNHOの病院、百四十病院も収益がだんだん上がっているようにも伺っております。

 是非、更なる改修についても、改修費用の補助についても御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

大西参考人 霞ケ浦医療センターの直近の決算状況、四年度決算でございますけれども、先ほどもお話がございましたが、経常収支は四・四億円の黒字ということでございますけれども、医業収支で見ると一億円の赤字ということで、今年度、令和五年度につきましては更に厳しい数字になるということで、決して楽観視できない状況でございます。

 国立病院機構といたしましても、令和四年度決算ベースで、経常収支は黒字なんでございますけれども、医業収支で見ますと四百億円を上回る赤字というようなことで、厳しい経営状況でございます。

 こうした中で、実は、霞ケ浦医療センター以外にも約半数の病院で外来棟が築四十年を超えているということで、老朽化に伴う維持管理というのが非常に大きな課題になっております。

 霞ケ浦医療センターに対する更なる投資といったことにつきましても、そういった機構全体の状況というようなことも考慮しながら、当該病院の経営を改善する努力を図りながら、そういったことを検討していくということになろうかというふうに考えております。

 現在、先ほど来お話ししております外来棟の改修、それからさらに、大型の医療機器、数億円規模のものになりますけれども、そういったものの更新ということも診療機能を維持する上で必要な機能でございますので、そういったことも検討しております。

 今後も、必要となる整備費用につきましては、本部と病院でよく相談しながら、必要な資金の確保といったことに努めて整備を進めていくということに努力してまいりたいと考えています。

国光分科員 ありがとうございます。是非お願いいたします。

 この病院、やはり、私も拝見していて、まだまだ収益を自分で自ら稼げるポテンシャルは高いです。高くない病院も実際あるのでそこにはもうこれ以上は申しませんが、例えばさっきの産科もそうですし、こちらの広大な土地の利活用も、もっとも、私、気づいて、結構お願いして何とかやってくださいましたけれども、間もなく介護施設等に貸出しを今検討していただいていますよね。でも、これはもっと早くからやっておけばよかったんじゃないですかね。もったいないですよね。

 いろいろやはり収益源はあるはずですし、もう少し改修の見通しがあれば医者が常勤十人は減らなかったと。ちょっと意向をそれぞれ、私、全部医師の顔が浮かびますのでちょっと伺ってみたら、半分ぐらい歩留まっていました、本当に。お酒を飲みながら聞きましたので、本音は聞けていると思います。是非そこはもうちょっと、ポテンシャルのある病院ですから、NHO本部、国立病院機構本部さんもサポートをしていただきたいと思います、増額についても。

 それからもう一つ、前向きな御提案なんですけれども、同病院に是非もうちょっと工夫していただけるといいのかなというのは、よその近隣の自治体、例えば土浦市や、さらに茨城県、さらにはクラウドファンディングなども、これは調べましたら、国立病院機構さんの病院の中でも東京医療センターさん、クラウドファンディングで四千万ほどですか、実際に増額、うまくクラファンでお金が集まったり、南京都病院も八百万ぐらいでしたか、かなり集まったり、それぞれ各国立病院機構の病院でさえもいろいろ取り組んでおられますよね。そういう努力ももうちょっとしてもよろしいんじゃないでしょうか。

 やはり、今、病院と相対していますと、大事な病院なんだけれども、やはりそこまで、県とかクラファンとか、そういうところまで気が回る、ちょっと余力がないというのが同病院の現実だと思います。その辺り、是非、機構本部の方からもサポートを積極的にいただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 お答えいたします。

 現在も、この霞ケ浦医療センターに対しましては、土浦市から補助金をいただいて、地域臨床教育センターというような機能を果たしているということでございまして、自治体から様々な支援をいただいているところでございます。

 今後も、更なる整備といったものを進めていく上では、そういった自治体からの補助金、あるいは委員から今御指摘がございました未利用地の有効な活用というような手法なども含めまして、いろいろ知恵を出し合いながら、そういった必要な資金の確保というのを図ってまいります。

