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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 達也君    西村 康稔君

      古屋 圭司君    江田 憲司君

      落合 貴之君    輿水 恵一君

二月十五日

 西村康稔君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 西村 康稔君

      伊藤 達也君    古屋 圭司君

      山本 左近君    江田 憲司君

      小熊 慎司君    落合 貴之君

      松原  仁君    緑川 貴士君

      河西 宏一君    輿水 恵一君

   兼務 塩崎 彰久君 兼務 土田  慎君

   兼務 中野 英幸君 兼務 近藤 和也君

   兼務 遠藤 良太君 兼務 庄子 賢一君

   兼務 鈴木  敦君 兼務 宮本 岳志君

   兼務 福島 伸享君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   外務大臣政務官      三宅 伸吾君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   経済産業大臣政務官    吉川ゆうみ君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   三浦 章豪君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 内田 欽也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松下  整君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  根本 幸枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    宮浦 浩司君

   政府参考人

   (林野庁次長)      織田  央君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 敬司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            松尾 剛彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    角野 然生君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山田 知裕君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            大野  達君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     山本 左近君

  江田 憲司君     松原  仁君

  落合 貴之君     小熊 慎司君

  輿水 恵一君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     古屋 圭司君

  小熊 慎司君     堤 かなめ君

  松原  仁君     菊田真紀子君

  國重  徹君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     中島 克仁君

  堤 かなめ君     緑川 貴士君

  河西 宏一君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  中島 克仁君     野間  健君

  緑川 貴士君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  野間  健君     江田 憲司君

同日

 第二分科員福島伸享君、第三分科員土田慎君、宮本岳志君、第四分科員中野英幸君、庄子賢一君、第五分科員塩崎彰久君、第六分科員近藤和也君、鈴木敦君及び第八分科員遠藤良太君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

西村主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました西村康稔です。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 令和四年度経済産業省関係予算案の概要を御説明申し上げます。

 令和四年度予算案の編成に当たっては、コロナ禍における中小企業、小規模事業者等の事業継続や生産性向上、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度の新たな温室効果ガス排出削減目標の実現と安定的で安価なエネルギー供給の両立、デジタル化の推進、経済安全保障の確立、廃炉・汚染水・処理水対策と福島の復興の着実な推進などの施策を推し進めるため、経済産業省関係予算の確保に努めました。

 経済産業省関係予算案としては、一般会計三千五百三十五億円、エネルギー対策特別会計七千百八十一億円、特許特別会計一千五百四十一億円、合計一兆二千二百五十七億円を計上しました。また、復興庁計上の東日本大震災特別会計のうち、三百九億円が経済産業省関連予算案として計上されております。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようにお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明はお手元に配付しております資料のとおりですが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

西村主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま萩生田経済産業大臣から申出がありましたとおり、経済産業省所管予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本左近君。

山本(左)分科員 おはようございます。自由民主党東海ブロック比例代表選出の山本左近です。(発言する者あり)はい。ありがとうございます。

 本日は、人生で初めての質問となります。この国会の場に送り出していただきました国民の皆様、先輩議員の皆様、同僚議員の皆様、そして関係する皆様に、御礼、感謝を申し上げます。

 初めに、新型コロナウイルス感染症や自然災害などでお亡くなりになられた方々への哀悼の意を表します。また、現在も療養中の方並びに被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 先般のF15戦闘機の墜落事故で操縦者の二名の方がお亡くなりになられました。誠に痛恨の極みであります。心より哀悼の意を表すとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

 そして、本日も社会機能を支えてくださる全ての国民の皆様に感謝を改めて申し上げます。

 私は、今から約十六年ほど前にF1ドライバーとしてデビューし、時速三百五十キロを超える自動車レースの世界で戦い、挑戦してまいりました。本日は、我が国の基幹産業でもあり、私たちの生活と密接に関わる自動車に関する質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 自動車産業は、今、百年に一度の大変革期にあると言われております。政府は、カーボンニュートラル実現に向けたクリーンエネルギー戦略として、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現すると目指されておりますけれども、この電動車についての定義を教えてください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年策定いたしましたグリーン成長戦略において、乗用車については、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げております。

