衆議院

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第2号 令和4年2月17日(木曜日)

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令和四年二月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 鷲尾英一郎君

      加藤 竜祥君    金田 勝年君

      木原  稔君    国光あやの君

      平沼正二郎君    山本 有二君

      神谷  裕君    近藤 和也君

      馬場 雄基君    前原 誠司君

   兼務 池畑浩太朗君 兼務 吉田 豊史君

   兼務 中川 宏昌君 兼務 山崎 正恭君

   兼務 田村 貴昭君

    …………………………………

   農林水産大臣       金子原二郎君

   環境大臣         山口  壯君

   農林水産副大臣      武部  新君

   環境副大臣        務台 俊介君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         安東  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  森   健君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         川合 規史君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           青山 豊久君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  森  隆志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     中野 英幸君

  山本 有二君     加藤 竜祥君

  近藤 和也君     馬場 雄基君

  前原 誠司君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     平沼正二郎君

  中野 英幸君     国光あやの君

  馬場 雄基君     神谷  裕君

  斎藤アレックス君   田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     金田 勝年君

  平沼正二郎君     山本 有二君

  神谷  裕君     山岸 一生君

  田中  健君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  山岸 一生君     近藤 和也君

同日

 第二分科員中川宏昌君、第三分科員田村貴昭君、第四分科員山崎正恭君、第八分科員池畑浩太朗君及び吉田豊史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

鷲尾主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馬場雄基君。

馬場(雄)分科員 皆様、おはようございます。立憲民主党、福島二区、福島県出身の私、馬場雄基と申します。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。今回が初の質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 東日本大震災当時を学生で迎えた私にとって、この国会の場に来ることができたということに、とても重みを感じています。

 あのとき以来、環境省始めたくさんの方々に支えられていたからこそ、今の私がいるというふうに思っております。感謝の気持ちを込めるとともに、時代の変化の中で明らかになってきた数々の困難を乗り越えていくための時間にしていきたいというふうに思っております。

 まず初めに、福島県が行っている甲状腺検査について伺います。

 私も、実はその対象の一人です。当時十八歳の身でした。

 先日、高校生や大学生、一緒にお話をした際に、あっ、あの喉元にぬるぬる塗るやつですねと言われまして、共通の話題を作ることもできました。

 先に申し上げたいことは、当時、ほとんど情報がない中で、県民の健康への安心のために甲状腺検査の体制をしいてくださったことに感謝をしています。しかし、だからこそ、当事者の一人として、適切に事実に基づいて整理をしていきたいというふうに思っております。

 環境省は、今年の二月一日、福島県における放射線の健康影響について文書を出されております。事故当時は余り情報がありませんでした。しかし、その後、次々と国内外の分析が進み、様々情報の評価が変化してきていたというふうに思っております。

 それを踏まえて、山口環境大臣、甲状腺検査を通して、事故と甲状腺がんの因果関係について現在どのように評価なされているか、伺わせてください。

山口国務大臣 馬場先生の福島御出身ということも踏まえながら、環境省として福島の復興はまだ道半ばだ、環境省にとってこの福島の復興というのは最大、最重要の課題だというふうにまずは認識しています。

 その上で、御指摘のこの福島県の甲状腺検査について、福島県県民健康調査甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、福島県の県民健康調査検討委員会や、あるいはUNSCEAR、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、こういう専門家会議により、現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされています。

 二〇二一年三月に公表されたUNSCEAR、国連の科学委員会の報告書では、見直された公衆の線量は二〇一三年報告書と比較して減少又は同程度であり、放射線被曝が直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにないと報告されています。

 このUNSCEARというのは、二〇一三年に報告書を出して、それでもう一回、二〇二一年三月に公表しているわけです。

 また、その二〇二一年三月に公表された報告書の中では、被曝した子供たちの間で甲状腺がんの検出数が大きく増加している原因は、放射線被曝ではなく、非常に感度が高い若しくは精度がいいスクリーニング技法がもたらした結果であるというふうに報告されています。

 他方、環境省的には、やはり心の問題に寄り添うという観点から、いろいろなプロジェクトでもって、気持ちに寄り添っていきたいということで続けております。

馬場(雄)分科員 大臣、ありがとうございます。

 繰り返しますが、私も当事者の一人として、検査があることによる得られた安心というものがあったというふうに思っています。

 しかし一方、今大臣が御答弁いただいたように、情報の変化に伴い、世界各国の分析が変わってきているという事実はあるというふうに思っています。治療した方の不安、あるいは検査そのものがあるということによる本人及び御家族の心理的負担は決して軽いものではありません。だからこそ、その変化に伴い、私たちの検査の体制というものもしっかりと見極めて変化をしていかなくてはならないというふうに思っています。

 環境省さんに伺います。

 世界で検査の評価体制が少しずつ変わる中で、今、甲状腺検査の対応も変えていく必要性があるというふうに思いますが、これまでどのように変化してきているのか、変化してきたか、是非お答えください。お願いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 福島県の甲状腺検査は子供たちの健康を長期に見守るために実施してきたものであり、対象者本人が検査のメリット、デメリットを理解した上で、検査を希望する方が受検でき、希望しない方が受検しないことを自然と選択できるようにすることが重要であると考えております。

 御指摘のとおり、甲状腺がんに関するデータ収集や分析が進む中、福島県及び福島県立医科大学では「検査のメリット・デメリット」という冊子を作成し、令和二年度以降、対象者に配布をしております。

 また、今年度からは、学校を介して行われていた同意確認書の回収を取りやめるとともに、環境省が作成をいたしました甲状腺検査の任意性を改めて説明するリーフレットの配布によりまして、自分の意思で検査を受けるか受けないかの選択ができることを周知をしております。

 今後とも、甲状腺検査の任意性が担保されるよう、福島県と密に連携をして適切に対応してまいります。

馬場(雄)分科員 ありがとうございます。

 まさに、自然とというお言葉が出てきました。しかし、今現在、実態として、自然とという任意性が担保されているとは余り思えません。しかし、ここから、同意書等変化があるということを今伺いましたので、その動きにしっかりと注視していきたいというふうに思います。

 甲状腺検査について必要な課題は三つあると私は思っています。一つは、適切な知識の獲得です。これは本人だけではありません。御家族そして学校、この本人を支えるお二つのレイヤーの方々への理解も必要であるというふうに思います。二つ目は、検査を学校や周りからの誰からのプレッシャーもなく自然と、まさに自然と選択できる環境整備。そして三つ目は、気軽に相談できる相談体制だというふうに思っています。

 まさに、学生のヒアリングを私も伺ってきましたけれども、本人の意思というよりも、保護者、御家族の方の不安な気持ちあるいはその思いによって学生が行動の影響を受けているというふうにも思います。

 まさに、山口大臣、伺わせていただきたいです。甲状腺検査の適切な知識を伝えていく体制について、より一歩具体的に踏み込んで対応していく必要があると思いますが、山口環境大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

山口国務大臣 先ほど御指摘いただいた、いわゆる希望をされるかされないか、あるいは御自身の意思かどうかということについて、もう一度述べさせていただければ。

 福島県では、説明会の実施、要するに、生徒さん方に対する説明会の実施あるいはパンフレットの配布等により甲状腺検査について十分に説明し、対象者本人が自分の意思で検査を受けるか受けないかを選択できるような環境づくりを進めている、そういうことが一つあると思います。

 また御指摘の、環境省では、福島県の子供たちの気持ちに寄り添うべく、ぐぐるプロジェクト、学び・知を紡ぐ、人・町・組織をつなぐ、自分事として伝わることでこの放射線健康影響に係る差別、偏見を払拭する取組などによって、放射線の健康影響に関する差別、偏見の払拭に取り組んでいます。加えて、甲状腺検査の対象者や御家族の不安に応えるために、二次検査を受ける方への心のサポートの実施体制を強化する事業などを行っています。

 福島県と連携しながら、こうした取組を進めていきたいと思います。

馬場(雄)分科員 ありがとうございます。

 まさに今複数のメディアからも様々情報が出ている中で、やはり本当にここは事実に基づいた適切な対応が求められていると思います。繰り返しになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、中間貯蔵施設について伺います。

 国会議員として、この立場になって悔しく思う場面が多くございます。それは、数多くの方が言われる、次の世代に渡さなくてはならない課題という言葉です。余りにも軽く聞こえます。私は、はっきり言って違うというふうに思います。

 復興でいうならば、私たち、学生のときに震災を迎えた世代は、いわば現状を受け入れるしかなかった身でもございます。加えて、今から生まれてくる子供たちは、震災を知りません。将来を言う前に、今ある責任を十分に、十二分に果たしていくことが何よりも先決であるというふうに思っています。

 除去土壌について伺います。本年三月までに全て中間貯蔵施設に移される予定であると伺っています。環境省さん、中間貯蔵施設内に集められた土壌の量と放射線濃度について教えてください。

室石政府参考人 お答えいたします。

 中間貯蔵施設に運び込まれる除去土壌の放射能濃度については、二〇二一年八月末までに搬入した除去土壌のうち、約四分の一が八千ベクレルを超えるもの、また、約四分の三が八千ベクレル以下となっております。

 また、量ということでございますが、既に一千万立米を超える量を運ばせていただいております。

馬場(雄)分科員 ありがとうございます。

 今まさに環境省さんが用意されている戦略の一つであると思います、中間貯蔵施設除去土壌などの減容・再生利用技術開発戦略において、どの程度再生利用を検討しているのか、また、どのような利用方法を想定しているのか、是非、環境省さん、教えてください。

室石政府参考人 お答えいたします。

 除去土壌の再生利用については、丁寧な説明をし、また、御理解をいただいた上でございますが、一キロ当たり八千ベクレル以下の除去土壌を対象に実施したいと考えておりまして、量としては、中間貯蔵施設に運び込まれた除去土壌のうち、四分の三程度が再生利用可能と考えております。

 また、用途でございますが、利用方法については、適切な管理の下、道路や農地等の公共工事等で利用することを想定しておりまして、現在、実証事業を行い、安全性等の確認を行っているところでございます。

馬場(雄)分科員 ありがとうございます。

 まさに本当に多くの量が、今、その再生利用の検討段階であるというふうに伺いました。

 しかし、ここでしっかりと、これもまた事実に基づいて確認をしていきたい。これは将来にわたっての大きな課題であるというふうに思っています。私も覚悟を持って伝えさせていただきたいと思います。

 以前、大分前だと思います、環境省さんが出した通知の中に、再利用、これは言葉としてはかなり気をつけて使わなきゃいけないと思います、あのときはコンクリート、金属などを基準にした廃棄物の基準だというふうに思いますが、百ベクレル・パー・キログラムの基準、そして、八千ベクレル・パー・キログラムに関しては、適切な環境下で処理できる基準というふうに定めていたというふうに思います。

 過去とはいえ、これは明らかなる事実であると、環境省さんが出した通知の中にありました。しかも、これは国際原子力機関、IAEAに基づいたものであるというふうにも書かれておりました。この点、情報にずれがあるというふうにも思っております。

 風評被害、これは国際機関、国際的な理解を得ることが何にも増して大切であるというふうに思っています。無論、今まさに問題である海洋放出もその一つ。本当に丁寧に丁寧に、一つ一つ事実を積み重ねて、関係団体との対話、そして政府の国際的なしっかりとした情報発信、そして適切な技術革新、これらがあって初めて乗り越えていけるべき課題であるというふうに思っています。

 環境省さんに再度伺わせていただきます。

 現在の除去土壌の取扱いに関して、国際的知見、あるいはこれは複数必要だというふうに思っていますけれども、政府による公式な報告、公式な分析、そういったものは、国際的知見を得られたそのものが今あるのかないのか、お答えをお願いいたします。環境省さん、お願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇七年のICRP、国際放射線防護委員会の勧告におきましては、公衆の線量限度について、平常時においては年間一ミリシーベルト、現存被曝状況下においては年間一から二十ミリシーベルトの範囲の下方部分から適切な参考レベルを選択すること、長期目標としては年間一ミリシーベルトを参考レベルとすることとされております。

 また、二〇一一年十一月に閣議決定された放射性物質汚染対処特措法の基本方針におきましては、除去土壌の減容化、運搬、保管などに伴い周辺住民が追加的に受ける線量が年間一ミリシーベルトを超えないようにすることとされております。

 これらを参考にいたしまして、除去土壌の再生利用については、工事を行う作業員の方も含めた追加被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えないよう、再生利用する土壌の放射能濃度の上限を八千ベクレル以下にすることということを原則としておりまして、実証事業においても安全性を確認しているところでございます。

 また、委員御指摘のありました八千ベクレル以下という通知については、廃棄物についての通知でございまして、国際的な評価を得ている八千ベクレル以下の廃棄物の埋立処分の考え方と、先ほどの除去土壌の考え方は同様の考え方だというふうに考えております。

馬場(雄)分科員 委員長、私、もう一度伺いたいというふうに思います。今の質問、私の質問に答えているものではないというふうに思っています。

 改めて、環境省さん、伺います。

 政府の正式な報告、検証、評価というもの、これを国際的な知見を得て既に行っているのかいないのか、中間貯蔵施設の除去土壌について、いるのかいないのか、報告があるのかないのか、お答えをお願いいたします。

室石政府参考人 お答えします。

 除去土壌についてでございますが、国際機関の会議や諸外国との会合の場などでも除去土壌の再生利用の取組等について説明し、議論をいただいておるところでございます。今後も、このような国際会議の場を活用して、積極的に発信していく所存でございます。

馬場(雄)分科員 答えていないというふうに思います。

 その専門家の方々は、実際にその場に行って評価、検証を、海洋放出と同様の評価、調査というものをしているのかいないのか、あるのかないのか、お答えをお願いいたします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 全く同様かと言われますと、その点についてはお答えしにくいところがございますけれども、IAEAの方に環境省から職員を出すなどして積極的に議論に参加しているという事実はございます。

馬場(雄)分科員 答えになっているでしょうか。答えていますか。お答えしにくいというその現状そのものが私は不信感しかありません。風評被害をなめないでください。風評被害というものは、国際的に一つ一つの理解を得ていきながら進めていかなくてはならない問題だというふうに私は思います。

 山口環境大臣、一緒に考えていただきたいんです。私は、今の方向性の延長線上に本当の復興というものは見えません。国際的な理解を得ていける状況にあるというふうに、山口環境大臣、本当にお思いでしょうか。

 今、私はこの場でお約束いただきたいんです。集めた土壌に関して、第三者の国際的機関を得られる検証を行うということがまず何よりも大切であるというふうに私は思っています。評価、検証を行うことが何にも増して最初なのではないですか。国内だけではなく、国際的にも納得の得られる事実を丁寧に丁寧に積み重ねていくことがまず徹底的に目指すべき姿であると私は思います。

 山口環境大臣、国際機関を交えた検証を早急に、可能なら来年度中に行うということ、お約束いただけないでしょうか。

山口国務大臣 馬場委員のそのお気持ちは共有させていただいていると思います。

 甲状腺検査の話でも申し上げましたけれども、専門家による科学的知見、それを最大、我々は重視しているわけですね。このことについて、先ほど説明があったところですけれども、国際原子力機関、IAEAにおいて、今、統合報告書というものが作成中であるというふうに認識しています。これまで、このIAEAと連携して専門家会合を計四回開催、これは、東京電力福島第一原子力発電所事故後の除染等の環境回復活動に関するIAEAそして環境省との専門家会合、第四回会合において、これまでの会合の要旨をまとめた統合報告書の作成が提案されて、現在、IAEAにおいて作成が進んでいるところだと承知しております。

 こういう専門家的な動き、そしてまた知見、これは馬場委員がおっしゃるように一番大事なことだと思います。

馬場(雄)分科員 とても心もとないお言葉だったというふうに思います。しっかりとこれは対応していかなくてはならない課題であるというふうに思います。

 環境省の皆さん、これは世界で初めての例なのではないですか。だとするならば、より丁寧により丁寧に一つ一つの事実を国際的理解を得られる形で進めていかなくてはならないということだというふうに思います。日本をよく思わない国々も多いと思います。その国々の方に対して今回の再生利用がどう映るのか、しっかりとリスクを感じながら、現場の方々との対話を大切にし、政府による国際的な知見に基づいた評価というものを丁寧に丁寧に積み重ねていくことが大切だと思います。

 山口環境大臣、思いを共有するだけではいけないと思います。国際機関を交えた検証の必要性、一歩踏み込んだ、より丁寧な必要性があると思います。この必要性があるかないか、山口環境大臣、どうぞお答えをお願いいたします。

山口国務大臣 強い気持ちであるから少し私の説明が伝わっていないのかもしれません。

 今、IAEAの統合報告書ということを私は申し上げたつもりです。その意味では、しっかりと、第三者機関どころか、環境省も関わった中での専門家会合ということでやっています。

 それからまた、こういう国際的な動きとしては、国際機関の会議や諸外国との会合の場でもこの除去土壌の再生利用の取組等については説明し、また、議論もしてもらっています。今後も、そのような国際会議の場を活用して積極的に発信していくと同時に、国際機関における報告書作成、先ほど申し上げたようなことですけれども、そういう情報の提供等も行っているところです。

 IAEA等の国際機関による知見等については、引き続き大事にしていく、注視してまいりたいと思います。そういう意味では、馬場委員おっしゃるように、国際的な知見を取り入れながらの取組を引き続き、あるいは更に進めていこうと思います。

馬場(雄)分科員 今のお言葉を私も信じていきたいと思いますけれども、決して今、風評被害払拭のための道のりを歩んでいるとは私は到底思えません。もっともっと丁寧に大切に議論していかなければ、今ある責任を十二分に果たしてこそ将来の責任が問われるものと思います。今ないがしろにしたまま、私は、将来に対して責任を取れるという立場ではないというふうに思っています。どうかもう一度、より、国際的な知見に基づいた検証というものの大切さ、そういったものを認識していただいた上でこの議論を進めていただけるよう、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、大規模太陽光発電について伺います。

 様々な議員からの指摘もございますけれども、私の地元にもたくさん多くございます。山を切り開き、ずらっと太陽光パネルを並べる姿に、住民の皆さんからは、やり過ぎである、まぶしい、災害のときにどうするんだという不安の声も相次いでおります。

 再エネももちろん大事、しかし環境も大事です。この両立を図る上で、環境省は、今までとは異なり、より踏み込んだ対応が求められるというふうに思っています。経済産業省との連携をより強化していくべきと考えますが、山口環境大臣の所感をお願いいたします。

山口国務大臣 太陽光発電などの再エネの最大限の導入に向けて、今、地域における合意形成を丁寧に進めること、あるいは環境への適正な配慮を確保するということが肝要だというふうに思っています。

 当然、経済産業省ともよく連携しながらやっているわけですけれども、例えば、大規模な太陽光発電事業について我々は環境アセスメントというものを義務づけているということを一つ踏まえて、環境大臣として、環境保全の見地から経済産業大臣に対して必要な意見を述べているところです。先日も、発電事業としての必要性が確認できない外部からの残土搬入による大規模な盛土計画について、地域の安全性への懸念や強い不信感があり、計画の抜本的な見直しを強く求める環境大臣意見を述べさせていただいたところです。今後、経済産業大臣において、環境大臣意見を踏まえ、適切な勧告がなされるものと考えています。

 また、今年の四月から、改正された地球温暖化対策推進法により、地域における円滑な合意形成を図りつつ、適正に環境配慮がなされた再エネを促進する仕組みが導入されます。気候変動対策に責任を有する環境省として、本法の施行を通じて適正な再エネがより一層導入されるよう、経済産業省を始め関係各省と密接に連携し、施行準備を行っているところです。

 特に、また、現在、炭素中立型の経済社会への変革の全体像について、先般一月に発足したクリーンエネルギー戦略策定に向けての会議で議論を進めているところです。ここでは、経済社会の大変革のグランドデザインをお示ししていく中で、関係省庁の知恵を総動員できるように、しっかり連携していく所存です。

馬場(雄)分科員 ありがとうございます。

 続いて、荒れ地の自然再生も伺いたいと思います。

 少子高齢、過疎化が進む中で、よりこの問題は多くなってまいりました。元耕作放棄地、空き家の問題は、鳥獣被害とも絡んでより深刻になってきていますし、今後更に加速する悩みであるというふうに思います。

 現状、耕作放棄地などの森林化に対する取組は農水省も行っていますけれども、環境省としても荒れ地の自然再生についてより踏み込んで対応していく必要性があると思いますが、大臣の所見をお願いいたします。

山口国務大臣 御指摘のとおり、里地里山といった中山間地域において、自然に対する働きかけの縮小などによって、荒れ地や耕作放棄地の増加、あるいは生物多様性の劣化が進んでいると思います。現行の生物多様性国家戦略でも、この問題を危機の一つとして捉えています。

 里地里山は、農業などの様々な人間の働きかけを通じて自然環境が形成され、多様な動植物の生息、生育地となっていることから、環境省では里地里山の保全に取り組んでいます。また、例えば、耕作放棄地の湿地化、あるいは放牧跡地の森林化といった地域の自然再生の取組についても、これも農林水産省と連携して促進しているところです。

 環境省としては、この問題を真摯に捉え、農林水産省と引き続き連携しながら、荒れ地や耕作放棄地を含めた里地里山における健全な生態系の回復を進めてまいりたいと思います。

馬場(雄)分科員 山口環境大臣、本当にありがとうございます。

 私は、今、環境省が大きく変わるときだというふうに思っています。一九七一年、環境庁が設置されてから、今年で五十一年を迎えます。時代とともに役割は大きく変わってきているはずです。エネルギーは経済産業省、農地は農水省、建物は国交省というような、縦割りのような世界から変えていかなくてはならないと思います。気候変動が激しい今、環境に豊かな社会を築き上げるという面に立って、環境省の役割は極めて大きいというふうに思っています。

 環境省、今回は取り上げませんけれども、カーボンニュートラルを達成していくために予算を環境省さんとしても計上していると思います。しかし、私自身本当に思うのは、自分の領域をつくって予算化することよりも、各省庁で本当に適切な議論が行われているのか、環境省が各省庁の中に入って議論をリードし、様々な制度や様々な政策を実行していくことこそ最も大切であるというふうに思っています。

 だとするならば、環境省の主たるKPIあるいは評価というものは、各省庁にどれだけカーボンニュートラルの達成に向けた予算をつけることができたか、あるいは、その政策、法律をどれだけ達成することができたかというふうに変化させていく必要性があるのではないでしょうか。

 こうした、行政改革というものになると思いますが、私は必要であるというふうに思います。これは、私も環境委員会の一人でもございますので、今後の環境委員会で議論させていただければ幸いに思っております。

 皆様とともに時代に合った形を考え、実践してまいる決意をお伝えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

鷲尾主査 これにて馬場雄基君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。

 よろしくお願い申し上げます。

 山口環境大臣、務台副大臣、また政府参考人の皆様、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、地域社会での脱炭素の問題についてお伺いをしてまいります。

 脱炭素社会の実現に向けまして、今、世界中で取組が進んでいるところでありますが、私の地元の長野県では、二〇一九年に都道府県で初めて気候非常事態宣言を行い、昨年には、二〇三〇年度までの実行計画、長野県ゼロカーボン戦略を策定いたしました。交通では充電インフラの充実、また、建物では新築建築物のZEHなどの実現、産業ではエネルギー消費量を年二%削減、またイノベーションの創出などに取り組んでいるところであります。

 私も、昨年の九月まで長野県議会議員を仰せつかっておりましたが、この時分に、ゼロカーボン社会の実現に取り組む地方自治体を支援する総合交付金の創設をということで、長野県を通じて国にお願いするよう強く要望してきた背景がございます。

 今回、このような地方での取組に対しまして、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金などが創設されたところでありますが、まず、この具体的な取組について御説明をお願いしたいと思います。

山口国務大臣 中川議員御指摘の点、本当に大事なところなんですよね。脱炭素を制する者は次の時代を制する、そんなふうに思っています。その意味で、環境省のみならず、全部で総動員してやっていかないと、この問題は対処できません。

 また、いわゆる家計関連のエネルギー消費が全体の六割を占めるということもありますから、国、県等の地方自治体、そしてまた国民のお一人お一人のライフスタイルの問題、それも全部含めてやっていかないといけないし、また、これは日本だけでもできない問題ですから、世界の国々と心合わせしていかなきゃいけない。一番多くCO2を出しているのが中国だったり、あるいはアメリカだったり、大きい存在がありますので、そういう意味で、日本もそういうところと心合わせしながら、日本の国内でどういうふうにこのカーボンニュートラルを実現していくか、そういう位置関係だと思います。

 その中で、令和四年度の予算のお願いとして、今御指摘いただいた地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、二百億円をお願いさせていただいているところです。また、財政投融資の関係でもっても同じ二百億円をお願いさせていただいて、新会社を設立して、民間のこういう分野での事業を刺激していく、あるいは、そのことによって、全体のESGマネー、三千八百億円とも言われる大きな額を引き寄せていきたい、そんなふうに思っています。

 そういう意味で、脱炭素事業に意欲的に取り組まれる地方公共団体を複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援していく仕組みとして、先ほどおっしゃっていただいた地域脱炭素移行・再エネ推進交付金があります。

 具体的には、この交付金によって、二〇二五年度までに少なくとも百か所以上、脱炭素先行地域を創設したいというふうに思っています。

 あわせて、全国において、特に重点的に導入促進を図る対策である屋根置きの太陽光あるいはゼロカーボンドライブなど、脱炭素の基盤となる重点対策加速化事業を支援していく所存です。

 こうした脱炭素先行地域の創出を始めとした地域の脱炭素化支援の中で、地方自治体が地元金融機関や企業と連携しながら地域における合意形成を進められて、脱炭素と地方創生を同時実現する脱炭素事業が図られるよう、しっかりと支援してまいりたいと思います。

 こういう仕組みのことをよく知っていただきたいと思いまして、私、あるいは務台副大臣、あるいは大岡副大臣、あるいは中川政務官、そしてまた穂坂政務官と一緒に、地域の様々な関係者の方々と意見交換を行う全国行脚をやっております。その中で、国民、自治体、企業など各ステークホルダーの理解をいただきながら、丁寧に施策を進めて、脱炭素ドミノを起こしていきたいというふうに思っております。