国光分科員 ありがとうございます。

 クラファンもすぐできますし、市からも毎年数千万ほどお出しをいただいておりますが、この状況、緊急事態なので土浦市も是非協力できることだとおっしゃっておられます。

 さらに、もったいないなと思いますのは県です。実は、この事態を受けて、改めて私からも、この病院の今の指定の状況、例えば一応、二次輪番の救急もやってくださったり、いろいろな指定を持っていますよね、もうちょっと取れる県の補助金、それは国の国庫補助事業なんですけれども、取れるものがないのかと調べましたら、結構出てくるんですね。

 二次輪番の補助金も数千万ぐらいの実入りになりますけれども、いまだに要望されたことがなくて、県も、これは該当するのに何か出していなかったのでちょっともったいないみたいな話もいただいておりますし、医療介護総合確保基金、これは消費税を財源につくって、大体、茨城県の年間、毎年、国が三分の二、県が三分の一で、二十億円ぐらいついています。ちょっと実は余っています、最近。これも、区分一の施設整備でもこれほど救急や産科などもやってくださっていますので補助対象になり得ると思いますし、ほかの機構病院は実際出してもらっていますよね。さらに、例えば在宅医療だとか地域包括の部分もそれぞれ該当するものもあろうかと思います。

 是非、そこは病院任せにし過ぎず、緊急事態ですので、副理事長を始め、機構本部の優れた頭脳を生かして、しっかり県へのつなぎ、ちょうど県の保健福祉部長は厚労省から出向しておりますので、是非そういうところもしっかり御支援をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 それはいかがですか、県へのちょっと働きかけなどは。

大西参考人 御指導ありがとうございます。

 茨城県ともよく連携をしながら、我々の本部の方でもいろいろアドバイスしながら、協力して取り組んでまいります。

国光分科員 ありがとうございます。

 施設整備で、最後に一点。

 私も機構本部におりましたときに、これは余りちょっと言いにくいんですけれども、いろいろな施設整備、当時、ほかの病院の整備も、過去十年ほど前ですか、幾つかちょっと関わらせていただきました。やはりちょっと関係の業者さんから若干足下を見られているというか、やはり明らかに同規模の民間病院より高く入れてくるんですよね。さらに、やはりちょっとスピード感も若干民間と比べてゆっくりだなということがあって、それは長らくの課題だと思います。もう分かっていらっしゃると思います。

 こちら、実際にちょっとこの病院の近くにある同規模の病院で、いちはら病院という民間病院なんですけれども、こちら同規模の病院でありますけれども、相当廉価な、昨秋に新しく新病棟を開設をされておられて、二百床で、大体似ている規模ですよね、約十五億で、十五億ですよ、結構安いですよね、十五億で建設されておられます。

 やはり、そういうノウハウをしっかり国立病院機構も、本当に、日の丸を背負っていらっしゃるということは元々あるんですが、やはり病院経営は非常に重要な部分でありますので、しっかりその辺りの建設におけるいろいろな民間のノウハウを取り入れた工夫などもしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 お答えいたします。

 民間のノウハウを参考にすべきということにつきましては、全くそのとおりだというふうに考えております。

 私ども、実際にも、例えば、日本医療福祉建築協会という社団法人の方でいろいろな建築に関する講習などをやっておられますけれども、そういったものに参加したり、あるいは、建築費用、民間はどうなっているか、他の公立はどうなっているかというふうなことの情報収集なども積極的にやることによりまして、高い、遅いといった御批判を招かないように努力はしているところでございます。

 また、WTOのルールですとか、必ずしも民間病院と比べられない部分もございますけれども、そういった守るべき手順はしっかり守りながら、しかし、可能な限り速やかに必要な施設整備というのができるように、我々の方のノウハウのレベルアップも、民間のノウハウを参考にしながら努力してまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 やはり私、一つ、実際に機構本部に勤めた経験で思いましたのは、協議のプロセスがやたら長いということです。申し訳ないんですけれども、すごい爆笑されていますけれども、これはなかなか、いないと分からないんですけれども、長過ぎです。決裁取るのにどれだけかかるんだよみたいな感じの。本当に、この病院だって、本部とそれから病院の間で何回も何回も何か玉の転がし合いみたいになっていて、さらに、副理事長や理事長さん始め幹部会の決裁を取るのも何往復もして、そんなんじゃ遅れますよね。

