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第1号 平成29年2月22日(水曜日)

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本分科会は平成二十九年二月二十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 達也君    原田 義昭君

      星野 剛士君    宮下 一郎君

      後藤 祐一君    真山 祐一君

二月二十一日

 宮下一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十九年二月二十二日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 宮下 一郎君

      伊藤 達也君    今枝宗一郎君

      大野敬太郎君    佐々木 紀君

      原田 義昭君    星野 剛士君

      宮川 典子君    落合 貴之君

      菅  直人君    後藤 祐一君

      真山 祐一君

   兼務 小倉 將信君 兼務 門  博文君

   兼務 中谷 真一君 兼務 小熊 慎司君

   兼務 逢坂 誠二君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 濱村  進君 兼務 清水 忠史君

   兼務 浦野 靖人君 兼務 木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山本佐和子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            服部 高明君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     樺島  徹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 永山 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       新井  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林 一久君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁長官)      小宮 義則君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    宮本  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吉野 恭司君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     松本 年弘君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 水嶋  智君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     宮川 典子君

  原田 義昭君     秋本 真利君

  後藤 祐一君     落合 貴之君

  真山 祐一君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     大野敬太郎君

  宮川 典子君     佐々木 紀君

  落合 貴之君     菅  直人君

  佐藤 英道君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     今枝宗一郎君

  佐々木 紀君     伊藤 達也君

  菅  直人君     井出 庸生君

  角田 秀穂君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     原田 義昭君

  井出 庸生君     後藤 祐一君

  稲津  久君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  真山 祐一君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  上田  勇君     真山 祐一君

同日

 第三分科員逢坂誠二君、濱村進君、第四分科員木下智彦君、第五分科員浜地雅一君、第六分科員小倉將信君、小熊慎司君、清水忠史君、第八分科員門博文君、中谷真一君及び浦野靖人君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

宮下主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 平成二十九年度の経済産業省関係予算案について御説明申し上げます。

 安倍内閣が発足してから四年がたち、名目GDPは四十七兆円増加、中小・小規模事業者の倒産は二十六年ぶりの低水準となるなど、経済の好循環は着実に回り始めています。この好循環を加速させ、日本経済を成長軌道に乗せるため、未来への投資を進めてまいります。

 このため、平成二十九年度の経済産業省関係予算案は、一般会計三千四百二十億円、エネルギー対策特別会計八千四百七十四億円、特許特別会計千四百七十二億円、合計一兆三千三百六十六億円を計上いたしました。また、復興庁計上の東日本大震災特別会計のうち六百五十億円が経済産業省関連予算案として計上されております。

 平成二十九年度の予算案の柱は六つございます。

 第一の柱は、福島復興の加速化です。

 東日本大震災から間もなく六年がたちますが、福島の復興と廃炉・汚染水対策は、経済産業省が担うべき最重要課題です。

 被災した方々の帰還に向けて、これまで南相馬市など七つの市町村で避難指示解除が決定し、また、帰還困難区域についても復興拠点を整備する方針が決定されるなど、一歩ずつ前へと進んでいます。

 早期帰還に向け、インフラや生活環境の整備を加速し、事業、なりわいや生活の再建、自立に向けた取り組みを拡充するとともに、福島イノベーション・コースト構想や福島新エネ社会構想を推し進めます。

 廃炉・汚染水対策については、中長期ロードマップに基づき、国も前面に立って、安全かつ着実に取り組んでいきます。

 第二の柱は、世界に先駆けた民間の未来投資を誘発する取り組みの推進です。

 成長戦略の柱である第四次産業革命の実現に向け、人や物の移動、医療・介護、ものづくりなど幅広い分野を変革し得る人工知能やロボットを活用し、グローバルな競争に勝ち抜かなければなりません。

 このため、IoTを活用した各分野における実証や、人工知能技術とロボット要素技術の融合、ロボットやドローンによる物流やインフラ点検等の効率化、隊列走行による自動運転の実証、バイオ技術の医療、素材分野における活用などを進めてまいります。

 第三の柱は、中小企業等の活力向上です。

 日本経済の屋台骨である中小企業、小規模事業者の生産性向上を図っていくことが我が国の成長に不可欠です。

 そのため、中小企業、小規模事業者が大学などと連携して行うものづくり・サービス開発や小規模事業者に対する伴走型支援、国内外の販路開拓支援など、意欲ある中小企業、小規模事業者の経営力強化を行ってまいります。

 また、経営者の高齢化が進む中小企業、小規模事業者が円滑に事業承継を行えるよう、活力のある担い手の拡大に向けて支援を強化してまいります。

 さらに、中小企業、小規模事業者の安定した事業環境の整備のため、下請企業の取引条件改善や資金繰り支援などを行ってまいります。

 そして、全国津々浦々の地域の魅力を最大限に伸ばすため、地域経済を牽引する事業への支援を進めてまいります。

 第四の柱は、不透明感が増す世界経済リスクの克服です。

 英国のEU離脱表明や米国新政権発足など、経済の環境は大きな変動期を迎えています。こうした中にあっても、自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済の成長の源泉であることは疑いありません。

 そのため、日EU・EPAの大枠合意や質の高いRCEPの実現などに力を尽くすとともに、多国間、二国間の貿易投資促進などの拡大に取り組みます。また、中小企業を初めとする我が国企業の海外展開や我が国のすぐれたインフラシステム輸出、新興国等における人材育成を支援してまいります。

 あわせて、ジェトロを活用し、我が国への対内直接投資の呼び込みにも取り組みます。

 第五の柱は、産業安全保障の強化です。

 近年、社会インフラに物理的なダメージを与え、国民の生命財産を脅かしかねないサイバー攻撃が世界各国で増加しています。

 そのため、模擬プラントなどを用いた実践的な研修による人材育成を通じて、電力などの重要インフラ分野におけるサイバーセキュリティーを強化してまいります。

 また、休廃止鉱山の鉱害防止や高圧ガス施設の耐震化など、防災や強靱化に向けた対策も引き続き取り組んでまいります。

 第六の柱は、エネルギー政策の再構築と地球環境への貢献です。

 まず、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、ネガワット取引など新たなエネルギーシステムの構築を加速してまいります。

 同時に、水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車や水素ステーションの普及拡大、水素発電の実証などに取り組みます。また、低炭素技術の海外展開やイノベーションの実現により、世界全体での温室効果ガスの排出削減に貢献してまいります。

 さらに、最大のエネルギー源である化石燃料の安定供給確保のため、JOGMECによるリスクマネー供給を通じた我が国上流開発企業の国際競争力強化を図るとともに、国内の石油、天然ガスやメタンハイドレート等の資源開発も推進してまいります。

 加えて、原子力については、事業者によるさらなる安全性向上のための取り組みを後押しするとともに、立地地域の実態に即したきめ細やかな支援を行ってまいります。

 以上が、平成二十九年度予算案の概要でございます。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

宮下主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮下主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)分科員 おはようございます。

 きょうは、この分科会での質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 ちょっと質問の数も多いものですから、早速質問に入らせていただきます。

 昨日、総理は、高橋まつりさんのお母様とお会いになったというふうにお聞きをしております。働き方については、非常に大きな問題もございますし、これに対して総理も強い意欲を示されて、この改革を行っていこうというところであるというふうに認識をしているところでございます。プレミアムフライデー、また残業規制等を行いながら環境改善をしていくということであります。

 私、地元で大変お世話になっているスーパーの経営者がいまして、一月二日の午前中でしたが、新年の御挨拶に行ったわけであります。そして、行ったら非常にたくさんのお客さんが入っていまして、私は社長のところに行って、社長、一月二日からたくさんのお客さんが来られていいですねという話をしたんです。

 そうしたら、社長は何と言ったかというと、お客さんがたくさん来ていただいていることは本当にいい、ただ、おまえ、ちょっと聞いてくれるかということで、我々は、十二月の三十日は徹夜をしてお節をつくって、十二月三十一日にそのお節をみんなで売って、そして一月一日だけ休んで、もう一月二日から営業を始めているんだ、こういうことでは、今、働き方改革と言われているが、我々サービス業はなかなかそういうわけにはいかないよということをその社長が言われていて、私も、なるほどだなと。

 例えば、プレミアムフライデーといって公務員の方々を初め会社の方々が早く上がっていくと、その分実はサービス業は忙しくなるという可能性もあるわけであります。そういう意味では、社会的にサービス業に対してサービスをどんどん求めていく、そういう構造が今ありますから、サービス業に対してある程度の、サービス業がよくないからそうするわけではなくて、サービス業を守るためにも、例えば営業時間の規制であるとか、また営業曜日の規制であるとか、こういったことを外国でもやっているというふうに聞いております。また、宗教上、日曜日が休みの国というのもございます。

 私は、例えば日曜日は休みだといったら、日曜日は休みだということをもって、買い物に行くお母さん方は、日曜日を避けて、それまでにしっかりと準備をされるというふうにも思います。何が何でも二十四時間、何が何でも年中無休ではなくて、やはり私は、国策としてある程度そういうこともしていかなければ、なかなかこの働き方改革というものは進んでいかないのではないかというふうに思います。

 これに対して御所見を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 サービス産業は、今委員御指摘のとおり、さまざまな業種がございます。また、同じ業種の中でもさまざまな業態がございまして、それぞれに工夫を凝らしてサービスを御提供していただいているということだと思っております。

 今事例にもお出しになられましたけれども、例えば二十四時間営業のコンビニエンスストア、これは働く方にとっては大変だというお話がある一方で、高い生活利便性を御提供していただいている。あるいは、銀行窓口が営業時間を延長するということで、社会全体の生産性が向上する、またこういった御指摘もあるわけでございます。

 現実問題、今、産業界、企業もそれぞれみずからのことということで、働き方改革に対して自主的に問題意識をお持ちになられまして、取り組みが進んでおるということでございます。

 例えば、定休日を設けることを視野に二十四時間営業を取りやめたファミリーレストラン、こういった事例がございます。また、今お正月のお話がございましたけれども、例年一月二日に実施をしておりました初売りでございますが、これを一月の三日に後ろ倒しをしたりとか、あるいは来年からは正月の三が日は思い切って休んでしまおう、こういったお取り組みをしようという百貨店がございます。また、忙しい時期は一生懸命働いて、少し時間ができます平日二日間をむしろ休館日としようとしている旅館、こういったお取り組みがあるわけでございます。

 まずは事業者自身の皆様方が、こうしたお取り組みを通じまして、みずからの生産性の向上とかあるいは労働環境の改善といったことを通じて離職者が防止をされる、こういったような効率性のよさというものを御認識していただきたいな、こういうことを促させていただきたいというふうに思っております。

 今委員御指摘の営業時間、営業曜日の規制といったようなお話につきましては、今申し上げましたような先進的な企業のお取り組み、あるいは各業界の動向、消費者ニーズ、こういったものを総合的に踏まえながら、今後その必要性の有無についてしっかりと検討させていただきたい、このように思っております。

中谷(真)分科員 日本人の特性としまして、やはり結構働き過ぎちゃう、あっちのスーパーが年中無休にしたからこっちもしなきゃみたいな、そういうものがどこかにあるんですよね、我々というのは。ですから、やはり私は、ある程度大胆に国が規制していくぐらいのことをしなければ、これはずっと長い課題ですよね、これまでも促してきたと思うんです。ただ、なかなかそれが進んでいないという現状も踏まえて、ぜひ御検討いただきたい。

 海外の事例とか、ドイツあたりはやっておられるというふうに聞いていますので、その辺も含めて、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 二つ目は、太陽光パネルの件であります。

 私の地元山梨県は、非常に日照時間が長いということで、たくさんの太陽光パネルが今どんどん張られているという状況にあります。そろそろ、これ以上やるとどうかなというぐらいになってきていますけれども。

 この太陽光パネルで非常に私が心配しているのは、今FITが始まって五年ですか、これは二十年で切れます、十五年後になります。また、パネル自体の性能も落ちていきます。そのときに、どうしても廃棄をするという時期が来るわけであります。

 この廃棄のときに、私は、いい企業、ちゃんとした企業は、廃棄の時期が来たら、張った企業はしっかりと廃棄をされると思います。ただ、ちょっと悪いことを考えますと、では、その廃棄の時期の前に会社を潰してしまって、そして廃棄をしたくないとかしないとか、こういうことが起きないかというところを非常に心配しているわけであります。

 物すごい量ですから、何十、何百ヘクタールという量の太陽光を張っていますから、これがそのまま残存しちゃうということになれば、これは今問題になっている空き家のような話になっていくわけであります。

 空き家はまだ、その辺に住んでいた方々、住んでいる方が所有していますから、それに対してのモラルハザードというのは起きにくいと思いますけれども、今、山梨県内の太陽光パネルは誰が張っているかというと、東京の業者さんとか、こういった会社が非常に多いわけであります。だから、そこに住んでいない人たちがやっているというところもありますので、モラルハザードが起きてそういうことにならないかということを非常に地元も心配しているところであります。

 それに対しての対策についてお伺いしたいと思います。

井原大臣政務官 中谷先生にお答えを申し上げます。

 まさに御指摘のとおり、適切に太陽光パネル等の発電設備の撤去がしっかりなされるかどうかということが非常に重要と考えております。

 旧来のFIT制度の中では、事後というか、廃棄物処理法に基づくマニフェストの添付を義務づけて、適切に廃棄が行われることを、運転終了時に、廃止届の提出のときに求めているというのがこれまでだったんですけれども、この四月からのFIT法の中では、今度は事前ということになりますが、設置段階や運転中から計画的な対応を促すために、発電事業者が運転終了後の太陽光発電設備の廃棄に係る計画を含む事業計画、だから、事前にそれを基準として設けておりますので、それがなければ国は認可しないというふうに強化をされているわけであります。

 しかし、先生がおっしゃっているように、法的には位置づけているけれども強制力はないということ、もう一つは、廃棄はもちろん廃棄物処理法というのがありますからできますけれども、そのままそこに置く放置、放置に関しては、確かに今の法律では強制力は働いていないということでございますから、今後、FIT法の改正だけではなくて、やはり廃棄物処理法や、あるいは所管する環境省とか自治体と連携を密にしながら、もう一つは、廃止の時期がわかっていますから、そのころの情報共有をして、今後さらにさまざまな法律の側面で、しっかりと空き家対策と同じように検討していく課題だというふうに認識をいたしております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 これは、ただ、事業者の責任というものをある程度私は明確にしなければいけないと思いますし、相応の負担をやはり負ってもらうということが大切だというふうに思います。ですから、例えば保険に加入させるとか、こういうことも含めてぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 中小企業等経営強化法、この法律は非常にありがたい法律であります。ただ、現場から聞こえてくる声は、設備投資による生産性向上については非常にいいということを聞いているんですけれども、同じくうたっている人材育成面について非常に弱いのではないか、地元また現場からそういう声があるところであります。

 これについて、人材育成面、今ある施策、もしくは今後どうされていくのかというところをお伺いしたいというふうに思います。

木村政府参考人 御指摘のとおり、経営力向上には人材の育成が非常に重要な課題だと認識しております。

 中小企業等経営強化法でございますけれども、この法律は、業種ごとに策定しております事業分野別の指針というのがございます。その中に、まずは人材育成を非常に重視しておりまして、取り組むべき内容は盛り込ませていただいてはございます。

 その上、設備投資につきましてはやはり個々の事業者様のお取り組みという面が非常に強いわけでございますけれども、人材育成となりますと、なかなか中小企業の皆様方は自分でおやりになるのが難しいというような場合もございますので、業種ごとに生産性向上に知見のある組織を事業分野別経営力向上推進機関、ちょっと長い名前でございますけれども、そういったものとして認定しておりまして、この組織が人材育成を行うような場合には、労働保険特会、具体的にはキャリア形成促進助成金というのがございますけれども、それによる支援を行うことにしてございます。

 これまで事業分野別経営力向上推進機関としては七つの組織を認定させていただいておりまして、現在、人材育成の取り組みをその中でやっていただきたいということで促しているということでございます。

 また、ちなみに、キャリア形成促進助成金は、個々の企業が人材育成にお取り組みになられる場合も助成の対象になるということでございます。

 いずれにいたしましても、人材育成は非常に重要な課題でございますので、まずはこうした推進機関の認定を今後もふやしながら、助成金を使った人材育成あるいは研修の事業にお取り組みをいただきたいということを促してまいりたいと思いますし、また、経営強化法を離れましても、中小企業の人材の確保、育成につきまして精力的に検討してまいりたいというふうに思ってございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 これは、地元の、多分ほとんどの地方はみんなそうだと思うんですけれども、人材不足が非常に叫ばれていまして、特に実業をやる人たちが非常にいないという声を聞いています。そういう意味では、これは急がないと、本当に今やっている事業も非常に立ち行かなくなるという企業がたくさんあります。そういう意味では、この人材育成というところは力強く後押しをしていただけるよう、今そういう検討も、検討というか、そういうことを始められているというふうに聞いていますので、そこをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 次に、伴走型小規模事業者支援推進事業の導入が可能になる経営発達支援計画の認定についてお伺いをしたいというふうに思います。

 これはうちの地元の商工会なんですけれども、この商工会が言ってきたのが、経営発達支援計画に申請をしているんだがなかなか認可してもらえないというところで、これは非常に差があるんですよね。

 私のところに北海道から沖縄までの一覧表があるんですけれども、ちなみに、栃木県とか千葉県は一〇〇%です。我が山梨県は四・三%、二十三の商工会から出しているんですが、一個しか認可されていません。平均すると三十数%と聞いていますけれども、これは認定の仕方にも問題があるのではないかなと。

 伴走型小規模事業者支援推進事業というのは非常にいいと聞いています。例えばいわゆる見本市に出展するときにそれを後押ししたりとか、そういう事業が入っていたりとか、本当に経営を助けるような事業だというふうに聞いています。四・三%では非常に厳しいというところもありますので、これを何とかしていただきたいということと、どういう認定の要領をされているのかというところをお伺いしたいというふうに思います。

木村政府参考人 御指摘の経営発達支援計画でございますけれども、これまでの記帳の指導でございますとかあるいは税務の指導といった基盤的なことを中心としてきた支援に加えまして、新たに経営戦略に踏み込んだ御支援をしていただく、そういう内容になってございます。

 したがいまして、認定に当たりましては、その支援の内容あるいは実施体制が、これは法に基づく経済産業大臣が定める基本指針というのがございますけれども、それに照らして適切なものであるということが法律上規定をされております。

 具体的な審査基準でございますけれども、これは全国統一のものでございまして、外部の有識者も交えてできるだけ客観的、透明な審査を行っておるというふうに自負はしてございます。審査基準でございますとかあるいは申請のガイドラインは公表させていただいて、透明性、公平性の確保に意を用いてきたところでございます。

 御指摘のとおり、これまでの申請あるいは認定の状況につきましては、都道府県によって結構ばらつきがあるということは事実でございまして、中小企業庁といたしましては、やはり全国漏れなくカバーしておりますのは商工会、商工会議所であるということ、それから、それを通じまして全国津々浦々の小規模事業者にしっかり支援が行き届くということが非常に重要だというふうに思っております。それぞれの地方の経済産業局とも連携をいたしまして、計画の策定あるいは認定の申請に向けた個々の御相談でございますとか指導を行うといった支援に取り組ませてはいただいているところでございます。

 今後とも、商工会、商工会議所の支援体制の充実、しっかりサポートさせていただいて、伴走型の小規模事業者支援を推進してまいりたいと考えてございます。

中谷(真)分科員 今、地方は大変ですから、ぜひこれはよく見てあげていただきたい。四%と一〇〇%ではちょっと差があり過ぎるというか、もう少し御省からも、ぜひ私の地元にも働きかけを行っていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 防衛装備移転についてお伺いをいたします。

 防衛装備移転の三原則、二十六年ですけれども、大体三年ぐらい経過をしております。ただ、ほとんどこれは効果がないというふうに見ています。

 これは結構重要なんですよね。装備を移転させることによって、それの使い方を教えるために使っている自衛官が行って、そこで関係がつくれるとか、同じ機材を使うことによって相互性が出るとか、これは国同士のつながりを強くするためには非常に重要であります。

 これは防衛省と経済産業省が主な主要官庁になりますけれども、私は、防衛省が出そうと言ったものに対して、基本的には、防衛秘密とかいわゆる技術がその国に行くことに対して、自分のところの優位性が失われる、失われないという判断は防衛省がやるというふうに思います。だから、私は、それ以上の網を経済産業省がかけていくということは基本的にはないんだろうというふうに思います。

 これを進めていくという点も含めて、ぜひちょっと経済産業省の御所見をいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 武器装備移転についてのお尋ねでございますが、武器輸出のルールを定めております防衛装備移転三原則では、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくということとされております。同時に、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持していくことも示されてございます。

 このような防衛装備移転三原則のもと、これまで米国向けのペトリオットPAC2の部品や、米国向けのイージスシステムのソフトウエア、フィリピン向けの海上自衛隊の練習機TC90等の移転が認められてきたところでございます。

 既にこのような実績があるところでございますが、経済産業省といたしましては、引き続き、外為法に基づく厳格な審査等に万全を期しつつ、防衛装備の移転につきまして適切に対処してまいりたいというふうに考えてございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 厳格な審査はいいんだけれども、何でもかんでもだめじゃなくて、今おっしゃったのはGツーGだけですから、いわゆる政府と政府の間でやっているものだけですから、民から出すとかということは一切ないわけであります。ですから、そろそろやっていかなければ、これは本当に効果がないまま終わってしまうというものであります。ですから、ぜひ経済産業省にも、これを前へ進めていくんだ、このことが日本の安全保障にとって非常に重要なんだという意識を持ってやっていただきたいというものであります。

 次の質問に移ります。

 情報産業についてお伺いをいたします。

 資料を一枚だけ準備しています。IT技術者の分布でありますけれども、IT企業の方々が言うには、日本とアメリカの違いが書いてありますけれども、日本の場合は、IT企業、いわゆるベンダーにIT技術者が七五%いる、そしてユーザーに二四%。アメリカはその逆であります。

 このことによって何が起きているかというところでありますけれども、いわゆるユーザーのニーズがよくわからないベンダーがシステムをつくる。しかも、そのシステムがどういうものであるかわからないユーザーがそのシステムを使っている。大体丸投げになるというんですよね。丸投げになってしまって、なかなかいいシステムは構築できないのではないかということを非常に言われている。これは経済産業省が出した資料でありますけれども、そのことを指摘しているわけであります。

 これに対してどういう手を打っていくのかというところが私は非常に重要だというふうに思います。この問題意識についてお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まさに、これまでの実態は今委員御指摘のとおりだと思っております。

 また、その背景は、日本におきましては、いわばIT投資というものが省力化とかあるいは省人化といったような目的を中心にして進んできた、これによって、積極的に自社の製品やサービスをどう売り込んでいくのかという問題意識が余りユーザー企業にない形で導入が進んできたということが背景にあると思っております。

 したがいまして、現在、攻めのIT経営銘柄ということで、積極的な取り組みを行う企業の皆さん方を東京証券取引所と共同で認定をさせていただく、あるいは、その中小企業版でございます攻めのIT経営中小企業百選、こういったようなベストプラクティスを提示させていただいて、もっと積極的に攻めていこうじゃないか、ユーザー企業からも攻めていこうじゃないかということの変革を促させていただいております。

 また、人材の能力を見える化させていくということも大変大事だと思っておりまして、ITのスキルの標準化、こういったようなものを進めさせていただいております。

 また、能力の客観的評価ということで、国家試験でございます情報処理技術者試験を通じまして、しっかりした人材がしっかりした処遇のもとで採用されていく、こういったIT社会をつくっていくことが大事だと思っております。

中谷(真)分科員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 最後に、非常にこの情報産業は労働環境が厳しいと言われています。しかも、これは実態が非常につかみづらいという特性があります、フレックスで働いているというところもありますので。これに対する対策についてお伺いしたいと思います。

宮下主査 安藤商務情報政策局長、質疑時間が経過しておりますので、簡潔によろしくお願いします。

安藤政府参考人 御指摘のとおりでございまして、世耕大臣から直接、IT業界に対しましても、働き方改革宣言をつくってくれということで、呼びかけをさせていただいております。

 コンピュータソフトウェア協会というところがございますが、一例を申し上げますと、二〇二〇年までに、平均残業時間を月二十時間以内、週一回以上のテレワーク比率を三〇%以上、こういった意欲的な目標を出していただいておりまして、ほかの皆様方も追随をしていただく、こういうことで働きかけをさせていただいております。

中谷(真)分科員 いい人材が集まる業界にしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

宮下主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、星野主査代理着席〕

星野主査代理 次に、門博文君。

門分科員 おはようございます。自由民主党の門博文です。

 きょうは質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。そして、世耕大臣とはいつも地元の会合ではよく御一緒させていただくんですけれども、こんな関係でお目にかかれるということで、大変光栄に思っております。

 では、早速質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、経済産業省の仕事の中でとりわけ私が大変注目をさせていただいているのは、全国の中小企業、この方々に対するさまざまな支援の取り組みについて期待を寄せておる一人であります。

 その中で、昨年の九月ですか、「未来志向型の取引慣行に向けて」ということで、世耕プランが発表されました。その発表以降、マスコミのいろいろな報道等も通じたこともあって、私の地元の選挙区の皆さん方、特に中小企業の経営者からも、このことに対する期待の大きさ、どうなっていくんだかとか、これで我々も少しは楽になっていくのかなというような具体的なお声を頂戴をしているところであります。

 ただ、今一生懸命役所の方も取り組んでいただいていると思いますけれども、まだ内容の全容とか十分伝わっていない部分も確かにあるんだと思います。アベノミクスは、大都市それから大企業にはもう行き渡ったけれども、地方や中小、小規模の経営者のところにはまだ行き渡っていないというふうに言われて久しいところ、この世耕プランの意義というか、役割は大変大きなものがあると思います。

 その上で、大臣がやはり陣頭指揮をとってこのプランに取り組んでいただいているというふうに聞いておりますので、改めてここで、浸透に向けての大臣の思いとか、このプランに向けての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

世耕国務大臣 お答えします。

 アベノミクスの果実をきちっと地方の中小企業まで行き渡らせるためには、やはり、大企業と中小企業の間を中心とする下請取引関係、これをフェアなものにしなきゃいけない。この問題意識は私はずっと前から持っておりまして、実は官房副長官時代から官邸で、省庁を超えた枠組みでこの下請取引の改善ということにずっと取り組んできてまいりました。

 これまではどちらかというと、改善しなきゃいけないということはスローガンとしてはあったんですけれども、余り粘り強い取り組みが行われてきたとは思えなかったというふうに思っています。官邸時代は、ともかく現場のヒアリングをしようということで、中小企業から実態を対面で聞くのに加えて、アンケート調査をやったり、それを大企業側、発注側にぶつけたりということをずっとやってまいりました。

 そして、そういう中で、私自身、経済産業大臣になったということもありますので、経産省としてしっかり旗を振っていこうということで、就任直後の九月には、対策パッケージ、一応省内では世耕プランと呼んでもらっていますが、これを取りまとめて、そして十二月には、関係法令の運用を大幅に強化をいたしました。

 具体的には、まず公正取引委員会と協力をして、下請代金法の運用基準に、いろいろなやってはいけないこと、不適切な事例というのを、今までは六十六しか載っていなかったんですが、百四十四にふやしました。

 現場のヒアリングで、例えば、古くなった金型をただで保管させられているとか、あるいは、一方的にもう五%来年は値段カットだよということを言われる、こういったことはだめですよということを追加をさせてもらいました。

 あるいは、業界によってはいまだに手形で全部支払っているというようなところがありましたので、これは中小企業庁と公取で連携をして、手形に関する通達を五十年ぶりに出し直しました。そして、その通達では、基本的にはもう現金払いでやってください、どうしても手形で出す場合には、期間は六十日、いわゆるサイトと言いますけれども、六十日以内の期間に短縮をしてください、あるいは、割引料をしっかり乗せた形で、下請側が手形の割引手数料を負担するようなことのないようにしてください、こういうことをきちっとやってきたわけであります。

 それだけではなくて、さらに、私は業界団体を全部歩きました。自動車工業会を先頭に各社長さんに集まってもらって、やはり下請取引の改善をやってほしいということを申し入れ、自主行動計画の策定を要請をしました。

 自動車だけではなくて、鉄鋼、繊維、いろいろなところを回りましたが、その結果として、非常に裾野の広い、七業種十二団体、この多くでは既に計画の大筋を取りまとめて公表をしていただいています。そして、年度内にはきちっとしたルールとして確定をしていただいて、大体、年度が変わるときに価格改定が行われることが多いわけですから、そういうときにしっかり反映をさせていただくよう、今もお願いを続けているところであります。

 今後とも、この取り組みは一回やって終わりということはないと思います。やってみて、どうだったかというのを中小企業にヒアリングをして、また大企業に改善を求めていくということをかなりしつこくこれからも取り組んでいって、中小企業の皆さんが、下請取引の実態が変わってきたなということを実感してもらえるようなところまで頑張ってまいりたいというふうに思っています。

門分科員 ありがとうございました。非常に精力的に、そしてまた手を抜かずにお取り組みいただいている様子が、今の大臣の御答弁の中からよくわかりました。

 中小企業というか、元請、発注者、下請、孫請、こういう構図の中で、言い方がどうかわかりませんけれども、弱い立場の人たちのことをきちんとしんしゃくをして対応するということは、やはり、政治に求められている大変重要なことだというふうに私も認識をさせていただきました。

 そして、今大臣からお話がありましたように、元請、大手、そこのヒアリングもさることながら、きのうも実は、予算委員会の公聴会で昭和電気鋳鋼というところの手塚社長さんという方が公述人で来られて、今の話に関連した陳述をしていただいていました。中小企業としては、一番困っているところを経済産業省や中小企業庁の方々に直接聞いてもらえて大変ありがたいんだというような話でありました。

 私もきのう、この質問をさせていただくに当たってちょっとホームページを拝見したら、中小企業庁、経済産業省のところに、下請かけこみ寺、ああいう名前で、そういうボトムからの声を吸い上げようというようなことを試みていただいていて、そこに下請Gメンというような名称もあったと思いますけれども、お聞きするところ、全国くまなく、まずは千件以上のヒアリングをしようということで今取り組んでいただいていまして、きのうは御担当の方に聞きますと、いやいや、千件どころか、もう二千件を目指してやるという決意で今はやっております、だから、地元で逆にそういうお声がありましたら、いつでもお声がけいただいたら、私たちはせ参じてそのことを聞かせていただきますというようなことを言っていただきました。

 せっかくこういう下請、中小企業にとっては大変ありがたい取り組みですので、現在までのその実施状況、並びに、その中で具体的な意見がどんなものがあったかとか、そしてまた、今後の取り組みについてまた改めて聞かせていただけますでしょうか。

世耕国務大臣 今回の下請取引改善の取り組みをするに当たって、やはり現場のヒアリングというのが非常に役に立ったというふうに思っていますし、また、中小企業の側も、ヒアリングに行きますと、よくぞ聞いてくれたと。今まではやはり、それを言っちゃうと、ではもうおたくと取引しないよというような形もあってなかなか言えなかったのを、役所がちゃんと聞いてくれて、そして、秘密をしっかり守った上でそれを発注元の大企業にぶつけていくということ、これをかなりしつこくやらせていただきました。二百五十件ほどであります。数を稼ぐというよりは、まず最初はしっかりと、ゆっくりと聞かせてもらうという意味で、集中して二百五十件ほどやりました。いろいろな例が出てきました。

 先ほど申し上げたような、金型をモデルチェンジしたものを、また万が一要るときのために、下請業者は金型といっても、エンジン一つつくるのに、いっぱい金型がありますから広いスペースが要るわけですが、そういうのを全部中小企業がただで保管をされているなんということがわかりました。

 あるいは、我々の地元の和歌山では印刷業者にヒアリングをしたんです。そうすると、版権をとられちゃう。例えば、チラシの注文を受けて一生懸命デザインをつくって、キャラクターをつくって納品をしたら、そのままチラシとともにそのデザインも全部とられちゃって、それで後で、もうパンフレットだポスターだに転用されて、全然この著作権が守られていないというような話も出てきました。

 今まだちょっと改善途上でありますけれども、これも、著作権までとるんだったらその著作権のコストも払わなきゃいけないんじゃないか、あるいは、とらないんだったら印刷業者側にその著作権は残るようにしなきゃいけないんじゃないか。こういうこともヒアリングの中から出てきているわけであります。

 新たに今回、下請Gメンというのを配置をさせていただきました。先ほどおっしゃったように、最初千件と言ってきたんですが、足りないと。そうしたら千五百件と言ったんですけれども、それでも足りないと言って今は二千件ときましたので、まあそれならいいかということで、二千件を目標に徹底したヒアリングを行ってまいります。

 下請側をヒアリングするだけではなくて、大企業側に、おたくの業界からはこういう声が出ていますがどうなっていますかということもやっていって、しっかり突合をして、改善の動きをつくっていきたいというふうに思っています。

 そして、場合によっては、せっかく去年の年末に自主行動計画をつくってもらったけれども、全然ワークしていませんよとか、あるいは、この行動計画でも足りないところがありますよということがあれば、それは、自主行動計画を業界内に周知徹底していただくことや、場合によっては見直しなども求めていきますし、我々、ガイドラインを改めましたので、そのガイドラインに違反するような事例が出てきたら、これは厳正に対処していくということをやっていきたいと思います。

 これは何年も続けたいと思いますね。ずっと毎回毎回、改善してまたヒアリングして、改善してヒアリングしてということをしつこく続けていきたいというふうに思っています。

門分科員 ありがとうございます。

 基本的には、言ってしまえば民業ですので、民間同士の取引に今まで委ねていっていた部分が往々にしてあったと思いますけれども、そこで経済産業省、中小企業庁がそこに大なたというか、割り入って、隘路になっているようなところを解決するということ、まさに民間の仕事にコミットメントできるのは、経済産業省や中小企業庁がこの霞が関の中ではやはりその唯一の存在だと思いますので、ぜひそのあたり、これからも力強く邁進していただきたいと思います。

 その上で、今、経済産業省が中心になって、中小企業庁が中心になってということだったんですけれども、これも地元の話ですけれども、さっき大臣もお話がありました、手形よりも現金ということに物すごく敏感に反応する人たちがたくさんいて、私のところにまず話を聞きに来られたのが、建設業の方です。我々も手形よりも現金払いの方がええんやけれども、これはどうなるのやろとか、それから、トラック輸送業、このあたりもその支払いのサイトの関係が非常に下請いじめみたいなことになっているので、こういう今回の取り組みに対して、我々も救われるのかというような声もありました。

 役所でいいますとこれは経済産業省が先頭に立ってやっていただいていますけれども、今の案件については特には国土交通省の所管の部分になりますので、国土交通省の方で、今の世耕プランを踏まえて今どういう取り組みをされようとしているのか、今そういう中で課題がどういうものがあるのか、お聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、ただいま御質問ございました建設業、トラック運送業を中心に、取引条件の改善に向けた取り組みを進めております。

 建設業に関しましては、昨年十二月に根本政務官より日本建設業連合会に対し、適正取引推進のための自主行動計画の策定を要請し、現在、この春の完成を目指して作業が進められているところでございます。

 トラック運送業に関しましても、同様に、昨年十一月に根本政務官より全日本トラック協会に対しまして、自主行動計画の策定を要請し、現在、年度内の完成を目指して作業が進められているところでございます。

 また、トラック運送業に関する荷主との取引条件の改善に向けましては、昨年十二月に、荷主業界所管省庁でございます農林水産省様と経済産業省様に対しまして、荷主への働きかけの協力について政務レベルで要請を実施いたしまして、自動車産業と荷主団体に対する働きかけに御協力をいただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁とも連携しながら、取引条件の改善に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

門分科員 ありがとうございます。

 さっきも申し上げたように、建設業とかトラック輸送業というのは、本当にもう全国隅々まである産業でありますし、それゆえにそこに従事されている方々もたくさんいらっしゃるわけなので、さっきの大臣の御答弁は、気概というか、大変気迫のある御答弁をいただきました。国土交通省も、ぜひこの世耕大臣に負けないぐらいのエネルギーをかけて今のことに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そうしていただくことで、さっきもお話にありましたアベノミクスが本当に全国の隅々まで行き渡るということになるんだと思いますので、期待をしておりますので、ぜひ、全省を挙げてお願いいたしたいと思います。

 それでは、もう一つ最後に、中小企業の支援についてお話をさせていただきたい、お尋ねをさせていただきたいんです。中小企業の支援の中にもいろいろな項目があると思うんですけれども、私は、中でも融資の件についてお話をさせていただきたいなと思います。

 これも地元でよく御相談があることの多い順の一つかもわかりませんけれども、やはり、経営の中で資金が足りなくてちょっと融資を受けたいということでよく御相談があります。私の感覚ですけれども、残念ながら、私の地元では民間金融機関が余り積極的に融資をしてくれなくて、一生懸命頑張ってくれているのは、どちらかというと私の印象は、政府系金融機関、商工中金さんであったり政策金融公庫であったり、ここが中小企業のその下支えをしていただいているような気がします。

 民間金融機関の方にも、もうちょっとリスクもとって貸してくれたらどうかというような話もするんですけれども、ただ門さん、そんなことを言っても、事業計画書もろくなものをつくってこないし、ただ言ってくることはお金だけ貸してくれということで、お金を貸してもらうというか、貸すための経営の指針というか指標というか、そういう最低限のものもなかなか用意してくれないのが現実なんですよということを、一方では金融機関の方からも聞かされることがあります。

 この点について、片一方は、何としても事業を拡大していったり事業を維持していくためにお金を貸してほしいというニーズがあって、金融機関も貸したいんだけれども一定の要件を満たさないというそのギャップがあるんですけれども、ここのこの現実的なギャップを埋めるために経済産業省や中小企業庁がどういうふうなお取り組みをしていただいているのか、少しお話を聞かせていただきたいと思います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。中小企業に対する金融の関係でございます。

 おっしゃられましたとおり、銀行、金融機関におけるこの目ききの力といったところも大変大事かと思いますけれども、一方で、中小企業自身が経営改善を進めていくことが非常に大事かと思っております。

 このため、中小企業庁といたしましては、中小企業の経営者が自社の経営状況をみずから的確に把握をする、それから、金融機関などに対して適切に情報提供ができるように、中小企業が会計処理の際に参照すべき中小企業会計要領、これは、金融庁とも協力しながら作成をして、普及に努めているところでございます。

 それから、昨年七月に施行されました中小企業等経営強化法でございますけれども、これは、中小企業の方々がみずから経営力向上計画といったものをつくっていただくこと、これもポイントの一つでございます。その認定をいたしますところで中小企業に対する固定資産税の軽減措置や低利融資等の支援もしていくということで、そのもとになるものをしっかりつくっていただくというところについても御支援申し上げております。

 それから、中小企業が経営改善計画を策定する際の少しきめ細かなサポートなんですけれども、税理士や中小企業診断士等の専門家による支援を行う経営改善計画策定支援事業というものがございます。そうした専門家の力をかりるのに、三分の二までの補助、二百万円を上限とした支援をするものでございますけれども、そうしたさまざまな施策を講じているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、中小企業、小規模事業者の生産性向上、経営改善をしっかりサポートしていきたいなと思っております。

 以上でございます。

門分科員 ありがとうございました。

 ぜひそのお取り組みを積極的にやっていただいて、なかなか地方の経営者というか経営体というのは、いろいろ人材も含めた経営資源が足りていない部分がありますので、そういうところを経済産業省、中小企業庁が中心になってサポートしていただくと、物を売ることには何か物すごく能力がある経営者ですけれども、管理が全然できないという人たちもたくさんいらっしゃいますから、そういうところをチームワークで支えていただけたらというふうに思います。

 そしてまた、民間金融機関の方の所管は当然金融庁ということはわかっておるんですけれども、もし、そういう局所的に貸し出しが盛んにないというような事例があれば、役所の垣根を越えて、経済産業省、中小企業庁からもまた金融庁に、その実態も踏まえてできるだけ資金を流動化させてほしいというようなお願いもしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問、項目にかわらせていただきます。次は地熱発電についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私も超党派の地熱発電の議連に参加をさせていただいていまして、何度か現地にもお邪魔をさせていただいたことがあります。最初は地熱というのはどんなことでやっているのかなとよくわからなかったんですけれども、少しずつ勉強もさせていただいて、太陽光とか風力発電など、再生可能エネルギーが今いろいろもてはやされているというか出てきていますけれども、やはり、それでもベースロード電源になれるかどうかというと、いろいろな条件がうまくかみ合わなくて、太陽光でしたら、おてんとうさまというか太陽が出ていなかったらだめだったりとか、それから、風力発電はもちろん風が吹いていなかったらだめなので、安定的な供給という意味では、再生可能エネルギーの中ではこの二つはなかなかその要件を満たしていない。

 ところが、地熱は、地下の資源を使っていくわけなので、雨が降ろうが風が吹いてなかろうがずっと継続的に発電ができるということなので、非常に、ベースロード電源としての期待も高いんだというふうに思います。

 それから、前にその勉強会の中で作家の真山仁さんがお越しいただいたときに、真山さんがおっしゃったことで私は印象的なんですけれども、やはりエネルギー政策というのは、国家にとっては一番の安全保障政策ですと。ですから、CO2の排出がどうとかという切り口もあるけれども、やはり、国家として自分のところのエネルギー源で自国をちゃんと回していけるということが大変大きな安全保障上の一つのテーマだというふうにお伺いをして、なるほどなと思ったときに、今のように地熱のこれからの期待というのは、より私も胸を膨らませたわけなんです。

 この地熱発電の魅力について、そしてまた、今、政府が導入目標についていろいろなお取り組みをしていただいていると思いますけれども、改めてこの場でお伺いをさせていただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 地熱発電は、純国産の再生可能エネルギーでございまして、その中でも、日照や風況といった自然条件によらず、安定的な発電が可能な、まさにベースロード電源でございます。そして、エネルギー安全保障、そして環境適合といった要請を満たしながら、安定的な電力供給も可能という貴重なエネルギー源であるというふうに認識をしてございます。

 我が国は世界第三位の地熱資源量を有しておりまして、この豊富な地熱の資源を積極的に活用していくことは、エネルギー政策上の重要課題であるというふうに捉えてございます。

 導入目標ということでございましたが、経済産業省では平成二十七年七月に長期エネルギー需給見通しを策定してございますが、この中では、二〇三〇年度における地熱発電の設備容量を、今、現状五十二万キロワットでございますが、から約三倍の約百五十万キロワットに増加させるというふうにしてございます。この実現に向けて各種の取り組みを進めているところでございます。

門分科員 ありがとうございました。

 ただ、今御答弁いただいたように、それだけそのポテンシャルがあるんですけれども、なかなか現実化していくのにはちょっと時間がかかっていたりをしていまして、そういう意味で、今お取り組みいただいている中で、導入に向けた課題であったり、それから、その課題を解決することに対しての取り組み、そのあたりをちょっと引き続き続けてお話しいただけますでしょうか。

山下政府参考人 まず、地熱発電の導入に当たっての課題でございますが、例えば、地下の地熱資源の分布を正確に把握することが難しくて掘削の成功率が低いとか、あるいは、地熱発電に用います井戸の掘削コストが高いとか、あるいは、地熱資源量の調査に着手してから地熱発電所の運転開始に至るまでに十年程度を要するなど、開発期間が長いといったような課題が存在をしてございます。

 また、温泉事業者を初めとする地域の方々の御理解を得ることも必要でございまして、丁寧に開発を進めることが求められてございます。

 こういったことを解決するために、各課題に対応した支援策というものを講じてございます。

 まず、開発リスク、コストの低減、そして開発期間の短縮のために、例えば、地熱資源量の把握のための初期調査に対する支援、そして、地下構造の探査精度の向上とか掘削の低コスト化、期間短縮のための技術開発、あるいは、環境アセスメントに必要な期間、これは通常三、四年なんですが、これを半減するための実証事業などに取り組んでいるところでございます。

 さらに、温泉事業者を初めといたします地域の方々の地熱発電に対する理解の促進のために、地域における勉強会の開催などに対する支援、あるいは、地元の調整役となる自治体に対して技術的な助言を行うために、JOGMECに地熱資源開発アドバイザリー委員会というものを設置するなど、きめ細やかな対応を実施しているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、我が国の地熱資源の最大限の有効活用が実現するように、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思ってございます。

門分科員 ありがとうございます。

 それだけやはり大きな期待ができる熱源というか発電であるんですけれども、今お話しいただいたように、いろいろな課題、もちろんいろいろな取り組みはしていただいていますけれども、そこの峠というか、のりを越えていったところに初めて、日本のベースロード電源としての地熱発電というのがもっと大きな存在になるのではないかなというふうに思うんです。

