衆議院

メインへスキップ



第1号 平成31年2月27日(水曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      笹川 博義君    田中 和徳君

      堀内 詔子君    山本 有二君

      後藤 祐一君    藤野 保史君

二月二十六日

 堀内詔子君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 堀内 詔子君

      大隈 和英君    笹川 博義君

      田中 和徳君    藤井比早之君

      船橋 利実君    細田 健一君

      宮澤 博行君    山本 有二君

      小熊 慎司君    後藤 祐一君

      藤野 保史君

   兼務 岩田 和親君 兼務 繁本  護君

   兼務 渡辺 孝一君 兼務 金子 恵美君

   兼務 神谷  裕君 兼務 中川 正春君

   兼務 矢上 雅義君 兼務 山崎  誠君

   兼務 山本和嘉子君 兼務 岡本 充功君

   兼務 佐藤 英道君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 鰐淵 洋子君 兼務 串田 誠一君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   環境大臣         原田 義昭君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   環境副大臣        あきもと司君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       北條 憲一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       別所 智博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           富田 育稔君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            室本 隆司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       高橋 孝雄君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           広瀬  直君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長井 俊彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 榊  真一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 石井 昌平君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

   環境委員会専門員     関  武志君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  山本 有二君     宮澤 博行君

  後藤 祐一君     浅野  哲君

  藤野 保史君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     大隈 和英君

  浅野  哲君     小熊 慎司君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     船橋 利実君

  小熊 慎司君     緑川 貴士君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     藤井比早之君

  緑川 貴士君     津村 啓介君

  穀田 恵二君     藤野 保史君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     細田 健一君

  津村 啓介君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     山本 有二君

  浅野  哲君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     後藤 祐一君

同日

 第一分科員佐藤英道君、中野洋昌君、鰐淵洋子君、第二分科員山崎誠君、第三分科員神谷裕君、第四分科員金子恵美君、矢上雅義君、山本和嘉子君、第五分科員渡辺孝一君、中川正春君、第七分科員岩田和親君、繁本護君、串田誠一君及び第八分科員岡本充功君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

堀内主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私、堀内が本分科会の主査を務めることとなりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。吉川農林水産大臣。

吉川国務大臣 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明します。

 人口減少に伴うマーケットの縮小、農林漁業者の減少、高齢化の進行、グローバル化のさらなる進行など、国内外で大きな環境変化が生じており、我が国の農林水産業は転換期を迎えています。

 このような中で、国の基である農林水産業を次世代に継承するためには、時代の変化を見通して、常にフロンティアを見出し、新たな挑戦を進めることにより、農林水産業を若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業としていかなければなりません。

 安倍内閣においては、農林水産業の有する潜在力を最大限に引き出すため、さまざまな改革に挑戦してきました。これにより、生産農業所得が過去十九年で最高に達するとともに、農林水産物、食品の輸出額が六年連続で過去最高を更新するなど、成果が着実にあらわれ始めています。

 意志あれば道あり。改革の成果をしっかりと生産現場に根づかせ、農林漁業者の努力が報われる産業とするという信念のもと、現場主義を貫き、現場の声に真摯に向き合いながら、更に攻めの農林水産業を展開してまいります。

 次に、平成三十一年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 平成三十一年度農林水産予算の総額は、関係府省計上分を含めて二兆四千三百十五億円、その内訳は、公共事業費が八千百六十六億円、非公共事業費が一兆六千百四十九億円となっています。

 農林水産予算の編成に当たっては、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するため、農林水産業・地域の活力創造プランに基づいて改革等を実行するのに必要な予算を重点的に措置したところであります。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

堀内主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま吉川農林水産大臣から申出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀内主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤英道さん。

佐藤(英)分科員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 吉川農林水産大臣の御地元、私も北海道でございますので、北海道の問題を中心に、豚コレラ対策など、喫緊の農業問題についてお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、吉川大臣に対しては初めての質問の機会を頂戴したところでございます。地元でございますので、まずは、吉川大臣、農林水産大臣に御就任をされましたこと、私も北海道の一人として心からお祝いを申し上げた上で、質問に入らせていただきたいと存じます。

 まずは何といっても、北海道、昨年九月の六日、北海道胆振東部地震が発生をいたしました。また、先週の木曜日、二月二十一日には、余震とも言われておりますけれども、震度六弱の大きな揺れをまた観測したわけであります。

 改めまして、昨年の地震においてお亡くなりになられた方々に、心から哀悼の意を表します。また、御家族の皆様、けがをされた方々、今なお不便な避難生活を余儀なくされている皆様方に、衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、この胆振東部地震では、大規模な山腹崩壊や土砂災害が発生しました。極めて甚大な被害を受け、そこから立ち上がり、復旧復興に向け懸命に努力をしておられた中での先週の地震であったわけであります。

 私も、地震の翌日、二十二日に現地に参りまして、厚真町役場、むかわ町役場を始め、JAむかわ、JAとまこまい広域農業協同組合の皆さんからお話を伺ってまいりましたが、もう異口同音に、またかというようなお気持ちで、これからに対してやはり大きな不安を抱いていらっしゃいました。

 間もなく二月が終わり、春が近づいてまいりました。農家の方々は、果たして本当に営農再開できるのかとやはり大変な不安も抱いていることも事実であります。農林水産省としても、大きな思いで、やはり大変な力をもって取組に力を入れていることと思いますけれども、改めて、営農の再開実現に向けて、農林水産省の取組状況及びその見通しについてお話を聞かせてください。

吉川国務大臣 先日の震度六を記録いたしました、昨年来の北海道胆振東部地震の関連と存じますけれども、大きな被害がなく一安心をしたところでございまするけれども、引き続きまた、被災地の皆様に寄り添いながら、営農再開に向けてしっかりと努力もさせていただかなければ、このように思っております。

 そこで、営農再開に向けての取組状況を若干御説明させていただきたいと存じますが、まず、国が造成をいたしましたパイプラインというものがございますが、三百九十カ所で浮き上がりですとか離脱等の壊滅的な被害を受けたところでございまして、ともに、約百四十ヘクタールの農地で山腹崩壊等により土砂の流入被害も発生をいたしました。

 被災したパイプラインにつきましては、昨年の十一月、直轄災害復旧事業に着手をいたしまして、被災した農地等につきましては、本年一月までに災害査定を完了いたしました。現在、補助災害復旧事業を進めているところでもございます。

 国が造成いたしましたパイプラインにつきましては、暫定用水路の工事を行うことによりまして、その受益面積二千八百四十三ヘクタールのうち、約二千七百五十ヘクタールの農地で春の営農再開が可能となる見込みでございます。

 山腹崩壊で被災をいたしました農地約百四十ヘクタールにつきましては、土砂の堆積を免れた部分で仮畦畔等の暫定工事を実施するとともに、堆積土砂を河川の災害復旧事業の盛り立て土として利用することによりまして、被災農地の一部で春の営農再開が可能となる見込みでもございます。

 現状をお話しさせていただきましたけれども、復旧事業、この計画につきましては、被災農家に丁寧に説明をしながら、早期復旧に向けて全力で支援をしてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。ぜひとも、引き続き農家の方々の側に立った対策をお願いしたいと思います。

 さて、昨年の胆振東部地震では、ブラックアウトによる影響で数々の問題が引き起こされました。農業においては、特に酪農が大きな被害を受けたわけですけれども、この反省に基づきまして、農家が希望すれば、自家発電機などを導入する際に支援が受けられるようになっております。大変に喜ばれております。発電機の供給可能量の問題もあると聞いておりますが、引き続き精力的に取り組んでいただくようにお願いします。

 さて、酪農は、畜産クラスター事業などによる飼養環境大幅改善、飼養頭数の拡大、競争力の強化につなげるという大きな流れがあるわけであります。飼養頭数が拡大すれば、収入増にもつながり、喜ばしいことでありますけれども、頭数がふえれば、その分、ふん尿も多く出るようになり、家畜のふん尿の処理をどうするかという問題が惹起してまいります。

 そこで注目されるのがバイオガス発電でありますが、現実的には、なかなか思いどおりに進まない状況もあるのも事実であります。

 特に、北海道の十勝地方においては、ポテンシャルも高く、バイオガス発電に取り組みたい農家も多いわけですけれども、残念なことに、電力会社との系統接続容量の問題でこれが進まない状況に陥っています。FITの契約を結びながらいまだに発電を開始しない事業者がいることで、バイオガス発電のように地域と一体となった取組が阻害されることについて、じくじたる思いがあります。

 このバイオガスの発電の普及について、政府には更に力を入れて全力で取り組んでいただきたいと思いますけれども、今後の取組について御見解をいただきたいと存じます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜ふん尿を利用したバイオガス発電は、地域の酪農、畜産業の振興とエネルギーの地産地消を一体的に推進する重要な取組であると認識してございます。政府といたしましては、FIT制度の創設以降、メタン発酵ガスという区分を設けまして、よりしっかりとした支援をしてきているところでございます。

 一方で、委員御指摘がございましたように、北海道の十勝地方を始めといたしまして、酪農の盛んなエリア等を中心に、既存の系統が十分でない、容量の小さいエリアにおきましては、導入の可能量に制約が生じて、バイオガス発電の拡大の障壁になっている状況であるということは認識しているところでございまして、その克服のために着実な取組を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 その場合、送電線を増強していくということになりますと、一定の時間と費用が必要になってまいります。このため、まずは既存の系統を最大限活用していくということが重要だと認識しておりまして、一定の条件のもとで系統への電源の接続を認める日本版のコネクト・アンド・マネージ、これはヨーロッパの制度をまねた、これを倣ったような制度なのでございますけれども、例えば、過去の実績を踏まえて潮流を精緻に合理的に算定していくですとか、緊急時に、あいている容量というのをより有効に活用する方法ですとか、こういった送電容量の拡大ということの方策を進めてまいりたいと考えております。

 また、現状の問題としましては、FIT制度が導入された後に、初期に認定をとってまだ動いていない、太陽光の未稼働の案件の問題というのが非常に大きな課題だと認識しております。この点について、系統容量の開放や調達価格の適正化などの対応策を進めて、容量の開放というのを進めていきたいと考えております。

 また、先ほど委員からお話もありましたように、先般の地震の際もいろいろと問題が生じましたけれども、災害時、緊急時に地域への電力供給をしっかりするという観点から、地域の再エネを活用できる自立的なエネルギーシステムの構築という観点も重要だと認識してございまして、平成三十年度の第二次補正予算の中でその構築支援についての予算措置を確保したところでございまして、当面の対策といたしましては、こうした事業を通じた地域におけるバイオガス発電の導入拡大についても検討していきたいと考えてございます。

佐藤(英)分科員 北海道においては飼養頭数をふやす取組がされておりますので、バイオガス発電の普及はやはり喫緊の課題であると思いますし、ぜひ、農林水産省とも連携をとりながら、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 次に、豚コレラ対策について伺ってまいります。

 まず、豚コレラが発生した農家は、大切に育ててきた豚を殺処分にせざるを得ない、この落胆たるや想像にあり余るものであろうと思います。そうした方々への精神的な支えとなるのは、封じ込め完了の後に直ちに営農再開できるよう、経済的な支援や経営的支援が十分になされる体制が整っていることであると思います。

 農林水産省におかれましては、農家の畜産経営が再び軌道に乗るまでしっかりと寄り添い、息の長い支援を求めたいと思いますが、この点についてどのようになっているのか、伺いたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚コレラ発生農家等への支援につきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、発生農家等に対し、殺処分された家畜の評価額の全額を手当金として交付するほか、移動制限がかけられた農家に対し、出荷制限による減収分を補填することとしております。

 また、発生農家の経営再開に向けましては、畜産経営の再開、継続及び維持に必要な家畜の導入、飼料、営農資材の購入等に要する資金につきまして、家畜疾病経営維持資金や農林漁業セーフティネット資金の活用が可能になっております。

 また、家畜防疫互助基金の加入者が新たに豚を導入し、経営を再開する場合には、経営支援互助金の交付を受けることが可能になっております。

 今般、家畜疾病経営維持資金につきましては、制限区域外の農家も対象に追加、あるいは償還期限を七年以内に延長するとともに、家畜防疫互助基金につきましても、基金の枯渇による減額は行わず、基金を積み増しすることとしたところでございます。さらに、発生農家等を対象に、豚マルキンの生産者負担金の納付を免除することといたしました。

 これらにより、豚コレラの発生により影響を受けた農家の方々の経営を再開、継続できるよう、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 御答弁いただきましたけれども、ぜひ、再び再開できるように、軌道に乗るまでしっかりと取り組んでいただければと思います。

 ことしの二月の六日、愛知県の豊田市及びそこから出荷された地域で、新たに豚コレラの発生が確認されました。かなり広範囲にわたっての被害でありまして、当該地域周辺の農場が大変な危機感を持たれていることは言うに及びません。

 愛知県、岐阜県を始め、発生が確認された地域での防疫対策を万全に行うことが求められますけれども、現在の防疫体制の状況及び農林水産省からの支援はどのように行っているのか、万全な体制となっているのかどうか、御見解をいただきたいと思います。

濱村大臣政務官 豚コレラにつきましては、昨年九月以降、これまでに岐阜県及び愛知県で計十例、関連農場を含め五府県において発生が確認されました。いずれの事案におきましても、確定診断の後、直ちに徹底した防疫措置を実施しておりまして、二月二十四日までに全ての発生農場での防疫措置が終了している状況にございます。

 また、発生農場と屠畜場や出入りする車両等が共通する農場につきましては、豚の移動制限や異状が確認された場合の報告徴求を行うなど、監視を継続しているところでございます。

 発生地域における農場につきましては、豚コレラの発生を予防するために、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要であることから、岐阜県等の養豚場に対し、国が主導して飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善の指導を進めております。

 さらに、愛知県の渥美半島入り口の幹線道路や、岐阜県の野生イノシシで感染が確認されている地域の北側の幹線道路等におきまして、警察や国土交通省の協力を得ながら、散水車による消毒液の散布等を実施しているところでございます。

 また、野生イノシシの対策といたしまして、ウイルスの感染拡大を防ぐための防護柵の設置や、わなを用いた捕獲による個体数の削減に取り組んでおり、二月二十二日には、野生イノシシ向け経口ワクチンの使用を決定したところでございます。

 いずれにいたしましても、これ以上の感染拡大を防ぐため、国が主導して、各府省、都道府県と一層緊密に連携しながら対策に取り組んでまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 引き続き、万全の体制を講じられるようお願いをしたいと思います。

 また、農林水産省、先週の木曜日、当該地域を中心に、野生イノシシに対するワクチン投与を始めると発表されたと承知しております。これによって期待される効果、並びに効果を十分に発揮するため、どういった点に注意をして行っていこうとされているのか、伺いたいと思います。

 また、養豚協会からは、既に飼養豚に対するワクチン接種を求める要望も上がっていると伺っておりますけれども、農林水産省のお考えもお聞かせいただければと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 野生のイノシシにワクチンを使用いたしますと、豚コレラに対する抗体を持たせることになり、結果として野生イノシシにおける豚コレラ感染を抑えることが可能になります。

 欧州で使用した事例では、二から三年間使用した事例、あるいは七年間使用した事例があると承知しております。我が国における野生イノシシへの経口ワクチンの使用は初めての試みであることから、こういった事例の使用方法等を参考に、適切な散布計画を立て、専門家の意見を聞きながら、工夫しながら実施してまいりたいと考えております。

 また、飼養豚に対するワクチンの使用につきましては、農林水産省が定める豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、慎重に判断する必要があるとされているところでございます。

 現在までの発生事例につきましては、疫学調査チームの報告等によりますれば、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分もあると言われていることなどから、各府県と連携し、飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺により、同病の発生予防及び蔓延防止を図っていくことが今のところはベストであると考えております。

 我が国では、平成八年から平成十八年まで十一年間をかけて、ワクチンに頼らない清浄化を達成できたところであります。そういった教訓も活用しながら、発生の予防を図ってまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、養豚農家の方々に一日も早く安心していただけるよう、引き続き、迅速かつ徹底した防疫措置に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 でき得る限りの万全な対策を講じられていることと思います。

 特に、この豚コレラの封じ込め、またアフリカ豚コレラの完全防除、これについては、やはり何といっても総責任者である農林水産大臣の御決意、また行動力が最も大事だと思います。

 こうした対策につきまして、大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

吉川国務大臣 アフリカ豚コレラでありますけれども、これが中国で発生が拡大をしているという中にもあります。また、ベトナム国におきましてもこのアフリカ豚コレラの発生が確認をされたところでございまして、我が国へのアフリカ豚コレラ等の越境性動物疾病の侵入リスクが高まっていると承知をいたしております。

 水際対策のさらなる強化のために、農林水産省といたしましては、まず、探知犬の臨時的増頭によるアフリカ豚コレラの発生国からの到着便に対する探知活動の強化、さらには、家畜防疫官の携帯品検査への重点配置による旅客に対する口頭質問の強化、三つ目に、税関と連携した旅客の携帯品検査の強化、さらには、広報キャンペーンの強化や中国人向けSNSの配信などによる、広く国内外に向けた持込禁止品の周知などを徹底的に今行っているところでもございます。

 加えて、都道府県や関係団体等にも対しまして、中国等におけるこのアフリカ豚コレラ等の発生情報を提供して注意喚起をするとともに、農場への侵入防止のための飼養衛生管理基準の遵守を改めて徹底するよう今指導をしているところでもございます。

 引き続き、この侵入防止対策に万全を期してまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 万全の体制をという御決意でございました。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、米政策についてお伺いしたいと思います。

 過日、自民党さんの部会におきまして、生産調整廃止の初年度としては失敗だという評価もされたと伺っておりますけれども、三十一年産米の需要見込みに対して、作付見込みを見比べて、どのように評価をされていらっしゃるのか。また、農林水産省は事前契約の推進などに力を入れて取り組んでいると承知しておりますけれども、これまでの取組状況、また今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月に農林水産省が公表しております基本指針におきまして、三十一年―三十二年の主食用米の需要量は七百二十六万トンと見通しているところでございます。それに対しまして、三十一年産の作付につきましては、現在、各産地において、需要に応じた生産となるよう検討が進められている最中と承知をしてございます。

 このような中、農林水産省といたしましては、各産地において需要をあらかじめ的確に捉えることができる事前契約の拡大を推進しているところでございまして、その数量でございますが、三十年産で約百四十八万トンということで、増加傾向にございます。

 農林水産省といたしましては、各産地の取組状況をマンスリーレポートで公表するとともに、安定取引に結びついている優良事例を公表するなどを通じて、キャラバンなどの場において事前契約の重要性を産地に御説明し、営農計画書の提出に向けまして、さらなる取組の拡大を図ってまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 ぜひ、今後の推移を見てまいりたいと思いますので、お願いしたいと思います。

 さて、昨年の十二月、国連総会が、小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言を賛成百二十一の多数で採決をされました。

 途上国の厳しい環境下にある小作農家などの権利をターゲットにしているという感が伝わってまいりますけれども、こうした人々の権利を守るべきという考え方においては我が国政府も異論はないのではないかなと思いますが、我が国は賛成でも反対でもなく、棄権という立場をとったと承知をしておりますけれども、どのような理由で棄権をされたのか、御説明をいただければと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の小農民と農村で働く人々の権利に関する宣言でございます。

 政府といたしましても、小農民及び農村で働く人々の人権を保護することの重要性、これは十分に認識をしております。他方、本件決議の対応につきましては、我が国は、フランス、ドイツ、イタリアなど五十三カ国とともに棄権票を投じたところでございます。

 その理由でございますけれども、まず、人権につきましては、既に人権条約等により定めがございます。こうしたものに加えて、新たに小農民に特化した個別の権利を確立するべきか否かということにつきましては、国際社会におきまして意見が収れんしていないということがございます。

 また、小農民、これらの人々の人権を保障するためには、既存の人権メカニズムを活用することが効果的である、こうしたことがございまして、我が国としては棄権票を投じたところでございます。

佐藤(英)分科員 小規模農家の大切さを認めながら、規模拡大のメリットも生かして競争力の強化をしたいという政府の立場は理解をしているところでございます。

 そこで確認をさせていただきたいのですけれども、五年に一度行われる食料・農業・農村基本計画の改定でありますけれども、一見して二律背反とも言える規模拡大と小農重視ですけれども、これを我が国の農政の大きな絵姿の中でどのように整理し、どう位置づけていくかということを明らかにしていくことはやはり非常に重要な作業だと思っております。

 ところが、今回は例年と違い、秋から議論を開始すると伺っておりますけれども、余りにも遅いのではないかという意見もあります。私としては、何よりもまず丁寧に進めていただきたいと思いますけれども、議論の持ち方については、これまで以上に現場の意見を尊重したものとなるようなものにしていただきたい。さらにまた、現段階で現場の皆さんの御意見を尊重するために何らかお考えがあるのか、具体的にどういったプロセスを加えていこうと考えていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。

濱村大臣政務官 先ほど委員御指摘のとおり、食料・農業・農村基本計画につきましては、平成二十七年三月に策定された現行計画が来年で五年を迎えることから、食料・農業・農村政策審議会におきまして、次期計画の策定に向けた議論を進めていくこととしております。

 従来、基本計画の見直しに当たっては、主に審議会委員と我々役所の間でやりとりが行われてきておりましたが、今回は、より現場の声に広く耳を傾けることが重要と考えております。

 このため、まずは、食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきまして農業者や食品事業者等からヒアリングを行って、基本計画の見直しの議論につなげていくこととしております。その際、家族経営や法人経営といった経営や就業の形態、あるいは地域、男女比など、さまざまなバランスを考慮いたしながら、現場の声を伺ってまいりたいと考えております。

 ここでの議論をよく整理した上で、本年秋ごろを目途に諮問を行い、基本計画の見直しの御議論を食料・農業・農村政策審議会においてお願いしていくこととしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 よくわかりました。

 ぜひ、食料・農業・農村基本計画の改定、御期待を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて佐藤英道さんの質疑は終了いたしました。

 次に、宮澤博行さん。

宮澤分科員 自民党の宮澤博行でございます。

 本日は、こうして第六分科会におきまして質問の機会をお与えいただきましたことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、私、大きく三点について聞きたいなと思います。

 一点目は、ため池の補強の対策。二点目は、静岡特有でございますけれども、南海トラフ巨大地震の津波に対応するための防潮堤の建設について。そして三点目は、カモシカの被害についてでございます。この三点をお聞きしていきたいと思います。

 まずは、ため池、これについてお聞きします。

 私は静岡なんですけれども、ため池、静岡にあるんですかと思われるかもしれませんが、これはあるんですね。全国的に見たら、静岡はため池が少ない方です。しかしながら、私の地元には、静岡県のため池のほとんどが集中しております。

 地理的なことをあえて申し上げますと、天竜川と大井川という大きな川が流れているんですが、その本当に真ん中付近というものは、水の便が非常に悪かったんですね。ですので、昔からため池をつくって農業のかんがいをやっていたわけであって、大井川から水を引いてきて、戦後、引いてきて、それでようやく農業生産が落ちついてきた、そういう歴史があるわけです。

 その用水を引いてくださった政治家の諸先輩方に本当に感謝を申し上げたいなと思うわけなんですが、このため池、昨年の七月の豪雨で大きな被害が西日本の方で出たわけでございます。それによって、その後すぐ緊急点検を全国的にしてくださった。これは本当にありがたいなというふうに思っているわけなんですね。

 そして、八月末時点でこの緊急点検の結果をまとめられたようでございますが、それに基づいて、ことしの二月には、平成三十年七月豪雨を受けた取組ということで、防災重点ため池の再選定というものの基準が出てきたわけですね。

 この基準、防災重点ため池の基準が新たに四つ出てまいりました。もうこれは言うまでもないかもしれませんが、一つ目は、ため池から百メートル未満のところに家屋等がある、二つ目は、百メートルから五百メートルのところに家屋があって、かつ貯水量が一千立米以上のもの、三つ目は、ため池から五百メートル以上のところに家屋等があるけれども、貯水量が五千立米以上のもの、そして四つ目が、地形条件、家屋との距離、維持管理の状況から必要と認められるものというふうに四つの基準があるわけですけれども、地元にとってみると、ああいう被害があった直後ですから、やはり早くこのため池の補強工事をやっていただきたい、そういう思いがございます。

 そしてこれは、当然ではありますけれども、インフラ整備を通して地元の経済の活性化にもつながってくるわけでありますから、早目にこの選定というものをやっていただきたい、そういうふうに考えているんです。

 ですので、防災重点ため池の再選定、これに静岡県のどういったところのため池が該当してくるのかについて、ぜひお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

室本政府参考人 防災重点ため池につきましては、ことしの梅雨期の五月末を目途に、新たな選定基準に基づきまして、各都道府県において現在鋭意再選定の作業中でございます。

 このため、正確な防災重点ため池の数は、この五月の末にならないと明らかにならないわけでございますけれども、現時点において、ため池データベースに登録されている九万六千カ所のため池を新たな選定基準に当てはめれば、現行基準に基づけば一万一千カ所の防災重点ため池の数になっているわけでございますが、この新たな基準に当てはめれば五万カ所以上が再選定されることになるというふうに考えてございます。

 他方で、委員おっしゃるように、静岡県内のため池でございますが、これは、現在把握している数は六百六十八カ所でありまして、そのうち百六十八カ所が防災重点ため池に選定されております。この新たな選定基準によって、先ほど申し上げた、増加するという傾向が、そういった傾向を踏まえれば、現在やっている再選定によって静岡県内の防災重点ため池の数も増加するものと考えてございます。

 引き続き、都道府県、市町村と連携しまして、この五月の末までに選定が終わるよう鋭意対応してまいりたいと考えてございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 五月の末までということですけれども、できるだけこれは急いでいただいて、地元の準備、早目に着手できるように御尽力をお願いしたいなというふうに思います。

 それで、気になるのが、国の方でそういう方針は出したにしても、どうしてもこれは、県の負担、市の負担というのはどのくらいなんだろうと。地方財政の観点からすると、やはりそこのところが気になるわけであって、ここのところの負担割合、一体どのように今お考えなんでしょうか。ぜひそこのところも説明していただきたいと思います。

室本政府参考人 土地改良事業におけます地方公共団体の負担割合の指針、いわゆるガイドラインというふうに私ども言っておりますが、このガイドラインの中では、ため池整備のうち、特に地震対策と豪雨対策については、国と地方公共団体で負担をしまして、農家の負担がゼロという形になっております。

 一方で、老朽化対策については、基本的な農家の負担割合は七%、中山間ではかさ上げ措置がございまして二%ということになっております。

 他方で、静岡県について見てみますと、ため池整備の内容にかかわらず、つまり、豪雨とか地震とか老朽化対策とか、こういったものにかかわらず、基本的な負担割合は、国五〇%、県四〇%、市町村一〇%、農家がゼロ、中山間では、国五五%、県四〇%、市町村五%、農家がゼロということで、いずれにしましても、農家負担を求めずに事業をやっていただいておるというふうな状況でございます。

宮澤分科員 農家の負担がゼロということは、それは非常にありがたいなというふうに思います。

 そして、静岡のお話も今してくださいましたけれども、最初に言った地震、豪雨そして老朽化対策、それについても、国と県と市について、もう一度、数字を説明していただけないでしょうか。先ほどと同じでしょうか。お願いいたします。

 静岡の数字が、国が五〇、県が四〇、市が一〇、中山間地は、国が五五、県が四五、市が五とおっしゃいましたね。でも、その前に、地震や豪雨の場合、農家の負担がゼロですよと言ったり、老朽化対策については農家の負担が七%ですよとおっしゃったりしていましたけれども、ここのところが、国、地方の割合についてはちょっと言及がなかったものですから、再度お聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうかという趣旨です。

室本政府参考人 これは、ガイドラインはさまざまな、ため池の規模とかあるいは事業ごとに細かくガイドラインが切られておりまして、例えば、地震、豪雨対策で大規模なものを取り上げますと、ガイドライン上は、平場についても、国が五五%、県が三四%、市町村が一一%、中山間も同じ数字になっております。

 一方で、小規模なものについては、この地震、豪雨対策については、一般が五〇%、県が三四、市町村が一六、農家がゼロということでございまして、これは、今申し上げたのは、農村地域防災減災事業という公共の場合でございますが、そのほかに非公共事業でもため池の整備はできまして、細かく切られておりますので、全部挙げろという御指名であれば読み上げますが、非常に細かいものですので。

 以上でございます。

宮澤分科員 詳細な説明、ありがとうございました。

 市の負担、県の負担が国に比べて少ないという点については、これは大変ありがたいなと思いますので、まずは防災重点ため池の再選定をぜひ進めていただいて、地元の皆さんが安心して暮らせるように、ぜひお力添えを賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に参りたいと思います。

 防潮堤の建設についてなんです。

 東日本大震災で津波の被害が非常に大きかったわけですけれども、我々静岡県は遠浅の海岸、遠州灘でございまして、あれが、宮城県の津波の映像を静岡県の人が見たときに、うわ、これは似ているなということをすごく思ったわけなんですね。

 それで、南海トラフ巨大地震の可能性というものがずっとずっと叫ばれているわけであって、この津波が心配されているがゆえに、実は沿岸地においては、もう若い人が住まない状態になってしまっている。工場も内陸部へ移転する、そういう動きが出ている。これは、中小企業だけではなく、大企業が率先して山間部の方へ山間部の方へ、内陸の方へというような形で進んでしまっているんですね。

 静岡県の政策の方も、内陸フロンティアということで、山間地の開発、発展をやっていこうという政策と重なってしまって、実は沿岸部が非常に地価が下がったり経済が低迷したりしているわけであって、とにかく、百年に一度の津波を防ぐだけではなく、千年に一度の津波、つまり、レベル2においてもきちんと対応できるような防潮堤を建設していかないと、いざというときの命だけではなく、日々の経済、日々の生活までがおかしくなってしまっている。それが今の静岡県の現状でございます。

 じゃ、どうしようかという中で、私の選挙区の西隣の浜松市は、ある大手住宅メーカーが数百億円の寄附、これを約束しまして、それで立派な防潮堤をつくる。芯の方にはコンクリートが入っているわけなんですけれども、それは、こちら、天竜川の東側からすると、じゃ、我々はどうするんだという話の中で、いろいろ検討して、被災地も見に行った結果、これは、海岸に植えられている防風林、そしてその盛土、これを大きくすることで何とかならないだろうか、そういうところにアイデアが行ったわけです。

 いろいろいろいろ検討をした結果、それでやっていこうということではあるんですが、ふじのくに森の防潮堤づくり、こういうプロジェクトで、もう数年間進んでおります。それで、松林って、これは保安林ですから、本当は切っちゃいけないんですけれども、でも、枯れてしまった松は植え直さないといけませんよねということで、枯れた松のところを一生懸命切って、盛土をして、かさ上げをして、もう一度植林をして、これで防潮堤、やっていこうというようなスキームでやらさせてもらっているんです。

 ということは、青々としているところが残ってしまうということなんです。それは、かさとして高くない。じゃ、切っていいのか。命と松はどっちが大事なのかって、命の方が大事ですから、青々とした松だって、これは切って、かさ上げをさせていただきたい。これが地元の市の、そして国民の皆さんの、実は切実な願いだったんです。

 これをどううまくやっていくかということで、いろいろ国の方とも私ども折衝させてもらったんですが、ようやく、ことしの一月二十四日に、静岡県の方としてもプレスリリースがありまして、枯損をしていない、枯れていない区域の防潮堤づくりについて発表されました。

 これを見たときに、読んだだけではやはりよくわからないところがあります。あれ、保安林、これは都道府県の県知事の権限であるわけだから、これは保安林の指定を一遍解除して、それで土盛りをするという制度的スキームなのかなというふうに読んでしまったんですけれども、待てよ、そうでもないやり方もあるのかな、どうなのかな。

 やはり、ここのところは、国民の皆さんにとっては、工事を進めてもらえるということは、これはありがたいことなんですけれども、行政にとってみると、制度的スキームがはっきりしているということが実は大事であって、そこのところを、いま一度、この制度的な枠組みというものを改めてお示しをいただきたいと思います。まずはお願いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘をいただきました、静岡県中東遠地域の海岸防災林についてでございますけれども、治山事業により保全対策を実施しているところでございます。

 このように、治山事業として実施をする場合には、保安林の指定を解除することなく、伐採、かさ上げ、盛土、植林というような工事を実施することが可能でございまして、静岡県からも、このようなやり方で、指定を解除することなく、治山事業として取り組んでいきたいというふうに伺っているところでございます。

宮澤分科員 静岡県との調整がもう進んでいるということでよろしいですね。

 では、これはやはり、お金のかかるものでもあります。そして、土も盛らないといけない。実は、地元の市にとっても、ではその土をどこから持ってくるのかというのは非常に悩ましい問題でありまして、あるところにおいては、川のしゅんせつを行って、それで土盛りをしてみようと思ったんですけれども、その土の質がよくないものですから適さないとか、いろいろ土の問題があるわけです。買ってくるといっても、またお金がかかってしまう。

 なかなかこれは悩ましいところなんですけれども、できる限りお金を少なくして頑張っていきたいというふうに考えられているわけなんですが、実際、予算として、県がどういった予算、何の事業のどういう予算、市の方が何の事業のどういう予算、そして国としてはどういった支援をするのかという、そこら辺の協議というのは、内容として、どこまでこれは深く合意がなされているものなんでしょうか。ちょっと、そこら辺のところもお願いします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 静岡県、また地元の市とも、事業のやり方について、いろいろと御相談、協議申し上げているところでございまして、国といたしましては、従来から、民有林補助治山事業、また、農山漁村地域整備交付金といったような国庫支援事業で支援をやってまいりましたし、また、県単独事業の予算も入っているところでございます。

 別途、かさ上げにつきましては市の方も御負担をいただけるというようなことで、それぞれの事業を持ち合いながら、それぞれ負担しながら事業を進めていく考えでございます。

宮澤分科員 今、民有林という言葉も出てきましたけれども、海岸の保安林、防風林ですから民有林ではないだろうなと思うんですけれども、そういったところの予算全体についてお聞きしたいんですけれども、治山事業というとやはり、保安林整備というとやはり、山間部の土砂を防いだり、水源涵養地について整備したり、そういうイメージをどうしても持ってしまうんですが、それは国家としても非常に重要な政策だと思います。

 ですけれども、海岸の保安林に対する整備費用というのは、国全体でいかほどに今なっているんでしょうか。そして、静岡県の方は、海岸の保安林に対する国のお金、補助というものはいかほど出ているものなんでしょうか。そこのところも、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、治山事業というのは大変幅広い事業でございまして、海岸防災林の整備に関するものにつきましても、治山事業として措置をしているわけでございます。

 この治山事業全体につきましては、平成三十一年度当初予算につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策分を含めまして八百五十六億円、これは前年度比で見ますと一四三%という大幅な増額として計上させていただいているところでございます。

 ちなみに、この中東遠地域におきまして、どのような形で国庫補助事業が投入されてきたかということにつきましては、例えば、過去、直近二カ年間の二十九年度、三十年度で見てみますと、先ほどお話し申し上げました補助治山事業等によりまして、約五億円の予算が投入されているところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 引き続き、この防潮堤づくりについて、ぜひ御支援を賜りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 では、最後に、カモシカのことについてお聞きしたいんです。

 大臣、せっかく来ていらっしゃいますので、ちょっとお聞きしたいんですけれども、カモシカの被害というものが、まあ、イノシシとか鹿というのはいろいろなところで被害が報告されているからお耳に入っているでしょうけれども、天然記念物のカモシカの被害というのは、大臣、お耳にされたことはありますでしょうか、日本全体として。そして、御地元でそういった被害は耳にされたことはあるでしょうか。お忙しいから地元に行かれないかもしれませんけれども、ちょっとコメントをいただけるとありがたいなと思います。

吉川国務大臣 カモシカの被害は、私も聞いたことはございます。私の地元においてはカモシカの被害というのは聞いてはおりませんけれども、広く鹿の被害というのは、北海道も鹿が多い、エゾシカという鹿が多いところですから、その鹿の被害というのは十分承知をしているところでもございます。

宮澤分科員 済みません、突然のお願いで申しわけございませんでした。

 実は、天然記念物のカモシカの被害というのは、聞いてみたところ、岐阜県と長野県と静岡県の山間部に多いということなんですね。ですので、カモシカの被害が広がっているのでこれを駆除したいんですと、私はある自民党の会議で言ったら、天然記念物だから駆除しちゃだめでしょうと、ほかの議員から言われてしまいました。ですけれども、実際地元で大変これは困っておりますので、これについても、ちょっと国としての御支援をいただきたいな、御理解をいただきたいな、そういうふうに思っているところでございます。

 どんな被害かといいますと、農産物の被害もあるんですけれども、何でか知らぬけれども、カモシカというのは、あれは木の苗木が好きなんですね。植えたばかりの杉とかヒノキを食べちゃう。そうすると枯れちゃう。何のために植林したんだろう、そういうようなことになってしまうわけでありますから、このカモシカを何としてでも駆除していかなければならない。

 鹿とはいうものの、これは牛なんですね。鳴き声を聞いた人がいますけれども、モーというふうに鳴くそうです、カモシカというのは。だから珍しいのかもしれませんけれども、実は、このカモシカ、計画をつくらないといけません。静岡県の第二種特定鳥獣管理計画、これが定められているわけであって、その中に、管理が行われるべき区域、この区域において駆除、管理をしていくということなんですけれども、静岡県西部の山間部、浜松市天竜区、ここにおいてはこの管理が行われるべき区域に入っているんですが、隣り合わせの森町、隣り合わせの掛川市、そして磐田市の山間部、これはこの区域に入っておりませんので、地元に行くと、カモシカはこの人間の計画を知っていて、あの市境を越えると殺されないから逃げていくんだって言う人がいるぐらいに実は出てくるんです。でありますから、早いところ、この管理が行われるべき区域に、今申し上げた森町、掛川市、磐田市を含めていかなければなりません。

 県の計画ではありますけれども、やはりこういった仕組みの情報というものをきちんと地元に流して、市会議員さん、市長さん、県会議員さん、県庁、力を合わせてやっていかなくちゃいけないわけであって、まずは、この管理が行われるべき区域、これに含まれるためには、どういうような段取りで、そしてどういうような時間軸でやっていかなくちゃいけないのか、そこのところを説明していただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 鳥獣保護管理法に基づきまして、都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、その生息数が著しく増加し、又はその生息地の範囲が拡大している鳥獣を対象といたしまして、必要と認めるときは、その生息数を適正な水準に減少させる、若しくはその生息地を適正な範囲に縮小させる、いわゆる管理に関する計画でございます第二種特定鳥獣管理計画を作成することができます。

 御質問ございました静岡県におきましては、カモシカに係る同計画につきまして、五期目の計画といたしまして、現在、平成二十九年四月一日から五年間を計画期間として施行しているところでございまして、その計画の対象区域は、静岡市など三市一町となっているところでございます。

 状況変化に応じまして、この管理が行われる区域の変更が必要とされる場合におきましては、計画策定時と同様に、都道府県知事が利害関係人の意見の聴取、関係機関との協議、さらには県の自然環境保全審議会等の意見の聴取、こういった手続を行うことにより、計画期間中でございましても、その変更は可能とされているところでございます。

宮澤分科員 時間軸と機関同士の段取りについては御説明をありがとうございました。

 でも、そのときに、ちゃんとこの計画に含まれるかどうかの、どういう基準になっているんですか。天然記念物ですから、駆除しちゃだめという見方もあるわけで、その中で管理していくわけでありますから、何をどのように訴えたらこれが採用されるものなのか。そこのポイントというか、そこのところを、もう少し御説明いただけないでしょうか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 カモシカの駆除に当たりましては、この第二種の計画というものが前提とされているところでございます。現在の静岡県で策定しております鳥獣第二種のこの計画におきまして、例えば、その管理の目標を定めるに当たりまして、生息環境でございますとか、実際に今先生から御紹介ございました森林等の被害の状況、こういったことが各地域に応じまして分析をされまして、それに応じて捕獲等の計画が立てられることとなってございます。こういったことにつきまして、現状のデータを整理していくということが必要だろうと考えているところでございます。

宮澤分科員 スムーズに、管理が行われるべき区域に含まれるよう、計画の途中であっても追加ができるよう、ぜひ、事前にうまく当該市町と連携をとり合って、こういう情報、こういう写真、こういった報告方法、きちんとやれば通りますよと、そういう情報提供をぜひやっていただきたいな、そういうふうに思います。

 最後にお聞きしたいのは、イノシシとか鹿は、もうジビエ料理でこれは活用して町おこしにしていこう、そういう話を今自民党の中でも一生懸命盛り上げているところなんですね。

 では、カモシカ、これはジビエ料理に、なかなか俎上に上ってきません。本当の意味で、まないたの上に上ってこない感じなんですが、カモシカって、どうやってこれは処理、活用するものなんでしょうか。私も、山の人間ですから、地元で情報収集してもいいんですけれども、やはり、どうもこれはうまく聞こえてきません。むしろ早く駆除したいという話があるほどですから。

 全国的な事例をちょっと御紹介していただけると、地元もまた助かるかなというふうに思いますので、ぜひここのところを御説明ください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 カモシカの捕獲個体の処理や活用につきましては、鳥獣保護管理法における捕獲許可の申請時に、捕獲後の個体の取扱い方法も含めて申請することとなってございまして、他の鳥獣と同様に、カモシカにつきましても、埋設や焼却、さらには肉の自家消費等の一般的な取扱いが認められるところでございます。

宮澤分科員 自家消費ということですね。

 これは売っちゃだめなんですか。それとあと、食べたらこれはおいしいんでしょうか。お願いします。

正田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私は食したことはないので、味につきましては、ちょっとお答えはいたしかねるということは御理解賜ればと思います。

 また、商業的な販売、特に肉につきましては、これは運用上でございますが、認めていないところでございますが、例えば毛皮等につきましては、一部につきまして、例えば駆除等の経費を賄うというような観点から、そういった手続を踏まえて認めたということは、ケースとしてはあるということは承知してございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、地元の県、地元の市を、国という立場でサポートしていただければ幸いでございます。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀内主査 これにて宮澤博行さんの質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一さん。

後藤(祐)分科員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 まず、マイクロプラスチック対策についてお伺いしたいと思います。

 昨年のG7シャルルボワ・サミットで海洋プラスチック憲章が承認されていますが、この中で、二〇三〇年までにプラスチック包装の最低五五%をリサイクル又は再使用し、二〇四〇年までに一〇〇%回収するといった達成期限付の目標が盛り込まれましたが、日本はアメリカとともに署名を見送りました。

 安倍総理からは、ことし日本が議長を務めますG20でもこれらの問題に取り組む意向である旨発言を行っています。ことし、G20の議長国として、この海洋プラスチック憲章を日本としても署名すべきではないでしょうか。また、これを実施するために必要な国際標準並みの国内対応をすべきではないでしょうか。

あきもと副大臣 お答えいたします。

 今、海洋プラスチック憲章のお話をいただいたところでございますが、国際的によく引用されている研究によれば、G7各国から海に流出するプラスチック量は世界全体の二%程度と推計されております。

 海洋プラスチックごみ、この問題の解決には、G20のような先進国だけじゃなくて、プラスチックごみをよく、多く排出する途上国も含めた世界全体の取組が必要不可欠だというふうに思っております。

 日本としては、G20の場で、途上国を巻き込んだグローバルで実効性のある取組の推進を打ち出すべく、国際的な議論をリードしていきたいというふうに考えております。

 他方で、スリーRの考え方に基づいて、国内法の整備を整え、技術を磨き、循環型社会を築いてきました。今後策定するプラスチック資源循環戦略でも、海洋プラスチック憲章を包含するような総合的かつ先進的な内容を盛り込み、積極的に取り組む考え方でございまして、現在も、環境省、プラスチックとどのように賢くつき合っていくかということの中で、プラスチック・スマートという運動、キャンペーンも行っているところでございます。

 さらに、重要なことは、我が国の経験と技術をアジア近隣国を始め世界各国と共有することでありまして、廃棄物処理インフラ導入支援など、実効性ある国際協力を推進し、海洋汚染防止という目的の実現に向けた国際的な取組を主導してまいりたいと思っています。

後藤(祐)分科員 G7の日本とアメリカ以外の国は署名しているんですよね。議長国として、ほかの途上国に頑張ろうと言っても、自分がまずやっていないじゃないかと言われてしまいますので、ぜひ署名を御検討いただきたいと思います。

 私、昔、経済産業省の環境政策課というところの総括係長をやっていたんですけれども、経産省がいろいろとめに入りますけれども、環境省、政治主導で頑張ってください。

 ちょっと、あと一問、通告していない話で環境省にお伺いしたいんですけれども、後ほど議論する有害鳥獣対策の関係で、きょう、日本農業新聞に、狩猟税の減免の延長という記事がございました。

 狩猟税というのは、認定鳥獣捕獲事業者というのと対象鳥獣捕獲員というのは免税になっていて、有害鳥獣捕獲許可保有者という、過去一年以内に捕獲に従事した方というのは半額という制度があって、それがことしの三月で切れちゃうので五年延長しましょうということなんですけれども、延長はいいんですが、ぜひ、今実際、有害鳥獣をやっつけてくれる方々は、銃もわなもですけれども、本当に現場で御苦労されておられます、その後継者を探すのも苦労されておられるので、半額となっているやつは免税にして、単なる延長じゃなくて、もうちょっと強化してやるべきだと思いますが、これはちょっと通告していなくて申しわけないんですが、いかがでしょうか。

あきもと副大臣 今先生から御指摘をいただいたことを含めて、今後しっかりとまた検討していきたい、そのように思います。

後藤(祐)分科員 あきもと先生の地元はなかなかそういうのはないかもしれませんが、日本じゅうで有害鳥獣で困っているところは狩猟で頑張っていただいている方が本当に頼りなので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 環境副大臣、これで結構でございます。

 続きまして、今の有害鳥獣対策の中で、ヤマビル対策についてお伺いしたいと思います。

 これは大臣にお伺いしたいと思いますけれども、鹿だとかイノシシを防ぐための電気柵ですとか、こういった対策は、そもそも有害鳥獣対策そのものとしていろいろなされていて、それが結果的にヤマビル対策にもなるんだということなんですが、実際、市町村の現場なんかでは、薬剤を散布したりとか、おびき出して焼くとか、いろいろなことをやっています。

 本当に、ヤマビル対策は、農業の観点からも、ほかの観点ももちろんあるんですが、特に農業の観点から重要だと思いますので、現場で行っている薬剤散布といったヤマビルに対する直接の対策、これに対しても支援を国として行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、近年、ヤマビルの生息範囲が鹿やイノシシなどの野生動物に寄生することにより広がっていると承知をいたしております。その吸血被害が神奈川県ですとか千葉県などで特に問題になっているというふうにも聞いているところでもございます。

 このために、農林水産省におきましては、ヤマビルによる吸血被害を防ぐためのチラシによる注意喚起を行うとともに、鳥獣被害防止総合対策交付金による鹿、イノシシの侵入防止柵の設置ですとか、野生鳥獣の隠れ家となるやぶの刈り払い時に使用するヤマビル忌避剤や殺ヒル剤の支援等にも取り組んでいるところでもございます。

 また、平成三十一年度の当初予算におきましても、ヒル、蛇、蜂等による被害を含めた農作業事故につきましても、資材費は補助対象としていないものの、地域での調査、分析への補助を計上しているところでもございまして、これら対策も活用しながら、地方公共団体とも連携をして、ヤマビルによる吸血被害の防止に更に努めてまいりたいと存じます。

後藤(祐)分科員 大臣、前向きな答弁、ありがとうございます。これは本当に困っておられますので、ぜひよろしくお願いいたします。

吉川国務大臣 今、私の答弁の中で、多分、後藤委員は、資材費等についても支援をすべき、そういうお気持ちではないかと思いますので、各地域での対策の状況をよくお聞きをしながら、効果的な対策について更に検討してまいりたいと存じます。

後藤(祐)分科員 御丁寧にありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 それと、ちょっとこれも通告をしていなくて大変申しわけないんですが、この国会に係る大事な法案で中間管理機構法の改正案があると思うんですが、これはなかなか、私の地元なんかでは中間管理機構は使われていないんですね。一方で、土地を持っている方と担い手の方の貸し借りみたいのは現場では結構いろいろ行われています。

 これは答えられる方はどなたでも結構ですので、今回の法改正で、協議の場の実質化ということが二十六条の二項、三項で加えられます。この中で、市町村が必要な情報の提供に努めるとか、あるいは、協議における農業委員会の役割を明確化するというふうにあります。

 実際、私の地元の厚木市では、市役所と農協と農業委員会がそれぞれ人を出して、農協に窓口をつくって、そこに、うちの畑、田んぼをやってほしいんですけれどもという情報が全部集まって、やりたいという人の情報も集まって、そこでマッチングをしています。

 さらに、貸し手と借り手両方に一反当たり年一万円、これは市の単独事業でお金を出しています。これが固定資産税よりもちょっと多いぐらいになるものですから、ただで貸すというのはなかなかという人に対して、固定資産税分は出るからやりましょうよという形で背中を押して、これは非常に機能しています。

 何十件も成約がありますので、かなり大きく土地を動かす場合はこの法律に基づくものも必要なのかもしれませんが、もう少しソフトに、貸し借りを柔軟にやるような形をやるときに、協議の場の実質化というのであれば、今申し上げたような仕組み、市町村と農協と農業委員会がそれぞれ協力しながら、場合によっては貸し手に対しても、貸し手、借り手に対してお金を出すというようなことは国としても支援すべきではないかと。

 このことは私は去年の通常国会でも御提案を申し上げているところなんですが、農水省の本件に関しての御意見を伺いたいと思います。

大澤政府参考人 詳しくは法案の審議の際にまたいろいろと御議論させていただきたいと思っておりますけれども、今回の改正の一番のポイントは、やはり、地域でいろいろ行われておりますさまざまな取組を、その地域の実情に合った形でいろいろ取り込んで、農地バンクの事業を更に進めるようにしたいということでございます。

 そういう中で、今回、法律としては、公的な機関であります農業委員会につきましては、役割を明確化しないとなかなか法的な権限が不明確ということで、明確化させていただきますけれども、政府の取りまとめの中では、農業委員会だけではなくて、やはり農協であるとか土地改良区であるとか、それぞれ地域で農地の貸し借りのコーディネーター役を担われている方を総動員しようという考え方を出しておりますので、そういう中で、市町村も中心になっていただいた中で、どういう形がいいのかというのは、これは地域それぞれで決めていただこうという考え方でございますので、厚木市の例も参考にしながらやっていきたいと思います。

 それから、借り手、貸し手、それぞれの支援のあり方でございますが、これは予算も今回から見直すことにいたしまして、地域の話合いの結果、集積をすると決まったときに地域に落とす金というのを充実することにいたしまして、その中で、どういうふうな支払いをするかというのは地域の方々になるべく決めていただこうという考え方でおります。

 そういう中で、厚木市の取組のような貸し手に対する支援、これも、地域で合意がとれたときには出せるように措置しているところでございます。

後藤(祐)分科員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 これは地域によってそれぞれ事情が違うと思いますので、特に都市農業ぐらいのところですと大胆な圃場整備みたいなことというのは難しいので、現実には隣接したところをまとめて受託されているような方がいっぱいいらっしゃって、そういったときにどうそれをつなげるかといったときに、今言ったようなことは本当に現実に動いているので、ぜひ厚木市の例なんかも参考にしていただきながら支援をいただければと思います。

 続きまして、農協改革、とりわけ准組合員について行きたいと思いますが、私も残念ながら畑を持っていないので准組合員なんですけれども、この准組合員規制については、二〇二一年三月までの五年間、調査を行って、検討の上、結論を得るということになっておりますが、現在、各事業ごとに正組合員、准組合員、員外利用、それぞれの利用率を調査していると伺っております。

 現在行っているこの利用率調査は、当面どのぐらいの時期に調査結果が出て集計されるのかということと、その集計結果が出たら、その後の、より、二段階目というか、精緻な調査については、単に利用率を調べるだけではなくて、准組合員がどういった役割を果たしているか。地域の単協のために頑張ってこういった貢献をしていますよとか、いろいろなことをやっていると思うんですよね。その定性的なものも含めて、この准組合員の各農協における役割、これについても幅広く調査すべきだと思いますが、これは大臣にお伺いをしたいと思います。

吉川国務大臣 准組合員に関しましては、今委員からも御指摘がありましたように、二〇二一年の三月まで調査することといたしております。これに基づきまして、農林水産省といたしましては、現在、正組合員、准組合員及び組合員以外の者ごとに、信用事業については貯金額や貸出額、共済事業については共済掛金の額、購買事業については商品の販売額を調査いたしております。

 准組合員の果たしている役割につきましては、改正農協法の附則で調査を求められていないものの、准組合員のあり方を検討する上で重要な情報であることから、今後、その適切な把握の方法についても検討してまいりたいと存じております。

 農協の中には、七月から翌年六月までが事業年度であるものもあり、全ての農協の調査結果がそろうのは本年夏以降となる見込みでもございます。

 私も、この准組合員のあり方につきましては、正組合員、准組合員という立場の中で、大変重要な役割を果たしていると存じておりますので、多分、後藤委員のお考えとは私自身はそんなに変わらないと思っておりますので、慎重に調査を進めながら、あり方そのものをしっかりと結論を見出していきたいな、こう思っております。

後藤(祐)分科員 ぜひ大臣、お願いします。

 最後に温かいお言葉をいただきましたけれども、実は、前の奥原次官が経営局長時代の二〇一六年三月五日、神奈川県の秦野の農協に来て講演をされておられて、JAの大事な役割として地域貢献があるがと聞かれて、別にJAがやる必要はない、やりたければ生協や株式会社がやればいいと。あるいは、都市型農協は准組合員の利用規制が入ったら存続が厳しいんじゃないかと聞かれて、奥原当時局長は、准組合員のための組織ではない、生協、株式会社、信用組合の選択肢を与えているという、大変冷たいお話をされておられるんですね。

 今の大臣のお言葉はそういうことではないというふうに理解しておりますので、准組合員も農協に欠くことのできない存在だということを、大臣の御指導のもと、今後の、余計なことをしないでほっといていただいても結構なんですが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、森林環境税、森林環境譲与税について行きたいと思いますが、きょうは鈴木総務副大臣にお越しいただいております。

 この森林環境税は、税を徴収する方は二〇二四年度から、譲与税は二〇一九年度から始まりますけれども、今、例えば神奈川県なんかでも、水源環境税といった形で、いろいろな都道府県、あるいは横浜市で、既に森林にかかわるような税が徴収されております。

 これをどうしていくか。一本化するのか。これは各地方公共団体との間で調整がこれから進むということですが、ぜひ、調整をして、仮に一本化していこうというような方向になるのであればなおさらなんですけれども、今回導入される森林環境譲与税の使途をできるだけ幅広く解釈して、現行、各地方公共団体で使っているような使途、これのほとんどがカバーできるようにすべきではないでしょうか。

 具体的に言いますと、今回提出されている森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案第三十四条の中に、ちょっと省略しますが、木材の利用その他の森林の整備の促進に関する施策に使えるということになっておるんですが、この解釈を幅広く解釈して、先ほどの有害鳥獣対策ですとか、あるいは、比較的小さい、公衆トイレみたいなものも含めた公共施設の木造化ですとか、こういったものも対象に読めるというふうにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(淳)副大臣 現在は、森林整備等を目的として、三十七府県及び一政令市において独自に超過課税を行えるものと承知をいたしております。

 一方で、国の森林環境税は、昨年成立した森林経営管理法も踏まえつつ、主に市町村が行う森林整備等の財源として創設するものでございます。

 また、その使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策等と規定しているわけでございまして、各市町村におきましては、この使途の範囲内におきまして、地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することが可能でございます。

 したがって、両者は財源の帰属主体そのものは基本的に異なりますけれども、府県等が行う超過課税の使途はさまざまでありますので、使途におきましては重複する可能性がございます。

 その点、森林環境税は平成三十六年度から課税することとしておりまして、それまでの間に全ての超過課税の期限やあるいは見直し時期が到来しますので、関係府県等におきまして超過課税の取扱いを検討いただけるものと考えております。

 なお、現時点におきまして、地方団体への聞き取りの調査結果によりますと、平成三十年度末に期限等を迎える超過課税を実施している五団体につきましては、いずれも森林環境税の導入を見据えて検討いただいて、両税の考え方を整理した上で超過課税を延長する予定であると伺っております。

 総務省としましても、森林環境税との関係が円滑に進みますように、林野庁とも連絡をとりながら、関係府県等の相談に応じまして助言を行ってまいりたいと思います。

後藤(祐)分科員 先ほどの有害鳥獣対策とか小さい公共施設の木造化みたいなのも入るということでよろしいんですか。

鈴木(淳)副大臣 先ほど申し上げましたように、森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び整備の促進に関する施策でございますので、各地方団体におきましては、この使途の範囲内におきまして、地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することが可能でございます。

 御指摘の有害鳥獣対策につきましては、さまざまな事業が考えられまして、一概にお答えはできませんけれども、法律上の使途の範囲内でありますれば可能でございまして、例えば森林保全につながる森林被害対策としての鹿の駆除などは、対象となり得るものと考えております。

 また、公共施設の木造化につきましては、森林の整備の促進に関する施策として法律上示されている木材の利用の促進に該当し、利用可能と考えております。

後藤(祐)分科員 可能ということで、具体的にありがとうございました。

 使い方が、自由度があって、今と同じように使えるのであれば、あとは税の集め方の方なんですけれども、これは、私有林人工林が五〇%、林業就業者数二〇%、人口三〇%配分ということになっていて、東京のど真ん中でも、森林がないところでも人口比で配分されてしまって、これで本当に役に立つのかなという使われ方が二〇一九年度にかなり行われてしまうことが懸念されます。