 もうちょっとそこは、緊急性が高いところこそ早めに、これは民間がそういうのは得意ですよね、是非、そういうところもノウハウを生かして頑張っていただきたいなと思います。

 最後に、医師確保のお尋ねなんですけれども、今回医師が、若干常勤医が減りますけれども、今、病院の方も、特にいなくなってしまう消化器を中心に入院対応できる常勤医を探しておられたり、また、今、外来は、私も人をちょっと紹介したりして何とかなりましたが、当直医が足りない。私も助っ人に行きますと言っているぐらいなんですけれども。本当に行くんですね、私。それでもなお、四月以降のローテーションはなかなか埋まっていないんですね。大変です。これは、だって、土浦医療圏の救急搬送を二割三割担っていたわけですよ。

 副理事長、是非、こういうときこそグループの強みというのはありますよね。スケールメリットです。日本最大の病院グループは国立病院機構だといつも言っているじゃないですか。是非、そういうときこそ、例えば常勤医ですね、消化器に限定せずに、例えば、高齢者の総合診療的な、いわゆるホスピタリストというやつですね、総合診療ができるドクターであるとか、東京医療センターにもすてきな方、たくさんいらっしゃいますよね、そういう方をちょっとお手伝いいただけるとか、近隣の水戸医療センターから派遣いただくとか、さらに、当直医の確保も各病院からもう少し募っていただくとか、病院もしっかり努力はされていますが、なおやはり足りないんです。

 是非、そこはグループとして御支援をいただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大西参考人 お答えいたします。

 医師の確保というのは、国立病院機構の各病院の中でも非常に苦労している難しい問題でございまして、霞ケ浦医療センターにつきましても重要な課題だというふうに認識しております。

 現在、このような事態になっているところでございまして、機構本部としても何ができるかというようなことで、今、様々病院と相談をしながら進めております。

 常勤医の確保ということにつきましては、地域全体における医療の機能とか大学の医局の状況ですとか様々な事情もございまして、なかなか難しい部分もあろうかなというふうに考えております。

 当面、今先生からお話ありました当直医の派遣というようなものにつきましては、機構内で何とかその御支援ができないかというようなことで調整の作業をさせていただいているというところでございまして、今後とも、病院とよく相談しながら、医師の確保につきましても支援してまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 是非、四月以降の、特に救急、本当に一番の市民の方が期待される部分ですので、そこが少なくとも続くように、入院はまだ待機的なものですから、国の病院でも最後は受けてくださるということがありますけれども、そこに例えば円滑につなぎますといったメッセージを発していただくとか。今まだ何にもないので不安なんです。是非そこは機構本部からもサポートいただきたいと思います。

 では、以上です。ありがとうございます。

橋本主査 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。

 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日の分科会、最後の質疑者となります。どうか最後までよろしくお願い申し上げます。

 今日は私の方からは、発達障害、摂食障害等について、当事者、関係者の方からいただいた声を基に政府参考人に質問させていただきます。

 大臣は御退席していただいて結構でございますが、後日で結構でございますので、御確認いただけるとありがたく存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、具体的に質問に入らせていただきたいと思います。まず、発達障害について質問させていただきたいと思います。

 小児医療の医師より、現場の状況を伺うことがございました。近年、十八歳未満の児童精神、児童心理、発達外来の受診希望者が大変に増えているということでございました。発達障害は、御存じのとおり、早い段階から発達段階に応じた支援をしていくことが必要でありますけれども、児童精神科、小児心療内科等の医師、医療機関が少なく、初診までに一年以上かかることもあると伺っております。

