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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      金田 勝年君    木原  稔君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      近藤 和也君    前原 誠司君

二月十五日

 鷲尾英一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 鷲尾英一郎君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    金田 勝年君

      神田 潤一君    木原  稔君

      西野 太亮君    山本 有二君

      近藤 和也君  斎藤アレックス君

      前原 誠司君

   兼務 石川 香織君 兼務 岡本あき子君

   兼務 野間  健君 兼務 藤岡 隆雄君

   兼務 山田 勝彦君 兼務 和田有一朗君

   兼務 中野 洋昌君 兼務 福島 伸享君

    …………………………………

   農林水産大臣       金子原二郎君

   環境大臣         山口  壯君

   農林水産副大臣      武部  新君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境副大臣        務台 俊介君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川上恭一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 住友 一仁君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         安東  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          菅家 秀人君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  森   健君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           青山 豊久君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           岩月 理浩君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     東  国幹君

  山本 有二君     西野 太亮君

  近藤 和也君     湯原 俊二君

  前原 誠司君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     五十嵐 清君

  西野 太亮君     神田 潤一君

  湯原 俊二君     山井 和則君

  鈴木 義弘君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     上田 英俊君

  神田 潤一君     山本 有二君

  山井 和則君     近藤 和也君

  田中  健君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     金田 勝年君

  斎藤アレックス君   長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  長友 慎治君     鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木  敦君     前原 誠司君

同日

 第一分科員和田有一朗君、第二分科員岡本あき子君、中野洋昌君、福島伸享君、第四分科員石川香織君、藤岡隆雄君、第五分科員山田勝彦君及び第七分科員野間健君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

鷲尾主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。山口環境大臣。

山口国務大臣 令和四年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その基礎となる環境政策の基本的な考え方を御説明します。

 持続可能な社会の構築のためには、脱炭素、循環経済、分散、自然共生という多角的な切り口で、経済社会全体を変革していくことが必要です。環境省は、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意で、この変革に取り組みます。

 脱炭素については、脱炭素を制する者は次の時代を制すると思います。二〇三〇年度目標の達成、さらに二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、経済社会を変革するイノベーションが不可欠です。

 この変革に向けて、環境省は、二〇三〇年度までに全国で百か所以上の脱炭素先行地域を実現します。第一弾の先行地域をこの春に選定すべく、募集を開始しました。また、地域のニーズの把握と理解醸成のため、感染症対策に万全を期しながら、私を先頭に、政務三役全員で全国行脚を行っております。今後、脱炭素で地域おこしを進める自治体や企業を更に支援してまいります。

 また、昨年秋のCOP26での合意も受けて、アジア・ゼロエミッション共同体に向けて、二国間クレジット制度、JCMも活用しつつ、脱炭素イノベーションを我が国から途上国に展開してまいります。

 循環経済については、四月からのプラスチック資源循環法の施行に向けて、資源循環の高度化や代替素材の開発支援に取り組みます。また、サステナブルファッションや食品ロス対策を進めます。さらに、災害廃棄物対策の体制を一層整備するとともに、一般廃棄物処理施設と浄化槽の整備を着実に進めてまいります。

 分散、自然共生については、G7サミットで合意した二〇三〇年までの陸と海の三〇%以上の保全を目指します。また、国立公園等の区域拡張とその質や魅力の向上に加え、民間取組を促すための仕組み、データの整備を行います。その他、生態系を活用した防災・減災、鳥獣保護管理、外来生物対策等の強化を推進します。

 さらに、改正自然公園法等に基づく自然を活用した地域活性化、改正瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく豊かな海づくりを推進します。

 東日本大震災からの復興も重要課題です。今年度末までに、帰還困難区域を除く福島県内除去土壌等の中間貯蔵施設へのおおむね搬入完了を目指すほか、特定復興再生拠点区域での除染や家屋解体等の環境再生事業を着実に実施し、除去土壌等の県外最終処分に向けた再生利用の理解醸成等の取組を引き続き推進します。また、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に係る海域環境モニタリング、福島県とともに行う未来志向の取組を進めてまいります。さらに、放射線健康管理、リスクコミュニケーションを通じた不安、風評払拭に全力で取り組んでまいります。

 このほか、水俣病対策、石綿飛散防止対策、エコチル調査、PCB廃棄物処理、動物愛護管理、熱中症対策等も着実に推進します。

 原子力規制委員会については、厳格な原子力規制活動を支える安全研究の推進及び放射線モニタリング体制の強化を図るとともに、原子力の安全確保に係る人材基盤の強化等に取り組みます。

 これらの施策を実行するための令和四年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について申し上げます。

 一般会計予算では総額三千二百九十一億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額二千六十億円余、東日本大震災復興特別会計に復興庁所管予算として総額三千四百六十六億円余を計上しております。

 なお、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て説明を省略させていただき、委員のお手元に資料をお配りさせていただきました。詳細は、お手元の資料を御覧いただきますようお願い申し上げます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

鷲尾主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま山口環境大臣から申出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鷲尾主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。

東分科員 北海道六区の東国幹といいます。

 初質疑でございますので、どうぞよろしくお願いします。

 山口大臣、そして武部副大臣、どうもありがとうございます。

 まず、環境省所管の国立公園の整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、国立公園、これは全国で三十四か所ございますけれども、この三十四か所どこにおいても日本を代表する景勝地でありまして、傑出した風景美、これを誇っているところであります。

 指定の要件がもちろんそれを求めているからだとは思うんですけれども、我が国の財産であるこの国立公園、これからも子々孫々と、次の世代も私たちと同じような感動を味わい、楽しむことができるように、そして、コロナ後を見据えて、今、インバウンド等を含め観光客が激減をされているんですけれども、そのまた先を見据えて、断続的にこの国立公園の整備、これはやはり不可欠だと思うわけであります。

 環境省においても、それらの目的を達成するため、国が指定し、保護し、管理する役割を担っていると表しているところなんです。

 しかし、コロナ禍の影響もあってか、先ほど申し上げましたとおり、観光客が激減をしている、そういう国立公園がほとんどということになっておりますが、これがどういう景観になっているかというと、民間宿泊施設の惨状、これが非常に目立つわけなんです。

 といいますのも、経営が破綻している民間施設が非常に多くなっているということ、そして、とりわけ景勝地の国立公園の中でもそれが非常に目を引くわけなんです。いわば地域の魅力や活力を失わせている。特に自然の風景そのものが価値である国立公園にある地区において、廃屋によってその価値が損なわれているというのは、私は、深刻な問題であると思うんです。施設崩壊等により、近くを通る旅行者、そして車等に危険が及ぶ可能性も高まってきているということなんです。

 自然公園法に基づく宿舎事業は、執行する事業者が経営破綻した場合、事業の廃止を届出をした上で、事業を執行する能力のある別の事業者に建物を引き継ぐか、それとも、徹底して原状回復を行うことが原則ということになっております。

 ただ、この必要な手続や原状回復が実行できずに、廃屋として放置される場合がある。自然公園法では、環境大臣が公園事業者に対して原状回復命令をかけることができるとされておりますけれども、相手方が既に履行能力を失っている場合がほとんどであるということなんです。あるいは、もはやその事業者がどこにいるのか分からないとか、そういったことが間々あるわけであります。施設を取り壊す、撤去する、除去する、それにしても億単位の費用がかかるということもあって、新しい事業者が現れて、またその施設を再開するにしても極めて困難であるということ。現時点では、施設の危険防止のため、保全措置が緊急に必要な状況にあるということは言うまでもございません。

 何か事故が発生した場合、その補償も含めて、関係ないでは済まされない、緊急的な措置が必要であると考えるわけなんです。そのように私は思うんですけれども、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 東先生のおっしゃられるとおり、この廃屋の問題というのが、立派な国立公園の中で、やはりそこは価値を損なうんじゃないかというところは非常に強く感じます。

 先月、阿寒摩周国立公園における廃屋対策の取組を視察してきました。先生のところは大雪山だと思うんですけれども。北海道の世界に誇る大自然を目の当たりにして、その国立公園に魅力的な自然があっても、景観を阻害する廃屋があるということで、魅力が大きく損なわれてしまっているなと。実際に廃屋が幾つもあって、地域の関係者の方も非常に努力もされているんですけれども、今おっしゃられた種々の事情によって、そのままになってしまっている。その意味で、地域関係者の方々と連携して対策を進めていくことが必要と思います。

 こうした問題に取り組むため、環境省では、令和元年度より、地域関係者が跡地活用を前提とした廃屋撤去に取り組む場合の補助事業を実施しています。国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業と言われるもので、二分の一の補助をさせていただいているところです。また、昨年の自然公園法改正によって、地域が廃屋撤去を含む利用拠点の景観改善を行う際の計画制度も創設しています。

 引き続き、関係省庁あるいは地域関係者の方々と連携しながら、国立公園内の廃屋撤去や跡地活用の取組を推進していかなければいけないと思っております。

東分科員 大臣の御認識と私の認識というのはほぼ一致しているということでございます。

 これは先ほども大臣に触れていただきましたけれども、そういった公的な支援というものはあるというふうに考えておりますけれども、この公的な制度設計、これは、そこの自治体等々もやはり労力をかけなければならない。そして、今の制度設計、これはいろんなケースが考えられるんですけれども、運用されている今の制度設計、ちょっともう一度お伺いしたいんですけれども。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、令和元年度より、国立公園において地域が取り組む魅力的な滞在環境、この整備の一環としまして、地域がマスタープランを策定して、民間事業者等が地域活性化のために跡地を利用する、こういったことを前提として、廃屋の撤去費の二分の一の費用を補助する事業を実施しているところでございます。

 この事業で、過去二年間、阿寒摩周国立公園ですとか知床国立公園、上信越高原国立公園等の十一か所で撤去が行われているというところでございます。

東分科員 国立公園内に存在する自治体というのは、極めて財政規模が小さい、そういう自治体がかなり多いわけなんですね。いわゆる予算にしても、経常経費に圧迫されているとか、なかなか政策予算が捻出されていないとか、そういった自治体がやはり多いわけなんです。

 先ほど御答弁いただいた今の制度設計の中にあっても、廃屋の除去というのはかなりハードルが高いというふうに思うんですね。二分の一の補助、しかし、それも、撤去した後にまた新たな事業者を見つけてこなければならないとか、そういったことがある。

 ただ、これは、国立公園の性質上、国家国民の財産であるということ、そして、国の内外に日本の国の姿というものを示していくという手段にもなるわけなんです。是非、国が応分の責任を持って景観を再生させること、これを強く望んでいるわけなんですけれども、制度の改正含めて、制度のもうちょっとバージョンアップした改正をも含めて、考え方をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 今おっしゃられるとおり、先ほどの国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業というのは、令和四年度予算の中で十六・七億円お願いさせていただいているところですけれども、実際に十六・七億円、十一か所ということであれば、それぞれのところの予算というのは非常に限られてくるわけですね。大きな廃屋も含めて作業するとなると、当然、先ほどおっしゃられたように、数億の話だと思います。

 したがって、この間の阿寒摩周の国立公園を見させていただいたとき、おっしゃられるとおり、自治体的には規模は非常に小さいわけですから、地域の関係者の方々もほとんどボランティアということでいろんな作業を進められる中で、こういうことがあるんです。

 そういう意味で、数字的にももう少し大きなものが必要だなというふうに思いますけれども、今、地域の関係者の方々と連携して、更に進めていきたいなというふうに思います。

 地域の関係者の方々の作業の中には、例えば川湯の地域に行きましたら、川は温泉が流れているんですね。温かい。だから、はだしでそこをずっと行けるようにということで、川底をきれいにしたりするんですけれども、それも大変な作業です。それを全部ボランティアの方で頑張っているという話も伺いました。

 しかし、そこには当然、限度もあるわけですから、やはり国の管理する国立公園として、更にできることは増やしていかなければいけないなというふうに思います。

東分科員 現在、国立公園に関しましては、ゼロカーボンパーク、こういった新しい事業も進めているということを承知しておりますので、これに応募するところがどんどんどんどん増えるような、そういった意欲的なことを推進するためにも、景観の保全、そういったことにも是非積極的にお取り組みいただきたいと思っております。

 また、国立公園の整備、この公園内の整備というのが、またすごく過酷なものがあるわけなんですね。いわゆる国立公園の性質上、重機とかトラックだとか、そういったものが乗り入れができない。まさしく人力で資材を運んだり、公園が広いものですから、極めて広域ですから、二十四時間拘束されたり、避難小屋一つ設置するのも大変な過酷な労力。

 今、全国の中で、国立公園の整備をする応札業者というのは極めて少なくなってきているんです。なぜなら、これはもう大変だからなんです、端的に言えば。伝統芸能と言ってもいいぐらいの、そういった労力なんですね。そこで、ヘリコプターを使用する、そういったところもあるわけなんですけれども、これはやむなく、資材なんかはヘリコプターを使用する。動植物の保護だとか、生態系を常に担保しながらの整備が望まれる。現状から申し上げますと、厳しい。

 これら独特な内容ゆえに、調査設計価格、これが果たして実情に合っているかどうかという声も聞かれるわけなんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、国立公園等の自然公園等の整備に当たり、調査設計等において、自然公園に特化した、その場所に必要な設計業務等の標準積算基準書というのを特別に定めているところでございます。また、工事においても、自然公園等の工事積算基準というのも定めて、その自然公園での適切な工事が行われるように配慮しているところでございます。

 このうち、例えば設計業務等標準積算基準書においては、例えば施設の設計の初期段階から配置や規模、構造等が自然環境の保全等に配慮したものとなるように明記して、これは特別なプラスアルファがあるということも想定して、それぞれの自然公園の実情に応じた積算となるよう工夫をしているところでございます。

 引き続き、こういったものをきちっと運用されるようにしながら、国立公園の、自然公園の整備というのを適切に実施してまいりたいと思います。

東分科員 環境省所管についてはこれで終了させていただきたいと思いますが、続けて農水省所管の問題についてお伺いしたいと思います。

 独立国としての要件というのはいろいろあるんでしょうけれども、そこのところでは、食料、エネルギー、その他生活必需品の安定供給というのは欠かすことはできないのはもちろんのことであります。

 しかし、昨年は、木材の供給が途絶えるという事態に陥りました。いわゆるウッドショックと言われる事件です。外国産の輸入材がコンテナ不足等の理由により供給が途絶えたということ、それを受けて、国内産の供給を求める声が高まりを見せたということであります。

 それから一年たつわけなんですが、木材の安定供給という分野で今までの対策、また今後の施策をお伺いしたいのと同時に、政府はこうした中で、関係者間による情報共有により需給変動に対応するため、中央、全国七地区及び都道府県において需給情報連絡会議を開催したと承知しておりますけれども、その協議会での主な内容、これをお伺いしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、昨年来のいわゆるウッドショックと言われる状況によりまして国産材への代替需要が強まっている中、国産材につきましては製材工場等が稼働率を上げて対応しているところでございますが、現在も、原木、製品共に価格は高値で推移している状況になっております。

 我が国の建築用の木材需要の約半分は輸入木材により賄われておりますが、今般のこのような状況に対応していくためには、我が国の豊富な森林資源を循環利用し、国産材の供給力を強化することによって、海外市場の影響を受けにくい需給構造をつくっていく、そういうことが重要だというふうに考えております。

 これも議員からお話がありましたように、農林水産省におきましては、緊急的な対応として、正確な需給情報を共有していただくため、川上から川下までの関係団体による需給情報連絡協議会を、昨年来、中央及び全国七地区において継続して開催してきているところでございます。

 協議会におきましては、いわゆるこうしたウッドショックを機に国産材への代替需要が高まる中で、今後、国産材の安定供給に向けて、乾燥施設の整備の推進とか、あとは、品質が明らかなJAS認証材の一層の普及、また、素材生産の増産に向けたインフラ整備が必要、そういった意見が寄せられたところでございます。

 こういった意見も踏まえまして、戦略的対応といたしまして、製材工場における木材乾燥施設の整備、JAS構造材の普及、実証、路網整備の推進等、そういったことに必要な対策を令和三年度補正予算に措置するとともに、令和四年度の当初予算にも計上しているところでございます。

 こういった施策を通じて、国産材の安定供給体制の構築に取り組んでいく考えでございます。

東分科員 安定供給、これは、供給のチャンネルというものをやはり一定以上増やしていくということも大きな施策の一つだと思うんです。

 森林・林業、木材産業をめぐる情勢については、御承知のとおり、森林は、戦後造成された人工林を中心に蓄積量が増加をしているということ、そして多面的機能の継続、そして、何よりも、今し方、SDGsへの関心に応えるためには、この森林資源を刈って、使って、植える、この循環利用をすることが重要だと考えております。六月十三日に閣議決定された新たな森林・林業基本計画においては、森林の適正な管理と森林資源の持続的な利用を一層推進することによって、林業、木材産業が内包する持続性を高めながら成長発展させ、人々が森林の発揮する多面的な機能を享受できるようにしていくと表明をされているところであるんです。

 それら、カーボンニュートラルの実現に向けた森林・林業、木材産業、これらの考え方、そして施策としてどのような推進をしていくのか、お伺いしたいと思います。

武部副大臣 議員が御指摘いただいたとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、それから森林・林業、木材産業のグリーン成長に向けては、切って、使って、植える、資源の循環利用を確立すること、それから、CO2を固定する木材利用を進めるとともに、成長の旺盛な若い森林を増やしていくことが重要だと考えています。

 このため、農林水産省としては、間伐等の森林整備や治山事業等の着実な実施、加えて、効率的な再造林や木材利用の拡大が図られるよう、成長に優れたエリートツリー等を活用した、伐採から再造林、保育までの収支をプラスに転換する新しい林業の展開、そして、中大規模建築物等の木造化、木質化に資するCLTや木質耐火部材等の開発、普及などによる都市、非住宅分野等における木材利用の拡大等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

東分科員 不慣れなもので、もう時間がほとんどなくなってしまいまして、一点だけ。

 森林の間伐の実施の促進、これは実際に、現場の環境、これがやはり必要だと思っているんです。

 今、全国で四十万キロぐらい林道、作業道があるかと思いますけれども、将来の整備の目標値というのがあればお伺いしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 令和元年度末の林道と森林作業道を合わせた路網の延長は三十八万キロメートルとなっておりますが、相対的にコストの低い森林作業道の整備が先行し、路網の骨格となる林道の整備が遅れている状況にあります。

 こうした中、昨年六月に閣議決定しました新しい森林・林業基本計画におきましては、林道と作業道を適切に組み合わせた路網整備を進めることといたしまして、二〇三五年にこの三十八を五十一万キロまで延ばす、さらに、将来の望ましい延長としては、六十万キロ程度を目指すということとしております。

 このため、農林水産省では、森林整備事業等により路網整備の支援を進めておりまして、地方公共団体とも連携して、この目標に向かって頑張っていきたいというふうに考えているところでございます。

東分科員 先ほど御答弁をいただきました。先ほど、局長の御答弁だったでしょうか、乾燥機等々も含めて、木材のサプライチェーン、これをやはり、いいサイクルになるように是非とも推進していただきますことを御祈念申し上げまして、私の質問を終了いたします。

鷲尾主査 これにて東国幹君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 今日は、第六分科会での質問の機会を頂戴をいたしました。ありがとうございます。また、山口大臣にもどうかよろしくお願いいたします。

 私の方から、では早速、通告に従いまして、まず気候変動問題につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この気候変動問題、我々公明党も大変にこの解決についてということで訴えてまいりまして、脱炭素社会の実現、こういうことを自公、与党で力を合わせて進めていこう、こういう大きな流れの中で、二〇五〇年カーボンニュートラル、こういう大きな目標を政府で決めたわけでございます。政策を大きく転換をしてまいりました。

 やはりこの気候変動の問題というのは、何といっても将来世代への責任ということで、未来に対する責任を今の政治がしっかり取って進めていかなければいけない、こういう問題であるというふうに私は思っております。まずは二〇三〇年度の四六%削減、これも大変に難しい目標ではございますけれども、まずこの目標の達成に向けて全力を尽くしていかないといけないと思っております。

 そのためには、もちろんエネルギーの分野もそうでありますけれども、産業であれ運輸であれ、いろいろな分野で取組を前に進めないとこれは達成をしないわけでありますけれども、やはり、何といっても大事なのは、人々の、皆さんの意識というか、こういう具体的な行動を環境に優しい形のものに、消費の仕方というか、そういうのも社会全体で変えていく、こういう大きな何といっても流れができないと、音頭だけ取っていってもなかなか進まないのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、私ども公明党、例えば、前回の選挙でもグリーンライフポイントということを訴えてまいりました。環境に優しい行動、今までもいろいろなポイントを使った政策の誘導というのはやってきたわけでありますけれども、環境に優しい行動、これをポイントで評価をされる、人々の行動変容をこうやって促していこう、こういう取組をしっかりやっていってはどうか、こういうことを訴えてきたわけでございます。

 これについて、現在、グリーンライフポイント、どういう形で施行しようとしているのか、あるいはどういう形のものを目指そうとしているのか、これについて御答弁をいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねございましたグリーンライフポイント推進事業でございますけれども、令和三年度の補正予算でお認めいただいてございます。これは、環境配慮製品あるいはサービスの選択といった消費者の環境配慮行動に対して新たにポイントを発行しようとする企業あるいは自治体などに対しまして、その準備経費の支援を行うものということでございます。

 現在の準備状況でございますけれども、年度内、本年度内に事業者の公募が開始できるように、現在、各種申請の様式でございますとかガイドラインの作成など、準備を着々と進めておるところでございます。

 この事業を通じまして、例えば、地産地消の農作物の購入でございますとか、販売期限間際の食品の購入、あるいは、ワンウェープラスチックスプーンの辞退といった消費者の環境配慮行動に対して企業などがポイントを発行する取組を大幅に拡大させていく所存でございます。

 これによりまして、消費者が日常生活の中で環境配慮に取り組むインセンティブを実感できるような環境を醸成し、消費者の行動変容、ライフスタイルの転換を促進してまいります。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。御説明いただきました。

 確かに、グリーンライフポイント、今回、補正予算で、今まさに施行しています。直接的にこのポイントについて予算を使うというわけではないんですけれども、しかし、こういうポイントという形で見える化をする、この初期費用というか、これを始めるというところをしっかりと後押しをする制度になっていると理解をしております。逆に言うと、一旦これをスタートできれば、予算事業であれば予算がなくなると終わってしまうわけでありますけれども、これはずっと続けることができる、こういう事業でもあります。

 今、皆さん、SDGsを始めいろいろなことに関心が非常に高いというふうに思っておりまして、私もこの前お伺いをしたのが、ある商品について、普通に置いても全然売れないんだけれども、例えば、海外でこれはいろいろなSDGsの取組に合致をしたような、そういう商品であるということをうたって書いたところ、これはもう全然売上げが違うというふうなお話も具体的に伺ったこともございます。

 やはり、こういうポイントという形でいろいろな環境行動を見える化をしていくというのは、私は非常に大事だと思いますので、しっかり進めていただきたいと思います。

 そして、それだけではなくて、環境省、過去には、例えばクールビズでありますとか、いろいろな社会の人々の行動を変えていくというものを、やはり旗を振ってきていただいたわけでございますので、これはこの分野でも、グリーンライフポイントにとどまらず、いろいろな行動変容の取組というのも引き続き続けていって、いろいろな分野でやっていっていただきたいと思いますけれども、個人の行動変容というところにつきまして、環境省のこれからの取組ということで答弁いただければと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 我が国の温室効果ガス排出量でございますけれども、製造段階等のCO2も考慮いたしますと、約六割が衣食住を中心とした家計関連に由来しているところでございます。このため、脱炭素型のライフスタイルへの転換によって、需要サイドから脱炭素社会への変革を誘導していくこと、これが極めて重要であると考えてございます。

 環境省としては、これまで、CO2削減につながるような取組について、先ほど委員からもございました、クールチョイスの旗印の下に、クールビズ、ウォームビズを含め、国民に呼びかけを続けてきたところでございます。

 昨年夏からは、衣食住あるいは移動など、誰もが日常生活において取り組むことができるような具体的な脱炭素行動の選択肢とそのメリットをゼロカーボンアクション三〇として取りまとめ、取組を呼びかけてきております。

 また、先ほどございましたグリーンライフポイント事業による企業、自治体等による環境配慮ポイントの発行拡大、さらには、行動科学の知見を生かしたナッジ手法の活用による効果的な情報提供や働きかけの推進によって、国民の行動変容を促してまいります。

 さらに、年明けに、炭素中立型経済社会への変革に向けて、総理からも指示をいただいております。この指示に基づきまして、国民一人一人の理解促進、暮らしの変革といったライフスタイルの変革のための具体策について、中央環境審議会に小委員会を設けまして、早急に検討を深めてまいりたいと考えております。

中野(洋)分科員 これからも検討を深めるということで、更なるこの政策の推進というものを是非期待をしたいというふうに思います。

 続きまして、少しテーマを変えまして、動物の関係でちょっと何問かお伺いをしたいと思っております。

 一つは、人と動物の共生社会、動物愛護の取組を中心にお伺いをしたいと思います。

 私も、地元で動物愛護に非常に熱心に取り組んでおられる団体や、あるいは市議会の議員の皆様もいらっしゃいまして、国でもしっかり取り組んでほしいということで、初当選以来、取組を進めてまいりました。

 環境省も、殺処分の問題ということで、一つは、大きく、殺処分ゼロを目指していこうというふうなことも掲げていただいたり、それを進めていくに当たって、また動物の福祉という観点からも、いろいろな付随をする問題も出てきたかというふうに思います。

 また、動物愛護法の改正というのも行ってまいりまして、私も超党派の議員連盟にも参加をしておりますので、こうした動物愛護法の改正、これも進めてまいりました。

 二〇一九年の改正はかなり大きな改正ができまして、八週齢の規制でありますとか、あるいは、飼育や管理の基準でありますとか、そして、私もこれは強く訴えさせていただいた動物虐待、これの厳罰化ですね、これを進めていったり、また、マイクロチップの装着の義務化でありますとか、いろいろな多岐にわたるテーマで動物愛護法の改正もございました。

 また、地元では、特に、地域に密着した取組ということで、殺処分の関係で問題になりましたのが、多頭飼育崩壊という問題がありまして、これは、猫が家にいるんだけれども、飼い主の方はいろいろな問題を抱えられていて、猫が飼い切れないというか、非常に繁殖をしてしまって、もう家中猫で本当にいっぱいになって、どうしようもなくなってというふうな、これはやや、福祉と連携をしないと、なかなかペットにだけ着目しても解決をしないといった問題もありまして、これも国で研究を進めていただいて、ガイドラインを作っていただいたりと、いろいろな取組をしております。

 現在、地元の尼崎市では、これはふるさと納税などの財源も活用しながらなんですけれども、高齢者とペットの安心ということで、相談の窓口、これは動物愛護団体の皆様に御協力いただいて、こういう相談をさせていただいてという、こういう事業も行っております。

 しかし、これは実際にお話を伺うと、やはり、病院に入院しようと思っても、ペットが持ち込めないからちょっと入院がどうしてもできないですとか、あるいは、ペットの相談だったんだけれども、実際は健康や福祉とか、いろいろな複合的な課題を抱えられているような話でありますとか、これは高齢者にまつわる課題というのが様々あるなと。

 そして、他方で、高齢者の方の生きがいという意味では、やはり、コンパニオンアニマル、ペットがいるというのは高齢者の方にとっても非常にいいことだ、大事なことだというふうには思うんですけれども、こういう様々な高齢者とペットという課題があるということを痛感をしております。

 地元でも、いろいろなこういう、何がお困りなのかという声をしっかり聞いていただいているんですけれども、国として、こうしたペットと高齢者、どういう問題意識があって、今どんな取組をしているのかということをお伺いをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 高齢者のペット飼育に関しましては、例えば、病気や入院でペットの世話が十分にできないといったことですとか、福祉施設等でペットを連れて入居できない、そういったような問題が、様々な課題があるというふうに承知しているところでございます。

 環境省では、そういった問題に対応するために、高齢者世帯の窓口となる地方自治体の一助となるよう、パンフレット等を作成して、また配布して、高齢者の備えとして、例えば、一時的な預け先を確保しておくこと、若しくはペットホテルやペットシッターを調べておくこと等、そういったことを一般の飼い主へ広く周知しているところでございます。

 また、別の問題として、高齢者が動物の繁殖を管理し切れない、そうなると、先ほど御指摘いただいた多頭飼育になってしまう、こういった問題も出てくるかと思います。そういった場合には、十分に世話ができず、ペットの状態の悪化ということのみならず、飼い主ですとか周辺の生活環境の悪化を招いてしまう、こういった問題も生じているというふうに承知しております。

 多頭飼育問題が発生した場合には、動物愛護管理や社会福祉を担当する各機関が連携していく、そういった取組が必要というふうに考えておりますけれども、環境省では、令和三年の三月、多頭飼育対策ガイドラインを作成しまして、これを配布して、地方自治体において、人と動物、周辺の生活環境の問題を解決するために御活用いただけるよう呼びかけているところでございます。

 高齢者のペット飼育に関するこうした様々な問題については、現場の状況を十分把握しながら、今後とも、地方自治体等の関係機関と協力し、また連携しながら、対応を検討していきたいと思います。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 確かに、これは環境省、動物部局だけで対応できる問題ではないということで、やはり、自治体あるいは福祉の部局との連携というのが非常に大事だというふうに思っております。

 また、環境省の方でも、またいろいろな課題が出てきましたら、いろいろな形で、関係の例えば厚労省の方と連携をして、いろいろな整理をしていただくですとか、また、あるいはそれを自治体の方にも周知をしていただくとか、いろいろな取組がまた可能かと思いますので、是非、こうした現場から上がってくる声にしっかりとまた対応を是非お願いできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、済みません、大臣にもちょっとお伺いをしたいんですけれども、この動物の愛護の問題、人と動物の共生社会という問題、高齢化社会の中でどうするかというテーマで先ほどは取り上げさせていただきましたけれども、環境省にとっても非常に重要な課題であるというふうに思いますので、この人と動物との共生社会ということにつきまして、是非大臣からも御決意というか御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

山口国務大臣 中野委員のおっしゃっておられるようなことで、私も非常に大事なことだと思っています。特に最近、コロナでもって引きこもりの中で、動物によって何とか癒やされているということもよく聞きますし、動物とどういうふうに共生していくかというのは非常に大事な問題だと思います。

 私、先週末、地元のたつの市に県の動物愛護センターというのがあるものですから、そこに伺わせていただいて、いろいろと説明も聞かせていただきました。その中で、実際に飼うからには責任を持って飼っていただかないといけないんだというようなことも含めて、今、非常にみんなに啓発しているところですという話も伺ってきました。

 世論調査によると、国民の七五%が、ペットから生活の潤い、安らぎを得られるという回答もあります。ペットは多くの国民にとってかけがえのない存在となっている。一方、国民の三七%が、ペットの鳴き声等により周囲に迷惑をかけることを懸念している。人が動物を飼うことには、そういう意味では責任も伴うということだと思います。

 環境省では、先ほど中野先生からもいろいろと御指摘ありました、先生もいろいろと御尽力された中での令和元年に改正された動物愛護管理法の完全施行に向け、令和三年六月から、動物取扱業者が守るべき基準を施行し、また、本年六月からは、犬と猫へのマイクロチップの装着、登録の義務化をスタートさせる。

 こういうことを通じて、改正動物愛護管理法が目指した、動物取扱業の更なる適正化、そして飼い主責任の明確化などを着実に進めて、人と動物の共生する社会の実現を図ってまいりたいと思います。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 大臣も動物愛護センターにも行っていただいたということで、ありがとうございます。引き続き、この取組、また様々お願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そしてもう一つ、動物の関係でいいますと、愛玩動物看護師法、これについて、これも私、超党派の議連で活動をしまして、これは、動物看護師、いわゆる愛玩動物に関して獣医療のサポートをする、こういう資格、国家資格化にしよう、こういう取組でありまして、これも二〇一九年に法律が成立ということでございまして、施行の準備を、まさにこれは資格でありますので、これを準備をしていただいております。

 ただこれも、新たに、今まで様々な資格があったものを国家資格ということで統一をしてやっていくということでございますので、かなり関係者の皆様には大がかりな準備をしていただいているところであります。

 これの法律の施行、全部施行が令和四年ということで伺っておりまして、今現在、その施行に向けていろいろな準備を行っている、これを着実に、スムーズにやっていくことが非常に大事だと思っております。

 現在のこの法律の施行に向けての全体的な対応の状況、これについてまずはお伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答えをいたします。

 現在の状況といたしましては、今年五月の一日が法の完全施行でございますので、必要な通知類の整備等というのを順次行ってきているところでございます。

 それに際しましては、昨年三月に、愛玩動物看護師カリキュラム等検討会報告書、こういったものを取りまとめて、それを参考にしながら進めておりますけれども、その後、法施行準備を進める中では、主務省である農林水産省さん及び環境省の方にも、様々な御意見を動物看護に関わる各種団体の皆様からいただいているところでございます。

 そういった御意見も参考にしながら、今、先ほど申し上げた作業を進めておりまして、例えば、主務大臣が指定する講習会をオンデマンドで実施可能とする、こういったのも御提案いただきましたので、実施要領を定めたりしまして、通知類の整備というのを今鋭意進めているところでございます。

 引き続き、動物看護教育ですとか動物看護の現場に携わる各種団体の皆様の御意見を聞きながら、円滑な法施行に向けて取り組んでまいりたいと思います。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 関係される方もかなり多岐にわたりますので、やはり現場でしっかりと、どういうニーズがあるのかということも含めて、先ほど関係団体のお声もしっかりと参考にしながらということで御答弁もいただきましたので、しっかりこれを聞いていただいて、是非、円滑な施行というのが、制度の最初に混乱をすると大変困りますので、やはりこれをお願いをしたいと思います。

 私もちょっと何点か、いろいろな御要望をいただく中で少し気になったこともございますので、各論ではありますけれども、少し具体的に御質問もさせていただきますと、例えば、愛玩動物看護師法には名称独占という規定がございまして、名称については資格を持った人しか名のれないという仕組みもございます。

 他方で、少し懸念の声として上がっておりますのが、似たような名称のものも今出てきて、あるのではないかということが言われております。これは確かに、類似の名称のものが様々乱立しますと、せっかく国家資格をつくったわけでありますので、それは非常に混乱をしますし、国家資格化した意味というのが本当にあるのかというふうなことにもなりかねないと思っております。

 国としては、こうした問題にはまずどう認識、あるいは対応しようとしているのか、これについて今の御認識をお伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、愛玩動物看護師法においては、愛玩動物看護師ではない者は、愛玩動物看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない、こういうふうに規定されているわけでございます。法の施行の際にこうした名称を使用している者については、施行後六か月間の経過措置というのも設けられておるところでございます。

 現在、民間団体によって動物看護に関する多数の資格が運用されているというふうに承知していますけれども、残念ながら、それらを網羅的に把握するというのはちょっと難しい状況でございます。ただ、中には、やはり紛らわしいと考えられる名称の資格も存在するのではないかというふうに我々も承知しているところでございます。

 主務省としましては、まずは、社会において愛玩動物看護師の認知度、これを向上させて、制度として普及させていく、これに関係者が取り組んでいくということが重要だというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、名称使用に関する違反事例というのは発生しないように、様々な機会を通じて関係者に制度の周知徹底を図って、適切な運用を進めていきたいというふうに考えております。

中野(洋)分科員 施行に当たりまして、やはり、先ほど答弁いただいたような、国家資格はこれなんだということがはっきりと皆さん分かっている、こういう状況であることが非常に大事だと思いますので、施行に向けて、ちょっとどんな状況であるかというのもしっかり見ていただきながら、また是非御対応をいただきたいと思う、そういう問題でございます。

 そして、もう一つは、受験環境の整備、これについても少し懸念をしておりまして、例えば、法律が施行されますと、今既に働いている方というのがいらっしゃるわけであります。こうした方については、講習会を受けて、そして、そういう所定のカリキュラムをそういう学校等で受けられている方はいいと思うんですが、場合によっては予備試験も受けていただいて、そして本試験という、かなり、働いている方がしっかりとこの資格を取るためには、いろいろな準備と、試験を受けないといけないということもございますので、例えばこうした方々が受験の機会をしっかりと確保することができる、こういう環境整備をしていくというのは非常に大事であると思います。

