衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 堀井  学君

      今村 雅弘君    小寺 裕雄君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 孝一君    大島  敦君

      田嶋  要君    山崎  誠君

      渡辺  創君    阿部 弘樹君

      池畑浩太朗君

   兼務 田中  健君 兼務 笠井  亮君

    …………………………………

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   環境大臣         西村 明宏君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         高橋 孝雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         菅家 秀人君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           森   健君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     渡辺 孝一君

  山本 有二君     小寺 裕雄君

  渡辺  創君     山崎  誠君

  池畑浩太朗君     山本 剛正君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     山本 有二君

  渡辺 孝一君     今村 雅弘君

  山崎  誠君     鎌田さゆり君

  山本 剛正君     高橋 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  鎌田さゆり君     田嶋  要君

  高橋 英明君     阿部 弘樹君

同日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     大島  敦君

  阿部 弘樹君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     渡辺  創君

同日

 第二分科員田中健君及び第三分科員笠井亮君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

堀井主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)分科員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、環境省、大臣にお出ましをいただいておりますので、幾つか、これまで私も取り組んできたこと、そしてGXの関係、今大きく動いております、中心にお話をお聞きをしてまいりたいと思います。

 まず一番目、一般廃棄物処理についてということでお話をお聞きをしたいと思います。

 今、公共事業の再公営化の流れが世界で起きているということでございます。単に経済性を追求するだけではなくて、公共事業の事業ごとの特性だとか地域性などを加味して事業の再設計を行う、そういうことが今行われている。

 日本でも、人口減少、地方で進行する過疎化、公共施設の老朽化などの課題を抱えつつ、どうやって事業を維持し、そしてサービスのレベルを維持し、上げていくかということが問われています。必要な投資というものをどういうふうに効果的に行っていくのか、税金をどういうふうに効果的に使っていくのかということが非常に問われているわけであります。

 こうした時代背景を踏まえた上で、この廃棄物処理という分野においてもいろいろと問題がある、課題があるということでございます。廃棄物処理法上、一般廃棄物の処理については、総括的な処理責任は市町村が担うという原則が今動いている、この認識がやはり非常に問われているということであります。

 例えば、この事業ですけれども、市町村に責任があるといいながらも、直営によらず他者に委託して処理を行わせることが一般的に行われています。その上でも、あくまでも責任は市町村にある。例えば、受託者によって処理基準に適合しないような行為が行われた場合というのは、市町村の責任で生活環境保全上の支障の除去だとか支障の発生防止の措置を講じなければいけないということになっております。

 こうした廃棄物処理法上の大原則に関して、少し前でありますが、平成二十六年の十月八日に通知が出されています。「一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底について」ということで、これは一〇・八通知と通称呼ばれております。

 この通知が出された意義というのは非常に、今の文脈でも大事な通知ということで認識をしておるのでありますが、大臣、是非、この通知を発出した経緯、そしてその意義について御説明をいただきたいと存じます。

西村(明)国務大臣 今、山崎委員が御指摘になられたように、廃棄物処理法におきましては、市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならないこと、そして、この計画に従ってその区域内における一般廃棄物を処理する統括的な責任を負うことが規定されております。

 この規定を踏まえまして、御指摘の平成二十六年の通知におきましては、市町村以外の者に一般廃棄物の処理を委託、又は許可を与えて行わせる場合も含め、市町村の責任において、一般廃棄物の適正な処理を継続的、安定的に実施することの重要性を改めて周知したものでございます。

 廃棄物というのは、都市を中心に、我々の生活において非常に重要な課題でございますので、当該の市町村が責任を持って継続的、安定的に実施していく、このことを定めたものがこの通知であるというふうに承知しております。

山崎(誠)分科員 これはお話しいただいたとおりでありまして、この廃棄物処理の原則を改めて周知をしようということで発出された通知というふうに受け止められるわけでありますけれども、こういう通知を出さなければいけないという、やはり背景があると思うんですね。

 この背景については、大臣、何か御認識ございますか。

土居政府参考人 お答え申し上げます。

 背景としては、大きく二つございます。

 一つは、市町村が絡みました一般廃棄物の大規模な不適正処分が、事案が起こったということで、この解決に向けて、市町村の統括的責任を改めて明確にしていくということが一つでございます。

 もう一つは、最高裁におきまして、一般廃棄物の許可について原告適格を争うという事案がございまして、この最高裁の判決が確定いたしましたので、その大本にありますのが、統括的責任があるということが判決の重要なポイントになっておりましたので、改めまして、この二点に鑑みまして、通知で明確にさせていただいたという背景でございます。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 この通知、やはり現場には様々な課題があるということを背景にして、改めてこの原則を徹底をしたいということで環境省さんが出されたんだというふうに思います。

 通知自体は大変重い、そしてまた意味のあるものだという認識でありますが、結局、これは通知を出して終わりではないわけであります。当然でありますけれども、市町村の現場で、この通知をきちっと認識をして、実行していただいて初めて意味が出るというふうに思います。

 そういう意味で、環境省さんとしては、この通知の徹底をどのように図ろうとしてきたのか、そして、その結果として、この通知が各自治体でどのように対応が行われているか、お聞きをしたいと思います。

西村(明)国務大臣 これまでも、この通知の趣旨につきましては、環境省が実施しております都道府県や政令市の主管課長会議、また、地域での自治体担当者への講演、こういった場において、様々な機会を捉えて更なる周知をしてきたところでございます。

 一般廃棄物の処理が、市町村の責任の下で、繰り返しになりますが、継続的そして安定的に実施されるように、引き続き、丁寧に通知の趣旨を説明するよう、市町村に対して周知してまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 是非、これは国の行政一般に言えることだと思うんですが、通知を発出して終わりではなくて、それがどういうふうに行き渡るのか、現場でどのようにその通知が生きるのかということにやはり注目をしていただいて、その先のお話も目を配り、気を配っていただきたいというふうに思う次第であります。

 これまで本件について、議連も立ち上げまして、ヒアリングを重ねてまいりました。私の印象でありますけれども、環境省の皆さんと現場の場面、ここの一定の距離感みたいなものを感じるのであります。これは例えば、一般廃棄物の処理計画、各自治体の皆さんがどういうふうに作成されているかというようなことをお聞きをするのでありますが、なかなか具体的な御説明というか、環境省として把握しているこの計画の実態のようなことが伝わってまいりません。

 是非ここは、先ほどの通知のお話をしましたとおりでありまして、自治体任せではなくて、できる限り現場の声を直接皆さんも把握をできるように努めていただいて、そうした対応を深めていただきたいというふうに思うのでありますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘のように、先ほど申し上げたような一般廃棄物の処理というのは適正に、着実に行われなければならないものでございますので、しっかりと環境省としてもできる限りの対応はしてまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 本当に、距離感というのは、皆さんも大変限られたスタッフで、そして多くの日本の自治体を相手にするというのは、困難を極めるのは分かるのでありますが、できるだけ現場に近く、出向いていただく、あるいはいろいろな工夫をして現場の声をうまく吸い取りながら、制度の運用あるいは制度の設計に努めていただきたいとお願いをする次第であります。

 少し質問を飛ばしますが、次の大項目、GXの基本方針についてということでお聞きをしてまいりたいと思います。

 GXの基本方針というのが、グリーントランスフォーメーションですね、閣議決定されました。そして、関連の法案の審議が始まろうとしています。

 大変大きな国の方針の決定が閣議決定という形で行われてしまって、十分な議論が行われていないのではないかというのが我々の危惧でありますが、この後国会で様々、法案の審議なども通して議論はさせていただくことになると思います。ただ、この基本方針がもう決まってしまっています。この過程について今日はお尋ねをしてまいりたいと思います。

 一つは、このGXというのは、言うまでもないのでありますが、脱炭素社会を実現するための大きな目標、施策のパッケージという認識であります。そういう意味では、環境省の所管のど真ん中と言っても過言ではないのではないかなというふうに思います。

 そういう前提で、GXの取組の計画やその実施において、環境省の位置づけというのは、今、GXの取組の中でどういう関係になっているか、お聞きをしたいと思います。

西村(明)国務大臣 GXの担当大臣が経済産業大臣であるということは、今回、事実でございますけれども、ただ、今、山崎委員が御指摘されたように、環境省として非常に重要なテーマであるというふうに考えております。

 それゆえに、先日、二月十日に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針、これは、今後十年間で百五十兆円を超える官民のGX投資、成長志向型カーボンプライシングの導入、これを実現することによって、二〇五〇年のカーボンニュートラルと産業競争力の強化、経済成長、これの同時実現を目指すものでございます。

 この基本方針には、官邸に設置されましたGX実行会議において私の方で申し上げました、成長志向型カーボンプライシング構想を通じた社会全体に対する効果的、効率的な行動変容、そして、地域、暮らしの分野における面的な需要の創出や、金属リサイクル等の資源循環分野における資源確保、日本の脱炭素技術が評価される我が国主導の国際的な市場づくりの重要性、こういった、私が申し上げた意見がしっかりと反映されているというふうに承知しております。

山崎(誠)分科員 私の印象なのでありますが、環境大臣の前で申し上げるのは恐縮なんですけれども、何か経産省主導みたいなことが感じられて、言われている。私は、ここは経産省と環境省が共同で進めていく事業でなければいけないというふうに思っておりまして、この辺り、経産省との関係、どのようにお考えですか。

西村(明)国務大臣 先ほど申し上げましたように、GXの担当大臣は経済産業大臣でございますけれども、このGXを進めていくにおいては、しっかり経済産業大臣また経済産業省と連携をしながら、中身についてしっかりと議論そして検討を行いながら、共同して進めているところでございます。

山崎(誠)分科員 具体的に、この基本方針の策定に当たって、環境省からはどのような協議事項を提示されてきたか、この協議事項の環境省からの御提案はどれだけその基本方針に反映できたのか、あるいはできなかった点などがあるのかどうか、お聞きをしたいと思います。

松澤政府参考人 先生、お答えさせていただきます。

 先ほど大臣から御説明ありましたけれども、私どもから、GX実行会議の中で、環境省として大きな方針の中に盛り込むべきことというのは全て大臣から御発言をいただいて、その中身が基本方針の中に反映されております。そうしたことを、GX基本方針の閣議決定の各省協議の中で、私ども、最終確認をさせていただいて、その上で合意をさせていただいております。

山崎(誠)分科員 具体的にお聞きしたいんですよ。環境省さんとして、この項目、この項目、この項目を申し入れて、それがここでは反映された、ここは反映できなかった、そういう具体的な項目、教えていただけますか。

松澤政府参考人 これまで、カーボンプライシングについては、経済産業省と環境省と違うことを言っていて、これについて、産業界ですとか関係の皆さんは、政府の中でカーボンプライシングについて方針が違うじゃないかということをかねて言われてきたわけでございますけれども、今回のGXの基本方針では、成長志向型カーボンプライシング構想というのを具体化するということで、これに関しては、環境省がかねて申し上げてきた内容を経産省と相談して、現在の案にさせていただいたということでございます。

 このほか、GX基本方針の中に、今後より具体化していくべき資源循環の話とか、そういったものについて大きな項目として提示をされている、こういうことでございますので、ほぼ、環境省が提案してきた内容というのが現在盛り込まれているというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 もう少し、今日は時間がないのでこれは致し方ないんだと思いますけれども、非常に、省庁間でどういう協議が行われたのか、そして、GX基本法案、幾つか、二つ法案があります、その際に各省庁の協議がどういうふうにやられたかというのは、私は、極めて大事な、基本方針策定、決定に当たってのポイントだと思っております。是非、省庁間のやり取り、協議の詳細について、記録として委員会に提出をいただきたいと思います。

 GX基本方針策定の際の各省庁との協議の記録、そして、GX基本法案、二つありますけれども、その策定の各協議の記録、委員長、提出をお願いをしたいと思います。お取り計らいをお願いいたします。

堀井主査 ただいまの件につきましては、私から理事会に申し伝えておきます。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 次に、GX基本方針に関わるパブリックコメントに対する環境省の評価、受け止めについてお聞きをしたいと存じます。

 パブリックコメントが実行されまして、まとめると三千三百を超える意見が出てきたということであります。このパブリックコメントについて、環境省としてはどのように分析をし、評価しているのか、御説明いただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 このGX基本方針についてのパブリックコメントにつきましては、昨年十二月の二十三日から本年の一月二十二日まで、三十一日間にわたって実施いたしました。全体で三千九百六十六件、名寄せをいたしました結果、三千三百三件の意見が寄せられたところでございます。

 全ての意見について精査を行って、寄せられた意見を約三百五十の主要意見に区分いたしました。その区分ごとに具体的な意見を例示して、それに回答するという形でパブリックコメントの結果を取りまとめたところであります。そして、GX基本方針の閣議決定と同時に公表いたしております。

 今回のパブリックコメントでは、原子力、水素、アンモニア、カーボンプライシングなどについて、賛成、反対の御意見を寄せられまして、これらの意見に対しまして、政府の考え方を丁寧に説明しているところでございます。また、原子力を活用する上で、東京電力福島第一原発事故への反省や安全性最優先であることを改めて強調するなど、与党との調整、また各省との協議等も経まして、必要な修正を行っております。

 引き続き、国民の皆様の御理解を得られるように、各省庁と連携して、政府の方針を丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 具体的にお聞きします。環境省としては、どなたがこのパブリックコメントの取りまとめに関与されたか、何人の方が担当されたんですか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 私、担当局長として、それから同僚の指定職の者、さらに、私の局におります担当課長、総務課長、こういったところを始め、恐らく管理職クラスでは五人以上の者がこういったものについて目を通して、その課長の下に補佐とか係長の人たちもおりますので、そういった、組織全体としてこのパブリックコメントについては対応をさせていただいております。

山崎(誠)分科員 御説明があったとおり、名寄せをすると三千三百を超える意見があって、そのうち、三百五十というようなカテゴリーというか意見のグループをつくって、その中で整理をしたというお話であります。

 私は、おかしいなと思っているところが一点ありまして、この三百五十の各ポイントについて、これはどのぐらいの意見があったかというのは集計されていないんですよ。これで十分な分析ができるんでしょうか。どのぐらいの、全体の意見の分布、どういう意見が多いのか少ないのかというのは、このパブリックコメントの分析の重要なポイントだと思うんですけれども、いかがでしょう。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 パブリックコメントについては、意見のグループごとに、約三百五十ということで分類をして、それについて個々に回答をさせていただいております。このように、三百を超える多様な意見が出ているということかと思います。

 また、パブリックコメントにつきましては、提出された意見の数の多い少ないに着目するのではなく、提出された意見の内容に着目するとされていることですとか、それから、提出された意見の中には、無記名のものとか、複数の企業が加盟する団体のものなど、様々な形態のものが含まれておりまして、個々の意見の数それ自体に着目はしておりません。

山崎(誠)分科員 私は、正確な数というのはもしかすると出しにくいのかもしれませんけれども、そういう多くの意見が出たポイントというのはやはり重要視しなきゃいけないんだと思いますよ。そうじゃなければパブリックコメントの意味が半減するのではないか。そうじゃなければ、要するに、パブリックコメントの都合のいい項目だけ、政府として都合のいい項目だけ拾って、それを反映したからいいだろうということになってしまう。それではパブリックコメントの意味はないんですよ。パブリックが、国民の皆さんがどういう思いを寄せたか、それに寄り添うパブリックコメントでなければ意味がないと思いますよ。

 この点、どうですか。これは大臣、どうですか。意見を、どれをピックアップするか、どれをどういうふうに整理するか、それでも非常に意思が働きますよ。

 環境省として、経産省さんと一緒に取りまとめをしたと思いますけれども、そういうときにぶつかった項目とか、集計の方法で意見が割れた、そういうことはありませんか。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、その多寡に関して着目すべきだという御意見は当然あるものだと承知しておりますけれども、行政手続法上、パブリックコメントは、提出された意見を十分に考慮するべきだというふうにされておりますが、その行政手続法に関する裁判所の判例等によりますと、その考慮は提出意見の内容に注目して行われるものであり、内容については各省協議等も行った上で適切に対応しているというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 後半の質問、答えていただけますか。参考人でいいですよ。

松澤政府参考人 特にぶつかったということはございません。

 この答弁は環境省の方で作成してほしい、そういった役割分担について十分調整した上で、現在のパブリックコメントの回答という形を取っております。

山崎(誠)分科員 委員長、お願いがあります。

 パブリックコメント、大部でありますけれども、この全体像の提出を求めます。やはりこれは、分析をちゃんとしないといけない。私はやはり、どういう意見がどういうふうに出ているか、その全体像を把握をしなければいけない、そのときに、どういうふうに集約をしたのか、その考え方、これも非常に重要だと思います。

 是非、パブリックコメントの提出をお願いをしたいと思います。委員長、お取り計らいをお願いいたします。

堀井主査 ただいまの資料要求につきましては、政府においてしかるべき措置を願います。

 また、ただいまの件につきましては、私から理事会に申し伝えておきます。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 それでは、次の項目でありますが、GXの基本方針において、原子力発電の安全規制に関する位置づけについて大きな変更をしようとしているということであります。

 GX基本方針では、四十年の運転制限、これを、利用の政策だということで、今後の法案、出てくる中で、電事法への規定の移管、移動ということを提案をされている。この点については、この運転制限のお話については、原子力規制委員会でも、安全規制の後退だという意見を出された方がいて、残念ながら、その意見は多数決で押し切られてしまったと。政府の方針を追認するような決定が下されたと言えます。このときに、委員長から、この法案の審議なんでしょうか、そういった日程感があるので、ここで決めなければいけない、そんな発言まで出てしまったと。

 それから、私、すごく気にしているのは、規制庁の長官ほかトップ三人が全て今、経産省出身と。これも私は異常事態だと感じております。

 東京電力福島第一原発事故の教訓というのは、利用と規制を分離をする、規制は環境省の外局であります原子力規制委員会に委ねる、それが大原則として決められたことであります。

 そもそも、安全が最優先というのは、どんな利用上の要請があっても、独立の立場で安全の規定を遵守し審査を行う、それが規制委員会の役割ということで定められているんだと思います。この原則が今揺らいでいる。

 それで、十七日に、運転期間の延長をめぐって、岸田総理から、新たな安全規制の具体化などの指示を原子力規制庁の片山長官に西村大臣が伝えたということでありますが、これは事実でしょうか。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、岸田総理から、私と経済産業大臣がGXに関しての指示をいただきました。その指示自体は、丁寧な説明をできるように閣議決定までに準備をするように、そしてまた、様々な今後の官民の体制をしっかりと構築するようにというようなアナウンスでございましたので、環境大臣として総理からの指示はいただきましたけれども、原子力規制委員会は独立した組織でございます、三条委員会でございますので、その指示をお伝えするということは適格ではない。しかしながら、丁寧な説明をしてほしいという総理のお考えはお伝えしておくべきだということで、原子力規制委員会ではなくて、その下の実務的な原子力規制庁の長官にそうした総理のお考えをお伝えしたということでございます。

 ちなみに、お伝えするに当たっては、事前に記者会見において、総理からのそういったお考えを規制庁長官にお伝えするということと、その内容につきましてもオープンにした上で、そして伝達をしたということでございます。

山崎(誠)分科員 これまで、こういう伝達というのはほかにあるんですか。大臣から規制庁か規制委員会にこういう伝達があったということはあるんですか。

西村(明)国務大臣 私になってからはございません。

山崎(誠)分科員 過去はどうですか。

西村(明)国務大臣 過去に関しては、ちょっと、今、急な御質問でございますので、承知しておりません。

山崎(誠)分科員 後ろで今立ち上がった。答えられますか。規制部長、見えているんでしょう。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣先ほど言われたとおり、現在については初めてでございます。済みません、過去につきましては承知をしておりませんので、調べさせていただければと思います。

山崎(誠)分科員 これはやはり極めて、今の大臣の答弁の中で、閣議決定までに準備してもらいたい、そういうお話もあったと。これがまさに問題だということですよ。閣議決定という政治的な判断のために、規制委員会、規制庁、準備しなさいという指示、これがまさに規制と利用の分離を破壊しているんですよ。

 私は、ちょっと時間なのでやめますが、この問題、また経産委員会等でも引き続き取り上げさせていただこうと思います。

 ありがとうございました。

堀井主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、東京電力第一原発の事故による汚染土を東京・新宿御苑など三か所に持ち込んで、再生利用の実証事業を行おうとしている問題について質問いたします。

 我が党は、汚染土の処理については汚染者の責任が大原則ということであって、住民合意もなく国が上から押しつけてはならない、こう一貫して主張してまいりました。

 そこで、西村大臣に伺いますが、大臣は記者会見で、実施に当たっては、地元の皆様の御理解が得られるように丁寧に説明を尽くしてまいりたい、また、地元の理解を得ずにやるということはないということを明確に述べられておりますが、当然この立場には変わりはありませんよね。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘の発言につきましては、再生利用の実証事業に当たっては、住民の皆様に御理解をいただくために丁寧な説明を尽くすという趣旨で申し上げたものでございまして、この方針に変わりはございません。

