衆議院

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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小田原 潔君    古屋 圭司君

      宮下 一郎君    山本 幸三君

      逢坂 誠二君    階   猛君

      浦野 靖人君

二月二十六日

 宮下一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 宮下 一郎君

      小田原 潔君    神谷  昇君

      国光あやの君    小林 史明君

      繁本  護君    鈴木 隼人君

      古屋 圭司君    山本 幸三君

      逢坂 誠二君    階   猛君

      浦野 靖人君

   兼務 秋本 真利君 兼務 佐々木 紀君

   兼務 船橋 利実君 兼務 阿久津幸彦君

   兼務 伊藤 俊輔君 兼務 神谷  裕君

   兼務 中谷 一馬君 兼務 道下 大樹君

   兼務 浅野  哲君 兼務 緑川 貴士君

   兼務 高木美智代君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 畑野 君枝君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   経済産業副大臣      関  芳弘君

   経済産業副大臣      磯崎 仁彦君

   経済産業大臣政務官    滝波 宏文君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   東出 浩一君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         福浦 裕介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            中村  修君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           齋藤 福栄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本 麻里君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           成田 達治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石川 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁長官)      宗像 直子君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    安藤 久佳君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    前田 泰宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           福田 守雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         浅輪 宇充君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            平岡 成哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     鈴木 隼人君

  山本 幸三君     小林 史明君

  階   猛君     稲富 修二君

  浦野 靖人君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     国光あやの君

  鈴木 隼人君     繁本  護君

  稲富 修二君     白石 洋一君

  丸山 穂高君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     神谷  昇君

  繁本  護君     古屋 圭司君

  白石 洋一君     源馬謙太郎君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     岩田 和親君

  源馬謙太郎君     斉木 武志君

  足立 康史君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     山本 幸三君

  斉木 武志君     階   猛君

  森  夏枝君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     浦野 靖人君

同日

 第三分科員神谷裕君、中谷一馬君、道下大樹君、第四分科員秋本真利君、阿久津幸彦君、高木美智代君、浜地雅一君、第五分科員佐々木紀君、畑野君枝君、第六分科員船橋利実君、浅野哲君、緑川貴士君及び第八分科員伊藤俊輔君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

宮下主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 平成三十一年度の経済産業省関係予算案について御説明申し上げます。

 日本経済は、六年にわたるアベノミクスの推進により、戦後最長となったと見られる景気拡大と四半世紀ぶりの好調さを続ける雇用情勢など、大きく改善しています。こうした動きを継続、拡大し、経済の好循環を力強く回していくことが必要です。また、データをめぐりグローバル競争が厳しさを増しており、競争力強化と通商戦略が急務となっています。人口減少下でも持続可能で活力ある地域経済の実現、環境と成長の好循環の実現に向けたエネルギー・環境政策、福島復興の加速など、経済産業政策の重要課題への取組を力強く進めてまいります。

 このため、平成三十一年度の経済産業省関係予算案は、一般会計三千五百五十億円、エネルギー対策特別会計七千二百三十億円、特許特別会計千六百四十一億円、合計一兆二千四百二十一億円を計上しました。また、復興庁計上の東日本大震災特別会計のうち四百十六億円が経済産業省関連予算案として計上されております。

 これに加え、臨時特別の措置として、ポイント還元事業、商店街活性化事業及び国土強靱化事業として三千五百四億円を計上しております。

 平成三十一年度予算案について、主要な柱に沿って御説明いたします。

 第一の柱は、データを核としたオープンイノベーションの推進によるソサエティー五・〇の実現です。

 第四次産業革命が進展する中、データは国家や企業の競争力の源泉となっています。二年前からコネクテッド・インダストリーズというコンセプトを提唱し、各分野でのデータ連携やAIの活用を推進してきました。事業者間のデータ共有プラットフォームの整備を支援することで、協調領域の拡大を図るとともに、AIベンチャー等と連携したデータ活用、サービス開発を支援してまいります。

 グローバルに戦える、潜在力のあるベンチャー企業をJ―Startup企業として選定し、海外のスタートアップイベントへの出展などを支援することで、世界進出を後押しします。

 データの有効活用には、そのための人材やサイバーセキュリティーの確保が不可欠です。サプライチェーン全体でサイバーセキュリティーを確保するため、産業分野別にガイドラインを策定し、その実施状況を確認する体制を構築します。

 第二の柱は、新たなルールベースの通商戦略です。

 世界で保護主義的な動きが広まる中、日本は自由貿易の旗手として、六月のG20の機会も活用しながら、自由で公正な国際ビジネス環境構築のための取組を進めます。

 昨年末発効したCPTPPや、本年二月に発効した日・EU・EPAなどを活用し、中堅・中小企業の海外展開を積極的に支援します。

 第三の柱は、地域・中小企業の新たな発展モデルの構築です。

 全国三千万人を超える雇用を擁する中小企業、小規模事業者は、日本経済の屋台骨です。この屋台骨をより強固にしていくための取組を進めてまいります。

 地域経済の核となる約三千七百社の地域未来牽引企業を集中的に支援します。昨年は、地域未来牽引企業サミットを開催し、参加企業の新たなビジネス展開をサポートする機会を設けました。支援体制を強化して、地域を牽引する企業が行う未来への投資を強力に後押しします。

 裾野の広い中小企業の生産性を底上げするため、ものづくり・商業・サービス補助金により、新たな製品開発などの挑戦や生産性を引き上げる設備投資を支援します。小規模事業者持続化補助金などにより、販路開拓への支援も行います。

 大阪・関西万博については、昨年十二月に私が国際博覧会担当大臣に指名され、一月三十日には、二〇二五年日本国際博覧会協会が設立されました。大阪・関西万博を成功させるため、皆様にも引き続き御協力をいただきながら、政府、自治体、経済界が一丸となり、オール・ジャパン体制で準備を進めてまいります。

 第四の柱は、エネルギー転換等を通じた環境と成長の好循環です。

 環境と成長の好循環の実現には、革新的なイノベーションが不可欠です。日本が世界をリードする水素社会の実現に向けて各国と連携して技術開発や規制の見直しを進めるため、昨年十月に、世界初の水素閣僚会議を日本で開催し、東京宣言を発出しました。平成三十一年度の水素関連の政府予算案を前年度の約一・五倍とするなど、政策資源を集中投資します。

 再生可能エネルギーの主力電源化を目指し、コスト低減や次世代型のネットワークに転換していくために技術の開発や実証を進めます。

 また、メタンハイドレート等の国産資源開発や、原子力の安全性、信頼性等の向上を進めます。

 第五の柱は、成長と分配を包括した新たな経済社会システムの構築です。

 エドテックを活用した個別最適化学習など、新たなテクノロジーを活用した教育手法を学校教育へ導入するための実証を進めます。

 また、民間ビジネスの拡大によって、予防・進行抑制型の健康・医療システムへの転換を図ります。認知症の超早期予防や発症後の生活支援、介護の生産性向上等の課題に対応するため、質の高い製品、サービスの社会実装を推進します。

 次の柱は、福島復興の加速です。

 安全かつ着実な廃炉・汚染水対策と福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。

 廃炉・汚染水対策については、引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域、社会とのコミュニケーションを一層強化しながら進めていきます。

 福島の復興については、既に帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、残る区域でも大熊町役場がこの春八年ぶりに町に戻るなど、復興再生に向けた動きが着実に進んでいます。こうした流れを本格的な福島の復興につなげていくため、官民合同チームのきめ細かな支援による事業、なりわいの再建や、福島イノベーション・コースト構想の推進による新たな産業基盤の構築を進めます。

 以上、御説明した事業に加え、平成三十一年度予算案においては、次の臨時特別の措置を講じます。

 昨年の北海道胆振東部地震で、北海道全域で大規模停電が発生した反省などを踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に基づき、ガソリンスタンドや製油所などにおける自家発電設備や蓄電池の整備等を進め、災害に強いエネルギーインフラを構築します。

 日本経済の安定的な成長に当たって、当面の重要課題は、ことし十月に予定されている消費税率の引上げによる景気の落ち込みを抑え、乗り切ることです。八%への引上げ時の反省を踏まえ、あらゆる施策を総動員します。

 そのような取組の一つとして、需要の平準化と中小企業、小規模事業者のキャッシュレス対応を進めるため、消費税率引上げに伴う柔軟な価格設定ガイドラインの公表にあわせて、中小企業、小規模事業者については、消費者に対するポイント還元支援を行います。また、インバウンド観光などの新たな需要を取り込もうとする商店街の取組を支援します。

 以上が、平成三十一年度経済産業省関係予算案の概要でございます。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

宮下主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮下主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)分科員 自由民主党の鈴木隼人です。

 発言の機会をいただき、感謝申し上げます。

 本日は、私の政策の一端を申し述べた上で、その一部に関連する質疑をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 私は、日本再生に向けた三本の矢として、個の育成、強化型社会保障への転換、課題突破型産業政策への転換、持続可能型社会への転換を提言しています。

 第一の矢である個の育成、強化型社会保障への転換については、その主な柱は、健康寿命の延伸、子育て支援、少子化対策、貧困の連鎖解消です。

 健康寿命の延伸に関しては、誰もが健康に長生きできる社会を実現し、社会保障費の高騰を抑えるため、治療から予防へ、他人任せからセルフケアへのパラダイムシフトを起こしていきたいと考えます。また、この分野に関しては、私は、認知症国会勉強会を立ち上げ、国会における認知症対策の検討の場づくりに努めています。

 子育て支援、少子化対策に関しては、子供を安心して産み、育てられる環境整備に加え、少子化対策の本丸でありながら政策的対応がおくれている未婚化対策に切り込んでいきたいと考えます。

 貧困の連鎖解消に関しては、誰もが夢や希望を抱くことができ、努力が報われる社会を実現するため、生活力向上を軸とした福祉政策へとかじを大きく切っていきたいと考えます。

 第二の矢である課題突破型産業政策への転換については、その主な柱は、課題突破型産業の創出です。

 課題突破型産業の創出に関しては、格差拡大や温暖化、社会保障費高騰など、さまざまな社会課題の解決に向け、課題突破型産業を創出、育成していきたいと考えます。

 第三の矢である持続可能型社会の構築については、その主な柱は、災害に強い社会の実現、若者の政治参加、外交、安全保障です。

 災害に強い社会の実現に関しては、自然災害が激甚化する中、従来型の災害対策強化に加え、防災テクノロジーの開発や防災リテラシー向上に向けた取組を抜本的に強化していきたいと考えます。

 若者の政治参加に関しては、将来にわたって健全な民主主義を維持するためには、若年層の投票率向上を図ることが極めて重要であることから、若者の社会参画などの取組を重点的に進めていきたいと考えます。

 外交、安全保障に関しては、国際社会のパワーバランスが大きく変化し、東アジア情勢が厳しさを増す中、国際秩序の安定と国民生活の安寧のために、積極的な外交を推し進めていきたいと考えます。

 それでは、質疑に入ってまいります。

 本日は、課題突破型産業政策にフォーカスを当てていきたいと思いますが、私は、健康寿命の延伸こそ、この課題突破型産業政策の最たる例であると考えております。

 その大きな柱は二本あります。一本目の柱は、個々人の行動変容を促すこと、そして二本目の柱は、行動変容につながるような魅力的なサービス、製品を創出することです。

 では、一本目の柱である個々人の行動変容をいかにして促すか。この点については、対象の属性によって戦略が変わってきます。

 まず、健康保険組合や協会けんぽなどに加入しているようなサラリーマン等の方々への対策としては、健康経営を広く普及し、企業に従業員の健康管理をサポートしていただくこと。

 この健康経営を普及していく上で大きな起爆剤となった政策に、健康経営銘柄というものがあります。この健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が連携し、健康経営に積極的に取り組んでいる企業を公表するものです。

 そのことに何の意味があるかと申しますと、まず、前提として、健康経営に取り組む企業は、従業員のプレゼンスが長期にわたって十分に発揮されることになりますし、また、社員向け健康イベントへの参加等を通じて組織の活性化がもたらされることになるため、長期的に見て企業価値が向上することが見込まれます。なお、健康経営と企業価値の相関関係は、学術的にも示されています。

 このため、健康経営銘柄が公表されると、長期投資志向の投資家は、その銘柄に関心を寄せることになります。それによって株価が上がると、株主や経営者にも大きな利益をもたらします。また、従業員にとっても、企業が健康管理をサポートしてくれることによって、健康的な生活を享受できるといったメリットがあります。つまり、全てのステークホルダーがその恩恵に浴することができるのが健康経営銘柄です。

 この健康経営銘柄の創設に際しては、私が経済産業省職員時代に、構想の企画から実現に至るまでの全てのプロセスを、現場責任者たる課長補佐としてみずから手がけました。継続の御努力をいただき、今ではかなり社会に浸透しているのではないかと思いますが、改めて、この健康経営銘柄の創設の経緯について、経済産業省から答弁をお願いします。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御説明のありました健康経営銘柄でございますけれども、これは、従業員の健康管理を経営戦略として位置づけ、積極的な取組を行う上場企業を株式市場で評価するため、東京証券取引所と共同で、業種区分ごとに企業を選定し顕彰する制度でございます。

 健康経営銘柄の創設でございますけれども、これまで従業員の健康管理というものをコストとして捉えてきた経営者の意識を変えるため、議員がまさに経済産業省に在籍中、担当課長補佐として企画されたものと承知しております。

 特に、銘柄企業選定のベースとなります健康経営度調査、この設計や、東京証券取引所を始めとする関係各所との調整に御尽力されたと伺っております。

 おかげさまで、健康経営度調査の回答企業数は年々拡大しておりまして、今年度、何と千八百法人に上っております。

 この結果、今月発表しました健康経営銘柄二〇一九では、一業種一社の枠を拡大いたしまして、二十八業種三十七社を選定することとなったものでございます。

 健康経営の取組を更に確実なものとするため、厚生労働省始め関係各省と連携し、より効果の高い推進策を検討してまいりたいと考えております。

鈴木(隼)分科員 ありがとうございました。

 今、健康経営銘柄について質疑を行いましたが、実はこの政策には限界があります。それは、健康経営銘柄は、その性質上、対象が上場企業に限られており、中小企業の健康経営を普及するエンジンにはならないということです。

 しかし、国内の全従業者のうち中小企業で働く人は実に七割を超えており、中小企業における健康経営の普及は、実は大企業における取組よりも重要な課題です。

 これには二つのアプローチがあります。

 一つ目のアプローチは、健康経営に取り組むことで中小企業が明確にメリットを感じられる仕組みづくりです。

 具体的には、健康経営に積極的に取り組む企業を健康経営優良法人として表彰しています。また、地方銀行の協力を得て、健康経営優良法人に対して低利融資を行っています。また、地方自治体の協力を得て、公共事業の競争入札において、健康経営優良法人に対して加点評価を行う等の優遇措置を行っています。

 経済産業省では、このような取組を始め、さまざまな取組を全国で行っています。

 そして、中小企業における健康経営の普及に向けた二つ目のアプローチは、マニュアルの策定です。

 そもそも健康経営は、企業にとって単なるコストではなく、生産性向上や組織の活性化などを含めた企業価値の向上という大きなリターンをもたらすものだという認識を多くの企業に持ってもらわなければなりません。また、いざ健康経営に取り組んでみたいと思っても、実際何をすればいいのかわからなければ、実行に移してもらうことはできません。

 そこで、健康経営にはどのような意義があるのか、具体的にはどのようなことをすればいいのかということを詳細に解説する健康経営ガイドブックを策定しました。この健康経営ガイドブックの策定に際しては、私が経済産業省職員時代に、構想の企画から実現に至るまで、全てのプロセスを現場責任者たる課長補佐としてみずから手がけました。その後、経済産業省ではその改訂版を策定、公表していただき、健康経営普及に向けて脈々と努力を続けていただいていることに心から感謝を表したいと思います。

 そこで、改めて、この健康経営ガイドブック策定の経緯について、経済産業省から答弁をお願いします。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 健康経営を中小企業にまで広く普及させるためには、企業経営者に対しまして、健康経営に取り組みます意義、そして具体的な実践方法、これをわかりやすく伝えることが何より重要でございます。

 まさに議員が経済産業省在籍中に企画されました「企業の「健康投資」ガイドブック」では、健康経営を推進する上で必要となる理念の設定、そして組織体制づくり、さらには、健康保険組合との連携のあり方、こうしたことの考え方について記載をいただいております。

 実は、ここでお示しいただきました考え方でございますけれども、現在実施しております各種の健康経営に関する顕彰制度においても踏襲しております。特に、中小企業を対象としました健康経営優良法人認定制度では、その考え方を踏まえた制度設計になされているところでございます。

 以上です。

鈴木(隼)分科員 ありがとうございました。

 ここまでは、企業で働く方々を対象に、個々人の行動変容をいかに促していくかといった政策について述べてきました。

 では、企業等で働いていない方々の行動変容を促すためにはどうすればいいのでしょうか。

 これには二つのアプローチがあります。

 一つ目のアプローチは、国民健康保険の保健事業を通じて、地方自治体がいかに住民のヘルスリテラシーを向上させていくかです。この点については、各自治体がそれぞれに努力をしていただいているところではありますが、一人一人の意識を変えていくのはそう簡単ではなく、苦戦をしているところです。引き続き、地方自治体の取組を国として積極的に応援するとともに、新たな知恵を出していけたらと思っております。

 そして、企業等で働いていない方々の行動変容を促すための二つ目のアプローチは、民間保険の活用です。健康経営の恩恵に浴することができない方々にも健康に関する正しい知識をお伝えし、そして、インセンティブを設けることで行動変容を促していく。

 具体的には、健康的な生活習慣に継続的に取り組む方に対し、生命保険の保険料を割り引いてあげるものです。経済産業省の課長補佐時代、私自身がこの生活習慣に基づき保険料を割り引く民間保険サービスを構想し、保険会社との協働のもとで、現場責任者としてこれを実現しました。

 ここで、改めて、この生活習慣に基づき保険料を割り引く民間保険サービス創設の経緯について、経済産業省から答弁をお願いします。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 生活習慣に基づきまして保険料を設定する民間保険でございます、いわゆる健康増進型保険、これにつきましては、まさに議員が経産省在籍中に、新たなヘルスケアサービスとして、商品設計のあり方などについて検討されたものと承知しております。

 当時、検討に御協力いただきました民間保険会社におきましても、もう既に実際に健康増進型保険が発売されておりますし、最近では、各社からさまざまな形の健康増進型保険が開発、発表されているところでございます。

 今後、より魅力的な保険商品の開発が進むことで、すぐれたヘルスケアサービスの開発と加入者の増加という正の循環、これが実現しまして、国民の健康増進や新たなヘルスケア産業の創出が促進されるものと期待しております。

 経済産業省としましては、民間保険とヘルスケアサービスが連携して、社会ニーズに応える新たな保険商品の開発が促進されるよう、関係省庁と連携して進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

鈴木(隼)分科員 ありがとうございました。

 構想当初、私は、このサービスの開発に取り組んでいただけるパートナーを得るために複数の大手保険会社に話を持ち込みましたが、前例のない保険商品の開発に大手の皆さんはことごとく及び腰でした。そんな中、アイアル少額短期保険株式会社という中小の保険会社とこの構想で意気投合し、経済産業省の委託事業という形で、サービスの開発を一緒になって手がけました。そして、これが非常に評判がよく、現在では大手保険会社がこぞって同様の製品を開発し、普及していただくに至っていることを心からうれしく思っております。

 次に、健康寿命の延伸に向けた二本目の柱である、魅力的なサービスや製品をどのように生み出し普及をしていくかについてです。これにも大きく分けて二つのアプローチがあります。

 一つ目のアプローチは、とがったサービスの創出を促すためのコンテストの開催です。経済産業省では、ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストを毎年開催し、事業者間の切磋琢磨を通じて魅力的なサービスの創出に取り組んでいます。

 そして、二つ目のアプローチは、健康サービスの品質の見える化です。世の中には多くの健康サービスが存在していますが、実際にそれらのサービスが信頼に足るものなのか否かについては見えにくいのが実態です。そのまま放置すると、本来優良なサービスであるはずのものが埋もれてしまい、消費者が適切なサービスにたどり着けないといったことになりかねません。

 そこで、サービスの品質の見える化に資する健康サービス認証制度が必要になります。このため、経済産業省の課長補佐時代、私自身が現場責任者となって、日本規格協会との協働のもとで、この健康サービス認証制度を創設しました。

 ここで、改めて、この健康サービス認証制度創設の経緯について、経済産業省から答弁をお願いします。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のありました認証制度でございますけれども、これもまさに、議員が経済産業省在籍中に、一般社団法人日本規格協会や医療関係者、フィットネス事業者、さらにはアカデミアの方々などとともに健康サービスに関する品質評価の基準の検討を行い、それをもとに創設されたものと承知しております。

 平成二十七年二月には、アクティブレジャー認証として、スポーツクラブが行う生活習慣病予防プログラムなど十二件の認定を行っているところでございます。また、平成二十七年度からは、日本規格協会が自主事業として認証サービスを実施しておるところでございます。

 スポーツクラブにおける運動プログラムなど公的保険外のサービス、これを普及するには、やはり品質評価の仕組みが重要でございます。そのため、現在ではこれを進めまして、ヘルスケアサービスを提供する業界団体などが策定する認証制度のあり方、こうしたものを示すガイドラインの作成に取り組んでいるところでございます。

 現在、進展しております各種ヘルスケア関連施策でございますけれども、まさに議員が在籍中に企画、検討された政策が実を結んだものでございます。今後とも、健康経営やヘルスケアサービスの創出に向けた取組を関係省庁と連携して進めてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)分科員 ありがとうございました。

 正しくはアクティブレジャー認証制度という名称でしたね。引き続き、魅力的なサービスの創出と普及に向け、経済産業省としても積極的に取り組んでいってください。

 若干時間がありそうですので、通告をしていないので、質問ではなく意見というか、私からの提言を一つさせていただこうと思います。

 私は、経済産業省在籍当時から、健診改革が必要であろう、これこそが本当に一番大事なことなんだろうなというふうに思ってまいりました。

 というのも、健康診断を受けても、返ってくるのが一枚ぺらの紙で、経過観察とかなんとか書いてあって、じゃ、一応病院に行ってみようといってお医者さんにかかると、経過観察だからとりあえず気をつけておいてねぐらいの感じで終わってしまう。この程度では、何の将来に対するリスクというものを感じない、そのまま同じ生活習慣を続けると、いつか必ず病気になる。このサイクルが続いているのが、健康診断をめぐる歴史なんだと思います。

 この悪いサイクルからいかに抜け出していくかというと、いかに健康診断において、その人がそのままの生活習慣を送ると、どれだけやばいリスクを抱えているのかということを正確にお伝えするということなんだと思うんですね。それは今の健診のあり方ではだめで、しっかりとおどしをかけていかなきゃいけない。

 だけれども、これをやろうとすると、健診会社にとっては結構コストがふえてしまうんだそうで、そのコスト増を恐れて健診会社がなかなかこれに取り組まないというのが現状なんですが、これは何とか健診改革に取り組んでいかないと健康寿命の延伸というのは本来的にはやはり進んでいかないと思いますので、経済産業省とも連携しながら、健診改革を前に進めていけたらなというふうに思っております。

 さて、まとめに入ります。

 冒頭、日本再生に向けた三本の矢についてお話しさせていただきました。乗り越えるべき壁は非常に高いと考えます。

 私自身の生い立ちを振り返りますと、貧しい日々を過ごした子供時代、空腹を抱えていると、母はよくパンの耳をもらってきて砂糖と油で揚げてくれました。あのあったかくて甘い香りを今でも忘れることはありません。苦しい人の気持ちがわかるから、私はいつまでも困っている人に寄り添っていきたいと思っています。

 私は、今の社会は一強多弱の社会だと感じます。これを誰もが主役になれる社会に変えていきたい、そのために不可欠なのが人づくりであり、それをサポートするのがテクノロジーです。三本の矢も、突き詰めればこの二点に集約されます。これらを通じて激動期の国難を突破し、そして、誰もが主役になれる社会を実現していきたいと思います。

 本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 終わります。

宮下主査 これにて鈴木隼人君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代君。

高木(美)分科員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、早朝から大変にありがとうございます。

 まず、事業承継税制につきまして伺わせていただきたいと思います。

 まさに、中小企業庁によりますと、二〇二五年に七十歳以上となる個人事業主は約百五十万人と推計されておりまして、今後十年の間に、平均引退年齢である七十歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約二百四十五万人に上る、そのうち約半数の百二十七万人が後継者未定である、この数は日本企業全体の三分の一に当たる、仮に現状をそのまま放置したりすると、中小企業廃業の急増によって、二〇二五年ごろまでに約六百五十万人の雇用と約二十二兆円のGDPが失われる可能性がある。これはもう何度も恐らく経済産業委員会では言われてきたことかと思っております。

 昨年夏に、以前も申し上げましたが、公明党の全議員で百万人訪問・調査運動を行いまして、そこでも、事業承継の際に税制支援を受けたい、こうした声が多く寄せられておりました。その意味では、まさに待ったなしの課題だと思っております。

 中小企業は日本経済成長の屋台骨であり、そしてまた中小企業の活力なくして日本企業の成長はない、我が国の誇る技術の宝庫を守るという思いで私も取り組ませていただき、我が党におきましても、山口代表を始め、党として危機感を持ってこの事業承継に力を入れてまいりました。たしか、一昨年、経産部会長として視察を重ねまして、世耕大臣に申入れをさせていただきました。

 この事業承継税制につきましては、平成三十年度税制改正で中小企業の事業承継税制の抜本拡充が決まりまして、そして、昨年末の平成三十一年度税制改正では、個人事業主の事業承継を支援する制度が新設をされました。まさに、今までにない前進でありまして、中小企業関係団体の皆様にお会いするたびに喜んでいただいているというのが現状でございます。

 しかしながら、一方で、個人事業主といいますと、株式会社といった法人を設立せず個人で事業を営むという方はやはり国内で約二百万人に上るとも言われておりまして、個人事業者の六割を占めます。英会話教室、また青果店の店主さんとか、またフリーランスのデザイナーとか、事業内容も多様でございます。

 この個人事業主には、株式譲渡に関する負担軽減の恩恵はありませんが、事業用の宅地に対する相続税の負担を最大八割軽減するという特例措置がありました。しかし、個人で保有する設備、建物など宅地以外の資産が税負担の軽減対象になっていなかったということから、この点に関する手だてが求められていたわけでございます。私どもも、たび重なる要請をしてまいりました。

 そこで、今回新設されました個人事業者の事業承継税制について、今後の活用をどのように進めていくのか、事業承継の現状とあわせまして伺いたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の経営者の高齢化が進む中、円滑な事業承継を促進することが必要である、御指摘のとおりでございます。

 このため、事業承継時の課題とされておりました重い税負担を軽減するために、昨年、法人の事業承継税制を抜本的に拡充いたしました。

 一つ数字を申し上げます。その結果、拡充前は十一年で二千五百件だった申請が、拡充後、一年を満たない十カ月で二千件を超える申請、こういう形でございまして、勢いが出てきております。大きな効果が上がってきているのではないかというふうに思っております。

 加え、御指摘いただきましたように、三十一年度の税制改正では、個人事業者の集中的な事業承継を後押しするために、十年間の時限措置として、土地、今御指摘あるのは土地でありますが、加え、建物、機械、器具備品などの承継時の贈与税、相続税の一〇〇%納税猶予制度を創設する予定でございますけれども、個人事業者の方々に広くこの制度を御活用いただけるよう、まず、施策がどういう施策なのかということをわかりやすく周知をし、個別の相談に応じる体制を組んで申請の支援をしたいというふうに思っております。

 具体的には、この制度を知っていただくために、わかりやすいパンフレット、一枚ビラ、そういうようなものを各地において配るとか、全国千六百六十の商工会、五百十五の商工会議所等を通じまして事業者のお手元に届けるということをしたいと思っております。

 さらに、この制度を実際に活用していただけますよう、税理士の先生方を始め、個人事業者などに日ごろより支援を行う全国三万二千二百六十八の認定経営革新等の支援機関の御協力も得ながら、個別に対応し、きめ細かく対応していきたいというふうに考えております。

高木(美)分科員 前田次長の大変勢いある御答弁、ありがとうございます。

 この事業承継支援、今もお話ありましたが、よろず支援拠点、また事業引継ぎ支援センター、そしてまた、今、事業承継ネットワーク、あと、税理士さんであるとか、身近な方たちも全部含めて、それぞれまたパンフレット等を持っていただきながら、それをずっと説明をしていただくという、こうした支援、非常に重要であると思っております。

 ただ、これから対象数が実に膨大となります。仲介する機関が不足しているのではないか。特に、この事業承継については、よく言われることですけれども、そもそも、法人であっても、その七割が法人税を払っていない。したがいまして、いい技術を持っていても、むしろそこから、会社の立て直し、また借金返し、この道筋をつくってあげながらこうした事業承継の支援をしていく、むしろセットで進めなければいけないというところも多くあるわけです。

 したがいまして、そうした法人は、また、後継者がいないという悩みも抱えているところも多くあります。ある区のデータでは、約七割がそういう対象になっているということを言っているところもあります。

 したがって、時間と手間をかけて、事業承継については丁寧に進めていかなければいけないと思います。これを、むしろ、事業承継ネットワークも含めまして、こうした支援を更に拡充していく必要もあると思っておりますけれども、その点、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 拡充する必要があると思います。

 事業承継について、課題解決の入り口として相談対応の取組が重要ですけれども、例えば、よろず支援の拠点では、平成二十九年度で五千件を超える相談に応じております。また、事業引継ぎ支援センター、これでマッチングをやっておりますが、三万五千ぐらいの相談に応じて、二千二百件を超える成約を実現をしております。

 これらに加えまして、平成二十九年度から、都道府県単位で、商工会、商工会議所、よろず支援機関、地域の金融機関など、さまざまな支援機関から構成される事業承継ネットワークを構築をいたしまして、事業承継診断というのをやっております。

 事業承継診断とは何かといいますと、簡単なシートがあって、イエス、ノーで答えていって、気がつけば、経営にお困りがあるのであれば、それをよろずに例えば持っていって専門家の方におつなぎをするというところまでやりたいと思っていまして、この事業承継診断は年間五万件ぐらいを予定しておったんですけれども、十一月末に、ちょっときのう数字を調べてみましたら十万弱ぐらい来ておりまして、結構出てきているかなと思っております。

 それから、支援機関同士の連携も非常に重要でございますので、今、全国九ブロックで全国事業承継推進会議というのを行い、支援機関同士の連携強化も図っていっているということでございます。

 やはり、個人事業主もそうなんですけれども、地域に密着した身近な相談体制がないとだめだと思いますので、この事業承継ネットワークをより強力に推進していきたいというふうに考えております。

高木(美)分科員 恐らく、その担当する方の、いわゆる業務としてどこまで寄り添っていけるか、その方の力量とか、また、その相手との、事業承継を望む方とのいわゆる相性とか、いろいろなことがあって結構難しいというのは、私も、よろず支援拠点、視察に行きまして、非常に感じております。したがいまして、そうしたことも含めて、やはり安心して相談できる、そして、相談して安心できる人に出会えるという、ここも含めて総合的に見ていただければと思っております。

 いずれにしても、この事業承継、我が国の生命線と思っておりますので、私どももしっかり後押しをさせていただきますので、中小企業庁には頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、ものづくり補助金について伺いたいと思います。

 私も、実は身近でこのものづくり補助金の恩恵を受けたという方からいつもいつも御連絡をいただくのですが、実は、その出会いは十年ぐらい前ですけれども、その方は、カメラのレンズを磨いている非常に腕のいい方がいまして、一人で研磨工業所を経営しておりました。

 リーマン・ショック等のあおりを受けて、発注元がカメラレンズの製造をやめることになった。腕がいいので、次の仕事は決まっているんですけれども、次は胃カメラのレンズの先端部分を磨くという、非常に、なかなかたくさんの人ができる仕事ではない、ここを求められておりましたが、途中の運転資金に大変困っていらっしゃいまして、たまたまそういうときに私が出会いまして、すぐ経産省の関東経済局につなげまして、そうしましたら、すぐ行ってくれて、ものづくり補助金などの手続を手伝ってくれて、新しい機器も導入できて、今、非常に繁盛されていまして、地域でも、町会とか、そしてまた奥様は踊りの会とか、病気を乗り越えて非常に元気に頑張っていらっしゃる。いつも感謝されるものですから、いや、この補助金があってよかったな、私どもも応援させていただいてよかったなということをいつも痛感をいたします。

 先日、話はかわりますが、今度は、IT関係団体の方にお会いしましたときに、このものづくり補助金のITシステムの導入に、一千万上限になったと。今まで、IT導入補助金の上限額も、これまでの五十万円から四百五十万円まで拡充されまして、今まで言われてきたことは、五十万ぐらいの上限では、営業利益が出ないから結局こちらは動けないですよということを言われてきまして、それが、今回は大きく上限額をふやしていただきまして、来年度は頑張ります、こういうお話をいただきました。

 したがいまして、このものづくり補助金、非常に重要な補助金でございますが、今、この申請を支援する認定支援機関、全国三万二千カ所まで拡充してきていると承知しております。しかし、私の先輩議員の地元になりますが、そこに相談に行っても、ものづくり補助金を申請したい、手助けしてほしいと相談に行っても、自分は一応登録はしていて認定支援機関にはなっているけれども、申請を行った経験がないのだ、なのでできませんと断られた、こういう事例を先輩から聞きました。確かに、申請書類も、見ますと、冊子のように分厚くて、この簡素化も求められております。

 こうした課題に対して今後どのように対応されるのか、伺います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 ものづくり・商業・サービス補助金の申請に関しましては、金融機関や商工団体等の総計三万二千の支援機関が、提出書類の内容や事業計画の実効性について確認及び助言を求めておりますが、御指摘いただきましたように、生の声を聞いてみますと、この認定支援機関もいろいろな人がいて、得意分野が何なのか、その人の活動の実績が何なのかちょっとわからないという声が結構多数寄せられております。

 そのため、この認定支援機関の専門を有する分野がどこなのか、その人が補助金の申請支援実績はどれぐらいあるのか、その中には、今御指摘のものづくり補助金の採択件数が幾つなんだ、採択率が幾らなんだということも含めまして、そういうことがわかるように見える化したいと思います。それを、ことしの三月中に、活動の状況の検索システムを開設したいというふうに思っておりますので、現場もより引き締まってくるのではないかというふうに期待しております。

 また、手続の簡素化、非常に重要でございますが、今公募を行っているものづくり補助金の公募要領には、今まで求めておりました定款とか登記事項証明書は要りませんと明記させていただきました。それから、応募申請書が分厚いのは、出す方も大変ですし、もらう方も大変なものですから、分量の制限をして、簡素化をしていくというふうにしていきたいというふうに思っておりまして、ほかの補助金も含めまして、より徹底した簡素化に取り組んでいきたいというふうに考えております。

高木(美)分科員 わかりました。

 今、前田次長からお話ありました、この書類については要りませんというお話がありましたが、私が説明を受けたのは、いわゆる、その申請した後で出していただければいいですというお話だったんですが、どちらでしょうか。

前田政府参考人 大変失礼いたしました。

 申請する時点では求めないという運用でございます。失礼いたしました。

高木(美)分科員 後で必要ということでよろしいですね。(前田政府参考人「はい」と呼ぶ)はい、わかりました。ありがとうございます。

 続きまして、こうした各種補助金、それぞれ中小企業は資金繰りが命ですので、非常に重要なことだと思います。

 二月一日の参議院本会議で、公明党の山口代表の質問に対して総理はこのように御答弁されました。「各種情報の取得から申請手続までをワンストップで簡便に行うことができるホームページの運用を今後順次開始してまいります。」という御答弁でした。

 持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、非常に大事な各種補助金のメニューがあるわけですが、この申請について、特に個人事業主にとって、例えば商店を経営されている年配の方とか、そういう方たちにとって難しくなく、簡単に、使いやすい申請システムにしてもらいたいという強い要請を地元から受けております。具体的な対応はいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省では、今、補助金の申請システムを開発中でございます。

 どういう中身かと申し上げれば、一度法人に関して情報を入力いたしますと、段階に応じて何回も同じものを入力しなくても構わないという形にして、申請から精算までをワンストップで完結するようにしたいと考えておりまして、対象となる補助金は、やはり申請数の多いもの、今御指摘いただきましたけれども、ものづくり補助金あるいは持続化補助金、こういうようなものを対象とするよう今検討しておりますけれども、できましたら来年度から、そういう一部の補助金からこういう簡便な運用を開始したいというふうに考えております。

 また、中小企業向けの支援策、いっぱいあるものですから、それをワン画面で全部わかるようにして、さらには、その電子申請のシステムまでワンストップで完結できるような使いやすいポータルサイトを中小企業庁では二〇二〇年度から本格的に運用したいということでございまして、現在準備を進めているというところでございます。

高木(美)分科員 前田次長、このスケジュールをもう一度詳しくおっしゃっていただいていいでしょうか。今開発中で、この持続化補助金、ものづくり補助金はいつごろから可能で、そして総合的なものは二〇二〇年度からというお話ですが、日程をもう少し教えてください。

前田政府参考人 今申し上げました、今念頭にございますものづくり補助金と持続化補助金、これに関しましては、一部の補助金を実際運用するのは来年度から。本格的にいくのは二〇二〇年の四月でございますので、再来年でございます。(高木(美)分科員「再来年、二〇二一年ということですか、二〇年度」と呼ぶ)はい。ということでございます。

高木(美)分科員 ぜひその中にIT導入補助金を入れていただきたいと思うのですが、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 やはり、まだ残っているとはいっても、現場の需要はずっとあるのですが、申請をどうしていいかわからない、どこまで、何をしていいかわからない、そういう方が多いので、アクセスしやすくなると当然申請数もふえると思いますので、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

 あわせまして、こうした経産省の事業の中で、私、厚労副大臣をやらせていただいたときも、やはり、福祉とか介護、医療関係者、またそれに携わるようなNPOの方たち、ちょっとこれは質問通告はしていないのですが、そことの経産省のこうした補助金との連携、非常に大事だということで、随分いろいろつながせていただきました。

 こうした方たちが、この補助金のメニューで使えるものと実は使えないものと両方あるんですね。そこを、できればわかりやすくそのサイトの中に表示していただければありがたいのですが、その点、いかがでしょうか。

前田政府参考人 補助金の申請のシステムに関しましては、経産省だけじゃなくて、他省庁の分も含めて対象にしたいと思っておりますし、まずどういう補助金があるのかとわからない限り申請もしようがないと思いますので、そういう形で、厚労省も始め、皆さんに連携を呼びかけていきたいというふうに思っております。

高木(美)分科員 力強い御答弁、よろしくお願いいたします。

 続きまして、キャッシュレス・消費者還元事業について、これは大臣に伺わせていただきたいと思います。

 消費税ポイント還元制度、政府がいろいろ考え、また我が党もいろいろ提案をし、メニューがさまざまになりました。

 これは、事業者の視点から見ますと、結局、利用されて、その処理をするのは中小、小規模、また個人経営の事業者の方たちであるという、ここから見ますと、一つは、経産省の、キャッシュレス決済の際に消費税が還元されるキャッシュレス・消費者還元事業、いわゆるポイント還元。これは、キャッシュレス社会の実現を目指すものと捉えております。ことしの十月一日からスタート予定で、期間は九カ月間。また、もう一つは、総務省が展開する、マイキープラットフォームの活用によるマイナンバーカードのポイント加算。これは、マイナンバーカードの活用を拡大しながら、自治体ポイントで地域の活性化につなげていくという狙いと受けとめております。導入は来年四月予定。そしてまた、さらには、ことし十月から軽減税率がスタートしますので、このレジ、システムのいわゆる改修、また新規の導入などが必要である。

 相当、スケジュール的にも、何をどう用意すればいいのか複雑になっているというお話を地元からよく聞いておりまして、できれば、政府として、それぞれの事業を一括して、目的、期間、利用法、こうしたことを事業者そしてまた国民にわかりやすく説明していく必要があるのではないかと考えます。やはり、政府に振り回されている感があるとか、こうした批判、また、かえって混乱を招くというようなことがあってはならないと思っております。

 こうした事業の受皿となっているのは、実施するのは中小の事業者でありますので、省庁ばらばらではなくて、そして、政府として、どういうものを用意しているのか、そしてそれをどう使ってもらうのか、私のお店は何をどう用意すればいいのか、それについての補助金のメニューはどうなっているのか、申請の方法はという、こういう情報を整理して、まとめて届ける必要があるのではないかと思っております。もう一度、国民の皆様また事業者の方たちの頭の整理が必要ではないかと思います。

 そこで、こうした中小事業者、小規模も含めまして、管轄される世耕大臣に、ぜひともこうした、政府を束ねていくというリーダーシップをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 まず、マイナンバーを使ったポイントについては、もしあれでしたら総務省からお答えいただくことになるかと思いますし、また、ちょっと時期もずれますので、やはり我々注意しておかなければいけないのは、キャッシュレスによるポイント還元制度と軽減税率の関係だというふうに思っています。

 まず、キャッシュレスに対して、中小・小規模事業者で購入した場合のポイント還元。消費者の立場からすると、使えるお店と使えないお店、また、フランチャイズは二%ですけれども、いわゆる独立した中小・小規模事業者は五%ということになりますので、まずこれは明確に掲示、統一のポスターとか、レジに表示するロゴマークなんかをしっかりつくって、ここのお店はやっているのかやっていないのか、還元率は五%なのか二%なのか、わかりやすくしたいというふうに思っています。

 また、これに伴って、中小・小規模事業者に対してはいろいろな支援のメニューがあります。端末については、これは決済事業者が三分の一負担してくれることを前提に、残り三分の二を国が持つということになっておりますし、また、手数料についても、手数料が、決済事業者が三・二五%以下に抑えることを前提に、三分の一を補助させていただくということになっていますので、このメニューについてもしっかりと徹底をしていきたいというふうに思っています。あと、もう一つが、軽減税率に伴うもの、これはレジの導入支援、七割補助という形になっております。

 このレジの導入支援とキャッシュレスの端末支援、これがちょっとなかなか、私も最初よくわからなかったんですが、やはり、軽減税率の方は、レジ本体を入れかえる場合にその費用を負担をさせていただくということになりますし、キャッシュレスポイント還元の方は、電子マネーとかキャッシュレスの読み取り装置の方、これは大体二万円から十万円ぐらいになりますけれども、こちらの方を補助させていただくということになりまして、これは事業者が混乱を起こさないようによく説明をしていきたいというふうに思いますし、特にキャッシュレスの場合は、決済事業者のインフラに乗っかりますので、決済事業者による周知、広報活動、こういったことについても政府としてしっかり応援していくことが重要ではないかというふうに思っております。

 いろいろな団体の窓口とかそういったものも駆使をしながら、混乱をしないように、特に中小・小規模事業者の現場が混乱しないように徹底していきたいというふうに思っています。

高木(美)分科員 大臣、最初に、御答弁ありがとうございます。大変いつもわかりやすく御説明いただきまして、感謝いたします。

 総務省は総務省で説明させるという、その切り割りはよくわかるのですが、結局、自治体ポイントを使って、しかもそれを実施するのは現場の中小・小規模事業者でいらっしゃいますので、ぜひとも、そこも含めて、相互乗り入れで一緒に説明していただくとありがたいと思います。

 既にもうやっている自治体もありますけれども、二〇一九年が準備期間というふうにも承知しておりますので、またそこで今年度混乱することのないように、ぜひとも政府としてすっきりとお願いしたいと思います。

 そこで、昨日、経済財政諮問会議がありまして、そこで総理から、デジタル国家を更に進めていくという御発言がありました。私もそのことを推進してきた一人でございます。

 ただ、そのときに、デジタルデバイド対策というものが必要だと思っておりまして、特に今回のこうしたキャッシュレス決済であるとか、またこの自治体ポイント、これは現場で使えばいい話ですが、高齢者、障害を持つ方など、クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段を持つことが難しい方たち、そしてまたマイナンバーカードを持たない方たち、こういう方たちは制度の恩恵を受けにくくなってしまいます。

 この方たちをどのように支援をして、どう公平にこの事業のメリットを実感していただくのか。デバイド対策が重要であると思っております。答弁を求めます。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 今回のポイント還元制度でございますけれども、クレジットカードのみならず、ポイントの付与のできます電子マネー、QRコードなど、簡易な決済手段を含めました多様なキャッシュレス手段を利用可能にすることを進めておるところでございます。これによりまして、高齢者も含めました幅広い消費者にとって利用しやすい環境、これを整えてまいりたいと考えております。

 特に電子マネーにつきましては、信用審査、これを要することなく簡易にカードを作成できますので、スマートフォンがなくてもカードさえあれば決済可能といったメリットもございます。こうした決済サービスを活用することで、高齢者の方々、そして所得の低い方々もポイント還元のメリットを実感していただけるものと認識しております。

 今回の制度の実施に際しましては、制度の意義、そしてポイント還元を受ける方法などについてしっかりと周知し、国民の理解を求めていくことが重要と認識しております。とりわけ、キャッシュレス決済になれていない方、この方々向けに、わかりやすい動画、これを配信したり、体験イベント、こうしたものの開催を通じまして、しっかりとPRに取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)分科員 これは経産省とは対極だと思うんですが、要するに、クレジットカードの使い過ぎというところも逆に出てくるかと思います。ポイントをもっとしっかり使っていきたいとかためていきたいとか、いろいろな面もあると思いますので、その点も留意していただければということを申し上げさせていただきます。

 最後に、大臣にお伺いしたいのですが、AIの開発、これはまさに、GAFAのような、そこと我が国がどのようにしのぎを削って次の時代の主導権をとっていくかという非常に重要なポイントであると思っております。

 今回、政府の三十一年度当初予算に、コネクテッド・インダストリーズ推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業として、汎用型AIのシステム開発への支援三十・四億円が新規で盛り込まれました。私はこれも高く評価したいと思います。この汎用型AI開発に向けましては、政府がしっかりと主導していくべきと考えております。

 AIにつきましてはさまざまな考え方があり、いわゆるドラえもんのような、人にかわるものをつくろうとしているところもありますし、かといって、特化型AIを積み重ねて、その後に汎用型AIができるのではないかという道筋をたどっていらしたり、AIについてもいろいろな捉え方があります。

 私は、先般、横須賀共済病院の視察に行きまして、そこでは、音声認識入力記録システム、このシステムを、SIP事業で補助金をとって、そこで展開しているという内容なんですが、看護師さんの業務の三割が記録業務、残業の七割が記録という、これを、記録をなくしていくだけで、省力化するだけで、相当残業代も、そしてまた働き方改革にもつながるということで進めております。

 こうしたことを展開しているのはほかにも幾つかありまして、先日も北九州市を見てきたところなんですが、患者さんが話をする、それを全部記録をして、必要なものをAIが抽出をして、それを記録として残していく、そうすると医師は患者と相対で話ができる。まさに下働きをAIにしっかりやってもらって、そして、人が人としてコミュニケーションをとっていくとか、さらに、人に優しい社会に向けて踏み出していく、こういうAIの活用の仕方というのは私は非常に重要だと思っております。

 そこで、最後に大臣に、このAI開発に関するお考えと、また意気込みをお伺いさせていただきます。

世耕国務大臣 AIといってもいろいろなアプローチがあるわけですけれども、日本の場合は、やはり製造業、サービス産業の中に非常に質の高いリアルなデータがたくさん蓄積されていますので、やはりそれとAIを組み合わせるということが非常に重要ではないか。

 私たちが提唱しているコネクテッド・インダストリーズというコンセプトは、まさに現場のリアルデータを共有して、協調して、そしてそれをAIで分析をしていくことによって、より製造業とかサービス産業の質を高めていくということにつなげていきたいというふうに思っていまして、今御指摘の平成三十一年度の予算に盛り込んでいるのも、単なる純粋な学問とか研究としてのAIの開発ではなくて、リアルデータを用いて現場の課題を解決するようなAIシステム開発について重点的に支援していきたいと思いますし、今おっしゃっているような、まさに音声、医療現場でしゃべっている言葉というのも、ある意味これはビッグデータたり得ますので、そういったことも当然支援の枠の中に入ってくるのではないかというふうに思っていますが、当面は、重点五分野ということで、例えば、製造データを用いて製造工程の効率化を図るAIですとか、あるいは物流業界で人手不足を解消するためのAIですとか、あるいは今お話のあった医療、介護現場の業務改善のためのAI、こういったものを開発することを想定しているところであります。

 あくまでも、人とのコラボによって、よりよい仕事の環境とか生活をつくっていくようなAIの利活用をやっていきたいというふうに思っています。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

宮下主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野分科員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。

 今、電機情報産業において、大企業を中心とした希望退職を含むリストラが大規模に行われています。昨年一月にはNECで三千人、富士ゼロックスが国内外で一万人、十月には富士通で五千人、十一月には東芝が七千人など、二〇一一年三月期から続いているリストラの流れはとどまるところを知らない事態です。

 NECは、昨年四月の平成三十年三月期の連結業績では八百六十億円の経常利益を上げています。東芝も富士通も、黒字経営にもかかわらずリストラを進めている。

 世耕弘成経済産業大臣は、こうした電機情報産業の大企業におけるリストラ、雇用問題についてどのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 電機情報産業では、やはり世界的に競争が大変激化をしているわけであります。そういった環境の中、各社において事業体質の強化に向けたさまざまな対応が行われているというふうに認識をしています。

 ただ、当然、こうした中であっても、労働関連を含めた法令を遵守するということは企業活動の大前提だというふうに考えています。また、人員削減などの構造改革を実施するに当たっては、当然のこととして、従業員あるいは地域、取引先といった関係者にしっかりと経営方針や構造改革の必要性などを説明をして、地域経済への影響にも配慮をするなど、丁寧な対応を行うことが重要だと考えております。

畑野分科員 NECによりますと、四十五歳以上かつ勤続五年以上の労働者に特別転進支援施策という名の希望退職を募集して、昨年十一月末時点で二千百七十人が応募したとされています。希望退職と言えば聞こえはいいですが、実際にはどのようなことが行われているのか。

 Aさんは、特別転進支援制度を利用する意思はありませんとはっきりと伝えているのに、会社から、社外での活躍の場を検討する気はないのかと何度も繰り返し聞かれる。あげくの果てには、今の部署に残りたいというのなら、どのように自分が変われるのか考えてもらいたい、自分の能力、スキル、スキルチェックを踏まえて、自分のどこに問題点や課題があるのか確認し、具体的に目標値を挙げて書き出すようにと言われております。

 また、Bさんは、今の職場に残ると何度も主張し、面談をやめてほしいと繰り返し訴えているにもかかわらず、面談を行っている部長は、業務としてやっている、答えが出ない限り終わらないと、六回も面談が繰り返されているといいます。やめると言うまで面談を続けるぞと言わんばかりです。明らかな退職強要ではありませんか。

 東芝は昨年十一月に、二〇二四年三月期までに七千リストラと一五%の生産拠点再編を進める東芝ネクストプランを発表いたしました。二五%の関連会社の統廃合も含まれているということです。

 東芝グループで、川崎市にある東芝デジタルソリューションズで働くCさんは、個別面談で自主退職の考えはないと伝えると、社内にあなたの活躍できる場所はないと言われた。Dさんは、何度も今の職場に残る意思を表明しているにもかかわらず、会社から、社内に残るなら四日市や柏崎での応援業務になる、応援作業は三カ月ぐらいで勤務場所が変更になるため、退職まで地方を転々とすることになる、応援先から今の会社に戻ってくることはまずないと、まるで嫌がらせのような対応を繰り返されています。

 厚生労働省に伺いますが、こうしたことは違法な退職強要に当たるのではありませんか。

田中政府参考人 個別のケースにおける退職勧奨が労働者への権利侵害になるか否かについては、最終的には司法において判断されることになりますけれども、一般論としては、例えば、退職勧奨が殊さらに多数回、長期にわたる場合など、労働者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、違法な権利侵害になり得ると考えております。

畑野分科員 違法な権利侵害だとお認めになりました。

 労働者から相談が寄せられたような場合には、厚生労働省としても、企業に出向いて事実関係を確認し、必要な指導をする必要があると思いますが、いかがですか。

田中政府参考人 厚生労働省といたしましては、違法な権利侵害に当たる退職勧奨が行われることは不適切と考えております。

 企業に対しては、適切な労務管理についてしっかりと周知を行うとともに、一般論としては、仮に違法な権利侵害に当たる退職勧奨が疑われる情報を入手した場合には、必要に応じて都道府県労働局や労働基準監督署が企業に出向いて事実を確認いたしまして、適切に啓発指導を行ってまいりたいと考えております。

畑野分科員 今言った事態を含めて、しっかりと対応していただきたいと思います。

 世耕大臣に伺いたいんですけれども、電機情報産業のとどまるところを知らないリストラ計画と、先ほど御紹介した繰り返される違法な退職強要に対してしっかりと対応すべきではないかと思いますが、いかがですか。

世耕国務大臣 個別企業の具体的案件に関する労働関連法規の執行というのは、これはあくまでも厚生労働省において行われるべきものと思っておりますけれども、一方で、仮に、違法な退職勧奨などが認定をされて、産業の持続的な発展に向けて必要と考えられる場合は、私としても、個別の社あるいは業界に対して労働関係法令を遵守するようしっかりと促すことが重要だというふうに思っています。

畑野分科員 法令遵守を進めるというのは政府全体の仕事でございますので、ぜひ世耕大臣にもしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 さらに、日立では、非正規社員十一人をことし三月末で一斉に雇いどめする動きが出ております。

 ある方は、長い間派遣社員として働いた後、直接雇用の契約社員として雇用され、一年ごとの契約更新を繰り返してまいりました。二〇一三年四月から五年目となる二〇一八年四月に、一年間の有期雇用契約を更新して、昨年、二〇一八年六月に無期雇用の申入れを行い、無期雇用となりました。ところが、昨年十二月に、会社から口頭で、雇用は確保できないと言われ、今月一日には同様の趣旨のメールを受け取り、そして、二月二十二日、解雇予告通知が発行され、この三月末で解雇されるというんですね。

 日立は、この方の無期転換申入れを受け入れているにもかかわらず、解雇理由は事務所縮小、再編のためとしか説明されておりません。整理解雇の場合の四つの要件、一、人員整理の必要性、二、解雇回避努力義務の履行、三、被解雇者選定の合理性、四、手続の妥当性のどれもまともに説明されていない。

 有期雇用契約の雇用どめの不安を解消するという労働契約法の無期転換ルールを行使したのに解雇されるなど、明らかに法の趣旨に反するのではないですか。厚労省、いかがですか。

田中政府参考人 個別の事案についてのお答えは差し控えたいと存じますが、一般論としては、労働者が無期転換申込権を行使した場合には、その時点において、そのときの有期労働契約が終了する日の翌日を始期といたします無期の労働契約が成立をいたします。

 このため、当該労働者との労働契約を終了させるためには、無期転換ルールによって新たに成立した無期労働契約を終了させるために解雇を行うことが必要となります。

 その際、当該解雇が有効か否かについては、労働契約法第十六条の解雇権濫用法理に照らしまして、最終的には司法において判断されることとなりますが、当該解雇が経営上の理由に基づく解雇、いわゆる整理解雇として行われるものである場合には、通常、先ほど先生がおっしゃいました四つの事項が総合的に考慮されるものと承知しております。

 厚生労働省といたしましては、企業において労働契約法の趣旨に沿った適切な対応がなされるように、必要な啓発指導等を行うとともに、裁判例や雇用ルールについての必要な周知、広報を行ってまいりたいと考えております。

畑野分科員 これはしっかりと対応してもらわないと困るわけです。それを求めておきます。

 経団連会長の企業でのこうした事案について、やはり経産省としても適切に対応する必要があるのではないかと思いますが、世耕大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 安倍政権では、働き方改革あるいは労働環境の改善に向けた取組というのを非常に重要な政策として積極的に行ってきています。こうした取組を進めていく上でも、労働関連を含めた法令遵守、コンプライアンスは、経団連会長を出している企業であるかどうかにかかわらず企業活動の大前提だというふうに思っています。