 この二〇一九年度の、特に森林がないようなところでどういう使われ方をしたかということをよく調べた上で、いかがなものかというふうになった場合には、この人口割三〇%を見直すべきだと思うんです。

 特に、今度は国有林野管理経営法というものの改正案がこの国会で出ますよね。これによって、国有林についても民間事業者らに長期の採取権というのが与えられることになるので、国有林についても、その面積というのは考慮すべきという気がするんですね。

 ですので、国有林面積を基準に盛り込むということも含めて、この森林環境譲与税の配分基準、もう一九年度はしようがないかもしれませんが、その使い方を見ながら二〇二〇年度以降の配分基準を見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(淳)副大臣 森林環境譲与税の譲与基準でございますが、この基準につきましては、人工林私有林面積で五割、林業就業者数で二割、人口で三割とされているところでございます。

 森林環境税、森林環境譲与税につきましては、都市部の住民を含めた国民全体の理解も得ていく必要があることから、都市部におきまして実施される木材利用の促進や普及啓発を使途の対象としております。

 また、森林整備が進むことで間伐材の供給がふえますことから、都市部の地方団体が間伐材等の木材利用を進めることで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環が生まれることが予想されます。

 さらに、多くの府県等で実施されております森林環境の保全等を目的とした超過課税につきましては、平均すればおおむね三割強を森林整備以外の事業に充てているところでございます。

 こうしたことを総合的に勘案しまして、森林環境譲与税の三割を、木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標である人口を基準として譲与することとしておりまして、ある面、妥当な基準であるというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 東京二十三区だとか、こういうところで普及啓発事業がやたら行われることとか大変懸念しますので、ぜひそこは、一九年度の使われ方をよく見て、柔軟にそれ以降考えていただきたいと思います。

 それでは、少し飛ばしまして、種子法の復活あるいはこの条例制定に向けた動きについて、これは大臣に伺いたいと思いますが、種子法で義務づけられていた都道府県の義務、これを継続すべきだという都道府県の条例、書き方はいろいろあると思うんですが、これに類する条例がいろいろな都道府県で既に制定、あるいは今後制定を検討しているという状況だと思いますが、その状況がどうなっているかということと、これだけ多くの都道府県、私が聞いている限りでは、既に五県は制定済みで、少なくともプラス五県が検討中と伺っていますけれども、これだけ多くの都道府県で義務づけを新たに行うという以上、やはりこれは種子法が必要だったということだと思うんですが、種子法を復活させるべきだと思いますが、大臣の御見解、今の状況を含めて御答弁いただきたいと思います。

吉川国務大臣 主要農作物種子法の廃止後に、稲、麦類及び大豆の種子の生産、供給に関しまして、条例を新たに制定をいたしましたのが、今御指摘ありましたように五県、山形県、埼玉県、新潟県、富山県及び兵庫県でございます。また、新たな条例の制定を検討しておりますのが五道県でありまして、北海道、長野県、福井県、岐阜県及び宮崎県と聞いております。

 このような都道府県による条例制定につきましては、多様な需要に応じた種子の供給体制の構築のために必要とみずから判断して講じようとしているものと受けとめておりまして、このために、都道府県による条例の制定は、種子法廃止の考え方に沿うものであり、種子法は復活すべきとする理由にはなるとは考えてはおりません。

後藤(祐)分科員 残念ですね。大臣の心の中はそうじゃないんじゃないのかなと思いますけれども。今笑っていらっしゃいますが。

 安倍総理のうちは難しいのかもしれませんが、総理がかわったらまた戻せばいいと思いますので、ぜひそこは御検討いただければと思います。

 これの関係で、鈴木総務副大臣、都道府県のこういった種子法に基づく事務を行うために、地方交付税が二〇一七年度まで交付されておりました。二〇一八年度、種子法が廃止された、施行がなくなった後も同じように地方交付税が交付されていますが、二〇一九年度、どうなっているか、前年との比較、そして、二〇二〇年度以降も維持することを約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(淳)副大臣 主要農作物種子法の廃止前は、同法に基づきまして、都道府県が実施することとされておりました圃場審査、生産物審査の実施や原種圃、原原種圃の設置などに関する事務に要する経費につきましては、地方交付税措置を講じてきたところでございます。

 平成三十年四月一日に同法は廃止されましたけれども、その廃止後も、都道府県は、圃場審査などに関する事務については種苗法に基づき、また、原種圃の設置などに関する事務につきましては農業競争力強化支援法に基づき、従前と同様に実施することとされておりますことから、総務省としまして、引き続き、その事務に要する経費につきましては地方交付税措置を講ずることとしております。

後藤(祐)分科員 額は、同じ額を交付されているんですか、二〇一九年度予算。これは通告していますよ。

鈴木(淳)副大臣 二〇一九年度の算定方法はこれからでございますので、まだ同額とは言えません。

後藤(祐)分科員 もう実は中では決まっていると思いますので、そこは、少なくとも同額を確保されるかどうかは、副大臣、ぜひチェックをしていただいて、総務省、後で私にも御報告をいただきたいと思います。

 それでは、最後、種苗法に基づく自家採種について伺いたいと思いますが、種苗法二十一条というのは、自家採種はオーケーとなっているんですが、一部、省令で定めた何種類かのものについては、これを外して、自家採取を禁止するというような法体系になっておりますが、きょう、法制局長官にお越しいただいております。

 例えば、キュウリですとか、割合、一般の農家が家庭菜園みたいなところでとれた種をそのまままくということは、日本じゅう、そんなことを知らないでやっちゃう人は幾らでもいると思うんですが、この種苗法二十一条で、自家採種が原則オーケーなんですが、省令で定められた幾つかの品種についてはそれが禁止され、かつ、罰則がついていて、十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金となっております。これは罪刑法定主義違反ではないでしょうか。

 つまり、何の種はまいちゃいけないですよというのは、法律の別表か何かで書いてあるならともかく、省令でどんどこどんどこ追加するというのは、これは罪刑法定主義、憲法三十一条違反だと思いますが、法制局長官、いかがでしょうか。

横畠政府特別補佐人 御指摘の種苗法でございますけれども、その第二十一条第二項においては、品種登録により発生する育成者権の効力が例外的に及ばない範囲として、いわゆる自家増殖をする場合を定めているところでありますが、栄養繁殖、種ではありません、栄養繁殖をする植物は容易に同品質の種苗を生産することが可能であり、その自家増殖を認めますと、育成者権者の利益を不当に害することとなることが考えられることから、同条第三項において、この第二項の規定について、「栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。」と規定しているところでございます。

 ここで、同条第三項には、御指摘のように、「農林水産省令で定める」と規定がありますが、これは、この省令で創設的に自家増殖を認めない品種を定めるという性格のものではなく、この自家増殖が認められない栄養繁殖をする植物に属する品種の範囲を特定して明確にする趣旨のものであると解されるところでありまして、罪刑法定主義等の観点から、特段の問題はないと考えております。

後藤(祐)分科員 聞いてびっくりしませんでしたか、皆さん。キュウリで栄養繁殖したらだめなんですよ。

 これは、ちなみに、栄養繁殖で禁止されている、その省令に掲げられているもの、代表的なものを幾つか挙げていただけますか。これで終わりにします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、省令におきまして定められている植物は三百五十六種類でございまして、例えば野菜につきましては、トマト、キャベツ、大根、ナス、キュウリなどが含まれております。しかしながら、これらは、現在販売されている品種のうち、登録品種は一割にも満たず、ニンジンやホウレンソウについては登録品種はないという状況でございます。

後藤(祐)分科員 満たずという世界ではないと思うんですね。こんなにそこらじゅうでやっているものが罰則つきで禁止されるということは、これは憲法違反であるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて後藤祐一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山崎誠さん。

山崎分科員 立憲民主党の山崎誠でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、横浜の話題を中心に御質問をさせていただこうと思って準備してまいりましたので、よろしくお願いいたします。

 まず一番目に、国際園芸博覧会の招致という問題についてお話をしてまいりたいと思います。

 二〇二五年の大阪万博が正式に決定をされて、いろいろな準備がスタートをしております。それと対になるような形で、今、横浜市が国際園芸博覧会の計画を国の方に提出をさせていただいているとお聞きしております。

 会場になりますのが、実は、二〇一五年に返還になりました横浜市の旧上瀬谷通信施設の跡地でございまして、実に二百四十二ヘクタール、首都圏最大の平たんな土地ということで、今、大変貴重な土地が、横浜市のもと、横浜市民のもとに戻ってきたという状況でございます。

 これを今、まちづくりとしてどういうふうに活用していくかというお話の中で、国際園芸博覧会をぜひここで開催をしたい、それをもってまちづくりに弾みをつける、そして、今国際的にいろいろ問題になっています気候変動の問題、あるいはSDGs目標達成に向けてのさまざまな取組を、この土地を使って、そしてこの博覧会の誘致を使って進めていきたいということを横浜市として提案をされているということでございます。

 まず、この開催の誘致について、現状について御説明いただければと思います。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 国際園芸博覧会の開催に向けまして、横浜市から、平成二十八年十二月十三日に農林水産省に、また十六日には国土交通省に対しまして、公園を核とした整備計画策定への支援と国際園芸博覧会への招致検討への協力についての依頼がなされました。

 農林省といたしましては、国内での大規模な国際園芸博覧会の開催は花卉業界の発展に大きく貢献すると考えられますので、横浜市が設置をいたしました旧上瀬谷通信施設における国際園芸博覧会招致検討委員会に国土交通省とともにオブザーバーとして参加をいたしまして、横浜国際園芸博覧会基本構想案の取りまとめに協力してきているところでございます。

山崎分科員 この計画自体、私も拝見をしていますが、やはり、とても大きな目標に向かって、今本当に国が取り組まなければいけないようなテーマをさまざま網羅した形で進められています。

 ぜひこれは、やはり国としても、最終的にお願いにはなりますが、バックアップをいただいて、ぜひ誘致を成功させ、招致を成功させるということをお願いをしたいんですが、前提として、一九九〇年、少し前になりますが、大阪の花博がございました。やはりこの延長に次の園芸博覧会もあると思うんですが、大阪の博覧会についての、例えば開催目標、実績、そして課題等について挙げていただけますでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九〇年、平成二年でございますけれども、大阪市におきまして、我が国では初めての国際園芸博覧会となります国際花と緑の博覧会が開催されました。

 その大阪の国際園芸博覧会でございますけれども、自然と人間との共生ということをテーマといたしまして、花と緑と人間生活のかかわりを捉え、二十一世紀に向けて、潤いのある豊かな社会の創造を目指すということを狙いとして開催されました。

 この大阪国際園芸博覧会でございますけれども、二千三百万人を超える来場者がございまして、一九九一年、一年後に取りまとめられました博覧会の政府公式記録におきまして、生活における花と緑の重要性についての確認を深める機会を提供するとともに、我が国の園芸技術等の向上及び関連産業への活性化に寄与し、特に花卉の栽培や展示の技術について多くの新たな技術が開発されたなどの成果があったということが挙げられてございます。

 また、開催後に、当時の建設省また農林水産省で設置をいたしました国際花と緑の博覧会基本理念継承懇談会におきまして、本博覧会の成果を広く後世に伝えるために、花と緑の国際交流の推進、花と緑に関する普及啓発活動の推進、花卉、緑化産業の近代化と技術開発の推進、これらの必要性があるというような課題も挙げられてございまして、現在もこれらの施策が実施をされているところでございます。

長井政府参考人 お答えいたします。

 国際花と緑の博覧会につきましては、海外から八十二カ国・五十五国際機関が参加いたしまして、内外から当初予測の二千万人を上回る二千三百十二万人もの観客が訪れるなど、当時といたしましては、国際博覧会条約に基づく特別博覧会として史上最大の規模のものとなり、一部、渋滞の発生でありますとか交通混雑などもありましたが、全体として大きな成功を上げたものと認識しているところでございます。

 また、博覧会の会場となりました鶴見緑地につきましては、もともと大阪市の都市公園でありまして、博覧会終了後に再整備され、市民の憩いの場として利用されているところでございます。

 さらに、博覧会の基本理念につきましては、全国都市緑化フェアでありますとか、全国「みどりの愛護」のつどいといった各種緑化行事に継承されており、その後の都市緑化の普及啓発にも大きな効果があったものと認識しているところでございます。

山崎分科員 ありがとうございます。

 私は、やはりこの大阪の花博も、非常に平成の時代を開くにはふさわしいイベントだったんだろうなというふうに見ています。そして、やはり大阪からの、この花博の、いろいろな波及がちょうど平成の時代をつくってきたと。

 ちょうどことし元号が変わりまして、何という元号になるかわかりませんが、新しい時代で、またそのポイントになるタイミングで、この園芸博覧会、花博を開くこと、そして、大阪、西で開いていただいた、今度は横浜、東で開く。新しいテーマ、先ほどもお話ししましたけれども、気候変動だとか生物多様性の問題、あるいはSDGsという新しい、国際的な、世界的な、地球規模の目標を抱えた中で開催する意義は、私は大変大きいと思います。

 それから、これは御意見もお聞きしたかったところですけれども、今、二〇二六年開催、最速では、タイミングとしてそのあたりを計画をしていて、先ほどお話ししました旧上瀬谷の通信施設、大変広大な土地の中の半分ぐらいを使った、かなり広大な、立派な博覧会が計画をされています。入場者規模も千五百万人以上を想定と。これは、私は控え目だと思いまして、大阪の博覧会を、やはり花博を超えるような入場者が期待できるのではないかなと思っています。

 こういうこの横浜市の計画について、大変横浜の市民の皆さんも期待をし、ぜひ、このイベント、協力をして、横浜を、そして日本を発信していきたいという思いを強くしておりますが、この計画についての評価、御感想、そして国の支援のあり方、あるいは具体的な支援の方法がもし決まっていれば、教えていただきたいと思います。

濱村大臣政務官 今委員より、この横浜市で開催されることを目指して今取り組んでおられる国際園芸博覧会、花卉業界の発展に対してどのような貢献が考えられるかという御質問がございましたが、横浜市での国際園芸博覧会、これは、誘致が実現いたしますれば、我が国におきましては、一九九〇年、平成二年、先ほど来委員の御指摘にもあるとおり、大阪市において開催されました国際花と緑の博覧会以来の二回目の大規模な国際園芸博覧会の開催となります。

 国際園芸博覧会には、国内のみならず、海外からも多くの来訪者が見込まれておりまして、我が国の花卉産業、造園業の国際的な展開などにつながるとともに、豊かな花や緑に恵まれた我が国の魅力を来訪者に伝える大きな機会となると考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、国内において大規模な国際園芸博覧会の開催が花卉産業の振興へ果たす効果等について分析を行うとともに、国交省、経産省、外務省、関係省庁等と連携をいたしながら、横浜市に対して協力を進めてまいりたい、このように考えております。

山崎分科員 国交省さんはいかがですか。国交省さんは答えを用意していないですか。

阿達大臣政務官 国際園芸博覧会は、国際的な園芸文化や花と緑のあふれる暮らし、地域経済の創造や社会的な課題の解決への貢献を目的に開催されているものでございます。

 そしてまた、横浜市は、現在、旧上瀬谷通信施設における国際園芸博覧会の招致を目指している中で、この旧上瀬谷通信施設の土地利用の促進を通じた圏域振興等に生かしていくというふうに伺っているところでございます。

 具体的には、活力創造や公共、公益につながる土地利用と農業振興等の点から横浜市において土地利用の検討を進めているというふうに承知をしております。

 今後、横浜市から上瀬谷のまちづくりに関する要望があれば、関係省庁とも協議しながら、適切に対応してまいりたいと思います。

山崎分科員 ありがとうございます。

 私は、やはり国の皆さん、農水省あるいは国交省の皆さん、ほかの、経産省も含めて、いろいろな省庁の皆さんが、待ちの姿勢ではなくて、ぜひ横浜市にもいろいろ逆提案するような取組を期待させていただいています。

 やはり、いろいろな情報を皆さんお持ちで、国際的ないろいろなネットワークで、いい取組とか参考になる情報があると思うので、ぜひそういったものを共有いただいて、こういった誘致を成功させ、プロジェクトを進めていただきたいと思っています。

 先ほど、大阪の博覧会の課題の中で、やはり交通混雑というお話がございました。横浜市のこの上瀬谷の地域を使った園芸博覧会についても、当然同じような課題が今あります。これについては、実はもう既にいろいろな要望も出されている中で、例えば、交通政策審議会でも、この上瀬谷の通信基地跡ということを踏まえた答申が出ております。「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)」ということで、平成二十八年の四月二十日の答申が出ております。

 その中に、一部読みますと、「例えば上瀬谷通信施設跡地の開発等に対応する新たな交通については、関係地方公共団体・鉄道事業者等において、LRT等の中量軌道等の導入について検討が行われることを期待。」とあります。「なお、検討に当たっては、開発等の状況とそれに伴う輸送需要の動向を踏まえつつ、まずはBRTを導入し将来的に中量軌道等に移行するなどの段階的な整備も視野に入れるべき。」こういうような非常に心強い答申もいただいています。

 こういった答申も受けて、花博とセットで、園芸博覧会とセットで、こうした地域に役に立つ開発、ぜひ進めていっていただきたいと思うんですが、国として、こういった輸送施設の整備についてどんな支援をいただけるか、御回答いただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道プロジェクトなどの推進に当たりましては、一般的に、需要の見通し、採算性、費用対効果などをしっかりと見きわめ、事業計画などの検討の深度化を図る必要がございます。

 そのため、まずは、関係地方公共団体、鉄道事業者などにおいて、地域開発などの状況とそれに伴う輸送ニーズの動向を把握した上で、事業主体や費用負担のあり方も含めた具体的な検討を進めていただくことが重要と考えております。

 国土交通省といたしましては、こうした検討について助言などを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

山崎分科員 きのうもこの質問の準備でお話を聞いておりましたが、非常に、国交省の方、許認可というか、守りの姿勢でございまして、当然、おっしゃっているとおりでございまして、事業としてきちっと、国土交通ですから、成立させなければいけないのは当然でございます。

 ただ、私は、これからの時代、例えばSDGsの目標とか気候変動という話、何度もしていますが、やはり新しい輸送のあり方とか交通施設のあり方というのを模索していかなきゃいけないし、これだけの好条件に恵まれたプロジェクトを、ぜひ私は、国として生かして、いろいろなモデルを実証するような取組もぜひ行っていただきたい。

 先ほども申し上げましたとおり、通信基地の跡の広大な土地にこれから新しい町が本当にスクラッチで、ゼロからつくられるという、これは恐らく、日本の歴史においても、ちょっと大げさな言い方かもしれませんけれども、本当にまれに見る重要なプロジェクトだというふうに思っています。

 そういった意味で、国交省の皆さんにも、いろいろなお知恵とかいろいろな取組を、実験場と言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、やはりそういう意味合いでも有効にぜひ活用いただきたいと思っていますので、これは意見にとどめますが、ぜひ積極的な姿勢でこのプロジェクトを応援をいただければと思います。

 最後に、国際園芸博覧会のテーマ。

 もう本当にこれは、先ほど、これは予算の審議なので、これは調査費がついているんですけれども、調査費のテーマが、花卉産業に与える影響についての調査をするということでお聞きしています。

 もちろん、花卉産業が中心に絡んでいく博覧会だというのは認識をしておりますが、私は、それにとどまらない、やはり大きな世界的なテーマに対しての博覧会であるべきだと。二五年の大阪の万博が、技術だとか暮らし、あるいは社会のあり方と、いろいろなテーマがあると思いますが、それに対して、今度、例えば、国際園芸博覧会は、環境だとか緑だとか持続可能性だとか、そういった大きなテーマで開催されると、この両輪で日本はすばらしい展開になるんじゃないかなと思っています。

 横浜市の計画の中でこういう一文があるんですよ。国際的な視野、開催の意義の中で、「進展する第四次産業革命に生物資源が融合する第五次産業革命」と、第五次産業革命という言葉を横浜市が提案をしています。私は、これはすばらしいなと思って、今、第四次産業革命だといって世界は盛り上がっているわけですけれども、そうではない、それに生物資源を組み合わせて第五次産業革命をここから起こすんだという意気込みを述べています。

 私は、このぐらいの意気込みを実は国にも、当然持っていただいているんだとは思いますが、やはり持っていただいて、花卉産業も大事ですが、それとプラスアルファ、やはりこういったビジョンを持った展開、応援をぜひ期待をしたいと思っている次第です。

 二〇二六年を今最速では開催を目標にしているということですので、時間はあるようでないというのが実態だと思いますので、ぜひこれからの政策のいろいろな検討の中の一つとして取り上げていただければと思います。

 私は、連続して国際博覧会を開催するというのは、とてもおもしろいんじゃないかと思うんですよね。インバウンドを呼び込むという意味でも、例えば、大阪に来た人が、じゃ、今度、横浜、花博に行ってやろうかみたいな、リピーター、博覧会のはしごみたいな、そんなプランというのはとてもおもしろくて、例えばセット券を販売して両方に来ていただくというようなこと、それぞれで、日本の西の魅力、東の魅力、西から南、東から北、そんなような展開をセットで考えていただくと大変おもしろいのではないかなと思っております。

 この後に、最後、まとめで、今後どんな取組を計画いただけるか、このまちづくり、あるいは世界の課題にどう応えていくかという視点でお答えいただければと思いますが、いかがでしょう。

濱村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、国際園芸博覧会、さまざま検討がされているわけでございますが、これはまず、横浜市さんが今検討されていることでございます。

 主体となってなされるということで言えば横浜市さんなわけでございますけれども、先ほど来ございました生物資源を活用した第五次産業革命、このような内容についても、しっかりと内容を確認いたしながら可能な限り協力をしてまいりたいと思っておりますが、御参考までに申し上げますと、国際園芸博覧会、世界の各地域で行われる予定となっております。一九年には中国の北京、二一年にはカタールのドーハ、二二年にはオランダ・アルメーレ、二四年にはポーランドでウッチ、これはまだ予定でございますけれども、そうした中で二六年に横浜も手を挙げようかということが想定されているわけでございます。

 そうした流れの中で、どのようなことが横浜市、そしてまた我が国に求められているのか、こうしたところを踏まえながら対応を検討してまいりたいと思っております。

山崎分科員 国交省からはありますか。

阿達大臣政務官 今委員から御指摘いただいた点、それぞれ非常に重要な点だというふうに承知しております。

 こういう、まちづくりという中におきましても、国交省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思いますが、御承知のとおり、この土地につきましては、二百四十二ヘクタールのうち百十ヘクタールが民有地ということもございまして、やはりこの民有地の利用ということも含めて、横浜市において今しっかり住民の声も聞きながら検討いただいている。これに対して、国交省としても、しっかりと関係省庁とも協議しながら対処してまいりたいというふうに思っております。

山崎分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、本当に横浜市の皆さんも当然期待しておりますが、それ以上に、やはり日本全体の、国民の皆さんの希望になるように、応援をいただいて、開催できればと願っておりますので、よろしくお願いします。

 それでは、残り時間が少なくなってまいりましたが、次のテーマを少しお話をさせていただきます。

 都市の緑地の保全、維持管理というお話でございます。

 地域を回らせていただいて、横浜の皆さんから、大変、都市の緑地の課題についてお聞きをすることが多うございます。例えば、幼稚園を経営されている方々、地域である程度の土地をお持ちの方々が幼稚園を開園されている、その開園した幼稚園の裏庭には森林が、森が残されている、そんなような土地柄でございまして、とてもそういう意味では環境がよくて、我々は、近くを通って、あるいは子供たちの遊んでいる姿を見て、ああ、緑が多くていいなと思うんですが、実はその管理はその土地の所有者の皆さんに任されていて、おんぶにだっこという状況で、大変負担が大きいというお話を聞きます。

 横浜市は、実は、都市の緑地の保全には大変積極的に取り組まれているということで、横浜にあってもこういう状況なのかなということは、私も非常に難しい課題だという認識は持っておりますが、やはり都市の中で森林、森を、林を守るというのはとても大変でございますよね。例えば、今般のように台風のようなものが巨大化してきて、木が倒れたら大変なことですし、撤去しなきゃいけない。あるいは、落ち葉が落ちるだけでも近隣の皆さんから苦情が来るみたいなお話があって、やはり管理をしなければいけない。でも、そのコストが大変だということで、大変、所有者の方々、困っていらっしゃいます。

 そういった管理について、まず、国の制度、基本的にどんな対応が今予定されている、今動いているのか、簡潔に御説明いただけますでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 都市の緑地保全に関する主な国の制度といたしましては、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区制度がございます。

 本制度につきましては、都市の良好な自然的環境を形成している緑地を現状凍結的に保全するものでありまして、国土交通省では、土地所有者の申出により当該地区を地方公共団体が買い入れる場合には、支援を行っているところでございます。

 お尋ねの横浜市におきましても、平成二十九年三月末時点で、特別緑地保全地区を百四十三地区、約四百三十三ヘクタールを指定しているなど、これまでも都市緑地法に基づく制度を積極的に活用しているところでございます。

山崎分科員 本当に、そういう意味だと、横浜市は頑張っていると思いますし、国の制度とリンクをしてうまくやっている部分はあると思うんですね。

 それで、町の方々といろいろお話ししたときに出てくる課題というのは、やはり管理なんですよね。だから、管理を何とかしたいんだけれども、その管理の助成については、やはり制度上、私有地に対する援助みたいなお話で、大変難しいんだということはお聞きをしました。

 また、例えば、市も、いろいろな予算の中では、やりくりの中で補助をする場面もありますけれども、やはりワンショットの補助であったり、継続的なそういう補助はなかなかできないというのが現状だと思います。

 何とかこういった予算も本来はやはり少しでもつけていっていただいて、貴重な緑でございます、緑の効果はもう本当に多種多様でございまして、地域の環境を整備する、あるいは、気候変動に対しても大事でございますし、災害時の防災林というような役割も担うわけで、そういったものをちゃんと守る手当てをやはり考えていかなければいけないというのが一つお願いでございます。

 もう一つ、具体的にできる施策として、例えば、市民参加で森林を整備するとか、少しでもその管理者、所有者の皆さんの負担を軽減するような施策というのが恐らくいろいろな地域でも行われているのではないかと想像しています、それでいろいろお話も聞くところなんですが。

 もちろん、所有者との、うまく調整も難しいところはあるかもしれませんが、何かそういういい例があれば教えていただいて、そういう情報提供をぜひ積極的に、国交省としても、していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 緑地保全におきましては、緑地が適切に維持管理されることが重要でありまして、所有者のみならず、多様な主体が緑地の維持管理にかかわっている事例も見られております。

 例えば、お尋ねの横浜市におきましては、市が土地所有者と契約を結んだ市民の森を市民参加により管理する市民の森愛護会制度があり、市と連携して管理を担っております。また、世田谷区におきましては、緑の保全に多くの区民が主体的に参加できるよう、世田谷のトラスト運動を平成元年よりスタートいたしまして、一般財団法人世田谷トラストまちづくりが中心となり、区民参加で、屋敷林など民有緑地の管理を行っているところでございます。

 このような緑地保全における市民参加の取組は、所有者の維持管理の負担軽減にも効果的でありますから、国といたしましても、さまざまな形で周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。

山崎分科員 もう時間だと思うので、もうこれで終わりにしますが、そういった情報提供、例えばホームページとか、何かガイド、冊子になったりとか、そういうのはございますか。

長井政府参考人 冊子等ございます。

山崎分科員 ありがとうございます。

 ぜひ私も、ちょっとその冊子をいただけなかったので、今度いただいて、横浜の皆さんにも御説明をしていきたいと思います。

 本当に、大事な緑、小さくてもやはりそういったものを大事に大事に次の世代に引き継いでいくのが今我々の責任だと思っておりますので、今後ともいろいろな御支援をよろしくお願いします。

 以上です。終わります。

笹川主査代理 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 きょうは、まず、豚コレラ対策について質問をしたいと思います。

 豚コレラ、愛知県、岐阜県で感染が確認されておりますけれども、現状ではまだ、野生のイノシシを含めて、感染が確認される状況が続いております。

 そこでお尋ねをしたいんですが、愛知県などでは、岐阜県でもそうですけれども、全頭殺処分、飼育している豚の全頭殺処分が行われましたが、そもそも、世界で非清浄国と言われている国、清浄国と言われている国があるわけですけれども、疑似患畜も含めて全頭殺処分をしている、こうした事例がどこの国にあるのか、そして、実際に最近でいつ行われたのか、これについて御答弁いただきたいと思います。

吉川国務大臣 殺処分につきまして、御質問がございました。

 豚コレラは家畜伝染病の中でも特に伝播力が強く、病原性が高い疾病でもあります。蔓延することによりまして、家畜に甚大な影響、被害が生じ、ひいては我が国の畜産業に重大な影響を与えるおそれがあることから、さらにはまた治療法がないことから、豚コレラを早急に封じ込めるためには殺処分が最も効果的な措置であると承知をいたしております。

 この考え方は、例えば、EU、豪州においても同様でありまして、本病発生時におきましては、農場で飼養されている全ての豚を殺処分し、消毒等を行う防疫措置が講じられると承知をいたしております。

 我が国における豚コレラの防疫対応につきましては、家畜伝染病予防法第三条の二に基づきまして、農林水産大臣が公表する特定家畜伝染病防疫指針に定めているところでもございます。

 最近の例でありまするけれども、フランスで二〇〇二年、ドイツで二〇〇六年、リトアニアで二〇一一年に発生をいたしているところでございます。また、豪州は一九六二年、さらに、我が国におきましては、前回の発生は一九九二年ということでございました。

岡本(充)分科員 私が聞いているのは、疑似患畜も含めて全頭殺処分した事例は何年のどの事例ですかと聞いています。

吉川国務大臣 疑似患畜の今のお尋ねでありまするけれども、これは、一九九七年、九八年のオランダにおける発生では、ワクチン非接種方針のもと、発生農場の豚約七十万頭が法的殺処分、周辺農場の約百十万頭が予防的殺処分という記録がございます。

岡本(充)分科員 こうした事例は、ほかには確認できていますか。それだけですか。

吉川国務大臣 今手元にある資料では、EUの中で今申し上げたのみでございます。

岡本(充)分科員 私は、とんでもなく広い農場では、とてもじゃないけれども、殺処分し切れないと思うんですよね。

 現実に、オーストラリアもやりますと言っていますけれども、大きい農場で本当に疑似患畜、つまり、発生した農場で、豚等も飼養されている同じ農場、こうした豚を全頭殺処分するという方針がオーストラリアで確立されているというのであれば、その根拠を示していただきたいときのうお願いしているんですが、それは今もう大臣の手元にありますか。

吉川国務大臣 豪州におきましては、予防的ワクチン接種が禁止ということになっております。

 発生が拡大し、殺処分によるコントロールが失敗したり、殺処分のコストが粗生産額の一%を超えた場合には緊急ワクチン接種を検討ということに資料としてはなっておりますが、豚コレラの防疫戦略第四版まで、初版が一九九一年、第四版は二〇一五年策定の中でございます。

岡本(充)分科員 今、重要なところを前段言われたんです。粗生産額の一定割合を超えた場合にはワクチン接種をするということがオーストラリアでは定められていますね。

吉川国務大臣 そのようになっております。

岡本(充)分科員 日本国の方針としては、こうした方針はとらないわけですか。なぜとらないんですか。オーストラリアでも、そういう方針をとっているわけです。なぜ日本はとらないんですか。

吉川国務大臣 我が国におきましては、ワクチンに関しましては、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要である、私どもはそのように考えております。

 農林水産省が定める豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、我が国における本病の防疫措置におきましては、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則といたしておりまして、平常時の予防的なワクチンの接種は行わないことといたしているところでもございます。

岡本(充)分科員 答えていることが違います。平常時なんか聞いていないんです。

 緊急時に、オーストラリアでもワクチン接種を検討する条項があるにもかかわらず、我が国はなぜ検討しないのか。

 では、聞き方を変えます。

 これまでの、この豚コレラ発生以来かかった費用、総額、人件費も、それから土地のリース代も含め、一体幾ら総額かかったんですか。

吉川国務大臣 その数字は今手元にございませんので、よければ、また後ほどお伝えをさせていただきます。

岡本(充)分科員 きのう、これは明確に質問したんですよ、幾らかかるか。つまり、計算ができないということでしょう。この一日の間に計算ができなかった。それぐらい、たくさんいろんな費用がかかっている。

 計算できなかったんでしょう。きのう通告していますよね。それだけはお答えください。

吉川国務大臣 通告をいただいているとすれば、大変失礼なことと存じますが、精査して、今手元にございませんので、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 つまり、費用対効果を検証するべきだ。ワクチンのかかる費用と、それから今回の屠殺にかかる費用とを比較して、どっちの方がコストがかかるのか。そこを見比べてみて、先ほどの話じゃないけれども、被害額が大きくなってくる、こういう中で、何らかの、どこかでワクチンを接種することを決断せざるを得なくなる、そういう状況が来るんじゃないですか。

 平時じゃないですよ、今、感染が発症しているんですよ。その状況でも、いつまででも、いつまででもワクチン接種しない、そういう方針でいくのか。場合によっては、ケースによってはワクチン接種を、若しくは経口投与もあるわけです。経口の、餌にまぜるのもあるようですから、こうした方法で豚へのワクチン投与を考える、こういうケースはあり得るのか、そこについてお答えいただきたいと思います。

 端的に、考えることがあり得るのか、どこまでいってもワクチン接種はしないのか。どうですか。

吉川国務大臣 農林水産省といたしましては、次の要素を考慮して、発生農場における屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染拡大の防止が困難と考えられる場合におきましては、蔓延防止のための緊急ワクチン接種の実施を決定をするということも考えられます。

岡本(充)分科員 それはどのようなケースが想定されるのか、ちょっと例示を下さい。

吉川国務大臣 それは、例えば、埋却を含む防疫措置の進捗状況ですとか、あるいは感染の広がり、さらには環境要因等々が考えられます。

岡本(充)分科員 いや、それをもう少し具体的に説明してくださいと言っているんです。どのぐらいの県に、何県に広がったら、若しくは埋却までに何日かかるような状況になったら接種を考えるんですか。

吉川国務大臣 今申し上げたとおりでありまするけれども、埋却を含む防疫措置の進捗状況ですとか、感染の広がりとか、環境要因ですとか、この環境要因というのは、周辺農場数ですとか家畜の飼養密度ですとか、山、河川の有無等の地理的状況だとか、そういうことも考えられます。

 要するに、防疫措置が間に合わなくなったという状況の折に、このワクチンということになっていくんだろうと考えます。

岡本(充)分科員 いや、私が聞いているのは、どういうときが間に合わなくなったのか。金額ではないということですか。頭数ではないということですか。

吉川国務大臣 そのとおりでございます。金額とか頭数ではないということです。

岡本(充)分科員 繰り返しになりますけれども、後ほど出されるということでありますから、一体幾らかかったのか、その金額の比較をしてみて、とんでもなく殺処分にコストがかかっているとすれば、これはやはり比較するべきですよ。そしてまた、実際に、養豚農家の皆さん方への被害額、これを比較するべきですよ。

 ワクチンのコストは、経口接種で今三百円、そう聞きました、一頭当たり。百グラム当たりの肉にすれば、一円にも満たないコストで餌にワクチンをまぜることができる、こういう話であります。そういう意味でいったら、本当にかかるコスト、国益はどこにあるのか。

 じゃ、最後に聞きます。非清浄国になった場合の日本の国益、デメリットは何が考えられますか。

吉川国務大臣 ワクチン接種のデメリットといたしましては、例えば抗体検査では野外感染との区別ができないこと、そのため、清浄性の確認検査に支障を来すこと、さらには、再感染へのおそれからワクチン接種をとめるのに長期間を要し、その間、かかり増しのコストが必要となること。

 かつて日本は、ワクチン接種の中止宣言から完全に中止するまで十年以上かかったところでございまして、清浄国に輸出ができなくなり、また、非清浄国から輸入を求められる可能性があること等が挙げられます。

岡本(充)分科員 ちなみに、今、清浄国に日本が輸出している国はどこですか。

吉川国務大臣 日本に輸出しているところは……(岡本(充)分科員「日本が輸出している国ですよ」と呼ぶ)今回というか、以前から輸出している国は、東南アジアとかEUとか、EU向けには今要請中でありますけれども、例えば台湾とか、そういったところには輸出……(岡本(充)分科員「清浄国です」と呼ぶ)

 失礼しました、もう一度答えます。

 EUが清浄国でございますので、EUでございます。

岡本(充)分科員 ちょっと待って。EUはまだ実績ないんでしょう、要請しているだけでしょう。輸出している国はない、それが答弁じゃないんですか。間違っていますよ、答弁。EUに要請しているけれども、実績ないでしょう。

吉川国務大臣 答弁、訂正します。失礼しました。

 EUには要請中でございます。

岡本(充)分科員 ということで、今の国益、日本の輸出先として現実的にデメリットを受けるところはないという確認なんですよ。

 したがって、今の話で、清浄国でなければならない、日本の国益、何を害するのかといったときに、先ほどの抗体の検査がわからなくなる、これは国益じゃないですから。国益として何が重要なのかと考えたときに、本当にそれなのか。これを私は改めて指摘をさせていただき、また次の機会にこの問題を私は議論したいと思います。

 大臣、思い切ってワクチン接種をするというのは政治決断ですよ、政治決断。いろいろな人から要請が来ているけれども、やめるのも政治決断ですよ。やめることも決断でできるわけですから、ここは思い切ってやられることを私はお勧めをしたいと思います。デメリットが、今の話を聞いている限り、ほとんどないじゃないですか。ほとんどない。そういう意味で、これを私は決断するべきときではないか、コストも考えると。指摘をしておきたいと思います。

吉川国務大臣 委員の御指摘は、私は真摯に受けとめたいと思います。

 現在までの発生事例につきまして、疫学調査チームの報告を受けておりますけれども、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分もあると言われていること等から、各府県と連携をいたしまして、今は、この飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺により、同病の発生予防及び蔓延防止を図っていくことが今のところベストであると考えているところでございますので、どうぞ御理解をいただければと思います。

岡本(充)分科員 今のところということですから、これからのことには含みを持たせたわけでありますから、ぜひ早急に決断していただきたいと思います。

 続いて、マグロについて聞きます。

 去年も聞いたんですけれども、マグロの漁獲量、ちょっとびっくりしたんですけれども、資料の六ページ目につけていますけれども、これまで上限値を超えてしまった都道府県、北海道の例を挙げます、大臣の地元です。北海道、上限を超えたから、今回、小型のマグロについては厳しい上限が課されていますが、実績が〇・〇トンなんですよ。こんなことはあるのかと聞いたら、いやいや、逃がせるような網ができました、こう言っています。

 しかし、二十九年の六月十四日の私の質問に対して、これは当時の政府参考人がこう答えている。マグロが混獲されたり、定置網でクロマグロが多く混獲される状況になったところでございましてと。定置網では混獲しちゃうんです、こう言っているんです。

 きのうになって、いや、こんな新しいシステムができましたと言ったけれども、これは、このわずか一年半の間に、定置網で混獲がなされなくなる、そんな新技術が出たんでしょうか。どうですか。

吉川国務大臣 平成二十九年の六月十四日に答弁をしたとおり、定置網にクロマグロがほかの魚種とともに網に入ってくる状況は、現在も変わりはないと聞いております。

 しかしながら、現在は、北海道では、定置網でクロマグロが網に入った場合は、魚がたまる部分の網を開放して逃がすなどの取組を実施しているため漁獲実績が上がっていない、このように承知をいたしております。

岡本(充)分科員 この二十九年六月の時点では、その技術はなかったんですか。画期的技術として出てきたんですか、クロマグロだけ逃がせるような。そんなのがこの一年半に出てきたのなら、そう答えてください。

吉川国務大臣 これは、北海道におきましては、技術の進歩という面では、網を開放し、ほかの魚とともにクロマグロを放流するようになるなど、二〇一五年から開始された管理方策の習熟が図られているものと理解いたしております。ですから、網がしっかりとできているということだと思います。

岡本(充)分科員 この一年半に画期的な技術ができたわけじゃないんですよ。

 大臣、聞いてください。画期的な技術ができていないのであれば、だって、もしそんな技術があれば、この平成二十九年六月のときの答弁で、四千百二トン混獲しちゃっているんです、こう言っているんです。これも、まざっていて外せないと答弁しているんですよ。

 このときにできなかったものが、わずかこの一年足らず、もっと言ったら、昨年の七月からですから、わずか一年の間にパーフェクトにできるようになるとはとても思えない。一年前には四千トン混獲しちゃっていたんですよ、大臣、聞いてください。一年たったら、一トンも、〇・一トンも混獲なく漁ができるほど習熟が進んだと思いますか。そんな役所の答弁、信じないでくださいよ。やはりこれはきちっと調査するべきですよ。

 いや、私は、この〇・〇というのが本当であれば、この二十九年六月だって、四千トンも混獲せずに済んでいますよ。このときに四千トンも混獲しておきながら急にゼロになれるということはあり得ないので、しっかりもう一度調査をしてはいかがかと言っているんです。

 そういう意味で、もう一度きちっと、本当にゼロなのか、調査をされてはいかがですか。

吉川国務大臣 先ほども申し上げましたように、魚がたまる部分の網を開放して逃がすなどの取組を実施をしていると私は承知をいたしております。さらに、これは、混獲回避に必要な放流作業の経費等への支援といった国の支援の存在もあったと私は考えております。

 必要な支援に関しましては、更にきちっと調査もしたいと思いますけれども、道庁にも、今申し上げましたようなことを、しっかりと報告等も、確認をいたしております。

岡本(充)分科員 札幌の道庁に聞くというよりも、きちっと、浜でどういうオペレーションがされているのか、それを確認するべきですよ。

 これは、大臣、繰り返しになりますけれども、前年四千トンですから、それが急に〇・〇になるということはない、そんな画期的な網が一年で出てきたとは到底思えないんです。正直に申告している人が損をするような仕組みになってはいないか、本当に私は気になってしようがないです。

 もう一つ、五ページを見てください。これは重要なポイントです。

 残念ながら、日本のクロマグロ、漁獲上限をふやしたかった、でも、去年の十二月、ふやすことができませんでした。今後のマグロの資源量の回復状況、回復してくることは見込めますが、しかし、少なくとも、一定程度の回復までにこれから十年ぐらいかかる、十年ぐらいは上限が続く、こういう状況ですよね、大臣。したがって、新しく漁業につく人たちに、やはりクロマグロの現状をしっかり周知しておかないと、ついてみたけれども仕事がないということになりかねない。

 そういう意味で、いや、我々もたくさん食べたいですよ、おいしいし。だけれども、資源の問題があってそこは我慢しなきゃいけない、消費者もそうだ、新しく漁業につく人にも、こうした周知をしっかりしておくべきではないかというふうに考えますけれども、それについて、大臣、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 太平洋クロマグロの資源状況が悪い中で増枠を可能とする国際ルールでございまして、増枠の幅が限られることを引き続き全国の漁業者にきめ細かく説明をしてまいらなければならないと存じております。

 この増枠等々につきましても、必ずしも漁業者が満足するものではないということは認識をいたしておりますけれども、しっかりとこれも対応していかなければと、こう思っております。

岡本(充)分科員 いや、漁業者だけじゃない、これからつこうと思っている人たちにですよ。学生さんですよ、若しくはこれからつこうと思っている人たちに周知をするべきじゃないかと言っているんです。

吉川国務大臣 もちろん、そういったことも周知をしてまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 もう一つ、今後、例えば中国などが漁獲枠を日本に譲ってくれと求めてきた場合は、どのような対応をとるつもりですか。

吉川国務大臣 太平洋クロマグロの資源管理措置を検討するWCPFC北小委員会の意思決定におきましては、どのメンバーからも反対されないコンセンサスが必要とされていると承知をいたしておりまして、この太平洋クロマグロの資源管理措置は、過去の漁獲実績に基づき、漁獲枠が設定をされております。

 漁獲実績のない中国が、合理的な理由がなく漁獲枠を要求した場合、北小委員会におきましてコンセンサスを得ることは私は困難だと考えております。

岡本(充)分科員 それはそうですけれども、日本として譲るという考えはないですよね。そこだけ確認なんです。

吉川国務大臣 今申し上げましたように、この北小委員会におきましてコンセンサスを得ることは困難と考えますので、もちろん我が国としても譲るつもりはございません。

岡本(充)分科員 それが最も重要なポイントで、聞きたかったわけです。

 さて、今度は、特別支援学校の生徒さんの就職について。農福連携の中でも私が大変関心を寄せているわけでありますけれども、確認をしたいと思います。

 制度の実績はまだまだ少ない、実際に、なかなか、就職した生徒さんは少ないのではないかと思いますが、文科省の方から御答弁いただけますか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 文部科学省では、平成二十九年の四月に農林水産省との連名通知といたしまして、福祉農園と特別支援学校との連携による農業研修の効果的な実施についてという通知を発出したところでございます。農業研修の受入れ計画のある福祉農園において特別支援学校の生徒が農業研修を行う場合に、受講する生徒に関する福祉農園までの交通費等につきまして、文部科学省の補助事業であります特別支援教育就学奨励費の活用が可能である旨を周知したところでございます。

 また、加えまして、各都道府県等の特別支援学校関係者を対象とした特別支援教育教育課程等研究協議会や、都道府県・指定都市教育委員会管理・指導事務主管部課長会議などにおきまして、農林水産省との連名通知について、改めてその周知を図っているというところでございます。

 特別支援教育就学奨励費におきましては、現在、補助事業者であります各都道府県単位で、職場実習の交通費、それから、職場実習宿泊費の実績額等の報告を受けることとしておりますけれども、個別の農業研修に要した交通費等については、現在、把握をしておりません。

 文部科学省といたしましては、農林水産省と連携を図り、当該補助事業の活用について、引き続き関係の会議などでしっかりと周知をしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)分科員 厚労省に聞きます。

 就農した生徒さんの雇用の形態、正規なのか、契約社員なのか、派遣なのか、アルバイト、パートなのか、こういったことは調査していますか。

北條政府参考人 農業分野におきまして、障害者の雇用形態の就職状況でございますけれども、これにつきましては、現在、把握しておりません。今後、把握するように努めてまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 やはり、どういう形態で勤めているかも極めて重要です。

 そこで、最後に、ちょっと大臣と議論したいわけですけれども、これは今言ったように、なかなかまだ取組ができていない、三省連携して推進するべきだ、これは何回か私、いろいろな委員会で指摘をし続けてきています。今の交通費の問題もそうです。

 本当に、さまざまな可能性のある皆さん方が、こうした職場で仕事ができるように応援をしていくことは極めて重要だと考えています。そういう意味で、農業法人をもっと広く募集する。私の地元でも、やっていいという声を上げてくださる農業法人もあります。こういうところも含めて広く声をかけて、そして、今度は文科省の方からは、それぞれの都道府県を通じてですけれども、各特別支援学校にきちっと周知をして、こういう事業で就職支援をしていますよ、こういうことを周知をする。そして厚生労働省は、その就職の実態がどういうものになっているのか、これをきちっとフォローしていく、こういう取組をすることが必要だと思います。

 ここは農水大臣がいらっしゃいます。大臣、リーダーシップをとってこうした事業を進めていく、その決意をお話しいただけませんでしょうか。

吉川国務大臣 岡本委員が御指摘をされたことは極めて重要なことだと思います。農林水産省としてできますこと、文科省、厚労省とも連携をとりながら、しっかりと対応してまいりたいと存じます。

岡本(充)分科員 最後に、ぜひまた報告に、それぞれ来ていただきたいと思います。農水省、音頭をとってやっていただけますね。いいですか。うなずいていただきました。

 では、これで終わります。

笹川主査代理 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美さん。

金子(恵)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また三・一一がやってまいります。東日本大震災に原発事故が発災してから丸八年になるわけですけれども、福島県では今もなお四万人の方々が避難している状況であり、そしてまた第一次産業の再生にまだ多くの課題を残しています。

 福島県全体では、風評被害との闘いもあり、また、避難指示が解除された地域では、営農再開や森林・林業の再生に向けての取組を推し進めなければならないという重要な時期にも来ておりますが、それでもたくさんのハードルを乗り越えなくてはいけない状況にあります。

 被災自治体では、本当に積極的に陳情、要望活動をしてこられていまして、政府に対しましてもたくさんの要望書を提出されているわけなんですが、一月の十七日には川俣町議会が、そして二月の十三日には飯舘村議会が政府に要望書を提出されたということで、大臣も御存じのとおりでございます。

 それをまず踏まえましての質問をさせていただきたいと思うんですけれども、農水省として、風評被害対策そして営農再開支援等を含めた福島支援の方針をどのようにお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

吉川国務大臣 金子委員御指摘のことは大変重要なことだと思っております。

 私も、大臣就任後、最初に訪問をいたしましたのが福島県でございました。福島県知事を始め皆さんと意見交換もさせていただきましたが、本年一月には、被災地の復旧復興の現状と課題を把握するために、小里副大臣と濱村政務官を福島県にも派遣をさせていただきました。

 また、最近、福島県の御地元からわざわざ私のところにおいでいただきましたのが、浪江町と楢葉町で、町長さんでございました。議長さんも一緒においでをいただきました。

 特に、浪江町からは、担い手不足に伴う農地保全管理に関する要望もいただきました。担い手がなかなか集まってこない、帰ってこない、でも、農地は保全をしていかなければ、管理もしていかなければならないので、担い手がいなくてもしっかりと直接支払いができるような、そういった体制はということもいただきましたので、しっかりとそれは対応させていただきますという御返事もさせていただきました。

 さらに、楢葉町からは、二月十四日でありましたけれども、水稲に加えて、サツマイモ等の新たな農作物の加工施設整備等に関する要望もいただきましたので、こういったことに対しましても真摯に受けとめさせていただきまして、しっかりと実現できますように検討いたします、そういったこともお話をさせていただきました。

 さまざまなこういった意見交換を通じまして、営農再開、風評払拭、輸入規制の撤廃、緩和などさまざまな課題があるとまだ承知をいたしておりまするけれども、閣僚全員が復興大臣であるという意識を共有しながら、これからも、地元の皆さんの御意見に耳を傾けながら、御要望をしっかりと受けとめて、あらゆる制度を活用して、できる限りの支援をしてまいる所存でございます。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 旧警戒区域であった浪江やまた楢葉町の皆様には直接大臣がお会いしてくださったということであります。心強かったと思います。一方で、私の地元の川俣町、飯舘村は、多分直接大臣はお会いしていただけなかったのかというふうに理解をしておりますけれども。

 次の質問では、農地の地力というものが低下しているということで、それをどういうふうに対策していただけるのか、そういう要望がありましたので、そのことを後ほど質問させていただきたいとは思いながらも、まずは、今の風評被害の対策の部分で、もちろん農水省として発信をしていただいているんですが、これまでも食べて応援ということはしていただいておりますし、そのことについては敬意を表したいというふうに思います。

 大臣、先週、参議院議員会館の食堂だったんですけれども、実は、一般社団法人のあすびと福島の活動の一環として、福島県から高校生がおいでになっていらっしゃって、それで、「高校生が伝えるふくしま食べる通信」、そういう事業がありまして、どういうものかといいますと、福島県内の高校生で構成する編集部が農家を取材し、つくり手の物語や生産現場の思いを届ける、そういう情報誌というのを出版しているということなんです。

 実は、復興大臣はその場に行かれたということであったんですけれども、閣僚全員が復興大臣なので、本来であれば農水大臣にも高校生に会っていただければよかったなとは思っています。でも、そうやって、若い人たちが、福島、このふるさとを何とかしたい、そしてまた、ふるさとの農業を何とかしたいと思っておりまして、取組をしているということを御報告させていただきたいと思いますし、また、このような取組、ぜひ農水省としてももっともっと全面的に応援をしていただきたいと思うんですが、大臣、一言いかがでしょうか。

吉川国務大臣 高校生の皆さんがそうやってふるさとのことを思っていろいろな活動を展開されるということは、私はもう本当に大変すばらしいことだと思います。

 農林水産省としてでき得ることがございましたらば、また金子委員とも御相談をさせていただいて、今度は農林水産省で、そういった高校生を始めとする皆さんにもおいでをいただいて福島のことをしっかりと紹介ができる、そういったことができればと思いますので、またいろいろと御相談をさせていただきたいと存じます。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。本当に、そのお言葉をいただきまして、うれしいです。ぜひ実現できればというふうに願っていますので、ぜひやりとりさせていただきたいと思います。地元にもしっかりと伝えていきます。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 福島県の農地は除染をされてしまいました。その除染後の農地の地力の回復等については、やはり大きな課題になっています。営農再開をしたい、でも、表土剥ぎも行われたり反転耕という手法も使ったりということでありましたので、長い年月をかけて培った肥沃土そしてまた腐植層を失った状態になっております。

 農水省によって営農再開支援事業というのがありまして、その作付再開時の堆肥そして酸度矯正資材の施用を認めているということでありますけれども、実施期間は諸要件を付して限定しているということであります。

 繰り返し申し上げさせていただくんですが、長い年月をかけて培った土、農業はやはり土づくりからということで、私の祖父も父も農業者でありましたので、いつも私にそのことを伝えてくれていました。やはり、土づくりから始まって、そして、とても長い年月をかけて大切に育てた土をもう一回育て直すことになっていくというこの現状の中で、営農再開支援事業は、しっかりと継続して行っていっていただきたいという思いでおります。

 ぜひ、大臣、そのことについて御答弁いただければと思います。

吉川国務大臣 営農再開事業につきましては、しっかりと私どももこの対応をしてまいりたいと存じております。

 いろいろな、営農を再開するに当たってのハードルですとか、そういったこともたくさんあろうかと思います。ですが、制度的なことはもちろんでありまするけれども、その制度を超えて、私たちが今何をなすべきかということも含めて、いろいろと御指摘をいただきましたならば、でき得る限りの営農再開に向けての御支援をさせていただければ、このように思っておりますので、具体的にいろいろな御要望をいただければと存じております。

金子(恵)分科員 このことについては、先ほど申し上げましたような、川俣町議会、そして飯舘村議会からも御要望がありまして、しっかり取り組むようにというような要望を政府に対して、農水省に対してさせていただいているということでございまして、今、大臣からは、現状の制度を超えて、そういうお言葉だったというふうに思うんですが、もし営農再開支援事業だけでは足らざる部分があるのであれば新たな制度をつくっていただきたいとも思いますし、基本は、本当に営農再開をある意味決めていらっしゃる方というのは、一つの大きな決断をされているという部分もあります。

 一方で、やはりなかなか営農再開に踏み切れないという方々もいらっしゃるということを御存じだというふうには思いますが、営農再開をするというふうにお決めになった方々、農業者の方々の意欲を損なわないようにぜひ取組を続けていただきたいと思いますし、やはりその地力の回復がなければいい農産物をこれからつくっていくことができないということであります。

 もちろん、しっかりと放射性物質を除去するということで今まで取組がなされてきたので、このような状況になってしまうことはいたし方ないということですが、ここからがもう本当に前進しなくてはいけない部分だというふうに思っていますので、大臣、ぜひよろしくお願いします。

吉川国務大臣 川俣町議会議長から農林水産大臣宛ての要望も承知をいたしております。

 今、金子委員から地力のお話がございましたので、この件につきましては、営農再開支援事業によって、営農を再開する農業者に対して、堆肥の施用等の地力回復支援をもう行っているところでございまするけれども、安心して営農再開に向けた取組ができますように、できる限りの支援を今後もしてまいりたいと存じます。

 さらに、川俣町議会議長から御要望をいただいておりますことに対して若干お答えをさせていただきたいと思いますけれども、現地から支援期間等を充実してほしいとの要望があったことを踏まえまして、平成二十九年度から、再開前の二年目から再開後の三年目までの五年間のうち三カ年と、支援期間の延長を行うとともに、再開前の施用量の上限を、三トンから、県知事が特に認める場合には五トンに拡大もいたしたところでございます。

 そういったこともさせていただいておりますので、これから更に、充実、拡充してほしいとの現地の声があることも承知をいたしておりますので、地力の回復に向けたデータを私どもも集めさせていただきながら、必要に応じて検討もしてまいりたいと思います。

金子(恵)分科員 それでは、現状把握はしていただいているというふうに理解はしておりますけれども、今後のニーズにもあわせまして、ぜひしっかりとこの地力回復ということもまずは一番ではありますけれども、今申し上げましたような営農再開支援事業の継続をお願いしたいというふうに思いますし、また新たな事業が必要であればそれに御対応いただきたいと思います。

 もう一つなんですけれども、被災自治体からの要望に上がっているものとしましては、やはり里山再生事業でございます。

 森林による放射性物質対策が行われているわけですけれども、これは復興庁、農水省、環境省が策定した福島の森林・林業に向けた総合的な取組に基づいて実施されているわけでありますが、このモデル事業の検証を踏まえてどのように今後里山再生の取組を進めていくのか、御決意も含めましてお伺いさせていただきたいと思います。

吉川国務大臣 平成二十八年の三月に復興庁、農林水産省、環境省で取りまとめました福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組に基づきまして、その取組の一つとして里山再生モデル事業が位置づけられたところでもございます。

 本事業は、農林水産省が間伐等の森林整備を行うとともに、環境省が除染、さらには復興庁等が線量マップの作成など、関係省庁が連携しながら里山の再生に取り組んできたところでございまするけれども、平成三十一年の一月末現在、飯舘村など十二市町村で森林整備に取り組んできたところでもありますが、農林水産省といたしましては、引き続き、関係省庁、地元自治体と連携をしながら、被災地の里山の再生に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じております。