笠井分科員 新宿御苑の現地を昨年十二月二十七日に私自身も住民の皆さんとともに視察をいたしましたが、周辺は学校、公共施設、多数の商店や住宅が密集をしていて、御苑には幼稚園や保育園の子供さんたち、それから遠方からの来訪者も多数訪れておられます。近年は海外からの旅行者も多いわけですが、新宿区では昨年十二月二十一日に説明会が行われました。

 新宿区に対しては、いつ環境省の側から説明を行ったんですか。

土居政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省から新宿区に対しましては、昨年七月二十三日に、新宿御苑など環境省の施設におきまして実証事業を検討している旨を報告いたしました。また、昨年十一月十八日に、新宿御苑における実証事業につきまして地元説明会を行いたいということにつきまして御相談申し上げました。その後、住民説明会の開催に至るまでの間、詳細な事業内容の説明であるとか住民説明の実施方法に関する相談を行ってまいりました。

笠井分科員 この実証事業に係る契約の企画競争の公示日、契約日はそれぞれいつになっているか。企画提案で応じたのは何社で、どこでしょうか。契約先はどこか。事業の中身は何で、概要で結構ですが、契約金額は幾らになっていますか。

土居政府参考人 お尋ねの実証事業に係ります契約につきまして、昨年の八月五日に公示をいたしまして、十一月十八日に契約を実施しております。

 企画書の提出がありましたのが除染土壌等減容化・再生利用技術研究組合の一者でございまして、当事業者と契約を行っております。契約の金額は、税込みで五億四千百二十万円でございます。

 事業の内容につきましては、除去土壌の再生利用に係る実証事業を進めるに当たっての空間線量率や水質などの調査検討業務、そして除染土壌の品質調整や実証事業の場所における工事、さらに、実証事業場所におけます点検、監視、維持管理業務を内容としております。

笠井分科員 丁寧な説明とか、地元の理解を得ずにやるということはないというふうに大臣もおっしゃりながら、住民に説明する前から業者と契約をして、事業を進めようというものであります。

 契約先の除去土壌減容化・再生利用技術研究組合というのは、大手ゼネコン関係者が代表理事や理事を務める組合であります。

 所沢市では、地元町会が決議を上げ、市長は、地域の理解がなければ私は分かったとは言わないとおっしゃられています。大臣は、理解を得ずにやるということはないとおっしゃっているわけですから、この状況ではやれないはずであります。

 そこで、大臣に伺いますが、十二月二十一日の新宿区での説明会では、様々批判の声、意見が出ております。

 対象は新宿一丁目と二丁目に住んでいる方々だけ、告知は町会の掲示板にA4判一枚で、この紙ですが、このペーパーを掲示しただけで、説明会の内容は、福島第一原発事故に伴う環境影響と環境再生事業について、今回実施予定の実証事業についてというふうに記されているだけでありまして、新宿御苑への汚染土の持込みの説明会だということは、これを見ても、告知を見ても、絶対、全く分からないわけですね。

 これで説明会をやって、丁寧な説明、このように言えるんでしょうか、大臣。

西村(明)国務大臣 新宿御苑における実証事業につきましては、新宿区と相談しつつ、十二月に、近隣にお住まいの住民の方を対象として説明会を開催いたしました。

 コロナ禍のために、参加人数の制限や掲示板での周知等の対応となったという報告を受けておりますが、今、笠井委員御指摘のように、分かりづらいというようなお話もいただいておりますので、現在、追加の説明会や広く丁寧に周知する方法につきまして、新宿区と相談をしながら検討しているところでございます。

笠井分科員 分かりづらいということも含めて今大臣がおっしゃったので、改めて新宿区での説明会というのはやるということでよろしいんでしょうか。

 それから、渋谷区では、きちんと、当然、地元です、千駄ケ谷の五丁目、六丁目を始めとして地元ですので、これも説明会はやりますよね。

西村(明)国務大臣 新宿区につきましては、追加の説明会につきましても、新宿区とよく相談をしながら対応を検討しているところでございます。

 渋谷区につきましては、事業概要等の説明を行うとともに、まず新宿区の近隣住民の皆様から丁寧に説明する方針でございますので、まず新宿区の方でしっかりとした説明をするというのを優先してまいりたいというふうに考えています。

笠井分科員 新宿区については、地元新宿区と相談しながらとおっしゃるんだけれども、地元住民との関係でいえば、国がきちっと説明する責任があるわけです。そして、説明を尽くすとおっしゃっているわけですから、相談しながらというのは、相談して結構ですけれども、ちゃんとやるということは明確にしていただきたい。

 それから、渋谷区については、地元住民の皆さんが、強く、どうなっているんだという声が上がっているわけですから、我が党としても、渋谷区議団を通じて、説明会すべしという要請は大臣宛てに行っていますが、これも、説明を尽くすとおっしゃるのであれば、地元にやらなきゃいけないので、まずはというんじゃなくて、渋谷区もやりますというのでなければ、どこが丁寧な説明かということになります。しっかりとやっていただきたいと思います。いかがですか。

西村(明)国務大臣 渋谷区に関しましては、環境省の方から事業の概要や今後の方針については説明させていただいております。

 渋谷区の方からは、事業の内容や今後の方針は聞きおいた、引き続き情報提供を求めるという反応がございましたので、しっかりとした情報提供は今後進めてまいりたいと思っております。

笠井分科員 これは住民との関係ということですから、そこは国として責任を持って説明会をやっていただきたい。渋谷区に説明すれば済むわけではありません。

 昨年十二月二十三日の大臣会見では、東北や中部とか関西、九州などでも実証事業等は検討しているのか、こう問われて、大臣は、今、ほかでも検討していますけれども、まだ決まってはおりませんというふうにお答えになっておられます。

 そこで、大臣、もう決めたところはあるんですか。

西村(明)国務大臣 環境調査研修所、新宿御苑、国立環境研究所の三か所を候補地として現在調整しておりますけれども、そのほかにも検討はしておりますけれども、具体的に決まっているところは全くございません。

笠井分科員 昨年十二月六日の会見では、全国的に理解醸成につながるようにしてまいりたい、除去土壌の再生利用に関する理解醸成の場としても活用してまいりたいというふうに大臣おっしゃっておりますが、全国各地での再生利用というのは考えているんですか。

西村(明)国務大臣 福島県外の最終処分の実現に向けましては、除去土壌の再生利用といったものが重要でございます。そのためには、全国的な理解の醸成というものが必要だというふうに考えております。

 このため、今御指摘の発言につきましては、私も参加して全国各地で開催している対話フォーラムなどを通じまして実証事業の取組状況を発信して、再生利用に関する全国的な理解醸成につながるようにしてまいりたいという趣旨で申し上げたものでございます。

笠井分科員 福島第一原発事故は、国と東電によって引き起こされたものであります。汚染土を、国民、住民合意もないままに上から押しつけて、全国に拡散してはならない。

 大臣、処分はやはり国と東電の責任でしっかり行うべきではないかと思いますが、いかがですか。

西村(明)国務大臣 福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分という方針は、国としての約束でもあり、また法律にも規定された国の責務でございます。

 この責務を果たすためには、環境省では、全国での対話フォーラム、一般の方を対象といたしました実証事業の現地見学会、官邸や関係省庁へ除去土壌を用いた鉢植えの設置、こうしたことによって、最終処分量を低減するために、再生利用に関する理解醸成への努力というものを積み重ねているところでございます。

 これまでの実証事業を通じた科学的知見も活用して、引き続き、除去土壌の県外最終処分や再生利用について国民の皆様の御理解が深まるように努めてまいりたいというふうに考えております。

笠井分科員 岸田政権は、原発回帰ということで、最大限に原発を利用する方針を決めたと言っているわけです。今でも除去土壌は大変な量になっています。ゼロリスクはないと総理も繰り返し言われるわけですが、ゼロリスクはないわけですから、また事故が起こったら、更に大量の汚染土が出てまいります。国民の理解とおっしゃるけれども、原発を続けるといったときに、事故が起こったらまた出てくる、こんなことを続けているという状況で、本当にこの問題は理解なんか得られないと思うんですよ。原発回帰の方針は撤回すべきだと強く求めておきたいと思います。

 続いて、次に、東京・神宮外苑の再開発事業について伺います。

 まず、西村大臣、都市の持つ緑地の意義と役割そのものについて、それから地球温暖化対策推進法に基づく環境省としての役割、さらには他省庁とのこの問題での連携というようなことについてはどのようにお考えでしょうか。

西村(明)国務大臣 都市の緑化というものは、国民の日常生活にとりましても最も身近なCO2の吸収源対策であるというふうに考えます。緑化の推進は、地面のアスファルト舗装等による高温化を防ぎますし、また、熱環境の改善を通じた都市の脱炭素化にも貢献するものでございます。実際の吸収源対策になるだけではなくて、地球温暖化対策の普及啓発にも大きな効果を発揮するものだと考えております。

 このため、政府におきましては、地球温暖化対策推進法に基づき地球温暖化対策計画を策定し、関係省庁が連携して都市の緑化を推進することとしております。

 また、この法律に基づく地方公共団体実行計画におきまして、地方公共団体に対しまして、都市における緑地の保全等に取り組むよう促しているところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、国及び自治体による都市の緑化というものを進めてまいりたいと考えています。

笠井分科員 非常に大事なことだと思います。

 そこで、明治神宮外苑は、緑が豊かで、美しい景観を備えた都心のオアシスともいうべきところ。全国からの献金と献木、勤労奉仕によって造営された歴史があって、近代日本の文化的遺産とされております。やはり、私、本当に何度も、あそこはすぐそばですので行きますが、日本の宝ともいうものであります。

 今ここを、三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮、そして独立行政法人日本スポーツ振興センターが事業者となって、東京都とともに再開発をしようとしている。神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替えて、高さ百九十メートルと百八十五メートルの超高層ビルなど三棟の高層ビルが建てられるという計画であります。

 大量の樹木が伐採されて、外苑の象徴ともいうべきイチョウ並木が存亡の危機にさらされるということで、多くの声も上がっている。専門家からもそのことが上がっております。十七日には、二月十七日ですが、この再開発事業を東京都が認可をいたしました。

 そこで、文科省に伺います。

 イチョウ並木の名勝指定についてでありますが、文化庁の検討会が二〇一二年にまとめた報告書で、イチョウ並木は、今後、特に保護措置を充実させる必要性が高いと認められる重要事例というふうにされています。名勝の指定に向けて、地元の自治体から意見具申ということがあってそれを受けた場合に、どう対応するというふうになっていますでしょうか。

井出副大臣 井出でございます。よろしくお願いいたします。

 先生からお話ございましたように、過去にその報告書において先生御指摘の件があったことは、先般、二月の三日ですか、予算委員会で大臣から答弁したとおりでございます。

 意見具申というものは、一般的には、当該地元自治体において保存と開発が両立をできるように、関係者間で開発の計画、保存範囲等についてよく調整をしていただくことが必要となります。その上で、名勝指定、地元自治体からの意見具申を受けた場合は、文化審議会の方で審議を行い、審議の結果、文化財としての価値が認められれば、文化審議会から文部科学省への答申、文化財の指定、こういう手続になっております。

笠井分科員 再開発事業は、独立行政法人日本スポーツ振興センターの保有する秩父宮ラグビー場と神宮球場の入替えが大きな柱となっております。スポーツ振興センターから、独立行政法人通則法の四十八条に基づく財産処分の認可申請というのは出されたんでしょうか。

井出副大臣 お話ありましたように、この独立行政法人通則法第四十八条では、不要財産以外の重要な財産であって主務省令で定めるものを譲渡、又は担保に供しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならないとされております。現時点で、その認可申請というものは提出をされておりません。

笠井分科員 秩父宮ラグビー場の移転、建て替えでは、元日本代表の平尾剛さんが呼びかけた「秩父宮ラグビー場をこの地で継承したい。「ラグビーの聖地」の移転・改悪を止めよう。」という署名が広がっております。観客席が二万五千人から一万五千人に減らされ、屋根は閉め切りで、人工芝のグラウンドにもなる、ライブ会場などになって、大型スクリーンが設置される、これでラグビーの聖地と呼べるのか、巨額費用をかけた新施設にせずとも、現在の秩父宮を改修すべきというものでありますが、こうした声にどう応えますか。

井出副大臣 御指摘のような声があるということは十分に承知をしております。

 その一方で、この秩父宮ラグビー場は、私も昨年視察に行ってまいりました。建設から七十六年が経過をして老朽化が著しく、その対応が大きな課題である、また、ユニバーサルデザインの導入ですとか多様化ですとか、近年のニーズへの対応も求められている、そういう御意見もございます。

 こうした様々な御意見を踏まえて東京都が策定した神宮外苑地区のまちづくり指針などに基づいて、競技を継続的に行えるように、ラグビー場と神宮球場の連鎖的といいますか、そうした継続的な競技ができるような建て替えの方針が示されたものと承知をしております。

笠井分科員 現在地で改修をの声は、多くの有識者からも上がっております。

 ところが、移転計画では、秩父宮ラグビー場の敷地など約三・四ヘクタールが都市計画公園の区域から削除されて、そこに三井不動産の百八十五メートルの超高層ビルが建てられる。再開発等促進区という手法で、ラグビー場やイチョウ並木の容積率が超高層ビルに移転されるというものであります。

 国交省の都市計画運用指針は、再開発等促進区を指定することが考えられる事例を五点挙げております。工場や倉庫跡地、埋立地、農地、老朽化した団地、木造密集地などで、都市計画公園とは似ても似つかぬところであります。それを東京都は、指針には都市計画公園に適用してはならないとは書いていない、こう言って強行している。

 一方、東京都は、二〇一一年九月の文書で五事例を列挙しながら次のように言っていた経過があります。再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルは高いと。

 そこで、国交省に伺いますが、神宮外苑地区で再開発等促進区を定めるに当たって、東京都から問合せを受けて説明や助言を行ったことがあるかどうか。あるかないかだけ答えてください、時間がありません。

佐々木政府参考人 御指摘の再開発等促進区につきましては、一般論として、公共団体から制度運用についてお問合せがあった場合、我々国土交通省としても真摯に対応させていただいておりますが、本件、御指摘の神宮外苑地区を再開発等促進区に定めることにつきましては、東京都から相談を受けたという記録はございません。

笠井分科員 ないということであります。結局、無理筋の計画で、秩父宮ラグビー場の移転はそれに加担するものだ。

 もう一つ、この移転では、建国記念文庫の森という、樹齢百年を超える樹木が生育をする、神宮外苑ではほとんど唯一の自然林の三分の二が消失し、残り三分の一も枯死の懸念が指摘をされています。つい先週末には、低木で約千五百本の伐採もするという許可申請が行われている。

 文科省に伺いますが、独立行政法人の施設の移転で貴重な緑が壊されるようなことがあっていいんでしょうか。

井出副大臣 本件の開発事業につきましては、東京都、それから関係区、地権者を始めとする関係する事業者の皆さんと協議をしながら適切に対応していく、進めていくべきものだと考えておりますし、文科省としては、その状況を注視をしております。

 御指摘の記念文庫の森につきましては、東京都からの要請等もあり、事業者の方で樹木の保存ですとか移植の努力を進めていく、そういう意向も表明をされていると伺っております。

笠井分科員 森の南側は完全に破壊をされる。外苑再開発では、この森を含めて大量の樹木が伐採をされます。秩父宮ラグビー場の移転、建て替えは、今見てきたように様々な問題点を抱えているということであります。

 昨年六月の東京新聞世論調査では、外苑再開発反対が六九・五%、賛成が五・七%でありました。再開発の見直しを求める署名は十一万人を超えて、ユネスコの諮問機関である日本イコモス国内委員会や有識者も計画の見直しを繰り返し求めておられます。昨日は、日本イコモス国内委員会が事業着手の中止を強く求めました。また、専門家からは再開発事業の認可の撤回、これを求める要請も出されております。

 昨年十一月には、超党派の国会議員連盟が発足をいたしました。計画の抜本的な見直しを求める決議を上げているわけであります。発起人代表の船田元衆議院議員とともに、私も発起人の一人として、一月十八日には国定環境政務官に、二十日には永岡文科大臣に直接要請も行ってまいりました。

 外苑再開発の柱を成すのが、秩父宮ラグビー場の移転、建て替えであります。そういう点では、文科省は、たくさん問題を抱えているわけですから、このまま認可すべきではないと。副大臣、いかがですか。

井出副大臣 御質問、御指摘のありました東京新聞のアンケートにつきましては、昨年の六月に、あなたは明治神宮外苑の多数の樹木を伐採する再開発の計画に賛成ですかという問いに対して、反対が御指摘のとおり六九・五%あったと承知しております。

 先生から御指摘ありました建国記念文庫の森ですとか、その前段のイチョウ並木ですとか、イチョウ並木の方も保存を事業者の方で表明されていると聞いておりますが、樹木を保存するという努力、動きというのも見られるかと思います。

 通則法に基づく認可につきましては、その内容や方法が適正であるか、それから、申請のあった財産の処分等によってJSCの業務運営が阻害されないかどうか、そうしたところを確認して行うものでございまして、先生御指摘の様々な御意見につきましては、やはり関係者ですとかいろいろな声を聞きながら進めていくというのが大事なことではないかというふうに思います。

笠井分科員 多数の樹木を伐採する、そういう再開発に対して七割近い反対というか、その声が上がっているわけでありますし、イチョウ並木だって、あそこに野球場を、すぐそばにでかいのを持ってくると、今の並木のぎりぎりまで来て、それで本当にそこでまたイチョウがそのまま存続できるのかということになってくる大問題が指摘されているわけですから、適切に対応するというのであれば、適切に見直したら、このまま認可はできないということになるのが当然だと思います。強く求めておきたいと思います。

 最後に、西村大臣に伺います。

 超党派の国会議員連盟の決議、ここにありますけれども、この決議では、神宮外苑の樹木は今百歳を超えて、豊かな自然環境を人々に提供するとともに、歴史的、文化的そして国際的価値を有しています、現代的に言えばSDGsの先進事例とも言えますと述べています。

 東京都や事業者は、切るよりも多くの木を新たに植えると説明しておりますけれども、日本イコモス国内委員会理事の石川幹子東大名誉教授は、一本ずつに歴史があり代えは利かないとおっしゃっています。切るのは簡単ですが、元のように再生するには百年かかるということであります。

 大臣、都市の緑地を守るという観点、大事だと冒頭おっしゃいました。その観点からも、東京都民、専門家を始めとして、関係者、超党派の国会議連の思いを受け止め、そしてきちっと対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 超党派の国会議員連盟の皆様の決議文書を受け取りました。議連の皆様の思いにつきましては、十分に承知しております。

 神宮外苑地区における町づくりに関しましては、東京都の条例に基づく環境影響評価手続が行われた上で、先日、再開発事業が認可されたものというふうに承知しておりますが、一般論として申し上げますと、都市における緑地というものは、脱炭素の観点のほかに、都市に生きる生物の生育の場として重要であると考えますし、また、都市住民にとっては、身近な自然と触れ合える場でもございます。

 様々な条件や課題がある中で、環境へ最大限の配慮をした事業の実施といったものを期待したいというふうに思います。

笠井分科員 時間が来たので終わりますが、緑を守る点では、新たに植えられる樹木は若い低木で、樹齢百年の大木の代わりにはなりません。大量の樹木を伐採して、都市計画公園を削って、大企業の巨大ビル造りを進めるような規制緩和による再開発は、国民、都民から理解は得られません。

 歴史があって、美しく、親しまれる神宮外苑を守るため、環境行政の側からも、是非、徹底的な尽力をしていただきたい。西村大臣にこのことを強く求めて、質問を終わります。

堀井主査 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)分科員 国民民主党の田中健です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、古紙をめぐる問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 一つ目は、グリーン購入法についてです。

 日本では、古紙の回収システムというのは整備が大変進んでおりまして、利用率、回収率というのは世界でトップクラスと言われています。

 そんな中、平成二十年、環境意識の高まりからリサイクルペーパーや再生紙が注目をされている中、製紙メーカーによる古紙パルプの配合偽装問題が起きました。配合率を高く偽装したメーカーの姿勢というのは当然非難をされるべきでありましたが、当時、グリーン購入法で定められた配合率というのを守ろうとすれば、どうしてもコスト高になってしまうということが要因の一つであると言われました。その証拠に、この事件をきっかけに、再生紙が、どれだけ含まれているかという含有量を競うようなことがなくなったとも言われています。

 その後、総合評価指標制度などが盛り込まれたグリーン購入法の基本方針が二〇一〇年の閣議で決定され、国や独立法人等が調達するコピー用紙や印刷用紙については総合評価八十以上あることが定められるようになっています。

