衆議院

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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      神山 佐市君    古屋 圭司君

      山際大志郎君    山本 幸三君

      大串 博志君    玄葉光一郎君

      藤野 保史君

二月二十一日

 山際大志郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 山際大志郎君

      勝俣 孝明君    神谷  昇君

      神山 佐市君    船橋 利実君

      古屋 圭司君    本田 太郎君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山本 幸三君    阿久津幸彦君

      浅野  哲君    伊藤 俊輔君

      大串 博志君    玄葉光一郎君

      斉木 武志君    山本和嘉子君

      藤野 保史君

   兼務 秋本 真利君 兼務 鬼木  誠君

   兼務 細田 健一君 兼務 小熊 慎司君

   兼務 白石 洋一君 兼務 緑川 貴士君

   兼務 伊佐 進一君 兼務 太田 昌孝君

   兼務 森  夏枝君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   経済産業大臣政務官    宮本 周司君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房全世代型社会保障検討室次長)      榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 黒田 岳士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村山  裕君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        米澤 俊介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            伊藤  豊君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    坂田  進君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 谷  史郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (外務省大臣官房外務報道官)           大鷹 正人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    前島 明成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大内  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小笠原陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          木村  聡君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  西垣 淳子君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    前田 泰宏君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           福田 守雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    溝口 宏樹君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 長橋 和久君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     加藤  進君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     宗清 皇一君

  山本 幸三君     神谷  昇君

  玄葉光一郎君     浅野  哲君

  藤野 保史君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     船橋 利実君

  宗清 皇一君     務台 俊介君

  浅野  哲君     阿久津幸彦君

  畑野 君枝君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     本田 太郎君

  務台 俊介君     古屋 圭司君

  阿久津幸彦君     伊藤 俊輔君

  田村 貴昭君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     畦元 将吾君

  伊藤 俊輔君     池田 真紀君

  清水 忠史君     藤野 保史君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     大隈 和英君

  池田 真紀君     斉木 武志君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     勝俣 孝明君

  斉木 武志君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     山本 幸三君

  山本和嘉子君     玄葉光一郎君

同日

 第一分科員小熊慎司君、太田昌孝君、第二分科員森夏枝君、第四分科員鬼木誠君、第五分科員緑川貴士君、伊佐進一君、第六分科員白石洋一君、第八分科員秋本真利君及び細田健一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

山際主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。梶山経済産業大臣。

梶山国務大臣 おはようございます。

 令和二年度経済産業省関係予算案について御説明申し上げます。

 世界に目を向けると、米中の覇権争い、ブレグジットなどの課題が日本を取り巻き、足元ではデジタル化への対応、少子高齢化等による人手不足、エネルギー制約、そして何よりも原子力災害からの福島復興など、乗り越えるべき課題が山積をしております。

 こうした課題に対処するために、福島の復興再生、デジタル経済の進展への対応、自由で公平な通商・貿易、イノベーションを生み出す環境整備や、人口減少時代に対応した地域・中小企業政策を進めます。また、エネルギー安全保障の強化、消費税率引上げに伴う対応等を進めていきます。

 このため、令和二年度経済産業省関係予算案は、一般会計三千五百八十九億円、エネルギー対策特別会計七千四百八十一億円、特許特別会計千六百四十九億円、合計一兆二千七百十九億円を計上いたしました。また、復興庁計上の東日本大震災特別会計のうち二百七十三億円が経済産業省関連予算案として計上されております。

 これに加え、臨時特別の措置として、消費税率引上げに伴う対策に二千七百五十三億円、防災・減災、国土強靱化対策に三百四十億円を計上しております。

 令和二年度予算案について、主要な柱に沿って御説明いたします。

 第一の柱は、福島の復興再生です。

 安全かつ着実な廃炉・汚染水対策と原子力災害からの福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。

 廃炉・汚染水対策については、引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域社会とのコミュニケーションを一層強化しながら進めていきます。

 ことし三月には、双葉町、大熊町、富岡町において、帰還困難区域とされてきた一部地域の避難指示を初めて解除します。また、双葉町の避難指示解除準備区域も解除します。これにより、全ての居住制限区域と避難指示解除準備区域が解除をされます。引き続き、地元企業の事業再開や新たな事業展開を後押しするとともに、福島イノベーション・コースト構想を着実に実現していきながら、ロボットやドローン、水素を始めとした先駆的な取組を行う地域社会を実現します。

 第二の柱は、デジタル経済の進展への対応です。

 令和の時代には、AI、IoTなど、デジタル技術やデータがさらなる経済成長と社会課題の解決を可能にします。

 5Gの活用など、デジタル経済のさらなる進展を見据え、データ連携を通じた、新たな産業やサービスの創出のために必要な共通技術仕様、アーキテクチャーを設計する体制を創設します。また、AI技術の活用によるビジネスモデルの構築や、AI、ロボット、センシング、自動走行技術等の開発、実証を推進します。

 さらに、ネット上で簡単に補助金申請できるシステムの構築など、官民のデジタル化を推進するとともに、中小企業を含めたサイバーセキュリティーの確保を推進します。

 第三の柱は、自由で公平な通商・貿易、国際的な気候変動対策です。

 米中の対立や、英国のEUからの離脱など、日本を取り巻く世界の経済社会情勢は不確実性を増しています。そのような中で自由で公平な通商・貿易を進めるため、経済協力関係の深化やインフラの海外展開を推進するとともに、重要技術に関する情報収集や管理体制等を強化します。

 また、地球規模の課題である気候変動対策を途上国も含めて実効的な形で進めるには、環境と成長の好循環の実現が不可欠です。国際共同研究等を通じ、革新的環境イノベーション戦略に掲げた、産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少へと転じさせるビヨンド・ゼロを可能とするイノベーションを実現します。

 第四の柱は、新たな成長モデルの創出を支える基盤の整備です。

 大改革を実現する人づくりを進めるため、文理融合型の課題解決型の教育や、AI等を活用した教育を推進します。

 また、民間予防ビジネスの拡大によって、予防・進行抑制型の健康・医療システムへの転換を進めます。そのため、事業化支援やヘルスケアデータの標準化等を進め、すぐれた民間予防・健康サービスの創出を促進します。

 イノベーションを生み出す環境整備として、若手研究者を発掘、育成するとともに、J―Startup企業を始めとしたスタートアップへの支援を実施します。また、AIチップの開発など、革新的な技術基盤に関する研究開発を推進します。

 地域経済において、すばらしい技術を持った事業者が、後継者不在により廃業するケースが頻発しております。こうした事態に対応するため、事業引継ぎ支援センターによるマッチング支援の強化などを進めます。

 さらに、後継者候補がいても、個人保証が障害となり、事業承継を断念するケースがあります。個人保証の慣行は今の世代で断ち切るとの決意を持って、事業承継時に個人保証を不要とする信用保証制度を新たに創設し、専門家による確認を受けた場合に保証料を最大ゼロまで軽減するなど、事業引継ぎの促進、円滑化を図ります。

 中小・小規模事業者が、高齢化や人手不足、人口減少などの構造変化に加え、働き方改革や賃上げなどの制度変更を乗り越えて躍進できるよう、企業間のデータ共有を伴う設備投資など、複数企業の連携などにより生産性を向上させる取組を支援します。

 また、地域未来牽引企業等への研究開発や販路開拓を支援するとともに、大阪・関西万博や地域コンテンツを通じたインバウンド拡大を推進します。

 第五の柱は、日本経済の土台となるエネルギー安全保障の強化です。

 安全、安定、安価なエネルギー供給を実現しつつ、パリ協定を踏まえた脱炭素化の取組を推進することが、責任あるエネルギー政策に取り組む上で極めて重要です。徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの主力電源化に加え、CO2を燃料や原料として再利用するカーボンリサイクルや水素社会の実現に向け、世界に先駆けた革新的技術の開発、普及を促進します。さらに、原子力については、安全最優先で再稼働を進めるとともに、人材、技術、産業基盤の維持、強化に取り組みます。

 また、資源、燃料の安定供給を確保するため、石油、天然ガス、金属鉱物の供給源多角化に向けたリスクマネー供給の強化や、メタンハイドレート等の海洋資源を含む国産資源開発を推進します。

 以上、御説明した事業に加え、令和二年度予算案においては、次の臨時特別の措置を講じます。

 令和元年十月一日、消費税率は一〇%になりました。経済産業省としては、需要平準化のため、キャッシュレス・ポイント還元事業を令和二年六月まで実施するとともに、インバウンド観光などの新たな需要を取り込もうとする商店街の取組を支援します。

 令和元年は、八月末の九州豪雨、九月の台風第十五号及び十月の台風第十九号と、大規模な自然災害が立て続けに起きました。こうした災害への対応も踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急計画に基づいた、ガソリンスタンドや製油所などにおける自家発電設備の導入などを進めます。

 以上が、令和二年度経済産業省関係予算案の概要です。

 足元の新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への対応についても、国内外の状況を丁寧に見きわめつつ、必要な対策を迅速に行っていきます。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

山際主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山際主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清分科員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、二〇二五年に開催される予定の大阪・関西万博の準備状況についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、梶山大臣を始め経産省の皆様方には、連日、新型コロナウイルスの対策に当たっていただいております。心から感謝を申し上げます。通常の業務に加えてこういった危機管理の業務、大変御多忙の中、大変だと思いますけれども、どうぞ御自愛の上、万全を期していただきたいと思います。

 そして、今回、万博の開催に当たっても、こういった新たな感染症の対策もこれから十分に検討する必要が出てきたと思います。現段階で先は見通せない状況ですけれども、今後の推移を糧に感染症の対策を十分にしていただきたいとお願いを申し上げておきます。

 そして、大阪はインバウンドで随分恩恵を受けた場所ですけれども、このインバウンドの落ち込みによって随分経済の冷え込みが心配もされています、これは全国的にもそうですけれども。経済産業省の皆様方には、今後の対策もあわせてお願いを申し上げたいと思います。

 本題に移りますけれども、大阪・関西万博は未来社会の実験場として二〇二五年に開催される予定ですけれども、これは大阪のみならず我が国の経済の成長につながることが期待されているわけでございます。そして、次世代を担う子供たちにすばらしい刺激を与える、そういう万博にしたいと思います。そして、この万博を絶対に成功させたい、こういう強い思いがありますので、本日は準備状況について何点かお伺いをしたいと思います。

 まず、開催費用についてですけれども、当初千二百五十億円ということですけれども、これは、新聞報道を見ていますと、関経連の松本会長、そして地元の市長も、三割程度上振れする可能性があるということでございますが、三割というのは大変大きい数字です。東京のオリパラの準備でも会場建設費が膨大に膨れ上がったことが批判の的になりましたので、こういうことは避けていきたいというように思います。

 そもそも、人件費の高騰とか資材の高騰、これは当初から見込んでいたと聞いておりますし、物価上昇率については、建設工事費のデフレーターというのを用いて、毎年一%程度これは上昇すると。ですから、二〇二五年時点の事業費にこれは時点修正を行って積算したものなので、そう考えると、そんな三割も上がるということは考えにくいと思います。

 大阪は、同時期に、例えば、大阪府立大学、市立大学の統合のキャンパスをつくったり、うめきたの工事、関西空港の大規模改修、大型の工事が、同時期に行う、これも当初から予想もできてきたことなんですね。

 ですから、大幅に、三割も上がるというのはなかなか納得ができないと思うんですが、しかし、大阪市がこの間、議会で地元の議員の質問に対して、これは建設資材の高騰若しくは人件費が高くなることによって上振れする可能性がある、こういう答弁もしているわけでございます。

 そこで確認をしたいんですけれども、この千二百五十億円を見込んだときに、こういった急騰するということについて検討されたかどうか。そして、いま一度この会場建設費についてしっかりと検証しておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。そして、上振れした場合の経費、これは、多額になった場合は、経済界も持てないとか地元が持てないといったことにならないように、当初これは三分の一ずつという取決めをしていたはずなので、やはり国が面倒を見てくれということにならないように、今からしっかり協議をしておく必要があると思いますが、あわせてお尋ねをいたします。

中野大臣政務官 宗清先生の御質問にお答えを申し上げます。

 また、私の答弁、後ほど事務方からも一部補足させていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 会場建設費の上振れリスクについて御質問がございました。

 経済産業省は、二〇二五年の国際博覧会誘致に立候補するに先立ちまして、二〇一七年四月に、同博覧会の基本的な方向性につきまして、二〇二五年国際博覧会検討会報告書というものをまとめてございます。同報告書におきましては、会場建設費の総額につきまして、上振れリスクについて検討をしてございます。

 具体的には、会場計画を考えていく上で、会場内輸送、水上利用等の必要性も含めて検討の可能性があり、検討の結果として会場建設費が上振れする可能性を指摘をしてございます。

 いずれにしましても、できる限り効率化の努力をするということに十分留意する必要がございまして、すばらしい万博となりますようしっかりと準備を進めてまいりたい、このように考えております。

島田政府参考人 会場建設費についていま一度検証するべきではないかという御指摘でございます。

 昨年の十二月に、政府として、大阪・関西万博の開催計画に当たる登録申請書というものを、博覧会の国際事務局、BIEというふうに言ってございますが、そちらに提出をしてございますが、その中で、会場建設費は約千二百五十億円というふうに想定はしているところでございます。

 現在、大阪・関西万博の準備・運営法人である公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会が、この秋にも具体的な会場計画を含む基本計画を取りまとめる予定でございます。その中で、会場建設費についても精査をしているところと承知をしているところでございます。

 それから、万が一上振れをした場合の経費の負担についてでございます。

 地元自治体がこれ以上の負担をしないのではないかというふうな御懸念かと存じますが、大阪・関西万博の会場建設費につきましては、二〇一七年の四月に、大阪府知事それから大阪市長から経済産業大臣宛てに、会場建設費の三分の一を地元自治体負担分として、その予算措置について万全を期すという旨の文書が提出をされているところでございます。

 これを踏まえ、同年同月の誘致立候補に関する閣議了解において、国、地元自治体、民間等が三分の一ずつ負担をするというふうな割合が確認をされているところでございます。上振れする場合があっても、この割合に基づき負担されるものと考えてございます。

宗清分科員 予想を超えて物価といいますか建設費が上がっていくこともやはり今から想定をしていただきたいと思いますし、どのようにコストを抑えていくのかという知恵をこれからみんなで出さなければならないと思います。

 そして、ふえた場合、それは原因が何なのか、そしてそれは原因者に負担を求めていくとか、説明責任を果たしていくべきだと思いますので、これは根拠に基づいた説明が要ると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 そして次に、会場へのアクセスについてお尋ねをしたいと思います。

 この会場へのアクセス、これはストレスフリー、内外で自由に混雑なく移動できるというのが、万博の成功する一つのキーワードだと思います。輸送能力にはそういう意味では少し余裕を持たせておく必要があると思いますし、これは博覧会協会も同じ考え方で検討していただいていると思います。

 というのは、今回は、陸地ではなくて、陸の孤島とか埋立地でやるわけですから、今からきちっとした、正確で緻密な検証をしておく必要があると思います。

 博覧会協会の方も、来場者の上振れを予想して、この交通量の精査をしていただいていると思います。これは当然だと思いますが、このことについて、私たちも、地元で大阪府や大阪市に、来場者、十分スムーズに移動できるのか、これは言ってきたんですが、大丈夫だという説明を今まで受けてきています。

 その根拠が、これは半年間で二千八百二十万人ですけれども、ピークで一日に二十八万五千人。来場者が、バス、タクシーで十七万一千人、約六割、電車で十一万四千人、約四割ということですけれども、多少ふえても大丈夫ですよということを私たちは説明を受けてきているんです。

 そして、開催時間については、当時私たちは聞かされていなかったんですが、登録申請書の百三十ページを拝見すると、今、九時から二十二時までを想定していただいているようですけれども、この時間というのは、当然この交通量に非常に関係してくる問題だと思います。

 そこで、ちょっと細かいことを質問するんですけれども、まず、先ほど私が申し上げた数字、これはまだ変わっていないかどうか確認をしたいのと、そして、バスは何台、何人ぐらいで、どれぐらい往復すると想定しているのか。これはタクシーも同じでございます。そして、心配は、それだけの車両を本当に確保できるのかどうか。電車も十一万四千人運ぶということですが、これは何両編成で何便ぐらい、どれぐらいの頻度で往復できるのか確認されているのか、お尋ねをしたいと思います。

島田政府参考人 万博会場へのアクセスについての御質問にお答えをさせていただきます。

 先ほど委員から御指摘ございましたとおり、開催の半年間で二千八百二十万人、ピーク時で二十八万五千人が一日当たり来るであろうというふうな想定をしてございます。会場へのアクセス手段は、バス、タクシーで十七万一千人、約六割、電車が十一万四千人、約四割というこの分担割合について、現時点では変更はございません。

 それから、開催時間に関連いたしまして、バス、タクシー、電車の運行の見通しでございますが、委員御指摘のとおり、大阪・関西万博の開催時間は、基本的に、九時から夜の十時、二十二時までということを予定をしているところでございます。

 バス、タクシー、電車による来場数につきましては、交通需要の推計モデルというものを用いて計算をしているものでございます。具体的には、各交通機関の所要時間や料金、地域別の来場者数等の条件を設定をいたしまして、それぞれの交通機関がどの程度利用されるかというものを、割合を算出をいたしまして、一日当たりの来場者数を乗じて算出をしているというものでございます。

 この需要推計の結果、先ほど申し上げたような分担率で考えているところでございます。

 なお、会場である夢洲への路線延伸を予定をしてございます大阪メトロ中央線につきましては、現在六両編成で運行してございまして、夢洲に近い弁天町の駅では朝五時台から深夜零時台まで現在運行をしてございます。平日の八時台は一時間当たり十六本というものが現状運行されてございますが、現在、この中央線の輸送力の増強についても関係者において検討が進められているというふうに聞いているところでございます。

 また、バス、タクシーにつきましても、これからの課題ではございますが、しっかりと台数を確保していくというようなことにも努力してまいりたいと思ってございます。

宗清分科員 電車の本数をふやすといっても、これは容易なことではございませんので、ぜひ今から緻密な精査をお願いしたいと思います。

 御答弁では、先ほどの数字は変わっていないということです。そうすると、新たな橋の建設について今議論があるみたいなんですが、数字がそのままだったら新しい橋は要らないという理屈になるんですけれども、先ほどから申し上げていますように、来場者のさらなる、これは円滑にストレスフリーで行けるということになりますと、橋はもう一本あった方がいいという考え方は理解はできるんです。

 ただ、この橋の建設について少し心配があるんですが、今、博覧会協会の方から大阪市に対して、橋が要るんじゃないか、こういうことは打診がされていると聞いているんですが、これは仮設ということになって万博専用ということになれば、当初、先ほど運営費のことを千二百五十億円というお話をしましたが、ここにプラスをされる可能性もあると思うんですね。そうすると、また自治体は、国が負担しろというようなことになるかもしれません。

 そういった心配をしているんですが、率直に聞きたいんですが、このままの今のアクセスの状況、電車と橋一本ということですが、これで大丈夫と今思っておられるのかどうか、認識を聞きたいと思います。

 そして、新たに橋をつくる場合、ちょっと参考に調べてきたんですが、近くの此花大橋ということがありますけれども、これは全長千六百メーターで、昭和五十五年に着手して平成元年に完成しているんですが、事業費が三百四十億。会場へのアクセスになっている夢舞大橋、これは全長は一千百メーターですけれども、事業期間は平成七年に着手して十二年に完成しています。事業費が、これは回転式で高いんですが、六百三十五億円。これは今の物価に直しますと七百四十億という多額な費用がかかります。

 そして、仮に橋を建設する場合、工期をどれぐらい見込んでおられるのか、これは専門家の意見も聞いてしっかりと今から検討すべきだと思います。そして、費用はどれぐらいかかると見込んでおられるのか、これも確認をしたいと思います。

島田政府参考人 万博の成功に向けまして、会場へのアクセスについては大変重要な問題であると考えてございますが、このアクセスにつきましては、博覧会協会がこの秋にも取りまとめます基本計画に盛り込むべく現在精査をしているところというふうに聞いてございます。

 先生御指摘の新たな橋の必要性、これも含む会場アクセスについて、現在、博覧会協会、大阪府、大阪市で協議中でございまして、まだその結果が出ておらないというふうに聞いてございます。仮に新たな橋を整備するとした場合の工期あるいは費用といったことにつきましても、恐縮ですが、回答は現時点では差し控えさせていただきたいと思ってございます。

宗清分科員 恐らく今後の議論で、地元の大阪府や大阪市は橋は要らないと主張するだろうと思われますし、博覧会協会の方は場合によっては橋は必要だと主張するかもしれません。最後は、間に合うのかどうかということと、本当にその費用を誰が負担するのかという問題だというように思います。この輸送の見積りについて、後で甘かったということのないように、今からしっかり準備をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、IRとの関係について申し上げたいというように思うんですが、このアクセスの面での脆弱性について今議論がされていると思います。本当にこの二千八百二十万人、半年で、輸送が可能なのかどうか、私もやはり疑問というか心配は尽きないわけでございます。

 資料できょうお配りをしている、令和二年度に係るインフラ整備の工程表、これは大阪市が発表しているものなんですが、ここの表の上から二番目には、大阪市は、大阪府もですけれども、IRの開業というのを明記しているわけですね。これは報道等でもありますけれども、二〇二四年に部分開業でもやるんだ、こういうことで準備をしているというように思います。

 私は、これは工事の遅延についても心配がありますし、来場者が本当にスムーズに万博会場に移動ができるのかどうか。御説明を聞くと、午前中に万博に行く人が多いので、IRとは余り時間はかぶりませんというような御説明も実はこのやりとりの中であったんですが、本当かどうか、これもしっかりと精査しておかないとなかなか絵に描いたような餅にはならないと思うんですね。IRのお客さんというのは自家用車でも来れるということですけれども、さらなる大渋滞が予想されるわけです。

 時間がないので、ここはもう質問はいたしません。これは本当に、IRの方と、工事と、そして来場者、これは混雑のなきように、これは大阪市、大阪府にもしっかりくぎを刺して、博覧会協会、また経産省が度をとって、混乱のなきように、万博ファーストであるということを前提に全ての物事を進めていただくように、これは要望しておきたいと思います。

 そして、もう一つ心配しておりますのが、二〇二五年の一月一日に向けて、今、開催地である大阪市を廃止しようということで、これを四つの特別区に再編するという住民投票が行われる、これはもう確実視されているわけなんですけれども、そういたしますと、これは開催地である大阪市がなくなりますから、今まで大阪市が果たしてきた役割は一体どこが担うのか。大阪府が役割を担うのか、新たな特別区がするのか、これはもう全く決まっていないわけでございます。

 そして、この開催地になる大阪市がなくなった場合、現在大阪市が負担するであろう二百数億円の金は一体どこが負担するのか、これもしっかりと今から担保をとっていただきたいと思います。

 そして、先ほど心配を申し上げた開催費用が莫大に増加した場合、それはちゃんと地元で持ってくれるんですよね、これはそういう自治体の編成によって変更はありませんねということも確認をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

島田政府参考人 大阪府市の統合が実現した場合の役割あるいは費用負担につきましてでございますが、府市の統合、そして特別区の設置に関する地元での検討の状況、さらには大阪府と大阪市の今後の協議の中で役割の継承あるいは費用負担につきましては整理をされていくものというふうに考えてございますので、政府の方から現時点で言及することは差し控えさせていただきたいと思ってございます。

宗清分科員 余り地元の主張ばかり通るようなことのないように、早目早目にちゃんと担保をとっていただきたいと思います。

 次は、もう時間がございませんので、質問を通告していたんですが、要望にかえさせていただきたいと思います。危機管理の対応についてです。

 先ほど申し上げたように、会場が橋一本、電車一本でしかつながっていない、これは埋立地ということなので、災害の想定もしっかりとお願いしたいと思います。開催時期が四月から十月ということなので、大型の台風、そしてさまざまな風水害、これは当然予測をしておくべきだというように思います。

 そして、これは関西空港のときのことも思い出していただきたいんですが、関西空港が水没したときに、橋が損傷して使えなくなりました。そのときに大阪府は自衛隊への救援要請をしなかったんです。大阪府になぜしなかったのか聞いても、答えません。そして、関西空港の方にも私はお尋ねをしたんです。そのときにも、大阪府とどんな協議をして自衛隊への要請をしなかったんですかと聞いたんですが、それも全くお答えにならなかった。これは不安なんですね。

 こういったことのないように、万博の開催地に例えば自衛隊の方々に常駐をしていただくとか、自衛隊を要請する場合、救援要請する場合の基準をつくっておくとか、しっかりと今からつくっていただきたいというように思います。要望しておきます。

 それと、入札についても、費用のことには懸念があります。しかし、品質が確保できるような入札制度、これは一般競争入札で一番下のところに張りついてくじ引きで決まるというようなことのないように、しっかり経営力そして技術力が生かされる、世界に恥をかかない、未来の実験場にできるような万博の建設にしていただくようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて宗清皇一君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昌孝君。

太田(昌)分科員 おはようございます。公明党、太田昌孝でございます。

 第七分科会での質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私からは、5G、デジタルプラットフォーム関連とグループ補助金、とりわけ地元の災害に関しての質問を何点かさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、これは5G、デジタルプラットフォーム関連について伺います。

 世界は今、第四次産業革命と呼ばれる、これまで経験したことのない大きな変化に直面をしているというふうに思います。

 AI、ロボット、ドローンなど、デジタル技術やデータ活用は日進月歩で進みまして、また、その恩恵がいよいよ現場にあまねく広がってきている、そんなことを実感することがちょっと、実はこの週末、ございました。

 私の地元に塩尻市というところがございまして、昨年から、実は保育園の受付業務が、他の業務と比べて五倍ぐらい残業時間が多かったんですね。クレームも大変あって、二月になりますと、そのクレーム処理のために、職員が朝出たら、電話に出るのが嫌だというような状況にまでなっていた。そんな状況の中で、AI、ICTを活用した業務改革にかかわるモデル事業というのに応募をしまして、これを使わせていただいた。

 保育業務におけるRPA、AIの活用ということで、RPAとはロボット・プロセス・オートメーションということでございますけれども、これを行ったところ、これまで手入力をしていたデータの入力が、今まで一カ月かかっていたものが五日で終わるようになった。残業時間も五分の一に減ったとか。

 一番すばらしいのは、クレーム、やはり自分の希望した園になかなか入れなかった、あるいは、それが遅くて、そういうことでクレームがたくさん来ていたんですけれども、ことしに関して言うならば、その担当の係長がたった一件受けたぐらいで済んだ。

 やはりきちんとその要望を整理をして、そしてAIも使いながら、第一希望ではないかもしれないけれども、第二希望、第三希望、きちんと説明がつく形で情報をお返しすることでクレームが減った、つまり、住民の満足度が上がったというような具体的な事例を聞いて、私、大変に喜ばしいなというふうに思いました。

 こうした技術がもっともっとあまねく広がっていただきたい、そして、現場において、今回は行政の話でございましたけれども、いわゆる国民生活の中でしっかりとこれは根づき、そして生活の向上につながる、そんなことに期待をするわけでございます。

 そんな中で、いよいよ5Gが本年からスタートをする、5G元年というふうに言われております。携帯電話だけでなくて、スマート工場であったり、農場の自動管理、あるいは建設機械の遠隔制御、あるいは車の自動運転など、広範な産業、社会を支えていただくこの5Gにつきましては、次世代の基幹インフラであるというふうに認識をしております。

 都市部だけでありませんで、地方においても、全国各地で5Gインフラの整備が進むことによりまして、工場、建築現場、農業、サービス業など、人手不足で悩む多くの方々の手助けになるだけでなくて、全国津々浦々で新しいサービスが生まれ、また、地方においては医療、教育などの課題解決にも大きく貢献することが期待をされております。

 こうした5Gについて、とりわけ信頼性の高いインフラを構築することが必要であると思われます。

 昨年の、令和元年房総半島台風の際には、千葉県で携帯電話の通信障害が広く発生をしまして、多くの被災者の方々が情報を得ることができなくなり、不安な日々を過ごしたというのは記憶に新しいところでございます。

 国土強靱化の観点からも、災害時に早期に復旧できる、信頼できる5Gインフラを構築していかなければならないと考えます。

 また、強固なサイバーセキュリティーなど、安全で安心なインフラが求められていることも言うまでもありません。実際に、5Gインフラの構築に当たって、安全保障の観点を重視する動きが、これは世界じゅうで出てきております。一方で、我が国としては、WTOを始めとする自由貿易のルールも軽視することもできないかと思います。

 こうした5Gについて、新たなサービス、ビジネスを創出するなど産業振興の基盤として期待されるこの5Gについて、安全、安心、信頼できるインフラを適切かつ早期に整備することが必要と考えますが、政府としてどのように取り組んでいく考えか、まずは伺いたいと思います。

中野大臣政務官 太田委員の御質問にお答え申し上げます。

 5Gについてお尋ねがございました。

 5Gは、携帯電話だけでなく、スマート工場や遠隔医療、自動運転など、さまざまな用途での活用が期待されるところでございまして、ソサエティー五・〇の基盤となる重要なインフラと考えております。

 この新しいインフラ上で新たなサービスが創出をされるとともに、委員御指摘の人手不足等の社会課題の解決にもつながることを通じ、地方創生にも貢献し得るということで、全国津々浦々、早期の整備というものが期待されるところでございます。

 こうした5Gにつきましては、サイバー空間のみならずリアルな空間にも影響を及ぼし得るということで、サイバー攻撃によるトラブル、事故や情報搾取などを防ぐため、これまで以上に安全で信頼できるシステムを構築することが求められております。

 このような状況を踏まえまして、政府といたしましては、安全性や信頼性などの要件を満たす5Gシステムの開発供給又は導入に関する計画を認定する制度を創設をし、認定された計画に基づき投資等を行う事業者に対しまして、税制や金融面での支援を行うことなどを内容といたします特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案を今月十八日に国会に提出したところでございます。

 今後、こうした措置を通じまして、安全で信頼できるインフラの早期構築というものを後押ししてまいりたい、このように考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 法案の審議、これからということになろうかというふうに思いますけれども、これは早期の成立を図りながら、この5Gの後押しをしていただきたい、こんなふうに思います。

 そうした安心で安全な信頼できる5Gインフラの構築に当たって、その構築する通信キャリアの役割が何よりも重要であることは言うまでもありませんが、この技術の進展に伴いまして、通信機器等をキャリアに提供するベンダーの役割も重要になってきていると思います。

 ただ、残念ながら、現在の情報インフラ市場の中では、例えば通信基地局の世界でも、世界シェアトップはファーウェイ、三〇%、エリクソンが二七%、ノキアで二一・九%と、この三つだけで八〇%を占めるというような状況になっておりまして、こうした海外のベンダーが大きなシェアを持っております。

 日本におきましては、NECが〇・八、富士通が〇・七にとどまっておりまして、世界のマーケットの中では残念ながら存在感を示しているわけにはいかない、こんな状況であろうというふうに思います。

 しかしながら、5Gという新たな段階に突入しようとしている今、この日本のベンダーにも国内外の市場の獲得をする、そんなように期待をしているわけでございますが、日本の通信機器ベンダーの育成、市場獲得に向けて政府の力強い後押しが必要だと考えますが、今どのように取り組んでいかれる考えか、お伺いをしたいと思います。

中野大臣政務官 お答えを申し上げます。

 移動通信インフラの構築につきましては、これまで単独のサプライヤーがシステムの主要部分全てを受注することが多かったということでございまして、結果として日本企業の入り込む余地が少なく、現在のモバイル用途の移動通信インフラ機器市場では、委員御指摘のとおり、海外の企業が世界シェアで上位を占めている、こういう状況でございます。

 他方、これからインフラ整備が本格化する5Gの分野につきましては、各国の主要キャリアを中心に、システム構築につきまして、複数のサプライヤーにオープンにしていく方向であるというふうに認識をしております。

 このように、オープン化が進む5Gが始まる今こそ、日本のベンダーが入り込み、市場を獲得する大きなチャンスであるというふうに考えております。

 こうした状況を踏まえまして、二月の十八日に提出をいたしました5G関連法案では、税制等で支援をする事業計画の要件の一つとして、オープン性というものに注目をする方針でございます。国内外の企業がそれぞれの強みを持ち寄って連携をしていくということを後押ししてまいりたい、このように考えております。

 同時に、5Gインフラの高度化が進んでいくことも踏まえまして、日本企業の技術力を高めていくということも重要でございます。一月三十日に成立をいたしました補正予算を活用いたしまして、この技術開発というものも支援してまいります。

 このように、新しい制度、税制、予算を総動員し、5G分野の民間の取組を後押しをすることで、移動通信インフラ機器市場における日本企業の育成というのを進めてまいる決意でございます。

太田(昌)分科員 ありがとうございました。

 今のまさに日本のベンダーの中でも、NECや富士通も、例えばローカル5Gなんかも含めて、今さまざま実証実験なども行っていただいているかというふうにも思っておりますし、オープン化も大変なチャンスであろうというふうに思います。しっかりと後押しをよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、デジタルプラットフォーム関連についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 こうしたデジタルプラットフォーム企業、世界の時価総額ランキングトップテンの大半を占めるなど、大変に大きく成長をしております。例えば、この企業が提供する市場の規模については、オンラインショッピングモールでは約九兆、アプリストアで約二兆にも上りまして、我々の生活にとっても大変重要な存在となっておりますし、これは私自身もしばしば利用させていただいております。

 オンラインショッピングモールやアプリストアを利用する中小企業やベンチャー企業などにとっても、商品やサービスを地方や海外の顧客にも販売することができるようになるなど大きなメリットがある、このように私も、関係する企業などからも伺っております。

 その一方で、デジタルプラットフォーム企業をめぐっては、重要性の高まりに応じまして、国際的にも、プライバシーの保護や、競争、課税の問題など、さまざまな課題が顕在化をしている。特に、デジタルプラットフォーム企業がデータの独占や寡占を通じて市場の支配力を強める傾向がある中で、自由で公正な競争環境をいかに確保するかが重要な課題と思います。

 日本政府、これは公取でしょうか、行った実態調査の結果においても、一部の市場においては、一方的な規約変更によって手数料を引き上げられたり、データがどのように取り扱われているのか開示されていないといった中小企業の声が聞こえてきておりまして、不透明な取引慣行が明らかとなっております。政府としては、昨年十月、デジタル市場競争本部を立ち上げて、省庁横断的な対応を検討してきているものと承知をしております。

 大きく成長しているデジタル市場において健全な発展が重要だと考えておりますが、そうした観点から二つ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 一つは、デジタルプラットフォームを利用する中小企業などのため取引の透明性をしっかり確保することが重要と考えますが、政府としてどのように取り組んでいくお考えか、お伺いをしたいと思います。

 また、今回提出されました法案について、中小企業などの利益を保護することに加えて、デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護とのバランスも重要であると考えますが、見解をお伺いをしたいと思います。

中野大臣政務官 二点、御質問がございました。

 まず、中小企業などとデジタルプラットフォームの企業との取引の透明性に関する御質問でございます。

 御指摘のとおり、デジタルプラットフォーム企業は、イノベーションの担い手として、中小企業等に国内外の新規顧客の開拓機会を提供するなど、さまざまなメリットをもたらしている面も大きいのでございますが、他方、一部の市場で寡占化が進む中で不透明な取引実態も生じておりまして、これについてはルールを整備をして対応していく必要があるというふうに認識をしております。

 これらを踏まえまして、経済産業省としましては、イノベーションを阻害しないように配慮しつつ、デジタルプラットフォーム企業と取引先の企業等との取引の透明性や公正性を高めるための特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法案につきまして、本国会に提出をしたところでございます。

 本法案では、大規模なオンラインモールとアプリストアの提供事業者に対しまして、取引条件等の情報開示を求めること、運営の公正性を確保するための自主的な手続、体制整備を求めること、これらの取組状況の自己評価について毎年度行政庁への報告を求め、政府が評価を行うことなどを措置してございます。

 これらの措置を通じて、取引の透明性を確保し、デジタル市場の健全な発展を図ってまいりたい、このように考えております。

 続きまして、消費者の利益の保護も重要ではないか、こういう御指摘がございましたので、あわせて答弁いたします。

 先ほど申し上げた法案につきまして、中小企業等とデジタルプラットフォーム提供者との間の取引の透明化、公正化を目的とするものではございますが、本法案におきましては、デジタルプラットフォーム提供事業者に対しまして、デジタルプラットフォームの運営状況の自己評価に関する毎年度の定期報告を求めてございます。

 政府が評価することとしておりますが、この際には、取引先の企業に加えまして、消費者も含めたさまざまな関係者の意見を聞いた上で評価をすることとしております。

 これらの取組を通じまして、中小企業等の取引先企業のみならず、消費者の利益にも十分配慮をしてまいりたい、このように考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 それまでなかなか起業できなかった方がこうしたデジタルプラットフォーマーを使いまして起業することができた、商売も順調にいっている、ところが、あるとき、この変更があって、そこから先、大変に利益を持っていってしまうというような状況の中で、大変苦慮しているケースが散見されます。消費者保護の観点からも、新しい法律を早期に成立をさせていただいて、情報がしっかりと開示できること、これは期待をさせていただきたいと思います。

 では、次に、グループ補助金について、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 昨年の、令和元年東日本台風と命名をされましたけれども、私の居住する長野県内でも初めてとなる大雨特別警報が発表されるなど、記録的な大雨をもたらしました。河川の氾濫、土砂の流出等によりまして、被害総額で二千六百億円と、更に農業被害なども含めて、私個人的には三千億ぐらい行くのではないかと思われますけれども、大変に、産業の基盤である商業施設はもとより、工場等の事業所、農地、農林業施設、あるいは社会福祉施設、医療施設等に甚大な被害がありまして、深刻な打撃を受けたものであります。

 経産省におきましては、本当に、中小企業庁、経産省は、災害発生直後から職員を現場に派遣をしていただきまして、被害状況の情報収集から被害事業者への支援施策の周知まで、県、市町村、商工団体とともに、迅速に対応していただきました。まずもって、この点につきましては心から感謝を申し上げたいというふうに思います。本当にありがとうございました。

 特に、予算措置をいただきました中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業、いわゆる中小企業等グループ補助金でございますが、本県産業の復旧復興に向けて力強い加速器となっておりまして、先月、二回にわたりまして申請を出させていただき、また今も、グループ化、こんなことについて今進めているところでもございます。また、第三次の申請につきまして、これは本年度中に募って来年度早々にも出させていただくというような状況の中で、まずは準備のできたところから一次、二次という形で申請の受け付けが行われたというふうに理解をしております。

 そういう中で、被災事業者の多くの方、これは、中小企業や小規模事業者でありまして、なかなかこれまでも補助金の活用経験がなくて、書類作成の労力も理由に手続を断念してしまったり、あるいは、今後の事業継続が困難になるというようなことも懸念するところが散見されてまいりました。

 また、被災直後から事業活動再開を目指した事業者においては、支援制度が周知される以前に施設や設備を処理したために補助対象とならない事例もあり、より実態に即した制度運用を望む声も届いております。

 被災事業者が一日も早く、通常の事業再開に向けて、地域経済に再び活力が生まれるように、今、県や市町村が一丸となって支援に取り組んでいるところでもあります。

 そんな中で、実際の申請に関して幾つか疑義がありますので申請をためらう場面があるというふうに聞き及んでおりますので、何点か伺います。

 ちょっとまず大枠なんですけれども、グループ補助金については、原状復旧との大原則の中で、それまで設置されていた機器が例えば古くて、現在の、例えば、今入れるとしたら汎用型の機械を入れた場合に、これは生産力が上がってしまう場合があります。こうした性能の向上というのは当然のことだと思うわけですが、ところが、申請をためらう、あるいは同等の性能でなければ補助が認められないケースがあると伺っております。同等のような製品であれば、一定の性能差についてはこれを認めて、補助の対象とすべきと思いますけれども、これはいかがでございましょうか。

 わかりやすい例えをした方がいまして、十年前にカローラを買った。だけれども、これが壊れちゃった。今新しいカローラを買ったら性能がよくなるのは当たり前じゃないか、そういう意見なんですね。

 個別具体的な話は幾つかあるわけですけれども、県の担当者にとっても大きな判断基準となるものですので、この点について確認をさせていただきたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 グループ補助金は、被災した設備等の復旧に要する経費を対象とすることを原則としており、実際に設備等を復旧する際には、従前の性能や機能、規模と比べて同等であることを求めています。他方、その運用に際しましては、被災実態や被災事業者のニーズに寄り添った対応となるよう柔軟に対応してございます。

 具体的には、被災前の設備等が時間の経過により購入不可能であるなど、同一の性能や機能、規模を有する設備等が手に入らない場合には、従前の性能等も踏まえつつ、対象となる設備等について一定の幅を持たせた上で、事業に必要な性能等を比較検討し、購入できることとするといった柔軟な対応を行っています。

 引き続き、事業者に寄り添った対応を徹底してまいります。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 柔軟な対応ということで、本当にうれしい回答をいただきました。地元でもそのような対応をぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。

 もう一つ、ちょっとこれも何かクレームめいて申しわけないんですけれども、電源などを地下に置いていた場合があります。今回の水害を受けて、当然のことながら同じようなことがあっては困るというようなことで、例えば機器導入時に二階に設置したいという場合があるんですね。その場合に、これは当然、床面の補強などが必要になりまして、だけれども、これもあくまでも原状復旧ということで、地下に設置する分の補助しかなかなか得られないということが実際あるんです。

 例えば、具体的に、これは自治体の話なんですけれども、地下にそのまま電源を置いた場合には、復旧した場合に四億円かかる。ところが、二階に置くといった場合、これは五億二千万かかるらしいんです。そのくらい、やはり差がつくんですね。そんな中で、各企業においては、原状復旧でなくて、例えばこういう場合も何とか応援できる、そんな考え方で臨んでいただきたいと考えるのですが、この点、いかがでございましょうか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 グループ補助金は被災した設備等の復旧に要する経費を対象とすることを原則としておりますことは、先ほど述べましたとおりでございます。

 他方、委員御指摘のとおり、従前の設備そのままの復旧では事業の再開や継続、売上げ回復が困難となるため、例えば新製品に対応できる製造ラインに転換する等の新たな対応が必要になる場合もございます。

 今述べたような状況のもとで新たな対応が必要な場合でも、被災前に所有していた設備等の原状回復に必要な経費の四分の三の範囲内で補助することとしております。御指摘の電源設備の床面の補強等についても、こうした考え方のもと、できる限り支援をしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、グループ補助金の趣旨のもと、事業者を取り巻く環境を踏まえた対応を行うよう、徹底してまいります。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 本当にありがたい話でございます。親会社から、またそこで事業をやるのかと言われちゃうところがあるんですよね。一生懸命、国交省で改良復旧していただいているんですけれども、いかにやろうとも、やはりサプライチェーンの大事な一角を担っているとなると、別のところに移転しろなんというふうに言われているところもあるわけでございまして、そういう中で安全性を何とか高めるというのは当然のことだと思いますし、今、この趣旨にのっとった対応をいただいているということで、感謝申し上げます。

 あともう三点ばかり、ちょっと具体的な話を聞きます。

 車なんですが、被災直後に水没した車両を引き取ってもらって、海外に輸出されたケースがあるんですね。この場合、これは輸出抹消というふうになるそうでございます。このたびの補助対象になるためには、これは永久抹消じゃないとだめよという話があるんですね。ただ、海外に輸出されたものについて、再度の永久抹消手続、これはほぼ不可能だろうと。そういう意味では、抹消手続という意味では輸出抹消も何とか、車についての支援の対象となるように要件の緩和はできないものか、これについても伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 被災した業務用車両の復旧に当たって、修繕可能な場合には修繕に係る経費についてグループ補助金の補助対象とする一方、修理不能の証明及び永久抹消登録の確認ができれば入れかえに係る費用を補助対象としているところでございます。

 また、永久抹消登録を確認できる書類が取得できない場合があるということも承知してございます。こうした場合につきましては、乗用車として使用できないことを他の方法により証明できる方法がないか等について、個別の事案に即して検討してまいりたいと考えてございます。

太田(昌)分科員 ぜひ、使用できないその他の理由の中に輸出抹消を入れていただきますように、ぜひともこれはよろしくお願いします。

 すぐに廃棄して、これは本人の責任じゃないんですよね。結果としてわからないし、もう一回取り寄せて抹消するというのは事実上不可能な話ですし、たしか、たてつけの中でも抹消となっていたと思うんです。一時抹消でしたっけ、これだとさすがに無理だと思いますけれども、もう一回復帰できる可能性がありますのでね。だけれども、輸出抹消は実質上はこれはもう永久抹消とほぼ同じ、同義と思いますので、ぜひ柔軟な対応をよろしくお願いします。

 あと、現在の補助対象に貸家業、アパート経営が入っていないんですよ。店舗等の賃貸業、これは対象になっている。その貸したところで例えば工場をやっているという場合は対象になっているんですけれども、アパート経営は対象になっていない。これはやはりちょっと理屈としてはなかなか、私とすると合わないかなと思うのですが、こうしたアパート経営、高齢の方が結構、なりわいとして大切にしていた、そういう不動産所得があるわけでございまして、これも対象としていただきたいのですが、これについても御見解を伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 グループ補助金は、被災企業が事業に使用する施設、設備の復旧に要する経費を対象とすることを原則とするものでございます。この点、住居用アパートの場合には、借り主は事業用途ではなく居住用として使用するものであるため、補助の対象とすることは難しいと考えてございます。先ほど申し上げましたグループ補助金の趣旨を踏まえつつ考えていくことが重要であると考えてございます。

太田(昌)分科員 なかなかこれは、ちょっと厳しい回答をいただいてしまいましたけれども。

 ただ、被災地、とりわけ私の地元長野市において被災した地域というのは、本当に高齢率が高い、子供たちも出ていってしまったような地域なんですよ。アパートなんかもやはり再建してもらわないと人が帰ってこないというような地域でもあるんですね。

 事業かどうかという話になってくれば、やはり、そこでなりわいを得ている以上は、そこで事業を行うというよりは生活の場ではありますが、それによっていわゆるのりを得ているというような方はやはりいらっしゃるわけですから、これについては何とか対象としていただきたい。これは、再度再度、何度言っても回答としてはちょっと変わるかどうかわかりませんが、この場ではここまでにしておきますけれども、ぜひこれは再度の要望とさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、大手リース会社から機材を賃借しているケースがあるんですね。この場合、破損した設備については借り主である被災企業が修繕しなければならないというケースがございます。ですが、その場合に、対象のリース会社もそのグループの中に入っていただければ問題ないわけでございますけれども、理解を得られずに被災企業が補助を受けられないというケースがあります。いわゆるリース会社がグループに入っていただけないケースですね。そうすると、あくまでも自力でその機材を修繕をしなければならないというような状況がございます。

 これについては、どうか、これは地元のリース会社は当然率先して入っていただくわけですけれども、大手です、大手に関して、具体的には申し上げませんけれども、大手リース会社がなかなか理解をいただけない。こうした関連業界に対して、被災事業者の支援について理解をいただき、協力いただけるように、これは格段の要請をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、この点についてお伺いをしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 被災事業者がグループ補助金を活用し、設備等を復旧しようとする際に、リース会社から補助金申請の協力を取り付けることが難しい場合もあることは承知しております。

 現在、こうした事案に悩む事業者に対して、個々の事業者の状況の把握を行っているところであり、どのような対応が可能であるか、具体的な検討を行っているところでございます。

 その上で、御指摘の点につきましては、グループ補助金をともに実施している県と協力し、グループ補助金の公募や交付決定を進めていく中で、リース会社の協力を取り付けることが困難な事例がないか確認し、このような事例が多く確認された場合には、必要に応じて対応を検討してまいりたいと考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございました。

 経産省、中小企業庁のこうした被災地に対しての温かい支援、今も地元に張りついて寄り添い型の支援、まさに目的どおりやっていただいていることに感謝を申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

山際主査 これにて太田昌孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野分科員 おはようございます。国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 きょうは大きく三つのパートで質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 最初に、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援について、何点か質問を準備させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 この新型コロナウイルス、政府の皆様ももう御承知のとおり、今、中国では大変多くの方々が感染をしておりますし、また、世界的にも感染者が拡大をしつつある状況にあります。そんな中で、我が国日本の産業界、産業を営む事業者の方々の中にも中国には多く事業所を置いている会社が多くございますが、当然ながら、中国本土、そして日本国内の各工場で、一つの製品あるいはサービスをサプライチェーンとしてつないで生産をしているわけでありますけれども、そのあたりの、まず、今、どういった影響が日本の企業に対してこの新型コロナウイルスの関係で発生をしているのか、現在、政府が認識をしている影響の中身について、御答弁をいただきたいと思います。

 もし可能であれば、この影響がどの程度の規模に及んでいるのか、わかる範囲で御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

    〔主査退席、神山主査代理着席〕

梶山国務大臣 現在、経済産業省では、ジェトロや企業、地方経済産業局、中小企業団体等から多方面に情報収集を行っており、現地の生の声を最大限吸い上げているところであります。

 今、委員からお話ありましたように、中国に現地の工場を持っている企業は数多くあります。そういった中で、それぞれの地方政府の許可がない限り再開ができないということがございます。さらにまた、そこの従業員が春節等で戻ってこれない、また、通勤ができないというような点もございます。さらに、完成車、例えば車をつくる場合には部品も調達をしなければならないということで、サプライチェーンがどうなっているか、地域をまたぐ場合には、更にそういう物流の問題もあろうかと思います。

 さらにまた、最終的には物流ということで、完成したものを輸出する、また、中国内の別なところに運ぶということも含めて、いろいろ支障が出ていることもあるということで、それらが日本に対してどのような影響を与えるかということも含めて、今、個別の企業と連携をしながら、またさらに、ジェトロ等とも連携をしながら調査をしているところでありまして、中小企業におきましては、特に資金面、資金繰りの影響が出てきているということもありますので、そういったものに対して、セーフティーネットの保証、セーフティーネットの融資ということで対応していくということで準備を整えたところでもあります。

 さらにまた、国内に関しては、これは観光業、インバウンドが、団体旅行がビザが出ないということもありますので、こういった観光業に関して、地方の、地域の中小企業団体を通じてどのような形になっているのか、どのような状況になっているのか、まさにここは資金繰りの問題でありますから、しっかりと見きわめた上で機動的に対応をしてまいりたいと考えております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 今回の新型コロナウイルス対策に関して経産省の方で取りまとめた支援策の中には、セーフティーネット保証四号及び五号などで対応した徹底的な資金繰りの支援というのが盛り込まれております。その規模は五千億円というふうに聞き及んでおりますけれども、今、大臣がおっしゃったように、海外のジェトロですとか海外の現地商工会、あるいは国内のさまざまな業界団体や各事業者からの情報収集というのは今行っているという状況だと思いますが、この資金繰り、先ほど中小企業から資金繰りが大変多く要望が上がっているということでありますが、私が事前に事務方から聞いた話によれば、相談内容の九割が資金繰りの相談だというふうに聞いております。

 そこで、この五千億円という規模の妥当性については、過去のリーマン・ショックですとか、さまざまな自然災害の対応の実績から算出をしたものだというふうに私は伺っているんですけれども、ぜひ、機動的なという言葉をお使いになられましたが、現在起こっている事業者からのさまざまな情報をもとに、この支援の内容、規模といったものについても、逐次精査をして柔軟な対応をしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、ウイルスが国内でも感染が広がっております。そして、ダイヤモンド・プリンセス号から下船をした方の中でも発症した方が発生し始めているということで、これは、かかっているか、かかっていないかの検査というのが、今、重要な局面を迎えていると思います。

 以前、産総研が開発したウイルス検出機器を改良して新型コロナにも対応させるような取組を今行っているということでございますけれども、今、この対応状況について、少し詳細な御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 産総研が開発いたしました迅速にウイルスを検出できる機器ということでございます。現在、新型コロナウイルスの検査に使えるようにするための調整ということを関係者が連携して全力で取り組んでいるところでございます。

 今の状況でございます。既にコロナウイルスの検出自体は可能となった状況でございますが、ただ、これを実際に現場で使用するためには、今使われている既存の検査方法と確実に同等の結果が出せるかどうかということを確認する必要があります。それから、検査スタッフの作業手順というものも確立しないといけません。こういった問題の解決に現在取り組んでいるところでございます。

 まだ実用化の、配備の時期が決まっておりませんけれども、今、関係者の間では、何とか三月中に実用化できないかということで、これを目指して、そして関係省庁である厚生労働省とも連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

浅野分科員 ありがとうございました。

 今、三月中に使用を開始したいというふうに御答弁をいただきましたが、私の聞いたところによれば、この新しい検査手法がもし利用可能になれば、これまで五時間から六時間かかっていた検査時間が十五分から二十分程度まで短縮されるということで、かなり検査のスピードが上がるというふうに思います。

 その一方で、きのう、きょうの報道でも出ておりますが、感染拡大をとめられるかどうか、この一、二週間が非常に重要な期間になるという有識者の意見もあったそうでございます。この新しい機器、三月中というと、あと一カ月くらいの間で使い始められるようにということだと思いますけれども、今現場で起きているスピード感と皆様が想定されている三月中にというスピード感、やはり今の状況を考えれば、できる限り加速をしていただく必要があるのかなというふうに思いますので、経産省においても優先順位をしっかりと御検討いただいて、できましたら、三月中と言わず、もうでき次第すぐにでも、そして、完全に同等の結果が出るかどうかというのは、確かに百点満点をとりに行くのもわかりますけれども、とにかく検出することが最優先だと思いますので、ぜひ、そのあたりの迅速な利用開始に向けた経産省を挙げての取組をお願いしたいというふうに思います。

 続いての質問になりますが、次は、マスクの話を少しさせていただきたいと思います。

 皆さんの御地元でも同じような声が聞かれていると思うんですが、とにかく今、国民の皆様の生活現場にマスクがありません。なかなか手に入らない。

 私も、この週末に地元に戻っていろいろな方々の声を聞いてきましたら、特に小さなお子さんを持っている御家庭ですとか、あるいは持病を抱えていらっしゃる方々、特に高齢者の方々はマスクを必要としております。花粉症、インフルエンザ、いろいろな病気がこの季節にははやるものですから、例年、確実に確保しないと健康が維持できるか不安だという声が多くありました。中には、毎日いろいろな薬局を回ってマスクを探していらっしゃる方もいたわけでありますが、とにかく国には、今増産体制も整いつつあるようですけれども、少しでも早く国民の皆様にマスクを供給できるような形を整えていただきたいということであります。

 そこで、質問は、現在のマスクの生産設備の補強の状況、今後の市場供給の見通しについて、政府の御答弁をいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、マスクについては、国内の品薄状況が継続しております。私どもとしては、供給側と需要側両方の対策をしっかりとっていくことが重要だと考えております。

 御質問にございました供給側の取組に関しましては、マスク生産事業者の増産努力ということをお願いしているところでございまして、現在、例年以上の枚数、毎週一億枚以上は供給できるという見通しが立ったところでありますが、一方で、これも御案内のとおり、マスクは海外からの輸入が大きなシェアを占めてございます。これが停滞する中で、もう一段のマスクの供給増を速やかに実現する、このために予備費を活用いたしまして、補助金による設備投資の支援ということを行うこととしております。既にこの補助金については、公募を開始したところでございます。

 また、需要側の取組に関しましては、厚生労働省と連携して、マスクの流通、販売を担う企業の業界団体に対しまして、一人当たりの販売量の制限を設けることによって買占めを抑制すること、それから、分割納入等によって幅広く行き渡るような供給といったような要請を行ってきたところでございます。

 こうした取組を通じまして、地方を含め、マスクを必要とする方に対して適切な供給がなされるよう、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 増産体制を整えているという話はわかりましたが、国民の皆様が今不安なのは、一体どのくらいの量が必要で、今どのくらいの量が生産できて、そして海外からの輸入がどのような状況なのかというところが、なかなか全体像がつかめないわけです。

 御存じだとは思うんですけれども、今のこの状況で、先ほど週一億枚プラス輸入分という話をされておりましたけれども、一体どれくらいの需要、量がマスクとして必要とされているのか、把握されている数値があれば、御答弁いただけますでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの経過で見ますと、平常時であれば、供給量は、大体、月間四億枚程度ということでございます。

 特に、この春先、花粉等々のニーズもございますので、こういった時期には、こういった需要が膨れる時期であるというふうに聞いてございます。

 ただ一方で、今現在、このコロナウイルスの発生、国内での感染というような状況を受けて、実際のところ、それ以上の需要があるという状況ではないかと思っておりまして、私ども、毎週一億枚、更にこれを上積みすべく最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。

浅野分科員 例年だと四億枚ということで、今、先ほどの答弁ですと週一億枚ということで、一月四週間だと考えれば四億枚で、輸入した分だけは余裕分ができるような状況だと思うんですけれども、ただ、今のこの状況では、明らかに四億枚を大きく超える需要が国内にはあると思いますし、国の方でも、そのあたりは必要量をしっかりと定めて、目標を定めて、それに対していかに近づけるかという手法でぜひこの取組は進めていただきたいというふうに思っております。

 私がいろいろ聞いておりますと、平年は四億枚から五億枚、ただ、今の状況ですと九億枚から十億枚程度が必要なんじゃないかというふうな数字も聞いております。それを考えればまだまだマスクが必要な状況だと思いますので、国内生産の補強プラス海外からの輸入、海外のメーカーも非常にフル稼働して大量生産を進めているというふうに聞いておりますけれども、そのあたりはぜひ今後も、経産省としてもしっかりと情報を整理しながら進めていただきたいというふうに思います。