 個別については、これは厚生労働省が執行されるべきだと思いますが、仮に、違法な退職勧奨などが認められて、産業の持続的な発展に向けて必要があると考えた場合には、経済産業省としてもしっかりと対応していきたいと思っています。

畑野分科員 日立製作所会長の中西宏明氏は、日本経団連の会長だということです。

 日立は、「日立グループCSR活動取り組み方針」で、「人権の尊重及び高い企業倫理に基づいた行動を取ります。」と掲げておられます。そういう企業で、働く労働者の権利を無視するような解雇があってはならないというふうに思いますし、世耕大臣もいろいろなところで経団連会長とはお会いになるでしょうから、ぜひ率先して進めて、きちっと労働者の雇用を守る、法令遵守を進めるように、ぜひ取組を進めていただきたいというふうに思います。

 電機・情報ユニオンがNECの労働者から集めた三千人リストラに関するアンケートで、その回答の六割の方が、リストラでNECは悪くなると回答しています。自由記述欄には、二〇一二年にリストラはもう二度と繰り返さないと言ったのを忘れたのか、リストラするたびに優秀な若手から退社している、これで会社がよい方向に向かうはずはないなどの声が多数寄せられております。

 リストラ頼みの競争力強化に未来がないということは、現場の労働者の実感です。電機情報産業の今後の発展を考えれば、国の責任で大規模なリストラをやめさせる、そのことを本当に強く求めておきたいと思います。

 何よりも内需を拡大するということですから、消費税一〇%の増税ではなく、本当の雇用を応援するという政治に切りかえていただきたいと思います。

 次に、石炭火力発電建設について伺います。

 東日本大震災以降、日本全国で石炭火力発電所の建設ラッシュが起こり、その後、中止、撤退も相次ぐ事態が起きています。

 神奈川県横須賀市でも石炭火力発電所が計画されていますが、仮に計画中の全ての石炭火力発電所が建設された場合、パリ協定における日本の目標、二〇三〇年度に一三年度比で温室効果ガスを二六%削減する、このことを達成することは困難だというのが、この間の環境省の答弁です。

 そこで、経済産業省に伺いますが、大規模、小規模合わせて、二〇一二年以降の石炭火力発電所新設計画におけるピーク時の発電所数、中止、撤退発電所数、そして現在の計画発電所数はそれぞれ幾つでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日本における石炭火力発電所の新増設につきましては、二〇一八年三月末で三十基計画されていたところでございますけれども、現在、三十基のうち六基につきまして、事業の中止やLNG火力への計画変更等が行われたものと認識してございます。

 LNG火力につきましても、同等規模の火力の新増設計画が存在いたしますけれども、いずれのものにつきましても、この新増設の計画は、あくまでも構想中のものも含めた計画段階の数字でございまして、実際には、中止や計画変更されることにより、必ずしも全てが建設されるわけではないと承知してございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、CO2削減目標がしっかりと実現できるように、一定の石炭火力が建設されたとしてもこの目標が達成できるよう、エネルギー供給構造高度化法や省エネ法といった規制的措置を講ずることによりまして、事業者が既存の低効率発電所の稼働抑制ですとか休廃止等を進め、その目標が達成できるよう適切に取り組んでまいりたいと考えてございます。

畑野分科員 石炭火力発電所のCO2の排出というのは大きいわけですよね。

 今幾つか数字を言いましたけれども、私が聞いている数字というのはまた別の数字があるんです。それで、根拠となる資料を出していただくようにお願いをいたします。

村瀬政府参考人 数字につきましては、明らかにすべきものはしっかりと明らかにしていきたいと思います。

畑野分科員 根拠の数字や資料を出していただくということで、確認をいたしました。

 今、世界では、パリ協定のもとで、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、中国など多くの先進国が石炭からの撤退を宣言する中で、日本政府の異常な石炭政策は際立っていると言わなければなりません。

 今月二月十五日に、そうした国の姿勢をあらわす出来事がありました。横須賀市で石炭火力発電の建設を計画しているJERAを含めた、中部電力、東京電力フュエル&パワー三者による産業競争力強化法に基づく事業再編計画を、経済産業省が認定をいたしました。中電、東電の火力部門をJERAに集中させて、そこに登録免許税率の軽減、長期、低利の大規模融資を支援措置するというふうに言われております。

 経済産業省に伺いますけれども、登録免許税率軽減措置による軽減率と軽減額、日本政策投資銀行による融資額は幾らになるんでしょうか。また、事業再編後のJERAは、電気事業低炭素協議会に加盟するのでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目でございますけれども、御指摘いただきました、二月十五日付で認定いたしました事業再編計画は、産業競争力強化法に基づきまして、JERA、東京電力FP及び中部電力の三者による事業再編が我が国産業における生産性の向上に資するものとして、認定を行ったものでございます。

 この認定による支援措置といたしましては、JERAは、事業承継に伴う不動産の移転登記に伴う登録免許税の軽減措置として、不動産でありますれば通常の税率二・〇%が〇・四%に軽減されることになるわけでございます。具体的な軽減額につきましては、今後、JERAがみずから税務申告を行う予定でございまして、その中で確定していくものと承知してございます。

 また、認定事業者は、計画の実施に必要な資金の調達を円滑に行えるよう、指定金融機関による長期、低利の融資を受けることが可能となるわけでございますけれども、具体的な融資額につきましては、JERAが、指定金融機関、これは政策投資銀行と承知してございますが、現在調整をしている状況と認識してございます。

 また、二点目の御質問でございます電気事業低炭素協議会でございますけれども、これは、電力会社が主体となりまして、実効性のある地球温暖化対策を推進していくことを目的として活動している団体と承知してございます。

 JERAの親会社である東京電力FP、フュエル&パワー及び中部電力もこの団体に参加をしている、また、東京電力ホールディングスも参加、加盟していると承知してございます。

 現在、JERAにおきましては、ことしの四月一日の既存火力の統合、いわゆるステップスリーに向けた準備を進めているところと承知してございますが、統合後のJERAの同協議会への参加につきましては、同協議会の設立趣旨も踏まえながら、JERAにおいて検討が進められていくものと理解しているところでございます。

畑野分科員 協議会の加盟は自主的判断というふうに言っても、これは入らなければ大変なことになるというふうに言わなくてはなりません。自主的取組ではまだまだ弱いというふうに思いますが、企業任せということではならないというふうに言っておきたいと思います。

 きょう、実は資料として、環境省がつくったものをお配りさせていただきました。

 一枚目は「国内大手金融機関の石炭火力発電への融資方針」、これが、新規融資を原則中止するなど出てきているんですけれども、私は、まだまだこれは世界の流れからすると不十分な対応だと思います。

 二枚目のところにつけてありますように、化石燃料ダイベストメントの例がありますが、世界銀行は二〇一七年十二月、石炭のみならず石油、天然ガスの探査、採掘への融資を二〇一九年以降停止することを発表しているなど、こういう流れになっている。こういう点からも、また、OECDも石炭火力のいろいろな規制をやっていますが、これもまだまだ不十分で、二〇二一年には更に規制を強化するということも決まっているんですね。

 これは、ぜひ世耕大臣にも、環境大臣とも連携をとりながら進めていただきたいと思っております。

 横須賀市と同じ東京湾沿岸の千葉県では、袖ケ浦市と市原市に計画されていた二つの石炭火力発電所の新設計画が中止になりました。いずれも、環境対策に係る設備費など、事業の採算性が合わないという理由です。需要の見通しが立たない、採算が見通せないということですね。

 ですから、そういう点では、原発についても、今月二月二十日には、東京電力福島第一原発事故で福島県から神奈川県内に避難した住民による福島原発神奈川訴訟が横浜地裁で勝訴いたしまして、国と東電の損害賠償責任が認められました。原発ゼロとあわせて脱石炭へ、日本のエネルギー政策の抜本的見直しを強く求めておきたいと思います。

 時間が限られておりますので、次に進みます。

 米軍基地の問題について伺います。

 まず、きのう千葉県木更津市の陸上自衛隊木更津駐屯地において、危険なオスプレイの試験飛行が強行されました。私は、住民の皆さんが物すごい不安を持っているという声に応えて、強く抗議をしたいと思います。

 ここは、二〇一七年にオスプレイの整備拠点にされて以来、二年間にわたってその整備が完了しないということが続いておりました。整備が必要とされた理由の一つに、プロップローターのふぐあいがあったと聞いていますが、そうですか。

斉藤(和)政府参考人 お答えいたします。

 木更津駐屯地における米海兵隊MV22オスプレイの定期機体整備では、機体の内部構造を点検し、腐食、損傷等の修復や部品交換等が行われます。整備対象である一機目の点検過程におきまして、プロップローター部分におきまして部品の交換等を行う作業が行われたと承知しております。

畑野分科員 このプロップローターというのはオスプレイの中心部ですよね。そこが整備をしなくちゃいけない、最も危険だと言われている部分だということが今のお話で確認されました。

 昨年末に、アメリカが、米政府がオスプレイ整備事業者に関する市場調査を行っているという報道がありましたが、この点について、防衛省、どのように把握されておりますか。

斉藤(和)政府参考人 お答えいたします。

 米軍が、昨年十二月二十日付で、西太平洋地域におけるオスプレイの整備について能力、関心を有する企業の募集を行ったことは承知しております。

 この募集につきましては、米軍が行ったものであるため、その詳細についてお答えする立場にはございませんが、西太平洋地域においてオスプレイに係る整備能力、関心のある企業について、一般的な情報収集の一環で行われたものと承知しております。

畑野分科員 木更津駐屯地の今回の件は、飛行ルートや日程を地元自治体に十分伝えずに実施、どこを飛んだか、ルートも明らかにしていない。そして、二年も経過して、住民に納得できる説明がいまだにない。落ちるのじゃないかという不安を抱えているわけです。

 こういうことをしっかりと公表すべきじゃありませんか。

斉藤(和)政府参考人 試験飛行に係る手続といたしましては、当省の方に飛行計画というのを提出するものとされておりまして、私どもも確認しております。その上で、地元に対しましては、飛行の時期等につきましては情報提供させていただいているところでございます。

 それ以上の具体的な内容につきましては、米軍の運用にもかかわることでございますので、お答えは差し控えているというところでございます。

畑野分科員 その米軍の運用にかかわるといって公開しないことに住民は不安を覚えているということを申し上げておきたいと思います。しっかりと公開してください。

 こういうことが続きますと、米側が新たな整備事業者の調査を行っている、これは新たな拠点づくりにつながるんじゃないか、強化につながるんじゃないかということが住民の不安として上がってくるわけです。

 神奈川県厚木基地へのオスプレイの飛来をめぐって、綾瀬市、大和市に今年度初めて再編関連訓練移転等交付金が交付されました。なぜですか。

中村(吉)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の再編関連訓練移転等交付金は、米軍再編に係ります訓練移転等の影響を受ける地域住民の方々の生活の安定に必要な措置を講じることができるよう、平成二十九年度から十年間の措置として新たに創設をした交付金でございます。

 平成二十九年八月の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2でございます、ここにおきまして、沖縄の負担を軽減するため、航空機訓練移転を促進することが日米間で確認をされたことから、平成三十年度より、普天間飛行場に所在をするオスプレイの訓練移転も本交付金の対象としたところでございます。オスプレイの訓練移転に関します交付金については、訓練移転で使用された飛行場等を対象に、訓練の実施状況を踏まえて交付をしているところでございます。

 厚木飛行場につきましては、昨年二月から三月に実施をされた訓練におきまして、オスプレイの機体の整備等のため使用されたことから、昨年の十月末、綾瀬市と大和市に初めて交付金を交付をしたというところでございます。

畑野分科員 綾瀬市からは、オスプレイの飛来を認めたわけではなく、基地周辺対策の迷惑料として受けとめた、安全性に不安がある中で、飛来しないでほしいというふうに聞いております。

 沖縄では県民投票が県民の声として示されました。オスプレイはどこでも要らないということだというふうに思います。

 厚木基地でいえば、横須賀の原子力空母がある、これを撤回してほしい、「いずも」の攻撃型空母をやめてほしいという声を上げているということも強く申し上げたいと思います。

 最後に、相模総合補給廠への米陸軍第三八防空砲兵旅団司令部の配備について伺います。

 市長も市議会も、突然の配備に強く抗議を、遺憾の意を表明しております。説明がいまだにきちっと行われていないということですが、直ちに説明をすべきじゃないですか。また、なぜこんなに突然の通告だったのかお答えください。

中村(吉)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の第三八防空砲兵旅団司令部の相模総合補給廠への駐留につきましては、昨年の九月五日、在日米軍司令部から日本政府に対しまして接受国通報がございました。その後、アメリカと所要の調整を継続をした結果、日米間での調整が整ったことから、九月二十八日に関係の自治体への説明を行ったというところでございます。

 これを受けまして、相模原市からは、司令部の任務ですとか運用などの詳細についての情報提供を求める要請がございました。これを受けまして、防衛省としては、米側と調整を行った上で必要な情報提供を行ってきているところでございます。

 この司令部の駐留に際しましては、地元の皆様に十分に配慮をし、最大限の安全対策をとるよう日米で協力をしていくとともに、地元の皆様の御理解と御協力をいただけるよう、今後とも誠意を持って丁寧に対応してまいりたいと考えております。

畑野分科員 地元の有無を言わせないこうした米軍と政府のやり方、これは本当に地方自治を無視したやり方だ、許せないということを申し上げて、質問を終わります。

宮下主査 これにて畑野君枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 おはようございます。日本維新の会の浦野靖人です。本日は、よろしくお願いいたします。

 きょうも夜遅くまでずっとということで、予算委員会の理事会でも、これは野党筆頭の逢坂さんからも、この分科会のあり方についてはちょっと議論の余地があるんじゃないかと。朝から晩までほぼ十二時間、ずっと大臣も張りつけでやらないといけない、このやり方はちょっと私もどうかと思います。

 ただ、予算審議で、やはり政府としてはいついつまでに予算を上げたい、そういう思惑もあるでしょうから、これを、じゃ、例えば二日に分けるとなると、その分必ず日程がずれてしまうので、これはよしあしがもしかしたらあるのかもしれへんなと思いながら毎年この分科会に出ているわけですけれども。やはり、働き方改革のことを推進している政府側がそういったことを取り組まないといけないだろうなというふうには思います。

 先ほどの方、僕は、分科会が経産省だから経産省に関する質問しかしたらあかんと思っていたら、全然お構いなくやりはるんですね。全然経産省に関係ないことをずっと聞いてはったのでちょっとびっくりしたんですけれども。私は、きょうは経産省のことしか聞きませんので、よろしくお願いします。

 ホームページを開くと、経産省のトップページを見ると、今月のという形で何か毎月毎月トピックがかわるのかなと思うんですけれども、例えばキャッシュレス・ビジョン、経産省が推進している政策についていろいろと出てくるわけですけれども、その中で、キャッシュレス・ビジョンって、ちょっと、この間見たらなくなっていたんですけれども、大阪・関西万博ビジョンというのもこの間までありました。

 この二つについて、改めて、経産省の思っていること、これから取り組んでいくこと、ちょっと御披露いただけたらと思います。

世耕国務大臣 まず、キャッシュレスについてでありますけれども、キャッシュレス・ビジョンというので、キャッシュレス化の目標数値を掲げています。

 もともとは、二〇二七年ごろに四〇%としていたんですが、大阪・関西万博誘致に成功したことも踏まえて、二〇二五年の大阪・関西万博にキャッシュレス四〇%を目指そうというのが、今、我々が掲げている最新の目標値ということになります。

 余りこういうことを言うと、ちょっと事務方はまたびっくりしちゃうかもわからない、それでも私はまだ全然遅いと思っていまして、今、お隣の韓国ではキャッシュレス比率九〇%です。中国も全国レベルで六〇%ですから、都会ではもう一〇〇%に近いという形になっている中で、日本はもっともっとキャッシュレスの加速をしていかなければいけないと思っています。

 そういう意味で、今回、消費税上げに伴うキャッシュレスに限定したポイント還元の施策、そして二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、そして二〇二五年大阪・関西万博、この三段ロケットで日本のキャッシュレス比率というのを高いレベルまで持っていって、単に現金がキャッシュレスになって喜ぶだけじゃなくて、そのことをさらに、例えばサービス産業における生産性向上につなげていくとか、あるいは小売のビッグデータを活用したいろんなサービスを生み出していく、そういったことに今つなげていきたいというふうに思っています。

 そして、二〇二五年大阪・関西万博、これから博覧会国際事務局に対して具体的な計画を提出していくという、その計画をつくっていくことになるので、まだ今の段階で詳細なことは申し上げられませんけれども、キャッシュレスは当然のこととして、ソサエティー五・〇が一体どういう社会を実現していくのか、そのショーケースの舞台としてこの大阪・関西万博を使っていきたいと思いますし、いわゆる今までの国威発揚型、お国自慢型の万博ではなくて、地球が抱える気候変動とか健康、医療とか格差といった問題、そういった問題に、みんながともに考えて、研究して、そしてアウトプットを出していく。コクリエーションの場にしていきたいなというふうに思っています。

 いずれにしても、オリンピックは競技場も何も全部サイズは決まっているんですけれども、万博は全く白紙のところにつくっていかなければいけないという意味で、これは大変な作業になると思いますけれども、オール・ジャパン体制で全力で準備に当たってまいりたいというふうに思っています。

浦野分科員 ありがとうございます。

 松井大阪府知事も、この万博、特に、これは万博に限らず、大阪府は、アンチエージングだとか、あと、がん治療に対してもいろいろな取組を先進的にやっていこうということで力を入れてきた都市でもありますので、本当に大阪・関西万博は、非常に私も、個人的に、私、一九七三年生まれで万博を知らない世代ですので、ぜひ、本当に記憶に残る万博にしていただきたいなと思っております。

 これからまだ万博に向けていろいろと、開催する前のいろいろなところを詰めていかないといけないというのはもちろんなんですけれども、我々はやはり地元の人間として、万博が終わって、はい、それでおしまいというのでは、やはり万博をする意味がありません。レガシーを残していく。

 大阪万博は、我々も、太陽の塔に始まり、いろんなレガシーを残していただいて、今でも活用しているわけですけれども、どういうふうなものをその後つくっていくか、そういう、万博を機に舞洲、夢洲の地域をどうしていくかというのは非常に大きな課題でもあるんですけれども、大阪市の吉村市長は、最近、F1を誘致したいみたいなことを、非常に大きな夢ですけれども、そういったことも言っています。

 まだ多分政府に対してお願いをするとかそういうレベルの段階ではないとは思うんですけれども、こういう、F1を誘致するということについても、これは非常に大きな夢だと思いますので、そういった提案があった場合、ぜひ政府としても協力をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 私も、いろいろなレガシーはぜひ大阪・関西万博で残したいと思っています。

 特に、玄関口の関空と海上の夢洲がともに海上に浮かんでいるわけですから、例えば、これを契機に海上交通のネットワークを一つの関西のインフラにしていくとか、何かいろいろなレガシーが考えられるのかなというふうに思っています。

 F1、すごいことを考えるなと、びっくりしております。これは、費用負担の問題とか、あるいは、モナコ・グランプリ型とおっしゃっていますから公道で走るということになると思いますので、その間、道路封鎖というようなことにもなりますので、それはまず地域でよく御議論いただいて、まず地域社会の理解と納得というのが重要なのではないかなというふうに思っています。

 国としては、まずはこの万博の計画をしっかりつくって、成功へ導いていくということをまず最優先に取り組んでいきたいというふうに思っています。

浦野分科員 モナコのグランプリ、モナコは非常に伝統的な有名なF1のレースですけれども、あそこなんかは本当に、もうぎゅうぎゅうに家が建ち並んでいる狭い地、モナコ公国の地域の中でやっているわけですから、大阪でも十分可能性はあるなと。都市の中でやるF1のレースとして成功すれば、またこれも歴史に残るF1のレースになるんじゃないかな、会場になるんじゃないかなと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 今、世耕大臣も、海上交通のこともおっしゃいました。もともと大阪は水の都ということで、海上に限らず、もともとは京都まで川でさかのぼって、水運を使って発展をしてきた地域でもありますので、恐らくそういった部分もいろいろ仕掛けが出てくるんじゃないかなというふうに思っています。

 次の質問が、私、移動手段、移動コストについて質疑を用意してきたわけなんですけれども、これは、日本は、移動コストというのは結構、世界じゅうでも高い国のうちの一つなんじゃないかなと思います。

 例えば、高速はまだ、将来的に本当に無料になるのかどうかちょっとよくわからないんですけれども、多分、個人的には一生無料にならへんのちゃうかなと思っていますけれども、建前は無料になるというふうになっています。これも、でも、いまだにずっと有料ですし、電車も特段安いというわけでもないかな。タクシーに関しては、実はそんなに値段に差がないようなイメージがある。海外でもそんなに安いと思ったこともないし、同じぐらいのレベルで、都市部なんかは特に同じぐらいなのかな。ちょっと料金体系が違ったりして、安く感じるときもあるかもしれませんけれども。交通のコストを抑えるのももちろん重要になってくると思いますね、観光立国としてやっていくという話であれば。

 その中で、私は、国会が始まればほとんど東京にいてます。東京でタクシーに乗る機会はもちろんありますけれども、ほとんどのタクシーにはキャッシュレスで決済できる機械がついています。僕は今までで、国会に来て六年、七年ですけれども、キャッシュレスの機械がついていないタクシーは一回しか乗ったことがないですよ、実は。東京で珍しいなと思ったぐらいだったので、一回しかなかったんですね。あとは全部ついていました。

 ところが、地元の大阪に帰ると、逆に、キャッシュレスの決済の載っているタクシーが、僕はほとんど乗ったことがないんですね。もうほぼほぼ、ちゃんとクレジットカードが使えますと書いているんですけれども、いや、済みませんお客さん、ちょっと今使えないんです言うて、大体現金で支払わされるというのが大阪のタクシーの常識なんですね。

 これは、私、この東京と大阪、大都市東京、大都市大阪でこれだけ差があるというのはちょっとどうかなと思っているんですけれども、キャッシュレスの普及率って、タクシーの、どんなものなのかというのを、もし数字があれば教えていただきたいんですけれども。

福田政府参考人 東京都と大阪府におけるタクシーのキャッシュレス決済導入率は、法人タクシーについてでございますけれども、全国タクシー・ハイヤー連合会が把握しているところによれば、平成二十九年度末時点において、東京都では約九四%、大阪府では約五八%の車両に導入されているところでございます。

浦野分科員 やはり、東京は相当高いですよね。大阪も五六%ということで、そんなに、僕の思っていたよりは高いかなと思ったんですけれども。

 大阪といっても、大阪市内とそれ以外の地域というのは非常に、恐らくタクシー会社の体力にも差があるし、そういうタクシー会社の体力の差があって、キャッシュレスの導入のパーセンテージが違うんだろうなというふうに思うんです。

 これは、例えば、東京なんかは、東京オリンピックに向けて、東京都が補助金を出してタクシーにキャッシュレスの、そういう決済の機械をつけるものを進めたというお話を聞いているんですけれども、それは、そうなんですか。ほんまなんですか。そういうふうに仄聞しているだけなんですけれども。知っていますか。そういうふうにタクシー業界の方から聞いたことがあったんですが。

福田政府参考人 そのように承知しております。

浦野分科員 そういう大きなイベントをきっかけにそういったことを、東京都は財政が豊かですのでそういうことができると思うんですけれども、例えば、大阪なんかは、実はタクシー協会の方からも、東京でそういうのをやっているから、東京都はやってくれているから、大阪府でもやってほしいというお話が実際何年か前にあったんですけれども、そんなの大阪府が出せるわけないでしょうという。別に、けちというわけじゃなくて、松井知事がけちや言うてるんじゃなくて、そんな体力が今大阪府にはないということで、そのときは話をしていたんですけれども。

 この万博、万博はもちろんですけれども、大阪はIRも、これを一緒にやっていきます。そういった中で、大阪、大阪に限らず、タクシーのキャッシュレス化というのは非常に大きなことだと思うんですけれども、その点については、政府は対応をどうされておりますか。

石川大臣政務官 お答えいたします。

 今回、消費税率の引上げ後の一定期間に限りまして、中小・小規模店舗におきまして、キャッシュレス決済を行った消費者に対し、ポイント還元を実施する方向でございます。これによりまして、事業者、消費者双方のキャッシュレス化を推進する方向でございます。

 今お尋ねのタクシー会社につきましても、中小・小規模事業者であるタクシー会社はその対象になるわけですけれども、その端末の導入費用については、負担がゼロになる形で支援いたします。その手数料につきましては、三・二五%以下とするとともに、その三分の一を一定期間補助する方針としております。

 ちなみに、全国個人タクシー協会がございますけれども、これはもう二月に説明会を実施しております。全国ハイヤー・タクシー連合会、法人タクシーにつきましても、去る二月十五日に説明会を実施をしており、前向きな方向だという報告でございます。

 ぜひ、今回の万博を契機に、大阪タクシー業界にもキャッシュレス、ぜひ先生の御指導のもと推進をいただければ幸いでございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 小さい個人店舗でも、最近、もうキャッシュレスの決済ができるようになってきているのが本当にふえているなというのが実感で、その同じ枠組みでタクシーもそういうのが使えるということですので、私も地元に帰って、地元のタクシー会社、青年会議所の先輩もいらっしゃいますので、ぜひお伝えしたいと思います。

 私、こう見えて、結構自分で買物、スーパーとか買物に行くんですけれども、大阪は特にかもしれないですけれども、うちは現金しか扱えませんという店がたくさん今でも残っています。結構な店舗数を持っているスーパーでも、いまだに現金しか使えない。この間レジが新しくなっていたんですけれども、完全、現金しか使えない仕様のレジを、わざわざ新しいのを導入されているんですね。うわ、これはすごい時代に逆らっているなと思いながら見ていたんですけれども。

 ポリシーとして現金しか扱わない店というのは、結構まだ、特に大阪は多いんちゃうかなと勝手に思うんですけれども、それはぜひやはり、これは流れ的に、それはそれでありかもしれないんですけれども、私はそれはキャッシュレスにした方がいいんじゃないか、キャッシュレスでも決済できるようにしていった方がいいと思っているんですけれども、そういうお店、そういう会社についてはどうされていきますか。

石川大臣政務官 委員御指摘のとおり、やはりこれから世界の潮流はキャッシュレスに向かっていくというふうに考えております。

 やはり、キャッシュレスにつきましてはさまざまなメリットがございます。例えば、生産性の向上、また、事業者にとってレジ締めというのも非常に手間、コストがかかるわけですけれども、その時間を削減できる、こういった直接、間接コストを減らすことによって生産性が上がりますということが一つのポイントかと思います。

 さらに、これから急速にふえてまいります外国人のインバウンドでございますけれども、その七割の方が、キャッシュレスがあればもっともっとお金を使ったというふうにアンケートで回答をしております。そういう意味では、インバウンドの消費拡大の波に乗るということは、大きなチャンスにつながるものだというふうに考えております。

 このように、キャッシュレス決済は事業者にとってもさまざまなメリットがありますということを私どもも当然PRいたしますけれども、ぜひ委員の御協力もいただきながら、大阪地域でも進めていきたいというふうに考えています。

浦野分科員 ありがとうございます。

 続いて、これも経済産業省が取り組む大きな柱の一つですけれども、ソサエティー五・〇。

 私も、比較的インターネットに若いころから自然と触れてきた世代の最初の方の世代だとは思うんですけれども、ビッグデータの活用というのはこれからもうどんどんどんどん進んでいくと思うんですね。その中で、今、違法ダウンロード、著作権の方で議論がされていて、ニュースでは、自民党の部会も了承して、これから恐らく法案化されて国会に出てくるんだろうというのがありますね。

 その中で、ネットでは非常にこれについて危惧をする声が結構あって、その検討会の委員をされていた方からも心配する声が出ているぐらい、ちょっと大きな議論になりました。

 これから経済を考える中でビッグデータの活用というのは必ず必要になっていく、今はもちろん一部の方々がビッグデータを活用していろいろなこと、経済活動をしていますけれども、将来的には個人がそういうビッグデータに、それは知らずにアクセスをして自分たちが利用していくという世界が恐らく出てくる。

 その中で、じゃ、例えば、違法に得られたそういうデータがビッグデータの中に含まれていないとは限らない世界が出てくるんじゃないかな。ビッグデータってありとあらゆるデータですから、その一つ一つが、いや、これは違法にどこかから引っ張ってきたデータなんですよなんということを一々一々検証することもできませんし、そうなってきた場合に、ビッグデータを使いにくくなるんじゃないかという疑問も実は私たちもちょっとありまして。

 これは、経済産業省としては、ビッグデータの活用というのは絶対これからやっていかないといけないことの一つだと思うので、今回検討されている、まだ正式に法案が出てきているわけでも何でもないですけれども、今回議論されていることについて、経済産業省としてはどういうふうな認識を持っているのかというのを、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、二月の十三日に、文化審議会の著作権分科会というところで、今先生から御指摘のあった著作権法の改正の方向についての報告書が出たというふうに認識をしております。

 その上で、今先生おっしゃられましたとおり、著作権法あるいは著作権について一般的に申し上げれば、片やクリエーターなどの著作権者の権利をきちんと保護をするという側面と、あわせて、著作物やビッグデータの利活用を促してイノベーションや自由な創作活動を促進するというこの二つを達成しなきゃいけないというふうには思っております。

 そういう観点で、今般の、今御指摘のいわゆるダウンロード違法化の対象範囲の見直しについて見ますと、一つには、これは、あくまでも本人が確定的に違法だと認識をした上で、なおかつ積極的にダウンロードをするという場合を対象にしているということ、それから二つ目は、まさに先ほど触れました審議会の分科会の報告書でもそうなっておりますけれども、まさに確定的に違法かどうかということについて、主観要件と言っていますけれども、どういう場合に確定的に違法だと言えるのかということについては厳格に設定すべきだという見解が示されております。

 したがいまして、こういう方向の中で規定をされるということであれば、私どもとしては、基本的には、ビッグデータの利活用を含めました創作活動が萎縮されるものというふうには思っておりません。

 以上でございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 これからまた議論があると思いますので、その議論の推移をまた見守っていきたいなと思っています。

 次に、シェアリングエコノミーについてお聞きをしますけれども、これは政府でも積極的に進めておられるとは思うんですけれども、これからまだまだ経済政策として重要性を増していくと思います。

 その中で、やはり、シェアリングエコノミーをやっている方々の一番思っている、願っていることというのは、フィールドが欲しいと。要は、自分たちが怪しげな商売ではなくてちゃんとしたものなんだということを証明するためには、やはりいろいろなところで実際に活躍をして、それで、シェアリングエコノミーというのはこういうことなんですよ、ああいうことなんですよということをわかってもらわないとだめだということで、フィールドがないとそれがなかなか、要は実証ができないということで、そのフィールドを求めて日々努力をされているわけです。

 例えば、北九州市だったと思うんですけれども、行政がバックアップをしてフィールドを提供して、シェアリングエコノミーの説明会などをして、それは非常に反響があって、いろいろな方がシェアリングエコノミーのそういうものに参加をして、始められているという実例もあります。

 私は、このフィールドというのをやはり経済産業省としてつくっていってあげるべきだというふうに思っているんですけれども、その点について御答弁をいただきたいと思います。

滝波大臣政務官 お答えします。

 委員御指摘のように、日本経済の成長のためには、シェアリングエコノミーのような、こういうイノベーションを起こす新たな産業の創出、これが重要であります。その中で、このシェアリングエコノミーを始めとする新しいビジネスは、社会的な認知度が低く、信用が必ずしも十分ではないスタートアップに担われることが多く、こういったスタートアップをしっかりと後押しをするということを経産省でも取り組んでいるところであります。

 その支援の一環として、こういったシェアリングエコノミーなどの分野で成功をおさめた起業家の表彰等を通じまして、その社会的地位を向上させて、チャレンジ精神を社会全体に醸成していく、こういうことをやってございまして、例えば、昨年の日本ベンチャー大賞、これで、厳正な審査の結果でありますけれども、シェアリングエコノミー事業者が大賞に選ばれたというふうなことであります。

 また、新たなビジネスを始める事業者の信用を高めるためには、消費者の方の安心、安全の確保も重要であります。そこで、民間のシェアリングエコノミー協会を中心に、事業者向けの認証ガイドラインを策定しまして、国内で普及が進んでいるというふうに承知してございます。

 政府としては、こういった民間の国内の取組をしっかり支援するとともに、別途、ガイドラインの国際標準化運動、これも後押しをしてございまして、ISO、国際標準化機構でございますけれども、この国際機関において日本の方から国際標準化へ向けての提案というのをやってございます。これを受けて、ことしの一月には新たなシェアリングエコノミーに関する委員会というのがISOの方で設置されてございます。

 引き続き、シェアリングエコノミー事業者の信頼性を高めるための取組を後押ししてまいりたいと思います。

浦野分科員 よろしくお願いいたします。

 最後に、再生可能性エネルギーについて、先ほども、さきの委員が石炭についていろいろおっしゃっていましたけれども、再生可能性エネルギーというのは、これは世界で恐らくまだまだ進んでいく、世界の潮流はそちらの方へ流れていっています。

 日本はおくれているんじゃないかなというふうな印象を私は持っているんですけれども、実際、例えば太陽光発電も買取り価格が下がることになります。

 私、太陽光パネル、太陽光発電等は、導入コストが結構、そんなに実際安くないということで、これから何か尻すぼみになってしまうんじゃないかという危惧を持っています。だからといって、補助金をつけろとかそんなん言うているんじゃないんですけれども。

 私は、実際、再生可能性エネルギーをもうちょっと前向きに取り組めるようにしていかないとちょっとまずいかなと思っているんですけれども、政府としてはどうお考えですか。

滝波大臣政務官 お答えします。

 日本においては、昨年七月に閣議決定された第五次エネルギー基本計画、こちらにおいて初めて再エネを主力電源化ということで、していくものと位置づけたところであります。

 再エネの主力電源化のためには、増大する国民負担は抑制をしつつ、最大限導入するということが政府としての基本方針でありまして、そのためには、海外に比べて今約二倍と高い日本の再エネの発電コストの低減を図っていかなきゃいけない。世界と同様に、発電コストの低減と導入拡大の好循環、これを起こしていかなきゃいけないというふうなことを考えているところであります。

 経産省としましては、コスト低減の取組を強化しつつ、長期安定的な事業運営を確保しまして、あわせて、系統制約の克服や調整力の確保、こういったものの、総合的に再エネ導入の拡大の取組として進めているところであります。

 他の電源と比較をして競争力のある水準までコスト低減をする。それから、今、FIT制度がございます。このFIT制度が終わったら、もうみんな事業をやめてしまう、こういうことでは全く主力電源化と言えないわけでありますので、FIT制度からの自立ということをしっかり図っていって、再エネを日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源として持続可能なものになるよう、しっかりと大量導入に向けて取り組んでまいりたいと思います。

浦野分科員 どうもありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わります。

宮下主査 次に、繁本護君。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

繁本分科員 自由民主党の繁本護でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 浦野先生の最後の質問で再生可能エネルギーについて触れられましたが、私からも再エネのうち、きょうは大型の洋上風力発電について質問を順次してまいりたいと思います。

 昨年の臨時国会で、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律が成立をいたしました。四月一日から施行でございます。この再エネ海域利用法によって、風況の良好な海域における風力発電事業が可能となります。

 政府は、二〇三〇年までに一千万キロワットの風力発電の導入容量を目的としている、再生可能エネルギーの比率を、電源構成に占める割合を二二%から二四%にすることも掲げております。

 また、実際に、洋上風力発電設備が稼働している区域を五区域として、これをKPIとして設定しているところであります。

 このような洋上風力発電の導入は、四面環海、海に囲まれた日本にとって海洋政策上極めて重要であるということ、地球温暖化の防止、あるいは港湾を核とする産業振興や雇用の創出、そしてエネルギー安全保障、原発の依存度をできるだけ下げていくという観点からも極めて重要な法律であり、期待をしているところであります。

 きょうは、この法律の活用によって、将来にわたって継続的に大型の洋上風力発電の整備が進むよう、こういった観点から質問を幾つかしてまいりたいと思います。

 さて、昨年成立をいたしました再エネ海域利用法の第八条には、これから促進区域というものを指定していくわけでありますが、港湾との一体的な利用というものが期待をされています。

 例えば、実際に大型風力発電を設置する場合、海外から部材、これは極めて大きいものでありますから、輸入をする。そして、輸入したものを広大なヤードで集積する、あるいは組み立てる。組み立てた部材、例えばタワーの部分なんかはどんどんどんどんヤードの上で高さがあるものになっていきますけれども、それをSEP船という船に載っけて、今度はそれを海に持っていく。海に持っていったものを今度は設置をし、それを繰り返し繰り返しやることで、一区域の海域で十分な導入容量を確保していくということであります。

 こういった長大かつ重量のある部材を扱うオペレーションをやっていくためには、当然のことながら、基地としての港湾が必ず必要になってきます。

 当面は、この法律に基づいて、促進区域の指定に当たっては、既存の港湾のうちでこういった機能を十分に兼ね備えたところ、例えば外貿機能であるとか、今申し上げた広大なヤード、岸壁、これがあるところが指定されているかと思うんですが、風況がいい、漁業交渉も少なくて済む、航路ともバッティングしない、こういった促進区域として十分な海域があるんだけれども、逆に、港湾の外貿機能が近くにないとか、あるいは広大なヤードがない、岸壁が少ないといった場合も考えられるわけであります。

 今後、将来にわたって継続的に風力発電による導入容量を着実に伸ばしていくためには、逆に、こういった観点から、必要となる港湾施設の整備であるとか機能の強化があってもいいのではなかろうかと思う次第であります。

 このような観点から、これから港湾整備について、促進区域と一体となって利用されるものをふやしていく必要があると思いますが、国土交通省の御見解を聞かせていただきたいと思います。

浅輪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、洋上風力発電を推進していくためには、洋上風力発電設備の設置又は維持管理の基地となります港湾が必要不可欠である、このように認識してございます。

 基地となる港湾では、特に、重厚長大な資機材を取り扱うことが可能となる埠頭の確保や、風力発電事業者による埠頭の長期的な利用が求められます。

 このため、港湾区域や広い範囲にわたり複数存在いたします促進区域における洋上風力発電事業に対し、基地となる港湾が長期的、安定的に発電設備の設置や維持管理に必要な人員、物資の輸送に資するよう、既存の港湾施設を最大限活用しつつ、地域ごとに効率的な港湾施設の機能強化を図ってまいりたいと考えております。

 また、その際には、洋上風力発電に取り組もうとしている事業者や港湾管理者の御意見もお聞きしながら具体的な検討を進めてまいりたい、このように考えてございます。

繁本分科員 御答弁ありがとうございました。

 次の質問に移りたいと思います。

 さて、今回の再エネ海域利用法が成立をいたしました背景といたしましては、関連産業への波及効果というものもうたわれておりました。

 経産省にお聞きしたら、今申し上げた大型の部材、これは自動車の部品に匹敵するぐらいの数万点という数の部材を取り扱うというふうに聞いておりますけれども、そのほとんどが海外から輸入されているというのが現状であるそうであります。

 一方において、風力発電の先進地域である欧州においてはかなり進んでおりますから、キロワット当たり六円といったコストで生産がなされているわけでありますが、現状、我が国では、同じコストを見た場合、三十六円ということであって、日本でこの洋上風力の発電設備に関連するビジネス、産業を育成しようと思うと、コスト面でまだかなり追いついていない部分がありますけれども、行く行くは我が国の産業振興の一つの柱になれば、こんな望ましいことはない。

 国民負担を抑制するという観点を大事にしながらも、今後、我が国に洋上風力発電を核とする産業振興がどのように期待できるのか、経済産業省に見解をお聞きいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電事業を進めるに当たりましては、これに関連しては非常にさまざまな、幅広い産業が関連してまいります。

 先ほど委員から御指摘ございました風車の製造、部品とかですね、この製造業のみならず、風車を洋上に設置するためには、さまざまな建設業、海上の建設、これの輸送等々の産業も必要になります。また、これを運営、維持するためには、運転、保守の発電事業、管理事業、こういうさまざまな多くの関連する産業がございまして、先ほど委員から御指摘ございましたように、部品の点数は、パワコンですとかタービン、増速機含めまして大体一万点から二万点ぐらい。車にはなかなか及びませんけれども、非常に幅広い、裾野の広い産業でございますので、国内の経済、さらには地元の経済という意味では非常に波及効果が大きく、エネルギー政策ということに加えまして、産業政策の観点からも重要であるというふうに考えてございます。

 政府としましては、これまで、こういった産業の競争力の強化を図っていくために、製造の部分について申し上げますと、洋上発電設備のコスト低減に向けた研究開発の支援、建設の部分について申し上げますと、海底地形に応じた施工の技術を高めるための実証事業、また、発電の導入についての税制上の措置、また、メンテナンスについてはITを活用してより効率よくメンテナンス、維持管理できるような支援などを進めてきているところでございます。

 今回の再エネ海域利用法によりまして、計画的、継続的に洋上風力が導入されることを期待しているところでございますが、こういった環境整備を進めコストダウンを図る、コストダウンと両立して、国民負担をできるだけ抑制していきながら、持続可能な形で、特に洋上風力が導入されることが産業的にも非常に重要だと思ってございます。

 インフラの整備、競争力の強化あわせて関係省庁一体となって進めていきたい、このように考えてございます。

繁本分科員 御答弁ありがとうございました。

 風力発電を実際に設置しようと思えば、実際、海洋土木工事を得意とする全国のマリコン各社のお力が必要になってくるわけでありますが、実際、その業界の動きを見ていますと、洋上風力発電を設置するために必要なSEP船という特殊な船、これに投資して、既に造船あるいは竣工している、オペレーションが始まっている。そして、それをいかに動かすかという訓練も始まっておりますし、洋上の海洋土木の世界でも、相当、この法律の成立を受けて投資が始まっております。

 同様に、陸側においても、やはり我が国の産業の柱としてこれから成長することを期待するわけでありますけれども、取り扱う部材が極めて大きいわけでありますし、そもそも、つくった部材は組み立てられて、先ほど申し上げましたとおり、港湾から促進区域に運ばれて、そこで組立てがなされるわけでありますから、港湾という、この臨港地区というのは、そもそも我が国の経済発展を支えてきた産業の集積の場所なんですね。

 この洋上風力発電の将来を考えたときに、この臨海部が十分に使われ、その機能を発揮すると思いますし、これからそういったサイトとして期待されるのは、むしろ大都市部よりも地方の海、これに面した地方港湾ということも考えられるかもしれない。そうしたら、夢を語るとすれば、これが一つの港湾を核とした地方創生にもつながっていくということでありますから、ぜひ、産業の集積とか、あるいはそういった観点からも、広い意味で港湾と一体となったこの政策の推進を期待しているところであります。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 さて、洋上でつくった電気は、消費地まで送り届けられなければ意味がないわけでありますけれども、送電ネットワークへの接続、これは大前提となります。このことは再エネ海域利用法の促進区域の指定基準として第八条に規定されているわけでありますけれども、全国の送電ネットワークを見た場合に、じゃ、この促進区域と重ねて、これがうまくマッチするかというと、必ずしもそうでないと思うんですよ。

 例えば、今、秋田県の沖合で、あるいは沿岸域で、一番、風力発電事業者が発電をしたいという申請件数が多い。実際、プロジェクトもたくさん動いておりますが、例えば、東北の日本海側であるとか、あるいは北海道の日本海側であるとか、風況がいいところ、あるいは土地があるところ、いろいろな条件が満たされそうなところといったところは、そもそも電力の消費量が小さいわけでありますから、送電網のネットワークの容量が小さい、あるいは送電ネットワークそのものがない、空白になっているということが考えられるわけであります。これが、継続的に洋上風力発電を整備し、そして運用し、電気をつくっていく上での課題となっているわけであります。

 さて、一方、政府は、全国的に、計画的にこの送電、配電ネットワークを整備するために、電力広域的運営推進機関というものを平成二十七年四月に設置をいたしまして、今後、この推進機関も洋上風力の発電を支える機関として期待できるのかなと思うわけでありますが、そこのところが少しはっきりしないものですから、ここで、電力広域的運営推進機関が洋上風力発電をどうやって支えていくか、役割を果たすのかということについて、経産省の見解をお聞かせいただきたい。

 また、この推進機関以外に、やはり足らざる役割、機能、たくさんあると思うんですよ。政府として、送電インフラの空白地帯に対して、洋上風力を後押しするためにどのような接続を目指していくのか、これもあわせて御見解をお聞かせいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、洋上風力発電も、これは電気の供給でございますので、これを送るための送電線が必要になるものでございます。

 これは、洋上風力に限らず再生可能エネルギー全般に言えるところでございますけれども、従来型の系統ネットワークというものの形と、再生エネルギーが導入される地点というものが、必ずしも一致していない。委員の御指摘でいうと空白地帯と言われるところでございますけれども、このバランスをいかに合わせていくか、将来に向けてどう修正していくかということは、非常に重要な課題でございます。

 御指摘のございました電力広域的運営推進機関、これは電気事業法に基づいてつくられました機関でございますけれども、いわゆるOCCTOと呼んでおりますけれども、この機関と一体となって、政府としては、系統の整備、推進を進めていきたいというふうに考えてございます。

 現在、このOCCTO、広域推進機関が進めております一つの大きな取組として申し上げますと、系統のニーズがある地域につきまして、発電の希望をされる方々が一緒になって、共同負担してその系統整備を図っていくという、いわゆる電源募集プロセスと俗に呼んでおりますけれども、というものを実施してございます。

 今、北東北地域、秋田ですとか青森ですとか、風況がよく、かつ系統がなかなか整備されていない地域については、そのニーズが非常に強いところでございまして、多くの洋上風力発電の計画がなされているこの地域では、四百五十万キロワットの電源を接続する系統増強の電源募集プロセスには、相当数の洋上風力の発電事業者の方々が計画とともに応募されてこられているというふうに伺っております。

 このプロセスを通じまして、この計画に必要な系統の増強が図られていくという見込みだというふうに認識してございます。

 これが一つでございますが、このほかにも、系統の増強には結構時間がかかるところでございます。やはり五年、十年とかかることを考えますと、既にある既存の系統を最大限有効活用することがまずは非常に重要なことだと認識してございまして、これは欧州の先例に倣って日本版のコネクト・アンド・マネージ、あいている容量を可能な限り使っていくという取組をまさに電力広域的運営推進機関と一体となって進めているところでございます。

 例で申し上げますと、どれぐらいの潮流、電流が流れるかということを予測しなきゃいけないわけですけれども、過去の実績を求めてそれを精緻化していく、それで空き容量が出てくる。若しくは、緊急用の電源装置、制御装置を置くことによって、あいている緊急用のスペースを使えるようにしてあげるということによって、接続可能な容量をどんどんどんどんふやしていく、こういう取組をまず足元で進めているところでございます。

 こういった取組とともに、今の既存の系統だけでは必ずしも十分ではないところでございますので、将来型の、風力含めました再エネを最大限導入した未来型のネットワークを実現するために、必要な課題の検討を行うための審議会をまさに先週開始したところでございます。

 この系統を増強するための費用負担をどうするか、託送制度の見直しをどうするかといったことも含めて、国としてしっかりと検討、環境整備を進めていきたい、このように考えてございます。

繁本分科員 御答弁ありがとうございました。

 推進機関と電気をつくりたいという人が一緒になって共同負担することで系統設備をしていくというお話であったり、そのためにはすごく時間がかかるというお話がありましたけれども、これは、これから再エネを我が国の主力電源の一つとして、政府としてエネルギー基本計画の中でも明確に位置づけているわけでありますよね。

 ですから、事業者の方から、こういうところで発電事業をやりたい、でも、ここでは系統の接続ができない、難しい問題がある、だから推進機関と一緒になってやっていくという、いわゆる需要サイドからの求めに応じた送電インフラを考えていくということではなくて、やはり国家戦略として、送電インフラが、今、再エネの普及に照らした場合に何が足りないんだということをやっていかないと、五年、十年かかると今御答弁ありましたよね、二〇三〇年までの目標を達成するのに、本当にそういうスタンスで大丈夫なのかなと心配になってくるわけであります。

 ですから、審議会も今立ち上がって議論もスタートした、キックオフしたということでありますから、ぜひその審議が進むことを期待しておりますけれども、むしろ政府の側から、空白地帯にどうやって系統設備をしいて、洋上でつくった電力を拾い上げてくるかということをもっともっと前に向けて考えていただきたいというふうに思います。

 そういった中で、昨年の九月の六日でありました、北海道胆振東部地域で地震が発生をし、そして北海道全体がブラックアウトしたということが起きましたよね。あのときに、本州と北海道の間を連系線がありますけれども、ここも実はうまく起動しなかったということがありましたよね。

 海域をまたいで、いかに緊急事態においても電力を融通し合うかというニーズは、北海道全体のブラックアウトを我々目の当たりにしたわけでありますから、これからますます重要になってきているわけであります。

 今のことと、先ほど来私が主張しております、政府として積極的に新たな送電網を考えていくべきだということでありますけれども、さっき答弁の中に、既存設備の有効利用、最大限の利用というのも、コネクト・アンド・マネージという話を伺いましたけれども、東日本大震災があって、その後FIT制度ができて、再エネをやりたいという事業者、あれ以来もう山ほど申請があって、そういった事業者の声も私は何年も相談を受け、そのたんびたんびに、その地域、ブロックブロックの電力会社あるいは経済産業局と相談をしてきたんですけれども、この系統、なかなか難しい問題だったんですよ。

 コネクト・アンド・マネージで、ようやく余裕率の見方を変えて、接続容量をふやしてくださる、これはありがたいんでありますけれども、やはりそれにしても、そもそもこの電力系統が出てきた歴史を考えてみれば、おのずと限界があるというふうに考えるわけでありますね。

 ですから、きょうは大型の洋上風力発電がテーマでありますけれども、ここで一千万キロワットを目指しているわけですから、僕はもっと高みを目指してもらいたいと思いますけれども、これを、着実に容量を伸ばして陸に接続していくためには、新しい送電ネットワークということも大胆に考えていった方がいいのではないかという提案を一つしたいと思います。

 陸上にずっとこれまでの歴史の中で構築されてきた系統ネットワークでありますけれども、部分的にしろ全国的にしろ、その送電網を海底に、洋上に新しいネットワークとして検討していくということも一つの新しい発想としてはありなのではないかと思うわけでありますけれども、洋上に送電ネットワークを実際やろうと思えば、それはコストがどれぐらいかかるか、工期がどれぐらいかかるか、技術面においてどんな困難性があるかということも同時に考えていかなければなりません。研究課題はたくさんあると思います。

 それともう一つは、港湾との一体的な利用ということをきょうはずっと申し上げていますが、新しい送電ネットワークを構築する上においても、基地港となる港湾との隣接性とか近接性とか、あるいはこの活用といったことも考えていくことが極めて望ましいと思います。

 今申し上げて御提案した新しい洋上送電ネットワークの構築あるいは整備に対する政府の考え方、あるいは取組状況がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、我が国の電力系統を、再エネの大量導入の時代に合わせた形で、いわゆる次世代型のネットワークに変えていく、先ほど御答弁申し上げました審議会はそういう目的のために検討を開始したところでございます。

 もちろん、足元ではコネクト・アンド・マネージを進めていきますけれども、未来型の系統というのは今のままでよいとは思ってございません。ですので、もちろん、そのときの費用負担をどうするかということも含めて検討していきたいと考えてございます。

 その際には、委員今御提案、御指摘ございましたように、ネットワークの形、そのときの技術、ネットワークの張り方について申し上げますと、それぞれ未来の形ということを想像しながら、それに応じたものにしていく必要があるだろう、その場合には、インフラとなります港湾ですとかさまざまなものとの近接性等々、さまざまなことを考慮する必要があるというふうに考えてございます。

 その中では、技術というのも非常に重要なところだと思ってございまして、送電技術というところで、一つ例で申し上げますと、例えば、洋上風力をつくってまいりますと、大規模の容量をどっと遠くに送るというものは今までなかなかなかった。そういうことが必要になるかもしれないということも今一つは考えているところでございます。

 そうなりますと、今、直流と交流という二つの技術がありますけれども、この直流で、途中で電圧を変換する必要がございません、大容量のものを電流を減らさずに送るという直流の送電というのも今後検討する重要な課題ではないのかなというふうに考えておりまして、これは平成二十七年度からでございますが、この直流送電と呼びます技術を実現するための直流遮断機、送電ケーブル、洋上の基礎形式等の研究開発、実証といったものを今進めているところでございまして、来年度予算案にも計上しているところでございます。

 いずれにしろ、未来のことを見据えて、しっかりとした系統整備に向けて検討を進めていきたいと考えてございます。

繁本分科員 御答弁ありがとうございました。

 きょう新しく御提案させていただいたことが、既に平成二十七年度から経産省、エネ庁の中で具体的な研究として始まって、実用化を目指しているという力強い御答弁、期待の持てる御答弁をいただいたところでありますが、一点だけちょっと、通告していないんですけれども、その研究、いつまでにそれをやろうとしているのか、目標年次というものはどのように設定しているのかということについて、もしお答えできるようでありましたらお答えいただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元の資料で申し上げますので限界がございますけれども、平成二十七年度から五年間の研究期間を設けて、ですので、平成三十一年度、来年度まででは、まず第一クールの技術開発期間になってございます。

 この直流送電という技術、日本ではまだまだ、洋上でやる場合には、なかなか導入の状況がないものですから難しい、まずは技術の検証でございます。この技術の検証結果を踏まえながら、同時に、今後の洋上風力発電の、まさに海洋再エネの法律ができましたので、今後の計画を見ながら、それ以降については、その成立の成果を踏まえて検討していきたい、こういうふうに考えてございます。

繁本分科員 済みません、通告していなかったわけでありますが、丁寧な御答弁ありがとうございました。

 今、技術的な課題についてあれこれ、遮断機ですとか、直流であるとか交流であるとか、基礎となる架台をどうするかということの研究が進んでいるようでありますけれども、それが全部クリアされるとして、海上、洋上で新しい送電ネットワークを整備するとすれば、それは一体誰が負担をして、そして運用は誰がするのかという、今度はスキームを考えていかないといけないですよね。

 それは、今既にある推進機関がやるのか、全く新しいプレーヤーとしての洋上送電ネットワークの主体が出てくるのか。それで、新しくもしできてきたとすれば、それと陸上の方でお互いに競争原理が働いて、電力をより安価に託送できるような競争原理を持ち込むのかとか、まだまだ具体化していくためには、スキームを含めて、たくさん検討課題があると思うんですよ。

 ぜひ、大型の洋上風力発電をこれから促進して、一つでも多く、KPI、五で設定されておりますけれども、促進区域は別に五でとどまる必要はないと思っております。これからどんどんどんどん全国の海域であるとか、いろいろな、さまざまな条件を研究していく中で、六カ所目、七カ所目、八カ所目、できるだけ多くの洋上風力発電設備が海上に設置されるような環境整備とか、あるいは研究を政府としてぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 もともと、私が洋上風力発電の大型化に一番期待しているところは、やはりこの国の安全保障ですよね。エネルギーの自給率をいかに高めていくか、そして、それによっていかに平和の礎を築くか。

 我が国の歴史を考えた場合、油をとめられた、あるいは、鉄スクラップが入ってこなくなったということがきっかけであの戦争が起きましたから、エネルギー安全保障政策は、戦を起こさない国づくりのための極めて重要な政策であり、今回の大型洋上風力発電はその大きな柱として期待しているものでございます。

 ぜひ、政府として前に進めていただきたいと思います。大臣、よろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。

小田原主査代理 これにて繁本護君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林史明君。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

小林(史)分科員 自民党の小林史明です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 最初の一問だけ、大臣にちょっとお答えをいただきたいと思っていまして、大臣も今、右腕にアップルウオッチをつけていて、私もおそろいであります。こういうふうにIoT端末が本当に普及する時代になって、世耕大臣も大臣就任後、コネクテッド・インダストリーズということで、まさに二〇一〇年代というのはコネクテッドの時代になったんだろうという認識をしています。