 せっかく資格をつくったのに、いざ始まってみたら仕事が忙しくて資格が取れないということであってはやはり困ると思いますので、これは関係の方の受験環境に向けた啓発であるとか、いろいろな働きかけを是非していっていただきたい、こういう問題意識を持っておりますけれども、環境省の御答弁をいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 現在、動物看護等の業務に関わっている方のうち、希望される方、愛玩動物看護師の資格取得を希望する方に対して、法の概要ですとか受験資格等の分かりやすい情報提供に努めております。

 具体的には、資格要件ですとか、その概要を、手続も含めて、パンフレットを作成して、必要とする方に情報を届けるために、例えば獣医師ですとか看護師の職能団体の協力を得て配布する、また、制度に関する理解を深めるためのQアンドAを作成して、主務省のホームページに掲載しているところでございます。

 こういった取組を通じて、関係者が、皆がこの制度を理解して、希望される方の受験を後押しできるようにしていきたいというふうに考えております。

 こういった形で積極的に普及啓発を図るということで、国家試験の受験にハードルがなくなるようにというふうに考えておるところでございます。

中野(洋)分科員 二つ取り上げましたけれども、これ以外にも様々、いろいろな御要望をいただいておりますので、またちょっと環境省の皆様にも聞いていただきまして、是非積極的な御対応もお願いできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 今日は、ちょっと時間の関係で、もう動物看護師の関係はこのぐらいにいたしますけれども、最後に、大臣もよく御存じかと思いますが、瀬戸内海の環境保全特別措置法、これについて最後に一問お伺いをしたいと思います。

 御承知のとおり、兵庫県は漁業が盛んですけれども、栄養塩類の不足などでノリが色落ちしたりと、いろいろな課題がありまして、これを環境省に、法律改正ということでしていただいたわけであります。この栄養塩類管理制度、創設をされまして、いよいよスタートということであります。

 兵庫県としても、しっかり対応できるように管理計画を早く作るということで、今、全力を尽くしておりますけれども、改正瀬戸内法、これに基づいて、早く豊かな海の実現を、取り組んでいきたいというのはまさに地元の悲願でもございますので、是非、環境省としても、この県の取組始め地元の取組をしっかりとサポート、また後押しをしていっていただきたい、こういう要望でございます。

 まず、この施行に向けた取組につきまして、最後にお伺いをしたいというふうに思います。

松澤政府参考人 先生御指摘いただきましたとおり、瀬戸内海におきましては、周辺環境の保全と調和した形での、海域ごと、季節ごとのきめ細かな栄養塩類の管理や、生物の多様性、水産資源の持続可能な利用の確保を進めるため、昨年の国会で御審議いただき、昨年六月に瀬戸内海環境保全特別措置法が改正されたところでございます。

 環境省におきましては、同法の改正を反映しました瀬戸内海環境保全基本計画の変更を近く行う予定でございます。さらに、改正法が施行されます本年四月までに、瀬戸内海の関係府県がスムーズに改正法を施行、運用できるよう、施行通知ですとか、関係府県による栄養塩類管理計画の策定のためのガイドラインを作りまして、これをしっかりとお知らせする予定でございます。

 また、令和四年度予算案には、兵庫県始め関係府県に対する栄養塩類管理計画策定の補助制度というものも盛り込ませていただいておりまして、財政的なサポートも行わせていただきたいと考えております。

 こうした支援を通じまして、関係府県とともに、きれいで豊かな海の実現に向けて取り組んでまいります。

中野(洋)分科員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田有一朗君。

和田(有)分科員 おはようございます。

 この場で質問させていただくこと、本当にありがとうございます。日本維新の会の和田有一朗でございます。

 では、質問が多岐にわたりますので、早速入らせていただきます。

 まず、現在、環境省では、特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドラインの改定作業の最終段階にあると聞いております。熊については近年捕殺数が急増しておりまして、熊が人里に出てきている。その要因としては、杉、ヒノキの放置人工林問題であったり、温暖化等による天然林の劣化、生息環境の悪化、あるいは、過疎と高齢化によって、野生動物を寄せつけない集落環境づくりができなくなっているというような問題もあろうかと思います。

 野生鳥獣被害対策として、集落近辺から奥山まで至る所に設置された箱わな、くくりわなによる乱獲が起こっているという指摘もございます。特に、イノシシ、鹿用の捕獲許可を得たこのわなに熊がかかる錯誤捕獲の問題は深刻だと私は思います。錯誤捕獲は、許可のない捕獲となって、鳥獣保護法の原則では放獣しなければなりません。しかし、放獣できる体制を実際に持って、実際に放獣しているという都道府県は僅かだと私は認識しています。

 このような状況の中で、この錯誤捕獲がどんどん続いていきますと、熊は、正直言って、乱獲状態になって過剰捕獲が続いて、地域的に絶滅してしまうというおそれがあると私は思うんですが、その点についていかがお考えでありましょうか。

山口国務大臣 和田先生の今の御指摘について、近年、熊の捕殺数が増加する傾向にあります。確かに、山でもって餌がなくなって出てくる、私の地域でもいろいろそういうケースも見られるんですけれども、そういう意味では、熊の生息分布域の拡大、あるいは餌となるドングリ等の不作、生ごみ等の誘引によって人里に多く出没するということだと思います。

 一方、熊の適切な保護管理のため、環境省の現行のガイドラインに基づき、各都道府県において、特定鳥獣保護管理計画において熊の捕獲上限を設け、地域個体群の保全に支障が出ないようにしっかり管理していくこととしています。

 環境省としては、人身被害の防止を前提としつつ、地域的な絶滅を招くことがないよう、熊の個体群管理を適切に推進してまいりたいと思っています。

和田(有)分科員 今、適切に実施をしている、このように大臣から申されましたけれども、いろんな問題がやはり現場には私はあろうかと思います。

 その中で、幾つか取り上げてお伺いしたいと思うんですが、まず、くくりわなの関係でございます。

 先ほども申しましたように、錯誤捕獲が非常に多くなっている。これは、捕獲許可を得ていない野生動物も簡単にかかってしまうという現実があります。しかも、かかった野生動物がわなを外そうとしてもがいて、足がちぎれてしまうといったような大変残酷な結果を今招いています。足を失った野生動物を放獣しても、もう野生には戻れないという現実があります。

 くくりわなは、有害捕獲なら容易にかけられて、許可数にも制限がないと伺っています。至る所にかけられているとも言われています。現在の制度では、どこに何個わながかけられているか把握すらできないのが現実だと思います。

 このように、この状況が続きますと、希少種、絶滅危惧種の乱獲も、まさに先ほど言いましたように引き起こされるのではないか。しかも、大変残酷な状況で、動物福祉の観点からいっても問題ではないかと私は思います。

 捕獲を推奨するわけではありませんけれども、現在では、もはやこのような重大かつ残酷な結果を招くようなわなは使わなくても、代替手段はいろいろと開発ができると私は思っています。くくりわなを使用禁止猟具にすべく、いろんな開発を進めながら、そして、そういったことを、くくりわなを使わないようにするような法整備を進めるべきだと私は思うんです。

 その法整備ができるにしても、それまでは、やはり熊がかからないように、わなの直径を、わなの大きさを十二センチに、規制を徹底させるべきだ。熊の生息地では使用させないような、十二センチ以下のものは、使用させないということをしっかりすべきだと思うんです。

 さらに、くくりわなの実態把握のために、どれぐらいくくりわなが設置されて、どんな動物が何頭かかって、殺処分されたのか放獣されたのか、実態が本当にきちっと把握、私はできていないと思うんですが、そういうことができる仕組みをつくるべきだと思いますが、お考えをお伺いいたします。

山口国務大臣 御指摘のあったくくりわな、これは、鳥獣被害を防止するための捕獲対策に有効な手法の一つとは考えていますけれども、環境省では、今御指摘のあったように、熊の錯誤捕獲を防止する観点から、くくりわなの直径を十二センチ以内とするなどの規制を行っています。

 また、わなを設置した付近で熊の生息が確認された場合には、わなを移動するなど、わなの適正な使用の徹底を図ることとしています。

 なお、昨年十月には、錯誤捕獲の防止に効果が見込まれる場合には、わなの形状の見直し、あるいは使用規制などの措置を講じることとしたところです。現在、関係団体などへのヒアリングを進めており、今後、くくりわなに係る規制の見直しを含めて、錯誤捕獲の防止のための検討を進めることとしています。

 規制の見直しの結果がまとまった際には、都道府県などを通じて周知を図り、熊の錯誤捕獲の防止に努めてまいりたいと思います。

和田(有)分科員 是非ともこれはしっかりとやっていただきたい。

 現場では適当な感じになってしまって、国ではそう言っているけれども、こうだああだというようなことにならないように、しっかりとやっていただきたいと思います。

 次に、わなによる過剰捕獲の抑制についてという意味から御質問させていただきます。

 近年、熊の捕殺数が増加傾向にあります。集落近辺や山中に大量の箱わな、くくりわなが設置されていることが原因であると私は思います。都道府県の中には、出没を確認しない段階で生息推定数をはるかに超えるわなを半年から一年という長期にわたってかけて、問題を起こした熊かどうか、そんなことを考えずに、捕獲された熊はもう害獣として害獣駆除する自治体もあると私は伺っています。

 鳥獣保護管理法上の捕獲は、被害があって、それが問題となる、こうなった段階で、出没があって初めて捕獲許可が出て、被害対応に応じて短期間、大体一か月程度と思いますが、わなを設置するのが原則であろうかと思います。実態は、実はそうなっていない。そのような捕獲が乱獲、過剰捕獲を生む結果になっていないんでしょうか、そうなっているんじゃないでしょうか。

 例えば、私、大臣もそうですが、兵庫県なんかは、大体、推定数が八百頭以下にもかかわらず、二千基以上の箱わながかけられている。それも、所によっては誘引物を置いて、熊が大好きな蜂蜜とかそういうものを置いて、まるで熊をおびき寄せているような状況になっているところもあると言う人も、山の方の方では言う方もいらっしゃるんです。

 これでは、どんどんどんどん捕まえるために置いているような姿になってしまっている。これはいかがなものかと思うんですが、お考えをお伺いいたします。

山口国務大臣 確かに、熊がいろいろ出てきて人が被害に遭っている。悪い熊さんはたくさんいるわけですね。他方、やはりこの熊さんに対する愛情も我々は持っているわけです。まあ、いい熊さんたちも当然いるんだと思います。

 そういう意味ではその辺のバランスだと思いますけれども、都道府県では、環境省の現行のガイドラインを踏まえ、特定鳥獣保護管理計画において熊の捕獲上限を設けて、過剰な捕獲とならないように適切に管理しているところではあります。

 熊の地域個体群の保全と人間とのあつれきの軽減の両立を図るためには、人間と熊がすみ分ける、そういう発想が重要だと思います。

 こうした考えに基づいて、熊の保護を図るためのコア生息地、人身被害等の防止を図るための排除地域等を設定して、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理を引き続き進めてまいりたいと思います。

和田(有)分科員 すみ分けを進める、ゾーニング管理だと言われました。

 その前に、一点ちょっと気になるお言葉ですが、悪い熊さんと言われました。これは、人間から見たら悪い熊さんで、我々、人間社会のこの機構の中で、今国会もやっているわけですから、そういう表現もあるかと思いますが、熊から見たら、たまたま出ていったところに人間がいてびっくりして突き倒したら悪い熊になってしまうと。人間がたまたま出てきた熊にびっくりしてずどんと撃ったら、熊から見たら悪い人間になると。まあ、こういう考え方も、ここで言うのはおかしな話ですが、そういう物の見方も熊からはできるんだろうとは思いますが、それはさておいて、すみ分けのことを言われました。

 熊の対策について、統計学的な幅のある個体数推定に基づく個体数調整というものが推進され、捕獲に偏った対策が取られていると思います。

 そんな中で、熊との共存、被害や人身事故を減らすために不可欠である生息環境整備や被害予防といったすみ分け対策こそ重要であって、今大臣がおっしゃられたとおりです。政策決定も多様な主体の意見を取り入れながら、いろんな考え方をバランスを取りながら取っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山口国務大臣 今、和田議員の御指摘のとおり、人と熊のすみ分けというものが重要だ、そこがポイントですね。熊の適切な個体群管理のため、現場の多様な意見を聞きながら対策を講じていくことが大事だと考えています。

 そのため、鳥獣保護管理法の基本指針では、各都道府県が特定鳥獣保護管理計画を作成するに当たっては、学識経験者のほか、現場の農林水産業団体、狩猟団体、自然保護団体等から成る検討会や協議会などを設置して検討、評価を行うとともに、関係者の合意形成に努めることとしています。

 この令和三年度の野生動物保護管理運営協議会という中には、学識経験者あるいは農林機構、あるいは農業協同組合中央会、森林組合、自然保護協会、そしてまた日本熊森協会の会長さん、あるいは猟友会の会長さん、そういう方々で管理運営協議会を構成していただいて、それぞれの意見をお聞きしているというところです。

和田(有)分科員 しっかり多様な意見を酌み取っていただきたい、このように思います。

 次に、時間がないのでどんどん行くんですが、熊の胆の流通問題、その前にもう一点私から申し上げたいんですけれども、やはりこの統計学的な物の取り方でベイズ法を非常に重視していらっしゃると思うんですね。個体数調整という考え方に基づいている。これはやはり、ある部分、人間の独りよがりな物の発想の部分もあるのではないかと私は思います。

 人間が動物の数を管理する。管理するというのはやはり神の領域に我々が手を突っ込んでいるようなものでありまして、やはりそこら辺も、バランスを取ったものの、すみ分けに向けたいろんな対処をしていくためのベースにある物の見方にかじを切ってほしいなと私は思います。

 それはおいておきまして、次に、熊の胆の流通問題です。

 熊は、熊の胆が漢方薬として非常に高価に取引されて、乱獲や密猟が絶滅の原因となることから、ワシントン条約で商業目的での輸出入は禁止されています。また、闇ルートで海外へ流れることの懸念もあって、日本でも多くの都道府県で乱獲防止のために有害捕殺した個体を捕殺者が利用することがないように指導していますけれども、罰則や監督体制はないようですし、効果も限定的だと私は思います。

 絶滅危惧種に指定されている地域もある中で、熊の胆について厳格なトレーサビリティーもない中、有害捕獲個体について捕獲者に胆のう、毛皮、肉、全てを与える扱いにすることは、乱獲、密猟、そういったものを誘引することになりかねないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

山口国務大臣 熊の胆の流通と熊の捕獲の関係、ここはどの辺まで因果関係があるのか、そこら辺は承知していないんですけれども、鳥獣保護管理法を適切に執行することによって、御懸念の熊の乱獲や密猟が生じる事態が発生しないのではないか、そんなふうに思います。

 環境省として、熊の適正な個体群管理がなされるよう、引き続き、鳥獣保護管理法の適切な執行に努めていくことが重要だと思っています。

和田(有)分科員 御答弁いただいたんですが、その中で私は、有害捕殺した個体を捕殺者が利用することのないようにしっかり指導していっていただきたい、こう思うんですが、もう一点、その点についていかがでしょうか。

山口国務大臣 その辺、ちょっと私も今つまびらかじゃないので、ちょっと検討させてください。

和田(有)分科員 是非とも、また研究していただいて、前向きに対処していただきたいと思います。

 今、ジビエ料理、ジビエというのが非常に叫ばれるようになって、いつの頃からか、急に熊の保護の中で流通という言葉が出てくるようになりました。そもそも、害獣、余り私はこの言葉も好きじゃないんですが、害獣駆除をした後どうするかということになって、それは研究機関なんかが引き取るということが多い。その後どうするかという一つの流れの中でこういうものも出てきたのかなと私は思います。

 やはり、生命に対する尊厳、生命、まあ、人間だけではありません、生きとし生けるもの全てに対する命の尊厳ということから考えても、いかがなものかなと。鹿等で今非常にジビエ、ジビエと言っていますが、あれも果たして、我々人間の横暴な考え方なのかも分かりません。

 それはさて、ここで聞くことではありませんのであれですが、熊の胆の流通に関してもしっかりと目を届けてください。

 では、次の質問に入ってまいります。

 森林を破壊しての再エネ開発、これは本末転倒ではないかということをお聞きしたいんです。

 二〇一一年にFIT法が成立しました。それによって固定価格買取り制度が導入されたことによって、再生可能エネルギー開発は確実にもうかるビジネスになって、一獲千金を狙った内外の事業者が次々と電力事業に参入するようになっていると私は思います。ちょっと表現は、口は悪いかも分かりませんが、私はそんなふうに思います。外国資本がたくさん参入しています。

 そんな中で、メガソーラーや大規模風力発電の候補地とされたのが、価格低迷でまとまった用地が取得されやすい山林であったわけです。全国で大規模な今森林伐採を伴う開発が乱立をしているようです。

 こういうことが起こってくると、盛土によって土石流の危険が出てきて、住民とのトラブルが起こったり、乱開発を防ぐために、そういったことを防ぐために条例を作る自治体も出てまいりました。

 この開発をするということ自体が国土保全という観点からするといかがなことかと思いますし、再エネ事業者の利益を支えているのは、実は、電気料金に上乗せする形で国民から徴収している再エネ賦課金であります。国民の負担で外国企業が土地を買って、もうかって、そして水源が押さえられたり、乱開発が進むということが本当に日本の国益になっているんだろうかと私は思ってしまうんです。

 森林は熊を始めとする野生動物の生息地でもあって、大規模な森林破壊は生物多様性の保全から見ても大変な問題だと思います。

 再生エネルギーが必要であっても、森林を破壊するような開発であってはならないと思いますが、いかがお考えでありましょうか。

山口国務大臣 この再生可能エネルギーとそれから自然の関係、確かに、二〇五〇年のカーボンニュートラル、あるいは、二〇三〇年の四六%削減、あるいは五〇%の高み、こういうことを実現するためにいろいろなエネルギー源を考える際の再生可能エネルギーというのは非常に重要なわけですね。

 他方、御指摘のように、そのメガソーラー事業とかいうことで、いろいろと地元とのあつれきも起こっています。それも我々はよく承知しています。

 どういうふうにこれはバランスを取っていくか、考え方。今までのその状況に加えて、また、御指摘のように、外国からの資本というものもあります。だから、その辺のことを考えた場合に、私は先日、あるプロジェクトに対して、計画の抜本的見直しというところも環境アセスメントという中で言わせていただきました。

 やはり地元の合意形成というものを非常に大事に考えないと、こういう再生可能エネルギー一本やりということではなかなか物事は進まないというふうに思います。

 もちろん、森林というものが生物多様性保全において重要だというところは一般的な話としてあるわけですから、そういうこともバランスの中で考えながらやっていかなければいけない話だなというふうに思っています。

和田(有)分科員 しっかりとバランスが取れるようにお願いをしたい、こう思うんです。

 次の質問なんですけれども、森林を破壊する再生エネルギー開発という、私はそういう捉え方をするんですが、そこで、国内でも大規模風力発電開発計画というのがどんどん続いています。

 中には、森の回廊をぶち切って、山の尾根をだあんと切り開いて、これは風力発電を造ろうと思うと、単にぽこっとそこだけにできませんから、道を造り、それを開発をし、山を切って、そこに建てるという、それで尾根筋をだあんと全部つないでいくという、私、いつも飛行機でこっちに来るんですけれども、上から見ていますと、もうだだだだだだっと尾根筋に風力発電が並んでいるところがあります。私は神戸から東京に来ますけれども、これは東北の方に行ったらもっとすごいのがいっぱいあるように聞いたことがあります。

 今現実に国有林が貸し出されて、この風力発電開発が、その用地が貸し出されているというふうに聞くんですが、一体これは何か所、貸出面積は何ヘクタールで、それによって国有林はどれぐらい、それによって地代を得ることができているんでしょうか、教えてください。

宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 国有林野におきまして、風力発電施設は、本体や送電線敷、お話がございました、管理用道路等のための貸付け又は使用許可を行っている件数は、令和元年度末時点で百九十四件でございます。その合計面積は、約三百十二ヘクタール。貸付料の合計金額は、年間約二千万円となっております。

和田(有)分科員 多分、これが現状であって、今準備されているのはもっと多いと思うんですね。

 これは、私、はっきり言って、国家国民の利益から考えたらコストパフォーマンスに合わないと思うんです。これによって得られる、風力発電によって発電された電気によって、まあ環境的なものと、それによって負荷がかかって、結局森林が伐採されてしまって我々の財産が減っているということと、私はコストパフォーマンスとしては合わないと思うんですが。

 この風力発電が進んでいくということの中で、生物多様性の保全の観点から、どうお考えになるか、環境大臣、いかが思われますでしょうか。

山口国務大臣 これは、どういうふうに再生可能エネルギーの割合を増やしていくかというところの話も関わってきていると思いますね。

 それで、風力発電については、陸上、それからさらに洋上、これからいろいろ考えるんでしょう。洋上については、浅瀬が日本の周りには少ないものですから、そういう意味では浮体式ということも考えたり、だから、今、和田議員おっしゃられるような、日本の限られた、陸上風力の適地ということが非常に限られている中で、今国有林野についてのお話があるんだと思います。

 国有林野は、我が国の森林面積の約三割を占めていて、野生動植物の生息、生育地を結ぶなど、一般的な言い方をすれば、もちろん生物多様性の保全にとっては重要な役割を果たしていることは確かだと思います。

和田(有)分科員 みんな、大事だとは思っているんですよね。それをやはり行政面からきっちり形をつくっていくのが環境省の皆さんであったり、林野庁の皆さんですから、そこら辺しっかりとお願いしたい、このように思います。

 時間がないので次に参ります。

 先ほど中野先生も実はお聞きになった水産業の関係になってくるわけでありますが、瀬戸内法の関係でございます。

 先ほど中野先生が随分と、もうお帰りになりました、先ほどあそこに座っておられたんですけれども、細かくある程度聞いていただいたんです。

 我々、オール兵庫で一生懸命頑張って、瀬戸内海の栄養塩を増やさなきゃということで、この瀬戸内法が改正されました。そういう中で、ようやくいろんなところで、各自治体でも計画が始まって進んでいるわけですけれども、とにかく、窒素とリンの規制を緩和してもらって栄養塩を増やさないと、なかなか、水産業、豊かな海にならないよねということがあって、第九次総量削減計画なんというのもあるわけですが、その中で、窒素及びリンの規制の緩和について当局はいかがお考えでございますでしょうか。

務台副大臣 瀬戸内海の水質保全については、水質汚濁防止法に基づく総量削減制度というものがありますが、これに加えて、瀬戸内海環境保全特別措置法が設けられております。昨年の六月に、この特措法の改正により、栄養塩類管理制度が創設されております。

 この制度に基づき、府県知事が策定する栄養塩類管理計画にのっとって栄養塩類を供給する事業場については、水質汚濁防止法の総量規制基準を適用除外とする規定が設けられております。

 一方で、この一月に、第九次水質総量削減に係る総量削減基本方針が定められ、そこでは、地域における栄養塩類管理の取組を考慮した窒素、リン等の目標が設定されております。今後、各府県が総量削減計画を策定するに当たっては、この基本方針を踏まえた対応がなされるものと認識しております。

 環境省としては、総量削減制度と栄養塩類管理制度の両制度を用いて、きれいで豊かな瀬戸内海の実現に貢献してまいりたいと考えております。

和田(有)分科員 きれいで、そして豊かな海をつくらないといけないということで、その中で、規制の方もしっかりと、規制をしっかりやってくれと言うと規制しろということに聞こえちゃいますから、そうではなく、漁業者にとって、そして豊かな海がつくれるような数値に持っていくようによろしくお願いいたします。

 次に、まさに漁業のお話です。

 私も地元が、山口先生もよく御存じのとおり、瀬戸内海に面しておりまして、漁業者の方がたくさんおられます。私どもは、神戸市漁協、舞子、西垂水、東垂水、塩屋、西須磨、東須磨とそれぞれ漁業のグループがあって、その皆さんが一生懸命、漁をされておられます。ただ、非常に、漁業者の皆さん、苦しい状況にあります。

 そんな中で、水産物のまず販路拡大というものがどうしても大事だ。その中で、地産地消の意味から考えても、地元の学校給食への利用をもっと進めていくべきだ、こういう声があるんですが、どのように取り組まれるか。

 もう一点、続けて、漁業法が昨年改正されまして、それによって、漁獲統計の報告に加えて、これからは、漁業者個人ごとの漁獲データの報告が求められるようになってくる、これをデジタル化をして、そのデジタル化をしていく中でシステムを導入していかなきゃいけない、こういうことに関しても漁業者の皆さんにいろんな形で支援をしていく必要があると思うんですが、いかがでありましょうか。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 先生、お話がございましたように、水産物の国内需要を創出する上で、水産物の学校給食への利用は大変重要であるというふうに認識をしております。

 水産庁におきましても、水産加工業者などが主に地元の学校給食への水産加工品を納入をするために、地元で現状調査を行い、使いやすい水産加工品を開発する場合の経費を支援をしておるところでございます。

 そのほか、御案内のとおり、新型コロナの影響を農林水産関係も受けております。農林水産物全体の取組ではございますけれども、販路を失った農林水産物の学校給食等への提供につきましても支援を行っておるところでございますので、今後とも、水産物の学校給食向けの利用を推進をしていきたいというふうに思っております。

 もう一問御質問をいただきましたけれども、改正漁業法、令和二年の十二月に施行されたわけでございますけれども、沿岸漁業者につきましても、新たに、資源管理の状況でございますとか、漁業生産の実績等の報告が義務づけられたわけでございます。

 この新たな報告の義務化に伴いまして、産地市場、漁協から、漁獲情報等の電子的な収集、報告を可能とする取組に対しまして、令和二年度の補正予算、そして令和三年度の補正予算を措置をいたしまして、支援をしておるところでございます。

 この取組を推進をすることによりまして、現場の沿岸漁業者の皆さんの負担の軽減もしっかり図りながら、資源管理の高度化、そして適切な管理に推進をしていきたいと思っております。

和田(有)分科員 細かな質問まで大臣にも質問いたしまして、御答弁、ありがとうございました。水産庁も含めて、しっかりとよろしくお願いいたします。

 終わります。

鷲尾主査 これにて和田有一朗君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 次に、農林水産省所管について政府から説明を聴取いたします。金子農林水産大臣。

金子(原)国務大臣 令和四年度農林水産予算の説明。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明をします。

 我が国の農林水産業は、関連産業である食品産業などとともに、国民の皆様に食料や木材を安定供給し、地域の経済やコミュニティーを支えております。そして、その営みを通じて、国土の保全、景観の維持等の多面的機能を発揮しております。

 農林水産業、食品産業の現場では、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化などの課題に直面しているほか、国内外で重要性が高まっている気候変動等の問題にも適切に対応していくことが求められています。

 他方、世界に目を向ければ、世界の飲食料のマーケットは年々拡大しています。現に、我が国の農林水産物・食品の輸出額は、新型コロナの影響を受ける中でも拡大が続いており、昨年は、長年の目標であった年間一兆円を突破いたしました。

 農林水産省としては、まずは、新型コロナにより影響を受けている方々への対策をしっかりと行うとともに、世界の食市場を獲得するための農林水産物・食品の輸出促進、みどりの食料システム戦略を踏まえた環境負荷低減の取組推進、さらには、これらを進めるための土台となるスマート農林水産業の推進などの施策を着実に進めてまいります。

 これらを通じて、農林水産業の生産基盤を強化し、農林水産業の成長産業化を推進するとともに、家族経営や中山間地域を含め、農林水産業や農山漁村の持つ多面的な機能を維持し、新しい資本主義の実現に貢献してまいります。

 次に、令和四年度農林水産予算の概要を説明します。

 一般会計の農林水産予算の総額は二兆二千七百七十億円であり、その内訳は、公共事業費が六千九百八十一億円、非公共事業が一兆五千七百九十六億円となっています。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただき、御説明を省略させていただきます。

 よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。

 失礼しました。ちょっと読み違いがあったようで、おわびを申し上げます。

 二兆二千七百七十七億円であります。

鷲尾主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま金子農林水産大臣から申出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鷲尾主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮君。

西野分科員 皆様、おはようございます。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 今日は、私にとりまして、国会での初めての質問となります。私の地元でも多くの支援者の皆様方がインターネット中継を御覧いただいているのではないかと思いますが、まず、この質問に当たりまして、機会を与えていただきました衆議院の事務局の皆様、自民党国対関係の皆様、そして、私の準備に御協力をいただきました関係省庁の皆様方にまずもって御礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、私は、日本の食、そして、我が国の農林水産業というのは、従来から言われておりますとおり、今、金子大臣のお話にもありましたとおり、食料の安全保障の観点、さらには国土保全の観点、景観保全の観点、こうした観点からも極めて重要であるというふうに思っておりますが、それに加えまして、我が国の経済を支える成長産業の一つとしても非常に重要ではないか、その潜在能力を十分持っているのではないかというふうに考えております。

 そうした観点からこれからも国政に取り組んでいきたいというふうに思いますし、今日も、そうした視点を持ちながら、建設的な質問をさせていただければというふうに思っております。

 そんな中でございますけれども、二週間、三週間ほど前、大変ショッキングなニュースが飛び込んでまいりました。アサリの産地偽装の問題です。

 農林水産省が昨年十月から十二月までに行った調査によりますと、国内で流通しているアサリの約八割に当たる二千四百八十五トンが熊本県産というふうに表示されておりました。これは熊本県産の天然アサリ二十一トンを大きく上回る数字でございますし、DNA調査、分析をしてみますと、案の定、九七%が外国産のアサリが混入している疑いがあるというような報道でございました。

 私は、このニュースを聞いて大変ショックを受けましたけれども、同時に、我が国の食の信頼に関わる、ひいては、我が国の農林水産業そのものに関わってくるのではないかというふうに思いました。

 外国産のものが日本産のものとしてアサリが売られているわけですから、当然、国産でアサリを一生懸命作っておられる方々が窮地に立たされるおそれがあります。価格競争で不利な立場に追い込まれて、場合によっては廃業に追い込まれてしまう方もいるかもしれません。そして、こうしたことが、アサリのみならず、様々な産品につながって、広がっていけば、日本の農林水産業が成り立っていかないのではないか、そういうふうな感じも受けました。

 そして、熊本県も、これは熊本ブランドの危機であるということで、徹底的に根絶していくというようなことを表明されております。

 再発防止に向けて、国としてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お考えなのか、聞かせていただければと思います。

    〔主査退席、木原(稔)主査代理着席〕

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 アサリの産地偽装事案につきましては、農林水産省として、これまで、食品表示法に基づきまして、消費者庁や都道府県等の関係機関と連携し、疑義情報を踏まえた立入検査を行い、法に違反する事実を確認した場合には、表示の是正等の指示を行うなど厳正な対応を行っております。また、こうした情報は警察にも提供してきているところでございます。

 二月一日に公表したアサリの産地表示の実態に関する調査を通じて把握した疑義につきましても、流通ルートを遡って立入検査等を行っているところでございます。同様に、厳正に対応していく考えであります。

 加えて、今回の調査の結果の公表と併せて、食品関連事業者の方々には改めて産地伝達の確認や法令の遵守を徹底していただくよう、関係団体を通じてお願いしているところでございます。

 農林水産省といたしましては、食品の産地偽装に対し、関係機関との連携の下、法令に基づき、与えられた役割をしっかりと果たしてまいる所存でございます。

 以上でございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 取締りをしっかりやっていただいて、再発防止にも取り組んでいただきたいと思いますが、同時にやっていただきたいことは、やはり風評被害対策だと思います。

 しっかり守っていかなくちゃいけないのは、熊本県産でいえば二十一トンありますし、それ以外にも、愛知県や福岡県で天然のアサリを作っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。そうした方々に被害が出ないように、さらには、熊本県産のハマグリやシバエビなどにも既に影響が出ているというような情報もあります。

 こうした風評被害、まだ現状が明らかじゃない部分があると思いますけれども、しっかり対策を対応していただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本県産ハマグリなどの需要が減少しているとの報道については、農林省としても承知しております。水産物の需要や価格につきましては、消費者の産地表示に関する関心なども含め、様々な要因により決まっていくと考えられますので、今後の動向などを注視してまいります。

 いずれにいたしましても、まずは先般の調査で確認された疑義の解明を進めつつ、熊本県などの関係機関とも連携して対応していきたいと考えております。

西野分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 今回の事件で一番責任があるのは、もちろん産地偽装に関わった業者の方、個人の方だというふうに思いますが、この事件の背景にあるのは、実は、熊本県産アサリの収穫量の急速な激減にあるのではないかというふうにも考えております。

 私が生まれました昭和五十年代は、実は六万トンを超えるアサリの収穫量がありました。私も子供の頃、祖父母、さらには両親に連れられて、潮干狩りに毎年のように行っておりましたし、有明海沿岸沿いも、観光客、潮干狩り客でごった返すというような状況でした。

 しかし、そこからアサリの収穫量はどんどん減ってきておりまして、しかしそれでも、平成十九年、十五年ほど前までは一万トンを超える漁獲量がありました。しかし、そこから更に激減して、昨年は、何と二十一トンというような状況でございます。アサリ以外にも、タイラギであったりクルマエビであったり、収穫量が激減しているというような状況がございます。

 従来は、有明海というのは国民共通の資源であるというぐらい宝の海だったわけでございますので、こうした観点からも、有明海の再生というのは日本国全体にとっても非常に重要な課題ではないかというふうに思いますし、そのために、約二十年前に、有明海そして八代海の再生特別措置法が制定されたというふうに認識しております。

 この法律ができて二十年が経過するわけですけれども、それまでの間どのような取組をしていただいたのか、また、その取組によってどういった効果があったのか、教えていただければと思います。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 有明海の再生につきましては、関係省庁及び関係県と連携して、アサリ漁場における覆砂などの海域環境の改善や、水産資源の種苗生産や放流などの増殖対策に取り組んできております。

 こうした取組により、ノリにつきましては生産量が安定してきており、また、アサリにつきましても、一部の地域においては、漁業者から、資源量や漁獲量が増加するなど一定の成果が確認されたとの声も上がっていると承知しております。

 一方で、タイラギにつきましては、平成二十四年以降、十年連続の休漁といった厳しい状況にあると承知しております。人工稚貝の生産技術の開発、母貝団地の造成などに現在取り組んでおるところでございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 少しずつ成果が出ている部分もあれば、まだまだこれからという部分もあろうかと思います。

 実は昨日、自民党の有明海・八代海再生プロジェクトチームの会合がありました。その中で、評価委員会の方々から中間報告の取りまとめ案についての御説明、御報告がありましたが、聞いておりますと、やはり、引き続き調査が必要でありますとか、今後もデータの蓄積が必要でありますとか、今後、これからやっていかなくちゃいけないことがたくさんあるというような印象を受けました。

 もちろん、これは自然相手でございますから、メカニズムの解析自体もそんな簡単なことじゃありませんし、ましてや、漁獲量を元に戻していくというのは至難の業だというふうに思います。しかし、それでも、やはり国民の皆様方の税金を使ってこうした事業、こうした調査をさせていただいているわけですから、当然結果が求められるんだろうというふうに思います。

 私は、この二十年間やってくる中で、どういった効果があったのか、どういった状況なのかということをもう一回精査した上で、漫然と、だらだらと、ずっと、十年、二十年、三十年、四十年続けていくというよりも、まずはこの五年でこういったところまでやります、その次の五年でこういったところまでやりますというふうに、ある程度期限を区切って、めり張りをつけてやるべきじゃないか、今後取り組んでいくべきじゃないか、結果をしっかり出していくべきじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、農林水産省の皆さん、いかがお考えでしょうか。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 有明海の特措法では、有明海・八代海等総合調査評価委員会を環境省に設置し、国及び関係県が行う総合的な調査結果に基づき、有明海及び八代海などの再生に係る評価を行い、主務大臣等に意見を述べることが定められております。