 大臣の方から、もし一言あればお願いします。

梶山国務大臣 今、通常の年の月間の需要の話がありましたけれども、これは、通常、流通の中でストックがあって、こういう回転だと思っております。今、流通の中で、ストックがゼロ、在庫がないという中で、それを満たして、更にまた需要があるということになると思いますし、また、海外から来られた方が、日本で買い求めになる方もおいでになるということですから、その辺のところも含めてもう一度需要の精査というものをしてまいりたいと考えております。

浅野分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 国民の皆さんは、いつまで待てば手に入るようになるのかというのを、本当に、毎日毎日町を移動しながら考えていらっしゃる方が全国にたくさんいらっしゃいますので、国民の皆様の不安を払拭するためにも、経産省の皆さんのこの取組が本当に重要だと思いますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 では、次の質問に移りたいと思いますが、先日、自動車業界の団体及び経産省から、新型コロナウイルス対策検討自動車協議会というものが発足、設置をしたというプレスリリースがございました。この自動車業界、中国の湖北省にもたくさん工場が設置されておりますし、今、特にメディアでも取り上げられることの多い分野であるのですけれども、この新型コロナウイルス対策検討自動車協議会、一体どういう目的で、どういう取組をこれからしていくのか、政府の御答弁をいただけますでしょうか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の新型コロナウイルス対策検討自動車協議会は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴います日本の自動車サプライチェーンへの今後の影響拡大の可能性に備えまして、対応に万全を期す観点から、業界大の迅速な情報共有や必要な対応策を検討するために立ち上げたものでございます。

 今回の協議会のもとで、自動車メーカーや部品メーカーと一体となりまして、迅速な状況把握に努めるとともに、影響緩和に向けた対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 私自身は、今回の協議会の設置というのを非常に評価をしております。やはり、業界とあるいは政府と、そして中国と国内と地域をまたいだ情報共有、今どこで何が起こっているのかというところをまず把握することは対応策を考える上での最低限必要な体制だと思いますので、望ましくは、自動車業界に限らずさまざまな分野がこうした取組をしていただくのがいいのかなというふうに思っております。

 とりわけ、この自動車業界は、政府、経産省の方でも把握しているとおり、中国湖北省に大変たくさんの工場を持っております。今、中国政府の指示で工場の再開ができていない状況だということで、中国の対応に全力を挙げているところだというふうに思います。

 その一方で、中国でつくったものを国内に持ってこないと生産活動ができない、国内で待機している方々もたくさんいらっしゃいます。こういう人たちが、こういう事業者の方々が、今回の件でやむを得ず休業せざるを得ない場合も出てきております。

 こうした部分について政府も何らかの支援をしていかなきゃいけないだろうということで、冒頭触れさせていただきましたセーフティーネット四号及び五号の適用等もあるんですけれども、休業の雇用調整助成金、これは厚労省の管轄になるんですが、雇用調整助成金の例外特例の適用も含めて、ぜひ検討していただきたいというのがお願いでございます。

 今、なぜか、インバウンド、観光業とかサービス産業のみを対象にしてこの特例を認めているということなので、きょうは、ちょっと厚労省には来ていただいておりませんが、経産省の方からも、厚労省としっかり連携をとっていただいて、サービス産業以外に、こういう製造業分野も今目に見えて明らかな影響が及んでおりますので、ぜひ今後対応を御検討いただければということでございます。

 あと、また、ここは事務方でもいいので答弁をいただければと思うんですが、自動車産業以外に最近出てきているのが、イベントの中止、延期によって、いわゆる出演をされる予定の方ですとか、イベントを運営する業者の方々というのがかなり大きな影響を受けている実態がございます。

 経産省の事務方に聞きましたら、まだそこに対して明確な対応はしていないということだったんですが、ちょっと私が聞いているところですと、キャンセルとか延期によってこうむった損害をしっかり支払ってもらえるかどうか、その部分、大変大きな不安として業界内にはあるそうでございます。

 キャンセル規定の遵守等、公正な取引の実施に向けて、経産省として今後何らかの対応をする予定があるかどうか。もし答弁可能であればお願いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。

梶山国務大臣 企業の資金繰りに関することでもありますので、しっかりと対応していくということと、あとは、企業間の契約がしっかりと結ばれているかどうか、これは公取の部分にもなるでしょうけれども、そういったものの遵守も含めて、大きい者から小さい者への圧力等がないように、しっかりと私どもも監視をしてまいります。

浅野分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、きょうは国交省の方にも来ていただいて、物流のお話をさせていただきたいと思っております。

 私の地元茨城県、私が住んでいるのは日立市という場所なんですけれども、梶山大臣のすぐ隣の地域になりますが、大変南北に細長い地形をしておりまして、人の移動、物の移動もその縦の軸に従って行われております。大変な渋滞、慢性的な渋滞の状況になってございまして、経済活動の活性化にはやはりこの緩和が不可欠な状況です。

 人の体に例えると、道路というのは血管のようなもので、しっかりと血がめぐっていないと健康が維持できません。ですから、渋滞の緩和というのは非常に重要な政策課題だと思っているんですが、私の地元には国道六号線というのが通っております。ここは今、複数箇所で幅を広げたり渋滞緩和をする事業を行っているんですが、なかなか前に進んでいないんですね。

 梶山大臣の御地元でも大変渋滞に苦労されている方がたくさんいらっしゃると思いますけれども、今の事業の状況について答弁をいただきたいというふうに思います。

長橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、日立市内の国道六号では、工場周辺や高速道路のインターチェンジ周辺におきまして、朝夕の通勤ピーク時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生しているところでございます。

 このため、国土交通省といたしましては、委員からも御指摘ありましたが、バイパスの整備や道路の拡幅の事業を現在実施しているところでございます。

 具体的には、日立バイパスの二期事業では、日立市内の交通混雑の緩和、交通安全確保などを目的として、延長三キロのバイパス事業を実施してございますけれども、これは平成二十四年度から事業化しております。

 今年度は、当初予算で約六億円を計上し、橋梁の設計、用地買収を実施しているところでございます。全体事業費二百四十億のうち、現在まで約二十億円の進捗となってございまして、来年度は引き続き設計、用地買収を推進していく予定としております。

 また、大和田の拡幅事業でございますが、これも日立市内の交通混雑の緩和、常磐自動車道日立南太田インターチェンジへのアクセス向上などを目的とした、延長三・三キロの四車線化への拡幅事業でございます。これは平成十八年度から事業化してございます。

 今年度は、当初予算約十四億円、補正予算で二億円を計上し、用地買収、改良工事を実施しているところでございます。全体事業費百二十一億円のうち、現在まで約七十二億円の進捗となっておりまして、来年度は引き続き用地買収、改良工事などを推進していく予定としております。

 引き続き、御地元の御協力をいただきながら、日立市内の交通混雑の緩和に向けまして、整備を推進してまいりたいと考えてございます。

浅野分科員 ありがとうございました。

 やはり、複数箇所、全国いろいろなところでそういう事業は行われておりますので、予算のバランスを考えながらというのは重々承知をしておりますが、特に地形的にもうその軸しか動けないような部分については、渋滞の緩和のみならず、これが事故の軽減にもつながりますけれども、最近では、災害発生時の避難路の確保や、緊急輸送道路、あるいは救急医療等に不可欠な道路になっておりますので、ぜひ今後とも継続的な対応をお願いしたいと思います。

 次の質問なんですが、次は道路整備から視点を変えて、特殊車両、大型車両の通行許可制度の見直しについて、一問質問させていただきたいと思います。

 きょうの資料の資料二というところをごらんいただきたいんですが、今後、国交省の方で、これまでは大型車両が荷物を運ぶ際に、こういう経路を通りますからここを通らせてくださいねという許可を毎回とって運行しておりました。しかも、これまでは、一経路ごとに許可をとらなければいけなかったということで、非常に手間がかかっていましたし、申請漏れも発生して、物流の円滑化にはなかなか課題の多かった制度でございましたが、今後、新しい制度の導入を検討していくということで、これからは、出発地と目的地を出せば、その間に通れる道路を全て許可を出せる、一括申請できるような仕組みになるということで、非常に効率が向上するのではないかと期待が膨らんでおります。

 ちょっとここで心配なのは、今も、できたばかりの道路、あるいは、これからまとめてその地域を一括開発していくような場合に、そこにつなげていくような新規幹線道路というのでしょうか、こういったところですと、なかなか登録がされていないので、従前の申請方法でしかできませんというようなことを以前言われたんですけれども、ここをぜひ改善していけないのかというところで、新しく導入する制度の際にはそういったところに配慮できるものなのかどうか、できることならしていただきたいということなんですが、御答弁をいただければというふうに思います。

和田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 特殊車両の通行に関しましては、物流における大型車両のニーズの高まりに伴い、許可の申請件数が増加をし、審査に要する日数が長期化をしているところです。このため、デジタル化の推進によって、幅員等の道路構造の情報が電子データ化されている道路をあらかじめ登録を受けた特殊車両が即時に通行できる制度を創設することとし、今国会に道路法等の一部を改正する法律案を提出したところです。

 先生御指摘のとおり、新制度の効果をより発揮するためには道路構造の情報のデータの更新頻度を高めることが重要です。これまで更新は国が一年に一度まとめて行っておりましたが、今後は国及び地方公共団体がそれぞれシステム上で随時データの更新を行えるようにしてまいります。

浅野分科員 ありがとうございます。

 大型車両により物を運ぶという物流網は、日本の産業界にとって本当に大きな効果をもたらすものだと思います。ぜひ更新頻度を高めていただいて、新しい道路が、すぐに通行許可申請をとれるように、システム側の改良をぜひお願いしたいと思います。

 時間が参りましたのできょうはここで質疑を終わらせていただきますが、ぜひ、新型コロナウイルス対策、経産省としても一丸となって取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

神山主査代理 これにて浅野哲君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷昇君。

神谷(昇)分科員 自民党の神谷昇でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。きょうは大臣にもお出ましいただきまして、またひとつ後でよろしくお願いいたします。

 大臣、冒頭でございますが、今度、補正予算で中小企業対策を大幅に増額をしていただきました。本当に心から厚く御礼を申し上げます。大阪は中小企業の町でございます。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 我が国は、七十五年前にアメリカと戦争をしまして、二度と立ち上がれない、完膚なきまでたたきのめされて、三百十万人のとうとい犠牲をもたらしながら敗戦を迎えたわけであります。しかし、先人たちは、あの荒廃した日本から血のにじむ思いをしながら復興に取り組んでまいりました。歴史の中で、政治の中でも、梶山大臣のお父様もその復興に大きく貢献なされた方であります。

 そして、敗戦から十九年後、一九六四年に東京オリンピックを見事に成功させ、そして六年後の一九七〇年には大阪万博、何と六千五百万人の皆さん方が御入場いただいて、東京、大阪の復興を始めとする日本の復興を世界にアピールしたわけであります。

 それから、世界からエコノミックアニマルとやゆされながらも働き続けて、一九八〇年ぐらいになりますと、鉄鋼、造船、繊維など、アメリカの産業を脅かすところまで成長してまいりました。そこで、アメリカは日本のいわば脅威を抑えるためにいろんな輸入規制をしながら、一九八〇年にバイ・ドール法、一九八二年にSBIR法などを次々と成立させて、一方では輸入規制をするとともに、国内の産業をいろいろな角度で発展をさせていく、そういう方策をとってきたわけであります。

 そして、一九九〇年、日本が世界一の国際競争力を持ち、そして、ジャパン・アズ・ナンバーワン、二十一世紀は日本の時代だと世界から言われたときに、急激にあのバブル経済が崩壊したわけであります。

 あの戦後の荒廃の中から先人たちが血のにじむ思いで一九九〇年まで頑張ってこられて世界に冠たる日本をつくって、そしてその後が、何と経済発展がぴたっととまった。最近のアベノミクスで一割ほど伸びましたけれども、世界の発展が約三倍弱で、日本は一・一倍。なぜこれだけ差ができたか、その辺の経産省の分析をまずお伺いしたいと思います。

中原政府参考人 バブル経済崩壊後、GDPが伸び悩みました背景に、いわゆる失われた二十年の中で、デフレを経験しまして労働生産性の上昇率が低下してきたということに加えまして、アベノミクスが始まる以前には、生産年齢人口が減少する中、就業者数も減少してきたということがあるものというふうに認識をさせていただいてございます。

 日本の労働生産性が伸び悩んでおります背景、要因につきましては、さまざまな分析がございまして、一概に申し上げることは容易ではございませんが、例えば、ITの利活用が中小企業などで十分に進んでいないこと、日本企業の教育訓練費が伸び悩んでいること、日本企業が自社内の技術開発にこだわることが多く、研究開発の成果を幅広く効率的に活用できなかったことなどが指摘されているというふうに存じております。

神谷(昇)分科員 その分析をお聞きしますと、大体わかっておられるんですよ、日本の経済がどうして低迷してきたか。ところが、それを、経産省はいろんな、中小企業庁もいろんな手を打っておられるんですね。ところが、その打った手が効果的でなかったということが数字ではっきりしている、そういうことだというふうに思っております。

 それで、ちょっともう一つお聞きしたいのは、一九九〇年ごろの日米の国際競争力と世界GDPに占める日米の割合、その当時と最近と、どうなっているでしょうか、ちょっとお示しください。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国際競争力でございますけれども、スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所、IMD、これが公表しております国際競争力指数によりますと、一九九〇年の日本は世界第一位、アメリカが第三位でございました。

 また、お尋ねの世界のGDPに占める日本とアメリカの割合でございますけれども、一九九〇年時点で、日本が一三%、アメリカが二五%でございました。この割合、二〇一八年につきましては、日本が六%、アメリカが二四%でございます。

神谷(昇)分科員 一九九〇年代は、あの荒廃した中から日本はアメリカを追い上げて、本当に接近をしてきました。国際競争力が何と我が国の方が高くなったんですね。今や国際競争力は三十位、労働生産性はOECDの平均以下、落ちたものですね。この辺を今後どうするか、経産省の腕の見せどころだというふうに思っております。

 我が国の奇跡的経済復興が進む中、米国は、輸入規制を発動するとともに、先ほど申し上げました、一九八〇年、バイ・ドール法、一九八二年、SBIR法等を次々と成立させ、豊富な資金量を持って産学連携を始めとする企業対策を強力に推し進めてきました。その背景と実績について、どのように分析をなさっておりますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、アメリカでは、国際競争力の低下を背景といたしまして、バイ・ドール法ですとかSBIR法を一九八〇年、八二年に制定いたしました。

 具体的に、バイ・ドール法では、連邦政府からの資金を受け、大学等が生み出した研究開発の成果につきまして、大学等が特許を得ることを可能といたしましたし、SBIR制度では、政府の研究開発予算のうち一定割合をベンチャーなど中小企業向けの枠として確保して、成長企業の創出に貢献したと承知しております。

 こうした取組を踏まえまして、その後、アメリカにおきましては、例えば大学の特許取得数ですとかライセンス数、ロイヤルティー収入は大幅に拡大いたしましたし、成長企業も生み出しまして、アメリカのイノベーション促進に大きな役割を果たしたものと認識しております。我が国におきましても、一九九九年に日本版のバイ・ドール制度、そして日本版のSBIR制度を導入いたしているところでございます。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。

 今のお話をお伺いしますと、一九八〇年ごろにアメリカはいろんな法律を成立させて頑張ってきた。それが、一九九〇年ぐらいに花が咲いてきたんですね。そして日本が、バブル経済と相まって、一気にその形成が逆転してきたということですね。

 そうしたら、バブルがはじけてから、失われた十年、そして今は二十年、私はもう三十年と思うんですけれども、その間、何があったか。日本は全く手を打っていないんです。バブル時代は一億総中流時代だったんです。みんな、まあまあ多少の豊かさを実感したんです。

 今、どうですか。私もこの正月、いろいろ行きました。みんな苦しんでいるんです。神谷さん、あんた、国会議員やったら、もうちょっとしっかりしてくださいよ、我々、年金で食べていくのが精いっぱい、余暇を楽しむのもできない、我々の生活はもう本当に貧困ですよ、こうなっているんですよ。ここまで日本が、いわば成長がとまっている間に世界は伸びていった。これを今後どうするかということが、私は日本の大きな課題であろうというふうに思っております。

 そこで、我が国でも、おくればせながらと言いながら、一九九九年、日本版SBIR法が成立して二十年間たちました。米国では、今のお話のように、スタートアップとか、いわば大学や高校において、企業を起こす、そういう教育をどんどんどんどんとしていっているんですね。そういうスタートアップを重視した。我が国では、中小企業に対して研究開発への補助金や委託費が主であった。この差が大きいんですね。

 昨年の十一月にようやくお気づきになって、この改定版をなさっておりますけれども、その目指すところと予算額、これについてお尋ねをしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、中小企業等経営強化法に基づきますSBIR法は、米国の制度を参考に一九九九年度に創設し、これまでに延べ十一万六千社、一・五兆円の規模で中小企業を支援したところでございます。令和元年度当初予算における支出目標額は四百六十億円となっております。

 しかしながら、日本版のSBIR制度は、米国に比べまして、ユニコーンの成長企業の創出やイノベーション創出につながっていないのではないかといった御指摘もございます。

 昨年十一月に経済産業省におきまして取りまとめを行いました、日本版SBIR制度の見直しに向けた検討会というのを行いまして、そこの報告書で課題を幾つか抽出してございます。

 例えば、イノベーションはあらゆる分野で起こる可能性があることから、各省庁がそれぞれ幅広く取り組むことが重要であるものでございますけれども、各省庁のスタートアップ等に対する研究開発予算の支出のバランスに偏りがあるのではないか。さらには、イノベーションの不確実性を踏まえれば、初期段階に数多く支援をし、可能性がある案件をより重点的に支援することが有効であるわけでございますけれども、各省庁が独自のルールで執行しており、制度として一貫性、一体性に欠けていることなどが課題として挙げられております。

 こういった支援策の量と質の確保、それを実現するための体制の強化が必要であるというふうに私どもは認識してございます。

 このため、中小企業によるイノベーション創出をより重視した制度といたしまして、内閣府を中心とした省庁連携の取組の強化を図るなど、日本版SBIR制度の見直しを検討しているところでございます。こうした見直しを通じて、ベンチャー、中小企業のチャレンジを促す制度への転換を図ってまいりたいと考えております。

神谷(昇)分科員 先ほどからの御答弁をお聞きしておりますと、冷静に、的確に分析をされているというふうに考えます。

 しかしながら、日本の経済はこの三十年間低迷を続けてきた。そうしたら何をすべきかですよ。分析とかそこらのものは全部できているんですよ。やはり日本の官僚さんはすごいですよ。にもかかわらず、結果は出ていないんですね。やはり政治は結果ですよ。

 そういうところを考えますと、まあ、漫談で出てきます、あれから四十年。アメリカがつくってから四十年です。あれから四十年、ようやく日本版SBIR法も、スタートアップ企業等に資金が提供されるようになってきた。ちょっと遅かった、二十年遅かった。そのために、今、日本に貧困が蔓延してきているんですよ。

 そういうところで、経産省は、今、梶山大臣を中心に、日本復興のために、大臣のお父様があの荒廃した日本を復興させたように、この経済の復興のために、私は大臣に獅子奮迅のお働きを御期待をしているところであります。

 ようやくそういう体制ができて、イノベーション創出についても各省間の連携強化が制度化されている。内閣府を中心に成果が十分発揮されるよう取り組まれるようにお願いをしたいと思います。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、アメリカでは、学校の時代からそういう起業家を育てるような、授業でやっておりますよね。ハーバード、スタンフォード、どこでもそうですけれども。そういう中で、日本というのは、ここらがほとんどないように思うんですね。最近これもぽつぽつと出てきたと思うんですけれども、その辺についてと、インキュベーション体制についての御見解はいかがでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 新たな雇用を生み出し、イノベーションの担い手となる起業家やベンチャー企業の創出は重要な政策課題でございます。

 他方、日本の開業率は欧米諸国に比べて低水準で推移しており、我が国の起業に対する意識について調査した国際アンケート調査では、日本のいわゆる起業無関心者の割合は約八割となっており、欧米諸国の約二割から四割と比較しても著しく高い水準となっております。

 起業家マインドを高めるために、在学中の人材に向け起業家教育を行うことが有効であるということから、各地の学校への出張授業に協力いただける起業家を募集し、ホームページ上で起業家リストを公表したり、モデル事業の実施を通じて得られた知見を踏まえ起業家教育標準カリキュラムを作成したりするなど、教育機関が起業家教育を実践しやすい環境の整備を行っているところでございます。

 さらに、各地域による取組を促進するため、産業競争力強化法に基づき、民間企業と連携し、起業家教育などの創業に関する普及、機運醸成に取り組む市町村を認定しているところでございます。

 現在まで、全国百九十六件の創業機運醸成事業を認定しており、例えば、高校生向けにビジネスプランの策定やビジネスプランコンテストを実施する起業体験プログラムの提供など、自治体独自の取組が行われているところでございます。

 なお、インキュベーション施設に関しましては、中小機構が全国で二十九のインキュベーション施設を展開しており、専門家を常駐させ、事業化支援を行っているところでございます。今後は、自治体や大学等のインキュベーション施設にも専門家を派遣し、これまで培った事業化支援のノウハウ等を提供してまいります。

 引き続き、起業家やイノベーションが連続的に創出される環境の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。

 細かく分析をされて、いいお答えをいただいているんですね。これから再スタートということで頑張っていただきたいと思います。

 最近、見ておりますと、日本の学生さんは、海外に留学する、特にアメリカに留学する人が減ってきておりますね。中国からアメリカについては急激に伸びています。世界も伸びている。日本だけが減ってきている。私の娘も中国へ留学をしたことがあるんですけれども、そのときに、各国から来ておられる、やはり日本の人が一番意欲がないと言われているね。困ったことですが、これはどうしようもないです。

 そういうことで、意欲のある子供さんを育てていただいて、そして、世界に伸びるように、また、起業家になる意思を持つように頑張っていただきたいと思います。

 次に、ベンチャーキャピタルについてお尋ねをしたいと思います。

 ここでも米中と大きな差がついております。二〇一六年にかんがえますと、米は約七兆円、中国は二兆円余りの規模であります。我が国は何と一千億余り。一件当たりの投資額は一桁違っております。日本のGDPからすれば二兆円あってもおかしくないと言われております。

 一方、中小企業はこれほど労働生産性が低迷しているにもかかわらず、大企業では二倍以上の労働生産性。最近では内部留保がどっとふえてきておりまして、去年、予想でございますけれども、金融、保険を入れると六百兆円を超えているのではないかと言われております。一方で、お金をためまくっている、そして片っ方では、ひいひい言っている。これが今の日本の、いびつな世界になってきているんです。

 私は、さきの世耕大臣にもちょっとお話ししたんですが、このうちの現金の一部、半分ぐらいが現金だと言われている、この現金の一部をベンチャーキャピタルに、国がお願いして出していただく、そういうことをすることによって、日本にお金を回して産業発展に寄与していただけるというふうに思っているんですけれども、この辺についてどうでしょうか。

中原政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国におきますベンチャー企業への投資額は、アメリカ、中国、欧米等と比較して低い水準にとどまってございます。

 投資額自体はそれぞれの国、地域の経済規模による点も大きいことに加えまして、特に我が国におきましては、これまでに大企業に人、物、金のリソースが集中してきた傾向が強かったということも一つの要因なのではないかというふうに考えてございます。

 他方で、第四次産業革命、ソサエティー五・〇を目指す時代におきまして、付加価値を生み出す技術やビジネスモデルが大きく変わってきてございます。こうした変革の時代においては、これまで以上にイノベーションやベンチャー支援が重要であるというふうに認識をしてございます。

 そこで、具体的にはこれまで、例えば、研究開発型ベンチャーのいわゆる死の谷の克服のための支援制度ですとか、中小企業基盤整備機構によるベンチャーファンドへの出資事業、そして、ユニコーン創出も念頭に、有望なベンチャーを選定しその海外展開を支援するJ―Startupプログラムといったことを実施してまいりました。

 また、委員御指摘のとおり、企業の内部留保のうちの現預金をベンチャー投資に活用していくということは極めて重要なものであるというふうに認識をしてございます。そこで、先ほど御説明しました取組に加えまして、今般、事業会社とベンチャー企業の連携を促進するオープンイノベーション税制も提案をさせていただいているところでございます。

 こうした施策を着実に実施しまして、ベンチャーの創出によるイノベーションの実現というものを最大限サポートしてまいりたいと存じております。

神谷(昇)分科員 いいお答えを賜りました。ぜひひとつよろしくお願いを申し上げます。

 やはり内部留保のお金をそういう資金に回して、中小企業を始めとする産業界に寄与する、これはもう非常に大切なことだと思っております。聞いておりますと、カーボンプライシングに反対するとか、いろんなことをおっしゃっているようです。もうちょっと大企業の方も、社会性というんですか、社会、日本全体がよくなるということをやはり考えていただきませんと。そういうところで経産省の御指導をよろしくお願いいたします、我々言ったって何もこたえませんから、よろしくお願いします。

 大臣、今までいろいろ申し上げてまいりました。戦後、あの荒廃の中から、先人たち、大臣のお父様も含めてでありますが、もう驚異的な復興を果たしてきて、そして、世界に占めるGDPもアメリカの背中に届くようになってきて、そして、そこでバブルがはじけて、今やもう四分の一です。今こそ、やはりこれまでの数十年の予算組みを私は大きく変えていく必要があるんだというふうに思っております。

 先ほども感染症のお話がございました。アメリカのCDC、一万五千人です。年間の予算は約一兆円です。日本はどうですか。武蔵村山市の国立感染症研究所ですか、何ぼの予算がありますか、百億ないでしょう。これではもう話になりません。いろんなところで、今そういう日本のいろんなひずみが出てきていると思うんです。

 その中でやはり、これまでの省庁のいわば組織のあり方、あるいはそれぞれ出している補助金、時代が変わっているにもかかわらず、旧態依然として補助金がついているんです。それは無駄ではないんですか。それを組み替える必要があるのではないかというふうに私は思っています。

 その中で、今この数年の災害に備えて国土強靱化で頑張っているんです。国土強靱化の投資が一段落すれば、今おっしゃった中小企業を中心とする日本の企業対策をどうしていくか、私は少なくとも数兆円規模でしなければ世界からいつまででもおくれると思います。そして、今や深海から宇宙にまで広がる科学技術に対して、これも集中投資して早く世界に追いついていく、そうでなければ今の日本の貧困がいつまでも続く、そういうふうに思っているんですけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

梶山国務大臣 今、委員の質疑のやりとりを聞かせていただきました。

 私も事業を経営していた経験も持っているわけでありますが、バブル崩壊後の足りなかったものというのは、ベンチャー育成、スタートアップ企業の支援、こういったものがやはりめり張りが足りなかったのではないかと思います。

 今企業の総資産の順位を見ますと、新興企業、アメリカでいえばGAFAとか新しい技術を使った企業が上位を占めているということでありますから、日本でもこういった企業の育成というものにこれから更に力を入れてやっていかなければならないと思いますし、それにはやはり、規制緩和や、先ほどお話ありましたインキュベーターをどうしていくのか、また資金調達ということにも力を入れていくということでありますけれども、方向性を絞ってやっていく必要があると思います。

 それにはやはり、人口減少、少子高齢化の中で、今後、AI、IoT、ロボットなどの第四次産業革命の新たな技術の潜在力を最大限に生かして経済成長につなげていく、そのためには、経済社会システム全体の再構築、新たな成長産業の創造、日本経済の屋台骨である中小企業のデジタル化、デジタルトランスフォーメーションという形で認識をしていただく、そして更に異業種や企業規模を超えた連携をしていただくということが大変重要なことでありまして、こういったことを最大限支援をしてまいりたいと思っております。

 私、ちょうどバブルのころ企業経営をしておりまして、あのころ金利は二桁あっても不思議じゃなかったんです。借りる方も貸す方も一〇%以上の金利でもお金が動いていたんですね。バブルがはじけて負債を持って、これをオフバランス化するために時間がかかってきた、その中にデフレマインドが入ってなかなか経営者の意識が改善しなかったということでもあると思います。

 先ほど委員がおっしゃったように、内部留保をいかに使うかというときに、今度の税制も含めてしっかり運用を図れるような努力をしてまいりたいと思っております。

神谷(昇)分科員 大臣、ありがとうございます。

 私もあの当時に住宅ローンを組んだんですけれども、一〇・五%でした。もう今は〇・何%、時代が変わりました。大臣、ひとつまたよろしくお願い申し上げます。

 最後に、「いのち輝く未来社会のデザイン」と銘打って招致に成功いたしました二〇二五年大阪・関西万博についてお尋ねをします。

 期間中で二千八百万人の来場者、一日当たり最高で二十八万人から三十万人の御来場を予想しておりますけれども、経産省といたしましては、最近、会場の広さや入場数の最大を考えていろいろとシミュレーションを描かれたと聞いておりますけれども、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

島田政府参考人 来場者数約二千八百万人という予測をしておる二〇二五年の大阪万博についてでございますが、政府が昨年末に博覧会国際事務局に提出いたしました登録申請書では、国内の来場者数、過去に日本で開催された二百万人以上の来場者数イベント十七事例の実績をもとに、重回帰分析で統計的に計算をしたところでございます。

 この結果、国内の来場者数が二千四百七十万、海外からの来場者数が三百五十万人、合計で二千八百二十万人というふうに試算をしたところでございます。

 政府としても、万博に来場される方々が安全かつ快適に大阪・関西万博を楽しんでいただけるよう、関係機関と協力してまいりたいと思います。

神谷(昇)分科員 そこで、先週、経産省に大阪府、市、日本国際博覧会協会の皆さん方がお越しになって、インフラについて御相談があったと思うんですが、それについてちょっと簡単にお示しいただきたいと思います。

島田政府参考人 先ほど申し上げました、昨年十二月に提出いたしました登録申請書におきましても、周辺のインフラ整備につきましては地元自治体が実施するというふうに記載をさせていただいているところでございます。

 また、博覧会協会がこの秋にも取りまとめる基本計画に具体的な会場アクセスを盛り込むべく現在精査をしている最中であるというふうに聞いてございます。

 この中で、大阪の主要駅からのシャトルバスの運行等々について、交通手段が検討されるというふうに考えているところでございます。

神谷(昇)分科員 ありがとうございました。

 梶山大臣におかれましても、大阪・関西万博成功に向けて、またよろしくお願い申し上げます。

 きょうはどうもありがとうございました。

神山主査代理 これにて神谷昇君の質疑は終了いたしました。

 次に、務台俊介君。

務台分科員 衆議院議員の務台俊介です。

 きょうは、予算委員会第七分科会で質問させていただきます。

 地球環境の変動は、既にその影響をさまざまな社会の局面に及ぼしております。昨年の台風災害、そしてこの冬の少雪、雪の少なさ、これについても、地球温暖化の影響がないとは言えないと多くの人が感じております。

 私の地元の長野県や白馬村では、この状況に危機感を覚えて、昨年末に気候非常事態宣言を行っております。それに対しての我が国の対応は、やや緩慢なようにも見受けられ、野心的で思い切った対応が必要である、このように考えております。

 特に若い世代の意識は大きく変わっております。しがらみがないために、正しいと考えたことを率直に発信しております。

 白馬村の非常事態宣言も、地元の白馬高校の生徒の発想から始まったというふうに報道されております。その後、実際に白馬村に今シーズン雪が非常に少ないために、地元の皆様も宣言の余りの的確さにいささか驚いている、こんな状況がございます。

 この時点で政府も地球環境の変動に対して非常事態宣言というようなものを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

宮本大臣政務官 おっしゃるとおり、近年世界的に、例えば大雨であったりまた強い台風の発生頻度というものが増加しておりまして、自然災害のさらなる大規模化が懸念されている中で、気候変動問題に対する対応、これは待ったなしの課題だと認識をしております。

 委員の問題意識は本当に大事だと思っております。そして、それ以上に今やはり重要なことは、具体的な行動を起こしていく、このことだと考えております。

 我が国ではこれまでも、省エネの徹底であったり再エネの導入、これを実直に取り組んでまいりました結果、五年連続で合計約一二%もの温室効果ガスの排出削減を実現をしてきております。これは、G7の中でイギリスに次いで二番目の高水準なものでありますし、あわせて言うならば、この連続的かつ高水準な排出削減を実現しているのも、このG7の中ではイギリスと日本のみでございます。

 今後も、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現するため、非連続なイノベーションにも取り組みながら、世界における気候変動問題への対応をリードしてまいりたいと思っております。

上田(康)政府参考人 お答えいたします。

 気候非常事態宣言については、我が国では、議員御指摘の長野県白馬村を始め八自治体で宣言されていると承知しております。気候変動に対する危機意識が広がっていることのあらわれであり、これをきっかけとして気候変動に対する国民意識のさらなる醸成がもたらされるものと考えます。

 一方、各国の国レベルの気候非常事態宣言については、主に議会等で行われていると承知しております。我が国でも先日、気候非常事態宣言決議実現をめざす会が設立され、国会において宣言を決議する動きがあると承知しており、こうした国会の動きを見守りたいと考えております。

 環境省としては、気候変動に危機感を持って、対策に全力を挙げて取り組むべく、長期戦略や気候変動適応計画において気候変動の脅威への対応強化の必要性などを発信するとともに、これらの計画、戦略に基づいて、危機感を持って対策を進めてまいりたいと考えております。

務台分科員 宮本政務官から、我が国は実直な対応をしているというふうにお話がありました。そのとおりだと思います。その実直な対応が国際社会で何でこんなに評価されないのか、そのところをこれから考えていかなきゃいけない、そのように思います。

 その温暖化対策の鍵を握るのは、私は経済産業省だと考えております。環境省は野心的に温暖化対策をしたいと考えている、それが政府内の調整でどうも思いどおりになっていない、そんな印象を我々はどうしても受けざるを得ない。

 そこで、政府内の調整の実際というのはどんなものなのか、最近のCOP25の会合、あるいはエネ基の策定時などを例に若干お示しいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 私もCOP25に参加してまいりました。会合の開催前、開催中を通じまして、環境省は環境保全、私ども経産省は、もちろん環境保全に加えましてエネルギー政策や経済政策の観点、そして外務省は外交政策の観点から、緊密な意見交換をいたしまして、最終的には政府代表団として一致した方針を決定して、それを踏まえて対応してきているということでございます。

 エネルギー基本計画の策定に当たりましても、経産省の産業審議会には環境省、外務省にも御参加いただいて議論して、政府として閣議決定をいたしております。

 先ほど御答弁させていただきましたとおり、温暖化対策は待ったなしの課題だと私ども経産省は思っておりまして、我が国の対策を進めるとともに、世界の削減に貢献するように、しっかり関係省庁と協力連携しながら対応してまいりたいと思っております。

務台分科員 どうしても、経産省は産業界の声を代弁するというふうに見られがちでございます。それが、むしろ産業界を説得して、こうしなきゃいけない、そういう方向になるように、ぜひ環境省とも調整してやっていただきたいと思います。

 FIT制度の導入効果は非常に大きくて、太陽光発電などは予想を超えて普及しました。しかし、残念なことながら、太陽光発電の地元の評判は正直芳しくないというところがございます。

 太陽光パネルはそのほとんどが中国製、山林を伐採してメガソーラーを設置、地元にメリットはなく、どこにいるかわからない投資家の利殖の手段と化している、そんな評価が定着したように思います。しかも、耐用年数が経過した際にはその廃棄が適切に行われるのに担保がないとの懸念も生じております。

 これらの課題は、本来、FIT制度をつくる際に産業育成や地元への裨益策をしっかり用意していなかったことに問題があるように、まあ後講釈になりますが、思われます。

 太陽光発電に対するこれらの課題に対して政府はどのような処方箋を考えているのか、伺わせてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーにつきましては、一昨年策定しました第五次エネルギー基本計画におきまして、主力電源化していくということを定めてございます。

 これを実現しますには、委員御指摘のとおり、地域に根差し、皆様に支えていただけるようなものにしていく必要があると考えておりまして、そのためには地域の信頼が何より重要だと考えてございます。今、いろいろな地域で不安が出ておりますこのパネルの廃棄問題、これに対する対策をしっかりとりますとともに、地域で活用されるような電源にしていくというふうに考えてございます。

 具体的に申し上げますと、まず、パネルの廃棄問題でございますけれども、まずそもそもは、排出者に処理をする責任がございます。ただ、この廃棄費用の工面がされず、将来、不法投棄される懸念がある、こういうことが地域に広がっていることはよく認識してございます。

 このため、発電事業者の売電収入から積立金を差し引くことで、廃棄等の費用を外部積立てすることを検討してございまして、本日閣議決定いたしました再エネ特措法の改正法案の中でもこういった必要な措置を盛り込んでいるところでございます。

 また、今後のFIT制度の運用の中におきましても、例えば、五十キロワット未満の小規模事業用太陽光につきましては、自家消費と一体化したモデルにし、地域に裨益した、地域のレジリエンスになるようなものにしていく。また、小規模地熱、小水力、バイオマスといったものについても、地域への災害時の供給ということができるようなものにしていくということで、地域への活用、レジリエンスにつながるものにしていきたいと考えてございます。

 以上です。

務台分科員 太陽光発電については、各家庭やビルの屋根、窓、壁を活用する手法がこれからは望ましいように思います。日本のように土地利用が密であったりあるいは山林面積が広いところは、メガソーラーはなじまないように思われます。緑を伐採してまでメガソーラーを設置することでよいのかという素朴な感情もあります。

 徹底的な分散方式で太陽光発電を利用する考え方について、今後の技術の展開も視野に入れてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、今後の太陽光導入を考えていくためには、地域と、また消費と一体化した形の分散型の太陽光エネルギーの導入というのが非常に重要だと考えてございまして、そのためには、まずは低コスト化を実現していくということが重要なわけでございますが、加えまして、例えば、住宅、ビルの壁面も柔軟に活用していくことができないか、また、こういった立地制約を克服するための技術開発が重要でございますし、発電量、需要量に柔軟に対応できるような技術開発、蓄電池、制御システムというものも重要だと考えてございます。

 具体的に申し上げますと、軽くて曲げることのできる、こういったペロブスカイト系太陽電池というものの開発、さらには、変換効率を一〇%以上向上する高効率化を実現できまして、狭小地域や自動車への設置が可能となりますタンデム型の太陽光電池、こういったものの技術開発をしっかりと進めていきたいと考えております。

 また、これを実現するためには、ビジネス、サービスを具体的に提供することが重要だと思ってございます。このため、産業界、地方自治体、これは環境省のお力もおかりしながら、一緒になって課題を洗い出し、対応策を練っていくための分散型エネルギープラットフォームというものを構築いたしまして、一層の推進が図っていけるよう取組を進めてまいりたいと考えてございます。

務台分科員 ぜひスピード感を持ってやっていただきたい。

 要素技術は、もう日本はあふれていると思います。けさの日経新聞にも、家庭間の電気の融通と電力網全体での需給の調整を組み合わせたサービスが、残念ながらと言っては語弊がありますが、外資系の企業によってもう来年にも導入される、そんな報道がありました。石炭火力発電などの大規模電源に頼らない分散型の仕組みがもう間近なものになっている。ぜひ考え方を進めていただきたい、このように思います。

 バイオマスについても伺いたいと思います。

 地域への裨益が最も大きい再エネは木質バイオマス発電、このように考えております。材料を地元から調達するということになれば、材料代が、地元にお金が入る、こんなことになると思います。しかし、これがなかなか進まない。なぜ進まないのか、原因を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の木材資源を活用してエネルギーをつくり出します木質バイオマスという発電の方式について言いますと、エネルギーという視点に加えまして、地域活性化という面でも非常に重要なものでございまして、経済産業省としましても、積極的に導入を促進したいと考えてございます。

 FIT制度の導入によりまして、例えば間伐材を活用したバイオマス、これは二万キロから四十万キロに、二十倍にふえてはございます。ただ、この際に、委員御指摘のように課題もございまして、燃料をどう確保するかということでございます。安定的かつ低コストな効率的な燃料供給の確保が課題となっているわけでございます。

 この要因を考えてまいりますと、恐らく、急激にバイオマス発電がふえてまいったことによる、バイオマス燃料需要が増加しているということがまず一方にあり、同時に、このスピードに応じた形でバイオマス燃料の供給ができているかどうかということを考えますと、地域における安定的かつ効率的な木材の生産、流通を可能とする仕組みが、なかなかその構築が追いついていないのではないかということが考えられるわけでございます。

 現在、林野庁など関係省庁と連携いたしまして、効率的な収集体制を構築するためのモデル事業の実施ですとかをやっているわけでございますが、今後、長期安定的な発電事業というものと地域における林業、木材産業が一体となって事業を進める絵姿を描かないといけない。このために、林野庁と連携した取組、検討というものをしっかりと進めていきたいと考えてございます。

務台分科員 部長がおっしゃるように、原材料調達のルートがなかなか確保できない、それが大きな課題だというふうに認識しております。

 原材料調達については、森林組合の協力を得るのが一般的ではありますが、それ以外の専門組織をつくるという選択肢もあろうかと思います。

 全国で木質バイオマスが成功している地域の調達の仕組み、これがどんなものがあるか教えていただきたいと思います。

前島政府参考人 お答え申し上げます。

 木質バイオマスのエネルギー利用を円滑に進めるには、燃料材の調達を低コストかつ安定的に行うことが重要と考えております。

 岐阜県の事例におきましては、発電施設に木質バイオマスを供給するため、地元の素材生産業者、チップ加工事業者、運送業者が、木質バイオマス調達のための専門組織を立ち上げております。素材生産業者などから森林施業に関する情報を収集し、集荷業者、チップ加工業者の位置や設備能力から最適な集荷ルートを導くなど、林地残材を安定的、効率的に調達する仕組みを構築しております。

 農林水産省といたしましては、このような事例を広く周知することなどによりまして、燃料材の低コストかつ安定的な調達を促し、木質バイオマスの適切なエネルギー利用を進めてまいりたいと考えております。

務台分科員 ぜひそういうよい事例を全国展開するように努力していただきたいと思います。

 私の地元でバイオマス発電を行っている事業者から、できるだけ近隣地域から原材料を購入したい、その場合に、移動式チッパーを確保して木材の産出の現場に出向くシステム、これを何とかつくりたい、そのように言っております。

 このチッパーは相当台数必要ですが、例えば、そのチッパーを県が確保し、地域の林業家に貸し出すといったことで木材搬出を促進するという、そんなアイデアもあろうかというふうに思います。発電事業者はFITの制度のもとで厳しいコスト計算をしており、なかなかそういうものを自前で確保するのが難しい、そんな現状があります。

 地域経済に利益が還元される観点から、チッパーの公的確保、それを貸し出す、そんな仕組みについての考え方をお伺いしたいと思います。

前島政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、燃料材の搬出コストの低減に向けまして、地方公共団体や民間事業者などがみずから使用する移動式チッパーなどの機材を導入することに対しまして支援を行っているところでございます。

 ただいま議員の方から、県で移動式チッパーを確保いたしまして地域の林業家に貸し出すなど、そういったことが検討できないかという御指摘をいただきました。

 県による貸付け方式への補助につきましては、耐用年数内での継続的な稼働を担保できるか、適切な貸付けが確保される運用条件は何かなどの課題があると考えているところでございますが、全国的なニーズも踏まえまして、今後何ができるか検討してまいりたいというふうに考えております。

務台分科員 先ほど来、原料確保、搬出が大きな課題だというふうになっているので、そのネックをどうやって解消するか、関係省庁、知恵を出していただきたい、このように思います。

 バイオマス発電に関しては、木質バイオマスのほかに、稲わら、もみ殻の利用も考えられると思います。

 ヨーロッパでは、麦わらを使ったバイオマス発電が広く普及しております。私は、デンマークで麦わらバイオマス発電所を視察しました。農家が出資した組合がこれを運営し、農家は麦わらを発電所に持ち込み、その収入を得、その燃えかすは土壌改良材になる、そして組合の収益は農家に還元されるという、すばらしいエコシステムが実現しております。

 翻って我が国では、稲わら、もみ殻の多くは燃やされたり農地にすき込まれ、エネルギー源として利用されることはほとんどございません。農山村では、秋に農家がこれらの資源を野焼きし、煙の害、煙害を生じせしめ、PM二・五の一大排出源ともなっております。稲わらなどの大気汚染度合い、PM二・五排出への寄与度についての研究すらある、そんな現状でございます。この研究について、結果を御披露いただきたいと思います。

上田(康)政府参考人 お答えいたします。

 国立環境研究所では、平成二十七年の九月から十月にかけ茨城県つくば市において実施した、野焼きが多く行われる時期の測定結果等をもとに、報告書を取りまとめているところでございます。

 これによりますと、野焼き期間中のPM二・五中の有機炭素に占める野焼きの寄与は一二・二%と推定されているところでございます。

務台分科員 そこで、これがなくなると環境にも優しくなるというエビデンスがあるということでございます。現在、FIT制度の見直し作業が行われていると承知しておりますが、この中で、稲わら、もみ殻の扱いについての検討状況を伺いたいと思います。大気汚染を防止し、環境に優しく、しかも温暖化防止に効果のある稲わら、もみ殻をしっかりとFITに位置づけていただきたい。ぜひお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 地域のバイオマスを発電の燃料として活用することは、エネルギーの地産地消に資するものであり、大変重要だと考えておりますし、委員御指摘のように、稲わら、もみ殻につきましても、日本ではまだ一般的ではございませんけれども、今後の新規の燃料の候補として重要なものの一つだと認識してございます。

 FIT制度のバイオマス発電の対象燃料について検討していきますに当たりましては、事業者が長期安定的な事業運営を行うために燃料の安定供給が必要なわけでございます。認定基準の一つといたしまして、燃料の持続可能性、これは具体的に申し上げますと、食料との競合ですとか、環境、労働面での基準の遵守、配慮といったことでございますが、これを確認することといたしてございます。

 稲わら、もみ殻を含めた新規燃料の検討に当たっては、こうしたものが確認できるかどうかを評価しているところでございまして、調達価格等算定委員会というところで専門的な技術検討を行ってございます。

 これまでの議論で申し上げますと、まず、食料競合の面について今年度の委員会の中で議論したわけでございますが、業界団体へのヒアリングの結果、これについては、可食部分が分離されていることを条件として、食料競合のおそれがないという回答をいただいたところでございます。

 今後は、これをより専門的、技術的な検討を行った上で、ライフサイクル全般において、これは温室効果ガスの面もあわせて検討する必要があるわけでございますが、持続可能性を確認した場合において、FIT制度の対象にしていくということになると認識してございます。

 今後、農林水産省や環境省など関係省庁とよく連携して、食料競合、環境配慮等の点での基準を確認し、専門的な検討を進めていきたいと考えてございます。

務台分科員 農協、農家は、もしこの稲わらがFITの対象になるとなると、再エネに対する理解が相当進むと思います。ぜひ、この検討を早期に進めて、しっかりとしたカテゴリーとして位置づけて、しかも買取り価格を少し高目にして導入していただきたい、こんなふうに思います。

 昨年、私の地元で強い風が吹いて神社の木々が倒れたという被害がありました。氏子総代の皆様からその処理の相談を受けた際に、この木を近所のバイオマス発電所に持ち込めば収入になるのではないかというアドバイスをさせていただきました。しかし、バイオマス事業者からこれはFITの制度に乗らないというふうに断られ、泣く泣くお金をかけて処理を行ったという経緯がございます。

 所管省庁に伺うと、一定の手続を経ればFITの適用になる、そういう手法も御教示いただきましたが、どうも手続が周知されていなくて、複雑で活用しなかったということでございます。

 こうした風倒木をFITに乗せる現行の手続がどうなのか、使うとしたらどうなのか、それが複雑であれば手続の改善を促したいと思いますが、よろしくお願いします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 風倒木につきましては、可能な限り、有価物として、木質バイオマス発電施設向けの燃料などへの有効活用を推進することが重要と考えております。

 災害廃棄物につきましては、一般廃棄物として一キロワット時当たり十七円となるのが通常でございますが、御指摘のような神社の風倒木の場合には、所有者である神社が建設廃材等の混入がない旨を証明できるときは、一般木質バイオマスといたしまして、一キロワット時当たり二十四円の区分とすることができるというふうになっております。

 具体的な手続といたしましては、風倒木の所有者である神社が風倒木の発生場所、樹種、数量、建設廃材の混入がない旨などを記載した証明書を発行していただきます。これによりまして、一般木質バイオマス発電施設に持ち込むことで、FIT制度の活用が可能となっております。

 近年の頻発する自然災害によりまして被災木が大量に発生しているという状況を踏まえまして、現在、わかりやすい被災木の再生利用の手引を補助事業で作成中でございます。今後、この手引を活用、周知することによりまして、被災木の有効活用を図ってまいりたいと考えております。

務台分科員 できるんですよね。できるけれども、それが全然知られていない。バイオマスのFITの適用を受けている事業者も知らない。市役所に相談しても全然勉強していない。それを何とか改善の方向に持っていっていただきたいと思います。

 風倒木の話をしましたが、河川敷の伐採木も同じ問題があります。昨年の台風災害以来、全国で河川整備が進んで、河川敷の木が切られて、すっきりしております。水害に備える対応が目に見えるものとなっております。ただ、伐採された木々の多くはバイオマス発電の材料となっていない、こんな現状があります。

 河川整備の際に伐採された木々をバイオマス発電の材料に利用するための現状の取組をお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、平成二十五年度から、河川管理上支障となります河川敷内の樹木の伐採を民間活力を活用して進めておりまして、とりわけ、先生御指摘のバイオマス発電事業者につきましては、大口かつ安定的に伐採から搬出までを担っていただけるということで、私どもとしても、積極的に参入をしていただくための条件整備を行わせていただいております。

 具体的に申し上げれば、平成三十年度からでございますけれども、河川敷内の伐採樹木であることの証明、これは先ほど林野庁さんからお話がありました、証明がありましたら、その木材を用いて伐採して発電をすればより有利な価格で発電ができるような区分になりますように、関係省庁と調整を行わせていただきました。

 また、参入が期待される事業者との意見交換の場を通じまして、伐採可能な面積や期間、こういったものを事業者ニーズに応じて対応させていただくなど、きめ細かな対応をさせていただいてまいりました結果、昨年の四月からでございますけれども、北海道で第一号が始まりましたのを含めまして、現在、稼働中が二件、それから稼働見込みが一件、さらに、具体的な調整段階のものが二件などとなってございます。

 こうした先進的な工夫を全国の河川管理者にしっかり紹介をさせていただいて、拡大を進めてまいりたいと考えております。

務台分科員 全国の河川敷の木材伐採は何千カ所というところでやられているので、数えるほどの適用事例では困るんです。ぜひしっかりとしたPR、普及促進をお願いしたいと思います。

 バイオマスの大きな課題は、輸入原材料についてもFITの対象となっており、それが非常に割合が多いということがございます。WTO上の内外無差別原則というものはありますが、今日的な観点に立つと、誰もが納得、理解できるGHGなどの環境適合基準をつくり、これに沿ったものをFIT対象とすること、そして国内産のバイオマス活用にシフトすることが十分可能だと思います。これについての政府の考え方を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 バイオマス発電のうち輸入燃料を用いるものにつきまして、地域の活性化とかエネルギーの自給率につながらないということで、これに対する批判的な御指摘があることもよく承知してございます。

 他方で、バイオマス発電が安定的に稼働することも重要でございまして、国内の燃料材の供給が安定的になかなか供給できないという現実の中で、稼働の安定性という観点から、輸入燃料に頼るという部分が一定程度出ることにも意義があるというふうに認識してございます。

 この中で、御指摘のように、温室効果ガスの排出という点での評価をしっかりしていく必要があるということについては、私どもも同じような認識を持ってございまして、二〇一八年四月から、この燃料の持続可能性、特に環境影響という部分も含めて、専門家によるワーキンググループによる技術的な検討を、特に今年度、集中的に実施してきているところでございます。

 この点について申し上げますと、これまでの検討で申し上げますと、排出量が事業者によってさまざまであること、そして算定の方法にもさまざまな手法があるということ、また、実際輸入するもとである海外での生産方式、輸送方式について確認する手法というものが現時点ではなかなか難しい、現実的ではないこと、もろもろ考えましていきますと、現在の段階では、第三者認証により、バイオマス原料の栽培、加工工程での排出を削減するための計画ということを求め、排出を最小限にとどめていることを確認するという方式をとっているところでございます。

 ただ、今年度のこの計画のまとめの中でも、引き続き検討するということにしているところでございまして、環境省など関係省庁の知見も頂戴しながら検討を深めてまいりたいと考えてございます。

務台分科員 石炭火力発電について最後に伺いたいと思います。

 石炭火力については、これを高効率にすれば環境にもより優しくなるという考え方は理解できます。一方で、電力需要が一定の中で石炭火力が一定規模を占めると、その分再エネの導入の余地が狭まる、それも当然のことでございます。

 国連ではSDGsとかESG投資を呼びかけている中で、国策としてこの目標に沿ったエネルギーのあり方というものを行っていくべきではないか、このように思います。大局的な観点に立って、気候変動の具体的影響が我が国にも及んでいると考えられるこの時期に、エネルギー基本計画を見直し、エネルギーミックスにおける再エネ比率を大幅に引き上げ、産業界に強力なメッセージを発する時期に至っていると考えておりますが、お考えを伺わせていただきたいと思います。

宮本大臣政務官 資源が乏しい我が国におきまして、単一な完璧なエネルギーがないという現状も鑑みますと、やはり再生可能エネルギーの主力電源化を図りつつ、多様なエネルギー源をバランスよく活用していくことが重要だと考えております。

 委員御指摘の石炭火力発電につきましては、環境面での課題があることから、高効率化、次世代化を推進しながらも、よりクリーンなガス利用へのシフトと、また、非効率石炭のフェードアウトに取り組んでまいります。

 そして、再生可能エネルギーにつきましては、国民負担を抑えつつ最大限の導入を図ることが基本的な方針でございますので、まずは、エネルギーミックスで掲げる二〇三〇年度の再エネ比率二二から二四%を国民負担約三兆円で実現することを目指す。その上で、その水準を超える導入も追求してまいりたいと思っております。

上田(康)政府参考人 お答えいたします。

 環境省としての基本的な考えは、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略にあるとおり、徹底した省エネ、自立分散型エネルギー設備の導入を含めた再エネの主力電源化を進めることにより、石炭火力を含む火力について、その依存度を可能な限り引き下げる社会への移行を目指すことでございます。次期エネルギー基本計画の検討においても、この考え方に従って、政府内における議論において環境省としての主張をしていきたいと考えております。

 また、環境省みずからの施策として、再エネの主力電源化に向けて、気候変動掛ける防災の観点を踏まえた、エネルギーの需要側での再エネ活用モデルの推進や洋上風力発電の社会実装の支援等を進めるとともに、環境省も一ユーザーとしてRE一〇〇を実現すべく、新宿御苑を始めとしたみずからの施設における再エネの活用を進めていくこととしております。

務台分科員 実直な対応を日本はよくやっていると思います。しかし、外から見て日本は変わったなと思われるようなメッセージも発信していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

神山主査代理 これにて務台俊介君の質疑は終了いたしました。

 次に、船橋利実君。

船橋分科員 自由民主党の船橋利実でございます。

 まず、私からは、次世代の情報通信規格、いわゆる5Gについてお伺いいたします。

 いよいよ来月から、我が国におきましても5Gの商用サービスがスタートをいたします。ことしは、まさに5G元年に当たります。スマートフォンを使って4Kあるいは8Kといった高画質動画のコンテンツをわずか数秒でダウンロードができるなど、画期的な通信技術がこれから普及し、将来は自動走行や遠隔医療、農業や建設現場での機械の無人制御が可能となるなど、5Gは、さまざまな社会利用に革新を起こす、第四次産業革命やソサエティー五・〇を実現するための重要な基盤インフラとなります。

 しかしながら、諸外国を見ますと、米国を始め隣国の中国や韓国においても既に昨年から5Gの導入が始まっており、日本の出おくれ感は否めないものがあります。国家の将来の帰趨を制すると言っても過言ではない5Gの導入を、政府挙げて、国家戦略として力強く加速をしていく必要があると考えますが、情報通信産業を担当する経済産業省としてどのように取り組まれていくのか、お伺いをいたします。

宮本大臣政務官 今委員御指摘のとおりでございます。

 イノベーションをめぐる国際競争が激しさを増す中で、この5G分野におきましては、これまでも、研究開発においても、またインフラ整備の面におきましても、米国やまた中国などにおける積極的な投資が先行する形となっている、これは事実だと認識をしております。

 先ほども事例を挙げていただきましたが、5Gがもたらす変革は、経済のみにとどまらず、スマート工場、自動運転、また農業の自動管理、建機の遠隔制御など、社会のあらゆる分野において大きな影響を及ぼすと見込んでおります。

 政府といたしましても、5G、そして更にその先を見据えながら、今後、国家戦略として、安全で信頼できるインフラ構築を後押しする法案、そしてその法案の認定に基づく大胆な税制措置、そして情報通信システムの研究開発を支援する予算等によりまして、インフラ整備と研究開発への民間投資を強力に促し、全国津々浦々で5Gが活用できる環境の整備と高度化を早期に進めてまいります。

船橋分科員 御答弁ありがとうございます。

 次に、5Gの推進に当たりまして、私が重要だと考えているのは主に三点ございます。

 一つ目は、何といっても地方創生。5Gは、とりわけ地方にとりましては重要な基盤インフラとなっていくものであります。都会と離れた距離のハンディキャップ、これを埋めるだけではなくて、人口の減少とか働き手不足に悩む地方にとりましては、その不利な環境を、IoTやAIの活用というものを含め、5Gの高精度情報通信インフラで補いながら、地方の中小・小規模企業、農業や建設業の活性化など地方創生につなげていくためにも、5Gインフラの早期導入促進というものは待ったなしの状況ではないか、こう思います。