中川(宏)分科員 大臣、大変ありがとうございます。

 地方自治体の声を形にしていただいているということで、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、各地方にはそれぞれの課題がまた違っている中にありまして、どうかこの交付金につきましては、また機動的に使えるような形で、地域が積極的に取り組めるように、またお取組を是非ともお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、先ほどもお話ありましたが、太陽光パネルの適正な廃棄に向けての体制整備、この点についてお伺いをしたいと思います。

 地球温暖化対策の推進によりまして、この日本でも太陽光発電が活発化しておりまして、日本中で太陽光発電が行われている状況であります。この太陽光発電で使われている太陽光パネルの処分についてでありますが、エネルギー供給強靱化法が成立し、この四月から適用となります。この中で、事業用太陽光事業者に対しまして、廃棄費用、つまり、解体、撤去、廃棄物処理のための資金を、原則、外部積立てすることが定められたところであります。

 そこで、現状と課題を教えていただきたいと思います。また、外部積立てにつきましては、原則とありますけれども、この点について、どういうことかという点についてお伺いをしたいと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、発電事業終了後の太陽光発電設備の廃棄処理、これは事業者自身の責任で行っていただくというのは、これは原則でございます。

 一方で、今御指摘ございましたとおり、太陽光発電については参入障壁が低くて、事業主体も変更されやすいために、将来、放置されたり、不法投棄されたりということが、懸念があるというのが認識でございます。

 こうした懸念に対処するために、今委員からも言及がございました、再エネ特措法を改正しまして、認定を受けた事業用の太陽光発電設備を対象にして、今年の七月から、原則として、源泉徴収的な外部積立てということですので、事業者に行く前に、事前に源泉徴収をして積み立てるという方式になっています。

 今、原則と申しまして、その例外というのはどういうことかということなんですが、これは上場企業で、外部の監査を受けた財務諸表によりまして廃棄費用の積立てが確認される場合、こうした形で確実に資金が確保されて、長期的に発電事業を担うことが可能な場合に限って、これは内部積立てを行うことができるという形になっております。

 こうした積立てを二〇二二年の七月から開始をいたしますので、現在、積立て開始に向けた周知を進めておりますし、今後、こうした制度を、適切な運用を進めてまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 そこで、太陽光パネルですけれども、レクをお伺いしたときには、再生利用を結構している、こんなお話もお聞きをいたしました。

 今の全体の太陽光発電事業の現状からして、どのぐらいの廃棄パネルが出てくるのか、また、この処理の課題点についてお教えいただきたいと思います。

務台副大臣 中川委員の質問にお答えします。

 太陽光発電の排出の見通しにつきましては、設備の導入実績及び将来予測を基に、一定の期間、二十年か二十五年でパネルが寿命を迎えると仮定した場合に、二〇三〇年代後半には、年間約五十万トンから八十万トンが排出されると見込んでおります。

 現時点の排出実態を見ますと、二〇一八年時点では、一部のリユース、リサイクル事業者に聞くと、回収されたパネルのうち七割がリユース、三割がリサイクルに回っているというヒアリング結果もございます。

 処理の課題ですが、使用済太陽光パネルの多くがリユース可能なものであること、そして、銀などの有用金属を含むことから、今後も可能な限りリユース、リサイクルを進め、廃棄物の発生を抑制することがとても大事であるというふうに認識しております。

 一方で、パネルには鉛などの有害物質が含まれる可能性もあり、リサイクルや最終処分するものについては、それを考慮に入れた適切な処理が必要であると認識しております。

 環境省では、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン、あるいは太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドラインを策定しております。また、例えば、ガラスやシリコンセルを破砕せずに分離回収できるホットナイフ設備、あるいはガラス剥離装置等の高効率なリサイクル設備の導入に関する補助というものも実施しております。

 こうしたガイドラインの徹底や補助事業等を通じて、リユース、リサイクルを前提に、使用済太陽光パネルの適正処理の推進を図ってまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 務台副大臣、ありがとうございました。

 今お聞きしますと、リユース、リサイクルをされていることが大変多いということでございました。太陽光発電についてはいろいろな課題がありますけれども、リユース、リサイクルしているんだよというこの視点、非常に大事であると思っております。この点について更にアピールをしていけば、また様々な多くの理解が得られるのではないかと思いますので、この点についても是非推し進めていただきたいと要望させていただきます。

 続きまして、農林水産分野についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、農山漁村発のイノベーション対策についてでありますが、農山漁村においては、農林水産物、自然環境、また景観、伝統文化等の様々な資源がありまして、地方では、これらを活用した六次産業化、農泊や農福連携、またジビエの活用など、主に一次産業を起点とした取組を推進してきました。

 近年には、これらに加えまして、健康医療、スポーツ、芸術など、一次産業以外の他産業を起点とした新たなビジネス展開も含めて推進すべく、これを農山漁村発イノベーションと言われておりますけれども、この推進に取り組んでいくこととしております。

 これらにつきましては、農水省としても積極的に御支援をいただいているところでありますけれども、まず、これらの対策に移行される予定の六次産業化サポート事業でありますが、現行の六次産業化サポート事業の支援対象となった農業者等に対しては、推進員や地域プランナーが連携をして戦略策定を支援しております。

 経営改善を着実に進めていくためには、PDCAサイクルの中で浮かび上がってくる様々な課題に対して的確に対応する必要がありまして、現行の制度ですと、原則初年度のみの支援でありまして、これは、戦略策定当初だけではなくて、実行段階における課題解決の対応も含めまして、複数年にわたりまして推進員や専門家による支援ができるように制度を改善する必要があるかと思います。

 この点について見解をお伺いするとともに、これまで、六次産業化等に関する戦略は、県、市町村において作成をしまして、取組方針や目標などを設定して取り組んできた経緯がありますけれども、新たな制度の移行に当たりましては、制度改正の背景や経緯、また制度内容につきまして、市町村を含め、十分な説明、また詳細な制度内容の提供がなされていない状況にあるかと考えます。

 情報提供の現状について、以上二点でありますが、お伺いをしたいと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の六次産業化サポート事業につきましては、六次化に取り組む農業者等に対しまして、経営改善の、経営戦略の策定ですとか、あるいは付加価値向上に向けた取組を伴走支援しているところでございます。

 今般、先生から御紹介いただきましたとおり、農山漁村発イノベーションという形で、六次産業化を発展的に推進していこうということでございます。その際、先生が御指摘のとおり、まさに実際に課題に取り組む事業者の方々にしっかり伴走支援をしていく、これが極めて重要な課題であると認識しております。

 このため、新たな農山漁村発イノベーションサポート事業につきましても、複数年にわたる推進員あるいは専門家の支援を可能とするということで考えているところでございます。

 また、先生御指摘のとおり、農山漁村発イノベーションの推進に当たりましては、市町村を始め現場の皆様方の御理解、これを賜ることが非常に重要だと思っております。

 現在、農村振興局で、一月以降、都道府県単位で市町村への説明会を開催しておりますが、その際にも、農山漁村発イノベーションの趣旨、内容につきまして説明をしているところでございます。

 ただ、先生からの御指摘も踏まえまして、今後とも、機会を捉えまして、市町村への説明、あるいは、今こういう時代ですので、動画も活用しながら積極的にサポートしてまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 どうも、前向きな答弁、ありがとうございます。

 人口減少が進む農山漁村におきまして、所得と雇用機会を確保するために、この農山漁村を舞台に、活用可能な地域資源を発掘していき、磨き上げた上で、他分野と組み合わせることによりまして新たな価値を創出する、それが皆が望んでいるところでございまして、主体者は地方でございますので、是非、先ほどの答弁もありましたとおり、大変ありがたく思っておりますけれども、引き続き、現場のニーズにきめ細やかに対応できる制度となるよう、お願いを申し上げたいと思います。

 次に、野生鳥獣の被害についてお伺いをしたいと思います。

 野生鳥獣による令和二年度の農作物被害につきましては、被害金額が約百六十一億円で、前年度に比べまして約三億円増加をしております。また、被害量におきましても、約四十五万九千トンで、前年に比べ約二千トン増加をしている状況であります。

 主な鳥獣種別の被害金額については、鹿が約五十六億円、イノシシが約四十六億円、熊が約五億円で、特に有効な対策のないカラス等の鳥害も顕在化している状況でありまして、被害は依然として高水準にある状況であります。

 被害防止対策は、鳥獣被害防止総合交付金を活用して各地方では実施しているところでありますが、この交付金において、一例では、私の出身地の長野県におきましては、交付金の充足率は約八割となっております。鳥獣被害防止計画に基づく取組を確実に実行していくためには、鳥獣被害防止総合対策交付金の更なる予算の確保とともに、防護柵等の長寿命化に係る経費についても交付の対象とするよう検討していただきたいと思いますが、この点につきまして見解をお願いいたします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣被害対策の予算につきましては、令和四年度予算におきまして、鳥獣被害防止総合対策交付金、これを百億円、三年度補正予算と合わせましても合計百六十二億円、これは、対前年度にしますと一〇一%に当たりますが、こうした予算を計上しており、必要な予算を措置しているところと考えております。

 また、先生から御指摘ありました防護柵等の長寿命化に関しましては、強度の高い防護柵の導入が可能となりますよう、本年度から上限単価を見直して対応しておるところでございます。

 いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、農産物被害のみならず農山漁村の生活に影響を与える鳥獣被害の防止の観点から、引き続き地域の取組を支援してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 この鳥獣対策について、今の一つの課題におきましては、高齢化によりまして捕獲対策に携わる人材が不足しているため、AIやIoTの活用による効果的かつ効率的な対策技術の開発と普及が必要となってきております。

 私の出生地であります長野県塩尻市でありますけれども、ICTを活用した鳥獣被害対策システムの導入によりまして、被害低減に効果を上げている事例もございます。

 このように、鳥獣害に対する有効な防除策、またAI、ICTを活用した新たな対策技術の開発を促すとともに、開発された技術の導入、普及を進めるための支援を更に検討をしていただきたいと思いますが、この点についてお伺いをいたします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、農山漁村の人口減少、高齢化が進む中で、鳥獣被害対策を強化するためには、情報通信技術を活用した捕獲技術の高度化のための技術開発、そしてその成果の普及というのが極めて重要であると認識しております。

 先国会におきまして、議員立法で鳥獣特措法という法律を改正していただきましたが、その中でも、普及というのを特に重点的にやるようにと御指摘をいただいているところでございます。

 このため、農水省といたしましては、AI、IoTにより、わなの監視、捕獲の遠隔化が可能となるようなシステムの開発、あるいは、令和四年度からは、先ほど申し上げました鳥獣被害防止総合対策交付金におきまして、ICTを総動員したモデル地区の整備、こういった取組を推進することにしております。

中川(宏)分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 近年は、自然災害の影響によりまして、災害も激甚化、頻発化しております。そういった観点から、農村地域における防災・減災、強靱化、これも重要な視点であると思っております。

 課題といたしましては、国が進める流域治水におきまして、農業用ため池や水田を活用した雨水貯留を進めるためには、協力する農業者に対しまして、必要な整備費やかかり増し経費の負担を求めないことが原則でありますが、地方自治体の財政負担の経費も必要となります。また、農業集落排水施設の多くが供用開始から二十年以上経過しておりまして、計画的な機能強化が必要となっているところであります。

 そこで、防災重点農業用ため池などの豪雨対策につきまして、耐震対策と同時に、農業者の同意を求めることなく迅速に進められるように土地改良制度を見直すとともに、流域治水における農業用ため池や水田を活用した雨水貯留の取組について、農業者の負担が生じない補助制度を是非とも考えていただきたいと思いますが、この点についてもお伺いをしたいと思います。

川合(規)政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、頻発化また激甚化している豪雨災害に対応する取組を推進していくことは、一層重要となっていると考えております。

 このため、ため池などの農業用用排水施設の豪雨対策に係る整備につきまして、農業者による申請また同意の手続を必要とせず、迅速に事業を行える仕組みを盛り込みました土地改良法の一部を改正する法律案を今国会に提出したところでございます。

 また、農業用ため池を活用した流域治水の取組に関しましては、まず、令和四年度予算において、洪水調節機能の強化に必要な整備を新たな農村地域防災減災事業の支援メニューとして追加をいたしまして、農業者の負担なく実施できるよう措置しております。

 さらに、いわゆる田んぼダムの取組につきまして、令和三年度から、多面的機能支払交付金に加算措置を追加いたしました。加えて、令和四年度予算におきましては、新たに農業競争力強化農地整備事業等で畦畔補強等に係る経費の定額補助について措置しているほか、この田んぼダムの取組に必要な排水施設の整備に関し、農業者の負担なく実施できるよう措置しております。

 これらの防災・減災の取組をしっかりと推進し、農村地域における安全、安心な生活環境を確保してまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 地域の実情を捉えた前向きなお取組に、感謝を申し上げたいと思います。

 次に、現在、農林水産物の輸出、これも国を挙げて進めているところでありまして、二〇三〇年輸出五兆円の目標に向けまして、国の輸出に係る支援も多岐にわたり、支援メニューが充実してまいりました。

 しかしながら、地元を回っていますと、輸出に見合うロットがなかなか栽培できないですとか、必要な設備投資やノウハウが全くないなど、一個人や高齢農業者におかれましてはハードルが高いのが実情であります。

 そこで、周りとの連携、また広域の取組として、国としてどのような支援を整えて輸出促進への対応を取られていますのか、お答えをいただきたいと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 輸出に関心がある産地や事業者につきましては、既に輸出商流は確立していて、更なる拡大が見込める事業者がある一方で、先生御指摘のように、輸出に関心はあるけれども何をすればいいのか分からない、こういう農林水産事業者もたくさんいらっしゃいます。輸出に取り組む事業者の状況に応じた、きめ細やかな支援が必要だと考えております。

 このため、農林水産省では、輸出に取り組む輸出産地をリスト化しつつ、農林水産物・食品輸出プロジェクト、通称GFPと申し上げていますが、GFPによる、一から輸出を始める農林漁業者や事業者を個別に訪問して課題を整理する訪問診断の実施、あと、各地方農政局等に配置した輸出産地サポーターによる輸出産地の取組への伴走支援、あと、GFPのグローバル産地づくり推進事業による産地支援や商社とのマッチングなどを行い、産地の育成を図っております。

 また、本通常国会におきまして、オール・ジャパンでの輸出拡大に取り組む品目団体、この組織化をすることなどを盛り込んだ輸出促進法の改正を目指しているところでございます。品目団体におきましても、業界として輸出に取り組む事業者を支援することを期待しております。

 輸出額目標である五兆円目標の達成のためには、新しく輸出にチャレンジする事業者を増やしていくことが非常に重要だと考えておりますので、官民の役割分担を踏まえつつ、産地レベルや国レベルでの支援体制を充実していきたいと考えております。

中川(宏)分科員 ありがとうございます。

 この輸出に向けては、かなりの農家の皆さんもかなり期待をしているところであります。新たな産地を見つけて、そこにしっかりと出していくということについて、皆さん考えていると思うんですけれども、なかなかハードルが高い状況がありまして、是非ともこの点について、またよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後の質問になるかと思うんですが、木材、原油価格の高騰についてお伺いをしたいと思います。

 御存じのとおり、木材と原油価格が高騰しておりまして、今、各業界に深刻な影響を与えております。ここでは農林水産分野での影響についてお伺いをしたいと思いますが、まず、木材産業の川上から川下まで、現状、どのような影響があるのか、また、その影響についての支援策等について、現状の取組をお伺いしたいと思います。また、原油価格の高騰で、農林水産物業界の影響と支援策につきましても併せてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

森(重)政府参考人 お答えいたします。

 我が国の建築用木材需要の約半分は輸入木材により賄われてございまして、新型コロナなどを背景に、北米や欧州といった海外の木材需要の高まりや輸送に用いますコンテナの不足等によりまして、昨年上半期以降、我が国の木材輸入量が減少いたしておりまして、輸入木材や国産材製品価格が高騰している状況でございます。

 詳しく見ますと、輸入木材につきましては、二〇二一年の輸入量は例年より少ない水準となってございまして、海運コストが高い水準であることに加えまして、昨年第三・四半期以降に高値で契約したものが現在流通し始めている状況でございます。

 また、国産材につきましては、二〇二一年の製材合板工場への原木供給量は前年より増加をいたしておりまして、製材工場等が稼働率を上げて対応しているところでございますが、原木、製品共に、その価格は高値で推移をしてございます。

 こうした状況に対応するためには、我が国の豊富な森林資源を生かしまして、国産材の供給力を強化するということが重要と考えてございます。

 農林水産省におきましては、緊急的な対応として、正確な需給情報を共有していただくため、川上から川下までの関係団体による需給情報連絡協議会を、昨年来、中央、地方で継続して開催をいたしてきております。

 また、戦略的な対応といたしまして、川中における木材の乾燥施設の整備によりまして、国産材供給力の強化、また川上におけます原木の安定供給のための路網整備、こういった対策を令和三年度補正予算また令和四年度当初予算案に計上してございまして、これらを通じまして、国産材の安定供給体制の構築に取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 時間が参りましたので、終わりにします。ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、除草剤2・4・5Tの埋設問題について質問します。

 除草剤2・4・5Tは、ベトナム戦争で米軍が使用した枯れ葉剤に含まれていた猛毒です。日本の全国の山林等に埋められている問題を、私は二〇一八年十二月五日の農林水産委員会で取り上げました。撤去とそして無害化処理を求めたところでありますけれども、林野庁は、その当時、地中で安定した状態のまま保全管理することが適切であるとしました。しかし、今年度、林野庁は、掘削処理の手法について調査委託事業を行っています。その目的と理由について説明をしていただけますか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 2・4・5Tの除草剤について御質問をいただいております。

 先生御指摘のとおり、昭和四十年代中頃、国有林野事業で使用しておりました2・4・5T系除草剤につきましては、その薬剤に含まれるダイオキシン類による人体への催奇性発現の可能性が提起されたことから、昭和四十六年四月に使用を中止しております。未使用剤につきましては、国有林で埋設処理を全国五十四か所、実施をしてございます。

 埋設処理と申し上げましたけれども、薬剤をセメントと土に混ぜてコンクリート状にし、国有林内の地下一メートル以下に埋設をしております。それも、崩壊のおそれのある箇所などを避けた場所に埋設をしておるということでございます。

 埋設物の除去を行うためには、ダイオキシン類の飛散等が起きないよう慎重に作業する必要があるというふうに考えておりまして、安全に試料を採取をして現在の成分や濃度を分析する手法につきまして、また、安全に掘削して処理をする手法につきまして、コスト面も含めた技術的な調査検討を行っているものでございます。

田村(貴)分科員 長官、確認しますけれども、全国、今、四十六か所の全ての2・4・5T埋設を対象にして、掘削、無害化処理を図ることを目的に調査委託事業を行っている、そういうことでよろしいんでしょうか。この調査の目的というのは、結論は、掘削とそして無害化処理に至るという方向性なんでしょうか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の全国四十六か所でございます。先ほど申し上げましたとおり、昭和四十六年頃に埋設をして五十年になる現在に至るまで異常が確認されておらず、土中で安定した状態にあるというふうに現在も考えておるところでございます。

 しかしながら、近年、災害のリスクの高まりから撤去を求める自治体などもありますことから、この撤去に伴いダイオキシン類の飛散等が起きませんよう、調査検討を始めたところでございまして、住民の方々の不安の軽減に向けて、埋設除草剤の撤去を念頭に置いて取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 撤去を念頭に調査を行っていく、確認しました。

 そこで、環境省にお尋ねします。

 ダイオキシンの毒性について、そして無害化処理はどうやってやるのか、簡単に説明していただけますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 ダイオキシン類の毒性につきましては、発がんを促進する作用、また、生殖機能、甲状腺機能及び免疫機能への影響があるということが動物実験で報告されておるところでございます。

 2・4・5Tにはダイオキシン類が含有されているものと承知しておりますけれども、ダイオキシン類を含む廃棄物の処理方法としては、溶融方式や高温による焼却方式などによる分解処理がございます。

田村(貴)分科員 分解処理があるということですね。

 そして、ベトナム戦争では、猛毒ダイオキシンによって二重胎児、奇形、無脳症などの出産異常など、こういう問題が起きました。米軍も被害を受けました。

 前回の質問では、佐賀県吉野ケ里町の埋設を取り上げました。福岡の水道水源に近くて、福岡市、今の那珂川市、福岡地区と春日那珂川水道企業団が無害化処理を要望していることを紹介しました。那珂川市は旧町の時代から三十年にわたり、また、福岡県は二十四年にわたって要望し続けているところです。

 今週は、私、熊本県の宇土市の国有林にある埋設地を視察しました。近くには、生活用水として使われている轟水源、水脈を同じくする上水道の水源もあることを確認いたしました。

 資料二を御覧いただきたいと思います。宇土市と宇土市議会が2・4・5Tの完全撤去を強く求めています。そして、資料一を御覧いただきたいと思います。これは、林野庁提出の資料について、私の方の事務所で処理をしたところなんですけれども、黒いところのマスクは、これは既に撤去されているところですから書いていません。それから、黄色のマーカーのところは、これは、林野庁の一九七一年の処理指示に違反する埋設方式で埋められている、その箇所があります。これが二十か所です。全国で、埋設は十七道県、四十二市町村、四十六か所になります。

 ここからの自治体は、やはり、早く危険なものの処理を求めているところなんですけれども、こうした自治体の要望を長官はいかに受け止めておられますか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような市町村からの声があるということは、私どもも承っているところでございます。

 繰り返しになりますけれども、私ども、埋設しておるわけでございますが、その埋設は土中で安定した状態にあるという状態であると考えておりまして、現状においては、埋設箇所に立入りをしてはいけないと立入禁止措置を取っておりましたり、土壌攪乱の禁止措置をしておりましたり、年に二回定期点検を行うなど、現在、保全管理措置をしっかり取っているところでございます。

 しかしながら、住民の方々の不安の軽減に向けまして、埋設除草剤の撤去を念頭に、調査事業に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

田村(貴)分科員 先ほど、長官は災害のことを理由に挙げられました。ここを見てみますと、九州、大半ですよ。そして、私は、九州にいて毎年のような豪雨水害を体験しています。恐ろしい、半端でない雨の降り方をするんですね。そこで崖崩れが起きる、そして成分が流出する。その危険性があるから、自治体は警鐘を発し、そして、国に対して撤去を求めている。ここはやはり重く受け止めていただきたいと思います。

 それから、今入っているところは安全だというふうなお話があったんですけれども、一九七一年の埋設における通達は、三百キロを上限にして、土を混ぜてコンクリートに練り込むとされていました。しかし、先ほど言いましたように、二十か所で通知違反の埋設となっています。コンクリート固化をしたとしても、コンクリートの耐用年数は五十年です。もう異変があってもおかしくない年数を経ています。

 埋設地の中には、掘った穴に粒剤のまま流し込み、土をかぶせてコンクリートで蓋をしただけというところもあるんじゃないですか。そういうふうに聞いていますよ。そういうことがあるんだったら、安定化している、安全だと言わないで、やはり不断の調査とそれから検証が必要だと思います。深刻な状況にあるところはないですか。流出してしまった可能性はないと言えますか。いかがですか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の埋設物が流出する可能性でございますが、この私どもが行っております埋設は、国有林の地下一メートル以下、崩壊のおそれがある場所を避けて行っておるところでございまして、定期点検、それから豪雨などの後の臨時点検の結果、これまで異常が確認された箇所はございません。

 また、地元の自治体等から要請があった場合には、水質や土壌の環境調査を実施してきておりますけれども、これまで2・4・5Tや環境基準を上回るダイオキシン類が検出されたことはございません。

 このため、先ほど申し上げたとおり、現状においては土中で安定した状況にあるというふうに考えているところでございます。

田村(貴)分科員 試掘をしてみなければ分からないということもあります。

 したがって、掘削、そして除去、そして、無害化処理に至る過程で、やはりそうしたプロセスも含めて明らかにしていただければと思います。

 もう一つ、長官に要望があります。

 国の今の基本的な考え方、調査委託事業がよく分からないといった声も自治体から聞きました。道県を含めて、自治体に丁寧に説明をすることを求めたいと思います。技術的知見の確立とか、また、着手に至るスケジュールとか方法について、これは分かりやすく、自治体、そして周辺住民に知らせることが大事だと思いますが、それはいかがでしょうか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の丁寧な説明ということでございます。

 先ほど申し上げた、定期的に実施しております点検の結果、これはもちろんでございますけれども、今年度実施しております調査事業の結果、さらには、この調査結果を踏まえた今後の取組につきましては、埋設地の自治体に丁寧に説明を行い、埋設地の自治体等ともよく連携をして、住民の方々の不安の軽減に努めてまいりたい、かように考えております。

田村(貴)分科員 埋設地の自治体、そして、水道水源と関係する周辺の自治体も含めて、説明を丁寧にしていただければというふうに思います。

 山口大臣、お尋ねします。

 この2・4・5Tの問題はベトナム戦争まで遡ります。枯れ葉剤として米軍がベトナムで投下し、猛毒ダイオキシンによる取り返しのつかない人体への被害、環境汚染を引き起こしました。枯れ葉剤は日本の企業が製造したものも使われて、ベトナムは凄惨を極めました。米兵も被害を受けました。

 製造、使用が禁止になって、全国の山中に埋設する形となりました。全ては、これは国策によるものです。住民や自治体の不安をなくす、無害化処理に当たって、大臣、省庁横断で当たっていただきたいと思いますけれども、まずは、農水省との連携も含めて、環境省としての取組について、決意のほどをお聞かせいただければと思います。

山口国務大臣 先ほどからのずっと議論をお聞きしたわけですけれども、埋設された2・4・5Tの除草剤、これが、地元住民やあるいは自治体の不安を払拭していく、そういうことが重要だというふうに認識しています。

 林野庁が今おっしゃったように、2・4・5T除草剤の具体的な対策を検討されるに当たって、環境省としては、処理技術に係る知見の提供あるいは専門家の紹介などの必要な協力を行ってまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 林野庁長官、間もなく、また豪雨のシーズンが到来します。そして、地震とか火山噴火とか、いろんなやはり災害が想定されます。そのときに、今の地中のこの猛毒は大丈夫なんだろうか、やはり絶えず注意を払う必要があります。必要な調査は広げていただきたい。そして、沿川住民が一日も早くこの不安から、自治体が、なくなるように事業を進めていただければと思っております。