 今後の対応といたしましては、事業実施により得られた除染や森林整備等の知見を整理いたしまして、平成三十一年度中を目途にいたしまして成果を取りまとめることといたしております。その成果を踏まえまして、里山の再生に向けて必要な対策について、また、関係省庁と連携のもと、検討をしていくことといたしております。

金子(恵)分科員 里山の再生という言い方をしているんですけれども、まずは、そこでお暮らしになっていらっしゃる皆様方の生活の再建をどのようにしていくかということと、そしてまた、森林・林業の再生をどういうふうにしていくかということの、まずは大きく分けると二つになっていくと思うんですけれども。

 例えば飯舘村のような、そもそも里山とともに皆さんがお暮らしになっていらっしゃる、そういう美しいふるさと、その再生をどうしていくかという大きな課題がありまして、今現在も、住環境と隣接している森林の林縁部から二十メートルを超える部分については、国において森林環境再生についての具体的な計画というのは出ていないということで、今おっしゃっていただいたように、今回のモデル事業の検証をしっかりやっていただいて、そしてその成果を取りまとめた上で、いろいろな計画が出てくるんだというふうに思います。

 でも、実際に避難指示が解除した後も、残念ながら、今申し上げたように、里山、森林とともに暮らしてきた皆様は、まだふるさとに帰還する判断をすることができないでいる。それは、森林の、里山の再生というのがどういう方向でなされていくかということが明確に見えていないからであります。そこで働く人たち、山で働いていた人たちのなりわいの問題もあるというふうに思います。

 ですので、これは、モデル事業というものがしっかりと終了した段階で、どのような形でこの成果を取りまとめていくのかということでありますので、一番最初に、これはしっかりと取組をしていかなくてはいけないことだというふうに思うんです。

 ぜひもう一度、大臣の御決意をいただきたいと思います。

吉川国務大臣 金子委員おっしゃるとおりだと思います。

 しっかりと取り組みますことをまず申し上げたいと思いますけれども、森林・林業の再生に向けた総合的な取組につきまして、農林水産省といたしましては、まず住居周辺の里山の再生に向けた取組、さらには、間伐等森林整備と、その実施に必要な、放射性物質対策等を行う取組への支援等を関係省庁と連携しながら進めているところでもございまするけれども、被災地の森林・林業の再生に関しましては、私は、復興・創生期間後も対応が必要な課題だとして地域から要望のございますことは承知もいたしておりますので、農林水産省といたしましても、今後の取組について、しっかりと関係省庁とも連携しながら、検討をしてまいりたいと存じます。

金子(恵)分科員 引き続いて、また放射性物質対策等に関連した問題になるんですけれども、福島再生加速化交付金によりまして、県の農業基盤整備事業や、そしてまた、ため池の放射性物質対策というものが平成三十二年度まで行われていくということで、これらの実施状況について、どのような御認識を持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 福島県の原子力被災十二市町村におきましては、地域の営農再開を加速する観点から、福島再生加速化交付金による農業基盤整備、農地整備が極めて重要であると認識もいたしております。

 そのために、農家の営農再開意向等を踏まえまして、必要な農業基盤の整備に対して支援をいたしておりまするけれども、農地整備の要望面積五千四百ヘクタールのうち、事業着手済みが二千四百ヘクタール、調査中が千五百ヘクタール、今後検討するとしている面積が千五百ヘクタールとなっております。

 また、高濃度放射性物質を含む底質の除去が必要な約一千カ所のため池のうち、四百三十四カ所でこの事業を実施してきております。これまで、年間百カ所程度の工事着手でございましたけれども、底質の除去に関して、これまでのポンプしゅんせつからバックホー掘削への工法変更などによりまして、今年度は二百二十七カ所の着手となっております。

 今後とも、協力し、速やかに、基盤整備のため池等の対策が進むように努めてまいりたいと存じます。もちろん、福島県や市町村とも協力し、速やかに進めてまいるということでございます。

金子(恵)分科員 今回、被災自治体からいただきました要望書の中には、放射性物質の仮置場が、例えば県営の用排水路とか暗渠排水整備事業に支障になっているというような事例があるので、平成三十二年度までの福島再生加速化交付金による事業では多分終わらないだろうということで、それ以降も、やはり仮置場の解消というのは見込めないわけですから、引き続きの支援をお願いしたいということであったり。

 あとは、やはりため池の話もそうなんですが、ため池で、例えば放射性物質対策として、それがされたとしても、そこで発生しました放射性廃棄物の処理というものがまたうまくいっていないという状況があるということでありましたので、これは御答弁は今はいいんですけれども、ただ、このことについても少し御認識をいただきながら、そして、こういう、前進しているようでも、また次の段階でいろいろな対応すべき点が出てくるということを御理解をいただき、御認識を高めていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

 次に行かせていただきたいんですが、今回、農水省が一月二十八日に発表しました、二〇一七年の農作業死亡事故の概要であります。

 農業就業者十万人当たりの死亡数は十六・七人ということで、過去最高を記録したということで、前年より更にふえて最多を更新しています。事故死者数は三百四人ということで、前年より八人減ったということでありますけれども、農業就業人口が減少しているということでありますので、就農人口当たりの死亡者はふえているという状況であります。

 特に、農業者の高齢化というものが反映されてしまっていて、死亡者の方々の多くは六十五歳以上だということでもありますし、また、特に八十歳以上が四割近くというようなことで、六十五歳以上に限ると二十一・一人亡くなられているというようなことです。

 このように、高齢者の事故が大変ふえている、農業者の方々をどういうふうに守っていくかということは大きな課題ではあるというふうに思うんですが、どのような御認識をお持ちになっていらっしゃるか。

 そして、大変恐縮ではありますけれども、次の質問で、どのような取組を実施されているかということも含めて、質問させていただきたいと思います。

吉川国務大臣 今、金子委員から御指摘いただきましたように、前年度より八人減少いたしておりまするけれども、農業就業人口十万人当たりでは十六・七人と、他産業に比べてまだ高い水準にございます。

 この死亡事故の内訳でありますけれども、乗用型トラクターからの転落、転倒等、農業機械の作業にかかわる事故が約七割でございます。圃場や道路からの転落や熱中症等、農業機械や施設以外の作業にかかわる事故が約三割でございます。

 また、年齢階層別の内訳といたしましては、六十五歳以上の高齢者の事故が約八割、八十歳以上は約四割ということになっておりまして、農作業中の事故は、農業経営や地域の農業生産活動に支障を来すとともに、若者から職業として選択されるという観点からも、その防止は重要な課題であると認識もいたしております。

 今後の安全対策への取組でありますけれども、まず、全国的な安全啓発活動や安全対策の情報発信等に取り組んでおります。平成三十年度からは、死亡事故の大宗を占める高齢農業者向けの対策といたしまして、安全意識の確認を対面で行って、安全面で心がける点をみずから考えてもらう取組ですとか、さらには、農業機械を点検して、その結果を踏まえて指導する取組等も実施をいたしているところでございます。

 これに加えまして、平成三十一年度当初予算におきましては、農業作業中のリスクをみずからのこととして感じてもらえるように、農業機械の運転状況を映像で記録、分析し、それを見ていただきながら直接指導する取組ですとか、あるいは、営農形態が異なる都道府県段階での事故情報の分析への支援も盛り込んでいるところでもございます。

 引き続き、省内外の関係機関が一丸となって、死亡事故ゼロを目指して取組を着実に進めていかなければならないと存じています。

金子(恵)分科員 農作業安全確認運動というのがなされているということで、三月一日から五月三十一日の間は春の運動期間だということで、テーマは、まずはワンチェック、ワンアクションの農作業安全ということだと伺っています。でも、こういうテーマを出しても、やはり本当に現場に足を運んでいただいてきちんと安全確認をしていく、そういう取組をされているというようなことを今大臣から御答弁をいただいたというふうに理解しております。

 ただ、二月二十四日の日農新聞の記事に、高齢者の方々の農機を点検したところ、多くのふぐあいが出ていることが日本農業機械化協会の調べでわかったという記事がありまして、そういう死亡事故につながっている可能性があるということなのではないかと思います。調査は、集計が途中ということなので数字というものはまだまだ出てきていないんですけれども、そういう機械の定期点検をしっかりやっていくというようなことを進めることによって改善ができ得るんだというふうに思っています。

 このことも含めまして、スマート農業について、最後にお伺いしたいと思うんですが、農業分野では、担い手の減少、高齢化が進んでいるというようなことで、その労働力不足が深刻化しているからこそ、今回、平成三十一年度の予算でスマート農業は目玉とされているということであります。

 私は、このスマート農業を実現することは全く否定するわけではないんですが、ただ、大規模な農業をただ進めようとしているのか、ここは問題になっていると思いますし、一方で、やはり中小規模の、家族経営とか……

笹川主査代理 大変恐縮ですが、申合せ時間が既に経過しておりますので、御協力ください。

金子(恵)分科員 中山間地域の農家の役割を見過ごしてはいけないと思っているので、その部分について、最後にお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 確かに、スマート農業となりますと、大きく展開をしている農家だけにというイメージがございまするけれども、大きなトラクター、無人トラクターとかそういうことばかりではなくて、中山間地域で、あるいは家族経営で頑張っている方々の皆さんにも、今、さまざまなスマート農業といいますか、AI、ロボット、IoTを駆使した、そういった先端技術の生産現場にしっかりと導入できるような、そういう技術が開発中でもございますので、全ての皆さんに使っていただけるようなスマート農業のあり方にしたいな、私はこう考えております。

金子(恵)分科員 終わります。

笹川主査代理 これにて金子恵美君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 国民民主党の小熊慎司でございます。

 金子さんも福島ですけれども、私も福島なので。福島が続きますから、質問の中にもちょっと福島のことも触れますので、ぜひ前向きな答弁をいただきたいと思います。

 まず初めに、食品ロスについてですけれども、これもいろいろ議論もされていますし、残念ながら日本は食品ロスが多い国で、国際的にも不名誉なレッテルを張られているところでもあります。

 農水省としても、フードバンクの活動とか、さまざま多岐にわたって対策をとっていただいているところではありますが、そもそも、食べ物は粗末にしないようにしましょうと言っているものの、実際、五十年前ぐらいから比べると、供給カロリーと摂取カロリーの差が、五十年前は三百キロカロリーぐらいなところですけれども、現在はもう七百、八百というふうになってしまっている。目の前にあるものを、まず、もったいない、ちゃんと食べましょう、残さないようにしましょうというのも大事ではあるんですけれども、根本的なところにはさわっていないような気がします。

 そういった意味で、まずこの食品ロスについて、そうしたものを含めて問題意識をどのように持っておられるのか、お聞きをいたします。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、食べられるのに捨てられている、いわゆる食品ロスにつきましては、平成二十七年度におきまして六百四十六万トン、このうち食品関連事業者から三百五十七万トン発生をしております。業種別の内訳で見ますと、食品製造業及び外食産業がいずれも約四割となっておりまして、このことから考えますと、いわゆる返品や売れ残りあるいは食べ残しといったものが主たる原因ではないかというふうに分析しているところでございます。

 食料の多くを輸入に依存している我が国にとりまして、食料資源の有効利用の観点のみならず、生産現場や輸入など流通にかかわる産業の方々の労働生産性という観点からも、食品ロスの削減を促進することが極めて重要というふうに考えております。

小熊分科員 今言ったそれはみんな知っている話で、だから、供給カロリーが高いところにあって、もったいないを直していくということは、摂取カロリーを上げていくことでやっていくのか、こっちを下げるのかという話なんですよ。出ているものを全部食べましょうといったら、摂取カロリーはふえていくのであって。違いますよね。これを下げていかなきゃいけないんですよね。これが、農水省のを見ていても、全体的に言うと、もったいないから食べましょう、利活用しましょう、持って帰りましょうということは、食べなきゃいけないんですけれども、これは限界があるわけですよ。

 供給カロリーをどうしていくか。今言ったように食料自給率も絡むので、ここの部分がちょっと足りていない。農水省のホームページを見ても、ほかのところの省庁で取り組んでいるのも見ても、残さないようにしましょうという、残さない、イコール、それを食べたりするわけですよね。あと、これは供給カロリーに入ってきますから、例えば畜産関係の餌に回っていっても、供給カロリーが減らないんですよ。供給カロリーをどう減らすのかということが実は努力の中でないと、ロスはおさまらないんじゃないかなというのが私の視点なんですけれども。

 供給カロリーと摂取カロリーの差で生じているというこの問題点についてはどのように対応していくんですかという話です。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁いたしましたとおり、食品ロスの原因といたしましては、返品やつくり過ぎといった問題があることは委員御指摘のとおりでございます。したがいまして、これらの問題につきましては、社会情勢を踏まえたフードチェーン全体の取組として今後やっていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 現在、食品リサイクル法に基づく基本方針の見直しを進めておりまして、その中で、事業系食品ロスの削減に関する目標、それから、社会情勢を踏まえましたフードチェーン全体の取組についても検討を進めているところでございます。

 このフードチェーン全体の取組につきましては、いわゆる三分の一ルールの見直しなど事業者の商慣習の見直し、それから、AIや気象情報を活用した需要予測の精緻化等につきまして取り組むこととしておりまして、関係省庁とも連携しながら、いわゆるつくり過ぎという視点からの食品ロスの削減につきましても検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

小熊分科員 それと、これは農水省だけではやれない話であって、自由経済の我が国としては、ざっくり言うと総量規制みたいな話も本当はしていかなきゃいけないということです、輸入業者にしても、加工業者にしても、農業をやる側にしても。そういう意味では、ある意味、大規模化して生産性を上げていきましょうという一方の政策が農業の分野でありますね、漁獲高も上げていきましょう、安定的にとっていきましょうというのが、これはサイズダウンしなきゃいけない話をしなければいけないので、実は、各産業、各業種ごとの進展とか発展ということとまた逆に、逆行する話をしていかなきゃいけないということなんですね。

 撤退戦と同じなので非常に難しいんですけれども、ここに切り込むということでしょう。量を減らす。だって、今までやっている人は減らしたくないですよ、それは。経済としてやっているんですもの。企業活動としてやっているんですもの。売上げを減らせという話、まあ、極端にそこまでいかなくても、調整してくださいという話ですから、減ることなんですよ。減らさなければ供給と摂取のカロリーの差は埋まりませんから、いずれにしろサイズダウンしろという話なので、非常にレベルの高い話なんです。これは、今検討ですと言っていましたけれども、かなり難しい話だというふうに思うんですね。これは、産業界全体、生産者、とにかく全国民を挙げて、全分野含めて取り組まなければいけないんですけれども、かなり難しい話だというふうに思います。

 まず、もう一回。

 答弁を聞いていると、大臣、これはやはり政治家が方向性を示す話なんですよ。簡単に、それを調整しましょうといったって、ある意味では、あなたのところの生産を落としてくださいねという話と一緒ですからね。それ以外の知恵があるんならあってもいいけれども、あり得ないですよ。だって、今、二千七百、八百、一人当たりにしたら二千五百を超えるカロリーを供給していて、実際はもう、健康管理が進んだのか、ダイエットが進んだのか、一人当たり二千カロリー消費していないわけですよ。これは、サイズを下げてくださいという話なんですね、あらゆる分野に。まさに減反政策を、全部、ある意味では食品業者からレストランまでやってください、単純に言えばそんな感じになるわけですよ。でも、この自由主義経済でそれが本当に可能なのかという話があります。単純じゃないんですよ。ここをしっかりやっていかなければ食品ロスはおさまらない状況でもありますから。

 もう一回、答弁があるのであればお願いしたいし、大臣の方で、方向性、細かい話でいうと方向性で、これは難しいと思いませんか、大臣。(吉川国務大臣「難しいです」と呼ぶ)単純に、目の前にあるものをもったいないから持ち帰れ、再利用しましょうと言うのは簡単というか想像できるんですけれども、森を、木を見て対策をとろうと思えば、それは農水省のホームページに出ているようなことをいっぱいやらなきゃいけないというのはわかるんだけれども。大臣だって、一日二千カロリー前後食べていて、逆にもうちょっと、二割ふやしてくださいって、できないでしょう。全部持ち帰って食ってくださいといったって、どこか減らさなきゃいけないということなんですよ。そこが実は余りさわっていない。今検討中という話だけれども。

 これはもう一回答弁できますかね。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、これらの問題を解決いたしますためには、フードチェーン全体の取組を促進していくということが必要でございまして、生産者、それから流通業者、それから小売の方々という、特に、加えまして消費者の理解を得るということが重要でございます。

 大きな課題ではございますけれども、関係省庁とも連携しながら、一歩ずつ進めてまいりたいというふうに考えております。

小熊分科員 これは、ぜひ大臣の手元でしっかり考えてほしいと思うんです。人間ってすばらしい部分もありますけれども。だって、もうかろうと思えば、じゃ、お前の方を減らせよといったって、向こうが売っているから、こっちも売るのを減らしませんというのが普通です、よっぽど規制をかけない限り。でも、日本のことだから、自由経済の中で、規制なんかかけられるのはなかなか難しい。でも、本当はそのぐらいやらないと、これはできないので。

 「未来の年表」を書かれた河合先生が言っていましたけれども、やはりもう二十四時間化サービスのこの社会をやめるということが一つの知恵だよということを私は教えられましたけれども。それすらもできる法律なんかやったら、これは計画経済みたいと指摘されるのも落ちなので、本当に難しい中でこれをやるということですよ。

 これは、大臣、しっかりリーダーシップを発揮して。今言った、供給カロリーと摂取カロリーの差を縮めていくということは、本当に容易な課題じゃないです。今やっている農水省、これはホームページを見る限り、対策をいろいろ教えていただける限りにおいては、この差を埋めるということがなかなか現実に難しいところにあるので、ぜひこれは真剣に、大臣、やっていただけませんかね。非常に難しい課題ですよ、これ。今やっている対策では、旗は振れるけれども、供給カロリーが下がっていくということにはなかなか実態としてならないと思います。

 これは、大臣、ちょっと一言、意気込みだけでもいいですから。

吉川国務大臣 御指摘のとおり、極めて難しい課題だと思います。

 しかしながら、この食料の廃棄問題等々、食品ロスの問題につきましては、しっかりと、農林水産省のみならず、関係省庁とこの取組を進めていかなければなりませんので、委員御指摘をいただきました、この供給カロリーと摂取カロリーのあり方等々も含めまして、一つの検討課題として、私たちも真剣に取組をさせていただきたいと思います。

小熊分科員 残さないで食べるということをやっていけば、余計に買わなくなるということで、実際は供給カロリーが下がっていくという側面もあるけれども、あるうちは買うし、値段次第だけれども、やはり廃棄はなかなかとまらないし、これは、ぜひ大臣、真剣に。問題意識は共有できたというふうにさせていただきますので、まずはこの差をどう埋めるかという、まさに供給側の問題、生産、流通の側の問題にもしっかり切り込んでいって、この食品ロス問題の対策をとっていただきたいと思います。

 次に移ります。

 逆に、これは拡大みたいな話になるんですけれども、今、私の地元でも、復興に頑張っている農産物の風評被害がまだまだあって、売れなかったり値段が抑えられている部分もありますけれども、逆にブランド化に乗ってうまくやっているところもあります。

 ただ、これは、その担い手の問題もあるんですが、実は、この農産物を支えていく担い手、単に生産者だけではなくて、選果場で働く人とか、それを運んでいただける人というのも、今の時点で足りなくなっています。

 大臣御承知のとおり、ある民間の試算であれば、現在百二十六万人の人手不足が生じていると言っています。ところが、十年後には六百四十四万人です。例えば賃金の上昇とか労働環境の改善がなければ、これが一千万人になるというふうにも言われています。

 さらに、実は、働けるのに働かない男性が日本はふえてきているんですね、最近。アメリカなんて八割ぐらいしか、男性は働けるのに働いていないんですけれども。日本は九割以上になっていますが、これも下がる傾向にあって。だから、担い手の確保というのは、多分、政府がいろいろなことでやろうとしている柱もわかるんですけれども、一方で、ますます働かない人のベクトルもふえていて、非常に難しい状況になっています。

 この四月からも外国人の労働力がふえることになりますが、とりわけ流通の方に入ってきませんから、これを支えるというのは大変なんですね。

 なおかつ、例えば野菜などでいうと、常温保存が普通です。そうすると、足が速い。流通に時間をかけてしまえば食品の質が下がる。冷蔵保存できるのは、今のところ、大きいところでは豊洲だけですから。そうすると、流通体制がちゃんとしていかなければいけないということなんです。私の地元でも、せっかく福島県から大阪まで売れるのに、トラックがないから売るのを諦めたという事例も、もう既に出ているんです。

 これからますます人が足りなくなる。今でも足りていない。つくれる、ブランド化できて、いいものができているけれども、届ける先がないということになってきています。

 こういう意味でも、さっきの食品ロスでもそうですけれども、流通の問題というのはこういうこともあります、実際には。この辺についてはどう考えておられるのか、お聞きします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車運送業におきましては、長時間労働に伴いまして人手不足が大変深刻化しておりまして、荷主の協力も得ながら働き方改革を着実に進めていくということが社会全体の課題となっております。

 こうした中、農産物の輸送につきましては、小ロットの荷を多頻度で集荷することが多いこと、ドライバーによる段ボール箱の手積みや手おろし等の荷役が多い、あるいは、毎日の出荷量が直前まで決まらず集荷の際の待ち時間が長いという観点から、ドライバーへの負荷が大きいという指摘がございます。

 このような状況を踏まえまして、農林水産省といたしましては、産地にストックポイント、集荷場を設置いたしまして、荷のロットを大きくすることによってトラックの集荷のポイントを絞り込むということで、集荷時間や輸送コストを縮減する取組、それから、産地へ段ボール箱をパレットに載せて輸送するということによります、これも縮減の取組、さらには、出荷予定量や出荷可能時刻をあらかじめ取りまとめまして運送事業者に連絡をするといった、ドライバーの待ち時間を短縮する取組を進めておりまして、今後とも、国土交通省等と連携しながら、農産物輸送の効率化に努めてまいりたいというふうに考えております。

小熊分科員 私、親戚にもちょっといるので、今言ったのは多分現場では、それはもう全て大体取り組んでいる中で、足りていません。実際足りていません。今言ったとおり、労働力不足が、外国人も入れられない分野においていえば足りなくなってくる、これではやはり解決できないというふうに思います。

 足りていないことの前提に、私も地元農家の人とお話しさせていただいていますと、結局、地元消費に回すしかない、遠くに出していかないと。地元消費になるとやはり値段も下がるし、地元消費、これも、いわゆる環境を考えればいいんですよ、排気ガスを使わないで近くでやるということですから。だけれども、そうなると、農業の規模も、人口の少ないところは縮小になっちゃうんですよね、はっきり言えば。やはり、都会で売ってこそ、ロットで売れる、値段も上がってくるということですから。地元で回して地産地消を余り進め過ぎると、実は地方は人口がいませんから、サイズも下がってくる、生産体制も下がってくるということになるんです。

 今、段ボールの話もしていただきましたけれども、段ボールの値段も上がってきている。国際的に中国の問題があるからですけれども。そうなると、ますます、外に出そう、出して売っていこうということがなかなか難しくなってくるということが相まっていますので。

 これは本当に今すぐ答えが出る話ではないんですけれども、やはり流通に関してはもっと考えてもらわなければいけませんし、今言った対策であっても、運ぶ人そのものがいなくなりますから、効率化するというのも人手不足の部分と効率化の限度がありますから、これは足りなくなる部分の方が超えていくというふうに予測は立っています。そういう意味で、どうやっていくんですかという対策をとらなければ、結局は行き詰まってしまうということが目に見えていますので、今言った対策以上のことをやはりやってもらわなければいけないというふうに思います。

 試算は出ているはずです、流通業者の数と今後推測される数と、今言った効率化をしてどの程度削減できるかということも出ているはずなんです。多分、それは足りないという答えが出ているはずなんです。その上でどうしますかという話を問いかけていますので、もし何かまたあれば、答弁をお願いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政府全体にとりましても、この物流問題というのは非常に大きな課題というふうに認識をしております。

 現在、国交省が中心になりまして、ホワイト物流といった取組を開始するとともに、農産物につきましても、各県におきまして県のトラック協会と農業関係の団体が話合いの場を持つなど、いろいろな形でトラックを融通するということ、それから、トラックから貨車あるいはフェリー等への転向といったものにつきましても検討しているところでございまして、これらにつきまして、関係省庁と連絡しながら進めていきたいと考えております。

小熊分科員 トラック協会の人たちも、足りない、もうこれ以上仕事を受けられないというのが現状ですから、しっかり見きわめてやっていただきたい。そこでも、だから、結局、二十四時間化をやめるということも。これはやめられないんだけれども。トラック協会の人はどうと言ったら、いや、二十四時間化社会をやめてもらえば、今の人員でも何とか回せるかもしれませんと言っていましたけれども。それか、もう外国人を入れるしかないですよ。私、そこは反対だけれども、そのぐらいの状況だというふうに思います。ああ、やはりきつかったと、数年後にならないように、ぜひお願いをいたします。

 次に、国有林についてお聞きいたします。

 森林経営管理法も成立して、これから施行もされていくところでありますけれども、いろいろな議論が国会でもこれまでありました。

 そもそも、国民の財産でもありますし、しっかりとした活用、保全がなされていかなければなりません。民間に開放していくことによっての不安もありましたけれども、でも国がちゃんと税金を投入して管理できていていたのかという反省点にも立たなければなりません。

 もちろん、ほかのものと比べようもなく、簡単に採算性が出るわけでもありませんけれども、やはり近年、民有林であれ国有林であれ、山が荒れていて水害などが起きているということも指摘をされていますし、鳥獣害の被害もふえているという意味では、国の管理のもとにおいても、森林が、残念ながら対応が追いついていなかったということが反省点にもあると思います。

 そういう意味で、民間活力を生かしてしっかり森林をやっていきましょうということが今回の法改正につながったというふうに私は認識しているところでありますけれども。

 では、この民間活力をしっかり生かしていくという意味において、いろいろ国会の審議も踏まえながら、これは四月からですから、今、現状どういうふうになって、いい話があるのであれば、お伺いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、昨年成立いたしました森林経営管理法による新たな森林管理システムの円滑な実施を支援いたしまして、効率的、安定的な林業経営の育成を図るためには、まず意欲と能力のある林業経営者が長期的に安定した事業量を確保するということが大変重要だというふうに思っております。

 今回、国会に提出させていただきました国有林の改正法案でございますけれども、川中、川下の事業者と連携した林業経営者が、こういう公益的機能の維持増進でありますとか、あるいは地域の産業振興等を条件に、国有林の一定区域において一定期間安定的に樹木を伐採して取得できるような仕組みを整備するというような考え方でございます。

 この制度によりまして、長期的に事業量を見通すことが可能となるわけでございますので、そうなりますと、機械の導入でありますとか、あるいは雇用の伸展とか、そういうところにつながってくるのではないかということでございまして、林業経営者の育成を図りまして地域の林業の振興にもつながっていくのではないかというふうに考えているところでございます。

小熊分科員 これは、いろいろ民間にやられると、乱開発につながるんじゃないか、外資系が入ってくるんじゃないか、大手だけの論理になるんじゃないかという指摘もあったんですけれども、私は違った視点を持っていまして、大臣の方も同じですけれども、東北、北海道は国有林割合が多いわけですよ。西日本は少ない。では、西日本の山が荒れているかといえば荒れていない。

 これは、戊辰戦争後、薩長が、山がやはり一財産ですから、どんどんどんどん民間に払い下げて力をつけさせた、こっちは払下げさせないで力を民間人に蓄えさせなかったということも一側面であったのかなと思うのは東軍側のうがった見方とも言われかねませんけれども、実際、でも、西と東ではこれだけの。林野庁では国有林は平均三割とやっているけれども、実は、ざっくりすれば日本の森林面積の中で三割だけれども、でも、これは西と東では全然違うというところがありますから。

 とりわけこの法律で意識しなきゃいけないのは、まさに東北、北海道ですよ。国有林が多い。比率が多かったんだから。これはそうやって民間活力を入れていくわけですから。とりわけ力を入れていかなきゃいけないし、住民の理解も得ていかなきゃいけないし、ここで成功事例をしっかりとっていかなきゃいけないということで、今回質問させていただいているんですよ。

 なおのこと、今、私の地元でも、これに一生懸命取り組んでいる団体、市町村が連携してやっている団体でやっています。これは、ある意味ではもっと、本当は小ロットじゃなくて大きいロットで任せてほしかったという話もありましたけれども、この点については前向きにいい事例をつくっていただきたいと思います。

 一個の反省点は、だから国でさえちゃんとやれなかったんです、実は。里山の整備ができていないから鳥獣害が出たとか山が荒れたということじゃなくて、国有林も万全の体制で、残念ながら人手不足もあるし限られた予算だし、できていなかったということを反省した上で、しっかりこれを利活用していっていただきたいと思いますし、まさに一企業でもない取組という方が私は成功事例をつくりやすいと思いますので、そうしたいろいろな地域連携が図られているような、ある意味、半、準公的な経営主体の人たちにとりわけ丁寧に対応していただいて、後押しをしていただきたい、これを長官に申し上げ、何かあれば。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 国有林については、今委員から御指摘がございましたように、地域的に、たくさんあるところとそうでないところというのがあるわけでございまして、そういう中で、北海道、東北につきましては、今回目指しております制度の中で、国有林の一定区域を設定するという中で、大変有力な地域ではないかなというふうに思っているわけでございます。

 今回目指しております制度は、あくまでも地域で頑張っておられる林業経営者を支援するための制度でございますので、今委員から御指摘がございましたように、地域でいろいろと連携していろいろなお取組をされていらっしゃる、そういうような皆さんをぜひ支援していきたいというような制度でございます。

 これまでの森林整備におけるいろいろな反省点も踏まえて、きちんとした制度になるように頑張っていきたいと思っております。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

小熊分科員 これは法改正もされましたので、しっかり成果が上がるように力を入れてやっていただきたいと思いますし、私もそういう側面から、地元の人たち等も含め、支援をしていきたいと思います。

 最後に、森林環境税。

 これは、御承知のとおり、もう各地方公共団体でも三十以上が導入していて、私の福島県も導入されたときに、やり始めのときは、実はどうやって使おうみたいな分野もあったんですね、イベントとか。森林環境税をいただいているのにどうだろうと思うようなイベントもありましたけれども。

 これはざっくり言うと、民有林面積、あと人口でも配分されますから、そういう意味では、我々の地元は余り、ぽちゃんとも言わないんですよ。森林ばっかり抱えているところというのは、人口が逆にいませんから。そうすると、数千人の町だと、数百万もらって、これで鳥獣被害やってくださいといったってできませんよ。多分、都市部に集中するんですよね、ではどうやって使おうということになってきますから。

 ある意味では、森林が多いところには実は森林環境税が戻っていかない、森林が少ないけれども人口が多いから戻ってしまうという、この格差、ギャップがありますので、これを埋めるためには、では東京のそういうところには東北の木材を使うようにしてくださいとか、地域をつないでいって森林環境税の活用というものを目指していかなければいけないというふうに思います。

 とりわけ、復興、もう間もなく丸八年がたとうとしていますけれども、まだまだ道半ばでありますし、原発事故災害は継続中の災害でもございます。福島県の県産品、材木も含め、まだ風評被害の部分も残っておりますので、森林環境税を活用する上で、こういう地域連携の中でそういう考え方を後押ししていただくということはいかがでしょうか。

笹川主査代理 簡潔にお願いします。

牧元政府参考人 御指摘ございましたように、森林環境税、森林環境譲与税の使途でございますけれども、これは市町村において弾力的に活用可能なわけでございます。とりわけ、今委員から御指摘ございましたように、都市と山村との交流というような観点で、山村地域の交流のために使っていくとか、あるいは山村地域の木を都市部で使っていくとか、そういうような利用になるということを期待しているところでございます。

 農林水産省といたしましても、いろいろな事例の紹介などを通じまして、都市と山村の連携によりまして森林整備が推進されるように、今回の制度も十分活用していきたいと考えております。

小熊分科員 ぜひ、そこはよろしくお願いします。

 安倍総理が常々言っているとおり、安倍政権は各大臣が復興大臣だという理念で運営していくと言っていますから、ぜひ、大臣におかれましても、今言った地域連携の中でも、とりわけ被災三県、また今継続中の災害を抱えている福島県の部分について手厚く支援をしていただきますことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

堀内主査 これにて小熊慎司さんの質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春さん。

中川分科員 質問の時間を与えていただきまして、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、三点ほどで、項目を区切ってお話をさせていただきたいと思うんです。

 まず最初は、分散型の再生可能エネルギー、これをしっかり日本の国土の中に根づかせていくということ、これが大きな課題になっているんですが、本来ならエネルギー庁なりあるいは経産省なりの課題として取り上げさせていただくということなんですけれども、あえて農林省の方にお話を振らせていただいたのは、実はこういう事情があるんです。

 地元で今歩いていますと、幾つか、太陽光発電、あるいは風力発電、また小水力等々、こうした、地域、特に山間部だとか農村部で一つの資産というか資源というか、そういうものが内在しているわけですけれども、そういうところに対して、さまざまな立地の計画が出てくる。

 そうすると、地元としては、本来はそれは地域振興という、いわゆる地産地消的な資源を活用するという中で地域振興していくというメカニズムが働いていたらそれはいいんですけれども、現状はそういうことではなくて、東京から来た企業あるいは電力会社、既存の電力会社の子会社あたりが、例えば風力発電を山間部のそれぞれの峰に対して立地をさせたいというような話が起こってくるんですね。

 そうすると、地域としては、それは一体何なんだ、私たちにどういう影響があるんだ、こういう形になりまして、やはりあそこにつけてもらうということについては、これまでの自然環境を壊していくことになるのではないか、あるいは低周波というか騒音についても、せっかくの今の環境というのが崩れてくるのではないか、子供たちにとって、学校のすぐ近くにそんなものができるということが、これからこの地域に対して汚点になるんじゃないかという形で、中川さん、これは我々許容することができないので、反対運動したいので一緒にやってくれないかという、これは太陽光についても、メガで里山を開発していくような太陽光が今出てきているんですが、そういう形で、やはり迷惑施設として地元で拒否をされるというか、そういうこと。こういう話が何回も重なってきて、地域にとっても大きな一つの課題になってきたなということ、これをつくづく感じております。

 せっかくの資源が、結局は大きな火力発電所やあるいは原子力発電所と同じで、そこに立地することで迷惑施設になって、資金が還元しないために、このままでいけば、それを立地させるために、迷惑料とかあるいは交付金とかいうような形で、それをカバーしながら立地を進めなければならないというような構造になってしまうんじゃないかということ、そこに懸念があって、これを克服するにはどうしたらいいかということですね。

 その観点をもって、きょうは大臣の問題意識というのを喚起したい、起こしたいということなんです。

 そんな意味でいくと、事業主体が基本なんだと思うんですよ。資金が地域へ回るということは、事業みずから、その地域なり、あるいは、例えば農業団体なりあるいは漁業団体なりというのが事業としてはだてることによってその資金が回って、その地域の資源が生かされて、それでそこの発展につながっていくような、そんなメカニズムというのがやはり前提にないと、この分散型のエネルギーというのはこれ以上進まないというふうに私は思っています。

 そのために、実は農林水産省としてどういう意識を持ってこれに対応しようとしているかというのを確認したいということなんですね。

 まず最初に聞いていきたいのは、そうした前提に立って考えていくときに、農業だとか林業だとか水産業の、それぞれの地域にある事業主体が、どこまでこのエネルギーというものに今コミットをしていて、そして事業主体として起業しているか、業を起こしていくような状況になっているかというのを、今の現状ですね、そこのところを確認したいというふうに思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農山漁村に豊富に存在をいたしますバイオマス、水、土地などの資源を活用して再生エネルギーを導入することは、地域の活性化につながる取組として重要でございます。

 このため、農林水産省では、平成二十六年に農山漁村再生可能エネルギー法を制定いたしまして、地域が主体となりまして協議会を設立して、地域の農林漁業の健全な発展に資する再生可能エネルギーの発電の導入というのを促進しております。

 同法による市町村の基本計画で、現在、発電事業の整備計画が進んでおりますのは五十五件ということでございます。

 それに加えまして、農地に太陽光パネルを設置をいたしまして、営農しながら発電をする、いわゆる営農型太陽光発電の取組につきましては農地法の転用の許可が必要でございますけれども、この許可につきましては、平成三十年三月末現在で千九百五件となっているところでございます。

 加えまして、農業農村整備事業によりまして小水力発電それから太陽光発電の施設というのを整備をいたしておりまして、小水力発電につきましては百九施設、それから太陽光発電は百十六、風力発電は四施設というふうになっているところでございます。

中川分科員 恐らくその数字は、それぞれの地域に立地をした数字だと思うんですね。

 例えばバイオマスも、先ほど、地域の発展あるいは地域計画として立地を進める、市町村の前提があってというような説明がありましたけれども、そこで言われるのは、間伐材であるとか、あるいは地域の材をそこで燃やして、燃やすということのために、その材を利用するという意味でバイオマスですねという形なんだと思うんです。

 ところが、それを経営する事業主体というのは、私の三重県の身近なところで、このバイオマス、幾つかできてきておりまして、また新しくできる計画もあるんですが、みんな、地元資本とは関係のない、やはり東京から来た企業がエネルギー会社としてそこに立地をして、それで経営をしていく。だから、そこは、地域から物は買うけれども、材木、燃料は仕入れるけれども、それだけの話なんですよね。

 私の言っているのは、そういうことではなくて、それを経営する事業主体をつくっていく、地域でつくっていかないと本物にならない。

 これは、たまたま林業の場合は木を使ってくれるからという話になるんですけれども、値段が安い、あるいは、地域の林業計画の中で、伐採していく木が足りなくなるから、例えば輸入材を燃やしてしまうというふうなところまで矛盾した話が今出てきているんですけれども、そういうアンバランスな話ではなくて、地域で事を起こすにはどういうふうに資金を回したらいいか、そういう感覚が必要なんだと思うんです。

 恐らく、私の問いに対して、そういう区別をせずに、これだけ立地をしました、小水力でも、あるいは風力でもそうなんですが、太陽光でもそうなんですけれども、これだけ立地をしましたという答弁しかできないということは、そういう見方でもってこの事業を農林水産省として見ていないということなんだと、これは事前の聞き取りの中で、それを私も感じました。

 大臣、どうですか。一遍、そこのところを、基本に返って、どうやったら村おこしの事業主体としてこれを組み込めるかという仕組みをつくっていくという、そんな観点から政策を打ち出すということ、これが必要だと思うんですけれども、どうですか。

吉川国務大臣 まず、これまで農林水産省が行っていることを答弁として申し上げたいと思いますけれども、地域が主体となって再生可能エネルギーを活用する取組を行うための相談窓口の設置ですとか、事業計画の策定のサポートを行ってきております。

 さらに、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく、市町村や地元関係者の協議による、地域の農林漁業の健全な発展に資する再生可能エネルギー発電の導入の促進等を、地方農政局も含めて、今実施をしているところでございます。

 現在、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本方針を見直しているところでもございまして、その中で、地域に利益が還元をされて、地域経済循環を高める施策のあり方について、今検討を深めてまいりたいと存じております。

 実は、私の北海道で、中川先生御承知かもしれませんが、十勝管内という酪農の地域がございます。その酪農の地域で、ここは二十四の農協がございますが、今、畜産、酪農は、特に家畜のふん尿に、非常にその処理に将来ともに頭を悩ましているところでございまして、そこで、バイオマス、バイオガスというんでしょうか、そういったことで電力を起こして、地域が循環ができるような、そういった地域型の再生可能エネルギーで更に畜産、酪農というものを進展をさせよう、発展をさせよう、そういう考え方がございます。

 また、多くの、二十幾つの市町村も一緒になって、では考えようかということでやり出したんですけれども、残念ながら、電力会社の送電線がもう目いっぱいということで売電には行き着かない。この売電ということになりますと、これは経済産業省の施策の方になるんですけれども、農林水産省としては、地消地産的なエネルギーをそこでつくっていただくということに関してはさまざまな支援の方策があるのではないかということも、私も常々そういったことを問題提起をいたしておりますので、また更に御指導、御支援もいただきながら、地産地消の再生可能エネルギーのあり方というものをしっかりと受けとめながら、でき得る限り地域の農産業の発展にもつながるような形で、これを私自身も進めていきたいなと思う大きな施策の一つでもあります。

中川分科員 私たちとしっかり共同というか協調できる視点を大臣お持ちで、力強く私も受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 一つ問題提起をするとすれば、やはり電力会社も、この分散型あるいは再生エネルギーに対しては後ろ向きなんですよね。私もいろいろな壁にぶち当たっているんですが、例えば水力、小水力をやるにしても、山の奥の方で立地をすると、そこへ向いて送電線を持っていかなきゃいけない。これなんかの負担は、山の奥の方ですから、もともとないところへ向いて新しく引いていくのに、普通であれば電力会社あるいは送電会社がそれを持つということなんだけれども、今のところそういうことではなくて、発電する主体が持たなきゃいけない。そうすると、コストが極端に上がって、そこでは採算がとれないねというような話で抑え込もうとするというか、例を挙げればそんなことなんですけれども。

 そういう中で、非常に、闘うとすれば、それをしっかり起こしてくるとすれば、やはり農林省サイド、大臣サイドのしっかりとした企画力とそれから力が必要なんだろうというふうに思います。そこをぜひ期待をして、一緒に知恵を出して頑張っていきたいと思うので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、豚コレラについてお話をしたいと思うんですけれども、今、水際作戦と、それからイノシシ、これは今回はイノシシが媒体だということ、この中で、イノシシをどうするのかということと、それから感染豚をどのように処置をしていくか、そういう、大まかに分けてこれは三つぐらいの中で対応をしていただいているんだというふうに思うんです。

 そんな中で、このワクチンの投与をどのように、どの時点で何を基準に判断していくのか。これは、関係者の間で話合いなり、あるいはそれぞれの知見を持った皆さんの意見を聞き取っていただいているんだと思うんですけれども、最終的には誰がどのような条件のもとで判断をするのかということなんですが、このワクチンについてはどうですか。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

吉川国務大臣 ワクチンの使用につきましては、平常時の予防的なワクチンの接種は行わないこととしつつ、発生農場における屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染拡大の防止が困難と考えられる場合には緊急的に接種することと定めているところでもございます。

 今現在、もう中川先生もよく御承知、御高承のことと存じますけれども、岐阜、愛知で十例確認をされまして、イノシシ対策に対する防護柵ですとか、さらに、来月に入りましてからは、日本ではこれは初めてでございまするけれども、イノシシに対する経口ワクチンの投与というものも行います。少し時間はかかりましたけれども、海外からお招きをして、ドイツだと思いますが、知見のある方から、どういう形でイノシシにそのワクチンを投与していくかという、そういったことも今行うところでもございます。

 そして何よりも今、この蔓延防止に関しましては飼養衛生管理というものを徹底するということが大切であろうか、こう思っておりますので、一昨日も、全都道府県の皆さんに御参加をいただいて、テレビ電話会議でも、飼養衛生管理上、しっかりとやってほしいということも促しましたし、特に岐阜、愛知におきましては調査チームが実際に入りまして、この飼養衛生管理上どういうような状況になっているかということも、今、県と連携をしながら指導徹底をしているところでもございます。

 そういったことをまずはやらせていただいて、この防止対策に努めてまいりたいと存じております。

中川分科員 これは、ある意味、災害あるいは防災対策の手法というのを私はしっかり取り入れないといけないんじゃないかと、皆さんの議論を聞いていて思うんですよ。

 それはどういうことかというと、事前にいろいろな想定を組み立てておいて、こういうことが起こったら、その対策アクションとしては、こことこことここはやりますよということが事前に見えていて、生産者にとっても関係者にとっても、ああ、ここまで来たんだったら、例えばワクチンを打つということになるんだなというのが予見できるような、そういうシステムをつくっていく。

 これは、火山や何かで、アラートというのが、アラート一から二、三、四、五とあって、アラート一が出たら避難勧告に結びついていきますよ、アラート二が出たら、この地域には入ることができないということになりますよとかと、事前にわかっていくような、そういうシステムですね。

 それがないと、対症療法的になって、今起こっていることに対してどう対応するかということをやっていくのに精いっぱいで、それをやられる方も、特に生産者にとっては、これから先どうなっていくんだろうと予見ができないような形があるんじゃないかということですね。そういうことを、私も今この議論を聞いていて、つくづく思うんですけれども。

 大臣、次はアフリカの豚コレラが心配をされるという状況になっています。これは、話を聞くと、毒性が強くて、ワクチンもないという形の中で、次、これに対してどう対処するかというときに、どういう予見があったときに何をするかというのは、やはりさっき申し上げたような形のものを事前につくっておかないといけないというふうに思うんですね。

 そういうことについて、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思うんです。

吉川国務大臣 アフリカ豚コレラに関しましては、中国、さらに最近はベトナムでも、このアフリカ豚コレラが発生をいたしました。我が国に対する侵入リスクが高まっていると承知をいたしておりまして、今現在、農林水産省といたしましては、水際対策のさらなる強化のために、探知犬の臨時的増頭、さらに、アフリカ豚コレラ発生国からの到着便に対する探知活動の強化、そして、家畜防疫官の携帯品検査への重点配置による旅客に対する口頭質問の強化、そして、税関と連携した旅客の携帯品検査の強化、さらには、広報キャンペーンの強化、中国人向けSNSの配信などによりまして、広く国内外に向けた持込み禁止の周知などを徹底を図っているところでもございます。

 さらに、都道府県とも連携をいたさなければなりませんので、中国等におけるアフリカ豚コレラ等の発生状況を提供をしながら、同時に、都道府県と連携をして注意喚起を促しておりますし、農場への侵入防止のための飼養衛生管理遵守のための徹底も、今指導もいたしているところでございます。

 引き続き、これらをしっかりと対応しながら、侵入防止対策に万全を期してまいらなければと、こう思っております。

中川分科員 私の申し上げた意図を、しっかりこの質問の聞き取りのときに理解をしてもらわなかったんだと思うんですが、大臣、改めて、例えば、ワクチンを打つか打たないかという今のような議論をするんじゃなくて、問題が進展をしてしまったらこういう条件のもとでワクチンを打つんだ、そういう事前の基準とシナリオと、それから想定の前提、そういうものをつくっておかないといけないんじゃないか。

 特に、豚コレラは、今対応は水際でやっていただいておるというのはよくわかるんですけれども、しかし、それが一旦入ってきたときには何をどうしていくのかということが生産者にも見えるように事前につくっておかなきゃいけないんじゃないかということを指摘をさせてもらったんですけれども、そこについての大臣の問題意識をお聞かせをいただきたいというふうに思うんです。

吉川国務大臣 豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきましては、発生時を想定して、国、都道府県が行う事前の準備、異常豚の届出があったときの対応、発生農場等の防疫措置等があらかじめ整理をされております。

 発生してからの検証ではなくて、事前に発生を想定した対応を迅速に実行しているところでございますが、この防疫指針はもちろん公表されておりますし、農家への丁寧な指導ですとか周知もこれからも更にしていきたい、こう思っております。

 今、中川委員の御指摘のありましたことは、ワクチンの使用等々、起きる前にしっかりといろいろな体制を築いておくべきではないのかということだろうとも思いますので、また御意見も参考にしながら、今後の対応等々にも生かしてもいきたい、こう思います。

中川分科員 現場に周知をと言いますけれども、私も関係者の皆さんの話を聞かせていただくと、そんなところまでは全く行っていません。戸惑いと、それから不安、一体これから先何が起こるんだろうということの中で心配しながらやっているという状況が続いているというのが現実だと思うんですよ。だから、そこの組立てをもう少し、もう少しというより、しっかり工夫をする必要があるというふうに思います。

 私の申し上げた、いわゆる災害における、特に鳥インフルなんかのパンデミックについて、実は我々の政権のときに、それに対応していく法案、これを、シナリオで、こういうことになったらワクチンをこういう人たちに打って、具体的にはこういう展開の仕方をしていくんだ、そういう中身の法案なんですが、そういうものを参考にしていただいて、こういう類いのものに対応していくということ、これをぜひやっていただきたいということを指摘をしておきたいと思います。

 最後に、自然食品というか発酵食品の分野なんですけれども、酒は、これは財務省の管轄の中で、日本酒ということで、世界レベルの戦略の中からこれを再定義をして、そしていわゆる海外にも出す、あるいは国内でもその付加価値というのを高めるというふうな意味での品質基準というのをつくって、それでそれを展開をしています。

 同じような発酵食品で、例えばみそとかしょうゆとか、さまざまほかにも日本の伝統的なものというのはあるんですけれども、その分野というのは、農林の分野あるいは厚生労働省の分野なんだと思うんですけれども、特に農林の観点からいけば、これを更に発展をさせていくための基準づくりというのが、私はあっていいんだろうというふうに思うんですよ。今あるGIとか、あるいはJASのそのレベルではなくて、もう少し世界レベルの感覚と、それからもう一つは、地域性だけじゃなくて、それの持っている製造過程と歴史と、それから、さらなる付加価値なんかも基準にしながら、どうやって付加価値をアピールするか、そういう戦略があっていいんじゃないかなというふうに思います。

 また、それに携わっている皆さん、これは、その地域地域で、伝統的に、やはり農村地帯の文化と、それから生きざまというのをしっかり守ってきた、そういう人たちでもあるので、地域おこしという面からでも、ひとつ焦点をそこへ向けて、一遍考えてみる必要がある、あるいはぜひ考えてもらいたいということを指摘をさせてもらいたいんです。

 そんな観点で、時間がないので、大臣の思いというのを、どうですか、そういう意味で、農林水産省の方からやってみようということになりませんか。

吉川国務大臣 今御指摘をいただきましたように、現在はGI制度ですとかJAS規格などの活用が期待されるところでございまして、事業者にはその活用を更に促してまいりたいと存じますが、今御指摘をいただきました付加価値のある戦略的なアピール、それについても、何ができるのか、これからどういったものがGI、JAS以外にできるのか、ともに検討をしてまいりたいと思います。

中川分科員 ぜひ、そんな仕組みを、関係者を巻き込んで、農林省の村おこしと、それからもう一つは第六次産業、新しい分野の開拓という、そんな観点からも、ぜひ起こしていただきたいというふうに思います。

 以上、ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 この際、午後一時から再開することとし、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

堀内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。原田環境大臣。

原田国務大臣 平成三十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、予算の基礎となっている環境政策の基本的な考え方について御説明いたします。

 昨年十月の着任以来、私は、環境政策によって環境、経済、社会の諸課題の同時解決を図り、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長を推進してまいりました。人口減少、高齢化という経済社会構造の難題を抱えつつ、脱炭素化や持続可能な開発目標、SDGsの達成を着実に実現していかなければならない現下の状況において、旧来の資源配分を変化させつつ、イノベーションの創出を後押ししていくことは、環境の観点からも成長の観点からも大変有意義なことでございます。G20において、世界が向かうべき方向性をしっかりリードしていくためにも、引き続き、この環境と成長の好循環を回転させてまいります。

 気候変動対策については、来年からのパリ協定本格運用に向け、引き続き、二国間クレジット制度の活用等により国際的な貢献を果たすとともに、ESG金融の推進や再エネ、省エネの拡大等の国内対策、二〇五〇年八〇%削減に向けた長期戦略の策定などを着実に進めてまいります。また、気候変動の影響への適応策にも積極的に取り組んでまいります。

 海洋プラスチックごみについては、G20までに、政府としてのプラスチック資源循環戦略等を策定した上で、新興国も含めた世界全体での取組の必要性を打ち出し、世界の国々とともに、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。

 また、環境、経済、社会の統合向上による新たな成長を地域において実践するべく、地域資源を持続可能な形で活用し、自立分散型の社会を形成する地域循環共生圏の創造を支援してまいります。

 東日本大震災被災地の環境再生に向けては、中間貯蔵施設の用地取得、施設整備、除去土壌の搬入や指定廃棄物等の処理等を安全かつ着実に進めるとともに、帰還困難区域について、特定復興再生拠点区域内における家屋等の解体、除染を着実に実施してまいります。また、住民の方々の健康管理、リスクコミュニケーションについても適切に実施をしてまいります。

 循環型社会を実現するための取組としては、循環経済への移行に向けた取組、災害廃棄物処理体制の構築、一般廃棄物処理施設や浄化槽の整備などを進めるとともに、環境インフラの海外展開を図るための技術、制度の発信、普及を推進してまいります。

 生物多様性の保全については、愛知目標達成のための取組を加速化させるなど、国立公園や世界自然遺産などの保護と適正な利用の推進、鳥獣保護管理の強化、希少種保全、外来種対策、ペットの適正飼養等に取り組んでまいります。

 また、国民の健康と良好な環境の保全のため、石綿飛散防止や水環境保全、PCB廃棄物処理、化学物質対策、公害健康被害対策などを進めてまいります。

 原子力規制委員会については、原子力規制活動を支える安全研究の推進及び放射線モニタリング体制の強化を図るとともに、原子力規制人材育成の強化などに取り組みます。

 次に、これらの施策を実行するための平成三十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明をいたします。

 一般会計予算では総額三千四百五十九億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額二千百六億円余、東日本大震災復興特別会計に復興庁所管予算として総額五千五百九十二億円余を計上しているところでございます。

 なお、委員のお手元に配付されております環境省所管一般会計及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 どうぞよろしく御審議いただきますようお願いを申し上げます。

 以上であります。

堀内主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま原田環境大臣から申出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀内主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大隈和英さん。

大隈分科員 自由民主党の大隈和英でございます。

 きょうは、第六分科会ということで、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。また、御多忙の中、原田大臣にも御出席いただきまして、ありがとうございます。関係省庁の皆様にも御礼申し上げます。

 さて、きょうは、災害廃棄物処理の問題についてひとつ討論をさせていただきたいと思います。

 近年、頻発化また大型化する我が国の自然災害におきまして、速やかな復旧復興に最優先されるのは、やはりライフラインの復旧だというふうに考えております。関係各位の献身的な御尽力によりまして、復旧にかかる期間というものは随分短縮されてきたということを実感します。

 例えば、昨年六月十八日、私の地元、大阪府高槻市を震源といたします大阪府北部地震では、震度六弱の地震に襲われたわけです。電気、水道は比較的保たれたんですが、都市ガスが揺れを即座に感知いたしましてシャットダウンする、そして二次災害を防ぐということをやっていただきましたが、その間、再開されるまで、おおむね六日から七日の間で約十一万二千戸のガスを一軒一軒復旧していただきました。

 これは、迅速な国の要請もさることながら、全国から五千五百名を超えるガス会社の皆さんが集まっていただいて、一軒一軒、本当に汗をかきながら、梅雨の暑い中頑張っていただいたということもありましたし、都市ガスだけではなくLPガスの業者の皆さんにも頑張っていただきましたし、梅雨どきでお風呂が入れないというときでしたので、地元の銭湯組合の皆さんも銭湯を無料開放してくださった。あるいは、自衛隊の皆さんも入浴支援をいち早くしていただいた。本当に多くの方々のおかげでこのライフラインの復旧というものは支えられてきたんだなというふうに感謝するばかりでございます。

 一方で、阪神・淡路大震災のことを思い返しますと、地震の規模は違いますけれども、当時は、ガスがとまったのは約八十五万戸、その復旧にかかったのは約三カ月ということを考えると、やはり、つらい災害を我が国は経験しながら、確実にこの復旧のスピードというのは上がってきているんだなということを実感しております。

 一方で、その復旧復興の妨げとなる最も大きなものの一つは災害廃棄物の発生であろう、処理だろうというふうに思っております。

 阪神・淡路大震災では約千五百万トン、東日本大震災では約三千百万トンの災害廃棄物が発生しております。皆様の記憶にも鮮明に残っておられるかと思います。

 そう考えますと、今後予測される南海トラフ地震や首都直下型地震では、おおよそどれぐらいの規模の災害廃棄物が発生すると政府は考えておられるか、ぜひ教えていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、南海トラフ地震における災害廃棄物等の発生推計量につきましては、平成二十五年三月の中央防災会議の報告におきまして、最大で、災害廃棄物が約二億五千万トン、津波堆積物が約五千九百万トン、合計約三億一千万トンと想定されています。

 また、首都直下地震につきましては、平成二十五年十二月の中央防災会議の報告におきまして、最大で災害廃棄物が約九千八百万トン発生するものと想定されております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 今お聞きしただけでも、三億一千万トンとなりますと、ざっと東日本大震災の瓦れきの十倍ということになるわけですから、途方もなく量としては多い。そして、その処理には極めて困難が予測されるわけでございます。

 他方、巨大災害ばかりではなくて、局地的な災害でも、発生した災害廃棄物がその地域に集中して大きな被害、ダメージをもたらすということが、私たちも見てまいりました。

 まだ記憶に新しいのは、平成二十九年七月の九州北部豪雨での土石流やおびただしい数の流木が福岡県の朝倉市を襲いました。あの光景を思い出しますが、まさに、そういう点では、御地元で被災された原田環境大臣には、災害廃棄物に関しての特段の思いや、あるいは御経験なされたことがおありだと存じます。

 災害廃棄物とその処理について、当時に直面なされた課題や、あるいはその後のとられました対策等につきまして少しお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 御指摘のとおり、災害が起これば、おびただしい量の災害廃棄物、実はこの分野は私ども環境省が主として所管をしているところであります。

 一昨年になりますけれども、平成二十九年七月に九州北部豪雨ということで、これは私の地元でもございましたけれども、発災翌日から環境省現地支援チームが派遣されまして、被災自治体における被災状況の確認、仮置場の確保、災害廃棄物の分別等に係る支援が実施されたところであります。

 本災害では、大量の土砂、流木の処理が課題となり、また、環境省は関係省庁と連携し、災害等廃棄物処理事業補助金による財政支援を含め、その処理に尽力したと伺っております。実は当時、私は議員として、現場のお受けする側におりましたので、環境省含め官庁が本当によくやっていただいたことを本当に思い出しているところであります。