 この電動車とは、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車及びハイブリッド車の四つでございます。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいた中に、内燃機関を含むハイブリッド車も電動車であるということが確認できました。つまり、内燃機関を使いながらも脱炭素化を進めることが大事となり、その上では、燃料の脱炭素化も進めていくことが大変重要になってまいります。

 今、燃料の脱炭素化の実現を図るには、合成燃料という技術が注目されております。

 お伺いいたします。

 この合成燃料と呼ばれるものは一体どういうものでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 合成燃料とは、二酸化炭素と水素を合成して製造される燃料のことであります。FT合成、フィッシャー・トロプシュ合成反応などによって、人工的な原油とでもいうべき炭化水素化合物の合成物が製造され、それを精製することによって、ガソリン、ジェット燃料、灯油、軽油などの液体燃料が得られます。原料として二酸化炭素を用いることから、脱炭素燃料とみなすことができると考えてございます。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 つまり、合成燃料、今御説明いただきましたが、もっと簡潔に言えば、水素と二酸化炭素から、ガソリンやディーゼル、また、飛行機の燃料であるケロシンの代わりになるSAFと言われているものがありますけれども、こういったものを造ることができる、石油がなくても石油を造れる、こういった技術だということが理解できました。

 これは、我が国のエネルギー政策において、まさに大転換を迎えることができる、実現できる可能性があるのがこの合成燃料であると理解しましたが、このカーボンニュートラル実現においては、当然のことながら、合成燃料を国内で研究開発、製造拠点をしっかり整備していくことが日本の将来の経済安全保障につながるのではないでしょうか。

 それでは、お伺いいたします。

 この合成燃料を、国内においての研究開発や製造技術の向上、製造拠点の計画はございますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の合成燃料は、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献するだけではなく、国内でのエネルギー調達、加えて研究、製造の可能性も有しておりますため、経済安全保障の面でも利点があると認識してございます。

 こうした合成燃料の早期商用化を実現するため、逆シフト反応やFT合成プロセスといった既存技術の高効率化に向けた技術開発に加え、産学官連携によってダイレクトFTなどの革新的新規技術の開発にも取り組むこととしております。

 具体的には、グリーンイノベーション基金の活用などを通じ、国内におきまして、二二年度から小型試験装置による要素技術の性能確認、二五年度からは日量三百バレル規模のパイロットプラントによる運転検証を行い、二八年度末までに高効率かつ大規模な製造技術の確立を目指し、二〇四〇年までの自立商用化につなげていくこととしてございます。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 ただいま御説明いただきました、国内の製造拠点の開発と整備を進めていく予定であるということは理解いたしました。

 ただし、今説明があった中で、二〇二五年、三百バレル・パー・デー、二〇二八年には更に増やしていくというお話がありましたが、これを少しかみ砕いて説明させていただきたいんですが、三百バレル・パー・デー、つまり、年間約一千七百四十万リットルで、これを現在の乗用車一台当たりの年間消費量概算に当ててみますと、約二万五千台に当たります。もし仮に半分の消費量だったとしても約五万台。

 つまり、しっかり取り組んでいただいているとは思いますが、全体の自動車の走行量からしますと、まだまだ僅かな量でございます。この生産量を増やしていかなければならない、そういうふうに考えます。

 これまでEVシフトを積極的に進めてきた欧州のメーカーでも、この合成燃料に着目し、改めて内燃機関への可能性を探ってくるメーカーも出てきております。国際競争社会の中で、日本の基幹産業である自動車におけるカーボンニュートラル実現については、EVへの一本化ではなく、内燃機関を含む様々な選択肢が重要だと考えます。その選択肢を持つために、合成燃料や内燃機関の研究開発など幅の広い研究開発支援を、そして、国際競争に打ちかつために、スピード感を持った技術開発や生産拠点の整備への支援が必要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 委員御指摘のとおり、諸外国において合成燃料に関する研究開発プロジェクトが立ち上がっていることは承知しており、経産省としても、高効率かつ大規模な製造技術を早期に確立する必要が重要と認識しております。