 以前も議連の勉強会のところでもお話をしたことがあって、冗談みたいな話なんですけれども、まず、地熱発電という言葉自体が余り市民権を得ていないというか、風力とか太陽光とか水力といったらもうそれは誰でも大体イメージできるんですけれども、地熱発電と言われた瞬間に、どうやってやるのかなというかイメージが大体できないので、私はいっそのこと、専門家の人には笑われたんですけれども、本質は違うかもわかりませんけれども、一般の人にわかりやすく伝えるには、温泉発電とか、そういう名前にしたらどうかというような提案をしたこともあるんです。

 ですから、もっと広く国民の皆さんもこのことの可能性というか、日本は資源がないと言っていたけれども、実はありそうな部分もあるでというようなことで伝えていただきたい。

 そして、今の御答弁の中にありましたけれども、リードタイムとか、それから、いろいろな掘削していく中で、当たる確率が低くてリスクが大きい。では、それは今誰がやっているのかというふうにお伺いすると、一義的には電力会社、そしてまた地下資源を掘削してきた会社が中心になってやっていらっしゃると言うんですけれども、これもなかなか言いにくいことですけれども、そのそれぞれの経営体の中で、では、地熱に携わっている人たちがその経営体の中の本当の保守本流の中にいらっしゃるのかどうか。言葉は悪いですけれども、ちょっと傍系のところにその人たちの立ち位置が置かれると、リスクは大きいわ、リードタイムは長いわといったら、会社の経営者からいえば、まあまあ余り熱心にやってくれない部分がなきにしもあらずだと思うんです。

 究極は、一つ目の大きなものが成功するところまでは、私は、国営事業としてこの地熱発電というのを取り組んだらどうかというふうに思います。間接的に補助するんじゃなくて、しっかり国の予算で大きく国営の地熱発電所をつくるというぐらいの気概を持って、国家事業として一度やってみる。それで成功した後はだんだん民間に移譲していくというようなことが、せっかくここの期待が大きいのにうまく進まないというところを打破していける一つの考え方ではないかなと思いますので、質問の最後に私のひとり言として提案をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

星野主査代理 これにて門博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下分科員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日もお時間いただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、公正取引委員会、それから文化庁に来ていただきました。大臣、ありがとうございます。

 きょうお話をさせていただきたいことなんですけれども、この間の予算委員会なんかでも我が党の浦野議員がお話ししていたんですけれども、主にJASRACの件、JASRACの件というのか、音楽著作権の件、これについて少し整理をして聞かせていただきたいなと思うんです。

 最初、冒頭言いますけれども、音楽著作権、私の解釈でいうと、やはり、著作権を持っている方、実際に音楽を自分でつくり出した方の権利をしっかり守ってあげなければならない。ですから、自分が生み出したもので、それの対価として、誰かが歌ったりとか演奏したりであるとか、そういうふうにしたときに、それがしっかりと、つくり出した人にその利益がちゃんと生み出されるような、そういう仕組みをつくっていかなければならないんだろうなというふうにまず思っているということをお話しさせていただきます。

 そうはいいながら、最近のメディア等々の報道によると、主に、大きなシェアを持っているJASRACが、例えば音楽教室みたいなところでそういう楽曲を利用したときに、そのときの課金をするということで、それに対して特定の団体などからいろいろな反発があるというふうに聞いているんですね。そういうところも含めて、きょう、整理をして聞かせていただきたいなと思うんです。

 まず最初に、そういった関連のことで、まず整理として質問をさせていただきたいんです。

 これは文化庁さんの方に特にお話しさせていただきたいんですけれども、では、そもそも著作権法、この目的、私は今、解釈をお話しさせていただきましたけれども、そもそもの著作権法の目的、これについてお話をしていただきたいんです。これはどういうふうになっているかということをお話しください。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 著作権法第一条で著作権法の目的について規定をしてございます。その規定では、「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」というふうに規定されております。すなわち、著作権法は、著作物の創作者等に権利を付与し、公正な利用と著作者等の権利の保護を図るための法律でございます。

 この制度によりまして、御指摘のように、著作者に対して創作の対価を適切に還元することで、新たな著作物の創造のサイクルを活性化し、文化の発展に寄与することが期待されているものと理解しております。

木下分科員 ありがとうございます。

 お話があったとおりかな、私の解釈も間違っていないのかなと思ったんですけれども、その中で、言葉尻を捉えてあれなんですけれども、一つは、著作者の権利、それから隣接する権利を定めてという形で、これを「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、」と。ということは、要は、公正な利用というのがちゃんとできているかどうか、この部分について特に留意していかなきゃいけない。一つは、そういう点で公正取引委員会さんなんかも見ていらっしゃるのかなというふうに思っているんですね。

 では、実態はどうなのかな。著作権法はこうです。では、音楽著作権について、実際に世の中、著作権をコントロールされている、これは大体、言っちゃあれですけれども、私の感覚でいうと、ほとんどのシェアをJASRACさんが持たれていると思うんですね。その辺についてちょっと質問させていただきたいんですけれども、では、JASRACさんの役割、これを、まず文化庁さんの方から、どういうふうに認識されているかということをお話しいただきたいんですけれども、お願いします。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のJASRAC、日本音楽著作権協会の役割ということでございますが、JASRACは、著作権法とは別の著作権等管理事業法という法律に基づきまして、創作者である作詞家、作曲家の方の音楽の著作権について権利者から信託を受けて管理をしております。

 JASRACは、実際に、業務内容ということになりますが、権利を管理する楽曲を使用しようとする利用者から、利用者がJASRACの許諾を受けまして、使用料規程に基づく使用料を払うことで適法に著作物を利用することが可能となります。

 また、徴収された使用料は、JASRACの使用料分配規程に基づきまして、権利を信託している権利者に分配されるということで、先ほど目的のところで御説明させていただきました、創造のサイクルという中で重要な役割を担っていると理解しております。

木下分科員 それでは、公正取引委員会の方にお聞かせいただきたいんですけれども、今、文化庁さんがそういうふうな御答弁をされたんですけれども、これはちょっと難しいんですけれども、個別の事業体に対してということなのであれなんですけれども、そもそもの著作権法に基づいてというところでは、文化的所産の公正な利用について留意しつつというふうになっているんですけれども、では、果たして、JASRACさんがやられているのが、そういった部分で、著作権者の方から信託を受けて、利用料を取って、そこに対して還元している、そういう観点を含めて、公正な取引をJASRACがしているというふうに考えられているかどうか、そういうことも含めて、JASRACさんの役割をどう捉えられているかということをお話しいただければと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会におきましては、独占禁止法との関連でJASRACを取り上げたことがございます。この事件につきまして御説明させていただきたいと思います。

 公正取引委員会におきましては、日本音楽著作権協会、いわゆるJASRACでございますが、このJASRACが、他の管理事業者の事業活動を排除することによりまして、公共の利益に反して、我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野、このマーケットにおきます競争を実質的に制限していることから、独占禁止法の禁止規定に違反するとして、平成二十一年二月二十七日、独占禁止法に基づく排除措置命令を行ったところでございます。

 この命令におきましては、JASRACにつきまして、音楽著作権等の管理事業を営んでいる事業者というふうに認定しておりまして、この命令当時、我が国におきまして、この事業に関しましては、JASRAC以外にも同じ事業を営んでいる事業者というのは存在したというふうに承知をしておるところでございます。

木下分科員 ありがとうございます。

 ということは、JASRACだけじゃなくて、ほかにも著作権の徴収業務というのができるんだということを今示していただいたのかなと思うんですね。ただ、実際にはもうほとんどそういうふうなことはなされていないということなのかなというふうに今認識しているんです。

 では、実際に、現実問題を見てみてどうなのかなというと、私の周りでそういう著作権者の方々がいらっしゃって、話を聞いていると結構おもしろいなと思ったんですけれども、ちょっと業界の構造が詳しく私もわかっていないので何とも言えないんですけれども、著作権を持たれている、例えば、昔テレビなんかに出られていたようなタレントさんが歌を歌ったりとか、そういうふうにしていたのを、二次利用というのか、その部分だけ切り取ってまたどこかの放送で流されたりとか、そういうふうなことがあったときに、その著作権者の方に毎年、利用の頻度に応じてお金が支払われてくるらしいんですね。

 たまたま、これはちょっと言うとあれなんですけれども、私の秘書の旦那さんがそういう権利を持たれている方で、話を聞いていると、毎年そうやってお金が振り込まれてくるというのか、通知が来るらしい。ただ、この年はJASRACだった、そうしたら、次になったら、自分が信託をしているというふうな考え方、余り認識がない、契約の中身によるんだと思うんですけれども、認識がないんだけれども、今度からはこういう事業者に信託されている部分が譲られたのか、管理をどこかにかえられたのかわからないけれども、いやいや、もうこっちに権利が移りました、だから今度からは取扱事業者はここですよというふうにして来るらしいんですね。

 しかも、毎年、それは放送の頻度にもよるからだと思うんですけれども、払われる金額は、何十円というときもあれば、何万円とかというときもあって、果たして、その計算方法というのはどうなんだろうなと。

 その人自身は、当然のことながら、ここに出たときにはこれだけお金をもらいます、例えばNHKで使われたときはこれだけもらいます、ほかの民放に出たときにはこれだけもらいますとか、別に指定はしていないんですね。ただ、事業者側の方に何かテーブルがあるらしくて、当然、視聴率とかそういうことも計算されるんだと思うんですけれども、それで決められている。

 これというのは、要は、著作権を管理して、ある一定のテーブルの中で信託をしているよというふうなことなので、そうしないとやはり著作権に対する対価というのは計算しづらいんだとは思うんですけれども、果たしてそれで著作権者の権利が守られているというのか、その意向が、公正に取引されていると言えるのかなというちょっと疑問があるんです。

 一つの事業者に対して信託していてそうであればいいんだけれども、それが何かいろいろなところに移って、ことしはこうだった、いや、今度は違う会社がこうやって管理しますと。これについて事実がどうなのかというところは聞かないまでも、こういうことがどうやら起こっているらしいんですね。

 ましてや、今のはテレビだけのことを言いましたけれども、そうじゃなくて、普通の飲み屋さんみたいなところでカラオケが置いてあるようなところとか、そういうところなんかは、面積によってどうこうするであるとかいうことで、さまざまな計算テーブルがあるらしいんですけれども、それが著作権者の方々が本当に望んでいることかというと、なかなかそうとも言いがたいのかなというふうな感じのことをちょっと考えているんです。

 そういうことも含めてきょう整理をしたいなと思ったので、本当に事務的なことで、大臣、座っていただいているのに御答弁することがなくて本当に申しわけないです。

 では、次に、もう一つお話しさせていただきたいんですけれども、今、公正取引委員会の方で事件として扱われたことがあるということだったんですけれども、主にそこで言われていたのが、包括的利用許諾契約というのをJASRACさんが結ばれて、信託されたものを包括的に契約してやっていると。

 では、その契約内容について、これは個別の事案なのでなかなかここで取り扱いにくいかもしれないんですけれども、公正取引委員会としては妥当と考えているのかどうか。妥当と考えなかったから係争事件になっているとは思うんですけれども、では、どういうところに疑義が生じたからそういう事案になったのかということも含めて、ちょっとその辺の経緯をお話しいただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 平成二十一年の公正取引委員会の排除措置命令に関してでございます。

 この命令におきまして認定した事実でございますが、当時、JASRACが放送事業者から徴収する放送等使用料は、当該放送事業者の放送事業収入に一定率を乗じることにより算定されておりまして、JASRACの管理する楽曲が実際に利用された実績からその算定というものが反映されるものではなかったということでございます。

 この算定方法によりますと、放送事業者がJASRAC以外の音楽著作権等の管理事業者に放送等使用料を払う場合には、その分、当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額が増加するということになります。

 このため、JASRAC以外の音楽著作権等の管理事業者が管理する楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されることがなく、JASRAC以外の管理事業者は放送等利用に係る管理事業を営むことが困難になっていたということが認定されているところでございます。

 これらのことから、JASRACが、他の管理事業者の事業活動を排除することにより、公共の利益に反して、我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限するとして、独占禁止法に違反するというふうに判断されたものでございます。

木下分科員 済みません、それで、結果としてそういう判断がされたということなんですよね。わかりました。

 確かに、今の話を聞いていると、そうなんだろうなと。うまく契約内容に条件をつけて、ほかのところが排除されるような形になってしまっている。

 やはり、今の話を聞いていて思うんですけれども、ほかの管理事業者が排除されることも一つ問題なんだけれども、今の話を聞いていると、一番本来の、これは、一番冒頭で説明を受けました著作権法の目的というところからしても、余り好ましくないんじゃないかなというふうに私は思うんです。というのは、著作権法の第一条で書いているのは、著作者の権利、それに隣接する権利を定めて、「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、」というふうになっている。

 今の話は公正取引委員会の話だから、当然のことながら、公正な競争がされているかどうかという観点だったと思うんですけれども、今の公正取引委員会さんの話を聞いていると、そこから解釈されるところは、余り権利者の保護とは関係ないんだろうなと思ったんです。

 では、権利者は、そんな契約を放送事業者と管理事業者が結んでもらうことをみんながみんな望んでいるかというと、そうではないんでしょうね。そういう人もいる、面倒くさいからもうそういうふうにして全部任せてしまえばいいという人がほとんどなんだろうけれども、中にはそうじゃない人たちもいる。ただ、そこのテーブルの上というのか、その仕組みの中に入らなければ、実質的には、著作権に対する対価というのを著作権者が取得する、そういうすべがほぼほぼないということになるのかなと思うんです。

 だから、よくあるのが、アーティスト、ミュージシャンみたいな人たちがみずから、このJASRACのやり方自体は嫌だという方も結構出てこられているということなのかなと思うんです。

 これは、では、どうしたらいいのかというと、世の中の流れとしてある種しようがないところはあると思うんですね。ただ、いっそのこと、私は思っているんですけれども、ここはちょっと難しいところだと思うんですけれども、ある程度ちゃんとした、こういうことになったらこういうふうに対価としてこれぐらいもらえるとか、そういうテーブルを事業者が決めるようなことじゃないようにしちゃっていいんじゃないかなという気はちょっとしているんです。

 これはちょっと難しいところなんですけれども、何でそういうことを言うかというと、結局、今後これはTPPとかに僕は絡んでくるのかなと思っているんですけれども、著作権、海外でもどうしていくのかというふうな話があると思うんですね。

 日本の楽曲が海外に出たときに、海外の、よく、余りどこの国とは言いませんけれども、東南アジアの国とかに行くと、いまだに路上でカラオケを一生懸命歌っているような人たち、楽しそうだなと思って見るんですけれども、ああいうのを、一回ごと、歌われたごとに著作権者にお金が支払われているのかというと、あれはないようなんですね。

 だから、そういうのも含めてちゃんとルール化をしていく中で、ただ、事業者がやらないと、政府がそういう徴収とかするのは、できるかというと、なかなか難しいと思うんですけれども、何らかの仕組みというのを考えていかないと、なかなかそういうことが、うまくコントロールすることが難しくなってくると思うんです。ましてや、こういう寡占状態、ほぼ独占状態に近い状態になっている中で、うまくできない部分というのがまだまだある。

 だから、JASRACさんが、今回、音楽教室で楽曲を演奏されたりとかすることで課金されるということ自体、これ自体は私は否定するものではないんです。のべつ幕なく、全てにちゃんと著作者の権利を確保するという部分では、ルール化がちゃんとされていて、それが公正なやり方で、なおかつ、著作権者が本当に望む形で対価が支払われるような、そういう仕組みになっていくのであれば問題はないと思う。ただ、まだそこにはちょっと、きょうの話を聞いていると、まだまだ難しい部分があるのかなというふうに思っているんです。

 そこで、これは文化庁さんに聞けばいいんだと思うんですけれども、海外での楽曲使用にかかわる著作権料の徴収、一般的なモデルとして、JASRACさんかどうかは知りません、一般的なモデルとしてどういうふうになっているのかということ、これをちょっと教えていただきたいんです。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 JASRACは、音楽著作権を管理する海外の団体と管理契約を締結して、それぞれの団体と作品を相互に管理し合っております。

 JASRACが管理している日本の楽曲、これは約百五十万件ございますが、そのJASRACが管理している楽曲が海外で使用された場合、JASRACは、管理契約を結んでいる海外の管理団体を通じて著作権使用料を徴収して、それをもとに国内の権利者、作家の方に分配をしております。このような方法によりまして、JASRACは、現在、九十三カ国、四地域における日本の楽曲の使用について使用料を徴収しております。

 二〇一五年度の海外での楽曲使用に関する使用料の徴収額は、合計で六億三千万円であったと承知しております。

木下分科員 金額的には六億ぐらいと。結構な金額だと思うんですね。ただ、想像してみると、そんなものじゃないはずだなと思うんですね。

 きょう、あえて通告もしなかったので聞かないんですけれども、では、実際にどれぐらい取りこぼしがあるのかなと。これはまた次の機会にでも教えていただければいいんですけれども、実際にそういう楽曲が演奏されたというふうにある程度把握されている、もしくは、大体これぐらいだろうと想像する中で、実際には何%ぐらいそこの網にかかってというんですか、されているか。ここはまだまだ少ないんだろうなと。今うなずいていらっしゃるんですけれども、やはりそこも考えて、ちゃんとしていかなきゃいけない。

 そうなったときに、果たして、今言われていましたけれども、海外のそういう管理事業者と契約をされてやられている、そこ頼みなんですよね、結局。ここも難しいです。

 確かに、そんなところまで政府側が手を入れてどうこうということは難しいとは思うんですけれども、ある程度は、国内のルール化とともに、海外に対しても、これは条約も含めて、整備していくことで対応していかなければ、著作権者、特に今なんかはインターネット時代、普通にあれですから、どこで演奏されるかということも含めて、容易に世界じゅうに広がっていく可能性はあるんだと。ピコ太郎さんのPPAPとか、あんなのなんかは海外でばんばんやられているわけですよね。みんながまねしてやっている。ああいうのもどう管理していくのかというところを考えると、なかなか、しっかり考えていかなきゃいけないのかなということをちょっとお話しさせていただきました。

 これで質問は終わりなんですけれども、余談でちょっと話をします。

 というのは、JASRACさんの今の包括的利用許諾契約、それは、放送のあれによって実際に音楽が演奏されたかどうかということも、実際にはかかわらずお金が計算されているというのはちょっとおかしいというふうにして言われたんだと思うんですね。

 私の経験でおもしろかった、おもしろかったというか、そういうこともあったなと今お話しされていて思い出したんですけれども、私はこの仕事をする前に普通の商社にいたんですけれども、商社にいたときに、そこから出向というのか、業務委託を受けて日本の携帯電話事業者に出向していたんですよ。そのときにちょうどアイフォンの契約を、アイフォンが日本に入ってくるというときだったんです。ソフトバンクさんは大英断されて導入されました、ほかの会社はまだやっていないとき。ほかの会社はやっていないといいながら、最初にいろいろ話をしているところの間、私も聞きかじるというのか、ちょっと絡んでいたんですね。

 そうしたら、当時はまだ、専門用語であれですけれども、2Gとか2・5Gと言われている通信形態、スピードですね、通信の速度が。ただ、アップル社は、自分たちのアイフォンはまだ2Gとか2・5Gの製品であったにもかかわらず、要は、データ通信量のうちの、3Gのデータ通信量は日本ではもうあったんですね、その3Gのデータ通信量の掛けることの何%かの利益、それをアップル社に支払ってこい、それができるんだったらアイフォンをあなたたち導入していいよというふうに、アップル社は日本の携帯電話事業者に突きつけてきた。全く自分らの端末で生み出す利益じゃない部分について契約でこう言ってきたというのを思い出しまして、ただただそれを言いたかっただけなんですけれども。

 そういう観点で見ると、JASRACさんが、公正取引委員会さんがこの部分を指摘してこういう事件になったというところを見ると、甚だそういう感覚に近いのかな、明らかに公正じゃないなと。まあ、それで契約しなかった事業者がいたということなんですけれども、ちょっとそういうことを思い出しました。

 これから先、こういう事案というのはたくさん出てくると思うので、公正取引委員会さんにはそういう部分を、市場をしっかりとウオッチしていただきたいのとともに、著作権に関して、やはり何らかのコントロールをしっかりと政府主導でやっていかなければ、今後、世界に広がっていく中で、コントロールするのが、主体が政府であるかどうかは別としても、何らかの指針をしっかり示していただいて、著作権者の利益がしっかりと確保されるように努めていただければと思います。

 以上で終わります。どうもありがとうございます。

星野主査代理 これにて木下智彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、小倉將信君。

小倉分科員 自由民主党の小倉將信です。

 本日は、質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 私の地元は東京都の多摩市と町田市でございまして、戦後、都心に通う通勤の方々のベッドタウンとして発展を遂げた町でもありますが、町田市の中心市街地は、実は昔から商都というふうに言われておりまして、江戸末期から明治維新にかけて、あそこら辺は一帯が絹の道というふうに言われておりました。山梨や長野あるいは八王子あたりから生糸が運ばれてきて、それを横浜港に運ぶ、その中継点として町田が発展を遂げてきた、このような経緯もございまして、実は町田は商都というふうにも言われております。

 今も、武相商業圏という言葉があるんですけれども、武蔵の国と相模の国、その中間に位置する町田は、武相商業圏、二百万人ぐらいいると言われておりますけれども、ここの中心地というふうなことも言われております。

 実際に、町田市内、全部で四十五商店街ございます。町田駅前だけでも十四商店街あるわけですけれども、そのそれぞれの商店街、例えば春には桜祭りを開催されて、夏には盆踊り、そして秋には、例えばジャズフェスティバルですとかエイサー祭り、あるいは大道芸とか、それぞれの商店街の皆さんが創意工夫を凝らして町おこしに励んでいらっしゃる。

 私は、いつも尊敬の念を持ってこういった商店街のイベントに参加をいたしております。世耕大臣も井原政務官も、御地元に帰られると同じように感じていらっしゃるんじゃないのかなというふうに思います。

 そこで、今回は、メーンのテーマといたしまして、商店街の振興についてお伺いしたいと思います。

 今回、予算の分科会でございますので、まずは、来年度提出しております予算におきます商店街の振興予算の規模とその中身についてお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の商店街振興関連の予算でございますけれども、地域・まちなか商業活性化支援事業という名称の中で、その内数といたしまして、商店街予算といたしましては十二億八千万円となっております。

 この事業によりまして、商店街が行います公共的機能や買い物機能の維持強化を図る全国モデル型の取り組みを支援してまいりたいと考えております。例えば、空き店舗を活用いたしました子育て支援施設の設置でありますとか、インバウンド需要を取り込むための外国人向け宿泊施設の整備など、そういった取り組みが対象となると考えております。

 また、二十九年度からは新たに、商店街内に立地する個店グループが連携をして行う販路開拓、新商品開発といった取り組みも支援対象としたいというふうに考えているところでございます。

 これらの支援を通じまして、引き続き商店街の活性化を支援してまいりたいと考えております。

小倉分科員 高島部長、どうもありがとうございました。

 今回の予算は、例えば子育て支援施設を商店街の中心につくったりですとか、ふえております外国人観光客への対応、あるいは新しい業を起こすインキュベーションの促進、こういった、非常に時代のニーズに合ったきめ細かな予算になっているんじゃないかなと思います。

 個人的には、もうちょっとふやしてもいいんじゃないか、数千の商店街が全国にありますので、やや規模としては心もとないかなというふうに思いますが、しかし、安倍政権のもとで、平成二十四年の補正予算で三百億円、平成二十五年度の補正予算で二百億円超ということで、非常に、その前の民主党政権に比べると、商店街の予算をかなりとっているのが安倍政権なんじゃないかなと思いますし、やはり地元に帰るとこの点については非常に感謝をされるわけであります。

 ただ一方で、私が問題意識を持っておりますのは、これまでの商店街振興施策が果たして商店街のにぎわいを維持していくのにつながったのかどうか。よく言う商店街の振興策、国や自治体が行うものは、防犯カメラを設置したりとか、アーケードの設置や改修、あるいは最近でいえば外国人対応とか、そうなるわけでありますけれども、例えば防犯カメラ、それもわからないでもないんですけれども、防犯カメラであれば、本来は治安の面から行うべきものでありますし、例えばLEDにかえるですとか、そういったものは省エネの観点から行うべきものでありまして、商店街の業を支援するという意味では、やや本質ではないのかなというふうに思うんです。

 現に、結果を見ますと、これは恐らく中企庁さんから出していただいているものだと思いますけれども、昨年、平成二十七年度の商店街実態調査というものを発表されていると思います。これを見ると、これはもう近年のトレンドだと思いますけれども、商店街自体が衰退をしている、あるいは衰退のおそれがあるというふうに答えていらっしゃる商店街が全体の六六・九%に上る一方で、繁栄している、繁栄の兆しがあると答えている商店街はわずか五%余りということであります。

 ですから、ここで、これまでの商店街施策の延長線ではない、そういった商店街振興策をしっかりと考えてもらわなければいけないというふうに思うんです。

 例えば、商店街の振興策でよくあるのが、先ほど申し上げたような例に加えて、商店街でやられる冒頭申し上げたようなイベントを支援する、よくあることだと思います。それ自体は、私、強調したいのは、すばらしいことだと思っているんですね。

 例えば、町田市と多摩市と申し上げましたけれども、多摩市の桜ケ丘商店街というところがございまして、そこは、二〇一一年、東日本大震災の発災のときに、その直後に、桜祭りを毎年やっているんです、そのときに桜祭りのイベントを中止して、全額浪江町に寄附をした。それがきっかけで、実はこの桜ケ丘の連合商店街というところは、毎年、桜祭りの前に、プレイベントとして、浪江町から町長初めお人に来ていただいて、さまざまな市民交流を行う。

 つい先日も、昨年の末に原発いじめの問題というのがあったと思います。すぐに、ことしに入って一月、浪江中学校の生徒を呼びまして、地元の落合中学校の生徒と一緒になって、原発に対する偏見あるいは福島に対する偏見をなくしていこう、そのようなイベントを商店街が中心になって開かれていらっしゃいました。

 このこと自体、私も本当に尊敬をするし、頭の下がる思いなんですけれども、こういったことを引き続き商店街の皆さん方がやっていくためにも、やはり彼らが業としてきちんとやっていけるような支援策を我々は考えていかなければいけないんじゃないのかなと思います。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども、中企庁さんは、最近、庁内で、新たな商店街政策の在り方検討会というものを立ち上げられたと思うんですが、この狙いについてお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな商店街政策の在り方検討会についてでございます。

 人口減少や少子高齢化など、商店街を取り巻く環境が大きく変化する中で、地域の経済循環の中心となり得る商店街を生み出す新たな商店街政策のあり方を検討したいということで、昨年の十二月から、新たな商店街政策の在り方検討会というものを始めさせていただいております。

 この検討会では、地域内で経済を循環させ、将来にわたって地域の買い物機能を維持するための仕組みでありますとか、地域に求められる商店街とはどのようなものか、また、事業継続していける稼げる商店街を確立するためにはどのような取り組みが必要か、さらには、あるべき支援の姿、我々の政策の姿はどのようなものであるかといった点について幅広く検討を行いたいというふうに考えております。

 多くの有識者の方に御参加をいただいておりますので、貴重な御意見を伺いながら、商店街振興に向けての議論を今後とも深めてまいりたいと考えております。

小倉分科員 どうもありがとうございます。

 昨年から始まって、まだ二回ということで、一回目の議事録を拝見させてもらいました。今御答弁いただいた高島部長が、これを読むと、私を初め、今の商店街政策がこれでいいのかどうか非常に自信がない、時代の変化にどうやってついていったらいいのかというのを大変悩んでいるところであります、いろいろ制約の中で私どもがやっている商店街政策が有効でないかもしれない、そういう恐怖感が非常に強くございます、どうしたらいいだろうかということを、文字どおりの意味で勉強、検討していかなければいけないと思って、お集まりをお願いした次第であります。

 こういうふうに高島部長はお話をされていて、役所の世界というのは、無謬性という言葉がありまして、これまでやってきたことはなかなか非を認められないというところがありますけれども、非常に率直な意見を勇気を持って高島部長は述べられたというふうに思っております。だからこそ私は応援をしたいと思っておりますし、この結論について期待をさせていただいているところであります。

 私も、商店街振興策、勉強させていただく中で、商店街振興の目的や手段というのも時代とともに大きく変わっているんじゃないかなというふうに思っているんです。

 例えば、戦後間もなくの間は、恐らく商店街の振興施策の目的というのは、経営体力のない中小・小規模事業者の保護にあったんじゃないかなと思います。例えば一九五六年に百貨店法、当時は百貨店が商店街にとって脅威だったわけであります。そういう百貨店から町の商店を守るための百貨店法ができ、有名なところでいえば、大店法をつくって、出店規制を行うことによって町の中小店舗を守ってきた、こういう歴史があります。

 ただ、こういうのも、二〇〇〇年に大店立地法ができまして、基本的に規制緩和がなされた。そういう意味では、政府の商店街振興策の中で、事前規制を行って商店街を守るというのはこの二〇〇〇年の大店立地法でもって終わりを告げたんじゃないかなと個人的には解釈をいたしております。

 そういった中で、中心市街地活性化法ができまして、むしろ、事前規制をするんじゃなくて、商店街が主体性を持って考えていただいて、そういった大規模店舗や大手のチェーンに対抗してもらう、そういったところを国が支援をするやり方に変えたんじゃないかな、私はこう推察をいたしております。

 そういった中で、では、商店街のにぎわいをどう取り戻していくか。私は、一番重要なのは、やはり個々の店舗を強化することだと思っているんですね。個々の店舗が魅力的であれば、その分だけ商店街には人はたくさん来ますし、個々の店舗の経営体力があれば、その分だけ空き店舗も減らすことができるというわけですから、やはり小売やサービス業、特に生産性が低いと言われておりますこういった業態が集まっている商店街の個々の店舗、こういったものに対する経営支援というものを、もっと国として本腰で取り組んでいく必要があると思っておりますけれども、それについて、今取り組んでいる施策も含めて、あればお教えいただきたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、個店の支援、個店の活性化ということは非常に重要であるというふうに考えております。

 現在の中小小売サービス事業者に対する個社の支援ということに関しましては、昨年度、平成二十八年度の補正予算におきましては小規模事業者持続化補助金というものを措置しておりまして、これが利用できることになっております。また、日本政策金融公庫におきましては低利融資などによる支援を行ってきております。また、二十九年度からは、新たに、先ほど御紹介しました地域・まちなか商業活性化支援事業におきまして、商店街に立地する個店グループが連携して行う販路開拓や新商品開発の取り組みも支援をしてまいりたいと考えております。

 そしてまた、別の施策ですけれども、昨年の七月から施行されました中小企業等経営強化法におきまして、小売業やサービス業を含みます十四業種におきまして、IT活用や財務分析、マーケティングなど、中小企業の生産性向上策を業種ごとに事業分野別指針としてまとめまして、それに対する支援措置をとっているところでございます。

 今後、同法に基づく支援につきまして、小売サービス業にも使いやすいようにいろいろな措置を拡充し、商店街における経営力向上の取り組みをより一層後押しをしてまいりたい、このように考えているところでございます。

小倉分科員 どうもありがとうございます。

 特に、後段おっしゃっておられました、中小企業に対する経営力強化法に基づく経営支援、これをぜひやってもらいたいと思います。特に、業種ごとにどういうふうな取り組みをするか。もちろん、お肉屋さんはお肉屋さん、床屋さんは床屋さん、眼鏡屋さんは眼鏡屋さん、それぞれの経営課題があって、それに対するそれぞれの処方箋があるわけでありまして、業種ごとにどのように支援をしていけばいいのか、そういったことをこれからもさらに進めていっていただきたいと思います。

 と同時に、事前に議論していましたところ、それぞれ、例えば今申し上げた床屋さんであれば理容組合があるわけで、クリーニング屋さんであればクリーニング組合があるわけであります。組合としても、その加盟店といいますか会員の企業に対して、どうやったら経営改善を促せるかですとか、あるいは、ベストプラクティスをどうやって横展開するかということを組合としてやっていらっしゃいますので、ぜひ、中企庁としても、そういう組合との意見交換ですか、同じ目的を持っていて同じようなことを同じところでやっていたら、それは無駄も多くなってしまいますので、そことの意見交換をしっかりとやっていただきたいなということを申し添えたいというふうに思います。

 先ほど来、国の商店街振興施策の推移についてお話を申し上げてまいりましたが、もう一つ、国の政策のターニングポイントがあったと思うんです。それは、二〇〇九年に成立をいたしました地域商店街活性化法でありまして、この法律を見ると、地域コミュニティーの担い手として行う地域住民の生活の利便性を高める試みを支援する、そういうふうに書いてあるわけでありますね。これは国の考え方を若干転換したものだと思っているんですよ。

 先ほど来申し上げておりますように、これまでは、国の政策というのは中小零細事業者を守る目的だったと思うんですけれども、これはむしろ、先ほど来申し上げているような、商店街が地域のために行っている役割というものを国が積極的に認めて、それに対して支援を行うということを宣言した法律なのではないのかな、まさに地域コミュニティーの担い手としての商店街を守っていくということですから、そういったところを念頭に置いてのこの法律なのではないかなと思います。

 先ほど申し上げたような地域おこしのイベントだけじゃなくて、商店街が主体となって、防犯活動とかあるいは清掃活動とか、今でいえば、高齢者に対する見回り活動もやっておりますので、そういったことをやっている、そういう商店街の積極的な役割というものを認めて支援していくのがこの法律の目的なんじゃないかなと思います。

 ただ、聞いたところ、これは実際に商店街活性化事業計画を申請して認定を受ける仕組みになっているんですけれども、なかなか認定件数自体はかどっていないというふうに聞いておりますので、ここでは質問しませんけれども、ぜひ、この活性化法を生かせるような取り組みを続けてもらいたいというふうに思います。

 と同時に、この点、私は、フリーライダーをなくさなきゃいけないなというふうに思っているんですね。

 もちろん、国の商店街施策というのは商店街を発展させる施策であって、商店街組合を守る政策ではないのは重々承知をしておりますけれども、ただ、先ほど来申し上げているような、商店街のさまざまな施策というのは、彼ら自身が裨益をするものじゃなくて、まさに商店街、加盟していない人も含めて全体にとってプラスになるものですし、地域全体にとってもプラスになるものであります。

 そういった中で、やはり商店街の大手チェーン店を中心とした未加入問題というのが、私も地域を回っていてもいろいろな方々から伺います。例えば、お祭りをやって、そのときにたくさん土日に人に来てもらう。そのために商店街の皆さんは仕事が忙しい中でイベントの準備をしているわけですよ。そのイベントをやって人が集まると、例えば商店街に加入していない大手の居酒屋さんとかコンビニさんが店舗の前に商品を売ったりとかあるいは弁当を販売したり、そのときだけフリーライドして商売を、もうける。それは果たしていいのか。商店街の商店主だけじゃなくて、やはり一般市民としてもそれはどうなのかというふうに思うわけですね。

 地方自治体によっては、条例で、これは強制力はないものの、きちんと商店街の加盟をしてくださいよというような条例をつくっているやに聞いております。そういうような、フリーライドをしているような、特に大手チェーン店ですね、きちんとその商店街に加盟をしてもらう。加盟するだけじゃなくて地域活動に参加もしてもらう。そういったことを実現するために国が何ができるのかについて、難しい問いだとは思いますけれども、お考えがあればお答えいただきたいなというふうに思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 大手チェーン店その他の商店街振興組合の未加入問題についてでございます。

 これにつきましては、商店街組合の職員の人たちなどが積極的に個別訪問をして加入促進を図っておられますほかに、商店街と自治体が連携して、組合加入や地域貢献への参加を促す振興条例の制定、今委員おっしゃられたとおりですけれども、そういった活動に取り組んでおられるものというふうに認識をしております。

 こうした取り組みの効果といたしましては、私どもの、ちょっと古いんですが、二十七年度の実態調査によりますと、チェーン店舗の商店街への加入率は六五%という数字も出ておりまして、その前の調査に比べると若干比率としては高くなっております。一商店街当たりの平均店舗数五十四・三店に対しまして、平均の大手チェーン店舗数は四・一店となっておりまして、七・三%ということでございますので、これを商店街の中で大きな割合と見るか小さいと見るかはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、少しずつ、大手チェーンに属するような店舗の商店街組合への加入率も少しは上がってきているものというふうに思っております。

 それに対しては、まさに委員おっしゃられたとおり、百二十以上の自治体で条例制定、商業振興条例といったものの制定もございますので、その効果もあるのかなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、これもまさに委員おっしゃられたとおりなんですけれども、商店街では、防犯カメラの設置でありますとか商店街全体の振興でありますとかが行われておりまして、そういったことにただ乗り、フリーライドするという問題が存在しているということは十分認識をしておりますので、そうした課題も含めまして、今後とも商店街振興のあり方を検討してまいりたいと思っております。

小倉分科員 どうもありがとうございます。

 見ていただきたいのは加入率だけじゃなくて、きちんと活動に参加をしているかというところもやはり重要だと思っておりますので、それについても取り組みを進めてもらいたいな、考えていただきたいなというふうに思います。

 ちょっと時間も来ているので、次の質問については私自身で説明をさせてもらいたいんですけれども、では、この商店街の振興によってメリットを受ける人は一体誰なのか、こういう問いなのであります。

 もちろん、商店街に加盟をする事業主であったりとか、あるいはその地域住民、こういった方々にとってもメリットがあるわけですけれども、私は、やはり一番大きなメリットを受けるのは、実際に店舗を所有している所有主、そして自治体なのではないかなと思います。その地域の商店街がにぎわえば、当然、賃料収入も上がりますし、自治体にとっても固定資産税の税収がふえていく、もちろん法人事業税や住民税も上がっていくというわけですから、そういったことを考えると、やはり商店街の振興によってメリットを受ける人がもうちょっと主体的にこの商店街の振興に取り組んでもらわなきゃいけないなというふうに思うんです。

 例えば、よく商店街のシャッター商店街化というような話があります。これを聞くと、何か経営が成り立たなくなってどんどん出ていっちゃって、その結果空き店舗がふえているんじゃないかというふうな印象を受けがちなんですけれども、実際にデータを見ると、その印象と違っておりまして、先ほどお話に出された商店街の実態調査を見ると、実は、空き店舗が埋まらない最大の理由は、所有者に貸す意思がないからなんですね。だから、実際は、一応事業性資産として持ってはいるものの、十分にそれ以外に収入があるからあえて貸す必要がないですとか、そういった方もたくさんいるわけです。

 あるいは、その所有主の中にも、例えばコンビニとか、あるいはそれ以外の、今言った居酒屋とか、そういったところに、チェーン店に貸した方が高い賃料で貸せるからいいやというような、そういうふうな考えでもって店舗を貸していらっしゃるような所有者も多くいるわけであります。

 それは民民の話なので、余り国がどうこうという話ではないのかもしれませんけれども、ただ、そういった所有主の合理的な行動の結果、シャッター店舗がふえて、あるいは、店舗が埋まっても、金太郎あめのように、どこの商店街に行っても同じようなテナントが入店をしているというような、そういう状況になっているわけであります。

 ですから、私は、一つは、もうちょっとこういった店舗の所有者、その所有者に主体的にコミットしてもらえるような、財政面も含めましてそういう取り組みを促していく必要があるのではないかということと、やはり、聞いておりますと、自治体ももちろんメリットを受ける主体でありますけれども、自治体も、どちらかというと商店街が主体であって、自治体はそれをサポートする側だ、補助的な役割だという意識が抜け切れないようでありまして、そこも、自治体にはもうちょっと主体的にかかわってもらわなければいけない。

 そういった、層を分厚くする中で、忙しい商店主であったりあるいはリタイアされた方が商店街の振興策を考えるのではなくて、外部の人材もきちんと活用しながら、マーケティングもきちんと行いながら、本当にその商店にとってためになる振興策を考えていくということが必要なのではないのかなというふうに私は考えます。

 最後に、井原政務官、今までの議論を聞いていて、感想があればぜひお聞かせを願いたいなというふうに思います。決意でもいいですけれども。

井原大臣政務官 小倉議員の御質問にお答え申し上げます。

 商店街の機能充実を図るということは、まさに地域活性化の面から極めて重要だと思っております。

 片や、私の認識なんですけれども、大型ショッピングセンターとかあるいはショッピングモールというのは、一事業主が戦略的に店舗を配置できる、つまり相乗効果を醸し出すことができるということなんですけれども、商店街の弱みというのは、それぞれ事業主が別々ですから、当然のことながら店ぞろえとか品ぞろえを戦略的にすることができない、そういう難しい側面があろうと思うんです。だからこそ、やはり政策的な支援がなければ活性化は難しいんだろう、このように思っておりまして、先ほどお話ありましたように、二十九年度予算を活用しては、やる気のある個店が連携してでの新商品の開発や販路開拓支援とともに、個店の経営力強化に向けての支援というのが打ち出されたわけであります。

 先日、私も、大阪の方で、街元気プロジェクト、まちづくり人材育成研修というものにパネラーとして伺ってまいりました。やはり人材育成がまた大変重要ではないのかなというふうに思っておりまして、そういう側面からの支援が重要と考えております。

 また、先ほど先生が御指摘あったように、地域の自治体、あるいはそれにかかわる地主さんの皆さん方の個々のやる気をいかに醸し出していくかということと、商店街のやはり提案型のまちづくりリーダーをつくっていくことで地域の活性化につなげればというふうに思っておりまして、現在開催しております検討会において、よりよい商店街振興策が出てくることを心から望んでおります。

小倉分科員 どうもありがとうございます。

 本当に、井原政務官がおっしゃるように、やはり大手チェーンというのは戦略的に出店していたりとか経営していたりしていますので、それに対抗するためには、商店街もきちんとエリアマーケティングを行って、商店街としての魅力を高めていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 よくあるのが、商店街を観光地化させるという取り組みがございます。それ自体はすばらしいことだと思いますけれども、実は、観光地化している商店街の商店主が本当にもうかっているかというと、もうかっていないという話もあるんですね。外から観光客が来ても、商店街で売っているような、例えばティッシュだとか洗剤だとか、そういう日用品を買っていくわけではありませんので、実は、その商店街の主たちは商売がもうかっているわけじゃなくて、その観光地の名産品を売っているところだけが一部繁盛している、そういう話もやはりあると思います。

 だから、イベントをやるのも重要ですし、そういう町おこしをするのも重要なんですけれども、やはり重要なのはエリアマーケティングで、その商店街の商圏にどれぐらいの方が、年齢層であったりとか家族構成であったりとか、どれぐらいの方が住んでいらっしゃって、そういった人たちに訴えかけるようなものを売るにはどういったものを売ればいいのかということをやはり考えていくことこそが日々の商店街の収益向上につながるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひ中企庁さんにはその観点から取り組みを進めてもらいたいなと思います。

 済みません、もう残り二分になってしまいましたので、実はこの後、私は党の経済構造改革特命委員会にかかわっておりまして、金融を中心に議論をさせていただいておりました。ベンチャーに対する支援というものも、アメリカのベンチャーの市場規模、投資規模と比べると日本の投資規模というのは何十分の一で、象とアリのようなものであります。実際にイノベーションを起こすのは新しい企業だと思っておりますので、それをファイナンスするベンチャー投資、エンジェル税制だとか、そういったものもぜひ充実をお願いしたいと思っております。

 あと、今、自動走行運転とか、そういう未来技術に対する投資を促進していこうということを世耕大臣中心になってされていると思いますけれども、私は、やはりキャッシュレス化というのもぜひ進めてもらいたいと思うんですね。キャッシュレス化というのは自動走行運転と違ってもう既に実用化できる技術ですから、それをぜひやってもらいたい。特に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが控える中で、外国人の方もいっぱいいらっしゃいます。そういった中で、特定のエリアに行けば現金を全く使わずに生活をすることができる、遊ぶことができる、そういうエリアを東京につくってもおもしろいんじゃないかな。

 このことは、もしこの後に質問をする時間があれば、じっくりと御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 もう時間が来ましたので、私の質問は以上といたします。

 どうもありがとうございました。

星野主査代理 これにて小倉將信君の質疑は終了いたしました。

    〔星野主査代理退席、主査着席〕

宮下主査 次に、大野敬太郎君。

大野分科員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして大変感謝でございますし、大臣、また政府参考人の皆様には、御対応賜りましたことを心から感謝申し上げたいと思います。

 きょう、二月二十二日というのは、どうやらエジプトのアブシンベル神殿の中に光が届くという日だそうでありますけれども、大臣、私の心にも光をぜひ差し込んでいただければありがたいな、そんな思いで質問させていただきたいと思います。