 ただ、その先には、まさにコネクテッドした先には、今までとれなかったデータがどんどんとれるようになる、いかにこのデータを使っていくかというデータ時代に変わっていくんだというふうに考えています。

 こういうふうに新しい時代になっていく上で、日本は今人口減少でありますから、いかにデータ駆動型でイノベーションを起こしていくか、これがこの国の発展の鍵になる、それはもうみんなの共通認識だと思っています。

 そういう意味で、イノベーションをどう促進していくかということを考えたときに、イノベーションというのは、新しい発想や技術、これを着想するだけではなくて、現実に商用化し、社会実装するところまでがイノベーションであります。

 そのためには、ルールがなければやはりうまく社会実装されないということで、ルールをつくらなければなりませんし、一方で、ルールが厳し過ぎる、若しくはイノベーションを阻害するようなものであれば、これはイノベーションが生まれてこないということですから、ルールをいかにイノベーションが生まれるようにデザインをするか、この観点が非常に重要だというふうに考えています。

 その上で大臣にお伺いをしたいのは、先日、ダボス会議に、総理も行かれましたし、大臣も行かれました。そのとき、総理が、DFFT、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、これを演説されまして、世界から注目を浴びました。

 こういう形で、今までルールがある種なかったところに新しいデータ流通のルールをつくっていこう、こういう取組だと思っていまして、私は、これはすばらしいことだと思っています。

 では、実際にこれをどうやっていくのかということが、今、まだ国内でも共有されていないところですので、ぜひここは、WTO等でリーダーシップを発揮してきた世耕大臣の言葉でお話をいただけたらと思っていまして、恐らく、TPP等でもデータ流通のルールというのは決めていると思います。こういった観点でも、貿易ルールの中でどう実現していこうとされているのか、お答えをお願いしたいと思います。

世耕国務大臣 今回のダボスでは、アメリカも中国も国のトップが来なかったということもありまして、安倍総理が非常に存在感を発揮したというふうに思っています。

 特に大きかったのが、安倍総理のスピーチの中で、今御指摘のデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラストという概念を打ち上げて、そして、G20大阪サミットを契機に大阪トラックをスタートさせようということを宣言いたしました。

 私も、あの会場にいまして、いろいろな人たちから、どういう概念なのか、特にウイズ・トラストというのはどういうことなのか、あるいは、いわゆる貿易ルールの交渉との関係はどうなるんだろうか、いろいろなことを聞かれまして、それぐらい注目を浴びたということだというふうに思っています。

 これからは、今おっしゃったように、いろいろなものがつながっていく。それは国境を越えてつながっていくわけですから、データがどんどんどんどん国の外へ流れていくというときに、流れていくと便利なことがある反面、流れていくとちょっと怖いなというようなことがある。例えば、私の健康データがどこかの国へ集積されるとか、私の個人の購買情報がどこかで蓄積をされているなんということは、やはり私だって不安になるわけであります。

 そういうときに、信頼できるところには持っていってもらっていいけれども、信頼ができないところにはやはりそういうデータを持っていってもらったら困る。

 では、信頼とは何かということになりますと、これはまだちょっと概念的な話になりますけれども、例えば、プライバシーがしっかり保護されている、政府による検閲などが行われるようなことがないとか、あるいは、セキュリティーがしっかりしていて、目的外に誰かに盗まれて使われるようなことがない、こういうことがやはりウイズ・トラストになってくるんだろうと思います。

 これを、世界統一の何かルールをつくろうと考えているわけではない。やはり、それぞれの国でそれぞれのアプローチがあります。

 例えば、個人情報保護一つとっても、日本は個人情報保護法、EUはGDPRというルール、アメリカはどちらかというとルールなしでやっちゃうという感じで、自由主義国、自由主義経済圏をとっても、やはりこれだけ違いがありますから、そこを、ウイズ・トラストという、相手のシステムはある程度尊重しながら、だけれども、ある一定の基準はクリアしているかどうかはチェックさせてくださいよということになっていくのかなというふうに思っています。

 なかなか大変な議論ですから、最初からばしっと決めるのは難しいと思いますけれども、今おっしゃっていただいたように、TPPでは一定程度データについてルールを盛り込むことができましたので、それを、やはりWTOで、まずデジタル貿易ルールという形でしっかりまとめていくことが重要だと思っています。

 この間のダボスの機会を利用して、電子商取引有志国会合、これは実は、二年前のブエノスアイレスのWTO閣僚会合で、日本とオーストラリアとシンガポールが共同議長国となってスタートをさせました。そして、この間、正式に会合をダボスの機会に開きまして、七十六の加盟国が参加をするということを公式に宣言して、交渉開始の意思を確認するという共同声明を発出いたしました。

 ぜひ、これも、日本が同じく議長を務めるG20の機会を活用して、国際的なデジタル貿易のルールづくりの議論を主導してまいりたいというふうに考えています。

小林(史)分科員 七十六カ国が署名をしたというのは、本当に大きな成果だと思っています。何より、デジタルの世界に詳しい大臣が経産大臣であるということはとても心強いことだと思いますので、引き続きリーダーシップを持って引っ張っていっていただきたいと思いますが、データの世界というのは、まさにそのルールのデザインが重要だということなんですけれども、かなり省庁横断的に、いろいろなルールがあります。そこをしっかり目を配っていただきながらデザインを進めていただきたいと思うんですね。

 その上で、きょう、ちょっとした各論を、問題提起をさせていただきたいと思っています。

 まず一つは、やはり個人情報保護の観点ですね。

 やはり、データを使う上では、先ほどあったようなトラスト、信頼があって安心して使えるよねということじゃないと、なかなか情報というのは提供されませんし、利活用も進まないということで、ルールは大変重要です。

 これを見たときに、まず、このルールを考えたときに、ルールというのはフェアじゃなきゃいけません。でも、なぜか、日本で事業所を置いて事業をやっている会社と海外からサービスを提供している事業者、適用されるルールが違うという現状がやはりあります。これはアンフェアですね。いわゆる一国二制度と呼ばれるような状況がある。例えば、個人情報保護法でいえば、もちろん海外にも適用されますが、罰則がない、こういうことではやはりアンフェアだと思っていますので、これについては、個人情報保護委員会でもこの罰則をちゃんと海外にも適用しようという動きがあることは認識をしていますので、これはしっかり進めていただきたいと思います。

 一方で、このルールをつくる上ではやはりイノベーションを起こすという観点も必要で、では、今の国内の個人情報保護法を見ると、イノベーションを起こすようなデザインになっているかというと、残念ながらなっていませんね。さまざまなガイドラインが細かく決められて、何だったら新しい技術を認めないようなものにもなってきている。これは別に個人情報保護委員会が悪いわけではなくて、いろいろな民間企業の問合せ等によってガイドラインをつくってくれと言われるのでつくってきたら、今こういう状況になってきたということだと思っています。

 ここをしっかりイノベーションを起こせるようなデザインに変えていく必要があると思っていますが、先ほど大臣の答弁でもあったアメリカですら、ちょっとした、今、これから個人情報の取扱いのルールを決めていこうと言っていますが、NISTのプライバシーフレームワーク、こういう取組を始めているというふうに聞いています。

 こういった取組を参考にしながらイノベーションの観点で個人情報保護法を改正していく、こういうことも検討が必要だと思いますが、いかがですか。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法では、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を目的とした法律となっておりまして、議員御指摘のイノベーション推進の観点は極めて重要だというふうに認識いたしております。

 当委員会では、現在、改正個人情報保護法附則の規定に基づきまして、改正法の施行状況について検討を行っているところでございますが、まだ現時点では具体的な方向性は決まっていないところでございますが、今後の検討について、委員会といたしまして、主な論点を検討の着眼点としてお示ししたところでございます。

 この検討の着眼点におきまして、委員の御指摘に関連した部分といたしまして、個人情報保護のための事業者における取組を促す仕組みのあり方、また、データ利活用に関する施策のあり方といった項目も盛り込んでおるところでございます。

 今後、当委員会といたしましては、個人情報保護をめぐります国内外の政策、技術、産業等の状況を各方面の意見も十分聞きながら把握していくことになりますけれども、その際には、議員御指摘の保護と利活用のバランスも十分考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 引き続き、自民党のIT戦略特別委員会でフォローアップ、応援してまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それにあわせて、個人情報保護法のもとに、各自治体に個人情報保護条例というのが約二千種類あるんじゃないかというふうに問題提起が世の中でされています。これも整理しないと、やはり自治体、行政機関が持つデータも流通することはできません。そういう意味では、ここは今までのアプローチと異なる、やはりリーダーシップを発揮して、必要なルールについては国で標準化を図っていく、こういう観点もぜひ検討いただきたいということをお願いしたいと思います。

 そういう観点で、ルールというのはやはり統一的じゃないといけないということだと思っていますが、では、具体的にこのデータを扱う分野で、今、日本として注目をしている、そして日本にある第四次産業革命センターでも注目分野にしているヘルスケアの分野を見てみると、驚いたんですが、何と、医療情報の取扱いについては、厚労省、総務省、経産省、三省で三つの別々のガイドラインがあるということがわかりました。これはやはり統一しないとまずいですね。

 その問題意識を持って、経産省と総務省では一本にするという動きが今始まっていると聞いています。ですが、これを機に、厚労省も含めて、全てを、三つを一本にするということを私はやるべきだと思いますが、経産省、お取組、いかがですか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、医療に関するデジタル情報の安全な管理を確保するため、医療機関を対象としたガイドラインにつきましては厚生労働省が運用する一方で、情報処理事業者を対象としては経済産業省が、それからクラウドサービス事業者を対象としては総務省が、それぞれガイドラインを運用してきております。

 こうした状況の中で、まさに先生御指摘のとおり、多くの情報サービスがオンラインで提供されるようになってきている中で、医療情報を取り扱う情報サービス事業者の方々が、経済産業省と総務省の両方のガイドラインを参照しなければいけないといったような御負担が出てきているといったようなこともございまして、両省の間でガイドラインを統合するということで、今取り組んでいるところでございます。

 具体的に、昨年十二月から、医療機関、弁護士の方々、情報サービス事業者、そのほか関係団体の有識者から成る検討会を総務省と共同で立ち上げて検討を進めております。

 その際は、両ガイドラインにおける規定ぶり、この違いを踏まえながら、特に情報管理に関する既存の規格、法令に照らしながら、特に医療情報を扱う上で何を追加的に対策すべきか、対応すべきかといったような観点なども踏まえて、よりよいガイドラインを目指して、来年度中に策定、公表をできるように進めているところであります。

 それから、先生御指摘のありました厚生労働省のガイドラインとの統合につきましては、まさに関係する事業者の皆様の利便性を高めるという観点、それから医療のデジタル化の進展とイノベーションの観点、こういった観点を踏まえて、引き続き、厚生労働省とも連携して検討をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小林(史)分科員 厚生労働省、いかがですか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 厚生労働省におきましては、医療機関の医療情報の取扱いに係る責任者を対象といたしまして、医療情報システムの安全管理、それからe―文書法への適切な対応を行うため、技術的及び運用管理上の観点から必要とされる対策を示したガイドライン、これを作成いたしまして、順次必要な改定を行ってきたところでございます。

 御指摘の、経産省それから総務省のガイドラインとの将来的な統合、これにつきましては、先ほど経済産業省からの答弁にもございましたけれども、統合した場合の医療現場への影響を十分に勘案しながら、経産省、総務省とも連携をいたしまして、今後検討してまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 というわけで、今のお二人の答弁でわかったように、まだ検討会は始まっていないわけですね。これは、早くもう検討を始めていかないと、やはり事業者にとっては、データの使い方、どうするんだというのが、二つもガイドラインがあれば、ここは足踏みしてしまうところですから、先ほどの経産省さんからの御答弁もあったように、イノベーションの観点からもしっかり見直していただくことをお願いしたいと思いますが、迫井さん、その辺、ずっとやってこられていますから、よく御存じだと思いますので、連携をとって進めていただけるようにお願いをしたいと思います。

 このイノベーションとルールの観点でいくと、ルールというのは、国が整備をした法規制だけではなくて、民間同士の商習慣であったりとか、さまざまな認証制度によるルールというものもあります。

 ここからは、ちょっと、更に具体的な、エネルギーに関する認証制度について、イノベーションの観点で問題点があるんじゃないかということを取り上げさせていただきたいと思います。

 先ほど、繁本さんの質疑でもありましたけれども、系統に接続するというのが必要になったときには、電力をどうためるかということも大変重要になってくるわけです。ためたものは、蓄電池であったりとか燃料電池であったりにためて、それを、じゃ、系統に接続するとなると、やはり系統側が技術的に大丈夫かというのを認証しないと、安心して接続できないということであります。

 これを一つ一つメーカーが独自で認証をしようとすると、時間もお金もかかるので、ファストパスとして、認証機関で認証されれば、その認証期間を短縮できたりとか、コストが抑えられるということのシステムが用意されているというふうに確認をしています。

 特にこの電池関係に関しては、JETという団体がこのパワコンの認証をやっているというふうに確認をしておりまして、これは当時、昔の産総研がやっていた検査の部分をこのJETに移管をして、今は実際JETが一般社団法人として運用しているということなんです。

 では、この運用状況を見てみると、やはり最新の技術、イノベーションに対応できなくなっているんですね。新しい技術を使ったパワコンについては、実は認証する認証制度がない、若しくは試験ができないという状態で、新しいイノベーションが実はJET認証をとれないというふうになっている。

 さらに、普通のメーカーであっても、認証をとろうと思うと半年待たなきゃいけないとか、かなり認証期間が長いというような問題点も各方面から伺っています。

 そういうものがあるので、何とかしなきゃいけないんじゃないかと私も問題意識を持っていたわけですが、実はことしの一月に、経産省の総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会から、第二次中間報告として、同じような問題意識が提示をされていて、改善すべきだというふうに書かれています。

 ここでは恐らくいろいろなヒアリングをされたと思うので、具体的にどんな問題が起こっていると認識をされているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の小委員会は、昨年閣議決定したエネルギー基本計画に基づきまして、再エネを主力電源化していく、このために必要な対策について議論しているところでございまして、その中では、今回委員から御指摘ありますこの蓄電池については、需給一体型、すなわち消費と発電と一体化して使っていくということを、各御家庭とか工場、オフィスとか、それぞれやるときの非常に重要な要素であるということとした上で、その価格低減が必要だということを示してございます。

 その際、その蓄電池の国内市場が、海外市場に比べましても、民間調査機関の調査結果でございますけれども、まだまだ高い。同時に、将来についてもまだまだ高いというのが出てございます。その点も指摘してございます。

 さまざまな要因があるかと認識してございまして、もちろん、蓄電池に関する取引の構造ですとか市場のメカニズム自体が、日本の中ではなかなかまだ量産されて広がっていくという形になっていないというところがベースにありつつも、今回御指摘頂戴しておりますような、より簡易に系統連系ができるようにするためのJET認証のような認証の仕組みがやはり手間がかかる、技術革新の進展が著しい蓄電池分野では、これがコスト高の要因になっている可能性があるという指摘は我々も認識しているところでございます。

 具体的にはと申し上げますと、まず、分野として製品がまず決まっているわけですね。その対象製品の追加というプロセスをとらなきゃいけない。さらに、その製品について、具体的な個別商品というのを認証していかなきゃいけない。

 これは、全く新しいものが対応していないというわけではないんだと思いますけれども、新しいシステム構成になってきた場合に、それを検査していくための設備の導入、人員的な手配、そのためのやりとりといったところについてまだまだ改善する余地があるのではないかというふうに我々も認識してございまして、蓄電池に関する認証、規制について、関係者間でこういった課題を整理して具体的な対策を検討するとの方向性がこの小委員会で取りまとめられたところでございます。

 JET認証についても、今申し上げたような対象機器の限定されていること、あと、認証の期間が、審査がすごく長期に及んでいることということについて、検討課題としてこれからしっかり検討していきたいと考えてございます。

小林(史)分科員 具体的にお答えをいただいて、ありがとうございました。

 なので、これは認証機関の能力が足りないことによって、別に努力が足りないと言っているわけじゃなくて、能力が足りないことによってイノベーションが阻害されていたり、国内市場で値段が高どまりしているということが起こっているわけですね。

 これは難しいのは、一般社団法人であって、民間団体なんですよね。でも、そこが実はイノベーションの阻害要因になっているということは、これは所管省庁として何とかアプローチすべきだと思うんですけれども、この指摘に対して、JET認証、どのように改善していこうとされているか、対応状況、検討状況を教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御説明頂戴しましたように、このJET認証というのは大変よい仕組みでございまして、系統用の電池について一つ一つ、系統側に置かれる電池ですね、大型電池については一個一個全部検証しているわけですけれども、家庭用とか市販品といいますか、一般的なものについては、民間の取組としてどう進めていくかということになっておりますので、認証機関であるJETと申請主体である各事業者の間でのコミュニケーションをしっかりとっていく、手続、準備をしていく。

 もちろん、それで審査の、ビジネスとしての利益はどんどん上がっていかないとその循環というのは広がっていかないところでございますので、まずは関係者間の中でフローをはっきりとさせていく、無駄のあるところはできるだけなくしていく、準備はそれぞれやって、できるだけ短縮していくということがまず肝要なところなのかなと思ってございます。

 具体的に申し上げますと、昨年の末から、JETさん、認証機関と業界団体、若しくは、場合によっては個別の企業さんも含めてになりますけれども、相互の間で協議する場をつくって、何度となくそういった検討を進めているところでございます。

 例示で申し上げてまいりますと、審査期間の長期化の原因として申し上げますと、試験ラインが渋滞してしまうというのが非常に大きな問題でございまして、その場合には、指摘した内容と不備のあったものをラインから外すというような、ふぐあい品の撤去というプロセスをうまく図ることによって効率化できないかとか、できるだけ具体の実務に落としていきながら、もちろん体制強化面的なところは重要なんでございますけれども、民間ビジネスということを念頭に置いていくと、よりそのニーズが広がっていくような、まずは手続面での改善をということを最優先に今検討を進めているところでございます。

小林(史)分科員 ここで、大臣に、もう御質問じゃないので、目を配っていただきたいというところなんですけれども、でも、このパワコンというのはJETしか認証できないんですね。だから独占なんですよ。ですから、競争原理は働かないわけです。だから、じゃ、競争を働かせろという選択ももしかしたらあるかもしれませんし、場合によっては、独占でやっているのであれば、国がリーダーシップを発揮してきちっとやっていく、その方が実は早くコントロールがきくという場合もあると思うんですね。

 例えば、医療機器の認証というのは、PMDAは独法でやっていまして、厚労省所管の中でやっているわけで、それは経産省も絡んでいるところですけれども、そうすると、なるべく早くやった方がいいよねということで、予算措置をしたり規制を見直したりということができるわけです。

 民間だからというところなんですけれども、民間同士でマーケットが均衡して動かなくて阻害が発生しているときこそ政府の出番ですね。そこでリーダーシップを発揮せずして政府の役割というのはないと思うんですよ。そういう観点でいくと、先ほどの民間の取組を促進するだけでは私は足りないと思っています。

 ちょっと、その観点で、もう少し何か考えていただけないか、御答弁いかがですか。

松山政府参考人 委員の御指摘は大変重要な御指摘だと認識してございます。

 財団法人で進めているところでございますけれども、このJETという機関が、いかに円滑に、かつイノベーションの非常に早い分野について対応していけるか。JET認証がうまくとれていけば、蓄電池、パワコンというのも非常に安く大量に、しかも一番安いものが広がってくるものですから、とにかく、関係機関間若しくは関係企業間の間での情報のフロー、ニーズのフローを円滑化していき、マーケットを広げていく。

 ここについては、役所としても放置していく話ではありません。小委員会自身はそれを十分認識した上で、我々もしっかり取り組んでいくんだということで課題整理をしたところでございまして、まだ今協議の場で検討を始めたところではございますが、御指摘を踏まえて、しっかりと検討を進めていきたいと思います。

小林(史)分科員 力強い答弁をいただいたというふうに思います。

 海外の事業者と比較をすると、やはり電池の値段というのは数倍違うんですよね。そうすると、全くやはり国内では普及しませんね、こういう話になってしまうので、これは大変もったいない話で、一つはイノベーションが阻害されるというだけじゃなくて、やはり国民にとっても大変不利益だというふうに思っています。そういう意味では、このルールをしっかり見直すところにリーダーシップを発揮していただいて、イノベーションを促進いただきたいと思います。

 これで質問は終わりですけれども、やはりイノベーションとルールというのは大変重要な関係性があると思っています。最後はやはりルールが人の意識を縛るというものもあると思っているんですね。日本からなかなか新しい事業が生まれてこないとかイノベーションが生まれてこないということなんですけれども、そもそも、先にやっちゃだめよというものがあると、それを前提に頭が働くというのもあって、やはりこのルールをいかにうまくデザインして、人の意識を前向きにしていくか。そこからいかにイノベーションを生み出していくか。

 そういう観点で、今後も国内のルールデザインを世耕大臣始め経産省の皆さんに引っ張っていただいて、そして、各省それぞれ、その分野でイノベーションを起こさなきゃいけないでしょうから、いかにデザインをしてイノベーションを起こすかという観点で、今後も見直し続けていただけたらと思っております。

 我々もしっかりそこを応援していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

宮下主査 これにて小林史明君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 また、本日は、原子力規制委員会の更田委員長にも御出席いただいています。どうもありがとうございます。

 私からは、昨年九月六日に発生いたしました北海道胆振東部地震によりまして、北海道内ほぼ全域が、長いところで数日間にわたって大規模停電した、いわゆるブラックアウトになったことによりまして、北海道民の関心がより高まりました北海道内におけるエネルギー政策、再生可能エネルギー、そして北電の泊原子力発電所について、幾つか伺いたいというふうに思っております。

 私もそのときは札幌の自宅におりまして、震度三から四の地震の揺れを感じました。深夜、午前三時、家族と寝ておりましたけれどもすぐに気づきまして、テレビをつけて、そして、地震があった、北海道だ、胆振東部だということとかわかった、そして、テレビでその後の情報を得ようとしたら、ばちんと全ての電気が切れた。自分の家の中だけかと思ったら、外を見渡すと外も真っ暗。これは地震の揺れによって電信柱等が倒れて、ちょっと一時的な停電かなというふうに思ったんですけれども、スマートフォンで、そのときはWiFiで受信ができたニュースなどを見ると、これは火力発電所などが全てとまった、いわゆるブラックアウトだということを後で知ったわけであります。本当に、これは想像を超えるものでございました。

 そういった中で、まず一つ目に、今回の九月六日の地震によります全道停電、いわゆるブラックアウトについて伺いたいと思います。

 このブラックアウトが発生した要因については、さまざま話がありますけれども、専門家等、また北電の発表等にもよりますと、北海道電力の一極集中型の発送電体制に問題があるためというふうに考えられるわけでありますけれども、まず、経済産業省としての見解を伺います。

 また、あわせて、このブラックアウトによります経済損失の額についても伺いたいというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の北海道におけるブラックアウトの発生原因につきましては、電力広域機関に設置されました第三者検証委員会において検証が行われました。

 その最終報告におきまして、苫東厚真火力発電所の停止のみでなく、三ルートにわたる送配電事故に伴う水力発電所の停止などの複合的な要因によって引き起こされており、苫東厚真発電所停止のみではブラックアウトにならなかったと評価されているところだと承知してございます。

 また、政府の審議会におきましては、過去の北海道電力による設備形成の経緯等にも検証を行いましたけれども、その中におきまして、北海道電力の設備形成や投資判断において、ブラックアウトのリスクを高めるような不適切性や不合理な遅延は認められないと評価をされたものと承知しております。

 他方、今回のブラックアウトから得られた反省と教訓を踏まえまして、再発防止策を昨年策定したところでございまして、北本連系線の増強など、しっかりと対応を進めていくということにさせていただきたいと考えてございます。

 また、経済損失額、幾らかという御質問でございますけれども、この点につきましては、北海道庁が北海道胆振東部地震被災地域復旧・復興推進本部におきまして、地震や停電による被害額を含めた被害状況について発表しているところでございますけれども、二月八日時点の当該発表によりますと、被害額の総額は約二千三百九十九億円であり、そのうち、商品の廃棄等の商業被害ですとか生乳等の畜産物被害などの停電関係被害は約百六十三億円である、加えまして、商工業において、停電により営業又は操業などを取りやめたことによる売上げ又は出荷への影響額は約千三百十八億円と推計し、公表しているものと承知してございます。

道下分科員 今、停電による損失額が出ましたけれども、これは、北電に対しては損害賠償は請求できない、免除されるということでありますので、この被害は全て小売業者また酪農家などがかぶらざるを得ないということで、非常にこれは今でも北海道内の経済に影響を与えているというふうに考えております。

 また、北海道電力には、これまでの取組において、このブラックアウトの直接的な原因ではなかったということではありますけれども、やはり、これまで泊原子力発電所に依存してきた、しようとしてきた、それで今動いていない、そして非常に老朽化が目立つ火力発電所に今現在頼らざるを得ないということが、今回のブラックアウトを発生した大きな要因ではないかと私は考えております。

 今回、ブラックアウトになって、すぐにこれを復旧させなきゃいけないということでありましたけれども、聞くところによりますと、このブラックアウトからの立ち上げ、ブラックスタートというものには何度かちょっと失敗をしてしまった。非常に電力を、まず種火を確保して、それをしっかりと火力発電所、小さいところからどんどんどんどん大きくしていくという、これは非常に難しい技術ということでありますけれども、今回、このブラックスタートに当たって、道内に豊富にあります再生可能エネルギーをブラックアウト回避だとかブラックスタートに活用する方策はなかったのか、伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 地震発生時におきましては、深夜でありましたために太陽光は発電をしておりませんで、風力につきましても、周波数低下、初期の低下によりまして、自動的にこれを解列をするという機能が作動いたしまして、ブラックアウトの回避策として活用することはできなかったものと認識してございます。

 一方で、蓄電池つきの太陽光とか風力発電につきましては、蓄電池の調整力が利用できたため、復旧の過程で比較的早期に接続が行われ、供給力確保に貢献した事例がある、このようにも認識しているところでございます。

 また、御指摘いただきましたブラックアウトからの立ち上げ、いわゆるブラックスタートの際には、電力供給に余裕がある際には水をくみ上げて、必要なときに供給力の早急な立ち上げに活用できる水力発電、いわゆる揚水発電を活用いたしましてブラックアウトからの立ち上げを成功させているというように承知してございます。

 一方で、太陽光や風力につきましては、天候や日照条件などの自然環境によって発電量が変動するという特性があるため、火力などの調整力と組み合わせる必要がございます。ブラックアウト後の立ち上げの、ブラックスタート電源の種火として活用するのは、現時点ではなかなか難しいというふうに考えてございます。

 こういった経緯、経験を踏まえまして、昨年十一月には、関係閣僚会議におきまして、災害に強い再エネの導入を促進していくために、蓄電池等を活用した、地域の再エネ利活用モデルの構築、また、他の電源離脱等により周波数が低下しても発電を維持できる機能、再エネにそういった機能を強化していくといった対応策について取りまとめを行ったわけでございます。

 経済産業省といたしましては、再生可能エネルギーの活用を拡大しつつ、北海道における電力供給システムの強靱化に向けまして、こういった対策の具体化をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

道下分科員 今の御答弁の方で、昨年ですか、災害に強い再生可能エネルギーの導入について検討を始められたということでございますので、ぜひこれを積極的に進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、再生可能エネルギーの推進について伺いたいと思います。

 北海道電力が、二〇一七年からですか、二〇二二年度の開始を計画をしております系統側蓄電池による風力発電募集プロセス一期についてでありますけれども、これが、この一期の方は、六十万キロワットの募集枠に対して、今月発表された結果によりますと三割弱ということでございます。応募が三十一件で容量は二十一万三千キロワットだったものが、最終的には、契約を結んだのは十五件で十六・二万キロワットということでございます。

 六十万キロワットの募集に対して三割弱だった、こういうふうに、全ての契約には至らなかったということの要因についてどのように把握をされているのか、伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 風況のよい北海道では、風力発電の出力変動に対応可能な火力発電などの調整力が十分でないという現状がございます。こうしたため、接続を希望する風力発電事業者に対しまして、電力を安定供給しなきゃいけないものですから、風力発電の出力変動の緩和策として、発電所ごとに蓄電池の設置等を求めてきているというのが現状でございます。

 その中で、委員から御指摘ございましたように、よりこれをコストを安くするために、各発電所のそれぞれの場所ではなくて系統側にまとめて置くという形で、共同して置く募集プロセスというのを開始したというのが今御指摘の内容かと認識しておりまして、この内容については、募集容量、運転開始の期限、費用負担など、実態を踏まえて国の審議会で決めてきたわけでございますが、募集の容量自体は、北海道で風力発電を希望される、考えていらっしゃる、我々、いろいろ把握する、中身をいろいろ考えて、できるだけ多く六十万キロワットで募集したところでございますが、実際、十六・二万キロワットの最終的な成約でございます。

 恐らく、いろいろな事業者の方々、現場からお聞きしてみますと、二〇二二年度の運転開始となりますと、もう時間がそれほどあるわけではございません、風力の開発にも時間がかかりますので、こういった期間のところが一番の問題だったのかなというふうに認識してございます。

 一部に、先ほどの議論にもございましたが、蓄電池のコストというところの負担額が大きいのではないかというような議論も我々も承知しているところでございますが、実態を踏まえて、今幾らと。ですので、将来のことを仮にでございますが、次に募集をする場合について申し上げますと、その時勢における蓄電池コストになってまいりますので、恐らく二〇二三年度以降になってくるわけでございますが、第二以降を募集する際になれば、それに応じた費用負担額、減額できるということになるかと認識してございます。

道下分科員 今、いろいろと要因について御説明いただきました。

 今回の一期目のとき、これは一律負担金単価というものが、費用負担同意書提出前に提示したものが三・七万円キロワットということで、結局、このプロセス完了時、優先系統連系希望者の一律負担金単価というのは三・九万円ということで、上がっているんですね。

 やはり、事業者にとっても、今後どのような数値になるのか、ちょっと今回様子見をしたところもあるんじゃないかな。応募したけれども、結局契約には至らなかったということ。それから、蓄電池の技術が向上し、コストが下がってくる、低下してくる。そうすると、またここのこういった値段も下がってくるんじゃないか。

 やはり、二期、今回六十万キロワットですが、二期は四十万キロ。でも、六十万キロワット分、余った分もこれからという、検討するという北電の発表でございますので、私も注視していきたいと思いますけれども、できる限り事業者コストを下げるということに働きかけていただきたいというふうに思っております。

 再生可能エネルギーの推進に向けては、今、先ほど答弁もありましたけれども、再生可能エネルギーの、いろいろ周波数が不安定だということを含めた系統制約を克服するための制御システムや、大型蓄電池の開発と整備が重要だというふうに考えます。

 国の今後の取組について、大臣に伺いたいと思います。

世耕国務大臣 御指摘のとおり、太陽光にしろ風力にしろ、これは気象条件によって出力が変動する、これが再生可能エネルギーの導入を進めていく上での留意点であります。しかも、その出力の変動が、かなり大幅にふえたり減ったりする場合があるということ、それが短時間に起こり得るということもありまして、それに対応するためのやはりバックアップ、調整をしっかり持っておかなきゃいけないということで、火力発電ですとか揚水発電といった調整力の確保が不可欠ということになっているわけであります。

 去年、私、風力発電の導入がかなり進んでおりますスペインを実際に視察をいたしまして、大手電力会社のオペレーションセンターを見させていただきました。この調整力確保のために、さまざまな制度的、技術的な工夫が行われているということを痛感いたしました。

 スペインは、余り他国と系統はつながっていなくて、そういう意味では日本と似た環境にあるわけであります。しかし一方で、風力発電のかなりの部分が大手の傘下に入っているとか、あるいはFIT価格制度をもう政府が訴訟覚悟で打ち切ったみたいなところが、ちょっとここは日本とは違うところもあるんですけれども、でも、そういった中でも、気象の予測を精緻化をして、火力の調整力を組み合わせながら、再生可能エネルギーをリアルタイムで制御していく。

 要するに、大手の中に入っていますから、できる限り風力で電力をマーケットへ出した方が、風力は限界費用がありませんので、もうけが大きいということで、風力をできる限り出す仕掛けがいろいろ詰まっていました。風力の羽根の角度まで微妙に調整をして、できる限り風力で売っていくというようなやり方もやっておりました。これは非常に参考になったところであります。

 こうした再生可能エネルギーの出力の変動に対応するための制御システムの構築というのは極めて重要だと思っていまして、経産省としても、例えば気象データを用いて出力の予測精度を高めていくというようなことですとか、最適な需給制御を実現するための事業を実施しているところであります。

 また、御指摘の蓄電池、これは非常に有効な調整力の一つだと思っておりまして、技術開発や実証事業を進めていく必要があると思っています。

 具体的には、これまで、価格を下げるというために、二〇二〇年度末までに揚水発電と同レベルの設置コストに低減をするための技術開発ですとか、系統安定化のために、電力会社の変電所に蓄電池を設置するような実証実験というものを実施をしてきています。今後は、災害時に再生可能エネルギーを迅速かつ安定的に供給するための蓄電池の導入支援についても取り組んでまいりたいというふうに思っています。

道下分科員 大臣、ありがとうございます。

 いろいろとこれから取り組んでいただくということでございますけれども、先ほど参考人の方から御答弁いただきました、再生可能エネルギー、風力だとか太陽光発電、これは不安定でということで、火力発電とミックスして、合わせてということでございました。ただ、それでは北海道内だけではなかなか克服できないというふうに思っております。

 北海道エリアと本州エリアを結ぶ北本連系は現在六十万キロワットでございますけれども、ことし三月には九十万キロワットに増強されるというふうに伺っております。しかし、他のエリア同士の地域間連系線の容量と比較しますと一桁も二桁も違うわけで、まだ北本連系は容量が少ない、まだ細いと言わざるを得ませんので、さらなる増強をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、北海道電力の泊原発について伺いたいと思います。

 北電泊原発で発生した最近のトラブルについての概要説明と、トラブルが続発した北電の安全管理体制について、原子力規制委員会の見解を伺いたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 昨年十一月の点検後に起動失敗によって判明をしました泊三号機の非常用ディーゼル発電機起動回路の接続不良につきましては、安全上重要な設備の健全性が運転開始時より担保できない状態であったことから、原子力規制委員会としては、昨年十二月十九日に保安規定違反と判断したところです。

 この接続不良は工場製作段階でのミスによるものではありますけれども、これを長期間にわたって発見することができなかった北海道電力の責任は決して小さくないと考えており、十分な反省をしてもらう必要があると考えております。

 また、原子力規制庁へのデータの転送の失念につきましては、プラントのデータ転送を点検のため計画的に中断していたところ、点検作業終了後に再開操作を失念したことが原因と聞いております。

 それから、一方、泊一、二号機の消火設備の一部が凍結によって破損した件につきましては、消火機能そのものは維持されていることから、事業者が、北海道電力が北海道電力の責任と判断のもとで適切な対処を行うべき問題というふうに認識をしています。

 北海道電力の体質について一概に申し上げることはなかなか難しいのですけれども、いずれにしましても、北海道電力が主体的に原因分析や再発防止対策を検討し、今後の保安活動に生かしていくことが重要であり、原子力規制委員会としましては、予断を持つことなく監視を続けてまいりたいと考えております。

道下分科員 ありがとうございます。

 トラブルの大小はあれ、たび重なるトラブルがありまして、北電の泊原発における危機管理対応の意識や能力が欠如しているのではないかというふうに考えざるを得ません。

 先日も、二月二十一日に北海道内で震度六弱の地震がありました。泊原発の周辺では震度二程度ということで、そんなに大きくはありませんけれども、ただ、札幌市の下に三本の断層があるということで、四、五百年に一度これが地震が起きる、その周期がそろそろ来るのではないかというような発表もありますので、大変こういった点では十分に、北電としては襟を正して、そしてこの泊原発の危機管理に当たっていただかなければならないというふうに多くの道民が考えているわけでございます。

 また、北電は、昨年六月、泊原発一号機の老朽化に関する調査結果において、耐震性や機器の状況を確認し、プラントを健全に維持することは可能と結論づけて原子力規制委員会に報告をしたというふうに伺っております。昨年六月に報告を出して、その後、こういった、先ほど挙げていただきましたトラブルが多発したわけでありまして、気が緩んでいたのではないかというふうに思います。道民は非常に不安や不満を感じているわけでございます。

 この報告に関して、原子力規制委員会はその内容の不備を指摘して、審査は今継続されているというふうに伺っておりますけれども、その指摘した内容と今後の審査の予定について伺いたいと思います。

山田政府参考人 お尋ねいただきました北海道電力による評価につきましては、原子炉等規制法に基づき、運転開始後三十年を経過する前までに、安全上重要な設備等の劣化状況について評価を行い、それを踏まえた保守管理の方針を策定することを求めているものでございまして、泊発電所一号機につきましては、冷温停止状態が維持されることを前提とした評価というものになってございます。

 この泊発電所一号機についての評価については、ことし六月に運転開始後三十年を迎えるに当たり、冷温停止状態が維持されることを前提とした評価を行っておりまして、二月二十日の審査会合において、北海道電力による評価結果について確認するとともに、凍結、融解によるコンクリート構造物への影響に関する評価結果の妥当性などについて指摘を行ったところでございます。

 原子力規制委員会としては、引き続き、北海道電力による評価結果の妥当性や、それを踏まえた長期管理方針の妥当性について審査を行っていくということにしてございます。

道下分科員 ありがとうございます。

 また、原子力規制委員会は、ことし二月二十二日の審査会合で、新規制基準に適合しているか審査中の北電泊原発一号機、二号機の近くにあります断層、F―1断層について、活断層がある可能性は否定できないと大変厳しい見解を示されました。

 今回の見解の具体的内容について伺いたいと思います。

山田政府参考人 北海道電力は、敷地内のF―1断層の活動性について、F―1断層の上位に認められる小断層は、F―1断層と連続していないことが確認できることなどから、F―1断層に関連しないこと、F―1断層は約四十万年前以降の地層の一部に変位を与えているが、その上部にある約十二から十三万年前よりも古い地層には変位、変形が認められないこと、以上のようなことから、将来活動する可能性のある断層等ではないというふうに説明をしてございます。

 これに対して、二月二十二日の審査会合では、F―1断層の調査箇所において、小断層がF―1断層の直上にしか認められないことなどから、F―1断層と小断層が一連である可能性を否定できない、F―1断層、小断層ともに、活動時期を特定することが可能な上載地層の基底面まで変位、変形が達していないため、約十二から十三万年前以降の活動がないという明確な証拠は得られていないという見解を示したところでございます。

 その上で、見解に相違があった点などについて、事業者としての見解を改めて説明するということを要求したところでございます。

道下分科員 今回F―1断層についてでありますけれども、一号機、二号機及び三号機のすぐそばにはほかにも断層があるというふうに思いますけれども、それらは、新規制基準上、活断層ではないのでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 それについては今審査中でございまして、まだ明確な結論は出ていないところでございます。

道下分科員 ありがとうございます。

 これからということで、この審査を待ちたいというふうに思います。

 今回、今御答弁いただきましたF―1断層もありますけれども、原子力規制委員会が、泊原発一号機、二号機の近くにあるこのF―1断層について、活断層がある可能性は否定できないとの見解を示したことで、この泊原発一号機、二号機の再稼働は一層困難になったというふうに考えます。もし再稼働しても、一号機、二号機の運転期限を考えますと、再稼働しても採算がとれないのではないか、経営に悪影響を及ぼすのではないかという専門家の意見が出されています。

 北電は、再稼働一辺倒ではなくて、北海道に多く賦存する再生可能エネルギーの推進と拡大にその技術と人材と資金をしっかりと振り向けるべきではないかというふうに考えますけれども、経産大臣の見解を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 泊の一号機と二号機は、今、事業者が再稼働を目指して新規制基準への適合性審査の申請を行って、現在、規制委員会による安全審査の段階にあるところでありますので、こうした中で、私が原発の再稼働の可否ですとか採算性ですとか時期等について申し上げることは控えたいというふうに思います。

 あくまでも一般論となりますけれども、原発が再稼働した場合の採算性については、例えば、炉の出力ですとか稼働年数ですとか安全対策投資の費用とか、さまざまなファクターによって異なるものだというふうに思っていまして、これはなかなか一概に言えるものではないというふうに思っています。

 泊一号機、二号機などの個別の原発の採算性や、原子力を含め、どの電源にどう投資をし稼働させていくのかということについては、これはあくまでも電力事業者の経営判断において判断されるべきものと考えています。

 ちなみに、昨日、九州電力からは、原発再稼働に伴って電気料金を値下げしたいという届出をいただいたところであります。

道下分科員 今御答弁で九州電力の話がありました。報道によりますと、家庭で一%程度の値下げということであります。

 値下げはうれしいんですけれども、再稼働して値下げするよりも、原発の安全神話が崩れた中で、これはやはり原発から再生可能エネルギー等へのシフトをしていくべきだというふうに私は考えます。

 立憲民主党は、原発ゼロ基本法案を国会に提出をしております。原発から再生可能エネルギーへ大転換していく、それらをぜひ行っていきたいと思いますし、今、世耕大臣がお話ありましたけれども、電気事業者の自主性というか、それに任せているようなところもありますけれども、エネルギー政策というのは国家の大きな戦略というか政策でございますので、これは国が大きく働きかけをしていくべきだ、地域地域によって、その状況に応じて働きかけていくべきだというふうに思います。

 昨年の北海道胆振東部地震による全道ブラックアウトは、北海道のエネルギー政策を見直す契機となりました。私は、脱原発の立場で、原子力に頼らない北海道を目指します。そして、ブラックアウトを二度と起こさないために、北海道エネルギー革命と題して、再生可能エネルギーと火力や水力など従来のエネルギーのハイブリッド技術であるデジタルグリッドを活用し、地域分散型で再生可能エネルギーによる産業を育成し、雇用をふやしていきます。

 これは実は、今、四月に予定されております統一地方選挙、北海道知事選挙に立候補を予定しております石川知裕元衆議院議員が出馬において記者会見をした言葉でございます。私も全くこの言葉に賛同いたしております。

 このように、ぜひ原発ゼロをこの北海道から大きく進めていきたいというふうに考えております。なかなかそういった点は、大臣と我々とはちょっと考え方が一緒にならないかもしれませんけれども、協力できるところ、再生可能エネルギーのさらなる推進、拡大などについてもしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

 きょうは、更田委員長、どうも御協力ありがとうございました。

宮下主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、緑川貴士君。

緑川分科員 国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 世耕大臣そして政府御関係者の皆様、たくさんの質疑者がいる中で、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私、地元が秋田ですけれども、まだまだ、三月に入りますが、ストーブが手放せない時期であります。私からは、自動車の給油でももちろん欠かせないんですが、冬場の暖房用の灯油を購入する場所でもある、生活基盤であるガソリンスタンドの今後の役割、経営の支援について質疑をいたします。

 経産省が今行っている実態調査があります。市町村別に見るサービスステーション過疎の状況によれば、政府が給油過疎地と定義しているのは、サービスステーション、つまりスタンドが三カ所以下の自治体のことですが、該当する自治体は、昨年の三月末時点で三百十二、全市町村の六分の一余りに上ります。

 このほか、自治体として三カ所以上スタンドがあったとしても、最寄りのスタンドまで十五キロ以上、大変離れているような、そういう居住地域を含む自治体も加えれば、その自治体の数は五百五十以上、つまり全国の自治体の三分の一にもなります。

 車の給油のためにガソリンスタンドに行かなければならないんですけれども、そもそも、そのスタンドに行くまでに十分なガソリンを確保しておかなければならない地域が日本にはたくさんあるということです。私の地元秋田でも、五つの自治体が当てはまっています。二十五の市町村のうちの五つ、五分の一になります。

 地域で進む人口減少、少子高齢化で、購入層が薄くなっていることもあります。走行距離が短くなっている、お年寄りも余り出かけなくなる、こうした構造的な要因、また、近年の自動車の燃費の向上、そして都市部でのマイカー離れ。さまざまな原因が複合的に絡んで、ガソリンスタンドの利用者が今どんどん減少しているという状況であります。

 また、実態調査によれば、スタンドの数は、一九九五年の三月末がピークなんですが、六万四百二十一カ所であったのが、現在は三万七百四十七カ所、ほぼ半数に減少となっています。秋田県では、一九九六年のピーク時の六割以下の、今は四百七十一カ所まで減りました。

 地方における車への依存度の高さ、そして農業機械への給油、また移動手段を持たない高齢者への冬場の灯油配送、さまざまなケースで、やはり地方の方が都市部よりも比較的ガソリンスタンドが減少したときの影響が大きいです。そして、どの地域でも言えるんですが、大地震の際には、発電などを含めた、やはり燃料基地として安定的に供給する役割を担う上でも大変重要であります。

 そんな生活基盤が今脅かされている状況、スタンドが年々減少しているという状況について、世耕大臣から御所感を伺います。

世耕国務大臣 私も選挙区はかなり地方でありますので、ガソリンスタンドが減っているということは実感をしています。先ほどお話になった、いわゆるサービスステーション過疎地市町村数、恐らく三百十二の中に和歌山もたくさん入っているんじゃないかというふうに思っています。

 私自身も、地元を回っていて、前来たときはやっていたけれども、さあ給油しようと思って入ろうと思ったら、もう鎖が張られていて閉鎖になっているというようなガソリンスタンドも時々目にするわけでありまして、本当に年々数が減少してきているというふうに思っていますし、ガソリンスタンドが閉鎖することによって、ガソリンの給油だけではなくて、まさにストーブの燃料である灯油の入手も不便になっているという地域がふえている。これはもう極めて深刻な問題だというふうに認識をしています。

 こうした課題に対応するために、まず自治体として地域に必要なガソリンスタンドを維持するための計画を策定をしている、そういった自治体への支援を行うということ、そしてまた、ここのコスト負担が一番大きいんですけれども、地下タンク設備というのを、これは定期的に維持更新を行わなければいけませんが、そういうSS事業者に対する補助金等による支援といったことに取り組んできているわけであります。

 こうした取組も含めて、引き続き、地方自治体や事業者とよく連携をして、地域の声にも耳を傾けながら、各地域における燃料の安定供給確保にしっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。

緑川分科員 本当に、和歌山での現状もお話しいただいて、鎖が張られてやはり規制されているような場所、そうしたところは秋田県内でもたくさん見受けられまして、やはり同じ光景を共有させていただいているんだなというふうに思いますが、スタンドが減っている以上に、やはりこの計画の策定も急いでいただきたい思いはあるんですが、販売業者の数が、同じように、いや、もしかしたらそれ以上に減っているという状況があります。

 経産省の資料の、また別なんですが、揮発油販売業者数及び給油所数の推移というものによると、販売業者の数は、平成に入ってから減り続けて、一九九〇年三月末に三万二千八百三十五でありましたが、昨年の三月末時点の数は一万四千六百十二。これも半数以上です、五五・五%も減少している状況。ガソリンスタンドの数以上の減少スピード。販売業者が急激に減っているというものもデータからやはりうかがえます。

 経営難に陥ると、これは従業員の確保がやはり難しくなります。雇用の確保も問題です。後継者も不足。事業承継税制についてはこの後も伺いたいと思っているんですが、まず、スタンドでの、給油という、ガソリンという商品、これはやはり差別化が難しい、どうしても価格競争になりがち、なかなか利益が上がっていきにくい商売であります。

 都市部と過疎地では、これは月間のガソリンの販売量も大きく違います。二十倍ぐらい違うと言われていまして、本当に小規模のスタンドでは月間二百万円の売上げというのが、やはりこれは都市部では四千万円を売り上げているようなところもあるわけですね。月の平均販売量にすれば、全国のスタンドの平均は百三十二キロリットルなんですが、人口減少が著しい、給油過疎地にあるスタンドは、この千四百三十六カ所の四分の一のスタンドになるんですが、月間の販売量が五十キロリットル以下です。

 こういう販売量も、収益率が大きく差がある状況で、そういう中で、使用から、世耕大臣おっしゃっていただきましたが、地下タンクの経年劣化、老朽化というものへの対策が重要であります。三十年から五十年が経過しているような老朽化した地下タンクをスタンドに保有する業者が、その事業を継続する見通しがやはり不透明であるということがデータからもうかがえます。設備の更新に課題のある事業者の多くが廃業を検討している状況にありますが、経産省の現在の受けとめ、いかがでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 ガソリンスタンドの地下タンクのうち、腐食のおそれが高いものについては、消防法によりまして、例えば設置から四十年目までに更新するか、腐食防止のためのコーティングなどの漏えい防止対策を行うことが義務づけられているところであります。

 このような地下タンクの更新や漏えい防止対策は、工事に係る費用負担がかかるということ、又は工事期間中一定期間にわたり営業を停止しなければならないということなどから、やはりガソリンスタンドの経営にとって一定の負担になっているというふうに承知をしているところであります。

 平成二十九年度に一般社団法人全国石油協会が実施しました石油製品販売業の経営実態調査におきましても、石油販売事業者が廃業する理由の一〇%が、この地下タンクの規制強化への対応が困難であることということとしております。

緑川分科員 今の、地下タンクのやはり改修に当たっては、一定期間を設けなきゃいけない、その間は営業がやはりこれは難しくなるというお答えでありました。

 継続的に、収益率がただでさえ低いスタンド、給油過疎地のスタンド業者、こうしたものへのやはり実効性のある地下タンクの改修支援、経営支援というものをしっかり考えていただきたいというふうに思います。安全対策と経営支援の両立をぜひ図っていけるような対策をお願いしたい。

 設備投資への、消防法の規制が厳格という中で、この対応に追われた経緯があります。そこで廃業せざるを得なかったスタンドもたくさんあるわけですね。その名残が今のこの跡地という形でもあらわれていると思いますが、質問の順番を変えて、地下タンクの次、ちょっと環境省に先にお話を伺いたいと思いますが、大気環境配慮型サービスステーション認定制度というものがスタートすることになると聞いております。

 環境省が進めるこの制度、給油中にガソリンが蒸発する際に、大気を汚染するような光化学オキシダント、OxとかPM二・五を発生させる原因物質の一つである燃料蒸発ガスというものが排出されるということなんですが、それを抑制したガソリンスタンドをこの認定制度では認定するというふうに聞いています。

 これが認定されるためには、やはり、ガソリンを給油しながらこの燃料蒸発ガスを回収することができる機器、給油ノズルを導入しなければならないということです。スタンドに結局新たな設備投資を、地下タンクも改修しなきゃいけない、まだまだ課題がある業者に対して新たな設備投資を求める制度です。

 環境問題への対策は本当に重要であるとは思います。一方で、この認定制度に追いつけない販売業者がふえることでスタンドの減少に拍車をかけないように、どうか配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 大気汚染防止法では、人の健康に影響を与え得る光化学オキシダントやPM二・五の原因物質の一つである揮発性有機化合物対策を、規制と事業者の自主的取組のベストミックスにより進めることとされております。

 本制度は、環境に配慮した給油所を奨励することで、揮発性有機化合物、VOCの一つである燃料蒸発ガスの回収機能を有する給油機の普及が促進されるよう創設したものであり、制度の創設に当たっては、関係業界とも相談の上、規制ではなく自主的な取組として認定取得を促すような仕組みとしたところであり、給油所の負担とならないように十分に配慮をして創設をしたと考えております。

緑川分科員 済みません、自主的というのは、私が聞いているのは、ランクづけをされることでどんなメリットがあるのか、あるいは、どういう冷遇含めデメリットがあるのかということも含めて、自主的な取組というのがちょっとひっかかるんですけれども、どういうふうな利点と不利な点があるんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 具体的にそのメリット、デメリットというふうな御指摘でございますけれども、その給油所を利用される方が、ここはそこに配慮されているのかなというふうな付加的なメッセージがその利用者の方に与えられるものと思っております。

 利用者の方は、値段であるとか利便性、さまざまな用途でステーションを選択されている中で、そうした情報も一つの訴求ポイントとして使っていただけるのかなということでこちらの制度を創設したところでございます。

緑川分科員 やはり消費者、利用者にとっては選ぶ権利があります。そして、場所も、ただ、減少しているわけですね、スタンドが。そういう中での、ある意味で区分けをしてしまうことへの影響というのがやはりどうなっていくのかということはしっかり注視していきたいというふうに思います。いろいろな負担がかかっている業者に対してやはり十分な配慮を、制度の導入に当たってもしっかり配慮いただきたいというふうに思います。

 やはり、給油過疎地の販売業者が、これからもそうした多角的な面で、差別化できない商品を売るわけです、売上げもなかなか伸び悩んでいる給油過疎地の販売業者、こうした経営を、その経営を維持しながら、安定的に地元に、暮らしに対して石油を届けていける、ガソリンを届けていけるようにするためには、やはり、ニーズに沿ったきめ細かい対応、生活サービスとしての拠点としてのスタンドという役割、立ち位置がますます求められているというふうに考えております。

 経営の多角化に取り組むということが、やはり将来、スタンド経営の活路を見出すことになっていくと思いますが、世耕大臣、御見解いかがでしょうか。

世耕国務大臣 経営の多角化によってSSを維持していくというのは、非常に私は有効な手段だというふうに思っています。

 実は、経産省、ちょっとことししっかり議論しようと思っているんですが、我々、地方、特に過疎と言われるような地域での創業、起業ということをもう一度考えたい。

 それは決して、バイオとかITみたいなぴかぴかのベンチャーでもなく、経営者も、何か、大学出たてのTシャツ着ているぴかぴかのお兄さんでもなく、既にもうビジネスの経験はあって、しかし一方で、もうそのビジネスだけでは食べていけない、あるいは将来性が見込めないというような中高年の経営者に、もう一度、第二の創業をやってもらうというようなことを少し真剣に考えていきたい。

 過疎地には、逆にビジネスチャンスがあります。例えば、ひとり暮らしの高齢者がふえてきている、あるいは買物難民、交通難民と言われている方が出てきている、そういう人たちに、かゆいところに手が届くようなサービスというのはすごくこれからニーズが伸びていく。そういう創業を支援できないかということを考えていきたい。

 その中で、ガソリンスタンドの経営者というのは、これは有力な候補の一つだと思っています。もう既に経営の経験がありますから、記帳とかそういったことはできる。若い人を雇って育成をしてきた経験もある。また、地域に密着したビジネスをやっておられますから、営業に必要な情報というのをいろいろ、どこの家庭がどういうことになっているかとか、どこのおじいさんが最近免許を返納して車が来なくなったか、そういうことも全部わかるわけですね。

 そういった、ですから、私は、ガソリンスタンドの経営者に第二の創業をやってそこで稼いでいただきながら、地域に必要なSS機能を維持していくというのが重要だと思っています。

 既に秋田県では実例も出てきていまして、例えば、燃料販売だけではなくて、冬場、除雪を事業として行う、それによってお金を稼いで収益基盤を強化してSSが存続しているという例も出てきていますので、こういった成功事例を少し他地域にも水平展開するというようなこともやっていきたいというふうに思っています。

緑川分科員 中山間地域の多い、また世耕大臣の御地元の和歌山、私ももちろん秋田での同じ状況の中で、さまざまな掘り起こし、ノウハウがたけている、中途採用の方々も含めて、非常にビジネス経験の多い方々の底力を今こそやはり活用するべきであるなというふうに思います。

 免許返納の数も、今、秋田県では過去最高に上っていまして、そういういわゆる交通の確保ができなくなっていくお年寄りに対しても生活サービスを届けていく、そういう役割が今のスタンド、これからのスタンドに求められていることかなというふうに思います。

