衆議院

メインへスキップ



第1号 令和2年2月25日(火曜日)

会議録本文へ
本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      笹川 博義君    原田 義昭君

      堀内 詔子君    山本 有二君

      大西 健介君    辻元 清美君

二月二十一日

 堀内詔子君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 堀内 詔子君

      石崎  徹君    岡下 昌平君

      国光あやの君    笹川 博義君

      津島  淳君    原田 義昭君

      藤井比早之君    簗  和生君

      山本 有二君    阿部 知子君

      大西 健介君    柿沢 未途君

      金子 恵美君    関 健一郎君

      辻元 清美君    宮川  伸君

      屋良 朝博君

   兼務 泉田 裕彦君 兼務 大隈 和英君

   兼務 池田 真紀君 兼務 小川 淳也君

   兼務 太田 昌孝君 兼務 高木美智代君

   兼務 畑野 君枝君 兼務 串田 誠一君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   環境大臣         小泉進次郎君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   環境副大臣        佐藤ゆかり君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   環境大臣政務官      加藤 鮎子君

   防衛大臣政務官      岩田 和親君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         小川 良介君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小宮大一郎君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 後藤 健二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人 

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         浅川 京子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           菱沼 義久君

   政府参考人

   (林野庁長官)      本郷 浩二君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            吉塚 靖浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長井 俊彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         徳永 幸久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     平岡 成哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  近藤 智洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小野  洋君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

   環境委員会専門員     小池 章子君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  原田 義昭君     石崎  徹君

  山本 有二君     藤井比早之君

  大西 健介君     城井  崇君

  辻元 清美君     金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     簗  和生君

  藤井比早之君     山本 有二君

  金子 恵美君     白石 洋一君

  城井  崇君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     岡下 昌平君

  阿部 知子君     屋良 朝博君

  白石 洋一君     宮川  伸君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     国光あやの君

  宮川  伸君     柿沢 未途君

  屋良 朝博君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     津島  淳君

  柿沢 未途君     辻元 清美君

  関 健一郎君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     原田 義昭君

同日

 第一分科員太田昌孝君、第二分科員小川淳也君、串田誠一君、第四分科員泉田裕彦君、第五分科員高木美智代君、第七分科員大隈和英君、池田真紀君及び畑野君枝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

堀内主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私、堀内が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。小泉環境大臣。

小泉国務大臣 令和二年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その基礎となる環境政策の基本的な考え方を御説明します。

 まず、私が環境大臣として強く感じていること、そしてこの御説明のテーマを一言で申し上げると、「環境先進国・日本の復権」です。国際社会において、日本のすぐれた数多くの取組が石炭批判の前にかき消されてしまっている中、国内外への発信のさらなる強化に力を入れていかなければなりません。そういった意味においても、今般石炭火力輸出支援の四要件の見直しについて議論を始めることで関係省庁と合意できたことは、環境先進国日本の復権に向けた新たな一歩であると思います。令和二年度予算は、こうした考えのもとで整理いたしました。

 ことしは東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、日本が世界の注目を集める年です。我が国のすぐれた取組を広く発信する絶好の機会を生かすためにも、政策を前進させていく決意です。

 初めに、気候変動対策について申し上げます。

 気候変動は今や、国際的には気候危機と言われるほど重要な課題として認識されており、脱炭素社会の実現に向けた機運は明らかに高まっています。我が国は、昨年閣議決定されたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略において、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指すと宣言しています。最近、安倍総理も国会答弁の中で、二〇五〇年も視野と言及されており、環境省としても、二〇五〇年も視野に、二〇五一年も含めできるだけ早期の脱炭素社会の達成を目指します。

 実際に、我が国は二〇一四年度以降五年連続で温室効果ガスの排出削減を実現しており、昨年のCOP25でも国際社会に発信しましたが、こうしたすぐれた実績は石炭批判でかき消されてしまっています。この現状を変えなければなりません。世界に誇る日本のすぐれた脱炭素技術やフルオロカーボン排出抑制対策等の普及に向けた取組を強化し、我が国の取組が国際社会に効果的に伝わるよう、私もさまざまな場で発信してまいります。

 また、地球温暖化の進展に伴い、今後、気象災害のリスクが更に高まることが予測されています。気候変動というファクターを防災に取り入れることはもはや必然となっており、気候変動掛ける防災の視点に立ち、自立分散型のエネルギーシステムの普及展開を始めとした緩和と適応の両面作戦を展開します。

 さらに、自治体を始めとした政府以外のプレーヤーによる取組の支援、ESG金融の促進、再生可能エネルギーの主力電源化と省エネルギーの徹底等に取り組むとともに、技術、経済社会システム、ライフスタイルといったあらゆる観点からのイノベーションも促してまいります。

 東日本大震災からの復興は、これまでも、これからも、環境省にとって最重要の課題です。引き続き、安心して生活できる環境を取り戻す環境再生に向けた取組等を、関係自治体の皆様と密に連携しながら着実に進めます。具体的な取組として、除去土壌等の中間貯蔵施設への搬入や減容、再生利用、指定廃棄物等の処理等に加え、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域内における家屋等の解体、除染についても、着実に進めます。また、放射線健康管理、リスクコミュニケーションの実施等を通じ、住民の皆様の不安の解消等を図ります。

 さらに、福島県は、二〇四〇年ごろをめどに県内エネルギー需要量以上のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出す県を目指すとの目標を掲げています。環境の視点から地域の強みを創造、再発見する未来志向の取組についても、役割を果たしてまいります。

 プラスチックごみ対策は、世界が取り組むべき喫緊の課題です。我が国は、昨年G20大阪サミットにおいて取りまとめた大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けて、また、中国等の廃プラスチック輸入禁止措置等をチャンスとして、真の循環型社会を構築してまいります。そのためには、循環経済への移行を見据えた製品や社会システムの再設計が必要であり、これを新たな成長エンジンとしていくべく、まず、ことし七月からのレジ袋有料化をきっかけとして、ライフスタイル変革を進めるとともに、プラスチック資源循環戦略の具現化に向けて、本格的な検討、実施を進めます。また、循環型社会の根幹である三Rの強化、海岸漂着物の回収、適正処理、代替素材の開発等も引き続き推進します。

 さらに、企業、自治体の先進的な取組、ESG投資、さらにアジアを始めとする国際的な資源循環を我が国から強力に進め、ことし五月に世界経済フォーラムと共催する東京循環経済ビジネスフォーラムにおいて、日本の誇る資源循環の取組を世界に発信してまいります。

 気候変動の進展に伴う生息環境の急速な変化が生物多様性に深刻な影響を及ぼしつつあり、その保全と気候変動対策を掛け合わせた取組も世界では広がっています。そうした中、ことしは生物多様性条約のCOP15の開催年であり、今後十年の方針を決める重要な年です。我が国発のSATOYAMAイニシアティブ等の国際連携の取組を引き続き推進するとともに、新たな世界目標、ポスト二〇二〇生物多様性枠組の採択に向けた国際的な議論において、積極的に発信してまいります。

 また、生物多様性が保全されていなければ、我々の経済社会活動を持続的に営むことはできません。経済界や消費者が生物多様性をみずからの問題として捉え、経済社会活動に生物多様性への配慮を組み込むという、いわゆる生物多様性の主流化は、COP15においても主要な論点の一つとなっています。我が国もこの課題に対して、さまざまなプレーヤーと連携して、主体的に取組を進めてまいります。

 国内においても、ことしは国立公園への一千万人の訪日外国人受入れの目標年であり、国立公園満喫プロジェクトを引き続き推進するとともに、新宿御苑等の国民公園の魅力向上を図ります。さらに、CSF等の対策強化、ヒアリ等の外来種防除、適正な動物愛護管理等に取り組みます。

 そして、環境省の原点である水俣病を忘れることなく、現在及び将来の世代が健全で良好な環境の中で安全な暮らしを営めるよう、今国会への改正法案提出に向けた準備を進めている石綿飛散防止対策はもちろん、公害健康被害対策、大気、水、土壌環境保全、化学物質対策等を進めてまいります。

 原子力規制委員会については、厳格な原子力規制活動を支える安全研究の推進及び放射線モニタリング体制の強化を図るとともに、原子力の安全確保に係る人的基盤の強化等に取り組みます。

 最後に、これらの施策を実行するための令和二年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明します。

 一般会計予算では総額三千五百三十七億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額二千百四十五億円余、東日本大震災復興特別会計に復興庁所管予算として総額六千八百十二億円余を計上しております。

 なお、委員のお手元に配付されております環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

堀内主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小泉環境大臣から申出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀内主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義さん。

笹川分科員 それでは、改めて、皆さんおはようございます。

 今、大臣の方から石炭火力の四要件の見直しという発言がちょっとあったので、やや驚きもあるわけなんですけれども、そこら辺のところで、この四要件を見直すというのは、多分大臣がおっしゃっているんですから、ゆめゆめこれを緩めるような話ではないというふうには思っていますけれども。

 経産省さんも含めて、関係省庁さんとこれからどういう形で、要するに、どのステージで見直しを図っていくのかということですけれども、答えられる範囲で結構なんですけれども。

小泉国務大臣 改めて、おはようございます。

 今、笹川委員から御指摘をいただいた石炭火力の輸出に関する四要件、この見直しをしていく議論をすることで関係省庁と合意ができたことは、今、国際社会で脱炭素化に向けて取り組んでいる中で、日本にとっては特に新たな一歩として大きい意義があると思っています。

 日本はやはり石炭のイメージが強いですから、その中で、動かないと思われていた日本が一歩動き出す、そういったメッセージをこれから的確に発信するために、まさにこの見直しの方向性というのは厳格な方向で考えていく以外はないと私は考えています。

 そして、こういったことがこれから正式に議論が始まるわけですから、今まで、余り日本の中では、エネルギー政策というとやはり関心があるのは原発、石炭については余り関心がない、これが国際社会との大きな差です。そういった中で、エネルギー政策の今後も含めて、この石炭の政策を含めた議論が深まって、より国際社会からも理解のある、そういう方向に進んでいく議論を展開していきたいと考えております。

笹川分科員 いずれにいたしましても、オリンピックが一つ大きな発信のステージにはなると思いますので、議論は、やはりだらだらやるものでなくて、スピーディーにぜひやっていただいて。

 ただ、いずれにしても、僕は予算委員会の一般的質疑のときにも申し上げましたけれども、なぜ日本が批判されるかというと、確かに、高効率の技術のあるすばらしい石炭火力をつくろう、これはわかる。しかし、時代おくれで、やはり排出量の多い、これをどうするんだというのが明確なものがない。ここのところがやはり国際社会に対するアピールが足りないということなんですね。だから、ここをどう手当てしていくんですか。原子力発電所でも許容は何年ですよと明確なものがあるし、やはりこれはもう、これ以上の排出量で考えたらこれは使えませんと。

 しかし、地域、地方によってはそれにすがっているところもあるから、じゃ、それに対してどうするんですか、そういうところをやはり明確に、これから早目に世界に向けて計画というものを発信していくことが大事だと思いますので、ぜひその議論の行方を御期待を申し上げたいと思いますし、また、先ほど来、インフラ輸出についても御指摘ありました。日本の先端的な技術、これをやはり活用していくことが大事だ。特に、例えば環境省の所管でいえば、浄化槽もそうですし。

 それから、海洋プラスチックごみというのは、どう見ても、やはり中国、ASEANが有力な排出国ということになっているわけですから、それをきちっと、特に東南アジアのごみをどう処理するんですか。粗っぽく掘って埋める、埋却、これは実は、次世代に対してごみを残していく、引き渡していくということでありますから、いかにごみを減量して、更に資源化をしていく、こういうシステム、ハードも含めて、日本の技術を輸出していくことも海洋プラスチックの減量に必ずつながると私は思っていますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 しかし、これの議論をやっていると持ち時間が本当になくなっちゃうので、ここでやめます。

 さて、先ほど、国立公園、これについての活用で約一千万人ということでありますが、その中で、年々右肩上がりで利用者数がふえていただいていることは大変結構な話なんですが、気になるのが、私の地元であります尾瀬の国立公園、これが減少に、今のところ四年連続で減少傾向ということで、これだけ魅力があると言われていたこの尾瀬、現況について、環境省さんとしてどういう認識を持っておられるのかちょっとお聞きをしたいというふうに思います。過去に四年連続でマイナスになったことがあるんですよ。だけれども、その後、やはりちょっと上がり傾向になったんですね。実はことしが勝負ということになるんですよ。それを踏まえた上で御答弁ください。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 尾瀬国立公園の利用者数が近年、減少傾向にあるのは、団体から個人への旅行形態の変化やレジャーの多様化による山離れのほか、鹿食害によるニッコウキスゲなどの湿原植生の劣化など、複合的な要因が考えられると思います。特に昨年については、花のシーズンである六から七月の休日に雨が多かったことや、秋の紅葉シーズンに来襲した台風の影響等が考えられると思います。

 環境省といたしましては、減少への対策として、平成三十年に決定いたしました新・尾瀬ビジョンに基づき、みんなに愛され続ける尾瀬を目指して、関係機関や地域の皆様と連携して取り組んでいます。

 具体的には、来年予定の尾瀬沼ビジターセンターのリニューアルオープンや、本年四月から国立公園利用企画官の配置によるプロモーションの強化など、尾瀬の魅力向上に努めるとともに、引き続きニホンジカ対策にも取り組んでまいりたいと考えております。

笹川分科員 尾瀬は、今言及があったニッコウキスゲとかミズバショウ、これが圧倒的にやはり人々に感動を与えるんですよね。

 ところが、それが、昔の写真と今、これは比較にならないんですよ。確かに、復元を、尾瀬の高校さんも含めて地元の人たちが一生懸命やってくれているんですけれども、それ以上にやはり天敵の鹿が、のこのこのこのこやってくるんですよ。まあ、彼らも生きるために必死ですから、それはわかるんだけれども。

 もう一つ僕が思うのは、やはり生活様式が変わったということなんですね。何が言いたいかというと、学校でも今、和式のトイレから洋式にかえていくよね。そのときに、私はあそこの山小屋も含めて、その泊まりの様式、これをどうしたらいいのかなと思う。その排水能力、処理能力を上げていく、普通にホテルのように泊まることができる山小屋、まあ、それがいいかどうかは、ちょっとまた地元のそれなりの人たちに意見を聞かなきゃいけないけれども。今の若い人たちにとって、余り不便を感じさせるような宿泊関係だと、やはり足が遠のいてしまうのかなという気もするんですね。その生活様式に合わせつつも、ぜひそこら辺はまた地元の人たちとよく検討していただきたいのと、ぜひ、現状でいう、このニッコウキスゲをもとに戻すためにはもう一段力を入れていかないと、やはり鹿の圧力に抗し切れないという現状があるんじゃないのか。あと、木道整備、これがやはり追いついていない。

 もう少しこの予算のあり方、使い方を含めて、私もあそこを二度ばかり歩いた経験から申し上げているんですけれども、やはり、ルートによっては非常によろしくないなというところがありました。これはちょっと県管理の方なんだけれども。だけれども、それは県管理だから、いや、環境省さんはいいという話じゃないから、やはりみんなで力を合わせていかないと、それぞれ魅力度というのはもとに戻りませんから、一千万人を目指す中での尾瀬の役割というのは、私は大きいというふうに思っていますので、ぜひ更に磨きがかけられるようにお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、生物多様性、これも大臣から言及がありました。経済行為に配慮。そもそもこの生物多様性というのは、外来種が入りまじった生物多様性じゃなくて、本来、日本の在来種を含めて固有の生物多様性をどう維持するかということだったんですね。

 たまたま、これはもう時間の方も余りありませんので申し上げるんだけれども、生物多様性保全推進支援事業というのが環境省にありますね。これは非常に継続性を必要としている事業だと僕は思っているんですよ。

 今、私の地元でクビアカツヤカミキリムシというやつが、非常に格好いいんですけれども、桜にとっては非常に天敵なんですよ。このカミキリムシは、どういうわけだか老木、いわゆる大木なんですよ、老木というのは、そういうところに巣くっちゃうと、どうしても伐倒作業しないといけない。今言ったように老木ですから、でかいんですよ。これ、そんな一本一万、二万で引き取ってくださいというわけにはいかないんですよね。これが物すごく自治体にとっては大きな負担になる。そして、これはやはりきちっとやっておかないと広がってしまう。今、残念ながら、環境省さんにお手伝いをいただいていますが、広がる一方なんですよ。

 すなわち、僕がこれで申し上げたいのは、何でこれは二年プラス一年ぐらいで終わっちゃうのと。これはやはり継続してやるということが大事なんですよ。これでおっ放されたら、えっ、また国は私たちだけでやれと言うんですかということになるわけですよ。最初が肝心だから。

 だから、そこら辺のところで、この支援事業の継続性についてどういう見解を持っているのか、ちょっと教えてください、御所見を。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の生物多様性保全推進支援事業でございますが、これは、限られた予算をより有効に活用するため、地域の先駆的な取組や早期防除に係る体制の構築、防除手法の開発等の活動を初期段階において支援することを目的としてございます。これによりまして、支援期間は原則二年として、事業終了後は自立的な活動を継続していただくことを前提としているところでございます。

 本事業を活用して、全国的なモデルとなるような事業を環境省としても支援してまいりたいというふうに考えております。

笹川分科員 恐らく、それは今の支援事業についての正しいお答えだと思うんですね。しかし、それじゃ現場に合わないんですよ。早期といっても、前年対比二・四倍ですからね、被害。

 だから、どうやって継続して後押しをするかというところが、今、環境省に求められているんですよ。自治体におっ放す話じゃないんですよ。ここをきちっとしないから、結局、蔓延を防ぐことができない。だから、この事業のあり方について、ぜひもう一度よくお考えいただきたいんですよ。どうやったら継続して支援ができるのか。

 例えば、この支援事業、では、次のステップはこっちです、では、こちらの方で支援しましょう、こういうことだって一つあるかもしれない。初期段階はこっちでやります、では、応用編はこっちです、こういう形でやれば自治体もだんだん気合いが入ってきますよ。

 それで、もう一つ言いたいのは、オオフサモってあるんですよね。これは侵略的外来種のワースト百の中に入っている、外来生物法で言ういわゆる特定外来生物にも指定はされているんですけれどもね。これを、地元の人なんですけれども、環境に物すごく熱心で、一回、環境大臣表彰されたんですけれども、この人が県内の希少野生動植物種保護監視員というのをやっているんですよ。この人がきちっと役所に注意をしているんですよ、やり方について。だけれども、この自治体は、下流に流れるということをちゃんと配慮しなかったおかげで、結局、流れていっちゃったんですよ。

 オオフサモというのはもう歴史がありますから、一九二〇年ぐらいから観賞用で導入されているんですよね。古い歴史があるのよ。だから知っていなきゃならないとは思うんですけれども、しかし、自治体の職員は、やはりそこら辺に生えている草っ葉なんですよ。植物に対する考え方というのがやはりちょっと足りないんですよ。

 ということは、環境省が幾らこれは百に入っていますよと言ったって、自治体の方とすれば認識が低いんですよ。では、この自治体の人たちにどう啓蒙活動していくんですか、知ってもらうんですかということなんですね。

 それから、もう一つ言っておきますけれども、これは観賞用で入れているんですよ。だから、これは経済的行為なんだよね。経済的行為の中で蔓延をし、結局、我々の貴重な税金を使ってこれを駆除しなきゃならないということなんですよ。

 こういう事態を過去にもこうやって招いているにもかかわらず、いまだに環境省さんはこういう動植物について後手後手なんですよ。ここを前から私は言っているんだけれども、外来種を、やはり、もともとだめなものはだめなんですよ。結局、ああ、こんなに繁殖力あるんですかと。

 でも、考えてみたら、こんなにふえちゃって、税金投入する話になって、農業にも影響を与えるようになっている。こういう事態を招いたということをどういうふうに皆さん方が考えるかなんですよね。

 だから、そろそろ環境省さんはかじを切って、経済的理由から外来種を入れるということ、これが最終的にどういう結果を招くかということをやはり考えていかなきゃいけない。だから、外来種の導入については、農業であれ何であれ、慎重にやるべきなんですよ、本来は。だめなものはだめと、全部一度だめにして、では、これはどうですか、これはどうですかという形の中でそれぞれ専門家の人に意見を聞いて、そして許可を出せばいいんですよ。こういう、侵略性があるからといって、じゃ、これを指定しましょう、これからは移動もだめですよ、何でもだめですよ、そういうことだから、結局、蔓延を防ぐことができないということでありますので、そろそろ環境省さんも、かじの切り方というものをぜひお考えをいただきたいと思います。

 それでは、続いて、プラスチックごみ、廃棄物の関係で行きますが、プラスチックごみが、中国が輸入を禁止してしまったということであります。これは諸外国に日本が押しつけてきたということもありますから、そういうことを考えたときには批判が大きいことは、国際世論から見ても厳しいということでありますが、ここで問題になるのは、やはり、自治体も含めて、プラごみの保管量がかなりもう大幅にふえている、それから処理能力を大幅に上回っている、この現状についてどう考えるかということなんですよね。それで、処理費用については右肩上がりになっている。

 もう一つ、これは茨城の方だったかもしれませんが、不法投棄の事例がふえてきているんですよ。それは当然なんですよ、相関関係がありますから。

 ということは、国内のこのプラごみの処理能力が大幅に、それについて環境省さんはどう考えるんですかということですよ。不法投棄が本当に激増したら対応できませんよ。今までの苦労が水泡に帰しちゃうから。この現況についてどういう御見解をお持ちなのか、お聞かせください。

山本(昌)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、中国の輸入禁止ということも受けまして、プラスチックごみについては、従来百五十万トン程度輸出で出ていたものが、直近では約九十万トンということで、約六十万トンが国内で滞留するというか増加しているという状況にございます。

 そういった中で、環境省はこの問題、非常に重要だと考えておりまして、一昨年から、一昨年の八月、それから昨年の二月、七月と、それぞれ実態をしっかりとアンケート調査で把握するということでございますが、確かに状況としては、保管基準違反あるいは受入れ制限が一部で発生しているという状況でございます。こういった事柄は、適正処理にも支障が生じる懸念があるという状況だというふうに認識しております。

 それで、一方では、廃プラスチックの国内の受皿をしっかりと整備していくとともに、その受けられる施設をしっかりと、できるだけ円滑に受けられるようにするということが重要だと考えておりまして、一つには、そういった受皿となる施設整備に関して予算でもって支援をするということもやっておりますし、あとは、優良な産廃事業者がしっかりとそれを受けられるようにということで、保管量の制限を二倍にふやすというようなこともさせていただいて、なるべく円滑な処理が進むようにという体制の整備に努めております。

 それから、御指摘のありました不法投棄が起きないようにということで、これは自治体にも御協力いただいて、監視を強めるということと、もしそういった事例があれば直ちに報告をしていただいて、しっかりと対応していくということをやっておりますので、引き続き、しっかりと監視をしながら必要な対策を継続的に取り組んでまいりたいと考えております。

笹川分科員 いずれにいたしましても、この処理価格をよく注視することと、それから資源価格、これの安定化にも、どうしていくかということ、それから今言った処理施設、これについてそろそろ国としても建設に向けてぜひ頑張ってください。

 それで、最後、生体販売についてなんですが、私が指摘したいのは、ペットの生体販売、本来これは、車でも受注生産なんですよね。私が心配しているのは、かわいい、かわいいは確かに結構な話、だけれども、結局、ペットで手元に行かなかったケース、これはどうするんだと。

 こういうことをやはりきちっと見ていかなきゃならないし、世界的に見てもペットの生体販売を禁止にかじを切った国もあるわけだから、そろそろ日本もそういう意味では考えていただきたいというふうに、また別の機会に議論をさせていただければと思います。

 以上申し上げて、質問を終わらせていただきます。

堀内主査 これにて笹川博義さんの質疑は終了いたしました。

 次に、石崎徹さん。

石崎分科員 おはようございます。自由民主党の石崎徹でございます。

 本日は、質問の機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 小泉進次郎環境大臣始め政務三役、そして環境省の担当者の皆様方にお越しいただきまして、本日は、環境省を応援するための質問、時にちょっと厳しい質問もあるかと思いますが、お答えをいただければと思います。

 今回は予算委員会ということでございまして、令和二年度のこの国の環境省分野の予算についての審議ということでございますが、ごみ処理、動物愛護、地球温暖化等の政策についてお聞きするわけでございますけれども、どれもやはりまだまだ予算は足りていないという状況だと思います。ただ、単に予算をふやしてほしいと言うだけでは、私はこれは責任を果たせないというふうに思っておりまして、新たな財源の確保、こちらにつきましても、本日はいろいろと、幾つか質問させていただきたいと思います。

 その前に、この三連休、地元を回っておりますと、やはりどこに行っても、新型コロナウイルス対策、これをとにかく早く強化してほしい、本当に脅威に感じている、そういう声を本当にいろいろなところでお聞きするわけでございます。

 伺いましたら、環境省所管の分野については、国立公園ですとかあるいは処理場等、環境省所管の分野においてしっかりこの新型コロナウイルス対策を徹底しているというふうに伺っているわけでございますが、ぜひ、小泉大臣のリーダーシップのもとで、環境省所管にかかわらず、この国からこのウイルスを一掃する、撲滅していく、そういうような決意を持って取り組んでいただきたいと心からまずはお願いを申し上げたいというふうに思います。

 質問に移らせていただきますが、私の地元は、まさに新潟水俣病の発症の地域でございました。長年にわたりまして、いろいろな形で国も、そして司法も、水俣病救済のためにいろいろな方策に取り組んできたわけでございますが、平成二十九年に水銀に関する水俣条約というものが発効されまして、まさに水俣病を経験した我が国だからこそ、世界から水銀の被害をなくす取組を進めていくという決意を持ってこの条約を推進してきたわけでございます。

 ただ、まだ水俣病に関します偏見、差別等もありますし、また地域の再生もまだまだ途上のところも当然あるわけでございまして、ぜひまた改めて環境省に対して、水銀に関する水俣条約も含めて、まさに公害の原点である水俣病、その歴史や教訓を次の世代に確実に継承していくことが重要であるという観点から、この問題に対しての決意をお伺いしたいと思います。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 水俣病についてのお尋ねでございます。

 水俣病につきましては、公式確認をされまして、それ以降、熊本では六十三年、そして先生御地元の新潟では五十四年がそれぞれ経過をしたわけでございます。新潟県におきましては、これまで、公害健康被害補償法に基づきまして七百十五人が認定をされておりまして、また、二度の政治解決によって二千七百九十三人の方々が救済をされてきたところでございます。

 世界のいかなる国におきましても、やはり水俣病のような悲惨な公害を繰り返してはならないということを私どもは肝に銘じなければならないと考えております。平成二十九年に水銀に関する水俣条約というものが発効いたしておりますけれども、我が国といたしましても、世界の水銀対策を牽引する立場として、水俣病の経験や教訓を国内外に、そして次の世代に向けてしっかりと発信をしていくということが重要であるというふうに考えております。

 環境省といたしましても、語り部の方々によります御自身の経験などを後世に伝えていただく語り部活動、そしてまた、阿賀野川流域の豊富な環境資源を活用した環境学習ツアーの実施など、新潟地域におけます普及啓発の取組を、関係自治体と密に連携をしながら、引き続き進めてまいりたいと考えております。

 水俣病は、今日まで続く環境行政の原点でございます。そのことを忘れることなく、引き続き、水俣病問題の解決に向けて、できることを一つ一つ着実に積み重ねてまいる所存でございます。

石崎分科員 佐藤副大臣、ありがとうございました。ぜひ、その決意を持って、これからも環境省挙げて取り組んでいただければと思います。

 続きまして、ごみの問題につきまして質問させていただきたいと思います。

 私の地元新潟、海岸線が非常に長い県でございますけれども、どこに行っても大量のプラスチックごみ、大きな大きなごみ、これは木材もそうでございますけれども、大変漂着をしているわけでございます。これは新潟県に限らず、恐らく全国どこでも見られる光景になってしまったわけでございますが。

 例えば、ビーチスポーツの団体の方と、夏場はビーチスポーツをやろうじゃないかということで海岸に行きますと、まず最初にやるのがごみ拾いからでございます。毎日やっても漂着をしているということで、ビーチスポーツだけではないわけであります、散歩される方、いろいろな方が、海岸の漂着ごみの問題については大変危惧をしているというか、本当に大変な問題だというふうに認識しているわけでございます。

 こうしたごみだけではなくて、北朝鮮と見られます木造船の漂着も大変増加をしておりまして、こちらに関しましては、この船の処分について、処理負担が二〇一七年から実質ゼロになったということでございますけれども、そうした大きなものに対しての補助だけではなくて、漂流するプラスチックのごみ、いろいろなごみのボランティアの方への補助金を私はもっと出していくべきだというふうに思う次第でございます。

 誰が今このごみ処理をやっているかというと、多くはボランティアの方の手に委ねている状況であるというふうに思いますので、ぜひ、環境省の漂着ごみ処理に関します補助金、これを大幅に増額していただきたいと思うんですけれども、御見解をいただきたいというふうに思います。

佐藤副大臣 石崎先生御指摘のとおり、漂着ごみの大半は他国から、そしてまた内陸から流れ着いてきているものでございまして、国全体で取り組むべく、環境省では、沿岸自治体による漂着ごみの回収、処理への補助金というものを交付いたしておりまして、来年度予算案には約三十七億円を計上させていただいているところでございます。

 実際に私、地元でも、淀川で、私自身ボランティア活動でごみ拾いも参加をさせていただいているところもございますし、多くのこうした補助金を活用しながら、全国の自治体、ボランティアの皆様方に御協力をいただいて、例年、結果としては三万、四万トンの海洋ごみを回収することができているという状況でございます。

 環境省といたしましては、引き続き、所要の予算の確保に最大限努めて、海洋ごみの円滑な回収、処理の推進に努めてまいる所存でございます。

石崎分科員 佐藤副大臣、ありがとうございます。

 海岸に漂着するだけではなくて、海洋中に漂うごみも大変深刻になっているところでございます。これを魚が食べて食物連鎖等を通じていきますと人間の体にも影響があるということでございますが、今現時点で、漁業者の方がたまたま漁業をやっている中で網にごみがひっかかった場合に、そのごみをわざわざ運んできてもらって、それを自治体の方に処理していただくわけでございますけれども、自治体には国からの補助金が出るんですけれども、本来は魚をとるために網を使った漁業者に対しては何の補助も今ない状況でございます。

 そうしたごみの処理に協力していただいた漁業者に対しましても何らかのサポートを私はすべきだというふうに思いますけれども、そのあたりの御見解も伺いたいと思います。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 海洋ごみは、海洋に漂着するものだけではなく、海中や海底を漂うものもございまして、通常、こうしたごみの回収というのは大変困難であるということでございます。

 そうした中で、委員御指摘のように、日常的に海で活動している漁業者の方々が操業中に網にかかったごみを持ち帰っていただけると、こうした漂流ごみや海底ごみの回収、処理を進めていくために大変大きな後押しになるということでございます。これまでもこうした取組をしてくださっている漁業者がたくさんいらっしゃるところでありまして、改めて感謝を申し上げたいというふうに存じます。

 一方で、御指摘のとおり、漁業者によりますごみの回収、処理ですけれども、追加の負担をおかけするものでありますので、これまでも漁業者のごみ回収を補助の対象としてまいりましたけれども、来年度予算では、改めて、漁業者を始めとしましてボランティアで回収、処理をする場合には、ごみの処理費用を一定額まで全額補助するということを可能といたしておりまして、既に多くの自治体や漁業関係者の方々に前向きな姿勢を示していただいているというところでございます。

 今後も、こうした回収、処理の体制の構築を後押ししまして、海洋という共有財産を保全するということの意義を丁寧に説明して、御理解、御協力が得られるよう働きかけをしてまいりたいと存じます。

石崎分科員 ありがとうございます。大変重要な取組だと思いますので、ぜひ後押しをお願い申し上げたいと思います。

 日本のごみ処理の国際的支援というのも大事でございます。先ほど御指摘がありましたとおり、日本に漂着するごみは海外発のごみというのもございまして、佐藤副大臣御地元の大阪でもG20大阪サミットが去年ございましたが、ブルー・オーシャン・ビジョンというものを世界各国と共有したわけでございます。

 この国際的な一体となった取組、ビジョンの実現に向けても、ぜひ日本がリードして頑張っていただければというふうに思っております。このブルー・オーシャン・ビジョンの実現そして後押し、これをぜひ私から、質問というか御意見というか、御要望ということでお伝えをさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今いろいろと申し上げましたけれども、まだまだこのごみ処理の問題につきましては、必要な予算もございます、ふやしていかなければならないと思いますし、いろいろな取組をしていかなければなりませんが、やはりそこに問題となってくるのが財源の確保ということでございます。

 ことしの七月からレジ袋の有料化の制度がスタートいたします。この収益は行政に入るわけではございません。ごみの回収、処理には予算が必要であり、こうした意味では、行政の新たな財源の確保も私は重要だというふうに思っております。

 地方自治体レベルでは、産業廃棄物処理に対しましては課税をしているというところもございますし、また、諸外国を調べていきますと、アイルランドやポルトガルでは、レジ袋の使用に対しまして、課税という形で消費者から集めている国もございます。その税収というものも、環境目的に使用している国もございます。デンマークにおきましては、レジ袋を含めたプラスチック容器全般に課税をしているというようなところもあるわけでございます。

 今後、ごみの処理を確実に推進していくために、新たな財源として、こうしたごみに対しての課税、諸外国の例も含めて、私は財源を確保していくべきだというふうに思いますけれども、このあたり、大臣の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

小泉国務大臣 今、石崎先生から、外国がプラスチックに税を課す、そういった事例も御紹介いただきました。私も、幾つかの国で既にそういったことが課されている、この現状も把握をしています。

 一方で、日本は今そういった形ではありませんが、私が共通するなと思っていることは、いずれにしても、今、徴収している自治体の例なども先生も御指摘されましたが、そういったことで集められたものがしっかりと環境保全に回っていくようにしていくこと、この意味においては、私は共有するものなんだろうというふうに思います。

 今、私もいろいろなところで、富山県がレジ袋の辞退率が九五%という脅威的な辞退率でありますが、そういった事例なども紹介をしています。そういった活動の中を通じて、ことしの七月までにはあまねくレジ袋の有料化が進みますので、バイオマスのプラが入ったものでさえファミリーマートが有料化をする上でやると、大変前向きな取組を発表されました。こういったことが次々に、業界を超えて、一人一人のライフスタイルを変えていく。

 そして、先ほど笹川先生が、日本は今まで中国に廃プラスチックを出していたけれども出せなくなった、そういった御指摘をいただきましたが、我々の社会を省みるそういうきっかけとしても、こういったレジ袋の有料化、我々も全力で、社会を変える動きを後押ししていきたいと思っております。

石崎分科員 小泉大臣、ありがとうございます。

 既に諸外国の例を見られたということでございますが、きょう、この後も幾つか、財源確保についての質問を政務三役にさせていただきたいと思いますけれども、日本の財政が大変厳しい状況の中で、まさに環境目的、環境に使うための予算の確保ということで、ぜひこのあたり、前向きに検討していただきたいと思いますし、マイバッグの普及等も、大臣が率先して皆さんやっていただいているわけでございますが、このごみ処理の問題、これからも日本がリードしていく形でぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 重ねてになるんですけれども、新型コロナウイルス対策につきましても、冒頭申し上げましたが、小泉大臣始め、環境省所管のところにつきましてもぜひしっかり取り組んでいただくことを改めて強調させていただきたいと思います。

 続きまして、動物愛護の質問に移りたいと思います。

 今、ペットが異常繁殖して飼育不能になります多頭飼育崩壊というものが大変社会問題になっているところでございます。

 私が所属しております自民党動物愛護議員連盟が取りまとめました改正動物愛護法が去年六月に成立いたしまして、ことしの六月に施行されるところでございます。動物繁殖業者に対しまして、飼育施設の広さや従業員一人当たりの上限飼育数を環境省令によって数値で規制するように定めているところでもございます。

 ただ、こうした法律の整備は進んでいく一方で、やはり、改めてこの多頭飼育問題は、報道等でも本当に大きな課題として取り上げられて、国民も大変不安に感じているところでもございますので、いま一度、この多頭飼育問題につきましての環境省の取組、こちらを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤副大臣 環境省では、不適正な多頭飼育問題に対応するために、まず、昨年三月に動物や社会福祉の専門家によります社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会を立ち上げて、対策について検討しているところでございます。

 また、昨年十月には、全国百二十五の関係自治体に多頭飼育に関するアンケート調査というものを行っておりまして、自治体における多頭飼育対策の取組状況や個別の対応事例について分析を実施したところでございます。その結果といたしまして、まず、不適正な多頭飼育者には、地域から孤立した生活困窮者や高齢者など社会的な支援を必要とする方が多いということが明らかになっております。

 環境省といたしましては、来年度中に多頭飼育対策に関するガイドラインを策定する予定でございまして、自治体が社会福祉や動物愛護の関係団体等と連携をして、不適正な多頭飼育の早期発見や、あるいは一度改善した案件の再発防止などの対策を効果的に進められるように支援してまいる所存でございます。

石崎分科員 佐藤副大臣、ありがとうございます。

 今の御指摘にございましたとおり、民間の事業者さん、NPOの関係者さん、本当に関係者の皆さんが連携してこの問題に取り組んでいるということでございます。先ほど申し上げました改正動物愛護法、こちらにつきましては、マイクロチップの装着につきましても前進をしていくということで、私はこの装着の全面義務化を図っていくべきだというふうに考えているわけでございますが、きょうぜひ確認をさせていただきたいのが、やはり民間の皆様、ボランティアの皆様が本当に頑張っていらっしゃるということを特にお伝えしたいというふうに思っております。

 私の地元新潟市におきましても、野良猫の不妊去勢手術のボランティア活動をされている方が、本当に自腹を切って手術のお金をお支払いしている。それに対しまして、獣医さんも本当にほとんどボランティアの形で手術に協力をして、とりわけ犬よりも猫の方がこのあたりは繁殖をしてしまっているという状況で、大変努力をされていらっしゃるわけでございますが、ただ、こうした獣医師さんやNPO団体に対しましては、まだまだ環境省のサポート、補助が足りていないというふうに思う次第でございます。

 そうした方々への補助を考えていただきたいということをお願いしたいと思いますし、お伺いしたいと思いますが、あわせまして、室内飼育というものの義務化、あるいは屋外飼育の場合の不妊去勢の義務化など、こういったところもあわせて取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども、ぜひこのあたり、伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 動物愛護管理施策は基本的に自治事務となっておりまして、不妊去勢手術については、各地方自治体により、地域の実情に応じて飼い主への普及啓発や手術費用の補助等の取組が行われているところでございます。殺処分のさらなる削減に向けて、環境省は、自治体の取組支援や人材育成など必要な施策の推進を図ってまいりたいと考えております。

 なお、犬及び猫の繁殖制限につきましては、令和元年六月の改正動物愛護管理法において、みだりな繁殖のおそれがある場合については、不妊去勢手術等が飼い主の努力義務から義務へと変更されたところでございます。また、室内飼育につきましては義務ではないものの、環境省が定める基準において、犬については放し飼いを行わないこと、猫については屋内飼養に努め、屋内飼養によらない場合は繁殖制限の措置を講じることなどを定めているところでございます。

 引き続き、自治体と連携しながら、関連制度の効果的な運用に取り組んでまいりたいと思っております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 そうしたいろいろな取組、今、予算や、環境省としても人員の確保等、いろいろ大変な状況だというふうに思います。

 調べましたら、令和二年の予算につきまして、動物愛護管理推進費といたしましては、国の予算として五億一千八百万円が計上されているということでございます。前年度までは三億円台だったということで、これは大変予算としてはふえたということだとは思うんですけれども、ただ、このペットの問題は、全国的にも大変大きな課題になっております。これは自治体がやらなきゃならないところもあるとはいえ、百兆円ある国の予算のうち五億円というと、非常にまだまだ少ないんじゃないかなというふうに思うんです。

 ただ、繰り返しになりますけれども、大変国の財政状況が厳しい中で、では、どうやってこの財源を確保していくかということでございますが、これも諸外国の例で調べてまいりましたけれども、ドイツにおきまして、犬の飼い主を対象としましたペット税というものも導入をし、年間約三百万ユーロ、約三億六千万円の税収を上げているというような国もございます。

 このペット税というのは、単に税収確保だけではなくて、先ほど笹川先生も御指摘がございましたが、安易な犬の飼育を防ぐ、頭数を間接的に制限するというような効果ということもあるわけでございまして、責任感をぜひ飼い主の方に持っていただくというような付随的な効果もあるというふうに言われているわけでございます。

 こうした動物愛護の管理施策を着実に推進していくためにも、ぜひ、こうした新たな財源の確保といたしましてペット税の導入を検討すべきじゃないかと個人的には思うわけでございますけれども、そのあたり、御見解を伺いたいと思います。

佐藤副大臣 お尋ねのペット税でございますけれども、これは動物の不適切な取扱いによって生じる問題を解決するための財源確保を目的として、犬や猫の飼い主に課税する税金のことを指すものと理解をいたしております。一般論として申し上げますと、新たな税制を検討するに当たりまして、まず合理的な課税根拠があるかどうか、そして経済にどのような影響を与えるか、そして公平で効率的な課税が可能かどうか、また既存の税制との関係などについて幅広い検討が必要であるというふうに考えるところでございます。

 実際に、現代社会におきましてペットが人に与える影響ですとか、共生社会の実現に向けた行政施策へのニーズというものを踏まえますと、動物の愛護及び管理に関する取組は非常に重要でございまして、引き続き、必要な予算や体制を確保しながら、多頭飼育問題への対応やマイクロチップ制度など動物の愛護と管理にかかわる施策を着実に進めてまいる所存でございます。

石崎分科員 ありがとうございます。

 ぜひこのあたり、ペット税、諸外国の例も含めて、動物愛護についての予算確保、新たな財源の確保をいろいろと検討し、前に進めていただければと思います。

 次も、地球温暖化対策につきまして、特にちょっと財源の面、税源の面について、残り時間わずかとなりましたけれども、お聞きしたいと思います。

 先日、二月四日の衆議院予算委員会におきましても、現行の地球温暖化対策税について議論があったと伺っております。

 皆様御承知のとおり、北欧諸国と比較しまして日本の温対税は大変低くなっている、低水準だということは特徴であることは皆様も御承知だと思いますけれども、先ほど私も、プラスチックごみ対策ですとかいろいろなことを申し上げました。

 現在、エネルギー特別会計が環境省の地球温暖化対策の財源として活用されていると伺っておるわけでございますけれども、やはり、この炭素税の一種でございます温対税につきまして、これから地球温暖化対策を強力に進めていくための新たな財源の確保といたしまして、税率の引上げや課税対象の拡大、税収の使途の範囲の拡大などによって環境省の予算を私は大幅にふやしていくことが必要だというふうに思う次第でございますけれども、そのあたり、環境省のお考えを伺いたいと思います。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 まず、日本では、二〇一二年から、CO2排出量に着目して、石炭、石油、天然ガスに課税をします地球温暖化対策のための税、いわゆる温対税が導入をされております。委員御承知のとおり、温対税は炭素税の一種でもございまして、その税収は再生可能エネルギーの大幅導入や省エネルギー対策の抜本的強化の財源に活用されているところであります。

 世界銀行によりますと、世界では、日本も含めまして四十六の国と二十八の地域が炭素税を含むカーボンプライシングを既に導入しているという状況でございます。

 環境省といたしましては、カーボンプライシングについて、脱炭素社会の構築に向けて経済全体での取組を進めるための一つの手法として検討をしておりまして、現在、中央環境審議会において専門的かつ技術的な御審議をいただいているところでございます。炭素税の税率、課税対象、税収の使途についても、さまざまな御意見をいただいているところであります。

 カーボンプライシングにつきましては、環境と成長の好循環、そして脱炭素社会への移行を実現するためのドライバーになり得るということでありますが、まずは新たな環境ビジネスの担い手づくりですとか脱炭素技術の創出を通じた受皿づくりというものも進めながら、今後とも、委員の御指摘も踏まえて、引き続き各方面との対話を重ねながら丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。

石崎分科員 時間がわずかでございますけれども、私、先日、小泉大臣のところに御要望に伺いましたときに、ゼロカーボンシティー宣言の自治体をふやしたいという強い思いを伺ったわけでございます。この自治体は大変ふえているということでございますけれども、こうした自治体を巻き込んだ新たな取組についても環境省としてぜひ前に進めていただければというふうに思いますし、ぜひ私の地元新潟市もこうした宣言ができるように、今、八〇%までの目標を掲げているんですけれども、何とか地元の方に理解をいただいてこの宣言ができるように頑張りたいというふうに思っております。

 ちょっと最後に、環境省も今いろいろな取組を頑張っておられまして、浮体式洋上風力発電、これは環境省独自の取組で、大変細々と頑張ってこられたと事務方の方に伺ったわけでございますけれども、この環境省が独自で頑張っております浮体式洋上風力発電、五島列島で今やっていると伺っておりますが、荒波の日本海でも冬でも大丈夫なような、そういうようなものを含めてぜひ頑張っていただきたいと思いますけれども、最後に、どんな取組をこれからやろうとしているのか、いくのか、お聞かせいただきたいと思います。

近藤政府参考人 申し上げます。

 浮体式洋上風力発電でございますが、水深の深い海域の多い我が国にとりまして非常に大きなポテンシャルがございまして、将来的に低コストで大量供給の可能性のある再生可能エネルギーの一つと認識しております。

 環境省は、平成二十二年度よりこの技術開発に取り組んでおりまして、長崎県五島市沖におきまして我が国初の商用規模の洋上風力発電を実用化いたしました。この施設は、風速五十五メートル毎秒の台風が襲来しても倒壊することなく、災害に強い再エネ技術であることが立証されております。また、あわせて、洋上施工を効率化する作業船、浜出し船と申しますが、これも開発いたしまして、これを活用して洋上風車を連続的に建設する計画も進めております。

 今後、実証事業や浜出し船の整備など、これまでの成果をもとにこの洋上風力発電の全国的な本格普及を図るために、適地の調査など円滑な事業を実施するための予算を計上しております。これによりまして、浮体式洋上風力を核とした地域の自立的な脱炭素化ビジネス形成を進めてまいりたいと考えております。

石崎分科員 本日は、質問させていただきまして、まことにありがとうございました。

 ぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

堀内主査 これにて石崎徹さんの質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝さん。

畑野分科員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。

 安倍政権が進める羽田空港の増便のための新ルート問題について、まず伺います。

 国土交通省が一月から二月にかけて実機飛行による確認を行いましたが、都心上空を通過した航空機は七日間で計五百二十便に上りました。これは東京、神奈川、埼玉へまで及ぶルートです。騒音の最大値は、川崎市で九十四デシベルにも達しました。九十四デシベルといえば、もう本当にうるさい、極めてうるさい騒音です。

 私もその現場で航空機の騒音を聞きました。その後、御近所の保育園にも伺いまして、先生にもそのときの子供たちの様子を伺ってまいりました。そのとき子供たちは本当に怖がって、遊んでいるのを中断して、そして、先生が子供たちを怖がらせないようにということで何と言ったかというと、鬼じゃないのよ、雷様じゃないのよと言って、そうやって声をかけたというんです。テレビは全く聞こえなかったということです。また、都心の中でも、視覚障害者の方からは、音響つき信号機はもちろん、通行の際に頼りにしている町のさまざまな音が聞こえなくて、怖くて外を歩けないという声も伺っております。

 私は、環境を担当する、騒音、これはあってはならないということで、いつも担当しておられる小泉進次郎環境大臣に、国土交通省は聞かないものですから、こういう子供たちの実態、現場の声をぜひ届けたい。そして、聞いていただきたいんです。三月二十九日から始めようというんですけれども、これはやめてほしいんだけれども、もしそういう、実際に飛ぶ現場があったら、ぜひ川崎にも聞きに行っていただきたいと思います。いかがでしょうか。

小泉国務大臣 子供の育ちの中で、静かな環境というのは私も大切だと思います。特に、飛行機に限らず、私も今でも家に帰ってチャイムを押すこともやめていますし、起きちゃうから。そしてくしゃみも、それで起きちゃいますから、いかに静かな環境というのが大変大切なものか、それは痛感をしています。

 環境省は、平成十八年の東京国際空港の環境影響評価において、今後、飛行経路等の変更があった場合に、騒音を予測し、それに基づき所要の措置を講じるよう国交大臣に意見を提出しています。

 そして、現在、国交省では、実機飛行確認で測定した騒音について、予測の検証を含め分析していると聞いています。本格運用後も騒音測定を行い、必要に応じ障害防止工事等を行うと認識しています。

 国交省には、新飛行ルートに伴う騒音測定を踏まえ、引き続き適切な対策の実施に努めていただきたいと考えています。

畑野分科員 世界の問題を大臣も論じられておりますけれども、世界では、旅客機を人口密集地の大都市上空に飛ばさないということが当たり前になっているんです。ぜひそういうふうに進めていただきたいというふうに思います。対策を強く、政府として、求めていきたいと思います。これ以上の騒音を出してはいけない、そういう規制値もぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 次に、航空機事故について。

 川崎市でいえば、離陸直後に石油コンビナート上空を飛行するという重大な危険性があります。一たび墜落事故が起きれば大惨事です。

 国は、一九七〇年、東京国際空港長に対し、東京国際空港に離着陸する航空機について、川崎石油コンビナート地域上空を避け、適切なコースをとらせることと通知いたしました。

 国がこの通知を出したのは、そもそもなぜですか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 昭和四十五年に、東京航空局長から川崎市長に宛てまして、川崎石油コンビナート地域上空の飛行制限を設定し、通知をしたということでございますが、この主な背景といたしましては、昭和四十一年に東京国際空港周辺におきまして立て続けに航空機事故が発生したということであります。

 具体的には、昭和四十一年二月四日に全日空の千歳発東京便が東京湾に墜落した事故、さらに同年三月四日に、カナダ太平洋航空の香港発東京経由バンクーバー便が東京国際空港に着陸進入中に滑走路末端手前の護岸に衝突し、大破、炎上した事故が発生いたしました。こうした事故によりまして、地域から御心配の声が上がったというふうに承知しております。

 こうした事情を踏まえまして、川崎市長から当時の運輸大臣宛てに要望が行われました結果、羽田空港に離着陸する航空機は原則としてコンビナート上空を避け、それ以外の航空機は三千フィート以上で飛行することについて、昭和四十五年に東京航空局長から川崎市長に通知がなされたものと理解しております。

畑野分科員 おっしゃったように、その年の三月の本会議、一九六六年三月の川崎の市議会の本会議で、臨海工業地帯の飛行禁止に関する意見書が採択され、同月、同じ趣旨の請願も全会一致で採択されました。飛行禁止は議会を含め地元挙げての運動になり、当時の市長が国に要望してこの通知に至ったという経過があるんです。つまり、地元ぐるみの運動だったんです。

 それを、国土交通省、何ですか、局長は。市からの要望で出したこの通知を、昨年十二月十六日に廃止した。市民の願いと市民の運動の歴史を踏みにじるような、本当に許せないものだと申し上げます。

 飛行ルートの下には、事業所約二千三百、従業員約五万九千人が集中している石油コンビナートがあります。大量の高圧ガス、毒ガスなどのパイプラインがあり、原油やナフサ、液化天然ガスなど、可燃性の液体やガスを扱う工場が密集していて、万が一、航空機の墜落事故や落下物などがあれば、想像を絶する大火災となる。だから、今も皆さん心配されています。

 伺いますけれども、国交省は二〇一七年十一月から、羽田、成田などの七空港で、外国の航空会社も含め、部品欠落が確認された場合の報告制度を設けています。二〇一八年十一月から二〇一九年十月までの直近の一年間で、欠落した部品の個数は七百二十八に上ると伺っておりますが、羽田では幾つか、わかったら教えてください。

 また、航空機からの落下物は、国交省の資料によると、二〇〇八年度から二〇一八年度の発生件数は二十三件となっています。そのうち羽田空港周辺での落下物はゼロだと言っておりますが、なぜ羽田がゼロなのか、お答えください。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 羽田空港周辺における固定翼の民間航空機からの落下物につきましては、平成二十年から平成三十年までの期間において報告された実績はございません。これは報告されたものを集計するという形になっているものでございます。

 一方で、空港到着後の機体チェックなどで部品がなくなっていることが確認されました部品欠落につきましては、部品欠落が発生した場所は特定できませんので、個別空港ごとに集計する性質ではございませんけれども、国際線が多く就航する主要七空港におきまして点検した結果、平成三十年度に報告された欠落部品の総計は四百八十八件となっております。その半数以上は十グラム未満の軽いものとなっているところでございます。

畑野分科員 羽田についてはどうですか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 平成三十年度に羽田空港において報告された件数、部品欠落の件数でございますけれども、百五十四件となっているところでございます。

畑野分科員 なぜ羽田空港周辺での落下物はゼロなのか。なぜですか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 落下物の件数につきましては、報告されたものを集計するという形になっておりまして、羽田空港周辺において固定翼の民間航空機からの落下物については……(畑野分科員「なぜですか、その理由。海があるからでしょう」と呼ぶ)海があるからとは限りません。

 羽田空港につきましても、千葉県上空を飛んで着陸するというふうに、陸上のルートを経由して、その後、海を通って着陸するという経路を通っておりますので、海があるからということではなく、陸上経路も通って、含めて、羽田空港の周辺において報告された件数はございません。

畑野分科員 海を通ってということですから、海があるんです。

 それで、例えば原発の上空については、原発付近をできる限り避けるよう、当時の運輸省が通達を一九六九年に出しています。米軍も、岩国基地で離陸の際、コンビナート上空を避けるという運用がされてまいりました。

 ちょっと確認なんですけれども、国交省に。離陸直後に石油コンビナートの上空を飛行するルートは諸外国でありますか。離陸直後です。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 網羅的に調べたわけではございませんけれども、ロッテルダム空港があるということを確認しております。

畑野分科員 ロッテルダム空港とコンビナートの距離は何キロありますか。

平岡政府参考人 手元に資料がございませんので、確認の上、御報告させていただきたいと思います。

畑野分科員 私が目測したところでは、十キロはあると見ました。そういうのもちゃんと調べて言っているんです。わからなかったらわからないと言っていただければいいんです。これはひとり歩きしますからね。ちゃんと確認しているんだったら、そういうふうに責任ある答弁をしてください。

 今わからなかったら、ロッテルダム空港、離陸直後のルートがあるんですかと聞いていますから、わからないんだったらわからないと訂正していただけますか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、ロッテルダム空港から離陸して、その経路下にはございますけれども、その直後という、必ずしも直後ということではございません。

畑野分科員 離陸直後じゃないと。だから、そういう不正確なことを言っちゃだめですよ。ないんですよ、世界でもね。

 川崎コンビナートは、多摩川を渡ったらすぐコンビナートですよ、羽田から。そんな無謀なことをやろうとしているんですよ。その具体的な数字もきちんと調べないでやろうとしている。

 消防庁に聞きますが、一九六九年に、石油コンビナート地帯における航空事故による産業災害の防止についてという通知を当時の運輸省に宛てておられます。概略、簡単にお答えください。

小宮政府参考人 石油コンビナート地帯における航空機事故による産業災害の防止を図るため、消防庁次長から当時の運輸省航空局長に対し、全国の石油コンビナート地帯の上空における最低安全高度以下の飛行の禁止及び離着陸時における同地帯上空の飛行の回避などの災害防止のための必要な措置をお願いしております。

畑野分科員 つまり、コンビナートの上は飛ばないことが最大の安全策だということで取り組んでこられたと思います。

 川崎市議会史によれば、さきに述べた一九七〇年通知のもとになった川崎市長の運輸省への陳情は、災害対策基本法第三条に基づいて石油センター地域を飛行禁止区域にするよう求めるものだったと記されております。

 災害対策基本法第三条の「国の責務」は、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と規定されております。

 内閣府に伺いますが、災害対策基本法に基づく防災基本計画は、一九七一年五月に一部修正が行われ、石油コンビナート対策等が明記されました。これは、石油コンビナートへの航空機の墜落、落下物の落下による災害の発生を想定しているのでしょうか。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防災基本計画において、石油コンビナートについては、危険物等災害対策編の中で、災害予防対策や、大規模な事故、災害が発生した場合の連絡、活動体制等を規定してございます。この記載については、原因が何かを特定しているものではなく、航空機の墜落等、大規模な事故を原因とするものも含み得ると考えてございます。

畑野分科員 しかし、それに対して、国土交通省に聞いても、経済産業省に聞いても、具体的な対策はないというのがこの間のお答えだったんですね。ですから、その安全対策、誰が責任を持ってやるのかということなんです。こんなことでは三月二十九日から本格飛行などは、やることは許されませんよ。人命軽視も甚だしいと言わなくてはなりません。

 この根本になったのがインバウンド、二〇一三年、安倍政権の成長戦略です。首都圏空港の機能強化と離発着の増便が決められました。これまでの航空行政とも矛盾する場当たり的なやり方で、万が一事故が起きたら、一体誰が責任をとるんですか。小泉大臣ですか、きょう、この問題を取り上げていますから。内閣でもぜひ問題にしてほしいと思うんです。

 そして、今、あわせて、新型コロナウイルス感染症対策で大変な事態になっています。航空機でいえば、実際、各航空会社は、運休、減便、小型化、こういう事態になっているんです。私は、この新ルートの飛行はきっぱりやめるべきだというふうに思います。

 大臣、小泉大臣に聞いていただきたいのは、ぜひ地元に行って声を聞いてほしいんです、環境大臣として。どうですか。先ほど最初に申し上げました。

小泉国務大臣 畑野先生が冒頭おっしゃった静かな環境、こういったことが子供のみならず多くの方にとって重要だという御指摘はそのとおりだと思います。

 その上で、今まさに国交省が答弁をしていますが、担当しているところですから、私としては、担当の部分で厚労省にはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

畑野分科員 環境大臣としての責任もぜひ果たしていただきたいと重ねて申し上げておきます。

 昨年十月の台風十九号は、多摩川水系の中で戦後最大規模の洪水と言われる一九七四年の狛江水害を超え、過去最高の水位を記録したと伺いました。特に川崎市では、平瀬川と多摩川の合流地点での、一人亡くなられる災害も起こり、そして、各地で下水があふれるなどの内水氾濫による浸水被害を受けました。私も各地を回ってまいりました。ことしも同様な台風が到来する可能性があり、昨年の被害が繰り返されるのではないかという住民の不安を伺っています。

 そこで、国土交通省に伺いますが、多摩川の対策、今後どうしていくのかということと、あわせて、ことしの台風への備えをどうするのか、この二点について伺います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年の台風十九号、令和元年東日本台風でございますが、によりまして、世田谷区の玉川地区では、河川からあふれた水によって浸水被害が発生し、また、川崎市の中原区、そして高津区、多摩区では、下水道施設からの逆流などによりまして浸水被害が発生したところでございます。