 今回の来年度税制改正案には5G投資促進税制が盛り込まれておりまして、大変重要な施策と考えております。ただし、その実施に当たりましては、5Gシステムを整備をする大企業の通信キャリア、これを単に優遇をするような結果に終わらせてしまうのではなくて、地方のインフラ整備こそ後押しすべく誘導していくということが大変重要なことになっていくと考えますが、経済産業省としての見解をお伺いをいたします。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘のございました5Gでございますけれども、当面は特にモバイル用途の移動通信サービスなどで用いられることが想定されますけれども、その後、将来的には、スマート工場や自動運転、あるいは農場の自動管理、建機の遠隔制御など、さまざまな場面で活用される可能性が見込まれております。

 そういう意味で、当面、特にこうした新しい事業を創出する担い手の方々が地方の実情に応じた新しいサービスを創出するという取組を行われることが非常に重要だというふうに考えておりまして、さらに、そうしたことが、地方の企業が抱えている課題、例えば人手不足や高齢化といったようなさまざまな課題の解決にもつながっていくものだというふうに期待をしております。

 このため、委員から御指摘のございました5G投資促進税制でございますけれども、これは、まずはそうした事業の創出を生み出すためにも、5Gのネットワークを全国津々浦々で早期導入を図るという観点から、全国通信キャリアが当初の計画よりも前倒しで行う基地局を対象として、整備の促進を図るということにしております。

 また、こうした5Gを、全国キャリアがつくりますネットワークとは別に、個々の企業や地域の自治体がそのニーズに応じて活用する、いわゆるローカル5Gという取組もあるわけでございますけれども、これについては既に総務省で免許の申請の受け付けも行われているということでございます。

 したがいまして、こうした5G投資促進税制では、このようなローカル5Gの導入の支援対象なども含めまして、地方も含めた5Gの早期環境整備と、それに基づいた事業の創出につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

船橋分科員 ありがとうございます。

 関連で、総務省にもお伺いをいたします。

 大手携帯電話会社を監督し、通信のインフラ整備を担当する総務省に対して、地方創生に向けた5Gインフラの整備促進の取組全体を確認をさせていただきたいと思います。

 情報通信の世界は、まさに日進月歩でイノベーションが起きております。インフラ整備のおくれが社会の発展のおくれを広げていきます。都会だけがどんどん整備が進み、町村部も含め地方が取り残されていく、5G基地局の整備の進捗次第で都会と地方の格差がますます広がることにならないよう、認識を持ち、取り組んでいく必要があります。

 そのためには、総務省と経産省が共同で要求をされております5G投資促進税制だけではなく、補助金や規制制度、大手携帯電話会社への監督など、ありとあらゆる施策を総動員して、地方の5Gインフラ整備がしっかりと行われるように対策が講じられているのか、総務省としての取組をお伺いをいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは地域の発展に不可欠な二十一世紀の基幹インフラと私どもも捉えており、委員御指摘のとおり、全国への速やかな展開が極めて重要と考えております。

 このため、総務省といたしましては、昨年四月の5Gにかかわる周波数の割当ての際に、各携帯電話事業者に対しまして、二年以内に全都道府県でのサービスを開始することを義務づけるとともに、都市、地方を問わずに、早期かつ広範に全国展開をするよう条件を付したところでございます。

 また、昨年六月には、5G基地局や光ファイバーなどのICTインフラの整備支援策などをロードマップとともに取りまとめたICTインフラ地域展開マスタープランというものを策定、公表しておりまして、このマスタープランの具体化に向けまして、来年度の当初予算案に、携帯電話事業者等が条件不利地域で5G基地局やこれらを支える光ファイバーなどを設置する場合の費用の一部を補助するために必要な経費を盛り込んでいるところでございます。

 総務省といたしましては、今般の税制支援とともに、こうした取組を通じまして、条件不利地域を含めて、5GなどのICTインフラの全国的な整備をしっかりと推進していきたいと考えております。

船橋分科員 ありがとうございました。今ほどの御答弁のとおり、しっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、二つ目の問題意識でありますが、5Gインフラの安全、安心の確保であります。

 最近も三菱電機やNECといった大企業へのサイバー攻撃が話題となりましたが、サイバーテロの脅威は高まるばかりであります。今後、5Gのネットワークを通じて、一般の国民の方々のスマートフォンはもとより、工場やオフィス、病院などの社会のさまざまな通信機器とつながる時代になっていきますが、サイバーテロの脅威に適切に対処できるシステムを整備することは必要不可欠であり、セキュリティーへの対応など、安全、安心なシステムを導入していくことが大前提となります。ひいては、国家安全保障、ナショナルセキュリティーにもかかわってくる問題と考えます。

 これまで、情報通信ネットワークの安全性や信頼性の確保は、総務省において電波法や通信事業法といった規制法を通じて図ってきたというふうに理解をしておりますが、今国会には、経済産業省が総務省と共同で、特定情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案を提出をしておりますが、今後の安全、安心な情報通信ネットワークの整備という観点できちんと対応していく内容となっているのか、お尋ねをいたします。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、5Gのネットワークにつきましては、今後、経済社会の基盤インフラとなっていくことが見込まれているわけでございますが、同時に、サイバー攻撃によるトラブル、事故の発生や情報の窃取などを防ぐために、これまで以上に安全で信頼のできるシステムを構築することが求められると考えております。

 このような状況を踏まえまして、これも御指摘ございました、先般提出しました5Gに関連しております法案の中では、経済産業省、総務省において指針を策定し、サイバーセキュリティーの確保など安全性、信頼性を確認する基準を定めた上で、5Gシステムの開発供給や導入を行う計画がその指針の基準に適合することを確認、認定を行う制度を創設をいたしまして、そうした形で認定をされました計画に基づいて投資などを行う事業者に対して、先ほども御質問のございました税制や金融面での支援を行うといったような措置を講じております。

 こうした措置を通じまして、安全で信頼できる5Gインフラの早期構築の後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

船橋分科員 ありがとうございます。

 三つ目の問題意識として挙げさせていただきたいのは、我が国の情報通信産業の競争力や基盤の強化ということであります。

 情報通信インフラの基地局において、NECや富士通といった我が国の企業の占める世界のシェアはわずか一%と少しと、惨たんたる状況であります。かつて世界を席巻した我が国の半導体産業の凋落も言われて久しいばかり。安全、安心なシステムを整備するためにも、理想的には、国内の通信ベンダー企業が世界トップクラスの技術力を持ち、世界の市場を席巻するような競争力のある製品開発を行っていくことが何よりも重要と考えます。

 こうした点で、先月成立いたしました補正予算で一千億円を超えるポスト5Gの技術開発補助金を措置いたしておりますが、今後どのような支援を実施をされていくのか、内容をお聞かせいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘のございました補助金につきましては、まさに我が国の産業の国際競争力の強化を念頭に措置をしている補助金でございます。

 5Gにつきましては、足元では既に、いわゆる大容量化の機能を備えました商用サービスが各国で始まりつつありますけれども、さらに、今後の、いわば5Gの後半戦におきましては、多数同時接続ですとかあるいは超低遅延といったような機能が強化されていくことが見込まれております。こうした機能が強化されました暁には、5Gシステムは、自動工場や自動運転といった日本の今後の競争力の核となることも期待されているわけでございます。

 また、こうした情報通信を支えるシステムの中では、重要なデータ処理を担うのは半導体でございますが、その半導体につきましても世界的に開発競争が激化をしております。5Gの商用システムが開始をされまして、いよいよ5Gの後半戦、私どもポスト5Gと呼んでおりますけれども、こうしたものの本格展開も視野に入ってくる中で、我が国としても早急に5Gそのもののシステム、それからそれを支えます半導体の技術開発を本格化させる必要があると考えております。

 こうした状況のもとにおきまして、昨年の未来投資会議での総理からの御指示も踏まえまして、今般、補正予算を用いて基金を設置いたしまして、5G後半戦、いわゆるポスト5Gの情報通信システムの開発と先端半導体製造技術の開発に、複数年をかけて本格的に取り組むこととしております。

 こうした予算を通じまして、日本の情報通信システムベンダーの技術力の向上、国際競争力の強化を後押ししてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

船橋分科員 ありがとうございます。

 最後に、大臣にお伺いをいたします。

 5G元年であることしは、我が国の情報通信産業を復活させるラストチャンスではないでしょうか。自国の安定的な産業基盤を確保することは、米国と中国の技術覇権争いが起きている中で、我が国の経済安全保障の観点からも極めて重要であります。思い切った支援措置で、今こそ日の丸の通信機器ベンダーや半導体開発メーカーへのてこ入れを行い、復活させていかなければならないと考えます。

 我が国の情報通信産業の競争力強化に向けて、大臣の決意をお伺いいたします。

梶山国務大臣 現在のモバイル用途の移動通信インフラ機器市場では、海外企業が世界シェアで上位を占めており、日本企業は大変厳しい状況に置かれていることは承知をしております。

 委員がおっしゃるように、今回の5Gということで、これはラストチャンスだと私自身も感じております。移動通信インフラの構築につきましては、これまで単独のサプライヤーがシステムの主要部分全てを受注することが多く、日本のサプライヤーが入り込む余地が少なかったというのが現実であります。

 他方、これからインフラ整備が本格化する5Gの分野では、各国の主要携帯キャリアを中心に、システム構築について複数のサプライヤーにオープンにしていく方向と認識をしております。海外企業と連携することで、日本企業が国内外の市場を獲得できるチャンスが広がっていると考えております。

 こうした状況を踏まえて、二月十八日に提出した5G関連法案では、税制等で支援する事業計画の要件の一つとしてオープン性に注目をする方針であります。国内外の企業がそれぞれの強みを持ち寄って連携していくことを後押ししたいと考えております。

 同時に、5Gインフラの高度化が進んでいくことを踏まえて、日本企業の技術力を高めていくことも大変重要な観点であります。一月三十日に成立した補正予算を活用し、情報通信システムに関する技術開発を支援をしてまいります。

 このように、新しい制度や税制、予算を総動員して5G分野の民間の取組を後押しすることで、情報通信に係る日本企業の育成を進めてまいりたいと思いますし、これらの産業基盤を通じて新たな産業の創出、また効率性というものも求めてまいりたいと考えております。

船橋分科員 大臣から決意を込めての御答弁をいただきまして、ありがとうございます。大臣を先頭に、経産省を挙げて、政府を挙げてのお取組を期待をさせていただきたいと思うところであります。

 次に、新型コロナウイルス関連でお尋ねをしたいと思いますが、まず、一月の下旬以降、中国人団体観光客の渡航禁止をきっかけに、外国人観光客が大きく減少いたしました。加えて、国内も、人混みでの感染を避けるために、各種行事の中止、あるいは外出を控える傾向にあります。

 先週末には、加藤厚労大臣から、行事の開催に関する判断の目安というものが示されました。また、きょう、政府は、新型コロナウイルス対策の基本方針を決定する予定とも聞いておりますけれども、政府は訪日外国人旅行者数の動向をどのように把握をされているのか、また、国内旅行者も含め、二月以降の影響というものをどう捉えていらっしゃるのか、伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの訪日外国人旅行者数につきましては、法務省の出入国管理統計をもとに、日本政府観光局、JNTOが算出しております。

 昨年、二〇一九年の訪日外国人旅行者数につきましては、韓国において、訪日旅行控えや日韓航空路線の運休、減便によりましてマイナスとなりましたが、その他の国、地域については順調にプラスに推移して、年間では三千百八十八万人と過去最高となりました。

 また、本年一月の訪日外国人旅行者数につきましても同様の傾向が続いておりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、先生御指摘のとおり、中国政府が本年一月二十七日からの海外への団体旅行等を禁止したことをきっかけに、それ以降、訪日中国人旅行者が大幅に減少したこともありまして、一月の総数では前年同月比でマイナスになりました。

 観光産業への影響といたしましては、日中間の航空路線の便数が大幅に減少しております。また、日本人旅行者の旅行の手控えなども生じておりまして、御指摘のとおり、各地域の観光産業にも、宿泊キャンセル等の大きな影響が出ているというふうに認識しております。

 引き続き、観光庁といたしましては、各地方運輸局に設置いたしました特別相談窓口等を通じまして、観光産業への影響をしっかりと把握してまいりたいと考えております。

船橋分科員 ありがとうございます。

 次に、私も地元で、長年地元の市民の方々を対象に御商売されている方のお話を伺いました。そうすると、中には、昨年十月の消費増税がまず消費者心理というものを下げているところに、今回の新型コロナウイルスというものが重なってしまって、更に外出を手控える人がふえ、消費が下がり、ダブルパンチを受けて、その事業者の方は廃業するというお話をされておりました。

 影響というものは、自動車産業のように中国に部品供給などのサプライチェーンを持つ製造業だけにはとどまっていません。感染者がふえ、地域が拡大するにつれて、影響が広がって、経済損失というものがふえていきます。本日の日経平均株価は急落をして、先週末の終わり値と比べると千円以上の値下がりとなっているということも含めて、こうした実態についてどのように把握をされ、対策を進めているのか、伺います。

 また、有効な対策を検討する上で、影響が及ぶ範囲というものを正しく捉えて分析をすることが重要だと思います。新型コロナウイルスによる経済的損失を今後試算すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスのもたらす影響でございますけれども、経済産業省では、ジェトロや企業、地方経済産業局、中小企業団体などから、多方面から情報収集を行っているところでございます。

 具体的には、本省各部局や各地方経済産業局による国内主要企業へのヒアリング、中国各地のジェトロ事務所による現地日系法人へのヒアリング、そして、中小企業団体などに設置いたしました、中小企業、小規模事業者向けの経営相談窓口の活用によりまして、現地の生の声を最大限吸い上げているところでございます。

 中国の地方政府の指示によりまして旧正月以降も停止されておりました産業活動、これは大部分の地域で再開可能となっておりまして、日系企業が順次生産を再開しております。他方、生産水準がもとに戻るまでには時間を要するのではないかといった声も少なくないのが実情でございます。

 こうした状況によりまして、中国と取引のある日本国内の企業への影響や、中国で生産されている部品がグローバルサプライチェーンにつながっている場合には、中国内外の企業の生産活動にも大きな影響が生じる懸念がございます。また、中国政府が団体旅行などを停止したことによりまして、インバウンド需要が減少して、国内各地の宿泊業、飲食業、小売業などの事業者に影響が生じていると承知をしております。

 こうした状況を踏まえまして、二月十三日に政府全体で取りまとめました緊急対応策に、企業活動への支援をしっかりと盛り込んだところでございます。

 中小企業の資金繰り対策につきましては、五千億円規模の融資、信用保証枠を確保して、的確に支援する。また、サプライチェーン対策につきましては、国内での生産体制の強化に向けまして、設備投資や販路開拓などを支援していく。また、中小企業にしわが寄せられることがないように、下請取引に関する配慮要請を行ったところでございます。

 こうした対策を即座に実行に移すとともに、今後、日本国内での感染拡大が国内のさまざまな産業や日本経済に与える影響も含めまして、引き続きさまざまな観点から情報収集を行いまして、今後の影響を丁寧に見きわめた上で、必要な対策を機動的に打てるよう万全を期してまいりたい、こう考えております。

村山政府参考人 ただいま経済的損失等々に関する御質問をいただきました。

 新型コロナウイルス感染症は内外経済に影響を与え得ることから、その動向には十分注意する必要があると考えております。我が国経済に与える影響につきましては、大きく分けて五点あると考えております。

 具体的には、一つ目、インバウンドの減少でございます。また、中国向けを始めとする輸出の減少、サプライチェーンを通じた影響、中国経済の減速が世界経済全体の減速に波及することに伴う影響でございます。そして最後に、イベント、外出自粛による影響が考えられるところでございます。

 経済的損失の試算ということでございますけれども、現在は、何より国民の命と健康を守ることを最優先に、水際対策の強化、そして感染拡大の防止等に取り組み、その情勢を見きわめる段階であると考えております。また、新型コロナウイルス感染症がどの程度の広がりと時間的な長さで経済に影響するかを判断するには、引き続き各種のデータを見ていくことが必要と考えております。

 そのため、現時点において試算を行う予定はございませんが、引き続き、先ほど申し上げましたような経済に与える影響につきまして、十分に注視をしてまいりたいと考えております。

船橋分科員 御答弁ありがとうございます。

 この新型コロナウイルスに関しては、まずは国民の命、健康を守る、これがもう最優先だというふうに思います。

 また、あわせて、やはり経済に与える影響というものをどう捉えていくかということが非常に大事でありますが、ここをきちんと、どういうところにまで影響が及んでいるかということをきちんと検証した結果、その結果どういう被害が及ぶのかということは、やはりあらかじめ試算をするということがあって更に有効な今以上の対策というものが打てるというふうに私は思いますので、今ほどもお答えがありましたけれども、ぜひ、これは前向きに検討していただきたいというふうに要望したいと思います。

 次に、当初、感染者に関する情報というものが、クルーズ船内で感染された方の数を含んだ数字で公表されておりましたがゆえに、国内感染者の数が日々ふえたように見えておりました。そのため、タイは日本への渡航を禁止をしてしまいました。

 そこで、感染者数の公表に当たっては、もう少しわかりやすく、感染した場所を基準とする方式に改めて、国内で感染した者、国外で感染した者と分類をすべきと考えますが、見解を伺います。

 また、今後、日本への渡航を禁止をする国がふえていかないように、国内の感染者に関する情報のほか、日本国内の対策の実施状況、既に治癒した方の情報など、こうした情報を海外に丁寧に発信をしていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国における新型コロナウイルス感染症の発生状況を適切に発信していくことは重要であると考えております。このため、発生状況についての厚生労働省からのプレスリリースでは、チャーター機、クルーズ船の事例は区別した上で、これら以外の国内事例についても、感染された方の居住地をお示ししているところでございます。

 また、我が国における発生状況を正確にお伝えする観点から、WHOに対しましても日本側として問題提起を行いまして、WHOが毎日公表している感染状況に関するレポートがございますが、この中でも日本の発生例とクルーズ船の発生例は区別して記載されてございます。

 また、我が国における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、外務省とも連携しながら、在外公館や外国特派員協会等を通じた情報発信に努めているほか、退院した方の数を含めて、厚生労働省の関係ホームページの重要な情報について英語による情報発信を行ってございます。

 これらの取組を通じまして、新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

船橋分科員 ありがとうございます。

 次に、衛生用品の流通について最後にお尋ねいたしますが、マスクが不足をする状況が今も続いております。政府はメーカーに対して二十四時間体制での生産を要請し、来月には六億枚が流通できる見通しというふうに聞いておりますが、一部の報道によりますと、需要の方は週に九億枚、こういう指摘なども見られます。

 生産されたマスクというのは、まずは医療従事者、高齢者など感染リスクが高い方々に優先的にお届けをしていくことが必要だというふうに思いますが、これからの時期は花粉症対策でマスク需要が高まる時期に入ってまいります。

 不足をするマスクとアルコール除菌液など、衛生用品の確保について、どのような見通しであるのか、伺います。あわせて、今回の経験を踏まえ、国内で生産が限られる衛生用品に関しましては備蓄をしていくなどの対応が必要と考えますが、見解を伺います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、マスクにつきましては、厚生労働省からの増産要請を受けまして、現在、国内主要各社で、先ほど御紹介もいただきましたように、二十四時間の生産体制をしいており、また、中国からの輸入が徐々に再開をし、今月中旬からは例年以上の枚数の供給が確保されているというふうに聞いております。また、来月には月産六億枚を超える規模に供給力の拡大を図るべく、経済産業省とともに、政府一丸となってさらなる増産等を働きかけていくこととしてございます。

 また、消毒用エタノールでございますが、今月十二日に厚生労働省から増産要請を行い、国内生産主要各社で先月比約一・四倍に増産予定というふうに聞いてございます。

 一方、新型コロナウイルスに関連する感染症の発生に伴い、医療機関等からの需要、店舗における販売量が増加をし、現状では需給が逼迫をしているという状態にあると承知をしてございます。

 こうした中で、医療用のマスクにつきましては、供給の多くを占める中国からの輸入が停滞をしていることですとか、今後の感染拡大による需要の増加によりまして、一部の医療機関での不足も想定をされるということで、メーカーに増産要請を行う、また、各都道府県に対し備蓄の数量調査を行うとともに、在庫の不足が見込まれる感染症指定医療機関に備蓄を振り向けるといったことですとか、備蓄の増強を検討するように要請をするといった対応を行ってまいっております。

 引き続き、マスク、消毒用エタノールなどの衛生用品につきまして、生産、流通状況をきめ細かく把握をしながら、在庫が不足する医療機関等から順次供給を拡大できるよう、さらなる体制の増強に、官民連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

 また、国内で生産体制が限られる衛生用品の安定供給の確保といったことにつきまして、政府や自治体の備蓄増強に加え、国内生産体制の強化ですとか輸入先の複数国化など、さまざまな観点から中長期的に検討を進めていく必要があると考えてございます。

 以上でございます。

船橋分科員 終わります。

神山主査代理 これにて船橋利実君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿久津幸彦君。

阿久津分科員 立憲民主党、立国社会派の阿久津幸彦でございます。

 本日は、昨年の予算委員会分科会で普遍的な事象として取り上げさせていただきました、いわゆるゴルフスタジアム問題について、特定商取引法や割賦販売法などの諸課題を始め、昨年の質疑の中で指摘、確認されたことがこの一年間を経てどのように改善、進捗したのかをお伺いしたいと思います。

 昨年の世耕大臣から引き継がれました梶山弘志経済産業大臣にお尋ねします。

 衆参の消費者問題に関する特別委員会で取り上げられ、また私も昨年の予算委員会分科会で質問させていただきましたゴルフスタジアム問題を、御存じでしょうか。

    〔神山主査代理退席、主査着席〕

梶山国務大臣 御指摘のゴルフスタジアム問題については、承知をしております。

 内容につきましては、ゴルフスタジアム社がゴルフのレッスンプロ等に対して、ホームページ作成による広告収入が得られるとして、ホームページ作成とあわせてゴルフ練習用ソフトを購入させ、信販会社との間でクレジット契約を締結させました。ところが、同社が倒産をし、広告収入が得られなくなったことから、レッスンプロ等がクレジット契約の有効性についてカード会社と裁判で争っているものと内容を承知しております。

阿久津分科員 大臣、よく御存じのようなので、私の知るゴルフスタジアム問題について、少しだけ復習をさせていただきます。

 ゴルフスタジアム問題は、ゴルフのレッスンを行っているインストラクター、いわゆるレッスンプロに対して、ゴルフスタジアムという会社から、ホームページを無料でつくりませんかと勧誘された事案でございます。大臣おっしゃるとおりでございます。

 そして、無料ならばいいかと思って担当者に会うと、クレジットとかリースの契約書を渡されて、契約に必要なものだと言われ、記載させられた。被害者の方々は無料だと説明されてサインするが、実は、契約書にはMAソフトというよくわからないソフトの名前があり、それを数百万円で割賦で購入する契約になっていた。しかし、ゴルフスタジアム担当者は、その割賦代金は、毎月の支払い額と同額を、そのホームページに載せるバナー広告料としてゴルフスタジアムが払うから、契約者に実質負担はないとした典型的な詐欺事件と思われる案件でございます。

 実際、バナー広告料は途中で支払われなくなり、ゴルフスタジアムは倒産、被害者には数百万円の債務のみが残ってしまったわけです。

 この事件は、ゴルフレッスンプロたちが個人事業主であることを逆手にとって、割賦販売法や特定商取引法などの消費者保護規定が適用されない原則をいいことに、ゴルフスタジアムのような販売会社が信販の仕組みを利用というか悪用して、消費者法の不備をついた事件です。

 鍵を握るのは、この制度の中核にあって資金調達を担うクレジット会社などにあります。

 報道等によると、約千名のレッスンプロが破産状態になり、インストラクターの廃業者や転職者が続出。ゴルフスタジアムの負債総額は約五十七億円、このうち約三十七億円がゴルフレッスンプロなどの未払い分となります。

 そこで、当時の世耕経済産業大臣は、私からの、個人事業主を詐欺的な勧誘から保護するために、どのような対策が講じられ得るかとの問いに対して、今回の問題のような詐欺的な勧誘に対処するには、まずは、リースやクレジットなどの関連業界において、悪質業者に関する情報を業界内で共有をする、業界全体としての取組がまず重要ではないかと御答弁されました。前回の答弁で経産大臣は、まずはクレジット業界等の自主規制の強化充実からとおっしゃったものと理解しています。

 そこで、梶山大臣に伺います。

 クレジット業界の監督官庁である経済産業省は、前回の大臣答弁を受けて、この一年間の間にということでしょうか、クレジット業界等の自主規制を促すために何らかの指導や啓発を行ったのか、行ったのであれば、その内容はどのようなものなのか、お答えいただきたいと思います。

梶山国務大臣 まず、ゴルフスタジアム問題については、係争中の案件であり、個別のコメントは差し控えさせていただきます。

 一般論として、割賦販売法は、消費者の利益保護を目的とする法律であります。営業のために若しくは営業として締結する契約は適用除外となっております。よって、個人事業主が営利を目的として契約を締結した場合には、割賦販売法の適用除外となるわけであります。

 経済産業省としましては、委員から御質問をいただいた後、業界団体である一般社団法人日本クレジット協会に対して、申込者の意思確認の徹底等、適切な与信審査のためのクレジット業界の自主的な取組を要請してきたところであります。

 安全、安心なクレジット取引環境を実現するために、今後とも、日本クレジット協会に対しては、必要な指導、啓発を行ってまいりたいと考えております。

阿久津分科員 私は、この一般社団の日本クレジット協会というのは、もう一つあります公益社団法人リース事業協会と比べても、ちょっと指導が甘いのではないかというふうに感じております。

 ちょっと個別の話をさせていただきますと、本件で最も被害者数の多い信販会社は、三菱UFJグループの子会社と言われるジャックスです。そのほか、東証一部上場企業であり、みずほフィナンシャルグループに名を連ねるオリエントコーポレーション、オリコもその一つです。こうした信販会社は、薄々、ゴルフスタジアムが経産省も注意を掲げる違法なキャッシュバックを行っていたことを知っていたのではないかと疑われます。

 例えば、月刊誌記者に真相を打ち明けた被害者の一人によれば、ゴルフスタジアムの営業がただでホームページをつくってくれるというので契約しました。しばらくすると、ジャックスから電話があり、モーションアナライザーソフトの御購入でよろしいですかと言うので、自分は、違う、僕が契約したのはホームページの作成だと答えると、向こうは困った様子で一旦電話が切られた。そうしたら、すぐにゴルフスタジアムの営業から電話があり、ちゃんとホームページはただでつくるから、モーションアナライザーソフトを買ったことにしておいてくれと。その後、もう一度ジャックスから確認の電話があったと、両者の連携ぶりを語っておりました。

 また、こんな事例もあります。ある被害者が、オリコのオペレーターに、自分は過去に債務整理を受けたことがあり、審査を通るはずがないと言ったそうです。それを受けて、ゴルフスタジアムの営業マンがすぐにオリコに電話をかけて、うちがどうせ金を払うんだから審査を通せと言ったとか。すると、不思議なことに審査が通ったというのです。

 レッスンプロの年収は二百万円から三百万円です。もちろん、ここから切磋琢磨してはい上がり、トーナメントプロになり、有名なトーナメントで優勝するような事例もあります。しかし、多くは、限られた年収の中でぎりぎりの生活を続けている方々です。そのレッスンプロが悪質事業者から数百万円のモーションアナライザーソフトを契約させられたわけです。

 悪質業者のやり口に、何度も怪しいと気づくチャンスはあったはずです。にもかかわらず、それらを見過ごした。これらは、クレジット会社がきちんとした与信審査をしっかりやっていれば成り立たない契約だと思われます。悪質業者との関係を疑われるジャックスやオリコが加盟する業界団体が、一般社団法人の、先ほどの日本クレジット協会です。

 日本クレジット協会の倫理規則を見ると、きちんと、ちゃんと書いてあるんですね。目的、厳正な倫理にのっとり、公正かつ適正な事業活動を行うために必要な項目について定めることを目的とする。そのほかにも、社会的責任、社会的信用の維持、法令等の遵守、反社会的勢力との関係遮断、利益相反の防止及び開示、こういうことがちゃんと書かれている。

 前回、私は、日本クレジット協会について、自主規制、ちゃんとやっているのかどうかも含めて確認をさせていただいた。そうしたら、その当時は実は、会長が元株式会社ジャックスの代表取締役会長、平成三十年の六月二十五日現在の話ですね、副会長が斎藤株式会社オリエントコーポレーション取締役会長兼会長執行役員だったんですけれども、私が質問したら、なぜか不思議にも、役員が一掃、改編されたんですね。それで、当時平の理事であった山本豊京都大学大学院の名誉教授が会長に就任されて、副会長はイオンクレジットサービスのようなきちっとした会社の代表取締役社長、もう一人はジェーシービーの代表取締役社長、その末席に今でも副会長でジャックスの代表取締役会長がついております。

 何か人事だけいじった感が私は実はしてならないんですけれども、経済産業省に伺いたいと思うんですが、一般社団法人日本クレジット協会について、更に安全、安心なクレジット取引環境を実現するために、先ほども大臣おっしゃいました、適切な与信審査、そして本人意思の確認を行っているが、更にこうした取組の徹底を図るように対応を進めているとの答弁があったわけですけれども、この一年の進捗は何だったのか、経済産業省、お願いいたします。

島田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般社団法人日本クレジット協会におきましては、前回の質疑、二〇一九年の二月でございますが、その後の二〇一九年三月に適切な与信審査等検討ワーキングといったようなものを設置いたしまして、個人事業主に対する適切な与信審査等について検討を行ってきたということでございます。

 当該検討を踏まえて、同協会は、二〇一九年の四月に、個人事業主に対する適切な与信審査等を図るため、自主的な取組として、信販会社に対して、一つ目は、クレジット契約に際し、申込者の意思確認を的確に実施するとともに、事業の継続性等を確認するなど、適切な与信審査を実施すること、二つ目に、加盟店の審査において、主な取扱商品、販売方法等を調査することを徹底するとともに、不適切な勧誘行為につながるおそれのある取引の疑いがある場合には、その事実を確認するというふうなことを要請しているところでございます。

 いずれにいたしましても、経済産業省におきましては、事業者に対して、ゴルフスタジアムの問題を改めて検証するよう促すとともに、与信審査の適正性の確保がより一層図られるよう取り組んでまいりたいと思っております。

阿久津分科員 私は、今の御答弁というのは、既に一般社団法人日本クレジット協会の倫理規約とかいろいろなものにあるものを、もうちょっと具体的に進めたものだと。そのこと自体は評価するんですけれども、それにすぎないとも言えると思います。私は、自主規制に任せているだけではこれらの問題は解決しないと。

 そこで、少し視点を変えてお話をしたいというふうに思うんですが、本件ゴルフスタジアムと信販会社によるレッスンプロ詐欺事件のスキームは、二〇一八年に問題になったシェアハウス、かぼちゃの馬車と酷似しています。ジャックス等信販会社は、ゴルフスタジアムの商法が詐欺的であることを知りながら、貸付けをふやしたい一心で、ずさんな審査の末、千人ものレッスンプロに巨額のローンを組ませたのではないか。

 かぼちゃの馬車事件で信販会社と同じ役割を果たしたスルガ銀行には、二〇一八年四月に金融庁が立入検査を実施、十月には投資用不動産融資などで六カ月間の一部業務停止命令という厳しい行政処分を科しました。スルガ銀行は、不正融資にかかわった役職員百十七人を処分、融資先シェアハウスオーナーの約六割と債務の減免で合意しています。金融庁が監督官庁としてスルガ銀行の不正融資を見逃さず、正したからです。

 しかし、本件においてスルガ銀行と同じ役割を果たしたジャックスなどの信販会社は、金融庁の管轄下にはなく、銀行法の適用も受けない。信販会社を監督する経済産業省は、被害者からの再三の申入れにもかかわらず、本件に関与した信販会社への検査を実施していない。被害者に対しては、検査をする権限がないと説明しています。

 金融庁の監視下に置かれる銀行ができない融資をグループのノンバンクが実行するという意味では、不動産バブル時の住宅専門金融会社、住専と同じであります。融資先が見つからない銀行は、ゴルフスタジアムのような詐欺的な案件で、グループ内の信販会社を使い、迂回融資をしている側面もある。

 後に、スルガ銀行は、かぼちゃの馬車以外でも不動産関連で不正融資を実行しており、その総額は一兆円規模であったことが判明しています。

 本件も氷山の一角にすぎず、長期間低金利が続く今のような状況です。金融庁の目が届かない信販会社を舞台に、巨額の不正融資が実行されている可能性がある。被害者からしてみれば、金の貸し手が銀行か信販会社かに大きな違いはありません。スルガ銀行からお金を借りた被害者は救済され、信販会社で借りた被害者は救済されないのでは、著しく国民の間で公平性を欠くと言わざるを得ません。

 もう一つ事例をお話しします。

 本件で最も被害者の多い信販会社のジャックスは、三菱UFJグループの子会社です。二〇一九年九月三十日現在、三菱UFJ銀行が二〇・三〇%を占める筆頭株主で、金融機関が全体の六〇・四六%の株式を保有しています。問題発生時、ジャックスは、ホームページ上で、ジャックスは三菱UFJグループなので安心ですとうたっています。当然、三菱UFJグループにおいてはジャックスを適切に管理監督しているからこそ安心だと思うのですが、実際にはこうした被害が起こってしまいました。

 一方、本件に関与している銀行グループ企業は、ジャックスだけではありません。

 みずほ銀行グループのオリエントコーポレーション、オリコもあります。二〇一九年九月三十日現在、みずほ銀行がオリコの筆頭株主で、持ち株比率は四八・六七%。オリコは、企業イメージもよく、ブランド力のある会社ですが、その源泉は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーにも名を連ねるみずほ銀行グループが株式の半数近くを保有しているからだと言われています。

 ただし、忘れてはならない事件があります。二〇一三年九月、みずほ銀行がオリコの商品であるキャプティブローンを通じて反社会的勢力へ融資をした、みずほ銀行暴力団融資事件です。このとき金融庁から業務改善命令が出たのは当然のことでございます。

 もう一つ、今回、実は、三菱UFJ銀行グループのジャックスと、みずほ銀行グループ、オリコとの関係で、不可解な事象が生じています。それは、自主規制の切り札と言われた情報交換制度、これも悪用された可能性があります。

 報道によれば、平成二十八年六月、ジャックスは、ゴルフスタジアム社との加盟店契約を解除したというのです。それにもかかわらず、ジャックスにかわって、今度はオリコが、平成二十八年に入ってからゴルフスタジアム関連の契約件数を劇的に伸ばしたというものです。

 うがった見方をすれば、これは、カモがネギをしょってきたら、業界全体で情報をたらい回しにして、とことん甘い汁を吸い尽くすというオレオレ詐欺の手法そのものではないんでしょうか。クレジット業界の自浄作用が適切に機能していない証左なのではないかというふうに私は考えます。

 そこで、改めて、銀行グループを所管して、二〇一八年四月にかぼちゃの馬車事件でスルガ銀行に立入検査を行った金融庁に伺いたいと思います。

 ゴルフスタジアム問題に関係するクレジット会社には、金融庁が指導監督する銀行が多くの株式を保有する、いわゆる銀行グループが含まれています。グループ全体の適切な運営に資するよう努めるよう指導監督する可能性はあるのか、また、その結果によっては、クレジット会社の多くの株式を保有する当該の銀行に金融庁が立入検査を実施する可能性があるのか、金融庁にお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えをいたします。

 個別の案件につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますれば、銀行グループにおきましては、財務の健全性やレピュテーション、信用、評判ということでございますけれども、こうした銀行の経営に重大な影響を及ぼすような事項に関しまして、必要に応じてグループ会社に指導助言を行うなど、グループ全体の適切な経営管理が行われるべきものというふうに考えてございます。

 金融庁といたしましては、銀行グループの適切な業務運営を図る観点から監督を行うとともに、必要に応じて銀行や銀行持ち株会社に対して立入検査を実施するなど、銀行グループに対する監督検査を実施しているところでございます。

 一般論で恐縮でございますけれども、お答えを申し上げます。

阿久津分科員 どうもありがとうございます。

 一般論ではあるんですが、極めて大事なことをおっしゃったので、ちょっと確認をさせてください。

 いわゆる銀行グループについて、さまざまな要件はあるけれども、一般論としてで結構です、グループ全体の適切な運営に資するよう努めるよう指導監督する可能性はあると考えていいのですね。

 それから、また、その結果によっては、当該の銀行に金融庁が立入検査を実施する可能性を否定しないと理解してよろしいんでしょうか。

伊藤政府参考人 今委員お話しのとおりでございます。

 一般論でございますけれども、銀行の健全性、銀行グループの健全性に関しまして監督を行う、銀行持ち株会社や銀行に対して検査をする可能性はございます。

阿久津分科員 ありがとうございます。

 今、まさに金融庁からは、銀行グループに対して、必要に応じて指導助言、対話すること、重要との御答弁をいただきました。信販会社等の監督官庁である経済産業省に金融庁と同等の厳しい検査を期待するものでございますが、そこで、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

 クレジット会社等の監督官庁である経済産業省として、被害者を詐欺的な勧誘から保護するためにどのような対策が講じられ得るか。金融庁と同等の厳しい検査を求めるとともに、被害者の救済、債務不存在の確認をするお考えはあるか、お尋ねしたいと思います。

梶山国務大臣 先ほどと繰り返しになりますが、割賦販売法は消費者の利益保護を目的とする法律であります。個人事業主が営利を目的として契約を締結した場合は適用除外となることは御理解をいただきたいと存じます。

 こうした中で、経済産業省としては、個人事業主を含めた利用者を保護するために、まずは適切な与信審査や加盟店の調査の徹底といった業界全体としての取組を引き続き指導してまいりたいと考えております。

 また、こうした業界の自主的な取組とあわせて、個人事業主に対する支援も行っていくことが不可欠であると考えております。よろず支援拠点では、これは各県に必ずありますけれども、税、会計、法律などの専門家を配置し、契約上のトラブルも含めて経営相談に応じるほか、下請かけこみ寺では、企業間取引の問題に対する相談や裁判外紛争解決、ADR手続による紛争解決などの対応を行っております。

 引き続き、実態に応じた支援を行ってまいりたいと思いますし、こういう有名企業というか上場企業にはしっかりコンプライアンスを徹底していただきたいと考えております。

阿久津分科員 クレジットを使う側、事業者やあるいは消費者のスキルアップを図る御指導についてはきちんとやり始めていて、進展もあると私は感謝申し上げたいと思っているんです。ただ、一方で、業界に対しては相変わらず自主規制に主軸を置いている。これは全然昨年と変わっていないんですね。

 しかし、今、世界の流れはどうなっているかということをちょっとだけ申し上げれば、国連環境計画・金融イニシアチブの呼びかけで、昨年九月にできた、地球規模の課題解決に向けた融資に取り組み、その内容を情報公開することなど六項目から成るものなんですけれども、一二年の持続可能な保険原則とあわせて、環境や社会、人権を重視するサステーナブル金融という形で起こっているのは大臣も御存じのとおりだと思います。

 地球温暖化や貧困、格差拡大といった問題の解決を支える社会のための金融に、世界の銀行が取り組む枠組みができた。国連が主導する責任銀行原則、百三十社が署名して発足し、日本からは、三つのメガバンクなど四社が加わっております。

 投資の分野では、同様の原則が二〇〇六年にできて、環境や社会課題を重視するいわゆるESG投資の規模は三千兆円を超える規模。三千です、三千兆円を超える規模と言われています。これに対して、保険業界がまず続いて、そのほかにも、環境分野などで新しいビジネスがどんどんどんどん参画している。

 こういう中で、日本のクレジットが相変わらず自主規制だけに任せている。それで、自主規制を任せられている方はどうかというと、いろいろな倫理規定などがあっても守らないでいろいろなことをやってきた。人権も環境もへったくれもあったものじゃない。

 この原則には強制力はありませんけれども、原則に沿った融資をするかどうか、情報公開や説明責任を果たすかどうか、社会的な責任が厳しく問われることになります。つまり、こういうことを率先してやっていかない企業にはお金が集まらなくなってくる、そして消費者もこういう企業は使わなくなってくるという大きな流れがスタートして、今、我が国の外務省も率先して、それを日本が一番手でやっていこうじゃないか、そういうことを言い始めているんです。

 未来への投資というんでしょうか、そういう流れを見て、大臣、一言最後にいかがでございますか。

梶山国務大臣 ESG投資、SDGs投資、十分に承知をしております。

 世界の流れの中で、そういった金融の動きというようなものもしっかりと考えていかなければならないと思いますし、一方で、先ほど申し上げましたように、金融を扱う企業というのはコンプライアンスが大変重要であります。こういったものの徹底というものを図っていけるような仕組みづくり、また、会社自体での仕組みづくり、業界全体での仕組みづくりというものも重要であろうかと思っております。

阿久津分科員 経済産業大臣としてのお立場もありますから、経産省の方からは、基本的には相変わらず業界の自主規制の域を出ないお答えしか返ってきませんでした。

 しかし、今回、いわゆる銀行グループの企業に対しては、金融庁が、一般論ではあるけれども、場合によったら敢然と立ち上がるという力強いメッセージをいただいたものと私は理解しております。

 今回の質問は、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

山際主査 これにて阿久津幸彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、森夏枝君。

森(夏)分科員 日本維新の会の森夏枝です。

 予算委員会第七分科会におきまして質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 連日、新型コロナウイルス感染が拡大をしており、大変心配をしておりますが、二十三日の加藤厚労大臣の会見で、流行のピークを引き下げていきたいとおっしゃられていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化すればするほど経済に与える影響も大きくなってしまいますので、国を挙げて流行のピークの引下げと早期の終息に全力を尽くしていただきたいと思います。

 本日は、消費税増税による消費の落ち込み、今後の景気対策等について質問をさせていただきたいと思っております。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 我々日本維新の会は、昨年十月の消費税増税には反対をしました。増税の前に身を切る改革と十分な歳出削減をすべきであり、それまでは凍結すべきと訴えてまいりました。増税前から増税後の景気悪化については多くの心配の声もありましたが、実際に増税され、さまざまなところに影響が出てきております。

 昨年十月の消費税増税後の十月―十二月のGDPが前期比マイナス一・六%、年率換算でマイナス六・三%という過去十年で二番目に悪い大幅なマイナス成長となりましたが、これは政府として想定内の数字だったのでしょうか。

村山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先般公表いたしましたGDP速報では、二〇一九年十月から十二月期の実質成長率、こちらは前期比マイナス一・六%、年率に換算するとマイナス六・三%となりました。

 公需が経済を下支えする一方、民需が弱い動きとなったことから、内需全体としてはマイナス寄与となりました。外需につきましては、海外経済の減速等から引き続き輸出に弱さが見られるものの、輸入が民需の弱さに応じて減少したことから、外需全体としてはプラス寄与となりました。

 政府といたしましては、あらかじめ四半期ごとの定量的な想定をお示ししているものではございませんが、今回の民需の弱さの主因である個人消費は、消費税率引上げに伴う一定程度の駆け込み需要の反動減に加えまして、台風や暖冬の影響が重なったことにより、前期比のマイナス幅が大きくなったものと認識しております。GDP成長率につきましても、こうした個人消費のマイナス寄与が反映された結果となっていると承知しております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 想定内の数字かという質問をさせていただきました。災害などもあってというような御説明もありましたが、前回の消費税増税後の二〇一四年四月―六月期のGDPは年率換算でマイナス七・四%でしたので、消費税直後に大幅なマイナスになることは想定をされていたことと思います。だからこそさまざまな景気対策を打ってこられたと思いますが、それでもこのGDPの数字というのは大変厳しいものだったと思います。また、新型コロナウイルスの影響が出てくるのはこれからですので、国民の皆様は大変不安に思われております。

 商売をされているさまざまな業種の方々にお聞きをしても、駆け込み需要も少なかった上に、消費税増税後の消費の落ち込みも顕著にあらわれており、大変だと伺っております。車屋さんにお聞きしましたが、今回の増税前には中古車が全く売れなかった、駆け込みで買物ができないほど景気は悪く、国民の生活は苦しいのだとおっしゃっておりました。

 これまでの消費税増税時にも駆け込み需要、反動減はありましたので、ある程度予測はできていたと思いますが、今回の消費の落ち込みは想定内なのでしょうか。

村山政府参考人 お答えいたします。

 先般公表いたしましたGDP速報では、二〇一九年十月から十二月期の個人消費につきましては前期比マイナス二・九%となりました。

 政府といたしましては、消費税率引上げ後の消費動向につきまして、月次や四半期単位での定量的な想定をお示ししているものではございませんが、今回の結果は、先ほども御説明を申し上げましたが、消費税率引上げに伴う一定程度の駆け込み需要の反動減に加えまして、十月は台風による営業日数等の減少の影響、十一月、十二月は暖冬による冬物商品の売上げ減少の影響等が重なったことで前期比のマイナス幅が大きくなったものと認識しております。

 なお、暖冬の影響等の一時的な要因を除いて見れば、個人消費は十月の消費税率引上げ直後に比べますと持ち直しの動きも見られておりますが、一月下旬以降は、先ほど先生御指摘のありました新型コロナウイルス感染症の影響という新たな経済の下押しリスクも生じておりまして、消費に与える影響につきましても十分注意していく必要があると認識しております。

 以上です。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 過去の経験からも、増税後に消費が落ち込むことの予測はついていたと思いますし、想定はしておくべきだと思います。そのために、軽減税率やポイント還元など、自動車税や住宅ローン減税などのさまざまな対策を行っているのだと思いますが、消費の落ち込みやGDPを見ますと、昨年十月のタイミングで増税すべきだったのかと疑問に思うところでございます。台風や暖冬なども個人消費の落ち込みの要因とされておりますけれども、台風の影響のなかった地域でも消費の落ち込みが深刻になっておりますので、台風や暖冬だけが大きな要因ではないことは明らかかと思います。

 消費税増税が個人消費に大きな影響を与えていることは確かであり、国としても、消費税増税に伴い、ポイント還元等の景気対策を行っております。全てキャッシュレスで買物をしている若者に話を聞くと、消費税の二%アップはポイント還元もあるので気にならないとの声もあります。また、適切に使ってくれるなら消費税増税もやむを得ないという声もあります。

 しかし、十月―十二月のGDPや消費支出、大企業の景況感指数もマイナスになっております。これまでの経験上、増税後の消費の落ち込みは予測できており、そのために軽減税率やポイント還元といった景気対策を行っていると思いますが、増税後の状況を見て、今回のポイント還元の景気対策は有効であるとの認識なのでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税率引上げ後の景気対策ということでは、今ほど御指摘いただきましたように、ポイント還元事業だけではなく、軽減税率、それから自動車や住宅に対する減税、プレミアムつき商品券、教育の無償化など、あらゆる施策を総動員して取り組むこととしております。

 その上で、今回のポイント還元事業の効果ということで申し上げますと、昨年十一月にアンケート調査を実施しておりますが、消費者に対するアンケートの中で、消費税率引上げ前にまとめ買いをする可能性があったとお答えになった消費者の約半数が、ポイント還元があるので、それを理由にまとめ買いをしなかったというふうに回答されています。また、このポイント還元事業に参加していただいている中小店舗の約四割で、売上げや顧客獲得に効果があったという回答をいただいているところでございます。

 いわゆる需要平準化対策として、中小店舗における消費の下支えに一定の効果があったというふうに考えているところでございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 このポイント還元が痛税感の緩和という意味でも一定の効果はあったのだと思います。しかし、ポイント還元については、キャッシュレスを利用せず、今でも現金しか使わない方、特に高齢者の方々に不公平感があるとの声もあります。現金しか使わない方からは、ポイント還元が受けられないから、増税された分は節約をするという声も伺いました。増税により消費を控える方は少なくないのだと思います。

 軽減税率導入に対しては、批判的な声も多かったと思います。実際に、増税前に軽減税率対応のレジなどの導入を機に商売をやめた方のお話や、増税後にさまざまな事務のトラブルの声も聞いております。原材料等が値上がりしても商品の価格に転嫁できず、結局、中小零細企業が自分たちで負担をし、経営が厳しくなっているとの現実があります。

 経産省には、軽減税率導入による事務負担や費用負担、トラブル等で苦しんでいる現場の声は届いているのでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率制度の導入、実施に当たりまして、中小企業、小規模事業者の制度への対応状況、それから、取引の現場で直面する課題などについては、商工会、商工会議所などの中小企業団体、それから、当省の下請・転嫁Gメンを通じて現場の声を収集しております。

 こうした中で、中小企業、小規模事業者の方々からは、日々の売上げについての税率ごとの区分、それから税率ごとに区分された請求書やレシートの交付、保存、それらに対応するレジの導入、そういったことについての新たな対応が発生している、また、消費税の転嫁に当たりましては、競争が厳しい中で競合他社に取引を奪われる懸念があって増税分を取引単価に転嫁しにくい、こういった声が寄せられていると承知しております。

 こうした事業者に対しては、これまで、新たなレジを導入する場合の補助制度や、中小企業団体に属する経営指導員による個別の訪問、それから、軽減税率対応の相談窓口での丁寧な対応を通じて、事業者の事業負担の軽減に取り組んでまいりました。

 今後も、中小企業団体に設置した相談窓口を通じて、引き続き、現場の事業者の声に丁寧に耳を傾けて寄り添っていきたいと考えております。

 また、消費税率の引上げ以降は、中小企業、小規模事業者が適正かつ円滑に税率引上げ分を取引価格に転嫁できるように、転嫁を拒否する取引先などに対して転嫁Gメンが消費税転嫁対策特別措置法に基づく厳しい監視、取締りを実施しているところでございます。

 こうした取組によって、引き続き、中小企業、小規模事業者が円滑に新たな消費税制度に対応できるよう、きめ細かく対応してまいります。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 経営者にも家族がいます。そして、経営者には従業員とその家族の生活もかかっております。さまざまな対応をとってくださっていると思いますが、本当にきついながらも頑張られている中小零細企業の、また小規模事業者の方々の声をしっかりと聞いて、支援できるところは今後もしっかりとサポートをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 中小零細企業の方々の声を聞いておりますと、政府の言う緩やかな景気回復とは全くかけ離れた状況にあります。消費税増税による消費の落ち込み、景気悪化に対して、今後どのような対策を考えているのでしょうか。ポイント還元の期間延長や軽減税率の品目拡大や全品目軽減税率のような対策は考えていないのでしょうか。

黒田(岳)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来説明しております景気の動向を踏まえまして、政府といたしましては、海外発の下方リスクを確実に乗り越え、民需主導の持続的な経済成長の実現を確実なものにしていくため、例えば、中小企業、小規模事業者への支援、農林水産業、地方などを重点的に支援することを内容といたしました総合経済対策及び令和元年度補正予算を迅速かつ着実に実行するなど、経済運営に万全を期してまいります。

 なお、令和二年度予算案におきましては、総合経済対策として位置づけた臨時特別の措置において、六月までのポイント還元事業や九月以降のマイナンバーカードを活用した消費活性策を講じていることに加え、本年四月から実施する高等教育無償化や私立高校実質無償化、今年度より実施している幼児教育無償化、年金生活者支援給付金の給付、介護保険第一号被保険者の保険料軽減など、社会保障充実策の平年度化による家計支援策など、合計三兆円規模の家計消費の下支え策を計上しているところでございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 この増税後に生活が苦しくなったと実感している国民が多いですので、これからもしっかりと支援の方もお願いしたいと思っております。

 我が党は、消費税増税にも軽減税率にも反対をしておりました。今後の日本経済を考えますと、全品目軽減税率の導入も視野に入れるべきではないのかと考えております。軽減税率やポイント還元とともに導入されたプレミアムつき商品券の経済効果についても、今後検証していただきたいと思っております。これらの対策にも全て国民の税金を使いますので、経済対策として効果のないものは今後導入しないように、慎重に対策を講じていただきたいと思っております。

 今後、新型コロナウイルスの影響が出てくると思いますので、対応が後手後手にならないように、今から景気対策に本腰を入れていただくように御検討いただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、サプライチェーンにも影響が出ています。また、中国産の食材に頼ってきた外食産業にも既に影響が出始めています。今後もこのような状況が長引けば、日本経済に大きな影響が出ることは容易に想像がつきます。

 一月から三月のGDPには、新型コロナウイルスの影響が出てくると思いますが、どのような予測をしているのでしょうか。また、どのような景気対策を考えているのでしょうか。

黒田(岳)政府参考人 お答え申し上げます。

 一―三月期以降は、本来であれば、景気の緩やかな回復基調が続くと見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の影響という新たな経済の下押しリスクが生じており、引き続き経済の動向には十分な注意が必要だと考えております。

 新型コロナウイルス感染症に対しては、政府として、何よりも国民の命と健康を守ることを最優先に、当面緊急に措置すべき対応策として、二月十三日に新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策を取りまとめたところでございます。

 まずは、二月十四日に閣議決定された予備費百三億円、今年度予算を含めると百五十三億円になりますが、これの活用等により、この緊急対応策を速やかに実行してまいりたいと考えております。

 具体的には、国内感染対策や水際対策の強化等に加え、影響を受ける産業等への緊急対応として、国民や訪日外国人旅行者への正確な情報提供と風評対策を実施いたします。また、中小企業、小規模事業者に対しては、資金繰り支援や相談体制の整備に加え、設備投資や海外への販路開拓等の支援を実施するとともに、休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金について、昨年度の中国関係売上げが一割以上の事業所に対し支給要件の緩和を行います。

 今後も、引き続き、観光業を始めとする経済への影響を十分注視し、緊急度に応じて必要な施策を臨機応変に講じるなど、政府一丸となって万全の対応をとっていきます。これとともに、インバウンドの減少など地域経済への影響も既に見られているところから、経済の下支えを図る観点からも、先ほど申し上げた経済対策を着実に実行してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 国民の安心、安全な暮らしを守るためにも、最悪の事態を想定して、早目に対策を講じていただきたいと思います。

 先ほども少しお話ありましたけれども、中国政府が海外への団体旅行を禁止してから中国人の入国が激減しました。これまで多くの中国人団体客が訪れていた京都や大阪では、中国人観光客の減少が目に見えてわかりますし、宿泊施設の経営者の方々、中国人を相手に商売をされていた方々からは大変厳しい経営状況であることも聞いております。

 新型コロナウイルスに対しては、水際対策を行うところから既にフェーズが変わり、感染のピークを引き下げる対策、重篤化を防ぐ、これ以上の死亡者を出さないという対応を、全力で取り組んでいるところだと思います。

 イベント等の中止、延期もありますし、自主的に、不要不急の外出を控えるようにされている方、人混みを避け、外食を避け、旅行を延期されている日本人の方々のお話も聞きました。京都の観光地では、外国人だけでなく日本人観光客の減少も感じます。新型コロナウイルスの影響が長期化すれば観光産業は大打撃を受けます。新型コロナウイルスによるインバウンド需要の減少に伴う観光業への影響が深刻になってきております。

 国としてどのような支援策を考えているのでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、訪日客数が減少し、それに伴うインバウンド需要も減少しておりまして、その影響は依然拡大中であるというふうに考えております。

 経産省でも各地の観光関連事業者等の状況を確認しておりますが、多くの方から、訪日中国人はもちろんでありますが、そのほかの国からの観光客も含め多数のキャンセルが発生しているという報告を受けております。訪日客の消費額が年間五兆円に迫るという中で、インバウンド需要の減少による影響を強く受ける地域もあると承知してございます。

 こうした状況を踏まえまして、インバウンドの関係者から現時点で特にニーズの強い中小企業の資金繰り対策ということについて早急に対応するということで、先日取りまとめました対策パッケージにおいて、五千億円規模の融資保証枠を確保し、これを支援するということに取り組んでいるところでございます。

 今後も、この対策の執行状況をしっかりフォローするとともに、日本各地における影響について地域ごとに丁寧に確認し、必要な対策をスピード感を持って打てるよう取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 もう既に影響が出ておりますので、ぜひ観光業に対する支援もしっかりとお願いをしたいと思っております。

 経済への影響も大変心配ではありますが、国民の命を守るために、新型コロナウイルスの感染拡大をさせないこと、そして、一日も早く終息させる必要があります。

 既に自主的にイベント中止やテレワークなどの感染予防に取り組む企業や団体がありますが、それらに対して何か支援策は考えているのでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新型コロナウイルス感染症について、感染予防のためには、まず手洗いやせきエチケットなどにしっかり取り組んでいただくとともに、人混みの多いところはできるだけ避けていただくなど、積極的な周知に努めているところでございます。

 二月二十日には、イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージというのを発表したわけでございますけれども、イベント等を主催する際には、感染の広がりとか会場の状況等を踏まえて、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いしております。企業、団体等においてもそれぞれ御判断しているところと認識しております。引き続き、厚生労働省としては、感染拡大防止のためにさまざまな対策を機動的にとってまいります。

 また、テレワークにつきましては、厚生労働省では、テレワーク総合ポータルサイトというところにおける情報提供やテレワーク相談センターにおける相談支援等による導入支援を行っているところでございます。引き続き、その周知を図ってまいりたいと考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 イベント中止にも費用がかかります。判断を迷っていらっしゃる方々は多いと思います。イベント開催の判断については、主催者任せではなく、封じ込め、そして終息させるためには、国が主導でイベントの中止、延期の判断基準を示すことも必要だと思います。中国では、休校や学校閉鎖、韓国でも新学期の延期なども行われているようです。国がやれることは全部やる、やり過ぎるぐらいやってもよいのではないかと思っております。

