衆議院

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第2号 令和3年2月26日(金曜日)

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令和三年二月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 山際大志郎君

      安藤  裕君    泉田 裕彦君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      古屋 圭司君    穂坂  泰君

      山本 幸三君    阿部 知子君

      大島  敦君    辻元 清美君

      寺田  学君    森山 浩行君

   兼務 近藤 和也君 兼務 田嶋  要君

   兼務 佐藤 英道君 兼務 高橋千鶴子君

   兼務 青山 雅幸君 兼務 西岡 秀子君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村瀬 佳史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村山  裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           長谷川周夫君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      粕渕  功君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋子君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    太田 雄彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田村 暁彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           萩原 崇弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩城 宏幸君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山本 和徳君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         斎藤 英明君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     今井 一之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     鶴田 浩久君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     泉田 裕彦君

  山本 幸三君     安藤  裕君

  森山 浩行君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     鈴木 貴子君

  泉田 裕彦君     高村 正大君

  阿部 知子君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     穂坂  泰君

  鈴木 貴子君     山本 幸三君

  大島  敦君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     古屋 圭司君

  寺田  学君     森山 浩行君

同日

 第一分科員近藤和也君、青山雅幸君、第三分科員田嶋要君、高橋千鶴子君、第五分科員佐藤英道君及び第八分科員西岡秀子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和三年度一般会計予算

 令和三年度特別会計予算

 令和三年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

山際主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 令和三年度一般会計予算、令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田分科員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦でございます。

 梶山大臣始め政府関係の皆様方には、このコロナ禍という未曽有の危機の中で、日本のため、国民のため日々奮闘しておられること、まず深く敬意を表したいと思います。

 本日は、現在の経済状況を確認し、そしてまた、これまでの政策効果はどうだったのか、これによって、次の政策をどう展開すべきかという一筋の指標になるようなお話ができればなという思いで質問をさせていただきます。

 まず、二〇二〇年の世界経済でありますが、コロナ禍に翻弄された一年であったというふうに思います。

 米国では世界最多の犠牲者が出ているわけですが、実に死者五十万人を超えるという事態になっております。まさに第一次、第二次世界大戦、さらには、ベトナム戦争を超える犠牲者を出しているという未曽有の事態でございます。

 そして、我が国においても、感染防止、感染拡大防止のために様々な施策が取られました。営業活動の自粛、それから人の移動の自粛の要請等々、また、それに伴う様々な政策が展開をされております。その結果、経済的打撃も大変大きなものがあったということだと思います。特に、飲食店、観光業、ホテル、旅館、宿泊業、交通関係事業、大変影響の大きいものがございました。加えて、これらの事業者と取引関係にあるところ、さらには農林水産業まで含めて大きな影響が及んでいるという状況でございます。

 昨年、QEも出ましたので、そろそろ統計データで振り返ることができるということでございます。政策効果の評価を伺ってまいりたいと思います。

 まず内閣府にお尋ねしたいんですけれども、昨年、議員活動をする中で耳にする声というのは、本当に悲鳴に近いもの、これが大変多く届いております。そしてまた、この三月にも閉店するんですというような話も多く見聞をするわけでございます。

 二〇二〇年、これはマクロ経済で見た場合に、コロナ禍の影響によって失われた付加価値、まだ早期の見積りしかできないということだと思いますけれども、日本全体でどの程度の額と認識しているのか、伺いたいと思います。

長谷川(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 GDP統計を作成いたします部局としては、一国全体の付加価値の落ち込みにつきまして、新型コロナウイルス感染症の影響のみを取り出して評価することは困難でございますが、先般、二月十五日でございますが、公表いたしました二〇二〇年十―十二月期四半期別GDP速報、これは一次速報でございます、におきます日本全体の実質GDPの値、二〇一五年価格で評価されたものでございますが、これを見ますと、二〇一九年暦年は五百五十五・八兆円だったものが、二〇二〇年暦年には五百二十九・二兆円となっておりまして、前年から二十六・六兆円の減少、前年比で四・八%の減少となったものと承知をしております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 付加価値ベース、実質で約五%、これが日本経済から失われたということでございます。

 次に、厚生労働省にお伺いをしたいんですけれども、失業率です。

 昨年、二〇二〇年暦年の失業率、これは過去の推移から見ると、日本経済の構造といいますか、少しずつ失業率は高まっているというふうにも見えるんですけれども、近年の傾向の延長線上にあるようにも見えるというデータになっているかと思います。日本の失業率の評価なんですが、世界の各国、そしてまた、過去の経済危機のときと比較をして昨年の失業率をどのように評価をしているのか、伺いたいと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の完全失業率についてでございますが、緊急事態宣言が発令されました昨年の四月と昨年の十二月を比較した八か月間を見ますと、二・六%から〇・三ポイント上昇し二・九%となってございまして、コロナ禍においても主要国の中で最も低い水準で推移しているところでございます。

 また、過去との比較ということでございまして、リーマン・ショック後との比較につきましては、新型コロナウイルスの影響が現在も続いていることや、当時と現在では経済や雇用の状況等も異なることに留意することが必要かと存じますが、リーマン・ショック後の八か月間を見ますと、完全失業率は四・〇%から一・一ポイント上昇し五・一%となっており、急上昇が見られたというところでございます。

 雇用統計は遅行指標でございますので、今般の緊急事態宣言下において社会経済活動の停滞が雇用に与える影響につきましては、引き続き注視していく必要があると考えてございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 今の御説明、実感に合うところもあるのかなというふうに思っています。私もリーマン・ショックのときに知事として、これは特に高校生の新規卒業生の雇用問題、大変大きな問題、社会問題になって苦労したということを肌身に感じておりますけれども、今回、政府が様々な対策を講じる中で、世界各国と比べても、それなりの水準にとどめるよう頑張っていただいているのかなというふうに受け止めております。

 そして、引き続いて、今度は内閣府にまたお伺いしたいんですが、日本経済の落ち込み、先ほど数字をお伺いしましたけれども、リーマン・ショックなど過去の経済危機と比較してどう評価されているのか、世界各国と比較する経済のダメージと、それから過去との比較、この二つお伺いしたいのと、それから、コロナ感染症のコントロールがうまくいったと言われている国々、例えば台湾、中国、ベトナム、こういった国々と比較をすると日本の状況はどのように評価をされているのか、お伺いをしたいと思います。

村山(裕)政府参考人 日本経済の落ち込みについて御質問いただきました。

 最新のGDP統計によりますと、二〇二〇年の日本の実質GDP成長率は前年比マイナス四・八%、先ほど答えがあったと思いますけれども、となりました。これは、リーマン・ショック後の二〇〇九年のマイナス五・七%、これ以来の大きな、大幅な落ち込みとなっております。昨年の我が国経済は大変厳しい状況にあったと認識しております。

 他方、ロックダウンの影響等の大きかった欧州主要国の二〇二〇年の実質GDP成長率はマイナス五%から一〇%程度となっておりまして、これらの国々と比較しますと、我が国のマイナス幅は相対的には小さくなっております。

 また、実質GDP成長率を四半期ごとに見ましても、十―十二月期は前期比年率プラス一二・七%となっておりまして、二四半期連続の高い伸びとなりました。個人消費、設備投資、輸出が増加するなど、我が国の潜在的な回復力を感じさせるものとなっております。

 十―十二月期の水準につきましては、コロナ前、二〇一九年十月から十二月期の水準にはまだ戻っておりませんけれども、その時点との対比につきまして、欧米と比べても相対的に回復している状況でございます。

 台湾やベトナム、中国、こういった国々の二〇二〇年の成長率について見ますと、台湾では三・一%と前年二〇一九年と同程度の伸び、ベトナム及び中国では、それぞれ、ベトナム二・九%、中国二・三%とプラス成長になっております。

 これらの国々でございますけれども、総じて見れば、感染拡大が比較的抑えられつつも、一定程度感染の影響も受けております。その一方で、活発なIT投資、好調な輸出等の好条件に支えられましてプラス成長になったと認識しております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 相対的に欧米諸国と比べれば日本経済の落ち込みは小さかった、一方、コロナ感染を抑えた国は既に前年比プラスになっている状況ということでございました。日本も是非、しっかり感染を抑えて、そしてまた経済を回復させる、これを考えていくというのが今年、二〇二一年度の大きな課題かなというふうに思っていますので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 政策効果についての評価もしてみたいと思うんですが、まず事実関係を教えていただきたいと思います。持続化給付金、家賃補助金、給付金、雇用調整助成金、休業支援金、政策金融等によって、それぞれ支援が行われました。それぞれの支援額というのは総額で幾らぐらいになっているのか、お伺いをいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私からは、持続化給付金でございますけれども、二月二十四日の時点で約四百二十三万件、五・五兆円を給付しております。それから、家賃支援給付金ですけれども、約百一万件、八千八百億円を給付しております。

 それから、実質無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資につきましては、二月の二十五日までに、政府系・民間金融機関の実質無利子の合計でございますけれども、約二百三十九万件、四十五兆円の融資を決定いたしております。

達谷窟政府参考人 私からは、雇用調整助成金と休業支援金についてお答え申し上げます。

 まず雇用調整助成金についてでございますが、二月二十四日現在の速報でございますが、支給決定件数が約二百六十四万件、それから二月十九日現在で支給決定額が約二・九兆円となってございます。

 また、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金についてでございますが、支給決定件数、二月二十四日現在で約九十七・五万件、支給決定額、これは二月十八日現在でございますが、約七百五十三億円となってございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 過去に前例のない巨額の支援が行われてきたということだと思います。

 改めて、失われた付加価値額と比べてみると、日本全体で二十六・六兆円が失われ、政策投入された費用というのは五十五兆円ぐらいになるんですかね、ということだと思います。その結果、欧米諸国に比べても、経済の落ち込み、失業率の低下等を防いできたというのが去年の姿だったのかなと確認をさせていただきました。

 一方で、これはマクロの世界と違って、今度はミクロの、現場の状況というのを見るとどうなっているのか。先ほども申し上げましたけれども、本当に悲鳴に近い声、そしてまた、生活が立ち行かない、また女性を中心に自殺率が増えている、こういう現実もあるわけでございます。

 そしてまた、政策的な内容についても、渡し切りの給付金というよりは、金額で見て八割方は政策金融でやってきたということであります。

 この政策金融、これ、コロナ感染症の影響が長引くとどうなるんだろうか、こういうことを心配する声も聞きます。借金はあくまでも借金だから、いずれ返さないといけないということであります。このコロナ感染症の影響が長引くとどうなるのか、返済が難しいケースというのも生じてきます。去年の段階では頑張ろうと思って借りたんだけれども、結局、こんなに長引くのであれば店を閉めなければいけない、やっていけないんですというようなことも生じています。

 それから、運輸業も宿泊業もそうなんですけれども、一時的に何とかしのごうと思っていたけれども、これはやはり限界だ、やはり店を閉めましょう、事業をやめましょうという方も出てきている。東京なんかも見ていますと、お店がかなり入れ替わっている。ひょっとすると、不動産業の家賃の低下というのもあるかもしれない。そうすると、その後また金融に影響が行くかもしれない。この先心配なところというのもあるわけでございます。

 そして、今回、政策金融で行われたのは無担保無保証の融資、これが中心でございます。そうすると、どうなるかといいますと、事業者が返済困難になれば、結局融資は返済されない。言葉は悪いですけれども、夜逃げをしてもどうしようもない。その分、融資をした資金が失われるということになるということだと思います。

 当初の想定よりコロナ禍の影響が長引いて、事業の継続が困難、返済が困難になってきた方々に対してはどのように対応されていくのか、伺いたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化を踏まえまして、梶山大臣、それから麻生大臣ほかから、返済期間、据置期間が到来する既往債務の条件変更、リスケについて、最大限柔軟に配慮することなどを累次にわたり要請しているところでございます。

 こうした結果、中小企業者から条件変更のお申出があった場合には、政府系、民間金融機関共に九九%以上の応諾をしていただいているという状況でございます。

 またさらに、財務状況が悪化してしまって、資金調達すら困難になっていくという事業者に対しては、中小企業再生支援協議会というのが全国にございまして、こういった再生支援協議会が金融機関の支援姿勢を確認の上で、一括して元金返済猶予の要請を実施するということをやっております。また、更に踏み込んで、次の段階では事業再生支援も行うということとしておりまして、第三次補正予算におきまして、再生支援協議会の体制を平時の約三百人から四百人に拡充するという措置も盛り込んでおります。

 こうしたこと等を通じて、事業者の事業継続のため、関係省庁とも連携しながら、事業者の資金繰り支援、万全を期してまいりたいと考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 やはり基本は、事業が継続できるようにしっかりと環境を整えていくということだと思います。これは、ワクチンが行き渡ってV字回復をするのか、それとも、また変異種なんかが出てきて更に長引くということになるのか、先が読めない中で政策を打つというのはなかなか難しい側面があるということだと思いますけれども、やる気のある事業者、そしてまた、やる気をくじかないような環境を是非つくっていっていただきたいなというふうに思います。

 その際に、実は私の耳にもよく入るのは、先ほども申し上げたとおり、借金はやはり借金なんだよね、つまり、先の見通しが立たない事業者にとっては、このまま事業を続けていいんだろうかという、大変大きな心の負担になっている。更に事業を継承していいのか。まさに事業を承継できるような環境整備も進めている中で、次の世代に渡すのをためらうということも現実に生じているということであります。しっかりと対応するので、事業は継続できるように政府は応援するんですよというメッセージを強く出していただきたいなと思っています。

 本当であれば、私見でいえば、元々これは事業をやめますと言えば返済されないお金なので、しっかりやれば、こういう条件で事業が回復しなければ事前に債務免除しますよというようなことをアナウンスしてほしい、こういうふうには思うんですけれども、いろいろな事情はあるんでしょうが、政府からのメッセージとしては、事業者の心が折れないような仕組みというのを是非つくっていただけないかなというふうに思います。

 そこで、経産省にお伺いをしたいと思います。

 事業継続が困難な事案、そしてまた一部債務免除等の措置、結局やむにやまれず、返済できない者が先送りする等々して結果としてデフォルトしてしまったというような場合、これが多発したらどうなるんだろうかということでございます。その場合には政策金融機関の資本増強等対応が迫られるのではないか、こういう必要があるように思いますけれども、どのように認識されているか、伺いたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小・小規模事業者の資金繰りを支援するため、令和二年度の一次補正から三次補正の予算におきまして、関係省庁と合わせて約十四兆円の予算措置を講じており、これで総額約百十兆円規模の資金繰り支援策を円滑に実施するのに必要十分な予算を積んでいるというつもりでございます。

 この約十四兆円の中で、過去の危機のときの経験も参考にして事業者の信用リスクを見積もった上で、日本政策金融公庫などの財務基盤強化のため、日本政策金融公庫等への出資金として約十兆円を措置しているということで、資本という意味では十分な額を用意させていただいているというふうに考えております。

 こうした予算もしっかり活用した上で、引き続き、関係省庁と連携しながら資金繰り対策に万全を期していきたいというふうに思っております。

泉田分科員 是非、日本経済のあしたのため、そしてまた次世代のためにも頑張っていただきたいというふうに思います。

 マクロ経済に加えて、今回のコロナ禍、日本の安全保障にも影響するということを実感された方も多かったのではないかなと思います。米国では、調達ルート、ちゃんと国民が困らないようにするような仕組みというのを大統領令に署名をするというようなことも起きております。

 日本は、例えばこれは創薬の世界でいいますと、世界に冠たる創薬力を持っていたということであります。今回ワクチンが、なぜ日の丸ワクチンが出てこないのか、これは多くの国民が思っているところでございます。ワクチンの開発が先進国に比べて後れを取ってしまった。

 これは製薬会社の競争力が低下しているのではないかという指摘があるわけですけれども、経済産業省においても、厚生労働省と共同で、来年度の税制改正案において研究開発税制の拡充等を行われています。これは、一番の利用者がやはり製薬業界ということで一つの助けにはなっているんですが、それ以外の例えば個人情報の扱いとかいうことを含めて、日本での創薬の環境が必ずしもよろしくない。日本の製薬会社が欧米に拠点を設けていくというようなことも生じているわけでございます。

 日本の創薬の競争力の低下を防ぎ、国民の健康と安心と安全を守るために、今後どのように対応していくのか、産業政策として支援していくのかということを経済産業省にお伺いをしたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 製薬産業の競争力強化につきましては、一義的には医薬品の製造などを所管しておられる厚生労働省において取り組んでいるところでございますが、経済産業省といたしましても、産業横断的な競争力の強化ですとか、あるいはバイオ産業の振興の立場から、厚生労働省とも連携しつつ、例えばバイオ医薬品の製造基盤技術等の研究開発、あるいは製造設備への支援を行ってきたところでございます。

 特に、ワクチンを含めたバイオ医薬品の開発、製造基盤を国内に確保するということは、経済安全保障の観点に加えまして、産業競争力の強化の観点からも重要であると認識しております。

 引き続き、厚生労働省と連携を図りながら、経済産業省としても前向きに取り組んでいきたい、このように考えております。

泉田分科員 ありがとうございます。

 産業政策、この育成のプロフェッショナル、経済産業省と厚生労働省とタッグを組んで頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、雇用調整助成金の特例についてなんですけれども、これによって本当に多くの企業、それからまた働く人が救われているということだと思います。一方で、働かないでお金をもらえるということから、今後どうするんだろうかという声も耳にするわけでございます。実際に執行し、いろいろな声が届いているかと思います。是非とも今後どういう形で政策を進めていくのか、未来に向けて頑張っていただきたいと思います。

 済みません、時間の関係で一つ飛ばさせていただきます。

 次に、国土交通省に伺いたいと思うんですけれども、ウイルスが一人で歩いていって感染を拡大することはないそうです、当たり前なんですけれども。感染症が広がるのは、あくまでも人が移動することに伴って、そして、その先で感染する機会があると感染拡大をするということになるそうです。実際、移動中の交通機関、飛行機、新幹線等で感染する例というのはほとんどない、報告されていないというふうに承知をしておりまして、移動すること自体のリスクは高くないと私も認識しております。

 一方、航空機、新幹線などで、遠距離で高速移動を大勢の人が行った場合、そこに無症状感染者がいて、それで、行った先でいろいろな接触機会があった場合にどうなるんだろうかというリスクはやはりあるのかもしれないということだと思います。

 水際対策、何でやっているんですかということになると、やはり外国から変異種が入ってこないようにというようなことで、長距離移動を制限するということが一つ効果があるということを認識しているための政策ではないかと思います。

 私の地元でも、これは去年の夏以降の話なんですが、マイクロツーリズムが始まりました、地元自治体が応援をして域内でやり取りしましょうと。そうしたら、何と前年よりも売上げが上がったというところも出てきました。その後、GoToが始まったことによって何が起きたか。全体じゃないですよ、全体じゃないけれども、ある部分では、東京から人が来るんだったらやはりキャンセルしようと、マイクロツーリズムがすっと引きました。GoToをやったことによって売上げが減るという事態が生じたというのも事実です、場所と環境によって違うんでしょうけれども。

 遠距離、高速で移動してしまった結果がどうなるのかということと、それから、守らないといけないのは、航空会社、それから新幹線を中心とするJR、これは日本の宝です。そして、V字回復した後に競争力を持って頑張っていただかないといかぬということだと思っています。

 これらの、GoToを全国的に広げるときに、少し時間がかかってもしようがないかなという場合に、特別な支援をすべきではないかと考えているんですが、国土交通省、どのように認識しているか、お伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空や鉄道、これは長距離の移動を支える基幹的な公共交通機関でありますが、コロナ禍の影響で需要が大幅に減少しまして、甚大な影響が生じているところでございます。

 こうした中、各事業者におかれましては、影響の長期化も念頭に置いた上で、人件費を含む固定費を削減するですとか、資本性資金の調達、公募増資、社債発行などにより、手持ち資金を厚くするといった努力を行っておられるところでございます。

 国としましては、これまで危機対応融資などの活用による資金繰り支援や雇用調整助成金などの支援を行ってきたほかに、航空会社に対しましては、令和三年度におきまして、空港使用料や航空機燃料税の大規模な減免などの支援を予算案に盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、経営状況を注視しながら、各事業者の声をよくお聞きして、適時適切に必要な対策を取っていきたいと考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 外国の例を見ると、ドイツのルフトハンザ、一兆円近いお金を渡し切りにすると。数千億オーダーの支援ではなくて、被害をしっかり防ぐというような兆円規模の対策も是非考えていただきたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。

 IMFの今年の経済見通しを見て、そうかなと思ったのは、先ほどのやり取りを聞いていただいて感じられるところもあると思いますけれども、日本の経済のポテンシャルは決して低くないということだと思います。

 二〇二一年中にもコロナ前水準の回復可能性、あると思います。無論、ワクチンとか、世界の状況で違うということだと思いますが、適切な政策対応をすることによって、二〇二一年中にコロナ前の水準を超えるというような産業政策は取り得ると思います。

 是非頑張っていただきたいと思いますけれども、大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 先ほどの内閣府の答弁にもありましたとおり、リーマン・ショック以来の大幅な落ち込みとなったものの、第四・四半期、十月から十二月期では、累次の経済対策等によって、政策効果もあって先進国の中でも高い伸びを示しているということであります。

 そして、二〇二一年度中にはコロナ前の水準に回復するということが見込まれているというのは歓迎すべきだと思いますけれども、戻っただけでは駄目なんですね。

 やはり、国際競争力をしっかりとつけて、また成長もしていかなければならないということですから、日本企業全体の経営改革を進めるとともに、大企業に閉じ込められた資金や人材を解放して、業種や企業規模を超えた連携を推進していく必要があります。

 さらにはまた、成長戦略という中で新たなイノベーションを図っていく、さらにまた、そういったところに労働移動も図っていく、そして、この中で、今回、コロナ禍で我が国の課題となったグリーン化、デジタル化、またヘルスケアの話もありました、また全体のレジリエンスという話もあります、そういったことも含めて集中して投資を促していくということだと思っております。

 国の経済をしっかりと、回復するだけじゃなくて、次の段階に行けるような競争力、コロナ前にはなかったかもしれませんけれども、それをこの機会にしっかりとつけていくことは大変重要なことだと思いますので、また御指導賜りたいと思っております。

泉田分科員 大臣、ありがとうございました。頑張ってください。

 時間ですので、終わります。どうもありがとうございました。

山際主査 これにて泉田裕彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 今日は、宇宙開発並びに新型コロナウイルス対策、そしてカーボンニュートラル問題などについて、お話を伺ってまいりたいと思います。

 初めに、宇宙開発についてお伺いをいたします。

 宇宙産業は、二〇三〇年には市場経済で七十兆円を超えると目される成長分野であります。同時に国際競争も年々激しくなっており、日本もこの宇宙分野での取組を加速させなければならないと思います。

 私の地元北海道には、民間単独では国内初となる宇宙空間へのロケット打ち上げに成功したことで知られるインターステラテクノロジズ社がありますが、同社は、衛星コンステレーションのために低軌道に低コストで小型衛星を打ち上げる能力において期待されており、我が国の宇宙戦略にとって重要な企業であります。そのインターステラ社の本拠地は宇宙の町と呼ばれる北海道十勝管内の大樹町でありますが、現在、北海道経済界とともに多様な主体が、打ち上げ可能な新しい射場の実現に向けて、地元の町長を中心に検討を進めているところであります。

 今後ますます成長が期待できる宇宙ビジネスの発展に向けて、政府からも一層の支援をお願いしたいと考えますが、見解を伺いたいと思います。

藤木政府参考人 委員から小型ロケット事業に取り組みますインターステラテクノロジズの御紹介がございましたけれども、近年、小型衛星を活用した様々なビジネスや、これを打ち上げるための小型ロケット市場、この成長が期待されているところでございます。

 経済産業省といたしましても、こうした宇宙ビジネスの発展に向けまして、小型衛星や小型ロケットに係る研究開発を始め、政府衛星のデータプラットフォーム、テルースの構築などに取り組んでおりまして、現在御審議いただいております令和三年度の予算におきましても十八・九億円を計上させていただいているところでございます。

 引き続き、宇宙ビジネス創出推進自治体の一つであります北海道とも連携をしながら、宇宙ビジネスの発展に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス対策について伺います。

 一月七日、二度目の緊急事態宣言が出され、七週間が経過しました。この間、国民、事業者の皆様に再び大変な御負担をかけることになりましたが、感染も減少傾向が続き、医療機関の逼迫状況も段階的に改善されてきました。政府も事業者に対して様々な支援策を講じていますが、時短営業の協力金に加えて、飲食店の時短営業により影響を受ける事業者や、人の移動制限に伴って影響を受ける事業者への支援策として、新たな一時支援金を実施することとしているところであります。

 この一時支援金の給付対象要件については、今年の一月から三月までと去年の同時期とを比べ五〇%以上売上げが減少していることとされていますが、業種によっては一月から三月までは例年売上げが少ないいわゆる閑散期に当たるため、経営状況の厳しさが反映しにくいとの御意見もいただいております。

 昨年の持続化給付金でも同様の指摘がありましたが、その際は特例として、前年一年間の売上げの平均額との比較でもよいというふうにしていただきました。今回の一時支援金においても同様に経営実態に即した柔軟な対応が必要と考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、持続化給付金では、事業者の特殊性も踏まえつつ、幅広い事業者が支援の対象となるように、経営実態に即した柔軟な申請が可能となるような特例制度を設けました。

 一時支援金の具体的な要件、特例制度については現在検討を進めているところでありますが、持続化給付金において設けられた特例制度を踏まえた上で設計をしてまいりたいと考えております。

 例えば、一月から三月の期間において月当たりの収入の変動が大きい結果、給付額がゼロとなる場合が生じてきます。このような事業者に対しましては、通常とは異なる算定式を適用する特例、季節性収入特例を設ける方向で今検討を詰めているところであります。

 一時支援金の制度趣旨も踏まえながら、できる限り事業者の実情に合わせて柔軟な申請ができるように取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 大臣、ありがとうございます。是非、今後もきめ細かな対応をしていただければと思っております。

 次に、今回の一時支援金は、緊急事態宣言による影響が、飲食店だけではなく、その先にある関連事業者や、人の移動の減少により影響を受ける事業者にも及ぶことを踏まえて実施されるものであります。

 この人の移動減少による影響というのが大変に大きく、特に観光関連業界を始めとして、昨年一月以降、既に一年数か月にわたり、極めて深刻なダメージが蓄積している状況です。中堅、中小法人向け六十万円、個人事業主三十万円はありがたいものではありますが、実際にはとても足りない、再度の持続化給付金をやってほしいというのが本音であります。

 個人事業主、フリーランスの方々は、コロナ後に業績が回復しても借金を返していくほど急速に売上げが上がることが見込めないことから、借入れを思いとどまっているケースも多く、一時的なアルバイトで生計を立てている方も少なくありません。大変に厳しい状況だと言わざるを得ません。

 緊急事態宣言解除後は、GoToキャンペーンの早期再開はもちろんのこととして、苦しんでいる方々に対してしっかりと支援策が行き渡るよう、更に力を入れていただきたいと思います。見解を伺います。

岩城政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のGoToキャンペーンにつきましてですが、経済産業省のGoToイベント、そしてGoTo商店街の二事業に関して申し上げますれば、両事業の緊急事態宣言解除後の扱いにつきましては、感染状況等を踏まえつつ適切に検討してまいりたいと考えております。

 また、中小企業、小規模事業者の皆様は引き続き大変厳しい経営環境に置かれていると認識しており、事業継続の支援に全力で取り組んでまいります。

 そのため、一時支援金や雇用調整助成金の特例の延長に加えまして、実質無利子無担保融資の延長及び上限枠の引上げ、新分野展開や業態転換を支援する事業再構築補助金、そして事業承継を契機としました販路開拓などを支援する事業承継・引継ぎ補助金などの政策を通じて、しっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、カーボンニュートラル問題について伺ってまいりたいと思います。総理が昨年十月、就任後最初の所信表明演説で打ち出された二〇五〇年カーボンニュートラルの問題です。

 世界全体のESG投資が、二〇一七年で総額三千兆円、二〇二〇年には四千兆円規模にまで急速に拡大しています。国内でも、ここ三年で六倍に増加、三百兆円に達しました。また、アップルが全てのサプライヤーに対して再生可能エネルギー一〇〇%による部品製造を要求するなど、世界が地球温暖化、気候変動という待ったなしの人類的課題への取組を急加速しています。この取組が弱ければ、投資家から、取引先から、消費者からも相手にされなくなる時代に入ってきたのではないでしょうか。我が国も、これ以上後れを取ることはできません。

 今後、具体的な検討を進めるカーボンプライシングについても世界的に一定の国際基準が示されていくと予想されますが、カーボンニュートラルへの取組において世界をリードする存在とならなければ、この議論についても我が国が主導的立場を獲得することは困難ではないかなと思っております。

 産業界にも大きな変革が求められる以上、政府にも相当の覚悟が求められると考えます。カーボンニュートラルへの取組について、大臣の御見解、また決意を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 世界で百二十五の国と地域がカーボンニュートラルを宣言するなど、気候変動への対応は国際的に加速しております。そして、これはある意味産業政策でもあると承知をしております。産業界は大きな変革を今求められているということで、そうした中で、カーボンニュートラルの実現に向け、国内での対策を促進するとともに、国際的なルール形成への参加を積極的に行うことが重要であります。

 我が国としては、経済と環境の好循環を達成するべく、産業・エネルギー部門の構造転換とイノベーションの実現に向けて、昨年末にグリーン成長戦略を策定しました。こうした革新的な取組を自国で行うことは、国際的なルール形成で主導的立場を獲得する上でも必須と考えております。

 カーボンプライシングにせよ、他の交渉にせよ、ルールによっては我が国の国際競争力を損なうおそれがあるということであります。そうならないようにしっかりと検討していかなければなりませんけれども、国際競争力を失わないこと、さらにはまた我が国の経済の成長を阻害しないことを前提にこういった議論をしていかなければならないと思っております。

 カーボンプライシングについては、委員御承知だと思いますけれども、炭素税、排出量取引制度、クレジット取引や国境調整措置等を含め、現在、幅広い選択肢を俎上に上げて議論を行っているところであります。結果ありきではなくて、成長に資するカーボンプライシングについて検討を進めていくわけでありますけれども。

 温暖化への対応はもはや経済の制約ではないということでありまして、成長の機会であります。予算、規制改革、標準、国際連携など、内外問わず、あらゆる政策を総動員してイノベーションの源泉である民間企業の前向きな挑戦を全力で後押しをしていきますけれども、この成果が出るかどうかということが国際的な議論を牽引することにつながるかどうかということだと思っておりますし、先ほどおっしゃられたESG投資の資金をいかに国内に呼び込むかということもやはり展望があって、さらにまた、イノベーションがどこまで進んでいるか、それが世界を牽引するような技術であれば当然入ってくるということでありますから、政府としてもしっかりとした意識を持って取り組んでまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 大臣の並々ならぬ御決意をいただきました。大変に難しいかじ取りではありますけれども、梶山大臣のリーダーシップを御期待を申し上げたいと思います。

 政府は、昨年十二月、グリーン成長戦略を発表しました。その中で、国は可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げ、民間企業が挑戦しやすい環境をつくるとしております。

 今年度の第三次補正予算で政府は革新的な技術に対する継続的な支援を行う基金二兆円を創設しましたが、成長戦略で、カーボンニュートラルは並大抵の努力ではできない、産業界にはこれまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要があるとあるとおり、この二兆円の基金では十分だとは考えにくいという見方もあります。

 我が党も、令和二年度の第三次補正予算に対する政策提案の中で、海外と遜色のない十年単位の長期的な基金の創設を提言しました。

 この規模について、EUなどと比べて一回り以上規模が違う、非常に小さいものであることが指摘されております。この基金の抜本的な拡充の必要性はないのか、御見解をいただきたいと思います。

萩原政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の諸外国の類似の予算や経済対策につきましては、技術開発以外の設備導入補助も含まれているなど、一律にその規模を比較することは難しいと考えてございます。例えば、ドイツやフランスの経済対策における技術開発予算と比較いたしましても、二兆円は遜色ない規模というふうに考えてございます。

 まずは、この二兆円を効率的、効果的に活用するために、基金で支援するカーボンニュートラルの実現の鍵となる革新的な技術開発につきまして、企業の経営者の方々に経営課題として取り組むことへの強いコミットメントを求める仕組みの導入でありますとか、外部の専門家による取組状況の確認、こうしたことを通じまして最大限の成果を生み出していきたいと考えております。

 加えまして、令和三年度の当初予算案におきましても、革新的環境イノベーション戦略の関係予算として政府全体で約三千億円を計上させていただいてございまして、環境・エネルギー分野の技術開発を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

 こうした予算でありますとか税制措置などを組み合わせまして、民間企業による大胆な研究開発や設備投資を喚起させていただきまして、さらに、先ほど御指摘ございました世界のESG資金も呼び込むなどいたしまして、革新的なイノベーションの実現と、日本の将来の所得そして雇用の創出につなげてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

佐藤(英)分科員 是非、鋭意検討を進めていただきたいと思います。

 次に、カーボンニュートラルの実現のためには、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要となります。特に発電部門におけるCO2排出量の削減は極めて重要な分野であり、再生可能エネルギーの活用について意欲的に取り組んでいく必要があります。

 政府は現在、二〇三〇年度のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギー比率を二二から二四%と設定していますが、ドイツは六五%、フランスは四〇%と設定しているなど、主要な先進国が掲げる目標と比較すると、我が国の再生可能エネルギーの比率は大変に低いと言わざるを得ません。

 昨年七月には経済同友会が、二〇三〇年の再生可能エネルギー比率を四〇%とすべきとも提言しております。また、本年一月、気候変動問題に強い関心を寄せる企業や自治体などが参加する気候変動イニシアティブの加盟企業九十二社からも、二〇三〇年度の再生可能エネルギー比率の目標を四〇から五〇%に引き上げることを求める共同メッセージも発表されております。

 この気候変動イニシアティブの中では、現在の技術の延長線上でも二〇三〇年度までに再生可能エネルギーの割合を四〇から五〇%にすることができるとの認識もあるようですが、こうした産業界からの意見に対し、政府も二〇三〇年の再生可能エネルギーの比率については早急に見直しを開始すべきであると考えます。

 あわせて、二〇五〇年の再生可能エネルギーの割合について、EUなどのように八〇%台の野心的シナリオも真剣に検討すべきだと考えます。御見解を伺います。

茂木政府参考人 まず、再エネについては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて最大限導入していくということが基本方針だというふうに考えています。当然、洋上風力の導入拡大ですとか系統のルール整備などを行って、更なる導入拡大を進めてまいりたいと考えています。

 その上で、二〇三〇年でございますが、まず、最大限導入していくということに当たりまして幾つか考えなきゃいけないことがあると思っております。

 まず、FITが始まって以来、直近まで、二・四兆円の賦課金、これが国民負担となっております。それから、やはり、二〇三〇年となりますと、発電設備の導入に必要なリードタイム等もございますので、二〇三〇年までにどれだけ導入できる余地があるのか、こういった点も検討する必要があると思っております。加えて、近年は再エネの拡大によって地域とのいろいろなトラブルも発生していまして、こういった共生についてもよく踏まえて、二〇三〇年についての検討を進めてまいりたいと考えています。