 これを受けまして、国と都、そして神奈川県、それから多摩川に面しました八つの市区で連携することによりまして、復旧と、そして再度災害を防止するための対策を、多摩川緊急治水対策プロジェクトとして一月三十一日に取りまとめまして、ハード、ソフト一体となった取組を始めているところでございます。

 このプロジェクトの中では、まず、河川におけるハード対策といたしまして、おおむね五年間で、被災をいたしました堤防や護岸の復旧といった災害復旧事業に二十八億円、それから、再度災害を防止するための河道掘削や堤防整備、堰の改築といった改良復旧に百六十三億円、合計で百九十一億円の事業を実施することとしてございます。

 このうち、先生お尋ねの今年度の取組ということでございますが、初年度となります今年度は約三十五億円の補正予算を計上いたしまして、ことしの出水期までに完成することを目標にいたしまして、被災しました堤防の復旧、護岸の応急対策、そして水位を下げるための河道掘削、それから、世田谷の玉川地区におきましては新しい堤防整備に向けました準備工事に着手するということにしてございます。

 それから、もう一点の、下水道施設からの逆流による浸水被害が発生したことを受けまして、国土交通省では、現在、有識者会議におきまして、下水道施設から河川へ排水する箇所に設置されましたゲートを遠隔で操作できるように改築することなどについて検討を進めてございます。

 川崎市におきましては、早速、今年度の補正予算によりまして、ことしの夏の台風シーズンまでに実施いたします短期的な対策といたしまして、昨年逆流被害が発生しました五つの排水樋管、山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根、この五つの排水樋管でございますが、このゲートの遠隔操作化を行うということにいたしておりますし、またあわせて、排水ポンプ車の導入についても行うというふうになっているところでございます。

畑野分科員 私も各箇所を回ってきました。その山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根の五カ所も見てまいりましたし、崩落の現場も見てきました。大丸用水の氾濫で御苦労された多摩区なども見てまいりました。

 つけ加えなんですけれども、この連休中も見てまいりまして、実は、先ほど言った平瀬川と多摩川の合流地点のところ、国が管理しているところの土手が低くなっている、あるいは、高津区なんですが、堆積物が多摩川にたくさん積み重なっている、こういう現場を見てきました。それから、河口の方では、川崎河港水門が高さが足りなかった問題とか、JRの鉄橋の下の部分の土手が低くなっている、こういう状況もあります。

 ですから、今おっしゃったことと、少しまだ加わっていないところがあると思うんですが、ぜひ地元から要望を聞いていただいて、そういったこともきめ細かに、この夏の台風に備えていただきたいと思うんですが、確認です、対応していただくように検討していただけますか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の緊急対策プロジェクトにおきましては、できるだけ早く、おおむね五年程度で、河川の水が河川からあふれないように、今回の台風十九号と同じ程度の洪水が来てもあふれないようにするための対策をおおむね五年程度で行うということで、その必要な対策を盛り込んでいるところでございます。

 また、いろいろな御希望が地元からあると思いますので、丁寧に地元の事務所の方でお聞きをさせていただきたいというふうに思います。

畑野分科員 ぜひ対応していただきたいと思います。

 台風十九号では床上、床下浸水が多く発生いたしました。半壊、一部損壊と判定されて、被災者生活再建支援法の適用外になっているという方が多くおられます。京都市でも独自の支援をされていますし、川崎市でも、適用外の半壊、一部損壊の被災者には一律三十万円の補助を出しています。しかし、これでは足りません。リフォームするために一千万円近くかかって老後の生活のめどが立たないとか、あるいは、断熱材が水を吸ってしまい壁がカビだらけになるなどして四百万円かかったという話もあるんです。

 伺いますが、被災者生活再建支援制度の上限を五百万円まで引き上げるとともに、支援の範囲を半壊や一部損壊にまで拡充するべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。また、自治体の独自の支援についてどのように把握していらっしゃいますか。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものです。

 このような制度の趣旨から、支給金額の引上げや支給対象の拡大については、国や都道府県の財政負担等の課題も踏まえ、慎重に検討すべきものと考えております。

 特に、支給金額の引上げにつきましては、全国知事会による平成三十年七月の被災者生活再建支援制度に関する検討結果報告におきまして、「現行の支給額は、被災者が住宅再建を行うために必要な支給額であると考えられることから、支給限度額は現行どおりとする。」とされているところでございます。

 支給対象の拡大につきましては、全国知事会からの半壊世帯までの対象拡大の御要望も踏まえまして、全国知事会と協力して、昨年被害が発生しておりました地域において、半壊世帯の詳細な実態調査、実態把握調査を行うとともに、実務者会議におきまして継続的に意見交換を行っているところでございます。

 また、被災者生活再建支援制度の対象とならない一定規模以下の災害につきましては、内閣府からの通知で、各都道府県及び関係市区町村において支援措置の実施について検討するなど、被災者の生活再建支援について必要な対策を講じていただくようお願いしているところであり、引き続き地方公共団体における積極的な取組を促していきたいと考えております。

 以上でございます。

畑野分科員 本当に、現場の皆さん、水の中、泥の中、大変な御苦労をされています。その思いにぜひ応えていただきたいと思います。

 武蔵小杉などのタワーマンションでは、地下にある電気設備が浸水し、停電、断水が発生しました。市電設工業会関係の方からは、電気系統を上に上げることが必要だというふうに伺ってまいりました。

 既存施設、特に病院や公的な施設への援助も必要だと私は思っております。止水板などの設備なども徹底する必要がありますし、補助金制度なども含めて検討をしていただきたいと思うんですが、どのような対応をされていますか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和元年東日本台風の際には、地下に設けられました高圧受電設備が浸水し、停電したために、高層マンションのエレベーター等が使用不能となる被害が発生をいたしました。

 被害の発生を踏まえまして、国土交通省におきましては、電気事業法を所管する経済産業省と連携して、学識経験者、業界団体等から成る建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会を昨年十一月に設置し、検討を進めてまいりました。

 検討会におきましては、新築時のみならず、既存ストックにおける対策のあり方の検討や、優良事例の収集、整理を進めており、先週十八日に開催いたしました第三回の会合におきましては、今後の議論のたたき台となるガイドラインの原案を提案いたしましたところでございます。

 今後、この原案をもとに検討を行いまして、パブリックコメントも行い、幅広く意見をいただいた上で、本年の春を目途にガイドラインとして取りまとめ、経済産業省と連携しつつ、業界団体等を通じて広く周知し、建築物における電気設備の浸水対策に関し積極的な対応を促してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、御指摘の支援措置につきましても、経済産業省と連携をして、必要な支援が可能かどうかも含めて検討してまいりたいと存じます。

畑野分科員 川崎市側の河川敷には、陸上競技場を始め、少年野球場やサッカー場などスポーツ施設が多数あります。台風災害によって月例マラソンができないなど伺っております。都市公園としてのスポーツ施設の整備、復旧の進捗状況について伺いたいと思います。

 あわせて、都市公園となっていない河川敷にあるスポーツ施設、またアリーナや体育館、市民ミュージアムなどの復旧対策への支援についても伺います。

 市民ミュージアムの地下に貯蔵されていた資料への対応もあわせて伺います。

徳永政府参考人 都市公園についてお答えします。

 川崎市の多摩川河川敷の都市公園は、野球場やサッカー場などに利用されておりますが、令和元年東日本台風、いわゆる十九号による増水に伴いまして、土砂の堆積や表土の流出など多くの被害が発生しております。

 このため、国土交通省では、川崎市に対しまして、早期の復旧には都市災害復旧事業が活用できることや、その事業の仕組みなどについて助言を行うほか、本年一月八日には、災害復旧に伴う工事費などを現場で決定する災害査定を行ったところでございます。

 川崎市におきましては、一月下旬に工事契約を行っております。三月から復旧工事に着手できるように調整を進められており、五月から十一月の間で順次災害復旧事業が完了し、供用を開始できるというふうに聞いております。

 国土交通省としては、一日も早い復旧に向けまして、今後とも川崎市を支援してまいります。

 以上でございます。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘ございました、社会教育施設としての災害復旧につきましては、激甚災害法に基づきまして、公立社会教育施設災害復旧事業におきまして、激甚災害により被災した特定地方公共団体の設置いたします公立社会教育施設等の施設設備等の復旧に要する工事費等に対しまして、国がその三分の二を補助することとしたところでございます。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 台風十九号により、川崎市市民ミュージアムでは地下収蔵庫が浸水いたしまして、収蔵品約二十三万点が水没するなど、大きな被害が発生いたしたところでございます。

 これに対し、文化庁は、川崎市の要請を受けまして、速やかに、独立行政法人国立文化財機構に対しまして、文化遺産防災ネットワークなどを活用した技術的支援の協力要請を行ったところでございます。

 文化庁では、現地で技術的指導を行いますとともに、国立文化財機構におかれましては、文化財関係団体の協力を得て、博物館、美術館などの専門家を派遣して、収蔵品の搬出や応急処置などへの技術的指導助言を行ってまいりました。

 こうした中、川崎市市民ミュージアムでは、本年一月時点で、収蔵品が約三三%程度、地下から搬出されております。今年度中を一定のめどといたしまして、収蔵品の搬出を優先的に進めると伺っております。

 文化庁といたしましては、今後とも、川崎市からの相談に応じまして適切に対応したい、このように考えております。

 以上です。

畑野分科員 最後に、小泉大臣に伺います。

 石炭火力発電プラントの輸出のあり方について問題提起をされてこられました。

 先日も、日本の高効率なものを世界に輸出すれば世界全体のCO2削減につながるという主張に対して、大臣は、高効率な石炭火力と言われているものでさえ、従来と比べたら一割も変わらないというふうにおっしゃっているんですね。COP26の場が、日本が一歩前に進んだと思われる環境整備を進めていくというふうにおっしゃっているんです。

 であるならば、横須賀の石炭火力発電所、これは中止すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

小泉国務大臣 けさ、読み上げのところでも触れましたとおり、私が昨年来、問題意識を持って提起をしてきた、輸出に関する四要件の見直しの議論を行うことについて関係省庁と合意することができました。これは間違いなく、国際社会にとって、動かないと思われた日本が動くかもしれない、こういうメッセージが伝わると思っています。

 そして、御指摘の、私の地元の横須賀のことについてでありますが、個別のプロジェクトを、どうなるかというのは、それぞれもちろん世界は見ています。ただ、それに対しても、この気候変動の取組に逆行するようなことはいけない、そういうふうな意見は既に出しております。そして、これからも厳しく見てまいります。

 ただ、いずれにしても、この四要件は全体にかかわるものでもありますので、そういった仕組みにかかわるところで今後議論が行われることで合意できたことは、いずれにしても大きいことであると考えております。

畑野分科員 以上で終わります。

堀内主査 これにて畑野君枝さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

笹川主査代理 次に、高木美智代さん。

高木(美)分科員 おはようございます。

 お久しぶりでございます。きょう、初めて小泉大臣に質問をさせていただきます。

 プライベートな生活におかれましても非常に充実をしていらっしゃるようで、きょう私は応援団として質問をさせていただきたいと思っております。

 申し上げるまでもなく、我が国は超高齢社会に入っておりまして、その我が国の取組をアジア諸国が注目をしております。中でも、我が国以上のスピードで高齢化が進展しております中国、韓国、またタイやブルネイなどの国々の、今までも保健大臣等とお会いする機会が多くありましたが、そのときにも、介護の技術、また介護の制度を我が国に学びたい、このような強い要望を多く受けてまいりました。

 やはり、お手本となるべき日本の責任は非常に大きいと思っておりまして、いい先例をつくり、日本の強みにしていきたいと考えております。

 そこで、昨年秋、リサイクル事業者の方たち、また環境問題に取り組んでいらっしゃる方たちから、高齢化に伴ってふえ続ける高齢者用の紙おむつ、それを廃棄ではなくリサイクルすべきであって、ぜひこの問題を推進してほしいという要請を受けたところです。ごみが資源に変わるだけではなく、さまざまなメリットも期待できるという話もいただいたところでございます。

 私も、さまざま勉強させていただきましたが、この紙おむつのリサイクルは進めるべき重要な政策課題と考えております。

 そこで、まず環境省にお伺いいたします。

 大人用の紙おむつの生産量や廃棄量、またリサイクル率、また今後の紙おむつの発生量の想定について伺いたいと思います。

山本(昌)政府参考人 お答えをいたします。

 まず、国内の紙おむつの生産量でございますが、一般社団法人日本衛生材料工業連合会によりますと、二〇一八年に、乳幼児用の紙おむつが約百五十一億枚、それから大人用の紙おむつが約八十四億枚、合計で二百三十五億枚となっております。

 また、廃棄物でございますが、廃棄物としての使用済み紙おむつの発生量は、二〇一五年度の推計でありますけれども、大体二百二十から二百四十万程度が発生したという推計になっております。今後、御指摘のありましたように、高齢化等が進展しますので、二〇三〇年には約三百万程度にまで増加するものと見込んでおります。

 それから、御質問がありましたリサイクル率でありますが、まだ全国的に集計されたデータはございません。ただ、把握している限りでは、まだまだごくわずかにとどまっていると考えております。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 私は、昨年十二月、千葉県松戸市にあります株式会社サムズの紙おむつリサイクル現場を視察してまいりました。

 ここは、平成二十一年より稼働しまして、十年の実績、病院、福祉施設と一般廃棄物処理委託契約を結びまして、一般廃棄物収集運搬許可取得自治体は松戸市、我孫子市など七市にわたり、週二回から四回、自社回収をしまして、一日約五トンの紙おむつをリサイクルしております。

 この企業では、紙おむつから得られたリサイクルパルプで段ボールや固形燃料を製作しようとしておりまして、その実験にも成功しております。バージンパルプや古紙との配合比率によっても異なりますけれども、リサイクルパルプ五百キロで、段ボール、縦五十三センチ、横四十五センチ、高さ三十四センチというぐらいのものですと、六百個から千五百個、製造可能であるということでございました。

 破砕工程はなく、分離機、業務用大型洗濯機を改良したものですが、そこに自動投入をしまして、八十度の温水に石灰や次亜塩素酸、また洗剤などの添加物を加えて回転、攪拌をします。そして、自動排出をしていく。この方式の特徴は、水の使用量が少ないということで、紙おむつ一トン当たり五・五トンの水で済むという、それを売りにしていらっしゃるということでした。

 プラスチックとパルプの混合物の仕分がその後に必要なために、ユニバーサル雇用、障害者や、また高齢者の方たちの雇用を検討中でありまして、それも、低い工賃ではなく、最低賃金を保障して、労働時間を含めた働き方など就労条件の多様化も進めていきたい、こうした意欲的なところでございました。また、さらに、汚泥は回収をして、バイオマス燃料としての実証実験も既に終了しているということでございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、環境省として、使用済み紙おむつの処理の現状を踏まえて、再生利用等の効果をどのようにお考えなのかお伺いをいたします。

小泉国務大臣 まず、今、高木先生から高齢者のおむつということで御指摘がありましたが、今、私にとっては、新生児のおむつ事情を抱えている立場としては大変問題意識を持っております。

 そして今、使用済み紙おむつは、市町村の収集する一般廃棄物に占める比率が既に約一五%に達する地域もあると聞いています。これは鳥取県の伯耆町の山間部のようでありますが。平均では五%ぐらい、これから、二〇三〇年には七、八%になるのではないかと言われているそうです。

 今後、高齢化によってこのように増加することが見込まれることから、やはりこのおむつのリサイクル、大変重要なことだろうと思っています。

 紙おむつの再生利用などの実施ができれば、地方公共団体では焼却処理に係る費用の低減、そして水分が多いことによる燃焼への影響を軽減できるという効果が期待をされます。

 また、紙おむつの再生利用を通じて、紙おむつに含まれるパルプ素材、そしてプラスチック素材などをリサイクルすることによって、循環型社会の構築や気候変動対策、こういったことにも寄与するものだというふうに考えておりますので、私も同じように、これが循環型で回っていく社会こそ、まさに、高齢化社会、そして日本のリサイクル技術を生かせるような分野ではないかなと考えております。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 私もいろいろ調べましたところ、やはり今、ほとんどが可燃ごみとして自治体によって焼却処理をされている。大臣御答弁あられましたとおり、特に高分子ポリマーは重量のほとんどが水分になってしまう、これを焼却するために多くの助燃剤を使用することになるので焼却炉も傷むということが懸念されておりまして、しかも、最終処分場は非常に容量も限定をされておりますので、近い将来いっぱいになるのではないかという指摘もかねてよりあるところでございます。

 また、さらには、リサイクルすることによりまして、塩素濃度低下等による焼却施設運転の安定化、また、ごみ焼却における熱回収効率、発電効率ですね、この向上を図ることができるということで、私が伺った企業では紙おむつ一枚当たりの処理コストは約三十円、自治体でこれを焼却しますと約四十円から六十円というふうに試算をしているということでございました。

 そういう意味からも、こうした自治体が取組を具体的に検討するということが非常に重要であると思っておりまして、そのときのガイドラインを今策定中と聞いております。ガイドラインが発出されたらすぐにでも事業を開始したいという事業者もいらっしゃると聞いておりまして、急ぎ策定をしていただきたいところでございます。

 ガイドラインの概要と進捗状況について、山本局長にお伺いいたします。

山本(昌)政府参考人 今、委員御指摘のありましたガイドラインでございますが、地方公共団体あるいは病院、介護施設等の排出事業者等が使用済み紙おむつを再生利用する、その検討する際の参考になるようにということで今鋭意策定を進めているところでございます。

 その具体的な中身としましては、先ほど御紹介のありましたものも含めて、再生利用の技術の概要、あるいは家庭からの収集等の方法、それから衛生面からの留意事項等についてまとめて、これは有識者等の御意見を踏まえて今整理をしておるというところでございます。

 これは、年度内にということで、三月中に取りまとめて公表して、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

高木(美)分科員 今、三月中にということでお伺いをいたしました。ぜひともしっかりと進めていただきたいと思います。

 これは通告していないんですが、山本局長、四事業を実証的に進めてこられたと伺っておりますが、これは四方式というふうに申し上げてよろしいんでしょうか。現在どのような方式があるのか、もし可能でしたらお示しいただければと思います。

山本(昌)政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 今、さまざまな方法がトライアルされてございますが、一つにはプラスチック分、それから紙パルプ分というのをどうやってリサイクルしていくのかということと、それぞれ衛生面の安全性をどうやって確保するのかというところで、それを熱によるのか殺菌によるのかとかいろいろな工夫がなされているところでございます。

 そういった事柄、技術、いろいろなトライアルなんかをしっかりと踏まえまして、現状で整理できることはしっかりとガイドラインの中に盛り込んで整理していくということでございますが、今後新たに出てくるものについては、積極的にまた支援をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)分科員 行政にしてみますと、我が自治体はどの方式を導入するのが最も行政コストがかからず、しかも衛生面、安全面をしっかりと確保できるのかという、恐らくそういった点を一番知りたいところだと思います。そうしたことも、恐らくそこまでは環境省が、どこがどういうメリットがあるということを並べるわけにはいかないと思いますが、やはりそうした問いについてはしっかりとお答えできるような形で、準備をお願いしたいと思います。

 先ほど大臣からお話がありましたとおり、この使用済み紙おむつの再生利用、やはりこれはまずは大人用かなと思っております。子供用はどうしてもやはり回収するのも大変な労力もありますので、そこは御家庭でしっかりとやっていただきまして、この部分は行政で担っていただいて、恐らく焼却処分ということになろうかと思っております。大変御苦労されている様子がよくわかりました。敬意を表したいと思います。

 この再生利用は、やはりSDGsにも寄与しますし、地域循環共生圏づくり、環境省が進めていらっしゃるこの地域循環共生圏づくりに有効であり、また地域の雇用創出にもつながる重要な取組であります。積極的に自治体の取組を促すべきと考えております。

 環境省として、自治体や民間事業者に対する支援策はどうなっているのか。局長の答弁を求めます。

山本(昌)政府参考人 お答えいたします。

 まず、今おっしゃられた地域づくりというような観点から、具体的には、地方公共団体、事業者が使用済み紙おむつの再生利用に係る具体的な事業検討を行う場合、こういったものにつきましては、地域の多様な課題に応える脱炭素型地域づくりモデル形成事業というメニューがございまして、この支援対象としてございます。

 それから、使用済み紙おむつの再生利用を行う設備を地方公共団体が設置しようという場合には、一般廃棄物処理施設の整備に係る交付金の対象となるということになりますので、こういったものを使ってしっかりと支援してまいりたいと思います。

高木(美)分科員 あわせてお願いなのですが、環境省が行うそうした事業、それからまた民間事業者に対しては、恐らく、経済産業省が持っているさまざまな中小企業等の補助金であるとかまた税制であるとか、活用できるものもいろいろあると思います。そうしたことにつきましてもあわせて広報していただきながら、自治体が独自でされる場合は今局長から答弁いただいたその内容でよろしいかと思いますが、やはり民間事業者を誘致してそこに委託してやってほしいという、そういう場合も含めて、ぜひとも幅広く、省庁横断型で、広報につきましてはお願いをさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。今うなずいていただきましたので、結構でございます。ありがとうございます。

 そこで、紙おむつリサイクルの最後の問いになりますが、このリサイクルの推進のために取組を検討する地方自治体や民間事業者に対して、具体的にどのように働きかけ、推進をしていかれるのか、大臣の御決意また今後の方向性をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 まずは、より多くの方に、おむつのリサイクル、このガイドラインづくりをやっていること、そして民間の事業者でも実際に動き出している、これを多くの方に知っていただいて、具体的な検討を始めていただくことは重要だと思います。

 ですので、先ほど局長からも答弁させていただきましたが、来月にはガイドラインが作成をされて、令和二年度、四月以降には、地方公共団体や病院、介護施設などの使用済み紙おむつの排出事業者を対象としたセミナーの開催、そして使用済み紙おむつの再生利用等を具体的に検討する自治体に対する必要な情報提供や専門家派遣などの支援、そして局長が言いましたが、モデル事業の実施や交付金の活用、こういったことを通じて、使用済み紙おむつの再生利用等の取組を推進していきたいと思います。

 先ほど高木先生から御指摘もあったとおり、子供のおむつも大人のおむつも、多分、向き合っている立場からすると、本当に一日の中ですごく使うので、資源のこととかごみのこととかを考えたときの、リサイクルとかってできないのかなというふうに考えている方って私は多いと思います。

 ですので、まずは大人からというお話がありましたが、そういったところから実際に取組がつながっていくように、環境省としても、まずはガイドラインづくり、しっかり進めたいと思います。

高木(美)分科員 そこで大臣にお願いなんですが、こうした内容を、多分、環境省の方から発出されますと、恐らく、地方自治体のそれぞれ行政の中の担当課がそれを受けて、そして、それをどうしようかというふうに悩む話になると思うんですが、やはりこれを動かしていくのは自治体の長、首長が、これはやはり我が地域も導入をしていこう。しかもこれは雇用にもつながっていく非常にいい内容になっておりますので、その意味からは、自治体のトップのところにも、大臣、ぜひともいろいろ工夫をしていただいて働きかけていただきますようにお願いしたいと思います。やはりトップダウンが一番早い進捗になるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、レジ袋の有料化につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、大臣は、御自分でコンビニに行かれますか。そのときにマイバッグはどうされているでしょうか。

小泉国務大臣 今、私がちょくちょく行くことは余りないんですが、この前、加藤厚労大臣と、環境省と厚労省が入っているその地下のセブンイレブンにマイバッグを持って二人で行きました。

 ちなみに、日ごろは、私の事務所のスタッフに買物を頼むときもあるんですけれども、それもマイバッグを持っていってもらっています。できる限りそういったことがちゃんと、私だけじゃなく周りもそうなるように心がけているところです。

高木(美)分科員 いよいよことし七月からレジ袋の有料化が義務づけられるわけで、大臣みずからも、ぜひマイバッグ、それがどういうデザインなのか、そうしたものも公表していただきながら、やはりこれは行動変容、ライフスタイルの変革というのがまた一つの狙いとも伺っておりますので、ぜひともそうした運動を起こしていただきたいということを、私はこの質問を通して要請をさせていただきたいと思っております。

 消費者それから小売事業者、特に中小・小規模企業、この方々がやはり混乱を生じないよう、周知徹底をお願いしたいところでございます。

 改めて、有料化に踏み切った政府の目的について、大臣にお伺いをいたします。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 まず、プラスチックごみが世界をめぐる地球規模の課題になっている中で、特に海に流れるプラスチックごみというのは喫緊の課題です。このまま世界が対策を講じなければ、三十年後の二〇五〇年には、海の中は、重量ベースでいえば、魚よりもプラスチックごみの方が多くなるかもしれない、こういうショッキングな推計もあるようなところです。

 そして、レジ袋というのは、国内で使用されるプラスチック全体の中からすれば、ごく一部です。九百万トン、全体からすれば、レジ袋は二十から四十万トンと言われていますから、全体の二から四%ぐらいということでありますが、やはり今、日本の中で、一人一人のプラスチックの容器包装消費量、これが世界で二位という大変多く消費をしている今のライフスタイル、ここから変えていく、契機としては非常にいいきっかけづくりだと思います。

 世界でも既に、二〇一八年の国連の報告書によれば、六十カ国以上の国々で、レジ袋の使用に対し、有料化など何らかの規制を設けています。

 ですので、今回の有料化をきっかけに、世界で二十カ国、G20で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンもつくった国ですから、一人一人が、みずからの日々そして地球環境の問題、こういったことを考え直して、ライフスタイルの変革につながっていく契機としたい、そういうふうに考えております。

高木(美)分科員 そこで、お伺いしたいと思います。

 今大臣の御答弁にもありましたが、既に、諸外国六十カ国以上の国、地域におきましては、配布禁止、有料化が進んでおりまして、中には罰則規定を設けている国も少なくないと承知しております。

 この諸外国の取組とその削減効果がどうなっているのか、お伺いをいたします。

山本(昌)政府参考人 お答えいたします。

 削減効果のお問いがありましたので、その削減効果が具体的に把握されている事例で申し上げますと、国連の報告書によりますと、ベルギーは二〇〇七年、オランダは二〇一六年、ギリシャでは二〇一八年から、それぞれレジ袋の有料化を導入しております。

 その削減効果といたしまして、ベルギーでは約十年間で八〇%の削減、それからオランダでは一年間で四〇%の削減、それからギリシャでは導入直後の一カ月で七五から八〇%の削減という実績が報告されております。

高木(美)分科員 更にお伺いしたいのですが、レジ袋の価格、これは今後、我が国でどういうふうにしていくのか。やはり諸外国のように効果を生むためにはどういうふうにしていけばいいのか。

 先ほど大臣から、そこを入り口としてライフスタイルの変容に、変化につなげたい、そういうお話もありました。そういうことを考えますと、レジ袋の価格、大手スーパー等が今既に実施しておりますけれども、二円とか三円では価格設定が低過ぎるんじゃないか、そのために果たしてどこまで削減効果があるのか懸念するお声もずっと続いているところでございます。

 我が党の斉藤幹事長が、先月二十三日の本会議で質問いたしました。それに対して小泉大臣は、プラスチック問題については、中国などの廃プラスチック輸入禁止措置などを真の循環型社会を構築するチャンスと捉え、製品や社会システムが廃棄、リサイクル段階までを見越した循環型に再設計されるよう、プラスチック資源循環戦略のさらなる具現化を進めていきます、また、その取組の第一歩として、本年七月からのレジ袋有料化をきっかけに、プラスチック全体について、世の中の景色が変わり、国民一人一人の前向きな行動変容につながるよう、既に先進的な取組を進めてきた、レジ袋辞退率九五%を達成している富山県などの自治体や企業を後押しします、このように答弁をされているわけでございます。

 そこで、環境省は、今後削減効果をどのように検証していくのか、そしてまた、今後どのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。あわせて、山本局長には、この自治体や企業を後押ししますということなんですが、具体的にどのような方策があるのか、あわせて御答弁をお願いいたします。

山本(昌)政府参考人 お答えいたします。

 まず、有料化の、レジ袋の価格についてのお尋ねがございました。

 これにつきましては、環境省と経済産業省の合同審議会の中で、「プラスチック製買物袋の有料化のあり方について」というのを昨年の暮れに取りまとめておりまして、その中で、各事業者が消費者のライフスタイル変革を促すという趣旨、目的を踏まえつつ設定するということで、事業者がみずから設定するという整理がなされてございます。

 それにつきまして、本当にライフスタイルの変革につながっていかなければいけないという問題意識がございますので、それにつきましては、法に基づく毎年度の取組状況の報告に加えまして、各事業者、業界に対しまして、レジ袋の辞退率などを含む取組状況の自主的な情報発信をしっかりとやっていただくということを推奨するという方向で考えております。

 こういった情報を収集、整理をしましてしっかりと発信をしていくということを通じて、今回の施策の効果というのをきちっと把握してまいりたいと思っております。まず、そういった情報をしっかりと提供していくということを通じて、関係者の取組を促していきたいというふうに考えております。

 それで、来年の七月から義務化が始まるということで、それ以前からの取組も含めて推奨しておりますので、そういった取組が前向きに進みますように、さまざまな取組に対して、こちら、普及啓発活動の一環として、国民向けあるいは事業者向けでさまざまな広報活動を今後展開してまいりたいと考えております。

高木(美)分科員 やはりここを入り口としてというお話から考えますと、この検証が非常に重要であると思います。

 お話を伺っておりますと、自治体が、どのような削減効果があるのか、それを収集してそして自主的に発信する、これを促していくとか、また、それを取りまとめて、環境省として具体的にそれを発信をしていくとかという話だと思うのですが、ここのところはやはりきっちりと、いつごろ、どのように見ていくのか、そこのスケジュールをしっかり立てていただきながら進めていくべきと考えております。

 また、この後押ししますという、このことを考えますと、具体的にどのようにされるのか、ちょっと再度、もしお考えがあられましたらお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(昌)政府参考人 済みません、義務化、先ほど来年七月と申し上げて、ことし七月からの間違いでございました。申しわけございません。

 こちら、広報関係の予算も用意しておりまして、そういった中で、さまざまな国民の皆様方にしっかりと届くような啓発活動を、特に経済産業省と連携して、事業者と国民サイドと両方にわたってしっかりと情報を届けるということで、さまざまなイベントあるいは広報ツールというのを総動員してこれを訴えていくことによって、意識変革につなげていくということを中心に考えてございます。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 先日、私の友人が海外から多くのお客様を迎えました。そのときに、テーブルにペットボトルがだあっとこう並んでいるその光景を見て、日本はまだこんなことをしているのか、その海外のお客様に叱られた。また、バナナを差し入れというのでずっと並べていたら、バナナの個包装を見まして、それぞれにバナナの皮にきれいにまたラッピングがしてあってテープでとめてあるというこれを見まして、その海外の方たちが、バナナの皮はそもそも中身を守るためにあるのだから、そこになぜ袋をかける必要があるのだ、過剰包装だ、こうして指摘をされたというお話がありまして、高木さん、まず我が国の国民の意識を変えることを何とか進めてくれませんかという強い御要請をいただいたところでございます。

 やはりこの行動変容というのはなかなか易しいようで難しく、今もコンビニに行ったら、まさにレジ袋で渡されるのが当たり前。そしてまた、デパートに行けば、そこで食料品を買えばもう何十にも包装されて、スープが漏れないようなという形で渡されるのが当たり前、この当たり前にある過剰包装も含めて、このレジ袋については考えていく必要があるのではないかと思っております。

 先ほど大臣からお話がありましたように、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンをせっかくお取りまとめになられ、また、総理は、それを踏まえてマリーン・イニシアティブを立ち上げられたわけでありまして、その意味からは、先ほど局長の答弁にはもう何回か普及啓発、広報宣伝というお話がありました。やはりここは大臣のその手腕にかかっているのではないかと思っております。

 大臣のお地元は横須賀であられまして、むしろ私は、このレジ袋、それもそうなんですが、そこも含めた海を守ろう運動のような、そこにちなんで、せっかくこのブルー・オーシャン、そしてまたマリーン・イニシアティブということから考えますと、やはり何らかのイベントであるとか、ちょうど七月二十三日、オリンピックが始まる直前でございますけれども、海の日もあります。といったことにちなんで、ぜひとも、大臣先頭に、ここはさまざまなツールを考えていただいて、もう一大うねりを起こしていく。

 例えばこういうマイバッグ。マイバッグも、女性用のは多いんですが、男性用の、小さい、コンビニに行ったときに持てるような、そういういわゆる男性のマイバッグというのは非常に少ないと私は思っております。こうしたことも含めて、さまざまなデザイナーとかいろいろな方たちの力もかりながら、こういうのを持っているのが一番今最先端であるというような、そういう認識を広めていただきたいと思っておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

小泉国務大臣 おっしゃるとおり、国民運動で巻き起こしていかなければいけない分野が、まさにこのレジ袋有料化を通じた国民のライフスタイル変革だと思います。

 今先生から御指摘があったように、女性の中でのマイバッグ、エコバッグって大分広がってきた感覚はあります。一方で、男性はといった中で、この前、セブンイレブンの社長とかいらして、一緒に環境省と厚労省のビルの地下のコンビニに行ったんですが、これからレジ袋有料化になることを捉えて、ハンカチになるマイバッグというかマイバッグになるハンカチ、どっちなんですかね、いずれにしましても、いつもポケットの中にハンカチとして入っているんだけれどもそのハンカチが広げるとかばんになっている、そういった商品を販売するというふうに、そのときにおっしゃっていました。

 また、さまざまな、今、ファミリーマートだったらファミリーマートで、七月からバイオマスを入れるけれども有料化をした上でやるという前向きな取組もあります。イオングループなんかはもう既にかなり前からやっています。

 こういった先進的で既に頑張っている方々が報われるような形で、いかに周知、そしてイベント、インターネット動画、さまざまな形で広げていきたいし、インフルエンサーの方々とも連携をした形を今、中でも検討していますので、ぜひ今後とも一緒になって応援していただければと思います。

 ありがとうございます。

高木(美)分科員 しっかり応援させていただきます。ぜひ国民的な運動を大きく、ダイナミックに展開していただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

笹川主査代理 これにて高木美智代さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川分科員 野党会派の小川淳也です。

 大臣、連日お疲れさまです。一度ちょっとゆっくり議論させていただきたいと思っておりました。

 冒頭、それこそ申しおくれたんですが、御結婚なり御長子の誕生にお喜びを申し上げたいと思います。

 育休について、いかがですか、取得状況は。もう二週間になったんでしょうか。

小泉国務大臣 先日、環境省の中で働き方改革のチームも取り組んでいますので、その場でも発表したんですが、現時点、積み上げながら約十二日間分、今のところ取得をできています。さまざまな職員の協力に感謝しています。

小川分科員 何というんですか、話題づくりなり、さすが進次郎さんだと思う一方で、私、率直に違和感を感じている部分もありますので、ちょっとその点もお聞きしたいんですが、一般の方は、なかなか育休取得、ままなりません。給与も五割だか六割だか減額されるはずですよね、補償金で。しかし、大臣にはそういうペナルティーはありません。それから、みずからがトップですから、自在にできるんでしょう。

 加えて、私は、お父様、純一郎さんのコメントにやや共感する部分があるんですが、公務の合間を縫って子育ての応援なり手伝いをする、当たり前じゃないか、わざわざ改めて休暇と言うまでもないという純一郎さんのお言葉、私、若干共感する部分があるんです。

 ちなみに、もし御存じでしたら聞かせてください。部下たる環境省の男性職員、どのぐらい育休をとれているんですか。

小泉国務大臣 まだことしのデータとか去年のデータはないと思うんですけれども、私が把握している限りは約三割。これは、他省庁と比較をしたときには、環境省は高いと思います。

 ただ、職員の規模、環境省はほかの省庁と比べたら比較的小さい規模の省庁ですから、職員の数によって大分振れる可能性もありますので、常にこれからも三割かというと、なかなかそこは予断は許さないかなと思いますが、いずれにしても、とりたいと望む職員がとれる環境づくりはしっかりやっていきたいと思っています。

小川分科員 国家公務員の平均が一二、三%でしょう。民間の方を含めて、全体平均は六%程度と聞いています。それからすると、三割というのは一つの先進的な事例として受けとめたいと思うんですが。

 私、これは何の違和感かなとずっと自分なりに考えてきたんですよ。本当に、政界のプリンスで非常に注目もされるし、大臣御就任後、いろいろ厳しい視線にもさらされて、いろいろ御苦労が多いことと思います。そういうことをよく想像した上であえて申し上げるんですが、やはり大臣たるもの、閣僚たるもの、本業以外で話題づくりや話題さらいに邪念や余念を持ついとまはないということです。極めて本業に専念して、本業で成果を上げ、そのことで話題づくり、話題さらいに専念すべきだということを、ちょっと野党の立場、厳しい物言いになりますが、あえて、この点が私の違和感だということを指摘したいと思います。

 加えて、予算の本委員会で、二、三、ちょっと議論になったところを確認させてください。

 まず、肺炎会議の欠席について、再三のお尋ねにもかかわらず、反省はするが謝罪はしないという立場を貫かれていらっしゃるように受けとめています。これは率直に謝罪した方がいいんじゃないですか。謝罪のない反省というのはないでしょう。反省しているのに謝罪しないというのはないでしょう。そこをちょっとすっきり、はっきりさせていただきたいと思います。

小泉国務大臣 御指摘は本多先生からもいただいています。私の中で、さまざまな声も受けまして、それを真摯に受けとめて反省していると申し上げたところなんですが、私のよくないところでしょうか、反省していると言っても反省しているようには見えない、そういうふうに御指摘もいただいていることも反省をしています。

 謝罪をということでありますが、私が横須賀に戻った事実は謝ったところで変わりません。ですので、しっかり今回のことを反省して、今後このようなことがないように、しっかり大臣としての職責を果たしていって、環境省としても、今、対策本部で私が本部長としてやっていますから、危機管理も万全にして取り組んでいく形で私の反省の形を示していきたい、そういうふうに思っています。

小川分科員 それは、事実上おわびなり謝罪と受けとめていいですか。

小泉国務大臣 まず、この前、本多先生とも共有させていただいたところは、危機管理上、ルールにのっとった対応だというところは本多先生にも御共有をいただいております。

 そういった中で、しかし、在京当番、大臣、副大臣、政務官との連携の中で、代理ということがルールにのっとった危機管理上の対応であったとしても、やはりその間に地元というのは問題だということに対して、そうだな、反省しなければいけないなと思って、今後このようなことがないように、今後の行動で、対応で示していくという方が私はいいのではないか、そのように思っておりますので、してしまったことは変わらないので、これから同じようなことがないように、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

小川分科員 してしまったことが変わらないからこそ、真摯な謝罪というのは時にピンチをチャンスに変えられるものでもあるんですよね。そこは、御本人のある種精神性の部分に何らかのつっかえがあるんでしょうね、恐らく。ちょっとまた改めたいと思います。

 それから、もう一点。この点も、私ども野党側も非常にお聞きしにくいことなんですが、例の宿泊費を政治資金処理することについて、これは法令には従っているんですね。改めて。

小泉国務大臣 はい。そのような前提でも、この前も御指摘を受けました。

小川分科員 あえてお聞きします。道義的、道徳的にはいかがですか。

小泉国務大臣 まず、御指摘いただいた件については、現地で当日そして翌日とカンファレンスという政治活動を伴う宿泊でありましたので、これを報告書に記載をし、報告をしたところであります。ですので、そういった面におきまして、まさに法令にのっとった対応をしております。ですので、そこは適正に処理しているということであります。

小川分科員 道義的、道徳的にいかがかと聞いています。

小泉国務大臣 御指摘につきましては、個人の事柄、そしてまた政治資金に関する事柄、この御指摘だと思っています。

 そして、今回、この宿泊に関して、政治資金の収支報告書、ここに記載をしているという形で御指摘を受けているわけでありますが、この中で、まさに私が今申し上げたとおり、政治活動という、カンファレンスに伴うもので支出を報告して記載をしているものでありますので、ここに私的なもので政治資金を使っているということではありません。

小川分科員 それは、その事実については私どもも含めて立証のしようがありませんが、私もみずからを振り返るときに、時々想像するんです。五百円、千円を寄附してくださっているおじいちゃん、おばあちゃん、進次郎さんの後援会にはいらっしゃいませんか。

小泉国務大臣 おじいちゃん、おばあちゃん含めて、幅広い世代の方に支えられております。

小川分科員 収支報告書を拝見すると、もちろん多額の寄附の方もいらっしゃる。いろいろなおつき合いもあるでしょう。しかし、もう一回聞きますが、五百円、千円を寄附してくださるようなおじいちゃん、おばあちゃん、本当に普通の方、年金暮らしの方、いらっしゃいませんか。

小泉国務大臣 まず、御寄附いただいているお一人お一人の方を私が今全部挙げるまではわかりませんが、お一人お一人からいただいているというそのことを大切に、それが政治活動を支えるまさに基盤でもある、民主主義のコストでもある、政治家を支えるために国民の皆さんからいただいている、それを忘れずに行動しなければいけない。そのことは、先生、恐らくおっしゃりたいことはそういう思いだと思いますが、そのとおりだと私も思っております。

小川分科員 もちろん、多額の寄附に対しては緩い使い方でいいんだということにはならないんですよ。しかし、政治家としての良心や政治家としての矜持を振り返るときに、この五百円、千円を寄せてくださる、これは残念ながら収支報告書はわからないんですね、五万円以下なので。私も、常にと言えるほどでもないんですが、やはりこれは充てていいかどうかということを考えるときに、この五百円、千円を寄附してくださるおじいちゃん、おばあちゃん、どんな気持ちで寄附してくださるだろう、それにふさわしい使い方か、胸を張れる使い方かということをみずからに振り返るようにしています。

 ぜひ、このことに照らせば、単に今回の問題は、法令にのっとっているでは済まない道義的、道徳的責任が生じているということを厳しくみずからに振り返っていただきたい、そのことを指摘したいと思います。

 地球温暖化についてお聞きします。

 温暖化という言葉は、もはや生ぬるい。私は、地球の灼熱化であり、まさに気候危機であるという受けとめが必要だろうというふうに感じています。

 そこで、二点。

 御就任早々に物議を醸しましたが、いわゆるセクシー発言です。これについて、私も当時委員会で指摘だけしたんですが、あの委員会の翌日に台風十九号が襲来しました。亡くなった方は九十九名、行方不明者が三名、負傷者が三百八十一名、家屋の全壊が三千二百八十棟、半壊が二万九千六百三十八、一部損壊が三万五千六十七、この被害。それから、最近だと、オーストラリアで大変な森林火災を経験しましたよね、海の向こうとはいえ。

 この現実と大臣のおっしゃるセクシーという言葉、つまり、この現実の切迫感なり危機感とこのセクシーという言葉が日本人、日本語の間で持つニュアンスのずれ、乖離。私は、とてもではありませんが、今の危機を正確にあらわしていないというふうに感じています。

 その点について所見をいただき、できれば撤回していただけませんか。

小泉国務大臣 まず、撤回することはありません。

 このセクシー発言というのは、まさに今の台風との関係ではありません。そして、気候変動に対してどのようなアプローチで取り組むべきかという中で、ぜひこれは多くの方に知っていただきたいんですが、あれは私の以前に使われている言葉です。

 これは気候変動条約事務局の事務局長をやっていたクリスティアナ・フィゲレスさんもおっしゃっていることで、まさにその言わんとしているところというのは、このセクシーという言葉のニュアンス、意味するところというのが、日本の中での受けとめとそして英語圏でのニュアンスと、随分そこも違うところもあるなというのは正直感じますし、実際に私は、国際社会の関係者の方で、日本に来られてお会いする方の中には、あれ以降、国際社会の中でもあなたのあの発言を引用して前向きな話をする人もいるよということも言われます。

 ですので、賛否あるのは受けとめています。そして、そのことはちゃんと受けとめなければいけませんが、私が言いたかったことというのは、ややもすると、環境問題というのは、一部の物すごく環境に取り組んでいる方だけで閉じてしまう、持続可能ではないような、そういったところも生まれやすいところもある中で、余り意識のない方も含めて持続可能な取組を、長きにわたって脱炭素社会に向けて取り組んでいくには、我慢を強いたり何か経済に抑制をかけるという形での規制ということだけではない。まさに最近これはデカップリングと言われるんですが、経済成長はしながらも排出は減らす、これはデカップリング。こういったことを含めて、あの会議の場でクリスティアナ・フィゲレスさんなどと本当にやりとりをする中で、前に言及があって、それを私が拾って報じられているわけです。

 ですので、この機会に、それだけあの発言を通して気候変動のことを考えていただくきっかけになったら、それは一つのことだったかなと思いますので、撤回をすることではないと思います。

小川分科員 ただ、あの後なんですよ、台風十九号で今申し上げたような被害が出たのは。恐らくことしも、それ相応の巨大台風が来ないとは言えないでしょう。犠牲者が出る、家が壊れる、この事態の切迫感。今まさに英語のニュアンスとおっしゃったんですが、ここは日本ですから、日本人がどう受けとめるかと……(小泉国務大臣「言ったのはアメリカですから。発言したのはアメリカですから」と呼ぶ)いやいや、引用して報じられたのは日本ですから、そのことに対しては、むしろ日本人の感覚に対する、日本の言語感覚に対する繊細さをもう少し研ぎ澄ませた方がいいんじゃないですか。私はそう思います。

 では、今後も、この気候変動、気候危機に対してはセクシーに取り組んでいくということでいいですか。

小泉国務大臣 まず、海外で発信するときに日本語的発信をしたら、それこそ失敗すると思います。結論を最後まで言わない、最後まで聞かないとわからない、こういったことではやはりだめで、しかも、気候変動のコミュニティーというのは物すごい国家のブランディングをかけている世界ですので、日本のように、本当に真面目に、積み上げてできることしか言わないというやり方だけだと、到底太刀打ちできません。

 やはり世界は、できるかできないかはわからないけれども、まずはここを目指してやってみようという野心的なところを掲げられるかどうかというのが勝負な部分もあって、実際できるかどうかわからない国もいっぱいあると思いますよ。だけれども、残念ながら、それで初めて土俵に乗れる部分もあるんです。

 そこは、日本的にはどうかというところは超越をしていかないと太刀打ちできない部分もあるなという中で発信をすると、一方、国内ではなかなかそれがかみ合わないギャップを感じながら、ジレンマだなということも感じているので、小川先生の御指摘は、私もそのとおりだなと思うこともありながら、一方で、海外に出たときは日本人的な発想を排してやらなければいけないところもあるというところも同時に感じていることは御理解いただきたいなというふうには思います。

小川分科員 それをおっしゃるのなら、二〇五〇年二酸化炭素排出ゼロを、飛び越えて宣言すればいい。私は中身を言っているんじゃない。このセクシーという言葉のニュアンスが、海外でそうは言った、しかし、国内の受けとめはさまざまだという回答ならまだしも。

 それで、大臣はやはりレトリックの天才だと思いますよ、修辞法の天才だと思う。しかし、これは、中身がある場合、レトリックは生きるんですよ。中身が空疎な場合、レトリックは極めてそらぞらしく、むなしく、上滑りするんですよね。

 だから、レトリックがお上手なのはもうみんな理解しています。しかし、その何倍も中身があってこそのレトリックなんですね。これは誰かな、開高健さんかな、小説は形容詞から腐るというんだそうですね。形容詞を自在に操るのは、まさに中身のないことを紛らわすための便宜だという意味だと私は受けとめているんですが、もう少し中身に鍛錬を積んでいただいて、やはり閣僚としての実績にこだわっていただきたいなという思いです。

 最後に、最後にというのは、この温暖化について。

 もう一つ私が気になっているのは、グレタさんが今世界的に活動していますよね。彼女の命がけの訴えというんですか、私は、会ったこともない、話を聞いたこともない、ただ報道で見ているだけです、しかし、物すごくビビッドに受けとめています。

 まさに、この地球温暖化、気候危機は大人社会の責任でしょう。子供たちに責任はないでしょう。彼女たちには選挙権すらない、公の発言権、物事を決める権限はない。彼女の矛先が、世界の指導者、進次郎さん含めて、環境問題に取り組む政治指導者を含めた大人社会に向かうのは当然じゃないですか。

 それを、大人社会に対する糾弾に終わっては未来はないという発言は、これぞ趣旨のすりかえだし、正確に彼女たちの悲鳴を受けとめていない。これは、実は温暖化に限らないんですよ。年金もそう、社会保障もそう、財政赤字もそう。子供たちには責任は一切ない。全てこの国の大人社会に責任がある。ましてや与党の閣僚たる政治指導者の責任たるや、極めて大きいわけです。

 このグレタさんの発言に対して、大人社会への糾弾に終わってはいけない、この発言も不適切だと思いますが、今の私の指摘を踏まえて、いかがですか。

小泉国務大臣 小川先生からのエールだと思って、先ほどのまず実績をということは、しっかり積み上げられるように、引き続き努力をしていきたいと思います。

 ぜひ、きょう、この後記者会見も行いますけれども、石炭火力の輸出の四要件で、ようやく関係省庁と見直しに向けて議論ができることで合意をしたということは、この分野では容易なことではありませんでした。なかなかそういったことが取り上げられないことは私にも問題があるのはわかりますが、ぜひこういったこと、石炭自身が抱える課題もこれだけ国会で議論されるようになったことは恐らくいまだにないと思います。そういったことをこれからも地道に、伝わるようにやっていきたい、その一歩がきょうだと思います。

 今、グレタさんの話がありましたが、グレタさん、私も直接スピーチを聞いています、九月の国連で。すごいです。あのインパクト、そして言葉の力というのは、あのグレタさんの後に首脳の皆さんがスピーチをしたことを凌駕していたと私は感じました。

 一方で、私が言ったことというのは、誰かを糾弾する形で持続可能な気候変動のサイクルを回すことができるのかということは、グレタさんの評価ではなくて、そういったメッセージからいかに全てを巻き込めるかという、まさに世代を超えた取組にしなければいけないというアプローチの中での私の発言だと思ってください。決してグレタさんのことを否定しているわけではなく、ただ、別のアプローチもあるのも事実だ。それは、やはり大人の中にも、何もやってこなかった大人ばかりではありませんから。

 そういったことを鑑みたときに、私は、日本から仮に日本版グレタさんのようなそういった方が出てくるとしたら、また別のアプローチの若者が出てくるだろうなと期待をしていますし、私も、若者たちとの意見交換はたび重ねてしております。

小川分科員 もう少し論点がかみ合った議論をしたかったんですが、とにかく大人社会の責任なんですよ、今積み残されている全ての課題は。しかも、政治指導者の責任によるところが大きい。例えば、パリ協定から離脱するようなトランプ大統領とか、とんでもないと思いますよ、私は。それも含めて、子供たちには責任はない。

 お生まれになった御長男、ミチジロウさんでしたっけ。(小泉国務大臣「名前はいいと思います」と呼ぶ)ごめんなさい、失礼しました。も含めて、本当に大人社会の責任ですからということを改めて申し上げたいと思います。

 私、時間があればもう一つ聞きたかったのは、参議院の定数増法案にとんでもないと言われながら賛成された、そして丸山議員の譴責決議案には欠席された、この辺もちょっとお聞きしたかったんですが、また次回にしたいと思います。大臣の政治姿勢にかかわることだというふうに感じています。

 最後に、申しわけありません、法務、防衛、国交、本会の方で聞きたかったことをちょっと連続してお尋ねします。

 法務省。過去に口頭の決裁というのは見つかりましたか。それが一つ。

 防衛省。自衛隊の中東派遣。

 防衛省設置法の調査研究は、国会報告も必要ないし、閣議決定も要らないし、特殊勤務手当も基本的に出ていないでしょう。これを閣議決定し、国会報告をし、そして特殊勤務手当を海賊対処行動並みにするということは、防衛省設置法の言う調査研究の範疇を超えているという理解でいいですね。それが質問。

 最後に、国交省。IRを推進される立場から、中核となるカジノの収益。

 これは、日本の賭博政策の大転換になります。つまり、今までは、競輪にせよ競馬にせよ、全て公設公営、上がった収益は全て公益事業として国内に還流していました。今回初めて民設民営。上がった収益の三割は納付金ですが、七割は外資に、外国に流れる可能性が高い。しかも、お客さんは、韓国で国内用と国外用、一対十六なんだそうですね、箇所数が。売上げは一対一なんだそうですね。つまり、ほとんど国内客ということですよ。

 ということは、この民設民営という日本の賭博政策の大転換により、IRを推進されるお立場からお聞きしますが、日本の国富に外資のストローを差し込むということになる、これがこのカジノの導入です。私は、極めて不適切だと思う。そのことに対する見解。

 ちょっと連続になって申しわけないんですが、あと五分しかありません。一分半ずつ御答弁をいただいて終えたいと思います。

宮崎大臣政務官 まず、今、決裁という御指摘がありましたけれども、法務省に関しては、法務省行政文書取扱規則というもので文書決裁についての定めがございまして、この規則による決裁を要する場合であるのに、あえてそれによらずに所定の方法による決裁を受けなかったという御指摘であるとすれば、そのような例についてはにわかに承知していないというところでございます。

 ただ、少し敷衍して申し上げますと、先生が予算委員会などでの御質疑で問題として取り上げられている、令和二年一月二十二日、「勤務延長制度の検察官への適用について」と題した文書を前提としての御議論であるといたしますとすれば、これは、検察官の定年の引上げに関する法律案の策定の過程において、検討の前提として現行の検察庁法の解釈について整理をした文書でありますので、法務省行政文書取扱規則で定められた方法による決裁を要しない取扱いをしていたものであるということを御説明したいと思っております。

 以上です。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 今般実施いたします自衛隊による情報収集活動につきましては、防衛省の所掌事務の範囲内で実施可能でございますが、政府一体となった総合的な施策を関係省庁が連携をして実施することに加えまして、自衛隊を海外に派遣することの重要性、国会を始め国民の皆様に対する説明責任の明確化のために、閣議決定を行うとともに国会に報告することといたしたということでございます。

 御指摘の点に関しては、既存の法の範囲内で可能だということでございます。

 次に、特殊勤務手当についての御質問がございました。

 調査研究を根拠とする任務に対しての特殊勤務手当を支給している例につきましては、南西諸島での警戒監視任務に従事する隊員に対しまして、海上警備等手当ということで支給している例がございます。

 以上です。

和田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 IRが整備されることで、カジノ行為粗収益の三〇%が国及び地方に納付され、公益に還元されることになります。残りの七〇%の部分についても、建設費の償還、人件費、調達費に充当された上で、その残りをIR事業内容の向上や都道府県等の施策への協力に充当するよう努めることとされております。これを国土交通省が毎年度評価することとしております。更にその上で、その残りの額が法人税等の納税などに充てられることになります。

 このような仕組みによりカジノ事業の収益の確実な公益還元が図られることから、御懸念のような、カジノ事業の収益が海外に流出するだけということにはならないというふうに考えております。

 もとよりIRにつきましては、国民の皆様の信頼や理解をいただきながら進めることが大変重要であり、カジノ管理委員会の意見や国会での御議論も踏まえ、公正性と透明性を確保しながら丁寧に進めてまいります。

小川分科員 ただいま簡潔な形でお尋ねをし、また御答弁いただいたこと、受けとめたいと思いますが、いずれも極めて重要な論点なんですよね。極めて重要な論点です。衆議院の予算委員会そのものは大詰めでありますが、これは参議院も含めて相当丁寧な議論が必要だということを改めて指摘したいと思います。

 それから、法務省におかれては、口頭の決裁というのは確認できないんですよ、後の世が。だからやっちゃだめなんです。それはあり得ないことなんです。今回は、極めて後づけで解釈変更をなした可能性、疑いが濃厚であります。

 担当政務官として、御存じのことで言えないこともたくさんあるんでしょうが、事は、法の番人たる法務省が日本の法治国家の根幹を揺るがしかねない失態を犯しています。そのことの責任も改めて強くお感じをいただき、そして、小泉大臣、また機会を改めていろいろと議論させていただきたいと思います。

 御対応ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて小川淳也君の質疑は終了いたしました。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

堀内主査 次に、農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。江藤農林水産大臣。

江藤国務大臣 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 農林水産業は、国民に食料を安定供給するとともに、その営みを通じて、国土の保全などの役割を果たしている、まさに国の基であります。

 先人から受け継ぎ、農林漁業者が守ってきた我が国の肥沃な農地と豊かな森や海は、国民の資産であり、かけがえのないものであります。

 安倍内閣ではこれまで、こうした農林水産業の有する潜在力を最大限に引き出し、成長産業とするため、農林水産政策全般にわたる改革を全力で進めてまいりました。この結果、輸出は七年連続で過去最高を更新し、生産農業所得も平成十六年以降で最高の水準を維持しております。

 しかしながら、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化といった問題が深刻化するとともに、近年では、頻発する自然災害やCSFの発生などにより生産現場に大きな被害が発生するなど、さまざまな政策課題に直面しています。

 国際関係では、TPP11、日・EU・EPAに続き、本年一月からは、日米貿易協定が発効しました。新たな国際環境のもとで、農林水産業の競争力を高め、国内外のニーズにしっかりと対応していかなければなりません。

 このように我が国の農林水産業は現在、さまざまな課題に直面しておりますが、このかけがえのない農林水産業を次の世代に確実に継承していくためには、成長産業化の土台ともいうべき生産基盤の強化を図ることが何よりも重要であります。

 こうした考えのもと、昨年十二月には、生産基盤の強化を図るための十一項目の関連施策を政策パッケージとして取りまとめた、農業生産基盤強化プログラムを策定しました。今後、これに即して、生産基盤の強化と成長産業化のための改革を一体的に進め、自然災害や国際競争にも負けない強い農林水産業、農山漁村を構築してまいります。

 また、国民の豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、産業政策と地域政策の両面から全力で取り組み、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現する。そのことを通じて、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。

 次に、令和二年度農林水産予算の概要を御説明します。

 令和二年度農林水産予算の総額は二兆三千百九億円であり、その内訳は、公共事業が六千九百八十九億円、非公共事業が一兆六千百二十億円となっております。このほか、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の最終年度分の臨時特別の措置として千八億円を計上しています。

 以下、農林水産予算の重点項目につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

 以上です。

堀内主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま江藤農林水産大臣から申出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀内主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田分科員 自由民主党の泉田裕彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

 今ほど大臣から、農林水産政策のことしの予算について御説明をいただきました。ありがとうございます。

 改めて考えてみますと、人の社会、これは衣食住が足りて初めて成り立つということだと思います。特に食の安心、安全、そしてまた安定供給、これなくして社会というのは回っていかないということだと思います。