 対応が後手後手に回ると感染が拡大し、感染者数や死亡者数をふやしてしまうことになります。そして、終息に向けての費用も多くかかるようになります。イベント中止の判断基準を示すこと、そして、感染拡大防止に取り組む企業や団体への先手先手の支援もお願いをしたいと思っております。

 残念ながら、欧米などではアジア人が差別を受ける被害が既に出ていると聞いております。新型コロナウイルス終息後に風評被害が出ないように今から対策を講じる必要があると思いますが、どのように取り組まれるのか、教えてください。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスに関しましては、御指摘のとおり、一部の国におきまして、日本人を含むアジア人に対して差別的な扱いが生じていること、これは遺憾なことでございます。日本人に対するそうした事象が生じることを防ぐためにも、新型コロナウイルスについて、我が国の状況ですとか取組に関する正確な情報を透明性を持って適時適切に発信していく必要があるというふうに考えております。

 このような観点から、外務省といたしましては、厚生労働省等と協力いたしまして、東京で在京外交団へのブリーフィング、また海外プレスへのブリーフィングを実施してきております。そのほか、在外公館においても、相手国政府関係者やプレス等に対して説明、発信を実施しております。また、感染症の専門家による英語の会見ですとか説明などを動画にして、それをSNS等を通じて発信するといった取組も始めたところでございます。

 いずれにしましても、引き続き、日本人が不当な差別等の被害を受けないよう、正確かつタイムリーな対外発信にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 もう既にしっかりと対策を打っていただいているようです。一度風評被害が出てしまいますと、終息させるのに時間がかかります。今後も、日本人、我々国民を守るために、しっかりと対応をお願いをしたいと思います。

 消費税増税前、そして増税後から、老舗の廃業をよく聞くようになりました。増税だけが理由ではないと思いますが、地元で愛され、伝統を受け継いできたような老舗が廃業に追い込まれるのは大変残念に思います。

 経産省として、事業承継に対してどのような支援をしているのでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域の価値ある中小企業が後継者不在で廃業せざるを得ないという状況は待ったなしの課題で、事業承継の促進は最重要政策課題の一つであるというふうに認識しております。

 このため、経済産業省では、事業承継時の税負担を実質ゼロにする事業承継税制や、商工会や金融機関などが参加する事業承継ネットワークによる事業承継診断や専門家派遣の実施、それから、全国四十七の都道府県に配置した事業引継ぎ支援センターによるマッチング支援、そして、事業承継補助金による後継者の新たな取組に係る設備投資などに対する支援など、総合的な支援を実施してきたところでございます。

 今後は、約六割の中小企業でいまだ後継者が不在であるという現状を踏まえて、昨年十二月に取りまとめた第三者承継支援総合パッケージに基づいて、第三者承継支援を抜本的に拡充してまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、これまでの事業引継ぎ支援センターにおけるマッチング支援の強化に加えまして、事業引継ぎガイドラインの改定による新たな中小MアンドAルールの策定や、事業承継に焦点を当てた経営者保証に関するガイドラインの特則などを通じて、新旧経営者からの二重徴求を原則禁止するなどの対策を講じてまいりたいと考えております。

 引き続き、事業承継の促進に向けて政策を総動員して取り組んでまいります。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 事業承継に対してはさまざまな支援を既に行っていただいていると思います。事業承継の制度を使い、新たな後継者に受け継いでいくことができれば、日本の伝統や文化を守っていくこともできます。うまく事業承継ができるように、マッチングやアドバイス等、国としての支援をしっかりとお願いしたいと思っております。

 事業承継をしたものの、なかなかうまくいかない事例もよく聞きますが、事業承継後の指導助言などはしっかりと行っているのでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 事業承継がうまくいかない要因というのはさまざま考えられますけれども、中小企業の円滑な事業承継のためには、事業承継に向けた早期かつ計画的な準備に加えて、承継後の取組への支援も重要であるというふうに考えております。

 このため、経済産業省では、事業承継前から事業承継後に至るまで切れ目のない伴走型支援を実施して、意欲ある経営者の事業承継を後押しする環境を整備しております。

 具体的には、事業承継前の事業者に対しては、各都道府県に構築した事業承継ネットワークを通じて、プッシュ型の事業承継診断による早期の事業承継の重要性についての気づきの機会の提供、それから、専門家派遣による経営課題の解決を通じた事業の磨き上げ支援を実施しております。

 そして、承継後の事業者に対しても、同ネットワークを通じた経営指導を行う体制を整備するとともに、後継者の新たな取組を支援する事業承継補助金などを設けております。

 引き続き、あらゆる政策を動員し、中小企業者の円滑な事業承継を後押ししてまいります。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 切れ目のない支援をしていただいているとのことでしたけれども、事業承継をしてもうまくいかないという事例が多いというお話もよく聞きますので、今後もしっかりと事業承継後の支援もお願いしたいと思います。

 今の経済状況を考えますと、今後も廃業を考える中小企業というのも更にふえてくると思いますので、ぜひ、事業承継をする前に、マッチングの段階から的確な指導助言を行い、うまく事業承継できるようにお願いをしたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問に入らせていただきます。

 本日は、消費税増税後の景気の落ち込み、さまざまな支援対策について伺いましたけれども、ことしのオリンピック・パラリンピック後の日本経済に対して大変不安を持っている方がたくさんいらっしゃいます。私のところにも多くの不安の声が届いております。

 オリパラ後の経済対策は大変重要になってくると思いますが、どのように考えておられるのでしょうか。

黒田(岳)政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会後に向け、これまでのアベノミクスの成果を引き継ぎ、民需主導の持続的な経済成長の実現に向けた取組を継続、強化していく必要があると考えております。

 その際、国を挙げて、ソサエティー五・〇という新しい時代の実現を加速すべく、次代の競争力の源泉となり、地球環境問題など、SDGsの実現を含む社会的課題解決に資するイノベーションを力強く促進するとともに、先端技術の社会実装、普及を加速します。同時に、国の将来を見据え、子育てしやすい環境整備とともに、ソサエティー五・〇時代を担う人材の育成に大胆に取り組みます。

 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を超えて、訪日外国人旅行者六千万人時代を見据えたインバウンド需要の持続的な取組に資する基盤整備を進めます。加えて、中長期的な観点から、生産性向上を支える物流等のインフラ整備を加速していきます。

 このように、当面の需要喚起にとどまらず、生産性の抜本的な向上等を通じて中長期的に成長していく基盤を構築しなければならないと考えており、こうした取組を通じて、アベノミクスの最優先課題であるデフレ脱却、経済再生をなし遂げていきたいと考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 新型コロナウイルスの終息がまず今は最優先でございますが、そしてオリンピックを成功させ、このオリンピック後の経済対策についてもしっかりと国を挙げて国民のために対応していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山際主査 これにて森夏枝君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山際主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊藤俊輔君。

伊藤(俊)分科員 立国社共同会派の伊藤俊輔でございます。

 前半、午前中に引き続いて、新型コロナウイルスの関連について中心に、質問をさせていただきたいと思います。

 現在、新型コロナウイルスの感染が広まっております。まずもって、連日緊張感のある厳しい状況下においても現場で御対応いただいている関係の皆様に、感謝を申し上げたいと思います。

 私も、あの二〇〇二年、二〇〇三年のSARSのときは中国におりまして、中国の北京大学におりました。本来なら、本科として四年間、卒業したいと思っていましたが、SARSで一時帰国ということで、その後は、十四年間、会社経営をやりながら、中国の関連と、あるいは世界の物流の仕事も携わらせていただきました。

 当時、その北京大学にいるころも、現地で現在同様の経験をいたしました。身近な方が亡くなったり、それでもSARSが原因かどうか明確には中国の方は認められないというような、初期段階においても、原因が発表されない。あるいは、感染の被害が広がる中で、中国での適切な初期対応、情報発信がされずに、初期の大事な期間、国として当時は安全宣言が出ておりまして、私自身も、SARSを理由に一時帰国することは許可できないということで、当時は、違う理由で帰国をしてください、そんな体験もしたのを記憶しております。

 改めて、その後、私のいた中国北京大学も隔離をされましたし、同時期に一緒に勉強していた仲間も数カ月間外に出られないような状況も経験をして、初期対応の重要さというものを改めて現地でも体感をしました。

 日本における初期対応においても、当初から指定感染症二類というレベルの問題も今示唆をされております。強制力を持って検査、あるいは停留、隔離、あるいは渡航拒否などなかなか難しい、そういう二類に分類をされているということも、そしてまた、チャーター便で帰国された方で検査拒否をされた方が自宅に帰ったケースとか、あるいは、クルーズ船の船内の対応、結果的に検査をせずに二十三人の方が下船をされているとか、あるいは、厚生労働省の、現場で大変な作業をしていただいている方々においても、検査をせずに職場復帰をされていたというニュースも流れました。

 一旦全てを検査するということになりましたけれども、多くのこういった実情が、多くの国民の不安を増幅させているのではないかなと思いますので、きょうは厚生労働省を呼んでおりませんので、梶山大臣、一内閣の重要なお一人ですので、もし一言答弁いただけたら、ありがたいです。

梶山国務大臣 現在、企業が世界じゅうで活動している時代でありまして、中国においても日本の企業は生産拠点を持ち、また向こうで小売等もしているという中で、早々に、日本人の状況をジェトロ等を通じて調べ、そして帰国等を促したりしてまいりました。

 また、経済全体がもう中国にかなり関連があるということでもありまして、サプライチェーンをどうするか、そしてまた、海外の団体客が今、日本の各地に来ているわけでありますけれども、そういったものが途切れた後、今度は経営の問題が出てくる、そして資金繰りも出てくるということで、細部も含めて、細心の注意を払いながら対応をしているところでもあります。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 もう一内閣の重要なポストのお一人ですので、内閣の中でもどうか発言をしていただきたいなと思います。

 きょう、コロナウイルスの経済においての影響も、今大臣からも御答弁いただきましたが、改めて詳しく質問したいと思います。

 当時、私はSARSを経験した一人として、SARSは約八カ月間、これからコロナウイルスがどれだけ期間を要するかということも大きく影響するんだろうと思いますけれども、経済への影響は、訪日外国人の方々のインバウンドの問題、あるいは物流の影響、あるいは今、国内のイベントの中止等々もありますし、あるいは、中国の経済が、世界におけるシェアが大きくなっている中において、世界的な経済の影響がある、波及がある。複合的に極めて厳しい状態なんだろうと思います。

 訪日外国人の数は、二〇〇三年、SARSのときには五百二十一万人。そのうち中国人の方が占める割合が八・六%、四十九万人。あれから、二〇一九年をベースにすると、三千百八十八万人、そのうち中国人が九百五十九万人ということで、約三〇%を占めるということであります。訪日外国人の数が二〇二〇年の一月期で二百二十六万人と、前年比一・一%減ということも出ておりますが、これ以降、団体客の制限等々もありまして現在に至りますので、本格的な影響はこれからということだろうと思います。

 ちなみに、SARSのとき、二〇〇三年の五月期においては、訪日中国人の前年同期比マイナス六九・八七%、一番マイナスが大きかった五月、訪日外国人全体でいえばマイナス三四・二%と、これも驚異的な数字、マイナスが出ている数字だと思います。

 また、訪日外国人の消費に占める中国人の割合は三六・八%。更に申し上げれば、世界経済に占める中国経済の規模は、二〇〇三年のSARSのときは四・三%だったものが、二〇一九年には一六・三%と、これもまた驚異的な数字。

 こういったさまざまな要因を鑑みて、新型コロナウイルスの期間がどれほどになるかということももちろんありますけれども、SARSのとき以上に厳しい状況には間違いないと思います。

 改めて認識をお伺いしたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、SARSが流行した二〇〇三年に比べますと、直近二〇一九年、これは世界における中国のGDPシェアは約四倍にふえておりますし、日本の対中輸出額約二倍、そして、訪日中国人の数が約二十倍ということでございます。

 例えば、日本と中国の間の自動車部品の輸出入額、これを見ますと、二〇〇三年から二〇一九年までに四・五倍に拡大をしておりますので、このように、日中間のサプライチェーンのつながりというものもまた増しておりますので、日本と中国の経済関係の結びつきはより深まっているというふうに私どもも認識をしております。

 こうした中で、中国の地方政府の指示によりまして停止されていた日系企業の産業活動を順次再開しているわけでございますけれども、生産水準がもとに戻るまでにやはり時間を要するんじゃないかという声も少なくないわけでございます。

 したがいまして、以前にも増して、中国と取引がある日本国内の企業への影響とか、あるいは、中国で生産される部品がグローバルサプライチェーンにつながっている場合には、中国内外の企業の生産活動への影響は大きなものとなる懸念があると思ってございます。

 また、先ほど御指摘いただきましたように、中国政府が団体旅行などを停止したことによりまして、インバウンド需要が減少しているということで、国内各地の宿泊業、飲食業、小売業などの事業者への影響も、以前にも増して大きなものとなるものというふうに懸念をしております。

 さらに、国内の感染拡大が今後、日本のさまざまな産業や日本経済に与え得る影響についても、よく注視していく必要があると思ってございます。

 引き続き、さまざまな観点から情報収集を行いまして、今後の影響を丁寧に見きわめたいと思ってございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 今、経済を見れば年率でマイナス六・三減ということもありますし、加えて、新型コロナの影響が、これから経済的な影響も出てくる。そしてまた消費増税の影響も少なからず大きいと私は思います。複合的な要因から、即効性のある経済対策が求められていると思います。

 きょうの前半も、経済において、いろいろな御答弁をいただいていると思います。

 私も、小さい会社ですが、会社経営を経験した一人として、中国を含め、世界との物流をやってきました。二〇一二年の日中関係が極めて厳しくなったあのときにも、一瞬にして物流が全てとまって、もう一年にわたって、本当に資金繰りをどうするかということも、経営者の一人として体験をしました。恐らく今また多くの経営者の方々、事業者の方々が、当面の資金繰りと、そしてまた、どこまでこのコロナが続くかという、見えない、そんな中において、不安を抱えているんだろうと思います。

 経済対策はもうスタートしていると思いますが、改めて簡単に御説明いただきたいと思います。

河西政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生からも御指摘がございました消費税の引上げでございますが、前回は、耐久財を中心といたしまして大きな駆け込み需要と反動減が生じまして、その後の回復にもおくれが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が十分でなかったということだと思っております。

 こうした反省を踏まえまして、今回の引上げでは、軽減税率、自動車や住宅に対する減税、プレミアムつき商品券、教育の無償化、ポイント還元事業など、さまざまな対策を総動員して対応してきたところでございます。

 これらの対策もありまして、消費税引上げ前の需要増とその後の落ち込みは、全体としては前回ほどではなかったところでございますが、台風や暖冬の影響で、消費の落ち込みは想定したよりも厳しいものとなったと認識しております。

 その上で、今般の新型コロナウイルス感染症に対する対応につきましては、極めて重要な課題と認識しております。

 経済産業省におきましては、ジェトロや企業、地方経済産業局、中小企業団体など、多方面から情報収集を行っておりまして、現場の生の声を最大限集めているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、二月十三日、政府全体として取りまとめました緊急対応策、こちらでは、中小企業に対する資金繰り支援など、企業活動への支援をしっかりと盛り込んだところでございます。

 これを即座に実行に移すとともに、引き続き、さまざまな観点から情報収集を行いまして、今後の影響を丁寧に見きわめました上で、必要な対策を機動的に打てるよう万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

伊藤(俊)分科員 一貫して、増税においては、その反動減の話はあっても、増税がどれだけの影響を及ぼしたかということにおいては、なかなか検証あるいは発信をされていないと危機感を持っております。時間があればその話も後ほどやりたいと思いますが。

 今回の経済対策で、五千億という数字が出ております。約二カ月間で五千億と聞いております。当時、リーマン・ショックのとき等々でも、この四号においては適用していないと思いますが、四号の開始時期等々、もし答弁ができましたら、お願いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 四号は、御案内のとおり、地域を単位にしておりまして、それについての影響を調べた上で発動するということでございます。

 二月の十三日にこの緊急対応策を取りまとめておりましたので、即座に私どもの地方の経済産業局を通じまして、各地域に調査を早急にしてほしいという依頼をしておりますので、それが上がってき次第、要件にありますと、このセーフティーネット四号の発動をしたいというふうに思っております。

伊藤(俊)分科員 なるべく早く、求められている方はいらっしゃると思いますので、検討していただきたいと思います。

 リーマン・ショックのときですら、経済を見れば、あのときの落ち込みは実質五・四%下がっている。そして、今回は、先ほども言ったとおり、六・三%、年率で下がり、そしてまた複合的に下がることを鑑みても、リーマン・ショックのときが、当初、一年強で大体六兆円近くの規模だったんじゃないかなと記憶しておりますが、もしわかれば、大体どのくらいの規模だったかと、そしてまた、そう鑑みるとリーマン・ショック並みの、まだ二カ月、五千億ということですが、更に拡充をして支援をしていただきたい、求めたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 リーマンのときが幾らだったかというのは、ちょっと申しわけございません、後ほどということにさせていただくとして、リーマン・ブラザーズの経営破綻等を背景といたします世界的な金融経済危機時においては、全国的な資金繰り、この状況を示す客観的な指標である資金繰りDI等が短期かつ急速に低下するなど、著しい信用収縮が全国レベルで生じた、こういう認識がございました。したがいまして、中小企業の資金繰り支援を始めとするさまざまな措置を段階的に講じております。

 今回、新型コロナウイルスに関しましては、観光関連事業者からのインバウンドの減少やキャンセルの急増、サプライチェーンに関連する製造業等からは、春節後の生産活動の立ち上がりや、港湾や物流等インフラの停滞などにより、これも資金繰りの悪化という声は、多数寄せられてはきております。おっしゃるとおりでございます。

 こうした中で、今答弁申し上げましたけれども、二月十三日の取りまとめにおきまして、地域に対するセーフティーネット保証四号と、業種に対するセーフティーネット保証五号をまず組み合わせる、加えまして、セーフティーネット貸付けの要件緩和、それで五千億ということの規模にしたものでございます。

 ただ、コロナウイルスに関する影響はこれからどれぐらい深刻になるものなのか、どれぐらい続くものなのか注視する必要があると思いますので、私ども全国で千五十カ所の相談窓口を設置しておりますけれども、その個別の声を聞きながら、全体の影響を勘案して、対策の必要性を見きわめてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(俊)分科員 まさしく製造業を含めて厳しい状態だということは、もうその認識のとおりだと思います。改めて、経済状況、恐らくコロナ以外の複合的な経済状況も鑑みて、拡充をして支援を求めていきたいと思います。

 そして、二十二日からのG20の場でも、各国、中国の影響ということが発信をされているところであると思います。当然、製造業の話も出ましたが、中国で物の製造が停滞をすれば、さまざまな製品の部品を中国に依存しているというところも大きいと思います。その生産ができなくなるということも想定ができる。観光業のみならず製造業も大きな影響を受けますので、今、現時点において、製造業においての現状、そしてその支援という検討をどこまでされているのか、わかる範囲で。

梶山国務大臣 製造業に関しましては、現地での生産する工場そしてサプライチェーンも含めて、今情報をとっているところでもあります。

 特に自動車産業が武漢周辺に集中をしているということでして、あちらで完成車をつくる、完成車をつくるための部品も製造する、その部品が武漢に集まるかどうかということと、日本国内の完成車工場にそのサプライチェーンが及んでいるという場合もありますので、自工会、自動車工業会と部品工業会と経済産業省で連携をとって、今、連絡会議をつくって、そういった中で情報交換をしているということであります。

 現地における工場が再開をし、始まったとは今申しましたけれども、これは地方政府の了解をとって再開をする。さらにまた、そこの従業員が春節以降戻ってきているかどうか、体調がどうなのかという問題もある。また、部品がサプライチェーンで届くのかどうかということもある。また、その後の物流ということも、完成車をつくった後の物流ということも含めて、いろいろな要因が複合的に影響していると思いますので、そういった形で大手の自動車会社とはやりとりをした上で、それが中小企業に及ばないように、また連携をとりながら、今対策を練っているところでもあります。

伊藤(俊)分科員 ぜひ、中小企業への影響も物すごいと思いますので、対応をしっかりと求めたいと思います。

 イベント等々のこともお聞きをしたいと思いますが、民間におけるイベントの延期あるいは中止の判断というものは極めて厳しいと思います。これは保険適用外となるケースも多いですし、事業者負担ということも極めて大きいと思います。民間に委ねて判断をというと、自粛するにしてもなかなか厳しい状態だと思います。

 この件においても、例えば東京都なんかにおいても、今後の三週間というのを一つの強化期間として、三週間においては、野外でのイベントについては大規模なものあるいは食事を提供するものは原則として延期、中止にするとか、かなり具体的にその基準を設けております。

 あるいはイベントの内容においても、参加の人数、あるいは屋内、屋外の状況、あるいは参加する方々が、お子さんが多いのかあるいは高齢者の方が多いのか、いろいろなことを加味しながらイベントの延期、中止を判断をするという、一応その基準が発表されております。

 国においても、これは内閣官房新型インフルエンザ等対策室の方から、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いをしておりますが、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありませんと書かれております。

 やはり、しっかりと民間が判断できるような基準と、そしてまた一歩踏み込んだ自粛要請というものを、経済産業省の関連、経済界、あるいは経団連、あるいは商工会、さまざまなところに関連、波及しますので、認識をぜひ発表していただきたい、伝えていただきたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 企業に対しますイベントの関連でございますけれども、現時点で、所管企業に対しまして一律にイベント等の自粛を要請することは現在考えておりませんけれども、先週厚生労働省が発表したとおり、イベントなどの主催者におきまして、感染の広がりあるいは会場の状況などを踏まえまして、開催の必要性を検討するとともに、開催する場合には、手洗いの推奨、風邪の症状のある方に参加を控えるよう依頼するなど、感染防止に向けた対策を準備いただくようお願いをしているところでございます。

 今後、新型コロナウイルス感染症の今後の広がりなどの状況を見ながら、政府全体の方針に沿って適宜見直しをしていくものでございます。

伊藤(俊)分科員 ぜひ、民間に判断を委ねるというのは一定理解しますけれども、しかしながら、なかなか民間が負担を抱える中において判断しにくいケースが多々あると思いますので、基準、できるだけわかりやすい基準を発信をしていただきたいと思います。

 そして、接客業等々の業種において、これは多分、詳しく質問通告していないかもしれませんが、よく、マスクを着用して接客業をすると、言ったら売上げにも響くということもあって、まあエビデンスを僕は持っているわけじゃないんですが、事業者の方々との意見交換の中では、やはりマスクをして接客するというのは抵抗があるという方も、今でもいらっしゃいます。

 これは、コロナウイルスがどうこうの前からそういった議論があることは承知をしておりますけれども、今コロナウイルスが、これだけの感染者がいる中において、働いている方々はマスクをしたくても、事業者の方がマスク禁止としているところもまだこの時期にある。一部アンケートでは、九割方の方々はマスクをしているということに関しては理解を示すということにもなってきておりますので、こういった面も含めて、できたら、質問していませんが、大臣の方から一言いただければ、お願いします。

梶山国務大臣 政府として、そういう方向で注意を呼びかけているということでありますが、判断はそれぞれの企業ということになろうかと思います。

 でも、これだけ感染者が出てくるということは、やはり、利用者の方も当然、その方が安心してそのお店に入れるということにもつながるでしょうし、しっかりとした広報活動をしてまいりたいと思いますし、経済産業省関係でもそういった広報をさせていただきたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 改めて、コロナのこういう時期でありますから、しっかりと発信をしていただきたいな、働く方々のそういう不安も取り除いてもらいたい、そう思っております。

 先ほど、増税の影響ということで反動減云々という話はあります。しかしながら、消費増税がどれだけの影響をもたらしているかということに関してはなかなか議論が深まっていないと思っています。

 これまでも、消費税五%を導入したときには、すぐアジア通貨危機があった、そしてその後リーマン・ショックがあって、わずか数年で八%に上げて、今回一〇%でコロナの影響を受ける。長年にわたって、二十年デフレという中において、増税の影響ではなくてこれはリーマン・ショックのせいなんだとか、長年そういった方針を言われてきております。

 改めて、反動減云々だけではなくて、この消費増税というものがどのくらい経済に影響を及ぼしているのか、そういう認識を改めてお伺いしたいと思います。

村山政府参考人 お答え申し上げます。

 統計的に見ますと、先週公表されました二〇一九年十月から十二月期のGDP速報におきましては、実質成長率は前期比マイナス一・六%、年率に換算いたしますとマイナス六・三%となっております。

 公需が経済を下支えする一方、民需が弱い動きとなったことから、内需全体としてはマイナス寄与となっております。

 外需につきましては、海外経済の減速等から引き続き輸出に弱さが見られるものの、輸入が民需の弱さに応じて減少したことから、外需全体としてはプラス寄与となっているという状況でございます。

 民需の弱さの主因であります個人消費につきましては、七―九月期に前期比プラス〇・五%増加、その後、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減に加え、台風や暖冬の影響により、十月から十二月期には同マイナス二・九%の減少となったところでございます。

 こうした複合的な要因がある中で消費税率引上げの影響だけを取り出して分析するということは困難でございますけれども、前回の消費税率引上げ前後の個人消費の前期比は、二〇一四年一月から三月期にプラス二・〇%の後、四―六月期にマイナス四・八%でございました。それを踏まえますと、今回の駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかったと考えております。

 引き続き、消費税率引上げによります影響や新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響につきましては、しっかり見きわめてまいりたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 相変わらず、全く増税の影響というのは語られないと認識をしますけれども。

 きょうは一枚、資料を配らせていただきました。時間は限られておりますが、よく使われる資料でありますが、消費増税を繰り返すたびに、消費はもちろん落ち込みますが、その消費の鈍化率、伸び率が鈍化をしているというのがわかる図であります。

 改めて、五%に増税する前の二・六一%から、後は一・一四%、そしてまた八%導入後には〇・四一%、そしてまたこれから一〇%の影響が出てくるという中において、間違いなく消費の鈍化ということが、この表を見てもわかるかと思います。

 改めて、二十年間のデフレ下において、経済学的には増税というのは逆行した政策だというふうにも言われておりますが、この鈍化率を見ても、増税の影響は極めて厳しいのではないかと思いますけれども、この消費が鈍化をしているということに関して、もし答弁いただければお願いしたいと思います。

村山政府参考人 突然のこういった資料を拝見いたしました。

 繰り返しになりますけれども、現時点で、先ほどと同じになりますが、台風や暖冬、そういったものの影響を加えまして、十―十二月期GDPというのはマイナス一・六%になったということでございます。

 こうした複合的な要因がある中で消費税率引上げの影響だけを取り出して分析するということは困難でありますが、前回と比べますと、今回の駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかったというふうに考えております。

 引き続き、消費税率引上げの影響やコロナウイルス感染症が経済に与える影響については、引き続きしっかりと見きわめてまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 全く答えていないと思いますが、改めて、本当に、消費税五%を導入してからこのデフレ二十年を、しっかりと検証していただきたいと思います。二十年のデフレは増税が大きく影響したのではないか、私はそう思っておりますが、改めて、そうであるかないかを含めて、しっかりと増税の影響を検証していただくことを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

山際主査 これにて伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 愛媛から参りました白石洋一です。よろしくお願いします。

 非常に期待される素材があります。セルロースナノファイバー、CNFと略称します。これは、鋼鉄の五分の一の軽さ、そして五倍のかたさ、さらには低熱膨張性がガラスの五十分の一ということで、しかも、植物由来ですから、非常に体にも優しいという素材です。

 これを今、各社、各国、開発にしのぎを削っているわけですけれども、私の地元であります四国中央市、紙の町、ここでも研究開発が進んでいます。

 これに対する国の支援というものは、これは各省横断になっていまして、ただ、重なってはいけないので分担をしております。川上、上流の方から農林水産省、林野庁、ここが原料の開発ですね、そして文科省が基礎研究、次に経産省が来て、ここが製造で、一番川下、出口のところで環境省というところです。

 今までは、環境省が主にここに国の支援としてやってきたわけですね。金額も多いです。どんなものに使われるか、それが安全なのかどうかということで、特に、環境省ですから、地球温暖化にどう資するのかというところを中心に国は研究開発を支援してきました。実際、CNFに対して、今年度については三十億円、一方、経産省は八億円ということで、環境省が多いんですね。

 これはもう相当研究も進んできて、これはいける、安全だということになってきたら、もうこれからは量産化、製造のところの支援をしていかないといけない。いよいよ経産省、経産分野の出番だと思います。

 ここに対する経産省の支援、大いに期待されるところでありますけれども、どのようにされようとされていますでしょうか。大臣、お願いします。

梶山国務大臣 新しい素材の支援というのは、その段階において、それぞれの役所の役割分担ということもございます。

 今委員御指摘のCNF、セルロースナノファイバー、先ほどお話にありましたように、鉄の五倍の強度を持ち、重さは五分の一ということで、今後用途拡大が期待される新素材でもあり、経済産業省としても期待をしているところであります。

 既に一部の分野では商品化が行われておりまして、少量のセルロースナノファイバーをランニングシューズの靴底に使うことにより、強度を約二〇%高くできたというような例があります。

 一方、用途拡大を図っていくためには製造コストを下げていくことが必要ということで、経済産業省では、二〇一五年度から民間企業や研究機関に対して開発支援を行っておりますけれども、今後とも、量産化を実現するための低コスト化技術に重点を絞り、必要な研究開発を進めてまいりたいと思っております。

白石分科員 ぜひ、金額面でも応援してください。

 先ほど、ランニングシューズの底というふうに話がありましたけれども、これは非常にカーボンナノファイバーとも似ているところがあるんですね。カーボンナノファイバーでこの前のマラソンで好記録を出した。駅伝でもそうです。そこで、靴底にそれがあったからだということも言われています。

 でも、本格的に我々の、我が国の成長戦略に資するということであれば、たくさん使う。例えばカーボンナノファイバーであればボーイングに使われています、一部ですけれども、787で使われているんですけれども。それぐらい使われるといえば、これは車体です。実際、昨年末の東京モーターショーで、CNFでつくられた車体の車がコンセプトカーで展示されました。

 本当に、これは非常に大きな爆発力を持つ素材であると思いますので、金額面でも、今予算が審議されていますけれども、来年の予算案はもう出されていますけれども、その次も含めて応援していただければと思います。

 次の質問なんですけれども、これは用途がたくさんあります。非常にたくさんあって、例えばどら焼きなんかにも入るとか、そんなことも聞くんですけれども。そうなると、いろいろな企業がこれを製品に使うということになったら、知的財産ということにも気をつけなければなりません。

 まず、研究段階から、自分の知財はちゃんと守る、そしてほかの企業とか団体が持っている知財を侵さないという、守るということと相手を侵害しない、この両面から知財に対する知見というのが非常に大事になってくると思うんですね。さもなくば、せっかく今研究開発しているものが人にとられてしまう、あるいは、ほかのところの知財を侵してしまってやけどしてしまうということになりかねません。

 ですから、これだけホットな分野については、知財の面からでも支援していく必要があると思うんです、特に中小企業、中堅も含めて。この面での国の方針はどんなものでしょうか。

梶山国務大臣 中小企業の数は日本の企業数の約九九%を超えているにもかかわらず、特許出願件数に占める中小企業の割合は約一五%にとどまっております。中小企業の特許出願率が低いことがこのことによって示されております。

 また、特許の活用方法がわからない、相談できる専門家がいないなど、中小企業は知財の扱いに関して多様な課題を抱えているのが現状であります。

 こうした知財の悩みに一元的に対応するために、経済産業省としては、全国に知財総合支援窓口を設置し、知財のあらゆる相談を受ける体制を構築しております。

 また、特許庁の職員が商工会議所等に訪問をし、地域中小企業に知財の重要性や支援制度の説明を行い、個社の相談対応も行っているところであります。

 また、無料のデータベース、J―PlatPatを公開しており、中小企業が自社と類似の技術を検索することで、意図せぬ他社への特許侵害を防ぐことが可能となるような環境整備をしているところであります。本データベースの利用を促進するために、知財総合支援窓口において講習会や検索支援等のサービスも行っているところであります。

 一方、中小企業への知財の普及はまだまだ十分とは言えません。

 今後も、特許庁職員が企業を訪問する機会等も捉えて、中小企業の皆様の声を聞き、戦略的に知財を活用していただけるよう支援をしていくと同時に、大企業との関係で、やはりしっかりと中小企業が、また零細企業が、その知財の権利を確定して、しっかり持てるようにしていく、そして経営に反映させていくということも重要だと思っておりますので、そういう取組も今行っているところでもあります。

白石分科員 先ほどおっしゃった知財の総合支援窓口、これはお手元の資料で二ページ目のところですね、INPITの説明を大臣がされました。それで、全国に四十七都道府県に設置していますと。もちろんこれは県庁所在地ということだと思います。

 でも、やはり、産業が盛んなところというのは県庁所在地に限りません。大臣のお地元もそうだと思います。県庁所在地じゃないんだけれども非常に産業が、そして先端技術を扱っているところがある。なのであれば、そこに出向いて、商工会議所というのもおっしゃいました、そういったところ。あるいは、そういったところは、大体、イノベーションセンターとか産業センターとか、県の施設もあります。研究しているところもあります。そこに行って、地域、そしてまた産業での切り口、ここでいえば製紙、素材、又は紙加工も含めて、産業に絞った切り口での出前の講習、普及啓発活動というのをぜひお願いしたいなということ。これは、やはり求められているからなんですね。

 一方、国の関与という意味で、今、もうちょっと何とかできないかというのがあります。それは、先ほど最初の質問で申し上げました、事業、つまり支援によって資金が交付されます、この年度で使ってくださいねと、その後どうしましたか、どういう進捗でしたかとモニターするところですね。こういう国の税金ですから、それがどう使われているかというのを見るのは非常に大事です。大事だけれども、その進捗を報告することに忙しくなって肝心の研究開発に時間を割けないという現場の悩みもあるんです。

 一旦事業の資金を交付した後、そのモニター、管理については、働き方改革の時代でもありますから、簡素化して、簡便にして、そして研究者に、今非常にホットな分野ですから、創造的な仕事をしてもらうというふうに事業というものを改良してほしいなというふうに思うんですけれども、ちょっとこれは所感をお願いします。

梶山国務大臣 よくそういう声も、私にも届くわけなんですけれども。

 支援を行うに際して国の予算事業の管理のために一定の進捗報告などを課していることについては、事業者としてもしっかりとこれは取り組んでいただかなければ、なかなかそういう予算の執行の適正化という点で難しいことだと思っておりますけれども、できる限りやはり簡素化をして、研究内容を一々細かくというよりも、どういうふうな進捗があるかということを、しっかりと簡素化をした上で報告をいただけるように、こちらとしても指導をしてまいりたいと思っております。

白石分科員 ありがとうございます。

 次は、レジ袋有料化に関しての質問です。

 海洋汚染のもとになっているプラスチック製のレジ袋、これをことしの七月から有料化してその使用を抑えようじゃないか、そして、海に捨てて環境を汚すということを抑えようじゃないかという動きがあるわけです。

 それに対して、海を汚さない、汚染しないレジ袋もあるんですよということが最近報道もされております。これは、言葉で言うと海洋生分解性プラスチックでつくられた買物袋、レジ袋ですね。

 この海洋生分解性プラスチックが海洋を汚染しないのであればレジ袋の有料化の対象外にするということ、これは経産省さんが昨年十二月に発表しました実施ガイドライン、配付資料の三ページ目ですね、にもあります。そのガイドラインの四ページ目のところに、海洋環境下で微生物によって代謝され、自然界へ循環する性質を持つプラスチックが一〇〇%の重量を占めるものについては対象外とするということですね。海洋汚染をしないレジ袋もあるんですよと。

 では、具体的にどのレジ袋が対象外になるのか、ならないのか、そういうことになってくると思うんですけれども、経産省さんのこの基準づくりについてお聞かせください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、ことしの七月一日からレジ袋を有料化いたしますけれども、そのうち幾つかのものについては有料化の例外にしようと考えております。

 海洋生分解性プラスチックにつきましては、今御指摘ございましたとおり、プラスチックの利便性と環境保護を両立させる新たな技術、素材でございますので、これを使っていく。

 そのためには、海洋生分解性について、適切な評価手法に基づく第三者機関の認証を受けるということが必要であろうと思っておりまして、既にそれ以外の製品で我が国の企業が開発した海洋生分解性プラスチックが国際的な民間認証機関による認証を取得して実用化されておりますけれども、今回のレジ袋につきましてもそうした第三者の認証を受けていただく。その旨を明記していただくことでほかのものと区別をして、いいものはそういう形で広げていく。そういう形で取組を進めてまいりたいと思っております。

白石分科員 認証を受けてくださいということなんですけれども、認証機関はあるんですね。オーストリアにあり、また、報道によるとベルギーにもあるということなんですけれども、これは同じものかもしれません。

 そこで認証を受けたら有料化対象外という理解で、ちょっと確認です。ISOというのもありますけれども、ISOはまだ基準ができていない、でも、オーストリアにはできている、こちらで認証を受けたら対象外になる、こう考えていいですね。

飯田政府参考人 今御指摘いただきました、TUEVという民間の基準がございまして、ここが現在存在する認証機関でございまして、この認証を受けていただくということだと思います。

 ただし、今まさに先生がおっしゃったISO化も検討したいと思っております。これはある意味国際的な標準の機関でございますので、昨年五月に、海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップを経産省がつくりましたけれども、その中で、海洋生分解性評価手法についてISOへの提案をするということで、現在、日本企業の開発した製品のすぐれた機能が適切に評価されるように、オール・ジャパンの官民連携体をつくりまして、提案に向けて準備を進めております。この提案ができましたら、日本バイオプラスチック協会等を通じた国内の認証システムを構築してまいりたいと考えております。

白石分科員 二つあるんですけれども、一つは、今、機能としては海洋生分解性プラスチックによるレジ袋なんだけれども、それが今の認証機関で、オーストリアのTUEVによって認証されるまでは有料化になる。せっかく素材は海洋生分解性とわかっているんだけれども、それは有料化になるということなんですねということの確認が一つ。

 もう一つは、標準を握る者がやはり物づくりでも有利に立つわけですね、標準化というもの、あるいは基準を握る者。ですから、先ほどおっしゃったISOに提案していくというもの、これからその検討会をつくってやるということなんですけれども、これはめどというのが数年後になっているんですね。二〇二〇年代ということで、二〇二〇年代の前半というのを私は聞いているんですけれども、もっと早くできないものかというふうに思うんです。

 この二点についてお願いします。

飯田政府参考人 有料化の例外にするということで、これはしっかり認証を受けていただいたものについて例外にしたいと思っておりますので、最初の御質問につきましては、認証を受けていただくことが有料化の例外の条件としてガイドラインに書かせていただいております。

 それから、まさに御指摘いただきましたとおり、標準を握る者がマーケットを握るではございませんけれども、大変大事だと思っておりまして、とりあえずロードマップで言えば二〇二〇年代ということになっておりますけれども、私どもとしては、一刻も早く、ちゃんとデータを集めて、標準提案できるようにしっかり進めてまいりたいと思っております。

白石分科員 それで、大臣、こういう非常に有用なものを日本で製品化してきているということです。これは、レジ袋の有料化の対象外であるぐらい環境に優しいというもので、非常にいい製品である。環境に優しいということで環境貢献でもありますし、日本の成長戦略でもあると思うんですね。これは、付加価値が高くてちょっとお高い製品です。

 これをやはり国際的に大々的にアピールする、そういう機会があればどんどんやっていただきたいんですけれども、大臣の御所見をお願いします。

梶山国務大臣 海洋プラスチックごみ問題の解決に向けては、ごみの適切な回収、処分の徹底はもとより、新素材の開発等のイノベーションによる解決を図っていくことが重要であると考えております。

 とりわけ、我が国が強みを持つ海洋生分解性プラスチックの開発及び導入、普及を進めていくことで、世界の海洋プラスチックごみの問題の解決に貢献をしてまいりたいと考えております。

 このため、経済産業省としては、海洋生分解性プラスチックのさらなる機能強化に向けた研究開発支援、日本の企業が有する高い技術力の適切な評価につながる国際標準の提案の検討、G20関係閣僚会合やグリーンイノベーションサミット等での日本の技術の展示、紹介等を通じた情報発信などに取り組んでいるところであります。

 さらに、昨年は、プラスチック製品のサプライチェーンを構成する幅広い事業者が参加をするクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス、通称CLOMAを官民で立ち上げたところであります。こうした枠組みを通じて、オール・ジャパンで、ビジネスマッチングや展示会出展等を通じた国際的PRにも取り組んでいるところであります。

 引き続き、こうした取組を通じて、議員御指摘の国際発信に向けて、官民一体で取り組んでまいりたいと考えております。

白石分科員 先ほど大臣おっしゃった国際標準の提案、これは、前段の質問にもかかわります。そして、G20、毎年開かれていて、そこで環境大臣会合というのもあって、そこに経産省としても、みずから前に出て、このクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス、これは配付資料にもつけましたけれども、こういった業界団体とも連携しながら、ぜひアピールしていただくことをお願いしたいと思います。

 次の質問ですけれども、これは、地元から来た、歩いていて、本当にこれからの問題だなと思っておるのが、買物弱者の問題なんですね。高齢化が進んでいった、自分たちの集落にはお店屋さんがなくなってきた。それで、免許返納の必要性もわかる。でも、免許を返納してしまったら、どうやって買物をすればいいんだろうかということです。

 これは、いろいろなその手段はあると思います。例えば、宅配にお願いするとか、あるいは配食サービス、まあ宅配と配食サービスというのはかなり近接していますけれども。

 こういったビジネスも出てきているんですけれども、やはり一番しっくりくるのは、移動販売ですね。移動販売、それだと自分で物を見て選ぶ楽しみがある。そして、そこに物を売りに来た人と少し雑談なんかもできるということで、高齢者の方も気晴らしにもなりますし、そこで近所の人が集まって、その移動販売車が去った後でも少し話ができたりするというもので、この移動販売車というのは非常にいいものだと思うんです。これから期待されると。

 そもそもどうしてこの移動販売車ということになったかというと、大手スーパーが出てきて、そして、その影響でその集落にお店屋さんが減少したということもあると思うんです。

 そこで、やはり経産省さんに、これは一体どう考えているのかと聞きたいと思うんです。

 もうちょっと踏み込んで言うと、大手スーパーが、そこの地域の、広域の地域の物品販売というのを取り込んだ影響で、近所のお店屋さんが悪影響を受けていて、今、高齢化でお年寄りが困っているということもあるわけですから、そういったところに地域貢献として促していく。さらには、もっと踏み込んで、そういったところに支援していくということもやはり考えていく必要があるんじゃないかという問題意識なんですけれども、経産省さんとしてはいかがでしょうか。

牧原副大臣 お答えいたします。

 先生の御指摘というのは全くそのとおりでございまして、経済産業省としても、従来から、先生御指摘の買物弱者に対する支援の裾野拡大というものに取り組んできているところでございます。具体的には、こうした民間の事業者の先進的な優良な取組をまとめた買物弱者応援マニュアルというのを作成し、ベストプラクティスを普及し、こういうのがありますよということを普及啓発しています。

 例えば、先生は愛媛でございますが、徳島から始まったとくし丸という移動販売の仕組み、これは今、沖縄以外の四十六都道府県に広がっていると理解していますけれども、こうしたような取組を紹介して裾野を広げる。それからまた、毎年度、移動販売や買物時の送迎等の地域の高齢者に寄り添う市町村の取組、こうしたものも、全国で行われているものについて取りまとめて、公表をしております。

 例えば先生の御地元だと、新居浜のデマンド型の乗り合いのタクシーですとか、西条市のいきいきバス乗車券の仕組みですとか、こういうものを紹介して裾野を広げる、こういうことをさせていただいております。

 今後も、こうした取組を通じて、買物弱者にとって身近な存在であります市町村や事業者の積極的な対応を促すというふうにしていきたいと思っています。

白石分科員 いろいろなやり方を紹介して業者さんや市町村を促すということだと捉えました。

 先ほど紹介された買物弱者応援マニュアルというもの、そして、こちらは地方公共団体によるそういった買物弱者対策ということで、非常に綿密にまとめられていると思います。

 でも、逆に言えば、こういう啓発、その横展開、応援ということで、資金的なものではないですね。あるいは、業者さん、特に、そういうことになった一端を担っているスーパーへの義務づけではない、促していくということにとどまっているなというのはあるんですけれども。

 一方、総務省さんとして、地方の問題としてどのように考えているのか、総務省の取組をお聞かせください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、高齢化が進む中で、委員御指摘のとおり、買物弱者対策は大変な課題だと思っております。市町村が住民のニーズを酌み上げて対策を講じていくことが非常に重要だと思っております。

 このような事例といたしまして、例えば奈良県の川上村、これは過疎地域でございます。平成二十五年度から若手職員が村づくりワーキンググループを立ち上げまして、村の暮らしを支援するに当たってどういったことをしたらいいかという検討を行われました。そこで、小さな拠点を置いて村民の暮らしをサポートする仕組みを提案され、これを受けて役場で検討しました結果、平成二十八年度に、地域住民等で構成する一般社団法人かわかみらいふというものが設立されています。

 このかわかみらいふは、総務省の過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業、これは交付金でございます、これを立ち上げ経費に活用するなど、高齢者等の買物支援を図るために、近隣の町のスーパーと連携した移動スーパー、それからコープと連携した食料品等の宅配事業を行って、大変住民から高い評価をいただいているというふうに聞いております。

 総務省としましては、こうした行政が主導、提案し、地域住民と連携して地域住民の暮らし、買物支援を支える仕組みを構築した、こういう事例を広く周知してまいりたいと思っております。

 また、地域住民が中心となりまして、高齢者の見守りや買物支援などの多様化する地域課題の解決に取り組む地域運営組織というものの形成も推進をしております。

 この地域運営組織は、財政基盤が非常に脆弱でございます。総務省としては、この地域運営組織の運営に対する市町村の支援経費、高齢者の暮らしを支える支援を行う経費、これについて地方交付税措置を講じておりますので、こういった支援も活用いただきながら、地域の暮らしを守る活動を応援してまいりたいと思っております。

 よろしくお願いします。

白石分科員 では、最後に。

 二点ありまして、事例の紹介という、経産省さんもそういったことをやっていただくと同時に、資金的な応援ですね。特に、やはり立ち上げのところ。加えて、できれば運営のところも配慮をしていただきたい。立ち上げのところ、例えば車両を買うというだけじゃないですから。これはもう、例えば路線バスに支援していると同じぐらいの重みをこれから持ってくるんじゃないかと思います。運営のところにも配慮をお願いしたいということが一つ。

 そしてもう一つは、情報のところを、特にやはり総務省さんのところはお願いしたいなと。つまり、私、歩いていって、そこで、たまたま移動販売車が来てほしいんですよと言われて、この地域だったらここが回るかもしれないなということで行ったりしているんですけれども、やはり、そういった方は大体声がか細い方で、なかなかここにニーズがあるということを言えないわけですね。そういった声を拾い上げる。

 自治会がもっと機能していたら、自治会長に言えば、大体、ああ、あそこが足らないというのはわかるというのも特に昔はあったと思いますけれども、それも弱体化しているので。どこの地域で、かなり狭い範囲の連続かもしれません、買物弱者が生まれているというところを、情報を吸い取って、それを……

山際主査 白石君、申合せの時間が過ぎていますから。

白石分科員 業者さんに渡すということをお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、細田健一君。

細田(健)分科員 大臣、きょうは本当にお疲れさまでございます。

 新潟二区の細田でございます。よろしくお願いいたします。

 また、きょう質問の時間をいただきました予算委員会の関係者の皆様方始め、皆様には改めて御礼を申し上げます。

 それでは、きょうは、原子力発電所の再稼働を始め、エネルギー問題について質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 安倍内閣は、大臣十分御存じのとおり、一貫した基本方針として、原子力発電所については、厳しい規制基準に合格した発電所について、地元同意を得て再稼働を進めるという一貫した方針を掲げておられます。

 これは、現行のエネルギー基本計画でも、そのベストミックスとして、二〇三〇年に原子力発電所の発電比率は二〇%を超えるというふうにされておりまして、これは、少なくとも、既存の原子力発電所はやはり非常にコスト安く発電ができますし、また、国産エネルギーというふうに原子力発電所はされていますので、エネルギーの安定供給からも十分役に立つ、また、二酸化炭素を排出しませんから環境にも優しいということで、こういう数字が決められたというふうに考えられております。

 ただ、問題は、なかなか既設の原子力発電所の再稼働が進まないということでして、基本計画に定められた二〇%超を達成するためには、稼働率が大体六〇%をめどとすると、約三十基の発電所が再稼働しなきゃいかぬわけですけれども、これはなかなか今難しい状況にあるわけでございます。

 エネルギー庁の最新の資料によりますと、審査をクリアして一度でも動いた、再稼働している炉が現在九基、それから、いわゆる設置変更許可を受けたけれどもまだ動いていない炉が六基ありまして、さらに、審査中の炉が十二基ございます。これら全てを合わせて二十七基ということですね。審査を受けたものが全て動いて、何とか二〇%超が達成されるということだろうというふうに理解をしております。

 それで、まず、本日お伺いしたいのが、設置変更許可を受けて、まだ動いていない炉が六基あるわけでございますけれども、これについては、まあ大臣の御地元もいろいろな状況があるというふうに理解をしておりますけれども、いわゆるエネルギー基本計画の数字をクリアするために順次再稼働を地元の理解を得て進めていく必要があると思っておりまして、これについては、ぜひ大臣みずから先頭に立って、原子力発電所の必要性等について地元理解を深めるようにしていただきたいというふうに思っております。

 これについての大臣の決意をぜひお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、神山主査代理着席〕

梶山国務大臣 細田委員御指摘のとおり、エネルギー基本計画に基づいて、二〇三〇年のエネルギーミックスにおける原子力比率二〇%から二二%の達成に向けて、原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原子力発電所については、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めることとしております。

 こうした中で、地元の理解を得ていくことについては、運転をする事業者みずからがしっかりと地域に向き合い、信頼を積み重ねていくことが重要だと考えております。その上で、政府も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得られるよう、エネルギー政策における原子力の意義を含めて丁寧な説明を尽くしてまいりたいと思っております。

 二〇一一年の三月十一日の東電福島第一原発事故以降、原子力発電に対する国民の意識、また立地地域の方々の意識も大きく変わってきているのも事実であります。大変高いハードルになってきていると思いますけれども、地域の方々の理解を得ることについて、大変な作業ですけれども、しっかりと、事業者と、私どもも前面に出て説得をしてまいりたい、説明をしてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 大臣、どうもありがとうございました。

 私も地元、柏崎刈羽地区が地元なんですけれども、これは長年にわたって地域を元気にするために原発誘致活動を推進されてきた方が本当に多数おられまして、そういう方からすると、実際に停止の期間が長くなって、これはいろいろな要因がありますけれども、ただ、そういう方からすると、本当に、地元の理解を得つつ、できるだけ早く再稼働をして、また地元を元気にしてほしいという強い思いがございます。

 今、大臣から非常に強い御決意をいただきましたけれども、ぜひ先頭に立ってそういう旗を振っていただくように、よろしくお願いしたいと思っております。

 大臣、残りの時間は、あとは事務方と議論させていただきますので、御退席いただいても結構でございます。

 それでは、更田委員長に。

 きょうは、委員長、本当にお忙しいところをありがとうございました。

 昨年の五月の二十三日に、原子力問題調査特別委員会で、私の方からいわゆる原子力発電所の四十年の運転基準について問題提起を差し上げたところですけれども、これについてちょっと引き続き議論をさせていただきたいと思っております。

 この質疑の中で、いわゆる炉の中性子による脆化について、委員長から、これは議事録の抜粋を読み上げさせていただきますけれども、

  基本的なメカニズムとしまして、圧力容器鋼材の脆化、照射脆化と申しますけれども、これは中性子の照射が蓄積することによって起きる現象でありますので、当然、停止中にこの脆化が進むとは考えられません。

引き続き議事録の抜粋ですが、

 圧力容器の照射脆化、これは、停止中の脆化の進行というのは、ほとんど無視できると考えて差し支えないものです。したがいまして、例えば圧力容器の脆化がどう進むかという議論をするときは、時計の針は停止中はとまると考えるのはこれは科学的に当然のことでありますので、圧力容器の脆化が使用につれてどう進むかというときのカウントの仕方については、当然、運転中の期間だけをカウントいたします。

という御発言がございました。

 現在、ATENAと規制委員会の間で炉の経年劣化対応についてさまざまな議論が行われているというふうに理解をしておりますけれども、この今の委員長の御認識を踏まえれば、炉規制法に規定をされた四十年のカウントの仕方については、炉の停止中は加算しないという議論もあるのではないかというふうに考えております。

 これは、私がこういう話を規制庁の方といたしますと、いや、その四十年は法定されているので、それは国会で決めていただくことですというような、ややかみ合わない回答が返ってくるんですけれども、私としては、法律の四十年は四十年としてそのままで、今、まさに委員長からの御回答にあったように、炉の停止中は四十年のカウントの時計をとめるということ、こういうことが規制庁の法解釈の判断として可能ではないかという点についてはどうお考えなのかという点について、ぜひ御見解をお伺いしたいと思っております。

 といいますのは、これも委員長も御存じのとおり、二〇一一年以降のさまざまな要因があって、炉の停止期間というのは非常に長期にわたっております。これは、私の理解では、全ての炉について審査をし直すという議論があったときに、当時の田中委員長は審査を半年ぐらいで終わらせるというふうに記者会見の場で御発言になっていたというような記憶もあるんですけれども、ただ、いずれにせよ、審査の長期化の原因は何かということについてはまたいろいろ議論がございますけれども、ただ、事実として炉の停止期間が非常に想定されている以上に長引いているということも踏まえて御検討いただければというふうに思いますが、委員長の御見解はいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子炉等規制法において定められている原子炉の運転期間は、この運転期間は、同法の立法時の国会審議において、技術的見地のみならず、幅広い観点から議論を重ねられた上で法制化されたものと認識しておりまして、年数のカウントの仕方そのものも同法の定めるところに含まれていると考えております。したがいまして、原子力規制委員会が同法の定める年数のカウントの仕方そのものに議論をできるということは極めて限られていると思っております。

 一方で、純粋に科学的、技術的な観点からの検討というのは、先生の御質問の中にもありましたように、ATENA、原子力エネルギー協議会ですが、このATENAとの間の実務レベルの技術的意見交換を進めようとしているところです。

 ちなみに、本年一月二十九日にこのATENAとの技術的意見交換会を設置をいたしまして、この中で、運転をすることによって劣化が進むもの、言いかえると、運転をしなければ進まないもの、それから運転をしなくても進むもの、例えばコンクリートですとかケーブルの絶縁劣化等は運転なしでも進みますので、こういった技術的な観点に関して、長期停止期間中に考慮が必要な経年劣化事象や長期停止を踏まえた保全計画の基本的な考え方等について、実務者レベルで技術的に議論を進めることとしております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 確かに、炉の経年劣化対応というのは、今委員長がおっしゃったように、全体を見ながらまた検討されるものだというふうに考えておりますけれども、少なくとも、私の理解では、いわゆる炉規制法を改正して四十年という期間を決めたときに、暦どおりに、時計をとめずに四十年なら四十年で区切るというような議論はなかったというふうに理解をしておりまして、その意味で、ぜひATENAとの間で本当に実りのある議論を行っていただくように、改めてお願いをしたいというふうに考えております。

 次に、この前の、先般の広島高裁の伊方原発の一時停止を命じた判決について、規制委員会の見解をお伺いしたいというふうに思います。

 これは、私も判決の要旨を拝読をさせていただきましたけれども、極めて技術的な、特に断層をどう認識するかという問題について、かなり踏み込んでいろいろと判決文でお書きになっておられます。

 それで、各裁判官が法と良心に従って判決をお書きになるというのは当然のことだと思いますけれども、ただ一方で、こういう自由社会ですから、判決自身もさまざまな建設的な批判にさらされるということもまた当然だと思っております。

 その意味で、私は、日本で最高の、委員長を始め最高の専門家がお集まりになられた規制委員会の判断を、専門外のといいますか、必ずしもその分野の専門家ではない裁判所の裁判官の方がひっくり返したというのは素直に驚きを持って受けとめていますけれども、この判決の内容についての規制委員会の見解はいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御指摘は、ことし一月十七日になされた、広島高裁による伊方原発運転差止め仮処分に係る決定のことであると認識をしております。

 これは、国が当事者となっていない裁判でありますことから、原子力規制委員会としてその裁判手続に関与することは困難であり、また、原則として司法の決定について直接コメントをする立場にはないと考えております。

 一方、審査基準、この伊方の三号機に対する審査の際に適用した基準や、その際の審査の合理性に関しては、平成二十七年七月に行った伊方原発三号機に係る設置変更許可申請に対する許可処分について、原子力規制委員会としましては、その判断や過程に不合理な点はなく、適切なものであったと現時点で考えているということを、国会でも既に御答弁をいたしておりますし、また記者会見の場でも申し上げているところでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 私の印象では、高裁の判決、決定というのはかなり技術的な面に踏み込んでさまざまな書き方がなされていますので、そこはもう本当に自信を持って、規制委員会としてもきちんと反論をしていただきたいというふうに思っております。

 やはり規制委員会の判断の一つ一つの信頼性というのが揺らぐというのは非常に重要な、重大な問題だと思っておりまして、そこはぜひ十分な意見表明をしていただきたいというふうに思います。