 これは一つ、専門医等が不足しているということが要因であると考えられますが、まず厚労省の現状認識をお伺いしたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 現状についてでございますが、平成二十九年一月に行われました総務省による発達障害専門的医療機関に関する調査におきまして、専門医療機関において発達障害を疑われる児童生徒の初診待ちが長期化していること、また、発達障害の専門医や専門的医療機関が不足しているという指摘を受けたところでございます。

 発達障害を早期に診断し、適切な支援につなげていくことは大変重要なことであると認識をしております。このため、令和六年度からの第八次医療計画におきましては、地域の医療提供体制の構築に当たりまして、都道府県に対して、地域の実情に応じつつ、発達障害に対応できる医療機関を明確にすること、医師を含めた専門職の養成等を図ることなどを検討するように求めることとしているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございます。

 厚労省としましても、専門医等が不足しているということで認識をしていただいておりまして、ある程度現場の実態も押さえていただいているかと思います。

 これはちょっと私の話になりますが、ここ数年、私自身は、不登校に関する市民相談、御相談を受けることが増えてまいりました。よく発達障害の子供は不登校になりやすいと言われておりますけれども、実際に、発達障害であるお子さんだったり、また発達障害の可能性があるというお子さんが不登校のことで、御家族の方も悩んでいらっしゃるということで、お話を伺う機会が増えております。学校に行きたいという気持ちがあっても、学校や友人になじめなくて、また自分自身にこだわりがあって学校に行けないという子供たちがいらっしゃいますし、また一方で、親の方も、具体的に何をしてあげたらいいか分からないということで、大変に悩んで苦しんでいらっしゃる方も多くいらっしゃいます。

 そうした中で、改めて、少しでも早い段階で受診することができる、そして適切な支援に結びつけることができる、これが大変に重要でありまして、その子供にとりましても、成長はもちろんですが、その子供の生き方とか人生にも大きく関わってくるのだと思っております。そういったことからも、この専門医また専門機関が不足しているという現状を改めて改善する必要があると思っております。

 また、お話を伺った専門医の方からの御意見でございますけれども、専門医等の不足の要因といたしまして、診療報酬が問題である、そういった御意見もいただいております。例えば、月一回のカウンセリング加算は五千円ということで、長い診療時間に対しまして診療報酬が少ないということ、またそのほか、医師以外の保健師や看護師、精神保健福祉士等の多職種による診療には診療報酬がつかないため、病院の経営面からも児童精神科や小児診療科の設置が難しいのではないか、こういった御意見もいただいております。

 この専門医不足という要因ということで、現場からこういった声をいただいておりますが、しっかりとこの点、対応する必要があると考えますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘のように、発達障害などの児童精神分野の更なる充実というのが非常に必要だと考えてございます。

 児童精神科医の不足の問題、あるいは診察を受けるまでに時間がかかるという話については、我々診療報酬を担当する者としても改善が必要だと考えておりまして、今度の六年度の診療報酬改定におきましては、児童思春期の精神疾患の支援を充実するという観点から、小児特定疾患カウンセリング料の見直しを行いまして、初回のカウンセリングに対する評価、これを高めたり、あるいは算定期間の延長、長期にわたって支援が必要だということもありまして、そうしたことも行っております。また、多職種が連携して外来診療を実施した場合の評価として、二十歳未満の患者に対して行った場合には児童思春期支援指導加算、こうしたものも新たに設けることといたしました。

 こうした新たな診療報酬の中身が現場に広く浸透するように、しっかりと周知して、児童精神の領域の充実を図ってまいりたい、このように考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございます。

 今、局長の方からも御答弁いただきました。小児特定疾患カウンセリング料について要件、評価を見直す、また、多職種が連携して外来診療を実施した場合の評価が新設される、そういったことでございました。これは、発達障害に携わってくださっている専門医の先生方からしましても、大変御苦労されていると伺っておりますので、大変大きな一歩であると思っております。

 ただ、これによってすぐにこの問題解決につながるわけではありませんので、そういったことから、早期受診につなげるための支援、取組が大変に重要になってくるかと思っております。