 それを支える農業というのは極めて重要なんですが、今ほどもお話にございましたとおり、日本の農業が抱える問題、さまざまなものがございます。農業従事者の高齢化、そしてまた後継者不足、さらには食料自給率の持続的低下傾向と言ってもいいかと思います。また、農業従事者の所得が他産業に比べて低い、親御さんが後継ぎにさせたくないというような状況というのも生じているわけです。さらに、農産物、国内自給率を高めるために、生産能力と需要がミスマッチになっているという部分もあるわけでございます。

 こういうさまざまな問題がどこにしわ寄せが行っているかというと、やはり農村に行っている。そしてまた、農村が結局社会のニーズに応え切れない、また、政策が十分機能しないことによって疲弊をしているというのが今日の農村の姿ではないかと思います。

 二〇五〇年、恐らく地球の人口は九十億人を超えるというふうに言われています。また、新興国の生活水準が上がってくる。これによって、食料生産能力、供給能力と需要がバランスがとれるんだろうかと漫然たる不安を抱えているというところも事実だと思います。

 こういった事態に対応するために、一九九九年になりますが、食料・農業・農村基本計画が制定をされたというふうに承知をいたしております。その当時の社会情勢、背景をどのように認識をして法制定に至ったのか、まずは農林水産省の認識をお伺いしたいと思います。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 食料・農業・農村基本法が制定された時期ですが、我が国経済社会が急速な経済成長、国際化の進展などにより大きな変化を遂げる中で、我が国農業、農村をめぐる状況についても、御指摘のとおり、食料自給率の低下、農業者の高齢化と農地面積の減少、農村につきましては過疎化による活力の低下といった大きな問題が生じていたわけでございます。他方、国民からは、安全な食料の安定供給や、農業や農村の多面的機能の発揮など、農業、農村の果たす役割に対する新たな期待が高まっていた時期でもありました。

 こうした農政をめぐる情勢の変化や国民からの要請に対応するために、食料・農業・農村政策に関する基本理念を明確化し、そのもとで、政策体系を再構築した現在の食料・農業・農村基本法が平成十一年に制定されたということでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 大変すばらしい理念に基づいて制定された法律だというふうに承知をいたしております。

 では、現在の状況はどうかということでありますが、農業者の高齢化、残念ながら歯どめがかかっておりません。そしてまた、後継者不足、これも解消されておりません。それに応じて、何が起きているかというと、特に条件の悪いところから耕作放棄地が増加をしている。せっかく農地であるにもかかわらず、活用されている農地が減少しているという状況になっています。もう一回言いますと、世界全体で見れば食料危機が今後発生するかもしれないという中において、日本においてはせっかくある農地が使われなくなってきている、こういう状況になってきているわけでございます。

 農業者の高齢化が進む理由というのは、簡単に言えば、新規に参入してくれる若い人が少ないから、相対的に高齢化が進んでいくということになるわけです。

 では、後継者、農業になぜ若い人が入ってきてくれないのかというと、二つ大きく原因があるんじゃないかなと思っています。

 一つは、農業はやはり天候に左右されます。共済制度等さまざまな制度があってこの不安定性をカバーしているということになっていますが、一方で十分にカバーし切れていないということ、これはサラリーマンに比べると安定性を欠くということではないかと思います。

 一方、所得についても、かなり所得を上げることができる経営体というのも出てきているというのは承知していますが、残念ながら、マクロ全体で見たときに、十分な所得を得られないがゆえに、やはり後継者にするのをためらう、後継者になるのをためらう、こういう状況が生じているのではないかと思います。法人化や大規模化がなじまない中山間地域は特にその傾向が強いということだと思います。これは、場所によっては、集落の消滅、農村自体の消滅の危機に瀕しているという場所も存在しているわけでございます。

 ここで政府参考人にお伺いをしたいんですが、中山間地域の荒廃農地率、別な言葉で言えば、農地なのに農地として利用されていない比率ということになると思います。これが平均的農業地域と比較して中山間地域ではどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十九年の荒廃農地調査のデータでございますけれども、再生可能な荒廃農地面積につきまして、他の荒廃農地率を見た場合に、平地農業地域〇・八%に対しまして、中間農業地域一・八%、また山間農業地域二・二%となっておりまして、平地農業地域に比べまして中山間の農業地域は約二倍から二・五倍になっているところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。そのとおりだと思います。やはり条件の悪いところ、中山間地域ほど荒廃地が進んでいるということだと思います。

 結局、どうしてそうなるのかというと、やはり中山間地域、条件の悪いところは、コンバインを入れたりトラクターを入れたりするというのも効率がよくならないということになりますし、さらに、スマート農業で何とかしたいという思いというのは十分承知をしているんですが、なかなか、中山間地域におけるスマート農業、イメージができない。

 スマート農業の一番根幹は何かというと、やはり熟練の農業者が持っているノウハウを、IT等を使ってこれを代替していく、集約化された農地、大規模な農地等には有効。また、ロボット化を進めるというのもそれはあるんでしょうけれども、そもそもトラクターとかコンバインが入りにくいところにスマート農業を入れるというのは、なかなか現場でイメージがしにくい。さらに、巨額の投資が必要ということになると、耕作放棄地化していく部分をとめる力になっていかないんじゃないかという懸念を持っております。

 さらに、豪雪地帯における課題。私の選挙区は豪雪地帯ということになるわけですけれども、この豪雪地帯で園芸を推奨するということをしようと思っても、鉄骨づくりのハウスをつくらなければいけないのかというようなことになると、園芸で所得を上げるということもなかなか現実的にイメージできないという状況になっております。

 この、農家所得を押し上げることも難しい、さらに、スマート農業も厳しい、機械化もさまざまな制約があるという環境の中で、残念ながら耕作放棄地がふえているということだと思います。

 そこで大臣にお伺いをしたいんですけれども、これまで農林水産省は、食料・農業・農村基本法の理念に基づき、さまざまな施策を行ってきていただいております。しかしながら、中山間地域や豪雪地域、こういったところは、後継者不足、それから農地の荒廃がとまらない状況で、十分な結果に結びついていないのではないかというふうに思っていますが、そのような原因をどのように分析されているのか、お聞かせいただければと思います。

江藤国務大臣 今の、泉田先生が詳細にお話しをいただいたとおりだと基本的に思っておりますが、私の地元は三つの村がまだ残っているところでございまして、それでも、毎年、人口減少がほかの地域に比べて極めて少ない。一生懸命頑張っています。ですから、よく成長産業化と言いますけれども、田舎においては現状を維持することだけでも十分攻めている。その努力をやはり国がまず認めなければならないと思います。ふえなければ認めない、規模を拡大しなければ評価に値しないという考え方がまず間違っているのではないかという問題意識を持っております。

 そして、農業だけの、営農環境だけではなくて、さらには学校の問題もあります。私の田舎でも、先々週、先週か、また一つ小学校が廃校になりました。百年に近い歴史を誇る小学校でしたけれども。そうなれば、その地域から子供たちの声が消えれば、当然、次世代の営農者、後継者が消えてしまうということでありますから、教育の問題。それから、買物も、中山間地域からだんだんコープなんかも消えていって、JAの直営のスーパーなんかも。そうなると、町場まで出ていかなければ日用品も買うことができない。生活弱者でもある、そして教育弱者でもある。そして、先生御指摘のように、耕作条件は厳しく、機械化は難しく、そしてスマート農業といってもなかなか具体策がまだ見えてこない、そして規模拡大といっても段々畑ですから難しい。そういう意識は非常に私も強く持っております。

 しかし、じゃ、そういう条件が悪いところであるからほっておいていいということでは決してなくて、里山がなくなってしまっては、日本の伝統とか文化とかそういったものも丸めてなくなってしまうのであろうということであろうと思います。ですから、総理も毎回、所信表明演説をされるときに、目をみはるほど美しい棚田の風景ということを必ずおっしゃってこられました。

 その言葉を受けて、御存じのように棚田法案も昨年通させていただいて、いろいろな省が一丸となって、内閣総理大臣が計画をつくって、里山をこれから守っていくんだ、農林水産政策ではなくて、国の意思として里山を守っていくというのが棚田法の理念だというふうに考えております。

 そして、中山間地域の直接支払い制度についても、どんどん内容も見直していっております。今までは、計画を出しても、例えば、私が廃業してしまった、五年間の経過の中でですね、そうなると、五年後に、全部の、いただいていた中山間地域直接支払いのお金を返金しなさいという制度設計になっておりましたけれども、これから先は、そういう、脱落という言葉は使いたくありませんが、抜けてしまう人が出たとしても、その面積の分だけお返しいただければいいですよというふうに条件を緩和させていただきました。今までは、計画を出すときに、果たしてこのじいちゃんは五年先もやってくれるだろうか、自分も自信がない、だからもう中山間地域直接支払い制度そのものに手を挙げるのをやめようかという声もありました。

 ですから、こういう要件の緩和も必要だと思いますし、今回、中山間直接支払いだけの話をさせていただいて恐縮ですけれども、新規で三つの加算措置を加えさせていただきましたし、一つの制度は拡充をさせていただきました。

 ですから、一つの政策をやったからといってどうなるものではなくて、教育であったり、道路を整備するインフラの整備だったり、観光の振興であったり、農泊であったり、いろいろなものをトータルパッケージでやらないと、なかなか中山間地域を守っていくのは難しいと思いますが、しかし、国全体の、農林水産省だけではない、国の意思として、この地域を守っていくために一生懸命やりたいと思いますし、今度の食料・農業・農村基本計画策定に当たっては、こういったところ、条件不利であっても大事な役割を果たしているんだということを強調したものにしていきたいというふうに考えております。

泉田分科員 大臣、ありがとうございました。

 まさに、条件不利地域であるがゆえに、知恵を使い、そしてまた努力した人が報われる、さらに、ちょっと努力しない方々というのもいるんですけれども、そういった方々にも光を当てていただけないかなと思います。

 どういうことかといいますと、今、大規模化、集約化をして、なるべく効率的に所得を上げよう、こういう人生観の人だけではなくて、親から引き継いで新規就農する、また、農業を始める、都市部の、大都会の企業の中で、競争社会の中で歯車のようになって働くというのではなく、自立した自分の生活を求める、ゆとりある生活といいますか、こういったことに希望を持って移住されてこられる方もおられます。

 そういった方々は、今、テレビ番組で「ポツンと一軒家」というものが意外と注目を受けているわけですけれども、自分たちと家族が生活をできて、そしてまた耕地を守っていければそれでいい、無理して頑張ってどんどん所得を上げて競争社会の中で頑張っていこうという人たちばかりではなくて、暮らしをしっかり守っていく中で、社会全体の中で役割を果たしていければいいという方がおられるというのも事実でございます。

 そういった方々、都市部の企業で働くのではなくて、農業をやっていく中で、自分の存在がちゃんと認められる、地域社会の中でつながっていける、さらには評価をされる、誇りを持って生活をできるということであれば、何も都市部のサラリーマンをやらなくてもいいという方々、結構おられるわけです。例えば、首都圏、三千五百万人いるうちの一〇%は、チャンスがあれば移住したいという希望を持たれているわけです。

 そういった方々が安心して農業に入ってこられるような制度、仕組みをつくって耕作放棄地を発生させないという政策というのも極めて重要じゃないかなというふうに思っています。

 ヨーロッパでは、日本型の直接支払い制度、中山間地型の直接支払い制度に類似するもので、やはり所得補償をする中で、条件不利のところは価格を上げているというか、補助額を上げる中で農地全体を維持しているというところもあるわけです。

 いろいろな工夫をしていただいているというのは十分承知をしているんですが、ただ、残念ながら、現状を見ると、耕作放棄地の発生がとまらない、後継者不足がとまらないということですから、少しヨーロッパ型を目指して、条件不利のところに行くと補助率、補助額が上がっていくような制度を導入するとか、思い切ったことをぜひやっていただけないかなと。結果ですから、政治は。耕作放棄地が発生しないようにするにはどうしたらいいかという観点から施策を組み上げていただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 したがいまして、今回改定の食料・農業・農村基本計画、期待をいたしております。ぜひともこれはいいものにしていただきたいなと思います。

 そこで、大臣にお伺いをします。

 現在見直しを進めております食料・農業・農村基本計画におきまして、特に条件不利地域における耕作放棄地の増加に歯どめをかける施策を盛り込んでいただきたいと思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 先ほど、ちょっとまとめてお答えしてしまったようなところがありますけれども、先生おっしゃるように、人間らしい暮らし、都会が決して人間らしくないと言うつもりはありませんが、最近を見ると、随分、一流だと言われていた、例えば三越とか、小売の路面店あたりが非常に厳しい。そして、早期退職を募集する会社もたくさん最近出てきております。

 ですから、新しく今回新設させていただいたのは、今までは、五十歳以下に関して新規就農を支援してまいりましたけれども、五十歳以上でも就農に関する研修を一年間受けられるようにさせていただくようにしました。

 というのは、やはり先生おっしゃったように、一〇%そういう方がいらっしゃる。さらに、ふるさとに帰りたいと考えている方はもっと、三〇%以上いらっしゃるという統計の数字もございます。そういう方が、ある程度、農業をやるにしても初期投資ができた方が収益性の上がる農業が展開できますから、早期退職のお金も持って田舎に帰って、家は空き家を安く手に入れて、農地も安く手に入れて、あとはある程度の初期投資もして、ある程度ハウスも建てるなら建ててやっていただくようなこともあるでしょうし、中には、デュアルライフというような形で、東京に拠点を置きながら田舎にも週末の拠点を持つということもあるだろうと思います。

 今度の食料・農業・農村基本計画は、先ほど中山間地域直接支払いの話をさせていただきましたから省きますけれども、三つの新設、一つの拡充措置を行います。昨年九月の棚田振興法も、いよいよ本格稼働させていこうというふうに思っております。それから、農業耕作条件改善事業、こういったものも、基盤整備がありますので、これについては、土地改良をやりながら、土地改良をやるんだったら、隣接している荒廃農地についても一緒に畦畔の削除をしながら農地に復帰させよう、そういうこともこの事業においてやれますので、そういったことも土地改良区の皆様方と協力しながらやらせていただければというふうに思っております。

 なかなか定義が難しくて、中山間地域の中でも本当の中山間地域があるんですよ。谷の間の、本当に三角の農地、そこの青年たちに、ちょっとじいちゃんが趣味でやっているけれども、これは無理だというようなところは、一部、農地から山林に戻すところもあるかもしれませんが、しかし、基本的に、今四百四十万ヘクタールを切ってしまった日本の耕地面積でありますから、それについては、あらゆる施策を通じて、この基本計画に基づいて、これが基礎となってあらゆる法律がこれから組み立てられていきますので、しっかりとした気配りをして、皆様方の、党の御意見も十分承りながらつくっていきたいと考えております。

泉田分科員 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 特に、やはり中山間地、土地改良を進めていくということは、スマート農業一つにしても、また収益性を上げる上にも大変重要だと思っています。自治体によっては、園芸をやらなければ土地改良を認めないというようなところもあるというふうに承知していまして、そういうことをやられると、豪雪地帯等は対応できないという部分がありますので、ぜひとも、そこで農業をやる人が希望を持てるような農政を進めていただければと思います。

 食料安全保障についてお伺いをしたいと思います。

 現在、食料安全保障は、カロリーベース、それから生産額ベース、さらに食料自給力、さまざまな指標が出されているわけでありまして、一体どれを見ればいいんだろうかと。消費者目線で見たときに、やはり心配なのは、万が一のときにちゃんと我々食べられるんだろうかというところにあるんだと思います。だから、本当はカロリーベースの食料自給率というのをメーンに考えるというのが私は筋だろうというふうに思います。

 一方で、酪農家の皆さんの気持ちというのもわかりますので、飼料について、これはどうであろうと国産でカウントするという考え方を否定はいたしません。ただ、全部芋でカロリーを供給すればいいということにもならないわけでして、じゃ、カロリーのほかに栄養バランスをどうするんだという観点。

 そもそも、石油であれば、石油途絶のイメージというのは、ホルムズ海峡でトラブルが起きたときどうするのか、そうしたらほかのエリアからとるのか、代替エネルギーを使うのかという具体的なイメージを持っているんですが、食料安全保障といったときの食料自給率というのはどういう場合を想定しているのか。日本国が完全に孤立して海外から一切物が入ってこないということを想定するのか、それとも飼料が入ってこないというのを想定するのか、そういう前提が消費者に十分伝わっていないので、一体この指標がいっぱいあるのは何なんだという話になるんだと思います。

 食料自給率、食料安全保障を考えるときに、どういうような世界があるからどういう目標を立てるのかというものをぜひ伝わるようにしていただければなというふうに思います。

 考え方を政府参考人に聞こうと思ったんですが、時間の関係で飛ばさせていただきまして、食の安心、安全の関係で環境省にお伺いをしたいと思います。

 特に、安心と安全の中で心配なのは廃プラスチック問題でございまして、紫外線や波の力によって廃プラスチックが海に流れた部分が分解をするとマイクロプラスチックになる、これが海洋汚染の原因になっております。レジ袋やストローが亀に絡みついたり、海洋生物が食べたりするというのは視覚的によくわかるんですけれども、マイクロプラスチックの場合は、吸収されて消化器からそのまま出ていくのか、それとも腸等から吸収されて筋肉等にも入ってしまうのか、またそれを食べた人に健康被害が生じるのかどうか、この辺がよくわからないという状況になっていますので、漫然たる不安がやはり広がっているということではないかなと思います。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、海洋の廃プラスチックの発生国はどういう状況になっていて、日本国内で対策をとった場合、どの程度これを抑制できるのか、さらに、マイクロプラスチックが生態系に及ぼす影響についてどのように認識しているのか、環境省にお伺いしたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 海洋へのプラスチックの流出についてでございますけれども、国際的には確立された推計はございませんけれども、アメリカのジョージア大学のジャムベック教授の推計によりますと、アジアや途上国からの流出が多くなっているということでございます。

 また、環境省でもサンプル調査をしておりまして、その中で、海岸に漂着したペットボトルにどういう言語が書いてあるかというのを確認したところ、西日本などでは外国語表記の割合が五割以上を占めた一方、東日本、北日本では日本語表記のものが大半というような状況がございます。

 このように、まず、海洋プラスチックごみ問題を解決するためには、国内からのプラスチックごみの流出を抑制するということ、さらには、アジアを始めとする途上国からの流出を抑制するために、我が国のすぐれた経験、技術を途上国に展開するという両面が必要だと考えております。

 また、マイクロプラスチックの生態影響でございますけれども、食物連鎖を通じまして生態系に影響を及ぼすということが国際的に懸念されております。ただ、これまで国内外の研究は種々ございますが、自然環境下での生態系への具体的な影響というところまでは確認されるに至ってございません。

 環境省では、環境中におけるマイクロプラスチックの存在状況、マイクロプラスチックへの化学物質の吸着、それからマイクロプラスチックの暴露による水生生物への影響や健康影響に係る研究動向等々、調査研究を実施しておりまして、引き続きこれらの調査研究を進めることで、マイクロプラスチック対策の基礎となる科学的知見の集積に努めてまいりたいと考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。環境省もさまざま取組をされていること、これからも頑張っていただきたいと思います。

 五十年前、私がまだ小さかったころを思い出してみますと、レジ袋なんてなかったんですよね。更に言うと、海洋でマイクロプラスチック問題が生じるなんて想像もできなかったということであります。やはり、素材をかえていく、分解される、自然界に戻っていくものを開発していくということも大変重要じゃないかなというふうに思っています。

 コストの問題があるということも十分承知しておりますが、社会的問題ですので、その辺をうまく軌道に乗せる方策ということも政府一丸となって取り組んでいただきたいことをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、大変ありがとうございました。

堀内主査 これにて泉田裕彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、簗和生君。

簗分科員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 日ごろより江藤大臣におかれましては、現場を第一に、現場を本当に直接御自身の目で、回られて、本当に地域の声を代弁されて農水行政を展開していただいていることに、まず冒頭、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 最初に、昨年、台風の影響で、相当な農地そして農業用施設の被害が生じた次第でございます。私の地元においては、台風十九号によりまして大変な規模で被害が生じた、その復旧に今当たっておるところでございます。

 数字を申し上げますけれども、那須烏山市という自治体でございますが、被害面積が百四十ヘクタールに上ってございます。水路でいいますと五十五カ所、頭首工六カ所、揚水ポンプが二十七基、その他農業用施設十五カ所ということで、被害農家が千五百以上ということで相当な規模でございます。今、国の国庫補助災害復旧事業ということで査定をしてもらいまして、実施設計の段階にありますけれども、これから設計完了後に入札、発注に進むという状況でございます。

 水田に土砂が流入した被害面積が百四十ヘクタールということを今申し上げましたけれども、実は、農業用施設、揚水ポンプですとか頭首工、こういったものの被害によってどれだけの面積が影響を受けているかといいますと、その農業用水を使うことで受益している面積が水田でいうと七百四十ヘクタールございまして、これらは復旧が間に合うのか、作付期に間に合うのかという大変な状況が今地元で生じてございます。

 那須烏山市においては、令和二年産の作付参考値の面積が一千三百四十七ヘクタールというものでございますので、先ほど申しました七百四十ヘクタール、これが作付不能という状況になると、半分以上の米の生産が減少してしまうという状況が今想定されてございます。

 今、復旧に現場でも大変に尽力していただいて、早期に復旧ができるように、営農再開できるようにということで大変な御尽力をいただいているところでございますが、改めて、農地や農業施設の被害の状況を国としてどのように把握をしているか、見解というか状況把握を伺わせていただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の台風十九号等では、全国で見ますと、農地約一万八千四百ヘクタール、農業用施設約二万四千カ所、栃木県、委員の御地元で見ますと、農地約二千三百ヘクタール、農業用施設約一千八百カ所の被害が発生をしたという報告を受けているところでございます。

 このうち、災害復旧事業では、農家等が復旧するもの以外の土木的な工事による復旧が必要なものを対象としておりまして、全国で農地約三千八百ヘクタール、農業用施設約四千七百件、栃木県で見ますと、農地約一千百六十ヘクタール、農業用施設で約六百二十件となるところでございますけれども、これらの災害査定を令和二年一月末までには完了いたしまして、順次、復旧工事に着手をしているところでございます。

 これら災害復旧事業につきましては、土砂の撤去等に時間を要しまして、今委員から御指摘いただきました、春の作付までに全て復旧を完了するということはなかなか難しゅうございますけれども、市町村、県とも連携して、できるだけ早期に営農が再開できるように努めてまいりたいと考えております。

簗分科員 国としてあらゆる手だてを講じて、作付に間に合わせていただきたいというふうに思います。

 先ほど、これから発注をするというお話をしましたけれども、例えば、揚水ポンプ、頭首工、こういったものを五月までに間に合わせるというためには非常に今タイトなスケジュールだというふうに思ってございます。大型の揚水ポンプですとか電気制御基盤というものは、受注生産という状況でございますので、発注してからどれだけでこれがちゃんと、復旧、もとの状態に戻るかというところ、非常に今、見通しもなかなか厳しい状況でございます。

 そうした部分、技術的な支援も含めて、あらゆる手だてを講じて営農再開を急いでいただきたいと思いますが、この辺の支援施策というものはいかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、農家の営農意欲を失わせないということが大変重要でございます。被災した農地、農業用施設を復旧いたしまして、早期に営農を再開するということで、これに対して全力を尽くしていきたいと思っております。

 このため、まず、復旧事業の発注につきまして、効率的に工事を実施するための発注ロットの拡大でございますとか、あるいは、概略設計で発注をいたしまして工事完了後に精算する、概算数量発注方式の積極的な活用、あるいは、緊急性に応じた適切な入札契約方式の適用などにつきまして指導しているところでございます。

 また、御指摘いただきましたように、本復旧に時間を要する場合でありましても、市町村等に対しまして、仮畦畔の造成でありますとか、あるいは仮設ポンプの設置などの応急仮工事の実施を指導しておりまして、できる限り営農できる農地を確保するようにしているところでございます。

 引き続きまして、できる限り早期に営農再開ができるように、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

簗分科員 今お話しいただいて、あらゆる手だてを講じて、万全の施策を講じて間に合わせるように、何とか、引き続き、現場重視で、現場に寄り添った支援をお願いしたいというふうに思います。

 そして、作付、どうしても間に合わないというものが出てしまった場合、そういったときの対応も考えていかなければいけないというふうに思います。まずは、急ぐ、間に合わせるということが前提ではございますけれども、例えば、水田の場合は、転作をする、大豆を作付する、そういう中で所得をある程度確保していくということも必要になると思いますが、この辺、今どのような支援を考えているのか。

 JAなすの管内、先ほどはJAなす南の管内のお話をしましたが、大田原市と那須町というところ、こちらも同様に、規模でいいますと、作付不能と見込まれるところが六十九ヘクタールとなっています。ここは、大豆などを作付して幾分所得を確保するように、今努力を地元でしてもらっていますけれども、それでも六十ヘクタール弱がやはり作付不能が見込まれています。

 そういう点も含めて、転作という点に対してどんな対応、支援をしていただけるか、見解をお願いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まずは営農再開に向けての取組に農林省として全力を尽くしておるところでございますが、水田の復旧が間に合わず、水稲の作付が困難な場合にありましては、委員御指摘の大豆、それからソバなど、水稲以外の作物を作付けることにより、水田活用の直接支払交付金等による支援が可能でございます。

 農林水産省といたしましては、地方農政局等とも連携いたしまして、被災地域の状況を引き続き丁寧にお聞きしながら、水稲以外の作物への転換に向けた対応を進めてまいりたいと考えております。

簗分科員 地域の農業を守る上で、大変重要な時期に来ています。何とか所得を確保できるように、引き続きの支援をお願いしたいと思います。

 地元の要望として、あわせてですけれども、土壌改良、土を入れかえた場合、土が痩せてしまいますので、その辺も、栄養をしっかりと土につけるための支援、例えば栄養剤の購入の補助とか、そういったものを展開していただきたいと思いますが、この辺はいかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年以降、台風や豪雨といった自然災害における土壌への被害に対しまして、営農再開に向けまして、追加的に必要となる肥料の購入などを支援しているほか、土壌が流出した農地におきまして、災害復旧事業により客土を行った場合、こういった場合には、堆肥の追加的な投入、こういったものも支援をしているということでございます。昨年の台風被害につきましても、これらの取組につきまして支援措置を講じたところでございます。

 今後とも、被災された農業者の方々が安心して営農を再開できるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

簗分科員 ありがとうございました。

 活用できるメニューについて、丁寧に現場に説明をしていただいて、遺漏なく対応していただきますよう、お願い申し上げたいと思います。

 次の質問に移りますが、実効性のある令和二年産の水田農業施策ということに焦点を当てたいと思います。

 平成三十年産から生産調整の見直しが行われまして、生産数量目標配分をやめるという形で、また新たな水田農業施策がスタートしました。

 この二年間を見ますと、需給が安定しているかのように見える、そういった見解もありますが、これはよく見れば、皆様御承知のように、天候不順等で作況が落ちたことによってこういった状況が生じているという面もあることは確かだと思います。そういう意味で、三年目となることしは、いよいよ新たな水田農業の制度が正念場を迎えるというふうに思ってございます。

 まず、この見直しを行うに当たって、需要に応じた生産というもの、これが一番の目的であったわけですから、この辺の観点から、令和元年産の作付の結果について、農水省としてどのような分析をしているのか、見解を伺いたいと思います。

天羽政府参考人 令和元年産の作付状況について御質問をいただきました。

 令和元年産の主食用米の作付状況につきましては、全国ベースでは百三十七・九万ヘクタールということでございまして、これは、前年実績からは〇・七万ヘクタールの減少ということでございます。

簗分科員 戦略作物とか備蓄米の状況についても、どのように見解を持っているか、伺いたいんですけれども。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 戦略作物の中で飼料用米につきましては、令和元年産七・三万ヘクタールということで、対前年実績との比較において〇・七万ヘクタールの減ということでございます。

 その他、備蓄米につきましては、二・二万ヘクタールが三・三万ヘクタールということで、一・一万ヘクタール増ということになっております。

 これらにつきましては、地域の水田協議会などで、その年の作付をどうしようかという御議論をいただくわけでございます。主食用米の需給の状況なり備蓄米の取組状況などを踏まえて、産地生産者の判断により作付が行われた結果というふうに考えております。

簗分科員 産地ごとの判断ということで、それを重視して、やるということが、この新制度の内容ではもちろんあるんですが、それがしっかりと需要を反映するという形になるかどうかというところは、まだまだ、現場も含めてですけれども、農水省としても対応を十分にしていく必要があるというふうに思っておりますので、ことし、正念場になるということを先ほど申しましたけれども、主食用米から非主食用米等に作付を転換する上で、より実効性のある施策をどのようにことしは展開していくか。意気込みも含めて、ちょっと説明をお願いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、需要に見合った生産、需要に応じた生産、これが重要であるというふうに考えておるところでございます。

 このため、令和元年産の作付状況も踏まえまして、二年産に向けましては、これまで以上に、各種の作物についての情報提供の充実、さらには、地域の水田において、作付を判断いただく、作付方針を検討していただくに当たり重要な役割を持ちます農業再生協議会に対しまして、円滑な業務遂行に必要な、まずは事務費の支援を行います。

 さらに、令和二年度の水田活用の直接支払交付金の中では、戦略作物助成の単価や助成体系は維持をした上で、新たに、地域における麦、大豆等の生産拡大を直接支援できますよう、転換作物拡大加算というものにつきまして、従前の県単位から、地域単位、地域の市町村ごとに置かれていることが多いわけでありますけれども、再生協議会単位で交付できるよう見直しを行っております。

 また、基盤整備とあわせまして、高収益作物や子実用トウモロコシへの産地形成に向けての計画的な支援を創設しております。

 最後になりますが、農水省の職員が産地に直接出向きまして、JAや生産法人を始めとする関係者に一層きめ細かな情報提供をしていくといったようなことで、事前契約なども含めて働きかけをしてまいりたいと考えております。

簗分科員 最後にお話のありました、やはり現場をしっかり回るということを引き続き力を入れていただきたい、そのように思います。

 今、お話の中で、飼料用米の数字も指摘をいただきましたけれども、二年連続で作付が減少してしまったという状況があります。もともと、この飼料用米というもの、転作においては非常に重きを置いて、主食用米の価格を安定させるということで進めてきた、そういう経緯もございまして、二年連続で作付面積が減少したということをやはり重く受けとめざるを得ないのかなというふうに思います。

 いわゆる比較優位の中で、どちらが有利かということで、飼料用米の作付が進んだという状況が当初はあったんだというふうに思います、これも指摘をされてきているところですけれども。しかし、本来的には、飼料の自給化というそうした畜産の面の話もありますけれども、しっかりと需要に応じた形で飼料用米も生産をしてもらう、そういう流れをしっかりつくって定着させていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。

 そういう意味で、耕畜連携というものをより推進していただいて、しっかりと飼料用米、実際にはまだ飼料用米で活用できる部分というものは、非常にまだ余力としては、当初の数字では多いというふうな試算が出ているわけですから、その辺も踏まえて、飼料用米の生産拡大をどのように図っていくのか、これをお伺いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、飼料用米につきましても、需要に応じた生産が重要というふうに認識をしておりまして、農林水産省におきましては、畜種別の飼料用米の需要量を毎年調査して公表いたしますとともに、各県ごとに畜産農家の希望数量などを取りまとめて、耕種農家に情報提供するマッチングの取組を、都道府県それから地域農業再生協議会と連携して実施しておるところでございます。

 また、水田活用の直接支払交付金のうち、地域の裁量で活用が可能な産地交付金というものがございますけれども、耕畜連携の取組への支援を可能としておりまして、先生御地元の栃木県でもこのような取組が行われております。

 さらに、令和二年度からは、飼料用米につきまして、より安定的な生産、供給に誘導していこうということで、複数年契約に対する加算を措置することとしております。

 農林水産省といたしましては、今後とも、きめ細やかな情報提供、マッチングの促進、安定供給の推進を通じまして、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

簗分科員 いずれにしましても、やはり現場からは、この水田活用の直接支払交付金がしっかりと交付単価を維持して、交付体系も維持して恒久的に措置されるのかというところが非常にやはり懸念としていまだにありますので、これについては、必ずこれをしっかりと維持していくという決意で取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、酪農のお話に移りたいというふうに思います。

 都府県の酪農、非常に生産基盤が弱体化しているということで、これも、ここ何年か非常にクローズアップされて、議論をしてきたところでもございます。

 特に中小規模、家族経営の酪農家が非常に多いですから、生産基盤の強化をしっかりと図っていくということ、そして、後継者対策も含めて、営農が継続できる環境をしっかり支援していくこと、こういったことが重要になっておるところでございます。

 特に、国全体で見てやはり重要だと思うのが、これも最近、非常に指摘を多くされてきましたけれども、北海道と都府県産のバランスが非常に今崩れてきているという状況でございます。北海道から外に移出する生乳量がどんどんふえているという状況があるわけです。これによって、ちょうど台風の時期と飲用の生乳の需要期が非常に重なるものですから、北海道から、ほくれん丸が移出をしてもらっているわけですけれども、そういった悪天候による欠航もふえているという状況も聞いております。

 そういう意味で、安定供給に非常に懸念が生じていますし、飲用と加工用ですみ分けをしてきた国全体の生産体系のあり方も、これから非常に、その安定等が損なわれてくる可能性も指摘できるというふうに思います。

 そういった全体の状況も踏まえて、改めて今回、都府県と、そして中小・家族経営、こうしたものの生産基盤強化のために新しい施策も打ち出していただきましたので、その詳細を伺いたいと思います。

 一つが乳用後継牛への増頭奨励金、もう一つが畜産クラスター事業の要件緩和、この辺について、どのような政策の中身であって、また、実施するに当たって、それを効果的に進めるための、どのような見解をお持ちか、お答えをいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、これまで、酪農の生産基盤強化のため、さまざまな事業を行ってきたところでございますけれども、今、先生御指摘のとおり、都府県酪農の生産基盤の強化が喫緊の課題となってきている状況でございます。北海道からの移出がふえているというのもそのとおりでございまして、それが限界に近づいてきているというのもおっしゃるとおりでございます。

 こうしたことを踏まえまして、令和元年度の補正予算におきまして、都府県の中小規模経営を対象といたしました増頭奨励金の交付という事業と、それから、畜産クラスター事業の規模拡大要件、これを中小規模の方が活用しやすいように緩和するということにしたところでございます。

 特に増頭奨励金につきまして具体的にちょっと申し上げますと、対象となる乳用初妊牛を導入した場合の支援ということでございますけれども、その価格に大きな影響を与えないように、都府県の中小酪農経営を対象としております。具体的には、昨年の十二月末時点で乳用雌牛の成畜、二十四カ月齢以上の頭数が百二十頭以下の都府県の酪農経営を対象といたしております。

 また、二点目といたしましては、一経営体の補助頭数の上限を六十頭としておりまして、かつ、増頭後の成畜の頭数が百二十頭を超える場合には、超える分については対象としないという形で整理をさせていただいております。それから、これが、増頭でございますので、単なる乳用牛の更新がこの事業の対象となることがないようにするために、初妊牛の導入ごとに補助するのではなくて、昨年の十二月末とことしの十二月末、この一年間の頭数の比較をいたしまして、この一年間に増頭した実績に応じて支払うというやり方にしているところでございます。

 また、畜産クラスター事業につきましては、規模拡大要件につきまして、これまで、地域における平均飼養規模以上に拡大をしていただきたいということでございましたけれども、これを、特に畜産の先進地等では、なかなか、地域の平均規模が非常に大きいということもございましたので、例えば都府県におきましては、北海道を除く都府県のおおむねの平均飼養規模という要件でもいいということで、従来の要件とこの要件と選べるようにしたということでございます。例えば肉用牛の繁殖経営におきましては、都府県の平均規模は十一・五頭でございますので、おおむねでございますけれども、それを十二頭以上であればいいという形に整理をさせていただいたということでございます。

 こういった取組をしっかりと実施することによりまして、都府県の生産基盤、しっかりと回復できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

簗分科員 中小・家族経営においては、酪農ヘルパーもやはり非常に重要ですね。緊急時ですとか、あるいは、ある程度ゆとりのある、そうした営農をしたいという中で、酪農ヘルパーはありがたいという声を非常に聞きます。

 その中で、やはり要員確保に向けて、今現場も非常に強い要請があるわけですが、政策として、どのようにそれに応えていけるのか、新しい政策として、どれぐらい拡充がなされたのかというところをお伺いしたいというふうに思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 酪農ヘルパー事業でございますが、酪農家の休日確保、傷病時の経営継続を目的としているものでございます。ただ一方で、ヘルパー業務を通じた酪農後継者、新規就農者の育成といった役割も担っているところでございまして、酪農生産基盤の維持にとりまして極めて重要なものと認識をしているところでございます。

 農林水産省では、酪農ヘルパー事業によりまして、ヘルパー要員の確保、育成、それから病気やけがのときの、傷病時のヘルパー利用料金の軽減、さらには酪農ヘルパー利用組合の体制強化などを支援してきたところでございます。

 さらに、現在、御指摘のように、酪農ヘルパー事業の課題といたしましては、人材不足への対応が求められているということでございます。

 令和二年度におきましては、まず一点目といたしまして、就業前に、そのヘルパーの持っている業務イメージと実際のギャップを埋めるために、ヘルパーに内定した方に向けて研修を行うことを実施しようとしております。

 それから、二点目といたしましては、ヘルパー組合が農業高校とか農業者大学校に出向いて、PRや説明会、こういったものも行うということとしております。

 また、三点目といたしましては、特定技能外国人の活用ということも念頭に置いて、外国人の採用に係る経費、あるいは生活面をサポートする登録支援機関がございますので、そこへの委託費用、こういったものにつきまして新たに支援をすることといたしているところでございます。

 今後とも、酪農の大層でございます家族経営がゆとりを持って酪農を営めるように、酪農ヘルパーの確保、育成、利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

簗分科員 酪農ヘルパーは、今やはり、人材供給をいかにやっていくかという中で、従前の、その酪農組合ごとにそれを運営するのではなくて、より広域化をして人材をしっかり円滑に確保していくということもこれから必要になると思います。

 それからあとは、ヘルパーさんがやはりしっかり生計が立てられるように、その辺を、国として何か統一的な、こうしたあり方を打ち出していけないか、そんなことも考えておるところでございますので、引き続き検討をお願いしたいと思います。

 家畜排せつ物の処理施設の整備、更新のお話、こういったものも質問として挙げたかったんですが、これは単純に、規模を拡大しなくても現状維持でも使えるような制度としてぜひ検討をお願いしたいということで、要望にとどめたいというふうに思います。

 もう一つ、畜産関係のお話で、次の質問に行きますが、今度は和牛の方ですね。繁殖雌牛への増頭奨励というものも今回新たに打ち出していただいたところでございますが、この制度の活用においては、増頭に伴う畜舎の拡大に関して、畜産クラスター事業を使うまでには至らない、和牛の繁殖ですから、そんなに頭数がない経営体があるわけですから、少数増頭において、簡易牛舎等をあわせて整備するような、そういった場合にセットでこれら事業が使えるような、使い勝手をよくしていただきたい、そういう要望が地元でありました。それについて現状をちょっと、見解をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、和牛の増頭を図るためには、規模拡大のために新たな畜舎の整備が必要となる場合もございますけれども、その場合におきまして、低コストで整備可能な簡易牛舎というのが非常に有効であるというふうに考えているところでございます。

 農林水産省といたしましては、従来から繁殖雌牛の増頭に取り組む方に対しまして、ALIC事業、農畜産業振興機構の事業で、簡易牛舎の整備、資材導入などへの支援を行ってきたところでございますが、今回、元年度の補正予算で増頭奨励金の増頭対策というものを打ち出したところでございますので、簡易牛舎の整備の要望もふえるということが見込まれておりますので、この予算を増額しているところでございます。

 またさらに、近年、資材価格とか労務費など、建築コストが上昇しております。これを踏まえまして、この事業におきます事業費の上限単価につきまして、従来一平米当たり二万円から二万五千円に来年度から引き上げることとしたところでございまして、これによって肉用牛の増頭をしっかり支えてまいりたいというふうに考えております。

簗分科員 次の、恐らく最後の質問になりますけれども、豚熱対策の話をしたいと思います。

 江藤大臣の御決断によりましてワクチン接種も始まりました。また、既に今国会において、議員立法で家畜伝染病予防法の改正によりまして、アフリカ豚熱の予防的殺処分の対象疾病化もなされたという状況にあります。

 政策は非常に拡充して、進んだように思いますけれども、やはり何といっても、基本は飼養衛生管理、各家畜の所有者、農家の日ごろの衛生管理がやはり基本であるということは変わりませんし、これを改めて私は強調しなければいけないというふうに思います。

 その上で、今新たな法案を、今度は閣法の方で、こうしたところも拡充強化されるような手だてを今打っていただいているところですけれども、各農家がこの飼養衛生管理の基準をしっかりと遵守する、これを担保していく上で、農家の責務を明確化したりですとか、あるいは都府県による農家への指導力を強化する、こういったことが必要であると思いますけれども、これまでの実情に係る認識と今後の改善に係る方向性等について、農水省の見解を伺いたいと思います。

伊東副大臣 お答えいたします。

 豚熱、いわゆるCSFでありますけれども、この家畜の伝染性疾病の発生予防のためには、防疫の基本であります飼養衛生管理の徹底が、議員おっしゃられるとおり、もう大原則であります。

 これまでも、意識向上のためのステッカーの配布や、あるいは農家負担の少ない防護柵の設置支援などを講じてきたところでありまして、飼養衛生管理基準の遵守の徹底に取り組んできたところであります。

 一方で、今般のCSFの発生事例におきましては、農場での飼養衛生管理基準の遵守について不十分な点があったと指摘されていることや、都道府県による飼養衛生管理基準の指導状況にばらつきがあり、十分に是正ができていなかったことが明らかになっております。飼養衛生管理基準の遵守を達成するために、対策の一層の強化が必要と考えているところであります。

 このため、本日閣議決定されました家畜伝染病予防法の改正案におきましては、家畜の所有者の責務として、家畜の伝染性疾病の発生予防と蔓延防止について第一義的責任を有していること等の規定を新設し、明確化するとともに、あわせて、国や地方公共団体の責務を明確化し、それぞれが役割を自覚し、連携を図ることといたしております。また、農家の責務を十分に認識、遵守してもらうため、農場ごとに飼養衛生管理に関する責任者を選任し、最適な衛生状態を維持する体制を確保するとともに、国の指針に基づき都道府県が計画を定めて農家の飼養衛生管理を指導する制度を創設いたしたところでありまして、全国的に都道府県の指導の水準を向上させることとしているところであります。加えて、蔓延防止措置として、飼養衛生管理基準の遵守が認められないときは、都道府県知事が農家に対して指導助言を経ないで緊急に勧告、命令ができる仕組みも創設することといたしているところであります。

 引き続き、しっかりと対応してまいりたいと思うところであります。

簗分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。

堀内主査 これにて簗和生君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美さん。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

金子(恵)分科員 立国社共同会派の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 江藤大臣におかれましては、就任してから、台風被害への対応、そして今もありましたけれども、豚熱、CSF、アフリカ豚熱、ASF対策等、本当にさまざまな取組をしていただいております。十分かどうかというのは、もちろん、現場で対応していただいている皆様方の声を聞いていただいて、そして御確認をいただいていることだというふうに思っております。広く現場の声に耳を傾けていただき、さまざまな課題に真摯に取り組んでいただきますようお願いをしたいというふうに思います。

 そして、今回は、新型コロナウイルスへの対応も進めなくてはいけません。内閣の一員として、あるいは、農水省に対策本部もおありになっていてということでいろいろな御発言をされておりますので、その件も含めましてきょうは質問させていただきたいと思います。

 まず一つ目は、私の地元福島県でも、台風十九号とその後の大雨に伴う県内の農業被害の額は本当に過去最大ということでありまして、厳しい状況にありますけれども、この件につきまして質問させていただきたく存じます。

 まずは、農林水産関係被害額三千百八十億八千万円ということでありますので、大変大きな被害でありました。そして、今もなお営農再開もできないで苦しんでいる人たちもいるというのは、恐らく、台風十五号から十九号、そしてその後の二十一号に伴う豪雨ということで、全国同じ状況だというふうには思っています。

 そのことはわかっていながらも、しかし、東日本大震災、原発事故で苦しんでいた我々被災地の人間としましては、これまでもそうでしたけれども、風評被害との闘いもしながら、何とか何とかここまでたどり着いたということであります。営農再開ができても、風評被害との闘いということでダブルの状況でしたけれども、今回はトリプルです。また被害です。

 私の地元福島県、総額六百三十六億二千二百七十七万円が県が調査を終えて確定した被害額であるのでございますけれども、じゃ、今に至るまでどのように災害対応が進められてきたかというと、国は、昨年の臨時国会の段階では予備費で対応、そして、やっと補正予算で災害対応費が出てきた、そしてまた、今こうやって当初予算を審議しているということでありますけれども、お金を出せばいいということではなくて、大変厳しい状況にあるのは今も実は変わらないわけです。

 最近でも、私、地元にいろいろと聞き取りをさせていただきまして、福島県で、例えば作付に本当に間に合うかどうか、それぞれの市町村で頑張っているのだけれども、まだ明確に大丈夫という言葉がいただけていないというようなこと、福島県から聞き取りをしたときにそういう言葉がありました。また、復旧作業を行う上で現状想定されているのはやはり業者の不足なんだということで、県外からの業者確保というものもしていきたいというふうに思っているけれども、県外からの移動にかかる交通費などのコストを考えるとなかなか手を挙げてくれる事業所もいないんだとか、こういうことなんです。人手不足とか、そしてまた、事務的に言えば、申請書類も本当に大変な負担であったというような声を農業者の方々からも届けられてきたということで、全体の仕組みとか人的な部分での支援とか、いろいろなことで支援が必要になってくるんだと思います。

 ですので、改めてお伺いさせていただきたいというふうに思うんですけれども、予算を出せばいいということではないということはわかっていただいていると思います。ですので、大臣、農水省として、これまでどのような支援をしていただいてきたか、そしてまた、今後もどのように寄り添い続けるのか、お伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 委員におかれましては、大変な御苦労をされて。

 福島の方ともよくお会いする機会があるので、お米についても、全量検査から今度は抽出検査に移られるということで、風評被害を心配されているような声も聞いております。本当に御心配なことが多くて、我々としては全力で御支援させていただきたいという気持ちを持っております。お金が全てではないと思っています。

 ですから、ことしに入りましてもたびたび、地方農政局、東北農政局だけではありませんけれども、地方の農政局とテレビ電話をつないで私が申し上げているのは、被災地のニーズというものは、発災当初と、復興半ばと、それから、査定が済んで、これからいよいよ発注に臨もうとするのと、これから春に向けて、例えば桃園の防除に向かってどうするのか、改植をどうするのかという段階になると、ニーズはその時々で大きく変わっていきますので、最初にやったものが是とするわけではなくて、その後、その施策がどのように現場で受けとめられて、それに対してどのようなリアクションがあって、どのような声が寄せられているかということを一生懸命聞く努力をさせていただいております。ですから、農政局の諸君、それから本省の諸君も、たびたび現場に足しげく通うことをまず心がけさせていただいております。

 それから、一番大事なことは、例えば土砂なんかについては、もちろん復旧作業をしなきゃなりませんし、査定も大体終わったというふうに聞いておりますけれども、しかし、桃なんかは、水につかっただけで、非常に樹体が弱いので、改植が必要だということになれば改植しなきゃなりません。一部の改植は始まっているという報告をいただいております。

 それから、農業施設についても発注をしなきゃなりませんが、私は、申しわけない、福島に行けていないんですけれども、この間、長野県には行ってまいりまして、担い手の方々とも意見交換をさせていただきました。私の顔を見て話しているうちに泣き出す青年がいたり、心の傷も、現場もまだまだ本当に道半ば以上のものがあるなということを感じております。

 業者の発注にしても、査定は済んだ、しかし資材はない。県内の業者は、集中的な復興期間、国土強靱化の期間であって、県内の公共事業等も不落があったりして、業者も非常に仕事がタイトであって、県内業者も、建設業協会を通じていろいろ手当てをお願いしているけれども手当てがつかないというような声もたくさん聞かせていただいております。

 そういうようなことを聞いて、あと、書類的な問題もたくさん聞きました。ですから、農水から人間をたくさん、例えば査定については、土木の技術者がいないから査定ができないということもたくさんありましたので、相当な数、六百五十一人、技術職員を派遣させていただきました。

 ですから、また先生方からもいろいろな声を聞かせていただいて、何が足りなくて何を追加しなければいけないのか、またたくさん御意見を賜れれば、できる限りの対応をしていきたいと考えております。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 現場の声を聞いていただいているということで、もちろん、福島県だけではなくて、今大臣がおっしゃっていただきましたように、長野県でも大変厳しい状況であるというふうな認識は持っていますので、とにかく、全ての被災地でしっかりと第一次産業の再生ができ得るような支えをしていただきたいというふうに思います。

 ちょうど二月七日の地元紙に、台風十九号で圃場に堆積した稲わらの除去を支援する作業が六日、郡山で始まった、自力で除去が困難な農家から委託を受けた市やJA福島さくらが、今後一カ月程度かけ、被災した圃場約三ヘクタールの稲わらを収集し、営農再開を後押しするというような記事がありまして、これを見たときに、よく御理解をいただきたいと思うんです、二月です。十月にあった災害で、今こうやってやっと、堆積した稲わらの除去をしているという状況なんですよ。人も足りない、何とかしなきゃいけないということなんです。

 ぜひ、私は、農林水産省というのは、各省庁を見ていても、一番現場を歩いている省だと思っています。ですから、大臣みずからリーダーシップをとっていただきまして、更にこのような災害の対応をしっかりとやっていただきたく、お願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 時間が限られておりますので次に参りますが、次に、新型コロナウイルス対策についてお伺いさせていただきます。

 改めて、新型コロナウイルスに感染した皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた皆様方に哀悼の意を表したいというふうに思います。

 そして、農水省が行う新型コロナウイルス対策でありますけれども、大臣は、既に農水省内で開かれた対策本部で、十八日に、あらゆるリソースを活用することが重要というふうに強調されたというふうに伺っています。農水省の動植物検疫向けのPCR検査機関がウイルス検査に活用できるように厚生労働省と連携する考えを示されたというふうに伺っています。

 PCR検査ができる農水省の施設は全国に九十カ所あるということで御発言されていますけれども、もちろん、大臣もおっしゃっているように、この農水省所管の検査の施設というのは、CSF等あるいは病害虫などの検査で第一義的な責務を担っているということでありますので、調整をしっかりとやっていかなくてはいけないというふうに思いますし、安全そして的確な検査ができるようなそういう環境というものを整えていかなくてはいけないというふうに思います。

 まずは、そのことをどのように考えられているのか、そしてまた、大臣が発言されてからもう一週間たっていますので、どのように進められてきたかということをお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 結論から申し上げますと、私どもの方から厚生労働省に、汎用性があると、我々が持っているPCRの機械、それから人材的にも技術的にも対応できるだけの能力は持っていますというお話はさせていただきました。

 しかし、我々が扱っているものは基本的に動植物でありますので、人間に感染しないものをふだん扱っているというハードルがあって、その部分をどう厚労省が整理してくれるかということを、正直なところ、ちょっと待っている段階でありますが、しかし、非常時ということであれば、ある程度、私としては、少しぐらいの壁があっても、越えなきゃいけないときには思い切って越えなければならないと思っています。

 しかし、CSFもまだ終息したとは言いがたい段階にあります。我々も、フルゲノムも含めて、この検査をするときにはラインをやはり使いますので、こっちの業務も一義的にはしっかり果たさなければならない。確かに、国家的な危機であるというふうにこのコロナについては自覚をいたしておりますが、我々が持っている本来業務を全てストップさせることもこれは国民の利益を害する、国民の財産を毀損する可能性があると思っておりますので、どの範囲でできるかについては整理をさせております。

 ですから、厚生労働省と話がつき次第、我々のところで協力できるところはしっかりさせていただける体制が整いつつあるというふうに御理解いただければいいと思います。

金子(恵)分科員 おっしゃっていることはよくわかりますが、ただ、大臣は、協力をしていくというふうに御発言をしたわけですから、どのような協力をしていくのかということは、私たちもそこは期待をしているところであります。

 もちろん、今おっしゃっていただきました豚熱の関係とかいろいろと課題はあるので、簡単なことではないと思います。いろいろな御判断をしていかなくてはいけないというふうに思います。ただ、発言は発言ですから、それをもってどのような努力をしたかということをここで伺わせていただきたいと思います。

江藤国務大臣 具体的に私は疫学的な知見も持っておりませんし、技術者でもありませんので、現場の方に、今、我々農林水産省で全国九十カ所持っている機材等は今のコロナに対する検査に対して汎用性があるのか、十分対応できるような精度と機能を有しているのかということをまず確認させていただきました。これについてはイエスということであります。

 技術的にも、人と動植物という違いはあれども、これが黒であるかそれとも陰性であるか、陽性であるかの判断をする技術的な能力も十分に農林水産省の人間も持っているというところまでは確認をさせていただいておりますので、御要請があれば対応はできますが、しかし、我々としても、繰り返しになりますけれども、全てのラインをあけるわけにはまいりませんので、そのうちの何割ができるかというところまでは詰め切っていないというところでございます。

金子(恵)分科員 感染拡大防止をしっかりとやっていかなくてはいけないという大変厳しい状況にあるこの新型コロナウイルスの問題でありますので、農水省としても協力をされるというふうに明言されたからには、それはされているということであるけれども、最終的な御判断はこれからということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そこは、今申し上げたように、いろいろな課題を今抱えていると思いますので、なかなか難しい最終判断になっていくんだというふうには思いますけれども、ただ、世界のこの新型コロナウイルスの問題というふうにも思っていただいて、もう亡くなった方もいるということでありますので、早い段階での検査体制のしっかりとした構築というものがなされればここまで広がらなかった可能性があるわけですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その上で、この影響なんですけれども、農水省の立場として、農業分野等についてどのような影響があるというふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 農林水産省は、国内農業の振興だけにとどまらずに、国民の皆様方に安心で安全な食料を安定的に供給するという責任を有してございます。

 特にこの季節におきましては、タマネギそれからショウガ、ニンニク、長ネギ等、中国に依存する割合が極めて高い時期にこのコロナウイルスが発生いたしました。そういうことで、中食、外食、特に規模の小さいところにおいては原材料の供給が十分にいただけないということで、困ったなという声も聞いております。

 しかしながら、若干状況も改善してきておりまして、二月の第三週には平年の八割から、物によっては倍ぐらいまで戻ってきておりますから、業界もちょっとほっとしているのではないかと思います。二月の第二週あたりは平年の一割―三割ぐらいまで減ってしまっておりましたから、急激な回復だというふうに思っています。

 価格もばらつきはありますけれども、山東省から来る一次加工したタマネギは、一次加工で皮がむいてある業務用のやつですね、これが足りなくなって、随分テレビでも報道されましたけれども、今、大体一一八%、前年の、平年並みと考えたところで一八%ぐらいの価格上昇にとどまっております。ネギなんかは逆に量がふえて五七%ぐらいに下がってきておりますから、今のところ大きな影響が及んでいるということではありませんが、一定の影響が出ているというふうに把握をしております。

金子(恵)分科員 今、随分回復しているので、実はタマネギのこともあるわけですね、私も質問しようかと思ったんですけれども。やはり、この機会というのを生かしていくということで、大臣も、可能な場合は国内産への切りかえを呼びかけるというような御趣旨のことを発言されてこられまして、私は、そこはそこで賛成をしていきたいというふうに思います。

 今回のようなことがいつ何どき起こるかわからないということをしっかりと想定した上で、やはり食料の安全保障というのを考えていかなくてはいけないというふうに思うんです。外食、中食を中心に影響が出ているというようなイメージはあったわけでありますけれども、今回のことを考えると、やはり国内にいる我々あるいは国民の皆さんも、いかに中国産のものを今まで食べてきたかとか、あるいは海外に自分たちの食というものが委ねられているかとか、そういうことを考える一つの機会にもなったのではないかというふうに思いますので、国内産への切りかえ呼びかけというのは、実は私は賛成であります。

 一方で、日本人の外出の自粛というものもあるし、またインバウンドの減少というものもありますから、観光農園とか直売所に対しての減少というものも今後懸念されるのではないかということであります。

 もちろん、長期化していけば、経済対策や補正予算の編成というのは必要になってくるというふうに思いますし、そもそも、今回しっかりと、コロナウイルス対策の予算が今国会の当初予算に盛り込まれていないということでありますから、私たちも動議を出したいというふうに思っているわけでありますけれども、そういうことも含めて、やはり予算がこれから必要になってくる可能性があります。

 そのことについての対応をすべきであるということで、御決意というのはありますか。

江藤国務大臣 先ほど一一八と申し上げましたタマネギ、一一六でありますので、若干答弁の数字を修正させていただきます。

 最初に申し上げましたように、国内農業でも、おっしゃったように、地方には今、道の駅とかいろいろな直売所で農家の重要な所得になって、そこに外国人の方々がお越しになるというような現象もたくさん見られますから、そういった影響も見逃せないと思っておりますし、国内の消費者の皆様に対する食料供給の責任というものをしっかり果たしていかなきゃいけないと思っております。

 我々としては、そういったことが起これば、必要な予算についてはしっかり確保されるものだと思っておりますし、閣内においてもしかるべき発言をさせていただこうと思っておりますが、今のところの段階で申し上げさせていただくと、例えば中食、外食等で非常に中国からの観光客等が減ってしまったという場合であれば、先生も御存じの雇用調整助成金なんかの御活用をいただくようなことも可能でもありますし、いろいろな施策を、ですから、農林水産省だけではなくて、食を支えているのは我々農林水産省だけではありませんので、いろいろな省庁がみんな束になって、横に一つに並んでタッグを組んで支えていくことが大事になっていくのではないかなというふうに考えております。

金子(恵)分科員 それでは、次の質問に行きます。

 食料・農業・農村基本計画の見直しについてでありますけれども、二十一日金曜日、企画部会において基本計画の骨子案が示されたわけです。

 大臣にお伺いします。

 今回の基本計画見直し、どのような方向で見直しをされているのでしょうか。

江藤国務大臣 あらゆる方面に私は光を当てたいと思っています。例えば、兼業で営農されている方にも光を当てたい。規模の大小にかかわらず、営農していただいている方々については、大変大切な、日本の食を支える担い手であるという位置づけもしっかりしていきたい。

 そして、規模拡大も、私は一面、とても大切だと思っています。分散錯圃している農地を一つに集約して生産効率を上げていくということは大事でありますが、しかし、そればかりではない。私のところなんか三つの村がありますので、そういったところで農地を集約するといってもなかなか難しい。