 本災害での教訓はその後の災害にも生かされていると私どもは考えております。例えば、昨年の七月でございますけれども、平成三十年七月豪雨においては、町中から発生する土砂に対して、国交省と連携した瓦れき、土砂一括撤去スキームを構築し、市町村による一体的な瓦れきと土砂の撤去を進めるようなことも取り組んだところであります。

 さらに、平成三十年九月、その年の北海道胆振東部地震においては、規模の小さい自治体における初動期の混乱を最小限とすべく、道庁と連携した人的支援を手厚く行うことで、円滑な処理体制の確保に努力をしたところでございます。

 近年、自然災害が多発しておりまして、災害が発生すれば必ず廃棄物が出てくることも、ほとんど逃げられない事実でございます。こういうことを前提として、環境省としては、これまでに発生した災害における災害廃棄物処理に係る知見や教訓、これらを踏まえながら、今後の災害に備えた支援体制の強化を図ってまいりたい、こう思っております。

 人的には、環境省職員、相当経験した者も出てきましたし、災害廃棄物処理支援ネットワーク、Dウエーストネットというのを既に専門家を集めて組織しておりまして、彼らを現地に派遣して被災自治体に対する支援を行っていこう、こういうふうに思っているところであります。

大隈分科員 ありがとうございます。

 私も、昨年に、まさか自分の町が地震の被災地となって、状況を経験するということは本当に思ってもみなかったわけですが、日を追うごとに災害廃棄物というのは量がふえてまいりますし、それに付随する問題というのも大きくなってまいりました。そして、住民の皆さんの苦しむ声をいろいろとお伺いしながら、以来、私も、国の災害廃棄物の処理について調べてまいりました。

 まず、災害廃棄物の処理を決めた法律というのは災害対策基本法となりまして、大災害を数度重ねながら、災害廃棄物対策指針が改定されながら定められ、災害廃棄物と一般の産業廃棄物はその処理をきちんと分けるというようなことにもなっておるかと思います。これは間違いありませんか。確認させてください。

山本政府参考人 ただいま御指摘ありました災害廃棄物対策指針に記載しておりますとおり、災害廃棄物とは、自然災害に直接起因して発生する廃棄物のうち、生活環境保全上の支障へ対処するため、市区町村等がその責任により処理を実施するものです。

 一方、被災地における事業活動に伴って発生する産業廃棄物については、原則として事業者の責任で処理することとなります。

 これは、平時の廃棄物の処理体制に即して円滑かつ迅速に処理を行う観点から、処理責任を明確にしているということになってございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 なかなかその線引きが難しいなというのが実感した私の今回の地震の経験なんですが、災害対策基本法では、ほかにも、廃棄物の特例措置として、著しく異常かつ激甚な非常災害、東日本大震災クラスのようなものが発生した場合には、環境大臣は特例地域を指定する、あるいは特例的な廃棄物処理基準を規定するとありまして、スピード感を持って、大規模災害にいかに真正面から苦労しながら対処されてきたか、よく理解ができます。

 しかし、きょうここで論点にさせていただきたいのは、激甚災害指定ではない、国の特例基準を適用するまでにはいかない、中等度から大規模災害に準ずるような、今回の大阪北部地震を始めとした災害の廃棄物処理についてお話しさせていただきたいと思います。

 今回の地震では、家屋、建物の損壊が、全壊、半壊は比較的少なかったんですが、一部損壊が約二万四千件に上りまして、発生した災害廃棄物の中心は、おびただしい数の屋根瓦、外壁材、ブロック塀、そして食器等々のものがありましたが、それが中心でございました。

 しかし、なかなか、都市部といいながらも、私どもの町も高齢化が進んでおりまして、特に独居の高齢者世帯がふえてまいりました。そうすると、屋根瓦も一枚、二枚ではありませんので、大変重いということで、これまた自分で持っていくことができない。そうすると、修繕した工務店ですとか建築業者さんにお願いして処分場に持っていってもらいますと、処分場の入り口で、これは業者が持ってきた産業廃棄物じゃないのかというような押し問答が少し見られたり、あるいは、最終的には有料で引き取られることで、復旧復興にただでさえ大変なときに経済的な負担が重くかかってきたというような声も聞かれました。

 そういう点では、職員は、やはり災害の中で、国の指針や法律をしっかり守らなきゃいけない、そして自分自身も頑張らなきゃいけないと思って真面目に一生懸命やっているわけですけれども、その中で、市民の不満にも心ならずも向き合わなければいけない。大変つらい立場で苦労が絶えなかったということで、ここで改めてその労苦をねぎらって、感謝をしたいというふうに思っております。

 地震の直後から、環境省からも通達を出していただきまして、私も、関係省庁や地元との連絡をとり合いながら、処理場や被災現場を訪ね、意見調整を進めてまいりましたが、結果的には、十分な、満足な結果が得られたとは言えません。折悪く、その後にすぐ発生しました西日本豪雨災害もございまして、そちらの対応にまた各省庁もがっと手がとられてしまうという事態が生じたものですから、残念ながら、支援が我が町も少し置き去りにされてしまったようなところも否めないかなというふうに思っております。

 一般の産業廃棄物であるか災害廃棄物であるか、あるいは市町村の対応が異なるという点で、過去の事例があるかどうか、あるいは、そこによって、環境省の介入によってうまく解決できたというような事例がもしございましたら、教えていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 市町村の対応が異なってという点に関しましてですが、一つの事例といたしまして、家電製品が災害によって廃棄物になった場合に、市町村によっては、被災者の方からリサイクル料金を負担してもらって処理をするという対応をとられている事例がございます。

 特に、昨年七月の豪雨におきましては、浸水で大量の家電製品が廃棄物になったということもありましたので、そこは市町村が一括して災害廃棄物処理事業として処理できるように、これは家電リサイクルの関係団体とも調整をしてそういった形にさせていただきまして、その結果、円滑に処理ができたという事例もございます。

 ただ、現場で円滑にいくようにということで、環境省もなるべく早い段階で現地に入って、そこで補助対象事業の範囲でありますとか、どうやればいいかというのをできるだけきめ細かに説明していくこととしておりますし、その点については引き続き続けてまいりたいと考えております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 また、ほかにもやはり、大阪から岡山、広島、そして四国も比較的近いものですから、近隣府県のパッカー車がずっと西日本豪雨の被災地の方に応援に行って、こちらの方が少し困ったというようなケースもございました。

 今後は、昨年のような全国で同時多発する自然災害にも想定していかなければならず、災害廃棄物は個々の災害ごとにいろいろと異なってまいります。対応も非常に多様なものになってこようかと思いますし、また、環境省からの職員の派遣などの対応も、物理的にも本当に厳しくなる一方だと考えております。

 激甚災害には至らない災害でも、被災自治体や被災者の負担軽減を図る、あるいは復旧復興を迅速化するためにも、災害廃棄物の処理にさらなる柔軟性が必要だと思います。災害対応の初期段階から廃棄物処理に関する環境省の積極的介入、プッシュ型支援でありますとか、今後の改善策をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

原田国務大臣 先ほど申し上げましたように、およそ廃棄物、災害に基づく廃棄物ですね、しっかり、私ども環境省が主として対応しておるところでございます。災害の規模、例えば激甚かどうかにかかわらず、発生した災害廃棄物については、私どもが当然のことながら対応せないかぬな、こう思っておるところでございます。

 発災直後から、環境省の職員、これは相当経験も積んでおります、蓄積もありますので、まずはいち早く現場に派遣するということ、あわせて、今次、Dウエーストネットという組織を私どもつくりました。これは、内外の専門家を組織しまして、いざというときにはしっかり現場に一緒に派遣する。

 こういうことを通じまして、何といっても、私どもの経験でも、それぞれの自治体の首長さんたちは初めての経験になる、ですから、ただパニックになりかねない、こんな状況なものですから、もちろん各省、国交省、災害に関係する省庁がしっかりまた迅速に対応することになりますけれども、環境省は、お話ししましたように、廃棄物の観点から、まずは土砂、瓦れき、こういうものを、しっかりまた対応できるように頑張っておるところであります。

 当然、被災自治体に対する支援はきめ細かに行っていかなきゃいけないということでございます。平成三十年六月に発生した大阪北部地震、議員のところでありますけれども、今月二十一日に発生した北海道胆振中東部地震においても、激甚災害の指定の有無にかかわらず、現地支援チームを積極的に派遣したところでございます。日付はちょっと前後しましたけれども。

 引き続き、被災自治体に寄り添って対応していきたい、こう思っております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 特に被災自治体というのは、今大臣おっしゃっていただいたように、首長さんを始め初めての経験をされる方というのはやはり多うございますし、職員の方も必死で、また混乱の中にもございます。廃棄物よりまず人命や避難所対応というものが優先されることもあろうかと思いますし、省庁から電話やメールやファクス、通達をいろいろいただいても、もうとにかく頑張っています、一生懸命やって、大丈夫ですというようなことで。やはり日本人というのは真面目ですから、SOSを早く出すというよりも頑張るということを優先するものですから、なかなか、そういう点では、実際の苦しんでいるところに支援というのが届かないところもあろうかと思います。

 そういう点では、先ほど申し上げたように、災害の激甚化、大小にかかわらず、早目の介入というものを、支援というものをお願いしたいと思いますし、廃棄物というのは、これは後からまたどんどんふえてくる。特に、私の地元でも、修理ができていない屋根の上にブルーシートがまだまだたくさんございまして、割れた瓦が屋根の上に積まれたままになっているところもたくさんございます。

 そう考えますと、ぜひとも、引き続き息の長い御支援をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 質問を次に移らせていただきます。

 二番目のテーマといたしまして、災害時のライフライン途絶を想定しました、LPガスを利用した避難所のエアコン導入について少し触れてみたいと思います。

 ガスヒーポンという言葉はまだよく普及していないかもしれませんが、ガスエンジンヒートポンプの略語でございまして、ガスエンジンでエアコンの室外機のコンプレッサーを駆動し、ヒートポンプによって冷暖房を行う空調システムのことでございます。消費電力が大幅に少なくなり、省エネへの貢献、あるいはピーク時の電源需要を下げる、あるいは空調の効率化と相まって、エアコンで悩みの電気代もカットできる、さまざまな長所がございます。

 最近注目されていますのは、私の地元と同じく大阪府北部地震で被害に遭いました箕面市というところがあるんですが、ここがLPガスを使用したガスヒートポンプエアコンを市内の公立小中学校に導入したということなんですね。

 まずお尋ねしたいのは、国として、このガスヒートポンプエアコンについての長所、短所、そして、今回のLPガスを利用したガスヒートポンプエアコンの災害時の有用性などについてどのように評価しておられるか、お考えを聞かせていただければと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ガスエンジンヒートポンプ、これを電気式と比べた場合、その長所といたしましては、電気がなくても動かせる、あるいはランニングコストが安いといったことが挙げられると思います。また、その短所でございますけれども、機器の価格が高いために導入時のイニシャルコストが高い、あるいは室外機が大きい、こんなことがあるというふうに認識をしております。

 委員御指摘のLPガス、これを利用したガスエンジンヒートポンプエアコン、この有用性といたしましては、例えば電気あるいは都市ガスのようなインフラに依存していないということでございますので、万が一停電したりあるいはガス管による供給が途絶える、こういった場合でも、追加的な準備をすることなく、LPガスの残量のある限り継続して冷暖房を行うことができる、こういったことなどにあるというふうに認識をしてございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 そういう点では、学校の体育館などは、子供、学童のためだけではなくて、いざというときの避難所になるということを考えますと、その必要性から、今回、第一次、第二次補正予算でも、学校の空調整備ということで手厚く予算が充てられまして、私の地元でも大変感謝されて、喜ばれておるというところでございます。

 しかし、災害を経験してみまして、やはり電気、ガス、水道というライフラインがとまってしまう中で、幾ら避難所に立派なエアコンをつけたところで、それが停電であったり、非常用電源があるにしてもガス供給が停止されたり、ライフラインがとまってしまって動かないということでは、これは本末転倒で役に立たないということになってしまいます。

 そう考えますと、災害時に避難所の空調設備を確実に稼働させることで、このLPガスを利用したガスヒートポンプエアコンのように、やはり、いざというときのユーティリティーというものを高めていかなければいけないというふうに考えております。

 避難所に求められる設備というものはどうあるべきか、また、技術のイノベーションに対して、これを積極的に活用していく必要性、そのような面でどのような見解を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

小平政府参考人 内閣府におきましては、発災後における避難所の生活環境の整備のため、市町村向けに、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を公表いたしまして、その中で、優先順位を考慮して、必要に応じて、暑さ対策等、生活環境の改善措置を講ずることを周知しておるところでございます。

 災害救助法が適用される災害が発生した場合には、避難所にクーラーを整備した場合のリース代などの料金についても、国庫負担の対象としてございます。

 また、平成三十年七月豪雨災害では、被災地のニーズや市町村の対応状況を確認しながら、被災者の命にかかわるクーラーなどの生活必需品について、プッシュ型支援を実施したところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携して、避難所の生活環境の整備を図ってまいりたいと思っております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 国の方から自治体に、避難所にこのエアコンがいいぞとか、それはなかなか難しいところもあろうかと思います。これは自治体の裁量でいろいろいいものを使っていただきたいと思いますが。

 今回、私も新聞で報道されたのを見て大変おもしろいなと思いましたのは、箕面市のエアコンが、更に空調の効率を上げるために、エアコンのところに整流板という板と、それから送風機をここのところにつけまして、一気に床面にエアコンの冷気、暖気が届くように工夫をされている、創意工夫をされているというのが大変おもしろいなと思いまして、詳しく読みましたら、市の職員の方に過去に空調会社にお勤めだった経験を持たれている方がおられて、その方が技術的な相談をメーカーとされて、新しく開発したというか、工夫されたということがございました。

 そう考えますと、意識をしっかり高く持って先進的な取組をしておられる自治体には、国もまた積極的に評価して、御支援いただきたいと思いますし、この箕面市だけではなく、私どもの地元の高槻市も島本町も、あるいはそれぞれの皆様の御地元でも、本当に自治体の皆さん、頑張っておられると思いますので、そういう点でさらなる御支援をいただきますことをお願い申し上げ、被災地の応援メッセージを込めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 引き続き、地元の復旧復興のためにしっかりと尽力してまいりますことをお誓い申し上げまして、終わりとさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

堀内主査 これにて大隈和英さんの質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史さん。

藤野分科員 日本共産党の藤野保史です。

 原子力規制委員会の皆さんに来ていただいていると思うんですが、規制委員会は、関西電力の高浜原発、そして美浜原発、大飯原発に対して設置変更許可を与えております。その際に、降下火砕物、いわゆる火山灰について審査もされております。

 規制委員会にお聞きしたいんですが、そもそも、何で原発の再稼働の審査で火山灰の評価が重要なんでしょうか。直接的影響、間接的影響について、簡潔に教えてください。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの降下火砕物の影響評価でございますが、火山影響評価ガイドというのがございまして、この中で、まず、直接的影響につきましては、原子力発電所の構造物への静的な負荷、粒子の衝突、水循環系の閉塞及びその内部における摩耗……(藤野分科員「ガイドそのものを読んでくれませんか、ガイドそのもの」と呼ぶ)ガイドそのものです。ガイドそのものを今御紹介しております。電気系、計装系に対する機械的、化学的影響、並びに原子力発電所周辺の大気汚染等の影響を挙げてございます。

 それから、間接的影響につきましては、原子力発電所周辺の社会インフラに及ぼす影響を挙げてございまして、この中には、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限事象が発生し得るということも考慮する必要があるということでございまして、このような重要性があると考えてございます。

藤野分科員 私がそのものと言いましたのは、今お話のあった前の部分に「降下火砕物は、最も広範囲に及ぶ火山事象で、ごくわずかな火山灰の堆積でも、原子力発電所の通常運転を妨げる可能がある。」、こういう記述があるわけですね。間違いありませんか。

 通告してあるので、早くお願いします。

櫻田政府参考人 済みません。御通告をきちんと持っていなかったんですけれども。

 直接的影響のところに、今議員の御指摘のとおり、降下火砕物は最も広範囲に及ぶ火山事象でありまして、ごくわずかな火山灰の堆積でも原子力発電所の通常運転を妨げる可能性がある、こういうことでございます。

 失礼いたしました。

藤野分科員 今答弁あったように、ごくわずかな火山灰でも原子力発電所の通常運転を妨げる可能性がある、だから審査するわけであります。

 関西電力は、この火山灰の厚さについて、審査の際、最大でも十センチだと。この十センチをもとに、皆さんも再稼働の設置変更許可を出されたわけであります。

 ところが、その後、原子力規制庁が新たな火山活動の評価手法の整備に関する知見を収集する過程で、大山、鳥取、島根の間にある大山から噴出する火山灰の噴出量について新しい知見が得られたと発表をされております。

 規制委員会に確認します。どのような新しい知見でしょうか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの新しい知見でございますけれども、これは京都市越畑地域というところで、大山の噴火、これは何度もやっていますけれども、そのうちの一つであります大山生竹テフラ、略称でDNPと称してございますが、このDNPが堆積されているというところがございまして、そこの現地調査を行った結果として、降灰層厚をこの地域においては二十五センチ程度というふうに評価しました。

 それから、このDNPの噴出規模につきましては、規制の観点からは、既往の研究で考えられてきた規模を上回る火山爆発指数6規模、これは略称でVEI6と言ってございますけれども、規模と評価することといたしました。このVEI6規模といいますのは、火山の爆発による噴出量につきまして、十立方キロメートル以上百立方キロメートル未満、こういう規模でございます。

藤野分科員 要するに、十センチだった火山灰の最大厚さが二十五センチということが新しい知見として得られたわけであります。

 この知見を受けて、原子力規制委員会は、二〇一八年十二月十二日に、関西電力に対して新たな命令を出しております。これは原子炉等規制法第六十七条一項に基づく報告徴収命令であります。

 配付資料の一をごらんいただきますと、この際の原子力規制委員会の文書であります。黄色くしているところを読ませていただきますと、「貴社の高浜発電所、大飯発電所及び美浜発電所に関する原子炉設置変更許可の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性があると考えられる」ことから、今回の命令を命ずるということであります。

 規制委員長にお聞きしたいんですけれども、この三つの発電所に対する設置変更許可の前提は火山灰の厚さ十センチということだったわけですが、新たな知見が得られて、再調査で有意な変更の可能性も指摘されている。これは、もしその前提が変わる結果が出たら、設置変更許可を取り消すということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 お尋ねの大山火山の大山生竹テフラに関する新知見に基づきますと、関西電力の三発電所、大飯、高浜、美浜発電所における敷地の降下火砕物、いわゆる火山灰の最大層厚に影響を与えて、原子炉設置変更許可の際の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性があります。

 そこで、先生御指摘のように、原子力規制委員会は、関西電力に対し、原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚などについて、三月三十一日までに報告するように指示したところであります。事業者からの報告は速やかに公開の会合で審議し、四月中をめどに、原子力規制委員会として、これに基づく規制上の対応の要否及びその内容について判断することとなります。

 最大層厚、これは十センチというのが設置変更許可時の前提でありますけれども、この新知見を踏まえてこれがどのくらい変化するのかという報告を受けて、それに対して各発電所が十分な対策をとり得るものかどうかというものについて、今後判断をしていくということでございます。

藤野分科員 今回の厚さの問題は、単に火山灰の厚さがちょっとふえたという話じゃないんですね。建屋などの重要施設がその重みに耐えられるのか、あるいは取水口などが大丈夫なのか。取水口というのは、要するに冷却機能にかかわる大問題になってきますし、フィルターの問題も皆さんもチェックされているところであります。

 例えばですけれども、配付資料の二を見ていただきますと、関西電力が二〇一八年の十月五日に規制委員会との意見交換会で配付した資料であります。

 これは、降下火砕物に対する施設の裕度についてという、施設ですね、どれだけの火山灰の厚さに耐えられるかということで関電がいろいろ出してきているわけですが、黄色くマークしてあるように、大体二十センチ前後なんですね。高浜の場合二十一センチ程度、美浜の場合二十センチ、古い高浜一、二号の場合は十九センチ程度ということでありまして、これは十センチがもともとだったですから、十九センチでも耐えられるという話ですけれども、これが仮に二十五センチを超えるような話になってきますと、建屋自身が耐えられないということを関電自身が出しているわけですね、資料として。ですから、これは大変な問題になるわけであります。

 しかも、その右側の方を見ていただきますと、「荷重組合せ」というところに、要するに「地震との重畳は行わないこととしている。」とありまして、地震の影響を考えていないんです。地震の影響を考えないでも、十九センチとか二十一センチだともう建物は耐えられませんよ、裕度がありませんよ、こういうのを関電自身が言ってきているわけで、まさに前提が大きく変わってくる。この二十五センチというのは、それだけ大きな意味を持つ新しい知見だと思うんですね。

 ですから、今、審査はこれからだというふうにおっしゃいましたけれども、非常に私は重い審査になると思っております。新たな知見に基づく判断は非常に重い。

 であればですけれども、更田委員長、重ねてお聞きしたいんですが、そういう重い審査の途中なわけですね。それによっては取り消す可能性だって私は否定できないと思っていますが、そういう審査中であれば、その判断を下すまでの間、やはり危険な原子炉の可能性があるわけですから、これはとめるべきじゃないでしょうか。いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 二十五センチという火山灰、降下火砕物の層厚は、越畑地点における現地調査によって確認されたものであります。

 越畑地点は、大山に対して、相対的な位置から考えて三発電所よりも近い地点にありますので、層厚、火山灰が降下した際の層厚は厚いものになります。

 ですから、二十五センチがそのまま三発電所に適用されると予想することはちょっと考えがたく、現時点において、その層厚は関西電力の評価を待つところではありますけれども、停止を命じなければならないような影響を持った新知見だというふうには考えておりません。

藤野分科員 これは大問題だと思うんですね。二十五センチで済むかどうかも、逆に言えばわからないんですよ、風向き等々によれば。それをもとに可能性すら否定するというのは、私、ちょっと、安全に責任を持つ委員会として、あってはならない態度だというふうに思います。

 規制委員会自身が新しい知見を認めて、その重大性に基づいて報告徴収命令という、これは罰則つきの極めて重い命令であります、かつてない命令ですよ。一旦審査を通しておいて、再稼働の許可を出しておいて、その前提になっていた知見に有意な変更の可能性があるといって求めているわけですね。それで今から可能性を否定しているのであれば、何のための報告徴収命令か。規制委員会の存在意義そのものにもかかわる今の答弁、私は大問題だと思います。

 更田委員長は、この巨大噴火について、この間指示を出されております、考え方をまとめよと。これは広島高裁で、火山評価ガイドに基づく、ある意味忠実に当てはめた決定が出たことを受けて、そして、差しとめられたんですね。差しとめ決定を受けて、慌ててといいますか、二月二十一日に出されて、三月上旬、七日にはもうまとまったという非常にスピーディーな、基本的考え方というものを更田委員長の指示で出されました。

 この中に、私、ちょっと看過できない部分があるんですね。こちらで紹介させていただきますと、こういう記述があります。

 更田委員長がおっしゃっているのは、巨大噴火について、その発生を想定した法規制や防災対策が行われていないことを考えれば、巨大噴火の発生可能性は、相応の根拠を持って示されない限り、巨大噴火によるリスクは社会通念上許容される水準以下であると判断できるというふうに、国会でも答弁されております。

 私は、この火山大国日本に暮らしていて、一体どこをどう考えたら噴火のリスクが社会通念上許容されるという認識になるのかと思って、いろいろ調べてみました。そうしますと、政府の認識、政府の実際にやられていることと、規制委員会の認識はどうも違うんじゃないのか。

 例えば、配付資料の四、ちょっと三を飛ばして四を見ていただきますと、これは内閣府が設置されている広域的な火山防災対策に係る検討会がまとめた二〇一三年五月の大規模火山災害対策への提言でありますが、そこにもこうあります。「環太平洋造山帯に位置し、百十もの活火山を有する我が国では、古来幾度となく大規模な火山災害に見舞われており、その歴史を振り返れば、いつの日か再び大規模な火山災害が発生することは避けられないであろう。」。ちょっと飛ばしまして、「今世紀中に大規模噴火など大規模な火山災害が発生してもおかしくないと考えられる。」、こういう指摘であります。この内閣府の指摘、私、これは本当に社会通念だなというふうに思うんですね。

 別の政府機関も、同じ認識で行動していると思うんです。これはほかでもない原子力規制庁であります。規制庁は、二〇一九年度から二〇二三年度まで、大規模噴火プロセス等の知見の蓄積に係る研究というものを行うと、ことし発表されました。

 規制庁にお聞きしますが、同研究プロジェクトの目的というのは何なんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの研究の目的でございますが、これは、巨大噴火を起こした火山を対象にして、巨大噴火の準備段階からのプロセスについての知見を得ること、それに基づきまして、過去の噴出物の調査及び分析に基づいて過去のカルデラ火山活動の長期的な活動評価の手法を検討する、そして、マグマ、火山活動に関するデータを蓄積して、モニタリングすべき項目の抽出及びそれらの関係についての考え方を提案するというものでございます。

 ここでモニタリングと申しますのは、噴火の時期や規模を予測するということを目的としているものではございませんで、審査時の評価の根拠が継続していることを確認するために、あくまで火山の状態の変化を検知するということを目的としているものでございます。

藤野分科員 要するに、これは個人的興味じゃないんです。原子力規制庁が税金を投入してカルデラ火山の研究を行っている。これはまさに、社会通念上こうした火山のリスクが許容できないから、まさに税金を使ってやっているわけですね。

 この研究だけではありません。内閣府は、昨年九月から、防災対策実行会議のもとにワーキングチームを立ち上げて検討を開始していると思います。

 内閣府にお聞きしますが、この検討会の設置趣旨は何でしょうか。

小平政府参考人 お答えいたします。

 中央防災会議の大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループでは、都市機能が集積した首都圏等を中心とした地域における降灰の影響とその対策について検討することとしております。現在、大規模噴火に該当する一七〇七年の富士山の宝永噴火をモデルケースに検討を進めているところでございます。(藤野分科員「設置趣旨を聞いています」と呼ぶ)

 設置趣旨、趣旨そのものをちょっと読み上げさせていただきますが、「大規模噴火時には山麓のみならず、遠隔地域においても火山灰が堆積し、国民生活、社会経済活動に大きな混乱が生じることが懸念されていることから、都市機能が集積した首都圏等を中心とした広域な地域における、大規模噴火時の応急対策の在り方等について検討を行うため、防災対策実行会議の下にワーキンググループを設置する。」、このようにしております。

藤野分科員 要するに、大規模噴火時には国民生活、社会経済活動に大きな混乱が生じることが懸念される、だからやっているわけですね、内閣府でも。つまり、政府はいろいろな形で大規模噴火に対する対策を検討しております。

 委員長にお聞きしたいんですが、リスクが社会通念上許容される水準以下、この認識というのは政府の認識とも違うんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 内閣府の方で先生が挙げられました調査活動ですが、これは、ただいまの答弁の中にもありましたように、降灰の影響とその対策について検討することを目的としたものであります。

 大規模噴火という言葉で一口にまとめられてしまっておりますけれども、降灰の影響やその対策については、原子力規制委員会の審査におきましても考慮の対象として、降灰対策並びに建物等に積もる火山灰の影響による耐震性に及ぼす影響等について審査をしております。

 一方で、今、設計対応不可能な火山事象として挙げている巨大噴火というのは、先ほど申し上げましたように、一口にまとめる巨大噴火の中でも、例えば歴史上痕跡が残っているものでいえば、九州全域が数時間のうちに壊滅するような、いわゆる巨大なカルデラを残すような巨大噴火を対象としております。

 そのようなカルデラ噴火については、その発生を想定した法規制や防災対策は行われておりませんので、巨大噴火の発生可能性が相応の根拠を持って示されない限り、巨大噴火によるリスクは社会通念上容認される水準以下であると判断をしているところであります。

藤野分科員 規制がないということを繰り返されるわけですが、何でそういう巨大な、今おっしゃられたような物すごい規模の噴火に対する規制がないかというと、それがなぜ起きるのか、どうして起きたのか、これがわからないからなんですよ。わからないから、そもそも規制するにしたって、何を見たらいいのか、それがわからない。だから皆さんも、先ほど言ったように、今からやりますけれども、新たにプロジェクトチームを立ち上げているわけですよね。

 配付資料の五を見ていただきたいんですけれども、これは先ほど紹介したプロジェクトなんですけれども、まさにカルデラ火山、おっしゃられたような巨大噴火につながるようなカルデラ火山噴火、これについてのプロセスを見ようということなんですね。

 私が紹介したいのは、その黄色のところであります。

 「背景」というところ、評価ガイド、これは今ある火山評価ガイドでございます。「評価ガイドで求めている火山モニタリングは、審査時に評価された静穏状態が継続していることを確認することであるが、変化が生じた際の判断の基準は明確になっていない。」、だからやるんだというんですね、その変化が生じた際の何を見るべきかというのを。

 その下にある「目的」のところですけれども、それを地質学的にも見ていくし、岩石学的にも見ていくし、地球物理及び地球化学的手法によっても見ていきましょうと。それによって、変化が起きているかどうか、変化が生じているかどうかの際のモニタリング項目を、(4)にありますけれども、(1)、(2)、(3)の知見に基づいて、モニタリングすべき項目の抽出及びその関係についての考え方を検討しましょうというふうになっているわけであります。

 委員長、お聞きしたいんですけれども、要するに、規制委員会は、火山の状態に変化があった場合は原発を停止することもあると認められていますよね、変化があった場合は。それはそういうお立場だと思うんです。

 ただ、問題は、その肝心の変化なるもの、変化をどう見るのか。今変化が起きているぞというふうに判断する際の、何をモニタリング項目として持ったらいいのか。どういうふうに見ていくのか、地質学的に、岩石学的に、地球物理学的にどう判断するのかというのがわかっていないわけですよね、基準がない。だからこういうプロジェクトを皆さんがやられるわけです。

 ですから、規制がないからとか、そういう対策がとられていないから社会通念上容認されている、これはおかしいんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 巨大噴火、いわゆる巨大噴火と一口にまとめてしまうとまた誤解を呼びますけれども、広域が一瞬にして壊滅的な被害を受けるような噴火については、確かにその予兆を捉えるという技術が確立しているわけではありません。

 そういった意味で、今先生がプロジェクトと呼んでおられるものは、いわば基礎研究の範疇に入るものであって、どのような手法をすれば有意な変化というものが捉えられるかということについて知見を積み重ねようとするものであります。そういった意味で、何が有意な変化かということを審査の段階において明確に定義できているわけではありません。

 そういった意味で、変化があらわれたときに、その時点において可能な限りの知見に基づいた対策をとるという形で審査を行っているのは、その有意なる変化なるものを、今の時点で、この設置許可を与える時点において定義することが現実的ではないという判断に基づいているものです。

 繰り返しますけれども、巨大噴火については、人類が文字を得る以前に起きたものでありますので、記録等がありませんから、そういった意味で、予兆に関するものに関しても明確な定義を持っているものではありません。

藤野分科員 今おっしゃられたことを踏まえて、だからこそ、今おっしゃられたように知見がないわけですから、それを法規制がないことの理由にしたり、あるいは対策がとられていないことの理由にするのはおかしいんじゃないですかというのが私の質問です。

 ないとお認めになったわけですから、ないものを見当違いの規制をしたってしようがないわけですよね。だから研究しようじゃないかということで、税金を使ってやられるわけです。その姿勢であるならば、法規制がないことを理由に社会通念上許容されているというような、こういう論立てはおかしいんじゃないかというのが私の質問です。もう一回お答えください。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 巨大噴火、いわゆる一瞬、短い期間で広域が壊滅的な被害を受けるような規模の噴火についての知見が限られているということは、先ほど申し上げました。

 しかしながら、そのような可能性が完全に否定されない地域においても、経済活動、居住など、その他社会上の活動は許可されていて、そこでも経済活動等が営まれているという状態との比較において、社会通念上、原子力発電所だけがその可能性を否定しないことをもって設置が許可されないという判断をとっているものではありません。

藤野分科員 結局、質問には答えられないわけですね。

 自分たちがそういう論立てをしていること自体を私は問題にしているんです。ないわけですから、知見が。だから調べようと皆さんおっしゃっている。そのとおりだと思いますよ。だったら、それをもとに法規制がないことを社会通念が許容しているなんということに用いてはだめだということなんです。これについては、二度聞いてもお答えがない。

 もう一点お聞きしたいんですが、配付資料の六を見ていただきたいんですけれども、これは今、先ほど申し上げた広島高裁の判旨の一部を紹介させていただいております。実は、この判旨でも、社会通念で判断すべきか、いや、やはり火山ガイド、新規制基準で判断すべきかというのを高裁自身が悩まれたんですね。悩まれた上で判示されている、そこをちょっと紹介しているんです。

 上の方では、「確かに、」とありまして、ここでありますように、「確かに、現在の火山学の知見では、」、ちょっと読むとあれなので黄色いところだけ読みますと、「発生頻度が著しく小さい自然災害については、火山ガイドを除きそのような自然災害を想定した法規制は行われておらず、」、これは委員長が言ったとおり、「法規制は行われておらず、国もそのような自然災害を想定した対策は(火山活動のモニタリング以外は)策定しておらず、」というふうに言っているんですね。「にもかかわらず、」云々で、要するに、こういう場合だから社会通念上は容認するという、「前記のような発生頻度が著しく小さくしかも破局的被害をもたらす噴火によって生じるリスクは無視し得るものとして容認するというのが我が国の社会通念ではないかとの疑いがない」わけではなく、こう判示の中で触れられているんですね。

 これはやはり、高裁としてのある意味の悩みといいますか、こっちで高裁も判断すべきじゃないのかなと考えたと思うんです。

 ところが、「しかし、」以下にありますように、「当裁判所の考える社会通念に関する評価と、原子力規制委員会が最新の科学的技術的知見に基づき専門技術的裁量により策定した火山ガイドの立地評価の方法・考え方の一部との間に乖離があることをもって」、原判定のように「火山ガイドが考慮すべきと定めた自然災害について原決定判示のような限定解釈をして」、限定解釈というのは要するに社会通念ですね、「限定解釈をして判断基準の枠組みを変更する」、火山ガイドから社会通念に判断枠組みを「変更することは、原子炉等規制法及びその委任を受けて制定された新規制基準の趣旨に反し、許されないと考える。」、これが広島高裁の判示なわけであります。

 もともと火山評価ガイドには、巨大噴火が社会通念上許容されるなどという文言は一言もないわけですね。火山ガイドは火山ガイドで、いろいろな判断基準を示している。それは最新の、わからないけれども、最新の科学的知見に基づいているわけですね。

 広島高裁は悩んだけれども、社会通念でやるベきかなと悩んだけれども、いや、最新の、やはりあの三・一一を経験して、最新の科学的知見によるべきだということで、こういう判示に至っているわけであります。

 しかも、私、大事だと思うのは、高裁が、原子炉等規制法、そしてその委任を受けて制定された新規制基準を是とするといいますか、私たちはいろいろ意見はあるんですよ、炉規法とか、あるいは新規制基準に対していろいろな意見を持っています、しかし、この高裁決定は、それはよい、合理的である、そういう立場なんです。

 しかも、それに基づいて火山評価ガイドもつくられているではないか、だったら、その趣旨からして、現行法の趣旨、規制基準の趣旨からして、判断基準を社会通念に限定することはけしからぬと言っているわけです。

 委員長に最後お聞きしたいんですが、やはり社会通念に基づく判断というのは、こういう現行法、あるいは新規制基準の趣旨にも反するんじゃないですか。いかがですか。

堀内主査 申合せのお時間が既に経過しておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 私どもはそのように考えておりません。

藤野分科員 もう終わりますけれども、こういうのを答弁不能というんですよ。

 ですから、余りにも短いのでちょっとこちらも切り返せないんですが、要は、そういう意味ではもうお答えにならないということで、厳しく抗議をして、質問を終わります。

堀内主査 これにて藤野保史さんの質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一さん。

串田分科員 日本維新の会の串田誠一です。

 きょうは、動物の件についてお伺いをしたいと思います。

 先日行われました予算委員会におきましても、動物に関する質問をさせていただきまして、原田環境大臣から丁寧な御説明をいただきまして大変感謝をいたしております。大臣の動物に対する思いというのも大変私も受けとめさせていただきました。

 ただ、国として動物に対する保護というのが十分であるのかどうかという面においては、非常に注目度がまだまだ低いのではないかというふうに私としては思っているわけです。

 何日か前に、院内である映画の上映会がありました。私もすごくショックだったんですけれども、それは犬食文化という、犬をお肉として食べるという文化に関する映画でございましたが、何と、日本も大量の犬の肉が輸入され、そして百以上のレストランで食べられているということなんですね。

 これに関しては、アメリカは、著名人、映画俳優だとか含めまして、こういったようなことをやめましょうという活動を非常に行われまして、昨年、この犬食を禁止する法律ができたんですね。これはヨーロッパも同じような、非常に、こんなのでいいのかということが盛り上がっていって禁止になったんですが、では、果たして日本の場合には、こういうようなことがマスコミも伝えているのかどうか。これは、どういう人が食べるかというと、在日外国人が食べるのが圧倒的に多いんですね。やはり、日本人が犬を食べるという文化というのは、今、ないのではないかな、少ないのではないかなと思うんです。

 そういう意味で、果たしてこのままでいいのかどうか。もちろん私は反対なんですけれども、いろいろな食文化に関しては考え方も違いがあるでしょうから、これはいい、これは悪いというようなことの結果の中で、今の国民世論はいいんじゃないかというのであれば、それは国民世論ですから、私もそれに対して断固として、力ずくで反対するというわけにはいきませんが、そういうような世論自体が日本に沸き上がっているのかどうか、こういうようなことを自由にさせておいていいのかどうかという議論がちょっとないんじゃないか。国会も、そういったような議論をして、こういったような法律を考えていく必要があるのではないかと私は思っております。

 今回、この前、予算委員会で、テレビ中継ということで、大変貴重な時間を委員長からいただきまして、質問させていただきました。そのときに、非常によかったと言ってくださる人も多かったんですが、中には、今これをやる必要があるかどうかという御批判もいただいたわけです。謙虚にそれは受けとめなければいけないんですが、今、統計調査という質問が非常に多い中で、私も統計調査というのは非常に重要だと思うんです。ただ、今、犬や猫だとかの動物の殺処分が年間四万頭、一日に百頭以上が毎日毎日処分されている中で、今やるべきことかと。今やるべきことだと私は思っているわけです。

 そういう意味で、もう少しいろいろな意味での法律に関して携わっていきたいと思っているんですが、今回の動物愛護管理法というのは、大臣も予算委員会で何度も口に出していただいたんですが、残念ながら、残念ながらといいますか、議法なんですね、議員立法なんです。

 議員立法というのは、御存じのように、大変法律にしにくいというか、内閣の提出法案が優先される。それは議院内閣制からするとかなり合理性があると私は思っているんです。ただし、その中で、議員立法も内閣提出法案と同じぐらい大事なものがあるのではないかというふうに思っているので、それは原田大臣が何とかできるものではないと思いますし、この前は安倍総理に対して質問させていただいたんですが、この動物愛護管理法等、こういったような改正と、環境省としてはどういうような捉え方をしているのか。内閣提出法案ではないから、議法だから、それはもう後回しなんだ、時間が余ったときにやればいいんだ、そんなような気持ちなのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

原田国務大臣 最前の予算委員会でも議員の非常に熱い思いをしっかり聞かせていただきました。まさに人と動物が共生する社会をやはりきっちりつくらなきゃいけない、そのためには、議員も、また国民の皆さんにも動いていただかなきゃいけないわけであります。

 今、閣法か議員立法かというお話もございました。これは私の個人的な認識でもそうですが、成り立ち、毛色は多少違うけれども、いずれも大事な法律であって、その効果においてはいささかも変わるものではございませんから、今お話のありましたような具体的な案件については、それぞれ、意思を皆さんと集めて、最終的に議員の間で決めていただくか、ないしはまた、政府としてこれはやらなきゃいけないかというのはしっかりまた判断していきたいな、こう思っております。

串田分科員 これは改正が五年後と、今回は既にもう何年かおくれてしまっているんですね。去年本当は成立をさせたかったんですが、成立をすることができなくて、もちろん自民党も含めまして、もう全ての超党派で、我が日本維新の会もそうなんですが、超党派でこの法律を成立させようということで、今一生懸命やっているところなんです。

 ただ、今回の国会というのは、選挙もありまして、延長もできないような状況であることは、これはもう重々承知しているんですね。ですけれども、何とかこの議法が成立をしないと、従来どおりの、動物に対する保護というものがなされないまま過ぎ去ってしまっていくということで、また毎日毎日、百頭以上の犬、猫、その他の動物が処分されている、この法律が改正されることによって、その数というのはかなり減らすことができるのではないかという希望のもとにつくっている法律なんですよ。

 本当に、そういう意味で、今やらなければいけない法律だと思いますので、ぜひとも大臣の方からも、どういうようなお力添えかわかりませんが、とにかく精いっぱいやっていただきたいというふうなことをお願いをしたいと思います。

 ところで、この動物愛護法も含めまして、動物に対する保護というのは環境省がやっているということなんですが、ちょっと国民からするとわかりづらい、何で環境省なんだろうというところがあって、一歩間違えますと、野良猫が環境によくないから、それを、環境をよくするために、まあ悪い言い方をすると、処分をしていくというような形で、環境をよくするんだというような捉え方もされてしまうと思うんです。動物の愛護が何で環境省なのかというような部分が、私は、誤解を招く可能性があると思うんですね。

 これが環境省になったいきさつというのは、前は総理府か、余り詳しくはわからないんですけれども、そういったところから、合併の中で環境省に入ったと聞いています。

 今は動物愛護室というところが行っているということなんですが、人員が、大臣から見て、ほかの政府参考人でも結構なんですが、非常に、動物というのは今すごい数になってきていますし、そういう意味では、高齢化になっているということで、動物を飼われている方もたくさんふえているんですね。

 そういう中で、主がいなくなってしまったときの動物の管理というものも含めまして、自動的に保健所に行ってしまうというようなこと、これをそのままにしておくことはやはり問題だと思いますし、何かこう国を挙げてそういったような整備もしなければいけないんですが、環境省が、動物の愛護に関して人員が足りているのかどうか。合併で環境省に来たけれども、環境省としては専門じゃないよというようなことでは大変困るわけですよね。そして、ちょっと聞いている限りでは、人員もそれほど多くないというような話も聞いているんです。

 そういう意味では、もっともっとここを強化をしていかなければいけないと思うんですが、その点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御指摘のとおり、動物愛護行政につきましては、平成十三年、省庁再編に伴いまして、当時の総理府から環境省に移管されてございます。

 現在の動物愛護管理行政につきましては、環境省におきまして、自然環境局の総務課動物愛護管理室が担当しているところでございます。

 また、実際の動物愛護管理法の実務、例えば動物を取り扱う業者に対する規制の運用等におきましては、同法に基づきまして、都道府県、政令市、中核市において自治事務といたしまして立入検査や指導が行われているほか、虐待に対しましては、同法に基づき、関係機関が連携して対応を進めている、こういうところでございます。

 引き続き、私どもといたしましては、都道府県等と連携しながら、また、いろいろな課題が出てまいりますので、必要な体制の確保に努力しながら、動物の適正な取扱いを進めることにより、人と動物が共生する社会の実現に努めてまいりたいと考えております。

串田分科員 今、地方自治体の話が出ましたけれども、地方自治体がまた、この処理の仕方がまちまちなんですね。

 この前、動物愛護管理法改正大交流会というのが院内で行われまして、それこそ本当にたくさんの方々が来ていただいたんですが、その中で一つ大きなテーマとなっているのが、遺失物法との関係なんです。

 遺失物法と動物、どう関係するのか、ちょっとわかりづらいと思うんですけれども、例えば、迷子犬とか迷子猫、この処理の仕方というのが、要するに、物というような形で、財物として、ここは変な話なんですけれども、財物として扱うということになると、保管期間というようなものがあるわけなんですが、この保管期間というものを地方自治体が曖昧にして、捕まえてしまってすぐにその日のうちに保健所で処分をするというようなことも行われているんですよ。

 そういう意味で、ほかの地方自治体ではちゃんと何日か待って、ちゃんとその所有者があらわれるのを待って、その後、里親とかもいろいろやる地方自治体もあれば、すぐに処分をしてしまう地方自治体もあって、それがもうまちまちなんです。

 というような意味で、先ほどの答えの中で、環境省が地方自治体とも連携し合ってというようなお話がありますけれども、実態は、こういったところはやはり国がリードして、リーダーシップを示さなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 特に、遺失物法と動物というのは、これは法律との関係なので、議法が成立するかどうかという問題じゃなくて、既に成立をしている法律とその動物との当てはめ、これが国の中で、地方自治体で扱いがまちまちというのは、これは大変問題ではないかと思っています。

 もう一つは、この動物の殺処分のことに関しましても、この前予算委員会でお話をしましたように、ガス室なんですよね。二酸化炭素、炭酸ガスで処分をしています。

 これに対しては、国立国会図書館の資料でも、アメリカ、イギリス、ドイツで調べられておりますが、全て安楽死なんですね。一つは、ヨーロッパの場合には、獣医師によって、注射によって処分をする、苦しまないで処分をすることができるんですが、日本はガス室なんです。ガス室という言葉が、もうとても耐えられない、私としてはすごく耐えられないんですね。同じ地球上の動物の中で、処分されたいがために生まれてきたわけじゃないんですよ。

 そういうものを、人間の要するに都合だけでもって、ベルトコンベヤー、それこそ本当にベルトコンベヤー式に押し出されて、壁で押し出されていって、一つのボックスに入れられ、そしてそこにガスが、二酸化炭素が注入される。画像を見るとやっぱり苦しいですよ、苦しがっていますよ。そういうような処分の仕方というのは法律で改正できるんです。

 法律で改正できるので、ぜひとも、議法、議法といって、何か内閣があるいは政府がそれに取り組まなくていいというようなことではないわけですから、取り組むことはいっぱいあるんですから、もうちょっとそれに対して取り組んでいただきたいし、もしそれで予算が足りないのであれば、しっかりとそれは予算をとっていっても、それは国民はそれに対しては文句は言わないと思うんです。

 いろいろな意味で、行政的な無駄が私たちは多いと思っています。日本維新の会はその点について追及はずっとさせていただいていますけれども、必要な予算はもちろんふやさなければいけないと思っているので、動物に関して、管理室の人数が、合併によってやってきたからということで、そういう意味で議法に任せている、そういうことじゃなくて、環境省としてしっかりと法律の規制をしていただきたいと思うんです。

 ちょっと質問をかえますけれども、ブリーダー、生産者に対する規制なんですけれども、これに対しては、非常に自由に生産者ができ上がっていくというようなことで、本当にむやみに数だけふやして、予算委員会でもお話をさせていただきましたが、お母さん犬とかお母さん猫が一生涯のうちに何回出産をするか。やはり規制しないと、ブリーダーは、どんどんどんどん産ませて、そして、そのときには小さな小さな箱の中で、散歩もさせないで、とにかく子供を産ませるだけ産ませ、そして産めなくなった場合にはもう処分されてしまうという、こんな悲しい状況がある中で、そういったようなものはちゃんと諸外国は規制をしているわけですよ。

 日本は本当に規制が足りないと思うんですが、生産者のブリーダーに対して許可制にするというようなお考えはないんでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法におきましては、ブリーダーを含みました犬、猫を販売する者は、第一種動物取扱業といたしまして、資格要件や飼養施設の構造、規模、こういったものに関する要件を満たした上で、都道府県等の登録を受ける必要があり、さらに、五年ごとに審査を踏まえましてその更新を行う必要があります。

 加えて、この業の登録後におきましても、動物の飼養管理方法等に関する基準を遵守することが義務づけられているところでございます。この基準を遵守していない事業者に対しましては、都道府県知事が勧告、命令を行うことができるようになっておりまして、その命令に違反した場合につきましては、取消処分でございますとか罰金の規定が設けられているところでございます。

 このように、現在は登録という形でございますが、一定の条件を満たすことが必要であるとともに、登録の取消しも可能な制度となっているところでございまして、環境省といたしましては、ブリーダーを含むこのような業者に対しまして、適切な飼養が行われるよう、引き続き、自治体と連携を図って取り組んでまいりたいと考えております。

串田分科員 取消しという話がありましたが、まさにその取消しをするときの基準というのをおっしゃられました。

 その基準が今回の動物愛護管理法の改正に書いてあるんですよ。いろいろな意味で、その基準を変えていく。前の基準は余りにも甘かった、だからもう少し基準を高くしようというようなことが動物愛護管理法で、今一生懸命みんなが知恵を出し合ってつくっている法律なんですね。これが、閣法の後だ、時間がないから今回も成立できないということになると、結局は、それは、ブリーダーの規制というものの要するに魂が入っていないことになるんですよ。基準があるから登録をなくすというような話ですけれども、その基準自体が甘いままだったら何にもならない。

 今まさにそれを超党派で、国民が信託して国民の代表者として国会に送った、その国会が与党、野党を問わずに超党派で成立している法律なんですよ。これを成立させなくて国会の仕事をしているかということを私は強く言いたいと思います。

 ぜひとも、こういうようなことで、動物愛護管理法だけは通していただきたいということを申し上げているんですが、その中で、動物の販売規制ということで、八週齢という話をさせていただきました。これは五十六日ということなんですが、こういったようなことを、私は犬猫殺処分ゼロ議員連盟に入っている中でいろいろな勉強会をしているんですけれども、八週間がいいのか七週間がいいのかというのがいろいろと議論がなされているんですね。

 それで、環境省の職員の人がどうも八週齢に対して抵抗を示すような発言をなされているような感じがするんです。議員はほとんどが八週齢を賛同していると思うんですが、環境省の人がやってきて、いや、それは根拠がないとか、そんなようなことを言っているような気がするんですが、その点、ちょっと明確に説明していただけないでしょうか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年に施行されました改正動物愛護管理法の附則に基づきまして、環境省では、犬、猫の幼齢個体を親兄弟から引き離す理想的な時期に関する科学的知見を収集するための調査を行いまして、一昨年十二月、幼齢犬猫の販売等の制限に係る調査評価検討会におきまして、専門家による検討を行っていただいたところでございます。

 その結果でございますが、例えば、七週齢で親等から引き離した犬の問題行動と八週齢以上で引き離した犬の問題行動の程度に、全個体を対象とした解析では有意な差がありましたが、その差はわずかであったということでございまして、検討会の結論としては、親兄弟から引き離す日齢と問題行動の発生の関係性は証明されなかった、こういう結論を得たところでございます。

 その結果や海外の知見を中央環境審議会動物愛護部会にも報告したところでございまして、また、先生方が御議論いただいております議連等の場におきましても、この検討結果として御報告をしたということでございます。

串田分科員 その検討の仕方の、調査の数値自身がいろいろ疑義は出されているわけですし、その有意性は、今わずかながらとおっしゃられましたが、そのわずかながらという評価というのは、これは人間が行っているわけですよ。動物がどう思うのかというのを何で人間が判断するのか。わずかながらと言いながらも、差があったわけですよね。そして、国会でこの法律を変えようと言っているときに、何でそれを行政が反対するのか、これはよくわからないんです。

 こういうところだけ反対するぐらいだったら、どんどんどんどん率先して法律にすればいいのに、その法律にするときだけは議法だと言って後回しし、せっかく議法でつくろうとしているときには、わずかだから、それは証明できないから七週のままでいいんだみたいな発言をされているというのは、私はとっても納得できないように聞かせていただいているんです。

 そういう意味で、調査結果というのは、いろいろな疑義が出された、その現場で、出席されていたかどうかわかりませんけれども、数字の出し方。

 これは、諸外国におきましても、販売の方法が違うんですよ。例えば、日本の場合にはペットショップで買われることが多いんですけれども、アメリカの場合には、ブリーダーだとか、あるいは、お父さんとお母さんの犬と猫が一緒にたくさん飼っているという州もあります、アメリカは広いですから。そういうところからもらい受けるという場合もあって、国によって譲り受ける形態というのはばらばらなんですね。そういったような部分を全く捨象して、数字だけ計算してどうだこうだと言ったところで、やはりちょっとそれは違うんじゃないか。

 日本のこの国会の中で八週がいいんだという声が高まっているのに、行政がそれを反対するというのは、とても私としては、趣旨がよくわからないと申し上げたいと思うんですが、なぜそんな七週にこだわるような発言をああいう勉強会でずっとされるんでしょうか。

正田政府参考人 まず、調査結果につきましては、これは科学的な知見の充実を高めるということで、基本的に、犬、猫につきましては飼い主がその行動をよく把握しているということでございまして、その飼い主に対するアンケート結果をまとめた、それを解析したということでございます。

 私どもが報告いたしておりますのは、そういった先生方の御議論が深まるように、一つの客観的なというんでしょうか、科学的な調査結果として申し上げたわけでございまして、環境省として幼齢規制につきましての方向性というものを述べたわけではございませんで、調査結果を客観的なものとして御報告したということでございます。

串田分科員 毎度毎度、その客観的ということの中で、数字自体が非常に都合のいいところを取り込んで客観的と言う手法というのは、もう本当にやめた方がいいんじゃないかなと思うんです。

 諸外国は八週が圧倒的に多いんじゃないんですか、特に先進国は。やはりそれなりに根拠があるわけですよ。そして、七週と八週という境の中で、それが、かむ回数を計算する、人間をかむ、攻撃をする回数を計算するだけじゃなくて、やはり、お母さんと一緒にいる、兄弟と一緒にいてじゃれ合っている期間というものを大切にしながら、その後は、たった一頭になって、人間という全く違う世界に生きながら、人間を癒やし、そしてかわいがられるという社会に入っていくというのは、これは自然界としては非常に特殊なものだと思うんです。

 本来は、お父さん犬、お母さん犬、お母さん猫、お父さん猫、そして兄弟と一緒に暮らしている。その期間を、人間がそれを引き離して、ペットとして、人間を癒やすものとして来てもらうわけですよ。そういう中では、かむ回数だとか、そういうようなことで七週も八週も関係ないんだというのは、これこそやはり動物に対する愛情が足りないんじゃないか。

 先進国が八週にしているというのは、それだけ、これからは人間と一緒に何年も暮らすことになる、ひとりだけになる、それまでに一週間ぐらいはお父さんやお母さん、兄弟とじゃれ合う時間を設けたっていいじゃないかというような気持ちも、私は、先進国にあると思うんですよ。

 それを、科学的な見地から差はありません、ですから七週でも発売していいんです、諸外国は八週でも日本は七週でいいんです、こういうような発想自体が、私は、動物に対する愛情というものが欠けている国なんだなと思わざるを得ない。

 そういうような発想を変えていただきたいんですよ。わずかながらでも違いがあるのなら、いい方をとろうじゃないですか。そんなことを、行政が口を出して、何か議員立法に対して反対意見を述べるということ自体がちょっとおかしいんじゃないかな。

 単純に、こういう差がありましたでいいんじゃないですか。わずかながらの差です、差はありませんなんという評価をする必要はないんじゃないか。淡々と僕は数字を提出すればいいんじゃないかなと思っています。

 次に、ペットショップの件についてお伺いをしたいと思うんです。

 一番の、殺処分の多いのは、ペットショップが、日本の場合には流通が非常に多いので、ペットショップから非常に容易に購入することができるという部分があります。特に高齢者に対して、今非常に高齢化社会になりました。一人で暮らす人もいるでしょうし、二人でいても、何かこう、孫にもなかなか会えないなということで、犬がいたり猫がいたりというようなことで心が癒やされる人もいると思うんです。

 そういう意味では、犬や猫を飼いたいという人が多いとは思うんですけれども、どうしても、自分の健康状態というのはいつまでも変わらないと思って犬、猫を飼っているんだけれども、非常に自分の健康状態が悪くなったりとか入院しなきゃいけないというようなこともありまして、主を失ってしまっているというペットが出てまいります。場合によっては、残念ながら主が亡くなられるということもあると思うんですが、そういう場合に、残された犬や猫たちはどうなるかというと、やはりこれは保健所に行って処分されちゃうんですね。

 そういうようなことというのは、恐らく亡くなられる方も本意じゃないと思うんですよ。自分が亡くなるときにも、やはり犬や猫がこれからも幸せになってほしいと思いつつ、なかなかそんなようなことまで遺言で書けなかったりするわけですよ。突如として亡くなる人もいる。そうすると、残された人間はその飼い主の意思に反して、保健所で殺処分されるんです。それもガス室に送られるんです。

 こういったようなことをやはり何とかしなきゃいけないという動きは、アメリカなどはアニマルポリスという、ポリスという名前がありますけれども、そういうような飼い主が亡くなった犬、猫に関しても、里親を探すというようなことをすぐさま活動するというのを行政単位でやっているんですね。

 今はボランティアだとかいろいろなところになるとは思うんですが、なかなか主を失ってしまった犬、猫というのを察知することができないものですから、やはり勢い保健所に行ってしまうんですが、そういったようなことをやはり国が管理していく時代になってきたんじゃないかと思うんです。

 もうちょっと諸外国のいいところはやはり率先して採用していくという姿勢があっていいと思うんですけれども、ペットショップに対して、やはり生体販売は禁止すべきではないかというような声も非常に高いと思います。イギリスなどはそういったような形で行われているわけですけれども、日本に関しては、そういう規制についてのお考えはないかどうか。