 そこで、受診できるまでの支援、これが重要になってくるかと思いますので、しっかりと対応していただきたいと思っておりますが、厚労省にお取組をお伺いしたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 発達障害につきましては、御指摘いただきましたように、早期に把握をしまして適切な支援につなげていくことがその後の発達に大きな影響を及ぼすということから、発達障害等に対応できる医療提供体制の整備が大変重要であるというふうに考えております。

 このため、厚生労働省では、医療計画に係る国の指針で都道府県における児童思春期精神疾患及び発達障害に係る医療提供体制の整備を求めることと併せまして、都道府県等の事業として、診断に必要な情報を医師が迅速に受信できるよう、発達障害に係るアセスメントが可能な職員を医療機関等に配置することですとか、地域内の関係医療機関のネットワークの構築によりまして、医療従事者への発達障害に関する専門的な研修の提供ですとか医療機関同士の意見交換の場を設けること、こうした事業を実施をしておりまして、これらを通じて、引き続き、発達障害等の診断を行う専門医療機関における初診待機の解消に努めていきたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今御紹介いただいた事業ですけれども、都道府県で行っていただいているということで、十一か所でよろしいでしょうか。ちょっと確認させていただければと思います。

辺見政府参考人 十一か所でございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。現在十一か所ということで、この事業が行われているということでございました。

 こういった支援が身近なところでしっかりと受けることができるように、また、地域間格差がないようにしていくことも重要かと思いますので、是非、広く展開できるように、その点も留意していただいて、お取組を更に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、こども家庭庁の方に関連してお伺いをしたいと思います。

 今、発達障害児への対応ということで質問させていただきました。受診までに時間がかかるという現状、課題ということで質問させていただいておりますけれども、やはり、繰り返しになりますが、発達障害は、早い段階から発達段階に応じた支援、これに結びつけることが重要になってまいりますので、是非とも、こども家庭庁におかれましても、発達障害児、またその御家族に対する適切な支援、これに尽力していただきたいと思いますが、御見解、お取組をお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 こどもまんなかを掲げて、子供とその保護者、御家族の方に寄り添った施策の展開と、あるいは、そういった寄り添えるような社会づくりを目指す私どもこども家庭庁といたしましても、発達障害のあるお子さんやその家族に対する支援、こちらの充実を図っていくというのは非常に重要な課題であると考えております。

 地域において、保護者の方々の、ちょっと発達に気になるなという点があれば、それを受け止めて、そして関係者が連携をして、早期から切れ目なく必要な支援につないでいく、こういった体制をつくっていくということが肝要かというふうに考えております。

 そのため、こども家庭庁では、令和五年度の補正予算からでございますけれども、地域におけるこどもの発達相談と家族支援の機能強化事業というものを開始をしたところでございます。これは、地域の中で、保健、子育て、教育、福祉などの関係者と医療機関の医師、心理職、ソーシャルワーカーなどが連携をして、子供の発達相談を実施をする、あるいはカンファレンスなどを通じまして必要な支援につなげていくような取組、そういった面づくり、地域づくりを進めるということを着手をしたところでございます。

 さらに、昨年末、令和五年の十二月二十二日に閣議決定をされましたこども未来戦略におきましても、障害児支援につきまして、早期発見、早期支援などの強化というのも盛り込んだところでございます。

 今後とも、こども家庭庁といたしましても、自治体と連携しながら、子供と家族の支援ニーズに応じて適切な時期に対応できる支援体制の構築、こういったものを進めてまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 こども家庭庁におかれましては、特に困難を抱える子供たちへの支援ということで、今、事業の御紹介もいただきました。地域において、また学校もそうですし、医療機関、そういったところと連携を取りながら、中心となって、こういった困難を抱える子供たちへの支援ということで、大変に期待しておりますので、この事業の実施ということでしっかりとやっていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 本日は、児童精神科医また小児心療内科医が不足しているということで質問させていただいておりますが、改めて、専門医を増員するということが容易ではないということは承知をしておりますが、しかし、現状を踏まえまして、発達障害の子供たち、またその御家族が少しでも早く受診することができるように、適切な支援につながるように、専門医の確保、育成について、しっかりと検討して対応していただきたいということで、改めて強く要望したいと思いますが、厚労省の御見解をお伺いしたいと思います。