 それから、二〇五〇年でございます。これはやはり、更なる導入拡大という観点からは、太陽光などの出力変動がある電源をしっかり調整できる調整力の確保、事故や災害などで電源が脱落した際の慣性力といった系統の安定性の問題、それから、平地などが限定されていますので、こうした立地条件をどうクリアしていくのかという、こうした課題を検討していく必要があります。

 例えば、立地制約を克服していくために、次世代の薄膜の太陽光電池の開発、こうしたイノベーションも進めながら、かつ、揚水発電の活用とか蓄電池の導入、さらには水素の活用といった、調整力の脱炭素化といった取組も進めていくことで、再エネの導入に徹底的に取り組んでまいりたいと考えています。

 エネルギー基本計画では、今見直しの議論を進めているところでございますが、参考値として二〇五〇年に約五割から六割という数値を示しています。これはあくまでも参考値ということで、仮定の水準でございます。今後、シナリオの分析を進めていくに当たりまして、この参考値を実現するための課題や制約を乗り越えて、再エネが更に導入されるケースとして、例えば一〇〇%なども含むシナリオを検討してまいりたいと考えています。

 結論ありきではなくて、様々な御意見を踏まえながら議論を進めてまいりたいと考えています。

佐藤(英)分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、日本は四方を海に囲まれた海洋国であり、洋上風力については十分なメリットを有します。しかし、いまだ商用化の実績はなく、風車の製造についても国産メーカーは既に撤退しているなど、目標として掲げている二〇三〇年十ギガワット、二〇四〇年三十から四十五ギガワットを実現するには、早急な外資の誘致と国内拠点の整備、サプライチェーンの構築など、越えなければならないハードルは多く、かなり積極的な取組が必要であると思います。

 政府は昨年、再エネ海域利用法を整備し、海域占有ルールに基づく四か所の推進区域を定めましたが、洋上風力のポテンシャルが高いと衆目が一致する私の地元北海道には推進区域が一つもありません。石狩市では再生可能エネルギー一〇〇%のデータセンターの建設という日本初の試みにも取り組むなど、注目される適地はたくさん残されております。機会がありましたら、是非、梶山大臣にも御視察をいただければと思っているところであります。

 今後、推進区域の拡大が求められていますが、いつ頃をめどに、どの程度の追加が見込まれるのか、また、現在の取組状況についてお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 洋上の風力については、今委員からも言及がございましたが、二〇一九年の四月に再エネ海域利用法というのを策定いたしました。現在、秋田と千葉と長崎の合わせて計四区域が促進区域になっておりまして、いずれも公募による発電事業者の選定プロセスが始まっているところであります。

 それ以外の区域でも、昨年の七月に、青森、それから別の秋田のエリアですが、長崎も合わせて計四区域が有望な区域として位置づけられて、現在、地元の協議会の設置などに着手しているところであります。

 これ以外にも、今、都道府県からの候補区域について情報提供を求めております。そういった中で、一定の準備段階に進んでいる区域として六区域が挙がっていますが、この中に北海道の二区域も含まれているという現状でございます。

 今後も、地域の関係者の御理解を前提としながら、地元ともしっかり議論をして御理解を得ながら、更なる促進区域の指定に向けた取組を進めてまいりたいと考えています。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 北海道は、エネルギー源が多様かつ豊富でもあります。太陽光の発電については道東や苫小牧を中心に進められておりますし、日本海側を中心に洋上風力の敷設が期待できます。山間地や温泉地も多く、バイオマスや地熱も活用できますし、最近では、酪農とのセットでバイオガス発電に取り組みたい地域も多く存在しております。

 これら地域のエネルギーを活用しての発電は、地産地消を通じて、地域経済の活性化や資源の国産化割合の向上にもつながります。しかし、こうした地域産の再生可能エネルギーの活用による発電には、これまでも常にその障壁として系統運用ルールが立ちはだかっているという現実があります。

 今回のグリーン成長戦略には、再生可能エネルギーが優先して系統接続枠に入れるようその運用ルールを見直すと記述されておりますが、今後の見直しスケジュールなどについて具体的にどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

茂木政府参考人 北海道などにおける再エネポテンシャルを生かしていこうということになりますと、やはり系統制約を克服していくということが非常に重要な課題であるというふうに考えています。

 このため、新たな送電網の整備を進めていく、これも重要なんですが、これにはやはり費用と時間がかかります。したがいまして、既存の送電網をより低コストで再エネが利用しやすいようにルールを見直していこうというふうに考えています。

 具体的には、基幹となる送電線の空き容量を超えて再エネが発電した場合には出力を一部抑えるということを条件に、より多くの再エネを送電網に接続する仕組み、いわゆるノンファーム型接続と申し上げますが、このノンファーム型接続を今年の一月に全国で展開し始めております。

 また、これに加えまして、御指摘もございました、再エネを優先的につないでいこうということでございますので、基幹となる送電線を利用できるようなルールの見直しというのも併せてやっていきたいと考えています。石炭火力よりも例えば再エネを優先する、こういったルールの見直しを、遅くとも二〇二二年中の実施を目指しております。

 こうした取組を通じて、北海道などの再エネポテンシャルがある地域の再エネの活用に向けて最大限取り組んでまいりたいと考えています。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 また、再生可能エネルギーの活用を進める上で最も重要かつ有効な技術開発が、蓄電池の性能の向上でもあると思います。モビリティーの分野でも現在急速なEV主流化の流れが始まっておりますが、ここにも蓄電池の技術は重要であります。

 一方で、蓄電池は寒さに弱いというのが常識となっており、北海道などの寒冷地では実装化は大変困難な壁であったと理解しております。寒冷地や積雪、降雪は、新技術の実装化を阻む障害となるケースが少なくありません。自動運転も、雪道や降雪時に耐え得るためにはレベル5をクリアしなければならないとも言われております。

 二〇二一年度からは無人自動運転の先進MaaS実装加速化推進事業が行われ、四十地域以上での実装を目指すということでありますが、北海道は積雪寒冷で人口も低いため、まさに必要性の高い技術であります。

 今後も様々な新技術が社会実装を目指していくことになりますが、積雪寒冷地で使えることを可能な限り標準化していただきたいと思います。見解を伺いたいと思います。

藤木政府参考人 自動車の電動化、それから自動運転に関する技術の確立、さらにその社会実装ということは、我が国の自動車産業の国際競争力を強化するという上では不可欠の取組であります。こうした取組を進めるに当たりましては、今委員御指摘のように、積雪寒冷地という特性もしっかり踏まえたものにしていく、これが重要であるというふうに考えております。

 電気自動車に関しましては、既に各自動車メーカーで様々取組が進められておりますが、寒冷地の特性に対応するため、一つは、高効率なエアコンやシートヒーターを装備するということで、電気を効率的に使って航続距離を確保するという取組も行われておりますし、また、電池の性能低下ということを抑制するために蓄電池を加温するヒーターを搭載するというような取組も進められていると承知しております。

 それから、自動運転に関しましても、降雪とか積雪といったものによって安定走行に影響があるというケースが想定されます。これに関しましても、例えば国交省、内閣府で行った小型カートを用いた実証におきましては、磁気マーカーを使って車両を安定走行させるということを確認したところでもございます。

 こうした積雪寒冷地を含めまして幅広い環境条件の下で電気自動車の走行あるいは自動運転が実現するように、関係省庁ともよく連携しながら、しっかり技術の確立、開発を進めてまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 最後になりますが、梶山大臣におかれましては、再生エネルギーの宝庫である北海道を是非そうした視点で御視察いただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

    〔主査退席、佐々木(紀)主査代理着席〕

西岡分科員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、第七分科会におきまして質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 経済産業省におかれましては、梶山大臣の下、コロナ感染症に影響を受ける事業者の皆様へ様々な支援策を講じていただき、精力的に対応いただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げます。

 感染拡大が長期化をし、緊急事態宣言が発令をされ、今日、六府県については前倒しで解除する方向の議論がなされると聞いておりますが、飲食やサービス業、観光関連産業を始め、地域経済が大変厳しい状況でございます。引き続き、国民の命、暮らしを守り、事業継続、雇用を何としても守るために、現場の声をしっかり把握をしていただき、寄り添った御支援を引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、海事産業、特に造船業についてお伺いをいたします。

 従来から大変厳しい事業環境に置かれていた業界が、コロナ禍で一層厳しい状況となっております。製造業においても、コロナ感染拡大による景気悪化により、事業環境が厳しい状況です。中でも、海事産業、特に、私の地元長崎県の基幹産業である造船業が大変苦境に立たされております。

 造船業が大変厳しい状況になり、これまで長崎の経済を牽引してきた歴史ある三菱長崎造船所の社員やパートナー企業の従業員の皆様が激減をし、長崎市では人口減少の大きな一つの要因となっております。また、先般、佐世保市のSSKにおいて、新造船を一時休止するために二百五十人の早期希望退職者を募るなど、地域の経済、雇用に大変不安が広がっております。

 この場をおかりして、今後、国としても御支援をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 四方を海に囲まれている海洋立国日本にとって、海事産業、造船業は極めて重要な産業です。海上輸送は貿易量の九割以上、また国内貨物の輸送についても四割超を担っており、我が国の国民生活、経済を支えています。しかし、韓国、中国による、国策とも言える、市場をゆがめる国の支援によりまして、また事業の大規模化によりまして、両国の造船会社が世界の一位、二位を占めている状況がございます。

 海事産業、特に造船業の置かれている厳しい現状と課題、そして政府の取組について御説明をお願いいたします。

斎藤政府参考人 お答え申し上げます。

 四方を海に囲まれ、貿易量の九九・六%を海上輸送に依存する我が国におきまして、海運業、造船業を始めといたしました海事産業は、経済活動と国民生活を支える重要な産業でございます。特に、造船業につきましては、委員御指摘のとおり、地域経済、雇用、さらには安全保障の観点からも極めて重要な産業であると認識しております。

 しかしながら、我が国造船業は、国際競争の激化に加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、船主の発注意欲の低下や新規商談の停滞などによりまして、通常二年を有することが一般的であります手持ち工事量が現在約一年と、かつてない危機的な状況にございます。

 造船業が、この未曽有の危機を乗り越えまして、世界屈指の国際競争力のある産業として成長し、引き続き、地域の経済、雇用、さらには我が国の安全保障に貢献できますよう、生産性向上や事業再編などを通じた造船業の事業基盤の強化が必要でございます。

 このため、国土交通省といたしましては総合的な対策を講じてまいりたいと考えており、具体的には、予算措置といたしまして、造船所におけるデジタル化や脱炭素化に向けたガス燃料船の技術開発及び実証、また、税制措置といたしまして、国際船舶に係る固定資産税の特例措置の拡充、延長や、船舶に係る特別償却制度の延長、さらには、財政投融資といたしまして、政府系金融機関による新たな長期低利融資制度の創設、以上申し上げました措置などとともに、これらに関しまして、造船事業者の事業再編や生産性向上などを促進するための法律案を本年二月五日に国会に提出させていただいたところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じまして、造船業を含む海事産業の基盤強化に取り組んでまいる所存でございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 様々な施策に取り組んでいただいておりますけれども、一層推進をしていただきまして、地域を支え、国民生活を支える大変大切な基幹産業であります造船業また海事産業の発展のために、引き続き強力な支援をお願い申し上げます。

 次に、海洋風力発電事業について質問いたします。

 世界的に脱炭素化によるエネルギー構造の変革が急ピッチで進展する中、政府は二〇五〇年カーボンニュートラルの方針を示されました。今回の予算においても、グリーン社会の実現とデジタル改革の推進を車の両輪として推進していくことが示されております。カーボンニュートラル基金二兆円が計上され、昨年十二月にはグリーン成長戦略が示されました。

 その実現のためには再生可能エネルギーの推進が不可欠であり、その中でも、特に洋上風力発電事業の一層の推進は、海に囲まれた海洋立国日本にとって、大量導入またコスト低減、経済波及効果の面からも今後大変期待が大きく、産業競争力強化も含めた基本となる戦略が極めて重要となります。

 着床式と将来的な浮体式の技術開発も含めた形ということになると思いますが、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた政府の導入目標等の具体的な方針について、梶山大臣から御説明をいただきたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力は、再エネを最大限導入していく中でも、今委員御指摘あったとおり、大変重要な分野でございます。

 昨年の十二月に官民で洋上風力産業ビジョンを策定いたしまして、この中で、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までには、浮体式も含めて三千万から四千五百万キロワットの案件を形成しようという高い目標を設定したところであります。

 この導入目標を実現していくためには、確実な立地、案件形成をしていくことと同時に、欧州などで導入が進みましてコストの低下が進んでいる着床式に加えて、欧州と異なって遠浅の海域の少ない日本でも導入余地の大きい浮体式についても、早期の事業化や導入拡大に向けた技術開発、実証に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。

 引き続き今後事業を進めていくに当たって、発電事業者からも要望があったというふうに聞いておりますけれども、イギリスやデンマーク、ドイツの事例を踏まえまして、日本型セントラル方式を導入して進めていかれるというふうに聞いておりますけれども、この日本型セントラル方式の内容について、また、どのようなスケジュール感を持って進めていかれるのかにつきましてお尋ねをいたします。

茂木政府参考人 洋上風力発電については、先ほども答弁申し上げましたが、継続的な案件形成をしていく必要があります。

 このために、再エネ海域利用法を二〇一九年四月に施行をいたしましたが、やはり、この中では、海洋の長期占用のルールを決めたり、漁業者の、先行利用者との調整のための協議会の枠組みを具体化いたしましたが、一方で、初期段階の基礎調査ですとか、それから系統確保、送電線の確保ですね、こういったものを引き続き事業者が実施しているために、地域によっては、複数の事業者による重複実施で非効率が発生したり、地元調整への支障が指摘されていたりということがございました。

 こうした指摘も踏まえまして、開発の初期段階から政府が関与をしまして、より迅速、効率的に、例えば風況ですとか地質の調査を行ったり、適時に系統、いわゆる送電線の確保を行う仕組みを考えております。これがいわゆる日本版のセントラル方式ということでございます。

 具体的には、第三次の補正予算を活用いたしまして、まず風況、地質等に関する調査、また、その結果を踏まえた調査の技術的手法の確立を目指す実証事業を始めたいと考えています。また、必要な系統を国があらかじめ仮確保することで事業者の負担を減らしていく、こういった取組も進めているところであります。

 欧州各国でも、様々な形式でこのセントラル方式というのが進められております。こういった欧州の形式なども参考にしながら、官民の適切な役割分担も含めて、様々な選択肢を検討してまいりたいと考えています。

西岡分科員 ありがとうございます。政府が初期段階から一緒に取り組んでいただくということは大変重要なことだと思いますので、引き続き進めていただくようによろしくお願いいたします。

 次に、国内における洋上風力発電設備の製造工場を国内に誘致するに当たりまして、造船業との関連の視点から質問をさせていただきます。

 洋上風力発電設備であるナセル、タワー、浮体構造物の製造については、造船業で培われた技術を生かすことが可能であり、また、この洋上風力発電設備は部品数も大変多いことから、造船業と同様に、地域経済、雇用を支える効果が大変高いものと考えております。地域で洋上風力発電設備のクラスターを形成することが可能となると考えますが、このことについての御見解をお尋ねいたします。

斎藤政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電設備につきましては、主にナセル、タワー、ブレード及び基礎構造物で構成されておりまして、部品数は数万点に及ぶものと認識しております。これらの部品、さらに構造物につきましては、船舶建造で培われました鋼材加工などの造船業の技術が十分に活用できるものと考えております。特に、浮体構造物につきましては、我が国造船業の高い技術力、知見、これらを生かしまして、競争力のある浮体構造物の開発が可能と考えております。

 また、洋上風力発電設備の製造工程におきましては、多くの部品製造事業者も関連してきますので、これら関連産業への経済波及効果も大きいものと承知してございます。この点につきましては、洋上風力発電設備の製造、これは造船業と同じように、地域の主要製造業として、地域経済、雇用の中核的な役割を担う共通点があるものと認識しております。

 国土交通省といたしましては、関係省庁とも連携しつつ、造船技術の活用も含め、洋上風力発電の導入拡大に向けまして積極的に取り組んでまいります。

梶山国務大臣 洋上風力につきましては、巨大な市場を持つ欧州で育ったグローバル企業が、急成長するアジア市場に進出を開始して、拠点誘致競争が過熱をしているところであります。一方で、産業界からは、市場拡大の見通しがないと投資をちゅうちょするとの声がありました。

 そこで、昨年十二月に官民協議会において洋上風力産業ビジョンを策定し、政府として、二〇四〇年、三千万から四千五百万キロワットという高い導入目標の提示、需要ですね、需要を提示する。そして、インフラ整備を通じて魅力的な国内市場を創出し、風車メーカーなど国内外の投資を呼び込むこととしました。それを呼び水として、産業界には、国内調達比率を二〇四〇年までに六〇%にするとの目標にコミットをいただいたところであります。

 政府としても、再エネ海域利用法での海域の公募における評価や、予算や税制による設備投資支援等を通じて、強靱な国内サプライチェーンを形成してまいりたいと考えております。

 さらに、将来のアジア展開も見据えつつ、今後拡大が特に見込まれる浮体式を始めとする技術開発を加速化するとともに、国際標準化や政府間対話を通じて、浮体式等の海外展開に向けた下地づくりを行っていきたいと考えております。

 議員からお話がありました風車や浮体の製造には、造船技術やドックを活用できます。造船業からも洋上風力産業に参入いただくことを期待しているところであります。再エネ導入拡大と産業競争力強化の好循環を実現し、国際競争を勝ち抜く産業を支援してまいりたいと思っております。

 先ほど、官民協議会について言及しましたけれども、十二月にこういったことを決めましたけれども、これは昨年の七月から開始をしております。カーボンニュートラルの宣言前からやはりこういった形で産業化をしていこうということで取り組んでいるところでありまして、産業界と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

西岡分科員 大臣から心強い、力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 今大臣からも言及がございました造船ドックの活用について、国交省にお尋ねをさせていただきます。

 組立てなどの工場誘致や設備投資を考える場合に、ナセルは最大級のもので五百トンを超える大変巨大なものでありまして、今後より一層巨大化するということが想定をされます。この大型化に対応できるということがこれから不可欠なポイントというふうになってくると思いますけれども、欧州においては、実際に船の建造を終えた造船所のドックを使いまして製造、組立てが行われております。我が国においても、船の建造を終えた造船所のドックを活用し、ナセル、タワー、浮体構造物を一か所で製造し、組立てを行い、そのまま現地まで海上輸送をすることも可能ではないかと考えます。

 建設コストの削減や輸送コスト削減の面からも大変有効であると考えますけれども、その方向性について、先ほど大臣からも言及いただきましたけれども、国交省の見解をお尋ねいたします。

斎藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の造船所は、二百メートルを超える大型船舶を建造可能な造船所も多くございまして、広大な敷地、強い地盤、クレーンなどの大型建造設備を擁してございまして、委員御指摘のとおり、近年大型化する洋上風力発電設備も製造可能と考えてございます。また、造船所の岸壁を洋上風力発電設備の積出し基地として活用することも可能と考えてございます。したがいまして、造船所を洋上風力発電設備の製造、組立て工場として活用できる可能性は十分あるものと考えてございます。

 国土交通省といたしましては、事業者のニーズも踏まえながら、関係省庁とも連携しつつ、造船所の利活用も含め、洋上風力発電の導入拡大に向けて積極的に取り組んでまいりたい、こう考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。進めていくに当たっては、やはり国の支援というのが大変不可欠だと思いますので、引き続き御支援いただきますようによろしくお願いいたします。

 先ほど大臣がお答えをいただいたこととちょっと重複するかもしれませんけれども、洋上風力発電事業については、先ほど大臣からも言及がございましたアジア拠点誘致競争というのが大変激化をいたしております。韓国においても、造船業が好調とはいっても、今、韓国自体も造船業が大変不況な状況というのもございまして、アジアを見据えた市場を韓国も狙ってくる、今そういう現状にあると考えております。

 そういう中で、やはり国内サプライチェーンの形成の取組というのをスピード感を持って進めていくことが大変重要だと思います。造船業の不振に当たっては、大変後塵を拝してしまったという過去のこともございますので、このサプライチェーン形成の取組を、是非スピード感を持って取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、この取組について、どのような形で、スピード感についてはどのような体制の下で、また国の支援体制、取組の方針について大臣から御答弁をいただきたいと思います。

茂木政府参考人 洋上風力を進めていく中で、やはり国内のサプライチェーンへの波及効果が大きいというのは一つの重要なポイントでございますので、洋上風力法に基づきまして着実に国内の案件形成をしていくということがまず非常に重要だと思っております。

 加えまして、昨年の十二月の洋上風力産業ビジョンにおいて、二〇三〇年、そして二〇四〇年の大きな目標を設定いたしまして、国際的にはこういう市場が確立していくよということをしっかりメッセージを出してきておりますので、こうした取組を併せて進めることで国内に誘致をしていきたいと思っております。

 風車メーカーは、確かに既に国内メーカーは撤退してしまいましたけれども、部品メーカーなどは非常に強いサプライチェーンが供給できるポテンシャルを日本の企業は持っておりますので、こういった入札市場形成をしっかりしていくことで、様々な企業の国内投資を進めていきたいと考えています。これによってアジアの拠点を日本に引っ張ってくる、そういうつもりで事業を展開していきたいというふうに考えております。

梶山国務大臣 今、茂木部長からありましたけれども、一つ一つの案件形成をするのに企業群ができます、コンソーシアムができます。そういった形でより具体的にしていくということになると思いますけれども、日本で風車のメーカーはありませんけれども、その部品のサプライヤーというものはかなりの技術のものがあるということと、かつて風車のメーカーだったところもあるということですから、ナセルのメーカーですね、それはあるということですから、それが連携をしながら国内拠点を形成していく。そして、今議員がおっしゃったように、遊休施設もそのグループであれば、そういった形で利用していくという中で、コストにも影響があるものと思っております。

西岡分科員 大臣からもありがとうございます。やはりアジア市場というのを大変見据えていかなければいけないと思います。

 これはちょっと私の地元の話で恐縮でございますけれども、長崎はアジアの玄関口と言われる位置づけもございます。今、県を挙げて長崎海洋産業クラスター推進協議会というものをつくりまして、産学官一体となりまして海洋エネルギー産業の振興に取り組んでおります。関連産業の拠点形成に向けまして、調査、計測、設計、製造、メンテナンス、またサプライチェーンの県内の構築というものにも取り組んでおります。

 ある意味、アジアのマザー工場ではないですけれども、そういうものが九州にできることによって、九州一体となった取組も可能となりますし、より大きな事業展開や製造クラスター形成が例えば九州でできるということになりますと、これは大変地方創生にも寄与するものではないかと考えておりますので、引き続きいろいろな取組について、また私も地元の意見を聞きながら、いろいろな意味で御支援をお願いしていきたいと思っております。

 続きまして、洋上風力を進めていく意味でも、洋上風力発電事業の人材の育成というのが大変重要ではないかと思います。長崎においては、二〇二〇年十月に、海洋エネルギー開発の専門アカデミーというものを長崎大学の中に開設いただいております。

 今後、この風力発電事業の人材育成につきまして、国としてどのようなお取組を進めていかれるのかについて御説明をお願いいたします。

茂木政府参考人 長期安定的に洋上風力発電を普及させていくためには、やはり様々な幅広い人材育成をしっかり進めていくということが重要だと考えています。

 今委員から御言及ありました長崎海洋アカデミーでございますが、私も事業内容を拝見させていただいて、非常に先進的な取組をされているというふうに感じております。

 国の方でも、昨年、官民協議会で洋上風力産業ビジョンをまとめまして、その中で、どういった人材が必要なのかということで、必要なスキルの棚卸しを今しております。また、そのスキルを取得するための方策を具体化していくべく、今、産業界の方と一緒に洋上風力人材育成プログラムを策定しているところであります。

 こうしたプログラムを策定していく中でも、この長崎海洋アカデミーのような先行事例を参考にさせていただき、かつ連携もさせていただきながら、人材育成の取組を官民連携して着実に進めてまいりたいと考えています。

西岡分科員 ありがとうございます。人材育成はやはりある程度時間がかかることでございますので、国としてもしっかりお取組をお願いしたいと思います。

 それでは、先ほどから議論もあっておりますが、海洋再生可能エネルギー発電整備促進区域につきましてお尋ねをいたします。

 先ほど御紹介いただいたように、長崎も今、促進区域に、五島市そして西海市の江島沖が有望区域に選定をいただいております。こういう選定区域を増やしていかれる方針だというふうに思っておりますけれども、今後どういう計画でというか、この推進を進めていかれるのかということについて、大臣にお尋ねをしたいと思います。

梶山国務大臣 二〇一九年の四月に施行されました再エネ海域利用法に基づきまして、長崎県五島市沖を皮切りに、秋田県及び千葉県を含む四区域を促進区域として指定をしたところであります。現在、四区域いずれも、公募による発電事業者の選定プロセスに進んでおります。

 昨年十二月に官民で策定しました洋上風力産業ビジョンにおいて設定しました、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに浮体式も含む三千万キロワットから四千五百万キロワットの案件を形成するとの導入目標の実現に向けて、今後も計画的、継続的な促進区域の指定が必要であると考えております。

 具体的には、現時点で約百五十万キロワット程度の促進区域の指定が進んでいますが、この導入目標の実現には、年間百万キロワット程度の区域指定を継続していく必要があります。年間百万キロワットということであります。

 このため、年に一度、都道府県から新たな候補区域の情報提供を受け付けているところでありますが、今後も、地域関係者の御理解を前提としつつ、引き続き、更なる促進区域の指定を進めてまいりたいと考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。まだまだ、長崎もそうですけれども、日本全国、大変有望な区域があると思いますので、更なる事業推進を進めていただきたいというふうに思います。

 まだ少し時間がございますので、ちょっと通告はいたしておりませんけれども、一点、大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回のコロナ禍を経まして、サプライチェーンを維持していくというのが大変重要な日本の課題になっているというふうに思います。様々、経産省においても大臣の下で取組を進めていただいているというふうに思いますけれども、ウィズコロナ、アフターコロナの新しい時代における製造業のサプライチェーンの国内回帰や拠点の分散化というものを進めていかなければいけないと思います。

 今日、報道によりますと、米国のバイデン大統領が半導体やレアアースの供給網の見直しを百日以内に行うというようなことを表明されたという報道がございました。

 サプライチェーンの再構築についても予見性を持ち、やはり国がしっかりリーダーシップを取って今まさに進めていかなければ、なかなか進んでいかない事柄だと思いますけれども、危機管理の面から大変重要な課題だというふうに思っております。

 通告いたしておりませんけれども、大臣から一言いただけませんでしょうか。

梶山国務大臣 今回のコロナ禍におきまして、三月、四月の頃を思い起こしていただきたいんですけれども、マスクや医療用具、また人工呼吸器やECMOと言われるもの、そういったものが品不足になりました。

 このサプライチェーンの脆弱性、日本の企業であっても、海外のメーカーに発注をしているもの、また海外に工場を置いているもの、そのことが、海外に所在していれば今度は輸出制限にかかるということになりますから日本に来ないという中で、こういったものがしっかりと循環するような形として、サプライチェーン補助金というものを二次にわたって今執行しているところでありますけれども。

 この医療品、またさらに工業関係、今お話がありました半導体というものもそうでありますし、これからますます需要が増えます。カーボンニュートラルということで電化が進むということですから、電化の中で、またデジタル化の中であらゆる半導体が求められてくるということになると思いますので、そういったものも含めて、日本の産業に資するように、しっかりと需要に対して供給ができるような仕組みづくりを我が国としてするとともに、あとは、国際協調という中で、しっかりとそういったものも、アメリカとの連携もしてまいりたいと思っております。

西岡分科員 ありがとうございました。是非、大臣の下でしっかりお進めいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

佐々木(紀)主査代理 これにて西岡秀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山雅幸君。

青山(雅)分科員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 今日は、貴重な質問の機会、ありがとうございます。

 早速ですけれども、始めさせていただきます。

 まず、冠婚葬祭業についてお伺いいたします。

 言わずと知れたことでございますけれども、このコロナウイルスパンデミックにおいて、冠婚葬祭業、これは飲食業と並んで非常に大きな経営上の打撃を受けている産業だと思っております。件数が落ち込んでいるだけではなく、例えば規模が、親族のみでやるというような形で、大変な変革といいますか変化を余儀なくされている産業だと思っております。

 今日は特にその中でもブライダル産業についてお伺いしたいと思うんですけれども、ブライダル産業、結婚式、披露宴を主としたものであって、意外にと言うと失礼なんですけれども、関連産業が、実は裾野が非常に広うございます。したがって、地域産業への影響は甚大。それだけではなく、我が国の最大の課題と言ってもいい少子高齢化を少しでも食い止めていくためには、やはり若い人たちに、婚姻、自分の新しい家族をつくり、そういったことに踏み出していっていただかなければいけない。その大きなきっかけとなる、大変私としては意義深い慣習といいますか儀式だと思っております、結婚式も披露宴も。

 これがこのコロナ禍で大変に痛めつけられているだけではなく、心配されておるのは、ウェディングを皆で祝うというような慣習がこれによって廃れてしまうのではないかということが大変心配されているのかと思います。ですから、私、ここはきちんとやはり国としても手を打っていかなければいけないものだと思っております。

 そこで、まずお伺いいたしますけれども、ブライダル産業及び関連産業にはどのようなものがあり、各々の市場規模はどれほどなのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者の試算によれば、挙式それから披露宴会場に加えまして、料理、衣装、それから花、生花ですね、これらを含めたブライダル産業の市場規模は約一・四兆円だというふうに承知をしております。

 その他関連産業といたしましては、新婚家具、婚礼旅行市場、それからジュエリー市場などございますけれども、事業者の試算によれば、その市場規模は約一兆円程度、このように承知をしているところでございます。

青山(雅)分科員 合計二・四兆円ほど、やはり大変広がりのある産業だと思っております。

 一方で、このコロナ禍において、そういったブライダル産業及び関連産業の落ち込みの現状はどの程度か、あるいは、これによって関連産業、地域経済にどの程度の影響があるのか、これも簡略にお知らせください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 ブライダル産業につきましては、コロナ禍におきまして、昨年四月から六月の売上高は前年同期比の約九〇%減というところまで下落をしております。それから、夏以降、その後徐々に回復いたしまして、十一月には前年同月比でマイナス五〇%程度まで回復したところでございます。しかしながら、年末からの感染拡大によりまして再度下降傾向になりまして、今年一月の緊急事態宣言以降は、挙式、披露宴の延期、それからキャンセルが拡大しているという状況でございます。

 関連産業及び地域経済の落ち込みにつきましては、具体的なデータというのは持ち合わせていないところなんですが、ブライダル産業本体に延期やキャンセルが拡大しているという状況を踏まえますと、関連産業にも大きな影響が出ている、このように考えております。

青山(雅)分科員 大変衝撃的な数字なわけですね。最大で九〇%減、そして十一月で回復したといっても五〇%、そしてこれから、言うまでもなく三月は本当は最も結婚式が多いシーズンだと思いますけれども、今の、例えば、いろいろなものを緊急事態宣言解除しても慎んでくださいというような呼びかけがなされているこの状況においては、やはり同様の状況が続くのではないかと大変心配されるわけです。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、婚姻の数が下がってくると、出生数にも当然大きな影響が与えられる、少子化は一層進んでしまう。先日発表された出生数の速報値では、何と過去最少の八十七万人。これはもう本当に日本の将来に大きな影響を与えることになってしまっていると思います。

 それに関連して、婚姻件数もやはり大幅な落ち込みが予測されますが、現状、何かつかんでおられることはありますでしょうか。

村山(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省で公表いたしました令和二年人口動態統計速報によれば、令和二年一年間の婚姻件数は五十三万七千五百八十三組でございまして、新型コロナウイルス感染症の下、前年と比べ一二・七%の減少となっており、この減少幅は七十年前の昭和二十五年に記録した一五・一%の減少以来の大幅なものとなってございます。

 以上でございます。

青山(雅)分科員 目立たないんですけれども、七十年ぶりの大幅な減少、これは国にとっても、とんでもない、大変なことだと思っております。

 こういったことが続くと、我が国においては、なかなか、ただでさえも高齢化が進む、それで社会的にいろいろなことが厳しくなっていることが余計進んでしまう。お隣の韓国でも出生の人数が大幅に下がったというようなお話がありますけれども、これは、やはり国として、コロナ対策と同様に気を配っていただかなければいけないことかなと思っております。

 そこで、私、地元でウェディング産業、披露宴を専業にしているようなところの方のお話などを聞くと、やはり何が一番心配かというと、お金というよりは、結婚式、披露宴を開いてはいけないんだというような意識が何となく醸成されつつあると。それは、ずっと続いてしまうおそれもあるわけですね。そうなると、今直ちにそれは難しいかもしれませんけれども、今後ワクチンも一般化する、そしてだんだんと、感染しても重症化の割合は減っていく、あるいは医療機関の受入れ体制が拡充されるということがあれば、まさにウィズコロナとして、コロナの感染対策は感染対策、しかしながら、やれることはやるというようなことでしないと、もう経済も動いていきませんし、先ほども言ったように、日本の将来に禍根を残すこともある。

 そこで、これはもっともだと思ったんですけれども、GoToキャンペーンの最大のよかった点は、旅行に行ってもいいんだという気持ちを国民に与えたということであったと。ウェディング業界としても、結婚式開いてもいいんだよというような気持ちを与える、お金というよりはそういう心理的効果が大きいものですから、例えばGoToウェディングのような、政府の方でそういう積極的な施策を是非取ってほしいという切実な要望を寄せられております。私、もっともだと思います。是非この点、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 御指摘ごもっともだと思っております。

 ブライダル産業、新型コロナウイルス感染症による大きな影響が及んでいる業種であると思っております。その主たる要因は、多くの新郎新婦が結婚式、披露宴での感染拡大を恐れて開催を自粛していることにあると理解をしております。ちょうど一週間ぐらいの間ですか、テレビの報道で、このコロナ禍において二十四万組が結婚式の延期や中止をしたというニュースが流れていたのをたまたま目にしたばかりですので、まさに時宜を得た、そういう提案であると思っております。

 まずは、GoToキャンペーンは料金割引によって需要を喚起する施策でありますけれども、ブライダルについては、そもそも主催者となる新郎新婦が安心して結婚式を行う判断ができる環境づくり、二人だけじゃない、呼んだ方たちに御迷惑をかけてはいけないという思いが強くあると思っています。

 業界では、自主ガイドラインに基づく会場での感染症対策の徹底や、オンライン活用など、新しい結婚式、披露宴づくりを進めており、経済産業省では、ものづくり・商業・サービス補助金、またIT導入補助金などで支援をしているところでありますけれども、このGoToとはまた別に、省庁横断で何かしらできることがないのかということは、やはり落ち着いたときに少し考えてみたいと思っております。

 委員のおっしゃることはごもっともでして、ここで急激に出生数が減っている、また、結婚の数も、婚姻の数も減っているということでして、そういったものも含めて、婚姻の数が増える形にできればと思います。