 さまざまな地域のケースを私も勉強しながら、また質疑で建設的にそうしたところはお話をさせていただきたいというふうに思います。

 経営者の高齢化がますます進んでいく中で、スタンドの閉鎖、やはり待ったなしの状況であります。設備更新を進められないという廃業が多いということに対して、設備の老朽化対策とあわせて、やはり経営者の高齢化に対する対策をあわせて求めていきたいということで、このたび拡充された事業承継税制の話に移りたいというふうに思います。

 人口の高齢化率の高さが全国で最も高いのは秋田県です。それが反映されている数字ということになるんですが、六十歳以上になる経営者の割合が最も高いのがやはり秋田県で、六六・七%に直近のデータではなります。一方で、全国で見ても、将来、中小企業の経営者のうち、二〇二五年、近い将来、七十歳以上の経営者が二百四十五万人、全体の経営者の三分の二にも上るという計算になります。この二百四十五万人のうち、実に三割が廃業していくということが六年後の現実になり得る、そういうことが見込まれているわけです。

 そういう中で、事業承継の拡充前、世耕大臣、本会議でもお話をいただきましたが、十一年間で二千五百件の利用があった、そして、昨年の四月からの十カ月では二千件以上の申込みがあり、大きな効果を上げているというお答えがありました。

 ただ、今の数字を申し上げたときに、例えば、中小企業の休業、廃業、解散の件数、ここ十年で平均すると、毎年二万五千件になるわけです。十年のトータルでいえば二十五万件です。

 この数字と比較したときに、焼け石に水とまでは言いませんが、より一層ギアを上げて対応していかなければならない廃業時代です。現状のペースでさえ実効性を発揮できていないのではないかというところも感じてしまうんですが、世耕大臣、今後の展望について伺いたいと思います。

世耕国務大臣 やはり事業承継というのは、中小・小規模事業者にとってかなり深刻な問題ですし、先ほど三割とおっしゃったのは、高齢化する中小企業経営者の中でまだ後継者が決まっていないという方だというふうに思うんですけれども、これをしっかりと後押しをしていかなきゃいけない。そういう意味で、事業承継税制をまず抜本拡充、去年させていただきました。

 前までは焼け石に水だったと思います、十一年で二千五百件ですから。これが十カ月で二千件を超えるということは、少なくともギアはローからセカンドぐらいまでは入ったのかなというふうに思っています。

 今度、個人事業主にも広げますし、これから、十カ月で二千件以上ということは、その話を聞く人がだあっと広がっていきますから、じゃあうちもという形で広がっていく可能性もありますので、これはしっかりと推進をしていきたいと思います。

 これだけで我々は解決できるとは思っていません。税だけで解決できるとは思っていませんので、今回は税で、しかも、親子間の相続、贈与ということを前提にしていますけれども、それ以外も、子供はもう絶対継いでくれないというようなところで後継者をどうやって見つけてくるのかとか、そもそも後継者に魅力が持てるような本業を強化したり収益を改善するというようなことですとか、あるいは、MアンドA型で、事業の一部譲渡、売却、統合といった形で、地域に必要な事業を例えば大企業、中堅企業の傘下になって続けていくというようなやり方、こういうことも考えていくことが重要だと思っています。

 経産省では、この税の措置だけではなくて、後継者不在の事業者に対して、事業引継ぎ支援センターを通じてマッチングの支援をしたり、あるいは事業承継を行った後の事業者の新たな挑戦に対する事業承継補助金による支援、要するに、事業承継、やったらやはりうまくいっているねというのがほかの人に見えることが極めて重要ですので、そういったアフターケアみたいなこともしっかりやって、切れ目のない支援を実施をしていきたいというふうに思っています。

緑川分科員 やはり、中小企業における今後の廃業時代においての新陳代謝、MアンドA、買収を含め、こういう発展的な形で今の事業が引き継がれることが一番の願いであります。

 事業承継税制の、これは昨年も私、質疑をしたんですが、税制を適用できる企業というのが、やはり黒字の企業、収益が比較的上がっている企業がやはり税制の適用対象という趣旨であります。

 一方で、ちょっと質問が最後まで事業承継について行けないんですが、結局、中小企業の中には、大変経営は頑張っているんだけれども、なかなか利益が上がっていかない、そして、結果として赤字になってしまっている、そして従業員の確保も難しくなっている。こうした中小企業に対するやはり経営再建の視点からも、なるべく税制の適用があるようなものにしていただきたいという願いがございます。

 済みません、ちょっと事業承継の話を少し飛ばしまして、次、女性起業家の現状についてお話を伺いたいと思います。

 日本の男女の平均寿命で考えれば、今、女性は男性に比べてやはり平均寿命が長いです。女性が八十八歳、男性が八十一歳、大体このぐらいの年齢だということです。働いているときは、やはり女性は賃金が結局抑え込まれてしまっている。男女の賃金格差は今最も低いと言われていますが、それでも七三・四%。男女の格差を引きずったまま、将来高齢化するわけですね、高齢になる。だから年金も低くなりがちなんです。未婚の女性もふえていることを考えれば、自分の稼ぎが頼りになる場合がやはり大いにあります。

 そこで、高齢になっても自分らしく働ける仕事として選択肢に入るのが起業です。スタンドの経営者のお話でもありましたが、やはりこれから地域における起業家を育てるという視点が重要であると思います。

 内閣府の「女性起業家を取り巻く現状について」という資料によれば、働く女性の八割がやはり個人事業主として起業されています。三十代の起業が最も多いんですが、今は六十五歳以上になってからの起業も大変目立っています。

 子育てや介護といった生活のニーズに根差した分野、また、趣味や前の仕事で身につけたスキル、教育や学習の支援の分野、そして健康、美容の分野での起業が多いということで、高齢化が更に進んでいく中では、生活にかかわるこうしたサービスのニーズは一層拡大する、広がっていくということは、社会全体にとってみれば、私は大変これは有益なものではないかというふうに考えていますけれども、世耕大臣、御見解はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 私、全く同感であります。

 先ほどもガソリンスタンドの文脈で申し上げましたけれども、これから高齢化、過疎化が進んでいく中で、生活サポート、生活支援関連サービスとか、あるいは、年をとってもちょっとおしゃれでいたいとか、いろいろなものを買いたいとか、そういったサービスというものの需要は私は非常に大きくなってくるというふうに思っています。

 そういう中で、それは、今余りない、大企業がやっていないようなサービスがたくさんあるわけでありますから、まさにそこが起業に適した分野になると思っていますし、生活に密着しているという意味では、やはりきめ細やかな思考ができる女性に極めて向いているという面もあるのではないかというふうに思っていまして、まさに八割の方が個人事業主として女性は起業されているということでありますから、そういったところの可能性を、しっかり芽を伸ばしていけるように、経済産業省としてもしっかり支援、ことし一年、ちょっと地方におけるいろいろな創業、起業というのを考えていく中で、個人事業主としての女性の起業ということもしっかり念頭に置いて取り組みたいと思っています。

緑川分科員 深く共感していただいたことに大変うれしく思います。

 個人事業主、これは男女を問わないと思いますが、この手取り収入、やはりこれは全てが安定的な収入に結びつくとは限らないです。そういう中で、月額十万円以下というのが個人事業主では二六・七%、そして十万円から二十万円以下というのが二二・五%、つまり、これはほぼ半数が手取り二十万円以下という状況であります。

 日本の女性起業家のやはり模範ということとして、経済産業大臣賞というものが女性の一部起業家に贈られるということなんですが、大臣、ほんの一握りの女性起業家だけではなく、やはり地域の女性起業家を支えたいという思い、今御答弁もいただきました。そして、年金収入が頼りになかなかできないというのは、これからますますそういった傾向が強まると思います。ささやかな経営ながら、みずからの稼ぎを老後資金の蓄えとして、あるいは高齢になってからの起業でも、その資金の蓄えとしていきたいというふうに考えている女性の個人事業主をしっかり応援できるような措置を改めて求めてまいりたいと思いますが、最後に大臣、お願いいたします。

世耕国務大臣 大成功した女性起業家をたたえる、私も知人にたくさんいますけれども、これはこれで一つのロールモデルを社会に示すという意味で重要だと思っていますが、だからといって、一方で、個人事業主として起業される方を放っておいていいとは思いませんし、今の手取りという金額を伺っていますと、やはり年金生活の足しにするとかそういう形になる、あるいは副業的にやられるということも多いのかなというふうに思っています。

 今、これは男女問わず、その手の個人でやっておられる方のビジネスをサポートするような、例えばクラウド系のサービスとかいろいろあります。例えば、全国の管理栄養士をネットワークをして、食事のアドバイスを、全然違う地方にいる人が東京の会社の給食のメニューを考えるとか、そういったサービスも出てきていますし、そういった、まず民間でいろいろサポートする仕組みも大分出てきていると思いますし、また、個人事業主を含む小規模事業者の販路開拓の支援ということで、我々は、通称持続化補助金というものを措置をしておりまして、これは、極めて小さな金額ではありますけれども、使い勝手のいいお金になっていまして、採択された方の二割程度が女性経営者というふうに聞いております。これは、平成三十年度二次補正予算においては、この持続化補助金を含む中小企業の生産性革命推進事業として一千百億円を措置をさせていただいているところであります。

 こうした支援に加えて、個人事業主が今度は廃業したり、あるいは小規模企業の役員が退職したりする際に、その後の生活安定というのも非常に重要だと思っていまして、小規模企業共済制度というのも措置をしております。いわゆる、本当に働けなくなって退職した後についても退職金のようなものがありますよということも、安心して起業できることにつながるのではないかと思っていまして、こういう取組をしっかりやっていきたいというふうに思っています。

緑川分科員 補助金を含めた予算措置、そして税制関連の措置を通じて、地域が一層輝くような対策、そして、あるいは関係する地域同士が一層盛り上がれるような、やはりそういう対策をぜひお願いしたいと思います。

 しっかり願いを込めて、質問を終わります。ありがとうございました。

宮下主査 これにて緑川貴士君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

宮下主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階分科員 国民民主党の階猛です。

 まず、内閣府に質問しますけれども、きのう中央公聴会が開かれまして、公述人として、明石順平さんという方がこの本について口頭で説明されたんですね。詳しくは本を読んでくださいということで、私、読ませていただいたんですが、その中から抜粋したものが一番最後のページのグラフです。

 このグラフを見ていただくとわかるとおり、一番上が、平成十七年基準による家計最終消費支出と、明石さんが計算した世帯数掛ける名目家計消費指数との比較ということで、二つのグラフがほぼパラレルに動いているわけですね。

 ところが、二十三年基準に変わってから、この両者のパラレルな関係に変化が出てきている。一六年に改定がされまして、家計最終消費支出が変わったわけですけれども、以降、ここで出ているのは、一五年、一六年、これが新基準で算定したもののようなんですが、乖離がどんどん広がっている状況なんですね。

 一番下のグラフは、この乖離がどの程度のものかということなんですが、上の方に二つ数字が並んでいて、二〇一五年はこの乖離が四・三ポイントですか、二〇一六年は五・六ポイント、広がっているわけですね。

 これを明石さんはきのうワニの口と言っていたわけですけれども、真ん中のグラフの右のところを指していると思うんですけれども、このワニの口が広がっている、その理由について御説明いただけますか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の書籍の中で示されております、世帯数を考慮いたしました家計調査の数字について、詳細については存じ上げておりませんが、GDPの年次推計におきましては、家計最終消費支出の暦年値については工業統計などの大規模で詳細な供給側、売り手側の基礎統計を用いて推計しておりまして、両者を比較することは困難と考えております。

階分科員 比較することは困難と言っていますけれども、比較した結果が客観的にあらわれているわけですね。いいですか。グラフを見ていただければ一目瞭然なんですけれども、なぜか、平成二十三年基準にした瞬間にこういう乖離が出てきているわけですよ。なぜこういうふうにワニの口が開いたのか、その理由を説明してください。客観的なデータに基づいて聞いています。その理由、お答えください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました、両者の基礎統計がまず違うというところで、比較することは困難というふうに存じております。

 ただ、今御指摘ございまして、基礎統計の作成省庁とも連携いたしまして、GDP統計の精度向上に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

階分科員 それは、この乖離の理由について説明をするということですね。今じゃなくても、なるべく早く説明するということで受けとめていいですか。お答えください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、基礎統計作成省庁とも連携いたしまして、精度向上に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

階分科員 それを聞いているんじゃなくて、精度向上に取り組むじゃなくて、この乖離の理由を説明してください。これがアベノミクス偽装だときのう明石さんが言っていたんですよ。偽装の大きな一つだと言っていたわけですよ。そういう疑いをかけられているんだから、疑惑を晴らすために説明責任を果たしてください。即刻説明してください。できなければ、きょうじゅうに資料をつくって説明しに来てください。どうぞ。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたが、この世帯数を考慮いたしました家計調査の数字、本当につまびらかに私ども詳細を存じておりません。

 ただ、御指摘ございましたので、検討させていただきたいと思っております。

階分科員 検討ではなくて、これは偽装だと言われていますから、きょうじゅうに説明がない場合は、あしたテレビ入りの質疑で、これは偽装だということに反論できなかったという話になりますよ。いいんですか。

 きょうじゅうに説明してください。でなければ、これについては、内閣府から明確な理由の説明がない、なぜこれだけ差が開いたのか説明がないということで、偽装だということで言わせていただきますが、きょうじゅうに説明できますか、できませんか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 GDPの統計でございますが、作成方法をオープンにしながら推計をしております。

 具体的に、この乖離幅について私ども統計部局としてどこまで検討できるかというところがちょっとわかりませんが、私どもは偽装というようなことは全くしておりませんが……(階分科員「だから説明しろって言っているじゃないですか、そうじゃないんだったら」と呼ぶ)はい。そうではないという理由を説明するということでございましょうか。(階分科員「ちゃんと整理して」と呼ぶ)検討させていただきます。

階分科員 では、ここで言っておきますけれども、きょうじゅうに説明が来られない場合には、あした、そういう観点から、私じゃないかもしれませんけれども、テレビ入りのときに指摘させていただきますから。

 それと、さっき事務方の人にお願いしたんですけれども、このお配りしている資料、最後のページのグラフ、これは一六年までしかないんですよ、真ん中のワニの口のグラフ。で、一七年の数字も出してくれないかと言ったら、これは出せますという話で、待っていたら、さっき急に、やはり出せませんという話になっていました。これも出してもらえますか。内閣府。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 検討して対応させていただきます。

階分科員 これも出せないということであれば、いよいよ怪しいわけですよ。

 それと、もう一つ怪しいこと。総務省、いいですか。この明石さんが言っている世帯数掛ける名目家計消費指数のうち、名目家計消費指数、何で二〇一七年十二月をもって指数を出すのをやめたんですか。お答えください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 家計消費指数は、平成三十年一月分から公表を取りやめております。ただ、平成三十年一月分からは、消費動向指数を作成して公表を開始しておりまして、そちらに接続しているということでございます。

 ただ、この点については、ホームページにも記述がございませんし、わかりにくいということでございますので、この点がわかりやすくなるように、ホームページにも説明を加えていきたいと思っております。

階分科員 ごまかして答えていますけれども、この名目家計消費指数、二〇〇二年を一〇〇としていましたよね、それはいいですよね。この明石さんの資料でいうと二〇〇二年となっていますね。それで、二〇一七年十二月でやめた理由は、去年の一月から家計調査のやり方が大きく変わりましたよね、ここで断絶が生じてしまうからですよ。

 きょう資料を配っていますけれども、私もこの間、委員会で指摘しましたけれども、家計調査のやり方を変えたことによって大きく数字が変わっているんですよ。

 資料の五ページ目です。この間も指摘したとおり、下の方で私が手書きで書いた数字、これは委員会で参考人が認めてくれましたけれども、消費支出では月で三千八百九十二円、年額にすると五万ぐらいでしょうか、五万近く。あと、実収入でいくと月で四万二千九百五十円、年間にすると五十万円近くでしょうか。パーセンテージだと、それぞれ一・四%、八・〇%、これぐらいのポイントが上がっているわけですね。一・四%ポイント、八・〇%ポイント上昇しているわけですよ。

 だから、二〇〇二年を一〇〇として指数をつくると、これが大きく上振れしてしまうから去年でやめたんじゃないですか。違いますか。お答えください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 家計調査の結果につきましては、御指摘のとおり、調査票である家計簿の様式の変更ということで世帯の記入状況がよくなりまして、支出額等が増加するということは間違いない事実でございまして、実際、上がっております。

 その点については、どれぐらい新旧家計簿で差が出たかというところはわかるように数値を公表しておりますので、その点については、いずれの数値を使うかというところはユーザー側できちんと御判断いただけるものと思っております。

階分科員 答えていませんよ。

 私が言っているのは、なぜ、先ほどの指数、グラフの上がっていたところ、名目家計消費指数をやめたのか。最初に答えていたことは、私は、これはごまかしだと言いました。

 本当の理由は、去年の一月から家計調査のやり方が変わったので、二〇〇二年からの指数を出したとすると、これが大きく上振れしてしまって都合が悪いからじゃないですか。違いますか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、新しい消費動向指数というものを公表しておりまして、これに家計消費指数は接続するということでございまして、新しい消費動向指数を計算するに当たっては、新しい家計簿の影響がどれぐらいになっているかというところも考慮しながら作成しておりますので、委員が御指摘になったような意図は全くないというふうに考えております。

階分科員 答えていません。質問に答えていません。とめてください。

宮下主査 必ずしもそうではないと答えているんじゃないですか。(階分科員「いや、全然質問に答えていませんよ。ではもう一回言いますね」と呼ぶ)はい。

階分科員 よろしいですか。私が聞いているのは、なぜ指数の算出を二〇一七年十二月で打ち切ったのか、これを聞いているわけですよ。

 私が考えているのは、ちょうど二〇一八年の一月から家計調査のやり方を変えて、私が指摘して総務省もお認めになったとおり、家計調査の収入や支出の額は上振れしている、この状況で二〇〇二年から継続した指数をとった場合、段差があるのに指数化するとおかしな数字になるから、それで、今までずっと出してきた名目家計消費指数をやめたんじゃないですかということを言っているわけですよ。そうじゃないんですか、端的にお答えください。

宮下主査 段差が発生するからやめたのかどうなのか、その点に着目して明快に答えてください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、新の家計簿を使ったことによって支出額はふえるということで、それをそのまま名目値で出すとふえるんですけれども、その点を調整するために変動調整ということを行いまして、それで数値を出しているということでございまして、御指摘のような意図は全くないということでございますけれども。

階分科員 それだったら、まず、二〇一八年のもなぜ出さないのか。出せばいいじゃないですか。そのCTIなる指数も、別途出しているのはそれはそれでいいですよ。でも、過去との比較をするのに、途中からデータを出すのをやめられても困るわけですよ。家計調査自体はやっていて、段差も問題ないというんだったら、出せばいいじゃないですか。

 両方出してもらわないと、明石さんの批判に対する反論もできないんですよ。それ、すぐ出せるでしょう。出してください。

佐伯政府参考人 持ち帰って検討させていただきます。

階分科員 これを出さないと、疑惑はますます深まるということですよ。よろしくお願いします。

 さて、経産大臣、お待たせしました。

 キャッシュレス・消費者還元事業、来年度分だけでいうと二千八百億円。消費者に還元されるのは、そのうちたったの千七百八十六億円だと思いますけれども、これの事業の発案者は誰なんですか。

世耕国務大臣 これは結構、経緯がありまして、まず、二〇一七年の六月に未来投資戦略二〇一七というのが策定をされました。このときに、今後十年間にキャッシュレス決済比率を倍増して四割程度にすることを目指すということが決まりました。

 その上で、昨年、二〇一八年四月に、今度は、キャッシュレス・ビジョンというのが、これはキャッシュレス検討会というところで議論が行われまして、この四〇%の目標を、二〇一七年の未来投資戦略では、十年間でということですから二〇二七年だったわけですけれども、これを、当時、万博誘致中ということもありまして、大阪・関西万博の二〇二五年ごろまでにキャッシュレス決済比率四〇%を目指すということになりました。

 その上で、去年の六月に閣議決定をされました骨太の方針に、このキャッシュレスの推進ということが盛り込まれたという形で、段階を追って、政策としてキャッシュレスを進めていくということが決まっているわけであります。

 こうした中で、消費税率の引上げに伴って、まず需要の平準化策をしっかりとやらなければいけないという中で、経産省として、こういう閣議決定等がるる行われている、そして消費税上げに基づく需要の平準化を行わなければいけない、そしてキャッシュレス化も進めなければいけないという状況の中で、検討を行って、具体策として今回の制度を立案したということであります。

階分科員 それで、私も予算委員会の本体の方でも指摘しましたけれども、キャッシュレス化推進もいいと思うんですよ。ただ、消費税対策とセットにするのはどうか、そして、そのためにこれだけのお金を使う必要があるのかということを指摘してきたわけですね。

 どうも、さっきの内訳、二千七百九十八億のうち、実際にポイントで還元される分は千七百八十六億円だ。しかも、業界団体を通じてそのお金は流されるということでして、これはひょっとすると決済事業者のためにやっている、そんな節も見えるわけですね。

 私が調べたところ、直近の国民政治協会、自民党さんの政治資金団体がありますよね、こちらに、セブン&アイ・ホールディングス、ナナコをやっている会社の親会社です、ここが一千億も献金していますね。違いますか。(発言する者あり)ちょっと待ってくださいね。今、資料をちょっと見ますから。国会図書館から調べてもらった。ごめんなさい、一千億じゃない、一千万円です、一千万円。ごめんなさい。訂正します。一千万円です。でも、一千万円も大きなお金ですよ。大きなお金です。

 で、一千万円も献金しているわけですけれども、その子会社であるナナコを運営している会社にはこういう恩恵が来るということで、二ページ目につけていますけれども、二ページ目、コンビニのフランチャイズの方にも、二%ですけれどもポイント還元がされる。

 調べると、左側は、国から補助しない直営店とか大企業に該当する加盟店ですと言っているんですが、フランチャイジーの方が圧倒的に、九割方そうですよね。だから、これはほとんど、そういうコンビニ業界、そうしたところに恩恵を及ぼすために、大企業ですよ、中小企業というよりは大企業なので、そういうところにお金を流すためにやっているんじゃないかということで、私はこの予算の組み方も問題だと思いますよ。業界団体に配慮したものじゃないんですか。お答えください。

世耕国務大臣 まず、この政策の目的というものをちゃんと御理解をいただきたいと思うんですけれども、今回、消費税を八から一〇に上げる、五から八に上げるときと一番違うのは何かというと、五から八に上げるときは、非常に転嫁対策を重視した結果、一切、上げることをタイミングとしたセールその他は絶対やっちゃだめだという形でいったわけです。

 ところが、今回、八から一〇に上げるときは、十月一日を契機として、消費税返しますとか消費税要りませんというセールはまずいですけれども、十月一日からセールやりますとかポイント還元やります、それは構わないというガイドラインになっているんです。

 そういう中で、大企業、大手は必ず自分たちでそれをやってくるというときに、資本力のない中小・小規模事業者の小売店等がちゃんとそれにキャッチアップをできるように、そこを、まさにキャッシュレスを進めるという政策目標とあわせて、まず中小、小規模の小売店を始めとする事業者に対して、しっかり、ポイント還元セールという形で、大企業に、大手に対抗できるようにしようというのが今回の政策目的です。

 その上で、副次的効果として、消費者に五%のポイントが返ってくるわけです。みんな、チラシでクーポンを探して、一円でも安く牛乳とかを買っているわけですよ。そこで五%のポイントが返ってくるということは、次には消費者に大きなメリットがあるということであります。

 我々は、決済事業者をもうけさせようなんてことは全く考えたことはありません。ただ、決済事業者のインフラは使わせてもらいます。新たにインフラを、システムをつくっていたら、これは膨大なコストがかかりますから、既存の決済事業者のインフラを使わせてもらうという意味では、決済事業者に御協力を逆にお願いするということになります。

 フランチャイズについては、これは、本来、今私が申し上げた趣旨からいけば、同じコンビニエンスストアでも中小企業に当たるところと大手の直営に当たるところが両方あって、本来は、大手の直営はどうぞ御勝手に、そして中小企業のところを五%ポイント還元補助というのが本来の姿ですが、それは、一般の消費者から見たら、同じ看板の店で直営か中小企業かなんてことは誰も考えていないわけですから、これは統一的にやろうと、二%に抑えて。

 ただし、この二%も、フランチャイズ本部の直営の店は、基本的にはフランチャイズ本部の負担でやってもらうわけです。中小企業のところを、逆に、本来、五%やりたかったんだけれども、混乱してはいけないので、フランチャイズの場合はブランドを使っているということもあるので、ある種、大手の援助を受けているというところもあるから二%にしたということなんです。

 そういう意味で、政治献金とか全く関係なく、考えに考えてつくっておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

階分科員 直営店とかは自前でやられるから補助金がないというお話ですけれども、私、手元にコンビニ大手三社のデータというのが、二〇一七年度で見ていますけれども、フランチャイズの店舗が全体で売上額に占める割合は九七・六%なんですね。大手三社です。だから、圧倒的に恩恵を受ける方が多いというふうに思います。

 その上でなんですけれども、恩恵を受けるという中の手段の一つに、ポイントを付与したけれども使われないで残ってしまったもの、これはこの決済事業者の利益になるんじゃないですか。端的にお答えください。

世耕国務大臣 先ほども申し上げたように、決済事業者をもうけさせるつもりは全くありません。

 当然、結局消滅するポイントというのは、これはカードにもよりますし、いろいろな決済手段にもよりますけれども、一部には消滅するポイントというのがあるわけであります。使われないポイント分も含めて満額決済事業者を補助するというようなことにはならないように、各決済事業者のポイント価値の算出方法や失効率の実績というのが出てきますから、その実績も踏まえて、厳し目に見て、具体的な補助額の算定方法をしっかりと決定をして、決済事業者が何かこのことによってもうけを得るようなことがないように、厳しい対応をしてまいりたいというふうに思っています。

階分科員 そこで参考人にお尋ねしますけれども、今、補助金の額を決めるのにポイントの失効率とかも勘案するというお話でしたね。そこで、直近の一年間で決済事業者等が日本国内で付与したポイントの総額と、そのうち失効した額は幾らなのか。

 それから、もう一つ、続けてお尋ねしますけれども、キャッシュレス決済比率、これから、今二〇を四〇パーに伸ばすという話なんですけれども、今お聞きした金額はどのように変化すると予想されるか。

 この二点について、事前に質問通告しております。お答えください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ポイントにつきましては、各事業者がさまざまな形でポイントを発行しております。その実際の価値でございますとかそれから付与の方法、それから期間、こういったものも区々でございまして、例えば失効率で申し上げますと、ほとんど失効しないというような仕組みの事業者さんもいる一方で、二〇%、三〇%失効するといったような事業者さんもいらっしゃるということでございまして、お尋ねでございますが、残念ながら、今、国内の発行ポイント総額それから失効額を網羅的に把握しているということはございません。

 したがいまして、これから十年弱でございますが、四〇%になっていくに当たって、どういった形のポイント制度を持った事業者がどういう形で伸びていくのか、あるいは将来においてどういうポイント制度というのが普及していくのかということがございますので、一概にここで予測して、どの程度になるということを申し上げることはできないと思っております。

階分科員 よくそれで千七百八十六億という数字がはじき出せたものだと思いますよ。

 それで、資料三ページ目につけておりますけれども、表があってその下に米印がありますけれども、「「ポイント還元」については、」云々かんぬんとあって、括弧書きのところですね。「なお、三十一年度予算におけるポイント還元予算二千七百九十八億円のうち、ポイント還元本体の原資千七百八十六億円(六か月分)を単純に五千八百一万世帯で割り戻すと、一世帯あたり〇・三万円」、三千円ですね、年間三千円ということだと思います。

 ところで、消費税が八%から一〇%、二%分上がることによって消費税の負担増がどれだけあるかというのがこの表の上の方に書いていますね、負担増。世帯年収別に分けて書いています。三千円とこの負担増の金額の比較を見ますと、個人住民税非課税世帯では六分の一にすぎません。二百五十から三百万円だと八分の一、五百から五百五十万円だと十二分の一、千五百万以上だと二十五分の一、これしかポイント還元で付与されないわけです。でも、実際のところ、皆さん五%、五%と言っているわけだから、二%増税したよりも多く戻ってくるわけですよね。

 それで、それを使わない手は普通の家庭はないと思うんですよ。どんどん使うという中で、一世帯当たり三千円にすぎないというのは、過少だと思いますよ。

 予算委員会でも指摘したとおり、今計上している予算というのは全く足りなくて、これはどこかで上方修正といいますか、予算の増額を請求しなくちゃいけなくなるんじゃないですか。

 そもそも、ポイント付与にかかる約千八百億円、この予算額の算出根拠は全く乏しいのではないかと思いますけれども、大臣、お答えください。

世耕国務大臣 約千八百億円の還元分の算出根拠が乏しいんじゃないか、その御批判は甘んじて受けざるを得ない面もあると思います。

 なぜならば、例えば公共事業とかあるいは企業への補助金であれば、いろいろ過去の実績その他からかなり正確に算定ができるわけですけれども、これは消費者の行動にかかわるところですので、なかなかわからないというのが現実です。

 その上で、それでも我々、当然、これは予算ですから、ちゃんとした、やはり財政当局を説得しなければいけませんので、そういう意味では、足元のキャッシュレス比率、そして今回の事業への、これは中小企業が対象ですから、中小・小規模事業者の参加見込み、そして今回の事業によるキャッシュレス比率の伸び、こういったところを関係業界等に聞き取りをして今回の金額は算定をさせていただきました。

 御批判は、私、御批判される気持ちはわかりますけれども、我々としては、現時点でできる限りの情報を集めて一定の試算を示させていただいて、予算に計上させていただいているというところは御理解をいただきたいと思います。

階分科員 政府全体として、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、EBPMということを標榜されるのであれば、この千七百八十六億円の算定根拠、これをきっちり示していただきたい。これはぜひお願いします。最後に。

世耕国務大臣 これは当然、数字をはじいた計算はあります。それが御納得いただけるかどうかはわかりません。我々としても、得られる範囲の状況で、財政当局もこれならばという形でやりましたので、それはお出しはできるというふうに。

 EBPMという意味では、我々は、この制度を始めて九カ月ほったらかそうと思っていません。一カ月ごとぐらいにきちっと実施状況も見ていきたい。それがちゃんと消費の喚起につながっているか、キャッシュレスの普及につながっているかというのをよく見ながら、予算の使用状況も見ながら、月々しっかりと総括しながら、この政策は一歩一歩。

 それだけどうしても推測に基づくデータでやっている部分もありますから、その分、運用段階で一カ月一カ月しっかりと見ていきたいということは明確に申し上げておきたいと思います。

階分科員 今、現時点での算定根拠は出せるというお話でしたので、よろしくお願いいたします。

 では、終わります。ありがとうございました。

宮下主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの伊藤俊輔でございます。

 引き続き、質問させていただきたいと思います。長時間、世耕大臣も大変お疲れさまでございます。

 多くの委員始め質問されていること、多く重なることもあると思いますが、多岐にわたって質問させていただきたいと思いますので、余り深掘りできないかもしれませんが、東海第二原発の再稼働についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 日本原電が二十二日、東海第二原発を再稼働させる意向をいわば見切り発車みたいな形で発言をされた。そしてまた、原電の副社長が協定に拒否権なんという言葉はないという発言をされて、その後、謝罪、撤回もされたと思います。

 自治体の多くから反発や不快感もあることと思います。このことについて、大臣から見識をお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 私、新人議員のころ、伊藤公介先生にいろいろ御指導いただいたことを懐かしく思い出しておりました。

 安全協定については、これは電力会社と立地自治体等が任意に締結しているものでありまして、個別の協定の内容ですとか解釈ですとか、個別のやりとりについて、経産省としてコメントをするのはちょっと控えさせていただきたいと思います。

 また、先週二十二日金曜日、日本原電が東海第二発電所の再稼働の意向を表明した際に、大井川茨城県知事が、県独自の安全性の検証が終わっていない中での表明には若干不快感を感じるという旨の発言をされたことも承知をしております。

 いずれにしても、立地自治体との信頼関係ということが極めて重要であります。日本原電においては、立地自治体等との信頼関係を大切にしながら、必要な対応を誠心誠意、誠実に行っていくことが何よりも重要だというふうに考えています。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 そのときの表明の中にも、わざわざ現地に出向いて、事故対策工事は二〇二一年三月までに終える予定だということも発言をされております。

 日程の話になると、自治体もそこがリミットだというふうに受けとめざるを得ないということもあり得ることも含めて懸念をするわけでありますけれども、そのことについて、見解を。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原電が地元の自治体に対して事業の概要を説明する中で、事業者としてのスケジュールの見通しについてもさまざまな説明の中でお示しをしてきたという経緯があるのは承知してございますけれども、御指摘のように、こうしたやりとりの中で、意図しない形でのメッセージとして伝わるようなことのないよう、丁寧なコミュニケーションを進めることが大切であるというふうに考えます。

 日本原電が立地自治体等との信頼関係をしっかりと構築いたしまして、その信頼関係を大切にしながら、真摯かつ誠実な対応を行っていくことが重要というふうに考えるところでございます。

伊藤(俊)分科員 自治体あるいは市民の理解がないがしろにされて、自治体に出向いてこういう日時のことまでになると、誤解を生むということになりますので、ぜひ慎重にしていただきたい。

 その上で、十四団体、これは六団体に加えて周辺八団体、合わせて十四団体の事前協議の場が必要になるということもあります。そしてまた、避難計画が必要ということになりますけれども、今、現時点で、十四団体のうち三団体、避難計画ができていると聞いております。

 現実的に避難計画が、これは三十キロ圏内で九十六万人が住まれているということですけれども、実効性のある避難計画の策定が難航しているということも報道でも言われているところでもありますが、まず、この避難計画について見解をいただきたいと思います。

荒木政府参考人 議員御指摘の東海第二地域でございますけれども、原子力発電所からおおむね三十キロ圏内に約九十六万人、そのうちおおむね五キロ圏内でも約八万人と、人口が非常に多いことが特徴の一つでございます。特に、人口が多いということもございますので、県外の避難先であるとか移動手段の確保、要支援者への対応など、課題がございます。

 こうした課題を一つ一つ解決をしながら、国としては、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に向け、東海第二地域の原子力防災協議会の枠組みのもと、地域の実情を熟知している関係自治体と一体となって検討を重ねているところでございます。

 今後とも、国がしっかりと関与をしながら、関係自治体とともに地域防災計画、避難計画の充実、具体化に取り組んでまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 そもそも、避難計画というものは、実効性があるものが本当につくれるのかどうかということもずっと懸念をされていることだと思いますけれども、これは、自治体任せとは言いませんけれども、現実的に自治体任せになっている現状も、そしてまた、原発の事故が起きたときに実効性のある避難計画ができるのかと言われたら、事実上、あってないようなものじゃないか。

 そして、もしそういうことになったときには国の方針に従いますという大きな枠組みの避難計画であっては避難計画の意味がないと思いますけれども、改めて、避難計画についても、実効性のあるものがつくられるということが、原発事故のことを想定すると非現実的じゃないかなと。その辺、しっかり対応していますということになるんだろうと思いますけれども、一言、答弁をいただけますか。

荒木政府参考人 繰り返しになりますけれども、例えば、今の現状を若干申し上げますと、住民の避難先として、県内はもとより、県外五県において具体的な協議を実施をしておりまして、これまで、おおむね三十キロ圏内の全ての市町村で、避難先の市町村との広域避難についての協定締結が完了するなどの取組も進んでございます。

 また、避難車両の確保につきましても、現在、バス協会と協力体制の構築に向けた調整も進めてございます。

 また、要支援者への対応につきましても、福祉車両の確保、あるいは一時的な屋内退避ができる放射線防護施設の整備なども進めているところでございまして、こういう取組を更に、先ほど申し上げました地域防災協議会の枠組みのもとで、しっかりと国も一体となって取り組んでまいります。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと質問が多岐にわたりますので、また引き続き質問させていただきたいと思います。

 本来なら再エネの質問をさせていただきたいと思っているんですが、原発について、一つだけ基本的なことを質問させていただきたいと思います。

 エネルギー計画の中で、二〇三〇年、原発の比率を見ると、二〇から二二%ということになっています。想像するに、原発約三十基分が稼働されているという未来を考えると、時代感覚として、本当にそのことは現実的なのかということも問わざるを得ないと思いますけれども、約三十基のこの稼働が現実的なのかという話と、そしてまた、歴史的に今この決断が問われるということも考えると、この三十基稼働ということを本当に感覚的にも現実的に思われているのか、見識をお伺いしたいと思います。

磯崎副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員今御指摘のとおり、昨年七月に、第五次のエネルギー基本計画が策定をされて、閣議決定をされたわけでございます。

 この中におきましては、原子力については、依存度を可能な限り低減をしつつ、安全性を最優先に、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発についてのみ、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、こういうことが述べられているわけでございます。

 今委員御指摘されましたとおり、エネルギーミックス、これはこのエネルギー基本計画の中でも、その着実な実現を目指していくというふうにされているわけでございますけれども、御指摘のとおり、例えば、二〇三〇年度に原発比率二〇%を達成をするためには、一定の仮定のもとにということでございますが、計算をすれば、三十基程度という計算となります。

 ただ、当然のことながら、原発ごとに、出力規模であるとかあるいは実際の稼働率、こういったものも異なりますので、確定的なことを示すということはできないということも事実ということでございます。

 これが実現可能なのかというお話でございましたけれども、まず、この二〇%から二二%、こういう数字になりましたのは、これは決して積み重ねてこの数字になったということではございませんで、徹底した省エネを実現をしていく、そして再エネの最大限の導入をしていく、さらに言えば、火力発電の高効率化、こういったものをしていく、こういった中で原発の依存度を可能な限り低減をさせたその結果として得られたのがこの二〇から二二%、そういう比率でございます。東日本大震災前には原発比率約三割ということでございましたので、それに比べても低減をしているということでございます。

 そして、この三十基ということについてどうなのかということでございますけれども、今申し上げましたように、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくということでございますので、それを粛々と進めていくということでございます。

 また、この二〇%から二二%につきましては、規制委員会の審査を経て再稼働していく、そして、震災前の平均七割のところ、例えば八割程度まで稼働率を向上させていく、あるいは、一部の炉につきましては、法令で認められた四十年を超える運転期間の延長を行う、こういったことによって達成可能な水準であるという認識に立っておるわけでございます。

伊藤(俊)分科員 端的に申し上げて、粛々と進められると私としては方向性が違うという思いをお伝えをして、改めて、原発事故を経験して、二〇三〇年代に原発を三十基稼働するということを本当に想像し得るのかということを、皆さんに改めて認識をしていただきたいと思います。

 これは恐らく、見識ある大臣ですので、このエネルギーミックスの話を言えば、現実的なことはあるかと思いますけれども、原発を即時ゼロにするという方もいれば、原発に依存しない日本をつくっていくという意味で再生可能エネルギーの比率を上げていくという人もいるし、そしてまた、時代の流れから、経済的に見ても、結果として再生可能エネルギーの普及に努めている方々、多くの方向性、これは再生可能エネルギーの比率を上げていくということに関しても、一致するところはたくさんあると思います。

 原発に依存しない日本をつくっていくという方向性の中で、本当に、二〇三〇年代に三十基稼働するということを、改めて、この時代に問われるということも、大臣にもう一度考えていただきながら、検討していただきたいと、いろいろ思います。また改めて、掘り下げてやらせていただきます。

 最後に、海外輸出について大臣に見解をお伺いしたいと思いますけれども、日立製作所がイギリスでの原発建設計画の凍結を決めて、これは政権の成長戦略の柱となっていると思います。現状を見ると、原発の高コストにおいてもですが、原発輸出のこの現状、土台というのはもう崩れたと言っていいんじゃないかと思いますし、事業として成り立たないということになるのではないかと思いますが、限界ではないか、こういうことを、大臣に見解をお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 まず、英国の原発プロジェクトに関して申し上げると、日立は、英国政府との協議の結果としては、現時点で経済合理性の見通しを立てるのには時間を要するということで、プロジェクトの凍結、これは英語ではサスペンドということになっていますが、その判断をするに至ったわけであります。

 ただ、今後も協議は継続していく意向であるということ、また、英国政府も、ではこれでもうやめましたではない。原発はやはり彼らは使っていくという判断をしていて、引き続き日本への期待も表明しているところでありますので、まだこれは今後の動向を注視する必要があると思います。

 海外の原発プロジェクトがうまくいっていないからという話になると、これは、条件は国によってかなり違ってきます。例えば、立地環境ですとか国内の制度ですとか経済情勢ですとか、あるいは、原発の建設というのは極めて土木工事的な部分がありますので、それになれている建設業者がいて、きちっと工期どおりにつくれるかどうかという問題、あるいは部品を納めるサプライヤーがいるのかどうかとか、いろんな問題が複雑に絡み合って原発の建設コストというのは決まってくる。そういう意味で、原発の建設をするプロジェクトの経済合理性が一概にないということは、今回の件だけでは言い切れないのではないかというふうに思っています。

 一方で、エネルギー安保とか、特に気候変動対策、そしてやはり発電のコストといった面で、原発の建設の計画を進めたいという国は数多くあります。今原発を使っていて更に使いたいというところと、今は使っていないけれども新たに使いたいという国の方が、意向表明している国の中では、やめたいと言っている国よりははるかに多いというのが現実であります。

 そういう中で、福島第一原発事故を経験して、やはり日本の原子力技術に対する、その後、厳しい安全基準を導入して、それをクリアしたものを再稼働させているという中で、日本の技術への期待の声が各国から寄せられているというのも事実であります。私も、閣僚会談等で複数の閣僚から、日本と原子力のプロジェクトを進めたいというような話を、英国や、今表に出ているトルコ以外からもお話をいただいているところであります。

 こういった各国のニーズに応えるとともに、今度は原子力の人材、技術、産業基盤をやはり日本として維持強化をしていくということも非常に重要でありまして、そのことを通じて、世界の原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかりと責任を果たすべきではないか。

 いずれにしても、国内においては安全最優先で、世界においても安全最優先でしっかりと取り組むことが重要と思っています。

伊藤(俊)分科員 原発コストに関しての認識、いろいろあるかと思います。世界から見れば、原発コストは、最終処分まで考えればなおさらですが、高コストだということはもう常識じゃないか、私はそう思っております。あるいは、日本の成長戦略の柱として原発を位置づける、輸出を位置づけるということ自体、僕はやはり日本には不向きではないかと。

 新しい産業、これは再エネも含めてですが、エネルギーの分野は物すごくポテンシャルがあると思います。改めて、新しい産業を育てて、その産業で次の世代に渡していくような日本であってほしい、そう思います。大臣、よろしくお願いいたします。

 きょうは、再生可能エネルギーの中で、太陽光や風力が不安定だと言われる中で、バイオマスのことについて一問質問させていただきたいと思いますが、これは、安定的な財源としてバイオマスをどうにか普及したいという私個人の思いもあります。そしてまた、それの原点は林業だと思いますので、林業を含めて質問させていただきたいと思います。

 かつて、オーストリアのギュッシング地区というところが、わずか三万人の町なんですけれども、全てをバイオマスでエネルギーを賄うという、最先端、先端を走っていた町があります。それをモデルにして、日本の多くの自治体でバイオマス事業をスタートしたという方も少なくないと聞いております。

 今、そのバイオマス事業がオーストリアのギュッシング地区でどうなっているかということをちょっと調べたら、三年前にもうプラントがとまっていて、今も稼働されていない、そしてまた財政破綻をしたのではないかということも情報でお聞きをしました。現地にちょっと見に行けなかったものですから、情報としていただいたものでありますけれども、理由としても、国からの補助があって電気を買い取っていた間は稼働できたけれども、買取りが終了し、設備が古くなり、メンテナンス費がかかるようになったためではないかということも言われております。

 もし、わかる範囲で、このオーストリアのギュッシング地区のバイオマス事業の現状、言ったら、結果的に失敗をしたということであれば、これは日本のバイオマス事業もその失敗例をしっかりと吸収しておかなきゃいけない、情報収集しておかなきゃいけないと思いますので、その観点が一つ。

 そしてまた、それを受けた上で、今、日本の自治体でバイオマス事業が進んでいる中で、中心的に進めていただいたのが、岡山県のバイオマス発電、中島社長という、これは物すごく一生懸命バイオマス事業、町の発展に尽くしていただいていると思いますが、それの現状と、そういったものも、わかる範囲で、バイオマス事業、教えていただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えをいたします。

 まず、先生から御指摘のありましたオーストリアのギュッシングの件でございますけれども、先生御案内のとおり、二〇〇一年から事業が始まりまして、発電能力二千キロワットということで、ガス化方式というのでやっておりましたけれども、もともとが、木質バイオマスのガス化発電、熱電併給技術の開発ですとか検証を目的につくられた実験施設ということでございますので、先ほど先生がおっしゃられたように、十三年間稼働してきて、その後動いていないわけですけれども、もともとの目的が実験施設ということだったので、そういうことで、役割を終えたのではないかというふうには考えております。

 また、岡山の真庭の関係ですけれども、真庭のバイオマス発電所は一万キロワット、木質燃料については十四万八千トンを予定しておりますが、そのうちの九万トンにつきましては、未利用材ということで、山から切り出してきた間伐材ですとか枝葉を原料にしているわけですが、残りの五万八千トンにつきましては、製材所や何かで出る端材なんかを原料にやっておりまして、現在もしっかり動いて、稼働しているという状況なのではないかと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 ギュッシング地区の、役割を終えたからというお話でしたけれども、僕が聞いた話であれば、日本もFITがありますけれども、買取り制度がなくなった、支援がなくなったからかなり厳しくなったという声もありました。実情、これは本当に実験として終わったんだということの解釈でいいのか、それとも、何らか原因がほかにあって、そしてまたそれが日本に生かせるようなことであるのかどうかということは、検証を引き続きしていただきたいと思います。

 再エネの中でも、やはり御存じのとおりバイオマスは、太陽光や風力と違って安定した財源の一つになり得るポテンシャルを持っていると思います。しかし、その原点をたどれば、日本の林業が今厳しい状態にあるということは認識を一にすることだと思います。

 一部、林業の年収を見ると、年収十一万というデータもありました。関係する林業の仕事としては、年収三百万近くある方もいると思いますけれども、実態とすると、やはり木材の需要の低迷とか、あるいは輸入材の競合の問題、ペレットを含めても、海外からの輸入が一番多いということも現実的にあるかと思います。これはペレットとチップによって違うと思いますけれども。改めて、輸入材との競合の問題とか、あるいは木材価格の下落傾向で林業への意欲が低くなっている現状、こういったこともあるかと思います。

 林業のこれだけのポテンシャルが生かされていないということ、多分、日本においてはこれだけの森林がありますから、本来ならもっと活用できていいというふうに思います。

 今回も、森林譲与税を含めて千円徴収して、それがまた林業に生かされる、普及されるといいな、そういう観点に立って、ああいう新法も生かしていただきたい。個人的には応援の立場でお願いをしたいと思いますけれども、エネルギーの分野からしても、あるいは産業の分野からしても、国家戦略としてぜひ大臣にも応援をしていただいて、前に進めていただきたいと思います。

 このことについて見解を一言いただけますか。

渡邊政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、林業は今、転換期にございます。

 戦後造成いたしました人工林が本格的な利用期を迎えるという中で、年間の成長量に対しまして十分に利用し切れていない現状にあると思っております。このため、森林資源を切って使って植えるという循環利用を確立をして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要があろうかと思っております。

 その観点で、今後の森林・林業政策につきましては、原木などの供給の効率化を図っていくという面と、それとセットで、木材需要の拡大を図っていかなければならないと思っております。

 原木供給につきましては、先生、先ほど森林環境税のお話もございましたが、小規模零細な所有構造に民有林はあるものですから、そういう小さな所有者さんから森林を集めて、担い手の方が経営管理を行う、そういう集積、集約化を進めていく必要があることと、その活動を支える路網整備ですとか、高性能林業機械の導入による生産性の向上ですとか、あとは加工段階の製材工場などの大規模化とか高効率化とか、そういう供給側の対策をしっかり打っていきたいと思っております。

 また、それと並行しまして、木材の需要の拡大につきましては、経済界の御協力も得まして、公共建築物を始めとして、これまで余り木材が使われていなかった中高層ですとか中大規模、非住宅などの建築物の木造化、木質化を推進していくことや、付加価値の高い木材製品の輸出拡大、それにあわせまして、木質バイオマスのエネルギー利用の推進なども進めていきたいと思っております。

 なお、この木質バイオマスにつきましては、二〇〇六年については林地残材については九%しか利用がなかったわけですけれども、その後、FIT制度も導入されたこともありまして、二十八年には一九%まで上昇しているということで、この木質バイオマスの利用の推進というのが地域の活性化に非常に重要な役割を今後とも果たしていくのではないかと思っております。

 このような取組によりまして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図ってまいりたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。引き続き、国家戦略として、バイオマスの促進、そしてまた林業の促進、力を入れていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 そして、最後にRE一〇〇について質問をさせていただきたいと思います。

 企業の活動に必要な電力を一〇〇%再エネで賄うという事業、構想であります。脱炭素化の動きが世界的な潮流として着実に加速をしていることと思いますけれども、日本企業は今十五社参加と聞いております。

 地球温暖化対策のこと、そして脱炭素化を図ることが最大の目的となっておりますけれども、RE一〇〇の日本としての評価と、そしてまた、これから日本企業が参加していく見込みについて、これはなかなか明確に答えづらいかもしれませんが、環境省なんかも、五十社を目標にしているという発言もありました。これは、投資やイノベーションの機会を逸することにもなるかと思いますので、怠らずに推進をしてもらいたいと思いますけれども、現状をお聞かせいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギーの需要家が再生可能エネルギーの価値を積極的に評価するRE一〇〇のような取組というのは、再生エネルギーの需要を喚起することを通じまして、再エネの大量導入と、FIT等によらない自立化というものを促すものとして、歓迎すべきものであるというふうに考えてございます。

 御質問を頂戴しました今後の日本企業の参加の見通しは非常に申し上げづらいところでございますけれども、これまでの実績といたしましては、二〇一八年二月時点で三社であったところが、二〇一九年二月時点では十七社まで増加しているところと承知してございます。そういう意味でいいますと、非常に国際的にも注目を浴びておりまして、増加傾向にあることは事実だというふうに認識してございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 常識的に、民民の話だとなかなか答えづらいところはあるかと思います。日本企業も対応しないと、ビジネス的にもこれは影響が出てくる可能性がある。エネルギーの問題を含めですけれども、日本のそういったものの促進に対応していただきたいとお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

小田原主査代理 次に、阿久津幸彦君。

阿久津分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿久津幸彦でございます。

 本日は、いわゆるゴルフスタジアム問題を普遍的に取り上げまして、特定商取引法と割賦販売法等の課題についてお尋ねをしたいと存じます。

 後ほどゴルフスタジアム問題がどんな問題なのか御説明しますが、その前に、消費者トラブルを生じやすい訪問販売や、長期、高額の負担を伴う後払いの分割取引などから消費者を守る二つの法律について確認させていただきたいと思います。

 お尋ねします。特定商取引法と割賦販売法について、これらの法律は個人事業主にも適用されるのか。適用されない場合は、その理由も伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 まず、特定商取引法からお答えいたします。

 個人事業主の行う取引についての特定商取引法の適用については、具体的な事案に即して個別に判断されることとなります。

 その上で、一般論として申し上げれば、特定商取引法は、訪問販売や電話勧誘販売等の特定の取引類型のみを規制しており、また、当該類型に該当する取引であっても、営業のために締結される売買契約等には適用されません。これは、同法が特定の類型の取引に係る消費者の利益の保護を目的としているためです。

 したがいまして、一般論としては、個人事業主が営業のために締結する売買契約等には、特定商取引法は適用されないところでございます。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 続けて、割賦販売法について、経産省の方からお願いいたします。

江崎政府参考人 それでは、割賦販売法についてお答えをいたします。

 割賦販売法におきましても、今の御説明と同じように消費者の利益の保護を目的とする法律でありまして、営業のために若しくは営業として締結する契約は適用除外される規定がございます、これは第三十五条三の六十第二項第一号でございますが。

 したがいまして、個人事業主が営利を目的として契約を締結した場合は、割賦販売法の適用除外となることとなっております。

 以上でございます。

阿久津分科員 ただいま確認したとおり、特定商取引法と割賦販売法は、詐欺的な勧誘から契約者を守るために、何度かの改正を重ねて、ある程度精度が高い手当てがされている法律だというふうには存じ上げております。しかし、形式的にでも、事業者ということで事業用の契約書を使って契約してしまうと、せっかくの消費者保護規定がばっさり適用されなくなってしまうという課題が残ります。その抜け穴を巧みに利用して起きたのが、今回のゴルフスタジアム問題でございます。

 ゴルフスタジアム問題について、ちょっとお話をさせていただきます。

 ゴルフスタジアム問題は、ゴルフのレッスンを行っているインストラクター、資格もあります、業界ではレッスンプロと言ったりしますけれども、こうした方々が、ゴルフスタジアムという会社から、ホームページを無料でつくりませんかと勧誘された事案でございます。

 そして、無料ならばいいかと思って担当者に会うと、クレジットとかリースの契約書を渡されて、契約に必要なものなのでといってこれを記載させられました。被害者の方々は無料だと説明を受けているのでサインしてしまいますが、実は、その契約書にはMAソフトというよくわからないソフトの名前が記載されていて、そのソフトを数百万円もの値段で割賦で購入する旨の契約になっておりました。しかし、ゴルフスタジアムの担当者は、その割賦のクレジット代金若しくはリース代金は、毎月の支払い額と同額を、そのホームページにバナー広告を載せるのでその広告料としてゴルフスタジアムが払うから、契約者に実質負担はない、こういう説明をしたわけでございます。

 しかし、実際には、その広告料が途中で支払われなくなり、数百万円の債務のみが残ってしまった。しかも、契約書に記載されているMAソフトという商品は全く利用価値のないソフトで、実際、多くは開封すらされておりません。

 この事件は、要するに、ゴルフのレッスンプロたちが事業者であることを逆手にとって、事業用のクレジット契約やリース契約については割賦販売法、特商法などの消費者法が適用にならないのをいいことに、ゴルフスタジアムのような販売会社が信販の仕組みを利用した資金調達を行い、そのツケをレッスンプロたちに負わせるという、消費者法の不備を利用した事件なのであります。

 報道等によると、現在、約千名というゴルフのレッスンプロたちがこのままでは破産せざるを得ないという追い詰められた状況にあり、現にゴルフのインストラクターを廃業した人や、あるいは転職した人もいるというふうに聞いております。

 ゴルフスタジアムの負債総額は五十六億約六千二百万円。このうち三十六億七千七百万円がゴルフレッスンプロら千百五十三人の未払い分ということになります。

 そこで、世耕大臣にお伺いしたいと思います。

 経済産業大臣は、衆参の消費者問題に関する特別委員会でも取り上げられましたこのゴルフスタジアム問題について、どこかでお耳にしたことはございますでしょうか。これだけまずお答えください。

世耕国務大臣 正確にこの問題について大臣としてレクを受けたということはありませんが、報道等で少し概要は知っていたというふうに思っております。それで今回、通告をいただいて、改めて消費者特における議事録等を読ませていただきました。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 この問題は、もちろん個別案件としてはケース・バイ・ケースで、錯誤による無効、詐欺による取消し、公序良俗による無効等、民法九十五条、九十六条、九十条などに該当して、契約の効力が失われる可能性は十分あるというふうに思います。しかし、先ほどお答えをいただいたように、ストレートに法の読み込みをすると、個人事業主というのは除外されてしまうことになっております。

 そこで、一般論としてお伺いします。個人事業主を詐欺的な勧誘から保護するために、経産省としてどのような対策が講じられ得るか、お答えいただきたいと思います。

世耕国務大臣 御指定ですので、一般論として申し上げたいと思いますが、今回の問題のような詐欺的な勧誘に対処するためには、まずは、リースですとかクレジットなどの関連業界において、悪質事業者に関する情報を業界内で共有をする、業界全体としての取組がまず重要ではないかというふうに思っています。