 平成二十一年及び二十二年には大きな赤潮被害が二年連続発生したことに伴いまして、まず、先ほど申し上げました評価委員会の位置づけの変更、さらには海域の追加、さらには、令和三年にも、公害財特法の地方債の特例の組み込みや、補助割合の特例期限の延長など、課題に対応した見直しが行われてきたと認識しております。

 農林水産省といたしましては、有明海、八代海が豊かな海として再生したと漁業者の皆様に実感していただけるよう、引き続き、関係省庁及び関係県と連携して取組を推進してまいります。

西野分科員 ありがとうございます。

 昨日の環境省中間報告の中でもありましたけれども、やはり、アサリの稚貝の着底まではできているけれども、そこから、いつの間にかアサリがいなくなっている。さらには、いつの間にか有明海が、サメとかエイとか、食物連鎖の頂点に立つような形の一大繁殖地になっていて、これからまた生態系に影響が出るかもしれない、そういったような報告がありましたので、本当にこれは難しいことだというふうに思います。決して再生といっても簡単ではないというふうに思いますが、自然の恵みでもあります有明海の再生、私も地元選出の国会議員として最大限取り組んでいきたいと思いますので、皆様方にも是非御協力いただきたいと思います。

 金子大臣も、御地元は平戸ですので、有明海には面しておりませんが、選挙区全体、長崎県全体という意味では当然有明海に面しているわけですから、是非とも、大臣もお力を入れて御協力をいただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 有明海の再生というのは大変大事な事業と思っておりまして、実は私も、ちょうどノリの大不作のときに知事をしておりまして、大変な問題になりました。国会の皆さん方のお取り計らいによりまして特措法ができて今日に至っているわけでございますが、有明、ノリだけでも大体毎年五百億円前後なんですよね。あの狭い海域で五百億円前後の水揚げを上げるというのはほかにはありません。そういった意味では、アサリも含めて、大変これは大事な漁場でございますので、我々もこれを守っていかなきゃいかぬというように思っております。

 是非、この環境変化によって魚が、漁獲が減収している中で、非常に順調に、いろいろな不作も時にはありますが、推移している中を考えていきますと、ここは、水産業にとっては、漁業者にとっては宝の海というか、そういった大変大事なところだと思っていますので、これからも私たちも一生懸命、漁民の皆さん方といろいろと話合いをしながら、沿岸の四県と協調して、今後しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

西野分科員 ありがとうございます。大臣からも力強いお言葉をいただきました。

 次に、少し話題を変えたいと思います。有明海沿岸地域の農業全体についてです。

 私の地元は、熊本市の飽田という地域です。現在は熊本市に合併されておりますけれども、私が子供の頃は、熊本県飽託郡飽田町というふうな自治体でございました。余談でございますけれども、演歌の大御所、石川さゆりさんのふるさとでもあります。そこから有明海沿岸沿いに福岡県境までぐっと伸びたのが私の選挙区なんですけれども、この地域は、ミカン、ミニトマト、そして丸トマト、いわゆる普通のトマトですね、それからナスビ、梨、ノリ、こうした生産物の一大産地になっております。日本有数の果樹園芸、そして水産物の生産地であるというふうに私は自負しているわけですが。

 そこで、農林水産省の皆様に御確認でございますが、有明海沿岸四県、熊本県、福岡県、佐賀県、長崎県がございますが、この四県の農業生産額、そして農業所得の順位について教えていただければと思います。

菅家政府参考人 お答えいたします。

 有明海沿岸四県についての数字でございますけれども、直近の公表数値であります令和二年の生産農業所得統計によりますと、福岡県の農業産出額が千九百七十七億円で十六位、佐賀県が千二百十九億円で二十五位、長崎県が千四百九十一億円で二十一位、熊本県が三千四百七億円で五位でございます。

 また、生産農業所得を見てみますと、福岡県が九百二十一億円で十五位、佐賀県が六百二十八億円で二十一位、長崎県が五百九十三億円で二十二位、熊本県が千四百九十五億円で三位でございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 それに加えて、この四県以外の農業生産額、そして農業所得額の上位五県についても教えていただければと思います。

菅家政府参考人 お答えいたします。

 全国上位五県の数字でございます。

 まず、農業産出額につきましては、第一位が北海道で一兆二千六百六十七億円、二位が鹿児島県で四千七百七十二億円、三位が茨城県で四千四百十一億円、四位が千葉県で三千八百五十二億円、五位が熊本県で三千四百七億円でございます。

 また、生産農業所得につきましては、一位が北海道で四千九百八十五億円、二位が茨城県で千六百三億円、三位が熊本県で千四百九十五億円、四位が鹿児島県で千四百十五億円、五位が千葉県で千二百九十二億円となっております。

西野分科員 ありがとうございます。

 農業生産額でいえば、熊本県が五位、福岡県が十六位、佐賀県が二十五位、そして長崎県が二十一位というような御回答をいただきました。

 決して低い数字ではないと思うんですけれども、私は、あの地域の潜在能力からいえばまだまだ物足りない部分があるんじゃないか。私も、五年間、地元熊本でずっと浪人期間を過ごして、いろいろな農業関係者の皆様方とコミュニケーションを取らせていただきましたけれども、やる気のある若手農業者の方はたくさんいらっしゃいますし、あるいは、玉名平野、肥大な土地があります、広大な土地がありますので、そうしたことを踏まえれば、もっともっと伸びていくのではないか。

 もちろん、日本全体の農業を活性化していくというのも非常に重要ですけれども、この有明海沿岸地域の農業をもっと強化するということが日本全体の食料自給率、農業生産額、そして輸出額の増加につながっていくのではないかというふうに私は確信しておりまして、そうした観点からもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 その中で、まず一番最初に取り組んでいかなくちゃいけないことの一つが、私は、需要をしっかり拡大していくということだと思います。

 私の選挙区の話ばかりで大変恐縮なんですけれども、私の選挙区でいえば、例えば天明地区、そして玉名市の横島、大浜、岱明、こうした地域は日本有数のトマトの生産地なんですけれども、最近はトマトの生産者が非常に増えております。ビニールハウスを建てる補助率なんかも非常に高かったりして、イチゴを作っていた方々がトマトを作る、ナスビを作っていた方々がトマトを作るという形で、生産量が非常に増えております。ここ四、五年は、その影響もあってだと思いますけれども、価格が非常に低迷しております。私の支援者、私の友人の中にも、トマトの価格が低迷して経営が非常に厳しい、もしかすると廃業に追い込まれるかもしれない、さらには、大変本当に残念なことですけれども、自ら命を絶ってしまう状況まで追い込まれるという方もいらっしゃるのが事実です。

 生産を増やすのであれば、同時に需要も増やしていかなければ私は決して成り立たないというふうに思うわけですけれども、その需要の拡大のために取り組んでいかなくちゃいけないこと、たくさんたくさんあると思いますけれども、その中の一つが、私は、巨大市場へのアクセスを改善していくことではないかというふうに思います。

 農業生産額でも、上位に茨城県ですとか千葉県という地域、都道府県が挙がっております。これはやはり、東京など巨大市場へのアクセスがいいというところが一つ大きな要因になっているのではないかというふうに思います。そうした意味では、福岡とか長崎とか熊本、佐賀というのは、巨大市場へのアクセスという意味で若干不利な面があろうかと思いますけれども、これをしっかり改善することによって、熊本始め有明海沿岸地域の農業の潜在可能性を大きく引き出していけるのではないかというふうに思います。

 例えば、今、熊本でも着工がようやく始まりましたけれども、有明海沿岸道路、この有明海沿岸道路ができれば、熊本県の有明海沿岸地域から一時間程度で農産品を佐賀空港まで運ぶことができるようになります。佐賀空港は戦略的な貨物空港というふうに位置づけられております。

 こうした、佐賀空港、有明海沿岸道路、さらには熊本港、こうした陸海空のアクセス、交通網ネットワークを使って販路を拡大していく、巨大市場へのアクセスを改善していく、これが非常に重要だというふうに思いますけれども、国土交通省として、あるいは国として、こうした交通インフラ網の整備にどのように取り組んでいくお考えなのか、お聞かせいただければというふうに思います。

岩月政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産物の安定的な流通の確保や輸出の促進といった観点からも、インフラを含めた物流網の確保は非常に重要であるというふうに認識しております。

 有明海沿岸地域におけるインフラ整備に関しましては、有明海沿岸道路について、佐賀空港などの広域交流拠点へのアクセス性の向上などを目的として整備を推進しているところでございます。

 また、佐賀空港、県管理空港でございますけれども、設置管理者である佐賀県から佐賀空港の貨物拠点化についての要望等がございましたら、必要な助言を行ってまいります。

 さらに、港湾につきましては、二〇三〇年の農林水産物・食品の輸出額を五兆円とする政府の目標がございますが、その達成に向けまして、農林水産省と連携して、コールドチェーンを確保するための温度、衛生管理が可能な荷さばき施設の整備等を支援しているところであります。

 国土交通省といたしましては、今後とも、農林水産物の効率的な流通の確保等に向けて、農林水産省としっかり連携して取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

西野分科員 ありがとうございます。

 今、御回答の中にもありましたけれども、需要拡大のためにもう一つやらなくちゃいけないのは、やはり輸出の振興だと思います。農業輸出五兆円という目標がありますけれども、それに向けて、熊本県もできるだけの協力、熊本県の農業としても、できるだけの最大限の協力をしていかなくちゃいけないというふうに思いますので、農業輸出の支援についても、是非とも御協力をいただきたいというふうに思います。

 それから、需要の拡大については、やはり、付加価値の向上、六次産業化、さらにはブランディングというテーマも非常に重要になろうかと思います。こうした点についても、是非とも皆さん方の引き続きの御協力をお願いしたいというふうに思います。

 それから、もう一つ、やはり、潜在能力を引き出すという上で重要なのが、担い手をしっかり確保していくということだと思います。本質的には、後継者をどう育てていくのか、さらには、新規就農者をどう増やしていくのか、こうした課題が非常に重要なわけでございますけれども、目の前の、直近の課題として挙げられるのが、やはり外国人実習生の入国再開だというふうに思います。

 これもまた私の地元で本当に恐縮なんですけれども、私の横島の友人、大浜の友人は、やはり外国人実習生にトマトの生産を頼っているという方々がたくさんいます。今、もちろん、コロナの関係でストップしているのは仕方ないことだと思いますけれども、そのせいで、その影響で、農業の面積を、作付面積を半分にしなくちゃいけない、もう実際に半分にしているという方も実際に出てきております。

 これはもう、コロナ対策の関係でございますので、簡単じゃないというのは重々承知しておりますけれども、オミクロン株の特質というのも少しずつ明らかになっておりますので、そうしたことも踏まえながら、さらには、実習生が入ってこれなくて困っていらっしゃる農家の方々がたくさんいらっしゃるということも踏まえていただいて、政府の中で御検討していただければというふうに思っておりますけれども、この点はいかがでしょうか。

    〔木原(稔)主査代理退席、主査着席〕

光吉政府参考人 お答えいたします。

 外国人材の来日が困難であるということで、人材不足が現場に起きているという問題でございます。

 これにつきましては、それぞれの各地におきまして、国内の外国人材の在留延長ですとか、ほかの産業からの雇用などによって労働力を確保しよう、そういう取組が行われているものと認識しております。

 農林水産省では、産地内外の労働力の募集やマッチング取組の支援を行うとともに、代替人材の雇用に係りますかかり増し経費などについて支援をしております。

 入国制限につきましては、政府内において、現在、緩和に向けた検討が進められているところでございますが、引き続き、現場における労働力の状況を把握しながら、先ほど申し上げた事業の活用などにより、各地の労働力確保を後押ししていきたいと思っております。

西野分科員 ありがとうございました。

 これ以外にも、農業に関しては、やはり、スマート農業をしっかり充実強化していくですとか、いろいろな課題があろうかと思います。国会の質疑を通じて、さらには、質疑じゃなくても、農林水産省の皆様方、そして諸先輩方としっかり議論を重ねながら、農林水産業の更なる発展のために尽力を尽くしていきたいというふうに思います。

 今日は、御質問につき合っていただきまして、ありがとうございました。私の質問をこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて西野太亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐清君。

五十嵐分科員 皆様、こんにちは。栃木二区、自由民主党の五十嵐清でございます。

 私も、西野議員に続きまして、初めての質問ということになります。県議会で、栃木県の議員として五期務めてまいりましたが、県会議員の選挙区から国替えをして、栃木県の二区という、栃木県の中でも農業の盛んなところに選挙区を移して、今回、初当選をしてまいりました。それだけに、農業分野、しっかりとやらなければならない。プレッシャーは大きいものがございます。今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。

 七点、順次質問させていただきます。

 これまで農業者は、収量や品質を高めることにより収益性の向上を図ってきましたが、今般のみどりの食料システム戦略は、農業の環境負荷の軽減を最大の目標としてございます。

 そこで、みどりシステムの実現に向けまして、今までとは違う価値観、栽培方式に変える必要があると考えますが、関係者の意識改革をどのように進めていくのか、また、新たに研究開発された栽培方式や技術の普及をどのように図っていくのか、お伺いいたします。

武部副大臣 みどりの食料システム戦略につきまして、御質問ありがとうございます。

 先生の御指摘のとおり、みどりの食料システム戦略というのは、これまでにない新しい政策方針でございます。本戦略の実現に向けては、関係者の理解と協働の上で、段階的に取組を進めていくことが重要と考えております。

 このため、全国各地で、本戦略の理念や目指す姿について御説明を行いまして、御意見を伺いながら、意識啓蒙活動を行っております。昨年末までで意見交換会も七千四百五十回実施をさせていただいております。

 生産現場におきましては、まずは、総合的病害虫管理による化学農薬の低減、局所施肥や堆肥への転換による化学肥料の低減、栽培暦の見直しなどについて、地域ぐるみで取り組んでいくことが重要と考えております。

 さらには、化学農薬を低減するための雑草抑制や病害虫予報など、現場の農業者等が活用する技術開発の促進が重要であります。

 これらの取組を推進していくために、令和三年度補正予算及び令和四年度予算におきまして必要な予算を計上し、支援していくこととしております。

 今後とも現場主義を貫きまして、都道府県の普及組織とも連携しながら、丁寧な説明に努め、取組を進めてまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 今の副大臣の御答弁の中に、相当数の意見交換の機会をつくっていただけているということで、安心をしたところであります。

 農業者の生の声を聞いて、これから具体の取組をしていただくわけですけれども、私も続いて、具体の部分について質問させていただきます。

 みどりの食料システム戦略の中長期的な目標の中には、有機農業の取組面積を二五%、百万ヘクタールに拡大することが示されております。

 まず、我が国の有機農業は、諸外国に比べて取組面積が非常に小さいというふうに聞いておりますが、その理由を農林水産省としてどのように捉えているのか、お伺いをいたします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 日本国内の有機農業の取組面積は、二〇一八年時点で二万三千七百ヘクタール、全耕地面積の〇・五%となっております。委員おっしゃるとおり、欧米諸国等に比べると、面積、比率とも小さい状況にございます。

 この要因といたしましては、一つは、生産面では、温暖湿潤な気候のため、除草等の労力がかかること、また、病害虫が発生しやすい、そういうことになりまして、収量や品質に影響を与えやすい、そういう課題があるというふうに考えております。もう一つは、流通や消費の面でございます。生産量が少なく、有機食品が身近に売られていないこと、あるいは流通コストが高いこともありまして、販売価格が高くなりがちであること、こういったことも要因だというふうに考えられております。

五十嵐分科員 ただいまの答弁では、我が国の温暖多雨の特徴なども理由の一つ、あるいは流通の部分にも問題があるという御指摘がありました。

 私が調べたところでは、平成三十年、二〇一八年の時点では、欧米諸国、一〇%前後の国もある一方で、アメリカ、中国、そして我が国日本が一%未満ということであります。アメリカ、中国のことまで捉まえると、必ずしも気候だけではない部分、生産者の意識あるいは消費者の意識などにも問題があるのだと思います。これらを具体の施策の展開で改善をしていく、変えていく、このことがこれからの戦略の中で期待されているものだと思っております。

 具体的に、続けてお伺いしますが、有機農業の生産を拡大していくためには、専門家の派遣などにより技術指導の充実を図り、先進的な地域への重点的な支援をしていくべきと考えますが、農水省の具体的な対策をお伺いいたします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 有機農業を拡大する上では、安定した生産ができるように、栽培技術の指導、これが大変重要だというふうに考えております。このため、農林水産省では、熟練有機農業者等を含む有機農業指導員の育成、確保を進めるほか、有機農業の栽培技術の研修などにも支援をしているところでございます。

 また、みどりの食料システム戦略を踏まえ、令和三年度補正予算からは、地域ぐるみで有機農業の生産拡大に取り組む市町村に対しまして、一つは、先進的な有機農業者による新規参入者に対する技術講習会の開催等、これを通じた有機農業者の育成、また、生産から学校給食における活用まで一貫した取組などへの支援も行うこととしております。

 これらの支援により、有機農業に取り組む方々に、更にこういう方々が増えるような環境づくり、これを進めていきたいというふうに考えております。

五十嵐分科員 正直、今現在は、有機農業に取り組むハードルはなかなか高いものがあると思いますが、かつて日本型農業というのは、自然と一体となって、本当に環境に配慮した、あるいは環境に負荷をかけないことが当然のごとく、農業活動、生産活動が行われていたと思います。

 一方で、その古い農業のやり方そのものを知る方々が地域にほとんど残っていない実情もありますので、先ほどの指導員の派遣なども通しまして、いま一度、日本の農業にそういう価値観を植え付けていただきたい、植え直していただきたいと思います。日本国民の中にはその精神は宿っていると思っていますので、皆様方の取組、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 特に、地域の実情に即して、平地であったり中山間、それぞれの地域にふさわしい有機農業の在り方もあるかと思いますし、特に中山間地域については農業そのものがコスト高の部分がありますけれども、そこに有機農業という付加価値をつける、そして世界も見据えて、売れる作物を作っていくということで攻めの転換もできるというふうに考えておりますので、是非、そのことも捉まえて、まとまった形で取組が進められるように、地域の話合いの場をしっかりと確保していただくこと、また、農薬のドリフトの問題もしっかりと留意をしていただいて、取組を進めていただくよう要望させていただきます。

 有機農業を広げていくためには、もう一方で、消費、販路、この流通の部分も大きく課題になってくると思います。

 消費拡大につながりますスーパーマーケットでの販売を増やすなど、新たな販路開拓や需要創出も極めて重要と考えますが、農林水産省の考えをお伺いいたします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 有機農業の取組の拡大のためには、先ほど申し上げました地域ぐるみの取組に併せまして、スーパーマーケットでの販売など、より多くの消費者の方に、有機農業で生産された農産物ですとか加工品を入手できる場を増やしていくということも大変重要な課題だというふうに認識しております。

 農林水産省では、こうした動きを加速化するために、令和三年度補正予算において、スーパーマーケット等の小売事業者が新たに国産の有機農産物を試行的に取り扱う場合、そのかかり増し経費の一部を支援することとしたところでございます。

 また、今後、流通・加工業界の参加を得ながら、有機農産物の消費拡大、これに向けた検討、これも更に進めていきたいというふうに考えております。

五十嵐分科員 小売の部分での取扱いに対しての御支援をいただけるということで、大変ありがたいというふうに思っております。

 有機農産物ですけれども、私のイメージでは直売所などでの購入が多いのかなと思いましたが、やはりこの便利な社会ですので、スーパーで購入される方が圧倒的ということであれば、そこに恒常的に、日常的に売場を確保するということが重要なんだと思います。

 ただ、私が聞いたところによりますと、事業者の方々は、やはり価格の問題もありますけれども、常に安定的に一定のボリュームで品物、作物を出していただかないと、なかなか商品として取り扱いにくいという部分があります。一方で、今現在の有機農業を実践されている方々は、どうしても労力がかかるということで、小規模でやっている方がほとんどだと思います。そういう意味では、有機農業を実践する方々がネットワークをつくる、お互いが助け合いをして、一定程度の作物を安定的にスーパーなどに供給できるような、そういう仕組みづくりについても農水省としては御支援をいただけるとありがたいと思います。

 また、県議会時代に取り組んできたことなんですけれども、学校給食でできるだけ地元、地場産の野菜を使ってもらう、そんな取組もやってきましたけれども、この際、学校給食で優先的に有機の農産物が使われるような、そういうインセンティブについては今後御検討をいただきたいと思っております。

 県議時代の経験では、そんな話を地元の市長さん、町長さんとすると、半分はいい返事をしてくれますけれども、結果的に、調達している作物は自分の市内、自分の町内だけで、近隣の、広域での考えとか、県全体で調達をするというようなところになかなか考えが及んでいかなかった部分もありますので、そういうこともしっかりと取り組むことで、子供たちに対して食農教育の実践の場にもなりますし、彼らが成長した際には賢い消費者につながっていくというふうに思っておりますので、他省庁との連携も含めて、是非そのような取組もお願いをさせていただきます。

 次に、米の需給安定対策についてお伺いをさせていただきます。

 コロナの影響もありまして、米の需要減少に歯止めがかかりません。国産米の在庫が積み上がり、価格も低迷しており、米農家からは、このままでは経営は立ち行かないという厳しい声を私も幾度となく聞いております。私の考え方としては、飼料用米への転換で需給の調整をするというのはもう限界なんだろう、こういうふうに私は実感をしております。

 麦や大豆、そしてトウモロコシ等への転換を今まで以上に強力に積極的に進めていくべきと考えますが、農林水産省の見解をお伺いいたします。

武部副大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 令和三年産で見ますと、飼料用米が大幅に拡大する一方、国産需要が高まっております大豆や子実用トウモロコシ等、これへの転換が伸び悩んだところであります。

 このため、令和四年産におきましては、先生のお話にあったとおり、麦、大豆、それから野菜や子実用トウモロコシ等の定着性や収益性の高い作物への作付転換が進むよう、令和三年度の補正予算におきまして、水田リノベーション事業を拡充いたしました。対象に子実用トウモロコシを追加したところでございます。また、麦、大豆の団地化や技術導入に対する支援の拡充等を行うこととしております。

 これらも踏まえ、令和四年産における作付転換に十分な予算額を計上したところでございまして、全国会議や産地ごとの意見交換会を通じまして、産地における計画的な作付転換を推進してまいりたいと思っております。

五十嵐分科員 これまでも作付転換にはいろいろな取組をされていたのも私も承知をしておりますが、なかなかうまくいかなかった部分、それは、日本人がやはり米作りに対しての思い入れがあるという部分もあると思いますが、同時に、兼業農家の割合が高いことで、米を作る農業そのものが兼業農家の方々のライフスタイルになっておりまして、そこからなかなか違った作物への転換が難しいというような、そういう側面もあるのだと思います。そういうところも捉まえまして、今後の作付転換についての支援策、いろいろな工夫をしていただきたいなというふうに思っております。

 できれば、本当に米作、米作りに適したところがしっかりと残って、ややもするといろいろな努力をしてこれまで米作りをしてきた、そういうところについては積極的に転換をしていただけるような、そういう雰囲気づくりであったり、農家の皆さんの理解をどうにかしてつくっていかないと、米価の安定というのは難しいというふうに思っております。

 そして、今現在語られている転換の先の作物ですけれども、なかなか、具体的な作物、幾つか並べても、その気にならない農家さんもいるんだと思います。もう少し転換の間口を将来的には広げていく、あるいは需要の見込みを感じさせる、そういう作物もこれから転換の先に作っていくということも必要なのではないかと思っております。

 本当に私の素人考えですけれども、米中の対立が激化をして、なかなか農産物が買えなくなるような時代も来るかもしれません。また、インドやインドネシアのように大変人口の多いところの所得が上がり、やはり、輸出するのではなくて自国で消費をする、あるいは海外から農産物を今まで買っていない国々が買う、こういうことも想定をされるわけですので、農水省も、ほかの省庁と連携をして、将来的に、食料安全保障の観点も踏まえて、国内で作るべき作物、そこに転換先を見出すというようなことも是非検討していただければありがたいというふうに思っております。

 続いて、土地改良の事業についてもお伺いをさせていただきます。

 今般の土地改良法の改正によりまして、基盤整備事業における農業者の費用負担の軽減が図られます。このことは非常にありがたいことでありまして、大きな期待も寄せたいところでありますが、一方では、先ほど申し上げたとおり、米需要の減少が見込まれております。

 そういう中で、土地改良事業をこれから中長期的にどのように進めていく考えなのか、農水省に見解を伺います。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、米の需要は減少をしていっているわけでございまして、米から麦、大豆、園芸作物等への転換を進めていくというためには、作業効率が高くて、やはり、畑作物でございますので、排水性のよい農地を整備していくことが非常に重要だというふうに思っております。

 このため、昨年三月に閣議決定をされました土地改良長期計画では、担い手への農地の集積、集約化、スマート農業の推進による生産コストの削減を通じまして農業競争力の強化を図ることでございますとか、高収益作物への転換、産地形成を通じまして産地収益力の強化を図ることを政策目標と位置づけておりまして、例えば、高収益作物への転換につきましては、事業実施前後で高収益作物が一定程度増加する地区の割合を約八割以上とする成果目標を設定をして、土地改良事業を推進することとしておるところでございます。

 今後とも、畑作物等の生産を促進をしていくために、必要な予算の安定的な確保に努めまして、大区画化、汎用化、畑地化等の基盤整備を推進をしてまいります。

五十嵐分科員 農水省の意識の中に畑地の部分がしっかりと入っていること、ありがたく存じます。

 確かに、今年度からの五年間の新中長期計画の実施に当たって、そこには、三つの政策課題、五つの政策目標、そして九つの施策というものがしっかり書き込まれております。これをしっかりと推進することで、担い手に農地が集約、集積されることを期待するところでございますが、土地改良の今の役員の方々、今回、土地改良法が改正をされ、すごく期待をしている部分がありますけれども、同時に、今、土地改良の役員さんを務めている方々は、米農家の、米作りをやってきた方が非常に割合的に多いと思っております。

 そういうことも含めて、これからの土地改良に関わる方々について、いろいろな啓蒙、啓発をしっかりとしていかないと、絵に描いた餅になってしまう、そういう部分もあるのだと思います。そういう意味においては、都道府県であったり市町村、地方自治体ともしっかりと連携をして、これからの土地改良、国が考えている、思い描いている絵をしっかりと共有できるように御尽力をいただきたいなというふうに思っております。

 特に、今回の土地改良の中には、災害対応の部分がしっかりと意識を持っていただいたのは大変ありがたいというふうに思っております。

 私ごとですけれども、関東・東北豪雨のとき、そして東日本台風被害のとき、私の実家は二回とも床上浸水をしまして、水害についてはいろいろ思うところがありました。そこで、県議会でもいろいろ取り上げましたが、一般河川の災害への対応だけでは、なかなか地方というのは水がのみ切れない、のみ込めない。

 そういうことで、流域治水ということで、今、田んぼダムを含めていろいろ取組が進んでいるのは承知をしておりますが、やはり市町村あるいは県レベルになりますと、農業用水を扱っている農業分野のセクションと、河川を扱っている土木のセクション、ここがなかなかうまく連携が取れていないところもあるようでございますので、これは国交省側からの、あるいは土木部門からの働きかけを待つのではなくて、是非、農水省、農業分野の地方行政サイドからも働きかけをして、しっかりと連携ができるような、そういう仕組みづくりについては意を用いていただきますようにお願いをさせていただきます。

 初めての質問なので飛ばして、かなり時間がまだ残っているんですけれども、続いて、最後の質問とさせていただきます。

 先ほど申し上げたとおり、自然災害が頻発をしまして、農業関係人口が減少する中、今般の土地改良法改正はまさに時機を得たものと、私は大いに評価するところであります。

 それだけに、今後、地域からの要望が増え、予算の確保が大変重要になると考えますが、予算確保に向けた決意、意気込みを改めてお聞かせをいただきたいと思います。

宮崎大臣政務官 今、先生から御質問をいただく前に御指摘をいただいた点、大変我々も重要な点だと思っております。土地改良長期計画をこれから推進をしていくために、関係者の皆さん方への理解を更に深めていくこともそうでございますし、政府全体として流域治水を進めていく中で、農林部局、土地改良部局と土木部局との連携も大変重要なことだと思っておりますので、御指摘を踏まえてしっかり進めていきたいというふうに思っております。

 土地改良の事業の関係につきましては、先生御指摘のとおり、近年、豪雨災害、頻発化、激甚化しているわけでございまして、このような状況を踏まえまして、農業用排水施設の豪雨対策に係る整備を迅速かつ機動的に実施できるように、今国会に土地改良法改正案を提出をさせていただいたところでございます。

 また、ため池等の決壊防止や農地の湛水被害防止といった国土強靱化、この対策を含む土地改良予算につきましては、令和三年度の補正予算では千八百三十二億円を措置をさせていただきました。また、令和四年度の当初予算では四千四百五十三億円を計上をさせていただいておりまして、現場の皆さん方のニーズに対応していくこととしておるところでございます。

 今後とも、地域の皆様方の御要望に応えられるように、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、必要な予算を安定的に確保しながら、土地改良事業を着実に推進をしてまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 大変心強い答弁で、ありがたく感じております。

 冒頭申し上げたとおり、私は、栃木県のどちらかというと人口の多いところから農業が盛んな地域に住まいを変え、選挙区を移して当選をさせていただきました。その前にも、国会議員の秘書を十年務め、県議会議員としては十八年務めた間、農業の重要性、自分なりに分かっていたつもりではありましたが、改めて、農業の盛んな地域、そして人口減少の進んでいる地域では、農業、農村、そして農業に関わる方々がまさに地域をぎりぎりのところで支えている、そういうところを目の当たりにしたところであります。

 そして、この土地改良事業というのはまさに産業政策であり地域政策、そういう部分があるというのを私も実感をしておりますので、農水省の皆様方には是非しっかりとした土地改良事業の確保に御尽力をいただくとともに、私も一年生議員ですけれども、与党自民党の一員として、少しでも予算が確保ができるように、これからも勉強をして、皆様の応援団として頑張ってまいりたいと思いますので、御指導、御鞭撻をお願いをして、私の一回目の質問、初質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて五十嵐清君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 立憲民主党・無所属の会派、岡本あき子でございます。

 今日は、分科会での質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。主査を始め政府の関係者の皆さん、議会の関係者の皆さん、感謝を申し上げたいと思います。

 私からは、地元宮城県で起きている被害含めて、農業政策、農林水産政策について伺わせていただきたいと思っています。

 私の地元宮城県、私は仙台市なんですが、宮城県の県内で、様々農林水産被害が起きています。資料を今配らせていただいておりますが、資料一を御覧ください。昨年末に県南の養豚農場で豚熱が発生をし、二万頭近くの豚が殺処分となりました。

 続きまして、ちょっと飛ばして、資料三を御覧ください。トンガ沖の噴火の影響で、宮城県内では、漁港で船の転覆やワカメの養殖施設の壊滅など、甚大な漁業被害が発生いたしました。

 加えて、資料四を御覧ください。これは全国的なんですけれども、昨年秋、令和三年産米については、米価が大幅に下落をして農家に悲鳴が上がっています。

 立て続けに起こる自然災害やコロナの影響で苦悩している第一次産業の生産者への支援の強化を求めて、今回は質問に立たせていただきます。

 最初に、豚熱についてです。

 昨年末、宮城県南部で、二養豚農場で次々豚熱が発生をして、年末始で延べ八千六百名を超える職員、最初の農場では自衛隊の協力もいただきました、建設業協会やバス協会など、関係機関の皆様の不眠不休の防疫作業に本当に感謝を申し上げますが、これだけの人員を総動員しての防疫作業が行われました。

 私も、昨年末、現場近くで作業を伺わせていただきましたが、防護服を着て、一人五時間の作業です。防護服を着ているので、水分を控えたり、トイレも我慢をしたり、加えて、屠殺になりますので、豚を一頭一頭電気ショックで命を奪って、そしてそれを敷地内に埋却をする、埋める、こういう本当に過酷な作業です。労力以上に心が痛む作業を黙々と続けてくださる方々に、本当に頭が下がりました。

 質問ですが、豚熱発生時などに備えた体制、農政関係の職員体制強化が果たして図られているんでしょうか。そして、これに関しては、命を奪う作業ですので、平時からの訓練が大切だと思います。また、防護服を着て長時間、しかも殺処分に携わる職員や関係者の皆さんへの心理的負担の軽減も必要だと思います。フォローも含めて、体制強化、職員への体制とフォローについてどうなっているのか、お聞かせください。

    〔主査退席、木原(稔)主査代理着席〕

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚熱の発生時における対応につきましては、昨年、特定家畜伝染病防疫指針を改正いたしまして、各都道府県内の最大規模の農場で発生した場合でも対応可能となるよう、都道府県や関係団体が連携した動員計画を事前に整備することといたしました。

 また、農林水産省といたしましても、職員の県庁リエゾンとしての派遣、あるいは現場作業員としての派遣、さらには、獣医師の派遣や防疫資材の支援等を行っているところでございます。

 防疫措置に従事した職員等につきましては、御指摘のとおり、多大な精神的及び身体的ストレスを受けることから、防疫指針におきましても、都道府県内の関係部局が連携して相談窓口の設置等の対応に努めることとしております。

 引き続き、豚熱が発生した際には、都道府県と連携し、迅速な防疫措置による蔓延防止に努めてまいります。

 以上でございます。

岡本(あ)分科員 今御答弁いただきました、昨年、防疫指針が改定になったというお話ですが、農水省の職員を見ていると、残念ながら、職員数はずっと純減という形になっております。地方自治体の農政関係の職員も、十五年で二割から三割削減をしています。宮城の豚熱の対応を見ても、国からも十名程度御協力いただいたり、あるいは、各都道府県からも職員の御協力をいただいておりますが、それ以外は県職員、私が伺ったときは、教育職員とか、あるいは、行政職で、どちらかというとデスクワークをしていらっしゃる方々も動員がなされて、ちょっと、宮城でも、確かにマニュアルも作って訓練も行って、農政関係の方々は一定程度訓練を行っているんですけれども、突然手伝ってくれと言われて、そして、善意というか、職務ですけれども、よく分からないけれども連れてこられて、そして目の前で命を奪う作業をさせられる、この過酷さというのは本当に想像以上と私は思っております。

 改めて、やはり、まずは農政関係職員で、いざというときにも対応できる体制をまず整えることが大前提ではないかと思っています。

 昨年なので金子大臣の前になりますけれども、大臣からは自衛隊に頼り過ぎだという話もあって、改めて、農政の担当の中でこういう防疫体制を構築するという意味での見直しなんだと思います。

 いま一度お答えいただきたいと思いますが、現行職員が変わっていない状況の中で、本当に、いざというとき、そして、豚熱に関しては、元々、イノシシはどちらかというと西部の方から発生をしていて、東北まで時間がかかると思っていたんですが、この勢いでいくと日本全国どこにでも広がる可能性があるという中での体制をもう一度、専門職の分野でまず増強することが必要じゃないかと思ったものですから、もう一度お答えいただけますでしょうか。

    〔木原(稔)主査代理退席、主査着席〕

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜の伝染病でございますが、二つの柱がございます。

 まずは、発生の予防でございます。

 発生の予防につきましては、農場の飼養衛生管理の向上を図ることが最も大切でございます。そういったことから、日頃から農場の飼養衛生管理の向上に努めていただくということが大事になってまいります。特に豚熱の場合には、御指摘のとおり、野生のイノシシが感染して広げているということがございますので、野生イノシシのサーベイランスを行っていただいて、感染している野生イノシシが近くで確認されれば、まさにそこに飼養衛生管理の向上について力を入れていただくということが重要になってまいります。

 発生予防が何よりの対策であるということが、一点目でございます。

 二点目は、万が一発生してしまったときには、横に広げないということで、迅速な蔓延防止措置が必要になってまいりますので、これにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、日頃からの用意、準備、計画を作っていていただくといったことが重要になってまいると考えております。

岡本(あ)分科員 職員の体制強化のところはちょっとお答えいただけなかったのが残念です。

 先ほども申し上げましたが、資料一の、ニュースになっておりますが、ここの農場、宮城県でいくと、感染予防対策は、ちょっと県の職員にも確認をしましたが、県内では最高レベルの感染対策を講じていた養豚場です。ここですら発生をするということは、ある意味、専門家の方の積極的疫学調査の検証結果はまだ出ておりませんので、それを待ちたいとは思いますが、私でも、やはり、ここで発生をするということは、本当にもうどこでも発生してもおかしくない、そのための発生したときの体制強化というのは必要だということを申し添えたいと思います。