青山(雅)分科員 大臣おっしゃったとおり、落ち着いたときには、逆に、今までずっと我慢していたものがばっと膨れる、そういうような気持ち、前向きな気持ちが出ると思います。そういうときにまさに適切なキャンペーンが、あるいは施策が取られれば、ぐっとまた上向くこともあり得ると思っておりますので、是非、今おっしゃった省庁横断的な検討をよろしくお願いいたします。

 続きまして、電力の市場価格の高騰についてお伺いいたします。

 御承知のとおり、スポット市場が、昨年末から今年の一月にかけて、大幅に高騰いたしました。主に新電力から電気を買っておられる消費者の方で、大変な電気代を請求されて驚いてしまったというような報道がございます。

 これは、こういったことがあると、せっかくの電力自由化、そして再エネとかも含めて、電力が自由化されて日本のエネルギー市場というものがいい方向に向かうようにとしてつくられた今の市場が、また旧来の方の、どちらかというと保守的な選択に戻ってしまう可能性があると思っていまして、これはやはりゆゆしき事態だと思っております。

 そこで、お伺いしますけれども、まず、二〇一六年に電力の全面自由化を始めたその意義といいますか、根拠といいますか、そして、その自由化の中での市場の存在意義、これについて、大臣の方から簡単に御説明いただきたいと思います。

梶山国務大臣 自由化の意義ということでありますけれども、低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤であります。しかしながら、東日本大震災を契機に、従来の電力システムが抱える様々な課題が明らかとなってまいりました。

 こうした中で、第一に電気の安定供給の確保、第二に電気料金の最大限の抑制、第三に電気の需要家の選択や事業者の事業機会の拡大を目的として、電力システム改革を実施してまいりました。御指摘の小売全面自由化は、この改革の一環として、二〇一六年四月に実施をしたものであります。

 また、卸電力市場は、電気事業法において、電力の卸取引の機会の拡大及び卸取引の指標として用いられる価格の形成に必要なその売買取引を行うものとして位置づけられております。

 実際、我が国の電力需要に占める卸電力市場における取引量の割合ということですが、電力小売の全面自由化を実施した二〇一六年の四月には二%だったものが、昨年十一月には約四割、三九・七%まで増加をしているということであります。電力自由化の中で重要な役割を果たしていると認識をしております。

青山(雅)分科員 ありがとうございます。

 この卸売市場以外にも、相対でもされている部分もあり、これは一〇〇%ではないわけですけれども、それでも、今、大臣御説明いただいたように、もう四割にも近いわけですから、やはりここの価格が安定的に、しかも公正な形で形成されていくのが大変望ましいことだと思っております。

 そこで、お伺いしますけれども、先ほど御紹介いたしました昨年末から今年の一月にかけての電力のスポット市場の価格高騰の原因は、今、どういうことによるものだというふうにお考えでしょうか。

佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のスポット価格の高騰の要因でございますが、実質的な売り入札の減少により売り切れ状態が継続して発生し、スパイラル的に買い入札価格が上昇したものと考えております。

 当委員会では、売り入札量の適切性等について厳格な監視を実施してまいりました。これまでのところでは、今回のスポット市場における先ほど申しました売り入札減少の要因は、主に、旧一般電気事業者の自社需要等の増加、火力発電所におけるLNG燃料制約の増加、また、揚水制約の増加によるものと考えております。

 現時点で、意図的に市場相場を変動させることを目的とした問題となる行為は確認されておりませんが、これまでの監視に加え、旧一般電気事業者及びJERAに対しては、梶山大臣の御指示で報告徴収命令もかけておりまして、今後、より詳細な分析を行うこととしております。

 具体的には、昨日、これらの事業者に対しまして有識者によるヒアリングを行い、売り入札減少の要因や燃料制約の判断基準等について、具体的な資料に基づいて各社ごとに説明を求めたところでございます。

 引き続き、このような取組を通じまして、今般のスポット価格高騰について、徹底した真相究明を行ってまいります。

青山(雅)分科員 最近、SNSも発達しておりまして、エネルギー市場に関心を持ったグループというのもございます。そこなどを見ると、様々な臆測やら意見がございます。

 今おっしゃるような、徹底的な大臣の御用命による真相究明が続けられる、これは大変喜ばしいことだと思いまして、というのは、透明性、公平性を確保しないとやはり信頼というものが失われる、この信頼が失われると、先ほど言ったように、電力自由化の意義が失われていくということになると思いますので。

 是非、徹底的な究明で、今おっしゃった不可抗力によるものである、あるいは不可抗力によるものであるとしても、では、あそこまでの高騰、今まで十円ちょっとくらいの平均価格だったものが、一気に百五十円ですかね、十五倍までいったという、ちょっと考えられないような高騰があったわけですから、そこを安定化させていくためには、やはりまずは原因を究明して、システムを変えていくということが必要だと思いますので、是非お願いいたします。

 その上で、更にお聞きしていきますけれども、まず基本の問題として、先ほどスポット市場というような言い方もしておりますけれども、卸電力市場JEPXの市場には、まず価格決定機能があるのみで、物理的な電気の供給を調節する機能はないということでよろしいでしょうか。あるかないかだけで結構でございます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 卸電力市場JEPXというものは、電力の小売事業者がその供給力の確保義務を果たすために、相対契約とかいろいろな手法はあるわけでございますけれども、実需給のために市場から調達する、その取引、市場調達を実現するための手法の場として設立、運営されているものでございまして、委員御指摘のように、必ずしも需給調整というものを目的としたものではございません。

青山(雅)分科員 本来、価格決定のはずなんですけれども、需給調整的な意味合いが出てしまっていることに今回の原因というか遠因もあるかなと思っております。

 更に聞いていきますけれども、インバランス料金というものがここで、要は買えない、小売事業者側には発生してしまうわけですけれども、このインバランス料金の算定方法及び支払いの仕組みというのはどういうふうになっているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げたように、小売事業者の供給力確保義務を果たす上で、事業者の方々は事前に需給の計画を立てた上で調達するわけでございます。

 しかしながら、需要に応じた供給量が確保できなかった場合に、一般送配電事業者が保有する最終的な調整力を使って供給するわけでございますが、この電気の供給を受ける対価として支払う精算金、これをいわゆるインバランス料金と呼ぶところでございます。

 この算定方法でございますけれども、基本的に、卸電力市場価格に一定の係数を乗じる算定方式を取ってございまして、小売電気事業者が卸電力市場などを通じて供給能力を確保するインセンティブを高めるために、市場全体の需給が厳しい時間帯には一を超える係数を乗じる、それでちょっと多い額となるような仕組みとしているところでございます。

青山(雅)分科員 そのインバランス料金が今回発生してしまったということで、最終需要者である消費者にもかなりの迷惑がかかっているわけですけれども、今回、余りに高騰したということでどういう措置を取られたのか。簡単で結構でございます、御説明を。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 この冬の需給逼迫を受けまして、スポット市場においては、いわゆる売り切れと言いますけれども、市場の中で、売りとなる供給力が需要に満たないという状態が生じたところでございます。これによって、最高価格がキロワットアワー当たり二百円を超える時間帯、日が出現したことが継続してまいりましたので、多くの市場関係者から市場での調達についての困難性、懸念というのが出てきたように承知しております。

 元々、この需給の逼迫状況に対する対応については検討しておったところでございまして、来年四月から、需給逼迫時のインバランス料金の単価の上限をキロワットアワー当たり二百円とするなどの新たなインバランス制度の導入を予定していたところであったわけですが、今年の一月十二日から十五日までの取引価格の最高価格が四日連続して二百円を超えたことを踏まえまして、市場参加者による電力の安定的な取引環境確保のため、同月、一月十七日に、本措置を前倒して、上限を二百円と、インバランス料金のですね、という措置を導入したものでございます。

青山(雅)分科員 このインバランス料金に絡んで、来年四月から見直す予定ということでございますけれども、今回のように、要は、小売事業者の見込みが甘くて安い札しか入れていなかったから取れなかったとか、そういうのならともかくとして、需給が逼迫しても、価格が、供給曲線が普通はこういう形で、需要と供給で見合ったところにいくところが、ぽんと垂直に立ってしまうような状況のときにペナルティー的な意味合いを持たせるのは、これはやはりおかしいと思っております。

 ですから、価格が硬直化したようなときにはインバランスのペナルティーをなくす方向で考えてもいいと思うんですけれども、そういった見直す予定というのはありませんでしょうか。

佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のインバランス料金でございますが、インバランス料金は、実需給における電気の過不足を精算する単価でありまして、価格シグナルのベースとなるものであります。このため、インバランス料金が実需給の電気の価値を反映するよう、一般送配電事業者がインバランスを調整するために用いた調整電源のうち最も高いキロワット価格をその時間帯のインバランス料金とすることが望ましいものと考えております。

 この立場からいろいろ考えておるわけでございますが、ただ、先ほど先生が御指摘いただきましたように、この冬の需給逼迫を踏まえて、先ほど申し上げましたインバランス料金の本質ということも十分見極めまして、調整電源の稼働コスト、予備率などの需給状況や、今般の御指摘いただきましたインバランス料金の動きなど、価格高騰時の状況の詳細な分析を踏まえて検討していきたいと思います。

青山(雅)分科員 是非お願いします。最終需要者である一般の国民が迷惑を被ることがないように、是非お願いいたします。

 それから、これに関して、情報開示という観点で、三十分置きに時間が決まる、つまり、一日二十四時間ですから、四十八こまあるわけですね。これが今まで開示されていなかった。これはやはり不信感を呼ぶことだと思います。

 この四十八こま全部の公開があるべきだと思いますけれども、それは公開されるか。それがいつ、いつからの分が公開されるか。特に、今回一番問題となった一月十四日の分も公開されるかどうか。簡単にお答えください。

佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、多数の方の御要望また海外の例等を踏まえまして、明日二月二十七日から、御指摘のように、日本卸電力取引所のホームページにおきまして、毎日四十八こま分のスポット市場の需給曲線を継続的に公開することになったと承知しております。

 また、公開対象でございますが、昨年十二月一日以降全こまでございまして、今御指摘いただきました一月十四日の全こまの需給曲線についても明日より公開されることとなります。

青山(雅)分科員 大変いい方向での検討だと思います。是非よろしくお願いいたします。

 そして、今回、実は、ちょっとインバランスとかの話とはまた違う話で、FIT絡みで、送配電事業者に利益が随分出ているようなんですけれども、この利益についてはどのように配分されるんでしょうか。

茂木政府参考人 FIT特定卸供給という契約がございまして、この契約では、発電事業者と送配電事業者の間の取引価格はFIT価格、送配電事業者と小売事業者の間の取引価格は市場価格で行われますので、通常は、市場価格が低い、そうなりますと、この差を賦課金で埋めるという形でやっています。

 今回は市場価格が上がりましたので、相対的にはこれは送配電事業者に余剰が出るという形になります。これまでこの余剰をどうするかというルールが決まっておりませんでしたので、原則これまでFITで穴埋めしてきたということもございますので、国民に広く還元する仕組みとして、関係の審議会でも御審議をいただきまして、そういう方向で今整理をしているところでございます。

青山(雅)分科員 大臣に少しお考えいただきたいところですけれども、今の、利益がこういうような事象で余剰が生じたときに、一方では一般消費者が損失しているわけですね。それ全てとは言いませんけれども、そういう損失者に若干補填するようなこともあっていいのかなと思うんですけれども、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。

梶山国務大臣 先ほど参考人から答弁したとおり、今般の市場価格高騰により厳しい経営状況にある新電力に対して、FIT特定卸供給に係る電気料金の支払い期日の延長、その後の分割払いを可能とする措置を今やったところであります。

 それで、今、最終消費者、ユーザーにということでありますけれども、FIT制度は、送配電事業者が再エネ電気をFIT価格で買い取り、これを市場価格で販売し、不足分は国民全体で支えるFIT賦課金で補填をするという仕組みであり、国民の理解の下に成り立つ制度であります。

 今、大体年間二兆四千億円が投じられているということでありますので、これをいかに安くしていくかということ、いかに国民負担を少なくしていくかということがこのFIT制度の課題でもありますので、この制度の下で生じた余剰につきましては、国民全体で再エネの拡大を支えるという制度の趣旨を踏まえて、一部の需要家に還元するのではなくて、広く国民全体に還元させることが適切だと考えております。

 ただ、最終需要家、ユーザーに迷惑がかからないような形で対策を小売業者にはしていただく、その上で、小売事業者には分割の支払い等々の先ほど申しましたような措置もしているということであります。

青山(雅)分科員 今大臣が御説明になった考え方も、それは当然理解はし得るところなんですけれども、一方で、システムの欠陥によってこういう事態が生じたとも考えられると私は考えているんですね。そう考えると、その欠陥によって迷惑を被った人にやはり個別に補償をするというような考え方もあってはいいんじゃないかと思いますので、今後、検討課題としてお願いいたします。

 続きまして、今日、公正取引委員会にもおいでいただいているわけですけれども、今回の市場価格の高騰に公取として関心を持っておられるか、お聞きしたいと思います。

粕渕政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会といたしましては、御指摘の卸電力取引所における電力の卸売価格が高騰した問題につきましては注視しているところでございまして、引き続き、電力・ガス取引監視等委員会とも連携しつつ、公正な競争環境の整備が図られるように努めてまいりたいと考えております。

 また、独占禁止法に違反する事実が認められた場合には、これは厳正に対処していきたい、こういうふうに考えております。

青山(雅)分科員 公正取引委員会がこういったことにきちんと関心を持っていただいているということが市場の信頼にもつながると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど言いましたインバランス制度の適正化、あるいはFITの問題、それから、ちょっと時間がなかったので省きましたけれども、買い札が九百九十九円というところに、高いところに設定されているとか、そういう細かい問題も含めまして、今回の騒動といいますか価格高騰というのは、やはり、スタートしたばかりの電力自由化にとっていろいろまた解決すべき課題があるということが浮き彫りになったことだと思っております。

 そういった点を含めまして、市場制度の在り方をより透明で公正な電力取引にしていかなければ、新エネルギーの振興や適正な競争をもたらそうとする電力自由化の理念、こういったものへの信頼が失われて、国民の信頼も失われる。それは我が国の将来にとって望ましいことではないと思っております。こういった点について、今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣の御見解をお願いします。

梶山国務大臣 今回の市場の高騰というのは、いろいろな要件が重なったということでありますけれども、それにしても高過ぎるということで、実態の検証をせよということで、私の方から指示を出しました。そして、一番大切なことは情報の開示。先ほどもお話ありましたけれども、情報の開示をするということ。そして、市場の欠陥があるとすれば、それをどう直していくかということで、すぐにでもやはり解消していかなければならないということだと思っております。

 自由化が始まって、軌道に乗り、始まっている、そしてまた、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指して、FITの、再生可能エネルギーの売買というものもこれから増えてくるという中で、健全な市場をつくるための最大限の努力をしてまいりたいと思いますし、監視機能の強化ということも含めてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

青山(雅)分科員 本日は、大変真摯な御答弁をいただきまして、感謝しております。ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。

佐々木(紀)主査代理 これにて青山雅幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤裕君。

安藤(裕)分科員 自民党の安藤裕でございます。

 今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 梶山大臣、本当に長丁場でございますが、お疲れさまでございます。よろしくお願いします。

 まず、コロナ対策について伺いたいと思います。

 このコロナも一年以上に及んでまいりまして、様々な事業者に本当に大きな影響が出てきております。今、持続化給付金とか、あるいは家賃支援給付金のような形で支援は行われておりまして、そしてまた資金繰りの面も様々な融資の形で行われておりますけれども、さはさりながら、なかなか事業者の皆さん、苦しい状況があります。二月十九日付の日経新聞には、宿泊業の八五%が減収が補えないというニュースも載っております。これは当然で、政府の一時支援金を受け取っても売上げの減少分が補えないことが分かったと。これは言うまでもないことでございまして、事業者、法人に対して六十万円の一時金をもらったところでとても補えないというのは、これは当然であります。

 そしてまた、先日、自民党内でも集客エンタメ業界の皆様方からヒアリングを行いましたけれども、その皆さん方の集計によると、蒸発してしまった売上げが自分たちのところだけで七千八百億円あると。関連する様々な消費を含めれば十兆円の売上げが消失をしている、蒸発をしているわけですね。こんな中でどうやって事業を継続していくのかというのは、これはやはり喫緊の課題だというふうに思います。

 そして、私は、従来から、これは持続化給付金等ではとても足りないので、粗利補償、事業規模に応じて、例えば去年の同月、去年の同期、まさにコロナがない時期の利益と、それから今期、もう一年間たちましたから、一年やったところの利益との差額、これをコロナによる損失とみなして、この部分を給付で政府が出す、こういった粗利補償みたいな考え方をずっと以前からやってくるべきだというふうに考えておりますが、今現在、中小企業庁あるいは経産省の方で、この持続化給付金の大幅な拡充のようなことを考えているかどうかについて、まずお伺いをしたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今粗利についてのお考えを御提案いただきました。

 一時支援金につきまして、売上高に応じて給付額を算定するということで、今委員御指摘がありましたように、上限、法人、個人それぞれ六十万、三十万ということでございます。御指摘のように、粗利に応じて算定する方式に変更をいたしますと、今この給付金につきましては、税務申告をベースにやってございますけれども、仕入れ額を把握することができません。したがいまして、例えば不正なんかも起こりやすいのではないかということであります。仮に、仕入れを確認しようと思うと、膨大な帳票の真正性を確認する必要などがあって、迅速な審査や給付がなかなか難しいんじゃないかなというふうに考えてございます。

 私どもといたしましては、一時支援金以外にも、雇用調整助成金でございますとか、あるいは実質無利子無担保の融資の無利子枠の拡充、資本性劣後ローン、それから、補助金につきましても、事業再構築補助金や持続化補助金など、様々な政策を講じているところでございます。こうした支援策を総動員いたしまして、中小企業、小規模事業者の事業継続を支えていきたいというふうに考えております。

安藤(裕)分科員 おっしゃることは分かるんですが、ただ、もう一年たちます。それで、個人事業主の方は、今確定申告が始まります。それから、法人の皆さんも、いろいろな各月、決算がありますけれども、十二月決算の法人はもう二月申告ですし、三月決算の法人もいよいよ決算の準備をしてくるということになります。もうこのコロナの影響は一年間に及びます。

 言ってみれば、仕入れ額の算定とかそういったことをやらなくても、税務申告ベースで、課税所得の差額をコロナによる減収とみなすぐらいの大胆な仕切りもできると思うんですね。そして、その審査は、それこそ税務申告等は税理士とか公認会計士が代行してやっている場合が多いので、まさにそういう職業会計人の皆さんの御協力を得ながらやっていけば、役所の負担も相当軽減できるし、それから、いろいろな不正行為というものが入ってくる余地も相当減らすことができると思います。

 今、今日この場で、やりますと言うことはできない、そういうお答えはできないとは思いますが、是非御検討をお願いをしたいと思います。

 何といっても、これから日本経済がコロナ後V字回復をしていくためには、このコロナによる負債を各事業者に背負わせておいては、本当に重たい荷物を背負って、これからまずその荷物を下ろしてから次へ行かなきゃいけないという状況と、荷物は背負わせません、ただ、取りあえず今この状況は我慢してください、耐えてください、その後にはしっかりとV字回復するだけの支援をしますから、そういった強いメッセージを政府は出す必要があるというふうに強く思っておりますので、是非この御検討をお願いをしたいと思います。

 それから、次に、このV字回復についてですけれども、消費税について取り上げたいと思います。

 今、消費税は、いわゆる公式的には、預り金的性格を持つ税であると。つまり、売上げに消費税分を乗っけて消費者に販売をして、事業者は、その乗っけた消費税分を消費者から預かって、それを税務署に納税するから、事業者の損益には影響がないという説明をされておりますけれども、実際にこれは転嫁が一〇〇%できていれば確かに事業者の損益には影響がないと思いますが、これが転嫁できなかった場合には、事業者は自らの利益を削って消費税を納税しなくてはならないということになります。したがって、この消費税の転嫁ができているかどうかというのは非常に大きな論点だと思うんですね。

 しかし、今、経産省でもその調査を行っていると思いますけれども、この経産省の調査と、それから、商工会議所も独自の調査を行っていると思いますが、その数値にどうも乖離があると思うんです。

 これは、皆さん方にも今日資料をお手元にお配りをしておりますけれども、是非その数字を見ていただきたいと思いますが、経産省の数字だと、転嫁できているという事業者がかなり多く出ていて、商工会議所のデータだと、特にBツーCについては低めに出ていると思いますが、この数値の乖離について、まず経産省の御認識をお伺いしたいと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今日資料も配付していただいておりますけれども、日本商工会議所の直近の二〇一九年五月に実施いたしましたヒアリング調査では、消費税を転嫁できると回答した事業者の割合は、事業者間取引では七六・四%、消費者向け取引では六四・六%となってございます。中小企業庁、同時期に、二〇一九年六月に実施したモニタリング調査では、それぞれ八六・六%、七六・八%となっておりまして、数字に違いがございます。

 これは、日本商工会議所の調査が、会員企業約三千者に対する経営指導員などによるヒアリング調査であるのに対しまして、中小企業庁の調査は、無作為抽出した四万者の中小企業に対する書面調査でございます。調査の実施方法が異なっておりますので、それが一因だというふうに考えてございます。

 調査手法が異なりますので、その結果も異なったものとなっておりますけれども、いずれにしましても、委員が御指摘のとおり、消費税転嫁がしっかり行われるということは非常に重要だと思っておりまして、こうした調査に加えまして、中企庁では、更なる実態把握のために、全国六百三十万者に対する悉皆調査、あるいは転嫁Gメンによるヒアリングなども行ってございます。

 あくまでも、これは私どもが行った直近のモニタリング調査でございますけれども、いずれの数字も改善をしてございまして、消費税を全て転嫁できると回答した事業者の割合も、事業者間取引では八九・八%、消費者向け取引では八一・九%というふうになってございますけれども、引き続き、消費税転嫁対策特別措置法に基づく厳しい監視、取締りを実施してまいりたいというふうに思っております。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 私は、肌感覚では、商工会議所の調査の方が恐らく実態に近いのではないかというふうに非常に強く思います。

 経産省の調査でも、BツーBで八六・六%が転嫁ができている、BツーCで七六・八%が転嫁ができているということでしたけれども、裏を返せばBツーCでは二四%ほどが転嫁できていないということになるわけですね。これは商工会議所の調査だと、六四・六%がBツーCにおいては転嫁できているんだから、三五%ほどが転嫁できていないということになります。

 つまり、それだけの事業者が自らの利益を削って納税しているわけですね。したがって、この現状は、中小企業政策を所管する中小企業庁あるいは経産省としては非常に重たく認識をしなきゃいけないと思っております。

 そして、そんな中で、先日、一部大企業が減資をするというニュースが出てきています。これは資本金を一億円に減資をして、そうすると税制上の優遇措置が受けられるということですね。

 例えば、法人税の軽減税率の対象になるとか、あるいは事業税の外形標準課税の対象から外れるというふうな税制上の利益が得られるということがあります、あるいは欠損金の繰越控除が大分受けられるようになるとか、そういった税制上のメリットもあるわけですが、外形標準課税というところに注目をして、ちょっとこの消費税について議論をしていきたいと思いますけれども。

 この事業税の外形標準課税が中小企業に対して適用除外をされているというのは、赤字の企業に対しても、ただこの事業の規模に応じて、付加価値に応じて課税をするというのは余りにも酷ではないかということで、これは適用除外になっているわけです。

 そして、じゃ、今消費税はどうなっているかというと、コロナで今大変な状況に陥っている中小企業の皆さん方は日銭を稼がなきゃいけないので、消費税が転嫁できているとかできていないとかということを度外視をして、とにかく、テイクアウトのいろいろなものを売ったりとか、いろいろな商品を売ったりして、日々の現金を手に入れようという行動をしています。したがって、今、消費税が転嫁できるとか転嫁できていないとかそういうレベルではなくて、とにかく日銭を稼がなきゃいけない、そういう思いで必死で努力をしていると思うんですね。

 しかし、消費税というのは、そういった必死の努力をしている皆さん方にも、取りあえずこの売上げには一〇%ないしは八%の消費税が乗っているんだから、それは納税しなきゃいけないという、いわば売上げに対して課税をする外形標準課税的な側面が非常に強く出てきているというふうに思います。

 これからコロナでV字回復をしていかなきゃいけないのに、この消費税というものは、今言ったみたいに売上げに消費税が乗せられていなくても納税しなきゃいけない、つまり、存在するだけで赤字企業に対しては赤字幅を拡大するという効果があります。あるいは、売上げ、売値に消費税分を乗っけて販売をするとなると、当然消費者側にとっては購買力が損なわれるので、そういう意味でも売上げが失われるということになります。

 したがって、消費税というのは、どっちにしても、乗っけなくても自分の赤字を拡大するし、売上げに転嫁したところで消費が伸びないので、結局自分の売上げが伸びないという非常にジレンマを抱えている税制だと言わざるを得ないと思います。

 今、いろいろ消費税は社会保障の財源に充てられているとか、そんなことを言われますけれども、取りあえず今経済を再生させなきゃいけないという観点から、この消費税、当分の間でも、例えば三年間でもいいですから、適用除外、当分適用を停止する、そんなような提案を経産省から要望するということを是非考えていただきたいと思いますが、今の見解を伺いたいと思います。

飯田政府参考人 消費税についてのお尋ねでございます。

 消費税につきましては、御指摘のとおり、社会保障サービスの維持にとって重要なものだということで、これは政府としての考え方でございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、中小企業の皆様、非常に厳しい経営状況に置かれているということでございますので、事業継続ですとか経営再建、これは全力で支えていきたいというふうに思っております。

 例えば、いろいろやっておりますけれども、雇用調整助成金の特例の延長というのもありますけれども、私どもといたしましては、実質無利子無担保融資の延長、それから上限額の引上げ、また、一時支援金というものを今回措置しようと思っております。それから、新分野展開ですとか業態転換、こういった新しいところにチャレンジされる方々への事業再構築補助金、これも準備を進めております。それから、ものづくり補助金などを始めとした中小企業の生産性革命推進事業、さらに、事業承継関係のいろいろな税制ですとか補助金でございますとか、こういったものを通じまして、引き続き支援してまいりたいというふうに思っております。

安藤(裕)分科員 引き続き支援はこれは当然だと思うんですが、中小企業の経営に対して非常に大きな悪影響を与えているのが消費税であるということは数字でも明らかだと思うんですね。ましてや非常時ですから、これを中小企業支援という立場から是非経産省でも今後検討していただきたいというふうに思います。

 それで、次の論点に行きたいんですけれども、電力のことについてお伺いをしたいと思います。

 今年の冬、かなり電力需給について逼迫状況でありました。本当に危機的状況だったというふうに思いますけれども、まず、この冬の電力の需給関係の実態についてお伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、今年の年初から一月上旬にかけまして、電力が全国的に需給が逼迫するような状況になりました。

 これに対しましては、電力会社によりまして火力発電所のフル稼働ですとか、電力広域的運営推進機関を通じまして全国の融通をすることによって、広域的には安定供給が確保できるような状況になりましたけれども、いわゆる電力のシステム改革後初めて日本の電力会社が全員一緒になって一体的に取り組まなきゃいけない、そういうような状況にあったところでございます。

 この要因について、今、審議会の中で検証し、今後に向けてやっているところでございますが、幾つかの要因が複合的に重なったところかと認識しております。

 まず、需要面で申し上げますと、強い寒波が断続的に流入いたしまして、全国の平均気温が一月前半において平年より二度低い状況、これを受けて、電力需要は昨年から大体一〇%ぐらい増えており、かなり高い水準が断続的に続いたということ。

 一方、供給面を考えますと、LNGの在庫というのが一つ課題として浮き彫りとなりました。最初の寒波というのが十二月の中旬ぐらいにあったわけでございますが、ここでの需要を受けて、一か月で約四〇%、この在庫が減少した。そのことがその後のLNGの火力の稼働に制約がかかる状態になってしまったものですから、火力をベースとしました供給力に課題が生じた。

 同時に、日本、中国、韓国等、LNG需要が非常に増大してございます。パナマ運河でのコロナ対応の検査手続も増加しておりまして、なかなか短期的な、機動的な在庫の積み増しも難しかったということも要因として挙げられるところだと思います。

 また、背景には、石油火力が二〇一四年から五年間で大体一千万キロワットぐらい廃止しておりますし、火力発電所の休廃止、さらに原子力発電所の停止など、供給力面の低下という中で太陽光が増大しておりますので、全体としての再エネの発電量はあるんですけれども、日によった違いによって、この変動に対する対応について難しい面があった。

 このように様々な問題が今回の課題になっているところでございます。

 安定供給というのは非常に重要な課題だと思っております。審議会の中で、これに対する対応策は検討していきたいというふうに考えてございます。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 様々な努力をしていただいて、何とか大停電という状況は免れたということでありますけれども、今日もいろいろな方が質疑の中で、この電力の自由化については問題意識を持って質問されていると思います。

 やはり私は、電力というものは、かなり投資をしなくてはいけないものだと思いますし、巨額な投資と、それから、その投資に対する回収保証というものが非常に重要視されていると思います。

 かつて電力の鬼と言われた松永安左エ門という方がいらっしゃいますけれども、電力事業はファイナンスであるというふうに言っておられまして、まさに、資金を調達をして、そして巨額な投資を実現することができないと電力事業の安定はないということを言われておりましたし、巨額な投資をするためには、ちゃんと投資を回収できるだけの保証がないとそういったものがやれないということで、そういった意味で、投資回収保証と総括原価方式というものは日本の電力事業には導入をされていたんだろうというふうに思います。

 今一部、この総括原価方式はまだ残されているとはいうものの、例えば、今お話に出たLNGのようなそういった燃料を、じゃ、もっと余分に買っておかなきゃいけないとか、またあるいは、発電所も余分に用意をしておかなきゃいけないとか、そういったバックアップの様々な設備投資というものはこれからも必要になってくると思います。

 また、あるいは、エネルギー基本計画でいろいろな電源を分散的に確保していかなきゃいけないということになると、自由化をしていたら、じゃ、自動的にそのエネルギー基本計画どおりの電源構成が達成できるのかといったら、これもなかなか、そんなはずはないだろうと思うのが普通の考え方だと思うんですね。

 したがって、そんな中で、電力自由化というものが始まって様々な課題が今出てきているというふうに思います。その電力自由化と、それからエネルギーミックス等のこのエネルギー基本計画等との関係性について、今現状の経産省の見解をお伺いしたいと思います。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先生から先ほど御指摘のとおり、今般の電力需給逼迫では、火力発電所、これがフル稼働してしのいでおりますけれども、我が国の発電所の設備というのは、老朽化、これが進んでおりまして、新規投資もこれは停滞をしている状況でございます。持続的な電力の安定供給を確保しつつ、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現していくためには、老朽電源に依存し続けることというのはもう困難でございます。脱炭素化、これを前提といたしまして、電源の新規投資を促進をしていく必要がございます。

 電力の自由化前は、先生御指摘のとおり、料金規制がございまして、事業者が安定的に料金を回収、これが可能でございまして、巨額の設備投資ができたわけでございますけれども、自由化された中では、発電事業者が、長期的な予見可能性は低下をして、電源投資が進まない可能性もございます。

 こういった議論を踏まえまして、今年一月に、二〇五〇年カーボンニュートラル目標と安定供給の両立に向けた電源投資促進のための電力市場の整備の検討を梶山大臣から事務方に指示をいたしまして、資源エネルギー庁の審議会において、検討を今現在深めているところでございます。

 安藤先生の御指摘を踏まえまして、近く開催いたします審議会において、電源の投資促進に向けて、投資を行う事業者に長期的な予見可能性を付与するような制度の在り方について、スピード感を持って検討してまいります。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当にその問題意識で取り組んでいただきたいと思います。

 これは、松永安左エ門さんの自伝にこういうことが書いてあるんですね。「動力時代となると、大資本の下に、大規模の大経営となし、広大な範囲にわたる連携を構成し、大容量の電力を数百マイルを隔てた地方に授受するにあらざれば、低廉良質の電力を供給し得ず、産業の興隆に弊害を生ぜしむる。したがって集中統一、かつ相互連絡に基づく大経営とならざるを得ない」ということをおっしゃっておられます。

 この時代は、まだ水力発電もかなり有力な電源で、なので、遠方から運んでこなきゃいけないということもあったんだと思います。今は、原子力も、今止まっている原子力もあるし、あるいは小水力発電とか、様々な電源がいろいろな状況で活用することができる時代になっています。

 やはり、今の時代に応じた様々な電源が安定的にいろいろ開発がされて、そして、一つのエネルギー源に頼らないような、是非いろいろなものを使った安定的な電力供給というものを実現をしていただきたいと思います。

 それから、デジタル化が推進されるということが今非常に大きな政府目標になっておりますけれども、そんな中で、デジタル化が推進されればされるほど絶対に停電は許されないという状況になります。そういった意味でも、事前の防災と、それから万が一停電したときの復旧を早急にする体制を整える、これは双方求められていると思います。

 二〇一八年には、北海道で大規模な停電、ブラックアウトが起きましたし、あるいは、その翌年の二〇一九年には、台風によって千葉県でかなり長期間停電が発生するということがありました。やはり、デジタル化が進めば、特にキャッシュレスなんかも進んでしまえば、これは停電しただけで買物すらできないという、まさに国民生活の根本が脅かされるという状況になると思います。

 今まで以上に災害に強い電力供給体制というのを求められると思いますが、今の事前防災とそれから事後の復旧体制に対しての経産省の見解をお伺いしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 送配電事業者及びその関連会社は日頃より災害に備えた電力インフラの強靱化に努めておりますが、それでもなお、台風などの災害によって生じる停電の早期解消のためには、他のエリアの送配電事業者、それから地方公共団体、あるいは自衛隊といった関連機関との連携体制を構築すること、それが実際にうまく機能しているかどうか、災害を想定した訓練を行うこと、そういった事前の備えが重要になります。

 政府としましては、災害時における倒木の処理や電源車の派遣などに関する協力事項を盛り込んだ地方自治体と電力会社との連携協定の締結を働きかける、あるいは、病院などの重要施設、その周辺において、地方自治体と電力会社が協定を締結しまして森林整備を行うことで災害の未然防止につなげる取組を支援する、こうした取組を通じまして、送配電事業者と自治体の連携をサポートしてまいります。

 また、改正電気事業法では、地方公共団体や自治体などの関係機関との連携に関する事項を記載した災害時連携計画を送配電事業者が共同して策定することを義務づけております。

 こうした取組を通じまして、災害への備えに万全を期してまいります。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 今は、各大手の電力事業者が、俺たちが日本人の生活を支えているんだという強い使命感で復旧にも取り組んでおられるように感じます。これは電力会社だけではなくて、各協力会社の皆さん方もそういう強い使命感があると思うんですが、これがもし損なわれるようなことになると、復旧がなかなかできないという状況になってしまっては本当に日本人の生活に大きな支障を与えると思うので、是非これからも、事前の防災もそうですし、それから事後の復旧体制も万全を期していただきたいと思います。

 それから、最後の質問になると思いますが、洋上風力発電をこれから主力電源に位置づけるということが今目標となっていますけれども、今、洋上風力発電の部品が国内では生産できないという状況になっています。これの国内生産を目指すのかどうかということ。