 ですから、今回、中山間地域の直接支払い制度におきましても、加算措置を三つ追加させていただきました。一つの施策においては、拡充を一つさせていただきました。それから、昨年はおかげさまで棚田法案も、皆様方の全員の御了解をいただいた上で、全会一致で通させていただきました。

 いろいろな役所が一丸となってやっていくこともたくさんありますけれども、私としましては、産業政策と食料政策、産業政策と地域政策という話をずっとこれまでしてきましたけれども、今まで以上に地域政策に重点を置いていきたい。産業政策を否定するものではもちろんありません。農林水産業も、一次産業である限りは成長産業であるべきだと思いますし、産業のくくりから抜けることはできませんが、しかし、農林水産業が果たしている文化的な、地域的な、若しくは国土保全的な役割、そういったものもしっかり書き込まれたような食料・農業・農村基本計画にしたいなということで、多方面の方々から御意見を賜っているところでございます。

金子(恵)分科員 大臣から地域政策を重視していくというようなお言葉があったというふうに私は解釈しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 私は、今回の基本計画の見直しで大きな見直しがあったのは食料自給率に関する部分だというふうに思っておりまして、新たに飼料自給率を反映しない産出食料自給率を加えるという方向だということです。現段階では骨子案ということで議論をされているわけですから、明確に、飼料自給率を反映しない産出段階のものを新たな形で盛り込んでいくということであります。

 食料自給率について、どのようなお考えをお持ちですか。

江藤国務大臣 食料自給率は、国民の皆様方が本当に今のように潤沢に海外から輸入できなくなったときに食に困らないようにするための、国民の皆様方に示すべき大切な指標だと思っております。ですから、カロリーベースの食料自給率というものが私は一番フィーチャーされるべきものだと思っておりますし、これが中心であるということに私は変わりはないというふうに思っています。

 産出食料自給率については、名称はまだこれに決まったわけではございませんが、一つ申し上げさせていただくと、例えば私の地元では、畜産県でありまして、農業県でありますが、総農業生産の五〇%以上は畜産業が占めております。しかし、トウモロコシ等を中心に濃厚飼料等も輸入に頼っているということであって、なかなかカロリーベースの中には算入できない。多分、今の計算でいくと、頭のここから先ぐらいしか算入できないんだろうと思います。

 しかし、現実を見ますと、日本は、和牛はピュアブラッドだということで、松阪牛や神戸牛や宮崎牛、そういったものを外国にこれからいよいよ打って出よう、外国への輸出の中心的な品物として肉を据えていきたい、牛肉を据えていきたいということになっておるわけでありますが、それが、ピュアブラッドの日本の和牛ですと言いながら日本の指数には全く反映されないというのは、ある意味理論矛盾があるのではないかというふうに思っています。

 そして、農家の方々、畜産農家も農家ですから、彼らの努力は食料生産それから食料自給率に対して全く貢献性がないという指標の出し方もちょっと不十分な部分があったのではないかと私は思っております。

 ですから、今までのとおり、国産飼料のみで生産可能な部分を厳密に評価する食料自給率というものもしっかり出しながら、そして、輸入飼料を原材料とする畜産を中心としたそういったものについても一定の割合については算入していくことも、私は論理的には正しいのではないかというふうに考えております。

金子(恵)分科員 そうしますと、これまでのカロリーベース、生産額ベース、こういう自給率を出していくということと、そして産出食料自給率と、これはまだ名称が決まったわけではないけれども、今の段階で骨子案には出ていますね、それでカロリーベース、生産額ベースが出ますから、四つ自給率が出るわけですよ。

 国民の皆様には、今までカロリーベースで出していたわけですよね。それに、もちろん飼料を反映したカロリーベースで出してきたというわけなんですけれども、四つ、こういう自給率を出して、国民の皆さんに、この国はこういう状況ですよと示していくんですか。とてもわかりにくいことだと思うんですね。このように複数で食料自給率を出していくというのは、どういう方向でこの国の農業が動いているのかとか、そしてまた何を目標にしていくかというのがすごくわかりにくいというふうに思うんですね。

 そもそも、食料の供給のどこまでを自前でできるかということを明確にするのがやはり自給率の指標の本来の意味だというふうに思うんですけれども、もし、こういうことはないですけれども、例えば飼料の自給率がゼロ%であるということ、今二五ですけれども、ゼロ%のときに畜産物の自給率を出したとしても大変意味のないことですよね。だって、自前でできていないんですから。輸入のものを餌にして、それで畜産をやって自給率はこれですといって、それで本当に私たちの食料の供給というものがどこまで自前でできているんですかと言ったら、答えられないんだというふうに思うんですよ。

 こういうことのわかりにくさというのをこれからどうやって整理していくのか、とても大きな課題になっていくと思うんですけれども、一言だけ下さい。

江藤国務大臣 あらゆる施策は説明責任を果たしていかなきゃいけないと思っております。

 例えばほかの作物についても、じゃ、野菜は一〇〇%、例えば肥料等についても、国内の自給によって肥料は施肥されているのかといえば、決してそうではありません、燐とか窒素とかいろいろなものを輸入してやっておりますので。じゃ、野菜を外すのか。まあ、野菜はほぼほぼ貢献しませんけれども。米についてもそうです。なかなか議論は、これはやると深いところがあると思います。

 一言じゃなくて申しわけないんですけれども、いろいろ考慮した上でこれをやることは、四月一日から輸出対策本部の本部長としてやる上では、輸出の促進の上でも有効なのではないかというふうに考えさせていただいたということでございます。

金子(恵)分科員 農水省のホームページのところに「よくあるご質問」という部分があるんですね。「よくあるご質問」というコーナーがありまして、そこにクエスチョン、食料自給率について、食料自給率の計算方法のクエスチョンのところで、「飼料自給率をカロリーベース食料自給率の計算に入れている理由は何ですか。」という質問なんですね。それの答え、「飼料の多くを輸入に依存している畜産物については、飼料が欠けては生産が成り立たないことから、飼料自給率を乗じて計算しています。」というふうに書いています。

 生産が成り立たないというふうに言っているんです。ということは、もう畜産というものがあり得ないというふうに私は読み取ることができるのではないかなというふうに思うんです。

 そこはしっかりと、こういうQアンドAもあるんですけれども、ホームページから出てきますけれども、整理していかなくてはいけないんだというふうに思いますし、実際に我が国は、もちろん、予算をかけて飼料の増産というものをしていこうというふうに頑張っているわけですね。飼料自給率を高める取組というのもしてきたわけです。そして、これからもしていくんだというふうに思います。目標というのもきちんとある。令和七年までに四〇%まで持っていくんだというような、そういう目標もある。

 今回のことでその飼料の増産の機運というのをそいではいけないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。いろいろなところで私は矛盾があるような気がするんですけれども、大臣、いかがですか。

江藤国務大臣 矛盾についてはまたしっかり考えさせていただきますが、飼料自給率を上げていくということは極めて大事だと思っております。

 子実トウモロコシは、ツマジロクサヨトウの問題等も出ましたけれども、やはり国産で、自分のところで草地を持っているところ、例えば酪農なんか特にそうですけれども、草地を持っているところと持っていないところでかなり経営状況も違います。輸入飼料に頼っているところと自給飼料を持っているところでは経営母体そのものも違いますし、経営を強くするためにも、それからこういった、先生から、成り立たないというようなことにならないためにも、この七年の四〇%目標に向かっていろいろな施策をやらせていただければというふうに考えております。

金子(恵)分科員 今回の基本計画の見直しというのは、食料自給率をどういうふうに考えていくか、食料自給率のあり方というのを議論する大きなきっかけというのをいただいているんだというふうに思いますし、国民の皆さんと、今の私たちの国というのは食料自給率というものがどのようなものになっているか、そしてまた、食の安全保障というものも含めてどうなっているかというのをしっかりと考えていく、そういう機会だというふうに思いますけれども、矛盾だらけというか、それと、わかりにくさというのが残っていてはいけないと思うんです。そこはしっかりと整理をして、説明をしていっていただきたいというふうに思います。

 きょうは、実は、食品ロスの話と種子法の話、種子に関する条例が地方の方で出ている、制定されているという話と、それから、地球温暖化対策計画の見直しというのもあるのでという話をさせていただきたいというふうに思ったんですけれども、今回は最も重要な基本計画を中心に質問させていただきました。

 大臣におかれましては、まだまだいろいろな対策がこれから待っているわけですけれども、現場主義で頑張っていただいている、そういうお声も耳に入ってきていますので、変わらずに、ぜひ農水省のリーダーとして頑張っていただきたいということも申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

笹川主査代理 これにて金子恵美さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

堀内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 環境省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。串田誠一君。

串田分科員 日本維新の会の串田誠一です。

 昨年は、気候変動の締約国会議に出席をされまして、いろいろ諸外国からも厳しい意見もあったと思うんですが、私は、これは環境省だけではなくて、経済省、あるいは財務省だとか文科省だとか、いろいろな省庁、あるいは経済界が一丸となってやっていかなければならないことだと思います。

 そういう意味で、大変厳しい指摘の中で前向きにぜひお願いしたいんですが、きょうは、動物の愛護に関して、中心にお聞きをしたいと思います。

 なぜ最初に、冒頭、そういう締約国の話をしたかというと、これは環境省だけではなかなかできないことだと思うんですが、動物愛護管理法に関しては、まさに超党派で議法が成立をし、現在、環境省令で、バトンを環境省に渡しているという中で、環境省だけ、あるいは小泉大臣の考え方次第で、今後の動物の愛護、貴重なその動物を守っていくということが決められるというような部分もあるので、そこについてぜひとも認識を持っていただきたいと思いまして挙げさせていただきました。

 昨年、動物愛護管理法が超党派で改正がなされましたが、これに関して、大臣としての御意見をまずはお聞きをしたいと思います。

小泉国務大臣 先日に引き続き、串田議員には動物愛護について御質問いただきまして、ありがとうございます。

 この動物愛護管理法、先生方の御尽力によりまして、七年ぶりの改正ということです。今先生おっしゃったように、動物虐待の罰則強化、そして飼養管理基準の具体化、また、マイクロチップの義務化、こういったことが、これから、ことし、来年、再来年と、次々にこの規定が決まっていきますので、まさにそういったところで環境省の役割を果たして、よりよい動物の管理、そして愛護、こういったことが社会の中にしっかりと落とし込まれていくようにしなければいけない、そういうふうに考えております。

串田分科員 その中で、二月の三日に第五回の検討会も開催をされました。そこには、女優の杉本彩さんが代表理事を務めているEvaも参加されていますし、ほかにも、浅田美代子さんや世良公則さんなども、大変声の出しにくい中で、何度も国会へと足を運んでくださっています。

 どうしてこれらの非常にお忙しい方々が国会に足を運ばれていると大臣はお思いでしょうか。

小泉国務大臣 やはり、それぞれ立場のある方、そして活躍をされている方の中での、もちろん使命感、そういったものはあると思います。

 そして、やはり多くの方々が、これは串田先生に限らず、この委員会の部屋にいる全ての先生方のところだと思いますが、今、はがき等、声が届きますよね、この飼養管理基準とかについて。そういう多くの方々の声を少しでも代弁できる力になればという、そういった切実な思いというのを行動に移されている方々ではないか、そういうふうに感じています。

串田分科員 非常にそういう関心の高いという部分もさることながら、お話を聞いていると、皆さん、やはり国会への不信感なんですよ。国会がしっかりとこれをやってくれないんじゃないかという不信感があると思っています。

 きょうは、細かなことを通告もしないでお聞きをするつもりもないので、環境省が二月の三日に提出をされた書類を前提にして、幾つか政府参考人の方にお聞きをしたいと思っています。

 資料二の二なんですが、これは通告段階で何度もお聞きをしているんですけれども、こんな横書きのものでございます。この横書きを大きくしたのがこちらでございまして、更に大きくしたのがこちらなんですけれども、これは日本語として、大変わかりづらいというか理解できない、そして不信感が満載になる記述があります。

 これは環境省がつくられたものなんですが、ここには、「動物愛護管理法に基づく遵守基準は、行政法上の許可制度として守らなければならない義務規定を定めるものであることから、」、ここまではわかります、そういうものだろうなと。「公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な措置でなければならない」、これもわかるんですね。この後がわからないんです。「合理的な措置でなければならないため、許容される最低限の水準の設定に留めざるを得ない。」。

 これは、大臣、今からちょっと政府参考人にもお聞きをしたいと思うんですが、「必要かつ合理的な措置でなければならない」、「公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な措置でなければならない」、これはわかる。なぜそれで、「許容される最低限の水準の設定に留めざるを得ない。」となるのか。全くこの流れが理解できないし、こんなものを環境省が出されてきたら、それは動物愛護の団体の人は心配になりますよ。最低水準の設定にとどめざるを得ない。全然最低水準の設定にとどめる必要はないじゃないですか。

 これについて、政府参考人にお聞きをしたいと思います。

堀内主査 まず、串田誠一君に申し上げます。

 質疑の際、物品を提示する場合は、主査に許可を求めるようにお願いいたします。

串田分科員 済みません。失礼しました。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件でございますけれども、今回の法改正、罰則規定がかかりますので、やはり最低限の基準ということにして、それ以外の理想的な飼養管理のあり方については、遵守基準とは別に、例えばガイドラインのようなものを検討していく必要はあるというふうに私ども認識しているところでございます。

串田分科員 数値規制というのが、今回、一番の関心事なんですね。

 環境省令がまさにこの数値規制をしていく。動物愛護管理法は、今大臣も、七年目に改正がなされたと。本当は五年ごとにするようなんですが、おくれてしまったんですけれども。この数値規制、まさに、ことし、来年、再来年、山場はまさに、ことし、来年に差しかかる。まさに、小泉大臣が所管している時代にこの数値というのができ上がるわけです。

 そういう意味では、小泉基準とまで言われるかもしれないぐらい、将来の動物を愛護することに対する非常に重要なものになると思うんですが、大臣、なぜこれは数値規制が求められていくんでしょうか。

小泉国務大臣 飼養管理基準を具体化することによって、事業者に適切で明確な行動指針を与えるとともに、不適切な事業者には自治体職員が改善を促して、改善の意思がなければ登録を取り消す、こういった指導監督の実効性を確保することができるようになる、そういうふうに考えています。

 例えば、先日も先生にお答えをしましたが、ケージの大きさであれば、動物の体の長さ、つまり体長との比率などを基準として用いれば、動物の頭がぶつかってしまうぐらい狭いケージを使っている事業者に対して、自治体が明確に指導することができます。

 このほか、従業員の数、そして繁殖年齢の上限など、数値化することが望ましい事項についても数値化を検討していきたいと考えています。一方で、ケージの床の構造とか環境管理の基準などについては、さまざまな飼養状況を考慮する必要があることなどから、必ずしも数値だけにとらわれずに、幅広く基準を検討していくことも重要と考えています。

 この基準の具体化、そして数値化できるものはしていく、そういったことが動物のよりよい状態の確保につながるように検討を進めていきたいと考えています。

串田分科員 数値というのは非常に怖いものでして、数値が決まることによって、その数値を満たしていればこれは許されるんだ、そういうことになってしまうことなんですよ。

 だから、先ほど政府答弁者が答えられましたが、最低水準という。最低水準が、今大臣が、頭が当たったら、そんなケージはだめだ。じゃ、頭が当たらない、一センチ長ければいいのかという話になっちゃって、それが数値規制として認められてしまうと、それさえ通れば業者は許されるということになってしまう。という意味では、数値を決めることによって動物虐待を許してしまうおそれもあるわけですよね。そこの認識というのは、私は必要ではないかなと思います。

 そのために、じゃ、諸外国はどうなんだろうという意味で、いろいろな外国の基準というものを大事にしていく必要があるんだと思うんですが、大臣、この数値規制を定めるに当たっては、諸外国の数値、こういったものは参考にすべきだと思いますか、それとも、すべきでないと思いますか。

小泉国務大臣 こういった問題にかかわらず、私は、常に環境省に言っているのは、ちゃんと国際社会の動向を把握するのが大事だ、そういったことは常に申し上げております。

串田分科員 そこで、ことしの二月の三日に、いろいろな団体のヒアリングを行っております。その中には、先ほどの杉本彩代表理事のEvaさんも入っていますし、ほかの団体も入っているんですけれども、いろいろな意味で、諸外国の基準というのをいろいろ挙げて説明しているわけですね。

 もう一つは、動物との共生を考える連絡会、これも、数値設定のみならず、動物の状態、要するに湿度だとか温度だとか、あとは、病気になったらすぐに対応してあげるとか、餌を何回入れかえるとか、そういったような環境整備も含めまして、いろいろな面で細かく、規制が、基準が挙げられているんですね。

 一方、犬猫適正飼養推進協議会、これは要するに業界団体のものなんですが、ここに、お手元にあるかどうかはちょっとわかりませんけれども、結論としては、「ヨーロッパやアメリカの基準は必ずしも参考にならない」と書かれているんですよ。その理由としては、犬種や環境に配慮した指標として、犬種間での体重差は百倍にもなると。いろいろな国でいろいろな犬が飼われていて、その犬種で百倍にもなるということなんですが。

 この犬種で百倍になるということから、諸外国は参考にならないという結論に達しているんですけれども、大臣としては、これはどういうふうに感想としてはお持ちでしょうか。諸外国の比較が、大臣は今大事だとおっしゃられていましたけれども、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 参考にすべきことと参考にはならない部分があるというのは、一般論として、国際社会のことと日本のことを比べたら、それはあると思います。

 ただ、私も、学生時代にラブラドールを飼っていまして、そして、今でもラブラドールを、保護犬を飼っています。友達とかで、チワワとかミニチュアダックスとかを飼っている友達とかもいますから、それを考えれば、犬種によっての違いというのはもちろんある。

 ただ一方で、それを今後、飼養管理基準とかで適切に動物の管理につながる形にするときに、犬種が、比べるとサイズが百倍違うから、全部外国のことというのは参考にならないんだというのは、そんなことはあり得ないと思います。

串田分科員 まさに私も同じ思いなんですが、そもそも、犬種が、百倍違うというのは、どこの国も大体犬は違うわけですよ。私は柴犬も飼っておりますけれども、柴犬も今、外国で大変人気があれば、秋田犬も大変人気があります。そういう意味では、大きさは全然違うんですけれども、どこの国も大きさの違う犬を、対応しているわけですが。

 犬の種類によって、犬種によって大きさが違うというのはもうわかり切っている話の中で、そのわかり切っている業界で仕事をしようとしているのであるならば、これを言いわけにしちゃいけないと思うんですけれども、大臣も同じ思いということでよろしいでしょうか。

小泉国務大臣 一般論として申し上げると、大体、そういう業界とかは、どの所管でもですよ、こういう、厳しく入るのを嫌がりますから、そういった中で、ポジショントークといいますか、そういったことをやってくるのは常だと思います。

 しかし、行政をつかさどる立場として、そういったことが判断基準としてベースではなくて、しっかり、動物愛護の精神にもとることのないようなそういった行政の規則、そして法令、また運用、これをやっていかなきゃいけない。それを考えていくことが何よりも一番大事なことだと思っております。

串田分科員 今、大変頼もしい回答をいただいたんですが、この資料の中には、オランダの基準を遵守できるブリーダーは一四%、ドイツの基準を遵守できるブリーダーは〇%、生き残れるブリーダーは一握りと。だから基準を緩やかにしてくれという意味合いなんじゃないかなと思うんですが、動物愛護管理法は、ブリーダーを生き残らせるために数値規制をするわけではないし、そもそも犬種の大きさが違うのはもうわかり切った上でこの業界に入ったわけですから、これは非常に、業界を残してほしいという意味合いにとれてしまうんです。

 それで、一番最初にちょっと質問させていただいたんですけれども、いろいろな俳優さんだとか、学者さんもそうですけれども、国会に来てこういう訴えをしているというのは、先ほど国会への不信感という話があったんですが、このような資料、出された資料が、許容される最低限の水準の設定にとどめざるを得ないと。まさにこれは、ブリーダーを生き残らせるために、最低水準で何とかしない限りブリーダーがなくなってしまうよというような感じになってしまうんですが、大臣、生体販売も含めて、動物を守るということと販売を優先させるということは、どちらを優先させるべきなんでしょうか。

小泉国務大臣 まず、動物愛護の精神にもとるような行政運営はしない、これが環境省として絶対に守らなければいけないことです。

 その上で、生体販売の話もありましたが、私は、学生時代に飼っていたラブラドールも、行き場がなく、うちに回ってきて、親は反対したけれども、うちの兄がこれは飼おうよと。そういった中で、不思議ですね、一度飼い始めると、最初は反対していた者まで、めろめろになるんですね。それで、今も、福島県で保護してきたラブラドールを飼っています。

 これから、将来のことは、できる限り今の愛犬に長生きしてもらいたいと思いますが、今後まためぐり会いがあったら、そのときは私は間違いなく、ペットショップではなく保護犬を飼いたいと思っております。

串田分科員 予算委員会の前に小泉大臣とお話をしたときも生体販売の御意見をお伺いしていますが、あえてきょうはお伺いしません、いろいろな立場もあるとは思うんですけれども。

 やはりそういう意味で、全てが業者さんサイドから始まるわけですよね。繁殖も、とにかく多く繁殖させたい、そしてぼろぼろになった母親犬猫は、処分した方が経費がかからないわけです。生まれた犬や猫を小さなケージに入れれば入れるほど、多くの犬猫を飼育できますから、やはり販売が多くなる。そして、一々ペットショップに出すことが面倒くさいですから、オークションで出した方が便利である。そこで売れ残った犬猫をそのまままた飼育するというのは大変経費がかかるから、どうなるかわからないという闇の世界で、よくテレビでも報道されるような状況になっています。

 ペットショップも同じで、やはり売れ残ったときにどうなるかというのは、これは販売業者としての経済合理性から始まってしまうと、ますます動物の環境というのが悪くなる方向に自然に流れていくということにならざるを得ないわけですね。

 ですから、環境省としては、業者の意見を聞くというのも大事だとは思いますけれども、どうしてもそういう流れになりがちであるということを、先ほど大臣も、気をつけなきゃいけないというようなお話をいただいたんですが、もっと愛護団体の声を聞く場をつくっていただきたいし、その場で、環境大臣も顔を出していただけると、大変私は、意見が聞けるかと思うんですが、どうかそういう機会、環境大臣としても積極的につくっていただくということはいかがでしょうか。

小泉国務大臣 さまざまな方の声を聞くのはとても大切なことですから、そういう場を私も活用して、しっかりと現場の声を聞いていきたいというふうに考えております。

串田分科員 ほかの委員からもちょっと質問というか提案がありましたが、環境省の予算が余りにも低過ぎる。人も足りないし、予算も足りない。何億という世界で二桁行かないんですね。百二兆円というような国の国家予算の中で三億とか五億だとか。

 今、動物というのは、それこそ少子高齢化の中で、相手がいなくなってしまった国民にとっては唯一の友人であり家族である。それをどういうふうに一緒になってこの地球上で生きていくのかということを考えたときには、余りにも人数が少ない。

 何かあって、先ほど刑事罰という話もありましたが、現場に駆けつけると、もう空っぽになってしまうわけですよ。ほかのことができない状況の中で、私は、これからますます環境省は、ほかの省庁との連携、アニマルポリスだとか、今回私が法務委員会でずっと取り上げさせていただいているのはプリズンドッグということで、ついこの前も松山刑務所の所長にお願いをしに行ったんですが、刑務所の中で動物を受刑者が飼育するというのは世界的にも非常に多く行われていて、再犯率も非常に低いんですね。これは、保護犬を受刑者が育て上げて、救助犬だとか介助犬だとか、失われた命が生きた上に、なおかつ再犯率も下がっていく。極めて、諸外国も活用しているわけです。島根あさひ社会復帰回復センターというのが今日本で一番これに取り組んでいるんですが、再犯率が二分の一ぐらいになっているわけですよ。

 そういう意味で、ちょっと縦割りというものを外していただいて、動物を保護した上で、それをどう活用するのか。アニマルポリスの場合には警察かもしれないし、プリズンドッグの場合には法務省かもしれないですけれども、枠を広げながら、どうか大臣として、動物愛護に取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 そのプリズンドッグ、私も前、ある記事を見て、あれは海外でしたかね、屈強な囚人たちが、男たちが、物すごくきらきらした笑顔でそのプリズンドッグと戯れているという、牢屋の中の写真を、記事を見たときに、ああ、すてきな取組だなと思いました。

 そして、今回、串田先生から御通告いただいて、調べてみると、日本の中でも、千葉の八街少年院では、保護された犬を再び人と暮らせるように訓練をして、希望する家庭等に届ける社会貢献活動プログラムが行われている、そのように聞いています。

 そして、刑務所などにおける被収容者の改善更生に向けた取組を担当する法務省からは、犬の訓練が被収容者の自己肯定感を高め、責任感を向上させるなどの効果がある、こういう情報も得ています。

 ですので、今回、ありがたく、プリズンドッグについて御指摘をいただいたので、保護された犬を訓練して引取りにつなげることで殺処分数が削減されることから、動物愛護と適正な飼養の普及啓発に資する取組として、私から法務省の森まさこ大臣にも考えを伝えて、前向きにこの連携を検討していきたいと考えております。

串田分科員 非常に、大変うれしいです。

 もう一つ、これもちょっと環境省だけでは無理なんですが、今、日本で、口にするのも余りしたくないんですけれども、犬の肉を禁止されていなくて、インターネットで検索をすると、すぐに五十とか百店舗のレストランが、こういったようなものが今出てきているわけです。ほとんどがこれは輸入肉なんですね。ベトナムとかが多いんですけれども、大体、野犬なんですよ。

 消費者庁にもお聞きをしたときに、消費者庁で、大臣が、ぜひ法案にしてくださいと逆に言われてしまったぐらい、この問題について知らない方が、議員として非常に多いんですね。

 今、日本では動物虐待というものを禁止しているわけですよ。ですから、虐待をして、食べたら、これはいけないわけですよ、日本では。日本でそういうふうに動物を守っていながら、外国で、撲殺が多いらしいんですけれども、そういうふうにして、犬が多いんですが、撲殺をして肉にして、日本に輸入して、日本でそれが食べられている。日本でなかなか手に入らないものですから、この前、密輸入が摘発されたばかりなんですね。地域によっては、犬がいなくなったと。これとの因果関係はわかりませんけれども、これを禁止していないからそういったような疑いも出てくると思うんです。

 これはなかなか、どこでやったらいいのかがわからないんですけれども、今度、アニマルウエルフェアという超党派の議連が立ち上がりまして、そこでも委員の一人がこれを言っていただきまして、私も消費者庁で前から質問させていただいていたんですけれども。

 ここも横のつながりが必要だと思うんですが、厚労省だと安全面、衛生面でしか議論ができないんですね。だけれども、犬を家族として、日本で守っている犬をこの日本で食べるということ自体は、アメリカも禁止したんですけれども、どうか日本もこれを禁止する方向でやはり進めていくべきではないかと思うんですが、大臣の感想をお聞きしたいと思います。

小泉国務大臣 今先生の御指摘の、犬の肉を食べるという、これも私、初めて聞いたときは驚きましたし、今みたいにひどい形で、撲殺をしてという過程を経て、なっているということだと本当に痛ましいと思いますし、私自身として、食べたいとは全く思いません。

 ただ、一方で難しいなと思うのは、やはり何を食べるか食べないかという、食の文化、習慣。その国によって、見方を変えれば、一方で批判される側になり、批判する側になり、こういったことがあるのは大変難しい状況でもあるな、問題でもあるなというふうには思います。ただ、私自身、食べたいとは全く思いません。

 そして、動物愛護管理法を所管している者としても、人と動物との共生する関係を目指すのがこの動物愛護管理法で、食文化や食品、犬の肉を食べるかとか、そういった取扱いとなると、それとは異なる観点から定められている法律というのもありますので、こういう問題もあるという先生の御指摘、問題意識を私としても深めてまいりたいと思います。

串田分科員 もう一つ、法のすき間というものの中に動物園というのがありまして、世界じゅうに動物園はあるんですが、今、日本は、その動物園のあり方について、かなり批判的な、アニマルウエルフェアの観点から批判されている。要するに、小さなおりの中に動物を展示しているということに対して、かなり厳しい意見が世界から寄せられているということなんです。

 この動物園というのが、大変、所管が法律のすき間なんですね。子供たちが動物園を見学に行くということで動物と触れ合い、動物というのはかわいいなと思っていただくということなんですけれども、世界が、日本の動物園は動物の虐待なんだという声が子供たちの耳に入るということになると、少しやはり教育的な観点から、私はよくないのではないかと思います。

 そういう意味で、環境省として、動物園のあり方、一生懸命努力をされている動物園が多いんですけれども、こういう批判をされないような形で、展示というものをやはりこれからは努力していかなければならないと思うんです。その点、環境省としてもリーダーシップをとっていただきたいと私は思っているんですけれども、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 先生おっしゃるとおり、動物園は、自然環境そして生物多様性の保全の重要性を身近に感じてもらうとともに、動物愛護の推進にもつながる生命を尊重する心を育む施設であるべきだと思います。そのためにも、動物の種類や習性を考慮した適切な展示を行うことが望ましいと考えます。

 動物園などを始めとする動物の展示については、今後、意義と課題を整理するとともに、動物を大切に思う気持ちを育てることと動物の健康、安全の確保の双方の観点から、動物の取扱いに関する基本的な考え方を整理、検討することとしています。今回の動物愛護管理法の改正などを踏まえて、四月をめどに、動物愛護管理基本指針改正を予定していますが、この方針を明示する予定です。

 また、日本動物園水族館協会においては、飼育環境の改善に向けて、動物の種類、習性等を考慮した飼育の方法などを定めたガイドラインの作成に独自に取り組んでいると聞いています。

 環境省としては、改正する基本指針をもとに、こうした団体とも連携を図って、国内外の知見を収集しつつ、動物園における適正な飼養管理の確保に取り組んでいきたいと思います。

串田分科員 もう質問時間が終わりましたが、大臣、最後に一言だけ、今回の数値規制、世界の基準、国際基準というものを大いに参考にするということを明言していただいて終わりにしたいと思います。お願いいたします。

小泉国務大臣 先ほど申し上げましたが、しっかり動物愛護の精神に、大原則にしっかり立てて、一部の声に偏ることのないように、幅広い声を聞いてしっかりと定めていきたいと思います。

串田分科員 ありがとうございます。

堀内主査 これにて串田誠一君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部分科員 立憲民主党の衆議院議員の阿部知子です。

 本日は、初めて小泉環境大臣に質疑をさせていただきます。特に、いただきました分科会の時間はじっくりしたやりとりができる時間と思いますので、私は、もう九年前になります東日本大震災、さまざまな人体への影響あるいは環境汚染の懸念がいまだに消えないということにあって、環境省は、人の健康を守り、環境を守るという大事な役所でありますから、その長としての小泉大臣にお伺いをしたいと思います。

 まず、質問の第一ですが、昨年の十月十二日、台風十九号で、実は福島で、国管理の二百三十六カ所、自治体管理の七百六十カ所のフレコンバッグの置場で管理していたはずの汚染土壌の大型の土のう九十袋が流出をいたしております。その後、二月の今日の段階まででも、三十袋はいまだ発見されておりませんし、発見はしたが袋が破れていて中身が流出しておるというものが三十五袋。結局のところ、九十袋のうち、そのまま残ったものは少なく、六十五袋は行方不明か中身が破損というような事態が発生をいたしました。

 さて、小泉大臣には、かかる事態の発生は予測されていたかどうか、お願いをいたします。

小泉国務大臣 阿部先生から御質問をきょうは多くいただいています。まず、ありがとうございます。

 除去土壌等の保管については、放射性物質汚染対処特措法、除去土壌の保管に係るガイドライン、仮置場等技術指針等に基づいて、保管容器を遮水シートで被覆することによって除去土壌等の飛散、流出及び雨水などの浸入を防止することとしています。二〇一五年に、除染等の措置に伴い生じた除去土壌の管理の徹底についての事務連絡を発出するなど、関係市町村に対して大雨の発生による被害を防止するための管理の徹底をお願いしているところです。

 今御指摘があった今回の令和元年東日本台風接近に際しても、国管理の仮置場に関しては環境省が関係事業者に対して、市町村管理の仮置場に関しては関係県が市町村に対して、それぞれ仮置場などの事前点検を指示するなど注意喚起し、備えを行っておりました。しかし、未曽有の大雨により、想定浸水区域等に該当しない仮置場において浸水が発生したこと、河川の増水により仮置場の崩落が生じたことなどによって、四カ所の仮置場から、先生御指摘のとおり、合計九十袋の大型土のう袋が流出をして、二十五袋は内容物がある状態、三十五袋は内容物が流出した状態でそれぞれ回収しましたが、残り三十袋が行方不明となりました。

 このことは、住民の方々に不安を与えかねないものでありまして、大変遺憾であります。

阿部分科員 私の御質問は、予想しておられましたかということで、今の御答弁はどちらともとれるように思います。

 災害というのは常にそうした側面を持っておりますが、最悪の事態も含めて備えていかないと、特に放射性物質の管理でありますから、大臣がおっしゃったように、住民の不安も、また目に見えない環境の汚染も起こってまいります。

 大臣には、既に平成二十七年、実は飯舘村でも四百袋の、この場合は保管所じゃなくて野積みしてあったフレコンバッグが流出をいたしております、すなわち、先立つ平成二十七年に既に事態は発生しておって、その後、環境省としてどういう対応をとられたか。あと、この四百、すなわち、そのときの流出は四百四十八ございましたが、その後がどうなっておるか御存じでしょうか。

小泉国務大臣 今先生から、飯舘村で二〇一五年、平成二十七年に土のう袋の流出事案が発生したことの御指摘を受けました。

 環境省としては、これを受けましてガイドラインを見直して、災害時の対応について追記するとともに、除染等の措置に伴って生じた除去土壌の管理の徹底についての事務連絡を発出して、連絡体制の強化、そして気象予報等から自然災害の発生が予想される場合の保管場所の事前点検などの管理の徹底について、関係市町村に対して依頼を行いました。

 また、二〇一五年の流出事案は環境省が直轄で除染を実施した地域において発生したことから、環境省は、国直轄の除染工事において、想定浸水区域などを踏まえた浸水注意エリアを設定して、当該エリアには原則として大型土のう袋を置かないなどの再発防止対策を行ったほか、市町村に対しても同様の再発防止対策や管理の強化を依頼しました。

 さらに、その後も、関係自治体の担当者が参加する各種会議の機会を捉えて、環境省から再発防止のための注意喚起を行ってきたところでありまして、こうした中で、各市町村において再発防止対策が講じられてきたものと考えておりますが、先ほどおっしゃったとおり、今回また流れたということでありまして、大変遺憾です。

 ちなみに、その後、この飯舘の袋はどうなったかということでありますが、全て回収をしております。

阿部分科員 私のいただきました資料では全て回収をされておりませんで、すなわち未回収の袋もありますが、内容がない又は破損というものも三百袋以上ございます。

 大臣、全て回収というのは袋ごとの回収をいうのであって、実は三分の二以上は流れていると言わなきゃいけない。四百四十八のうち、中身がそのまま残っているのは百四十三。健全な袋は百四十三しかありません。

 大変重要なことは、今回の九十袋のうち、健全なものは三十とない。逆に、六十五袋流れたから、二十五しかないわけです。それから、飯舘の場合も、四百四十八あって、健全なものは百四十三しかない。三分の二は、流れたか、中が抜けたかなんですね。

 私は、ここで大臣の認識をもう一度しっかりとしていただきたい。その理由は、平成二十五年の、過去、除去土壌の保管に係るガイドラインというものが確かにございます。このガイドラインの中では、飛散、流出した場合は、可能な範囲で流出した除去土壌の回収を実施するとともにと書いてありますが、可能なものが三分の一しかなかったということなのです。可能なもののその限度というものをよくわきまえていただきたい。それくらい深刻な飛散が起こっております。

 その後、では環境省はどうしたかというと、川の濃度をはかった、周辺の濃度をはかった、それで大丈夫だろうと言いますが、それなら、もともと、わざわざフレコンバッグに詰めて、集めて保管している意味が私はないと思います。しっかりした管理が行われ得ないということも現実であります。

 大臣は御存じでしょうか。この九十袋にはタグがついております。このタグに、中に入れてある内容量の汚染の濃度が書いてございますが、九十袋中、このタグが健全であったものはどのくらいあったでしょう。

小泉国務大臣 まず、今、タグの質問をいただきましたが、その前のことで、今、事務方から訂正ということで、訂正させてください。

 先ほど、飯舘の二〇一五年の件につきまして、四百四十八袋全てが回収というふうにありましたが、これは、お渡しした資料では回収したのが四百四十三で未回収の袋が五だということであります。この残存する五袋については、進入が困難な渓谷にあるため、安全に回収できる方法を検討した上で回収作業を実施したとのことです。済みませんでした。

 そして、今御質問のタグの関係でありますが、今、大型土のう袋を仮置場に一時的に保管する際には、特措法に基づいて、除去土壌の量、除去土壌ごとの保管を開始した年月日、受入れ先の場所、保管場所などの境界における放射線量等について記録することとされています。このうち、大型土のう袋の内容物の量等の情報については、バーコードや識別番号などの管理用タグを大型土のう袋に添付する方法のほか、大型土のう袋の表面に直接記載する方法がとられています。

 令和元年東日本台風、去年の台風によって流出をした、回収された大型土のう袋六十袋のうち五十八袋はタグ情報を確認することができましたが、飯舘村で回収された一袋については、タグの破損により情報が読み取り不能な状態でした。また、二本松市で回収された一袋については、表面に記載された内容物の量などの情報の一部がかすれや汚れなどにより確認できない状態となっていたということです。

 いずれにせよ、引き続き、放射性物質汚染対処特措法に従って、大型土のう袋に係る情報の適切な管理に努めてまいりたいと考えています。

阿部分科員 大臣が御答弁を訂正していただきましたが、更に正確に申し上げますと、回収された四百四十三袋のうち、健全な袋は百四十三しかございません。これは飯舘の事案です。ですから、内容物がない又は破損が三百袋、見つからないのが五袋。

 そうすると、全体の三分の二は溶けて流れていっているかもしれないという、ここをしっかり認識していただいた上で、今のタグの問題は、袋に直接書いたりしていれば、当然、風雪の中で薄れたり、あるいは流れてしまえばそこで情報が消えてしまいますが、果たして、各自治体あるいは国直轄管理のものは、これらを別途いわゆる管理台帳のようなもので管理しておられるのかどうか、その管理台帳は情報公開すれば見られるのかどうか、これについてお願いいたします。

小泉国務大臣 大型土のう袋を仮置場に一時的に保管する際には、特措法に基づいて、除去土壌の量、除去土壌ごとの保管を開始した年月日、受入れ先の場所、保管場所などの境界における放射線量等について記録することとされています。

 環境省においては、積込み場から中間貯蔵施設に搬出する際に、全ての大型土のう袋について、こうした保管記録の記載内容を確認しているところです。このため、令和元年東日本台風によって大型土のう袋の流出のあった仮置場においても、いずれもこうした保管記録がなされておりました。一方で、台風の被災直前の保管状況が必ずしも記録に反映されていないものもあるなどの課題も明らかになりました。

 今般の流出を踏まえて、今年の梅雨の時期が到来する前、これは五月末までに、環境省としても、計画の前倒しによる除去土壌などの搬出や移設、流出防護柵の整備などといった追加対策を進めていくこととしておりまして、この中で保管記録の適切な更新等についても対応してまいりたいというふうに思います。

 行政文書でありますので、情報開示手続が可能だということであります。

阿部分科員 今の御答弁は、中間貯蔵に運ぶときに、そのときの管理台帳をきちんと確認しておると。

 物によっては保管記録がないものもある。果たしてどのくらいのパーセンテージ、保管記録がなかったでしょうか。それはまれなことでしょうか。それとも、流れてしまって、あるいは消えてしまって、文字ですから消えますよね、そういう保管記録が、自治体が特に管理していた部分だと思いますが、入手できなかったものはどのくらいあるのでしょうか。もし大臣がわからなかったら、事務サイドでもいいです。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の方の除染に伴う土のうにつきましては、基本的には市町村の方で管理をされているということでございますが、我々は、それを中間貯蔵へ運ぶときに確認している。ですので、一般論として、しっかり法令がございますのでやっておりますけれども、我々が今現在、すぐに、どういうふうになっているかということを把握している状況ではございません。

阿部分科員 大臣、お聞きになりましたか。そんないいかげんな状態で、管理ととても言えないんです。自治体に管理を委ねたものも、中間貯蔵に運ぶときには国がチェックする。しかし、どれくらいなくなっていて、どれくらい台帳にも記載漏れがあるのか。これは、これから私が次に質問いたします、汚染土壌の再利用云々と環境省はおっしゃいますが、到底委ねることができない、そんないいかげんな管理であるということの証左であろうと思います。

 担当部局には、これは実際にどのくらい把握できているんですかと聞いている、国民から見れば当たり前の質問なんですから、きちんと答弁ができるように、追って私の部屋までお願いをしたいと思います。

 引き続いて、限られた時間ですので、先ほどのお話にある中間貯蔵施設に千四百万立米の汚染土壌を運んで、いわゆるこれまでの原子炉等規制法では百ベクレル・パー・キログラム、セシウムの濃度がそのくらいのものを利用しておったものを、これからは、八千ベクレル未満であれば管理のもとで再利用をしようというのが今環境省のお進めの政策であります。

 私の疑問は、まず本当に管理できるのか。今、フレコンバッグの問題で例に挙げましたが、到底管理できない実態があるのではないかと思うので、その点に関して御質問をいたします。

 それと、再利用というのは言葉はいいですが、管理のもとに再利用といっても、管理されなければ汚染土壌ばらまきになりますので、その点もきちんと押さえていただきたい。

 こうした事態に対して、実は環境省は、法案の改正ではなくて、汚染特措法の改正ではなくて、政省令でこの利用拡大、再利用を進めようとしておりまして、政省令案というものをつくってパブコメを求めておられます。

 ところが、この政省令案には、例えば用途先、遮蔽条件、濃度限度、あるいは必要な覆う土の厚さなど数値基準が全く書かれていなくて、こういうことに使いますよということだけでパブリックコメントを求めております。一方、環境省がつくる手引、ガイドラインの方には、盛土はこのくらいの厚さ、あるいは道路の下はこれこれと書かれておりますが、実は、大臣にぜひ指摘したいのは、省令とガイドラインは違うのです、法的拘束力も。

 先ほど、フレコンバッグでガイドラインがありましたが、ほとんど実施されておらない、集めようといったって集められていないことを指摘させていただきましたが、パブリックコメントをとる際に、こちらが、ちゃんと内容が国民に伝わったかどうか。政省令と手引は違うし、手引にのみしか書かれないことは、後々変えるという操作が国民の合意でなくても可能になってまいります。

 なぜ政省令の中に書き込まなかったのか、その上でパブコメをとらなかったのか、この点について大臣に伺います。

小泉国務大臣 まず、環境省に対して管理ができるのかという御指摘に対しては、しっかり責任を果たさなければいけませんし、そこはしっかりと、後で先生のところに事務方を呼ぶということですから、ちゃんと御説明をするように言っておきたいと思います。

 そして、今、手引の案、そして一方で省令、この御指摘についてありました。

 除去土壌の再生利用については、放射性物質汚染対処特措法の施行規則を改正する省令案の概要をお示しして、パブリックコメントを一月の八日から二月の七日にかけて実施したところであります。現在、御意見の内容の確認、取りまとめを進めているところです。

 省令案では、特措法に基づき除去土壌の再生利用を行うに当たって、従わなければならない方法を記載しています。一方、再生利用の手引案は、省令案で記載している方法に従って、現場の状況に応じて再生利用が円滑に行えるよう、参考となる技術的な事項を記載したもの、これが手引の案であります。

 このため、省令と手引が違うではないか、そういった御指摘がありますが、その指摘は当たらないと考えておりますが、いずれにしても、省令案については、パブリックコメントにおける御意見なども踏まえつつ、引き続き検討していく所存です。

阿部分科員 省令案には何ら具体的な記載がないのですね。パブリックコメントを出す方も困ると思います。

 大臣は御存じでしょうか。平成二十三年の九月から十一月にかけて、福島県の二本松市で売り出された新築マンションの中で非常に放射線量が高いということが、そこに住む御家庭の中学生によって発覚をいたしました。この当時、二本松市の子供たちは皆、個人線量のモニターをしておりましたので、その子がやけに高い、どうしたんだろうと思ったら、実はこのマンションの下に放射能で汚染された砕石が使われておったということが後で発覚をいたします。

 放射性物質の管理というのは、今大臣が、国がきちんと管理をするとおっしゃいましたが、そもそもフレコンバッグの流出も、何度も申しますが、管理されておらない。本当に国が管理できるのかと私がお尋ねをいたしましたら、除染特措法の第四十二条で全て国が責任を持つことになっておると理解をしておるというふうなことでしたので、四十二条を取り寄せましたが、ここには、実は、都道府県知事や市町村又は環境省令で定める者から要請があった場合に、国がかわって管理するとなっております。例えば、今の中間貯蔵の土壌がどこかに行った。しかし、それが紛失したかどうかわからない。その場合に、要請も上げられません。

 私は、今の管理の中で、本当に国が責任を持てるといっても、先ほどの、自治体が除染して集めていたフレコンバッグ問題もそうですし、そこから国が中間貯蔵に運ぶときチェックするんだといっても、どのくらいチェック漏れがあるかもわかりませんし、この状態下で国が責任を持つということはとても絵そらごとであると思いますが、大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 今、阿部先生の、たび重なる国の管理の今の状況に対しての御指摘を聞きながら、きのうお会いした内堀知事の言葉を改めてかみしめておりました。

 私が大臣になって九月に就任したときに内堀知事から言われたことは、苦渋と信頼という言葉を忘れないでくれ、この二つだと。今でも、苦渋の判断で中間貯蔵も含めて受け入れたということが多くの方にちゃんと伝わっているのか、そこを忘れないでくれというのが苦渋という思いです。そして、一方で信頼というのは、中間貯蔵にスケジュールどおりに運び込むこと、もちろん安全第一でやります。しかし、この大事業をなし遂げて復興につなげていくには、福島県の地元の皆さんの信頼なくしてはできません。

 まさに、今先生からるる御指摘をいただいたような、行政の管理のあり方に対する御指摘をたび重ねて受けることがないようにしなければいけない。それがなくては信頼は得られない。しっかりと刻んで改善をさせていきたいと思っております。

阿部分科員 私は、できないことをできると言うよりも、何がどこまでできているのかということを正直におっしゃる方が信頼になると思います。

 その観点でお伺いいたしますが、実は、汚染土壌問題は、福島に限らず、全て公共事業の中で、例えば高速道路の下などにも使われることも今後あり得るという考えであります。もちろん、福島の皆様は、大変にこの事態に深刻であり、敏感でもあります。

 しかし、幅広く日本の公共事業の中にこれを使うと考えるならば、実は、大臣のやらねばならないことは、そうした今までの管理濃度より高い汚染土壌が公共事業の中に使われておって、そして、その管理責任を本当に徹底して国が持つんだということを、各地で公聴会でも開かれて国民合意をとるべきような事態だと思いますが、いかがでしょう。

小泉国務大臣 まず、再生利用は、私もこの前、飯舘村に二月の九日に行きまして、今実証をやっている現場を、地域の住民の皆さんにもお会いをして直接お話を伺いました。

 この再生利用の推進に当たっては、地元の皆さんの御理解なくして実現できないというふうに思います。そして、再生利用の実施に当たっては、再生利用の必要性、そして放射線に係る安全性などについて、実施の対象となる御地元に対して説明会を開催して、丁寧な説明に努めていくこととしています。

 再生利用に関する今後の理解醸成の取組については、放射性物質汚染対処特措法施行規則を改正する省令案のパブリックコメントでいただいた御意見や、南相馬市及び飯舘村において実施している実証事業の成果を踏まえて検討していきたいと考えております。

阿部分科員 私の今の指摘は、事は福島にとどまらない。公共事業というふうに言われたら、全国どこでも行われます。

 そして、これは環境省にお尋ねいたしましたが、現在、八千ベクレル・パー・キログラムの土壌、セシウム換算を使うと、原子炉等規制法のクリアランスレベル、百ベクレルに到達するまで一体何年かかるのだと。私が環境省から得た答えは、百八十八年でした。

 大臣、大臣はまだお若いけれども、それでも百八十八年はなかなか生きるのは難しい。本当にこれを国が百八十八年の長きにわたって管理できるのか、するための方策は何なのか、これをお答えいただきたい。

小泉国務大臣 先生御指摘がありましたとおり、一キロ当たり八千ベクレルの除去土壌が一キロ当たり百ベクレルになるまで百八十八年かかる。この百八十八年という期間については、一キログラム当たりのものが、八千が百に減衰する期間を単純に計算したものであります。これは、管理が必要な期間として示されたものではありません。

 除去土壌の再生利用における管理を終了するまでの期間については、管理期間中のモニタリング結果等によって今後得られる知見を踏まえて検討してまいります。その検討に当たっては追加被曝線量の観点が重要でありまして、想定される被曝のシナリオを踏まえて検討していく必要があると考えております。

阿部分科員 規制は、そうやって緩めていくことがいかに環境に対して問題かということを大臣は強く認識すべきです。何のためにこれまで炉規法で百ベクレルだったんですか。八千ベクレルに上げるということは、人為的にルールを変えるんですよ。変えたら、とことんそこまで、せめてフォローする。

 今、大臣は曖昧な御答弁をなさいました。百八十八年より短いと言いたいのでしょう。しかし、それを法律的に規定したものは何らありません。炉規制法でもありません。きちんと再利用を管理下にできるという前提条件だけが、八千ベクレルをいわば利用したいという政省令の中身でございます。

 ですから、私は、百八十八年管理できますかと伺いました。また、全国で管理できますかと。公共事業だったら、国土交通省の管理下となる場合もありましょう。そこに環境省が、本当にずっと一緒になって環境評価を行っていくのかどうか。それ以上に、やはり、そういうことをなさるのであれば、各地で公聴会は開くべきで、何のために炉規法があったのか、法律があったのか。どんどん緩めていくことがこの事故の後始末では決してないと思います。

 おまけに、大臣、先ほど私は二本松のマンションの例を挙げましたが、果たしてこの廃棄物というか汚染土壌は有価物か無価物か、価値のあるものかないものかと問われたら、大臣は何とお答えでしょう。有価物であればこれは売り買いの対象、無価物であれば今度は処分をお金を払ってするものになります。

 大体、昔から、放射能で汚染された、その放射能の汚染を無主物とか言って誰も責任をとらない体制の中で今再利用が進もうとしていますが、従来、環境省は、有価物か無価物かは、いわゆる廃棄物の処分に当たって厳密に守ってきたことであります。

 この点について、大臣の御認識を伺います。

小泉国務大臣 今の阿部先生の御指摘というのは、誰のものかという、そういったところにつながる御指摘だと思います。

 放射性物質汚染対処特措法に基づく土壌等の除染などの措置に伴い生じた除去土壌などについては、国が直轄で除染を実施した地域から生じたものは国が、市町村が中心となって除染を実施した地域から生じたものは市町村がそれぞれ管理主体となっています。

 ただし、福島県内の市町村が中心となって除染を実施した地域から生じたもののうち、除去土壌等の積込み場から中間貯蔵施設へ輸送し、中間貯蔵施設区域において保管などを行っているものについては、放射性物質汚染対処特措法第四十二条に定める市町村長等の要請に基づき、国において管理している、そういったことであります。

阿部分科員 もう時間がありません。

 私は、二つ伺いました。有価物か無価物かについて、これは環境省がずっと言ってきたことですので、基準の問題も含めてもう一度、時間があれば再度お尋ねしたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

堀内主査 これにて阿部知子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、池田真紀さん。

池田(真)分科員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 本日は、大きく分けて二つの種類といいますか、項目の質問を用意させていただいております。

 通告の順序とはちょっと逆になりますけれども、まず、港湾関係の方から、港の関係から御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 御存じのとおり、日本は四方を海で囲まれた海洋立国であります。海運と同時に、安全保障として重要な役割を担ってきたこの港についての防災対策、とりわけ、今回、きょうにおきましては、海洋防災の対策の中で、岸壁についてお伺いをしてまいりたいというふうに考えております。

 阪神・淡路大震災からのたび重なるさまざまな災害を通して、昨年の豪雨なども広範囲にわたる大災害を経験して、今日では港湾における災害対策はかなり前向きに整備を進められているところだというふうに認識をしております。

 きょうお配りをしております資料の一枚目、こちらが国交省さんからいただいております。地方の部分は、地方管理の部分は除いてなんですが、国際戦略港湾と国際拠点港湾そして重要港湾の整備状況、耐震強化岸壁の中でレベル2に耐え得る岸壁の整備状況をお示ししてあるところでありますが、北海道から離島、さまざまな、沖縄まで、まあ網羅して、これから未整備の部分も進められるというふうに捉えられるかと思います。これは更に前に進めていただきたい。

 そして、そこでですが、私がきょう質問をさせていただきたいのが、もう一つの港、いわゆる地域とともにある漁港です。

 この漁港なんですが、要は、耐震拠点の漁港の位置づけ、そして、耐震強化岸壁といったものがどの程度整備をされているのかということで、まずお調べをしていただきたかったんですが、水産庁さんの方でも、地方でのさまざまな漁港もあって、すごくお時間を、お手間もおかけしたんですけれども、全国の整備状況ということで、二月の二十一日の金曜日時点の資料をいただきました。それをもとに池田事務所の方で地図に反映させていただいたものが、資料の二枚目になります。

 こちらを見ても、東日本大震災の後の漁港の復旧復興といったものがまだというところがありますので、ここについては整備がされていない空白地域にはなっておりますが、そのほかに、これを見てびっくりしたのですが、ちょっとばらつきがあるんですね。

 なので、水産庁として、今後どのように整備をされようと思っているのか、これは政府参考人さんで結構ですので、まずお聞かせいただけますでしょうか。

吉塚政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が策定した地域防災計画に基づきまして、災害発生時における救護活動、物資輸送等の拠点として重要な役割を有する漁港を防災拠点漁港と位置づけ、大規模地震等に備えた耐震強化岸壁等の整備を行っております。

 令和二年二月現在、全国で百九の漁港が防災拠点漁港に指定されており、このうち、耐震強化岸壁の整備につきましては、六十一漁港で整備を完了し、十五漁港で今後整備を行う予定となっております。水産庁といたしましては、今後とも、漁港における耐震強化岸壁の整備等、大規模自然災害に備えた災害対策を着実かつ迅速に進めてまいります。

 あわせまして、防災拠点漁港の、原因といたしましては、地震だけにとどまらず、台風だとか高潮に備えた漁港ということで防災拠点漁港と位置づけられているところもございますので、地震が発生する確率によりまして、耐震強化岸壁の整備を進めているところと、ちょっとゆっくり進めているところがあるということでございます。

 以上でございます。

池田(真)分科員 今お話がありましたように、地震だけじゃないんだよということでありましたが、やはり昨今の地球温暖化によって気候も随分と変わってきています。昔から、長くからありました漁港にあります環境も随分変わって、このきょうの地図で見ると、水産大国である北海道、結構少ないなというふうにちょっと残念に思っているところなんですが、これは漁師さんとか漁港の皆さんにもお話を伺ってきたんですけれども、水産大国なのにということで、非常に、もう少し力を入れていただきたいようなお話もございました。

 もちろん、これは地域防災計画とともにあるものでございますので、地域での課題でもあるというふうに考えておりますが、とにかくお金がかかりますので、これは強化岸壁だけではなくて。今でも既に、今までだったら起きなかった高潮、高波が冬場だけ物すごく波消しブロックを越えてしまって、施設に水が入ってしまって、電気が全部やられてしまう、こういったものはもう本当によくあるお話なんです。

 そういったところにも、細かなところにも目を向けていただきたいというのが一つの、これからの漁港整備の中で、本当に小さな、細やかな配慮かと思いますが、重要なことだと考えております。

 そこで重要なのが、港湾と違って、漁村ですね。漁港というのは、本当に、ある意味、地域の中で過疎化が進んで、道路が寸断されるような地域もございます。現に、昨今の災害において、土砂災害や、道路が寸断されたときに、漁港が本当に、物流そして人流、人を、災害のときに対応できたという例も多々あるわけなので、ここをもう一歩進めるために、私は、BCPといったものを、事業継続計画、町ぐるみでする必要があると考えています。

 漁港のBCPの策定計画そして策定率はいかようになっているでしょうか。

吉塚政府参考人 災害発生時におきましても国民へ水産物の安定供給を確保するため、漁業地域における事業継続計画、いわゆるBCPの策定が重要な課題であると認識しております。

 このため、平成二十九年度を初年度とする漁港漁場整備長期計画において、災害発生後の地域水産業の早期回復のため、おおむね百五十の流通拠点漁港でBCPを策定することとしているところです。

 昨年の末時点で、二十七の漁港においてBCPの策定を完了し、加えて六十八の漁港において関係者により策定の協議が進められているところであり、今後とも、流通拠点漁港におけるBCP策定を着実に推進してまいります。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 二十一日の金曜日に伺ったときには、三年前の調査では、計画を立てるときの三年前ではゼロ%だったというふうに伺っていまして、がっくりしたところでありました。しかし、実際に現時点の、本当に、二十一日からの調査を進めていただいて、もう一歩進んだなというふうに受けとめております。

 しかし、先ほど申し上げましたように、漁村は本当に高齢化、過疎化が進んでおりますので、一事業者だけではなくて町全体で取り組んでいくということが必要でございますし、そしてもう一点ですが、福祉施設の、福祉関係のBCPというのも非常に重要なんですが、これが残念ながら同様の策定率で、二〇〇九年の三月の時点で〇・五%だったんです。これはもう漁港の皆さんと頑張らなきゃいけないなというふうに思ったところでありますが、こちらの方は、二〇一三年の八月の時点でもわずか四・五%ですから、ぜひ、福祉関係とそして水産・漁港関係は、このBCPを、本当に地域全体の底上げ、安全対策なんだということを含めて、BCP対策をこれからも強化をお願いしたいというふうに考えているところでございます。

 ちなみに、こちらの方の、さっき、一枚目の国交省の場面なんですが、国交省管理の港湾の方はBCPが一〇〇%なんですよね。策定率一〇〇%で、本当にそれぞれの港湾が毎年のように見直しをして、ここまでやれるんだなというような状況にあるんですね。策定の見直しも非常に細かく行われていますし、私も、地域さまざまな課題があるんだなという形で、対策があるんだなということで、全地域の港湾のBCPを拝見したところでありました。