 予防ももちろん必要です。この後お伺いしますけれども、発生してしまうということも、一定程度、やはり、しようがないというか、発生をさせないにこしたことはないんですが、これに対しての専門職の、要は、農政職の職員でしっかり体制を強化していくんだ、その決意を持っていただきたいということを指摘させていただきます。

 そして、資料二を御覧ください。

 少し無謀かもしれませんが、私は、こういう中で、豚熱の発生、予防するにこしたことはないですが、発生してしまった際の被害を最小限に抑えるこの取組も必要だと思っています。

 今ワクチンを接種推奨をしております。そして、ほぼ、ここの農場でも全頭ワクチン接種はされていらっしゃいます。しかも、毎日、豚の健康観察も行っています。

 豚熱が発生したら全頭処分なんですね、今のルールは。ただ、ワクチンの接種で免疫を獲得している豚は残すことというのはできないんだろうかという思いがあります。今の基準でいくと、全頭殺処分となっておりますが、繁殖用の豚を失うと、本当に、養豚業者からすると再開をするめどが全く立たない、それから、繁殖を始めても育つまでの間は収入を得ることができません。

 ワクチン接種をしているという前提で豚熱が発生した場合の豚の取扱い、これを科学的に分析して知見を高めていく必要があるのではないかと思います。

 資料二でも、ワクチン接種豚も確かに感染が確認されていますが、抗体獲得前に感染をしたのではないかというコメントがついています。

 なので、抗体を獲得しているのかどうか、ここを調べるということはできないでしょうか。この点、お答えいただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 議員も御存じと思いますが、豚熱のワクチンは、豚熱の発症を防ぐものでありまして、感染を完全に防ぐものではありません。全ての豚が免疫を獲得できるわけでもないことから、発生農場では、ワクチン接種豚であってもウイルスを保有し、拡散する可能性があるため、特定家畜伝染病防疫指針に基づきまして、疑似患畜として全ての豚を殺処分することといたしております。

 実は、これまで、発生の事例においても、ワクチン接種済みの豚舎からもウイルスに感染した豚が確認されているところであります。

 引き続き、専門家とも相談しながら、対応について適切に判断してまいりたいと思います。

岡本(あ)分科員 現行はそういうルールだということは重々承知をしています。ただ、ワクチンの接種勧奨も、ここ最近、一気に増えてきた取組ですので、じゃ、ワクチンを打った豚にどのぐらい抗体が残る、個体別にワクチンの抗体量というのは変わりますけれども、抗体を持っている豚の感染をするものと、今、資料二で言ったように抗体獲得前だから感染したのか、この点というところの分析も、今後必要なのではないかと思います。

 先ほどから申し上げておりますとおり、一定の大規模な養豚農業者であれば、もう一度再起に向けてというところ、頑張ろうというのはあるかもしれませんが、小さい事業者であれば、もはや、全頭殺処分されてしまえば、もう一度やろうというエネルギーすら湧かない、そういう声も聞いております。この点は、今後の研究課題として、是非、大臣にも心に留めておいていただければと思います。

 そして、補償の内容です。今申し上げたとおり、事業を再開するのは至難の業です。一度奪われた販路を取り戻すことも困難です。是非、事業継続、販路回復への支援を求めたいと思います。この点もお答えください。

金子(原)国務大臣 発生農家の経営再開に向けましては、家畜法に基づく手当金や家畜防疫互助金を、家畜の再導入経費や経営再開までの人件費などの固定経費に充てることが可能であります。

 家畜疾病維持資金につきましては、法人の貸付けの上限を八千万円といたしておりまして、実は、手当金や互助金と合わせれば、相当程度の対応は可能であると考えております。

 このほかにも、長期、低利の農林漁業セーフティネット資金も用意されておりまして、家畜疾病の経営維持資金としての併用も可能であります。

 今後は、農家の状況に応じて活用いただけるよう、県とも連携して、情報提供など、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 大臣、今の制度で十分かどうかと言われると、非常に私は疑問を持っております。しかも、八千万とおっしゃいましたけれども、これは融資です。利子は確かに補給してくれるかもしれませんが、今、ゼロからのスタートではなくてマイナスからスタートのときに、もう一度借金を重ねろということについては、非常につらいものがあります。

 豚熱に関しては、今後もまだまだ拡大をするおそれがある中での、是非、事業者が諦めることなく、もう一度チャレンジしよう、そう思ってもらえる制度にということで、是非今後も、この制度で十分かどうかというところは見ていただければと思います。

 そして、先ほど予防の話がありました。

 野生のイノシシが非常に増えております。宮城県におきましては、残念ながら、やはり、福島の原発事故以来、野生のイノシシ、危険区域で人が住めないところでのイノシシが大量に発生をして、北上しているとも言われており、宮城県内での野生のイノシシもどんどん増えてきております。その中での感染確認も増えてきております。

 サーベイランスを強化すること、それから実際に捕獲、これ、猟友会の皆さんも高齢化しておりますので、なかなか捕獲の体制というところは厳しいところがありますので、是非ここについても実効が上がる促進の強化を求めたいと思います。お答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚熱の感染拡大の原因、委員御指摘のとおり、野生イノシシにつきましては、捕獲を強化しながら、捕獲されたものを検査につなげるということを行うことによりまして、感染状況の正確な把握に努めているところでございます。加えまして、感染しているということが確認されたエリアにつきましては、イノシシ用に経口ワクチンを散布いたしまして、野外のウイルス量の低減を図っているところでございます。

 また、世界的に感染が拡大しており、かつ、豚熱と異なり、ワクチンが開発されていないアフリカ豚熱対策の観点からも、より一層の全国的な野生イノシシのサーベイランスが必要と考えており、優良な取組事例の共有を図っているところでございます。

 今後とも、最新の知見を活用して、豚熱の清浄化に向けて、農場での発生予防のため、野生イノシシ対策に取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 冒頭から申し上げていますとおり、豚熱、西日本を中心に広がってきたんですが、今、東北、宮城県で確認がされ、また、イノシシが原因となっていますので、イノシシがどんどん北上していくと、日本列島どこで起きてもおかしくない。津軽海峡を渡ることも時間の問題じゃないかと言われております。野生イノシシに対しての検査の強化、それから特に養豚場の周辺で確認された場合に、徹底して捕獲、駆除をしていただく、この努力も求めたいと思います。

 続きまして、トンガ沖津波被害の漁業関係者への支援についての話題に移らせていただきます。

 先ほども御紹介しました資料三によりますと、トンガ沖の津波によって、宮城県で漁業関係者に甚大な被害が起きています。被害の中でいくと、宮城県が最も大きな被害ではないかという報道もなされていますが、今現在の被害額あるいは内容の実態、分かりましたらお知らせください。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 トンガ諸島の火山噴火に伴って発生した潮位変化により、水産関係におきましては、二月十日時点の報告によりますが、漁船の転覆、漁具、養殖施設の被害、水産物のへい死などの被害が十一道県から報告されております。

 被害金額については現在まだ積算中でございます。

 このうち、宮城県につきましては、ワカメ養殖施設を中心に、委員御指摘のように、約一億三千六百万円の被害が報告されております。

岡本(あ)分科員 宮城県ではもう確定したということで、一億三千六百万弱という金額が出ております。特に養殖を行っている方々から悲鳴が上がっております。特に宮城県内、塩竈市になりますが、ワカメの養殖施設八割以上が壊滅をしている状況です。

 壊れた施設の撤去や事業再開への支援を求めますが、この補償、支援内容についてお示しください。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省といたしましては、漁船や養殖施設などの被害については、漁船保険制度及び漁業共済制度により支援を行うこととしております。

 また、これらの保険、共済に加入していない方々につきましても、早急な養殖施設の復旧などを行うための融資制度として、農林漁業施設資金や漁業近代化資金といった長期、低利の制度資金や、当該資金の金利を無利子化する事業も措置しているところでございます。

岡本(あ)分科員 大臣、是非お聞かせいただきたいんですが、先ほどの豚熱も、申し上げましたけれども、自分のせいではないんですね。それで被害が起きて、マイナスになっている、マイナスからのスタートのときに、漁業共済、あると思いますが、満額ではありません。そして、ほかにあるのが融資、要は、借金をまずしてくれという制度になります。

 こういう、今回も、トンガの津波が例えば東日本全ての漁港に起きていたら、これは激甚災害になるかもしれないんです。局所的なところで起きたから、激甚にもならず、通常の災害というか、通常の天災での救済ということになると思います。

 そういう意味で、マイナスからスタートに融資という制度というのが、本当に、今現行はそれしかないかもしれませんけれども、そういう制度でいいんだろうかという思いを私は持っております。

 大臣、もし所感がありましたらお聞かせいただければと思います。

金子(原)国務大臣 なかなか難しいところですね。

 漁済があるんですよね。漁済に入っていればある一定の補償金はもらえるんですが、小さい業者の方々は漁済に入らなくてもいいというような考え方でおやりになっている方が多いものですから、なかなか、そういった被害があったときに、そういう方々に負担、補償金を出すというのは非常に難しい。私もかねてからそういう気持ちを持っておりましたから、いろいろ検討は昔からやっているんですけれども、なかなか難しいですね。

 今回、特に被害を受けた方は、いかだを浮かしているんですよね。普通、いかだはアンカーを打つか支柱を立ててやっていれば、大体そういうところは被害が余り、今回も受けていないわけなので、これからやるときには、やはりそういった、何があるか分かりません、恐らく一番奥湾だったから日頃波が静かだということでそういった対応をしていなかったんだろうと思いますけれども、できたらそういった、いつ何が起こるか分かりませんので。

 それともう一つは、必ず漁済に入っておいていただくということが大変大事なことと思いますので、よろしくお願いしたいと。

岡本(あ)分科員 もう一つ、ちょっと具体的なことなので、水産庁の方に伺わせていただきたいと思いますが、事業再開に向けてというのは、今、共済ですとかそれから融資というのが、今現行はそうなんだという御答弁だったと思います。

 今回、津波に、潮位変化によっての養殖のいかだの撤去、回収、要は、壊れたものについて、そこまで全部自分で、自己責任なのかというと、そこの部分は、やはり災害ということを前提にした対応が必要ではないかと思います。大臣、うなずいていただいているんですが、水産庁の方で、もし、この点だけでも検討の余地がないか、このことについてはお答えいただきたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 今後、同様の被害が発生することを避けるためには、大臣も申されましたように、従前より高い強度の養殖施設を導入することが望ましいと考えられます。

 強度の高い養殖施設の導入を支援するために、令和四年度予算等におきまして、浜の活力再生・成長促進交付金などを措置しているところでございます。そのような中で運用していただければと思います。

岡本(あ)分科員 それは、大臣がお答えいただいた部分に入っていると思います。

 せめて、災害に遭って、回収とか撤去、要は、壊れてしまった部分についてだけでも、災害の対応ということでの制度というのを今回検討することはできませんでしょうかね。そこをお答えいただければと思います。検討の余地はないのかどうか、是非その点お答えください。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような撤去というのを前提といたしまして、次に強度の高い養殖施設の導入を支援するという、その一連の中で御対応いただければと考えております。

岡本(あ)分科員 今の、強度の高い養殖に向けてという制度を使えば、撤去費用についても、その中で含まれるということでよろしいですか。

金子(原)国務大臣 いろいろなパッケージの中でやっているので、その撤去というような話になってくると、なかなか、いろいろと難しいところもあるので、成長促進交付金など、浜の活力を活用して、知恵を出しながらいろいろと考えてやっていただくことが必要ではないかなというふうに思うんですけれどもね。

岡本(あ)分科員 大臣には、気持ちも入っていらっしゃるのかなと思って受け止めさせていただきます。

 今、次に向けてどうするかというのは、少し、資金の計画も当然必要ですので、一定の時間は必要かなと思います。

 ただ一方で、今残っているワカメは出荷をしたい、でも、壊れている部分は何とかしなきゃいけない、そこの部分だけでも、直近の、今々必要な部分というところは是非酌み取っていただきたいですし、将来的に、例えば、その制度を活用したとしても、遡ってそこの時点からというところも含めて御検討いただければと思います。

 最後に大臣に、今、豚熱の話、それから水産業の話、そして、資料四では米価の下落の話もさせていただきました。今やはり、この食の安全保障も含めて、第一次産業、生産者をしっかり守っていくという姿勢が必要なんだと思います。大臣からも、最後に、この畜産、水産、農業を含めた生産者支援への思いを聞かせていただければありがたいと思います。

金子(原)国務大臣 農林水産業は国の本でございますので、なかなか、やはりいろいろな、大小、規模によっていろいろな、農業もあれば水産業もあるんですが、やはり、何かあったときにどういうふうに対応していくかというような、いろいろな問題等もありますので、これから、できるだけそういった方々が持続的に事業を続けていくことができるように、我々も、いろいろな知恵を出しながら頑張っていきたいと思っております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございました。終わります。

鷲尾主査 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鷲尾主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福島伸享君。

福島分科員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日、明日と二日間にわたる長丁場の分科会、大臣、大変お疲れさまでございます。

 今日は、私は、まず一点目、ちょっと質問通告と順序を変えまして、水田農業政策のことについて、まず冒頭、御質問させていただきたいと思っております。

 これまで、規模拡大すれば農業は効率化するとずっと言い続けて、政策のせいだけじゃない要因もあるとは思うんですけれども、私の地元でも、この十年、二十年の間にかなり水田農業は大規模化していって、これまでのいわゆる小規模の農家の皆様方も、高齢化が進んで自分の田んぼを耕せなくなって、人にやってもらったり、売ったりということで、かなり大規模化が進んできたように思います。

 しかし、今度新しく生じた問題は、そうやって農地を請け負ったり集めたりした担い手自身が、多くは団塊の世代で、七十歳を超えてリタイアが始まっております。一方、定年して帰農するという人も、統計を見るとどうやら減っているようでありまして、特に、大規模化した、これまで地域で中心的な担い手となっていた人が高齢化して、いなくなるという事例が出ております。

 統計によると、その人たちのうち後継者がいるのは約半数ということで、この間、私も地元を街宣車で週末回っているんですけれども、おおっと支援者の人が寄ってきてくれて、来年また新たに五町歩やることになったんだよと言って張り切っていたんですけれども、その人も八十歳を超えておりまして、中山間地の山合いなんですけれども、その人が仮に不幸にして亡くなったときに誰が担い手をやるかといえば、いない。現実に、大規模な農家が後継者がいなく、そのままやめてしまうという例が、うちの地元でもぽつぽつ出始めております。

 私は、まさに今、日本の水田農業が崩壊するかどうかの瀬戸際にこの国はあると思っております。水田農業はGDPで見たら少ないかもしれませんけれども、しかし、様々な地域のお祭り事とか作業とか、そういうものは水田農業のリズムを中心にでき上がっているわけでありますし、水田を守るためにそこに代々人がなりわいを持ってきたという意味では、水田農業の崩壊というのは、まさに農村の崩壊を意味すると思っております。

 そして、その農村の崩壊は、農村で様々営まれてきたお祭り事とか、あるいはみんなで協力して一つの物事に当たるという協調の精神とか、日本人の精神的なもののよりどころが私は農村であると考えておりますから、それはひいては、日本自体が崩壊する。日本語を話し、日本人と同じ顔をした人が住んでいても、農村がない日本はもう日本じゃなくなる、そうした危機にあると私は思っておりまして、この十年ぐらいの間が水田農業の存続の、いや、農村の存続の、その瀬戸際の状況にあると思っているんですけれども、大臣はどのように御認識されていらっしゃいますでしょうか。

金子(原)国務大臣 福島議員の御質問にお答えしますが、水田、特に農業、米の生産というのはなかなか難しいところがあると思うんですね。

 御指摘のように、人口も減ってきていますし、非常に需給バランスが崩れてきて、需要が二十年前に比べると約二百万トンぐらい減少しているという状況で、今でも毎年十万トンぐらい減少しています。したがって、需給バランスがどうしても、なかなかバランスを取るということが難しいですから、どうしても米はある程度転作をせざるを得ないということで、いろいろな交付金等で私たちもやっているわけなんですが、なかなかこれも正直言って難しいところもあります。

 確かに、長崎県も、福島議員と同じように、中山間地が非常に多いところで、正直言って、米はある一定の地域しか作っておりません。どっちかというと、畜産とか野菜とか、そういったものが非常に多いんですが、やはり米農家というのはなかなか厳しい中で、中山間地域は米しか作れないという状況もあるわけなんですね。そういった中で、だんだん減少していくと、地域のコミュニティーも失ってしまうといった、そういう危機意識もあります。ただ、これを止めるというのはなかなか難しいと思うんですよ、私もいろいろとやってきましたけれども。

 だから、やはりそういった中で、特に中山間地域を考えていくと、ほかの作物と違ったものを作るとか、例えば無農薬でやるとか、そういった特殊なものを、付加価値を高めていかないと、なかなか従来の米を作っていても難しいと思うんですね。それともう一つは、中山間地域の一つの部落だけでやっても難しいですから、小学校単位ぐらいでブロックをつくって、お互いにそういった、農業後継者がいなくなったところを共同で受入れをするだとか、そういったものも含めて総合的に考えていかなきゃいけない。

 そういうときに、どういうインセンティブを与えることによってそういうふうな広がりを広めていくかといったことを考えていかないと、なかなか難しいところもあるなというふうに思っておりますので、そこはこれからも、福島委員始め委員の皆さん方の御意見を賜りながら、よりよい方向で努力をしていきたいと思っております。

福島分科員 大臣の、現場実態、地元の実態を踏まえた真摯な答弁、ありがとうございます。

 私が一番危機感を持っているのは、確かに中山間地とかいろんな問題は抱えているんですけれども、これまで日本の農業を中核的に支えている普通作、水田農業の一番の中核の農家が倒れてその後がいないというのはこれまでにない危機感だと思っておりますので、是非、これまで論じられてきた農政の危機とはまた一段違った危機なんだということを御認識いただければと思います。

 私の地元でも、園芸をやっている人とか畜産の人は、比較的、後継者はいるんですよ。それは、もうかるからなんです。でも、水田農業はいないんですよ。もう年寄りばかり。それは、もうからないから、水田農業でやって生きていけないからですね。

 令和三年の米の販売価格は一万三千三十三円、いろんな経費を引くと、農家の手取りは大体一万円ぐらいです。統計データだと、三十ヘクタールやっている大規模農家でも生産費は一万円を超えますから。三十町歩ですよ。昔は、三十町歩といったら大農家で、外車に乗って暮らせるぐらいだったかもしれないけれども、今、それでも赤字なんですね。

 大臣、衆議院に初当選された頃、一九八三年だと思っておりますけれども、米価は六十キロで幾らだったと思いますか。分からなければ分からないで、大体でいいですけれども。

金子(原)国務大臣 米価はあのとき、三万円前後だったですかね、大体。

福島分科員 まあ、そこまでは高くないんですけれども、二万円ちょっとなんですけれども、でも、それでも今は半分ですよ。三十年たって、物価が半分になった産業ってほかにないと思うんですよ。農家は効率が悪い、大規模化すればよくなると言って、でも半分に価格がなったら、どんな天才経営者でも経営することは私はできないと思っております。

 そして、最近は特にコロナで需要が減退していることによって、大臣もおっしゃったように、米価が下落しておりますし、この先、長期的に見ても、少子高齢化、食べ物を食べる量が少ない高齢者が増えていくわけですから、先ほどおっしゃられたように、需要は長期的に減っていく、未来のない状況になっているわけですね。

 今、何でしのいでいるかといえば、飼料用の米を作付ける直接払い、それで現金収入を得ながら何とか営農を続けているというのが現状だと思うんです。でも、こんなのは財務省の査定一つでころっと変わっちゃう。財務官僚の手のうちに農家の、農村の将来が懸かっていると言っても間違いじゃないと思うんです。

 これまで、生産調整に応じれば米の値段は上がると言ってきたけれども、結局、上がっていないんですよ。どんどんどんどん、今見てきたように状況が下がっているんですね。私は、今こそ本質的な水田農業政策の転換が必要なんじゃないかと思っております。

 私は、こうしたとき、見るときに、やはり財務省に左右される農政になってはいけないと思いますので、財務省の財政制度等審議会という御用審議会、財務省に都合のいいように素人が言う審議会の報告書を見るんですけれども、そこにはこう書いてあります。大規模経営体の収益性や生産性は、期待どおりの成果を上げているとは決して言えない状況である。大規模化しろと言ってきたのは財務省なんですけれども、期待どおりの成果を上げていないと。経営規模が大きくなるにつれ、面積当たりの農業粗収益が減少する一方で、農業粗収益に占める補助金の割合は増加している。当たり前なんですよ。

 生き物を相手にする農業は、大規模にしたから一律的に効率が、下がるわけじゃない、大規模にすればするほどかかるコストもあるわけですから、一定程度はコストが下がるけれども、更に大規模化するとそれほどコストは低減しないというのは、一応私も農業経済学というのをやっていたんですけれども、いろんな論文とか研究成果でも明らかなんですね。

 でも、財務省は、それが悪いから、収益性が低く、補助金に頼るものを作っているんだと。そうじゃないんですよ。もうからないから、補助金には頼りたくないけれども農家は補助金に頼らざるを得ない状況になっているにもかかわらず、転作助成金の財政上の持続可能性を高めるために輸出用米や高収益作物の作付を促していくべきと。だから、輸出で賄えと。

 私は、こういうのを見て実際の農家の人は、何言ってんだと思うと思いますよ。こうした財務省の見解、正しいと思いますか。

平形政府参考人 私のところは、まさに水田活用の直接支払交付金を担当しておりますし、ゲタとナラシという経営所得安定対策も実施しております。

 その中で、規模の大きい農家ほど確かに補助金が入っている割合が高いんですが、実は規模の大きい農家でないと、例えば今、麦とか大豆というものがあるんですが、これが小規模に生産されてもいつまでたっても効率が上がらないということがありまして、実は地域の中でこういった転換のところを引き受けていただいているのが大規模な方だというところがありまして、そういったところがかなり要素として入っているんじゃないかなというふうには思っております。

 麦とか大豆というのは、実は若干ずつではありますがかなり伸びてきておりまして、ここ、麦、百万トンを超えるように、今、国内でも生産が上がってきています。品質も相当よくなってきて、これは自給率を上げるためには必要だというふうに思っておりますので、こういった定着性の高いもの、これも引き続き大規模農家のためにはやっていく必要があるんだなというふうに思っております。

福島分科員 局長がおっしゃるように、麦、大豆に転換すれば必然的に補助金の比率は高まっちゃうんですね。でも、だから、補助金を出したくないから、今度は麦、大豆じゃなくて輸出米をやれとかという荒唐無稽な農政に絶対ならないようにしていただければと思います。

 大規模化しても、今、なかなかメリットが感じられないというのが現状だと思うんですね。それはやはり価格ですよ。米価の問題だと思います。今は食管制度の時代じゃないですから、政府が米の値段をどうにかできるわけではない。この点は私も非常に悩ましくて、ずっと考えているんですけれども、まだ解決策は見出しておりません。

 普通の工業製品というのは、よく、作った人がメーカー小売希望価格ってつくりますよね。幾らコストがかかっているとか、情報が非対称でありますから、生産者にある程度の価格決定能力があるんです。ところが、農産物の場合は、もう来年になったら翌年の米ができてくるわけでありますし、持てば持つほど価値が下がってきて、生産者が一番弱い立場にあって、価格交渉能力、決定能力がほとんどないというのが農業であり、とりわけ米なわけですね。だから、下方的にどんどんどんどん米価というのは下がらざるを得ないという状況になっております。

 やはり、そうした農業の特徴を考えれば、岩盤が必要なんですよ。少なくとも赤字にはならない。今、三十町歩でも赤字ですよ。五十町歩でもとんとんですよ。これから更に価格が下がっていって、むしろ資材は、輸入する肥料とかそういうものは上がっていますから、コストは上がっているんですよ。そうしたら赤字になる。それを補助金で麦、大豆を頑張ってやるのも大事だけれども、やはり最低限、国として、作っても赤字にはならないというために補填する直接支払いってやはり大事だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、欧米でもどこでも直接支払いというのはかなり政策的には行われているところでございますが、その前提として、やはり、直接支払いを我々やっていく中で、直接支払いの単価だけ見て作られてしまうと、需要がないのにその分だけ作ってしまうということも実は多々起きております。

 価格は、お米なら全てが同じ価格ではなく、やはりこれは作り方だとかコストのかけ方によって値段はかなり変わってきておりますし、コストの方も変わってきております。

 そういった意味で申しますと、まず需要に合った生産、どうしても過剰になればなるほど値段は引き下げられる、更に弱含みになるということになりますので、需要に見合った生産を各地の判断の中でやっていただきながら、その中でいろんな作物を作れるように、そういった直接支払いの制度を用意していくというのが国の仕事じゃないかなというふうに思っております。

 以上です。

福島分科員 恐らく、戸別所得補償というと民主党政権の遺産だからそれをやりたくないという、政治的な圧力か何か分からないんですけれども、やらない理由ばかり考えているんですよ。

 私は先ほど冒頭申し上げたように、今の水田農業は危機なわけです。これまでの、今の政策を私は変える必要があると思うんですよ。

 戸別所得補償で一律に出せば要らない分も作ってしまうと言うけれども、それは要件を縛ればいいだけなんです。例えば、若い後継者がいる、そうした農家に絞って出しましょうとか、いろんな条件をつければ、幾らでもそれは縛ることができるわけです。

 私は、今必要なのは、これは非常に血が出ることで、きついことなんだけれども、水田として水を張る田んぼとそうじゃない田んぼをしっかりと区別して、長期的な需要の減少に耐え得るような生産基盤に再編をすることだと思うんです。

 これはなかなか、言うのは政治的には難しいですよ。農水省さんもいろいろやっていると思うんですね。水田農業高収益化助成とか、高収益作物畑地化支援とかやって、畑地化をやろうとしておりますけれども、なかなか進まないと思うんです。畑地化すれば、その瞬間にもう耕作放棄地になっちゃう可能性だって、ないわけではない。今まで水を張って田んぼでやっていたことを畑にやると、農作業のリズムも全て、資材から何から変わりますから、なかなか転換は進まないと思うんですね。

 でも、長い目で見たら、水を張って米を作るのを半分ぐらいに下げてでも、それ以外の水田の部分については畑地化を促すとか、そうしたことをやらなきゃ駄目だと思うんです。

 ただ、それをやるには痛みも伴いますから、相当な政治的なメッセージが要る。今はまさに危機なんだ、このまま水田農業が滅びていけば農村も日本も滅びる危機だから、歴史的な瞬間として、もう一度水田の再編を起こそうじゃないかというような政策転換が必要だと思うんですけれども、大臣、御見解、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 福島議員の言わんとしていることもよく分かります。

 ただ、それぞれの事情があることと、一番はやはり国民の理解を得るか。やはり国民の理解を得た上でそういった政策をやっていくことができるか。いろいろな問題等があります。

 しかし、せっかくの御意見でございますので、御意見を踏まえて、いろいろと研究、検討をさせていただきたいと思っております。

福島分科員 是非、危機的に思った方がいいと思うんですよ。

 国民の理解を得るために努力するのが我々政治の役割ですから、一時的な痛みを背負ってでも、農家のため、農村のため、国の将来のために必要なことを私はやるべきだと思っております。

 今、農水省は、あめじゃなくてむちを振るおうとしているんですね。水田活用の直接支払交付金を、今後五年間で一度も水張りが行われていない農地については令和九年度以降交付対象にしないと言っています。

 五年間、誰が全部の、地元の水田に水を張っているか張っていないのかってチェックするんですか。すごく私は、見るだけで、陰湿なやり方だなと。おまえ、水張ってねえじゃねえか、来年からは金出さないぞってやるんですかね。私は、そうじゃないと思うんです。もっと、水を張っていないから補助金を出さないというんじゃなくて、太陽政策、これをやったら、畑地で利用していたら、もっと別な使い方をするのであれば、積極的に水田を別なものに使いましょうというメッセージを発する、そうした政策が必要であると思っております。

 この補助金の、水張りが行われていない農地を令和九年度以降交付対象にしないということによって、更に耕作放棄地が増えたりとか、あるいは、固定団地という形で転作に協力していた人が協力しなかったりといった、そうした問題が起きると思うんですけれども、そのことについての認識はいかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 水田活用の直接支払交付金につきましては、元々、水田でありますので、畦畔、それから用水の来る農地を対象にして行っているわけなのでありますけれども、今、米の需要が減っている中で、福島先生おっしゃるとおり、主食用米からほかの作物に転換する、これを支援するために行っているものでございます。

 このために、水田の直接支払い交付金の対象は、まさに水をためられるものというふうにしているんですが、さらに、実は連作をしていくと、よく御存じのとおりだと思うんですが、もう麦でも大豆でも非常に病気が出るということがありまして、昔やっていたんですが最近ちょっと廃れてしまったブロックローテーション、これを再編していきたいというふうに思っております。

 このために、五年間かけて、じゃ、ブロックローテーションをもう一回やっていただこうという、地域の中で話合いをしていただこうと思っているんですが、その中で現れてきた課題については、丁寧にお話を伺って、課題の検証をやりながら、必要な政策を考えていきたいというふうに思っております。

 全般的に、やはり需要のある作物を作る、それに対しての誘導ということは、今後、高収益化の作物に対してのものというのは、直接支払いだけではなく、基盤整備ですとか施設整備も含めて、しっかり支援していきたいというふうに考えております。

福島分科員 補助金を出さないという北風だけじゃない総合的な対策を、まさに今局長がおっしゃったことを講じていただければと思います。

 私は、そこで、もう一つ鍵になるのが、再生可能エネルギーの導入だと思うんですよ。畑にするだけじゃなくて、外に土地を売っちゃうんじゃなくて、農家自身が太陽光パネルを張って、その売電収入で更に農業を高度化する。自分で直売所をつくったり、施設園芸用の施設を効率的ないいものにしたりとか、売電収入をもってやるということが可能だと思うんです。

 しかし、現実には、FIT法ができてから、先日の予算委員会でも申し上げましたけれども、山を削ったメガソーラーとか、農地も、農家自身が太陽光を張ってその利益で農業経営に生かすというよりは、農地をそのまま売っちゃって、どこかよその人が、来た人が太陽光パネルだけを農地の間に張って二十年間ほったらかしにするというような事例が多くて、せっかくのFIT制度が農家や農村の収入増につながっていないんじゃないかと思うんですね。

 農水省で、農山村における再生可能エネルギー、農山漁村再生エネルギー法というのを二〇一四年五月一日に施行しましたけれども、二〇二一年三月末時点で、基本計画を作成済みの市町村は僅か七十四、設備整備計画の認定数は僅か九十五しかありません。もうFIT制度が始まって十年で、この間、買入れ価格も大幅に下がってきて、時機を既に逃して時遅しだとも思うんですけれども、このように利用が低調な原因はどこにあると認識していらっしゃいますでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 農山漁村における再生可能エネルギーの導入に当たっては、地域に賦存するバイオマス、水、土地等の資源を有効活用して、地域の所得向上につなげることが重要でございます。福島議員がおっしゃいましたように、大変農業経営にとっても重要だと思っております。

 農水省では、農山漁村再生可能エネルギー法による、農林漁業の健全な発展と調和の取れた再生エネルギー発電の促進や、営農型太陽光発電の推進に取り組んできたところでございます。

 市町村にアンケートを取りましたところ、農業者の皆さんからは情報提供が必要だということで、農水省としては、予算事業も活用しまして、農業者等からの相談対応ですとか、専門家の派遣、意見交換やセミナーの開催等により、農山漁村における再生可能エネルギーの導入を促進してきたところでございます。そういった、原因は情報提供が足りなかったという反省に基づいて、このようなことをやっているところでございます。

 今後、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、農山漁村の活力向上や農林漁業の発展に資する形で再生可能エネルギーの導入拡大を進めていきたいと思っております。

福島分科員 申し訳ないですけれども、全然駄目だと思いますよ、その認識では。

 なぜ進まないかというのは、幾つか理由があると思うんです。

 幾つかあるうちの一つは、まずは、市町村を絡めるスキームにしたことです。市町村が、学識経験者とか農業者とか、施設を設置するところで協議会をつくって、基本計画を作って、そんなの誰がやりますか。太陽光をやる人は、みんな、お金が入ることが目的なんですよ。自分の農地を使って太陽光をやったり、あるいは集落でみんなでまとめて太陽光をやったりするのに、こんな大げさな仕組みは要りません。

 市町村にアンケートを取ったって、ビジネスもやったことがないような連中にアンケートを取って、出てくるのは、情報がない、それは勉強していないから情報がないと言うだけですよ。そんなのを見て政策をつくるとしたら、ろくな政策が出ない。事業者単位でやらなきゃならないんです。農家が自分で収入を上げるために、例えば、自分の土地の一部に太陽光パネルを張って、その売電収入を上げて直売所をやるんだとか。

 成功事例がありますけれども、土地改良区が、遊休地に太陽光パネルを張って、私の地元の土地改良区のコストのほとんど、もうポンプの電気代ですよ。電気代を電力会社に払うんじゃなくて、むしろ電力会社からお金をもらって、水利費が安くなれば、コストが下がってみんな喜ぶわけですね。それが、知恵が出ているのは市町村じゃない、全部現場ですよ。それを、市町村を絡めたこんな大げさな仕組みにするから誰も手を挙げないんです。

 二点目は、メリットが少ない。それだけやってもできるのは手続のワンストップ化、それじゃ意味がないんですよ。

 むしろ、先ほどの話とつなげて言うと、今までは一種農地とかあるいは農振地域かもしれないけれども、コアの水田農業を守るために、需給も引き締めるために、一部の農地がちょっと傾斜があるとかそういうところは、私は特例で転用を認めてもいいと思うんです。まさに特区的な発想です。その代わり、そこで得た利益はまた農業に使ってもらう。農家の外がやるんじゃなくて、農家自らがその決断をもってやったんだったら、こんな市町村とかなんとか絡まなくても、農地法とか農振法の特例で適用させてあげるなんという、そんな規制の特例があれば、多くの人がやりますよ。

 つまり、この仕組みは全くビジネスオリエンテッドじゃないんですね。

 ちょうど今、第六次エネルギー基本計画が出て、二〇三〇年までに太陽光を、二〇一九年の六・七%から、一四から一六%、倍にすると言っていますけれども、もう日本は、平地面積当たりの太陽光発電の面積は世界一です。もう余地はないんですよ。これ以上乱開発を進めてどうやっていくかって、ないんですね。

 あと、やるとしたら、水田が余っているのであれば、そこを農業者自らが、農外の人じゃなくて、造って、その現金を得て、米の価格が下がっていく中で、農家の手取りにすることによって農業を持続的にしてもらう、そうした制度なんです。

 私が民進党にいるときに、それを可能とするような議員立法を田園からの産業革命法案として用意させていただいておりましたけれども、私自身が落選しちゃって四年間いなかったので、その議員立法はまだ国会に提出できていません。でも、このまま太陽光の買取り価格が下がっていったら、そのビジネスすらできなくなるんですね。

 ですから、私は、もっと農水省さん自らがFIT制度に意見を言ってもいいと思うんです。経産省がエネルギー基本計画でこれだけ太陽光を増やしたいんだったら、ほかのメガソーラーとか外資がやるのよりも高い価格で農家がやる太陽光は買い取ってくださいというルールをつくってもいいぐらいだと思うんです。そうすれば、長期的に米価が下落する中で、農家の収入が減って、もう水田農業をやめようとプロの大規模農家が思っている中で、営農を続けられるかもしれないんです。

 ですから、この再生可能エネルギーのやつは、決して遊びでやっているわけじゃないと思うんだけれども、今の局長の答弁のような通り一遍のじゃなくて、今まさにやらなきゃならないことだということで、根本的な制度の見直しを図るべきだと思うんですけれども、大臣、お考え、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 売電価格は大分下がってきておりまして、当初のときの価格だったら、これは結構面白い商売だなと思っておりましたけれども、最近の価格というのは非常に下がっている。ただ、設備費が非常に安くついているということはあります。