 その後、昨今は、二〇一八年頃から、中国や新興国の消費増加に伴い、古紙が国内より高値で買い付けが進むことになり、国内の古紙が不足している状態となっています。再生紙、入手困難ということも言われるようになりました。

 そして、二〇一九年、「グリーン購入法基本方針における印刷用紙の取扱いについて」で、再生紙が入手困難な場合に代替品の使用を認めるという決定をしましたが、それでも充足されることなく、さらに、昨年の十二月、年末に、「担当官の了解を得た場合に限り、」という限定を削除いたしました。

 このように、これまで様々な取組がなされてきたということは分かりますけれども、コロナが四年を迎え、リモート、住宅勤務というのが当たり前となり、さらに、あらゆる業界でペーパーレスというのが進んでいます。つまり、これまでのような対処療法的なやり方では、現在の困難な状況、この古紙の確保というのがなかなか解消できないのではないかと考えます。

 グリーン購入法における古紙利用の在り方や、環境に配慮された原料を使用したバージンパルプを含めた、環境に配慮された製紙品、紙の在り方について、是非、環境省の方で検討が必要ではないかと考えていますが、見解をお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 グリーン購入法は、市場における環境物品等の普及の状況等を踏まえて、毎年、基本方針を改定し、国等が基本方針に沿って物品調達を行う仕組みでございます。

 現在、紙類の基準においては、古紙に関する最低配合割合を定めるとともに、森林認証材や間伐材の利用割合等を含め、総合的に評価をしているところでございます。

 紙類の中で、印刷用紙の基準については、古紙に関する需給環境の変化に伴い、今年度中に古紙の最低配合率を六〇%から四〇%に見直す等の手続を進めているところでございます。

 また、紙類の基準に関する検討会を来年度設置する予定であり、現在の市況状況等も踏まえた基準見直しの検討を行ってまいりたいと考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 見直しをし、さらに、八十から、六〇、四〇というふうに様々な検討をしているということもお聞きをさせてもらいました。何が環境にとっていいのか、何が古紙につながるのか、リサイクルにつながるのかという点で、是非、前に進めていってほしいと思います。

 それに関連して、紙リサイクルについて伺いたいと思います。

 公益財団法人の古紙再生促進センターの「紙リサイクルの意義」にこう書いてあります。「紙の原料は元をたどればすべて木材です。不要になった紙を安易にごみにすることは、貴重な森林資源を浪費することにつながります。視点を変えれば、古紙は国内で発生する貴重な資源であり、製紙原料の安定確保のためにリサイクルは重要です。」とあります。まさに、紙を安易にごみにしてはならない、また、古紙というのは貴重な資源であるということが言われています。

 古紙は、経産省の統計では九分類、また、この古紙再生促進センターの分類では二十六の主要銘柄に細分類されていますが、中で、製紙原料にならないもの、これを禁忌品としています。

 具体的には、様々な、このように、「出してはいけない!!」というもので、写真もつけてあるわけでありますけれども、その中で、古紙に出してはいけない、リサイクルできない紙として、チラシや紙コップ、紙皿、防水加工された紙類というものまでが挙げられています。これは、現在ではもうリサイクルができるものとして認識をされています。

 私の地元富士市は紙の町として発展をしてきたところでありますけれども、富士市においては、さらに、紙箱や、もちろん紙カップ、はがきや封筒、はがきも、ビニールがついたり窓枠つきのようなものも含め、また、アルミ加工紙、内側が銀色に加工されたものや、また感熱紙、写真、シール紙や折り紙、メモ帳、附箋と、あらゆるものを再利用していこう、リサイクルしていこう、古紙として使っていこうということを掲げて訴えています。

 一方、やはり全国の自治体、まだまだそこが遅れていると言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、このリサイクルセンターの基準というものを基にリサイクル品というものが決められているところが多いということも聞いています。ですから、この禁忌品分類というのが大変指標になっている、重要な基準となっています。

 この禁忌品分類も三十年来変わっていないということでありますから、是非、紙をごみとせずにリサイクルするためにも、そして廃棄物減量というものを、減らしていくためにも、まず、この禁忌品というものを見直していただきたいと思いますし、また、リサイクルできるものというのを、環境省の方から、また、今日は経産省もお越しいただいているかもしれません、経産省の方からも、バージョンアップしたものを各自治体にも知らせていただけるような取組ができないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

恒藤政府参考人 まず、経済産業省でございます。

 昨今、デジタル化の進展などに伴いまして、紙の消費量の減少がございます。それを背景に古紙の流通量が減少してございます。

 こうした中、古紙を原料として紙製品を製造している事業者の中には、現在収集、活用されていない種類のものも活用すべきといった声があるというのは私どもも認識をしているところでございます。

 現状、地方自治体が古紙として回収する対象につきましては、資源有効利用促進法などの関係法令において具体的に定められているものではございませんで、廃棄物を収集する各自治体がそれぞれ決定をしているものでございます。

 今委員から御指摘いただきました公益財団法人古紙再生促進センターは、リサイクルできない紙類として具体的な品目を提示をしてございますが、これを各自治体が古紙回収品目を定める際に参考にしているというのが今の現状と認識をしてございます。

 先ほど申しました古紙再生促進センターのリサイクルできない紙類のリストにつきましては、製紙メーカーやあるいは古紙問屋などの業界関係者を集めた中で技術的、専門的に検討され、適宜改定されているとは聞いてございますが、ただ、前回の改定から既に七年が経過していると聞いてございまして、今委員からも御紹介ございました、例えば防水加工された紙コップなどを再生利用できる設備を導入している事業者も徐々に出てきているというふうに聞いてございます。

 そういう意味では、前回の改定から状況が変化をしてございます、そういうことと、それから今の古紙不足の状況も踏まえますと、地方自治体におきまして、その地域の事業者の設備の状況などを適切に考慮して、できるだけ多くの古紙回収が行われるということが望ましい、ですので、このリストにつきましても、それに資するよう改定することが望ましいと私どもも考えてございます。

 こうしたことから、経済産業省といたしましても、このリサイクルできない紙類の改定について、既に古紙再生利用センターと相談を開始したところでございまして、速やかに検討が進むよう、引き続き働きかけをしていきたいというふうに考えてございます。

土居政府参考人 お答えいたします。

 家庭から出ます一般廃棄物の処理に関しましては、処理責任を持っている市町村が実施しておりますが、どのような分別区分にするのかということにつきましては、市町村が有する処理施設であるとか、あと、処理を委託する事業者の能力などに照らしながら行っているところでございます。

 御質問いただきました古紙につきましては、地域におきまして、古紙を原料とします製造事業者、また古紙問屋さんなどと情報交換を行った上で、市町村が分別区分を設定しているというものでございます。

 環境省といたしましては、先ほど御説明ありましたが、古紙の再生品目の見直しの動きなども十分把握いたしまして、経産省、関係事業者と情報共有を行って、その内容につきまして市町村に提供するなど、働きかけをしていきたいというふうに考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 まさに、どんどんと、業者も、またリサイクルの在り方も変わってきておりますので、今、前向きな答弁、また様々な取組を進めていただけることもお聞きをしましたので、よろしくお願いをしたいと思います。

 引き続きまして、地球温暖化対策全般についてお聞かせをいただきたいと思います。

 先ほどもこれは議論がありましたが、温暖化対策についてです。

 かつて、温暖化対策というものは環境省が、今でもですが、先頭に立ってやっておりますが、それが脱炭素戦略になり、そして、今GX戦略というふうに変化をしてきています。内容はどんどんと産業寄りになっているということであります。GX戦略も経産省から出てきているものです。もちろん、企業を巻き込み、また民間を巻き込み、産業を巻き込んで、この地球温暖化対策に取り組んでいかなければならないことは周知の理解ではございますが、しかし、環境省の顔が見えないのが私は残念という思いであります。

 先ほど大臣からは、官民百五十兆円、カーボンプライシング、GX実行会議というお話も聞かせていただきましたが、是非、この地球温暖化、気候変動の対策の大きなくくりの中で、環境省というのはどういう役目を担っていくのかという、もう一度、その存在意義、また大臣の思いというものをお聞かせいただければと思います。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘のように、GX実現に向けた基本方針は、カーボンプライシング、GX投資などを導入することによって、カーボンニュートラルと産業競争力の強化、経済成長の同時実現を目指すものでございます。

 GXの実現のためには、いわゆる供給側の取組だけではなくて、需要側の推進というものが必要不可欠でございます。このために、地域、暮らしの脱炭素化や国民、消費者の行動変容を通じた需要の喚起、こういったものが環境省として特に力を入れている分野でございまして、これに関しましては、GX実行会議において環境大臣として発言をしたものがしっかり盛り込まれているということでございます。

 政府として決定したこうした方針に基づいて、経済産業省と連携しながら成長志向型カーボンプライシング構想の実施に協力してまいりますし、また、交付金を活用した地域脱炭素の推進、住宅の断熱改修支援、商用車の電動化促進、特にこの商用車の電動化促進は、昨年の大臣折衝において新規に盛り込んだものでございますけれども、こうしたものなどで、GXを推進するための支援措置、これをしっかりと環境省としてやってまいりたいというふうに考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 今大臣のお話の中で、地域、暮らし、また行動変容ということがお話ありました。まさに、環境省の、今、ホームページを開いてみますと、一番最初に出るのが、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」というバナーが大きく出てきております。需要側、供給側の両方の視点が、対策が必要ということでありますが、なかなか、まだ、この国民運動、実際知られていないんじゃないかと思っています。

 中を拝見させてもらいますと、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らし」ということで、様々な提案、十年後の我が国の在り方、環境の進展ということも述べられているんですけれども、まだこの展開というものが、これからかとは思うんですけれども、どれも定着しているとは思えません。是非、国民に届ける意思とともに、地に足のついた活動として、国民運動をどう展開していくおつもりか、大臣のお考えをお聞きします。

西村(明)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けまして、衣食住そしてまた移動などの生活全般において、国民、消費者の大幅な行動変容、ライフスタイルの変革が求められるというふうに考えておりまして、昨年十月末から、御指摘のような、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動というものを立ち上げました。

 この国民運動は、暮らし全体の将来の絵姿というものを明らかにすると同時に、国民の豊かな暮らしを実現することが脱炭素につながるというクリアなメッセージを発信するということ、そして、呼びかけだけにとどまらず、国や自治体、企業、団体、個人で連携して実践のためのプロジェクトに取り組んでいく、そして、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて継続的に取り組んでいくということが、これまでにない特色だというふうに考えております。

 これまで、どちらかというと、環境を守るということは、国民生活に負荷をかけるような、負担をかけるようなイメージがございましたけれども、決してそうではなくて、これに取り組んでいくことによって、逆に豊かな暮らしがあるんだよという絵姿を提示してまいりたいというふうに考えております。

 これまで、デジタルを駆使した快適な働き方、暮らし方、そして、それを支える製品、サービスといったものを約二百件ほどPRいたしました。また、五百五十以上の企業、自治体等に参画していただいて官民連携協議会をつくりまして、これを毎月開催しながら、省エネ住宅やサステーナブルファッションなどのプロジェクトを展開しているところでございます。

 この国民運動のネーミング、恐らく委員も非常に長くて分かりづらいというふうに思われたんだと思います。やはり、こういったイメージを持ってライフスタイルの変革に取り組んでいくためには、もっと一言で伝わるような愛称、ネーミングというものが必要であろうというふうに考えておりまして、できればこういったものを公募しながら、更に広げることによって、国民運動の大きな発信力にしてまいりたいというふうに考えておりますし、こうした日本国内の中でうねりをつくることによって、逆に日本のうねりを国際的に発信できるような、そうしたことによって、新たな消費、行動の喚起、また市場創出といったものを国際的にもつくり出していきたい、こういうふうに考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 まさに、国民運動でございますので、是非、国民が、今大臣にも言ってもらいましたが、分かりやすい、この環境を進めていくとどういうふうに豊かになるのかという将来像を示していただき、そのためには大臣のリーダーシップがすごく必要で、先頭に立って国民を引っ張っていってもらわなきゃならないと思っていますので、まだ十月から始まったばかりということでありますので、今後の活動また取組を私もウォッチしながら、また質問させてもらえればと思っています。

 そんな中、今、脱炭素をすれば豊かな暮らしにつながる、それを大臣が国民運動にしていくということでありましたけれども、一方で、SNSやオンライン上では、地球温暖化というものがどうなんだという懐疑論というものが出ているのも事実です。いろいろなものを調べていけば、いろいろな説が出ています。しかも、それをテレビに出ている方や有識者と言われるような方も、その議論にある意味加担をしていると言っていいのでしょうか、話をしているというようなことも見受けられます。

 是非、やはり正しい情報、また正しいメッセージというのが、私たち政治や、また行政にとって必要かと思っていますし、その共通の思いがなければ、国民運動という大きな流れにはなっていかないと思っています。

 環境省として、こういうことへの対策、また、今の現状というものをどのように捉えているのか、大臣からお聞きしたいと思います。

西村(明)国務大臣 地球温暖化が進んでいるということは、これは事実だというふうに考えます。

 世界の第一線の科学者等から構成されるIPCCが二〇二一年に公表した報告書におきましては、人間の影響が大気、海洋、陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がないというふうにされておりまして、人間の活動が温暖化の原因であると初めて断定されたところでございます。

 地球温暖化の現状としましては、工業化以前に比べて、世界の年平均気温は約一度上昇、特に日本におきましては、この百年間で約一・三度C上昇したということでございまして、その結果、例えばお米の品質の低下やサンゴ礁の白化といった影響が表れておりまして、今後、温暖化の進行に伴いまして、猛暑や豪雨といったリスクが高まることも予測されているわけでございます。

 環境省としては、こうした情報を分かりやすく発信する場として、シンポジウムを開催したり、また、国立環境研究所が運営する気候変動適応情報プラットフォーム、A―PLATといいますけれども、これで、SNS等を活用して周知しているところでございます。

 引き続き、科学的根拠のある正確な情報に基づいて、温暖化対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

田中(健)分科員 まさに、環境省の役割は何でしょうかと、私、冒頭大臣にこの地球温暖化でお聞きしましたが、ここだと思っています。

 様々な情報が飛び交う中、やはり環境省が、今言った科学的見地に基づき、それを専門家だけでなく国民にしっかりとお知らせいただき、そしてそれをみんな理解していく、それは教育にもつながると思いますし、また今後の国民運動にも大きくつながっていくと思いますので、これには是非力を入れてお取り組みをいただきたいと思っています。お願いいたします。

 さらに、大臣から地域脱炭素のお話についても言及がありました。

 民間と共同して意欲的に脱炭素に取り組む地方公共団体を先行地域というふうに選定をして、数年間にわたり継続的かつ包括的に支援するという取組でありまして、第一回が昨年選定をされ、私の地元静岡市が、「みなとまち しみず」からはじまるリノベーションと題した取組で選定をされました。

 これはどのような点が評価をされ、採択されたのか、まず伺います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の静岡市の御提案でございますが、昨年四月に第一回の脱炭素先行地域に選定されてございます。

 こちらは、清水港の製油所跡地などを活用いたしまして、地元の多様な企業が参加して脱炭素を進める、大規模開発でありながら脱炭素を同時に進めるということで、地域と産業のトランジションのモデルということで評価されたということでございます。

 客観的に民間の有識者の議員の御意見も伺いながら選定をしたということでございます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 まさに、この静岡市、特に清水地域、今、この脱炭素で港町清水をもう一回再興していこうという大変大きなうねりが出ておる中でありますが、懸念も幾つか述べられています。

 第一回は二十六の地域が選定をされたということですが、予定を見ますと、将来は百以上に広げていくということでありまして、現時点で、この事業に対して、脱炭素先行地域づくりの事業金、また重点対策の加速金事業という交付金が設定をされていますけれども、百とか百五十となっていくと、全ての自治体に配分され、しっかりとこれが継続的に、まさにこの事業の根本は、継続的かつ包括的に支援し、長い期間で取り組んでいくということでありますから、心配の声がありますが、財政的支援の今後の在り方というものについて伺います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、議員御指摘の、地域の脱炭素の取組を支援するために、交付金というものを予算措置してございます。令和四年度で二百億円でございまして、令和四年度の第二次補正予算と令和五年度の予算、合わせて四百億円を計上してございます。

 令和六年度以降の財政需要にもお応えできるよう、毎年度、所要額の確保に全力で取り組みまして、脱炭素先行地域を始めとする地方公共団体等の計画的な脱炭素の取組をしっかりと支援してまいります。

 また、この交付金の創設に当たっては、今後とも、地方公共団体の御意見等も伺いながら、制度改正にも努めてまいりたいというふうに考えてございます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 次に言おうとしていたんですけれども、まさに、各地域、それぞれ特色がありますから、交付金要件というのが、使い勝手を是非よくしていただきたいと思っていますし、これは、百以上を超えてきますと、それぞれの、各々で要件というのが必要になってくると思います。そのためには、今おっしゃってもらいましたが、自治体の声を聞いていただいて、より使いやすい、民間との共同が進みやすい制度設計を進めてほしいと思っています。よろしくお願いします。

 最後の質問です。富士山のビジターセンターについて伺いたいと思います。

 平成十二年当時、環境庁の時代に策定した富士山地域管理計画書の中では、富士山南麓の西臼塚に、環境教育活動及び富士山地域の情報発信基地としてビジターセンターの整備を図るとされています。この計画、その後どうなっていますでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 国立公園における施設整備、一般にビジターセンターと呼ばれる博物展示施設ですとか展望所の休憩所、こういったものは、国のほか、都道府県、市町村、民間においても事業執行ができることになっております。

 御指摘の西臼塚の博物展示施設の計画は、当時の社会状況を背景に、静岡県等の関係者の意見も聞いて、平成八年に公園計画に位置づけられております。この計画に基づいて、その整備を図る方針というものが、今御指摘いただいたような形で、平成十二年に、国立公園管理計画書の中に構想として記載されております。

 その後、世界文化遺産登録ですとか富士山地域を取り巻く社会環境、利用動向の変化、また、さらには予算の制約等もあったことから、本計画は残念ながら具体的な検討には至らず現在に至っているところでございます。

 いずれにしましても、今後、そういった施設につきましては、公園計画等の見直しの機会に、静岡県等関係者の意見を聞きながら、各施設の機能や配置の在り方、そういったものを含めて総合的に検討してまいりたいと思います。

田中(健)分科員 平成十二年から確かに大分たっておりまして、大きく富士山を取り巻く環境も変わっています。その間にも環境省は、地元では田貫湖ふれあい自然塾を経営していただいておりまして、私もそのロッジに泊まらせてもらった一人であります。当初のビジターセンターという位置づけではなく、この西臼塚、大変に紅葉がきれいで、また、自然あふれる、自然の動物たちもあふれるようなところでありますから、何か違った形での運用ができないかなというふうに考えています。

 その中で、一つ御提案というか参考にしていただきたいのが、富士山の楽しみ方。頂上を目指すだけ、登山ではなく、私たち、今、地元静岡では富士下山というものも進めておりまして、雪が降っても、また富士山が閉ざされていても、五合目から下を、宝永山ですとか、又は須走とか、下山しながら楽しんだり、また、西臼塚のところは、トレッキングなどによって健康増進にもつながるような取組もしています。

 是非、この計画のあった西臼塚、新しい拠点の位置づけとして考えられないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、国立公園に関して、満喫プロジェクトというプロジェクトを推進しておりまして、これは国立公園の保護と利用の好循環による地域活性化を目指すということでございます。

 富士山麓、西臼塚も含めて、満喫プロジェクトの対象地域の一つとなっておりますので、関係自治体若しくはNPO等も含めて構成される地域協議会において、具体的な取組方針というのを、ステップアッププログラムという名称のものを二〇二五年まで目指して策定しております。

 こうした中で、様々な、エコツアーの普及ですとか利用環境の整備等の取組方針も書かれておりますので、この中で、今御指摘のような、西臼塚をどういうふうに位置づけていくのかということは、協議会の中で一緒に考えていきたいというふうに考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 是非、西臼塚、今は駐車場しかございませんで、行きますと、ちょっと寂しいなという思いがあるところであります。しかしながら、富士山のネイチャーツアーズの、日本一の岩崎さんという方がそこを中心に案内をしてくれるんですが、大変にすばらしいところでございます。是非皆さんもお時間あったらお越しいただければと思いますが。

 最後に、大臣にお聞きをします。

 大臣、登山が趣味と伺っております。ホームページにもそう書かれておりましたが、是非、富士登山でなく、富士下山、これを知っていただいて、また、環境省としても、大臣としても後押しをしていただきたいと思っていますが、富士下山について、どうでしょうか。

西村(明)国務大臣 今、インバウンドが本格的に再開をしつつあります。また、国内旅行も活発化している中で、環境省として、国立公園の美しい自然の中での感動体験といったものを提供するということは非常に重要だというふうに考えております。