 昨年六月に閣議決定された長期戦略実行計画において、CO2と水素の合成燃料について、技術開発、実証を今後十年間で集中的に行い、二〇四〇年までの自立商用化を目指すとされていることに基づき、本年一月からは、グリーンイノベーション基金を活用したプロジェクトの実施者の公募を開始したところです。

 また、自動車産業の二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、電気自動車や燃料電池自動車だけではなく、多様な技術の選択肢を引き続き追求することが重要であります。このため、合成燃料に対応した内燃機関や排ガス処理といった効率的な燃料の利用技術も開発してまいりたいと思います。

 こうした多様な技術開発などを着実に進めることにより、合成燃料の商用化や自動車産業のカーボンニュートラルが実現できるように取り組んでまいりたいと思います。

山本(左)分科員 大臣、ありがとうございました。

 ただいま、非常に前向きに、そして早期確立に向けた強いメッセージをいただきました。また、公募も開始されているということで、今後の合成燃料について非常に期待をして、大臣への質問を以上とさせていただきますので、大臣、こちらで御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 それでは、話を合成燃料から次の質問へ移らせていただきたいと思います。

 話は変わりますけれども、現在のガソリンの燃料価格の高騰についてお伺いさせていただきます。

 ガソリン価格は、二〇〇八年九月以来の十三年四か月ぶりの百七十円を超える高値水準となっております。コロナ禍で生活が打撃を受けている中で、ガソリン等の価格高騰で更なる生活への打撃となってしまいます。

 コロナ禍からの経済回復の重荷になる事態を防ぐために、現在、政府は、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とし、最大五円を元売事業者へ手当てを行う、コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業を実施していただいております。この予算は、八百九十三億円で、令和四年の三月末までとされております。

 既に効果が出ていることが確認をされております。二月七日のレギュラーガソリン平均価格が百七十三・七円となる予測だったところ、この対策事業により、百七十一・二円とマイナス二・五円の効果がありました。今後も継続した効果が期待されますが、まず、二点お伺いさせていただきます。

 補助金が適切に小売価格に反映されているかを確認するために価格モニタリングを行うということですが、この価格モニタリングはどのようなことを行っているのでしょうか。また、このモニタリングに関して非効率ではないかという声もありますが、このモニタリング事業の意義を教えていただけますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 小売店におきまして、この事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているかどうかをモニタリングするため、ガソリンスタンドについては、毎週、電話で販売価格の全数調査を行ってございます。

 この全数調査によりまして、卸価格の上昇以上に大幅に値上げをしていることが判明した事業者の方に対しては、この激変緩和事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているかどうか、個別に事情を確認し、制度について御理解をいただくことにしてございます。

 具体的には、卸価格の上昇に比べ小売価格が大幅に上昇している事業者に対して、事務局の調査員が訪問し、激変緩和事業の趣旨を説明するとともに、価格設定の要因、背景などについて確認することとしてございます。

 これらの対応を、なるべく効率的に、かつ、全国ベースできめ細かく行っていくことによって、この事業の効果をしっかりと上げていきたいというふうに考えてございます。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 ただいま御説明いただきましたとおり、全国ベースで、それぞれの販売業者さんに確認を取っていく、そしてきめ細かな対応をされているというのは、非効率な部分はあるかもしれませんが、これはやはり、国民の生活にしっかりとガソリンを届けていくということでは、ガソリン価格を安くするための、促すための努力をしていただいていること、大変理解いたしました。

 そして、次の質問は、この激変緩和対策事業は令和四年三月末までの予算となっておりますが、四月以降も百七十円を超える状態が続いた場合において、今後の対応についてはどのように検討いただいていますでしょうか。お聞かせください。

吉川大臣政務官 山本委員にお答え申し上げます。

 今後の原油価格の動向あるいは石油製品の販売量に応じて執行額は変化をいたしますが、制度開始から約一か月半執行実績がなかったこと、また、制度が発動する基準価格、こちらが四週間に一円ずつ切り上がっていくという制度設計もございますので、現段階において、予算が不足するということは想定をいたしておりません。まずは、現在措置している激変緩和事業、こちらを着実に執行してまいります。