 ぜひ、規模は違うけれども同じ港同士、そして、プレーヤーも違うけれども、そこは安全対策の一つとしてお願いをしていきたいというふうに思います。

 水産庁はきょうはここまでということでございますので、これで退席していただいても結構です。

 それでは引き続きまして、次はちょっと、国交省さんにもおいでいただいております。国交省の管轄であるかと思いますけれども、環境面に非常に大きく影響することでございますので、大臣にも幾つか御答弁をお願いしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 今回、私が質問させていただきますのは、新幹線のトンネル工事で発生する要対策土の処分についてであります。国交省さんの管轄でやられるということでございますが、こちらの方の、私もマニュアルで流れは把握をしております、そのことを前提にですけれども、この要対策土におきます安全基準、何の法律でどのような根拠で基準とされているのでしょうか。まずは国交省さんにお答えをいただきたいと思います。

江口政府参考人 お答えいたします。

 整備新幹線のトンネル掘削による発生土につきましては、現在、建設主体でございます鉄道・運輸機構が、地元自治体のあっせんを受けまして、受入れ地の確保に努めているところでございます。

 発生土に自然由来の重金属等が含まれる場合は、鉄道・運輸機構では、国土交通省のマニュアルに基づきまして、雨水等により地下に浸透する重金属等の発生土の下部の吸着層に吸着させる方法などによりまして対策を検討することになっております。

 さらに、学識経験者等の専門知識を有する第三者委員会におきましてその対策の審議を行った上で、当該対策を実施することとしております。

 今、委員御指摘の点でございますけれども、こういった対策実施後も一定期間、周辺の地下水の重金属等の濃度が環境基本法の環境基準を満たしているかなどにつきまして、モニタリングを行うこととしているところでございます。

池田(真)分科員 今の安全基準なんですが、地下水ということで、最後の出口のところの基準なんですよね。そこを確認させていただきたいんですね。

 まず、トンネルを掘削するときには、空気や水に触れて、非常にさまざまな物質が確認をされています。その濃度も、今その基準値の何倍もというようなところで観測されているという状況なんですが。御説明では、最後の最後のところでいろいろな対策を、地域によってということでございますけれども、遮水シートだとかいろいろな対策をして、最後に基準値を満たすものということで進められているかというふうに思うんですが、しかし、この前の段階というのは安全を満たしているというふうに捉えられないというふうに私は考えているんですが、そこまでの保証を国交省さんではできないですよね。環境省さんは、この状況をどのように、安全基準について捉えられているのか。政府参考人さんでも結構ですので、まずはベースを教えていただければと思います。

小泉国務大臣 今、池田先生から御指摘をいただいたところ、この建設工事に伴って発生する土については、事業主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構において適切に取り扱っていただく必要がある。

 そのため、国交省では、建設工事における自然由来の重金属を含有する土壌等の取扱いマニュアルを取りまとめて、土壌環境基準を超過する重金属が含まれる土壌の地下水への影響がない保管方法を示すなど、人の健康への影響を防止するための対策が示されています。この事業もこのマニュアルに沿って対応していると承知しています。

 一方で、環境省では、土壌環境基準などの各種環境基準について、科学的知見に基づいて、中央環境審議会で学識経験者に御審議いただき、設定してきたところであり、新たな科学的知見に基づく見直しも随時行っています。

 環境省としては、こうした環境基準の見直し内容が国交省のマニュアルに随時反映され、事業者において適切に運用していただくことによって、安全が確保されるものと考えております。

池田(真)分科員 今の御説明では、さまざまな環境基準というのが、環境省に置かれているものがありますけれども、こちらが、最終的には、国交省あるいは事業者さんの方で適切に管理をされるということではありました。

 では、この管理をされている部分について、監査といいますか監視といいますか、チェックは、環境省は行うんでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 個々の事業の環境対策あるいは土壌対策の管理、環境面からの管理については、あくまで個々の事業者において行うということと承知いたしております。

池田(真)分科員 管理は事業者さんということではわかりますけれども、環境省の方では、先ほど大臣の御答弁では、新たな見直しだとか新たな基準だとかいうのも適宜やっていくんだというようなことがございました。それが実際に行われているかどうかということをしっかりと見ていく必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 まず、先ほど申し上げましたとおり、環境省として、土壌環境基準などの各種の環境基準を科学的知見などに基づいて、最新の知見、こういったものも随時反映をしている。こうした見直しの内容が国交省のマニュアルに反映をされて、そのマニュアルで事業者において適切に運用していただく。こういう階層というか形になっている中で、これからは環境省がしっかりそれが運用されているようにチェックすべきではないかということになりますが。

 まず、先ほど局長からもお話があったとおり、個別の事業については、一義的には、実施主体である事業者に責任を持って対応していただくことになります。しかし、環境省としても、科学的知見に基づいて、国全体の目標として環境基準を設定して、関係省庁や地方自治体などと連携をして、事業者にそれを遵守してもらうよう働きかけることで、人の健康への影響の防止を図っていきたいと考えています。

池田(真)分科員 この後も、監視というか、それが守られているのかどうかというのは非常に重要なことだと思うんです。

 今いろいろお話がありました。新たな基準とか最新の知見とかというのも、いわゆる環境省のキャッチーにもありますように、ことしのですけれども、気候変動掛ける防災というような、気候変動に伴う新たな災害、これらも想定したものといったものも、現に盛り込まれているという理解でいいのでしょうか。

小泉国務大臣 まず、気候変動掛ける防災ということなんですが、これは、私が就任以降、今後、毎年、今まで以上の台風などの被害が、可能性はあるわけです。その中では、既に行っている防災だけでは不十分で、気候変動というファクターを加味しない防災というのはあり得ない。

 そういった思いから生まれている事業、取組で、今、内閣府の防災、これは大臣は武田大臣です、武田大臣とこの件でも認識を一致しまして、先日も、有識者の方をお招きして意見交換会を、両大臣出席でやらせていただいて、今後、六月ぐらいをめどに、両大臣でのメッセージを発出する、そういった方向で、今、関係省庁とも詰めを進めています。

 ですので、今後、まさに防災の中に気候変動という要素をしっかりと加味した防災政策が政策として打ち込まれていくような流れをつくっていきたい、そう考えております。

池田(真)分科員 環境基準の中に防災というような、新たな災害に向けての基準というか、想定というものも、最低限のというよりは、こういうことも起こり得る場合のためにも考えましょうという基準を一つ考える必要があるのではないかというふうに考えておるところであります。

 先ほどからありました、事業者が管理するんだよということでありましたけれども、事業者の資料によりますと、環境基本法、土壌汚染対策法、土壌汚染防止等に関する法律、水質汚濁防止法等で定めた基準を状況に応じて遵守又は参考にしますというふうに書かれているんです。

 ですので、やはり、多くの国民は当然不安になるわけですね。環境省が定めた基準、一定のですけれども、この基準が絶対ということではないかもしれない、多くの知見を積み重ねてきたこの基準で、定めていた基準について、遵守をしているということではなくて、状況に応じて遵守なんですよ、又は参考ということなので、これは、もうあってないような、ちょっとだけは参考にしますねという形で、遵守されているとか遵守してくださいというようなことではなく、少なくとも遵守することというふうに見直してはどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃった部分、ちょっと私、手元にないものですから、その部分、確認できないんですけれども、考えられますことは、法律に基づく規制基準であれば、当然、それは遵守するということになりますけれども、例えば、その工事が規制基準、規制そのものには当たらないという場合には、それを準用して、それを参考にしてやるということも考えられようかと思いますし、環境基準のように望ましい基準という場合には、またそれに沿った対応の仕方があるというようなことかと考えます。

池田(真)分科員 そういうことなんですよね。やはりこの基準について、やってくださいということが重要だというふうに思うんです。

 まず、今、この候補地となっているところ、余り具体的に地名までは出しませんけれども、もともと道路の冠水があって、信号がとまってしまうとか、これらの日常にあったり、今こそこのハザードマップに示されていますけれども、川と川に挟まれて、低湿地帯で、開拓当時から水との闘いの歴史があって、その経験を生かして、住宅の基礎自体も高い地域なんですね。幼稚園や小学校もあったり、高校、養護学校、老健施設や介護施設なんかもあるわけであります。そういうような地域の中で、人がたくさん住んでいる、生活をしている中で、北海道らしい、アオサギの営巣が確認されたり、キタキツネは日常にいますし、野鳥も人々とともに日常にあるような、こういう自然環境豊かなところであります。

 安全を誰しも求めるのは当然なんですけれども、今回これらに使われている基準が、一日二リットルで七十年飲み続けても大丈夫なんだというようなことですとか、でも政府は今、人生百年時代ということで、新たな政策を示そうというところで、設計をしようということであります。

 また、気候変動対策ということでも、より一層新たな基準や政策目標を掲げているにもかかわらず、こういったことがおろそかになっているのではないかというふうに思うわけであります。

 昨年の十月の豪雨でもございましたけれども、原発の除染土のフレコンバッグ、あれがどんぶらこと流れていたわけです。私もこの流れているところにすぐに駆けつけさせていただきましたけれども。

 そういうような、いろいろな、もう既に未曾有とは言っていられない事態が起きている、そのことを想定される必要があるというふうに思いますが、大臣に最後お答えいただきたいと思うんですね。いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今の池田先生の御質問は、フレコンのことか、それとも全体のこの管理の……(池田(真)分科員「全体の基準の見直しについてです」と呼ぶ)はい。まず、今先生から御指摘いただいたこの案件、御地元の建設工事に係るところは、まず、事業主体である鉄建機構など、それに適切に取り扱っていただくということです。ちなみに、この工事は規模要件を満たしていないため、環境省所管の土壌汚染対策法の規制の対象外となっているということです。

 国交省では、先ほど申し上げたとおり、マニュアルに沿って対応していると承知をしています。そして、環境省では、審議会で最新の知見に基づく見直しも随時行って、それを見直した内容が国交省のマニュアルに随時反映をされて事業者で適切に運用していただく、そういった形で安全を確保する。

 そういった中で、先ほど先生の御指摘にお答えをさせていただきましたが、一義的には、実施主体である事業者に責任を持って対応していただくことになるが、環境省としても、科学的知見に基づいて、国全体の目標として環境基準を設定して、関係省庁そして地方自治体などと連携をして、事業者にそれを遵守してもらうように働きかけることで、人の健康への影響の防止を図っていきたいと考えています。

池田(真)分科員 事業者任せではなくて、もちろん守ることが、そういうルールになっている、制度は大体そういうことは当然であるかと思いますけれども、環境省はそもそも国民の健康を守るというところにまずありますので、その環境基準の第一責任者なんだという自覚が大事だというところで、私は問題提起をしているところであります。

 今までがこうだからこうなんだというのは、これは役所の皆さんが言うお話でありまして、でも、ここに対する不安や、そもそも環境省ができた経緯を考えると、水俣病やさまざまな公害、いろいろな経験が私たちにはあるはずなんですね。なので、ここは、政治家である大臣が今就任されたということで、ここは一歩強く推し進めて、この問題をしっかりと持っていただきたいということであるんです。

 なので、政治家として、大臣としての答弁を最後は求めたいと思います。

 そこで、その前にですけれども、この環境基準、私も振り返りました。でも、政策ではこうなっています、こうなっていますということが多いんですけれども、でも、環境基準は、これは抜粋ですけれども、維持されることが望ましい基準であって、行政上の政策目標である、これは、人の健康等を維持するために、最低限度ではなくて、より積極的に維持されることが望ましい目標だということで掲げているんです。そして、大臣がおっしゃったように、常に新しい科学的知見の収集を求めて適切な科学的判断が加えられていかなければならないという義務的な基準の見直しもうたわれています。

 そして、環境基本法の第三節、十六条になりますけれども、こちらの第四項に書いてあります。「政府は、」、中は省略しますけれども、「第一項の基準が確保されるように努めなければならない。」というふうになっているんです。政府はこの基準が守られるように、確保されるように努めなければならないです。ですから、自治体あるいは事業者、さまざまなところが管理することになっていても、この認識こそが重要だということを申し上げたいと思います。

 大臣、最後に御答弁をお願いします。

小泉国務大臣 今、池田先生が引いていただいた環境基本法、これはもう環境省にとっては最も重要な法律の一つであります。そういった中で、第一項の基準が確保されるように政府は努めなければならない。まさに、こういった環境のために努めなければいけないことを、環境省として、最新の有識者の知見なども反映をしたものを常につくり、それを、国交省始め関係する省庁、そこがマニュアルをつくり、そして、それを受けて、しっかりと事業者がそれを反映してやっていく、こういったものがしっかりと運営されている、運用されているようにしていかなければいけない、それが我々の役割だと思います。

 池田先生が、我々の、環境省の原点でもある水俣病、そしてまた、今、福島の除染、中間貯蔵、こういったことに触れていただきましたが、まさに今、環境省の中でも、今後の、来年、環境庁設置五十年です、そして環境省設置二十年、そして東日本大震災から十年、それが来年という、環境省にとっては非常に重い節目の年でありますので、環境省内で今議論させています。

 環境省として、これから時代の変化に伴って課題も変わるだろうけれども、絶対に忘れてはならない、環境省のいわばアイデンティティーとなるような、そういった、特に力を入れていくべき政策の柱、そして原点、こういったものをもう一度しっかりとみんなで共有するような作業もしていますので、御指摘のとおり、水俣、福島、そういったことを忘れず、環境再生の重み、一度失ったものは取り返すのにどれだけの苦労があるか、これを誰よりも忘れてはならない霞が関の省庁が我々環境省だと思っていますので、ぜひ今後とも応援いただければと思います。

池田(真)分科員 今、大臣から前向きな御答弁をいただきました。来年に向けて、より強く進めていただきたいと思います。

 地球温暖化に向けての気候変動の一番犠牲になるのは弱者です。その人たちを一人も残さない、誰一人も置いてきぼりにしない、そういう健康、命を守る環境省なんだということを、ぜひこれから進めていただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて池田真紀さんの質疑は終了いたしました。

 次に、岡下昌平さん。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

岡下分科員 自由民主党、大阪十七区の岡下昌平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、原発事故で汚染された土壌等を取り除く除染によって発生した土壌の減容そして再利用、そして福島第一原子力発電のALPS処理水の問題を取り上げさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。また、ちょっと質問で重なる部分は御容赦をいただきたいと存じます。

 ことしの三月十一日で二〇一一年三月十一日の東日本大震災発生から丸九年がたちます。来年は十年の節目を迎えることとなりますけれども、先日、菅官房長官は、政府主催の東日本大震災追悼式は来年までとするという方向で検討する、そういったお考えを明らかにされました。この方針を聞かれた被災自治体の皆様方、これは大変残念に思われているのではないかと存じます。来年は十年の節目だからといって復興支援に一つの区切りというものをつけてしまうのは、私はいかがなものかと思います。

 二月二十三日に六十歳の誕生日をお迎えになられた天皇陛下は、お言葉の中で、被災地の方々お一人お一人の声に耳を傾け、被災者に寄り添い、被災地に長く心を寄せていくとお述べになられました。このお言葉のとおり、私は、今まさに復興再生に全力を尽くしていかなければならない時期であると思いますし、特に福島県の原発問題におきましては、県外の方々のみならず、日本国全体としての御理解そして御協力が不可欠であると思います。

 この問題は、エネルギー問題だけではなくて、私たちの健康、食、外交そして経済、深く関連しておりますので、この問題の解決なくして私たちが安心して暮らせる社会の構築は実現しないと思います。あえて大阪選出の私がこの問題を取り上げることで、少しでも国民の皆様方の御理解が進むことを願い、質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、初めに確認なんですけれども、二〇一四年十一月十七日に成立をいたしました中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の中で、国の責務としては、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」と記されておりますけれども、既に五年経過しておりますが、この方針に変わりはないのか、お聞かせください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法におきまして、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする。」とされておりまして、この方針に変更はございません。

岡下分科員 もう既に五年経過して、あと二十五年ということでございますので、対応を加速させていかなければならないと考えます。

 それでは、除染により生じた除去土壌などは今どれぐらいあるんでしょうか、お聞かせください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県内の除染等の措置により生じました除去土壌等は中間貯蔵施設に輸送することとしており、その対象物量は、帰還困難区域から生ずるものを除きまして、二〇一九年、令和元年十月時点で約千四百万立方メートルと推計してございます。

岡下分科員 千四百万立方メートルということでありますけれども、これは具体的には東京ドームが十二個若しくは十三個分ということで、かなりの量となります。まずは、少しでも保管する量を減らしていく、減容化に力を入れることが重要であると考えます。

 昨年末、十二月の二十日でありますが、閣議決定されました復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針の中でも、最終処分量を低減するため、国民の理解のもと、政府一体となって除去土壌等の減容、再生利用を進めることが重要、このように決定されております。

 そこで、今現在既に中間貯蔵に搬入されたものはどのようなものがあって、その割合はどれぐらいなのか、お聞かせください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年十一月時点で、中間貯蔵施設に搬入しました除去土壌等は約五百三万立方メートルであり、その内訳につきましては、土壌が九四・五%、草木などの可燃物が三・七%、焼却灰が一・四%、その他が〇・五%となっております。

岡下分科員 それでは、ほとんどが土壌ということであります。

 土壌の再生利用可能な濃度は、二〇一六年に公表されました再生資源化した除去土壌の安全な利用にかかわる基本的考えの中で、八千ベクレル・パー・キログラム以下を原則と規定しておりますけれども、この八千ベクレル以下の土壌等はどのぐらいあるんでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 中間貯蔵施設に搬入した除去土壌については、令和元年十一月時点で、搬出時に仮置場等で測定した表面線量率及び重量によって換算しました放射能濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下のものにつきましては、七七・〇%でございます。

岡下分科員 七七%。理論上は八〇%ぐらいは再利用が可能ということになりますけれども、現状では再生利用ということは大変難しいのではないかと思います。幾ら政府が八千ベクレル以下が大丈夫だと言ったとしても、近隣の皆様方の不安はなかなか拭えない。

 この八千ベクレルという規定に疑問を持っている方も大変多いと思いますが、この八千ベクレルとなった根拠、これは一体何なのか、お示しください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、二〇一五年、平成二十七年より、有識者から成ります中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会を設置し、除去土壌の減容、再生利用に関する技術開発戦略、再生利用の促進に関する事項等について検討しているところでございます。

 検討会での議論を踏まえ、平成二十八年六月に、再生利用の安全な実施に係る、再生資材化した除去土壌の安全な利用に関する基本的考え方を示したところでございます。

 この基本的考え方に従いまして、適切な管理のもとで再生利用を実施することになりますが、工事による被曝が想定される施工中の作業者において追加被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えないよう、用途ごとに再生資材中の放射性セシウム濃度の上限を示しているところでございます。

 なお、日本人が一年間で受ける自然由来の被曝線量は約二・一ミリシーベルトとなってございます。

岡下分科員 その根拠を今お示しいただきましたけれども、福島県南相馬市の常磐道の工事において再生利用するという話があって、地元の反対が起こっているということですけれども、その状況をお聞かせいただきたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 南相馬市の常磐自動車道に係る工事におきまして、四車線化工事に伴う盛土の一部として再生資材を利用する実証事業を計画しているところでございます。

 当該事業につきましては、地元での説明を行ったところ、再生利用の安全性等につきまして御懸念や御不安の声をいただいておりまして、現在、今後の進め方につきまして検討中でございます。

 再生利用の実施に当たりましては、地元の方の御理解が最も重要でございます。引き続き丁寧に取り組んでまいります。

岡下分科員 ぜひ、丁寧な説明というものを怠らずに、今後も継続していっていただきたいと存じますが。

 環境省の再生事業、これもなかなか苦心している中で、現在、飯舘村で環境再生事業が行われておりまして、お花を栽培しております。ノーベル賞を受賞された吉野さんが環境省を訪れたときに小泉環境大臣の方から渡されたその花も、ここで栽培された花であるということでございますが、今現在の飯舘村の状況をお聞かせいただきたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度から、飯舘村長泥地区におきまして、地元の御理解、御協力を得まして、除去土壌の再生利用の実証事業を行っているところでございます。

 この事業では、除去土壌を再生資源化し造成を行った盛土の上部で、資源作物等の試験栽培を行うなどの実証事業を行っているところでございます。

 これまでのモニタリングの結果、盛土の施工や維持管理につきまして、放射線安全性の観点から問題がないことを確認しているところでございます。また、試験栽培につきましても、想定よりも十分安全側の結果が得られているところでございます。

 また、実証事業の一環としまして、地元の方々にも御協力をいただきまして、ビニールハウスでトルコギキョウ等の花卉の栽培を行っているところでございます。

岡下分科員 こういった事例はすばらしい事例だと思いますし、少しでも風評被害というものを払拭していくために非常に重要な事業の一つであると思いますが、先日、堺市の自民党の市会議員団が上京されまして、国会にてこれらの問題についての勉強会を行いました。事業の内容を理解されると、非常にいい取組であるということはよくよく理解されるんですけれども、やはり、風評被害というものからくる住民の不安、こういったものを考えると、残念ながら、まだ賛成することができないという意見が大半を占めておりました。

 よって、時間をかけ、丁寧な説明を心がけ、目に見える形で実践していくことが今後重要になってくると思いますし、ちなみに、自民党では、三月末ごろに党本部の正面玄関にこの飯舘村の再生事業で収穫されたカンパニュラというキキョウ科のお花を飾ろうと、今まさに計画しているところでございます。

 この風評被害対策、これは福島県だけでなく、やはり全国の国民の理解が最も重要になってくると思います。したがって、今後、万全な対策を講じていく必要があろうかと存じますが、この花の、花卉の栽培を現地まで御視察に行かれた小泉大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

小泉国務大臣 岡下先生、力を入れられて、今後、自民党で、来月の下旬ですか、この飯舘長泥地区のお花を自民党の方で飾っていただけるような取組を今進めておられる、環境省としても大変ありがたく思います。

 そして、私も現地に二月の九日に行って申し上げたのは、今までは、実証だからということで、きれいに咲いていた花にもかかわらず処分をされていたんですね。ビニールハウス、大きくないものですから、量もそんなにありません。そういった状況だったんですが、やはりそれは余りにももったいない、忍びないということで、環境省が使わせていただこうということから始まって、今では、森法務大臣、地元福島でもありますし、お話をしたところ、法務省でもぜひということで、そしてまた復興庁、農水省、経産省でも利用が今広がっています。

 そして、今度新たに党の方でということですから、まさに、こういったできることを一つ一つでも積み重ねていくということが、信頼を地元の皆さんとともにかち得ていく、そしてまた同時に全国での風評の払拭につなげていく面でも大切なことだと思っております。

 ちなみに、きのうも、福島県で開催されました法定協議会に私も出席をして、知事を始めとする首長さん、そして農協関係、また商工会議所、そういった皆さんとも議論をしましたが、九年たとうとしている今でも、多くの風評ということに対する懸念の声、そして現実の厳しさ、これが相当出ました。

 まさにこれは骨の折れる作業でもありますし、本当に腰を据えてやらなければいけない。環境省としても、この風評払拭に向けて確実な、確かな一歩一歩を刻んでいきたいと考えています。今後とも応援よろしくお願いします。

岡下分科員 我が自民党本部でこの花を飾ろうという考えに至ったのは、小泉大臣のそういったお心遣いといいますか、環境大臣としての取組に胸を打たれて、そういった思いが私にも伝わってきました。

 といいますのは、大臣は、大臣におなりになられる前からこの東日本の復興に熱心に力を入れてこられたお方でありますし、やはり被災地の方々からの信頼というのは非常に厚いと思います。ぜひ、この花に限らず、ますます環境大臣として被災地の方々に寄り添って、さらなる御尽力を賜りますようにお願い申し上げたいと思います。大臣に心より敬意を表したいと思います。

 そんな中、風評被害対策、やはり先ほども大臣おっしゃっておられましたけれども、こつこつとさまざまなことを開催していくことが重要になってくると思います。大きなのが復興のイベントですね。

 そこで、復興庁に、福島県と他の都道府県が連携して行っている復興のイベントのリスト、これがありますかと問合せをしたところ、ありませんという残念な答えが返ってきました。復興庁のお仕事というのは、各省庁の取りまとめ、そして全体を把握しなければならない立場であります。したがって、この点はぜひ問題意識を持っていただきたいと思います。

 また、復興庁のホームページには復興に向けた取組が載っておりますけれども、被災自治体や復興庁の取組ばかりが載っているんです。他の都道府県が復興に向けてどのような協力をしてくれたのか、あるいはどのような取組をしているのか、こういったこともあわせてホームページに載せるべきであると、あわせて指摘をさせていただきたいと思います。

 先ほど復興庁に問い合わせた件で、ありませんというお答えでございましたので、私、自分で調べてみました。

 東京都、これはさすがですね、昨年だけでかなりのイベントを開催されておられます。東京愛らんどフェア、TOKYOウオーク、東京都福島産直市、わくわく!みんなでぼうさいフェスタ!、チャレスポ!TOKYO、市場まつり、ヒューマンライツ・フェスタ東京、東日本大震災復興応援元気市in豊洲など、数多く開催されておられました。

 私の地元大阪ではちなみにどうなっているのかということも調べてみましたところ、民間あるいは市民ベースでは多くの復興イベントやプロジェクトを行っていただいておりました。近いうちに私の地元の堺市に医学部が移転してきます近畿大学におきましては、“オール近大”川俣町復興支援プロジェクトが二〇一二年を手始めにスタートいたしまして、二〇一三年にポリエステル媒地を活用いたしましたアンスリウムという花の実証栽培を開始し、昨年、大田市場に初出荷されました。復興支援事業で実際に事業化するということは、本当にこれはすばらしいことだと思います。

 ただ、非常に残念だったのが、大阪府として主催しているものが何一つなかったということであります。

 以前、汚染された瓦れきの処理に関しましても、山形県、東京都、青森県が平成二十三年度にいち早く広域処理を行っていただきました。西におきましては、平成二十四年に福岡県、おくればせながら大阪府は平成二十五年に受け入れたということでございます。

 これは、今後、知事等々のアピールだけではなくて、言うだけではなくて、地道に実際に行動を起こしていただくためにどのようにしていくのかという検討を進めていただきたいと存じます。特に実際にどの自治体が協力したか、都道府県別の取組などの詳細を見える形で公表していくのも一つのいい方策かもしれません。

 また、この風評被害を払拭するためには、海外への発信や外交努力も今後重要となってまいります。

 そこでお尋ねいたしますけれども、原発事故に伴って農産品の輸入規制措置を行った国や地域はどのぐらいございますでしょうか。

道野政府参考人 東京電力福島第一原子力発電所事故後、食品中の放射性物質を理由として日本の農林水産物、食品に対して輸入規制措置を講じた国、地域は、全体で五十四ございます。

岡下分科員 それでは、現在までにその規制措置を完全撤廃した国あるいは地域はどのぐらいございますでしょうか。

道野政府参考人 原子力発電所事故後、総理を始め、さまざまなレベルによる緩和、撤廃に向けた働きかけを行ってまいりました。その結果、最近では、昨年十月にブルネイ、本年一月にフィリピンが輸入規制を撤廃いたしました。これまでに三十四カ国・地域が輸入規制を撤廃いたしました。

岡下分科員 いろいろと努力をしていただいた結果、当初に比べて輸入規制というものが減っております。しかし、まだ輸入規制を継続している国や地域が二十あるということでございます。

 その中でも、一部の都道府県を対象に輸入停止している国が六つ存在しておりまして、それは香港、中国、台湾、韓国、マカオ、アメリカとなっております。中国におきましては、輸入停止措置対象県以外でも野菜、果物などは放射性物質検査証明書の添付を求めておりますけれども、放射性物質の検査項目が日中両国で合意がなされていないものですから、実質上、我が国としては輸出ができないというような状況になっております。

 私は、自民党の方で観光立国調査会で事務局次長を仰せつかっておりますけれども、そんな関係で、外国の方々に日本のいい農産品をたくさん持ち帰っていただきたい、そういった取組をしてきたんですけれども、これはなかなか、残念ながら実現しておりません。ことしはオリンピック、パラリンピックがございますので、日本の食材が安全であるということをどうしたら世界各国の皆様方に知っていただくことができるか、理解していただくことになるのか。これはやはり数値、根拠となる数値を目に見える形で示すことが重要になってくるのではないかと思います。

 そこでお尋ねしますけれども、食品中の放射性物質の基準値は厚生労働省で設定し、検査結果を情報公開しておりますけれども、農水省では、規制撤廃に向けてどのような働きかけをして、何カ国語で発信されているんでしょうか、お聞かせください。

道野政府参考人 被災地の復興を推進し、また国産の農林水産物の輸出を拡大していくためには、こうした原発事故による輸入規制を導入した国の、地域の規制を緩和、撤廃させることが非常に重要になっております。

 政府といたしましては、農林水産物・食品の輸出の促進に関する法律に基づき、本年四月に農林水産大臣を本部長として設置される農林水産物・食品輸出本部のもとで、省庁間の縦割りを排除して、関係省庁が一体となって対応することとしております。

 農林水産省といたしましても、基本的には、こうしたデータについては英語での発信というのが基本になっておりますけれども、例えば、今御指摘のありました、最も厳しい規制を講じている中国につきましては、在北京の日本大使館の協力を得まして、在北京の大使館のホームページに中国語で情報発信をしておるというようなところでございます。

岡下分科員 二〇一九年の農林水産物、食品の輸出額が九千百二十一億円でありまして、成長戦略の目標一兆円には惜しくも届きませんでした。ことしは新型コロナウイルスの影響もあると思います。更に厳しい状況になると考えます。オリンピック、パラリンピックに向けて、一般外国人用に、ぜひ多言語で、わかりやすく整理をして発信していただきたいと要望させていただきたいと思います。

 次に、世界の原子力発電所から、トリチウム年間排出量を見てみますと、我が国の水産物を輸入禁止している国である韓国、この国は月城という原発がございまして、二〇一〇年から二〇一八年の間に、福島第一原発のALPS処理水によって生じたトリチウム約八百六十兆ベクレルより多いトリチウム、一千八百四兆ベクレルを海洋や大気中に排出しております。また、台湾の馬鞍山原発や中国の大亜湾原発も同様でございまして、UNSCEAR、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、この二〇〇八年の報告書によりますと、一九九八年から二〇〇二年の約四年間、台湾は百六十兆ベクレル、中国は百八十兆ベクレルのトリチウムを海洋や大気中に放出、排出をしているということでございます。

 こういった状況を見ると、輸入禁止している理由というのは一体何なのか、非常に政治的なものなのかと疑わざるを得ない状況でありますし、我が国としては、あくまでも、今後もしっかりと目に見える形で現状を報告し、今後の取組をどのようなスケジュールで進めていくかということも示しながら、粘り強く外交努力を行っていく必要があろうかと思います。

 外交という観点からは、先日、我が党の二階幹事長が、新型コロナウイルスの感染が拡大する中国へ、自民党としても支援金を募りまして現地にお届けしたいと考えております、お隣の国で何かあった場合に支援するのは当然のことであると、自民党所属の国会議員から任意で支援金を中国側に送ることを決められました。隣国だけに、私は、このような思いやりの外交も一つ、今後重要となってくるということもあわせて指摘をさせていただきたいと思います。

 そして、このALPS処理水につきましては、昨年、私の地元大阪の松井市長さんが、政府が科学的根拠を示して海洋放出する決断をすべきだと指摘されておられますし、また、大阪湾で放出する可能性についても、持ってきて流すなら協力の余地はある、このように発言されました。その結果、大阪の漁業関係者の皆様方や多くの市民の皆様方に御心配をおかけいたしました。

 そこで、大阪でも関心の深いこの処理水の正確な現状についてお尋ねしたいと思います。

 現在、ALPSで処理した水の量は約百十九万立方メートル。イメージしにくいのでタンクの数でいえば、九百七十四基。よくニュースで、あと二年でタンクが満杯になると言われておりますけれども、あとどれぐらいの処理水が保管可能なんでしょうか、お聞かせください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所におきましては、現行のタンク建設計画によって、二〇二〇年末までに百三十七万立方メートルの貯水量を確保することを予定しております。

 一月三十日時点での貯水量は約百十九万立方メートルとなっていることから、残り約十八万立方メートルの保管を行うことが可能でございます。

岡下分科員 十八万立方メートルといいますと、大体タンク二百基ということでございます。

 当初は、処理水の量は、一週間で二から三基のタンクが必要だったそうでありますけれども、現在は一週間で一基が必要であると。したがって、汚染水対策が効果を発揮していると思いますけれども、更に改良の余地はあるんでしょうか。

新川政府参考人 委員御指摘のとおり、汚染水発生量につきましては、中長期ロードマップに基づいた予防的、重層的な対策により、着実に低減をしております。

 具体的には、凍土遮水壁の凍結、サブドレーンによる地下水のくみ上げ、雨水浸透防止のための敷地舗装などの対策によりまして、一日当たりの汚染水発生量は、対策前の二〇一四年五月における約五百四十立方メートルから、二〇一八年度においては約百七十立方メートルまで減少しております。

 中長期ロードマップにおいては、一日当たりの汚染水発生量につきまして、二〇二〇年に百五十立方メートル程度、二〇二五年内に百立方メートル以下まで更に低減させることを目標としております。目標の達成に向けまして、雨水流入防止のための建屋屋根損傷部の補修など、必要な取組を更に進めていくこととしております。

岡下分科員 ありがとうございます。

 二〇一六年十一月十一日に、処理水の風評被害などの社会的な観点等も含めて総合的な検討を行うことを目的としたALPS小委員会、これは十七回開催され、結論が出されたようでありますけれども、その結論をお示しください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水につきましては、風評など社会的な影響も含めた総合的な検討を国の小委員会で行い、二月十日に報告書が公表されたところでございます。

 報告書の中では、技術的に実績があり現実的な方法は海洋放出又は水蒸気放出であること、国内での実績や放出設備の取扱いの容易さなどから、海洋放出の方がより確実に実施できることについて提言がございました。また、いずれの処分方法であったとしても風評被害が生じ得ることから、風評被害対策を拡充強化すべきであるとされております。

 政府としては、小委員会の報告も踏まえ、地元を始めとした関係者の御意見をお伺いした上で結論を出していく所存でございます。

岡下分科員 その小委員会の中で、海洋放出する場合、大阪などの他地域に処理水を移送する手段についても議論されましたか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS小委員会の報告書では、敷地外へ処理水を搬出することにつきまして、移送ルートとなる自治体の御理解を得る必要があるほか、法令に準拠した移送設備が必要となること、移送先で保管に係る新たな事業許可が必要となるほか、保管地となる自治体の同意が必要となることなど、相応の準備と多岐にわたる事前調整が必要であり、相当な時間を要すると示されております。

 政府としては、こうした課題があることも踏まえながら、今後、地元を始めとした関係者の御意見をお伺いした上で、風評被害対策も含めてALPS処理水の取扱いについて結論を出していくこととしております。

岡下分科員 ありがとうございました。

 大阪の松井市長は、科学的に安全だという証明がなされれば大阪湾に放出してもいいと言われておりましたけれども、そもそも福島から大阪に処理水を運ぶこと自体が現実的には難しいということがわかりました。

 今後、政府におきまして基本的な方針の決定がなされると思いますけれども、排出基準がクリアされているからといって海洋放出することは実際には難しいという問題がございます。よって、丁寧な風評被害対策、海外向けの情報発信、さまざまな人の御理解や御協力を得ながら、しかるべき決断をしていただきたい。その時期が迫ってきているということを御指摘申し上げまして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

笹川主査代理 これにて岡下昌平君の質疑は終了いたしました。

 次に、屋良朝博君。

屋良分科員 立国社の屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、有機弗素化合物について質問をしたいと思っております。

 有機弗素化合物、余りなじみのない物質ではございますけれども、人類が生み出したとても便利な化学物質でありまして、総称でPFAS、一般的によく知られているのがPFOS、PFOAでございますけれども、はっ水性が高い、だから衣類の防水加工やフライパンのテフロン加工、焦げないんですね、そういったものの加工に使われるというとても便利な物質でございました。しかし、人類に、人の健康に牙をむくことがだんだんわかってまいりました。

 フォーエバーケミカル、これは分解しないそうです。自然界で分解しないために、体の中に取り込まれるとずっと残ってしまう、そんな化学物質でございますけれども、それを長い間一定の量をずっととり続けていると、免疫機能障害、発がん性があるとか、肝機能障害、コレステロール値の上昇だとか、子供を宿したお母さんがこの物質をとると、胎盤から、ヘその緒から直接胎児に入っていって、低体重児が生まれる。そうすると、障害がある子供が生まれる危険性が高まっていく。

 そういったことから、国際的にも、この地上からなくしていこうということで、ストックホルム条約で残留性有機汚染物質に登録された。製造や輸入や使用が禁止されて、欧米では、それぞれ独自の基準値を設けて対策に当たっているというのが現状でございます。

 日本においては、ようやく先日、厚労省がPFOS、PFOAの暫定目標値を設定しました。五十ナノグラム・パー・リットルというものですけれども、この数字は恐らく今後いろいろ議論を呼ぶことでしょう。しかし、これまで対策をとっていなかった日本がようやく一歩踏み出した、ゼロから一歩踏み出したということで、その対応は多とするものであります。

 今後の対策、もっと前に前に進んでいくことを期待しておりますが、その上で、暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルについてちょっとお伺いしたいんですけれども、一ナノグラム・パー・リットルというのは、二十五メーターのプールに食卓塩を三粒落としただけのものらしいです。だから、五十ナノグラム・パー・リットルといっても、物すごく小さな小さな量であってもそれを守っていきましょうねというぐらいの危険性が認識されている化学物質であります。

 これは、国際的な標準と比べてどのような値なのか、そして、なぜ目標値として、更に暫定とつけたのか、この二点について厚労省にお伺いしたいと思います。お願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 PFOS等化学物質につきまして、水道水の目標値等を設定する際は、動物実験等から算出された耐容一日摂取量、TDIというものでございますけれども、これをもとに、所定の体重や一日当たりの水道水の摂取量などを適用して算定することが基本的な考え方でございます。

 今般の日本におけるPFOS等の目標値の検討に当たりまして、耐容一日摂取量につきましては、近年、海外の国や機関で検討されたもので妥当と考えられるものの中から、安全側の観点により最も小さいものを採用することといたしました。

 具体的には、我が国の水道水における他の化学物質に関する目標値等を算定する際に使用する、体重五十キログラム、一日当たりの水道水の摂取量二リットル、水道水の割当て率一〇%を適用し、PFOS及びPFOAの目標値は一リットル当たり五十ナノグラムと算定いたしました。

 また、米国では、PFOSとPFOAの毒性の類似性等を根拠に、これらを合算した目標値としておりまして、我が国においても同様の扱いをすることといたしました。

 なお、PFOS等の毒性の評価は国際的にもばらついております。現時点では明確な目標値の設定が困難であることから、暫定目標値とすることとしまして、今後、厚生科学審議会生活環境水道部会の審議を経て、了承されれば、四月一日から施行する予定でございます。

 以上です。

屋良分科員 そうすると、世界でもかなり厳しい値に設定したということで、努力目標の設定は多としたいと思います。

 ただ、今後の対応としまして、これから、これほど世界的に問題になって、ストックホルム条約で、もうこの世界からなくしていこうというふうな物質でありますので、むしろ、将来的には水質基準の対象物質にするというふうな目標設定をやられる、そういった方向性を見据えながら対応していった方が、より安全、安心な水道事業が可能になるのではないかというふうに思いますけれども、それを、水質基準にしない理由というか、今後、そういう方向性も見据えているのかということについても、厚労省さん、ちょっとお話しいただきたいんですけれども。

 目標値だと、自治体に努力を促すということなんですね。罰則規定はとりあえずない。基準値を上回った水道事業者は自分たちで独自に努力をして改善していかないといけないし、自治体への負担援助もない、そういうふうに理解していていいんですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 PFOSとPFOAにつきましては、目標値を定めることによりまして、水道事業者にとって、浄水場の水質管理の目安が設定されることになり、水質検査や対策などの取組を計画しやすくなるという効果があると考えております。

 しかしながら、PFOS等の水質基準等における位置づけは、現状では知見や情報の収集に努める要検討項目であります。暫定目標値の設定にあわせて、水道事業者が水質基準項目に準じた検査等に努め、その結果を水質管理に活用する水質管理目標設定項目に我々としては位置づけていく予定で、変更していく予定でございます。このことによりまして、全国の水道事業者が、例えばPFOS等の水質検査を行い、その結果を活用して、必要に応じて水質向上のための取組につなげることにより、より安全、安心な水道水の供給に貢献していくものと認識しております。

 なお、暫定目標値案と位置づけの変更につきましては、先ほど申し上げましたとおり、厚生科学審議会生活環境水道部会で御了承いただければ、今年度内には水道事業者に周知し、四月一日から施行の予定でございます。

屋良分科員 繰り返しになりますけれども、自治体の負担に対する援助、そういったものは、今の段階では、この暫定目標値では、それはカバーできないというふうに理解していいんですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 水道事業は水道事業者の独自の、独立した事業でございますので、その枠の中で対応をしていただくことになります。

 以上でございます。

屋良分科員 わかりました。

 暫定にしろ、水質の目標値はこれで確定した、一応、暫定ではあるにしても。今後、この汚染が、ずっと存在させ続けるわけにはいかないわけでありまして、ここからは恐らく環境省の役目になると思います。これをどのように浄化して、どのようにこの日本国内からPFOS、PFOA、あるいはPFASと言われている物質をなくしていくのかということなんですね。

 まず、環境大臣、御所見を賜りたいと思います。

小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 PFOS及びPFOA、これについては、先生御指摘のとおり、厚労省が、先日の検討会において、全国一律の水道水の暫定目標値を、事務局案が合意をされた。そして、今後、厚労省の審議会などを経て、ことしの四月の一日から適用される予定だと承知をしています。

 環境省は、この厚労省の検討状況を踏まえつつ、河川や地下水といった水環境に係る目標値の設定に向けた作業を進めているところです。

 具体的には、昨年十二月二十七日に、専門家による令和元年度有機フッ素化合物の評価等に関する検討会を開催して、PFOS及びPFOAを含む有機弗素化合物に対する国際的な動向、国内における法規制等の状況、国内の水環境中における検出状況等に鑑み、水環境に係る目標値を設定するべきとの方針を得たところであります。

 来月には二回目の検討会を開催して、諸外国における目標値などの情報や厚労省の検討内容等、最新の科学的知見をもとに、水環境の専門的な見地から具体的な目標値案について御議論をいただく予定です。

 引き続き、速やかに目標値の設定に向けた作業を進めてまいります。

屋良分科員 ありがとうございます。

 今回の厚労省による暫定目標値は、主にアメリカとオーストラリアの基準を参考にしたというふうに伺っております。アメリカが七十ナノグラム・パー・リットルで、日本の方が若干低いわけですよね、二十ナノグラム・パー・リットル。しかし、アメリカの環境保護庁は既にそれをもっと厳しくするという方針を打ち出していることは、当然厚労省さん、御存じだと思います。

 しかも、それをスーパーファンド法の適用対象にするということを検討しているというふうなニュースも出ております。このスーパーファンド法というのは、汚染責任者を特定するまでの間、浄化費用は石油税などで創設した信託基金、スーパーファンドから捻出する、そして有害物質に関与した全ての責任当事者が確定したときにその負担を負ってもらうという、非常に厳しい、しかも広範な法律なんですね。そういったものも適用していこうというふうな動きがある。これがアメリカである。

 しかも、更に言いますと、州独自に基準を設定している。カリフォルニア州ではPFOAが十四ナノグラム・パー・リットル、PFOSが十三ナノグラム・パー・リットル。コロラド州では七十。国の、EPAの基準と一緒なんですけれども、しかし有害廃棄物に指定されているんですね、これは。そうすると強い規制が働いていくというふうなことがわかるわけです。アメリカの専門家の議論の中では、四から十ナノグラム・パー・リットルにすべきだというふうな指摘も聞かれるわけですね。

 今回暫定としたことは、今後意味を持っていくのだろうと思います。

 今、小泉大臣も、諸外国の動きを見ながら環境省としても対応していく、そして諸外国の対応を横にらみするために今回暫定的な目標値としたのかなと。まあ好意的に理解しておるということなんですけれども。

 今後、環境省が調査をしていく場所について、例えば全国を当てずっぽうにやったって、これは大変な調査箇所になるわけですね。対象箇所をあらあら、基準なり目標なりを設定しているのがあればお聞かせいただきたいんですけれども、大臣、よろしくお願いします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 現在、環境省が実施しております全国調査の件かと思います。

 各都道府県におきまして、PFOSあるいはPFOAの排出源となり得る可能性のある施設周辺をピックアップいたしまして、その施設周辺におきまして飲用に利用されている公共用水域の地点あるいは地下水の地点から採水地点を選定して、調査を現在実施しておるところでございまして、現在、全国で約百七十地点程度を選定いたしております。

屋良分科員 環境省は、平成二十一年から二十八年にかけて、全国調査を定期的に実施されている。その結果、PFOSについては全国平均で〇・三三ナノグラム・パー・リットル、PFOAについては一・三ナノグラム・パー・リットル。これはかなり低いというか、ほとんどない状態である。

 それを念頭に置きながら、全国いろいろなところで調査をしても、恐らく同じような結果にしかならないだろうなと思うんですが、今、可能性のある施設周辺という答弁がございました。その可能性のあるなしをどのように判断し、各都道府県に協力をお願いしているのか、教えてください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 PFOS、PFOAにつきましては、例えば、先生御指摘ありました、泡消火剤でございますとか、工業に使っております。

 そういったことから、例えば、泡消火剤を使っている可能性の高い施設、空港でございますとか消防施設でございますとか、いろいろございます。こういった施設の周辺、あるいは工業地帯とか、そういうふうに一定程度排出源となり得る可能性のあるところを示しまして、そういう考え方を示しまして、自治体と調整をいたしまして都道府県に選定をしていただいているというところでございます。

屋良分科員 今、国内でとても高いというか異常値を示している施設が米軍飛行場であることは恐らく環境省も当然御承知だと思いますが、今の答弁の中になぜ米軍飛行場が入っていなかったのか、ちょっと意外だったんですけれども。

 この異常値がわかったのは、数年来ずっとこの問題を追っかけているイギリス人のジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが、アメリカの情報公開法に基づいて、さまざま報道されてきている。その中には、東京・横田基地の周辺でもPFOSが検出されていると。泡消火剤が三千リットル、貯蔵タンクから消えていたという流出事故が発覚しているんですね。貯蔵タンクから漏れて、それを収納していた、地面の床のすき間などから土壌に放出されたという環境事故が発生している。

 その報道などを受けて、東京都は、アメリカ基準値の十七倍の濃度、汚染を調査で突きとめているわけですね。なので、東京都は独自に基準を設けて、アメリカの基準の半分、三十五ナノグラム・パー・リットルをとりあえず管理基準として、そして、三つの井戸からの取水をとめるなど、独自の対応を迫られて、それを先行的にやってきたという事実がございます。

 東京都に確認したところ、国が、厚労省が基準値を設定するので、それに準じて対応していきたいというふうな回答を得ておりますけれども、これは、横田基地だけではなく、当然、嘉手納基地、普天間飛行場の周辺の地下水や河川から、とても高い濃度の汚染がずっと検出され続けているという事実があります。

 嘉手納周辺の河川の取水ポンプ場、ここでは六百ナノグラム・パー・リットル。基地の中の消火訓練場、先ほど答弁でありましたように、泡消火剤に含まれている、これははっ水性が高いものですから、火を封じ込めるのに非常に効力があるということで、飛行場における消火剤にこの物質が使われているということですね。その消火訓練でアメリカ軍はPFOS入りの消火剤を使っていた。そうすると、屋外でやるから、土壌がずっと汚染され続けている。それが放置されてきたんですね、ずっと何十年も。その訓練場の水をサンプリングして調べたところ、三万ナノグラム・パー・リットルという、何とも、基準をかなり、想定を上回るような汚染が検出されている。

 沖縄県は、もう二〇一六年から基地内の立入調査を求めてきております。ずっと、防衛省を通して、中に立ち入って、その汚染箇所、汚染されているであろうという箇所を見させてくれ、それでボーリングをさせてくれ、そうすると地下水が汚染されている状況がわかる、帯水層がどのような状態なのかというのがわかると。そういった要求はずっと実現していないんですね。この間、もう四年も前からずっと求めているにもかかわらず。

 これは、沖縄や東京の横田基地だけではなく、山口県の岩国飛行場、青森県の三沢でも似たような事故の報告があるわけです。そういった状況を鑑みると、これから環境省が実施する調査、これは、米軍基地を脇に置いておいて、この汚染の、汚染源を特定するというのは不可能な話なんじゃないのかなと私は思ったりするんですけれども。

 どうでしょう、大臣。日本では、ようやく目標値にこぎつけたわけですよ。ゼロからのスタートだったから、かなり進んだわけですよ、ステージは。アメリカ側と、先頭を切って大臣が交渉をして、基地の中も今回の調査に入れてくれというふうな交渉というのは可能じゃないでしょうか。大臣、ちょっと御所見をお願いします。

小泉国務大臣 先ほど局長からもお答えをさせていただきましたが、全国の調査、この中には米軍基地周辺の調査も含まれています。

 そして、在日米軍施設・区域に係る環境問題については、必要に応じて、日米合同委員会のもとに設置されている環境分科委員会の枠組みを通じて、関係省庁と連携して、アメリカと協議をすることとしています。

 今後、厚生労働省や環境省で設定していく水道水や水環境における目標値も踏まえて、アメリカ側が環境保護への取組を適切に実施するよう、機会を捉えて働きかけていきたいと考えています。

 そして、政府としても、これまでもアメリカ側に対して、沖縄県が要請している米軍基地内の立入調査について働きかけを行っているところです。

 環境省としても、本年度実施する全国調査の結果や設定した目標値を踏まえながら、立入調査の実現に向けて関係省庁と連携していきたいと考えております。

屋良分科員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 防衛省、最近まではWHOの基準値がないのでというふうな答弁を繰り返してきましたけれども、やはり、厚労省が目標値を設定した、アメリカとの交渉の中身も恐らく変わっていくだろうと思います。どのようにこの目標値を活用して基地内での調査を実現するのか、その実現に向かって少しでも近づいていこうとするのかというところをちょっとお答えください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOSなどをめぐる問題につきましては、国民の皆様の御不安を払拭するべく、今般の厚生労働省の暫定目標値の検討を始め、現在、政府全体として取組を進めているところでございます。

 また、アメリカ側におきましても、国防授権法ですとか、国防省内に設置をされたタスクフォースでの検討など取組が進展していると承知をしているところでございます。

 また、先月、河野防衛大臣とエスパー米国防長官との間でも、日米間のPFOSなどの協力に関する議論を行いまして、連携を一層強化して、在日米軍への対応を含め、包括的に検討を進めているところでございます。

 御指摘の立入調査につきましては、米側に対し、さまざまな機会に申入れを行ってきたところでございますが、こうした日本政府での対応、更に米国防省における取組も踏まえまして、引き続き、自治体、関係省庁と連携しながら、米側に対する働きかけを強く行ってまいりたいというように考えているところでございます。

屋良分科員 今の御答弁にもありましたけれども、国防権限法、二〇二〇年、アメリカは全国調査を実施することを決めているし、汚染が見つかった州への支援体制を整備していくというふうなことも盛り込まれている。汚染が見つかった基地、アメリカ国内の基地とその周辺の全ての水を浄化するようにということも指示している内容になっている。それから、汚染が確認された空軍基地について、隣接する不動産を取得しなさい、買い上げなさいと言っているんですね。

 これは、連邦議会が昨年十二月に法律を成立させた。六カ月以内に、そういった対応について、あるいは調査結果について報告しなさいというふうな義務規定まで国防総省に負わせているという、物すごい権限の強い法律です。

 今回、PFOAがストックホルム条約で指定物質になってから、もうかれこれ一年たとうとしているわけですけれども、日本ではようやく暫定目標値が決まったという段階であります。

 環境問題は国境を越える問題ですよ。国土をいかに保全するか、そして、きれいな環境を子供たちにどうやって渡していくかということ、そういった責任、環境省の重大な責任だと思っておりますが、若き政治のリーダーである小泉大臣には、その辺も一生懸命取り組んでいただきたいというふうに期待を申し上げます。

 小泉大臣、ちょっと話題はかわりますけれども、縄文杉を御存じでしょうか。(小泉国務大臣「はい」と呼ぶ)屋久島のですね。沖縄の大浦湾というところに、縄文杉ならぬ縄文サンゴというのがございます。長さ五十メートル、幅三十メートル、高さ十四メートルに達するアオサンゴの群集です。二千年とも三千年とも言われています。単一種から成るサンゴ礁、これはほかに報告例がないわけですね。地元からは、屋久杉同様に国指定特別天然記念物にしてほしいというふうな要望があります。突然の質問で御用意がないかと思いますけれども、こういった杉、サンゴ礁、SDGsの十四番目に挙げられている海洋資源の保全、そういったものに大変関連してくるものだと思います。

 大臣の胸にも今SDGsのバッジがありますけれども、世界のサンゴ礁を見ると、全体の約二〇%が事実上破壊され、回復が見込めない状態にある、残るサンゴ礁のうち二四%は、人類がかける圧力によって差し迫った崩壊のリスクを抱えているというふうに国連のSDGsの報告書には書いてあるわけですけれども、どうでしょう、屋久杉同様、この縄文サンゴ、守っていくべきだとお思いになりませんか。お願いします。

小泉国務大臣 屋良先生から、非常にいろいろな含みのある御質問をいただいていると思いますが、まず、一般論として申し上げれば、私も、横須賀という海に囲まれている地元で、海をこよなく愛する者としても、本当に海の環境を何とか次の世代に守っていかなきゃいかぬ。

 特に、大臣として、今、海洋プラスチックの汚染の問題をやっていますが、このまま何もしなければ、海の中に、二〇五〇年にはプラスチックの方が魚よりも多いという、とてつもないショッキングな推測もあるわけですから、そういったことも含めて、海洋の環境、非常に大事ですから、そこをしっかり環境省としても取り組んでいきたいと思っております。

屋良分科員 どうもありがとうございます。

 続きまして、防衛省が沖縄県に出したサンゴ移植許可申請で、農水大臣が沖縄県に早く許可を出しなさいという勧告をこの間出されました。一月の終わりにですね。沖縄県は、裁判中なので判断できないと言っているわけですね。スポーツで、今ちょっと何かルール違反があったのかどうかというのをビデオ判定中である、にもかかわらずプレーを進めなさいと外野から言っているような、そんな状況があるんですね。

 その計画変更で、この工事、普天間の辺野古移設の工事のことを言っているんですけれども、とても難しい工事になる。何万本ものくいを打ち込む工事です。大いなる環境破壊を及ぼすであろうというものなんですけれども、日本には、一旦環境影響評価で承認したものはもうやり直しをする必要がないという、非常に何かちょっと、こんなもので環境保全が本当になせるのかということがとても疑問なんですけれども、農水省に、何であえて勧告したのかということを最後に伺いたいと思います。

伊東副大臣 お答えいたします。

 サンゴの移植の特別採捕許可申請に対する審査、判断は、これは沖縄県により行われるものでありますが、知事は、昨年四月と七月に申請がなされたにもかかわらず、長期間判断を示さず、訴訟の間は判断しない旨を表明されておりました。

 そのような中、沖縄防衛局長から私ども農林水産省に対し、標準処理期間を大幅に経過しても沖縄県から申請に対する判断が示されない、このような連絡がありました。

 このため、農林水産省として事実関係を確認したところ、沖縄県から合理的な説明は示されず、申請内容に不合理な点も見当たらなかったことから、沖縄県に対し、許可をすべき旨の勧告を行ったものであります。

 なお、サンゴの件でありますけれども、この特別採捕許可申請に当たりましては、サンゴの研究実績が豊富な研究者を構成員に含む環境監視等委員会の指導助言を受けており、申請内容に不合理な点はないものと思っております。

 沖縄県は、根拠を示さずに、地盤改良工事の影響が移植先サンゴに及ぶと主張しているわけでありますから、同種の工事におきまして、水の濁りの回避、低減手法が確立をしているところでもあり、沖縄防衛局からの工事関係資料でもサンゴ移植先に影響が及ばないことが確認をされていると聞いているところであります。

屋良分科員 今はビデオ判定中であるということで十分な理由になると私は思います。

 大臣、一緒に、ぜひ、海の自然を守る、そういった努力を続けていこうではありませんか。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて屋良朝博君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

堀内主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸さん。

宮川分科員 立国社の宮川伸でございます。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、食の安全について、特に、農薬のグリホサート、除草剤、これに関してお伺いをしたいと思います。特に、二〇一七年にこのグリホサートの残留濃度の基準値が大幅に緩和をされました。私は、このように大きく緩和をされたのは、我が国にとってプラスになっていないんじゃないかと思っておりまして、そういったことも含めて、きょうは大臣としっかりお話ができればというように思っております。

 まず最初に、農薬全体に関してなんですが、まず、日本は農薬をたくさん使っている、欧米諸国に比べてたくさん農薬を使っているというふうに聞いております。

 具体的に、例えばイギリスと比べて日本は農薬をどのぐらいたくさん使っているんでしょうか。農水省、お願いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農薬の使用量は、適正に使用することを前提としておりますけれども、作物の構成でありますとか、気候条件によって、国、地域によって異なるものであるというふうに認識をしております。

 お尋ねがありました、日本とイギリス、英国との比較でございますけれども、国連食糧農業機関、FAOが取りまとめております、単位農地面積当たりの有効成分量ベースの農薬使用量に関する統計によりますと、最新の二〇一七年で見ますと、一ヘクタール当たり、日本におきましては十一・八キログラム、イギリスにおきましては三・二キログラムということでございますので、日本の農薬の使用量は英国の約三・七倍ということになります。

宮川分科員 ありがとうございます。

 ちょっとお配りした資料、これはもう皆さんよく御存じだと思うので、今さらなんですが、やはり欧米に比べまして日本の農薬を使っている量が多い。まず、この多いという、ここがまず非常に大きなポイントだと思うので、まず最初に御指摘をさせていただきました。

 その上で、では、先ほど申した除草剤のグリホサート、これがどういう状況なのかということでありますが、グリホサート製剤、例えばラウンドアップというようなもの、グリホサート製剤、これが使われていく。今、私はふえていっていると聞いておりますが、例えば二〇一〇年度に比べて今どのぐらいグリホサートの使用量というのがふえているんでしょうか。農水省、お願いいたします。

新井政府参考人 農林水産省では、毎年、農薬の出荷及び輸出入実績等に関する調査を実施しております。この調査結果に基づきまして、グリホサート製剤に含まれる有効成分の割合等を計算して合計いたしますと、有効成分量ベースの国内向け出荷量が出てまいります。