辺見政府参考人 発達障害を早期に診断し、適切な診断につなげていくためには、先ほど御紹介いたしましたような地域における支援体制の整備や診断待機の解消の取組というのが一つの重要な観点でございます。

 こうしたことに加えまして、発達障害への対応が可能な医師等の育成を図るという観点から、児童思春期における様々な精神保健に関わる問題に対応できる医師などの専門人材を確保するための研修を予算事業において実施をしているところでございます。

 こうしたことに加えまして、医師の地域偏在や診療科偏在に幅広く対応する取組として、特定の地域や診療科での勤務を条件とする地域枠を医学部定員に設定することや、都道府県が大学病院等に寄附講座を設置する際の支援などを行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁、関係機関、関係部局間で連携をしながら、発達障害に対応できる医療提供体制、支援体制の構築に努めてまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今局長の方からもございましたが、この問題は、厚労省だけではなくて、文科省だったり、こども家庭庁だったり、他省庁との連携も重要になってまいります。

 その上で、改めて最後に申し上げたいのは、今、国としても、少子化対策、子育て支援、重要課題ということで取り組んでいる中で、経済的支援をしっかり今やらせていただいておりますが、そういった中で、あわせて、やはり子供たちをどのように育てていくのかという質の部分も大変に重要になってくるかと思います。

 誰一人取り残されない、そういった社会をつくっていく上で、こういった問題、引き続き、厚労省だけではないんですが、文科省またこども家庭庁を含めてしっかりと連携を取っていただいて、力を合わせて、この問題、解決というか、取り組んでいただきたいということで、改めて、最後、要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。小児慢性特定疾病から成人期へ移行する、そういった方への支援について質問させていただきたいと思います。

 五歳のときに小児がんの一種であります胞巣状軟部肉腫と診断された御家族の方から御相談を受けました。そのお子さんは、現在二十歳を超えられまして、小児慢性特定疾患の医療費助成が使えなくなりまして、小児期から医療費が十倍になったという、経済的な負担が大きくなっているということで、そういった御相談がございました。

 胞巣状軟部肉腫というのは、全身のあらゆる部位に悪性腫瘍が発症しまして、その都度手術をするしかないということで、その二十歳になられたお子さんは、これまで悪性腫瘍が発症しては何度も手術をするという、そういった、繰り返してこられた方であります。本当に文字どおり壮絶な病との闘いの連続でありました。

 そういった困難な中にありましても、本当に家族の皆さんに温かく支えられて、また、何より御本人が、将来に向かって自分の夢を持って、今、専門学校に通いながら頑張っていらっしゃるという、本当に、病と闘いながらも自分らしく挑戦している若い患者さんに対しまして、何か支援ができないかということで強く思っております。

 そういったことから、これまでも多くの議員がこの問題を取り上げさせていただいておると思いますが、成人してからも安心して継続して適切な医療を受けることができるように、小児慢性特定疾病から成人期へ移行後に対する支援体制を図っていく必要があると考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、難病と小児慢性特定疾病、この医療費助成の対象疾病ですとか要件、これは趣旨、目的が異なることから、必ずしも一致はしておりません。ただ、その要件に見合わせて、毎年、対象疾病の見直し、追加ですとか、そういったことを行っているところでございます。

 小児慢性特定疾病のうちで、厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会、ここにおいて、引き続き指定難病の要件を満たしているかどうか、こういったことを御審議をいただいておりまして、満たすというふうに判断がされた場合には、そのまま引き続き指定難病として医療費助成の対象となっているところでございます。そうでない場合でありましても、順調に成人期の医療につながるように、移行医療、ここの支援というものを今充実させていくこととしておりまして、都道府県にもよく働きかけをしてまいりたいと思っております。