 さらに、こういったクレジットやリース業界の自主的な取組に加えて、個人事業主に対する支援も行っていくことが不可欠だと思っています。

 例えば、よろず支援拠点では、税ですとか会計、法律などの専門家を配置をして、契約上のトラブルも含めて経営相談に応じるほか、下請かけこみ寺では、企業間の取引の問題に対する相談ですとかあるいは裁判外紛争解決、ADR手続による紛争解決などの対応を行っておりまして、こういったものも使いながら、実態に応じた支援を行ってまいりたいと思っております。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 個人事業主にも支援していただけるということなんですけれども、実は、結構多くの個人事業主は個人で自分で、確かにレッスンプロならレッスンプロという事業をやっていますけれども、個人事業主という自覚が必ずしも高くはないんですね。

 例えば、今回のこの案件のときの契約状況でいうと、自分で名前を書いて、そう言われたのでサインしようとしたら、いや、個人の名前じゃ困ります、屋号は何ですかと。屋号って何ですかと言ったら、あなたが持っている、税務報告をするときの名前です、何とか何とかスクールとかなんとかとあったでしょうと。それで、サインさせられて、判こを押す。

 かなり今回の場合は私は悪質性は高かったと思いますので、今二点御指摘いただきました、業界、団体としてもちゃんと頑張れ、自主規制含めてやれ、もう一つは個人事業主への支援、そこまではよくわかりましたけれども、相当これは力を入れていかないと、この問題は解決しないと考えております。

 ちょっと加えると、大体、レッスンプロの年収は二、三百万円です。もちろん、この中から切磋琢磨してはい上がってトーナメントプロになって、あるいは一流でトーナメントで優勝するみたいな事例もあります。しかし、実際はそういう低い中で頑張っている方々です。その方々が、今回の場合は二百万円から九百万円ものMAソフトを契約させられたわけです。これは、与信をしっかりやっていれば成り立たない契約だというふうに私は考えています。

 このように、ビジネスに習熟していない方々に対しても、また、カード決済を普及させるためには、個人事業主というのは何もレッスンプロだけではなくて、商店街のおじいちゃんやおばあちゃん、あるいはお兄さんやお姉さんもいらっしゃるわけですから、その方々の安心を守るためにも、経産省に、カード決済の安心づくりに向けてできることはいっぱいあると思うんです。

 ゴルフスタジアム問題で鍵を握るのは、大臣からも先ほど出ましたけれども、ゴルフスタジアムとレッスンプロたちとの契約を助長し、しかもゴルフスタジアムから高額の手数料まで得ていた大手信販会社でもあります。

 クレジット業界やリース業界には、監督官庁はあってないようなものだというふうにうそぶく者もおります。現行法だと、事業用の契約になってしまうだけで、登録制や改善命令の対象にすらならないからであります。

 大臣にちょっと伺いたいと思うんですが、このような法律の仕組みでは、被害に遭っても事業者は破産せよと言っているようなものだと思うんですが、経産省として、何らかの法改正を御検討いただくことはできないでしょうか。

世耕国務大臣 ちょっと、これはまだ通告をいただいていなかったので、ここは、私、閣僚としてうっかりしたことは言えませんので、まずは業界の取組と個人事業主に対する支援というものを充実をさせるということからスタートをさせたいというふうに思っています。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 次に、先ほど大臣からも御指摘をいただいた、私から言えば法整備前でもできることについて伺いたいというふうに考えています。

 クレジット業界、リース業界には、こうした被害の防止のために自主規制なども設ける、公益社団法人リース事業協会と一般社団法人日本クレジット協会があります。その取組について伺いたいと思うんですけれども、リース会社、信販会社の信頼性の担保、向上に向けて、業界、団体としてはどのような自主的な対策を講じているのか、経産省の方からお答えいただきたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘のございましたリース事業協会及び日本クレジット協会でございますけれども、業界の信頼性の確保、向上のため、それぞれ自主的な取組を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、リース事業協会でございますが、二〇一五年一月にガイドラインを策定いたしまして、悪質事業者がかかわっている可能性の高い取引に対してリース契約を結ぶことがないよう、ただいま大臣からもお答えさせていただきましたけれども、情報を共有するということ、そして、抱き合わせ販売のようなことはないということを確認する、そうした取組をリース業界を挙げて自主的に対策を講じているところでございます。

 また、日本クレジット協会でございますけれども、こちらは割販法に基づいて規制はございますけれども、更に安全、安心なクレジット取引環境を実現するために、適切な与信審査、そして本人意思の確認ということを行っているんですが、更にこうした取組の徹底を図るように対応を進めているところでございます。

 以上です。

阿久津分科員 公益社団のリース事業協会のガイドライン作成等については、一定の評価が与えられるべきだと思っております。これをやられたので、与信の強化も含まれていたと思うんですけれども、苦情処理が前向きに進んで、件数も減ったということも聞いております。

 一方で、正直に申し上げて、日本クレジット協会、理事長が元ジャックスの会長さんなんですね。それで、与信強化というんですけれども、ジャックスさんが、ゴルフスタジアム問題でも最大の被害者を出した、メディアにも再三取り上げられた企業だと私は認識しております。にわかには、適切な自浄作用は期待できないと私は考えております。

 そこで、信販会社等の実情をお話ししたいと思うんですけれども、本件で最も被害者数の多い信販会社は、三菱UFJグループの子会社であるジャックスです。ジャックスは、ゴルフスタジアムに対して感謝状まで送っています。ジャックスはホームページ上で、ジャックスは三菱UFJグループなので安心ですとうたっています。当然、三菱においては、子会社であるジャックスを適切に管理監督しているからこその安心だと思うのですが、実際にはこうした被害が起こっているわけでございます。

 本件に関与しているのは、三菱、ジャックスだけではございません。

 みずほグループであるオリコ。オリコは、企業イメージも非常によい、ブランド力がある会社ですけれども、その源泉は、二〇二〇年東京オリンピックゴールドパートナーにも名を連ねるみずほグループが株式の五〇%近くを保有しているからだと私は理解しております。ほかにも、同じく東京オリンピックのスポンサーに名を連ねている三井住友グループであるセディナなどがございます。

 こうした大企業が、消費者法の不備をいいことに、零細な事業者の犠牲のもと、多額の手数料収入を得ていたというのが現状だというふうに私は考えております。

 そこで、銀行法に基づき銀行を指導監督する立場にある金融庁へ質問させていただきます。

 リース会社、信販会社をグループ企業に持ち、また多くの株式を保有する銀行には、リース会社、信販会社へ助言する自主的な努力があってしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。

中村(修)政府参考人 お答えいたします。

 これまでのやりとりにありましたように、こうした問題への対応に当たりましては、業界による自主的な対応、それから個々のリース会社、信販会社における対応が重要であると考えておりまして、リース会社ですとか信販会社にあっては、取締役会等のガバナンス機能の発揮などを通じまして、みずからの業務運営の適切性確保、信頼性の向上に向けた取組を行っていただくことが必要かと考えております。

 その上で、銀行グループということでございますけれども、銀行ないしは銀行持ち株会社、さまざまな保有状況でありまして、株主構成もまちまちであります。関係の深さというのもその意味でまちまちということではございますけれども、御指摘のように、リース会社や信販会社の株を保有しているということでございます。

 いわゆる銀行グループとしましては、財務の健全性ですとかレピュテーション、グループとしての評判、こういったものの観点から銀行の経営に重大な影響を及ぼすような事項に関しましては、必要に応じましてグループ会社に指導助言、それからあるいは対話をするということで、グループ全体の適切な運営に資するように努めていただくということは、これは重要なことではないかというふうに考えております。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 私は、実は、もちろん金融庁が銀行を監督しているわけですけれども、その銀行法に基づいたかなり厳しい指導監督ぶりと比較すると、経産省のリース会社、信販会社への監督指導というのは、若干放任主義というか、緩過ぎるのではないかというふうに私は考えております。

 先ほどの法改正の部分も、大きな話でいえば、銀行法にあるような高い理想を掲げて、その上で、銀行法であれば預金者保護をちゃんとうたっていて、信用の部分を一番大事にしているというふうに考えているんですけれども、それに見合うぐらいの、リース会社、信販会社あるいはそういう業界に向けた、最終的には法律をつくらないと、こういう事件、案件は何度絶ってもおさまらないと思うんです。結局、今までのところはイタチごっこです。

 特定商取引法や割賦販売法等は、何度も何度も改正を重ねています。そのたびに、それぞれの起こった事象については何とか抑え込んできた、皆さんの頑張りで、きたわけですけれども、それがおさまると、また知恵を使ってくるんですね。今度は、私もまさか、消費者保護をきちっとある程度進めてきた特定商取引法とか割賦販売法の穴を、まさか個人事業主という抜け穴を見つけて入ってくるとは思いませんでした。

 個人事業主というのは、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、一番個人の消費者に近い方々だと思います。税務の報告のときも、法人の報告はございません。個人の所得を報告する。つまり、ほとんど個人と同じ方々です。この個人事業主という、この抜け穴を塞ぐために、もっともっといろんな努力、知恵が私たちを含めてあるんではないかというふうに考えておりますので、ぜひ、立法府と力を合わせて、皆さんにも引き続き御努力をいただきたいというふうに考えております。

 続けて、先ほど大臣からの答弁の中で、関係機関が自主的にこういうものについて積極的にしっかりと取り組んでいくという方向性をお示しいただきましたので、その延長線上で、プロゴルファー等の団体について少しお話をしたいと思うんですが。

 二〇二〇年東京オリンピックでは、ゴルフもオリンピックの公式競技になります。そこで、プロゴルファーなどが、やはりずっとスポーツに専念してきた方々ですから、社会のさまざまな荒波にもまれる中で、トラブルに見舞われることも今回のようにあると思うんです。そういう方々を守るべき日本プロゴルフ協会がこれまでに講じてきた、そういうトラブル問題の案件を処理するための対策と今後の防止策について、これはちょっと恐縮ですけれども、団体所管ではないというのは聞いているんですが、スポーツ庁の方からお答えいただきたいと思います。

齋藤(福)政府参考人 お答えします。

 日本プロゴルフ協会からは、この問題により自己破産に陥る会員が出てくるおそれがあったことから、救済措置として、昨年三月に、定款に定められています会員資格喪失の要件から、「破産手続きの決定を受けたとき」との要件を削除したと聞いています。

 また、会員をさまざまなトラブルから守るための教育として、協会に入会した会員が受講するセミナーにおいて、協会の顧問弁護士から、プロゴルファーが直面し得る法律問題等に関する講習を行っていると聞いています。

阿久津分科員 今の答弁は、スポーツ庁さんの方には感謝申し上げたいというふうに思うんですけれども、実は、メディア等の、日本プロゴルフ協会等の今回のレッスンプロ等被害者への冷淡さを指摘する声は非常に多いんです。

 といいますのは、既に本件のメディア取材が始まっている段階で、メディアに対して日本プロゴルフ協会がどう答えていたかというと、もう少し事態を見守るなどと発言しているわけです。早期に相談窓口等を開設して迅速な対応をしていれば、被害者はもっと少なくて私は済んだというふうに思っているんです。

 今、スポーツ庁さんの方からは丁寧なお答えをいただきましたけれども、破産された方々の、日本プロゴルフ協会の資格を保持できるようになったというのはありがたく思います。それから、教育をすることも大事だと思います。しかし、そういう上から目線の対応ではなくて、自分たちの、プロゴルフ協会の財産であるプロゴルファーの方々、あるいはレッスンプロの方々、あるいはアマチュアの方々、そういう方々全体にもっと謙虚に寄り添うような姿勢が日本プロゴルフ協会には必要だと私は考えているんです。

 スポーツ庁さんの方からいろんなアドバイスをしていただきたいと思いますけれども、これで足りなければ、公益社団の監督権限を持つ内閣府の方にいずれ再質問させていただくということを最後に申し上げておきたいと思います。

 商いは信用第一でございます。消費者はもちろん、小規模事業者を守るために、経産省、金融庁、消費者庁には、関係機関、クレジット業界やリース業界等、被害への適切な指導監督をお願いしたいと改めてお訴えしたいと思います。

 それから、かつ、被害が万一生まれた場合には、保険制度の創設等の検討もお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

小田原主査代理 これにて阿久津幸彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷(裕)分科員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 きょうは、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございます。

 また、大臣、本当に朝から御苦労さまでございます。具体的に、私、大臣に対しての質問というのは余り考えていないんですけれども、お耳をぜひかしていただいて、お力をかしていただきたい、このように思うわけでございます。

 私なんですが、北海道の空知、留萌管内という地域の選出でございます。そこは、石炭が今でも産出をしている、そういう地域でございまして、ちょっとそこの話をさせていただけたら、このように思っているわけでございます。

 石炭についてでございますけれども、国内の政策上は平成十三年でたしか終了していたというふうに考えておりますけれども、じゃ、石炭はどうかというと、この国のエネルギーとしては、今でも重要なエネルギーとしての位置づけがあるんだろうというふうに考えているところでございます。しかし、そのほとんどは輸入に頼っているという現状にあります。

 しかし一方で、北海道の空知地域を中心に今でも露頭炭の採掘が行われておりまして、埋蔵量にも大きな可能性がある、このように聞いているところでございます。

 世界的な石炭資源の情勢の中で、我が国の石炭資源の可能性についてもやはりしっかりと考えていくということが必要だと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、平成十三年で国内の政策は終わっているかもしれないんだけれども、再度、やはりこの位置づけがあったらいいな、このように思うわけでございますが、まず、こういった国内露頭炭の活用の可能性について伺いたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、石炭ですが、昨年七月に閣議決定されましたエネルギー基本計画におきまして、環境面で課題はある一方で、安定供給性や経済性にすぐれた重要なベースロード電源の燃料として位置づけられているところでございます。

 また、委員の御指摘のとおりでございますが、北海道空知地域からは、現在でも、国内消費の〇・三%に当たります約六十三万トンの露頭炭の生産が行われているものと承知をしているところであります。

 これまでも、国内の電力会社におきましては、安定供給や経済性の観点から、海外産の石炭と比較した上で、地域の発電所での利用を前提に一定量の調達が行われてきたものということでございます。

 今後も、空知地域で産出される石炭の持つ輸送距離の短さや安定供給上の優位性が国内企業により適切に評価されるということを期待してまいりたいと思っております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 世間の皆様には国内の石炭というのは忘れられているんじゃないかなと実は思っていました。

 北海道では、今、七つの炭鉱、露頭炭ですね、それから釧路にコールマインという、いわば実験みたいなことをやっているような炭鉱があります。このうちの七つの露頭炭なんですが、今でも実用というか実際に事業としてやっているわけでございまして、国内の政策が終わった後もこうやって頑張っておられるということでございます。ぜひ、やはり支えていかなきゃいけないんじゃないかという視点で、どうかお願いをしたいというふうに思っています。

 その意味で、今、エネルギーの地産地消というのが言われていると思うんです。資源の少ない我が国の場合には、多くの場合、風力であるとか地熱であるとか水力であるとか、そういった再生可能エネルギーに目が行くと思うんですけれども、この空知の地域に関して言えば、身近に石炭というエネルギーがあるわけでございますから、このエネルギー、石炭を使うということも地産地消だというふうに思っておりますし、この可能性も私は十分にあるというふうに思っているわけです。

 そこで、この国では、エネルギーの地産地消について考えているわけですけれども、特に石炭も含めて、可能性あるいはエネルギーの地産地消を進めていこう、どうか考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘のエネルギーの地産地消でございますが、地域資源の有効活用ですとか、又は新産業や雇用の創出を通じまして、地域の活性化に寄与するものだ、そのように認識をしているところでございます。

 空知地域の石炭につきましても、これまで地域に立地する発電所において、経済性や安定供給などの条件を比較する中で調達、活用されたことによって、空知地域の活性化に大きく貢献してきたものというふうに考えているところでございます。

 引き続き、空知地域の石炭が、地産地消の視点も含めまして、適切に評価されるということを期待したいと思っております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当に大事なものなので、よろしくお願いしたいと思います。

 この地域なんですけれども、旧産炭地域と言われる地域でございまして、代表的な町でいうと夕張市であるとか芦別市であるとか、皆さん聞いたことあるんじゃないかなと思うんですけれども。我が国の国内石炭政策は一区切りつけたということになっていると思うんですけれども、旧産炭地と言われる地域は依然厳しい状況にある、その中で、何とかこの町を、再建と言うのか、再び活気ある町にしていこうじゃないかということで、一生懸命努力をしているわけでございます。

 残念ながらですけれども、関係者の方あるいは町の皆さんは一生懸命頑張っているんですけれども、なかなか新しい基幹産業になるものが見つからない、人口減少も残念ながら進んでいる、そういう現状にあると思います。

 こういった旧産炭地の対策、閉山対策、さまざま打ち出されたというふうに思っていますけれども、その政策が終了して、一たび時間がたっているところでございます。ただ、やはりそう考えたときに、あのときに打っていた閉山対策が果たして政策的にどうだったのかな、しっかりきいていたのかな、そこをどうか、やはりもう一回見直す必要があるんじゃないか、あるいは総括する必要があるんじゃないかなと思うわけです。

 今の現状を見ていると、なかなか町は厳しいです。そういった中で、本当にあの政策がきいていたのか、やはりそこが気になるところなんですけれども、そこを確認したいと思っておりまして、ぜひそういった所感を伺いたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 旧産炭地域の閉山対策につきましては、昭和三十八年に第一次の石炭政策を策定して以降、平成十三年度までに約四十年間行ってきております。

 具体的に申し上げますと、石炭産業の合理化、構造調整の支援、それから生産縮小や閉山に伴う雇用対策、さらには産炭地域における新産業の創出などの振興対策、こういったものを実施してきておりました。

 先生御指摘のとおりでございますが、これらの対策を講じた地域の中でも、やはり、これは日本全体ということもありますが、高齢化や人口減少に伴う過疎化などが進んで、地域がやや疲弊しているというところも存在していることも事実だというふうに思っております。

 他方、対策によりまして、例えば、他の製造業の工場の誘致が成功したり、観光施設の建設などが行われて地域の活性化に成功した例もあるなど、先ほどの閉山対策も一定の成果を上げたものというふうに認識をしております。

 しかしながら、今後とも、旧産炭地域の自治体や事業者との意見交換も通じまして、産炭地域の状況の把握やそれを踏まえた対策の検討にもしっかり努めてまいりたいと思っております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと古い話なんですけれども、かつてこの衆議院に石炭対策特別委員会というのがございまして、私、まだ議員ではなかったのですが、国会議員の秘書としてそういったものにもかかわらせていただいてまいりました。結構古い話になるんですけれども。

 そんな中で、さまざまな対策を見せていただいておりましたし、さまざま考えてきたところなんですけれども、今、基金なんかもつくっていただいて、そういったものを活用しながら、地域の皆さん、例えば、先ほどおっしゃっていただいたように工場の誘致であるとか、さまざま小さなものは成功しているんですけれども、じゃ、抜本的に町が何とかなったかというと、やはりそれは厳しい情勢にある。

 これは全国的に言えることなのかと言われればそうかもしれないんですが、むしろ課題が先進している地域であるというようなことも言えるわけでございまして、そういった視点からもう一回見る必要もあるかもしれないんですが、やはり、旧産炭地域、かつて炭鉱で勤めていた方も含めて、いまだにその地域で生活をしておられます。そしてまた、その地域を何とかしていこうと頑張っているわけでございますから、ぜひ経産省さんにおかれましても、しっかりと温かい目で支援をしていただけたら、このように思うわけでございます。

 次の質問でございます。

 空知地域の石炭は、同じ地域にある火力発電所に提供されております。そして、地域の電力の安定供給にも貢献をしていただいているというふうに考えているわけでございますけれども、また同時に、この石炭産業及び関連産業は、産業の乏しい旧産炭地の地域経済にも大きな貢献をいただいていると考えております。逆に言いますと、この石炭産業がなくなるという影響はこの地域にとって大変に死活的に重要な問題になると考えております。

 今納炭している火力発電所、もう具体的におわかりだと思うんですけれども、かなり老朽化が進んでおります。今後の石炭の受入れについても、電力会社も中期、長期的な見通しを、こういった施設が古いということもあってなかなか明確にはしていただいていないようでございますけれども、結果、このことが地域にとって大変な大きな不安材料になっております。

 昨年のブラックアウト、北海道で地震があったときのブラックアウトの際にも、この地域の火力発電所が大変大きな役割を果たしたというふうに承知をしておりますし、この地域の火力発電所のリプレースメントなどをぜひお願いをしたいと思うんですけれども、あるいは、道内や国内のほかの火力発電所での露頭炭の活用など、地域支援策としても、またエネルギー政策としてもぜひ国として後押しをしていただきたい、こう考えるわけでございますけれども、所感を伺いたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりですが、昨年秋の北海道胆振東部地震の際も、空知地域で産出されました石炭がその地域の火力発電所で使われまして、北海道内の電力供給において大きな役割を果たしたということは認識をしているところでございます。

 個別の石炭火力発電所のリプレースですとか石炭の調達につきましては、これは各企業の経営判断の中で検討されるものではあるのですが、私先ほど申し上げましたが、まさに国内で産出される石炭が持つ輸送距離の短さですとか、国際政治動向に左右されない供給の安定性ですとか、そういったことがしっかり国内企業から適切に評価されるということを期待してまいりたいと思っております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当に、この地域にとって、旧産炭地にとって、産業がない、だけれどもあるのはこの石炭資源ということでございますから、活性化にはやはり石炭を使うのが一番早いんです。

 この地域では、今おっしゃっていただいたとおり、火力発電所に五十万トンとか六十万トンとか納入をさせていただいて経済が回っているところがございます。ここがなくなってしまうと、単純に雇用だけでも相当な影響があるだろうと思っているわけでございますし、炭車と地元では呼んでおりますけれども、石炭を納めているトラック、ダンプがあるわけですね。こういったものの雇用であるとか、それも相当な数がある。

 このダンプがなくなってしまうと、例えば冬期、冬場、除雪の際に運ぶトラックがなくなってしまう、ダンプがなくなってしまうとそもそも生活が成り立たなくなる、そんな話も聞こえてくるわけです。

 そうすると、実は石炭産業の話だけではなくて、地域が本当に存亡にかかわってくるというようなこともございまして、そういった意味で、本当に、この地域にとって露頭炭は大事なものなんだというようなことでございます。

 そういった地域政策という視点もあって、ぜひ活用いただきたいと思いますし、先ほどおっしゃっていただいたとおり、この露頭炭、可能性はいっぱいあると思うんです。確かに、外炭に比べれば単価は若干高いんだろう、コストは高いんだろう、あるいはカロリーの問題もあるのかもしれない。しかし、この国にとっても大変大切な資源だというふうにも理解をしておりますので、ぜひ経産省としても後押しをお願いをしたい、このように思うわけでございます。

 次の質問にさせていただきます。

 同様に、この旧産炭地なんですけれども、三笠市というところで地下ガス化の取組も行っているわけでございます。この三笠も旧産炭地でございます。そういったところで地下ガス化ということで、この間も経産省さんの御支援をいただきながら実験を積み重ねてきているというふうに承知をしております。最近では、文科省さんの御支援もいただきながらさまざまな実験もやっているというふうに聞いているんですけれども、よい結果、よい成果も見られたと伺っております。その成果についてお伺いをした上で、その可能性についてもお聞きをしたい、このように思います。

南政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員の御指摘のとおりでありますが、三笠市は、平成二十九年に室蘭工業大学とともに、地下十メートルにあります石炭層に酸素を送り込んで着火しまして、水素などのガスを採取する実証試験に成功したというふうに私も聞いているところでございます。

 今後は、ボーリングやガスの回収に係るコストの低減ですとか、又は地下水汚染対策、地盤沈下対策、ガス生産の安定化など、さまざまな課題の解決に取り組む必要がある、またそういったことも認識しているところでございます。

 今後も、自治体や関係省庁、事業者や研究者などとの意見交換も継続しまして、この研究の実証の進捗について情報収集をし、しっかり情報をフォローしてまいりたいと思っております。

神谷(裕)分科員 一つの自治体、市ではやはりなかなか難しいんですね。ですので、やはり国の支援というのが非常に大切なんだろうと思っています。

 そしてまた、この旧産炭地域の活性化のために、産業がないという中で、何とかしていこうという中で、さまざまな取組がある。その中の一つの取組としてのこの地下ガス化。あるいは、夕張の方でも、別の取組ですけれども、炭層メタンですか、やっているような経過もありますので、ぜひそういったところも含めて、可能性ということもあると思いますし、あるいはちょっと危ないというような見方をされている方もいらっしゃるようですけれども、そこはこの後の技術開発もあるでしょうし、前広に見ていただいた上で、ぜひ積極的な支援をしていただけるように再度お願いを申し上げたい、このように思います。

 これは通告していないんですけれども、大臣、国内の露頭炭ってごらんになったことございますでしょうか。

世耕国務大臣 残念ながら、見たことはありません。

神谷(裕)分科員 結構すごいものです。この北海道の産炭地域、芦別市とかそういうところでやっているんですけれども、一度ぜひごらんをいただけると、感謝を申し上げたいと思いますので、ぜひお願いをしたい、このように思います。

 質問を続けさせていただきます。

 同じように私の選挙区なんですが、留萌管内という地域も私の選挙区でございまして、この留萌管内では風力発電が盛んでございます。風力発電に向いた気候条件もあって、風も強いということもあって多くの風車が建設をされておりまして、大変に多くの風車が建っている情景って、これはすばらしい眺めでございます。

 一部では、この風車というか再生可能エネルギーという意味では、電力の安定供給というところでは厳しい部分もあるんじゃないかというふうな指摘もいただいているところでございますけれども、やはり、再生可能エネルギー、この可能性というのはしっかりと追求をしていかなければいけない、このように思います。

 この地域ばかりではないんですけれども、風力発電には大きな可能性があると考えているんですけれども、まずは、この風力発電について国として今後どうしていこうというのを、所感を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、風力発電を始めといたします再生可能エネルギーにつきましては、昨年七月の、閣議決定されました第五次エネルギー基本計画において、初めて主力電源化していくということを位置づけたところでございます。

 特に風力発電について言いますと、この計画の中でも、大規模に開発していけばコストは火力並みであるということから、経済性も確保できる可能性のある電源、エネルギー源であるというふうにしているところでございます。

 一方で、これを実際実現していくとなりますと、これは国民負担との両立ということもあわせて考えていかなきゃいけない。長期持続的に、安定的に入っていかなければならない。また、系統との関係の克服、問題の克服というのも重要であります。自然変動の電源でございますので、調整力の確保も重要な課題でございます。

 更に言うと、風力について言いますと、やはり、山がちの我が国の国土を考えますと、なかなか、人の住んでいる地域、もろもろとの関係を考えまして、大規模に導入できるエリアの限定性というところもございますし、その関連から環境アセスメントの問題というのも生じているように承知してございます。

 いずれにしろ……(発言する者あり)いえいえ。主力電源化していくためのさまざまな課題を認識した上で、これを克服していくことに一つずつしっかりと取り組んでいかなければならない、このように考えてございます。

 環境アセスメントについて申し上げますと、今、環境省と一緒になりまして、この手続をいかに短くしていくかということの実証事業を進めてまいりました。その成果がようやく出てまいりまして、自治体の方々も一緒になりながら、ゾーニング、さらには、この実証事業の成果の普及、展開というのを進めていきたいと思っています。

 また、さきの臨時国会で洋上風力の法律が成立したわけでございますけれども、ポテンシャルが広がる一般海域というのはさらなる洋上風力の拡大が見込まれる地域でございますので、こういったことも含めまして、先ほどたくさんの課題を申し上げましたけれども、一つ一つ解決していくべくしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。(神谷(裕)分科員「基本的には前向きなんですよね」と呼ぶ)もちろんでございます。しっかりと取り組んでまいります。

神谷(裕)分科員 前向きだということを言っていただいたと思っておりますので、大臣、前向きですよね。

世耕国務大臣 いや、主力電源化と言っておりますので、極めて前向きであります。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 実は、私の選挙区の自治体の中でも、風力発電所、これまでたくさん建てていたんですけれども、更新期ではないんですが、大分時間もたってきた、あるいは新しいものを建てていくというようなことで、どうしようか、さまざまな議論があったというようなことでございます。

 最終的には地方議会さんも同意をする形で前に進んだというような経過がありますけれども、ぜひ、そういった前向きのメッセージを、もちろん課題はたくさんあるんだろうということは十分理解しつつも、ぜひ出していただきたいと思いますし、主力電源化ということでございますから、本当にいいメッセージだと思いますので、ぜひそういったところも前に出していただいたらと思います。

 そういった意味で、今もう課題を幾つか言っていただいたんですけれども、風力発電を生かしていくためには、おっしゃるとおり採算性というのが非常に重要だと思っております。実際に、先ほど申し上げた議会においても、採算性は大丈夫なのかというのがかなり議論になったというふうに聞いております。

 それを支えているのが、やはりFIT制度とかさまざまな制度があると思うんですけれども、このFIT制度についてさまざまな制度の見直しの動きも聞いているところなんですけれども、再生可能エネルギーを支えてきた大きな柱であったことは間違いがない、このように思いますが、今後の再生可能エネルギーの消長にも大きく影響すると思われるFIT制度の今後について伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、再生エネルギーの導入の拡大には、コスト面ということが非常に大きな課題となってまいります。

 やはりまだ、初期の段階で申し上げますと、導入コストが高うございます。これは世界共通でございます。これを支援するためにフィード・イン・タリフという制度ができまして、採算面で経済的な支援ができるように買取り価格を決めて、導入促進を図ってきている。日本の場合についても、二〇一二年に導入がされて以降、特に太陽光が中心でございますけれども、このFIT制度の導入によりまして、非常に多くの再生可能エネルギーの導入が実現されてきてございます。

 今後は、これを主力電源化していくために、いかに長期安定的に定着していく電源に育てていくかということが重要でございます。

 ちょっと言いかえて申し上げるならば、太陽光の、より高い価格で初期導入したものというのは、やはり国民負担がふえてしまいます。現状で申し上げますと、既に賦課金の総額というのは二・四兆円に達しているところでございますが、いかにこれを、事業の競争力を高めていって、将来ほかの電源と競争できるものにしていくかということに我々は全力で取り組んでいきたいと思っています。

 ですので、国民負担の抑制ということと導入の最大限の拡大ということをいかに両立するかということを、今後のFIT制度のあり方としては検討していきたいと思っております。

 先ほど、リプレース若しくは新設というお話がございましたが、特に風力について言いますと、歴史が長うございます。初期の段階で建ったもののリプレース案件をどうするか、これは留萌の御地元の方々ともいろいろと御意見を聞きながら、リプレースに関する特別の価格区分を設けたという経緯もございます。長期の投資の予測可能性を高めるように複数年度の価格をつくるという改正も前回行ったところでございます。

 技術開発の支援もしていかなければならない、さまざまなことによって、こういう国民負担の抑制と最大導入の両立、こういう方向で、FIT制度のあり方というのは検討していきたいと思ってございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当に大事なものだと思っていますし、この地域は本当に気象条件はいいものですから、もう御案内だと思うんですけれども、風力発電の可能性は大いにある地域でございます。そこでまた増設をしていく、あるいはこれを充実させていくんだということをこれまでも考えてきたわけですけれども、やはり若干課題があるのかなというふうに聞いているところでございます。

 その課題の中の一つに、利用していくために、広域での連系網の整備というんですかね、送電網の整備というのか、そういったものが必要なんだというようなことで伺っております。

 電力会社の方もそれを理解をしているのかなとも思っているんですけれども、送電網の整備についても、これまで経産省さん、御支援をいただいてきた、そのための措置もやってきていただいたなというふうには承知はしているんですけれども、現状で、この地域、昔から言われているんですけれども、なかなか整備、進んでいないんです。

 ぜひ、この可能性を高めるためにも、あるいは、本当に好適な地域で、ぜひ前に進んでいきたい、こういった再生エネルギーを進めるべきだと思うんですけれども、そういった地域なんですけれどもなかなか進んでいかない。そういったことについて、何でなのかな、改めてそういったことも心配しておりますし、そのためにもぜひ後押しをしていただきたいと思うんですけれども、あるいは支援をしていただきたいと思うんですけれども、最後にこの点を伺いたいと思います。お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、北海道は非常に風況のよい地域が多うございます。北海道に限らず、日本各地に風力発電の導入に適するような地域が多数ある一方で、調整力の問題と系統の問題ということを克服しなければならないということが今現実の問題として生じてございます。

 今の既存系統、現在の送電線の系統といいますのは、長年にわたりまして、需要地と供給地の間を結ぶ送電線というのを積み重ねる形ででき上がってまいっております。この既存の系統の中で、その空き分のところをうまく活用して、今までの発電エリアではないところに入ってくる風力、太陽光、さまざまな分散型の再生エネルギーをいかに入れていけるか。

 最初のうちは既存系統で受け入れていけるわけなんですけれども、どこかの時点でそこでは受け入れ切れない、往々にして、それは需要の密度の低いと申しますか、送電の密度の低い地域がよりポテンシャルが高いものですから、という問題が生じ、特に北海道、留萌の地域もそうでございますけれども、ポテンシャルをいかに生かすかということが課題となっているところだと認識してございます。

 経産省としましては、そこにおける事業者の皆様と一体となった送電線の整備支援事業ということも進めてまいりました。一部の地域では、これが今着々と前に進みつつあるというふうにも認識してございます。

 ただ、これから先を考えていきますと、まずは今ある既存系統をいかに有効活用するかということが重要かなということで、日本版のコネクト・アンド・マネージと呼ぶわけでございますけれども、潮流を精緻に予測して空き容量をふやしていく、若しくは、緊急時のためにとってある空き容量に制御装置をつけることによって有効活用していく、こういった取組を、今ルールをつくって、これから接続可能容量をふやしていくという取組も進めてございます。

 ただ、既存容量の利用ということだけでは、将来の再生エネルギーの最大活用、最大導入ということでは十分ではないことはよく認識してございます。そういう観点から、我が国の電力系統を、再生可能エネルギーの大量導入などの環境変化に応じた形での次世代ネットワークに変えていくというためには何をしていかなきゃいけないかということの観点で、まさに先週、関係する審議会を立ち上げたところでございます。

 その中では、次世代の電力ネットワークの形成のあり方、その際の負担のあり方、当然負担が出てまいります、現行の託送制度のあり方の見直しも含めまして、国としても、しっかりとした送電網の整備が行われていくように検討を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当に、地域として、風力発電、可能性があるというふうに思っています。そのための整備も積極的にやっていこうと思っています。

 ただ、それをやろうとしたときに、この送電網であったり、時に、口の悪い人は電力会社がとめているんじゃないかみたいなことを言われるような方もいらっしゃいます。そういったことはないというふうには思ってはいるんですけれども、やはり進んでいないというような実感があるんだと思います。

 先ほどお話にあったように、前に進めるために努力をいただいていると思いますので、そういったことを今後ともぜひお願いをしたいと思いますし、大臣にもぜひ後押しをお願いをしたい、そのことを申し述べさせていただいて、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

小田原主査代理 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

逢坂分科員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。よろしくお願いします。

 ちょっと順番を変えまして、先に放射線副読本の話を最初に聞かせていただきたいと思います。

 この放射線副読本ですけれども、予算額がどれぐらいで、何部ぐらいつくって、どういうところへ配付をしているのか、これを教えていただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度予算において、放射線副読本の改訂、普及に係る経費として一億七千九百万円を計上しております。配付部数は、小学校、中学校、高校を合わせて約一万四千五十部となっているところでございます。

逢坂分科員 こういう副読本をつくる根拠は、一体どういうところにあるんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 福島復興再生特別法を始めとする関係法令等におきまして、国が放射線に関する国民の理解を深めるための広報活動、教育活動その他の必要な措置を講ずることが定められているところでございます。

 このため、文部科学省では、学校教育におきまして、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう、放射線副読本を作成、配付しているところでございます。

逢坂分科員 放射線に対する理解を深めるということですが、これは、なぜ放射線への理解を深める必要があるんですか。世の中にはいろいろな物質がありますけれども、なぜ放射線だけを取り上げて、深めるということを考えられたのか。

矢野政府参考人 東京電力福島第一原子力発電所の事故がございましたが、その事故以来、避難児童生徒へのいじめが大きな課題となるなど、放射線への関心が非常に高かったという状況にございます。

 このため、学校教育におきまして、原子力事故による放射線の影響等も含め、放射線についての科学的な知識を児童生徒に教えていくということが重要であり、文部科学省では、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう、放射線副読本を作成し、全国の小中学校、高等学校に配付しているところでございます。

 なお、先ほど一万四千五十と申し上げたかもしれませんが、失礼しました、約千四百五十万部の誤りでございます。

逢坂分科員 放射線のことを理解してもらおうって、放射線はどういうものであるという理解をしてもらいたいと思っているんでしょうかね。その点はいかがですか。

矢野政府参考人 繰り返しになりますが、放射線についての科学的な知識を児童生徒にしっかりと教えていくということで、放射線についての理解を深めることができるために作成しているということでございます。

逢坂分科員 放射線についての理解を深める、それはどういう理解を深める、要するに、放射線ってどういうものであるということを知ってもらいたいんですかね。

 これは簡単なことじゃないと思うんですよ。だから、こういう副読本をつくるからには、どういう立ち位置でこれをやっているのか。理解を深めるということはわかるんですけれども、どういう理解を深めてもらいたいのか。どうも、この副読本を見ると、私には余りよくわからない。どういうスタンスなのかがよくわからない。いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 放射線副読本を活用する場面でございますが、これは各学校の判断に委ねられているものでございますが、例えば理科などで活用することが考えられます。理科では、例えば、中学校の二年、電流の学習の中で、エックス線と同じように透過性などを持つ放射線が、医療や製造業などで利用されているというようなことも触れる。あるいは、三学年の授業で、エネルギーの学習の中で、原子力発電でウランなどの核燃料からエネルギーを取り出す際、放射線が核燃料から出ていたり、宇宙から降り注いでいることなどに触れるということが学習指導要領の中で触れられております。

 放射線副読本は、関係する教科等で広く活用していただける内容となっておりますので、各学校や教師の方々が、この副読本を創意工夫して使っていただくというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

逢坂分科員 少し具体的なことをお伺いしたいんです。

 きのうこの副読本をいただきまして、中を見て、例えば、このマル・バツ問題というのがあって、放射線は風邪のように人から人へとうつることがあるかないかという問いがあるんですよね。風邪のように人から人へうつることがあるかないか。この答えはバツなんですけれども、そういうことはないという問いなんですけれども、この問いというのは、一体、放射線に対してどういう理解を深めてもらいたいという意味の問いなんでしょうかね。私は、どうもこの問いの真意がわからない。

 だから、基本姿勢がどういうものでつくられているのかときのうも聞いたんですけれども、余りよくわからないんですね。いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、小学生のための放射線副読本の十五ページの部分でございますが、一番最後にこういう記述がございます。また、今回の事故の影響で原子力発電所の周辺に住んでいた人が放射線を出すようになるというような間違った考えや差別、いじめも起こりました、原子力発電の周辺に住んでいた人が放射線を出すようになることはありませんし、放射線や放射能が風邪のように人から人にうつることもございません、こういう文脈でございます。

 こういうような風評被害、差別、いじめ、そういったものを防ぐという観点から、今回、こういう記述がなされたものでございます。

 以上です。

逢坂分科員 その説明は、必ずしもわからなくもないんですけれども。

 でも、放射性物質を体に浴びている人がそばに来る、私が、今、お答えいただいたのは矢野さんですか、矢野さんのそばへ私が行く、そうなったときに、矢野さんには放射線の影響というのは及びますでしょうかね。私が放射性物質を体に浴びたわけです。私の体に放射性物質が付着しているわけです。私が矢野さんのそばへ行ったら、矢野さんはその放射線の影響を受けますでしょうか、受けないでしょうか。いかがですか。もしかしたら知識がないのかもしれませんが、いかがですか。

矢野政府参考人 申しわけございません。その点に関しては、私、知見がございません。

逢坂分科員 それじゃ、放射性物質のそばへ人間が近寄っていったら、その放射線の影響は受けるかどうか。いかがですか。

矢野政府参考人 具体的な場面がやや不明確なので、明確にお答えすることがなかなか難しいわけですが、例えばこの資料の中に、中学校の方ですけれども、二十ページに、外部被曝の線量を少なくするための方法として、「放射性物質から距離をとる、放射線を遮る、放射線を受ける時間を短くする方法があります。」というような記述、これからすると、今委員が御指摘になったようなときについては、当然影響があるというふうにこの本は解釈しているということでございます。

 以上でございます。

逢坂分科員 そうなんですよね。放射性物質のそばへ行くと、放射線量の高い低い、いろいろな種類はありますけれども、影響は受けるわけですね。だから、風邪のように人から人へうつることはないというのは、確かに風邪のようにうつることはないかもしれませんけれども、放射性物質を浴びてしまった人のそばへ行くということは、それは放射線の影響を受ける可能性もあるわけですよね。

 だからといって、私は、そのことを殊さらに強調しろということをあえて言いたいわけではないんですが、例えばこのような問い、放射線は風邪のように人から人へうつることがあるか、それはありませんと。確かに風邪のようにはうつらない。だけれども、こういう言い回しをするというのは、少し誤った印象を与えるのではないかという懸念を持つんですね。

 確かに、風評被害を防ぐ、それを防止するという観点はわかるんですが、非常にやはり注意深くやらなければいけないのではないかと思っていますので、少し、この副読本を見ると、おやっと思うような記述がある。特に、これは小学生向けのものですけれども、少し注意をした方がいいのではないかというのが私の率直な思いです。

 それで、これは大体何年生ぐらいを対象にしてというふうに考えているんでしょうか。

矢野政府参考人 特に指定しているわけではございませんで、二種類、小学校向けのものと、中学校、高校生向けのもの、つまり、小中高生向けというふうに考えているところでございます。

 ただし、学習指導要領では、大体、中二、中三、高等学校で触れるように学習指導要領ではされているところでございます。

逢坂分科員 この副読本の中には、広島、長崎の原子力爆弾、そのことによって日本が大変な被害をこうむった、世界で唯一の被爆国であるといったような記述はありますか。

矢野政府参考人 広島、長崎については、以下のような記述がございます。放射線が人の健康に及ぼす影響については、広島、長崎に原子爆弾、原爆が落とされ、放射線の影響を受けた人々の調査などの積み重ねにより研究が進められてきており、放射線の有無ではなく、その量が関係していることがわかっています。

 以上でございます。

逢坂分科員 日本の歴史を考えたときに、広島、長崎のことというのは非常に大事なことだと思いますので、全体的に記述が、私はこの程度でいいのかなという印象は持っております。

 それで、もう一点です。

 この副読本を全国の学校に配ったと。これを利用するかしないかは、それぞれの学校現場の判断ということでよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 御指摘のとおりでございます。

逢坂分科員 文部科学省として、この副読本を使っているか使っていないか、こういうことを調査する予定というのはありますでしょうか。

矢野政府参考人 本副読本の活用につきましては、各学校の判断に委ねられているというものでございますけれども、御指摘のとおり、今後、放射線教育を更に充実していくというためには、学校における活用状況を把握していくという必要も考えているところでございます。

 そのため、今後、授業での活用状況、活用した教科名、活用に当たって工夫した点、改善すべき点などについて、学校現場の調査に関する事務負担にも配慮しつつフォローアップを行いたいというふうに考えているところでございます。

逢坂分科員 学校現場で副読本を使うか使わないか、それは学校の現場の判断だということ。でも、一方で、どういう教科に使ったか、どういう工夫をしているかということを調査、フォローアップという言葉を言いましたけれども、調査をするんだということでありますけれども、そんなことをやってしまったら、使っていないところは、これを使わなきゃいけないんじゃないかな、そういう圧力は働きませんか。大丈夫ですか、それは。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 このような副読本のようなものをつくるとき、やはり我々としてはベストなものをしっかりとつくっていきたいというふうに考えておりまして、授業でどのように活用されたか、されなかったか、なぜなのか、あるいは、いい事例があった、そういった場合はぜひ横展開していくというような工夫が必要だと考えておりますので、決して、圧力が働くとか、そういうものではないというふうに考えております。

逢坂分科員 調査をするときに、私は、調査そのものも、現場の判断に任せているのなら必要ないんじゃないかなという気はするんですが、ただ、税金を使っているんですから、やはり調査しなきゃならないという声もどこかにあるのかもしれません。でも、それは、あくまでも副読本を使うのは学校の自主的な判断ですよ、使わなくてもいいんですよ、使ってもいいんですよというようなことが明確にわかる形で調査をしなければ、私、現場に変な誤解を生むような気がするんですよ。

 文科省からこういう調査も来ている、地元の教育委員会を多分通してそういう調査が来るんだと思うんですけれども、そうなれば、何かこれを使わないと悪いんじゃないかな、そう現場が思うと、私はこれはまずいと思うんですよね。その点、十分配慮していただけますかね。いかがですか。

 この点、あれですか、事務方が答えるのはつらいかもしれません。浮島副大臣、いかがですか。

浮島副大臣 しっかりと配慮をさせていただきたいと思います。

逢坂分科員 放射線の問題というのは、すごく、私、難しいと思うんです。本当に不思議な物質なので、いろいろな誤解を生んだり、あるいは、正しく知っていても正しいことがうまく人に伝えられなかったりするわけですので、こういうものをつくるということも、相当慎重にやらなければ誤ったイメージを持たせることになってしまいますので、ぜひ丁寧にやっていただきたいと思いますし、今、副大臣がおっしゃっていただいたように、調査を仮にするにしても細心の注意を払っていただきたい、そのことを申し上げさせていただきます。

 この点の質問を終わりますので、文科省の関係者の方、どうぞ御退室ください。

宮下主査 文部科学省関係者の方、どうぞ御退室ください。

逢坂分科員 それでは、次に、泊原発の規制庁の審査の関係についてお伺いをしますけれども、規制委員会では、泊原発の活断層について今審査をしている最中だというふうに承知をしております。

 泊原発の敷地内にF―1という活断層があるということですが、これの現在の審査の状況と、その内容をお知らせください。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 北海道電力泊発電所の審査については、現在、地震、津波の審査を中心に進めております。

 課題は、敷地内の断層が一つの大きな課題でありまして、この敷地内の断層の活動性、それから敷地外の積丹半島西方沖の断層による地震動評価について審査を進めているところであります。

 御指摘のように、二月二十二日の審査会合におきまして、敷地内におけるF―1断層の活動性を、北海道電力はその活動性がないということをきちんと立証できていないという指摘を行ったところであります。

 原子力規制委員会としましては、引き続き、透明性を確保しつつ、科学的、技術的な見地から、同発電所の審査を厳正に進めていく考えでおります。

逢坂分科員 更田委員長みずからお答えいただきまして、ありがとうございます。

 山田部長でも更田委員長でもいいんですけれども、もう少し素人にもわかりやすく教えてもらいたいんですが、断層がある、それが活断層であるかないかということは、泊の場合は、なぜ今その証明ができないのか。

 私の理解では、その上に地層があって、その地層が十二万年から三万年ですか、その地層が載っかっていれば、その断層は動いていない。この辺の関係はどうなっているのか、ちょっと素人にもわかりやすく教えていただけますか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 当該断層よりも上に古い地層が載っていて、その地層がその断層によって動いていないということを示せれば、対象期間中に動いてはいないということの立証になります。

 当初、北海道電力はそれを火山灰の痕跡によって立証しようとしておりましたけれども、それは立証に足るだけの十分な痕跡、データ等が得られないために、現在、ちょっと専門用語ではありますけれども、段丘編年という別の手法での立証を試みているところであります。

 しかしながら、二月二十二日までの審査の段階におきましては、北海道電力が敷地内にあるF―1断層の活動性を否定するに足るだけの十分な立証ができていないという判断に至っているところであります。

逢坂分科員 なるほど。断層がある、断層の上にある種の層がある、その層がある一定程度古いものであって、それが動いていなければ、その断層というのは、ある一定の期間よりも後には、こちらの新しい時期には動いていないという証明になるんだ、こういう理解で、首を縦に振っていただきました。

 その断層の上に載っている層というのは、年数でいうと十二万年から三万年ぐらいの層という理解でいいんですか、北電が主張していたのは。その点はいかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 この十二―十三万年というのは審査の際に用いている尺度でありますけれども、その上に載っている層が十二ないし十三万年よりも更に古いものであるということを示して、その上で、そこに痕跡がないということがあれば、最近の活動はないという立証に至るわけですけれども、それに足るだけの証拠がこれまでに、今のところは示せていないというのが現状であります。

逢坂分科員 仮に北海道電力がこのF―1断層を活断層ではないんだということを立証できないとした場合に、これは原子力発電所の施設の直下にあるものではないというふうに理解をしていますけれども、直下にない断層であるという場合に、活断層ではないんだという証明ができない場合は、何らかの対策をとってこの泊原発を稼働させるということは可能なんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 泊発電所はまだ審査の途上でありますので、個別の具体的な件についてはちょっとお答えをするのはふさわしくないと思いますけれども、まず一般論で言いますと、十二―十三万年以降に動いた痕跡があって、活動性があると認められた断層の直上には、安全上重要な施設を設置することが許されません。

 したがって、その発電所がその上に安全上重要な施設を持っているような設計であったらば、その施設を別のところへつくるか、ないしはその発電所を、その炉を使わないということになります。

 また、活動性のある断層が近くにいるということで、さらに、それが震源となり得るという判断であるとしますと、そういった意味では、非常に近いところに震源となる断層があるわけですので、当然のことながら、地震動評価は厳しいものになってまいります。

逢坂分科員 私、余り地震のことは詳しくないんですが、活断層だけが地震の発生の原因みたいな言われ方を多くの場面でされているんですけれども、規制委員会としては、活断層以外にも地震の発生ということを考慮するような要素というのはあるんでしょうか。この点、最後にお伺いして、この質問を終わりたいと思います。

山田政府参考人 断層について活動性があるかどうかということを評価をした上で、先ほど委員長が申し上げましたとおり、活断層が露頭している上に重要な施設をつくってはいけないと。であるから、そうでない場合については、地震動をきちんと評価してくださいということになっておりますけれども、それに加えて、審査におきましては、震源を特定しないで評価をするという場合がございますので、それについては、安全の観点から、震源がまだ特定されていない、活断層かどうかということは評価をしない上で、ここには、これについては断層があると評価をして地震動を評価してください、そういったような要求はしてございます。

逢坂分科員 どうもありがとうございました。

 それでは、更田委員長、山田部長、これで質問を終わりますので、どうぞ御退室ください。

宮下主査 原子力規制庁、規制委員会の皆様、御退室ください。

逢坂分科員 それじゃ、最後に、北海道と本州の送電線、北本連系線についてお伺いをします。

 北海道と本州の間にとって、北本連系線、非常に重要で、現在六十万キロということですが、三十万キロの新たな工事もされているということですので、この工事の状況と供用開始の時期などについてお知らせください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の、いわゆる新北本連系線につきましてお答え申し上げます。

 当該連系線につきましては、ことしの三月までに、六十万から九十万キロワットまで増強される予定でございます。

逢坂分科員 これで本州と北海道の間が九十万キロになるということなんですが、例えば、四国と本州の間は百二十万キロ、九州と本州の間は二百三十七万キロ、こういう送電線があるというふうに承知をしております。

 北海道についても、先般のブラックアウトなどを考えると、さらなる北本連系線、北海道と本州の連系線の強化が必要になると思うんですが、この見通し、計画についてお知らせください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた北海道のブラックアウトを受けまして、昨年十一月に開催されました重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議におきまして、新北本連系線のさらなる増強について、シミュレーションなどによりその費用対効果を確認しつつ、ことしの春までをめどに具体化を図ることとされておりまして、現在、北本連系線の増強ルートですとか費用対効果等につきまして、電力広域機関におきまして技術的な検討が進められているところでございます。この結果も踏まえまして、政府としても適切に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

逢坂分科員 費用対効果を考えるということですけれども、今青函トンネルを走っている北本連系線、この費用は北海道電力が負担したというふうに承知はしていますけれども、新たに計画する北本連系線の費用負担というのはどうなる予定でしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 北本連系線のさらなる増強を行う場合の費用負担でございますけれども、これをつくる場合には、恐らく、緊急時には、北海道に電気を送り安定供給を支える役割を果たしますけれども、通常時におきましては、北海道の再エネ等の電気を本州に送るといったような役割も想定されますものですから、その意義を含め、適切な受益と負担の関係に留意しながら負担のあり方を検討する必要があると認識してございまして、こういった認識に立って、現在、今月二十一日に、専門家による新たな検討の場を立ち上げさせていただいたところでございますけれども、この場におきまして、先ほど申し上げた認識に立って審議が進められているという状況でございます。

逢坂分科員 大臣、去年のブラックアウト、本当に大変でした。私も二日間電気のない暮らしをして、マンションの七階にいて、水が出ないということ、当然トイレが使えないということ、さまざまな不都合があったんですが、ただ、幸いに九月だったということで、暖房の必要のない時期だったので、よかったなと思っています。不幸中の幸いだったとは思っていますが、もし、仮に今の時期にあのブラックアウトが起きたら、私も多分相当なダメージを受けたと思いますし、命を落とす方もおられたのではないかと思います。

 その意味で、先ほど北本連系線の整備について、BバイC、費用対効果という話がございましたけれども、果たして費用対効果の問題なのかなと。人の命を守るという意味でこの北本連系線の増強というのは必須のものではないかと思っているんですけれども、大臣のお考え、いかがでしょうか。費用対効果だけにとらわれるのはまずい、人の命を守る、その意味でこの北本連系線が要るんだ、私はそう思っているんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 そういった考え方も含めて、一体これ、まあ、国が負担するということになった場合は、これは全国民、税金ということになるわけですから、どういう費用負担のあり方があるのかということを余り先入観なしにしっかり議論することが重要だというふうに思っております。

 いずれにしても、北海道のエネルギー供給の強靱性を図っていくということは非常に重要だと思っております。

逢坂分科員 最後に一言だけ。余りBバイCにとらわれることなく、国民の命を守るという観点で、ぜひ整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

宮下主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野分科員 国民民主党の浅野哲でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 本日、私の方からは、改元に伴う情報システム改修等への対応、そして診療報酬改定に伴うレセプトコンピューター、通称レセコン改修への対応、また、バイオ燃料について、そして自動走行車両の実用化について、この四つのテーマで質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、改元対応について質問をさせていただきます。

 ことし一月四日の総理の挨拶の中では、本年四月一日に新しい元号を公表するということがありました。まず、この方針について現段階で変更がないかどうか、確認をさせてください。

吉岡政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのございました新たな元号につきましては、国民生活への影響を最小限に抑える観点から、四月一日に元号を改める政令を決定し、公布することといたしております。

 政府といたしましては、その準備に万全を期してまいりたいと考えております。

浅野分科員 ありがとうございました。特に現段階でその方針に変更はないという理解をいたしました。

 前回の改元時、つまり昭和から平成に変わるときは、直前に平成という元号が公表になったということもあって、大変、元号を使った、和暦を使ったシステムを修正する作業がかなり膨大な作業になった、しかも期間が集中していたので、その産業の現場ではかなり混乱が生じたという事実がございます。

 三十年前と今とを比較したときに、三十年前はまだそれほどITシステムというのは高度でなくて、比較的、一つ一つのシステムを単独で修正すればよかったんですけれども、やはり今、この時代になりますと、ITシステム同士が複雑に連携して、絡み合って、相互依存をしている状況にあるということで、改修作業と一言で言っても、かなり高度な作業が要求されると想定されています。

 産業界の理解をしっかりとしていただきながら、この作業、準備を進めていかなければいけないんですけれども、経済産業省では、その一環として、今、全国十カ所で説明会を開催しているということであります。きょうも四国の高松の方で説明会が行われているということでありますけれども、これまで五カ所、本日が六カ所目ということで、残り四カ所ということであります。