 主には産業構造について、特にこれは、日本が将来、飯を食っていけるかどうかという非常に大きな問題であろうと思いますし、しっかりとした戦略を立てて、そして所得とか雇用にしっかりと結びつけていかなくちゃいけないんだ、そんな認識でございます。

 まず冒頭、ざっくりと、大臣から、唐突ではございますけれども、産業構造についてどのような認識をお持ちなのか、またどうあるべきなのかというのを御教授賜れればと思います。

世耕国務大臣 お答えします。

 もともと、日本の産業は高度成長期は製造業を中心に成長してきたということだと思います。その後、七〇年代半ばあたりからだんだんサービス産業のウエートがふえてきて、今、GDPでも雇用の数でもサービス産業が七割を占めているという状況であります。

 そして、この長い間、今我々はデフレを経験しているわけですが、その中で、結局、サービス産業を中心に、特に生産性が伸びないから成長しないという時代が続いてきました。そして、そういう中で少子高齢化も非常に進んでいくということも起こってまいりました。ただ、そこでも、まだ日本の場合は製造業が世界最先端ということで、これが輸出を中心に経済を牽引してきたという面があるだろうというふうに思います。

 しかし、ここへ来て、インターネットという新たなファクターが出てまいりました。残念ながら、日本はまだインターネットに対応したビジネスで非常にこれがうまくいったというケースは余りない。やはりアメリカを中心にインターネットサービスは押さえられているという状況だというふうに思います。

 そして、ここからさらにインターネットとものづくりが結びついていくという時代が来つつあるというふうに思います。私は、これがまさに第四次産業革命ということになってくるんだろうというふうに思っています。もう既に我々は、スタートではひとつ、うまくいっていないわけでありまして、スマートフォンを使ったいろいろなビジネスモデルというのは、これはまさにスマートフォンというものづくりとインターネットが融合したというところになるわけですが、ここの分野でも日本は余り成功していないというわけであります。

 その原因は、恐らく、インターネットを使ったビジネスというのは水平展開した者が勝つ。一方で、日本が得意としてきたものづくりというのは垂直統合で、すり合わせをきちっとやって、部品に至るまで非常に精密なものをつくって、すばらしいものを売っていくという、この日本の垂直統合のモデルが、水平展開が有利なインターネットの時代に対応できてこなかったということだと思います。これから自動走行とかIoTとかという、まさに物とインターネットが結びついていく中で、日本がどう対応していくか、非常に重要な転換点を今迎えているのではないかという意識を持っています。

 大体これが、私の今の日本の産業観であります。

大野分科員 ありがとうございました。全く私も大臣と同じような認識を持っております。

 実は、きょうはこんなものをつくってきたんです。配付資料というわけではないんですけれども、単にお見せしようかなと思って。

 前々からちょっと、こういう日本を取り扱った洋雑誌の表紙というのをずっと見ていると、世界からどんなふうに日本は見えているのかなというのが結構わかるもので、おもしろいなと思います。

 タイムで、先ほど大臣がおっしゃった七〇年、八〇年代から盛田さんが写っていて、ジャパンズ・ビジネス・インベージョンと書いてある。

 これなんか、すごく私は衝撃的で、実は、バブル崩壊以降、二〇〇〇年になるんですけれども、川があって滝があって、その上に屋形船があって、のんびりと船頭さんが釣り糸を垂れているような絵で、要するに、危機が目の前に迫っているのに、このまま行っちゃ滝に落ちちゃうのに、船頭さん、つまりリーダーがのんびりと釣り糸を垂れる、大丈夫か日本はというような、こんな感じです。

 あるいは、日本の国旗の中に中国ですよ、ここ。ドアをあけて、日本よ、さようなら、中国よ、こんにちはみたいな絵が、これは二〇〇七年ぐらいで、ジャペインは有名ですし。

 こういう形で、ジャパンズ・バーデンとか、一生懸命子供が国旗を支えていたり。こういう見方をされるんだと。これは、社会保障の負担にあえいでいて、もうイノベーションには力は入れられないんじゃないか、こんな話です。

 リーダーレス・ジャパン、これは実は、我々の政党の政権のときじゃないんですけれども、リーダーレス・ジャパン、国旗が落ちている。

 ようやくここに来たということなんですね、このアベノミクス、大臣もごらんになったことがあると思う、有名なところでありますけれども。

 ただ、本格的に産業というものが構造的に望ましい状況にあるのかといったら、やはりまだまだなっていないのかなと思うのは、例えばGDP一人当たりで見るとまだ二十六位とか七位とか、あるいは、競争力でいっても二十六位とか七位とかいっているわけであります。特に、先般、世界経済フォーラムの一つの指標で、技術イノベーション競争力、こういうものがありまして、ずっとこれは日本が五位以内だったんですよね。ところが、これだけがたっと最近は落ちてきた。

 ということは、やはりイノベーションというもの、つまりビジネスに変換する効率というのが世界の潮流よりがたっと落ちてきたのではないか、こういう懸念を私はすごく思っています。そういった意味で、お家芸もちょっと陰りを見せてきているんじゃないかという感覚なんですね。

 だから、第四次産業革命というのは、大臣がおっしゃるとおり、非常にど真ん中の、日本が生きるか死ぬかの本当に瀬戸際に立っている状況での重要な課題だと思っています。

 そんな中で、ちょっと長くなりましたけれども、第四次産業革命、具体的に、改めてですけれども、先ほど大臣はお触れいただきましたけれども、その意気込みとか、そういったものを含めて、その具体的な内容を経産省としてどのようにお取り組みなのかについてお伺いさせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 やはり第四次産業革命は、大きな変革であると同時に、我が国の産業にとっては大きなチャンスでもあるというふうに思っています。

 例えば自動運転、あのグーグルの走行実験ばかり取り上げられていますが、やはり最終的には車なんですね。車の中に高度な頭脳を積み込んで、それで自動運転させる。そうすると、例えば半導体一つとっても、車という環境の中で振動とか熱とか雨とかそういったものでもきちっと動くような半導体も組み合わせていかなければいけないとか、いろいろな制御の技術というのも絡んでくるわけですから、自動運転というのは、うまく日本の自動車産業が乗っかっていけば、引き続き日本の自動車産業が自動運転の世界でも世界の自動車をリードしていけるチャンスにつながるというふうに思っています。

 IoTと言われているものに関しても、例えば、今家電は全然元気がないですね。アメリカやアジアの電器店で日本のテレビを探すのは結構大変で、もうLG、サムソンとなっているときに、もう一度インターネットと結びつけ直すことによって、今そういうベンチャーも生まれてきていますけれども、新しいタイプの、きめ細やかな、日本らしい細かな工夫の入った家電製品をもう一回生み出して、そしてそれを販売していくというようなことも考えられます。

 あるいは人工知能、これもアメリカや中国に論文の数でははるかに置いていかれている。もう危ないんじゃないかと言われていますが、人工知能も考えているだけじゃだめでして、最終的に物を動かさない限りは人工知能の価値というのはまだ出てこないわけであります。

 その分野でいうと、やはり、例えば建設機械とかあるいは工作機械とか、そういったものでは日本は非常にハイレベルにあるわけですから、そういったものと人工知能のディープラーニングの概念を組み合わせると、物すごい勝ち筋の商品が生まれてくる可能性がある。こういったラインで我々は第四次産業革命に臨んでいきたいと思います。

 それともう一つは、やはり第四次産業革命を買ってくれるマーケットがあるかどうかということなんです。これも日本は逆にチャンスだと思っています。

 例えば、過疎化が進んでいて公共交通機関がどんどん細っていっている、そういう中で高齢化が進んでいっている。だけれども、最近、高齢者の自動車事故が非常に多いわけですけれども、車はもう怖くて運転できないという中で、自動運転のニーズ、あるいは、自動運転までいかなくても、例えば自動ブレーキとか自動衝突回避装置とか、そういったものへのニーズは結構日本はあると思うんですね。だから、マーケットが結構存在する。

 あるいは、働き手がどんどん減っていく、生産年齢人口が減っていく中で、やはりロボットを使った製造業というのもこれは大きなニーズがあるわけですから、この日本の課題と言われているところに、これまた第四次産業革命の商品で乗り越えていくことができる、そういうチャンスもあるというふうに思っています。

 ですから、そういうところをしっかりと経済産業省としてもサポートをしていきたいというふうに思っています。

 例えば、ロボットのテストフィールドを福島につくっています。あるいは、ドローンを使ったいろいろなサービス実験ができるような土台もつくっています。

 さらに、これからはやはり、第四次産業革命に対応した人材、これが不足しています。ただでさえソフトウエア技術者が不足しているところに、これから人工知能だIoTだといったらもっともっと要るわけですから、こういった人材を育成する仕組み、これは単に高校、大学だけではなくて、社会人の学び直しも含めてしっかりとやっていかなければいけないだろうというふうに思っています。

 あるいは、ビッグデータというところ、これもなるべくみんなで使いやすいものにしていく。例えば、製造業のデータというのは今みんな会社で抱えているわけですが、実は、これをみんなで共有すると物すごい貴重なデータ源になっていく。あるいは、今、特許庁は化学物質の特許を全部管理していますけれども、実は、これをみんなでデータとして見てもらうと、新しい化学物質をつくるときに、実験の手間を省略して、人のやった実験の結果をうまく使いながら、新しい化学物質を早く見つけていくことができるとか、いろいろな可能性の分野で経済産業省としても貢献をしていきたいというふうに思っています。

大野分科員 ありがとうございます。

 大臣の御講演を今ずっと聞いていた方がいいのかなと思うぐらい、いい御回答を賜りまして、本当にありがとうございます。

 課題先進国ということで、第四次産業革命等々でよりチャンスが広がる可能性がある、そういう話もまさにそのとおりだなと思うんですけれども、一方で、逆に言えば、日本の、課題先進国の中で、IoTとかビッグデータとか人工知能、これをどんどんつくっていくということ、もっともっと世界に広がっていくということになるんだと思います。

 ここで私はすごく思うのは、第四次産業革命の中では、一つ重要なポイントは、やはり知的財産戦略なんだと思っています。

 もちろん、アプリケーションとして、自動運転をやるとか、そういうアプリケーションを深掘りしていくとか、課題に対してどう対応するのか、どういうふうに適応するのかというのも重要でしょうし、先ほど小倉先生が御質問されていましたけれども、そういった分野のベンチャーをどうやって簡単に、気軽にというか、参加してもらう、そういう環境をつくっていくというのも私は重要だと思うんですけれども、一方で、知的財産というのは重要。これはなぜかというと、どう稼ぐかというよりも、どう稼ぎ続けられるのかというプラットホームをやはりつくっていくのが知的財産なんだと思うんですね。

 ちょっと昔の知的財産だと、ばんばんとって、一生懸命とって、たくさん数はあるけれども、商売になっているかというと、全然なっていない。結果的に、日本だけの特許をとるから、外に出ていくと、外では特許をとられていないので、どんどん技術の流出につながって、結局市場から撤退を余儀なくされる、これは産業界ではよくあった話だと思うんですね。DVDとかもそうでしょうし、カーナビとか液晶テレビだとか、それらも全部そうなんですね。

 すごい技術を持って、こんなのだといって出てきて、世界にグローバルに展開するんだけれども、結局だめになって五年以内で撤退を余儀なくされてしまう、そんなことが続いておりまして、最近も、そういったハイテクで有名な、会社名は挙げませんけれども、分割譲渡を余儀なくされたりとか売却をせざるを得なかったりとか、そんなことなんだと思います。

 そういった意味では、実は、第四次産業革命というのが、以前の、第三次とか第二次という言葉があるかどうかわかりませんけれども、そういった時代の負けのパターンと、第四次産業革命の勝てる、勝っていかないといけないので、私は、知的財産戦略という意味で、基本的に本質というのは今も変わらないと思うんですね。より本質的なところをとっていかないといけないんだと思います。

 そのポイントは、たくさんポイントはあるんだと思いますけれども、きょう特許庁長官もお越しでありますけれども、ポイントを二つだけ挙げさせていただければ、やはり一つ目は、先ほど大臣まさにお触れいただいた、垂直統合の終えん、オープンイノベーションなんだと思っています。

 そういった意味で、まず、オープンイノベーションについて、どのような取り組みをされているのかについてお答えを賜れればと思います。

末松政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、第四次産業革命下においては、オープンイノベーションの推進は大変重要であり、国全体として推進できるような環境を構築していくことが不可欠だというふうに考えております。

 経済産業省では、まず第一に、共同研究などに優遇措置を設けている研究開発税制を活用促進していただく、第二に、企業間の共同研究を促進する予算をきちんと措置し、使っていただく、第三に、文部科学省と連携した、産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインの策定と、その実効性確保に向けた取り組みを進めていく、第四に、オープンイノベーション協議会などを通じた成功事例の共有や啓発普及活動の強化、そしてベンチャー企業と大企業の連携促進を進めていく、こういうことを進めてきております。

 また、今後とも、これらの取り組みを通じ、我が国全体でオープンイノベーションの創出環境を構築してまいりたいというふうに考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 実は、先日というか、きのうなんですけれども、党内で、とある会議で、とある外資のビッグデータジャイアントの会社、会社名は言いませんけれども、大体想像いただけると思いますが、その会社の役員の方にお越しいただいて、ちょっとディスカッションをさせていただいたんですけれども、びっくりしたのが、そこの会社のエンジンであるところの人工知能のソフトウエアというのを公開しているんですよね。一緒に聞いていただいていたと思うんですけれども、すごいなと。これはどうするんだろうなと思うんですけれども、オープンにして、ユーザーさんに使っていただいて、結局、エンジンをよくしていく、よくしていって本業でもうけていく、こういうパターンなんだと思うんですね。

 だから、オープンイノベーションというのは無限の可能性があるなと思うんですけれども、いかに設計をするかというところが大事なんだと思うんですね。オープンにする領域というものと、それから、やはりオープンにして、自由に使ってくださいねと言って会社が潰れてもしようがないので、稼いでいく、こういう全体設計をしっかりとしていかなくちゃいけない。そこの弱さというのはやはりまだ感じているところであります。

 実はこれは、先ほど、物すごくいろいろなことをお答え賜りまして、政府もすごく取り組んでいただいているんだなと改めて認識をさせていただきましたけれども、結局、やるのは、プレーヤーは産業なんですよね。産業界が盛り上がってくれないと困るわけですけれども、もちろん、今、産業界の方々に聞いても、非常に重要ですと。オープンイノベーション推進室とか、会社の中に何とか対応室とかいろいろつくられてやられているんだと思うんですけれども、その認識と、それから、実際にやられていることというのはまだギャップ感があって、もう一段、やはりどんどん進めていかないといけないんだと私は思っているんですね。

 だから、何ができるのかというのは非常に難しいところだと思いますが、これはぜひ大臣に、想像はしていませんでしたが、お答えいただけるものがありましたら、お願いしたいと思います。

世耕国務大臣 これはやはり、日本は、日本人自身の文化とか考え方を変えていかなきゃいけないと思っています。

 例えば、企業の研究というのも、終身雇用制を前提にして、企業の中で閉じた研究ばかりやってきた。それは自分の会社ですばらしい製品をつくっているうちはいいわけですが、それが今、壁にぶち当たっているわけであります。

 あるいは、これは大学もそうですね。大学の研究室というと、教授ごとにばらばらになっていて、教授が一番奥の個室にいて、その手前に若い研究者の研究スペースがあって、別の先生の研究室はまた奥に研究者の部屋があってということで、例えば、最先端の研究をしている教授同士が意見交換するなんという場所が全然ないわけでありまして、こういうことから変えていかなきゃいけない。

 今、iPSで京都大学の山中教授がいろいろ実績を上げていますけれども、彼のCiRAという京都大学の研究所は、教授が固まって一緒にいて、常に、コーヒーを飲みながら議論できるようにして、おまえのところでそれをやっているのなら、俺のところのこの技術を使ってみろよみたいなことをやれるようにして、かなり成果を上げている。

 こういう変革をやっていかなきゃいけないと思いますし、企業の側も、例えば自動車の自動走行となりますと、今、非常に力を持ってきているのは、やはりボッシュとかコンチネンタル。これは、自動車メーカー関係なくどこにでも納める体制でやっていって、だんだんスタンダードを押さえてきているわけですね。残念ながら日本は、部品メーカーも全部系列化をされていて、横のつながりがない。こういうことを、やはり考え方を改めていかなければいけないと思います。

 大分、経営者も、私も大企業の経営者の方々と議論をすると、やはりこれは変えていかなきゃいけないという認識は持っています。そしてまた、こういう中で、やはりベンチャーの役割が非常に重要。大企業の文化に染まっていないベンチャーが核になることによって、そこに大企業も引きずり込んでオープンイノベーションを進めていくということが重要です。

 今、具体的に起こっている例としては、AIのベンチャー企業が、極めて大手の工作機械の会社と組んで、AIを使った工作ロボットをつくるという事業にチャレンジを始めている。

 こういう動きがもっと日本でも広まっていけば、オープンイノベーションということが当たり前のようになってくるのではないかというふうに思っています。

大野分科員 おっしゃるとおり、本当に産業構造をそういうふうに変えていかないといけないと思いますし、実は、これはおもしろいなと思ったのは、マーケット関係者、つまりJPXとかそういった方々も、いや、それをやらないともうだめだよとおっしゃっているんですね。産業界だけじゃない、そういったところまでかなりムーブメントを起こしているというのはありがたい話だと思いますので、また大臣初め政府の皆さんにもムーブメントをどんどんつくっていただければと思っております。

 二つポイントがあると申し上げましたけれども、二番目のポイントでございますけれども、これは標準化だと私は思っております。

 標準化というのは、結局、公開されたインターフェースの上に乗っかりさえすれば、実は市場には誰でも参加できるというシステムを構築するということになるわけでございます。逆に言えば、誰かがつくったその標準化にぶら下がっていても、幾ら高性能なものをそこにつなげたとしても、高性能なものをつくったとしても、例えば途上国の、政府が物すごく税制とか補助とかで支援している国にはやはりかなわないという部分があるんですね。特にこれはものづくりの分野では明らかにそうなんだと思っています。

 だからこそ、先ほどちょっと触れましたけれども、無料ででもいいから使わせて、そのインターフェースに知財をすり込ませるか何かして、クローズの部分で稼いでいくという、いわゆるオープン・クローズの戦略というのは非常に重要な課題なんだと思います。

 そういった観点で、今度は標準化とかオープン・クローズについての、これも実は、標準化はまだしも、オープン・クローズなんというのは、結局、産業界の話です。非常に官民のデマーケーション、かかわりというのは難しい問題だと思いますけれども、それはどのようなことをされているのかを御答弁賜れればと思います。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 第四次産業革命のもとでは、データやその分析により生ずる人工知能など、新たな競争力の源泉が登場しております。また、IoT化によりましてあらゆる物がつながることにより、今までより一層広い範囲においてオープン・クローズ戦略が重要になっております。

 このような状況を受けまして、我が国企業が、従前のオープン・クローズ戦略の柱である知財や標準化に新たにデータを加えた、知財、標準、データの複合戦略を構築できるよう、これら三つの観点から、関連制度やその運用のあり方を総合的に検討していくことが肝要であると認識をしております。

 昨年十月から、特許庁、経済産業政策局、産業技術環境局が連携をいたしまして、今後の具体的な政策対応などについて検討を行っているところであります。ことし四月に、知財、標準、データについて制度的な手当てなどを盛り込んだ報告書を取りまとめる予定でございます。

大野分科員 ありがとうございます。

 先ほど、大臣との議論が盛り上がっちゃって、時間がかなり過ぎちゃったので、質問を余りできませんけれども、これだけちょっと申し上げたいと思います。

 IoTの分野で、もう政府の皆さんはお気づきだとは思いますけれども、IoTで標準化の動き、ムーブメントがあると思いますけれども、これは、ドイツのインダストリー四・〇、IICという話であります。

 これは御存じのとおり、IICというのはサービスの部分から入っている、インダストリー四・〇というのはものづくりの分野から入っている、こういう部分だと思うんですけれども、この競争に単純にはいはいと参加していては、多分、先ほども申し上げたように、もう完全に下請化になってしまう、こういう懸念が当然出てくるわけであります。

 そういった分野についてもしっかりと対応をしていかなくちゃいけないとするならば、先ほど大臣もお触れになりましたけれども、やはり人材、そういった標準化作業するような人材というのをしっかりと育てていかないといけない、確保していかなくちゃいけないということがあるんだと思います。

 もう時間がないのでこれは言いっ放しにさせていただきまして、ちょっと飛ばさせていただいて、触れたいところだけちょっと先に触れさせていただきたいと思いますけれども、最後、宇宙それから防衛装備に関する話でございます。特許庁長官は、昔、宇宙の話で一緒にさせていただきましたけれども。

 宇宙ビジネスというのもすごい勢いがあって、アメリカなんかでは特にむちゃくちゃな投資がベンチャーでされている。過去十年間投資された額と同じ額が去年一年間でされているという話を聞いて、それは何だろうと思ったら、やはりビッグデータのビジネスに直結する問題なんだと。だからこそ、例えばテスラモーターのイーロン・マスクとかそういった方が、グーグルのエックスプライズとかそういったところ、どんどん投資をしているということになるんだと思いますね。

 そういった時代の動き、先ほどの第四次産業革命という観点でも、宇宙というのは、産業構造としても変えていかなくちゃいけないということもあるんだと思いますし、また一方で、宇宙の産業というのは、日本の国内では今はとてもマーケットはシュリンクしていて、ほとんど調達に頼っているということですので、もっと民間が参入していただかないといけないということになるんだと思います。外にインフラごとの輸出というのを積極的に進めなくちゃいけないとすれば、これは、今やっているやり方というよりは、経協インフラ、橋とか道とかのODAとかそういう文脈ですね、そういったものにしっかりと乗せてあげて、交渉に入る前からもう既に向こうの政府と一緒になって、それで向こうのインフラをつくり上げる、そういったことをやっていかないといけないんだと思うんですね。

 だから、その観点について、宇宙に関しての御質問を一つ。

 それから、続けて防衛産業についてでありますけれども、これも、先般私も予算委員会で質問をさせていただきましたけれども、防衛装備庁がこれから装備品の戦略についてはおつくりになられるということになっているんだと思いますが、その上でなんですけれども、それをもって売るんだと言っております。それは、ちゃんと新三原則に基づいた判断ということになるんだと思いますけれども、これはパッケージでやられると伺っています。つまり、人材の交流とかMROとかそういった訓練とか、そういったことまでやられるということは、民間の交流もどんどん促進していこうということになるんだと思うんですね。それで輸出の、ある種、産業構造の革新もやろうということにつながっていくんだと思います。

 そうすると、経済産業省としてはやはりしっかりと対応いただかないといけないんだと私は思っているので、この二点について御答弁を賜れればと思います。

糟谷政府参考人 御指摘のように、宇宙からもたらされるビッグデータは、第四次産業革命において非常に大事な要素の一つであるというふうに考えております。

 例えば、衛星画像の分析をすることによって、農業を初めとしたさまざまな分野で付加価値を高めたり、測位情報をドローンの自動航行に役立てるといったようなことが期待をされるということでありまして、これは非常に大事なものだと思っております。宇宙二法を成立させていただきまして、これから民間の宇宙市場の開拓に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 また、宇宙インフラの輸出についてでございますけれども、昨年五月に改訂したインフラシステム輸出戦略におきまして、官民一体となって、ODAを含む公的資金等を活用し、衛星システムとともに、利用システム、人材育成等の支援により、一体的な宇宙システムの海外展開を推進するということにしたところでございます。

 対象国のニーズも踏まえながら、関係省庁とも連携をして、利用システムや人材育成などをパッケージとして輸出を図ることによって、システムとして輸出を図ることによって、成長著しい新興国を初めとした海外市場の開拓を行ってまいりたいと考えております。

 続けて、防衛産業についての御質問もいただきました。

 御承知のように、我が国の防衛装備品の供給は、国営の武器工場がないという背景のもと、民間企業である防衛産業に依存をしております。防衛省と直接契約を行うプライム企業のもとに広がる中小企業を中心とした幅広い関係企業があるわけでございます。

 最近、防衛装備品が高度化をする、複雑化をする、そういうことに伴う、調達価格が上がったり、維持や整備費が増大するのに加えて、外国製の製品の輸入増加などによって、国内の調達数量は減少傾向にございます。防衛産業は非常に厳しい状況にあるというふうに考えております。

 経済産業省といたしましては、防衛産業のサプライチェーンをしっかりと維持していくという観点から、防衛省と緊密に連携をして、防衛のサプライチェーンをきめ細かく今フォローをしているところでございます。

 その上で、それぞれの企業、意外と幅広い産業が利用できる施策を御存じない企業も多うございます。こうした企業に対して、税制や補助金などの幅広い産業が利用できる支援スキームを、中小企業も含めて防衛産業が円滑に利用できるようにいろいろな取り組みを進めているところであります。

 防衛産業の声にしっかりと耳を傾けながら、防衛省と密接に連携して、国内の防衛産業基盤をしっかり維持強化できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

大野分科員 残念ながら時間が来てしまいましたので、たくさん質問がまだ、用意されていたのに大変恐縮だったんですけれども。

 ちょっと最後に、宇宙とか防衛の関係ですけれども、例えばベンチャーがあったとしますと、そういった方が何を言っているかというと、補助金をくれとは言っていないんですよね。調達によって支援をしてほしい、こういうことを積極的によくおっしゃっていらっしゃいますので、そういった観点で、それがさらには外につながるような形を創造していただいて、これからも取り組みをされていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて大野敬太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水忠史君。

清水分科員 日本共産党の清水忠史でございます。

 私は、政府が立候補を検討している二〇二五年国際博覧会、万博ですね、この計画について質問をさせていただきたいと思います。

 大阪府と大阪市が一体となり、経済界にも呼びかけ、二〇二五年万博を大阪に誘致しようとしています。世耕大臣も所信で、五月に立候補が締め切られることを踏まえ、官民での検討を加速し、首脳、閣僚レベルでも諸外国への支持を要請していく、こう述べられました。国際博覧会推進本部を立ち上げ、省内一丸となって招致に取り組むとも報じられております。

 そこでお伺いしたいんですが、万博会場は大阪湾に浮かぶ人工の島、夢洲でございます。パネルの方を用意いたしました。こちらでございます。

 世耕大臣も夢洲の方には上陸されたと伺っておりますのでイメージしていただきやすいというふうに思うんですが、大勢の人が集まる施設を建設するわけですね。そのときには、会場やその周辺の防災対策などの安全性、これはめちゃめちゃ大事やと思うんです。しっかり検証していく必要が、都市防災の観点からも重要だと思うんですが、世耕大臣も私と同じ認識をお持ちでしょうか。

世耕国務大臣 万博という世界から人が集まる、過去の大阪万博の場合は六千万人を超える人が来たわけですから、そういう場の安全対策というのは非常に重要なことだと認識しております。

清水分科員 そのとおりですね。

 では、経産省はこれまで二〇二五国際博覧会検討会を二回開きましたが、ここに、地震や津波などの災害対策、防災対策について、この夢洲の安全性を詳しく検証することのできる有識者、こういう方は含まれていたでしょうか。

世耕国務大臣 当然、検討会の中では、まだ検討会は終わっていませんから、これからそういった安全の面の議論もしていただくということにはなるというふうに思います。

清水分科員 検討会のメンバーには、実は防災、減災の観点からの専門家という方は入っておられません。

 それで、資料の一をごらんいただきたいと思います。

 大阪湾には、阪神・淡路大震災を引き起こした六甲・淡路島断層帯と並びまして、ここにあるように、大阪湾断層帯というのが幾重にも走っております。

 内閣府は、二〇〇八年十二月に行われた中央防災会議東南海、南海地震等に関する専門調査会において、大阪湾断層帯による地震が発生したときに夢洲周辺で二メートル程度の津波が押し寄せる、こう予測しております。

 資料の二を今度はごらんいただけるでしょうか。

 これは大阪市の資料でありますが、大阪市港湾局の資料におきましても、マグニチュード九というレベルの南海トラフ地震が発生すれば夢洲の一部が液状化する、こういうふうに想定しております。

 下線部分、引いておりますけれども、大阪湾の咲洲、舞洲、夢洲といった埋立地は、砂地盤ではなく主に粘土質のしゅんせつ土や市内の建設残土によって造成を行っているため、大部分が液状化しにくい地盤となっています、こう書きながら、マグニチュード九レベルが来れば、赤い印のように大きく液状化をするということが大阪市の資料で明らかになっているんですね。これは、PL二十五というのは相当激しい液状化でありまして、私も調べましたけれども、PL値というのが五以上であればかなり液状化する、こう言われております。

 つまり、この間、大阪市や大阪府は、液状化はしにくいとか、あるいは津波災害対策は大丈夫だというふうに言ってきたと思うんですが、この資料だけを見ても、決して液状化しないというふうには言えないと思うんですが、大臣はどう思われましたか。

世耕国務大臣 これからもし選定をされて施設をつくっていくということになれば、日本にはいろいろな意味での、特に地震を中心とする耐震基準とかそういったことがあるわけですから、それに応じた敷地にし、そして建物を建てていくということになるのは当然だと思っています。

 そして、今御指摘の国の中央防災会議がまとめました南海トラフ巨大地震の想定震度分布や津波の高さなどの推計をもとに、平成二十五年に大阪府の防災会議が被災シミュレーションを実施しました。その結果、夢洲の地盤の高さ、これは想定津波の高さプラス四・三メートルあるということでありますが、それであれば、満潮時でも津波は届かないという評価であったということであります。

 また、今御指摘の液状化についてでありますけれども、大阪府の審議会の検討結果によれば、夢洲では、都市直下型地震発生時には液状化は発生しにくい一方、南海トラフ巨大地震発生時には幾つかの地点で液状化発生の予想がされています。

 しかし、大阪市では、粘性土を主成分とする土砂で埋め立てることで、夢洲の液状化リスクを低減させる対策を進めておられるというふうに認識をしております。

清水分科員 私がなぜこの夢洲の防災対策、安全対策についてこだわっているかといいますと、私は、決して大阪府のそうした想定が本当に正しいものだというふうには、検証が必要だというふうに思うんですね。

 新しいパネルを用意させていただきました。これは、夢洲のすぐ隣接する地域にある咲洲地区の写真であります。

 ここでは、WTCビルという二百五十六メートルのビルがありまして、二〇一一年の東日本大震災のときにはいわゆる長周期地震動というのが起こりました。ここは大阪府の咲洲庁舎になっていて、大阪府の職員がいたわけなんですけれども、横揺れ、左右に三メートル、約十分間にわたって激しく揺れた。そして、外壁なんかもよく外れまして、エレベーター二十六基が全部ストップしたんですよ。そして、四基のエレベーターに五人が閉じ込められて、最終的に救出されるまでに約五時間かかったということが起こりました。

 さらに言いますと、こちらは阪神・淡路大震災のときの液状化の写真であります。

 実は、震災前は、大阪府はこのWTCビルを防災拠点にするという検討報告書を出しているんですよ。WTCビルを防災拠点にする、咲洲を防災拠点にする。ところが、このように被災をしまして、防災拠点にレスキュー隊が救助に行くというしゃれにならないようなことが起こりまして、この計画はなくなったということなんですね。

 それから、津波の問題でいいますと、神戸大学の田結庄教授もおっしゃっておられますが、やはり津波というのは繰り返し押し寄せますし、入り江が狭くなりますと、防潮堤に当たってどんどん高さを増していくわけですよね。東日本大震災のときにも、津波高十五メートルと言われていたんですが、結局、奥尻島などでは三十メートルにまで津波が上りました。

 そういう点でいうと、想定すること以外の、それ以上の大きな被災が押し寄せるというのは、東日本大震災や阪神・淡路大震災を経験した私たちの大切な教訓だというふうに思うんです。しかも、今見ていただきましたように、夢洲というのは海に浮かぶ人工島。

 私、この間、防災学の権威、関西大学社会安全研究センターの河田恵昭教授に直接お話を伺ってまいりました。大阪府や大阪市の言うてることがどこまで信用できるのか、データを見ないとようわからぬなというふうにおっしゃっておられたんですが、とりわけ大阪湾というのは、どんどん沖に出ていくと沈下が進むよ、液状化しないなんてうそだよと。やはり、今度、私自身が思うのは、防災の主流化ということを政府はしっかりと考えてもらいたい、万博をするというのであれば、この夢洲での防災の主流化という観点を決して忘れてはならない、そういうふうにおっしゃっておられました。

 この防災の主流化というのは、東日本大震災の教訓を総括した中央防災会議が打ち出した日本の新しい防災対策の基本方針です。次なる大規模災害への備えとして、防災の主流化を通じ、可能な限りの備えを怠らない。つまり、あらゆる政策課題の最優先に防災対策をしようということなんです。

 実は多くの府民、市民が、えっ、あんな夢洲で万博をやって大丈夫か、津波や地震対策は大丈夫か、あの咲洲やポートアイランドの被災のことを忘れているのと違うかと。こうした声にしっかり応えるために、私は、世耕大臣、少なくともこうした専門家、河田恵昭さんやあるいは田結庄良昭さん、こうした方々の意見を聞くべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 いずれにしても、これはもう委員と私は同じ思いでありまして、当然、開催して建設するに当たっては、津波対策、地震対策は万全なものはとっていかなければいけないというふうに思っています。

 その上で、今御指摘のパネルは夢洲ではなくて咲洲であるということと、あと、WTC、それは長周期地震動といういわゆる高層ビル特有の現象でありますから、万博は性格上、高層ビルを建てるということは恐らくないんだろうというふうに思います。ですから、そういった条件の違いは意識しておかなければいけないというふうに思っています。

 今回、大阪府防災会議がシミュレーションをもう既に行われているわけであります。このシミュレーションのもとになっているのが国の中央防災会議が実施した地震や津波の推計値です。これは、二〇一一年三月十一日のあの地震も踏まえて、そして南海トラフが連動型で起こるということを想定した、かなりこれはもう一番最悪の場合というか、一番激しい被害を想定して、しかも、私の記憶では、途中で被害のレベルを上方修正されたような推計値だったというふうに思いますが、そういうデータであります。それに基づいて大阪府の防災会議が被害シミュレーションをされたわけであります。その際の部会長は、今御指摘の河田先生がやっておられるわけであります。

 現時点では、まず、このデータ、この分析を尊重しながらしっかり計画をして、そして、実際に建設するときには、何度も申し上げているように、万全の対策を講じていくということに尽きるというふうに思っております。

清水分科員 最悪のケースを想定するというのは当然のことだと思うんですね。ただ、この夢洲の護岸、岸壁、これそのものが崩れることだってあるわけですよ。あの阪神・淡路大震災のときには、それこそポートタウンだとか神戸港の護岸が崩れて、そこから津波が来たり液状化したりしたという経緯があるわけですから、本当にそうした場合は想定されているのか。

 あるいは、先ほど咲洲とは違うというふうにおっしゃいましたが、二枚目の資料でお示ししましたように、大阪市自身が、咲洲、夢洲、舞洲を同列視して、液状化しにくい、こう書いていたもとで、あのWTCで長周期地震動によって大災害が発災し、液状化も起こっている。

 この夢洲の地盤も、天満層という本当に一番下の支持層のところまでくいを打つといったら、五十メートルぐらい打たないとだめだという専門家の知見もあるわけです。よくIRのパース、予想図を見ますけれども、あんな高いホテル、ビルを建てることは無理だろうというような専門家の指摘もあるわけですから、ぜひ大臣自身が専門家の意見を直接聞くということがやはり何よりも大事だということを指摘して、次の質問に入りたいと思います。

 大阪府の万博基本構想でも大阪市の夢洲まちづくり構想でも、万博エリアに隣接して、カジノを含む統合型リゾートを誘致することが想定されております。

 世耕大臣は、二月三日の予算委員会での私の質問に対して、読売新聞の調査を紹介されて、大阪府民で五九%が万博に賛成している、安倍内閣の支持率に匹敵する高さだ、こういうふうにおっしゃいました。

 ただ、大臣、同じ世論調査の中で、万博の近くにIRを誘致する計画がありますが、あなたは賛成ですか反対ですかという設問に対しては、五二%が反対だ、こうも答えているんですね。

 昨年の臨時国会で、カジノ解禁推進法、IR法が強行されました。もともと刑法違反の民間賭博を解禁する、この議論としては余りにも拙速ではないか、強引ではないかということで、多くの国民が憤りを感じ、今も実は六割から七割がカジノ、IRには反対をしている。そういうような施設と、この地図を見ていただいたらわかりますように、この三区部分、北側にIR用地、そして南側に万博用地ということで、一体に万博を誘致するということは、これはやはりカジノ、IRに反対している府民、市民、国民の理解や合意を得るというのは非常に難しいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 大阪市や地元の皆さんが国際博覧会の会場予定地である夢洲にIRの誘致を目指しておられる、このことは十分に認識をしておりますけれども、これは予算委員会本体の方でも申し上げたように、万博の開催と御指摘のカジノの間に直接の関係はないというふうに思っておりますし、我々がこれから構想をしっかりまとめて立候補の手続に入るわけですが、その構想の中にも、IRとの関係に言及するつもりは全くありません。しかも、IRはまだ基本法ができた段階で、これから個別の法整備が行われますし、まして、どこに建てるとか、そういうこともまだ何も決まっていないわけであります。

 我々の万博構想は、今御指摘のいわゆるカジノ、IRと言われたものと全く関係ないということは明確に申し上げておきたいと思います。

清水分科員 資料の三をごらんいただきたいと思います。

 この間、検討会の委員の方や、あるいは関西財界や大阪府、大阪市の皆さんが述べておられる文言や議会での答弁を掲載したものですが、この一番下の関経連の森会長の発言、ここには、万博と統合型リゾートがセットになれば投資効率がよくなる、お互いの構想を早期にまとめることで設備を有効に活用できる、同じ場所にあるわけだから連携は当然出てくる、こういうふうにも述べておられますし、別の報道では、大阪商工会議所の方との対談の中で、万博誘致前提にセットでやるしかない、こういうふうにも述べておられるんですね。

 さらに、私もこの間いろいろ経産省の方にお話を聞きました。すると、二月十五日に開かれた二回目の検討会、ここでも、経済界の委員の方から、万博費用の企業負担を考えたらIRとできるだけセットにせなあかん、こういう意見が出た。また別の方は、IRの国際会議場施設で、予定では大阪府、大阪市にMICEというのをつくるんですかね、一万人規模というふうに言われておりますが、その国際会議場の一部を使って万博の関連のシンポジウムをできないかというような発言もされているわけなんですよね。

 つまり、大臣は先ほど万博とカジノ、IRは直接関係はないというふうにおっしゃいますが、現場ではそうはなっていないんですよね。現場ではカジノ、IRと一体に万博招致の計画を進めている。

 だから、私は、大阪府民が好ましく思っていない、先ほど大阪府と大阪市がというふうにおっしゃいましたが、あれは市長と知事が一生懸命になっているわけで、全ての府民、市民が万博とカジノ、IRがすぐに来てほしいというふうに思っているわけではありません。現場と世耕大臣の認識というのはちょっと矛盾があるんじゃないですか。

世耕国務大臣 私も大阪で中高を過ごしたものですから、結構同級生もいて、やはりみんな期待はしているんですね。

 そういう中で、地元の方々がいろいろなお考えを持っているということは否定しません。この万博誘致を機に何かシナジーを、それは別にIRだけではなくて、例えば交通機関とか周辺のショッピング施設とか、そういうものとの相乗効果を期待される、こういうことはあるだろうというふうに思います。

 ただ、万博の構想は国が責任を持ってまとめてBIEの方へ提出するものでありまして、その構想と今御指摘のIRそのもの、ましてや、その中のカジノと万博が直接関係しているということはないということを明確にしておきたいと思います。

清水分科員 そういう認識であると私はさまざまな問題が生まれてくるというふうに思うんですね。

 先日、夢洲に上陸しましたときに、当局から説明を受けました。ここの万博用地なんですけれども、まだ埋め立ても終わっておりません。万博が当選すれば、パリに勝てば、急ピッチで、多少費用はかかるんですが、予定工期を圧縮して急速に埋め立てるんだというお話でありました。

 ところで、跡地利用をどうするんだ、大臣も御存じのように、万博というのは半年間の開催ですから、半年間の開催が終わった後の跡地利用はどう考えているんだと言いましたら、IRのエンターテインメント機能を拡大しというふうに大阪市は明確に述べられたんです。

 実は資料三にも私、記載させていただいたんですけれども、これは大阪市の資料に、検討会にも出ましたよ。「夢洲全体を世界中から人が集まる魅力ある国際観光拠点として形成するため、第一期の成功」、つまりIRですね、「第一期の成功で大きな注目を集めることが不可欠であり、統合型リゾート(IR)の成否が」、つまり万博も含めたまちづくり一体に「大きな鍵を握る。」こういうふうに述べているわけなんです。

 そこで、どういう問題が起こるかといいますと、資料の四枚目をごらんいただきたいと思います。

 上の方に、関連事業計画についてこう書いているんですね。二〇二五年国際博覧会あるいはIR誘致が決定した場合、北港テクノポート線建設事業を再開する。咲洲、コスモスクエア駅から鉄道を、地下鉄を延伸して夢洲駅まで通す、こう通すということなんです。つまり、大臣、IRかもしくは万博か、いずれかの誘致が決定すれば、この地下鉄工事を着工するというふうに言いました。

 大臣、何が問題かといいますと、大臣は、直接関連はないんだ、万博単独であくまでも誘致していくんだと言うんですが、大臣自身もおっしゃったように、まだ実施法はできていません、区域指定もなされていません、議会の承認などまだまだです。何よりも根深い反対世論が国民の中にあり、カジノ、IRがここに実現するかどうかというのは未確定なんですね。

 そういうもとで、万博誘致を単独でこれからも進めていくんだという大臣の理論でいきますと、わずか半年間の開催のために、この誰も住んでいない無人島に鉄道を五百四十億円、万博開催時には車両などもふやさないといけないのでプラス百億、つまり六百四十億円ぐらいの経費がかかる。そして、埋め立てには二百億円プラスして、しゅんせつ土砂などを、これまでは建設残土などを使っていましたけれども、わざわざ買うてこないといけませんから、その埋め立て費用にプラス五十億かかる。会場建設費は一千数百億と言われておりますが、こういう二千億をはるかに超えるような事業を、半年間の開催のために、開発を伴うことをここでやっていいのかどうかということについて、これはやはり府民、市民というのは納得できないんじゃないかなと。

 せめて、単独でやるというのであれば、万博が終了した後の跡地利用のビジョンを大阪府も大阪市も示すべきだと思うんですが、一切ありません。いよいよカジノ、IRとセットで、府、市とも前提にして進めている。経済界の発言は先ほど私が紹介したとおりです。

 ですから、大臣自身が、直接関係ないというふうに強がらずに、実際は現場ではこうなっている、カジノ、IRと万博はセットで誘致を目指しているというところの認識を私は包み隠す必要はないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 ちょっと清水委員と認識が違うんですが、大阪府、大阪市、そして地元の経済団体で構成される夢洲まちづくり構想検討会が二月にまとめられた夢洲まちづくり構想の案によれば、跡地利用の構想もそこには盛り込まれておりまして、それはIRだけではなくて、例えばライフサイエンスの分野など、大阪・関西が強みを有する最先端技術の実証、実践の取り組みとの相乗効果を生み出す産業、ビジネス機能等を導入するということが書かれています。こういう想定も持っておられることだと思います。

 ですから、今の御指摘の例えば地下鉄整備は、決して六カ月間の万博のためだけにつくるものではなくて、こうした跡地利用を前提とした整備であるというふうに認識をしています。

 いずれにしても、万博本体ではない地下鉄整備のような関連事業については、これは大阪府、市で十分御検討をいただきたいというふうに思っています。

清水分科員 大阪市の吉村市長も、この鉄道工事についてはIRの事業者に負担してもらいたいということをもう明言されているわけなんですよね。

 もともと、このテクノポート計画というのは、大阪オリンピック招致のときの夢洲を選手村にするという構想であり、その後は住宅建設が前提になっていたわけですね。OTSという大阪市が出資している鉄道会社についても、来年度末でいわゆるこの事業計画の認可が切れるわけなんです。当時の需要予測と、IRもあるいは万博も誘致が定まらない時点で、過度な需要予測を見積もったまま事業を再開するということを、果たして国土交通省の鉄道局も認可できるのかどうかということが私はまた問題になってくるというふうに思うんです。