 次に、水俣病対策について質問します。

 水俣病の公式確認から今年で六十六年目です。しかし、いまだに水俣病は解決していません。裁判を続けている被害者は全国で千六百人を超えます。熊本、鹿児島、新潟で患者認定を待っている人は、昨年十二月末現在で千五百八十六人にも上っています。

 しかし、山口大臣にお聞きいただきたいと思うんですけれども、私、ずっと環境委員会に所属していました、その環境委員会の大臣所信で、水俣病対策に言葉がなくなってきたんですよ。二〇一九年の通常国会で、水俣病を始めとする公害健康被害対策に引き続き真摯に取り組んでまいります、たったこれだけだったんです。

 山口大臣、水俣病の被害者救済に対する御認識と、そして解決に向けての決意をお伺いします。

山口国務大臣 環境省が、一番最初、環境庁として設立されたとき、それはまさに水俣病、その解決に向かってということで設立されたということをよく認識しています。

 我々は、その水俣病の解決というものが我が国の環境問題の原点である、この水俣病によって環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、そういう意味で、我が国の環境問題の原点であるというふうに認識しています。

 先般、スウェーデンの環境大臣とウェブ会議をやったり、あるいはGEFという地球環境ファシリティーのトップと議論したりするときに、この水俣ということを私も何度も言及させていただいて、向こうも一九七二年のストックホルム会議から五十年だと。こっちもほぼ同時期に環境庁ができてから今に至るんだけれども、同じような歴史の中で歩んできたんだということも触れ、また、GEFというところのロドリゲスさんとは、水俣コンベンション、そういうことに優先順位を置いて活動してくださいということを申し上げている次第です。

 環境省としては、その地域の方々が安心して暮らせる社会を実現するために、公害健康被害補償法の丁寧な運用、あるいは地域の医療、福祉の充実や、地域の再生、融和、振興に取り組んでまいりたいというふうに思います。

田村(貴)分科員 その公害健康補償のことなんですけれども、水俣特措法による救済が終了した後の水俣病申請件数と処理件数を環境省から聞かせていただきました。

 例えば熊本県でありますけれども、十年の間に千八百六十九人が申請しています。うち認定されたのは僅か八人、〇・四二%です。鹿児島県は千九百七人が申請し、認定は僅かの二人、〇・一%です。そして、不服審査請求を行ったとしても、取消し、いわゆる認定に至るのは、熊本県で五百六十二人中七人、一・二四%。鹿児島県では百四十二人不服審査請求をして、認定は三人、二・一一%という状況であります。

 水俣病の患者としての症状がありながら、認定されない事態がずっと続いています。大臣、公健法では救済できていないではありませんか。水俣病は環境省の原点と言っておられるのであれば、この公健法での救済、改めるべきところがあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病の認定審査につきましては、関係自治体の認定審査会において、申請者お一人お一人について、当時の魚介類の食事の状況や、症状、そしてそれらの因果関係についての総合的な検討を丁寧に行っているものと承知しておりまして、近年の認定状況はその結果であると考えております。

 環境省としては、引き続き、関係自治体と連携しながら、公害健康被害補償法の丁寧な運用を積み重ねてまいりたいと存じます。

田村(貴)分科員 症状を訴える方がこれだけおられて、そして公健法での救済を申請して、適用がない、この事実をどう見ているんですかと言っているんですよ。

 なぜ患者が公健法の申請で大量に棄却されて、ほとんど救済されないのか。それは、国が示した、一九七七年、昭和五十二年の基準、患者認定の基準は複数の症状の組合せを基本要件とする、これが診断基準となっている。二〇一三年の最高裁判決によって示された、感覚障害だけで水俣病と認める病気の基準が採用されていないからであります。診断基準が行政と司法、二つ存在していることになります。

 そこでお伺いしますけれども、この七七年の環境省が示した基準というのは、どのような医学的な調査、根拠に基づくものなんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 昭和五十二年の判断条件につきましては、熊本県、鹿児島県、新潟県、新潟市の各審査会で水俣病の患者を診察してきた専門家十七名で構成される検討会において、各委員それぞれが知見を持ち寄り、通常認定すべきであるという症候の組合せを網羅した検討成果を取りまとめたものでございます。

田村(貴)分科員 結局それだけですよね。

 そもそも根拠となるデータが存在していないわけであります。十七人の専門家が持ち寄って、そこに出されたもの、それも定かではありません。

 日本精神神経学会は、一九九八年に、国の七七年判断条件は医学的根拠を裏づける具体的なデータがない、誤りだと見解を発表しています。二〇一三年にも撤回の要請をしています。これに対して、判断条件の作成に関わった医師たちからは、医学的根拠に基づく反論は示されていないじゃないですか。そのために、七七年の判断条件は、実際の被害の実態とかけ離れた基準となっているわけであります。

 患者の苦しみに向き合わず、実際に患者を救済できていない、医学的な根拠がない、この基準はもうやめるべきではありませんか。いかがですか。

山口国務大臣 確かに、水俣病対策ということで、いろいろな歴史、私もいろいろ勉強させてもらいました。

 他方、この昭和五十二年の判断条件というのは、平成二十五年の最高裁判決においても否定されていないと承知しています。

 この認定審査会においては、暴露、症候、因果関係の総合的な検討が丁寧に行われていると承知しております。

 引き続き、公害健康被害補償法の丁寧な運用を積み重ねていく所存です。

田村(貴)分科員 環境省としては、あくまでも根拠のない複数の症状の組合せにこだわっていくということなんですか。

 国側の主張を支持する医学者たちが裁判で何と言っているか。私は、これを聞いて本当に驚きました。水俣病に関する診断基準を持っていないと尋問で発言しています。これは二〇一九年の大阪地裁等々でこの医師たちが述べているわけであります。どうしてこうした大事な場で判断基準が示せ得ないんですか。

神ノ田政府参考人 御質問の内容につきましては、現在係争中の訴訟に関することでありますので、コメントは差し控えさせていただければと存じます。

田村(貴)分科員 では、私の方からお教えしましょう。

 つまり、研究がされていないからなんですよ。

 患者数と論文数の比較というデータがあります。資料の四番を御覧ください。長年にわたって水俣病の診療に当たってきた高岡滋医師の調査によるものであります。医学中央雑誌に発表された水俣病に関する治療、診断論文数は、他の病気に比べて非常に少ない。一見して読み取れるわけであります。

 環境省は、二〇一八年に、メチル水銀中毒に係る神経学的知見に関する意見を日本神経学会に求め、国賠訴訟の裁判に提出しました。しかし、この意見書は学会員に諮られることもなく出されて、診療現場の医師たちからは多くの疑義が上がっています。しかも、この意見書の知見では、水俣病に関する臨床研究実績がほとんどないことが、高岡医師の指摘でも明らかにされています。

 行政が七七年判断基準を決定したことで、専門家が国に忖度をしなければいけないという環境をつくり出した、専門家自身が水俣病の正しい病態の把握ができなくなったという結果を生み出しています。そのことについて環境省はどう受け止めていますか。事実はこうなんですよ。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病の研究について御指摘がございました。

 環境省では、水俣病に関する研究の推進拠点である国立水俣病総合研究センターにおいて、水俣病に関する総合的かつ国際的な調査研究等について推進してきたところでございます。

 同センターの臨床部では、痛みを軽減する磁気刺激治療の研究や新たなリハビリテーションの提供など、水俣病患者の医療に資する取組を進めているところでございます。

 今後とも、水俣病患者の医療の向上を図ることを目的として、役割を適切に果たしてまいりたいと存じます。

田村(貴)分科員 医療の研究と言われました。脳磁計とかMRIを使った臨床研究、これもお話を聞いたら、合計で僅か三百五十人じゃないですか。しかも、認定患者が対象とは、不知火海沿岸で救済の手を待ち望んでいるそういう被害者と向き合わないものでありますよ。何もかもやはり被害の現状から乖離している。そして被害者の思いをまともに受け止めていない。ここはやはり正さなければならないと思います。

 今なお多数の被害者が苦しんでいる現実からなぜ目をそらすんですか。水俣病被害者救済特措法が終わって十年がたちます。特措法三十七条では、国に対して、不知火海沿岸地域に居住歴がある人の健康調査をやることを求めています。なぜやらないんですか。なぜやらないんですか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病特措法第三十七条第一項では、政府は、メチル水銀が人の健康に与える影響等に関する調査研究を行うことと規定されております。また、同条第三項では、そのための手法の開発を図るものとされております。

 これに基づきまして、メチル水銀の影響を客観的に明らかにする手法の開発については、本年秋までを目途に、どこまで手法の精度が上がるかも含め、その成果の整理を行う予定でございます。

 同法第三十七条第一項の調査研究への活用につきましては、手法の精度を上げていく中で考えてまいりたいと存じます。

田村(貴)分科員 それをいつまでやっているかということですよ。沿岸であたうべき調査をやったらいいじゃないですか。

 大臣、最後に、今裁判で闘っている原告患者の訴えを聞いていただきたいと思います。例えば、こういう訴えです。

 主人とともに特措法に申請しました。主人は公的な検診を受けて救済されたのですが、私は、公的な検診さえ受けることもできずに切り捨てられました。検診さえ受けられない。

 一番つらいのは、味が分かりにくいということです。私が食事の準備をするのですが、いつも主人や娘から、今日は甘いとか、今日は辛いとか言われます。

 私にとって食べ物は、口に入れないと生きていけないから口に入れるものでしかありません。あれが食べたいと思ったことはありません。

 私の健康と人生を返してほしいと心の底から思います。今からでもチッソや国、熊本県に謝ってほしいと思います。水俣病と認めてもらい、少なくとも命と健康を維持していく補償をしてもらいたいと思います。

 この痛切な思いが、大臣、分かるでしょうか。受け止めて、是非、施策に、そして見直しに反映していただきたいと思います。

 現場で長年診療に当たってきた医師たちが多くの研究実績を積み上げてまいりました。患者、そして被害者に寄り添い、真剣に対策を考えている人たちの病像を生かすべきであります。そして、確かなデータの裏づけのある診断基準を示すためにも、沿岸住民全員の悉皆調査を実施することを強く求めるものであります。

 大臣、今日、私のお話、議論を聞いていただいて、公健法では救われないことが明らかになりました。そして、根拠がないことも明らかになりました。最後、所信を伺って、今日、質問を終わりたいと思いますが、どうでしょうか。

山口国務大臣 先ほど田村議員がいろいろおっしゃっていただいているところの公害健康被害補償法、この丁寧な運用ということを私は申し上げているわけですけれども、確かに、水俣病をめぐっては、これまで、平成七年と平成二十一年の二度にわたって、多くの方々の多大な努力と、また苦渋の決断があったと思います、政治解決がなされ、最終的かつ全面的な解決が志向されてきたんだと思います。

 今日、いろいろ伺って、もちろんそれを受け止めさせていただいた中の話ですけれども、二度目に当たる平成二十一年の政治解決の際には、自民党、民主党、公明党の三党合意により水俣病特措法が制定された次第です。公害健康被害補償法の判断条件を満たさない方の、その救済を必要としておられる方々を水俣病被害者として受け止め、救済を図ることによって、地域における紛争の終結と水俣病問題の最終解決を目指したと思います。

 そのような水俣病特措法制定時の関係者の思いや二度の政治解決により、これまでに約五万人の方々が救済されてきたことも踏まえ、環境省としては、公害健康被害補償法の丁寧な運用を積み重ねていくことが重要であると認識しています。

田村(貴)分科員 終わります。

鷲尾主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鷲尾主査 農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田豊史君。

吉田(豊)分科員 日本維新の会、吉田豊史です。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、大臣始め答弁の皆様にはお時間を取っていただいて、そして、私自身、四年間の浪人を経てこの場所に戻ってまいったんですけれども、その四年前のときには農水委員会の方に所属いたしておりました。

 そこで、いろいろな日本の農水関係の課題というものを実感させていただいて、私は富山県富山市の出身でございます。富山は本当に米どころですので、農業というと米のことばかりというふうに思うところもあるんですが、実は、もちろん、いろいろな面で自然に恵まれた地域ですので、日本全体の食料のこと、それから、これからの環境のこと、いろいろなことを考えるときのベースとなるこの農林水産業というフィールドについては、やはり、みんなが共感をして、そして次に進んでいかなくちゃいけない、こういうふうに思っておるところなんです。

 びっくりしましたけれども、今、手前のところで、水俣病に関わるところの田村委員からの質問があったんですけれども、富山県はイタイイタイ病という四大公害がありまして、いろいろ考えてみますと、やはり、私たちの経済の活動というところと併せて、自分たちの大切な土地ですとか、それから水ですとか、いろいろなものがそこで犠牲になっている、そして被害に遭われる方がいらっしゃる。

 これはもう本当に、どれだけの時間がたったらいろいろなことが根本的に解決するのかなというところについては、私も、一人の代議士と言えばいいか、国民の皆さんの代表としては、こういう問題についても、しっかりとした解決というのを早くしていかなくちゃいけないなというところを感じながらの質問とさせていただきたいと思います。

 まず最初に、農水省の方で今力を入れていらっしゃるみどりの食料システム戦略というところに入りたいんですけれども、今朝、私、自分の事務所に行きましたら新聞が来ていまして、農業共済新聞というのがあって、動き出すみどり戦略、広がるか環境保全型農業、期待と課題をというところがあったんですね。

 これはやはり、本当に鳴り物入りで、この農水関係がどういうロジックで、どういう考え方でこれをしっかりとして根づかせて発展していくのかというところが改めて重要なタイミングに来ていると考えるわけですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

金子(原)国務大臣 吉田議員の御質問にお答えいたします。

 近年の食料、農林水産業を取り巻く状況は、生産者の減少、高齢化、地球温暖化や自然災害の増加等によりまして、大変厳しい状況になっております。

 こうした中で、国内外におきましてSDGsへの対応が重視されるようになっておりまして、我が国といたしましても、アジア・モンスーン地域の持続的な食料システムのモデルを打ち出していく必要があります。

 このため、食料、農林水産業の生産向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる新たな政策方針といたしまして、昨年の五月、みどりの食料戦略システムを作成したところであります。

 本戦略は、二〇五〇年までに目指す姿といたしまして、農林水産業のCO2ゼロエミッション化や、化学農薬、化学肥料の削減、有機農業の拡大等の十四の意欲的な目標を掲げております。

 本戦略の取組の方向といたしましては、二〇三〇年までに既存技術を横展開いたしまして、二〇四〇年までには革新的な技術、生産体系を順次開発いたしまして、二〇五〇年までにこれらの技術、生産体系の速やかな社会実装を図ることとしております。

 本戦略の実現に向けまして、今後とも現場の意見をよく聞く現場主義を貫きまして、生産者を始めとする関係者、関係団体等、それぞれの理解と協働の上で、省一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

吉田(豊)分科員 今ほどの大臣のおっしゃるとおりだと思うんですけれども、その中で、やはり現場の力、現場の声をというところはもちろん大事です。

 ただ、今回の戦略というものは、やはり現場の声ということだけではなくて、消費者というか、国全体の、国民の理解というものがないと、せっかくのこのロジックというものは、私たちの暮らしている町ですとかそれから地域、全部つながっていますよ、そして、それをカーボンニュートラルの方に持っていきたい、持続可能、できるようにしていきたいという大きな題目の下だからこそ、もう一度この戦略というものが今必要とされている、そういう位置づけじゃないかなというふうにも思うわけです。

 具体的に、今回、私は、本当に大きな戦略ですので、大臣がおっしゃってくださった現場というところからすると、幾つか絞っていきたいんですけれども、カーボンニュートラル、脱炭素社会ということの実現についても、私たちのこの日本という国を見渡したときに、やはり持っている資源というか環境、条件でいうと、森林というところは物すごくウェートが大きいと思うんですね。こういうところについての対策、考え方。

 これは、例えば木質のバイオマスですとか、あるいは木材の活用、そして、皆さん言いますけれども、植えた木が刈取りの時期を過ぎている、もう散髪しないと使えなくて、ぼさぼさになっていて、ただただ見苦しくなっていく、逆にマイナスのものになっていっているという、これが今の現状だと思うんです。

 ですから、これをどうやって変えていくかというところについて、昨年の十月の二十二日に閣議決定されているところですけれども、地球温暖化対策計画というところでは、やはり森林の重要性ということ、二〇三〇年までに二・七%の達成を目標に掲げているということなので、これはやはり具体的な数字が出ていますから、これについてどのように取り組んでいくのかというところについて、林野庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の二〇三〇年度の森林吸収量目標二・七%の達成に向けましては、利用期を迎えております人工林につきまして、切って、使って、植える、この循環利用を確立をして、炭素を貯蔵する木材の利用拡大を図りながら、成長の旺盛な若い森林を造成することが重要と考えております。

 具体的には、昨年六月に閣議決定をしておりますが、森林・林業基本計画に基づきまして、間伐の適切な実施、さらには、エリートツリーなどの成長に優れた苗木を活用した再造林などを推進するとともに、中高層建築物を木造化、木質化していく必要があると考えておりまして、このために、CLT、直交集成板、CLTと呼んでおりますけれども、木質耐火部材等の開発、普及などにより、建築物等への木材利用を一層促進してまいる所存でございます。

 これらの取組に加えまして、林業イノベーションや、森林づくり、木材利用の推進に向けた国民運動、これをしっかり取り組むことによりまして、森林吸収量目標の達成を目指してまいりたいと考えております。

吉田(豊)分科員 今ほどの御説明を受けて、結局、その数字というものは、やはり目標として達成していくバロメーターにはなるんですけれども、根本の考え方として、やはり、まず今の状態から刈らなくちゃいけない、そして、刈って、使わなくちゃいけない、そして次につながる、植えていくという循環を、まさにこの林業という部分についてはやらなくちゃいけないわけですね。これが実現していくためには、これはいつも思うんですけれども、現場というのは、農林水産業の関係の方々の現場だけではなくて、作ったものを消費する方々の現場というところを考えないと、全て何も進んでいかないという現実だと思うんです。

 ですから、こういう世の中の風向きとして、カーボンニュートラル、いろいろなものが必要だという追い風を受けている状況ですから、改めて、こういうことを実現していくときには、先ほどの長官の言葉にもありましたけれども、例えば木材一つを消費するときに、様々な別のルールが邪魔しているということもあり得ると思うんですね。具体的には、建物を建てるときの建築基準だったり、それから、私は今、今回、木材の利用として、ペレットストーブ、ペレットというものを、ここに焦点を当てたいと思うんですけれども、こういうものを普及させていこうというのを思ったときには、住宅の基準の環境がそれを満たさないとか、いろいろな障害があるわけですわ。

 ですから、こういうところこそ、官庁がきちっと横断的に、このプログラムをやるときに、何が障害になっていて、どれを消すことによって消費者としてそこに動きが出るのか、そういう戦略こそ私は一番重要じゃないかなと思うわけです。

 改めて、ペレットということを私今出させていただきましたが、このペレットを例にするならば、こういうことについて、どのような考え方で、この戦略が効果を発揮するのかというふうに計画しているかということをお聞きしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、木材は、建築物に利用するといったことで炭素を長期間貯蔵するほか、木質バイオマスとして、エネルギーとして利用することによりまして、ひいては林業の活性化、地域の雇用創出にも貢献するということでございます。また、化石燃料に代替するという効果があるわけでございまして、二酸化炭素の排出削減にも貢献すると考えております。

 木質のペレットでございます。農林水産省といたしましては、木質ペレットを含みます木質燃料の製造施設の整備ですとか、木質バイオマスの熱利用などにより持続的に活用する地域内エコシステム、これを構築していくことに対する支援に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、これらの取組により、木質バイオマスの利用を推進してまいりたいと考えております。

吉田(豊)分科員 今ほどの長官の答弁は全くそのとおりで、ちょっと大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、このペレットはもちろん木を細かくした、端材を固めたもので、それがストーブに、灯油の代わりに、ストーブ、ペレットストーブというものがあって、そして灯油ではなくてペレットというものを燃料として入れて暖める、そういう仕組みですわ。

 こういうことが、今、世の中ではガソリンのトリガーの話が出ていますでしょう。これというのは、結局は、この国、元々ずっと化石燃料というものに依存しているエネルギーの資源の入れ方をしてきた。だけれども、今、日本には、先ほど御紹介あったように、私の認識もそうですけれども、例えば、日本という国の中で、木質のエネルギーというものを、ボリュームが大きい少ないは別なんですけれども、きちっと今ある、使うべきところにおるわけですね。ですから、そういうことについての考え方をやはり今シフトしていくタイミングじゃないかなと思うんです。

 簡単に言えば、消費者として家を暖めるときに、何がエネルギー源であっても構わないわけです。だから、そのときに、この国が持っている、例えば、産油国という言葉がありますけれども、日本は産林国なわけですわ。木材という、それがエネルギーになるという状況を持っているから、それをやはり、どのタイミングに来るときちっとそれが消費者として選択されることになるのかということからすれば、今非常にいいところに来ている、よくないのかもしれませんけれども、いろいろな情勢がそういうふうな形に来ているというのは間違いないわけで。

 ですから、今、林野庁を始めいろいろな努力をされている方々が、これをきちっとそこの消費者に向けてアピールしていくという大切なタイミングに来ていると私は考えるんですけれども、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。

金子(原)国務大臣 先ほどから、議員から、消費者の視点に立ってというお話がありました。これは大変大事なことだというふうに思っております。

 したがって、こういったものを使っても、消費者がどう反応するか。やはり消費者の方々に使っていただいて初めてそれが、我々がやった意味があるわけでございますから、そういった現場の意見と同時に、消費者の立場に立った視点というのも今後考えた、こういった形をやっていかなきゃいかぬというふうに改めて思った次第でございます。

吉田(豊)分科員 大臣のお言葉のとおりで、やはり消費者という、結局、使ってもらわないと、作ったけれどもどうするのという話なんですね。

 もう少しペレットのところを踏み込みたいんですけれども、ペレットも、国内で今どうやって作っているのかというと、結局は、木材を製材をしていく、その余りのところで作っているという、一番非常にいい、有効なエコ活用をしているということは間違いないんです。だけれども、これが本当の意味で燃料としての役割を果たすとなれば、そのためにしっかりと生産していかなくてはいけない。じゃ、そういう環境はどうやって整えていくのかということを考えたときに、今、私の方で間伐材を切ればいいと言いましたけれども、少し勉強したところによると、間伐材というのは、結局、乾かさないと今度は燃料化できないんですよ。そうなれば、乾かすことについてのエネルギーがかかる。じゃ、今の状況では、何やってんだになるかもしれないんです。

 だけれども、それをどうやってアイデアを練るのか、あるいはその流通の仕組みをつくるのか、どこにその消費の場所を用意するのか、生産、消費、こういうものをやはりトータルのシステムとして、あるいは、一つのモデル地域があってもいいんじゃないかなと思うんですけれども、このような考え方について、長官のお考えをお聞きしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、成熟して切り頃になっている木を切って、使って、植えて、育てるというのが大事な局面になってきていると思っております。

 その際に、切った木を使う使い方として、私ども、カスケード利用、滝のような利用の仕方というふうに呼ぶことがあるんですけれども、一番真っすぐに伸びて、例えば、建築用の木材として使えるようなところは建築に使っていただいて、それこそ建物や土木的な利用もしていただく。その次のカテゴリーといいますか、その次に使いやすいところにつきましては、またバイオマス利用も含めた使い方を考える。今まで山の中に捨てておいたような枝ですとか、林地残材などという呼び方がありますけれども、そういうものにつきましてもバイオマスとして活用することを考えるといったようなことが大事な時代になってきていると思います。

 そのような、木をトータルで使う、また、地域の中で循環をしっかりしてもらうという考え方でつくっております事業が、先ほども御紹介させていただきました地域内エコシステムの事業でございまして、モデル地区も含めてPRをしていきたいというふうに考えております。

吉田(豊)分科員 今最後におっしゃったモデル地域、これが始まったということなので、是非、その経過とか、あるいは、当然、モデルですから、いろいろないいところも出てくれば、マイナス面というのも出てくるだろうと思うんですね。そういうことの検証をよりスピードアップしていただいて、そして、それを実現するためには、やはり閉じた環境じゃないですから、消費者という感覚ですると、それは常に消費者はもうグローバルなところと比べている話になるので、これも含めて、どうやってそのモデル地域というものが次につながる成果を得るのかということについて是非頑張っていただきたいなと思います。

 次の質問に入ります。

 全く話は変わるんですけれども、蜜蜂と、それから養蜂という蜂蜜のところの話をしたいと思います。

 私、何でこれを頭に入れてきたかというと、今回の岸田内閣の目玉の一つにデジタル田園都市というのがありますでしょう。田園都市、そしてデジタル、要はITとそういうものが融合した新しい形の町ということを考えたときに、何か勝手に私は蜜蜂とかテントウムシとか、ああいうのがイメージされたんです。それは、あながち私は間違いでもなくて、今回の先ほど申し上げましたみどりの食料システム戦略を取っても、やはりこれは、いろんなものの持続性と、それから融和していく、そういうものを目指していこうという考え方だと思うんですね。

 ですから、蜜蜂というものがやはり私たちの暮らしているところにいて、そしてその蜜蜂が蜂の習性として蜂蜜を集めて、そしてそれが生産されていくということは非常に絵面もいいし、何となく私は勝手にそういうふうに思いついたというところでの質問なんですけれども、まず、この養蜂というところが、農林水産業の中では本当に小さな小さな小さな部分の分野だと思いますが、これを今、農水省としてどのように捉えて、そしてここにどのような問題があるという現状認識について、畜産局長にお聞きしたいと思います。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 養蜂につきましては、蜂蜜ですとかロイヤルゼリーなどを供給するということで、国民の食生活の方に貢献をしているわけでございますが、加えまして、農作物等の花粉交配に蜜蜂は利用されているということで、我が国の農業にとっても欠かせない役割を果たしているということでございます。

 もう一点、課題についてということでございます。

 農水省におきましては、生産者の団体であります日本養蜂協会、あるいは都道府県等とも連携をしまして様々な課題への対応、養蜂の振興に取り組んできているところでございます。

 具体的には、例えば、熊による被害というのが近年増加をしているということもございますので、こうした被害防止のためのマニュアル作成でございますとか、あと、蜜蜂が蜜を集めるための蜜源植物の植栽、管理、さらに、ダニ防除の新薬の実用化、さらに、デジタルという観点で申し上げますと、飼養管理の高度化、省力化のためのIoTセンサーの利用普及といったような点の取組を支援をしているというところでございます。