 この説明会、ぜひ現場に直接経産省の方が行って、直接やりとりをして、周知を広めていくということは大事だと思いますけれども、実際にどのくらいの方々が参加しているのか、また、その中でどういう意見が出て、経産省としてはどういう対応をする予定なのかということを簡単に御説明願えますでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたように、経済産業省では、ただいま、民間企業の皆様方に対して、改元に伴う情報システム改修等の対応についての情報提供を行っていくということを目的といたしまして、二月十五日から三月十八日にかけて、全国十カ所で説明会を開催いたしております。

 実際、参加いただいている方々の人数でございますけれども、多いところで、例えば東京でございますと二月十五日に実施しておりますが、百九十名の方々にお越しいただいております。地方によっては数十名というケースもございますけれども、数十名から大体二百名弱といったようなところになっております。

 説明会では、独立行政法人情報処理推進機構、いわゆるIPAさん、それと、あとはITベンダーの方々にも御協力いただき、経産省の職員もみずから説明に赴きまして、改元に伴う情報システムの対応について、想定される段取りや、あるいは留意すべきポイント、それから新元号の実装方法などについて説明を行っているところであります。

 これに対して、実際に現場で、説明会の参加者の方々からいただいている御質問としては、やはり実際のアップデートの方法など技術的な質問が多い状況なのかなというふうに承っております。

 こうした技術的な質問への対応も含めまして、引き続きITベンダーの皆様とも協力しながら、説明会はもちろん、それに加えてホームページなどでも資料を掲載するなど、引き続き民間企業等への情報提供をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

浅野分科員 ありがとうございます。

 説明会に来ていただいている方々が数十名から二百名規模ということでありました。多いか少ないかはともかくとして、やはりITシステムにかかわる業者さんの数はそんなオーダーではありませんので、まだまだ、経産省の方々が説明する情報に触れていない方もたくさんいらっしゃると思います。ホームページでの公開等も検討されているようですけれども、ぜひ公開したことを、そこに情報があるということをどんどん積極的に周知していただきたいと思います。

 その上で、次の質問をさせていただきますけれども、システム改修に向けた準備というのは今進めていただいていると思うんですが、これが適切にしっかり行われること、言い方をかえれば、公正な取引環境のもとで行われるように準備をするべきではないかというふうに思っております。

 例えば、これは想像の範囲を超えませんけれども、発注元が、その優越的な立場を利用して、通常のメンテナンス、保守サービスの範囲内で改元対応をやってほしいとか、追加料金なしでやってくれという無理なお願いをするケースも想定がされるわけであります。こういうものに対しても、しっかりと対応をしていただきたいということ。

 また、四月一日に公表されても、残り一カ月しかない中で作業しなければいけませんので、当然ながら、期日に間に合わない場合も想定されるわけであります。間に合わなかった場合、業者間のトラブルになることも想定されますし、こういった部分についても、あらゆる可能性を考慮しながら公平公正な取引を実現し、なおかつ予測可能な事態に対して十分な準備に支援をすべきだと考えますけれども、この点について、経産省の考えを伺いたいと思います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 改元に伴う情報システムの改修に当たりましては、作業内容の増加、あるいは対応スケジュール、これらについて、ユーザー企業の方々がベンダー企業の皆様に対して一方的に押しつけるのではなく、両者の間でしっかりと必要な作業内容やスケジュールについてコミュニケーションを行って、必要な場合には契約内容の変更等も行っていく、こうあるべきだと考えております。

 経済産業省では、ユーザー企業、ベンダー企業双方に対して、改元対応において、それぞれの立場で何をすべきか確認を行うべき事項のリストを配布するなどの対策を講じてきております。こうしたリストの活用の促進も含めまして、引き続き、ユーザー企業、ベンダー企業の間のコミュニケーションが円滑にとられていきますように、双方に必要な情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、御指摘もありましたように、改元までにシステム改修などの対応が間に合わない場合も想定されます。そのような場合でも、国民の皆様から行政機関等に対して御提出いただきました文書あるいはデータ等については、平成表記のままで有効なものとして受け付け予定でございます。

 こういったことも含めて、改元以降に円滑に事業者の方々に対応いただくことによってトラブルを回避できるよう、これにつきましても、引き続きしっかり周知してまいりたいというふうに考えております。

浅野分科員 ぜひよろしくお願いします。

 最後にこの件については一言だけ申し上げますけれども、発注する側の自助努力によって混乱を最小化することもできると思っています。

 例えば、業界特有のシステムを有している業界などは、業界に属するさまざまな会社がありますけれども、会社ごとに、いつシステムの中身を入れかえるのかというタイミングがばらばらだという話も聞いております。

 もし同じようなシステムであれば、同じタイミングで切りかえることによって、切りかえる前と後で、しっかり、今の元号と新元号が混在せずにシステムをメンテナンス管理できるようにもなりますし、こういった現場の自助努力も必要かと思いますので、ぜひ、今後、説明会の中や情報発信の際には、業界あるいはシステム発注をする側の努力というのも啓発していただければというふうに思っています。

 続いて、診療報酬改定に伴うレセプトコンピューター、レセコンの改修への対応について質問させていただきます。

 このレセコンの改修については、過去にもほかの国会議員の先生方が質疑をされていますけれども、かみ砕いて申し上げますと、今、診療報酬改定の中身が決まるのが三月上旬で、四月の一日から、もうその改定内容を反映してシステムを組まなければいけない。これも、一カ月弱の期間でシステムの中身を改修しなければいけないんですね。しかも、診療報酬改定は二年に一度行われますので、二年に一度、そういう繁忙期がやってくるということであります。

 働き方改革も今、国会で議論されておりますけれども、やはりこういった御時世になりましたので、三月上旬から四月頭までのこの期間に物すごく忙しくなる、この状態を何とか打開できないか、緩和できないかという課題意識のもとで質問させていただきたいと思います。

 まず、このレセプトデータ、レセコンの運用状況についてお伺いしますけれども、最近は電子レセプト請求が随分と普及してきたという話を聞いております。実際にどのくらいの普及率なのか、具体的な数字で教えていただけますでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 レセプトの電子化の導入率につきましては、私どもが把握している最新の数字は、平成三十年十一月の診療分についてでございます。

 ここでは、レセプトの請求件数ベースで九八・四%、それから、医療機関、薬局の施設数ベースで九三・七%となっております。

浅野分科員 九八・四%と九三・七%という数字を教えていただきましたけれども、いずれにしろ九割を超えて、かなり普及は進んでいるという認識でいいかと思います。

 電子化が進んでいるということですから、この診療報酬改定のときに、点数表というのが出ます、こういうものをやった場合にはこの点数ですよと。それが一覧表でずらっと発表されるわけですけれども、今、業界のこの改修の作業をされている皆さんが何に困っているかというと、この厚生労働省が公表している点数表、私も少し見ましたけれども、三百四十四ページあるんですね、昨年の改定のときの資料で。三百四十四ページ。しかも、びっしりと文字が書いてあって、そこに、この作業は何点ですというのが日本語で書いてあるわけです。それを全部読んでコンピューターに反映させてというのを一カ月足らずでやらなければいけないということで、想像しただけでもこれは大変な作業だなということがわかりました。

 電子的にもう電子システムが組まれているわけですから、文書で出すだけではなく、例えば、電子的なテーブルを、表を用意して、これを読み込ませればもうボタン一つだ、そんなふうにできれば現場の方々の苦労はなくなるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう、御見解をお伺いします。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 電子点数表の公開についてお尋ねがございました。

 これにつきましては、システム構築を円滑に進めていくという観点から、平成二十二年度以降、診療報酬点数の告示と同日に、社会保険診療報酬支払基金のホームページで電子点数表を公表するという取組を行っているところでございます。

浅野分科員 ありがとうございます。

 公表しているということですけれども、その一方で、今現場が、毎回毎回、大変苦慮しているという現実がありますから、そうなってくると、公表の仕方ですとか、公表するテーブルの内容ですとか、まだまだ改善の代があるんではないかと思うんですね。

 私も、事務方の方に少し聞きましたら、最低限必要な電子点数表はあるんだけれども、この電子点数表以外にもいろいろな場合分けがあって、この場合分けをシステムに反映するのが大変なんですと、そんな話を聞いたわけです。

 やはり、一人一人、病状ですとか態様の内容は異なるので場合分けも必要だとは思うんですけれども、そこはぜひ、場合分けをもう少し合理化したり、効率化を検討いただきたいと思っています。

 答弁は、通告はしておりませんけれども、ぜひ、この場合分けをもっとシンプルに、そして、この効率的な電子点数表の検討もぜひしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の件につきましては、診療報酬の算定に当たりまして、対象となるさまざまな患者の要件とか医療機関の施設基準等があるということから来ているものと思われます。

 これは、患者に安全かつ有効な医療が適切に提供されるように、具体的な基準を定め、遵守していただいているものでございます。

 したがって、単純に簡素化していけばいいというものではないと考えておりますけれども、御指摘のように、レセプトコンピューターの改修作業については、負担が生じていることも承知しているところでございます。

 このため、これまでも診療報酬に係る告示、通知内容を明確化することに努めてきたところでございますが、引き続き、現場の医療機関やシステム事業者等の負担軽減になるように、適切に取り組んでいきたいと思っております。

浅野分科員 ぜひよろしくお願いします。

 この問題は随分長い期間質疑もされていますし、今後もその状況については質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、続いて、バイオ燃料に関する質問をさせていただきます。

 先ほど、きょう、この前段で、伊藤議員の方から木質バイオマスの質疑もありましたけれども、私は、木質バイオマスではなく、バイオエタノール、あるいは有機物から生成するバイオ燃料について質問させていただきます。

 まず、最初、政府、経産省にお伺いしますけれども、このバイオ燃料に関する方針として、EUやアメリカ、中国における取組状況について、簡単に御紹介願います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 各国・地域のバイオ燃料の導入促進政策におきましては、自然環境や農業政策の観点を踏まえるなど、それぞれの条件に応じた目標が設定されていると考えております。

 御指摘いただいた三つの地域・国の状況ですが、まず、EUでは、二〇二〇年に、バイオ燃料又はEVのうち再エネ由来の電力分を合わせまして、域内の運輸部門のエネルギー消費量の一〇%とする目標がございます。アメリカでは、二〇二二年に、バイオ燃料を国内の運輸部門のエネルギー消費量の約一五%に当たる一・三六億キロリットルとする目標がございます。最後に、中国ですが、二〇二〇年に、バイオエタノールの混合率をガソリンの一〇%とする目標がございます。

 加えまして、各国、供給事業者への義務づけですとか税制、研究開発など、導入促進策をあわせて講じていると承知しております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 いずれの国も二〇二〇年ないし二〇二二年ころを目途に、ある程度の導入目標を掲げているということがよくわかりました。

 では、翻って、日本の今の方針についてお伺いをしたいと思いますけれども、今の日本の政府が掲げているバイオ燃料に関する方針あるいは目標等もありましたら、御紹介ください。

関副大臣 バイオ燃料の導入でございますが、運輸部門におきましては、地球温暖化対策と、エネルギー源の多様化を通じましたエネルギー安定供給対策を同時に進めることができます重要な手段として認識をいたしております。

 そのために、バイオ燃料の利用を促進する観点から、ガソリン供給を行います国内の石油精製事業者に対しまして、二〇一八年度から二〇二二年度までの五年間なんですが、毎年、ガソリン需要の約一%に当たります五十万キロリットルのバイオエタノールの使用を求めているところでございます。

 また、導入を更に進めていこうということで、一つには、バイオエタノールに係ります揮発油税や関税の免除措置や、二つには、ジェット燃料を代替いたしますバイオ燃料の製造プロセス確立に向けました微細藻類等を活用した研究開発などの支援策を講じているところでございます。

 今後とも、国内外の技術開発の状況や各国の政策動向につきまして情報を集めまして、国内におけますバイオ燃料利用拡大に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

浅野分科員 今御答弁の中で、二〇一八年から五年間、五十万キロリットルを目標に毎年消費導入をするということで取り組まれているということなんですが、私の方で把握している数字ですと、今、現状、日本では年間八十三万キロリットル程度が消費をされているそうであります。

 今、二二年までということなんですが、先ほどのとおり、中国もアメリカもEUも、国内消費の一〇%、何の一〇%かというのは国によって違いますけれども、先ほど五十万キロリットルは一%相当というふうにおっしゃいましたが、海外を見れば一〇%という、桁が一つ違うわけであります。ぜひ、日本としても、将来、例えば二〇二五年とか、二二年以降のある時点でもう少し高いレベルの目標を掲げるべきだと思いますので、今後の、私もこの場で議論させていただきたいと思いますが、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。

 続いて、関連して、今、バイオ燃料をこれから導入促進する取組の一環として、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックでバイオ燃料を使ってジェットを飛ばそうという、そんな計画もあるというふうに伺っております。

 オリンピック、パラリンピックまでの間で、このバイオ燃料関係で取り組んでいる取組の内容とその状況についてお伺いをいたします。

南政府参考人 お答えさせていただきます。

 東京オリンピック・パラリンピックの期間中の、バイオ燃料を混合するジェット燃料を用いた商業フライトの実施に向けまして、国内の主要航空会社、石油販売会社、バイオ燃料製造事業者、有識者などをメンバーとしました検討会におきまして、平成二十七年七月より国土交通省とともに意見交換や課題の整理を行ってきております。これまで六回この検討会は開催されております。

 今年度につきましては、バイオジェット燃料の製造に必要な生産プロセスの確立に向けた研究開発の支援、又は具体的な燃料供給体制の検討などについて、その検討会で議論を進めているところでございます。

 引き続き、関係者と意見交換をしまして、必要な対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。

浅野分科員 ありがとうございました。

 ぜひこういう、一気に加速をさせるための、オリンピック、パラリンピックという目標に向けて期限を切って取り組むというのが非常に大事だと思いますので、しっかりPDCAを回していただきたいと思います。

 このバイオ燃料については、最後になりますけれども、ちょっと私の方から海外の事例も紹介させていただきます。

 先ほど、アメリカやヨーロッパ、中国でも目標を設定して取り組んでいるということで、日本も、一年間に五十万キロリットル、それ以外にも研究開発支援や税制優遇も検討しているという答弁がありましたけれども、やはり今はまだまだバイオ燃料は普及までのかなり前の段階だと思いますので、この初期の段階は政府がしっかり加速をさせてあげる必要性があると思うんです。

 海外はこれをしっかりやっていて、例えば、アメリカの場合は、環境保護庁というところが、バイオジェット燃料に対しては再生可能燃料クレジットを発行できるように法改正をした。また、国防総省も、二〇一六年までに年間百五十万キロリットルのバイオ燃料調達目標を設定していたということでありますし、また、バイオ燃料を精製するための施設の建設に対してさまざまな助成を行っているそうであります。

 また、ヨーロッパを見ても、ヨーロッパ全体で二〇二〇年までに年間約二百三十三万キロリットルのジェット燃料、バイオ燃料を利用するロードマップを既につくっているということでありますし、こちらも排出量取引ということで、バイオ燃料で消費した分はCO2排出量をゼロとみなすことができる、そんな法整備もされているそうであります。

 やはり利用を促進するための環境をしっかりと政府がリードしてあげる必要性もあると思いますので、ぜひこういった海外の事例も参考にしていただいて、今後、より一層、純国産エネルギー資源ですから、取組の方も加速をしていただければというふうに思っております。

 では、時間、限られております。最後の質問をさせていただきます。

 自動走行車両の実用化に向けた質問、これは大臣にお伺いしたいと思います。

 本年の通常国会の中では、国土交通省の方から道路運送車両法の改正案が出ておりまして、その中身というのは、通常、一般の道路で自動走行車両が走行できるような法改正の中身となっています。

 いよいよ自動走行車両が市場に出回る本格的な時代の第一歩になる、そんな認識を、期待も込めて持っておりますけれども、今、その一方で、日本国内の自動走行車両を開発しているメーカーの現状からいえば、車が単独で周囲の環境をセンシングをして自力で走っていく場合と、あるいはネットワークから管制指示を受けて走っていく場合、大きく分けるとこの二つの種類がありまして、どちらがスタンダードになるかがわからない。さらには、自動走行車両がどんどんどんどんデータを生み出すわけですけれども、これをどういうふうに活用していくかというのもまだまだ検討段階です。

 その一方で、経産省としては、やはりこの業界、標準化というものを進めていきたいという方針も出しておりますし、データの取扱いあるいはデータの保護と言ってもいいかもしれませんけれども、どのように今後進めていくおつもりなのか、経産省として、その方針について最後にお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 やはり、自動運転のような第四次産業革命に向かっていく中では、ある程度競争領域と協調領域を分けて考えなければいけないと思っていまして、この自動運転においても、協調領域というところを明確にしていくことが重要だと思っていまして、これは今、関係企業とか関係業界と我々も議論を深めているところであります。

 そういった中で、例えば地図ですとか、あるいはサイバーセキュリティーの問題などは、これはまさにメーカーを超えた協調領域としてしっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。

 そういった中で、自動走行、今、実験段階、実証段階で出てくるデータも、メーカーを超えてどう扱うか、あるいは、最初からある程度データの標準を一致させておく必要があるかどうか、そういったことを今できるだけ早く議論していきたいというふうに思っています。

 また、当然、通信もするわけでありますから、通信プロトコルをやはり標準化していくということも重要だと思っています。

 実は、もうトラックの隊列走行というのが現実になりつつあります。もう既に試験走行は行いましたが、その際には、先頭の車から四台ほど連なるんですが、そのトラック間の通信については、これはメーカー、ブランドを超えてプロトコルを統一するということも行われておりまして、こういった取組がこれから自動運転の中では非常に重要になってくるんだろうというふうに思っております。

浅野分科員 どうもありがとうございます。

 先ほどおっしゃっていただいた地図情報ですとかサイバーセキュリティー、あとは通信プロトコルというのは、非常に普遍性の高い技術分野であると私も思いますし、ぜひその部分は協調領域として取り組むべきだと思っております。

 昨年の通常国会の中でもいろいろ議論をさせていただきましたけれども、標準化というのを考えた場合に、やはり今、国内標準ではなく、もう世界の国際標準の時代だ。それに対して、日本というのは、標準化に関しては、スピード感という部分でまだまだ世界に追いつくには課題があるんじゃないかというふうにも思っております。

 それを解消するためには、やはり政府がある程度リーダーシップをとって業界をまとめていただいて、内側の争いよりも、大同団結して世界と戦っていく、本当の対戦相手は世界なんだ、そういう雰囲気をつくらなければいけないと思いますし、大臣も、たしか昨年そんなことをおっしゃっていたと思いますけれども、ことし、いよいよ自動走行車両が合法化されるかもしれないという状況において、やはり一歩でも半歩でも早く、経産省としては、私も経済産業委員会所属ですので、国交省あるいは内閣府の取組をむしろ経産省がリードする、そんな気概でやっていただきたいとは思っていますので、最後にお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて浅野哲君の質疑は終了いたしました。

 次に、国光あやの君。

国光分科員 茨城六区の国光あやのでございます。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず、月曜日の予算委員会でも御質問をさせていただきました農事用の電力の関係でございます。

 まずもって、世耕経済産業大臣のリーダーシップに本当に心から御礼を申し上げたいと思っております。

 といいますのが、月曜日に農事用電力の御質問をさせていただきました。非常に土地改良区や農協の皆様方から御不安の強い、来年経過措置が撤廃されることによって、農業用、今低価格に抑えられているこの規制が撤廃されて、ちょっと高コストになっちゃうんじゃないのかという御不安が非常に強い状況でございましたけれども、大臣から非常に前向きなお答えをいただいたところでございます。本当に心から感謝を申し上げたいと思いますし、新聞各紙でも取り上げていただきまして、本当にありがとうございます。

 ちょっと一つお伺いをさせていただきたいんですけれども、その際に、大臣から、ちょうど今審議会において検討なさっていらっしゃると伺っておりますが、電力会社さんで、特に、ちょうど関西電力とそれから九州電力、この二社に関しましては、来年の規制撤廃後もこの低廉な、低価格な電気料金の設定を続けるという旨の御発言があったように伺っております。

 私、地元が茨城でございまして、やはり確かに関西も九州も大変すばらしいことだと思いますが、やはり地元の茨城は東京電力等々の管内でもございます。東京電力始め、特に関東、北関東の圏内ではいかがな状況でございましょうかという点をまずお伺いをさせていただきたいと存じます。

世耕国務大臣 私も、関西電力がやってくれるからそれでいいということではなくて、今御質問、私が、この間審議会で発言したのは関西電力と九州電力だったものですからそれを御紹介いたしましたが、その後、東京電力を始めとする他の電力会社についても、それぞれ事務方から確認を行ったところ、同じような意向を持っているという旨の回答をいただいているところであります。

国光分科員 ありがとうございます。

 ごらんになっている私の地元の皆様方も本当に安堵をしていると思います。本当にありがとうございます。引き続き、すばらしいリーダーシップで、ぜひこの農事用電力の問題に取り組んでいただきたいと思います。

 重ねてお尋ねを申し上げたいんですけれども、実は、今、農家の皆様方や土地改良区の皆様方からぼんやりと御不安をいただいておりますのが、来年の話の前に、実は震災後も電気料金が少し値上がりをしてきておりまして、ちょうど震災と比べますと、大体一〇%から、年によって違いますけれども、高いときですと大体三割ぐらいアップしたということもございました。

 私の地元の例えば土地改良区の例で申し上げますと、この電気料金が値上がりしていることに、値上がり傾向にあることによりまして、土地改良ですと、賦課金を各農家の皆様から集めて経営、運営をされておられますけれども、賦課金の中の本当にかなりの部分が、電気料金がちょっと上がっていることによってかなりそのコストを占めているという状況もありまして、これに対してかなりちょっと御不安もいただいている。

 来年の低価格の料金継続以前の問題で、電気料金自体がちょっと上昇傾向にある、これは農事用だけではなくて、一般やほかの産業に使われる電力も同じかと存じますけれども、この電力自体の価格上昇の抑制というものについてどういうふうに取り組まれるかということをお伺いをさせていただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘いただきましたとおり、現在多くの原発が停止する中で、また、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度によりまして、既に年間二兆円の追加的な国民負担をお願いしている中で、震災前に比べまして、二〇一七年度ベースで見ますと、一般家庭で平均約一六%電気代が上昇し、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいている現実があるところでございます。

 このような中で、我が国の国民生活それから経済活動にとりまして、電気料金の抑制は極めて重要な課題と考えているところでございます。こういった観点から、事業者間競争の促進を通じた電気料金の抑制を図るべく、さらなる市場環境の整備に取り組んでいきたいと考えております。

 また、政府としましては、安全性を最優先に、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ再稼働を進めることとしておりますところでございますが、既にこれまでの再稼働の中で関西電力は二度の値下げを実現しており、また、昨日には九州電力が値下げをする旨の届出を行ったところでございます。今後も再稼働が進展していけば、安全最優先でございますけれども、電気料金の抑制にも資する、このように考えてございます。

 さらに、増大する再生可能エネルギーの固定価格買取り制度による負担、これを引き下げるべく、これまでも、同制度における中長期の価格目標の設定をいたしますとか、また、入札制度の導入といった取組を進めてきたところでございますけれども、引き続き、中期目標の前倒しですとか、入札対象範囲の拡大といったようなことに取り組みまして、この負担も下げていくということで、しっかり対応していきたいと思います。

 今後とも、これらの取組などを通じまして、電気料金の最大限の抑制に努めてまいりたいと考えてございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 さまざまな取組におかれまして、ぜひこの電気料金、一六%も上昇しているというのは、やはり農業だけではなくて非常に一般社会に対しても大きなインパクトを与えているものと思います。ぜひ、リーダーシップを発揮していただきまして、電気料金の健全な抑制というものに対しまして取り組んでいただきたいというふうに存じます。

 続きまして、地域経済にも大きく影響いたします外国人観光客の関係についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 こちら、昨年、とうとう訪日外国人客、訪日インバウンドが三千万人を突破いたしました。これは、政権交代後、奪還後、直後は八百万人ほどでございましたから、もう大体四倍近くも伸びたということでございます。本当にすばらしいことと思います。これは、さらに、来年の目標、二〇二〇年には四千万人の突破を、四千万人を来年突破というのを目標にされていると伺っております。ぜひ、今までの受入れ体制の整備や促進、そしてまたいろいろな訪日プロモーションの強化などを通じまして、訪日外国人客、更に伸ばしていただけるように心からお願いを申し上げるところでございます。

 私の地元茨城も、大体年率一三%ほど訪日外国人客が伸びております。特に、私の地元ですと、筑波山それからまた霞ケ浦など、ジオパークなどにも認定をされておりますけれども、客足がだんだん伸びている分野でもございまして、大きな期待がございます。

 その中で一つ、予算案の中で、非常にありがたい予算案が盛り込まれておりまして、実は、訪日外国人が来られるときに、例えば空港や港から動かれて、よく外国人が行かれる観光地、やはり足のことが非常に大事でございます。これは来年度の予算案に何と五十五億の予算案が計上されて、公共交通の促進ということで、公共交通の利用環境の革新という事業が盛り込まれておられます。これは国土交通省さんの方の関係になって恐縮なんですけれども。

 こちら、今後、事業の採択に向けて、例えばどういう観光地、どういう例えばインフラが、具体的に、各地域のどこのインフラに事業が採択されるかということを今ちょうど検討されているというふうに伺っておりますけれども、その基準で、訪日外国人旅行者の来訪が特に多い観光地等にこの事業採択を、対象地域とする予定というふうに予算案の中では書かれております。

 こちら、具体的に、やはり地元でも該当するのか否かの非常に関心事でございまして、どのように今後選定を進めるのかという点をお伺いさせていただきたいと思います。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 公共交通利用環境の革新等については、訪日外国人旅行者の来訪が特に多い観光地等へのアクセス路線において、多言語対応、無料WiFi、トイレの洋式化、キャッシュレス決済対応等の外国人旅行者の利用環境を飛躍的に改善することを目的としております。

 この訪日外国人旅行者の来訪が特に多い観光地等については、訪日外国人旅行者の評価が高い観光地、重要な文化財や国立公園が所在する地域、国際的なイベント、会議の開催等により訪日外国人旅行者の来訪が多く見込まれる観光地などから、有識者の御意見を聞きつつ、観光庁が指定することを想定しております。

国光分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、有識者の御意見、そしてまたいろいろな客観的なデータ、そしてやはり地元の、各地域のお声も聞いていただきながら、ぜひ合理的、妥当な選定をお願いを申し上げればと思います。

 続きまして、観光の客足にも同じく影響いたしますG20の関係で、これはことし六月でもございます、もうあと四カ月でございます。実は、私、地元つくば、私自身もつくば市民でございまして、毎日つくばからつくばエクスプレスで一時間半かけて国会に通っております。つくばで、このたび、六月にG20貿易・デジタル経済大臣会合が開催される予定でございます。世耕大臣におかれては、いらっしゃる御予定ということを伺っておりまして、本当に、地元一同、心から歓迎と御期待を申し上げているところでございます。

 このG20に向けまして、ぜひ大臣のお口から、G20開催、成功裏に終わるべく、意気込みと、それから、ぜひ、つくばで開催するということは、やはり我々地元にとりましても、いろいろな、つくばそして茨城の特色ある取組をG20の中で取り入れていただきたい。そして、やはり訪日外国人客にもつながるように、アピールの場になっていただきたいと思うんですけれども、そのあたりをぜひ含めてお答えいただきたいと思います。

世耕国務大臣 このつくば市で開催されるG20貿易・デジタル経済大臣会合、これは私は石田総務大臣とともに共同議長を務めることになります。必ず、国会のお許しをいただいて伺わせていただきたいというふうに思っています。

 今まさに、このデジタル貿易、データ流通のルールをどうつくっていくかというのが世界の中で非常に重要なアジェンダになっております。米中二国間交渉においてもこの部分というのが非常に重要なアジェンダになっていますし、また、先日のダボス会議では、安倍総理の方から、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストという概念を打ち出して、信頼性が確保された自由なデータ流通の重要性というのを訴えたところであります。

 そういった中で、まさにこの貿易・デジタル経済大臣会合、このタイトルも本当に時宜を得たものになったなというふうに思っておりまして、自由なデータ流通の重要性ということを、お互い、参加閣僚で共有をして、自由で開かれた国際データ流通網の構築につなげていきたいし、また、G20の首脳のサミットの方にもしっかりつなげていきたいというふうに思っています。

 開催に当たっては、地方創生の観点もぜひ持ちたいというふうに思っています。特に、茨城県とつくば市が中心に設立をしていただいているG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合推進協議会というところとよく連携をして、この地域の魅力の積極的な発信に取り組んでいきたいと思います。

 まずは、つくば市は、国等の研究機関が二十九、民間の研究機関が九十八、もうまさに研究所が集積している地域でありますから、ぜひこの成果を見ていただけるような形をとりたい。会場となるつくば国際会議場では、研究開発が進む最先端の科学技術やものづくりに関連する展示を行って、PRをしたいというふうに思います。

 また、あわせて、会合の合間には地域を視察する機会も設けたいと思いまして、地元の魅力に直接触れられるようにすることも計画をしているところであります。

 当然夕食会等もありますので、そういったところでは、メロン、イバラキングですか、とか常陸牛とか、そういったものもできれば供したいなというふうに思っております。

 大臣会合だけではなくて、当然こういうマルチの閣僚会合の前には事務レベルの会合も開かれるわけですが、これも茨城県内で会合を開いて、各国の貿易・デジタル政策の高級実務者も茨城県を訪れる機会を設けていきたいというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 もうさまざまなつくばのイノベーションやものづくり、最先端技術から、イバラキングや常陸牛のお話までいただきまして、茨城は、一応、全国で農業生産額第三位で、一位の品目も十三品目もございますので、当然メロンも第一位でございます。ぜひしっかりと国内外の皆様方に茨城の魅力、地方創生の味わいというのもしっかり伝えていかせていただければというふうに思っているところでございます。

 続きまして、地域経済という中で、税制が非常に、今回、税制改正の案、大きく変わろうとされております。

 大きく地元から喜びの声をいただいておりましたのが、昨年の税制改正で、法人に関しまして事業承継税制を拡充をしていただきました。本当に各地方、日本全国どこもそうですが、私の地元でも、事業承継、本当に経営者の方がどんどんどんどん高齢化しておられて、いかに事業を承継するか、今まで本当に税負担がそのときに大変で、もう廃業に追い込まれたという方も何人も私自身が見てまいりました。

 その中で、昨年は、法人に関しまして、法人の株などに係ります贈与税、相続税が十年間猶予をされるということで、実際に事業承継が進んだというお声もいただいております。

 ただ、地方におきまして、やはりほとんど大宗を占めますのは、法人だけではございません、ほとんどは個人事業主の皆様方、いわゆる中小や小規模の事業者の皆様方でございます。こちらにつきましても、ぜひ同様に税負担の軽減、特に法人以上に強い御希望と強いニーズがあると確信をしております。そのあたりがどうされていくかということ。

 そしてまた、地方ですと、やはり地方の足は車でございます。茨城も、実は自動車の保有率が全国第二位。道路の総延長、総距離ですね、これも全国第二位。やはり車がなくては生きていけない。和歌山も随分すごいかもしれませんが、茨城もかなりすごくてございまして、そういう意味でも、この自動車に係る、今回、税制、軽減をさせていただいているというふうに承っておりますが、ぜひ、直接、改めてお問いをさせていただきたいと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中小企業あるいは小規模事業者の方々の高齢化が急速に進んでおります中で、いかにこの事業承継を円滑に進めていくかということが、地域経済にとりましても喫緊の課題になっているということでございます。

 このため、御説明がありましたとおり、昨年行われました平成三十年度の税制改正におきましては、法人向けの事業承継税制を抜本的に拡充をいたしまして、納税猶予制度の枠組みの中で、承継時の贈与税でありますとか相続税の支払い負担をゼロにするという措置が十年間の時限措置として講じられたわけでございます。

 これに続きまして、現在御審議をいただいております平成三十一年度の税制改正案におきましては、御指摘のありました個人事業者の方々につきましても、事業承継の円滑化が非常に重要な問題である、課題であるということを踏まえまして、これまで個人事業者の方々に設けられておりました小規模宅地の特例というものがございますが、これとの選択適用を前提にいたしまして、土地のみならず、建物ですとか一定の減価償却資産についても適用していただけるような制度、そして、これまでの小規模宅地の特例ですと相続時にしか適用できない制度でございましたが、生前贈与の際にも適用していただける制度ということで、新たな事業承継税制を創設いたしまして、法人と同様に、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロにするという措置を、これも十年時限の措置として講ずることにいたしております。

 また、車体課税、自動車につきましてでございますが、おっしゃられましたように、地方の生活にとりまして重要な足でございますので、消費税率の一〇%への引上げに伴う対応といたしまして、地方税であります自動車税におきまして、恒久的な減税を小さな自動車を中心に行うということとあわせまして、消費税率の引上げから一年間の措置といたしまして、この自動車税の環境性能割の臨時的な軽減措置も講ずることといたしております。また、これに伴う地方公共団体の減収につきましては、国から地方への税源移譲でありますとか、国費による補填措置を講ずることといたしております。

 こういった税制面の支援によりまして、地域経済を支える中小企業、小規模事業者の方々の円滑な事業承継を推進するとともに、地方の生活に欠かせない自動車に係る税負担の軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 非常に、地方の生活者そしてまた事業の経営者にとって、本当に大きな福音となる改正案を盛り込んでいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 しっかりと今後は、ことしは消費税の増税もある予定ではございますが、このような負担軽減に関しましてのPRをぜひしっかり広げていただければというふうに思っているところでございます。

 最後に、質問時間を少しいただきまして、要望でございます。

 こちらの、世耕大臣の、経産省の御担当とはちょっと違うんですが、一部ちょっとかかわる話で、よく、私、本当に地元から悩みをいただくことが、世耕大臣の御地元の和歌山もそうかもしれません、中心市街地、駅前の中心市街地や、駅前の、もう本当にシャッター街になるだとか、空き家ができる、それから空き店舗ができる、どうしてくれようというようなお話というのが非常に多く私の地元でも声が上がっています。

 ただ、これは全国的にはいろいろ先進的な取組をなさっている自治体もあることは承知をしているんですが、まだやはり、地元のお声を聞くと、悩みはあるんです。やはりシャッター街がふえている、悩みがある。

 いろいろな、国が、経済産業省さんの、例えば町中の活性化事業、町中商店街活性化事業という事業であるとか、内閣府さん、国交省さん、それぞれいろいろな事業メニューを持っていらっしゃるんですが、それをどうやって使ったらいいかわからないとか、そもそもどの事業がどういうふうにあるのかわからないだとか、そういうお声を本当に、自治体、そしてまた商工関係者、そしてまた事業者、若手で意欲のある経営者の方からよくいただく声でございます。これは各地域で創意工夫をしながら課題を抽出して取り組まなきゃいけないものだと思いますけれども、やはり、相談をするときに、窓口がいろいろで、どこに相談していいかわからないというお声もいただくところでございます。

 これに対しましては、内閣府の話で恐縮なんですけれども、地方創生担当事務局がいろいろ窓口になって各省におつなぎをする。平成二十七年からは、地方創生コンシェルジュ制度というふうに、内閣府が窓口になって、例えば経済産業省さん、あるいは国交省さん、財務省さんというふうな形で、相談に乗るという体制ができているはずで、茨城でも担当者はおられます。和歌山でもおられます。ただ、余りちょっと機能をしていないというふうなお声もいただくところでございまして、ぜひ体系的な窓口機能そして自治体への有効な御支援の姿を改めてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

宮下主査 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

小田原主査代理 次に、神谷昇君。

神谷(昇)分科員 自民党の神谷昇でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。

 まず、世耕大臣、大阪・関西万博誘致につきまして、獅子奮迅の働きをしていただきまして、おかげさまで誘致に成功しました。まずもって心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは、大臣は笑うかもしれませんけれども、日ごろから素朴に感じていることをちょっと質問をさせていただきたいというふうに思っているところであります。

 我が国は、あの敗戦によりまして焦土化した国土から、先人たちの血のにじむ努力によりまして、世界の奇跡と言われるほど急速に経済発展を遂げてまいりました。

 その中で、一九六四年の東京オリンピック開催、一九七〇年の大阪万博の開催を成功させ、日本の未来に夢と希望のあふれた時代でありました。鉄鋼、造船、繊維、自動車産業等が急速な発展を遂げまして、世界を席巻し、ジャパン・アズ・ナンバーワン、そして、二十一世紀は日本のためにあると評されたものであります。年々一〇%の経済発展を続け、世界のGDPの一五%を占めたり、国民一人当たりのGDPが世界一になったり、そして、その中で、アメリカの背中が見えてきたと言われる時代もあったわけであります。

 ところが、これこそが悪夢でございまして、バブル経済が崩壊を迎え、あっという間に、一億総中流と言われた日本の豊かな時代が去ったわけであります。以来、経済成長は、今度は、あれほど奇跡的に成長したにもかかわらず、ぴたっととまったまま今日まで至っておるところであります。

 そこで、まず労働生産性のお尋ねをしたいと思います。

 最近の二十年間を見ておりますと、我が国の労働生産性は横ばいであります。特に中小企業、サービス業は低下傾向にございますけれども、これをどのように捉えているのか、まずもってお答えいただきたいと思います。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の労働生産性についての御質問です。

 日本の労働生産性の上昇率は、長期的に見ると、まさに御指摘のとおり低下してきていると認識しております。

 OECDのデータベースによりますと、就業者一人当たり、一時間当たりの実質ベースで、日本の労働生産性の伸び率は、一九八〇年代においては年二%近い伸びを示しておりました。ところが、二〇一〇年代に至りますと、これはゼロ%台ということで、低迷しております。

 とりわけ、委員御指摘の中小企業のサービス産業の労働生産性は、産業全体より更に伸び悩んでいるというふうに認識しております。

 財務省の法人企業統計がございますが、ここでの名目ベースの従業員一人当たりの労働生産性は、資本金一億円未満の非製造業の上昇率が二〇一〇年代に年一・〇%でありました。これは全規模、全産業の年一・八%に比べますと低いということでございます。

 こうした日本の労働生産性が伸び悩んでいる要因につきましては、さまざまな分析がございまして、一概に申し上げることはなかなか難しいところでございますが、例えば以下の三点が挙げられるかと存じます。

 一つは、ITの利活用が中小企業などで十分に進んでいないことでございます。二つ目は、日本企業が自社内の技術開発にこだわる、いわゆる自前主義でございまして、研究開発の成果を幅広く効率的に活用できなかった。それから三つ目は、日本企業の教育訓練費が伸び悩んでいるというところがあるかと存じます。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。私もそのようなことを思っております。

 それでは、続いて、GDPについてお伺いをします。

 これも、二〇一五年までの二十年間で、世界の平均は二・四倍になりましたね。中国なんか六倍ぐらいですね。ところが、我が国のGDPは、ここ一年で少し上がりましたけれども、二、三年前まで、世界でマイナスになったという唯一の国ですね。まさに断トツの最下位というところであります。これをどういうふうに分析なさいますか。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の実質GDPについては、二〇一五年までの二十年間で一八%増でございます。それから、名目GDPについては同じく四%増ということでございまして、マイナスではございません。すなわち、実質GDPでは二十年間で一・一八倍、それから、名目GDPでは二十年間で一・〇四倍というところでございます。

 これですが、日本経済は、バブル崩壊後のまさに失われた二十年ということでございまして、デフレ経済であった、それから、やはり人口減少に直面いたしましたので、世界経済の全体や中国と比べると日本のGDPは伸び悩んだというのが事実でございます。

神谷(昇)分科員 今、労働生産性、そしてまたGDPの伸びをお尋ねしました。

 そうしますと、労働生産性とGDPの伸びはどういうふうに関連があるというふうに捉えておられますか。

風木政府参考人 関係ございます。

 まさにこの二十年間、日本のGDPが海外諸国と比べて伸び悩んだ背景がそこに一つございますが、他方、アベノミクスが始まる前が特に顕著なんですが、やはり生産年齢人口が減少したというところで、どうしても就業者数が減りますと労働の投入量が減るということなので、どうしてもGDPの伸びが低迷をしたということであるかと存じます。

神谷(昇)分科員 そうですね。

 OECD加盟国の国民一人当たりのGDPと労働生産性を見てみますと、労働生産性につきましては、二〇一七年、日本の一人当たりは八万四千ドルですね。これは加盟三十六カ国の中で二十一番目です。もう真ん中以下ですね。GDPにしますと、これは四万三千ドルちょっとですね。そして、三十六カ国中十七位。これは、世界平均の二・四倍としますと、まさに八百六十二万円、年間。アメリカを大きく上回るんです。

 バブル経済がはじけてからこれまでの間、いかに日本が低迷をしてきたか。すなわち、それぞれの時期において的確な施策は打ってこられたか。それを私は素直に疑問を持つわけであります。

 労働生産性の向上は、まさに国民の生活水準を引き上げる。そして今、日本の構造的労働不足に陥っていることを解消する。また働き方改革にもつながってくる。やはり労働生産性を上げることは、いろいろいいことがあるわけであります。

 ところが、低迷してきている。私は国会議員になってまだ五年目でございますけれども、私は、中小企業庁なり経産省は、それぞれのときに的確に打ってきたと思っているんです。例えば、ものづくり支援金でも、今回補正予算で大幅にですし、それからまた省エネの補助金もそうですし、また今回はIT化で百万件。私も経産部会で、ちょろちょろせぬと、もっとばっといってくださいと言うたのが聞いていただいたかどうかわかりませんけれども、そういうふうにやってきているんです。しかし、この成果としては上がってきていないんですね。

 ですから、今、これまでのことをおっしゃいましたけれども、さあ、そうしたら、これまでのことはもうどうしようもないわけですから、これからをどうするのか、それをちょっとお尋ねしたいと思います。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、日本の労働生産性の水準がこれまで低かったということについて御指摘があって、これに対して、我々これからどうするかという御質問でございます。

 特に、我々、この技術進歩になかなかついていけなかった、いわゆる全要素生産性、TFPがまだ十分向上していない、あるいは資本装備率が伸び悩んでいる、こういう課題がやはり依然として指摘されているわけです。したがって、企業の新たな投資やイノベーション促進が重要である。

 こういう認識のもとで、二〇一八年から二〇二〇年の三年間を生産性革命集中投資期間と位置づけまして、賃上げや投資に積極的な企業に対する法人税の減税措置、それから中小企業の設備投資に係る固定資産税を三年間ゼロにできるという、これは画期的な制度なんですが、こうしたことで中小企業の生産性向上を後押ししていく。今、その実施期間中でございます。

 それから、先般成立した、議員からも一部御指摘がありましたが、平成三十年度の第二次補正予算に計上しました中小企業生産性革命推進事業、これは、前の、もの補助を統合した形で、持続化補助金、IT補助金も入れて全体の事業にしたわけですけれども、これによって、設備投資やIT導入の支援等を通じて中小企業、小規模事業者等の生産性を向上させていくということでございます。

 それから、現在、政府全体の成長戦略ということで、ソサエティー五・〇の実現に向けて、まず、さきの通常国会では生産性向上特別措置法を成立させていただきました。これによって、規制のサンドボックスを活用して、AI、IoT、ビッグデータなど、第四次産業革命の社会実装を一層推進していく、これによって企業の新たな投資やイノベーションを後押しして、労働生産性を向上させていきたいというふうに考えております。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。

 日本は、第四次産業革命、ソサエティー五・〇、ドイツはインダストリー四・〇、まさに生きるか死ぬか、まさに経済戦争ですよね。ですから、これまでのことを一つの反省として、これからどうしていくか。それを大胆にしていかなければ、もう日本は、いわば世界から沈没していく。かつて、日の出る、世界の奇跡と言われた成長が、まさに今度は沈む国になってしまうわけですから、ひとつその辺、腹をくくって頑張っていただきたいというふうに思っておるところであります。

 次に、労働分配率について質問をさせていただきます。

 資料がいろいろございまして、分母の違いによっていろいろとあるわけですが、中でも、やはり先進国の中でも低いというようなデータもございます。

 賃金につきまして、例えば時間給、日本が百円と例えたならば、二〇一六年、購買力平価換算で、アメリカは百二十九円です、三割アップですね。ドイツは百七十三円です。それからイギリス百十一円、フランスが百三十八円。日本は、大企業を始め、いわば史上空前の景気そして収益と言われていますけれども、ここへ来ると、それが全く数字にもあらわれていないし、いわば労働者の人も余り実感がされていないんですね。

 そうすると、こういう、景気がいいにもかかわらずこれが停滞している。そうすると、どんどんどんどんとこの差が、今後格差が広がっていくのではないかと非常に危惧をしているわけでありまして、これについてどのようにお考えになるか、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 労働分配率の話、それから、主に実質賃金がどうして上がっていかないか、こういうことの御指摘かと思います。

 まさにバブル経済の崩壊後、長期で実質賃金が伸び悩んでおりまして、労働分配率が比較的下がっている。ただ、先進国でも比較的、労働分配率全体として下がりぎみであって、そういう中での要因について、以下の三点を御指摘させていただきます。

 第一に、やはり、コンピューターとか通信機器などで、価格が低下して普及してきますと、定型的な業務が省力化していくということで、基本的な財、資本財の普及が労働力の一部を代替していくような流れがありまして、企業が生み出す付加価値のうち労働者に分配される部分がちょっと下押しをされている。これが一つ。

 それから二つ目は、企業が労働集約的な財の生産拠点、日本の企業は海外進出が進みましたので、相当賃金の低い海外に移していった、そういうことで労働集約的な産業のウエートが低下してしまったというところはございます。

 それから、労働市場で、組合の組織率でありますとか、短時間労働それから非正規労働の増加など、労働市場全体の制度の変化がございます。

 こうしたことで、なかなか実質賃金が、あるいは労働分配率が上がってこないという話がありました。

 他方、アベノミクスで伸展がございます。企業の経常利益が増加していまして、雇用者数がまず増加していまして、就業者数も大変増加をしているということでございます。

 これを見ますと、やはり、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得、つまり就業者数がふえていますから、総雇用者数の所得がふえている。一人当たりの賃金は、したがって若干伸び悩む時期が出てくるということでございます。その間、どうしても正社員に比べて賃金が低いパートの方がふえるということで、若干下押しがある。それから、やはりデフレでない状況を今つくろうとしておりますので、名目の物価が上昇していく中で実質の賃金が若干下押しされたということでありますが、これから、デフレではないという状況をつくり出しておりますので、今後努力をしていくということかと思っております。

神谷(昇)分科員 そうですね。今おっしゃったように、アベノミクス、これはやはり雇用の増大につながりました。全国でいわば一・〇を上回ったというので、求人倍率ですね。これは史上初めてでございますから、着実に日本の経済とそして雇用の拡大が続いて、これはいい方向であります。しかしながら、そこのほかの面でまだまだ足りない部分がありますから、これが問題かなというふうに思っております。

 特に、やはり、労働生産性と賃金というのはある程度私はオーバーラップしてくるのではないかというふうに思っておりまして、経産省からいただいた資料を見ますと、アメリカが一〇〇とすると、日本が六五・四、大きく格差が出ておりますね。ドイツは九四・五、これも大きな格差、一・五倍。これがやはり、先ほど申し上げたように、日本が百円とすれば、ドイツが百七十三円、ここにあらわれているのではないかというふうに私は考えるわけです。

 ですから、労働分配率を上げるためにやはりしっかりと労働生産性を更に上げて、そして、企業家がやはり国民の生活が楽になるようにそれをもう少し考えてもらう、そういうことが必要でないかというふうに思っているわけであります。

 史上空前の景気を背景に、我が国の企業の内部留保が最近急速に伸びてきております。二〇一七年で四百四十六兆円。まあ、すごい数字であります。そして、あわせて企業の現金、預金も伸びておるわけですが、この現金、預金の数値は幾らになっておりますか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 法人企業統計によりますと、いわゆる内部留保、御指摘の内部留保ですが、二〇一二年から一七年の五年間で約百四十兆円伸びて、現在、御指摘の四百四十六・五兆円ということになります。

 これに対して現預金についての御質問かと思いますが、企業は、みずから稼いだ利益剰余金、いわゆる内部留保でございますが、このほか、銀行借入れとか株主の出資による自己資本等あるわけですね。こうした資金を活用する形で、土地や設備、債権それから現預金として活用するわけですけれども、そうした中での現金や預金の部分につきましては、過去五年間、二〇一二年から一七年、五年間で約五十兆円伸びるというところでありまして、全体では二百二十二兆円ということになっております。

神谷(昇)分科員 そうですね。全企業のバランスシートを見ておりますと、二〇一二年から二〇一七年までの五年間、負債、資本の部では、みずから稼いだ利益、内部留保、四百五十兆円。この五年間でプラス百四十兆円の増加です。すごい、それだけ企業がもうかっている。そして、資産の部としては、現金、預金が二百二十兆円、すごい。

 ところが、世界の趨勢を見ておりますと、やはり利益剰余金をどういうふうに使っているか、更に再投資をしていくのか。ところが、日本の場合は、ちょっと現金で持ち過ぎではないか、これはデータでもはっきり出ておりますね。

 やはり、現金、預金を、ため過ぎているこの現金、預金を設備投資に回してもらう、そして生産性向上や労働者の賃金アップに役立ててもらう、また、下請の企業に少しは手厚くしていただく、そのようにいろいろと方策があると思うんですけれども、ちょっと日本の場合は現金を持ち過ぎている。ですから、そういうことをもっと積極的にやってほしいと私も思うところであります。

 それで、内部留保、そしてまた資産の現金、預金がやはり年間何十兆と伸びていっているわけです。仮に、日本の企業が現金で持っているならば、それだったら、政府にちょっといただいて、日本の政府がもっと有効に使ってあげましょう、私はそういう方策もありだというふうに思うんですね。なぜならば、消費税二%アップです。その前に、法人税が減免されて、小さくして、そしてもうけた。そのお金を皆さんに公平に分けるのではなく皆がためるんだったら、これに課税をして、そして、今、日本が何が足らないというところに投資すべきだというふうに思うんですね。

 金額は、私は〇・二%ぐらい現金の方にかけたらいいのかなと思ったりするのですが、どうでしょうか、大臣。

世耕国務大臣 なかなか、現預金というのは借金してもふえますし、あるいはそこへ課税となると、逃がすのも簡単なんですね。という意味で、これは財務省が基本的には考えることだと思いますけれども、ちょっと現預金への課税というのはなかなか難しいかな。

 ただ、我々も手をこまねいているわけではなくて、平成三十年度の税制改正では、賃上げや設備投資を積極的に行う企業に対しては法人税をしっかり下げて、一方で、利益が上がっているのに賃上げや設備投資を余りやらない企業に対しては、一部の優遇税制の適用を停止するというようなことはやらせていただいて、我々もめり張りのついた対応をさせていただいています。

 今先生御指摘の問題の本質は、やはりこれは経営者の問題だと思います。

 日本の大企業は大体社長が四年ぐらいで交代をする、自分の任期中はなるべく事なかれ主義でいきたいな、あるいは、社長になっても、上に会長や相談役がたくさんいて、自分たちのやってきたことを変えるなよみたいな感じになって、なかなか大胆な投資がやりにくいというのが、私は、そこが本質的な問題ではないか。だから、これを解消するには、やはりコーポレートガバナンス、企業統治を徹底する。

 海外では、やはりお金をため込んでいる経営者はだめなんです。投資に回さない、人材投資も含めて投資に回さない経営者は株主からだめを出されるし、株主の代理である社外取締役から厳しくチェックをされるわけでありますから、そういったコーポレートガバナンスを徹底していくということが今先生のお持ちの問題意識を解消していく、私は、これが王道ではないかというふうに考えています。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。この質問に経産大臣からお答えいただくとは思っていませんので。

 ただ、平成三十一年度、史上最大の税収と言われております。ところが、十月から消費税が一〇%に上がるわけで、これまでの最高は平成二年であります。ところが、あのときは消費税は三%でしたね。今回は途中からで一〇%になる。そうすると、消費税を除いた税収というのは、もう平成二年からがたっと落ち込んでいるんです。やはり、先ほどから質問のように、これをどうしていくかということが、私は、日本の大きな課題であります。

 最近、企業に対する法人税が減額されて、一方では、今御答弁いただいたように、現金、預金をため込んでいる。片や、国民に消費増税です。国民感覚からすれば、どないなってんねん、一体どないなっているんだ、我々のことを思ってくれてんか、そういう声が聞こえてくるわけであります。現金、預金分の課税は、そういう中でお尋ねをしたわけであります。

 私の税の考え方は、〇・二%ぐらいいただいてもいいんかな。そうすると、大体四千数百億円。これを何に使うか。やはり基礎的研究経費に一つは使っていただきたい。それとベンチャーキャピタルだけに。

 ですから、今、世界の趨勢からいって、何を負けているかというと、労働生産性を上げるとかいろいろなことが、世界競争しておりますが、その中で、やはり研究機関がしっかりとして、そして、技術移転をしながらこれから国を盛んにしたい、そういうことを考えているわけであります。

 冒頭に申し上げました、アメリカは、日本の奇跡的復興と経済発展によりまして、牙城であった鉄鋼、造船、繊維、自動車まで日本から輸入することになって、大幅な貿易赤字になったわけですね。

 そこで、アメリカは、日本からの輸入制限を大幅にかけるとともに、もう一つの手としては、一九八〇年、バイ・ドール法、スティーブンソン・ワイドラー法、これはすなわち、大学や国立の研究機関から企業への技術移転をする法律をつくりました。そして、一九八二年にはSBIR、STTR法、研究成果を商業化するために大学と組んでする研究開発、そして企業に対する資金援助をする法律を立て続けに施行して、大学発のスタートアップ事業が始まったわけであります。そして、いまだにそれがずっと順調に続いておって、このスタートアップ、年間二十五億ドルの資金をもってやっているわけですね。それを考えてみますと、やはり日本もそれについていけるのか。

 そしてまた、資金だけではなくて、起業を支援するインキュベーター、そしてアクセラレーターもしっかりとサポートする体制がある。お金がある、人がある、そして技術がある、そういう中で、アメリカはどんどんどんどんと日本との差を広げていっているのが現実であります。

 そして、金額を見ますと、二〇一五年、アメリカはGDPの二・八%、五千三十億ドルを研究開発に投入をしております。それにより、新技術、新見地が生まれて、実用化、商品化されておるところであります。

 一九三九年、スタンフォード大学生であったヒューレットさんとパッカードさん、有名なヒューレット・パッカード社をすごい世界的企業に押し上げて、そしてアメリカンドリームということを世界に広げているわけであります。その中で、やはりハーバード、スタンフォード、マサチューセッツ工科、そしてオースティン大学等、もう大学挙げて、国挙げて、この起業家をどう育てていくか、これを取り組んでいるわけでありまして、日本でもその体制はないわけではありませんけれども、格段の差があるというふうに思っておるところであります。

 その中で、やはり、ためておく、ためておくだけであるなら、政府がちょっといただいて、そしてそれを研究機関に投資して、その研究機関の技術がいずれその企業に技術転換して企業がもうかるわけですから、企業にとっては、自分のためにお国に納めて、そしてそれが有効に使われて、世界に負けない日本の技術大国をつくっていく。そういうことを夢見ておる、夢見ていたらあかんね、実現にしたいわけでありまして、その辺について、ベンチャー企業に対する投資について、大臣のお考えを最後にお伺いいたします。

世耕国務大臣 やはり、生産性を高め、日本経済の潜在成長率を高めていくためには、ベンチャーをしっかり育てていかなきゃいけないというふうに思っています。

 もう二十一年前からずっとやっているんです。ベンチャー育成というのはなかなかうまくいかないんですけれども、少し、今、我々は、選択と集中をやろう、世界で戦えるベンチャーを少し有識者に選んでいただいて、そこを徹底的に応援をしていこうということもやっております。J―Startupというプロジェクトで、九十二社選んで、集中的に支援をして、海外進出とかもしっかり後押しをしていくということもやらせていただいています。