 大臣、私、改めて言いますと、万博そのものに反対しているわけじゃないんですよ。エキスポ、万博、吹田の万博には二歳のときに連れていってもらいましたし、覚えている方にお話を聞きますと、月の石を見たとか、初めてカップヌードルを食べたとか、あるいは、いいか悪いかはおいておいて、原発の電気が初めて万博に来たとか、外国人を見たらみんなサインをねだったとか、夢があった。

 ところが、この間、私、新聞記事も報道したあほちゃうかという発言をしましたけれども、大阪府民の中には、万博どころでないという閉塞感があるんです。中小企業や商店街の疲弊も、例えば東京なんかに比べても、私はもっと厳しいというふうに思っているんです。

 それで、大臣にお尋ねしたいのは、やはり中小企業政策、ここをしっかり取り組んでもらいたいというふうに思うんです。

 資料の五を最後にちょっと見ていただけますか。

 これは経済産業省自身の資料で、「大企業と中小企業の賃上げ余力等について」という資料であります。

 経済産業省としまして、結局、社会保険料の軽減、それから疲弊している大阪の中小企業の支援にどれだけ力を向けてくれるのかということを、多くの企業経営者は、むしろ万博よりも、IRよりも望んでいるのではないかなというふうに私は思っています。私が聞いてきた意見ではそれが大勢でありました。

 先ほども言いましたように、中小企業は賃上げするのが厳しい。なぜかといいますと、賃上げしましたら、社会保険料、法定福利費も同時に上がるわけなんです。そういう法定福利費の負担というのは、この経産省の資料自身でもこの間ずっと上がってきておりまして、一人当たり七十八万円かかる。賃上げしたいけれども持ち出しもふえるというジレンマがあるわけですね。大企業のようにたくさんの内部留保があるわけではありません。しかし、従業員にはいい賃金を払いたいというジレンマに苦しんでいるわけなんです。

 そこで、この「最低賃金引き上げに対応するために必要と考える支援策」、これもしっかりと明記されておりまして、ここには、社会保険料等の負担の軽減、法人税などの負担の軽減、こう書かれているわけです。

 実質の法人税の割合というのは、大企業に比べても中小企業の方が負担率は高いというふうにも言われているんですね。大企業優遇ではなくて、ほんまに大阪で頑張っている、のれんを守って頑張っている商店街もあります。ものづくりで頑張っている中小企業もあります。海外に生産拠点をどんどん移されながら、細々と頑張っているところもあるんです。設備投資も借金しながら頑張っているところもある。こういうところの要望というのが、やはり社会保険料の負担の軽減なんです。

 社会保険料の負担の軽減が実現すれば、すぐにでも賃上げしたい、もう一人雇用したい。大阪の全ての中小企業が年収四百万から五百万の従業員を一人ずつふやすだけで、何十億、何百億という経済効果が確実に上がると私は思うんですね。

 そういう点で、経産省が来年度以降どのような取り組みをされようと考えているのか、お話しください。

世耕国務大臣 万博の誘致にも一生懸命取り組みますけれども、中小企業対策にはもっと一生懸命取り組む決意であります。

 特に中小企業は、賃上げしていくと、賃上げ本体と、当然社会保険料の負担も多くなる。それで、一番大きいところは、やはり中小企業というのは多くが大企業の下請関係にあります。そこの下請取引をしっかりと適正化して、そういう賃上げ分、あるいは社会保険料が上がった分をきちっと取引価格に反映してもらう、そういう仕組みを導入することが重要だと思っていまして、私は産業界に強く申し入れて、今、自主行動計画が策定され、年度内には各業界別にしっかりルールも決めてもらって、賃上げした分はしっかり反映できるという形にしていきたいというふうに思います。

 また、賃上げのインセンティブを確保できるように、所得拡大促進税制というのを入れました。特に中小企業にことしは手厚くさせていただいています。大企業とめり張りをつけさせていただいております。平成二十九年度において二%以上の賃上げを行う場合は、前年度からの賃上げ分について、通常よりも税額控除を引き上げまして二二%とするという対応もさせていただいております。

 いずれにしても、中小企業の経営者がしっかり賃上げができて、人が雇用できる環境整備のために頑張っていきます。

清水分科員 万博に頑張るエネルギーをそこに全部注いでくださいよ。私は、それがすごく大事だというふうに思うんですね。

 最後に私が訴えたいのは、カジノでいえば、先ほども言いましたように、まだ決定したわけでは、IRが決まったわけではありません。私はやはり、いろいろ意見の相違はありますけれども、結局カジノ、IR頼みの万博誘致になりはしないか、単独で開催できないような万博に果たして魅力を感じることができるだろうか、先駆けて立候補しているパリに勝てるのかというところの疑念は、私でなくても、多くの府民、市民が感じているところだと思います。

 おんぶにだっこに肩車、カジノ、IR頼みの万博ではあかんということを強く申し上げて、今おっしゃられたような中小企業支援にしっかり取り組んでいただき、あるいは介護や保育、こうした問題にも取り組んでいただき、現役世代が、我々がそういう心配をせずにばりばり働くことができるような環境、この促進のために頑張っていただきたいということを申し述べて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて清水忠史君の質疑は終了いたしました。

 次に、濱村進君。

濱村分科員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、三十分、時間をいただきました。よろしくお願いいたします。

 まず大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、今、大臣は第四次産業革命を初めとして、大きく産業構造を転換しようとされて、強力なリーダーシップのもと、進めておられるわけでございますが、大きな話はもうさんざんこれまでもしてこられているかと思いますので、しっかりとフォーカスを絞ってぜひお話をさせていただければと思います。

 その上で、フィンテック、いわゆる金融とテクノロジーといいますか、IT、そうしたものをかけ合わせた新しい産業がどんどんと起こっているという状況でございますが、これは経産省さんとしてもずっとこれまでフィンテックについては、平成二十七年十月から二十八年の四月でFinTech研究会、そして二十八年七月からFinTech検討会合を開催されておられます。

 こうしてずっと議論を積み重ねてこられているというものも承知しておるんですが、フィンテックが成長に寄与する新産業として大いに期待ができるというふうに思っているわけですけれども、経産省としてフィンテックを新たな産業としてはどのように捉えておられるのか、お考えを教えていただければと思います。

世耕国務大臣 フィンテックは単に金融を何かデジタル化、IT化するというものにとどまるのではなくて、やはりいろいろな広がりが出てくるというふうに思っています。

 既に、例えば経理の自動化、合理化ですとか、資金繰りがリアルタイムで見えるようなサービスなんというものも出てきております。こういうフィンテックに関連したサービスが全国の中小企業でも活用されて、経営の高度化ですとか生産性向上ですとか資金調達の円滑化などにつながっていく、そういう状況をつくり出していければというふうに考えています。

 経産省としても、フィンテックは金融に閉じるのではなくて、広がりを持って対応しなければいけないという認識を持っておりまして、そういう観点から、今御指摘の検討会合、これはフィンテックに知見を有する経営者や専門家の方々に御参加をいただいておりますが、この検討会合では、今後の具体的な方策、例えば中小企業によるフィンテックの活用を後押しする施策ですとか、フィンテックが普及するための前提条件を整えるための施策などの検討を行わせていただいております。

 引き続き、金融庁初め関係省庁と連携をしながら、そして産業界、金融界ともよく協調をしながら、フィンテック時代に対応するための具体的取り組みを進めてまいりたいと思っております。

濱村分科員 今おっしゃっていただいたとおり、中小企業への展開、これは非常に重要だと思います。そしてまた、どういう環境があれば、つまり前提条件が整えばフィンテックが活用されていくのか、こうしたことも非常に重要なポイントでございますが、金融庁さんとも一緒に進めておられるということも認識しておるわけでございますけれども、中小企業への適用というところで申し上げますと、中小企業は決済単位が少額であるという意味でいうと、マイクロペイメント、こうしたところに非常にフィンテックは親和性があるというふうに思うわけでございます。

 そしてまた、大臣にもおっしゃっていただいたんですが、資金の循環速度を高めるということで、SCCC、サプライチェーン・キャッシュ・コンバージョン・サイクル、ちょっと舌をかみかけましたが、そういうものも検討されているということで、非常に重要なポイントだと思っております。中小企業の皆さんはいつも資金繰りに困っておられるというわけでございますので、そういうことも考えると、非常に、中小企業こそどんどんどんどん導入していくべきというふうに考えるわけでございます。

 当然、設備投資も必要なわけですが、この設備投資も少額で済むといった利点もあるわけでございますので、非常に親和性が高いというふうに思っているわけでございますが、この導入に当たって、いわゆるお客さんとの接点、小さな商店さんとかでも、少額決済で現金をやりとりするというわけではなく、フィンテックによるテクノロジーで、キャッシュレスで行えるというようなことも考えられますし、あるいはバックオフィス、先ほど大臣からもございました経費精算の部分で非常に効果があるというようなこともあります。

 経費精算あるいは会計の部分、そしてまた、さらに言えばブロックチェーンというテクノロジー、仕組みを使えば、ほかにもバックオフィスでさまざま活用できる分野があるかもしれません。そういう意味でも、非常に中小企業の生産性向上に役立つというふうに私は確信するものでございますが、経産省としてどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、フィンテックの技術、経理の自動化、資金繰りがリアルタイムで見える、いろいろな形で中小企業の経営の高度化、生産性向上、資金調達の円滑化につながるというふうに我々は認識しておりまして、具体的な手をいろいろ打ってきてございます。

 例えば、この間の平成二十八年度第二次補正予算事業におきまして、中小企業に対して、バックオフィス業務の効率化につながるようなITツールの導入、あるいは導入サポート費用を支援するということで、三万件の中小企業の方にIT導入を支援する、こういうことで、バックオフィスのクラウド化、あるいは中小企業のフィンテック活用ということをつなげていきたいと思ってございます。

 さらに、先生おっしゃるように、やはり中小企業の方から、決済に絡むいろいろなところに、バックオフィスにすごく時間とコストがかかるのが中小企業にはかなり負担になっているということで、銀行の決済のインフラ更改に合わせまして、振り込みのときに添付できる金融EDIに記載する商流情報の中身を標準化いたしまして、企業の振り込み業務がデジタル化で完結できるというふうな環境の整備をしていきたいということで、この標準化に努めているところでございます。

 こういうことで、銀行さんの方にXMLの電文への移行をするときの情報の標準化をいたしまして、中小企業の方からしますと、売掛金の消し込み業務や受取企業からの照会対応といったようなことの業務から解放されるようなことを目指しているところでございます。

 以上でございます。

濱村分科員 これは非常にデジタルで完結するというところがみそでございまして、フィンテックに限らず、クラウド化していくというようなこと、あるいは、そもそもIT化すらできていないという中小企業は大変多うございます。そういう意味で、まだまだ中小企業における生産性向上、特にバックオフィスの部分は効果があるというふうに思いますので、引き続きの予算をつけていただいての取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 その上で、先ほど局長からおっしゃっていただいたところでもありましたが、EDI、これは標準化していって、どのように金融側とやりとりをするのか。これは全銀協とかが絡むわけでございますが、そうしたところとの電文についてもしっかりとフォーマット、仕様を合わせていくということは非常に重要でございます。

 その上で、ちょっとフィンテックに話を戻しますが、ブロックチェーンの活用というところに上っかぶせで、API、アプリケーション・プログラミング・インターフェース、このAPIを活用していくということは、非常に活発な議論をされていて、どんどんAPIを開放していこうというような話がございます。

 でありつつ、APIを開放したとしても、決済のプラットホーム、これは携帯とかが多かったりします。スマートフォンですね。こういうスマートフォンは、実はもともとOSが海外事業者に握られていて、海外であろうがどうだろうが、それはもうもはやどっちでもいいんですが、APIを幾ら開放して業界で取り組んでいっても、そうした非常に重要な基本的な仕様の部分で決済プラットホームが握られてしまっているという意味でいうと、余りAPIを開放しても意味ないんじゃないですかというような御意見もあるんです。

 これは両方とも確かにそうだなと思って、私も答えがあるわけでは決してございませんが、こうしたところの取り組みを考えますと、国際的に仕様を合わせていく、これは国際規格とも言えるんだろうと思うわけでございますが、こうしたフィンテックにおける国際規格への取り組みについては今どのように考えておられるのか、お伺いいたします。

柳瀬政府参考人 先生御指摘のように、フィンテックに係るプラットホームを海外企業に握られるという問題については、かなり大事な問題だと認識してございます。

 他方、先生がおっしゃったような、フィンテックのプラットホームはスマートフォンの決済システムだけではございませんで、いろいろなビジネスが出てまいりますので、例えば家計や口座情報を集約して分析するサービスですとか、スマホを利用して小規模の店舗でも展開可能な決済端末サービスのプラットホーム、あるいはブロックチェーンを利用した仮想通貨サービスのプラットホーム、それから生体認証による簡易な決済サービスのプラットホームとか、いろいろな形のプラットホームの競争が行われていくんだ、こう考えておりまして、我々としましては、こういったプラットホームを握れるようなベンチャー、事業者をどんどんつくっていくということが何よりも本質だと考えてございます。

 そうした観点から、こんないろいろな層のプラットホームを目指すベンチャーの創出を図れますように、IoT推進ラボを通じまして先進的なIoTプロジェクトの発掘、選定を行って、そのプロジェクトを通じて企業連携、資金、規制の面などからさまざまな支援をしていくというアプローチを一つとってございます。

 それから、もう一つ大事なポイントは、プラットホームの鍵を握るのは、何といってもデータ流通の仕組みでございます。そこで、個人のデータを本人にかわって集約、管理する仕組み、そういうバーチャルデータストアあるいは情報銀行、いろいろなパターンがありますが、これに必要なルールの整備の方向性につきまして、政府全体の指針のベースとなるように、産業構造審議会の方で報告を取りまとめたところでございまして、現在、内閣全体として、この報告書をベースに内閣全体の指針を作成しているところでございます。

 引き続き、プラットホームを握れるような環境整備を図ってまいりたいと考えてございます。

濱村分科員 プラットホームを握っていく、非常に大事な視点ではあるんですが、結構難しいことだと思うので、それはそれとしてやりながらも、プラットホームに引きずられない、そういう状況をつくっていくというのは非常に大事ですし、あと、IoT推進ラボも、ちょっと私、それはどういうものだったっけとちょっと思いながら、思うんですが、恐らく、いろいろと新しいことを試行錯誤していくというようなことをやっていかなければいけません。よく検討会合でも議論されていますが、サンドボックスをつくって、そこでいろいろとがちゃがちゃやってみて、だめだったらだめで撤収し、よかったらよかったでしっかり推進していくというようなことだと思いますので、しっかりと進めていただく。

 その上で、データの流通についても御付言がありましたが、ちょっと時間の都合上割愛します。

 次に行きたいんですが、何かというと、実はフィンテックも、事業規模は結構そこそこあるんです。ちょっと私が仄聞するにおいては、二〇一五年に大体五十億ぐらいだった、二〇一六年は百億ぐらいじゃないかと言われているんですが、二〇二一年ぐらいになったら大体八百億を超えるんじゃないかみたいな試算があります。これが正しいかどうかは一旦おいておいて、大体それぐらいの市場規模ですよ、非常に大事な産業ですねということは言えるかと思うんですけれども。

 実はもう既に、新しい産業で、それを凌駕するというか、非常に大きな産業として、オンラインゲームがあるんですね。オンラインゲームは、実は一・一兆円ほどの市場規模があると。これは、音楽業界三千億円、雑誌が八千億円、新聞業界が一・三兆で、テレビが一・八、そういう規模感でいえば、非常に大きい市場規模をオンラインゲームが握っている、そういう状況を認識しなければいけません。

 その上で、このオンラインゲームについては、実は資金決済法と絡みがあります。オンラインゲームにおける通貨というものは、まず、資金決済法上どういう扱いとなるのか、これは金融庁に確認いたします。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 資金決済法上では、次の三要件を満たすものが前払い式支払い手段に該当するとされております。一、金額または数量が記載、記録されているものであること。価値の保存。二、金額、数量に応ずる対価を得て発行される証票、番号、記号その他の符号であること。対価発行。三、商品、サービスの対価の弁済等に使用されるものであること。権利行使。

 いわゆるゲーム内通貨につきましても、当該通貨のゲーム内での位置づけ等に鑑み、対価を得て発行され、価値を保存し、かつ当該通貨を使用することによってさまざまなサービスを受けることができるものである場合は、資金決済法上の前払い式支払い手段に該当すると考えられます。

 以上でございます。

濱村分科員 今、三つ要件を言っていただいたわけでございますが、実は、この前払い式支払い手段、もともと日本ではプリペイドカードが非常に流通しておりましたので、そうした考え方を援用しているというようなことになるわけでございますが、実は、この前払い式支払い手段の場合、資産保全の義務がかかるわけでございます。

 この資産保全、供託の制度ですね。供託の制度について、概要を確認したいと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 資金決済法におきましては、前払い式支払い手段の発行者は、基準日において未使用残高が一千万円を超えるときは、その未使用残高の二分の一以上の額の発行保証金を供託とすることにより、利用者から預かった資産を保全する義務が規定されております。

 以上でございます。

濱村分科員 今、保全金額について、未使用発行残高二分の一とか、そういう要件は提示されたわけでございますけれども、そもそも、この供託の制度、これは、前払い式支払い手段についてこれを適用していかなければいけないのは海外企業についても同様なのかなと思うんですが、どのように整理されるのか確認をしたいと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 海外企業が国内において前払い式支払い手段を発行する場合、この場合でございますが、資金決済法上の前払い式支払い手段の発行者に係る規制が適用されることとなります。

 また、前払い式支払い手段が国外において発行される場合でございますが、この場合につきましては、利用者の保護の観点から、国内の者に対して当該前払い式支払い手段の購入や利用を勧める勧誘行為が禁止されているところでございます。

 以上でございます。

濱村分科員 おっしゃっていただいたとおりでございますが、海外法人、例えば昨今話題になりましたポケモンGO、これは海外のナイアンティックという企業がやっているわけでございますが、ナイアンティックがポケモンGOを日本でやりたいと言ったときには、ポケコインというものがあるので、そのポケコインに対して、事業として扱うということであるならば、前払い式支払い手段として取り扱わなければいけませんと。そういう事業者である場合は、日本で法人を立てて、それで適用をさせていくという必要があるわけでございますので、そうした海外事業者であったとしてもそういう形をとらなければいけないというのが今の法制度上の仕組みとなっているわけでございます。

 これを、海外と日本と垣根がなくなってきたようなビジネスが非常に多く展開されつつある状況の中で、まず確認したいのは、この前払い式支払い手段の登録について、これは海外についても同様の制度がある国というものがあるんですか。実態をちょっと確認したいと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 海外におきましても、我が国の前払い式支払い手段に相当するプリペイドカードや電子マネーを対象とする法制度は存在していると認識しております。

 その上で、個別具体的にどのような商品を規制の対象とするかにつきましては、各国において、社会経済実態や当該商品の利用状況などに照らして対応されているものと理解しているところでございます。

 以上でございます。

濱村分科員 海外もあるということでございますが、いわゆる供託の制度、資産の保全とか、そういうことはある一定やらなければいけない。利用者の保護、ユーザーの保護のためにやらなければいけないということは非常に理解をいたすところでございますが、日本は日本として、これまでの経緯もあって、三つの要件、先ほどおっしゃっていただいたような、価値保存、対価発行、そして権利行使、こういうことができればこの登録をしなければいけませんよということでやらなければいけません。

 その上で、実は、ゲームの中で使われるような二次通貨であったり、あるいは二次アイテムといったものについても、この三要件に当てはまるということになるならば、それは今の法解釈としては妥当なんですけれども、このゲーム内で発行するものについて全て登録をしなければいけませんというようなことで、業界側も大変だというところはございます。

 一方で、例えば財務局、これは監視をしなければいけませんでして、いや、あなた、これは登録していただかないと困りますよというようなところの業務も非常に膨大なものになります。

 ちなみにで言いますと、大臣、うなずいておられるので、ちょっとお聞きいただければと思いますが、ゲームの中で使われる例えば剣、こういうものがゲームの中で買えるわけですね、ゲーム内の通貨でもって。この剣というのは権利行使ができる。剣として使えるから、それはずっと権利行使ができる。そして、価値保存がされますということで、こういうものも二次アイテムとして、この前払い式支払い手段に当たります。一方で、薬草。ちょっと体力が減りました。薬草を使えば体力がまた戻りますみたいなことがあるわけですけれども、薬草は価値保存ができないんですね。つまり、使っちゃったらその薬草はもう消えてしまう。だったら、価値保存できませんねということで、二次アイテムには該当しませんというようなことになっちゃうんですね。これを非常に複雑化されている状況があって、もう管理できませんという、そういう危険性があるんじゃないかと私は思っております。

 これは、ちょっともう時間の都合もあるので、きょうはここについては御答弁は求めません。ですが、非常に業界としても大変だというふうに考えていますし、実は金融庁さんももう既にそのことについては御認識をされていて、会話をされておられるというのも認識しております。業界が主催するシンポジウムとかあるいは個別の対応でいろいろな対話をされながら進めておられるということも認識をしておりますので、今後もぜひ積極的にやっていただいて、何か委員会とか会合とか、会をしっかり持たなければいけないかというと、そうでもなかろうということもあるかと思いますが、いずれにせよ、ここの対話をしっかりとやっていただくというのが非常に重要であろうかというふうに思っているところでございます。

 その上で、オンラインゲームという非常に大きく成長した産業、これをしっかり育成していくという意味で今お願いをしているわけでございますけれども、一方で、今なかなか、成長はしているんだけれども、成長産業を育成するというのは非常に大事なんですが、いまいち遵法精神に欠ける、そういう企業さんもいらっしゃるわけでございます。そこは非常に私も危惧をしておりまして、例えば出品者が、不要なものをインターネット上といいますか、公、広く会員となっているところに対して出品ができて、その買い手の方と取引が成立をして、出品者が得たその売上金についてそのプラットホームを提供している事業者が滞留するということを行っておられる事業者があるんですね。こういう事業を行う者というのは、資金決済法における資金移動業者に当たるのではないでしょうか。

 これは一般論で結構ですので、今申し上げたようなビジネスをする者は資金移動業者に当たりますかというところをちょっとお答えいただければと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 資金移動業者とは、資金決済法に基づき、内閣総理大臣の登録を受けて、銀行等以外の者が為替取引を業として営むものでございます。

 当該為替取引につきましては法令上の定義はなく、平成十三年の最高裁判例で示された解釈、すなわち、「「為替取引を行うこと」とは、顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することをいう」、この解釈に基づき、個別具体的に判断をしているところでございます。

 したがいまして、御指摘いただきました、事業者に対する資金移動業の該当性につきましても、個別具体的に判断をさせていただくことになっております。

 以上でございます。

濱村分科員 そうですね。個別具体的に一つ一つの事案について確認をしていくということでございますが、もう既にこれは最高裁でしっかりとした判例があるわけでございますので、これにのっとって考えるならばどうであるのか、しっかりと判断をしていっていただきつつ、適正な形で成長産業として育成をしていただきたい、これが私の申し上げたいところなんですね。要は、成長さえすればいいですよというわけでは決してない。それが遵法意識に欠けているのであれば、それは成長に値しないんだということをまずここでしっかりと大前提として確認をしておきたいということでございます。

 実は、先ほど申し上げたような、出品者が不要なものを出品しというようなことで、その後、資金を滞留させるということをやっておられるわけでございますが、そうした滞留させる行為というのは、出資法の第二条にあります預かり金の禁止に該当するというふうに捉えられるというふうに考えるわけでございますが、これは法務省さん、いかがでございましょうか。

林政府参考人 犯罪の成否自体は、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、その点についてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、まず、預かり金とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受け入れであって、預金、貯金または定期預金の受け入れのほかに、社債、借入金その他いかなる名義をもってするかを問わずに、預金等の受け入れと同様の経済的性質を有するもの、こういうことをいうとされております。

 したがいまして、法律に特別の規定があるものを除きまして、業として預かり金をした者につきましては、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第二条に違反することになるものと承知しております。

濱村分科員 刑事局長、お忙しい中なので、きょう来ていただいて、ありがとうございました。

 個別に判断しなければいけない部分はありつつも、今おっしゃっていただいたとおり、不特定多数からの受け入れ、これがあり、そしてまた、形は問わないということがあるわけでございます。こうしたところに対して自分の事業がどう当てはまるのかということは真摯に見ていただきたいというのが私が一貫して申し上げていることでございます。

 いずれにいたしましても、新産業、成長しているからいい、例えば、非上場であっても時価総額が一千億円を超えているユニコーン企業だといってもてはやされたりするわけでございますが、そうした企業があるということは非常に産業育成の面からいえばうれしい反面、そこがグレーあるいは完全に法律に違反している、そうしたことがあると、恐らくこれはかえって産業育成においてマイナスなのであろうというふうに思うわけでございます。

 これは、法が追いつかない、あるいはまた法の判断が明確になっていない部分もいろいろあるんだろうとは思いますけれども、それを事業者の皆様にも、ぜひとも、どう当てはめるべきなのか、こうしたことを常々確認しながら事業を行っていただくことをお願い申し上げるのとともに、そういう遵法意識に欠ける企業ではなく、しっかりと守った企業を適正に育成していただける大臣の強力なリーダーシップを発揮していただけることを望みまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合分科員 民進党の落合貴之でございます。

 本日も、先日の予算委員会に続きまして、原発と電気料金の問題を取り上げさせていただければと思います。

 まずは大臣に、大枠の部分なんですが、エネルギー基本計画、これが二〇一四年に策定をされております。それで、その前の計画はいつかなと調べてみますと、二〇一〇年に策定をされておりました。二〇一四年の前回からことしで三年がたつわけですので、エネルギー問題を取り巻く環境も大きく変わってきていることも鑑みて、このエネルギー基本計画の次の見直しは、これは予定されているんでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘の、平成二十六年四月に閣議決定をしましたエネルギー基本計画については、震災前のエネルギー政策をゼロベースで見直して、新たなエネルギー政策の方針として策定したものであります。現在、これに基づいて各種の政策を講じているところです。

 エネルギー基本計画については、エネルギー政策基本法においては、三年ごとに検討を加え、必要があると認めるときにはこれを変更すると規定をされておりますので、今後検討を加えていくことになるかというふうに思います。

落合分科員 検討は加えていくということで、どの時点が見直すべきタイミングかというのは大変難しいところでありますが、もうこの三年たった時点で、計画と現実の乖離が少し生まれ始めているというふうに私は考えております。その点などについてお伺いができればと思います。

 このエネルギー基本計画をもとに、翌年、二〇一五年の秋に長期のエネルギー需給見通しも発表がされております。ちょうど電事法改正案の最終段階である第三弾が通ったとき、電力システム改革を完成させようというときでございました。そのときに、各電源の発電コストも計算がされておりまして、それももとに二〇三〇年度の電源構成、エネルギーミックスも発表され、総発電量、二〇三〇年度で一兆六百五十億キロワット程度と想定をしまして、その中で、原子力は二〇%から二二%程度、再エネは二二%から二四%程度というふうに発表がされております。

 まずこの発電コストについてなんですけれども、先日の予算委員会でも、福島第一原発の事故の関係費用、新たにこれぐらいかかるというふうに金額が示されております。今まで十一兆円だったのが、デブリの取り出し等も加えて二十一・五兆ということも発表されております。

 それらに加えて、新規制基準というものもどんどん原発に適用されていって、それにあわせて新たな設備投資、コストもかかって、具体的に幾らかかるということも見えてきているわけですけれども、こういったものを見ると、原発のコストは上がってきているということが言えると思います。

 一方で再エネのコストですが、FIT制度における買い取り価格はどんどん下がってきている。これは、コストが下がってきていることをある程度反映しているものだと思います。

 それから、もっと世界では進んでいて、例えばいろいろ調べてみると、欧州の風力発電の入札で一キロワットアワー当たり約六円という事例も出てきました。あと、今度、アラブ首長国連邦では、大規模な太陽光発電をやっていこうということで、そのプロジェクトは三円を切るというふうに言われております。

 この二、三年で、三年前には考えられなかったような技術の革新、それから規模の大規模化等が行われて、発電コストも再エネの分野でも変わってきている。それから、原発を取り巻く環境も変わってきている。

 こういった中で、発電コストの計算、経産省としてもう一回やり直した方がいい状況に来ているのではないでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のように、平成二十七年七月にエネルギーミックスを策定するに当たっては、その参考データとするために、総合資源エネルギー調査会のもとで各電源の発電コストを試算したところであります。

 そして、原子力の発電コストについては、この試算の際に行った感度分析というのがありまして、これによって、賠償や除染、中間貯蔵等に係る事故リスク対応費用が仮に将来増加した場合の影響を機械的に算出ができるような仕組みになっているわけであります。

 この感度分析に基づきますと、平成二十七年の試算においては、原発の発電コストは十・一円・パー・キロワットアワーというところでありました。そこに仮に福島の事故関連費用がここから十兆円増加をした場合であっても、発電コストは十・二円から十・四円・パー・キロワットアワーということになりまして、原発は引き続き低廉な電源であるということになります。

 また、今御指摘いただいた再生可能エネルギーの発電コスト、これは、発電コスト検証ワーキンググループにおいてもこれから大幅に低下があるんじゃないかと見込まれているところでありますが、引き続き、海外に比べて高い状況にあります。

 なぜ高いかというのを説明し出すと少し時間がかかってしまいますが、UAEのように砂漠で日がばあっと照っているところと日本の平地面積が少ないところでは、やはり土地代から含めて大分違うわけでありますけれども、今後とも、このような発電コストに関する動きはしっかりと注視をしていきたいというふうに思いますし、今後、検討の中でもよく見ていきたいというふうに思います。

落合分科員 私も、その計算の仕方、いろいろと中身も自分で見させてもらいまして、精緻にできていることは確かであると思います。

 ただ、いろいろ見てみますと、例えば、LNG火力稼働率、一〇〇%は無理ですから七〇%で計算していまして、石炭火力も七〇%で計算していました。その時々に使うか使わないかわからない石油については稼働率は低いわけですけれども、原発も七〇%で計算がされています。

 これは、恐らく再稼働もクリアするものが多いだろうということも考えた上で、再稼働していてもメンテナンスでとまる原発もあるにもかかわらず、全体で設備の七割が稼働するということになっているわけですが、その前提、例えば稼働率七割、今の点についてはどう考えますか。

世耕国務大臣 今ちょっとその計算根拠を私は詳しいデータを持っていませんけれども、稼働率七割というのは、我々は原子力発電はベースロード電源という形で見ておりますので、そういう意味では、適正なレベルではないかというふうに思います。

 このコスト計算も、当然、専門家の御意見もいただきながら、当然、定期点検、そういったことも織り込みながらはじき出している数字だというふうに思いますので、適正だというふうに考えております。

落合分科員 今の状況ではそう答えざるを得ないと思いますが、こういう数字があるからこそ、やはり、もう一回見直して説得力ある数字をもう一回出すべきだと私は思います。

 二年前、三年前は経済産業大臣は宮沢大臣だったと思いますが、この発電コストが出てきたときに、原発は最安という言葉を使っていました。最も安い、最安ですね。今の御答弁を伺っていて、世耕大臣もその最安ということについては、同じ考えであるというふうに考えてよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 これは何も主観的に申し上げるものではなくて、大臣としてはやはり今あるデータから申し上げなければいけないわけですが、今の、二〇一四年のモデルプラントの試算結果では、原発が十・一、石炭火力が十二・三、LNG火力が十三・七、風力が二十一・六、太陽光が二十四・二ということでありますから、今のところ、このデータによれば、一番安い発電ということになろうかと思います。

落合分科員 特にエネルギーの問題に関しては、原発は国民的な関心が高い。再稼働するに当たっても、地元の方々、それから、地元でなくても、百キロ圏内、二百キロ圏内にわたってまでも関心が高いわけでございます。そういった方々が納得して電気料金も払う、政府も信用する、そういう上では、発電コスト等のこの数字も、やはり説得力のあるものに常に意識して発表していかなければならないと思いますので、私は、特にこの発電コストは、原発について特に見直すべきである、もう一回計算し直すべきであるというふうな意見を述べさせていただきたいと思います。

 このコストももとにして、二年前の秋に、電源別の割合の目標が発表されております。いわゆるエネルギーミックスというものでございますけれども、二〇三〇年に今の原発に関しては、二割から二二%という目標にしております。現状では、今、エネ庁は恐らく二〇一五年度が最新のデータだと思いますが、一%ちょっとしか原発の発電の割合はありません。今のコストの変化も鑑みて、それから、今の再稼働の状況も鑑みて、今一%である原発を二割、二二%にしていく、これは妥当なんでしょうか。

世耕国務大臣 まず、先ほどの原発が十・一円ということは、これはなかなか国民の皆さんはまだ御理解いただけていないところがあると思う。我々もきちっと合理的に算定をしている数字である、私がこういう答弁をすると必ずネット上で、何を言っているんだという形になるわけですけれども、これは少し広報もしっかり行って、きちっと合理的に算定できた数字だということを示していきたいというふうに思います。

 そして、今我々は、御指摘のように、エネルギーミックスというのを組み立てております。一年半前に策定したばかりでありますので、まだまだクリアしなきゃいけない問題はたくさんあるわけですが、まずはその実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。

 原発については、当然、規制委員会の新規制基準をクリアした、安全最優先で再稼働を進めていくわけでありますけれども、もう既に再稼働が幾つか始まりつつあるわけでありますから、そういったことを踏まえて、まず、実現に向けて全力で取り組むということを優先をさせていただきたいと思います。

落合分科員 原発が目標二〇%―二二%なのに対して、今現状、エネ庁からいただいた最新のデータでは一・数%。再エネは二〇一五年度で一四・四%来ています。二〇一〇年は九・六%、ほとんど水力だったわけですけれども、五年間で五%伸びています。あと十三年で八%伸ばせば、政府のエネルギーミックス、達成ができてしまうわけでございます。

 再エネのこの目標は逆に低いとも言えるんじゃないですか。もうちょっとふやしていくことも検討に値するんじゃないんでしょうか。

世耕国務大臣 今委員御指摘のように、再生可能エネルギーがいいペースで伸びているというのは、これは歓迎すべきことであるというふうに思っています。

 ただ、やはり、面積の問題とかコストの問題とか、あるいはいろいろと環境アセスの問題とか、いろいろな問題があるわけでありまして、ここからは少ししんどいという面もあるかもわかりません。

 そういう意味で、まずは、今、たった一年半前に立てたこの目標をしっかり実現することを優先をしていきたいと思いますし、見直す必要が出てきたときには、しっかりと適宜見直していきたいと思います。

落合分科員 再エネについては、今の伸び率の半分の伸びを十三年間続ければ達成できる。一方で、原発はなかなか進んでいないという状況ですので、やはり、ある一定の時期が来たら、基本計画だけではなくて、エネルギーミックスも見直すべきときが来るのではないかなと思います。

 そもそも、なぜ再エネの比率が高くなったのかということを調べてみますと、総発電量自体がかなり減ってきています。政府の計画で、二〇三〇年度の計画、一兆六百五十億キロワットを前提として、原発二割、再エネはもうちょっとというふうに決めているわけですけれども、二〇一五年度の総発電量は八千七百七十七億キロワットで、二〇三〇年の計画と比べても、もう一八%も下がっているわけでございます。政府の計画は少し上がるような計画だったわけですけれども、どんどん下がってきている。

 これは、高齢化というような問題もあるでしょうけれども、日本の得意な省エネ技術というものもあると思います。それから、一次エネルギーで考えたとしても、そういう省エネ技術は日本は得意であるということで、総電力量はそんなに伸びるのかなという問題があると思います。

 今、二〇一〇年と比べても一三%発電量が低い。電力の消費量が低い。政府の計画、ふえると予測していた二〇三〇年と比べたら一八%も低い。そうしたら、原発を無理して再稼働しなくても、もう節電で一八%達成しているんですから、あと四%も節電でもできると言えるんじゃないでしょうか。その節電、省エネについて、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 総発電量の動向については、中身はよく分析はしてみなければいけないというふうに思いますが、今委員御指摘のように、省エネが貢献している面というのは大きいことだと思いますし、それは非常に歓迎すべきことだと思います。

 ただ一方で、やはり電力料金が非常に上がっているんですね。私の関西でも、産業用は計算によっては四割ぐらい上がっている。そういう中で、やむを得ず節電をしている、場合によっては生産活動とかビジネスを少し抑制しているという面が出ているという面もあるかもしれません。そこはよく要因分析をしていかなければいけないというふうに思っています。

 ですから、現時点で総発電量が減っているからといって、原発の再稼働は必要ないという判断はできないのではないかと思います。

落合分科員 今まで電力料金がなぜ上がってきたかということは、また改めて取り上げさせていただければと思うんですが、燃料費はここ一年ぐらいはかなり減ってきている。何で電力料金が上がったのかということは、やはり、この前取り上げた賠償等の費用というものもかなり要因があると思います。

 これは、改めて詳しくその電気の基本料金については議論をさせていただければと思います。

 ここで一つ確認なんですけれども、原発再稼働は、大臣の方針としてはできるものはやっていきますということですが、四十年以上稼働できないというふうに新規制基準でストップがかけられるものもどんどん出てくると思います。その中で、目標を達成しようという中で、原発の新設ですとかリプレースというものに関しては、大臣はどのように現時点でお考えでしょうか。

世耕国務大臣 済みません。新増設とかリプレースという問題だと思いますけれども、今、政府と原子力事業者が注力すべきことは、まずは安全最優先の姿勢で真摯に再稼働に対応していくことだというふうに考えております。まず、現時点で原発の新増設とかリプレースということは考えていません。

 その上で、エネルギーベストミックスとの関係を申し上げますと、二〇三〇年段階で四十年未満の原発は二十三基ということになります。これらが一〇〇%稼働すれば依存率は二〇%という計算になりますが、これは、一〇〇%稼働というのは、現実的な想定とは言えないわけであります。

 ですから、そのため、一基も運転延長をしなければ、エネルギーベストミックスの原発の比率を達成することは難しいというふうに考えています。

 ただ、現時点で新増設、リプレースということは考えていないということは申し上げておきたいと思います。

落合分科員 これも、日本の成長戦略の一つとして省エネ技術にどんどん投資をしていくということで、新増設もしなくて済むようになるという意味でも、再エネのコストを下げていくのにプラスして、やはり省エネ技術をどんどん磨いていって、そして世界にも輸出をしていく。これは、日本の製造業等の競争力を高めていく上でもかなり重要な問題であると思います。

 ぜひ、節電、省エネ技術にも力を入れていく、それで海外への競争力をつけていく、プラス日本のエネルギー問題の解決にもつなげていくということで、大臣にも力を入れていただければと思います。

 残りの時間は、電気料金の問題、先日の予算委員会の続きに入らせていただければと思います。

 まず根本的なことなんですけれども、福島の賠償費用を電気代に上乗せするという点を私は取り上げさせていただきましたが、議事録を改めて見てみますと、賠償費用の託送料金上乗せについては、大臣は、「本来、過去、みんな電気事業者が賠償に備えておくべきだったものが備えられていなかったという点がありますので、この点については広く公平に集めるということで、託送料金に付加をさせていただくという判断をさせていただいているところでございます。」とあります。後半にも同じような答弁がありますので、これはある意味、公式な答弁だと思います。

 本来、福島の賠償に備えて積み立てておくべきだったということは、この福島の賠償は予想して積み立てておかなきゃいけなかった。福島の事故というのは想定外の部分がたくさんあったと思うんですけれども、今回の事故に関しては、事前に予想して積み立てておくべきだったということでよろしいですね。

世耕国務大臣 そこが一番難しいポイントなんです。

 実は、事故が起こる前は、制度としては、原子力賠償法に基づいて、一千二百億円、賠償措置の積み立てをしておけばよかったという状況なのであります。

 このときに、では、それ以上、福島の事故はああいう形になっているわけですが、当然、それぐらいの規模の事故を予想してその金額を積み立てるということが現実的であるかどうか。これはやはり、当時わからないわけですね。大体どれぐらいかということもなかなか規模感もわからない。そういう中で、わからないものを例えばえいやで十兆円積んでおくという方法もあったかもしれませんが、それは必ず総括原価に織り込まれて、当時の電気代にそれははね返ってくるわけなんです。

 それはよくないだろうという、金額がはっきりしないもの、千二百億円で足りるとも思っていないけれども、一体幾らかかかるかわからないものを総括原価に織り込むのはどうだろうかということで、織り込んでこなかったわけであります。

 それで福島で事故が起こった。これは予想していたわけではありません。事故が本当に残念ながら起こってしまった。そしてその後に、これは民主党政権下ですが、原賠機構法という法律が措置をされて、そこで賠償のお金を積み立てていくという仕組みがようやくできたわけであります。

 そういう経過があるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

落合分科員 積み立てが足りなかったから追加で取りますということなんですが、本来積み立てるべきだったということになりますと、やはりこれは、福島の原発事故程度を想定しないといけないということになると思います。

 こんな大きな事故を前提としなければならない事業、これは、原発というもの自体がやはりもう論理的に破綻をしてしまっている。また事故が起きるかもしれないということで新たな積み立てが始まるのであれば、もっと電気代は高くなってしまうわけでして、やはり原発というのは、賠償も想定に入れたならコストはもっと上がりますし、原発というのは、これからどんどんふやしていく、または今の状況を維持していくのも、やはりコストの面からも難しいんじゃないですか。

世耕国務大臣 まず大前提として、もう福島第一原発のような事故は絶対に起こしてはならない。そういう意味で、安全最優先で取り組んできているわけでありますし、福島第一原発のいろいろな教訓を新規制基準に反映させて、世界で最もレベルの高い基準ということにもなってきているわけであります。

 ただ、その上で、さらに万々々が一ああいう過酷事故が起こった場合にも、賠償等に対応できるよう備えておこうということを、これを民主党政権時代、我々も賛成しました、自公も賛成をして、原賠機構法の中でこの積み立ての仕組みをつくっていったという経過があるわけであります。

 ただ、そのときに、過去の分はなかったわけです。過去の分はずぼっと穴があいているわけですが、これをどう回収するか。それも、規制料金のもとでは余り考えなくても全体で取っていくことができたわけですが、これからは、新電力を利用する方々がふえてきて、いわゆる、このお金を負担しない可能性の人が出てきてしまった。まだ今はシェア五%とかそれぐらいですから大きな影響はないかもわかりませんが、今後競争が進展したら、三割、四割の方が過去分を負担しないといったとき、それが本当に公平なのかということを考えて、やはり公平ではないだろうと。

 過去の分については、今その方々は原発は使っていないかもしれないけれども、過去は原発の裨益を受けていたわけですから、その分については、過去の分については公平に負担いただく必要がある。そのための手段として託送料金を利用しているということを御理解いただきたいと思います。

落合分科員 そういうことからして、託送料金に乗せますということを小委員会の諮問に基づいて経産省が決めたわけでございますが、改めて伺いますが、この決め方、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会のさらに下の小委員会で中間取りまとめ等提言が行われました。それが省の方針になって、国会の審議も法案という形ではしていない。こういうふうに私が自分で取り上げた場合は審議がされるわけですけれども、省令等の改正に入って電気代が上げられるというプロセスを経るわけですけれども、これだけ金額が大きい問題に関して、国民の代表である国会議員の多数決も経ない、国民も説明を十分に受けているのか、それから、国民が意思を十分に表明できたのかという問題があると思います。

 民主主義国家であるからには、エネルギー政策もある程度民主主義が働いていないといけないことだと思いますが、この決め方はこれでいいと大臣はお考えでしょうか。

世耕国務大臣 これは要するに、法改正をなぜ行わないのかという趣旨の御質問だと思います。

 これは私が勝手に考えてそうやっているわけではなくて、電気事業法がそういう決めになっているわけであります。

 ここはちょっと重要ですからきちっと答えさせていただきますが、電気事業法上、送配電網の維持管理にかかる費用などに加えて、それ以外、ユニバーサルサービス料金など、全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金により回収できる、その中身は経済産業大臣が認可することで決められるという形になっているわけであります。

 どうそうなったかというと、現行の託送料金に関する電気事業法の規定は、二〇〇〇年に電力の小売が部分的に自由化された際に設けられました。これは、当時、審議会の報告書で、供給信頼度や望ましい電源構成の維持など、公益的課題への対応に必要な負担については、全ての需要家が公平に負うことを原則とするとされたことを踏まえたものである。その後、託送料金が届け出制から認可制に変更する改正はありましたけれども、この趣旨が今も生きているわけであります。

 こうした法律の趣旨を踏まえて、今回の措置においては、賠償への備えの不足分や、通常の原発の廃炉作業に要する費用の一部について、これはやはり、全ての消費者から公平にいただくべき費用として、託送を回収するために制度措置を講ずることとさせていただいております。