 この「富士下山のスゝメ」、見させていただきました。私も若い頃、山に登っておりましたけれども、最近少し体力も落ちてきていまして、まさに山頂まで登山する体力がない方でもこうした富士山の自然や歴史文化を楽しむことができるという点で、富士山の楽しみ方を広げて、その魅力向上につながるものだろうというふうに考えております。

 今お話あったように、国立公園満喫プロジェクト、こうした取組を通じて、富士山麓の利用促進に向けまして地域とともに取り組んでまいりたいというふうに考えております。非常にすばらしいものだと思います。

田中(健)分科員 ありがとうございます。大臣から、富士下山、知っていただきまして、応援をしていただきました。

 これで終わります。ありがとうございました。

堀井主査 これにて田中健君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

堀井主査 農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 本日は質問の時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 大臣におかれては、もうへとへとなのではないかと思いますけれども、よろしくおつき合いをお願い申し上げます。

 まず冒頭、トルコ、シリアにおける震災被害、これにつきましては、日本も地震国でございます、本当に、亡くなられた方々にお悔やみと、そして被災をした皆さんにお見舞いを申し上げますけれども、やはり我々日本としても、国を挙げて、国民を挙げて全面的に人道支援、復興に力を注いでいただきたいなと思います。私も頑張りたいというふうに思っております。

 また、大臣、これは笑い話として聞いていただきたいんですけれども、もしプーチン大統領に会う機会がありましたら、もうばかなことをやっている暇はないよ、あなたの国の周りではこういう惨状が起きているんだ、国を挙げてトルコ、シリアの皆さんに是非支援していただきたいということを、私の声は届かないと思いますけれども、大臣には、会う機会なんかあったときには是非よろしくお願いしたいと思います。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 私の地区は、北海道の石狩平野にどんと控えた一大穀倉地帯でございます。そういう意味では、米穀の周年事業やあるいは水田活用の直接支払いの交付金のときには大いに揺れましたけれども、今は少し落ち着きを取り戻しております。しかしながら、まだまだ米農家の不安は完全に払拭ができていないということで、今日はちょっとお米に特化して御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、令和五年度の主食米の作付の面積、また戦略作物の作付につきまして説明をお願い申し上げたいと思います。

    〔主査退席、鷲尾主査代理着席〕

平形政府参考人 お答えいたします。

 令和五年産の主食用米の作付の面積及び戦略作物の作付の動向ということでございますが、令和五年産の主食用米、あるいはそれ以外のものをどう作るかということにつきましては、まさに各地で今検討が進められているところでございますので、現在の主食用米の需要の見通しと、どのように各地で検討が進められているかについて御説明をさせていただきたいと思っております。

 主食用米につきましては、令和三年産では六・三万ヘクタール、令和四年産では五・二万ヘクタールと、大幅な作付転換が進んだところでございます。在庫水準の改善が見通せるなど、需給環境が整いつつございます。

 令和五年産の主食用米につきましては、国が策定した米の需給見通し、基本指針と申しますが、これにおきまして、令和四年産の主食用米の生産量と同等の水準であります六百六十九万トンというものを主食用米としては見通しております。

 主産県におきましては、この基本指針を踏まえまして、令和五年産の主食用米について生産の目安を設定するなどの取組も見られますが、農林水産省としましては、各県において、主食用米の需給の見通しや在庫状況などを関係者間で十分に考慮して目安を設定していただいた後、作付転換に向けた取組を進めていただきたいというふうに考えております。

 引き続き、きめ細やかな情報提供を行い、需要に応じた生産、販売を推進していきたいと考えております。

    〔鷲尾主査代理退席、主査着席〕

渡辺(孝)分科員 丁寧な説明、ありがとうございます。

 お米というのは、収量の調整というのが大変難しいがゆえに、作付面積で調整するという手法が取られているというふうに思いますけれども、昨年は本当にぎりぎりまで農水省の方々が頑張って主食用米の作付を転換するという結果が、天候不順とかいろいろな理由もありますけれども、昨年は作況指数がおおむね平年並みだという報告を受けまして、結果的に胸をなで下ろしましたけれども、これはあくまでも結果論でございますので。今般、統一地方選挙もありますので、土日には地域を回っておりますと、やはり、地域再生協のメンバーの方々も、今年は、通達はあったけれども、なかなか農家個々のいわゆる事情がおありなようで、簡単に数学的に調整するという形も難しいみたいでございます。

 是非、今年度の作付面積のいわゆる調整につきましては、恐らく去年のことを踏まえていち早く調整に入ったかと思いますけれども、その辺の経過を教えていただけますでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 主食用米の需要が一貫してまだ減少を続けております。需要に応じた生産、販売を推進し、米から麦、大豆、野菜など需要のある作物への転換は引き続き取り組むことが必要となっております。

 農林水産省としては、委員御指摘のとおり、令和五年産に向けて、昨年の九月から、都道府県、関係者六百名以上参加していただいて、ウェブでつないだ形で全国会議、これを今までに四回ほど行いました。また、産地ごとに意見交換を行うキャラバンを、本省、農政局、それから支局を合わせて二千回以上行ってきております。その中で、米の需給の見通しですとか、転換作物の需要の動向に関するきめ細かな各県ごとの情報の提供を行ったり、需要に応じた生産、販売を進めていただくような、そういう働きかけを行っているところでございます。

渡辺(孝)分科員 コロナは三年前からですけれども、昨年、ロシア、ウクライナの戦争や、また円安等々がかなり重なり合った中で、消費低迷というのが、実際、農産物の価格等々に大きな影響が出たかと思います。そうはいいましても、国内生産者の方々は、そういう状況を勘案しながらも生産調整に努力はしていますけれども、なかなかその調整がうまくいかないといったのが現状ではないかと思います。

 それで、国内生産ではまだ足りないと言われるようなものに関して、政府の対応は、今後、どういうような考え方を持っていらっしゃるでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、日本の国土の中で、お米が、消費の減少が続いていく中で、一方では、小麦、自給率は今一七%まで上がってまいりましたが、まだまだ二割弱でございます。大豆につきましても、もう少し、自給率、低いものでございます。

 このように、国内の中で生産できるものについてはできるだけ国内で需要を満たせるように生産振興していくというのが、国の大きな方針でございます。

渡辺(孝)分科員 バランスのいい主食生産というのが、今後、日本の食料安全保障の中にも、かなりウェートを占めた目標値というのを挙げていかなきゃいけないのかなというふうに私は思います。確かに、農地の面積の容量とか、作付する作物等々によっては調整は非常に難しいんでしょうけれども、やはり、今回の一連の世界の動きの中で、これほどエネルギーと食料に弱い国だったかなということを改めて認識されたのではないかと思います。

 特に、食料の場合は、国民を空腹にしてはいけないというふうに、これは私の持論でありますけれども、そんな思いもありますので、穀物の調整等々は、やはり主食を含めた、やはり穀物というのは主たる食物でございますので、是非しっかりと、これからも期待しておりますので、調整をよろしくお願いします。

 そこで、戦略作物の中に、今注目されているのが、やはり米粉ではないかというふうに思います。

 私が市長時代に、十五、六年前に、一度、米粉のいわゆる作付等々、あるいは生産にちょっと頑張った機会があったんですけれども、結局、単価が高くて、いわゆる企業の方々がどうもその米粉を十二分に活用してくれるという環境ではなかったんですけれども、今回、小麦の代用として着目を浴びているこの米粉につきましては、私も大いに期待しているところでございます。

 それで、この米粉の作付面積、昨年を見ましたら、一万ヘクタールちょぼちょぼでございます。お米が百二十万以上の作付面積があるので、私は、これが小麦の全ての代用になるとは思っておりませんけれども、まだまだのり代があるのではないかと思います。

 この米粉等々にちょっと特化した、作付面積を上げる策などを是非教えていただきたいなというふうに思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 米粉につきましては、委員おっしゃるとおり、作付面積は〇・八万ヘクタールとまだなっておりまして、まだまだというところで、これから伸び代がかなりあるんだなというふうに思っています。需要量が、これまで二万トン台だったものが、近年、需要が伸びてきておりまして、直近では四万トン強まで伸長をしてきております。ただ、一時的な小麦粉の代替というよりは、消費者に受け入れられるような商品を作っていって、需要を大幅に拡大をして、これに併せて生産の拡大を図っていくということが、米粉の生産を拡大する上でもとても大事な点ではないかなというふうに思っております。

 このため、パンですとか麺など、それぞれの用途に適した米粉の品種の栽培ですとか、米粉ならではの特徴を生かした製品作り、小麦粉にない米粉のよさを生かした製品作りというのが重要になってくると思います。これらを支援することによりまして、国産の米粉の需要と生産の拡大を加速化していきたいというふうに考えております。

渡辺(孝)分科員 局長のおっしゃるとおりでございまして、ただ作ればいいのではなくて、いかに消費者の皆さんに、言うならば認めていただき、また、企業等々が新しい製品、商品等々の開発に汗をかいていただくというのがそろっていかないと、なかなか米粉の需要は伸びないのかなというふうに思います。

 そこで、昨年、地元の首長さんと、栃木の波里という米粉を扱う会社のちょっと視察に行ってまいりました。そこで、会長、社長を始め、職員の方と懇談をさせていただきました。いろいろとお話を聞かされて、なかなか現実は厳しいのかなというふうに承ってまいりました。

 しかしながら、サンプルでいただいたうどん等々、私、うちに帰って試食させていただきましたら、料理下手な私でも、味つけさえ間違わなければそれなりにおいしかったなという非常に感想を持っております。これは大臣にお願いなんですけれども、是非、超党派で米粉の試食会なんかを企画していただけると面白いかなと思っているんですけれども、これは余談でございますので、余り真剣に考えなくてもいいです。

 そこで、企業側の方々の話を聞きまして、そういう企業に対しての、いわゆる国としての支援というのを具体的にお話しいただければありがたいんですが。

野村国務大臣 米粉につきましては、最初、やはり、転作作目の中の米粉ということで、私も米粉のパンだとか米粉のそばとか食べてみましたけれども、余りおいしくないということを感じておりました。

 それで、党の方で、実は、福井県の農家の方なんですが、小麦の代用としてインディカ米でパンを作ったものを試食会をしました、党本部で。そうしましたら、一番おいしかったのがインディカ米のパンでした。小麦で作ったパンよりもインディカ米の方が、食べた人みんな一番に挙げたのはインディカ米のパンでした。

 米粉でこんなにおいしいパンが作れるんだということを初めてみんなが分かりまして、私は、先般の、去年の七月の選挙のときに、これから水田にもうインディカ米を植えましょうよ、小麦を植えようといったって、私どものところは湿田が多いし、雨が、雨季がすぐ来ますので、小麦が育たないんです、だから、その代わりに何を植えるかというと、やはり米を植えて、インディカ米を植えて、そして鹿児島県の学校給食用のパンを作ったりとか、そういうことをやろうじゃないですかということを実は選挙で訴えてきて、そして、今度、大臣になって言いました。

 米穀課長に、インディカ米を今度広げようじゃないかと言ったら、いや、大臣、インディカ米よりまだジャポニカ米の中でおいしいパンができる米があります、こう言うわけです、あるいは麺もできますという種類をそれこそ見せてもらいました。さすがに農水省だなと思ったんですが、相当、ジャポニカ米の品種の中で、これはパンに向いている、これは麺に向いているという品種がいっぱいありました。

 ですから、先ほど局長が答えましたように、今度の転作については、専用品種でこういうものを作ってもらおうと。今我々が御飯として食べている、茶わんで食べているジャポニカ米じゃなくて、ジャポニカ米なんだけれども、麺に向いている、あるいはパンに向いている、こういう品種がありますので、これらを普及した方がいいんじゃないかということをずっと申し上げてきておりまして、今回、予算もそれなりに、百四十億措置をさせていただきました。

 ですから、そういったような国産米粉の利用拡大というのは、そういうものを作っていけば拡大していくんだ、私はこんなふうに思っておりますので、国内にあるもので国内のものを作ろうじゃないかという話をしながらしてきましたが、ネックが一つ二つあります。

 それは何かといいますと、今、麦を製粉している、いわば粉屋さんですけれども、これは、やはり混ざっちゃうので、もう駄目になってくるので、米粉の専用の施設を導入しようじゃないか、あるいはまた、米粉の特徴を生かした新商品の開発、こういうこともやろうじゃないかということでの製造機械なり設備の導入、これらをひっくるめて、百四十億、今回予算措置をさせていただきましたので、これからどんどん進めていかなきゃいけないというふうに思っております。

 ただ、まだもう一つ、大きな障害といいますかテーマがあるのが、種子が余りないんですよ。だから、まずは専用品種の種子をどこかで作ってもらって、その種子で転用してもらうということがありますので、さあ来年からこれに切り替えるよという話にはなかなか、全てはいかないだろう。三年なりあるいは五年かかるのかもしれません。

 そういったことも地道にやりながら、米粉の専用品種の導入支援にも力を注いでまいりたいということでありますので、渡辺委員、日本のジャポニカ米で、麺に向いたお米あるいはパンに向いたお米というのがあるということだけは是非御承知おきいただきながら、今後こういった形で進めさせていただきたいと思います。

渡辺(孝)分科員 大臣、ありがとうございます。

 実は、担当から聞きまして、米粉の専用種というのは北関東が北限ですという話を聞きまして、私、北海道のをちょっと調べてみました。確かに普通の、米粉専用の品種は北海道ではまだ作付されていないようでございました。

 ただ、地元のジャポニカ米を使ったパンというのは、学校給食に使ったり、あるいはパンや麺の会社が独自に地元のお米を使ってそういうのを作って、小さいながら販売しているというところもぽつぽつありまして、爆発的な売行きを示しているわけではありませんけれども、可能性としては、専用種に特化した中で、その中にインディカ米だけではなくジャポニカ米も入るような形になると、我が一大穀倉地帯と言われる農家の方々もいろいろ裾野が広がるわけで、是非そういうので穀物の需給バランスにも寄与したいな、そういう気持ちもありますので、是非、農水省としてはどんどんどんどん、頑張っている企業の支援はもちろんのこと、そういう新しいジャンルを研究開発するときの支援等々もお願いをしたいなというふうに思います。

 さて、農水省とはよく話をするんですが、とにかく米は毎年十万トンの消費低下が続いていく、そういう話を聞かされるたびに、今作っているのは去年あたりで七百万トンぐらいですか、じゃ、七十年後には、おまえ、米一粒も作れないのかなんという、ある意味笑い話とも取れるような話をしておりますけれども、実際、この消費低下がどこまで続くかというものに関しては、誰も分からないと思います。

 そして、解決策はといいますと、例えば今問題になっております牛乳もそうでしょうけれども、日本の国内の我々日本人が、茶わんもう半分御飯を食べてくれると、需給バランスが最高によくなって、米も安定するでしょう。牛乳に至っては、パックの牛乳一本、日本国民が全員飲んでくれたら、これだけで今、牛乳の問題も解決するんじゃないかというふうによく聞きます。

 ここで質問でございますけれども、そうなると、この消費拡大というのは、やはりこれは国を挙げて取り組まなきゃいけない。もちろん、我々国民もそれにしっかりと協力しなければいけないということもありますけれども、じゃ、国内の消費戦略、そしてもう一つは、やはり人間に食べていただける、あるいは海外で食していただけるもの、これも大いに結構ですから、国内対策と、輸出を絡めた国外の対策について、ちょっと御示唆をいただければと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、主食であります、国内で自給可能な米の消費の拡大は重要と認識しております。

 食料・農業・農村基本計画におきましても、まず、国内につきましては、米飯学校給食、御飯での推進、定着、それから、米の機能性など米と健康に着目した情報の発信、また、企業と連携した消費拡大運動の持続的な発展などを通じまして、米消費が多く見込まれる消費者層ですとかインバウンドを含む新たな需要の取組を進めるということ、また、拡大する中食、外食の需要に対応した生産を推進するというふうに考えておりまして、農水省としましても、政府広報を始め様々な機会を通じて、米と健康等に着目した、米の消費拡大に関する情報の提供を行っているほか、委員御指摘のように、パック御飯ですとか米粉など新たな米の需要の拡大、さらに輸出の促進も取り組んでおりまして、今後とも、米の消費拡大、あらゆる角度から進めていきたいというふうに考えております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、輸出も頑張っているという報告も聞いております。

 ただ、是非お願いしたいのは、海外で米を食するときに、そこそこの国の食文化というのがございます。私は、それを否定するものでもないですし、むしろ尊重すべきだなというふうに思いますけれども、ちょっと、日本人として、えっ、そういう食べ方もあるのかと思いながらも、やはり日本の食文化というのもしっかり併せて、僕は、ある意味、レシピとは、そこまでは言いませんけれども、やはり食文化も輸出するんだということで、本当に、日本の農産物が世界でも評価が高いというのは聞いておりますので、是非、日本の食文化も伝えていただき、本当に、日本食のよさというのをどんどんどんどんPRしていただけることをお願い申し上げたいというふうに思います。

 もう時間もありませんので、最後になりますけれども、是非、大臣等々も、今、本当に、農家、生産者、私は今日、米だけの話をしましたけれども、いわゆる酪農家、畜産家の方々にしてみれば、飼料の高騰等々で、もうにっちもさっちもいかない。また、畑作中心の地域では、また肥料等々が高騰して、新年度の予算でも、春肥ぐらいまではめどがついているけれども、今後、秋肥、さらに令和六年、これ、どうなっていくんだろう、そういうような心配の声をよく聞きます。

 私としては、確かに今、国の会計システムは単年度制ですから、余りにも長期にわたって予算をつけるということは無理だというのは分かりますけれども、例えば国土強靱化のように、五年ぐらいのスパンを見て予算をつけるぞというのは、あれは本当に建設、土木業の方々にしてみれば大変心強いアナウンスだったというふうに受け取っております。

 私は、ここで是非、大臣には、三年、五年を見据えた指針なんかをぼんと出していただき、農家の方々が安心して農作業にいそしめることを期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 今日は本当におつき合い、ありがとうございました。

堀井主査 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋分科員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 今日は、野村大臣、そして野中農水副大臣、ありがとうございます。そして、総務省と経産省からも、両政務官、ありがとうございます。

 今日は、せんだっての予算委員会で、農水大臣と少しソーラーシェアリングのお話をさせていただきましたが、若干やり取りがかみ合っていなかったということもありまして、答弁を議事録にしっかり残していただきたいという思いで、改めて立たせていただいております。

 ちょっと質問の順序を変えさせていただいて、時間がなくなるかもしれないので、早速ソーラーシェアリングについてお尋ねをするんですが、気候変動のこと、世界規模の課題ですね、そして、目の前の物資の高騰、生活が苦しい、経営が苦しいという話の背景に、営農型の発電というのは、私は、両方を一挙に解決とは言いませんけれども、よい方向に向かっていく切り札だと考えておるんです。

 今、ソーラーシェアリングが日本にどのぐらい、ヘクタール、あるのかということと、農水省の中でこれはどのように位置づけられているかということを御答弁ください。

野村国務大臣 今御質問にありましたように、営農型太陽光発電の許可面積ですけれども、今八百七十二ヘクタールございます。大体、二十五年から始まっておりますが、件数でいきますと三千四百七十四件ということになりまして、一件当たり〇・二五ヘクタールということでございます。したがいまして、ほかのものに比べると、許可面積、いわゆるソーラーシェアリングでやっております太陽光発電というのは余り普及していないということになってきております。

 それで、我々は、みどりの食料システム戦略の中ではきちっとこれは位置づけておりまして、営農型太陽光発電ということで記載をされておりまして、これは、エネルギー調達における脱炭素化の推進という項目の中で位置づけておりまして、こうして令和二年までの認可面積は、先ほど申し上げましたように八百七十二ヘクタールになっているところでございます。

 営農型の問題点というのは幾つかございまして、一つは、送電線までは農家が自分で送電線を引っ張っていかなきゃならないという経費の問題、それからもう一つは、当然、水田なり、畑の上にソーラーを入れるわけですから、光が遮断されてしまって、作目が生育が悪いという問題もございます。ですから、そういったようなことでなかなか、進めてはおるんですけれども、今、さっき申し上げましたような実績にとどまっているという状況です。

田嶋分科員 大臣、ありがとうございます。

 確かに、この十年、あるいは五年、特に農地転用の期間を三年から十年に変えていただいたこともあり、歴代の農水大臣以下のお取組で前進はしておりますけれども、まだ大ブレークはしていない、そういう状況だと思うんですね。

 そこで、配付資料を御覧いただきたいんですが、今日は一から四番まで配付資料をおつけしておりますが、三番を御覧ください。今大臣がおっしゃいました、みどりの食料戦略システムから持ってきました。今日、私、これ、いただいたのを持ってきましたけれども、大臣、ここに、附箋が入っているところに、確かにソーラーシェアという記述が六か所ぐらいあるんですよ。それはもう隔世の感があります。だから、農水省に感謝を申し上げたい。