 それから、先日、東芝とGEが洋上風力発電について連携をするというニュースがありましたが、東芝は日本企業のようなイメージがありますけれども、株主が外国法人等が六二%を占めていて、もはや外資というふうな言い方もできるんじゃないかと思います。

 そういった東芝に限らず、自由な資本主義の中で、各会社が日本に生産拠点を置くということをずっと決め続けてくれればいいですけれども、そういうことを政府から強制するわけにもいかない、そんな中で国内供給をきちんとキープするためにはどのような政策が必要とお考えかをお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 洋上風力発電は、これは再エネ主力電源化の鍵でございますが、日本の風車メーカー、既に製造から全て撤退をしてしまっております。

 ただ、先ほど委員からも御指摘がありましたが、日本にもポテンシャルのあるサプライヤーはたくさんいらっしゃいます、これは部品も含めて、たくさんいらっしゃいます。これらの企業も併せて発展させる形にするために、やはり、欧州の風車メーカーを始めとした世界で戦っているメーカーをしっかりアジアの拠点として日本国内に誘致してくる。これによって、部品数が三万点近くにも及びますサプライチェーンを国内に築いていくということを進めていきたいと思っております。

 具体的には、洋上風力ビジョンというのを昨年十二月に策定しましたが、この中で、政府が導入目標を示すとともに、産業界の方では国内調達目標も設定していただいております。こうした取組を通じまして、魅力的な国内市場を創出して、強靱な国内のサプライチェーンをつくっていきたいと思っております。

 また、再エネ海域利用法という法律に基づきまして、今、各海域の公募をやっております。この公募の中で、例えば災害ですとか事故があったときに、迅速に部品の調達ですとか修繕とか、こういったものが可能になる、これはすなわち安定供給ということになりますが、こうした電力の安定供給の観点から発電事業者の取組をしっかり評価する、こうした取組によって、国内のサプライチェーンの強靱化を促してまいりたいと考えております。

安藤(裕)分科員 ありがとうございました。

 引き続き、国民のために、安定した電力網の供給に尽力をしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

佐々木(紀)主査代理 これにて安藤裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

    〔佐々木(紀)主査代理退席、主査着席〕

近藤(和)分科員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 梶山大臣とは初めての質疑ということになります。先日の予算委員会では、質問通告を出していたんですけれども、ちょっと時間がなくなりまして大変失礼をいたしました、申し訳ございませんでした。今日は改めて、後半部分で持続化給付金のこと、先日質問できなかった部分を申し上げたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今日は私、胸に石川県の花を、エアリーフローラといいまして、石川県が開発した花をつけてまいりました。十年ぐらい開発に期間をかけて、今、十色以上の花がございます。今、実際、花屋さんも大変苦労されておられます。花を作られている農家さんも苦労されています。葬儀場なども今かなり運営が小規模になってきて、そういったところも困っているという話も伺っています。いろいろな点で、花はすごく美しい、よいものでございますけれども、この後ろにはたくさんの方々の御苦労があるということも見ていただければと思います。

 そして、今日つけているマスクも、地元のマスクでございます。繊維業界、大変苦しいです。人が出歩いていない、そして服なども新しく買わないということで、服を作っているメーカーなども苦しんでいますが、繊維を織るところ、繊維を作るところも大変苦労されておられます。地元でこういうマスクも作っておられますし、マスクをずっとつけると耳が痛くなりますので、このゴムバンド、これも石川県で作っているものでございます。

 そしてまた、今日持ってきています財布は炭素繊維で織られているものでございます。本当にどこまで火に強いかというのは入れたことがないので分からないんですけれども、今後の新しいものも使っているということでございます。

 そして、古きものといえば珪藻土でしちりん、能登半島はその産地でもあるんですけれども。それで食べる焼き肉や魚も大変おいしいんですが、今、珪藻土を使ったスーツも開発されているという状況でございます。いろいろな意味で、地産地消、経産大臣には、石川県にもいろいろなものがあるということもまた知っていただければうれしいなというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 地産地消という観点でいけば、やはりエネルギーでございます。今、現状においては到底その言葉が言えない状況ですが、エネルギー安全保障という観点から、いかにこの国にあるものを使って、そして日本国民がそれで生活をしていけるか、その環境をつくることが非常に大事です。

 最近でいけば、グリーンエコノミーという言葉からブルーエコノミーだ、世界中には、海の方が広いんだと。そして、日本もむしろ、海の排他的経済圏、EEZでいけば世界で六位、七位。もうちょっと上だという見方もありますけれども。その観点からしますと、洋上の風力発電、先ほどの安藤委員の質疑の中にも出てきましたが、私は、大変夢がある、これから日本が再生していく大きな鍵だというふうに思っています。その観点から質問したいと思います。

 まずは、浮体式の風力、これが一番これから臨んでいかなくてはいけないことですけれども、福島沖での事業は今度である程度めどというふうに伺っていますが、この福島沖での実証実験についての現状、今後、そして評価について伺います。

茂木政府参考人 御質問いただきました、福島沖での浮体式の洋上発電システムの実証研究事業のことでございます。この事業でございますが、浮体式の洋上風力発電の技術の確立、それから安全性、信頼性、経済性を明らかにすることを目的にしまして、複数機ですね、二メガ、五メガ、七メガとございましたが、複数機では世界初の本格的な実証研究として実施した事業でございます。

 この事業、今年度末までデータを取得しまして令和二年度で終了するという事業でございまして、今最終的にデータを取りまとめておりまして、事業全体の評価は来年度以降に行うことを想定しております。既に、浮体式特有の技術的課題に関しては多くの知見を獲得するなど、実証事業としては一定の成果を上げたというふうに承知しております。

 本事業で得られた知見を生かしまして、引き続き浮体式も含めた洋上風力発電の導入拡大に取り組んでまいりたいと考えています。

近藤(和)分科員 トータルを含めて六百億から七百億程度使ってきています。見方によっては、無駄だったのではないかというような見方がありますが、やはり、新しい産業を興していくときには投資というものが必要ですし、その投資の中にはうまくいかない部分も当然ありますし、先ほどの答弁の中では、実証の中でいろいろなデータを得ることができた、そして今後につなげていくことができるんだということを伺いました。何とか次へつなげていく努力をしていただけたらと思います。

 それでは、五島市の事業については、これは環境省が進めておられていますが、現状、そして今後について教えてください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、平成二十二年から二十七年にかけまして、当時、我が国初となる浮体式の洋上風力発電設備、現在二メガワット級でございますが、こちらを実海域に設置することを目的といたしまして実証事業を実施してございます。

 まず、本実証事業につきましては、第一段階として百キロワットの小規模試験機を建造いたしまして、その成果を今度は二メガワット級の実証機に反映させる、二段階の実証を行いました。

 結果といたしまして、コンクリートを使用してコストを抑えた、浮きのようなハイブリッドスパー型の浮体の開発ができたということでございます。そして、昨年非常に大きな台風がここを通りましたが、風速五十五メートル毎秒の台風にも耐えられるような浮体式の洋上風力発電設備が建てられたということが確認できました。

 さらに、追加いたしますと、本風力発電設備の周りに海藻がたくさん付着いたしまして、ある種の魚礁のような効果が見られた。浮体に魚が集まるということで地元の漁協にもかなり喜ばれているというような、副次的な効果も確認ができてございます。

 こういったもろもろの成果がございましたので、本発電設備につきましては、五島市の希望があったことから、実証事業終了後に五島市に無償で譲渡いたしまして、現在も継続して活用されているという状況にございます。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。少なくともすぐ近くの魚たちにとっては悪影響は及んでいるわけではないということも、これは副次的な結果だったのかなと思いますが、それは少し安心をしているところでございます。

 今後ということでいけば、漁業の手法によっては少しおかしな、不都合な部分も出てくるかもしれませんが、何とかこれからそういった不安点を解消していけるように、環境省さん、そして経産省さん、共に力を合わせて頑張っていただきたいと思います。

 そして、菅政権になりまして、二〇五〇年カーボンニュートラルということを掲げられました。私も、よくやるな、すごいなと思いました。

 振り返れば、鳩山政権になったときに、二五%削減と言ったことでかなりいろいろなところからたたかれて、かわいそうになというふうにはそのとき思ったんですが、今回も、いろいろな業界からのお話はございましたが、世界的な流れを受けて、こういった方向に進んでいこうという動きが生まれてきたのはよかったのかなと思っています。そして、アメリカもバイデン大統領に替わってパリ協定に入るということで、今後その動きは加速していくのかなというふうに思います。

 菅政権が掲げたカーボンニュートラルについて、そして再エネ海域利用法の位置づけ、現状の進捗について伺います。

梶山国務大臣 再エネにつきましては、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて最大限導入をしていくということが基本方針であります。

 こうした中、今後、最も導入の拡大が期待されるのは洋上風力であります。欧州を中心に世界で導入が拡大してきているということでありまして、四方を海に囲まれた日本でも大量導入が期待されております。

 先行する欧州では、風車の大型化等を通じて落札額が十円・パー・キロワットアワーを切る事例も出るなど、コスト低減の余地がかなりあるということであります。日本の場合は今二十九円から始まりますけれども、規模の拡大また需要の拡大によってそういったコスト削減ができる可能性があるということで、これらも追求をしていくことであります。

 また、関連産業の裾野が広く、部品点数が約三万点に及ぶものもあるなど、経済波及効果、裾野の産業の経済効果もかなりあると思っております。

 こういう三点から、二〇五〇年カーボンニュートラル実現のための鍵となるものと考えております。

 菅政権、十月二十六日に所信表明で総理が、カーボンニュートラルを二〇五〇年に実現しますという宣言をいたしました。でも、その前から、この洋上風力に関しましては官民協議会というのを七月に開催をしておりましたし、また、非効率石炭火発のフェードアウトというのも七月にもう宣言をしておりました。そういった中で本当にできるのかどうなのかということもずっと模索をしてきたわけでありますけれども、世界の趨勢、さらにまた環境政策がイコール産業競争力また産業政策にもつながるということでの決断であったと思っております。

 先ほど申しました官民協議会、十二月にも開きまして、洋上風力産業ビジョンやグリーン成長戦略の実行計画に基づいて、投資判断に必要な導入目標の提示、強靱なサプライチェーンの形成に向けた予算、税等の支援、必要な規制見直しや技術開発等を進め、洋上風力の導入拡大と競争力強化の好循環を形成をしていくということにしております。

 需要がなければやはり企業は寄ってきません。日本の需要は、二〇三〇年に一千万キロワット、二〇四〇年に三千から四千万キロワットという形でこちらから提示をしております。そういった中で、海外の企業また国内の企業と連携をしながら、それぞれの案件にコンソーシアム、企業群ができてきているというのが現状であります。

 あと、再エネ海域利用法の施行の状況ということであります。

 日本における洋上風力発電の導入については、従来、海洋の長期にわたる占用を可能とする統一的なルールが存在しておりませんでした。漁業等の先行利用者との調整の枠組みが不明確などの課題がありました。これらを克服するために、再エネ海域利用法を二〇一九年四月に施行し、促進区域の指定、海域の長期占用を可能とする仕組みを整備いたしました。

 まず、秋田、千葉、長崎の計四区域において、各区域の利害関係者から構成される協議会を通じて地域の御理解が得られたことから、二〇二〇年七月までにそれぞれを促進区域として指定をしました。現在、いずれも公募による発電事業者の選定プロセスに進んでおります。

 また、その他の地域においても、青森、秋田、長崎の計四区域を新たに有望な区域として位置づけて、協議会の設置等に着手をしているところであります。

 このほかにも、都道府県から候補区域として情報提供された区域から、一定の準備段階に進んでいる他の区域として六区域を位置づけているところであります。

 以上であります。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 全国で今、四つの促進区域、四つの有望な区域、六つの準備段階に入っている、全部で十四ということを伺いましたが、ほかのところも、地域が手を挙げれば、今後も対象に入れていただく可能性もあるということでよろしいでしょうか。

梶山国務大臣 年に一度、都道府県からの新たな候補区域の情報提供を受け付けております。そういって手を挙げていただければ、その可能性はあるということであります。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 先ほど大臣から、この部品については三万点、洋上風力には必要だと。ちなみに、私の地域でも、自動車の部品を作っている会社が、今後電気自動車になったら、今自動車は十万点ぐらいですかね、それが一万前後になって、仕事がなくなるからどうしようといった声も上がっています。

 やはり、そういった観点からもこの洋上の風力というのは大変頼もしい存在だというふうにも思いますし、また、大臣の御答弁の中で、三千万から四千五百万キロワット、二〇三〇年を目指すということも、先日、ある文書や動画を見ていましたら、大臣が下限の数字を言われていたので、下限の方だと弱いなというふうに思ったんですね。やはり上限の目標を言っていただかないと盛り上がっていかないと思いましたので、三千万から四千五百万という数字をいただきまして、本当にありがとうございます。

 もう一つだけ、済みません、今ちょっと気になったのが、火力発電について、非効率な火力発電という表現がちょっと私はひっかかりまして。

 私の地域に火力発電所があるんです、原子力発電所もあります。火力発電所が何とか精いっぱい頑張って動いていただいて。それで、七尾港というところがあるんですが、その大部分が石炭なんですよね。火力がCO2ということでいけば悪者視される可能性がありますけれども、でも今、地域にとって大事な存在であるということも是非とも心にとどめておいていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、今日は国交省さんにも来ていただいていますが、ここ一か月、二か月の間に、石川県の能登半島の海岸線、千里浜というところがございまして、自動車でもバイクでも砂浜を走れる海岸線がございます。その海岸線の砂が、一部地域ですけれども、ごっそりなくなっていたということが判明をいたしました。

 今、コロナの状況の中で、海の家、民宿なども大変苦しいです。もしこのまま夏が来て、そしてコロナがあわよくば収束してくれていても、こういう状況だと大変心配です。今、国交省においてどのように認識をしているか、そして、今後の対応も含めて、県や市町と協力体制を取っているのかを教えてください。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 千里浜なぎさドライブウェイについては、海岸管理者である石川県から、例年に比べて強い暴風や高波が発生したことから、宝達志水町柳瀬地区に、周辺の海岸が約六百メートルの区間にわたり侵食を受けたと聞いております。侵食を受けた区間においては、現在はまだ波の高い状況が続いていることから、天候が落ち着く三月上旬以降に養浜を行いまして、遅くとも四月中旬までになぎさドライブウェイの開通を目指すと聞いております。

 千里浜海岸については、石川県によって専門家や地元関係者とともに侵食対策等の検討を行います千里浜再生プロジェクト委員会が設置されまして、平成二十三年から継続的に議論が行われてきております。

 国交省としましては、この委員会の議論に引き続き参画いたしまして、県、地元市町、関係者の声をしっかりと聞きながら、侵食対策への技術的助言や財政的支援に努めてまいります。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。今後とも、県や市町の声を柔軟に受け止めて、頑張っていただきたいと思います。

 日本海側と太平洋側で、日の出は太平洋側ですね、そして日の入りは日本海側で、サンライズ・サンセットツアーという企画も数年も続いています。是非とも関東側の人、太平洋側の方もこういうツアーを通じて、コロナが収束すればということでございますけれども、この千里浜に来ていただければというふうに思いますし、自然に親しむということは子供たちの教育にも非常にいいということでございますので、今後、どうか御配慮をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 ラブホテルについての持続化給付金や政府系金融機関からの融資、GoToトラベルの対象から外れていて、どういうことなんだという嘆きの声を私もたくさんいただいています。

 その中で、昨年の五月二十二日の本多委員の質疑の中で梶山大臣に、検討の俎上に上っているといった答弁をいただきました。以後どうなったのか、教えてください。

梶山国務大臣 以後、様々な機会を通じて私の口から結論は申し上げていると思いますけれども。

 風営法上の届出が必要となる性風俗関連特殊営業等を行う事業者を持続化給付金の支給対象とすべきか、本多議員との質疑の後、政府・与党内で検討を深めました。

 その結果、与党において、コロナ禍の影響を受けている事業者という点では他の事業者と同じであることから給付の対象とすべきとの意見がある一方で、給付することに慎重な御意見があったこと、災害時の各種支援も含めて、これまで一貫して公的金融支援や国の補助制度の対象とされてこなかったことを踏まえて、対象から除外するという判断に至ったということであります。

近藤(和)分科員 残念なことは、与党の中で結果として賛成意見もあったけれども反対意見もあったということです。

 私は野党の立場でございますが、こういう前例にない感染症対策です。私たちは法律を作る立場、そして政府はその法律にのっとって運営する立場だと思いますが、前例を乗り越えていくためには、やはり私は与党も野党も関係ないと。是非とも、与党の中での話合いを考慮するのであれば、野党の中での話合いも本当は考慮していただきたかったなと思います。これはもう既に半年以上前の話でございますが、私は今後についての話を今日は進めていきたいと思います。

 それでは、中小企業庁、国交省、それぞれ来ていただいていますが、ラブホテルが対象外ですね、その理由について簡潔に、済みません、お願いいたします。

飯田政府参考人 まず、私の方から金融について御説明いたします。

 ラブホテルを含めまして、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業につきましては、社会通念上、公的資金による支援対象とすることに国民の理解が得られにくいといった考え方の下で、これまで一貫して公的金融支援や国の補助制度の対象外となっているというふうに承知しております。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 GoToトラベル事業につきましては、地域経済を支えている観光需要の回復のための需要喚起策でありまして、新たな旅のスタイルの普及、定着を目指しての国としての支援事業として位置づけております。

 このような事業の目的に鑑みまして、本事業では、観光を主な目的としているとは言えない旅行商品や施設等につきましては支援の対象外としております。この観点から、御指摘のいわゆるラブホテルといった通称のいかんを問わず、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律におきまして、専ら異性を同伴する客の宿泊の用に供する施設と位置づけられている宿泊施設の利用につきましては、本事業の支援の対象とすることは適切でないと判断しております。

近藤(和)分科員 社会通念上、公費を入れるのが適切かどうかといったところが共通するところなのかなというふうに思いますが。

 あくまでも菅政権は前例打破ということを言っていただいています。私は、こういう苦しいときは、正直、人としての感情として、かわいそうという感情は持っていいと思います。それで法律を運用していくということは、是非とも柔軟にしていただきたいなと。前例打破ということも是非とも検討していただきたいと思いますが。

 その中で、雇用調整助成金においては初めは対象外だったのが、今は対象となっております。厚生労働省にこの経緯について伺いたいと思います。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 雇用調整助成金につきましては、失業の予防また雇用の安定等を図るため、一定の要件を満たした事業主等に対して必要な助成を行うものでございます。

 こうした趣旨に照らしまして、雇用の安定等の実現を図ることを目的とした支援を行うことが適切か否かという観点から、風営法で規制を受けている事業所のうち、ラブホテル等の性風俗関連特殊営業を行う事業主を助成の対象外としておりました。

 しかし、御存じのように、一方、昨年の四月から、緊急事態宣言によりまして、社会全体で営業自粛等を強く求めて御協力をいただいている。そして、雇用調整助成金につきまして、幅広く労働者の雇用及び生活を守っていくために、性風俗関連特殊営業を行う事業主についてもその一環として助成対象とさせていただいたということでございます。

近藤(和)分科員 柔軟な対応をありがとうございます。この性風俗関連特殊営業、社長もいれば、従業員もいれば、関連する例えばシーツだとかクリーニングなども含めて、清掃も含めて、いろいろな方がいらっしゃるわけです。命を守るという観点で、是非とも他省庁の事業も検討していただければ。

 先ほどGoToトラベルの中でも、ほかのところに入れなくてラブホテルに入るという方もいらっしゃるわけですから、柔軟に対処していただければと思いますし、一つの町の中でその建物が廃墟になってしまえば、やはりその地域の魅力というものは減じてしまいます。そういったことがないように、今後、動いていただきたいと思います。

 そして、今、地方で起きていることなんですけれども、大臣が、持続化給付金の中で例えば私たちが五〇%未満のところを何とかしてくださいですとか、例えば農村の直売所を何とかしてくださいといった質問のときには、地方創生臨時交付金で何とかしてくださいという答弁が何度もされておられました。

 ただし、これは、地方の立場からしてみると、持続化給付金も対象外だし、GoToトラベルでも対象外だし、国がオーケーと出していないものを自分たち独自で、枠を飛び出すのはちょっと厳しいよという、地方自治体の思いというのも私は分からないでもありません。

 その中で、この地方創生臨時交付金について内閣府に確認いたします。地方創生臨時交付金において対象外となっているものはどういったものがあるのか、教えてください。

長谷川(周)政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生臨時交付金につきましては、経済対策に対応した事業を対象といたしておりまして、地域の実情に応じて、各地方自治体において自由度高く活用いただけるというものでございます。

 今委員御指摘の、どういったものを対象外にしているかということですけれども、経済対策に対応していない事業ということになります。それ以外に個別に、例えば、自治体の常勤職員の人件費には充てないでいただきたいでありますとか、あるいは貸付金でございますとか用地費とか、そういった、限定的に対象外経費を定めております。

 それ以外のものについては、経済対策に対応しているということであれば自由度高くお使いいただけるという形で運用させていただいております。

近藤(和)分科員 確認になりますけれども、ラブホテルへの支援を否定するものではないということでよろしいですよね。

長谷川(周)政府参考人 事業者支援、これは数多くの自治体が取り組まれておりますが、その際に、対象事業者など具体的な支援内容については個々の自治体の判断に委ねられているというふうに考えております。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 まずは、梶山大臣が言われましたように、この地方創生臨時交付金、地域で柔軟にしていくということも動いていただきたいと思いますし、元々の、それぞれの経産省の持続化給付金の事業、もう時間が来ましたけれども、またGoToトラベルや金融の貸出しについても、何とか前例打破ということで動いていただきたいと思います。新しい、形の変わる給付金、ほぼ持続化給付金のバージョンツーのようなものが今度できますので、そこで何とか柔軟な対応をしていただけたらと思います。

 私が胸につけていますこのエアリーフローラなんですが、花言葉は希望でございます。多くの皆様に希望を持っていただいて、前向きに生きていただきたいと思いますので、私たちもしっかりと協力をしてまいりたいと思います。どうか前向きな変化をお願いをしたいと思います。

 今日はありがとうございました。

山際主査 これにて近藤和也君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山際主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部分科員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、梶山大臣、昨日来の質疑、そして今朝も、午前中も大変お疲れさまです。

 私は今日、主に三問、お尋ねさせていただきたいと思います。

 まず一問目ですが、二月十三日の地震による東京電力福一の原子力発電所に対する影響ということですが、それに先立ちまして実は一月の二十七日の日に、東京電力の福島第一原子力発電所事故の調査と分析に係る中間取りまとめというものを原子力規制庁から発出をしておられます。先回、二月十日の予算委員会でも梶山大臣に申し上げましたが、ここで分かったことは、二号炉、三号炉の天井部分に四十ペタ、三十ペタと大変高い放射線のデブリに相当するものが貼り付いているのではないかと、極めて驚くべき事態が十年たって指摘をされておりまして。

 私がそれに対して大臣に、これじゃちょっと、ロードマップを見直さないと、デブリと一緒くらい、普通デブリは下にあると思うんですが、それが上にも散っていたのでは何をするにも大変ではないか、工程を見直されたらどうですかとお尋ねしたら、大臣は、工程表の見直しというところではなく、いろいろ、ロードマップの見直しよりも、新たな知見を踏まえて作業を柔軟に見直していくというお答えでありました。

 でも、私はどうしてもそのお答えに納得できないなと思っていたところ、この二月十三日の地震がございまして、ここで非常に重要なことが二つ浮かび上がっていると思います。

 一つは、地震計に関することです。福島第一原発事故を引き起こした地震というのは巨大地震でありまして、その後も十年、二十年、もしかして余震というものが続くのではないか。ところが、福一に置かれた地震計というものは壊れていても取り替えられることもなく、それにも気づかれず、すなわち、今回の地震がどのような揺れであったか、これを分析することもできない状況であるということが判明いたしました。

 なぜ判明したかというと、これも、二月二十二日に原子力規制庁と東電がお話しになって、原子力規制庁は昨年の三月、やはり地震で、はりの部分が少しゆがんだかのときに地震計をつけた方がいいのではないかとおっしゃったようで、当然東電はつけたのですけれども、それが故障をいたしまして、半年以上放置されたところに今回のまた地震が来たということであります。

 そういたしますと、大臣、やはり私は地震に対しても気が緩んでいるのかと。地震計をつけていても、壊れていては何もモニターもできません。これで果たして、廃炉工程をしっかりと新たな知見を踏まえて見直すといったって、とても、元データもないじゃないかと思いますが、まず、こうした現実について経済産業省としてはどう考えておられるのか。一点目、お願いします。

梶山国務大臣 御指摘の地震計、昨年三月に東電と規制委員会で話し合った上で設置をしたものであります。計測、報告を義務づけられたものではありませんけれども、やはり、事故で破損した、また、そういう事故後の地震に対する状況を見るためには必要なものだと思っております。原子炉建屋への地震の影響を丁寧に把握することは大変重要なことだという認識を持っております。早急に復旧すべきであったと考えておりまして、今回の東京電力の対応は誠に遺憾であります。

 東京電力に対しては、地震計を早急に復旧するとともに正確かつ迅速で丁寧な情報提供に取り組むよう、改めて指示をしました。これを踏まえて、昨日二月二十五日、東京電力から三月中に地震計を復旧することが示されたと聞いております。

 今後、廃炉を進めていくに当たりまして、地元の皆様に安心をしていただき、また信頼していただくことが何よりも大切と考えておりまして、そのためには、今回の地震の対応も含め、住民の皆様が知りたいと考える情報を正確かつ迅速に、しかも丁寧に分かりやすく伝えることが不可欠であると思っております。

 今回の件のように課題が生じた場合には、しっかりと反省し、改善を積み上げていくことが大切であります。今後とも、東京電力が福島の復興に不可欠な廃炉を着実に実施していけるよう、経済産業省としてしっかりと指導してまいりたいと思いますし、今回の一連の地震に関することでも、情報提供も含めて私もかなり細かいところまで指示を出しておりまして、やはり分かりにくい表現もありますし、そういったものを一般の方々というよりも地元の方々に分かりやすく説明する必要があると思っております。

阿部分科員 私も、東京電力も一生懸命やっておられるので足らざるところばかりを指摘したくはないのですけれども、地震というのは大変初歩的な、そして、あの地震で、その後の津波で今回の事態になっているので、いかに何でも緩んでいるのではないかなと。災害は忘れた頃にやってくると申しますから、ここはきっちりやっていただきたいのですが。

 今の大臣の御答弁ですが、それに加えて、現場サイドとして対策について何か追加でおっしゃることがあればお願いいたします。今の大臣のお話で全部よろしいでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣から答弁させていただいたとおりでございますけれども、私ども事務方としましても、東京電力が地震計の復旧を迅速にできるように指導してまいりたいと考えております。

阿部分科員 私がなぜわざわざ今聞いたかというと、いわゆる汚染水を処理した処理水と言われるもののタンクの置場にも地震が及んで、これが二十基ほどずれたということであります。これについても、やはり、あれだけ巨大なものがずれるというほどの地震であるということは非常に重要だと思います。

 今の新川さんにお伺いいたしますが、一体地震計は、そこにもついていなかったですよね、どうでしょう。そして、今度どうしていくんですか。私は具体的なことを知りたいんです。設置しろと言ったって、故障してそのまま。タンクのところは多分ついていないと思いますが、揺れは観測されていたんでしょうか。お分かりでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所では、六号機に地震計がついておりますけれども、それ以外にも幾つかの場所に地震計がついておりまして、そちらでの観測はできているという状況であると思っておりますし、東京電力は昨日行われました会議におきまして、観測されましたガル数について公表しているところと承知をしております。

 ただ、御指摘のように、タンクが設置しているエリアそのものに設置されているわけではないというふうに承知をしております。

阿部分科員 元々このエリアは、これまでの考察によれば、滑るような場所ではないと思われていたようなんです。しかし、現実に地震で揺れて滑っている。だから、本当に丹念に見ていただいて。

 六号機だけにあればいいんじゃないんですよね。どういう場所が地盤が緩んでいるかとか、何が起こるかということを、これはあらかじめ、先ほど大臣の御答弁にあるような、しっかりとした新たな知見を踏まえて作業を柔軟に見直すのは、まさにその中身なんだと思います。そうでなければ周辺住民も安心できないし、規制庁からここのタンクの置場のことも指摘されておりますので、当局経済産業省にあってはよくよく、廃炉工程を預かるわけですから、こうしたこともしっかりとフォローしていただきたいと思います。大臣には御認識おありかと思うので、そのようにお伝えいたします。

 プラス、地震によって起きたと思われることで、もう一つ重大な事案がございます。実は、一号炉と三号炉の格納容器の水位が低下をしてまいりました。大臣も覚えておいでだと思いますが、水位の低下というのは、その上の部分が、まかり間違うと水素爆発に結びついたり、あるいは冷却ができなくなるという極めてクリティカルなものでございます。

 これは現場サイドに伺いますが、一体水位は今、一号炉、三号炉、底からどれくらいになっておりましょうか。そして、低下の原因は何と分析をされておられるでしょう。お願いします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、現時点で分かっております情報としましては、一号機につきましては、格納容器底部から千五百二十ミリから千二百二十ミリの間にあるというふうに理解をしております。また、三号機につきましては、格納容器底部から六千二十ミリから五千二百二十ミリの間にあるというふうに理解をしております。

 また、今回の水位低下でございますけれども、地震の発生によりまして格納容器の状況に何らか変化が生じて水位の低下に至ったというふうに理解しておりますが、今回、地震後に発生しました状況としましては、冷却水の注水機能に異常はなく、燃料デブリの冷却も継続でき、水素濃度にも異常はないため安全性には問題が生じていないこと、また、原子炉建屋からの放射線量の有意な変化がないなど外部への影響は生じていないことなどは確認できております。

 以上でございます。

阿部分科員 今おっしゃったのはあくまで結果であって、私は、どうして水位が下がっていくんですかと聞いているんですよ。

 だって、今までと何か違うことがなければ、同じだけ水を入れていて、水位は下がっていかないでしょう。観察した限り、こっち異常ない、あっち異常ないからいいんじゃなくて、どうしてそういうことになるのかというところをもう一段も二段も探求していかないと。事故というのはそうやって、この次来たときにはもしかして、東日本大震災の地震でできた亀裂、それから今回がまた地震で何かそこにひずみ、そして次はもっと大きな漏れになるかもしれない。

 対策はしているというお話でした。一号炉は百五十二センチですよね。ミリでいうと、千五百二十ミリというとボリュームがあるように思うけれども、百五十二センチといったら私の身長そこそこで、ここにデブリがあるわけですよ。これが下がっていけば、大臣、大変なことになると私は思うんです。その危機感をきちんと経済産業省も持っていただきたい。もちろん東電もそうですが。まず、原因についてもっと真摯に探求していただきたい。

 対策は、水は下がればつげばいいですよ。でも、下がった水はどこへ行っているのか。全部循環させているというお話でしたが、そうではないから下がるんですよ。かけた分、みんな循環してまた戻れば下がるわけがない。でも、水位は下がっていっているわけです。それから、水を増やすというのはいわゆる対症療法です。下がったから増やさなきゃいけないのは、これは冷やせなくなるから当然なんです。

 大臣、冒頭のところでお話をいただきましたが、地域住民にも丁寧にお話をしていくとおっしゃいましたが、現状、東電並びに経済産業省からこの事態についてどんな住民説明があるでしょうか。空間部分には今、窒素を入れて外気圧よりは高くして、いわゆる水素爆発にならないようにはしておられると思います。でも、これも薄氷だと思います。では、正しくどう情報を伝えて、地域住民とリスクコミュニケーションができているのか、この点についてお願いします。

梶山国務大臣 まず、地震発生後に第一報が私の方にも参りました。そして、外部への放射能の漏れはないということでありましたし、これから詳細なパトロールに入るということでしたので、パトロールするに当たって、分かったことはすぐに報告するようにということで今日に至っているということでありますけれども。

 十年前の事故の経験を踏まえれば、地震の発生後、時々刻々と状況が変化していく中で、地元を始めとする国民の皆様を不安にさせることのないように、対策に万全を期し、作業を安全に進めるとともに情報発信をしっかりと行っていくことが非常に重要なことであると思っております。

 これまで、今回の地震後の格納容器内の水位や圧力低下については、地元の自治体や報道機関を通じて、燃料デブリの冷却機能には影響はないこと、格納容器内の窒素濃度は維持されており、水素爆発の懸念はないこと、モニタリングポストなどの数値から、原子炉建屋からの放射線量の変化など外部への影響は確認されていないことなど、現時点では安全が確認されていることを伝えつつ、今後も水位や圧力の状況確認を継続するとともに、周辺地域の放射線量についても注視していくこともお伝えをしております。

 今先生がおっしゃったように、なぜ水位が下がっているのかということも含めて調査をする必要があると思いますし、私どももそういう注文を出しております。今の時点では、まずは安全対策ということで、今言ったようなことをお話をさせていただきました。

 私も毎日のように報告を受けておりまして、私自身が気になることは全て報告をするようにということで言っておりますが、分かりやすい言葉ということも必要なんですね。

 例えば、地震で使用済み燃料が置いてあるプールの水が溢水したという話も直後にありましたけれども、溢水した量がどのくらいなのか、それが線量がどのくらいなのか、そして溢水した場合には今度は、先ほど先生がおっしゃったように、燃料プールの冷却に支障はないのか、そういうことを説明しなくちゃいけないんですけれども、どこかやはり抜けていた部分もありますので、しっかりと指導をしてまいりたいと思っております。

阿部分科員 地域住民にとっては、えっ、地震計もないんだ、水は下がっているんだ、もしかしてあのときの水素爆発みたいなことがあるんじゃないかと。

 大臣も御覧になったと思いますが、今回、原子力規制庁の見直しの中で、三号炉の爆発の様子というのは、画像を鮮明化したものを見ると、屋根を吹き飛ばして物すごい勢いで飛んでおります。やはり住民は不安です。ですから、きちんと何をモニターして、そして原因はいついつをめどにもう少し伝えられるだろうとか、そういうことも併せていただかないと、日々そこで暮らしておられるわけですので。私は、この間の対応は極めて不満であります。

 あわせて、大臣にもう一つ。

 蓋には燃料デブリ、水位は下がっていく。さて、燃料デブリを取り出すのがそんなに簡単なことだろうか。私は、それゆえに工程表を見直した方がいいと。

 大臣はこの前、横から取り出すとおっしゃいました。それも一法ですけれども、本当に上は下と同じように高い。下の水は、原因は分からないけれども抜けていくかもしれないという中ですので、私は、無理をするよりは、きちんと原因を究明して、工程表の見直しもあり得るんだというスタンスの方がリアルだと思うんですよ。

 工程は三十年から四十年で、見直さないというとどんどんそれは、あっ、違ったじゃないか、また遅れたじゃないかと残念ながら思ってしまいます。これは本当に難問なんです、事故を起こしてしまった原子炉の処理というものは。

 大臣にはうなずいていただきましたので、私の提案は、見直さないんだというんじゃなくて、しっかりとリアルに、リアリティーを持って対応していただきたい。いかがでしょう。