 また、税金で取るというのは、私、余り賛成じゃないんですが、大企業がお金をいっぱい持っているんだったらそれをベンチャーに投資してくれということで、大企業とベンチャー企業のかけ橋のような役割も、経済産業省、少し積極的にやっていきたいというふうに思っていますし、あと、NEDO等のお金をベンチャーキャピタルに回していくとか、いろいろな取組をやることによって、日本発の世界で戦えるベンチャーを早く育てたいというふうに思っています。

神谷(昇)分科員 いろいろとありがとうございました。

 世耕大臣には大変期待をしておりますので、ベンチャー企業育成のために、また獅子奮迅の働きをしていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

小田原主査代理 これにて神谷昇君の質疑は終了いたしました。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

宮下主査 次に、中谷一馬君。

中谷(一)分科員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日も、どうぞよろしくお願いします。

 私からは、まず、キャッシュレス化についてということで伺わせていただきたいと思います。

 キャッシュレス化を始めとしたフィンテックの推進なんですけれども、こちらは、マネーロンダリングの対策であったり、にせ札流通への対策、徴税効率の向上、社会的コストの削減、データの利活用など、さまざまな面で現金決済のインフラよりもすぐれているとされており、経済成長にもつながるという考えが一般的かと思います。

 その中で、各国でこのフィンテックの推進が進んでいるんですけれども、そこで、まず確認で伺わせていただきたいんですが、世耕大臣は、このキャッシュレス化、これを推進したいと考えておられるのか、教えてください。

世耕国務大臣 これからフィンテック等が重要になっていく中で、その入り口のところでキャッシュレスができていなくて現金取引だと、フィンテックといっても絵に描いた餅になってしまいますので、私は、キャッシュレスは急いで進めなければいけない。

 日本は今、キャッシュレス比率が二〇%を切っています。お隣の韓国は九〇%です。中国も全国平均で六〇%ということでありますので、日本がキャッシュレス対応するというのは非常に喫緊の課題だというふうに思っていますし、単に取引がキャッシュレスになるだけではなくて、生産性の向上にもいろいろつながっていく。

 例えば、小売店のレジ締めの手間が省けていくとか、あるいは、キャッシュレスによって購買データがビッグデータ化されていくことによって、それを活用したいろいろなビジネス、例えば仕入れのサポートとか、そういったことも出てくるというふうに思いますし、そもそも、現金でやっていることによって、ATMの設置から始まって、日ごろ現金を出し入れしに行かなきゃいけないとか、そのATMにお金を補給するためには、現金輸送車で、警備会社の人がついてと、物すごい社会的コスト、これは一・六兆円ぐらいかかっていると言われています。こういったものも、日本の生産性の足を引っ張っているという部分があります。

 これからインバウンドの人をもっと迎え入れようというときに、今、みんなが、海外のお客さんで来て不満の上位に来るのが、日本ではキャッシュレスが使えない、特に地方で使えない。さらに、その人に更問いで聞くと、キャッシュレスが使えたらもっと買物しましたかと聞くと、全体平均で七〇%、特に、買物の多い中国人だと、八五%がもっと買物したと言っているわけでありまして、消費拡大にもつなげる意味でキャッシュレスは非常に重要だと思っていますから、だからこそ、今、ポイント還元というプロジェクトをやらせていただいていますので、ぜひ御賛同いただきたいと思っております。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。私、最後のところ以外は全部賛成だったんですけれども。

 おっしゃったとおり、現金インフラの維持コストに一・六兆円、GDPで〇・三%ぐらいその費用がかかっているということが言われていまして、私も、キャッシュレス、絶対これは進めないといけないなと思っている、強く推進をしたいと思っている人間です。

 おっしゃっていただいたとおり、韓国はもう九〇%を超えていて、たった十年ぐらいのスパンで、イギリスも韓国も三〇%以上ぐっと伸ばしてきている現状があるわけですね。

 日本も、二〇二七年度に、倍にするんですか、四〇%ぐらいに、目標にしてやられるということだったんですけれども、まず当面の目標として目指していくのは私もいいんじゃないかなと思っているんですけれども、その目標を立てた根拠だったり、その達成手法、これをまず政府参考人の方に伺わせていただきたいと思うんですけれども、それについては具体的にどういう検討がなされているのか、教えてください。

島田政府参考人 ただいま委員から御指摘のございましたキャッシュレス比率でございます。

 先ほど大臣から御答弁がございましたけれども、現在、日本は二〇%ぐらいということでございますが、主要国におきましては、まさに韓国等も九〇%を超えているという状況でございます。その中で、主要国のキャッシュレス決済の比率の平均がおおむね四割であるということから、日本も現在の二〇%を切る状況から倍増したいということで、四割という目標を立てたものでございます。

 この目標の達成のために、経済産業省では、キャッシュレスの推進に関する現状と課題を整理をいたしまして、必要な対策を提言したキャッシュレス・ビジョンというものを、昨年、二〇一八年の四月に取りまとめてございます。

 この中で、手数料のあり方といったことの環境整備、消費者の利便性あるいは安心感の醸成、こういったものも非常に重要である、さらには、QRコードというものを用いた非常に簡単な決済手法というのが最近どんどん出てきてございます。こういったQRコードについても標準化をすることが非常に重要であるというふうに考えてございます。

 そういった標準化といった環境整備、こういったことを行うために、産学官から成りますキャッシュレス推進協議会というものを昨年の七月に設置をして、検討を進めているというところでございます。

 今後も、関係者と連携しながら、キャッシュレスの推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。御答弁いただきました。

 私も、今、その現状を伺って、キャッシュレス・ビジョン、私も読ませていただいたんですけれども、しっかりキャッシュレスが進んでいくような形での推進をしていく必要があると思うんですけれども、そこで一番僕が大きな問題になるなと思っているのは、手数料についてです。

 日本は、私は手数料がすごい高いなと思っているんです。私、いろいろな意味で、海外のものを比較した資料を拝見をさせていただいたんですけれども、例えばインドでは、デビットカードなどのMDR、マーチャント・ディスカウント・レート、これの規制を始めておりまして、小規模事業者向けには、一取引当たり二百ルピーを上限に、ポイント・オブ・セールの取引金額で〇・四%の手数料、QR取引の決済では〇・三%の手数料を超えないことと定めています。それで、また、政府が、デジタル決済のさらなる促進策として、二千ルピー以下の取引にかかるMDRを二年間政府が負担するということを発表されました。

 そして、中国においても、手数料及びその分配については、消費者、事業者への影響度や市場の競争状況に基づいて政府が基準を設定されています。イシュイング、カード発行業務、そして、決済組織ネットワークサービス、アクワイアリング、加盟店契約業務、それぞれの手数料が厳密に決められております。

 例を挙げますと、スーパーマーケット、水、電気、光熱費、ガソリンなど生活必需品に関する手数料は、イシュイングサービス料が〇・二六%、銀行カード決済組織ネットワークサービス料が〇・〇四%、アクワイアリングサービス料が〇・〇八%となっており、合わせて〇・三八%。公立病院や学校に関してはほぼ〇%。百貨店や旅行でもそれぞれ合わせて〇・七八%。貴金属や不動産、外食などの娯楽類でも合わせて一・二五%程度になっているということであります。

 その他にも、EUでは、アクワイアラーがイシュアーに対して支払う手数料、インターチェンジフィーの上限規制が採択をされておりまして、クレジットカードのインターチェンジフィーが〇・三%、デビットカードのインターチェンジフィーが〇・二%とされ、コミッショナーからも、長年隠されてきたインターチェンジフィーを上限設定することによって透明化し、決済技術の革新と消費者にとって望ましいビジネスを生み、欧州が一体化したデジタル商圏となるというコメントを述べられています。

 また、オーストラリアでも、インターチェンジフィー上限が、クレジットカード〇・八%、デビットカード〇・二%とされており、こうした各国のデジタル決済にかかわる手数料、インターチェンジフィーを比較したときに、日本の手数料、インターチェンジフィーをどのように捉えていらっしゃるのか、まずは政府参考人に伺いたいと思います。

島田政府参考人 手数料に関するお問いでございます。

 例えば中国におきましては、安価な手数料でサービスが提供されている、そういった決済事業者が存在していることは承知をしているところでございます。

 ただ、こういった、例えば中国の事業者さんですと、いわゆるインターネット通販と併営しておられるということで、例えば、決済の中で得られたデータをネット通販の方でも活用されるといったようなことで全体として収益を上げるというふうなビジネスモデルを使っていらっしゃる。例えばそういった形で日本と若干ビジネスモデルが違うというところもございますので、一概には比較することはなかなか適当ではないわけでございます。

 ただ、一方で、この手数料、加盟店と決済事業者の間での相対契約、民民の契約で定められているものでございますけれども、日本においては、一般的に、中小企業の手数料は大企業が加盟する場合の手数料に比較して高いというふうな傾向にあるということも認識をしているところでございます。

 このため、キャッシュレスの推進に当たりましては、特に中小・小規模事業者の加盟店の手数料負担ということについての課題を何らか対応する必要があるというふうに認識しているところでございます。

中谷(一)分科員 私、大臣の方が政府参考人の方よりも前向きなんじゃないかなと答弁を聞いていて思ったんですけれども、ビジネスモデルが違うということであれば、どこの国だって当然違うわけです。でも、どこの国も、いろいろなところを私は出しましたけれども、日本ほど高いところはほとんどないわけですね。

 もっと言えば、キャッシュレス化できるということはデータが利活用できるわけじゃないですか。データは二十一世紀の石油と言われているぐらい非常に有効な資源であるわけですから、そういったビジネスモデルの転換を何で日本だけができないのかというのは、私は非常に疑問に思いますね。

 なので、そういった観点を踏まえて言えば、やはりインターチェンジフィーを、日本ではそもそも正式には公開をされていないということを伺っているんですけれども、経産省が発行のキャッシュレス・ビジョン、私も拝見させていただきました。その中に例示をされているような、イシュアーの取り分が二・二五%、アクワイアラーの取り分が〇・八九%、国際ブランドの取り分が〇・一%、それぞれのコスト、ネットワークの接続料だったり管理コスト、これらもろもろを含めて、中小・小規模事業者が払う手数料の平均が三・二四%程度になる現状が仮にあるのだとすれば、これはキャッシュレスが進んでいる又は進めようとしているほかの各国と比べても非常に高い水準だと思いますよ。

 これについては、大臣、どのように認識されていらっしゃいますか。

世耕国務大臣 日本でやはりキャッシュレスの浸透がおくれた一番大きな原因は、今おっしゃるように、クレジットカードの手数料が高い。三・二五どころじゃないですね。これは、地方の小売店とか、あるいは飲食業でちょっと信用力が足りないとかになると、七%とか、ひどいのは一〇%というのもあるわけであります。

 今委員が御指摘のところは、クレジットカードというのは今、おっしゃるようにイシュアー、アクワイアラー、国際ブランドとあって、それがまた銀行口座とつながっているということですから、全体を合計してどれぐらいかという国際比較、それは私ちょっとまだ見たことがないんですけれども、部分的にとってもだめで、やはり全体として小売店が最終的にどれぐらいの手数料を負担するのかというのを見なきゃいけないと思いますから、そうするともうちょっと、ヨーロッパなんかは少し仕上がりは日本に近くなってくるのかなと思っていますが、それでも高いと思っています。

 これを今回、キャッシュレスによるポイント還元をやる際に、少なくとも三・二五よりは中小企業向けに手数料を下げてくれ、そうすればポイント還元に対して参加ができるし、さらにその手数料の三分の一は国が負担をする、そのことによって、大体、仕上がり手数料二%というところまで持ってこれるのかなというふうに思っています。

 クレジットカード業界の一部不満があることは私はよくわかっていますけれども、今、QRコード決済とか、まさに銀行口座直結でやっているところはもう〇・五とかでやれるんですね、恐らく。これはまだ明らかになっていないですけれども、恐らくそういうことになりますし、一部のQRコード決済事業者は、多分キャンペーン料金だと思いますが、手数料ゼロというのも出しています。

 クレジットカード業界もやはり自分のビジネスモデルを真剣に見直して手数料ビジネスから脱却しないと、気がついたらキャッシュレスの主役は自分たちではなかったということに私はなってしまうというふうに思いますから、業界のためにも、政府として、手数料を下げるプレッシャーは今後もかけ続けていきたいというふうに思っています。

中谷(一)分科員 ポイント還元以外は、そこ以外は全て私は賛成でございまして、非常に力強いお言葉をいただいたなと思っているんですけれども、やはり進めていただきたいと思っているんです。

 クレジットカード会社も、おっしゃったとおり、多分、努力していかないと、デジタルインフラを、決済を担うものにはなっていかないんじゃないかな、QRだったりとかその他の事業者に多分とられちゃうと思うんですよね。だから、そういう意味でいえば、私自身は、やはりそういったところを改善をしていくような促しを政府としてもやっていく必要はあるんじゃないかなと思っているんですけれども。

 先ほどるる御答弁をいただいたんですが、加盟店側がやはりクレジットカードを未対応にしている理由として、手数料が高いというのが一番の理由です。それで四二・一%の方が調査の中で挙げたアンケートがありまして、その中でも、手数料の平均、三・〇九とか三・二四とかいろんな数字があるんですけれども、今、世耕大臣のおっしゃった七とか一〇とか、もしそういう手数料を取られていたら、多分事業としては、正直、そこがベースになってしまったら成り立たないぐらいのものだと思います。ほとんど利益が売上げからとられてしまいますから。

 なので、そういった意味でいえば、今政府が進めようとされている、三・二五%以下の手数料にかかる費用、その三分の一の補助をするような事業というのをされようとしているんですけれども、そもそも論として、そういった、三・二五を手数料で持っていかれるようなモデルじゃなくて、それが消費者だったりとか事業者側に転嫁をされずに、やはりビジネスモデルが抜本的に変わっていくような方策を私はやっていかなければならないなということを思っておりますし、それができなければ決済インフラを担うことは困難なんじゃないかなと思っています。

 そういう意味でいえば、私は、キャッシュレスが進んでいる諸外国に見られるように、やはり一%前後ぐらいまで手数料を引き下げていくための方策を抜本的に促していく必要があるんじゃないかなと思っているんですけれども、そこについてはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 これはやはり民間の、だからこれは、今回のポイント還元を契機にキャッシュレスというのが非常に競争分野になってくると思いますので、民間の競争の中でやはりクレジットカード業界も生き残りをかけて考えていただく。あるいは、一定の手数料を取るのであれば、それに対する見返りとしての、いろいろデータに基づいたコンサルサービスとかそういったことを提供していくということが迫られていくんじゃないかというふうに思っています。

 ただ、クレジットカードというのは余り、実は情報をそんなにとれていないんですね。どこで幾ら払ったかしかわからない。それに比べてQRコード決済は、どんなものを誰がという、かなり細かくデータがとれるようになっていますから、そういったところでも、クレジットカード業界は相当ビジネスモデルの変更はしていかなければいけないので、そこはもう民民の競争の世界でやっていく。

 ただ、やはりまだクレジットカードが主流というのが今現状ですから、少し、今回のポイント還元を機会に、少なくとも三%台前半のところまではもう当たり前だというところへ持っていきたい。さらに、そこに今回補助金を入れますから、仕上がり二%ですから、二%ぐらいを一つの手数料の標準というところへ持っていく契機になればなというふうに思っています。

中谷(一)分科員 御答弁をいただいたんですが、もちろん企業の努力でやっていただくということは当然だと思いますし、それをやっていかなければ私は生き残っていけないような気がしますので、そういったビジネスモデルの転換というのは必然的に求められてくるものなんじゃないかなと思っている、これは完全に同意します。

 しかしながら、ポイントの還元、これを九カ月、決済手数料の補助という形で出したとしても、今、予算感的に三千億ぐらいでしたか、これも多分、本当にこの金額で足りるのかということもあると思いますし、多額の費用がかかる割に、私は、その効果が非常に限定的で、しかも対症療法的な政策だなということを自分自身は捉えているんです。済みません。

 他の国を見ると、さっきのEUの事例なんかもそうなんですけれども、やはりインターチェンジフィーとかサーチャージ、こういう手数料関係の規制をちゃんとかけたりとか、あとは公的機関、交通機関でのキャッシュレスをちゃんと促進をしていったり、ほかの部分での規制緩和だったりとか、キャッシュレス推進の主体の設立をして抜本的にやっていこうという話をしたりとか、あとは独自の決済インフラの整備とか、比較的、ほかの、ちゃんと国がかかわる形でこういうキャッシュレスを推進するような施策を進めているように見えるんですよね。

 なので、私はやはり、対症療法的な政策じゃなくて、他国で実施されているような抜本的な政策にしっかり踏み込んでいただいて、キャッシュレス化の推進をしていく必要があるんじゃないかなと思っているんですけれども、大臣、それについてはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 各国が、キャッシュレス推進、どういう政策をとっているかというのは、ちょっと私もそんなに明るくありません。アメリカなんかは余りやっていないというふうに思っていますけれども。

 そういった中で、今回の政策は、私は、対症療法ではない、逆に、商品券とかを配るという政策だと対症療法だったと思いますけれども、やはりキャッシュレスのレガシーがしっかり残る政策だというふうに思っています。

 もうこれだけ話題になりましたよね。今月だけでも、雑誌とか経済誌とかトレンド誌でキャッシュレス特集をすごいやっていますし、国民、頭が大分、キャッシュレスなんだなというのをわかってきたと思いますし、そこにこの十月からポイント還元、しかも消費税率上げを上回る五%を九カ月間、オリンピックまでということをやれば、まず、一つはインフラが広がると思っています。端末の補助もやります、手数料の補助もやることによって、小売店が何らかのキャッシュレスの手段をお店の側に入れていくということが広まっていく。

 今度、一方で、消費者の側も、キャッシュレスというのは、これは、一過性でというよりは、カードをつくったりとかアプリをダウンロードしたりとか会員になったりとか、必ずその後も使っていくんです。委員はよく御存じ、私も、キャッシュレス、一回やったらもう便利でやめられません。一回目のハードルは高いんですけれども、一回使ってしまえば、これはずっと便利に使い続けると思いますから。

 私は、そういう意味では、今回の政策は決して一過性の対症療法ではなくて、日本のキャッシュレスが、やはり二〇一九年のあの十月のポイント還元をきっかけにキャッシュレスが一気に広がったな、それで、その後オリパラでまたどんと伸びて、そして最後、万博でどんと行ったなという状況。今、万博までに四〇%と言っているんですけれども、私は、気持ちとしては、もうそのころには本当はその倍ぐらい行っていてほしいというふうに思っていますけれども、ちゃんとレガシーとして残る政策としてやりたいというふうに思っています。

中谷(一)分科員 御答弁をいただきました。

 他国の事例に余り明るくないということを今おっしゃっていただいたので、実は、経産省さんが委託事業の中で、平成二十九年度産業経済研究委託事業の中で、我が国におけるフィンテック普及に向けた環境整備に関する調査検討報告書というのを、野村総合研究所に委託をしておりまして、ここにかなり細かく他国の事例が書いてあって、私もこれを見て逆に非常に勉強になったんです。アメリカなんかでも、もちろん州によってはそういったことをやっているところもありますし、いろんな国で、さまざまな抜本的な見直しの対策というのはやられておりますから、そういったものもぜひ考察をしていただきたいということを思っております。

 おっしゃっていただいたとおり、私も、やはりキャッシュレス、使うと、こんな便利なものはないなと思うんですよ。しかしながら、そのハードルが高いというのも、これも同意をします。

 しかしながら、端末とかの導入補助をしたとしても、そういうレガシーになるものもどんどん古くなっていくわけですよね。だから、余りその端末、事業者側に対しての補助というのをやっていくというよりも、私は、やはり一般市民がそれを使おうと思えるようなモチベーションが喚起されるような対策をやっていこうと。

 でも、それが、残念ながら僕はポイント還元ではないと思っているんですよ。還元対象の中小事業者がポイント還元をされたときに、大手企業が対抗して値下げしたらデフレの促進につながるんじゃないかという議論がいろんな雑誌なんかでも今取り上げられていると思いますけれども、やはり景気対策としては本末転倒になるんじゃないかということを思っているのと、現場の大混乱、猛反発、かなりいろんなところから今出ていると思うんですけれども、キャッシュレス推進派の私から見ても、これは明らかに筋の悪いキャッシュレス推進対策だなと考えておりますので。

 世耕大臣や経済産業省の皆様の名誉のためにも、私は、これは勇気ある撤退をしていただいて、ちゃんと抜本的な対策を講じた方がいいんじゃないかなと思っているんですが、大臣、何かコメントがあれば。

世耕国務大臣 いや、これはもう私は信念を持ってやっています。

 残念ながらキャッシュレスの普及がおくれてしまって、キャッシュレス用の端末すらない日本において一気に進めるには、消費税対策である程度予算が使える、その予算を一過性のものに使うのではなくて、きちっと端末が残り、人々がキャッシュレスを一度経験をし、かつ五%のお得感を実感できるというふうなことをしっかりやっていく必要があるというふうに思っています。

 デフレにはならないんです、これは。ポイント還元ではデフレにはなりません。あくまでも物価は変わっていませんので、そこは御心配なくお願いしたいというふうに思います。

中谷(一)分科員 これ以上やっても平行線になると思いますので、この辺にとどめたいと思いますが、やはり九カ月限定的にやっても、キャッシュレスの推進がわっと進むかというと、私はちょっとイメージが湧きづらいので、ぜひ、他国の事例も研究をしてみていただいて、抜本的な対策を講じていただくことを要望させていただきたいと思います。

 続きましては、ブロックチェーンについてお話をさせていただきたいと思っているんです。

 インターネットは、情報の交換、共有をすることに革命を起こしました。そして、このブロックチェーンは、価値の交換、共有をすることに革命を起こすものであり、私は、インターネットの登場に匹敵するぐらい大きなインパクトを社会に与える可能性があるんじゃないかということを思っております。

 ブロックチェーンは、ゼロダウンタイムのシステムで、分散型で管理ができ、改ざんができないなど、技術面のメリットを言えば切りがありませんが、このブロックチェーン技術について、大臣自体はどう捉えていらっしゃるのか、所見を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 ブロックチェーン技術は、仮想通貨などの金融分野だけではなくて、例えば登記簿のような所有権の証明ですとか、あるいはサプライチェーンの効率性向上ですとか、取引プロセスの全自動化など、いろんな産業分野において広く実用化、活用される可能性が高いというふうに認識をしていますし、これは、はっきり言ってインターネットの登場に匹敵するぐらいの社会経済上のインパクトがあるんじゃないかと思っています。

 ただ一方で、技術的課題が幾つかありまして、やはりブロックの生成に時間がかかるということ、また、ブロックチェーンを形成する単位時間というのが常に決まっていて、その処理件数に一定の限界があることなどが少し問題点ではないかというふうに指摘をされています。

 経産省としては、このブロックチェーン技術の市場規模に関する調査を行って公表するなどして、情報発信を行ってまいりました。現在は、ブロックチェーン技術を活用した具体的な実証ですとか、事業に対する支援を行っていく段階にあります。

 例えば、製造業の生産現場で出てくるデータをブロックチェーンで共有をしていくとか、貿易手続に関するデータの適切な管理ですとか、あるいはコンテンツ流通の際の著作権管理、利益分配に使っていくといった分野での取組を後押ししているところでございます。

中谷(一)分科員 そういったユースケースを重ねていって、あらゆる実証を行っていったりとか支援をしていく、私はこれはすごくすばらしいことだなと思っています。

 私も、経産省さんが出した資料を拝見させていただいて、国内の潜在的な市場規模は六十七兆円になるというのを三年ぐらい前に出した資料の中で記載をしているんですが、アメリカが最近出した、IT市場調査会社のインターナショナル・データ・コーポレーションというのがあるんですけれども、去年の七月に、二〇一八年度は十五億ドル、一千六百五十億円程度の市場規模で、これが年平均七三・二%ペースで成長して、二〇二二年には百十七億ドル、一兆二千八百七十億円程度に達するということが言われていました。

 その中で、国内の、日本でやったのは潜在的な調査ということなんですけれども、データがちょっと古いこともあって、価値の流通とかの項目を見ていても、例えば暗号資産が入っていなかったりとか、これ自体がそろそろ古くなっているんじゃないかなと思いますので、新たに、マーケット規模の積算のし直しだったりとか、あとは、調査項目を再定義した上でもう一度こういった調査をしていただくというのは、ブロックチェーン市場を育てるにおいては非常に有意義なことなんじゃないかなと思うんですが、このあたりについては、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 この業界は本当に、この技術は変化が激しいと思いますから、平成二十七年度のままでいいとは思っていませんので、いずれかのタイミングで検討したいと思います。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。ぜひ前向きに御検討をいただければと思います。

 それでは、そろそろ時間だと思いますので、最後の問に入らせていただきたいと思います。

 私、AIの活用に関する基本的概念についてということで伺わせていただきたいと思っているんですけれども、AIの発展は、理想を突き詰めれば、人類が労働することなく、自動的にあらゆるもののサービスと生産が提供される社会が実現される可能性、これは少なからずあると思います。それで、少子高齢化が進む日本においては、ビジネスや教育、医療、福祉、介護、防災、農林、物づくりなど、あらゆる分野でその発展が期待をされるわけであります。

 その一方で、ただ、進化のさせ方を間違えた場合には、AIやそのAIを活用することができる一部の特権階級者に支配される社会、こうしたものが出るおそれもありますから、やはりある程度どういうふうに発展させるかということを考えなきゃいけないと思っているんですね。

 その中で、日本政府においても、人間中心のAI社会原則として、人間の尊厳が尊重され、多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる、持続性のある社会を目指すといったような基本理念だったりとか、あとはイノベーションだったりとか公正競争の確保、こういった七つの提言がされているんです。

 ここは網羅的にもちろん埋めていただいているので、これはこれですばらしいものだと思っているんですが、そうした中で、特にAIは経済産業分野に大きな影響を及ぼしますから、AIをどのように発展させて、世の中をどうしていきたいのか、経済産業分野においても軸となるような理念や原則を定めるべきだと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 まさに、我々は人間中心のAIをしっかり進めていきたいというふうに思っていますけれども、一方で、やはりAIで囲碁に勝っても意味がないんですね。それであれば、オリンピックの百メートル走は車でやればいいわけですから。

 やはりAIを具体的にどうやって社会実装していくか、社会でどう使っていくかということこそが重要。だから、我々日本は、残念ながらアメリカや中国に論文の数などでは大きく置いていかれているんですが、でも、その論文は公開されているわけですから、それをしっかり読み込んで、リアルの世界でどう使っていくかということを考えることこそが日本の産業界にとって重要だというふうに思っています。

 特に、日本の製造業とかサービス産業の現場には、リアルデータがたくさん蓄積をされているわけでありますから、このリアルデータを使って現場の課題を解決するようなAIシステム開発というのが、これはまさに経産省が今優先して取り組むべきAIのアプローチかなというふうに思っています。

 今やっていることは、例えば、製造データを用いて製造工程の効率化を図るようなAIですとか、あるいは物流業界において人手不足を解消するようなAIですとか、あるいは医療、介護現場の業務改善のためのAIということを具体的に、日本はまさに人手不足とか労働環境の問題とかいろいろ社会課題が多いわけですから、こういったことを解決しながら、日本の産業競争力強化に資するようなAIシステム開発をまず優先して取り組んでまいりたいというふうに思っています。

中谷(一)分科員 時間が参りましたので終了させていただきますが、やはりその軸となる基本原則だったり考え方、ぜひ経産省でも御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下主査 これにて中谷一馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、船橋利実君。

船橋分科員 自由民主党、船橋利実でございます。

 世耕大臣におかれましては、大変長時間の審議、お疲れのことかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、再生紙の問題についてお尋ねいたしますが、先月、全日本印刷工業組合連合会が、組合員に対しまして印刷用紙の調達に関して調査をいたしましたところ、普通紙においても不足ぎみでありますけれども、再生紙の不足というものが深刻な状況であるということがわかってまいりました。

 そこで、まず、製紙メーカーの生産の現状、これについて国としてどう把握をされているのかお聞かせをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 紙の生産、供給の状況でございますけれども、普通紙につきましては、昨年発生をいたしました自然災害の影響から在庫の積み増しにおくれが生じておりまして、市場で品薄感が生じているという声があるものと承知をしてございます。

 また、とりわけ再生紙につきましては、その原料である古紙が、紙の需要の減少によりまして発生量が減少しているということに加えまして、中国の古紙需要の高まりから国内古紙の中国向け輸出が増加したということで、国内で品薄になるとともに、価格が上昇しているというふうに認識をしてございます。

 こうした原料費に加えまして、燃料費や物流費の上昇もあり、製紙各社の経営は苦しい状況にございます。

 こうした中で、製紙各社は、これまでも、紙の需要減少を踏まえた生産能力の削減等の措置を講じてきているものの、昨今の状況を踏まえまして、再生紙については、値上げに加えて、古紙含有比率の引下げ、あるいは来年度以降は当面の生産中止や受注生産に変更するといった企業も出てきてございます。

 こうした状況を踏まえまして、経産省といたしましては、環境省とともに、実態を詳細に把握するためのヒアリングを進めているところでございまして、このヒアリングの結果を踏まえまして、必要な対応をとってまいりたいと考えてございます。

船橋分科員 この古紙の問題に関しましては、平成二十年にも、年賀はがきに関しまして古紙含有比率偽装問題というのが起きておりました。これは、年賀はがきの再生紙利用率を四〇%というふうに仕様が定められていたにもかかわらず、実際にはそれを下回っていたということが問題になったわけでありますけれども、このときにも、やはり古紙の生産コストが一つの問題となっていた状況がありました。それはずっと変わらないわけですね。

 そこに加えて、今ほどお答えがあったように、原料としての調達コストがはね上がってきているということ。そして、加えては、これはフレッシュパルプもそうでございますけれども、紙の需要全体が減少してきている傾向というものが著しい。

 そして、今後もペーパーレス化というものが進んでいくというふうに思われる中にありまして、こうした困難な状況というものを克服、対処していくためには、サプライチェーンを構成をしております製紙メーカー、流通業界及び印刷業界のステークホルダー、こうした方々が円滑に話合いをする中で情報共有ができる環境というものをつくっていくべきではないかと考えますけれども、対応を伺います。

井上政府参考人 御指摘のとおり、紙をめぐる情勢、継続的な需要減少など大きな構造変化の時期を迎えているものと認識をしてございます。

 こうした中で、経済産業省といたしましては、製紙各社による値上げ発表以降、製紙メーカーや流通業界等へのヒアリングにより現状把握を行うとともに、ユーザーに対する値上げの理由の丁寧な説明や交渉を行っていくように促してきたところでございます。

 経産省といたしましては、引き続き、再生紙を始めといたします製紙業界の状況について関係事業者からのヒアリング等により把握をいたしまして、必要な情報提供も行ってまいりますし、また、事業者間での情報共有が行われるように取り組んでまいりたいと思います。

船橋分科員 製紙メーカー各社の経営状況を見ると、各社ごとにかなり違いというものはありますけれども、いわゆる紙をつくるという部分の、本業の部分のもうけがかなり圧縮されてきている実態にある会社が多いというのは実態ではないか、こういうふうに認識をするところでありますので、これはもう川上、川中、川下含めて全体の中で、紙の生産、流通、そして活用を考えていく必要性があると思いますので、今ほどお答えもありましたけれども、対応をお願いしたい、こう思います。

 次に、実は、この再生紙が不足をすることによりまして影響を受けているところがあります。それは、グリーン購入法に基づいて、これは国の各役所もそうなんですけれども、地方自治体の方も、グリーン購入法に基づく努力義務に基づいて印刷物の発注をしなければいけないわけでありますけれども、それが、古紙が、いわゆる再生紙が入手できないということから、発注業務そのものが相当おくれているという実情を聞いております。

 それと同時に、おくれることに伴って、結果的に印刷コストが上がっているということ。実際、ことしの一月から紙の卸売価格が二〇%上がっているというところもございますから、こうしたことも含めたコスト増に対する対応というものが必要となってきておりますけれども、対応についてお聞かせをいただきたいと思います。

井上政府参考人 再生紙の不足によりまして、自治体における印刷の入札が不調となり、ひいてはコストの増加といった事態を生じさせないことは重要と考えてございます。

 したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、昨今の印刷用紙等、とりわけ再生紙の供給状況につきまして、現在、環境省とともに、実態を把握するためのヒアリングを進めているところでございまして、今後、実態を踏まえて、自治体向けを含めて必要な対応を検討してまいります。

船橋分科員 必要な対応も、かなり急いで対応していかなければいけない部分もありますし、ただ、これは経産省だけの取組では足らないところもありますから、先ほど御答弁ありましたけれども、グリーン購入法そのものを所管されているのは環境省ということでありますから、御答弁ありましたように、実態の把握を早急に進めていただいて、その結果に基づいて、それぞれの省庁が連携をした中でそれぞれの役割をきちんと果たしていただくように求めさせていただきたいと思います。

 次に、政府としてもペーパーレス化というものを推進をされ、世の中全体の動きとしても紙離れというものは進んでおりますけれども、一方で、紙というものがなくなるかといえばそうではないというふうに思います。

 ただ、こうした状況によりまして、製紙メーカーのみならず、地域の住民生活あるいは経済活動を支えている中小の印刷産業の経営などに影響を与えているということは事実ではないか、こう思うわけでありますけれども、国としても、地域で頑張っている中小印刷産業というものを支援、守っていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘がございました中小印刷産業でございますけれども、事業所数で見ますと、全国四十七都道府県のうち約四十の都道府県で一位又は二位になっている業種でございまして、そういう意味では、まさにおっしゃられたとおり、地域経済を支える重要な産業であるというふうに認識をしております。

 これも今委員から御指摘ございましたとおり、デジタル化の進展によりまして紙の需要はある意味で減少しているわけでございますけれども、他方、逆に申し上げれば、希少性が増しているような例もあるようでございまして、これは我が国の例ではございませんけれども、欧米では、まさにネットが普及するのにある種反比例してダイレクトメールが非常に希少性を増し、プレミアムなマーケティングの手段として活用されている例もあるというふうに聞いております。

 ということもございますし、日本の国内でも、より付加価値の高い印刷物を生産する地域の中小印刷産業のチャレンジも出てきておりますので、そういう意味におきまして、デジタル化の流れをむしろチャンスと捉えて、これまでのノウハウを生かしながら、また新しい顧客もターゲットとしながらサービスを開拓できるという可能性はあるのではないかというふうに考えておりますので、私どもといたしましても、こうした中小印刷産業に寄り添いながら、こうした取組を更に推し進める支援をしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

船橋分科員 次に、商標に関してお尋ねをしてまいりたいと思います。

 商標への関心の高まりといいますのは、毎年出願件数がふえていることからもわかるわけでありますけれども、商標法の改正あるいは審査体制の充実ということに政府として取り組んでおられることを高く評価をさせていただいているところであります。更に商標への関心というものが今後も高まっていって、知的財産が守られることによって社会の健全な発展につながっていくことを期待をしながら、幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、悪意の商標出願ということであります。

 最近の例としては、ティラミスヒーローというのがございましたけれども、この悪意の商標出願に対する対応としては、悪意の商標出願セミナーの開催、あるいは悪意の商標出願に関するTM5の制度・運用報告書、悪意の商標出願事例集の作成などと、特許庁ホームページあるいはTM5ウエブサイト公表などがなされているところでありますけれども、内容を見てまいりますと、実は、このセミナーの開催というのは、国内では東京だけに限られているというのが実情でございます。

 それから、特許庁のホームページあるいはTM5ウエブサイトなどについても、一般的にどこまでこの存在そのものを知っていただいているのかということを考えるときには、疑問に感じるところがあります。

 したがいまして、周知方法に関しては工夫をしていく必要性があろうかと思いますが、見解を伺わせていただきたいと思います。

宗像政府参考人 お答え申し上げます。

 悪意の商標出願は、他人の商標が登録されていないことをまさに奇貨として、不正な目的で第三者がその商標を出願するものでございまして、それを根絶するためには、各国の商標審査庁が協力し合うことと、被害を受けたユーザーに行動を起こしていただくというこの二つが大事になります。

 そこで、まず、商標審査庁同士の協力ということで、五カ国のTM5等の会合で、これは日本の特許庁が提案をして、この問題に関する各国の制度や運用の情報交換を二〇一二年に始めたところでございます。

 あわせて、この情報、まさにユーザーの方に行動を起こしていただくために提供するということで、特許庁の主催で御指摘のセミナーを三回開催いたしました。

 これは、まさにこの主要五カ国から参加者を集めるものでございましたので開催頻度が限られておりましたのですけれども、それだけではなくて、ユーザーに広く提供できるコンテンツを用意するということと、そのコンテンツを用いて、今国内で、例年数カ所で開催しております巡回特許庁などの場に、海外の参加者はいないけれども、私どもで責任を持って海外の事例なども御紹介するということで、より広いユーザーの方に注意喚起をできるように、今後更に工夫をしてまいりたいと思います。

船橋分科員 商標の出願そして登録に関してかなり関心が高まっていることは事実なんですけれども、今ほど一つの例として挙げさせていただいたティラミスヒーローのような事例というのはまだまだあるというふうに認識しておりますので、やはりこれは、事業者の皆様方あるいは自分たちの知的財産を守るべき立場の方々がそのことを意識していただける機会を広く提供していくということが、まず大事なことではないかと思っておりますので、引き続きの取組を期待させていただきたいと思うところであります。

 次に、商標出願、審査に関しまして、毎年、特許庁として達成すべき審査期間というものについて目標をお示しをされておりますけれども、平成二十九年度時点で、一次審査通知、審査終了までの平均期間というものが、その前の年度と比較をしたときに、延びているということを承知をいたしております。

 そこで、まだ年度途中ではありますけれども、平成三十年度の状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

宗像政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の一次審査通知までの平均期間でございますけれども、平成二十八年度に四・九カ月だったものが平成二十九年度には六・三カ月となっておりまして、平成三十年度は、更に延びてしまうのですけれども、これを平均九カ月以内におさめることを目標としておりまして、現時点でこの目標を何とか達成できるという見込みでございます。

 そして、権利化までの平均期間、全体でございますけれども、二十八年度に六・八カ月だったものが二十九年度に七・七カ月と長期化しておりまして、これを三十年度は十カ月以内におさめるという目標を達成しようとしております。

 商標の出願件数は平成二十五年から急増しておりまして、平成二十九年には前年比一八%増の十九万件、平成二十五年と比べると一・六倍に達しております。英語の出願がふえたり、あるいは音や色彩などの商標も導入したこともございまして負担がふえておるんですけれども、今後もしっかり業務の効率化、審査体制の強化に取り組んでまいりたいと思います。

船橋分科員 次に、特許庁と知的財産裁判所で異なる判断の例についてお聞きしたいのであります。

 例としては、時計でフランクミュラーというブランドがあるんですけれども、これを国内の会社さんがフランク三浦というブランド名で商品をつくっていらっしゃる。しかし、その商品を見れば、明らかにフランクミュラーのコピーといいますか、まねをしていることは明らかなのでありますけれども、そのものを見れば、例えば地域の名前を文字盤の中に入れたりとかいろんな工夫をされていらっしゃるので、それはそれで魅力的な商品であることは理解ができるんですけれども、逆を言えば、それだけの魅力的な商品をつくれる技術があるのであれば、あえて名前のところは違うものに変えてもよかったのではないかなというふうに思ったりするわけでございます。

 そのことが特許庁に審査をされた結果、特許庁としてはフランク三浦という名称を使うことは望ましくないという判断をされたんですけれども、裁判所に申立てをするとそれは問題がないというふうに答えが出てしまったということなんですが、審査や審判の質という観点からすると、特許庁としてはこうしたことについてどう考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。

宗像政府参考人 お答え申し上げます。

 個別案件につきましてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、制度の考え方から申しますと、特許庁が行う行政処分たる審査、それから準司法作用として審判官の合議体が行う審判、そして今御指摘の司法作用として裁判所が行う裁判、こういう階層が設けられておりますので、その階層によって判断が異なる事例が生じることは制度上想定されているというところでございます。

 一方で、判断の安定性、予見可能性を高めるために、審査、審判それぞれについて、私ども、判断の質の向上を図っております。

 審査については、管理職による全件の確認、それから審査官同士の協議を行っておりまして、さらに、個別の事件に関する審決、判決を分析しております。

 それから、審判につきましては、審判の判断に対する、さらにその上で裁判所がどのような判決を出したかということを詳細に分析をしまして、審判実務の改善に努めております。

 さらに、産業界、弁護士、弁理士、裁判所とともに、審判決の事例を議論する実務者の研究会を開催しておりまして、報告書を公表するなどして予見可能性の向上に努めております。

 以上でございます。

船橋分科員 ただ、知的財産というもののあり方に関しては、日本国内だけではなくて、まさに世界各国からも日本のあり方というものを見られることにもなるわけでありますので、やはりそうしたところも、国際社会から見たときにも日本の各行政機関ごとの判断というものがまちまちであるということがないような努力というものはしていただく必要性があろうかな、こう思っております。

 次に、昨年四月、キッコーマンはしょうゆ卓上瓶が立体商標として登録されたというふうに発表いたしました。

 立体商標制度は一九九六年から導入されましたが、これまで食品容器として登録される例というのは珍しくて、ほかには、コカ・コーラのコンツアーボトルやヤクルトのヤクルトプラスチック容器などが代表例というふうにされております。また、明治製菓のきのこの山がありますけれども、これらのものはいずれも数度の出願によりまして、特許庁として、これがその商品のしるしとして他と明確に違いがあるという部分、それから全国的に知名度というものがあるという点、これを証明しなければ商標としての登録を認めないということでありますから、各申請者の方々は大変な労力と費用をかけてようやく証明し認められた例ということになっております。

 こうした食品メーカー等の知的財産というものを国内外で守るべき審査制度というものが厳格であることは必要だというふうに思いますけれども、そのハードルが高過ぎるというのはいかがなものかと思うところがあります。

 と申しますのも、立体商標の審査というのは、音や色彩の商標も同じようでありますけれども、現状は審査官の主観によって違いがあるのではないかという指摘などもありまして、こうしたことからすると、審査のあり方についても改善の余地というものがあるのではないかというふうに考えますが、所見を伺いたいと思います。

宗像政府参考人 お答え申し上げます。

 立体的形状の商標権は、商品又は商品の包装の形状を独占させるものなんですけれども、商標権というのはどんどん更新をしていけますので、登録料をお払いいただければ半永久的に独占できる。出願の段階で新規性を問われる特許権や意匠権とはそこが違うということがございます。しかも、類似の形状にも効力が及びますので、非常に強い権利になっております。

 このため、この制度を導入した際の審議会の答申、あるいはその後の裁判例などでも、権利を幅広く認めることについては非常に慎重な書きぶりがなされております。これを受けて、審査は他の事業者の選択肢を過度に制約しないようにするということが求められておるわけでございます。

 原則としては、立体的な形や色や音が、それ自体としては識別力を持たずに、時間をかけてそれが知れ渡ったときに例外的に認めるという運用をしております。これは、例えば新しいユニークな形を考えられたら、それを意匠で取っていただければ、最初は新規性が認められればよいのですけれども、意匠権はお取りにならなかったけれども、確かにこれは長年積み重ねられた信頼がそこに蓄積されているというときにこの独占権を認めておりますので、そこはそういう形で運用せざるを得ないかなと思います。

 そして、先ほどおっしゃった、審査官による質のぶれとかということについては、これはあらゆる問題について共通でございますので、特許庁として、そういうことがないように、管理職によるチェックとか審査官同士の協議などをきちっと徹底してまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

船橋分科員 今ほどお答えはいただいたんですけれども、しょうゆ卓上瓶とか、きのこの山に関しては、立体商標制度ができる前から商品としては世の中に広く出回っているものでもありますので、それをあえて、全国的な知名度があるかないかなんということを証明する必要性があったのかなという素朴な疑問を実は感じるところもありました。

 今ほどお答えありましたけれども、ぜひ、立体商標とか、音とか色とか、なかなか判断の難しいところがあろうかと思いますけれども、適切な対応というものを今後も求めさせていただきたいと思います。

 次ですけれども、この商標に関しての最後の質問なんですが、先ほど、出願件数がどんどんふえている、そして内容も多岐にわたってきているというお話がありました。こうした中で、結果として審査期間等が延びている現状があるわけですけれども、これはやはり短縮をしていくに望ましいことはないというふうに思います。

 そこに向けましては、職員数の確保、具体的には増員ということではないかと思いますが、そこに加えて、審査の精度を上げていく上での、養成あるいは日ごろの研さんというものが重要になってくるのではないかと思いますが、所見をお聞かせをいただきたいと思います。

宗像政府参考人 御指摘のとおり、審査の質を維持しながら、これ以上審査期間が延びることのないようしっかり取り組んでいきたいと思っておるわけでございますけれども、まずは業務の効率化ということで、特に、出願の中で対象となる商品やサービスの分野が適正に記載されているものを優先的に審査申し上げることで、適正な出願を促して審査負担を下げるというような工夫も始めたところでございます。

 そして、もちろん商標審査官の数の確保は基本でありますので、これも図ってまいりたいと思いますし、審査に必要な先行商標等の調査を外注するとか、さらにはAIの活用可能性を追求していくといったような取組もしてまいりたいと思います。

 それから、御指摘の審査官の養成や研さんにつきましては、今、経験年数とか職位に応じた階層別研修を実施しておりますけれども、今後一層充実させてまいりたいと思います。

船橋分科員 ありがとうございます。

 次に、コンビニのFC二十四時間営業についてなんですけれども、つい最近、コンビニ最大手セブンイレブンの大阪府東大阪市内にあるフランチャイズ店、人材不足を理由に、深夜営業、午前一時から早朝六時までなんですけれども、営業時間を短縮したところ、本部が契約違反に当たるとして、違約金が発生あるいは契約解除になるのではないかといったことが当事者間で問題となっておりました。

 日本全国、労働力が不足をする中で、全ての店舗で二十四時間営業を前提としたフランチャイズ契約というものは、だんだん時代にそぐわなくなってきているのではないかというふうに思っておりますし、こうしたことから、本部と加盟店の間でさまざまな問題が起こっているような気もいたします。

 こうした状況は、サービスの利用を前提とする消費者等にも影響が及ぶことから、当事者間によります円満な解決というものが望まれますけれども、経済産業省としても、社会的影響を考慮し、関係者に早期の解決が図られるよう対応していくべきかと思いますが、所見を伺います。

島田政府参考人 委員御指摘の、営業時間といったフランチャイズ契約の内容につきましては、基本的には両当事者間の契約ないし判断に委ねられるものということではございます。

 人手不足や働き方改革などの経営環境の変化、あるいは一方で、地域社会からは非常に多様なニーズがある、そういったことを総合的に踏まえて、チェーン本部と加盟店舗の間で適切な協議、議論がなされるべきものであるというふうに考えているところではございます。

 ただ、最近、二十四時間営業を前提とするチェーンにおきましても、営業時間を見直すというような検討がされているものが出てきているというようなことも承知をしているところでございます。

 こういった状況の中で、各事業者での新たな取組の状況も見据えながら、二十四時間営業などの営業方針をめぐり、チェーンの本部とオーナーとの間で問題が生じた場合には、十分なコミュニケーションをとってオーナーに理解を得た上で解決をするよう引き続きチェーン本部に求めていくといったような取組を進めまして、今後の業界の健全なあり方とはどういうものかといったことにつきまして、業界ともよく話し合ってまいりたいと考えてございます。

船橋分科員 時間が参りましたので、最後に一点お尋ねします。

 人手不足が続く中でありましても、私は、全ての店舗で二十四時間営業というのはそぐわない時代に入ってきたというふうに申し上げましたが、一部のコンビニなどについては、社会の要請に応じて二十四時間の営業というものが必要ではないか、こう思っております。

 これらの運営に関する店舗の負担というものを軽減をし、必要なところは二十四時間営業を継続するために、業務等の改善に向けた民間の取組が必要なんでありますけれども、経済産業省としてもどう対応されていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。

島田政府参考人 二十四時間営業のコンビニエンスストア、これは、平時におきましては、さまざまな生活利便を提供する、あるいは防犯上も一定の効果を有するといったような機能を持ってございますし、災害時にもライフラインとして機能するといった、地域にとってなくてはならない存在でございます。したがいまして、一部、二十四時間をどうしても残したいというふうな御意見があることも承知をしているところでございます。

 他方で、コンビニエンスストアにおいても人手不足が非常に深刻化をしているということも認識をしているところでございます。

 コンビニ各社では、キャッシュレスの決済端末、あるいは自動的に釣銭が出せる機械の導入、さらにはセルフレジといったような形で、さまざまな省力化に取り組んでいるというところでございます。

 経済産業省では、こういったコンビニでの取組を支援するために、レジの効率化やサプライチェーンの在庫管理の最適化といった観点から、従来から電子タグの普及といったようなものにも取り組んでいるところでございます。

 ただ、この電子タグ、例えば価格の問題、一枚当たり幾らというふうな単価の問題、あるいはフォーマットの標準化といったような課題も抱えているところでございます。

 一昨年の四月に、コンビニで電子タグ一千億枚といった宣言をさせていただいたところでございますが、こういった電子タグによる省力化が進むように、社会実装に向けた実証に取り組んでいるところでございます。

 今後も、こういったことを通じまして、コンビニにおける生産性向上と人手不足対策といったものに取り組んでまいりたいと思っております。

船橋分科員 終わります。

宮下主査 これにて船橋利実君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

小田原主査代理 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)分科員 自由民主党の佐々木紀です。どうぞよろしくお願いいたします。

 ことし十月には、消費税が引上げ、税率が引き上がるということで、その対策、例えば軽減税率、どうなるんだ、どういうふうに運用していくんだとか、あるいはキャッシュレス、導入促進でポイントを還元するといった、こういったこと、国民の皆さんも大変、どうなっていくのかなと関心を持っていらっしゃると思います。

 そこで、まずお伺いしたいと思います。

 この消費税の軽減税率制度において、いわゆるイートイン、テークアウトの境界線についてお伺いしたいと思います。

 イートインスペースで飲食するかしないかという意思で判定するのではなくて、持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡、こういうふうに法律には書かれているわけでありますけれども、外形上明らかなところに求めるべきではないかということをちょっと御提案というか、させていただきたいと思います。

 いわゆるスーパーとかコンビニでは、持ち帰ることも、店内で飲食することも、食べ歩きすることも可能な商品を販売しているわけでありまして、店内で飲食させるか否かにかかわらず、持ち帰り用の容器に入れてもう既に販売しているわけです。この場合に、顧客に店内飲食か持ち帰りかの意思を一々確認してレジをするわけでありますけれども、こういったところを、いわゆる内心を軽減税率の適用対象とするか否かの判定材料とするのは大変不安定で、具体的妥当性に欠くのではないかなというふうに思います。

 内心というのは本当に変わるものですから、会計時に持って帰ろうと思っていても、購入後、ああ、やっぱり食べていこうかな、こういうこともあるわけでありますし、その逆もあるわけです。やっぱり持って帰るから税率を返してくれというふうになると現場も混乱しますし、正直に申告した人とそうでない人との間でトラブルが生じる可能性もあるわけです。現場の混乱や負担を減らすために、イートインコーナーを利用する場合は申し出てくださいとここで掲示をして意思確認をすることもいいというふうに言われているわけでありますけれども。

 いずれにしても、私は、そういったところに税率の適用の判定基準を設けるのではなくて、法律では、当該飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡は、含まれないものとするというふうに書いてあるわけでありますから、いわゆる持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡それ自体をもう外食という定義から外してはどうかというふうに思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の適用税率の判定についての御質問でございます。

 委員おっしゃいましたように、法律上は、適用税率の判定は、販売事業者がその販売時点で判断するものとされております。そのため、飲食料品を販売する際には、営業実態に合わせて、持ち帰りかどうか顧客の意思を確認することなどにより適用税率を判定することが、適正な課税及び執行可能性のある運用の確保といった観点から、最も現実的な方法であるというふうに考えております。

 したがって、持ち帰りのための容器等に入れまして飲食料品を提供するといたしましても、顧客の意思を確認の上それを店内等で飲食させるのであれば食事の提供に該当し、軽減ではなくて標準税率が適用されることとなるというふうに考えております。

 もちろん、多くの場合、持ち帰り用容器でテークアウトというようなことが行われている実態に鑑みて、まさに委員御提案のように、持ち帰り容器に入っているものを売った場合には全て軽減税率を適用するといったようなことを仮に制度として導入いたしますと、明らかに店内で飲食させるという食事の提供を行っている場合であっても、容器が持ち帰り用であれば全てこれが軽減税率の適用になってしまうということで、一般のいわゆる外食との間での課税の公平性が失われるおそれがあるのではないかといったようなことを考えているということでございます。

 いずれにせよ、軽減税率制度、新しい制度でございますので、円滑な実施のために、消費者、事業者の方々双方に制度を正しく理解して御対応いただくことが重要であると考えておりまして、引き続き制度の周知、広報にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 私は、むしろ、持ち帰り容器で販売すれば、持って帰ろうがそこで食べようが、そのことをもって判断基準にした方が公平だというふうに思いますので、今後いろいろな御意見も出てくるでしょうから、ぜひ柔軟に考えていただきたいと思います。

 一方で、食堂の出前は軽減税率で、店内飲食は標準税率だということも、ちょっとこれもまた理解しがたいかなというふうに思いますので、ぜひ、この辺の境界線について、また一度考え直していただけたらありがたいなというふうに思います。

 続きまして、需要の平準化対策のためのポイント還元についてお伺いしたいというふうに思います。

 中小・小規模事業者における消費喚起を後押しするということで、ポイントによる還元事業というのを行うわけなんですけれども、この事業の対象事業者は誰なんだと。中小企業者なんですけれども、純粋な定義に基づくと、いわゆる資本金五千万円以下又は従業員五十人以下ということになるわけなんですけれども、中小企業の中には売上げが数千億円ある企業もあるわけなんですね。

 単に資本金と従業員だけで判定すると、全国的に事業を行っている、事業実態は大企業と同等の中小企業も対象となるとなると、競合している大企業との間で不公平となるのではないかなというふうに思うわけですけれども、この辺についてどのようにお考えでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイント還元に関しまして、対象となる中小企業の定義につきましては、今御紹介ございましたように、中小企業基本法上の定義にのっとって規定するということを基本としたいと考えてございます。これも御紹介ございましたように、小売業の場合は資本金五千万円以下あるいは従業員五十人以下ということになるわけでございます。

 一方で、これも今まさに御指摘いただきましたように、特に、資本金が小さくて、一方で大変大きな売上げを上げていらっしゃるという企業もあるというふうに承知しておりまして、こういった、いわゆる過少資本企業というふうに呼ばれておりますけれども、こういったようなものの取扱いについては、これまでも、税制始めさまざまな観点から、どう取り扱ったらいいかというような議論が積み重ねられてきているところでございます。

 したがいまして、今委員から御提案ございました売上げ等も勘案してということで、過去のこういった議論も踏まえつつ、適切な基準を設けるというようなことについて検討してまいりたいというふうに思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。ぜひ検討していただければと思います。

 確かに、線引きは難しいと思います。五千億がいいのか、三千億がいいのか、五百億がいいのか、三百億がいいのか、百億がいいのか、それは難しいところですけれども、余り多く設定すると制度の趣旨から反してくるので、なるべく低いハードルで、中小企業とみなされる程度の売上げの基準もぜひ導入して判定していただきたいというふうに思います。

 三問目に行きたいと思います。

 今回、この平準化対策とともに、キャッシュレス決済比率を上げていくというのも一つの目標になっているわけなんです。今回、このキャッシュレスのポイント還元というお話をすると、日ごろ使っている人からするとありがたいなというふうに思うわけでありますけれども、一方で、使っていない方にすると、何でそんな制度でやるのということで、大変混乱をするのではないかというふうに思うわけなんですね。

 ですから、いわゆる平準化対策とキャッシュレス化の推進というこの二つの政策目標を同時にやろうとしているから、かなりいろいろなところでハレーションが起きているのではないかなというふうに思うんです。