 ブリーダーに対する規制に対しての環境省のお考えをお聞きしたいと思います。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 動物愛護管理法におきましては、先ほど御説明いたしましたように、ペットショップを営業するに当たりましては、登録基準を満たした上で第一種動物取扱業者としての登録を受けること、さらに、飼養管理方法等に関する基準を遵守しなければなりません。さらに、基準が遵守されるように都道府県等が事業者の立入検査等を行っているところでございます。

 環境省といたしましては、都道府県等による指導が一層効果的に図られるように、昨年三月に動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会を設置し、飼養管理基準の明確化等の検討を進めているところでございまして、その結果を踏まえまして、環境省において、適正な飼養管理方法についての基準やガイドライン等へ反映してまいりたいと思ってございます。

 引き続き、自治体と連携いたしまして、ペットショップ等の第一種動物取扱業者における適正な飼養が確保されるように努力してまいりたいと考えております。

 現状のペット関連産業、例えば、これは先ほど申し上げた一種の取扱事業者でございますと、約二万の事業所が今登録されているところでございまして、こういった実態に照らしますと、今申し上げましたような規制等につきましてしっかり取り組んでいくということは当然でございますが、他方で、一律に生体販売を禁止するというのは、なかなかこれは慎重な検討が必要な課題だろうと考えております。

串田分科員 幾つかまだ残って、質問もあったんですけれども、また違う機会にして、残りの時間、原田環境大臣、今までのちょっと私の話もお聞きをいただいたと思うんですが、環境省としての動物の取扱い方について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

原田国務大臣 串田議員が再々お話しになられるように、本当に人と動物が共生できる社会を何としても私どももつくらなきゃいけない、こう思っております。

 動物を適切に管理する、法律もありますけれども、今お話にありましたように、まだまだ改善すべきところはあるというふうに私も感じておりまして、こうした理念にのっとって、特にペットショップ等、動物取扱業者の適正化や、虐待などの動物の不適正な取扱いへの厳しい対応、これは本当にしっかり目指していかなければいけないな、こう思っております。

 関係自治体とも連携し、また、議員各般のいろいろな御意見をこれから聞き取りまして、あるべき姿を環境省の立場からも目指していきたい、こういうふうに今思っているところでございます。

串田分科員 時間になりました。

 優しさを持って対応していただきたいと思います。ありがとうございます。

堀内主査 これにて串田誠一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、船橋利実さん。

船橋分科員 自由民主党、船橋利実でございます。

 きょうは、原田環境大臣を始め環境省の皆様方に、大きくは外来種、鹿、そして再生紙の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、外来種被害防止行動計画について、総論的な部分で原田環境大臣にお尋ねをいたします。

 近年、ヒアリなど新たな外来種が侵入をするとともに、アライグマのように既に国内に定着をしている種も、その生育地、生息数を拡大をしていると認識をしております。

 増加する特定外来生物への対応、国内未定着種の侵入防止など、特定外来生物対策はなかなか終わりが見えない現状に置かれております。

 特定外来生物は、生態系被害だけではなくて、農業被害、感染症被害など社会的影響が非常に大きいと言えると思います。このため、国民の理解を促進をし、協力をいただくもとに、積極的な対策を効果的に講じていく必要性があると考えますけれども、見解をお聞かせをいただきたいと思います。

原田国務大臣 我が国の生態系等に被害を及ぼす生物に対しては、外来生物法という法律に基づきまして、今御指摘の特定外来生物に指定して、飼い方、栽培、輸入等を規制しているところであります。特定外来生物のうち、生物多様性保全上優先度の高い地域や外来種に影響を及ぼす生物に対しては、国が積極的に防除体制をとっているところでございます。

 また、カミツキガメやアライグマ等、既に広域に分布している外来生物については、防除マニュアルの作成、配布等の技術的支援や、防除費用の財政的支援など、地域の取組をサポートしているところであります。

 加えて、さらなる外来生物の侵入を防止するため、関係機関や事業者等に協力を呼びかけるほか、外来種のペットの管理の徹底についても、広く国民の方々に向けた普及啓発に取り組んでいるところでございます。

 外来生物への対応については、関係者と連携して、引き続きしっかりと対応していきたい、こういうふうに思っております。

船橋分科員 大臣、ありがとうございます。

 それでは、もう少し細かいところをお話をさせていただきたい、こう思うわけであります。

 平成十七年六月の外来生物法施行と同時に、その当時四十二種類、特定外来生物に指定をされておりますけれども、その後、平成三十年四月の時点におきまして百四十八種類まで、十三年間の間に約四倍にまでふえている現状にあります。

 このように、急激に増加をしている理由というものについてはどのように捉えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 外来生物法に基づき、我が国の生態系、国民の生命若しくは身体、農林水産業に被害を及ぼす又は被害を及ぼすおそれがある種を特定外来生物として指定しておりまして、先生御指摘のとおり、現在百四十八種類となっているところでございます。

 こうした特定外来生物の指定の増加につきましては、国際的な人や物の往来の増加により我が国に侵入する外来生物が増加していること、さらには、それらの分布状況や生態系への影響等、科学的知見が充実することにより被害実態が明らかになってきたことなど、理由はさまざまでございますが、今後も指定することが必要な種がふえていくのではないかと考えてございます。

 今後とも、関係省庁、自治体、事業者、国民の皆様の御協力もいただきながら、外来生物による被害を防ぐよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

船橋分科員 考えられる要因について今ほどお答えをいただいたわけでありますけれども、この特定外来生物の指定というのは、法施行以前から存在を既にしているもの、そしてそれ以降のものということになるわけでございますけれども、この指定に当たって、その対応というのは、生態系等に及ぼす被害の大きさというものをもとに行われていくべきものではないかというふうに考えておりますけれども、これまでどのような考え方に基づいて指定というものを行ってきたのか、また、今後、今ほども、これからも対象となるものが出てくる可能性があるという旨の御答弁であったかと思いますが、その予定、見通しというものについてもお聞かせをいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 特定外来生物の指定に当たりましては、特定外来生物被害防止基本方針に基づきまして、外来生物による生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害を適正かつ効果的に防止するため、特に被害を及ぼし又は及ぼすおそれがある外来生物を特定外来生物に指定しているところでございます。

 平成十七年の外来生物法施行当初におきましては、海外における外来生物の被害状況に係る知見や我が国における被害実態等を踏まえて、特定外来生物の指定を行いました。

 近年は、被害未然防止の観点から、国内に未定着の種で、定着すると大きな被害が生じるおそれのある生物を中心に特定外来生物に指定をしております。

 引き続き、専門家から科学的知見をいただきながら、実効性を踏まえた特定外来生物の指定について検討してまいりたいと考えております。

船橋分科員 外来生物法施行以降の取組とそれ以前の取組では大きく異なるところがあるということは理解ができるわけでありますけれども、これだけ多くの外来生物が国内に生息をしている、そして今後もそれが広がっていくという可能性が否定できないという中にありまして、いろいろな外来生物がありますから、その一種一種について専門的な知見を環境省として持つということはなかなか困難な現状だろうということは理解するところがあります。

 したがいまして、その都度、必要に応じて外部の専門家の皆さん方から知見を求めていって、そして対応策を検討されていくということは、これは当然のことであろうというふうに思うわけでございますけれども、一方で、これは、事前に担当の方といろいろなやりとりをさせていただいている中で、環境省全体の職員さんの専門性の部分ということをいろいろとお聞きをいたしましたところ、生物あるいは動植物に関する専門性のある方々は、職員さんとしては採用されていらっしゃるのではありますけれども、そういう方々が環境省の中で年々、採用そのものとしてふえているかということをお聞きをすると、どうもそうではないような状況もお聞きをいたしました。

 ですから、これは全ての、これから、いつどんなものが入ってくるかわからないことに対して、専門的な方を採用して、そして備えるということは現実的には難しいというふうには思うのでありますけれども、基本的に、動植物に関する専門性を有している職員さんを採用して、そして養成をしていくということも必要なことではないかなというふうに考えておりまして、これは答弁を求めるものではありませんけれども、ぜひ採用に当たってはそうした点についても十分に御配慮をいただきたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、外来生物による多様な被害についてでありますけれども、この外来生物による被害というものも多様でありまして、その規模というもの、あるいは内容というものを正確に把握することは難しいというふうに考えております。

 わかりやすいものとしては、農林業あるいは水産業への被害という場合には、これはかなりその被害状況というものが明らかになってきておりますけれども、ある特定の地域にだけ存在をするような動植物などが被害を受けた場合には、そもそもその在来種そのものがその地域にどれだけ生育、生存していたかという、そういう情報が必ずしも正しく整理をされておりませんので、被害を受けたという状況は確認をできるのでありますけれども、それがどの程度であるのかということについては、必ずしも明らかにすることは難しい。

 また、農業被害の場合ですと、被害を受けた作物の種類によって被害額というものは想定できますけれども、在来種などで、自然、本来の姿の中にあるものについては、被害額を出すこと自体も、これはその方法すらないという現状の中でありますけれども、環境省としては、さまざまな外来生物による被害というものについてどう把握をされていらっしゃるのか。

 それから、なかなかこの被害額あるいは被害状況を詳細に把握をすることは難しいという現状はありますけれども、被害額を減らしていく、被害を減少させていくということについて、これまでどの程度予算を投じられて、そして対策として進められてきたのか、その効果も含めてお聞かせをいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 外来種による主な被害といたしましては、生態系や農林水産業等に係る被害が確認されているところでございます。

 その規模につきましては、これは把握することはなかなか困難でございますが、例えば、事例といたしまして、生態系への被害といたしましては、奄美大島や沖縄本島におけるマングースによるアマミノクロウサギやヤンバルクイナの、こういった希少種でございますが、捕食でございますとか、オオクチバスによる在来種の水生生物の減少の事例等が確認されているところでございます。

 また、農林水産業等の被害といたしましては、アライグマによるスイカ、イチゴ、スイートコーン等の農作物への被害でございますとか、やはりオオクチバスによるコイ科魚類等、漁業資源への被害等、こういったことが全国的に報告されているところでございます。

 平成十七年の外来生物法施行以降、特定外来生物を百四十八種類指定したところでございますが、その飼養の規制を行うとともに、平成二十九年六月に国内初確認されたヒアリ等の侵入初期の外来生物対策でございますとか、奄美大島におけるマングース対策等の生物多様性保全上優先度の高い地域での対策を実施し、侵略的外来生物の定着防止や生物多様性への影響の低減を図ってきたところでございます。

 外来生物対策につきましては、これは継続的な取組が必要でございます。その中で、例えば、先ほど申し上げました奄美大島のマングース対策につきましては、マングースにつきまして、ピーク時には大体六千頭から一万頭と推定されてきたところでございますが、平成二十九年度末におきましては五十頭程度と推定してございまして、これに伴いましてアマミノクロウサギ等の生息状況の回復が確認されている、こういった効果は上がってきたところでございます。

 また、予算面でございますが、外来生物対策といたしまして、これを一義的な目的とした経費といたしましては、今年度は約七・二億円、来年度予算案におきましては約七・六億円を計上しているところでございます。また、このほかにも、例えば、国立公園の管理におきまして、その一環といたしまして外来種対策等を行っている、こういったところもございます。

 外来生物による被害を防止するためには、継続的な取組を実施することが重要でございますので、来年度におきましても、ヒアリ対策など、新たな侵入の防止や侵入初期における確実な防除を最優先としながら、世界自然遺産関係の地域等の保全についても取り組んでまいりたいと考えております。

船橋分科員 今、被害の状況に加え、そして、対策としてこれまで進めてこられたことについてお答えをいただいたわけでありますけれども、なかなか、外来生物による被害状況を把握をするという作業は本当に大変であろうというふうに思います。

 ただ、現状、いろいろとお聞きをしている中にありましては、かなり人的な力に、被害状況の把握をする部分は頼っているところがあるというふうに思います。

 ですから、これはもう百四十八種類までふえてきているわけでありますから、それぞれがどんな被害を及ぼしていくのかということについて調べることは本当に大変なことであろうかと思いますが、これはいろいろな方々に、その方々が、例えば民間の皆さんですね、生態系を守っていきたいというお取組の中で、外来生物による影響というものはこういうふうに起きていますということを、環境省として、まあ教えてもらう立場の中で把握をしているという方法も実際にはあるというふうにもお聞きをいたしました。

 ただ、これも、やはりその範囲は、専門的にやっていらっしゃる皆さん方のその専門性の中だけに特定されてしまうということが実情ではないかなというふうに思っておりまして、もう少し、最近のICTとかIoTとか、こうした技術を活用した中で、範囲を広げて、そして、外来生物による被害の状況というものがどう広がっているのか、あるいは、今ほどマングースの例を挙げられましたけれども、それがどう回復しているのかということも、もう少し科学的にできるような方法というものも、私は、そろそろ検討されてみてはいいのではないかなというふうに思っております。

 こうしたことも含めて、外来種被害防止行動計画というものについて、現時点における計画の達成状況、あるいは計画の見直しなどの今後の取組について、お聞かせをいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 外来種被害防止行動計画の策定につきましては、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇におきまして、生物多様性を保全するための世界目標である愛知目標の達成に向けた我が国の目標の一つとして位置づけたものであり、二〇二〇年までの我が国の外来種対策全般に関する中期的な総合戦略として、平成二十七年三月に策定したものでございます。

 この計画に基づきまして、各地域における効果的、効率的な防除の推進等を進めてきているところでございまして、琵琶湖の外来水生生物、オオバナミズキンバイ防除でございますとか、奄美大島、沖縄島北部地域におきますマングース防除等、各地域における取組を進めてきたところでございます。

 また、外来種問題に関しまして浸透を図れるように、パンフレット等におきましての普及啓発等も図ってきたところでございます。

 本計画につきましては、二〇二〇年を目標としてございますが、本計画の見直しに当たりましては、本計画で設定した目標の達成状況でございますとか各省庁における取組の状況を把握しながら、今後、ポスト愛知目標というものが来年決定される予定でございますので、こういったことも踏まえまして、より実効的な計画になるようにこれは検討してまいりたいと考えております。

船橋分科員 現在の計画期間としては二〇二〇年度を目標にということでありますが、今ほど御答弁がありましたように、これはその愛知計画を踏まえての現行の計画ということで、今後の見直しについては、次なる大きな枠組みの中での外来生物への対応という方針が出てきた中で計画を決められていくということでございますから、心配するのはこのつながりの部分ですね、少し時間的な空間ができてしまうのではないかということを危惧するわけでありますけれども、次の計画も継続的につくられて実行に移されていくようにしていただきたいというふうに思います。

 今ほどいろいろとお答えいただいたのでありますけれども、アライグマのことについて少しお話しさせていただきますと、このアライグマがもたらすさまざまな被害というものの中には、農業被害としても、これは年間三億から四億ぐらいあるのではないかというふうに言われております。

 また、感染症の問題でいいますと、日本脳炎のウイルスでありますとかカンピロバクター、あるいはアライグマ回虫症というものなども非常に心配される部分であります。

 ここに加えて、日本国内では今発症している事例がないと言われている狂犬病の問題、これが今後、国内に何らかの原因で持ち込まれることになって、それがアライグマに感染をして、そしてそれが結果的に広まっていくということになりますと、その影響というものは非常に大きなものになることが懸念されるわけであります。

 こうしたことについても、今国内にいるアライグマへの対策ということは、これはこれでありますけれども、今いるアライグマの数の管理といいましょうか、被害の減少というものも、これもなかなか有効な手だてというものが見出せない現状の中で、新たな脅威としての狂犬病ということが専門家からも指摘をされている状況というものは、私は、これは深刻に受けとめておく必要性があるのではないかなというふうに思っております。

 ただ、こうしたことについては、環境省さんとしても、ヒアリの例のお話も先ほどありましたけれども、ヒアリが平成二十九年の六月初確認されて、その対策を水際でしっかりとやっていらっしゃったということについては評価をさせていただくわけであります。

 このヒアリの問題についても、初確認されたのは平成二十九年の六月でありますが、環境省としては、もう今から九年、十年前からこのことについて注目をされ、そして監視をし、その結果が水際での対策につながってきたという実績もお持ちなだけに、こうした今私が申し上げたようなアライグマに対する新たな脅威ということも含めた対応もしっかりと、私は、やっていただけるのではないか、こう思っておりますけれども、そもそもこのヒアリの問題について、どういう経緯、経過の中で注目をされてきていたのか、教えていただきたいと思います。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 ヒアリにつきましては、平成二十九年六月、国内でも初めて確認されまして、これまでに十四都道府県三十八事例を確認したところでございまして、見つかったヒアリにつきましては、全てこれは防除してございます。

 まずはこういった水際対策を進めてまいりますが、侵入以前の話でございますが、ヒアリは南米原産の生き物でございます。ただし、これは、二〇〇〇年代には環太平洋諸国、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、中国における侵入や定着、生態系や人体への被害が確認されていたところでございます。

 このため、我が国といたしましても、あらかじめヒアリの侵入に備えておくべきとの専門家の意見を踏まえまして、平成十七年の外来生物法施行時から特定外来生物に指定をし、各種情報収集を行ってきたところでございます。

船橋分科員 引き続き、外来生物の対策についての取組をお願いをしたいと思います。

 次に、鹿の駆除なんですが、非常に北海道も困っております。

 鹿の駆除、監視等を行っていただくのは地域の猟友会の皆さん方にお願いしていることが多いわけではございますけれども、なかなか、高齢化などの理由もあって、人材不足の状況があります。一方で、鹿そのものはふえ続けているという状況がありまして、いかに、限られた対策をとっていただく方々の中で、効果的に鹿の駆除、捕獲などを行っていくかということが課題になっているわけでございます。

 鹿は夜間行動するという性質があります。したがって、これを人間がなかなか、夜中じゅう見ているというのは大変なものですから、こうした部分については、例えばドローンとか定点カメラなどを設置をして、いわゆる鹿の動向を観察、監視をして、そうした情報を地域で活動していただく猟友会の皆さん方などに提供することによって、捕獲や駆除の効率的な推進というものを図ることができないかというふうに考えますが、見解をお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、都道府県がニホンジカとイノシシの捕獲を行う指定管理鳥獣捕獲等事業について、これを交付金により支援をしているところでございます。

 この交付金を活用いたしまして、今先生からも御指摘ございましたが、捕獲の担い手不足でございますとか高齢化への対応策といたしまして、捕獲現場における見回り作業の軽減や効率化のため、ICTの活用により捕獲従事者が捕獲の状況を遠隔で把握できるわなの活用など、効果的な捕獲技術の地域実証等に係る取組についても支援をしておるところでございます。都道府県から提案があれば、ドローン等を活用した捕獲の実証につきましても支援を検討してまいりたいと考えております。

 都道府県がこの交付金を活用して効果的な捕獲を継続していくため、引き続き必要な予算を確保してまいりたいと考えております。

船橋分科員 実は、昨年十一月、北海道恵庭市内の山林で、鹿と間違われた方が誤射により死亡するという痛ましい事故がありました。過去にも、誤射の事故というものが発生するたびに注意喚起が行われておりますけれども、こうした事故を防ぐ上で、ICTなどの技術活用が有効ではないかと思います。

 例えば、狩猟が可能な区域に人間が立ち入る場合には位置情報がわかるような安全対策なども検討していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました、昨年十一月、北海道恵庭市において猟銃による死亡事故が発生したほか、本年一月にも岐阜県下呂市において死亡事故が発生するなど、このような猟銃による事故が繰り返されることは、大変憂慮すべき事態と考えております。

 環境省といたしましては、これまで、都道府県関係部局及び狩猟者団体を通じた猟期前の事故防止の周知徹底のほか、事故防止を目的としたDVDの作成、公開などを実施してきたところでございます。

 今般、猟銃による事故が多発していることから、環境省では、本年一月より、都道府県に対して、現在実施している事故防止の取組に関する実態調査を行っているところでございます。

 今後は、調査結果を踏まえ、新しい技術の活用も含めた事故防止に向けた新たな取組についても検討を行ってまいりたいと考えております。

船橋分科員 ありがとうございます。

 次に、再生紙の問題なんですけれども、グリーン購入法に基づく再生紙の調達の見直しについて伺います。

 この時期、国、地方の官公庁から印刷物の発注が多くなってくる時期でありますけれども、再生紙の調達が見込めずに、グリーン購入法に基づく発注仕様書を作成できないために、印刷業務の発注が滞っていると聞いております。もう時期的には二月の末ということでありますから、年度内に納品すべきものは時間的にもかなり厳しくなっていると印刷業界から伺っております。

 国などの機関、地方自治体に対して、再生紙の調達が見込めないということでありますから、再生紙を利用しなくてもよいように、早急に実態を把握をされた上、通知を出すなどの対応をとるべきと考えますが、見解を伺います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 国等の機関における再生紙の調達に支障が生じているかにつきましては、市場における紙の需給状況を把握する必要がございます。

 そのため、現在、経済産業省と連携して、製紙メーカーに対するヒアリングを実施しているところでございます。

 早急にヒアリングを終えまして、現状をしっかり把握して、関係省庁と調整の上、国等の機関の発注に支障が生じないよう、通知発出も含めて必要な対応を検討してまいりたいと考えてございます。

船橋分科員 本当にこのことについては早急な対応が必要と思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 ただ、私、不思議に思ったのは、グリーン購入法の調達に関する対象品目は環境省が定めていらっしゃるんですから、本来は、毎年その需給動向については把握をされた上で、どうするかという判断があってしかるべきだというふうに思います。これは指摘とさせていただきます。

 最後に、今申し上げました特定調達品目のことなんですけれども、環境省としては、分野別見直し着手予定年度というものが、今でいうと二〇一九年から二〇二三年度版というのがあります。

 これを見ると、紙類の中でも、コピー用紙、フォーム用紙、インクジェットカラープリンター用塗工紙等の見直し時期というのが二〇二三年度というふうになっておりますけれども、今ほど申し上げましたけれども、再生紙の市場への供給というのは大きく減少しておりまして、これが今後も回復する見込みは実は難しいという状況に置かれております。

 といたしますと、特定調達品からの削除ということも含めて検討する必要もあるかと思いますが、いかがでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーン購入法の特定調達品目の判断の基準につきましては、品目ごとに見直し予定時期を定めて検討を進めているところでございますが、紙類の判断の基準につきましては、先ほどお答え申し上げましたヒアリングによる状況の把握も踏まえまして、今後、適時適切に検討を行ってまいりたいと考えてございます。

船橋分科員 ありがとうございました。終わります。

堀内主査 これにて船橋利実さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

堀内主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。矢上雅義さん。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

矢上分科員 立憲民主党の矢上雅義でございます。

 本日は、農林水産省所管の質疑の前に、十分ほどお時間をいただきまして、水俣病問題についての質疑をとり行わせていただきます。

 ことしは、水俣病の公式確認からはや六十三年、そして新潟水俣病公表から五十四年が経過しておりますけれども、今現在でも全国で約十件ほど、千八百名の原告の方が存在しておられます。

 実は、私も、この水俣病の問題を委員会で取り上げますのは平成七年が最後でございまして、ちょうど自社さ政権のときに政治解決が行われまして、今の衆院議長の大島先生が環境庁長官で、その時代に締めの質疑をさせていただいたことを覚えております。

 今回、なぜ私がこの問題を取り上げるかと申しますと、この問題の解決に当たりまして、御存じのように、公健法と言われます公害健康被害の補償等に関する法律、昭和四十九年施行ですけれども、これによる、行政による認定患者数が約三千名、また、平成七年の自社さ政権における政治解決による和解救済患者数が約一万二千名、そして、近いところでは、平成二十一年、これは関西訴訟団の最高裁判決の確定を受けて、恐らく自公政権のときだったと思うんですけれども、特措法をつくりまして、このときに救済した数が五万五千名でございます。

 この四つのステージで解決されるということは、本当にその時代時代の政治家、行政の方が努力された結果ですけれども、逆に言いますと、この認定基準については二つございます。

 まず、公健法という行政手続に基づいて認定された方。また、そこから漏れたけれども、裁判所に救済を求めて、民法七百九条の不法行為若しくは公健法の手続にのせてほしいということで、司法の判断で患者認定された方々も含まれております。また、その次に、平成七年に政治解決による和解救済策。また、平成二十一年の水俣病特措法による救済による基準によって助けられた方々ということで、実質的には四つの基準がございます。

 歴史的に見て、このような基準の曖昧さが、最終的には水俣病の患者さんの救済をおくらせてきた原因ではなかろうかと思うんですけれども、恐らく、六十何年前の当時はなかなか因果関係がわからないということで、これらの疫学的調査がおくれたのではなかろうかと思いますけれども、逆に、地元に住む人間としましては、後から考えれば、水俣病というものは、水俣の地域とか特定の住民の方の病気ではなくて、有機水銀中毒による脳の機能の欠損による神経症状ですから、ある意味、日本国じゅうで発生する問題でございます。

 疑った見方をしますと、有機水銀中毒であるならば全国に被害が広がるから、大きくならないうちに臭い物にはふたをしようという気持ちがあったのかもしれません。ただ、もう六十何年も前のことでよくわからないんですけれども。

 やはりこの水俣病の公式確認時に、早急に広域的な疫学的調査としての健康被害調査を実施して、有機水銀中毒における因果関係を明確にし、患者救済に資する認定基準の設定に努めるべきだったのではないかと思いますけれども、この点について、当時なぜこの健康被害調査が不要とされたのか、知り得る限りで構いませんので、御答弁いただければと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病の発生当初は、被害をもたらした原因究明のための疫学調査を行い、その後、広域の疫学的な調査につきまして、さまざまな研究者の協力を得ながら、八代海や有明海沿岸地域における住民の健康影響に係る実態把握が進められてきたと承知をしております。

 こうした中、公健法に基づく認定や平成七年の政治解決等により解決が図られてきたところですが、平成十六年のいわゆる関西訴訟最高裁判決を機に、新たに水俣病問題をめぐって多くの方々が救済を求められました。

 このため、平成二十一年に制定された水俣病特措法の規定等に基づき、政府として、メチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査等の手法の開発を図ることとしており、現在、着実に取組を進めているところでございます。

矢上分科員 部分部分での疫学的な調査の積み重ねで、重複的また広域にそれなりの結果が出せたということの答弁と思いますけれども、残念ながら、地元では、患者さんたち始めそれがなかなか理解されていなくて、いまだに疑心暗鬼の対象になっておるということと、それともう一つ、平成二十一年の特措法において五万五千名の方が救済されたということ、これはやはり当時の政権及び行政の皆様方の御努力だと思います。

 一つ、私思うんですけれども、これだけ、五万五千名の方の救済の基準をつくるに当たって、かなり広域的な調査がなされたはずでしょうし、男女問わず、各年齢層を問わず、かなりの膨大なデータが積み上がっていると思います。

 そのような膨大なデータは、今後の公害発生を防ぐためにも、また残された患者救済を求める方々のためにも、行政認定基準を補佐するものとして、できれば情報を公開するなり、新しい認定基準若しくは救済基準の作成に資するものとして活用していただければとお願いいたします。

 それと、もう一つなんですけれども、通告はしておりませんけれども、一つちょっとお願いがございます。

 水俣病の患者さん方は、長島とか御所浦とか、離島にたくさん住まわれておられます。ところが、病気を抱えておって、年をとって、もうグループホームにも入れない、特別養護老人ホームのベッドもないということで、一月ほど前、現場を見に来てくれと言われまして、現場を見に行きました。そうしたら、皆さん方、立派にグループホームも老人ホームも運営されておるんですけれども、ベッド数が足りないと。

 それで、御所浦の方は、天草の本渡の方とか牛深、芦北、水俣、鹿児島の方の病院とか老人ホームに分散して入っておられます。十ぐらいベッド数をふやしていただけませんかと相談したんですけれども、いや、もう御所浦には若い人がいないから、つくろうと思ってもヘルパーさんがいないんですよ、ヘルパーさんがいないから、ベッド数を十ふやしても入れないでしょうと言われて、なるほどなと思って、これは申しわけないということで。

 帰りに渡し船で帰るときに、七十代ぐらいの御夫婦だったんですけれども、御所浦出身です。自分たちは六十年前に、御所浦で仕事がないから、旦那さんは大阪に大工の見習で行って、奥さんは紡績工場に中卒で集団就職で行って、結婚して、そしてようやく定年退職で御所浦へ帰ってきたんですけれども、年をとってみたら、今度は、病院もベッドがあいていないし、老人ホームもベッドがない、また私たちは外に出ていくんですよと、笑いながらおっしゃっていましたけれども。

 これは水俣病の患者さんだけでなくて、離島に住まわれている御老人の方々に関係する問題でもございますので、そのところ、梅田部長もよく御理解いただきまして、地域の声に耳を傾けていただければと思います。

 以上です。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれた、我が国の公害、環境問題の原点となる問題であると認識しております。

 環境省としては、地域の人々が安心して暮らせる社会を実現するために真摯に考えて取り組んでいく考えでございます。

 地域の医療・福祉サービスの充実につきましては、これまでも、地域の皆様のお話もお伺いしながら、さまざまな事業が実施されてきていると認識しております。例えば、離島等におきましては、環境省と地元地方公共団体の予算による介護予防事業が展開され、地域の皆様のお役に立っているというふうに伺っております。

 引き続き、関係県や市、町と連携しながら、できる限り地域のニーズに沿った事業を実施していきたいと考えております。

矢上分科員 通告していなかったんですけれども、御答弁いただいてありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、吉川大臣、本当にお待たせいたしました。このたび、農林水産大臣御就任、まことにおめでとうございます。

 先生におかれましては、北海道が地元で、北海道の加工原料乳の生産者補給金制度を始め、精力的にこれまで頑張ってこられたことが今回の御就任の結果だと思っております。

 それでは、質問をさせていただきます。

 まず、農村社会における人口減少と後継者難の問題についてでございます。

 まず、今、国の方が積極的に新規就農者支援制度の取組をしておりまして、大きく分けますと、農業法人に雇用される方のための新規就農支援、御自分で経営を開始される方々のための新規就農支援、また、親元に残るための親元就農支援とございますけれども、この制度の利用者数とか現実の成果ということについてお答えいただければと思います。

小里副大臣 お話しのとおり、新規就農の促進のために、まずは農業次世代人材投資事業による、就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした資金の交付、また、農の雇用事業による農業法人等における雇用就農者の研修の支援、そして、無利子融資等を活用した機械、施設等の取得の支援等を実施しているところであります。

 成果としましては、まず、農業次世代人材投資事業の経営開始型の場合は、事業創設当時の平成二十四年度から平成二十九年度までの交付人数は約一万八千人となっております。うち親元就農者は約九千人であります。定着率は、平成二十九年十月時点で約九六%となっております。

 農の雇用事業の場合は、同様に平成二十四年度から平成二十九年度までについて見ますと、交付人数は約一万八千人、定着率は、研修修了後一年を経過した時点で約六二%となっております。

 引き続き、人材の育成、確保に努めてまいります。

矢上分科員 ありがとうございます。

 ただいまの小里先生御答弁のように、かなりこれは農政の仕事で喜ばれておるものでございますけれども、二点ほどちょっと困ったことがございます。

 経営開始型ということで、よそから例えば私の熊本県の人吉市に来られて、三反ほど借りて二年ほど勉強されます。三年目に独立しようとするときに、やはり親が農業をやっていませんから、農地も買わなくちゃいけない、ハウスも買わなくちゃいけない、機械も買わなくちゃいけなくて、せっかく人吉市に来ていただいた方が、その方は鹿児島の方だったんですけれども、結局、人吉市では飯が食えないから福岡の農業法人に就職されまして、そういうこともございます。

 あと、親元就農について、これもまた喜ばれているんですけれども、親とは独立した作物を推奨するということと、もう一つが、二反とか三反とか独立した畑の面積がこの助成要件に要るのではないかということで誤解をされておられまして、尻込みされておられる方もおられます。できましたら、この親元就農支援につきましての情報提供をしっかりしていただきたいということで、そのことについて御要望したいと思うんですけれども、お答えいただければと思います。

小里副大臣 親元就農についてでありますが、これも御指摘のとおり、大分制度は進化してきておるんですね。

 もともとは、例えば青年就農交付金にしても、親元就農に対してはなかったんです。これを設けまして、ただ、最初は、農地をしっかり移転登記をしないといけないというのがありました。それを、更に今度は、五年間でいいよ、五年の計画の中でそれを計画してくれたらいいよということになって、更にそのうち、利用権でいいよ、利用権だけでいいですよということに、だんだん進化してきておるんですね。

 その中で、おっしゃるとおり、多少親とは違った取組をしていただきたいということで、違う作物を育てるとか、あるいは複合経営をするとか、あるいはインターネットを使うとか、いろいろこの辺が柔軟に対応できるようになっておりますので、しっかりこれを現場に届けていくことが必要であろうと思いますし、更に今後とも、必要な制度の改善を図りながら、現場に届く対策になるようにやっていく必要があろうと思うところです。

矢上分科員 御答弁ありがとうございます。

 続きまして、県営土地改良事業、よく県営畑総と呼ばれるものですけれども、畑総事業は非常に地元でも喜ばれて、同意取得、そして事業着手時にはまだ皆さん方、お父さん、お母さんも元気でおられるんですけれども、県営畑総も完成するまでに結構何年かかかります。工事が完了して清算手続に入るまでにかなりの時間がかかります。

 ところが、最近ふえておりますのが、同意取得に参加された農家の方が高齢で亡くなられる。ところが、東京とか福岡にお住まいの子供さんが、農業も農地も、また家も財産も放棄して、結局、例えば百人おった同意取得の農家が、どんどん周りが死んでいくものですから、今大変不安になっておられます。周りを見ると、もしかすると工事が完成するころには半分ぐらいになるんじゃないだろうか、そういう心配も出ておりますので、どうか、清算手続に入った後のそのような償還金に関する自己負担割合の変更手続とか、もし可能であれば、地域に奨励していただければと思います。

室本政府参考人 土地改良事業関係の御質問でございます。

 まず、土地改良事業を実施するためには、土地改良法という法律に基づく手続を踏んでいただくことになるわけでございますが、その土地改良法上、事業費については国の負担割合が定められておりますが、県なり市町村、いわゆる土地改良区の組合員という事業参加資格者でございますが、これについては負担割合についての定めはございません。

 県、市町村、事業参加資格者の負担割合についてはどこで定められているかといいますと、いわゆるガイドラインというものがございまして、これによって地方公共団体の標準的な負担割合が定められておるということでございまして、関係者で調整が整えば、これと異なる負担割合とすることも可能でございます。

 また、一度関係者で調整し合意した負担割合につきましても、例えば、今委員がおっしゃったように、受益戸数がどんどんどんどん減ってきたという情勢の変化を受けて、関係者間で改めて調整を行い、合意ができれば、あとは地方自治法二百二十四条の都道府県の分担金徴収条例の変更と、あとは都道府県議会の議決によりまして、減少した事業参加資格者の負担分について行政が負担することは可能となってございます。

 あとは、おっしゃるとおり周知の問題でございますが、これについては、また個別の案件を御教示いただければ、また県とも相談しながら、周知を図っていきたい、こう思ってございます。

矢上分科員 どうも大変貴重な情報をありがとうございました。

 次に、続きまして、これも、畜産クラスター制度といって、地域では大変喜ばれておる事業なんですけれども、やはり、内申書というか総合評価制度によりまして、申請はできるけれども、優先順位が下だとなかなか予算がそこまでおりてこない場合もありますし、また、本予算で予算がたくさんあると全員当選して下の方まで当たるということで、喜んでおられる方も多いんですけれども。

 実は、この採択要件の中で、今、よく、どの省庁でも成長産業化という言葉が使われるものですから、四十代、五十代、六十代の働き盛りの農家の方が、落選されたときに、自分たちはもう年だから相手にされないんだろうかとか、疑心暗鬼に陥っておられる方々が若干ふえておりますので、採択につきましては平準化するような補助金の出し方、また、募集するに当たりましても、公平公正になるように、やはり地元のJAとか畜産振興協会あたりに十分な周知をして、今だったら手を挙げていいんですよというようなお話を十分周知していただきたいと思うんですね。

 それと、もう一つ、これはお願いに近いんですけれども。

 TPP対策で、畑作への転換とか施設園芸の強化があるんですけれども、どうしても、台風に強いハウス、耐候施設のハウス、高度化施設をつくりますときに、産地形成ということで、一緒に産地の生産力強化、また経営体の生産力強化ということで、増産体制の計画も出さなければならないんです。

 実は、熊本県の八代市というところは、皆様方のおかげでハウスも立派なものができたんですけれども、一緒にやはり生産力を強化するということで、結果的に作付面積がふえる。そうすると、結果的になりますけれども、豊作貧乏で、自分たちがせっかく育てたトマトが暴落してしまって、今度は新しく借りた設備投資の資金が返せないような状況が今生まれておりますので、TPPで外国から入ってくる以上、じゃ、どこまで生産力を強化するのかというあんばいをよく計算して、補助事業の採択要件としていただければと。

 お願いでございますけれども、御答弁ができましたら、どうぞ。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、畜産クラスター事業の関係でございますけれども、後継者のいらっしゃらない方の採択の条件でございます。

 御指摘いただきましたとおり、本事業は施設整備と機械導入と二つございますけれども、施設整備事業につきましては、取組主体は、原則として四十五歳未満か、四十五歳以上であっても後継者の確保が見込まれるということを要件としてございます。これは、この整備する施設の耐用年数が非常に長期にわたるということでございまして、他方、機械導入につきましては、耐用年数も短いので、四十五歳以上の方であっても後継者の確保は要件としてございません。ここは要件の問題がございます。

 他方、その優先順位の決定、また生産者が所属する団体だとか、そういう理由で優先順位づけに公平性を欠くことがないというのは、これは要綱も含めてきちっと明記して指導しておりまして、引き続ききちっと指導してまいりたいというふうに思います。

 また、ハウス関係の、多分パワーアップのことだろうかと思います。

 パワーアップにつきましては、さまざまなハウス含めて施設、また産地形成に活用されてございますけれども、これまで規模の拡大を基本的に要件としてございましたけれども、単純な規模拡大だけじゃなくて、労働生産性を向上させていくということもやはり重要だろうということで、今回の補正の方から労働生産性を向上することも条件にいたしましたので、単純な規模拡大だけじゃない対策もいろいろとれるようになってございます。そこをまた周知をしてまいりたいと思います。

矢上分科員 ありがとうございました。

 それで、時間の都合で、酪農経営の規模拡大の問題について参ります。

 実は、私、九州なんですけれども、偶然、農林水産委員会の方で、北海道の加工原料乳の生産費調査の補給金と、サトウキビ、てん菜、そういったマルキン事業ですか、そういうもののお手伝いをさせていただきまして。昔はストライキみたいに、春闘みたいにやっておったわけで、吉川大臣も御経験おありだと思います。

 そういうことで、ちょうど平成八年ごろですか、どんどん離農する方がおられる、そして生乳生産量を確保しなければならないということから、おおむね当時は家族経営、手作業でできる範囲が、経産牛で十頭から三十頭の間であったわけですね、ところが、ガット・ウルグアイ・ラウンド等始めまして、将来の国内生産を維持するためには、やめていかれる方々の生乳枠を分けてもらって、できれば六十頭から八十頭体制でやりたいということに、その当時、方針が決まりました。

 ただ、そのときから、六十頭、八十頭にふやすと、酪農関係のふん尿は水分が多いから、ふん尿処理対策が大きな問題となる。そういうことで、農水省の方から依頼があって、視察とかも行ったんですけれども、当時のふん尿処理の量が多過ぎて、まく場所がない。

 それと、自給飼料が自分でつくれなくなって、購入飼料を食べさせていたんですけれども、為替の関係で、平成二十年ごろですか、暴騰しました。そして、その後は、今度は、後継牛の子牛の値段も上がりまして、非常に厳しい状況になってきております。

 やむを得ず農林水産省が進めた、そして、生乳生産者も地域のために頑張って規模拡大したんですけれども、かなりのデメリットも生産者が受けてきたという状況がございます。

 そういう中で、少なくとも北海道の酪農は今何とか頑張っておられますけれども、当時の頑張っておられた本州の方が、どちらかというと、壊滅に近いような状況に向かいつつありますので、今後は、その規模拡大のメリット、デメリットも踏まえ、そしてまた、酪肉生産の近代化方針の中にもありますように、逆に、粗放的な小規模酪農も大事にするよということもちゃんとうたってございます、そのあたりについて、これまでの実感といいますか、お考えを簡潔にお述べいただければと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございましたとおり、酪農につきましては、いわゆる酪肉近に沿いまして、飼養規模の拡大を中心としながら、生産コストの低減とか収益性の向上を目指して取り組んでまいりまして、それで、都府県でも生産性の高い酪農経営の育成が図られておりますけれども、お話ございましたとおり、飼養戸数が減少して、生乳生産量が減少しているということで、これは離脱される方々の生乳生産を、規模拡大で、北海道と違って、なかなか受け切れていないということだと思います。

 そういう中で、先生から御指摘ございましたとおり、家畜ふん尿処理の問題だとか自給飼料の問題等々ございまして、それについては現在も同様の問題がございまして、処理施設の処理能力の向上ですとか堆肥還元のための作付地の確保、こういうのが大事でございます。

 また、生乳生産量の減少を食いとめるためには、経営を離脱される方の経営資産を新規参入等の方々に円滑に引き継ぐということもすごく重要だというふうに思っています。それらの施設の整備ですとか耕種農家との堆肥の利活用のマッチング等を積極的に推進するほか、そういう新規就農の希望者に対して知識、技能の修得支援ですとか、初期投資がかかるものですから、離農農場を改修して貸し付けるような取組、こういうこともやってございます。

 今後とも、こうした施策を総合的に実施いたしまして、特に都府県酪農の生産力の強化に努めてまいりたいと存じます。

矢上分科員 本当に、この酪農における規模拡大というのは、行政にとりましても生産者にとりましてももう苦渋の選択で、この道しかなかったと思うわけですので、何とぞ、今後、これまでのいろいろなことを将来の酪農経営の中で生かしていただければと思います。

 次に、時間の関係で、林業経営の現状と課題ということで、簡単に述べます。

 ちょうど平成五年から十五年にかけて材価が下がったものですから、四十年伐期から、超長伐期ということで八十年伐期でいかがだろうかということもございました。ところが、平成七年以降、台風が連続しまして、風倒木の被害がかなり出ました。結局、長くやっても歩留りが悪いじゃないかということで、また四十年生で切るように戻ったわけですけれども。

 その問題と、もう一つ。

 流域型経営管理システムということで、川上、川中、川下と。林業経営者ももうかる、市場も製材所ももうかる、材木問屋ももうかる、そして工務店ももうかるというような、お互いが助け合うような森林経営システムをつくり上げようということで、二十年前にシステムがつくられたわけですけれども、現実には、全量チップ化によるバイオマス発電への供給ということで、これは確かにいいんですね、悪くはないんですけれども、何で今バイオマスのチップなんですかと山主さんに聞きましたら、さっきの川上、川中、川下と流す間に、どれだけ手数料とか運送賃とか人件費がかかるかわからない、出してみないと黒字か赤字かわからないと森林組合から言われた、恐ろしくて山を切れないと言うお年寄りがおられるんですよ。

 それに対して、チップの場合は、一トン当たり幾らとか、立米当たり幾らということで、ちょうど若い人がリサイクルセンターに要らなくなった古着とかを持っていくとお金と交換してくれるような感覚で、必ずプラスになるから、この全量チップ化の方が助かるんだよなという声をよく聞くんですね。

 そういう中で、これだけではなかなか難しいと思いますので、将来の森林経営についての思いを簡潔にお伝えいただければと思います。

吉川国務大臣 この森林のことにつきましてお答えをする前に、矢上先生から、新規就農者に対する支援策、さらには、先ほども都府県の酪農に対する対策等々のお話がございましたので、私どもも、しっかりとそれを受けとめながら、これからも充実していきますように対応させていただきたい、こう思っております。

 森林資源の本格的な利用期を迎えた我が国におきまして、この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用をしていきたいと思いますし、林業の成長産業化に森林の適切な管理の両立を図る必要があろうか、こう思っております。

 このために、森林・林業政策として、川上については、本年四月から施行される森林経営管理制度に基づく経営管理の集積、集約化、ICTを活用した施業の集約化、路網整備や高性能林業機械の導入等による林業の生産性向上、緑の雇用事業等を通じた人材の育成ですとか確保を図ることといたしております。

 また、川下でありますけれども、これは林業、木材産業のバリューチェーンを、全体としての利益の拡大を図っていかなければなりませんので、今まで余り木材が使われてこなかった中高層や中大規模、非住宅などの建築物の木造化、さらには内装木質化を推進いたしてまいりたいと思いますし、製材工場ですとか合板工場等の大規模化、効率化による加工の生産性向上等もしっかり図っていかなければなりません。

 また、地域の林業、木材産業の関連事業者が需給情報のマッチングを行うフォーラムを設置するなど、流通全体の効率化を図ることといたしております。

 このようなことをしっかりやりながら、次世代に豊かな森林を引き継いでいかなければ、そういう思いでいっぱいでございます。

矢上分科員 簡潔に終わりますので。

 最後の漁業問題で一言だけお答えいただきたいんですけれども、今回の漁業法改正で、沿岸漁業の目玉として養殖経営が位置づけられました。ところが、一昔前の養殖経営というと、一発当てましたみたいな感じで養殖御殿が建つけれども、何年か後に潰れていたとか多いんですけれども、これまでに養殖経営がこれだけの大きな目玉事業として経営が安定してきた理由を、もしおわかりでしたら、一点でも構いませんので、簡潔にお願いいたします。

笹川主査代理 簡潔に。

長谷政府参考人 養殖業の振興でございます。

 先生御指摘の魚類養殖業、その需給バランスが崩れて経営が傷むということが随分繰り返されてまいりましたけれども、最近では、需給についてのガイドラインを示して、できるだけ計画的に生産するようにというようなことで、経営が安定してきている面があると思います。

矢上分科員 きょうは本当にありがたい御答弁をいただきまして、本当にお礼申し上げます。

 これで質問を終わります。

笹川主査代理 これにて矢上雅義君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷(裕)分科員 立憲民主党、神谷裕でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 また、大臣、朝から本当に御苦労さまでございます。きょうはまたおつき合いをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、水産に関して質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の臨時国会で、御案内のとおり漁業法が成立してございます。農水委員会でも、その漁業法に関しまして私何回か質問に立たせていただいて、皆さんにもしっかりと御答弁をいただいたなということで、いい議論ができたんじゃないかというふうには思っておりますし、また、附帯決議についても、大臣もしっかりとやっていただいているというふうに理解をしているところでございます。その上で、あの議論を踏まえた上できょうは質問させていただきたい、このように思っているんですけれども。

 私からは、あのとき、例えば、IQ制度あるいはTAC制度等を含む新たな資源管理システム、また、現場の漁業者の方が最も不安に思っている漁業権の優先順位の廃止や、既存の漁業権者の漁場利用が確保されるための条件である、漁場を適切かつ有効に活用、こういったことについて、さまざま質問させていただきました。

 そのやりとりの中で、長官もそうでございますし、あるいは御答弁をいただいた中には、漁業者の皆さんに不安の声があるということは十分に聞いているんだ、浜の皆さんに届く説明を心がけていくという御答弁をいただいているところでございます。

 各地で説明会を聞いているというお話は伺っているのでございますけれども、現場の理解がやはり大事なんだろうと。説明会の回数というよりも、やはりどれだけ理解が進んでいるのか、ここがやはり大事なんだと思うわけでございますが、まず、現場の理解が進んでいるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。

濱村大臣政務官 水産改革につきましては、現場で漁業を営む漁業者の理解を得ながら進めていくことは大変重要であり、必要不可欠であると認識をいたしております。

 このため、法案成立後、まず、広く改正法の趣旨、内容を周知するためのパンフレット、QアンドA等を作成いたしまして、これらを用いて、二〇一九年一月から、地方ごとのブロック説明会を行うとともに、全国の漁協や浜々を回っての制度説明、意見交換を行っているところでございます。

 その結果、最近では、改革の意図が、浜で頑張る漁業者の皆様をしっかりと後押しをしていくことであるということや、全国の浜を元気にすること、これが大事であるということが伝わりつつあって、安心したという声も聞いている、そういう状況でございます。

 今後も、一人でも多くの漁業者の方に御理解をいただいて、少しでも不安を解消するとともに、適切な制度の運用に向けて、今後も引き続き丁寧な説明及び意見交換に努めてまいりたい、このように考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 今申し上げたとおり、大事なのは、どれだけ御理解をいただくかということだと思います。その中で、今政務官から御答弁いただいたとおり、安心したという声があったのかなというふうに思うんですけれども、私は逆に、安心した方よりも、まだ不安に思っておられる方について心配りをしていただきたい、このように思うわけでございます。

 この改革、本当に大きな、七十年ぶりの大きな大きな改革でございますれば、やはり一朝一夕に御理解がいただけるということには私はなかなかならないんじゃないかなと思います。ましてや、これまでの制度になれている皆様方でございますから、そういった方々が、心底、これなら大丈夫なんだと、基本的には、農水省さんもあるいは水産庁さんも、浜の皆さんは信じておられると思うんです、信じている中で今回の改革をお認めをいただいたんだろうと私は思います。

 ただ、御案内のとおり、政省令に委任している事項も多々ございますれば、まだはっきりわからないところもあるんだろうと思いますし、逆に、今まさに説明をいただいている、その中には今後の政省令に生かせる部分も相当私はあると思います。その種があるんだと思います。

 ですので、ぜひこういったところにしっかりと耳を傾けていただいて、そしてよりよいものになるように更に御努力をいただきたいと思いますし、これは通告をしていないんですけれども、政省令についてなんですが、どの程度というか、準備は進んでいるのか、ちょっとこの辺、伺わせていただけたらと思うんですが、いかがでございましょう。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 新たな法律の施行は、公布の日、これは昨年の十二月十四日だったわけでありますけれども、公布の日から起算いたしまして二年を超えない範囲内とされております。説明会でいただいた意見等も踏まえながら、現在、政省令、告示、運用通知等の制度運用に係る検討を行っているところでございます。

 委員御指摘のように、その中でいろいろな御意見、アイデアもいただいているところでありますので、そういうものも踏まえながら、今後、ある程度素案が固まった時点で、更に都道府県ですとか漁業者団体等との意見交換を行うなどいたしまして、制度運用についての詰めの作業を進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、制度運用の周知や都道府県漁業関係者による十分な施行準備期間を設けた上で、法律が施行できるように準備してまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 恐らく、漁業者全員が笑顔になるようなことは、私はないと思います。変な言い方なんですが、やはり隣の漁業者よりも勝とうというのが漁業者のいいところでもありますし、本能だろうと思います。

 ただ、せめてというか一番大事なポイントは、これは厳しいけれどもこの範囲であれば我慢ができる、あるいはこれだったらのめるというようなところにしっかり落としていただくのが一番大事なんじゃないかな、このように思うわけでございます。

 ですので、全てが皆さん納得はいただけないと私自身も思うんですけれども、そういう中で、多分、大事な点が幾つも隠されておりますので、どうか前広に声を聞いていただいて、そしていいものをつくっていただきたい、このことを重ねてお願いをしたいと思います。

吉川国務大臣 神谷委員から御質問を受けたわけではございませんが、私も、年が明けまして、東京の、近い漁協にもお邪魔をしまして、漁業者の皆さんとの意見交換もさせていただきました。

 さらに、まず浜の皆さんに御理解をいただくためには、やはり神谷委員が御指摘をされました漁業権の優先順位の廃止ですとか、さらに、沿岸の皆さんにおかれましては、IQの導入がどうなっていくのか、自分たちの漁業がこれからも続けられるんだろうか、そういった思いを本当にたくさん持っていらっしゃる方がいるんだろうと思うんです。

 その不安解消のためには、やはり私は、きめ細かに、この説明会、浜の皆さんとの膝を突き合わせての話合いというのが必要だろうと思いまして、全国のブロックでの説明会のみならず、都道府県単位、更に必要であれば浜ごとのブロック、そして、御要望があれば全国の浜一つ一つを回ってこれは説明をして、そして御理解をいただくような形をとろうじゃないかということもさせていただいております。

 政省令につきましても、今、長官が説明いたしましたように、こういった皆さんとの話合いの中から、この政省令等々も参考にしながらつくっていく。

 神谷委員も、特にカツオ、マグロ関係では専門家でございますから、ぜひまた御意見を頂戴できれば、こう思っております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 図らずも、大臣が先頭に立って頑張っていただいているということがわかりました。本当によろしくお願いをしたい、今、本当にありがたい答弁だったと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 質問を移らせていただきます。

 そのときに同時に議論させていただいた、水協法の関係でございます。

 今回の改正によって導入されます公認会計士監査でございますけれども、信漁連と二百億円以上の貯金等を有する漁協が対象となります。

 対象となる漁協の多くはいわゆる県一漁協でございますけれども、北海道には、地域にある漁協でも信用事業を行っているところも多く、預貯金の合計が二百億円以上になるところもございます。

 これらの漁協は、信漁連や県一漁協と比較して職員数も少なく、体制が脆弱で、改正法の施行までに監査を受ける体制の整備が十分にできないんじゃないか、結果的に監査費用が高くなってしまう、そういったことが懸念をされるわけでございます。

 こうしたことも踏まえて、今回の改正法附則に、公認会計士監査への移行に当たって組合員の実質的負担がふえないよう政府が配慮する旨規定されたものと承知をしております。

 漁業者や地域を支えている漁協の経営に影響を及ぼさないように十分な対策を講ずる必要があると考えておりますけれども、具体的にどのような対策を考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

長谷政府参考人 公認会計士監査への移行に当たりましては、特に、信用事業と経済事業をあわせ行っている漁協等において、監査費用を抑制できるよう準備を進めていく必要があると考えております。

 具体的には、漁協の各支所の業務処理を統一するなど、内部統制の改善の取組を進めることが重要でありまして、三十一年度当初予算におきまして、コンサルタントの派遣等によりこの漁協の取組を支援する予算を盛り込んでいるところでございます。

 それから、公認会計士監査への移行には十分な移行期間を設けることとしております。これは、法施行から四年以内で政令で定める日ということでありますけれども、公認会計士監査の導入に対する不安が払拭されるよう、これからも水産庁としてしっかりバックアップしてまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 結構、やはり漁協さんも、公認会計士さんが入ってくる、そうなると構えてくると思います。もちろん、しっかりとした監査、これは何より大事です。まして、二百億円以上というと大きな大きな金額です。これは北海道がたしか多かったと思いますし、五つ、二つぐらいでしたか、幾つかあったと思うんですけれども、こういったところがしっかりと監査を受けられるように、もちろん不正があってはいけませんけれども、要らない不安は取り除いてあげる、そして要らない負担も極力緩和してあげる、これが大事だと思いますので、ぜひ、引き続き御努力、御尽力をいただけたらと思います。

 質問を移ります。

 昨年来の水産政策の改革の中で、政府は、漁業の成長産業化を図るため、漁船の高性能化、大型化を進めることとしております。

 今、漁船漁業においては、最も重要なのは、船齢の高い漁船を安全で居住性、生産性が高いものとするための代船建造を進めていくことというふうに言われております。

 特に、若者が夢を持って漁業に就労することを進めていくためには、改革的な漁船を導入していくことというのは非常に重要だと思いますし、そのためにも、政府は、必要な予算をしっかりと手当てをしていただいて、必要な事業を進めていくべきであろう、このように思うわけでございます。先般の議論の中でも、御案内のとおり、例えば、今の漁船、本当に漁船員のことを余り考えていないような漁船が多うございまして、若者はなかなか乗りたがらないんだろうと思います。ぜひ、若者が就業するためには、例えば個室を与えるであるとか、あるいはそういったものが必要なんだろうというふうに思います。

 一方で、この代船建造を進めるというのは、WTO上のルールもあって、結構、補助の仕方は難しいんだろうというふうにも理解をしておりまして、そこは工夫が要るんだろうと思っているところでございますが、こういった具体的な予算措置について、政府の対応をお答えいただきたいと思います。

長谷政府参考人 委員御指摘のとおり、漁船の高性能化あるいは大型化につきましては、生産コストの削減ですとか、居住性、安全性、作業性を向上させて、特に若者にとって魅力ある漁船漁業を実現する上で極めて重要と考えております。また、昨年度策定された水産基本計画におきましても、漁船の大型化による居住環境の改善や安全性の向上が必要とされているところでございます。

 このような漁船の導入につきましては、漁船の建造等に対する金融支援措置のほかに、高性能で居住性にすぐれた漁船の収益性向上等の実証を支援する漁業構造改革総合対策事業、もうかる漁業創設支援事業ということでございますけれども、この事業により推進しているところでございます。この事業につきまして、平成三十年度第二次補正において五十億円を措置し、平成三十一年度当初予算においては五十一億円を計上しているところでございます。

 今後とも、このような支援を通じまして、適切な漁船の導入を進めてまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 代船建造、本当に大事な問題なんですけれども、ぜひ御注意をいただきたいと思っておりまして、これも拙い私の経験ですが、船主さんに聞いて代船建造をすると、大体、まず魚倉から考えます。結果として、船員の居住性は悪くなります。その上で、また、要らないスピードとは言いませんけれども、本来漁船ですから漁船でいいんですけれども、いっとき、バブル期なんかは、本当にこれが漁船なのというぐらいすごいスペックのものをつくってしまって、結果として大変な費用がかかってしまった、そういうようなこともありますので、十分、船主さんあるいは船員の方、漁業者の声を聞くのは大事なんですけれども、経営という観点も抱えながら、いかにして適切なものをつくっていくか、そういうことがやはり必要だと思いますし、どうしても法定耐用年数というのもありますものですから、一年当たりの費用というのが意外と高くつく場合もございます。