 ただ、なかなか難しいところもありますが、議員の御意見も、貴重な御意見でございますので、よく承っておきたいと思っております。研究させていただきます。

福島分科員 是非、大臣、政治家として萩生田大臣に物申してください。私もお手伝いしますので、声だけはでかいつもりでありますので、言いますので。

 ただ、なぜそれを言うかといったら、この十年、二十年先の世界が怖くなるからです。

 私は、選挙に出てから十九年になりますけれども、最初の頃はやはり小規模な農家がいっぱいいて、ゴールデンウィークに街宣車で通ると、みんな家族で田植をしていたんですよ、ビーチパラソルをやって。最近は街宣車で行ってもその風景は見当たりません。

 それだけ集約が進められているんです。二、三十キロ遠いところから、大型のトラックに大型のトラクターを載せて田植に来るというようなのが今の農村の風景に、たった十数年の間に変わっているんですね。

 でも、同じ期間が過ぎたときに、耕作する人がいない大規模な優良農地が出たり、あるいはそこを外国人が経営していたりという日本の農村の姿は、私は絶対に見たくない。

 だから、今危機感を持って、この十年が勝負ですよ。十年が勝負のためには、どこかの予備校の講師の言葉じゃないですけれども、今でしょうなんです。

 例えば、農地を減らすみたいな、水田を転換するみたいな痛みを伴うことをやる上でも、政治家にとってのビジョン、語る言葉のビジョンが必要なんですよ。

 農家の人に、今こういう状況だからこれだけの大転換をしなければならないんだというのをメッセージを発するのは、私は大臣の役割だと思っております。

 是非、そういう思いで取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。ありがとうございます。

鷲尾主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)分科員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 金子農水大臣、また大岡環境副大臣、ありがとうございます。また、両省庁の皆様も大変お疲れさまでございます。

 まず冒頭、農林水産省関連で何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目ですけれども、新規就農者支援策についてお伺いをいたします。

 私の地元の滋賀県も農業が盛んでございまして、稲作中心に様々な農業がございます。そういった中で、やはり、全国で農業従事者が減っていて、また、食料安全保障の観点からも、しっかりと農業従事者を増やして、農業の生産性であったりとか産出を増やしていくということは極めて重要だと思っておりますので、こういった新規就農者の支援については極めて重要だと考えております。

 これまで、多年度にわたってこういった新規就農者の支援策が行われてきておりまして、今年度の、来年度の予算でもこういった支援策がございますけれども、これまでの支援策をどうまず農林水産省として評価をされているのか、また、それでこういった課題が見つかったので今年度ではこういったふうに改善をしています、こういった取組をしていますというところをまず冒頭お伺いできればと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 農業を担う人材の減少が続いていることを踏まえまして、新規就農対策をしっかりと推進する必要があるというふうに思っています。

 新規就農者の育成のためには、都道府県や農業団体の地域の関係機関が総合的にサポートいたしまして、必要な初期投資を行った上で、しっかり経営を発展させることが重要です。

 このため、令和四年度の予算におきまして、就農に向けた研修資金、経営開始資金、雇用就農の促進のための資金の交付を、引き続き、全額を国費で賄うこととしております。

 新しく、これに加えまして、経営発展のための機械、施設等の導入を国と都道府県が連携して支援するとともに、伴走機関等による研修向け農場の整備、先導農業者における技術指導等を行うなど、地域におけるサポート体制の充実も支援することとしたところであります。

 このような総合的な支援の内容によりまして、農業人材の呼び込みと定着を一層推進する考えであります。

斎藤(ア)分科員 大臣、ありがとうございます。

 今、最後の方に御紹介いただいた経営発展支援事業に関してなんですけれども、こちら、大臣がおっしゃったように、県と連携をしてというところで、県の財政支出も求めている。県が支出した二倍を国が支援するという補助率になっておりまして、県が支出をするという施策となっているんですけれども、これに関して各都道府県の反応というか、それはどうでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のあった事業についてでございますが、その前に、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、従来の事業を引き継ぎます、就農に向けた研修資金ですとか経営開始資金等につきましては、地方の声を踏まえて、これは全額国費で引き続き行うこととしております。

 それで、今御質問のありました、新たに措置いたします機械、施設等の導入についてでございますけれども、これは、多くの都道府県で従来から独自にこういった類似の取組をされている県が多いというふうに承知しています。その県が独自にやっておられたようなこういう取組を今回新たに、国の財政も乗せて後押しをしたいということでございます。

 これについては、都道府県においてこの事業自身については評価するというような声をお聞きすることが多いんですが、もちろん、一緒にやる場合に、これまでやってきた県の事業であっても、ここにやはり何らかの後押しができればということで、今申し上げた事業について、都道府県の負担分につきましては地方交付税措置が講じられることになっておりまして、本事業につきまして、多くの地域で活用できる内容になっているものと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 私も聞いているのは、確かに、インターネットとかで就農を目指している若い方の意見とかを聞いていると、この最大一千万円というところに注目をされている意見があるので、こういった施策はいいと思うんですが、一方で、やはり、コロナ禍以前からも、都を入れるとおかしいかもしれませんけれども、各道府県の財政は極めて厳しくて、滋賀県も余裕がない状況でございますので、新規就農の支援、確かに理解をするんですけれども、一方的に県支出を前提とした施策をやられてしまいますと、県側としても、頭ごなしにやられたという感じになってしまう可能性もありますし、また、財政的な措置もしっかりとしてもらわないといけないというところでございますけれども、今、済みません、最後御答弁いただいたのは、これで支出される追加の県の財政部分については、しっかりと国が全額見るということでよろしかったんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今回、新規就農についていろいろ見直したわけですが、先ほど申し上げたとおり、従来やってきた事業につきまして、いろいろ都道府県の声もお聞きしながら、最終的に全額を国費により措置することとしたところです。これにつきましては、大いに評価をするということで地方団体からも言われております。

 それで、今回の経営発展のための機械、施設等の導入についての支援策、これは、先ほど申し上げたように、従来から各都道府県がやっているところが多いんですが、これにつきましても、こうやってそれを国が後押しをする、新たにですね、これまでやっていない事業でございますが、そういうふうな支援策を充実したことについて評価するというふうに地方団体からも言われています。

 それで、この支援策につきましては、地方負担が生じることから、地方財政措置を確実に講じるように要望するというお話も伺っているので、先ほど申し上げたように、地財措置を講ずるというふうにしております。

斎藤(ア)分科員 不安の声が直接届いているかと思いますので、しっかりと財政措置、国の方から支援をしていただきたいというふうに思います。

 我々国民民主党も、昨年の衆議院選挙の際に、食料安全保障というところを強く打ち出させていただきました。

 今、経済安全保障の議論なども進んでいますけれども、経済安全保障の中でも、特にこの食料安全保障というのは極めて重要だと思います。カロリーベースで四割にも満たない自給率であるというところがずっと問題視をされていて、全然改善をされていないわけですから、やはり、国が責任を持って、新規就農も含めて農政に関わっていくということが極めて重要だというふうに思いますので、今後も、是非とも全額国費の施策、これは国の安全に関わることでございますので、しっかりと財務省とも交渉していただいて、国費での施策というものを農水省の方でしっかりとつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、少し、こちらも滋賀県に関わりの深い質問になるんですけれども、侵略的外来種に対してどのように対策を講じていくのかということをお伺いしたいというふうに思います。

 様々な侵略的外来種がございまして、例えば、滋賀県では、琵琶湖にオオバナミズキンバイと言われるような、極めて繁殖力が強く、多少除去しただけではすぐに再生をしてしまうようなものがありまして、これが大変な問題となっております。これで滋賀県は、過去六年間で約十七億円を投じて、こういった侵略的外来種を除去する、あるいは監視する事業を行っているんですけれども、一度繁殖を始めてしまうと、駆除に大変な手間と時間がかかって、地方財政にも負担がかかってしまっています。

 まず、環境副大臣にいらしていただいていますので、ちょっとお伺いしたいんですけれども、国の宝である琵琶湖、これを守っていく、また日本の自然、生態系を守っていく上で、この侵略的外来生物に対する駆除、巡回、監視などに係る地方自治体の予算には、継続的にこちらも国が財政支援を行っていくということが極めて重要だと思いますし、また、当然ながら、国の直轄事業、こういったものを継続、強化をしていくことが肝要だと思いますけれども、その御認識はいかがでしょうか。

大岡副大臣 斎藤議員にお答えをいたします。

 御地元の大変重要な課題だと認識しておりまして、私の地元でもあるんですけれども、そこはしっかりと、先生の意見も踏まえてやっていきたいと思います。

 国としましては、まず、琵琶湖につきましては、現在、県が中心となって管理をしておりまして、それを国が支援をするという形を取らせていただいております。

 ただ、状況に応じて、やはり県の負担がちょっと大きくなり過ぎる場合には、いろいろな方法で国が負担をして、国と県と力を合わせて、この外来種、とりわけオオバナミズキンバイにはこれまでも対応してきておりまして、先生の御指導もいただきながら、県庁とよく協議をして、国としてできること、そして県として責任を取るべき部分、そこをしっかりと見極めながらも、できる限りの支援を国からしていきたいと思いますので、引き続き御指導いただきたいと思います。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 本当に、県だけでは、特に琵琶湖、あれだけ広大な湖水面積を持っていて、国の第一の湖であって、そういった意味でも、県だけでは対処できない部分もあるかと思いますので、しっかりと国としてサポートして、国の、この日本の誇る自然体系、自然を守っていくというところを国としてしっかりとやっていただきたいというふうに考えております。

 この侵略的外来植物に関しては、農業に対する懸念も深まっていると思います。実際に、滋賀県でも、この侵略的外来生物、オオバナミズキンバイだけではなくて、ナガエツルノゲイトウ、こういったものが農地に繁殖を始めていることが確認をされ始めていますので、こういったことに対する対処を行っていく、これがこれから重要になると思います。

 繰り返しになりますけれども、一度繁殖してしまうとすぐに繁殖が広まって、除去するのに十年ぐらいかかったりとか、また、重機を入れて土を全部掘り返したりとか、大変な手間とコストがかかることになってしまいますので、それを未然に防ぐ取組を今からしっかりと行っていかなければならないと思うんですけれども、農地へのこういった植物の侵入を防ぐことに向けた技術開発の今の状況についてお伺いしたいというふうに思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 現在、侵略的外来種の多発によりまして、農業用水の詰まりや雑草の繁茂等が生じまして、農作物の収量低下が起きております。

 委員が御指摘いただきましたナガエツルノゲイトウでございますとかオオバナミズキンバイ等につきまして、農業生産に深刻な被害をもたらす侵略的外来種ということで、効果的な薬剤の選定ですとか、DNA解析等の手法を生かした早期検出技術の開発等を推進しております。

 令和四年度においても研究開発の予算を措置いたしておりまして、引き続き、技術開発をし、侵略的外来種による農業への被害の低減に努めてまいります。

 委員御指摘のように、侵略的な外来種というのは、初期の段階で見つけますと、被害も少なく、駆除も容易であるわけなんですけれども、一旦広がってしまいますと被害が大きくなるということでございまして、オオバナミズキンバイとナガエツルノゲイトウにつきましては、駆除のマニュアル等につきまして作成をして、周知を図っているところでございます。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 是非、早めの実用化に向けて取組を続けていただきたいというふうに考えております。ありがとうございました。

 次に、原油価格高騰に伴う農林水産業に対する影響についてお伺いをしたいと思います。

 日本では、今、オミクロン株が猛威を振るっていて、また、人流が少し少なくなるという形で経済的な悪影響が続いてしまっていますけれども、全世界的に見れば、コロナ禍からの経済的な回復の傾向にある。また、ウクライナ情勢、ロシア軍が演習地域から一部撤退をすると発表して、実際にそれが撤退されているのか分かりませんけれども、緊迫している状況で、原油価格もどんどん高まっている。

 上下はあって、今日は少し下がったりとか、そういうことはあると思うんですけれども、大変原油価格も上がっている中で、それに伴って、農家さんが使う重油の価格も上がっているし、それに伴って、関連する生産資材の価格も上昇していて、農家さんが大変な苦境に陥っているということが連日報道をされていると思いますけれども、まず、政府として、この重油はもちろんですけれども、様々な生産資材の価格上昇にどのように今対処を行っているのか、お伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 施設園芸や漁業で利用されておりますA重油等の価格が、現在、高値水準にあることは承知しております。

 農林水産省としましては、施設園芸農家や漁業者等において、経営費に占める燃料費の割合が高いことから、燃料等の価格が上昇した場合の経営の影響を緩和するための補填金を交付する制度を着実に実施しているところでございます。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 なかなかそれでは不十分だという状況が今続いていると思いますし、肥料を始め主要な生産資材を海外に依存しているという日本の、これは農業だけではないですけれども、様々なものを海外に依存しているという弱点が現れてしまって、それが今、経済安全保障の議論につながっていると思います。

 こういったことは、本来、経済安全保障をやるんだと打ち出して二〇二二年にやるような話ではなくて、常々、昔からやっておくべきだったと思うんですけれども、改めて、食料安全保障上の観点からも、国内で調達すべきものはしっかりと調達していけるように、財政的な措置であったり産業面での支援というものを行っていく必要があるというふうに考えております。

 また、先ほど福島衆議院議員からの質問にもありましたけれども、やはり、農産物の価格決定における生産者の力が極めて弱いというところで、なかなか、コストが上がっても価格が転嫁をされないという問題があるというふうに認識をしております。一方で、海外から輸入されるものの物価は円安もあってどんどん高くなっているのに、その調整弁みたいな感じで、国内の生産者のものが高く売れない、逆に値段が下がるということも、この一年、この冬にはありましたけれども。

 そういった意味で、価格決定に関して、これは自由主義に反するという意見をおっしゃる方もいるかもしれませんけれども、食料安全保障の観点から、農家さんを守るためという意味で、価格管理に関しても、これまでよりも踏み込んだ検討をする、政府が関与をしていくことが必要なのではないかという示唆をしますけれども、そういったことに関して農水省の認識というものはどのようなものでしょうか、お答えいただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 農林水産省といたしましては、引き続き、現下の状況を踏まえまして、食品価格の動向や事業者間の取引状況を注視しまして、情報の収集、分析と消費者等への情報発信等を強化してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)分科員 具体的な話というのも是非とも今後は検討していっていただきたいと思うんですけれども。

 これは、日本全体で物価が上がらなくなって、賃金が上がらなくなって、経済が悪循環に陥っているという話もあるんですけれども、そんな話はこの農産物の方で特に重大だというふうに思っています。価格が上がらなくて離農してしまう、生産が落ちてしまって更に自給率が下がって、海外の輸入に頼って、それで海外からの輸入物価が上がっていくという、国内の賃金が上がらないけれども輸入物価が上がってということで生活が苦しくなるというところが、これは農産物の部分に関してもすごく今現れてしまっていると思うので、こういった意味でも、繰り返し繰り返しになりますけれども、食料安全保障の観点からも、これはやはり予算をつける。

 ほかの先進国を見れば、補助金をどんどん出して、それで自給率を高めて、国民の生活、そして国民の食の安全を守るんだということをやっている国もありますので、是非とも日本でも、まあ支援はしているけれども、それが今の食料自給率三七%、カロリーベースという状況になっていると思いますので、これまでどおりの対応ではない政策というものを考えていかなければならないと思いますし、それをしっかりと我々国民民主党としても先頭に立って打ち出していきたいと思っておりますので、引き続き、共に取り組んでいければというふうに考えております。

 次に、環境省関連の質問に移らせていただきたいと思います。金子大臣、ありがとうございました。

 私、環境省関連で、一つ、太陽光発電の立地についてお伺いをしたいというふうに考えております。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて、再生可能エネルギーの更なる導入というものを進めることになると思いますけれども、まず、今後、カーボンニュートラルに向けて、太陽光発電の発電容量をどのように増やしていく計画なのか、お伺いをしたいと思います。

大岡副大臣 斎藤先生にお答えいたします。

 太陽光発電は、場所によっては非常に効率的に再生可能エネルギーを作り出すことができますことから、とりわけ、特にどういったところにという御指摘につきましては、今一番ポテンシャルが高いと考えておりますのは屋根の上です。使われていない屋根というのが相当数ありまして、これは、屋根の上であれば農業や暮らしの環境に影響を与えることが非常に少ないので、ここの部分にもう少し導入できないかということで、来年は施策展開をしてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、建物の上とか屋根の上というところでは環境負荷というのを抑えれると思うんですけれども、私がこの質問要旨を提出した際に、大岡副大臣は何の質問をするか多分分かったと思うんですけれども、立地がやはり問題になっているところが全国にたくさんあると思います。

 近年、気候温暖化に伴って豪雨災害が激しくなって、土砂災害なども激しくなって、私の地元の大津市でも、いまだに土砂災害の影響でバイパスのランプが閉鎖されているという状態も続いていますし、これから更にこういった土砂災害に対して警戒をしないといけない中にあって、日本の太陽光発電の立地、最近開発が進んでいるものは、やはり大部分が里山を開いて開発をするということになってしまって、地元住民の方は大変懸念を抱かれています。

 また、そうでなくても、仮に休耕地などを活用する場合でも、隣接して宅地開発がされていて、その宅地の方が、温度がどうなるか、あとまぶしさがどうなるのかと非常に懸念を抱いている方もいらっしゃって、私の、実際、大津市の方でも、例えば国分二丁目という地域では、山を切り開いて造るということで大変な反対運動が起こっていましたけれども、実際にもう工事は始まってしまっています。清風町というところでは、こちらは宅地に隣接された休耕地を活用するということで、そういった部分で懸念を抱かれている地元の方がたくさんいらっしゃいます。

 こういったふうに、懸念がある開発地であっても、私権制限になってしまうという懸念から、地方自治体では開発を差し止めたりすることができないとか、やっているところでは訴訟に、逆に開発業者に自治体が訴えられているケースもありますので、なかなか地方自治体レベルではそういったものを止めることが難しいので、より立地に関しては、危険性を排除するという観点から、国が法令面を整備して、危険なところに開発をされないようにしていくことが必要だと思うんですけれども、環境省の認識としてはいかがでしょうか。

大岡副大臣 斎藤議員にお答えいたします。

 さすがによく地元を歩いておられて、様々な課題、住民の皆様の声を基にした御質問だと承りました。

 まず、最初におっしゃった土砂災害との関係でございますけれども、つい先日も、埼玉県小川町の事例におきまして、環境大臣として、環境保全の見地から、経済産業大臣に対して必要な意見を述べております。これは、発電に関係がないと思われるような外部からの残土搬入を伴う大規模な開発計画が伴われておりましたので、これについては、地域の安全性の懸念あるいは不信感、地域の不信感とまで申し上げておりまして、がありますので、計画の抜本的な見直しを求めるという意見を環境大臣として述べたところでございます。

 それから、斎藤議員御指摘の地域住民との合意形成につきましては、これは次のこの四月から改正地球温暖化対策推進法というものが施行されることになります。この中では、地域の合意形成を円滑化しつつ、環境に配慮して、地域に貢献する再エネ事業を促進するための仕組みというのが入っておりまして、この四月からはですね、是非これを、地元ともしっかりと連携をして、正しく運用してまいりたいと思います。

 その中には、斎藤議員御指摘のように、国として、再エネを促進できる地域、でもできない地域、例えば国立公園とか、やたらめったらソーラーパネルを張られたら困る地域を減らしています。県でも減らせるようになっています。

 更に言うと、地元自治体では、更に地域でちゃんと協議をしていただいて、更に絞り込むということをちゃんとお伝えしようと思っておりますので、先生の御指摘のように、しっかりと地元との合意形成ができて、地元が納得して、地元が理解した部分についてのみ太陽光を導入できる促進地域になるというように、しっかりと地域と連携して進められるように、国としても指導してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 再生可能エネルギーを導入するということに関しては積極的にしなければいけないというふうに思うんですけれども、例えば国分二丁目のケースであれば、やはり、地元住民の方は、しっかりとした説明がなされていないということをおっしゃっていまして、もちろん、経営の自由であったり、私権制限みたいなものになっちゃいけないので、全住民の同意を得るという条件にしてしまっては何も物事が進まないと思いますので、それは現実的ではないと思うんですけれども。

 少なくとも、様々な、里山を切り開いたケースがあって、素人目に見ても、これは本当に、こんなところに、斜面に造って大丈夫なのかということが思われるケースがたくさんありますし、また、これは日本全国ですけれども、既に、起立式のソーラーパネルが崩落して、ずっと放置されているような状況もたくさん見受けられますので、こういったところを是正する法令を作るということはやはり国でしていかないと、地方自治体ではなかなか踏み込めないところだと思いますので。

 もちろん、地域住民の理解を得るための新たな取組をされていくことは重要だと思いますけれども、更なる規制をできるような取組というものが必要だというふうに考えているんですけれども、そちらについてはどのようにお考えでしょうか。

大岡副大臣 まさに斎藤議員御指摘のとおり、地域住民の不安感によって、ソーラーが、ソーラー発電、太陽光発電というのが嫌われるものになってしまってはいけないというふうに私たちも考えております。

 一方で、議員御指摘のとおり、実際にはパネルがいろいろなところに設置をされておりまして、それが、当初説明に来た人、その人は丁寧だった、でも、転売、転売されて、もう今は単なるお金もうけの材料になって、利回りがどうのこうのということで、外国資本にもう渡っていて、その外国資本の方は、その場所も知らないし、誰が住んでいるかも知らないし、見たことも、聞いたことも、どこにあるかも認識していないというようなケースが多々見受けられるようになってきておりますので、ここは本当に、議員御指摘のとおり、やるべきことをしっかりやっていかないといけないと思っております。

 そうした中で、先ほど答弁させていただきました、この四月からスタートします改正地球温暖化対策推進法を、正しく、私たちも説明をし、運用してまいりたいと思いますので、この先も、引き続き、議員の御指導をいただきながら、また是非こういった場所で議論させていただきまして、よりよい形での再生エネルギーの導入、地域と共生する形での再生エネルギーの導入に向けてどうすればいいのかということを議論させていただければありがたいと思います。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 太陽光発電所というものは、地域にとにかくお金が落ちない、固定資産税ぐらいしか地域に落ちなくて、景観だけ壊されて、森の、山の水をためる能力が失われて、土砂災害の危険が高まってということで、やはり、このままの状態ではもう造らないでくれという声が更に高まってくると思いますので、もちろん、そもそもなんですけれども、山を切り開いて、木を倒して、エコだからといって、再生可能エネルギーだからといって太陽光発電所を造っていくのは、ちょっとこれ自体は考え直していただいた方がいいのではないかなというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、人間が住んでいるところなので、自然体系を全部手つかずのままでこの国土を守るということはできませんけれども、かといって、カーボンニュートラルをするために山を切り開くというのはなかなか違和感がある話だと思います。

 そうではなくて、再生可能エネルギーにしても、太陽光発電に余り重きを置き過ぎるとこういったことになる可能性もありますし、ほかの発電方法も考えていっていただきたいし、また、再生可能エネルギーというのは、やはり発電が安定しない。

 そして、夜間に発電できなかったり、風が止まったり、発電できなかったり、夏場の発電の際には、嫌われているけれども無理やり火力をたいて賄わないといけなかったりと、なかなかやはり、主要な電源とするには困難もあると思いますが、引き続き、開発を続けていただくと同時に、本当に、国民の皆様には、カーボンニュートラルを実現するためにこういった電源構成が必要なんですよということをしっかりと御説明をいただき、無理のない、そして、日本の環境を壊してカーボンニュートラルを実現するといった本末転倒なことにならないように、是非とも御配慮いただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて斎藤アレックス君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田勝彦君。

山田(勝)分科員 立憲民主党、長崎三区の山田勝彦でございます。

 この度、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 さきの衆議院選挙で初めて当選をさせていただきました。この場に立たせていただいていることに、お支えいただいた長崎県民の皆様に心より感謝申し上げます。

 そして、私の初めての質疑を、同じく長崎県出身の金子農水大臣にさせていただきますことを光栄に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 この間、地元長崎の各地の農村を回り、現場で働く多くの農家の皆さんの声を聞きました。農村にわっかもんがおらんくなった、わっかもんに帰ってきてほしか。現実、七十代、八十代が担い手の中心で、農地を何とか維持し、地域を必死で守られています。そんな中で、民主党のときの戸別所得補償制度を復活してほしか、そういう声を現場の農家さんからたくさん頂戴してきました。

 金子大臣に単刀直入にお尋ねいたします。なぜ、自公政権は農家の戸別所得補償制度を廃止したのでしょうか。

金子(原)国務大臣 山田議員、おめでとうございます。大変お父様にも私はお世話になりまして、本当に改めてお祝い申し上げたいと思っております。

 旧戸別所得補償制度についてのお尋ねでございますが、全ての主食用米の販売農家を対象に交付金を支払うものでありました。

 旧戸別所得補償制度のように、米への助成を基本にするのであれば、十分な国境措置がある米への助成を行うこととなり、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得難いというふうに考えております。

 また、米の需要が年々減少する中で過剰作付を招きかねず、需要のある作物への転換が進まない結果、農家の所得向上につながらないといった問題もあります。

 このため、旧戸別所得補償制度は廃止した上で、米につきましては、需要に応じた生産、販売を推進し、野菜などの需要のある作物への転換に取り組む産地を支援しているところであります。

 あわせて、経営所得安定対策につきましては、経営規模にかかわらず、農業で生計を立てていく農業者が加入できるようにするとともに、多面的機能支払いなどの日本型直接支払いを創設するなど、農業者が安心して生産できる環境を構築したところでございます。

山田(勝)分科員 納税者の理解が得難いというお話でございました。

 一体、どういう方が納得できないとおっしゃっているのか。もし、そういった声が農水省に届いているのであれば、是非とも、その調査資料を提出していただきたいと思っております。

 大臣もよく御存じのとおり、野菜農家さんなどは、大抵、先祖代々の農地を継続し、お米も作っていらっしゃいます。自前の家族や親戚の分です。そういった米農家の現状を知っていらっしゃる、米は作るより買う方が安か、これは農家さんたちのもう常識になりつつある現状です。こういった中で、地域を守り、先祖代々の農地を何とか守っている米農家さんに対し、他の生産物の生産者の方々から不平不満の声など上がるはずがありません。

 ましてや、欧米では当たり前に行われている所得補償です。EUでは、農業所得に占める国の補助金の割合は八〇%と言われております。

 民主党政権以前、二〇〇六年には、日本の農家さんは、農業所得の国の補助金の割合は僅か二八%しかありませんでした。二〇一〇年、所得補償制度の導入により、ようやく四五%にまで上がってきました。その制度を廃止し、確実にその割合は減少していることでしょう。

 先進諸国の中で、日本ほど自国の農家を保護しない国はありません。納税者の理解が得難いのではなく、国民の皆様にこの事実を説明していないだけではないでしょうか。

 また、需要のある作付への転換が進まないというお話もありました。大変驚きです。これは、もう失礼ですが、デマに近いお話ではないかと思います。全く理由になりません。なぜなら、農水省の方々がよく御存じのように、そもそも民主党時代の戸別所得補償制度には、国が計画した生産数量目標を守った農家さんが対象だったのです。

 以上、戸別所得補償制度を廃止した明確な理由がないことが分かりました。

 そこで、戸別所得補償制度を廃止した後、今、農業の現状、どうなっているのか、お尋ねいたします。二〇一三年から現在まで耕作放棄地はどれくらい拡大し、そして離農者はどれほど増えているのでしょうか。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 戸別所得補償制度から経営所得安定対策に変更になりました平成二十五年以降の荒廃農地面積ということでございますが、まず平成二十五年の荒廃農地面積、二十七万三千ヘクタールでございます。これから、それ以降、二十八万四千ヘクタールの間で推移をいたしまして、令和二年の荒廃農地面積は二十八万二千ヘクタールとなっておるところでございます。

 また、農業経営体につきましては、平成二十五年の百五十一万四千経営体から減少傾向で推移をしておりまして、令和二年には百七万六千経営体となっているところでございます。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 非常に厳しい数値です。日本の農業の約九六%が小規模な家族農業です。戸別所得補償制度を縮小、廃止して僅か七年で約三〇%減の、四十万戸以上もの農家さんたちが農業を諦めてしまっている、そういう現実を突きつけてあります。

 そして、耕作放棄地はさほど変わっていないというデータですが、つまり、このことは、小さな農家さんたちは多くが廃業していったけれども、大規模事業者を優遇することで農地の集約化が進められ、何とか農地の縮小は食い止められている、そのような弱肉強食の政策を進めている、その実態が明らかになっていると感じております。

 次に、厳しい現実に直面している家族農業や小規模農業についてお尋ねいたします。

 大規模農家を優遇する農政は、もはや時代遅れです。国連は、二〇一九年から二〇二八年を家族農業の十年として定めています。日本の農業経営は、約九六%が家族経営。日本の農政も世界的な流れに乗り、家族農業、小規模農業を大切にする農政へ転換するためにどのような政策を進められているのか、端的にお答えください。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 日本の農業経営体の、私どもの計算ですと、約九六%は家族経営でございます。こうした方々が、地域の農業生産や美しく活力ある農村、これを支えておられるという基本認識でございます。

 このため、経営規模の大小ですとか、あるいは、法人か家族経営かの別を問わず、意欲ある担い手を幅広く育成、支援するということと、あと、中小・家族経営など多様な農業経営体が地域社会の維持に重要な役割を果たしていることに鑑みた支援を行っているところです。

 今後も引き続き、品目別の対策ですとか多面的機能支払い、中山間地域等直接支払いなどの支援策を通じ、中小・家族経営を含む地域の農業を担う方々を支援してまいりたいと考えております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 家族農業、小規模農家が地域の担い手として大変重要であるという答弁、全くおっしゃるとおりだと思います。しかし、そのための手法が機能していない、間違っているのではないでしょうか。規模拡大を求めるのではなく、小さくても安心して続けてもらうことが、農業には成長より安定こそが大切なのではないでしょうか。だからこそ、農家さんお一人お一人の生産を、暮らしを支える戸別所得補償制度が必要なのです。

 次に、今現場で大混乱の問題について取り上げさせていただきます。

 政府は、水田を活用し畑作を行う農業者に対し、五年以内に水張りをしなければ交付金を打ち切るという方針を突如出されました。全国の生産現場は混乱と怒りの声を上げています。畑作を行っている農地に水張り、あり得ない、そんなことをすれば大がかりな工事が必要になる、余りにもばかげていて、もうみんなで農業をやめるしかない、そんな話ばかりしている。

 大臣、これは地元の長崎の人たちの声です。こういった現場の、もう限界だという声、届いているのでしょうか。そして、この問題をどのように認識されていらっしゃるのでしょうか。

金子(原)国務大臣 水田活用の直接支払交付金につきましては、これまでも水稲の作付が困難な農地は対象外としておりまして、今般、このルールを再徹底することにいたしたところであります。

 その上で、今回の見直しでは、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す一方、水田機能を有しつつ、麦や大豆等の転換作物を生産する農地につきましては、水稲と転換作物とのブロックローテーションを促す観点から、現場の課題も検証しつつ、今後五年間に一度も水張り、すなわち、水稲の作付が行われない農地は交渉の対象としない方針としたところであります。

 今後五年間に、各地域において今後の産地形成をどのように図っていくのか、しっかりと検討していただきたいと考えています。

 国といたしましては、引き続き、今回の見直しの趣旨を丁寧に説明するとともに、現場の課題を把握、検証しつつ、対応してまいりたいと考えています。

山田(勝)分科員 これは農水省と農家の皆さんの信頼関係を揺るがす大きな事件だと思います。

 今から五十年ほど前の昭和四十六年、国は、いわゆる減反政策、これを本格実施し、各地域に減反面積が割り当てられました。現場の農家さん、今七十代で、当時のことをよく知っている農家さんからも聞きました。ほぼ強制的だったそうです。そして、その代償として、あくまで減反への協力金という形で、国は、減反に協力した、畑作を行った、米作りを諦めた、そういう農家さんに支払うことを約束していました。しかし、平成二十九年に一方的なルール改定を行い、現場の農家さんはほとんどこの事実を知らない状況で、今回、そのルールを再徹底するという方針が出されました。

 全国の米農家さんに対し長年続けた減反政策、米作りから野菜作りへ、水田から畑地化へ誘導してきた歴史的事実がありながら、今回の交付金打切りは、まさにはしごを外す、政府による全国の農家の皆さんへの明らかな裏切り行為ではありませんか。このようなことが許されるとは到底思えません。丁寧な御説明をなさるとおっしゃいましたが、説明で済む問題ではない。小規模農家を大切にされるのであれば、是非とも改めていただきたい。確実に離農者は増え、耕作放棄地は急拡大していきます。この国の農業に更に壊滅的なダメージ、与えていくことは確実です。

 大臣、本当にこのまま、この悪政を進めるおつもりなのでしょうか。どうか見直しを検討していただきたい。農家の皆さんとの約束を守っていただけないでしょうか。心からお願い申し上げます。

金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、主食用米の需要が減少の傾向にある中で、水田活用の直接支払交付金は、水田において、主食用米から他の作物への作付転換を支援するために措置しているものであります。

 この考えの下、平成二十九年の四月には実施要綱を改正しまして、水稲の作付が困難な農地は本交付金の対象外であることを明確にしています。また、水田から畑地へと転換する場合の畑地化支援も講じてきたところであります。

 一方、水田機能を維持しまして水田として利用している場合には、来年度から直ちに本交付金の対象外となることはありませんが、今後五年間の間に、各地域において今後の産地形成をどのように図っていくのかを検討していただきたいと考えております。

 その中で明らかになった現場の課題については、しっかりと検証していく考えであります。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 本当にただ、本当に残念で仕方ありません。地元の、全国の農家さんたちが今の大臣の御説明で到底納得するとも思えません。

 ただし、五年間の猶予があり、地域の皆さんに粘り強く説明されると。説明で済む問題ではありませんが、地元の、そして全国の農家さんたちの声を聞いていただいて、是非、積極的に前向きに見直しを検討していただきたいと思っております。この補助金があるから何とか続けられているという現実を知っていただきたいと思っております。

 次に、みどりの食料システム戦略についてお尋ねします。

 二〇五〇年までにCO2ゼロ、化学農薬五〇%削減、化学肥料三〇%削減、そして、有機農業の農地を現状の〇・五%から二五%へ五十倍拡大するといった、具体的な数値目標が掲げられました。

 世界から遅れている日本のオーガニック市場拡大に向け、初めて政府方針が出されたことは大変すばらしいことです。

 しかし、EUでは、有機農業の農地面積二五%を二〇三〇年までに達成するとうたっています。EUから二十年も遅れての二五%達成目標は、余りにも寂しいと言えるのではないでしょうか。

 ここで、私から、有機農地二五%拡大早期達成に向けての有効策として、オーガニック給食を提案させていただきます。

 お隣の韓国やヨーロッパの多くの国々が既に国策として取り組んでいます。また、国内でも自治体レベルで導入が進められています。

 千葉県いすみ市などでは、有機米ゼロ生産から僅か四年で約四十トンを生産し、六年で約七十トン、この時点で、給食の全量を、子供たちに有機米を食べてもらっています。さらに、その現在生産量はどんどん増えていき、百十トンを超え、いすみ市の有機米は特産品として市外へ販路拡大されているそうです。そしてこの取組は、さらに、地元の野菜農家さんにも広まっています。

 このいすみ市では、オーガニック給食への取組を始めてから、有機農業の農地面積が十年もたたずに三十ヘクタール、三十倍に達成し、現在も拡大中です。

 つまり、全国の市町村でオーガニック給食の取組が進めば、二〇三〇年までの二五%達成は夢ではないのです。他の先進国に倣い、日本でも強力に国策として取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 また、有機農業の推進のために三十三億円の予算がこの度つきました。この予算、各自治体によるオーガニック給食への取組にも使えるのでしょうか。どうか、お答えよろしくお願いいたします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおり、日本の有機、ヨーロッパに比べると取組が遅れてはおりますが、ここ十年で取組面積四五%増加ということなので、これを是非加速させていきたいというふうに考えております。