 委員長に対する私の質問はもう終了しましたので、御退席をいただいても結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、次の問いの四というのに入りたいと思います。

 再生可能エネルギーの問題についてお伺いをしたいと思っておりますけれども、私自身は、再生可能エネルギーというのは農産物と同じで、その土地土地のそれぞれの気候風土に非常に大きな影響を受けるというふうに考えております。

 といいますのは、例えば全く同じ太陽光パネルを設置したとしても、例えば私の地元の新潟と、あるいは沖縄県に設置したという場合であれば、発電効率その他全く異なるわけでございまして、その点においては、再生可能エネルギーのコストでありますとか発電効率というのは、単純に一義的な議論というのは非常に難しいというふうに考えております。

 私が最近ちょっと問題だと思いますのは、いわゆる再生可能エネルギーの推進の立場の方が、再生可能エネルギーのコストが非常に安くなったというような立論をされるわけですけれども、これはむしろ、ある種非常に特殊なといいますか、非常にその土地で安いコストで発電できる部分のみを取り上げてそういう議論をされているのではないかというような印象がございまして、この点については、特に資源エネルギー庁の方から、日本の太陽光発電でありますとか、あるいは風力、そういうそれぞれの再生可能エネルギーについて、例えば地区ごとに数字を出してみるとか、可能であれば、大規模プラントについてはその土地土地でどういう発電効率で、かつコストがどうなっているかというようなことをぜひ公表いただきたいというふうに思っているんですけれども、資源エネルギー庁の御見解をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、再生可能エネルギーというのは、これは自然のエネルギーでございますので、発電の能力、効率ですね、とコストというものは、立地地点の日照条件ですとか風況ですとか、こういった自然環境によって大きく異なってくるものだと考えてございます。

 例えば、太陽光を例にとって申し上げますと、平均設備利用率、これは発電効率みたいなものでございますけれども、例えばスペインについて言いますと、大体一七から一九%ぐらいあるわけでございますが、一方で、日本全体で見ますと、平均すると一四・六%でございます。

 世界的に再エネコストは下がっているというわけでございますが、確かに下がってございます。一方で、国の状況、若しくは、国といいますか、その地域地域、その地点地点で相当違う。例えば、赤道直下、砂漠の近くのところでの日照条件と、若しくは風がびゅうびゅう吹く大平原と、日本の山がちで狭い中での発電というのは、やはり状況は違うものだと思っております。

 例えば、日本の中で申し上げても、地域の中でまたばらつきがあるわけでございまして、例えばで申し上げますと、都道府県別でも、最も高い山梨県で一六%の発電効率でございますが、他方、御地元の新潟県を申し上げますと、一二・五%でございます。同じ日本といいましても、相当ばらつきがある。

 更に言うと、都道府県の中でも、日照条件のよいところと悪いところ、できるだけよいところを有効に活用して進めていかなければならないということとともに、例えばコストの計算をして買取り価格を決めていくとしましても、これは、いろいろできるだけ多くの地点についてのデータをとって検証し、競争を促していかなきゃいけないと考えているところでございます。

 今、FITの価格の算定をする上では、FITの認定事業者全てに対しまして、発電の実績、コストの実績の提出を求めてございます。全部で四十万件、五十万件を超えるデータをベースといたしまして、これから進めていくべき価格の水準はどうあるべきかということをあわせてヒアリング、IEA、IRENAという国際的な動向とかを含めて検証しているというのが現状でございます。

 委員御提案ございましたように、このプロセスの中で用いております発電コストのデータというものについて申し上げますと、電源別、規模別、さらには設置年別と、さまざまな切り口で事務局の資料として提出しているわけでございますが、この点はホームページにも公表して、皆様によく御理解いただけるように努めてまいりたいと考えてございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 今の御回答を伺っていますと、今、FITの買取り価格というのは基本的に全国一律になっていると思うんですけれども、恐らくそれは、もう少し工夫をして、地域別にするとか、あるいは実際の発電コストを反映させるような、フレキシビリティーのあるようなものにすべきだろうという思いが非常に強くいたします。この点については、また今後、政府提出法案でいろいろな御提案がなされるというふうに考えておりますけれども、ぜひそういう実態の状況を可能な限り反映されるような制度にしていただくように、またお願いをしておきたいというふうに思っております。

 それでは、最後に、立地地区の問題について触れておきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、私、柏崎刈羽地区という立地地区を選挙区にしておりますけれども、何といいますか、かなり疲れているといいますか、先ほどちょっとお話をいたしましたけれども、柏崎刈羽原発について言えば、規制委員会の審査には合格をいたしましたけれども、なかなか再稼働に至る道筋がつかないという中で、今まで原子力発電所で地域を元気にしようというふうに活動してこられた方については、相当の徒労感が広がっているというのが現実だというふうに思っています。

 これは、私の地元だけでなく、それぞれ、例えば、青森でありますとか、あるいは福井のような、まあ福井は幾つか、比較的順調に再稼働が進んでいますけれども、そういう他の立地地区でも同じような思いを持っておられる方というのは本当に多数いらして、そういう方の思いに何とか応えていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。

 何といっても、原子力エネルギー政策というのは、特に立地地区の理解と協力がなければ全く進まないわけでございまして、これはエネ庁の皆さんも共有した認識を持っておられると思いますけれども、ぜひこういう理解に立って、立地地域に対しては、その要望に応じて必要な地域振興政策というのを、経済産業省としてもできるだけ地域の思いに応えていただくような形で強力に展開をしていただきたいというふうに思っております。

 まずこの点について、資源エネルギー庁の御見解をお願いします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、これまで原発立地地域の御協力なくして日本の原子力エネルギー政策は成り立ってこなかった、そして立地地域が日本の電力供給を支えていただいてきたことを政府としてしっかり肝に銘じなければならない、このように考えてございます。

 そのため、政府といたしましては、エネルギー基本計画にもございますとおり、地域経済の持続的な発展につながる地域資源の開発、それから観光客の誘致といった地域振興策など、立地地域の抱えるさまざまな課題に真摯に向き合い、その課題解決を図ることとしているところでございます。

 例えばでございますけれども、専門家の派遣を通じた地域産品の開発、それから販路の開拓、観光誘致の取組に対する支援といったようなことを行っております。

 御地元である柏崎市でも観光ビジョンの策定に取り組んでいるところでございまして、観光分野に知見を有する専門家を派遣する等の御支援を進めているところでございます。

 また、再生可能エネルギーなどを活用した地域振興策など、地域のエネルギー構造の高度化、転換に向けた取組への支援なども行っているところでございます。

 現在御審議いただいております令和二年度の予算案におきましても、これらに要する予算といたしまして、今年度よりも増額をした予算を盛り込んでおりまして、引き続き、御指摘いただきましたように、立地地域の声をしっかりと聞きながら、また立地地域の重要性をしっかりと認識した上で、地域振興に全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 資源エネルギー庁から大変前向きな御答弁をいただいたと思っております。本当にありがとうございます。

 今も御答弁の中にありましたけれども、例えば観光の振興でありますが、これはやや余談になりますけれども、柏崎の海岸というのは、日本海側で初めて海水浴が行われた海岸線を有していたり、あるいは夏の花火大会などもございます。これは、本当に柏崎刈羽地区の観光協会はエネルギー庁の協力に非常に期待をしているところでございますし、また、先般、いわゆる防災ラジオの配付等々についても資源エネルギー庁からさまざまな御支援をいただいたというふうに理解をしておりますので、ぜひ引き続き強力に御支援をいただくようにお願いをしたいというふうに思います。

 また、特に、今エネルギー庁からお話があったわけでございますけれども、別途、いわゆる地域グループでありますとか、あるいは関東経済産業局からもさまざまな支援をいただければ大変ありがたいと思っております。

 これは、特に柏崎の桜井市長がさまざまな構想を持っておられますし、また、私といたしましても、できるだけ発電所が再稼働しているという前提で、その低廉で豊富な電力供給を生かして、そういうことを生かしたまちづくりも含めた柏崎刈羽地区の活性化ということを打ち出していきたいというふうに考えておりまして、こういう点も含めて、ぜひ地域グループからも御協力いただきたいというふうに思います。

 地域グループの御見解をぜひよろしくお願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました、経産省の地方支局でございます関東経済産業局でございますが、これまでも、柏崎刈羽地区及び長岡地区に所在する企業の支援に取り組んできているものと承知をしてございます。

 具体的な一例でございますけれども、局の職員が企業を訪問し、工場の新設や機械設備の導入に際しまして補助金や税制の活用を助言いたしますなど、企業のニーズに応じたきめ細かい支援を行っているところでございます。

 また、昨年七月でございますが、関東経済産業局は長岡グローバル人材活躍推進協議会と覚書を締結させていただきました。高度外国人材を地元企業につなぐ協議会に対しまして専門家を紹介いたしますとともに、協議会が開催する外国人留学生の採用に関する企業向けセミナー等の開催支援をし、地元企業の人材確保につなげることとしているところでございます。

 さらに、地域の金融機関と連携をいたしまして、大手企業等のOB人材と地元企業とのマッチング交流会を開催いたしました。それらの経営課題の解決を支援させていただいているところでございます。

 関東経済産業局は、引き続き、地域の企業や自治体等のニーズを踏まえまして、関係機関とも連携しながら、柏崎刈羽地区及び長岡地区の企業支援に取り組んでいく方針であると伺っておりまして、本省といたしましても、こうした局の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 本当に、新潟県は一年間に二万人ずつ人口減少が進んでおりまして、この人口減少を食いとめるためにも、原子力発電所を軸とした地域振興を進めなければならないというふうに考えておりますし、また、そのためにも、今、長岡市のお話も出していただきましたけれども、柏崎刈羽地区に限らず、いわゆる三十キロ圏内に対しても、またいろいろな御協力をいただければというふうに思っております。

 特に長岡市については、もともといわゆる長岡工科大学等々の知的基盤がございますけれども、その知的基盤の上に新しい産業をつくっていくということで、関係者一同、そういうビジョンも有しておりますので、その点についてもまた御協力をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。

 私の質問は以上でございます。本日は、本当にありがとうございました。

神山主査代理 これにて細田健一君の質疑は終了いたしました。

 次に、本田太郎君。

本田分科員 自由民主党の本田太郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 五問予定しておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、自動運転について質問いたします。

 5Gの実用化やAI機能の向上など、科学技術の急速な進展が見込まれる中、今後、自動車の自動運転技術の発展により、我が国は多くの恩恵を受けることができる可能性がございます。

 例えば、都市部においては運送事業者のドライバー不足の解消に寄与できますし、また、中山間地域においては高齢者など交通弱者の足の確保であったり、既存の公共交通機関の路線廃止に対して、自動運転を使った新たな交通手段の確保など、その可能性は無限大であります。

 そして、こうした問題は、少子高齢化の最も進んでいる日本の後に続いて、世界各国でも生じてくるわけでありますから、我が国は、世界に先駆けて自動運転の社会実装を成功させなければならないと考えております。

 さらに、世界の中における我が国の産業競争においても、自動運転関連産業の育成は極めて重要だと思います。

 戦後、我が国が世界トップクラスの経済大国にまで発展した大きな原動力は、自動車産業にあります。自動車産業でアメリカやドイツと渡り合い、国内では幅広い関連産業で雇用と富を生んできたのであります。今後は、まさに自動車の自動運転技術の分野で世界的な競争が始まり、この分野で勝ち残った国が経済的にも大きな優位性を得ることになると推測されます。

 こうした状況ですから、私は、自動車の自動運転技術の分野は、国としても大きな支援をしていく必要があると考えております。

 そこで、お伺いいたしますが、現在の自動運転技術の開発の段階はどの程度であるのか。また、この分野の国際競争で我が国が優位に立つ決意と具体的方策についても、御答弁をお願いいたします。

梶山国務大臣 今お尋ねのありました自動運転車の開発につきましては、自動車メーカーのみならず、米中等のIT企業なども参画をし、国際競争が熾烈化をしているのが現状であります。

 我が国は、本年四月に改正道路交通法及び改正道路運送車両法を施行し、世界に先駆けて公道でのレベル3の自動運転を可能とすることとしております。これにより、ドライバーの責任のもと、高速道路の渋滞時等の自動運転が実現をし、国内メーカーも、レベル3対応の自家用車の市販化を進めているところであります。

 また、商用車の分野において、政府では、二〇二〇年度中に、更に一段高いレベル4の実現を目標に掲げています。これは、限定地域ではあるものの、車内に運転者がいない状態での自動運転サービスを行うものであります。現在、車両の開発、実証、必要な制度整備等について官民一体で取り組んでいるところであり、今後も、我が国が世界をリードし、競争を勝ち抜いてまいりたいと考えております。

本田分科員 御答弁ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、やはり自動運転技術、関連する裾野産業もたくさんございます。ぜひとも、官民一体となりまして世界での競争に勝ち抜けるように、私も努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。天然ガスパイプラインについて御質問いたします。

 現在、私の地元である京都府と兵庫県が事務局となりまして、北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会を立ち上げ、京都舞鶴港での浮体式LNG基地、そして兵庫県三田市までの天然ガスパイプラインの敷設を検討しております。

 具体的には、高速道路を活用した天然ガスパイプライン敷設費用に係る調査を行いまして、概算費用は、一般道路を使った場合には二百六十億円、そして高速道路を使った場合には四百億円と試算をされております。また、京都舞鶴港のLNG基地及びLNG発電所シミュレーション調査をした結果、LNG基地十八万キロリットルの整備に係る費用は約六百五十億円との結果も出ております。

 他方で、我が国における天然ガスパイプラインの整備状況については、整備主体であるガス事業者ごとに分断されており、主要大都市間やLNG基地間を連結する天然パイプラインの整備は進んでいない状況であります。各事業者の投資判断のもとで部分最適的に整備が行われてきた結果、我が国全体で見た場合は、天然ガスパイプラインは電気の送電線のようにネットワークが構築されておらず、分断をされておりまして、三大都市圏間でのガスの相互融通もできないような状況であります。

 例えば、今後起こるであろう南海トラフ大地震など、太平洋側が被災した場合、リダンダンシー確保の見地からも、日本海側からのエネルギー供給が必要となります。太平洋側に偏った天然ガス貯蔵施設を、日本海側にもつくり、京都舞鶴港のガスを国内の関西圏で利用できるようにするためには、天然ガスパイプラインネットワークを兵庫県三田市まで敷設する必要があると考えています。

 ただ、ガス事業者の立場からいたしますと、採算のとれる地域には天然ガスパイプラインを整備しますが、経済合理性がない地域については投資をしません。しかし、先ほど申し上げたとおり、リダンダンシーや国全体のエネルギー確保の見地からは、天然ガスパイプラインが部分的に整備をされるだけではだめでありまして、我が国全体の天然ガスパイプライン形成を俯瞰してパイプライン網を整備することを図らなければならないと考えています。

 そこで、必要に応じて、民間事業者による天然ガスパイプライン整備ができるように環境整備を行うのが国の役割であると考えております。つまり、私は、整備すべき天然ガスパイプラインのルートを国が選定をしまして、具体的なルートを示すことが重要だと思いますが、政府としてはどのように考えておられますでしょうか。

 また、今後、天然ガスパイプラインの整備を進めるために、国は、環境整備に加えまして、民間事業者が採算面からもパイプライン整備に投資ができるように、必要に応じて整備コストを下げる財政支援制度を創設することも検討していただきたいと思っておりますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。

 ちなみにですが、平成三十年十一月には、京都府と兵庫県が一緒になりまして政府要望を行わせていただきまして、広域ガスパイプライン、LNG基地整備への支援制度の創設を要望しているところでもあります。

 よろしくお願いいたします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきました北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会におきまして、自治体のみならず、ガス事業者それから電力事業者など、事業者も参画して議論が進められているものと承知をしてございます。御指摘いただきましたように、ガスのパイプライン、それからLNGといった広域のガスインフラが整備されるということは、供給安定性向上の観点から意義があるものと考えてございます。

 一方で、これが事業として成り立っていくことが大事だと考えてございまして、どのようなルートであれば周辺の都市ガス需要があって、きっちりと投資が回収されていくのか、こういったことも含めて今検討が進められているというように承知をしてございます。

 こうしたさまざまなガス需要、それからルートによるコストの見通しなど、さまざまな要素を考慮しながら、経済性、それから一方での政策的な意義といったことを総合的に踏まえながら進めていく必要があると考えてございます。

 経済産業省といたしましては、こうした民間事業者の取組を後押ししていきたいと考えてございまして、現在、LNG基地やガスパイプライン等のガスインフラの整備に関する設備投資に対しまして、利子補給を行うなどの支援策を講じているところでございます。

 また、ガスのインフラの整備につきましては、整備指針というものを決めておりまして、天然ガスの利用向上、競争促進、供給安定性の向上、エネルギーシステムの強靱化などのさまざまな観点から検討を進めるということになってございますので、今後も、ガス事業者、電力事業者などの参画を促しながら、自治体とも連携をして、国としてもこうした検討にしっかり積極的に参加をしていき、必要なニーズに応じて対応を図ってまいりたいと考えてございます。

本田分科員 ありがとうございます。前向きに答弁いただいたと理解をいたします。

 今後、石炭火力発電等々が、いろいろな世界的な流れの中で、なかなか厳しい状況になってくることもあるかもしれません。そういったときに、同じように日本のエネルギー安全保障を考えたときには、安定したエネルギー源として、LNGの方が石炭よりかは地球環境に優しいというふうに一般的に言われておりますので、その点も含めて考えていきますと、リダンダンシー、そして環境負荷という点からも、LNGのパイプライン網を国としても積極的に進めていくべきだと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 中小・小規模事業者について質問をいたします。

 中小企業の景気動向について、中小企業景況調査の業況DIを見ると、令和元年十―十二月期はマイナス二一・一ポイントとなりまして、四期連続で悪化しております。

 また、人手不足や人件費上昇、さらには原材料価格の上昇、更に加えまして、昨年十月に実施されました消費税率の引上げや新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、景気の先行きが更に不透明になってきていると言えると思います。

 このように、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しく、長期にわたって企業数の減少傾向が続いております。

 平成三十年の休廃業、解散件数は四万六千七百二十四件となり、増加傾向に歯どめがかかっておりません。また、令和元年の倒産件数は八千三百八十三件と十一年ぶりに増加してしまいました。平成三十年の休廃業、解散件数と倒産件数の合計は五万五千件に達し、中小・小規模事業者の総数である三百五十八万九千社のうちの一・五%を占めるに至っております。

 こうした状況について、つぶさに見てまいりますと、休廃業、解散した企業の生産性が必ずしも低かったというだけではありませんで、業績好調ながら後継者難等で事業承継を断念するケースも相当数に上っているようでありますし、また、地方であればあるほど、休廃業、解散が地域の雇用や経済に影響を及ぼすケースも少なくないと言われております。

 以上のように、中小・小規模事業者の休廃業、解散件数が増加していきますと、特に地方経済への悪影響が懸念されるところでありますが、これに対して政府としてどのような対策を考えておられるのか、お尋ねをいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 東京商工リサーチの調査によりますと、休廃業、解散件数は、近年、御指摘のように増加傾向にございます。二〇一九年は四万三千三百四十八件というふうになっております。

 この休廃業、解散件数のうち、経営者年齢が六十歳以上の企業が八三・五%を占めておりまして、休廃業、解散の増加の背景には、やはり経営者の高齢化と後継者不足というものがあると考えております。

 また、休廃業、解散を行っている企業の六割が、黒字で廃業、休業しているということでございます。企業がこれまで培ってきた事業や貴重な経営資源を散逸させないで次世代に引き継いでいくことは、重要な課題でございます。

 このため、経済産業省では、事業承継の円滑化ということを最も重要な政策課題の一つとして取り組んでおります。

 具体的には、事業承継時の税負担を実質ゼロにする事業承継税制、商工会や金融機関が参加する事業承継ネットワークによる事業承継診断や専門家派遣の実施、それから全国四十七の都道府県に設置した事業引継ぎ支援センターによるマッチングの支援、そして、事業承継補助金による後継者の新たな取組に対する設備投資に対する支援、こういった施策を講じているところでございます。

 今後は、中小企業の約六割でまた後継者が不在であるという現状を踏まえて、昨年十二月に取りまとめました第三者承継支援総合パッケージに基づきまして、第三者への事業承継の支援も抜本的に拡充してまいりたいと考えております。

 具体的には、これまでの事業引継ぎ支援センターにおけるマッチング支援の強化に加えまして、事業引継ぎガイドラインの改定によります新たな中小企業MアンドAルールの策定、それから、事業承継に焦点を当てた経営者保証ガイドラインの特則を通じて、新旧経営者からの二重徴求を原則禁止する、こういった対策を講じて、事業承継を進めていきたいというふうに考えております。

本田分科員 ありがとうございました。

 私見も入りますけれども、さまざま補助制度若しくは税制での優遇、非常に大事なことだと思いますが、やはりそれに至るまでの、要するに、身内とか親戚でない方が、黒字で廃業する会社を、そもそもそんなものが存在するんだと知ることがまず第一歩だと思います。

 そういう意味では、マッチングを強化されていると今おっしゃっておられましたので、非常に心強いなと思って聞いておりました。その点の、入り口の部分を強化することによって、これまで興味のなかった人も、例えば地元でこういった優良企業が引き継げるんだという機会を知れば、そこにいろいろ勉強をして更に踏み込んできてくれることが、可能性が広がると思いますので、今後も引き続き御尽力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、RCEPについて質問をいたします。

 RCEPは、世界の人口の約半分、世界のGDP及び貿易総額の約三割を占める広域経済圏を形成する多国間協定であります。世界的に保護主義的な声が高まる中、RCEP協定の成立によりまして、国際社会に対して、自由貿易推進の強力なメッセージを発信することができると思います。

 昨年十一月のRCEP首脳会議では、インドを除く十五カ国が、条文ベースの交渉及び基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組を終了したとの共同声明が出されました。その一方で、インドには未解決のまま残されている重要な課題があるとの指摘もなされたところであります。

 このことに関して、インドは貿易赤字の拡大を懸念し、関税撤廃などで慎重姿勢を崩さなかった、また、交渉からの離脱を示唆したとも報道をされています。

 こうした中、梶山大臣は、引き続き、インドも含めた十六カ国での早期妥結を目指すと記者会見で述べられました。

 私も、ぜひとも、インドを含めた十六カ国での妥結が重要だと思いますし、そうであってこそ、世界の成長センターであるアジア太平洋地域を取り込んで、我が国が経済成長を維持、増進していくことが可能になると考えます。多くの我が国の企業が活動するこの地域におきまして、自由で公正な経済圏を構築して、サプライチェーンの効率的な形成に寄与することになるからであります。

 さらには、関税削減などの市場アクセス改善によって、地域の貿易や投資を促進し、また、関税手続、知的財産、電子商取引などのルールを整備することによりまして、非関税分野における我が国企業の活動を支援することにもつながると思います。

 そこでお伺いをいたしますが、RCEPに関するインドの動向と我が国の目指す方向性について、答弁をお願いいたします。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まさに、インドを含めたRCEP、この十六カ国で世界の人口の約五割、GDPの約三割といったことで、広域経済圏を創設するものでございます。世界の人口の五割の中で、インドはその人口の約四割を占めますので、まさにインドを含めたRCEPを実現すること、これが地政学的にも経済学的にも非常に意義が大きいものでございますし、今委員御指摘のとおり、保護主義的動きがある中で、これをぜひ実現したいと思ってございます。

 これも今委員御指摘のとおり、昨年十一月のRCEPの首脳会議、ここでは交渉全体の妥結は実現をいたしませんでした。が、条文ベースの交渉と、そして基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組、これがインドを除く十五カ国で終了して、これに加えましてインドの未解決の重要課題の解決、このために全十六カ国がともに取り組むということになってございますので、二〇二〇年の署名に向けまして今後も交渉を継続することが共同声明に示されたわけでございます。

 日本としては、まさにこの共同首脳声明に基づきまして、インドの未解決の課題について具体的な解決を図っていくといったことが極めて重要というふうに考えております。現在、インドそして他の参加国と積極的に議論を行いまして、その橋渡しを務めているところでございます。

 例えば、インドに関しましては、昨年十二月に梶山大臣がインドに出張いたしまして、ゴヤル商工大臣との間で、インドの交渉参加に向けて率直な議論を行ったところでもございますし、また、ほかの参加国にも働きかけを行っております。

 先月、梶山大臣が豪州に出張した際にも、インドの未解決の重要課題の解決と二〇二〇年中の署名に向けまして、日本とオーストラリアの間で緊密に協力して取り組んでいくといったことで一致をして、共同声明を発出してございます。

 今後も、こうしたインドの未解決の課題が解決されて年内の十六カ国での署名が実現できるように、引き続き全力で取り組んでまいりたい、こう考えております。

本田分科員 御答弁ありがとうございます。

 これもちょっと私見になって恐縮なんですけれども、日本にとりましては、TPP、アメリカが今まで入ってくる予定だったけれども抜けた。我々日本からすると、世界の経済大国、中国、アメリカ、このバランスの中で、我々はどうやって、貿易を含め、やっていかなければならないのかというのが大きな課題だと思っています。

 そうした中で、TPPにアメリカが入っている前提であれば、RCEPには中国に入っていただいて、そこのバランスの中で日本もうまくやっていけるというところがあったのかもしれませんが、TPP、アメリカが抜けました。こうしたときに、ちょっと米中とのバランスを見ますと、RCEPへインドを入れての妥結というところへのインセンティブが今までよりかは少なくなってしまうんじゃないかということを危惧をしております。

 これはあくまで私見ではございますけれども、その点も含めますと、より一層強く働きかけをして、やはり日本そのものが、どういった、RCEPをインドに入ってもらって妥結することにより大きな意義があるのかというところをもう一回分析して、積極的に進めていく必要があるのかなと推測をしております。

 交渉にかかわる事柄ですので、中身のところまでは話すことはできないのかもしれませんけれども、そのような考えを持っている者もいるということでございまして、今後も妥結に向けて御尽力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、キャッシュレス化について質問をいたします。

 平成二十六年に、政府の成長戦略で、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性、効率性の向上を図るということを掲げました。それ以降、我が国では官民によるキャッシュレス化に向けた取組が進んでおります。

 平成二十九年からは、成長戦略にキャッシュレス決済比率のKPIが掲げられ、二〇二五年六月までにキャッシュレス決済比率を倍増して四割程度とすることを目指すとされました。

 令和元年十月には、消費税率の引上げに伴う需要平準化対策としても、中小小売業者におけるキャッシュレス決済へのポイント還元支援事業が実施をされております。

 消費者への還元率は、一般の中小・小規模事業者については五%、フランチャイズ等については二%であることは皆さん御存じのとおりでありまして、さらに、一般の中小・小規模事業者に対しましては、キャッシュレス決済端末費用の三分の二が補助されまして、同費用の三分の一は更に決済事業者が負担するために、中小・小規模事業者の負担は実質ゼロということになっておりますし、さらには、加盟店の手数料が、三・二五%以下が条件ではありますけれども、加盟店手数料についても三分の一の補助がされているという状況であります。

 こうした、先ほど申し上げた還元の分と手厚い補助を合わせますと、かなりの国費を投入しているということになりますけれども、こうした施策によりましてキャッシュレス化はどの程度促進できているのか、その成果についてお伺いしたいと思います。

島田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十月から開始をいたしました今回のポイント還元事業につきましては、参加店舗が現時点で約百二万店舗となってございます。対象となり得る中小店舗の、約二百万店の半数近くが参加をしているというのが現状でございます。

 昨年十一月に実施をいたしましたアンケートによりますと、どの地域でも、四割前後の消費者が、本事業により、以前よりキャッシュレスの利用頻度をふやしているというふうな回答を得ております。また、対象店舗の売上げに占めるキャッシュレス決済比率も、本事業の前後で、平均で約二七%から約三四%と、一・二五倍に上昇しているというところでございます。本事業の目的の一つでありますキャッシュレス決済の浸透という点で、一定の効果が出ているというふうに考えているところでございます。

 他方で、まだキャッシュレスになじみのない方あるいはキャッシュレスが十分に浸透していない地域もあるということも承知をしてございます。引き続き、全国津々浦々のより多くの中小店舗や消費者の皆様に御利用いただけるよう、キャッシュレスになじみのない方を対象といたしました使い方講座の全国各地での実施等を通じまして、わかりやすい周知などに全力で取り組んでいきたいと考えてございます。

本田分科員 ありがとうございました。

 キャッシュレス化が進んでいるということで、すばらしい成果が出ていると理解をいたします。

 他方で、最後に答弁されましたけれども、キャッシュレス化になれていない方々、特に高齢者の方が中心だと思いますけれども、そういった方々に対するサポートというのが必要だと思います。何か、少し見てみますと、各国、キャッシュレス化を進めているアメリカやインドや中国、中国はちょっと済みません、記憶は定かではありませんが、そういったところでも、やはりキャッシュレス化に乗り切れない方々に対するサポートという面も、政策として、されているようであります。

 今そのような点にも言及いただきまして大変心強いところでありますけれども、私の地元におきましても、高齢化率の非常に高い中山間地域でありまして、ミニ集会等々をやっておりますと、なかなか、そういう教えてもらう方がいても、もうもう、そんなに今から覚えてもしようがないという方もおられますので、キャッシュレス化と同時に、キャッシュレスが使えない方でも買物に不便にならないような、現時点においては、そういった、誰もが便利で、誰もが安心して買物のできる社会であってほしいなという思いも他方で持っております。

 もちろん、キャッシュレス化を進めまして、我が国の生産性若しくは産業の育成に寄与するようにしていただくことが大事でありますが、その点も御留意いただければと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

神山主査代理 これにて本田太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉木武志君。

斉木分科員 立国社の斉木武志でございます。

 きょうは、梶山経産大臣そして政府参考人に対して質疑をさせていただければと存じます。

 今、国民の関心事は、新型コロナウイルスがどれほど日本国内で広がっていくのか、不安を持って見守っているというところですけれども、小売、飲食を始めとして、目に見えて、外で飲食をしたり買物に出たり、また旅行に行ったりする人が減っている。これは日本経済に大きな影響が出るんじゃないか、内需を含めて。

 そのあたり、まず、梶山経産大臣、今回、これまでどのようなインパクト、ネガティブですけれども、インパクトが日本経済に出ていて、今後、この新型コロナに起因する下押し要因というのは、どの程度日本経済に下押しが働いてくるとお考えですか。

    〔神山主査代理退席、主査着席〕

梶山国務大臣 まず、中国で発生をしたわけでありますが、日本にも中国で生産活動をしている方たちがたくさんおいでになるということで、ジェトロを通じて、その日本企業の従業員等、日本人の従業員等について帰国する手続等などもやってまいりました。

 そしてその上で、春節と重なったということで、春節後に工場が本当に再開できるのかどうかという点もございました。これは、その地方政府が工場の再開の許可を出すということ、そして、春節で出ていた方たちが戻ってこられるのかどうなのか、またその人たちの体調はどうなのかということ、またさらに、サプライチェーンで部品が供給できるのかどうなのか、さらにまた、それの物流ということで、完成車をつくっても、例えば自動車産業でいえば、それを出荷できるのかどうか。

 そして、日本の影響といえば、今度は、サプライチェーンの中で、中国でつくった部品を日本の完成車に使用するような場合どうなのかということで、自動車産業を始めとする各社ごとにこれらも調査をさせていただきました。

 さらに、もし届かない場合の中小企業へのしわ寄せ等が生じないかどうかということで、こういった件も申合せをさせていただいたということですが、今の時点では、各社各様ということでもあるんですけれども、自動車工業会と自動車部品工業会とそして経済産業省で今、連絡会をつくりまして、今後起こり得る事態について体制を整えるということで情報を共有しているところであります。

 さらにまた、団体旅行のキャンセル等で国内の観光地、観光産業を中心にして大変な状況になっているということも承知をしておりますし、また、小売も含めた形で、中小企業、中小零細店舗等も含めて、商工会や商工会議所等を通じて状況の把握に今努めているところでありまして、将来的にはまた工場の一時的な生産調整等も出てくる可能性もあると思っております。

斉木分科員 今、団体旅行のキャンセルも触れられましたけれども、やはり、報道を見ていても、最初に極めて落ち込んだのは旅行業でして、きょうも、先ほどですけれども、愛知県の蒲郡市の旅館業を営む旅館が、名古屋地裁に対して、今回のコロナウイルスによる顧客減を理由にして破産を申請したということが先ほど、午後に入ってから報道されましたけれども、今回の新型コロナウイルスの影響による初の破産申請ということで、この旅館業以外にも、旅行代理店も今非常に苦しんでおります。

 私は地元が福井県なんですが、ほとんどインバウンドがない県ですら、もうどんどん、修学旅行、社員旅行、全てキャンセルをされていて、運転資金が足りない。なので、日本政策金融公庫に対して運転資金のつなぎ、運転のためのつなぎ融資を申入れをしたいんだけれども、運転資金に関しては八年以内に返済するということになっておりますので、非常に負担が重くて、できればこれを十年であるとか十五年であるとか、要するに毎月毎月の支払いを少し少額にしてくれないかというような生の声も届き始めておるんです。それに対して、こういった日本政策金融公庫、まさに中小企業のカウンターパートですけれども、資金繰り支援というのは、返済を長期化して毎月の返済額を少なくする、こういった対応はお考えでしょうか。

梶山国務大臣 セーフティーネット貸付けにつきましては、原則、据置期間三年、返済期間は、設備資金十五年以内、運転資金八年以内となっておりますけれども、柔軟に対応するようにということで今、政府から発しているところでありまして、実は二月七日には、財務省と金融庁などの関連省庁と連携をして、官民の金融機関等に、中小企業、小規模事業者の資金繰りに重大な支障が生じないように、個別企業の実情に応じた十分な対応に努めるように要請を実施したところでありますが、既存の借入れ、債務についても、そういうことも含めて柔軟に対応してほしいという要請をしているところであります。

斉木分科員 過去、東日本大震災であるとかSARSであるとか、さまざまな困難に我が国は直面いたしました。SARSなども疫病に対する経済の下押しということでは同じ事象だと思いますが、前回のSARSのときと比べて、私は、今回は国内感染者が非常に出ておりますので、日本人観光客の自粛、また宴会の取りやめ、こういった内需の下押し要因も非常に強いのではないかなと思っておるんですが、大臣は、前回のSARSの経済下押しと、今回の新型コロナによる影響、これを比較して、どちらが大きいというふうに思われていますか。

梶山国務大臣 まだ全体像で比較できる状況にはないと思いますけれども、全てを、その下振れの要因も含めてはかった上で、できる手だては全て尽くそうと思っております。

斉木分科員 これは、そういった今飲食業をやられている方、小売店業を営まれている方、また旅行業を営まれている方、中小企業を営まれている方、いろんな方にお声を聞きますと、ちょっとこれは人災じゃないかという声も、正直、国民の間には多いです。

 これは何かといいますと、そもそも、やはりこういった防疫、疫病を防ぐという意味においては、初期対応が何よりも重要であろう、感染源との隔離ですね。そういった意味で、日本は中国の春節前後に入国制限をとらなかった、これが非常にきいていて、きょう現在、日本人だけで国内で百六十人、感染者が発生しております。

 ダイヤモンド・プリンセスに起因する感染者数は六百九十一ですので、合計すると八百五十一人。ダイヤモンド・プリンセスを除いても、百六十人が感染してしまっている。

 私、この三桁という数字は非常に大きいと思っておりまして、例えば、きょう現在、同じ大国でいいますと、アメリカが三十五人、台湾が三十人、ロシアは二人、オーストラリアは二十二人。いずれも一桁から二桁の感染者にとどまっている。こういった国と日本の違いは何かといいますと、まさに初期対応であったんですよ。

 ロシアは、発生して間もなく、四千キロ、あそこは、中国とロシアというのは国境を接しておりますので、検問所を全部封鎖した。物理的に中国との人の行き来を封鎖しましょうと。日本も、経済の、日本の最大の貿易相手国でもありますので、人と物の交流はありますけれども、ロシアもありますよ。でも、そこは四千キロの国境を閉じてまでウイルスを防ごうとした。これは非常に強い対応だと思います。

 アメリカも、トランプさんが、十四日以内に中国を経由した外国人に関しては入国を禁ずると、速やかに措置をとりました。台湾も同様です。オーストラリアも同様。

 やはり最初に、ウイルスという外敵ですよ、これが入ってくるのを物理的に遮断するという強い対応をとった国ほど、今、一桁から二桁の感染者にとどまっている。比べて、日本は三桁、ダイヤモンドを入れれば八百五十一と、極めて感染者数がふえてしまっている。

 私は、なぜ初期に入国禁止措置を日本はとらなかったのか、経済の担当大臣にもお伺いしたいと思うんですが、なぜとらなかったんですか。

梶山国務大臣 それは私だけの担当ではございませんけれども、検証は後でしっかりやることになると思いますけれども、今の時点で、どうだったということは断言できないと思っております。

斉木分科員 マスコミなどでは、国民もそうですけれども、四月に習近平国家主席が来日をされる、国賓待遇で。なので、習近平さんから、中国側から、今回、余り、トランプさんは非常に敵対的だと今中国の外交部などは言っておりますけれども、日本の措置は非常に中国の事情をしんしゃくしてくれていると中国側は評価をしている、事前に日本政府に対して、過剰な反応をしてくれるなという要請があったというふうにも報道されております。

 これは、国民の間には、習近平さんが四月に来るからそんたく、配慮をしたゆえに国境を開き続けてしまったのではないのかと、国民が、多くの方が疑念を呈しておるんですが、それに対してはどうお答えになりますか。

梶山国務大臣 委員がおっしゃる情報については、私は存じ上げません。

斉木分科員 もう少し国民の声を聞かれた方がいいかなというふうに思うんですけれども。

 経済担当大臣ですので、経済産業大臣の立場でお聞きしたいんですが、経済面の影響を考えても、最初に入国禁止措置という強い対応をとっていれば、今、いわゆる自粛ムード、政府としても、不要不急の会合は控えるように、そして、手洗い、マスク、こういったものを徹底しましょう、また、感染者が多重で発生している地域では、学校の集団休校も、萩生田文科大臣が言及されたに聞いております。こういった自粛、飲食業、小売業、今、人は、はっきり言って、もう半減近いところが非常に多く出ております。

 最初に入国禁止措置をとっておれば、こういった、自粛により国民の消費行動を抑える、産業活動を抑える、そしてテレワークを強いられる、こういったさまざまな経済活動の制約による、私は、入国禁止措置をとった落ち込みの方が少なかったのではないかと。

 今こうやって中途半端に、いまだに中国からの入国禁止、規制が省に限られている。ですので、日本に、最初ですよ、武漢で発生した当初、春節のころに強い措置をとっていれば、今のような経済の落ち込みというのは防げたのではないかと私は思うんですが、経済産業大臣として、その経済の影響、どちらがネガティブインパクトが少なかったとお考えでしょうか。

梶山国務大臣 仮定の話につきましては、コメントを控えさせていただきます。

斉木分科員 今、資金繰りの支援を、非常に窮状を訴えていらっしゃる方が聞かれて、どう思うかなと私は思うんですが、きょうも実際、旅館業、愛知県蒲郡市ですけれども、破産を申請してきている。多くの旅行代理店が、資金繰りをしたいんだけれども、その期限を何としても延長してくれないかという非常に窮状を訴えていらっしゃる。こういった、非常に危機対応だと私は今思っております。

 ここのところが、今の御答弁を聞いていると、何かこの日本の政策責任者として、経済のかじ取り役として、危機をどう認識されているのか。また、今後の防疫体制、そして経済への影響をどう最小化するか。私はもうちょっといろいろな国民の声に向かわれた方がいいのではないかと思うんですが。

梶山国務大臣 資金需要のあるセーフティーネット貸付けについては、先ほど申したとおりで、柔軟に対応していくということであります。

 そして、あのときこうすればよかった、ああすればよかったというのは、後でまた評価をされることでありますけれども、連日、政府でしっかりと検討した上での対策を講じているというところであります。

斉木分科員 きょうも、もう市場は閉まりましたけれども、一時、日経平均株価は千円を超える下落を演じまして、アメリカも千ドルを超える下落、世界同時株安といった状況になっております。

 こういったことも踏まえると、非常に、市場そして世界の方々は、今後の景気の先行きに対して悲観的な見通しを持っているというのが、きょう現在だと思うんですね。

 それに対して、今、適宜適切に対応していくとおっしゃいましたけれども、では具体的に、今回の新型コロナに対して、こういった経済対策を打つぞ、財政出動をするぞというようなメニューはお考えではないんでしょうか。

梶山国務大臣 当面は融資とセーフティーネットの保証ということでありますけれども、臨機応変に機動的に対応してまいりたいと思っております。

斉木分科員 臨機応変というのも、これを聞いていらっしゃる方は、では、本当に、八年以内じゃなくて十年貸してくれるのかとか、何かそういった、どう救ってくれるのかという、まず短期の危機にどう対応するか、そして中長期の需要の落ち込みにどう対応するのか、こういったところまで聞きたいと思うんですが、そこは言えないということでしょうか。

梶山国務大臣 ですから、短期の危機対応というのは柔軟に対応するということで、一件一件ここで精査をするわけじゃありませんから、そういったことに対しては条件変更等もやっていきましょうということで、共通の認識であります。

 そして、中長期的には、もう少し状況を見た上で、どういう影響があるか、工場の閉鎖であるとか、例えば、そういう状況にはまだ至っていないわけでありまして、中小企業への影響という中で、資金繰りの面、そして、さまざまな対応のしわ寄せ等々がないように、またさらに、会社等で、先ほど委員がおっしゃったように、テレワークであるとか、ぐあいの悪い方は休めるような雰囲気づくり、醸成というものも含めて、今、企業、団体等にお願いをしているところであります。

斉木分科員 ありがとうございます。

 一点、きょうは観光庁の方にも来ていただいていると思うんですが、そういった資金繰り需要とともに、政府として、やはり、このコロナウイルスによる旅行の自粛が、ある程度これは終息した後に、ぜひ旅行の喚起策をとってほしいという要望も来ておりまして、例えば、社員旅行であるとか学校、団体旅行とかをした団体、企業に対して税制上の優遇措置を講じるであるとか、需要喚起策ですね、旅行意欲の喚起策、インセンティブの付与、こういったところまでしてくれないと、この一―三月期の落ち込みは致命的になるという声が多いんですが、そういった優遇策、インセンティブ、需要喚起策はお考えでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のコロナウイルスの拡大に伴いまして、観光産業に対しましても、訪日中国人旅行者の大幅な減少や日本人旅行者の旅行の手控えにより、大きな影響が出ているものと認識しております。

 こういった状況を受けまして、私どもも、政府において取りまとめました緊急対応策、こういったものを活用いたしまして、資金繰りの支援ですとか雇用調整助成金制度の要件緩和による雇用の確保、こういったことなどに取り組んでおります。

 同時に、喫緊の課題への対応ということで、旅行業者等に対し改めてマスク着用や手洗いなどの感染予防対策の徹底を要請するなど、まずは国内感染防止対策を徹底するとともに、あわせて、正確な情報発信、これに努めることで風評被害の発生防止に全力を挙げてまいります。

 今般の事態が、我が国のインバウンドや地域の観光産業にどの程度の規模、期間にわたって影響を及ぼすことになるのか、これはしっかりと状況を見きわめていきたいと考えております。

 一方、ことしは東京オリンピック・パラリンピック大会を開催する年でもあります。状況を見ながら、適時なタイミングで、例えばプロモーションをしっかり展開するなど、そういった対応策に取り組んでまいりたいと考えております。

 引き続き、観光産業のニーズにしっかりと耳を傾けて、対策に万全を期してまいりたいと考えております。

斉木分科員 我々としても、政府の対応が十分効果的なものになっているのかどうか、これはやはりしっかりとチェックをさせていただいて、また、効果的な対応策も、予算の組み替えを含めて、いろいろ提案をさせていただきたいなというふうに思っております。

 今度はコロナから話題が少しずれますけれども、そういった中でも、やはり日本の稼ぐ力、産業力というのは伸ばしていかなければいけません。その中で、私、きょう着目しておりますのは、医療と日本の物づくりとの連携、ここを深めることで新たな稼ぎ頭になれるのではないかという問題意識を以前から持っております。

 日本の医療分野というのを見てみますと、例えば、こちらはDBJ、日本政策投資銀行の資料が手元にあるんですが、世界の医療機器メーカーの売上高ランキングというのを見ますと、一位が突出してジョンソン・エンド・ジョンソン、二位がGEヘルスケア、三位がシーメンスヘルスケアと、アメリカ、ドイツ勢が圧倒的なシェアを持っておりまして、日本はいつ出てくるかなといいますと、テルモさん、そしてオリンパスメディカルさん、東芝メディカルさん、このあたりが二桁の順位で何社か出ている。世界市場は四%にとどまっております、三社、四%と。

 これは、私、非常に少ないなというふうに思っておりまして、これだけ、物づくり日本、技術力で食べていく国だということを梶山大臣も強調していらっしゃった、世耕前経産大臣も非常に強調されていらっしゃいました。その割には外資に圧倒的に押されていて、大幅な輸入超過になっておりますね。

 具体的に、医療器具を見ますと、人工心臓弁及び関連機器は一〇〇%輸入に頼っている、結紮・縫合用器械器具は九八・三%、骨接合用及び骨手術用器具が八七・八%、ステントが八〇・一%。およそ八割から九割は、メスであるとかステントであるとか人工心臓弁といった分野は、外資に押さえられてしまっている。これは、日本の物づくりの強みというのが生かせていないというのを私はかねがね思っておるんですが、まず、経産大臣は同じような認識を共有されているでしょうか。

梶山国務大臣 委員の御指摘、当たっていると思っております。

 物づくりの力ということで、いろんな分野で医療にかかわる器具をつくっているところでありますが、例えば、先般私も見てきたところですけれども、継ぎ目のないカテーテルのチューブであるとか、細い注射の針であるとか、そういったものもありますけれども、大きな医療機器、治療機器等については日本はおくれている、国際競争力が少し欠けていると思っております。

斉木分科員 技術力は非常に高いと思うんですよ。私、地元に福井県の鯖江市が含まれておりまして、そこで皇室が御使用の眼鏡も製作されているような、鯖江でも一番大きな会社に先般行ってきたんですが、こちらも、チタンとステンレス、異素材を組み合わせる技術というのがやはり眼鏡フレームの非常に競争力のある部分でして、それが、脳外科手術用のメスであるとか、カテーテルをつくる技術であるとか、越前打ち刃物という日本刀の技術もあるんですけれども、それとチタンを組み合わせていく技術であるとか、非常にたけております。

 新しく、脳外科のブラック・ジャックと斯界で言われるような方と組んで、いろんなものを開発はしておるんですが、なかなか医院で使ってくれない、採用してくれない。その一つの理由としては、医者の方も、ドクターも、学校のころから使いなれている器具を使うんだと。昔からドイツ製のメスを使っていたり、ジョンソン・エンド・ジョンソンの器具を使っていたりすると、幾ら日本勢がいいものをつくっても、やはり命に携わる職業ですから、なかなか乗りかえてくれないんだと。

 眼鏡は、iOFTとか展覧会があって、何万本と買ってくれるけれども、医療の世界というのは、学会のところにちょっとブースでも設けさせてもらって、そういった、なかなか採用してくれるルートは少ないんだよという、ここのところを何とかしてくれないかなという思いを中小企業の方は持っておるんです。

 技術はあるけれども、医者に伝わらない、病院に伝わらない。ここのところをどういうふうにすればいいとお考えですか。

梶山国務大臣 医療の現場でのニーズというものをしっかりと伝えていくということで、医工連携という取組もしておりますけれども、更にまたそういったものが伝わって、試作品等も使えるような仕組みづくりもしてまいりたいと思っております。

 また、日本は、自動車産業、大変裾野の広い産業になっていますけれども、そういった中で、医療用品をつくれる会社というのはたくさんあるわけでありまして、そういったところへの情報提供も含めて、また需要の情報の提供も含めてしっかりと行ってまいりたいと思っております。

斉木分科員 事業者側に聞きますと、もう一点懸念を持っているのが、大臣の承認、これは厚労大臣ですけれども、PMDAですが、メスとかはクラス1で届出制になっていると。でも、人工骨はクラス3であったり、ペースメーカーであったりステントグラフト、また人工血管とか、こういったものはクラス4に分類をされていて、実際に使われるまでに多くの治験を経たりしなければいけない。

 こういったところが、アメリカやフランスなど外国に比べると規制の壁が厚いというふうに事業者側は言っておりますが、きょう、厚労省の担当者に来ていただいていますけれども、このあたりは、規制が諸外国と比べて日本は壁が高いのかどうか、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきました、規制が諸外国と比べてハードルが高いかどうかというのは、ちょっと今つぶさに私ども持ち合わせておりませんが、少なくとも、今おっしゃられた薬事規制の対応ですとか、こういったことに関しまして、異業種から参入する企業の方々、結構難しくお感じのところはあろうかというふうに考えております。

 医療系のベンチャー企業が抱える課題について、異業種から参入される企業も含めて、ワンストップで支援を受けることができる、こういった相談窓口を設置して、医薬品や医療機器の研究開発から実用化までのプロセスを総合的に支援する、こういったこともさせていただいているところでございます。

斉木分科員 経産大臣は、この医療業界、治療用器具の規制の課題というのはどのように認識されていらっしゃいますか。

藤木政府参考人 済みません。医療の機器の規制の件でございます。

 今ほど厚生労働省から御答弁ございましたけれども、PMDAにおいて、これまで実は薬事と機器の審査が一緒になされていたというような体制もあったわけでございますが、今般、機器の方の専門の審査体制というのもしいていただく、あるいはスピードを上げて審査していただくといったような制度もどんどん取り入れていただいております。

 確かに、諸外国に比べて、物によって速かったり遅かったりということはあるわけでありますけれども、日本の規制が一概に厳し過ぎてという状況では必ずしもないのではないかと思っております。

 一方で、物づくり企業に関しましては、この薬事の審査を通るというのは大変今までと違うプロセスでございますので、こういうことについてしっかりと専門家がアドバイスをしていく、そういう体制をつくっていくことが必要だと思っております。厚生労働省さんと一緒になって、こういった対応をとってまいりたいと思っております。

斉木分科員 この日本の物づくりは非常にすぐれた、大臣もおっしゃった自動車の下請にも非常に、メッキであるとか切削であるとか、すぐれた部品加工技術を持つメーカーというのはたくさんありまして、日本でも、そういった異業種又は中小企業に参入を促すという観点から、たしか何拠点か、福島であるとか浜松であるとか大阪であるとか、そういった、クラスター型に新しい中小企業にも参画をしていただく地域指定なども行っていると思うんです。

 私は、この鯖江の事例などを見ても、眼鏡と医療器具というのはなかなかつながらなかったんですけれども、異素材を、熱を与えてその材質を損なうことなくつなぎ合わせる技術というのは、ああ、なるほどなというふうに思いまして、それと日本刀の技術も使っているとなると、これは経産省の大好きなストーリーだなというふうに思いまして、ぜひ、こういった部分、福井県も、鯖江の眼鏡それから医療器具、目指しているところが何社か今出てきておりまして、ぜひそういった、浜松や福島、大阪等に次ぐ指定なども御検討いただけないかなと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

梶山国務大臣 医工連携ということで、こういった分野もしっかり発展をさせていかなければならないと思っております。

 先ほども、それには情報という話をさせていただきましたけれども、医療従事者がこういうコーディネーター等をやっている場合もあるということで私も承知しておりますけれども、ぜひ、委員からまた参考の御意見をお聞きした上で、そういった取組を強化してまいりたいと思います。

斉木分科員 ありがとうございます。

 もう一点、もう最後になると思いますけれども、先ほど言ったいわゆるロックオン効果ですね。医療従事者がなかなか新しいものに移りたがらない、昔からなれている器具を使う。それがどうしても、ジョンソン・エンド・ジョンソンであったりシーメンスであったり、もうドイツ製、アメリカ製に学生のころからドクターもなれちゃっている。これをいかに日本製になれてもらうかというのは意外とハードルが高いなと私は思っております。

 その点、新しく異業種から参入を目指す方々からは、例えばJISやJASのような品質基準を、認定基準みたいなものを、若しくは付加価値の高いものに関しては推奨のマークみたいなものをつけていただいて医療機関に告知していただくとか、そういったアイデアも出ているんですが、これに関してはどのようなお考えでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 何よりやはり使い勝手ということでございます。現場でどういうふうに使われているのか、現場のお困り事は何かということをやはりちゃんと物づくりにフィードバックしていくという意味では、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、医工連携の中で、医療従事者がしっかりその開発段階からかかわっていく、こういう体制をとっていくということがまず何より重要だと思っております。

 その上で、何かラベリングをすることでプラスがあるのかマイナスがあるか、それは恐らく厚生労働省さんの方の規制ということとのかかわりもあると思いますので、これからそういった中小企業の方の新しいトライをどういう形で応援できるか、いろいろな角度から検討してまいりたいと思っております。

斉木分科員 ぜひ、やはり、こういった今危機対応の中でも、稼ぎ頭の力というのは伸ばしていかなければいけないし、また、新しい分野への進出も、ぜひ経産大臣としても力を入れて伸ばしていただくことをお願い申し上げまして、本日の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山際主査 これにて斉木武志君の質疑は終了いたしました。

 次に、緑川貴士君。

緑川分科員 お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。

 お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けての今の経済、広がっている影響、産業への影響について伺いたいと思います。

 中国では、各地の工場が今月の中旬から操業再開に動き出していますけれども、順調に立ち上がっているとはいまだ言えない状況であります。中国では、春節でふるさとに帰っていた労働者が仕事に復帰するのにも時間がかかって、各地の工場の再開がまずおくれたこと、さらに、生産に必要な部品や材料の調達もいまだ難しくなっております。

 それが日本の企業にも影響して、例えば、国内で使う材料や部品が中国から届かずに、そのために生産ができない状況。縫製工場なども、国内で販売する衣料の供給がとまってしまっているところがあったり、各産業の中国への製品輸出にも影響が出ております。

 このように、中国のサプライチェーンが大きな影響を受ける形で、国内でも工場の稼働を一時的に停止する企業がふえてきています。

 我が国の経済、産業に与える影響について、まず大臣、どうごらんになっているでしょうか。

梶山国務大臣 経済産業省では、ジェトロや企業、地方経済産業局、中小企業団体等から多方面に情報収集を現在行っております。

 具体的には、本省各部局及び各地方経済産業局による国内主要企業のヒアリング、中国各地のジェトロ事務所による現地日系法人へのヒアリング、中小企業団体等に設置した中小企業、小規模事業者向け経営相談窓口の活用により、現地の生の声を最大限吸い上げているところであります。

 まず、中国の地方政府の指示によって旧正月以降も停止されていた産業活動は、大部分の地域では委員御指摘のとおり再開可能となっておりますけれども、そして、その上で日系企業が順次生産を再開をしてきております。他方、生産水準がもとに戻るまでには時間を要するのではないかという声も少なくありません。

 これは、地方政府の事業再開の許可が円滑に得られるかどうか、地域によってはまだのところもあります。人の移動が制限される中、十分な従業員を確保できるか、そして、物流の停滞もあり、部品や原料を安定して得られるか、また製品を送ることができるか、そういったさまざまな課題があるためと承知しております。

 こういった状況により、中国と取引がある日本国内の企業への影響や、中国で生産されている部品がグローバルサプライチェーンにつながっている場合には、中国内外の企業の生産活動にも大きな影響が生じる懸念があります。

 自動車産業が武漢に集中しておりますけれども、部品の製造もそちらで行っているメーカーもあります。そして、日本で使う部品に関しても、向こうから送ってくるというような状況にあるものもあり、今在庫で対応しておりますけれども、生産調整等が行われていると承知しております。

 また、中国政府が団体旅行等を停止したことによりまして、インバウンド需要が激減をしております。国内各地の宿泊業、飲食業、小売業などの事業者に影響が出ていると承知をしております。

 こうした状況を踏まえて、二月十三日に政府全体で取りまとめた緊急対応策に企業活動への支援をしっかりと盛り込んだところであります。

 中小企業の、とりあえず、当面は資金繰り対策ということで五千億円規模の融資、信用保証枠を確保し、的確に支援をしているところであります。サプライチェーン対策については、国内での生産体制の強化に向け、設備投資や販路開拓などを支援をしてまいりたいと考えております。また、中小企業にしわが寄せられることのないように、下請取引に関する配慮要請を行ったところでありますが、さらに、財務省、金融庁と連携で、官民の金融機関に対しまして柔軟な対応、既存の債務に対する条件変更も含めた柔軟な対応をしてもらうような要請をしているところであります。

緑川分科員 大臣おっしゃるように、国内企業のサプライチェーンというものがグローバルに広がっていっていることが、やはりこの時代の重要な課題であります。

 海外に軸足を置いたこのサプライチェーンの停滞が国内の生産にもやはり影響を及ぼしている。原材料の多くを輸入、中国への輸入に頼る自動車産業も含めて、国内企業の生産の面でも、あるいは大臣おっしゃったように、インバウンドの需要が大きく減少している、観光面での多大な影響も避けられない状況であります。

 加えて、昨年の消費増税後の需要減に更にやはり追い打ちがかかっている形というところであります。昨年から本来の収益が見込めなくなっている企業、これが、廃業というものを防ぐためにも、中小企業の当面の資金繰りにやはり力点を置いた取組、セーフティーネットの信用保証、貸付けの受けられる要件についても、これは、事業者が利用しやすいものになるように、やはり、それぞれの実情を踏まえた、各産業の実情を踏まえた特段の配慮を求めたいというふうに思います。