 そういったところの軽減措置であるとか、そういったこともぜひ工夫をしていただけると、代船は進むんじゃないかなというふうに思いますので、これは拙い経験ですけれども、ぜひ考えていただけたら、このように思うわけでございます。

 次の質問をさせていただきます。

 捕鯨について質問をさせていただきたいと思います。

 IWCでの議論を、長年私も見てまいりました。反捕鯨国は折り合う姿勢を見せない、不毛な議論が残念ながら続いていた。私も、IWCの問題、これは深刻に考えなきゃいけないなというふうには考えておりました。

 そんな中でございますが、昨年末に、菅官房長官から、日本がIWCを脱退して商業捕鯨を再開するというような発表がございました。いろいろな国民の皆さん方の評価もございましたし、これで大丈夫なのか、あるいは、これで商業捕鯨を再開できる、さまざまな声があったというふうには理解をしてございます。

 しかし、若干唐突な感もあったかなというふうには思っておりまして、もちろん、水産庁さんあるいは政府においては入念に準備をされて、あるいは議論をされてこの日を迎えたんだろうということを信じているわけでございますけれども、改めて、IWCからの脱退についての経緯と商業捕鯨の再開についての経緯、この辺の御説明をお願いしたいと思います。

長谷政府参考人 我が国は、科学的根拠に基づいて水産資源を持続的に利用するとの基本姿勢のもと商業捕鯨を再開することとし、IWCから脱退することを決定し、昨年十二月二十六日に脱退の通告を行いました。

 我が国は、IWCが鯨類の保存と捕鯨産業の秩序ある発展という二つの役割を持っていることを踏まえまして、いわゆる商業捕鯨モラトリアムが決定されて以降、商業捕鯨再開を目指して、三十年以上にわたり解決策を模索してまいりました。

 しかしながら、鯨類の保護のみを重視し、持続的利用の必要性を認めようとしない国々からの歩み寄りは見られず、昨年九月の、これはブラジルでのIWC総会でも、異なる意見や立場が共存する可能性すらないことが明らかになったということを踏まえまして、今回の決断に至ったということでございます。

 本年六月三十日に脱退の効力が発生いたしまして、本年七月から商業捕鯨を再開する予定でございます。

神谷(裕)分科員 そうしますと、七月から商業捕鯨が再開されるということに具体的になると思うんですけれども、今、もう既に二月の後半でございますから、余り準備の時間がないのかな、このように思うわけでございます。

 もちろん、多くの皆さん、国民の皆さんは、商業捕鯨再開への期待もあるというふうに思いますけれども、同時に、関係者も含めて、不安に感じていらっしゃる方も多いんじゃないかな、このように思うわけでございます。

 捕鯨業は、三十年間にわたる中断をこの間していたわけでございます、商業捕鯨という意味におきましては中断をしていたということでございますし、この間に世代もかわっております。漁場や経済情勢を含め、捕鯨を取り巻く状況が大きく変わったわけでございます。ことしからすぐに順調に開始できるのか、そこが非常に疑問でございます。また、IWCを撤退して以降、商業捕鯨の再開については国際的にも注目を浴びているというふうに思うわけでございます。

 こういった捕鯨業を円滑に再開するための政府の準備状況、これについて伺いたいと思います。

長谷政府参考人 商業捕鯨再開に向け、関係省令の改正や、IWCで採択された方式による捕獲枠の算定を現在行っているところでございます。

 また、商業捕鯨が三十年にわたり中断されていたことに鑑みまして、商業捕鯨が軌道に乗るまでの間、国として、漁場の探査や、捕獲、解体技術の確立などについて支援を行うこととしております。

 さらには、学校給食での提供や外食産業での新メニューの開発など、若い方々をもターゲットにした需要拡大にも積極的に取り組んでいきたいということでございます。

 こういった考え方を、関係者に対し、また国内、国外に対して丁寧に説明いたしまして、本年七月に商業捕鯨が円滑にスタートできるように、しっかりと準備していきたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 やはり、この商業捕鯨の再開については、多くの多くの心配事があると思っています。

 まずはIWCを撤退したということもありますので、海外からの目がどのようになっているのか。別に、反捕鯨国のことを気にしているわけではなくて、むしろ捕鯨支持国、これまで我が国を支えてきてくださった国々、この国に対しての説明というのは何より大事だろうと思うわけでございます。

 これまで、我々を支えてきたこういった国々については、捕鯨の問題ばかりではなくて、例えば昔、ちょっと前ですけれども、国連の常任理事国入りを目指したときに我々を支えてくれようとした国々でもございますし、広く、例えば、二百海里水域において、我々が、例えばカツオもそうでございますしマグロもとっている、そういった漁場を提供してくださっている国々でもございます。

 そういったことについてしっかりとケアができなければ、例えば、捕鯨が再開できたとしても、国際的には、外交的にも問題が残ってしまうようではやはりいけないんだろうと私は思うわけでございますし、次に一歩進む上でも、この辺のケアというのが何より大事なんだろうと思っているところでございます。

 そして何より、商業捕鯨を再開していただくに当たって、実際に、鯨肉がどのように供給をされるのか、そしてそれがしっかりと市場に回って、そして買っていただいて食べていただいて、それがまた次の生産につながるようにする、このことが何より大事なんですが、残念ながら、マーケット、市場というのが、この間の国際的な圧力もあるのでしょう、例えばヨーロッパに店を持っているような大手の流通は扱ってもらえるわけでもございません。こういったところ、確かに需要はあると思うんですけれども、どうやってこれを届けていくのか。かつ、その上で、商業でございますから採算に合わなければいけない、このことが何より大事だと思うんです。

 実際に、この後も支援をいただける、頑張っていただけるというようなことでございますけれども、やはり、当初、特に販売というのがすごく難しいんじゃないかな、大丈夫なのかな、この辺がすごく気になります。

 その上で、今、学校給食の話もいただきました。ただ、学校給食はこれまで、安い値段で、いわば協力というのか支援というのか、そういう形で出していたなというふうに思っております。それが何より次の世代をつくっていく、次の需要をつくっていく上では非常に重要なことだと思いますし、この点についても、まずしっかりとやっていただけるということを前提としているんですけれども、その上でも、やはり消費の拡大や、あるいは需要の喚起について、相当覚悟を決めて支援をしていただかないと厳しいんだろうと思います。

 そしてまた、IWCを撤退した結果、輸入についてもどうなるのかなと、若干疑問だと私は思います。通告していないんですけれども、IWCを撤退した結果、海外からの鯨肉の輸入、これは続けられるのかどうか。長官、今おわかりになりますか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 IWCを脱退したことによって輸入が制限されるというような規制はございません。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 加盟国同士じゃないと輸入できないというルールはなかったでしたっけ。大丈夫ですか。

 ありがとうございます。大丈夫ということなので、そこは安心をして、またいろいろなものを、おいしいものを提供していただいて、需要喚起に努めていただけたら、このように思うわけでございますし、ここしばらくは本当に、体制の変更であるとか、あるいはいろいろ考えていかなきゃいけないと思います。

 何より、今、これまで調査捕鯨の中で、船員の皆さんであるとか、一生懸命頑張っていただいた皆さんがどうなるのだろう、非常に心配をしております。そういった皆さんについてもしっかりとケアをしていただけるようにお願いをしたい、重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 それでは、質問を移らせていただきます。

 ちょっと毛色が変わりまして、今度は農薬の話をさせていただきたいと思います。

 昨年に農薬法についても改正をしたというふうに思っております。法改正を行ったんですけれども、昨今の技術の進歩により、例えば、ヘリを使った農薬散布、あるいはドローンを使った農薬散布、さまざまな方法が活用されております。また、一方で、田んぼも畑も大型化、大規模化が進んでおります。一枚当たり一町というのは北海道では普通でございますし、中には、一番大きいもので私が見た中では五町というのもあったと思います。そういった田んぼがある中で、こういった面積の拡大と、あるいは農薬の対応がやはり必要なんじゃないかなと思っています。

 農薬の希釈であるとか、あるいは用途、方法についても、やはりルールがあります。もちろん、安全というのが大前提でございますけれども、その上で、今、面積が非常に大きくなっているものですから、薬剤をとりに行く、そして補充して、また散布に行く、これが非常に手間になっているんだというようなことでございまして、例えば、こういった希釈の方法なり用法、用途を少し変えることができれば、例えば、一回の往復で一回補充すれば一枚田んぼが何とかなるよ、二枚何とかなるよというようなことで、これも効率が上がっていくというようなことで、農家の声を聞いております。

 そういった意味での規制緩和というのか、あるいは方法の考え方というか、そういったものを考えられないか、そういった所感をお伺いしたい、このように思います。

池田政府参考人 お答えします。

 委員の御質問、農薬の希釈を高濃度にして、少ない液量で散布できたらいいんじゃないかということだと理解しております。

 これまで、濃度が異なる場合には、その農薬につきまして追加の作物残留試験の提出を求めてまいりました。一方、委員御指摘のように、農薬の散布作業の省力化を図る技術といたしまして、例えばドローンの活用、こういったものが重要となってきております。

 このため、試験の簡略化に取り組んできたところでございまして、このたび、ドローンなどに適しました、少量で高濃度の散布であっても単位面積当たりの農薬の投下量が従来と同等であれば作物残留試験の追加の実施を不要とするという見直しを行ったところでございます。

 これによりまして、ドローンだけではなくて、例えばブームスプレーヤーにおきまして高濃度で使用できる農薬の登録がしやすくなり、生産現場の省力化、生産性向上が可能となる、このように考えてございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 やはり田んぼも畑も一枚一枚大きくなっています。それに合わせてそういったものも見直していただくと農家自身も大変に楽になってまいりますので、そういった意味での省力化、ぜひお願いをしたいと思います。そのことを申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 自由民主党の渡辺孝一でございます。

 きょうは、本当に朝から晩まで大変忙しい、タイトなスケジュールの中で質問をいただいたことを、まずは御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、きょうは農水委員会の分科会でございますので、まずは吉川大臣に敬意を表したいと思います。

 本当に、私の国会議員のスタートと農政のかかわりはTPPから始まったのかなと思っております。そのスタートの時点から吉川先生は汗をかかれて御苦労なさっている姿を私もかいま見て、そして、大臣就任後もしっかり大臣の姿を見せていただきましたけれども、とうとうここまで来たかと。大臣の頑張りにつきましては、本当に敬意を表したいと思っております。

 そのことを、きょうの質問、地元の状況も踏まえて、皆さんに御理解をいただける、また、今後更に頑張っていただけるような、そんな質問にできればいいかと思っておりますので、御答弁よろしくお願い申し上げたいと思います。

 TPPの議論の際に私たちよく聞いたせりふが、攻めの農業、あるいは守りの農業という言葉でございました。この攻め、守りの農業ということを地元の方々にも説明をしておったんですが、正直申し上げますと、地元の農業者の方々は非常に理解が低かった。正直言って、それもこれも不安が募っていたのが現状ではなかったのかと思います。

 というのも、あの当時、TPPの対策の中で、おおむね各品目について影響試算額等々が出ておりました。しかし、国の算出するいわゆる影響試算額と、あるいは都道府県、地方自治体の方で出す試算額の乖離がちょっとあったものですから、それがまず一つ不安をあおったこと。

 もう一つは、言うなれば、近々TPPが発効されても、それほど、影響は低いのではないか、しかしながら、中長期的にはいわゆる体質強化をせねばいかぬというような、農水省なりの政府の方向性、対策の御指示がございました。この体質強化という意味も、農家の方々には非常に、すっきりとした形で伝わっていなかったのが不安につながったのではないかというふうに思います。

 しかし、そこで、特に今回は攻めの農業についてちょっと絞って質問をしたいと思います。

 総理が輸出を攻めの農業としてアドバルーンの一つとして掲げた際、先ほど申し上げたとおり、地元農家の方々は正直困惑しておりました。しかし、それが始まって以来、今では農家の方々、特に若い農家の方々は非常に期待が高まってきております。二〇一九年に一兆円の目標を掲げ、それが着実に輸出の額が伸びてきているという実績が、やはり農業者の方々にも理解を深めていく材料に、あるいは結果になったのではないかというふうに思います。

 農水省から報告を受けておりますけれども、二〇一八年の輸出額は九千八十六億円になったということで、年々確実に実績が上がっているこの結果が、先ほど申し上げたように、農家の方々、あるいは一次産業に関係する方々が、我々も頑張らなきゃいけないというような気持ちになったんだと思いますけれども、ただ、この二〇一九年が終わったときに、それで終わりだと思いませんけれども、その後、では一九年以降どうなるんだということについて、今、現段階での農水省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

小里副大臣 少子高齢化等によりまして国内の食市場の規模の縮小が見込まれる中にありまして、海外への農林水産物、食品の輸出拡大を図っていくことは、農林水産業の維持発展を図る上で極めて重要であると考えております。

 我が国の農林水産物、食品の輸出額は、平成三十年は九千六十八億円となりまして、平成二十九年の八千七十一億円から一二・四%増加して、六年連続で過去最高を更新しております。御指摘のとおり、目標の輸出倍増目標一兆円に対して、一年前倒しをしてこれを達成しよう、そういう勢いであります。

 こうした取組を更に促進するために、農林水産業の輸出力強化戦略等に沿いまして、輸出を目指した産地づくりや輸出業者とのマッチングなど生産者への支援、輸出先国による放射性物質規制の撤廃、緩和に向けた働きかけや、輸出先国の各種規制への対応支援、JFOODOによる日本産品のプロモーション等を進めてまいります。

 ことしは輸出額一兆円の目標年でありますが、まずはこの目標の達成に向け、さらなる輸出拡大が図られますよう力を入れてまいります。

渡辺(孝)分科員 次の二番目の質問の答えにも若干触れていただいたのかと思いますけれども、今のお話を聞いて、更に一次産業関係者の方々が喜んでいただけるのではないかと思います。

 二番目の質問というのは、そういう対策等々が少しずつ日の目を見てきている、そのことが六年連続の輸出の伸びという結果につながっているんだというふうに思います。

 しかし、もうちょっと、二の矢とは言いません、やはりもう少し、関係者の方々の背中をもう一押しすることが、この輸出ということの伸びが更に加速できるのではないかというふうにいろいろ地元の方々とは話をするんですが、ぜひ、農水省の今の考え方と。ちょっと地元の方の話を申し上げますと、青年部の方々とお話しすると、確かに輸出そのものは賛成をし、これからどんどんと海外の方々にも食していただくことを期待しているわけですけれども、生産者の立場で、いわゆる顔の見える、消費者の顔が見える、そんなことももっと研究したいし、そして、向こうの消費者も日本の生産者の顔を見たいんじゃないかなんという意見がございました。

 そういう意味では、若手の青年部たちが今4Hクラブと称して、北海道では、若手の海外研修等々に地方自治体も援助をしながら、研究に予算をあてがっているというような状況もございますけれども、ぜひそういう事業も推進していただければ、更に輸出に対して若い者たちがもっともっと積極的になるんだけれどもなんということを私にアドバイスをくれたわけでございますけれども。

 今後、農水省としては、今現在の考えている以上に、更にもう一押し背中を押すような考え方はないのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、輸出に意欲のある生産者を支援するために、昨年八月末に、農林水産物、食品の輸出プロジェクト、GFPと呼んでおりますけれども、これを立ち上げまして、生産者等の登録を促しているところでございます。現在までに九百五十件以上の事業者の登録がございまして、北海道におきましても八十六件の方々がこれに登録してくださっております。

 このGFPに登録していただきますと、農林水産省、ジェトロなどが直接出向いて無料で輸出の診断というのを行うことにしておりまして、これまでに百十五件、各地へ出向いていろいろな御相談に乗っているところでございます。

 加えまして、農林水産省と協力をしてくださっております百三十以上の輸出商社から、具体的に何が欲しいという商品リクエストをいただきまして、そこに生産者を結びつけるといったマッチングも行っているところでございます。

 さらには、登録メンバー同士の交流あるいは産地情報の交換といったイベントも実施をするということにしておりまして、多くの生産者の方にこのような枠組みに参加をしていただきたいというふうに考えております。

 これに加えまして、輸出先国のニーズや規制に対応したグローバル産地の形成を進めたいというふうに考えておりまして、平成三十一年度当初予算におきましては、グローバル産地づくりの推進事業を計上いたしまして、産地づくりの計画策定あるいは計画の実行に向けた体制整備、それに加えまして、関連するハード、ソフト事業の優先採択といったことを組み合わせることにしておりまして、生産加工体制の構築を促すという取組も行うこととしているところでございます。

 こうした支援を通じまして、海外市場に乗り出したい生産者の夢を一つでも多く実現してまいりたいというふうに考えているところでございます。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 今ほど答弁ございましたけれども、GFPの話もありました。これは私、非常にすばらしいものだというふうに思っておりますが、申しわけありません、地元の方に行ってこの話をすると、正直言って、十人いたら九・九人ぐらいは御存じないというのが、ちょっと耳の痛い話になるかと思いますけれども。

 輸出というとすぐ海外という視点に行ってしまうものですから、地元の農業者にとってみれば、物すごく壮大な、大きな話に聞こえてしまうので、GFPをもっともっと活用した中で国内企業とのいわゆるマッチングをきちっとやっていただければ、これが将来輸出につながる、あるいは国内の需要喚起につながるんだということをもっともっと農家の方々に説明していただければ、今度は、我も我もとGFPに登録するなり連絡するような形になると思いますので、ぜひ、その辺の、今でも努力していると思いますけれども、さらなる努力をお願いしたいというふうに思います。

 さて、北海道におきまして、これも吉川大臣のおかげで、昨年九月に、石狩新港に薫蒸施設、精米工場を設置していただき、中国向けのお米の輸出がスタートいたしました。これに関しましては、非常に稲作農家の方々は期待をし、そして、どんどんどんどん、言葉はちょっと申しわけないですけれども、もうけようぜなんという合い言葉が出るような若い農家の方々もいらっしゃいます。本当にありがたいことだと思っております。ただ、まだスタートしたばかりで、これから、より高度な戦略やいろいろな対策を講じなければいけないかと思っております。

 我が地元では、米の一大生産地でございまして、ぜひこれが更に加速されることを望んでおりますが、輸出の額で見ますと、九千八十六億円のうち、正直申しましてまだ三十七億円程度ということでございまして、一見、まだまだこんな額か、輸出額だけで申し上げますとこんな額かというふうに思う方もいらっしゃる一方、私は、ちょっと違う視点で、まだまだのり代があるな、これからもっともっと攻めていけるのではないかというような思いでおります。

 というのも、私も、国会議員になる前、市長を十年間やっておりましたけれども、中国に米を売りに行きまして、実は瀋陽市というところに売りに行ったときに、四度の訪問で、非常に地元のお米の評価が高く、経済特区のビルの中に事務所を置かないかというような御提案がございました。

 そのときに、そこまでできるかなと思ったときに、瀋陽市の政府から、その事務所の家賃は無料にしてあげる、そのかわり、地元のお米をどんどんどんどん入れてきてくれないかということを言われたので、最初は、ただほど高いものはないなんという、地元ではそういう協議の中で出ていたもので、ちょっと二の足を踏んだことも経験がありますけれども。

 本当に中国の方々が、非常に日本のお米の評価が高いということを私はかいま見てきたこともありまして、安定した輸出が確保できることで、いわゆる生産者の方々が、何もお米だけでもなく、本当に安定した所得につながっていくのではないかというふうに思いますけれども、今後、農水省、どういうふうにあの手この手を考えているか。特に米について、もしちょっと御意見がありましたら、お答えいただきたいなと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど委員から御指摘がありましたとおり、北海道産につきましては、インバウンド人気もありまして、さらには北海道という抜群のネームバリューもあるということで、北海道産米も人気の商品となっているというふうに伺っておるところでございます。

 そもそも、我が国の主食用米の消費量が毎年約十万トン減少していくという中で、水田をフル活用して、食料自給率、自給力の向上を図っていくためには、海外市場に積極的に進出していくことが必要でございます。そのためには、先生御指摘のとおり、お米の輸出を通して、農家がもうかる、農家の所得が向上するといったことが重要だと考えております。

 このような中、海外で販売している事業者の中には、アメリカ、シンガポールなど、日本産の玄米を輸出して、現地で精米したてのお米を販売するといった取組、さらには、香港で日本産米を使用したおむすび、冷めてもおいしいということで販売をするといったようなことで、産地としっかり結びついて、日本産米に付加価値をつけて販売しているといった事業者もあり、農家の所得の向上に向けましては、このような取組が広がっていく、広げていくということが重要だと考えております。

 一方で、海外では低価格の外国産米が多く流通しているということもございますので、競争力のある産地づくりを並行して進めていく必要があるというふうに考えておりまして、農林水産省といたしましては、米の輸出向け低コスト生産に向けたスマート農業技術の導入、実証に対する支援、さらには産地交付金で、内外の新市場開拓を図るお米の作付に対する支援、海外における日本産米の需要拡大に向けて輸出事業者が行うプロモーションなどの取組への支援、さらに産地と輸出業者のマッチングなどの支援を推進しておるところでございまして、このような支援策を通じて、農家所得の確保につながるお米の輸出の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

渡辺(孝)分科員 今までの私の質問、そして皆さんの答弁を聞いて、非常にありがたく思っております。

 先ほど小里副大臣もおっしゃっておりましたけれども、人口減少や高齢化というのは日本の社会構造や産業にボディーブローのようにきいている、これは紛れもなく事実でございまして、今後、この厳しい状況の中でどこに活路を見出していくかということを考えたときに、一次産業に関しましては、やはり需要増の考えからいけば、海外に目をどんどん向けていかなければいけないというのは、誰もが認識していらっしゃるかと思います。

 この日本のすばらしい技術、あるいは製品もそうでしょうけれども、また、消費者に対しても細やかな心配りができる。私は、世界の中でも堂々と勝負ができると思っております。ぜひ、これからもお力添えをいただきたいというふうに思います。

 さて、その輸出を考える上で、戦略においてでございますけれども、ただ、もう一つ忘れてはいけないことがあると思うんです。

 ただ物を売るだけというのは、経済の原理の中では、物を売るということは、それで利益を得るというのは原点だとは思うんですが、今後グローバルな社会を目指していく安倍総理にとって、やはり日本のすばらしさというのもきちっといろいろな形で伝えていかなければいけないということであれば、この食文化、つまり、この日本の伝統や文化というのもあわせて輸出をする必要があるのではないかと思います。

 結果、そのことによって、いわゆる日本のすばらしさを諸外国にアピールをすることになります。そしてそれが、私は、いろいろな好循環が生まれてくるのではないかと思います。

 例えばインバウンド、要するに外国人の観光客の増、さらには、今後、四月一日から施行されます外国人の就労制度におきまして、そういう方々が、ただ単に仕事をしてお金を稼ぎに来るだけではなく、日本の文化、特に食も楽しみにして来るんだという、そういうような外国人の就労制度の環境づくりもしていかなければいけないと思います。そのことが、彼らが本国に帰ったとき、あるいは家族の方、友達の方に逆宣伝をしてくれるのではないかという期待もしておりますけれども、農水省の考え方は何かありますか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 海外の方々に我が国の食文化や伝統に対する理解を深めていただくことは、日本産農林水産物、食品の輸出拡大のみならず、インバウンドの誘客にも非常に効果的でございます。このような視点から、外務省の交流事業や観光庁等とも連携して取り組んでいるところでございます。

 具体的には、クールジャパンと連携をいたしまして、諸外国で人気の動画コンテンツを活用した全国の食文化の紹介、大使館行事への日本食普及親善大使の派遣や、海外の外国人料理人による料理コンテストの開催、加えまして、海外の外国人料理人を対象とした国内の有名日本料理店での研修などを実施しておりまして、これらの交流を通じまして、日本食の発信を更に強力に行っていきたいというふうに考えております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 旅行者の方々や関係する方々だけでもなく、例えば日本に留学している学生さんたちも多くいらっしゃいますので、そういう方々と文化交流等々やっていらっしゃるかと思います。ぜひ、日本人の、日本の一次産業物に対して、ぜひ何かPRできるような形を考えていただければありがたいなと。

 私も、先ほど中国との米の輸出のことをお話ししましたけれども、向こうの方が地元に来たときに、わざわざギョーザをつくっていただきました。日本のギョーザとはちょっと違っていまして、最初は遠巻きに見ておりましたけれども、本当においしいのかなと思いましたけれども、これが意外や意外、正直言って、家でうちの妻にもつくっていただきたいななんて思うぐらいおいしいギョーザをつくっていただいたということで、知らないからなかなかPRできないと思うんです。我々はもうちょっと、知らしめることをどんどん考えた方がいいのかなと思っております。

 さて、攻めの農業の中でもう一つ大事な視点というのは、私は国内需要の喚起だと思っております。

 データで報告も受けておりますけれども、昭和三十七年ですか、国民一人当たりの米の消費量が二俵近くあった。それが今現在は一俵を切る時代になってきました。その要因は、当初、冒頭で小里副大臣から答弁ありましたこともあると思いますけれども、ただ、それを指をくわえて見ているだけではおかしいのかな、やはり国内消費量の増のためにどんな取組を考えているかということを真剣に考えなければいけないのかなと。

 特に、今、健康というのが非常に、お金で買ってでも健康を買おうなんという風潮にもなっておりますし、そういう意味では、日本食をとることが健康につながっていくというような戦略も必要だと思いますし、また、医学的といいましょうか、科学的にあるいは生理学的に本当に分析もこれから必要になってくるのではないかと思いますけれども、国内消費の喚起、農水省の考え方をちょっと教えていただきたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 お米の消費拡大に向けての御質問をいただきました。

 お米の消費拡大に向けましては、先生御指摘のとおり、健康面からの御飯食の効用発信が重要と考えております。大麦御飯というものも最近でははやっておるようでございます。企業等と連携をした、朝食を食べない朝食欠食の改善、さらには御飯を中心とした日本型食生活の普及など、食育の推進も重要でございます。

 さらには、今後も堅調な需要が見込まれる中食、外食向けのお米への供給につきまして、生産者と実需者のマッチング支援を通じた安定取引の推進を図っておるところでございます。

 また、農林水産省のホームページに、新たにお米の消費拡大に関する専用のページを開設いたしました。お米の消費拡大に資する飲食店情報の提供、消費拡大に取り組む企業、団体を応援する「やっぱりごはんでしょ!」運動というものを新たに展開しているところでございます。

 引き続き、消費者や団体、企業に幅広く参加を働きかけ、運動の充実を図ってまいりたい、かように考えております。

渡辺(孝)分科員 もう残り少なくなりましたので質問はこれで終わりたいと思いますけれども、最後に、きょうは、攻めの農業という視点から、輸出と、ちょっと食育について絞らせていただきましたけれども、まだまだ多くの方法があろうかと思います。

 もちろん、守りの農業についても、地元の方では、TPP等の関連対策やいわゆる基盤整備事業の予算確保、さらにはスマート農業の推進というのがどんどんと浸透してきております。本当に、これからを担う若手あるいは担い手の方々が、これらについて、どんどんどんどん気持ちがそちらに向いてきているというのは非常にありがたい話だというふうに思っております。ぜひ、最終的な目標である所得向上、これにつながるように、これからもお願いしたいと思います。

 ただ、農家の方々と話していると、ふと思い出すときがあるんですけれども、「七人の侍」、黒沢明監督の映画の中で、長老が部落を守るということで侍を雇う。そこで侍の方に言った言葉が、農家というのは、まあ映画では百姓と言っておりましたけれども、農家は、雨が降っても心配し、晴れても心配する、それが農家なんだという言葉が私は非常に印象に残っておりますけれども、とかくいろいろな農業政策で国外的あるいは国内的にもいろいろな変化があることによって、農家の方々はやはり自然を相手にして仕事をしているわけでございまして、非常に不安に感じる度合いが、ほかの産業とはちょっと意味合いが違うのかと思っております。

 私は、一次産業というのは国の基だというふうに思っております。ですから、この一次産業の振興が国の発展にもつながるという確信を持っておりますし、ぜひ、吉川大臣始め政府関係の方々には今後も大変期待しているという地元の声を伝えまして、私の質問にかえたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

堀内主査 これにて渡辺孝一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山本和嘉子さん。

山本(和)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの山本和嘉子と申します。

 きょうは、予算委員会の農水の分科会ということで、長時間にわたりまして本当にお疲れさまでございます。

 私の地元が京都府の第五区というところでございまして、京都の北の方のエリアでございます。日本海に面した、本当に景観の豊かな地域でございまして、一次産業に従事されている方も多数おられますものですから、そういった地元の声もヒアリングもしてまいりまして、届けていきたいという思いで、きょう、質問の方に立たせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、一次産業の担い手の件なんですけれども、地方にとっては主要産業であると思います。でも、地方の若者はその多くが都会に出てしまって、全国的に慢性的な人手不足であると思います。地域には、長く地域と寄り添ってくれる担い手が不可欠であると思います。担い手の展望なくして、地域の将来、一次産業の将来はないとも言えると思います。

 そこで、こうした担い手をどう支えて育成し、中長期にわたって地域とともに歩んでいっていただくのか。そうした施策についてお伺いをしていきたいと思います。

 私の地元の地域で、いわゆる農業の六次化に取り組んでいる方々がいらっしゃいます。酪農製品の生産、加工、販売に取り組んでいるんですけれども、当初の目標は年間三万人の来場、お店の方に来るというのを目標にされていたんですけれども、現在では約八万人近く来るということで、御商売はうまくいっているということなんですが、生産体制に問題があるというふうにおっしゃっています。

 小規模の生産者ですので、設備投資の問題もあります。牛を育てて、生乳を扱える技術を持った方が働き続けてもらえない、続けてもらうことがちょっと難しいということでございます。地域経済を支えておられる、そういった事業があるということなのに、担い手の問題が立ちはだかっているということでございます。

 こうした地域の担い手を支えられるような方策について、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

吉川国務大臣 農業者の高齢化、減少が進む中にありまして、我が国の農業を持続的に発展させていくためには、現在の担い手の経営発展を支援するとともに、新しい担い手の確保を図っていくことが最も重要であろうかと存じております。ただいま山本先生からお話のあったとおりでございます。

 現在の担い手の経営発展のために、農地を担い手に、まとまった形で利用できるようにすることが重要であると考えておりまして、このため、農地バンクによる担い手への農地集積あるいは集約化を進めていくことをやっております。

 あわせて、必要な機械等に関する低利の融資ですとか六次産業化、基盤の整備等も進めておりまして、担い手の自由な経営発展を助長していくということも進めているところでございます。

 特に、担い手を確保することが困難な中山間地域につきましては、必要に応じて事業の要件を緩和する等によりまして、地域の実情を踏まえて、今、施策を推進をしているところでもございます。

 また、新規就農者の確保につきましては、特に就農初期の資金の確保が大きな課題となっておりますので、就農直後の経営確立を支援するための資金の交付等も行っているところでございます。

 これらの取組を総合的に推進をすることによりまして、農業の担い手の育成、確保に取り組んでまいりたいと存じております。

 山本委員の御地元京都、私も一月に京都に行ってまいりました。南丹町と亀岡市でございますが。大変私は、京都というと観光立国、観光県と皆さん思いがちでありますが、実に農業県だなということも実感をさせていただきました。すばらしい農水産物をおつくりになっておられて、それを直接販売もされている、そういった状況もしっかりと見せていただきました。

 担い手の方何人かともお会いをさせていただきましたので、ぜひとも、これからも京都の農業が発展をいたしますように、私どももでき得る限りの担い手対策も進めていきたい、こう思っております。

山本(和)分科員 大臣、ありがとうございます、京都にもお越しいただいたということで。亀岡は隣の区ではあるんですけれども、京都のそういう、農業も発展している、担い手が多い、一次産業も発展しているということも見ていただきまして、本当に、おっしゃるとおり、観光ばかりが京都ではありませんで、そういう農村、漁村の産業、皆さん一生懸命取り組んでおられますので、ぜひ御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

 若干、ちょっと大臣の御答弁の中、重なる部分で、再度質問という形になるかもしれないんですが、農業の新規就農者の件、また再度聞かせていただきたいと思います。

 次に、担い手の育成についてなんですけれども、若者がIターンとかUターンとかで地方に移住して農業をしたい、そういう希望のあった場合、その技術についてですけれども、身につけていかないといけないと思います。それから、農地も最初はなかなか借りることもできない、そして、特に若い方々は資金の問題もあると思います。また、農業は多くが個人経営でもありますので、経営力も欠かせないと思います。

 農業高校や農業大学で学ぶだけでなくて、新規就農のため、農地を借りやすくしたり、農業に適した住居を借りられたり、農業をしながら農業技術や経営を学んだり、さまざまな分野の人材と交流できるような仕組みとかも欠かせないと思います。

 私の地元で、農業を経営している方、そこに若い方が就職をするという場合、住環境がなかなか調わない。アパートとかがたくさん建っている地域ではありませんので、古民家のようなところをあてがった場合、やはり住みづらい家、動物がちょっと入ってきたりとか、そういう住みづらいということも聞きました。だから、そういう住居を手当てするような仕組みがあればいいなという話も聞きました。

 農業に魅力があって、自分もやってみたいと思って、そういうふうに就職をしようとしている、また、新規で農業をやろうとしている方、そういう新規就農者を支える仕組みというものを、現状どうなっているか、教えていただければと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、新規就農者につきましては、さまざまな課題といいますか、悩んでおられるところがあるというふうに承知をしております。

 平成二十九年に、これは農業会議所系統ですけれども、全国新規就農相談センターが調査したところによりますと、経営開始時の新規参入者の課題といたしましては、やはり資金の確保というのが、例えば七一・二%の方が全員課題があると思うとしておりますし、農地の確保も七一・六%、営農技術の習得が五四%、住宅の確保が二五・五%などとなっております。

 一番大きな課題であります資金の確保あるいは農地の確保につきましては、資金の確保は、先ほど大臣からもお話ありましたとおり、年間最大百五十万円、最大五年間支援できるような仕組みがございまして、これで立ち上げの支援を行っているところでございます。

 農地の確保につきましては、これは担い手対策と一緒でございますけれども、農地バンク、先ほど大臣からも御指摘ありましたが、これは県に一つ組織がありまして、地域で担い手が見つからない場合には、地域のほかから担い手を探しながら、農地をやりたいという方にお渡しするシステムでございまして、そういうところになりますと、特に新規参入者、地域の外から入ってこられる方にはそういうことを使っていただくということを今やっておるところでございます。

 それから、住宅の確保につきましては、一義的には国土交通省の問題ではございますけれども、最近は、国土交通省と連携して、農地つきの住宅についていろいろな相談窓口を地方公共団体でつくっている例もございますし、それに関連した改修等の国土交通省の施策もございますので、今もそうでございますけれども、なるべくそういう他省庁との連携も含めまして、総合的に新規就農対策を考えていきたいというふうに考えてございます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 新規就農者、意外と何か近年上昇傾向にあるというのも言われておりますので、それぞれの御希望に合った、事情に合った、求めている支援もいろいろあると思うので、行政機関にはそれぞれの事情に合った対応をしていただければありがたいと思います。

 続きまして、農業者戸別所得補償についてお伺いをしたいと思います。

 今、一次産業の担い手として、新規就農という例でお話をさせていただきましたけれども、やはり担い手がずっと暮らしていけるように、ずっと農業をやっていき続けることがとても大事だと思います。そのためには、制度設計が欠かせないと思います。

 二〇一八年、昨年から、米の生産調整、減反が廃止されました。TPP11も発動されまして、小規模農家を中心に、農業の将来に対する不安が高まっていると思います。残念ながら、現在の日本の一次産業は、将来に十分希望が持てる状態ではないのではないかとも言われております。早急に一次産業を立て直す体制を確立することが必要であるとも思います。

 その中で、最も具体的な対策は、農業者への戸別補償だと思います。御承知のように、先進各国では、農家への戸別補償は、イギリスが導入して以来、歴史を重ねているとも聞いています。今、先進国の農業の前提条件にもなっているとも言われております。

 日本でも、二〇一〇年、民主党政権が農業者戸別所得補償制度というものを導入しました。自民党政権にかわって、二〇一三年、その名称を経営所得安定対策というふうに変更されていますけれども、その内容と、どう変わったのか、その具体的な中身と今後の見通しについて教えていただければと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の戸別所得補償制度でございます。その中でのお米の直接支払交付金でございますが、全ての主食用米の販売農家を対象にいたしまして、十アール当たり一万五千円を支払うというものでございました。

 ただ、これにつきましては、担い手への農地の集積ペースをおくらせる面があったというふうに考えてございます。また、お米につきましては十分な国境措置があるわけでございますけれども、それに対して交付金を交付するということにつきましては、ほかの農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたいといった課題がございました。

 といったことを踏まえまして、先生御指摘のとおり、平成二十五年度から、名称を経営所得安定対策に改めた上で、お米の直接支払交付金は、平成二十六年産から単価を削減いたしまして、十アール当たり七千五百円、これも平成二十九年産までの措置といたしまして、あわせてでございますけれども、農地中間管理機構による担い手への農地集積や、水田をフル活用して需要のある麦、大豆、飼料用米などの生産振興を図るといった政策を強化したということでございます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 先日、この件について農水省の方からレクチャーもいただきまして、民主党政権で導入した制度であるけれども、基本的には自民党政権でも引き継いでいただいている、若干規模を縮小しているということではありますけれども、その流れの中で、今現在、立憲民主党など野党四党一会派は、昨年なんですが、農業者戸別所得補償法案を衆議院に提出をいたしました。

 この法案は、全ての農業者、集落営農の方々に対して畑作物や米などへの戸別所得補償交付金を交付するということ、それと、前年度の収入額が標準的収入額を下回った場合、その差額を補填する、また、規模拡大、耕作放棄地の解消、環境保全型農業など多様な取組に対する加算措置、この三本柱というふうに聞いております。

 この法案についての、農水省はどのように思われているか、その見解をお聞きしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 旧戸別所得補償制度につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、担い手への農地の集積ペースをおくらせる面がある、十分な国境措置がある米への支援につきまして、ほかの農産物の生産者ですとかほかの産業、あるいは納税者の理解を得がたい等の課題があると考えております。

 そして、主食用の米は、何よりも需要が毎年減少しているところでございます。旧戸別所得補償制度のように主食用米への助成を基本とするということであれば、米の過剰作付を招いて、需要ある作物への転換が進まなく、農家の所得向上にはつながらないのではないかと考えられます。

 このため、先ほどこれも申し上げましたが、旧戸別所得補償制度は廃止をいたしまして、麦、大豆、飼料用米といった需要のある作物の生産振興による農地のフル活用など、施策を強化してきております。同時に、日本型直接支払制度を創設いたしまして、中山間地域に対する直接支払いなどの施策を展開しているところでございます。

 生産農業所得は三年連続で増加をし、九千億円拡大するなど、着実に成果があらわれ始めており、引き続き、所得の向上などに向けた施策を展開してまいりたいというふうに考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 こちらの方でも法案なども提出をしておりますので、一応、そういうことも考えていただければとは思いますけれども。

 農家への戸別補償は、こうした農業の性質を補うものでありまして、食の安全や自給体制を守るという意味でも重要な施策だと思います。先進各国が農業政策の重要な柱としているのも、農業の輸出競争力を確保するということや、そうした意味があるからだと思いますので、ぜひ検討していただければとも思います。

 引き続きまして、ソーラーシェアリングなど自然エネルギーの導入による一次産業の収入の安定化などについてお聞きをしたいと思います。

 農家の収入を安定させるという点で、海外、特にドイツとか欧州で重要な役割を果たしてきたものに自然エネルギーの普及があったと思います。例えば、当初、風力発電の主な設置場所となったのは主に農地である、農家にとって有力で安定的な収入源となったというふうにも聞いております。現在のドイツにおいても、バイオガスやバイオマスなどの有力な供給源は農村地帯であった。このように、自然エネルギーは地方の有力な、安定的な収入源となり得るものだというふうに思います。

 残念ながら、日本では、農業が自然エネルギーの供給で収入を安定させるという点では、近年まで発展はこの点に関してはしてこなかったのではないか。

 そんな中、徐々に注目されつつあるものに、ソーラーシェアリングというものがあると思います。ソーラーシェアリングは、簡単に言うと、田んぼや畑などの農地で農業と太陽光発電事業を両立させる仕組みでありますけれども、その有用性についてなかなかちょっと理解が進んでいないということも聞いておりまして、例えば設備費用でありますとか日当たりの問題とか、そういうこともあるというふうに聞いております。

 そこで、農水省としては、ソーラーシェアリングを始めとした自然エネルギーの施設の活用によって農家や地域が安定的な収入を得ていくことについて、どのような見解があるかお聞きしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーの取組は、農山漁村におきます所得機会を増すものであり、特に、委員御指摘の営農型太陽光発電は、個人でも取り組むことができまして、作物の販売収入に加え、売電による継続的な収入が期待できる、すぐれた取組手法であるというふうに考えております。

 このような状況でございますので、昨年五月に促進策を発表いたしました。一つは、担い手が営農する場合や荒廃農地を活用する場合等には、一時転用期間を三年以内から十年以内に延長するということ、優良事例等の周知や、地方農政局での相談窓口対応をするという内容でございます。

 しかしながら、現行におきましては、地域におきましてまだ取組内容にばらつきがあるというふうに考えておりますので、平成三十一年度予算におきましては、太陽光パネルの下の農地においてどのような作物が高い収益が上げられるか、その場合にどのような構造のパネルを設置すればよいかといった実証実験を行う取組を支援することにしているところでございます。

 これらの支援とあわせまして、全国での啓発活動を通じて各地での成果の横展開を促すということで、この営農型太陽光発電の普及を図ってまいりたいというふうに考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 ソーラーシェアリングで、農業での自然エネルギーの活用ということでございますけれども、そのほか、例えば洋上風力とか波力、潮力発電ということになると、今度は水産業との関連になると思います。こうした発電の適地は漁場でもあることが多いため、一方で、漁業者が地域で事業体をつくって発電に参画すれば、水産業の皆さんの安定収入になる可能性もあると思います。林業においても、木質バイオマスエネルギーの供給が可能だと思いますし、自然エネルギーが、潜在的に有効であること、都市部ではなくて圧倒的に農山漁村であるということを考えると、これからの農山漁村の振興と自然エネルギーの健全な導入は、切り離して考えることができないというふうにも思います。

 こうした農山村での自然エネルギー導入の可能性についてお聞きをしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 国土の大宗を占めます農山漁村には、バイオマス、水、土地といった資源が豊富に存在をしておりまして、これらは再生可能エネルギーの発電の大きなポテンシャルであるというふうに考えております。

 それらの賦存量について網羅的に試算をしているわけではございませんが、例えば、林地残材の利用率が、平成二十六年には九%程度だったものを、平成三十七年度には、その三〇%に相当する八百万立米の利用を見込んでいるということ。それから、農業用水利を活用いたしました中小水力発電につきましては、年間八億九千万キロワットの発電ポテンシャル、これは一般家庭の約二十一万世帯分という試算をしているところでございます。

 このようなポテンシャルを地域の活性化につなげていくために、農山漁村再生可能エネルギー法に基づきまして、地域が主体となって協議会を設立いたしまして、地域の農林漁業の健全な発展に資する再生可能エネルギーの発電の導入を促進してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。ぜひ取組を進めていっていただきたいと思います。

 次に、林業についてお伺いをします。

 日本の森林面積は、七割が森であるという、世界でも例を見ないほどの森林大国だというふうにも言われています。その森林に関しては、やはり現在も担い手が少なくなってくる。せっかく森があるのに、日本で使用する木材は、今、六四%が外国産という現状であるというふうにも聞いております。

 どうしてかというと、理由を考えると、何十年もかけて育てた木を山からおろして売る、山から切り出しておろすコストの方が、丸太が売れる値段より高くなってしまうというケースが多いということでございます。せっかく何十年もかけて育てた杉やヒノキが、立米五万円とか十万円で取引されているというケースが多いというふうにも聞きました。これでは、とてもなりわいとして成り立っているとは言えないと思います。

 日本各地で既に製材所が閉鎖されてしまい、近くに製材所がない。ということは、県をまたがって販売、売りに行くということがあるそうでございますが、遠くに運ぶことになると、またコストが上がってしまう。日本の林業はそういう悪循環に陥っているというふうにも思えてしまいます。

 これまで、日本の林業は、植樹して生育することに重きがありました。しかし、林業は、樹木を育てるだけでなくて、それを切り出して、加工して、流通する仕組みがないとお商売にはならないと思います。そうしたトータルな展望が、日本の林業政策には長く欠けてきたのではないかなと思います。

 こうした林業の現状に対しまして、現在、政府としてはどのような対応をされているのか、対策などをお聞きしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の森林につきましては、戦後植林をされました人工林の資源というものが大きく育ってまいりまして、人工林の半分以上が主伐期を迎えるなど、充実した資源状況となっておるところでございます。

 こうした状況を背景にいたしまして、国産材の供給量につきましても、平成二十年の一千九百四十二万立方から平成二十九年には二千九百五十三万立方に回復をいたしまして、また、木材自給率についても、外国のものが六四%を占めているではないかという御指摘でございますけれども、一応、七年連続で平成二十二年からは上昇いたしまして、三六%まで回復いたしまして、林業の成長産業化への兆しというものは見られるのではないかと思っております。

 しかしながら、委員御指摘のように、まず、林業の生産性ということについて見ますと、これはEU圏で林業、木材産業の競争力が高いオーストリアと比較をいたしますと、年間ベースの一人当たりの生産量を比較いたしますと約半分になっているということでございまして、生産性が依然として低い状態にあるということであります。

 これは、我が国の森林所有構造が小規模零細でございまして、所有面積十ヘクタール未満の林家が九割を占めているということで、集約化も進んでいないということ、また、急峻で複雑な地形ゆえに林道、作業道等の路網密度が低いということ、それから、御指摘いただきましたような加工、流通等のコストが高いといったようないろいろな課題があるというふうに考えておりまして、こういう課題の解決が急務になっているというふうに認識をしております。

山本(和)分科員 ぜひ、課題解決に向けてしっかり取り組んでいただきたいということと、今、林業が成長産業であるというふうにもおっしゃっておられますので、これはやはり国として総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、林業をどのように成長産業にしていこうと具体的に考えておられるのか、道筋について、大臣の方から御答弁いただければと思います。

吉川国務大臣 我が国におきまして、今、人工林を中心にして、森林資源の本格的な利用期を迎えているところでもございます。

 この森林資源を、切って、使って、植えるという形で循環利用をいたしまして、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図る必要があると考えております。

 このため、森林・林業政策といたしまして、川上につきましては、本年四月から施行される森林経営管理制度に基づきまして、経営管理の集積ですとか集約化を図ってまいります。さらには、ICTを活用した施業の集約化、路網整備ですとか、高性能の林業機械の導入によります林業の生産向上も図ってまいりたいと思っております。さらには、緑の雇用事業等を通じた人材の育成確保を図ることもいたしております。

 そして、川下についてでありますけれども、これは、林業、木材産業のバリューチェーン全体として利益の拡大を図るために、経済界の協力もいただきながら、公共建築物を始め、これまで余り木材を使われてこなかった中高層、さらには中大規模、非住宅などの建築物の木造化ですとか、内装の木質化を推進をいたしてまいりたいと思います。

 さらにまた、製材工場、合板工場等の大規模化ですとか効率化による加工の生産性向上、地域の林業、木材産業の関連事業者が需給情報のマッチングを行うフォーラムなどを設置するなど、流通全体の効率化を図ることといたしております。

 今申し上げましたようなことを積極的に推進をしていきまして、さらに、林業の成長産業化と森林整備の適切な管理はもちろんのこと、次世代へ豊かな森林を引き継いでいく考えでもございます。

山本(和)分科員 ありがとうございました。

 力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀内主査 これにて山本和嘉子さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

堀内主査 次に、環境省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中野洋昌さん。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。よろしくお願い申し上げます。

 私、党内で動物愛護管理推進委員会の委員長をしておりまして、動物愛護の取組をさまざまやらせていただいておりますので、冒頭、これに関連して何問か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、農水省にお伺いをしたいんですけれども、それは、産業動物におけるアニマルウエルフェアの推進、このテーマでございます。

 もちろん、この動物愛護の取組においても、いろいろな愛玩動物、産業動物、さまざまな動物に対する扱いというものがございます。特に産業動物に関しては、EUなど、動物福祉という考え方がはっきりしておって、こうした取組が先進的に進んでいる地域もある、こういう地域に比べればやはり日本の取組というのはまだまだ不十分ではないか、こういう御意見もあるところでございます。

 もちろん、文化的な違いもあるでしょうし、あるいは消費者の意識であるとか、さまざま状況に違いはございますけれども、こうした動物福祉の取組も進んでいるということが、ある意味、産業としても評価が高いものになっていくのではないかというふうに私も考えておりまして、こういう意味では、産業政策としてもやはり積極的にこのアニマルウエルフェアというものは推進を図っていくべきではないか、このように考えております。

 この取組につきまして、現在、農水省でどのように取り組んでいるのかということをまずお伺いをしたいと思います。

富田政府参考人 お答えいたします。

 産業動物のアニマルウエルフェアにつきましては、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らし、結果として生産性の向上や安全な畜産物の生産につながるものであり、我が国の畜産にとって重要な課題であると考えております。

 我が国におけるアニマルウエルフェアにつきましては、公益社団法人の畜産技術協会が、OIE、これは国際獣疫事務局でございますけれども、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針に即しまして、畜種ごとに飼養管理指針を定めているところでございます。

 農林水産省としましては、この飼養管理指針の内容を生産者に周知しますとともに、消費者や食品流通業者等に対しても、畜産の取組について情報を提供し、理解の醸成を図っているところでございます。

 具体的には、生産者や流通業者、商社等への情報提供のためのセミナーあるいはシンポジウムの開催、アニマルウエルフェアに対応した飼養管理の優良事例の生産への紹介などの取組を支援しているところでございます。

 農林水産省としましては、飼養管理指針の普及に努めるとともに、生産者等の理解を得ながら、アニマルウエルフェアの定着に努めてまいりたいと考えてございます。

中野分科員 今の取組についてお話をしていただきました。

 やはり生産者によって、さまざま意識によっては、意識に大きな差があるという現状であるというふうに思います。私は、これをもっともっと普及をさせていかないといけない、このような思いでございますので、農水省におかれましても、さらなる取組の推進というのをぜひ求めていきたいというふうに思います。

 続きまして、動物、特に犬、猫等の殺処分ゼロに関連して何問か質問をさせていただきます。これはぜひ大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。

 環境省で、犬、猫殺処分ゼロということで旗を振っていただきまして、かなり全国でこうした殺処分の数というのは減ってまいりました。

 しかし、ぜひ現場の声というか、これを知っていただきたいんですけれども、なかなか地方自治体の動物愛護部局というのは、そんなに人員に余裕があったり、予算がすごくあったりというわけではございませんので、この取組は、全国の動物愛護団体の皆様のボランティアというか、こうしたものに大変支えられているというものを実感をいたしておりまして、殺処分ゼロということで目標を立てておりますけれども、受入れ側の負担というのも非常に大変だ、こういうお声も上がっております。

 他方、例えば自治体の現場に行きますと、どういうところで犬や猫を保護する現場があるかというと、例えば、不適切な飼い方をして、猫を飼っていたんだけれども、そのまま放置をしていたらあっという間に猫がふえていって猫屋敷のようになってしまって、どうしようもなくなって、そういう意味で、何十匹も猫や子猫がいる、こういう状況の中で、じゃ、これを保護しよう、じゃ、殺処分ゼロだから、これはちょっと、誰か引き取ってくれということで、また愛護団体の方が走り回る、こういう実は現状もございまして、幾ら譲渡活動しても、どんなに頑張っても、こんな現状があると、なかなか殺処分ゼロというのも進んでいかないのではないかと思うわけであります。

 他方で、こうした不適切な飼養をしている人というのは複合的な課題を抱えている場合も多くて、例えば孤立であったり、あるいは精神的な問題であったり、あるいはまた貧困の問題であったり、いろいろな問題を抱える、福祉的な支援が必要な場合も多い現状にあると伺っておりまして、やはりこれは、現場でもし連携をしていければ、猫を一匹飼っているという状況の中で、これは不妊去勢手術をしないとどんどんふえて大変なことになりますよということで、早目に手が打てればこんな問題は起こらないわけでありまして、殺処分ゼロ、特に、不適切な飼養による、多頭飼育崩壊というふうに呼ばれているんですけれども、こういう取組を防ぐためには、やはり今度は福祉の分野と連携をしないといけないのではないか、こういうことを考えております。

 私の地元の尼崎市というところでも、福祉の分野と連携をしてこういうことをやっていこうということで、今訴えておるところでございまして、ぜひ、環境省においても、こうした殺処分ゼロを具体的にやはり進めていく取組というのを後押しをしていただきたい、こういう思いでございます。

 ぜひ、これに関して大臣の御答弁をいただきたいというふうに思っております。

原田国務大臣 飼い主、飼い犬や猫につきまして、動物と人とがしっかり共生できる、まずそういう社会をつくろうという高邁な理念を目指しまして私たちはしっかり頑張っていかなきゃいけないわけでありますけれども、殺処分につきましては、一年前のデータでは、一年間に四万二、三千頭が殺処分された。ただ、これは、この十年間に六分の一、七分の一に減ってきたという意味では、国民の認識が大分高まってきたかなと。ただ、さはさりながら、まだまだ多くの課題が残っているのも事実であります。

 ただいま多頭飼育の問題を御指摘いただいたところであります。

 飼い主が大事にしていただくのはいいんですけれども、結果的に、猫、犬を多く飼うようになりまして、それを十分世話ができなくなった、そのことが、一つは、家の周り、社会的にも問題になったり、また、その犬、猫にとっても決して幸せなことではないという意味では、この問題については、環境省では、これまで、多頭飼育に関するパンフレットによる飼い主への普及啓発や、自治体の協力を得た状況把握等に努めているところでございます。

 今、議員がほぼ結論も出されたような気がいたしますけれども、この問題は、地域から孤立した生活困窮者や単身高齢者など、一つの傾向がございまして、その人たちがみずからを癒やすためにたくさん結果的に飼うようになった、そのことが社会全体にも影響を及ぼすという意味では、社会福祉分野との連携が非常に重要になってくるかなと。尼崎でもいろいろまた御苦労もされているようであります。

 環境省としては、三月十五日に、これは来月でございますけれども、社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会、そのことに絞った組織を新たに立ち上げる予定をしておりまして、例えば社会福祉の問題で、厚生労働省と連携して、収集した事例の情報を活用しながら、ガイドラインの策定等についても取り組んでまいりたい、こういうふうに思っているところであります。

中野分科員 検討会も立ち上げということで、大臣にもおっしゃっていただきまして、ぜひ、殺処分ゼロに向けた取組、推進をお願いをしたいと思います。

 きょうは厚労省も来ております。

 先ほど大臣からも答弁ありましたけれども、厚労省もしっかりこの問題について積極的に環境省と連携しながら取り組んでいただきたいと思いますので、厚労省にも答弁を求めたいというふうに思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる多頭飼育崩壊の問題につきましては、今お話ございましたように、地域から孤立をした生活困窮者や単身高齢者等、福祉的な支援を必要とする方がかかわっておられることが多いというようなことを私ども承知をしてございます。

 このため、厚生労働省といたしましても、この問題への対応に当たりましては、委員御指摘のとおり、自治体の動物愛護管理部局のみならず、福祉部局が協力をして取り組むことが重要だというふうに考えてございます。

 厚生労働省では、来月設置、開催される予定の、今お話ございました環境省主催の検討会、これへの参画を始めといたしまして、今後、環境省との連携を強化し、多頭飼育対策において福祉部局としてどのような協力が可能か検討してまいりたい、このように考えてございます。

中野分科員 動物愛護の関係でもう一問質問いたします。

 それは、災害時におけるペット対策ということで、これは東日本大震災以来、さまざまな、災害時にペットをどうするかということは大きな課題になりました。一つは、飼い主としてどのように、同行避難をしていくということだと思うんですけれども、飼い主としての取組をしていただく必要もありますし、あるいは、避難所において、ペットを同行避難してきた、ではどうすればいいんだ、こういう、自治体側、受け入れる避難の体制の中でどう考えていくか。さまざまな課題があるというふうに思います。

 こうした両面の取組が必要でございますけれども、災害時におけるペット対策を進めていってほしいということで、私も、また党としてもさまざまお願いをしてきたところでございますけれども、現在、国としてどのような取組をして、今後どのように進めていくのかということにつきまして、環境省の答弁を求めたいというふうに思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、平成二十五年に災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを策定し、昨年の三月には、熊本地震での経験、対応を踏まえまして、これを人とペットの災害対策ガイドラインに改訂をしたところでございます。

 この新しいガイドラインにおきましては、みずからの安全を最優先してペットとともに避難行動を行うという同行避難の考え方や、自治体等が被災した場合の広域支援の考え方等を明確にし、自治体が平常時から災害時に備えることができるよう、普及啓発に努めてきたところでございます。

 さらに、昨年九月には、飼い主向けのパンフレットを新たに作成いたしました。この中におきまして、平常時からのペットの適正な飼養、災害時に行うべき行動等について周知を図っているところでございます。

 引き続き、ペットの飼養者に対する普及啓発と、各自治体における対策がより一層促進されるよう、自治体職員への研修等を通して支援をしてまいる考えでございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 動物愛護の関係で何点か質問また御要望もさせていただきました。引き続き、ぜひ、環境省におかれましては、こうした取組を進めていただくようにお願いを申し上げる次第でございます。

 少しテーマをかえまして、何点か質問をします。

 一点目は、世界自然遺産登録、特に奄美・琉球ということで今目指しているこの登録につきまして、これも大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 私、地元が兵庫県尼崎市ということで、なぜ兵庫の人間が奄美の世界自然遺産登録の質問をするのかという御疑問もあろうかと思いますけれども、地元に奄美群島の出身の方が非常に多い地域でもございまして、阪神工業地帯の中心地だったということもありまして、大変に出身の方が多いということで、よく県人会であるとか郷土会、こういうものも開催をされております。