 ここ十年間で最も少なかった二〇一三年、これは四千百四十九トンでございました。最新の二〇一八年は六千百七十九トンということでございまして、約二千トンの増加となっております。

宮川分科員 ありがとうございます。

 お配りの二と書いてある資料に、私がレクで受けたものとちょっと違うデータかもしれませんが、これもいただいていたものです。

 いずれにしても、ふえている。ただでさえ日本は農薬を使う量が多いのに、それにもかかわらず、グリホサートの使用量がふえているということでございます。

 そういった中で、ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、このように、除草剤、大臣も前にも答弁に立たれているので御存じだと思うんですが、こうやってふえていることに関して、どのように農水大臣として思われていらっしゃいますでしょうか。

江藤国務大臣 製剤の段階になったら農林水産省の管理のもとに入るということをまず先に申し上げたいと思いますが、農薬につきましては、やはり、農家の方々が選択をするということがまず一義的にあると思っています。選ばれるからには、その有効性が農家によって評価されているという側面もやはりあるんだろうと思っています。

 農家におきましては、非常に高齢化も進み、そして就業人口等も減っているという残念な実態もこれありという中であって、除草効果が高いということであって、省力化にも資するという意味で選択をされている結果が、こういう数字に出ているんだろうというふうに受けとめております。

宮川分科員 ちょっと私としては残念で、これはふえているのもしようがないだろうという答弁だったというふうに思います。

 後ほど、もう少しまた議論していきたいですが、私は、やはり、ただでさえ農薬を多く使っている日本で、これ以上ふえるような形にならないように努力をしていく必要があると思います。そういった中で、私は、国がもっと使っていいよというような、そういうメッセージを送っているところに問題があるんじゃないかというふうに思っているんですね。

 では、例えば、二〇一七年に、これはグリホサートの基準値になりますが、グリホサートの残留基準値が大幅に緩和をされました。なぜこれを大幅に緩和したんでしょうか。厚労省、お願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 農薬グリホサートの残留基準につきましては、使用可能な製剤を追加することに伴い、農林水産省等から基準値設定の依頼があったことから、食品安全委員会のリスク評価を踏まえ、実際の使用方法による残留濃度の結果及び国際機関であるコーデックス委員会で定める食品に関する国際基準に基づき改正を行ったところでございます。

 今回の残留基準の改正につきましては、食品によっては残留基準値が従来より高くなったものがある一方で、低くなったものもあり、一概に基準値が高くなったものではございません。

 以上でございます。

宮川分科員 今、下がったものもあるということでありますが、ふえたものは四百倍にまでふえているわけで、減っているものがあるのは私も承知していますが、ふえているものは相当ふえているということを強調しておきたいと思います。

 その上で、いろいろな方から話を聞く中では、米国等の海外から食品を輸入しやすくするためにこの基準を緩めたんではないかというようなことを聞くことがありますが、そのような判断材料というのはあったんでしょうか。厚労省、お願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 消費者の健康を守るため、国産品であれ、輸入品であれ、科学的な根拠に基づき安全性が確保されたものでなければ流通は許されないというのが食品行政上の大原則でございます。

 グリホサートの残留基準につきましては、二〇〇五年十一月以降改正されていなかったことから、その間に改正された国際基準の反映や適正に実施された残留試験の結果を踏まえ、国際的な基準設定の考え方に基づき、二〇一七年十月に基準値の改正を行ったところでございます。

 なお、食品安全委員会の食品健康影響評価等の科学的な根拠に基づきまして、人の健康を損なうおそれのないよう基準値を設定していることから、安全性に問題が生じることはないと考えているところでございます。

宮川分科員 大臣、ちょっと、今の答弁をお聞きだと思うんですが、私、よくわからないんですね。なぜ、その一番多い例ですが、四百倍も基準値を緩めているのか、その緩めた理由がよくわからないんです。

 大臣にお伺いをしたいんですが、この基準値を二〇一七年に緩めたことで、日本の農業はどうプラスになったんでしょうか。農水大臣としてお答えいただけますか。

江藤国務大臣 残留基準値を大幅に緩めたことによって、日本の農業について、プラスにしろマイナスにしろ、影響が出たということはまずないということだと思っております。

 対象作物によって上がったものもあり下がったものもあるということも先ほど厚労省の方から紹介がありましたけれども、基準値につきましては、内閣府において食品安全委員会によるリスク評価の結果に基づいて、厚労省が人の健康を損なうおそれがないように設定を行っているというふうに承知をして、製剤になった後は農林水産省によって管理をするということであります。

 重なって大変恐縮なんですけれども、この残留基準値は、国内の農産物だけではなくて、輸入品も対象として、科学的根拠に基づいて改められたものだというふうに承知をいたしております。

宮川分科員 ちょっと、もう一度確認をしたいんですが、厚労省がグリホサートの基準は決めていますが、実際に使うのは製剤なわけで、グリホサート製剤が使われている。これで、基準値を緩めたけれども、日本の農業にとってはプラスもマイナスもないと。そうしたら、基準値変えなくてもよかったということを大臣はおっしゃられているんでしょうか。

江藤国務大臣 最初に申し上げましたように、農家によって選択をされているから使用量がふえている、グリホサートですね。ですから、営農活動において一定の効果があるから、使用量もふえ、選択をされているということでありますから、プラスかマイナスかといえば、農家の立場でいえば、プラスの影響が出ているんだろうというふうに思います。

宮川分科員 大臣、本当にそういう事実があるんでしょうか。具体的に、農水省として、グリホサートの使用量が、基準値が緩められたことによって、例えばラウンドアップが使いやすくなって、これで農業がよくなったという事例を、大臣、御存じなんでしょうか。今答弁されましたが。

江藤国務大臣 個別具体的に、どこの、どこで、どういうことが起こったということまではお答えできないことは大変残念だと思いますが、しかし、選択をされるということは、効果が認められるから選択をするわけであって、農家の方々は、農薬とか、それから肥料に対しては非常にシビアな目を持っておられます。私も田舎の人間ですから、そういった方々の話をよく聞きますけれども、こういうものを、グリホサートの入っているものを選択されるということは、その農家の選択がその評価につながっているものだというふうに考えております。

宮川分科員 農家の方々、しっかり農業をやる上で本当に必要であるのであれば、やむを得ない部分もあるかもしれません。ただ、健康等に関して、必ずしも専門家ではないわけであります。

 大臣は、今、仕方ないんじゃないかというような答弁をされていると思いますが、例えば、四百倍にまで基準値は上がっているような状況ですけれども、本当に農家さんの健康や消費者の健康は問題ないというようにお考えなんでしょうか。

江藤国務大臣 まず、消費者の方々に対する影響については、内閣府の方の食品安全委員会の方で検証していただいて、厚労省でも、その後、人に対する害がないかどうかについては設定を行っているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 そして、あと、それを使用する農家の方々については、例えば、ラウンドアップについて、表示のところで、ちゃんと防護服を着るように表示することをお願いしたりとか、そういうこともしているというふうに聞いております。

 これから先は、農薬については、今までは、農家の方々が背中に背負って、筒のようなもので農薬を散布するということは一般的でしたけれども、ヘリコプターに移り、これからはドローンのようなものを使って、なるべく、ドリフトも含めて、人間から遠いところで、そして、今、ドローンのスマート実証実験なんかを見ていると、非常に面的にきちっと捉えて、まき過ぎない、適量をきちっとまくということも管理できるようになってくるということが実証されておりますので、いろいろな新しい技術を使って、先ほど、イギリスに比べて三倍の量というお話もありましたけれども、こういった量も減らしていく努力をしていきたいと考えております。

宮川分科員 消費者に対しては厚労省ということでありますが、私は、やはり日本の農業が、人に優しいというか、安全、安心な食品がつくれる、そういった農業をつくっていくというのが非常に大事だと思っています。

 やはり、健康に関しては厚労省マターだということで、はざまな部分があるので、少し厚労省マターの部分のお話を答弁いただいて、その上で、本当に厚労省が安全だと言っているのが安全なのかどうか、農水省としても判断をしていただきたいというように思います。

 ですから、少し医薬品の話をいたしますけれども、今、農薬の場合は動物での毒性試験しかやっていないということでありますけれども、医薬品の場合は人での安全性試験まで行います。

 じゃ、質問でありますけれども、医薬品の場合、低分子化合物で、第一相臨床試験でどのぐらいドロップするんでしょうか。厚労省、お願いします。

山本(史)政府参考人 お答えいたします。

 日本製薬工業協会が二〇一三年七月に公表しました資料によりますと、低分子化合物に限定した数字ではございませんが、企業みずから開発した化合物等において第一相試験を実施し、第二相試験を実施するに至らなかったものの割合は二七%との報告がございます。

宮川分科員 今お聞きのとおりで、動物で毒性が出なければ、人で、例えば九九%以上毒性が出ないのであれば、今の農薬の議論もいいですけれども、約三割も人で毒性が出てドロップしているわけです。

 それで、きょう、もう一つ例を言いたいと思いますが、日本でもイレッサという薬がありまして、これは肺がんの薬、これは本当に日本が欧米に先行して承認を出したということで注目された薬だったわけですが、イレッサはどういう状況なんでしょうか。厚労省、説明をお願いします。

山本(史)政府参考人 医薬品は、人体に直接作用を及ぼしまして疾病等の治療を目的としているものでございますが、必然的に副作用が発生することは避けられません。そのため、動物実験等の非臨床試験に加えまして、実際に人に投与する治験を実施し、その有効性及び安全性を確認した上で市販されております。

 しかしながら、市販後は、治験時に比べましてその使用患者数が増加するとともに、さまざまな医療機関において幅広く使用されますことから、治験での限られた情報では得られていなかった副作用の発生状況等が明らかになることがございます。

 御指摘のイレッサにつきましては、治験時にも認められた肺障害につきまして、販売開始から約三カ月の間に、間質性肺炎、間質性肺疾患を含め肺障害の副作用が二十二例報告されたため、緊急安全性情報の発出を行い、医療現場に注意を促したものでございます。

宮川分科員 ありがとうございます。

 大臣、今、お話をお伺いしたと思うんですが、まず閣僚の一人としても、ちょっときょう、厚生省の三役の方、来ていただきたかったんですが、いろいろ、コロナウイルスの話もあるということだったので、ぜひ閣僚として厚労省の方にも言っていただきたいんですが、動物での毒性試験が安全だからといって人で安全だなんというのは、普通、医薬品開発をやっている人だったら信じられないわけですね。

 しかも、元気な人でも毒性が出るかもしれない、安全性に問題が出るかもしれない。それに、更に体の弱い人は出やすいわけです。しかも、そうやって臨床試験をやっても、投与する人の数をふやして多くの人が暴露すると、その中からやはりわからなかったものが出てくるという説明を今されたわけです。

 これプラス、子供は更にセンシティブなわけです。だから、子供に対しての医薬品開発、臨床試験というのは非常に困難をきわめるわけですね。それだけ、安全性というのは、簡単に安全ですなんて言える話ではないということを強調しておきたいと思います。

 まず、これが一点。

 もう一つでありますが、今度は製剤の話ですから大臣の管轄になりますが、グリホサートは安全性試験がある程度行われているというふうに私も思っております。

 では、製剤。例えばラウンドアップに関しては、人に近い、例えば犬だとか猿だとかそういった、非齧歯類と言われていますが、これの安全性試験は行われているんでしょうか。農水省、お願いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、先ほどの答弁の修正をさせていただきたいと思います。

 グリホサートの有効成分量ベースの国内仕向け出荷量、私、二〇一三年と答えましたが、二〇一〇年が四千百四十九トンでございました。訂正をさせていただきます。

 それから、ラウンドアップにつきまして、非齧歯類の安全性試験を行っているかということでございます。

 農薬の製剤については、齧歯類を用いた安全性試験を要求しておりまして、非齧歯類については要求をしておりません。当方の知る限り、欧州や米国においても、ラウンドアップの登録において、非齧歯類を用いた安全性試験は提出されていないというふうに承知をしております。

宮川分科員 大臣にちょっとお答えいただきたいんですが、今、こういう議論がありました。

 今のお話では、ラウンドアップには補助剤だとかいろいろ入っているわけです。普通、医薬品の場合は、最終産物で必ず安全性試験をやるわけです。だけれども、やっていないわけですね。齧歯類というのはネズミなわけですよ。ネズミと人間、全然違うわけですから、だからもう少し人間に近い動物でやるというのが普通なわけですけれども、やっていないわけです。

 では、グリホサートの安全性試験で、ADI、こういう基準が決められているわけですけれども、それでラウンドアップも安全だというふうに、大臣、言えるんでしょうか。

江藤国務大臣 これはまさに科学とか化学の世界の話なので、私のような知見を持たない人間が確定的なことは申し上げられませんが、イレッサのお話も伺って、これは当然、いろいろな臨床をやった上で、人間についてもある程度の試験をやった上で一般で市販された上でも三カ月間で二十二例の例が出たというのは、それはやはり政治家として重く受けとめなきゃいけないことだと思います。これは厚労省のこととはいえ、内閣の一員ですから。

 今先生おっしゃったように、製品となったら今度は我々農林水産省の所管ということになりますので、我々で責任を持ってこれについて見ていくのは当然のことだと思います。

 私も、このような御質問をいただいて、いろいろ話を聞かせていただいたんですけれども、この非齧歯類をやっていない理由として、アニマルウエルフェアとかいろいろな話があって、世界のトレンドとして、余り猿とか犬とかでそういうような臨床を行うことは適切ではないというトレンドもあって、こういうふうになっているというふうに聞いておりますけれども、我々としては、最終消費者の方々にも、それから農業を営む上でそれを使用する方々にも影響がないような基準にするような努力は、当然我々はしなきゃならないと思います。

宮川分科員 まず、科学にも限界があると思います。ですから、今大臣おっしゃられたように、動物愛護の問題もあります。いろいろな制限の中で、やれる範囲内で努力をするということだと思うんですね。

 その中で判断をしていかなきゃいけないわけですが、二〇一七年の残留基準値の大幅緩和というのは、当時どういうふうな状況だったのかといえば、例えば、WHO専門機関の国際がん研究機構、IARCが二〇一五年に、グリホサートは人に対する発がん性があるかもしれないということでグループ二Aに入れたということ、あるいは、カリフォルニア州は、グリホサート、これは製剤が、発がん性ですよというふうに表示をすべきだと言った、あるいはフランスやイタリア、欧州諸国が、あるいはサウジアラビアなどの中東諸国がグリホサート製剤の使用を控える方向で動き始めていたというのが二〇一七年の周りなんです。

 大丈夫だと言っている意見も確かにあったかもしれませんが、危ないですよという警告を出しているいろいろな国やグループもあったわけです。

 こういうような状況の中で、ADIが、今の基準値、一日摂取許容量がクリアできれば、大臣なのでラウンドアップと言いますが、グリホサート製剤をたくさん使えるようにしてしまうという判断が正しいというように、大臣、もう一度、思われますでしょうか。最初の方の質問とかぶりますが。

江藤国務大臣 これは、ラウンドアップに限らず、農薬全般について言えることだと思いますけれども、まずは使用方法をしっかり守る、それについては、どれぐらいの頻度で、どれぐらいの体制でこれを使用するのかということは我々としては示しておりますので、それをしっかり守っていただくということをやっていただければ、ある程度の安全性というか、安全性については担保されるのではないかというふうに考えております。

宮川分科員 ちょっとまた、次、その質問をしようと思っているんですが、今私が申していたのは残留濃度の問題で、消費者、食べる側の人たちの問題なんです。

 それで、私は、今議論をして答弁をお聞きしていても、大臣は農家さんにメリットがあるということを言っていますけれども、少なくとも私の選挙区で、いろいろな方に、農家さんの話を聞いていますが、もう本当にこのグリホサートの基準値を上げてもらわないと農家は潰れてしまいますというような声は、私は聞いたことがないんです。

 その一方で、今、安全性の問題の話をしました。それで、本当に危機的状況でもないのに消費者の暴露を平気で上げて、そして、健康にもしかしたら影響があるかもしれないような形の商品を農家さんが売っているというようなことを農水省が認めていたら、日本の農家は困ってしまうじゃないですか、将来。本当に上げなければならないなら、それはしようがないです。だけれども、本当にそうなのかと。

 その中で、厚労省の説明は、安全だからという回答ですけれども、今議論をしたように、安全なんということはないんですよ。だから、ADIより低い数値であったとしても、できる限り農薬は使わないで済むように努力をすることが大切なんですよということを今議論したいと思って来たわけであります。

 ちょっと時間の関係もあるので、今大臣がお答えになられた、では、実際に農家さんが使われる、使われる方の話、直接暴露する方の話で言いますと、御存じのとおり、アメリカでこれは大きな問題になっています。アメリカでグリホサート製剤の健康被害訴訟は今何件行われているんでしょうか、農水省、お答えください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカで起こされていると言われております訴訟の正確な件数につきましては承知をしておりませんが、報道ベースで数万件ということでございます。

 それにつきまして、日本でこの農薬を登録しておりますバイエルの日本法人バイエル・クロップサイエンス株式会社に問い合わせたところ、訴訟件数として公表できる情報はないという回答を得ているところでございます。

宮川分科員 いろいろ報道が流れていますが、私は四万件ぐらい訴訟が起こっていると聞いています。今後もしかしたら八万件ぐらいまでふえるかもしれないというようなことも聞いています。

 そういった中で、例えば、一つの例でジョンソンさんの案件、訴訟がありますが、これは約三百二十億円の賠償金が命ぜられたと。最終的には八十億円程度まで下がったかもしれませんが、いずれにしても、莫大な賠償金の判決が出ているような状況であります。

 これだけアメリカで問題になっていますけれども、今、基準値を緩めて、そしてグリホサートの使用量が農家さんでふえている現状で、大臣、本当に大丈夫ですか。農家さんの健康、大丈夫ですか、大臣。

江藤国務大臣 ドウェイン・ジョンソンの訴訟の件については少し勉強させていただきましたが、この判決は、グリホサートの安全性自体ではなくて、発がん性等に関する情報があるにもかかわらず、先ほど先生御紹介ありましたが、それを適切な表示による警告をしなかったということが問題になって、賠償命令が出たというふうに聞いております。

 一方で、二〇一九年に、米国の環境保護庁、EPAの評価では、使用方法を遵守する限りにおいては発がん性を持つ可能性は極めて低いと結論づけられておって、農薬として引き続き米国内でも使用されているというふうに聞いております。

 ですから、本当に大丈夫ですかということについては、委員からのお尋ねですから、私の気持ちを申し上げると、あらゆる化学物質については一定のリスクは当然私はあるんだろうと思います。有機農業が一番ベストでありますし、生産性と安全性のバランスをとりながらどのようなものを使っていくかということは非常に大切な選択になると思いますけれども。本当に、農水大臣、あなたこれは一〇〇%保証できるんですか、あなたの責任においてと言われると、それは、先ほど肺がんの製剤の話もありますので、なかなか断定的なことは申し上げられませんけれども、しかし、内閣府、それから環境省、そして製剤にあっては農林水産省、そして二〇一八年の法律改正に基づいて、令和三年には一斉に、グリホサートだけではありませんけれども、安全性について、製剤についても検査をしていきたいというふうに思っております。

宮川分科員 まず、ちょっとまた資料で、少し写真も、有名なやつなのでよく御存じだと思うんですが、賠償金の高さは、おっしゃられるように、表示の問題があったかもしれませんけれども、やはり、がんになったということに関しても議論になっているというふうに理解をしています。

 そういった上で、私の質問のポイントは、では日本で、アメリカでこれだけ問題になっているわけですから、日本で同じような事象が本当にないのか、単に今隠れちゃっているだけなのではないかということで、日本でこういうような話が出てきていないか、あるいは調査がされているのか、そういった注意喚起が行われているのか、そこをちょっと、農水省、お答えいただけますでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ラウンドアップを使用する場合の注意事項でございます。

 これは、製品に、使用時の安全上の注意といたしまして、皮膚に付着しないようにすること、それから長ズボン、長袖、あるいは農薬用のマスクをすることといった注意事項を記載しております。これに加えまして、作物ごとに使用すべき量それから回数につきまして示しているということでございまして、これに従って農家の方は使っていただいているというふうに承知をしています。

 その上で、農水省としては、農薬の使用に伴う事故について毎年、都道府県を通じて調査を行っております。この調査によりますと、農薬の使用に伴う事故は、農薬全体で年間二十件から三十件という形で推移をしております。これらの原因は主に農薬の誤飲や誤食によるものということでございます。

 このうちグリホサート製剤に伴うものということでお話をいたしますと、誤飲や誤食が二件ぐらい、それから、マスク等の防護装備が不十分なために起きたものというものが多くても年に一、二件ということで承知をしているところでございます。

宮川分科員 ちょっと、もう少し議論をしたかったんですが、時間になったので終わりにしますけれども。

 もう一つ、大臣、公園だとか学校でのこの規制がどうなっているのかが本当によくわからないんです。これは農水省の管轄じゃないかもしれませんが、重要な問題ですので、閣僚として、このラウンドアップの農家さん以外の一般使用に関しても、これは本当に、ほっておくと、アメリカと同じように何万人もこういうような被害が出るかもしれませんから、ぜひリーダーシップをとって取り組んでいただければと思います。

 どうもありがとうございました。

堀内主査 これにて宮川伸さんの質疑は終了いたしました。

 次に、関健一郎さん。

関(健)分科員 関健一郎です。

 委員長におかれましては、質問の機会をいただきましてありがとうございました。

 早速質問に移らせていただきます。

 その前に、冒頭、質問ではないんですが、一方的にお話をさせていただきます。

 新型コロナウイルスに関連いたしまして、大臣も会見でおっしゃられていましたけれども、外食、中食を中心に影響が出る懸念がある。既に出始めているところもあると把握をしています。そして、地元の観光インバウンドを期待している皆さんの飲食にも影響が出始めていますし、商社の食料品関連の人間に聞いても既に影響が出始めているし、また、まだ私たちも今後どういう影響が出るのか把握できていないという現場の声も聞きます。

 したがいまして、関連の、所管の業種、業態に注視をするとともに、影響が出れば切れ目ない大胆な支援対策などを講じていただくことを冒頭お願いいたしまして、質問に移らせていただきます。

 私、市町村別農業産出額全国一位の愛知県田原市と全国九位の愛知県豊橋市を選挙区とする愛知十五区から、今回ここに立たせていただいています。そして、この愛知県田原市、市町村別農業産出額も一位なんですけれども、お花、花卉の出荷額も一位です。ただ、御多分に漏れず、人口減少と高齢化、そして後継者不足という深刻な課題に直面をしています。

 そうした中、あるおもしろい取組があったので御紹介をさせていただきますが、成蹊大学の女子大生が、地方って魅力的だよねという単純な発想から、理由は知りませんけれども愛知県田原市を気に入ってくれて、地元の生産者さんとSNSを通じてコミュニケーションをとっていた。とても魅力的なものがいっぱいありますねと。それは、都会の人にしてみれば、夜、何でハウスが光っているのかなとか、よくわけがわからないわけですね。地元の人にしてみれば、これは別に当たり前なわけです。

 それで、この前、温ランド・イン・タハラという取組をやりまして、それぞれのハウスが一個一個テーマパークみたいだったら、来ている人が楽しいよね、観光客もいっぱい来てくれるんじゃないかな、そういう取組を始めました。そして、自分の後継ぎをどうしようとか、もっともっと自分の農業を拡大させていこうという若き生産者、年は関係ないですね、意欲高い生産者の皆さんと地方の魅力に気づき始めている東京の女子大生の皆さんが一緒に頑張ってその取組をやったんです。

 これは私も見に行ったんですけれども、とてもおもしろいんですね。あるところでは、何かハウスの中がバリっぽくなっていて、バリの疑似体験みたいなのができたりとか、自分たちがつくっているものでブーケをつくらせてあげたりとか、あとは、花メークといって、実際の花束を顔にひっつけておしゃれに、花メークというのがあるんですけれども、それぞれのハウスに行ったら、何かの楽しみを味わわせてくれる。

 そして、何と、夜のイチゴ狩りとか電照菊、さっき言いましたけれども、夜にハウスが何で光っているかというと、これは電照菊なんですけれども、都会の人にしてみれば、私も初めてこっちに来たときにびっくりしましたけれども、電照菊なんて都会の人は知らないわけですね。その電照菊のところでちょっとお酒を飲むなんということもやったみたいですけれども、寒過ぎたというのが課題だったみたいですけれども。とにかく、地方の折々の、その地域が持っている魅力をしっかりと発揮を、アピールをしていくことで新しい観光のお客さんを呼び込めないかなという努力は結構進んでいるんですね。

 それで、やはり、そういう東京の大学生の子、つまり一番新しい感性を持っている子たちが魅力を感じてくれているとか、こういうところにいかに政府としても目を向けていくかということが大事だと思うんですね。

 それで、今、生産者の皆さんと僕、話したばかりだったんですけれども、やはり話題になっているのは、農家レストランの話なんですね。

 農家レストランは、私、愛知の渥美半島なんですけれども、知多半島で既に成功例がありまして、みんな見に行ったりして、意識高い人たちですから見に行ったりしているんですね。知多半島の法律上農地のところにハンバーガーレストランがあって、みんな地元のものを食べてという、これが結構成功例として。

 じゃ、次、俺たちもやろう、私たちもやろうという方々がいるんですけれども、いざそういう投資をしようとすると、これは安くない投資なわけです。だから、これはいいのか、おらが町は何とか地域となっているけどいいのかとか、じゃ、食べ物といっても、何%地元だったらいいのか、地元というのは自分がつくったものなのか、それともこの地域なのか、地域というのはどこなのかとか、いろいろな疑問が出てきているわけです。

 その疑問をしっかり整理して、より自分の農業でもうかってやろう、地域を元気にしてやろうという人たちがより一歩を踏み出しやすいように、その辺の論点を整理できればという思いで質問をさせていただきます。

 その前提となるのが、六次産業化という言葉だと思います。つくって、加工して、販売して、そこまでの付加価値をしっかり生産者、地元に落とすということで地域の活性化を進めていくということですけれども、六次産業化について質問します。法律の活用状況、また農業者の所得の向上について、そして六次産業化の現状について伺います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、六次産業化は、農林漁業者が生産だけではなく加工や販売にも一体的に取り組むことにより、所得の確保につなげようとするものです。今御指摘の農家レストランも、みずから生産した農産物に付加価値をつけて消費者に提供するという点で、六次産業化の一つの取組だというふうに考えております。

 今、法律の活用状況とおっしゃいましたが、六次産業化の総合化事業計画というのを認定しておりますが、これが現在、二千五百十五件まで来てございます。それで、この中でフォローアップをして、先生がおっしゃったように、それがどういうふうになっているかというのをいろいろ調べてみました。

 六次産業化に取り組んでいる事業者の中には、売上げは確かにふえているというものがいるんですが、その中でも、やはり経費がそれ以上にかかってしまって、結果として所得の確保につながっていない、そういう課題も見えてきているところでございます。

 このため、六次産業化に取り組んだ農林漁業者の所得がしっかり確保されるように、経営やサプライチェーン全体を見渡せるプランナー、今までは個別のところだけプランナーを送ったんですけれども、全体を見渡せるプランナーを送って、しっかり経営改善に向けた支援ができるようにしてまいりたいと考えております。

関(健)分科員 確認ですけれども、農業者の所得は六次産業化で上がりましたか。

塩川政府参考人 もちろん、農業分野だけじゃなくて、更に六次産業に取り組むことによって全体の売上げはふえているんですが、今申し上げましたように、中には、やはりコストがそれなりに、おっしゃったように投資にかかるものですから、結果的に所得がそれほどふえていない事例もございますから、しっかり所得がふえるように、プランナーなどを派遣してしっかり経営支援をしてまいりたいというふうに考えております。

関(健)分科員 今おっしゃられましたけれども、売上げは上がったけれども経費も上がった。

 現場はその典型的な方が結構おられて、例えば渥美半島で、飼料とかも、遺伝子組み換えじゃないのかとかいろいろなものにこだわって、はたまた、豚さんのストレスがたまらないように広い面積で飼っているとか、そういうものにこだわった生産者の皆さんが、例えば、私、問い合わせたんですけれども、名古屋の星がいっぱいあるレストランとか、三つ星ですとか、東京の誰もが知っているところとかから来るんですね、引き合いが。

 ただ、問題は、では定量的に出せるか。あとは、その後、定量的にいって、そこがぱっと引いたときに、次どうするんですか。おっしゃられたとおり、マーケティング、これはマーケティングを生産者の皆さんにやれといったって無理なんですね。一部上場企業が人を何人もかけてやっていることを地方の生産者の人がやるのは無理なわけですね。

 あとは、販路の確保。たまにそういうアンテナの高い人がぱっと渥美半島に来て、これはおいしいですねと言ってくれて、では買いましょう、これはあるんですけれども、継続的に持続可能なビジネスとして六次産業化を実現させるというのはとても難しいということが問題意識として共有できていると思います。

 そこで、そうした中で、やはり農家レストランというのも六次産業の中のカテゴリーの一個だと思うんですけれども、伺います。国家戦略特区において農用地区域内設置が行われてきたと思いますが、その概要と仕組みについて教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農家レストランに係る国家戦略特区でございますけれども、まず、農家レストランとして認められる要件が大きく二つございます。

 一つは、農業者が設置、管理をしているものであるということであります。

 それからもう一つは、材料を、ちゃんと地元の農畜産物をしっかり使っているということでございまして、これについては、具体的には、その農家御自身が生産する農畜産物に加えまして、施設が設置をされる市町村又は農業振興地域内で生産された農畜産物、これを半分以上使用しているということで、この半分につきましては、重量で半分でも結構でありますし、金額で半分ということでも結構であります。いずれかにおいて半分以上使用して提供する農家レストラン、これらの農家レストランにつきまして、農業用施設とみなしまして、農用地区域内に設置を可能とするという特例でございます。平成二十六年に設置をされたものでございます。

関(健)分科員 これは農業者が設置、管理をするということですけれども、農業者というのは例えば法人でもいいわけですか。農業者の定義を教えてください。

牧元政府参考人 お答えをいたします。

 これは個人でも法人でも結構でございますし、まさに、現に農業を営んでいる方ということでございます。

関(健)分科員 ありがとうございます。確認しました。

 そして、続いて伺いますね。これまでのこの特区の実績について教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、国家戦略特区におきまして農家レストランの区域計画の認定を受けているものにつきましては、六区域十五事業者となっているところでございます。ちなみに、その中の一つが、先ほど委員から御指摘いただきました愛知県特区でございます。

 なお、この十五事業者のうち、十一店舗は既に開店をしているものでございますけれども、残りの四つにつきましては、認定は受けておりますけれどもまだ開店はされていらっしゃらないという事例でございます。

関(健)分科員 では、これは十一店舗が営業ということですけれども、全国に展開をするということについての狙いを教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、十一店舗営業しているわけでございますが、開店後一年を経過して検証が可能となりました七店舗について私ども実際調べてみたところ、要件の充足状況あるいは効果の検証を行ったわけでございます、要件の充足状況というのは、先ほど申し上げました、例えば地元の農畜産物をちゃんと使っているかとかそういうことを確かめましたところ、それらの要件を満たすことが確実と認められておりますし、また、周辺の土地利用への支障というものも特段認められない。また、その農業者御自身又は地域の農業とか雇用への波及効果が認められるということが確認をされたところでございます。

 こういったことを受けまして、今般、国家戦略特区と同様の要件におきまして全国での設置が可能となるように、現在、具体的には農業振興地域法の省令改正に向けて手続を進めているところでございます。

関(健)分科員 ありがとうございます。

 今のお話に関連して、地元の生産者の皆さんがどういう展望と懸念を持っているかということを申し上げますと、展望は、やはりもちろん、これで自分も知多半島みたいな農家レストランができるのかということの一方で、農地の過剰な転用が進んじゃうんじゃないかと。例えば、全く知らない人が来て、よく見るチェーン店がいきなりぼんと農家レストランだといって入ってくるんじゃないかとか、そういう懸念を持つ方も少なくないんです。これはどういうふうにお考えですか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘いただいたような御懸念につきましては、私どもも耳にするところではございますけれども、ただ、今般、農用地区域内に設置が可能な農家レストランにつきましては、先ほど御説明したような要件がかかっているわけでございます。現に営農を行っている農業者が設置、管理をしているということ、また、自己生産の農畜産物に加えて地域の農畜産物を半分以上使っているというようなことを要件としているものでございます。

 したがいまして、こういう自己の農畜産物の販売の増加とか地域農業の活性化は図られるというふうに考えておりますけれども、御懸念のような、農地の転用が進むとか、よそから入ってきて農地の転用が急速に進むといったようなことはないのではないかと考えておるところでございます。

 なお、同様の要件が、実は農業者が設置、管理をする加工販売施設についても同様に、地元の農産物をしっかり使っている等の要件で農用地区域内に設置が可能となっているわけでございますけれども、この先行する事例におきましても、この施設によって何か農地の転用が急速に進んでいるというような現象も起きていませんので、今回の案件についても同様に考えられるのではないかと考えているところでございます。

関(健)分科員 地元の生産品を利用しているなどの条件というふうにおっしゃいましたけれども、地元のというのは自分がつくったものなのか、はたまたその農業エリアなのか、それともその市全体なのか。それはどういうふうになっていますか。

牧元政府参考人 基本的には、御自身がつくられているものに加えて、施設が設置をされる市町村のエリア内で生産されたもの、それが半分以上ということでございます。

 ただ、先ほど少し説明してわかりにくかったかと思いますけれども、市町村又は農業振興地域内で生産された農畜産物というふうに申し上げましたのは、基本的には、自身のものに加えて市町村内のものが半分以上であればいいということなんですけれども、農業振興地域につきましては、例えば平地で農地が連担しているようなところ、それも市町村の境を越えて農地が連担しているようなところがありまして、そういうところは同一の農業振興地域となっている場合がございますので、そういう場合には、市町村のエリアを越えて、農業振興地域内であればよいということでございます。

 基本的には、市町村内で半分以上ということでお考えいただければというふうに思います。

関(健)分科員 農水省というか政府の認識というのをしっかり聞きたいという生産者の皆さんがたくさんいるので、あえて聞きますね。

 今の半分というのは、重さですか、金額ですか。

牧元政府参考人 重量又は金額ということで、いずれであっても結構でございます。重量で半分以上、金額で半分以上、どちらかを満たしていればよいということでございます。

関(健)分科員 つまり、農家レストランをやろうというふうに検討している生産者さんは、重量か価格で半分以上、自分が住んでいる市町村の中で調達をしてくればその要件を満たされるということでいいですよね。

牧元政府参考人 御指摘のとおりでございます。

関(健)分科員 ありがとうございます。

 先ほど、いわゆる農家の皆さんは、自分がやりたいなという一方で、物すごい大きな資本とかが入ってきたらという懸念を持っているというのは申し上げました。そんな中で、先ほどとちょっと重複するんですけれども、レストランを設置する側にどのような要件をかけるんですか。

牧元政府参考人 設置をするのは農業者ということでございます。先ほど御説明いたしましたように、これは個人でも法人でもどちらでも結構でございますし、農業者という意味は、現に農業を行っている方ということで御理解いただければと思います。

関(健)分科員 ということは、例えば私の話でいえば、渥美半島の生産者が全く知らない、例えば北海道で大規模にやっている農業法人の人がぱっと来ても、理論上問題ないということですよね。

牧元政府参考人 農業者が設置、管理をするというものでございますので、自分が住んでいるところから離れたところで設置、管理をしていただいても結構でございますが、ただ、二つ目の要件のところの地元の農産物をしっかり使っていくということについては、それはあくまでも施設が設置をされる市町村又は農業振興地域内で生産されたものという、そちらの要件はかかるところでございます。

関(健)分科員 続いて、この話の次の質問に行きますね。

 じゃ、しっかり農家レストランを一丁やってみようという人たちがいるわけですけれども、その皆さんが次に考えるのは、自分の住んでいる市町村の中で、金額か重さで半分以上使っていれば農家レストランを名乗ることができる、こういうことですよね。じゃ、その要件を満たしていますよということは、誰がどうやって検証するんですか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農家レストランを設置する際には、事前に、事業計画等によりまして、要件を満たす見込みがあるかどうか、これを市町村が確認するということになっているところであります。

 また、設置後につきましては、設置された農家レストランに対しまして市町村が定期的に要件の確認を行うように、農業振興地域制度における技術的助言として定めたガイドラインに明記をするということで担保していきたいと考えております。

関(健)分科員 市町村が定期的に確認をしていくということでいいんですよね。(牧元政府参考人「はい」と呼ぶ)

 ここの関連なんですけれども、この質問の冒頭にも私申し上げたんですけれども、結局、この質問の底流に流れているのは、投資のために一歩踏み出したいな、だけど細かいところはちょっとよくわからん、だから整理してほしいなという意見が余りにも多かったので、この質問をさせていただいているんです。

 ですから、先ほど何回も繰り返しましたように、農家レストランをやりたいんだったら、その市町村の中で生産された食べ物の重量か価格で二分の一以上を満たすということがまず求められるわけですよね。それに関しては、定期的に市町村がその要件を満たしているかどうかを確認するということですよね。わかりました。

 その上で質問をさせていただきます。

 まず、これはいつから全国展開が始まるんですか。

牧元政府参考人 現在、農振法の省令改正に向けた手続を行っているところでございますけれども、今年度中には改正するということで作業を進めているところでございます。

関(健)分科員 何月ぐらいというのは。

牧元政府参考人 三月と見込んでいるところでございます。

関(健)分科員 ありがとうございます。農家レストランは来月にも全国展開されるんじゃないか、もちろん確定的なことではないですけれども、されるんじゃないかというのが今の流れだと。

 さらに、今後、ちょっと今先食いしてしまいましたけれども、五一%というか、市町村が、何%使ったらそれを主要な、主要というんですかね、その定義とか、具体的には、先ほど定期的にとおっしゃいましたけれども、その定期的というのは年何回やるんですかとか、あとは、今細かいことを答えていただきたいという意味じゃなくて、三月からそういうことが始まるときに、いろいろな細かいことを知っておきたいという生産者の皆さんの疑問にお答えするために今質問しているわけですけれども、そういう細かいたてつけに関しては、どの段階で、どういうふうに明らかになっていくんでしょうか。

牧元政府参考人 現在、省令改正等の準備をしているところでございますけれども、改正ができまして正式にスタートするという時点で、今委員から御指摘いただいたようないろいろな疑問点について答えられるような資料をしっかりつくりまして、全国の農業者の皆さん方にしっかり説明をしていきたいというふうに考えております。

関(健)分科員 想定される疑問や質問に関しては、想定して取りまとめて、それを市町村経由で出していくということでいいんですか。

牧元政府参考人 都道府県、市町村を経由してしっかり周知を図ってまいりたいと考えます。

関(健)分科員 何でこんな細かい質問をするかというと、この前その話をしたときも、まさに市の方と生産者の方と私の三人で、これはいつなんだっけ、いつだっけ、いつだっけと回るんですね、質問が。だから、誰が、いつ、どのように生産者の疑問に答えるかということは明確にしていく必要があるんだと思うんです。

 ですから、今おっしゃったのは、政府は、農林水産省は、都道府県、市町村を通じて、生産者が農家レストランを経営するに当たっての必要な情報や想定できる疑問、異論、反論に関して答えていきますよということでいいですね。

牧元政府参考人 基本的には御指摘のとおりかというふうに思います。県、市町村を通じてしっかり周知を図っていきたいと考えておりますし、あと、当然のことではございますけれども、農林水産省のホームページに掲載するといったような手段におきましても周知を図っていきたいと考えます。

関(健)分科員 ありがとうございます。

 農家レストランは、物すごい関心が高いです、生産者の皆さんが。それで、先ほど冒頭で御紹介した例に戻りますけれども、温ランド・イン・タハラというのがあって、渥美半島のハウスの一個一個がもしテーマパークみたいだったら、来ている人が楽しんでくれるよね、そこに農家レストランがあったら絶対みんな来てくれるよねという発想は、さっきも言いましたけれども、都会からやってきた女子大生の意見です。そして、それは全く同感と、感度のいい若き生産者の皆さんが、やってみようよといってやったわけです。

 どこに住んでいる人かに限らず、この地方活性化というのは総力戦みたいになっていて、逆にもうぼんぼんアイデアが上がってきているわけですね。これは農家レストランに限らず、農林水産業で元気にしてやろうみたいなのは生産者の皆さんの頭の中にたくさんありますから。

 私が今まで取材者として経験してきた中では、例えば、全国一位のイチゴハウスの横で、これを加工してクレープをつくりましょうと。でも、これはイチゴクレープをつくる工場みたいなのをつくっちゃいけないですよね。だから、いろいろ加工して、仮設の販売というかそういうことをやってきたりとか、いろいろなアイデアが出るわけです、六次産業化に向けてとか、そこで付加価値をつけて。ただ、いろいろな規制が邪魔していたりとか、そういうことがあるのはやはり否めないんですね。

 ですから、農家レストランは大きな大きな一歩だと思うんです。だから、こういう一歩を踏み出しやすい環境を整えてあげるとともに、それ以外にも、農家の人たちが、この規制がなかったらもっとやれるのにねみたいなことがたくさんあるわけです。だから、このことについて、やはり不断の検証と改善をしていくことが必要なんだと思います。

 私、最後に、これは質問じゃなくて一方的に申し上げますけれども、私の少ない経験では、農林水産省の皆さんは非常に現場主義の人が多くて、じゃ行ってみようかと言って現に現場に来てくれる人が多いです。それを私はすごい誇りに思いますし、そういう人がたくさんいる限り、やっぱり農水省ってすげえんだなと思います。

 ですから、生産者の皆さんが何を考えているか、彼らの頭の中のアイデアというのをしっかり酌み取って、彼らの第一歩、大きな一歩を邪魔しない仕組みをつくることを一緒に考えていければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

堀内主査 これにて関健一郎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿沢未途さん。

柿沢分科員 柿沢未途でございます。

 私、新エネルギー運動という政治団体を設立して、RE一〇〇、つまりは自然エネルギー一〇〇%の日本をつくる、こういうことを掲げて活動いたしております。

 太陽光や風力といった自然エネルギーは、燃料原価ゼロで、しかも発電コストは世界的に急速に下がってきていて、今や原発どころか化石燃料よりも安いエネルギーになりつつあるわけです。化石燃料は、石炭火力に代表されるように、今や世界の名立たる機関投資家から投資を引き揚げられている、ダイベストメントの対象になっていて、それに依存していると世界のサプライチェーンから外されてしまう、こういう危機感を今日本の企業も感じつつあって、今、RE一〇〇に参加する企業が大変多くなっているわけであります。

 考えてみれば、中東の産油国の王様や王子様に年間二十兆円も化石燃料輸入代で国富を流出させているわけですから、それで更に世界のレピュテーションを日本は下げているわけですから、非常にこれは口惜しい話だというふうに思うんですね。

 国産の自然エネルギーで日本の電力を賄えるのであれば、日本がずっと問題として抱えてきたエネルギー安全保障の問題、これもクリアできるようになるわけです。しかも、発電コストが安くて、やがては原価ゼロになるエネルギーで、日本の国産自給のエネルギー安全保障を確立することができるわけです。

 しかも、太陽光もバイオマスも風力もそうですけれども、都会ではなくて、いわば田舎に供給源のある自然エネルギー、そういうものだというふうに思います。伸ばせば伸ばすほど農山漁村が潤う、そうできるものだというふうに思います。というか、そうしなければならないというふうに思うんですね。都会や海外の大手資本が田舎にメガソーラーをぶっ立てて、そして固定価格買取りの売電収入を吸い上げる、こういうもの、これを一部に再エネ植民地なんて呼んだりするわけですけれども、これは、私は、自然エネルギーを広める本義にはかなっていないというふうに思います。

 まず、大臣に大きなお話をちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、日本において自然エネルギーを推進する本義について、とりわけ人口減少と衰退の進む農山漁村の再生に資する、こういう観点でぜひその意義を語っていただきたいというふうに思います。

江藤国務大臣 大変スケールの大きい質問をいただいたと思いますけれども、確かに、国富が年間二十兆円も外に出ているということは、これは事実でありますし、今、環境の問題が非常に、カーボンフリーでなければならないというような環境負荷の問題も国際的に大変話題になっています。

 農林水産業の観点からいえば、地方ではなかなか人口減少に歯どめがかからない、そして、地方においては、買物弱者であったり教育弱者であったり、いろいろなところで環境が厳しくなっている、そして、その一つの大きな要因としては、所得が低いということはやはり間違いなくあると思います。

 農業生産を行いながら、山を守りながら、そして海を守りながら、そして売電収入等によってその地域での生活が成り立つということであれば、次の世代に農林水産業のかけがえのない資産を残すという意味で非常に意義のあることだというふうに私も考えております。

柿沢分科員 江藤大臣、今、答弁書を全く見ずに、自分のお言葉で御答弁をいただきました。大変そのお姿に感銘を受けました。本当にありがとうございます。

 こういう形で、自然エネルギーを通じて農山漁村の再生をする、その最たるものが、きょう資料でお配りをさせていただいているソーラーシェアリング、営農型太陽光発電だというふうに思うんですね。農地の上で太陽光発電をする。これは、写真を見るとどういうものか一番わかりますので写真をつけてありますけれども、売電収入と農業のダブルインカムで、農業だけでは立ち行かなかったのが、経営が成り立つようになって、打ち捨てられた耕作放棄地がよみがえって、そして若い人が新規就農していく。

 現に、千葉県では、若い新規就農者が始めたソーラーシェアリングで、この下の人がそうなんですけれども、ニンニクとか高付加価値の農作物をつくって大変軌道に乗り始めている事例があります。私の地元の東京の江東区から移住して新規就農を始めた子なんですね、彼は。もともと金融とか、そういう割と所得の高いビジネスをやっていた子が、農業をやりたいといってソーラーシェアリングを千葉市内で始めたという事例であります。

 日本の耕作放棄地は四十万ヘクタール。よく言われますけれども、滋賀県の面積と同じだとか言われているわけです。これをソーラーシェアリングで再生するだけで、農地の再生、農業の再生、そして自然エネルギーの大幅な拡大になっていくわけです。

 そもそも農地というのは、考えてみれば、平らで日照がいいということがいわば約束された土地でありますから、そこで太陽光発電をやるということは、最適の場所、絶好の立地だということにもなるわけです。しかも、農業と同時並行で行うことができる。

 このソーラーシェアリング、営農型太陽光発電を推進する意義について、ぜひ農水大臣にお伺いいたしたいと思います。

江藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、やはり、これから新規就農を募るにしても、これから次の世代に農地を継続的に耕作していただくにしても、所得の確保ということが大きな課題になってくると思います。

 大変私はいいことだと基本的には思っております。しかし、片方で、この青年が非常に、金融の世界で生きていた人なんですか。(柿沢分科員「はい」と呼ぶ)しかし、大体これは十アール当たり一千五百万ぐらいかかるんですよ。設備投資で非常に金がかかる。ですから、全ての方が初期投資としてこれだけのものをやることは、現実問題としてはなかなか難しい。確かに、四十万ヘクタールの御指摘は、それを有効に利用する、そして、農地である以上、ある程度の日照が確保されているということであれば、太陽光発電には非常に向いている農地だと思います。

 しかし、その片方で、やはり、太陽光発電を行うためには光を遮断しなければならないという負の側面もあって、大体、全てではありませんが、統計的に見ると、大体収量的には二〇%ぐらい犠牲にしなければならないという側面もまた逆にあるという部分もありますので、初期投資の大きさ、それから農地に対する日照を十分に確保できない場合もあるということを考え、そして、その地域地域によっては送電のネットワークが十分整備されていないということもあります。

 ですから、これを進めるということであれば、経済産業省、それから各電力会社にも協力を仰ぎながらやらなければ、なかなか四十万ヘクタール全部に向かってやることは難しいのかなというふうな感想も持っております。

柿沢分科員 農業収入が二〇%以上減少するというようなことになれば……(江藤国務大臣「収入じゃなくて」と呼ぶ)生産量がですね、そういうことになってしまえば、そもそもソーラーシェアリングとしての要件を満たさなくなってしまうわけですので、そういう意味では、そうした、ある意味では制度の設計を皆さんもされているということだというふうに理解をしております。

 今度、再生可能エネルギーの固定価格買取り、FIT制度の見直しが進んでいるわけですけれども、ソーラーシェアリングについては、十年間の農地転用が認められた案件については地域活用要件を満たすものとして引き続きFITの対象にする、こういうことで調達価格算定委員会における議論が進められてきたところであります。

 そういう意味では、ソーラーシェアリングはやはり地域の農地の再生に資する、また農業の再生に資するということで、FIT制度から太陽光発電を卒業させようというときに、その対象として残して支援をしていこうということだというふうに思いますが、これについて農水省はどういう評価をされているかお伺いします。

江藤国務大臣 算定委員会において、小規模事業者については自家消費することが要件ということでありますけれども、十年間の農地転用が認められる案件につきましては、自家消費を行わなくてもFITの対象とするということについては歓迎したいと思っています。

 しかし、FITに残るにしても、その単価についてはまだ議論が継続中であります。全くノータッチで残るのか、それともある程度下げられて残るのか、そこは私にとっても大きな関心事でありますので、農林水産省としては、これが残るということであれば、現状のまま移行できるようにできるだけの働きかけをしていきたいと考えております。

柿沢分科員 大変かみ合った御答弁をいただいてありがとうございます。

 十年間の農地転用が認められるということ、その案件であるということについてなんですけれども、一部には、これを大変心配というか、懸念をする声があるんですね。

 つまり、認定農業者等の担い手が耕作する農地であって、認定農業者ということであるとすると、目安となるのは、例えば個人なら年間五百万、法人なら年間八百万の農業所得を目標値として掲げられていたりするわけですので、こんな大規模な農家あるいは法人がやっているソーラーシェアリングでなければ、事実上、FITの対象から外されてしまうのではないか。そうなると、中山間地を含めて耕作放棄地になりがちな条件不利地で、小規模なソーラーシェアリングを行うということで農地を再生する取組がいわば阻害されてしまうのではないか。こういう懸念を持っている方もソーラーシェアリングの事業者の中にはいらっしゃるわけですけれども、これについての見解をお尋ね申し上げたいと思います。

江藤国務大臣 地域の中核的農家として、地域の担い手として、地域に残っていただくために農業所得を確保していただきたいという観点に立てば、認定農業者であっていただきたい。認定農業者は、もう先生も御存じだと思いますが、認定の基準は市町村の基本構想に沿わなきゃいけない。それは、先生のおっしゃった基準の所得が五百万ということでありますけれども、低いところでいうと、山口あたりは二百六十七万円という規模でございます。高いところは、愛知県あたりは七百五十万以上と高いところがあって、大体平均すると五百万ということでありますが、これは収入ではなくて所得ですから、確かにハードルが高いという御指摘があるのはそのとおりなんだろうというふうに思います。私の地元でも、所得を五百万というのはそう簡単な水準ではない。

 しかし、先ほど申し上げましたように、十アール当たり一千五百万円の設備投資をしなければならないということであれば、これぐらいの所得は確保しないと、現実的に踏み込むのはなかなか難しいんだろうと思います。

 ただ、認定農業者等の要件がついていることは事実でありますが、荒廃農地については、この要件から外れて、認められます、基本的に。それから、優良農地以外のまとまりのない小規模な農地、例えば都会であっても、ぽつんぽつんぽつんと分散錯圃のようにばらばらに、ちょこんちょこんちょこんとあるようなところについては例外的に認められますので、必ずその認定農業者、それから法人八百万円要件を満たさなければソーラーシェアリングの世界に踏み込めないということではないということは御承知おきいただければと思います。

柿沢分科員 後段のお話は結構大事でありまして、特に荒廃農地について対象としてソーラーシェアリングをやろうとする場合は、認定農業者要件がかからないということになっているということであります。

 つまりは、先ほど大臣もおっしゃられたように、認定農業者といったって、所得の目標値として掲げる目標というのは市町村によって大分違う。しかも、例えば認定新規就農者であれば、これは計画ですから、それを目指しますということで、その計画の額ももっともっと低いものになる。新規就農をソーラーシェアリングでやろうという、さっきの青年のようなケースは、場合によっては、市町村の運用によっては可能になるのかなというふうにも思います。

 その点、要するに私が答弁していただきたいと思っているのは、今回のFITの見直しで、ソーラーシェアリングがあたかも支援を続けられるというか、非常に特別な扱いを受けるというようなカテゴリーに残されたというふうに思うんですけれども、これがやはり荒廃農地を再びよみがえらせたり、あるいは意欲ある新規就農者がソーラーシェアリングを一つのきっかけにして新たに就農したりとかいうことをぜひ推し進めたいという観点で今の見直し議論が行われているのであって、それを阻害するというようなつもりでこういう議論をしているわけではないということをぜひ明確化していただきたいと思うんですけれども、御答弁いただけますでしょうか。

江藤国務大臣 まさに、先生のおっしゃることはそのとおりだと思います。

 荒廃農地を、一度荒れてしまった農地をもう一度優良農地に戻してくれるということは、すばらしいことです。

 今、四百四十万ヘクタールを、日本の所有する農地の面積としては切ってしまいました。これは食料安全保障上も大変な問題だというふうに思っています。一度荒れた農地をもう一度耕作可能にすることはそう簡単なことではありません。三年たつとなかなか、農地に復活させることは不可能に近い、また灌木なんかが生えてしまったら難しい。そういうところを優良農地に戻すということであれば、ぜひとも、このFIT制度を利用しながら戻っていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど、収量が二〇%ぐらい減ることも覚悟する必要があるというふうに申し上げましたけれども、結局、経営のバランスシート上の問題で、二〇%減っても、売電収入でそれがしっかりと確保されるということであれば、自分が農業経営を行う上で、それはバランスシート上、非常に、ペイするということであれば、それは負の面とプラスの面とを比較して、営農は成り立つんだろうと思います。

 ですから、これから新規就農で、特に荒廃農地を再生しようという意欲を持っていらっしゃる方には、この制度をぜひ利用していただきたいし、そういう方は多分、こういう方のように、金融のこともわかり、バランスシートもしっかり見ることができる、投資に対する感覚も非常にすぐれた方だと思いますので、こういう方を応援することは、日本の農地面積を維持する上でもとても有効なことだというふうに考えます。

柿沢分科員 次の質問を予定しておりましたけれども、数値目標を立てて推進したらどうかとかいうことについては、恐らく難しいみたいな答えが返ってきそうなので、ちょっと次の質問に回らせていただきます。

 バイオマスのことなんですけれども、輸入原料によるバイオマス発電が急増しているわけです。きょうは、日刊木材新聞のコピーをつけておきましたけれども、ごらんのとおり、今や、二〇一九年の輸入速報値を見ますと、輸入木質ペレットが前年比一・五倍の百六十一・四万トン、そして、ヤシガラのPKSの輸入は一・三倍の百六十三・八万トン、爆発的、またウナギ登りにふえているわけです。国内の燃料調達がうまくいっていないからだそうですけれども、輸入のペレットやパーム油あるいはヤシガラでバイオマスをやっているのでは、輸送にかかるエネルギーを考えただけでも、CO2削減どころか、ふやしてしまうことになってしまいます。

 しかも、固定価格買取り制度で、いわば補助金が上乗せされているわけですけれども、何で自然エネルギーの固定価格買取りが行われているかといえば、バイオマスでいえば、地域の農山漁村から出る木材の未利用材や端材、あるいはそれを地域でペレットにしたようなもの、あるいはドイツでいえば、家畜の排せつ物をガス化して、バイオマスで発電、熱供給をするとか、こういう、もともと金を払って捨てていたようなものを地域の資源にして、そして燃料にして発電できる、だからこそ地域循環型でCO2削減につながる、そういうものだからだというふうに思うんですね。

 それを輸入原料でやるなんというのは、自然エネルギーの本義をそもそも逸脱した、いわば、私は脱法行為に等しいものだというふうに思います。農山漁村の振興を掲げる農水省は、この本末転倒な事態を一体どう思っているんでしょうか。経産省がこんなことを認めているのを、もっと私は怒っていいと思うんですよ。

 輸入原料によるバイオマス発電、これは自然エネルギーを推進する本義に反するというふうに思いますので、ぜひこれはFITの対象から外すべきだというふうに思いますけれども、農水省はどう考えているのかということをぜひお伺いをしたいというふうに思います。

江藤国務大臣 大変、なかなか難しいお話だと思います。バイオマス発電所にしてみれば、しっかりフル稼働できるだけの原材料を確保したい。しかし、農林水産省の立場からすると、今先生がおっしゃいましたように、切捨て間伐で山の中に放置されている材木であるとか、そういうものを、今までお金にならなかったものを山主に還元するという意味で、そういうものを基本的には買い取っていただきたいというのが農林水産省の立場でございます。しかし、経産省としてみれば、非化石燃料を調達することによって、いわゆる非化石燃料化をすることが本旨の目標ということなんでしょう。だと思いますよ。

 ただ、私たちの立場からすると、経産省がFIT制度を所管しているわけでありますけれども、この木材新聞に書いてあるような、ヤシガラとか木質ペレットとか、こういったものが国内のバイオマス発電所で使われることは、決して歓迎することではありません。しかし、この場で、外すべきだということまでは、なかなか正直、踏み込めませんけれども、農林水産省としては、経産省にしっかり、国内の調達率を上げるように働きかけていきたいと思います。

 それで、もう一つ言わせていただければ、海外からこれだけの価格でヤシガラ等が調達できるから、国内の材料等についてはこれぐらいの価格に安くしてくださいよというようなことが起こっては、絶対にこれは許されませんので、そういう影響が出ないように、しっかりウオッチもさせていただきたいと思っております。

柿沢分科員 では、ここから木材需要をふやす話をさせていただきたいと思います。木製サッシについてなんですけれども、これは何度も林野庁長官に別な場所で御答弁をいただいたりしてきて、笹川さんがお見えですけれども、笹川さんには現地まで視察に行っていただいたりしてやってまいりましたけれども、農水大臣にお聞きするのは実は初めての機会になります。

 アルミサッシが九割の日本の窓の常識は世界の非常識。しかも、結露はする、断熱性能の低さで、室内の寒暖差でヒートショックを起こして脳卒中で亡くなる人が年間一万七千人、交通事故の四倍以上の死者数であります。冷暖房の熱をだだ漏れさせて、断熱性能が低いから、同じ室温二十度を保つのに、日本の住宅はドイツのパッシブハウス基準の住宅の六倍もエネルギーを消費しているという試算もあるほどです。

 断熱性能がアルミサッシの千倍以上高いのが樹脂サッシと木製サッシで、資料につけておきましたけれども、世界ではこちらが使われるのがスタンダードになっている。それだけ断熱性能が違うんですから、これは当然のことだというふうに思います。