梶山国務大臣 先般の予算委員会で、私が言葉足らずだったのかもしれませんけれども、中長期ロードマップは、日々得られる情報に基づいて個々の工程を柔軟に調整することを前提としているということでありまして、今すぐ見直す見直さないということではなくて、作業を柔軟に見直しながら工程を進めていくことが重要ということで、今の時点ではなかなかやはり見直すことも難しいかと思いますので、作業をどうするかということも含めて検討しながら、そういったこともあり得るということで思っております。

阿部分科員 更田さんの御指摘は、これはかなり難しくなったんじゃないのという、もちろん印象でいらっしゃいます。国民もそう思います。だからしっかりと、三十年、四十年というのは望ましいかもしれないけれども。おまけに、その三十年、四十年と併せて、処理した汚染水も海洋放出だとか言い出されると、そもそも最初の見通しだってちょっと違うんじゃないというお話になっているので、何回も何回もお尋ねをいたします。

 次に、その汚染水、処理水という言い方をされておりますが、七割はある意味で二次処理を必要とするような水でございますが、最近、福島の沖で、クロソイという魚が五百ベクレルほどの高濃度のセシウムを持っているということが分かりました。これについて、水産庁の方はどのように分析をされておられますでしょう。

山口政府参考人 お答えいたします。

 福島県新地町沖で二月二十二日に水揚げされましたクロソイ一検体から、一キログラム当たり五百ベクレルの放射性セシウムが検出されたとの報告を福島県漁連から受けたところでございます。

 福島県漁連は、当日のうちに、水揚げされたクロソイを全て回収、廃棄し、市場には出回らないようにするとともに、当面の間、クロソイの水揚げを自粛することを決定したと承知しております。

 福島県沖の水産物につきましては、二〇一五年度以降、福島県により約四万回の放射性物質検査が行われ、そのうち基準値を超えたのは二〇一九年一月の一件のみでございました。

 原発事故以来、復興に向け懸命に取り組んでいらっしゃる福島の漁業関係者の皆様には御労苦と御心配をおかけしているところでございまして、今回新たに基準値を超える事例が出てきてしまったことは非常に残念だと思っているところでございます。

 水産庁といたしましては、引き続き、福島県の水産物の検査の状況を注視するとともに、検査への支援を行ってまいりたいと考えております。

阿部分科員 今御答弁のように、二〇二一年になって、事故から十年近くたって、高い放射線を含んだ魚が見つかってくるわけですね。

 私は、やはり、海洋というものの持つ様々なまだ知られざる特性、魚は回遊もいたします、あるいは、海面以上に海の底がどのようになっているのかも分からないものです。ですからこそ、トリチウムの海洋放出ということはいかに漁民の皆さんには不安が強いことかと。私は、今の御答弁のように、漁民の皆さんはよくやっておられます。本当に、あそこがいい漁場であることを願って、あの努力というのは涙が出るほどであります。だからこそ、その生業が奪われるようなことはあってはならない。

 大臣に今日は提案がありますが、トリチウムも水とほぼ変わらないものであるから分離もできないし取れないんだというのが、簡単に言うとこれまでの経産省のスタンスでした。でも、最近、近畿大学の方から、このトリチウムも、アルミの粒子の凹凸を利用して吸着すると大量のものも処理し得るという報告があって、それを一定の規模でやるところまで来ております。

 もう少し経産省はこのことにも前向きに、私はこれは何年も取り上げておりますが、ほとんど、平成二十六年あたりでやったトリチウムの分離の話が、これは高濃度のトリチウムを取り出すというところですが、そうではなくて、量が多くて、それを一定のレベルまで下げていくためのトリチウム処理というふうに考えていただいて、経産省は積極的にヒアリングしていただきたいが、いかがでしょう。

梶山国務大臣 近畿大学の研究技術については、私どもも承知をしております。多分、立憲民主党さん、御党でもこの話を聞かれたということだと思いますけれども。

 一定の性能というのは私どもも認めるところでありますけれども、まだ実験室レベルでの研究を行っているということと承知しております。早く実用化のレベルになればいいという思いもございますし、しっかりと見守ってまいりたいと思います。

阿部分科員 実験室レベルから実用化レベルに向けてスタートが切られるというふうに私は聞いておりますので、その辺り、また詳しく経産省の方でもお聞き取りをお願いをしたいと思います。

 次に、同じく地震のテーマでお願いがございます。

 二月十三日のあの地震、深夜に発生した地震でありまして、いわゆるバランス停電といって、ブラックアウトしないために一部で停電を積極的に先んじて行うということがありました。

 この停電で、実は私は神奈川の選挙区ですが、茅ケ崎で一軒、酸素をお使いの御家庭が急に停電しまして、電気がない、どうしてだ、急にうちが停電する。東電に問い合わせたところ、そういう仕組みになっておる、あなたのところはこういう場合には停電するようになっているんだと言われて、それなら最初から言ってくれないと、いろいろなことを準備しておかないとと。呼吸器を使っている、酸素を使う、いろいろな御家庭がありますから。

 私はこれは、例えば洪水だって放水の前には周知徹底がされるのに、どうしてこういうことが、ライフラインに関わる大事なことがそのまま、御本人にも自治体にも伝えられず起きたのか。自治体ではそういう災害弱者を把握して、電気が来ないというのも大災害ですから、病院ではほかに、自分たちで動かしますけれども、在宅ではかないません。今、在宅が多いです。

 こういうことも経産省としてしっかりと視野に置いて、東京パワーグリッドかもしれません、送配電事業者と入念に打ち合わせて、そうした安全管理、危機管理、ライフラインとは御家庭にもあるんだということをしっかりと共通認識として御指導いただきたいが、どうでしょう。

梶山国務大臣 周知できる時間がある場合と、ない場合とあると思っております。地震があって自動的に発電をしている施設が止まるということで、供給量に合わせてどこが停電になるかということを瞬時に判断をしていくということになると思いますけれども。

 委員がおっしゃるように、ライフラインということで電気をお使いの方も当然おいでになりますし、そういったことが、ただ、想定できないんですね、どこが止まるかというのは。その辺のところを、復旧の見通しについてはできるだけ早くお知らせをするということになるかと思いますけれども。今回の場合、六つの発電所で止まった。それも一斉ではなくて順次止まったのかもしれませんけれども、供給量と合わせるために、大停電を防ぐための停電であったということは、まず一つ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、そういう、御利用されている方もおいでになるということで、そのときの対応ということも含めてしっかり考えていかなければならないということですし、非常用電源、また発電機等をどうするかということも含めて、自治体、そして電気の供給に責任を持っている者、また当事者ということで話合いができるようなことも考えていかなければならないと思っております。

阿部分科員 是非よろしくお願いいたします。不安も強いし、命が懸かりますので。

 最後の御質問ですが、昨日、電力・ガス取引委員会が会合を開かれたと思います。これは大臣の直轄で、大臣が直接設置をされているものと思いますが、テーマは、この冬の電力の価格の高騰。これは、一か月にわたって、十二月二十六日から一月二十七日まで大変高いスポット価格になってしまって、この件で大臣にも質疑をいたしましたが、現状で、大臣の御認識、この電力・ガス取引委員会での取りまとめ、また、対策もありますので、いつまでに御結論をいただけるか。なぜ起こったか、どうするのかなど、最後にお願いいたします。

梶山国務大臣 先般、電力の需給の逼迫がまずは起こりました。そういった中で、需要が供給を上回るという中で、ああいう市場の高騰というものも起こったものだと思っております。

 この委員会、また予算委員会でいろいろな方から質問を受けておりますし、昨日のこの委員会においてもその議論がありました。場合によっては、出し惜しみがあるんじゃないか、売り札が出ていないんだということで、大手の送電側に出し惜しみがあるんじゃないかというような話もありますし、そういったことも全て検証せよということで、今、指示を出しているところであります。その上で市場の欠陥があれば、そこは市場も直していくということになろうかと思いますけれども、まずは、どういうことで起こったんだと。

 まずは、寒さであるとか、燃料不足であるとか、需要が急に増えたということもありますけれども、そのほかに、見えないところでどういう要因があったのか、そして市場の数値を動かす要因がほかにもあったのかどうかということも今ヒアリングも含めて検証しておりますが、できるだけ早く、昨日始まって、昨日はかなりの時間ヒアリングをしたと聞いておりますので、報告を受けてまた皆さんに御報告をさせていただきたい、発表したいと思っております。

阿部分科員 再発があっては困ることですし、是非、再エネの拡大のためにも大臣がしっかりとした総括をして、次に進んでいただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

山際主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 梶山大臣、本日はよろしくお願いいたします。

 大変重い課題ではありますが、今日は、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題に絞って質問をいたします。

 実は私、先週、北海道の寿都町に行ってまいりました。片岡町長ともお目にかかることができました。風力発電が黒字転化する見通しが出たことや、ふるさと納税が大変人気で、中には、いろいろあるんですけれども、納税に協力するから文献調査はやめてというお手紙がついてくるということもあるそうです。財政力の小さな町が、二年間で最大二十億円という交付金、これが欲しくて手を挙げたというイメージだけが報道では走っておりますが、そう単純な構図ではないと思います。

 町のために町長が様々なことを考えていらっしゃるとは思いました。ただ、この問題が持ち上がったことで町民が分断され、例えば町漁協の役員全員が辞任する、こういう事態も起こっているんです。町長が思いがあるなら、町民と話し合って一緒に決めていくべきではないかと私申し上げました。それと、我が青森県は最終処分地にはしないという覚書を国と交わしているわけではありますけれども、だからといって、私は、手を挙げる町があってよかった、そういう気持ちにはならないということを申し上げました。一つの町で抱えられる問題ではないと思うからです。

 それで、資料の一枚目にまず処分地選定までのプロセスを示しておりますけれども、文献調査が二年程度、概要調査四年程度、精密調査十四年程度、二十年間は少なくともかかる想定になっております。

 昨年十一月に北海道寿都町と神恵内村で文献調査が始まりました。寿都町は町長が文献調査に応募という形、また一方の神恵内村では、村議会で誘致請願が採択され、国から申入れをして、村長が受諾という形になっています。

 法律を見ても、自治体が応募するというプロセスなどは記載がありません。道としては賛成ではないと承知しています。なぜ町長単独の判断で調査が開始できるのでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電を進める上で、最終処分の確保というのは大変重要な課題だと認識してございます。

 現在、最終処分場の選定プロセスは、二〇〇〇年に定められました最終処分法に基づきまして、文献や資料を基に地域の地質データを調査分析する文献調査、その上で、ボーリング調査等を行う概要調査、そして、地下施設での調査、試験等を行う精密調査と、地域の御理解を得ながら、段階的な形で調査ステップを踏みつつ取り組んでいくものだとしてございます。

 この選定プロセスの中で、今御指摘ございました文献調査というのは、この中の最初の段階の調査でございます。概要調査地区を選定する前にあらかじめ行うものとして規定しているところでございまして、その後のボーリングなどの現地調査を含む概要調査に進むかどうかについて地域に御判断いただくため、地質データなどを調査分析して情報提供を行う、事前調査的な位置づけでございます。こうしたことから、先ほども御指摘ございましたけれども、市町村からNUMOへの応募、若しくは国からの申入れを市町村が受諾の、二通りの手続で開始するという手続としているところでございます。

 なお、文献調査の後、次の概要調査に進もうとする場合には、最終処分法に定める手続に従いまして、知事と市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重することとしており、この意見に反して先に進むことはないというふうに承知しております。

高橋(千)分科員 今の御趣旨は、あらかじめ、調査を広くやるために、一々町の議会が了解したとかそういうことは必要ないんだ、後で次に進むときにきちんと了解を取るからいいんだ、そういう趣旨でしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたこの手続につきましては、市町村からNUMOへの応募、国からの申入れを市町村が受諾ということで、市町村、当該自治体の方で御判断されることになるかと認識してございます。

 今回の寿都町、神恵内村、それぞれの御判断の中では、当然のことながら、この地域の方々との対話、意見交換、御説明会を通じてなされてきたものだと考えており、様々な議論もお聞きになりながら、それぞれの首長の判断の下、応募若しくは受諾がなされたというふうに認識してございます。

高橋(千)分科員 極めて私はこれは乱暴なやり方だと思うんですね。次のプロセスでちゃんと聞くからという趣旨かもしれませんが、この後応募して、二十億円の交付金が出るわけですよね。その道筋において、やはり少しずつ抜き差しならない関係になっていくわけですよ。一つ一つ、文献調査をやるかどうかも含めて、ちゃんと自治体で議論する。これは寿都町のことだけ言っているんじゃないんです。一般論として、やはりそれはそうすべきだと厳しく言っておきたいと思います。

 だって、今、自治体の説明会、住民説明会以外の自治体の説明会については、どこでやったかという自治体名を公表していませんよね。そういうやり方の中で、長が決めたらもう文献調査に入るんですというのは、これはもう住民置き去りです。出だしからして間違っている、こう言わなきゃいけません。

 大臣に伺います。住民説明会のパンフレットには、今少し説明がありましたように、次の調査に行くときには市町村長及び都道府県知事の御意見を聞き、これを十分尊重することとしており、当該都道府県知事又は市町村長の意見に反して先へ進みませんとあります。この意味を確認したいんですね。

 といいますのは、資料の二に最終処分法をつけておきましたが、アンダーラインを引いていますが、「十分に尊重」としかないんですよ。尊重したらいいんですかという話。どちらかが反対したら先へ進まないとは読めないんですよ、法律だけでは。これはどうですか。

梶山国務大臣 最終処分場の選定プロセスは、長い年月をかけて、地域の理解を得ながら、丁寧に調査のステップを踏みつつ取り組んでいくものだと思っております。

 最初の調査であります文献調査とは、処分事業に関心を示していただいた市町村に地質データなどを調査分析して情報提供することを通じ、市町村で議論を深めていただくための、いわば対話活動の一環でもあります。また、調査期間中は放射性廃棄物を持ち込むことは一切ございません。

 文献調査の後、次の概要調査に進もうとする場合に関してですけれども、最終処分法上、知事と市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重することが規定をされております。

 御指摘の、その意見に反して先に進むことがないとは、都道府県知事又は当該市町村長から概要調査地区の選定につき反対の意見が示された状況においては、これらの反対意見を十分に尊重し、概要調査地区の選定は行わないことを意味するわけであります。

 これは、最終処分法の法案審議以降、国会や質問主意書等において繰り返しお示ししてきているところでありますが、今回も、北海道、そして神恵内、寿都、それぞれに文書で示してくれということを言われましたので、明快に、反対があれば次に進むことはないということを、私名の、私の名前で文書で出しております。

高橋(千)分科員 そこは確認いたしました。できれば法律に書くか、解釈通知をきちっと出すべきだと、このことは指摘をしていきたいと思います。つまり、ほかの町も同じことがこれから起こってくる可能性があるわけですから、指摘をします。

 二〇一三年の十二月十七日、最終処分関係閣僚会議において、実施主体による公募方式、これまでは手を挙げてくださいと言っていたんですが、それを見直して、国がより適性が高いと考えられる地域を科学的有望地として重点的な理解活動を行っていくという方針を決定しました。

 このときは、前の月に報道がすごく走りまして、国が最終処分場に適した地域を百か所以上示し、候補地選びを加速させる、こうあったわけですね。ただし、それがずっと時間がたったのは、もう御存じのように、約四年後、資料の三にあるように、二〇一七年の七月に科学的特性マップとして公表されました。

 簡単な確認です。これは、科学的有望地とは違うということ。日本列島を緑でかたどった格好になっておりますが、海側が全部適地だ、大津波のあった三陸沿岸部までも入るのかと、正直怒りを禁じ得ません。しかし、これは単に火山と活断層を除いた、はっきり不適なところを除外しただけであって、適地と言っているわけではないということ。

 それから、文献調査実施市町村は今後も増やしていくのか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年に最終処分法に基づく基本方針を改定いたしました。その中で、科学的により適性が高いと考えられる地域を示すこと等を通じ、国民及び関係住民の理解と協力を得ることに努めるとしていたところでございまして、これを受けて、二〇一七年に科学的特性マップを公表したという背景がございます。

 このマップというものは、科学的な情報を客観的に提供し、地層処分という処分方法の仕組みや我が国の地下環境等に関する国民の皆様方の理解を深めていくことを目指して策定したものでございまして、客観的データに基づいて地層処分に関する地域の科学的特性を色分けで示したものでございます。

 具体的には、火山や活断層の近傍や鉱物資源の存在など好ましくない特性があると推定される地域はオレンジやシルバーで、そして、先ほど委員御指摘ございましたように、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が相対的に高い地域はグリーン、その中でも特に輸送面で好ましい地域は濃いグリーンで示すというふうにしているところでございまして、このマップは科学的有望地を特定するものではございません。

 なお、国といたしましては、このマップを活用しながら、引き続き前面に立って対話活動等を行い、全国でできるだけ多くの地域の方々に御安心を持っていただき、文献調査を実施いただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

高橋(千)分科員 時間がないものですから、聞いていることにだけ答えてください。

 有望地ではないということを確認をいたしました。また、取り組んでいくという表現でしたけれども、文献調査は二つで終わりではなくて、今後も増やしていくという趣旨だったと思っております。

 それで、青森県の話に行きますと、六ケ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵センター、現在、二千八百八十本の貯蔵容量に対して、海外に再処理を委託して返還されたガラス固化体、千八百三十本貯蔵されております。

 資料の四は、これは青森県と六ケ所村、日本原燃と電事連の協定書であります。下線部を見ていただきたいんですが、それぞれのガラス固化体について、貯蔵管理センターに受け入れた日から三十年から五十年間とすると。だから、これは期限を区切っている。丙は、管理期間終了時点で、それぞれのガラス固化体を電力会社に搬出させるものとするとあります。現在二十五年経過して、あと五年で三十年たつわけです。

 そこで、真っ先に三十年を迎えるガラス固化体の量と電力会社はどこか、伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御質問を頂戴しましたものは、恐らく日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの貯蔵管理のことだと認識してございますけれども、一九九四年十二月に日本原燃が地元で締結している同センターの安全協定において定めたものだといたします。

 その前提で申し上げますと、日本原燃によれば、初めて海外から受け入れましたガラス固化体というのは、一九九五年四月二十六日に受け入れております東京電力、関西電力、四国電力、九州電力の計二十八本分がございます。これらのガラス固化体が、受け入れた日から最初に三十年が経過するガラス固化体になるというふうに承知しているところでございます。

高橋(千)分科員 最初、あと五年で三十年を迎えるのが東京電力、関西電力、四国電力、九州電力の二十八本だということになりました。

 ですから、この後、一年ごとに、九五年、九七年、九八年ということで、もっとたくさんの電力会社からまたたくさんのガラス固化体が搬入されてくるわけですけれども、海外から戻ってくるわけですけれども、現実に、三十年というのはすぐそこなんだ、しかも、東電ですか、関電ですかということは非常に現実的な問題としてあると思うんですね。

 電事連は、搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守するとサイクル協議会の場でもお話をされていますよね。このことを本当に受け止めていただきたい、こう思うんです。

 その中で、今度はむつ市の話。

 使用済み燃料中間貯蔵施設、RFSは、昨年十一月に国の安全審査に合格をしました。二〇二一年度の事業開始を目指しています。こっちの協定書もつけてありますが。むつ市の場合は、再処理工場が年間処理能力が八百トン。でも、全国からフルで、もう今は止まっている原発が多いですから現実ではないんですが、フルで稼働した場合は使用済み燃料一千トン、その差の二百トン、大体の計算でいうと、中間貯蔵が受け止めるというふうな発想で始まったものだと思っています。ただし、ここは、東電と日本原電が所有している、そこだけの使用済み燃料を受け入れるという約束なわけですよね。

 ここに、電事連による共同利用が持ち上がりました。資料の六は河北新報の一月三十一日付ですが、むつ市の宮下市長は、「共同利用 考えられず」と拒否する考えを示したことを報じています。具体的に話が持ち上がったのは昨年十二月。

 大臣、直接お話を受けていると思います。電事連が中間貯蔵施設を共同利用したい、この検討を打診した経過と、国はどのように対応したのか、伺います。

梶山国務大臣 中間貯蔵施設の共同利用につきましては、委員御指摘のとおり、昨年の十二月十七日、電気事業連合会池辺会長から、むつ中間貯蔵施設の共同利用の検討に着手したい旨、御報告をいただきました。その後、十二月十八日に電事連とともに国も青森県、むつ市に事務方を派遣し、国の考え方を説明をさせたところであります。

 県と市からは、国としても地元に対してしっかりとした説明を行うことの御要望や、核燃料サイクルに関連する懸念や今後の見通しについての指摘をいただき、これに対する回答の御要望をいただきました。

 これらを踏まえて、これまで、県や市との間で事務的に進め方や論点の整理を現在行っているところであります。

 中間貯蔵施設の共同利用については、核燃料サイクル政策を進める上で大きな意義があると国の方は考えております。引き続き、関係者の理解に向けて丁寧に説明を行ってまいりたいと思っております。今、提案をしたという段階であります。

高橋(千)分科員 提案をしたという段階なので、大臣の感想というんでしょうか、認識がないということでよろしいんでしょうかね。

 要するに、もう一度伺いますけれども、この問題の背景は、福井県が原発再稼働の前提条件として、関電に対し、使用済み燃料を県外で中間貯蔵する候補地を選んでくれ、それも昨年中にということを要請したわけですよね。だから、関電が困って、むつ市に白羽の矢を立てた。

 これは三年前に同じ問題が起こっていまして、二〇一八年二月のこの場で私、質問をしています。そのときは新聞各紙が関電がというふうに書いたものですから、どちらも違いますと、当時、世耕大臣が、いやいや、どちらも、関電も言っていないし、むつ市の方も言っていないということで否定をされておりました。

 ですが、私たちはずっとそのことを覚えているわけなんです。そうした経緯もあって、今回は電事連という形で関電救済を考えたのではないか、そう思うんですね。今月、運転四十年を超える関電の美浜原発三号機、高浜原発一、二号機について両町長が再稼働を同意し、関電がむつ市の中間貯蔵センターの共同利用案を示したことで、知事と県議会も議論に着手したと十七日付の日経新聞が報じています。

 そもそも四十年を超える原発を延命すること自体、私はとんでもないと思います。だけれども、それ以上に、他県にごみだけを押しつけて再稼働するというのは身勝手過ぎます。許されないと思いますが、伺います。

梶山国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスの実現に向けて、関西電力美浜発電所三号機、高浜発電所一、二号機などの四十年超運転も含めて、安全最優先で地元の理解を得ながら再稼働を進めていくことが不可欠であると考えております。

 そのため、政府としては、原子力発電の重要性や必要性について丁寧に説明を尽くすなど、地元の御理解を得られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、県外搬出に関する関係当事者間のやり取りについては、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。先ほど申したことが事実でありまして、共同利用という形での申入れをしたという時点であります。そのことに関しての私のコメントは差し控えたいと思いますが、政府として、使用済み燃料は再処理するという考えの下に、使用済み燃料対策を含む核燃料サイクルを推進することが重要と考えているところであります。

高橋(千)分科員 エネ庁がむつ市に対して、電事連の副会長と一緒に訪問して説明をしているわけですよね。十二月十七日に電事連の池辺会長から大臣が面会をされたときに、翌日に清水副会長とエネ庁の小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官が行っているわけですよ、その場に、むつ市と県庁に。そのときに、やはり、ごみではなくて、サイクル動かすんだから、必ず搬出するんだから、こういうことを言っているわけなんです。

 これは、私、ずっと一つのことを言ってきたんです、寿都町から始まって一つのことを言ってきているんです。結局、大臣は、いやいや、ごみじゃないよ、サイクル動かすから大丈夫だよとおっしゃりたいんでしょう。それが物すごく矛盾することじゃないでしょうか。つまり、昨年の核燃サイクル協議会、青森県の知事が求めた中で、大臣は同じことをおっしゃっていますよね、サイクルは堅持すると。だけれども、それはちょっと責任がなさ過ぎるんじゃないでしょうか。つまり、その先が決まっていないのに、はっきりとした見通しがないのに。

 つまり、プルサーマルを推進するということは、再処理しなければプールが満杯になる、でも、再処理するだけで終わっちゃうとプルトニウムがたまってしまう、この矛盾を取りあえず目の前からちょっと見えなくするだけの話である。矛盾は募っているんです。その認識、ございますか。

梶山国務大臣 原子力発電所を半世紀以上利用してきた結果、全国には約一・九万トンの使用済み燃料が存在をしております。これは、原子力発電に対して賛成、反対、いろいろなお立場はあると思いますけれども、現実として発電所に一・九万トンの使用済み燃料が存在をしているということであります。こうした中、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用の観点から、核燃料サイクルを引き続き進めることが重要であると考えております。

 また、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムについて、利用目的のないプルトニウムを持たないことの原則を堅持するとともに、プルトニウム保有量の削減に取り組む方針であります。

 電気事業連合会は、昨年十二月、新たなプルサーマル計画を公表し、地元の御理解を前提に、稼働する全ての原子炉を対象に一基でも多くプルサーマル導入を検討し、二〇三〇年までに少なくとも十二基でのプルサーマル実施を目指す旨を表明したものと承知しております。

 これに基づいて、計画的な形でプルサーマルを一層推進し、プルトニウムの利用拡大に取り組みながら核燃料サイクルを引き続き推進をしてまいりたいというのが政府の考え方であります。

高橋(千)分科員 二月二日付の河北新報に、政府・与党内にも懐疑論がある、青森のためにサイクルを推進せざるを得ない袋小路に入っている、フィクションを続けるのは無理、そういう声も上がっているというんです。

 結局、今、サイクルを回すのは、取りあえずごみをためるわけにはいかないという、見た目の、当座しのぎにしかすぎないんですよ。プルサーマルを動かせば、じゃ、その後のごみはどうしますかと、ずっと問題が続いていくんです。そこに正面から向かっていただきたい、こう思います。

 高レベル放射性廃棄物処分場は、これまで全国の原発を五十年間稼働して、六ケ所村などで貯蔵しているガラス固化体約二千五百本、使用済み燃料をガラス固化体に換算すると約二万六千本相当が貯蔵されておって、これを四万本以上埋設することを計画しておりますよね。だから、まだ動かすんだということなんですよ、原発を。

 それで、住民の気持ちからしても、住民の気持ちとは、済みません、寿都の住民の皆さんとも懇談してきたんですけれども、まず原発はこれ以上動かさないと言って初めて議論ができるんじゃないかと言われました。全く同じ気持ちなんです。今ある核のごみはいずれ何らかの処分が必要です。それはもうみんな分かっています。だけれども、だからこそ住民に対しても、ごみを増やし続ける、原発を動かし続ける、それで最終処分の議論はできない、そう思いませんか。

梶山国務大臣 最終処分まで含めた核燃料サイクルというのをしっかりと考えていかなければならないと思っております。

 一方で、電力の需要が増える中で、カーボンニュートラルを宣言した中で、今再稼働が可能である原子力発電につきましては、しっかりと動かしていかなければ安定供給というものもおぼつかないのも現実であります。

 石炭開発又は原子力についていろいろな御批判があるのも承知をしておりますけれども、そういった中で、二〇五〇年のカーボンニュートラル、大気中に二酸化炭素を出さないためにどうしたらいいのかということを考えると、技術的な手段を一つ一つ減らしていって実現できるとも思わないわけであります。

高橋(千)分科員 結局、カーボンニュートラルのためには原発を動かす、そういう議論ですかね。その瞬間、発電の瞬間だけCO2を出さないかもしれないけれども、それ以上のたくさんの問題がある。また、その過程の中で、建設の過程の中でCO2は出るんですよ。こうしたことを、やはり向き合わなきゃ駄目ですよ。それはごまかしていると思います。

 それで、続けますけれども、最終処分は、自然のウラン原石と同じレベルになるまで十万年とも言われています。人類の進化のスパンから見ても、誰も人間が十万年先まで監視し続けるという発想はないと思います。どのくらいの期間なら人間が責任持てると考えているんですか。一言で言ってくださいね、時間がないですから。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体の放射能というものは、大体千年程度のうちに九九%以上減衰してまいります。その後、その減衰のスピードはゆっくりになりまして、先ほど御指摘がありましたように、自然のウラン原石と同じレベルになるまでは相当の時間がかかるわけでございまして、数万年にわたる人間の生活環境から適切に隔離していくということが必要だということを考えますと、それについては、地上における管理には限界があり、人間による直接の管理を必要としない処分方法としての地層処分というものの採用が国際的な共通認識となっている、このように考えてございます。

高橋(千)分科員 ちゃんと聞いたことに答えてくださいよ。

 NUMOの方に聞きました。人間が管理できるのはせいぜい百年でしょうと。それでいいですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 百年、我々の目の見える、見通しの利く範囲では百年、これも一つの考え方かと思います。

 将来のことを想定することはなかなか難しいわけですけれども、今できることについての技術的な対応はしっかりと進めたいと考えてございます。

高橋(千)分科員 何万年もの管理の中で、人間が責任を持てるのは百年なんですよ。そこから先、人間が手をつけなくても大丈夫だというところを選ぶ、大変な問題なんです。そのことをちゃんと分かってもらわないと。

 今、共同通信のアンケートでも、全国の市区町村の八割が反対だと言っています。また、今、寿都町を包囲する後志管内の町村の中では、核抜き条例、持ってこないでくださいという条例を制定した村もありますけれども、島牧にもあるけれども。実際にそういう運動が広がっています。そこをやはり無視しないで、周辺の住民が反対だと言っている、地域の中でも分かれている、これを住民合意なしに進めてはならない。

 残念ながら時間が来てしまいましたので、もう少し質問したかったんですけれども、ここで、要望して、終わります。

 ありがとうございました。

山際主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 大臣におかれましては、午前中から長時間でお疲れのことと思います。よろしくお願いします。

 今日の議論は、二酸化炭素が地球温暖化の原因であるという前提に立ちながら議論をさせてください。

 時々、中国を訪問をしていまして、二〇一八年に三十年ぶりぐらいにシンセンに行ってきました。入国するに当たって、日本国国会議員大島の両手の指紋を全部取られ、顔認証されて、私の指紋と顔の認証データは中国政府は持っていますので、それで入りました。

 シンセン清華大学研究院、これはインキュベーションをやっているセンター、あるいは、BYD、電気自動車を造っている会社も見させていただいて、三十年前の中国とは様変わりしています。四十三年前、改革・開放路線、トウショウヘイ氏がかじを切って間もなくでしたから、まだ当時は何もなくて、道路も全く整備もされていなくて、人が往来している。でも、今のシンセンはもう近代都市です。

 そのシンセン、そして、去年の一月にも武漢で感染爆発を起こして都市閉鎖されますけれども、その前にも中国に行っておりまして、北京では、向こうの研究所、中国の経済研究所の一つの研究所の所長さんと意見交換をさせていただいて、私は、一帯一路が戦略として非常に整った戦略であるということを聞いて、誰がこういう戦略をつくっているのかと聞いてみた。なかなか要領を得ないんです。私、直感的に思ったのは、この一帯一路というワードで中国政府が動いているという実感を持ちました。ワードです。ですから、日本国だと毎年六月の骨太方針のワードのもっと強烈なワードで全部動いている。

 ですから、これまで、考えてみると、例えば陸の戦略ですと、中欧班列、これは中国から欧州まで鉄道網を引く。武漢でも武漢新港、長江ですから、揚子江をずっと上ってきて、そこで、今、日本から、大阪あるいは神戸から、特殊なコンテナ船を造ってダイレクトに武漢までコンテナを運び、そこから、数年後には貨車に乗り換えて欧州まで、中欧班列のこの物量は、ここ十年以上ずっと伸びてきています。

 高速鉄道網ですね。二〇一八年の九月二十三日、私、香港におりまして、ちょうどこの日が香港高速鉄道の駅の開通式だったので、ちょっと行ってみました。巨大な駅で、中国本土から多くの人が押し寄せてくる感じです。香港から北京までが八時間五十六分、ほぼ九時間で行ける距離です。

 もう一つは、去年の六月の二十三日、中国版のGPS衛星北斗、これの五十五基目が打ち上がって、もう完全にこの地球を覆うように、自国の艦船、自国の航空機を自分の電波で捕捉できるようになりました。ですから、日本の準天頂衛星「みちびき」を打ち上げておいてよかったなと。少なくとも、我が国周辺ですと、我が国の電波で我が国の航空機管制は位置を捕捉できますから、これは独立の条件です。

 そして、海の一帯一路については、御承知のとおりです。戦略的に彼らは臨んでいます。

 今、中国の一つのカーボンニュートラルとして原子力発電所をずっと整備し始めています。これは、日本国としては二つの問題があると思います。一つはエネルギーコストの問題、もう一つはカーボンニュートラル、この二つの課題をどうやって今後三十年間でクリアして、雇用を守り、産業を守るのかが我が国の結構大きなチャレンジだと思っていまして、まず一問目は、この中国について伺いたいと思います。

 カーボンニュートラルを促進する中国についてですが、原子力発電の建設状況等の現状についてどのように認識されておりますか。その点について、政府参考人から簡潔な答弁をお願いします。

    〔主査退席、佐々木(紀)主査代理着席〕

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、原子力発電所の建設を積極的に進めてございます。電源構成に占める原子力発電の割合は、二〇〇〇年時点では一%であったわけでございますが、これが二〇一八年には四%に増加してございます。

 現時点で申し上げますと、発電設備容量及び発電量で申し上げても、アメリカ、フランスに次いで世界第三位、現在は、中国国内で五十基の原発が運転中であり、更に十二基の建設中の案件、三十基の計画中の案件があるというふうに認識してございます。

 こうした中、習近平国家主席は、CO2排出量を二〇三〇年まで減少に転じさせ、二〇六〇年までにカーボンニュートラルを目指すということを昨年九月に宣言した、こういう状況にあると認識しております。

大島(敦)分科員 今のお話で、二〇六〇年ですか、カーボンニュートラル、ゼロ。日本がカーボンニュートラル、ゼロは二〇五〇年。カーボンニュートラルを目指すということと、昨年の十二月の十七日、自動車工業会会長の記者会見、ずっと見ていまして、物すごい危機感を持っていらっしゃいますよね。御自身の会社のある車種を挙げられて、日本で造るのか、あるいはフランスで同じものを造っていますから、カーボンニュートラルを考えればフランスに持っていかざるを得ないというお話をされています。

 このことは、今、中国、これは日本国と違って、非常に広い国土で、かつ岩盤も非常に強いところですから、プレートの上で。ですから、原子力発電のコストが全然違うかもしれない。それを考えると、二つの点、エネルギーコストの点と、もう一つはカーボンニュートラルで、本当に日本で造るんですかということだって言われかねないなと思っているんです。

 ですから、この中国の原子力発電について、中国がこうした原子力発電の推進を進めることにより、原子力コストを下げつつ、二〇六〇年カーボンニュートラルを達成できると私は考えています。

 中国が原子力発電を推進して、原子力コストを低減させ、併せて電力の低炭素化を進めた場合、日本のエネルギーコストとの差が更に広がる上に、低炭素電源を活用しようとする企業も日本から流出していくおそれがあると思っています。結果として、日本の製造業は空洞化して雇用が喪失することにつながりかねません。