 そして、その上で、原油価格の高騰、こちらがどの程度長期化していくのか、これを見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、国民生活あるいは経済活動への影響を最小化する、このような観点から、しっかりと効果的な対策、これは何かということを考えながら、総理の指示等を踏まえ、政府全体でしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 ただいま御答弁いただきました、今後について、やはり、まずはこれまでの確保した予算をしっかりと使っていく、そして、四月以降、もちろん、価格というのは変化がありますので、ずっと上がり続けるわけでもないということですが、可能性として、上がった場合においても、あらゆる選択肢を排除しない、そして包括的に対応していく、そして国民の生活を守っていく、本当に力強く、そして前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 ここからは、ガソリンの対策事業ではなく、アドブルーというものに対しての質問をさせていただきたいと思います。

 アドブルーとは、高品位尿素を用いた尿素水の種類の一種で、ディーゼル車など排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減するために用いられるものです。つまり、乗用車やバス、トラックなどで多く使われるものなのですが、このアドブルーが足らないというのが、昨年の秋から冬にかけて、物流業界では大変な状況が生まれていました。

 そうした中で、経産省から十二月二十四日付で需給緩和の対応と今後の見通しに関するリリースをされていると承知していますが、改めて、この状況が生まれた原因と、現在の需給についての状況、また今後の対応策について教えてください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ディーゼル車の排気ガスを中和するための薬剤である尿素水、いわゆるアドブルーにつきまして、需給逼迫が生じ、事業者の方々からその影響を懸念する声、また御心配をいただいたということについて、認識をしております。

 日本国内の需給逼迫の原因につきましては、原因である尿素について、昨年十月十五日以降、日本国内の供給量の約三割を占める中国からの輸出が滞ったことから生じたものと考えております。

 経済産業省としては、現下の状況を踏まえまして、国内の尿素生産事業者に対して最大限の増産を要請しているほか、外務省と連携し、尿素の輸出厳格化を行っている中国政府に対し、輸出の早期再開を要請したところでございます。この結果、本年一月以降、国内増産分により中国からの輸入の減少分が補われており、今後、需給の逼迫は引き続き緩和に向かっていくと考えております。

 いずれにいたしましても、引き続き、国内の需給動向を最大限注視しつつ、国民の皆様の生活や社会インフラを担う事業者の事業活動に影響が出ないよう、対策に万全を期していく所存でございます。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 ただいま御答弁いただいた中で、国内生産を増やしていただきながら、今後足らなくなることはないように対応いただいているということを改めて確認をさせていただき、そして、今後も継続的に、こういった状況が発生しないことをしっかりと注力していただきたいというふうに期待しております。

 続きまして、半導体の質問に移らせていただきます。

 半導体、これは実は自動車に欠かせないパーツの一つであり、そして、昨今の世界的な半導体不足による新車販売の遅れは、日々、ニュースでもあり、話題になっているところであります。昨年末の臨時国会において、経済安全保障の観点から、半導体の国内製造拠点の整備を進める法律を成立させていただいたことは記憶に新しいところです。

 そして、本日は、半導体の中でも、パワー半導体についてお伺いしたいと思います。

 このパワー半導体ですが、半導体のうち、電源などのパワーユニットのコントロールをするものをいいます。大きな電圧や電流に耐えられるように設計をされています。そして、ハイブリッド車やEV車におけるパワー半導体の効率アップ、これを目指していくことで、電力損失をいかに減らすことができるのかが、今後、大変重要な鍵になってまいります。

 そして、それを現在の半導体でクリアするという中で、今、新しい次世代素材のシリコンカーバイド、炭化ケイ素というものが注目をされております。このシリコンカーバイドはコスト面での課題が今非常に大きいわけですが、ただ、反面、このシリコンカーバイドのパワー半導体を試験的に使った自動車では、燃費の向上など、確実にエネルギー効率を高める結果が出ています。

 まさにカーボンニュートラルを目指すために必要となる次世代素材のシリコンカーバイドについて、今現在どのように研究開発を支援しているのか。また、今後、製造面やコスト面をクリアし、普及を進めていくためには、どのように取り組んでいるのか。また、それを、具体的に、実際にいつまでに実施するのか、目標設定を教えていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のパワー半導体でございます。御指摘のような自動車を始めといたしまして、鉄道、産業機械、家電など、生活に関わる様々な電気製品の制御に使われるものでございまして、製品の省エネ化に欠かせない重要なデバイスであるというふうに承知をしております。