 でも、樹脂サッシというのは要は石油製品ですから、脱化石燃料と言っている時代には、いずれ選択肢ではなくなっていく可能性があります。それよりも、国内の林産資源を使って木製サッシの使用を広げていけば、新たな木材需要が生まれるわけですし、新たな産業が山元につくり出せる。そして、都会の住宅の断熱性能も上がって、それだけ日本の住宅の省エネルギーが進む。これをこそ、私は、森林環境税を使って政策的に推進していくべきだというふうに申し上げてまいりました。

 断熱性能が高いということは、遮音性も高いということにほかならないんですね。

 最後の資料をつけておきましたけれども、これは新木場の材木屋さんの社長さんが、柿沢さんが言っている木製サッシをやってみようということで、自宅のマンションの内窓に木製サッシを取り付けたという、マンションの七階だったと思いますが、部屋であります。

 見てください、ビフォー・アフター。これだけ美観が違う、木のぬくもりが感じられるわけですが、それだけではなくて、当然、断熱性能も上がるわけですけれども、実は、台風十九号が昨年、首都圏を直撃しました。そのときにどうだったかというと、外はびゅうびゅう、ごうごうの暴風雨なのに、室内にいると、その音、雨風の音をほとんど感じなかったというぐらいの遮音性のアップになったということであります。

 これだけ遮音性が高い、当たり前ですね、断熱性能が高ければ遮音性は高いわけですよ、木製サッシであるにもかかわらず、実は、国土交通省や防衛省による航空機の騒音対策の学校等公共施設、民家の防音工事における防音サッシに、アルミサッシは入っている、樹脂サッシは入っているけれども、実は木製サッシは入っていないんですよ、除外されているんですよ。

 これは、私は、改善すべきではないか、しっかりと遮音性を満たしたそうした木製サッシは、こういう防音工事で使えるようにすべきではないか。これは多分、政令か省令か何かわかりませんが、標準仕様書をちょっと変えればできることだと思いますので、ぜひ対応していただきたいと思いますが、答弁をお願いします。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 空港周辺の防音工事に係る防音サッシにつきましては、航空局が定める騒音防止工事設計基準及び騒音防止工事標準仕様書等におきまして、金属製サッシと樹脂製サッシの満たすべき遮音性能を規定しているところでございます。

 一方、同文書におきましては、金属製サッシや樹脂製サッシと同等の遮音性能等を満たすことが認められる場合には、それ以外の防音材料を採用することも可能としているところでございます。

 したがいまして、御指摘の木製サッシにつきましては、具体的な要望がありましたら、遮音性能等を確認の上、使用をしてまいりたいというふうに考えております。

 その上で、標準仕様書等の改定につきましては、公共工事における使用状況や木製サッシの各種性能の状況等を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛施設周辺における防音工事で使用する防音サッシにつきましては、遮音性、耐風圧性、気密性、水密性等の一定の性能を満たすことを基準として工事標準仕方書に定め、使用してきたところでございます。

 この仕方書におきまして木製サッシは記載をされておりませんが、各種の性能を満たす場合には個別に採用することも可能としているところでございます。

 その上で、木製サッシの使用につきましては、これまで補助事業者から具体的な要望がなかったと承知をしておりますが、今後、他の公共工事における使用状況等も考慮しつつ、各種性能を確認するとともに、耐久性、価格面等からも検討してまいりたいと考えているところでございます。

柿沢分科員 要望がないと言いますけれども、私が知る限り、先般、業界団体のまとまった要望として、この部分について対応されたいという要望が出されているはずであります。まあ、これは使えるということがここで明らかになったわけですから、本当のことを言うと、金属サッシ、樹脂サッシと列挙しているんだったら、木製サッシについてもしっかり列挙して、遮音性を満たすものがあるということをしっかりと内外に知らしめていただきたい、ここまでの対応をぜひ検討していただきたいというふうに思うところでございます。

 木材需要をふやす話としてこれを取り上げているという話をいたしました。実は、アルミサッシの大手メーカーも、やはりこれからの窓の断熱性能を上げるという、しかもマンションの内窓とかでリフォームをする、この需要の大きさに気がついていて、実は大手のサッシメーカーも木製サッシを自分たちでつくるというようなことを検討されている事実があります。ほっておくと樹脂サッシばかりになっちゃって、しかも美観を上げるために木目調の樹脂サッシみたいなのがあるんですね。そんなことをやるぐらいだったら、性能は同じなんだから、木製サッシそのものを使ってくれよと思うわけですけれども。

 この大手サッシメーカーの現地の工場に実は足を運んだところ、担当者の方はこういうことを言っていました。日本国内の窓の生産量は大体年間千百五十万窓ある、そのうちの一〇%は木製サッシにできるというんですね。

 今、日本の国内の木製サッシのシェアは一%ですよ。国産材を使った木製サッシは〇・二%です。もし仮に千百五十万の一〇%が木製サッシになったら、巨大な木材需要が新たに生まれるということになるというように思うんです。

 実際にそういうふうになったらどうなるのか、どの程度の木材需要がそこで生まれるのかということを、ぜひ私は林野庁に一回試算をしてみていただきたいというふうに思うんですよ。そこにマーケットがあるとすれば、じゃ、私たちもやろうかということが必ず出てくるというふうに思いますので、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。

 それと同時に、農水省として、木材利用の拡大は森林環境税までつくって推進していることですから、できれば、日本の窓の何割は木製サッシにする、こういう目標を、何年までにそうするということを立てて、いわゆるバックキャストで政策を進めていく、このぐらいの価値のある政策だというふうに私は思っています。ぜひその点は、大きな話ですから大臣にお答えをいただいて、私の質問の最後とさせていただきたいと思いますので、林野庁長官、また江藤農水大臣、よろしくお願いします。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 木製サッシの形状等は多種多様でありまして、木材使用量もまちまちであり、一概に試算するのは困難と考えていますが、仮に、御質問の前提である木製サッシ百十五万セットに、木製サッシ製造企業に対するヒアリングからお聞きした一世帯当たりのおおむねの木材使用量〇・三九立方メートルを乗じて計算したところ、木材使用量は約四十四万九千立方となると考えております。

江藤国務大臣 私の家もアルミサッシですけれども、実はアルミの枠に木目のシールを張っていまして、やはり味気ないなと思って。ところが、結露をして剥がれてしまいまして、今、もとのアルミサッシに戻ってしまっております。

 ですから、防音性それから遮音性がすぐれている、しかも国産材の需要拡大ということであれば、我が省としては大歓迎であります。

 しかし、簡単な計算だったようですけれども、大体コスト的に一・五倍ぐらいかかる、今の技術ではですね。ただ、非常に、数千万円の予算しかまだ計上しておりませんけれども、技術開発、それから普及に対する予算は若干林野庁の中にもございます。ということは、この必要性、有効性については、林野庁としても、農林水産省としてもわかってはいるということだと思います。

 ただいまの国土交通省、それから防衛省ですか、防衛省、私のところも新田原基地がありますので、防音、遮音工事をやっているわけでありますけれども、そういうことであれば、やはり木目の温かみというものは、心に対しても非常にいい、メンタル的にもヒーリング効果があるということも科学的にも証明されているところでありますから、我々は、林野行政をやる上で、今まで内装材にしか使われていなかった材木を構造材に使ってほしい、CLTとかいろいろなものを使って、少しでも国内の材木の用途をふやして、国内の全木材の自給率を上げて、そして山主にお金を戻すということを主たる目的として頑張ってきましたので、一つの目標の数字を掲げるということは、今林野庁長官が言ったようになかなか難しいかもしれませんが、しかし、ふやす努力はぜひしていきたいというふうに、きょう議論をさせていただいて思った次第でございます。

柿沢分科員 江藤農水大臣、一貫して答弁書をほとんど見ずに御答弁をいただいて、本当にありがとうございました。

 一・五倍という話がコストについてありましたけれども、これだけ仮に試算したような流通量が出てきたら、必ずコストは下がりますから、そういう意味では、樹脂サッシに匹敵をするようなそうしたコストで、あのようなすてきな美観に、ぬくもりにあふれた、しかも断熱性能の高い木製サッシへのリフォーム、リプレースが進んでいくことができるというふうに思います。現にヨーロッパではそういうふうになっている。

 これは、日本がおくれをとらないで進めていくべき大事な政策だというふうに私は思いますので、引き続き取り組ませていただいてまいりますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

堀内主査 これにて柿沢未途さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

笹川主査代理 次に、国光あやのさん。

国光分科員 茨城六区の衆議院議員の国光あやのでございます。

 本当に、江藤大臣、朝から大変お疲れさまでございます。答弁書をほとんどごらんにならないまま御答弁を本当にスマートになさっているお姿、深く敬服させていただきたいと思います。

 私、地元は茨城県でございまして、農業生産額全国第三位の大農業県でございます。残念ながら、おととしまで二位だったんですけれども、ちょっと昨年、大臣のお隣の鹿児島県に抜かれてしまいまして第三位に転落したんですが、ぜひ第二位を奪還すべく、オール茨城で頑張って地元の農業を盛り上げてまいりたいと思っております。

 その中で、きょう御質問をさせていただきたいと思います。まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、昨年の予算委員会でもお尋ねを、安倍総理と、そして当時は世耕経済産業大臣にお尋ねさせていただいた話があります。何かと申しますと、現場を歩いていまして、一番実はかなり強く御懸念、御不安をいただく話で、いわゆる農業に係る電気料金、農事用電力と申します。これが非常に、特に大震災以降高騰していて、例えば土地改良区でありますと、土地改良区のコストの大体五割、一番大きいところでは七割、ほとんどコストの七割を電気料金に費やされているという状況がございます。

 これは、もともと背景としましては、電力の自由化ということで、平成二十八年にはもう全面自由化になっておりますが、それでもなかなか、震災以降、原発の停止やあるいはFITの賦課金、再エネの賦課金などによりまして、ちょうど、二〇一一年の震災の当時から比べますと、電力の単価が今二五%増ぐらいになっております。

 昨年予算委員会で取り上げさせていただいたときは、それでも一応、一般の電気料金よりは、小売の規制といいまして、農業用の電力ですので、大量に使われる、生産者を守るという意味でも、大体一般の単価の五割、半分ぐらいに抑えている料金設定となっております。これを、去年の予算委員会では、この規制の存続を訴えまして、何とか、本当はことしの四月からこれは撤廃されて値上がりする予定だったところを継続をしていただきまして、本当に農水省そして経産省の皆様方には感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、やはり、申し上げたとおり、本当にベースラインの電力単価が非常に高うございます。これはかなり、まだまだ値上がりをしている状況もございまして、非常に多くの農家の方、土地改良区の方からの御不安が本当に強くなっておりますので、ぜひ大臣からこのあたりの意気込みについてお伺いさせていただきたいと思います。

江藤国務大臣 今、先生から御指摘があったように、電気料金の占める割合が土地改良区において非常に重きをなしてしまっているということは承知をいたしております。

 ですから、小水力発電とかそういったものも支援させていただきたいと思いますし、施設が非常に古くなってしまっているということも多分にあると思いますが、そういった施設の更新等についても、やはりこれから私たちはしっかり支援をしていかないと、なかなか土地改良区の今後の経営については、大体、農家自体の数が、頭数が減っているという現状がありますので、その分、各農家の負担もふえるということもまた、その反対側には、裏腹、ありますので、そういったことに目配りをしながらやらなきゃいけないと思っております。

 国が造成して土地改良を管理している施設につきましては、施設の維持管理費に係る支援を行わせていただいておりますけれども、据え置いたことについての御評価をいただきましたが、これについてもまだまだ高いということでありますから、我々で何ができるのか、また、党内からの御指摘、御意見も伺いながら、できるだけのことをしていきたいというふうに考えております。

国光分科員 江藤大臣、大変ありがとうございます。ぜひ、現場に寄り添っていただき、また現場で改良できる部分は、いただいたように、改良していきながら、お互いにウイン・ウインになれる方法というのをぜひ模索をしてまいりたいと思います。

 この点、ちなみに経済産業省からも御答弁をいただければと思います。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきましたように、現在、多くの原子力発電所が停止をしてございまして、また、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度によりまして、既に年間二兆円を超える追加的な国民負担をお願いしてございます。

 こうした中で、震災前に比べまして、一般家庭で平均約二三%、電気代が上昇してございます。国民の皆様には経済的に大きな御負担をいただいている、こうした現実がございます。

 こうした中で、我が国の国民生活や経済活動にとって電気料金の抑制は極めて重要な課題でございまして、本年四月には送配電部門の法的分離を予定しているところでございまして、引き続き、事業者間の競争の促進を通じた電気料金の抑制を図るべく、さらなる市場環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、政府としましては、安全性を最優先に、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ再稼働を進める、こうしてございますけれども、再稼働等を踏まえ、関西電力では二度の値下げを実現しておりまして、また、昨年四月には九州電力が値下げを行ったところでございますけれども、今後、再稼働が進展していけば、電気料金の抑制に資するものと考えてございます。

 また、さらに、増大する固定価格買取り制度による負担を引き下げるべく、中長期的な価格目標の設定、入札制度の活用、FIT認定後、長期間稼働していない高価格案件への厳格な措置など、また、低コスト化に向けた研究開発などを進めているところでございます。

 今後とも、電気料金の抑制や料金上昇の影響緩和に向けた対策に適切に取り組んでまいりたいと考えてございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 なかなか、農業もそうですけれども、国民全体がこの高コストに対して悩みが深いところであると思います。原発の再稼働は、非常に我が茨城県でも同様の問題を抱えており難しい問題ではございます。

 ただ、再エネの賦課金の方、あるいは研究開発につきまして、ぜひ、経済産業省として前向きに、原発の再稼働以外の選択肢についてもしっかりと研究を進めていただけるように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、我が地元茨城の農業を支える本当に基盤の農産物の一つでございます、レンコンがございます。全国のレンコンの生産量の約半分、五〇パーは茨城県産でございます。大臣そして政務官の御地元九州でもたくさんのレンコンをとっておりますが、一応一位は茨城県でございまして、約半数をつくっているということでございます。

 ただ、この半数を占めているレンコンなんですが、非常に今、茨城、地元では困った状況がございます。

 といいますのは、レンコンって、よくお正月でも出てくるとおり、真っ白で、つやつやとして、白いもちもちした肌のような、そんなものが非常に商品価値が高く、かつ市場で非常によく売れるというものでございますが、実は、今、現場で非常に困っておりますのが、ハス田、レンコンの畑から収穫をしたときに、レンコンの表面に黒いぽつぽつがたくさんできてしまって、これは調べるともう十年ほど前からあるんですが、レンコンにいわゆる線虫という寄生虫が寄生をしてしまっていて、これが十年前はごく一部のハス田、水田のみだったんですけれども、もうかなりの領域で広がってきておりまして、本当に、今は収穫する量の大体三割、多いところでは五割が出荷できない、収穫はできても出荷ができないという状況にまで陥っている状況がございます。

 これに対して、今、農薬の開発が非常に進んでおりまして、ベンフラカルブという稲に使う農薬がレンコンにも効くのではないかということで企業様が申請をしてくださって、今ちょうど食品安全委員会で審査が終わり、そして、厚生労働省においてこれをちょうど今審査をしていただいているという状況だと承っております。

 この審査が終わり、告示の時期、これを非常にハス、レンコン農家さんは希求して待っておられます。この見通しについて、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

河野大臣政務官 お答え申し上げます。

 茨城県を始め、委員の先生方から御要望いただいておりましたベンフラカルブの早期の登録に関しまして、農林水産省といたしましては、農薬取締法上の優先審査の対象と位置づけたところでございます。その後、先生からも御紹介ございましたけれども、食品安全委員会における食品健康影響評価が終わりまして、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、残留基準値の設定のため審議が進められているところでございます。今後、WTO通報、パブリックコメントといった手続を行う予定であります。

 農林水産省といたしましては、厚生労働省による残留基準値の告示がなされれば、直ちに農薬として登録が行えるよう、使用方法の審査を進めてまいります。

 我が省といたしましては、なるべく早期な登録ができるよう、引き続き省庁と連携をして手続を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 優先の審査の対象にしていただいたことを本当に心から御礼を申し上げます。通常は企業から申請があってから数年かかるという中で、非常に短い期間で対象としていただいたことを、本当に地元の声を代弁して、心から御礼を申し上げたいと思います。

 そして、もう一つ、このレンコンの農薬に関してお伺いしたいと思います。

 このベンフラカルブ、非常に効果が期待できるというお声もございますが、やはり少しまだ限定的かなという御懸念もございます。非常にシェアが限られている中で、茨城県はこの線虫問題が非常に懸案なんですが、ほかの県では余り出ていなくて、茨城県だけでのマーケットの中で非常に苦労しているという状況がございます。つまり、企業さんにとってはなかなかマーケットがちっちゃいので、農薬の開発が非常に進みにくいというふうな状況がございます。

 ちょっと御相談がございまして、農薬の開発に関する、いわゆる数が少ない、人体でいいますと希少疾患といいますか、少ないマーケットに対する農薬の開発。ぜひ国におかれても、ちょうど同じ茨城県に農研機構がございます、まさに農業の基盤研究を進める機関でございます。つくばでございまして、すぐ地元の霞ケ浦、レンコンの生産地の隣でございます。農研機構に対する研究開発の促進であるとか、あるいは県への御支援ということも、国からぜひ働きかけをお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野大臣政務官 生産地が全国規模ではなく、民間参入が進みにくい農産物の被害対策の技術開発に関しましては、既にほかの作物で登録されている農薬の適用拡大のための実証研究、また、農薬に頼らない栽培技術の開発への支援が基本と考えてございます。

 レンコンでは、茨城県の農業総合センターが、農林水産省からの研究資金の支援によりまして、平成二十五年度に、農薬に頼らない新たな消毒技術、これは具体的に申し上げますと、種レンコンをお湯につけて消毒するという技術を開発をいたしまして、線虫の総合防除技術が開発されたと承知してございます。

 民間参入が進みにくい研究開発は、地方公共団体、普及組織そして公設試験場などが連携して行うことが必要であり、農林水産省といたしましては、今後とも、農研機構を通じて、茨城県の行政機関や公設試験場とも相談をしてまいりたいというふうに考えてございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 地元茨城、まさに農業県であり、かつサイエンスシティーつくばを持つ県でもございます。ぜひ、農業と、そしてまた研究、県への支援を、うまくコラボレーションできるように、ぜひ取組を進めていただければ幸いでございます。

 続きまして、同じく茨城県で、特産でもございます原木シイタケの関係でお伺いをさせていただきたいと思います。

 原木シイタケ、これは原発事故の影響によりまして、出荷制限が非常にまだまだ重たい状況でもございます。そしてまた、非常に多く困っていますのが、原木を使うシイタケ栽培は、その原木自体が、以前は福島県に多く依拠しておりましたが、今は福島の原木がいまだに使えません。そのため、大臣の御地元の宮崎や大分から原木を多く持ってきて、それで原木のシイタケの栽培をしているという状況がございます。

 ただ、その原木自体の輸送コストも非常に高うございまして、今、東京電力から原木シイタケの原木に関する輸送コストを含めたかかり増しの支援、それに関するコスト面の支援というのが東電から補償で行われておりますが、これが毎回、そろそろ打切りになるんじゃないかという御懸念というのが非常に強うございます。

 この点、東電の補償の見通し、今まだ非常に苦しい状況でもございます。生産者はこのままではもう本当に数年以内に半減してしまうというふうな状況にもございます。この見通しにつきまして、経済産業省にお答えをいただきたいと思います。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農林業に係る賠償については、損害がある限り賠償するという政府方針に変わりはございません。

 原木シイタケにつきましては、これまで、平成二十三年十月から令和元年十二月まで出荷制限に伴う損害を賠償してきたところでございます。現在、出荷制限を含めまして、令和二年以降の賠償の枠組みについて、東京電力が農林業関係者の御意見を伺いながら検討を行っているところでございます。

 東京電力につきましては、今後とも、今、国光先生の方から厳しい状況の御紹介がございました、その厳しい環境に置かれた農林業関係者の皆様に寄り添いながら、その御意見をしっかり踏まえた方針を早期に示すように指導してまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、しっかりと東京電力に対しましても訴えることは訴える、現場に寄り添っての御意見を聞き続けていただければと思います。

 また、原木シイタケで、これはちょっと意見としてとどめさせていただきたいんですけれども、実は、原木シイタケの原木を伐採して使うことによって、非常に環境を、例えば里山を守るという環境面でも非常に大きな効果が今まではございました。例えば福島県の原木も、今までは原木を伐採して、例えばクヌギやコナラでございますけれども、それをシイタケ栽培に活用することによって、切った原木の後から若芽が出て、里山が再生して、非常に環境的ないいサイクルが回っていたところを、今は福島でも原木が伐採なされないために、非常に山が荒れてしまい、本当に川下の環境というのが壊れているという状況もございます。

 原木シイタケは単純なる農産物というものだけではなくて、やはり非常に環境的にもサステーナブルな社会をつくっているということをぜひ社会全体でお認めいただきまして、御支援を、環境省を始め、いただけると大変幸いでございます。

 続きまして、新規就農者の定着の支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ことし、実は非常に茨城でも、またそして六次産業の面でもおめでたいニュースがございました。つい先月、六次産業化アワードという農林水産大臣賞を、地元つくばの野菜の加工工場をやっていらっしゃるワールドファームさんという企業が受賞なさいました。

 私もつくばに住んでおりまして、すぐ御近所なんですけれども、このワールドファームさん、非常に目覚ましい取組をなさっておられまして、六次産業化自体も非常にすばらしいことはもちろん、耕作放棄地を活用されて、キャベツやレタス、ホウレンソウなどを栽培されて、それを加工して、そして消費者などに直接販路を持って届けるということをなさっておられます。

 さらにすごいのは、私も伺ってみたら、まあびっくりで、従業員の方、大体五十人ぐらいですか、おられるんですが、平均年齢が二十代後半ぐらいの、一番年上でも四十ちょっとぐらいの方、非常にみんな若いんですね。本当に、地元の茨城、つくばだけではなくて、全国各地からワールドファームさんで新規就農をしたいという若者がどんどん集まってきている。そういうところも今回農林水産大臣賞をいただいた理由というふうに承っておりますが、このワールドファームさんの取組を踏まえまして、今後の新規就農者の定着支援、ぜひ加速化をしていっていただきたいというふうに思っております。

 特に、ちょうど、例えば農業次世代人材投資資金など、こちらも活用いただいているところではあるかと思いますが、なかなか新規就農者、数は結構ふえてはきたけれども、実際に定着している人数、定着した数というのがそれほど十分な、途中でやはりやめられる方も多いというふうなことも承っております。

 そういう支援のあり方も含めて、ぜひ今後の取組をお伺いできればと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおりでございまして、我が国の農業従事者の方々、高齢化が大変進んでおります。こうした中で、若い世代の方々の就農を促進いたしまして、世代間のバランスのとれた農業構造にしていく、これは必要なことだというふうに考えてございます。

 このため、委員からも御紹介のありました農業次世代人材投資事業、あるいは、法人が雇用などをされる場合におきましては農の雇用事業ということでの支援、さらには、新規就農者を確実に定着させるため、地域におけるサポート体制の構築の支援、こうしたことをしてまいりたいというふうに考えてございます。

 委員から御指摘のございましたワールドファームでございますけれども、まさに新規雇用の就農者の方を七、八年で所得五百万円を達成できるよう育成した後に、幹部スタッフや提携企業のリーダー、又は独立就農させるというキャリアパスを構築されていますし、また、全国の遊休農地を有効活用した業務用野菜の生産、さらには自社加工工場で一次加工して販売する六次産業化と、さまざまな取組をやられています。

 我々、新規就農者を定着させるためには、農業経営体やそこで働く従業員の方々の所得の確保、向上、これが重要と考えます。このため、農林水産省といたしましては、こうしたワールドファームの取組も参考にさせていただきながら、農産物の付加価値向上のための六次産業化、あるいは、スマート農業を実現するための新技術の開発や実証、実装、農地の集積、集約化、それらを含めた全体の農業経営力の向上、こうしたことを進めてまいりたいというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。ぜひ、こういう好事例、ワールドファームさんのような好事例を横展開できるように、ぜひ農林水産省としても取組を進めていただければと思います。

 では、最後になります。

 また地元茨城で非常に困っていることで、ぜひ取組をお伺いさせていただきたいことがございます。

 全国で、車が盗まれる、あるいは農機具が盗まれる、そういう話が随分出てきておりますが、地元の茨城県は全国有数の盗まれ県でございまして、去年から比べましても、大体一・三倍から一・五倍ぐらい、何か置いておけばすぐとられるというふうな状況が非常に続いております。

 これに対して、もともとはやはりのどかな地域でもございますので、例えば、小さい、レンコンを掘るようないろいろな機械だとか、そういうもの、軽いものだったら、そのまま置いて帰ってしまっているというような状況もございました。それを、必ず鍵をかけるとか、家に持って帰るとか、そういう取組も随分進んでもきております。そしてまた、防犯カメラをつけるというふうな取組も進んできておりますが、でも、なぜかいまだに件数がふえ続けており、非常に苦慮しているという状況がございます。

 県も、あの手この手でいろいろな支援はしているんですけれども、北関東を中心に、かなりこの盗難件数、非常にふえていて、非常に補償的にも苦しくなっているという状況がございます。

 こちらにつきまして、国としての対策の支援、ぜひ深めていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。お答えをお伺いいたします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 トラクターなどの農業機械でございますけれども、今や農業経営になくてはならない資材でございまして、重要な資産でもございます。盗難があれば経営に大きな影響を及ぼすことになると承知しております。

 一方で、その盗難でございますけれども、毎年発生している状況にございまして、トラクターなどを含む特殊自動車という分類になりますけれども、令和元年の盗難件数でございますが、御地元の茨城県でございますが、百件を超えている状況にございます。全国の中でも特に多くなっている状況にあるというふうに承知をしているところでございます。

 こうした中で、一般社団法人の日本農業機械化協会でございますけれども、盗難に遭った農業機械が発見される可能性を高めて盗難を牽制するという目的で、盗難された農業機械の情報を関係機関に提供する、共有する取組を平成二十五年度から進めておるところでございます。

 また、各農業機械メーカーにおきましても、盗難に遭ったときに携帯電話のアラームが鳴る機能ですとか、あるいはパスワードを入力しなければエンジンが起動しない農業機械、こういう機構を装備した機械の販売を行うなど、農業機械側でも防犯機能を強化をしているところでございます。

 農林水産省におきましても、こういった農機具メーカーあるいは警察庁などの関係機関と連携いたしまして、盗難防止対策の徹底をしてまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 農機具も安くはありません。必死に購入して、ひどいところは次の日とられたという、本当にかわいそうなお話もたくさんございます。ぜひ、正直者が何とかを見るというふうなことにならないように、また、自力以外の他力で、やはり被害に遭ってしまうというところは、社会全体で何とかそれを食いとめる手だてを考えていければというふうに思っております。

 ここで私の質疑を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

笹川主査代理 これにて国光あやのさんの質疑は終了いたしました。

 次に、大隈和英さん。

大隈分科員 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 また、江藤大臣を始め、夕方の時間にかかわりませず、熱心な議論をいただきますこと、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、私の選挙区は、大阪の豊かな森と、そして淀川の水をたたえる、非常に自然の豊かなところでございます。

 その中で、近年の森と河川の災害対策についてきょうは議論をさせていただきたいと思います。時間の許す限り、また議論を深めさせていただければありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、一昨年の台風二十一号、皆様は、関西国際空港が水没したというのがニュースでよく印象に残っておられると思います。また、昨年の台風も続きましたが、私の大阪府高槻市及び三島郡島本町には、豊かな森林が、台風二十一号によって、もう本当に山がたくさん、丸ごと杉の木がなぎ倒されたという被害を受けました。

 その中で、森林六百六十ヘクタールに及ぶ広範な被害の中で、迅速に局地激甚災害指定をしていただきまして、これはもう大変ありがたいところでございます。昨年夏には、当時の高野大臣政務官を始め林野庁、農水省の皆様も現地にお越しいただきまして、ひどい状態ということをよく御理解いただけたと思います。

 現在、そのうち百二十三ヘクタールの復旧事業を進めているところでございますが、問題は、復旧工事の人員不足、そして地形的な作業の困難さということがございます。

 人員不足につきましては、大阪府の森林組合さんが中心となって今頑張っていただいておりますが、他府県の組合さんのまた応援もいただいているというところでございます。そうなりますと、また、移動時間ですとか、あるいは宿泊費用ですとか、どうしても実働時間が限定的になってまいります。

 今国会で法案提出予定の森林組合の体力強化の支援策等も大変ありがたいと思っておりますが、直面する人員不足と作業の地形ですね、安全性と効率をしっかり担保していく、そのためにも、例えば先端的な作業機器の配置がやはり必要不可欠だというふうに考えております。

 その中で、例えば、被害の迅速な調査あるいは運搬を兼ねるような大型のドローンの開発導入ですとか、あるいは、木材の切断、搬送、林道開拓など一台でマルチな役割を持っておりますハイブリッドモデルの導入なども大きな効果が期待できると思っておりますが、なかなか、すぐれた機械というものは、御承知のとおり高額なものでもございます。森林組合さんや小規模な事業単位ではなかなかその装備の購入、配備というものは難しい点がございまして、また、災害時以外の出動、稼働というのも限定的でございます。

 そういうことを考えますと、高額な機材、先進的な機材を、例えば林野庁の地方森林管理局単位など、あるいは国で配備を進めていただいて、災害時に地域で融通し合って利活用できるような方策をとっていただければありがたいと思っておりますが、そのあたりの御見解をいただければと思います。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害時の迅速かつ安全な支援のためには、作業機械とあわせて、その機械の操縦に習熟したオペレーターが必要であることから、国として作業機械を配備して貸し出すことは難しいと考えています。このため、昨年の台風十五号による千葉県等での倒木被害に際し、被災地周辺の事業者等に作業機械とオペレーターをセットにした派遣について依頼するなどの対応を行ってきたところでございます。

 今後も、事業体などの林業機械の保有状況を把握しつつ、災害時に円滑に融通できるよう、地方公共団体や関連団体等との連携を進めてまいりたいと考えております。

 なお、迅速な被害の把握については、これまでも森林管理局・署の国有林職員がドローンを活用し、被害調査の支援を行ってきたところでありまして、今後とも災害発生時には的確に対応してまいります。

大隈分科員 本郷長官におかれましては、いろいろと温かい御支援、激励をいただきまして、感謝申し上げます。

 現地は一級河川の上流になっておりまして、風倒木の山の斜面のすぐ下を渓流が流れております。そういう点で、作業の足場が確保できない大変危険なところもございます。また、除去した風倒木を置いておきます仮置きスペースが十分にとれないという点もございまして、また、その対岸の方は唯一、バス道としてこの地区へのアクセス道路になっておりまして、なかなか通行どめをして作業をするというものも制約がございます。

 そういう点で、作業用のアクセス道や架線の開設が不可欠でありながら、安全上の確保の余分な附帯経費がかかってしまうという悩みがございます。災害復旧の事業の単価補正、あるいは、風倒木というのは根株が起き上がっておりまして危険な箇所が随分あるんですけれども、林内の安定残置や撤去をするしかないなというふうに考えているんですが、この災害復旧事業では処分費用や林内の集積のコストが補助経費の対象にはなっていないという問題がございます。

 速やかな復旧促進に、ぜひ、この点の改善の方、御検討いただければと思っておりますが、いかがなものでしょうか。お答えいただきたいと思います。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林災害復旧事業の事業費は、都道府県が復旧事業地の被害状況等に応じて作成した森林災害復旧事業補助計画概要書に基づいて事業費を決定することとなっています。

 その後、実際の施行条件や経済情勢等により、当初見込んだ事業費で実行することが困難となった場合には、都道府県知事は状況に応じて補助計画概要書の変更申請ができることとされており、内容が妥当であれば国が承認することとなりますので、実情を大阪府にお伺いしながら対応してまいります。

 また、被害木の伐採跡地への苗木を植栽するために必要な根株や枝条の処分及び林内集積は、森林災害復旧事業の補助対象となっております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 補助の対象になっているということで、大変ありがたいお言葉をいただきました。

 もう一点ですけれども、人員不足や作業の困難さのお話をさせていただきましたが、もう一つは、やはり広い森林になりまして、所有者の不明によって境界画定がなかなか進まない、あるいは、所有者の高齢化に伴いまして、なかなか現地での立会いというのが難しいということがございます。そのようなときの改善策というのも少しアドバイスをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林の整備や災害の復旧事業を進めるに当たっては、森林所有者の把握や森林境界の明確化を進めていくことが重要です。このため、農林水産省としては、従来から、森林整備地域活動支援交付金により、森林組合等が行う森林所有者の所在確認や境界の確認等への支援を行ってきたところでございます。

 令和二年度からは、航空レーザー計測データ等を用いたICT技術による森林境界案作成への支援を追加することとしており、現地立会いを行わなくても、この境界案を地域の集会所等で確認することが可能となると考えております。

 農林水産省としては、このような新たな技術も利用し、森林所有者の把握や森林境界の明確化を推進してまいりたいと考えております。

大隈分科員 先ほどの災害復旧の機材にしてもそうですし、今回の調査もそうですけれども、ぜひ、テクノロジーを利活用しながら、また迅速な復旧に向けてのお力をいただければと思います。

 前述の被災地の地形では、一年後に台風が来まして、一昨年に風倒木の被害を出したところがなかなか手つかずになっておりまして、その被害、一年後の台風によって、今度、その風倒木ごと土砂崩れを起こしているということがございます。

 そうしますと、一級河川の上流、渓流になっておりますので、そういう点の河道閉塞というような危険性というものも今後考えていかなければいけないということを考えておりまして、そういう点では、地元の方でも、例えば、森林の方は林野庁、農水省さん、そして、河川の方は国交省さんというふうな、どうしても縦割りの対策では、迅速な被害への対応あるいは今後の円滑な災害復旧、災害対策という点でも懸念されるところがございます。

 そういう点でも、事前の円滑な現地の調査や復旧作業に向けても、省庁の連携を進めていただきたいというふうに考えておりまして、そのあたりの御見解をいただければと思います。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 農林水産省では、山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能の発揮を目的として、河川の上流側などで治山施設の設置や森林の整備を実施しております。このようなことから、下流側で実施されている国土交通省の事業との円滑な連携を図るため、国及び地方レベルで、毎年定期的に事業内容や実施時期等を調整しております。

 今後とも、国土交通省や地元自治体と連携し、国民の安全、安心の確保に向けて、効果的、効率的な災害対策の推進に努めてまいりたいと思います。

大隈分科員 今、全国的に次々に災害が相次いでおりまして、その一カ所一カ所、本当に限られたマンパワーということになろうかと思いますが、引き続きの御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 もう一つ、私どもの選挙区、三島郡島本町という人口三万人の小さな町がございますが、同じく台風二十一号の被害を森林ではこうむっております。そのときに、やはり初めて経験する災害対応という中で、例えば、被害報告には、被災後一カ月、災害復旧事業の条件として、一カ月以内の報告ということが、期限がございます。

 小さな自治体でありますと、マンパワーの問題、あるいは、なかなか現実として、右往左往、対応に苦慮する中で、期限内の報告や申請というものも物理的に難しい点もございまして、そういう点でも、事務作業という点でも、プッシュ型の御支援というものをいただければというふうに思っておりますが、そのあたりの御見解をいただければと思います。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 林野庁においては、台風等により甚大な被害が発生した場合には、把握された被害の程度や自治体の状況などを考慮し、自治体からの要請がなくても、国の職員を派遣し、現地における被害状況調査を実施したり、復旧計画策定のための技術支援を行うなど、被災自治体の支援に努めているところです。

 引き続き、被災自治体と協力し、これらの支援に努めてまいりたいと考えております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 そして、最終的に、この島本町、被災してから、面積要件ということもあったんですが、お隣の町は、境界線がなければ、この森林に関して、尾根や森ということに関して全く違いはないわけですが、同じ被害を出しながら激甚災害指定には外れたということがございます。

 町の面積に占める森林被害の割合からすると、まだまだこの島本町の被害というものは小さからず少なからずというところでございますので、町としてはぜひ同等の復旧対策をお願いしたいというふうな要望が大変強くございます。

 その点で、森林整備事業など、活用できる支援策がありましたら、ぜひともまたお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

河野大臣政務官 被災した森林の復旧に当たりましては、公益的機能の発揮を図る観点から、森林整備事業により、被害木の伐採、搬出と、その後の植栽などに関して、国と都道府県合わせて約七割の支援を行っているところであります。

 また、森林環境譲与税については、森林整備及びその促進に関する費用に充てることができることとなっており、市町村の判断で森林の復旧に活用することも可能と考えております。

 引き続き、現場実態に即した被害森林の復旧が可能となるよう、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

大隈分科員 今、七割という形で、大変大きな御支援をいただけると。また、初めての災害というところでまだまだ知らないところということもございますが、そういう点で、ぜひまたプッシュ型のいろいろな御支援、アドバイスもいただければと思いますので、ありがとうございます、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、森林の次なる目標は、やはり再生ということになってまいります。

 大体五十年ぐらい地元の方が手塩にかけて育てた杉の木が、本当に驚くようになぎ倒されているのが現地でございますが、やはり地元の方とすれば、次には、杉だけじゃなくて、桜や広葉樹など、転換していきたいな、あるいは災害に強い多様な樹木を植えていきたいというような御希望もございます。

 そして、森林という点では、やはりこれからも市民に愛される、広く親しまれる森として利活用していきたいということを考えますと、災害の中でまた期待もできるわけでございますが、やはり、他方、森林の再生には一朝一夕にはいかない膨大な時間を要すると思っております。

 激甚災害指定ですと五カ年ということになりますが、ぜひとも、今後、日本の宝でもあります森林の再生に向けて、末永い御支援、御指導の方、いただきたいと思いますが、御見解の方をいただきたいと思います。

河野大臣政務官 森林災害復旧事業の事業期間に関しましては、被災森林の早期復旧を図る観点から、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令によりまして、災害発生年度及びこれに続く四カ年度以内と定められておるところでございます。委員御承知のとおり、五カ年以内というふうになっております。

 これは、一般の災害復旧事業の期間が災害発生年度及びこれに続く二カ年度以内となっている中で、こちらは通常の場合であれば三カ年度以内になるわけでありますけれども、森林施業の季節性などを勘案いたしまして、これらの事業より長い期間の設定となっておりますことから、さらなる延長は現時点では難しいというふうに考えてございます。

 しかしながら、先ほど御答弁申し上げました森林災害復旧事業の実施後に、国と県で約七割の支援を行うことができます森林整備事業によりまして、被害木の伐採、搬出及び植栽などを実施することを可能としておりまして、復旧に長期間を要する場合などは、両事業により適切に復旧を図ってまいりたいと考えております。

大隈分科員 御答弁ありがとうございます。

 とにかく、やはり私どもの地元にとっても、また、大阪府の中でも一、二を争う豊かな森林でございます。しっかりと再生して、また町の方にも愛していただける、また、大臣、政務官にもお越しいただけるような豊かな森をしっかりと再生していきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、続きまして、地元の南端には豊かな水の恵みを誇ります淀川が流れております。と同時に、この長い歴史の中で、常に水との闘いを私たちは繰り返してまいりました。文献に残るだけでも、古代、推古天皇の時代から二百二十回ほど水害を記録しているということでございますが、本川だけではなく支流の逆流や、あるいは内水氾濫という形でも今全国的にも問題となっているところでございますが、何といっても、近年の降雨量の増加から、過去の想定基準を上回るような、淀川だけではない、これは全国的にも堤防強化が求められているんだと思います。

 私も、ありがたいことに、初当選以来、治水と防災・減災対策を最重要課題の一つとして取り組まさせていただいておりますが、地元高槻、島本地区の堤防強化事業は、大阪のほかの地域と比べても十分に実施されてきたとは言いがたい面もございます。

 現在の目指す、当地の淀川河川整備事業の目指すところをぜひ教えていただければと思います。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 淀川の水系におきましては、河川整備計画に基づきまして計画的に事業を進めておりまして、このうち、御指摘の堤防強化対策につきましては、淀川の本川を中心に進めてございます。堤防の川側に腹づけ盛土を行います浸透対策でありますとか、堤防の同じく川側にコンクリートの護岸等を設けます侵食対策などを行ってございます。

 淀川の本川合計で十七キロ程度の対策が必要でございますけれども、このうち、高槻市内におきましては約四キロの区間が対策が必要と位置づけてございます。島本町内におきましては、点検を行いました結果、対策が必要な区間はないということでございます。

 高槻市内におきましては、この十年間で、大阪市に次いで二番目に多い工事費でこれまで対策を進めてきておりまして、今年度も、番田、大塚、柱本の各地区で堤防強化対策を着実に進めているところでございます。来年度中には高槻市内の全ての必要区間で対策が完了いたしますように、これから事業を加速させていただきたいと考えてございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 確かに、地元の方も、最近変わってきたな、力を入れてもらっているなというのは実感としてよく言っていただきます。本当にその点ではありがたいと思っておりまして、引き続き、またこの堤防補強工事について御指導いただきたいと思います。

 そういう点では、昨年の東日本中心の大きな河川の破堤もありました。全国共通の課題でございまして、どの地域も待ったなしだと思います。地元住民の生命に直結する事業ですので、私たちもしっかりと応援してまいりたいと思います。

 さて、この淀川本川も支流も、例えば、私どもでしたら芥川、檜尾川、女瀬川、水無瀬川というのがあるわけですけれども、樹木の繁茂や土砂の堆積がかなり進んできております。堤防強化も必要ですが、何といっても、しゅんせつや樹木伐採もかなりの治水効果が期待できると思います。

 そういう点で、昨年の災害も踏まえて今回の国土強靱化予算というものをつけていただきましたが、今後、継続したしゅんせつ事業などに対してしっかりと対応すべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 治水対策におきましては、河川の水位を下げるということが最も重要でございまして、比較的早く対策が可能であります河道の掘削でありますとか樹木の伐採、これは、御指摘のとおり、水位を下げる有効な手法と認識してございます。

 このため、直轄の管理区間におきましては、河道掘削等を定期的に行わせていただきますとともに、都道府県が管理されておられる河道につきましても、その掘削に対して交付金によって支援を行ってきているところでございます。

 平成三十年度から令和二年度までの三カ年間は、御指摘の防災・減災、国土強靱化のための緊急三カ年の対策といたしまして、河道の掘削、樹木の伐採に対して重点的に取り組んでいるところでございます。

 御指摘の淀川本川では、今年度予算におきまして高槻市内の区間で河道掘削を行うこととしてございます。また、芥川、檜尾川などの府が管理されておられる河川につきましても支援の対象にしているところでございます。

 御指摘の緊急三カ年後につきましても、必要な予算をしっかり確保いたしまして、また、総務省さんが来年創設される御予定の緊急浚渫推進事業の活用を促進することなどによりまして、引き続き堆積した土砂の掘削等を推進してまいりたいと考えてございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 土砂が堆積してしゅんせつが必要なところがある一方で、川の水流でえぐれてしまって非常に深いところもあって、昨年などは、お孫さんを連れたおじいさんとそのお孫さんたちが命を落とすという大変痛ましい事故もございました。何といっても、自然に親しむということが今の子供たちにも求められている中で、安全な環境をつくるということも防災・減災対策と並行してお願いしたいと思いまして、また、そういう点での整備も引き続きお願いをしたいと思います。

 その一方で、河川敷をすぐれたサイクルロードとして活用する。先ほども申し上げましたように、防災、減災だけじゃなくて、例えば健康対策にも資しますし、それから、今肺炎の問題で随分減ってはおりますが、インバウンドにもやはり、大きな観光地だけじゃなくて、いわゆる体験型の、自転車はヨーロッパも盛んですし、サイクルロードとして遊んでいただくということも非常にいいのではなかろうかというふうに思っております。

 ただ、なかなか、進入禁止といいますか、柵が一定区間常にありまして、一々そのとき自転車をおりなきゃいけないというのが私どもの地元の河川敷の悩みでございます。その一方では、今度、淀川の琵琶湖の方に行きますと、ナショナルサイクルロードとして認めていただいた本当にすばらしい自転車道があるわけですけれども、そういう点で、更にこの動きを広げていっていただきたい。

 私どもも、この淀川を左岸、右岸と一周するような利活用を図っていきたいと思っておりまして、なかなか自転車柵が動かせないという問題もございますが、そのあたりの御見解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、河川の空間を市民の方々に御利用いただくということは、河川の持つ本来の機能を発揮させると同時に、防災への意識を高めていただくためにも非常に有意義なことであるというふうに考えてございます。

 その上で、淀川の河川敷につきましては、これまでに河川公園を整備してまいりました結果、年間五百万人もの方に御利用いただいている場所でございます。一方で、河川公園でありますとか河川敷の道路の整備を進めてまいりましたのにしたがいましてバイクの走行も増加をいたしておりまして、その結果、公園を利用される方々あるいは沿川の住民の方々から多くの苦情が寄せられ、また、死亡事故も発生するようになってしまいました。

 このため、平成十八年に、淀川本川のほぼ全ての区間を対象にいたしまして、河川敷の道路や堤防上の通路の部分などの区域を自動車あるいはバイク等の乗り入れの禁止区域にさせていただきまして、車どめを設置し、これによりまして歩行者や自転車の通行の安全を確保してまいったところでございます。

 こうした中、近年になりまして、河川敷道路を利用されるサイクリストの方、先生御指摘のとおり増加をしてございます。また、子供用の椅子のついた自転車でありますとか電動用の自転車といったような少しサイズの大きい自転車を利用される方が増加をしておりまして、こうした方々から、車どめを通過しやすい形に改良してほしい、こういう御要望もたくさんいただいているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、国土交通省としましては、引き続きバイクは通れないということにいたしますけれども、さまざまな自転車にとって通行しやすい車どめへの更新を進めてまいりたいと考えてございまして、利用頻度の高く、かつ老朽化が進んでいる箇所から順番に進めているところでございます。

 引き続き更新を進めてまいりたいと考えてございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 通行どめというのが、確かにこれは最初地元の希望がございまして、そういういきさつがございますが、やはり、静かで健康的、そして排気ガスも出さない自転車にとってはまたいい利活用の場にもなると思いますし、そういう点ではいろいろな可能性が広がってくると思いますので、ぜひとも前向きに御対応いただきたいというふうに思っております。

 最後の質問になります。

 この淀川という貴重な河川空間を利用して、自転車のみならず、グラウンドゴルフですとか、最近御年配の方の健康づくりで大変はやっておりますグラウンドゴルフ場や、あるいはバーベキュー場なんかも利活用していきたいと思います。

 もちろん、先ほど申し上げましたように、地域の方の御理解というものが大前提になるわけですけれども、そういう点では、防災・減災対策と並行して、ぜひ国民の健康づくりの意味合いからも進めていく。あるいは、災害時に国道や高速道路が通行どめになるというときにも、バイパスとしてこの河川敷の道路というものを、交通というもの、あるいは水運もそうですけれども、活用を緊急時にはできるものでございます。

 そういう大きな可能性を秘めた河川の、水の道、ぜひとも利活用を進めていきたいと思いますが、その点についての御見解をいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、河川空間を市民の方に有効に御利用いただくということは、これは、河川の空間を本来的な機能のように活用するという点と同時に、防災への意識を高めていただくという観点から非常に有意義なことであると考えてございます。

 また、先生御指摘のとおり、河川の中につくられております河川敷の道路、これは、河川敷を、川に並行して、かなり長い区間にわたって通行できるように今整備されておりまして、非常時、緊急時には非常に有効に活用されることを期待しているところでございます。地域の安全の確保にとっても有意義なものと考えているところでございます。

 一方、河川敷をグラウンドゴルフ等の施設に使うということにつきましては、現在、河川整備計画の中で、ゴルフ場あるいは公園といった用途に使うことに当たりましては、学識経験者の御意見、あるいは、自治体等の関係機関から成ります河川保全利用委員会というところの意見を十分に聞いた上で、また、周辺環境や地域の特性を考慮した上で検討するというふうになっているところでございます。

 そうした用途での使用ということについてもし御要望があります場合には、まずは地域の自治体としっかりとお話をさせていただき、御意見を伺った上で、適切に対応させていただきたいというふうに考えてございます。

大隈分科員 ありがとうございます。

 個人的でございますが、私も、今月、初めて男の子を授かりまして、豊かな森、そして川、自然の中で、思う存分活用して遊ばせていただきたいと思います。その時間がとれるかどうかわかりませんが、しっかりと地元のために尽くしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

笹川主査代理 これにて大隈和英君の質疑は終了いたしました。

 次に、津島淳君。

津島分科員 自由民主党の津島淳でございます。

 江藤大臣、そして第六分科会主査、分科員の皆様には、朝八時からの長丁場ということで、大変お疲れさまでございます。これより三十分、時間をいただきました。ありがとうございます。

 青森県の農林水産業の課題などを交えながら、全体的に今後の農林水産業について、いろいろ課題について質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、まずは、令和二年度の農林水産物の輸出拡大策とあわせて、所得拡大策についてお伺いします。

 二〇一九年の農林水産物、食品の輸出額、大臣、惜しかったですね、あともうちょっとで一兆円……(江藤国務大臣「余り惜しくないと」と呼ぶ)そうですか。対前年比で〇・六%増の九千百二十一億円という数字が出たわけでございます。ざっと、農業、林業、水産業と見た場合に、農業の数字は比較的堅調に伸びているというふうにお見受けをします。

 我が青森も頑張っているんだというところもちょっと披露させていただきたいんですが、例えば、農産物の主力はリンゴですね。リンゴの輸出が大体百四十四億円で、三・七%増であった。日本から輸出されるリンゴのうち、大体九割が青森県産のリンゴだと言われておりますので、大体百億円超ということになります。青森では、二〇一九年まで五年連続百億円超という数字を記録しております。

 その一方で、水産の方がちょっと伸び悩んだのがあります。青森といえばサバ缶、皆さんも御存じだと思うんですが、サバがとれなかった。材料が入らないんですね。結果、そういったこともあって、水産の方では五・二%減の二千八百七十三億円であったということで、水産の方にちょっと力を入れていかねばならぬ、そういう認識を持っております。

 いろいろ青森が頑張っているというところでは、例えば国際認証のGAPについても、二〇一六年に、県立五所川原農林高校が高校生で取得をした、リンゴで取得をした。高校生にできることが大人にできないわけはないということで、民間でもGAPの取得が今、広がってきております。

 それから、輸出先についても、やはり一国に頼るとリスクがあります。ですから、輸出先、幾つ、複数持っておいた方がいいということで、ベトナムやインドに今、県を挙げて拡大しようと取り組んでおります。

 水産の方においても、ホタテの加工品、EUに向けて輸出しようということで、加工会社においてはEUのHACCPに適合した施設を整備などしております。

 こういった、それぞれ、青森も頑張っている、全国各地域も頑張っている。これを数字に、結果に令和二年度は結びつけていかねばならぬということでございます。

 そこで、政府としての輸出額目標一兆円を達成するためには、まず、加工品の付加価値を高めていくことである。特に、先ほど申し上げました、水産加工品が前年余り振るわなかったということで、水産加工の方にてこ入れが必要ではないかと思っております。

 そして、大事なことは、付加価値の向上分が生産者の所得の向上につながっていかねばならぬというふうに思うわけですね。ですから、政府のこの一兆円目標、そしてさらに、一兆円達成した後の新たな目標を当然設定していく、大臣がそういう発言をされたというふうに私は聞いておるんですが、そのときに、農業、林業、水産業、各業別に、所得もこれだけ伸ばしていきますよという、所得向上目標を設定するお考えがあるかどうか、まず一点、お伺いをいたします。

 次に、香港、中国、台湾など二十の国、地域がまだ輸入規制を続けております。これらの規制撤廃に向けての現在の取組状況もあわせてお伺いします。よろしくお願いします。

江藤国務大臣 大変青森県は頑張っていただいていて、リンゴもすばらしい成果も上げていらっしゃるということでありますけれども、ますます頑張っていただかなければなりませんが、ただ、リンゴについては、袋がけをするのがなかなか厳しくなったり、いろいろ生産現場で御苦労されているということも聞いておりますけれども、そういったところについても、農研機構を中心とした新しい品種の改良であったり、いろんな形で御支援をさせていただきたいと思います。

 加工品の付加価値をふやすということはとても大事だと思いますが、私が聞いているところによりますと、大分、水産加工会社が、最近の不漁に伴うもの、それからさきの東日本大震災による被災からのダメージがまだ抜け切れていなくて、非常に経営に窮しているという報告を受けております。

 ですから、東日本大震災から九年ですか、もう時間がたって随分そこら辺に国民の目が行かなくなっておりますけれども、経営再建をした水産加工会社の経営が今実際どうなっているのかということにちゃんと目を向けないといけないんだろうと思います。

 それから、水産加工でありますから、原材料の調達ということが一番大事になってきますけれども、これはなかなか、海の話でありますので、イカはとれない、サバはとれない、サケは遡上しない、それからホッケもなかなか厳しい、サンマも厳しい、イワシはとれるけれども単価が安いということでありますから、もし水産加工の業態を変更するということであれば、それについても支援する必要があるのかなというふうなことを最近は考えております。

 それから、リンゴにつきましても、今までは大玉中心に出すようなことも、お祝いに非常に人気があるとかいろいろありましたけれども、いろいろマーケットを調査してみますと、マーケットによっては、大玉はやはり家庭では使いづらい、日常的に使用するのであれば、余り大きくなくて、価格的にももうちょっと低いものについても輸出をしてくれれば、ぜひ取り扱いたいという話もありますので、青森県においては取り組んでいただいているというふうに承知をいたしておりますが、そういったことについても頑張っていただければと思っております。

 GAPについても、公立の高校が頑張ってとって、非常にこれは、品物のいわゆるギャランティーをする上では、非常にGAPの取得というのは有効でありますから、このGAPの取得についても、引き続き、国の助成制度がありますので、これを御利用いただいてやっていただければというふうに思っております。

 所得向上の目標については、例えば、農業といっても多種多様でございまして、果樹なのか、野菜なのか、畜産なのか、なかなかそれを全体で平均して数字を出すことが適切かどうかということもいろいろ議論があると思います。水産も同じ、遠洋もあれば、沿岸もあって、それから、育てる漁業、いわゆる養殖業という形態もありますので、なかなかその農、林、水の各項目に向かって、収入の、所得向上目標の数値を明確に出すことはなかなか正直なところ難しいと思いますが。

 ただ、先生の御指摘のように、九千億から一兆になって次の目標を達成したとしても、農家の所得が全く上がっていないということであれば、何のための輸出戦略なのかということが全くわからなくなってしまいますので、所得の向上については、十分な目配りをしながら、輸出戦略は組んでいかなければならないんだろうというふうに私も思っております。

 御指摘のとおり、まだ二十の国と地域が放射性物質に関する輸入規制の撤廃ができておりません。これについては、私も、総理と同行させていただいて、いろいろな国に行かせていただきましたけれども、総理も、必ずいろいろな各国要人と会うときには、開口一番このことについてお触れになっていらっしゃいます。そして、組閣された最初の会議でも全ての閣僚が復興大臣だということをおっしゃっておられますので、私もこの間ドイツに行きましたけれども、そのときも、いろいろな国とバイ会談をいたしましたが、必ずこの規制が残っている国については、科学的見地に基づいてきっちりとした評価をしてください、我々は、ほかの国に比べても十倍以上の厳しい基準値を設けて、それをクリアしたものしか出しておりませんのでというような説明をやはりきちっとすることが必要になってくると思います。

 やはり、これは、こちらがいかに正しいと上から目線で言っても、向こうの国が受け入れていただかなければ、なかなか解決できない問題でありますから、あくまでも低姿勢にお願いする、よろしくお願いします、そういう姿勢を忘れずに、いろいろな国と内閣を挙げて交渉していきたい。

 それから、四月から、私が本部長となって、輸出対策の本部が立ち上がりますから、そういう場合にもしっかりと責任を持って各国と接していきたいというふうに考えております。

津島分科員 大臣、丁寧な御答弁ありがとうございます。また、青森への励ましの言葉、ありがとうございます。

 私は思うんですが、所得向上、確かに目標を設定するかどうかというのはいろいろ難しい部分もあろうかと思います。それよりも、むしろ、加工品の中の国産品の原材料比率というんですかね、これを上げていくということ、これをまず地道にやっていくことで必ず所得向上につながっていくんだろう、こう思います。

 そして、マーケットインという発想で、リンゴの話もございましたけれども、小玉のリンゴがいいとか、それから、黄色いリンゴがいいんだとか、あるいは、有袋よりも無袋のリンゴの方が、現場の手間も省けて、でも、その方が味がいいしという、消費者が受け入れてくれれば、そこにまた需要というものが生まれてくる。そういうマーケットインの発想というものを現場で取り入れてやっていくということがすごく大事なことだろうと思っておりますので、また、そういう方向でしっかり青森も頑張るし、日本じゅうがそういった形で進んでいくことを、ぜひ、大臣、先頭になって農水省で取り組んでいただければと心からお願いをする次第でございます。

 もう一つ、輸出に絡んで、そして今問題になっております新型コロナウイルス感染症にかかわる話でございます。輸出に与える影響についてお伺いします。

 よく輸出商談会というものを各地のジェトロなどが主催をして開くわけであります。我が青森でも、ジェトロ青森が主催をして、県産の日本酒などを売り込む輸出商談会を開こうとしていたやさき、今回の新型コロナウイルス感染症であります。中国や香港のバイヤーが、日本に行かない、あるいは、日本に広めてはいけないので日本には行かないんだと、感染拡大を防ぐという名目でその商談会に来なかったということがございました。こうした事例というのは、今後、各地である商談会で生じ得る話であろうと思っています。

 せっかくの取引成立のチャンスであるその商談会でのマッチアップができないということは非常にもったいない話であって、どうにかいろいろ手を使って販路を拡大する、そういう機会をつくっていくということ、これは、ジェトロのみならず、農水省としても何か策を講じていかねばならぬと思うのですが、どうお考えになりますでしょうか。

江藤国務大臣 大変難しいタイミングに今来ておりまして、きょうも官邸で昼から対策本部がありましたけれども、この一週間、二週間が、パンデミックになるかどうか、極めて重大な時期だということでありまして、農林水産省が企画しておりましたものも、ワインのセミナーであるとか、中国バイヤーの招聘であるとか、軒並み、実際中止になっております。

 しかし、いつまでも中止にするわけにはいかないというのは御存じのとおりだと思います。やはりマッチアップをしないと、いいものも売れない。いわゆる一農家では、一JAでは、なかなか販路を拡大できない。一回は商談に行っても、その後、継続的に商売ができないという悩みもございます。