 しかし、キャッシュレス決済比率を上げていくということは、私、これは必要だと思うので、まあ、この際、やればいいのかなというふうには思うんです。ただ、やはり多くの国民の皆さんがちょっと不公平感を、特に高齢者の皆さんはキャッシュレス決済になじんでいないわけですから、不公平感を持つのではないかなという懸念がされるわけなんです。

 本来であれば、もう少し早くキャッシュレス決済というものの導入に取り組んで、一定の皆さんが使いなれたころに消費税の平準化対策でポイント還元しますということであれば、皆さん、まあそうかということで理解は得られたのかもわかりませんけれども、まだ決済比率が二〇%、こういう状況の中で、キャッシュレス決済比率を上げていくということとポイント還元というのをやろうとしているので、理解に少し難を要しているのかなというふうに思います。

 ですから、例えばSuicaみたいなものを配って便利さを実感してもらって、ある程度普及させてポイント還元にしたりとか、何か一つ工夫が要るんじゃないかなというふうに思います。

 もう一方、消費者がキャッシュレス決済手段を持つということも大事なんだけれども、一方、ふだん使っているお店がそれに対応していないといけないということもあると思うんですね。つまり、買う側も売る側も両方がキャッシュレス決済の条件を備えていく必要があるということで、これは本当に大変なことだと思います。

 したがって、やはりしっかりとした広報と、決済事業者の働きかけや営業というのがすごくポイントになってくるというふうに思います。

 例えば、私、提案ですけれども、銀行のデビットカードというのは、これは非常に、高齢者の方でもキャッシュカードを持っていますから、それをデビットカードにかえればキャッシュレス決済も気軽に取り組めるのではないかな、そうすれば銀行も、自分の取引先に決済端末を入れてくださいという営業をかければ、銀行も今、本当になかなか手数料が稼げない時代ですから、また新たなビジネスにもなっていくのではないかなというふうに思うんです。

 したがって、広報の仕方とか導入促進の方法についてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、今回、このポイント還元事業というのを行うに当たりましては、事業の中身だけではなく、そもそもキャッシュレス決済のメリットとか、実は簡単なんだということも含めて、しっかり消費者や事業者の皆さんにお伝えしていくということが重要だと思っております。

 どうしても、これまでのクレジットカード中心ということですと、持つのにそもそも審査があるとか、あるいは、お店の方でもそれを導入するのにコストがかかるといったような考え方があるわけでございますけれども、例えば、今御紹介いただきましたさまざまな新しい決済手段という中で、手軽に使える、あるいは手軽に導入できるといったようなものもふえてきておりますので、これからこの事業を広報していくに当たりましては、当然のことながら、さまざまな動画を使うとか、いろいろなイベントをやらせていただくという中で、実際に体験していただくというようなイベント、実際に使ってみて簡単だった、あるいは入れてみて簡単だったというような体験型のイベント、こういったようなものも取り込む形で、さまざま工夫しながら取り組んでいきたいと思っておりますし、また、今御提案ございましたけれども、地域の金融機関、こういうところと組んだ形で、広報、PRキャンペーンを張っていくということも有用ではないかというふうに思っておりまして、さまざま工夫をさせていただきたいというふうに思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 さまざま考えていらっしゃるようでございますので、ぜひ、広報、導入促進手法について、どんどんやっていただきたいなというふうに思います。

 次に、対象業種についてお伺いしたいと思います。

 一部の業種については対象外とされております。例えば風営法上の風俗営業等は対象外というふうになるんですけれども、例えば旅館というのはいわゆるこの風営法が適用されるわけでございますけれども、旅館みたいなものまでポイント還元の対象にならないということになると、やはりこれは業界が、どうなっておるんやということになりますので、ぜひこういったことも一つ一つ吟味をしていただきたいというふうに思います。

 また、一部の消費税非課税取引がその取引の大宗を占めると考えられるものとして医療機関があるんですけれども、その医療機関でも、例えば自費診療については、入れ歯とかインプラントとか不妊治療とか、こういったことの支払いでキャッシュレスを使えば同様にポイント還元するということも、これはすごく大事だと思います。

 特に、医療行為であっても、いわゆる駆け込み反動減というのはこういったところは生じやすいというふうに思いますので、ぜひこの辺についても考えていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目の点でございますが、いわゆる風俗営業ということに関しましては、これまでも、中小企業向けのいろいろな国の補助制度等においても補助対象外としてきた例がかなりあるわけでございます。

 一方で、今御指摘ございました旅館業などについては、風俗営業の許可をとっているけれども、一部の業態については制度の対象にしているという例もあるというふうに承知してございます。

 したがいまして、旅館業、特にこれは旅館業法ということで都道府県の許可もとっているということでございますので、そういった実態も踏まえて、どのように取り扱うか、しっかりと、これは関係省庁ともよく検討してまいりたいというふうに思っております。

 それから、二点目でございます。保険医療機関の点でございます。

 確かに、おっしゃるように、一部消費税が課税される取引が入っているということでございますが、今回、我々、対象としようとしております中小規模の医療機関ということになりますと、これもいろいろ実態を調べてみますと、やはり大宗が保険医療の対象となっているということでございまして、これを、その部分だけとってということがなかなか難しいという実態があるということでございます。

 これも関係省庁ともよく相談しておりますけれども、なかなかここを対象にするのは難しいのではないかということでございまして、これについては、保険医療機関については対象外とせざるを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。

佐々木(紀)分科員 ちょっと今の点、よくわかったんですけれども、事業者ごとで見るということではなくて、例えば、ある医療機関はほとんどが自費診療しかやっていないみたいなところとか、美容系とか多いかと思うんですよね、歯医者さんなんかも、最近はインプラントだけやっているというところも多い、もうほとんどが自費診療をやっている、まあ不妊治療なんかもそうだと思うんですけれども、そういった事業所ごとに見ていくということではなくて、業界で見ていくということなんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度に関しましては、国として新しくシステムをつくるということではなくて、今までの決済事業者のシステムに乗っかった形で、そこでポイントを付与して、それに対する補助をさせていただくという形でございます。したがいまして、個々契約されている決済事業者の方が、これが対象になるかならないかということがある程度外形的にわからないといけないということでございます。

 したがって、今、中身を見て判断という可能性はということだと思いますけれども、正直申し上げまして、そういった制度のたてつけ上、余り中身を見てということではなくて、むしろ外形的に判断できるところで線を引かざるを得ないということではないかというふうに思っております。

佐々木(紀)分科員 おっしゃっていることはよくわかるんですけれども、何か工夫もできるんじゃないかなという気もしますので、これもちょっとひとつ、一考していただきたいなというふうに思います。

 次に、使われなかったポイントをどう処理するのかということでございます。

 今回、確実に消費喚起に結びつける必要があります、税金を使っている以上。使われなかった場合は、決済事業者に支払われた費用は決済事業者の利益となると思うんですけれども、これについてはどう考えていらっしゃいますか。

藤木政府参考人 先ほど御答弁しましたように、今回の制度は、既存のポイント制度を活用していくということで、各社が現在使われている仕組みをできる限り活用させていただきたいというふうに思っているところでございますが、同時に、今御指摘ございましたように、これは消費税率引上げ前後の消費の平準化ということでございますし、また、中小・小規模事業者におけるキャッシュレスの取組を推進するということでございますので、決済事業者のところに不当なもうけが残るということではいけないというふうに考えてございます。

 こうしたことから、各決済事業者のポイント価値の算出方法、それから失効率の実績というのが出ておりますので、こういうものを厳しく見まして、具体的な補助額の算定方法を決めていきたいというふうに思っております。

 こういう中で、決済事業者に不当な利益が残らないような形で対応していきたいというふうに思っているところでございまして、今、各決済事業者から、こういった算出方法あるいは失効率の実態についてヒアリングを行っておりまして、そういう中でしっかりした基準を決めていきたいというふうに思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 今ほど失効率という言葉が出てきたわけなんですけれども、これは実は、ポイント事業者というのは結構、ポイントをばんばん発行しているんですよね。使われないものもかなりあるということで、実際は余り細かく管理していないんじゃないかなというふうに思うんです。

 キャッシュレスというのは、これは決済手段は法律で規制をされています。プリペイドであれば、いわゆる交通系とか流通系はこういうのが多いんですけれども、これは資金決済法で規制されていますし、ポストペイド、クレジットカードみたいなものは割賦販売法で規制をされておりますし、あと、デビットカードとかQRコード、こういうものはリアルタイムペイメントですよね、こういうのは銀行法等で規制をされているということで、決済手段については法規制があるわけですけれども、ポイントというものに関しては法規制がないというか、いわゆる景品表示法上の景品扱いなんだろうというふうに思います。

 景品だから、発行の決まりがない。どれだけ発行してもよい。期限を設けるのも設けないのも、これも自由だし。でも、今回は、これは国の資金を投入してやるわけですから、本来、一定の決まりがあるべきなのではないかなというふうに思うんです。

 この際、ぜひこのポイントの発行についてのルールを決めたらどうかなということも思います。例えば、ポイント発行量をきちっとやはり把握しなきゃいけないですから、何らかの形で申告させるとか、あるいは、消費者保護をどうするか、こういった観点も付加すべきだと思いますし、あと、会計処理、これをどうしていくかということもあろうかと思いますけれども、このポイントというものの法的位置づけをもっと明確にしたらいいんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、ポイントというのは、非常に今いろいろな方から発行されているということでございまして、もちろん大手のクレジットカード会社のような方が発行されているポイントもある一方で、まさに小さなお店でお得意様カードみたいな形でポイントを発行されているといったようなケースもございまして、それぞれでございます。

 当然のことながら、大手の決済事業者が発行しているようなポイントについては、しかるべく会計処理等々行われているという実態がございますが、これら、画一的に決めてしまうと、そういった中小の小さなポイント発行事業というものをかえって邪魔してしまうおそれもあるのではないかということで我々考えているところでございます。

 一方で、今回の事業に関しましては、当然のことながら、我々、何に対して補助するのかということで、実績等々はしっかりチェックしていきたいというふうに思いますし、また、先ほど申し上げましたように、今回の事業、新たにシステムを一からつくるのではなくて、今あるシステムを使わせていただくという形で進めていくわけでございますが、その中で、各社がとられている算定方法あるいは失効率といった実績についてはしっかりチェックして、それに見合った形でしっかり運用してまいりたいと思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 既存のそういう仕組みを使っていくということはよくわかるんですけれども、一点、私の考えですけれども、日本の技術というんですか、こういったことをやはり広めていかなければいけないと思うんですよ。

 そういう中で、私は、流通系とか交通系でよく使われているFeliCaの仕組み、これをぜひ日本で導入をして、むしろ世界じゅうがこういったものを使えるようにしていくということもすごく大事なのではないかなというふうに思うので、今回は今ある既存のQRコード型も全部含めてやっていくということでありますけれども、ぜひそういった観点も今後考慮していただけたらありがたいなというふうに思います。

 最後に、このポイントというのは消費喚起効果があります。例えば、私も経験ありますけれども、百ポイント持っていて、失効するというと、何か三百円のものをつい買っちゃうんですよね。要は無駄な買物をしてしまうということなんですけれども、一方で、先ほど答弁の中にあったように、さまざまなポイントがあるんです。でも、ためるものは、大概、財布とかに入っている一部のポイント事業者のものしかためないわけなんですよね。本来、全部ためようと思ったら、もうあらゆる種類のポイントがたまっていく。

 何か、ある調査機関が調べたら、大体一人一万五千円ぐらい実は年間ポイントがたまっているんですよみたいな話はあるんですけれども、実は、自分自身そんなに持っていませんよね。でも、本来、全部漏れなくためればそれぐらいたまるというんですよね。そうすれば、それが消費喚起効果を生んで、失効の機会に三万円ぐらいのものを買ってみようかということになるわけなんですね。

 ですから、今後、このポイントというものを考えていくときは、やはり集約をしていくという仕組みづくり、僕は、これがすごく大事なんではないかなというふうに思います。やはり一円や二円失効するときは使いませんから、なるべく全部まとめて、それを何か一つのポイントに、両替とは言わないですけれども、交換できて、それでまとめて何か地域のお店で使えるみたいなことができるようになると、これは大変便利だな、消費喚起効果もあるんではないかなというふうに思うんです。

 したがって、マイナンバーカードにもこのマイキープラットフォームというものがあって、こういったものを活用するとか、クラウド型のデジタルポイントというものを導入してみるとか、最近は自治体ポイントみたいなものもありますけれども、こういったものを何かうまく組み合わせて、ポイントを気軽に漏れなくためられる、そして使えるような仕組みを考えたらどうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、現在、マイナンバーカードのICチップに搭載されている公的個人認証の機能、いわゆるマイキー部分を利用し、クレジットカード会社のポイントや航空会社のマイル等を特定の自治体ポイントに交換し、商店での買物や特産品のオンライン購入などに活用する事業に取り組む地方公共団体に対して、総務省はマイキープラットフォーム等のシステムを提供しているところでございます。

 この事業の実施に当たっては、参加する地方公共団体が個別にシステムを調達するのではなく、総務省がクラウド型情報システムを構築し、それを利用していただくという形となっております。

 今後、この稼働中のシステムに一定の機能を付加した上で、消費税率引上げに伴う駆け込み反動減に対応し、消費の活性化を図ることを目的とした、マイナンバーカードを活用した消費活性化策を実施することとしているところでございます。

 この事業は、マイキープラットフォームを活用し、自治体ポイントを購入された国民の皆様に国の負担でプレミアムポイントを付与するものでありますが、その実施時期は、先ほど経産省から説明がありましたポイント還元支援策等を実施した後の二〇二〇年度とすることとしております。来年度は、その準備期間として、国民向けの広報やポイントの利用店舗の募集等に取り組むこととしております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、キャッシュレス決済比率を上げるということを期待しておりますし、ポイントについても、ぜひ、それを消費喚起効果につなげるような取組をお願いしたいというふうに思います。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

小田原主査代理 これにて佐々木紀君の質疑は終了いたしました。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

宮下主査 次に、秋本真利君。

秋本分科員 自民党の秋本真利です。

 洋上風力の新法が成立をしました。業界、協会、ことしは洋上風力新年、元年だというふうに強い期待を抱いて、そしてこの新法に大きな期待をかけております。

 また、日本というのは、海に囲まれておりますので、洋上風力の賦存量というのは大変大きなものがあって、これからこの産業をしっかりと育成をし伸ばしていって、そして私は、こういったインフラを世界に輸出する、打って出る、そういう産業にまで育て上げるべきだというふうに思っています。

 経協インフラ戦略会議でもその方針が先日打ち出されたところですし、政府としても、世耕大臣を先頭に、しっかりと強力にこの後押しをしてもらいたいというふうに思っています。

 特に国内を見渡したときに、北海道、そして青森、秋田というのは風況が非常によくて、ここについては、系統を引っ張るときでも、国の方でほかの地域とは差をつけてお金半分出すよというような事業をやっているぐらい非常に有望地なわけであります。

 そうした中で、北海道、青森、秋田、三県ですけれども、この中で、青森県について心配な事象を私自身が把握をしたので、ちょっと確認をしたいというふうに思います。

 追加で通告をして、防衛省さんには後から委員部に登録をして急遽来ていただいたわけですけれども、それで防衛省さんにも確認をした資料がありまして、私の手元にもありますが、青森県の中で、防衛省が、ここの海域についてはいろいろ国防上問題があるので防衛省とちゃんとここは相談してよね、洋上風力をやるんだったら防衛省にもちゃんとここは特に確認してよねというようなことで、防衛省作成資料といって、地域に色をつけてある資料が私の手元にあります。そして、右の下には防衛省作成資料というクレジットが入っていますが、この資料は防衛省が作成したものですか。

中村(吉)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の資料につきましては、環境省が実施をしております青森県における洋上風力発電に係るゾーニング事業に関する関係機関等との合意形成の一環といたしまして、防衛省・自衛隊から青森県に対し、部内で調整中であることを前提として提供した情報をもとに、青森県において作成した資料であるというように承知をしております。

 なお、ゾーニング対象エリアにおける防衛関連施設による影響の範囲等につきましては、引き続き部内で検討を行っているところでございまして、その内容につきまして、現時点で確定的にお答えすることは差し控えをさせていただきます。

秋本分科員 この資料が、防衛省の作成資料と入っていますけれども、防衛省がつくったものではないということは明らかになったわけであります。

 今回の新法は、ヨーロッパでセントラル方式というものがあって、それに私はなるべく近づけていきたいんだけれども、まだまだなところはありますが、それでも、国が出ていってステークホルダーや何かをはっきりとさせて、一定程度交通整理をして、そして促進区域を指定していくというスキームになっているわけですから、当然、国の機関である経産省と防衛省についてはちゃんと協議をして、国交省も入るわけですけれども、協議をして、そして促進区域をしっかりと打っていく。

 それは、もちろん国防は大事です。これは何においても大事。だけれども、その支障のない範囲の中であれば、一律全部ここはだめよということではなくて、支障がないのであれば、その範囲の中でも、そこについては経産省や国交省との協議にも防衛省は柔軟に応じていただいて、そして、この法律に基づく洋上風力というものが青森県でもしっかりと私は展開されるべきであろうというふうに思うわけであります。

 そういった中で、経産省、エネ庁、そして国交省、そして内閣府、今のところはまだ入っていますけれども、しっかりと強くリーダーシップを発揮して、国でちゃんと調整はするから、とりあえずその調整の結果はどうなるかわからないけれども、少なくとも県のレベルはそんなことを気にしないでしっかり出してこいというふうに私は思うんですけれども、このことについてどう思いますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ海域利用法における促進区域の指定及び運用につきましては、法律の中で、所管大臣である経産大臣及び国交大臣が、都道府県知事、農水大臣、関係漁業者の組織する団体で構成される協議会を組織して、事業の実施に必要な協議を行うということが規定されてございます。

 また、促進区域の指定に際しましては、両大臣が、農水大臣、防衛大臣も含めました関係行政機関の長に対して協議することということが定められておりまして、法律の施行に当たりましては、区域の指定を含めて、恐らく関係省庁の幅広い分野との調整が必要になってまいります。

 私ども経産省としましては、国交省と密接に連携、協力いたしまして、この区域の指定を始めとした法律の施行が円滑に進んでいくように、こういうことを前提として、都道府県の皆様方、事業者の皆様方、洋上風力の取組を進めていただけるよう我々もしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに考えてございます。

秋本分科員 改めて、ちょっともう一回、その点について確認したいんですけれども、こういうことで、国でしっかりと交通整理するよというたてつけになっているのに、地元の方でこういう、多少ちょっとそうじゃないことが出てきたときに縮こまって出さないというのは、私ちょっとどうかなと思うんですね。

 やはり、出すだけ出して、国がリーダーシップを持って整理するぜというふうなたてつけになっているわけだから、それはやはり、都道府県は、そういうところは国が整理するというたてつけになっているわけだから、そういうことは気にしないで出すべきだと私は思うんですけれども、どうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

 今、状況でいいますと、区域の指定若しくは事業者の今後の選定ということを進めていく上での必要な情報、都道府県の皆様方に情報を寄せてくださいという、情報を今募集しているところでございます。

 あくまでも、法の執行というのは、国の方で、国交省と私どもが一緒になって進めていくところでございます。そのときに、私どもからしますと、都道府県の皆様方及び事業者の皆様方には、この法律に基づいて関係の区域におきまして洋上風力の推進が進めていけるように、調整の部分は国の方でしっかりやってまいりますので、情報の提供及びさまざまな御意見を頂戴できればと考えてございます。

秋本分科員 大変心強い答弁だったというふうに思います。

 もちろん、国防が何よりもやはり一番大事なわけですから、それを脅かすような形で洋上風力が建つということはあってはならぬわけで、これは私も絶対あってはならぬと思います。

 ただ、先ほども言ったとおり、過度な、必要でもない規制をかけて、そこには一律建てさせませんというのでは、やはりこれは違った意味での国益を損ねますから、しっかり、防衛省も、国交省や経産省と協議をしていただいて、地元がそういうことで縮こまるということがないようにしていただきたいなというふうにお願いを申し上げまして、防衛省、これだけですから、これで退席してもらって結構です。

宮下主査 防衛省の皆様、退席いただいて結構です。

秋本分科員 それでは、次に参りますけれども、促進区域の指定、今いろいろと議論が進んでいますが、議論の中で、三十五万キロワットをちょっと一つの区切りにしようよというような、議論の中での数字が出てきています。

 やはり、民間からすると、国の議論の中で三十五という数字が出てきちゃうと、いやいや、これは三十五が上、アッパーなのかな、三十五万キロ以上はなかなか指定してもらえないんじゃないかというふうに思うのはこれは自然なことでありまして、この辺、促進区域ごとにいろいろと事情が違うわけですから、そこについては三十五万が決してキャップではなくて、そこについてはしっかりと地域の事情を勘案しながら見ていくということだろうと私は思うんですけれども、どうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 促進区域の範囲につきましては、それぞれの区域ごとに事情が異なるところでございまして、一律にその規模を決めることは難しいと認識してございます。一方で、効率的に洋上風力発電事業の実施を行うには一定の規模が必要だということもございますし、また、初期の段階では、余りにも規模が大き過ぎると公募の参加者が限定的になり過ぎるのではないかという、競争政策上の指摘があることも事実でございます。

 こうした中で、現在、国交省と経産省の間で、審議会の中で御議論を頂戴しているところでございますけれども、一つには、規模の意味でいうと、三万キロ以上でないと効率的に何かできないよということの数字と、委員から御指摘ございましたような、欧州の主要国においておおよそ三十五万キロワットぐらいの平均出力があるということを目安の数字としてお示ししているところでございます。ただ、これは全くキャップではございませんし、一つの目安でございます。

 具体的な区域の指定に当たりましては、都道府県から区域の広さ等について意見を頂戴しまして、協議会等とも調整の上、地域の実情等を踏まえた形で、効率的な実施が可能となるような範囲、規模を決定していくもの、このように考えてございます。

秋本分科員 次に、中長期の導入目標についてお伺いをします。

 ちょっと前まで、エネ庁の資料には洋上風力八十二万キロワットと入っていたんですね。新法との兼ね合いもあるのでなくなって落ちて、KPIで百五十万という数字が入って、この間、国土交通委員会で私が質問したときに、百五十万ってこれはやはりキャップじゃないですよねと言ったら、キャップじゃありませんという答弁になっていて、今、環境アセス手続中の案件が約五百四十万キロワットぐらいあります。東電が銚子沖で百万キロワット、東北電力が二百万キロワットと言い始めていますよね。そうすると、今まで国が掲げていた数字とちょっと整合性がとれなくなってきちゃっているわけですよね。

 新法もできたし、私は、これは今すぐは無理かもしれないけれども、中長期的にはしっかりと導入目標をちょっと見直すことを考えないと、やはりそこに対して投資というものが起きないんじゃないかなというふうに思うんですね。やはり、新法をつくって、せっかくこの産業、さっきも冒頭で言ったとおり、経協インフラ戦略会議で、海外に売っていくぜというぐらいの大きな産業にするぞということを政府としても打ち出したにもかかわらず、やはり目標数値が見えないと民間はそこに投資しにくいんだろうと私は思います。

 やはり、国がしっかりと中長期の導入目標を掲げることで、では、設備投資しようかな、この産業に打って出ようかな、お金を突っ込もうかなというふうに思ってくるわけでありまして、これが全然示されないで何だかよくわからないよねという中では、なかなかそういうリスクはとらないんだろうと思います。

 ですから、昨今の洋上風力を取り巻く社会情勢を見たときに、やはり今の目標では余りにも低過ぎて、中長期的には大幅に見直すべきじゃないかなというふうに思いますが、どうでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年閣議決定いたしましたエネルギー基本計画におきましては、再生エネルギーを主力電源化していくということが定められているところでございますし、そのためには、コスト低減と大量導入が期待されます洋上風力発電の導入拡大は不可欠なものだと考えてございます。

 また、その際に、事業者の予見性を高めまして、産業の振興とコストダウンを図っていくという観点からも、さきの臨時国会で成立しました再エネ海域利用法を基盤としまして、計画的かつ継続的な導入拡大を進めていくということは大変重要な視点だというふうに認識してございます。

 委員から御指摘ございましたエネルギーミックスの再エネの比率二二から二四%、洋上風力が八十二万キロ、これを百五十万キロというKPIの数字、五カ所という、それぞれございますけれども、エネルギーミックスの数字及びKPIというもの、これもキャップなわけではございません。

 もちろん、国民負担を抑制しなきゃいけない。あと、系統の制約ということも克服していかなければならない。また、洋上風力でいいますと、海域の地元の方々の御理解を得なければいけない。こういったことを乗り越えていくようであれば、キャップでなくて、この見通しということを超えて導入拡大を目指していくということを我々も進めていきたいと考えてございます。

 ただ、具体的な目標の数値若しくは導入の計画については、まず実態についてよく情報を収集して、整理、検討する必要があるかと思ってございます。

 先ほど御答弁申し上げました都道府県からの情報提供、事業者の事業提供というのを今進めているところでございますけれども、こういった調査の結果も踏まえながら、今後、計画的な洋上風力発電がしっかり進めていけるよう検討していきたいと考えてございます。

秋本分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、風力発電産業の振興という意味で、今回、洋上風力新法をつくって、これから多分どんどん風車が建ってきますよね。そのときに、海外勢に全部とられていっちゃったよねという話では、全然国としては、我が国としてはやはりこれはよくないわけでありまして、やはりそこに一定程度国産化比率というものを求めていってもいいのではないかな。

 WTOとの兼ね合いもありますけれども、諸外国を見ても、台湾は、やはり国産化比率どうなのよというふうになっていますし、英国は、サプライチェーンをちゃんと構築して、物を建てていくときに、事業をしていく中で、サプライチェーンを構築しろということは、当然イギリスの中の国内の企業を使わざるを得ないですからそうなるよねと。フランスなんかは、中小企業をちゃんと使ってねとなっているので、中小企業をいわゆる自国から連れていって、海外まで連れていってどうこうさせるわけにいきませんから、当然、ではフランスの中小企業を使おうとなっていくわけで、何だかんだ言いながら、公募の仕組みの中にその国の企業を使わざるを得ないようなエッセンスというのは落とし込まれているんですよね。

 今まさに基本計画で公募占用指針をこれからつくろうという我が国においては、こういった諸外国の先駆的な例というのを、いいところはつまんで、今回国がつくっているこの公募占用指針や基本方針の中に、何かどこかにエッセンスを落とし込んで、必ず風力に出ていったお金が国内に回るような、そういう仕組みを絶対にここで入れないと後から後悔すると思うんですね。

 だから、今回、この時期にそのエッセンスを公募占用指針や何かの中に入れ込んでいくというのは絶対に必要な作業だと思いますけれども、この点についてはどうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電事業を進めるに当たりましては、非常に幅広い関連の産業が関係してまいります。風車及び部品の製造業、これを洋上設置するための建設業、そしてこれをメンテナンス、オペレートする発電事業、本当にさまざまな産業が関連してまいりますし、よく言われることでございますが、部品点数も一万点から二万点と裾野が広く、そのことは国内産業及び地域経済にも非常に大きな波及効果をもたらす重要な、産業政策上も重要なものだと我々も認識してございます。

 再エネ海域利用法の運用の仕方、この施行の準備に当たりまして、現在、経産省と国交省の合同会議、審議会のもとで、具体的な施行準備を進めているところでございます。その中で、ただ、委員御指摘の国産化比率というものの要件化ということについてはちょっと、内外無差別の原則から考えますとやはり抵触するおそれがあり、適当ではないのかなと考えてございます。

 なお、同会議の中では、長期的、安定的な発電事業の実施のために、地域との共生若しくは地域経済への波及効果といったことについても考慮が必要ではないかという議論もされているところでございまして、こういう観点を含めて、さらなる詳細を検討する際に、洋上風力発電関連産業の着実な成長を促していけるような制度設計となるよう、ちょっと検討してまいりたいと考えてございます。

秋本分科員 ぜひ必要ですので、よろしくお願いします。

 次に、再エネの便益についてですけれども、再エネというのは、この間の予算委員会でも野党の方の質問に大臣がお答えになっていて、国民負担というのはこれからふえていくよね、ふえていっちゃうんだよ、これをしっかり、いかに抑えていくかという話をされていました。私も予算委員会室で、目の前で聞かせていただきましたが。

 大臣に限らず、今まで歴代の大臣も、そしてエネ庁も、二〇三〇年以降は減っていくわけですよね、どんどんどんどん。FITが切れていった電源が出てきて、当然そこはもう限界費用がほぼゼロの電源がどんどん出てくるわけですから。電気は生み出される、だけれども、それに対する負担というのはほぼゼロになっていって、私は自民党の再エネ議連の事務局長ですが、議連としては、エネ庁に一定の仮定を置いて試算をしてもらった表が私の手元にあります。クレジットは残念ながらエネ庁とは入っていませんが、間違いなくエネ庁に計算をしてもらいましたが、かなり右肩下がりで、ずっと下がっていきます。

 私は、これはやはりオフィシャルなものじゃないので、エネ庁さんだってどこだってこういうものがこうですよという話は説明しないんだと思いますが、私は、改めて、やはりこれからこういう電源がたくさん出てくる中で、じゃ、そういった電源をどうしていこうかとか、あるいは大量の、発電をやめる設備なんかも出てくるわけで、そういったものをどうしていこうかといろいろなことを国として制度設計していく中で、この二〇三〇年以降のこういった試算をしないというのはあり得ないんじゃないかなと思うんですよね。

 だから、わかりますよ、仮定を置かなきゃ計算できないだろうというのもわかるんです、その置き方によっていろいろとこの辺の味つけも変わってくるので、その辺の置き方も難しいんだろうとは思いますが、もうFITを始めてかなりの年限たつわけですし、やはり二〇三〇年以降のグランドデザインを今度、今度のエネ基はどうなんですか、二〇五〇年までという話もあるけれども、やはりいつまでも二〇三〇年までの話じゃ終わらないと思うんですよね。

 もうそろそろ、この二〇三〇年以降、このFITというのはどんどんこうやって下がっていって、どんどんどんどん国民負担も安くなっていくんだぞというところもきちっとオフィシャルに私は世の中に提示するべきじゃないかと思うんですが、一定の仮定を置いた上で計算していただくということはできないでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 FITの対象電源の大半は二十年間で買取り期間が終了することになってございますので、発電コストが低減していきますと、FIT制度が開始した二〇一二年度から二十年経過しました二〇三二年度以降は、順次、その賦課金負担額というのは低減していくであろうということは想像されるところでございます。

 なかなか、これを役所のサイドで試算することにつきましては、さまざまな条件の設定がございます。すなわち、各電源がどれぐらい今後、新規発電が始まっていくか、そのスピード感がどうなっていくか、さらには、その時期において、FITのような国民負担を求めるような仕組みがその時点でどういう形になっているのか、その量はどれぐらいなのか、もろもろの前提によって、いろいろな数字がはっきりしないものですから、しっかりした形での推計をすることは非常に難しいというふうに考えてございます。

 ただ、委員の御指摘がありましたことを、仮にということで、本当に単純計算、機械的な数字ということで計算してまいりますと、ミックス二〇三〇年度時点、再エネが二二から二四%、買取り総額が四兆円、そうしますと賦課金総額三・一兆円、ここまでは今まで出しているところでございます。これで、三〇年度の買取り費用が最大であって、その後、FITでの新規買取りがない、今後の導入についてリニアに、極めて単純な、機械的な計算をした場合でございますけれども、三〇年度に三・一兆円であった賦課金が、大体四〇年度には〇・六兆円になる、二〇五〇年度にはこれはほぼなくなるということになるわけでございまして、二〇五〇年度までの賦課金の総額、この場合は大体六十兆ぐらいになるものだろうというふうに、もうこれは本当に仮の仮の機械的な試算でございますけれども、ということが考える一案でございます。

秋本分科員 オフィシャルな場で多分初めて答弁してもらったのかなという気もしますが、ぜひそれを、私が今手元に持っているようなこういう表に取りまとめて、今部長がおっしゃった仮定に基づいた形で構わないので、目に見える形で資料を後ほど出していただきたいと思いますので、親委員会の方に諮っていただいてよろしいでしょうか。

宮下主査 はい。委員会において協議します。

秋本分科員 よろしくお願いします。

 それで、次に行きますが、太陽光の未稼働問題ですけれども、適用除外を受ける要件で、ここに運用の詳細についてのお知らせがあります。適用除外、以下のいずれの条件を満たすことという中に、「二〇一九年十月三十一日までに、太陽光パネル等の設置工事に着手すること」とありますが、この「太陽光パネル等」の「等」が何を指すのかというのがいまいちよくわからないので、これは何を指すのかについて明確にお答えいただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ございました、未稼働案件への対策と申し上げますのは、国民負担の抑制を進めていく上で、太陽光が初期の段階で認定をとったけれども動いていないというものについては現状の価格に落としていく、そういう対策を昨年とったものでございます。

 昨年十二月五日に発表したものでございますが、その中で、パブリックコメント等を通じまして、もう既に工事が始まっているような案件というのはさすがに適用するのはやり過ぎだろうということで、工事が始まっているものについてという前提で適用除外を設けたものでございます。

 御質問のございました、十月三十一日までというところでございますけれども、まず、この除外しましたものでは、開発工事に既に本格着工しているものというところで、最終方針を出した十二月五日の時点で電事法に基づく工事計画届が受理されているというものか、若しくは、この時点で森林法に基づく林地開発許可等が受理された上で、九月三十日までの受理及び十月三十一日までの工事の着手ということを御指摘いただいているんだと思います。

 この最後の部分でございますけれども、まさに工事計画届が出されていて、その工事計画届の中で書かれています工事計画、この工事計画の内容が始まっているということでありまして、その例示でいいますと、一般的に、太陽光のパネルを敷くための基礎工事のようなものがその最初に規定されることが多いわけでございますが、これは工事計画届出書の中身次第でございます。その中に書いてある最初の工事が始まっていれば、そういう趣旨でございます。

秋本分科員 ちょっと順番を変えて、先に五番の高度化法の方について聞きますけれども、中間目標を今やっていると思うんですが、この検討状況がどうなっているのかということについてお伺いをしたい。

 特に、グランドファザリングについては、これは導入するとちょっと目標に対する確度が下がるんじゃないかなと俺は非常に心配をしています。この辺については緩くなることがないように、村瀬さん、しっかりやってもらいたいなと思います。

 それと、もう一つですが、これは前年発電量が五億キロワットアワー以上の事業者が対象になるんだけれども、五億行って、次の年四億九千万とかになっちゃうと、対象から外れちゃうんですよね。

 私は、一回入ってきたら、多少上下でぶれても、一回入ったらもうあんたは対象だよというふうにし続けた方がいいんじゃないかなというふうに思っています。そのためには政省令なんかの改正が要るのかもしれませんが、私はそうした方がいいんじゃないかなと思うけれども、それはできないですか、どうですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘のとおり、高度化法における三〇年四四%の目標は、エネルギーミックスの実現の観点から、これを確実に達成していくことが重要である、このように考えてございます。

 その上で、今の状況でございますけれども、二〇三〇年四四%目標の達成に向けて、現状、二〇一七年度の非化石電源比率の全国平均が約一八%であるといったことも踏まえながら、早ければ二〇二〇年度にも中間評価の基準となる目標値を設定し、毎年目標値を引き上げていって四四%まで持っていく、このような方向で議論が行われているところでございます。

 御指摘のグランドファザリングにつきましては、御承知のとおり、各事業者の現状の非化石電源比率に違いがあって、非化石電源へのアクセスが限定されている新電力などの事業環境の激変を緩和するという観点から、中間評価の基準導入後の数年間にわたって、導入の状況等の実態を踏まえて目標値の特例措置を講ずるものでありますけれども、最終的には、この特例措置は縮小させながら目標値を引き上げて、四四%の一律の規律は変えないという方向で議論が行われているところでございます。

 最後、指摘いただいた運用につきましては、さまざまな意見をいただいた上で、今、審議会でも議論が進められているところでございますので、慎重かつ丁寧な議論を、実態を踏まえて進めてまいりたいと考えております。

秋本分科員 ぜひ、政省令の改正が必要かもしれませんけれども、五億キロワット、一回でも行ったらもう仲間入りねというふうにした方が、私は出たり入ったりしない方がいいんじゃないかなと思いますので、ぜひ検討してみてください。

 それと、グランドファザリングについてはいろいろな意見があると思いますが、私は余り過度に緩い設定をすると目標達成できないんじゃないかなと思っています。エネ庁の資料だとEUのETSの事例が出ているんだけれども、これって二〇〇五年から三〇年で二十五、六年間かけて段階的にフェーズを緩くしていくぜという話で、もう日本は残された時間は十年ですよね。その中でどういうふうに制度設計するんだかわからないけれども、余り緩い設定をすると目標達成の確度が落ちるんじゃないかなと危惧しているので、ぜひ、しっかりやりますという話だったので、お願いいたします。

 次に、北東北の募プロと今回の新法の整合性についてですが、これ、募プロで系統を押さえた事業者と新法で公募で選ばれた事業者がずれる可能性がありますよね。そのときに、その系統の権利というのはどういうふうに継承されていくのか。系統は、保証金を積んでいますから、この保証金だってどういうふうに継承されるのよと。あるいは逆に、受ける側からすると、そんなにえらい高い値段を吹っかけられたらそんなのちょっと無理だろうという話になっちゃうわけで、これはきっちりとスムーズに移行がされるべきですよね。

 ですから、ここの制度設計というのは非常に大事なので、この辺についてどう考えているかということと、そもそも、そこに促進区域が指定されるだろうという見込みで系統を押さえようと思って保証金まで積んでチャレンジした事業者が、努力むなしく促進区域がそこに指定されなかったという場合、この保証金というのはどうなるのかということについて、お伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、北東北で進めています系統増強を共同負担で進める電源募集プロセスについては、相当数の洋上風力の事業者の方々が入札されている状況でございます。

 一方、再エネ海域利用法の中では、指定に当たりまして系統接続が適切に確保される見込みがあることということが要件とされておりますので、仮に、本法律に基づく促進区域での占用公募で選ばれた事業者が当該募集プロセスで容量確保ができていない場合につきましては、募集プロセスにおいて容量を確保した事業者から必要な容量を継承できるよう措置する必要があるというふうに認識しておりまして、そのための手続、ルールというのを定めていくことにしたいと考えてございます。

 この具体的な手続の規定、若しくは、今委員から御指摘ございましたが、保証金の扱いについては、現状ではまだ定めておりません。今後決めていくことになりますけれども、その際には、系統枠を確保した事業者とそれを承継する者の双方が、不当に利益を得、若しくは不当な不利益とならないよう配慮することが重要な視点だと認識してございまして、こういう視点のもとで検討を進めてまいりたいと考えてございます。

秋本分科員 一つだけちょっと取り消しさせてください。

 さっき資料要求しますと言ったけれども、資料要求しませんので、諮っていただかなくて結構です。

 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

宮下主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一です。

 皆様、大変お疲れさまでございます。私が最後の質疑者でございますので、早く終われれば早くみんなで帰りたいと思います。私も三つ分科会を担当しまして疲れておりますので、端的に答弁していただいて結構でございます。

 まず、キャッシュレスポイント還元制度についてお聞きをしたいと思っております。

 今回の消費税対策としてのキャッシュレス還元事業が政府の対策として打ち出されまして、私も最近はコンビニで小銭を出すのが恥ずかしくなってきましたので、一定のアナウンス効果があるのかなというふうに思っておりますが、この制度に当たっては、まだ制度が詰め切れていないところが多いんじゃないかと。私、実際、これから質問する事例は全て生の声で、実際の消費者の方から寄せられた声でございます。

 まず、適用業者の範囲についてなんですが、いわゆるこのプランでは、中小、小規模の小売、サービス業者、飲食店等での支払いを行った場合に消費者に還元されるわけでございますけれども、この中小企業の定義について、いわゆる中小企業基本法の定義に当てはまる事業者は対象となりますか。

 特に、資本金が小売ですと五千万、従業員数が小売だと五十人以下なんですが、売上げが大変多いような企業もございますけれども、ぜひこれは含めていただきたい、わかりやすくしていただきたいという要望でございますが、対象の業者、決まりましたでしょうか。御答弁をお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、中小企業基本法上の定義にのっとって規定するということで、小売業であれば五千万円以下又は五十人以下ということでございます。

 今御指摘ございました、資本金が非常に小さいんだけれども売上げが非常に大きいという企業の扱いにつきまして、そもそも、この今回の制度趣旨が、消費税引上げ後の需要平準化を行うに当たって、大きな、体力のある企業は自分で値下げ等のキャンペーンができるけれども、中小にはできない、この趣旨から考えて、やはり大企業並みに大きな法人は対象にすべきではないのではないかという議論がございます。

 こういった観点から、過去の税制等の議論等々も踏まえまして、一定の基準を設けて、過少資本企業については対象外とするということを今検討しているところでございます。

浜地分科員 まだ検討中という答えですね。

 今、税制の話が出ました。確かに、中小企業の税制の特措法というところでは、売上げに応じて一部中小企業の適用がないというような取扱いもしています。与党の税調でもそういったことがございました。ただ、これはきちっと国会議員含めて与党の税調でやり、それを法律に落としてやっています。

 今回の案につきましては、法律というよりも経産省の方で決めていくわけでございますので、それでいいますと、やはり公平性といいますか、いわゆる選定のプロセスの、そこがやはりはっきりしていかないと、また皆様方の理解が得られないと思っていますので、しっかり説明ができるように、しかも早急に制度設計をしていただきたいというふうに思っております。

 ただ、私は、今回、このキャッシュレス対策事業費は二千七百九十八億円積まれております、約九カ月間での措置でございますが、この二千七百九十八億、お金が余るんだったら幅広くとっていただきたいと思っていますので、そういう意味で、この二千七百九十八億はどういう算定根拠で計上されたのか、御答弁をいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 二千七百九十八億円は、三十一年度分ということで、六カ月分の手当てでございます。

 そのうち、消費者へのポイント還元分の予算は約千七百八十六億円ということでございますが、これに関しましては、小売業でございますとか宿泊、飲食業、サービス業などの、対象となる業種の中小・小規模企業の売上高等のマクロデータがございますけれども、これに対して、足元のキャッシュレスがどれくらい使われているか、それから、今回この事業にどれくらいの企業が参加されるのか、それから、この事業によってキャッシュレス比率がどれくらい伸びるのかといったような見込み値を掛け合わせまして算出した数字となってございます。

浜地分科員 そうですね。多分、このデータの算定には、先ほど、排除するかもしれないような売上げの大きいところも入っていると思いますので、そういう意味では、そういう整合性もとっていただきたいと思っています。

 あとはやはり、今一六%のキャッシュレス決済を四〇%に二〇二五年に上げるという目標があるわけで、そういう意味ではやはり、予算の範囲内でございますけれども、広くとっていただきたいというのが私の要望でございます。

 ちょっと細かくなります。

 私の方でぜひ質問してほしいというふうな要望は、これは、水道業者さんがウォシュレット工事をやります、これは請負工事を伴うんですね。単なる小売ではない。そうなると、ウォシュレットの代金だけカードで決済をして、その請負代金の、取り付ける、一万円か二万円か、これは対象外かもしれないので現金で払わせたい、そういう取引はできるんですかという具体的な御質問があるわけでございますが、請負工事を伴う場合でも商品の購入について対象となるのか、御答弁をお願いします。

藤木政府参考人 ウォシュレットの据付け工事あるいはその請負代金ということでございますが、支払い先となる事業者が中小・小規模事業者に該当して、消費者との間でクレジットカードなどで決済をなさるということであれば、制度の対象になるということでございます。

浜地分科員 明確な答弁、ありがとうございました。早速伝えたいと思います。

 それで、今回、新築の住宅の購入は別途平準化対策が講じられているので取引の対象外ですが、これも、リフォーム業者の人が、では、一千万ぐらいの例えば大規模リフォームをした場合に、まあ、一千万のカードが切れるかどうかは別としまして、それでも対象になりますか、やりたいという声がございます。どうでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 対象が中小・小規模事業者であって、そこでクレジットカード等のキャッシュレス手段で決済が行われれば対象になります。

 ただ、今御質問の中でおっしゃったように、通常、そういったものについては決済に上限が設けられているのが通常でございますので、その上限を超えるものについては当然対象とならないということでございます。

浜地分科員 結構、ブラックカードとか、かなり高級な、飛行機も買えるとか聞いたことがありますけれども。済みません、いわゆる、きちっとクレジットの範囲内であれば対象になるということですね。

 それと、風営法上の風俗営業は今回除外をするというような方向性です。ですので、ラブホテルの宿泊代は恐らく対象外になるんじゃないかと思っていますが、それにつられて、私のところには、旅館業法上のホテルの宿泊代金はちゃんと対象になりますか、確認をとってほしいということがございますが、その二つあわせて、風営法上のラブホテル、それと旅館業法上のホテルの宿泊代、これは対象になりますでしょうか。

藤木政府参考人 風営法の対象業種に関しましては、これまでさまざまな中小企業の補助金等々において対象外になっているという例があるわけでございますが、その中で、ラブホテルに関しましては、風営法上の店舗型性風俗特殊営業というのに該当するというふうに認識しておりまして、これは今回の事業の対象外であるというふうに認識しております。

 一方で、旅館業法上のホテル、旅館というものに関しまして、例えば、宴会等の便宜のために、念のため風営法をとっているといったようなケースもございます。そういったようなものの扱いについては、これまでも個別の補助金や税制で対応しているものがあるというふうに聞いておりまして、現在関係省庁と調整しております。早急に決めたいというふうに思っております。

浜地分科員 そうですね。旅館業法をとっているけれども別途風営法をとっているところ、これは多分対象にしていただいた方がいいような気がしますので、また早急に結論を出していただきたいというふうに思っています。

 それで、例えばECモール、余り固有名詞を出さなくても、まあ有名ですが、例えば楽天市場に出店している洋服店、私もこの冬買いましたけれども、いわゆる楽天市場は当然資本金も大きいし、売上げも当然大きいわけでございますが、実際は、楽天ポイントを使って、カード決済すればポイントが入ってくるんですが、実際に私のところに届くのは小さな洋服店から小包が届くわけでございますが、そういう大きなECモール内の小規模事業者から購入した場合も、このポイント還元の対象になりますか。

藤木政府参考人 お答えします。

 ECサイトに出店されている中小・小規模事業者との間でクレジットカード等のキャッシュレス手段で決済される場合は対象となるということでございます。

 ただ、これは、ECモールで実際に出店しているのかあるいは仕入れになっているのかとか、取扱いはそれぞれございますので、これは個別に判断させていただきますが、原則は今申し上げたとおりでございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 大分明確になりましたので、このポイント還元の制度についてはこれで終わりたいと思っています。

 次に、ちょっと下請法の実施状況についてお話を聞かせていただきたいと思っております。

 世耕大臣の方で、世耕プランと銘打たれまして、下請業者の適正取引、公正な取引環境を実現するということで大変力を入れておられます。我が党でも部会等を開いて随時この経過についてヒアリングをしているところでございますが、しかし、私のところには、残念ながら、いまだ社会保険労務費が、これは二次下請なんですけれども、認めてくれないと。かなり原始的ないわゆる値下げ圧力だと思っております。

 実際、これはプラント会社の二次下請で、一次下請は、当然固有名詞は出しませんが、かなり立派な会社です。ですので、恐らく労務単価の社会保険の費用も含めて支払われているんだと思っていますが、一次下請の方から受注をする二次下請がどうしても認めてくれないということでございます。

 ただ、この会社は意外と業績がいいので、例えば、申告制度で駆け込んで、何かペナルティーを与えてほしいまではいかない、だけれども、何となく釈然としないと。ですが、やはり取引が停止をされたり、白い目で見られるのはやはり怖いというような会社でございます。

 そこで、まず前提として、下請への公正な取引環境実現に向けたこれまでの取組として具体的に進んでいるものを御答弁いただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 下請取引の適正化に向けて、平成二十八年九月に、「未来志向型の取引慣行に向けて」、いわゆる世耕プランでございますが、取りまとめまして、関係法令の運用強化、五十年ぶりの手形通達の改正を行いました。主要産業界に対して自主行動計画の策定を要請し、現在、十二業種三十二団体で策定されているところでございます。

 さらに、この取組をしっかりと徹底するために、自主行動計画の策定をした団体みずからが毎年フォローアップ調査をする。百二十名の下請Gメンによる年間四千件の下請中小企業へのヒアリングを実施して、進捗状況を把握しているところでございます。

 これらの結果から、自動車業界や建設機械業界を中心に、不合理な原価低減要請や支払い条件は改善してきており、取引条件改善に向けた取組の浸透が進んでいるじゃないかという認識でおりますが、一方、残念なことに、型管理の適正化については改善の動きが鈍く、さらなる取組が必要であるというふうに考えております。

 また、昨年末には下請中小企業振興法の振興基準を改正をいたしまして、納期負担のしわ寄せの是正などを新たに盛り込んだことも踏まえまして、産業界に対して、自主行動計画の改定やさらなる取組をお願いしているところでございます。

 今御質問にございましたけれども、二次下請あるいは三次下請というところの一層の浸透が必要であるということは、本当にそうだと思います。

 それで、自主行動計画のフォローアップは業界団体みずからがやるということでございますので、その中に、二次下請、三次下請まで見ないと答えられないような質問を入れて、きっちりとフォローアップをしてもらうんだということと、地方においての、業界別、いろいろと取引慣行が違いますので、そういうような下請企業向けのセミナーをきめ細かく周知をし、活動しているところでございます。

 今後とも取り組んでまいります。

浜地分科員 かなり力強い答弁でございましたので勇気づけられましたが、まさにそうですね。恐らく、下請Gメンさんでも、親企業の一次下請については大体把握ができている、だけれども、二次、三次に行くところが多分これからの課題だと思っておりますので、そこまで調査が及ぶようにやっていただきたいと思っています。

 実際、トラック業界とか建設業界ではかなり改善されたという声を私自身も部会等で聞いておりまして、また、コンビニエンスも今回自主行動計画をつくられたと。コンビニでも、以前私に、さまざま取引条件が悪いというお話がありましたけれども、これで改善されていくんだろうと思っておりますので、一歩一歩進んでいるというふうに思っております。最終的には賃金の引上げにつながる大事な政策でございますので、先ほどの御答弁のように熱意を持って取り組んでいただければと思っております。

 私、思うんですけれども、この申告手続が、やはりどうしても、秘匿性が守られないんじゃないか、言ってしまうと取引が停止になるんじゃないかという怖さがある。ですので、先ほど申し上げた企業等についてはもう泣き寝入りしようということなんですが、この申告手続は、きちっと秘匿性が守られて、取引の停止とはならないような措置をとられていくのか、御答弁いただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 下請法においては、親事業者の下請法違反行為により下請事業者が不当な扱いを受けている場合であっても、取引上の影響を心配して、例えば商売をやめてしまうとか、下請事業者からの自発的な情報提供がしにくい実態があるということは承知しております。

 したがいまして、下請事業者が不利益をこうむることのないように、申告によって得られた情報、これは、下請代金検査官に対して、親事業者により申告者の情報が感知されないよう特に留意するという義務を課すルールがあります。さらに、その情報の閲覧については担当課長及び検査官のみに限るなど、その情報を把握する範囲を明確にして、漏えいの防止のために関係規定を整備しております。こういうようなことで立入検査につなげているところでございます。

 下請法の運用状況の申告件数をちょっと見てまいりますと、近年、申告件数は増加傾向にございます。引き続き、下請法の周知等、取引条件改善の取組を通じて、下請事業者が取引停止などの報復を懸念することがないように、下請事業者が親事業者の下請法違反被疑事実を申告しやすい環境を引き続き整備していきたいというふうに考えております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 この申告手続、増加をしているということの御答弁がありました。当然、報復は禁止をされているという一つ条文がありますけれども、やはりこれは、親業者や一次下請の方についても、報復は禁止だよということもきちっとアナウンスをしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、私はよく、消費税の転嫁対策の特措法に基づく勧告、公表もされておりますが、これはいつも私の部屋に届いて、先日も一件届いておりましたけれども、非常に実効性があるなと思っておりますが、これは私の認識不足かもしれませんが、下請法に基づく勧告というのは、私、実は余り見たことがないですね。もしかすると、私が消費税の方ばかり目が行っているからかもしれないんですが。

 実際のところ、この勧告件数というのは、消費税と比べますと、平成二十六年四月以降でございますけれども、件数としては上がってきているのか、きちっとそれは公表もされているのか、それについて御答弁をいただきたいと思います。

東出政府参考人 御質問の下請法に基づきます勧告ですけれども、二十六年度以降の実績を申し上げますと、平成二十六年度が七件、二十七年度が四件、二十八年度が十一件、平成二十九年度が九件、三十年度は一月まででございますが六件の勧告を行っておりまして、いずれも公表をしております。

浜地分科員 私は余り経産委員会で質問をしないのですが、国会議員の部屋には来ているんですよね。ぜひ私の部屋にも、ポストへ入れていただくと、よく見ます。消費税はいつも来て、見ています、私。ぜひお願いしたいと思っています。

 いよいよ最後の質問でございます。大臣、お疲れさまでございました。中小企業施策の広報の徹底という、基本的な論点でございますけれども大事な論点でございます。

 公明党は、昨年、地方議員も含めまして百万人の調査運動を行いました。私も、中小企業の現場に行って、実際に聞いてまいりました。

 その中でのアンケート結果の中で、中小企業のさまざまな施策を利用したことがある会社は全体の五九・三%でした。利用したことがないのは当然四〇・七%でございます。その中で、利用したことがない理由の中で、そもそも制度を知らないという人が五六%に上りました。大変もったいないことでございます。施策の周知徹底というのは、いつもこれは叫ばれるところでございますが、実際に我々公明党が調査をしてみてこういった調査が出ておりますので、しっかりと中小企業施策の周知徹底をしていただきたいと思っております。

 特に、私が現場に行きますと、非常にそういったものを、詳しい税理士さんを雇っていらっしゃる方は知っている、しかし、零細企業はなかなか、記帳だけお願いしている税理士さんが多かったりして、どうしても商工会議所等に足を運ぶ機会も少ないということでございますので、最後に、この中小企業施策の広報について大臣に御質問します。

世耕国務大臣 この百万人訪問・調査、本当に敬意を表したい。やはり選挙強いよなと思いました。

 ただ、五九・三%の人が利用したことがある、これはうれしいデータだと思いますけれども、一方で、利用したことがない人のうち五六%が知らない、これはちょっと深刻に受けとめなきゃいけないと思っています。

 まず、支援策全体をまとめたガイドブック、これを十一万部作成して、商工会、商工会議所、そして税理士会などの支援団体に配布をしているところでありますし、例えば、軽減税率対応の補助金、これは、レジを入れかえる場合七割補助ということになりますけれども、これもわかりやすいパンフレットを作成して、全国の金融機関、自治体、支援団体が自由にそのままコピーして使っていただけるような形で配布をしていきたいというふうに思っています。また、中小企業支援のポータルサイトをホームページにつくりまして、メルマガで十万者ぐらいの事業者に情報を発信するというような努力もする。

 この辺までが従来のやつなんですが、ここからが、ちょっと一発大きいのを考えていまして、デジタルガバメントの一環で、中小企業の補助金の申請手続というのをワンストップで完結して、かつ、一度入力した申請情報を何度も入力しないというような申請システムを二〇二〇年度から本格運用したいと思います。

 これはホームページでもやりますし、スマホのアプリでもやりたいと思っていまして、当然、このときに補助金が検索できないとだめですから、こういう何かお金がないかなと思って探しているんだけれどもと簡単に検索をすると、ばっと候補の補助金が出てきて、ぱっと見て、幾つかクリックをして、自分のID、パスワードを入れたらそれで申請できるというような仕組みを二〇二〇年度から、これを少し、ちょっとキラーコンテンツで考えて、一気に認知を高めたいなというふうに思っております。

浜地分科員 ぜひ期待しております。

 ありがとうございました。以上で終わります。

宮下主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時二十八分散会


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