 SiC、シリコンカーバイドのパワー半導体でございますが、現在普及しておりますシリコンパワー半導体よりも高い省エネ性能を先生御指摘のとおり有しておるわけでございますが、一方で、コストが非常に高いということがございまして、そこが普及する上で最大の課題になっているというふうに認識をしております。

 このため、本年度から最長十年間、次世代シリコンカーバイドパワー半導体の研究開発、これに対して五百億円超の支援措置を講じることとしておりまして、具体的には、二〇三〇年までに、パワー半導体のエネルギー損失の五〇%低減、また、量産時に従来のシリコンパワー半導体と同等のコストを達成する、これを目指して鋭意研究開発を進めてまいりたいというふうにしております。

山本(左)分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたパワー半導体、そして次世代素材であるシリコンカーバイドについて、今年度から十年の研究開発予算として五百億を計上されている、そして、二〇三〇年には、パワー半導体のうち、現在使われているうちの五〇%をこの次世代素材であるシリコンカーバイドのパワー半導体に替え、電力コストの効率化を図り、自動車や鉄道、また家電といった様々な電気で動くものの効率化を図り、カーボンニュートラルの実現を図っていく、そのための研究開発をされているということを理解させていただきました。

 半導体をこれから国内でやはりしっかりと製造していく、また新しい素材に対しての研究開発を進めていくことは、日本の経済安全保障においても必ず大事になるというふうに考え、現在のこの目標設定、しっかりと進めていただく、そして、なるべく早くこの次世代素材が一般に普及できるよう、結晶化をしっかりできるような開発、またコスト面でのコストダウンを進めていただければと思います。

 それでは、これにて私の質問を終了させていただきます。

 本日は、皆様どうもありがとうございました。

西村主査 これにて山本左近君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原分科員 今日は、よく考えますと、昨年の予算の分科会でもウイグルの問題を徹底的に質問をさせてもらいました。それから、日本のこのウイグル問題に対する対応が、我々から見て、前進した側面もある、しかし一方においては、もうちょっと前進をした方がいいかなという側面もあったりするという実感であります。

 昨年も全く同じ質問をしたところから、外務政務官、三宅さんに対しての質問から始めていきたいと思っておりますが、オーストラリアの戦略政策研究所が、日本の企業十四社、個名を挙げて、サプライチェーンに強制労働の疑いがあるということを指摘したことは御案内のとおりであろうというふうに思っております。このいわゆる十四社について、外務省として、そのオーストラリアの研究所に対しての様々な接触をして、日本企業のこういった、イメージダウンになると私は思っておりますが、個名まで挙げたということについて、どういうことでしょうかということを聞かれたのかどうか。

 私は、行政がそのまま出ていって話を聞くべきだというふうには、それだけとは思っておりません。行政の関係の周辺にある第三者機関がそのオーストラリアの研究所に対して意見を聞く、どういうことでそういった個名まで挙げたのかということを聞くということでもいいと思いますが、その部分の外務省的な動きがあったのか。

 また、十四社に対して、これは経産省になるかもしれませんが、このことに対しての何かヒアリングをしたのか。昨年も同じ質問をしておりますが、改めて、一年たって、もう一回お伺いいたします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報告書を含めてオーストラリア戦略政策研究所とのやり取りを行っておりますけれども、対外的に公表する前提で行っているわけではございませんことから、その内容についてお答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにせよ、外務省としましては、日本企業の正当な経済活動が確保されるよう、個別の状況に応じて適切な対応を行っていく考えでございます。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の個別企業とのやり取りでございますけれども、これにつきましては、その有無を含めまして、この場で明らかにすることは差し控えたいというふうに思っております。

 ただ、経済産業省といたしましては、グローバルに展開する多くの日本企業と、様々な機会を通じまして、委員御指摘の人権問題への対処を含めまして意見交換を行っているところでございます。こうした中で、御指摘の人権配慮を含めたグローバルサプライチェーンの課題につきまして企業から具体的な要望等があれば、当該企業とも連携しながら必要な対応を検討、実施しておりますところで、また今後とも同様に対応していきたいというふうに考えております。