 大臣がおっしゃった中で、この影響の大きなものの一つ、自動車であります。

 日産自動車は、新型コロナウイルスの感染拡大で中国からの部品がやはり調達しにくくなっている。九州の工場の稼働を一時停止することになりました。かつては、自動車産業は国内だけでサプライチェーンが完結しておりましたが、グローバル化が進んで、サプライチェーンが国内だけでなく、東アジア、東南アジア、中国へとグローバルな構造になっていきました。その過程で、中国の部品工場の技術力も、これは高まっていく。高い品質で、かつ安い、低コストで部品をつくれるようになっています。

 加えて、こういう中国のつくられた部品を各自動車メーカーで共有をする、共通化するという取組もあって、中国製の部品が中国の自動車だけではなくてほかの国の自動車にも使われるようになっています。結果として、その部品が手に入らなくなれば、これは多くの関係国で完成車をつくれないということになっています。

 中国や韓国からの部品の輸入を通じてコストカット、効率性を重視した結果、こうした海外依存のあり方、そのリスクがやはり今回顕在化した形であるというふうに思います。

 あくまでも、これから、効率を追求して生産拠点を集中させる体制にするのか、あるいは、分散型にして、リスクを分散して、その管理を重視するか。どうバランスをとるかということについては、これはあくまでも企業経営の判断でありますが、それぞれの企業で、これは異なる、差が出る部分でありますけれども、やはり一国の経済に事は重大な影響を与えるものです。

 大地震などの経験もあって、多くの大企業は事業継続計画、BCPを策定してきているところなんですが、米中貿易摩擦とか、あるいは、今回のウイルス、疫病など、グローバルで長期化する懸念がある、先の見えないこういう問題に対しては、これまでのBCPだけでは対応できない面があると思います。

 企業を取り巻くこの新たなリスクを踏まえて、柔軟に対応できるように、中小企業を含めたリスク管理の制度を見直す必要があるというふうに思いますけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。

梶山国務大臣 この数年、中小企業の事業継続に大きな影響を及ぼす大規模な災害が頻発をしております。災害による被害は、事前の備えの有無により大きく異なるため、各企業に対し事前対策を促していく必要があると思っております。

 中小企業に関して言えば、そのために、昨年七月に施行した中小企業強靱化法に基づいて、自然災害を始めとするさまざまな災害リスクへの備えを促すために、中小企業、小規模事業者が策定する防災、減災に係る計画を認定する制度を開始をしたところであります。

 そして、さらにまた、今ありました、日本の主力産業である自動車産業、これも部品を中国に頼っている企業もあるかもしれない。でも、ほかの事情で、今工場を、生産調整をさせているところもある。各社各様の動きであると承知をしているところであります。

 いずれにしましても、製造業を大切にしたいという思いもありますので、今回の事案を受けた上で今後どうしていくかということは、業界も含めて考えていかなければならないことだと思っておりますし、現状の、今の対応ということでは、例えば自動車産業であれば、自動車工業会と部品工業会と経済産業省で連絡の協議会をつくって、どういう対応をしていくか。それは、融通のこともあるでしょう、物流に関してどう協議をしていくかということもあるでしょう、そういったこともやっているわけでありますけれども、大企業から中小企業、零細企業まで含めてBCPというのは非常に大切なことであって、どうしていくか、そしてそれを後押しする形で制度というものをしっかり強化をしてまいりたいと思っております。

緑川分科員 これまでは、やはり自然災害に重きを置いたリスク管理というものが平成の時代の重要なテーマでありました。この令和に入って、重要な新たな局面のリスクにどう対応していくかということ、政府対応、やはり求められるというふうに思います。

 あわせて、リスク管理ということに関して、首都圏の企業では、今月に入って、全ての従業員を対象にしてテレワークを始めたところも出てきています。

 例えば、在宅勤務を原則として、社内でミーティングをやらなきゃいけないときには、対面が必要な場合を除いてテレビ会議を行う、また、やむを得ずどうしても会社に出ないといけないというときには、公共交通機関は、できるだけ混雑するような時間帯は避ける、人が混み合う時間を避けて感染の危険も下げる、そういう出社をすることを取決めをしているところがあります。

 今回をきっかけに、このリスク管理ということについて、テレワークを始めとする取組も国として努めるべきであるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 少し前から、各企業や団体に対しまして、テレワークそして時差出勤ということを促しております。さらにまた、風邪ぎみである方、体調の悪い方は休みをとるような勧奨をしようということでお話をしております。

 そして、今週になって更にそれを強目に、また団体、企業等にお話をしておりますけれども、今週、私も団体に赴いてそういったことを更に確認をしたいと思っております。

緑川分科員 やはり、こうした動きは現場でもどんどんふえてきますし、国としてこれを横展開、その先進的な取組については共有をして、他の企業、取り組もうとしている企業にも素早く周知できるように、対応をお願いしたいというふうに思います。

 東京オリンピック・パラリンピックも夏に開催されますし、首都圏の交通の混雑にもこれからやはり対応していかなければならない首都圏の企業もたくさんあると思います。働き方改革を見据えた今後の取組の一歩目にもなると思いますので、そこも含めて国として主導していただきたいというふうに思います。

 コロナウイルスということで、今度は、その感染防止に不可欠なマスクの確保についてお尋ねをしたいと思います。

 政府が、先週、菅官房長官も会見で、供給できる見通しと発表した毎週一億枚以上の供給分については、医療や介護の現場に優先的にまずは配分されるということであります。まず、患者や施設利用者のウイルス感染による重症化のリスク、また、院内感染を防ぐ上では、これは大変重要であると思います。

 一方で、やはり、ちまたでの不顕性感染、つまり無症状の人によるほかの人への感染も警戒をしなければなりません。今や国内のどこで感染をするかわからない状況であります。

 この週末、私、地元は秋田県ですけれども、お店を見て回ったんですが、買い求めようとしてもなかなかマスクが手に入らないんですね。政府が供給できるとかなり自信を持っておっしゃっていただいたものですから、余計、かえって国民の不安は高まっているように思います。これから本格的に入りますが、やはり花粉症のシーズンとも重なっていきますし、一般の小売ではなかなか手に入りにくいマスクの品切れあるいは品薄の状況に国はどのように応えていくのでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 マスクにつきましては、まず、厚生労働省からも増産要請をしておりますが、これも受けまして、現在、国内主要各社で二十四時間の生産体制をしいてくださっています。また、中国からの輸入が徐々に再開をして、今月中旬から、例年以上の枚数、毎週一億枚以上の供給が確保されたというふうに聞いております。

 一方、ことし一月以降は、急激な需要増により、店舗における販売量が昨年と比して大きく膨らんでおります。現状では、店頭では品薄の状態にあります。また、新型コロナウイルス感染症患者の増加に伴い、医療機関においても需給が逼迫しているというふうに承知をしております。こうした中で、来月には月産六億枚を超える規模に供給力の拡大を図るべく、経済産業省とともに政府一丸となって、さらなる増産等を働きかけていくこととしております。

 また、医療用のマスクでございますが、各都道府県に対し、備蓄の数量調査、これを行うとともに、在庫の不足が見込まれる感染症指定医療機関に備蓄を振り向けることや、備蓄の増強を検討するよう要請するなどの対応を行ってきたところでございます。

 引き続き、生産、流通状況をきめ細かく把握をして、できるだけ早く品切れが緩和されるよう、官民連携して取り組んでまいりたいと考えております。

緑川分科員 まず、優先的に配分されるべき医療機関あるいは福祉施設の需給、まず逼迫している、かつかつである、足りていないところが当然ある。

 そういう中で、ちょっと伺いたいと思うんですが、連休を挟んでしまってちょっと通告できなかったんですが、時事通信の記事で、おとといの夜に、マスクや防護服、除菌シートなど緊急支援物資およそ四十トンが中国上海行きの航空会社の臨時貨物便に積み込まれるという、その様子を写真で写したという記事がありました。

 マスクは、やはり国内で、医療機関、福祉施設でさえ足りていない。そうした中で、このマスク、日本国内でつくられたものがどのくらい中国に送られているのか、わかるところで構いませんので教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 大変恐縮でございますが、今現在、そういった、まず報道の内容、それから中国へ今出ている量というものについて、今手元にデータがございません。

 一方で、先ほど厚生労働省から御答弁申し上げましたように、厚生労働省、経済産業省におきまして、国内のメーカーに対しましては増産要請をし、そして、国内需要に対する優先的な供給ということをお願いしているところでございます。

緑川分科員 先ほど厚生労働省の方から、輸入は始まっているんだと、マスクは中国からの輸入がどんどん再開してきているということは、これは希望を持ちたいというふうに思うんですけれども。

 要は、輸出をしている中国で、なぜ、こちらから支援物資としてまた、本来国内で足りていないこのマスクを支援物資として送っているのかというところ、これ、国は把握されていないんでしょうか。

八神政府参考人 今お尋ねの件について、私はちょっと承知をしておりませんでした。

緑川分科員 承知をしていないというのは、これは国が全くかかわっていない事業ということなんでしょうか。

八神政府参考人 ちょっと、報道等をまだ見て確認できていないので、何とも、ちょっと、今お答えしようがございません。失礼いたします。

緑川分科員 これ、別にきょうの話でないですし、きのうでもないし、おとといの夜に積込みがあったわけです。それに対して、増産した一億枚分のうちのマスクがこれは含まれているのかどうかとか、あるいは輸入した中国のマスクはどのぐらいの数なのかとか、そういうところも、やはり情報が届いていないというのはちょっと疑問に思うんですけれども、その支援物資の存在については存じないんですか。

八神政府参考人 ちょっと、どこまでわかるか、私の方で確認をしてみたいと思います。

緑川分科員 やはり、まずは自国の健康、命を守っていくという視点にもちろん立っていらっしゃると思いますけれども、なぜ、国内で不足しているものが緊急支援物資として向こうに送られているというものが、事実としてこれは報道されております。これはやはり、どういうことなのか、どう理解したらいいのか、大変戸惑うところであります。

 まず、この医療機関、介護施設へのマスクの配付が、在庫は十分足りているのか、これを確認した上で、本来、余裕があるから支援物資として送っていますというようなお答えがあるのであれば、そこは理解をするところなんですが、報道も承知していないというのは、余りにも私は乱暴なことだ、いいかげんな話だというふうに思います。

 時間がないのでちょっと次に移りたいと思いますけれども、この国内のマスクを製造する製紙会社も、今ある設備で二十四時間体制で生産していらっしゃいます。国内需要に必死に応えようとしている。その日夜の御努力がありますけれども、その増産したマスクの流通のあり方も、国内流通のあり方も考える必要があると思います。

 マスクが店頭に並んだとしても、それを一部の人に買い占められたり転売されたりというケースが今目立っています。命を守るための生活物資をネットで高値で売りさばいて荒稼ぎするような人間とか、あとは外国人による買占め、国外に持ち出してしまう、そういうケースがとまりません。

 毎週一億枚以上の供給と言ったところで、来月は六億枚の増産だと、国内のマスク不足を補える保証は、こういうような事例があると果たして満たされるのかどうかというのは、そういう保証はないというふうに思います。

 政府答弁書にあるような、買占めや売惜しみをする業者への調査や指導はこういう事例があってもしない、業者にはそうした行為の自粛を求めるというだけで、それだけの対応ではやはり手ぬるいと言わざるを得ません。

 業者による不当な買占めや転売に対する法的な規制がやはり求められると思いますけれども、今後の対応を伺います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、買占め、転売などへの対策としては、厚生労働省や消費者庁と連携しながら、マスクの流通、販売を行う企業の業界団体に対しまして、一人当たりの販売量に制限を設けることを要請してきております。

 また、一部ネット上でマスクが高価格で販売されている、こういったようなこともございましたので、主要なネット流通事業者に出品者への抑制を働きかけてきたところであり、具体的な対応もとられているというふうに承知しております。

 まずはこういった取組を浸透させて、その上で、今後の対応として何が効果的な対策となり得るのか、こういったさまざまな選択肢について関係省庁や産業界とよく検討してまいりたいと思っております。

緑川分科員 その効果的な御対応というのが、ネット販売業者、その出品者に対する規制というところでもやはり十分でないと思います。マスクだけではなくて、消毒用のアルコールとか、あと除菌シートなどを高額転売をする出品者に対して、通販サイトの自主規制というのは形だけになっています。出品拒否をしているわけではないですね、通販会社も。限界があるわけです。

 命の危険を逆手にとった生活必需品の悪質な高額販売、これはやはり放置するべきではないというふうに思います。国による早期の対処をまず求めたいというふうに思います。

 時間が中途半端になってしまいまして、済みません、残りの時間、ポイント還元制度を予定していたんですが、後日ちょっと議論させていただきたいと思います。

 補助金について最後に何問かお尋ねをしたいと思います。

 ものづくり補助金、そして小規模事業者持続化補助金、またIT導入補助金の三つがまとまって、中小企業生産性革命推進事業という名称になりました。

 このそれぞれの補助金、中小企業の生産性を高める意義、その中身は大事であります。大事であって、今や中小企業の主要施策になっているからこそ、補正で三千六百億円が措置されているということにはやはり違和感を覚えます。補正予算というのは、財政法二十九条で規定されているように、緊要性がなくてはなりません。

 今回は中小企業生産性革命推進事業という名称で、年々この名称も変わってきているんですが、しかしながら、生産性革命ということに関しては、二〇一七年に新しい経済政策パッケージの中で、二〇二〇年までの三カ年でやりますよと、集中期間で既にやってきております。それと同じような名称の事業を補正に立てて、しかも三年分今回まとめるというのは、法の趣旨にはやはりそぐいません。三千六百億円は本予算に立ててまず対応するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 この中小企業生産性革命推進事業でございますけれども、今後、この四月一日に中小企業も労働時間の上限規制の対象となります。大企業はもう一年前から、去年の四月からということでございます。さらには被用者保険の適用の拡大とか、それから累次最低賃金の引上げが行われておりますけれども、あるいは同一賃金同一労働、いろんな社会制度の変更が予定をされておりまして、そのことが中小企業の経営にどのように圧迫といいますか影響を与えるのかという観点から、これは結構緊急性がある、その準備として、中小企業の経営者の声を聞きますと、一日も早く対応したいんだ、三六協定をつくりたいんだとか、生産設備をつくりたいんだという声がございました。

 したがいまして、今回、補正予算で、御指摘のとおり三千六百億円の、三つの補助金というものを措置させていただいたというのが背景でございまして、私どもは、これは緊急的に措置すべき予算であるという判断のもと、今回、補正予算ということで計上させていただいたというところでございます。

緑川分科員 やはり、生産性ということに関連したまず働き方の見直しを受けて、あるいは経済情勢の変化の影響を受けやすい中小企業、こういうタイムリーな支援を実施するという意味では、確かに緊急性の高い予算、この措置をしてきているというのはあると思います。

 しかし、例えば二〇一八年度の補正で計上されたものづくり補助金については、これは、GDPがマイナス成長になった、これを受けて中小企業、小規模事業者に対する支援を拡充する必要性が出たということで補正で措置されています。今年度もそういった理由づけで措置をされていらっしゃいますけれども、例えば、GDPがプラス成長だった期間についても同じように、これまで七年間、補正で措置してきています。やはりありきというふうに言わざるを得ないんですね。

 一方で、臨機応変な対応というのは大変重要です。もちろん大切なんですが、だからこそ、恒例行事のように補正で組まれるのではなくて、事業者の予見可能性をまずは高めていくための本予算で予算立てをするべきだというふうに私は思います。

 こういうふうにタイムリーな支援をしていくという形であれば、その支援の結果、緊急の支援の結果がどうであったのか、一つ一つの事業の成果、効果を分析するべきであるというふうに思います。その採択された事業のうち、どれくらいが成果の報告として事業者から上がってきているんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去五年間で補助金を受給した事業者のうち、私どもはフォローアップ報告書、提出をいただいております。補助金を受ける際に、事業期間として三年から五年、どれぐらいで事業にするんだという約束のもと、計画に書いていただきます。その後、フォローアップ報告書を五年間出していただくということで、九九・八%の事業者からこのフォローアップの報告書の提出をいただいている、こういうところでございます。

緑川分科員 質問はこれでもうできないと思いますから、私から最後に申し上げますけれども、やはり、九八%以外のところについても、全てを把握できなければ正確な数値は出ないというふうに思います。

 昨年五月の経済産業委員会で、当時の世耕大臣、御答弁ありましたけれども、補助金を使った企業と使っていない企業で売上げが大体四割ぐらい違うというような効果測定があると言っていますけれども、これは本当でしょうか。実態と余りかけ離れた数字ではないかというふうに思います。

 引き続き、こうしたところを、正確な数値というものをまずは議論の土台にするべきであると思いますし、その上で、今後の生産性革命推進事業のあり方についての話を進めるべきだというふうに考えております。

 時間が来てしまいましたので、また議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて緑川貴士君の質疑は終了いたしました。

 次に、鬼木誠君。

鬼木分科員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 本日は、予算委員会分科会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、旅館業に特化をいたしまして質問をさせていただきます。

 今、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、経済にも大変大きな影響が出ようとしております。

 二月の二十日木曜日には、私の地元福岡でも発症がありまして、それからもう軒並み、あらゆる会合、イベントが中止、延期、キャンセルということで、そうしたことが全国でも起こっていくのではないかなと思います。

 特に、旅館業というのは国際情勢の影響を受けやすい業種でございます。

 昨年は日韓関係の悪化による韓国人観光客の減少、そして、ことしは新型コロナウイルスの影響によるインバウンド減少、さらには、外国の方が来られなくなっただけではなく、国内の移動や宿泊も減少しようとしております。

 旅館、ホテルについては、三月、四月、五月といった日本人の利用客にもキャンセルが相次いでいるということで、日銭が入るビジネスモデルの観光業、旅館、宿泊、ホテルといった業種が、目の前の宿泊客が来なくなった、目の前の売上げが入らなくなったのみならず、来月、再来月、またその翌月も、確保していた売上げがなくなっていったというところで、大変皆さん先行きを心配しているという状況でございます。

 そうした中で、ここまで深刻になるより前からこの質問を用意していましたので、ちょっと直近の、目の前の売上げという話ではない、もっと中長期の対策の質問が多くなるんですが、私、全国の旅館、ホテルの若手経営者と意見交換を繰り返しておりまして、その声をもとに、皆さんの声をもとに、いろいろな課題と対策を質問していきたいと思います。

 経産省に限らず、いろいろな省庁にきょうはお越しいただきました。省庁の取組と現場の理解との間に差がある部分もたくさんあると思います。実は、取組、対策しているんだけれども、きちんと活用できるように理解されていない、そうした距離も縮めていきたいと思っております。

 まずは、バリアフリー補助金から質問いたしたいと思います。

 オリンピック・パラリンピックに向けまして、日本も、政府も着々とバリアフリー対策を続けてきております。ことしもハードからソフトへという法改正も行われようとしておりますが、そうした中で、どうしてもバリアフリーというと大規模のものに目が向いていきがちでございますが、旅館の場合、和室五、六室など、小規模の改修ニーズもたくさんあるわけでございます。

 また、零細旅館でも活用できるように、今あります上限百万の実額補助、これも、オリンピックまでと言わず、もうちょっと残してほしいなという声も強く残っております。

 そうした中で、バリアフリーの傾斜角の基準が厳し過ぎるという意見があります。大きな施設を念頭に設定されているので、広い敷地でありますと傾斜角がゆったりとれるかもしれないんですけれども、小規模旅館はなかなかそれを満たすことができないので、その傾斜角基準を満たすためにかさ上げをして、余分なコストアップを余儀なくされているといった声もございます。

 傾斜角の要件を緩和できないかという意見があるんですが、これに対して国交省から御意見をいただきたいと思います。

    〔主査退席、神山主査代理着席〕

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者の多様な宿泊ニーズに対応し、ストレスなく快適に旅行できる環境を整備する上で、施設の規模にかかわらず宿泊施設のバリアフリー化を促進することは大変重要であると考えております。

 このため、宿泊施設向けバリアフリー補助金では、中規模あるいは小規模の宿泊施設のバリアフリー化を促進する観点から、ハード面だけではなくてソフト面での取組もあわせて総合的に勘案して、高いバリアフリー効果が期待できる計画であれば、これを認定することとしております。

 委員御指摘の傾斜角につきましても、例えば、ハード面だけではなくて、従業員の方が移動時にサポートすることにより移動の円滑化が確保されていることなどにより、高齢者あるいは障害者の方々が利用しやすい環境が整えられていれば、計画を認定しております。

 この結果、令和元年度におきましてバリアフリー改修計画の認定を受けた宿泊施設、これはバリアフリー化の計画認定をということでございますけれども、約五割は客室数三十室以下の宿泊施設となっております。

 観光庁といたしましても、引き続き、規模の大小にかかわらず、宿泊施設のバリアフリー化を進めてまいります。

 以上でございます。

鬼木分科員 ありがとうございます。

 やはり、目的は、そういったいろいろな境遇にある方が快適に使っていただける、そして訪日の方にも活用いただけるということが目的ですので、そういったきめ細かい対応、現在でもしていただいているということですが、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、旅館の耐震基準について質問いたします。

 旅館の耐震基準が、五千平米以上の施設が対象となっております。これは、耐震基準ができまして、五千平米以上の面積がある施設で耐震基準を満たしていなかったらその施設の名前を公表しますよという厳しいものでしたので、その厳しい基準を満たしてもらうために、補助金の要件とイコールになって、五千平米以上のものには十分な補助金をつけようということで、五千平米以上ということになっているんですが、それ以下の規模の旅館でも、改修したいな、うちもこれを適用していただければ手を挙げるんだけれどもなということで、まだ改修できずにいる五千平米以下の施設がたくさんあるんですね。たくさんかどうかわかりませんが、ある程度あるわけですね。

 なので、補助金の基準を、例えば三千平米以上とか、五千平米から下げてもらえれば、改修したい、この補助があればするという意思を持った旅館が積極的に手を挙げてもらえるということだと思います。耐震の旅館をふやしていくという目的から考えれば、補助金の基準を下げるというのも一つのアイデアではないかと思いますが、国交省から御回答をいただきたいと思います。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 地震時の国民の生命財産を守るため、建築物の耐震化を促進することは大変重要な課題であると認識しております。

 このため、従来より、一千平米以上の旅館等多数の方が利用される建築物につきましては、地方公共団体が補助を行う場合に、国として、防災・安全交付金等により支援を行ってきてございます。

 また、特に安全性の確保を図る必要性が高い、五千平米以上の旅館など不特定多数の方が利用する大規模な建築物や、老人ホーム等避難弱者の方々が利用する大規模建築物につきましては、平成二十五年に、御指摘のように、耐震改修促進法を改正いたしまして、耐震診断を義務づけるとともに補助率を引き上げて、改修による建築物の安全性の確保を促進してございます。

 さらに、五千平米未満の旅館でありましても、避難所として地域防災計画に位置づけられているような場合には通常よりも高い補助率を適用するとともに、都道府県の耐震改修促進計画に避難所として位置づけられた場合には更に高い補助率を適用する仕組みとしてございます。

 このような制度の周知を図ることによって、地方公共団体と連携しつつ、御指摘のような五千平米未満の旅館につきましても耐震化の促進を図ってまいりたいと存じます。

鬼木分科員 いろいろな災害のときに、実際、旅館がたくさんの人を受け入れた例などもありますので、そうしたこともちゃんと考慮に入れながら、避難所としての活用、そして耐震化、しっかりとお客様も守る、そういった目的を果たせるように活用させていただきたいと思います。

 続きまして、省エネ等の補助金について伺いたいと思います。

 空調やボイラーなどの買いかえの申請なんですが、設備更新時に補助金をいただけるということで、より機能のいい、エネルギー効率がよくて環境負荷が低いものに更新しましょうというインセンティブで補助金をつけていただいております。

 省エネについてはエネ庁、そしてCO2削減という意味では環境省といった補助金があるんですが、これらの申請がなかなか一般の旅館には難しいという声が出ています。そういった省エネの削減量などの計算が、よろず支援相談員などに相談してみても、なかなか試算できる人がいないという声があります。そしてまた、省エネの対象業種が、どうしても工場といったものがメーンなんじゃないか、旅館のような事業者はどうなっているのという声も聞かれております。

 温泉地もあれば、天然の温泉でない宿、ホテルとなりますと、大量のお湯を重油をたいて沸かしたりしているわけですので、こうしたところも省エネしていくことで十分な政策効果が出せると思いますが、省エネに向けて、こういう使い勝手が悪かったり難しいとおっしゃっている方がおられる中で、どういう支援をなさっているかということを伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 徹底した省エネルギーの推進というのは、持続可能なエネルギー社会とエネルギーミックスの実現の上で大変重要なものだと考えておりまして、旅館、ホテル業も含めまして、あらゆる分野での省エネの促進に取り組んでまいりたいと思っております。

 経済産業省といたしましては、いわゆる省エネ補助金というものを設けまして、業種を問わず、施設全体で行う省エネ性能の高い設備、システムへの更新に対する支援を行っておりますとともに、これは小さな旅館やホテルの方々でも御利用いただきやすいように、個別の空調機器ですとか設備の更新に対しても御支援することといたしてございます。

 令和元年度におきましては、旅館、ホテル業における空調、ボイラー更新につきましては、施設全体での案件について六件、個別の単位での更新について五十三件の支援を行ってきているところでございます。

 委員御指摘のように、これを御申請いただくに当たりまして、大変難しい計算とかも必要になってまいるかと思います。そういう場合に、御支援に対する相談の窓口といたしまして、各都道府県に省エネルギー相談地域プラットフォームというものを設けてございます。ここの方にお問い合わせいただきますれば、補助金活用等に当たっての省エネ量の試算を始めとしたきめ細やかな省エネ相談などを行えるような形にしてございまして、なかなか大きな都市にお越しいただくのも大変でございますので、電話やメールなどでの相談の受け付けをいたしますとともに、場合によっては個別に専門員を旅館、ホテルの方まで出向かせていただきまして御相談に乗らせていただくような体制をとってございます。

 また、委員から言われましたように、環境省の方でも、先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業ですとか、CO2削減ポテンシャル診断推進事業といったものも実施されていると承知しておりまして、両省でよく連携協力しながら、省エネ、省CO2の推進を取り組んでまいりたいと思ってございます。

鬼木分科員 ありがとうございました。

 環境省も仕組みとしては類似ということで、両省とも、診断してくれる方がちゃんとおられる、そして出向いてくれるということまでお答えいただきましたので、ぜひ周知して活用いただきたいと思います。

 また、個別の空調、施設全体じゃなくて個別にも対応しているというのを私も知りまして、ぜひ積極的に伝えていきたいと思います。

 次に、働き方改革についてお伺いします。

 これは厚労省になるんですが、働き方改革がスタートいたしまして、労働集約型の旅館業また伝統的なビジネスモデルというのは、なかなか、いろいろな難しさを抱えております。その中で、勤務間インターバル制度というのが非常に厳しいので、今の努力義務というのを性急に義務化、罰則というふうに、性急に進めてほしくないなという声が出ております。

 旅館は宿泊客相手の二十四時間サービスという側面がありますので、余りそこをぎりぎり厳しくされると、夜中におにぎりが出るとか、そういったきめ細やかな、顧客満足度を上げるサービスというのが維持できなくなるといった声がございます。

 もちろん、現場の旅館業も、従業員の労働環境の改善には取り組んでいきたいというつもりは十分お持ちのようなんですが、それは今の人手不足の世の中で、労働環境が悪いと本当に人が来ないということで、積極的に取り組みたいという気持ちは現場も持っておられるんですが、そういった旅館業に対して、特にこの勤務間インターバル制度、どういうサポートができるかということをお伺いいたします。

本多政府参考人 お答えいたします。

 勤務間インターバル制度と申しますのは、一日の勤務が終了しました後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間、すなわちインターバル時間、これを確保していただく仕組みでございまして、労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保しようとするものでございます。

 労働時間等設定改善法が改正をされまして、昨年の四月から、この勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務ということとさせていただいております。長時間労働となっている企業や業界におきましては、まずは時間外労働の上限規制を遵守していただき、さらに、フレックスタイム制度などの柔軟な労働時間制度やこの勤務間インターバル制度を導入していただくことが、長時間労働を是正する有効な手段だと考えております。

 そのため、厚生労働省といたしましては、民間企業が実情に応じたやり方で制度を導入しようとなさる際に参考となるマニュアルを作成、周知をいたしましたり、また、制度を導入する中小企業に対しては助成金を支給させていただいておりまして、こういったことなどによりまして、引き続き、旅館業も含めて、勤務間インターバル制度の円滑な導入促進に努めてまいりたいと考えております。

鬼木分科員 マニュアルの作成や助成金といった形で推進を図っていただけるということで、また、実情に応じたやり方というふうな表現もございました。まさにそこですね。

 伝統的なやり方、サービスの提供の仕方、やはり二十四時間宿泊客の満足度を高めていくというために、では、現状どうやってきたかというと、住み込みで近くに、もう本当に隣接したところに人が住んで、従業員も十分休みはとれているんだけれども出てくることがあると、そこはもうインターバルがないというふうになってしまうようなところもあります。

 そうしたところが非常に厳しく厳しく、突然性急にやられて罰則だとなると、もう事業が成り立たなくなってしまうので、ぜひそこは、現場の業界と、伝統的なビジネスモデルとの、サービス提供との両立も含めたところで、インターバル制度をどう実現していくかというのは丁寧にやっていただきたいというのが要望でございます。

 続きまして、旅館の労働生産性向上について経産省に伺います。

 労働生産性を高めるというのが、本当に働き方改革を始め日本の産業界の大事な課題でございますが、旅館業界は、先ほど言った手厚いサービスもあり、また人手不足の中でマンパワーに依存しているビジネスモデルでもあり、労働生産性が低い低いということで非常にたたかれがちな業種でございます。

 しかし、かといって、サービスを低下させるわけにはいかないわけですね。お客様のニーズというのは、ベッド・アンド・ブレックファストを求めて来ているわけではないわけですね。コンフォートを売るといいますか、快適、くつろぎ、癒やしといったものを求めてお客さんは来られているという中で、どうやって労働生産性を旅館業が上げていくのかということをちょっと議論してみたいと思います。

 労働生産性というのは、労働による成果を労働投入量で割ったものでございます。分子に付加価値、売上げ、そして分母に労働投入量、これで割り算をするわけですね。なので、これを上げていくためには、分子の付加価値や売上げを上げていく、若しくは分母の労働投入量やコストを下げていく、そのどちらかで、若しくは両方でやっていくしかないということになります。

 そういう中で、今の旅館業というのは手厚いサービスがお客さんの満足の購入対象になっておりまして、例えば、お部屋で食べる食事というのは、食堂でみんなで集まって食べる食事に比べますと、明らかに非効率、コスト高になるわけですね。しかし、旅館を選ぶ、選択するお客様はそうした至れり尽くせりのサービス、付加価値を望んでやってくるわけでございます。

 玄関に到着したときにお迎えがありまして、いらっしゃいませと。そして、部屋まで荷物を運んでくれて、そしてお茶とお茶菓子でちょっと一服、ほっとする。その後、部屋でゆっくり家族で食事をする、若しくは団体客であれば、大広間に行って、飲んで歌って騒いで宴会をする。そして、温泉に入ってゆっくりして、そして浴衣に着がえて部屋に戻ってくると、お布団が敷いてある。それから、その浴衣姿で、ちょっともう一杯いくか、二次会行くかと浴衣に草履を突っかけて温泉街に出ていって、スナックで騒いで、カラオケを歌って、そして部屋に戻ってくると、ちょっと小腹がすいたね、おにぎりをいただけませんかと。

 もうこれがみんなの楽しみ、癒やしで、よかったね、日本の温泉、旅館はすばらしいね、外国人にもこれを知ってほしいと。それでまたリピーターが来るという伝統的なビジネスモデルになっているわけですね。

 そうやって、それを望んで、また、海外の人にもこの楽しみ方を知ってもらってまた日本各地の温泉地に来てもらおう、リピートしてもらおうというところで、余りに厳しく労働生産性といいますかコスト削減といいますか、そこを厳しくやりますと、サービスの提供が制限されますと、どんどん旅館のよさというのがなくなっていくわけですね。ですから、サービスを削るという方向はなかなか難しい。

 となると、旅館にできる労働生産性向上は、先ほど言った分子と分母の計算式ですね。その分母の、付加価値、売上げを上げていくという方向性、サービスに見合った付加価値をお客様からきちんといただくという方向性。それと、労働投入量の部分においては、削減できないサービスがあるならば、そこの削減できないマンパワーを、例えば、ITに置きかえられる部分はITに置きかえる、若しくは、どうしても人の手が必要なところは人の手でやるけれども、ほかの事務的なコストのところを削減していくといった形で、この分子と分母の改革を行っていかないといけないということになるのではないかなと思っております。

 旅館業には限らないかもしれませんが、旅館業を始めとしたサービス業が生産性を上げていくために経産省はどのような支援ができるか、お答えください。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、労働生産性でございますけれども、労働者一人当たり又は労働一時間当たりでどれだけ多くの付加価値を生み出したかを示す指標でございまして、労働投入一単位当たりの製品やサービスの産出量、産出額としてあらわせるものでございます。

 したがいまして、旅館業を含みますサービス産業の労働生産性を高めるためには、これも議員御指摘のとおり、分母に当たります労働投入量を減らす効率化だけでなく、分子に当たります付加価値向上の取組もまた重要でございます。

 現在、労働生産性向上のための支援策といたしまして、IT導入補助金を措置しておるところでございますけれども、ITツールの導入によりまして、バックオフィス業務の効率化、これは分母部分でございます、これに加えまして、システムやデータ活用による高付加価値化、分子部分でございますけれども、こうした効果も見込まれるところでございます。

 具体的には、帳簿管理をIT化することで煩雑な事務作業から解放され、あいた時間で担当職員が営業に回ったり、手厚いサービスに回すことができ、新規顧客開拓が実現した事例も出始めておるところでございます。さらには、ネット検索に対応できる機能を整備することで新規顧客の開拓につながったケースや、顧客情報管理ツールや売上管理ツールの導入によりまして、来店客の属性に合わせた新たな料理メニュー開発ができ、売上げ向上につながったケースも出始めているところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き、IT導入補助金を含む支援策を講じることで、旅館業を含む中小サービスの生産性向上に取り組んでまいりたいと考えております。

鬼木分科員 続いて、ものづくり補助金について伺います。

 ものづくり補助金も、三%の付加価値向上など、要件の達成がちょっと旅館にとっては難しいという声があります。旅館の場合、さまざまな部門がありますので、部門ごとの三%改善であればできるんだけれども、全体で三%というのはなかなか難しいなということが言われております。

 旅館業だけを要件緩和というのは難しいというのはわかっておりますが、労働生産性の分解式でいうところの分子の部分、付加価値向上や顧客開拓に向けてどういう支援ができるかということをお答えください。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 ものづくり補助金は、新たな製品、サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資等を行う中小企業を支援するものでございます。申請時には、付加価値額が年率平均三%以上向上する事業計画の策定を求めております。これまで、製造業で多く利用されている一方、旅館業等のサービス業にとってはハードルが高いといった声もあることは承知しております。

 他方、ものづくり補助金についても、単なる設備投資にとどまらず、旅館において、従業員のスキルと顧客ニーズをマッチングする独自の労務管理システムを開発導入し、従業員のワーク・ライフ・バランスの向上と顧客満足度の向上を両立させ、この結果、付加価値額が二〇%増加した事例もございます。

 また、付加価値の増加を要件としていない補助金に、小規模事業者持続化補助金がございます。本補助金を活用して、例えば、オンラインサイトを開設し、地域の歴史、文化を取り込んだ宿泊プランを発信するなど、販路拡大や顧客の消費喚起に取り組むこともできます。

 さらに、令和元年度補正予算で行うこれらの補助金では、通年で公募し、定期的に採択を行うことで、事業者が締切りに駆け込むことなく、じっくりと事業計画を検討いただける仕組みとする予定でございます。

 こうした事業者の使いやすさにも配慮しながら、ものづくり補助金や持続化補助金を通じ、旅館業を含む中小企業の付加価値向上の取組をしっかりと支援してまいります。

鬼木分科員 もう時間が近づいてきましたので先に進みますが、キャンセル料について伺いたいと思います。

 旅館、ホテル、今回は新型コロナで物すごい量のキャンセルになっているんですが、これはちょっともうやむを得ないかもしれないんですけれども、平常時でも、ネットで申込みなど、また電話で申込み、当日になって平気でキャンセル、ドタキャンするという人がいて、結局いろいろな材料をだめにしたり利益を逸失したり、大変困っているということで、キャンセルに対してコストを請求できる、又はキャンセル料を当然にいただくことができる、そういったルールをつくってほしいという声がございます。

 旅館等のキャンセルについて、国交省の取組や考えを伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 観光庁におきましては、国際観光ホテル整備法に基づく登録ホテルあるいは登録旅館を対象にモデル宿泊約款を定めております。このモデル宿泊約款におきまして、宿泊客がその責めに帰すべき事由により宿泊契約の全部又は一部を解除した場合は違約金を申し受けることを定めています。

 観光庁といたしましては、引き続き、登録ホテル、旅館、あるいはこれらも含めたホテル、旅館等に対しましてモデル宿泊約款の周知を図ってまいります。

鬼木分科員 もっといろいろ議論したかったんですが、時間が来ましたので、最後に。

 セーフティーネット貸付けを早速スタートしていただきまして、経産大臣、ありがとうございます。西日本豪雨のときは三週間かかったということで、大変心配されていたんですが、おかげでスタートしました。

 あと、雇用調整助成金ですね、厚労省。中国人割合が一〇%以上という条件がありますけれども、もう中国人におさまらず、日本人のキャンセルも物すごい勢いで進んでいますので、ここも何とか要件緩和していただきますように要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

神山主査代理 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、秋本真利君。

秋本分科員 自由民主党の秋本真利です。

 ちょっと質問の順番を変えたいと思います。

 きょう午前中に、すごく大きなニュースが飛び込んできました。小泉環境大臣が、石炭輸出の四要件を見直すということを発表をいたしました。私は、非常に喜ばしいニュースですし、政府も思い切った決断をしたなというふうに思います。

 夏までぐらいの見直しだということですから、四要件が見直されて、石炭火力がこれ以上国外に輸出されるということがなくなればいいなと、私自身は思っているわけであります。

 そこで、お尋ねをいたしますが、今まさに問題になっているベトナムのブンアン2でありますけれども、ここは、中国の企業と、三菱であるとか日本の電力会社が資本として参加しているのではないかと言われていますが、この出資比率について政府はどのように把握しているでしょうか。お答えいただけますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 このベトナムの石炭火力、ブンアン2でございますが、出資比率については、企業の経営上の秘密に当たるということから、お答えは差し控えさせていただくということでありますが、本事業の取りまとめは三菱商事が行っている、そのように承知をしております。

秋本分科員 企業の秘密で公開しないということですが、表に実質、出ていますよね。出ていますけれども、その数字が本当に現在も最新の状況として正しいのかどうかというのはしっかり見なければならないんじゃないかなと思っています。

 四要件の中で、日本の高効率の石炭火力への要請という意味では、そのトップたる出資比率がどの程度を占めているのかというのは非常に大きなファクターだというふうに思います。

 私は、ちょっと申しわけないですけれども、私が何を指摘しようとしているのかわかっているから比率を言わないんじゃないかなというふうに思いますけれども、しっかりと四要件を見直していただきたいということを改めてお願いをして、先に進みたいというふうに思います。

 今回は、この間、予算委員会でちょっとエネ庁さんに来ていただいていたんですが、時間がなくてたどり着かなかったことについてお伺いをしたいと思います。

 それは何かといえば、福島第一原発の汚染水対策についてであります。

 今、三・一一が刻一刻と近づいてきている中で、世の中ですごく大きなニュース、関心事というのは、汚染水を海に排出をするのか、あるいはしないのかというところにスポットライトが、汚染水に関しては当たっておりますけれども、私は、かねてから、タンクにたまっている汚染水ももちろんですが、上流に興味がありまして、今回はその部分について質問したいと思います。

 それは何かというと、今、世の中で、冒頭にスポットライトが当たっていると言った汚染水は、いわゆるALPSを通ってきた処理水でありまして、そのALPS処理水ということはどういうふうに処理しているかというと、わかりやすく言うと、フィルターで汚染水をこして、フィルターにひっかかった核物質を除去しているということなんですね。

 そうすると、当然、そのフィルターにかかった核物質は塊として出てきます。これはスラリーといいますが、このスラリーをポリの容器の中に入れて、これをコンクリートのボックスの中に入れて保管をしている。

 この容器のことをHICというふうに言いますけれども、このHICについてお伺いをしますが、今現在、四千百九十二基置けるはずであります置場に、何基ほど置かれているのか。

 つまり、どのくらい、パーセンテージとしていっぱいになっているのか、これは、このまま放っておくと二千何年ごろにそこがいっぱいになって、もう置けないよということになるのか、お伺いをいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、福島第一原子力発電所において、多核種除去設備ALPS等による浄化処理に伴って発生しました沈殿物のような水処理二次廃棄物につきましては、ハイ・インテグリティー・コンテナ、略しましてHIC、HICと呼ばれる保管容器に収納して、保管を行っております。

 現在の保管量につきましての御質問でございますが、三千三百十五基と承知をしております。先ほど御指摘ありましたように、保管容量は四千百九十二基でございます。

 このHICにつきまして、足元の発生量は、ALPS等の浄化処理設備の運転状況によるものの、一年間で平均して一カ月当たり二十八基程度であると承知をしております。

 一方、二〇二〇年一月時点でこの空き容量が八百七十七基分でありますことから、現在の発生量を仮定して機械的に試算をすれば、二〇二二年度中に保管容量に達することになると承知をしております。

秋本分科員 ということは、あと約二年でもう置場がいっぱいになっちゃうんですよね。だから、もう一刻も争うような事態になっています。

 だから、東電はこのスラリーを、水がたっぷり含まれている、いわゆるゲルのような状態ですけれども、ここから水を圧搾して、抜いて、塊にして、容量を小さくして保管をしようというふうに考えているようであります。

 そこでお伺いをしますが、このスラリーから水を圧搾して、抜いて、残った塊は当然線量が上がるんだろうと思いますけれども、線量としてはどのくらいになるのか、そして、その圧搾する作業というのはいつぐらい、当然施設を建設しなければできないわけですけれども、いつぐらいからその作業を開始することができるようになるのか、お伺いをしたいと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 HICに保管されておりますスラリーと呼ばれる沈殿物につきましては、より安全に保管する観点から、脱水処理により安定化すべく、御指摘のように、安定化処理施設の設計を進めているところでございます。スラリーを脱水処理することで、HICの保管容量に余裕が生まれるというふうに考えております。

 安定化処理施設につきましては、二〇二一年度内に一系統で運用を開始することを目標としておりまして、その処理能力につきましては、一日当たり三体を想定して設計を進めている旨、原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会で東京電力が説明をしたというふうに承知をしております。

 先ほどの表面線量でございますけれども、それについて、現在まだ設計中と承知をしておりますので、お答えできる状況にまだないというふうに考えております。

秋本分科員 線量は答えられないということですが、HICでさえ結構な線量なんですよね。HICに、仮にですけれども、しがみついて、それなりの時間いけば、人が死ぬぐらいの線量だと思いますから、それを圧搾して濃縮したということは、更に高い線量になるんだろうと思います。

 時期については、二〇二一年のどこかということで、一系統で一日三体ぐらいの処理ということになるんですね、大臣。

 そうすると、今冒頭で申し上げたとおり、四千百九十二体でいっぱいになる、一〇〇%になる。そこから、二〇二一年度中と言っていましたけれども、仮に二〇二一年の四月からこのHICを処理し始めたとして、東電が言っているとおり一日三体ずつ順調に処理できたとして、稼働率が仮に七〇%で動いた、つまり、一年のうち、三百六十五日掛ける七〇で稼働したとして想定すると、二〇三〇年の末ぐらい。そして、六〇%だと二〇三四年、五〇%になってしまうと何と二〇四三年まで、この処理にかかる。

 しかも、これは稼働率七〇、六〇、五〇という想定で今三つ話をしましたが、一系統なんですよね。

 ALPSも、最初は少ない系統で運転し始めて、どれだけトラブルを起こしましたか。全然順調に動かなかったですよね、冒頭。それで、新設ALPS、増設ALPS、高性能ALPSという形で、今ALPSが一体何基あるんだかわからないような状況になっちゃっていますけれども、そういうふうにして系統をどんどんどんどんふやして、何とか後ろから出てくる処理水を処理しているという状態なわけです。

 HICも、決して後ろが、悠長なことを言っているような状況ではなくて、二〇二二年にはいっぱいになっちゃうわけでしょう。一系統で一日三体、東電が言っているとおりきちっと処理できればいいですよ。でも、ALPSでもとんでもないミスを犯して処理が滞りました。HICも、聞いたところによれば、世界初の試みということになるわけで、決して、つくったから、普通の世の中にある設備、施設のように稼働率が順調に七〇だ、八〇だというふうになるとはとても思えません。

 それに、福島第一原発で我々が学んだのは、想定外に対応する、想定外をつくらないということであります。そういう意味では、一系統で三体ずつというようなことでは、私は少し憂慮すべき点があると思って、少なくとも複数の系統を最初からつくるべきだというふうに思いますけれども。

 では、今おっしゃった東電の処理の計画というのは、稼働率何%で計画して、一体、二千何年にこのHICがゼロになるという想定で今動いているんですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 この安定化処理施設の稼働率につきましては、現在詳細設計中と承知をしておりまして、現時点で確たる数値を申し上げる段階にはございません。まずは、東京電力においてしっかりと計画、設計を行うことが重要と認識をしております。

 御指摘のように、具体的な稼働率やトラブルが発生したときの対処につきまして、非常に重要なことであるというふうに思っております。現在東京電力が検討を進めているところと承知をしておりますが、HICの保管容量、それから処理にかかる年月なども考慮しながら、着実にスラリーの処理が進み、より安全な保管が可能となるよう、経済産業省としても、東京電力の取組を注視し、必要な指導を行ってまいる所存でございます。

秋本分科員 ちょっと、驚くような答弁でしたね。稼働率、想定していませんというのは、ちょっと私はいかがなものかなと、ちょっと答弁に驚きましたけれども。

 二〇二二年でHICはいっぱいになっちゃうわけですよ。もうあと二年ですよね。来年からもう施設を動かして処理していきますよ。一系統しかないわけだから、その稼働率いかんによっては、どん詰まりになってあふれちゃうということだってあり得るんじゃないですか、全然動きませんなんてことになったら。実際、ALPSのときはそうだったじゃないですか。ALPSは最初、全然、初期トラブルで動かなかったですよね。これは動かなかったらどうするんですか。

 もう一つ思うのが、このHICってポリなんですよね。簡単なポリ容器です、金属の容器じゃない。ポリ容器で、これがスラリーから出てくるガンマ線やベータ線で徐々に劣化していっちゃうんですよね。このHIC、耐用年数は何年だと思ってエネ庁は計算して動いているんですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 HICにつきましては、現時点で最も線量の高い廃棄物を収容するものにつきましては、ベータ線の影響によりまして、万一の落下事故に必要とされる材料強度に関して、十年を超えて維持することに課題があると評価されたものも確認されていると承知をしております。

秋本分科員 十年なんですよ、十年。二〇一三年の四月からこのHICというものは存在していますから、十年というと二〇二三年ですよね、もうそのころにはHICとしての耐用年数が来ちゃうんですよね。

 しかも、ちょっとお伺いしますけれども、当然、このHICというのは、今まで、アメリカだとかヨーロッパで、スラリーみたいなものを入れて、じゃ、これがベータ線でいっちゃう、落下試験に耐えられる耐用年数、十年だよねと。これは実地で出た数字ですか。それともこれは、加速照射等によって、いわゆる机上の、実験によって、それは十年だよねということに、私はそうだろうと。実験で、あくまでも加速照射で、いわゆるラボの中で照射し続けて、強い線量を照射し続けて、まあそうだね、想定十年だねということを出したんじゃないんですか。

 これは、実際、中にスラリーを入れて十年たって、ぼろぼろになっちゃったから十年という、実際の数字ですか、それとも、実験の、ラボの中での加速照射による、あくまでも理論上の数値での十年ですか、どちらですか。

新川政府参考人 HICにつきましては落下試験はしていると承知をしておりますが、私が申し上げました十年を超えて維持することに課題があると評価されたものというのは、評価によって、この十年を超えて維持することに課題があるとされたものであるというふうに理解をしております。

秋本分科員 いずれにしても、このスラリーというのは今まで世の中に存在しなかったわけですから、十年というのは、誰も、確実に十年大丈夫ですというのは言えないわけですよね。

 ですから、処理というのは早ければ早い方がいいわけで、さっき私が指摘したとおり、一系統、しかも、ちゃんと動くかどうかわからない、一日三体処理しますというのだけをうのみにして、このHICの処理をスタートして、いやいやいや、全然間に合いません、出てくるHICの方が多くて処理し切れなくて、HICの置場にHICがあふれちゃいましたなんてことになっては、これはとんでもないことになりますよね。

 冒頭申し上げたとおり、海に流すか流さないかで議論している汚染水とこのスラリーの線量、全然比較にならない線量ですよ。桁が幾つも違う。だから、このHICの処理というのには、しっかりと、私は経産省は東電を指導するべきだというふうに思っています。

 そして、驚くことに、東京電力はこのHICを再利用すると言っているんですよ、大臣。中に入っているスラリーを一回抜いて、これを圧搾して処理をしたら、あいたHICの容器にもう一回スラリーを詰めまっせと言っているんですよね。これは私は、やめた方がいいというふうに強く進言をいたします。

 こんなポリの容器、一体、一基幾らするんですか。廃炉全体の工程の中のコストでいったら、もうほんの少しの、〇・〇〇〇〇〇〇〇〇幾つじゃないんですか。このHICを再利用することによって、もちろん一円でも無駄のない方がいいけれども、HICを再利用するというのは私はいかがなものかな、強い懸念を示さざるを得ないというふうに思います。

 さっきも言ったとおり、世界初ということで、HICを何年、スラリーを入れて置いておいたら、これだけは大丈夫だよねというのは、もう東京電力が生きている実証実験というか、もうそこでしかデータがないわけで、絶対十年大丈夫、二十年大丈夫って、誰もわからないわけですよね。もしかしたら、現状のHICですら、これを圧搾機の方に移動するときに、もしかしたら壊れてしまうということだってあり得るわけですよね。

 私が言ったことって、おかしいですかね。このHICの置場から圧搾機のところまでHICを動かしていったときに、劣化して、絶対に十年以内だから壊れることはありませんと、新川さん、言えますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、最大で毎時十四ミリシーベルトという御指摘がございましたけれども、震災後初期の高い濃度の汚染水の処理に伴って発生したものにつきましての廃棄物をおさめたものは、最大で十四ミリシーベルトに達していると承知をしております。

 しかしながら、現在では、ALPS処理等で処理する水の放射性物質の濃度は、震災直後と比較しても低下傾向にございます。発生するスラリーの放射性物質の濃度も低下傾向にございまして、震災当初に発生したもの以上に高い濃度のHICが発生する可能性は低いと考えております。足下で発生しておりますHICの表面線量率はおおむね毎時〇・一ミリシーベルト以下と聞いてございます。

 スラリーを抜き出した後のHICの取扱いについて、現段階では、私ども、東京電力から計画の説明を受けているという状況ではございません。HICの健全性の評価と廃棄物の削減というバランスが重要と考えますが、東京電力の検討を踏まえ、経済産業省としても必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

秋本分科員 今、そのHICの置場から圧搾機まで持っていって大丈夫と思うかという質問だったんですけれども、ちょっと答弁が先回りしているような気がしますが。

 まあ、今現在ALPSから出てくる水は、確かに線量は低いんだろうと思いますよ、今おっしゃったみたいに。だからといって、じゃ、一番最初に処理するHICは、線量が高かったものからやるでしょう、当然。線量の高かったときに出たHICから、だって経年劣化しちゃうんだから、ベータ線で。当然、線量の高い危ないものからできれば処理したいよねと思うのは人のさがで、当然そうなりますよね。

 そうすると、出てきたHICを、じゃ、線量が低いからといって新たにスラリーを詰めていいのかといったら、決していいわけはないと思うんですよ。じゃ、最初出てきたものについては線量が高いものが入っていたから、HIC、これは使わないようにして、いつからのHICは使うことにしようなんというのは、線引きできないと思うんですよね。

 仮にですけれども、じゃ、そういうふうに、東電が言っているように再利用しましょうということになったら、もしそのオペレーションがうまくいかなかったら、またそこでトラブルが起きたら、HICの処理そのものに何か問題が起きてストップがかかるということになったら、さっきも言ったとおり、HICの置場だって余裕があるわけじゃないんですよね。

 ですから、やはりHICの再利用というものについては、私は、大臣、ぜひ、今聞いていていただいてわかったと思いますが、HICなんというポリの容器を、ただのポリ容器ですよ、これを再利用しようなんという考え方は、どうしてそんな考え方を持つのかということ自体が不思議でならない。

 これは、今答弁で、それが決まったわけじゃないということなので、ぜひ経産省の方から強く東電に申し入れて、再利用についてはやめろということをぜひ進言していただきたい。改めてお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

新川政府参考人 御指摘のように、HICの取扱いにつきまして、特に中のスラリーの安定化処理につきまして慎重にやるべきというのはそのとおりと思っております。

 HICの再利用につきまして、まだ私どもは説明を受けている段階にございませんが、先ほど申し上げましたように、廃棄物の削減とのバランスというふうに考えておりますが、しっかりと健全性の評価を行って、危ないことにならないように、しっかりと指導してまいりたいと考えております。

梶山国務大臣 東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策というのは、経済産業省の最重要課題であります。

 今のHICの件につきましては、実情そして事実関係、しっかり調べたいと思っております。

秋本分科員 当初予定していなかった、登録していなかった大臣がわざわざ手を挙げて、注視して、しっかりと見ていきたいという発言をしていただけたということは、私は経産省はしっかりと東電に指導していただけるものだというふうに期待をしていますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 最後にちょっと、そのHICですけれども、圧搾して線量の高くなったものをどこかに置きますよね。この置いたものについては、例えば、中間処理施設のように三十年後に県外に運び出す、あるいはオフサイト、せめてオンサイトではなくてオフサイトに運び出すとか、何か、線量の高い残渣についてどこかに移動するというような計画を今現在お持ちですか、それともそういうことについては考えていませんか、それともこれから検討する事項ですか。

新川政府参考人 まず、処理されたスラリーの保管場所については、現在東京電力において検討中の状況でございます。処理後のスラリーの線量など、性状を踏まえた上で、敷地外の環境に影響を与えることがないよう適切な保管場所を選択する必要があるというふうに認識をしております。

 また、廃棄物の処分につきましては、このスラリーに限りませんけれども、放射性廃棄物に含まれる放射性核種の種類や濃度といった性状やその発生量など、全体を把握した上で、処分施設の仕様及びそれに適した処分の技術的要件を検討していくこととなります。

 現状は、性状の把握を目的に瓦れき等の分析を進めているところでございますが、全体像の把握は、燃料デブリ取り出しなど、これからの廃炉作業が進捗して初めてできるものであると理解をしております。

 今後明らかになる全体像に基づく検討を進めていくことになりますが、いずれにせよ、国としては、福島第一原発から発生する廃棄物が適切に処分されるよう、最後まで責任を持って対応していく所存でございます。

秋本分科員 冒頭申し上げたとおり、今、汚染水というと、海に流す流さないという方にフォーカスがされていますが、一方で、今大臣聞いてもらってなるほどなと思っていただけたと思うんですが、上流にやはり線量の高いものがあって、そこの処理というのが余りメディアにも取り上げられなくて、HICという言葉を国会図書館に頼んで過去一年間ぐらいさかのぼったんですが、二つ三つしか出てこないんですね。それも全部、専門家が国会に来て、さらさらっと答えている中にHICという言葉が入っているだけで、HICそのものを質問で取り上げたのは私が多分最初になるんだと思いますが、そういう問題をぜひ政務の方や高級官僚の皆さんにも認識していただいて、全力を挙げてしっかりとこのHICの処理についても精励していただきたいと思いますので、お願いを申し上げて、先の質問に進みたいと思います。

 大臣、この国会で電気事業法の改正を予定していますよね。その中で、我が千葉県が大変、この間の台風で、倒木によって痛い目に遭いまして、この倒木を今度起こさないように、立ち木の所有者をしっかりと見きわめて、場合によっては事前に伐採も含めて手当てをしていかなきゃならないという中で、今回電事法を改正してそれをやりやすくするわけですが、どうやってやるのと。特に私が心配しているのは、所有者がわからない森林であります。

 これについて、経産省さんに、どうやってやるのさというふうに聞いたら、不明裁決申請に係る利用者調査のガイドラインを活用して、今は活用していません、これから活用して、何とか不明土地の所有者にたどり着こうというふうにしまっせということを言ったんですが、これは国土交通省がさんざんぱら一生懸命今までやってきて、全然たどり着かないんですよ。

 それで結局、国土交通省も困ってしまって、所有者不明土地の法案を出して、その中で、今度は国土交通省は、土地基本法等の改正に伴って、今回、通知を送ることによって捜したということにするぜということにして、所有者不明の土地を、何か手を入れるときにアクションしやすくするというふうに、国交省も今、法改正するんですよね。