吉田(豊)分科員 この蜜蜂のことでいうと、蜂蜜を作るということだけじゃなくて、いろんな役割を持っているというところも明らかになってくるわけです。蜂蜜を作るということだけでいうと、多分この日本の需要の中の本当に微々たる量にしかならないんですけれども、それが、蜜蜂というものがいるということ自身が非常にいろいろな意味の効果があると私は思うんです。

 特に、今おっしゃいました蜜蜂の受粉効果という役割、受粉媒介をする役割をしているということが、しっかりとした存在意義というものがあると思うんですけれども、これについてはどのようにこの役割を見ているのかというところを農産局長の方にお聞きしたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、メロン、スイカ、イチゴなどでは花粉交配用に蜜蜂が利用されております。

 国の研究機関であります農研機構が、二〇一五年にこの経済貢献額というものを試算をしております。これは、蜜蜂等の花粉媒介昆虫がいない状況で生産量がどの程度減少するかということを作目ごとに累計したものなんですけれども、訪問昆虫全体の受粉媒介による経済的な貢献度というのは約六千七百億円、そのうちセイヨウミツバチによる経済貢献効果は約千八百億円というふうに推計をされております。

吉田(豊)分科員 今、びっくりするような大きな数字が出てきたと思うわけです。それは本当に、一つ一つの役割というものは見えないところにもあるし、それから、そういう数字というのは是非それこそ見える化していただいて、そして、その役割があるから、じゃ、この蜜蜂、養蜂業の方々に対しても、そういういろいろな意味でのインセンティブを渡すことができるとか、そういうようなストーリーにも持っていけるんじゃないかなとも私は考えます。

 この蜜蜂という一つの切り口で話をしたときに、私の子供が今高校なんですけれども、学校で蜂蜜が作れたといって持って帰ってきて、私はちょっとびっくりしたんです。それというのは、それこそ銀座の蜜蜂の話とかもありましたけれども、蜜蜂というものがいて、そしてその箱があると、そこの地域のオリジナルのものができてくるというところが、私はこの蜜蜂の、養蜂業にはならないけれども、面白さと言えばいいか、役割の一つじゃないかなとも思うんです。

 この蜜蜂については、お聞きしたところによれば、養蜂業ではない通常の農業をやっていくときに使っている農薬の散布によって、蜜蜂自身が死んでしまうということなんですね。そうなると、じゃ、今、私たちの食料の安全ということで気にかけている農薬の散布、それからそれの安全性とかということについて、私たち人間には分からないセンサーの役割もきちっと果たすことができるという切り口もあったりすると思うわけです。ですから、是非、この蜜蜂というものが一つの、今私たちが目指している環境をどう整えていって、そして地域と調和する農業というものを目指すかというところのバロメーターとして使っていけばいいんじゃないかなと思うわけです。

 この答弁のときに畜産の局長がお越しいただいたということも、蜜蜂はそこの担当なんだなということもちょっとびっくりしました。昔は、私たちが子供の頃は、農水関係のことを知るときには、近くのところの牛を見に行ってこいとか、そういうところで勉強してきたんですけれども、もうほぼほぼそういう環境というのはなくなっていっているわけですわ。ですから、この蜜蜂というものが、もしかしたら教育的な部分にとってもメッセンジャーとしての役割を果たす可能性もある。いろいろな切り口でこれは是非捉えていただいて、進めていただきたいと思うんですけれども、私が今お伝えしていることについて、せっかくですから、畜産局長、どう思われますか。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 養蜂につきましては、まさに、蜂という生物が生産をする蜜を人間が利用させていただいているという観点を持って、畜産局の方でこの養蜂業の方は所管をさせていただいているということでございます。

 委員御指摘のとおり、まさに蜜蜂、養蜂業が成り立っていくためには、健全な蜜蜂を飼育して、その生産を振興していくということでございますけれども、やはり蜜蜂にとって活動しやすい環境の確保というのが大変重要であるというふうに考えております。

 こうした観点も踏まえて、私ども、先ほど申し上げました蜜源植物の植栽、管理等も行っておりますし、また、地域の環境との関係ということでありますと、農業との両立という観点で、例えば、農薬散布時期の情報を養蜂家の方々に共有するといったような取組も都道府県と連携をして進めているということでございます。

 先生おっしゃるとおり、多面的な役割を有した産業ということでございますので、我々としても、関係部局連携して、この養蜂の振興に取り組んでいきたいというふうに考えております。

吉田(豊)分科員 この蜜蜂の質問をして、やはりいろいろなことについて、もう一度、今あるもの、それをどう生かしていくのかというところ、それから、それが、農業としての、生産する品物についての役割だけじゃなくて、今やはりいろいろなものが多面的な、多目的な役割を持っている、そういう観点で、是非この存在自身をサポートしていただきたいと思うわけです。

 そうでないと、農業にしても何にしてもそうなんですけれども、やはり、生産していく、そして作ったものがきちっと売れるという話からすれば、当然、大規模化しなくちゃいけないわけだし、それから、いろいろなITを駆使するにしても、生産性を上げるためだけの目的というところになると思うんですね。

 私は、そうじゃなくて、やはり、今回は予算委員会ですから予算を取るという話だと思うので、農水委員会としてもきちっと予算を取っていくというときに、じゃ、どういうニーズがあるから、こういう必要性があるからというところをきちっと押さえていただいて、その切り口から財務省と戦っていただいて、取ってきていただきたいなと私は生意気ながら思うわけです。

 今日、せっかく大臣と初めてお会いさせていただきまして、私、勝手ながら、初めての大臣とお会いするときは、ウィキペディアで、ネットでどんな方かなというのを拝見するんですけれども、それを見ましたら、大臣の御出身が、長崎の本当に小さな島の、そして何よりも海ということをなりわいとしていらっしゃる家ということを感じさせてもらいました。

 先ほど私、自分の自己紹介で富山県は米の県と言いましたけれども、実は富山県は、米の県ですけれども、サケ・マス船団の親分を生んでいるところでもあったり、それから、皆さん御存じのマスずし、あれはサクラマスなんですが、サクラマスは川で捕れますけれども、海に行って戻ってきて、そして富山での名産になっている。ただ、これは今、内水面としての物すごい面白い素材にもなってきているということも、富山の方々の努力だとは思うんです。

 こういう中で、私は、せっかく大臣が、今回、私、この農林水産予算の概要というのを見たときに、本当にボリューム多いですし、大部なんですけれども、この水産業のところが一番最後のところにおるんですね。

 私からすれば、そうじゃなくて、せっかく大臣がその背景を持ってなさっている立場に立たれたから、是非今回は、水産のところにもストレスをかけて、そして何かしていただきたいと私の方から要望を出しますので、是非何か一言いただければなと思います。

金子(原)国務大臣 私もずっと今まで水産関係をやってまいりましたから、そういった予算の獲得のときに、いつもなかなか、予算を増やすのは非常に難しいんですよ。限られた予算の中でいろいろな事業をやっていかなきゃいかぬ。

 今回、農林省に入りまして、農林と水産の違いというのは随分あるんだなという、格差と言いましたけれども、これは、従来の、国に対する、国全体としての農業のウェートと水産業のウェートというのがいろいろ違うかもしれませんが、いずれにしましても、将来性を考えた場合も、農業の方が非常に先行きが見通せるというか、明るい兆しが分かるんですが、水産業はどちらかというと限られた資源を取っていくというので、もろに気候変動の影響を受けているなというのを最近思うわけなんですよね。

 そういった中で、農林水産業としてどういった対応ができるかということを絶えず皆さん方と話合いしながら、せっかく、水産県の大臣と言ったらまた農林県から怒られますけれども、そういう面を考慮しながらこれからやっていきたいというふうに思っております。

 今回の予算でも、大分後ろの方たちが配慮していただいて予算は増えておりますので、今後とも応援をよろしくお願いいたします。

吉田(豊)分科員 ありがとうございます。

 引き続き、私も応援しますので、頑張っていってくださいませ。ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて吉田豊史君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤竜祥君。

加藤(竜)分科員 おはようございます。長崎二区選出の、自由民主党、加藤竜祥でございます。

 本日は、初めての質問に立たせていただいております。

 まずは、このような機会を与えてくださいました、ふるさとの長崎県の有権者の皆様方始め国対や事務局の皆様方、並びに質問作成の際に御尽力を賜りました農水省の関係皆様方に心から感謝を申し上げます。

 また、地元長崎県のキャリア豊富な大先輩であられます金子大臣の胸をかりますことに、大変光栄に思っております。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、私の地元長崎二区につきましては、大臣も御承知と思いますが、県央地域、西彼杵地域、島原半島と大変広く、長崎県の農業生産額の半分以上を占める、豊富な農産物の一大産地であります。また、大村湾、有明海、橘湾といった三つの海を有する地域となっており、カキやクルマエビ、アワビなどの養殖を含め、水産業が盛んな地域でもあります。

 まさに農林水産業を振興、発展することが地方創生の実現に直結をする地域でもありますので、当然、私の耳にも、多くの関係者から、国の施策への期待や不安の声を聞く機会が多くございます。このような貴重な機会を賜りましたので、これを踏まえて幾つか質問をさせていただきます。

 まずは、農業は、自然との闘いである産業の一つでございます。また近年は、農産物の輸入が増えたことから、諸外国との闘いでもあると認識をいたしております。農業に従事をしていらっしゃる皆様方は、常にこれらのリスクへの不安を抱えながら、努力、研さんをされていらっしゃいます。

 しかし、最近では、温暖化の進行や、原油価格、資材価格等の高騰により生産コストが急激に高くなっているにもかかわらず、野菜の価格は下がっている状況でございます。

 農産物以外の多くの加工品等は、コストを価格へ転嫁し、通常時より価格を上げて販売することが可能でありますが、野菜は、御承知のとおり、需要と供給のバランスにより形成される市場価格を基に値段が決まりますので、自分の経営努力ではいかんともし難い気候条件や災害の発生等により、大きく影響を受けることとなります。

 加えて、コロナ禍で需要が減り、深刻な状況でございます。すなわち、現在、日本の農業は、二重苦、三重苦の状態であると言えます。

 このような状況の中で、懸命に野菜を生産しても利益を上げることが難しく、将来の農業に不安を感じている方々の懸念を払拭することが必要であると考えております。

 そこで、農水省としてこの状況をどのように考えているのか、農家の経営を守る支援策等についてどのようにお考えか、質問をいたします。

宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、野菜の価格については、需要と供給のバランス、市場価格によって決まるということでございますので、野菜等の生産につきましては、まず、需要に応じた計画的な生産、出荷に取り組んでいただくということが基本だというふうに考えております。

 一方で、お話がございましたように、予期せぬ豊作でございますとか災害等によりまして、価格の低迷や収入減少が発生をした際には、各種のセーフティーネット対策によりまして、しっかりと農家の経営を支えていくことが重要だというふうに考えております。

 このため、国といたしましては、野菜価格安定制度におきまして、市場価格が大幅に低落した際の補給金の交付でございますとか、豊作時にフードバンク等への無償提供をした場合の補給金の交付を行っております。

 加えまして、災害等のリスクにも対応した収入保険による収入減少の補填、そして、燃油価格が高騰した場合の施設園芸等燃油価格高騰対策による補填金の交付等を実施をいたしまして、農業経営の安定を図っておるところでございます。

 今後とも、野菜等につきましては、需給調整の取組を支援をさせていただきながら、様々な状況の下でも農業の経営が守られるように、これらのセーフティーネット対策への加入の促進と着実な運用に努めてまいりたいと考えております。

加藤(竜)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 これから生産現場では人口減少が進み、担い手の高齢化が著しくなっていく中、行く行くは、営農者の数は百万人を切るとも言われております。農業が、希望ある、稼げる産業であると若い後継者や新規就農者に示せるよう、引き続き御支援のほどを、心からよろしくお願いを申し上げます。

 次に、食料自給率向上のための取組について質問をいたします。

 今はとりわけ経済安全保障の方にスポットライトが当たっておりますが、それと同時に、大変重要なのが食料安全保障であります。

 主権国家の使命の一つは、国民に安定的な食料を供給することであると理解をいたしております。農水省は、いついかなるときも、国民の皆様方に安心、安全な食料を提供していかなければならないという重責、使命を担っております。

 現在の食料自給率は、カロリーベースで三七%、生産額ベースで六七%であるとのことですが、まずは、二つの基準を用いるのはどうしてか、お伺いをいたします。

 また、裏を返せば、カロリーベースでは残りの六三%が海外からの輸入で賄われていることになりますが、これからも安い食料が永続的に入ってくる保証は全くございません。

 これから世界の人口は増加すると予想される中、八十億人に迫る勢いであります。西暦二〇〇〇年で六十億人強であったことを考えますと、毎年約一億人増であり、急速に増えておることが分かります。

 また、近年では、気候変動や干ばつなどの地球温暖化の影響により世界的に砂漠化が進んでおり、先進国の少子化傾向が強まっている状況からして、世界的に農地が激減をしていると聞いております。

 そのように考えますと、このままだと、食糧難の時代が近い将来やってくるのではないかと危惧をいたしております。食料が外国から入ってこなくなってから対策を打っても、国民の皆様方に安定的に食料を供給することは不可能であります。そうならないための努力をしっかりとしなければならないと思いますし、自給率が低いと一番困るのは国民の皆様方であります。

 農水省は、令和十二年度までにカロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%の自給率を確保するという目標を設定しておりますが、食料安全保障の観点から、自給率の向上が急務であります。

 食料自給率を向上させるためには、優良農地と担い手をしっかりと確保し、生産技術の向上を図らなければならないと考えておりますが、農水省として、自給率向上に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、カロリーベースと生産額ベースの話でございますけれども、食料自給率は、国内供給を分母、国内生産を分子として、食料供給における国産の割合を示す指標でございます。

 カロリーベースの食料自給率は、人が生きていく上で必要なエネルギー量に着目した指標です。

 生産額ベースの食料自給率は、金額を用いることで、経済活動としての農林水産業の状況を知ることができる指標です。

 いずれも、我が国の食料供給と農林水産業の現状を把握、評価する上で重要なものと考えております。

 もう一点、食料自給率向上に向けての取組でございます。

 将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくということが重要だと考えております。

 このため、担い手確保や農地の集積、集約化により国内農業の生産基盤強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工・業務用需要や海外需要に対応した生産を進めてまいります。

 さらに、国産農産物が消費者から積極的に選択される状況をつくり出すため、食育や地産地消など、消費面の取組も進めてまいります。

 これら生産面、消費面の施策を総合的に講じることにより、食料自給率を向上させていく考えでございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 更に二十年後、四十年後も、未来永劫、国民の食料が保障される対策をしっかりと講じていかなければいけないと考えております。

 先ほど申し上げましたとおり、人口減少社会において、農業従事者や経営体は間違いなく減少をしていく中で、少ない人数で食料安全保障を成し遂げなければなりません。

 また、先日の報道によると、優良農地が四百万ヘクタールを下回ったとのことから、農地の面積も減少している中で食料安全保障の重責を担っていかなければなりません。

 つまり、生産効率を高める必要があります。そのような観点から必要不可欠なのが、農地の圃場整備であると考えております。

 先日、土地改良法の一部改正案が閣議決定され、今国会で法案審議されることになりますので、詳しくは法案審議の際に譲りますが、農業の基本は農地、水、人、太陽であります。農地中間管理機構関連事業の拡充として迅速に事業を進めていかなければならない中、農業を営むために必要不可欠な水を引くための農業用排水施設、暗渠排水などの整備費用の負担を求めないといった施策は、農業者の意欲を引き出し、生産性を高め、稼げる農業につながると確信をいたしております。

 私の地元である島原市の農業は、昔は、水が余り要らないショウガ栽培が中心の農業が主でありました。夏場になると日照りが強くなり、収穫量が減り、良質なものが取れない状況が続いて、夏場や農閑期には、農業者の皆様方は建設現場などに行って収入を得て、夏が過ぎてからまた畑に戻り営農をするというサイクルが通常でありました。

 しかし、畑地かんがい施設ができたことで選択肢が広がり、年がら年中、多品種で安定した作物を作れるようになり、三毛作、四毛作が今では当たり前になっております。そのことで収入が安定し、腰を据えて営農に打ち込めるようになり、新たな作物への挑戦や技術の革新にもつながっていきました。

 特に、ここ約十年間の長崎県におきましては、農地の圃場整備を地元の土地改良区と県が使命感を持って取り組み、たった十年間で農業産出額が百十四億円上昇いたしました。その結果、それまで農業所得率は全国四十三位であったのが、十位にランクインいたしました。圃場整備を積極的にしてきた結果が数字にしっかりと表れております。

 まさに、圃場整備により、農業者の意欲を引き出し、生産性を高め、稼げるようになり、それを見た若い後継者が誇りを持って就農し、地域に活気と活力を与えるという、一石三鳥にも四鳥にもなる効果があるのが土地改良事業であると確信をいたしております。

 将来を見据え、永続的に発展する農業を目指すためには、農地バンク等を活用し、圃場整備をしっかりとやって、より多くの優良農地を創出し、スマート農業の促進を図りながら、現場の効率化、高度化を進めることが必要であります。このことが、作業効率の向上による農業所得アップにもなり、攻めの農業につながるものと考えております。

 また、攻めの農業と同時に必要なのが、守る農業であります。御案内のとおり、農村をめぐる情勢は著しく変化をする中、しっかりと優良農地を継承し、持続的な管理体制を確保するための維持管理事業の充実や、土地改良施設の維持更新事業の取組がまさにそれであります。

 私の地元南島原市には、十六の土地改良区がございました。今月一日に、土地改良区の理事さん、総代さんたちが何度も協議を重ねられ、大変な御苦労と御努力をされた結果、組合員数二千百六十三名、県内最大の南島原土地改良区として県に認可され、新たに誕生をいたしました。これは、将来の営農者が営々と安心して農業を営むことができるように、事業を効率化、持続化するという問題意識が地域で共有、理解されたことで、守る農業を実践された取組であると思います。

 農水省として、圃場整備の事業効果や各土地改良区の抱える問題について十分に承知されていると存じますが、改めて、今後の土地改良事業、圃場整備につきましてどのように進めていくのか、具体的な目標数値を挙げてお答えください。また、政府の意気込みもお聞かせください。

    〔主査退席、木原(稔)主査代理着席〕

宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、農業者が減少をしていく中で、食料安全保障を確かなものというふうにしていくためには、土地改良事業によりまして、良好な営農条件を備えた農地、そして農業用水を確保いたしまして、その有効活用を図ることが重要だというふうに考えております。

 このため、昨年三月に閣議決定をいたしました土地改良長期計画では、その成果目標といたしまして、基盤整備完了地区における担い手への農地集積率を約八割以上とすることを掲げさせていただいております。

 そして、更新が早期に必要と判明をしております基幹的農業水利施設におきましては、その全てで対策に着手することなどを設定をしておりまして、土地改良事業によりまして、農地の集積、集約化による生産性の向上や、農業水利施設の整備を推進をしていくこととしております。

 また、土地改良区の合併についても先生からお話がございましたけれども、土地改良区の運営基盤の強化のために合併を推進をしていきたいというふうに考えております。

 このほか、各種事務の共同化のための土地改良区連合の設立支援、複式簿記会計の導入促進のための都道府県土地改良事業団体連合会による巡回指導や会計専門家の配置等の対策を講じているところでございます。

 さらに、これもお話がございましたけれども、今国会に提出をいたしました土地改良法改正案におきましても、小規模な土地改良区の適切な事業実施を支援をするために、土地改良事業団体連合会の業務の見直しを盛り込ませていただいているところでございます。

 今後とも、必要な予算を安定的に確保をしながら、成果目標の達成に向けまして、土地改良事業を着実に推進をしていくとともに、土地改良区の皆様の御意見をしっかり伺いながら、土地改良区の適切な運営確保に向けて支援をしてまいりたいと考えております。

加藤(竜)分科員 引き続き、営農者が将来に希望を持てるような取組を進めていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、水産物の食料安全保障の観点から、資源管理についてお聞きいたします。

 海洋国家である我が国の地理的環境を考えるならば、将来に向け、安心、安全な水産資源をしっかりと管理することを理解し、推進していかなければならないと考えております。

 そのような中、水揚げ量が長期的に減少傾向にあるという課題に直面をしております。例えば、サンマの不漁について大きく報道をされておりますが、この要因は何であるか、どのようにお考えか、お伺いいたします。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のサンマの漁獲量は、二〇一二年まではおおむね二十万トン以上を維持してまいりましたが、以降減少し、昨年は、業界の集計によりますと約一・八万トンと、過去最低となりました。

 不漁の主な要因としては、研究機関によれば、海流の変化により、サンマの分布、回遊が餌環境の悪い沖合域に移行し、資源が悪化した可能性が指摘されております。さらに、資源状況が悪化しているところに、外国の大型漁船が公海で漁獲するということが影響を与えていると考えられております。

 農林水産省といたしましては、引き続き、研究機関の協力も得ながら、不漁要因の解明に努めるだけではなく、国際交渉への対応にも臨んでまいります。

    〔木原(稔)主査代理退席、主査着席〕

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 様々な要因が重なって不漁となっており、対策を行っているとのことですが、より適切に資源管理を行っていれば、減少を防止、緩和できた水産資源も多いと考えております。

 今後の水産業は、資源を管理し、安定供給を可能とする水産業が重要であると考えますが、資源管理の重要性につきまして、農水省のお考えを、そしてお取組についてお尋ねいたします。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 水産業の成長産業化を目指し、一昨年、新漁業法が施行され、その大きな柱の一つに資源管理が位置づけられております。

 新たな資源管理におきましては、持続的に生産可能な最大の漁獲量の達成を目指し、数量管理を基本とすることとしております。

 このため、令和二年九月には、資源管理ロードマップを公表し、科学的な資源調査、評価の充実、資源評価に基づく漁獲可能量、これはTACと呼んでおりますが、による管理の推進など、新たな資源管理の構築のための道筋を示したところでございます。

 具体的には、令和五年度までに、資源評価対象魚種を二百種に拡大し、TAC魚種を漁獲量の八割とすることを目指すとともに、令和十二年には、漁獲量を平成二十二年と同程度の約四百四十四万トンまで回復させることを目標としております。

 実施に当たりましては、漁業者を始めとする関係者の理解と協力を得るために、新型コロナウイルス感染症の状況にも配慮しつつ、主要な漁業地域、漁業種類をカバーする現地説明会を精力的に実施しております。

 農林水産省といたしましては、地域ごとの漁業の実態を踏まえつつ、関係者の理解を得ながら、ロードマップに盛り込まれた行程を着実に実施してまいります。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 引き続きの対策をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後になりますが、私は、農林水産業は、損得だけで測る単なる一産業ではなく、中山間地のコミュニティーの維持や防災や環境の多面的な機能を発揮し、農山漁村の発展などに大きな役割を果たしていると考えております。

 私も約二年前に、重量野菜である大根の収穫を、人手が足らないということで手伝いに行ったことがあります。きつい、汚い、危険のいわゆる三Kを身にしみて現場で体験をいたしました。

 それを通して、農業は、体を酷使して農作業に励んでいらっしゃる方々の現場の声が極めて大事であり、農業者が納得できる説明が欠かせないという思いを痛感いたしました。

 これからも、農水省におかれましては、ボトムアップ、現場とのキャッチボールを大事にされながら、各種政策の実現のため、今後ともの御努力を心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて加藤竜祥君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷分科員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 大臣、副大臣また関係の皆さん、本当にお疲れさまでございます。大変大事な予算委員会の分科会でございます。この二日間本当に大変だったと思いますが、あともう少しでございますので、是非おつき合いをいただけたらと思う次第でございます。

 私から伺いたいのは、水田活用交付金についてでございます。

 もう昨日、今日でも相当多くの議員がこの席から農水省の皆さんに様々な質問をされたというふうに私自身も承知をいたしてございます。それだけ多くの皆さんにとって非常に大きな問題、課題であるということは理解をされると思いますし、昨年十月、十一月にこの方針が厳格化というのか決まって以降、私自身も、農協さん、農業委員会さん、あるいは様々な団体の皆さんからも、あるいは農家個人の方からもいろんな声を聞いております。これに対する、水田活用交付金に対する様々な思いを伺っております。

 恐らくは、大臣、副大臣、農水省の皆さんにも多くの御要請というのか要望というのか、あるいはこの水活に対しての思いが寄せられていると思います。この御要請というか農業者が思っている懸念というのか、そういったものに対する、この取扱いに対する農業者の懸念についてどのように受け止められているのか、まずそれをお伺いしたいと思います。

平形政府参考人 お答え申し上げます。

 水田活用の直接支払交付金につきまして、これまでも水稲の作付が困難な農地は対象外としており、このルール、今国会また御紹介をさせていただいているところなんですが、その上で、今回の見直しでは、畑作物の生産が定着している農家、畑地化を促す一方で、水田機能を有しながら麦、大豆等の転換作物を生産する農地につきましては、連作障害を回避し、収量、品質の向上につながるように、水稲と転換作物とのブロックローテーションを促す、そういう観点を強調しております。こういう観点から、現場の課題も検証しつつ、今後五年間に一度も水張り、すなわち水稲の作付が行われない農地は交付の対象としない方針としたところでございます。

 今、神谷委員おっしゃられたとおり、こういう方針を出して、いろんな方からいろんな反応を我々もいただいております。現在、全国会議、それから産地との直接の意見交換会の中でも様々な意見をいただいております。

 今回の見直しに対して現場から意見を伺っていることは承知をしておりますけれども、こういったことを我々も整理しながら、農林水産省としては、引き続き、今回の見直しの趣旨をまず丁寧に御説明するとともに、今後に向けて、現場の課題の把握、検証、これに努めてまいりたいというふうに考えております。

神谷分科員 ありがとうございます。

 本当に、恐らく多くの声が農水省には寄せられていると思うんです、大臣も副大臣も多分声を聞いているんじゃないかなと思うんですけれども。あれなんですけれども、もし、大臣あるいは副大臣、どんなお声があって、それに対してどう思われているか、農業者の方々が恐らく大臣にも副大臣にも御要請をされていると思いますし。御案内のとおり、私は武部副大臣と同じ北海道でございます。北海道に関してはこの問題は非常に大きいことは、もう副大臣に言わなくてもお分かりだと思うんです。