 具体的には、今後、詳細は検討しますけれども、例えば賠償への備えの不足分を託送料金に算入できるようにする際には、託送料金の費用項目を定めた省令を改正するという手続を踏むことになります。

落合分科員 これで終わりますが、今回のような総額が大きい事例に関しては、やはり、二〇〇〇年に決めた法律だけを適用するのではなくて、国民への説明を何か行っていく必要があると思います。やはり、エネルギーの問題は国民の理解がなければ前に進んでいかない。信頼が重要である。

 そういった意味で、より一層の工夫を求めて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて落合貴之君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮下主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮川典子君。

宮川分科員 自由民主党・無所属の会の宮川典子です。

 きょうは、経済産業省に宛てての質問ができるということで、本当に感謝申し上げております。

 ずっと常任委員会の希望を出しておりましたけれども、ずっと四年間外れ続けていまして、なかなか質問したいことができなかったので、きょうは、そのフラストレーションをしっかり発散するように、元気よく質問していきたいというふうに思っております。

 私は、先ほど政務官もおっしゃっていましたけれども、どちらかというと教育とかそういうものが専門だというふうに言われているんですが、実は、ずっとエネルギーの問題にも今まで携わってまいりました。少なからずではありますけれども、これからエネルギーの問題というのもいろいろな意味で大変重要だというふうに思っていますので、きょうはエネルギー関連の質問をさせていただきたいと思っております。

 まず一つ目は、自然エネルギーとか再生可能エネルギーというものの割合をこれからふやしていこう、エネルギー基本計画の中でも、その割合をふやしながら、いずれかのうちには必ずベストミックスを見つけるのだということでこれまでやってきたわけですけれども、ただ、この自然エネルギー、再生可能エネルギーのウイークポイントというのは、やはりその効率性の悪さだというふうに思っております。

 確かに、やってみると、いろいろなエネルギーの形があって、そして、それが発電なり熱なりいろいろなものに活用ができる、そのプラスの面はよくわかるんですが、やはりエネルギーというのは、一番は効率がよいということ、そしてロスが少ないということは、一つの産業にするにおいても重要な観点だというふうに思っております。それが一番のウイークポイントということで、十年以上もいろいろな話をしてきたわけですけれども、ぜひこの効率の悪さというのを乗り越えたいなという思いがあって、私もいろいろな研究者の皆さんからお話を伺ったりしながら今やっているところであります。

 例えば、五年前と比べた場合、いろいろな技術革新があるんだというふうに思いますが、何か特定のエネルギーのものでもいいです、太陽光でも何でも結構ですけれども、五年前と比べて、その技術革新なんかにより効率性が少し改善されたという事例があったら、ぜひ教えてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、再生可能エネルギーの利用拡大を進めていくためには、効率性を上げて、そしてコストを低減させていく、こういうことが非常に重要でございます。

 それで、今、五年前ということでございますが、済みません、二〇一〇年と二〇一六年の比較ということで申し上げます。

 一つは太陽光でございまして、太陽光は、モジュール自体の発電効率の向上、それから発電所全体の運営改善といったようなことがございまして、設備利用率、二〇一〇年で約一二%と言われておりましたが、足元、二〇一六年では一五%程度まで上昇しております。

 それから、風力発電についてもデータがございますが、ウインドファームの大規模化、それから風車が大型化しているといったようなことで、これも足元の設備利用率は、二〇一〇年の二〇%から、足元、一六年は二五%くらいまで上昇しているということでございます。

 引き続き、再生可能エネルギーの利用拡大に向けまして、発電効率の向上、このために必要な研究開発といったようなことをしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

宮川分科員 ありがとうございます。

 少しずつ、微量ながらと言ったら変ですけれども、効率が伸びてきているということですから、やはり、ここに対していろいろな工夫をして技術革新をしようとする民間の方も研究者の方もたくさん全国におられますので、ぜひアンテナを高くして、いろいろな技術を積極的に取り入れて、まずは試算してみる、試運転をしてみるということが私は重要ではないかなと思っております。

 それをまずやってみて、どれが一番効率がいい、また、その地形や場所、いろいろな条件、諸条件によってその技術が最もいいかどうかというのは変わってくると思うんですね。ですので、ぜひそういう実験をどんどんどんどん積極的にエネ庁としても経済産業省としてもやっていただきたいなという思いがあります。

 試してみないとわからない。実験だけではなく、やはり自然界に置いてみて初めてわかるという効果もありますので、ぜひそういうお取り組みを積極的にやっていただきたいなというふうに思っております。

 先ほど、私は、効率性の悪さということを技術革新で乗り越えるべきだというお話をしましたけれども、このエネルギー産業の中で、エネルギーを生産するに当たって、いろいろな技術革新というのが行われているなということを私も承知していて、それに対して何とか開発支援というのをしていきたいなというふうに思っております。

 例えば、太陽光パネルというのは大変メジャーになりましたけれども、屋根につけるとかメガソーラーのように土地の上に直接パネルを立てるのではなくて、今は、水面フロート、フロートの上にパネルを置いて、それを貯水池だとか、あとはダムの湖面なんかに使いながら、自然を破壊することなく太陽光発電をやっていったらどうかというようなことの取り組みを、特に埼玉県なんかは強くやっていらっしゃいます。

 ただ、これは河川法で、係留式じゃなきゃいけない、アンカーをおろして岸に何か機具をくっつけなきゃいけないとか、いろいろと実は規制があって、他省庁との連携もしながらやっていかなければいけないと思います。

 太陽光パネルはもともと屋根につけるためにつくったものだというふうに私は思っていますけれども、それはどんどんどんどんメガにしていくべきだということで、やはり、森林破壊とか耕作放棄地の問題を少し先送りにして、何となくそこにパネルを置いてしまうという安易な考え方も出てきてしまうので、そうであれば、破壊をせずに、今あいているスペースを有効活用するこのフロートなんかも重要ではないかなと思います。フロートの、水に浮くもの自体は今ヨーロッパ産のものが圧倒的に多くて、まだ日本ではこのフロートの技術というのが少しおくれぎみかなというふうに思いますが、他省庁との連携なんかもありましたら、ぜひ教えてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、水上設置型の太陽光パネル、運搬、設置、撤去などが比較的容易に行えるということで、低コストでの導入が期待できるということでございます。一方で、耐水性でございますとか、あるいは軽量化といった技術課題もございまして、実は、平成二十五年から、例えば、NEDOで技術開発のプロジェクトを応援してきたというような経緯もあるわけでございます。

 それで、今現状どうなっているかと申し上げますと、例えばダムでありますとか、あるいは農業用のため池といったようなところへの設置が進んできておりまして、例えば、今、千葉県の市原市では約十三・七メガワット級の発電所が建設中でございますし、埼玉県でも七・六メガワットの発電所ということで、かなり数がたくさん出てきている段階にございます。

 こういう中で、今御指摘ございましたけれども、例えば農林水産省、あるいは国土交通省、こういった関係省庁、あるいは自治体といったようなところとも連携を深めながら、こういったものがスムーズに設置できるよう、我々としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

宮川分科員 再生可能エネルギーを進めていくに当たって一番気をつけなければいけないのは、自然破壊をしないということが私はとても重要だというふうに思っていますので、ぜひ他省庁との連携を深めて、そして、有効に使える場所は水の上であろうとどこであろうとやはり使っていくという積極性を持っていただきたいなと思います。

 あとは、太陽関連エネルギーということで考えますと、太陽光から太陽熱に移行しているところもたくさんあります。太陽光というのは、やはり日が出ないと、集電というか、熱の蓄積もできませんし、また電力を発電することもできないわけですけれども、熱というのは、曇りの日でも雨の日でも熱さえあれば発電ができる、二十四時間可能だというふうにも言われています。技術革新はもっと広がっていると思います。

 例えば、太陽光パネルというのは一枚が大変大きなパネルですが、太陽熱のパネルというのは三十センチ四方ぐらいでできる。同じぐらいの発電量だったら、かなり小さいものにできて、スペースを狭めながら、しかし効率よくすることができるということで、私自身は熱に着目をしています。

 また、いろいろな化学会社なんかが今、半膜PVといって、膜ですね、パネルではなくて、もうほぼ一枚のフィルムのような膜で発熱や熱利用ができるように、そういう開発を進めておりますし、例えば、それを国会議事堂の全ての窓につければ、二十四時間そこで熱利用ができるようになるというぐらいの、もう実験段階を超えて実用段階にまで今来ています。

 ですので、この太陽光から太陽熱への取り組みが民間では大変盛んだと思いますが、国としてはどのような支援をしているのか、ぜひ伺いたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 実際、エネルギーの消費の実態を見てみますと、最終的には、例えば給湯とか冷暖房といった熱の利用という形で使われているケースが多うございますので、例えば太陽のエネルギーをそのまま熱エネルギーとして利用するということについては、エネルギーの効率的な利用、あるいはCO2削減という観点から、大変有望なやり方だというふうに思っております。

 ただ、残念ながら、御指摘のように、太陽熱の利用設備新規導入件数、かつてはかなり多かったんですけれども、今、足元、例えば、太陽熱利用設備、年間約二万台といったような状況にございます。これは、やはり導入のコストがまだかなり高どまっているということ、それから、日本の場合、電気であったりガスであったり、こういったほかの熱利用設備がかなり高効率のものが達成されているというので、技術間の競争の競合ということ、それから太陽光発電との屋根の上の競合というような問題もありまして、なかなか進んでいないということがございます。

 経済産業省といたしましても、こういった熱を使った方が有利なものについては熱を活用するということが適切だと考えておりまして、太陽熱も含めたこうした熱利用の低コスト化のための技術開発の支援、それから、省エネ住宅、建物といったようなものに熱利用設備を入れていくといったようなことへの支援といったようなことにも取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮川分科員 屋根の上の競合というのはおもしろい言い方ですけれども、実際だなというふうに思いました。

 屋根だけではなくて、壁とか窓とかいろいろなところで熱を吸収しているわけですので、さまざまな技術が出てきたときに、それをやはり試していける、積極的に導入ができる、そういうスキームをつくっていく必要があるかなというふうに思っておりますが、やはり熱利用に関しては、高効率なものが大変多いので、まだ技術的な問題点があるということも、これはある意味、民間の皆様にも受けとめていただいて、どうやったらさらに効率よくなるのかということも検討の余地があるんだろうなというふうに思っております。

 今、低コストであるということが重要だというのは何度も答弁の中で言っていただいているんですが、そのことを考えますと、一番コストがかかって大変だな、しかし、皆さんがトライアルしたいなというふうに思っているものの一つに木質バイオマスがあるというふうに思っております。

 確かに、木質バイオマスを進めると、まず森林の整備をすることができる。そうすると、今度は防災にもそれがつながる、しっかりとした植林とかそういうものをしていくので防災にもつながる。しかも、その切り出した間伐材をチップなどにして熱利用をしたり、また発電をしたりすると、これは一挙両得以上のものがあるんじゃないかということで、皆さんかなり、特に山間地を多く抱えている都道府県、地方なんかでは積極的に取り組まれているわけであります。

 ただ、私が実態を見ていて、木質バイオマスというふうにいいますと、大体がチップ加工をして使っているわけですが、非常に高コストですね。まず、チップをつくる機械自体が非常に高コストであって、そして非生産的であるというふうに言わざるを得ない面があります。

 確かに、先ほど申し上げたような、一つの効果だけではなくて二つも三つも効果があることを一挙両得にやっていくということは、エネルギー政策にとって大変重要なことだとは思いますけれども、しかし、あれだけのコストがかかってしまって、また、木を切り出す業者も少ない、自分たちでやっていてという自転車操業のようにチップをつくっているのでは、私はなかなか難しいのではないかなという思いがしております。

 その木質の欠点をある意味では埋める技術として、北九州大学なんかが中心となりまして、今、木質の油化に取り組んでいる大学、研究者が非常にふえてきたと思っております。

 例えば山梨県であれば、ブドウの生産高日本一ですけれども、ブドウの剪定材というのは大体四万トンから五万トン、毎年、今の時期、この寒い時期に皆さんが剪定をなさるんですが、四万トンから五万トン、ブドウの木があります。これは今、産業廃棄物で捨てている、もしくは、余りここで言っていいかどうかわかりませんが、畑で燃やしてしまっているというのが現状です。

 ただ、ブドウの木というのは非常に油の出やすい特異な木だというふうに思っているので、何とかこの油化、油に変えていく方法に関してももう少し力を入れていくべきじゃないかなというふうに思っております。しかも、木質から出た油というのはA重油に相当するような油なんですね。そうすると、これはハウス利用とかいろいろな、SSを含めての農機具の燃料であるとか、そういうものにどんどんつながっていくということですから、先ほど申し上げた、行った先が一挙両得になるというものだと思うんですね。

 生産するときにもプラスがあるけれども、それができた後にもさらに活用方法があるということで、このあたりに着目していったらどうかなと思うんですが、省としてどういうふうに考えているのか、ぜひ伺いたいと思います。

藤木政府参考人 これも御指摘のとおりでございまして、木質バイオマスの用途を拡大していく、そのためにも、油化をするという技術は大変重要であるというふうに思っております。

 バイオマス原料をガス化して液体燃料化する技術、バイオマス・ツー・リキッドという技術でございますとか、あるいは高温高圧の熱水中で熱分解して液体燃料化する技術、こういったようなものが今盛んに研究されているというふうに聞いております。

 民間企業においてもさまざまなアプローチからこういった油化ということに取り組まれているというふうに承知しておりまして、経済産業省といたしましても、例えばBTL燃料でございますとか、その他、セルロース系のバイオエタノールといったようなものについても、研究開発について支援を行っているところでございます。

 バイオ燃料は、石油依存度を軽減し、エネルギーセキュリティーの向上、CO2削減に寄与する、また、今先生御指摘のとおり、バイオ資源の有効活用という観点からも大変重要な技術であるというふうに思っておりまして、我々、バイオ燃料の技術開発ということについてさまざま支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

宮川分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 技術革新について何か私がつらつら言うのはあれなんですが、最後に一つだけ。

 実は、私は、ダム・水力発電関係市町村等振興議員連盟の事務局長をしておりまして、ダム水力発電を一生懸命やっている自治体というのは大変小さい自治体が多いんですね。山間地というよりも山岳地みたいなところにあるような町、村が、ダムをしっかり守りながら発電を今やっている。自分たちもそういうことに寄与しているんだということで誇りを持ってやっていらっしゃるところが多いんですが、ただ、周りの環境整備にも非常に負担がかかってしまっていて、苦しい状況であると。

 それともう一つは、水力発電をやっているダムの施設自体が老朽化をしたり、また、新しい改良された機器を入れるのに大分巨大なコストがかかってしまうので、自分たちの判断だけでは立ち行かないという方たちがいらっしゃいます。

 ただ、水力発電はエネルギー基本計画の中でかなり上位の扱いをされていますから、これから国としてもう一度、ダム水力発電についてはかなり力を入れ、また、機器の改良も含めてやっていかなければいけないと思います。

 ダムのすばらしさというのは、もちろん砂防とか防災という面もありますけれども、もう一つは、あれだけ豊かに水を蓄えているのであれば、やはり電力を発電するということは、これからの日本にとって大変重要だと思っております。ですから、キーになるところなんですが、ただ、施設が膨大に大きいので巨額なお金がかかってしまう。それに関して国でももう少し、技術は民間が今一生懸命開発をしているところですから、ぐっとパーセンテージを二〇%から三〇%くらいに上げられるだけの技術はありますから、あとはそれが設置できるかどうかなんですね。

 ぜひ、巨額の投資が必要になるわけですが、それについても大きな支援を国としてしてさしあげたいと私なんかは強く思っているんですが、経済産業省としてはいかがでしょうか。

藤木政府参考人 水力発電は、安定した電力供給という観点からも大変重要な電源であるというふうに思っております。

 この活用をさらに進めていくという観点で、一つは、高い発電効率を有する発電設備やコスト低減に向けてさまざまな新しい発電設備の実証事業というのを応援していくということがあると思っております。

 それから、今御指摘のように、既存の発電設備を最新の技術で高効率化していくということも重要だというふうに考えておりまして、こういった事業に対する支援というのも考えていきたいというふうに思っております。

 小水力に関して言えば、リプレースというものについてもしっかり支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

宮川分科員 今までつくってきたものをしっかりリフォームして、いろいろな方法でこれから発電の幅を広げていく、効率性を高めていくということが大変重要だと思います。その技術革新に対して支援をしていくというのが、まずはエネルギー政策を前に進める一番の後押しになると思いますので、きょうはせっかく世耕大臣もいらしておりますので、ぜひお願い申し上げたいなというふうに思っております。

 三点目、もうあと十分ですので、ここからは太陽光パネルのことについて私は質問をしたいと思っております。

 先ほども、この委員会が始まる前に少しお話をしておりました。太陽光パネルをしっかり導入して再生可能エネルギー、自然エネルギーをもっと高めていこうじゃないかということで、特に東日本大震災が起きた後、FIT法なんかで皆さんにかなり守っていただいて、高額で買っていただいたので、いろいろなところに波及をしました。これが決して私は悪いとは申し上げません。しかし、やはり適正ではないんじゃないかという一つの疑念を持っております。

 例えば、私の地元に山梨県の北杜市というところがあります。そこは、今、認可したところが四百五十件余り、そして、今から施工をする、認可がおりているのが千六百件なんです。一つ当たりが一ヘクタールを超えるところは多々ありまして、今開発をされているところで私が存じ上げているところは、一番大きいのが七ヘクタール。七ヘクタールというと、皆さん、想像していただければ大変広大だということはわかります。

 風光明媚な観光地であるにもかかわらず、そこの観光地に行くまでの道は全部両脇が太陽光パネルということで、確かに、市、自治体も積極的に取り組んだ。なぜなら、日本で一番日照時間の長い市なので、そういう特性を生かして自分たちも国の施策に寄与するんだ、そういう思いで進めてきたわけですけれども、適正な幅を私は超えてしまったのではないかなというふうに思っております。

 そこで、私個人もそうですし、住民の皆さんが大変不安に思っていらっしゃるのは、太陽光パネルというのは半永久的に使えるものではありません。耐用年数が来たら必ず処分をしなければいけないものです。しかも、この地元では、日照時間ナンバーワン、日本一ということを使って、太陽光発電がこれだけ広がる前に、もうずっと前から実は取り組みをしております。そうすると、私は、あと五年か十年で耐用年数を迎えるパネルがかなり大量に出てくる、そして、今これだけ世の中に広がった太陽光パネルを処分するのには、恐らくあと二十年後ぐらいには物すごく大量の、莫大な量が出てくるというふうに思っております。

 このパネルを簡単に処理することができればいいんですが、太陽光パネルの中には鉛とかカドミウムとか非常に有害な物質が入っている。そこに放置しておいて溶けてなくなるというものではなくて、実はその中に入っている成分をきちんと処理しないと、私は大変大きな問題になるというふうに思っております。実際に我が山梨県でも、上空からヘリか何かで撮影をすると、山の山頂が切り開かれていて、そこに不法投棄がされている。しかし、その山はもう既に大きな水源で、皆様が飲んでいらっしゃるミネラルウオーターの何分の一かの水源なんですね。そういうところにも不法に投棄をされている。

 ということは、これがもし公害になったり、皆さんの人体に何か影響を及ぼすような問題になったとしたら、太陽光で再生可能エネルギー、自然エネルギー、みんなでもっと取り組んでいこうよといった国の施策が、最終的には国民を裏切ってしまうようなことになりかねないと私は大変危惧をしているわけであります。

 カドミウムとか鉛が入ったもの、これが公害になったといえば、イタイイタイ病もそれが原因だったというのはもう歴史が証明していることでありますから、何とかそれを未然に防止しなければいけない。そのためには、まずはしっかりとパネルの処分を考えることが重要だというふうに思っております。

 今、どういう対策、これから莫大に出てくるこのパネルをどうやって処分していくのか、方針をしっかり伺っておきたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電設備の廃棄量の増加は将来的に見込まれます。ですから、環境省では、平成二十四年度から、経済産業省や関係団体とも連携いたしまして、排出見込み量とか、あるいは含まれている有害物質の評価、国内外の制度の状況などを調査いたしました。

 これらの結果を踏まえまして、二十七年度には、太陽光発電設備のリユース、リサイクル、適正処分に関するロードマップを取りまとめております。ロードマップの中におきましては、リサイクル技術開発への支援、FIT期間終了後の継続利用やリユースの推進、それから関連事業者による自主回収スキームの運用状況を踏まえた義務的リサイクルの必要性の検討を今後の課題として整理をいたしております。

 さらに、平成二十八年四月には、安全な廃棄や処分のため、自治体、事業者向けに、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインも公表しております。

 さらに、新しいところでは、今月十四日に中央環境審議会から、自主的なリサイクルの実施状況や欧州の動向も踏まえまして、リサイクルを促進、円滑化するための制度的支援、必要に応じて義務的リサイクル制度の活用を検討すべきという意見具申もいただいておりますので、そうした方針に基づきまして、引き続き取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

宮川分科員 二〇四〇年ぐらいでしょうか、二〇三五年から四〇年ぐらいに当たって、恐らく二十五年ぐらいの耐用年数のパネルが非常に大量に出てくるということですから、ごみの処分、廃棄物の処分というのは、地域でやるにせよ、どこがやるにせよ、その対応には大変時間がかかるものであります。もうことしが二〇一七年ですから、三五年と新しく考えると、もう二十年ないんですね。

 ですので、ぜひそのことを見越して、また、その間にもずっと太陽光パネルは処分が出てくるわけですから、今やっても遅いぐらいだと私は思っています。この処分のことに関しては、環境省も大変今力を入れていただいていますけれども、スピード感を持ってぜひやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 そしてもう一つは、処分の問題と同時に、新エネルギーに取り組んでくる企業さん、頑張っている業者の方もたくさんおられます。しかし、そうではなくて、大変無責任な経営をしているところもあります。

 私が実際に聞いた中でありますと、太陽光パネルを置きませんか、メガソーラーをつくりませんかと言って、地権者の皆さんがサインをして認可がおりた。しかし、そこには会社の実体がほとんどなくて、連絡がとれなくなったので、言われた住所に行ってみたら空き地だった。そういう業者も実はたくさんあります。お金を取るだけ取っていって、その後全く設置をしない。

 そうすると、先ほど申し上げたように、伐採をしたままの空き地が残ってしまうとか、あとは、パネルを置いたんだけれども、今やっと設置基準ができましたからある程度今は安定的に設置をしていますけれども、実際、今私たちの地元にあるのは、ドラム缶に石を詰めてその中に足を突っ込んでいるだけのパネルもあります。それが洪水のときに流れていろいろな災害が起きた、もしくは被害が出た、これはちょっと相談をしたいなと思って業者に電話をしたら一切つながらないということで、いろいろな技術革新はいいんですけれども、運営をする側の信頼度というのは大変低くなっているなということと、やはり人道的、道徳的に適切な事業をやっていく方ばかりではいいんですけれども、そうではない方も散見されるというのが現状だと思います。

 こういうふうになったときに、もちろん民民なんですね、民民のことですから、民間業者が民間の一般の皆さんに、国民の皆様にアプローチをして、そこで契約が成ったものというのは、確かに、もうそこで責任をとってくださいというふうに申し上げなければいけない面も一部にはあると思います。それは現実問題としてあると思いますが、しかし、エネルギー政策というのは、あくまでも、やはりどこかに国策というのがあって、そして許認可を出すのは自治体であって、行政が絡んでいるということを考えると、一体誰が最後までどのように責任をとるのかということを、しっかりそのスキームを決めないままでこのまま進んでいってしまっていいんだろうかということを私は大変危惧しています。

 太陽光発電を一生懸命やろうということで進めてきました。しかし、進めるがゆえにやらなければいけない制度の整備もしくはスキームをつくるということが、まだ不備があったのではないかなというふうに思っていますけれども、しかし、これがもし何かの問題が起きたときに、やはり太陽光も原発みたいな問題だったじゃないか、つまり、いろいろな対処を何も考えずにあのときただやれと言ったのかというふうに、国民の信頼を裏切らないことが私は一番重要だと思っているんです。

 これからやるエネルギーのさまざまな取り組みはどんどんやるべきだと思います。しかし、それには必ず、何十年後かに起き得るリスクのリスクヘッジをしておかないと、それはもう政策とは言えないというふうに私は思っていますので、ぜひそこは考えておかなければいけないところだと思います。

 ぜひ、きょうは、中川政務官、同期でありますけれども、本当にこの問題に関して誠実に答弁をいただいて、そして、国民の皆さんがしっかりとエネルギー政策を理解し、取り組んでいただける環境づくりに私も邁進していきたいと思いますので、ぜひ前向きな御答弁をお願いします。

宮下主査 中川政務官、時間が過ぎておりますので簡潔にお願いします。

中川大臣政務官 きょうは、同期の宮川先生から、太陽光発電で、環境問題等々も含めて、非常に見識の高い質問を賜りまして、ありがとうございます。

 そういった事案というのが各地であることも承知をしておりますし、今先生から御指摘いただいたことを経済産業省としてもまたしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

 その上で、業界団体とも連携をしながら、パネルの廃棄方法について困っている発電事業者が相談できる体制を現在構築すべく検討しているところです。例えば、一般社団法人の太陽光発電協会の中に、いろいろな消費者からの問い合わせの窓口で、太陽光発電消費者相談センターというところがあるんですけれども、そちらに例えば困っている個人の発電事業者から何か問い合わせがあるときには、対応していけるようにしていきたいとも考えています。

 また、本年四月の改正FIT法の施行にあわせて、国としても、地元の保守点検業者に関する情報を発電事業者に提供することや、保守点検業者への研修を実施することを検討しているところでもあります。

 いずれにしましても、きょういただいた見識の高い御質問でもありましたし、しっかりと私どもも対応していきたいというふうに考えております。

宮川分科員 ありがとうございました。

宮下主査 これにて宮川典子君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)分科員 世耕大臣とこういう形で議論するのは初めてだと思いますが、よろしくお願いします。

 まず、安倍内閣でのエネルギー基本計画の中で、再生可能エネルギー、電力の中で二二から二四という目標値が挙がっているわけです。私個人はもっと高い目標値で進めるべきだと思いますが、いずれにしても、今よりはふやそうということでやっておられることには、方向としては同じかと思います。

 その中で、ちょっと気になったことが、きょうの朝の日経新聞に、資料の一にも添えておきましたけれども、出ておりました。東北地方は風力が非常にいいので風力発電を進めたい、ただ、時間が若干かかるので、今から本格的に動こうとしている中で、送電網が不足しているという指摘であります。

 しかし、少なくともこの記事を見ると、送電網がないわけではない。つまりは、東通など原発のために用意した送電網は、使われないで現在も存在をしている、しかし、それを考慮に入れないと足らなくなるので、それを整備するまで風力発電の接続が難しいと言われて、関係業界も困っているという。

 これは再エネをふやそうという方向とは矛盾するわけでありまして、これに対して大臣がどうお考えか、まずお聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 まず、系統制約の解消というのは、再生可能エネルギーの推進、特に風力のポテンシャルのある北海道や東北での系統問題への対応ということで、非常に重要だというふうに思っています。

 このため、電力広域運営推進機関では、北海道や東北エリアを含めた我が国全体の広域系統整備に係る基本方針である広域系統長期方針を検討中でありまして、本年度末には取りまとめられる予定であります。

 また、北海道エリアにおける風力発電の連系拡大に向けて、従来の発電所毎の蓄電池設置は費用面で負担が大きいため、北本連系線を利用する実証実験の空き枠の再募集や、共同負担者を公募して、系統側に蓄電池を設置するなどの選択肢を追加したところであります。

 また、東北エリアに関しては、昨年十月、電力広域的運営推進機関が、東北北部エリアのニーズに応じた系統増強を図るため、必要な工事費を共同負担して系統増強を行うプロセスを開始しました。その際、系統増強工事が大規模かつ長期間にわたると考えられるため、系統安定を損なわないことを前提に、増強工事完了前に暫定的な連系を許容する方針となっています。

 また、東北東京間連系線の増強についても、本年二月に具体的な増強計画を取りまとめたところであります。

 また、こうした取り組みに加えて、今後は、地域間連系線の利用ルールを現在の先着優先から競争的なものに見直す検討ですとか、既存のローカル系統設備の利用率を向上させる仕組みの検討に取り組んでまいりたいと思います。

菅(直)分科員 大臣、一般的な答弁としてはそれでいいのかもしれませんが、私が聞いたことが外れているんですよ。つまり、原発用に送電網はある。例えば、ここの記事の書き方によれば、あいている送電線がないわけではないと。そこの後の方におもしろい言い方がされています。四車線の高速道路ががらがらなのに、膨大な費用で真横に一車線をふやそうとしていると。つまり、この一車線がないと風力はだめですよと。

 今、一般的なことを言われたのは、それはそれでいいです。しかし、実際にこういう問題が起きている。現実に使われない送電網があるのに、それを使わせないで、新しいものができるまではだめですよと言っている、そのことをわざわざ聞いたんです。

 一言でいいですから答えてください。努力しましょうとか。

村瀬政府参考人 御答弁させていただきます。

 今、先ほど大臣からも御答弁いただいた中にありましたけれども、系統増強工事が大規模かつ長期間にわたると考えられるものですから、系統安定を損なわないことを前提といたしまして、増強工事前でありましても、今先生がおっしゃった、あいているような連系容量を使って、暫定的な連系を許容するといったような対応をしていくということも考えているわけでございます。

 この記事の中にあります、東北電力が十月に発表したという文書の中におきましても、いろいろな発電所が東北エリアで、風況がいいものですから、風力発電などがどんどんふえていく中で、接続容量が小さくなっている中でも、この資料の中にもありますけれども、電源接続案件募集プロセスというのを始めるけれども、長期の工事を要する大規模なものになることが見込まれるため、この工事期間中においても再エネ事業者が系統連系可能となるよう、当面の運用の検討をしていく、こういった方針も示されているところでありまして、できる限り、再エネ事業者が最大限系統連系ができるような工夫を考えていきたい、このように考えております。

菅(直)分科員 大臣、最後の、それでいいんですか。再エネ事業者ができるだけ接続できるようにということで。

世耕国務大臣 今、事務方が説明しましたように、できる限り我々は再エネ事業者が系統をしっかり利用できるように取り組んでまいりたいと思っております。

菅(直)分科員 これ以上この問題に時間は割きませんが、この記事の中で、秋田県で石炭火力の接続をする、そのために埋まっているんじゃないかということがささやかれていると。これはささやかれているんだから、私も確証があるわけではありません。つまりは、せっかく風況のいい風力の活用を、ほかが先に埋めてしまってやれないというのでは、もったいないだけではなくて、被災地にも近いところが多いわけですから、今、最後に言われたように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、二つ目に入ります。

 太陽光発電の中で、この言葉はまだ余り一般的でないかもしれませんが、ソーラーシェアリングという言葉、あるいはそれに関連して、営農継続型太陽光発電という言葉、御存じなくてもいいんですが、御存じですか、大臣。

世耕国務大臣 きのう通告をいただきましたので、勉強して、わかりました。

菅(直)分科員 一般的ではまだないと思います。

 私もいろいろと見てきました。せっかくですからこの資料を、第二番目に、私が先日行ったところであります。川俣町の、これは兼業農家だったんですね。サラリーマンの方が稲作もやっていた。その稲作のところに、稲作を継続しながら、その田んぼの上に少し高目にやぐらを建てて、間をあけて、そして太陽の光をシェアする、つまりは、稲に太陽が当たると同時にパネルにも当たる、それで、稲作の方も、専門家によれば、十分成長する。そのことを現実にやって、この裏側にも、それがまさに実っている様子も添えておきました。

 このことは、私は非常に大きな可能性があると思って、農林省ともいろいろと話をしております。つまり、今、水田で、稲作で、一ヘクタール、つまり一町歩で、聞くところによると、なかなか五十万円の収入に稲作ではならない。しかし、一町歩、一ヘクタールあれば大体四百キロワットの太陽光発電、これは間をあけてもですよ、そのぐらいのことはできて、年間にすると一千万以上の売電収入が入って、設備費を二十年間で償還するとして、半分ぐらいは収入になる。実際にやっておられる方から話を聞いてもそういうふうなことでありました。

 そこで、これはどちらかといえば農林省にお聞きしたいんですが、こうした営農型太陽光発電は、かなり広がっていると思いますが、端的に、どのくらい広がっていますか。

新井政府参考人 ソーラーシェアリング、いわゆる営農型の太陽光発電でございますが、今のところ、七百七十五件、全国で進められているところでございます。

菅(直)分科員 まだ農林省が、これは柱のところだけですね。農地転用するんですよね。そういう手続もあって、事実上始まったのが平成二十五年ですから、この三年間で今言ったような件数で、事前にいただいた資料だと、合わせて百五十二ヘクタールといいますから、一つのところでいえばかなり大きいですが、しかし、全国からいえば決してそう大きな数じゃありません。

 一つだけ計算してみました。日本には四百六十万ヘクタールの農地があるんですね。もし、この農地を、同じようなやり方、つまり、下では農作物をつくりながら、上で半分ぐらいの太陽光をやって、例えば一ヘクタール当たり四百キロワットの発電設備をつくって、そして、夜は太陽がありませんので稼働率を一四%程度としたときに、全部にやったらどのくらいの量になるか、計算してみました。あるいは専門家の計算を見てみました。そうすると、私の計算が間違っていなければ、あるいはこの専門家の計算が間違っていなければ、約二兆キロワットアワーです。

 大臣は御存じかもしれませんが、今、日本の発電量、トータルが一兆を切りました。今九千億キロワットアワーぐらいでしょう。つまり、全部やれば、もちろん変動とかなんとかを別にすれば、その二倍の量が現在の農地の上でもシェアしながらやれるという非常に大きなポテンシャルを持っているということをぜひ御理解いただきたいと思うんです。

 そこで、これをやる上でなかなか厳しい条件が農林省の方からありまして、つまりは、太陽光を一部遮るわけですから、それによって、下でできる例えば稲とかあるいは何か別の作物が、周辺の同じような作物に比べて八割、減、つまりは二割減、八割をカットするようなときは三年置きの見直しで認可を取り消す、こういう制度に今なっております。

 農林省が農地を大事にされることは、私は決して悪いとは思いません。ただ、実際に三年置きのチェックということになると、大体二十年がFITの期間ですので、二十年を展望して資金を手当てする、金融機関から借りるのは、なかなか貸してもらえないという問題が起きているんですね。

 だから、私は、これは逆に農林省が前向きに捉えて、つまりは、農業と太陽光発電、かつては農業と炭焼きなんというのは一緒にやっていたわけですよ、そういう前向きに捉えて、もちろん農業もしっかりやってもらう、そういう農業指導もしながら、しかし、何かペナルティー的に、だめだったらすぐカットだよというような形はちょっと違うんじゃないか。

 これについては農林省からでも結構ですので、お答えをいただきたいと思います。

新井政府参考人 ソーラーシェアリングにつきましては、御指摘のとおり、営農の適切な継続と売電収入によります農家所得の向上、これが期待できるものですから、柔軟に対応したいと考えておりまして、今御指摘の再許可に当たっての二割減収の要件でありますが、例えば台風や冷害などの自然災害など、太陽光発電設備の設置が原因とは言えないやむを得ない事情がある場合には、その事情を十分に勘案して判断するということとしておりまして、また、営農に支障が生じなければ再度許可するという運用をしております。

 そのことは、昨年十一月に事業者あるいは行政関係者向けのQアンドAを作成しまして、明確にお示ししているところでありますので、制度についての一層の理解が進み、適切な取り組みがなされるよう進めてまいりたいと考えているところでございます。

菅(直)分科員 あわせて、この写真のところも、実は福島県川俣町、つまり被災地域なんですね。

 被災地域については復興庁がいろいろと特例的な扱いをされているということで、いろいろ聞いてみました。そうすると、例えば農地として使えないから宅地転用したいというような場合には、従来のほかの地域よりは規制を緩和されているという説明もいただいたんですが、ここで言う営農型発電というのは、農業をやめるのではなくて、農業は継続する、ただ、発電施設を設けるために、ごく一部、柱のところだけの転用。それが三年置きという、なかなか厳しいわけで、そういう点は少し、特に被災地についてはもう少しこの制度が生かされるような、こういうものを広げたい皆さんには広げられるようなやり方を復興庁としてもとるべきだと思うんですが、どうでしょうか。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 営農型太陽光発電につきましては、御指摘のとおり、営農と太陽光発電の双方収入を得ることができる、期待できるものでございますので、被災地の農業者の帰還促進の一助になるものと考えておりますし、福島県でも意欲的な取り組みが始まっていると伺っております。

 一方で、この制度、営農型太陽光発電に係る農地転用の取り扱いでございますけれども、この制度が営農継続を前提としたものである以上は、例えばなし崩し的な農地転用をもたらすようなおそれになるような、そういった特例まで設けることは被災地であっても難しいのではないかと考えられるところでございます。

 復興庁といたしましても、農地制度の趣旨、枠組みを踏まえながら、被災地においても営農型太陽光発電に係る一時転用の仕組みの利活用あるいは円滑な運用が進みますよう、被災地の地方公共団体の御要望等も把握しながら、関係省庁と連携して対応してまいりたい、かように考えております。

菅(直)分科員 大臣にも聞いておいていただきたいんですが、ここでお見せしたもの以外にも、飯舘という、御存じのように、非常にある意味で線量が高くて、飯舘牛という、酪農家の皆さんが、もう酪農はできない、しかし何とか帰りたいと、飯舘電力というのをつくられたんですね。その中心の方はもともとは酪農家です。そして、現在は、まだ下は牧草地ではあったんだけれども、牧草も果たして牛に食べさせられるかどうかというのはまだはっきりしないけれども、電気は発生させることができる。

 そこで、いろいろと接続の問題とか、私も聞いてみました。もうちょっと大きいのをやりたいんだけれども、大きいとかなり接続のいろいろな設備費が、当初二十一億円かかるなんと言われたとかという話も聞いたんですが、そういうふうにいろいろな問題があって、なかなか前に行かないんですね。

 だから私は復興庁にも聞いたんですが、せめて、本来なら下で牧草をつくって牛にやって育てていたところが、その片方ができないところで、とにかく帰るためのきっかけとしてこういう太陽光発電をやる、そういうところについて、これは経産省においてももうちょっと前向きに何とかしてやろうという姿勢があってほしい。

 いろいろと今事務方とは聞いていますが、なかなか、メガにしようと思うと設備費がかかる、五十キロワット以上にすると、今度は何か、隣り合わせる五十キロワットをつけるのは、分割でなきゃいけないのに、それは一つをわざわざそれを避けるためにやったんじゃないかというふうなことで、それはだめだと言われたり、そういういろいろなことで実務的にデッドロックになっている例をこの間も行って聞いてきました。

 このあたりは大臣もよく聞かれて、しっかり前向きに捉えていただきたいと思いますが、いかがですか。

世耕国務大臣 今、菅元総理にソーラーシェアリングの非常な可能性を教えていただきました。そしてまた、これを被災地で、飯舘村も私はこの間行ってまいりまして、牛が育てられなくなっている状況も見てきて、何とも言えない思いになったわけであります。そういうところがこういったことを事業として、なりわいとして展開をして、それが帰還決断とか帰還促進につながるのであれば、これはぜひ進めていかなければいけないというふうに思います。

 先ほども、農水省は、二割減収要件はかなり柔軟に運用するようなことも言ってくれております。我々も、官民合同チームという、事業の立ち上げとかをやっている方々にいろいろと助言をするチームも現地に、経産省の人間も入ってやっていますので、こういう、地域で発電を考えていらっしゃる方々が少しでも事業として成り立てるように、我々も、制度の柔軟な運用と、また、事業に対するアドバイスといったこともぜひ積極的にやってまいりたいと思います。

菅(直)分科員 大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 多少釈迦に説法になるかもしれませんが、つまり、今、日本は、多分二十兆円をかなり超すぐらいのエネルギー代金を外国に払っていると思うんですね。私は、いろいろな国やいろいろなところを見てきましたが、日本のエネルギーは自給できる、こう思っています、もう二十年もすれば。先ほど言った、さっきの営農型だけでも、全部やれば、少なくとも変動とかなんとかを除けば二倍になるといったように、風力もありますし、いろいろなものがあります。

 そうなると、私は、世界が今非常にちょっと揺らいでいますけれども、やはりエネルギーと食料、それから人口、今から五十年後を考えると、お互いにもう五十年後はこの世にいないと思いますが、多分人口は、相当少子化対策を頑張っても八千万ぐらいになります。そして、エネルギーが自給できるとして、雨の多い日本ですから、食料もいざとなれば自給できる。こういう自立した日本というものを前提にしたときに、どういう国際的な社会の中で活動をするのか。

 全部、ホルムズ海峡まで行かなきゃいけない、あるいは三十兆円近いお金を外に出さなきゃいけないという前提でこれまで考えてきましたが、そういうことが自立できるようになれば、もっと私は日本の国のあり方を自立的に考えることができる、そういうふうに前向きに捉えているんですが、もし感想があればお聞かせください。

世耕国務大臣 いろいろなエネルギーを組み合わせて、あるいは、同じエネルギーでも調達ルートを多様化してエネルギー安保をしっかり図っていくということは非常に重要だというふうに思っています。

 経済産業省としても、再生可能エネルギーというのには非常に可能性は感じておりますので、いろいろな技術を組み合わせて、例えば蓄電を組み合わせて安定を図るという考え方もあります。

 いろいろな形で、可能性を否定しないでしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

菅(直)分科員 それでは、残りの時間で、福島原発の廃炉について少しお尋ねをしたいと思います。

 私は、この廃炉についての方針について、ことしの夏ぐらいまでに方針を決めたいというようなことを聞いておりますけれども、責任の体制とそれから技術的な問題と、二点まずお聞きしたいと思います。

 まず、技術的な問題でいくと、資料の四につけておきましたけれども、いわゆる国際廃炉研究開発機構、IRIDというんですか、ここが今かなりの研究を政府との関係も含めてやっておられて、ここでは、スリーマイル事故を先行事例として、燃料デブリを全て水に浸す冠水工法を基本として検討を進めてきている、こういうふうになっています。

 大臣はこの問題どの程度お詳しいか知りませんが、私が知る限り、スリーマイルの事故と福島原発事故の極めて大きな差は、原子炉、つまり圧力容器が底が抜けているんですよ。スリーマイルの場合はそれが健全でしたから、中で三分の一ぐらいのメルトダウンが起きたけれども、水を入れて、そしてそれを切り出すという形でデブリを取り出すことができたんです。しかし、福島原発は少なくとも圧力容器に穴があいているんですから、底が抜けているんですから、水を満たすことはできません。もし水を満たすとすれば、ここの図にもあるように、格納容器全体を水で満たすということになるんです。

 私も、関係者に聞いてみました。どうですかと言ったら、格納容器全部に水を入れて大丈夫かなと。今でもいろいろ穴があいています。小さい穴があるから、汚染水です。物すごい巨大です。水を入れるだけでも、その重さに耐え得るように必ずしも設計してありません。

 そうすると、私は、この冠水というのは一つの選択としては十分わかるんですが、スリーマイルを参考にして冠水ができると考えるのは間違っている。場合によったら、さらに外側に巨大なプールでもつくって、格納容器ごと冠水させるということであれば、またあるいはあるかもしれませんが、今の格納容器の強度の中で冠水でそういう作業をするというのは、私の理解では、相当難しい、こういうふうに思っています。

 この点について、大臣からでも、もしほかの方からでも、所見があればお聞かせください。

世耕国務大臣 今御指摘の冠水―上アクセス工法というもの、これは、この文書にも書いてありますように、これで何も絶対できるというわけではなくて、当然、今御指摘のように、格納容器がダメージを受けている可能性もあるという状況の中で、今いろいろとロボットを入れたりして中の状況を探っているという状況であります。これから一歩一歩進めていくんだと思います。

 スリーマイル島原発のことだけを参考にするのではなくて、海外のさまざまな事例を参考にしたり、またいろいろな経験のある専門家の御意見も伺いながら進めていきたいというふうに思っております。

菅(直)分科員 多少私が聞いた話だけ紹介しておきますと、格納容器はどのくらいもつんですかと聞いたら、一応四十年から六十年使用することを前提としていると。ただ、それはメンテナンスをしているわけです。さびたらペイントを塗りかえるとか。しかしそれには、従来から定期点検でやっていたわけですが、今は御存じのように、格納容器の中の放射線量、この間、かなり高いところでは六百五十シーベルト・パー・アワーですよ。一分もあれば命がなくなる。つまり、もうそういう、格納容器そのものを内側から補修することも事実上不可能な状況にあるわけです。