 だから、私のところに経産省が説明しに来たときに、これは国交省ときちっと連携をとって同じようなことをやっているかと言ったら、いや、やっていません、知りませんでしたという話なので、じゃ、出す前だから、国交省に早く確認をとって、そこは国交省がきちっと頭をひねって考えているんだから、これは政府として連携をして、いいものはきちっとほかの省からも経産省に取り込んで、今回の改正の中にこれを入れて、不明者に対する対応というものをしやすくするべきじゃないかと私は思うんですけれども、この点について経産省の考え方を確認したいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘をいただきまして、それを踏まえて国交省としっかり連携をしていくという方向で対応してまいりたいと考えてございます。

 具体的には、経済産業省でガイドラインがございますが、これを改正いたしまして、所有不明土地における樹木の所有者探索の手続を個別に定めるという方向で検討を進めていきたいと考えてございます。

 その中で、国交省においては、今御指摘いただきました、今、法律案を国会に提出されていると承知してございますけれども、この法改正とあわせた通知改正などの運用改善、地籍調査に係る所有者不明土地の探索範囲の合理化を行う方針と承知してございますので、これとしっかり連携をするような制度として設計をし、運用してまいりたいと思います。

秋本分科員 ぜひ、連携し合って、よりよい形で改正をして、運用して、私はまさに千葉県選出の代議士なので、この間は本当に痛い目に遭ったので、ああいうことを起こしちゃいけないわけで、起きたとしても一日も早く復旧するように我々は努めていかなければならないんだろうというふうに思います。

 最後に、ちょっと時間がないので、NDCについて聞こうと思います。

 二月が期限ということになっていますが、この期限にこだわるのか、あるいは、今回四要件も見直すということになったわけですから、少しでも何か実のあるものを入れ込んで、二月からずれ込んだとしても、中身のあるものを世界に対して発信するのか。

 私は、後者の方がいいんじゃないかな、世界から見る日本に対する目というのも意識して、きちっと考えていった方がいいんじゃないかなと思いますが、このNDCの見直しについてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたとおり、パリ協定四条、COP21決定におきまして、二月に提出することとされております。

 現在、NDCの内容、それから提出時期、検討プロセスを含めまして、主要国の動向を踏まえつつ、関係省庁間で調整しているところでございます。

秋本分科員 時間が参りましたので、これで質問を終わりにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

神山主査代理 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本和嘉子君。

山本(和)分科員 立国社の山本和嘉子でございます。

 きょうは、予算委員会の第七分科会ということで、経済産業省所管の部分につきまして順次質問させていただきます。

 大臣、長時間、本当にお疲れさまでございます。

 まず、新型肺炎の我が国の経済産業に対する影響についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 先週、二月の二十日に、景気に対する月例経済報告が公表されました。要点は、景気は、輸出が弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増した状況が続いているというものの、緩やかに回復をしているというふうに書いてあります。しかも、先行きについては、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待できるというふうに言われております。

 しかしながら、これはちょっと楽観的なのではないかなというふうに私は思っておりますけれども、現実的に、日本経済は、昨年から台風やそして消費税の増税、そして今回の新型コロナウイルスの感染が拡大しているという中で、三連続の打撃を今受けているのではないかなというふうに思います。景気は緩やかに回復と政府は本気でお考えになっているのかどうか。むしろ、景気は既に後退局面ではないかなというふうに心配をしております。

 今回のいわばコロナ不況が長引けばマイナス成長に転落するおそれもあるのではないかなというふうに思いますけれども、どういうお考えなのか、お聞かせください。

    〔神山主査代理退席、主査着席〕

村山政府参考人 先週公表いたしました月例経済報告での景気判断についてということでございますけれども、海外経済の減速から輸出に弱さが見られているものの、雇用・所得環境が引き続き改善しており、公需の下支え等もあるということを踏まえて、御指摘の、輸出が弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復しているとの判断を示したものでございます。

 ただし、消費税引上げ後の落ち込みからの回復過程で、新型コロナウイルス感染症の影響という新たな経済の下押しリスクが生じており、経済への影響については十分に注意していく必要があると認識しております。

 定量的な情報はまだ限られておりますけれども、例えば、百貨店各社の公表情報によりますと、二月上旬の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響と見られる客数の減少によりまして前年比でマイナス一〇%から二〇%程度の減となっておりまして、そのマイナス幅は一月から拡大しているという状況も把握しております。

 引き続き、新型コロナウイルスの影響につきましては、インバウンドやサプライチェーンを通じた影響、中国経済の減速による世界経済全体への影響等も含めて、十分に注意してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 しっかり注意をしていただいて、これからの動向をしっかりと見きわめていただきたいというふうに思います。

 続きまして、新型コロナウイルスの産業界への影響についてどのように捉えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。

 中国からのインバウンド、観光客が極端に今減っているのではないかなというふうにも思います。

 私の地元京都でも少ないですし、やはり新幹線の乗り場もちょっと閑散としているような状況でもありますし、天橋立という地元の観光地も、もう本当に少なくなっている状況でございます。

 一方で、物づくり産業に関しましても、例えば、自動車産業では操業停止の国内工場もあるというふうにも聞きますし、また、地元の話ばかりで恐縮ですが、京都では、スマートフォンの部品なんかをつくっている企業もありまして、それを中国に輸出をしている、そういう関連でも影響が少なからず出てくるというふうにも思います。

 サプライチェーン、物流、販路等を通じまして、我が国の物づくり産業が、今後どのような影響を受けるのかについて大臣にお聞きしたいと思います。また、政府はどんな支援を、今この質疑でもいろいろあったと思いますけれども、対策をとっておられるのか、特に中小企業に対する支援でありますとかそのあたりをお聞かせいただければというふうに思います。

梶山国務大臣 委員から新型コロナウイルスによる特に物づくりの産業、中小企業への影響ということでお尋ねがございました。

 新型コロナウイルスが発生して以来、中国においてはジェトロ、また国内においては経済産業局、さらにまた商工会や商工会議所の地方の中央会等を通じていろいろな情報を集めているところであります。

 物づくり産業、特に中国に進出している製造業に関しましては、春節が終わって、そしてその後の工場の再開というのは地方政府の許可が必要だということでありますが、大体動き出したところが多いと思いますけれども、なかなか動き出さないところもある。さらにまた、その要因としては、春節から帰ってくる従業員の人たちが帰ってこられるかどうか、また体調がどうかということ、さらにまた、サプライチェーンということで、部品が供給できるかどうかということ、さらにまた物流の関係ということもあって、さまざまな要因が重なっていると思っております。

 中国の生産だけならいいんですけれども、また日本の生産にも、部品の供給、サプライチェーンの中に入っているということで影響が出ているところも委員御指摘のとおりでして、それぞれの会社によって事情は違いますけれども、生産調整を行っているところがある、当面在庫を頼りにしながら生産調整を行っているというようなところもあるわけであります。

 そのしわ寄せが中小企業等に行かないようにという要請もさせていただいたところでありますが、中小企業の場合は特にやはり資金繰りということで、セーフティーネットの保証の四号、五号の発動、そしてさらに、セーフティーネットの資金融資等を行っているところでありますが、地域で相談窓口をつくっておりますので、ぜひともそういう声を企業からもお聞かせいただきたいと思いますし、積極的にその窓口からも話をしているはずですので、そういった点を注意深く見守りながら機動的に対応をしてまいりたいと思っております。

山本(和)分科員 大臣、ありがとうございます。

 地方の声、地域の声をしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。

 実は、京都府なんですけれども、京都府はいち早く中小企業の相談窓口というのを設置しておりまして、一月の二十九日に窓口を開設し、なおかつ緊急資金の申込みも受け付けているという状況でございます。

 これはお伝えだけなんですけれども、きょうちょっと京都府の方から来た通知の中には、相談窓口への相談件数が、観光客の減少による資金繰りの相談が七十三件、一月二十九日から、二月の二十一日に発表していますので、二月二十日までの間に七十三件、そして中国での生産の停止による材料の仕入れ等の相談が二十件あったということでございます。そして、新型コロナウイルス対応緊急資金申込みというのが京都府で行われておりまして、申込みが既にあったのが十三件でございまして、申請についての相談が七十六件ということでございまして、こういった取組も地方ではされているということも御紹介を申し上げたいと思います。

 新型肺炎は影響がこれからどれだけ広がっていくかとか、そういうのが予測がなかなかつかないと思いますので、我が国の経済産業を所管する大臣といたしましては、また更に力強いお力添えをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、私の地元の京都北部の経済と産業について少し細かくお聞きをしたいと思うんですけれども、まず、舞鶴市のジャパンマリンユナイテッドという会社がございまして、船をつくる、基幹産業を行う大きい企業なんですけれども、新船建造の中止が発表されました。それは二月の三日に発表されまして、舞鶴の経済界や労働界では激震が走ったということで、今、地元に帰りますと、この話題で地域は持ち切りというふうな状況になっています。

 五百人近い従業員がいる中で、新船建造に携わる人たちは三百人いるということでございます。その家族に大きな影響もありますし、ただでさえ人口減少が進む地方都市でございますので、マイナスのインパクトというのはかなり強いというふうに感じています。

 今回の発表の背景には何があるとお考えなのかということをお聞きしたいと思いますし、新船の建造を担当している従業員の配置転換という話まで今出てきておりますし、また、今後はもう船はつくらないで、点検や補修というようなことだけやろう、近くに海上自衛隊もありますし、海上保安庁もあるというような立地条件から、そういう方向転換をせざるを得ない状況に今なっているというところでございます。

 具体的に、今後、そういったことでも影響が出てくると思います。背景と今後の影響についてお聞きしたいと思います。

宮武政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ジャパンマリンユナイテッドは、舞鶴事業所における新造商船の建造事業を終了し、艦船修理事業に特化した事業所として位置づけることを発表いたしました。

 背景でございますが、世界の造船業界は、世界的な海運の船腹量過剰と造船能力の供給過剰という厳しい受注環境にございます。そんな中で、我が国造船業界は、WTO補助金協定違反のおそれがある公的支援を受けるような韓国、あるいは中国造船業との熾烈な競争を行っております。

 ジャパンマリンユナイテッドの決定は、このような厳しい環境下において、同社の建造体制を見直し、リソースの集約や船種の集中により商品価値向上を目指すこととしたものであり、特に事業環境の厳しい船種を主力とする舞鶴事業所を艦船修理に特化するものと認識しております。

 舞鶴事業所は、二〇二一年度の第一・四半期まで新造工事を予定しており、新造商船建造事業から直ちに撤退するのではないと理解しております。

 また、今後、当該事業に従事しております約三百名の従業員につきましては、同社の他事業への再配置を中心に検討される予定とも聞いております。

 また、舞鶴事業所と取引を行っております京都府内の事業者は、新造商船建造事業と残ります艦船修理事業を合わせまして約五十社存在すると聞き及んでおります。このため、舞鶴事業所の新造商船建造終了により、これらの取引事業者に一定程度の影響があるものと理解しております。

 国土交通省といたしましては、ジャパンマリンユナイテッドの今後の対応について注視いたしますとともに、必要に応じて適切な対応をとってまいりたいと思っております。

山本(和)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 年間六そう船をつくっていたという実績もありまして、今おっしゃっていただいた五十社ぐらいの地元の取引先というのもあるというふうにも思いますし、とても今心配の声が上がっているという状況でございまして、ちょっと具体的に紹介しますと、舞鶴商工会議所の小西会頭は、ジャパンマリンユナイテッドの新船建造に関して、海軍時代から市の経済の中心であって、物づくりの舞鶴の象徴であった、造船事業がなくなるのは市の経済にとって最悪の緊急事態というふうにおっしゃっています。

 商工会議所では経営相談窓口をいち早く開設をしているというふうに聞いておりますし、政府として、中小への影響緩和、軽減策というのをぜひとも考えていただきたいと思いますし、そういう策はあるのかどうか。例えば、今申し上げました新型肺炎の対応と同じような相談窓口の設置や資金繰り対策のための貸出要件の緩和、そういうことがもし検討していただけるのであれば、大臣の方からお聞かせいただきたいというふうに思います。

梶山国務大臣 今国土交通省からお話ありましたように、ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所は、二〇二一年度の第一・四半期まで新造工事を予定しているところであります。新造商船建造事業から直ちに撤退するものではないと認識をしておりますが、撤退に際しましては、ジャパンマリンユナイテッドが地域経済や雇用への影響を少しでも緩和するよう努力することは重要と考えております。当然ながら、地域の方々に丁寧に説明を尽くすことを期待しております。

 その上で、経済産業省としては、よろず支援拠点や地域の商工会議所などを通じて、不安を抱える事業者からの経営相談への対応を行ってまいりたいと考えております。

 また、資金繰りに支障を来す事業者が出てくる場合に備えて、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けの活用の検討を促すなど、資金繰り支援にも万全を期したいと思っております。

 いろいろな状況が変化をしてくると思いますので、それらにしっかりと対応をしてまいりたいと考えておりますし、支援機関や政府系金融機関等に寄せられる中小企業の声にしっかりと耳を傾けて、今後の地域の中小企業の売上高等への影響やその広がりを注視しながら、事業者に寄り添って必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 大臣、ありがとうございます。

 支援策、要望があれば、ぜひとも地域の声を聞いていただければというふうに思います。

 舞鶴を始め全国各地に、造船の町や、造船の町だけに限らず、中小企業、それに大きい企業がそういう方向転換をすることによっていろいろな影響が出てくるということで、それに耐えて頑張っておられる地域の小さい中小企業の声も、ぜひとも対応していただければというふうに思います。

 続いて、地域の産業であります、京都の北部の産業であります丹後ちりめんについてお聞きをしたいと思います。

 この振興策について、ぜひとも経産省の考えを聞きたいんですけれども、丹後ちりめんというのは、京都の京丹後市、京都の一番最北端の市でございますけれども、京丹後市と与謝野町というところでつくられております。国内で流通する着物地の約七割が丹後でつくられているということで、世界最高の生地、独特のしぼという生地の表情とも言える凹凸がありまして、その生地の風合いが独特の着物のスタイルをつくり出しているということでございますけれども、このちりめんに関しましては課題があります。

 日本のライフスタイルが変化していくにつれて、和装文化というのがやはり下火になっているということでございまして、ちりめんの産量は、和装市場の縮小に伴って、ピーク時の三%にまで落ち込んでいるということでございます。三%というのを具体的に数字で申し上げますと、昭和四十八年、九百二十万反つくっていたのが、平成三十年は二十八万反ということでございまして、もう本当に三%ということでございます。

 従業者は高齢化しておりまして、設備も老朽化している。今でもそこここで、町を走っていますと織機の音がカシャカシャと聞こえるんですけれども、全盛期はもう町内一帯で織機が動いていたという話も聞いております。

 しかし、そういう下火になっているという話の一方で、実は頑張っておられるんですね。

 今、採算とかいろいろな将来展望とかのアンケートを、京都産業21北部支援センターというところでアンケートをとっているんですけれども、ちりめんの業者にアンケートをとった結果、黒字であるという会社が二九%、大体とんとんかなというのが四七%、赤字ですと答えたところが二三%ということで、調査が平成二十六年に始まったんですけれども、初めて黒字が赤字を上回ったということもあります。

 そして、ちりめんの業界に将来希望が持てるかどうかのアンケートに対しまして、希望が持てると言ったのが二二%、逆に、持てないと言ったのが四三%で、やはり持てないという方が多いんですけれども、四十歳代以下の若年層では、六割近くが希望が持てると答えています。若い視点で違ったことをやってやろうというような気概を持った方がいらっしゃるというふうに思います。

 これは、ちりめんのパンフレットなんですけれども、「次代へ、新たな挑戦。」という感じで、皆さん本当に頑張っておられるんです。

 そういう中で、ちりめんに関しまして、経済産業省としては、現在のそういう状況を把握されているのかということと、これから産業振興策をきっちり持っていらっしゃるのかどうか、そういう振興に対してのお考えがあるのかどうか、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。

大内政府参考人 お答え申し上げます。

 丹後ちりめんは、和装用の後染め織物の約七〇%と日本一のシェアを占める絹織物であり、日本の和装産業において重要な地位にあると認識しております。

 私自身、昨年八月に丹後地域を訪れ、丹後ちりめん独特のしぼが持つ三次元の立体感などに触れ、三百年の長い歴史に裏打ちされた技術を実感することができました。

 同時に、先生がおっしゃいましたように、ライフスタイルの変化による着物離れ等の影響で、生産量は、昭和四十年代、ピーク時の約九百二十万反から、令和元年は約二十五万反まで減少するとともに、設備の老朽化の課題もあるなど、厳しい状況についても把握したところでございます。

 この中で、事業者からは、丹後ちりめんの風合いを生かしたネクタイやストールなどの新商品開発を行うなど、新たな市場開拓に挑戦しているとも伺い、感銘を受けました。

 経済産業省といたしましては、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、小規模事業者持続化補助金、JAPANブランド育成支援等事業など、中小企業に対する設備投資、販路開拓、海外展開支援策を実施しており、これまで丹後ちりめん事業者にも活用をいただいています。

 今後も、産地の声に耳を傾け、そのチャレンジを力強く後押しし、丹後ちりめん産業の活性化に貢献していきたいと考えております。

山本(和)分科員 実際に足を運んでいただいたということで、本当にありがとうございます。

 この間、丹後織物工業組合の理事長のところにも伺ってお話を聞いたんですけれども、やはり今おっしゃったような、産地が有する技術力、強みと機会を背景に、和装はもとより洋装や新分野への展開とか、技術を継承して産地を支える若年従業者の確保、育成に努めてまいりたいということもおっしゃっておられますので、ぜひそういった後押しもお願いしたいと思います。

 丹後ちりめんは世界に誇る技術でありますけれども、この丹後ちりめん以外に、日本でもたくさんのそういう技術があるというふうに思いますし、経産省といたしましては、こういった技術の発展と地元の産業がしっかり発展できるような施策をぜひ引き続きお願いしたいというふうに思います。

 引き続きまして、今、丹後ちりめんのお話をいたしましたけれども、丹後ちりめんというのは、蚕から糸が紡がれて、それを織ってつくるものなんですけれども、蚕は桑の葉を食べます。桑の葉というのは自然に育っているものなんですけれども、特にこの丹後の地域では、由良川という川がありまして、この由良川の中流域に大江町という地域がありますけれども、ここに桑の葉がよく育っているということでございます。この桑の葉を蚕が食べて糸を出すということで、由良川の湿り気や日本海特有の湿気を有してちりめんが織られる。糸に適度な湿り気がないとなかなかいい反物が織れないということなんですけれども、由良川についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 由良川というのはちょっと水害が多い川なんですけれども、由良川を有する京都の北部の福知山という市内なんですけれども、今、大河ドラマで「麒麟がくる」という番組をやっておりますけれども、主人公は明智光秀ということなんですが、この明智光秀は織田信長を討った謀反人の悪人というイメージなんですけれども、福知山を流れる由良川の治水など善政を行った武将であるというふうに今言われております。

 そういうふうに長きにわたって由良川の水害と闘ってきた福知山で、今でもたび重なる水害があります。中流の市街地では堤防はほぼ完成しておりますけれども、下流は平地が狭くて、近年、ようやく輪中堤や宅地のかさ上げができているということでございます。逆に、おととしの西日本豪雨では内水氾濫が起きまして、堤防ができるかわりに内水氾濫が起きたということで、被害が多くありました。

 そのために、いち早く住民に避難を促すために、ソフト対策に福知山は頑張っておられます。避難勧告は決定三十分以内に出すのがポイントであるというふうに言われておりますし、防災行政無線、サイレンや緊急速報、消防メールなど、複数の情報伝達手段への入力作業を軽減するために、一回の入力で一斉送信できる、災害時情報伝達の一斉送信の整備という仕組みを普及促進させる必要があるというふうに福知山市は言っております。

 由良川治水にこれで大丈夫というのは絶対あり得ない話でございまして、命を救うためにそういった整備の継続は重要でありますし、この事業が令和二年で終了する予算措置ということでございまして、緊急防災・減災事業債を活用しているというふうに聞いておりますが、この継続をぜひともしていただきたいんですが、そのあたり、どのようにお考えか、お聞かせください。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急防災・減災事業債は、防災情報システムの整備など、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象としており、令和二年度までを事業期間としております。これに対しまして、地方団体からは事業期間の延長を求める要望をいただいております。

 このため、まずは、地方団体が来年度に整備予定の事業に安心して取り組むことができるよう、来年度末までに建設事業に着手した事業について、今回、令和三年度以降も現行と同様の地方財政措置を講じることといたしております。

 その上で、令和三年度以降の本事業のあり方につきましては、地方団体の取組状況や御意見なども十分お聞きして判断してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございました。ぜひ継続でその事業を進めていっていただきたいというふうに思います。

 引き続きまして、ちょっともう時間がないので、一つ質問を飛ばしまして、公共交通空白地の経済、産業を支える移動手段の確保についてお聞きをしたいと思います。

 経済、産業を支える交通手段、さっき丹後ちりめんのお話をしましたけれども、ちりめんの盛んな与謝野町には、過去にSL、蒸気機関車が走っていたということでございまして、蒸気機関車は今はもう走っていないんですが、それを保存するSL広場というのがありまして、これが三月三十一日で閉園するということでございます。こういった産業を支える交通機関ということでございまして、産業と交通は密接な関係性があるというふうに思います。

 地元の京丹後市では、相次いでタクシー会社が撤退しておりまして、市民の移動手段、そういう問題が持ち上がっています。

 京丹後市の丹後町という地域では、NPO法人の「気張る!ふるさと丹後町」というのが運行主体となって、会員の自家用車十八両を使う道路運送法上の公共交通空白地有償運送が認められている、支え合い交通というふうに言われておりますけれども、それが平成二十八年にスタートしたということでございます。しかしながら、降車は、おりるのは京丹後市内全体ですけれども、乗車は丹後町に限るということでございまして、町外の病院や商業施設への往復ができないということでございまして、利用者本位とは言えないのが実態でございます。

 地域に残るタクシーやバスの領域を侵食してしまうという懸念があるのでこういう措置をとっているんですけれども、簡単な課題解決にはならない、いろいろなそれぞれの地域の事情もありますので、そこはうまくいかない部分もたくさんあると思うんですけれども、こういった交通空白地の支え合い交通について、国の役割、それは何か考えがあるか、そういったことをお聞かせいただければと思います。

山際主査 国土交通省福田大臣官房審議官。

 なお、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

福田政府参考人 京都府京丹後市におきましては、委員御指摘のように、平成二十八年五月から地元のNPOが主体となりまして自家用有償旅客運送を行っておりまして、当該運送と乗客の仲介にスマートフォンの配車システムを活用するなど、地域が主体となられました先進的な取組であると認識しております。一方で、今御指摘にありましたような、区域外から区域内に戻る移動ニーズへの対応が課題となっているというふうにも承知しております。

 この対応に当たりましては、各地の実情に応じまして、関係者の適切な役割分担による持続可能な移動手段を確保するため、地域の関係者の協議により課題の解決が図られることが重要と考えております。

 国土交通省といたしましては、NPO等と交通事業者により適切な役割分担が図られている事例につきまして情報提供するなど、引き続き地域の関係者による協議をサポートしてまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございました。ぜひ協議をよろしくお願いいたします。

 大臣、ありがとうございました。

 これで終わります。

山際主査 これにて山本和嘉子君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 立国社の小熊慎司です。

 よろしくお願いします。

 まず、新型コロナウイルス感染症についてお聞きをいたします。

 今は、一日も早い終息が望まれるところでありますけれども、もちろん、国民、またあらゆる世界じゅうの人々の命が大事ではありますが、また一方で経済的な影響も言われているところでありますけれども、現時点でももう既に出てきていますし、終息が長引けば更に深刻化するということでありますけれども、まず、どのようにこの状況を把握しているのか、お伺いいたします。

梶山国務大臣 まず、中国で発生したということで、中国における日本の企業の状況につきましては、ジェトロを通じてずっと調査をしているところであります。

 そして、製造工場が向こうに行っておりますので、そのサプライチェーンがどのような影響を及ぼすか、中国国内の製造だけじゃなくて日本における工場にどのような影響を及ぼすか、また、それが日本の経済にどういう影響を及ぼすか、また、対策としてはどういうものが必要かということも調査をしているところでありますが、一方で、中国から団体客が今キャンセルをしておりますので、日本の観光地、観光産業を含めた中小企業等についてもかなり大きな影響が出てきておりますので、それらも含めて地方の声を吸い上げた上で、融資であるとか、またセーフティーネットの保証であるとかということで、四号、五号の保証を含めて今対策を講じているところであります。

小熊分科員 もちろんインバウンドもそうですけれども、国内、これから修学旅行時期を迎えて、私の娘も東京に四月に来ることになっているんですが、どうなるかということで今PTAや学校で話し合っているところでもありますし、国内の旅行もきちっと把握しなければなりませんし、あと、サプライチェーンの話も出ましたけれども、実は、物があっても流通能力が落ちているので入ってくるのに時間がかかるといったことで経済が滞るということもあります。

 また、私も、苦渋の決断ですけれども、来週末に地元で三カ所の国政報告会をやるのを延期をいたしました。ほかの同僚の議員もそうですし、福島県の知事も四月に会合を予定していたのを延期するということになっていまして、こうしたコンベンションというか各種会合、これも控える傾向に、我々自身もそういうふうにしているという状況です。

 あの厚生労働省の指針は、ぼわっと、明確な、定量的な基準ではないので、あれを示されたら、やはり、より注意しようと思えば、もう延期、中止をせざるを得ない。あちこちでこうしたイベント、また、個人レベルでは小さい会合も多分自粛するような傾向になっていますから、飲食店を含め、かなりきめ細かいところまで自粛があるんじゃないかと思いますが、そうしたものの把握をどういうふうにしていくのか。

梶山国務大臣 今委員から御指摘ありました地方の中小企業、また中小店舗、小規模店舗ということになりますけれども、これは、商工会、商工会議所を通じて、相談窓口を千カ所以上つくっておりますし、そういったところにかなりの数の相談が寄せられております。ほぼ九割は資金繰りということでありますけれども、資金繰りも含めて、これは先ほど申しましたセーフティーネット等の保証と融資のほかにも、民間の金融機関に対しても、例えば既存の債務に関する条件変更等についても柔軟に対応してくれという要請を今行っているところでありますが、しっかりと状況を見届けた上で、機敏に、機動的に対応してまいりたいと思っております。

小熊分科員 これは比べるものではないのかもしれませんけれども、まさに九年前の東日本大震災原発事故災害の後の自粛ムードがやはりありましたが、それよりもちょっと広範囲にわたっているという実感がありますし、そのときの状況はまた違うんですけれども、広い範囲でこうした自粛が広がっているというのは肌で感じるところでもありますし、いつになったら終息するのかというのが見えていない。何をもって終息とするのか。定量的に、じゃ、かかった患者数が何割減ればというのもないわけなので、これも政治的な判断で終息宣言を出すということになってくるんでしょうけれども。これは、長引くということが考えられますから、しっかり見ていかなければなりませんし、そういう意味では、風評被害対策と同じようなことをしていかなければならないというふうに思っています。

 極端かもしれませんけれども、あの震災のときの風評被害対策、大臣も地元でもあったでしょうから。まず、前年度より落ち込んだ分を補填をしていくという、そのぐらいのこともやっていかなきゃ、でも、それをやったらもう大変なこと、どこまでやるんだとなるんですけれども、そのぐらい経済的な打撃は受けるので、この痛みをどう緩和していくかというのは、かなり広い範囲でしっかりやらなきゃいけないということですから、ある意味、シミュレーションとして、原発事故災害のときの風評被害対策の補償金みたいなレベルまで考えなきゃいけないのかもしれないんですけれども、そこまでやらないと、その痛みが緩和できないというぐらいまでいってしまうんじゃないかと懸念されますが、見解を。

梶山国務大臣 かなり、会合を自粛したり、また中止したりということも聞いておりますし、私どもも、例えば、私が予定していたものも中止をいたしました。それらも含めて、今後の影響というものを注意深く見ていくことが必要だと思いますし、融資等、当面、そのセーフティーネット保証ということなんですけれども、そのほかの手段も含めて、状況を見ながら考えていかなければならないと思っております。

小熊分科員 ぜひ幅広くこれをやらなきゃいけないということです。

 さっき言ったとおり、飲食店から、流通が滞って回らない店舗や、そういった業種もあったりしているわけですし、まあ、部品が入らないで、なっているというのもありますし、こういったことをしっかり状況把握をして、このことがきっかけで廃業、倒産にならないようにやっていかなければいけませんし、地域経済が回るようにしていかなければならないと思っています。

 私は、そういう意味では、また長いスパンで、一日も早い終息と言っていますけれども、これはわかりませんから、長いスパンでしっかりこれは想定内におさめて、対策をとらなきゃいけないなというふうに思いますが、また改めて、今検討しているもの、決まっていないものも含め、どの程度の経済対策を考えておられるのか、具体的にあればお願いします。

梶山国務大臣 現時点では、明確にということで、予備費で対応していくということで、さまざまな手段は考えておりますけれども、どのくらいに、この政策にこのくらいというのは、今の時点では明確にはできておりません。

小熊分科員 ここでしっかりやって、いろんな、融資にしたって何か基準ができてくると思うんですけれども、震災のまさに風評被害対策も相当の因果関係がなければ払わないということになっていますけれども、これは、いわゆるいろんな経済事情とか人口減少とかがあって、何がそれで下がったのかがはっきりわからない。「ベニスの商人」じゃないですけれども、一ポンドの肉を切り取るのに血を流すのはなしで切り取れ、証明しろというのと一緒ですから。

 だけれども、確実に、この新型コロナウイルスで経済が回っていかない、その影響で売上げが落ちていく、会社経営がよくなくなるというのはあるわけですから、明確にそれを証明しなきゃいけないということではなく、ただ、ゆるゆるにするとまたそれもそれでモラルハザードにはなるんですけれども。

 今回の場合は、今言ったとおり、広範囲にわたっている、どこまで行くかわからない、そのもの自体も明確ではないので、支援するといっても、これは余りきつ過ぎると実態に合わなくなってきますし、どこまで広い範囲で柔軟にやれるのか、この柔軟性と公平性をしっかり担保しながら。ただ、公平性、明確性を担保し過ぎると全然使う人がいなくなって、ばたばた経済が悪くなっていくこともあります。この柔軟性の部分をしっかり工夫しなきゃいけないというふうに思います。

 その点について、もう一言。

梶山国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 昨年の秋の豪雨での災害というものもいろんな制度を使いましたけれども、できるだけ、その手続に関しては簡素に、そして運用に関しては柔軟にということでやってきておりますけれども、ある程度の手続は必要だということですけれども、限りなくその辺のところは柔軟に、簡素にということで、今回、こういった災害時にはやるのが本来の姿であると思っております。

小熊分科員 その際には、現時点に、原発事故災害での風評被害が相当の因果関係ということ、ほとんど無理な証明をさせようとしている部分がありますから、あそこまでいっちゃえば使えなくなりますし、そういうことのないように、しっかり今後の推移を見きわめながら適正な経済政策を打っていただきたいと思います。

 これは、春になれば春の観光シーズン、ゴールデンウイーク、観光シーズンで、もう既に予約が取り消されているとも聞いています。これからではなくてもう既にその対策を打ち出して、こうした観光業を始め接客業の不安を払拭しなければ、何でもないことまで負のスパイラルになって、人が出歩かない、お金が回らないということになりますから、早目の対策を打ち出すことをお願いをする次第であります。

 次に、トリチウム水、汚染水の処理水について。

 これは過日もやりましたけれども、改めてお聞きします。

 小委員会が示したのは海洋放出か大気放出。このやり方も、ほぼほぼ海洋放出しか選べないような報告書の書き方をしてきていて、あの言われ方もちょっとずるいなというものがあるんですけれども、海洋放出する場合、これは準備にどのぐらいかかるのか。いきなり、それを決めた場合に、あしたからというわけには、やった場合、それは地元の理解とかいろんな関係者の理解もあるんですけれども、技術的に物理的にやると決めたら何年かかるのか、まずお伺いします。

梶山国務大臣 原子力規制委員会の更田委員長が、仮に海洋放出する場合には準備に二年程度かかると述べていることは承知をしております。

 経済産業省としましても、政府の方針決定後には、規制委員会による認可や東京電力による準備工事の実施が必要なことから、同程度の時間がかかるものと認識をしております。

小熊分科員 過日の予算委員会で、私がもう二年と、更田さんの言葉を使って言い切っていましたけれども、今答弁であったとおり、経産省としても二年程度かかるということの認識をお示しいただきました。

 ということであれば、今の推移で処理水がたまっていくのは、二〇二二年の夏ごろに敷地内での保管は目いっぱいになってしまうというのは示されていますから、二年準備にかかるというのであれば、ことしの夏には海洋放出を決めなければ準備が間に合わないということでよろしいですか。

梶山国務大臣 現時点での保管方法を考えればそういうことだと思っておりますので、あらゆる可能性というものを模索しながら説明をしてまいりたいと思っております。

小熊分科員 大臣の地元でも、漁協関係また県の方からも、早期の海洋放出には反対だという意見が寄せられているところでありますけれども、あらゆる選択肢ということであれば、小委員会の取りまとめでは、今の東電の敷地外はなかなか現実的に難しいということが一部示されていましたが、大臣の手元で、今、経産省では、それも含め、敷地外、東電の敷地外も含め選択肢に入れて検討しているということなんでしょうか。

梶山国務大臣 先般の予算委員会におきまして、小熊委員から敷地外保管を検討するべきとの御指摘をいただきました。それに対して、私も重く受けとめるという返答をさせていただきました。

 報告書は二月十日に受け取ったわけでありますけれども、報告書どおりということではなくて、全ての可能性について検討をしていくということで私自身は考えております。

小熊分科員 じゃ、その前段に、この御地元の漁協また県知事の方から意見が表明されましたが、そのことについてはどういった見解をお持ちですか。

梶山国務大臣 茨城県の漁業関係者が大井川茨城県知事に要望に行ったことは承知をしております。

 茨城県は、これまでも農林水産業がさまざまな風評を受けてきた経験がある、そして実情があるという中での御心配ということだと思いますけれども、それも理解をするところであります。私自身も、風評被害払拭、また賠償等で間に入って動いてきた経験もございますので、そういった形の心配であろうかと思いますし、発言されることもそういうことでの発言であったと思っております。

小熊分科員 小委員会の取りまとめでは、どんな方法をとったとしても、風評被害は完全に払拭はできないということも指摘をされています。ただ一方で、これまで、政府また関係者の中でやってきたことは、安全性をしっかり言っていくということは盛んに言われてきました。だけれども、それだけでは足りなくて、残るのが風評だということであります。

 これまで、前の環境大臣も海洋放出しかないと、それは科学的根拠で言っているだけであって、科学的根拠を、それは百回も二百回も千回も一万回も言ったところで払拭できないものがあるのが風評であるということは、大臣、茨城県ということで御承知だというふうに思いますけれども、それだけ根が深いという認識はしっかりお持ちですよね。

梶山国務大臣 科学的根拠だけではなくて、やはり人の心情にかかわるものですから。例えば、これはあくまでも一例として、行きたくない、食べたくない、買いたくないという人の心をどう変えさせるかというのは大変難しいことでありますから、風評対策というのは非常に難しいものだと心得ております。

小熊分科員 であれば、今大臣、私も明確な答えを持ち合わせているわけではありませんが、もうこれはもがき続けるしかない、チャレンジし続けるしかない。ただ、そこで、科学的根拠で大丈夫だから、世界じゅうのどこの海でも流しているから流せというのは、我々はその論理は受け入れるわけにはいかないというふうに思っていますが、大臣はどう思われますか。

梶山国務大臣 今申しましたように、科学的根拠だけでなくて、皆さんに理解していただけるような信頼関係を醸成することも必要ですし、また、説明の時間、説明の内容も必要であると思っております。

 ALPS処理水の取扱いへは、風評への影響も生じ得るというのは誰もがやはり感じていることですから、地元福島県内においてもさまざまな御意見があるものと承知をしております。

小熊分科員 であれば、海洋放出は、やるのであれば夏までにやらなきゃいけない、決めなきゃいけないんですけれども、二年の準備がかかるということですから、敷地外保管がなければですね。この半年間で、これは、いろんな地元、またさまざまな関係者の説明が必要だということになっていますが、この夏までの間、トリチウム水の処分に関してどんな説明会を開いていくか、まだ決まっていませんか、具体的に決まりましたか。

梶山国務大臣 いつ行うということはまだ発表はしておりませんけれども、どういう形でどのような方たちとの話合いをすべきか、またパブリックコメントを求めるときにはどういう形にしたらいいのかということは内々で打合せをしているところであります。

小熊分科員 これは茨城からも意見が寄せられているということであれば、福島県以外のさまざまな、そういう漁協とか茨城県とか、若しくは、風評被害であれば、その隣のまた隣の千葉県まで行った部分もありますから、そうしたものも想定をされていますか。

梶山国務大臣 処分方法にもよると思いますけれども、隣県というのは重要な関係者であると認識をしております。

小熊分科員 処分方法にもよるということですが、では、大気放出も検討して説明会を開くということですか。

梶山国務大臣 小委員会の報告書が来ましたので、その小委員会の報告書について説明をしながら収れんをさせていくということになろうかと思います。

小熊分科員 大気放出であればより広範囲に関係地域が広まりますが、それも想定していろんな話合いを進めるという、説明会をやるということですか。

梶山国務大臣 議論の順序として、まずは福島県、そして地元といえば、今置かれている場所は大熊、双葉ということになりますから、そこが地元ということになる。

 そして、処分方法について議論をしていく中で重要な関係箇所が出てくると思っております。

小熊分科員 であるならば、これはかなりいろんな関係団体、対象者がふえますから、これは、今言った、敷地外の手続をとるのにも、土地を借りる、また法律を変えなきゃいけないです。

 であれば、敷地外保管だって準備がかかりますから、これはやはり半年もたたないうちに、数カ月のうちに一定程度の方向性の判断をしなければならないというふうに思いますが、そういう認識でよろしいですか。

梶山国務大臣 敷地外保管の場合には、そこの所在の自治体の理解も得なければならない、現状ではなかなか難しいと思っております。それらも含めて、時間軸というものも考えながらではありますけれども、時間軸がもう決まった形で、スケジュールありきということでは考えておりません。

 ですけれども、そういった中で、いかなる方法があるか、いかなる手段があるかということを今模索をしているということであります。

小熊分科員 じゃ、一定程度の方向性は、期限を決めるわけではないといっても物理的な制約を抱えています。これは法律を変えたり土地を求めなければ、この夏には決めてやらなければならない。でも、それまでの間にそれだけ多くの説明をする機会ができるのか。何回も、毎日のように説明会をやったっていいですけれども、納得感は出ないですよね、これは、大臣、茨城だからわかるとおり。

 どんなに丁寧な説明をしても、今、心の問題と言われましたけれども、安心の部分はそうです。安全は科学的根拠をしっかり積み上げていく。しかし、安心の部分は、まさにそうした定量的な問題ではありませんから、この九年間だって、政府及び各関係者、さまざまな方々が風評払拭には努めてきていても、まだ残っている。

 さらに、科学的根拠に基づいてもし海洋放出したとしても風評被害が出るということを想像できるわけですよ、我々は。だからこそ、それに対する慎重な意見が、反対の意見が出てくるわけです。関知していない人は世界じゅうどこでも流しているんだろうと簡単に言うけれども、そんな簡単な話じゃない。これは大臣もわかっている。

 であるならば、これはやはりもうあと数カ月で決めなきゃいけない、どうするか。まずは敷地外保管を目指すというのかどうなのかのイエスかノーかがこの夏の間までに来るわけですから、通常どおりの内閣改造で、大臣はまた留任するかもしれないですけれども、なければこの夏でまたかわるわけですよ。でも、確実に普通であればこの任期中に一定の方向性を示さなければならない。その自覚を持って関係団体への取組。

 また、私は敷地外保管をした方がいいと思っています。もっと時間をかけなきゃいけないと思っていますけれども、大臣言われたとおり、これも地元の地権者。また、法律もこれは変えなきゃいけないんです。東電の敷地外に保管するということであれば法律改正の準備もしなければならない。

 相当これは、そんなに時間があるわけでは、どの道を行くにしても時間がかかるというふうに思いますから、現時点でどういうスキームでこの夏まで動くのかがないということは、これはよくないことですよ。早急に示すべきだと思いますよ、この夏までのスキームを。どうですか、大臣。

梶山国務大臣 いろんな処理方法に対する疑念を持っている方もおいでになるし、また心配をしている方もおいでになる。現状、陸上にタンクを置いて、今、溶接型のタンクで保管をしているわけでありますが、この保管についても懸念を持っている方もおいでになるということであります。

 それらも含めて、どういう方向性で持っていくかということも含めて、時間軸を、どれだけ余裕がとれるかということも含めて今検討をしているところでありますけれども、いずれにしましても、時間切れだからとかそういうことではなくて、しっかりと責任を持って説明をしていくという方針であります。まだ具体的なスケジュールについては出ておりませんので、いずれ出たときにはまた御説明をさせていただきたいと思います。

小熊分科員 大臣に認識を持ってほしいのは、タンクにずっと抱え続けるのもリスクですという言い方が小委員会の取りまとめでもありましたけれども、これはそもそもあのタンクの八割がちゃんとした処理じゃないから不安なんですよ。完全トリチウム水だったらまた別の言い方があるんですよ。さも置いておくのも危険だから早く処理させろという、追い立てているようにしか聞こえないんですよ。実は、あれをちゃんと処理しないで汚染水になってしまっているという技術的な不手際ですよ、これは。あたかもそれで大変だから処理させろ、敷地内での廃炉が進まないから処理させろという、福島県民を追い立てるような、関係者を追い立てるような説明はよくない。

 確かに、それはそうですよ、何種類かの核種が残っている汚染水がタンクにとどまっているのであれば、何かあったときにそれが流れるから怖いよねというのは当たり前ですよ。だけれども、そんな処理水を残してしまったという不手際の反省がない。そう思いませんか。本来であれば、トリチウム水だけだったら、それは基準値以上のものがもし壊れて流れれば大変なことですけれども、ほかの核種が取り除かれていればリスクは低いわけです。大変だ大変だというのは、ちゃんと処理しなかった責任ですよ、これはもう。そういう自覚はないですか。

梶山国務大臣 委員が言われるように、まだ、一度処理をしたものの更に処理が必要なものというのは七割以上あるということは聞いております。

 ただ、現実としてこういうことです、現実だから受け入れろということではなくて、現実をどう理解した上でスケジュールを立てていくかということも私の仕事だと思っておりますので、その工程も含めて今スケジュールを立てているところですので、もう少し時間の猶予をいただきたいと思います。

小熊分科員 これを海洋放出するにしても、どういう基準で流すか、その幅がありますから、でも、そうするとやはり何十年かかるわけですよ、一定程度の基準であれば。であるならば、やはり、また予算がかかるかもしれませんけれども、一次処理でだめだったものは早急に二次処理してそれをためておくというのが、福島県民、また茨城含め、その近隣の人に対する誠意だと思いますよ。自分たちの技術力のなさで、一次処理では海洋に流せないような、基準値を上回るようなものをため込んでいるんですから、それは無責任だという話なんです。その自覚を持って保管するリスクとかを言っていかなきゃいけないということです。まずは事故の反省がないんですよ、自分自身の、政府にしろ東電にしろ。ちゃんと処理した水だったらこんな話にならないんです。

 長期保管であれば、私は、だから、一次処理水をずっとではなくて、しっかりもう一回トリチウム水に変えて長期保管するというのが一番丁寧なやり方だと思いますけれども、そういったことについてはどうですか。

梶山国務大臣 私も、就任以来、実情がどうなっているかということをいろいろと調べてみました。そしてまた、この報告書も読んでみました。

 今やらなければならないことの中に、二次処理をしなくちゃならないという点もございます。当然、これは事実として踏まえた上で皆さんに説明をしなくちゃなりませんし、また、これが不手際だと言われれば、それはそれでまた、わびなければならないと思っております。

小熊分科員 ぜひ、私は、二年後に海洋放出というのはあり得ないというふうに思いますし、それは大臣の地元の茨城の多くの方々も同じ思いだというふうに思います。

 長期保管する上では、早期の決定をして、敷地外保管、これはいろんな手続、土地の取得、借り上げ、必要ですから、早急に準備に入る決断をしていただきたいというふうに思いますし、長期保管していくということは、タンクに水があることがリスクだと、これは、小委員会でも言っているのは、まさに一次処理では間に合わなかった水に対してのリスクをかなり言っていますから。

 そういう意味では、これは更にお金がかかることでありますけれども、一次処理で核種が残っている汚染水に関してはそれも順次処理をして、トリチウムだけになった水だけを保管していく、そうした二次処理を、海洋放出をしなくてもするということを検討すべきだと思いますが、大臣、最後に。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、いずれの方法にしましても、二次処理はしっかりするべきだと思っております。

小熊分科員 長期保管するということは敷地外になっていきますから、その水がどういう水になっているのかということの心配もされますから、ぜひそれも同じく並行して検討をしていただいて、まさに地域の方々、被害者の方々、それぞれの地域の住民の思い、漁業者に思いを寄せていただいて、決定を早急にしなければならない、していただきではなく、しなければならないわけでありますから、この方向性、夏前に、今大臣が言った、しっかりとこの意見を受けとめて、出していただけることをお願い申し上げ、質問を終わります。大臣、ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐分科員 公明党の伊佐進一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、質問させていただきたいと思いますが、まず最初はヘルス産業について伺いたいと思います。

 ヘルス産業というのは、エステとかリラクゼーション、自費リハビリというようなものもございます。経済産業省はこのヘルス産業というものを後押しをしていらっしゃいます。観光に資するとか、いろいろな観点があるというふうに思いますが、利用者の増加も見込まれておりまして、これは世の中のニーズがやはりあって、美容に対する意識の高まり、癒やしに対する意識の高まり、こういうようなものもある。

 ただ、そんな中で、この業界というのは、行政からの免許や規制というものがない。一方で、だから健康被害というのも報告されているというのも事実であります。

 この点に関して幾つかきょう質問したいんですが、まず自費リハビリについてです。

 きょうも、実はけさ、新聞報道でもこの自費リハビリが取り上げられておりました。

 リハビリというのは、制度的には、まず、最長で百八十日間、これが医療保険上のリハビリに当たるわけです。その百八十日間が終わると、六十五歳以上の方は介護保険のリハビリに移ります。それ以外は全て自費。つまり、百八十日間終わって、介護保険じゃない、対象じゃない方は自費リハビリになるし、あるいは、一日当たりに受けられるリハビリの上限を超えて受けるのもまた自費リハビリ、あるいは、特別なリハビリ、例えばピアニストが自分の指を動かす、そのプロのためのリハビリというのも、これも自費リハビリになります。

 この自費というのは、当然医療保険外ですので、玉石混交。ニーズがあって質のいいものを推進するのはわかる、でも、質の悪いものをどうやってしっかりと見ていくのかという問題です。

 けさ新聞でも書いてあったのは、四カ月で字が書けるようになりますと言われたけれども、結局、書けるようにならずに、これ以上やるんだったら追加プランをやってくださいというふうに勧誘されるとか、やめるときには、その先数カ月分の利用料の支払いが必要と言われた、こういう例も挙がっておりました。

 百八十日以内の医療保険上のリハビリは厚労省がちゃんと見ています。では、それ以外のところ、推進している経産省がしっかりと実態把握をして、質の悪いところを監督してほしいと思いますが、いかがですか。

    〔主査退席、神山主査代理着席〕

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、いわゆる自費リハビリでございますけれども、公的保険の対象となる期間が経過した後においてもさらなる機能改善を目的として行うものや、スポーツや芸術など日常生活を超えた特別な機能改善が必要とされるものなど、多様なニーズの受皿として存在しているものと承知しておるところでございます。

 営業形態につきましても、医療法人や介護保険施設に併設されているものや単独で経営されているものなどもありまして、また、サービス提供者や対象者、サービス内容も多岐にわたることから、店舗数や従業者数を網羅的に把握することは困難と考えております。

 他方、こうした自費リハビリでございますが、これを含むみずからの健康の維持管理を支えるサービス、こうしたものの多様性を踏まえますと、国が一律の規制を課すのではなく、業界みずからが守るべきルールを策定することが望ましいと考えております。このため、経済産業省におきましては、業界団体が自主基準を策定する際に踏まえるべき要件をヘルスケアサービスガイドラインのあり方として、昨年四月に取りまとめたところでございます。

 今後、この指針に基づきまして、業界が自主的にガイドラインを整備し、その内容に基づき業界内で取組が進められることで、業界全体としてのサービス品質向上につながっていくものと考えております。

 経済産業省としましては、引き続き、こうしたガイドライン策定のための業界の取組を支援してまいりたいと考えております。

 以上です。

伊佐分科員 今恐らく、自費リハビリだけじゃなくて、エステ、リラクゼーションのところもあわせて答えていただいたんじゃないかと。あ、それ以外にまた答弁があるんですね。では、ちょっとエステ、リラクゼーションもお伺いします。

 ここも多種多様でして、ちょっと少しだけお話しさせていただくと、健康被害、ここはいろいろ数字が挙がっておりまして、消費者庁の国民生活センターには六千件の相談がある。そこはいろいろな相談があるわけですが、健康被害という観点では、エステ業界が独自に把握しているのは二百件から三百件ということです。ここのところも何らかの措置をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 経済産業省におきましては、エステティックやリラクゼーションによる健康被害について、関係する業界団体を通じまして、消費者相談の内容や傾向から実態把握に努めているところでございます。

 また、医師法等の関連規制が適用されないサービスにつきましては、業界団体等が自主的に守るべき基準を策定することが望ましいと考えており、エステティック、リラクゼーションそれぞれの業界団体において既に自主基準が作成されているところでございます。

 経済産業省におきましては、こうした業界の自主的なガイドラインを策定、改定する取組に関しまして、補助事業を通じた支援を行っております。令和元年度は五件採択しておりますし、令和二年度においても予算要求を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、業界の実態把握に努めながら、民間主導の自主的な品質向上の取組を支援することで、予防や健康づくりに資するヘルスケアサービスの普及を推進してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 今答弁を伺っていますと、自費リハビリと大体同じトーンかなと。つまり、各業界での自主ガイドラインをしっかりつくってもらう。

 もちろんそれは大事だと思うんですが、ただ、予算も要求して、五件も採択されていますという話なんですが、私、伺ったら、予算が、ヘルスケアサービスの評価基準の策定支援、二百五十万円と。一年間で二百五十万円しかありませんので、もう少しここはしっかりと責任感を持って、経産省が推進しているわけですから、そこはしっかりと実態把握、並びに、どういう対策が必要かというところを取組を進めていただきたいというふうに思います。

 引き続き、グレーゾーン解消制度というものについて伺います。

 これは、現行制度法上できるかどうかがグレーなところ、このグレーなところを役所が責任を持って白か黒かはっきりつける、はっきりつけて白だとわかったらビジネス側としても胸張ってできる、こういう制度です。

 例えばどういう制度かというと、私が伺ったのは、ある寝具メーカー、布団メーカーが、睡眠環境のコンサルティング業務をしたい、でも、これは医業になるんじゃないかという心配があった、お医者さんがやる行為じゃないかと。あるいは、そのアプリが医療機器に該当するんじゃないか、つまり医療法に抵触するんじゃないかという心配があった。それで、経産省に相談をした。そうしたら、経産省が厚労省に確認をして、医療法上大丈夫ですと、はっきりと白黒ついて、白だということがわかって、全国で三十店舗以上に拡大ということになりました。

 こういう例がありますが、今、施行後四年たちます。一例を挙げさせていただきましたが、今の現在のこの制度の利用状況、とりわけヘルスケア分野ではどれぐらいかということで、どういった効果を生んでいるか、伺いたいと思います。

中原政府参考人 グレーゾーン解消制度は、二〇一四年一月の施行から昨年末までの六年間で合計百六十一件の回答がなされておりまして、そのうち、医療、ヘルスケア関連では四十五件の回答がされておりまして、全体の三割程度を占めてございます。

 また、例としましては、先生今御指摘いただきましたように、睡眠状況の測定とか睡眠改善のアドバイス、商品提案等を行う睡眠コンサルティングサービスの案件では、それらの行為や、測定するためのアプリが医師法及び医薬品医療機器法の規制に抵触しない旨の回答がなされました。その後、全国三十店舗以上でサービスを展開しているというふうに伺っております。

 また、カルテ外部保管サービスといった案件では、厳格な保管管理、緊急の取り寄せ対応、個人情報保護の担保等を講じることによりまして、医師法等におきます保存義務に抵触しないという旨の回答がなされたところでございます。その後は、認知度の向上に伴って契約数が増加し、キャパシティーの増加まで検討しているというふうに伺っております。

 このように、グレーゾーン解消制度は一定の活用がなされていると評価できるものというふうに考えておりまして、引き続きその効果的な制度運用に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

伊佐分科員 私、これはあえて言えば、本当は行政が、例えば企業から、ビジネスサイドからこれはどうなんでしょうと質問があったら、それに丁寧に対応するというのは実は本来の行政の仕事ではないかと思っているんです。ただ、そこを一応このグレーゾーン解消制度ということにして、ある意味、行政に対して、ちゃんとやれよというふうに法律で決めたということじゃないかと私は思っております。

 だから、当然ニーズはあるわけです、これはどっちなんだろうというビジネスサイドの。だから、意味のある取組だとは思います。ただ、これによって誤解が生じている場合もあるんだということをちょっと申し上げたいんです。

 つまり、経産省がこれは事前にコンサルティングをして、どういった法律と抵触する可能性があるか、ここもアドバイスすると伺っていますが、例えば、あるビジネスが、これは医療法に触れるかもしらぬな、経産省に聞いてみようといってこの制度を使う。経産省から、じゃ、医療法に抵触するかどうかを厚労省から確認しますよといって確認をしてもらった。大丈夫でしたとなった。そうしたら、そのビジネスは、よかった、政府からお墨つきをもらったということになります。

 ところが、このビジネスが実は医療法以外の法律に抵触する可能性がある、こういう場合もあったんじゃないかというふうに思います。だから、結局、医療法以外の法律では実は抜け落ちてしまって、グレーが解消されていないのに、政府からお墨つきをもらったから大丈夫だといってどんどん広めようとするというようなことも、こういうケースもあったというふうに聞いています。

 そういう意味では、経産省は、こういうことがないように、この制度を進めるなら丁寧にぜひコンサルティングをしていただきたいと思いますが、いかがですか。

中原政府参考人 委員御指摘のとおり、グレーゾーン解消制度は、確認の求めがなされた法令の規定を対象としまして解釈並びにその適用の有無を回答するものでありまして、その他の法令をすべからく確認するというようなたてつけにはなってございません。

 一方、従来から行っております事業者への相談対応につきましては、二〇一八年の産業競争力強化法の改正によりまして、制度の利用を希望する者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うという旨の規定が明記されたところでございます。

 制度を御利用いただく希望者に対して、規制所管官庁から正確な回答が得られるよう、関係する規制の法令の特定や照会書に記載する必要事項の確認などによりサポートを実施しておりまして、実際に、抵触が懸念される複数の法令について確認を求めた事例もございます。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘は非常に重要なものであるというふうに認識をしておりまして、今後とも、事業者とのコミュニケーションを丁寧に行いまして、新たなビジネスの創出に支障が生じないように、適切な制度運用に努めてまいりたいというふうに存じております。

伊佐分科員 おっしゃったとおりで、別にこの制度自体がすべからく全ての法律に対して黒じゃないかというのを見るものじゃないというのはそのとおりなんです。だからこそ、コンサルティング機能が私は大事だというふうに思います。そこを丁寧にしないと、間違ったお墨つきを与える、誤解を与える可能性があるということだけ指摘しておきたいというふうに思います。

 最後、この関係でもう一問。厚労省、きょうも来ていただいておりますので。

 国際的に、はりとかきゅうとかマッサージというのは統合医療というふうに位置づけられております。厚労省もこの統合医療について検討会をずっと行っていただいておりまして、定義を見てみると、統合医療とは、西洋医学を前提として、これに相補、代替療法や伝統医学等を組み合わせてQOLを向上させる医療。要は、かなり幅広いんです、いろいろなものが読めるという状況で。だから、これは、鍼灸マッサージのように、ちゃんと国家資格があって、社会保険にも位置づけられて、きちんとやっているところもあれば、ルールもなくて自由にやっている、いろいろな、玉石混交になっている。だからこそ、世界で、今WHOでこのルールづくりというのを行っております。

 WHOのICD11、こういうところでも、標準化についての議論を進めてまいりました。これは、他国でこうした統合医療をほかにも伝統的にやっているところもありますので、あくまで日本の考えがきちんと反映されるように、厚労省としても積極的に議論に参加していただきたいと思いますが、いかがですか。

山田政府参考人 お答えします。

 WHOは、二〇一九年五月にICDの新たな改訂版であるICD11を採択し、その中で、伝統医学に関する章を新設したところであります。

 我が国では、ICDの改訂における伝統医学に関する章の導入において、伝統医学を実践する主要国の一つとして、伝統医学の専門家にWHOの関係会議に出席していただき、改訂に関する必要な協力、支援を行うとともに、日本の意見が適切に反映されるように努めてきたところであります。

 また、厚生労働省は、国際疾病分類などの改善にかかわる約二十カ国から成るWHOの国際統計分類協力センターの一員としての指定を受けており、今後とも、WHOにおけるICD改正等の議論において日本の意見が反映されるように努めてまいりたいと思います。

伊佐分科員 厚労省もなかなか人繰りが大変だと思います。全ての国際会議に全部厚労省本省から人を出すというのは難しいかもしれませんが、各大使館に厚労アタッシェもいらっしゃると思いますので、ぜひ協力してもらいながら進めていただきたいというふうに思います。