 そういった様々な声を聞いていてどうお感じになったのか、それをちょっと聞きたいんですけれども、大臣、副大臣、できればお答えいただいてもいいですか。所感だけで結構です。

金子(原)国務大臣 この委員会でも、分科会でも大変議論になっておりますし、予算委員会でもいろいろな御質問が出ております。そういった中で、たしか平成二十九年度にこの方針は打ち出したわけでございまして、その内容に基づいて、今回改めてそれをやっていただこうということで我々は取り組んでいるわけでございます。

 当然、これに対してはいろいろな地域からいろいろな意見があるということは我々も重く受け止めながら、しかし、今後の水田を守っていくためにはどうしてもこれをやらなきゃいけない、そういう課題だという気持ちで今取り組んでおるところでございますので、どうぞ御理解いただきますように、よろしくお願いしたいと思います。

武部副大臣 今委員からお話がありましたが、私も北海道でございますので、北海道の皆さん方からも、JAさんあるいは土地改良区さん、農業委員会さんもお越しになられて、いろいろな御意見を伺っております。

 交付金が受けられないことで経営に大きな影響が出るというのは、そういうこともございますし、あるいはブロックローテーションについても、五年でという、今後五年間で水張りをというお願いをしていますけれども、五年のローテーションでは間に合わないという声もございます。

 また一方で、もう私の地元は、比較的、畑地化、転換化が進んでいるところが多うございまして、水田に戻すこともちょっと難しいというところも大変多いです。

 これまで生産調整に協力してきていただいたということについては、これまで水田を作っていなかった畑作農家の方も、その協力には理解できるけれども、ただ、しばらく同じように畑作農家をやっていて、かつて水田だったところが、これからもずっとまた同じことを、同じ農業をやっていて、同じ作物を作っていて、なぜ水田だったところがもらえて我々はそういったこともないのか、そういう不公平でもあるよねという声も、そういう農家の方の声もあるのも聞かせていただいているところです。

神谷分科員 ありがとうございます。本当に率直なところ、そういう声だと私も思います。

 その上で、大臣おっしゃられたとおり方針があるということ、そこは農家の方も、一部というのか、理解をされつつ、ただ、理解はしても、実際に自分の経営に置き換えたときに本当にこのままやっていけるのかという思いに当然立つんだろうと私も思いますし、農水省さんがやることですから、決して、農家をやめさせようとかあるいは荒廃農地にしていこうとか、そういうことではないということを私自身は信じておりますが、やはり相当影響が大きいなというのがこの声の裏づけだと思うんです。

 今、図らずも副大臣おっしゃっていただいたんですけれども、実際に声を聞いていますと、もう一回田んぼにするといっても、非常にお金がかかるというようなところ、あるいはもう根本的に難しいというところ、かなりあるというふうにも聞いております。長い間、元々田んぼだったんですけれども、畑にしていたということで、当然、もうこの間、水田としての機械、これは使っていません、というよりは、投資していません。ですので、もう一回、水田のための機械、これを入れなきゃいけないのか、あるいは、当然、畑として収量を上げようと思えば、均平というのかある程度なだらかにしたり、あるいは畦畔を取ったり、そういうところもたくさんあります。

 もちろん彼らは、元々は水田を行っていて、それでも、この生産調整、あるいは主食用米以外を作っていただこうというこの政府の政策に従って転換をしてきていただいて、その上で、畑の収量を上げようじゃないかというようなことで御努力をいただいた結果、一つの結論として今のそういうような実態があると私は思っています。

 そういったところが、もう一回田んぼに戻さなきゃいけない。まあ、できるかもしれないけれども、物すごくお金がかかるんじゃないか。もう一回、均平を取らなきゃいけない、畦畔をやらなきゃいけない、そのための機械を入れなきゃいけない。あるいは、実際に水田を作るためには、そのためのトラクターというか様々な機械も必要です。

 そういったことをこれまでやってこなかった。ということは、戻すために相当お金がかかってくるんだ、これも一つの実態です。また、実際にこうなってくると、なかなかもう戻せないな、これから先できないかもしれないな、そう思っていただいているところも、たくさん実は声を聞いています。

 そういった皆さんとか、あるいは、これも副大臣触れていただいたんですけれども、ブロックローテーション、これはもう大事なことかもしれません。ただ、大規模化していく、特に北海道なんかそうなんですけれども、五年でというのは実は厳しいんです。お話を聞いていると、農業者の方が言っていることをそのままお伝えをさせていただくと、八年だったり十年でローテーションを回していく、それだったら対応できるのに、五年ではきついんだというところもたくさん聞いております。

 そういった実態というのかそういった声が私のところにも届いておりますが、恐らくは、農水省や大臣、副大臣のところにもこういった声は届いているんじゃないかと思います。いわば、農水省の方針に従ってブロックローテーションをやっていこうじゃないか、ただ、五年ではきついんだ、そんな声もあると思います。

 そういった輪作体系、あるいは、この方針に従おう、あるいは、従うために、例えば巨額な投資が必要なんだ、あるいは、こういった輪作体系、この五年では厳しいんだ、そういった声を聞いていると思うんですけれども、こういった声に対しての大臣の所感はいかがでございましょうか。

平形政府参考人 大臣の指名のところ、済みません。

 私、今細かいいろいろ現場からの声を紹介しなかったのは、我々もいろいろ把握はしておるんですが、それが全体の中でどのぐらいあるのか。我々が聞いているのがある程度局所的なことかもしれませんし、どのぐらいの中でのものなのかということがなかったので、一個一個、実はつまびらかに紹介はいたしませんでしたけれども、今、神谷先生がおっしゃられたようなことは、北海道の道の関係者の方々、それから北海道以外の方々からもいろいろお話を伺っておりますので、そういった問題点については我々も承知をしているところでございます。

 ただ、その中で、今水稲の作付ができる水田については、今年といいますか、令和四年産からすぐこの水田活用の交付金がなくなるわけではなくて、五年間というふうに我々は今設定をしておりますけれども、この五年間というのはなぜかと申しますと、いろんな農業試験場、あるいは具体的に農業をされている方の連作障害についての研究、いろいろあります。

 その中で、大体、麦でも大豆でも三年連作をすると一割は収量が減る、大体、三年、あっ、五年間たつと三割ぐらい収量が減ったり病気が発生する、そういったいろんな試験的な結果もあることから、我々としては、一応、一つ、五年間というのをめどに方針を出させていただきました。

 ただ、北海道の方から話を聞きますと、八年間だとか六年間だとか、いろいろおっしゃられるので、その実態の把握というのはまさにこの五年間の検証の機会にさせていただこうと思っておりますし、その間にどんな作物でこの八年とか六年とかを回していらっしゃるのかと。

 そのときに、畦畔は水が流れない状態にしてどうやって維持をしていったり、あるいは本当に水路の維持管理、どんなふうにされているのか、そういう現場の実態もよく話を伺いながらよく検証していきたいというふうに、そう考えているところでございます。

神谷分科員 実際にそういう声が届いているということだけでも、少し安心をいたしました。

 聞いていただいて、実態を把握されている、把握しようとしているというのがこれからなんだと思います。

 実際に、そういった意味で、そぐわないところって多分あるんだと思うんです。その上で、今この方針で出されたので、そこを何とかしていこう、何とか徹底しようじゃないかというお気持ちは分かります。ただ、実態に合わないとなったときには果断にやはり判断をしていただかなければいけないと思いますし、先ほども申しましたけれども、決して農水省は農業者を、まあ、いじめるという言い方は非常におかしい言い方なのであえてしませんけれども、やはり農家に経営していただかなきゃいけないわけでございますから、そこをやっていくために現場の判断としては、やはり五年でも厳しいんだと。

 今、連作障害の話もされましたけれども、逆の言い方をしますと、転作を、まあ、田畑輪換でもそうなんでしょうけれども、変えてすぐは、すぐに収量が見込めないとか、品質も余りよくないんだ、実際に物が取れ出すのは二年目、三年目以降なんだ、そういうようなこともあって、三年で回すとなると、あるいは、やっといいものが取れ始めたらすぐに転換みたいなこともあるので、実はこれも余りよくないんだという声も聞いているところでございます。

 いずれにしても、そういったところは今後しっかりと受け止めていただかなければなりませんし、その上で、これはもう果断に判断をしていただかなきゃいけないと思います。そういった農業者の声、絶対聞いていただいているという認識ではあるんですが、その上で、今やり取りを聞いていただいた上で、大臣、もし所感があればお願いをします。

金子(原)国務大臣 今局長からお話がありましたように、それぞれからいろいろな意見が出ておることは確かだし、また、地域によって実情が違うと思うんですよね。

 そういった中で、我々は、平成二十九年でこの方針を打ち出したわけですから、やはり決めたことはちゃんとやっていかなきゃいかぬ。それが結果的には水田を守ることになってくるわけでございますから、今日での需給のバランスというものを考えていった場合に、どうしてもこれは取り組まなければならない課題だというふうに思っております。

神谷分科員 大臣、決めたことは守らなければいけない、それは分かります。ただ、実態に合わないときには果断にやはり判断をしていただかなきゃいけない部分があるんじゃないかという話をしています。

 というのは、方針はそのとおりというか、農家の方も何とかその方針にしっかり従ってやっていこうじゃないかと思っているけれども、現実の問題としてなかなか難しいんだと。例えば先ほどの大規模農家のブロックローテーションなんかもそうなんですけれども、そういったところがあるんだということ。そういったときには、当然、これは役所の判断というよりは政治家の判断として、大臣、副大臣、しっかりとそこを、方針を変えろということではなくて、現実に対応できるような、政策変更というよりは、いわば遊びの部分というのか、そういった判断も必要ではないかというお話をさせていただいています。

 そこの部分は、多分思いは変わらないと思うんですけれども、いかがでしょうか。もう一度。

金子(原)国務大臣 現場の声を聞いてということですけれども、先ほどから局長さん、お話をしていますので。

 現場の課題がいろいろあると思いますので、その話を聞いた上で、こういったブロックローテーションが非常に困難であるかどうかということも見極めながら、いろいろな意見を聞いた上で、また、役所の考えも聞いた上で、我々としては今後判断をしていきたいというふうに思っております。

神谷分科員 ありがとうございます。

 是非、今すぐにということではありません、何回も言いますけれども。この五年間の間に、今、局長も大臣もおっしゃっていただいておりますけれども、実態に合わないということが、あるいは、実態というのか、農業者の方が経営を安定させるためには、もう少しこうした方がいいよというアイデアがあったときには、是非果断に取り込んでいただきたいと思いますし、そういう修正は是非いとわないでやっていただきたい、このように思います。

 また、この五年間をかけて様々議論をしていかなきゃいけないということは、議論というのか、実態をしっかり見ていただいて、それに対応していただくようにやっていただかなきゃいけないというのはその論をまたないところなんですけれども、それと同時に、今すぐでも考えていただかなきゃいけないことが私はあると思っています。

 要は、この方針そのもので、戻す、戻さないということもあるんですけれども、それに、副次的にというのか、副反応というのか、そういった様々な課題がもう既に、様々出ているというふうに理解をしています。

 例えば、一例を挙げれば水利費の支払いです。実際にもう畑に戻したとなると、今後、水利費が払われないなんというところも出てくるかもしれません。そういったことによって、ひょっとすると、土地改良区、経営そのものが厳しくなっていく、そんなこともあるんじゃないか。

 あるいは、御案内のとおり、水田、田と畑では評価額は大分違ってまいります。田が畑になることによって評価額が下がると、単に農地の値段が変わるというだけではなくて、例えば与信の問題ですね。田んぼ、畑、土地、農地を担保にお金を借りている、そうしたら、一気に与信額が減っていく。そうなったときに、例えば、田んぼから畑になりました、そうなるとお金も借りられなくなる。年末、お金を返しなさいなんという話も出てくるんじゃないか、もう経営を続けられなくなるんじゃないかであるとか。

 あるいは、農地の評価額が変わることによって、例えば流動化。もうやめるとなった、この農地はもう田んぼではなくて畑だから、評価は下がったので、この値段では当然引き取れないし、水田活用が交付されないような農地だったら、これは引き受けられない、そんなようなことが出てくるんじゃないかとか、そういったことは、五年間待っていたらいけない話だと私は思っています。

 だとするならば、こういった副次的な反応については、なるべく早く、しっかりと、大丈夫だという方針あるいはメッセージ、これを出していただかなきゃいけないと思うんです。

 先ほど局長もおっしゃっていたとおり、様々なところで話を聞いていると思いますし、いろんなところで検証作業もやっておられるんじゃないか、あるいは検討もされているんじゃないかと思うんですが、これについて、なるべく早くやっていただかなきゃいけない副反応についてどうお考えなのか、お聞かせください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 神谷先生、今、多分、副大臣、大臣に問われたんだと思いますが、ちょっと技術的な面もあるので申し上げますと、今、水田活用の直接支払交付金の交付対象水田について申し上げておりまして、交付対象水田というのは、まさに水田活用、主食を作るか、あるいは麦、大豆を水田で作るかという交付金なんですが、それの対象にするかどうかという問題がまずあるんですが、それと地目とは必ずしもリンクするものでございません。

 もちろん、交付対象水田でなくても、地目上、田になっているものもございますし、評価額はまさにそれに応じてあるので、交付対象水田かどうかというのがどのぐらい本当に、評価額だとか、今おっしゃられたような経営の中での担保だとか、いろんなものに影響するかどうかというのは、まさに現場そのものの話になりますので、すぐというお話なんですけれども、それこそまさに実証的にいろんなものを把握して、その上で考えるべきで、これは、もしかすると水田活用そのものの問題ではない問題にもなってくるかと思いますし、そういったものというのは、やはり一個一個整理して、それから必要な対策というものを考えていくということが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。

神谷分科員 局長、それはそのとおりなんです。ですので、さっきから申し上げているように、これは水田活用交付金だけの話ではなくて、副反応としてこういったことも想像される。あるいは、現実に現場の農家の皆さん方からそういうお声が上がっているし、現に相当不安に思っておられる。例えば、農業委員会、そうでしょう、あるいは、土地改良区もそうでしょう。相当いろんなところで、そういった、本当に大丈夫なのかというようなことで声が上がっているのは事実だと思います。

 例えば、先ほど、農地、要は水田にもう戻せないというようなところ、あるんじゃないかというお話もさせていただきましたけれども、そういうところというのは、大体、中山間地だったり条件不利のところが多うございます。そういったところは、もう畑でやっていくしかないよねという判断もあると思います。

 そういった中で、これまで、そういったところであっても、例えば水利費だけは払ってきた、水田活用交付金、当たるためには、当然、水利費を払う必要がありますから。ただ、今後、もう畑だらけになるわけだから、もう水利費、要らないよねなんというところだと、本当に土地改良区、中にはやっていけなくなるところ、出てくるんじゃないかというようなことも言われております。

 現実に、局長おっしゃられるとおり、様々な分析、必要ですし、実際にそういったことが起こり得るのかどうか、しっかり検証しなきゃいけない。そのとおりかもしれませんが、実際に起こってからではこれは遅いんじゃないかと私は思います。実際にそういった土地改良区はもう頓挫しましたなんというニュースを私は聞きたいとは思いません。

 ですので、本来、こういう政策に当たって、いろんなことを考えなきゃいけないのは当然だとして、そういったこと、周辺についてもしっかり目配りをする必要があると思いますし、この目配りをすることが決して事後的になっては私はいけないと思うんです。

 まして、これから五年間というよりはすぐに、もう既に、農業者の間では、農地の移動が難しくなるんじゃないかであるとか、この土地、五年から先、例えば高齢者の方で農地をやっているけれども、五年から先はもういいやなんという声も上がっているところです。そういったところであるとか、例えば土地改良、これから整備していかなきゃいけない。中には、地目が畑地化する、果たしてまとめていけるのだろうかとか、様々な声、上がっていると思うんです。

 そういった声に、これは実際には起こり得るはずないですよということは言ってもいいのかもしれませんが、ここは、農林水産省なんですから、しっかりと農業者のそういった思いを受け止めていただいて、いや大丈夫です、こういう施策があります、あるいは、こういったことは発生しないように努力をしています、様々なメッセージはあると思うんです。

 ですので、施策だけではなくメッセージでもいいんですけれども、そこは、この水活がなくなる、あるいは、もうもらえなくなるんじゃないかという方々にとってだけではなくて、その周囲の、農村という一つのコミュニティーにおいての様々な問題、課題というところが出てきていると私は思うので、ここについてもしっかりと、これは早急に手当てをすべきだと私は思うんです。

 五年間の間で、この水田活用交付金が外れるということについて、当然、経営的な影響がある。これについてはこの五年間でしっかり考えていけばいいんです。ただ、すぐに起こり得る、例えば、まあ、例えばばかりで恐縮なので余り言わないようにしますから、実際に起こり得る、それもすぐに起こり得るであろう、そういった懸念に対しては、すぐにというよりは、もう現実に今、農村現場で騒いでいるわけですから、こういう方々に対してのメッセージだけはなるべく早く出していただきたいと思います。

 そういったことについて、改めてもう一度、平形さん、答弁ください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 神谷先生おっしゃられたとおり、とにかく現場で起こることは、なかなかこちらが想像しているよりもいろんなことが起きているのかもしれません。

 そういったところで、我々としては、単に都道府県あるいはJAさんとだけではなく、まさに農家の方それぞれ、しかも、土地改良ですとか中山間ですとか、いろんな課題についても御意見をいただいて、それに対して私の局以外も含めて農林水産省全体の中で課題は共有をして、いろんな局と連携をしながら、方針としましては、日本の農業をしっかりやっていただいて、しかも需要に見合った生産をやっていただく、そういったことが続けられるように、いろんな施策について各局と連携して考えていきたいというふうに考えております。

神谷分科員 大臣、今お話をしましたとおり、独り農産局あるいは水田活用交付金だけの話ではないというふうに思うんです。

 ですので、全省を挙げてこの問題には対応していただかなきゃいけないと思いますし、あるいは、そのために農業者の思いにしっかりと耳を傾けていただいて、あるいは、今現実にどういったことを皆さん方お考えなのかということを受け止めていただいて、農林水産省として、全省を挙げてこの問題に対応する、あるいは農業者の皆さんの思いに応えていくんだということ、これを是非お願いをしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 大変、今日は貴重な御意見を伺いましたので、この意見を踏まえまして、今後、私たちとしても十分に注意を払いながら対応していきたいというふうに思っております。

神谷分科員 大変ありがたい答弁だと思います。是非、農業者に対して同じようなメッセージをどんどん出していただけるとありがたく思っているところでございます。

 今、副反応のお話をさせていただきました。この副反応については、できるだけ早くというのか、今申し上げたとおり、農業者の不安にしっかり応えていただきたいというふうに思います。

 ただ、それと同時に、この水田活用交付金、やはり農業者にとっての大変大きな経営の柱であるということは間違いのないところだと私は思います。だとするならば、この水田活用交付金がもらえなくなるんじゃないかということが大変大きな問題となったわけでございますし、先ほど、もらえないところにとってみれば不公平じゃないかという声があったというようなこともあるようでございますが、ともすると公平、不公平の話があるのかもしれませんけれども、水田活用交付金をもらえなくなることによって直ちに経営が厳しくなるという農家もかなり私はあるんじゃないかと、正直、いると思います。

 ただ、じゃ、水田活用交付金の世界の中で支えていけるのかというと、農水省さん、あるいは、政策の在り方としてこの制度ではもう難しいんだということがあるのかもしれません。だとするならば、例えば、畑に対しての支え、支援というのか、これが必ずしも十分なのかどうか、そういったことも点検をしていただきたいと思いますし、例えば、そういった畑についての支援が万全なものであるとするならば、水田活用交付金の世界を離れて、どんどんどんどん畑地化も進んでいくんじゃないかと私自身は思うんです。

 本来、この政策の目的は、御案内のとおり、転作を支援をし、なるべく主食用米を作らないことに協力をしていただく。ただ、主食用米並みにやはり所得は確保していただかなければいけないという方針があったんだと、私は元々理解をしておりました。だとするならば、せめて、水田活用交付金は外れるけれども、畑の中では私はこういうふうにしっかり経営ができるんだという絵姿をしっかりとお示しをすること、むしろこちらの方が大事なんじゃないかと思ったりもいたします。

 そういった、これからどうやって畑を支えていくのか、あるいは、言ってみれば、この国の農村を支えていくのか、その所得確保の在り方、経営の在り方、これについて、むしろこれはこの五年間でしっかり議論をするべきではないか、あるいは、五年間かけなくてもいいです、なるべく早くという意味でございますけれども、ここの部分、非常に大事だと思うんです。

 この所得確保についてどう考えていくのか、水田活用交付金、特に外れるようなところについてどう考えていくのか、そういうことについて、改めて伺いたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 神谷先生の御指摘のところでございまして、元々この水田活用交付金は、作物の転換ということを申し上げておりますけれども、やはり需要に見合った生産というふうになっておりまして、主食用がこれだけ経常的に減少する中で、作物の転換ということをやってきております。

 水田活用交付金の中には、畑地化の支援のものもございますし、特に最近は、高収益作物として野菜ですとか果樹だとか、そういったものに関しては五年間にわたり交付金を、畑地化しても払い続ける、そういうような制度も入れているところでございます。

 一方、じゃ、畑地化した先というのは、これもどうかと申しますと、これもやはり需要に見合った生産、これをやっていただかなければいけないというふうに思っております。

 政策的に支援はもちろんそうなんですが、まず国民に喜んでいただけるものをやはり作っていただく。それに、需要に見合った生産を進めていけるような政策を農水省としてはやってきたつもりですし、これからも、そういう観点でやっていきたいと思っております。

 もちろん、畑作につきましては、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ等のゲタ対策もございますし、甘味資源対策もございます。ただ、これらの作物についても、やはり需要に見合った生産、これを進めていくということが大前提でありますし、そのための後押しをするような、そういった政策を充実させていきたいというふうに考えております。

神谷分科員 そろそろ、もう時間ですので終わりにしたいと思うんですけれども、是非、需要に見合った生産なら需要に見合った生産でもいいんです。ただ、やはりこの先、畑地化した後に、もう何もないんだという世界では、なかなか皆さん行きたいとは思いませんし、あるいは、水田活用交付金から外れるということは恐怖でしかないということになりますので、是非、農家がやめないという意味においても、その行った先にも温かい支援があるんだということ、これが本当に大事だと思いますので、そのことによってこの方針が徹底されると思うので、是非そういったことも、大臣、副大臣、御考慮をいただいて、あるいは平形局長、是非この辺をお願いをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾主査 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原(稔)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。国光あやの君。

国光分科員 茨城六区選出の国光でございます。

 今日は、貴重な機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私の地元の茨城は、農業生産額第三位の農業県でございまして、先日も、金子大臣が私の地元のつくばに、ちょうど農研機構がありまして、お越しをいただきまして、御一緒に視察をさせていただきました。本当にありがとうございます。

 しっかり、地元茨城と、そして全国の農業を支えるべく、まず大臣に御質問させていただきたいと存じます。

 農研機構に大臣がお越しになられましたときに、大臣と御一緒に、無人の田植機、いわゆるスマート農業ですね、無人の田植機や耕運機などを御一緒に拝見をさせていただきました。やはりスマート農業は非常に、今の岸田政権のデジタル田園都市構想や様々なICT関係の施策の中でも重要でありますが、一つの課題、これは大臣も御指摘を当日されておられましたけれども、やはり高いんですね、まだ。

 農研機構さんも、無人の田植機や耕運機はもう十年近く研究をされておられまして、やっと実用化も次々と進んではいるものの、やはり、耕運機や田植機が数千万のお値段がまだするというふうな状況もございました。大臣も、ちょっと高いなということで、おつぶやきになっておられましたけれども。是非、よりマーケットを広げ、そして価格を下げ、しっかりスマート農業の極意を、津々浦々に、日本、そしてさらには海外展開も含めて推進していくことこそが、やはり日本の農業の強み、そしてまた、地元つくばにせっかくあります農研機構の研究者の皆さん方のイノベーションのまさになせる業だと思っております。

 大臣、スマート農業の価格の低コスト化、是非その所見をお伺いさせていただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 昨年十一月に農研機構をお伺いしましたとき、国光議員にも同席をいただきまして、一緒になって、今お話がありましたように自動運転田植機、その後もいろいろなものを見せていただいたんですよ。値段を聞いてみると非常に高いので、一農家でそれを購入するのはなかなか難しいなと。

 したがって、これは相当コストを抑えることを考えていかないと、やはり、せっかく造ったいい機械であっても普及しなきゃできませんので、そういった話をさせていただいている中で、農林水産省の中では、シェアリング等を行う農業支援のサービスの育成や、センサーで把握したハウス内の栽培管理データを産地で共有することなどによる経営の高度化などの取組を進めてまいりたいということで、今いろいろと話合いをさせていただいているところでございます。

 また、海外への展開におきましては、スマート農業技術の海外での実証や、市場等の調査や分析を行っているところでありまして、これらを通じまして、スマート農業の現場での活用を加速し、農業の成長産業化を今後図ってまいりたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 大臣、大変ありがとうございます。是非、茨城も、そして大臣の御地元の長崎も、スマート農業の恩恵にあずかり、しっかり、日本の成長と、そして農業の基盤づくりがウィン・ウィンとなって進むように、しっかり御支援をお願いできればと思います。

 また、これは意見だけ申させていただきたいと思うんですが、一つ一つの機械が高いというところで、例えばJAさんやそして様々な民間企業が、例えばドローンで農薬を散布をするような、そういう事業も非常に、ドローンの農薬散布は進んでおりますけれども、やはりなかなか、機械が大きい耕運機や田植機はそこまでまだビジネスとして成熟していないということがございます。是非、その辺りは農水省からも、できればつくばのイノベーションを活用いただいて、実用化、そして皆さんが手が届きやすいマーケットの拡大、是非御尽力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、土地改良の関係でお伺いをさせていただきたいと思います。

 私の地元は、ちょうど霞ケ浦という湖がございまして、ずっと戦後からこの霞ケ浦の水を、周りが平地でございますので、川からなかなか取水することも限界があったため、戦後、霞ケ浦の水を引いて、ポンプアップしてそれを流して耕作をされているということをずっと続けております。