 我が国として、国際競争力維持と雇用の確保のために、どのようなエネルギー政策を取っていくのか、大臣の所感を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 大島委員がおっしゃるように、自動車で例えますと、電動化の話ばかり出ていますけれども、自動車を製造する過程において二酸化炭素をどのくらい排出するかという話になります。ですから、その使う電力が何由来のものかということでして、石炭開発由来では駄目なわけですね。それが今度は輸入制限とか国境措置で関税をかけられたりということにもつながるということでありまして、国内の物づくりがなくなる可能性もあるという危機感を持って、ここはしっかり取り組んでいかなければならないと思っております。

 そういうグリーン電力を、今度はじかにメーカーが売買できるような形も必要かもしれない、今は小売の事業者しかそこはできませんけれども、そういった制度も必要かもしれない。それと、必要な量が本当に足りるのかどうなのかということも含めて、二〇三〇年、二〇五〇年、場合によってはその途中経過も含めて何年か刻みでしっかりしていかなければならない。あわせて、コストですね、電力のコストも国際競争力として大変重要なファクターだと思っております。

大島(敦)分科員 併せて大臣にお願いしたいのは、様々な技術革新にはできるだけ国が資金を投入してほしいと思います。その場合には、できるかできないか、フィージブルかどうかということも大切ですけれども、まずチャレンジするという技術革新にはふんだんに資金を投入し、人を育てていただくことが我が国にとって今後プラスに働くと考えています。

 今の関連で、軽自動車と商用車の電動化について伺いたいと思います。

 私は、ついこの間までずっと軽自動車に乗っていまして、自家用車が。十五万キロぐらい超えたものですから、この間千ccの普通車に買い換えて乗っておりまして、やはり、日本の道路事情を考えると、対面ですれ違えるというのもなかなか軽自動車じゃないとできない道路が結構多いのが我が国だと思います。

 それで、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、自動車も従来のガソリン車から電動化に変化していきます。その際、軽自動車の電動化は重要だと考えています。軽自動車は小型でかつ安価であることから、日本の狭い道路事情に適合しており、また、特に地方における国民の足となっています。一方で、軽自動車の電動化には課題もあり、今後、官民挙げた対応が必要と考えています。

 自動車メーカーは、軽の電動化に最適な車両の設計、開発、軽ユーザーに受入れ可能な価格での販売等に取り組む必要がありますが、政府としては、税制上の優遇等も受けられる軽自動車という特別な位置づけを維持することも含め、軽自動車の電動化に向けた支援策を講じていく必要があると考えますが、大臣のお考えを聞かせてください。

梶山国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおりだと思います。

 地方に行くと、必ずやはり軽を一台持っているんですね。私どもの事務所も持っております、そういった形で選挙区内をスピーカーをつけて回っているということでありますけれども。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、政府としては、二〇三五年までに乗用車の新車販売で電動車一〇〇%を実現することとしておりまして、その対象には軽自動車も含まれているわけであります。

 御指摘のとおり、軽自動車は小型かつ低価格のため、特に地方部を中心に市民生活に欠かせない移動手段となっております。その電動化には、小型で低価格な電池の開発など、多くの課題があるものと認識をしております。

 このため、昨年十二月に策定しましたグリーン成長戦略の実行計画では、軽自動車の電気自動車や燃料電池自動車への転換には特段の対策を講じるということにしておりまして、例えば、導入支援に加えて、小型化が期待される全固体電池の開発支援などを検討しているところであります。

 経済産業省としましては、引き続き、関係業界の御意見を丁寧に伺いつつ、軽自動車の電動化に向けた支援策をしっかりと検討してまいりたいと思っております。

 カーボンニュートラルを総理が宣言するに当たりまして、産業界、又はそれぞれの分野の団体、又は個社と対話を重ねております。そういった要望をしっかりと受け止めた上で、個社の対応というよりも業界対応で、何が課題なのか、そして、それぞれにまた望むものがあればどれだけ支援できるのか、税制も含めてしっかり考えてまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 軽自動車は、御承知のとおり、三百六十ccのスバルから始まって、五百五十ccになって、六百六十cc。大きさも全て国土交通省が決めているというお話なんですけれども、今の電動化も含めて、一番最適なサイズ、最適なエンジン構成を是非業界の皆さんと考えていただければと思います。

 続きまして、商用車について伺います。

 商用車の電動化にはどのような課題があり、カーボンニュートラルの実現に向けてどのような措置を講じていかれるのか、事務方からお願いします。

藤木政府参考人 グリーン成長戦略の実行計画におきまして、商用車については、乗用車に準じて本年夏までに検討を進めることとしておりまして、これも軽自動車と同様でございますが、電気自動車や燃料電池自動車への転換のために特段の対策を講じるということとしているところでございます。

 これまでも、商用車の電動化を進めるということで、例えば、地域で複数の事業者が連携して電動商用車を導入する、その場合、充電インフラを共用で使うといったような実証を行ったりしてきております。

 商用車の電動化に向けましては、一つはコスト、あるいは電池の性能の制約といったような課題があることも事実でございまして、こうした課題を事業者が解決できるような支援策につきまして、これは、国土交通省と一緒に、関係業界の御意見も丁寧に伺いながら、更に検討を深めてまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 もう一つは、次のテーマは、産業人材。

 昨年、経済産業省の部局の方にお願いをして、経済産業省が取り組んでいる人材育成の講座、三つほど視察をさせていただきました。非常に興味深くて、様々なことを勉強させていただきました。それに基づいてちょっと質問させてください。

 日本企業においては、これまで、自社が採用した人材を自社で育てる文化が根づいていました。二〇〇〇年を境に雇用の非正規化が進む中で、企業は自社に必要なスキルを持った人材を選んで採用していく方向にシフトしており、企業における人材育成の取組が以前ほどには熱心じゃないと考えています。

 そのため、政府としても、企業における人材育成の取組を後押ししていくことが重要と考えています。具体的には、産業人材全体のスキルの底上げ、これは恐らく厚生労働省のテーマだと思います、産業構造の変化に合わせたスキルの転換、この二つが必要だと考えており、後者の産業構造の変化に合わせたスキルの転換については、経済産業省においてしっかりと進めていただきたいと考えています。

 特に、新型感染症においてはデジタル化の流れが加速しており、デジタル分野において今後求められるスキルを身につける必要性は高まっております。経済産業省においても、既に、第四次産業革命スキル習得講座認定制度を通じて、IT・データ分野などの今後の成長分野における学び直しを後押ししていく仕組みを進めていただいておりますが、現行の認定講座については、働きながら学ぶことを前提とした比較的短期間で修了する講座が多いのが現状です。大きな産業構造転換が進む中においては、しっかりと腰を据えて学び直す機会を提供することが重要だと考えています。

 以上のような現状を踏まえ、まずは、産業構造の変化に合わせたスキル転換を進めることが重要との認識を大臣とともに共有させていただくとともに、第四次産業革命スキル習得講座認定制度において一年や二年といった長期的、本格的に学べる講座を増やしていくべきではないかと私は考えています。大臣のお考えをお聞かせください。

 また、そういった第四次産業革命スキル習得講座で長期間学べる講座について、受講者の費用負担の軽減も併せて図っていくことが必要だと考えています。現行でも、第四次産業革命スキル習得講座の認定を受けた講座のうち、厚生労働省の定める一定の要件を満たし、厚生労働相の認定を受けたものは、専門実践教育訓練給付の対象となり、一定の費用助成がなされることになっていますが、こうした助成額や助成割合には上限があるところです。

 そのため、私は、現行既にある厚生労働省の支援制度だけではなく、経産省としても独自の費用援助をする制度をつくるべきではないかと考えておりますが、あわせて、大臣のお考えをお聞かせください。

梶山国務大臣 産業人材のスキルの底上げと産業構造転換に合わせたスキル転換が重要であるということは委員と同じ思いであります。

 コロナ禍において産業構造の転換が加速をしております。労働市場で求められる人材像が大きく変化をする中で、それに合わせた勤労者、労働者のスキル転換は必要だと考えております。

 特にデジタル分野は今後求められる重要なスキルの一つであります。経済産業省としても、第四次産業革命スキル習得講座認定制度による学び直しの推進に取り組んでいるところであります。

 この制度では、IT・データ分野を中心とした将来の成長が強く見込まれる分野において、講座内容や期間等について外部審査委員の審査を経た上で経済産業相として認定を行っておりまして、現在、認定講座数は百六講座、順調に拡大をしているところであります。

 現行の認定要件の下でも一年を超える長期間の講座も認定はできるわけでありますけれども、社会人のニーズが高い三十日以内の講座が認定講座の半数以上、百六講座のうち六十四講座を占めているということであります。受講者のニーズということなんですね。

 それには理由があると思っておりますけれども、委員御指摘の長期間学べる講座につきましては、デジタル分野における技術変化のスピードが速い中で、どういう分野で長期間の講座に関するニーズがあるのか、どうすれば社会人が受講しやすくなるのかなどを含めて、関係省庁や産業界とも連携をして、まずは幅広い視点から実態を把握した上で検討してまいりたいと思っております。

 その費用についてでありますけれども、現行の認定制度の認定を受けて、かつ、教育訓練の期間が二年以内等、厚生労働大臣が指定する教育講座の指定基準を満たす講座は、教育訓練給付金の支援対象となりまして、教育訓練経費の最大七割が支給をされることになっております。

 今後、関係省庁や産業界と連携して、一年間を超えるような長期間の講座に関するニーズを把握する際に、助成上限額や助成割合、助成期間などが社会人の受講の際に課題となっているかについても把握した上で、どのような支援が必要なのかということも検討したいと思いますし、ニーズがあればそういう形で、費用さえ出れば、本当は、一年、二年、長い講座もいいんだということでもありますけれども、技術が日進月歩だということも踏まえて、その兼ね合い、しっかりと考えてまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 大臣のお話を聞きながら、昨年暮れなんですけれども、イスラエルに本社があって日本でサイバーセキュリティーの研修をしている会社があるんです。視察をしました。経営トップから技術者まで。今求められているのは、経営トップ人材は、これまで、サイバー攻撃を受けた場合に、ダメージを受けた、その場合には、システム担当の役員が責任を取ればよかったんですけれども、今後は、最高経営責任者が、善管注意義務違反、そんなことも知らなかったのかということで責任を取る時代になってきますので、やはり日進月歩でスキルの向上が求められている時代ですから、その点は、大臣、お分かりとは思いますので、それを是非今後も続けてほしいなと考えています。

 次に移ります。

 今、中小企業の事業再構築に向けて事業再構築補助金というのができています。持続化給付金も、この一年間、私、全ての地元の企業に対して、全ての施策は全部理解した上でワンストップでサービスしてきました、ですから、地元の事情は全部頭の中に入っています。

 その中で、今回のこの再構築補助金は、やはり地元の知り合いのメーカーの方、極めて反応がいいです。やはり彼らは常に考えていますから、次何を造るかというのを。やはり、私の地元でも航空産業向けの部品を造っている大きな会社、これはなかなか受注が進まなくなる。ほかの中小の企業に聞いても、今年の三月までが受注残があって四月以降はなくなる会社が本当に多いです。

 ですから、今、今回の事業再構築補助金について迅速な対応をお願いしたいんです。やはり設備投資は、これから発注して半年、早くてもかかりますので、迅速な対応をお願いしたいというところで、大臣、答弁をいただきたいと思います。

梶山国務大臣 もう概要は御承知なんでしょうから、委員がおっしゃるように迅速な対応が必要だと思っております。

 決定前の着手というものもできるようにしてまいりたいと思いますし、できる限り早くこういったものが、皆さんにお示しして、また、審査と給付がしっかりできるようにしてまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 最後に、ジェトロの応援をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ジェトロ、すばらしい機関です。ですから、中国に行ったり、ウズベキスタンに行ったり、ベトナムに行ったり、あるいはシリコンバレーに行ったり、ベトナムに私が行ったときにも、必ずジェトロの皆さんとは意見交換をさせていただいています。よく地元の事情に通じています。やはり、中小企業、中堅企業のために仕事をしたいということで、皆さん、現地の方の信頼関係もあるし、ウズベキスタンだとロシア語ができるし、あるいは、中国に行くと皆さん中国語がしっかりできて現地のことをよく分かっている。ですから、まずはジェトロに聞くのが一番だと思っていますので。

 ですから、今回も、新たな日常ということで見本市がなくなりました。これまでの見本市、中小企業にとっては出店するのは大変です。お金もマンパワーも取られます。でも、今は、地元の埼玉県のジェトロも、二年ぐらい前にできましたけれども、一生懸命やっていただいて、今だと、Eコマース、ですから、電子商取引でいろいろと海外のバイヤーの方が、ロングテール、ですから小さな会社のいいものがあればしっかりバイヤーの方は目をつけてくれます、それもしっかりサポートをしていただいておりますので、こういうマッチングもジェトロの皆さんは俊敏に対応していただいています。

 ですから、コロナ禍における企業、消費者行動の変化は、特に地方の中堅・中小企業にとって、むしろ攻めに転じるチャンスであります。こうした前向きな攻めの姿勢を日本企業は持つべきではないかと考えています。そのサポートの先頭に立つべき機関がジェトロだと思っていますので、全国に広がる支援のネットワークを最大限生かし、地域の中小企業が海外展開するニーズを掘り起こして、デジタルを活用した新たな日常に対応することで、ジェトロが今こそ地方の企業と海外との橋渡しの役を果たしてほしいと考えています。

 そのための体制をしっかりと取ってほしいと考えておりまして、大臣のお考えを是非お聞かせください。

梶山国務大臣 ジェトロを御評価いただきまして、ありがとうございます。

 今、四十七都道府県にこのジェトロが所在をしております。そして、海外との道筋をつけるということもそうなんですけれども、機会をちょっといただきましたので、昨年の一月、中国から中小企業が日本に帰ってくる際に最後まで世話をしていたのはジェトロであります。また、ミャンマーでの政変でも、その状況というものをしっかりと調べているのもジェトロであります。

 国内にいても海外との取引ができますし、海外に進出した場合には、しっかりとお世話もさせていただくということで、その体制の充実にはこれからもしっかりと心がけてまいりたいと思います。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。終わります。

佐々木(紀)主査代理 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、高村正大君。

高村分科員 自由民主党の高村正大です。

 今日は、質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 事前に、基本的に大臣に御迷惑をかけないように、お休みいただいていいと言ったんですが、いていただいているようなので、ありがとうございます。

 今日は、カーボンニュートラルの話を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の臨時国会の所信表明演説で、菅総理は、菅政権では成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げてグリーン社会の実現に最大限注力してまいります、我が国は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言します、このように明確におっしゃられました。

 近年、日本各地で、これまで経験したことのないような集中豪雨が発生したり、四十度を超えるような気温が記録されたり、また、皆様の御記憶にも新しいところでありますが、今年の冬も各地で記録的な大雪に見舞われたりしております。このような異常気象は日本だけでなく世界各地で発生し、これは地球温暖化との関係があるのではないか、このようにも言われております。

 日本の平均気温は過去百年で一・二四度上昇しました。この程度の上昇でもこれだけの影響がある。そして、このまま何もしないでいると二十一世紀末には平均気温が四度ほど上昇する、このような試算もあります。このようなことを考えますと、我々が子供たち、孫たちの世代のためにカーボンニュートラルの実現に向けて全力で取り組んでいかなければならないのは、当然の責任だと考えます。

 このことを前提に、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 この一年間で、EU、ドイツ、オランダといったヨーロッパの国々や、オーストラリア、ニュージーランドなどの多くの国々が、水素に関する戦略や包括的な政策を発表しています。この背景には、カーボンニュートラルの実現に向けた機運が高まる中で、水素が不可欠であることが世界の共通認識になってきたことが挙げられます。

 私が事務局次長を務めています自由民主党水素社会推進議員連盟でも、精力的に水素活用に取り組んでいる企業のヒアリングを行うなど、動向をフォローしてきました。

 カーボンニュートラル実現に向けて、水素エネルギーの活用が不可欠だと考えますが、改めて、水素社会の実現に向けた決意について教えてください。よろしくお願いします。

茂木政府参考人 水素は、委員御指摘のとおり、発電、産業、運輸など幅広い分野の脱炭素化に資するものでありますので、カーボンニュートラルを目指す上で不可欠なものというふうに考えています。

 水素の普及を進めていくためには、まずは水素の供給コストをしっかり低減をしていきまして、これと併せて、やはり、発電や産業や運輸などの幅広い分野で、需要創出、これを一体的に進めていくということが非常に重要だというふうに考えています。

 今御指摘があったとおり、EU、ドイツ、オランダといった海外もかなり精力的に新しい水素戦略を打ち出しています。日本も、こうした状況を踏まえながらしっかり戦略を打ち出していくべきだと考えています。

 このため、今般の補正予算で成立しましたグリーンイノベーション基金、二兆円でございますが、この中でも水素を含むカーボンニュートラル実現の鍵となる革新的な技術開発を進めていくということになっておりますが、この中で、例えば、水素発電の商用化に向けた技術開発ですとか、あるいは国際的な水素サプライチェーンの構築に向けた液化水素運搬船の大型化の技術開発などの支援を行いまして、しっかりと社会実装に向けた取組を加速してまいりたいと考えています。

高村分科員 ありがとうございます。

 続きまして、水素の利活用はカーボンニュートラルの実現に向けて不可欠である、このことは今の答弁でもはっきりしたと思います。一方で、その社会実装に向けては、供給コストの低減など、まだまだ多くの課題もあります。

 フランスやドイツでは、水素戦略の中で数十億ドル規模の予算を投入することを発表しています。それらに比べると日本の水素関連の予算は、大臣に本当に御尽力いただいておりますが、まだまだ少な過ぎるのではないか、このように考えております。

 私の地元山口県でも、水素先進県を目指して様々な取組をしております。

 予算は、まさに国家の意思であります。カーボンニュートラルに向けて、水素の供給コストを下げ普及を進めるために、予算措置の拡充を含めて具体的にどのように取り組んでいかれるのかについて教えてください。お願いいたします。

茂木政府参考人 水素の利用を拡大していく、社会実装を進めるためには、今先生から御指摘あったとおり、やはり水素の供給コストをいかに下げていくかということが非常に重要です。加えて、このコストを下げていくためには、安価な資源を活用して大規模に水素を製造、供給する、こうした仕組みをつくっていくということが大切になってまいります。

 このため、経産省としては、今、大きなプロジェクトを二つ進めています。一つは、福島県の浪江で再エネからの水素の製造技術を実証しておりまして、装置を大型化したり、あるいは耐久性の向上をさせることによって水素の製造コストの低減を目指していきます。

 また、海外から、化石燃料から水素を分離して水素を海上輸送してくる、そういう大きなプロジェクトも今実施しております。これによって海上輸送技術の確立をすると同時に、輸送タンクの大型化などを通じて水素供給コストの低減を目指してまいりたいと考えています。

 いずれも、こうした事業を今後しっかり進めていく上で、先ほど答弁をさせていただきましたカーボンニュートラルの二兆円の基金や、それから当初予算、これをフルに活用してしっかりと進めていきたいと考えています。

 目標としては、二〇三〇年に大体、水素販売価格を現状の三分の一ぐらいの三十円・パー・立米ぐらいまで下げていく、二〇五〇年にはこれを二十円ぐらいまで下げていく。こうした、価格を下げていくことによって、化石燃料と比べても十分競争力のあるものになっていくのではないかと考えています。

 それから、供給サイドの取組に加えまして、地域でどう水素を活用していくのかということも非常に重要なポイントです。議員の御地元の周南市でも、港湾を中心にしまして立地企業が連携して、水素のパイプラインを敷設して燃料電池に利用するといったような、地域ぐるみの取組の計画が今進められているというふうに私どもも承知しております。来年度の予算でも、こうした取組をしっかり支援するための計画策定ですとか技術実証の予算もございますので、是非有効に活用いただければというふうに考えています。

 こういった取組を進めて、しっかり水素の社会実装を進めてまいりたいと考えています。

高村分科員 ありがとうございます。水素に関しても、一過性じゃなくて、これから長いスパンで、しっかりと予算の確保をお願いしたいと思います。

 続きまして、我が国は、二〇一四年に世界に先駆けて燃料電池自動車を販売するなど、これまで世界に先駆けて取り組んでまいりました。昨年には日本の企業から、新型の燃料電池自動車の販売も発表されています。実は私も試乗をさせていただきましたが、本当に乗り心地がよくて、空気清浄機の機能を持って、走るだけで世の中の空気もきれいにする、こういったすばらしい機能もついている自動車だとのことでした。こういった燃料電池自動車の導入、普及拡大に向けて更なる取組を政府としてもしていくべきだ、このように考えております。これらに対する取組について教えてください。

茂木政府参考人 今、経産省では、燃料電池自動車の普及拡大に向けて、導入支援、それから低コスト化に関する技術開発を進めてきています。

 今現状で、十二月の末時点でございますが、国内の燃料電池自動車の普及台数は四千三百三十七台でございます。それから、バスが百一台でございます。世界全体では、年末の数字ではありませんけれども、少し前の数字で、世界全体で二万五千台ぐらいというふうに言われています。年末に向けてもう少し数字は増えているかと思いますが、こうした普及状況にあります。

 燃料電池車については、更なる普及に向けて、引き続き燃料電池自動車の導入支援というのを進めてまいります。加えて、水素の供給インフラの整備も併せて実施してまいります。

 具体的には、水素ステーションの整備と運営費用に対する補助、これも継続してやってまいりたいと思っております。それから、運営費用の低減を見据えました、水素の充填をするときに使うホースですとかシール材の長寿命化に向けた技術開発、これはコストダウンにつながりますので、こうしたこともしっかり支援をしていきます。それから、規制の合理化によってステーションそのものの設置のコストを下げたり、あるいは運営費用を下げていく、こういった支援もしっかり進めてまいりたいと考えています。

 今、水素ステーションの数は、全国で整備中のものも含めて百六十二か所、おおむね年度末に百六十二か所までオープンすることを見込んでおります。引き続き、燃料電池自動車の導入の支援、先ほど申し上げた自動車の支援と、水素供給インフラの支援、スタンドの支援ですね、水素供給ステーションの支援を併せて、燃料電池自動車の普及拡大に努めてまいりたいと考えています。

高村分科員 ありがとうございました。

 水素自動車に関してですけれども、ある先輩議員が御自分で水素自動車を所有されていまして、持っているものの、ただ、水素ステーションの営業時間が余りにも短いので、せっかく自分の自宅の近くにスタンドがあってもなかなか使いづらいんだ、このようなお話もされていましたので、自動車本体以外にも、ステーションを含めたしっかりとした応援をお願いしたいと思います。

 続きまして、水素の需要を拡大する上で、もちろんこの燃料電池自動車も必要でありますが、将来的には発電での利用、あるいは製鉄など産業部門で水素を活用していくことも必要だと考えます。水素の需要拡大に向けて具体的にどのように取り組んでいかれるのか、これについても、政府の取組について教えていただきたいと思います。お願いいたします。

茂木政府参考人 水素の需要創出に取り組むというのは非常に重要でございまして、大きく分けると、やはり発電分野、それから運輸の分野での拡充、そして産業分野、この三つの分野でしっかり需要創出をしていくというのが重要だと思っています。

 まず、発電分野の方でございますが、この発電分野では、実は日本の技術開発が世界をリードしています。

 既に御承知とは存じますが、一メガワット級、千キロワットの小型のコージェネレーションのシステムでは、水素の専焼発電による街区への熱電併給というのを既に神戸で行っておりまして、これは世界初であります。

 それから、大型のガスタービンについては、天然ガスに水素を混焼していくということになりますが、今、三〇%まで混焼させる技術が確立しています。これを大型の発電設備で確実に運転できるように実証していくというのがこれからのフェーズになります。これは海外でも非常に引き合いが強い技術でありまして、今、世界に向けてこうした技術を売り込んでいるというところであります。

 それから、二つ目は運輸分野でございますが、運輸分野は、もちろん乗用車もそうなんですが、これから、トラック等の商用車の拡充、これも一つ重要な視点でありまして、これにも取り組んでまいります。そうなりますと、大型の車に対して水素を短時間で充填しなきゃいけないということですので、今までとちょっとタンクの容量が違いますので、こうした高速の充填技術の開発なんかもしっかりやってまいりたいと思っております。

 それから、モビリティーのほかの分野でいいますと、例えば、船舶での水素の活用ですとか鉄道での活用ですとか、こういった実証も進んできておりますので、運輸分野での拡充というのもしっかり進めてまいりたいと考えています。

 最後に、産業分野でございます。産業分野において水素の活用というのは、一つは、熱利用ですとか、あるいは原料として利用することができます。これによって、なかなか電化だけでは難しい分野の脱炭素化というのが実現できるというふうに考えています。例えば、一番有名なものでいいますと、製鉄プロセスで石炭の代わりに水素を使って還元するという、水素還元製鉄技術の開発支援なんかも進めております。

 こうした取組を通じまして、自動車以外の幅広い需要分野の開拓をしっかりと進めてまいりたいと考えています。

高村分科員 ありがとうございました。国内でいろいろな取組をしていただいている、このことがよく分かりました。

 そして、我が国は、水素や燃料電池の利用について、これまで本当に世界に先行して取り組んできたものだと思っております。世界に先駆けて燃料電池自動車やエネファームの商用化に取り組んできました。水素の活用に向けた取組が世界的に活発化する中で、こうした技術的な優位性を生かして、国内だけではなく、海外市場も獲得しながら我が国の経済成長にもつなげていくべきだと考えますが、この点についての政府の御認識をお願いいたします。

茂木政府参考人 欧州を始めとしまして、各国が水素に関する国家戦略を策定しているということは最初に申し上げたとおりでございます。この中で、やはり、水素社会の実現に向けて本格的に市場をつくっていこうという動きが世界中で出ております。

 水素の市場はかなり様々な分野がございますけれども、例えば欧州でも、再エネの電気から水素をつくる電解設備、これが大量に導入されてくる、例えば二〇三〇年にこれが四十ギガワットと言っています。四十ギガワットというのは、浪江の水素製造設備を二〇三〇年までに四千基造るということでありますので、そのぐらいの市場の広がりがあるというふうに考えられています。

 日本では既に、燃料電池自動車とか定置用燃料電池といった、どちらかというと需要サイドの技術が非常に強いのが日本であったわけですが、水素の取組を長年続けてきた結果として、先ほども答弁申し上げましたが、例えば発電分野で非常に強みがある、それから、液化水素を海上輸送するという、新しいサプライチェーンの技術なんかも日本は非常に強みがございます。

 それから、水電解装置も、電解技術というのは非常に古い技術ではあるんですが、日本にも非常に優れた電解装置を造る企業がいますので、欧州も含めて様々なところで市場が拡大すれば、これは世界市場をしっかり狙える技術になってくるというふうに考えています。

 私どもとしては、こうした技術をしっかり伸ばして、日本企業が成長するような、世界市場に出ていく、世界市場を獲得して日本企業が成長していけるように、最初に申し上げましたカーボンニュートラル基金なども活用しまして、技術開発の支援やあるいは国際標準化などを先んじて行っていくなど、そうした取組を行って支援をしてまいりたいと考えています。

高村分科員 ありがとうございました。過去を見ても、日本というのはすごくいい発想でいいものを造るんだけれども、海外にそれを全部持っていかれちゃって、最終的に余り日本が得していない、こういうことが多いと思いますので、そういうことにならないように、しっかりと支援をしていただきたいと思います。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためには、水素の利用だけではなく、様々な技術革新、中でもカーボンリサイクルの技術開発への取組が必要だと思います。カーボンリサイクルの技術への取組について政府がどのようにされているか、教えてください。お願いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問いただきましたカーボンリサイクルですが、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためのキーテクノロジーでありまして、日本に非常に競争力がある技術でございます。

 既に、CO2を吸収する藻類によるバイオジェット燃料の生産技術については実証段階に入っておりまして、また、CO2と水素を反応させてメタンを合成するメタネーション技術や、プラスチック原料を製造する人工光合成技術についても研究が進んでいるところでございます。

 これまで、政府としまして、カーボンリサイクル技術ロードマップを策定して、社会実装に向けた道筋を示しております。また、昨年末にはカーボンリサイクル実行計画を策定し、克服すべき技術面での課題やコスト目標等について検討を深めまして、取組を進めているところでございます。

 今後は、こうした検討を土台にしまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現という目標を踏まえまして、コンクリート、燃料、化学品等の多様な分野でのカーボンリサイクル技術を確立して、更なるコスト低減や社会実装を進めてまいりたいと思っております。

高村分科員 少し視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。

 カーボンニュートラルに向けた取組はもちろん大切であります。一方で、産業競争力の観点から、安定かつ安価な電気の供給を続けていくことも不可欠だと考えます。カーボンニュートラルが実現できて平均気温が上がらなくなって、だけれども日本からは産業がなくなった、雇用がなくなった、そして国民が不幸になった、それでは全くの本末転倒だと考えます。

 そのためには、安全が確認されて耐用年数に達していない原子力発電所について、ただただそのまま無駄に置いておくのではなくて、産業競争力とカーボンニュートラルの観点から、再稼働を含めてしっかりと考えていくことも必要だと考えます。これは何も原発を使えというわけじゃなくて、カーボンニュートラルとのバランスの中で、今あるものが使えるのであったらただただ無駄に置いておくのではない、こういった観点から、政府の見解を教えていただきたいと思います。お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、エネルギーは国民生活や経済活動を支える基盤でございます。カーボンニュートラルの実現を目指す中でも、安定供給が確保されるということに加えまして、可能な限り低コストでのエネルギー供給を実現するということは大変重要であり、バランスの取れたエネルギー政策を実行していくことが不可欠だと考えております。

 このため、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、再生可能エネルギーはもちろんでございますが、安全性が確認された原子力を含めて、あらゆる使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど新たな選択肢を追求していくというのが政府の基本的な考えでございます。

 昨年末策定しましたグリーン成長戦略の中でも、原子力については、確立した脱炭素技術であり、安全性向上を図り引き続き最大限活用していくという方針の下、再稼働を進めるとともに安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくとしているところでございます。

 その上で、先生御指摘のとおり、まずは着実に再稼働を進めていくことが重要であると考えてございます。これまでに九基の原子力発電所が再稼働をし、昨年十一月には女川原子力発電所二号機について地元から理解の表明がなされるなど、一歩ずつ取組が進められているところでございまして、引き続き安全最優先での再稼働を進めていきたい、このように考えてございます。

高村分科員 どうもありがとうございます。本当に、再稼働ありきでもなく、あるいは原発が駄目だということでもなく、今ある既存の資源として我々が使えるものがカーボンニュートラルにとってどのように有効に使えるのか、こういう観点からしっかりと考えていただきたいと思っております。

 そして、カーボンニュートラルの実現に向けていろいろ動きがあると最も影響を受ける業界の一つが、自動車業界だと思います。この自動車業界、非常に裾野の広い産業であり、多くの雇用を支えています。電動化に伴い雇用や関連業界への影響も大きい、このように思います。産業支援や雇用の維持に向けた取組について教えてください。

藤木政府参考人 ただいま御指摘のように、二〇三五年までに政府として乗用車の新車販売で電動車一〇〇%を実現するという方針でございますが、これを進めるに当たっては、部品など関連の業界に一定程度の影響が生じるということが想定されるところでございます。

 こうしたことから、政府といたしましては、こうした部品サプライヤーを始めとする関係事業者の皆様が電動化の流れに円滑に対応できるように、しっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。今までガソリンエンジンのパーツを作っていた技術を生かして、例えば電動化のためのモーターの部品に取り組むといったような動きも、こういったことをしっかり支援していくということだろうと思っております。

 令和二年度の三次補正で、中小企業等の事業再構築促進事業ということで、一兆円を超える規模の補助金も手当てしていただいたところでございます。こうしたものも活用しながら、電動化への対応、これを促進していきたいと思っております。

 これまで以上に自動車業界あるいは部品業界とも丁寧に対話をしながら、こうした支援策についてしっかり対応してまいりたいと思っております。

高村分科員 ありがとうございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、現状考えやすい方向性である自動車の電動化はもちろん重要であると思います。

 一方で、電気自動車だけに注力してしまうと、今、例えばヨーロッパは、e―fuel、こういったものに注力しています。こういった分野でイノベーションが起きた場合、せっかく現在日本が持っている、例えばクリーンディーゼル等の内燃機関を含めた現有の自動車関連技術の優位性を無駄にしてしまうのではないか、このように懸念をいたします。過去の例を見ても、イノベーションが起きると今まで思っていた世の中の常識が百八十度変わる、こういったこともあるように思います。

 カーボンニュートラルの実現に向けた、イノベーションを見据えた支援の多様性について教えてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーン成長戦略の実行計画におきまして、二〇五〇年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指すというふうにしておりますが、これを実現するためには、一つは電気自動車の導入など電動化という道でありますが、これだけではなく、電気や燃料の脱炭素化といったようなことも不可欠だろうと思っております。

 まさに議員おっしゃいますとおり、イノベーションを起こしていかなければならない。そのためには、今の段階で特定の技術分野に限定するのではなくて、様々な選択肢を幅広く検討していく、それを追求していくということを当面行っていくことが必要ではないかと思っております。

 議員御指摘のように、CO2と水素を合成して造りますe―fuel、こういったものについても商用化に向けた一貫製造プロセスを確立するための技術開発に取り組んでいるというところでありまして、合成燃料研究会というものも経済産業省が中心になって立ち上がったところでございます。

 日本の自動車産業が国際的な競争力を維持するという観点から、引き続き、関係者の御意見を丁寧に伺いながら、様々な選択肢をしっかりと幅広く検討してまいりたいと思っております。

高村分科員 ありがとうございます。

 カーボンニュートラルに向けて、石油業界の経営環境が厳しくなっております。こんな中で、出光興産さんがタジマモーターコーポレーションさんとEV会社の設立をします。このような石油業界における新しい取組が起きております。これは、単に電気自動車を造るだけでなく、全国にあるガソリンスタンドを基礎インフラとして活用し続ける、このための取組でもあると思います。

 カーボンニュートラルの推進によって経営環境が厳しくなっていく業界のこのような自発的な取組をしっかりと支援していくことも大切だと考えます。これについての御所見をお願いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、電動車の普及に伴いガソリン等の需要が減少していくことが見込まれる中で、石油業界は、石油製品の安定供給を担いながら、同時に変化に対応した新たな取組に挑戦している、そのように承知しているところでございます。

 石油精製・元売会社におきましては、既存のアセットや人材、ネットワーク、安全に係るノウハウ等の強みを生かしまして、水素等の新たな燃料供給も視野に入れた動きがございます。

 また、ガソリンスタンドにつきましては、今先生から御指摘いただきましたように、出光興産株式会社が、超小型EVのサービスを視野に入れた新しい事業展開、こうした動きもございます。

 経済産業省としましては、これまでも石油精製・元売会社やガソリンスタンドへの取組に対して様々な支援策を講じてきたところでありますが、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けたこうした新しい動きに対しても、石油業界としっかり意見交換をしながら後押ししてまいりたいと思っております。

高村分科員 ありがとうございました。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現のためには、技術革新や一人一人の努力が必要不可欠であります。無理をし過ぎて産業を潰して、雇用をなくして日本の強みを失ってしまったら元も子もありません。非常に難しい課題だと思いますが、雇用を守り、イノベーションを起こそうとしている産業をしっかりと応援することによって二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現していくために、私自身も与党の議員としてしっかりと応援していきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