 そうした中で、私もしっかりこの奄美と関西のつながりを強くしていこうということで、党の中でも、奄美ティダ委員会という、公明党の奄美の関係の政策をやる委員会があるんですけれども、こちらにも所属をして活動しております。

 その中で、世界自然遺産登録で、奄美・琉球でこれを登録していくというのを大変地元の皆さんも楽しみにしておられました。この世界自然遺産に登録されれば非常に注目度も上がり、世界じゅうから奄美群島が注目をされる、そしてまた観光客もふえてくるだろう、こういうさまざまな期待があったわけでございますけれども、昨年の五月、この登録が延期だということになりまして、大変残念に思っている次第でございます。

 ことしは、五年に一度の、奄美群島振興開発特別措置法という、五年に一回この特措法を検討するわけですけれども、この検討もある。これもしっかり延期していこうということで、特措法改正をしようということで動きもございますし、次こそはこの奄美・琉球の世界自然遺産登録、必ず目指してほしい、こういう大変に強いお声をいただいているところでございます。

 ぜひ、大臣の方から、この奄美・琉球の世界自然遺産登録の推進につきまして、しっかり御決意をいただければと思いますので、よろしくお願いします。

原田国務大臣 まずは、日本の各地区の世界遺産登録、これは、日本のどこの出身であれ、私たち日本人としては最も誇るべき、そういう案件でございますので、国を挙げて取り組まなきゃいけないな、こういうことでございます。

 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に関しましては、諮問委員会でありますIUCNからの延期勧告を踏まえ、必要な作業を進めた上で、今月一日に推薦書を提出したところであります。既にお話ありましたように、前回相当頑張ったんですけれども、ちょっと不備だということから一旦それを引き取りまして、更にさまざまな検討事項を加えまして、今回、自信と誇りを持って推薦書を出したところでございます。

 今後は、IUCNによることし夏ごろの現地調査等を経て、二〇二〇年夏ごろ、来年の夏ごろ開かれます第四十四回世界遺産委員会において、世界遺産への登録の可否が審議される予定になっております。

 環境省といたしましても、政府を挙げて、関係機関や関係自治体等とも十分な協議を重ねて、IUCNの指摘に真摯に対応していきたいな、こう思っております。

 再推薦のいきさつや内容については御理解いただけるものと考えておりますが、確実な登録に向けて引き続き万全を期してまいりたい、そういうふうに思っておりますので、国会もしっかりまた応援をしていただかないといけない、こう思っております。よろしくお願いします。

中野分科員 ありがとうございます。力強いお言葉もいただきまして、しっかり国会の方でもぜひ応援をしていきたい、このように思っております。

 続きまして、またちょっと話題がかわりますけれども、浄化槽の整備に関して一問質問をさせていただきます。

 今、人口減少ということで、なかなか公共下水道の整備が進まない地域もございまして、やはり浄化槽、これが非常に大事ではないかということで思っております。この浄化槽の整備促進というのは、非常に環境という側面からも大事だというふうに思っておりまして、しっかり応援をしているところであります。

 しかし、家庭においては、単独処理浄化槽、生活雑排水を処理をしないんですけれども、こうしたものもまだ大変多く残っているという状況でありまして、やはり合併処理浄化槽、これへの転換を進めていくというのが非常に長らく課題でありました。

 環境省におきましてもさまざまな施策を講じていただいているんですけれども、これがなかなか進まないという現状にありまして、やはりこれをもっと力強く進めていってほしい、こういう大きなお声もさまざまいただくところでございます。

 来年度予算におきましても、関連する施策含めいろいろ準備をしていただいているところであるかというふうに思いますけれども、環境省として、この転換の促進に向けた取組を今後どのように進めていくのかということにつきまして、答弁をいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のありました単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進、これが水質改善、防災対策のためにも非常に重要と認識しております。

 それで、昨年六月に閣議決定されました廃棄物処理施設整備計画におきましても、新たに単独処理浄化槽の転換目標を設定するとともに、老朽化した単独処理浄化槽を対象にして、宅内配管工事を含めた合併処理浄化槽への転換を推進する各種施策が位置づけられました。

 これを受けまして、来年度予算案におきましても、本年度第二次補正予算十億円を含めて、循環型社会形成推進交付金として合計百六億円をまず計上しております。

 具体の内容といたしましては、単独処理浄化槽等の合併処理浄化槽への転換に予算を重点化し、単独処理浄化槽からの転換に必要となる宅内配管工事費用について新たに補助の対象といたしております。

 こういった新たな予算制度を積極的に活用いただくため、地方公共団体や関係団体に制度の周知を行いまして、単独処理浄化槽からの転換を更に推進してまいります。

中野分科員 ありがとうございます。

 大変にさまざまな、今回、大きな予算の制度の改正というのもしっかり準備していただいております。我々としても、これを早期に成立をさせて、そしてしっかりと促進が進むようにということで後押しをしてまいりたいと思います。

 最後に二つ質問をさせていただきます。それは、使用済みのプラスチックに関連をすることでございます。

 私が地元で廃棄物の処理の関係をしている方々から伺った話であるんですけれども、今まで、使用済みのプラスチックというのは中国に輸出をしていたというのがかなり量としてはあるというふうに聞いておりましたけれども、しかし、これが、中国がそれを輸入をすることを禁止の措置をした、それによって、今までそういう意味では輸出を日本がしておったものが廃棄物として処理をしないといけないということになりまして、これが量もかなりあるということで、非常に現場として大変だ、こういうお話を伺いました。

 まず、中国等への使用済みのプラスチックの輸出の停止、現在どのような影響があるか、どのように環境省として実態を把握しているか、これについてお伺いをしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のありました中国を始めとするアジア諸国におきましては、二〇一七年末以来、使用済みプラスチックの輸入を制限、禁止する方針の検討あるいは実施が行われてきていると承知しております。

 これまでに輸入規制の影響によって廃プラスチック類の不法投棄が発生したという報告はございませんが、昨年七月に実施したアンケートの調査結果によりますと、保管基準の違反でありますとか、受入れ制限が一部発生しているという状況にありまして、今後、廃プラスチック類の適正処理に支障が生じる懸念がある状況というふうに認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、都道府県等の産業廃棄物主管部局に対しまして、廃プラスチック類の不法投棄が発生しないよう普及啓発や監視の強化を図るように依頼をしておるところでございます。

中野分科員 不法投棄等はまだ生じていないということでありますけれども、実際にこれを処理していかないといけない、こういう状況でありまして、そうすると、処分場のキャパの問題もありますし、今まで地元の地域で処分できていたものができなくなる、では、一体これをどこに持っていけばいいのか、こういう現場ではさまざま混乱も起きているというふうなお話も伺っております。国としてこれは何らか対策を講じていかないと、やはり処理をしていく現場が回っていかない、このように思います。

 どのように今後対応されていくのかということにつきまして、最後にお伺いをしたいというふうに思います。

山本政府参考人 御指摘いただきました今後の対策ということでございますが、まず、国内の既存施設においてそれをさらなる活用をしていただくということを促すと同時に、廃プラスチック類の処理の受皿となる施設の整備を応援していくということは必要だと考えておりまして、その対応を図ってきております。

 具体的には、排出事業者に対して、既存施設を更に活用できるよう適正な処理料金を負担していただいて、排出事業者責任を果たすということを啓発しているところでございます。

 また、処理の受皿の整備ということに関しましては、プラスチックの高度なリサイクル設備等の整備に対しまして補助金制度を設けまして、対策を進めてきております。本年度の二次補正と来年度の当初予算を合わせて九十億円を超える予算を計上しておりまして、こういったものを活用して、更に国内体制の整備を促進してまいりたいと考えております。

 あわせまして、本年六月までにプラスチック資源循環戦略を策定することにしておりまして、これに基づき、プラスチック資源循環の促進などの対策を更に加速化してまいりたいと考えております。

中野分科員 さまざまな、戦略も含めて考えていくということでございます。

 かなり現場は大変だというふうにも聞いておりますので、しっかりと国としてこれは対策を講じていく、こういうことを改めてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて中野洋昌さんの質疑は終了いたしました。

 次に、鰐淵洋子さん。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。早朝より大変にありがとうございます。

 私の方からは、本日は農水省、環境省、二省にわたりまして質問させていただきたいと思います。最後までよろしくお願いいたします。

 まず初めに、豚コレラにつきまして質問させていただきたいと思います。

 昨年九月に、岐阜県で、二十六年ぶりとなる、家畜伝染病であります豚コレラが発生をいたしました。

 公明党といたしましても、二月八日に、吉川農林水産大臣に豚コレラ感染拡大防止の緊急対策を申入れをさせていただいております。また、改めて、公明党の豚コレラ対策本部を設置をいたしまして、現在も党を挙げて対策に取り組ませていただいているところでございます。

 発生当初は岐阜県にとどまっておりましたが、今月六日には、愛知県の養豚場での発生が新たに確認をされまして、ここから子豚が出荷をされていた長野、滋賀、また私の地元であります大阪も含めて、その感染被害が五府県に拡大するに至っております。

 豚コレラは、豚やイノシシがかかるウイルス性の伝染病でございまして、強い感染力と高い致死率が特徴でございます。発熱や食欲減退といった症状があるということですけれども、極めて見きわめが難しいというふうにも伺っております。感染した豚は、唾液、涙、また糞尿中にウイルスを排出いたしまして、接触をすることによって感染が拡大するとも聞いております。

 この感染を食いとめるためには、まずは豚コレラの発生原因と感染経路の早期究明及び感染拡大防止対策をしっかりと講じていく、その必要があると思っております。

 まず、今回我が国で発生いたしました豚コレラの発生原因と感染経路につきましてお伺いをしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚コレラにつきましては、委員御指摘のとおり、昨年九月以降、これまでに岐阜県及び愛知県で計十例、さらに、関連農場を含め、五府県におきまして発生が確認されております。

 発生農場での防疫措置は二月二十四日までに全て終了しておりますが、発生農場と屠畜場や出入りする車両が共通している農場につきまして、豚の移動制限や異状が確認された場合の報告徴求を行うなど、監視を継続しているところでございます。

 御質問のウイルスの侵入経路等につきましては、拡大豚コレラ疫学調査チームにおきまして、あらゆる可能性を検討しているところでございます。

 昨年十二月に開催いたしました第三回の検討会におきましては、今回の発生で、養豚農場あるいは野生イノシシから分離されたウイルスにつきまして遺伝子の塩基配列解析を行った結果、原因ウイルスは、過去に国内で流行していたウイルスとは異なり、近年、中国やモンゴル等で分離されたウイルスと近縁だったことが確認されております。したがいまして、海外から侵入したものと考えられます。

 また、本年の二月二十二日に開催いたしました第五回の検討会におきましては、これまでの現地調査を踏まえ、判明した事実をもとに、豚コレラの感染経路あるいは今後の対策の検討を行ったところでございます。

 その結果、飼養豚への感染につながる要因といたしまして、衛生管理区域内の中に車両が立ち入る際に適切な消毒が行われていなかったこと、あるいは、衛生管理区域へのイノシシなどの野生動物の侵入を防止する柵などが設置されていても、閉鎖されていない出入り口があったり、あるいは柵等のすき間が確認されたといったことが挙げられました。

 これらを踏まえまして、発生予防対策といたしましては、養豚農場等における飼養衛生管理基準の遵守の徹底、特に適切な洗浄そして消毒、また農場内での豚の移動時の対策などを確実に実施していく必要があると指摘されております。

 これ以上の感染拡大を防ぐために、都道府県と一層緊密に連携しながら対策に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 現段階での発生原因また感染経路等、御説明をいただきました。御報告をいただきました。

 これを踏まえた上で、今後、具体的に感染拡大防止についてしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますが、その上で、ちょっと具体的に質問させていただきたいと思います。

 この豚コレラウイルスのワクチン接種について、まず具体的に伺ってまいりたいと思います。

 このワクチンの使用というのは具体的な拡大防止対策として有効であるという声もございましたり、また昨日も、愛知県の田原市の市長さん、またJA関係者の皆様がワクチン接種等を求める要望をされたとも伺っております。

 実際に私もワクチン接種を求める声もいただいておりまして、我が党としましても、要望書の中に、感染拡大防止策としてワクチンの効果的な使用について検討するようにということで、申入れもさせていただいております。

 改めて、このワクチン使用についての御見解をお伺いをしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる飼養豚、豚へのワクチンの接種についてでございますが、農林水産省が定めております豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、飼養豚へのワクチンの使用につきましては慎重に判断する必要があるとされております。我が国における豚コレラの防疫措置は、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則としているところでございます。

 現在までの発生事例につきましては、先ほど申し上げました疫学調査チームの報告等によりますれば、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは必ずしも言えない部分もあると言われていることから、各府県と連携し、飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺により同病の発生予防及び蔓延の防止を図っていくことが今のところベストであると考えております。

 特に、我が国は、平成八年から十八年まで丸十一年かけまして、ワクチンに頼らない清浄化を達成してきたところでございます。現段階では、そういった教訓も活用しながら発生の予防を図ってまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ちょっと確認をさせていただきたいと思いますが、ワクチン使用については引き続き検討も続けるということでよろしいでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました特定家畜伝染病の防疫指針におきまして、早期発見、それから患畜、疑似患畜の迅速な屠殺では感染の拡大を防げないといったような事態になりますれば、飼養豚へのワクチンの使用ということも検討する必要があるということとなっております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 発生地域の皆さん、またその近隣の皆様は、いつまた感染拡大が広がるかわからないということで、大変に不安な思いをされている方が多いかと思います。ですので、今の現状も御報告いただきましたが、そういったことも含めてしっかりと周知していただいて、これからもこの感染状況もしっかりと注視をしていただく、その上で今後の対応、感染防止対策もしっかりと引き続き進めていただきたいと思いますので、重ねてその点、要望申し上げたいと思います。

 その上で、これ以上感染を拡大させないということで、具体的に何をしなければいけないのか、どのような対策が必要なのかということで、先ほども少し感染経路のお話も含めて御報告をいただいておりましたけれども、改めて、どういったことに取り組まれているのか、具体的な対策についてお伺いをしたいと思います。

小川政府参考人 感染拡大防止策についてお尋ねがございました。

 豚コレラの発生を予防するには、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要でございます。

 また、昨年九月以降、岐阜県等で発生している豚コレラを封じ込めるためには、野生イノシシの感染を抑えることが必要でございます。このため、岐阜県等の養豚場に対しまして、国が主導して飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善のための指導を進めているところでございます。

 また、二月二十二日、農林水産省豚コレラ防疫対策本部におきまして、豚コレラに感染した野生イノシシが確認された地域に限定いたしまして、野生イノシシに対するワクチンを散布することを決定いたしました。

 豚コレラのこれ以上の拡大を防ぐため、今申し上げたような対策を、国が主導して関係府県と緊密に連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今後の課題といたしまして、この殺処分を行った飼育農家移動制限によって被害が発生する事業者の皆さんや、また、風評被害を受けた事業者の方、そういった方に対しまして、経営再建に向けた経済的支援が必要になってくるかと思います。

 また、家畜伝染病予防法に基づきます手当金や助成、そのほか融資などの必要な経営支援を周知して、また速やかに実施することも重要かと思っております。

 そのほか、先ほど感染拡大防止策ということでお話しいただきましたが、この野生イノシシ等の捕獲等の各種防止対策、例えばフェンスやネットを設置する、こういったことにつきましてもしっかりと支援をしていかなければいけないと思っております。

 今、具体的に三つ申し上げましたが、発生農家への支援につきまして、どのようにしていくのかお伺いをしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、豚コレラ発生農家等への支援につきまして説明申し上げます。

 家畜伝染病予防法に基づきまして、発生農家に対しましては、殺処分された家畜の評価額の全額を手当金として交付するほか、移動制限がかけられた農家に対しましては、出荷制限による減少分を補填することといたしております。

 また、経営再開に向けて、畜産経営の再開、継続及び維持に必要な家畜の導入、飼料、営農資材の購入等に要する資金につきまして、家畜疾病経営維持資金や農林漁業セーフティネット資金の活用が可能になってございます。例えば、農林漁業セーフティネット資金につきましては、災害対策と同じ利率にさせていただいているところでございます。

 さらに、家畜防疫互助基金の加入者が新たに豚を導入し経営を再開する場合には、経営支援互助金の交付を受けることが可能になってございます。

 また、豚コレラの発生を予防するためのウイルスの農場への侵入防止対策も重要でございます。このため、まず、地域が一体となって取り組む野生動物侵入防止のための養豚農場周辺の電気柵やワイヤメッシュ等の設置に対しまして、消費・安全対策交付金や鳥獣被害防止総合対策交付金等で支援しているところでございます。

 豚コレラに関する支援策につきましては、漏れがないようしっかりと周知徹底するとともに、また、豚コレラの発生により影響を受けた農家の方々の経営が継続できるよう、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、御答弁の最後の方にもございましたが、発生被害に遭った農家の方々は、これから本当にどうなるんだろうかという、まだ具体的に先が見通せない、決められない方がほとんどだと思いますので、今おっしゃっていただきましたが、そういった状況であるということを踏まえた上で、丁寧に、誠実に周知徹底もやっていただきたいと思います。

 もう一つは、ちょっと感情論になりますけれども、自分の家族という思いで育ててきた豚を殺処分をする、寂しいというか、そういった苦しい思いも抱えてのことでございますので、そういったことも含めた上での具体的な支援、周知徹底、しっかりと進めていただきたいことを再度申し上げておきたいと思います。

 次に、豚コレラの風評被害、この対策について伺いたいと思います。

 風評被害対策といたしまして、消費者また流通業者の方に正確に、また迅速に情報を提供するなど、積極的に風評被害対策に取り組んでいく必要があると思っております。具体的には、まず、人に感染しないということ、また、感染した豚の肉が市場に出回ることがない、このことをしっかりと徹底していくこと、お知らせすることが重要であると思っております。

 農水省におきまして、どのように風評被害対策に取り組まれているのか、お伺いしたいと思います。

小川政府参考人 お答えします。

 風評被害対策についてお尋ねがありました。

 屠畜場に出荷される豚につきましては、屠畜場で屠畜検査員による臨床検査、さらに解体検査が行われ、異常がなく検査に合格した豚のみが市場に出回ることとされております。

 また、御指摘のとおり、豚コレラは人に感染することはなく、仮に豚コレラにかかった豚の肉や豚由来の製品を食べたとしても、人体に影響はございません。

 このことを正確に理解していただくため、農林水産省あるいは関係する府省を挙げまして、このような情報をホームページ等を通じまして国民の皆様に発信するとともに、生産、流通、小売団体を対象に、正しい知識の普及等について通知し、周知をお願いしてきているところでございます。

 なお、それぞれの地域の私どもの地方支分部局でございます農政局におきまして、不適切な食品の表示に関する調査を実施しているところでございまして、万一、不適切な表示が見られた場合は、表示の自粛や改善を求めてきているところでございます。

鰐淵分科員 引き続き、しっかりと対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 あわせて、これからの課題といたしまして、ちょっと一つ質問が飛びますけれども、野生鳥獣の農作物被害対策についてお伺いをしたいと思います。

 今回の豚コレラの感染拡大の一因として、先ほどもございましたが、野生イノシシが挙げられております。この野生イノシシですけれども、今回の感染拡大の一因、そういった問題もあるんですけれども、そのほかにも、これまでも農作物への被害、これも大きな問題となっております。

 しかし、こういったことを対応するにしましても、現場では高齢化も進んでおりますし、また費用の面で課題もあるかと思っております。具体的にやはり被害防止対策を講じていくには、状況が難しいというのが実態であると思っております。

 このような現状を踏まえまして、イノシシを始めとする野生鳥獣による農作物被害対策、これにどのように取り組んでいくのか、まず農水省の方にお伺いしたいと思います。

 あわせまして、ぜひ、この利活用もいろいろ検討されていると思いますので、その点もあわせてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 野生鳥獣によります農作物被害は、平成二十九年度が百六十四億円と、五年連続で減少しておりますけれども、鳥獣被害は営農意欲の減退や耕作放棄の要因となっておりまして、引き続きその低減を図っていく必要があると認識しております。

 野生鳥獣による農作物被害を防止するためには、侵入防止柵の設置でありますとか有害個体の捕獲、こういった対策が重要でございまして、まさに高齢化が進む中で、地域ぐるみで取り組むことが何より重要と考えております。

 また、捕獲された鳥獣につきましては、そのほとんどが埋設や焼却により処分されておりまして、鹿及びイノシシのジビエの利用率は八%にとどまっている状況にございます。

 ジビエ利用を推進して農村地域の所得につなげることは、地域の活性化の観点からも重要と考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、地域ぐるみで行う侵入防止柵の設置、あるいはICTを活用した捕獲活動のほか、捕獲した鳥獣をジビエ等に利用するための処理加工施設の整備等に対しまして、ソフト、ハード両面から総合的に支援を行っているところでございます。

 今後とも、地域の実情に応じた鳥獣対策が実施できるよう努めてまいりたいと考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、具体的にお話しいただきました。

 例えば、ICTを活用した捕獲ということで御紹介もありましたが、やはり、有効的に、また効率的に対策を講じる上では大変にすばらしいものだと思うんですけれども、先ほども申し上げましたが、やはり現場では、高齢化また人材不足、これが一つの大きな課題になっているかと思います。

 そういった中で、農水省の方で、鳥獣被害防止キャラバン、これも何か実施されているということで伺っておりますけれども、地域で抱えている悩み、課題、それぞれ違いますし、まずは聞いていただくことが大変に重要かと思っております。

 その上で、情報提供だったり具体的なアドバイスというものが求められてくるのではないかと思っておりまして、ぜひとも、答弁は結構ですけれども、こういった鳥獣被害防止キャラバン、こういったものも充実させていただいて、どちらかというとこれはソフトになると思うんですけれども、こういったことも含めて、実態に合った、地域に合った被害対策、これをしっかりと引き続きしていただきたいということで、要望させていただきたいと思います。

 続きまして、環境省の方にお伺いをしたいと思いますが、野生鳥獣の管理についてお伺いをしたいと思います。

 イノシシや鹿などの野生鳥獣の保護管理、これは環境省の方で行っていただいておりますが、近年、生息数の増加また生息域の拡大によりまして、今申し上げたような農作物への被害拡大、また、そのほか、生態系にも影響が出ております。

 野生鳥獣とも共生していくことを目指す上で、野生鳥獣の管理や、また個体数の調整等が重要になってくるかと思います。

 環境省といたしましてどのように対応しているのか、お伺いをしたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ありましたとおり、ニホンジカやイノシシにつきましては、急速な生息数の増加と生息分布の拡大に伴いまして、生態系、農林業等への被害が深刻な状況となっております。

 こうした状況を踏まえまして、環境省では、農林水産省とともに、ニホンジカ、イノシシについて、平成二十三年度を基準年とし、その生息数を平成三十五年度までに半減する目標を設定し、鳥獣捕獲強化対策に取り組んでいるところでございます。

 捕獲の現状でございますが、平成二十九年度のニホンジカ、イノシシの捕獲数、これは速報値でございますが、それぞれ六十万頭、五十万頭となっており、捕獲強化に伴いまして、基準年でございます平成二十三年度の捕獲数、これはニホンジカで四十二万頭、イノシシで三十九万頭、これに比べまして大きく増加しているところでございます。また、捕獲率につきましても、同様に伸びているところでございます。

 こうした対策の結果でございますが、ニホンジカ、イノシシの推定個体数につきましては、それぞれ、平成二十七年度、二十八年度と、継続して減少傾向を示してきたところでございます。

 半減目標の達成に向けまして、さらなる対策の強化を図ってまいる考えでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、共生を目指すというところでの対応ということで、環境省の方にもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、先ほども御答弁の中にありましたが、農水省との連携ということで、しっかりと、そういう連携も重要になってくるかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 豚コレラにつきましては、答弁は結構でございますが、最後、これからの課題といたしまして、アフリカ豚コレラ、この侵入防止策、しっかりとこれをやっていただきたいということで、時間がないので一言申し上げておきたいと思います。

 これは、豚コレラ以上に大変に病原性が強いということで、ワクチンや治療法がないというふうに伺っております。これが、しっかりと、侵入してこないように水際対策が重要になってくるかと思いますので、この点につきましても、しっかりと農水省、また関係機関、連携をとっていただいて対応していただきたいと要望させていただきたいと思います。

 続きまして、動物の虐待について質問をさせていただきたいと思います。

 今、動物愛護及び管理に関する法律の改正につきまして超党派議員連盟で検討されておりますけれども、その中で、動物殺傷罪等の罰則強化、これも議論の一つとなっております。

 最近も動物虐待の報道もございましたが、いまだに増加傾向は続いておりまして、動物愛護管理法違反のうち、第四十四条違反にかかわる動物虐待事犯の検挙は、平成二十五年の検挙事件数及び検挙人員は、三十六事件、四十人となっておりました。そこから、平成二十九年でございますが、検挙事件数及び検挙人員は、六十八事件、そして七十六人ということで、五年連続で増加しているのが現状でございます。

 最近の傾向といたしましては、動物の虐待動画を撮影してインターネットに配信するという、大変に悪質な事例も見られております。

 動物にも命があり、また、虐待や遺棄するということは犯罪でございます。そして、動物虐待から人に危害を与えるという、そのように重大な犯罪にエスカレートしたという事例もこれまでもございます。そのために、罰則強化を求める声も上がっているところでございますが、こういった対策をとるとともに、こういった法的な改正も含めてやっていかなければいけないと思いますけれども、いずれにしましても、環境省におきましても、先ほど動物愛護という話もあったんですが、まずはこの動物虐待を根絶する、そういった決意でしっかりと対策を講じていただきたいと思っておりますが、この取組と決意について大臣にお伺いをしたいと思います。

原田国務大臣 犬、猫を含む動物の虐待については、動物愛護管理法に基づいてしっかり管理が行われているところであります。

 動物の、犬、猫の殺処分の数も、先ほどちょっと申し上げましたけれども、このところ、十年間に六分の一、七分の一と、減ってはいますけれども、まだまだこれから努力しなきゃいけない、こういうふうに思っております。

 動物虐待は重大な犯罪と認識をしておりまして、この重大な犯罪をしっかりやめさせるために、環境省としては、警察庁との連名によるポスターを全国の自治体等に通算で十万部以上配布して、国民の啓蒙に努めているところであります。

 さらに、自治体へも、動物虐待に関する知識及び技術の習得を目的とした職員向け研修会の開催や、指導者の参考となるよう動物虐待等の事例を収集した報告書の作成、公表を通じて、虐待防止に向けた取組を促進しているところでもございます。

 刑罰を更に強化すべきではないかということも含めまして、環境省としては、引き続き、動物愛護管理法が目的とする人と動物の共生する社会の実現、これを目指して努力をしていきたい、こう思っております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 この問題につきましては、警察庁、また地方自治体、また動物愛護団体、地域の皆様の御協力をいただきながら進めていくことが重要だと思いますけれども、いずれにしましても、環境省の方でしっかりとリーダーシップを発揮していただいて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、動物看護師の国家資格化に向けて質問させていただきたいと思います。

 現在、国内で、犬、猫の飼育頭数は、十五歳未満の人口よりも多いと言われております。本当に、家庭で飼育されている動物はもう家族の一員という、そういった位置づけになっているかと思います。

 そういった中で、さまざま課題があるわけでございまして、一つは、獣医師とともに獣医療の一翼を担ってくださっている、こういった動物看護師の方々がいらっしゃるわけなんですが、しかし、民間資格ということで、身分が不安定ということで、病院によってお給料もまちまちだったり、また、そういった関係で離職される方がいらっしゃったりと、さまざまな課題を抱えております。

 こういった中で、先ほども申し上げましたが、家族の一員ということもありますし、また、本当にさまざまな課題を抱えている中で、こういった方々の活躍が大変にこれから重要になってくるかと思います。

 そういった現状を踏まえた上で、国家資格化をしっかりと目指していこうということで、我が党にもプロジェクトチームもつくりまして、先ほどの中野さんが座長で、私は事務局長をさせていただき、進めさせていただいておりまして、このたび超党派でも議員連盟ができまして、国家資格化に向けていよいよ具体的に動き始めるところでございます。そういった中で、これから農水省、環境省にも積極的にかかわっていただいて、この国家資格化に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 これからますます社会におきましても果たす役割が大きくなってくるこういった動物看護師、この国家資格化に向けて、それぞれの御見解を最後にお伺いして、終わりたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法におきましては、動物の所有者等は、その動物の疾病やけがの予防等の日常の健康管理に努める義務がございます。

 動物看護師は、飼い主が動物を適正に取り扱う上で、助言者として重要な役割を果たしているものと認識しております。

 このため、動物看護師の知識や技術のレベルが向上し、高い水準で保たれることは、その安定した業務の実施や国民の信頼性の確保につながり、人と動物が共生する社会の実現に資するものと考えております。

 愛玩動物に関する動物看護師の制度化に向けまして、今先生からお話がございましたように、関係の先生方で検討を始められたことと承知してございます。

 環境省といたしましても、制度化された場合に備えて、必要な準備を進めていくとともに、今後の検討に必要な材料等を提供することなどによりまして貢献をしてまいりたいと考えております。

小川政府参考人 愛玩動物の看護師についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、現在、犬、猫といった愛玩動物の獣医療は、獣医師と愛玩動物の看護師によるチーム獣医療により行われていると認識しております。

 この十年間、日本動物看護職協会などの関係者の皆様が、チーム獣医療の一翼を担っておられる愛玩動物の看護師の知識、技術の高位平準化に向けて尽力されてきたことを踏まえまして、愛玩動物の獣医療が飼育者のニーズに適切に対応できるような仕組みが十分に働くよう、農水省としても必要な準備を進めてまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

堀内主査 これにて鰐淵洋子さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

堀内主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之さん。

藤井分科員 藤井比早之でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問させていただきます。

 昨年、平成三十年七月豪雨におきましては、ため池等農業水利施設等に甚大な被害が発生したところです。ため池等の緊急点検も行っていただいたところでございます。

 兵庫県は、全国トップ、それも、全国の約二割、約四万カ所のため池が集中するため池王国でございます。このたび今国会に提出されました農業用ため池の管理及び保全に関する法律案の趣旨、目的についてお伺いさせていただきます。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

室本政府参考人 いわゆるため池法案の趣旨、目的についてでございますが、農業用ため池は、農業生産に不可欠な農業用水を供給する施設として、西日本地域を中心に多くの施設が築造されまして、古来より我が国農業の発展に重要な役割を果たしてきたところでございます。

 しかしながら、昨年七月の豪雨災害など、災害により農業用ため池が被災する事例が発生する一方で、世代交代により権利関係が複雑化しているということとか、利用者を主体とする管理組織が弱体化しているといった課題がございまして、日常の維持管理が適正に行われなくなることが懸念される状況にございます。

 こうした状況を踏まえまして、農業用ため池が有する農業用水の供給機能の確保を図りつつ、防災・減災対策の強化を図るために必要な措置を講ずるため、今国会に農業用ため池の管理及び保全に関する法律案を提出しまして、御審議をお願いしているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 この法案には、特定農業用ため池という規定が設けられています。一方、昨年七月豪雨によるため池被害を受けて、防災重点ため池の見直しが行われたというふうに伺っております。これは言葉は違うんですけれども、それぞれの定義と、相違点があるのかどうか、そしてまた具体的な要件、例えばため池から百メートルだとか五百メートルだとか、そういった具体的な要件について、詳しくお聞かせください。

室本政府参考人 御質問のございました特定農業用ため池でございますが、新たに今選定中の防災重点ため池、これと同一の選定基準とする考え方でございます。この特定農業用ため池は、防災重点ため池のうち、新たな法律による指定を受けたものが該当することになるということでございます。

 お尋ねの要件でございますが、今、四つ考えてございます。一つは、ため池から百メーター未満の浸水区域内に家屋等がある場合は、全ての当該ため池。ため池から百メーター以上五百メーター未満の浸水区域内に家屋などがある場合は、貯水量が一千トン以上のため池。ため池から五百メーター以上の浸水区域内に家屋等がある場合は、貯水量が五千トン以上のため池。最後に、地形条件、家屋等との位置関係、維持管理の状況等から都道府県なり市町村が必要と認めるため池という、四つを考えておるところでございます。

 ただし、この法案では、防災重点ため池のうち、国又は地方公共団体が所有する農業用ため池につきましては、他の法令に基づき適切に管理されることが明らかでございますので、特定農業用ため池の対象外としているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 百メートル未満に家屋がある、非常にわかりやすい規定で、ありがとうございます。そしてまた、これは言葉が違うので、説明するときに違うんちゃうかとかと言われたりするので、そういう点で同一に選定という形での御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、ため池整備事業としては、農村地域防災減災事業、農業水路等長寿命化・防災減災事業といった形で名前がまた違うので、どういった要件であれば、特に地元を回っておりまして、地元負担がない、農家負担がないというのはどういったケースが該当するんだと。これは防災重点ため池じゃないといけないのか、特定農業用ため池じゃないといけないのか、そうでなくても地震、豪雨対策型だったら対象になるのかとか、そういったところを、負担割合の指針、ガイドラインに沿って、受益面積や総事業費など細かい要件も含めまして、ちょっと個別具体的に教えていただければと思います。

室本政府参考人 まず、委員の御質問の中で、どのような場合に農家負担なしとなるかという御質問についてでございますが、ため池の整備というのはいろいろな種類がございます。その中で、地震対策と豪雨対策、この二つについては、いわゆるガイドラインにおいて、農家負担がないという形で整理をされてございます。

 個別具体の事業ごとの要件でございますが、これは平成三十一年度からでありますけれども、一つは農村地域防災減災事業というのがございまして、これは公共事業でありまして、受益面積が二ヘクタール以上かつ総事業費八百万円以上であって、かつ、決壊した場合の被災農地面積七ヘクタール以上、又は、ちょっとややこしいんですが、又は農業以外の想定被害額四千万円以上というようになっております。

 もう一つは、比較的小規模なものについては非公共で対応することになっておりまして、事業名としては農業水路等長寿命化・防災減災事業というものでございますが、受益者二者以上、総事業費が二百万円以上、事業工期が五年以内というふうになってございます。

 特定農業用ため池であるのかどうかによって事業の対象になるのかならないのかという点に関しましては、特定農業用ため池であろうがなかろうが、今申し上げた二つの事業の対象にすることは可能でございます。

藤井分科員 明確な答弁をいただきまして、ありがとうございます。地元で説明するときに、名前がいろいろと出てくるのでごちゃごちゃになりますので、そういう点では議事録をしっかりと説明をさせていただきたいと思います。

 次に、ため池の適正管理を考えた場合に、もう利用していないため池の廃止や管理の効率化を図るための統廃合、これを推進する必要があると考えます。ため池を廃止、統廃合する場合の支援措置について具体的にお聞かせください。

 また、ため池を監視、管理する場合の支援措置について具体的にお聞かせください。

 また、防災機能の充実の観点から、ふだんは余りためていなくても、水位が低くても、豪雨対策として非常時に多くためる、水位を高くする、逆に一方、豪雨対策として堤防の決壊を防ぐために水位を下げる、事前放流をするというために、ため池を改修するということも考えられるかと思いますので、そういった支援措置は存在するのか、具体的に教えてください。

室本政府参考人 まず、ため池の統廃合に関する支援措置でありますが、農業上の利用や管理の状況を踏まえまして、ため池の堤体の切り欠き、これは堤体をV字カットするような、そういうイメージを描いていただければ結構かと思いますが、こういう切り欠きを設置することによって、貯水機能の廃止と、それから、そのため池が使われる場合、代替水源を確保する必要がございますので、そういったものは定額で支援できるようになっております。

 それから、監視カメラとか水位計の御質問がございましたが、監視、管理体制の強化という観点で、貯水を低下させ、低水管理を行うための洪水吐きの切り欠き、これは通常スリットというふうに呼んでおりますが、こういった設置などは、緊急的に行う防災対策として、この三十一年度から定額で支援することができるということでございます。

 なお、水位を上げるための整備については、私ども、農業用水の活用という観点で考えれば、これはむしろ防災対策、治水対策という形になりますので、その単一の目的について、農水省でこういった国庫補助を使って支援するのは困難だというふうに考えてございます。ただし、下流で農業用水等をもし使うということであれば、それは親子ため池の統合運用という形になりますので、これについては支援することを検討することが可能だということも考えてございます。

藤井分科員 ありがとうございます。定額ということだったら、もう国費一〇〇%が可能ということでもありますし、洪水吐きスリットの設置とかそういった支援措置もいただきまして、ありがとうございました。

 先ほど、親子ため池という話でしたけれども、実際に私も、下の方とかはまだ入れるんですけれども、中池、上池とかになると本当にもう木が生い茂っていて行けない。そしてまた、実際にハメが出て、ハメというのはマムシです、私が行ったときに実際出てきて危なかったというのがあるので、そういった統合運用とか、今回は廃止というのに対して支援がいただけるというのは非常に大きなことだと思いますので、感謝を申し上げたいと思います。全体を使って、先ほど親子ため池で農業用に使うということだったら、そういったところでの防災の観点も入れていただいての支援措置をお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、この法案におきましては、都道府県知事が農業用ため池に関するデータベースを整備し、公表するということになっています。

 そもそものため池データベースの整備状況はどうなっているのか。昨年の緊急点検は、そのうちどの程度行われているのか。ため池データベースに未登録のため池をどうするのか。データ管理について、都道府県、市町村それぞれの役割をどうするのか。こうした、地方自治体によるため池の管理体制強化の必要性と地方財政措置についてお伺いします。

室本政府参考人 データベースの関係でございますが、現在のデータベースというのは、平成二十五年から二十七年、三カ年かけまして、全国の受益面積〇・五ヘクタール以上のため池九万六千カ所、これについて都道府県が市町村の協力を得て調査をし作成した、そういったものでございます。

 昨年七月豪雨の後、七月の末から八月の末にかけまして緊急点検したため池というのは全国で八万八千カ所ございまして、これはデータベースに登録しているものを中心に、下流に民家等があるもの、こういったものも、データを持っている場合には回るようにということで、国、県、市町村、これが一体となって調査をしたものでございます。

 そして、今後は、このデータベースでございますが、法案成立後はため池の所有者若しくは管理者から届出制になる、届出をしていただいて、その場合、〇・五ヘクタールの受益面積未満のものも含めて届出をしていただいた上で、都道府県でデータベースを整備し公表を行うというような流れを想定してございます。

 それから、支援措置でございますけれども、都道府県が行うデータベースの整備に必要なため池の諸元の調査、こういったことに対しては補助事業によって御支援をしたいと考えておりまして、また、都道府県で整備するデータを全国で一元的に管理する、電子化をするということでございますが、こういったものは国みずからがその仕組みの構築をやっていこうというふうに考えております。

 それから、データベースの整備を含む都道府県と市町村の行政事務、これが若干ふえることになりますが、そういったものに対する支援は、新たに普通交付税措置で御支援を申し上げたい、このように考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 先ほど、兵庫県約四万と言ったのは、全体で二十万という推計での話ということでございますので、実際は九万六千データベースということでございます。この間をまたどうするかという問題があるんですけれども、先ほどの統廃合のものも含めまして、本当に使われていないものとかだったら、この機会にというところが必要だと思いますので、ありがとうございます。

 また、地方財政措置については、普通交付税が措置されるということでございますので、これは非常にありがたいことだと感謝しております。

 何よりも、土地改良予算は、自民党・公明党政権、平成二十一年度予算五千七百七十二億円から、前政権、民主党政権では平成二十二年度予算二千百二十九億円にまで減額をされました。昨年七月豪雨災害を見ても、ため池の防災・減災対策予算は不可欠です。ため池の緊急対策、農村地域防災減災事業、農業水路等長寿命化・防災減災事業の予算確保など、土地改良予算の大幅増額確保が必要だと考えますが、こちらについてお伺いいたします。

小里副大臣 農業の生産基盤を強化するためには、土地改良によりまして農業水利施設の長寿命化や農村地域の防災・減災対策による国土強靱化、そして担い手への農地集積、集約化を促す農地の大区画化、汎用化による農業の競争力強化といった、二本の柱を強力に推進することが重要であります。

 これらの推進に必要な土地改良予算につきましては、平成三十年度補正予算で一千四百八十八億円を計上したほか、平成三十一年度当初予算では四千九百六十三億円を計上しているところであります。

 中でも、事業の計画的かつ安定的な推進のためには、当初予算の確保が重要であるという現場の声を数多くいただいているところでありまして、こういった声に応えられるように、ため池整備を含む土地改良事業について、引き続き予算の確保に努めながら、着実な推進に努めてまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。

 二千百二十九億円から、補正を足して六千四百五十一億円でございますので、関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。また、先ほど小里副大臣御答弁いただきましたとおり、当初予算の確保という点で、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 先ほど来より、昨年の平成三十年七月豪雨ということでのお話をさせていただきましたが、昨年は、大阪北部地震、台風二十号、二十一号、二十四号、北海道胆振東部地震など、多くの災害が発生いたしました。

 台風二十一号では、大阪府を中心に多くの農業用ハウスが被害を受け、手厚い国の支援措置が決定されたところです。神戸市西区など神戸の西部では、実は、台風二十号こそが農業用ハウスについて甚大な被害をこうむったところです。この点につきましては、昨年十二月五日の衆議院農林水産委員会でも質問させていただいたとおり、台風二十号による農業用ハウスの被害については、兵庫県が県単事業を行っていただくなど、国、地方自治体一体となった支援が決定されたところです。

 そこで、兵庫県内においては、被災農家にとって、台風二十号なのか二十一号なのか、それぞれ支援内容はどうなっているのか、共済加入、共済非加入、それぞれの場合の支援内容の違いも含めまして、個別具体的にお聞かせください。被災農家にとっての差異が生じないために、台風二十号、二十一号、それぞれの場合で国、県、市町村の負担割合を調整していただいていると認識しておりますが、この点につきましてもお聞かせください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、兵庫県におきます台風二十一号の農業用ハウス等の被害につきましてお答えいたします。

 これにつきましては、被災農業者向け経営体育成支援事業を発動しておりまして、国の補助率としては、共済加入者は十分の五、非加入者は十分の四の補助を行っております。加えまして、兵庫県と兵庫県の市町を合わせまして十分の二・五の補助を行っております。合計ですと、共済加入者では十分の七・五、それから共済非加入者については十分の六・五の支援が行われているところでございます。

 台風二十号につきましては、通常の経営体育成支援事業を活用しております。この場合、共済加入の場合は、国は十分の三、それから県、市町が十分の四・五の補助を行っていただきます。合わせて十分の七・五ということでございます。共済非加入の場合は、国の補助は、ハウスを建てたばかりのものは若干低くなりますけれども、最大十分の三でありまして、兵庫県が実際に申請を上げてきたものは全て十分の三の補助でございます。県、市町は非加入の場合も十分の四・五ということでございますので、結果的には、加入、非加入の場合の両方とも十分の七・五の支援ということで、全体として同様の支援内容になっているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 十分の七・五ということで、そういう点では、二十一号、二十号問わず措置していただいておるということを心から感謝申し上げたいと思います。農家さんにとってどっちを受けとめるかということでございますので、その点、都道府県や市町村にも負担割合で調整していただいたことを心から感謝を申し上げたいと思います。(吉川国務大臣「藤井さんが頑張ったからね」と呼ぶ)そうです。大臣、ありがとうございます。

 ただ、こうした手厚い支援措置があっても、被災農家さんが知らなければ、御活用いただけないことになります。農業用ハウス、農業用機械等の再建、修繕に対する支援内容の現場への周知状況と活用実績についてお伺いいたします。

 また、被災直後は大量に被害を受けていたので資材不足が起こっていたとのことですが、現在はどうなっているのか、お伺いいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 台風二十号の支援対策につきましては、これは経営体育成支援事業を活用できるんだということをまず周知する必要がありますので、この旨国から県に通知いたしまして、県からも市町村に通知が行っているところでございます。

 これを受けまして、兵庫県から、十一月十九日に開催されたと聞いておりますけれども、事業に関する説明会を行いまして、その際にも、国の支援と県、市町の支援をあわせた形で説明が行われているところでございます。

 現在の実施、活用状況でございますけれども、国と県合わせまして、農業ハウス等の被害を受けた約三百経営体、事業費七・四億円分について事業が活用されているというふうに聞いております。

 先生最後の御質問の、資材不足の点につきましては、我々、一般的にはそういうふうなものを聞いておりますけれども、なお細かく状況を聞きまして、また、必要なことが、できることがあれば、国としても対応したいと考えております。

枝元政府参考人 資材につきまして、私の方から御説明いたします。

 ハウスの資材につきましては、災害の発生後、速やかにメーカーに対しまして円滑な供給に向けた協力を行いまして、メーカーの方では、製造工場の稼働時間の延長、製造人員の増強、また、他の資材から農業用資材への製造ラインの切りかえ、こういう御協力をいただきました。

 その結果、災害発生から年末までは資材供給に三カ月程度要しておりましたけれども、二月の時点では、鋼材が一カ月、ビニールが一週間と、通常ベースでの供給がなされているというふうに聞いてございます。

 ただし、鋼材につきましては、生産者ごとの注文に即した曲げ等の加工処理が必要でございまして、産地によっては、地元の代理店の加工人員の不足等から、供給におくれが見られるということも聞いてございます。

 こういうことから、産地に対しまして、円滑な資材調達の参考になります全国の代理店リストを提供するとともに、自力施工できるように、地域人材の確保ですとか、自力施工マニュアルを活用した講習会の開催、また、復旧がおくれている産地につきましては、ボトルネックの再点検とその解消の助言など、産地の復旧状況に即しました対策を講じておりまして、引き続ききめ細やかな対応に努めてまいりたいと存じます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 七・四億円ということで、多くの事業者にやはり活用していただいておりますことを、心から感謝申し上げます。

 また、通常ベースになっておるということで、資材に関しましてはよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、復旧だけではなく、そもそもこういった被害が生じるわけでございますので、そもそもの農業用ハウスの補強や防風ネットの設置等、災害予防のための対策の強化、支援内容と周知状況についてお伺いいたします。

 また、共済加入促進対策についてもお伺いいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 被災していない農業用ハウスの補強等の対策でございますけれども、昨年、たび重なる台風等によりまして甚大な被害が発生いたしたことを踏まえまして、ハウスは野菜等の安定供給のために重要なインフラであるという認識に立ちまして、緊急点検を実施し、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を決定いたしました。

 この緊急対策におきましては、都道府県がハウスの被害防止計画を策定した上で、地方公共団体や農業者団体等が実施いたしますハウスの保守管理の強化、また、ハウスの補強、防風ネットの設置等の対策を支援することとしてございます。

 これらの対策が効果的に進められますように、各都道府県を通じて現場への周知に努めておりますとともに、台風ですとか降雪前に行うべき取組ですとか、あと、自力で補強等を行う場合の留意点をまとめた動画、こういうものの周知等を行っており、これらの取組を着実に推進してまいりたいと存じます。

大澤政府参考人 園芸施設共済の加入促進につきましては、平成二十八年度から、共済団体が全ての未加入者に戸別訪問をやっているところでございますし、それから、平成三十年度からは、この園芸施設の設置に関係する全ての補助事業において、園芸施設共済等への加入の要件化を行っているところでございます。

 さらに、昨年からは、十一月と六月に、災害に強い園芸施設づくり月間というものを設定いたしまして、被害防止に向けた技術指導の徹底、それから共済加入、収入保険への加入の促進等を行うキャラバンを行っているところでございます。

 このようなものを進めながら、加入促進に努めてまいりたいと考えております。

藤井分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、昨年、輸出禁止の和牛精液が不正に持ち出され中国の入国検査で見つかるという、あわや中国へ流出という深刻な事態が発生いたしました。

 和牛精液、受精卵の海外への流出防止対策についてお伺いいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 牛の精液ですとか受精卵を海外に持ち出す際には、家畜伝染病予防法に基づきまして、動物検疫所の輸出検査を受ける必要がございますけれども、御指摘ございましたとおり、先般、この検査を受けずに海外に持ち出しまして、中国当局に輸出をとめられた事案がございまして、農林水産省といたしましては、ことしの一月の二十九日、大阪府の警察本部に対しまして刑事告発を行いました。

 また、農林水産省におきましては、本件の再発防止に向けまして、全国の家畜人工授精所等に対しまして、和牛遺伝資源保護に関する理解の醸成や、精液等の適正な流通管理の徹底につきまして改めて周知を行いますとともに、船舶会社、航空会社、税関等に対して注意喚起を行い、同様の貨物を輸出しようとした者がいた場合には動物検疫所に連絡するように要請を行ったところでございます。

 また、我が国におきます和牛精液等の適正な流通管理の徹底が求められてございますので、学識経験者、畜産関係者等の有識者で構成いたします和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会を設置し、第一回を二月の十五日に開催いたしました。

 本検討会の意見等も踏まえた上で、更にどのような対応ができるのか、検討はしてまいりたいと考えてございます。

藤井分科員 今、家畜伝染病予防法という話が出ましたけれども、これは輸出検疫を受けることが義務づけられているだけでして、神戸ビーフなど貴重な和牛の精液や受精卵、遺伝資源の流出を防止するという法律にはなっていません。そうした和牛のかけがえのない遺伝資源の保全を目的としたそういった法制化、こういったことが、やはり検討していかないといけないと思います。

 兵庫県におきましては、但馬牛の精液は県の農林水産技術総合センターで管理しており、県内繁殖和牛農家のみ、JA等を通じて配付しています。JA等への配付に当たっては、精液配布調整会議の開催により、希望本数を調査の上、家畜の飼育状況等から必要本数を配付されています。翌年度、人工授精師ごとに利用実績を家畜保健衛生所に報告することとしており、利用状況の把握に努めております。

 兵庫県においては、神戸ビーフ、但馬牛の精液、こういった厳格な管理方法をとっておるんですけれども、そういう方向を、全国的にできるかどうかは別にして、いずれにいたしましても、適正な管理、そしてまた、和牛という遺伝資源の保全、これをぜひとも検討していただきたいと思います。

 最後に、有害鳥獣対策についてお伺いいたします。

 有害鳥獣対策としては、新たな狩猟者の確保や育成が不可欠です。現在、兵庫県では、新たな狩猟者確保対策の拠点として狩猟者育成センターの整備を予定しておるというところでございますけれども、こういった狩猟者を育成する施設に対する国の支援についてお伺いいたします。

室本政府参考人 野生鳥獣の狩猟者の育成と確保は捕獲対策を強化する観点から重要な課題であると認識しておりまして、狩猟免許取得のための講習会の開催や捕獲者の技術向上のための射撃場の整備等について、鳥獣被害防止総合対策交付金において支援を行っているところであります。

 今後とも、兵庫県を始め都道府県からそういう要望があれば、適切に対応してまいりたい、このように考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。適正な支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 猟友会の方も本当に高齢化が進んでおりますので、やはり新しい方に入っていただくというのも大切ですし、また、これからオリンピック、パラリンピックもありますので、そういった競技人口をふやすということも大切だと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 質疑の時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

 どうも本日はありがとうございました。

笹川主査代理 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩田和親君。

岩田分科員 自民党の岩田和親でございます。

 本日は、この予算委員会の分科会での質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げるところです。

 この分科会、本当に長丁場で、皆さん大変お疲れかと思いますけれども、もう一息でございますので、ぜひ張り切って私も質問を進めてまいりたいというふうに思っております。

 まず最初に、有明海の再生について質問をいたします。

 有明海での今季のノリ漁は、海況の不安定が続き、一月は雨が少ないことで栄養塩不足となり心配をしておりましたが、佐賀県の有明海漁協でのノリ入札累計額は、一つの目標であります二百億円を確保でき、少しほっとしているところであります。しかし、特に佐賀県西南部地区で色落ち被害がひどい状況であるなど、依然として海の環境が厳しいということ、また、ノリの販売金額だけではぬか喜びできないということを、吉川大臣始め農水省の皆さんにはぜひ御認識をいただきたいというふうに思っております。

 ここで、諫早湾潮受け堤防からの排水について触れていきたいと思います。

 この排水は、汚れた水が目に見えて有明海に広がっていくものであり、先ほど述べた西南部地区が潮受け堤防に近いことから、漁業者の間では、ノリ色落ちと排水とを関連づける意見が少なくありません。排水問題は、海の環境悪化とノリや貝類の不作の原因とみなされ、この問題がなかなか解決しないことが国の施策への不信感につながっているのではと、私は心配をしております。

 この点、佐賀県や有明海漁協などから、小まめな排水の確実な実施とマニュアル化、排水ポンプの増設が要望されてきました。排水については、今漁期では少雨であることもあって、小まめな排水がなされていると聞いております。今後とも、関係者と協調しての小まめな排水の確実な実施を重ねて要望しておきたいと思います。

 そこで、排水ポンプの増設についてでありますが、この排水問題の改善につながることは確実であると私は考えております。国も、ポンプ増設の必要性については一定の理解を持っておられるというふうに思っておりますが、漁業者は、この厳しい状況の中で待ったなしの状況に追い込まれている中、関連の訴訟がいつ解決するのか不透明な状況で、いつまでも対策を待たされるのは余りにも酷でないかと私は感じております。ここは、基金による和解案とは切り離した形で、環境改善に直結する排水ポンプの増設を行うべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

室本政府参考人 新たな排水ポンプの増設の御要望だと受けとめております。

 この排水ポンプについては、平成十九年度にこの諫早湾干拓事業が完了したときに、地域の要望を踏まえた形で三台のポンプを設置しまして、周辺の河川から調整池に流入する最少流量、これは一日十万トンでございますが、この規模のポンプを設置し、常時排水をしているというような状況でございます。

 今お話のありました佐賀、福岡、熊本、三県の漁業団体から、基金とは別枠での新たな排水ポンプの増設について要望いただいておりますが、これはあくまで、開門によらない、基金による和解が進展すればという条件でございまして、費用負担のあり方などの課題もあって、基金による和解が進展するということを前提に、関係者の考え方もよく伺った上で、どのような対応をするかということを検討することになる、そのように考えております。

岩田分科員 もちろん、訴訟が進行中であるということ、そしてまたそれの結論を目指しておられる国の立場もわからないわけではありません。ただ、繰り返しとなりますけれども、この訴訟がいつ終わるのか、これはやはりはっきりしないわけでありまして、しかし海の環境は厳しい、漁業などにも影響が出ている、本当に、そういう不安感の中でおられるということは御認識をぜひいただきたいというふうに思っております。

 このポンプの増設ができますと、国が地元に寄り添って有明海再生に取り組もうとしている具体的なメッセージになるのではないかと私は位置づけております。引き続き検討していただけたらというふうに思っております。

 次の質問に参ります。

 四県協調の有明海再生の取組について質問をしていきたいと思います。

 この四県協調の取組について、大変私も感謝をしておるところでありますが、再生は道半ばでありまして、引き続き取組を進めていく必要があると考えております。

 例えば、タイラギ漁は、今季、七季連続で休漁となりました。調査で稚貝などが見られるというふうなよい兆候も見られることでありますので、県で取組を始めた種苗生産を更に拡大してほしいというような声が上がっております。国としてもぜひ引き続き支援をしていただきたいとお願いをいたします。

 今後の四県協調の取組についてお伺いします。

小里副大臣 有明海の再生につきましては、平成二十七年度から、有明海沿岸四県と国が協調した取組を進めておりまして、本年度は有明海の特産魚介類であるタイラギ、アサリ等の移殖や着底環境の改善に取り組んでいるところであります。佐賀県鹿島市沖では、約二十年ぶりにアゲマキ漁が再開されるなど、一定の成果が確認をされているところであります。

 タイラギにつきましては、国立研究開発法人水産研究・教育機構が開発した技術を用いまして、本年度は、福岡県、佐賀県、長崎県の三県で種苗生産が行われたほか、四県と国が協調して、天然の再生産を促進するために、母貝団地に移植するための親貝約三万個の育成に取り組んでいるところでありまして、引き続きこれらの取組をしっかりと支援してまいりたいと存じます。

 いずれにしましても、有明海の再生につきましては、重要な政策課題であると認識をしておりまして、引き続き漁業者等の御意見もお聞きをしながら、有明沿岸四県と国が協調した取組を推進してまいります。

岩田分科員 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、農業の自給率について質問をしてまいります。

 経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針に食料安全保障の文言が書き込まれました。これは、二〇一六年度の骨太の方針にあった文言が、二〇一七年度に一旦消え、二〇一八年度に復活したという経緯があるというふうに認識しております。

 食料安全保障というこの文言が位置づけられた意義についてどのように考えておられるのか、また、平成三十一年度予算案にこれら食料安全保障の考え方がどのように反映されているのか、お伺いします。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 食料の安定供給、これを将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つというふうに認識しております。このため、従来より食料供給に重要な役割を果たしております農林水産業、農山漁村の振興に取り組んできているところでございます。

 委員御指摘のとおり、骨太の方針二〇一八におきましては、今申し上げたようなことを明らかにするという意味で、食料安全保障の文言が改めて記載されたものと理解しております。

 具体的には、「農林水産業全般にわたっての改革を力強く進めることで、攻めの農林水産業を展開し成長産業にするとともに、美しく伝統ある農山漁村を次世代に継承していく。これらの取組により、食料安全保障の確立を図る。」と明記されたところでございます。

 これを踏まえまして、平成三十一年度当初予算におきましては、担い手への農地集積、集約化、水田のフル活用、強い農業のための基盤づくり、スマート農業の実現や水産改革の後押しなどに必要な予算を盛り込んだところでございます。