 今、直面して非常に困っている課題があります。これは、ほかに湖の周辺で耕作をされていらっしゃる、例えば琵琶湖などの周辺も同じ課題なんですが、電気料金、電気で水を引かないとなかなか難しいわけですけれども、原発事故以来、電気料金が非常に高騰していて、ここに照っている電気も、大体、震災前のまだ一・五倍程度、なかなか電力の自由化といっても価格が下がらないなというところがありますけれども、非常に高騰しております。

 大量に使う農業用の電力は、普通の電力よりも価格を、小売価格規制といって、少し、産業用の電力ということで小売価格の規制を入れて、普通の電気料金の大体二、三〇%ぐらいは安めに設定をいただいて、これは前回、予算委員会で私も質問させていただいて、本当は一昨年に廃止してちょっと価格が上がるところだったのを、継続をしていただいております。

 それでも、やはり、使う電気料金がほかの地域と比べて圧倒的に非常にボリュームがあるものですから、大体、私の地元の霞ケ浦周辺や滋賀の琵琶湖の周辺ですと、賦課金の約七割近くが電気料金だというふうな状況で、非常に農家の皆さん方は苦慮しておられます。

 こちらについていろいろ調べましたら、例えば、インバーターを交換するときなど、より省エネタイプのそういう機械を導入して、いわゆる省エネで、なるべく昔の機具から更新をして電気料金を抑えていく、そういう補助もあるわけなんですが、余り知られていないようで、ほとんど実際に使われておりません、これらの地域で。

 是非、その部分、なかなかやはり、土地改良区、一つ一つの事業者様、申請の、周知のお知らせなりチャンスであるとか、実際に申請をなさる手続等、まだ苦慮されているところもありますので、是非農水省さんのお力をいただきまして、実際に困っておられる土地改良区の皆様方が使えるものはきちんと使えますというところをつないでいただけるということを、是非、私も頑張ってまいりたいと思いますが、御協力いただきたいと思います。

 是非、その辺り、御回答をお願いいたしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 土地改良事業の中で、特に、造りました用排水機施設、委員御指摘のとおり、大変これは電気料金が高くかかるというような施設でございまして、昨今の電気料金の高騰によりまして、農業水利施設の維持コストの増大というものが懸念をされているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、ポンプのインバーター制御、今御指摘いただいたとおりでございますけれども、こういった省エネルギー化施設の導入、整備への支援を行いますとともに、導入に向けて参考となるような省エネルギー化対策に関する手引書、事例集、こういうものも作成をいたしまして、周知を行っているところでございます。

 さらに、令和四年度からは、土地改良区を対象といたしまして、省エネルギー化に向けた研修会の開催あるいは現地指導の実施に係る予算というものも措置しておりまして、これらを活用いたしまして積極的な周知というものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 令和四年度の予算で、実際の実地指導などを、より効果的に行き渡る支援を入れていただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。私も、以前からこの問題を言い続けていた者としては大変うれしく思っております。

 是非、そのときに、やはり、それらの、例えば茨城の霞ケ浦周辺や琵琶湖の周辺などでは実際まだ余り使われていないようですが、それ以外の地域ですと、例えば山形の辺りだとか新潟の辺りだとか、実際にインバーターを更新されて電気料金が何と三割減になりましたというようなところも実際、好事例でございますので、是非その辺りの好事例の横展開、やはりピアレビューというような横展開が一番、皆様が実際に、自分でもできるんだということを実感していただけると思いますので、是非、しみる御支援をいただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、また、今、直近で直面している課題でございます。

 ちょうど今お配りをしております要請書、これは、私の地元の茨城県の農政連の方から御要望いただいている、これはついおとついいただいたものでございます。野菜の価格が今非常に下落をしていて、かなり大変な状況になっている、それについての緊急要請でございます。

 私の地元も、白菜であったり、あるいは大根であったり、コマツナであったり、やはり茨城県、非常に、農業生産額第三位の県でございますので、大変、この野菜の価格の低迷については苦慮をされておられます。

 やはり、原因としては、今オミクロン株、本当に激しい状況となっておりますので、どうしても外食等の需要が減ってしまうということや、あるいは、外国人材などが不足して、作る方のコストがかかってしまうというようなことなど様々な状況で、結局非常に収入や手取りが今減少している、本当にかつかつの状況でございます。

 こちらにつきまして、是非、緊急的な御支援ということで、野菜の価格の安定制度など、せっかく設けておられるわけでありますので、しっかり行き渡るように御支援をいただきたいと思いますし、そしてまた、加工の原材料を輸入のものから国産のものに替えていただく、あるいは、一方で、野菜が欲しいと思っている国内の方々もいらっしゃるわけです。例えば子供食堂なども、私も、地元の全ての子供食堂、毎月お伺いしていますけれども、やはり葉物野菜が欲しいとおっしゃるんですね。

 そういうところにきちっと行き渡り、やはり食品ロスの観点でも、せっかく作った白菜を潰さなければいけないとか、大根を潰さなければいけないとかという農家さんのお気持ちも相当なものだと思います。

 是非、燃料価格の高騰も含めて、非常に厳しい部分がありますので、実効性のある御支援をお願いをしたいと思いますので、是非その部分を御回答をお願いできればと思います。

平形政府参考人 お答え申し上げます。

 野菜につきましては、需要に応じた計画的な生産、出荷に取り組むことで価格の安定を図っていく、これを基本にしております。

 このため、国としましては、野菜価格安定制度におきまして、一つは、野菜の需給の見通しを示すということ、それから、需要量に応じた適切な生産計画の策定と計画的な出荷、これを推進しているところでございますが、どうしても予期せぬ豊作等、起きることがございます。

 このため、委員御指摘ございましたけれども、子供食堂それからフードバンク等への無償の提供、こういったものも支援しているところでございます。また、加工用途への転換等の取組に補助金を交付して出荷量を調整する緊急需給調整事業、これを実施しているところでございます。

 また、市場価格の大幅な低落時には補給金を交付して、経営を下支えすることで再生産の確保を支援するということで、野菜価格安定対策事業、これも実施しているということでございます。

 今日、議場配付資料ということでいただきまして、これについてちょっと短くコメントだけさせていただきたいと思っております。

 まず、要請の一の前段のところでございますけれども、確かに野菜は、作付後に、気象条件によって出荷量ですとか出荷時期が計画より、例えば、少し、後半になってから天気がよくなったので、前の出荷、産地のところのものが多く実は市場に残っているとか、あるいは、天気がよくて、次の出荷、産地のところから先に物が出てきてしまう、そんなことが起きることがございますので、このような産地切替え時におきまして価格低落が発生した場合には、緊急需給調整事業の対象として、この価格低落の抑制、これを図ることとしております。

 また、要請一の後段のところに関連するんですけれども、今年度から運用の見直しを行いました。それによりまして、この緊急需給調整事業に系統外の出荷団体等も参加できるようにいたしました。JAグループと協力した需給調整を行えるように、連携体制の構築、これを促してまいりたいというふうに考えております。

 それから、要請の二つ目に関連することなんですけれども、野菜の需要量につきましては、六割が加工・業務用なんですが、そのうちの三割が輸入品となっております。この国産への切替え、これを進めるために、一つは、水田を活用した新たな加工・業務用の野菜の産地の育成とともに、契約栽培によって青果用から加工・業務用への転換に取り組む産地の育成、これに対しての支援も行っております。令和四年の予算においても、野菜支援対策として十・二億円を計上しているところでございます。

 以上です。

国光分科員 ありがとうございます。

 まさに、緊急的な要請に対して緊急的な様々な対策をしっかり講じていこうという御姿勢、本当にありがとうございます。非常に励みになろうかと思います。

 一点、お願いなんですけれども、やはり、特に御省の政策の関係、せっかく事業があるのに肝腎の農家さんが余り知らないとか、よくございますよね。余り当の農家さんが知らないであるとか、あと、やはり、二分の一負担を例えば自治体、市や県などのほかの関係者がお持ちになるときに、少なくとも市や県はできたら裏負担なども御用意をいただきたい部分もあろうかと思うんですが、余り対応できていない市は本当に対応できていなくて、せっかく国の事業があって使いたい農家がいらっしゃるのに、裏負担の部分、市や県の手出しの部分がなかなか措置されず結局使えませんでしたというものもやはりかなり耳にしております。

 是非、その辺り、普及啓発を、本当に、ナッジ理論などを使って、行き渡るように、きちっと浸透させていただけるように、是非お願いを申し上げたいと思います。

 そしてまた、お尋ねでございます。

 特に、価格や収益の部分で非常に厳しいという品目で、イチゴなどの施設園芸の関係がございます。これはやはり、燃料を非常にビニールハウスなどで使いますものですから、今の燃油価格の高騰で非常に厳しい状況となっております。

 こちらについても、一番どんぴしゃりな事業で、施設園芸等燃油価格高騰対策事業という対策事業を既に設けておられますけれども、二つございまして、やはり、いざ、例えばイチゴ農家さん、私の地元もかなりの数、百農家さん以上もあるんですが、実際に、これは、基金で積み立てて、元々各農家さんも積立てしていないと使えないわけなんですけれども、三分の一ぐらいの農家さんは、やはり、実際知らなかったし、使えていないというような状況になっているようでございまして、是非この辺りの周知もお願いしたいと思いますし、また、しばらくこの燃油の高騰は続きますでしょうから、令和四年度についても是非お願いをしたい。

 基金事業ですから大丈夫かとは思いますけれども、是非その見通しや工夫についてお伺いをさせていただきたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘ございましたけれども、農家へのいろんな補助事業の周知について十分でないところがあるということについては、大変反省をして、しっかりこれは現場によく伝えたいというふうに思っております。

 今御質問にありました施設園芸等燃油価格高騰対策事業なんでございますけれども、もちろん本年度も実施しておりますが、募集を始めてから農家の方に浸透するまでにやはり時間はかかっておりまして、今年度も、一次公募の後に二次公募、三次公募、三次公募も実はまた更にそれを延長して、十二月の半ばぐらいまで実は募集期間を長くしていろいろ募ったということがございますので、いろいろ状況に応じて、今年度、それから来年度についても取り組んでいきたいというふうに思っております。

 同対策は、計画的に省エネルギーに取り組む産地を対象に、農業者と国であらかじめ積み立てた資金から補填金を交付する事業となっております。

 本事業の国費分については、委員おっしゃったとおり基金として造成されておりますので、これを用いて、令和四年度の事業についても引き続き実施をしていきたいというふうに考えております。

 具体的には、燃油高騰時に、平年価格との差額と農業者ごとの実際の燃油購入数量に応じて補填金を支払う、こういう事業なんですけれども、燃油の使用量の多い十月から翌年六月までを事業対象期間として実施するというふうに考えております。

 具体的な募集時期等の詳細につきましては今後検討していきますが、十月の事業開始に向けて、多くの農業者の方に加入していただけるような十分な期間を取って募集を開始したいというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 本当に今一番苦しんでいらっしゃる品目のイチゴやビニールハウスを使う施設園芸等、本当にそのとおりだと思いますので、是非よろしくお願いできればと思います。

 そしてまた、続きまして、野菜の価格の下落なども、対策としてしっかり、例えば輸出を進めていってマーケットを拡大し、余り国内の状況などに左右されないというところ、輸出の拡大によってのマーケット拡大、非常に重要かと思います。

 私の地元も、茨城県ですので、やはり福島県の第二原発の影響というのは依然続いております。輸出の規制についても、当初、原発事故の後、五十五か国が規制をされて、それで、現在までに四十一の国・地域が十年たちまして規制を撤廃をしていただいておりますが、ただ、中国など十四の国・地域は規制が続いているという状況にございます。

 例えば、近くの台湾も、ずっと規制を続けていたんですが、つい先日、初めて規制を、キノコ類以外は輸入を開始するということで、輸出規制を撤廃するということで、やはり放射線のいろいろ検査書などは必要となっているんですが、初めて動いていただけたわけであります。それもやはり台湾と我が国の、本当に政治のリーダーシップ、関係性の下かというふうに思っておりますけれども、是非、特に茨城県や福島では切実な問題でございますので、政府としても、外交努力、そしてまた農水省さんのお互いの関係性や関係者の関係性などにおいて、是非、輸出の規制の撤廃、力を入れて進めていただきたいと思います。

 是非、この意気込みをお伺いさせていただきたいと思います。

渡邉政府参考人 委員から原発事故に伴う日本産食品の輸入規制についてお尋ねがありましたので、お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございますけれども、原発事故に伴います日本産食品への輸入規制につきましては、事故後に輸入規制を導入した五十五の国・地域のうち、昨年九月に米国が撤廃したことを始めまして、現在までに四十一の国・地域が規制撤廃をいたしましたが、依然として、中国や台湾を含む十四の国・地域が日本産食品に対して規制を維持をしております。

 しかしながら、規制対象となっております日本産食品の安全性は科学的に証明されておりまして、日本産食品に対するこうした輸入規制については、科学的知見に基づいて早期に撤廃すべきというのが我が国の立場でございます。

 農林水産省といたしましては、外務省その他の関係省庁と政府一体となりまして、あらゆる機会を捉えて、早期の規制撤廃に向けて、より一層働きかけを行っていきたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。是非お願いをいたしたいと思います。

 なかなか難しい課題はあろうかと思うんですが、是非強調させていただきたいのは、私自身、実は元々内科医でございまして、やはり低線量の放射線の被曝の健康影響ということは、ずっと実は研究もしてまいったことがございます。明らかに、日本の放射線の基準値は、国際的にも、もうここまで、これ以上ないというぐらい保守的といいますか、非常に安全性の高い基準にしているわけでございます。ですので、それを受け取ることが難しいわけはないであろうというのが科学的な、本当は、インプリケーションといいますか、知見のまさにエッセンスだと思います。

 なかなか、風評的な部分や、やはり空気的な部分で難しいところはありますけれども、元理系であり内科医の私としては、科学的なエビデンスに基づいた、自信を持った誇らしいPRを是非進めていただきたい、これを切にお願いを申し上げたいと思います。

 そして、こちらは、今度は意見だけ、お願いだけ申し上げたいと思います。

 農水省の所管である厚生連の病院、私の地元にも、土浦の協同病院という病院や、とりで医療センターという病院、非常に大きな五百床近い病院がございまして、実は、二年前のダイヤモンド・プリンセス号の頃から、全国、なかなか引受手がなかったところを、患者さんを、プリンセス号の患者を受けたり、一生懸命、今も、この今も診療を続けているわけでございます。

 ただ、なかなか経営がやはり厳しい状況があって、それについては、空床確保料など様々な支援でやっと解決、ある程度、単月のキャッシュフローが黒になるぐらいはいたしましたが、今直面して困っておられるのは、これは厚労省と是非御連携いただきたいと思いますけれども、ちょうど処遇改善の事業が始まったわけでありますが、看護師さんのみに手当てをし、それで、ほかの職種、例えば、やはりチーム医療ですから、実際は厚生連の病院の中にも、理学療法士の方がいたり、それからほかの看護補助者の方、介護士の方、あと例えば介護支援専門員、ケアマネジャーと言われる職種の方ですね、様々いらっしゃるわけですが、なかなかその辺りの職種に行き渡ることが難しく、非常に苦慮されているということがございます。

 是非、これは、やはり人手不足であって、さらに、処遇が看護師さんと同じぐらい、特に厳しいという状況は改善していけるように、政治の立場から私どもも頑張っていかなければいけないわけでありますけれども、是非、厚労省と連携をして、厚生連の病院をお支えをいただければ幸いであるかと思います。私どもの地元は、厚生連の病院がなくては地域医療が回らない、そういう状況でありますので、是非よろしくお願いいたします。

 最後に、環境省にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、私の地元つくばにも、農研機構さんのすぐ近くなんですけれども、国立環境研究所さんがあって、まさに今、気候変動の、本当にリードする、様々なすばらしい研究をされていらっしゃいます。

 ただ、一つやはり課題があって、これは確かにと、伺うと思うんですが、農研機構さんもそうなんですけれども、とにかく古いんですね。もう五十年近く、建物も老朽化していて、本当にびっくりするような、雨漏りの中研究しているとか、雨漏りのせいでパソコンが壊れたとか、電気設備が止まって停電して、いろいろ大事なサンプルがオジャンになったというようなことも実際あられます。是非この施設整備を進めていただきたいと思うんですが、一つお願いを申し上げたいことが、これを御質問させていただきたいと思います。

 やはり今、ちょうど、例えば大学などでも、世界に伍する大学ということで、特に外部資金をしっかり取りに行って、やはりある程度、もちろん国が運営費交付金などで公的に支援はするけれども、それだけじゃない、自立的にしっかり大学や国立研究所がランニングしていく、それをやはり支援していくということは非常に重要なことだと思います。なぜならば、海外はやっているからであります。

 その部分につきまして、国立環境研究所、やっと最近寄附を始めましたということで、QRコードなどを見せていただいたりしたんですけれども、是非、その辺りの、施設改修になるべくそれを使いやすくする、進めていくためにも、国の支援のみならず、民間資金、その活用や獲得をどういうふうに進めるのか、是非、非常に重要な研究をなさっていらっしゃるわけですから、決意をお伺いさせていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ありがとうございます。

 まず、御質問いただきました老朽化、さらにそれへの資金の不足などなどの観点でございますが、先生御指摘のとおり、国立環境研究所は、つくばの研究学園都市が始まった当初ぐらいのタイミングからできていますので、非常に長い歴史、逆に言えば、更に言えば、老朽化という問題を抱えているところでございます。

 建設当初からもう五十年弱たっていることも事実でございまして、維持保全に努めているところではございますけれども、御指摘のように、果ては雨漏り、それから、雨漏りに加えて、各種の配管自体の漏水などといった、結構大きな問題も出てきているところでございます。

 まず、環境省自体の方から御説明させていただきます。

 環境省自体の資金、財政支援ということでございますけれども、令和三年度、今年度を例にしますと、補正予算では、変電施設の設備更新に約九・四億円を計上させていただいています。それから、令和四年度、来年度になりますけれども、空気調和設備並びに給排水衛生設備の機器、配管類の老朽化対策ということで三・六億円、同じく変電施設の設備更新ということで約三・七億円を予算要求をさせていただいているところでございます。今後も、優先度の高いものから予算の獲得に努めてまいりたい、まず環境省自体のところではかように考えております。

 加えまして、議員御指摘のように、外部資金ということでございますけれども、外部資金の獲得につきましても、企業を始めとした研究費提供型の共同研究、それから個人寄附を受け入れるという仕組みを今年度から新たに整えさせていただいたところでございます。このような状況も踏まえまして、国立環境研究所の研究活動を、環境省はもとよりですけれども、より積極的に、より効果的にまずアピールをすることによって、民間資金、外部資金というのを呼び込むような流れをつくってまいりたい、かように考えているところでございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 すばらしい研究をなさっていらっしゃるわけですから、是非、臆せずアピールをしていただいて、外部資金、しっかり獲得いただいて、イノベーションを支えていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

木原(稔)主査代理 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。

 私、四国比例ブロック選出の新人議員でありまして、長く我が党の政調会長を務められ、農林水産行政に特に力を入れてこられました石田祝稔議員の後任になります。私もしっかりとそれを引き継いで頑張ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 本日は、委員長、理事の皆様に質問の機会をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、トンガ諸島の噴火に伴う潮位変化における被害についてお伺いします。

 本年一月十五日、日本時間で十三時十分頃、トンガ北部で大規模な噴火が発生、日本では、この噴火に伴うものとされる潮位変化が観測され、漁船が転覆したり、漁具の損壊、養殖施設の損壊等の水産被害が全国的に発生しました。

 そこで、まず初めに、現在の水産被害状況についてお伺いいたします。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 トンガ諸島の火山噴火に伴い発生した潮位変化により、水産関係におきましては、漁船の転覆、漁具、養殖施設の損傷、流出、水産物のへい死などの被害が、二月十日時点で、高知県を始めとする十一の道県から報告されております。

山崎(正)分科員 私は、我が党の谷合正明議員、そして地元の県議会議員、市会議員とともにすぐに現地に向かい、直接、被災状況を確認するとともに、被災された漁師の皆様からお話をお伺いしました。

 皆様が今困られていることは三点。まずは、何より、漁業を再開するには新しい船の確保が必要ですが、今回被害に遭われた漁師さんは高齢の方が多く、漁船保険には加入しているものの、代わりの船を購入するとなると、どうしても保険金だけでは賄えず追い金が発生しますが、高年齢がネックとなり、新たな融資が受けられるかどうか非常に厳しい状況にございます。

 二つ目に、被害に遭われた漁師さんたちは、船が沈没した一月十六日以降は、当然のことながら、一切漁に出ることができずに、無収入の状態です。漁業共済制度もありますが、掛金が高く、高知県の現状でいいますと、個人で細々とやられている漁師さんの場合、ほとんどが加入できていない状況で、今回被害に遭われた漁師さんも、誰も入れていない状況であります。

 三つ目に、沈んだ船の廃棄の問題です。転覆した船の海中からのつり上げに関しては、高知港湾・空港事務所が地域ボランティアということですぐに来てくださり、行ってくれ、被災された漁師さんが大変に喜ばれておりましたが、次は、その廃船の処分にもお金がかかります。

 高齢の漁師の方が、今現在の漁業収入が全く途絶えている状況で、新しい船を買うための資金の調達に加え、廃船の処理負担がのしかかっております。

 こういった災害が発生した場合のために漁船の保険制度や漁業共済制度があるわけで、それで対応するというのが原則でありますが、先ほども申しましたように、共済は掛金が高く、加入していない零細規模の漁師さんが多いのが現実であり、それにも増して、被災者が高齢であった場合には、新たな船を購入するための融資が受けられるかどうかは分からず、結局は廃業せざるを得ない状況となります。今回の被災を受けた漁師さんも、約半数の方がこれで廃業するとのことです。

 今回、現地で被災された漁師さんが、政府がトンガに支援を行ったということをニュースで知った、それはそれでとても重要なことであるが、今回の同じ火山噴火で被害を受けた国民が自国にいるのに、その自国の国民には何の支援もないのかなと思ったりもすると、ぽろっとつぶやかれていた言葉が私の心の中に今も残っています。

 また、私が今回、佐喜浜漁港の現地に行ったときに、皆さんもテレビのニュース等で、佐喜浜港で船が流されている映像を見られたと思いますが、あの映像を撮った方は、三十一歳の、大阪から移住し、漁業就労者になった方です。その方から直接私に訴えがありました。

 今回、僕の船はたまたま被害を逃れることができたけれども、僕に漁業を教えてくれた方の船が沈没し、高齢のため、多分新しい融資が受けられないから、もう廃業すると言っている、体力的にもまだまだ全然大丈夫だし、漁師として働けるのに、もう働くことができない、またその師匠と一緒に漁師を続けたいので、山崎さん、何らかの方法はないでしょうかとの訴えがありました。

 新しい船を買うための資金が調達できずに、廃業に追い込まれるという状況が生じています。

 たくさん漁師さんがいた時代なら、世代交代ということで、それでよかったのかもしれませんが、今は、漁師さんが激減していっている中で、新しい若い漁業者を育成していく上でも、そういった熟練の腕を持った漁師さんを、元気なうちは一年でも長く漁師を続けてもらう、そういった意味での漁業者の就労の確保が必要なフェーズに今の日本の地方の漁業現場は差しかかっているように思います。

 そういった意味において、高齢で新しい融資を受けることが困難な漁業従事者等を支援するなどの取組も必要だと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 いろいろとお話がありましたように、お気持ちはよく分かるんですが、今の制度の中では、漁船保険制度と漁業共済制度しかございません。漁業を営む方、いつどういった事故があるか分かりませんから、やはりこういった保険に入っておくということが、まず漁業をやる上の前提に私はなると思っているんですよ。

 確かに、零細漁業の方々もたくさんいらっしゃるでしょう。でも、地域によっては、ほとんど全加入という地域もあるわけなんですよ。そういった地域を考えてみますと、なかなか、こういった事情があるからといって、特別な制度、仕組みをつくるというのは非常に難しいと思うんですね。新しい船を造る場合も融資制度を活用するしかないということでして、それぞれのお気持ちはよく分かるんですが、なかなか、新たなそういった仕組みをつくるというのは非常に難しいと思います。

 私は、昔、行政の長をしておりましたから、そういった地域の問題のときは、まず地域の行政がどうするか。こういった形でこういうことをやりますから、できたら国もバックアップをお願いしますというようにやっていくのが普通じゃないかと思うんですよね。

 だから、すぐ国に来るんじゃなくて、まず、地域にとってもその漁業者というのは非常に大事なんですから、地域を支えているわけですから、それをどういうふうにしてこれから守りながら、彼らの意欲をなくさないようにするかというのは、ある程度やはり地域の行政で考えていただいて、それから国としての何かの支援がないかということであれば、また総務省の特交等を利用したり活用したりしていただいて、やり方としてはいろいろあると思うので、現時点では、気持ちはよく分かるんですが、なかなか難しいところでございます。

山崎(正)分科員 大臣、非常にストレートなお答えをありがとうございました。

 もう本当におっしゃるとおりで、ただ、どうしても、こういった制度のはざまの中で、高知県のような地方の中で、零細な方ということで、我が党もネットワーク政党でありますので、やはり、言われたように、県も市も連携しながら、何らかの形で支援できるような形を考えていきたいと思います。大変丁寧な答弁をありがとうございました。

 この質問の最後に、もう一点お伺いします。

 今回被災された漁師さんが、こうも言われていました。事前に津波警報が出ていれば、絶対に船を沖に逃がしており、今回のような被害にならなかったのにと。

 ただ、これに関しては、今回の潮位の変化は今までの津波とは全く違うメカニズムで発生しており、気象庁としても、今回のような被害を予測するのは困難であったと思います。漁師さんたちも、そのことは分かってくださっています。

 ただ、次に同じような火山の噴火が起こった場合には、今回の教訓を生かして、こういった被害を最大限防いであげていただきたいと思います。

 その点につきまして、今回のケースを教訓に、今後こういった火山噴火が起きた場合にどのような対策を行っていくのか、気象庁にお伺いします。

森(隆)政府参考人 お答えいたします。

 一月十五日に発生しましたトンガ諸島付近の大規模な噴火による潮位変化、これに関する情報発信において、主に、観測された潮位変化のメカニズム等が明らかでなかったため、津波警報等の発表までに時間を要した、噴火発生から津波警報等の発表までの間の情報発信が不十分だったといった課題がありました。