 ただし、この3の、大臣、資料を御覧くださいね、この点々で囲んだところが今大臣がおっしゃって、見ていただいていますよね、三番の資料。点々で囲んであるところ、ちっちゃい字で4と書いていますが、ここにKPIというのがあるんですけれども、これは確かに再エネの導入というふうに書いてあるんですが、ソーラーシェアという言葉も出てこないし、なおかつ、これは見ていただくと、ちょっと意外な感じがするんですけれども、ここだけ数値目標が入っていないんですね。

 KPIというのは、普通、二千何十年までにこうするというのを定量的に発信して、目標を定めて、それに向かって邁進していくというようなもので、各省やっておられると思うんです。なぜここだけ農水省さんはKPIを数字として定めておられないのか。

 私は、大臣、今御答弁をいただきましたけれども、伸びない理由の一つが、というか、私は最大の理由は、やはり、本気になって農水省がこれを応援する、先ほど二点御指摘をいただきました、経費の問題と遮光の問題。

 経費の問題は、誰が投資するかにも関わる話です。だから、農家とおっしゃいましたけれども、投資するのは農家とは限らない。今日、後段でお話しします。

 それから、遮光の話は、もう十年ほど研究が進んでいまして、例えばブルーベリーなどは、日陰があった方がもっと収穫も増えるという研究もあるんですね。だから、そんなに悲観的になる必要はないし、遮光率も、様々なソーラーシェア、そして、前回予算委員会で申し上げましたが、ビニールハウスの屋根がソーラーになって、そのパネルが光を通すソーラーというのが今あるわけでありまして、これから更に日本も暑くなるというのは気候変動の中で予測できるわけですから、むしろ少し影があった方がよくなる可能性がある。

 現にもう今指摘されているのは、働いている方々にとっては、灼熱のような夏をむしろ楽にできる、農作業がということで、労働生産性が上がるというような副産物まで最近指摘されてきているのがこのソーラーシェアリングなんですね。

 大臣、なぜ、こんな大事な、重要なものだと私は考えますが、KPIに数字がないんですか。

川合政府参考人 お答えいたします。

 営農型太陽光発電の導入に当たっては、それぞれの農地において、太陽光発電と営農とが継続的に両立できるような日照、土壌、作物の適切な組合せが見込めるか、売電のための送電網への接続が容易な土地にあるかといった条件を満たす必要があります。

 また、我が国の農地の約四割が中山間地域にあることから、山際など日照が不十分であったり、傾斜地や火山灰土など実際にはパネルが設置しにくい箇所も相当数あると考えられます。

 このため、営農型太陽光発電を実際にどれだけ導入できるか、一概に言えないと考えておりまして、目標の設定については慎重に検討する必要があると考えております。

 また、みどりの食料システム戦略においては、KPI二〇三〇年目標として、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、農林漁業の健全な発展に資する形で、我が国の再生可能エネルギーの導入拡大に歩調を合わせた農山漁村における再生可能エネルギーの導入を目指すこととしています。

 この目標につきましては、農山漁村では、バイオマス、水、土地などの多様な資源を各地域の自然、気候条件や資源の分布状況など地域の実態に応じて適切に導入していく必要があること、また、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、地域の所得向上や地域活性化に十分に配慮する必要があることなどから、具体的な数値を示さなかったということであります。

田嶋分科員 長い御答弁でしたけれども、配付資料の一を御覧ください。ちなみにということで、洋上風力発電に関してどのようなKPIが設けられているかということを調べてみました。新法は国交省と経産省の共管ですが、このKPIを定めているのは経産省のエネ庁ですね。

 次のページを御覧ください。二番ですけれども、二のところの真ん中からちょっと下のところに成果目標というのがありますよね。点々で囲んだところでございます。目標年度は令和の十二年度、すなわち二〇三〇年です。したがって、農水省のKPIの二〇三〇年と同じなんですが、ここで一千万キロワットの洋上風力と定めているんですよ。

 大臣、副大臣、これはいろいろな難しさがあるということを並べ始めたら、洋上風力だっていっぱい難しさは、僕はあると思うんですよ。KPIに数字が出てこないということは、余り本気じゃないなというふうに伝わりますよ、大臣。

 いろいろ難しさはそれぞれあります。だけれども、せっかく三年の農地転用を十年にしていただいて、これから一気に加速しないと駄目だ。しかも、人の手の入った平らな土地ですから、山の木を切り崩すなんという愚かなことはやめて、そして、人の手の入ったところに地域の農家さんや地域コミュニティーの理解をしっかり得ながら広げることが、私は、日本、そして世界にとって大事。

 そして、もう一つ、今悲鳴が上がっているのは、例えば牧畜業さんとか牛乳販売の分野の皆さんですね。私は、CO2を削減すると同時に、そういう方々の今目の前で起きている生活、経営の困窮を、これが改善できる切り札だというふうに思っているんですよ。

 これは是非やっていかなきゃいけないと思っているんですが、大臣、洋上風力は何か今すごい政府も気合が入っていますね。そう思いますよね。洋上風力は気合が入っている。大手もどんどん参入している。どうも、ソーラーシェアの方は腰が引けていますよ。腰が引けている、いろいろメガソーラーでたたかれたから。だけれども、いいものと悪いものをちゃんと峻別して、しっかり国家目標を定めてやっていただけませんか。大臣、もう一回お願いします。

野村国務大臣 なかなか農地の場合のシステムが広がっていかないというのは、先ほど局長の方からちょっと御答弁申し上げたんですが、いろいろな問題がやはりあるということは委員も御承知おきのとおりです。

 太陽光発電と営農とが継続的に両立できなければ、それは、太陽光発電の収入だけではなかなか、農地の上に、施設の費用も要るわけですから。そして、その中で農作業もできなければならないとなると、非常に強固な、台風も来るわけですから、強固なやはり支柱を立てて、その上にパネルを張っていかなきゃならない。そういった、作物との組合せのことも考えていかなきゃならないし、売電のための送電網の話もさせていただきましたが、なかなか、我が国は中山間地が多いものですから、平野部にそういうことをやっていくということになると、後の農作業の非常に支障になってくるというのがあって、なかなか農家の皆さん方も踏み切れない、こういうことであります。

田嶋分科員 そういう認識が広くあるのは全くそのとおりだと私は思います。

 大臣、現地を御覧になったこと、まだないですよね。ありますか。ソーラーシェアの現地を御覧になったことはありますか。(野村国務大臣「ありますよ」と呼ぶ)ありますか、たくさん見ていますか。(野村国務大臣「はい」と呼ぶ)成功事例もたくさんあるんですよ。

 大臣のおっしゃったのは事実で、例えば房総半島などでは、南に行くと、ほとんど系統電力に接続することができないんですよ。そういうところでは、いきなりやっても、ソーラーシェアを造っても、発電しても送電までいかないんですよね。

 だから、都市近郊とか、例えば群馬の高崎とかそういう地域だと、たくさん成功事例、この間申し上げたファームドゥさんなどもあるんですね。だから、是非、できないところの話をするんじゃなくて、やれるところが全国にあるということを是非御理解いただきたい。

 そして、前回の予算委員会で、ビニールハウスというものが日本中にあると。たしか、これは四百万ヘクタールの約一%、農地の四百万ヘクタールの一%の四万ヘクタール、全国にあるんですね。それと同じぐらいをまず目指したらどうかという提案をさせていただいたんです。それだって構造物なので、やはり最初は見た目が嫌だとか、緑の広がるいい風景にいきなりビニールハウスが出てきて嫌だというのはあったと思うんですよ。しかし、やはりいろいろなことをバランスを取って考えなきゃいけない。まさに今、農業の皆さん、牧畜業とかも含めて、本当に苦しい中で、これは本当に救世主に私はなると思いますので、実績を現場でつくることも私はやっていきたいと思っております。

 それで、参考までに、ビニールハウスと同じ面積だけソーラーシェアをすると、どのぐらいの発電の成果が出るんですか、発電量。

野中副大臣 まず、優良事例で先生が取り上げられたファームドゥの事例というのは、私どもがまとめている、公表する事例集では、一ヘクタール、年間約八十三万キロワットアワーの発電量という優良事例だというふうに思っています。

 そして、全体のハウスの面積、約四万ヘクタールの農地において発電すると仮定して試算しますと、年間約三百三十億キロワットアワーとなりまして、そして我が国の電力消費の約九千億キロワットアワーの約三・七%になると試算をしております。

田嶋分科員 これはあくまで一事例ですけれども、私は、農家の、地域の皆さんにとって目障りなものが入ってくるのは勘弁しろという気持ちはよく理解できるんですよ。だから、そういえば過去に、長い歴史のあるビニールハウスだって、最初はそういう構造物が入ってきたわけですからね。しかし、例えばあの面積と同じだけのソーラーシェアをすると三・七%の日本の需要を賄えるって、これ、結構すごいと思いませんか。

 だから、先ほど、今時点でのソーラーシェアは何平米か、何ヘクタールかという話もいただいたと思うんですが、まだまだ全然届かない状況ですけれども、一つの目標値として、こういうものをKPIに入れて、洋上風力と同じぐらい農水省に力を入れて引っ張っていってほしいんです。農水省しかできないですよ、これ。経産省にはこれはできないし、経産省は余り関心が私はないと思います。農水省は、やはり農家さんの気持ちが一番分かるんですから、そこで折り合いをつけながら、だけれども、絶対に彼らの救世主にもなり得ると私は考えております。

 ファームドゥさんを御覧になったんだったら、まさに半透明のソーラーパネルを御覧になっているわけですね。光も通すけれども、電気も作る。これからペロブスカイトの時代に入ってくれば様々な可能性が出てきますから、今から政府が旗を振らないと、いざペロブスカイトが出てきたときに全然動かないですよ。

 そこで、大臣、次の質問ですが、私、いいケースを発見しまして、総務省の方で実は公営電気事業というのがあるんです。これ、この間レクに来た農水省の方々は知りませんでしたと言ったので、これは是非勉強してくださいと言って、今日この場で是非、総務省さんから情報共有していただいて、これを研究していただきたいんです。民間にも頑張っていただかなきゃいけないけれども、行政が旗を振るということが、これは地域の農家さんにとっては相当安心材料に私はなると思うんですね。

 それから、先ほど経費の問題をおっしゃった。投資をするといったって、やはり億単位だから、億単位の投資をできる農家さんはそんなにいないかもしれないし、やはり高齢化が進んでいるから新たな投資はしたくない、それは普通の感覚ですよ。だからこそ、私は行政の役割があるのではないかということで、総務省にお尋ねします。

 全国に公営の水力発電など公営電気事業というのは何か所、幾つの自治体が所有をしているのか、それによる総発電量というのは全国で日本全体のどのぐらいか、そして発電所の建設のためにファイナンスはどのようにして行われているのか、御答弁ください。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 公営企業として電気事業を経営する自治体数は令和三年度末時点で九十五であり、稼働中の発電所等の施設数は四百九十七か所となっています。

 また、これらの最大出力の合計は約二百六十七万キロワットとなっているところでございます。

 発電所等の建設改良に際しましては、多くの自治体は内部資金又は公営企業債を活用して借り入れた資金をその財源としているものと承知をしているところでございます。

 よろしくお願いいたします。

田嶋分科員 おっしゃらなかったけれども、その公営の発電所、これは水力だけではないですね、太陽光も風力もあるという、そういう認識でいいですか。

中川大臣政務官 はい、そうでございます。

田嶋分科員 電力債でお金を調達します。ということは、その電力事業、発電事業のやっている主体というのは、公営企業体、行政の子会社と言ったらあれか分かりませんけれども、公営企業体ですよ。だから、言ってみれば、農業の盛んな地域で見れば、一番信頼されやすいと思うんですよ、公営企業体が資金調達をして。総務省の中でそういうスキームが既にあって、今御答弁されたように、全国九十五の自治体、これは、群馬県のような県もあれば、あるいは基礎自治体もあるんですね。

 これは、誰でもやりたい自治体はやれるんですか。総務省、教えてください。

中川大臣政務官 ソーラーシェアリングを実施するかどうかにつきましては自治体の判断となりますが、自治体から相談等あれば、関係省庁と連携をし、適宜対応してまいるところでございます。

田嶋分科員 ということは、まず、農水省がこれを知らないとおっしゃったから、まずは知らないと始まりませんよね。だから、昨日今日、知っていただいた。

 今、総務省は、非常に間口は広いという御説明ですよ。やる気がある自治体から問合せがあれば応援すると言っているんだから。そうですよね。要するに、起債すればいいんでしょう。だから、起債するには、それはそれなりの、自治体としての財務基盤がまともになっていなきゃ駄目だとか、そういうのはあると思うんですが、しかし、基本的には、電力を作って売れば収入が上がるわけですよね。その収入というのは、誰の収入になるんですか。あるいは、収入は誰の収入になっているんですか、今。

中川大臣政務官 それぞれの自治体になります。

田嶋分科員 これはおっしゃるとおりなんですよ。

 だから、農水大臣、よく、是非御理解いただきたいんですが、副大臣も。これは、起債をして、資金調達をして、ソーラーシェアに投じて、そして自治体の収入、電力売電収入ですね、これは固定資産税とかは別ですよ、電力売電収入になる。しかし、今ある土地、その土地で、例えば牧畜をされている方が大変今追い詰められている、廃業が続出だとこの間もおっしゃられていました。そういう方々に、土地を提供してくれたことに対する対価として戸別の所得補償をしていく、そういう考え方。直接上がった電力売電収入の一部は、そういう農家さんに応援に回す。

 ということは、農水省が財務省と交渉して補助金を取ってこなくたって、こっちでやれるんですよ。財務省と交渉は要らないの。総務省が、もう全国で何十か所、九十五か所やっているような発電事業をどこかの自治体でやってもらって、そしてそこからの上がりの一部を、畜産業とか今苦しんでいる方々に応援する。

 冒頭、副大臣にはちょっと飛ばしてしまって申し訳なかったんですが、世界規模の温暖化の問題への対策と、再生可能エネルギーを増やすことですね、それと、なかなかないビジネスチャンスでもあるんですよ。この両方を掛け合わせたソーラーシェアということで、今御理解をいただけたと思うんですが、是非、これは農水省、大臣、さっき聞いたということじゃないと思うので、少し考えていただいていたと思うんですが、この最近、数日間。

 これはどうですか。いいスキームだと思いませんか。農水省は御存じなかったんですよ、これ。自治体をかませてやる、群馬県などはもうすごく盛んなんです。これは農水の分野でも、今言った水力発電と、太陽光も風力も実績があるんですよ。ソーラーシェアの実績はないようですね。是非、農水省、ちょっとこれは前向きに考えていただきたい。検討するぐらいは言えると思うんですが、いかがですか。

野村国務大臣 このソーラーシステムを農業部門といいますか農村でやるというのは、いろいろな形がありまして、風力もありますし、それから小水力というのもあります。これは、水田に水を引き込んでいる側溝に、そこで回転させて電気を発電をさせるという小水力発電の事業もあります。こういう、もう土地改良区がやっております。

 今委員がおっしゃいましたこれは、各自治体の判断だということで、個々の自治体がどういったような判断をしていくのか、これはまだ話をしないと分からない話でありますが、ただ、やはり農業の場合は、営農と、先ほど言いました、発電が両立していかないと、一方だけが金が入ってくるからいいわということじゃなくて、そこのところで営農が営めるのかどうか、ここの判断をやはり市町村はしていくんだろう、こんなふうに思います。

 ですから、農水省、旗を振ってやれよということであれば、お話はさせていただきますけれども、なかなか、やはり、さっき言いましたように、ほかのいろいろな、小水力でうちはやりたいんだとか、いや、うちは風力でやりたいんだとか、こういったようなこともあるものですから、やはり市町村に御相談をしないと、今、先ほどの総務省の方から話があったようなことだというふうに思います。

田嶋分科員 大臣、ありがとうございます。

 私もこれから動きますので、自治体でやる気のあるところから始めていきましょう、パイロットというかね。それで、うまくいけば、だって知らない人がほとんどですよ、まだ、まずはそもそもが。だから、こういうスキームが既存で長い歴史が実はある。水力発電なんて昔からあるんですよ。地域単位でしたから、昔こそ。今でこそ自由電力体制で、ようやく今自由化ですけれども、昔はもっとちっちゃな発電会社がたくさんあった、農村コミュニティー単位に発電していく。

 そして、おっしゃるとおり、岐阜県の石徹白、行ってきましたよ、日本で一番有名な小水力の発電所がある集落です。そういうところはそれでいいんですよ。

 そして、大臣が強調されるように、大事なことは、金もうけで入ってくるのは駄目なんですよ。まあ、もうけてもらうのはいいですよ、ただ、一番大事なのは、地域と農家を守るということなんですよ。

 だから、私は、考え方は全く合っていて、まともな、いいソーラーシェアの方々は、みんなその思い強くやっています。だから、そこはちゃんと色分けはしなきゃいけないと思いますよ。だけれども、いいパートナーとともに自治体が本気になって農家を応援する。是非その取組を農水省が前向きに、大臣がこれはいけるぞと言うだけで全然違いますよ、農水省の姿勢が。是非お願いします。それをお願いします。

 最後に、経産省にも来ていただいていますけれども、これは一月の三十一日に、つい最近ですけれども、工場の屋根置き、工場の屋根に置く発電に関しては買取り価格を高くするという記事が何か出まして、新制度で考えているようでございまして、これからですけれども。要するに、今まで山の斜面にメガソーラーを造って、ひんしゅくを買っている。今でも本当にひんしゅくを買っている。地上の、陸上風力もしようもないのがいっぱいあるんですよ。そういうのは止めなきゃいけない。そこは明確に止めなきゃいけない。

 だけれども、他方で、いい部分をしっかりと応援する中で、今日の新聞にも、成田空港が、空港では世界最大のメガソーラーを東京ガスと一緒に始めるというふうに大きな記事が出ていたんですよ。要するに、いい場所というのは実はまだあるんだけれども、誰も動いていないというところがたくさんあると思って、だからようやく経産省が動いて、FIT価格を上乗せして、そして工場の屋根とかということをアナウンスをしているんですね。

 経産省にお尋ねしますが、これはちょっと農水省の分野かもしれませんが、このソーラーシェアも地べたにソーラーを張るのとは随分違う、いろいろな難しさ、コスト増もあるんです、構造的に。先ほど台風のことをおっしゃった。台風十五号は風速五十七・五メートルで大丈夫でしたから、ソーラーシェアは。是非、そのことについて、ソーラーシェアにも少し買取り価格を高くするという制度は考え得るのかどうか、お尋ねします。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 現在、調達価格算定委員会の意見を反映した調達価格の案についてパブリックコメントを行っているところでございまして、今後、こういったプロセスを経て来年度以降の調達価格を設定いたします。

 その中で、委員御指摘のような、ビニールハウスはどうするんだということなんですが、このビニールハウスは各自治体で建築確認の基準がそれぞればらばらなところがございますので、そこをしっかり精査をさせていただいた上で、適切なルールを策定いたしまして、ルールに従って個別に判断されるということになろうかと思います。

田嶋分科員 今、ソーラーシェアは、全国で一番広がっているのは千葉県なんですね。千葉県発祥なんですよ。私、千葉一区なんですけれども。今日は千葉県の仲間の方々も、市民農園で私も、先週初めて耕運機を買いまして、少し畑をやっているんですが、壊れていたんですけれども。そういうことで、千葉県が一番引っ張ってくれている。

 しかし、これは農業委員会によってはいまだに言葉すら知らないところもあるんですよ。だから農業委員会で全然対応が違う。

 それから、先ほど言ったように、系統に接続できる都市部のそばと、すごく離れたところだと、おっしゃるとおり、つなげられない。だから、やれる場所が順番があるので、優先順位を決めて、先ほど言った群馬とか、そういう都市に近い。

 そして、もう一個は経産省の所管ですけれども、工場の電力供給がグリーンじゃなかったらサプライチェーンから排除されるって有名ですよね、もう。大手になればなるほど、あんたの製品買えないよ、グリーンじゃないからとなってくるわけですよ。そうすると、オフサイトPPAといって、すぐそばの農地も含めて作ったソーラーの電気で工場を動かすようにしていかないと、もう耐えられないということで、具体的に群馬県なんかでも一部上場企業からそういう相談が来ています。

 是非、大臣、経産省も前向きな答弁だと私は理解したいんですけれども、これは余りしゃくし定規に、建築基準法だけの話じゃなくて、是非、推進するべきところにちょっとめり張りをつけた応援をしていただいて、大体、KPIに数字が入っていないというのは、これはまずいですよ。やる気がない証拠。是非、本気になってこのソーラーシェアを、今の直面している物価高、そしてエネルギー高騰、そうしたところの苦しんでいる農家さんを支援するためのいい政策として育てていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、大臣、最後に一言、決意の御答弁をお願いします。