 JFOODOが立ち上がってまだ二年目でありますけれども、なかなかこれも苦戦しています。先日、最初、幹部の方々が農林水産省にお越しをいただいたんですが、幹部も頑張っていらっしゃいますけれども、現場でそれぞれ頑張っている若い諸君の話を聞きたいということで、この間、十二、三人ぐらい、一時間半ぐらい、プレゼンも含めて意見交換をさせていただきました。

 やはり非常に苦戦しています。継続的にやることが難しいし、そして、例えば、お酒の話を先ほどされましたけれども、日本には酒造組合連合会というのがあって、その酒造組合連合会の偉い方と自分たちのような若造では、なかなかマッチアップというか話がすっと通らない、ですから、そういうところで、大臣、ちょっと骨を折ってくれると、我々としてはとてもやりやすいんだがと。

 それとか、サントリーとかニッカとか、大手のところのワインの商談なんかもやっていますが、そういうときには、例えば、大手のメーカーさんは、JFOODOに対しておんぶにだっこじゃなくて、物も金も人間も出してくれたらいいと思うんですよ。

 ですから、ジェトロも、それから、いろいろな酒造メーカーとかいろいろな団体も、JAも、そういったものがやはり同じテーブルに着いて、みんなでスクラムを組んで一つのマーケットを目指していくという形をつくっていかないと、JFOODOはJFOODO、ジェトロはジェトロ、JAはJA、それぞれの知事さんは、きょうは宮崎牛、あしたは佐賀牛、あさっては米沢牛というようなことをセールスしても、なかなか買い先も混乱するというような話も聞いておりますので、これから四月に輸出の本部が立ち上がりますので、いかに、それらの民間の団体も含めて、メーカーも含めて、束ねてやれることができるかということは、これからの問題になっていくのではないかと思っております。

 まずは、コロナについての国民の不安が広がっておりますから、しばらくは我慢する。我慢するときはしっかり我慢することも、国民に対する責任を果たすことになりますので、やらなきゃいけませんが、しかし、終息したら、その分、またばねにして、しっかり、こういった商談であるとか展示会とか、マッチアップの場も設けていきたいと考えております。

津島分科員 大臣、ありがとうございます。

 輸出にかかわるさまざまな方が協議会をつくっていくというのは、平時からやっておくべきことだろうと思いますし、そういうことが、こういう緊急事態にやはり力を発揮するんだと思います。

 そして、フェース・ツー・フェースでのコミュニケーションが今とりづらいということであれば、インターネットを活用するというのも一つの手じゃないかと私は思うんですね。テレビ電話とかスカイプとか、そういうツールはあるわけで、そういったことで、何とか商談の機会というものはつくっていくということをぜひ御検討いただきますよう、これは提案をさせていただきます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 今度は、漁業者の経営安定に対する支援と資源管理の強化について、主にクロマグロを念頭にお話をさせていただきます。

 先般、地元大間町の町長、漁協、そして商工会など、大臣のところに赴きましたので、地元の実情というのはそのときお話し申し上げたので、この場では、重複するので、もう時間の関係もありますので、はしょりたいと思います。

 要は、地元の漁業者さんとすれば、日本全体の枠を確保した上で、そこを沖合、沿岸の割り振りというところで、彼らとしてみれば、沿岸に手厚くという話なんですが、昨年のWCPFCでは増枠は認められなかった。ただ、台湾が、一年限りですけれども、三百トン融通していただいて、譲渡してくれて、そのことは漁業者さんは多としているところであって、そして、そもそも資源管理というものをしっかりやらねばならぬというのもわかっているわけであります。

 そこで、やはり引き続き、このWCPFCの場において漁獲枠の拡大を目指していくということを、しっかり国としてお願いしたいことであります。

 もう一つは、どうしても、枠の未消化といいますか、漁業者の皆さんにすれば、値段のいいころにとろうと思うわけです。漁期の初めは値段が余りよくない。だから、十一月から一月にかけての漁期の終盤に勝負をかけるわけです、大物を狙って。が、しかし、マグロの回遊が少ないと、思うほど漁獲が上がらず、枠が未消化になる。つまりは、思ったほどの所得が得られない、そういうことになっているわけであります。

 そこで、所得補償ということというか、従来は共済と積ぷらという枠組みがあるんですけれども、今、TACとIQを入れて漁獲規制というものをやっている。さらに、そのIQを一歩進めた考えとして、ITQというものがあるんですね。インディビジュアル・トランスファーラブル・クオータという、譲渡可能な漁獲を割り当てる。

 あらかじめ個人に割り当てられた、あるいは船に割り当てられた漁獲量を原則自由に譲渡できますよ、そういう形で、枠がオーバーしたところから未消化のところに枠をもらう、あるいはそれをお金に換算するんだとか、いろいろ手法はあると思うんですが、こうしたITQの導入も含め、漁業収入安定対策をまとめ、これをひとつ法制化すべきではないかと思うんですが、御見解を大臣にお願いいたします。

山口政府参考人 お答えいたします。

 まず、太平洋のクロマグロについての漁獲枠の問題でございます。

 これにつきましては、現在、太平洋クロマグロは国際的な枠組みのもとで厳しい管理が行われておりまして、漁業者の皆様にも御協力いただいているところでございます。現在、資源管理の取組により資源は回復傾向にあるというふうに聞いておりますけれども、科学的知見を収集する必要があり、必ずしもすぐに増枠とならないというところでございまして、大変心苦しく思っているところでございます。

 漁業者の皆様方からは漁獲枠の拡大という御要望をいただいておりますけれども、これについては更に努力してまいりたいと思います。我々といたしましては、漁業者の皆様の要望を重く受けとめまして、本年開催されるWCPFC、中西部太平洋まぐろ類委員会において増枠が実現できるよう、関係国に対して強力に働きかけてまいりたいと考えております。

 また、資源管理に取り組む漁業者の経営の安定のための措置でございます。

 これについては、先生からも御案内がございましたように、現在、漁業共済制度及び漁業収入安定対策事業、いわゆる積立ぷらすにより収入の補填を行っておりまして、漁業経営のセーフティーネットとして機能しているところでございます。

 今回の水産改革の中では、柱の一つとして、新たな資源管理システムを導入し、漁業所得の向上を目指すということになっております。この中で、漁獲割当て制度、いわゆるIQ制度も位置づけられているところでございます。

 IQ制度のもとでは、漁船ごとに漁獲枠が配分されますので、無用な競争が回避され、効率的な操業が可能といったメリットがあり、漁業経営の安定に資すると考えております。また、消化できなかった漁獲割当て量については、これは認可を受けている、他の漁獲割当てを受けている漁業者に移転することが可能な仕組みとなっており、漁獲枠の有効活用を図ることができることになっております。

 現在、漁業共済制度は法律に規定されておりますけれども、漁業収入安定対策事業は予算措置となっております。新たな資源管理システムのもとで、IQ制度を含め、適切な資源管理を行っている漁業者に対して、恒久的、安定的な経営の安定措置を講じていくため、漁業者や関係団体等と十分な議論を行いながら、法制度の検討を進めてまいりたいと考えております。

津島分科員 長官、ありがとうございます。

 引き続き、制度を検討される際、また私からもさまざま議論の場において意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 水産業について、もう一つございます。

 違法操業の監視、取締り強化と資源管理の国際ルールメーキングについて、これをまた長官にお伺いします。

 我が国の排他的経済水域における漁船の安全操業、これは青森県のみならず、地域の漁船にとって大事なことであります。そこで、違法な操業の監視、取締りを徹底することが求められております。

 加えて、資源管理については、我が国のみが行っていてはやはり効果が上がらないですね。やはり、周辺国にしっかりとしたルールに基づいて資源管理に取り組んでもらうように、我が国が主導してルールメーキングしていく必要があると思います。

 この二点について御見解をお願いします。

山口政府参考人 お答えいたします。

 日本海大和堆周辺の我が国EEZにおきます外国漁船による密漁等の違法操業は、極めて問題があると考えているところでございます。このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一に、漁業取締り船を重点的に配備し、昨年一年間では、延べ五千百二十二隻の外国漁船に退去警告を行い、うち延べ千五百九十隻に対し放水を行ったところでございます。本年三月には大型漁業取締り船二隻が就航することになっておりまして、日本海側に配属する予定でございます。

 引き続き、海上保安庁と連携して、外国漁船の違法操業の防止を図ってまいりたいと考えております。

 また、先生から御指摘がございました資源管理の問題でございます。今、北太平洋公海においては外国漁船による漁獲が行われておりまして、我が国漁業者の漁獲する資源と競合するものも多いということで、国際的な資源管理に積極的に取り組むことが重要であると考えております。

 昨年、北太平洋漁業委員会、いわゆるNPFCと申しておりますが、この年次会合におきまして、我が国の提案により、サンマについて総漁獲枠が導入されたところでございます。また、スルメイカについても許可隻数の増加禁止が合意されております。

 今後とも、公海における資源管理の強化にも努めてまいりたいと考えております。

津島分科員 長官、ありがとうございます。しっかり取組をお願いいたします。

 残り時間五分でございます。どこまでいけるか、テンポアップしてまいりたいと思います。

 話をがらっとかえまして、リンゴの話であります。

 リンゴ黒星病という病気がございまして、防除薬剤を使えるように、早期の登録というものを農業者は要望しております。既に優先審査の対象となっておるようでございますが、このリンゴ黒星病の新規防除薬剤について、引き続き、関係省庁、これは厚生労働省や環境省も関係するんでしょうか、連携して、一刻も早い登録に向けて審査を行っていただきたいのですが、現状はどうでしょうか。お願いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 青森県から早期登録の要望を受けておりますリンゴ黒星病に効果が見込まれる農薬につきましては、昨年五月に農薬取締法に基づく優先審査の対象としたところでございます。

 本農薬につきましては、ことしの一月に食品安全委員会における食品健康影響評価が終わっておりまして、それと並行いたしまして、現在、厚生労働省で残留基準値の設定のための審議を進めております。今後、WTO通報、パブリックコメント等の手続を行う予定であるというふうに聞いております。

 農林水産省といたしましては、厚生労働省による残留基準値の告示がなされれば、直ちに農薬として登録が行えるよう、農薬登録の審査を進める考えでございます。速やかに現場において使用できるよう、引き続き関係府省と連携してまいりたいと考えております。

津島分科員 ぜひともお願いいたします。できれば、ことしじゅうなどという感じで進めていただけるとありがたいと思います。これは要望ですので。

 次に、農業競争力の強化についてお尋ねをします。

 本県では、青森県の話です、農業競争力強化の実現を図るために、野菜等の高収益作物の導入、あるいは、担い手への農地の集積、集約を目指す大区画化、それから排水改良による水田の畑地化等をより一層進めようということにしております。

 これには、やはり土地改良ですね。国直轄、あるいは補助事業、しっかり予算をつけて、国が積極的に支援していただくということが必要だと思いますが、まず、その点をお伺いします。

 加えて、中山間地域など条件が不利な地域では、大規模化はできないけれども、しかし高品質の作物をつくっているところも多数ございます。こうした、結果、経営規模が小さいところ、小規模、中規模の農業者の皆さんも、しっかりとルネッサンス事業等を活用して支援すべきだと思います。

 これらについて御見解をお願いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで、圃場整備を実施した地区におきましては、農地の大区画化や汎用化を通じまして担い手への農地集積率が大幅に向上するとか、あるいは野菜等の高収益作物への転換によりまして生産額が増加するといったような効果が出ているというふうに承知をしておりまして、御地元の青森県でも大変御熱心にお取組をいただいているところでございます。

 このように、農業の競争力強化に対して大変重要な役割を果たします圃場の大区画化でございますとか排水改良を行う土地改良事業につきまして、重点的に推進してまいりたいと考えております。

 また、中山間地域対策でございますけれども、これにつきましては、経営規模の大小にかかわりませず、日本型直接支払いによりまして営農の継続を支えつつ、中山間農業ルネッサンス事業によりまして、地域の特色を生かした多様な取組への優先的な支援、このような施策につきまして引き続き積極的に推進してまいります。

津島分科員 ありがとうございます。

 要は、産業政策と地域政策なんだということだと思います。

 今、新たな基本計画、食料・農業・農村基本計画、新しいものの骨子案が出ておりますが、そういった二つの柱で今まとめられるやに私は存じております。すごく大事な話だと思いますので、ぜひその方向性で進めていただきたいと思います。

 最後の質問となりますが、一応二つ用意したんですが、あわせて、時間の関係で一気に。松くい虫及びナラ枯れ被害対策への重点支援、及びCSF、いわゆる豚熱、あるいはアフリカ豚熱対策についての侵入防止緊急支援事業について。

 これは予算が、積雪地ですと、やはり冬になると使い切れないということがあります、繰越しをお願いしますということ。それから、CSFについての水際防疫の強化について御見解をいただきまして、それをもって私の質問を終わらせていただきます。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 松くい虫による被害及びナラ枯れ被害は、ともに現在青森県が北の先端地域となっており、県内で被害が拡大しております。農林水産省としても、こうした被害の拡大防止に取り組んでいるところでございます。

 令和二年度では、森林病害虫等被害対策事業等に薬剤を利用した被害予防や被害木の伐倒薫蒸への支援に加えて、新たに松くい虫の被害の先端地域における対策としてドローンを活用した被害木探査の強化等を計上しております。

 今後とも、青森県及び関係市町村等と連携し、効果的な対策に取り組み、被害の拡大防止にしっかり対応してまいりたいと考えております。

水田政府参考人 ASFの侵入防止緊急支援事業の繰越しに関するお尋ねでございますが、これは繰越しを認めることとしております。

 年度途中から緊急に開始された経緯がございますし、また、台風被害等によりまして工事業者の手配遅延が生じている地域があることに配慮いたしまして、農畜産業振興機構が事業実施主体に対しまして交付決定を行ったものがやむを得ず年度内に完了しなかった場合については来年度への繰越しを認めることを本年一月六日に通知をしたところでございます。

津島分科員 ありがとうございます。

 では、終わります。ありがとうございます。

笹川主査代理 これにて津島淳君の質疑は終了いたしました。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

堀内主査 次に、藤井比早之さん。

藤井分科員 自民党の藤井比早之です。

 早速質問させていただきます。

 ある東北の酒蔵さん、平成の御代を記念して平成元年に仕込んだお酒を三十年間熟成させた古酒三十本を限定販売、一本三十万円、即完売だったそうです。ある北陸の酒蔵さん、熟成を日本酒の価値を高める方法として捉え、熟成酒を製造、二〇一三年のビンテージもの、小売価格の平均は一本二十万円。

 香港や中国のお金持ちの皆様、日本酒がおいしいというのはよくわかっていただいております。贈答文化の国です。贈答用の日本酒が欲しい。しかし、贈答用だと、ワインのように一本二十万円ぐらいの高価格のものでなければ自分の値打ちが下がる。

 ワインのように高価格で販売するにはどうするか。原材料、テロワールと、熟成、泡、スパークリングなど、わざ、技術でブランディングできないか。国内における人口減少等を考えますと、日本酒は、海外での需要増、販売増に活路を見出すべきだと考えます。

 そこで、テロワールや熟成で日本酒のブランディングを推進し、高級日本酒の輸出拡大につなげていけないか、お伺いいたします。

後藤政府参考人 お答えいたします。

 近年の日本産酒類の輸出額は増加を続けておりまして、中でも日本酒につきましては、輸出額が五年間で二倍と大きな伸びを見せております。さらなる増加が期待されるところでございます。

 こうしたさらなる輸出拡大に向けましては、量と価格の両面の観点に立った取組が重要であると考えております。

 こうした観点から、国税庁におきましては、令和二年度の関連予算を大幅に拡充いたしまして、販路拡大の支援、あるいはブランド化の推進による高付加価値化、それに見合った価格設定といったことなど、さまざまな取組を行うことといたしております。

 中でも、先生御指摘のテロワール、これはワインでいえば原料ブドウの産地ですとかあるいは気候といったものですけれども、ブランド化の重要な一要素となっております。また、御指摘のありました熟成した日本酒と申しますのも、日本酒に新たな価値を創造するものであるという期待がされているところでございます。

 このように、テロワールや熟成はブランド価値の向上につながるというふうに我々は考えておりまして、そのための材料を提供する観点から、独立行政法人酒類総合研究所におきまして、米の品種や産地、それから使用する水の特徴、あるいは、長期熟成による経年変化というものが日本酒の品質の向上にどのような影響を与えるのかということを明らかにする研究開発を新たに行うことといたしております。加えて、先ほど申し上げた予算を活用いたしまして、日本産酒類のブランド化推進に向けたモデル事業の構築の支援等に取り組むことといたしております。

 国税庁といたしましては、こうした取組を行いながら、酒類業の振興のためにも、引き続き積極的に日本酒の輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。国税庁が動いていただける、研究開発をしていただける、これは非常に大きなことだと思います。

 酒米買うなら土地を買え、土を買え。昔からの山田錦の産地の格言です。まさにテロワール。

 先ほど例として挙げさせていただいた酒蔵さんが使っていただいているのは、私の地元の山田錦です。まさに酒米の王者。

 山田錦は、地元多可町東安田の山田勢三郎翁が明治十年ごろに山田穂を見つけたことにさかのぼり、大正十二年に山田穂と短稈渡船を交配させて誕生、昭和三年に地元加東市の試験地で試験され、昭和十一年に山田錦と命名されました。

 山田錦十四系統から原原原種、育成家種子を選抜し、原原種、原種、種子から生まれる五代目こそが山田錦。モンモリロナイトという粘土質の土壌に、稲の根が一メートル程度まで伸びる。足を踏み入れたら抜けなくなる粘土質の土壌。マグネシウムと燐などミネラルが豊富。日照時間が長い一方、寒暖の差が激しい。日較差が十度を超える。ぴりぴりと雨が降る。ぴりぴりというのは、地元特有の雨を指す言葉です。そして、鍛え抜かれた栽培技術。

 山田錦の約六割は兵庫県産であり、全国四十三都道府県、五百五十以上の酒蔵に御愛顧されています。全国新酒鑑評会の金賞受賞酒の約九割が山田錦のお酒となります。

 日本酒としての地理的表示、GI取得は進んでおりますけれども、原料産地に着目したGIはまだという形になります。酒造好適米の原料産地に着目したGI、地理的表示の指定を進めてはどうか、輸出に当たっては原料産地の表示ルールを検討すべきではないかと考えますが、お伺いいたします。

後藤政府参考人 お答えいたします。

 日本酒の地理的表示につきましては、国レベルで指定した地理的表示「日本酒」のほかに、地域の特色を有する地理的表示といたしまして、白山、山形、灘五郷、この三地域を指定しているところでございます。これらは、その地域で培われた醸造技術ですとか気候、風土、水といった自然環境に着目した地理的表示でございます。

 一方で、地理的表示を活用した日本酒のブランド価値の向上を図っていくという観点からは、ただいま御指摘のありましたような原料産地に着目した地理的表示も有効であるというふうに考えております。現在、原料を酒造好適米である兵庫県産山田錦に限定しまして、兵庫県の播磨地域で醸造することを要件といたします地理的表示「はりま」の指定に向けて取組を進めております。こうした原料産地に着目した地理的表示は、輸出する酒類の原料産地に関する表示ルールとしての役割を果たしていくことになるんじゃないかというふうに考えております。

 また、国税庁とJFOODO、この二つで輸出用の標準的裏ラベルというものを共同で作成しております。これは、輸出に当たって製造者の方がこれを活用しまして、海外の消費者の方に、日本酒を理解し、選択しやすくする、そういう表示を行うことを可能とするという取組でございます。

 国税庁では、産地の特色ある日本酒を振興していくために、引き続き、こうした地理的表示の新規指定ですとかあるいは標準的裏ラベルの認知向上等に取り組んでまいりたいと考えております。

藤井分科員 原料産地、やはりテロワールの考え方が非常に大切だと思います。

 山田錦の産地には、村米制度と呼ばれる、特定の酒造メーカーと特定の集落との酒米の契約制度が残っております。江戸時代から、私の地元北播磨の酒造米を使用して灘五郷など上方で醸造され、江戸に運ばれ消費されたお酒のことを下りもの、下り酒と言いまして、江戸で人気を博しました。下りものでないものを、逆に下らないものと言います。現在のくだらないものの語源です。

 現在の村米制度は明治の初めにさかのぼるとされています。酒米の取引に当たって酒造家に好まれる良質な酒米を生産するために、品質や量目の改善を加えながら、一つの銘柄品として○○村改良米という名称をつけて、生産集落の責任のもとに、固定した酒造家に共同販売します。村米制度の固定した産地は村米地と呼ばれていました。まさにテロワールでございます。

 日本酒のユネスコの無形文化遺産への登録であったり、また、こうした村米制度の文化遺産的価値を認めるべきではないかと思いますが、お伺いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 ユネスコ無形文化遺産につきましては、提案の対象や担い手を特定し、対象を次世代に継承するための保護措置を講じることなどが登録の要件となってございます。

 このため、日本酒のユネスコ無形文化遺産登録を目指す場合、まずは実情を把握し、その結果を踏まえ、担い手の特定や保護、継承のための取組のあり方について検討を進めていくことが必要となってまいります。

 文化庁におきましては、本年四月に食文化に関する部署、参事官(食文化担当)という部署を新設することとしておりまして、これらの関係課において、御指摘の点も含め、総合的な食文化の振興方策について、国税庁、農水省など関係省庁とも連携しつつ検討してまいりたい、このように考えております。

藤井分科員 三木また美嚢という地名は、播磨国風土記によれば、神功皇后がお酒にちなんで名づけられたというふうにされています。

 三年半前、世界最大規模のワイン審査会であるIWCの審査員の皆様が、地元三木市吉川町に、御自身が田植をされた酒米山田錦の稲刈りに来日されまして、私も御一緒に稲刈りをさせていただきました。その際に、ここ、三木、美嚢という地名は、神功皇后という今上陛下の千七百年ほど前の御先祖様がお酒にちなんで命名されたものですよ、御酒(みき)、お神酒(みき)というのは今の日本語でも酒を意味するんですという話をさせていただいたところ、日本国の歴史の古さに非常に感銘を受けられるとともに、千数百年前からのテロワールですねという趣旨の話をされました。

 まさにそのとおりでございまして、日本酒は世界が認めています。輸出は伸びる余地が十分あります。しかしながら、国内消費が伸びないので酒蔵さんの酒米の購入量が落ちているというのが現状でございます。

 地元兵庫の山田錦は、七、八年前、十九万俵だったところが、海外の日本酒ブーム、減反の枠外制度の創設、さらに、減反を外していただいたおかげで約二十八万俵、約二十九万俵まで増加いたしました。これに伴いまして、農家の、そして生産者の皆さんの所得が大いに伸びたところでございます。しかしながら、来年の作付は二十二万五千俵ぐらいまで抑え込むという話となっておりまして、こんなはしごの外し方をすると、農家、生産者の皆様は生産意欲をなくしてしまいます。

 今後、輸出戦略をとるにしても、原材料の酒米の王者山田錦を減らしてしまっては物がないということになってしまいます。また、お米がとれるのは年に一回のチャンスのみ。その年のビンテージ、熟成を売りにするにしても、その年の物がなければどうしようもありません。

 本気で輸出を、輸出額を増大させるなら、最高の酒米で、それぞれの酒蔵さんの最高のお水と技術で、もっと高価格な日本酒をもっとつくってもっと販売しないといけないと考えます。

 輸出に熱心な酒蔵さんを募って連合体のようなチームをつくって、酒造好適米の輸出増加枠を割り当ててはどうか、高価格の日本酒の輸出を増加させるために、高付加価値の酒造好適米をむしろ増産すべきではないかと考えますが、お伺いします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 酒造好適米の生産について御質問をいただきました。

 酒造好適米につきましても、需要に見合った生産というものが大事だというふうに考えております。先生御指摘のとおり、日本酒の国内需要が総量としては減少傾向にある一方で、高価格帯の日本酒を中心に輸出は増加傾向にあるというふうに承知をしてございます。

 農林水産省では、高品質な日本酒製造に用いられる酒造好適米につきまして、輸出向けの需要も念頭に置いて需要に見合った生産が行われますよう、全酒造メーカーを対象といたしました需要量調査を平成二十八年度から毎年実施しておるところでございます。

 この調査におきましては、先生御地元の兵庫の山田錦のような産地品種銘柄ごとの需要量のほか、輸出の需要や販売先の情報を産地に発信するということのために、輸出に仕向けられる産地品種銘柄ごとの数量、さらには産地品種銘柄ごとの酒造メーカーとの結びつき状況などを取りまとめまして、米に関するマンスリーレポート、これは毎月農林水産省のホームページで公表しておりますけれども、こういう形で公表しているところでございます。

 農林水産省といたしましては、輸出にも資するよう、引き続き、きめ細かな情報提供を行い、酒造好適米についても需要に応じた生産を推進してまいりたいと考えております。

藤井分科員 最高品質の山田錦の産地が率先して山田錦を減産するというのはもったいないですし、高価格の日本酒の輸出を増加させるには、私はマイナスだと思っております。

 最初に国税庁に答弁を求めたのは、そうなりますと、やはり国税庁の方でもっと産業振興策として高価格の日本酒を輸出するというところを打ち出していただく、それが大事であって、それに伴って、今度はマッチングなんです。意欲のある酒蔵とのマッチングを含めて、国として対応を強化していただきたい、このことを要望させていただきたいと思います。

 次に、ため池の防災、減災についてお伺いいたします。

 ため池法における特定農業用ため池と防災重点ため池の概念の違い、適用対象の違いについてお伺いいたします。

 また、防災重点ため池の地震対策、豪雨対策、廃止の実施状況、防災・減災、国土強靱化に係る三カ年緊急対策での取組を伺います。

 また、地元負担なし、農家負担なしでのため池整備事業が重要でありますけれども、この三カ年緊急対策のうち、地元負担なし、農家負担なしでのため池整備事業の実施状況をお伺いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、防災重点ため池でございますけれども、これは、決壊した場合の震災区域に家屋あるいは公共施設などが存在いたしまして人的被害を与えるおそれがあるため池でございます。補強等の防災・減災対策を講ずる必要があるものといたしまして、国が示した選定基準に基づきまして、全国で六万四千カ所が選定をされているものでございます。

 一方の特定農業用ため池でございますが、これはため池管理保全法に基づきまして指定されるものでございますが、防災重点ため池のうち、国又は地方公共団体が所有するものを除いたものということでお考えいただければと思います。全国で約三万九千カ所について、指定を想定しているところでございます。

 次に、防災重点ため池、約六万四千カ所につきましては、令和元年度末までに七千五百カ所におきまして詳細調査を完了いたしまして、三千カ所におきまして地震、豪雨に対する安全性を確認いたしますとともに、一千二百カ所において地震対策、豪雨対策を完了、また、二百五十カ所において廃止をする見込みとなっているところでございます。

 なお、三カ年緊急対策では、令和二年度までに約一千カ所の対策を概成することとしておりまして、令和元年度までに対策が完了いたしました一千二百カ所のうち、二百カ所はこの対策によるものでございます。また、この三カ年緊急対策を実施しているもののうち、六百カ所につきましては農家負担なしで対策を実施する予定となっております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 いろいろな概念というか言葉が出てきてちょっと混乱いたしましたので、そこで確認をさせていただきましたが、いずれにいたしましても、国、自治体を除いたということで、ため池法の、いわば国、自治体、公有の防災重点ため池は対象外ということで理解をしておるんですけれども、そうなりますと、やはり立法措置を含めて対象を広げることが必要ではないかと考えます。

 また、三カ年だけでは、これでは腰を据えてできないでというのもあるでしょうから、そこの延長を要望させていただきたいと思いますとともに、地元負担なし、農家負担なし、農家の責に帰さないため池整備事業は豪雨対策、耐震対策として非常に重要でございますので、その整備事業の促進を要望させていただきます。

 また、ため池の防災、減災について、防災機能の充填の観点から、ふだんはためていない、水位が低くても、非常時、豪雨時に多くためる、水位を高くする、そういった改修、そのための支援についてお伺いさせていただきます。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 ため池につきましては、貯水位を低くすることによりまして施設の安全性を確保することが可能となるということでございます。そのため、洪水時等に貯水位を低下するための洪水吐けのスリット、いわゆる一部の切り欠きの設置、これにつきましては、実は兵庫県においては大変御熱心にお取り組みをいただいているところでございますが、これは定額で支援をすることとしておりまして、これによりまして豪雨時には一時的に洪水の貯留を行えることとなるところでございます。

 引き続きまして、ため池の防災、減災に必要な対策を支援してまいりたいと思います。

藤井分科員 スリットはありがたいんですけれども、本当は、廃止するときに、実際はもう廃止しているような形でためていない、防災のときにためてはどうかというところをお願いできないかということでございます。

 それも、例えば、上、中、下とため池があって、一番奥の上の方だとマムシも出てきて管理も危ないというんだったら、ここはふだんはためていない、でも、雨が降ったらそこは防災のためにためるとか、そういう運用ができるんじゃないかと思うわけでございまして、そういったところに対する支援というのをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今、そういった入りにくいため池があるでという話をしましたけれども、まさしく、ため池の適正管理を行うためには、防災、減災のためには定期点検が必要であります。適正な保全管理を行うためには、管理者への技術的サポートも必要です。また、自治体における技術職員の確保が困難であるというような状況の中で、安全対策の実施体制強化が必要でございます。このような体制強化についてお伺いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 ため池につきましては、個人とか集落とか水利組合とか、こういうもので管理しているものがほとんどでございまして、農家の高齢化等によりましてその管理が脆弱化しているというふうに認識をしているところでございます。

 このため、ため池管理マニュアルを配付することに加えまして、技術者による現地パトロール、あるいは、所有者等を対象にいたしました技術研修などに対しまして定額で支援を行いますために、農業水路等長寿命化・防災減災事業を令和元年度に拡充いたしたところでございます。これらの事業を活用いたしまして、兵庫県下では、県内三十八の市町で組織する協議会がため池サポートセンターを設置いたしまして、ため池の機能診断あるいは軽微な補修等の技術指導を行っているところでございます。

 こうした支援は大変重要だというふうに認識をしておりまして、兵庫県のほか、今年度には四県で取組を進めるなど、全国的な広がりも見せているところでございます。引き続き、しっかり支援をしてまいりたいと考えております。

藤井分科員 管理体制を強化する財政的な支援、マンパワーの支援が必要ではないかと考えます。補助事業や地財措置など立法措置も含めた支援が必要なのではないかと考えますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 先立つものは土地改良予算の大幅増額確保ということでございますので、それについてお伺いさせていただくのと、ため池というのは、実はその村々の歴史そのものでございます。

 私の地元神戸市西区岩岡町は、ため池を掘り、水を引いて、開拓されてできた村、町でございます。その先人の苦労を、「土と水とに七百二十日(ひちひゃくはつか) 現在(いま)に伝える 幸せを」と、岩岡音頭として語り継いでおられます。毎年、開発記念式典が行われ、ため池、疎水の開発で犠牲になられた先人をまつっておられます。

 ため池には祠があります。まつられる祠があります。信仰の対象でもあります。私の地元の隣の稲美町では、天満大池にみこしを投げ入れて水上で練り回される、水上みこし渡御といった祭りも行われているところでございます。

 こうしたため池や疎水の歴史、伝統、文化に目を向けて、私の地元の御坂サイフォンとか、これは観光名所にもなるんですけれども、そういったのも含めて、観光資源、文化資源としての活用についてお伺いします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 土地改良事業につきましては、農業の競争力強化のため、また国土強靱化のために大変重要な役割を果たしておりまして、計画的かつ安定的な実施が重要ということでございます。

 これらの推進に必要な農業農村整備事業関係予算についてでございますが、令和元年度補正予算で一千五百四十二億円、令和二年度当初予算で四千四百三十三億円、これに加えまして、令和二年度当初予算では、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に係る経費といたしまして五百四十億円、これらを合わせまして六千五百十五億円を計上しているところでございます。

 今後とも、必要な予算をしっかり確保しながら、土地改良事業の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。

 また、御指摘いただきました、ため池の地域文化とのかかわりでございます。

 御指摘をいただきました稲美町の天満大池の神事等々、大変多くのいろいろな地域の行事と結びついているというふうに承知をしております。加えまして、ため池には、かんがいのほか、動植物の生息でありますとか住民の憩いの場の提供といった、いろいろな多面的な機能もあるところでございます。

 このようなため池の地域資源としての特性も踏まえまして、多面的機能に配慮したため池の整備、あるいはため池を活用した地域振興というものが大変重要であると考えているところでございます。

藤井分科員 五千七百七十二億円から、前政権、民主党政権では、平成二十二年度当初予算二千百二十九億円まで減額された。これを、補正と合わせて、令和二年度予算案では六千五百十五億円まで増額していただいておる。心から感謝申し上げたいと思います。

 また、魂が必要だと思いますので、こういったため池法といったものに魂を吹き込むために、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、魂という点で、これは棚田地域振興法を先導されました江藤農林大臣にその思いを聞きたいんですけれども、この棚田地域振興法の理念、制定趣旨、具体的な支援策について、大臣の思いを伺いたいと思います。

江藤国務大臣 私の地元も大変田舎でございまして、例えば高千穂は天孫降臨の地として有名ですけれども、二百十八号線から見える棚田がたくさんあるんですが、大変最近は耕作放棄のところもふえてきてしまって、これを何とかしなければならないという思いがありました。

 しかし、これは農業政策にとどまっていてはとても無理だろう、やはり地域政策ということが今度の食料・農業・農村基本計画の中などでも大変重要視されますけれども、国としてこの棚田地域を次の世代に引き継いでいくんだという強い意思を国が示すことが大事だという思いでこれを始めさせていただきました。総理も非常にその思いは共有をしていただいておりまして、いつも、所信表明演説等では、息をのむほど美しい棚田の風景ということをおっしゃいます。

 それを法案の形で落とし込むために、基本計画は内閣総理大臣がつくる、農林水産政策ではない、国の責務としてこの地域を守っていくんだ、そして、農林水産省は施策の取りまとめはするにしても、各省が持っているさまざまな四十余りの施策をもう一回洗い直しをして、それが有効に地域で生かされるように、そしてまた、農林水産省の施策としても、一万円の追加の策であるとか五万円の耕作放棄地の復活の施策であるとか、いろいろなものを総動員して、みんなで総がかりで地域を守っていこうというのがこの趣旨でございます。

 この地域で頑張っていただいていることについて、やはり国民の理解を得るということも私は大事だと思っています。どうも農業政策をやると、ばらまきだとか農家は甘やかされているとか、そういうことをおっしゃる方がいらっしゃいますけれども、一度失われてしまったら二度と回復できないものが確実に日本にはある、それが棚田の原風景の中にはたくさん埋もれているんだということで、この数年間の間にしっかりと施策をやらなければ本当に待ったなしのぎりぎりのところに来ているという思いも込めて、これを議論させていただきました。

 岸田政調会長のおかげでPTが立ち上がったときには、委員にも議論の輪の中に入っていただいて、極めて積極的に意見も出していただいて法案成立に結びついたことについては、私からも委員に心から感謝を申し上げたいと思います。

藤井分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の思い、一度失われたら戻ってこないと、棚田の大切さを改めて共有させていただきまして、ありがとうございます。

 私の地元多可町岩座神というところにも、美しい石積みの、石垣の棚田がございます。ただ、その岩座神、人口減少と高齢化が一段と進み、二十三年間都市部の方々と交流をしてきた棚田オーナー制度を休止されることになりました。非常に残念でございます。

 しかしながら、岩座神の美しいあの石積みの棚田がなくなるわけではございません。今こそ、岩座神の棚田ファンの皆様の力が必要でございます。棚田を守る、棚田地域を振興する棚田法ができたんだと、こうした自治体を巻き込んだ運動が必要です。これは自治体の取組の方がまだまだできていないんじゃないかというふうに危惧をしておりまして、自治体への周知徹底、省庁横断的な政府全体での取組を要望いたします。

 最後に、時間となりそうでございますので、森林環境譲与税の増額措置の中身と具体的な額について、自治体に具体的にどのように活用されるのか、活用が期待されているのか、お伺いします。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の税制改正では、森林整備を一層促進するため、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を令和二年度から令和六年度までの五年間で二千三百億円活用し、譲与税財源の借入れを行わないこととした上で、譲与額を前倒して増額することとしております。

 具体的な額でございますが、今後、関係法案等が成立した場合、森林環境譲与税の譲与総額は、令和二年度及び令和三年度は今年度の二倍となる四百億円、それから、令和四年度及び令和五年度は五百億円、令和六年度以降は平年度ベースである六百億円の譲与が可能となるものでございまして、総務省といたしましては、林野庁と連携をしながら、この貴重な財源を活用していただいて森林整備が進められることを期待している、こういうところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 増額措置は、本当に、林業そしてまた森林を抱えるところにとってはボーナスでございます。先ほど例に挙げました岩座神、旧の加美町は、もともと森林で栄えたところでございます。そういう点で、この譲与税の増額でこうした地域に光が当たることを心から感謝し、それを祈念申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昌孝さん。

太田(昌)分科員 公明党の太田昌孝でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、この分科会の中で、環境省所管の分と農水省所管の分とほぼ半分ずつ質問をさせていただきますが、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

 まず初めに、環境省所管について質問をさせていただきたいと思います。

 廃プラスチック及び塩ビ製壁紙の廃棄等についてまずは取り上げさせていただきたいと思います。

 現在、日本は世界第三位の廃プラスチック輸出大国でありまして、二〇一七年は百四十三万トンの廃プラスチックを輸出したとのデータがあります。二〇一七年までは、日本の廃プラスチックの主な輸出先、これは中国でありまして、年間輸出量の半分を輸出しておったと伺っております。

 しかし、中国は、二〇一七年末から、主に生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止。その後、日本の廃プラスチックは東南アジアや台湾へ輸出されるようになりましたが、これらの国、地域も次々に輸入規制を導入したため、日本国内で処理される廃プラスチックが相当量増加しているというような現状であると認識をしております。

 そこで、今申し上げましたとおり、中国の輸入規制によりまして国内の廃プラスチックの処理そのものがかなり逼迫しているとの声を聞いておりますが、政府、環境省、現状をどのように認識しておられるか、まずお尋ねしたいと思います。

山本(昌)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、中国を始めとするアジア諸国において、二〇一七年末以降、使用済みプラスチックの輸入を制限、禁止する方針の検討や実施が行われておりまして、これによりまして、我が国からのプラスチックくずの輸出量は、二〇一七年の約百五十万トンから、直近の二〇一九年には約九十万トンまで減少している。その分国内に回っているという状況でございます。

 それで、その実態につきまして、これまで環境省では自治体等へのアンケート調査を実施しておりまして、これは、一昨年、平成三十年の八月、それから昨年の二月、七月と三回にわたって実施してございます。この結果、これまで自治体から、輸入規制の影響による直接の不法投棄が発生したという報告はないんですけれども、実際に業者のところで保管基準違反あるいは受入れ制限が一部発生しているということで、かなり逼迫した状況だということでございますので、廃プラスチック類の適正処理に支障が生じる懸念がある状況というふうに認識しております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 自治体からまださほどに声が上がっていない、しかし業界の方では大変困惑と。私のもとにも、今の国内の廃プラスチックの処理費用が大変に高騰をして、その業界の中でも大変に困惑をしているという声が届いております。

 これについては何か対策をお考えになっているのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

山本(昌)政府参考人 確かに、御指摘のとおり、こちらで行った直近の昨年七月の処理業者へのアンケート調査結果によりましても、六八%の中間処理業者から処理費を値上げしたという回答をいただいておりまして、中国等の輸入規制以前に比べて処理費が上がったというふうに認識してございます。

 これに対する対策というお尋ねでございますが、まず一つには、廃棄物処理法上は、排出事業者、産廃を排出した者がみずから処理をする責任がございますので、まずその事業者の皆様に適正処理に必要なコストをしっかりと負担していただく必要があるというふうに考えております。

 従来は有価で出せていたものが、処理費用がかかるということですから、当然、処理コストは上がりますので、こういった事柄について十分理解をいただいて、不適正処理が引き起こされないようにということで、適正な対価の支払いをしていただくということで排出事業者に対する周知を図っているというところでございます。

 それからもう一つ、処理費が高騰したのは、輸入規制によって急激に量がふえたということで、需給が逼迫したということが要因でございますので、国内の廃プラスチック類のリデュース、リユース、リサイクル、スリーRを促進するための体制の構築ということもそういったところに寄与できると思っておりますので、こういったこともあわせて進めておるところでございます。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 今、随分とお答えいただきましたけれども、本当に、現状を、さまざま御意見を伺っておりますと、やはり、保管量の増加に伴いまして、業者は処理し切れず、対応し切れずということで倒産をしてしまったり、あるいは、そうした処理費の高騰、今おっしゃっていただいたとおりでございますが、そうしたことも相まって、不適正な処理、不法な投棄も懸念されるところであろうというふうに思います。

 これについての対策についてもちょっと確認をさせていただきたいと思います。

山本(昌)政府参考人 御指摘の点に関しましては、まず一つ、都道府県に昨年五月にも通知をいたしておりまして、こういった廃プラスチック類の不法投棄、不適正処理が起きないように、監視体制を一層強化していただきたいという要請をしてございます。こういったものについて、可能性のあるものが、不適正な事例が生じたということであれば、速やかに当省宛て報告するようにもお願いをしております。

 それから、昨年九月に省令を改正いたしまして、通常の許可基準よりも厳しい基準で認定された、いわゆる優良産業廃棄物処分業者に限りまして保管の容量を二倍にふやすという改正をしてございます。これによりまして、そういった優良な事業者は保管量をたくさん、バッファーをたくさん持てるという形になりますので、これが一つ、廃プラスチック類の適正な処分先の確保、あるいは高騰する運送費の抑制にもつながるというところでございますので、こういったところの受皿もしっかりと用意するということで対策を講じているところでございます。

太田(昌)分科員 今おっしゃっていただいたとおり、保管が倍増したということで、少し息をついているというような状況なのかなというふうにも思いますが、不法投棄などにおいても、私も実は一緒に回ったこともあるんですけれども、それぞれの自治体の担当職員、大変に苦労をしているところでもございます。そうしたことが起こらないように、しっかりとした支援をしていかなければならない、そういうふうに思います。

 そんな中で、申し上げるまでもないわけですけれども、SDGsのゴールのターゲット、直接、間接も含めまして、環境に関する課題がほとんどであろうというふうに思っておりますが、その上で、こうした廃プラスチック、今の投棄であったりとか焼却とか、いろいろあるんですけれども、資源循環体制の構築、当然、早急に今対応されているとは思いますけれども、この点についても確認をさせていただきたいと思います。

山本(昌)政府参考人 御指摘のとおり、資源循環体制をしっかりと構築するということが重要でございまして、環境省では、特に中国の輸入規制を受けまして、平成二十九年度から、リサイクル設備の導入支援、民間事業者に対する導入支援を行っております。令和二年度予算案におきましても四十三・二億円を計上しておりまして、こういった支援を継続的に行っていきたいというふうに考えております。

太田(昌)分科員 私の地元でも、障害を持った方を雇用しながら、こうした廃プラスチックの処理を、またリサイクルにつなげているなんという事業者もおります。どうか、そうした事業者に対しましての支援も、これは更に引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、建築物用の塩ビ製の壁紙の産業廃棄についてお尋ねをしたいと思います。

 現在、建築物に使われております壁紙、これは当然、不燃ないし耐火性の素材を使って製造されているのがほとんどということでございますが、建築物のリフォームや解体に伴いまして排出されます塩ビ製の壁紙の量は年間に数十万トンとも言われているようであります。

 国においても、平成二十年の三月に、建築物の塩ビ製壁紙の小口回収並びに共同回収システムのための調査の報告書を出したということで、リサイクルについて検討をし、一定の形でリサイクルシステムの開発を試みたようでございますけれども、実際には、コスト面も含めて課題があり、定着はしていないのが実態のようであります。

 このように、塩ビ製壁紙の廃材はリサイクルが難しいことから、例えば熱回収も含めて促進をすべきと考えるわけでございますけれども、対策についてお伺いをしたいと思います。

山本(昌)政府参考人 御指摘の点、塩ビの中でリサイクルが難しいものにつきましては、なかなかリサイクルできないということで、焼却せざるを得ない場合もあると考えますので、そういったときには、その廃熱を回収するということは非常に望ましい方向だと思っております。

 環境省では、廃棄物焼却熱の有効利用を促進するための支援メニューがありまして、廃棄物エネルギーの有効活用によるマルチベネフィット達成促進事業という事業を用意しておりまして、これは令和二年度予算案には十九・五億円を計上させていただいております。

 こういった事業を活用すれば、高効率に熱回収をする設備に対して三分の一の補助ができるということでありますので、塩ビを含む廃棄物を焼却する場合であってもこういった事業が適用可能でございますので、こういったものを使って、リサイクルが難しい塩化ビニールの有効利用に努めてまいりたいと考えます。

太田(昌)分科員 そうなんですよね。建築用の塩ビ製壁紙は、リサイクルがなかなか難しいということで、今のような形、せめて熱回収というような形、マルチベネフィットですか、使いながら対策をしていくしかないのかなというふうに思います。

 一般的に産業廃棄物は、一旦中間処理業者を経ましてリサイクルされるもの以外については、その廃棄されるものによって、例えば焼却施設、安定型の最終処分場、それから管理型最終処分場又は遮断型最終処分場のいずれかに分けられて処理をされると認識をしているわけでございますけれども、これについて現状をちょっと教えていただければと思います。

山本(昌)政府参考人 産業廃棄物に関する基本的な流れということでございましたが、今御指摘ありましたようにさまざまな方法がありますが、リサイクルするためには破砕、選別して可能なものを分別するということですが、なかなかそういうふうにできないものにつきましては、焼却できるものは焼却して熱回収ということでありますが、さらに焼却が困難なものについては埋立処分をするということでございます。

 埋立処分場の種類には、主に安定型の処分場と管理型の処分場がございまして、安定型処分場には、有機物が付着していない廃プラスチック類、瓦れき類等、いわゆる安定五品目の埋立てが可能でございます。ただ、木くず、紙くず等の有機物、あるいは有機物が付着した廃プラスチック類は管理型埋立処分場に埋め立てるということになります。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 今のお話のとおりなんですね。塩ビ製の壁紙の廃材というのは、紙を含有しておりますので、いわゆる安定五品目には当たらないため、安定型最終処分場には廃棄をすることはできない。また、先ほど、前の質問にもありましたとおり、なかなかリサイクルもいかない。焼却処分においても、実質的にはなかなかコスト高騰、あるいは地方自治体でも、焼却施設においては、これは塩ビを含有していることから、焼却施設が劣化するというようなことから拒否されるケースが大変に多いというふうにも思っております。そうした実情から、処理に窮して、結局野積みするような業者も出てきているというように聞いております。

 最後に、塩ビの壁紙の処理について、今後の対策についてお考えをお伺いしたいと思います。

山本(昌)政府参考人 塩ビ製の壁紙につきまして、本日委員から御指摘もいただきましたので、こういった事柄について、今どういった形で排出されているか、あるいはどういった形で今処理されているのかといったような状況を実態把握に努めまして、その上で、その状況に応じて対策を検討してまいりたいと思っております。

 そういったものが不適正に処理されたりすることのないように、自治体に対しては、引き続き、不法投棄、不適正処理の監視強化ということは周知してまいりたいと考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございました。

 本当に、塩ビ製壁紙については、そうした処理業者と言わず、建設業者も解体業者も大変に苦慮しているということを言われております。どうか目を向けていただきまして、安定した、そして適切な処分につきましてこれから御検討いただきたい、こんなふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、森林環境譲与税につきまして伺わせていただきたいと思います。

 今国会提出の森林環境譲与税、法案が通りますれば、これまでの二百億から四百億と、大変に大きな予算がつくようになっているわけでございます。とりわけ森林につきましては、私の地元長野県におきましても、森林住民税というような形で徴収をさせていただきながら、この環境譲与税もいただきながら、更に森林の再生に向けて今努力をしているところでもございます。

 我が県も県土の八割が森林に覆われておりまして、森林面積も百六万ヘクタール、全国で三位、また森林率も約八〇%、全国三位、また人工林の面積も四十四万ヘクタールで全国三位ということでございまして、そういう意味では、森林王国長野。ただ、一方で、なかなか森林の活用に向けて特効薬がないというのが実態であろうかというふうに思います。

 そんな中で、今回の森林譲与税の配分ですが、全体の財源のうちで、半分が民有林人工林面積、二割を林業就業者数、三割を人口の規模に合わせて譲与することとなっておりまして、森林の少ない都市部自治体にも人口割の譲与額が配分されております。後ほど申し上げますけれども、一番多いのが横浜市ということでございます。

 しかし、昨年の譲与税のうち、全体の三割が、実態は基金への積立てとなっているというふうに聞いております。また、特に私有林人工林が千ヘクタール未満の市町村は七百六十市町村あるそうでございますけれども、半分が全額基金の積立てになっているということ。

 そういう中で、このたびの譲与税で最も多く配分を受ける、先ほど申し上げました横浜市、今後本格化する市立小中学校の建てかえの際の木質化などの財源に充てると伺っております。

 林業では、とりわけ国産材の活用振興によって林業がなりわいとして再生することが重要な課題だと私は思っております。基本的に、木材価格の低迷で、結局は林業の採算性が悪化をしたこと、そして生産活動が停滞をして、結果として林業従事者が減少をし、そして高齢化も相まって管理放棄が増加をしている、そういう流れでございますので、そういう意味では、私は、一概にこうした横浜のようなところに配分するのも悪いことではないと思いますし、今申し上げたとおり、そこの中で国産材の活用振興がしっかりとなされるのであれば、これは意味のあることなんだろうなというふうにも思います。

 ですから、この配分についてどうこう言うわけではなくて、今回、この譲与税によってこうした国産材の活用がどの程度進むと試算しているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林環境譲与税においては、木材利用の促進により、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの好循環が生まれることが期待されております。森林環境税の使途の検討状況について昨年九月に聞き取りを行ったところ、約二割の市町村において木材利用等に活用する予定となっております。

 このような中、例えば、神奈川県川崎市では、不特定多数の市民が使用する施設の一部の木質化などに取り組むほか、愛知県豊明市と長野県上松町が連携して、上松町で生産された木材製品を豊明市内の新生児にプレゼントする取組を行うなど、木材利用や、都市部と山村部の自治体が連携した取組が行われているところでございます。

 いずれにしましても、この取組は自治体の自主的な取組でございますので、どれくらいというのは難しいところでございますけれども、今後とも、木材の利用を推進できるようにいろいろ御相談に乗っていきたいというふうに考えております。

太田(昌)分科員 本当に、ちょっとデータは古いんですけれども、昭和五十年にはヒノキが素材で立米で六万円以上したんですね、六万七百七十円。ところが、ちょっと直近のデータがなくて申しわけありません、平成二十年なんですけれども、二万五千円を割り込んでいるというような状況。半分以下どころか、下手すると間もなく三分の一になっちゃうんじゃないかというような状況になっているというようなこと。

 やはり、できる限り国産材の使用を促進していただく、今回の森林譲与税の使い方に、大きな意味というのがそこにもあるのではなかろうかなというふうに思っておりますので、どの程度進むか、なかなか試算も難しいというような話もございましたけれども、どうか推進を全力を挙げてやっていただくということをぜひお願いをしたいというふうに思います。

 こうした都市部自治体、森林が少ないような都市部自治体への譲与税を地方の市町村の森林づくりに活用していただこうということで、都市の自治体への働きかけも強化しております。我が県でも行っているんですけれども、カーボンオフセット、Jクレジットの取組、こんなことも行わせていただいております。

 こうした取組などについて、とりわけ森林の少ない都市部自治体に対して、こういう取組も、先ほど申し上げましたとおり、半数が全額積立てみたいなところがやはりあるわけですから、であれば、こうしたJクレジットみたいな取組をやっている、こういう取組もあるんだというようなこと、こうした活用方法について周知が必要じゃなかろうかと思いますが、この点についてお伺いいたします。

河野大臣政務官 森林環境譲与税の適切な活用に向けて、農林水産省はこれまでも、百九十回を超える市町村説明会に職員を派遣するなど、制度の周知を図ってきたところでありまして、都市部の市町村が木材利用や川上との連携による森林整備に取り組む事例も出てきたところでございます。

 今、太田委員より御紹介がございましたカーボンオフセットの取組ですとか、先ほど本郷長官が御答弁申し上げました、委員御地元の長野県の好事例などを始めとする先進的な取組事例、こういったものの収集、共有や市町村への助言などを総務省や都道府県とも連携をして行うことで、森林の少ない都市部の市町村においても森林環境譲与税を活用した取組がより一層進むよう、しっかり支援を行ってまいりたいと考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 我が県においても、二つの自治体でこのJクレジットを行っておりますけれども、一方で、そこまで進められないというようなことに、森林管理の空洞化ということがやはりあるんですね。森林所有者の世代交代や不在村化が進行しまして、所有者を特定することがなかなか今困難になってきております。

 また、地籍調査の進捗もおくれておりまして、私の地元長野県のデータにおいては、不在村の森林所有面積は八万七千ヘクタールを超えて、全県の約二〇%にもなっております。新たな制度に基づく意向調査を実施しなければならないわけですけれども、そうした意向調査を実施しても、これらに手をつけるには、市町村においても相当の手間、時間がかかることから、後回しになることが予想されるところでもございます。

 例えば、新制度で、それも私の地元長野市でございますが、昨年夏に、ある地域で意向調査を行ったところ、一四%が宛てどころ不明で未送達になってしまった、そもそも届かないというようなことになってしまった。こういう場合、例えば、経営管理法に基づく手続を経ながら市町村による森林管理、整備へと進むことができるはずなんですけれども、これは事務も煩雑であるために、所有者が明確なところを当然優先をして事務を進めることから、不明森林は後回し、別途再調査というようなことになってしまっております。現在、こうした森林の所有問題を明確にするために、マニュアル等も作成をしているところでもございます。

 また、今、所有不明のこともありましたけれども、所有者が特定できても、隣接森林との境界が明確でないために、なかなか次のステップに進めないケースも多々あるわけでございます。こうした場合にも譲与税を活用して明確化の手続を実施することができますが、やはり膨大な時間と手間がかかりまして、進捗スピードはどうしても遅くなります。これについても、今、市町村職員向けの事務マニュアルを作成中であります。

 いずれも、そうしたマニュアルを作成しても根本解決には至らないと危惧をしております。

 土地所有問題については、法制度も含めた対応が必要ではないかと考えております。林野庁としての支援策についてお伺いをしたいと思います。

本郷政府参考人 お答えをいたします。

 市町村が森林整備を進めていくためには、森林所有者の把握や境界の明確化等が課題であると認識しております。

 このため、林野庁では、森林法において、所有者の把握が行いやすくなる仕組みとして、新たに森林の土地の所有者となった者の市町村への届出制度や林地台帳制度等を創設するとともに、所有者や境界の確認に対する予算措置も行っているところでございます。

 さらに、今もお話ございました森林経営管理法において、所有者不明森林についても一定の手続を経て市町村が経営管理を受託できるなどの措置を設けたところでございます。

 また、所有者の所在把握など、市町村が実際に森林経営管理制度を進めるために必要となる林業技術者を雇用する地域林政アドバイザー制度の推進に取り組んでおり、技術者情報の収集や市町村への提供を行っているところでございます。

 林野庁としては、引き続き、都道府県とも連携を図りつつ、市町村の業務が円滑に進むよう取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 今回の森林譲与税によりまして、嘱託職員の雇用であったり、今もおっしゃっていただいたとおり地域林政アドバイザーの雇用をしながら、その支援を受けながら、今、森林整備を進めているところでございますが、ちょうど今まさにお話があったとおり、現実にはやはり人手不足が大変に深刻になっているわけでございます。

 ちょっと時間が近づいてしまいましたので、少し飛ばしまして、そういう意味で、人手不足について、どこに問題があるか。これは、他産業と比べて労働災害が十倍以上になっているんですね。また、こうした中で、安全性の改善と就業環境の向上というのは、これはまさに今の林業にとって、人手不足の解消にとって喫緊の課題であろうというふうに思います。また、技術革新による人による労働作業の軽減、そんなことも必要であろうと思います。

 地元でもそうなんですが、小規模の事業体が大変に多いこうした林業の事業体、就業環境の改善に向けた取組について、御支援について伺いたいと思います。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、これまでも、労働安全の確保に向けて、林業経営体に対して、伐木作業の安全対策が強化された労働安全衛生規則の遵守を求めるとともに、安全巡回指導や高性能林業機械の導入支援、伐木などの特に危険の多い作業の自動化、無人化に向けた林業機械の開発等に取り組んでおります。また、就業環境の改善に向け、緑の雇用事業により、一年を通じた複数の林業作業習得を支援する通年雇用化の促進や、林業経営体の収益改善、増大に向けた林業の成長産業化への取組に取り組んでいるところでございます。

 今後は、林業の生産性、安全性等を向上させる林業イノベーション推進総合対策の推進、林業従事者の処遇の改善につながる技能検定制度への林業の追加などにも一層力を入れることとしております。

 さらに、労働安全の確保につきましては、農林水産省挙げて取り組むため、本日、農林水産業・食品産業の現場の新たな作業安全対策に関する有識者会議を設置して、学識経験者や関係団体、先進的な取組を行う事業者等が一堂に会し、業界の垣根を越えて新たな安全対策の議論を開始したところでございます。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。そうした取組、就業環境の改善、また安全対策に進むことを期待します。

 今おっしゃっていただきましたが、技能検定制度、なかなか林業の技術を客観的に評価できるそうした国家資格というのが、現状では、今ないというふうに私は認識しているんですけれども、これを求める声がございます。労働者、指導者としての技能の正当な評価が可能となるのではないか、また、待遇、所得への反映であったり効果的な安全指導にも効果が期待できるのではなかろうかというふうに思います。

 今ちょうどお言葉もございましたが、この国家資格、技能検定制度についての検討状況についてお伺いをしたいと思います。

本郷政府参考人 お答えをいたします。

 技能検定制度は、労働者の有する技能を一定の基準によって国が検定する制度であり、林業の追加は、林業従事者の技能の評価を通じて所得の向上や労働安全の確保につながる重要な取組であると認識しております。

 林業の業界団体では、昨年四月に林業技能向上センターを設立し、技能検定制度への林業の追加について、厚生労働省と連携して、対象とする技能の整理や受検ニーズの把握等、具体的な取組を始めているところでございます。

 農林水産省としても、令和二年度予算において、業界が行う共通の試験の試行的な運用を支援することとしているところでございます。

太田(昌)分科員 ぜひ、林業をなりわいとしている方々の就業の促進のためにも、また正当な評価が可能となるような資格の開設についてよろしくお願いいたします。

 時間が参りました。以上で終わります。ありがとうございました。

堀内主査 これにて太田昌孝君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.