 あるいは、スリーマイルだけではないと言われましたけれども、私はチェルノブイリも行ってきました。あそこはまた全然構造が違いますし、現在何をやっているかも御存じでしょう。三十年たって、石棺の中から放射能がどんどん漏れ出して、日本もお金を出して、でかい、私も見てきました、大きな金属のドームをかぶせて、多分このまま五十年、百年見守るしかないんですよ。取り出すべきだという指摘はありますが、なかなか見えてこない。

 ですから、私は、日本も、余り四十年でできるできるという言い方ではなくて、百年がかりの仕事だと。だから、私は、その責任体制も、東電が事故を起こした責任はあるけれども、百年後まで完全に責任を持つことができるのはやはり国しかないので、本来なら国家プロジェクトとして、人材養成も含めて考えるべきだ、こう考えているんです。

 そこで、ちょっと話が大きくなりましたが、時間が余りありませんので。

 では、この方針をことしの夏に決めると言われていますが、誰がどういう形でその責任を持って決めようとしているんですか。

世耕国務大臣 燃料のデブリの取り出し方針の決定については、平成二十七年六月に、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で改訂された中期ロードマップで定められたその目標工程の中で決まっていくわけでありますので、これは政府において決定をすることになろうかと思います。

菅(直)分科員 政府においてというのは私もよく使いましたけれども、これを見ると、その閣僚会議の議長は内閣官房長官、副議長は経産大臣です。

 もちろん、私は、最終的に政府が決めるということは当然あり得ると思います。ただ、その場合に、今申し上げたような、専門的な知見とこういう決定がどこでリンクしているのか。聞いても聞いても、率直に言ってよくわからないんですよ。一番直接やっているのは東電のホールディングスの中にある廃炉カンパニーです。そこに東芝とか日立がいろいろ入ったりとか、それからさっきのIRIDということとか、つまり、そういう専門的な知識というものと政治的な決定というのがきちんとかみ合わせて決まるのか。お互いがまあ言っているんだからいいだろう、私は、どうも最近そうなってきつつあるというふうに見ているんです。実は本当に心配しているんです。

 つまりは、三年、五年先ぐらいから先のことはわからないから、とりあえずそれでやっておけと。まあ、四十年後に何とかなるだろうと東電が言っているからそれでいきましょうと。しかし、とてもいけません、これだと。

 ですから、私は、今政府が決めると言われましたが、政府がどういうことを考えて、どういう人たちの意見をきちんと取り入れて決めたのか、そのことを、今この場ではっきりしろというのは難しいかもしれませんが、やはり、大臣の立場として、責任を持ってはっきりさせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 当然、官房長官も私も、別に技術的な専門家ではありません。

 この関係閣僚等会議、等となっているところは、やはり閣僚以外の技術的専門家にも入っていただいています。例えば、原子力規制委員会委員長にも入っていただいていますし、原子力研究開発機構理事長ですとか、あるいは原賠機構の副理事長にも入ってもらっております。また、もちろん東京電力も入っていただいている。こういう技術のわかっている専門家にもしっかり議論に参加をしてもらいながら、ただ、方法の決定については、最終的に政府が責任を持って行うということになろうかと思います。

菅(直)分科員 時間ですのでこれで終わりにしますけれども、今まさに大臣が最後に言われたこと自体を私は若干心配しているんですよ、本当に。

 つまりは、東電であったりIRIDであったり、いろいろな専門家もいます。だから、相当そういうものを煮詰めていかないと、結局、目先のことで物事が、時間だけたっていく。そうならないようにしっかりした進め方をお願いして、質問を終わります。

宮下主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂分科員 民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、前段は主に田中委員長に原子力発電所のテロ対策などについてお伺いをする、それから、後段は世耕大臣の方に核燃料サイクルについてお伺いをしたいと思っています。

 まず、田中委員長、この認識でいいかどうかお伺いをしたいんですけれども、福島第一原発の事故を受けて、原子炉等規制法第一条、この中の「目的」に、テロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うこと、これが明示されているということ、加えて、原子力基本法二条二項では、安全確保は確立された国際的な基準を踏まえるべきということも明示されているということであります。

 したがって、日本の原子力発電所においては、確立された国際的な基準を踏まえ、テロリズムその他犯罪行為の発生も想定した必要な規制が行われている必要があるというふうに、この原子炉規制法あるいは原子力基本法を読むと読み取れるのかなというふうには思うんですけれども、このあたり、委員長、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 テロを含めた我が国の原子力施設のセキュリティー対策については、原子炉等規制法に基づいて、テロリストの侵入を阻止するためのさまざまな防護措置を求めているところであります。

 これらの措置は、IAEAの核物質防護に関する勧告文書等に基づいており、具体的には、原子力施設周辺の立ち入り制限区域、周辺防護区域に対して、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施しています。また、重要な設備を大きな衝撃から守るため、周辺に防護壁を設置するというようなことも求めております。また、出入り口における身分証による従業員等の本人の確認、金属探知機等による探知の実施、重要な設備の周辺で作業する場合には二人以上で行うことなどを我が国の国内規制に取り込んでおります。

 こうした取り組みにつきましては、二〇一五年の二月にIAEAの、IPPASと言っているんですが、国際核物質防護諮問サービスのレビューを受けまして、日本の核セキュリティー体制、原子力施設及び核物質の核物質防護措置の実施状況は、全体として強固で持続可能なものであり、また近年顕著に向上しているという評価をいただいているところでございます。

逢坂分科員 以前よりもテロ対策は向上しているというのは、多分、委員長のお話のとおりなんだろうと思いますし、それがまた向上していなければ困るというふうにも思います。

 私が先ほどお話をさせていただいたのは、確立された国際的な基準を踏まえる、そして、テロリズムその他犯罪行為の発生も想定した必要な規制、これが日本の規制においては行われるということが法律上は読み取れるのではないかというふうに聞いたわけですが、この点、改めてもう一回、いかがですか。法律に書いてある言葉を私はそのまま読んだだけです。

田中政府特別補佐人 失礼しました。先ほど、ちょっと具体的な内容を申し上げましたけれども、そのとおりでございます。

逢坂分科員 そうなんですね。

 改めて言いますと、原子炉等規制法の第一条の「目的」の中に、テロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うことが明示されている。それから、原子力基本法二条二項では、安全確保は確立された国際的な基準を踏まえるべきということが明示されている。この二つを読むと、まさに、国際的な基準を踏まえてテロリズムその他犯罪行為の発生も想定した必要な規制が行われていることが日本においては必要なんだろうと法文上は読めるということだと思います。そして、田中委員長にもそのように言っていただきました。

 そこで、次なんですけれども、例えば、これは何度も繰り返し言われていることでありますけれども、安倍総理大臣が繰り返し言っているのは、世界で最も厳しい水準ということを言っているわけですね。

 例えば、平成二十六年一月二十四日の第百八十六回国会施政方針演説においては、「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、原発の再稼働はありません。」と述べているわけであります。

 さらにまた、同じように、平成二十六年四月十一日に閣議決定されたエネルギー基本計画、この中でも、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」とされている。

 でありますから、政府が、原子力の規制については世界で最も厳しい水準の規制である、これを原発運転の条件としているというふうに私には読み取れるんですが、この点はいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもとしては、新しい規制基準、今のセキュリティーも含めまして、福島第一原発事故の反省を十分に踏まえて、世界の規制を学びながら、世界で最も厳しいレベル、水準の規制になるようにということで規制基準を決めて、それに基づいた審査を行っているところでございます。

逢坂分科員 田中委員長から今言っていただいたとおり、世界で最も厳しい基準、それを頭に置きながらさまざま審査を行っているという御発言がございました。

 それでは、個別具体的に見て、それがそうなのかというところを幾つかお話をお伺いしたいと思うんです。

 例えば、日本の原子力発電所の規制の中で、航空機事故に対する規制、これは前に田中委員長に私お伺いしましたけれども、これについてはどのような規制が設けられているでしょうか。

田中政府特別補佐人 航空機事故というか、若干テロとの関連もありますので、余り詳細なところまではお答えできませんが、大型の旅客機等が原子炉に衝突するようなことがあった場合でも、それに対して原子炉を十分に安全にとめることができるようなさまざまな措置を求めております。

 一つは可動式のもの、それから、将来的には特定重大事故設備というように、少し恒久的なものも含めまして、今要求をしているところでございます。

逢坂分科員 そうですね。万が一航空機が墜落をする、仮に故意であって航空機をぶつけてくるといったような場合に、特定重大事故等対処施設という言い方をしているんだと思いますけれども、これは、原子炉建屋との隔離要件を確保するでありますとか、あるいは、故意による大型航空機の衝突に対して頑健な建屋に収納することといったようなことが規定されているというふうに思うんですが、これでよろしいでしょうか。

田中政府特別補佐人 特定重大事故対処施設については、極めて頑健なところ、いわゆる原子炉建屋とは少なくとも百メートル以上離れたような場所にきちっと整備するということを求めております。

逢坂分科員 今は事実の確認をさせていただいたわけであります。

 ただ、委員長、私がやはり不思議だなと思うのは、原子炉そのものにはこうした規制は求めているんでしょうか。今のは、要するに特定重大事故等対処施設でありまして、原子炉でありますとか使用済み核燃料を保管するプール、これにはこのような規制というのは設けられているんでしょうか。

田中政府特別補佐人 原子炉建屋そのものについては、これはまさに福島第一の事故を踏まえまして、そういった重大事故、いわゆる、特に厳しい事故が起きた場合でも原子炉をきちっととめて冷却を続けられる、そういったさまざまな設備要求をしております。電源とか冷却とか、そういったことになりますけれども、そういったことを多重に求めて、基本的にそういった重大な事故に至らないような方策を求めているところでございます。

逢坂分科員 いや、私が疑問に思うのは、先ほどの特定重大事故等対処施設というのは原子炉本体のことではありませんよね。うなずいていただきましたので、そうなんだということです。例えばそれは、原子炉建屋との隔離条件があるとか、あるいは、航空機の衝突に対して頑健な建屋に収納する、これは私は、ある一定程度理解はするんですよ。

 しかし、原子炉事故の本丸といいましょうか、そこはやはり、原子炉本体に何らかの損傷がある、あるいは飛行機がぶつかる、そういうことが大きな事故を引き起こす、最も懸念されるところだと思うんですね。そこで私が例に出したのは、使用済み核燃料プールについて、こうした、例えば頑健な建物にするとか、あるいは飛行機がぶつかっても壊れないようなものにするとか、そういう規制はあるんですかということを聞いたんです。

田中政府特別補佐人 原子炉施設は相当頑健なつくりになっておりますけれども、先生御指摘のように、いろいろなことを想定した場合に、必ずしもそれで十分かということがあります。ですから、物理的にそれを完全に防ぐことができないという想定のもとで、仮にそういった事故が起こった場合でも重大事故に至らないような方策を多重に求めているということでございます。

逢坂分科員 私は、その田中委員長の言い分はわかります。だから、万が一事故が起きたときに、その事故がさらに重大なものにならないように、対処施設の方で、そこが、物が壊れないように頑健な建物に置いておく、それから、原子炉から距離をある一定程度離すという、そのことは理解できます。

 ただ、事故本来は原子炉そのものが一番の、例えば放射線などの発生源になるわけですし、使用済み核燃料プールの脆弱性ということも、福島第一原発の事故を見ればこれは明らかになっているわけですから、本来、原子炉や使用済み核燃料プールについてがっちりとした対策を講ずることが大事ではないのかなというふうに思うわけです。そこは必ずしも、例えばヨーロッパのような規制基準が今適用されているかというと、そうではないのではないかという気がするんですね。

 例えば、ヨーロッパ、これはドイツの例ですね。ドイツでは、小型ジェット機の突入に耐えられないと評価された原発が閉鎖に追い込まれた、こういう例もあるというふうに思います。すなわち、逆に言うならば、小型ジェット機が原子炉にぶつかっても大丈夫なぐらいの設計をするというのは、これはドイツの規制基準だというふうに理解をするわけです。

 この点は、これはちょっと、海外の事例ですので知っているかどうかはわからないんですけれども、こういう事例があるということは、委員長は理解はしていますでしょうか。

田中政府特別補佐人 航空機衝突をどういうふうなことを想定して考えればいいのかということについては、実は、ドイツはNRCから情報を得て、それに基づいた評価をしています。

 私どももNRCからそういった情報を内々に学びまして、それに基づいて評価をして、そのような評価をして対策も求めているということでございます。

逢坂分科員 今の話は使用済み核燃料プールについても同様でしょうか。

田中政府特別補佐人 使用済み核燃料プールについては、また別途考え方を少し変えなければ、現実的にはなかなか対応できませんので、特にBWRの場合は高いところにありますから。そういった意味で、BWRの使用済み燃料の場合には、その水等が抜けた場合にはそれなりの対策ができるようにということを求めているところでございます。

逢坂分科員 すなわち、私が指摘したいのは、特定重大事故等対処施設、こういったものには非常に頑健なものを求めたりしているわけですが、原子炉本体や使用済み核燃料プール、ここが一番の事故の、危険度でいえば一番高いところといいましょうか、事故の発生源という言い方、悪い影響の発生源になる場所であるというふうに私は理解しているんですが、そこへの対応が、この特定重大事故等対処施設に比べると少し手薄なのではないか、本来そちら側をもっとしっかり規制すべきではないのかというふうに思うわけですね。

 諸外国の例を見ると、今まさに田中委員長から御紹介のありました遮蔽建屋でありますとか二重の格納容器でありますとか、こういうものが設計で要求されているケースがあるわけですよね。それに比べると、日本の規制基準は世界最高と言えるのかなというところは、私は疑問に思っているわけであります。

 もう一つだけ事例をお話しさせてください。

 テロのことを考えると、一般的には外部からの侵入ということが言われるわけですが、そうではなくて内部、内部で働いている作業員など、内部の情報に精通した人間による機密情報の漏えい、テロリストの侵入幇助、あるいは自分みずからが攻撃を加えたりする内部の脅威というのも、これは私は非常に大きいと思うんですが、この点については、日本ではどうなっているでしょうか。

田中政府特別補佐人 原子炉等規制法に基づいて、原子力事業者に対して、原子力発電所敷地内に立ち入る時点で本人確認、重要な区域へ入る場合には二人以上で立ち入ることを義務づけるというような核物質防護措置を講じることを求めております。

 また、少し我が国ではおくれていたんですが、平成二十八年九月に内部脅威対策の実施に必要な原子力規制委員会規則を改正して、原子力発電所の重要な区域に立ち入る者に対する個人の信頼性確認と防護区域での監視カメラの設置を義務づけ、本年から実施することになっております。

逢坂分科員 以前よりは個人に対する確認度合いが上がったということは私も理解はするのでありますけれども、例えばアメリカの例を申し上げますと、国家安全に係る業務、そういうものにつく人については、いわゆる信頼性確認制度というものがあるそうであります。身元の裏づけ、職歴、学歴、クレジット情報、犯罪歴、軍経験歴、それで個人の性格や評判を確認する。それで、原子力施設に立ち入る者についても、今私が言った基準、制度に準じて同様の確認をする制度が設けられているというふうに思います。

 そして、さらに今私が紹介したものに加えて、心理学的評価や行動観察、アルコール、薬物依存チェックも求められるということでありますけれども、これに匹敵するような内容であるのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 先生はたくさんの要件を挙げられましたけれども、基本的には、そういったことを含めて個人の信頼性確認をするということであります。

 ただ、これはひとつ、いろいろな側面がありますので、どこまでできるかということについては、相当これからも工夫しながら、きちっとそういった、例えば薬物とかアルコール依存とか負債とか、そういったことについては私どもだけの力ではできないところもありますので、関係行政機関の御協力もいただいて、信頼性確認の実質を上げていきたいというふうに考えております。

逢坂分科員 私の調べが必ずしも十分ではないところもありますので、ここで断定をするのは差し控えたいとは思いますけれども、例えば、原子力発電所で働く人たちに対する信頼度確認の制度、これは諸外国に比べると、特に私は今、米国の例を出しましたけれども、日本は必ずしもそれは同等の水準ではないのではないか、それよりも水準は低いのではないかというふうに私は感ずるんですね。

 ただ、冒頭に確認をいただきましたとおり、原子炉規制法あるいはその他の法律によって、世界でも最高水準といったようなことが求められるということも改めて確認をさせていただきましたので、この部分についてはまだ追いついていないのではないかという気が私はしております。

 それから、航空機の事故についても、これも諸外国に比べると必ずしも最高水準にはなっていないのではないかという思いを私はしているのでありますけれども、問題意識だけきょうは指摘をさせていただいて、これからまた田中委員長とはいろいろなところで議論する機会があろうと思いますので、問題点の指摘ということだけにきょうはとどめさせていただきたいと思います。

 田中委員長、きょうはありがとうございました。

 それでは、次、世耕大臣の方にお伺いをします。

 核燃料サイクルを今の政府は、やるということ、推進する方向でいるわけですが、核燃料サイクルを進める理由というのは何なんでしょうか。

世耕国務大臣 お答えします。

 核燃料サイクルについては、三つ大きなメリットがあるというふうに思っています。まず一つは、高レベル放射性廃棄物の量が減少するということ、二つ目は、放射能レベルが低減をするということ、そして三つ目が、資源の有効利用になるということ、これらのメリットを踏まえて取り組むことになろうかと思っております。

逢坂分科員 高レベル放射性廃棄物の量を減らすということ、資源の有効利用になるということ、そのようなことを言われたんですが、そもそも、放射能あるいは放射性物質の性質を考えたときに、それを長い間、さまざまな工程にさらしていくこと、これは非常に大きなリスクがあるというふうに私は思います。

 安全な物質について、いろいろな工程にさらしていろいろな加工をしたり利用をしたりということをやるのであれば、それはまたいろいろな考え方もあるんでしょうけれども、そもそも放射性物質というのは、その扱いが難しい上に、存在しているだけでも害を与える、移動させるだけでも場合によっては害が広がるというリスクが高まるわけであります。

 確かに、結果だけを見れば、高レベルの放射性廃棄物の量が減るということは場合によってはあるかもしれない。結果だけを見れば、使用済み核燃料を再利用できるという有効性はあるかもしれない。だがしかし、そのプロセスを考えてみたときに、逆に社会へのリスクが高まるのではないかという気持ちがするわけですが、この点は、大臣、どうお考えでしょうか。

世耕国務大臣 当然、今申し上げたように、高レベル放射性廃棄物の体積が七分の一に非常に減るということ、そして、有害度が、今ですと半減期が十万年かかるわけですけれども、これが三百年で済むということとか、そういったメリットがあるわけであります。

 今御指摘のような、当然、輸送しなければならない、あるいは、再処理のための施設とかそういったものも必要になる、その間保管をしておく施設も必要になるということであります。ここは当然、規制委員会によくチェックをいただきながら、万全の安全対策をとったものにしていく必要はあるだろうと思っております。

逢坂分科員 核燃料サイクル、資源の有効利用ということを言われました。

 それでは、使用済み核燃料を再加工したMOX燃料の製造単価、これはウラン燃料と比べて高いというふうにこれまでも幾度も幾度も委員会の中で言われていますけれども、これについては大臣もそのような認識でよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 一般論として、MOX燃料は、ウラン燃料と比べた場合、使用済み燃料の再処理やプルトニウムを含む燃料の加工、こういったことを行わなければなりませんから、当然割高になるという面はあろうかと思っています。

 ただし、再処理などを通じて製造されたMOX燃料を使用することによって、今度はウラン燃料の一、二割の節約効果というのも出てくるわけでありまして、この点から、我々は資源の有効利用に資するというふうに考えております。

逢坂分科員 それでは、今度は使用済みMOX燃料が出るわけですね。ウラン燃料を使って使用済み核燃料が出て、それを再加工してMOX燃料ができ上がる、MOX燃料を使えば使用済みMOX燃料ができ上がるわけでありますけれども、この使用済みMOX燃料というのはどうなるんでしょうか。

世耕国務大臣 プルサーマル発電を行うことによって、使用済みのMOX燃料が発生をします。当面は、それぞれの原子力発電所で、法令に従って安全な環境下で保管をしてもらうということになります。

 その上で、使用済みMOX燃料の処理の方策については、今後のプルサーマルの実施状況ですとか、使用済みMOX燃料の実際の発生状況とその保管状況、そして再処理技術の動向などを踏まえながら検討していくべきだと考えています。

逢坂分科員 すなわち、そういう観点でいいますと、私は言葉にこだわるわけではないんですけれども、核燃料サイクルと言えるのかどうかなんですね。核燃料リニア、少なくとも、リニアというのは閉じていないわけです。

 ウラン燃料があって使用済み核燃料が出てきて、再加工してMOX燃料をつくって、今度、使用済みMOX燃料ができる。その使用済みMOX燃料から、また新たな燃料がすぐさま今つくれるという段階にあるならば、それは閉じている、丸になっているからサイクルと言えなくもないと思いますけれども、今のところは、その丸が完結していない、閉じていないわけでありますから、それを核燃料サイクルと呼ぶのは、理論上はわかるけれども、現実の世界としてはそれは無理があるのではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 今、我が国には使用済みウラン燃料が既に一万八千トン貯蔵されていまして、これは当面、六ケ所の再処理工場においてこれらの再処理を行っていくということであります。

 当然、核燃サイクルは、我々はこれは目指しているわけでありますけれども、では、今サイクルとして完成しているかというと、それはまだ未完成の部分があるわけでありますが、これは完成を目指して進めていくというのが政府の方針であります。

逢坂分科員 政府の方針であることはわかるんですが、大臣、正直に言っていただきましたけれども、現実的にはまだそのサイクルが確立していないということを、ほかの、以前の大臣は余り認めなかったような気がするんですけれども、はっきり正直に言っていただきました。事実上そうだと思うんですよ。これは余りサイクルとして完結していないので。

 私は、日本でこれから核燃料サイクルを進めていって本当に大丈夫かなと思うことがあるんです。

 それは保有プルトニウムとの関係なんですが、現在、約四十八トンのプルトニウムを日本は抱えているわけですね。それから、今大臣からも御指摘がありましたとおり、一万八千トンの使用済み核燃料がある。六ケ所の再処理工場がうまく竣工して稼働したとするならば、年間の最大処理量が、八百トンの使用済み核燃料が処理できるわけであります。そうなりますと、使用済み核燃料の処理に二十二・五年かかるんですね、使用済み核燃料だけを黙って処理していっても。そしてこれを、さらにどのぐらいのプルトニウムが産出されるかということになりますと、毎年四トンのプルトニウムが日本で生産されることになります。

 そこで仮に、今、新規制基準への適合申請をしている原発が十基程度ある。あるいは、大間原子力発電所といったようなフルMOXの発電所もある。ここで消費されるプルトニウムというのは全体で約三・九トンというふうに伺っております。すなわち、使用済み核燃料一万八千トンを年間フルに再加工して新たなMOX燃料をつくって、原発を十基、さらに大間も動かして、やっと三・九トンのプルトニウムが消費できるということになるわけですね。しかも、それが最大稼働して二十二・五年、これからもそれを続けるというのが、少なくとも今の六ケ所村の再処理工場の規模から見たときの私のイメージなんですね。

 そうなりますと、現在日本が持っている四十八トンのプルトニウム、特に核分裂性のプルトニウムは三十二トンあるわけでありますけれども、これの量が一向に減らないということも私には思えるんです。

 これを減らすためには、例えばフルMOXをもっとつくるとか、あるいはプルサーマル発電をどんどんやるとかということをしなければ、現実には減らないのではないか。しかも、使用済み核燃料を再加工してつくるMOX燃料は、通常のウラン燃料よりも高い、こういうことが言われているわけで、ここに資源の再利用としてのメリットはあるのかどうかというところなんですけれども、大臣、どう思われますか。数字的なことは事務方で後で整理していただくこととして、どう思われますか。

世耕国務大臣 今、MOX燃料を使用してプルサーマル発電を行っているところが伊方の三号機など三基、規制委員会の審査を終えて、今七基が審査を受けているところであります。プルサーマルを実施する原発が、今後、審査が進めば再稼働もふえて、プルトニウムの消費も進んでいくというふうに考えています。

 ただ、六ケ所再処理工場は、二〇一八年度上期の竣工予定でありますけれども、稼働後も五年をかけてフル稼働に至る予定でありまして、このため、直ちに年間四トンの核分裂性プルトニウムがいきなり出てくるというわけではないわけであります。

 それと、もう一つは、やはり大きな政策の方向性として、我が国は利用目的のないプルトニウムは持たないという方針を堅持しているわけであります。事業者においても、この原則を明確に認識しながら、プルサーマルの事業を進めていっているところであると思います。

 電気事業連合会は、平成二十八年三月末の原子力委員会で、引き続き、十六から十八基の原子炉でプルサーマルを行うことを目指していくということを表明しているわけであります。この連合会は、六ケ所の再処理工場が操業を開始するまでに、新たなプルトニウム利用計画を策定することを表明しているところであります。

 そういう事実を踏まえると、今後、審査が進めば、新規制基準に適合すると認められる原発がふえていくことが見込まれて、これに伴ってプルサーマルを実施する原発の再稼働もふえていく。核燃料サイクルの方針を我々は堅持することによって、利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を世界にしっかりと示していくことができると思っております。

逢坂分科員 これで終わりますけれども、大臣、そこまで核燃料サイクルにこだわるというか、利用目的のないプルトニウムを持たないという方針を持つのであれば、三十二トンの核分裂性のプルトニウムを先に使った方が道は手っ取り早いと私は思いますけれども、数学的に考えて私はそういう気がするんですけれども、きょうはここでやめさせていただきます。

 以上、終わります。ありがとうございます。

宮下主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、星野主査代理着席〕

星野主査代理 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、三十分時間をいただきまして、世耕大臣、また、国交省と厚労省にも来ていただいておりますけれども、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 まずは、第一点目、船用の燃料油の国際SOx規制について、これの国内対策についてお聞きをしたいと思っております。

 大臣御案内のとおり、二〇一六年の十月に国際海事機関、IMOと言いますけれども、ここで、硫黄酸化物、SOx及び粒子状物質、PM、これの削除のための国際規制が強化をされることが決定いたしました。

 具体的に申し上げますと、燃料油に含まれます硫黄分の濃度を、二〇二〇年度から、一般海域におきましては、これまで三・五%でよかったものが〇・五%に強化をされるということでございます。これは御案内のとおりであろうというふうに思っております。

 私は、福岡で我が党の公明党の県の代表をさせていただいておりまして、さまざま業界と、ほかの党のように意見交換会をいたします。そのときに、旅客船協会であるとか、また海運業界の方々からこの話をお聞かせいただきました。この規制が二〇二〇年から始まりますと、現在御案内のとおり、旅客船でありますとか、こういうフェリー、また、海運はC重油を使っておりますけれども、これを仮にこの規制に合わせて低硫黄燃料に丸々切りかえますと、約一キロリットル当たり一万円から二万円の燃料費の上昇になるそうでございます。

 私がお話を聞きました旅客船のある会社、四そう長距離のフェリーをお持ちだそうでございます。大体、この一社で、この四そうで年間四万五千キロリットルのC重油を使っています。四万五千キロリットルですので、これが仮に一キロリットル当たり二万円上がりますと、九億円のいわゆる経費の増になるということでございます。

 具体的なお話をこのとき聞いたときに、営業利益、粗利が大体九億円でございましたので、丸々その会社のお話をそのまま受けとめれば、利益が全く出ない状態になるということでございましたので、聞いている我々は、これは非常に業界としても大変じゃないかなというふうに共通認識を持ったわけでございます。

 あとは、この旅客船業界におきますと、日本全体で長距離フェリーを運用している会社は八社あるそうでございますけれども、この八社全体が使う一年間の燃料は六十万キロリットルです。一キロ当たり二万円上昇しますと、ざっと計算しまして百二十億円の経費増になるということでございます。ここが背景でございます。

 しかし、やはり、確かにこれは負担増になるけれども、国際機関で決めたことでございます。しかし我々としては、国際機関で決まったのでそのままそれを享受してくださいともなかなか言いづらいわけでございまして、改めまして、IMOの海洋保護委員会において規制がなぜ強化をされたのか、この強化の意義につきまして、これは大臣ではなく国交省にまずお聞きをしたいと思っております。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 船舶の安全や環境に関する規制に関しましては、国際機関IMOにおいて世界一律で決定されています。

 SOx、硫黄酸化物の規制強化につきましては、船舶の燃料油の中に含まれる硫黄分の濃度を現状の三・五%以下から〇・五%以下にするものでありまして、この規制は、昨年十月、IMOにおける海洋環境保護委員会において二〇二〇年から開始するということが決定されました。

 燃料油中の硫黄分の濃度を下げることによって、SOxやそれから粒子状物質、PMの排出を減らすことができます。ですから、この規制は、SOxやPMによる人の健康や環境への悪影響を低減するものでありまして、我が国も環境先進国として適切に対応していく必要があると考えています。

浜地分科員 まさにおっしゃるとおりだと思っています。やはり、大気汚染をしっかり防止するということは、先進国日本としては大事なことだろうと思っています。

 業界の方には、やはり、そういう国際基準に合わせていくんだということをまず理解していただくためにこの質問をさせていただいたわけでございます。

 また、特に大気汚染の激しい中国も、独自の特定海域でIMOの基準よりもさらに強い規制をかけるということもございますので、そういった意味では、やはり日本がこの条約またこのIMOの決定に従っていくことは必要だろうというふうに思っています。

 しかし、次は、やはりどうしても国内対策ということが大事になってきます。先ほど御案内いたしましたとおり、やはり船主業界また海運業界の悲鳴も聞こえるわけでございますし、片や、今度は石油業界、大臣が所管をされていますが、ここにもまた負担を余り押しつけてしまっても、各業界ごとの責任のなすり合いというふうになってしまっては困るわけでございます。

 そこで、まず需要側を所管します国交省にもう一度お聞きしますが、国交省の需要側の業界を所管する立場として、国内対策をどうお考えで、その課題はどこにあるのかをまずお聞かせいただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 SOx規制への対応に当たりましては、三つの手段があります。

 一つ目は、低硫黄燃料油、すなわち硫黄分が〇・五%以下の燃料油を船で使用すること。二つ目は、従来の燃料を使いながらも、エンジンからの排気ガスを洗浄して、排ガスの中からSOxを取り除く装置を船の上に置いてそれを使用することです。三番目は、そもそも硫黄分を含まない液化天然ガス、LNG燃料を使用するということです。ですから、事業者がこの三つの手段の中から選択をしていくということになります。

 事業者の方々が、低硫黄燃料油については、よい品質が確保できるのか、また十分な供給量が出てくるのか、また価格がどのようになるのかといった疑問、また、排ガス洗浄装置を使う場合にあっては、それを備えつける費用がどれぐらいになるのかといった疑問を持たれていること、またそれに伴う負担の増加を懸念されていることは承知しております。

 国土交通省としては、まずは、そのような事項について関係業界との情報共有の場を設けることとしておりまして、事業者の皆さんが円滑に対応できるように適切に取り組んでまいります。

浜地分科員 国交省の方、ありがとうございました。

 明確に、三つの対策案とそれについての課題を今お答えいただいたと思っています。これはいわゆる需要側の立場でございますが、先ほども、いわゆる品質のいいものが、しっかりと低硫黄燃料が供給できるのかという視点もありましたので、次に、供給側、石油業界等を所管されます経産省としまして、このSOx規制の国内対策をどのようにお考えか、またその課題についてお聞かせをいただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の船舶用燃料の規制強化は、燃料の供給を担う石油精製事業者にとっても、現状の設備では新規制に適合した燃料を十分に供給できない、あるいは原料の精製の結果、不可避的に生産されます高硫黄C重油の処理先がなくなるといった課題がございます。

 これらの課題に対しまして、石油精製事業者においてとり得る対応策としては、一つとしてあるのが、調達する原油の低硫黄原油への切りかえ、それから製油所の脱硫能力の強化、あるいは新たな船舶用の低硫黄燃料の製造ということが考えられます。

 こういった対応を行った場合に、原油調達コストとかあるいは新たな設備投資に伴います精製コストの増大などが想定をされまして、石油精製事業者の経営状況やC重油以外の燃料の価格などに影響を及ぼす可能性が考えられます。

 経産省といたしましては、こういった規制に対します国内外の対応状況、そして国際的な燃料需給の動向などの情報について関係業界と共有しながら、適切な対応について検討してまいりたいと思ってございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 石油精製側の考え得る措置とその影響についてお答えいただきまして、特に、低硫黄原油への切りかえとなりますと、原油の供給先が中東からまた別の場所になったりとかということも私も聞いておりますので、やはり業界全体が影響を受けることだろうと思っています。

 今、いわゆる需要側と供給側の方からの対策と、それについて課題がなかなか多いなということを私自身も感じたわけでございますが、ここで課題を出したところで、なので、これでよろしいですかというわけにはいきません。

 そこで、やはり当然これはオール・ジャパンで取り組まなきゃいけない問題なんですが、世耕大臣としては、非常にバランスがすぐれた方というふうに、私個人として、個人じゃなく恐らく日本全体の方が思っていると思いますが、御尊敬を申し上げております。SOx規制の国内対策として、やはり経産大臣として御決意を述べていただきたいと思いますし、今後どのような対応をとっていくのかをお答えいただきたいと思います。

世耕国務大臣 今回のIMOによる規制強化によって、これまで使用されてきた高硫黄C重油の使用禁止ということになりますと、これは船舶などの需要サイドと、そして石油精製、販売などの供給サイド、この両方に影響を及ぼすというふうに考えています。

 今後の対応については、関係者の間で、世界の船舶用燃料の需給状況や市況、原油価格や対策コストの変動など、さまざまな情報をまず共有して、問題点を確認しながら、国全体での対応コストを引き下げるように取り組んでいきたいというふうに思います。

 早速、来月にも、国土交通省とともに、海運会社、石油精製会社、それぞれの業界団体など、関係者を広く集めて、オール・ジャパンで対応を検討していくための協議体を立ち上げたいというふうに思っています。

 こうした取り組みを通じて、環境問題への対応と企業による経済活動の両立を図っていきたいと思います。

浜地分科員 ありがとうございます。

 来月から早速、海運業界また石油業界、需要側また供給側が一堂に会して協議体を設置していただくという御答弁をいただきました。

 先ほど御案内ございましたとおり、やはりこれは片方の業界だけがしわ寄せを食うということはなかなか難しいだろうと思います。やはり各業界ごとが、うまくそれぞれ妥協し合うところは妥協し合いながら、また世界の市況の状況等もしっかりと共有しながら解決策を行っていくことが大事だろうというふうに私も思っておりますので、また現場の意見も踏まえて、協議が進みましたら私も伝えさせていただきたいというふうに思っております。ありがとうございました。

 続きまして、テーマをかえまして、医療の国際展開に向けた経産省の取り組みについてお聞きをしたいというふうに思っております。

 大臣は、ロシアとの経済協力ということで、担当大臣といいますか、担当としてロシアの経済協力にも尽力をされております。そのロシアの経済協力のメニューの中に、医療のいわゆる協力ということも含まれておりました。やはり医療の国際展開ということには大変明るい方だなというふうに私個人は思っておりますし、また、広報についても非常にお得意であるというふうに私自身は認識をさせていただいております。

 医療の国際展開につきましては、日本再興戦略におきまして、二年間にわたりまして明確な言及がございました。きょうは、医療目的のインバウンドというところにテーマを絞ってお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 先日、医療目的の訪日客の受け入れについて、私はいわゆる医療目的インバウンドというふうに呼ばせていただきますが、その受け入れの推奨機関として、まず二十八の病院がリスト化をされたものが日経新聞に載っておりました。この基準につきましてはMEJが主に選定をしているわけでございますが、日本政府としても、MEJのリスト化に当たってのいわゆるガイドラインというものを公表し、これに沿ってリスト化をされたというふうに承知をしております。これは病院だけではなく、医療渡航支援企業についても認証基準というのがあるというふうに聞いております。

 しかし、今回の、病院についての、いわゆるジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ、日本国際病院のリスト化の主にガイドラインの基準を見ますと、もう一つぜひ加えていただきたいなというふうに考えた点がございます。それは、既に海外の医療機関と提携をしているような病院、そういった観点を一つ加えるべきではないかなというふうに私は思っております。

 これはもうおわかりになるとおり、日本にいきなり来られて全くわからない方々を受け入れるよりも、やはりある程度海外の病院と提携をしている病院で、患者の情報を既に持っている、またはそれが融通できるような関係であったり、もしくは日本の医療機器等を既に使用して何か処方している、そういったところは、もっと精密な検査をするために日本に行った方がいいよというようなアドバイスもしやすいですし、受け入れる側の方としても、これは非常に受け入れやすいんじゃないかというふうに思っています。ですので、インバウンドという点だけではなくて、やはりアウトバウンドをしているところを一つの基準にしますと、これは相乗効果でますます医療目的の訪日客というのはふえるのではないかというふうに思っております。

 私が個人的に存じ上げております医療機関は、ロシア連邦のチェチェン共和国で、既に国と医療機関が業務提携をした病院がございます。この病院は、また、タイのタマサート大学というところとも医療提携をして、相互、医療の情報交換をしております。

 私、それこそ星野委員長と同じ時代に外務政務官をしておりまして、例えば外務省の中では、国際展開というと国際保健の話になってしまって、どうしても感染症とかワクチンの話になっていたんですが、やはり、先進医療をしっかり海外に出し、また、日本のよさをわかった方々が日本に来られることによって医療の国際展開が進むのではないかというふうに思っています。

 海外の病院と提携しているというポイントもこのガイドラインの一つに加えるべきではないかと私は思いますが、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 質問通告をいただきまして、ジャパン・インターナショナル・ホスピタルズに入っている病院をずらっと見させていただいて、関西には阪大病院しかなくて、近大病院が入っていなくてちょっと残念だな、頑張らなきゃいけないなと思ったわけでありますが、議員御指摘のとおり、医療を目的として訪日する外国人、これを円滑に受け入れて日本の医療を使いこなしてもらう、あるいは日本の医療のファンになってもらう、ヘビーユーザーになってもらう、そのためには、日本に来る前と後の関係も非常に重要だというふうに思っています。

 まず、来る際に、一番その症状だったらどこがいいのか、その病気だったらどこがいいのかということを事前に適切に振り分けるとか、あるいは帰国後のアフターケア、こういった体制の整備というのも重要でありまして、そういう意味では、海外の医療機関との連携の構築というのも非常に重要だというふうに思っています。

 そういう観点から、日本の医療機関が中国で行う、訪日前の外国人患者の相談などを行う拠点の構築に向けた実証調査の取り組み、これを経産省は今支援させていただいております。

 今後、訪日前、訪日後のケアをスムーズに行う受け入れ体制の整備を進めることを政府全体として推進するために、将来的にジャパン・インターナショナル・ホスピタルズの認証基準に御提案の海外の医療機関との提携関係を視点として追加することについて、内閣官房も含めた関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思います。

浜地分科員 私は、前向きな御答弁をいただいたと思って大変うれしく思いますし、やはりそういった視点で日本の医療の国際展開というものを進めていくべきだと思っています。

 ところが、私もタイに行っているときに、タイは意外と医療技術、先端技術がありまして、やはり周りのASEANの諸国ではタイに、いわゆるインバウンドの患者さんがたくさんいるよとおっしゃっていました。その中で、例えば重粒子線でありますとか、そういった先端医療についてはやはり日本にかなわないということをおっしゃっていましたので、今後、やはり受け入れ体制も含め、また先端医療を行っているということも日本の売りに、当然もう御案内のとおりだと思いますが、しっかりとアピールをしていただければというふうに思っています。

 先ほど、受け入れのためのさまざまな受け入れ体制ということでございましたが、受け入れるにおいては、私はやはり医療通訳士という存在が非常にキーになってこようというふうに思っております。

 これは厚労省にお聞きをしたいと思うんですが、やはり海外の患者と医師とのコミュニケーションがいかに図れるかというところでございます。特に、日本語という難しい言語でございますし、アジアの方でありますと、さまざま英語以外の言語を使う方もいらっしゃろうかと思っています。

 やはり、コミュニケーションといいましても、患者の主訴、どこが明確に疾患があるのかということをしっかり伝え、それを医師に対して余計な要素を省いて明確に伝えられる技術というのが意外と難しいというふうに聞いておりますし、例えば薬の処方についても、帰国後にこの薬というものはあなたの国内で承認されていますかといったところも聞く力がやはり必要かなというふうに思っております。

 また、食事制限でありますとか、そういったものをしっかりと明確に伝えるためには、日本の医療の質自体をしっかり伝えるためには不可欠な要素が医療通訳士という存在だと思いますが、ここは、厚労省の取り組みについて、医療通訳士の育成、増員についてお聞かせいただきたいと思います。

椎葉政府参考人 厚労省におきましては、医療機関におけます外国人患者の受け入れ体制の整備を進めておりまして、その中で、医療通訳の配置でありますとか、院内のさまざまな掲示板、案内図、それから院内で使われる例えば問診票といったそういう資料などの多言語化の支援などの事業を行っているところでございます。

 このうち、特に医療通訳者に関してでございますけれども、医療機関への配置に加えまして、医療通訳者を養成するための教育カリキュラム、それから研修用のテキストの作成を行っているところでございます。さっき委員おっしゃったように、現実に使われる、そういうシナリオをつくりながら、きちんと通訳ができるような、そういった実践的な通訳者を養成するためのカリキュラムでありテキストでございます。

 今後も、そうした医療通訳者の育成に取り組んでいくこととしております。こうした取り組みによりまして、さらに外国人患者の受け入れ体制を充実させてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 聞くところによりますと、百カ所、外国人疾患受け入れ体制を整備するということも聞いておりますので、医療通訳士の存在というものは、何度も申し上げますが、まさにキーになろうかと思っておりますので、ここは医療タスクフォースのメンバーとしての経産省の大臣にもぜひ聞いていただきたいなと思いまして、御質問させていただきました。

 続きまして、医療目的外国人の受け入れということで一つ考えますと、今、経産省ではIoTを使ったおもてなしプラットフォームという実証実験をされているというふうに聞いております。これを何とか私は使えないかというふうに思っておりますが、まず、そもそも、このおもてなしプラットフォーム実証事業というのはどういう取り組みであるかを御説明いただきたいと思っております。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃいましたおもてなしプラットフォームでございますけれども、訪日される観光客の皆様方に対しましてより快適な観光サービスを提供するため、今委員おっしゃいましたように、IoTとかデータの活用、こういったものを使いまして、地域のサービス事業者の皆様方が連携をして優良なサービスを提供する、こういった実証事業でございます。

 その構築に向けまして、平成二十七年度の補正予算、これを活用させていただきまして、現在、関東地域、関西地域、九州、この三地域におきまして具体的なサービスの実証事業を行わせていただいています。

 ちょっと一例だけ申し上げますと、関東の場合ですと、箱根、湯河原、こういった観光地の皆様方の御協力をいただきながら、指紋の認証技術、これは大変精巧な技術でございますけれども、これを使わせていただいて、例えば、一度ホテルにチェックインをしますと、また別のホテルでのチェックインがパスポートの提示が不要になるといったようなサービスの提供とか、あるいは、町に出ていろいろなお買い物をされる際に、ホテルと店舗との間でデータのやりとりをさせていただくということでもって、わざわざ店舗で伝票を記載しなくてもホテルにお届けをしていただく、こういったような荷物の配送といったようなサービスを総合的に実証させていただいております。

 さらに、現在、二十八年度補正予算を活用してさらに実証を深めたいと思っておりまして、こういった満足度の向上する事業、あるいはこういったデータをさらに分析することによりまして、地域の観光政策にも最大限活用させていただきたいと思っております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 今お聞きしましたおもてなしプラットフォーム、主に外国人の観光客の皆様方の、たくさん移動されたり、または消費について、やはりこれをひとつ一元化しようという取り組みであるなというふうに思っておりますので、少し、医療という点につきますと、今の行われている事業となかなかリンクしないのかなというふうには思っております。

 しかし、先ほど生体認証を使ってのさまざまな情報をとるという話もありました。これは外国人訪日客の方の同意が当然前提にはなろうかと思いますが、そこでやはり、その方々が医療目的のインバウンドで来られたときに、もともとの病歴でありますとか、薬は何を使っている、または食事制限等もあった場合にはその食事の情報、もしかするとこれは宗教的なかかわりがあったりしまして、ハラルとかですね、そういったものの情報が必要かと思っております。

 ですので、このおもてなしプラットフォームの実証に、なかなか患者の同意とかシステムの連携という難しい点はあろうかと思いますが、ぜひ医療目的のインバウンドにも活用できないかというふうに私は思っておりますが、最後に大臣の所見をお聞かせください。