鰐淵分科員 この方の場合は、胞巣状軟部肉腫ということで、対象にならないということなんですけれども、さっきおっしゃったように、いろいろ、個人個人によりまして違うということは承知しておりますけれども、いずれにしても、こういった、成人に移行して、経済的な理由で治療を断念する方がいるということも懸念されておりますし、是非厚労省の方で、その先がどうなったのか、患者さんがどういう治療を受けているのかとか、医療費がどうなったのか、そういったことは把握されていないと思いますので、ただ、そういう現実があるということを改めてしっかりと受け止めていただいて、それを念頭にまた今後の支援体制の在り方も検討もしていただきたいと思いますので、再度要望させていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、摂食障害について質問させていただきたいと思います。摂食障害につきましては四年前の分科会でも取り上げさせていただきましたけれども、改めて、確認も含めて質問させていただきたいと思います。

 時間の関係で、摂食障害の症状につきましては省かせていただきますが、現状といたしまして、令和二年十二月の実態調査では、国内患者数は推定二十二万人以上と言われておりまして、摂食障害は、回復までに平均五年かかり、もっとかかる方も多いと思いますけれども、平均五年かかり、また、精神疾患の中で致死率が最も高いと言われております。しかし、ダイエットの延長とか、ただのわがままだという誤解もございまして、正しく認識されていないため、医療機関につながることができず苦しんでいらっしゃる患者さん、その御家族が大変多くいらっしゃる、また潜在していることが考えられております。

 そうしたことから、四年前の分科会でも取り上げさせていただきまして、もっと身近なところで摂食障害患者の相談、また受診が可能となるように、摂食障害治療支援センターの設置促進を訴えさせていただきました。

 まず、現状についてお伺いしたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 摂食障害に対する理解を促進し、患者やその家族に適切な治療や相談支援を提供する体制を整備するため、厚生労働省におきましては、平成二十六年度から、都道府県向けの補助事業として、摂食障害治療支援センター設置運営事業を実施しているところでございます。

 この事業の中におきまして、摂食障害支援拠点病院でございますけれども、摂食障害の治療や専門的な相談支援のほか、医療従事者向け研修の実施、地域の医療機関、自治体等との連携の促進などを担う摂食障害に係る地域における拠点機関として設置を進めているところでございますが、現在、全国で六か所設置をされているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 四年前の時点では四か所でございましたので、二か所増えたということであるかと思います。

 最近御相談をいただいた方は奈良県の方でございまして、近くにそういった専門機関、専門医がいないということで、京都まで通っていらっしゃるということでございました。通える範囲ではありますけれども、経済的にも体力的にも大変に負担が大きいということであります。

 先ほども申し上げましたが、摂食障害の方は、地域社会の中で潜在している可能性も大変に大きく、なかなか自ら支援を求める声が上げづらいという方も多いと聞いております。だからこそ、身近なところで安心して相談できる、また、診療につながることができる環境整備が求められているかと思っております。

 引き続き、先ほど申し上げました摂食障害治療支援センター、この全国展開に向けて、まだ六か所でございますが、先の長い大変な取組になりますけれども、是非、身近なところでそういった対応をしていただけるということで、全国展開を目指す思いで取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 摂食障害につきまして、全国各地で地域の拠点となる支援拠点病院の設置を図るために、摂食障害全国支援センターと連携をいたしまして、摂食障害に関心のある医療従事者を対象とした研修会や、都道府県や医療機関を対象とした既存の支援拠点病院における好事例や診療のノウハウ、地域内の医療機関同士の連携のノウハウなどを提供する説明会などを開催をしているところでございます。