佐々木(紀)主査代理 これにて高村正大君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 寺田学です。

 大臣、よろしくお願いします。本当に心から質問したくて、お願いをしてこういう機会をいただきました。難しいことを申し上げるつもりもないですし、厳しく追及することもないです。心からのお願いを二つします。そのお願いの内容は、経産省が所管しているコロナに関する補助金に対して、除外されている二つがあるということです。

 一つは、性風俗関連業者。午前中、近藤和也さんもやっていましたけれども、いわゆるラブホテルも含めたそういう業者のこと。もう一つは、経産省としても文化や様々なことを守ろうという気持ちもあって、イベンターの方々、何かしらコンサートをやって、キャンセルになった場合に様々な形で補助を出すということをやっていますけれども、その中で、洋楽のプロモーターの部分がすっぽり落ちている。海外のアーティストを呼んでくる、そういうことで日本に本当に音楽の選択肢を増やしたり様々な影響を与えている、その洋楽のプロモーターの方々が補助金の対象から除外されているという、この二つの除外についての質問です。

 性風俗は後でやりますので、最初に、具体的な補助金名で言うと長いんですけれども、コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金、J―LODliveと呼ぶらしいですけれども。

 大臣のホームページを見たんですけれども、御趣味の中に音楽鑑賞がなくて、余り音楽のことについてお気持ちはないのかなと思うんですけれども、好きなアーティストというのはいらっしゃいますか。

梶山国務大臣 たくさんいますし、一曲ずつ好きなんですね、この人が好きだというよりも。そういうので、自分でよく組み合わせて作ったりしています。

寺田(学)分科員 私、こういう仕事、もうかれこれ十七年ぐらいになりましたけれども、心の髄に音楽があって、生きていく上の喜びのうちの一つに近いです。

 身近な例というか最近の例でいうと、海外の、アメリカのバンドなんですけれども、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンという解散したバンドが、昨年急遽復活することになって、アメリカでライブをやるということで、本気で、選挙がない限り、アメリカに行ってライブに行こうかなと思いました。このことは、別にそんなに、音楽が好きな人にとってみると、もちろん財政的な問題とか日程的な問題はありますけれども、音楽を聞くために様々貯金して、様々なところに出向いて、自分の音楽としての欲求を満たすということはすごく当然にあることなんです。

 例えば、私、毎年行っているのはフジロックという、名前は富士ですけれども最近はずっと苗場でやっているんですけれども。苗場でやっているところは、あそこは十三万人ぐらい、もう二十万人近くが集まります。もう一つ日本が誇るロックフェスというのはサマーソニックというのがありまして、千葉の幕張でやるんですけれども、そこは二〇一九年は三十万人ぐらい集まった、都心ですので。物すごい吸引力があるんです。

 もちろんフェスだけじゃなくて、単独ライブでも、最近でいうと二〇一七年にコールドプレイが来たときには、アジア各地から、そのコールドプレイの曲を聞きたい、ライブが見たいということで、日本に旅行する方がたくさんいらっしゃいました。

 このように、音楽ということを軸に日本に対して関心を持って、実際足を運ぶ人もいますし、例えばフジロックという、三日間に分けてやるんですけれども、物すごい数のアーティストが出ます。ほとんど外国人ですけれども、二割ぐらい日本人がいると思います。あのフジロックに出ている日本人アーティストということで、海外の中でもやはり認められるんですよね。

 世界の中に何個かあるんです、巨大な、コーチェラとか様々なでっかいライブが、フェスがあるんですけれども、その中の一つにフジロックもサマーソニックも入っていますので、あのライブに出演できるぐらいの実力だということで海外でも非常に評価が高くなるんです。それぐらいやはり大きなものなんですが、大臣がお持ちになっているこの補助金には、洋楽のプロモーターは除外されているんです。

 仕組みを一個一個聞くのは、参考人の方を今日呼んでいませんのでしませんけれども、このJ―LODliveという補助金自体は、目的自体はアウトバウンド、インバウンドです。アウトバウンドは、海外にそれを映像としてやったときに、その映像を見ながら日本のことを、文化であったりそのアーティストであったり、私は、フェスであればその地域でやられている空気感とかも含めてですけれども、非常に効果があると思います。インバウンドは、まさしくそれを見るために来るということです。

 日本発のコンテンツということを条件で限っているんですが、もう一個ブレークダウンして、日本発のコンテンツは何ぞやということの条件を僕は初めて知って驚愕したんですけれども、楽曲を作詞と作曲それぞれカウントし、過半数を日本国民が行っている、又は出演者の過半数が日本国民に限るという、物すごくけちくさくて、物すごく意味不明な条件が加わっています。

 いや、分かりますよ。日本人のアーティスト、日本人の作詞、作曲をプロモートしたいというのは分かるんですけれども、さっき言ったとおり、一つの外国人アーティスト、さっきコールドプレイを出しましたけれども、コールドプレイが来るというだけでアジア各地から来るんです。

 さっきも言いましたけれども、フジロックに入っている日本人アーティスト、一割でも二割でも、その映像が海外に流れたときに、あのフジロックでやっている日本人アーティストってすごいなと。そしてまた、そのフジロックが醸し出すその地域のフェスの感じ、食べ物であったり、川のせせらぎだったり、ステージの感覚だったり、雨の中踊る姿だったり、そういうものに物すごく感じるんですよ。

 私もベルギーにあるトゥモローランドというところに行きたいんですけれども、イベントですけれども、やはり、私が日本にいてもベルギーでやっているその巨大なフェスに対して関心を持つということの裏返しのように、日本でやっている、たとえ外国人が多い、もうほとんどを占めるようなイベントであっても、海外に発信したときに、日本の発信に物すごく寄与するんです。

 ただ、今、この補助金に関して、そういうようなフェスであったり洋楽の単独ライブに対しての、プロモートしている人たちへの補助金というのは、この条件によって除外されているんですよ。変えませんか。

梶山国務大臣 このJ―LODliveに関しましては、平成二十四年から開始した日本のコンテンツの海外展開ということでまず始まった補助金であります。そして、コロナ禍において海外に渡航できなくなったために、国内開催であっても補助金の対象とするべきだという声がありまして、それで補助金を出しているということであります。

 今委員がおっしゃったように、出演者の日本人割合が五〇%未満であったとしても、イベント開催の中心を担う演出家であるとか、これは例えば別な分野、ジャンルだと思いますけれども、演出家や舞台監督といった方が日本人であれば支援対象としているということですから、そこから読めるものもあるかもしれませんね。

寺田(学)分科員 いや、この訳の分からない条件をやめましょうよということです。洋楽のプロモーター、このままだと死んじゃいますよ。

 ちょっと端的にというか、シンプルに質問を変えますけれども、物すごく世界的に有名なアーティストが日本に来てコンサートを開く、アジアの中では日本だけだ。そうしたら、アジア各地からそれを聞くために人がやってくるということは、大臣、想像できますか。

梶山国務大臣 それはもう、今の時代ですから、想像もできますし、またネット等でも見られると思います。

寺田(学)分科員 多分それは役所としても全部開放できないということで様々な条件をつけているかもしれませんけれども。もう一年たったんですよ、コロナ。ここからまだワクチンの接種も含めて様々な困難がある中で、生きていけないですよ。

 今大臣がお認めになったとおり、洋楽のプロモーターがちゃんと日本で生きている限りにおいて、そういう方々を呼んで、インバウンドに寄与しますよ。もしこれで日本のプロモーターが死んだら、シンガポールだったり台湾だったり、ほかのところに全部持っていかれますよ。

 私はそんなに大きな額ではないと思います。今ある上限、五千万ということでありますけれども。もちろん、本当に大きいフェスであれば、それは全然間に合わないですよ。ただ、しっかりと、さっき言ったインバウンドとアウトバウンドを目的としているのであれば、この具体的な条件を再検討してほしいんです。

 再検討するということ、お約束いただけないですか。まず検討してください。

梶山国務大臣 委員の主張を初めて伺いましたので、それらも含めていろいろな、日本の多分呼び屋さんと言われる人たちも含めて企業をやられていると思いますし、それらも含めて救済をしていかなくちゃならないということはそのとおりでありますから、少し考えてみます。

寺田(学)分科員 あと、もう一個。

 緊急事態宣言が解除された後に様々な経済活動が戻ってくると思いますが、洋楽のプロモーターの方々にとってみると、海外からアーティストを呼ぶときに十四日間の隔離措置があると、ほぼ来ないですよ。

 スポーツ選手であれば、この間の全豪オープンとかだと、自分の中の時差ぼけを直したり準備運動をしたりというのがありますが、アーティストというのはやはり一泊二日、二泊三日で来て演奏して帰るんですよね。これを十四日間と言われると、まず無理です。

 もちろん僕は感染拡大を望んでいるわけではないので、ただアーティスト及びそのアーティストの周辺の方だけ特別な形で様々、他に感染を広げないようなやり方だってあると思いますし、今、ビジネスマンの、ビジネストラックということで、もちろん国は限られていますけれども、十四日間の免除ということも制度としてありました。

 今から断定的なことは言えないと思いますけれども、経産省として、この産業が大事だということを前提とした上で、この十四日間隔離を様々議論するときには、こういう、アーティストということの視点を忘れないで議論し、コロナ本部なのかどこなのか分かりませんけれども、しっかりと提案をしていただきたいというお願いですけれども、大臣、お願いします。

梶山国務大臣 コロナ本部で議論をするということになると思いますけれども、ビジネストラックも含めて我々の主張もありますので、それらも含めて今委員がおっしゃったことは考慮してまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 よろしくお願いします。恐らく様々な形の方が声を上げてくると思うので、もちろん大臣は御多忙とは思いますけれども、省としてもしっかりとその現状を聞くような姿勢を持っていただきたい。お願いします。

 もう一個の方。この件に関して大臣と質疑するのは恐らく初めてだと思いますが、去年、間接的にはかなりお力添えいただきました。

 僕は、性風俗業に働く女性が休業補償金をもらえないという政府決定を、当時の菅官房長官にお願いして、ひっくり返してもらったということがあって。その後、やはり業者も、聞くと、業者の経営が危なくなればなるほど、そこで働かれる方々、主に女性の方ですけれども、リスクがどんどん高まってくると。だんだん経営が怪しくなってくると、危険な選択肢を取ることが増えてくる場合があるとか。私は、業者というものに対してもしっかりと視点は必要だと思うんです。

 午前中、近藤和也さんが言っていましたけれども、ラブホテルを含めた性風俗関連業者、性風俗の特殊営業ですか、業者の方々への支援がことごとく排除されています。それは、私が申し上げるまでもないですが、この持続化給付金もそうですし、あとは融資関係もそうですし、様々です。それで、今度は一時何とか金とかというのを経産省で出すんですよね。それもやはり連動して排除されています。

 ラブホテルも含めてですけれども、もちろん、年齢によって、それを見せていいか、見せてよくないかとか、様々な分けはありますけれども。私だって利用しましたし、別に全員に聞くつもりはないですけれども、みんなの心の中にそういうものの選択肢もあったし、使われている方もいると思うし、そういう存在があることに対して何ら私は差別的な発想に立つ必要はないと思うんです。大臣も使ったことはないですか。

梶山国務大臣 それは心の中に秘めておきます。

寺田(学)分科員 差別してほしくないんですよ。国の指導にのっとって届出をし、しっかり納税しているんですよ。そこの中で働く方々って、想像すればできるでしょう、やはりみんな。もちろん、それが業態として、ラブホテルとかという形で、子供には見せられないわとか、大人になってからねとかというようなものはありますけれども、様々な国民生活の営みの中で使われる方だって多いわけですよ。

 一点質問ですけれども、訴訟が提起されていると思います。私を含めてですけれども、こういう、性風俗関連業者だけ除外するのはおかしいじゃないかという声が上がっていると思いますが、そういう認知は、まず大臣はありますか。

梶山国務大臣 訴訟が起こっていることは承知をしております。職業差別ではないかという声が上がっているということも承知をしているところでありますけれども、係争中の案件であり、これに関する個別の答弁は控えさせていただきますけれども。

 性風俗関連特殊営業等を含む事業者を給付対象から外しているということでありまして、ここで個人事業主として働くスタッフやキャストは対象となるように入れました、我々も。個人事業主としての対応ができるようにということで入れさせていただいたということでありますが、経営の側に対しては、これまでのことも含めて、公的金融支援や国の補助制度の対象とされていなかったことなどから今般の給付金についても対象から除外をさせていただいたということでありまして、議論はさせていただきました。その中で、そういう結論になったということであります。

寺田(学)分科員 職業差別に当たると大臣はお考えですか。

梶山国務大臣 そういった中で、スタッフや従業員の方々に個人事業主ということでの対応はさせていただいたということであります。(寺田(学)分科員「答えていない。職業差別に当たるかを聞いています」と呼ぶ)これは裁判に影響しますので、このコメントについては控えさせていただきます。

寺田(学)分科員 政府として、職業差別に当たらないと言わないとおかしいでしょう。職業差別をしているんですか。

 合理的な理由があるんですか。職業差別をする上での合理的理由があるんでしょうか。

梶山国務大臣 性風俗に関連する方全てが対象外ではなくて、職業差別をしているわけでは全くないということであります。

寺田(学)分科員 そういう論拠でいいんですね。

 それで、大臣言われたとおり、社会通念上、公的資金による支援対象とすることに国民の理解が得られにくいということを答弁でも理由として挙げられていますけれども、得られにくいということをどのようにして把握されたんですか。

梶山国務大臣 性風俗関連特殊営業等は、風営法上の規制業種でありまして、これまでも国会の場などで様々御議論をいただいてきたところであります。

 与党内においても様々な議論がありました。性風俗関連特殊営業等を持続化給付金の支援対象に含めることは合意が得られなかったと承知しております。

 こうした性風俗関連特殊営業等にまつわる議論の状況や、これまでの類似の給付金でも給付対象にしてこなかった事情などに鑑みると、国民の理解を得にくいものと判断をさせていただいたということであります。

寺田(学)分科員 パチンコは国民の理解を得られているんですか。パチンコには給付が出ていますけれども、パチンコに対する税金の投入、税金による補助というものが国民的な理解を得られているというのは、どこで大臣は判断されたんですか。

梶山国務大臣 新型コロナの影響を受けた事業者の皆様への支援策につきましては、過去の様々な整理を踏まえて、可能な限り幅広い事業者を対象とすることが重要であると考えておりまして、そして、そういった中で柔軟な対応もしてきたところであります。

 パチンコにつきましては、従来、政府系金融機関、信用保証協会による融資、保証の対象外でありましたけれども、出玉規制の取組等によりまして射幸性が抑制されているとの見解が警察庁より示されたことを踏まえて、昨年五月より対象としたところであります。

 また、与党内においても様々な議論があり、パチンコ店を持続化給付金の支援対象に含めることについて合意が得られたと承知をしております。

寺田(学)分科員 経緯を多少知っている者として、大臣がどのようにお考えなのかということと、どのような経緯で、一度は性風俗業者に対しても給付がされかけたものが、結果としてこのようになっているかということは十分分かっています。

 大臣自身がどのようにお考えになられているかというのは間接的に伺っていましたので厳しく追及するのはあれなんですが、とはいえ、今所管の大臣ですから聞きますけれども、国民の理解というのは様々あると思います。捉え方というのも様々あると思います。はっきり言うと、今年オリンピックを開くことに対して、世論調査だけ見たって、今年のオリンピックに対して国民の理解というのはまだ十分じゃないですよ。それでもやはり公金を投入してやっているわけですよね。

 国民の理解が得られなかったというのは、様々な意見があった上で合意に至らなかったからそこにエクスキューズしているというのは分かるんですけれども、元々に戻りますけれども、皆さん一生懸命働いているんですよ、様々な事情で。

 去年の五月ですよ。僕、役所の方にお伺いしたんですけれども、鼻で笑われましたよ。業者に対して持続化給付金を出してくれないか、本当に困っているんだと。ラブホテルの方々を含めて、みんなに陳情しているけれども、誰も相手してくれなくてということで、経産省の幹部の方に御連絡したんですけれども、鼻で笑われて、そんなの無理ですよ先生と言われたので、余りまたやりたくなかったんですけれども、当時の長官にお願いしました。長官自体は、非常にそこに対しては感度を共有してくれて、直ちに、多分、恐らく大臣とお話をしてくださったと思います。

 どういう経緯か分かりませんけれども、政府の中で決めようとしている流れの中で与党プロセスが入ってしまって、大臣が今御答弁されたとおり、与党の中で、もちろん性風俗業者というものだけじゃなくて、様々なものを持続化給付金に入れようというのは、当時議論が行われていたことは分かります。宗教法人であったり、あと様々ありました。なので、包括的に新たに加えることが認められなかった経緯があったなと思いましたけれども、これは与党野党関係なく、すごく印象に残っているんですよ。

 当時の長官とは、党は違いましたけれども、非常に頻繁にこの件に関しては進捗を教えていただいて、こちら側としても、野党側からの要求というものも強くしてできる限り合意に至るように努力をしたんですけれども。最後、五月の末ぐらいにお電話もいただいて、済まぬ無理だったと言われたときに、当時の長官が言われた言葉がすごく印象に残っていて、誰とは言いません、中心的に反対されていた方々がいらっしゃるのは分かるんですけれども、恐らく、いろいろな形で働いて生活をしている人たちの、それを想像できなかったんだろうなということを、非常に絞り出すように言われましたよ。確かに本当にそのとおりで、立派に国会議員だといって生活していることが別にいいわけでも何でもなくて。

 皆さん、それぞれの生い立ちがあって、プロセスがあって、経緯があって、様々な形で自分たちの職を得て、自分たちの生活を支えるために賃金をもらったり、会社を経営しているわけですよね。一生懸命、国の言うとおり届出をし。かつ、本当にかわいそうだなと思うのは、民間からの融資だってほとんど受けられないわけですよ。そういう苦しい中で一生懸命働いて頑張って、何か、余り子供にも言えない職業で苦しいんですけれどもとか僕も言われましたよ。それでもやはり家族を支えるために頑張って働いたり経営しているんですと言われて、何とか助けてやりたいと思ったんですけれども。やはり、そこに対する表層的な偏見ですよ。

 コロナだけでいいですよ、まず。コロナのときの支援だけでいいですよ。コロナのときの支援だけ何とか。ちゃんと届出をして、ちゃんと納税をしている。もちろん悪い会社だってありますけれども、そんなもの、性風俗に限ったことじゃないですよ。コロナのときだけでいいです、まずは。性風俗業者に対する支援を、国としてちゃんと、納税してくれてありがとうという気持ちを含めて私は検討してほしいんです。

 今、大臣がすぐに決められないのも分かります。当時は、長官にお願いしましたので、政府としては考え方はまとまってくれたのかなという感触が得られましたから、与党プロセスの中で厳しかったと思いますけれども、世の中どうなるか分かりませんね、今度、長官が自民党の総裁になりましたよ。与党のトップですよ。総理と、言い方を変えると総裁と、もう一回この件、去年の五月のプロセスを思い出して、大臣も総理もお忙しいとは思いますけれども、何とかもう一回、話し合ってくれないですか。

 大臣、それだけ約束して。お願いします。

梶山国務大臣 昨年も半月ぐらいこの議論をしたことを覚えておりますし、その後も、野党の皆様、与党の皆様からもお話をいただいてきております。

 今の委員の主張は分かりましたので、私なりの行動は考えてみたいと思います。

寺田(学)分科員 ありがとうございます。

 多分、コロナがどれぐらい続くのかというのは去年の段階でなかなか読み切れなかったと思いますし、当時の長官はこんなに延びるとは思っていなかったですね、確実に。ただ、やはり物事が世界中深刻化していって長期化して、今日ようやく高齢者の方々のワクチン接種のためのワクチンが六月末に全国に配送されるというめどがつきましたけれども、接種のことまで考えたら、どれぐらいかかるか分からないし、いつまた新型の変異株が出てきて、第四波なのか、第五波なのか、出てくるか、私は分かりません。

 去年であれば、まず何とか今はしのいでくれればそのうち平常化して普通どおり働いて稼いでもらえるだろうという思惑があったかもしれませんが、御案内のとおり、もう一年ですよ、残念ながら、本当に、マスクを外して昔の生活に戻るには少なくとももう一年ぐらいかかると思います。

 ようやく踏ん張ってきたけれども、緊急事態宣言が解除された後に感染がまた伸びてくる可能性も含めて、今本当に岐路ですよ、お金も借りられないし、普通の扱いをしてもらえない方々、そういう立場に置かれているので。

 だから、このことに関しては是非とも、いろいろ言う方はいると思いますが、ちゃんと届出をして、ちゃんと納税してくれている業者に関しては排除することなくやっていただきたいということを心からお願いしたいです。

 もう正直、総理と話してくださるということだったので長々と話しませんけれども、冒頭申し上げたコンテンツのこと、本当に洋楽のプロモーターも息絶え絶えですよ、ここまでずっと国境封鎖されているわけですから、稼ぐ口が全部なくなっているんです。大きい会社は持っているストックで何とか食っていけていますけれども、もうばたばたと倒れますよ。そうしたら、ほとんどの音楽業界の大きな柱の洋楽のプロモーターが倒れていって、日本の文化であったり、日本のインバウンドの魅力がなくなっていくと思います。

 そういうことを含めてちゃんと、今日は本当に端的にお約束をいただいたので、この洋楽のプロモーターの件、この条件を再検討していただくこと、そして、性風俗に関してはもう一度総理とお話をいただくこと、そのことを御了解いただきましたので、最後に御答弁をいただいて、終わりたいと思います。

梶山国務大臣 洋楽の方、J―LODliveの方に関しましては、ある程度コロナが落ち着いてからの話だということの理解でよろしいですね。(寺田(学)分科員「はい」と呼ぶ)

 それで、多分、水際のことも含めてということでありますから、そういう段階で、このJ―LODliveが適用可能かどうかというよりも、対策として必要だということでの認識をいたしましたということですから、それをまた考えさせていただくということであります。

 先ほどの件は、私の行動について考えさせていただくということであります。

寺田(学)分科員 早いですが、終わります。

佐々木(紀)主査代理 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋分科員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 大臣、どうぞよろしくお願いします。もう何か懐かしい感じがちょっとしますね。経産委員会から離れまして、今日は貴重な機会をいただきました。

 今日は、幾つかあるんですが、大臣も就任一年半過ぎましたね、ちょっと数えてみたんですけれども。就任は大変でしたね、前任者がいきなりいなくなって。本当に忘れちゃ駄目ですよ。あれだって別に、よしと決着したわけじゃないから。だけれども、うやむやにされているわけですよ、はっきり言えば。その後、何か最近は、ちょっと経産省周辺は静かな感じがして、総務省周辺とか農水省周辺が騒がしいですけれども。大臣が就任した頃は結構大変だなと今日総括していたんですけれども、まずは前任者の問題があって。

 その次に、考えてみたら、経産省、METIのスリーMというふうに私は思ったんですけれども、METIのスリーM、何だと思いますか。問題、三つあったんですよ、大臣。分かりますか、忘れないでくださいよ。大臣の一年間、最初、マネーですよ、原発マネーのM。次が前田さんという方の、いろいろありましたね、前田さん、お元気そうですけれども。それから三つ目がマスクですよ、アベノマスク。本当にそういうことで世間をたくさん騒がせましたね。METIのスリーMですよ。

 でも、大臣も本当に御苦労さまで、今日はこういう機会をいただきましたので、私は本当は、こんないろいろ問題が起きる話じゃなくて、本当に政策的なことをしっかり今日はやらせていただきたい。今日、私の大臣に伝えたいメッセージは、いろいろな政策をやるときに、やはり、そもそも論として、その政策は何のためにあるのかということをよくよく立ち返る、原点回帰ということが大事じゃないかな、そういうことが通底する私のメッセージでございます。

 それで、寺田さんが給付金の話をしたので、ちょっと順序を変えまして、大臣、奈須野さんもいらっしゃるので、奈須野さんもね。外国法人と持続化給付金、これも私も、ポイントはある意味同じでありまして、想像力をやはり持たなきゃいけないと。今の風俗産業もそうかもしれませんが、いろいろな事情でいろいろな職業に就いておられる方、いろいろなお仕事をされている方、いろいろな形で会社を起こされている方、そういった現場を当然我々は全ては知る由もないんですが、やはり政治家たるもの想像力を持たなきゃいけない、相手の立場に立つことが必要じゃないかというふうに改めて思うんです。

 だから、しつこいようですけれども、大臣にもう一度今日は尋ねたいと思いますが、ちょっと私聞いていてふっと思ったんですけれども、ちょっと質問のないあれですけれども、納税してくれてありがとうとさっき寺田さんが言いましたね、私もそう思うんですよ。納税してくれているというところには全部出すという、なぜそういう大原則はつくれないんですかね。大臣、何か理由はありますか。

    〔佐々木(紀)主査代理退席、主査着席〕

梶山国務大臣 外国法人の場合は、全体像をつかめないということもあります。向こうが本社でこちらが支店という中で、その支店だけの成績というよりも全体像でどうなのかということもありますし、それらも含めて外国法人は除かせていただいているということであります。

田嶋分科員 ちょっと答弁が先走っている感じもしますけれども。外国法人どうのこうのじゃなくて、売上げに着目されたじゃないですか、今回。それが半減ということなんですけれども。

 納税しているということは、ふだんから日本の中で活動してきちんと納めているわけじゃないですか。それはやはりこういう苦しいときに給付を受けられるという、何か私は非常に重要な条件のような気がするんですが。

 しかし、先ほどの寺田さんの例もそうだし、私が今日問題にしたい外国法人も、十年、二十年同じように納税しているのに、こういうときにちっとも日本政府から救済されない。これは私、非常に理不尽な感じがするんですけれども、大臣、そう思わないですか。

梶山国務大臣 申告書を添付していただくのは、企業の実態があるかどうかということでお願いをしているわけであります。その中でも、実態をしっかりと調べないと分からないものもありますけれども、迅速に多くの方に支払うというこの給付金の性格上、全てを網羅するというわけにはいかないという中で除外も出てくるわけであります。

田嶋分科員 今、多くの人にという話がありまして、実際、おっしゃるとおり、四百万者以上に五兆円も配りましたということは常に強調されるわけで、それはそれとして本当に多としたいというふうに思うんですが、しかし、やはり先ほど言った原点に立ち返って、そもそもなぜこういう持続化給付金を給付することにしたのかと考えたときに、まずは物すごい数に一気に配る、それは大変なことでした。だけれども、それがある意味、一山越えてきた、感染も少し落ち着いてきた。これは時間をしっかり取って、私の提案ですけれども、その上で、今後はある意味、給付の第二ステージとして、これまでのある意味大きな支給から漏れてしまった個別の事案を丁寧に検証するときじゃないかな。

 やはり前も言ったけれども、年金の未納問題と同じで、最後のお一人まで救済するということがこれは大事じゃないですか。大体の人はさっと片づいてうまく救済されたかもしれないけれども、やはり先ほどの事例もそうだし、私のこの事例もそうだし、何かこう、取り残されちゃっている人がいるんですよ。それも数えると相当な数だというところが、やはりこれは正義にもとるんじゃないのかな。第二ステージとして、今からこそ、今まではスピード重視、これからは丁寧にやはり支給を検討していただくということが私は大事なような気がするんです。

 それで、ちょっと次の質問に入りますけれども、例えば、内国法人の国内の売上げが十でした、内国法人ですね、国内の売上げが十でしたと。しかし、その法人が一〇〇%出資の海外現地法人があったとして、十倍の売上げの現地法人があったとしますね、百という。ところが、日本の国内では十の売上げが三に落ち込んだ、そして、その海外の百売り上げていたところが、売上げが百から八十に落ち込んだだけだと。この法人はこの日本の持続化給付金の対象になるんですか、大臣。

奈須野政府参考人 ちょっと技術的なお尋ねでございますので、私からお答え申し上げたいと思います。

 今の先生がお尋ねのあったような、国内の売上げが十で、一〇〇%出資の海外子会社の売上げが百で、それが八十に落ち込んだという場合でございますけれども、今回の持続化給付金でございますけれども、内国法人の売上高の減少というところに着目をしておりますので、これは、国内売上げが三に落ちたという前提であれば、対象となり得るということでございます。

 その考え方でございますけれども、一〇〇%子会社ということであっても、法人格が独立している以上は、その売上げや利益を任意に親会社の方に流出させるということはできません。したがって、事業継続に必要な財産がどこにあるか、どれだけあるかということについては、法人単位で把握するということが必要であるというふうに考えております。

田嶋分科員 大臣、分かりましたよね。だから、これは法人単位で考えるよという形式的なルールがあるので、それに照らし合わせると、今の例はお金もらえちゃうんですよ、持続化給付金。

 十の売上げが三に国内では落ち込んだ、しかし、その会社が現地法人を持っていて、なぜかアメリカで大ヒットしたとかで売上げが日本の十倍、そのアメリカの一〇〇%現地法人は百が八十に落ちただけ、それでも、つまり全体としては大もうけしていても、結構もうかっていても、日本のその、十の、三に落ちたところだけ着目して、日本の持続化給付金を出すんですね。これは今のルールだと私もそう思うんですけれども、このルール自体がやはり変ですよ。

 だって、釈迦に説法ですけれども、当然これは連結対象じゃないですか、当たり前ですけれども。一〇〇%現地法人なんだから連結対象でしょう。株価だって、日本の法人だけ見て動きませんよ、当たり前ですけれども。だって、全部、配当は自分のものになるんだから。配当として持ってこなくたって、連結しているわけだから。会計上も全部そうじゃないですか。

 だから、そもそも、非常に簡易な計算方式として制度設計を始めたんですよ。だけれども、現実に照らし合わせると矛盾だらけなんですよ。

 だから、私の提案は、第二ステージとして、今年は経産省をめぐるいろいろなトラブルもありませんから、大臣、時間をしっかり取っていただいて、第二ステージと申しますか、今漏れてしまっている方々の支援をちょっともう一回見直していただくということはできませんか。

梶山国務大臣 これは丁寧に対応しているつもりでおります。

 先ほど四百万件以上に払ったということを申しましたけれども、申請者と比較して、給付というのは九八%以上しているわけであります。これは、審査をした上で、残り一・何%か二%前後が給付をされないということなんですけれども、ある程度一線で切った上でそういった形にさせていただいているということで、もう不給付の通知を出した方も実際においでになりますので、公平性、透明性という点からも含めて、今回はこの基準でやらせていただきたいと思っております。

田嶋分科員 大臣、今回はこの基準でやらせてもらいたいと言われても、やはり納得できない人がいっぱいいるんですよ、一時金。

 お忙しい身ですから、本当に五分単位に違うテーマで、いろいろ、入れ替わり立ち替わり役人が入ってくる。私が政務官ですらそうでしたから、大臣だから本当に。この外国法人というテーマに何分時間を割いていただいたか私は分かりませんけれども、担当の方がこれは何とか大臣を説得して出させる方向にしようと思ってくれないと、私は、大臣がなかなかそこまで深く理解して、失礼ながら、時間を取っていただくことが本当に厳しいかなというふうに思ってしまうんですが。それでも、先ほどの寺田さんの例も、いろいろありますよ。

 それから、やはりもう一つ、これはこの間の予算委員会で吉川委員が取り上げられました件、これは人格なき法人というやつですね、大臣も御答弁をなさっておりましたけれども。今日配付資料があるので、ちょっと三ページ目を御覧をいただけますか。これは下が梶山大臣の御答弁なんですけれども。

 これを私ちょっと見ていて少し光が差したような気も一瞬したんですけれども、大臣の答弁に。大臣は何をおっしゃっているかというと、この人格なき法人も持続化給付金は出せないと言っているんですけれども、しかし、御自身でこういうことを言われているんですよ。

 ただ、救われなくていいということではありません、下から三行目ですよ、梶山大臣のね。ただ、救われなくていいということではありません、しっかりと地方において、実情を知るところにおいて救われるような予算措置も考えていかなくちゃならないということでありますと。吉川さんが聞いていない点について補足的にそうやって言っていただいて、救われなくていいということではないと言ってくれているじゃないですか。私はそれを、ああ、いい答弁だなと思って、そうしたら吉川さんはそれを喜んじゃって。じゃ、少なくとも、今回対象外になったところが救われるような形で地方がいろいろとやれば、ちゃんときちんと国の方でも財政的な支援を行うということでよろしいですね、よろしいですね、今、うなずいておられますので、是非と言っているわけですよ。これは終わりの方でしたけれどもね。

 だから、私、これを聞いたときに、ああ、じゃ、そういう思いがあるなら、外国法人だってある意味同じですよ。ところが、人格なき法人は、ここでおっしゃっているように、現場が見に行けるというようなことを言っているんですよね、現場が、その地域の。要するに自治体とか、そういうことで。だけれども、外国法人、なお苦しいですよ。だって、現場じゃないもの、問題は。海外の話ですから。だから、やはり同じように、何か違う方法でも救済措置を考えるべきじゃないかなと思うんですよ。

 こちらもやるということでしょう、質問に対して答弁、ないんですけれども、吉川さんは最後喜んでいらっしゃいましたけれども。やるんですよね。

梶山国務大臣 国の一律のこういう制度というのは、どうしてもやはり漏れてしまうものが出てきます。それは、多数の方に払おうとすればするほど要件があって、それで漏れてしまう方がおいでになるということで、これに対してどうしようかという議論もしてまいりました。その中で、地方創生臨時交付金という形で、先般の、協力金は別の計上という形で、地方が独自にこういった経済対策また支援策をできるようにということで一兆円を積んだということであります。

 ですから、現実に、都道府県単位で、この五〇%というラインがきついというところもあって、四九%以下と小刻みにやっているところもありますし、また、この網から漏れたところを救おうとしている県もあるということであります。

田嶋分科員 そういうことでありますというのは、自治体の判断ということですよね。だけれども、ここで大臣がおっしゃっているのは、自治体もそういうことでやってくれるけれども、国としても、救われなくていいということではないとおっしゃっているんですよ。

 だから、そういう意味では、何というか、もちろん、そうした交付金を出しているのは国なんだから、自治体に対して。だから、こういうように、こういうケース、こういう事例の漏れている人もいますよということをきちんと指摘してあげて、そういうところにお金がちゃんと届くようなところまで、やはり大臣の方からも、国からも自治体に対して言っていただく必要があると思うんですね。栃木県の現場でも、結果的に、交付金があったって何も変わっていないという報告も来ているんです。

 それはやはり、我々が国会のこういう議論の中で、ここが漏れちゃっているね、こういう人たちも漏れちゃっているねということが分かったら、それを自治体に教えてあげて、是非こういう人たちも、持続化給付金を出せないけれども、何らか自治体の方で支援を考えてほしいというようなことを大臣あるいは組織の方からきちんと言っていただくということはできるんですか。

梶山国務大臣 今回の地方創生臨時交付金の趣旨につきましては、担当大臣、坂本大臣になりますけれども、坂本大臣、また西村大臣からも知事会等を通じてお話をしていますけれども、個別の一件一件についてこちらが指定するというよりは、こちらの制度で足りない部分をしっかりと補ってくださいね、また、こちらの制度の網にかからない方たちがどうしてもおいでになる、それは何度も聞いていますので、そういった方たちを救ってくださいねという趣旨で出させていただいて、説明もしているということであります。