 有機農産物の学校給食での活用を御提案いただきました。安定した消費を確保することに加えて、児童を通じて地域住民の方々に有機農業の理解だとか支持、これを得ていくという観点からも大変有効な取組であるというふうに考えております。

 我が国では、平成三十年度の調査によりますと、先生御指摘のありましたいすみ市など、全国で九十二の自治体で学校給食に有機農産物が活用されておりますが、更なる拡大、これを図っていきたいというふうに考えています。

 今御指摘いただきましたみどりの食料システム戦略推進交付金の中におきましては、新たに市町村が主体となって、地域の有機農業者と給食関係者との連携ですとか学校給食への導入、これに対して取り組むような、モデル的な取組に対して支援を行うこととしておりますので、こういったことも含めながら、学校給食を通じた更なる有機市場の拡大、これを図っていきたいと考えております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 オーガニック給食への取組に農水省の予算がつくという大変画期的な御答弁をいただきました。

 実は、私自身、地元長崎県の佐世保市の山の中腹で小さいオーガニック農園を経営しております。一番の壁はやはり売ることなんです。オーガニックの地産地消を進めるためには、農産物を、導入部分、公的に買い支える仕組みがとても大切です。

 そして昨年、地元長崎のママさんたちが立ち上がり、オーガニック給食を求める運動が行われました。短期間で八千二百七十七名もの署名が集まり、長崎県知事に提出されたところです。全国各地でこの機運は高まり続けています。

 オーガニック給食は、一石二鳥どころか四鳥にも五鳥にもなります。子供たちの、先ほど御答弁あったとおり、食育、地域の農家さんたちの所得の向上、地球に優しい持続可能な農業、医療費削減で持続可能な社会保障の実現、こういった様々なテーマを前へ進めるためにも、オーガニック給食に前向きに取り組む全国の自治体の皆様を、国を挙げて、農水省を挙げて応援していただきたいと心から願っております。

 続きまして、この度のコロナ危機についてお尋ねしたいと思います。

 私たちの社会に様々な課題や教訓を示している、アベノマスクに代表されるように、国内自給率の脆弱さです。

 その中でも、食料自給率三七%である我が国は、本当にこのままでいいんでしょうか。コロナ危機で、海外の食料輸出国が自国の民を優先するために一時的に食料の輸出を止めていました。いつまでも安く安定的に海外から食料を調達できる時代は続きません。気候変動、食料危機はもはや目の前に迫っています。

 私たちの食をいつまで海外に依存し続けるのでしょうか。危機感を持って、三七%の食料自給率を高めていかなければなりません。

 安全保障でもある食料自給率を高めるための具体的な政策を教えてください。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 世界的な食料需要の増加や気候変動など、我が国の食料供給のリスクが多様化する中で、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産するとともに、輸出により生産余力を確保していくことが重要です。

 このため、担い手確保や農地の集積、集約化により国内農業の生産基盤強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工・業務用需要や海外需要に対応した生産を進めてまいります。

 また、こうした生産面の取組と併せて、国産農産物が消費者から積極的に選択される状況をつくり出すため、食育や地産地消など、消費面の取組も進めてまいります。

 これら生産面、消費面の施策を総合的に講じることにより食料自給率を向上させていく考えです。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 お話しのとおり、海外へ九九%依存していると言われている飼料用穀物の国内自給への思い切った政策転換が必要です。

 食料自給率を確実に具体的に高めていくために必要なことを提案させていただきます。

 減反政策は不要。むしろ耕作放棄地を農場に戻し、どんどん日本中の山間地域の棚田も含めて、水田フル活用でお米を生産していただく。しかし、主食用米ではなく、飼料用米やWCS、米粉米を作っていただく。需要は幾らでもあります。トウモロコシの飼料用穀物、海外から千二百八十万トン輸入しています。国内の飼料用米やWCSに百三十万トンもの需要があると専門家は指摘しています。

 さらに、お米の消費拡大のために、米粉から作られたパンや麺の流通を促進し、市場を拡大させていきます。輸入小麦が五百十万トン、そのうち二割程度でも米粉で代替するだけで更に百万トンの需要が増え、飼料用米と合わせると約二百三十万トンにもなります。輸入に頼っている現状を打破し、飼料用穀物、そして米粉米を生産していくことで飛躍的に食料自給率は上がっていきます。

 これから新たな戦略米を作ってもらうために、直接支払いの現状の交付額を思い切って増額し、若くて意欲のある担い手を農村に呼び込みます。心ならずもふるさとを離れた若い人たちが親元で農業をするために帰ってこられる、そんな未来をつくります。

 そして、この農政大転換は、経済合理性の観点からも有効です。

 みどりの食料戦略にあるとおり、これからの時代は、SDGsに代表される持続可能性や気候変動に対応していく農政でないといけません。日本が飼料用穀物や小麦を海外から大量に輸入している現状。これまでの膨大な輸送にカウントされてこなかったコストがあります。それは炭素税です。これから、農政の大転換を図り、本気の地産地消を進め、CO2排出を抑えることで、持続可能性だけでなく、経済合理性も高まることは間違いありません。

 もう時代は変わりました。世界的食料不足の中、国民の命を守るためにいかに食料自給率を高めるのか。異常気象が続く中、地球環境を守るためにいかに気候変動に対応していくのか。真剣な議論を行うときであり、次世代のために勇気を持って改革するときではないでしょうか。

 規模の大小にかかわらず、家族農家、小規模農家お一人お一人の生産を支える農政へ。若い後継者が育つ農業へ。国から農家の皆さんへ直接支払いによる令和版所得補償制度を一緒に実現しようではありませんか。

 以上、御提案申し上げまして、私からの質疑の時間とさせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて山田勝彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤岡隆雄君。

藤岡分科員 立憲民主党の栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 私、衆議院選挙、四度目の挑戦で初めて当選をさせていただき、今日、初めての質問をさせていただきます。この場をおかりして、長きにわたる政治活動を支えてくださった地元の皆様に本当に心から感謝を申し上げ、そして、今日、質問の機会を与えていただきました先輩そして関係各位の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 午前中からちょっとそこで大臣の答弁も聞いておりましたが、本当に穏やかに答弁されているこの姿に大変心から敬意を表しますし、また、鷲尾委員長にも以前も大変お世話になったことも感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 栃木県第四区、イチゴ生産日本一ということで、本当は世界中にこのイチゴを広めていきたいという思いがあるんですけれども、今日は、ちょっと米価の問題について質問させていただきたいと思います。

 御案内のとおり、昨年九月のJAの仮渡金、また概算金のお米の価格、栃木県は大変な下落、七千円という単価もありまして、四〇%以上の下落というのもございます。本当に全国一と言えるほどの下落という状況もございまして、週末も農家の皆さんにもお話を聞きますと、本当に赤字で大変厳しいというお声をいただいております。

 本当に厳しいこの現状を是非支えていただきたいと思うんですが、まず、この米価の現状につきまして、栃木県の現状も含めまして、オホーツクの武部副大臣にちょっと、海に面した武部副大臣に海に面していない栃木県のことまでお聞きするのも恐縮でございますが、現状について御答弁をお願いできればと思います。

武部副大臣 お答え申し上げます。

 令和三年産米の相対取引価格は、全銘柄平均の出回りから十二月までの価格が六十キロ当たりで一万三千三十三円と、前年産よりも千四百八十九円低くなっております。

 ちなみに、栃木県産のコシヒカリでございますが、これは、六十キロ当たり、三年産は一万二千三百九十二円となっておりまして、前年度産よりも九百九十一円下落しております。

 米の当面の需給の安定に向けては、新型コロナの影響による需要減に対応する十五万トンの特別枠を設けました。保管料等の十分の十、中食、外食等への販売促進経費の二分の一や、子供食堂等の生活弱者への提供に係る経費の十分の十の支援を行うこととしております。

 本事業の活用を通じた長期計画的な販売により、需給の安定に向けた市場環境が整備されることが期待されます。

 また、大変お苦しいというお話がございましたけれども、水田活用の直接支払交付金やナラシ対策、収入保険が支払われるまでの間の資金不足については、実質無利子の農林漁業セーフティネット資金による融資が行われることとなっております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 いろんなナラシ対策や収入保険の話もありましたが、加入率というまた問題もございます。また、さらには、いわゆる業務用米の需要減ということの非常に大きな影響を受けているという中で、いわゆる十五万トンのこの特別枠についての効果だと思うんですね。ちょっと、言葉尻とかを捉えているわけじゃないんですね、誤解のないように。しっかり厳しい見立てでということで議論させていただきたいので。

 十月に、大臣も、記者会見におきまして記者から問われて、九月の状況を見ても一二%下落をしているということを問われた後に、いや、まあ、それは特別枠をまだ発表する前だというふうな趣旨で御答弁をされていたと思うんですね。昨年十二月で見ても、やはり相対取引価格が、九月のときには一二%と、全国銘柄平均です、栃木県はもっとすごく下がっています、十二月で見ても一三%下落をしているということだと思うんですね。

 こういう状況で、この十五万トンの特別枠の効果というのが本当に疑わしいなと。

 まして、十二月も、この令和二年産の十五万トンがある意味止められているという意味においては、また、市場も既に織り込んでいるというような見方もできると思うんですけれども、この十五万トンの、本当に、この効果というのを今どのような認識で捉えていらっしゃるのか、大臣の御見解をお願いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 本対策は、昨年の十月十二日に一応公表したわけでございますから、令和三年度の補正予算で措置したわけでございますから十二月末ですね。

 現在、事業の実施主体となった全国農業協同組合連合会が、特別枠の対象とする二年産の米穀について、米穀周年供給・需要拡大支援事業に取り組んでいるところであります。集荷団体、卸売事業者や実需者と協議をしまして、十五万トンの枠の振り分けを現在調整しているところです。

 また、この対策を契機に、産地と卸売業者との三年産米の契約が進むことも期待されております。

 今後、本対策により、どのように需給の安定に向けた市場環境が整備されるか注視してまいりたいと考えております。

 今ちょうど、各地域でそれぞれ調整をして、現在、たしか二十六万トン、申入れがあっておりまして、そういう中での推移を見守っていきたいというふうに思っております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 取り組んでいらっしゃるということであると思うんですが、実際、十二月の段階を見ても、まだやはり下げ幅が止まらないわけですよね。

 さらに、気にかかっておりますのが、需要の予測なんですよね。

 ここの過去二年間を見ましても、令和元年十一月に予測されたときには七百二十四万トンと見通しをされて、それで実績は七百十四万トンです。したがって、十万トンぐらい予測からなってしまっているわけです。さらに、その次の年も、七百十一万から七百十六万トンと見通し、実績は七百四万トンということで、非常にこの見立てが、大変言葉があれですけれども、甘くなっていると思うんですね。

 また、オミクロンのこの状況もありますので、米価は、これは本当にこの先心配だなということを、すごく私は懸念をしております。

 そういう中で、やはり本当に、大臣、困っている農家を是非支えていただきたいと思うんですね。この米価の状況、もっと、注視ではなくて、危機感を持って是非注視をしていただきたいと思うんですね。

 法律をなかなか改正しないと、目的に照らすと、買上げというか、政府備蓄米として、市場から完全隔離するということが難しいのかどうかという論点はあると思うんですけれども、やはりこれは、市場から完全隔離する、政府備蓄米としても受け入れるというようなことも含めて、機動的にすぐ対応できるように、是非対応を、そして少なくとも検討をお願いしたいと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 政府の備蓄米というのはなかなか難しいんですね、正直言って。これは、不測の事態に備えて備蓄をしているわけでございますから、なかなか、検討するといっても非常に難しい問題でございます。

 したがって、米の当面の需給の安定に向けては、二年産を対象とした新型コロナの影響による需要減に対応した特別枠のほか、実は、令和三年度米も対象とする米穀周年供給・需要拡大事業の支援対象期間を五か月前倒ししまして、令和三年十一月から支援するように拡充しております。

 両事業の活用を通じて、長期計画的な販売により、需給の安定に向けた市場環境が整備されることを期待しているところでございます。

藤岡分科員 大臣、市場が反応しているのかというところをやはり懸念をするんですよね。いろいろなそういう対策を講じられているんですけれども、もう織り込み済みなのかなというふうな懸念も有するわけなんですよ。

 是非、この米価の状況をもう少し、本当に今現場で諦めの声が広がっているんです。今までと違うことは、大きな、大きくやっている農家も、もうやめるしかないかなというふうな声が本当に出ています。これは従来と違うところです。

 是非、本当に、危機感を持って、追加の対策を速やかにできるように御検討しておいていただきたいことを重ねて申し上げておきたいと思います。

 さて、今日は、小寺経済安全保障担当の政務官にもいらっしゃっていただいております。今日、朝、eスポーツの議員推進連盟でもお世話になりました。

 今日は、肥料原料の状況について、有機農業の推進の話に入る前に、先にこれを行わせていただきたいなということを思います。

 誤解のないように申し上げたいんですが、私は、有機農業の推進ということで、化学肥料を推進しているというわけではないんですけれども、ただ、この化学肥料の状況も、大変、近年、海外に非常に依存しているという状況が起きていると思います、特に急速に。

 この現在の状況につきまして、農水省の御答弁をお願いしたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 化学肥料は、主な原料であります窒素、リン安、塩化カリ、いずれも、世界的にも埋蔵量、それから産出量とも特定の地域に偏在をしております。このため、我が国はその多くを海外からの輸入に依存している状況でございます。

 令和二年度におきまして、尿素についてなんですが、四七%をマレーシア、三七%を中国、リン安につきましては、九〇%を中国、塩化カリにつきましては、五九%をカナダ、一六%をロシアから調達をしている状況でございます。

藤岡分科員 リン酸アンモニウムについてはいかがでしょうか。

平形政府参考人 済みません。ちょっと、リン酸アンモニウムそのものはないんですけれども、リン安、先ほど申し上げましたけれども、九〇%が中国でございます。

藤岡分科員 中国に九〇%依存しているという状況があると思うんですね。

 これは、私も聞きますと、本当に、結構、前はまだ中国に二八%とか、資料をいただくと、それほどまで依存していなかったのが、近年、九割も中国に依存しているという状況が起きてしまっている。

 やはり、こういう状況を考えたときに、農業の安定を確保していくためには、やはり、経済安全保障上のいわゆる重要物資として指定する方向でも考えていくべきではないかということを思うんですよね。

 こういう意味で、農林水産大臣、そして小寺政務官、順番に御答弁をお願いできればと思います。

金子(原)国務大臣 現在、対策といたしまして、化学肥料の原料の国際価格が上昇する中で、中国からの輸入の停滞も見られますが、例えば、リン安につきましては、全農等において、モロッコ等の代替国からの肥料原料の買入れが進められております。本年の春用の肥料につきましては、例年並みに近い供給量が確保できるという見込みになっております。

 今後とも、全農や商社、肥料メーカー等の関係事業者の協力も得ながら、肥料の供給の安定化に努めてまいりたいと思います。

小寺大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま金子農林水産大臣が発言をされましたとおり、肥料は農産物の生産に不可欠な物資であるというふうに認識をしているところであります。

 その上で、経済安全保障の観点について申し上げますと、まず、世界各国が戦略的物資の確保にしのぎを削っている中で、戦略的物資に関するサプライチェーンの強靱化が最重要課題の一つであるというふうに認識をしているところです。

 このため、現在、政府におきましては、経済安全保障法制に関する有識者会議の提言等を踏まえまして、サプライチェーンの強靱化を含む四分野に関して、法案を早急に取りまとめ、国会提出に向けた準備を加速化しているところでございます。

 サプライチェーンの強靱化ということに関しましては、先生の御指摘の肥料も含めまして、経済安全保障の確保上何が重要な物資かということにつきまして、今後、関係省庁と緊密に連携をさせていただきながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 前向きに御答弁いただいたと思います。是非、関係省庁とよく連携をして、本当にこの国を守るという視点でお願いをしていきたいと思います。

 農林水産省としてもこれは検討しているということでよろしいんですよね。いかがですか、大臣。

金子(原)国務大臣 経済安全保障上の位置づけにつきましては、内閣官房が中心になって今後検討を進めていくと認識しており、農林水産省といたしましても、関係省庁と連携して、今後対応してまいりたいと思います。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 是非、本当にしっかり検討して、お願いできればと思います。

 小寺政務官、ありがとうございました。これで結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、有機農業の推進の話に入らせていただきたいと思います。

 昨年、農水省におきまして例のみどりの食料システム戦略を発表され、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合、二五%に拡大するということを目指すと打ち出されたことは、本当に画期的だと思っております。やはり、大きな期待が集まる一方で、後はかけ声倒れに終わらないようにしっかりお願いしたいなということを思っていまして、私の地元の栃木県小山市でも、御案内かもしれませんが、オーガニックビレッジ宣言に向けて、昨年の十二月に有機農業の推進協議会が立ち上げられて、今、熱心な取組を進めているところでございます。

 先ほどの答弁でも、大臣も、農薬を使わないというところもという、さっき答弁をされていたのもお聞きしましたけれども、現場の負担の懸念もあります。また、いろんな声もあります。最初がやはり肝腎だと思うんですね。最初が肝腎。

 この有機農産物はそもそも何かということも考えていったときに、いわゆる日本農林規格、JAS規格におきまして、有機栽培で作られた有機の種でなくても有機産品として認められるのかもしれませんけれども、やはり、有機で栽培された有機の種子による有機農業というのが原則だと思うんですね。やはり、この原則に立って、最初が肝腎、有機種子による有機農業を拡大させていく支援というのが抜けていると思うんですね。

 大臣、是非、大臣のリーダーシップで、有機の種子が使いたくなるような、そしてこれが拡大していくような御支援、お願いできないでしょうか。

金子(原)国務大臣 議員が御指摘のように、有機で生産された種苗を使用することが原則になっております。

 このため、農業者が有機種苗を入手しやすいよう、有機種苗を供給している業者の情報を関連団体のホームページにおいて公表するなど、農業者に対しまして、有機種苗に関する情報の周知を図ってまいります。

 農林水産省といたしましては、引き続き、こうした取組に対して支援を行い、有機種苗が広く使われるように、普及に努めてまいりたいと思います。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 大臣、是非、もっと大胆にこれは本当に進めた方がいいと思います。周知とかにとらわれず、本当にもっと大きくこれはやっていった方がいいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、有機農業の技術をいかに定着させていくか、また広めていくかということが重要だと思っています。まだまだ技術指導ができる方は少ないというふうにもお聞きします。今、現状、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、有機農業の技術指導ができる指導者の育成、これを令和二年度から進めております。

 具体的には、都道府県が普及指導員それから熟練有機農業者等の中から指定する有機農業指導員、これが有機農業に取り組む農業者に対して技術指導を行うというふうになっております。

 令和二年度末で、有機農業指導員なんですが、百三十一名養成されております。今後、今年度末までに三百五十五名、さらに、来年度、令和四年度末までに累計五百名の指導員の育成、これを目指しております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 本当にまだまだこれからということで、是非、これは本当に大きく増やしていけるようにお願いしたいと思います。

 幸い、栃木県には、もう御案内かもしれませんが、民間稲作研究所というのがございまして、舘野廣幸理事長が務められております。除草の手間がかかるというところの声が多いと思うんですが、いわゆる深水栽培という農法によって、除草の手間を限りなく減らした農法というのが確立しております。

 この舘野理事長始め、皆さん、本当にボランティアで今、全国を飛び回って、技術指導に邁進しております。こういう中で、本当に、農家の皆さんからいろいろまた、じゃ、何かその費用とかという、本当にもらいたくない、本当にすごく気持ちよく、いい気持ちでやってくださっているんですね。

 こういう、本当に技術指導に汗をかいて頑張っていらっしゃる皆さんに、都道府県を超えて指導している場合に、是非、公的な支援というのを、拡充をお願いしたいと思うんですが、大臣の御見解をお願いします。

金子(原)国務大臣 先ほど農産局長から答弁したとおり、有機農業の栽培技術の指導につきましては、都道府県が指定する有機農業指導員に担っていただくことを基本としております。

 一方で、都道府県内に栽培指導ができる者がいない場合には、他県から専門家を招聘する必要があります。このため、農林水産省におきましては、こうした専門家の招聘に必要な謝金や交通費を支援しているところであります。

 このような取組を通じまして、県域を超えた有機農業の指導体制の構築を図ってまいりたいと思います。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 大臣、ここは是非、都道府県の枠というのを、ここを、枠をもっと超えた、あくまで都道府県の枠というのを原則に今されているという話だと思うんですが、深水栽培も含めまして、都道府県の枠にとどめるという必要ってどこまであるのかなと本当に思うんですよ。

 改めて、都道府県の枠を超えて、本当にもっと大きく拡充していただくことをお願いできないでしょうか。もう一度、是非お願いします。

平形政府参考人 済みません、ちょっと解説的に申し上げますが、今、先生が、都道府県を超えたような枠ということで御質問されたので。

 都道府県内に栽培指導ができる者がいない場合、他県から来ていただくと。そういった方に対しての招聘に関する必要な謝金や交通費を出すということで、できるだけ、県域を超えてでも専門家の方に来ていただくような、いないところには、そういったことを進めていきたいというふうに今、答弁を、大臣もさせていただいたところでございます。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 では、本当にその枠を超えて、いない場合ということに、余りそこにとらわれないでいただきたいんですが、本当に前向きにお話をいただいたと思っております。是非、そこをもう少し、大臣、これは本当に、リーダーシップを取ってお考えいただきたいと思うんですね。

 続きまして、新規就農です。

 本当に、有機農業、これは百万ヘクタールですから、壮大な目標ですよね。仮に十町歩を担うとしたら、これは十万人ということになると思うんですけれども、非常に大きな目標を打ち立てられているわけで、これは是非、本当に目標を達成していただきたいと思うんですね。

 そのためには、新規就農も含めて、やはり担い手を確保していくということが重要だと思うんですが、新規就農というときに、有機農業という切り口で上乗せの支援というのが今あるのかというその現状、ちょっと教えていただけないでしょうか。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 新規就農する場合、耕種農業をやられる方、あるいは畜産を志向する方、御指摘の有機農業、これをやろうとする方など、様々な経営を取られることがありますが、こうした品目ですとか農法にかかわらず、新規就農者の方にとっては共通の課題として、技術面、生活面、資本面、こういった面での不安定さは共通でお持ちでございます。

 このため、新規就農者への御支援につきましては、品目ですとか今回御指摘のような農法などで区別することなく、新規就農のステージに応じまして、就農前の研修、就農後の資金の支援、雇用就農の促進のための支援などを行っているところです。

 有機農業を志す新規就農者も含めて、しっかり支援していきたいと思います。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁をお聞きしますと、有機農業という切り口では上乗せの支援はないということだと思うんです。ただ、もちろん共通の課題がありますから、是非そういうところでというのもよく分かります。

 ただ、大臣、有機農業、これは百万ヘクタールですから、最初が肝腎です。これは是非、新規就農というときに、有機農業という切り口で新規就農をするとき、上乗せ支援するべきだと思いますよ。是非そういう支援、検討していただけないでしょうか。是非、御見解をお願いします、大臣。

金子(原)国務大臣 御意見として承っておきます。

藤岡分科員 是非、本当にこれは、承っていただいて、本当にリーダーシップを持ってお願いをしたいなということを思います。

 では、続きまして、有機農業の消費者の理解を促進するために、給食、先ほど来も出ておりましたけれども、やはり有機産品による給食での取扱いを増やしていくというところ、これはオーガニックビレッジにとどまらず、やはり拡大していただきたいと思うんですが、大臣の御見解をお願いします。

金子(原)国務大臣 先ほど来、山田議員からも学校給食についてのお話がありました。

 学校給食というのは、市町村が実際実施してやるようになっておるんですね。首長さんたちのやはり取組姿勢によって、有機農をやるというときには当然負担が伴いますから、そういった姿勢を見せていくところは重点的に我々も何か考えていかなきゃいけないかなという感じもいたしておりますが、いずれにしましても、県とか市の取組がやはりまず第一かなというふうに思っております。

 給食というのは、物を購入するときの仕組みというのが非常に複雑でして、だから、地域地域によって購入のやり方というのがあります。だから、やはり首長さんが指導力を発揮していかないと、なかなか学校給食で取り入れるというのは難しいと思いますので、そういった面も我々考えながら、これから取り組んでいきたいというふうに思っております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 本当に、重点的に考えていくということもありました。是非、首長などにおきましてリーダーシップがあった場合、本当に積極的な御支援をお願いしたいと思います。

 この有機農業に関しましては、最後に大臣、本当に、これから百万ヘクタールに、二〇五〇年、目標を達成していく御決意、非常に、これは本当に、今、歴史の分かれ目だと思います。大臣のリーダーシップに懸かっています。この御決意をお願いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 これからの時代を考えると、私も、有機農業というのは非常に大変大事だと思っております。

 せっかく、農林水産省といたしましてもこういう方針を打ち出したわけですから、これがやはり普及していくように努めていかなきゃならぬというふうに思っていますので、これからも努力をしていきたいというふうに思っております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 大臣、是非大胆な取組、改めて、もう一回省内でも御検討、本当にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、水産仲卸業者のことに関して行きたいと思います。

 大臣、お詳しいと思いますけれども、栃木県も海なし県ですが、当然、市場もございます。本当にコロナ禍で大変厳しい現状でございます。飲食店のやはり基となる農林水産関係者のこの厳しい状況、特に水産仲卸業者、本当に今、悲鳴のようなお声を私も聞いております。

 農林水産省さんも、独自の支援ということで、ポストコロナとアフターコロナというふうなことで独自の支援策も出されておるようでございますが、アフターとかポストじゃないんです、今厳しいんです。今厳しい状況を是非支えていただきたいと思うんですね。もちろん事業復活支援金や、月次支援金や、経産省さんの取組はあります。これは、でも、足りません。

 是非、大臣、独自の支援、今必要なんです。お願いできないでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 水産仲卸業者を始め卸売市場関係事業者についても、事業復活支援金など新型コロナウイルス感染症拡大に関する支援策により、他の業種と同様に支援してきたところでございます。

 これに加えまして、農林水産省では令和三年度の補正予算において、水産仲卸業者が、巣ごもり需要の増加等、消費者ニーズの変化に対応するための取組を行う場合に、これに支援を行うということを行っているところでございます。

 農林水産省としては、引き続き、関係省庁や市場開設者等と連携をし、水産仲卸業者を始めとする関係業者が各支援策を有効に活用できるよう対応していきたいと考えております。

 以上でございます。

藤岡分科員 大臣、本当に今、大変厳しいです。これは足りないんです。今の消費者ニーズに応じた対応というのも、元々例えばお客さんがいらっしゃっているところを、じゃ、また開拓するとか、本当にこれは厳しいです。今必要なんですよ。是非、大臣、御見解をお願いします。

金子(原)国務大臣 局長から答弁がありましたように、一応、今年八億円の予算を組んで今やっているようでございますので、実情をよく調査した上で、またいろいろと検討させていただきたいと思っております。

藤岡分科員 ありがとうございます。

 実情を調査した上でという、今、話をしていただきました。是非、実情をしっかり調査していただいて、御検討を本当にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 残余の質問を残しましたが、質疑をこれで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて藤岡隆雄君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、木原(稔)主査代理着席〕

木原(稔)主査代理 次に、神田潤一君。

神田(潤)分科員 青森二区選出、前衆議院議長、大島理森前議長の後継として、前回、十月の選挙で当選させていただきました神田潤一です。

 本日は、この分科会で初めての質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、選挙の間、青森二区をくまなく選挙カーなどで回ってまいりましたが、青森二区は、青森県の東側に位置しておりまして、その東は太平洋、また、西には八甲田それから十和田湖という、海と山、湖に囲まれた非常に自然の美しい地域です。また、そうした地域に、山林あるいは丘陵そして水田といったような自然の中に農林水産業が基幹産業として息づいているという、非常に美しく、また豊かな地域でもあります。

 ただ、この農林水産業については、足下の新型コロナの状況もあり、需要が低迷したりしていることもあって、価格、特に米の価格が去年大幅に下落をしたりということがございました。また、水産業も、水産資源が減っているという中で漁獲量が低迷している。それから、ガソリンですとか、あるいは輸入資材、また飼料、餌などが高騰する中でコストが上がっているということで、生産者を取り巻く環境というのは非常に厳しい状況となっております。

 私は、元々、日本銀行に大卒で就職いたしまして、二十年ほど勤めて、金融庁にも出向しておりました。その後はIT企業の役員をしておりましたので、農業については、これまでのキャリアとしては積んでこなかったという中で、一から今勉強しているところでございますが、こういう中で、地元の生産者の皆さんからいろいろ伺ってきた話の中で、今日は御質問をさせていただければというふうに思っております。

 まず一つ目としては、水田活用の直接交付金について、この見直しが現在俎上に上がっておりますので、これについて御質問をさせていただければと思います。

 まず、この水田活用の直接支払交付金の目的、それから今回の見直しの背景、そしてその見直しの具体的な内容について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

平形政府参考人 お答え申し上げます。

 水田活用直接支払い交付金につきましては、主食用米がずっと需要が減少していく中で、水田において、主食用米から他作物への作付の転換、これを支援するために措置をしているものでございます。

 水田において、主食用からほかへの転換を支援する、その趣旨を明らかにするために、本交付金につきましては、平成二十九年に実施要綱を改正いたしまして、水稲の作付が困難な農地は対象外であることを明確にし、その旨、毎年度通知をしてきております。

 その上で、今回の見直しでは、一つは、畑作物の生産が定着している農地につきましては畑地化を促す一方で、水田機能を有しつつ、麦、大豆等の転換作物を生産する農地につきましては、連作障害を回避すること、それから、収量、品質の向上につながる、こういったものを目指しまして、水稲と転換作物のブロックローテーション、これを促すという、そういう考え方の下に、現場の課題も検証しつつ、今後五年間に一度も水張り、すなわち、水稲の作付が行われない農地は交付の対象としないという方針としたところでございます。

神田(潤)分科員 御説明、ありがとうございます。

 この制度の趣旨、あるいはこの見直しの内容について、大変よく分かりました。

 今回、十一月、十二月というところでこの見直しの内容が公表され、そういう中で、私の地元からいろいろこの見直しについては声が上がってきております。例えば、今回の見直しの内容が多岐にわたっている、あるいは、大幅な、金額などの見直しの幅も大きいということで、影響が大きいんだという声、あるいは、米の買取り価格が下落していたりコストが上がっているというタイミングの中で、なかなかこのタイミングでの見直しは厳しいというような声も上がってきております。

 こうした声は、今回の見直しの内容あるいはその趣旨についてこれから生産者に周知していくという中で、まだそういった内容が周知されていないという中での声ということはあると思いますが、一方で、例えば、冬の寒い日に学校に行くよといって毛布をいきなり剥ぎ取られたら、中学生の子供なんかは怒って、まだ寝ていたい、あるいは、風邪を引くじゃないかというような、そういった反応、厳しい中で、きちんと今後のことをどうすればいいのかまだ分からないで、まずはショックが生産者の皆さんには来ているというような状況かなというふうに考えております。

 私なりにこういった声について考えてみますと、やはり、私の地元を始めとする地方では、これまで農業を担ってきた方々が高齢化をしてくる、こうした高齢者の方がなかなか耕作が継続できないという中で、中堅や若手の農業者にその農地を貸し出して、そうした方々が、借り入れた農地を基に、大規模に畑作とか飼料用米あるいは牧草への転作などを進めてきたようなケースというのも見られているように思います。こうした若い、新しい世代のチャレンジを後押しするような役割もこの制度は持っているのかなというふうに考えております。

 また、こうした方々の中には、この交付金の支給額を念頭に置きながら、中期的な計画を立てて、五百万とか一千万といった機械を買い入れて、今後の生産に励んでいこうという声も聞こえています。

 こうした方々をしっかりとサポートしていくということを考えますと、やはり現場の生産者の皆さんの声をしっかり丁寧に聞いて、こうした声に寄り添った形できめ細かに運用していく、こういったことが必要なのではないか、また、そうした中で聞かれた声に応じて、政策として追加的に必要なことがあれば検討していくというようなスタンスも必要なのではないかというふうに考えております。

 質問になりますけれども、こうした現場の声を聞くようなヒアリングというのは行っているのでしょうか。また、今後五年間がこの制度の見直しのいわば猶予期間のような位置づけもあるかと思いますけれども、こうした五年間においてどういった対応をお考えになっているのか、これについて教えていただければと思います。よろしくお願いします。

平形政府参考人 今回の見直しでは、水田機能を有しながら転換作物を生産する農地が、すぐに、令和四年度から対象じゃなくなるということではございません。今後五年間の間に、水稲と転換作物のブロックローテーション、これを行うことを各地の中で検討していただく、そういう期間だというふうに思っております。

 ブロックローテーション、先ほど御説明いたしましたけれども、麦、大豆等の作物を連作することによる病気の発生ですとか収量の減少といった連作障害を回避するための方法として、かつてはいろいろ行われてきたんですけれども、品質の向上だけではなくて、農薬の使用量の削減だとか、そういう緑の政策にもマッチしたものだというふうに思っております。

 水田機能を有しながらブロックローテーションの実施、これを進めていただこうと思っておるんですが、今委員おっしゃられたとおり、現場では、いろいろな声だとか、高齢化だとかいろいろなことが起きているんだろうなというふうに思っております。そういった課題がある場合には、これを丁寧にお聞きした上で検証して、どのような対策が必要なのか、あるいはそうではないのかということについても検証していくというふうに思っておりますし、これから、現場の声を我々も出かけていきながらお伺いして、是非いろいろな声を集めていきたいというふうに思っております。

神田(潤)分科員 御説明、ありがとうございます。

 今後の五年間の期間をしっかり丁寧に現場の声を聞く時間に充てる、また、それによって今後のことを検討していくということで、是非そういう形で進めていただければと思います。

 ここで、今まで生産者の側の話をしてきましたけれども、一方で、市場の側、消費者の側に目を転じてみたいと思います。

 生産者からいただいた声で、どうして去年は米の買入れ価格が下がっているのにスーパーで売っている米の価格が下がらないのか、米の価格が、販売価格が下がっていけばもっともっと需要拡大につながるのではないかというような声もありました。

 もちろん、買上げ価格と小売価格が直接連動するものではないということも理解をしていますし、また、米の、主食ということで、価格弾力性が余り高くない、価格を下げてもどんどん売れるというものでは性質的にないということも御説明で伺っています。

 ただ、そういう意味で、生産者の側の調整あるいは今後の政策というものに更にプラスして、消費者の側あるいは流通の側の改革も進めながら、全体観を持ってこの水田政策というものを考えていただきたいというのが、生産者の声を考えた上でのこれからの要望ということになるのかなというふうに思っております。

 また、もう一つ、今回、この水田活用の直接交付金を使ってきた方々というのは、国の政策の趣旨を理解して、それに沿った形で対応してきた方々ということも言えるんだと思います。そういう中で、大規模に集約をして大規模に交付金を受け取っているような方が今回の見直しの大きな影響を逆に受ける形になるんだと思います。これまでの国の政策に沿った形で進めてきた方々に大きな今回の見直しの影響が及ぶのだとすれば、少し激変緩和のようなことも考えていただく必要があるのかなというふうに考えています。

 先ほどの寒い朝の毛布の例でいいますと、寒い朝にいきなり毛布を剥ぎ取られてしまうと、急に風邪を引いてしまうようなことになってしまう。風邪を引く、例えば、離農者が増えるとか耕作放棄地が増えるといったような状況にならないように、丁寧に話を聞く、あるいは、流通や生産を併せて全体観を持って政策を進める、また、激変緩和など、声を丁寧に聞く中で追加的な政策を考える、こうした丁寧な対応が必要なのではないかというふうに考えますが、最後に金子大臣の御見解を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

金子(原)国務大臣 今までお話がありましたように、今すぐやるわけじゃなくて、今後五年間に、各地域において今後の水田利用や産地形成をどのように図っていくのかを検討していただきたいというふうに考えております。

 その上で、現場の課題について、全国会議や産地との意見交換を通じて事例を把握し、今後五年間ではブロックローテーションができないとする課題について、丁寧に検証を行う考えであります。