 また、摂食障害全国支援センターにおきましては、支援拠点病院のないエリアでも適切な治療を受けられるよう、摂食障害を診療している治療機関の全国リストの作成や、支援拠点病院の未設置地域の患者やその家族を対象とした相談ホットラインの開設などにも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、摂食障害の患者やその家族が適切な治療や相談を受けられる体制の整備に向けて、病院の設置の促進ですとか、また、病院がお近くにない場合の相談の体制などを含めまして、支援の充実を図ってまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 なかなか身近なところでということは難しいかと思いますが、例えば電話で相談できるとか、あとメールでも結構ですし、そういったことも充実しながら、本当に気軽に、身近なところで相談できる、また支援につなげていける、そういったことも含めて、あわせてまた、体制の充実ということで取り組んでいただきたいということで、重ねて要望させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 今回、改めて、摂食障害の方とその御家族の方から御相談いただいた中に、就労に対する支援を求める声もいただきました。

 摂食障害の症状といたしまして、例えば、食事への忌避や、カロリーを消費したい、そういった衝動を抑えられずに、突然、自分で意識していないんですけれども、走り出してしまうとか、そういったことをしてしまうことがあったり、また、自分自身の食事をするルールだったり、時間を含めて、何を食べるかということも自分のこだわりがあったり、なかなか周りの方に理解していただけないということがあるということで、そういったこともありますので、就職することが本当に難しい、そういった切実な思いを伺いました。

 摂食障害の患者の就労実態につきまして、日本摂食障害協会が二〇一八年に行った調査なんですけれども、それによりますと、摂食障害のために仕事上困難を感じているという方が七九・九%、約八割の方がそう実感をされておりました。また、そのほか、摂食障害のために仕事探しに困難を感じている人が五八・七%、約六割の方がそのように感じていらっしゃるということでございました。こうした調査からも、摂食障害の方の、治療しながら仕事をする、これが大変に困難であるという現状が分かるかと思います。

 治療しながらということで、やはり経済的なこともありますので、働かなければいけないということもあるでしょうし、また、御自身がやりたいことだったり、目指すこともありますので、そういった意味で、治療しながら働いていく、この両立をしていくという、この支援をしっかりとしていく必要もあるかと思っておりまして、摂食障害の方に対する就労支援体制の充実、これが重要だと思っておりますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 委員御指摘のように、摂食障害を含みます、反復継続しまして治療が必要となる疾病を抱える労働者が治療を受けながら働くことができる環境を整備することは大変重要なことと認識してございます。

 このため、厚生労働省におきましては、事業場におけます治療と仕事の両立支援の具体的な取組でございますとか環境整備について取りまとめました、事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドラインを公表しまして、企業や医療機関に対して周知をしているところでございます。

 また、本ガイドラインの参考資料としまして、企業・医療機関連携マニュアルというものを公表してございます。これは、事業場と主治医等の医療機関が情報のやり取りを着実に行っていただく、こうしたことができるように、ガイドライン掲載の各種様式の作成のポイントを具体的に示したものでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうしたガイドラインやマニュアルの周知を図ることによりまして、事業場におけます治療と仕事の両立支援が進展するよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 摂食障害も含めて、就労支援ということで御答弁いただいたかと思います。それぞれ、障害によっても特質も違いますし、個人個人の状況も違いますけれども、そういった上で、職場においても、また社会においても、御理解していただいて、一人一人が活躍できる環境整備ということで取り組んでいただきたいと思いますし、あわせまして、今日は質問しておりませんが、ハローワークとか、窓口の方にもそういった御理解をしていただくことも重要かと思いますので、その点も併せてしっかりと取り組んでいただきたいということで、重ねて要望させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 本日は、発達障害、また摂食障害ということで、一つの障害に限って細かく質問させていただきました。このように、様々、障害だったり、病気だったり、お持ちの方が多くいらっしゃる中で、先ほども申し上げましたが、誰一人取り残されない社会をつくるために、そういった意味で、厚労省の役割もますます重要になってまいりますし、先ほどもありました、文科省もそうですし、こども家庭庁との連携も大事になってくるかと思います。

 是非とも、財源の問題とか様々あるかと思いますが、是非その思いだけはしっかりと持っていただいた上で、そういった一人一人の幸福実現のためにこれからも尽力をしていただきたいということで重ねて要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 本日最後の質疑者ということで、大変にありがとうございました。以上でございます。

橋本主査 これにて鰐淵洋子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四分散会


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