 このため、気象庁において、有識者も交えて潮位変化のメカニズム等の分析や情報発信の在り方の検討を行うこととしており、既に、今月十四日には、一回目の津波予測技術に関する勉強会を開催したところでございます。引き続き、しっかり検討を進めてまいります。

 また、これらの検討結果が取りまとめられるまでに海外で大規模な噴火が発生した場合の情報発信につきましては、噴火後における海外の観測点での潮位変化の状況等をお知らせするとともに、観測された潮位変化の大きさに応じて、速やかに津波警報、注意報を発表することとしております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 次に、防災重点農業用ため池の整備についてお伺いします。

 四国は、ため池の数が大変多い地域でございます。農業用ため池の決壊による水害その他の災害から国民の皆様の生命及び財産を保護することを目的として、特別措置法にて、防災重点農業用ため池の防災工事等の集中的かつ計画的な推進が図られています。

 また、今国会では、これに関して、土地改良法の一部を改正する法律案が提出される予定で、防災工事がより一層加速されることと期待しています。

 現状について、何点か確認いたします。

 ため池の決壊という極めて甚大な被害が想定される事態に対して行うということで、大変重要な政策だと認識していますが、全国に十五万四千あるため池の中で、約五万五千のため池が防災重点農業用ため池とされているとお聞きしましたが、今現在、地震対策、豪雨対策も含め、防災工事が完成又は工事の着工ができている個数についてお伺いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 防災重点農業用ため池につきましては、委員から御指摘いただきましたように、今後十年間で集中的かつ計画的に防災工事を実施をする、推進するということになっているところでございます。

 防災重点農業用ため池、委員からもございましたように、五万五千でございます。そのうち、整備の優先度が高いものが一万三千二百か所というふうに承知をしておりまして、そのうち、令和二年度までに対策が済んでいるものは三千二百というふうに承知をしているところでございます。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 約五万五千ある中で、実際には、今、三千二百というふうなお話がございました。

 これでは、せっかくよい政策なのに、来るべく南海トラフ地震等に対して間に合わないのではないかというふうなことが危惧されます。

 政府としての改修目標や今後の進捗計画はどのようになっているのか、どういった形でこれから着工数などが進んでいくのか、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 防災重点農業用ため池のうち、現時点で防災工事が必要と判断しているもの、これが約四千三百あるところでございまして、令和三年度までに防災工事に着手したため池は約一千百か所ということでございます。

 今後の見通しというか目標についてでございますけれども、令和三年三月に閣議決定をいたしました土地改良長期計画の中において、防災対策に着手している割合を令和七年度末までに八割以上とする目標を掲げているところでございまして、この目標に向けて、重点的に整備を進めていきたいと考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 重ね重ねになりますが、大変いい政策だと思いますので、是非スピード感を持って進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 この質問の最後に、そのスピードアップのためにも私が必要だと思っている点についてお聞きします。

 実は、ため池のことに詳しい四国在住の方にお伺いしたところ、ため池工事の場合、入札にかけても不落、落札されないことが多いとも伺いました。

 原因をお聞きすると、一つは、道路やトンネルなどといった工事と比べて特殊な工事であり、受注数も少ないこともあって、そもそも、ため池工事の技術力が進歩していない、また、そういった状況で工事を請けて、万が一決壊した場合のリスクは非常に大きい、また、ため池は、もちろん農業用に利用されるために、工事ができる期間が非常に限られている、さらには、山の奥の方など地理的に工事しにくい場所が多い等の理由から、工事業者から敬遠されているのではないかというふうに言われておりました。

 もしそういった状況があるなら、国と民間との共同研究のような形で工事方法の技術革新を目指したり、条件不利によることが原因とするならば、それに見合った適正な工事単価を上げる等の対策はできないのだろうかと思うわけですが、このため池工事における不落の原因についてどう捉えているのか、また、どういった対策を考えているのか、お伺いいたします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 ため池の防災工事におきまして、御指摘のように、入札の不調、不落が発生をしているという状況につきましては、農林水産省といたしましても、都道府県、また各地の建設業関係団体との意見交換会を通じまして承知をしているところでございます。

 そして、この中で、工事費の積算が実態と合わないのではないかというような御意見もいただいているところでございまして、現場状況により即した工事費の算出方法の整備というものに現在取り組んでいるところでございます。

 また、官民連携新技術研究開発事業を活用いたしまして、コンクリート二次製品を用いて作業期間の短縮を図るといったようなことなどによりまして適正な工期を確保できる工法など、民間企業の技術開発を積極的に支援をしているところでございます。

 ため池の防災工事が円滑に進むように、適切な工事費の算出、また、新技術を用いました効率的な施工方法の開発に努めていきたいと考えております。

山崎(正)分科員 大変に様々な対策を考えていただいているということで、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、施設園芸農業における燃油高騰対策についてお伺いいたします。

 燃油価格の高騰が各農家さんの経営を直撃しております。特に、私の地元の高知県は施設園芸が盛んな地域であり、特に一年で一番温度の下がるこの時期は燃油を最も消費する時期であり、皆さん大変な中、頑張って生産を続けてくださっています。

 燃油対策につきましては、農水省が施設園芸セーフティネット構築事業として支援をしてくださっており、高知県では、県内の施設園芸農家数が約五千戸と言われる中で、現在、半数を超える約二千六百戸がこのセーフティーネット事業に登録しており、補助金の決定額は全国三番目に多く、本当に助かっております。

 特に、ハウスの温度が高温でなくてはならない高温作物の生産者においては七五%の生産者が登録しておりますが、現場の施設園芸の農家の方に聞くと、やはり損をしないシステムになっているのがよいところで、余った基金は一旦返還してくれるし、みんなそういうメリットが分かってきたからどんどん加入者が増えてきたと思うと言われていたように、大変ありがたい事業であります。

 現在、国が勧めている、燃油価格の高騰の影響を受けにくい経営への転換を進めていく必要がありますが、現在の重油を使った加温からヒートポンプや省エネ機器を使った加温への転換は、実際には、経済的には短期間で実現するものではありません。

 私が今回お話を聞かせていただいた若い農業従事者の方は、高温作物であるシシトウをお父さんの代からやっている農家さんなんですが、以前はその若い方は違う仕事をしていたのを、五年前から家業を継ぎ、農業をされています。

 その彼が言っていたのが、今回の燃油の高騰は痛い、今一リットル百円近いが、うちの父が農業を始めたときは一リットル三十円の時代だった、それでいて、シシトウの売価はそのときと変わっていない、さらに、燃油以外の施設に係る様々な資材も値上がりしており、利益幅は落ちる一方で、この辺りのシシトウ農家もかなり減ってきている中で、今回の燃油の高騰を受け、父親世代の農家の方は、いつやめようかというタイミングを探っている状態です、しかし、本当に困っているのは僕たち若い農業者です、多額の借金を抱えて施設園芸を始めた者もいて、やめようにもやめれない、若い農業者にとって先が見えない状況がありますと語っておられました。

 若い農業者には、先ほど言ったような、燃油価格に左右されない農業経営へのシフトなどの道がありますが、経済的にも一足飛びにそこへ行けない、現実的な課題が現場には横たわっております。

 そこで、目先のことでいえば、燃油価格の高騰が続くことが予想される中で、先ほど述べた多くの農業者を救っているセーフティーネット事業、これの令和五年以降の継続や、積立金が枯渇しないような予算の確保等をしていただきながら、何とか若い農業従事者が将来に希望を持てるような施策をお願いしたいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 施設園芸などで使用されておるA重油が、価格が七年ぶりの高い水準にあることは私たちもよく承知しておりまして、農林水産省といたしましては、施設園芸農家におきまして経営費に占める燃料費の割合が高いことから、燃油高騰時に補填金を交付する対策を実施しており、今年度も多くの方々が加入いただいたところであります。

 また、大きく価格が変動する燃油への依存度を下げ、経営の安定化を図るため、令和三年度補正予算の産地生産基盤パワーアップ事業におきまして、省エネ機器等の導入も対象に加えたところであります。

 今、委員からもお話がありましたように、今後とも、この制度、仕組みを農林水産省としてはやっていきたい、このように考えておる次第でございます。

山崎(正)分科員 大臣、大変にありがとうございます。

 次に、水田活用の直接支払交付金についてお伺いします。

 主食用の需要が、一人当たりの消費量や人口減少等の影響により毎年約十万トン程度減少すると見込まれる中で、主食用米以外への転換が図られてきました。

 その取組の中で、今まで、水田活用の直接支払交付金を使って、飼料用米への転換について、飼料用米を作る複数年契約を結ぶことで、複数年加算として十アール当たり一万二千円の助成が行われてきました。これにより、私の地元高知県においても、多くの生産者が三年間の複数年契約をいたしました。

 ところが、今回、飼料用米の複数年契約の取組は既に約九割に達しており、今後の更なる複数年契約の効果は薄れている等の理由により、突然、十アール当たり六千円と、助成金が半減されました。突然この決定を聞いた複数年契約を結んだ農家さんの驚きは、大きかっただろうと思います。

 私も、この件につきましては、丁寧に事前にレクを受け、国全体の米や作物戦略の中で、結果的に農家さんが困らないように、農家さんを守っていくために、国が大きな方向性を示し、政策誘導を促していることなどの理由については理解をいたします。

 しかし、それらを理解した上で、私がどうしても今回の政策の転換で気になるのは、この決定が、現場の農家さんにとっては余りにも唐突であったということです。ましてや、複数年契約という生産者にとって縛りができる分、当然のことながら、その相手である国においても、十アール当たり一万二千円という条件の縛りが継続されると思うのは当然のことではないでしょうか。実際に、生産者の中には、それを見込んで飼料用専用コンバインを購入した方もおいでます。多くの方が、国にはしごを外されたと思っているのが実情であります。

 国の政策の変更は致し方ないところがあるにしても、やはり今回の件に関しては、複数年契約とうたっていただけに、もう少し丁寧に農業者の皆さんと向かい合っていく必要があったように思えてなりません。

 今後、こういった、特に複数年契約といった中間的な取組の施策の見直しに関しては、より慎重にお願いしたいと思いますし、今回の見直しによる十アール当たり六千円については、今複数年契約を結んでいる方の契約期間の終了年である令和五年度までは維持していただきたいと思いますが、今回の見直しについての大臣の見解をお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 飼料用米につきましては、供給の安定化につながるよう、加算措置により複数年契約を促してきてまいりました。複数年契約が全体の九割に達するに至っています。

 一方、飼料用米につきましては、戦略作物助成による支援単価が十アール当たり最大十万五千円と高く、これに複数年契約加算が上乗せされることによって、支援水準が他の品目より高くなっております。

 令和三年産では、飼料用米のみが大幅に拡大する一方、国産需要が高まっている大豆、子実用トウモロコシ等への転換が伸び悩んだところであります。

 このため、令和四年度におきましては、品目間の支援水準のバランスを見直すことといたしまして、飼料用米の複数年契約加算について、令和二年度及び三年度からの継続分のみを対象として、十アール当たり六千円の支援をしたところであります。

 これによりまして、各産地において、飼料用米ばかりでなく、様々な品目を選択していただき、作付転換を進めていただきたいと考えております。

山崎(正)分科員 先ほども申しましたように、その政策の転換自体はよく理解できるんですけれども、より丁寧な推進をこれからはお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、農業者の収入保険についてお伺いします。

 この収入保険については、私の前任の石田祝稔議員が生みの親と言っても過言ではないほど、強力に推し進めてきた制度であります。これについては、現在四年目を迎えていると思いますが、年々加入者が増えてきていると伺っております。

 そこで、現在の加入状況、今後の加入の促進に向けての取組について、大臣にお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 収入保険については、農業者の関心も高まってきておりまして、令和四年の加入者数は七万五千経営体となっております。

 引き続き、令和五年に十万経営体の目標を達成できるよう、加入を伸ばしていきたいと考えております。

 このため、農業共済組合、JA、農業会議等の関係機関が行う加入推進活動を支援したり、実際に保険金等の支払いを受けて助かったとの加入者の声を紹介するなどをいたしまして、更なる周知を図ってまいりたいと思います。

 さらに、令和三年八月から開始しているインターネットの申請などによりまして、利便性を向上させ、より多くの農業者の方々に収入保険を利用していただけるよう取り組んでまいりたいと思います。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 四国の愛媛県なんかは、加入率が三年連続、また今年もトップではないかと言われています。やはり、できたときに西日本豪雨があって、そのメリットを大変感じたと言っております。

 どうか今後もこの制度が充実していくことをお願いいたしまして、私の一切の質問といたします。

 大変にありがとうございました。

木原(稔)主査代理 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次に、池畑浩太朗君。

池畑分科員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 昨年の農林水産委員会と本年の予算委員会でも質問させていただきましたが、地元西播磨、中播磨の皆様、先輩議員の関係各者、皆様に、質問させていただく機会をいただきまして、感謝をいたします。

 予算委員会でも、持ち時間の全てをかけて農業関連の質問にさせていただきました。本日も、このまま農業関連で押し通していきたいと思います。

 大臣、副大臣、農林水産省の皆様とは、この国の農業に対して危機感を共有しているものと思っております。

 また、金子大臣にはいつも丁寧な答弁をいただきまして、敬服をしております。時に御自分のお言葉でお話しされるときには、更に思いを込めておられるなというふうに思っております。

 私は、当選以来、先ほど、三回連続金子大臣に答弁をいただくものですから、勝手に御縁があるなというふうに思っておりまして、大臣のお父様も農林水産大臣であられまして、金子岩三先生も宏池会でありまして、私の祖父も同時期に国会議員として宏池会で活動していたようであります。同じ時代に、また時を超えて、日本の農業をよくするために努力を、引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。

 私は、日本の農業は社会的共通の資本であるというふうに考えております。大臣も畜産県の多い九州の長崎県の選出でありますから、本日は畜産関連の質問がずっと続きますので、是非とも思い切った方針を共に打ち立てていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、質問に移らせていただきたいと思います。

 本日は分科会でございますので、少し細かく説明をさせていただくことがありますが、端的に参りたいと思います。

 今回は、農業生産基盤の強化プログラムというものがあります、牛の肉用牛・酪農生産拡大プロジェクト、私たちは頭数の増頭、倍増計画の観点からというふうに思っておりますが、質問させていただきます。

 農林水産省のデータによりますと、二〇一九年、いわゆる、今申しましたように、倍増計画といたしまして、これは私が勝手に倍増計画と言っているんですが、黒毛の頭数、二〇一九年には百六十八万三千頭、二〇二一年には百七十七万二千頭、約九万頭の増でありまして、これは私の中では余り伸びていない現状があるなというふうに思っております。

 いずれ来る新型コロナの終息を機にしっかり輸出などにも力を入れるために、この機会を逃してはいけないというふうに思っております。

 まず、私は、牛を増やすためには、乳牛を借り腹にいたしまして黒毛を産ませる方法が効率的であると考えております。当然、これは今でも取り組んでおります。そのためには、黒毛の受精卵を活用する必要があるというふうに考えます。

 平成三十年の資料を見ますと、乳牛から生まれた黒毛の頭数は三万七千頭、受胎率を五割としますと、当然ですが、七万四千個の受精卵が移殖をされたことになります。日本国内には百三十万頭の乳牛がおります。このうち七万四千頭のおなかしか活用できない、していないという状況であります。

 生産方法は二つしかありません。体内受精卵か体外受精卵かであります。

 体内受精卵は、一般的に、ちょっと細かくなりますが、一回の採卵当たり一頭から六個取れます。過排卵をするために、ホルモンの耐性ができるために、二か月に一回しかできないです。

 一方、先ほど申し上げました体外受精卵に関しましては、一回当たり七個取れまして、月に一頭から十四個の生産が可能であります。また、これはホルモン処置を使わないために、月に二回の採卵をすることもできます。先ほど来ずっと言っております七万四千個の受精卵を体内採卵で生産するためには、黒毛の繁殖雌牛が一万二千頭必要なんですけれども、体外の採卵であれば五千三百頭で生産できる計算です。

 そこで、受精卵を生産するためには、知事から家畜人工授精所開設、許可を取る必要があります。国内には百軒程度の家畜人工授精所がございます。この中に、和牛遺伝資源の流通管理・知的財産的価値の保護強化等というところに、農林水産省、まとめておられるんですけれども、法制上、運用上の措置等をパッケージ化した対応方策があります。その中に、一番下のところに、これは五つあるんですけれども、実施できるものから速やかに実施するとともに、所要の法整備を行いますというふうにありますが、今の進捗状況を教えてください。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 申し訳ございません。質問の御趣旨をもう一度拝聴させていただいてもよろしゅうございますか。申し訳ございません。

池畑分科員 済みません、長々としゃべっておりましたので。

 和牛遺伝子資源の流通管理、知的財産価値等の保護強化等という資料があるんですが、その中に法制上、運用上の措置等のパッケージ化した対策がありますね。受精卵の生産状況の把握とか、精液、受精卵の流通の、在庫の状況の把握とか、家畜人工所を介さない流通の排除とか、いろいろ検討されていらっしゃるということが書いてあるんですけれども、その下のところに、実施できるものから速やかに実施するものと書かれております。速やかに実施するというふうに書いてありましたので、今の進捗状況だけちょっとお聞きしようと思ったんですが。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年十月に家畜改良増殖法の一部を改正する法律及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律というものが施行されておりまして、現在、和牛遺伝資源の管理体制を強化しているというところでございます。

 知的財産としての保護を行っていくというのが法律の趣旨でございますが、具体的には、例えば家畜人工授精所への立入検査等を全国で実施をしているというところでございます。

池畑分科員 私もこの後にその質問をさせていただこうと思っていたんですが、今問題になっています採卵をするに当たって幾つか、これから法で縛っていこう、また、これからどんどん管理をしていこうという話でありますから、随分、現場で整備をされているというふうに思います。

 この中で、ちょっと私が特に聞きたかったのが、精液のストローの中には二千万匹から三千万匹の精子が入っております。一回で四百個の卵子を体外授精することが可能なんですね。これは体外授精するのに繁殖雌牛から未受精の卵子を取ることになります。これが十頭分に相当しております。

 そこで今、今答弁もありましたように、いろんな調べをしている中で、公益財団法人全国和牛登録協会の子牛の登記の取扱いのルールでは、一頭に一本の凍結精液を使うことになっております。現実には一本の凍結精液で十頭の体外授精が可能な状況なんですけれども、十本の凍結精液を使うことになりまして、貴重な精子を無駄に廃棄している状況であります。

 このルールが決まった背景に、何年か前に凍結精液の不正使用があったと思います。そこで、今チェックをしておりますというお話があったと思います。農林水産省の皆様、やはり英知が集まっておりますので、家畜改良増殖法、この第三十二条の十には、国が助言をして、またその指導をし、その他必要な助言を行う、そのように努めるというふうに書いてあります。

 現場では、優秀な精子を使いたい農家があります。それらに集中しまして、それ以外の精子を使わざるを得ない、使わざるを得ないという表現を使っておられましたけれども、そういう状況があります。

 ですから、一本から十頭きちんとひもづけするシステムをつくるべき、助言若しくは指導が必要ではないかというふうに思いますが、農林水産大臣の御所見をお伺いしたいと思います。副大臣。

武部副大臣 先生から御質問の件でございますが、和牛の血統管理を行っている公益社団法人全国和牛登録協会による登録事業に関わるものと承知しております。

 同協会では、内規におきまして、子牛登記取扱方法につきまして、同一発情期に授精する種雄牛は一頭のみであること、それから、精液ストローを分割や分注しての使用は認めないと規定しております。

 これは先生の御指摘のとおり、過去に、二本の家畜人工授精用精液のうち一本を別の二本のストローに分けまして二頭の乳牛に注入し、残る一本を精液証明書を添付せずに横流しするといった不正事案が発生したことを受けての措置と聞いております。

 規程の在り方につきましては、生産者や都道府県などの同協会の会員の意見や今後のOPU―IVFの普及状況を踏まえながら、同協会において必要に応じ議論されるものと考えておりますが、その際、農林水産省としましては、日本の宝でございます和牛の遺伝資源の不正流通を、これはしっかりと防止しなきゃならないということが一番肝腎でございますので、その防止の観点から、和牛改良にどのように影響するのかといった観点からも議論が行われることが重要と考えております。

池畑分科員 副大臣、ありがとうございます。

 確かにそうです。さっきも大臣もお話をされたように、答弁をしていただいたように、不正をする業者が現れます。家畜人工授精所、また、兼任する農家さんもありますね、この家畜人工授精所、兼任している農家さんもいるんですが、それらをチェックして回っておられます。現場はもうかなり大変だというふうに聞いておりますし、皆様の思いを理解をしつつなんですけれども、やはりこのチェックをし終わって整備をした後に、今私がお話をしました、一本から十頭へのひもづけをするようなチェックだとかシステムだとか、そういうことができていれば、増頭にももっとスピードが増すのではないかなというふうに思っております。

 そこで、やはり今いろんなシステムや、そんな会社がいろいろある中で、同時進行で、無駄な廃棄をここでなくし、済む新しいルール、若しくはそのシステムを、今副大臣のお話ありましたが、改めてこれは政治判断で、そういうルールやシステムをつくれないようなことはないんじゃないかなというふうに思うんですが、もう一度答弁をいただければと思います。

武部副大臣 先生の御指摘は、貴重な精液を有効に活用して、増頭に活用するようにという、そういう御指摘なんだろうというふうに思います。

 ただ、今申し上げましたとおり、やはり一番肝腎なのは、しっかりとその遺伝子を、資源を守っていくということが肝腎でございますので、それをどのように技術的に、安全性、そして保護をできていくのかとか、あるいは流通防止をどうしていくのかという、この観点をしっかりと踏まえながら、先ほども申し上げましたとおり、生産者や都道府県などの同協会の会員の意見などを聞きながら議論を進めていくことが重要と考えております。

池畑分科員 やはり無駄をなくして倍増計画を進めていくことも大切だというふうに思います。

 今、副大臣の答弁も理解は当然できますので、そういう方向性も一つ考えていただければというふうに思っております。

 現場の農家さんたちは、やはりいい精子を使って、いいものを三年後に輸出をするなり、国内で流通するなりということを進めたいという気持ちも当然ありますので、そういうことも考えていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。家畜のメタン排出抑制について質問させていただきたいと思います。

 前段、質問が長過ぎて、ちょっと混乱させてしまって申し訳ありませんでしたが、これも、ちょっと説明が少しございます。

 牛ルーメンと言われます牛の胃に発生する微生物によって、いわゆる牛のげっぷが出されます。これがメタンです。メタンは、二酸化炭素に比べて二十五倍の温室効果があるとされております。

 世界中の牛の胃腸から排出されるメタンの量は年間二十億トン。これは二酸化炭素の換算によりますけれども、温室効果ガスの実に四%を占めております。一つの国の排出量に匹敵するというふうにも言われております。

 その中で、脱炭素を目指す我が国としては無視できない問題となっています。

 農林水産省としても、数多く取り組んでおられます。これは、経済産業省とか環境省、農林水産省も、もう省をまたがっている話ではあるんですが、今回は、農林水産省の所管の中でお話を、質問をさせていただきたいと思います。

 みどりの食料システム戦略の中に、二〇四〇年頃から温室効果ガス削減に向けた技術開発、普及を進めるもの、これも説明をお聞きしました。その中でも、私自身も、そういうこともやっているんだなということも数々ありました。

 その中で、そもそも、げっぷが少ない、げっぷをする量が少ない遺伝子を持った牛を集めて、根本的に変えてやろうと、それは二〇四〇年頃から進める。また、ムーンショット型農林水産研究開発事業、これは二〇五〇年までにいろいろと取り組んでいく。これはまた、中の微生物を研究して、そこからどんな微生物がそういうメタンガスを多く発生しているかという研究をして、二〇五〇年までということです。

 二〇四〇年頃からその温室の抑制を、抑えていくということと、このもう一つのやつは二〇五〇年までとあります。メタンガスを抑えるこの計画は、大分先過ぎますし、遅過ぎると思いますが、大臣の御所見をまずちょっとお聞きしたいと思います。

青山政府参考人 委員御指摘のとおり、メタンを減らしていくというのは、グローバル・メタン・プレッジということで、国連の方でも、各国、話し合ってメタンを減らしていきましょうということで、大きな話題、課題となっているところでございます。

 委員御指摘がございましたように、牛のメタンを削減するための研究というのは幾つか並行して走っておりまして、一つは、個体としてメタンを産出するものが少ない個体を調べる、それから、根本的に牛のルーメンの方からどのようにメタンが発生しているかというメカニズムを調べて、その根本から解決できないかということで研究を進めているところでございまして、私どもも、できるものからしっかりとその答えを出して、削減を図っていくという方向で研究開発を進めているところでございます。

池畑分科員 事前に、質問をさせていただくときに、聞かせていただいたときに、そういうことも、先ほど申し上げましたが、取り組んでいるんだなというふうに思わせていただきました。

 胃の中で微生物が発生するということも含めて研究を進めて、そういうことを少なくしていこう、そういうことは大事なことだというふうに思いますけれども、今進めるに当たって、この質問のきっかけになったのは、大きな企業として農家をされている方、農業をされている方が、昨今、SDGsとか温室効果ガスの問題について積極的に参加したいんだけれども、うちの企業としては、参加するきっかけがなかなかないんだということもありました。

 でも、その海外のニュースを見ると、かなり牛のげっぷについて削減ができる、またそういったことも努力をしているということを聞くんだけれども、なかなかそういうきっかけがないというお話でしたので、いろいろと農林水産省にも説明をしていただきまして、勉強もさせていただきました。

 今、そういった削減をすることを努力もされていますが、現場の農家さんとしても、カーボンオフセットと言われている、まあJクレジット、これも先ほど申しましたように、経済産業省と環境省と農林水産省と省をまたいではおりますけれども、今は制度の承認をされたその方法論に基づいて取り組んでおられるということでございました。

 その中で、方法論に基づくことが必要であるということでしたので、今現在、六十一の方法論を承認されておられます。省エネの問題で三十九、再生可能エネルギーの件で九、工業プロセスの件で五、農業で四、廃棄物の関係で二、森林関係で二。

 この農業の中に、一番この牛のげっぷに関して近いものではないかというふうな話があったのが、家畜排せつ物管理方法の変更ということが有効なんじゃないかということで、取り組まれておられるそうです。