 また、それらの課題も踏まえつつ、全国的にも調査を実施しまして、全体的な課題の把握、検証に努めてまいりたいと思います。

 農業生産においては、水田に限らず、消費者、実需者のニーズを捉えた需要に応じた生産が最も基本と考えております。需要の減少が続く米から、麦、大豆、高収益作物などへの作付転換の取組を今後とも支援していく考えであります。

神田(潤)分科員 金子大臣、ありがとうございます。

 丁寧に生産者の声を聞いていくということでした。私も、こうした生産者の声をつなぎながら、あるいは政策の意図をしっかりと説明しながら、これからの見直しの浸透に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせてまいります。

 次の質問は、農業分野での外国人技能実習生についてということでお願いいたします。お手元にカラーのA4横の資料を配付しておりますので、これを御覧いただければと思います。

 左側に、技能実習生の今回の日本への在留状況について書かれています。これは必ずしも農業分野だけに限ったものではなくて、建設ですとか機械・金属、食品なども含まれた数字ですけれども、全体観としては農業分野もこうした形になっているかと思います。平成二十五年ぐらいから技能実習生の数が大幅に増えてきている。一方で、令和元年の頃に四十一万人というピークを迎えて、足下は、新型コロナの中でなかなか入国できないといったような状況で、新規の入国がない中で、少し減ってきている。二年間で五、六万人の減少が全体として見られているということがこのグラフで見て取れます。

 右の方は、職種別、分野別の実習生ということで、これは、計画認定件数の構成比ということですので実数と少し違う部分はあるかもしれませんが、一番左の農業関係が大体九%ぐらいということで、これを左のグラフと重ねますと、三十五万人、四十万人のうちの九%ということですので、三万人から四万人の実習生が農業分野で日本で働いていらっしゃるというふうに推測されるのかなというふうに考えております。これだけの実習生が、外国人の方が、地元の方と手を取り合って農業分野の仕事に従事しているということだと思います。

 私の地元でも、ベトナムやあるいは中国からいらした実習生の方が、地元の主に高齢者の方の農場あるいは加工場、あるいは、まさに生産する場で手伝うというような形で、まさに、高齢者の働く部分、なかなか働けなくなった部分を補うような戦力、重要な戦力として地元では期待をされているという現実がございます。

 また、一方で、地元の声としては、このグラフと同じように、やはり入ってきて二年、三年たって一時帰国するようなケース、一方で新しい技能実習生の方がなかなか入国を認められないという中で、東北町という一万七千人ぐらいの地域では、百二十人いた実習生がこの春には百人ぐらいの数になっていく、更にその先、減っていくのが見えていて、この三月に今年の農作業の作付の準備が始まる中で、どういうふうに進めていこうかという話も聞かれています。

 現在の外国人技能実習生の入国について、認められていないという理由、背景は何なのか、あるいは、今後の入国の見通しについていかがなのかという点について伺えればと思います。

川上政府参考人 お答えいたします。

 オミクロン株の発生を受けまして、昨年十一月の末から、我が国は、G7で最も厳しい水際措置を講じてオミクロン株の流入を極力抑えてくる、こういうことをやってきているところでございます。

 現在の水際対策につきましては、内外の感染状況の差が大きかったこと、また、オミクロン株に関する科学的知見の蓄積が十分でなかったことなどを勘案いたしまして、当面の対応として、二月の末まで、外国人の新規入国を停止し、入国者総数の上限を一日当たり三千五百人めどとすることなどの現在の対策の骨格を維持することとしているところでございます。

 外国人の技能実習生の入国につきましては、様々な御要望があることは承知してございます。また、状況が変化してきているということも認識してございます。変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積も進んでいるところでございまして、今後につきましては、現在、こういった科学的知見の蓄積、内外の感染状況の変化、また海外の水際対策のありようなどを総合的に勘案いたしまして、新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で、緩和に向けた検討ということで進めているところでございます。

神田(潤)分科員 御説明、ありがとうございます。

 先ほどお昼のニュースでも、この三月以降、三千五百人といった数を五千人にする方向で検討しているといったニュースが流れておりました。是非、農業分野の外国人技能実習生につきましても、全体から遅れることなく、入国の制限を緩和する検討を進めていただければというふうに思います。

 そういう中で、一方で、この制限が緩和されたからといって、すぐに技能実習生がどんどん入ってくるというものではなかなかないんだろうなというふうにも思っています。ビザの発給にも一週間、二週間といった時間がかかるでしょうし、また、これまで入ってこれなかった方の待ち行列もたくさん並んでいるというふうに思います。

 まだ、そういう意味では、現場の技能実習生が不足している、確保できないという状況が継続する可能性はあると思いますが、農林水産省として、どういった形でこういった人手の不足、技能実習生の確保について対応されているのかについて、簡単に御説明をいただければと思います。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の現場における人手不足につきましては、現場におきまして、国内にいる外国人材の在留延長ですとか、あるいはほかの産業からの雇用などによりまして、必要な労働力の確保の取組が現場で行われているものと認識しています。

 このため、農林水産省におきましては、産地内外の労働力の募集ですとか、あるいはマッチングの取組の支援を行うとともに、代替人材の雇用に係りますかかり増し経費などに対して支援をしているところでございます。

神田(潤)分科員 御説明、ありがとうございます。

 費用面ですとか、あるいは滞在延長、人材のマッチングなど、多岐にわたって御支援いただいているということを御答弁いただきました。

 やはり若者が少ない地方こそこういった担い手が必要という現状を、私、御説明させていただきました。今後、この入国規制が緩和されるという状況にはありますが、是非、農林水産大臣から、外国人技能実習生の入国規制の緩和に向けて力強いお言葉がいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

金子(原)国務大臣 現場における労働力の状況を把握するとともに、農業労働力確保緊急支援事業の活用などによりまして、各地の労働力の確保をしっかりと後押ししてまいりたいと思います。

神田(潤)分科員 金子大臣、ありがとうございました。

 それでは、時間の関係もありますので、次の質問に参りたいと思います。

 三つ目は、鳥インフルエンザと豚熱の対策についてでございます。

 私の選挙区のうち、八戸港には大規模な飼料の、餌のターミナルがありまして、こちらを基点に、青森県の南東部あるいは岩手県の北部にかけて、鳥や豚、牛などを飼育する畜産や酪農の一大集積地になってきております。

 一方で、こうした中で、八戸市の隣町の三戸町で昨年末に鳥インフルエンザが発生したり、あるいは、先週、岩手県の久慈市の方でも鳥インフルエンザが発生しました。また、豚熱については、昨年、山形県や宮城県に発生が見られているということで、じわじわと北上しているということで、地元でも危機感が高まってきております。

 農林水産省さんに伺いたいと思いますが、近年におけるこの鳥インフルエンザと豚熱の発生状況について、簡潔に教えていただければと思います。また、特に豚熱に対して、現在の予防や防疫の措置などについてどういった対応を取られているのかについても、併せて教えていただければと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、昨シーズンにおいては、十八県で計五十二事例、殺処分羽数は過去最大の約九百八十七万羽に上りました。

 今シーズンは、昨年十一月の秋田県での発生以降、これまでに、北は青森県から南は鹿児島県まで、十県で計十六事例発生し、殺処分羽数は約百六万羽となっております。

 また、豚熱につきましては、平成三十年九月に我が国で二十六年ぶりに発生して以降、これまでに十六県で計七十六事例発生し、約二十八・一万頭を殺処分しております。

 この豚熱あるいは鳥インフルエンザなどの家畜の伝染性疾病に対しましては、家畜伝染病予防法に基づき、発生予防と蔓延防止対策を講じているところでございます。

 一たび発生いたしますと地域の畜産業に大きな被害が生じることから、野生動物や人等を介してウイルスが農場に持ち込まれないよう、飼養衛生管理の向上を図り、発生を予防することが最も重要と考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、昨年九月に飼養衛生管理基準等を改正し、対策の強化を図るとともに、イノシシの侵入防護柵や防鳥ネット等の整備の支援、あるいは飼養衛生管理者による農場の一斉点検の実施を行うなどの取組を実施しているところでございます。

 さらに、豚熱に関しましては、豚熱に感染した野生イノシシが農場での豚熱発生の要因になり得ることから、野生イノシシ対策として、捕獲を強化しながら、検査を行い、感染の状況を正確に把握するとともに、感染エリアにおいて経口ワクチンの散布を実施し、野外のウイルス量の低減を図っているところでございます。

 疾病が発生した場合、蔓延防止のためには初動対応が何よりも重要でございますので、都道府県と緊密に連携し、迅速に防疫措置を行っているところでございます。

 過去の豚熱発生農場におきましては、豚舎の壁に穴が空いていたり、農場内に野生動物がいたりするなど、飼養衛生管理に問題があった事例も確認されていることから、更なる飼養衛生管理の向上が必要と考えております。

 引き続き、飼養衛生管理基準の遵守徹底を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

神田(潤)分科員 御答弁、ありがとうございます。

 今、この鳥インフルエンザ、豚熱の発生状況について、近年、非常に大きな被害も出ている、また、足下もコンスタントに一定の形で発生しているということで、一度発生すると非常に大きな被害、全頭殺処分というような形になるという御説明もいただきました。

 もう一点、この飼養衛生管理のほかに、ワクチンの接種についても、特に豚熱の方では非常に大事な防疫対策ということで、接種を進めているというお話も伺っています。飼養衛生管理の厳格化はもちろんですけれども、やはり、ワクチンによって防疫をしていくということで、二重に管理が高まる、あるいは、飼養衛生管理だけでは塞ぎ切れない穴が更に塞がれるという面もあると思います。

 一方で、ワクチン接種については、接種のタイミングですとか回数、あるいは、アフリカ豚熱、まだ日本には入ってきていませんけれども、このアフリカ豚熱についてはまだワクチンが開発されていないという現状も伺っています。ワクチンの知見を高めていったり、あるいは有効なワクチンを開発していくということにつきましても、非常に重要な施策かというふうに考えております。

 こうした形で、飼養衛生管理、あるいはワクチンの接種の知見を蓄積していくといったことなどで、鳥インフルエンザあるいは豚熱といった、こうした伝染病の、感染症の封じ込めあるいは減少を図っていただければというふうに思います。

 畜産あるいは養鶏といった部分も地域の主要な産業になってきておりますので、今後の対策について、是非、最後に農林水産大臣から一言いただければと思います。

金子(原)国務大臣 豚熱のワクチンは、豚熱の発症を防ぐものであり、感染を完全に防ぐものではなく、かつ、全ての豚が免疫を獲得できるわけではありません。

 さらに、アフリカ豚熱にはワクチンが存在しないことから、野生動物や人等を介してウイルスが農場に持ち込まれないよう、飼養衛生管理の向上を図ることが豚熱、アフリカ豚熱対策にとって最も重要であります。

 また、豚熱ワクチンの効果的な接種方法については、専門家の意見を伺いながら、科学的な知見を収集しているところであります。

 なお、アフリカ豚熱のワクチン開発につきましては、平成三十年度からワクチン開発に関する研究に着手しておりまして、現在、研究を着実に進めています。

 引き続き、豚熱の清浄化に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

神田(潤)分科員 金子大臣、力強いお言葉をありがとうございました。

 私もしっかり、農業、農林水産業について、現場の声を聞いて、それをつないでいく、あるいはしっかり政策について説明をしていくという責任を果たしてまいりたいと思います。これからも御指導よろしくお願いします。

 本日は、ありがとうございました。

木原(稔)主査代理 これにて神田潤一君の質疑は終了いたしました。

    〔木原(稔)主査代理退席、主査着席〕

鷲尾主査 次に、野間健君。

野間分科員 立憲民主党の鹿児島三区選出の野間健です。

 今日は、地元の中山間地域の農業、農村の問題始め地域の課題を質問させていただきたいと思います。

 私の地元は、さつま町や旧薩摩郡、伊佐市など、中山間地域中の中山間地域、そのど真ん中から私もこの永田町にやってきた者であります。長崎県も、先ほど大臣のお話では、中山間地域が非常に多いところであります。

 中山間地域、もう御承知のとおり、人口的には、日本全体の一割ぐらいしかありませんけれども、総農家数あるいは農地面積とか農業の総産出額でいいますと、全体の四割を産出している。また、果物、果実では四割、畜産では五割以上、中山間地域から産出をしているという、非常に農業にとって大事な地域だと思います。

 そもそも中山間地域、高齢化、人口減少が進んで過疎化、耕作放棄地が非常に増えているということで、私の政治の師、恩師でありました故松下忠洋先生から教えていただいたんですけれども、二十五年ぐらい前から、もう三十年ぐらい前から地域が非常に疲弊している、人もいなくなって、農業する人もいなくなった。何とかこれをせにゃいかぬということで、当時の農水省の皆さんといろいろ相談して、スイス、それからフランスなどに視察に行って、いわゆる向こうの国境地帯ですね、山岳地帯とか耕作条件の非常に不利な地域を見て回った。そうしたら、そこの国境地帯で農業をする、酪農する人たちは、国から生活費を全部出してもらっていたということが分かったということでした。

 これ、国境地帯ですから、そこの領土を守るという意味も含めて、国が手厚い保護をして、そこの地域の農業を守っていた。これをやはり日本の中山間地域、耕作条件不利地域にも応用して、直接支払い制などをつくったというふうに聞いております。

 ですから、二〇〇〇年に、平成十二年に直接支払い制度という、非常に日本で初めてのこういう制度ができたということでありますので、その後、中山間地域に対しては、直接支払い制始め、本当に私もいろいろな政策を見ると、かゆいところに手が届くような、様々なきめ細かな政策は打たれているとは思うんですけれども、過去十年、中山間地域での農家の数がどうなったか、あるいは農業所得がどんなふうに推移してきたか、この辺をちょっと教えていただきたいと思います。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 農林業センサスの結果によりますと、中山間地域の農業経営体数でございますが、二〇一〇年には七十一万四千経営体でありましたところ、二〇二〇年には四十五万三千経営体となっております。

 また、農業経営統計調査の営農類型別経営統計によりますと、中山間地域の一戸当たりの農業所得でございますが、二〇一〇年には八十三万一千円でありましたところ、二〇二〇年には九十五万五千円となったところでございます。

野間分科員 ありがとうございます。

 農家数は激減をしておりますよね。所得の面でも、全国の農業のいわゆる粗収益といいますか、そういうもので見ますと、一般の農家の収入から比べると、やはり八割ぐらいということで、なかなか、いろんな対策は打っているんですけれども、厳しい状況というのは変わっていないと思います。

 こういった、今までの直接支払い制やら、あるいは多面的機能支払いの問題も含めて、この中山間地域に対する農業政策、どのように評価をされますでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 中山間地域に対する施策のやはり一番主要なものとしては、先ほど委員からも御指摘いただきました、平成十二年創設をいたしました中山間地域直接支払い制度があろうかというふうに思っております。

 この中山間地域直接支払い制度は、五年を一期として制度の見直しをやっておりまして、現在、令和二年度から第五期対策に入っているところでございますけれども、第四期対策の最後に評価をいたしまして、その中では、この中山間地域直接支払いによりまして、耕作放棄地の発生防止を含めまして、約七・五万ヘクタールの農用地の減少が防止をされるなど、そのほか、農業生産体制の整備、所得形成などからも効果を発揮しているという評価を受けているところでございます。

 しかしながら、一方、委員から御指摘いただきましたように、人口減少とか高齢化とか担い手不足といったような課題は引き続きございますので、令和二年度の第五期対策におきまして、人材確保あるいは集落機能の強化などにつきまして対策の見直しを行ったところでございます。

野間分科員 ありがとうございます。

 いろいろと五年ごとの検証で様々なまた政策をされているわけですけれども、地域の直接支払い制などの取決めをして耕作している方から聞きますと、なかなか、直接支払い制とは言われるものの、個人個人に直接お金が来るということがないんだ、あるいは、グループに対しては来るんだけれども、個人には来ない。

 かつてはそれでもよかったんでしょうけれども、今は本当に厳しい、少ない人数で農業をやっている中で、個人個人にも行くようになっているんでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 この中山間地域等直接支払制度でございますけれども、これは、農業生産活動等を行います集落に対して交付金を交付するという制度でございますが、本交付金につきましては、協定参加者の話合いによりまして、地域の状況に応じた幅広い用途に活用するということが可能となっているところでございます。したがいまして、こういう農用地を維持するための活動、あるいは共同利用機械の購入といった共同取組活動に対する配分のほか、個人への配分も可能となっているところでございます。

 ちなみに、令和二年度におきまして本交付金の使途の状況について見てみますと、地域の共同取組活動への配分が四八%、それに対しまして個人への配分が五二%となっているところでございます。

野間分科員 半分ぐらい個人に行くようになっているということで。

 先ほどもお話がありましたように、年間の収入、農業のいわゆる粗利が九十万ぐらいですから、年金や様々なものを足して何とか農村を維持しているという方が多いわけで、個人への配分がもっともっと増えるようにお願いしたいと思います。

 農村が、もう本当に人がいなくなっております。これは農村だけではないですけれども、過疎地域が増えております。総務省なんかは、地域おこし協力隊ということで、全国に、千以上の市町村に五千人ぐらい人を派遣して、また、そのOBが六千人ぐらいいますけれども、大分、農家、農村にも残って、そこで事業、農業に関することをしている人が多いです。また、国土交通省でも、小さな拠点づくりということで、いろいろと過疎対策をしています。

 もちろん、農水省さんも、今回からなんでしょうか、いわゆるRMOという形で地域のそういう協議会をつくられているんですけれども、地域だけの力では、地域だけの人では、もうちょっと成り立っていかないような状況になっていることも御承知のとおりだと思います。

 ですから、私は、農水省独自で、やはり、農業助け隊でもいいんですけれども、そういう人、人材を中山間地域とかあるいは畜産の地域に派遣してもらえないだろうか。

 こういうことを言ったらあれなんですけれども、農村振興局あるいは畜産局の職員の皆さんも、一年か二年、そういったところに行って、すぐ農業はできないでしょうけれども、本当に、現場で皆さんの声を聞いて、一緒になって汗を流すということも非常に有効だと思います。地域の皆さんが絶対喜びます。ああ、本当に本気で、本気でこの田舎を何とかしてくれる、皆さん考えてくれているんだなというふうに思われると思いますので。

 大臣、すぐお答えできないかもしれませんけれども、是非そういう生産の現場で皆さんが声を聞く、もちろん県庁とか市町村に派遣されていることはありますけれども、現場でそういう声を聞いていただけるようなことを是非御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 なかなか難しい問題ですね。

 総務省がやっている地域協力隊というのも、地域に合った人を派遣しておりますので、それと、農村、水産関係の方々も、その地域地域にマッチした人間をたしか派遣しているというふうに私は思っております。

 職員さんの派遣につきましては、非常に今定数が削減されまして、限られた人材の中で事業をやっておりますので、果たしてそういうことができるかどうか、一年間ぐらいいろいろな勉強をするという意味では確かに必要なことであるかもしれませんが、県とか市町村に派遣した職員さんというのは、できれば、現場の皆さん方と意見交換をして、現場の実情とか実態を把握していただいて、また農林省に帰ってきて、いろいろとそういった話を聞いた上での政策に取り組んでいきたいというようなことは、少しずつ今やっているのかなというふうに思いますので、専属でというのは、ちょっと定数問題もありまして非常に難しいかと思いますが、そういった議員の御指摘もあるので、各県に派遣された職員につきましては、よくお話をしておきたいと思います。

野間分科員 ありがとうございます。

 今テレワークの時代ですから、農村にいても本省の仕事はできるのではないかと思いますので、是非検討していただければと思います。

 次に、これは地元の土地改良区の方からの質問だったんですけれども、いわゆる多面的機能支払交付金というのがありますけれども、これを土地改良区でやらせてもらえないだろうか。どうもできないようだけれども、一番地域を知って、こういった多面的な機能についても精通しているので、土地改良区でそういうのができないんだろうかということを聞かれていますけれども、いかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 この多面的機能支払交付金でございますけれども、その事業主体につきましては、農業者、地域住民、また農業者団体等から構成される活動組織というのが事業主体になっているということでございます。これは、この多面的交付金が、農業者あるいは地域住民の皆様方が自らの手で農地の、水路の保全活動を行う、それに対する支援の措置ということでそのような事業主体が設定をされているわけでございます。

 したがいまして、土地改良区が事業主体そのものになるということはちょっとできないわけでございますけれども、しかしながら、この事業主体であります活動組織の構成員として参画することは可能でございまして、実際、全国で数多くの土地改良区がこの活動組織に参画をされ、中には、事務委託を活動組織から受けて、いわゆる事務局的な機能を果たして非常に中心的な役割を果たしていらっしゃるというような事例もあるというふうに承知をしております。

 いずれにいたしましても、活動組織と土地改良区の連携の強化というものを推進していきたいと考えております。

野間分科員 ありがとうございました。

 土地改良区は、組合員の賦課金をもらっていろんな整備やら何やらしている、ところが、この多面的機能支払いは、お金を国からもらってそういうのをやるということで、なぜできないのかということを言われるようであります。

 次に、私どもの地元でも、一昨年の七月、大変な豪雨の災害がありました。農地が真っ二つに割れたり、川の氾濫等で起きたわけですけれども、今、農地の災害復旧事業ということで様々な工事などが行われているんですけれども、これは激甚災害等に指定されて、国が九六%とか九八%も復旧の事業費を出してくれるということで大変ありがたいことなんですが、実は、最終的に、例えば一億円の工事ですと、最後の一%とかそういうのは受益者負担だということで、農家そのものが払わなきゃいけないということになっているんですね。ただ、一億円の工事ですと百万円ですね。農家の方、七十五歳以上の方なんかは、いや、全部国がやってくれると思ったんだけれども、百万円も払うならもう農業をやめる、やりたくないという方もいるんです。

 確かに、受益者負担というのも分かるんですけれども、そして市町村の負担もあるんでしょうけれども、この辺はすぐ解決する問題ではないと思いますが、もう少し、というか全部やはり面倒を見てもらわないと、とてもとても今の農家の状況では、そういう工事費まで出して農業を継続するという意欲にはならないのが現状でありますので、いかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました農地、農業用施設の災害復旧についてでございますけれども、今委員からお話ございました、例えば一昨年の豪雨のような激甚災害に指定されたものにつきましては、これも御指摘いただきましたように、近年の実績におきまして、農地で九六%、農業用施設で九八%というような補助率になっているところでございます。

 じゃ、そうしたら、この残りをどうするのかということでございますけれども、これら事業の国庫補助残につきましては、都道府県、市町村、農家等により負担するということでございますけれども、実は、この負担割合については、市町村ごとに決定するということができるために、農家に負担を求めないということも可能なわけでございます。

 そして、この国庫補助残を地方公共団体が負担された場合には、地方財政措置がしっかり適用されますので、こういったことを現場によく周知をさせていただきまして、引き続き、この災害復旧事業の農家負担の低減というものに努めてまいりたいと考えております。

野間分科員 ありがとうございます。

 是非現場の市町村にそれを周知していただいて、なるべく農家の負担がないように、農業も継続がいくようにお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと地元の漁業の、水産業のことについてお聞きしたいと思います。

 私ども鹿児島県、あるいは長崎県の東シナ海で、キビナゴやらちりめん、シラスなどを捕って漁業をやっていますけれども、近年、非常に不漁で、キビナゴ等を加工する工場も、ずっと物が入ってこなくて遊んでおります。

 国では、サンマなど幾つかの魚種で調査をされたと思うんですね。気候等、いろいろ日本近海の漁業の状況が変わっているということでありますので、是非この東シナ海においてもそういう調査をしていただいて、今、漁業者も、どうしたものか、また別なものを捕っていかなくちゃいけない、漁業の形態自体も変えていかなきゃいけないような状況になっておりますので、この不漁の問題についてなど、お答えいただきたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 鹿児島県におけるキビナゴの漁獲量でございますが、昭和五十五年以降、毎年変動いたしますが、大体千五百トンから二千トンの間で漁獲量が推移してまいりましたが、平成十七年以降は減少傾向にあり、令和二年は過去最低の六百六十五トンとなっております。ただし、漁獲の傾向が地域によってばらつきが非常に大きく、総漁獲量の減少原因が、資源の減少によるものなのか、水揚げ漁船の減少によるものなのか、現時点においては不明な状況でございます。

 次に、シラスの漁獲量でございますが、平成二十三年以降、約二千トンから三千六百トンの間で推移しており、令和元年は二千八十七トンとほぼ過去最低に近い漁獲でございましたが、令和二年は二千九百九十トンと若干持ち直しております。

 以上でございます。

野間分科員 ありがとうございます。

 海域によって捕れる、捕れないがあろうかと思いますけれども、是非キビナゴなどについてはまた調査していただければありがたいと思います。

 それでは、最後の質問になりますけれども、昨年、みどりの食料戦略ということで、新たなグリーンの戦略を立てられたわけですけれども、その中で、化学農薬や化学肥料の使用低減についても非常に高い数値の、五割、三割など、低減の目標がなされております。また、先ほどの質問にもありましたけれども、有機農業についても非常に野心的な計画が出されています。

 こう言ってはなんですけれども、従来、農水省さんは、こういう有機農業とか、あるいは化学薬品、化学肥料の低減ということにそれほど積極的ではなかったように思うんですが、どうしてこういうふうにみどりの食料戦略を立てて変わったんでしょうか。教えていただければと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 近年の食料、農林水産業を取り巻く情勢は、生産者の減少、高齢化等の生産基盤の脆弱化や地域コミュニティーの衰退が進み、また、地球温暖化に伴う品質の低下や大規模災害の激甚化が顕在化していることに加えまして、新型コロナを契機としたサプライチェーンの混乱が起きたなど、大変厳しいものがございました。

 こうした中で、様々な産業でSDGsや環境への対応が重視されるようになり、また、海外に目を向けますと、EUでファーム・ツー・フォーク戦略が策定されるなど、国際的な議論が活発となる中で、我が国としても、アジア・モンスーン地域の立場から新しい食料システムを提案していく必要があると認識し、農林水産業や地域の将来も見据えた持続可能な食料システムの構築が急務の課題だと考えたところでございます。

 このため、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる新たな政策方針として、昨年五月にみどりの食料システム戦略を策定させていただいたところでございます。

野間分科員 ありがとうございます。

 見ているところ、EUが先ほどのファーム・ツー・フォーク、あるいはアメリカも農業イノベーションアジェンダと、こういうグリーン戦略をいろいろと出してきている、そういった流れからということなんですけれども、私どもからあれすれば、日本こそこういったものを先に出していただいて、先導していくんだ、リードしていくんだ、EUが言ったから、アメリカが言ったからやるんだというのもいいんですけれども、もっともっと自分たちがアジア・モンスーンの一つのモデルなんだということで、本当はやっていただきたかったと思います。

 その中で、非常に、先ほども言いましたけれども、化学農薬は五〇%低減する、化学肥料も三〇%、有機農業面積百万ヘクタール、大変高い目標であります。

 その中で、ネオニコチノイドの殺虫剤についてもなるべくこれを使わないようにするんだということがありましたけれども、かつては、ネオニコチノイドも、蜜蜂が死んだりして、ヨーロッパなんかでは、フランスなんかではもう使用中止に随分前からなっていましたけれども、なかなかそういったものも日本ではそのまま使われてきて、今、急にといいますかね、こういうのが出てきているのにちょっと唐突な感じを受けるわけですけれども、いずれにしても、これは非常にいい方向に行っていることだと思います。すばらしい政策だと思います。

 それにしても、非常に高い目標値を掲げているわけであります。これが本当に、先ほども質問ありましたけれども、どのように達成していくのか、大臣の御決意があろうかと思います。

 私の地元鹿児島県の偉人、西郷隆盛南洲翁は、政の大体は文を興し武を振るい農を励ますの三つにあり、その他百般の事務は皆この三つのものを助くるの具なりと。つまり、政治は、教育や学問を興して、武を振るい、自分の国は自分で守って、そして農業を奨励する、この三つさえやれば国として成り立っていくんだ、そのほかのことはこの三つを助けることなんだということを南洲遺訓の中で残しておりますけれども、是非、大臣に、この大きな高い目標に対してどのように立ち向かっていかれるかの御決意を聞いて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

金子(原)国務大臣 みどりの食料システム戦略の実現に向けましては、生産の前提となる資材等の調達から加工、流通、消費に至るまで関係者が理解を深め、長期間にわたって環境負荷低減の行動変容を促すことが重要であります。新たな法制度の検討を現在進めているところであります。

 本戦略の実現に向けまして、令和三年度の補正予算及び令和四年度の予算におきまして、現場の農林漁業者が活用する技術開発の促進、土づくりや有機農業の地域ぐるみでの取組の後押し等を実施していくこととしています。

 戦略の実現に向けた施策の推進に当たりましては、今後とも、現場主義を貫きまして、生産者を始めとする関係者、関係団体、それぞれの理解と協働の上で、省一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

野間分科員 ありがとうございました。

 特に、やはり農家の皆さんには、いろいろとやり始めると戸惑いも出てくると思いますので、そういった皆さん、また国民の理解が大事だと思います。

 今日はありがとうございました。終わります。

鷲尾主査 これにて野間健君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織君。

石川(香)分科員 立憲民主党の石川香織です。

 金子大臣、そして武部副大臣にも今日は出席いただきまして、質問をさせていただきたいと思います。金子大臣には予算委員会でも度々答弁に立っていただきまして、ありがとうございます。

 十二月の十三日の予算委員会でも質問させていただいたんですが、初めに、生乳生産についてまず大臣にお伺いをしたいと思います。

 年内は何とか生乳廃棄を回避することができたということでした。農水省の頑張りもありまして、いろいろな方が、とにかく乳製品をしっかり食べよう、牛乳を飲もうということで、輪が広がっていったということで、年末年始の危機を回避できた。ただ、これでほっとすることは残念ながらできないということで、今後もこういったことが予想されるということで、現場はまだ緊迫した状況が続いております。

 そして、今以上の山場は三月、四月と言われています。平時もそうなんですが、一年間のうち、春休みに入る期間というのは給食もありません。飲用が減りますので、その分、加工に回す量を多くして、この期間、やりくりをしています。加えて、牛の、生産量が非常に多くなる時期ということもありまして、平時であっても大変な状況であるのに、在庫が少し積み上がったような状況の中での三月、四月ということで、現場ではいよいよここが正念場じゃないかと言われておりますが、まず、金子大臣に、この三月、四月の危機についてどのような対応を考えているかということをお伺いします。

金子(原)国務大臣 まず、石川委員始め皆さん方に対して、大変お礼を申し上げたいと思っております。

 十二月につきましては、マスコミを含めて多くの方々に御支援、御協力いただいたおかげで乗り切ることができたというふうに思っております。改めてお礼申し上げたいと思っております。

 三月、四月にかけてのお尋ねでございますが、生乳生産が増加する一方で、春休みで学校給食が停止するため、また、生乳の生産が好調に推移している状況を踏まえますと、例年以上に需給が緩和する可能性があります。

 業界では、年末年始以上に気を引き締めまして、乳業工場の処理能力の向上や生乳出荷量の抑制等、生乳廃棄の回避に向けた対応を検討していると承知いたしております。

 農林水産省といたしましても、需給の状況を注視しつつ、危機感を持って、業界と連携を取りまして、引き続きNEW(乳)プラスワンプロジェクトなどに取り組んでまいりたいと思います。

石川(香)分科員 引き続き消費拡大をしていこうというキャンペーンをしていくというのは非常に大事なんですが、ただ、このようなモチベーションがどれぐらい続くかということもありますし、このキャンペーンそのものが一過性のものになってはいけないということで、どうしていくかということですが、足下で、脱脂粉乳やバターの在庫問題というものがいまだ解消されていません。

 今年度は、在庫対策には、三月までですけれども、北海道内の生産者とホクレンがお金を出して、輸入製品に国産の、置き換えたときなどに使えるように八十億円拠出をしている。つまり、生産者が自分でお金も出してこの在庫対策をしているということなんですが、来年度、四月からは、国もお金を出して、全国の乳業メーカー、そして全国の生産者にも、協力をして負担をしていただくということになって、国がおよそ二十九億円、全体で八十億円から九十億円規模の在庫対策をするということで、全国の生産者にも協力をしてもらうということ。

 全国レベルでの取組にするということは非常に評価できると思いますし、ありがたいと思っておりますが、しかし、問題は、この在庫対策、出口対策として効果がどのぐらいあるのかということであります。

 これまでの結果を見ますと、直近のバターの在庫は少し減っていますが、脱脂粉乳は令和三年十二月末の数値でおよそ九・五万トンとなっていまして、この時期であれば六万トンから七万トンのところであるところを大幅にオーバーしていて、グラフにしますと右肩上がりに上がってしまっている。

 北海道の生産者は、昨年に引き続き今年度も在庫対策にお金を出すということで、これまでの対策で結果が出ていないんじゃないか、また今回もお金を出さなきゃいけないのかということで、納得いかないという声も実際出ています。当然、何も対策しなければもっと積み増されていたという可能性はありますが、残念ながら、コロナ禍では、減っているという結果がなかなか出ていないという中で、今回のこの新しい在庫対策ではどのぐらいの在庫が減る見込みなんでしょうか。

金子(原)国務大臣 農林水産省では、生産者と乳業メーカーが協調して行う脱脂粉乳の在庫低減の取組を、コロナによる影響への対策として支援することとしています。

 具体的には、新型コロナの影響により積み上がった脱脂粉乳の在庫二万五千トンを対象に、飼料用への転用を支援することを通じまして、需給の改善を図ることといたしております。

石川(香)分科員 そういうことなんですが、これでどれぐらい減るのかという見込みがなかなか分からないというところが、現場では非常に、不信感と言っていいんでしょうか、納得できないという声が実際あります。

 二〇〇八年の生産過剰のときには、逆に、減産に踏み込み過ぎたことによって、その後二年から三年間バター不足に陥ったということがありました。バターの在庫がなくなったことで価格が跳ね上がったということで、当時の話をいろいろな方に聞きますと、お菓子屋さんですとか洋食屋さんは非常に泣かされたということもありまして、今、目の前の在庫対策、この生乳、乳製品をどうしていくかということをまず取り組んでいかなきゃいけないわけなんですが、更にその先を見据えると、今度は逆に足りなくなっちゃうんじゃないか、それでまた前回みたいにバターが高騰したりとかするのではないかということも、早くも心配されている方がいらっしゃいます。

 二〇〇八年の生産過剰に陥ったそのときの減産がようやくここ最近増頭に傾いたところで今回のコロナがありましたので、やはり、こういう問題を考えるときには、例えば十年間のスパンとか、中長期で考えていかなきゃいけないと思います。

 例えば、二〇〇六年の、前回の生産過剰のときから考えて大体十年ぐらいで増頭に、増産に傾いたということであれば、例えば十年間のスパンであったり、それから、もっと違う区切り方もあるかもしれませんが、中長期的にどのような想定をしているかということをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 まず、バターの小売価格につきましては、乳業メーカーと生産者の交渉により決定されます原料乳の取引乳価ですとか、メーカーでの製造に要する経費など、様々な要因が影響するということで、なかなか、今後どうなるのかということを予断を持って申し上げることは難しいということは御理解いただければと思います。

 先ほど御指摘のありました、二〇〇七年から二〇〇八年にかけてのバターの価格上昇につきましても、原因としては、飼料代の高騰ということを踏まえて、原料乳の取引価格の上昇が主な要因だったというふうに言われているところでございます。

 他方で、委員御指摘のとおり、まさに生乳の増産に向けて、例えば乳用牛を急に増やすということはできず、やはり数年がかかるというものでございます。そういった意味で、需要の変動に応じて機動的に生乳の生産量を調整するというのが困難であるということも事実でございます。

 こういった観点から申しますと、牛乳・乳製品の安定供給というものを図るためには、やはり、生産基盤を毀損することがないように、中長期的な視点で対応する必要があるというふうに考えているところでございます。

石川(香)分科員 いろいろな要因があって価格ですとか在庫状況というのは影響するわけで、非常に難しい、今からどうなっていくかという想定をするのは難しいことだということは理解をしますが。