野村国務大臣 決意のほどということでありますけれども、先ほど来ちょっと申し上げましたように、いろいろな、このソーラーシステム、方法論のところがありまして、委員おっしゃるような方法というのも一つの考え方だなということは先ほど来聞かせていただきました。

 あとは、例えば公営であれば、市町村がこれは判断するべきもの、あるいは、個々の農家の営農を考えながらの、個人の判断に委ねるところもあったり、それから、先ほど来申し上げましたように、送電線との絡み、私が関係したのでは、非常に送電線まで引っ張る距離が長くて、そちらの方で採算が合わないとか、いろいろありました。

 ですから、そういったこと、あるいは小水力の話もいたしましたが、いろいろなやり方があるとは思うんですけれども、今後、また勉強を更にさせていただきたいと思います。

田嶋分科員 どうもありがとうございました。

 以上です。

堀井主査 これにて田嶋要君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)分科員 日本維新の会、福岡第四選挙区の阿部弘樹でございます。

 今日は、大臣始め皆さんに様々な質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ワンヘルスのことについてお伺いいたします。

 ワンヘルス、非常に、日本獣医師会、日本医師会、このことについて取り組んでいますが、どういった概念でございましょうか。まず、厚労省からお願いします。

本田大臣政務官 阿部委員にお答え申し上げます。

 ワンヘルスとは、人と動物の健康及び環境の保全に関する人獣共通感染症や薬剤耐性、AMRなどの分野横断的な課題に対し、関係者が連携して、その解決に向けて取り組むという概念と承知をしております。

阿部(弘)分科員 厚生労働省、農林水産省、それぞれどういった取組をなさっておられるか、答弁をお願いします。

本田大臣政務官 では、厚労省の方の取組を御答弁させていただきます。

 厚労省としましては、具体的には、関係省庁や関係機関と連携して、薬剤耐性対策や鳥インフルエンザ等の人獣共通感染症対策、各種の愛玩動物、野生動物の感染症の調査研究等に取り組んでおります。

 特に、次の感染症の危機に備え、感染症対策を強化する中で、阿部委員のお地元の福岡県、全国的に先駆けた、福岡県ワンヘルス推進基本条例を制定されておりますけれども、そうした取組を参考にしつつ、人獣共通感染症対策についても、引き続き、関係省庁と連携して、重要な課題として取組を進めていきたいとしております。

野村国務大臣 ただいま本田政務官の方からお答えがございました。私も全く同じような答えでありまして、委員のところには条例を制定されたということを伺っておるわけでありますが、これは本当に全国に先駆けた取組だなということは承知しております。

 農水省としましても、引き続き、厚労省なり関係省庁と連携しながら、必要な取組を進めてまいりたいと思っているところでございます。

阿部(弘)分科員 ありがとうございます。是非とも、福岡県の先進的な取組、全国規模で広げていただきたいというふうに思っております。

 最近は、コロナウイルスもコウモリ由来ではないかというふうに言われております。しかし、身近なところでは、ちょっと厚労省にお伺いしたいんですが、犬ですと狂犬病、猫ですと猫ひっかき病、愛玩動物のオウムなんかではオウム病などがありますが、最近、日本脳炎はいかがですか。日本脳炎というのは、宿主は豚でございます。私も県庁におりましたときには、熊本県庁ではサーベイランスを行っておりまして、豚の感染率を調べておりましたが、やはり陽性は時期が遅れて参るわけであります。日本脳炎、いかがでございますか。

本田大臣政務官 日本脳炎とか豚の検体を環境科学研究所で調査し、今進めておりまして、日本脳炎については夏から秋にかけて患者が発生しますので、そうした媒介する蚊に対して、皆さんに発令を、呼びかけるということをさせていただいております。

阿部(弘)分科員 済みません、余り勉強会で詰めて議論していなかったものですから、政務官もお困りでしょうけれども、後ろに紙を用意してある方がいらっしゃいますから、それを読んでもらっても構いませんけれども。

 日本脳炎、もちろん、熊本県や鹿児島県、大臣の御出身の鹿児島県でも日本脳炎の発生というのはかなりの確率で高くなってくるわけでございます。お年寄りを中心に夏に感染することがある、蚊に刺されることで日本脳炎にかかることがある。

 最近は少なくなったんじゃないかなということを思っております。それは、農水省の、あるいは厚労省の取組で、豚の免疫を調べることで予防に従事することができる。

 しかし一方で、デング熱という、日本脳炎と全く同じ種類の熱、日本脳炎に似たような脳炎、熱が東京なんかではやっております。豚とは余り関係ないようなところでございますが、デング熱はいかがでございますか。

本田大臣政務官 デング熱につきましては、まだそうしたワクチンが開発されていないので、今そのワクチンについても研究を進めているところであると承知をしております。

阿部(弘)分科員 いやいや、そんなことは聞いていなくて。

 東南アジアでは爆発的に、日本脳炎、脳炎が日本で起きるのが日本脳炎でございます、日本を中心に。でも、デング熱は、かつて沖縄で猛威を振るった脳炎の病気でございますし、いまだに、東南アジアに行けば、蚊に刺されたときには日本脳炎みたいな症状が起きることを警戒しなきゃいけないわけでございます。これも人畜共通感染症でございます。

 東京の代々木でそういうデング熱の患者さんが増えたというので、何でだろうということで、いまだに分からないわけでございますから、是非とも、蚊に由来しているのは分かっているわけでございますけれども、その蚊が日本にお住まいの方に刺すことで、デング熱、これから夏に向けて起きるわけでございますから、ワンヘルス、しっかり、大切な概念でございます、よろしくお願いします。

 もう一つ。狂犬病についてはどのような統計をお持ちでございましょうか。

本田大臣政務官 日本の中では、狂犬病については随分接種が進んで少なくなってきておりますけれども、ただ、海外の方ではまだそうしたのが広がっているというところでありますので、なるべく犬にワクチンを接種してもらうというところから、また、かんだところから広がっていくというのがありますので、そのところを、なるべく接種をするというようなところで、なるべく打ってもらうということを進めているというふうに承知をしております。

 ちょっと私の答弁が不足していると思いますが、委員のお答えのところは、人獣共通感染症で予期せぬそうした感染が広がっているというところで、人だけの対策ではなく動物に対しての対策をするのが、やはり一体となって進めるのがワンヘルスの概念と思いますので、そのことをしっかり国としても、特に新興国に対して進めていくことが大切だというふうに理解をしております。

阿部(弘)分科員 後ろの厚生省のスタッフ、頑張ってくださいよ。フィリピンで、旅行先で犬にかまれて、日本に帰ってきて狂犬病を発症したという症例が最近見つかっておりますね。

 ですから、狂犬病というのは必ずしも犬だけじゃなくて、似たような動物にも狂犬病は感染するわけでございますから、野生動物と日本人の接触があれば、かまれれば狂犬病、あるいはふん尿に接すれば狂犬病になること。狂犬病は現在のところ治療方法がありませんので、発病したら死んでしまうというところでございますので、是非とも、そういったところもワンヘルスの非常に大切なところじゃないかなと思っておりますので、よろしくお願いします。

 久しぶりに日本人の狂犬病の発症例が出たわけでございます。私たちも、手塚治虫先生の漫画ぐらいでしか、患者さんがいなかったものですから、見たことがなかったんですけれども、私も、医師をしておりまして、見たことがなかったけれども、そういう病気なんだなということを知っておりますので。世界中の、特に先進国以外の国にとっても非常に重要なテーマでございます。

 モンキーポックス、サル痘と言われるものが、欧米を中心に非常にはやったところでございます。また、マールブルグ熱もギニア共和国で数名発生しております。これは、先進国で実験動物の猿を解剖することで感染が起きたことがありますけれども、なかなか治療方法がないウイルス性疾患だと思っております。

 是非とも、両省におかれましては、それぞれ、動物検疫あるいは人のサーベイランス、治療などを行っておりますので、これから、二十一世紀、飛行機などで旅行者も多く来ますので、こういう感染症も国際化の時代でございます、そういった取組を是非ともお願いしたいと思っております。

 治療方法というのは、先ほど言われたように、ワクチンしかないんですね。ワクチンを、インフルエンザワクチン、弱毒化ワクチン、卵の中にウイルスを入れて作る昔の古典的なワクチンしか、今、日本は取り組んでいないのかなと思って。

 結局、コロナワクチンもメッセンジャーRNAのワクチンを作れなかったというところでございますが、インフルエンザワクチンについての御見解、厚労省、いかがでございますか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 御質問の、季節性インフルエンザワクチンの国内企業の開発状況ということでございますが、御指摘のメッセンジャーRNAの活用も含めて、現在、検討は進められている段階にあると承知をいたしております。

 個別の企業においての具体的な開発状況につきましては、営業上の利益に関わる内容でございますので、詳細については発言を差し控えたいと考えておりますが、厚生労働省といたしましては、引き続き開発状況を注視をいたしまして情報収集に努めるとともに、開発の支援という段階に至った際には適切に対応してまいります。

阿部(弘)分科員 なかなか日本では新薬の治験というのが進まないために、恐らく、厚労省、ミドリ十字事件というのが起きまして、あれ以来、ワクチン、医薬品の開発を非常に速やかに進めることに臆病になっているような気がいたします。

 メッセンジャーRNAのワクチン、恐らくインフルエンザが最初じゃないかと思いますけれども、ほかのポリオとかはしかの麻疹ワクチンは今のままの方がいいんじゃないかなと思いますけれども、人インフルエンザのワクチンというのは、いろいろなものをブレンドしてやっているんですけれども、弱毒化ワクチンじゃ余り効かないんじゃないかなということも思っておりますので、よろしくお願いします。もう質問しませんよ、安心してください。

 じゃ、次に、鳥インフルエンザ対策について進みます。

 私ども政治家は、いつも選挙を応援に行くんですよ。最近、地方選挙の首長選挙なんかへ行くと、有権者の皆さん方が、電気代、それと食料品、特に十個三百円を超えた卵のことについては怒り心頭なんですよ。だから、そればかり言うと、そうだ、そうだと。そうすると、福岡県では、北九州市で、政府の政党が推した北九州市の候補が落選した。それ以外にも、筑紫野市というところでも、やはり自民、公明が推していた候補がダブルスコアで負けてしまったんですよ。

 こういう鳥インフルエンザが発症した鶏舎、もちろん鶏舎を消毒することは必要なんですが、出荷制限も、恐らく昭和二十五年の法律当初と変わりなく、広い範囲で出荷制限をする。卵の価格高騰の理由は、それだけじゃないとは思いますが、それも一つの要因だと思っております。

 鳥インフルエンザ防疫対策について見直しを行うことがあるのか、あるいは、卵の価格高騰対策についてはどういうふうにお考えなのか、お答えいただきたいと思っております。

森政府参考人 まず、防疫対応について御説明をさせていただきたいと思います。

 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、感染力が非常に強く、発生農場全体にウイルスが広がっている可能性があるということから、他の農場への感染拡大を防止するため、ウイルスに触れた疑いのある家禽については、疑似患畜として殺処分する必要があるということでございます。こうした対応につきましては、欧州や米国におきましても、同じ農場で飼養されている家禽については、全羽殺処分が行われているということでございます。

 また、こうした点につきましては、専門家の方々の意見も伺いながら運用しているところでございまして、今年の一月に開催されました会合におきましても、引き続き、同一農場内の全羽殺処分を含め、蔓延防止のための万全の防疫措置の実施が必要との提言が出されているところでございます。

 また、移動制限、搬出制限の区域のお話もございました。この範囲につきましても、審議会の意見を踏まえて、専門家の意見を踏まえまして、防疫指針において定めているところでございますが、家禽卵の出荷につきましては、検査により陰性が確認されるなど一定の条件を満たした場合には、協議の上、制限対象外としておりますし、この協議は速やかに実施されておりまして、今シーズンにつきましても、発生の当日ないしは翌日に出荷が可能となっている事例もあるところでございます。

 引き続き、発生予防、蔓延防止に万全を期してまいりたいと考えております。

渡邉政府参考人 委員から卵の価格の高騰の対策についても御質問がございましたので、お答えをいたします。

 鶏卵の卸売価格ですが、平年比一八九%と非常に高い水準になっております。これは、飼料価格の高騰などによりまして生産コストが増加していることに加えまして、鳥インフルエンザによる採卵鶏の殺処分の羽数が過去最多に、国内全体の飼養羽数の約一割にまで拡大していることがあるというふうに考えてございます。

 このような中で、長期安定契約の比率が比較的高い家庭消費向けの卵につきましては、地域によっては特定の銘柄が不足して他の銘柄で代替しているといった例はありますけれども、現時点では、全体としては家庭消費向けは不足感は余り見られないということでございます。パック卵の店頭での二月、今月の小売価格は平年比一二五%ということで、影響は卸売価格に比べて限定的になっております。

 ただ、加工向けにつきましては、やはり不足感が出ておりまして、一部の加工業者さんが追加的な輸入の準備などを始めてございます。

 こうした状況を踏まえまして、生産者団体が傘下の生産者に対しまして安定供給を緊急に呼びかけまして、生産者においては、採卵鶏の飼養期間を延長するなどの供給増のための取組に可能な範囲で取り組んでおられるということを承知をしてございます。

 農林水産省といたしましては、引き続き、最大限の緊張感を持って鳥インフルエンザの発生予防、蔓延防止に全力で取り組むとともに、鶏卵の需給、価格の動向を注視しつつ、配合飼料価格高騰への各種対策をやってきてございますので、そういったものも含めまして、鶏卵生産を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

阿部(弘)分科員 ありがとうございます。

 立派な答弁ですけれども、統一地方選挙には間に合わないと思います。ということは、多くの政府・与党が支援する、特に首長さんですね、首長さん。我々にとっては非常にいいことなんですけれども、いいことというのは、そういう、お上に対する不満が非常にたまっている。特に卵、卵と電気。まあ電気はここの所管じゃありませんけれども、卵は象徴なんです。どんな方も口にする。そして、いろいろな加工食品、お菓子にも使う。ですから、卵が高いのは政府の責任だと私どもが言えば、そうだ、そうだという話になる。答弁は結構ですよ、答弁はそのとおりで。

 大臣、いかがですか。卵価格が高騰すると今度の統一地方選挙で大きな影響が出ますよ。是非ともよろしくお願いしますが、大臣。

野村国務大臣 今、消費・安全局長が申し上げましたように、全国的に、これは全国的というよりも世界的に鳥インフルエンザが蔓延いたしておりまして、日本では過去最高の千四百万羽、処分をいたしました。

 したがって、それで卵がなかなか品薄になってきたというのは否めない事実なんですが、私は、消費者の皆さん方に、先般も、小売の皆さん方が集まられる会議に出まして、もうしばらく待ってくださいと。

 もうしばらく待ってください。選挙には間に合わないのは、これはもう分かっております。選挙まで、四月までにどんどんどんどん卵が出てくるような状況ではございません。やはり最低でも六か月間ぐらいはかかってしまう。

 そういうようなことがあるものですから、できるだけ今いる鶏のいわゆる卵を産む期間を生産者には延ばしてくださいと。通常でいきますと大体五か月ぐらいで処分するんですけれども、それを七か月、八か月、延ばしてくださいと。そうしますと、鳥インフルが入ったところも全部消毒して、新しいひなを入れて、そして、それが産み出すのが半年はかかりますから、ですから、そういったことで半年我慢をしていただけませんかということ。

 生食用は、スーパーなんかに行かれれば分かるんですが、価格は上がりましたけれども、生食用の卵はスーパーには並んでおります。ただ、マヨネーズだとか加工用のが品薄になっているというのは先ほど報告をしたとおりでございますので、選挙には間に合いませんけれども、何とかその辺のところは少し時間をいただきたい、こんなふうに思っているところです。

阿部(弘)分科員 この質問はこれでやめます。ほかの重要な質問が、時間が足りない。

 また、大臣もいみじくもおっしゃられましたように、殺処分した、埋却処分した後、そしてまた立ち上げまでに数か月以上かかる、これがやはり養鶏業者の意欲をそぐことにもなっておりますので、是非ともよろしくお願いします。

 また、渡り鳥は南に下ってまた上ってきますので、再びインフルエンザも、鳥インフルエンザの予防、感染というのは気が抜けないところでございますので、是非ともお願いします。

 飛ばしまして、養蜂業の質問をいたします。

 私は、養蜂業、相談をずっと受けておりまして、今、ニホンミツバチが減ってセイヨウミツバチに置き換わり、そしてまた蜂自体が非常に少なくなってきておるわけでございます。その原因が、蜜源の不足、あるいはダニなんかの病気などもあるわけでございます。

 福岡県は、あまおうという世界的にも有名なイチゴのブランドがありますし、これには蜂は必要でございます。養蜂業とともに、授粉のためにも、蜂というのは古くから大切な動物でございます。

 養蜂業のみならず、授粉のために最近はハエを導入している、蜜を吸うハエを導入するという話でございますが、ちょっとまとめてお願いできますか。お答えできますか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、蜜蜂は、蜂蜜などの生産に加えまして、イチゴなどの農産物の花粉の交配に欠かすことのできない重要な役割を果たしてございます。

 また一方、委員御指摘のとおり、このような中でございますけれども、蜜源植物の面積の減少といったような問題、蜂群配置調整に関するトラブルなど、花粉交配用蜜蜂の不安定な供給、ダニ被害といったような問題がございます。

 このため、蜜源植物の面積の拡大ですとか、蜂群配置調整の支援、ダニ防除の新薬の実用化など、そういったものの取組を支援をしているところでございます。

平形政府参考人 御答弁いたします。

 続きまして、蜜蜂の供給に関しましては、不足が生じないように、国や都道府県が連携して、供給可能県の情報を園芸産地に供給するなど、需給調整を行っております。

 これに加え、委員御指摘のとおり、クロマルハナバチですとかヒロズキンバエといった蜜蜂の代替となる昆虫の活用も可能となっておりまして、農林水産省においては、これらの導入に取り組む農業者に対して技術実証を支援しているところでございます。

阿部(弘)分科員 ありがとうございました。

 養蜂業、蜂のことについては、私は本当によく、長年、養蜂業者の支援に携わってまいりましたので、また機会があれば質問させていただきます。

 次に、今度は大臣をお褒めする質問でございますから、大臣、ちゃんと聞いてくださいよ。

 輸出拡大実行のために、輸出重点品目、二十九品目をおつくりになっている。

 今日も、NHKだったかな、ニューヨークのお茶の話、お茶ドリンクですね、お茶に甘いものを入れてそういうドリンクを作っていたのが、本当はお茶のうまみがあるということでございます。

 福岡県は、八女茶という、非常に高級ブランドで人気が高いブランドがあります。抹茶が主なものだと思いますが。そのほか、福岡県はニシキゴイも非常に盛んなんですよ。甘木・朝倉地区ではコイの養殖も盛んでございます。

 こういう品目を決めて、私もタイとか香港とかに福岡県の県議時代はブランド推進のために様々しましたが、特にタイには、中東あるいはいろいろなアジアの、日本人、お金持ちの人たちがたくさん買いに来ますので、これについての御説明をまずどなたかお話しいただいて。大臣からですか、どうぞ。

野村国務大臣 ありがとうございます。

 大変、輸出につきましては順調でございまして、毎年毎年伸びておりまして、二〇二〇年に輸出の重点品目を定めまして、目下、その拡大実行戦略の下で政策を進めておりますが、ただいま委員の方からありました、新しい輸出重点品目に新たにニシキゴイを加えたということもございますし、さらには輸出産地の育成なり海外現地での販売支援体制などを強化しておりまして、おかげさまで、昨年の十二月には一兆四千百四十八億という最大の輸出額になりました。

 是非ともこうした形で今後も輸出に力を入れてまいりたい、こんなふうに思っております。

阿部(弘)分科員 円安でございます。是非ともこれを好機に、アジアのお金持ちは、日本の食、安全、安心、そして、かつ、おいしいということで、すごい人気でございますから、是非とも、大臣、旗振りをよろしくお願いしたいと思っておるところでございます。

 福岡県産品のみならず、ここは国会でございますから、全国の産品、なるほどと思うものがたくさんあるわけでございます。委員長の御出身の北海道は、ホタテガイが非常に大人気でございますから。それもNHKで拝見いたしましたので。

 円安だから、非関税障壁に負けずに、輸出。非関税障壁が最大の輸出の問題点だと思います。いち早く、こういう農産物、現地に、スーパーに並べるのが非常に大変だと思いますが、是非ともお願いいたしまして、また、ニシキゴイについては、本当に、泳ぐダイヤと言われておりますので、こういったものがどんどんどんどん、海外のお金持ち、たくさん、世界中に愛好家がいらっしゃいますので、是非ともお願いいたしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