 次の話題は、石炭火力について伺いたいと思います。

 我が党から、代表質問でも少し踏み込んだ発言がございました。石炭火力について新規建設はしないんだ、こういうような提案がなされました。

 私のきょうの質問の趣旨は、方向性としてはそのとおりだというふうに私も思います。ただ、これをどういう速さで、どういうやり方でやるかについてはしっかりと議論しながら進めるべきだというような趣旨で質問させていただきたいと思います。

 まず伺いたいのは、脱石炭の世界の現状について。ヨーロッパ各国、今、先進国は脱石炭の方針を表明しています。その状況、とりわけ石炭依存度が高い国ではどういうふうにして脱石炭を進めていくことを考えているのかということをぜひ紹介してください。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭依存度の高い先進国の脱石炭に向けた取組ですが、これはその他の状況によってもいろいろ異なるものですから、その方向性を一概に述べることはなかなか難しいと思っております。

 しかしながら、例えば米国につきましては、今、連邦政府として脱石炭を政策として掲げているということはございません。シェールガス革命によりガスが安価になって、国内に潤沢に供給されているという実態がありまして、ガスと石炭の発電コストが逆転した結果、経済原理に基づいて石炭依存度が低減しているという状況でございます。

 また、ドイツでございますが、ドイツは、政府として、二〇三八年までに石炭火力を全廃するという目標を掲げているところであります。このため、ドイツは、石炭火力発電所や炭鉱の目標年までの閉鎖を促す一方で、閉鎖の影響を受ける地域や労働者また企業への補償を行うということとしているようでございまして、聞くところによりますと、その規模は数兆円というふうに聞いております。

伊佐分科員 今、ドイツの例を挙げていただきました。ドイツの石炭依存度は、私調べたら、四二%ということです。脱石炭ということは確かにドイツも目指していますが、ただ、そこにはやはり丁寧な対応があって、産炭地に対して四百億ユーロですから、多分四・八兆円とか、発電事業者に四十四億ユーロ、三千五百億円ぐらいとか、かなり丁寧な対応をして進めるんだということだと思います。

 逆に、途上国にとってみると、これは非常に石炭に対するニーズが高くて、エネルギーというのはSプラス三Eという言われ方をしますが、この三Eの中でも、エンバイロンメントのところは、それはもう石炭はほかにはやはりかなわない。LNGの方が当然環境にも優しいかもしれない、原子力の方が優しいかもしれないということですが、ただ、エコノミーとエナジーセキュリティーは、やはり、コストも圧倒的に安いし、エナジーセキュリティーだって、中東に集中している石油と違って、石炭は結構アジア太平洋地域にあったり欧州にあったりということですので、この三つのうち二つはかなり利便性があるという中で、やはり途上国から見ると、ASEANとかインドでは今後石炭火力のニーズが倍になるんじゃないかというふうに言われています。

 こういう途上国が石炭火力を入れたいといったときに、じゃ、世界のどこがプラントを提供するのかという話になります。そこで伺いたいのは、日本の石炭火力発電プラントの実力、技術力というのはどうでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 世界の主要な石炭火力発電プラントメーカーといいますと、日本企業のほかに、米国企業、ドイツ企業、中国企業、そういったところが主に存在しております。

 このうち、中国企業につきましては、中国国内の電力需要の増加によりまして、中国国内の建設実績がふえているという状況にございます。実際に、カタログスペック上はかなり発電効率なども日本企業製に追いついてきておりますし、価格も安いというふうに一般的に言われております。

 しかしながら、故障率の低さですとかメンテナンス能力の高さといった中長期的な信頼性、こういった観点もございまして、日本の石炭火力技術を希望する国々が存在しているということも事実でございます。

 民間のレポートによりますと、中国企業が海外で受注している石炭火力プラントというのは、最新鋭でない、USCでないものも多いようでございますし、また、この最新鋭のUSCに限りますと、二〇一五年以降であっても日本企業の受注が中国企業の受注を上回っているという状況にあると聞いております。

 全体としては、石炭火力を選択せざるを得ない国から我が国に要請があった場合には、日本企業の持つ高効率石炭火力の導入を支援することで世界の気候変動問題に貢献していこうというのが、エネルギー基本計画に基づく我が国の方針となっているところでございます。

伊佐分科員 今、各国の状況を紹介していただきました。

 途上国が石炭火力を入れる、コストの高いほかの電源を強制することは当然できないわけですから、そうなったときに、さっき、故障率、信頼性の話もありましたし、中国では最新鋭でないものを今どんどん入れているという話でありました。もし、効率の悪い、二酸化炭素を多く出すような国のプラントが結局途上国に入ってしまうのであれば、まだ、高効率な日本のプラントを入れた方が、結果としては世界の排出量を減らせるんじゃないか、こういうことになる。かなり現実的な問題もあるんじゃないかというふうに思います。

 もちろん、日本の商社が受けて中国のメーカーを入れたら余りそれは意味がないかもしれませんが、本当に純粋に、現実的にどちらが二酸化炭素を減らせるかという点をいろいろと議論していく必要も私はあるんじゃないかなというふうに思っております。

 ちなみに、時間もありませんが、紹介をすると、日本の最高効率の技術が中国、インド、米国の石炭火力と置きかわるだけで、CO2の削減効果は約十二億トン。つまり、日本の年間のCO2排出量が同じく十二億トンですから、石炭が日本のものに、この三カ国がかわるだけで同じぐらいCO2を減らすことができるという状況だと私は資料で勉強しました。

 こういう観点もいろいろとしっかりと議論しながら、日本のエネルギー政策を進めていくべきだというふうに思っております。

 次に、ちょっと飛ばしまして、先に宇宙の話をしたいと思います。

 私、地元は大阪で、ずっと宇宙開発も携わっておりましたけれども、二〇二五年の大阪・関西万博で、この宇宙で何か骨太のものができないかというふうにずっと提案をさせていただいております。

 五十年前の大阪万博、月の石というのが展示をされて、私はまだおりませんでしたけれども、長時間並んでみんな月の石を見たというふうに伺っています。

 五十年たって、日本は五十年前と比べて世界の宇宙をリードする国になりました。人工衛星「はやぶさ」、「はやぶさ2」がことし帰ってまいりますが、あるいは、観測衛星は恐らく私は世界トップレベルだというふうに思っています。こういう、再び行われる日本の万博では、今度こそ日本の宇宙開発というのをアピールするようなことが何か万博でできないのか。

 具体的には、日本の特に企業が主役になって、特に中小企業、ベンチャー企業ですね。地元の大阪では、「まいど一号」という、中小企業だけで打ち上げた、まあJAXAも相当支援してくれましたけれども、こういうような企業もあります。独自に頑張っている企業が日本じゅうにあって、月を目指しているような会社もあるわけです。こういうようなところと連携して、日本の大手の宇宙開発関連企業だけじゃなくて中小、ベンチャーも入れて、日本の宇宙の可能性とか、こういうものを見せつけるようなイベントになったらいいなというふうに思っておりますが、いかがですか。

中野大臣政務官 伊佐委員の質問にお答え申し上げます。

 伊佐委員の、常日ごろより、宇宙政策に対する熱い思い、本当に心から感謝をしております。

 昨年の十二月に、政府は大阪・関西万博の開催計画に当たる登録申請書を、BIE、博覧会国際事務局に提出をしておりまして、その中で、万博の実施主体である博覧会協会が取り組む展示分野といたしまして、宇宙、海洋、大地というのを候補として設定をしているところでございます。

 日本は、これまでJAXA等が中心となりまして宇宙開発を進めてまいりましたが、最近では、月面探査を計画するベンチャー企業が出てくるなど、民間企業の参入が進みつつあります。先ほど委員から御紹介いただきました、東大阪市の中小企業を中心とする組合が小型人工衛星「まいど一号」を開発いたしまして、二〇〇九年に打ち上げに成功する、中小企業の有する高い技術力を世界に示した大変にいい事例もあるわけでございます。

 一九七〇年の大阪万博アメリカ館では、先ほどお話がありました月の石が展示をされ、万博の象徴として長く人々の記憶に残るとともに、宇宙産業の競争力の強化に貢献をいたしました。今回の大阪・関西万博を契機に、中小企業、ベンチャーによる宇宙開発がさらなる飛躍を遂げるよう、政府としても積極的に取り組んでまいる決意でございます。

伊佐分科員 政務官の方から東大阪という言葉が出てまいりました。ここももちろん頑張っていらっしゃるんですけれども、私の地元、守口、門真でも頑張っているところもございますので、一応申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、フリーランスの話をしたいと思うんですが、このフリーランスの働き方、会社に属さずに、個人で仕事を請け負っている、ネットを通じて、締切りはいつまでですよというので、単発で仕事を受けるわけですけれども、多様な働き方という点では、こういう就業形態もあるのかなというふうに思います。今、三百万人から四百万人いらっしゃる。

 ただ、そのフリーランスの方の働く環境が今どうなのかというところです。

 例えば、フリーランスといっても、ほとんど特定の会社から受注を受けている、契約上、専属でやってくれと言われていたりとか、あるいはほかの発注より優先させてくれという契約があったりとか、いわゆる名ばかりフリーランスという方々がいたりとか、あるいは、急に発注変更されるけれども、締切りも変わらない、報酬も変わらない、こういうような状況だったり、報酬額が一方的に決められる、あるいは期日までに報酬が支払われない、こういういろいろな声、私、ツイッター上でも聞いたら、いろいろな声が集まってまいりました。

 これはいろいろな労働法制が複雑に絡み合っているのはわかるんですが、厚労省でもずっと議論していただいていると思うんですが、そうこうしているうちに、今、全世代型の社会保障、全世の方で中間報告が昨年末に出ました。その中で、こうあります。「内閣官房において、関係省庁と連携し、一元的に実態を把握・整理した上で、最終報告に向けて検討していく」というふうに出ました。この目指すところについて伺いたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘ございましたように、いわゆるフリーランスなど、雇用によらない働き方の保護のあり方ということにつきましては、多様で柔軟な働き方を後押しする政府といたしましても、健全に発展していくように取り組んでいくべき課題だというふうに認識しております。

 具体的には、先ほど委員からもちょっと御紹介ありましたけれども、技術の進展で、インターネットを通じて短期や単発の仕事を請け負って、個人で働く新しい就業形態が増加しているところでございます。特に、高齢者の方々の就業機会の拡大にも貢献するということが期待されるところでございます。

 そうした中で、多様な働き方の一つとして、希望する個人が個人事業主やフリーランスを選択できる環境を整える、そういった方向を目指して検討を進めていく必要があるところでございます。

 ただ一方で、フリーランスと呼ばれる働き方は、先ほども御紹介ありましたように非常に多様でございますし、また、労働政策上の保護とか競争法による規律についてもさまざまな議論があるといったところでございます。

 こういったことも踏まえつつ、引き続き、先ほどちょっと御紹介いただきましたけれども、内閣官房において、関係省庁と連携して、一元的に実態を把握、整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 去年年末、この中間報告が出て、次、最終報告を目指して、さっきおっしゃっていただいたような議論を進めていく。これは伺ったら、厚労省の方では、既にもう二年前から議論を始めて、ずっと議論を重ねていらっしゃる、まだまだ結論が出ていないと。

 もちろん、さっき申し上げたように、いろいろな複雑な法制が絡み合っているので、簡単にこうだというのは出ないのはわかるんですが、ぜひここはもう少しスピード感を持って、厚労省の今までの議論の蓄積もありますので、全世の方とも連携しながら進めていただきたいというふうに思います。

 各国のいろいろな状況を伺うと、例えば、フランスではフリーランスについては保険を義務づけるとか、ドイツではフリーランスも労働保護法の対象にするとか、アメリカは、これは各州で決めるんですが、ニューヨークなんかを見ると、賃金条例というものがフリーランスに、既にもう成立させているというようなこともあります。

 だから、世界はフリーランスを保護する、労働環境を保護する、拡大するという方向にありますので、こういう例も参考にしながら議論を進めていただきたい。

 以上、終わります。ありがとうございました。

神山主査代理 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野分科員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、地球規模の気候変動問題について質問させていただきます。

 日本でも、台風、豪雨災害の大規模化や猛暑による米生産への打撃、海水温上昇による不漁など、深刻な影響が出ております。今や気候変動ではなく、気候危機というレベルだと思います。

 昨年の十二月四日に、長野県の白馬村が、全国の自治体で三番目となる気候非常事態宣言を行いました。私、今月の二十二日に、この白馬村に伺いまして、関係者の皆さんからお話を伺ってまいりました。

 まず、白馬高校の二年生である手塚慧介さん、金子菜緒さんとお話しさせていただきまして、このお二人と宮坂雛乃さんという方、三人が中心となって、例えば、昨年九月二十日に、村内でグローバル気候マーチを企画したり、これに人口九千人ぐらいの白馬村で百二十人が参加したという取組になりましたし、十一月三十日には、気候難民のためのチャリティーバザーを開催した。白馬村として気候非常事態宣言を出してほしいという署名を下川正剛村長に何度も届けたということであります。ことし二月には、白馬のゲレンデでスキーをしながら気候マーチを行ったとお聞きをしました。

 私は、お話を聞いて非常に感銘を受けたんですが、例えば、金子さんは、生活と持続可能性、SDGsを結びつけている人が少ない、結びつけられる人が少ない、でも、そういう話をいろいろ説明すると、高校生の同級生たちもだんだん変わってくるんだということをおっしゃってくれました。

 手塚さんは、自分がおじいちゃんになるまで白馬のこの環境を残したいと。政府に何か言いたいことはありますかと聞いたら、もっと楽しさを大事にしてほしい、つらいことだとみんなやらない、みんながかかわれるように工夫してほしいというふうに私は言われたんですね。

 大臣にお聞きしたいんですが、結びつけられる人は少ないけれども、でも、やはり話をすれば変わるんだとか、みんながかかわれるように楽しさを大事にしてほしいという、いろんなヒントはあると思うんですが、こうした高校生の声を聞いて、どのようにお感じになりますか。

    〔神山主査代理退席、主査着席〕

梶山国務大臣 気候変動問題は、現在排出された温室効果ガスが将来の世界の気温の上昇につながるということで、人類全体で考えていかなければならないと思います。

 その対策としてさまざまなことが挙げられるわけですけれども、生活にも関連をさせるということで、つくり出したエネルギーがそこでまた使われているということもありますから、どう省エネをしていくかということなどは、今高校生の方がおっしゃったような、楽しさも含めてどう皆さんが意識を持って行動していくかということだと思いますし、かたい話ばかりではなくて、そういう考え方で物事に臨むことも重要なことであると感じました。

藤野分科員 今省エネとおっしゃいましたけれども、この白馬高校では、今断熱の取組をされているそうなんです。

 何でそういうのを始めたのかと聞いたら、いや、もう単純に言って、教室が気持ちよくないからですと。夏は暑くて冬は寒い。何とかしたいというので考えていくと断熱だというので、今いろいろな制度も調べてやっていらっしゃるということで、やはり、気持ちよく過ごすためにとか楽しくなっていくということは多くの方にとって共通の願いでありますから、こうした取組をぜひ進めていただきたい。

 白馬村の高校生たちが気候変動に関心を持ったのは、白馬SDGsラボという勉強会に参加したのがきっかけだったということなんですね。

 また、プロテクト・アワー・ウインターという団体が世界的に活動されていまして、これはプロのスキーヤーとかスノーボーダーとか、そういう方が冬を守れということでやっているわけですね。そういう方も白馬で皆さんとつながって運動されている。

 ここに民間企業の取組も始まっておりまして、白馬村周辺の三つのスキー場の運営に携わっている会社、白馬観光開発会社というところの横澤勝也さんという技術本部長から私はお話を聞いたんですが、スキー場というのはやはり大変大量の電気を使うんだ、リフトとかゴンドラとか、だからこそ同社では省エネに取り組んできたと。社員の有志でSDGs推進委員会というのを社内につくって、いろいろな取組、例えば照明のLED化とか、乗り合い客、一台に一人とかじゃなくて、何人も車に乗ってきた場合はゲレンデに近い専用駐車場を提供するとか、いろいろ工夫をされているんですね。あるゲレンデでは、三日間だけなんですけれども、その三日間、再エネによる電力に切りかえるなどの、そういう試みも行ったそうであります。

 大臣、お聞きしたいんですけれども、例えば、同社が管理するリフトが二十七本あるんですが、これ一本の電力を再生可能エネルギーに恒久的に切りかえると、年間百万円負担増になるとおっしゃいました。やはり負担になるんですね、今の時点で言えば。ただ、CO2削減のためにやりたいというふうに同社はおっしゃっていたし、将来は木質バイオマスにも取り組みたい、山の間伐でたくさんあるんだというお話もされておりました。ただ、今の時点ではいろいろ課題もある。

 ですから、こういう民間の取組を、国交省とか観光庁とかはいろいろやられているんですが、経産省としても後押ししていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 経済産業省も同様に考えておりまして、例えば、再生可能エネルギーの比率なども常に気をつけながら私も見ておりますし、応援できるものはしっかりと経済産業省の形で応援をできればいいなと思っております。

藤野分科員 例えば、一点だけ具体例でちょっと見たいんですけれども、現場で話になったのは、今、観光庁の事業で、二〇二〇年度予算案に、国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業というのがありまして、これは予算二十億円なんです。インバウンド需要を取り込もうということで、国際競争力の高い事業主体を対象として行われる。

 ただ、観光庁の事業は対象がすごく限定されていまして、国際競争力が高いという。白馬はそれに当てはまるのか、まだちょっと決まっていないらしいんですが。

 やはり問題は、予算規模が二十億円と、非常に少ないとおっしゃっておられた。先ほどの会社の方は、自分のところのゴンドラを、もう大分年月がたって設備更新を考えているんだけれども、それだけで二十億円かかるというんですね。ですから、国全体で二十億というのは、これはちょっと間尺に合わない。

 ですから、経産大臣にお聞きしたいのは、観光庁は国際競争力と言うわけですが、やはり大臣は地域経済にも責任を持っていらっしゃると思うんです。地域にはいろいろな小さなスキー場もありまして、結構、バブルの時代の設備投資が耐用年数を迎えているところがたくさんあるんです。ですから、経産省として、地域経済の観点からこうしたものも支援していく、こういうのが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 地方の経済、地域の経済という点では、経済産業省も応援できる可能性があると思いますし、あとは、地方創生や観光予算ということもこういったものにかかわってくる。さらにまた、これで省エネやSDGsや、そういったことをうたうことによって、いろいろな予算が出る可能性があるのではないかと、今、急にお聞きして、そう感じました。

藤野分科員 ぜひ政府を挙げて、地域経済、今おっしゃったような、まさに観光庁、地域創生、少子化、全部かかわってくると思いますので、ぜひ具体化のイニシアチブを大臣にもとっていただきたいと思います。

 そして、自治体の長といいますか、横山秋一副村長からもお話を聞きまして、白馬村の気候非常事態宣言には「白馬の良質な「パウダースノー」を守ります。」という一文があって、これはほかの自治体の宣言にはない、やはりパウダースノーという言葉は非常にリアルだなと思ったんですね。

 副村長に、その宣言をした意義についてお聞きをしましたら、こうおっしゃっていたんです。気候変動対策を進めるには村民一人一人の意識が大事だ、一人の百歩よりも百人の一歩ですよとおっしゃったんですね、一人の百歩よりも百人の一歩と。私、本当にそのとおりだなと思いまして、やはり自治体なり政府が、政治が宣言を出していく意味というのは、そういう意識を変えていく、百人に動いてもらうということだと思うんです。

 白馬村だけではなくて、今、全国の自治体で、二〇五〇年実質ゼロ宣言が広がっております。

 環境省にお聞きしますが、この宣言をした自治体の数など、広がっていると思うんですが、その広がりと、それと同時に、その広がりが持つ意味について、環境省、どういうふうにお考えでしょうか。

上田(康)政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年二月二十四日の時点において、十五都府県、二十八市、一特別区、十八町、七村の六十九自治体が、二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロの表明を行い、人口規模では五千三百八十八万人となったところでございます。この中には、議員が今お話しされた長野県白馬村も含まれているところでございます。

 こうした自治体が急速に広がっている理由としましては、一つは、昨年の台風第十五号や第十九号が日本列島を直撃し、激甚な被害をもたらしたことなどにより、気候変動に対する自治体の危機感の高まりがあると考えております。

 加えて、このような自治体の動きについて、COP25を始めとするさまざまな機会を捉まえて、小泉環境大臣みずから情報発信を行ってきたことも要因だと考えております。

 こうした自治体の取組というのが気候温暖化対策の極めて基本にあるかと考えておりますので、環境省としてもこれからしっかりと応援をしてまいりたいと考えております。

藤野分科員 配付資料を見ていただければと思うんですが、これは二十一日段階でして、今の答弁ですと六十九自治体で、市が二十六ではなく二十八市で、七村ということでありますが、いずれにしろ、大きく広がっている。

 グレタ・トゥンベリさんを始め世界の若者たちが、フライデー・フォー・フューチャーという運動を繰り広げておりますし、グテレス国連事務総長は、二〇五〇年CO2排出量実質ゼロを呼びかけて、世界で七十五カ国がこれに応えている。

 大臣にお聞きしたいんですが、やはり日本政府としても、こういう、先ほど言った百人に動いてもらう、一人の百歩より百人の一歩という点からいっても、政府が二〇五〇年実質ゼロと明確に打ち出す、こういうことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 私どもも、その環境に対する考え方というのは賛成なんですけれども、より実効性のある形で実現をしていくということ、そして、現実を見た上でどう一歩一歩進んでいくかということを考えた上で、削減率であるとかエネルギーミックスということを考えております。

藤野分科員 いや、現実性というのは今から見ていきたいと思うんですが、もう世界は動いているわけですね。

 よくイギリスと日本を並べて言われる総理の答弁なんかがあるんですが、イギリスはもう、まさにこの気候変動の取組で、とりわけ石炭火力については、二〇一二年から一六年の短期間で七四%も削減をしているわけですし、そういう意味では、もう現実にそうした取組が進んでいるということだと思うんですね。

 科学的には、二〇五〇年と言いましたけれども、それの実質ゼロを実現するには、二〇三〇年の時点で四五%削減できていないと難しい。三〇年ですから、あと十年なんですね。まさにこれから十年の排出をいかに削減するかが将来を左右するということで、やはりこの緊迫感といいますか切迫感というのが、私は、今、安倍政権に極めて不足している。だから、現実をいった場合に、この十年間という現実にこそ向き合うべきだというふうに思うんですね。

 その点で、今申し上げましたけれども、私は、最大の問題は石炭火力だと思います。

 配付資料の二を見ていただきますと、日本では、稼働中の石炭火力が百二十四カ所もあるんですね、百二十四基もある。しかも、新たに建設中、これは赤い印ですけれども、計画中が二十二カ所もあるということで、本当にこれはもう大変な状況だと思います。

 政府のエネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成について、石炭火力の割合は二六%と認識しております。他方、電力事業者はどういう計画を持っているか。大臣御存じだと思うんですが、電力広域的運営推進機関、OCCTOというところは、二〇二八年の電源構成で、石炭火力発電が占める割合を何%としているでしょうか。これは事務方でも結構です。

村瀬政府参考人 広域機関の試算でございますけれども、この試算は安定供給に必要となる供給力が足りているかということを確認するための試算でございまして、お示しいただいた数字は、原子力が仮に四%程度であったときの発電を、安いものの順に発電をした場合の試算でございます。

 その上で数字を申し上げますと、この石炭、紫になってございますところは三六・八%、このようになってございます。

藤野分科員 今答弁あったように、三六・八%と。ですから、政府でさえ、二六%でもパリ協定の実現には逆行していますから、二六%も私たちは論外だと思いますけれども、しかし、電力業界が二〇二八年で三六・八、三七%なわけですね。これはもう政府の目標すら大きく上回っているわけであります。

 ですから、グテレス国連事務総長なんかは、日本はもう石炭中毒だというふうに言っているわけでして、そのとおりだし、今後更に、今の三十数%、三七%近くまで上げていこうというのが電力業界の計画であります。

 大臣、私はこれを正さなければならないと思うんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 今の数値は、今、政府参考人が説明したように、安定供給に必要となる供給力が足りているかどうかを国が確認するものでありまして、三〇年の二六%というのは、高度化法や省エネ法において縛りをかけて必ず実現をする数字であります。

藤野分科員 本当に、この計画、この石炭中毒を加速するような計画を正せないようでは、日本政府も石炭中毒と言われても仕方がないと私は思うんですね。

 もう一点お聞きしたいんですが、ちょっとこれは、けさのニュースというか午前中のニュースですので、先ほども出たんですが、ちょっと通告できていないんですけれども、小泉環境大臣が、石炭火力の輸出について、今後四要件の厳格化を表明した、六月までに結論を得る、来年七月に出る、改定されるエネルギー基本計画に反映を目指すというふうに報道されておりますが、梶山大臣はこの点について御存じだったということでよろしいですか。

梶山国務大臣 以前、小泉大臣から問題提起がありました。その上で議論をしていくということであります。

藤野分科員 議論をしていくということは、これは何か環境省内に検討会ができるそうなんですけれども、環境省内にできてもあれなわけで、どういうふうに検討されるんですか。

梶山国務大臣 結論ありきではなくて、今まで閣議決定でこの四要件というのも決まっておりますので、これから四要件をどのように運用していくかということであろうと思っております。

藤野分科員 ちょっとちぐはぐな感じを私は持っておりまして。

 といいますのは、小泉環境大臣は、以前は、ベトナムの案件について四要件を問題にされていたんです、まさに。これは見直すべきじゃないかという議論をしていたんですが、きょうの記者会見ですと、結局、ベトナムについては容認すると言っているんです。むしろ後退しているわけですよ。

 ついこの間まで四要件に合わないんじゃないかと言っていたのに、その四要件を厳格化する議論をやると言っているのに、まさにそのベトナムの案件については容認すると。非常に整合性がとれていないと私は思うんです。

 どれほど環境省内で議論しているのか、あるいは経産省と議論しているのかというのを知りたいんです。何か、すり合わせというか、打合せはあったんでしょうか。

梶山国務大臣 小泉大臣のきょうの発言については、私も確認をしておりませんので、コメントは控えさせていただきます。

藤野分科員 確認していないということでありました。

 結局、その四要件を多少厳格化しても、要は輸出は続けるということは余り変わりがないわけで、それは、やはり安倍政権が石炭火力の輸出を成長戦略に位置づけているからであります。

 しかし、大臣、これは、世界銀行も、もう投資しない、投資不適格だというふうに言っているわけですね、投資不適格案件。しかも、今から不適格であるだけじゃなく、今もう融資、投融資されているものが今後焦げつく、つまり座礁資産になるんじゃないかということもあるわけですね。ですから、これが成長戦略になるというのはもう世界では到底あり得ない話だと思うんですね。

 大臣、お聞きしたいんですが、今人類が直面している気候危機を更に悪化させることが、安倍政権の成長戦略なんでしょうか。

梶山国務大臣 私どもも、世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献するという視点は変わりありません。ただ、今、自前の資源を持たない我が国がどうしていくかということに関しましては、この石炭開発の効率化、又はリプレース、置きかえということも含めて、どういった方策で三〇年の二六%削減を実行するかということを今必死で考えているわけでありまして、それらを実行するために、実現させるために、こういった対応をしているということであります。

藤野分科員 やはり、企業活動とか、今おっしゃったようなものも全部、経済の持続可能性が土台だと思うんですね。その持続可能性の土台である地球環境を壊せば、もう経済活動そのものもこれは成り立たないわけで、やはり持続可能性を壊すような成長戦略というのは私はもうやめるべきだというふうに思います。

 その上で、逆に私は、脱石炭の道を進む方が、そちらの方が、経済的にも雇用という面でも、非常に大きな可能性があると思うんです。

 配付資料の四を見ていただきますと、これは、エネルギーに強いアメリカの投資ファンド、ラザードというところの、毎回更新されるんですけれども、資料なんですね。

 今や、この黄色く塗っているところが石炭であります。それよりも下の方に、ウインド、風、風力とか、ソーラー、太陽光があるわけで、最新のこれですと、石炭のコスト百九に対して、風力が四十一、太陽光が四十ですから、太陽光の発電コストでいえば三六%ぐらいだし、風力でも三七%と、もう圧倒的にコストが石炭火力よりも低くなっている。この傾向は更に進むと思います。

 そうなってきますと、やはり、こうしたコストの面から見ても、石炭にしがみつく必要というのはもうないし、むしろ不合理になっているというふうに思います。

 最終的にこのコストが転嫁されるのは、私、企業とか家計だと思うんですね。やはり、そういう石炭火力から転換していくことこそ、企業や家計にとって、大臣、私、有益だと思うんですけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 民間機関による試算というのはさまざまありますけれども、御指摘のラザードの試算については、算定プロセスや試算の根拠が明らかではないことから、その数値を評価することは差し控えたいと思っておりますが、再生可能エネルギーも、その地域の状況によって変わってくるということでありまして、平地が少ない日本の場合、また、風況、風の状況がどうなのかということも含めて、それらのコストにかかわってくるものだと思っております。

藤野分科員 確かにそれは地域によって変わると思いますけれども、日本は日本のやはり地域の特性も生かして、むしろポテンシャルはドイツなどよりもあるという指摘もあるわけで、そこにこそ私は知恵と力を集中すべきだと考えております。

 環境省、ちょっと時間の関係で簡潔にお願いしたいんです。

 環境省は、二〇一八年三月のカーボンプライシングのあり方に関する検討会の取りまとめの中で、気候変動問題と経済、社会課題の同時解決に向けてという指摘をしていると思うんですね。この同時解決というのはどういうことで、諸外国においてこの同時解決についてどのような到達になっているか、ちょっと簡潔にお願いします。

上田(康)政府参考人 お答えいたします。

 環境省が設置したカーボンプライシングのあり方に関する検討会では、先ほど先生からありましたように、二〇一八年三月、取りまとめを行い、カーボンプライシングについては、多くの主体の創意工夫を促し、長期大幅削減に向けたイノベーションを喚起する、また、投資機会の創出等により、我が国の経済、社会的課題の同時解決に貢献することが必要である、こうした提言をいただいております。

 経済、社会的課題の同時解決の意味でございますけれども、今現在では、環境問題だけの側面を見てはなかなか地域にとって取組というのが進まない、地域にあるさまざまな経済的問題、社会的問題と同時に解決するようなものが温暖化対策、気候変動対策にとって重要だろうということで、そうした考えのもと、例えば地域循環共生圏というアイデアのもと、地域に取組をお願いしている、そうしたところを進めているところでございます。

藤野分科員 ちょっと違うんですね。

 私が聞いたのは、ここにありますけれども、この報告書の文言で言いますと、こう書いてあるんです、十三ページ。「主要国は我が国に比べて、温室効果ガスの排出を削減しつつ経済成長を達成してきたということでもあり、我が国としても、両者の同時達成を目指して施策を進めていく必要がある。」、こういう指摘があったり、要するに、一人当たりGDPがかつては日本より低かったけれども、多くの国が、今やこの取組を通じて、気候変動対策に取り組むことを通じて、むしろ経済効率性が上がって、一人当たりGDPは全て日本より上がっている、もう日本は逆転されたということを環境省の報告書に書いてあるわけですね。私はそれを答えていただきたかったんですが、もう時間の関係で結構です。そういうふうに、例えば十三ページと六十五ページに書かれております。

 私は、やはり脱石炭というのは、そういう意味では地域経済にとっても雇用にとっても大きな力になると思うんですね。

 配付資料の五を見ていただきますと、これはNPOの資料ですけれども、アメリカでは、二〇一八年に、クリーンエネルギー、再エネのほか、省エネとかクリーンカーも含みますけれども、その仕事が化石燃料関連の仕事の約三倍になった、「3X」とはそういう意味であります。

 ヨーロッパでも、欧州運輸労働連盟が二〇一一年に出した報告書によりますと、輸送分野で温室効果ガス排出量を八〇%削減する包括的なプランが導入されれば、ヨーロッパ全土で七百万人分の新規雇用が創出される、同時に、クリーンエネルギー分野で五百万人分の雇用を新たに創出すれば、発電によるCO2排出量を九〇%削減できるということなんですね。

 つまり、ウイン・ウインの関係だ。気候変動対策を進めるということは雇用をふやすし、気候変動対策での雇用をふやせば排出量が減っていくという、まさに両者ウイン・ウインの関係にあるというふうなのがもうさまざまな形で明らかになっていると思うんですね。先ほど言った環境省の取りまとめも、まさにそれを私は示しているというふうに思うんです。

 大臣、そういう意味でも、現実的と冒頭おっしゃいましたけれども、私はこちらの方がもっと現実的だし、既に取組も進んでいるわけですから、そちらに知恵と力を集中していく、これが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 再エネの導入拡大というのは雇用創出効果があることは思っておりますし、極めて重要な要因分析であると思っております。

 それらも含めて、いかに再生可能エネルギーを主力電源化するために何をしたらいいのか。例えば、ネットワークの強化であるとか分散型のネットワークの導入であるとか蓄電池の開発であるとか、そういうことも含めて、それらができるように努力をしてまいりたいと思っております。

藤野分科員 それはそれで大いにやっていただければいいと思うんですが、私はやはり石炭から転換していくということを申し上げたいんですね。それ抜きにいろいろやっても全て帳消しになってしまうのが石炭、それぐらいのやはり強烈なCO2についての影響を石炭火力は持っているわけです。それを電力業界は三七%にしようという計画を現実に持っているわけです。

 ですから、そういう意味で、石炭火力の方で政府がイニシアチブを発揮しなければ、これはあらゆる取組が水泡に帰すということなんですね。

 もう一つ紹介したいのは、ILOの調査なんですけれども、厚労省にお聞きしますが、ILOは、国際エネルギー機関によるシナリオと現行シナリオとを比べて、要するに、気候変動に取り組んだ場合のシナリオと今のままいった場合のシナリオと比べて、どっちが雇用がどれだけふえるというふうに言っていますか。

田中政府参考人 国際労働機関、ILOの報告書、「世界の雇用及び社会の見通し二〇一八年版 仕事でグリーン化」におきましては、国際エネルギー機関、IEAの持続可能なシナリオに沿ってエネルギー転換が進んだ場合の雇用への影響が分析されております。

 そこでは、二〇三〇年までにIEAのシナリオに沿ってエネルギーの使用の効率化及び再生可能エネルギーへの転換が進んだ場合、世界経済全体で雇用が約千八百万純増することが期待される旨が記載されているものと承知しております。

藤野分科員 今答弁ありましたけれども、配付資料の六にもその部分が紹介してあるんですが、要するに、気候変動対策に取り組んだ方が、千八百万人も雇用が、今のシナリオでいくよりもふえるんだということをILOも言っているわけであります。

 大臣、やはり私は、前向きな意味で政府が役割を果たしていくということが今は求められていると思っていまして、そういう意味で、世界では既にそうした方向に進んでいるし、そうした方向に進めば雇用もふえるし経済にとってもプラスなんだということで、先ほどおっしゃられた、いろいろ取り組んでいらっしゃるということとあわせて、それはやはり石炭から転換していくということが私は鍵だと思うんですが、この点について、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 何が何でも石炭を維持していくということではありませんでして、しっかりとそういったものを考えながらエネルギーの多様化を図っていくということだと思います。

 イギリスの削減というのも、石炭から、今度、ガスに転換したんですね、北海の。そして、これは自前の資源ということでやっているということもありますので、その国の状況というものも踏まえて現実を考える。

 さらにまた、気候変動というのも重要な問題だと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

藤野分科員 もう終わりますけれども、やはり、気候変動に最も悪影響を与える石炭火力から撤退するということとセットでなければさまざまな対策は効果を持たないということを指摘して、質問を終わります。

山際主査 これにて藤野保史君の質疑は終了いたしました。

 次に、勝俣孝明君。

勝俣分科員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日の分科会、ラストバッターでございますので、しっかりと締めくくりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 まず、全国の商工会、商工会議所について御質問させていただきたいというふうに思います。

 先日、二十二日の土曜日でございますけれども、私の地元、静岡県沼津市で、商工会議所青年部全国大会が開催をされまして、約八千人の青年経済人の皆さんがお越しくださいました。松本副大臣も満を持してお越しいただきまして、本当にありがとうございます。皆さん本当に喜んでおりました。

 私、この日本経済の成長において、地域経済のかなめである商工会、商工会議所の存在は非常に重要になっているというふうに感じております。全国で商工会は約一千七百、商工会議所約四百六十の、特に少子高齢化が進展する地方で、この商工会、商工会議所の若手、青年部の活動は、まさに地域活性化の中で非常に大きな役割であるというふうに私は考えております。

 松本副大臣、ぜひ、会場の熱気を感じていただいたというふうに思います。改めて、商工会、商工会議所における青年部の存在意義をお伺いしたいと思います。

松本副大臣 議員からお話がありましたように、先般行われました、議員のお地元であります沼津で行われました商工会議所青年部の全国大会へ参加をさせていただきまして、本当に、関係者の皆様方の大変な熱意というものに私自身も感銘を受けたところであります。本当にありがとうございます。

 商工会、商工会議所の青年部は、地域の若手経営者から構成されているわけでありますが、自社の経営上の課題やアイデアを共有するとともに、地域の経済及びコミュニティーの発展に向けたさまざまな取組を行っていると承知をしております。ちなみに、私も商工会青年部の一員でもありました。

 また、若手経営者にとりましては、青年部の活動から経営課題の解決につながるヒントを得ることや、青年部でのつながりがビジネス拡大につながる機会になることなどがあるというふうに認識をしているところであります。

 先日、日本商工会議所青年部全国大会が開催をされ、議員の地元でもある沼津では、商工会議所青年部が地域の商店や飲食店へのキャッシュレス決済導入を推進をし、次の世代への、時代の変化への対応というものを主導しているというところを拝見をさせていただいたところであります。

 若手経営者の皆様には、キャッシュレス決済の導入などの政策を推進していく上での牽引役はもとよりでありますけれども、次の世代を見据えた地域経済の活性化における活躍、また、次の時代に柔軟に対応をしていく、そうした活躍なども期待をしているところであります。

 以上です。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 まさに副大臣おっしゃられたように、日本商工会議所のミッションというのが、政府に政策を提言するということが非常に大きなミッションなんですけれども、その中で、この全国大会、沼津大会において、まさにキャッシュレス決済の普及の活動をしておりまして、先ほど副大臣からもありましたとおり、松本副大臣も実際にキャッシュレスを体験していただき、多くのお土産を、地元のお土産をお買い求めいただきました。ありがとうございます。

 その経験も踏まえて、キャッシュレス決済比率を高めていくには、これは、お客様側とそれから店側、この双方のやはり利便性の周知というのが必要だというふうに思います。今回、青年経済人の皆さんが中心となって、両方向の周知、普及活動を行っていましたけれども、経産省として、キャッシュレス決済のさらなる普及において課題は一体何なのかということをお伺いしたいと思います。

松本副大臣 日本におきましてこれまでキャッシュレス決済の導入が進んでこなかった背景といたしましては、店舗にとりましては導入費用また手数料負担の問題などがあったと思います。また、消費者にとってはキャッシュレス決済の利便性を感じる機会が少なかったことなどが挙げられるのではないかと考えております。

 このため、昨年十月から実施をしておりますポイント還元事業におきましては、キャッシュレス化が進んでいない中小店舗に対しまして、端末などの導入費用や手数料を補助することでキャッシュレス導入を促進をしながら、五%の還元を通じて消費者がキャッシュレスの利便性を実感するきっかけを創出をしてきたところであります。

 昨年十一月に実施をいたしましたアンケート調査によりますと、対象店舗の売上げに占めるキャッシュレス決済の比率は、本事業の前後で平均約二七%から約三四%、約一・二五倍に上昇をしているところであります。また、どの地域におきましても、四割前後の消費者が、本事業により、以前よりキャッシュレスの使用頻度をふやしているということも明らかとなっております。本事業の目的の一つであるキャッシュレス決済の浸透という観点で、一定の効果は出ていると考えております。

 他方、まだ導入に踏み切れない店舗の方々、キャッシュレスになじみのない消費者がいると承知をしておりまして、御指摘のとおり、店舗と消費者の双方にしっかりと啓発をし、車の両輪として対応していくことが大変重要なことだと考えております。

 引き続き、全国津々浦々のより多くの中小店舗や消費者の皆様にキャッシュレスを御利用いただくことができるよう、キャッシュレスになじみがない方を対象とした使い方講座の全国各地での実施などを通じまして、わかりやすい周知などに全力で取り組んでまいりたいと存じます。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 さらなる普及に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、エネルギー政策について少し御質問させていただきたいなというふうに思います。

 先ほど来からいろいろな方々がエネルギー政策について御質問をしておりますけれども、まさに二〇三〇年エネルギーミックス達成状況についてでございますけれども、我が国のエネルギーを選択していく上で常に考えていかなければいけないことというのは、まさにこの三・一一における原発事故を踏まえた上で、原子力については安全を最優先して、そして可能な限り原発の依存度を低減していくということでございます。

 一方で、昨年の台風十五号、十九号等、本当に、近年、豪雨災害ですとか大型の台風による災害が多発しているわけでございます。この根本にあるのは地球温暖化の問題、こういうふうに言われているわけなんですけれども、この地球温暖化を防いでいくためにも、温室効果ガスの発生を低減していかなければならないわけでございますし、本当に脱炭素化はまさに世界の潮流ともなっているわけでございます。先ほども質問をされている方がいましたけれども、まさに世界の中で日本の石炭火力発電は非常に肩身の狭い思いをしているというのも現状であります。

 このような中で、私たちは一体どこにエネルギーを、まさに経済成長の、私は源泉だというふうに思っておりますので、エネルギーを求めていくのかということを再認識していかなければならないというふうに思います。

 そこで、再生可能エネルギーにおいて、二〇三〇年度にエネルギーミックスの電源構成について二二%から二四%まで引き上げていくということが掲げられております。再エネにおいては、水力を含んで二〇一七年時点で一六%となっておりますけれども、政府としても、再生可能エネルギーにおけるアクセルをしっかりと踏んでいかなければならない中で、二〇三〇年エネルギーミックス達成状況、それから、特に再生可能エネルギー導入の達成状況とその決意をお聞かせいただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーというものは、地球温暖化に対する対応、同時に、エネルギーの安定供給という意味でも大変重要なものでございまして、これは、国民負担を抑制しつつ最大限の導入を進めていくということが政府の基本方針でございます。

 委員御指摘のように、二〇三〇年度のエネルギーミックスの中で再エネを二二から二四%まで引き上げていくということを示しているわけでございますが、二〇一二年のFIT制度の導入によりまして、当時は一〇%ぐらいであったわけですが、これは最近の数字では、二〇一八年で一七%まで拡大してきているところでございます。

 これをどんどんもっと進めていくということでございますが、一方で、この導入に関しては、FITの賦課金を通じた国民負担の問題もございます。現在、年間で二・四兆円まで増大しているところでございまして、このミックスの前提としておりました国民負担約三兆円という水準を考えますと、今後は、入札制の活用など、競争を促す形で、コスト低減を図る形での導入を進めていきたいと考えています。

 また、一昨年閣議決定しました第五次エネルギー基本計画の中では、再生可能エネルギーを主力電源化していくということを決めているわけでございます。

 このためには、コストの低減に加えまして、長期安定的に事業運営がなされるような体制の構築、同時に、さらなる導入拡大に必要となる電力系統を始めとした社会インフラの整備といったこと一つ一つにつきまして、力強くかつ着実に進めてまいりたいと考えてございます。

勝俣分科員 まさに力強くアクセルを踏んでいかなければならないというふうに思うんですけれども、これは細かく見ていきますと、太陽光発電、風力、地熱、中小水力、バイオマスと、実際にそれぞれ導入の進捗状況がかなり異なっているんですね。

 私、非常に意外だったのが、太陽光発電は二〇三〇年度の目標において六千四百万キロワットに対して、昨年の三月時点で五千二十万キロワットということで、導入進捗率が約七八%となっているわけです。これは非常に高いんですね。さらに、期待される導入量としても八千二百三十万キロワットですから、もう目標をはるかに超えているんですね。これは非常にすばらしいことだというふうに思うんですが、一方で、風力や地熱などは導入進捗率がまだ約三七%と非常に低い水準になっております。

 それぞれ、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスと、導入進捗状況に温度差があるというふうに思うんですけれども、その理由を少しお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、FIT制度によって再エネの導入が拡大しているわけでございますが、その具体的な開発というものは、電源の種類によって相当違ってございます。

 これを分析的に考えてまいりますと、まず具体的な開発を行うに当たりまして、開発の適地となるポテンシャルがどこにあるのかということについて、地域の特定及びその開発、調整に要する時間というものが、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスと、それぞれの電源ごとに相当違いがある。

 特に、太陽光の場合、日の降り注ぐのは日本全国いろいろなところにありますので、利用できる場所というのが非常に広範にわたっている。

 あと、その開発のリードタイムというのが比較的短うございます。小さな案件でいえば一年以内、メガソーラーでいっても一年から二年程度で開発ができると言われてございますので、このスピードも速い。

 こういうことから、FITの導入以降の太陽光の導入が約四千七百万キロワットで、導入量の大体九〇%以上を太陽光が占めるわけですけれども、その背景には、このような背景があるのではないかというふうに分析してございます。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 まさに、場所とリードタイムというお話がありました。

 そうすると、この太陽光発電が、そのほかの再エネと比較しても、事業者にとっては取り組みやすい事業となっているとも言えるわけなんですね。

 取り組みやすいということは、参入する事業者にとって、再生可能エネルギー市場、いわゆる太陽光発電事業市場にとって、いい面もあり、これは悪い面もあるというふうに思います、取り組みやすいということは。

 特に、地元との共生ができていないような、こういう事業者が出てきてしまっているのも事実であります。私の地元、伊豆半島、まさに観光地なんですけれども、現実問題としてこういった問題が出てきているんですね。

 全国でも同じように、メガソーラー建設をめぐる事業者と住民とのトラブルが多発しているんですけれども、FIT認定では、経産省はこの事業者に対してどのようなチェックをしているのか、また、FIT認定後のチェック体制はどのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、太陽光は、大変急速なスピードで導入の拡大が進んでまいりました。これは、そのポテンシャルが多いというところと、非常に容易であるということで、事業者の方々も大変取り組みやすく、開発を進めてきたわけでございますが、こういう急速なスピードによる開発の中で、例えば、地域では、事業者の方々が地域の自治体や住民の方々の必要な調整をせずに開発を進めてしまうのではないかという懸念、若しくは、景観を損なうですとか、地元の意向に反して森を切り開き、開発をしてしまうのではないかという懸念など、さまざまなトラブルが出てきていることはよく承知しているところでございます。

 二〇一六年に前回法改正をさせていただきまして、法律の中で、円滑かつ確実に実施される事業計画を認定するという仕組みに変えまして、これを実施するための細則といたしまして、地域住民との適切なコミュニケーションを図るという努力義務を設けるとともに、例えば、農地法、森林法といった法律及び地方自治体の定めた条例の遵守というのを要件として定めているところでございます。

 今、現行法の運用の中で申し上げますと、FITの申請の段階で、こういった条例を含みました関係法令の遵守ということ、同時に、今申し上げました適切なコミュニケーションを適切な形で行っていくということ、こういうことをまず同意、誓約していただくとした上で、仮に、認定された後に条例を含む法令違反の懸念が生じるケースにつきましては、都道府県等を始めとする関係行政機関から違反状況についての連絡があった場合について、速やかに当該行政機関及び事業者双方に確認を行って、状況に応じては、違反状況改善に向けた取組を進める、このような形で、住民の御意向に沿った形での認定及び事業の開始ということが確保できるような取組を進めているところでございます。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 二〇一六年に、私も経産委員会に所属していましたので、私もたしかそのときに質問に立たせていただいて、事業計画をしっかりと、また、地域との共生ということで、お話をさせていただいた記憶があります。

 確かに、都道府県は林地開発の許可、それから、市町村は宅地造成法の許可、最後が、もうこのFITの認定によって電気を売ることができるわけですから、このFITの認定を取り消すしか、事業をとめることができないのが現状ですね、今。

 恐らく、地元としてできることは何かといったら、許可を出していって、地元は反対しているし、議会も全部反対をしている、でも事業は進んでしまうという、おもしろいというか異常な現象が起きてしまっているんですね、私の地元においても。

 まさに、この地元との共生をしていないんだけれども、事業がどんどんどんどん進んでしまっている。条例はどんどん、今、各自治体でつくり始めています。まさにこの条例に頼る部分が非常に多いんですけれども、まさに市民の代表である首長の判断というものが非常に重要になっております。

 先ほど、るる御説明をいただきましたけれども、このメガソーラー事業者の法令それから条例違反が仮に確認された場合、FIT制度においてどのような対応をするのか。今現在の、例えばこの認定を取り消した、そういった事例があるのか。それから、特にこの条例違反の場合にどのようにするのかということをお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT法、特に前回のFIT法の改正後でございますけれども、自治体が定めた条例を含みます関係法令の遵守ということを認定の条件としてございます。これに仮に違反した場合においては、必要に応じてこの認定を取り消すという仕組みにしてございます。

 過去に条例違反を理由に認定取消しを行った事例はまだないところでございますけれども、関係の法令違反について申し上げますと、農地法違反という案件につきまして認定の取消しを行った事例がございます。

 一般的な手続について申し上げますと、認定についても、取消しは不利益処分になるわけでございますので、違反状況の解消に向けて、まずは法第十二条に基づく指導を行い、そして法十三条に基づく改善命令を行います。この改善に向けた取組が確認できなかった場合、聴聞手続を行います。この聴聞の後、法十五条に基づき、認定取消しを行うという手続の段取りを踏む必要がございます。

 今、さまざまな案件でいろいろ御相談を頂戴しているものもございますし、このプロセスを一つ一つ経ていきながら、法令、条例に基づく事業者への指導等の対応状況も確認して、FIT法に基づいた厳正なる対応を進めてまいりたいと考えてございます。

勝俣分科員 このFITについて大臣にお尋ねをしたいんですけれども、FITは、私が先ほど申し上げましたとおり、原発事故を受けて、エネルギーミックスの新たな構築の中で、再生可能エネルギーを大きく推進していこうという中でできた、この推進のための法律であり、施策であります。

 私ももちろん、できる限り地球に負荷をかけない再生可能エネルギーをしっかりと推進していかなければならないというふうに考えておりますし、まさに、先ほども少し申し上げましたけれども、再生可能エネルギー産業において、民間企業の力を最大限発揮して、そして成長産業にしていく、健全な市場をつくっていく、構築していくということが、私はすごく大事なことであるというふうに思うんですね。悪い業者がはびこってしまうと、再生可能エネルギー産業自身が一般的に見て悪いイメージになってしまう。まさに今、こういう状況なんです。

 例えば、使われなくなったゴルフ場なんか、観光地ですのでいっぱいあるんですけれども、こういったゴルフ場をそのままにしておくと荒れ果ててしまう。そういう中で、今、ソーラーパネルを敷いて再生可能エネルギーを普及させている事業者がいるんですけれども、やはり、ソーラー発電、大規模なソーラー発電というだけで何か悪いことをしているような、そういう目で見られてしまうという中で、本当に健全な市場をつくっていかなければならないと思っています。

 そういう中で、経産省も再生可能エネルギーを推進していく立場でございますけれども、この違反業者に対しては、FIT認定の、先ほどありましたように、取消しに取り組んでいく、こういう決意を、まさにこの健全な市場構築のために取り組んでいく、そういう御決意を、ぜひ大臣、お願いいたします。

梶山国務大臣 再生可能エネルギーの健全な市場形成というのは非常に重要なことであると思っております。

 今、政府参考人から説明があったとおりでありますけれども、発電事業者が地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務としており、怠っている場合にはFIT法に基づく指導を行っています。

 また、地域の自治体が定めた条例を含む関係法令の遵守を認定基準として定め、違反した場合には必要に応じて認定を取り消すこととしているということでありますが、こういう件が最近散見される、地域とのコミュニケーションが余り十分でない事業者が散見されるということでありまして、先ほど申しましたように、健全な市場形成のために厳正に対応をしてまいりたいと考えております。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 FITは最後になりますけれども、地域との共生という中で、このFITの認定をとりながらも、先ほど来からありますように、さまざまな問題、トラブル等で稼働していない案件というのも全国で大量にあるというふうに聞いております。

 いわゆる未稼働案件に対してこれまでどのように対応してきたのか、また、今国会において、法改正で対応はどのようになっていくのか、お伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT認定時のコストを前提に算定されました調達価格、これは、その時点で発電するということを念頭に設定されているわけでございますが、長期間そのまま放置されまして、パネルの下落ということに伴いましてその差分が純粋な収益となってしまうということの問題、さらには、国民負担の増大とともに、その押さえた系統が使われなくなってしまうという問題、このあたりを称して未稼働問題というふうに呼んでおりますけれども、これに対しましては、前回の法改正の中で、送配電事業者との接続契約を締結できていない案件について認定を失効させる措置を講じてございます。これによって、事業用太陽光でこれまで約二千万キロワットが失効した状況になってございます。

 これに加えまして、また、二〇一八年十二月に、一定の期限までに運転開始準備段階に至らなかった事業用太陽光につきまして、適時その時点での適用価格に近しい形まで価格を下げるという措置をとって対策を講じてきたところでございます。

 しかしながら、今、この二〇一八年の措置をとってもなお、価格は下がるんですけれども、系統の枠がまだそのまま保有されてしまうというような問題も存在してございます。こういうことから、本日閣議決定されましたこのFIT法の改正法案、再エネ特措法の改正法案の中では、こうした案件を念頭に置きまして、一定期間経過後も事業が実施されない場合には認定を失効させるという措置を盛り込んでいるところでございます。

 こうした措置によりまして、適切な新陳代謝を促し、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて取組を進めてまいりたいと考えてございます。

勝俣分科員 ありがとうございます。

 改めて、健全な再生可能エネルギー市場をつくるべく、地域に目を向けて、スピード感を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 恐らく最後になると思います。

 いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの開催まで、きょうで百五十日だそうです。もういよいよ始まるわけですけれども、私、オリンピックというのは、本当に、単なるスポーツ大会ではなく、このオリンピックによって社会インフラ、社会システム、それからライフスタイル、こういった人類の価値観ががらっと変わるような、そういうものがオリンピックの意義なのかなというふうに思っております。

 五十六年前、東京オリンピックのときに、私はまだ生まれていませんけれども、まさに一九六四年は、東海道新幹線が開通をして、それから首都高速道路を中心として高規格道路ができて、それから一般家庭においてもテレビが普及をした。まさにライフスタイルががらっと変わったわけですね。

 今回、この東京オリパラにおいて、SDGs大会、こういうふうに言われているわけです。まさに持続可能な社会、持続可能な世界をつくっていく、要は、価値観を変えていく、大量生産、大量消費、大量廃棄、こういった現代の世の中を、がらっと価値観を変えるような、私はチャンスなのかなとも思うんですね。

 そういう中で、水素に注目を、水素というのは本当に地球に負荷をかけない究極のエネルギーだというふうにも言われているんですけれども、特に、再生可能エネルギーにおける水素のエネルギー、これを今選手村ですとかさまざまなところに、こういった水素を使ってエネルギーを賄っていくということをお聞きしております。

 本当にこの東京オリンピック・パラリンピックは、世界のトップアスリートが集い、そして多くの海外からお客様が来られる、こういう場所でございますので、我が国の水素技術戦略を存分に見ていただき、特に、再エネ由来の水素を世界にPRをしていく、非常に大事な大切な場ではないかなというふうに私は思います。

 そこで、東京オリンピックを契機とした水素社会の実現に向けての取組を最後にお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が脱炭素社会の実現を目指していく上では、少なくとも現状の技術では十分ではないと考えますと、その中で、非連続なイノベーションを考えていく中で、委員御指摘の水素というものは非常に大きなポテンシャルを感じられる技術だというふうに考えておりまして、我が国では、二〇一七年に、世界で初めてとなる水素国家戦略として水素基本戦略を策定し、安価な製造から、グローバルなサプライチェーンの構築、そして自動車、産業、発電を含めたさまざまな場面での利用ということを含めた開発の施策を講じてきているところでございます。

 御指摘のように、東京オリンピック・パラリンピック、この場を通じて、広く国内外の皆様方に、水素の可能性、そして日本が今リードしている技術の革新性というものを広く御理解し、今後の展開につなげていくことが非常に重要なことだと考えております。

 先ほどお話を頂戴しましたけれども、東京オリンピック・パラリンピックの期間中には、大会車両として約五百台のFCV、いわゆる水素を使った燃料電池車が走り、また、東京都の公共バスとして最大七十台の水素バスが走ることとなっていると聞いております。また、選手村、選手の休憩施設においても純水素燃料電池で発電した電気を活用する予定となってございます。

 さらには、このオリンピック・パラリンピックの聖火台、聖火リレートーチにおいても、これはオリンピック・パラリンピック史上初めてとなるわけでございますが、水素を活用する方針を決定したところだと聞いてございます。

 また、この大会での利用の水素につきましては、福島県浪江町において、今、製造装置がつくられているわけでございますが、再生可能エネルギーからつくられた水素を、福島でつくられた水素を使うということで、水素の重要性そして福島の復興ということを世界に対してアピールしていく。

 こういうことで、東京オリンピック・パラリンピックに向けてしっかりとした準備を進めてまいりたいと考えてございます。

勝俣分科員 ぜひ、持続可能な社会、世界をつくるためのオリンピックにしていただきたいというふうに思っております。

 時間ですので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

山際主査 これにて勝俣孝明君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十三分散会


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