 乳価についてもお伺いをしたいんですが、生乳生産の今の現状は、生産抑制ですね、アクセルから足を少し離した状態だそうなんですけれども、乳価は需給と供給のバランスで決まっていくわけでありまして、乳価は今後どうなっていくか、どういうふうに推移していくかと見ているでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答えしましたとおり、乳業メーカーと生産者の取引乳価というものは、生産コストでございますとか、さらに、需給状況も踏まえて、両者の交渉により決定されるということでございます。

 一般的には、例えば需給緩和時には、取引乳価、下がる傾向がありますけれども、いずれにいたしましても、なかなか、どういう状況になるかを予断を持って申し上げることは難しいということを御理解いただきたいと思います。

石川(香)分科員 ここは非常に現場も気にしているところであります。

 乳価の下落を抑えるには、消費拡大をするか、それか減産なのか、そっちにかじを切るのかということになりまして、この判断もいつかしなきゃいけないということもあるというのが、現実、あると思います。

 今、消費拡大を呼びかけるのは非常に大事ですし、各自治体なんかも取り組んでいるということですけれども、ただ、そもそも日本人の胃袋ではやはり限界があるんじゃないかと思っています。

 実際、日本の食料は安心、安全ということで、例えば、アイスクリームとか粉ミルクとかLL牛乳は非常にアジアを中心に人気があって伸びている、当然、メーカーも今輸出に力を入れるということで頑張っているわけですが、すぐ販路を広げるというのも難しいですし、この間、どんどんどんどん牛乳が搾られていくわけですので、過去、二〇〇六年、先ほど二〇〇八年と間違って言ってしまいましたが、二〇〇六年の生産過剰に陥ったときにはどんな議論があったのかというのをいろいろ調べてみました。

 そもそも、日本は、過去七回、途上国などに、脱脂粉乳を海外に支援しているという実績があるんですが、そのうちの六回は無償の食糧支援だったんですけれども、二〇〇六年の、今のように生産過剰になってしまったとき、実際に生乳がこのときは廃棄されてしまっていたんですが、余剰分を海外に送るということを一度だけやっています。

 そのとき判断されたのが、時の総理大臣は小泉純一郎総理大臣、そして農水大臣は、私の選挙区の大先輩であります中川昭一農水大臣であった。財務省と外務省、農水省が連携するということで、非常に困難な判断だったようでありますが、ウズベキスタンの障害児施設に百トン送っているということでした。このときに、いろいろ差損が出たものもあったそうなんですけれども、北海道内の酪農家の拠出金で負担もしているということでした。

 脱脂粉乳なんですが、食糧支援というものを考えると、当然、現地の水の問題、衛生面の問題が出てくるわけなんですが、現地では、この脱脂粉乳に小麦とお砂糖と植物油を混合して調理をして提供したと。つまり、現地で食べやすいように調理をして、かつ、安全な水を確保するために簡易の浄水器も購入して送ったということで、非常にこれは、過去の前例にとらわれず政治判断を下した、勇気ある決断であったんだと私は思っています。

 この議論は、二〇〇六年の三月に農水委員会でも議論がありまして、議事録を見ておりました。当時、松木謙公委員が私と同じような提案をしています、海外に食糧支援できないのかと。とにかく、そういうことを言っていたんですが、外務省からは、相手方からニーズがないとできないということで、つれない答弁だったんですが、その一か月後にこの海外の食糧支援が結果的に決まったということでした。当時の小泉総理と中川農水大臣のやり取りを見ても、もったいないということから始まったということでありました。

 先日も、岸田総理が、東京栄養サミットのときに、途上国の飢餓対策などに三年間で二十八億ドルの支援をするということも表明をされています。

 こういったこともあるんですが、非常に、農水省だけの判断ではできないということも分かるんですけれども、まず、こういった事実があるということで、金子大臣に、この当時の判断というのをどのように見ていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 二〇〇六年に行われましたウズベキスタンでの栄養改善事業への支援につきましては、当時、需給の緩和により生乳廃棄が生じたことを契機として検討が開始されたものと承知しています。

 しかしながら、実際の支援につきましては、あくまでも、ウズベキスタンの関係機関の要請に基づき、国際貢献や人道支援の立場に立って行われたところであります。

 このように、海外への食糧支援につきましては、被援助国などからの要請に基づいて実施されるものと考えております。

石川(香)分科員 当時の報告書も見ますと、慢性的に栄養不足の子供たちが栄養価の高い食物を得ることで栄養価が改善されたという一方で、なかなかこれを常にやるということは難しいけれども、インパクトは大きかったというような報告書もあります。

 今、日本は食料自給率が低い国なのに、お米とかお砂糖とか牛乳が余っていると言われるのはやはりおかしいんじゃないかという思いもありますので、食料自給率の低い日本の安全保障という観点からも、いろいろな選択肢を考えるべきだと思いますので、こういったことも今日触れておかせていただきたいと思います。

 生乳の話に戻りますが、世界を見ると、生乳を廃棄している、実行してしまっている国というものもある中で、日本だけが廃棄をしておりませんが、その要因は何だと思うでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 コロナの影響で、例えば、アメリカ、カナダ、英国などで生乳廃棄が発生したといったような情報に我々も接しているところでございます。ただ、個々の生乳の需給状況、あるいは取引慣行など、酪農、乳業を取り巻く環境が一様でないために、他国と比較して日本の状況を申し上げるというのは困難だと考えているところでございます。

 我が国におきましては、生乳廃棄を回避するという業界関係者の共通認識の下で、業界関係者の皆様の御努力、消費者の皆様による御協力によりまして、これまで生乳を廃棄することなく乗り切ることができているものというふうに承知しております。

石川(香)分科員 おっしゃるように、世界ではいろいろな制度、仕組みが違いますので、一概に比べられないと思いますが、ただ、日本は廃棄をせずに来たというのは、やはり間違いなく業界の方々、関係者の方々の努力だと思います。

 ただ、その一方で、あえてお伺いしますけれども、集め続けて、作り続けるということの先にまた何があるのかということも感じるわけなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

森政府参考人 酪農あるいは生乳生産につきましては、地域の基幹産業として、さらに、特に中山間地域、遠隔地における非常に基礎的な農業生産ということで、やはり、規模を維持していくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 今回御議論いただいているとおり、生き物が、牛が生乳を出すということで、なかなか一概に生産をコントロールするということが難しい産業であるというのは事実でございますが、やはり、中長期的な観点から、生産基盤を毀損しないように、うまく需給の調整をしていくということを関係者挙げて取り組んでいくということが重要だと考えております。

石川(香)分科員 森局長、済みません、昨日レクで触れたつもりだったんですが、申し訳ありません。

 やはり、この問題は、非常に、中長期的にどうするのかという視点が本当に大事だと思います。やはり、人間の都合ですぐ増やすとか減らすとかということができないからこそ、心配であるし、対策を取っていかなきゃいけない。

 今、生産抑制ということで、元々もっと搾れるはずだった牛を早めにお肉にするということをしているんですが、この廃用牛の価格も急落をしているんですよね。生産者にとっては、もっと牛乳を出せたはずですので、その分の収入は減るし、牛自体の餌も減ってしまっている。今、農薬、燃料なんかの価格も高騰していますので、それから畜舎のいろいろな償還のスケジュールなんかも含めて、非常に厳しい。三月、四月の山の次は、六月がまた山が来るとも言われていますので、中長期の目標もしっかり示しながら、現場が経営を継続できる仕組みをつくって現場を支えるという、そのリーダーシップを農水省にはしっかりと取っていただきたいと思っております。

 ちょっと順番を変えさせていただきまして、武部副大臣、お越しいただいていますので、持続的畑作生産体系確立緊急事業についてお伺いをしたいと思います。

 これは予算委員会でも質問させていただきましたが、砂糖の原料になるビートから、今、ポテトチップスなどで人気がある、需要がある加工用バレイショや大豆に切り替えると補助金が出るというものです。

 北海道では輪作という栽培方法が取られておりまして、この輪作体系は、日本の食を支える北海道農業の基本のキ、最も大切にしているものだということです。

 ただ、今回のこの制度は、てん菜、ビートだけを狙い撃ちにしているんではないかという指摘を先日させていただいたんですが、実際、今、日本人の砂糖の消費量も年間二・五万トン減っている。現にこの糖価調整制度、やはり、砂糖の消費量も減って、輸入量も減ると、この制度そのものが成り立たなくなっているということもあり、厳しい現状であるということはあるんですけれども、ただ、サトウキビやビートというのは国が特別に認めてきた作物でありまして、日本人の消費が減っているからといって、振興策に後ろ向きになってはいけないと私は思っています。

 てん菜は地域として必要であり、そして、国にもっと使い道を考えていただけるように、やる気を出してほしいと思っているんですが、武部副大臣にお伺いをしたいと思います。

武部副大臣 先生のお話にあったとおり、我が国の砂糖の消費量につきましては、消費者の皆様方が低甘味嗜好であったり、人口減少もありまして、二十年前から約五十万トン減少しています。

 このために、農林水産省では、需要拡大もしっかりと図っていかなければならないというふうに思っておりまして、SNSを活用して、砂糖に関する正しい情報を発信する「ありが糖運動」等を展開しております。

 また、農林水産省の事業を活用していただいて、例えばホクレンさんが北海道産の砂糖や小豆を用いた小豆ゼリーを道内の学校給食に提供していただいたり、あるいはJA北海道さんも天下糖一プロジェクトというのを展開していただいていますけれども、その後押しをさせていただいたり、砂糖の消費拡大を行った事例もありますし、また、本年度の補正予算におきましては、輸入加糖調製品から国産の砂糖へ切替えを促すための商品開発や、新型コロナの影響を受けた事業者等の販路の開拓の取組に対する支援を措置したところです。

 今、先生からもお話あったとおり、私の地元も、オホーツクもてん菜の産地でありまして、畑作の適正な輪作体系を維持する上で、ビートは大変重要な作物であるということは認識しておりますが、砂糖の消費量が減少を続ける中、てん菜糖業の製品在庫量も増大しております。お話しいただいたとおり、大変厳しいてん菜を取り巻く環境であると思います。

 一方で、北海道の畑作ですけれども、加工用バレイショですとか豆類など、需要に生産が応えられていない作物もあるのも、そういう状況も見られますので、生産者の御理解もいただきながら、ビートも含む北海道畑作全体で需要に応じた作物の生産を促しながら、北海道畑作の持続的な発展を推進してまいりたいと思っています。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 その生産者の御理解というのが本当に難しいんですよね。

 武部副大臣、よかったら教えていただきたいんですけれども、地元では、てん菜狙い撃ちじゃないかと言われているような、私の選挙区ではそういうことを言われるんですが、そういうようなことはどうですか。

武部副大臣 先ほども申し上げたとおり、地元にとっても、ビート、てん菜については大変重要な作物であるということは、皆さん、私も認識しておりますし、農水省も認識しています。

 ただ、やはり五十万トンも消費が減少しているということは、コロナだけではなくて、全体の構造的にも検討しなきゃならないということの問題意識も生産者の皆さん方はお持ちでいらっしゃるというふうに認識しております。

石川(香)分科員 砂糖に悪いイメージがついちゃったというのはあると思います。やはり取り過ぎたら太るだとか、健康志向の今のこの風潮にちょっとそぐわないようなイメージがついてしまったという、そういうのもやはり印象を変えていかなきゃいけないと思いますが、本当にここは大事なところだと思うんですが、この制度、もう一つ、種芋農家に対しての支援というものもあります。

 加工用芋についてもお伺いしたいんですけれども、種芋農家は、雨の日も猛暑の日も、広い圃場を歩いてチェックをしなきゃいけない、厳格なルールの中で責任感を持ってやってくださっているということで、やはり当然インセンティブは必要だということを私もこれまで委員会などでも言ってきたんですが、そんな手間が非常にかかるということもありまして、種芋農家、非常に近年、後継者の不足というものが心配をされております。

 種芋は半分に切って植えるわけですけれども、私の選挙区の方々に聞きますと、既に種芋の生産現場では、カッティングプランターを使って植えるわけですけれども、効率よくできるように小粒化に努めていると。小さくするように努めているので、それを更に小さく切るようなことにはならないと。むしろ小さく切ってしまうことで収量が減って、結果、種芋農家の収入も減ってしまって、ますますやり手がなくなるんじゃないか、それは結果的に加工用の芋も増えないのではないかという声が種芋農家の方々から上がっているというのを私も聞いておりますが、この点の指摘についてはいかがでしょうか。

武部副大臣 大変、種芋は、シロシストセンチュウの問題もあったり、芋を植える畑の問題もあって供給が追いつかない、そういうような実態もあります。

 種バレイショにつきましては、そのまま植え付ける、全粒の植付けの場合は一個当たり大体四十グラムから六十グラムで、切断する場合については一片当たり三十グラム以上でという、そういうのが望ましいとされています。

 このため、種バレイショの植付けにおいては、小粒化されて、今先生のお話にあったとおり、小粒化されたものについてはそのまま植え付けていただいて、大粒のものについては切断して植付けをしていただいています。

 先ほど申し上げたとおり、令和三年産の種バレイショの供給不足に対応するために、補正予算において、種バレイショを切断していただいて数を確保する取組について、当然、切ったりするわけですからかかり増し経費もかかるわけなので、手間もかかりますから、それについての支援をすることにいたしました。

 切断に際しては、播種後の生育を育てるため、一片当たり、先ほど申し上げましたけれども、三十グラム以上になるようにJA等で指導されていることから、小さいものまで種バレイショを更に切って、更に小さくして、三十グラム以下にして植えるということで収量が減少するということはならないというふうに考えております。

 いずれにしましても、農水省としましては、生産現場に対しまして、事業の丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。

石川(香)分科員 小さく切り過ぎることはないよという御説明だったと思います。

 今、説明会なんかもしてくださっているようなんですけれども、切ればいいというものじゃないというようなこともいろいろな方から聞きましたので、もしかしたらそこは誤解があるのかもしれない。そういう意味では、現場にしっかり御説明していくということが必要だと思います。

 最後になってしまいますが、金子大臣、いろいろ今日お伺いしたんですが、特にビートのことは、私の地元では非常に心配しています。砂糖業界のいろいろな、今、日本人の消費の関係もお話ししましたけれども、厳しい状況の中で、ビートは欠かせないということで、ビートを守っていくというその決意を聞きたいと思います。最後にお願いします。

金子(原)国務大臣 てん菜生産は、北海道の畑作において、輪作体系の維持に重要な作物であると認識しております。

 一方、砂糖消費量が減少を続ける中、輸入原料から徴収している調整金の収入が減少しておりまして、てん菜生産を支える糖価調整制度の収支は大変大幅に悪化しております。

 また、てん菜から砂糖を製造するてん菜糖業の製品在庫も増大している状況にあります。

 こうした状況の中で、てん菜を含めた北海道畑作を将来にわたって継続していくことが重要であると考えています。

 このため、てん菜製品の一部を、現在需要に生産が応えられていない加工用バレイショや豆類にシフトしていただくことが重要であると考えております。

 これを踏まえ、令和三年度補正予算におきまして、てん菜から需要のある作物への一部の転換を図るため、転換に必要な種バレイショへの供給や農業機械の導入等への支援を措置したところであります。

 こうした支援を通じて、てん菜を含む北海道畑作の持続的な生産を推進してまいりたいと思います。

石川(香)分科員 制度の説明を改めていただきましたが、しっかり守っていただけるように、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて石川香織君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田英俊君。

上田分科員 富山県第二区選出、自由民主党、上田英俊でございます。

 よろしくお願いいたします。

 今回、この予算委員会分科会で質問する機会を与えていただきまして、ありがとうございました。関係する皆様方に改めて御礼申し上げたいというふうに思っております。

 今回、この分科会におきまして、有害鳥獣対策について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 富山県第二区という選挙区は、新潟県、岐阜県、長野県と接しており、かつて富山県知事を務められた吉田実さんという方は、野に山に海にというスローガンを掲げておられました。

 この選挙区は、海岸エリアでは、浸食が大変著しい国土交通省の直轄海岸を目の前に臨んでおりますし、急流河川によって形成されました今日では大変豊かな穀倉地帯となっている扇状地も見受けられます。

 また一方、山間部に目をやりますと、戦後の高度経済成長時代を支えた、水力発電によって起こされた豊富で安価な電力、黒部ダムが一番有名でありますけれども、黒部ダムに代表されるような水力発電所が建設され、山間地はまさしく電源開発の源泉となっております。まさしく野に山に海にといったところが富山県第二区というところでございます。

 今回、挨拶回り、約五か月間でありますけれども、挨拶回りをさせていただく中で、初めて見る風景にも出会いましたし、初めて聞く話もありました。そして、何よりもやはり、その地で生活をしている方々、そしてこれからも生活をしていくという方々と接して、今回は質問させていただきたいというふうに思っております。

 かつて、山間地といったところは、そのエネルギーである炭、炭焼きの供給基地でありました。しかしながら、時代の変遷とともに炭が石炭や石油に転換されて以降、山間地というのは大変高齢化が著しく、なおかつ過疎化も大変進んでいる、これは日本国内大半がそうであろうかというふうに思っております。また、空き家であるとか朽ちた廃屋がどんどんどんどん増えてきて、結果として集落そのものがなくなってしまう、廃村というところも見受けられます。今日では限界集落という大変厳しい言葉も登場しておりますし、何よりも、テレビ等では、「ポツンと一軒家」というテレビ番組も多くの方々に見られているようであります。

 そこで、まず質問させていただきたいというふうに思いますけれども、山間地における集落の数というものが、また、集落を構成する家の数そのものが、結果として戸数が減ってきている、空き家が増えてきているというふうに認識をしておりますけれども、国としてその推移を把握しておられるのか、また、把握しておられるとしたら、その要因といったものはどのようなものと考えておられるのか、まずはお伺いしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この集落についてのお問合せがあったところでございますけれども、この集落の実態ということにつきましては、農林業センサスの中で農業集落の数というものを把握をさせていただいているところでございます。

 これによりますと、平成二十二年、全国十三万九千の集落が令和二年には十三万八千ということで、一千程度減少しているという数字が出ているところでございます。その要因といたしましては、特に中山間地域におきましては、少子高齢化、人口減少が都市部に先駆けて先行しておりますのはもう言うまでもないことでございますし、また、集落内の戸数減少が著しくて、地域のコミュニティーの維持にも支障が生じつつある、こういうところが大きな要因ではないかなと考えております。

 これに対しまして、日本型直接支払いによります営農継続への支援、また、中山間地農業ルネッサンス事業によります総合的かつ優先的な支援、また、御指摘いただきましたような鳥獣害対策といったようなもので対応しているところでございます。

上田分科員 近年、都道府県においても、あるいはまた市町村においても、大変厳しい人口減少あるいは少子高齢化という中で、やはり各自治体は、定住人口が減ってくるのであるならば、移住、定住といったものを進めようという形で、それぞれの自治体が知恵を絞って移住、定住政策といったものを進めております。

 さらに、結果として、コロナウイルスの影響で、やはりなかなか、人が多いところ、人口が過密しているところには住みにくいよねということで、そうした中山間地であるとか山間地に移住、定住をされる方々もかなり見受けられます。

 私も、若い移住、定住者と話をする機会がありました。いろんな方々と話をしている中で、やはり、移住、定住政策というものを結果として進めるためには、もちろん様々な政策といったものが必要だとは思いますけれども、大きく分けて三つ、重要な政策があるというふうに思っています。

 まず一つは、当然、若い夫婦が家族連れで来るということでありますので、やはり若い夫婦の方々にとって子供の教育といったものは大変大切だろうということでありますので、子供の教育環境がきっちり整備されているか、これがまず一つであります。

 そして二つ目には、コロナ禍において、何も、朝、満員電車に乗って、朝早く起きて、一時間も二時間もかけて通勤しなくても、結果としてテレワークといったものもできるよね、そう悪い、不可能なことではないよねということから、やはり二つ目に重要なこと、それぞれが、三つが全て重要でありますけれども、一つはやはり高速通信網の整備といったことが大切だろうというふうに思います。それが二つ目であります。

 そして最後の一つは、やはり有害鳥獣対策だろうというふうに思っています。

 まず一つは子供の教育環境の整備、二つ目には高速通信網の整備、そして三つ目には有害鳥獣対策。一つ、二つ、三つと言いましたけれども、どれも同じような重要度であると御理解いただければというふうに思います。この三つが移住、定住を促進していく上で大きな三本柱だというふうに考えております。

 さて、私は昭和四十年生まれでありまして、父親は昭和十年生まれでありますけれども、私の父親の世代の方々と、中山間地、山間地の方々と話をする中で、昔、富山県にはイノシシなんていなかったよねという話であります。もちろん、様々な気象変動であるとか様々な要因によって、動物も自らの生存しやすい環境を求めて移動してきたのかもしれませんし、様々な要因でもって、富山県にかつてはいなかったイノシシといったものが入ってきているということであります。

 私も、今回、先ほど、野に山に海にという話をさせていただきましたけれども、海岸部にも行きましたし、平野部にも行きましたし、中山間地、山間地の集落にも伺いました。生まれて初めて、動物園以外でイノシシの親子連れを見ました。生まれて初めてであります。中山間地の方々、山間地の方々が有害鳥獣に悩んでいる姿というのはこれなんだなということがほんの少しだけ分かりました。

 そのイノシシの親子連れは、集落のど真ん中の道を威風堂々、悠然と、ゆったりと歩いていくんですね。人様がかえってよけて歩いているという状況であります。これはやはり、この地で生活する方々の御苦労というのは大変多いなということがほんの少しだけ分かったような気がいたします。

 そこで質問いたしますが、何も、イノシシや鹿や猿、熊というのは当初から有害鳥獣と呼ばれていたわけではないというふうに思います。そこで、環境省に対してお尋ねしますけれども、まず、イノシシ、鹿、猿、熊、この四つの生息数といったもの、数が増加して、また、生態域、生活しているエリアといったものも拡大してきているのではないかというふうに考えますが、環境省としてどのように認識しておられるのか、お尋ねしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、全国的な観点から生息状況の動向を把握するために、ニホンジカとイノシシに関しては、個体数の推定、これを毎年実施してきているところでございます。直近の調査結果では、令和元年度において、本州以南のニホンジカの個体数は、いろいろ幅があるんですけれども中央値で約百八十九万頭、イノシシの個体数は中央値で約八十万頭と推定されておりまして、平成二十六年度をピークに、それぞれ減少傾向にあるものと承知しております。

 一方、分布域につきましては、昨年度の調査結果によりますと、ニホンジカは、昭和五十三年との比較ですと、この四十年間で約二・七倍に分布域が拡大している。近年、特に東北、あと先生の御地元の北陸、それから中国、この各地方で拡大していることが明らかになっているところでございます。

 また、イノシシの分布域に関しましては、同じ四十年間で約一・九倍に拡大をしているということでございます。これにつきましても、近年、特に東北、関東、北陸、この各地方で拡大していることが明らかになっているところでございます。

 あと、御指摘いただいた熊類とニホンザルにつきましては、残念ながら個体数推定は実施されていないんですけれども、分布域につきましては、地方自治体からの聞き取り等により把握を行っているところでございます。

 熊類の分布域については、現在のデータと比較が可能なのが直近では十八年前の平成十五年度なんですけれども、この調査結果から比較しても約一・四倍に拡大している。近年、近畿地方と中国地方での分布拡大が顕著となっております。

 また、ニホンザルの分布域に関しましては、昭和五十三年からの四十年間で約一・七倍に拡大をしてございます。近年では、特に東北地方、関東地方での分布拡大が顕著ということでございます。

 こうした分布域の拡大要因につきましては、科学的に十分検証ができておりません。ですから、地域によっても異なると思うんですけれども、例えばニホンジカに関しましては、積雪量が減ってきたこと、若しくは、中山間地域の過疎化等、耕作放棄地が、利用されないまま放置された里地里山が生息に適した環境になってしまっているのではないか、こういったことが専門家の先生方からも指摘をされている、こういうふうに承知しているところでございます。

上田分科員 私は、熊というものは山にいるものだというふうに思っていましたけれども、二年前の秋だったと思いますけれども、私の町でありますけれども、私は当時県会議員であったわけでありますけれども、ちょうど二年前の秋でありますけれども、熊が海に出没したんですね。河原を多分渡っていったんだろう、私も熊の跡をつけていったわけではありませんので。熊が海に出たということで、もしかすると、熊も生きていくために海水を、塩分を取らなければならないというので、河原を下りていって海に行って、塩水を飲んでまた戻っていく。

 先ほど来から、イノシシ、鹿、猿、熊は当初から有害鳥獣ではないわけでありまして、生息エリアといったものがどんどんどんどん人間の生息エリアに近づいてきているというのは肌体感としてあるのではないかというふうに思っています。人間の生息エリアに対して接近して入り込んできている、そして、結果として人々の生活を脅かす。

 また、当然、それらの動物も、動物でありますからおなかもすくでしょう。目の前にある、人間が作った米に対して悪さをしてみたり、野菜や果樹に対して食べてみたり、人間が作った農産物といったものを荒らしていく、あさっていく。それが結果として農産物の被害といったものを生じさせているがゆえに、人の生活に危害を与える、時には人の生命に対して危険を及ぼす、そうであるがゆえに有害鳥獣といった呼ばれ方をするんだろうというふうに思いますけれども。

 そこでお尋ねしたいのは、有害鳥獣と呼ばれている結果、農産物に対する被害というものが大変大きいだろうというふうに思います。そこで、有害鳥獣における農作物の被害額の推移、あるいはまた、それに対する現状と今後の対策等についてお伺いしたいと思います。

武部副大臣 私の地元は北海道なんですけれども、北海道にはイノシシやニホンザルはいないんですが、エゾシカとヒグマですね。今先生がお話しになったとおり、ヒグマが市中に、町の中に出てくるというような、そういう人に対する被害も出てきております。

 今、農作物の被害についてお問合せがありましたけれども、平成二十二年度の農作物被害でございますが、二百三十九億円で、これがピークでありました。これから減少傾向にありまして、令和二年度は百六十一億円となっています。

 しかしながら、私も、地元を回っても、なかなか鹿の数は減っていないぞというお話も聞きますし、また、農作業で被害がありますと、やはり営農意欲に大変大きな影響が出て、減退されるんだと思います。被害額として数字に表れる以上に深刻な影響を及ぼしていると認識しております。

 このため、農林水産省では、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、有害鳥獣の捕獲、侵入防止柵の設置等、地域ぐるみで対策を行っていただいていることに対しまして支援をしております。

 令和四年度の予算におきましては、昨年改正されました鳥獣被害防止特措法の内容を踏まえまして、都道府県が行う広域捕獲、それからICTを総動員した被害対策の推進、人材育成等について拡充して計上しておりまして、これらの予算を活用し、鳥獣被害の一層の低減を図ってまいりたいと思っています。

    〔主査退席、木原(稔)主査代理着席〕

上田分科員 副大臣、ありがとうございました。

 確かに、副大臣がおっしゃられたように、平成二十二年をピークに減少している。その後の、副大臣と私も同じ認識であります、金額は確かに減少しているけれども、結果としてもう作るのを諦めた方がかなりおられると思うんですね。そのエリア、有害鳥獣が出てきたエリアにおける米の作付を諦めたり、せっかく自分たちで丹精込めて野菜を作って、果物を作って、東京の孫に送ってやろう、そうしたものが全てぶち壊しになっている。そういった営農意欲がなくなってきているということも大きな要因なんだろうというふうに思います。

 また、面積においても、数字では示されないかもしれませんけれども、かつては山の方で被害があったかもしれないけれども、面積は変わらないけれども、そのエリアではなくて、どんどんどんどん町部に下りてきているということも多分あるのではないかということを大変強く危惧しております。

 さて、そうした有害鳥獣に対して最前線で駆除等に当たっていただいておられるのが猟友会の方々であります。富山県においても、猟友会の方々は、いずれの地域も多分同じだと思いますけれども、高齢化がどんどんどんどん進んでいる。また、会員数もどんどんどんどん減少しているという傾向なんだろうというふうに思います。

 富山県においては、行政等も、やはり有害鳥獣対策の一環ということで、資格試験の回数を増やすとか、行政として努力をしていただいております。また一方で、富山県も、若手の方々で、営農意欲、担い手として、米であるとか様々な作物をどんどんどんどん拡大していこうという担い手、若い担い手の方々がたくさんおられますので、そういった方々が、自らの作物を守るために、農業に従事している若手の方々が、必要に迫られて、わなの狩猟免許を取得しているという方もたくさんおられます。自らの作った米を守る、自ら作った野菜を守る、そして何よりも生活を守るために資格を取得しているという現状であります。

 そこでお尋ねいたしますけれども、狩猟免許の保有者数が減少していると考えますが、その資格保有者数の推移、あるいはまた、分かればお示しいただきたいということと、狩猟免許を保有している方々をやはり何とかして、有害鳥獣といった被害がどんどんどんどん大きくなっている、被害件数がどんどん生活に近づいてきているということでありますので、やはり何とか増やしていくという対策を取っておられるというふうに思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

    〔木原(稔)主査代理退席、主査着席〕

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣の捕獲の担い手である狩猟免許の所持者の数でございますけれども、昭和五十一年が最多、ピークで約五十三万人おったわけでございますけれども、近年はその半分以下の約二十一万人となっております。四十歳未満の若年層における実は狩猟免許の所持者というのは、ここ近年、例えば、平成二十五年度には約一・五万人だったものが、平成三十年度、五年間で約二・九万人と増加傾向にはございます。ただ一方で、六十歳以上が狩猟免許所持者の約六割を占めているというような現状もございます。これは、高齢化も深刻な状況となっているのが現在の状況でございます。

 また、その免許の種別に見てみますと、昭和五十年度は、火薬を使った装薬銃、これを用いる第一種銃猟、これの免許が九五%を占めておりました。それで、逆に、網とかわな猟、こちらの方は約二%であったんですけれども、平成三十年度のデータを見ますと、第一種銃猟が約四三%に減って、わな猟が逆に約五三%になる、逆転しております。わな猟の所持者数というのはこのように増加傾向にある一方で、第一種銃猟の免許所持者が引き続き減少してきているという状況にあろうかと思います。

 それで、環境省では、これまで様々な狩猟の魅力を伝えていくような狩猟フォーラムの開催ですとか、例えば、わな猟、網猟の免許の取得年齢を二十歳から十八歳に引き下げる、若しくは認定鳥獣捕獲等事業者、有害鳥獣捕獲等に関わる狩猟者の狩猟税の減免措置、こういったものの対策を講じまして、その結果、狩猟免許の所持者も平成二十四年度の十八万人から約三万人程度増加してきているというふうに考えております。

 また、銃刀法に基づくライフル銃の所持許可を得るのに、継続して十年以上猟銃の所持許可をしていないとライフル銃の所持許可が得られなかったんですけれども、鳥獣捕獲事業の事業者等に対しては、継続して十年以上の猟銃の所持の許可がなくても申請の対象とするということを、警察庁さんの方でその対象範囲の拡大をしていただいているというふうにも聞いております。

 今後は、やはり、銃猟免許所持者も含めた狩猟免許取得促進、この取組を引き続き実施してまいりたいと思いますし、事業者等の技術の向上のための取組を強化して、農林水産省さん、警察庁さん、都道府県等とも緊密に連携した、鳥獣保護管理の担い手の確保、育成の取組を一層推進してまいりたいと思っております。

上田分科員 ありがとうございました。

 まさしく、有害鳥獣対策に当たっておられる猟友会の方々というのは、本当に人の命を守っておられる、財産を守っておられるということでありますので、引き続き、しっかりとした対策等を取っていただければというふうに思います。

 さて、今回、いろいろ挨拶回りを重ねている中で、本当に有害鳥獣対策の現場で御苦労されている方々の話をお聞きしました。

 ボランティアとして、自ら作付している農作物を守るために、その地区で班編成をして、日の出前から見張りをしている、そして、日没後、日の入り後も見張りをしているということであります。

 大変、そういった方々が残念そうに話していたのは、特にこれはイノシシなのでありますけれども、イノシシというのは、銃器、いわゆるライフル銃、散弾銃等の銃器の使用基準を知っているのか知っていないのか、もちろん知っているわけはありませんけれども、日の出前五分前に目の前を通っていく、日没後の五分後に目の前を通っていくということであります。銃が使用できないということでありますので、大変残念だということでありますけれども。

 確認しておきたいわけでありますけれども、鳥獣保護管理法第三十八条には、「日出前及び日没後においては、銃器を使用した鳥獣の捕獲等をしてはならない。」と規定されていますが、この規定の内容、及びこの規定、これは原則でありますので、例外も当然あろうかと思いますので、それについて確認をしておきたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、日の出前と日没後においては、銃器を使用した捕獲等、夜間銃猟に関しては、鉄砲の発射によって人間の生命、身体又は財産に危害を加えるおそれがあるということから、鳥獣保護管理法に基づいて原則禁止をされております。

 ただし、都道府県等が実施する指定管理鳥獣捕獲等事業、これにおきましては、夜間銃猟が有効であって、かつ厳格な安全管理が可能と判断される場合、技能を有する認定鳥獣捕獲等事業者であれば、夜間銃猟を実施することが可能としているところでございます。これまで和歌山県、長野県、北海道、愛知県の四道県で夜間銃猟を実施しているところでございます。

 夜間銃猟は、日中の警戒心が高く、先ほどの御指摘のとおり、対象動物が夜間しか捕獲可能な場所に出没しない場合等には有効な場合があろうかと思います。環境省としては、夜間銃猟を含む指定管理鳥獣捕獲等事業の取組を支援して、鳥獣被害防止に向けて、捕獲の強化というのを一層推進してまいりたいと考えております。

上田分科員 銃の原則の規定というものは誰もが理解しているわけでありますけれども、やはり、何とかならないものかというのが、その周辺で見張りをしておられる方々、生活をしておられる方々が思っておられる率直な思いであります。具体的には、特区的な発想もできないものかということも伺っております。様々な方面からの有害鳥獣対策を検討していただければというふうに思います。

 最後に、警察庁にお尋ねしたいと思います。

 地域の派出所、交番等で、地域の安全、安心を守る警察官がおられます。そういった方々に、警察官に、ライフル等の銃器の狩猟免許の取得といったものの推奨を考えることができないか。

 有害鳥獣対策に悩む自治体では、公務員に対して、行政職員に対して、狩猟免許の取得を推奨しているところもありますけれども、警察にも新たな役割といったものが期待されると思いますが、警察官に狩猟免許の取得を奨励するということは考えられないものか、伺いたいと思います。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 警察庁では、熊等が住宅街に出没した場合の対応ということに関して、銃器を使用した鳥獣の捕獲等が禁止をされている住居集合地域等であっても、警職法に基づいて、警察官がハンターの方に対し猟銃を使用して熊等を駆除するように命ずることができることなどの解釈を明確にしておりまして、都道府県警察においては、ハンターの方々や市町村等とともに会議を開催して、平素から、役割分担の明確化を図ったり、さらには想定訓練を実施したりするなど、緊密に連携して対処に当たっているところでございます。

 他方で、熊等を猟銃で駆除するというためには、急所ですとか、さらには行動様式といった、熊等の生態に関する専門的な知識のほか、さらに、狩猟に関する高度な知識や豊富な経験といったものが必要となるところ、これらの知見を有しない警察官がこれを行うというのは極めて困難かというふうに思っておりまして。

 住宅街に出没した熊等の駆除に関しましては、先ほど申し上げましたが、都道府県警察に対して、ハンターの方々や市町村等と引き続き緊密な連携を図って、適切に対処するように指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。

上田分科員 今の答弁はよく分かりました。

 そこで、一点確認させていただきたいわけでありますけれども、警察官の方々が、一私人として、一市民として、やむにやまれぬ思いから、地域住民を守るということにおいて、猟銃使用の資格を取得し、猟友会であるとか、あるいは有害鳥獣捕獲隊員として、一私人として活動することを、これは妨げる答弁ではないですよね。それをちょっと確認させてください。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおりでございます。

 我々として、そういった形で自発的に取り組まれる警察官の方々の行動を止めるというものではございません。

上田分科員 ありがとうございました。

 引き続き、三省庁におかれましては、有害鳥獣対策、しっかり取り組んでいただきますよう要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて上田英俊君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時より開会し、引き続き農林水産省及び環境省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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