堀井主査 これにて阿部弘樹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

堀井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島分科員 衆議院議員の大島です。

 まず、公正な取引関係の構築について質問をさせてください。

 フード連合とUAゼンセンは、営業現場で働く組合員の方を対象に、食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインの十三の項目に不当な返品を加えた十四項目について、取引の種類、形態において、独占禁止法や下請法と照らし合わせて問題となり得る事例の発生状況についてアンケート調査を実施して、四千二百五十七の回答を得ています。同アンケート調査からは、食品製造業と流通、小売業の取引において、優越的地位の濫用行為を含む不公正な取引が発生している事実が読み取れます。

 そこで、本日配付させていただいております二〇二三年二月にまとめられたフード連合とUAゼンセン合同調査に基づいて、政府の対応について伺わせてください。

 食品産業の労働組合、UAゼンセン、そしてフード連合による取引慣行に関する実態調査の六ページと七ページを御覧ください。

 十四項目の中で、特に、原材料価格等の上昇時の取引価格改定、店舗到着後の破損処理、従業員の派遣、役務の提供、これは不当な労務提供に関して、問題となる取引事例が多いという結果が示されておりますが、どのように受け止め、どのように対応するのか、伺わせてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 食品産業の労働組合による取引慣行に関する実態調査の結果につきましては、農林水産省としても報告をいただいております。

 この中で、特に原材料価格等の上昇時の取引価格改定についての事例が最も多かった点につきましては、昨今の原材料価格の高騰等によりますコスト増の影響がその結果に表れたものと考えております。

 昨年九月の価格交渉促進月間に際しまして中小企業庁が行いました調査によりますと、中小食品メーカーにおきますコスト増に対する転嫁率は半分程度の四五%と、一定程度転嫁は進んでいると認識しておりますが、一方で、今回の結果のような問題事例に対しましては、引き続き取引適正化に向けた取組が必要と認識しております。

 このため、引き続き、政府で取りまとめました転嫁円滑化施策パッケージに基づきます取組のほか、食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインの普及など、取引適正化に向けた取組を進めてまいります。

大島分科員 大臣に伺わせてください、次の質問。

 また、政府は、二〇二一年に作成した食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインについて、現状の運用はどうなっているのか、このことについても、フォローアップを行うなど、現場でしっかり浸透するようにしていくべきではないかと考えますが、政府の考え方を伺います。大臣、お願いします。

野村国務大臣 農林水産省では、食品製造業者・小売業者における適正取引推進ガイドラインについて、食品関連団体の各種会合等において説明を行うなど、その普及に努めてきたところでございます。

 今後も引き続き、普及状況等も把握しながら、様々な機会を通じて適正取引推進ガイドラインを普及してまいります。

大島分科員 続きまして、政府は、二〇二二年四月に食品等の取引の状況その他食品等の流通に関する調査の結果に基づく協力要請を発出し、約一年が経過しましたが、現状はどうなっているのか、出しただけでなく、フォローアップを行って、現場でしっかり浸透するようにしていくべきではないかと考えますが、政府の考え方を説明願います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 令和四年九月の価格交渉促進月間におきます価格転嫁の状況につきまして中小企業庁が調査をしたところ、中小食品メーカーにおきますコスト増に対する転嫁率は半分程度の四五%と、一定程度転嫁は進んでいると認識しております。

 一方で、昨年末に公正取引委員会が公表いたしました転嫁円滑化施策パッケージに基づきます緊急調査の結果では、農業あるいは食品産業の事業者も注意喚起文書の対象となっており、更に価格転嫁を進める観点から、適正取引の推進が重要と考えております。

 引き続き、公正取引委員会など関係省庁と連携しながら、適正な価格転嫁に向けて取り組んでまいります。

大島分科員 大臣、今の点なんですけれども、昨年四月に出された食品等の取引の状況その他食品等の流通に関する調査の結果に基づく協力要請、これについては大臣もよく承知をされているかと思います。特に、一年が経過しましたので、現状どうなっているのか、協力要請した各団体等に対して、農林水産省としても、その後の経緯、あるいは、どういう取組をしているかについて確認した方がいいと思いますので、その点、大臣として指示いただけるとありがたいんですけれども、答弁いただければと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 昨年度発出いたしました協力要請につきましては、私どもが行っております食品等流通法に基づきます調査に基づくものでございますが、この調査につきましては、本年度も引き続き継続して調査を実施しているところでございます。

 これまでヒアリングを行った業者は合計八十一事業者でございまして、うち食品製造事業者は二十一社でございますけれども、卸売業者、量販店等との価格交渉につきましては、以前に比べて改善していると答えているものが多いという状況でもございます。

 他方で、先ほども申し上げましたように、中小企業庁や公正取引委員会が行っている調査等では問題が指摘されている事例もございますので、引き続き、食品等流通法に基づきます調査を行うなど、フォローアップを行ってまいる考えでございます。

大島分科員 大臣からも一言、決意をいただければと思います。

野村国務大臣 ただいま高橋総括審議官から申し上げましたように、引き続き、食品等流通法に基づく調査を行うなど、フォローアップを行っていきたいと考えております。

大島分科員 ありがとうございます。

 続きまして、酪農関係について質問をさせてください。

 政府は、TPP対策として、地域の関係事業者が連携、結集し、地域ぐるみで高収益型の畜産を実現するための体制構築のために、酪農については、搾乳ロボットの導入促進など、クラスター事業を実施したと聞いています。

 二〇一四年、国内でバターが不足しましたので、多くの酪農農家がクラスター事業に取り組みました。そして、生産量が増加に転じた時期に新型コロナウイルス感染症の流行で牛乳や乳製品の需要が落ち込み、また、二〇二二年二月からはロシアのウクライナへの侵攻で飼料価格が大幅に高騰しましたので、現在、経営が圧迫されています。

 私の地元でも、年内に廃業を決めた酪農農家もあります。年齢や後継者の問題が離農を決断した理由と推察しますが、当然、配合飼料などの生産コストの上昇と、それによる収益性の悪化がその決断を早めたという面もあると考えます。このままの状態が継続すると、更に廃業する農家が増えることが想定されます。

 そこで、農林水産大臣に、酪農農家を守るために伺います。

 酪農の生産コストの大きな割合を占める配合飼料の価格高騰に対しては、配合飼料価格安定制度の異常補填基金の積み増しのほか、本年度の第三・四半期、二〇二二年十月から十二月については、配合飼料価格の高止まりによる生産者の飼料コストを抑制するため、緊急特別対策を実施したと承知をしています。

 第四・四半期、二〇二三年一月から三月については、第三・四半期、二〇二二年十月から十二月に実施した緊急対策を継続して対応するよう総理から指示があったと聞いていますが、検討状況はどのようになっておりますでしょうか。

野村国務大臣 ただいま委員の方からもございましたように、飼料価格の高騰に対しましては、これまで、配合飼料価格安定制度における異常補填基金への累次の積み増しのほか、第三・四半期に、今おっしゃいましたように、配合飼料トン当たり六千七百五十円の補填を行う特別対策を講じたところでございます。御承知のとおりでございます。

 お尋ねは、第四・四半期についてもということでございましたが、高い飼料価格が経営を圧迫しているとの声を聞いておりまして、一月二十四日の物価対策本部におきまして総理指示がございました。これを踏まえまして、第三・四半期に行われたような飼料コストを抑制する対策を継続することで、生産者の皆様が安心して経営継続を見通せるよう、具体的な対策を現在検討しているところでございます。

大島分科員 また、今後、配合飼料価格が高止まりすると配合飼料価格安定制度による補填金が少なくなり、酪農家の負担が増加しますが、四月以降はどのような対策を実施されるのか。また、今回の配合飼料価格高騰緊急特別対策を拡充し、継続実施すべきと考えますが、政府の見解をお聞かせください。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 畜産でございますけれども、配合飼料価格の高騰など生産コストの上昇の影響を受けておりますし、特に酪農につきましては、委員御指摘のような生乳需給の緩和といったようなものもありまして、厳しい環境にあるということで認識をしてございます。

 このような中、第四・四半期につきましては、今大臣から答弁をいたしましたとおりでございます。第三・四半期に配合飼料一トン当たり六千七百五十円の特別対策をしていたわけでございますが、その継続の指示を踏まえて対策を検討しているという状況でございます。

 お尋ねの令和五年四月以降につきましては、穀物相場ですとか為替の状況をしっかり注視をしていきたいと考えてございます。

大島分科員 大臣にお願いしたいんですけれども、今年の四月以降の対策がまだ見えていないところがあります。先ほど指摘したとおり、配合飼料価格、高止まりすると、配合飼料価格安定制度による補填金は少なくなっていきますので、酪農農家の負担が重くなりますので、今答弁がありましたけれども、四月以降についてもよく酪農農家の経営状況を見ながら対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、二〇二〇年の緊急事態下で日本政策金融公庫が農家向けに行った融資制度は、農家のことを十分に考えた制度でありました。生産量拡大のために設備投資を行った酪農農家もあります。市況が回復し、飼料価格が安定するまでは、同様の融資制度があることが望ましいと考えますが、現状の融資制度と政府の見解を伺わせてください。

村井政府参考人 お答えいたします。

 令和二年、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中で、財務省におかれましては、日本政策金融公庫国民生活事業による融資につきまして、農業者を含め、業況悪化を来している事業者に対して、実質無利子無担保での貸付けを行えるコロナ特別貸付けを措置されたものと承知をしております。

 このコロナ特別貸付けにつきましては、昨年十月からは、低利無担保での貸付措置として継続されており、また、本制度に加えまして、今般の物価高騰等の影響を受けている事業者に対しましても、低利の融資制度が措置されているというふうに承知をしております。

 これらの対応と並行いたしまして、農林水産省といたしましても、令和二年、日本政策金融公庫農林水産事業による農林漁業セーフティネット資金等の融資につきまして、新型コロナ感染症による影響を受ける農業者への資金繰り支援として、実質無利子無担保での貸付けを行えるよう措置し、現在まで継続してきているところでございます。

 また、これに加えまして、今般の物価高騰等の影響を受けている農業者に対しましても、農林漁業セーフティネット資金等につきまして実質無利子無担保での貸付けを行えるよう措置しているところでございます。

 今後とも、新型コロナウイルス感染症や物価高騰等による農業経営への影響を注視しながら、農業者の資金繰りに支障が生じないよう取り組んでまいりたいと考えております。

大島分科員 野村大臣、今、私も、二〇二〇年の緊急事態宣言下で、この日本政策金融公庫の各融資を比べてみると、中小・小規模企業に対する融資も極めて好条件だったんですけれども、農業者向けの融資は更に抜群にいい融資制度だということを承知をしていて、地元の農業関係者の方に通知したところ、多くの農家の方が借換えを行ったりして、農業者としては極めて有効でした。

 ですから、今の経営実態を踏まえながら、特に、今回のように三十年ぶりの物価高ですので、大臣の世代、私の世代ですと、昔、物価が上がったということを知っているものですから、多少こういう感じかなということは理解できるんですけれども、ここにいらっしゃる現役の諸君はほとんど物価高を経験したことがないので、初めての物価高なので、その物価高に対して、耐える能力がつくまでは、是非農林水産大臣としても配慮していただきたいなと思うので、一言御答弁いただければと思います。

野村国務大臣 ただいま村井局長から申し上げましたように、国民生活事業関係なりあるいはセーフティーネット貸付けにつきましては、利息が少々、今までは無利息だったものが、利息が付与されてきているということでありますが、農水省関係でいきますと、これは公庫資金を活用しまして、実質的な無利子無担保でございまして、これが一番今、先ほど委員からおっしゃいましたように、農家の皆さん方が活用していただいているのではないかな、こんなことを思いまして、できる限りこういった形で農家の皆さん方の一助になればと思っているところでございます。

大島分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 続きまして、資材価格の高騰対策について質問させてください。

 私、昨年の三月、四月、地元の二百五十軒の農家の皆さんに、燃油の高騰、資材の高騰についてアンケート調査をさせていただいて、多くの農家の方から回答をいただきました。一軒一軒、回答をいただいた農家の方を訪問させていただいて、野菜、ハウス、施設園芸農家の方もいらっしゃいますし、花卉農家もいらっしゃいますし、本当に大変な状況でございました。

 一年経過しましたので、改めて対策について確認をさせてください。

 まず、燃油価格高騰への対策。

 これは、地元の農家の方の意見です。

 燃油価格に対する国の補助制度は理解していますが、燃油価格が上がれば電気料金も上がります。しかしながら、電気料金のことを農水省に尋ねても、電気料金は経産省が担当ですとの回答しか得られないそうです。燃油を使った農業もあれば、電気を使った農業もあることを大臣には御理解いただき、電気料金に対する補助についても是非検討していただきたいと思います。

 これは地元の農業関係者の意見ですので、これについての御答弁をいただければと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 施設園芸につきましては、経営費に占める燃料費の割合が高いことから、燃料価格が高騰した場合に補填金を交付するセーフティーネット対策を実施しております。令和四年度第二次補正におきましては、これまでの燃油に加えて、対象にガスを追加したところであります。

 電気料金の高騰に対しましては、政府全体の対策として、電気・ガス価格激変緩和対策事業によりまして、負担軽減の措置を講じております。施設園芸農家を含め、二月の検針分から補助が行われているところでございます。

 農林水産省においては、更なる省エネルギー化を後押しするために、補正予算を活用して、ハウスの保温性を高めるための二重カーテンなど、省エネ資材や機器の導入を支援しているところでございます。

大島分科員 次に、資材の高騰について質問をいたします。

 御承知のように、燃油だけでなく、資材の高騰も農家にとっては耐えられない限界まで来ております。例えば、肥料が一袋二千円だったものが現在は五千円と二・五倍。特に単肥は、ウクライナ情勢の悪化から品物自体がない状況と地元の農家の方から聞いています。

 また、野菜や花の苗を扱うときに使う園芸用のビニール素材の黒いポットは、最も安い頃は一つ八十銭ぐらいだったものが、今は二円となっていることも伺っています。それなりの規模の農家ですと、この春、大体五月の母の日ぐらいまでに、約二十五から三十万ポットを使用するそうです。

 農業用資材については、燃油、肥料、ビニール等の価格高騰が農家の大きな負担となっていることから、様々な資材に対応できる、農家への直接的な支援が必要ではないかと考えます。

 持続化給付金制度や緊急事態に伴う飲食店への一時給付金のように、農業者へ直接支援金が届く幅広い対策が必要と思いますが、政府の考えをお聞かせください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 昨年来、資材価格は全体的に上昇傾向にあります。特に燃油、肥料等の価格が上昇しておりまして、これによる農業経営への影響緩和を図ることが重要と認識しております。

 このため、農林水産省におきましては、先ほど申し上げました燃油について、施設園芸等燃油価格高騰対策を実施しておりますし、また、肥料につきましては、肥料価格の高騰対策事業を措置いたしまして、昨年の秋肥、本年春肥を対象に、化学肥料の使用量低減に向けた取組を行う農業者に対して、肥料費の上昇分の一部、七割を直接支援ということにしております。

 また、これらに加えて、農業は各地域でそれぞれ、ちょっと重点を置いているところがそれぞれ違いますので、政府の中で、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を措置しております。これによりまして、自治体の判断で、地域の実情に応じて、特定の資材の経営に与える影響が大きいものについて、価格高騰への支援、例えば農薬ですとかいろいろな資材に対してのことも、活用されているような事例も様々見られているところでございます。

 今後とも、資材価格全体の動向と、これによる農業経営への影響を十分注視しながら、これらの対策を着実に進めていく考えであります。

大島分科員 御答弁ありがとうございます。

 昨年もそうですけれども、農水省の様々な事業について私も勉強させていただきまして、物すごく真面目な役所だなと実感をいたしました。

 こういう補助金制度を使うとなると、まずは省エネを進めること、そしてもう一つは、農家としては三軒以上の農家、農業法人だと五人以上の農業法人、ある程度グループ化しながら制度、仕組みをつくっていかないと助成を受けられないなと思ったものですから、特に緊急的に行うには各農家に対して直接的に給付する必要があるのかなと思っておりまして、大臣にも是非、農水省は、皆さん、真面目な、本当に真面目な方たちの役所でして、やはり緊急事態では必要な金額をそのまま直接給付した方が有効なときもあるものですから、今後、そういうことも含めて検討していただければと思います。

 続きまして、ホームセンターでの売値、売価について質問させてください。

 特に花卉農家は、多くの花をホームセンターに卸していますが、売価自体のアップを農林水産省主導でお願いしたいという声が多く寄せられております。

 買手であるホームセンターの立場は農家よりも上位にあり、農家がホームセンターに対して売価を上げてほしいと交渉することは事実上難しいそうです。その結果として、農家の収入が減少してしまいます。

 ホームセンターでは、見た目によいもの、私も驚いたんですけれども、価格の高いものから売れるという実態を把握していただき、農林水産省主導で売価アップを進めていただきたいと思います。是非この点は、不公正な取引を是正することが一番大切だなと思っているものですから、その点についての御答弁、できれば農水大臣からいただければと思います。よろしくお願いします。

野村国務大臣 農林水産省としては、肥料等の急激な高騰等による農業経営への影響を緩和するための、先ほど来申し上げておりますが、措置をやってきました。適正価格に反映していくことも大変重要だと考えております。

 このため、ホームセンターを含めた各業界において、適正な価格転嫁等の望ましい取引慣行を広げるために、経済産業省等の関係省庁と連携して、パートナーシップ構築宣言について周知を行い、宣言企業の拡大に取り組んでいるところでございます。

 また、ホームセンター等の小売業者や市場関係者に生産現場の実情を踏まえた花卉の販売をしていただくため、生産者と流通、小売業者との意見交換会や産地訪問などの交流活動について、開催経費の支援を行っておるところでございます。

 さらに、花卉生産農家の収益性の向上を図るため、生産コスト低減に資する技術指導や、より価格が高い品目への転換に必要な技術実証等の取組についても支援をいたしておるところでございます。

 今後とも、こうした様々な施策を通じて、花卉農家の所得の向上に努めてまいりたいと思っております。

大島分科員 大臣、ありがとうございました。

 私も、サラリーマンをしておりまして、購買担当というのは、経営側から、少し緩くしていいぞと言われないとなかなか緩くしないところがありまして、やはり経営者側の意識を変えることが全体的な価格転嫁には必要だと思いますので、その点について是非大臣からも御尽力いただければと思います。

 最後に質問をさせてください。

 農水省で行っている補助金は、大規模な農家を対象としているようにしか思えないという声も実はありまして、最近も、とある補助金を申請しようとしたが、試算してみたところ、補助金額は二万五千円しかなかった、経営者として休みなく働いている者にとって、その金額を得るために必要な書類をそろえる手間をかける時間的余裕はない、是非中小・小規模農業者向けの補助金を充実させてほしいという切実な要望が寄せられました。

 物価高はここ三十年経験したことのない状況であり、申請についても簡便な方法が必要と考えますが、政府の考えをお知らせください。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の生産資材等の価格高騰などを踏まえました対策を現場でしっかりと活用していただくためには、申請の事務負担を軽減し、円滑に予算を執行することが重要と考えております。

 農林水産省におきましては、補助事業等の申請手続の簡素化を図るため、事業申請に係る書類や申請項目等の抜本的見直し、チェック方式の導入による様式の簡素化などのほか、パソコンやスマホ、タブレットから補助金等の申請を行える農林水産省共通申請サービス、いわゆるeMAFFでございますけれども、この利用の推進などに積極的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、現場の御意見をお聞きしながら、事務負担の軽減に努めてまいります。

大島分科員 大臣、ありがとうございました。

 質問を終わります。

堀井主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、小寺裕雄君。

小寺分科員 滋賀四区の小寺裕雄でございます。

 最後の質問になりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 少し滋賀県のお話をさせていただきます。

 琵琶湖という豊富な水資源を有する滋賀県では、その温和な気候と豊かな土壌が稲作に適しているということのため、古くから水田を利用した米作りが行われてまいりました。現在でも、みずかがみやコシヒカリといった近江米の産地として、農業が盛んに行われています。

 県内の農地面積は約五万ヘクタール、そのうちの四万七千ヘクタールが水田の面積であって、何と水田率は九二%、全国では富山県に次いで二番目の割合となっております。また、農業産出額の総額に占める米の割合は五八%で、兼業農家比率は九三%、福井、富山に次いで第三位、世帯所得に占める農業所得の割合は全国最低の水準となっています。

 それでも、勤めをしながら休日を中心に稲作を行うような兼業農家の経営で、米が高く売れている時代はよかったのですが、米代が下がり経営環境が厳しくなるに従い、地域や集落で農業の担い手が減少する傾向が顕著となってまいりました。

 そこで、滋賀県では、集落営農組織を担い手の中心に位置づけ、専門性の高い認定農家や株式会社化された法人とともに滋賀県の農業を守ってもらっています。

 集落営農組織は、そもそも、農業経営基盤促進法に基づいて、集落の個別農業者が組織を形成し、特定農用地利用改善団体の下で特定農業団体となって現在に至っている現状があります。狙いとしては、恐らく、専従者で事業運営をすることが目標であったと思われますが、滋賀県では、「みんなでがんばる集落営農」をキャッチフレーズに、集落の高齢者から現役世代の給与所得者、いわゆるサラリーマンまでが加わって運営されてまいりました。