 このような取組により、引き続き食料安全保障の確立を図ってまいりたいと考えております。

岩田分科員 この食料安全保障、その中の最も重要なものは、平時における自給率の向上であるというふうに私は考えております。そして、あらゆる農業政策は自給率に関連づけて行われるべきであって、その結果として、自給率というのは、たださまざまな施策や農業生産の結果として出てくるだけではなくて、やはり目標であるべきだ、そのように思っているところです。

 食料・農業・農村基本計画は、二〇二五年に食料自給率を四五%に引き上げる目標を掲げておられます。自給率を上げる必要があるという認識は恐らく多くの国民が持っておられるだろうと私は感じておりますが、具体的にどうすべきかということについては、さらなる理解促進が必要ではないかなというふうに思っております。

 どういった作物の生産や消費をふやせば国の自給率全体が向上するのか、生産者はもちろん、消費者の理解も含めて、これを深めていく取組などを進めていくということ、その国民的な機運の盛り上げが必要であろうというふうに思います。

 自給率の向上に向けての具体的な取組についてお伺いをいたします。

吉川国務大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 国内人口の減少ですとか農業従事者の高齢化、さらにはリタイアが進む中で食料自給率を向上させるためには、まずは強い農業の実現に向けて取り組んでいくことがとても重要だと考えております。

 このため、担い手への農地の集積や、あるいは農業生産基盤の強化、ニーズの高い農産物の生産、販売や輸出の促進などによる新たな需要の開拓などの施策を強力に進めているところでございます。

 品目別で見ますと、例えば、小麦や大豆について、実需者ニーズに対応した生産体制の確立、畜産物については、輸出促進による需要拡大ですとか収益性の向上を通じた生産基盤の強化など、きめ細かい対策を講じているところでもございます。

 さらに、消費面につきましては、民間企業との連携による米の消費拡大や、フードアクション・ニッポンによる国産食材の販売促進等にも取り組んでおります。

 生産面、消費面での取組を一体的に進めることによりまして、引き続き、食料自給率の向上を図ってまいりたいと存じます。

 岩田先生御地元の佐賀県も、大変私は農業県だとも思っております。先ごろ私が訪問をいたしましたときにも、水田のフル活用で麦、大豆をつくっている農地、圃場もしっかり見せていただきました。

 これからも食料自給率の向上に向けた具体的な取組をともにやっていきたいな、こう思っておりますので、ぜひとも、またいろいろな御指導、御支援をお願いいたします。

岩田分科員 私の地元、佐賀県への応援の言葉もいただきまして、ありがとうございます。

 私も地元で農業者の皆さんと意見交換をするときに、もちろん、いろいろな施策の話をしますけれども、自給率の話をすると、そしてまた、そのことをやはりさまざまな農業政策の中心に据えるべきだ、そういう意味のことをお話しすると、大変、何か、そうだという、うなずく姿が見えるわけであります。

 これは恐らく、やはりそれだけ、この日本の、我が国の食を支えているんだ、そういう強い自負のあらわれであろうというふうには感じているところでありまして、まだまだ自給率の向上に向けての具体的な取組、これはまさに国民的な運動というふうな意味でも、できることがあるのではないかと思っております。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、農地中間管理機構の見直しについて質問をしてまいります。

 先ほど大臣にも触れていただきましたけれども、ちょっと、佐賀県の一つの成果をまず申し上げたいと思います。

 平成二十九年度の農地集積率、これは、一位は大臣の関係の北海道の九〇・六%ということですが、次いで佐賀県が六九・四%で全国二位、そういう成果を示しておるわけであります。関係者の努力に敬意をあらわしたいと思いますし、先ほど触れていただきました、米、麦、大豆のブロックローテーションを集落の生産組合などで進めている、当然ながら、その中でさまざまな地域の話合いがなされているわけですが、こういった取組が恐らく基盤にあっての成果なんだろうというふうに思っております。

 これからは、佐賀県も、集積から、さらに集約の方向へ、そしてまた、これに伴う基盤整備や既存施設の更新なども必要なんだろうというふうに思いますので、今後ともの御支援を、これをまずもってお願いをさせていただきます。

 中間管理機構の見直しが行われるということで、関係法案の審議も今後予定されているところでありますが、今回のこの見直しの重要なキーワードは、人・農地プランの実質化というふうにされています。五年間を検証して、人・農地プランに関してどのような課題があるのか、また、実質化、この言葉には、具体的にどのようなことを目指しているのか、お聞きします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 人・農地プランを始めたときのパンフレットを見ますと、「人・農地プランは、人と農地の問題を解決するための「未来の設計図」です。」、「皆さんの集落・地域において徹底的な話合いを行って「人・農地プラン」の作成を進めましょう。」と書いてございます。

 我々が人・農地プランで期待しておりましたのは、このパンフレットにまさに体現されておりますけれども、地域の徹底した話合いによって、今後中心となる経営体、それから将来の農地利用のあり方、これを地域主導で決めていただくということでございました。それがしっかりと行われているのが、実質化された人・農地プランだというふうに考えてございます。

 他方、これまでのプランを、今回の五年後見直しの際に検証いたしますと、しっかりやっているところはもちろんございますけれども、補助事業の活用予定者のみが担い手として記載されていたり、それから農地の出し手が位置づけられていないプランがあったりということで、地域の問題全体をカバーしているとなかなか思えないものが相当数ございまして、これが課題だと思っております。

 今回の見直しの際には、この人・農地プランを真に話合いに基づくものに実質化したいという観点から、二つのことを大きく考えております。

 一つは、地図を活用して、地域の耕作者の年齢別の構成、それから後継者がいるかどうか、こういうことを関係者に共有していただいて、見える化した上で話合いを促していきたいというのが一つです。

 もう一つは、市町村の人手不足、特に農政関係者の人手不足が言われておりますので、これを補うために、話合いのコーディネーターとして農業委員会を位置づけるということをいたしたいというふうに考えております。関係予算も、それに応じて所要の経費を計上しております。

 これと法律改正あわせて、人・農地プランの実質化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

岩田分科員 ぜひ実質化を進めて、更に実績を積み上げていただきたいと思います。

 一つ、また気がかりな点を質問させていただきますが、中山間地域の中での集積の問題であります。

 中山間の農地は借り手も少なく、中間管理機構の仕組み、この取組から取り残されているというような指摘もあるところです。今回の見直しにおいて、中山間地域の農地の集積、集約についてどのように位置づけておられるんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおり、中山間地域については、平場の地域に比べまして担い手の農地集積がおくれている状況が見られます。先ほど、先生、佐賀県の集積状況について数字を挙げられましたけれども、佐賀県でも、佐賀平野とそうでないところの地域にくっきりと差が出ているところでございます。このため、今後、集積、集約化を進めていくに際しまして、中山間地域をどうするか、これが大きな鍵だと考えてございます。

 そのためのツールとして、今回、予算も見直そうと考えておりまして、機構に協力していただいた方について機構集積協力金というのを交付する事業を行っておりますけれども、これを、地域タイプにつきまして、事業を活用できる最低の農地集積要件というのがございます、これは今まで平場、中山間地域共通で二〇%集積することとなっておりましたけれども、今回、中山間地域については最低の集積要件を四%といたしまして、平場と比べて五分の一に緩和したということでございます。加えて、予算配分の六割を中山間地域の優先枠として設けることといたしております。

 このような措置をうまく活用しながら、中山間地域の農地集積に頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。

岩田分科員 では、この中山間地の問題として、もう一つ、直接支払制度についても質問をしたいと思います。

 中山間地域等直接支払制度は中山間地域の農業を支える基盤とも言える制度でありまして、農家からは、なくてはならないものという評価を受けております。そういった意味では、まさに、大事な、基本的なことですが、制度維持と予算確保をしっかりやっていくべきだということを、まず申し上げたいと思います。

 そういう中で、中山間地域農業を取り巻く状況がやはり厳しくなる中で、制度の改善を求める意見も私たちの耳に届いているところです。

 例えば、農家の高齢化が著しい地域では、集落協定の期間五年が長過ぎる、年齢からしても五年先の将来の農業のことは考えにくいので期間の要件を緩和してほしいという声、計画期間内に一部の農家が離農した場合、対象面積等の変更ができるようにするなどの、要件を柔軟に対応できるようにしてほしいとの声、また、交付単価を引き上げたり必要な部分に重点的に予算づけしたりしてほしいという声などであります。

 もとより生産環境が厳しい中山間地域では、高齢化も更に進み、次の世代の担い手確保もより困難であります。ひいては、集落、地域社会自体も維持不可能になるおそれがあります。

 平成三十一年度で第四期の最終年度を迎えるに当たり、中山間地域の厳しい現状を踏まえ、制度の充実を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

室本政府参考人 中山間地域直接支払いについての御意見でございますが、これは平成二十八年度から、広域の集落協定において集落戦略を定める、つまり、高齢の方が離農する場合にはこの広域の中のこの方に農地を預けるんだというふうな、総合的な計画をつくっていただければ、交付金返還の対象を営農を中止した農地のみとするなど、運用改善をこれまでも進めてきております。

 また、制度の充実という観点では、これは来年度の当初予算からでございますが、高齢化の進展、担い手の確保、人材育成、農作業の省力化の推進といった課題などを踏まえ、UIJターン者などの新たな人材を確保すること、農業者が住みやすい条件を整えるための取組を行うこと、スマート農業を導入することなどに対しまして試行的な加算措置を行うということを含め、将来にわたって農業生産活動を維持していけるよう制度を拡充しているところでございます。

 平成三十二年度から第五期対策が始まりますが、この第五期対策に向けて、今後とも、現場の声を聞きながら、よりよい制度となるよう検討を続けていきたい、このように考えております。

岩田分科員 本当に、私も、中山間地域の農業は大事なテーマとして取組をしているところであります。ぜひ、持続可能な、そしてまた里山の農業をしっかり守っていくために頑張っていただきたいと思います。

 時間の関係もありますので少し急いでまいりますが、次に、後継者の確保について聞いてまいります。

 四十歳代以下の新規就農者が四年連続で二万人を超えているということで、大変喜ばしいことでありますが、全体の農業就業者の高齢化は進んでおりますし、さまざまな大事な観点から、若い担い手確保を最も重要な課題として、引き続き力強く推進する必要があると考えております。

 この点で、三点ばかり私から申し上げたいと思いますが、一点目は、親元就農についてであります。

 農業次世代人材投資事業について、親元就農の場合の交付要件を緩和するべきだという要望を地元でいただきます。農業と縁がなかった方、こういう方の新規就農はもちろん歓迎すべきでありますけれども、農家の子供が農業を継がなくなったという話をやっぱり多く聞くわけでありまして、この親元就農に更に焦点を絞った政策を打ち出してもいいのではないか、そのように考えております。

 二点目は、意欲ある生産者グループの支援についてであります。

 私、先日も、地元の佐賀市大和町の大和ミカン生産組合の若手後継者グループ、シェンムーという皆さんと意見交換を行いました。シェンムーというのは中国語で聖なる目標という意味だそうでありますが、彼らは、日々の研さんはもちろんですが、高齢化によって耕作放棄地になったところを引き受けたり、新たな新規就農者のための農地を貸し出したり、産地を守って次の世代に引き継いでいくため、そういうことも意識した意欲的な取組をされているところであります。また、ほかの産地を研究したい、販路開拓やマーケティングについても勉強したい、そういう声もありました。本当に、こういうふうな若いグループをしっかりと応援をしていきたい、私自身もそういう思いを新たにしたところであります。ぜひ、こういった産地を担う若手グループの育成支援にも力を注いでいただきたいと思います。

 三点目は、コストの問題であります。

 新規就農は、例えばハウスをつくるにも何千万とお金がかかります。初期投資や経験を積むまでのコスト負担など大きなハードルとなっているわけですが、トレーニングファームや施設のリースなど、こういった具体的な取組を、ぜひ、強化、支援をしていただきたいと思います。

 このような意見を踏まえて、若い担い手確保にどのように取り組んでいかれるのか、お聞きします。

吉川国務大臣 御指摘のとおり、新規就農者は、特に初期投資に必要な資金の確保が大きな課題であると私どもも認識をいたしておりまして、農林水産省におきましては、この新規就農者に対して、無利子融資によって、機械、施設等の取得を支援をしたり、地方自治体等が整備する耐候性ハウス等を新規就農者等にリースすることによりまして、必要な支援を行っているところでもございます。

 さらに、御指摘をいただきました親元の就農者につきましては、農業次世代人材育成事業でも、農外からの新規参入者と同等のリスクを抱える場合には支援対象としております。

 従来は、就農後五年以内に親から子に農地の所有権を移転することを要件といたしておりましたけれども、三十一年度、もう間もなくでありますけれども、三十一年度からは、利用権の設定でもよいこととするなど、現場の実態を踏まえた見直しを行うことといたしております。

 先ほどから三点について岩田委員から御指摘もいただいておりますので、今後とも、現場の実態を踏まえつつ農業後継者対策を推進してまいりたいと思います。

 佐賀県、私も何度かお邪魔をいたしまして、例えば、夏にはもうタマネギが出ますね、さらにはモチ米というのも全国的に有名な産地でもございます、そしておいしい佐賀牛とか、いろいろなポテンシャルを生かして、佐賀の農業は私は大変力強いと考えておりますので、新規就農者あるいは担い手、農業をやろうとする若い方々にいかに手を差し伸べていくか、このことも忘れてはなりませんので、ぜひとも岩田委員からもまたいろいろな知恵をお出しいただければ、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

岩田分科員 大変力強いお言葉、ありがとうございます。

 最後に、農業廃プラスチック問題について、これは一つだけまとめて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 中国が廃プラスチックの禁輸を行ったことによること、又は人手不足などで処理業者が減少していることなどを受けて、農業用廃プラスチックの処理費用が大変高騰した、そういう話があります。

 これは、今進めております農家の所得向上ですとか、JAが自己改革によって資材価格を値下げする取組などにいたしますと、大変逆風になっているわけであります。まず、コスト面について国がどのように認識をして対策をされているのか、これが一点。

 そしてまた、廃プラスチックの対策といいますと、海洋汚染の問題が最近大変注目されているところでありますが、こういうふうな中で、廃プラスチックの対策の機運は高まっております。農業分野においても、さまざまな取組を進めて、リサイクルですとか若しくはプラスチックの使用を減少させるですとか、こういうふうな議論をこれから進めていく必要があるというふうにも思いますが、この点、いかがでしょうか。

笹川主査代理 答弁は簡潔にお願いします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたとおり、農業廃プラスチックは、中国政府の禁輸措置を受けまして、各都道府県への通知、担当者会議の開催で情報の周知、適正な処理を呼びかけてまいりました。

 これまで、取引先が見つからないという影響は生じておりませんけれども、九州始め多くの地域で引取り料金が値上げをされた、又は値上げの動きがあるというふうに承知をしてございます。

 こういうことに対応いたしまして、農業者等に対しまして、各県の処理業者リストを活用した複数の業者の比較検討、サイクルの長いフィルムですとか生分解性マルチの活用、分別や異物除去の徹底によるリサイクルの促進、これらを呼びかけておりまして、今後とも、これらの対策を一層推進してまいりたいと思います。

 また、海洋汚染などの問題に対しましても、農業用ハウスですとかマルチ等々プラスチックを使用してございますので、適切に対応することが大事だと考えてございます。

 政府全体として、プラスチックと賢くつき合うという観点から、プラスチックを使用した生産資材の製造、流通、利用、これらに関係する企業団体に自主的取組の宣言を促すとともに、その取組を情報発信をしてございます。昨年十一月から二月にかけまして、関係七団体が自主的取組の宣言を行っていただきました。

 引き続き、これらの取組の働きかけ、また情報発信、製造、流通、利用の各段階での廃プラスチック対策の取組の拡大に努めますとともに、将来に向けまして、新素材等のイノベーションが進むように情報交換も努めてまいりたいと思います。

岩田分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて岩田和親君の質疑は終了いたしました。

 次に、繁本護君。

繁本分科員 自民党の繁本護でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 昨年は本当に、「災」という一字であらわされたほど、災害がたび重なった年でありました。私の選挙区であります京都においても、七月の豪雨、そして九月四日の台風二十一号には、本当に大変な思いをいたしたところであります。

 きょうは、昨年の災害の経験、これをもとに、復旧事業をまず急いでいただきたいということ、そして、これを教訓にして、今後いかに災害に強い森林をつくっていくかということについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 京都府全体で、昨年の九月四日の台風による被害のことでありますが、その被害面積は三百三十三ヘクタール。ほとんどが私の選挙区であります京都市でありました。風倒木による被害が特にひどかったです。これによる影響を受けたのは、一般の家屋、店舗、そして道路、鉄道、そして電気や光ファイバーといったライフライン。広域的に、しかも長期的にずたずたになり、大変長い影響を受けたわけであります。

 そんな中で、林野庁は、大阪、京都にあるそれぞれの事務所、非常に人数が限られているわけでありますが、一生懸命対応してくださいました。緊急伐採、現地視察、調査、そして二次被害の防止、そして、私からの求めに応じた地域住民の説明会もやっていただいたわけでありまして、極めて少人数でありながら、昼夜を問わず対応していただき、誠意を持った丁寧な対応をしていただいたことには、まずもって感謝を申し上げる次第であります。

 ただ、それでもなお心配なことはあるんですね。そのことを幾つか、この後、るる質問として申し上げていきたいと思います。

 まず一つは、京都市左京区の貴船山国有林のことであります。大きな国有林に、ここで育った木が倒れました。そして、その木の下敷きになった料理屋さん、貴船茶屋さん、そして民家が一軒、全壊をいたしたわけでありますが、この国有林の、まず管理上のことで一点確認させてください。

 普通であれば、立木が倒れないようにワイヤーでとめたり、根腐れを確認したりといったことがあるわけでありますが、管理上の瑕疵がなかったかどうか。一点確認であります。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の台風二十一号災害では、御指摘ございましたように、京都府貴船地区におきまして、国有林の立木が民家等を損壊する被害が発生したところでございます。

 家屋を損壊した風倒木につきましては、根元から十メートル部分まで腐朽、腐れでございます、腐れが見られたことなどから、管理上の瑕疵がございまして、家屋の損壊に対して国が補償する責任を負うものと考えているところでございます。

繁本分科員 私も、この災害現場にはいち早く飛んでいってまいりました。

 実際に被災を受けた方のお話を聞くと、時間が少しずれていたら死んでいたんですよ。命を失ってもおかしくないような現場でありました。今、その料理屋さんと家屋は、この後の災害復旧に協力するために、まず、全壊、全部取っ払って、機械類が入れるような協力もしていただいているわけでありますから、これから大事なことは、その料理屋さんのなりわいを再建させていく、そして、民家の生活を取り戻すための賠償という話が出てくるわけでありますね。

 この点についてしっかりと対応していただきたいわけでありますが、林野庁のお考えをお聞かせください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の被害、特に損壊した二棟の家屋につきましては、非常に歴史のある建物でございまして、特に一軒は築百年を経過している、言ってみれば古民家ということでございます。

 したがいまして、こういったものの補償をどう考えるのかというところを、私ども今、真剣に検討させていただいておりまして、ちょっと若干時間がかかっていて恐縮でございますけれども、これは専門の調査機関にも依頼して調査を進めているところでございます。

 林野庁としても、こういった家屋補償、それから営業の補償とかいろいろ補償がございますので、しっかり検討させていただきたいと考えているところでございます。

繁本分科員 そうなんですよ。今長官おっしゃったとおり、三月の四日が来れば丸半年がたつんですね。ちょっと考えてほしいんですね、去年、この料理屋さんあるいは民家に住んでいた方がどんな思いで年を越したか。

 世の中は今、御代がわりだ、新しい時代が来る、おめでたい話、いっぱいありますよ。だけれども、今回のこの現場の被災者は、本当に私、年末に消防分団の訓練でお会いしましたけれども、繁本さんと、顔面蒼白で僕に訴えてきましたよ。料理屋さんのお嬢さんだって、私が朝、街頭演説をしていたら、わざわざ僕の演説をとめて、何とかしてくださいというふうに訴えてきました。生活となりわいを取り戻すということが本当に大事なことであります。

 今長官から真剣にというお言葉もいただきましたから期待を申し上げるところでありますが、吉川貴盛大臣も、選挙区は北海道、森林がたくさんあるところである、自民党では国土強靱化政策の責任あるお立場でありました。この点について、大臣の御決意をお願い申し上げます。

吉川国務大臣 ただいま牧元林野庁長官が答えたとおりでありまするけれども、歴史的な古民家といいますか、ゆえにきちんとこれは評価をしなければならないということがございます。私も素人でよく知らなかった部分というものもあるんですけれども、木材の住宅ということになりますと、評価額が非常に低い形で、こういうときでも出るんだそうであります。

 しかしながら、今回の貴船町の、今、繁本議員がおっしゃいましたように、この歴史ある住宅、さらには料理屋さんにしましても、そういったところに対しましては極めて慎重に、専門の調査機関に依頼をしてしっかりと補償額も決めなければならない、我々もそういう責任感もございますので、若干今時間がかかっておりますけれども、また今後とも被災者に対して丁寧に説明もしてまいりたいと思いますので、でき得る限り早急に進めていきたいと思います。

繁本分科員 大臣から力強い言葉をいただきました。早速、帰って地元でも報告したいと思います。

 続きます。

 ことし、もう既に補正予算も成立して、復旧、これは進んでいるわけでありますが、私の選挙区でも、まだ補正予算で手当てされていない部分がございます。

 二つ御紹介申し上げます。

 その同じ貴船なのでありますが、貴船神社というものがございまして、その上側ですね、鈴鹿谷という谷がございまして、ここも長年の豪雨による土砂の流出、あるいは昨年の七月豪雨の影響がございまして、今後、大きな土砂災害が心配されている。

 といいますのは、昭和十年にもう既に一回起きているんですね、神社も直接被災をしているということがあって、この教訓も生かして、そろそろしっかりとした対策、治山事業をやっていかないといけないという現場があります。

 もう一つ。八瀬というところがありまして、秋元町でありますが、ここも同様に、表層から大量の土砂が流れ出して、そして民家の中をスルーする形で被害が発生しておるわけであります。大量の土砂が堆積している状況であります。

 平成三十年度の補正予算で手当てされなかった、まだ現場の声が届いていないんです。これを三十一年度の当初予算では何としても手当てをしてほしい。この点についてお願い申し上げます。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました京都市左京区鞍馬貴船町、それから八瀬秋元町における災害の件でございます。

 御指摘の箇所につきましては、平成三十年度七月豪雨によりまして渓流や山腹斜面で荒廃が見られているというところでございまして、京都府として治山事業による対策を検討中というふうにお聞きをしております。そして、平成三十一年度予算での事業実施に向けて現在検討を進められているというふうにも聞いておるところでございます。

 農林水産省といたしましても、京都府などと緊密に連携をとりながら、地域の安全、安心が確保されるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

繁本分科員 ありがとうございました。

 続きまして、順次、次の、強靱化に向けた提案も含めた質問に移りたいと思います。

 去年の九月四日の台風で一番困ったのは、風倒木であります。この倒木処理が本当に苦労しているわけでありまして、早急な倒木の除去が実現しなければ迅速な復興復旧もできないということであります。現在、京都市では、独自に財政負担を積み増してこの対策を進めているところであります。

 特に、この倒木処理については、処理、運搬ですね、運び出すところ、この部分が京都市が一番苦労しているところでありますが、例を挙げますと、林野庁の森林整備事業というのがありますが、市の負担割合を一〇%積み上げている。あるいは、倒木を積み込み、集積場からチップ工場へ運搬する経費を独自に見ている。あるいは、倒木処理を作業するための安全経費を新規で予算を組んで独自に見ているといった、本当になかなかお金がない地方財政の中で頑張っているということであります。

 こんな中で、今後同じような被害がまたことしの台風でも起きるかもしれませんね。京都以外でも起きるかもしれない。

 そこで、倒木処理に対する、例えばいろいろな復旧事業があるわけでありますが、事業要件を緩和するとか、対象を拡大するとか、もっと柔軟な対応にするとか、あるいは予算そのものを確保するといったぐあいに、国の財政支援を充実させていただきたいと思います。その中には安全な倒木処理に必要な研究、技術開発も含めてお願いしたいところでありますが、林野庁のお考えをお願い申し上げます。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました風倒木の処理、また被害森林の復旧につきましては、森林整備事業によりまして、被害木の伐採、搬出、その後の植栽等に対しまして、国、都道府県を合わせまして約七割の支援を行っているところでございます。

 また、今般の台風二十一号によります京都府の風倒被害など、森林被害が多発しているという状況でございます。このような状況を踏まえまして、一つには、森林経営計画を策定していない森林所有者でも被害木の処理が行えるようにするなど、要件の緩和にも取り組んだところでございます。

 あわせまして、御指摘をいただきました、例えば予算の確保とか技術開発とか、そういった面も含めてしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

繁本分科員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 特に、森林所有者による対応が見込めない、かわりに市が財政負担を伴ってやらなくてはいけないようなことが起きておりますので、この点について、特にしっかりとお願いしたいと思います。

 さて、その風倒木対策でありますが、私が災害が起きて現場に行くたびにいつも困ったことがあって、それは、道路そのものが風倒木で寸断されている、奥に行けない、奥で何が起きているかもわからない。同じことが鉄道でも起きているんですよね。ですから、道路だとか鉄道だとか、あるいは先ほど申し上げた電気通信関係、このライフライン沿いの風倒木対策というのは、いろいろな意味で多重的に事前防災を講じていかなければならない、そのように強く感じたわけであります。

 公道や、特に鉄道沿い、実は今も、叡山電鉄というのがあるんですけれども、この鉄道沿いに、まだ伐採できていない、倒れ切っていないといいますか、そういう木もたくさんあるんですよね。そういったことも、今後の、例えばことしの台風だとか、あるいはまた大雨でどうなるかわからないんですよ。特に公道沿い、鉄道沿い、電線がずっと張られているこのライフライン沿いの風倒木対策ということについては、意を尽くさないといけない。

 実際、風倒木被害が発生したときに現場で何が起きたかというと、地元の消防分団がチェーンソー片手に現場に入り込んで、それをばんばん切って処理したんですよ。それで何とか、何とか奥に入れて様子がわかった、何とか物資が運べた。何とか、そんな状況だったんですよ。

 こういうことが起きないように、事前にいろいろな策を講じていかなければならないと思うのでありますが、この点について、林野庁のお考えをお願い申し上げます。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道とかあるいは公道沿いの森林についてということでございます。

 こういった森林につきましては、国土保全等の公益的機能の発揮を通じまして、御指摘ありましたように、重要なライフラインの保全に大変重要な役割を果たしているということでございまして、これまでも、森林整備事業によりまして、間伐とか路網整備等は行ってきたところでございます。

 一方、植栽いたしました樹木が大変大きくなっている、大径化しているということがございます。また、災害も激甚化しているという中でございますので、今般の台風二十一号による京都府の風倒被害を始め、鉄道、公道沿いの樹木が倒れまして、結果として市民生活に大変大きな影響を与えているという事例も発生をしているということでございます。

 このような鉄道とか公道沿いの危険木対策についてでございますけれども、これにつきましては、施設管理者が適切な対応を行うということが基本ではあるかというふうには考えておりますけれども、しかし、今申し上げましたようないろいろな状況の変化も踏まえまして、地域の安全の確保の観点から、今後どのような対策ができるのかということにつきまして、国土交通省さんとも連携をしながら検討していきたいと考えているところでございます。

繁本分科員 今長官から、施設管理者がというお話があったんですね。

 実は、昨年の通常国会で道路法が一部改正をされました。例えば、道路の沿道区域を道路管理者が指定をして、この道路の通行上問題がある、例えば岩石が山の上にある、竹木があるといった場合は、道路管理者が、その権限において、その岩石なり竹木の類いをしっかり取り除きなさいという強力な措置命令が出せるようになったんですよ。

 私は、できればそういうことにならないように、必要となれば道路法も使わないといけないんですが、森林サイドからやはり積極的に事前防災措置を講じるべきであるというふうに考えているところであります。

 去年倒れた電柱の数だけで千三百本、二百二十万軒が京都では停電になりました。エリアは、先ほど申し上げたとおり、三百ヘクタール以上ですよ。これはしかも、停電が長期間に及んだ。道路の通行どめは、例えば花脊峠というところを例に出すと、一月以上かけているんですよ。叡山電鉄だって、九月の四日の運行休止から、復旧したのが十月の終わりなんですよ。二十六、七日だったと思います。一月半以上なんですね。

 ですから、ここは真剣にやっていかないといけない。後で計画論の面からもう一回質問しますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、先ほど長官のお話にありましたね、風倒木が起きてしまった。それを伐採した、取り除いた、その後の植栽が大事なんですね。また同じようにして針葉樹を植えるのか、はたまた違った広葉樹を植えるのか、大きな違いがあるんですよ。広葉樹は水平方向に根が張っていく、山をぐっと押さえます。針葉樹はどちらかというと根が浅い、下の方に根を張ると聞いています。ですから、これから本当に、同じようにして、特に公道沿い、鉄道沿いの風倒木処理した後の山において何を植栽するか、すごく大事なポイントだというふうに思います。

 もう一つは、仮にそこに針葉樹にしても広葉樹にしても植えたら、今度は鹿が来るんですよ。どんどんこれは餌をまいているようなものであって、ぱくぱくぱくぱく食べてしまう。この鳥獣被害対策にもすごいお金がかかるんですね。

 ですから、風倒木処理した後の二次災害防止に向けた植栽だとか鳥獣被害対策といったことをやはりしっかり進めていかないといけないと思うんですが、この点について見解をお伺いします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 風倒木の跡地の植栽につきましても、これは森林整備事業により支援を行っているところでございますが、その際に何を植えるかという点でございます。

 その場合、その地域の景観でありますとかあるいは生物多様性の観点、そういったものを考えてみた場合に、針葉樹のみならず、広葉樹を植えていくということも大変重要な取組というふうに考えております。

 被害森林の跡地への広葉樹の植栽でありますとか、あるいは、これと一体的に行う、今獣害のお話もございましたけれども、鳥獣防護ネットの設置等の鳥獣害対策に対しましても、これは森林整備事業により支援しているところでございます。

 いずれにいたしましても、よく地元の自治体の御意向も聞きながら、地元自治体とも協力しながら、被害森林の適切な復旧が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

繁本分科員 ありがとうございました。

 例えば、京都市左京区で二ノ瀬という地域があるんですけれども、そこの現場の声を聞いてきたら、こんな話がありました。

 そこは、叡山鉄道が二ノ瀬の谷合いに南北に行き来しているんですね。川もあります、そして谷になっているんですね。今回、風倒木が発生した二ノ瀬の町の西側の斜面のことなんですけれども、地元の方は、ぜひもみじを植えることを検討したいと。そうしたら、叡山電鉄から、電車に乗った人が、鞍馬まで行くわけですけれども、すばらしいもみじの景色を見ることができるようになるんですよ。災い転じて福となす。杉が倒れて、もみじを植える。これは地方創生という観点からも、災害復旧ということだけではなくて、二次災害の防止ということではなくて、前向きに、地域の夢とか活性化につながるようなこともできると思うんですよ。

 ですから、本当に地域の声をよく聞いていただいて、二ノ瀬地区のこれからの復旧についてもいろいろお知恵をかりたいというふうに思う次第であります。

 さて、次の質問に移りたいと思いますが、先ほど来申し上げています風倒木対策ですね。これは森林法に基づく森林整備保全事業計画についてのことでありますけれども、中を読んでみますと、強靱化のことも書いています、災害防止のことも書いています、健全な森林の育成、当然書いています。

 私、これを読んでいて一つ思ったんですね。風倒木対策ということを、きょう私がるる質問した観点から、強化して記述してほしい。明確に風倒木という言葉も出てきませんし、今回の災害から得られた教訓、まだまだ盛り込める余地があると思うんですよ。知恵の出しようがあると思うんですよ。

 というのは、今ちょうど検討されているところですよね、二〇一九年から二〇二三年までの次の五カ年計画を今検討しているところだと思うんです。うまくいけば四月には閣議決定でありますから、吉川大臣もここにサインをするわけでありますけれども、特に風倒木対策について。先ほど来申し上げてきました、ライフラインへの影響、交通への影響がありますから、制度、予算、技術、そして体制についてしっかりと書き込んでいただきたいと思いますが、林野庁のお考えをお聞かせください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 森林整備保全事業計画でございますが、御指摘のように、ちょうど今、五年に一度の改定作業中ということでございまして、林政審議会でも御議論いただいているところでございます。

 その際、当然、近年の災害の激甚化を踏まえた内容にすべく検討を行っているところでございまして、具体的には、御指摘いただきました、風倒木による道路等への二次的な被害が相次いだ、こういったことも踏まえまして、これらの対応についてもこの森林整備保全事業計画に記述するということを検討しているところでございまして、御指摘も踏まえて、また中身についてはよく検討させていただきたいと思います。

繁本分科員 実は、先日、京都市の左京区で、鞍馬、二ノ瀬、そして貴船という地区の人に集まっていただいて、今回の被害、この教訓から僕たちは何ができるかということを、ざっくばらんな意見交換をやったんですよ。そうしたら、鞍馬地区の自治連の会長さんが、昔こんな話があったと言いましたね。

 造林協会というんですかね、要は山主さんたちの集まりの中で、先ほど来私が申し上げているとおり、道路沿いの木はやはり危ないよね、例えば二十メーターぐらいは僕たちで、その山主さんたちが、自主的に道路から二十メーターは木を切って、クリアランスをとっておこうということを働きかけたそうですよ。これはつい二、三年前の話じゃないんです。もう十何年も前の話ですよ。ところが、やはり実現しなかった。今でも道路の際々まで木は植えられています。そして、それが今申し上げているような心配につながっているんですよね。なぜ実現しなかったかというと、やはりそこは森林所有者の理解が十分に得られなかったということがあると思います。

 では、何で得られなかったか。それはいろいろ理由はあると思いますよ。だけれども、ここでもし計画上、そういうことがしっかりと位置づけがなされて、森林所有者の責務にでもなれば、これはまた違った感覚で、今回私が申し上げ、提案しているようなことについても、森林所有者、山主の皆さんは御協力をいただけるのではないかというふうに思いますので、ぜひこの検討を進めていただきたいというふうに思います。とても大事なポイントであります。

 最後の質問でありますけれども、やはり持続可能な森林整備、そして管理、保全、これをしっかりやっていくことが一番究極の強靱化であり、事前防災であるということは、これは釈迦に説法ですね、長官に対しては。私、本当にそう思うんですよ。

 ところが、何でそうなっていないかといったら、それは、やはり木が、伐採して積み出しても、十分な値段がついて売れないから、そのまま間伐も十分にできないままで、そのままになっちゃう。そのままになってしまった森林は、台風で風のエネルギーがばあっと来たときに、エネルギーを逃がすことができないんです、すき間がないから。もろに受けてしまうわけですよ。こういった森が全国あちこちにある。そして、和歌山でもそんなことが発生いたしましたよね。だから、そういうことを考えると、しっかりと林業経営がなされて、間伐がなされて、災害に強い、すき間のある森ができてというふうな姿を目指していかなければならないわけでありますよね。

 ポイントは、木材の価格をいかにしっかり引き上げて、そして林業経営が成り立つか、施業する方が稼げるか、山主に還元がなされるかということが一番基本だと思うんです、僕は。これは、僕はきょう三十分間時間をいただいている話の根っこだと思うんです。

 だから、ここをぜひ林野庁に強力に取り組んでいただきたいんですが、お聞きしているところによると、今回、通常国会で、木材供給安定法の改正だとか、あるいは森林法の改正だとか、これから、いかに木材を高く、国有林を、大きくまとまった需要者とマッチングさせて、安定的に、一千百万立米ですかね、供給していくかということを御検討されていると伺っておりますが、一番大事なポイント、木材価格を国有林がプライスリーダーとしてしっかりと引き上げて、民有林も引っ張って、我が国全体の林業を健全な経営ができるような形で引っ張っていただきたい。

 このような観点から、林野庁のお考えをお聞かせください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 林業の振興のためには、森林組合とか素材生産業者といった現場の経営者の皆様方の経営能力を高めまして低コスト化を図っていくということも大事でございますけれども、もう一つは、やはり、御指摘いただきましたように、川中、川下の需要に確実につなげて、適切な立木価格を実現をする、そのことによって森林所有者にきちんと還元をしていくということが極めて重要だというふうに考えております。

 このため、今般、国会に提出させていただきました国有林改正法案でございますけれども、これは、民有林を補完する形で、川中、川下の需要者と連携した林業経営者が長期的な視点に立って機械や人材への投資を図ることができるよう、国有林の一定区域において、一定期間、安定的に樹木を伐採して取得できる仕組みを整備することとしております。

 このようにして、国有林を活用して、地域で活躍する林業経営者を育成することによりまして、より低コストでの施業を行うことによりまして、立木価格の向上というものを図ってまいりまして、森林所有者にしっかり利益が還元できるような取組を進めていきたいと思っております。

 なお、国有林におきましても、一般的に実施されております立木販売におきましても、事業者の競争を促しまして、より高価格での販売に努めております。

 加えまして、本法案の事業の実施に当たりましても、樹木の対価につきましては市場価格以上となるような仕組みというものを、御指摘も踏まえつつ検討していきたいというふうに思っておりまして、こういった取組によりまして、御指摘がございましたように、国有林がしっかり地域のプライスリーダーとなるように努めていきたいというふうに考えているところでございます。

繁本分科員 力強い答弁、ありがとうございました。

 ぜひ、その仕組みをできるだけ政省令とか条文という形で落とし込んでいただきたいというふうに思います。

 川上を守ることで、川下、国全体を守る林業政策をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

堀内主査 これにて繁本護さんの質疑は終了いたしました。

 次に、細田健一さん。

細田(健)分科員 新潟二区の細田健一でございます。

 大臣、そして先生方、本当にお疲れさまでございます。きょうは私が最後の質問者ということになりますので、おつき合いをいただければというふうに思っております。

 きょうは、まず、お米の問題についてお伺いをしたいと思っております。

 私の選挙区、新潟二区、本州有数の米どころでございます。これは、東京から新幹線に乗りまして新潟に向かいますと、長岡を過ぎて、非常に広大な水田が広がっているという景色が見えてまいりますけれども、その新幹線の線路からほぼ海側の全体が私の選挙区でございまして、そういう意味では、本当に本州有数の米どころでございまして、私の選挙区の中には、例えば本州最大の土地改良区がございますし、また、これは確認したいんですが、恐らく本州最大量の米を取り扱っているJAの単協があるといったような場所でございます。本当に、米の問題が象徴的に出てくる土地でございます。

 私自身は、日本の農業問題とされているものの七割は米問題ではないかというふうに思っておりまして、その意味では、私の選挙区のお米をめぐるさまざまな問題を前向きに解決することができれば日本の農業問題の七割は解決できるんじゃないかというような思いで日々活動させていただいているところでございます。

 安倍政権になってから、農水省の皆さんが、さまざまな意見あるいは困難がある中で、本当に前向きにこの問題、米問題に取り組んでこられて、例えば減反の廃止であるとか、そういうような政策を打ち出してこられたということ、これは本当に私も前向きに評価をしたいというふうに思っているところでございます。

 そういうさまざまな施策の中で、まず、水田フル活用というものが打ち出されて、これは農業生産力の維持には本当に必要なことだと思いますし、また、米価格の安定のためにも、飼料用米あるいは加工用米への生産誘導というのが非常に重要であるというふうに思っております。

 特に、飼料用米の生産目標について、これは平成三十七年に百十万トンという目標が打ち出されているわけでございますけれども、これはぜひ今後ともきちんと維持をしていただいて、各種の政策を打っていただきたいというふうに考えているところなんですけれども、この生産目標の維持についてはどのようにお考えなのか、まず御見解をお伺いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 飼料用米の生産数量目標について御質問をいただきました。

 我が国におきましては、主食用米の需要が毎年減少していく中で、飼料用米などへの転換によって水田のフル活用ということを進めているところでございます。

 平成二十七年三月に閣議決定されております食料・農業・農村基本計画におきましては、先生御指摘のとおり、平成三十七年度の飼料用米の生産努力目標を百十万トンというふうにされているところでございますので、農林水産省といたしましては、飼料用米につきまして、水田活用の直接支払交付金による支援、多収性品種の開発導入の推進や、飼料用米多収日本一コンテストなどを通じた普及啓発、飼料用米を給与した畜産物のブランド化の推進などに取り組んでおりまして、引き続き、水田フル活用、ひいては食料自給率、自給力の向上の観点から、飼料用米の生産につきましてもしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、きちんと生産目標を維持していただいて、また各種の政策を打っていただきたい。また、もし生産目標が変更されるようなことがあるようでしたら、ぜひ党の方でもきちんと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 それで、今お話がありました水田活用の直接支払交付金についてでございます。

 これは、三千億円以上の相当大きな予算が毎年投入されているわけでございますけれども、この予算については、財政審から指摘を受けたりしていて、なかなか、持続可能性についてどうかというような点が財政当局からいろいろ御指摘があるわけでございますけれども、一方で、我が党の各般の選挙における公約では、恒久的に措置するというふうに明記をされていることもございます。

 この点については、本当に、現場の声としては、もう可能な限り現在の支払い単価を維持をしていただいて、制度の存続を図っていただきたいという非常に強い声が私の選挙区にございます。

 ぜひこういう現場の声に応えていただいて、予算が確保できるようにまたぜひ農水省としても頑張っていただきたいと思いますし、また、私も微力ながら農水省の予算獲得の努力を応援してまいりたいというふうに思っているところでございますが、この水田活用の直接支払交付金の予算確保に向けた大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 米どころ新潟の御選出でもあります細田先生、農林大臣政務官としても御活躍をいただきまして、この水田フル活用の直接支払交付金につきましては熟知をされておると存じます。大変、御支援をいただくよう応援のメッセージの御質問をいただきまして、ありがとうございました。

 米政策改革の定着及び水田フル活用による食料自給率、自給力の向上を図るためにも、水田活用の直接支払交付金による飼料用米など主食用米以外の作物の支援は安定的に実施していくことが必要であると考えておりますので、今後とも、農業者の方々が飼料用米など主食用米以外の作物への生産に引き続き安心して取り組むことができるよう、必要な予算をしっかり確保してまいりたいと存じます。ちなみに、ことしは三千二百十五億円の予算案を計上をさせていただいております。

 本当に、全国の米どころの皆さんからも、多くの農業者、生産者の皆さんからも、この直接支払交付金というのは期待をされております。そしてまた、担い手の皆さんも、米以外に、この直接支払交付金を利用されてさまざまな、麦、大豆を始めいろいろな農作物を今つくっていらっしゃいます。

 そういったことも考えますと、これからの一つの農業のあり方にもつながる大切な予算でもありますので、しっかりと今後ともに必要な予算を確保するために、私どもも全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。

細田(健)分科員 ありがとうございます。

 大臣からは、本当に力強い、前向きなメッセージをいただきました。農産地としても本当に勇気づけられることになると思っております。ありがとうございます。

 もちろん、米どころの新潟でございますけれども、米一本やりではなく、転換作物への転換でありますとか、そういう農業作物の生産の多様化などを通じて、大臣の今の御決意に応えられるようにきちんとまた構造転換もしていかなきゃいけないと思っておりますし、また私も、そういう形で産地では話を進めていきたいというふうに思っているところでございます。

 大臣、前向きなメッセージをいただきまして本当にありがとうございました。

 それでは、米の輸出、なかんずく中国市場への輸出についてお伺いをしたいと思っております。

 昨年の十二月に、中国政府が、東日本大震災以降、東日本の農産品の輸入を禁止していたわけですが、新潟県のお米に限って輸入再開を認めるという、ある意味では非常に喜ばしい、私どもにとっては非常にありがたい決定をしていただきました。これも、農水省の皆さんのさまざまな各般の働きかけがあったというふうに認識をしております。改めて、皆様方の御努力に御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 今、地元の方でも、その中国政府の決定を受けまして、非常に中国市場に対するお米の輸出についての意欲が高まっておりまして、私の周りの農業者の皆さんも、ぜひ本当に前向きに取り組みたい、もちろん、価格の問題、あるいは品質の問題というのがありますけれども、価格の問題も、ある程度コストを、低減をきちんとやることによって輸出をきちんとやってみたいというような、非常に強い意欲が寄せられているところでございます。

 まず、農水省にお伺いをしたいんですが、中国の米市場の現況ですね、例えば、規模はどれくらいで、輸入量は、中国自身はもう米を自給できなくて輸入をしているというふうに認識をしておりますが、その輸入量でありますとか、あるいは輸入価格、そして、我が国の日本産米の輸入の可能性、輸出の可能性についてどういうふうに捉えておられるのか、農水省の御見解をお伺いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の米市場の現況について御質問をいただきました。

 中国でございますけれども、人口は約十四億人、米の消費量は年間約一・六億トン、日本の約二十倍でございます。というふうに、世界最大の米の市場であるというふうに認識しておりまして、このうち、毎年五百万トンのお米を海外から輸入をしているというふうに承知をしております。

 このような中、日本産米の中国への輸出量、平成三十年で約五百トン程度ということでございまして、これは、前年に比べますと七〇%増加しているとはいえ、まだまだ小さい水準ということでございます。

 日本産米の中国での小売価格につきましては、二キロ小袋で百九十八元、約三千四百円程度ということでございまして、中国の現地のお米と比べますと、二倍から十倍程度の開きがあるということでございます。

 このような中、中国向けの米輸出につきましては、今ほど先生から御指摘ありましたとおり、新潟県産米の輸出の解禁もなされて、この一月の九日には、新潟県産米の出荷式も行われたところでございます。

 新潟県は、お米の輸出につきましては日本一の量でございまして、平成二十九年、三十年とも、オール・ジャパンの輸出量、これは一万トン内外なのでございますけれども、全国の三割から三分の一を占めているということでございまして、中国という大きな米マーケット、それに対する新潟米の可能性、これは十分にあるというふうに考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 今お話があったとおり、年間五百万トン輸入をしているということで、例えば、その一割が日本産米に置きかわっただけでも五十万トンという非常に大きな需要が生まれる、こういうことだろうと思っております。

 また、これはいろいろな議論がありますけれども、中国の富裕層に向けて、おいしくて品質のよい、ある程度値段が高くてもおいしいお米を求めているというようなレポートも出されていまして、そういう意味では、一義的には当然、民の努力というのが必要だと思いますけれども、官民を挙げて、我が国の国産米が中国のマーケットに浸透するように、私も含めてみんなで頑張ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

 今、先ほど申し上げたように、私の周りの農業者の方でも、とにかく輸出をしてみたい、特に今話題になっている中国に対して輸出をしてみたい、こういうような強い意欲が示されているところでございますけれども、例えば、新潟県のお米を中国に輸出するに当たって、農水省からどのような支援を受けることができるのか。農水省から農業者に対してさまざまな支援メニューというのがあると思いますけれども、どういうような支援が受けられるのかというようなことをお伺いしたい、こういうふうに思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 中国への輸出を促進するための支援策について御質問をいただきました。

 お米の輸出、これを安定的に進めていくためには、ロットや品質など、海外のニーズに応じて安定的に輸出用米を供給する産地を育成して進めるということが極めて重要であるというふうに考えておりまして、一昨年の九月でございますが、コメ海外市場拡大戦略プロジェクトを農林省の方で立ち上げておりまして、本年一月末現在で二百五十九の産地に及ぶ参加を得ております。

 現在、輸出事業者の把握している海外ニーズと産地とのマッチングを丁寧に推進しているところでございまして、新潟県におかれても、JAグループ新潟米輸出推進協議会などがこのプロジェクトの産地に位置づけられておるということでございます。

 また、三十一年度の予算におきましては、お米の輸出向け低コスト生産に向けたスマート農業技術の導入、実証に対する支援のほか、産地交付金によりまして、内外の新市場開拓を図るお米の作付に対する支援を計上しているところでございまして、引き続き、輸出産地の育成を積極的に進めてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 統括官、ありがとうございました。

 我が国のさまざまな食料政策あるいは安全保障を考えてみても、食料を中国に輸出する、中国の生産を代替するというのは、私は非常に重要なことだというふうに思っておりまして、そういう意味では、当然、農業者あるいは輸出業者を含む民の努力というのは大切ですけれども、また、それを後押しする、国を含めた官の支援というのも非常に重要だというふうに考えております。

 これは、私もまた選挙区でそういう米の輸出セミナーというようなものも積極的に行っていきたいと思っておりますけれども、ぜひ本当に各般の御支援をお願いしたいと思いますし、また、今後、安倍内閣、農産品の一兆円目標の達成というのはほぼ視野に入ってきていると思いますけれども、やはり、先ほどちょっとお話があったように、米の輸出というのはまだまだだと思いますので、その可能性に比べて、その可能性、お米の輸出の可能性をぜひまた追求していただくように、私からもお願いをしたいというふうに思っております。

 それでは、次に、国土交通省、来ていただいていると思いますので、私の選挙区の中の、特に生活に密着したインフラの整備について幾つかお伺いをしたいと思っております。

 まず、国道一一六の燕吉田バイパスの進捗状況についてお伺いしたいと思うんですけれども、これはもう本当に長年、地域から、都市計画決定をできるだけ早く行っていただきたいという悲鳴のような要望が寄せられておりまして、本当に長年にわたる地域の悲願というプロジェクトでございます。

 これは長々とお話をいたしませんけれども、国と新潟県の間でいろいろな意見の相違がありまして、なかなか計画決定に至らずというような状況にあったわけでございますけれども、一昨年からでしょうか、国と県とまた燕市の間で三者協議が行われて、私の認識では、ほぼ、計画の概要については、内々の合意が地元ベースではなされているというふうに認識をしております。

 これは地元の土地改良の事業計画ともちょっと関係がございまして、都市計画決定を早くやっていただかないと、そこに係るいわゆる土地改良の事業計画まで決まらないというようなことがございまして、地元からは、本当に、できるだけ早く都市計画決定、事業計画の決定を行っていただきたいという声が強く上がっているんですけれども、この点について、できれば本年中に都市計画決定が行われるように、また国土交通省の方からもぜひ前向きにその事業計画を進めていただきたいというふうに思っておりますけれども、この点について国土交通省の御見解をよろしくお願いします。

榊政府参考人 国道百十六号は、柏崎市から新潟市を結ぶ道路であり、市街地を通過するため、渋滞や交通事故の発生などの課題があると認識をしてございます。

 こうした課題に応えるため、国道百十六号吉田バイパスについては、平成二十九年度末に概略ルート、構造についての対応方針を決定いたしました。現在、この対応方針に基づいて、都市計画決定に必要となる都市計画の素案の作成を行っているところであります。

 今後とも、早期の都市計画決定に向けて、関係機関と連携をして、必要な手続を進めてまいりたいと存じます。

細田(健)分科員 具体的な時期のコミットはなかなか難しいのかもしれないんですけれども、前向きな答弁をいただいたと思いますので、ぜひ早期に決定が行われるようにまた取り組んでいただくよう、よろしくお願いいたします。

 もう一つ、次に、国道八号の柏崎の鯨波トンネルについてなんですけれども、これも計画が決定してからもう相当程度の年数がたっておりまして、地元からは、万里の長城といいますか、いつになったらこれが最終的に完成をし、また、供用が開始されるのかという、非常に強い声が上がっているところでございます。

 私自身、内々いろいろお伺いをしているところでは、二〇二二年度にも鯨波トンネルについては供用が開始されて、八号バイパスのいわゆる西側部分については開通するという認識でおりますけれども、この点についての事業の進捗計画といいますか、見通しについてはいかがでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘をいただきました仮称鯨波トンネルにつきましては、平成三十年八月にトンネル掘削工事を開始いたしました。現在、山岳部分一千百二十八メートルのうち、約三百三十メートルまで掘削が進んできている状況にございます。

 トンネルの供用時期の見通しについてでございますが、まだ掘削を始めたばかりであり、掘進速度は実際の地質の状況によって大きく変わりますことから、現段階で供用時期の見通しをお示しすることは難しい状況にございます。

 ただ、過去のトンネル工事の実績から考えますと、この規模のトンネルであれば五年程度はかかるのではないかと考えておりますが、一日でも早く供用することができますよう、引き続き全力で工事を進めてまいります。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 五年程度ということですけれども、昨年度から掘り始めているのかな、ですから、本当に、二〇二二年度という期限を一つの目標としてぜひ頑張っていただきたいと思いますし、また、そのための所要の予算の確保等々については、私もまた皆さんとともに努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 ぜひ、本当に、できるだけ早く事業が進捗するように取り組んでいただきますように、改めてお願いをしておきます。よろしくお願いします。

 それでは、次に、環境省に、ちょっとワシントン条約についてお伺いをしたいと思っております。

 これは、昨年質問をさせていただきました。

 私は、ほぼ二十年ほど前に通産省の役人だったときにこのワシントン条約の担当をしておりまして、特に象牙の問題については非常に強い思い入れがございます。昨年、環境委員会でも質問をさせていただいて、そのとき環境省の方からは、いわゆる南部アフリカの象については、現在、絶滅の危機に瀕しているとは言えないということを共通の認識といたしました上で、ワシントン条約の締約国会議については、その認識をベースにして取り組むというようなお話をいただいたところでございます。

 これも昨年の環境委員会でお話をさせていただいたところですけれども、いわゆるサステーナブルユースという考え方、野生生物はできるだけきちんと利用をして、その利用した対価を生産国に払うことによって、更にその資源の安定的な確保を図るというサステーナブルユースの考え方について、日本はその考え方のチャンピオンだったというふうに認識をしております。

 その観点からいうと、ことし開催されるワシントン条約の締約国会議において、南部アフリカの四カ国から象牙の取引再開提案が行われる方向というふうに聞いておりまして、これは、今までの日本のサステーナブルユースをきちんと促進するという基本的な考え方からすると、この提案については日本は積極的に賛成すべきだというふうに私は考えておりますけれども、環境省の御見解はいかがでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 南部アフリカ四カ国より、当該国のアフリカゾウの生息数が良好に管理、保護されており、象牙等による利益をもとに象との共存を目指す内容の提案がされていることは、承知をしてございます。

 二〇〇四年に開催されましたワシントン条約第十三回締約国会議における決議におきましては、商業取引が当該種の存続を脅かさない程度に行われた場合に、それが種と生態系の保全及び現地の人々の発展に利益をもたらす可能性があることを認めるとされたところでございます。

 こうした決議にありますとおり、ワシントン条約のもとで野生動植物の保全と持続可能な利用に貢献していくことは重要と考えておりまして、本提案に対する対応につきましては、現在、専門家からの意見など情報収集を図りながら、この対応を、検討を進めているところでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございます。

 IUCNの勧告等を見据えていろいろな対応を行われるということだろうと思いますけれども、ぜひ、南部アフリカ諸国としては日本に期待するところ大だと思いますので、積極的に賛成をしていただくように私からはお願いをしておきたいと思います。

 これは、欧米の先進国がいわゆる盲目的な環境保護派に乗っ取られるような状況にある中で、日本としては本当に長年筋を通した対応をしてきたというふうに考えておりまして、それは本当に、歴代の環境省の御担当の方が非常にきちんとさまざま議論を整理された結果であろうというふうに思っております。

 その意味では、私は、本当に歴代の環境省の御担当の方には非常に敬意の念を持っておりまして、ぜひきちんと今までの議論と対応を踏まえた方向性を出していただければと思います。

 これに関連をして、前回の締約国会議で、いわゆる問題のある国内の象牙市場については閉鎖をすべきだという決議案が採択されたというふうに理解をしておりますけれども、もちろん、その後、環境保護派としては、日本の象牙市場を閉鎖するべきだというような主張を繰り返しているわけでございます。

 これについても、種の保存法で、さまざまな問題があるにせよ、日本の国内市場というのは一応はきちんとした管理が行われておりますし、また、繰り返しになりますけれども、南部アフリカ諸国にとっては、日本市場にきちんと輸出をして、その利益を環境保護に還元するということが非常に大きな期待になっているわけですから、私としては、もう絶対にこれは、国内の象牙市場というのは閉鎖をすべきではないというふうに思っております。

 これは、私の経験からいっても、ややもすれば、政府の中でも、アメリカやあるいは欧州から非常に厳しい指摘があるのであれば、やや安易な方向に流れて、市場を閉鎖してしまおうかというような議論が政府部内でも出てくるんじゃないかということを私は非常に懸念をしておりまして、これはもう筋論としても、また、今まで日本が対応してきた経緯からいっても、これは絶対にそういう安易な議論に乗るべきではなく、安易に国内市場を閉鎖すべきではないというふうに考えておりますけれども、この点についての環境省の御見解をお願いしたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 象牙の違法取引は決して許されるものではなく、そのような取引に対する国際的な関心の高まりも踏まえ、象牙取扱事業者に関する規制及び罰則を大幅に強化する改正種の保存法が昨年六月一日に施行されたところでございます。

 具体的に申し上げますと、事業者につきましては、届出制から登録制に変更いたしまして、五年ごとに登録更新を行う、こういう仕組みとしたところでございまして、不適切な事業者に対しましては、この登録の取消しを行うことにより、象牙取引を適正に行わない事業者を市場から排除できるようになったところでございます。

 また、環境省の体制といたしましても、いわば象牙取引取締りGメンともいうべき取引監視係長の定員を地方環境事務所に四名増員いたしまして、事業者への立入検査でございますとか骨とう市場の巡視等を行うなど、取引監視体制を強化したところでございます。

 象牙の違法取引が生じないよう、今後も関係機関とも協力いたしまして、国内象牙取引を引き続き厳格に管理してまいる考えでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、筋論を通して頑張っていただきたいと思います。

 大臣、先生方、本当にお疲れさまでございました。これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて細田健一さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.