田嶋分科員 ですから、大臣、こちらの網にこういう人たちがかかっていないよということを言ってあげてくださいと申し上げているんです。

梶山国務大臣 個別の企業というわけにはいきませんけれども、みなし法人であるとか、そういったところで実態があるものに対しては地方の方がしっかりと目が届くということで、考えてくださいねという話をしているわけであります。

田嶋分科員 だから、その中に外国法人も入れてくださいというのが私の要望です。

梶山国務大臣 外国法人が国の制度の中では要件から外れるわけでありますけれども、地方にとってそれが必要なものなのか、また、大きく地方での存在という形で認めるのかどうかというのは、また地方の判断がそこはあると思います。

田嶋分科員 地方の判断はいいとしても、大臣の方から、経産省の方から、国の制度設計上、今の持続化給付金の網からは漏れてしまいます、そういう類型として外国法人も、みなし法人のように、外国法人もありますよということを言ってほしいということなんです。

梶山国務大臣 個別具体的には言えませんけれども、そういう話があるということで、類型から漏れるというのは、例えば今のみなし法人、これは大変たくさんのみなし法人がありますので、一つ一つがなかなか精査できないという形で漏れてしまうものがある。事業実態があるものもあるということは承知をしております。

 そして、あと外国法人も、田嶋委員がおっしゃるようなものもあるということですから、そういうのが漏れているという類型としてお話をさせていただきます。

田嶋分科員 個別の会社の名前を出す必要はありませんから。ただ、みなし法人も漏れている、風俗関係も漏れている、あるいは外国法人も漏れている。言われなかったら分からないもの、それは。交付金をもらっていたって、どっさり。だから、結局使い道がはっきりせずに余っちゃうということもあると思いますよ。

 是非、今大臣、いい御答弁を言っていただいたと思います。類型は指摘してほしいんです、外国法人というのがあるよと。外国法人というのは海の向こうで事業をやっているんじゃないよと。二十年も三十年も日本で税金を払っている、普通の中小・小規模企業が何にももらえていない状況があるよと。是非そのことをお願いをしたいというふうに思います。ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係で一個飛ばしますが、それでは、風力発電の話に移りたいと思います。

 銚子、私の千葉の銚子、大臣のお隣の県ですけれども、洋上風力、動きが出始めておりまして、五島列島に次ぐ秋田の二件と千葉県で、非常に私も楽しみにするところでございますが、今日は、この洋上風力発電を、結論から先に言いますと、電源立地地域対策交付金の対象事業にしてほしいと。それを大臣に決めてもらえば、私、後の質問をしなくていいんですよ、本当の話。

 だから、まずは、この質問、今まで大臣にした人、いますか。いないですか、いなければ、私は、銚子の、地元の声ですから、これ。だから、やはり本当にリアルな話ですよ。五島列島あり、秋田もあり、だけれども、私の県の銚子から何でないのという声が出るわけですよ、だから、それをよく聞いていただいて。是非、今日はほかの委員はいらっしゃいませんが、配付資料もございますので、ちょっと、せっかくですから配付資料を見ていただきたいんです、一ね。

 これぐらいしか分かりやすいのがなかったんですけれども、電源三法制度という、昔からの、田中角栄さんが作られたようでございますが、法律三つによって、こうした形でお金を、電源を持っている自治体の方にお金を流していく仕組みでございますということなんですね。私の結論としては、是非、洋上風力にも少し回した方がいいんじゃないかということでございますが。

 政府目標としてカーボンニュートラル二〇五〇なんですけれども、大臣は、今後政府が最も力を入れて発電能力の開発、拡大を進めていくのは何の発電種別だと考えていますか。

梶山国務大臣 資源のない国でありますから、全ての電源についてしっかり力を入れていかなくちゃならないと思っておりますし、課題について解消していかなくちゃならないと思っております。

 そういった中で、洋上風力については今はほとんどないわけですから、その力の入れ具合ということになると、洋上風力というのも当然入れて、二〇四〇年に三千から四千五百万キロワットという想定を置いて、設置をしてまいりたいと思っております。

田嶋分科員 これも官僚答弁よりは踏み込んでいただいて、ありがとうございます。日経新聞の一面トップなんかにばんと出まして、なかなかすごい数字が、何か安倍内閣時代には何も出てこなかったのがいきなり出てきて、それ自体、私もよかったと思っているんです。私はもうちょっといきたいなと思っているんですけれども、でも、かなり踏み込んでいるなという印象なんですね。だから、今おっしゃったように、今ほとんど何もないから、すごくこれは力を入れていかなきゃいけないというふうに、共通認識でございます。

 そうなると、なおのこと、大体どのぐらいの交付金かというと、この表一ですけれども、電気を使っている皆さんの毎月の使用料に入ってくるわけですが、電源開発促進税というのは三千億以上なんですよ。相当な額ですよね、相当な額。

 では、事務方で結構ですけれども、これを、どのぐらいの立地交付金の総額なのか、それから現在はどういう電源種別に幾ら配られているのかを、結論だけ教えてください。

宗清大臣政務官 済みません、御答弁申し上げます。

 経済産業省が所管している電源立地地域対策交付金のうち、原子力、火力、水力、地熱を対象としている相当部分の令和二年度の予算額相当が約七百六十二億円。電源種別の割合は、原子力が約六五・八%で約五百二億円、火力が約一%となっておりまして約八億円、水力が約七・五%で約五十七億円、地熱が約〇・〇三%となっておりまして約〇・二億円、電源種別に分けられないものが約二五・六%となっておりまして、金額では約百九十五億円となっております。

田嶋分科員 電源種別で分けられないというのも、私が役所に言ったのは、発電量が県外にどのぐらい出ていっているかでやっているということだから、それは按分できるでしょうと言って、それも含めての。持っているの、その数字も。(宗清大臣政務官「はい」と呼ぶ)何だ、もったいない、時間が。はい。

宗清大臣政務官 大変失礼いたしました。

 電源種別に分けられない約百九十五億円について申し上げますと、道県内の発電の電力量から消費電力量を差し引いたものに交付単価を乗じることで算出をしておりますけれども、しかしながら、消費電力量は電源種別に分けることができないものがあるために、この予算額につきましては電源種別の内訳を算出することができないわけでございます。

 その上で、算出に用いております電源種別の発電電力量の割合を申し上げれば、原子力は約四七・六%、火力は約四四・三%、水力は約七・八%、地熱は約〇・三%となっております。

田嶋分科員 ちなみに、元々最初から、原発だけのための、何というか、名目がある部分も入っていると思うんですけれども、それの合計金額というのは計算してありますか。

 分かりますか。言っている意味、分かる。

 まあいいや、時間がもったいない。

 元々最初から原発向けで決まっちゃっている部分が五百八億円というふうに大体聞いているんですね。

 いずれにしても、大臣、今の数字から分かっていただけるように、ほとんど原発のための制度なんですよ、これ。昔は火力があったらしいんですね、結構大きく。ところが、今は沖縄の火力だけになっている。なぜですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは電源立地交付金における火力発電の扱いということなのでございますけれども、火力発電は、電源立地交付金が創設された一九七四年度から対象となっていたわけでございますが、地球温暖化対策等を目的とする二〇〇三年の制度改正により、沖縄県に立地するものを除いて原則立地交付金の対象外と整理したものでございます。

 この中で、沖縄をなぜ残しているかということでございますけれども、これは、域内における電力の安定供給に支障を来すおそれがあるために、引き続き供給立地の対象として残したものでございます。

田嶋分科員 ありがとうございます。

 今のような理由はどこにも、法律に書いてあるわけじゃないですよね。ただ、政策判断として、ある時期に、元々は火力が入っていたけれども地球温暖化のことがあったので落としました、ただ、沖縄はやはりほとんど火力だから沖縄は外せないよねという、どっちも、何というか、法律事項じゃないんですよね。

 そこで、私は、大臣に今までのことを御理解いただいた上で、これから主力電源ですよね、風力が、主力電源。原発は主力電源ですか、今後。違いますよね。火力も違う。主力電源って風力発電とかの再エネだけですよね、大臣。何でその主力電源を応援しないんですか。

梶山国務大臣 再生可能エネルギーというのは、可能な限り導入していくということで主力電源化するという表現を使っていますけれども、主力電源というのは幾つもあるわけですね。ベースロード電源もそういうことになりますし、安定電源ということであれば、風力や太陽光よりもベースロード電源として向いているものもあるということになると思います。

田嶋分科員 そのベースロード電源しかこの制度は応援しないということが法定されているんですか。

梶山国務大臣 長期固定電源という見方をしております。固定電源というのは、やはり出力が一定であるということも含めてベースロード電源ということでありますけれども。ただ、今後の話に関しまして全て排除しているわけではありません。ですから、将来的には検討し得るものと。

 再生可能エネルギーも、どのくらい発電できるのかということも含めて、また、課題解決ということになると、今度は不安定なものを安定するにはバッテリーだったりそういうことになりますけれども、そういったものの解消も含めて、今後、将来には検討し得るものであると思っております。

田嶋分科員 将来と言わず、是非、今日聞いていただいたので、それは確かに理があるよねと大臣に一言言ってほしいんですよ。

 だから、早速役所に研究させて、それは、今までのいろいろな経緯があって、火力がだんだん減ってきて、今、事実上、原発のためのお金になっている。全ての電気の消費者から〇・三七五円か何か取っているわけでしょう、キロワットアワーね。だから、全体で三千億ぐらいの金を用意して、そのうちの一千億近くが使われているんですけれども、その半分以上は原発の地域に行っているんですよ。

 原発に関しては今日は詳しくやりませんけれども、私は、せっかく、やはり、これから先ほどのすごい量の洋上風力もやらなきゃいけないんでしょう。それは、私が前から強調している国家戦略として、国策としてこれからやるんですよ、海に囲まれたこの日本が。そこを、この仕組みを活用しない手は僕はないというふうに思うんですよ、そこはやはり是非もう一歩踏み込んで、今日から検討を始めていただきたいです、大臣。

梶山国務大臣 原子力発電が圧倒的に大きな割合を占めているというのは理由があるわけでありまして、安全確保への地元の住民の不安などの様々な御負担をいただいているというのが実態であると思っております。そういった面も含めて、原子力発電所に関する立地交付金というものが多くなっているということであります。

 ただ、今委員がおっしゃったように、今後の電源についても将来は検討し得るものだと思っております。

田嶋分科員 大臣のおっしゃることが、実際のところ、配付資料の二ページ目に載っているとおり、すごいお金が流れる仕組みが確立されておりまして、いろいろと賢い人が今まで制度をつくってきたんだなということを思うんですけれども、固定資産税のこともあるし、地域の経済のこともあるし、やはりお金がいろいろ流れているので、やはり少し、これから主力電源である風力はちょっとよく考えていただきたい。これはファームですから、でかいのがこれからできるわけであります。

 最後に一問、いいですか。じゃ、最後に一問だけお尋ねをいたしますけれども、これ、なかなか、質問が、区切りが悪くなっちゃった。もう時間だよね。分かりました。

 じゃ、今日はこれで終わります。ありがとうございました。

山際主査 これにて田嶋要君の質疑は終了いたしました。

 次に、穂坂泰君。

穂坂分科員 ありがとうございます。自由民主党の衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、この分科会、最後の質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、皆様方にお礼を言いたいというふうに思います。このコロナ禍において、企業の支援であったり、また、雇用を守ったり、様々な企業への支援金、雇調金、様々な支援、いろいろな面で対応していただいたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 様々な批判にさらされたり、また、国民の声を聞いて路線変更したり、そんなところにも対応していただきました。なかなかこういった国民の声、届かないというふうに思いますので、私も国民の代表の一人として、役所の皆様にもお礼を言いたいというふうに思います。

 私の地元埼玉県の部局、公務員の皆様、市町村の皆様も本当に頑張っていただきました。こういった頑張りに報いるためにも、この場は一旦しのいだという形にはなっているというふうに私は思いますので、これから更にこの日本経済また日本を立て直して初めてその感謝が形になるんだろう、そのように思っておりますので、一緒になって頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そこで、今回取り組んだ政府の企業支援、様々な支援があったかというふうに思います。それぞれについて、持続化給付金であったり家賃支援給付金、再構築補助金、時短への協力金、雇調金等ありましたが、それぞれの金額と、そしてまたその総額の事業規模、外国と比べて、こういったところが分かりましたら、是非とも教えていただければと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の各種支援策につきましては、持続化給付金は約五・七兆円、家賃支援給付金は約一・二兆円、雇用調整助成金は約三・〇兆円、地方創生臨時交付金の協力要請推進枠等は約二・一兆円、事業再構築補助金は約一・一兆円の財源を確保してきたところでございます。

 政府といたしましては、こうした事業者支援策を含め、新型コロナウイルス感染症に対する厳しい影響に対しまして、国民の命と暮らしを守るべく、これまでも累次の対策を講じてきたところでございますけれども、事業規模で見ますと、合わせて二百九十三兆円、対GDP比で五割超と、国際的に見ても最大級の規模の対策となっているところでございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 最後に言いました、事業規模でいえば本当に世界最大規模の経済対策であるというふうに思っております。

 是非ともこういったところも国民の皆様方に知っていただきたいな、そういうふうに思っておりますし、また、中小企業等で見れば、やはり固定費の補助、人件費であったり家賃であったり、そしてまた経費に対する持続化給付金であったり、こういった様々な支援が入って本当に助かったところもたくさんあるというふうに思います。

 一段落をしたら、企業に対してどれぐらいの支援があったのか、それが外国と比べてどうだったのか、そういったものを是非ともどんどん出していただいて、我々、地元に帰って、その資料を持っていろいろな方々に話したいというふうに思いますので、まとめて是非とも出していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。日本政府は、私はかなり突っ込んだお金も出してくれたな、そういうふうに思っております。

 ここで、先ほどもお話触れましたが、こういった支援、何度も言いますが、ここで終わってはいけない、ここから更に立て直して初めて今の支援が実るんだろうというふうに思います。

 やはり、何といっても、今GDPが大きく毀損をいたしました。まずはその部分を埋めて、そしてまた、ここで残ってくれた中小企業、日本のストックを使って、やはり、更なるこのGDPのアップと、そしてまた日本再生に向けて頑張っていかなければいけないというふうに思います。

 まずは、その毀損したGDPを助けるといった意味でも、御苦労があった、まずは大きく傷ついた分野、やっていかなければいけません。GoToトラベルであったり、GoToイート、そして、何といってもGoToイベント、イベント業が一番今傷ついているんじゃないか、率でいえば傷ついているんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、そういった、今回頑張って政府に協力したんだけれども大きく傷ついたところ、こういったところにも目を向けていただきたい。

 そしてまた、その中の一つとして介護事業所があります。介護とか医療とか、そういったところも非常に頑張っていただきました。特に、介護事業者においては、クラスターという本当に怖い状況の中でも一生懸命介護を支えてくれた、そういった実績があるんですけれども、今回、地元を回っていて、事業再構築補助金の話をさせていただきました。非常に、中小企業にとっては、金額も多いですし、補助率も高い、そういったところでいけば、非常に感謝される補助金でありました。

 しかしながら、介護事業所を回ったときに、医療法人があったり社会福祉法人があったり、介護事業は株式会社でもできるので、こういった様々な介護事業者を集めてディスカッションしたんですけれども、その中で出てきたのが、事業再構築補助金、株式会社の介護事業だったら使えるんですけれども、医療法人であったり社会福祉法人であったりすれば使えないということが言われました。

 今までのIT補助金とかものづくり補助金とかもそうだったかというふうに思いますが、今回のこのコロナ禍における補助金というのは少し性質は違うのかなというふうに思いますし、先ほども言いました、金額も補助率もこれだけ高い補助金でありますので、どうかこの医療法人とか社会福祉法人にも使えるように考えていただきたいというふうに思いますが、こちらの御見解をいただければと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 事業再構築補助金でございますけれども、中小企業、中堅企業などが取り組む新分野への展開、それから業態転換、こういった事業の再構築を支援することで日本経済の構造転換を促すということを目的としております。

 中小企業、中堅企業と申し上げると、株式会社あるいは個人事業主、こういったことが基本でございますけれども、これに対して、医療法人、それから社会福祉法人といった法人を事業再構築補助金の対象とするか否かについては、現在検討中というところでございます。

 医療法人、社会福祉法人については、今先生が御指摘になったような御要望があるという一方で、国による様々な支援策、診療報酬、介護報酬といったところで賄われる部分もあるというふうに承知しておりまして、こういった諸施策との関係あるいはバランスといったことも考慮しながら検討してまいりたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 是非とも前向きな検討をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今、介護事業所の決算書を見させていただきますと、非常につらい状況になっています。やはり高齢者の皆さんが外に出てこない。そうすると当然稼働率も落ちていく。そして、今回クラスターがあったところ、補填されるかといえば、今これは要望していますけれども、なかなかお金も入ってこない状況であります。

 ここを比較して言ってしまってもなんですけれども、やはり厚生労働省の補助金というのは、少しこう、ちょっとしょぼいというか使いづらいというか、そういったところが非常にあります。是非ともこういった思い切った事業再構築補助金のようなもの、全業種に適用できるようにお願いできればなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次の質問に入らせていただきます。

 私は、今回のこの今経済対策、一つ、目をみはるところがあるとするならば、やはり失業率だと思います。今現在、足下を見ますと、二・九%という形になっています。私は、アベノミクスの最大の成果は失業率を大きく下げた、ここが大きな成果だというふうに思っておりますが、最大で二・二%までいきましたが、今は二・九%、一時三%を超えましたが、少し持ち直したという状況になっています。

 日本だけで見れば、上がってしまったという判断ではありますが、世界を見れば、この失業率というものは非常に今高い数字になっています。欧米では六%から九%、中には一〇%を超える国々も出てきてしまったというふうになっています。

 御質問させていただきますが、日本のこの失業率、低水準で維持するために、こういった対策をいつまでやるのか、どれぐらいやるのか、そちらについて、今分かっている範囲で教えていただければと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症に対応した雇用対策でございますが、雇用調整助成金につきまして、前例のない特例措置を講ずることによりまして、これまで約二百九十万件を超える支給決定を行い、事業主の皆さんの雇用の維持の取組を強力に支援してきているところでございます。

 先生も御指摘ありましたが、コロナ禍においても、我が国の完全失業率は直近で二・九%と、主要国の中で最も低い水準で推移しており、雇用の維持というこの助成金の目的を一定程度果たしているものと考えております。

 今後につきましてでございますが、現行の緊急事態宣言を前提といたしますと、現在行っております日額上限一万五千円、助成率最大十分の十等の特例措置を四月末まで継続いたしまして、その上で、五月以降は雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置を段階的に縮減することとしてございまして、その場合でありましても、感染が拡大している地域の企業や特に業況が厳しい事業につきましては、二か月間特例措置を講ずる、五月、六月ということで考えてございます。

 また、七月以降につきましても、雇用情勢が大きく悪化しない限り、更なる縮減をすることとしてございます。

 いずれにいたしましても、その時々の感染状況や雇用情勢等をしっかり見極めながら、引き続き適切に対応してまいりたいと考えてございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 今、一定程度とありましたが、やはり私は非常に大きく貢献をしてくれた制度だなというふうに思っています。

 是非、いつまでとかではなくて、やはり数字を見ながら対策というのは立てなきゃいけないなと思います。この二・九%という世界に誇るべき数字、せっかく残しているんですから、こういった数字を維持するために、じゃ、いつまでやっていくのか。一概にこの緊急事態宣言が解けたからとか、そうではなくて、やはりそういった数字も見ながら対策を立てていただきたいなというふうに思います。

 日本というのは、やはり何といっても経済対策は失業率だというふうに思います。失業率を下げて、インフレターゲットをつくってGDPを上げていく、こういった循環をつくっていく、GDPが上がれば自然にまた失業率も下がっていくだろう、そのように思っておりますので、その循環をつくるときに、今、雇用調整助成金で何とか雇用を維持している中小企業が切られてしまっては、新しい投資もできないし、また、雇用も維持することができなくなる、是非ともそのタイミングの見極め、難しいとは思いますが、よろしくお願いを申し上げます。

 この失業率というものは、選挙においても非常に重要な数字になってきます。というのは、国民の皆さんはやはりここだと思うんです、食いぶちだと思うんです。働く場所があるということ、そして、この働く場所があるということが自殺率を減らしていくのであったり、また、いじめとかそういった問題にも私は非常につながってくるんだろうな、もちろん治安もそうです、そういったところにつながってくるんだろうなと思いますので、何度もしつこく済みませんが、よろしくお願い申し上げます。

 この失業率について、関連した質問をさせていただきますけれども、日本国全体で考えていけば、労働者でも失業者でもやはり国内にいる日本の大事な財産だというふうに思います。企業でしたら、リストラをして労働者を外に出せば、そこに対するコストもかかりませんし、筋肉質になったりスリム化していったり、企業体質になると思いますが、国というのは、そういったところを見捨てた瞬間に失業率になって、また、そこの資産がフル活用できなくなっていくような状況が出てきてしまいます。この失業率をつくらないためにも、私は、労働者の権利を守りながらも、やはり労働市場というものを流動化させていく、こういった準備を徐々に進めていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 時代とともに、経済構造であったり産業構造は変わってきます。ある産業から別の産業に移りやすくするような、こういったものをどんどんどんどん推奨することによって、私は、経済構造の転換とともに、労働者も動いて、失業率を結果的になくすことができるのではないか、そのように思っています。

 すぐに次が見つかるという、この労働者の安心感があることによって、私は労働市場ができ上がっていくんだろうというふうに思いますが、例えば、今、週休三日制の議論をしています。三日とか四日とか出てきておりますけれども、ここで、いつも座談会とかで出てくるのは、週休三日、四日どうですかといったときに、給料は減るんでしょうと言うんですね。ノーワーク・ノーペイの原則かもしれませんけれども、週休三日となったとしても、同じ成果があれば同じ給料を出すような、やはりこういった意識というものが日本にはなかなかまだまだ根づいていないなというふうに思います。

 以前、働き方改革で高プロ等がありました。労働裁量制の問題がありましたけれども、こういった議論も必要なんじゃないか。

 そしてまた、副業、兼業に関しても、今、厚生労働省の方は進めて、モデル就業規則等を作りながら進めているとはいいますが、例えば、社会保険料を按分化していったりとか、相手の企業と共に一緒にやっていくみたいな、すごくこれも壁が高い、ハードルが高い仕組みになっているのかなというふうに思います。

 そしてまた、解雇についても、これも非常に大きな壁がある。当然、労働者の権利、生活というものは守らなければいけませんけれども、今回のコロナで思ったのは、大企業のところというのはしっかりしています。解雇にしても、事前の退職希望者を募り、適正な手続をもってやっていくんですが、中小企業はやはりそうはいかないんですよね。最後の最後まで踏ん張って何とかしようという中で、急に突然倒産になったり、急に突然解雇を言い渡されたり、全然事前の準備がなくやっていくようなところが実は今回散見をされています。私の地元の企業だけですけれども、散見をしているように思います。

 この解雇というものも、法的にやはりもっと流動化をしていかなければいけないんじゃないかな、そんなふうに思っています。今、定年退職だけが法的な、許される退職ではありますけれども、解雇では、いわゆる解雇かもしれませんけれども、法的に認められるものでありますけれども、やはりそういった金銭解雇等のルール化もしっかり行っていくべきだというふうに思います。

 上記、今三つ挙げさせていただきましたが、こういった議論を踏まえて、経済産業省の見解、お聞かせいただければと思います。

山際主査 経産省。厚労省ですか。(穂坂分科員「済みません、厚労省です」と呼ぶ)

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 人生百年時代を迎えて、若いうちから希望する働き方を選べる環境整備というのは非常に必要なものだというふうに思っております。副業、兼業など、多様な働き方への期待も高いというふうに思っております。

 副業、兼業につきましては、希望する方が最近増加傾向にある一方、労働時間の管理や把握が困難等を理由に副業、兼業を認めない企業が一定数いらっしゃるというふうな状況でございますので、これに対応する形としてガイドラインというものを改定をいたしております。これは令和二年九月一日に副業・兼業の促進に関するガイドラインというのを改定しまして、労働者の申告に基づいて副業先での労働時間の把握をすることができるなど、ルールを明確化したところでございますので、引き続き、丁寧に周知を行って、企業も、それから労働者も安心して副業、兼業を行うような環境を整備してまいりたいというふうに思っております。

 また、解雇ルールでございますけれども、解雇無効時の金銭救済制度については、労働者保護の観点から、現在、有識者による検討会において、法技術的論点について検討しているところでございます。最終的には労働政策審議会で結論を得ることとなりますけれども、昨年七月に閣議決定されました成長戦略フォローアップでも、可能な限り速やかに検討を行うとされていることも踏まえまして、検討会の結果も踏まえつつ、閣議決定も踏まえて、引き続き、労使ともよく相談しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 それから最後に、労働者の成果に応じた賃金の支給でございますけれども、これは特に法律上何か規制しているものはございませんので、賃金制度について各企業の中で労使でお話合いになっていただければ大変いいかなというふうに考えております。

 以上でございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 今回、在宅ワーク、リモートでの仕事という形でありましたけれども、そのリモートの、家の時間でも把握しなければいけないとか、そのようなことも聞いております。

 やはり日本というのは時間による労働というものにすごく縛られているところでありますので、そういったところ、厚生労働省としては、労働者の権利、やはりこういったものを守らなければいけないというふうに思いますが、経済産業省から見れば、やはり企業の成長とか、そしてまた経済全体の成長とか、そういったものを考えながら議論を発展させていただければなというふうに思います。

 この労働市場の流動化というものは、私はこれは避けて通れないものだというふうに思っておりますし、これをやらなければ日本の経済成長は鈍化してしまうんだろうなというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、これが国民の、労働者の一人一人の能力を更に引き出す、そしてみんなが輝く、そんな社会につながると思います。よろしくお願いします。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 今回、ウイルスに対する消毒薬、洗剤について、こちら、説明をさせていただきます。

 今回のこのコロナ禍において、私のところにも非常にたくさんの業者さんが来ました。私のところのこの消毒液は何とか大学が認めたんだとか、何とか機関が認めたんだというものがいっぱい来て、じゃ、どれが本当に効くのかというものが私自身もさっぱり分かりませんでした。

 その中で、じゃ、経済産業省に聞いてくれとか、いろいろ言われたんですけれども、果たして、こういった日本の中で、どういった洗剤が効くのか、どういった消毒薬が効くのか、こういったものにお墨つきをつける機関があるのかどうか。例えば、アメリカでしたらEPAであったりCDCであったり、こういったところがありますので、そういうところがお墨つきをつければ、認められた洗剤として、エビデンスのある洗剤として使えるという形になります。

 今回も、この消毒、洗剤、掃除に入るときに、日本の建物なのに、日本の企業なのに、どの洗剤を使うのかといえば、やはりアメリカで認められた洗剤を使うとか、わざわざアメリカから輸入して使うとか、そういったものも見られました。是非とも、こういったエビデンスをつくるような機関を日本の中にも置かなければいけないと思いますし、今までの取組と、そしてまたこれからについて見解がありましたら教えていただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました、消毒薬、洗剤についての、まず規制に関する部分について申し上げていきたいと思います。

 まず、人の疾病の予防等を目的とする消毒薬などの製品につきましては、医薬品又は医薬部外品に該当いたしまして、いわゆる薬機法の規制対象となります。医薬品又は医薬部外品につきましては、信頼性の確保された承認申請資料に基づき審査され、品質、有効性及び安全性が確認されたもののみが承認されているという形になります。

 また、洗剤等につきましては、景品表示法の優良誤認表示の規制の対象となる可能性がございます。具体的には、一般消費者に対しまして、実際のものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある場合、この場合には消費者庁からの措置命令等の対象となるというものでございます。

 これらの消毒剤や洗剤等の様々な製品のウイルスに対する効果の検査でございますが、民間検査機関が存在してございまして、これらを主体といたしまして、既存の法規制や製品の特性等を踏まえつつ、まさに様々なアプローチの仕方があるものと存じます。そのため、現時点で統一的な検査機関を設けることは考えておりませんけれども、引き続き、経済産業省といたしまして、関係省庁とも連携し、必要な対応をしっかり行ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 今、様々なアプローチがある、民間の検査機関があるという形でありましたけれども、こういったことがばらばらだと、やはりまた同じことが、今度またこういったウイルスパンデミックのようなことがあると同じようなことを繰り返すのかなというふうに思います。じゃ、本当に何が効くのかというものをもっと分かりやすく出せるような、一本化できないのかもしれませんけれども、是非とも今後こういった事態に備えて準備を重ねていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きましての質問でございますが、電力市場の適正な競争環境について、二つ続けて質問をさせていただきます。

 今回、御存じのとおり、電力需要が逼迫して、非常に電気料金が高騰をいたしました。こういった、電気需要が逼迫したんだということを地元で話しても、国民の皆さん、余り知らないんだなということをすごく感じます。私は、本当にこれは非常に危機的な問題だというふうに捉えているんですけれども、なかなか、知らなかった、知らないんだなということをちょっと感じたところではあるんですけれども、その電力を見ている中で、新しく入ってきた新電力がこれは逆ざやになっていったり、また価格連動する新電力であったら、市場価格と連動するものであったら、非常に高い請求が中小企業、家庭に行ってしまった。こういった話も多く出ました。

 LNGの船が遅れたとか、寒さがあった、また自然エネルギーの供給、太陽が出ませんので、これが不足したというものがありましたけれども、やはり、こういった市場を整えていかなければ、国民の皆さん、当たり前のように電気を使っているという状況の中でいけば、しっかりとした整備が必要だというふうに思いますが、この市場の整備、どうしていくのか、これがまず一点。

 そして二点目が、今回のこの価格が乱高下した中で、やはり発電と小売一体のところはうまく連動できるのかなというふうに思います。ここにもやはり何らかの規制は入っていると思いますが、やはりそういった価格の変動にさらされないところと、思いっ切り価格の変動にさらされるところ、ここが不公平な競争になってしまうのではないか、今回そのようなことを感じさせていただきました。

 市場の整備、そしてまたこういった不公平な競争について、御質問をさせていただきます。

松山政府参考人 まず一点目について、私の方から御答弁させていただきます。

 今回の電力の需給逼迫に伴う卸電力市場の価格高騰でございますが、特に市場調達に依存の高い小売電気事業者の方々が事業上の困難に直面されたり、これが需要家に対する料金転嫁という形になりました場合の消費者の方々の御不安ということが生じたというふうに認識してございます。

 経済産業省としましては、消費者向けの相談窓口の設置や注意喚起といったことを行いますとともに、事業ということでございますので、市場連動型メニューを提供する新電力等に対しましては、支払いに対する柔軟な措置を要請したところでございます。

 また、支払いの分割や猶予など消費者の負担を軽減する措置を行い、その旨を周知している新電力の方々に対しまして、送配電事業者に支払う一月分の精算金を五か月に分割して払うということができるような措置、これによって事業環境を何とか整備するという対応をしたところでございます。

 今委員が御指摘のように、これは市場の制度の話にも密接に直結するところでございます。小売自由化が始まって五年でございます。改善すべき点もあるかと認識してございます。今回は、インバランス料金という精算金の上限を二百円という形で導入する措置を前倒しで実施したわけでございますが、今回の高騰を受けて、この検証をしっかり進め、市場の変動ということに対する制度の在り方ということを検討していきたいと考えております。

 また、あわせて、今回は電力の安定需給の重要性ということが改めて浮き彫りになった事象だと考えてございます。現在、エネルギー基本計画の見直し若しくはカーボンニュートラルの実現に向けた議論を進めているところでございますが、電力の安定供給の確保の重要性を踏まえた検討を進めていきたい、こう考えてございます。

佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。

 二点目の、発販一体となっている大手電力と新電力の適正な競争があるかどうかという問いでございますが、私ども、旧一般電気事業者の発販分離の論点については、発販一体会社の発電部門が小売部門に対して他の小売事業者と比べて不当に優遇された条件で電源を供給することで、こうなりますと小売市場の競争が歪曲されるというのが、御指摘いただいたような本質的な問題点であると思っております。

 この点、当委員会におきましては、旧一般電気事業者の発電部門から小売部門が不当に優遇された条件で電源を調達することを防止するために、有識者による審議会での検討を経まして、昨年七月に、旧一般電気事業者に、社内外、グループ内外無差別に卸売を行うこと等のコミットメントを強く要請いたしまして、各社がこのコミットメントを実施しているというふうに承知をしております。

 この各社のコミットメントの実施によりまして、旧一般電気事業者の発電部門から小売部門が不当に優遇された条件で電源を調達するという問題については、相当程度対応が進むものと考えております。

 さらに、これに加えまして、旧一般電気事業者の発販間の取引の透明性を高める具体的な方策でありますが、これはやはり、社内取引価格の設定をしていただいて、社内体制の整備の早期具体化が必要だと思っております。

 今回のスポット価格の高騰も踏まえまして、今後、各社の今申し上げましたような取組の徹底及び加速化に努めていくように、私どもとしても対策を進めていきたいと思っております。

穂坂分科員 ありがとうございます。

 是非、安定した電力供給、そしてまた適正な競争環境、よろしくお願いいたします。

 最後の質問をさせていただきます。

 グリーン政策による経済成長について、今回、二〇五〇年までにカーボンニュートラルを達成するということで宣言をされました。このグリーン政策からイノベーションが生まれたり、また新しいビジネスが生まれてくるというふうに私も期待しているところであります。

 このSDGsというものが結構広がりまして、今回こういった政府の動きから、やはり中小企業もそういった意識を非常に持っているところが増えているなというふうに思いますし、また、私の地元の不動産、建設、こういったところが気温が上がらないような設計をしたり、またペンキを工夫したりとか、そういったこともやるような動きがあります。

 是非とも、こういった頑張っているところの応援も含めて、こういった企業がどんどんどんどんこのグリーン政策に入ってくるような、そういったポジティブな是非メッセージを政務の先生方からいただければと思います。よろしくお願いします。

宗清大臣政務官 お答えさせていただきます。

 エネルギー、そして環境技術に強みを有する我が国といたしまして、地球温暖化への対応というのは、もはや経済の制約ではなく、次の成長の原動力になると捉えております。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は簡単ではございませんけれども、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を大幅に加速をする必要がございます。こうしたカーボンニュートラルへの挑戦の道のりが日本経済の成長戦略となるというふうに考えております。

 昨年末に取りまとめをいたしましたグリーン成長戦略では、産業政策、エネルギー政策の両面から成長が期待される分野、産業、こういったものがございますけれども、具体的には十四の重要分野ごとに実行計画を策定しておりまして、国として高い目標を掲げ、可能な限り具体的な見通しを示したところでございます。

 大切なことは、この戦略を実行して、民間企業の皆様方がイノベーションに挑戦しやすい環境をつくっていくことが重要であるというふうに考えております。

 中小企業は日本の経済を支える屋台骨でございますし、イノベーションの源泉であると思います。政府として予算や税、規制改革、標準化、国際連携などあらゆる政策を総動員をいたしまして、中小企業を含めて企業の前向きな挑戦を全力で後押しをしていきたいと思います。

穂坂分科員 ありがとうございました。私も頑張っていきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山際主査 これにて穂坂泰君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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