 県内で組織化された集落営農数は七百を超え、担い手への集積率は六三%で全国第八位、集落営農組織は農地を守るためには欠くことのできない存在でもあります。そのうち法人化された営農数は三百六十一法人、富山、新潟に次いで全国で三番目の数となっております。

 新型コロナの影響による米価の下落、また昨今の肥料や生産資材、さらには燃料や電気代の高騰などにより、地域の集落営農の経営には厳しいものがありますが、滋賀県では、これからも地域の農業は地域で守るという気概でそれぞれ頑張っていただいております。

 しかしながら、構成員が多い営農組織であるがゆえに問題や課題もまた多く、なかなか解決することが難しい現状があります。

 そこで、本日は、そうした滋賀県の集落営農組織が抱える問題の中から、農事組合法人の営農事業活動における従事分量配当という報酬の支払い方と、活動中の労働災害補償制度の在り方の二点について質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず一問目ですけれども、農事組合法人においては、出役された皆さんにお支払いいただく報酬の支払い方につきましては、従事分量配当という仕組みとなっているということは承知をしておりますが、そもそも従事分量配当とは一体どういうものなのか、お尋ねをさせていただきます。

村井政府参考人 お答えいたします。

 農事組合法人制度でございますけれども、この制度の目的は、その構成員たる組合員の農業生産について協業を図ることによって、その共同の利益を増進することとされております。

 農事組合法人における従事分量配当とは、農事組合法人の剰余金を組合員の労働の寄与度に応じて分配をするというものでございます。

小寺分科員 分かりました。

 では、重なるような感じになりますが、一般に、企業から従業員に支払われる報酬というものは、賃金として支払われるわけであります。しかし、今少しお答えいただきましたけれども、農事組合法人から支払われる報酬については、従事分量配当、これは今、協同組合方式で、いわゆる利益の分配というお話をいただいたわけですけれども、なぜ、まあ、協同組合やからと言うてしもうたらそれまでなんですけれども、なぜ農事組合法人の出役に伴う報酬が従事分量配当とならなければならないのかといったところをもう一遍確認させていただければと思います。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明をさせていただきました従事分量配当でございますけれども、これは、農事組合法人の組合員に対する剰余金の労働の寄与度に応じた分配ということでございますけれども、一方で、農事組合法人におきましては、企業と同様に、法人が組合員と雇用契約を締結をして、報酬を賃金として支払うという形態もございます。これに加えて、元々これは農協法の規定に基づいてということになりますけれども、組合員に対する剰余金の分配ということで、従事分量配当として組合の剰余金を組合員に分配をする、こういったケースもあるということでございます。

 この従事分量配当は、農事組合法人を含む協同組合特有の制度というふうに認識をしております。組合員の農業生産の協業により生じた法人の剰余金を、その本来の享受者たるべき組合員に帰属をさせるという趣旨により設けられているというふうに理解をしております。

 農事組合法人の事業への従事に対して、従事分量配当を行うのか、あるいは、組合員と雇用契約を締結をして賃金という形で支払うかについては、法人の選択で決めることが可能となっております。雇用契約により賃金を支払っている法人もありますし、また、雇用契約を締結せずに従事分量配当を行っている法人もあると承知をしておるところでございます。

小寺分科員 分かりました。

 分かりましたが、これがなかなか現実は、我々の地域では、いわゆる一般の法人として賃金形態で支払うというのはなかなか難しいのかなと思います。それは、たしか労働法の関係で、賃金やと年間百日以上とかのあれがないととかいろいろな、労災の関係であったりとかいうことがあって、一般法人で年間出役数が少ないときに雇用形態を結んだときの、そこがどうなるのかというのが実は余り、私自身もよく分かっていません。

 今そうやってお答えいただいたので、三問目の質問がどうなるのかなというふうに不安があるわけですが、制度と我々のところの実態が合うていないと言われれば仕方がないんですけれども、結局、年間出役数が少なくて、現役世代の方々は一般の企業等にお勤めいただきながら限られた日数を出役されるので、従事分量配当になってしまわざるを得ない。それ以外のところでしたら一般法人を選んでいただいて、雇用形態も結んでいただくということになろうかと思うんですけれども、じゃ、滋賀県でやっているような集落営農法人で、構成者が年間二十日程度の出役をしながら、多くの地権者が出役者となって、いわゆる報酬を得ているような形のところが従事分量配当でなく賃金として払うようなことに対する問題点というのは、協同組合組織やから、それは賃金になりませんよということであれば仕方がないと思うんですけれども、そこの問題点というのは何か教えていただけますでしょうか。

村井政府参考人 お答えを申し上げます。

 我々も、今委員からの御指摘のございました出役日数との関係で制度的な問題があるかどうかということについては、大変申し訳ございませんが、具体的にちょっと承知をしておりません。

 農事組合法人に参画される方々に対して報酬を賃金として支払う際、どういった課題といいますか制度的な問題があるかということで、我々として認識をしておりますのが、まず、組合員の労働に対する報酬を賃金として支払う場合、従事分量配当が剰余金の範囲で分配されるのに対して、賃金は労働時間に応じて最低賃金法で定める最低賃金を下回らない定額を支払うことになります。そういった意味で、場合によっては剰余金の範囲を超える、端的に言うと赤字になる可能性があるというような課題があるということ。それから、賃金として支払う場合、法人と組合員は雇用契約を締結することとなりますので、社会保険制度が適用されて、新たに社会保険料の支出や事務負担が生じる。そういった課題があるというふうに承知をしておるところでございます。

小寺分科員 済みません。なかなか滋賀県の特殊事情がこの短い時間ではお分かりいただけないので、今、従事分量配当がどういうものかとか、あるいは、なぜ農事組合法人の出役に対する報酬が従事分量配当なのかという当たり前のことをちょっと聞かせていただいたんですけれども、この後聞かせていただく農事組合法人の労働災害保険の仕組みに関わってくるから、先にこの従事分量配当についてお聞かせをいただいたんです。

 法人とすればメリットが、やはり協同組合である、今局長言われたように、利益の分配のところでは赤字になることがまずないとかいろいろあるんですけれども、消費税が還付されるとか、今度これはインボイスでなかなか厳しい状況があるというのも聞いているところですけれども。

 給与で報酬を支払う普通法人と従事分量配当で支払う協同組合が選択できるということですが、先ほどから申し上げているように、春や秋の繁忙時期を中心に、年間に二十日程度の出役をするような働き方では従事分量配当にならざるを得ない、それもよく分かります。だけれども、現役世代で法人の構成員として出役されている方には、農村集落に親世代と一緒に住んでいるということを考えますと、そういう方々というのは、地方公務員であったり、学校の先生であったり、JAの職員であったり、銀行などの金融機関にお勤めの方々、あるいは、大手メーカーの製造現場であったり、そうした大企業のサラリーマンの方々が実は大勢である。そういう方々が、従事分量配当ということで農事組合法人で働くということが、例えば公務員であれば兼職規定に違反しないのかとか、あるいは、大手のメーカーであればいわゆる従業員の就業規則、今はそういうことを働き方改革でできるようになりつつありますけれども、本当にそれは認められて、ちゃんと制度として災害保険制度まで大丈夫なのかなというふうな少し不安があるからなんです。

 ですから、滋賀県でいうと、本当に、兼業が禁止されているということもありますけれども、兼業に対してきちんと、そうした方々が正式に勤め先の理解を得られて農業法人で仕事に従事することになっているんだろうかというところも少し疑問があるところです。

 このことが、後ほど聞かせていただく、いわゆる農作業中の事故に巻き込まれたりとか大きな障害が残ったとかいうことにつながってきたときに、いわゆる集落の法人さんが、そうした構成者が、事故をされた方々に損害賠償等を打たれたときに耐えられるような制度にきちんとなっているのかどうかといったことが、私は、大きな疑問として持たせていただいているわけであります。

 今日の中ではなかなかここまで、しっかりとこの後掘り下げることは、時間の関係があってもうできませんけれども、滋賀県のような特殊な働きをしているところで、こういう農業生産法人の皆さんが従事分量配当制でお仕事をしている中に悩んでおられる実態があるということを、是非御理解をいただけたらというふうに思います。

 時間が限られておりますので次の質問に入らせていただきますけれども、そういった点で、少し特別加入制度についてお伺いします。

 農事組合法人の営農活動で出役される組合員や作業員が加入できる労働災害保険については、農業者のための特別加入制度であるということは承知しておりますが、一般的な仕組みについて、どのようなものなのかお尋ねをします。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 労災保険は、本来、労働者の業務等による負傷、疾病等に対して保険給付を行う制度でありますが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況等から見て特に労働者に準じて保護をすることが適当であると認められる一定の方については、特別加入という形で任意の加入ができる仕組みとなっております。

 農業者については、労働者として農業に従事する場合には通常の労災保険の対象となりますが、それ以外の人については三つのタイプがございます。

 一つ目、一定の規模を有する農業において危険な作業を行う特定農作業等従事者。二つ目、特定の農業機械を用いた指定農業機械作業従事者。三つ目、常時三百人以下の労働者を使用する中小事業主。このいずれかに該当する場合は、一定の保険料を拠出の上、特別加入をしていただくことが可能となっております。

小寺分科員 ありがとうございます。一般的なお話で、どういうものであるかということを教えていただきました。これも農事組合法人やからということになってしまうわけですけれども、これは法人形態が一般法人であればそういうことになろうかと思います。

 では、一般的な企業が従業員として加入するような労災保険には加入はできないんだという認識をしているんですけれども、加入できない理由というのは、何か特別なものがあるのでしょうか。

梶原政府参考人 労働者の業務災害については、使用者が労働基準法に基づく無過失の災害補償責任を負っておりますが、この災害補償に相当する労災保険給付が行われる場合には、その責任が免除をされるという法的な仕組みとなっております。

 このように、労災保険は、実質的に事業主の災害補償責任を担保する役割を果たす形で創設をされたものであるため、労働者を使用する事業主が強制加入の対象となり、労働者の業務災害について保険給付をすることとされております。したがいまして、労働者に該当をしない農事組合法人の構成員については、任意での特別加入をするかどうかを御選択いただくこととなります。

小寺分科員 そういうことやと思うんですけれども、実質、構成員が出役しているのが労働かどうかというと、結構、労働か利益の分配かというのは、社会保険労務士さんやとか税務署でも割と、それは労働ちゃうんかみたいな話を、いろいろ申告のときにあるといって、法的に今、協同組合方式であったり、雇用形態が違うから一般労働災害保険に入れない、違うんだというお話をいただいたわけですけれども、まあ、それは分かります。

 だから、雇用形態が認められないということなので、今し方お話しいただいた特定農作業従事者の特別加入ということになるんですけれども、じゃ、何でこれを取り上げているのかというふうに申し上げますと、一般労災と比較すると、保険料とか補償内容にやはり格段の差があるということがある。もちろん、応じて掛金を積めばという話なんですけれども、大体年間二十日間ぐらいしか出役していないのに、もちろんその期間だけ掛ければいいとかいろいろな考えはありますけれども、なかなかそれを任意加入で進めていくことには大変、例えば構成員が五十人とかいますと、それをどの期間にどうやってというのは、非常に管理が、実は法人的には難しい。

 結果的に、大きい法人では、もう一律法人さんで、任意加入のところを、掛金をこっちで払うてしもうて、一々そんな、構成者にお金をこれだけ払うてなと言うてられへんような実態があって、そういうことをされたり、いろいろなことがあるわけですね。

 そうやってずっと掛けていくと、構成員が多ければ多いほど、そうした特別加入といえども掛金がなかなかばかにならず、また補償範囲も限定されているということで、民間保険やらいろいろなものを掛けてやっていただいているわけですけれども、なかなか、そこがもうちょっと、そうした法人からすると何とかならないのかなというふうな思いがあるわけでございます。

 十分に補償をカバーできていないところは、今申し上げたような民間の保険であったり、JA共済とかいろいろな保険を組み合わせてやっているのが現状であります。

 しかし、先ほども少し申し上げましたけれども、一旦過酷な事故が発生したときとか長期間にわたるけがを実際されたときには、法人の役員に対する損害賠償の訴えを起こされるリスクとか、そういうことを考えますと、将来的な農事組合法人の役員の引受手であったり、あるいは作業従事者の方々も、構成員であるがために、何かあったときに本業に与える影響等を考えると、何らかこうした方々を守る仕組みが必要ではないかと考えますが、御意見いかがでしょうか。

梶原政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、農事組合法人の役員や構成員については、その業務の実情、災害の発生状況等を踏まえて労災保険に任意で特別加入ができるということとなっております。

 議員から、まず給付の水準のお話がございました。

 労災保険の給付水準については、例えば、療養給付といって、病院にかかった場合は全額を給付するということで、本人負担はございません。さらに、不幸にしてお亡くなりになられた場合は、御遺族等の人数に応じて遺族年金あるいは一時金が給付されるという仕組みでございます。

 この給付の水準、計算の方法につきましては、強制加入の一般の労災の場合、あるいは任意の特別加入の場合で差はございません。農業と農業以外の方についても違いはございません。

 それから、二点目で、対象となる作業の内容が限定的ではないかという御指摘がございました。

 現在の特定農作業従事者や指定農業機械作業従事者というこの制度につきましては、昭和四十年、平成三年頃に制度化されたものですけれども、業務の範囲が明確に特定をできまして、労災ですので業務上であるか業務外であるかということを保険給付の場合に判定する必要があります。そうした保険技術的に可能であるということを考慮して定められているものでございます。

 ただ、制度でございますので、経済社会情勢の変化を踏まえて不断の見直しは必要と考えますので、農事組合法人やその構成員の皆様の働き方の現状、変化を踏まえて、個別具体の御要望、御意見等、関係者の皆様からございましたらお話をお伺いをしたいと思っております。よろしくお願いします。

 さらに、民事上の損害賠償のリスクについてもお話がございました。

 実は、農事組合法人の持つ特別な性格から、組合法人と組合員等の間に生じる、これは難しい問題でございまして、特別な法人制度を前提としておりません一般的な制度である労災保険制度の中でこれに対応することは大変難しいのではないかというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましては、実は、農事組合法人の関係者の特別加入に当たりましては、年間を通じての加入ではなく、業務従事期間に応じて、月の単位で、必要な月数分から加入できるという仕組みでございますので、この点を含め、引き続き特別加入制度の周知に努め、関係者の皆様に特別加入制度を積極的に御活用いただきたいというふうに考えております。

小寺分科員 思っていたより前向きなお答えをいただいたので、ありがとうございます。また地元へ帰ったら、そうしてお伝えもさせていただきたいと思います。

 今日は、滋賀県で行われている「みんなでがんばる集落営農」について、その特殊な経営形態に伴う従事分量配当と労働保険の問題について質問をさせていただきました。よいお答えをいただいた部分もありますし、課題として残ったところもあろうかと思います。

 厚生労働省の方では随分御理解はいただいているとは思いますけれども、そうした実態に応じた形の保険制度を更につくっていただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。どうか、共済制度であったり民間の保険とも連携しながら、どういう形で、どういう経営形態であっても、どういう働き方であっても、農業に従事をされる皆さんが安心して働くことができる、そして安い掛金の保険のシステムを是非構築をしていただければと思います。

 済みません、最後に大臣にお伺いします。

 今日は滋賀県の話をして、一生懸命PRさせていただいたつもりです。最後に、いろいろなお話をさせていただきましたけれども、私自身のお話を少ししますと、古い昔のことでありますけれども、実は私の父は獣医をしておりまして、何と、戦前、鹿児島高等農林学校というところを卒業させていただきまして、養豚業を営んでおりました。もちろん水田もあったんですが、子供のときには豚が身近な存在でありました。しかし、私自身は、学校を卒業してから全然違う道で商売人として生きてきましたので、農業とは無縁の人生を送ってきたわけです。

 しかしながら、そのような私が農業に関心を持つことになったきっかけというのは、ちょうど二十年前に県会議員に当選したことであります。

 私の生まれふるさとである東近江市の旧八日市市というところは、一市六町が合併した町なんですけれども、近畿地方で一番の水田地域として約七千七百ヘクタールの耕地面積を有しております。私自身は、その八日市の中心部に暮らしていたがために農村地帯の人たちとの交流はなく、農村のことは全く知りませんでした。

 選挙に出るようになって初めて農村地域に足を運ぶようになり、気づかされることが多かったわけですけれども、私が考える農村の価値というのは、単に食料供給にとどまらず、水田が持ついわゆる多面的機能はもちろんのことでありますけれども、それ以上に、文化や伝統行事の継承や福祉、教育面による貢献が高く、農村を守っていくということが地方にとっては何よりも重要なことではないかということを気づかされたことであります。そして、その農村を守る最もコストパフォーマンスが高い手法が農業ではないか、そういう考え方に立っております。

 昔は、お米が現金化されて、そのお金で、えびす講で正月のこしらえをするので町へ買物に行って、そのような都市部と農村の交流が一般的でした。農村が豊かであれば、町は必ず栄えたものです。

 農村ではまだ三世代、四世代同居が残っており、広い敷地内に母屋と若夫婦の新屋、そして隠居まであるような家がたくさんあって、若い夫婦が安心して働きに出られるのは、祖父母が孫の面倒を見ていたことや、両親が年を重ねて福祉のお世話になる場合でも、同居家族がいることで、デイサービスの利用で地域に長らくとどまることができるといったように、もし農村が崩壊し、農村が担う福祉や教育面における役割を行政サービスで提供することを考えたら、一体幾らぐらい予算がかかるのか。そのことを考えれば、農村を維持するために、農業が農村で成り立つように支援をすることが一番よいのではないかと常日頃から思っています。

 集落の役員さんやいろいろなことも全部、農事組合法人であったり土地改良組合の役員さんが引き受けてくださっていることで農村の地域社会は維持されています。その考えは今も変わらないわけです。

 その農村で行っている集落営農法人、滋賀県の場合では「みんなでがんばる集落営農」という農事組合法人形式ですけれども、何とかこの集落営農が継続できるように支援をお願いしたいと思うわけですけれども、大臣の御所見と、そうした支援策についてお答えをいただけたらというふうに思います。

野村国務大臣 冒頭、議員の方からお話がありましたけれども、滋賀県の場合は、全体で集落営農数が六百七十三、そして法人が三百六十一ということで今動いておられる。しかし、全国的に見ましても、私の記憶では、富山それから滋賀県、こういうところがやはり集落営農のモデルになるところだ、こんなふうに認識をいたしております。

 ただ、集落営農も、当初スタート時点からしますと当然高齢化も進んでくるし、また地域も、市町村合併だとかいろいろな形で形が変わってきているのではないか、こんなふうに思うわけです。

 ですから、従来は、それぞれの農家の個別経営から、どうしてもこれでは労働力不足だとかいろいろな問題があって集落営農に進化していった。だけれども、この集落営農だけでもなかなかくくれないのでいわゆる法人化にしていくという、いわば進化の形態だと私は認識しておるんですが、そういうことを考えていきました場合に、今滋賀県で起こっているそういう法人化の方法というのは、集落の営農組織がなくなっていったときにどうなるかとなったときに、法人化しておけば、これは合併というスタイルがありますから、だから、いろいろな形でその財産も引き継がれるし、法人化していることによって次のステップに進めていけるのではないか、私はこんな認識をいたしております。

 いわゆる今度の食料・農業・農村基本法におきましては、やはり集落を基礎とした農業者の組織として集落営農というのは位置づけるわけでありますけれども、農業生産活動の促進に必要な施策というか、あるいは組織というのはどういう形がいいのかという議論も進めていかなければいけないだろう、こんなふうに思っているわけでございまして、特に今、若い人たちが集落営農の中に入ってくるということになりますと、やはり法人化しておいた方が、いろいろな、社会保障制度、いわゆる健康保険があるとか、あるいはまた退職金があるとか、こういったようなことも考えていかなきゃなりませんので、私はやはり、今の滋賀県が進みつつある法人化へのステップというのは非常に大事なんだろう、こんなふうに思います。

 そうでありませんと、市町村合併が進んだように集落営農同士の合併というのを今後人口減の中では考えていかなければいけないことなんだろう、こんなことを思うわけでありますが、集落営農の育成なり確保をどう進めていくのかというのは、またまた今の基本法の改正の中でも考えていかなきゃならないというふうに思います。

 本年度に集落営農活性化プロジェクト促進事業というのをつくりましたので、ビジョンづくりなり、人材の確保なり、あるいは高収益作物の導入、あるいは機械等の導入などの取組を是非支援していきたい、こんなふうに思っているところでございます。

小寺分科員 終わります。

堀井主査 これにて小寺裕雄君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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