世耕国務大臣 二〇二〇年のオリパラを契機に、外国から来た人が快適に、自分の国にいるのと同じような感じで日本で過ごしてもらえるようにしようということで、今、政府の中でも経産省の中でもユニバーサルデザインの議論をやらせてもらっています。これは実は過去の大阪万博とか東京オリンピックのレガシーで、例えば今のトイレのマークなんというのは誰が見たってトイレのマークだとわかるし、どっちが男性、女性かわかるようになっている。こういうことを今度の二〇二〇年の東京オリパラを契機に何か残せないだろうか。私は、そういうときに残せるものというのが、ある意味、IoTを使ったユニバーサルデザインでありサービスであろうというふうに思っています。

 そういう意味で、今、おもてなしプラットフォームという形で、観光客向けで観光地に限定で細々とやっているわけでありますが、今委員からの御質問を受けて、医療というのもおもしろいメニューだなというふうに思います。

 具体的に今御提案いただいたように、持病とか常備薬とか血液型とかふだんの血圧とかそういうのを全部登録しておいて、日本へ来たら円滑に医療が受けられるとか、あるいは食事、病院食などについても、イスラムの人であればハラール処理が終わったものじゃないとだめだとかそういう情報があって、そういう食事がちゃんと提供されるような仕組みにしていくというようなこと、こういうことは十分検討に値するなというふうに思っていますので、今後のおもてなしプラットフォームの展開の中でしっかりと検討してまいりたいと思います。

浜地分科員 ありがとうございます。

 本当に、アイデアを出すのは、私はアイデアを出す方で、これは簡単と言ったらおかしいんですけれども、なかなか実際に実施となりますとさまざまなハードルがあろうかと思っていますので、私もアイデアを出した人間として、言うだけじゃなく、さまざまな法律の改正や消費があろうかと思いますので、しっかりとそこも与党の一員として取り組ませていただきたいと思っています。

 きょうは本当にありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

星野主査代理 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)分科員 自由民主党の佐々木紀でございます。

 きょうは大臣に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。また、先日も石川県の方にお越しをいただきまして、ありがとうございました。本当にお忙しいということでトンボ返りだったということでございましたけれども、大臣には、ぜひ石川県のきらりと光る企業を本当に視察していただきたかったなというふうに思います。ぜひ次は時間をつくって、企業集積が進んでいる石川県の企業、またそういったものをぜひ御視察いただきたいというふうに思います。

 ぜひ大臣にはお願いをしたいのは、そういった石川県、特に私の選挙区の南加賀という地域は、企業集積の進んでいる地域の一つだというふうに思います。今、いろいろな企業が地方に行きたい、特に太平洋側の企業にすれば、やはり東日本大震災の教訓を生かして日本海側に工場を出したいとか、あるいは、今は首都直下とか南海トラフといったことも想定されている中で、リスク分散というんですか、そういう観点でも工場を移転させたいとか、ということを考えているところもいっぱいあると思うんですよ。そういった企業の参考になるような情報提供というのも、経産省としてはやはりしていただいた方がいいのではないかというふうに思うわけです。ですから、企業立地に適した地域百選みたいな、何かそういったことを企画していただければいいのではないかなというふうに思うわけです。

 私の住んでいるこの選挙区の南加賀は何で企業集積が進んでいるかなというふうに私なりにちょっと分析したんですけれども、企業立地に適した地域の五条件というのも私なりにちょっとつくってみました。一つはアクセスがいいということ、二つ目に電気代が安い、三つ目に災害が少ない、四つ目に工業用水が豊富、五つ目に労働環境がいい、こういうふうにちょっと考えてみたんです。一から四番のことは、考えれば、データをとれば大体すぐわかるんですけれども、労働環境がいいと一口に言っても、なかなかさまざまあろうかというふうに思います。

 例えば、三世代同居、近居の世帯が多いために夫婦で働きに行ける環境があるとか、あるいは子育て環境がいい、待機児童ゼロでありますし、出生率も一・八を超えているとかそういったこともありますし、あとは住みよさランキング、これも結構高い地域が多いんです。そういったことを勘案すると、従業員の働く環境も大変いいということでありまして、そういったことが挙げられると思います。

 あともう一つ、珍しい取り組みだと思うんですけれども、人手が足りない企業に人手を貸すというそういった習慣というか、もあるんです。

 例えば、Aという企業が今ちょっと世界的に業績が悪くて人手が余っている。でも、一方のBという会社はすごく忙しい。そうすると、Aという会社はBという会社に自分のところの社員を派遣する。そうすると雇用も維持できる。これまでですと、国の雇用調整助成金とか、国の世話になって雇用を維持していたんですけれども、この地域では割かし、そういった人手をうまいこと回していく仕組みみたいなのがあって、そういったことも企業にとっては助かるのではないかなというふうに思うわけでありまして、そういった意味で、労働環境も大変いいということであります。

 そこで、今言ったような話というのはなかなか表にはわからないわけなんですね。例えば行政の支援メニューでやるというのは、これは調べれば大体わかります。アクセスがいいとか電気代が安いとか災害が少ないとか水が安い、こういうのも調べれば大体わかるんですけれども、こういった地域独特の、風土に根差したものというのはなかなか見えにくいので、ぜひそういったことも見える化をして、この地域は企業進出にすごくいいですよというような形で何か経産省として指標をつくるというのもすごくいいのではないかなと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 議員の御地元の南加賀は、本当に企業が、東京から本社を移転させたような企業もあって、また、その幹部に聞くと、非常に社員もハッピーで、そこの社員の家族の出生率が上がったなんという話も聞いております。そういういい形で地方に企業が移転をして、そしてまた、そういった企業を中心にしてその地域に産業の集積ができていくというのは、非常に重要だというふうに思っております。

 特定のところを国がPR、それはぜひ自治体の方でやっていただきたいと思いますが、政府は、全体的にいろいろな情報を提供するということをしっかりやっていきたいと思います。今、地域の強みや弱みを分析するデータベース、RESASというのを公開をしています。こういうのを活用していただくことによって、自治体御自身が自分のところの強み、弱みを分析する、あるいは、企業が自分の移転先あるいは工場立地に適した立地先をこうやって探していただくということも重要かというふうに思います。

 政府としては、やはりあとは、後ろから応援をするという意味で、地域の特性を生かして高い付加価値を創出する事業の創出に取り組む自治体を応援するということで、地域未来投資促進法案、これを提出する予定であります。この法案ができれば、国として、予算、税制、金融などあらゆる政策を集中させて、企業立地に取り組む地域を応援をしていきたいというふうに思います。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、この国会で提出される地域未来投資促進法案、私もしっかり応援をしていきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 これから、ちょっと国交省の方にお越しいただいておるものですから、少しお話を聞きたいというふうに思います。

 今、私が提案した企業立地の五条件というアクセス等々ですけれども、私は、この中でやはりアクセスというのはすごく大事だろうなというふうに思っておりまして、道路とか港湾、空港、そして鉄道、こういったものをきちっと整備していくことが、やはり企業立地にはすごく大事だというふうに思っています。

 今、道路について少し考えますと、石川県は国道八号線というものがありまして、これが縦の軸というんですか、石川県を縦断する道路ということになっています。金沢、白山市の方から小松の方に来る、あるいは福井や加賀の方から小松、金沢の方に行く、いずれもこの八号線を使うケースが非常に多いわけなんです。

 しかし、この八号線は、町中を通っているものですから大変渋滞をするということで、八号バイパスというものをつくって、町中を避けてバイパスをつくって、そこで渋滞を避けるように考えていただいているわけなんですけれども、これが実は四車線化がなかなか進まない部分があって、そこで結局渋滞が激しくなって、結果的に人と物の行き来がそこでとまってしまうという、まさに、道路とかを整備すればインフラのストック効果でさまざまな経済効果があるわけですけれども、そういったことをしないとそこでストップしてしまうストップ効果ということに、逆効果になりかねないというふうに思うわけでございますので、ぜひその辺を少しちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 まず、八号バイパスの四車線化の大長野―八幡間というものがあるんですけれども、ここは本当にかねてから懸案でございまして、四車線化が全然進んでいないということでございます。

 この春にも、実は小松市内にショッピングモールが進出するということもあって、渋滞がさらにひどくなるんじゃないかなというふうに懸念もされているわけであります。聞くところによると、ショッピングセンターや、あと、飲食や映画館なんかも入って、本当に広域からお客さんが来るということになっていまして、もちろん、その八号線を使って多くのお客さんが来ると思うんです。

 しかし、そこが四車線化がなかなか進まないことによって、町中にまた人も入ってくるし、とにかく渋滞がひどくなることが予想されるわけでございますので、この大長野―八幡間の四車線化の計画についてお聞きをしたいというふうに思います。

 小松市も、何とか町中からすっと出て八号バイパスにアクセスする道路、アクセス道路みたいなものも今計画しておりまして、幸八幡線というものの整備に着手していて、とにかく、町中を通らなくても、八号バイパスから町中にすぐに行けるような計画もしておるわけでありますので、何とか二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、あるいは遅くとも二〇二三年の北陸新幹線小松駅開業、これに間に合うような形でこの八号バイパスの四車線化を実現していただきたいというふうに思いますけれども、道路局の方でちょっと見解をお聞かせください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 先生からお話しございました国道八号、いわゆる小松バイパスと呼ばれているバイパスでございますが、これは、能美市、小松市、加賀市をつなぎます広域的な幹線ネットワークといたしまして、物流の効率化、観光地へのアクセス性、それから周遊性の向上、こういったことを目的とした重要な路線でございまして、お話しございましたように、平成十五年三月に、まずは暫定二車線という形で開通をしてございます。

 一方、その開通後、お話しございましたように渋滞箇所もございますものですから、こういった渋滞状況を踏まえまして、四車線化を順次進めてきてございます。

 例えば、八幡インターから東山インターの二・二キロにつきましては、平成二十四年度に四車線化ということでございます。また、東山インターから粟津インターの間の五・一キロにつきましては、平成二十六年度に四車化完了ということでありまして、お話がありました残る暫定二車線区間があるわけなんですが、そのうちの大長野インターから八幡インター間、四・六キロぐらいのところなのでありますけれども、今年度二十八年度の補正予算、これを活用いたしまして、今後、改良工事、それから、こちらには橋梁が三つ予定されておるんですが、この三橋の下部工事に着手をする、こういった段取りになってございます。

 来年度以降も、引き続きこの改良工事など、これを推進いたしまして、早期に広域ネットワークとしての効果が発現されるよう、また、御指摘ございましたように、企業立地などのストック効果が十分発揮されるように、私どもといたしましても事業推進に努めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 あともう一つ、今度、福井方面から入ってくる箇所も実は詰まってきているんです。ここは、実際、石川県に入ってからは非常に四車線化も順調に進んでいまして、加賀拡幅等々、大変そのお取り組みには感謝をしたいと思うんですけれども、まさに県境が詰まっていて、本当に困っているんです。

 実際、福井方面に行くときはこの八号を通らないともう行けないということで、並行して高速道路はあるんですけれども、やはり、ここがとまってしまうと本当に困るんです。特に、大雨の日とかは交通規制もかかりますし、冬場は、スタックというんですか、車が立ち往生してもうどうしようもないとなると、やはり、リダンダンシーの点からいっても非常に問題があるというふうに思うんです。

 中には、これは県境だという、確かに道路の整備というのは、どうしても中心部に向けて整備していくから県境が後回しになるというのもわかるんですけれども、一方で、ここは整備局の管轄も変わる。石川県は北陸整備局だし、福井県は近畿だ。だから、そこの境もあってなかなか進まないんじゃないかと、住民の方も非常に不安を持っているんです。

 ですから、ぜひここの県境の、石川県の熊坂とあと福井の笹岡間の四車線化、これについてもどういう計画をお持ちなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 ここは、福井県のあわら市議会と石川県の加賀市議会が共同で国道の陳情に来るという大変珍しいケースでもあるので、ぜひここも、ちょっと今後の計画についてお知らせいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お話しございました国道八号の石川、福井県境部、県境のところでございますけれども、お話しございましたように、並行する北陸自動車道とともに、これは、日本海側の物流を支える非常に重要な役割を果たしている幹線道路というふうに思ってございます。

 御指摘ございましたように、現在、この県境部周辺におきましては、地域の渋滞の解消でございますとか、あるいはアクセス向上のために、石川県側で加賀拡幅、それから、福井県側で福井バイパス、これを推進させていただいているというところでございます。

 それで、御指摘の二車線区間というのが約八・七キロございますが、これも、御指摘ございましたように、例えば、平成二十八年の降雪時にスタック車両によって通行どめが発生してございますし、また、ここは、連続雨量が一定を超えますと事前通行規制がかかるというようなことで、先ほどリダンダンシーというお話もございましたけれども、安全性の確保の面で非常に大きい課題がある区間、こういうふうに認識をしているところでございます。

 お話しございました四車線化ということでございますけれども、この辺の先ほど申し上げた安全性の確保をどうするか、こういったこととあわせながら、また、周辺の事業中箇所の進捗状況、こういったものも見据えながら、必要性を含めてしっかり検討させていただきたいというふうに思ってございます。

 以上でございます。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 本当に石川県は、縦の軸というんですか、八号線を中心として、大変それが軸になって、富山方面あるいは福井方面に行く。でも、逆に言うとそこだけが頼りなわけなんです。ですから、ぜひそこら辺は、四車線化はしっかりと進めていただいて、市民の皆さん、住民の皆さんの足をしっかり確保していただくということが大事だと思いますし、横断軸というんですか、縦があれば今度は横もやはり必要だ、リダンダンシーの観点からも。

 今、小松白川連絡道路というのもございます。ちょっと時間がないので回答は求めませんけれども、ぜひ、そういった意味で縦と横の足というものをしっかり確保していただくということをお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 次、北陸新幹線についてお伺いしたいと思います。あと、道路局の方は以上で結構でございます。ありがとうございました。

 北陸新幹線、今は本当に敦賀まで順調に工事を進めていただいているというふうに思うわけでございます。昨年の末も、敦賀以西のルートも一部を除いて決まったということで、京都、大阪まで早くつないでほしいということでございますけれども、敦賀開業の時点でフリーゲージトレーンを導入するというようなことでございます。

 今の北陸新幹線のこのフリーゲージトレーンの導入時期について御説明いただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、フリーゲージトレーンの技術開発自体の状況でございますけれども、これは車軸の摩耗対策などが課題となっておったところでございますけれども、昨年十一月に開催されました軌間可変技術評価委員会というところで車軸の摩耗対策の内容などについて了解が得られたということでございまして、昨年十二月から、開発主体である鉄道・運輸機構におきまして、九州新幹線などで実際に検証走行試験というのを実施しているということでございます。

 また、この評価委員会におきましては、あわせて、コスト削減策などの経済性の検討を継続することが必要とされたということでございます。

 国交省といたしましては、本年の初夏を目途にこれらの結果を取りまとめまして、改めて同委員会による評価を受けるということとしておりますけれども、実用化の前提となります耐久走行試験というものの再開に向けて、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 では次に、実際の導入時期はどうなるのかということでございますが、こういった技術開発が順調に進むことを前提にいたしまして、まず、九州新幹線の西九州ルートには、平成三十四年度にフリーゲージトレーンの先行車両の導入を予定しているということでございます。

 一方で、北陸新幹線へのフリーゲージトレーンの導入でございますが、これはさらに、冬季、冬の間の軌間変換を安全、確実に行うための技術開発などを行う必要があるということでございまして、このため、平成三十七年度末の導入を目指していたところでございますけれども、いずれにいたしましても、今後の具体的なスケジュールにつきましては、先ほど申し上げましたような耐久走行試験でございますとか経済性の検討の結果などを踏まえまして、最終的に今後決定されていくというふうになっておるということでございます。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 早くても平成三十七年ということでございますので、敦賀開業が三十四年度ですから、最低でも三年は乗りかえが必要だということになるというふうに思います。

 先般も、与党の新幹線の福井駅先行開業等検討委員会に鯖江市長がいらっしゃって、特急「サンダーバード」の存続を陳情されたわけでございますけれども、地元の自治体とか住民の方にすると、敦賀開業時にフリーゲージを導入するから、フル規格化で整備する当面の間は乗りかえなしで京都、大阪まで行けるんだという認識でこの計画を認可したというか、認めたというふうに言ってもいいと思うんですよ。国交省は、いや、それは前提じゃないとおっしゃりたいとは思うんですけれども、住民にすると、当然にそれはやってほしい、乗りかえなんか認められないよ、こんなお話なんですよ。

 ただ、この乗りかえというのは、実はこれはすごく鉄道にとっては大事な要素でありまして、例えば、今、富山の方は、関西・中京圏へ行くときに金沢駅で全部乗りかえしていますよね。でも、これによって首都圏シフトがもう起こっているんですよ。今までどちらかというと中京・関西圏との方が北陸は結びつきが強かったわけですけれども、最近の高校生の大学の進学状況なんか見ていると、今までは中京・関西圏の大学の進学が多かったんだけれども、ことしの春の方はもうほとんど首都圏に行ってしまうというようなことも起こっているわけで、これがいろいろな意味で、大学の進学のみならず、いろいろなところで起こってくるというふうに思うんです。

 やはり一番心配しているのは、観光客です。今まで、加賀温泉とか芦原温泉という温泉場を抱えていますけれども、こういったところに観光客は来ています。特に関西の奥座敷と言われるくらい、関西からのお客さんがやはり多いわけですよ。七、三か六、四くらいの割合で多いわけなんです。これが、乗りかえが発生することによってそこで足どめを食らって、敬遠されて、お客さんが来なくなるんじゃないかというやはり心配があるんです。

 ですから、ぜひ敦賀駅での乗りかえの利便性の向上は、これはもちろんやっていただかなきゃいけないんですけれども、できれば、それとあわせて、直通電車、これも検討していただきたいというふうに思うんです。「サンダーバード」の大阪、京都あたりから金沢まで、あるいは、「しらさぎ」の名古屋からそのまま金沢まで、仮に、あと敦賀からは並行在来線ということになるんでしょうけれども、ぜひそれを、臨時列車とか観光列車のような類いでも結構ですし、あるいは、ビジネスマンが使いやすい時間帯とか、あるいは観光客が使いやすい時間帯だけでも結構だと思うので、とにかく直通の電車を走らせていただきたい。

 これはやはり、敦賀駅の乗りかえも、フリーゲージが開発がうまくいっていない、これは言ってみれば失敗というか、当初のもくろみ違いがあるわけですから、そこはちょっと何らかの形で手当てをしていただきたいというふうに思います。

 このフリーゲージにかわる直通列車の運行について、制度的に可能なのかどうかということも含めてちょっと御回答いただきたいというふうに思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりに、平成三十四年度末に北陸新幹線の金沢―敦賀間が開業いたしますと、敦賀駅において、敦賀より東側の新幹線のお客様と、敦賀から西側の在来線にお乗りになる場合に、お客様の乗りかえが敦賀で発生するということになるわけでございます。

 そのため、佐々木先生にも大変御尽力いただいているところでございますけれども、与党の福井駅先行開業等検討委員会におきまして、敦賀駅での乗りかえ利便性の向上に向けた議論を真剣に行ってきていただいているところでございまして、具体的には、新幹線ホームの真下に在来線ホームを設けまして上下で乗りかえができるようにするような方策などについて、これまで検討を進めてきたということでございます。

 当然、国土交通省といたしましては、この委員会での御議論ですとか地元の御意向などを踏まえまして、引き続き、乗りかえ利便性の向上のための検討を進めてまいるというのが第一かなというふうに思っております。

 一方で、整備新幹線の建設に当たりましては、新幹線と従来の在来線、並行在来線を同時に運営することがJRの経営に過重な負担とならないように、基本条件の一つといたしまして、沿線自治体の同意を得た上で並行在来線をJRから経営分離するということになっているわけでございます。

 私どもの理解といたしましては、このフリーゲージの導入が並行在来線の分離の前提条件では必ずしもなかったというふうに思っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、北陸新幹線金沢―敦賀間の開業時点におきましては、北陸線の金沢―敦賀間は新たにJR西日本から経営分離されて、沿線自治体において第三セクターという形で運営していただく方向で検討されるものだというふうに私どもとしては承知をしておるということでございます。

 そうしますと、特急の運行などのダイヤがどうなるかということでございますが、制度的には、利用者の需要動向などを踏まえまして鉄道事業者が決定するものというふうになっておりますものですから、新幹線開業後の在来線の運行のあり方につきましても、今後、開業までの間に、JR西日本や、設立される並行在来線会社において検討されるものであるというふうに承知をしておるということでございます。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 制度的には可能だということなので、今後の話し合い次第だということで、住民の皆さんにすると、そういう直通電車を望む声が大変多いということはぜひ知っておいていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、北陸新幹線の「かがやき」の金沢―福井間の停車駅についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 先般、地元新聞に「かがやき「加賀温泉」停車」というふうに出て、大変大きな反響を生みました。これは国土交通省が作成した投資効果に関する詳細資料をもとにした記事でございますけれども、いわゆる敦賀以西のルートを決めるに当たって、客観的なデータとしてのBバイCを算定するもととなった資料です。

 その資料には、あくまでもこれは鉄道局の想定であり、開業後のダイヤは営業主体が決定するというふうにただし書きは書いてあるわけでありますが、しかし、ルート選定に大きな影響を与えるBバイCを計算する際の根拠となった資料ですから、私は大変重いというふうに理解をしています。

 ただ、この資料の意味を解釈すると、加賀温泉だけにとまるかどうかということが重要なのではなくて、金沢―福井間で少なくとも一カ所は停車しても福井には三時間で行けるということがみそなのではないかなと思います。

 例えば、ビジネス客が多く利用する時間帯は小松、観光客が多く利用する時間帯は加賀温泉とか芦原温泉にとめるというふうに、これは十分可能なのではないかなというふうに思います。

 今ほどの、この敦賀乗りかえの関西・中京圏からのお客さんが減るのでないかということも勘案して、やはり東京からのお客さんがその分来てくれればいいわけでありますから、そういったことも含めて、このことについて鉄道局の御見解をお伺いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、与党の検討委員会からのリクエストに応じる形で、北陸新幹線敦賀―大阪間のルートに関する概算事業費などの調査を行ったということでございまして、昨年十一月にその結果を公表させていただきました。

 この調査におきましては、ルートの需要予測を行うために、北陸新幹線の運行列車について平均的な停車パターンを何らかの形で設定する必要があったということでございます。

 このため、実は、平成二十四年の交通政策審議会整備新幹線小委員会というところの審議において、金沢―敦賀間の需要予測を行う際に設定した停車パターンというのがあったんですが、それも参考にしつつ、各駅停車のほかに通過駅を設けたパターンを、仮置きのものとして設定したということでございます。

 いずれにいたしましても、こういった調査における停車駅の設定は需要予測のために想定したものでございまして、ここは佐々木先生御指摘のとおりでございまして、開業後の実際の運行ダイヤについては、営業主体でございますJR西日本などによって開業前に決定されるということでございますので、現時点ではまだ何も決まっておらないということでございます。

佐々木(紀)分科員 どうもありがとうございました。

 世耕大臣にお越しいただいていたにもかかわらず、最初の質問しかできなかったことをおわびを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

星野主査代理 これにて佐々木紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 民進党の小熊慎司です。

 まず初めに、昨年発効されましたパリ協定についてお伺いをいたします。

 御承知のとおり、温暖化防止のための二酸化炭素抑制の国際的な合意でありますけれども、日本は二〇三〇年度までに二〇一三年度比で温室効果ガスの排出を二六%削減するという大変野心的な目標が、挑戦的な目標が設定をされています。二〇五〇年には八〇%削減するという高い目標が掲げられていますけれども、この目標を達成するためには、現段階では政府の見解としてはエネルギー基本計画どおりにいくということではありますけれども、二〇三〇年度、もうあと、えとが一回りすれば来るわけでありますけれども、十二年、長いようで短いというふうに思いますし、新たなこのエネルギー政策というのは、急にかじを切れるものでもありませんし、やはり時間がかかるものもあります。大きく動かすためにはそれ相当の期間を見込まなければならないというふうに思っています。

 エネルギー基本計画の中では原発の電源の比率は二〇から二二%ということでありますけれども、現在の、動いていない原発ばかりでありますが、これを四十年間稼働しても、二〇三〇年には、全部動かして再稼働できたとしても、一四から一五%にしかなりません。新設も今難しい状況の中で、また再稼働も難しい、さらには六十年ルールもありますが、六十年に延長するとしても、これも一定程度のハードルがありますから、この十二年間の中で二〇から二二%、この割合にするということは、達成するのは非常に困難な状況下にあるように感じます。そうした中で、この二〇三〇年が迫ったところで、やはり二〇から二二に行っていなかった、このパリ協定の目標達成が難しいとなって慌ててやったとしても、追いつきません。

 我々は今、原発ゼロ、三〇年、三〇年代ということで党内で議論しています。目標はもう一緒ですから、年なのか代なのかの違いであって、ゴールは一緒なので。マスコミにはいろいろ書かれていますけれども、路線に対しては何でもないんですね、のぼりは一緒なので。

 我が党はそういうスタンスでいますが、政府においてはこのエネルギー基本計画どおりと言っていますけれども、この十二年を想定すると、やはり二〇から二二というのは難しい目標だと思っています。だからこそ、このパリ協定、しっかりと目標を達成するためには、やはりほかの比率をしっかり高めていかなければならないというふうに考えるところであります。

 今、再生可能エネルギー、この買い取りのために一・八兆円使っているわけでありますけれども、それによって普及している部分もあります。ただ、既存の技術を普及するだけではなくて、やはり新たな技術開発をすることによってこれを進展させていかなければならない。新たな技術開発がざっくり言うと六百億程度しか国においては予算をつけていませんから、既存の技術の普及が一・八兆円、新しい技術開発が六百億円というのは、これはバランスが悪いなというふうに思っています。

 さらなる進展を図っていくためにも、新たな技術開発、研究開発の予算をつけることによって、さらなる効率化、普及が達成されるというふうに考えるところであります。

 そこで、まずお聞きいたしますけれども、このパリ協定、目標達成のためには、やはりエネルギー基本計画を見直していかなければならないというふうに思いますけれども、まず見解をお伺いいたします。

高木副大臣 今委員御指摘ありましたけれども、エネルギー基本計画、これは二〇一四年に閣議決定させていただきまして、その後、翌年、一五年の七月にエネルギーミックス、先ほど御指摘をいただきました原発の比率二〇%から二二%、これを決定させていただきました。それからまだ一年と半年しかたっていないこの現状の中において、結論から申し上げますと、現時点では、この比率を見直す考えはございません。

 ただ、委員御指摘のように、再生可能エネルギーを初めとするさまざまな研究開発、これはしっかりとしていかなければいけないという認識をしております。

 そういった中で、これも御指摘いただきましたFIT等の賦課金一・八兆円、これは政府の方に入ってくるわけではなくて、政府の方としてみれば、皆様方の貴重な税金の中で六百億円、これを技術開発の方に投入をするという流れでございますが、その中においても、太陽光発電においては、パネルの変換効率の向上、製造コストの低減、こういった技術開発や、風力についても、コストの低減を実現するための効率的なメンテナンス技術の開発、また、福島でも浮体式の洋上風力、こういったことの実証等を行っておりまして、そういった部分では、御指摘いただいているこの技術開発にはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

小熊分科員 現状、取り組んでいるのはわかっています。今副大臣がおっしゃったとおりでありますが、それが足りていないんじゃないかということでありますし、エネルギー基本計画、変えないというのは経産省とレクをしたときにももう既に聞いているところでありますが、それでこれは間に合うのかということなんです、パリ協定。

 日本は、国際社会の中で環境分野においては非常にリーダーシップを発揮してきました。京都議定書は残念ながら第二期は参加できませんでしたけれども、今回のパリ協定の中でも、いろいろな国会の日程等でおくれてしまった部分もありますが、日本は、環境分野というのはしっかりとリーダーシップを発揮できる分野でありますし、やっていくべき分野であるし、また、日本の経済の進展を考えても、もう原発ルネサンスなんという時代ではないので、再生可能エネルギールネサンスでやっていかなきゃいけない。

 まして、国際的に今、SDGsにおいても、ターゲットとしては、二〇三〇年までに再生可能エネルギーを倍増するとうたっています。さらに、処方箋の中では、より具体的に倍増と言っているんですね、今の比率から。SDGsの方でもそうしたアプローチ、目標値が掲げられている中で、日本が国際貢献をしていく、また、そうした世界経済の中でそうした技術を売って広めることによって日本の経済にも寄与していく、こうした観点。

 また、あと我が党でも、エネルギー環境調査会でさまざまな再生可能エネルギーの現場に行くと、明るい話が非常に多いです、課題も多いんですけれども。まずは、地産地消といった考え方である、また、地元経済にもしっかり寄与しているという意味でも、これはやはり分散型国家、エネルギーにおいてもそうです、いろいろな危機管理からいっても、分散型というのはある程度進めていかないといけないという意味では、さらに再生可能エネルギーの普及をしっかりと取り組むことによってこうしたパリ協定の目標値も達成していくという考え方に合致していると思いますし、あと十二年間の中で原発比率を二〇から二二というのは、到底私は達成できないと思っています、今のこの日本の状況、背景、また国民の意思を考えれば。

 この二〇から二二、達成できない、どうなんですか、立場からいうと、やるとしか今言いようがないんでしょうけれども。大臣、これはどうですか。

世耕国務大臣 当然、再稼働ありきではなくて、あくまでも安全最優先で、規制委員会の審査を経たもの、それをしっかりと再稼働をさせていくということであります。

 一部の炉については法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うなどの対応をすれば、私はまだ二〇%から二二%というのは十分達成可能だというふうに考えています。

小熊分科員 この見解の違いで多分これは平行線になると思いますけれども、時間はずっと過ぎていくわけであります。

 そういった中で、この二〇三〇年目標が達成されない、そうしたことが具体的に、より現実的に明らかになった際には、これはやはり見直して、この比率を変えて、二酸化炭素抑制の目標を達成していくということが重要であると思いますし、とりわけこれは国際合意ですから、国民の理解だけではなくて国際的な理解も必要でありますし、国際社会の中での約束、目標値ですから、これは、達成にはしっかりと心してかかっていかなきゃいけないという意味では、今後柔軟に対応していくことが求められます。

 原発を再稼働する、また、大間の新設なんかもありますけれども、これが計画どおりにいくといっても、時間がかかる分野になりました、原子力は。であれば、より短期間の中でこの比率を高められるという電力の分野にしっかりとこれは、今のうちからあらゆる想定をしながら、そして、その時々に、節目節目にしっかりとした現実的な施策を打てるように、二〇から二二に達成できると大臣は言い切りましたが、達成できない場合のこともしっかり今のうちから想定をして、その場合どうしたらいいかという次善の策を検討していただきたいと思いますし、実はそっちの方が国民の願いでもあるというふうに思うんですが、もう一度、大臣、見解を。

世耕国務大臣 いずれにしても、まだ少し先の話でありますし、エネルギー基本計画、ちょうど三年がたちましたので、その検討に入る時期でもあります。そういう検討の中で、新しい状況などを踏まえながら考えていきたいというふうに思います。

小熊分科員 原子力をめぐるさまざまな環境、国民的意識においては、これは三年前より厳しい状況に日本国内ではなっていますし、国際的にも、残念ながら、福島の事故、東電の事故を踏まえて、厳しい基準になってきて、建設コストはかかる、これは割に合わない電力だということが広まってきているところでもありますので、ここは、そうした、現実対応していく、無理くり進めない、安全神話に寄りかかってきた日本が反省をして前に進むという意味でも、ぜひともこれは、その見直し時期、またエネルギー政策の上においても、常に念頭に置いてこれから取り組みを変えていただきたいということを強く申し上げたいというふうに思います。

 そうした中で、もう間もなく、震災、東電の原発事故から六年がたとうとしております。復旧復興が果たされてきた分野、課題もありますけれども、原発事故はいまだに継続中の災害でありますので、課題が新たに発生しているもの、また、時間がたつと同時に発生してくる課題も数多くありますし、私の地元の風評被害というのも、一定程度は解消された、解決した部分もありますけれども、いまだに根強く残っていて、正しい情報発信をしてもどうしても拭えない割合が国内外ともにあるのは、御承知のとおりであります。

 そうしたさなかで、福島県においては、県民一丸となって、新たな福島県をつくっていくんだ、再生可能エネルギーで頑張っていくんだと言っている中で、県議会においても、昨年暮れの議会で、大臣も御承知のとおり、三度目の意見書が提出をされました。私の地元の会津若松市議会でも、この二月、三月議会でまた意見書を採択するということを聞いているところでもあります。

 政治が前面に立つというのは、我々与野党関係なく、また、大臣であろうと一議員であろうとみんなが言っているところでありますが、第二原発の廃炉については、現行法上は事業者の判断であると。大臣も、福島県にたびたび来られて、この件については、知事からも申し出があったときには、事業者の判断ということをさらっと言っていただいているんですが、そう言う以上、政治が前面に立つという言葉は使ってほしくないんですね。前面に立っていませんから。

 言葉だけで、実行に移せないのであれば、正直に、それはちゃんと前置きして、いや、第二原発以外は前面に立ちますけれども、これは立てませんよと言ってもらわなきゃいけない。勇ましいことだけ言ってもこれは仕方がないです。

 だから、これは与党とか野党関係なく、政治がうそくさく見られているんですよね、福島県内では。高木大臣もずっと福島に来られているからおわかりのとおり、どこか政治の不信感がある。それは与党、野党関係ないですよ。その一つの要因はこういうところにあるわけですよ。県議会とか市町村議会で全会一致で第二原発廃炉、国の責任においてという文章もたくさん入っています。でありながら、肝心の国、国会では、事業者の判断ですと。国が役割を果たしていない。

 さまざまな委員会で質問しても、東電側は、国のエネルギー計画を見据えながらというような、国に対しての言及がある。でも、政府に聞くと、事業者の判断と。誰がこのボールを受けとめてくれるのか。たらい回しになっています。政治が前面に立つなんて言葉は使ってほしくない。そらぞらしいです。

 そうした中で、第二原発は第一原発のバックアップ機能を有しているということを東電が言っているんですけれども、東電に直接聞きました、具体的に何だと。汚染水のタンクもつくっているし、港湾も利用していますと。でも、絶対条件じゃないんです、そんなのは。

 この第二原発がなければ第一原発のバックアップを果たせないという明確な理由は何でしょうか。

高木副大臣 この第二原発の問題をずっと小熊委員が指摘もされてまいりましたし、私もこの委員会等々の答弁でやってまいりました。

 御存じのように、福島県民、県議会や各市町村議会、さまざまな意思表示をしていただいて、御存じのように、第一原発の場合には、これは原子力災害の、法律のもとで政府として廃炉を指示したという現状がございました。現行法によりますと、これはあくまでも事業者しかできないという状況でございますので、法律の枠内で政府は動いているということでやっています。

 ただ、そういった中で、今御指摘をいただきましたバックアップ機能ということ。これは、私どももそういうふうに東電からも聞いておりますし、例えば、福島第一原発において万が一自然災害等による緊急対応、これはあってはいけないんですけれども、自然災害ですから何があるかわからない、もう想定外はしてはいけないということで、さまざまな手を打っていますが、そういった場合に、第二原発の要員が支援すること等も想定されている、このようにも伺っておりますし、そういった人材の厚みを高めることによって寄与している、こういうことも承知しております。

 バックアップという形、現状は、廃炉については、私どもも、事故室というチームをつくって、原賠・廃炉機構と連携をとりながら、前面に立ってやらせていただいております。さらに、第一当事者である東京電力がさまざまなバックアップ機能をつくるということに関しましても、これは理解をするところでもございます。

小熊分科員 今言った要員の話も聞いているんですね。でも、それは第二原発施設そのものじゃないんですよ、人材ですから。第二原発で働いていなきゃいけないという理由にはなっていないんですね。

 第二原発の施設が、その機能がどうやって第一原発の廃炉に役割を果たしているのかというのは把握していないということですね、経産省としては。どういう役割を果たしているんですか。これは東電にも聞きました、いろいろな形で、党内の勉強会でも何でも。でも、明確に出てきません。

 経産省としてはそれは把握していますか。経産省のレクを受けたときも、職員の皆さんもそれはわからなかった。でも、国会答弁では、バックアップ機能を果たしていると言っている。教えてください。

高木副大臣 現在、第二原発におきましては、職員四百六十名が支援要員として対応することを想定しているということです。

 その上で、例えば、これも御指摘もいただきました溶接型タンクの一時の仮置き、さらには、二〇一二年八月より、一Fで使用する下着類のうちの再使用可能なものを二Fの洗濯設備を活用、さらに、これまでの実績として、海底土被覆作業におきまして、例えば、一Fの港湾内の海底土砂に含まれる放射性物質の拡散防止を目的に、二F構内に被覆材を製造するプラントを設置して、被覆材を製造して、船に積み込んで一Fへ送り出している。また、溶接型タンクは、これはこれで二〇二〇年までは何とかもちますけれども、そういった部分でも、組み立て等も行っている。

 こういった形で二F要員というのも活動しているという実績がございます。

小熊分科員 副大臣も優秀な方で、ずっと異体同心でやってきたつもりなんですけれども、非常に残念です。

 要員も否定はしません。そこの何かの空間、作業をする空間も必要でしょう。だけれども、第二原発、施設そのものが第一に果たしている役割ですよ。あの機械ですよ、土地じゃなくて、敷地じゃなくて、そこで働いている人でもなくて。あの機械そのものがなくなっても第一原発の廃炉作業にそごは来さないでしょうという話なんです。だから、それは役割を果たしていないんじゃないですか。

 バックアップ機能だと言っていますけれども、今の話は人と土地の話です。それはどこでもいいんです。人の確保も、あそこじゃなくてもいいわけですよ。あの機械、第二原発の機械がどう役割を果たしているんですか。それは役割を果たしていると言っているんだけれども、具体的に聞くと何も出てこない。

高木副大臣 今現在、一Fの方の二号機、先日もロボットを投入して、途中でとまったといいましたけれども、二号機におきましては初めて格納容器内にロボットを入れる。これと同型系が、一Fの五号機がありました。やはり原発そのもの、本体があるということで、それがモックアップ機能を果たしているという部分もあると思います。

 楢葉にモックアップ施設をつくっておりますけれども、あれは二号機のモックアップという形で格納容器をつくっておりますので、そういった部分では、今後、廃炉をする上において、格納容器、さらに圧力容器内にさまざまなロボット投入や手を打たなければいけないときのそういったモックアップ機能はなされていると考えられます。

小熊分科員 第一の五、六が廃炉を決めたときに、全く更地にするんじゃないと。その話を聞きましたよ、当時。だから、一の五、六で足りるんじゃないですか、今の話は。

 さらに、第二の第一は五年後に四十年を迎えます。この間も予算委員会でやりました。そうすると、これを六十年にするかどうかは、いろいろな検査期間とか申請期間、あと、それに向かっての、新基準を満たさなきゃいけないというのがありますから、第二は定期点検でさえ受けていない施設です、それで考えると、一定程度の工事期間、また東電内での予算化とかいろいろな事務作業を考えると、検査に半年、申請は一年から十三カ月前、これで一年半以上使う。さらに、いろいろな工事関係とかを考えればプラス二年。三年半。

 そうしたら、あと一年半後には、六十年申請をするのかしないのか。でも、しないといったらもう廃炉ですよね。でも、東電は今、第二については白紙だと言っているんですけれども、いや、天下の東電が白紙なわけないんだよ。その辺がちょっと怪しいんだけれども。

 一年半後には、どうするかと実は決めなきゃいけないんです。五年後じゃないんですね。それは私の認識は間違っていないですか、どうですか。

高木副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 そういった意味では、事業者である東電が、今言われた四十年の期間を間もなく迎えるに当たりまして、事業者としての判断を下さなければいけない。それについては、東電の今後のやり方というか、それはしっかりと見ていかなければいけないと思いますし、一方で、私が、この間も予算委員会で委員から指摘を受けましたように、ことしの一月に福島民報のインタビューで、何らかの決着をつけなければいけないと。それは、そういった意味では、東京電力としての判断をある一定の時期にはしなければいけないであろう、そのような認識にも立っております。

小熊分科員 今までよりは踏み込んだあれですけれども。

 大臣に聞きますが、これは歴代大臣、経産大臣は、今ずっと答弁があったことを言いながらも、福島のはやはり同列には扱えませんねというのは、これは歴代大臣の言葉でありました。ただ、宮沢大臣のときは、株主のこともありますからとかいう答弁が実はあって、株主もそれは大事なんだけれども、大株主は国じゃないですか。

 福島のものは同列に扱えないというのであれば、この一年半後なんてあっという間に来ますよ。その前に解散があって、私もどうなるかわかりませんが。まあ頑張りますけれども。

 だって、同列に扱えないといっても、それは法律上は申請を出されたら規制委員会のもとで粛々と国もやらなきゃいけないんですけれども、それは動かす動かさないは別として、六十年にまず延長するなんていう申請が出されたとき、どう思いますか、大臣。印象でいいんですよ。

世耕国務大臣 それは、仮定の話にはお答えはできないと思います。

 歴代の大臣と同じく、私も、福島の皆さんの心情を察すると、これまでの新規制基準への適合を申請している他の原発と同列に取り扱うことは難しいと認識をしています。

 そして、四十年が迫っているというそのスケジュールも含めて、第二原発の扱いについては、これは法律上もう緊急事態が解除されているわけでありますから、東京電力が地元の皆さんの声に真摯に向き合った上で、本当に真摯に向き合ってほしいと私は思います、真摯に向き合った上で判断を行うべきだと考えております。

小熊分科員 世耕大臣、優秀な方ですから、今のは原稿を読まないで、これは気持ちの問題ですから。

 同列に扱えないと言っていながら、では具体的に言うとなると、法律どおりと言っているんですね。同列に扱えないというのは具体的にどういうことなんですか。言葉だけなんですかね。同列に扱わない、扱えない、気持ちだけの問題。同列ですよね、法律上は。具体的に何が違う、そこで区別をしてくれるんですか。

高木副大臣 先ほども私申し上げましたけれども、政府というのは法律に基づいて判断を下していきますので、法律の上では、今委員御指摘のように、同列だと思います。

 しかし、あえて大臣が、また私もそうですけれども、ほかの原発、申請をしている原発とは同列で扱えないというのは、まさに福島の今の現状を鑑みて、あれだけ多くの方々が被災をし、避難をされている、この方々の思い、または、避難はされていないけれども、県民の思いを思うと、これは同じじゃないだろうなという思いがあるわけです。

 ただ、それを政府が、法律外のことで、法律を離れて判断を下すということはできないということで、今ずっと答弁が続いているものだと思います。

 ただ、一方で、東電が判断をしなければいけないというときに、今大臣のお話にありましたように、東電もこの福島の皆さん方の気持ちというものをしっかりと受けとめて、では、その後、間もなく六十年を迎えるであろう、この問題に対して、従来の経営的な判断だけではない、そういう心情を酌み取ってやるべきであろう、こういったことを踏まえた答弁であると思います。

小熊分科員 いずれにしろ、これは、法律の範囲内といっても、法律をつくるのは国会ですから、法律でこれができる、政治の力でできるということもぜひ検討していただきたい。我が党は検討しています。今検討の最中ですから具体的には申し上げませんが。

 法律が現行であるので変えられないのであれば、法律を変えて、この福島の思いを形に変えていく、思いだけしゃべっていても何も進まない。その努力も、今後検討していただきたいというふうに思います。

 あとは、大株主として東電に決断を促していく、決断しやすいように環境整備をしていくというのも、これは政治の役割だというふうに思います。

 これは、これまでの大臣と違う、世耕大臣、そして優秀な高木副大臣のもとで、これまでどおりの対応じゃない、まさに福島の思い、そして、ほかのものとは別だというものの具体的な形を示せるようにしていただきたいと思いますし、我が党としてこの件に関して議員立法を呼びかけする際は、ぜひ与党内においても御理解を賜って、全会一致で成立できるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

星野主査代理 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

    〔星野主査代理退席、主査着席〕

宮下主査 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 よろしくお願いいたします。日本維新の会の浦野靖人です。

 きょうは、三点お伺いをしていきたいと思います。水素ステーションの普及について、それと万博について、最後、経済から見た子育て政策について、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初の、水素ステーションについてなんですけれども、これは、都道府県でもいろいろな取り組みをしていただいてやっています。