 この中で、委員がこれを、方法論の創出をするための委員会が開かれておりまして、この中に、Jクレジットの制度運営委員会の委員名簿というのもいただきました。

 この中に、先ほど来ずっと申し上げております畜産の専門家が入っていないんですけれども、畜産の業者か畜産関連企業を入れて、こういった、今、国家の四%ですね、国の四%ぐらいの削減をする必要も出てくるということでありますから、そういった中に、この委員会の名簿の中にできれば畜産業者とか畜産関連企業がいるべきではないかというふうに考えますが、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 Jクレジットの方法論の承認プロセスにはJクレジット制度認証運営委員会が関わっておりますけれども、こちらは、温室効果ガスをしっかりと減らしていくということで学術的な論文が出ていることを確認するですとか、あとは、実際に、追加性と申しまして、従来の方法から方法を変えることによってどのぐらいその温室効果ガスが減ったかということを測定し、その方法論というのが世界的にというか公的に認められるかどうかということを検証するものでございますので、生産者の方の工夫でありますとかそういったことは私どもが御相談に乗るわけでございますけれども、ここは方法を議論する場でありますので、生産者の方は入っていただいていないところでございます。

池畑分科員 そうですね。そういう意味では、畜産業者とか畜産関連が当人は参加しなくてもいいということかもしれませんが、基本的に、そういう方法論として農業の項目の中に、今、家畜排せつ物の管理方法の変更、これ以外にも、今るるお話をさせていただいております牛のげっぷの削減について、世界ではかなり取り組んでやっているということでございますから、そういった中に、方法論としてこの中に牛のげっぷの問題だとかそういうものを項目として入れていく必要も私はあるというふうに思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 答弁をする前に、先ほどは激励をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、お答えしますが、Jクレジット制度は、省エネや再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証するものでありまして、国内の資金循環を生み出し、経済と環境の好循環を促進するものであります。

 同制度の対象となる取組は承認された方法論に基づく必要がありますが、現在、牛のげっぷから排出されるメタン削減についての方法論は策定、承認されておりません。

 一方、農林水産省といたしましては、同制度を活用しまして、温室効果ガスの排出削減に資する取組を後押しすることを重要だと考えております。

 このため、牛のげっぷから排出されるメタンを削減する方法を同制度において活用することは、有用な選択肢と考えられるものの、現時点においては、十分な知見が得られておらず、その実現可能性について判断できる状況ではありません。

 そのため、農林水産省といたしましては、引き続き、排出削減に資する技術開発や必要なデータ収集に取り組んでまいりたいと思います。

池畑分科員 ありがとうございます。

 十分な知見がまだ集まっていないということであります。こういうものはどんどん、世界の情勢を見ながら、日本の農家たちも、先ほど、委員会の中には余り適切ではないということでありますので、いろんな農家さん、いろんなデータを集め、またいろんな食べ物を食べさせてみて、いろんな状況を各地でやっておられます。

 せっかくですから、そのメタンを測定する器具もありますし、そういうものは購入するに当たってはすごく高価なものでありますが、そういう実験をするのを各農家さんたちにも一生懸命していただけるようなサポートも必要じゃないかなというふうに思いましたし、今大臣の答弁にもありましたように、検討していただいて、この項目を入れるということが全てではなくて、何か、農家さんたちも一緒になってこういう温室効果ガスの問題を考えたり、そういう現場で一生懸命今新しい技術を取り入れて取り組んでいけるんだということであれば、今のような、農家さんたちも積極的にそういうことを考えていこうというふうに思われると思います。

 今答弁をいただきましたように、国全体で取り組むべきことだというふうに私は思っておりますし、脱炭素を目指すということでありますから、農林水産省としても、分かりやすい取組としてこの牛のげっぷの問題を取り組んではというふうに提案をさせていただきましたけれども。

 今、新しい技術と申しましたけれども、コーヒーの搾りかすにはポリフェノールがたくさん含まれているようであります。その中で、牛も、コーヒーの搾りかすを食べるというのはなかなか食が進まないようでありますので、一%から二%ぐらい牛の現在の餌に混ぜて食べさせることによって、かなり削減がされるということを実証してやっているところもあるということでありますので、もっともっと十分な知見を集めるということでありましたので、そういう部署をつくってでも、全国で取り組んでおられる方に、手を挙げてください、こういうことで削減しているんですねということを、もっともっと表に出るような必要もあるのではないかなというふうに思います。

 いろんな観点からそういう温室効果ガスの削減について努力をしていこうというチーム日本でありますから、これからも農林水産省として、一生懸命そういった問題にも取り組んでおられると思いますけれども、スピードを速めていただく。さらに、いろんなルールを皆さんが決める、決断をするときに、政治判断で決断していただければもっと速く進むのになと。先ほどの精子十本の件もそうですが、知見、またそして、データが集まっていない状況でありますが、ひとつ、そういうことも進めつつ、努力を進めていただきたいというふうに思います。

 これからも共に一生懸命、いい方向に進むように努力をしていきたいというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わらせていただきます。

木原(稔)主査代理 これにて池畑浩太朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、平沼正二郎君。

平沼分科員 自由民主党の平沼正二郎でございます。

 本日は、予算委員会第六分科会において質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。金子大臣、そして宮崎政務官、そして政府参考人の皆様方もありがとうございます。農水関係に関しては初めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 中山間地域の農業に関してお伺いをいたします。

 私の選挙区は岡山県第三区というところでございますけれども、六市六町二村、計十四地域ございまして、そのうちの十二地域が過疎地又は過疎地域に含まれるということになっておりまして、さらに、一部の地域を除いて、ほぼ全てが中山間地域という選挙区になっております。

 岡山県全体を見ても、面積にして七五・五%が中山間地域ということでございます。県の方でも、中山間地域活性化を県の最重要課題の一つとして掲げており、様々な努力が行われているところでございます。

 しかしながら、高齢化も進んでおりまして、農業を永続的に行うことが非常に困難にもなってきております。その中で、政府の用意していただいている中山間地域等直接支払交付金は非常に助かっておりますけれども、この中山間地域等直接支払交付金の大きな目的の一つは、耕作放棄地を増やさないということであるかと思います。

 こういった中、中山間地域の農業については、将来にわたっての収益性の確保が難しいため、担い手を育てることが困難であることから、生産費を下げるための支援が必要ではないか。さらに、中山間地域の中でも特に農業生産条件が厳しい地域では、中山間地域等直接支払交付金を利用しても利益の確保がなかなか難しくて、離農してしまうというケースがよく見られます。

 こういったことから、今後、条件によって交付金の単価を変えるなどの対応が必要ではないかと思っておりますけれども、どうお考えでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 中山間地域直接支払い制度でございますけれども、平場との農業生産条件の格差を是正して、農業生産活動の継続に対する支援ということでございますが、本制度につきましては、地目と傾斜区分に応じて交付単価を設定をしておりまして、傾斜のある農地ほど高い単価としているところでございます。特に傾斜の厳しい超急傾斜地への支援といたしましては超急傾斜地農地保全管理加算、また、棚田農地の保全等に関する支援といたしまして棚田地域振興活動加算というものが既に措置されているところでございますけれども、さらに、令和四年度予算の中では、棚田地域でも特に傾斜が厳しい地域の保全管理作業等に対する支援といたしまして、棚田地域振興活動加算を受ける農地のうち超急傾斜地農地につきまして、加算額を引き上げる措置をすることとしているところでございます。

 今後とも、農業生産活動また集落活動の下支えとなるように、中山間地域等直接支払制度を適正に運用してまいりたいと考えております。

平沼分科員 ありがとうございます。

 また令和四年度からも拡充をしていただいているということで、大変力強い、頼もしいことでございます。

 現状は、先祖代々の土地を守る一心で、高齢の方々が身を削って何とか維持をしているという状況でございます。なかなか息子や孫の代に渡っていかないというところもありますけれども、是非、引き続きの特段の御配慮をいただき、お願いいたします。耕作放棄地が増えますと、やはり治水、防災の観点からも非常に危険性も増してまいりますし、国土強靱化を絡めて、こういったことも念頭に置いて、引き続きの御検討、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、これは耕作の放棄地の問題にも関連をするかもしれませんけれども、近年、やはり鳥獣被害が非常に拡大をしておりまして、私の地元でも大多数の田畑を柵に囲っておりまして、田畑だけではなくて、家の庭や玄関先にまで鹿やイノシシが入ってくる、場所によって猿や熊も出るということになって、人間が柵に囲われているような生活をしているような風景も一部で見られるわけでございます。

 現状、防護柵に対する補助などを行ってはいただいておりますけれども、現地で実際に狩猟していただいている方から聞くのが、高齢化も進み、なかなか狩猟する人材も少なくなっているという状況がございます。今後、安定的な狩猟の人材確保に関してどのような施策を現在打っているか、教えていただけますでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣の捕獲の担い手は言うまでもなく狩猟免許の所持者でございますけれども、その数というのは、昭和五十一年に最多で約五十三万人いたものが、近年は二十一万人と、かなり減ってきております。しかも、六十歳以上の狩猟免許所持者が約六割を占めるというような高齢化も深刻な状況となっていて、我々としても、これは危惧する状況だというふうに考えております。

 このため、環境省では、捕獲の担い手の育成、確保の対策というのを実施してきております。具体的には、狩猟の魅力を伝え、また狩猟の免許取得を促すための狩猟フォーラム、こういったものを開催している、若しくは、わな猟及び網猟免許の取得年齢を二十歳から十八歳に引き下げて若年層の取得を促す、それから、捕獲を安全かつ効果的に行うことができる事業者として、認定鳥獣捕獲等事業者制度、こういったものを導入しまして、指定管理鳥獣捕獲等事業交付金を活用していただいて、都道府県で認定鳥獣捕獲等事業者等の育成、こういったものの取組をやっていただく、これを支援をさせていただいているところでございます。また、そのほか、認定鳥獣捕獲等事業者や有害鳥獣捕獲等に関わる狩猟者の狩猟税の減免措置、こういったものも拡充しておりまして、こういった施策を通じて担い手の育成、確保の対策をしているところでございます。

 また、農林水産省さんの方でも、鳥獣被害対策の担い手確保のために研修会の開催支援等の取組を行ってきていただいているというふうにも聞いておりますし、令和四年度からは、初めて猟銃を取得する鳥獣被害対策実施隊員等に対して猟銃の購入費の支援等の取組も開始されるというふうに聞いておるところでございます。

 こうした取組により、狩猟免許所持者というのは、ここ数年においては、平成二十四年度の十八万人だったものが、約三万人程度、少しずつ増えてきておりますけれども、今後とも、農林水産省さん、それから都道府県、それらの関係者の方々とともに緊密に連携をしながら、鳥獣保護管理の重要な担い手である狩猟者の確保、育成というものに取組を推進してまいりたいと考えておるところでございます。

平沼分科員 ありがとうございます。引き続きの人材確保の努力をしていただきたいと思います。

 余談でございますけれども、私も昨年の選挙の折、選挙カーで走っていると横から鹿が飛び出してきて、しばらく並走したということもございます。

 食害の被害だけではなくて、事故の被害というのも非常に増えてきております。なぜ鳥獣が山から下りてくるのかという原因をやはり解決をしていかなければならないと思います。捕ったり柵で囲ったりするのはあくまでも対症療法であって、私は根本の療法ではないと思っております。

 そこで、やはり山から鳥獣が根本的に下りてこない森林の環境整備というのが非常に必要になってくると私は痛切に感じておりますけれども、その辺りの対応は現在どうなっていますでしょうか。お聞かせ願えますでしょうか。

宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 昨年六月に閣議決定をされました森林・林業基本計画におきましては、地球温暖化の防止や国土保全、生物多様性など、森林の有する多面的機能が高度に発揮されるように、森林の整備、保全を進めていくこととしております。

 このことも踏まえまして、農林水産省では、森林における人為活動を活発化することが野生鳥獣の移動抑制にもつながることから、林業の持続的発展に向けた支援を進めるとともに、野生鳥獣の生息環境となる針葉樹と広葉樹が交じり合った森林や広葉樹林の造成への支援を地域の実情に応じて行っているところでございます。

 今後とも、森林における人為活動の活発化でございますとか、多様で健全な森林づくりを進めていく、そういうことで野生鳥獣による被害の抑制を図ってまいりたいと考えております。

平沼分科員 ありがとうございます。

 宮崎政務官、非常に今後の森林の環境も考えていただいておりまして、森林の環境整備というのはやはり、今回のウッドショック等でも明らかになりましたけれども、国産材の安定供給のためにも必要なことでございますし、CLTなども含めて、日本の良質な木材生産は海外にも有効な輸出商品になると私は思っております。環境整備と木材活用両面での対策を引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 先ほどまで中山間地域の苦しい現状をお話ししてまいりましたけれども、そんな現状を何とか打破しようと若い方たちも地元では頑張っておりまして、私の地元においては、米農家さんや果物農家、酪農また肥育、そしてまた町内会の人たちも一緒になって、農業アライアンスという組織をつくっております。主な活動としては、耕作放棄地の活性化に取り組んだり、また若手人材の育成を、指導を行ったり、さらには、農業関連のちょっと煩雑な補助金の申請の補助をアライアンスの方で、いろいろと相談に乗って、請け負ったりしております。

 そういった新しい、アライアンスのような経営手法に関して、ほかの県で、地域で同様の事例があるのかということと、今後こういった活動に対して、農林水産省として何か支援というのは考えられていますでしょうか。お聞かせ願えますでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 中山間地域では、なかなか集落単独では農用地の維持管理でございますとか農業生産活動の継続が困難になるというような集落が増加しているという状況にあるというふうに認識しているところでございます。

 それを打破するためにどういう手段があるのかということで、今委員から御指摘ありましたこの農業アライアンスというのは一つのやり方かというふうに思っておりますけれども、私どもとしては、複数の集落の機能を補完いたしまして、農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せまして、生活支援等地域コミュニティーの維持に資するような取組を行う組織、これを農村型地域運営組織、又は農村RMOと言っておりますけれども、そういったものの形成を推進することが非常に重要ではないかなというふうに思っております。

 このため、令和四年度予算におきまして、農村型地域運営組織形成推進事業というものを創設することとしているところでございます。

 このような農村型地域運営組織というのは、全国でいろいろなところで事例が出てきているというふうに承知をしております。

 例えばということでございますけれども、福島県猪苗代町見祢地区の事例でございますが、中山間地域等直接支払いなどの活動を契機に、まずは集落の営農組織ができた、集落の営農組織が設立された。そして、その集落の営農組織が今度は母体になりまして、加工品の販売とか農家レストランとか、そういう事業の多様化を行っている。そしてさらに、高齢者の見守りとか福祉活動への拡大を目指すといったような動きでございまして、こういった動きの中で、女性の活躍の場の拡大とか、地域の所得向上にもつながっているというふうに承知をしております。

 このような農村型地域運営組織というものを是非形成できるように支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

平沼分科員 ありがとうございます。

 私の地元でもせっかく立ち上がった組織でございまして、地域のためにも頑張っております。先ほどお伺いした農村RMOの支援のより一層の強化と拡充を是非ともよろしくお願いをいたします。

 引き続き、地元の話で恐縮でございますけれども、私の選挙区の一番大きい津山市という場所は、古くから非常に肉食の文化が盛んな地域でございまして、歴史をひもとくと、肉食が禁止されていた明治時代以前でも、津山藩の領内では近江彦根藩と並んで、薬として肉を食べる養生食というのが認められている地域でございまして、それを起源としてか、今でも和牛の繁殖農家が多くて、全国のブランド和牛の元となるような子牛の出荷も非常に盛んに行われております。

 そんな中、個人的努力によって、日本最古と言われる黒毛和牛の原種の一つを守っている繁殖農家がおりまして、やっと最近になって出荷もできるようになってきたんですけれども、そういった世界に誇るべき和牛として、文化的にもやはり価値があり、新たな和牛ブランドとしての商品力も備えているものを守って今後存続させるための方策など、国の方では現状何か考えていらっしゃいますでしょうか。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 御地元の岡山県では、和牛のルーツの一つでございます竹の谷蔓というものの系統の産地でございまして、現在の和牛の礎を築いてこられたものと承知しております。

 また、この竹の谷蔓につきましては、現在においてもその系統が岡山県の種雄牛などに引き継がれておりまして、千屋牛としてブランド化されているというふうに承知をしております。

 和牛につきましては、全国的に脂肪交雑など肉質に着目した改良が進展してきた結果として、特定の血統に利用が集中している。近交係数、これは同じ先祖の個体から由来した共通の遺伝子が存在する程度を示す指標ですけれども、この係数の上昇が課題となっているという状況でございます。

 このため、農水省といたしましても、希少系統の種雄牛由来の繁殖雌牛の導入の場合にこれを支援するということなどを通じまして、多様な系統が活用され、和牛の遺伝的多様性が確保されていく、これのための取組というものを推進をしているという状況でございます。

平沼分科員 ありがとうございます。

 是非とも、いろいろと、近交係数の問題等もありますけれども、対応いただいて、和牛というのは、やはり世界でも高い評価を得ている、輸出商品における非常に日本の大きな武器の一つとなっております。より一層のお取組をよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 続きましての質問に入らせていただきます。

 農林水産業を担う人的資源の確保は喫緊の課題でございますが、人材を確保するための様々な政策の推進が重要であることは間違いありません。そんな中、二〇一九年四月に、在留資格、特定技能は、農業部門でも人手不足を補う意味でも重要かと思っております。

 一方で、地元漁業関係者からいただいている声として、農業部門では、試験要項の中で、試験言語として、「試験実施国の現地語及び日本語。」とされているのに対して、漁業分野の試験言語というのは、「日本語(ひらがな、カタカナ又はふりがなを付した漢字)とする。」とされておりまして、農業、漁業間で、試験言語の差分がございます。

 これが漁業分野での特定技能資格保有者が増えない原因の一つではないかと言われているわけでございますけれども、こういった指摘を受けております。この点についてどのように把握されているか、教えていただけますでしょうか。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 漁業分野の特定技能試験は、船上での作業という業務の特殊性もございまして、安全性の観点から、日本語による意思疎通を図ることの重要性が高く、日本語のみで実施しているところでございます。

 また、制度を利用する業界団体におきましても、安全管理上、業務に必要な日本語能力を備えた人材を受け入れたいとの意向を有しておられると承知しております。

平沼分科員 現状、理解をいたしました。

 一つ、やはり、漁業といっても幅広く業務があるわけでございまして、危険度に応じてという話もありましたけれども、私の地元の従事者の多くというのはカキの殻むきがメインでございまして、余り、危険度は低いのではないかという現状もございます。

 技能実習生が携わる仕事というのは、やはり多種多様でございますので、作業内容に応じた形での試験の要項を是非とも御検討いただくような余地はあるのかということをちょっとお伺いさせていただきます。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 漁業分野の試験問題の検討、作成は、出入国在留管理庁の定めます「「特定技能」に係る試験の方針について」におきまして、「有識者に相談し、又は助言を求めるなどして適切にこれを行う。」とされておりますことを踏まえ、漁業分野及び養殖業分野のそれぞれに試験策定検討会を設けて実施しているところでございます。

 今後、日本語以外の試験言語の追加につきましては、業界団体や試験策定検討会などの意見等も踏まえまして、検討していきたいと考えております。

平沼分科員 ありがとうございます。

 是非検討委員会などで引き続き柔軟な対応をよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、次は、みどりの食料システムに関してお伺いをいたします。

 みどりの食料システム戦略推進総合対策事業の中に、地域循環型エネルギーシステムの構築とあります。

 私も、これからはエネルギーも地産地消の時代になるのではないかと考えておりますけれども、この辺りをやはりうまく活用しているのが、私は、ドイツのシュタットベルケではないかと考えております。小型のバイオマス発電で電気や熱をつくり出して、地域エネルギーとして利用し、未利用の間伐材なども効率的に運用していると聞いております。

 森林が非常に多い日本においても、今後の国産木材活用及び地域エネルギー確保に同様の取組は効果的と考えておりますけれども、政府としてのお考えはいかがでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 みどりの食料システム戦略におきましては、地域のバイオマス活用は、脱炭素化、環境負荷の少ない社会の実現に向け、重要な取組と考えておりまして、バイオマス発電施設等の導入を通じた地産地消型のエネルギーシステムの構築等の取組を進めることとしております。

 このため、農林水産省では、令和四年度予算におきまして、家畜排せつ物等の地域資源を活用したバイオマスプラントの整備や、バイオ液肥散布車の導入等を支援することとしております。

 また、政府として策定しておりますバイオマス活用推進基本計画におきまして、バイオマス利用の目標を定めておりまして、二〇二五年までに、バイオマスを炭素換算して二千六百万炭素トンの利用、六百市町村におけるバイオマス活用推進計画の策定、バイオマスの産業規模として五千億円の市場の形成等を設定しておりまして、目標達成に向け、関係七府省と連携し、バイオマス活用の推進をしてまいります。

 なお、委員から御指摘がございましたシュタットべルケのような、地域資源を活用した自治体主導の公社の取組は日本でも始まっているところでございまして、そうした取組も含めまして、バイオマスの活用を関係府省とともに推進してまいりたいと考えております。

平沼分科員 是非強力に推進していただきたいと思います。

 エネルギーの自活だけではなくて、余ったエネルギーを販売して地元のインフラの投資に使ったり、また、発電所自体が雇用を生むというような副次的な効果もあると思っております。ありがとうございます。

 もう一点、みどりの食料システムに関してお伺いをいたします。

 現在、日本全体において早急に進める必要があるのがやはりDX化でございます。人材不足も深刻化する中、農業においては、特にこういったことが重要になってくるかと思っております。

 しかしながら、スマート農業といっても、やはり最終的に使用するのは人間でございまして、デジタルはあくまでも技術、ツールなわけでございますから、これをどう使いこなすか、人をどう育てていくかというのが重要になると思っております。

 今後、スマート農業を活用できる人材育成、又は導入サポートができる人材がますます必要になってくるわけでございますけれども、人材育成に関してどうお考えでしょうかという部分と、そしてもう一つ、中山間にとってみれば、狭い場所だとなかなかスマート農業の活用が難しいんじゃないかと個人的には考えている部分もありまして、そうすると、やはりまた平野部との格差が生まれるという心配もしております。

 この辺りに対してどういう見解をお持ちでしょうか。二点、お聞かせ願えますでしょうか。

宮崎大臣政務官 まず、冒頭の部分について、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 スマート農業につきましては、先ほどお話もございましたみどりの食料システム戦略で目指します生産力の向上と持続性の両立を実現する鍵の一つでございまして、先生から御指摘のように、これを活用できる人材の育成、確保は非常に重要だと我々も考えておるところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、環境負荷軽減につながるスマート農業技術の活用を促進をするために、除草ロボットなどの技術導入に併せまして、これらの技術を活用できる人材を研修等により育成するというようなことでございますとか、先生の御地元でも実施をされておりますけれども、スマート農業実証プロジェクトに参加をしていただいた農業者の皆様であったり、普及指導員の皆さん方が中心になって、産地におけるスマート農業技術の普及を進めるということとしておるところでございます。

 加えまして、若手のというようなところになりますと、これからというような人材ということにもなりますので、農業高校でございますとか農業大学校におきましても、スマート農業を活用できる、こういう人材の育成のための、スマート農業に係る研修用の機械の導入でございますとかカリキュラムを強化する、こういう支援をしております。

 これらの取組を着実に推進をさせていただきまして、スマート農業技術を活用できる人材の育成と、それをサポートする産地への支援を行っていきたいと考えております。

青山政府参考人 後段についてお答えいたします。

 スマート農業は、平場の条件のよいところだけではなくて、人手不足が深刻化しております中山間地域において不可欠でございます。

 既に、中山間地域でも導入可能な技術としましては、ドローンによる農薬散布ですとか、傾斜地にも対応できるリモコン式の自動草刈り機、アシストスーツなどが実用化されております。また、狭小な農地に適応する自走式の草刈りロボットや、野菜、果樹の収穫ロボットの開発等にも取り組んでいるところでございます。

 今後も、様々な現場の要望をしっかりとお聞きして、営農条件にかかわらずスマート農業技術を活用できるよう、研究開発と社会実装を着実に進めてまいりたいと思います。

平沼分科員 ありがとうございます。

 地方においては、やはり人材リソースが特に限られてくると思いますので、学校等とも連携して、将来の人材確保も含めて推進をしていただきたいと思います。特に、やはりスピーディーにやっていただければ、大変助かります。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、次を最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、最後に、食料自給率についてお伺いをいたします。

 かねてからの懸案事項である米余りなどは、根本的な解決のためには、消費量の拡大をどうやっていくのかということが重要だと思っております。

 現状、日本のカロリーベースの食料自給率は三七%で、諸外国と比較しても非常に低い水準でございますし、一方で、海外のものも幅広く食として楽しめるというのは非常に重要なことではあると思いますけれども、やはり私は、まず、国産の安心、安全な食を守って、引き継いでいくというのは何よりも大切にしていかなくてはいけないということだと思っております。

 そういった面からも、私は、やはり食育というものが非常に重要であると思っておりまして、例えば、学校給食への地元のお米や野菜の活用であったり、それに付随した食育促進など、関係省庁として、連携して、もっと国を挙げて進めるべきだと思っております。

 日本の食料自給率を上げていく努力を様々されているのは承知をしておりますけれども、食料自給率目標達成に向けた現状の取組と、今後の意気込みを是非お聞かせ願えますでしょうか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 地産地消は、国産農産物の消費拡大につながるほか、地域の活性化や環境負荷の低減に寄与するものであります。

 特に、地域の農産物を直接消費者に販売する直売所は、地場産率が九割であり、地産地消の核となるものでありまして、このため、農林水産省では、直売所の施設の整備や販売管理システムの導入などの支援を行っております。

 また、学校給食などにおける地場産の利用を進めるため、給食現場と生産現場との間の意見を調整する地産地消コーディネーターの派遣や、地場産を使ったメニュー開発なども支援しています。

 今後も、関係省庁と連絡して、学校給食で地場産を活用した食育を進めるなど、引き続き地産地消を積極的に推進しまして、地域の活性化、さらには食料自給率の向上を図っていきたいというふうに考えております。

平沼分科員 力強いお言葉、ありがとうございます。

 日本の食を守るために、また、世界に誇る日本食の文化を発展させるためにも、引き続き何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木原(稔)主査代理 これにて平沼正二郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時五十八分散会


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