 私の地元、大阪の南部ですけれども、私の地域は交通網が非常に発達をしておりまして、関西を通っている高速道路の入り口がほとんどあるという選挙区です。阪神高速はもちろん、近畿道、阪和道、西名阪、もうすぐ阪神高速大和川線ができますので、湾岸線もつながるというふうに、今非常に交通の要所になっている地域なんです。

 そこで、水素ステーション、要は、代表的な車はミライという、トヨタの、具体名を出していいのかどうかちょっとわからないですけれども、とかですけれども、正直、全く見ないんですよね。

 それで、今回、この質問をするに当たって、いろいろと資料をいただいて見ました。やはり大阪の南部というのは補給をするステーション自体がほとんどないということで、ない以上なかなか普及しないだろうなというのは、それはもう当然の結果だと思っているんですね。

 南部で唯一あるのが関西国際空港だということで、世耕大臣とかは多分御存じだと思いますけれども、関西国際空港に行こうと思うと有料の橋を渡らないといけませんので、水素ステーションに行こうと思ったら、有料の橋を一々お金を払って渡らないとだめなんですね。そんなあほ、どこにおるねんという話で、正直、何でここにつくったのかなという思いはあります。ただ、ないよりはましだから、それはそれでいいとは思うんですけれども、なかなか大阪の南部の方は少ないなという状況です。

 今大阪のことを言いましたけれども、全国的に、水素ステーション等の取り組みについて、まず国から御答弁をいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 水素ステーションに関しての整備状況でございます。

 現在、全国で九十二カ所が整備されておりまして、八十一カ所が開所済みという状況でございます。

 それで、水素社会という将来を目指しまして、水素ステーションの整備を着実に進めていくということは非常に重要だというふうに考えておりまして、官民の連携のもと、アクションプランとして、水素・燃料電池戦略ロードマップというのを策定しております。

 この中で、水素ステーションの整備目標として、二〇二〇年度に百六十カ所程度、二〇二五年に三百二十カ所程度の整備を目指す、こういった方針で取り組んでいるところでございます。

浦野分科員 正直、卵が先か鶏が先かという議論で、ステーションをふやすのももちろんですけれども、車自体の台数をふやすというのも恐らく必要なんだと思います。車自体は、実際は、自動車メーカーさんがどれだけ生産をしていくかということになりますけれども。

 実は、我が党の議員も、トヨタのミライを予約をしていたそうです。ところが、三年かかると言われたということでキャンセルをしたとおっしゃっていました。だから、やはり欲しいという人はいるんですけれども、なかなか生産が追いついていないというのが今、それは非常にもったいないと思うんですね。やはりさすがに三年待つとなると、性能も変わるでしょうし、さらにいい車ができるんじゃないかというのも出てきますし。

 そこら辺はちょっと、これは国がどうこうというよりは、メーカーさんにどういうふうにしていってもらうかというお願いをしないといけないと思うんですけれども、メーカーさんのそういう計画みたいな、そんなものは、国として何かお聞きになっている数字というのはあるんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に燃料電池自動車を発売されましたのは、今議員から御指摘ございましたトヨタ自動車でございますが、初年度、大体生産能力七百台くらいであったというところでございますが、今は大体三千台くらいの生産能力になっているというふうに聞いてございます。

 当然のことながら、今、三年待ちというお話がございましたけれども、これから順次生産能力を拡大して、この三、四年、二〇二〇年代には三万台くらいの年間生産能力を確保したいというような目標で、今さまざま生産技術の改善、改良に取り組まれている、こういったようなお話を伺っているところでございます。

浦野分科員 この質問をさせていただくときに、事務所に来ていただいていろいろお話をしていただいたときは、私、何でこれをちょっと最近どうなるのかなと思っていたかといいますと、トヨタさんがCMで、水素の方の車じゃなくて、電気の方の、PHVですかの方の宣伝を今一生懸命やっているので、もしかしてこれはシフトしたのかなというふうに思ったので、これ、どないなるのやろうというのが、まず最初の出発点だったんですね。

 経済産業省の方に来ていただいたときにその話をしたら、いや、トヨタさんは全部やるんだというふうに言っていますと僕は聞かせていただいたんですね。ところが、その後、知り合いの車業界の方に聞くと、実はめっちゃ迷っているというんですね。電気でいくのか、水素でやっていくのかというのは、車の業界の中でも非常に意見が分かれていて、これはなかなか難しい選択になっていると。やはり蓄電池の性能とかも非常に上がって、電気自動車の性能が飛躍的に上がっているというのももしかしたらあるのかなと思っているんですけれども、車業界は非常に悩みどころらしいですよ。経済産業省の方はそうじゃないと言っていましたけれども。

 もしそれについて何かコメントがあるならば、ちょっとお聞かせいただきたいなと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる次世代車に関しまして、今委員御指摘のように、さまざまなオプションがあるという状態であるということは事実でございまして、今、まさに業界という言葉をおっしゃいましたけれども、業界挙げてこうと決まっているというところまでかたいということではないというふうに理解しています。

 ただ、私ども理解している限りにおきまして、電気自動車には電気自動車のよさはあるものの、やはり航続距離の問題、あるいは充填の時間の問題、さまざまな性能の問題からして、燃料電池自動車というものについても十分優位性はあるということで、私ども聞いております、既に国内販売されているトヨタさん、ホンダさん、あるいはほかの数社も関心を持って今開発されているという段階でございます。

 もちろん、最終的に、これから技術革新いろいろ起こってまいりますので、確定的なことは申し上げられませんけれども、燃料電池自動車は将来に向けた重要なオプションである、かつ、これが相当伸びていくという前提で事業計画を立てられて実際に取り組まれているというのが今の実態ではないかというふうに思っております。

浦野分科員 この水素ステーションの整備事業費補助金というのは、毎年、単年度で予算措置をすることになっています。

 だから、私は、例えば、車に対しても国が一台二百万ほど補助金をつけていたりとか、地方によってはそれにさらにプラス百万の補助があって、合計三百万円ほどの補助があるので、実質半額ちょっとの値段で買えているという、国が二百万も出しているというのは非常に、なかなかないことだと思うので、下手したら車一台買えますからね、その補助金だけで。それぐらいの金額を出しているというのは、国はちゃんと本気で取り組んでくれているというあかしだとは思うんですね。

 ただ、やはりこの整備事業の補助金が単年度で、何年間これをやりますとかじゃなくて毎年毎年という形になっているので、それは、何か都合が悪くなったらどこかで切られてしまうんちゃうかなというようなことになったらだめなので、そこはしっかりと、これは答弁は求めませんけれども、ぜひ、目標を達成するところまでは一生懸命やっていただけたらなと思っています。

 もう一つ、これは民間事業者の方が水素ステーションを基本的には整備していくということなんですけれども、その民間事業者の方から、例えば、道路事業者とかが持っている土地で、高速道路の入り口とかインターチェンジとかに近いところでここに建てさせてほしいというところがあった場合、なかなか話にも応じてくれないということもあるやに聞いております。

 そういうところも、もちろん自動車メーカーさんはこの事業に協力していただいています、燃料関係のそういう会社も一緒に取り組んでいただいていますけれども、道路事業者も、この際、そういう枠組みにちゃんと巻き込んで、ステーションをつくるインセンティブをやっていただけたらなと思っているんですけれども、その点について答弁をお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 水素ステーションの整備ということで、一つは、整備のための、先ほどおっしゃっていました補助をしっかりやっていくということで支援をやっていく。それと同時に、今、ステーションの整備とか運営、大変コストが高い状況になってございますので、このコストを下げていくということが重要でございまして、そのためには、規制の見直しであったり、あるいは技術開発、こういうことをやっていく必要があると思っております。

 さらに、その上で、適切な土地を確保していかなきゃいけないという問題があるわけでございます。これは、当然、設置する側の事業者の努力という問題はありますけれども、土地を持っていらっしゃる事業者の方、さらには管轄する自治体の関係者の方、幅広い皆さんの御理解を得ながら進めていくということが必要だというふうに思っております。

 私ども、関係する事業者、関係する省庁、それから関係する自治体、こういった方々を一堂に会する形で、今の水素ステーションの整備の状況でございますとか、あるいは今の規制のあり方、規制の見直しの状況でございますとか、あるいは他の地域での先進的な取り組みの状況といったような情報を共有しながら、なるべく御理解を得てスムーズに水素ステーションが設置されていく、こういったようなことを働きかけているところでございまして、こうした取り組みを引き続きしっかりと続けてまいりたいと思っております。

浦野分科員 やはり、交通量の多い地域にそういうものをつくっていくというのが一番大変ですし、交通量が多いということはイコール土地もなかなか確保しづらいというのは、そういうふうになってしまうんだろうと思いますけれども、大阪の南部なんかは、交通量が多い割には土地もまだまだたくさんあるはずですし、道路事業者の協力もあればまだまだやりようがあるかなと思っていますので、ぜひ、もちろん大阪だけのことじゃなくて、全国的にいろいろとやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたしておきます。

 水素ステーションのことはこれで終わりです。

 次は、万博について。

 きょうも、恐らく世耕大臣はあちこちの違う分科会でも万博のことについてはいろいろと質問を、うちの党の委員からもあったやに聞いておりますけれども、やっといろいろな体制も少しずつ本格的に動き出して、国においても、これからいろいろと、万博実現に向けて御協力をいただける体制を着々と進めていただいていると思います。

 実際、手を挙げるタイミングが、お聞きすると、五月二十二日までに正式に手を挙げないといけないということなので、そんなに思ったほど猶予もないという状況ですので、ぜひ、大臣から、今後の取り組みについていろいろとお話をいただけたらと思います。

世耕国務大臣 今御指摘のとおり、パリが一番最初に立候補しました、それから半年以内というのが締め切りになりますので、五月二十二日が立候補の締め切りということになります。そこへ向けて急ピッチに準備を進めていきたいと思います。

 具体的には、経済界ですとか有識者、あるいは大阪の関係者の皆さんも含めた検討会において、立候補に向けた構想の取りまとめなど、検討をしっかりと進めております。また、二月七日には、榊原経団連会長に誘致委員会の会長をお引き受けいただきました。これでオール・ジャパンで取り組んでいく体制も整ったわけであります。

 最終的に立候補するには、政府として閣議決定をして、そしてBIE、国際博覧会協会の方へ手続をしなければなりません。できるだけ早くやりたいと思います。

 そして、それを待たずに、これからパリと、あるいは、場合によってはロシアが立候補するという情報もありますので、選挙戦を戦わなければいけません。選挙は我々がプロなわけでありまして、選挙においてはやはり先に頼むということが非常に重要でありますから、正式な閣議決定を待たずに、もう我々は立候補する予定であるということを、安倍総理も、私も、あるいは他の閣僚も、外国の要人と会うときは必ず申し上げておりますし、その際には、とりあえず今、暫定の大阪のピンバッジをみんなつけていまして、それを渡したり、大阪を紹介するパンフレットを渡したりということで、もう誘致活動も事実上今取り組んで、もう既に百二十カ国以上に対して働きかけを行っているというところであります。

 いずれにしても、おくれることがないように、迅速に取り組んでいきたいと思います。

浦野分科員 我々が戦う選挙でも、選挙前に立候補予定者ということでいろいろと活動しますけれども、きょうは私、バッジをつけぬと来て申しわけありません。大阪のことを言いながら、大阪の人間でそれをつけていないのは申しわけないんですけれども。

 国を挙げてしっかりとやっていただけると思いますので、きょうは、ほかの分科会でもお話がありましたし、経済効果とかもそこでお話があったと思うので、ここではもう何も言いません。

 一つだけ。こういう国際大会をするときに、やはり苦い経験というか苦い記憶というか、オリンピック・パラリンピックのときに、具体的に言うとロゴ問題、いろいろとつまらないつまずきがありました。万博でそういった失敗を繰り返さないでほしいなと個人的にももちろん思っていますし、本当に、そういうところも、本来の事業とまた別のところでそういうことにならないように、しっかりとやっていただきたいなと思っているんですけれども、ロゴについては、何かルールはあるんですか。

世耕国務大臣 万博の誘致活動を行う上で、やはり誘致のシンボルマーク、ロゴマークというのは非常に重要だというふうに思っています。

 ちなみに、東京オリンピック・パラリンピックは、別に誘致のロゴマークで何かあったわけではなくて、その後の本式のロゴマークのところでちょっといろいろあったわけでありますが。ですから、誘致のロゴマークもしっかり決めていきたいと思います。

 これは実は大阪観光局のロゴマークで、ちょっと暫定的なシンボルマーク。何か外国の人に渡すものが欲しいものですから定めているところであって、それを用いたピンバッジを作製しているわけであります。

 今後は、来月にも設立される予定の、経済界や地元自治体を中心とする二〇二五年万博誘致委員会が正式な誘致シンボルマークを定めることになります。オリンピック・パラリンピックの教訓もありますので、そのロゴマークを決めるに当たっては、しっかりと先行商標等の調査を行っていく必要がある。

 オリンピック・パラリンピックの後、私は官邸にいて、いろいろなロゴマーク、サミットのロゴマークとかいろいろなものを決めましたが、やはりきちっと調査をかければある程度リスクは避けられるというふうに思いますので、経済産業省としても、必要な助言を行うなどしていきたいと思います。

浦野分科員 ぜひ万博を大阪で開催できるようになれば。私は実は一九七三年生まれですので、万博を知らないんですね。結構大阪の人は、あの万博はすごかったとやはりみんなおっしゃるんですけれども、ぎりぎりまだ生まれていなかったので、ぜひその当時を何かしのばせるような、そういった本当に大きな万博で成功できたらいいなと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 万博については以上です。

 次の、子育て政策についてということで、これは、来ていただいたときもなかなか難しい話になったんですけれども、私は厚生労働委員会に去年まではいてましたので、それで子育て政策はライフワークの一つですので、いろいろと厚生労働委員会でも質問をしてきました。

 私、地元では保育園も経営をさせていただいていますので、本当に今大きな社会問題になっている待機児童解消という言葉、この言葉は別にこの数年来言われているわけではなくて、実際は戦後すぐ、本当にもう何十年、五十年、六十年以上、待機児童の解消ということは行われて、本当に追いかけっこで解消していくことを国はずっとやってきたんですね。今さら始まったわけではないんですよね。

 実際に、さらに言うならば、日本全体の問題でもなくて、都市部特有の問題に今はなってしまって、田舎に行けば保育園のあきなんて幾らでもあるという。この間、幼稚園が子供の数が減って大変だという記事もまた久しぶりに出ていましたけれども、保育園、幼稚園で、田舎に行けばほとんど待機児童なんて関係ない、それよりも維持するのが大変だという地域の方が多くなっています。

 果たして、待機児童、もちろん待機児童を解消するということは僕は一定やるべきだと思っているんですけれども、では、この待機児童解消が、我々も保育業界の皆さんも、いろいろな経済的な側面も効果もある、厚労省も、働き方改革や女性の社会進出だとか、いろいろな社会に対する効果があるんだということで、待機児童解消ということをやってきました。

 しかし、僕がいつも思うのは、本当にそうなんですかと。本当にそうであるならば、何か経済的な数字とか、そういうデータというのがあるはずやから見せてほしいということを厚生労働省にもお願いしておったんですけれども、実は厚生労働省も具体的な数字を持っていないというんですね。

 であるならば、経済産業省、経済のプロの皆さんが集う省庁ですから、そういう数字があるのかどうかというのをちょっとお聞きしたんですけれども、答弁をお願いします。

柳瀬政府参考人 先生御質問の、子育て政策の経済効果を経産省として何かきちっと組織で計算したというわけではございませんけれども、専門家の中にはいろいろ計算をされている方もいて、中長期的に言うと、女性の労働力率が上がって生産性が上がって出生率も上がってということで、一単位の支出に対して二・八倍ぐらいの効果があるという専門家の試算もございますので、我々としては、効果はいずれにしてもあると思ってございます。

 それで、先生おっしゃるように、やはり子育て政策が経済を活性化させて持続的な成長へ行くというポイントは物すごく大事だと思っていまして、安倍総理も、安倍政権での女性活躍支援は社会政策ではなくて経済政策であるというのは、これは総理御自身がおっしゃっていますので。

 経済産業省としても、我々の立場ですとどうしても民間企業の活力を生かしながら子育てを進めるということで、昨年七月にスタートしました中小企業経営強化法におきまして、厚労省さんと連携をしまして、重点分野だということで、保育分野でも事業分野別指針というのをつくりまして、これにうまく乗っかっていただくと、例えば固定資産税を三年間も半減する、これは赤字の方も使っていただけるということでございます。それに、金融の面でもいろいろ御支援をさせていただいて、ITツールとかで人手不足のところを対応していただけるようにと。

 それから、我々としては、やはりダイバーシティ経営の表彰制度なども使いまして、企業で積極的に子育て支援をやっている、カルビーですとか、いろいろ工夫されています、そういった先進事例を積極的に表彰して、かつ発信することで、いろいろな企業に子育て支援をしていただく。

 それから、企業で保育所を設置をするという企業主導型保育事業というのを政府を挙げてやってございますけれども、我々としてはそれをいろいろな企業の方に知っていただいて使っていただくということで、普通の保育園だけではなく、企業にもそこをやっていただくということで、全国の地方経済産業局などでもあちこちで説明会をしていて、もう五百社に来ていただいて説明会をやっていますし、フェイスブックでの発信もしていまして、一カ月余りで一万人ぐらいに既に会社の方々に閲覧していただいて、できるだけ、制度はできているので、ぜひそれを使って待機児童の解消に経済の面でもお役立てできるようにということをやっているところでございます。

浦野分科員 総理もそういうふうにおっしゃっていますし、もともと保育政策というのは、厚生労働省に聞くと保育は福祉政策だと。我々ももともとはそういうふうに思っていましたけれども、もう今、実際は、現状は、例えば株式会社が参入できるようになっていますし、保育のことを保育サービスと呼ぶ方も、我々も使うときはそういうことも使うときもありますけれども、そういう言葉があるように、経済活動の大きな大きな一つだということにも今はなっています。

 ですから、民間にはそういうデータがあるんだということですけれども、私はやはり、国がそういった政策を決定するときに、国がちゃんとデータを実証して、だからこそこういう政策をしないといけないんだということをしっかりと自分たちの省庁で検証できるようにしないといけないと私はちょっと思っていますので、これは厚労省にもお願いをしていることですけれども、ぜひやはりそういう部分は、経済効果、この政策を打つことによってどれぐらいの経済効果、こういう効果があるんだというのをしっかりと出していただけたら、そういう保育政策を、いろいろなことを推進することを言う我々にとっても非常にありがたい、そういう後押しの数字になりますので。

 今は、民間ではそういうデータがありますとか、そういう何かよくわからない、ほんまにあるのかなというような、それは調べたら絶対あるんですけれども、大学が持っていたりとか、教育関係のそういう人たちが持っているんですけれども、それはあくまでもその人たちが調べた範囲ですから、それはやはり国が責任を持ってしっかりとした数字を把握していただきたいな。省庁と省庁でいろいろとあるのは理解はしますけれども、そこら辺は仲よくやっていただいて、しっかりと調べていただけたらなと思っています。

 これから、我々社会福祉も、いつまでも一〇〇%、今はもう一〇〇%国から出していただいているのは保育だけになってしまいましたけれども、本当に経済とそういう福祉というのはやはり表裏一体なので、ぜひ経済産業省もいろいろと目を配っていただいて、対応していただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

宮下主査 これにて浦野靖人君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 自民党の今枝宗一郎です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。そして、世耕大臣、また井原政務官、そして皆様、一日の最後でございます。どうか最後までよろしくお願いを申し上げます。

 今回の質問のテーマは、私、三十三歳ということもあって、日本の将来を見据えた新産業について主に質問をさせていただきたいと思っています。

 将来の日本経済を考えたとき、人口減少を越えて成長、発展していくためには、当然でありますが、生産性向上は必須であります。そのために、インダストリー四・〇を初めとして、IoT、ビッグデータ、AIなど注目されておりますけれども、私は、これらの技術を活用して、具体的にどのような産業を発展させていくかが重要だと考えています。

 そこで、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先日、安倍総理、麻生副総理、岸田外務大臣、皆様が渡米をされて、アメリカ・トランプ新大統領を初めとする政権の皆様と本格的な会談をしていただきました。その中で、日米経済の対話の中で、麻生副総理とまたペンス副大統領という枠組みが新たに創設をされることになりました。とかく注目されがちなトランプ新大統領と安倍総理、この一対一の対話だけでなくて、複数のチャネルをつくったことに大変意義深さを感じるものであります。

 この新たな経済対話の議論の中で、エネルギーが話題に上がっているというふうに聞いております。これは、アメリカのシェールガスのことも入っていると思います。

 現在は、近隣国の天然ガスに比べて、シェールガスというのは、運送費の関係もあってコストがかなり割高になっているというふうに感じておりますけれども、今後どうなっていくかはわかりません。

 また、アメリカ・ファーストと自認するトランプ新大統領、新政権でありますので、シェールガスの輸出についてどういう政策を打ってこられるのか、これもやはり注視をしていかなくてはならないと思いますが、アメリカから、例えばシェールガスが大量に日本に入ってくるという話になってきますと、国内固有のエネルギー開発をしておりますメタンハイドレート、この開発に影響はあるのでしょうか。政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

山下政府参考人 今月十日に行われました日米首脳会談では、日米経済対話を立ち上げて、エネルギー分野を含めて対話と協力を深めていくことについて一致をいたしました。ただし、協力の具体的な内容は、今後両国間で検討していくことになっていくということでございます。

 シェールガスとメタンハイドレートは、いずれも同じ天然ガスでございまして、潜在的に競合が考えられますが、シェールガスが既に商業化されているのに対しまして、メタンハイドレートはいまだ生産技術確立の段階にございまして、中長期的な視点で将来の資源情勢の不確実性に備える、そういう側面がございます。

 したがいまして、当面のシェールガスの動向が直ちにメタンハイドレートの研究開発に影響を及ぼすというふうには考えているところではございません。

 引き続き、平成三十年代後半に商業化に向けましたプロジェクトを開始すべく、官民合同で研究開発に取り組んでまいりたいと思ってございます。また、商業化が実現すれば、我が国の貴重な国産資源として、シェールガスにはない価値を持つものになるというふうに期待しているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 メタンハイドレートは、今お話しいただきましたように、日本固有のエネルギーとして大きな可能性を秘めております。

 日本は、戦前から国内エネルギーの圧倒的な不足によって悩まされてまいりました。大東亜戦争の直接の引き金も、ABCD包囲網をしかれて、結局、石油の輸入をとめられてしまった。そして、南方に石油を求めて軍が動いた。これが引き金でありました。

 戦争を起こしてはならないというのは絶対でありますし、これは当たり前のことでありますけれども、エネルギーの不足というのは、それほど国や国民を追い詰める、ウィークポイントになり得るということでありますので、このメタンハイドレートは必ず実用化をしなくてはならないというふうに思っています。

 その中で、メタンハイドレート開発は、今のところは非常にうまくいっているというふうに感じています。

 特に、砂層型におきましては、平成二十五年、愛知県の渥美半島沖で、世界初の海洋産出試験を行って、それまで諸外国で行われていた陸上の産出試験に比べて、十倍の量が十倍の効率性で出てきた、そういうような状況だと思います。課題となりました、いわゆる砂による目詰まり問題も早々に原因が究明をされまして、対案も考えられているということであります。

 そして、さらに開発状況を加速させていただきまして、ことしの四月に長期生産試験というものをいよいよ行うということになっていると思います。これは必ず成功させていただきたいというふうに思っていますけれども、この産出試験がうまくいった場合、長期に産出をするというところを越えていけるわけでありますので、今後どのような計画で具体的に実用化に進めてやっていくのか、また、コスト競争性というのを高めていく必要がもちろんあると思うわけでありますけれども、そういったことも含めて、これからの計画について教えていただきたいというふうに思います。

山下政府参考人 砂層型のメタンハイドレートの開発につきましては、海洋基本計画におきまして、「平成三十年代後半に、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ、技術開発を進める。」というふうにされてございます。

 先生御指摘のように、本年四月から、愛知―三重沖での実施を予定しております第二回海洋産出試験におきましては、第一回の海洋産出試験で明らかとなりました、砂によって引き起こされるガス生産のための井戸の目詰まりを防ぐ対策など、技術的課題の解決などを通じて、一カ月程度のガス生産を続けるということを目標としてございます。

 民間企業主導の商業化のためのプロジェクトの開始のためには、この海洋産出試験で得られました成果を検証した上で、長期的、安定的なガスの生産ができるのか、生産コストはどうか、あるいは長期生産による環境面への影響はどうなのか、こういった課題を順次解決していくことが不可欠でございます。

 資源エネルギー庁といたしましては、産学の有識者と緊密に連携しつつ、今後ともこれらの課題の解決に向けた検討を実施してまいりたいと思ってございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、早く実用化をできるように進めていただきたいというふうに思っています。

 やはり、開発を早く進めていく、どんどんどんどん促進していくとなりますと、今後の産出試験も当然何回かまた行っていかなくちゃいけないと思います。こういったときに、やはり知見の多いこの同じ海域を使って進めていくということが最も効率的だと思いますし、効果的だというふうに思います。

 今回の産出試験は、補給基地港を蒲郡港というところに設定していただいておりますけれども、また、この実験を行う場所は、実際、蒲郡の皆さんの使う漁場でもあるということもありますので、この共存のもとに、今後の産出試験や実用化のプロジェクトを行うのに適した地ではないかなというふうに思っておりますけれども、政府としてのお考えをまた教えていただければと思います。

井原大臣政務官 今枝議員にお答えを申し上げます。

 海洋産出試験を実施する基地となる港の選定ということですが、一つには、試験を実施する海域からの距離がまずあります。二点目は港湾施設の利便性、三点目は地元関係者の理解などを考慮するとともに、外部有識者による意見を踏まえて決定してきたところでございます。

 こうしたプロセスを経た上で、これまでは、実験海域である第二渥美海丘に近くて、利便性も高く、そして地元の理解も深いという蒲郡港が選定されてきたところであります。

 今後につきましては、第二回の海洋産出試験の結果も含め、それをもとにして今後の検討が進められますので、海域や基地として使用する港湾を含め、今後の具体的な計画について現時点で言及することは難しいわけですが、先生御地元の蒲郡港は、これまで、産出試験に使用する資機材、消耗品類等の補給基地の港として十分な機能、協力を果たしていただいていると私も認識いたしております。

 さきに述べた条件や、今回実施が予定されている第二回海洋産出試験の成果の有効活用といった、先生のおっしゃる知見の集積という観点もぜひ含めて、総合的に勘案しつつ、最も適切なメタンハイドレート開発のあり方を検討してまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも蒲郡をメタンハイドレートの町と目指していきたいというふうに思っておりますので、またさまざまな形での御支援をお願いしたいと思っています。

 これは、まだ実用化はこれからということなんですけれども、初めにいきなりどんと大規模に電力を賄うのはできないんでしょうけれども、例えば、小さな発電システムをつくって、この近くにラグーナ蒲郡という遊園地もある一大観光地があるものですから、こういうところで活用したりですとか、また、ここで抽出した天然ガスで動く自動車も今ありますので、例えばメタンハイドレートで動くタクシーですとか観光バスですとか、何かそんなようなものも、象徴的なものからでもいいので、少しずつ、小さいものからでもやはり実用化の知見というものもだんだん高めていく、こういったことも必要だと思いますので、また今後御検討いただけるとありがたいというふうに思います。

 世耕大臣もうなずいていただいて、ありがとうございます。

 続いて、次の話題に移りたいと思います。新産業ということで、宇宙産業について質問させていただきたいと思います。

 二十一世紀は宇宙の世紀と言われます。研究、技術開発のみならず、民間部門も飛躍的な成長を遂げております。

 昨年、宇宙二法が成立をいたしまして、民間企業としても多くのビジネスチャンスが出てまいりましたけれども、日本の宇宙産業の市場規模は現在約三千五百億円ほどで、アメリカの二十分の一以下であります。そして、その九割は官需でありまして、一方で、諸外国は、ロケットや衛星を活用したいわゆる地上系ビジネスと呼ばれるようなものは民間が行って、それを政府が調達する、もうこういうところまで今来ているわけであります。民間が要はビジネスとしても非常に広がってきている、こういうことであります。

 日本も早くこういう状態になっていく必要はあると思いますけれども、やはり欧米の宇宙産業に比べてさまざまなディスアドバンテージがあるということも事実だと思いますので、おくれずにどんどん進めていかないといけないと思います。

 そこで、宇宙産業として、特に日本の中で民間の市場規模をどういうふうに拡大していく予定でしょうか、お答えをお願いしたいと思います。

糟谷政府参考人 宇宙二法が成立をいたしまして、民間の新規事業者が参入するための環境が整備をされたというふうに考えております。

 今後、民間宇宙市場の拡大を図りますためには、ロケット、衛星など宇宙機器産業と宇宙利用産業、この二つを車の両輪として振興していく必要があると考えております。

 先ほど触れられました三千五百億円というのは、この二つの柱のうちの宇宙機器産業の直近の市場規模でございます。約九割が官需でありまして、残りも大半が輸出であったりいたします。まだまだ民間の宇宙市場というのは小さいのが現状でございます。他方で、宇宙機器産業に比べて、宇宙利用産業の方が、世界的に見ますと市場の規模は非常に大きゅうございます。

 こうした宇宙機器産業、宇宙利用産業を車の両輪として振興するわけでありますが、その際、これまで政府主体で進めてまいりました宇宙開発利用を民間からの調達に切りかえていくといったことなどによりまして、民間主体に変えていく、それによって民間の宇宙市場を拡大していくということが必要ではないかと考えております。

 この観点から、経済産業省といたしましては、衛星リモートセンシング法が施行された後に、速やかに、小型、高性能な地球観測衛星のASNAROというのがございますが、これを民間移転を行うということにより、衛星画像販売事業者の育成に努めていきたいと考えております。

 また、超小型ロケットの開発を支援しておりまして、これによって打ち上げコストの低減を図りまして、宇宙ビジネスへの新規参入を促していきたいということも進めたいと考えております。

 現在、政府として宇宙産業ビジョンの策定を進めておりまして、今後とも、関係省庁が連携をして、必要な施策を総動員して民間宇宙市場の拡大を図ってまいりたいと思います。

今枝分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、宇宙機器と宇宙利用、両方、産業として非常にございますし、宇宙利用産業は裾野が広いということもございますし、また、ほかの業との関連性といいますか連携性というか、それも非常に高いものですから、ぜひともそこも含めて、宇宙機器も含めて御尽力をいただきたいというふうに思います。

 そこで、もう少し深掘りをさせていただいて、諸外国で、この宇宙産業、それぞれ両方ともありますけれども、非常に裾野を広げてやっていっているのは、ベンチャー企業の存在がやはり非常に大きいと思います。それも、いわゆる大学発だけではなくて、他分野のビジネスからの転入者も含めてスタートアップが行われているというふうに思います。

 日本でも、二〇〇〇年代の後半ぐらいから、アストロスケールですとかアクセルスペースさんといった宇宙ベンチャー企業ができ始めておりますけれども、政府として、こういった宇宙ベンチャー企業、こういったところに対する支援というものに対して、特に何かお考えのことはございますでしょうか、よろしくお願いいたします。

糟谷政府参考人 日本におきましても、宇宙産業に新規に参入するベンチャー企業、スタートアップ企業があらわれてきているところではあります。

 先ほどお触れになりましたアストロスケール社、これは宇宙のごみ、宇宙デブリを除去するビジネスの実現を目指しているベンチャーでありますけれども、昨年三月、産業革新機構が、このベンチャー企業の事業資金の調達に当たりまして、三十億円強を上限とする出資を決定したところでございます。

 経済産業省では、新たな分野に果敢に挑戦することを是とする社会の意識を拡大し、ベンチャーの担い手をふやすため、ベンチャーの表彰制度、またシリコンバレーへの人材派遣などを進めてきております。

 さらに、ベンチャーの成長促進のために、研究開発型ベンチャーへの資金面、事業面にわたるきめ細やかな支援や、大企業との連携支援を図るための取り組みなどを実施しております。

 特に、宇宙分野におきましては、スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク、S―NETと呼んでおりますけれども、これを立ち上げまして、新たに宇宙分野に参入を考える方とそれの関係の方々との交流イベントの開催ですとか、防災、農林業、観光等の有望な産業分野における分科会の開催を行っているところであります。

 こうした取り組みを通じて、国内宇宙ベンチャー企業の育成をさらに進めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 やはり、いろいろなことで取り組みたい、よくわかりますけれども、例えばVCやベンチャーエンジェルとか、そういった部分も含めて、資金調達面、政府がしっかり支援していただけると、さらにそこに乗ってくるということもございます。また、やはりそういった部分が日本は諸外国に比べてなかなか支援が小さいということも当然課題としてはあるわけでございますので、より強力にそこは支援をしていただきたいな、こんなことを思っております。

 そしてまた、支援をする分野も、ロケットや衛星ビジネス、こういったところが今は主力でありますし、そこに集中的にまずは支援していくということも大事だと思いますが、世界的には競争が激しい分野でもありますので、今後、将来的には、例えば国際宇宙ステーションや補給船や月面探査といった、さらにさらに進んだ分野についても、まだまだどうなるかわからない部分もございますけれども、支援を厚くしていただけるとありがたいな、そんなことを思っています。

 ここまでは、かなり先の将来を見据えたテーマで質問を続けてまいりましたが、ここからは、新産業といいながら、もう少し近い未来を見据えたテーマについて話題をかえてまいりたいというふうに思います。

 二〇二〇年ごろGDP六百兆円を目指す安倍政権でありますけれども、地方創生を実現しながら進めていくとなりますと、やはりそれぞれの地域ごとの具体策を進めていく必要があります。産業クラスター政策だと思います。

 これは何も技術的な部分から話をしているだけではなくて、分野の近しい産業群が集積をすることで、人材的にも、資金調達の意味でも、また新しいビジネスチャンスが生まれやすい。こういう意味でも、とにかくやはり情報やいろいろな人の交流がどんどんどんどん近い中で生まれていく、この方が非常に有効性が高い、これが産業クラスター政策のよさだと思いますけれども、こういった産業クラスター政策に対する国の立場また支援、今どのような形でしょうか、教えてください。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 国のクラスター政策、二〇〇〇年代中心に、全国で二十カ所弱をターゲットに進めてまいりました。これによりまして、地域内の産学官の関係者のネットワークの形成、新事業の芽を育むような共同研究などについて一定の成果が上がりました。

 先生の御地元を含みます東海地域のものづくりのネットワークも、千六百社、大学や研究機関三十四機関参加するような、非常に大規模な活動を行われたわけでございます。

 他方で、クラスター政策、従来型のものでございますと、今後成長していくマーケットを意識してのビジネス戦略の構築、この部分がやや弱い面がございまして、そういう意味で、地域経済を強力に牽引するという意味では一定の限界がございました。

 この点を踏まえまして、今後、私どもといたしまして、産学官のネットワーク、地域の産業集積などもしっかり生かしながら、成長が期待される市場分野を中心に、具体的なビジネス戦略を担う地域中核企業を中核に据えまして、支援を重点化してまいりたいと考えてございます。

 このような地域の中核企業が取り組むビジネスには、先生御指摘の第四次産業革命関連分野も含まれると考えてございまして、こういう分野を狙っていかれる企業の方々を想定いたしまして、今国会に地域未来投資促進法案の提出を予定してございます。地域の中核企業が中心となって取り組む事業を地域経済牽引事業として御地元が承認し、国として、予算、税制、金融などあらゆる政策を集中的に投資してまいりたいと考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 今、地域未来投資促進法案についてもお触れをいただきましたが、非常にすばらしい、新しい発想だと思いますので、地域中核企業を中心としながら関連産業が集積していくような形というのをぜひともまた努力をいただき、当然、今の法案につきましても早期成立を望ませていただきたいと思います。

 さて、それでは、今後どのような分野が産業クラスター政策をやっていくのに有効かということを考えますと、私は、一つにはいわゆるドローン産業が当たるのではないかなというふうに思います。

 ドローンといいますと、平成二十七年の四月の二十二日、首相官邸の屋上に落ちていたということが大きく大きく報道されまして、国民の皆様からしますと非常に不安かなというのもあるかもしれませんけれども、その後、航空法が改正をされまして、今、管理規制というのは非常にきちんとした形でやられていると思います。今後、管制システムですとかまた衝突回避システムですとか、こういった安全運航のための技術開発は進むでしょうし、これは非常に重要なわけであります。

 一方で、今、世界のドローン市場というのは非常に大きく急拡大をしておりまして、アメリカなんかでいいますと、ドローンの研究開発を行っていく上で必須である飛行申請が非常に簡便で、研究開発をしやすい、こういう側面もあります。

 さらに、ドローン産業の特徴というのは、機体開発はもちろんなんですけれども、例えば建設ですとか防災ですとか農林水産、また医療ですとか運送業など、それぞれサービスを提供するシステムの開発が重要でありまして、これにはやはり、政府だけでなくて民間の研究環境の整備が非常に重要なわけであります。

 二〇三〇年にはドローンの日本国内市場は一千億円というふうに言われておりますけれども、世界市場は十兆と言われているわけでありますから、私は日本の潜在市場というのはもっともっと大きいんじゃないかなというふうに考えております。

 そういった中で、二十七年の十一月五日に、第二回未来投資に向けた官民対話において安倍総理が、早ければ三年以内にドローンを使った荷物配送を目指すということを発言されました。翌月の十二月七日には、小型無人機の利活用を考えながら、官民協議会ということも開催をされまして、翌年の四月二十八日には、小型無人機の利活用と技術開発のロードマップというものも作成をされました。ここで、二〇一八年、目視外の飛行が可能となるレベルスリー、そして、二〇二〇年代以降に有人地域で、人が下にたくさんいる状態でも目視外飛行を許可できるようなレベルフォーを目指していくと、具体的な道筋も示されたわけであります。

 電波法とか刑法とか民法とか、もろもろの課題はあるんですけれども、期限をしっかり区切った形でロードマップが示された、これは非常にいいことだと思いますし、関係の皆さんに非常に敬意を申し上げたいわけであります。

 ただ一方で、産業振興というところにしっかりとフォーカスを当てますと、若干、これはちょっと弱いんじゃないかなと思うところもありまして、そういった意味で、経産省さんにどんどんこれを頑張っていただきたいわけであります。

 ドローン産業というのは、先ほど申し上げたように、サービス部門で特に高度技術の組み合わせが必要でありますし、また社会実験が必要であります。そして、ちょうど昨日、安倍総理が発表されましたサンドボックス制度の活用も非常に有用でありますので、産業クラスター政策が有用である、適しているというふうに思うわけでありますし、海外でもこういうドローンの先進地域、まさに産業クラスターを形成しているわけであります。

 こういったわけで、産業クラスター政策をドローン分野で進めるべきだと考えますけれども、経産省としてのお考えをお聞かせください。

糟谷政府参考人 ドローンは、まさに政府が進める成長戦略の一つの大きな柱であるというふうに考えております。また同時に、社会課題を解決する上で非常に有効な手段であるというふうに考えております。

 これまで、日本のドローンというのは、主に農薬の散布という形で使われてきたわけでありますけれども、今後、人手不足に悩む建設土木現場における測量でありますとか、老朽化したインフラの点検でありますとか、それから空撮、農業など、非常に多岐にわたる分野で活用が期待されるところであります。

 日本の現在の市場規模はまだ数十億円あるかないかというところでありますけれども、二〇三〇年に一千億円を超えるというふうに言われておりまして、実際、各自治体におかれても、地元のニーズに応じて、離島への物資の輸送ですとかインフラの点検、それから山林の管理など、ドローンを活用した取り組みが徐々に始まっているところであります。

 このように、ドローンは、地域経済において今後成長の柱となることが期待される分野の一つであるというふうに考えております。地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域経済を牽引する取り組みや企業群が全国津々浦々で生まれるように支援をすることが必要であります。

 先ほどお話がありました地域未来投資促進法案の対象にドローンはなる分野だというふうに考えておりまして、この法案の支援措置を活用するなど、ドローン分野での取り組みを強力に支援してまいりたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。ぜひともそのような形で進めていただければというふうに思っています。

 我が地元であります愛知県の東三河地域というところに引きつけて考えてみますと、例えばドローン実験を行うときに、町もあったり、当然、海から山の自然条件、こういうものも多様性があった方がいいわけでありますけれども、こういったことも我が地域はございますし、また、有名機体メーカーが近隣に存在したりですとか、もともと自動車や航空機産業の立地する愛知県でありますので、関連企業も数多くございます。

 また、名古屋ですとか西三河といった地域よりも開発余地が非常に多く残されておりますので、新産業クラスターを形成していくのに非常によい条件ではないかな、このように自認をしているわけであります。

 こういった愛知県東三河地域がドローン産業クラスターとなっていく可能性について、経産省から見ていかがお感じか、教えていただければと思います。

糟谷政府参考人 愛知県は国家戦略特区に指定をされておられまして、ドローンによる有害鳥獣の駆除ですとか遠隔操縦の実験などにも取り組んでおられます。

 また、あいちロボット産業クラスター推進協議会というのを設けられまして、すぐれたものづくり技術を持った企業や大学などが集積をしていることを生かして、産学官の連携によってドローンの開発やビジネスモデルの検討を進めておられると承知をしておりまして、こうした取り組みに我々としても非常に期待を申し上げておるところでございます。こうした取り組みによってロボットやドローンの関連産業の裾野が広がっていくことが非常に重要であるというふうに考えております。

 政府といたしましても、来年度予算にも、ロボット分野の導入実証事業ですとかドローン分野の研究開発事業などを盛り込ませていただいておりまして、こうした事業も必要に応じて活用して取り組みを支援申し上げていきたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。非常によく愛知県のこと、東三河のことを見ていただいて、ありがたいなというふうに思っております。

 このように、東三河でのクラスター政策のポテンシャルの高さというのを先ほど私からも申し上げたわけでありますけれども、こういった地域の特性を考えますと、ほかの産業にも可能性は十分広がるというふうにも思っております。

 ただ、我が地域の一つの問題として、道路アクセスの悪さということがございまして、東名高速道路、新東名高速道路、新幹線などあるんですけれども、問題は、国道二十三号線蒲郡バイパスが九・一キロ、ミッシングリンク化をしていることによって周辺の渋滞というのがすさまじいことになっておりまして、この状況ですと、ものづくりをやっていこうと思っても、やはり企業立地もなかなかしにくいという部分もございます。

 実際に、企業用地なんかも二〇二〇年に近隣でスタートするということもございますので、やはりこういった時間軸を見据えながら、国道二十三号線の蒲郡バイパスの整備ということも大推進を、スピードアップをどんどんしていかないといけないというふうに思うわけであります。

 地域の地権者さんとの交渉も、地元の自治体も実は職員を派遣していただきまして、今全力で取り組んでいるものですから、ぜひとも強力に政府としても御推進をいただきたいというわけでございますけれども、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お話のございました国道二十三号蒲郡バイパスなどで構成されておりますいわゆる名豊道路は、きょうお話がございました地域の産業クラスターの一部を形成する三河港周辺へのアクセスを強化いたしまして、東三河地域の交通混雑の緩和、あるいは物流の効率化、こういったことを図る重要な路線であるというふうに認識してございます。

 先ほどお話がございましたように、この名豊道路で唯一の未開通区間でございます蒲郡バイパスのところでございますけれども、豊川為当インターから蒲郡インター間、これは約九・一キロの区間でございますけれども、現在、用地買収とトンネル工事などを全面的に展開させていただいているというところでございます。

 それで、現在、用地買収の状況につきましては、本年一月末で進捗率は九割にまで達しているということなんですが、先ほどお話がありましたように、一部の未買収地につきまして用地買収が難航している、こういった状況でございます。

 実は、その難航しているところというのが橋脚、インターチェンジ、そういったところで、いわば工事の工程に非常に大きい影響を及ぼすその用地が買収できていない、こういう状況でございますので、先ほどお触れいただきましたけれども、地元の皆様方にぜひ引き続き御協力をいただきながら、一日も早い開通を目指して事業を進めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも強力に御推進をお願いしたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、二〇二〇年というのが一つのメルクマールでございまして、年度内の完成をすることによって、やはりいわゆるストック効果も非常にあるわけでございますし、産業クラスターの新しい形というのも目指せる地域でございますので、ぜひとも二〇二〇年度内ということを一つの、努力していただいて、頑張っていただければありがたいな、このように思っております。

 時間が参ってしまいました。

 この後、実は、介護ロボットについてのお話ですとか、また自動運転やパーソナルモビリティーなど、非常に私も新しい分野をどんどん応援していきたいという思いで話をさせていただきたかったんですが、最後の時間になってしまいましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

宮下主査 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日木曜日午前九時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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