松原分科員 まあ、この十四社、もう既にこれはオープンされていますから、個名を言うと、ソニー株式会社、株式会社日立製作所、株式会社ジャパンディスプレイ、三菱電機株式会社、ミツミ電機株式会社、任天堂株式会社、株式会社東芝、パナソニック株式会社、TDK株式会社、株式会社ファーストリテイリング、シャープ株式会社、MUJI、良品計画、もう極めて名立たる日本のブランド企業の名前がこうやってここに掲載をされている。

 このことは、私は、このことの真実性に関して、本来であれば、そうじゃないですよというのであればそうじゃないですよと、もしそういった疑念があるようなものがあれば、それはこう改善しましたよということを言わなければ、これは次から次へというか、ほかのこういったNGO団体が何度もこういう名前を挙げていくと、積み重なると大きなブランドダメージになっていくというふうに承知をしております。

 今、既に外務省においてはこの研究所と議論しているという話をされました。それは、中身に関してはこの場で深追いをすることはいたしませんが、是非ともその辺のことを、事実関係、やはり納得できる内容で個名まで言っているのか。彼らが言っているのは、中国国内九地方の二十七工場で強制労働を確認したと明確に書いてある。その上で、こういった個名まで挙げている。具体的な中身に関しては、この今日の時間で質疑時間にゆとりがあれば後でまた議論していきたいと思いますが、これは本当に一年越しですから、よろしくお願いをいたします。

 次に、様々な国において人権に関してどういうふうな議論になっているかということに関して、いわゆる商品と人権の関係でありますが、我々も幾つかの情報を知っているわけでありますが、一つの事例として、ハニーホールディングスというものは、やはり何らかのこの問題で議論があったというふうに聞いております。

 どのような議論があったのか、報道ベースの伝聞で結構ですから、この場で御紹介いただきたい。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 ノルウェーの年金基金の件でございますが、昨年の五月、ノルウェー中央銀行が……

西村主査 もう少し大きい声で答弁してください。

柴田政府参考人 人権侵害を助長するリスクを理由とする倫理評議会の提言に基づきまして、ハニーホールディングスを投資対象から除外することを発表したということでございます。

 この評議会の発表によりますと、ハニーズホールディングスがミャンマーに所有する二つの縫製工場、これに対する労働条件を調査いたしまして、労働者への嫌がらせや防火及び安全衛生規則の重大な違反を含む多数の労働者の権利の侵害が特定されたということである、そのように承知しております。

松原分科員 ありがとうございます。

 こういった事例はほかにもあると思うんですが、ブーフーという会社においても、まあこれとは違う内容でありますが、同じように人権とビジネスという観点から様々な議論があったというふうに承知をしております。

 このブーフーの事例についても御説明をいただきたい、このように思います。

柴田政府参考人 こちら、ブーフーにつきましては、一昨年の七月、英国を拠点といたしますオンライン小売業者でございますが、縫製工場におきまして、人権侵害、これを理由にアマゾン等から商品取扱い停止の措置を受けたという報道がなされております。

 具体的には、ブーフー、この会社の製造を請け負っている縫製工場において法定最低賃金以下の労働実態があった、そのようにされている、このように承知しております。

松原分科員 次に、フランスの司法当局等が、ユニクロなど四社を捜査し、人道に対する罪の隠匿の疑いで調査したということが言われておりますが、これについて御説明をいただきたいと思います。

柴田政府参考人 ユニクロの件でございますが、昨年の七月、フランスの司法当局が、人権問題を扱うNGOなどの告発、これを受けまして、人道に対する罪の隠蔽の疑いで、フランスで衣料品等を販売いたしますユニクロを含む四社に対して捜査を始めた、こういったことを報道で承知しております。

 具体的には、フランスのNGOが、強制労働により生産された材料を使っている疑いがあるとして、ユニクロ・フランス法人と併せ、スペインのインディテックス、アメリカのスケッチャーズ、そしてフランスのSMCPを告発した、このように承知しております。

松原分科員 もう一点。

 アメリカの人権団体がワシントンの連邦裁判所に、こういった強制労働若しくは児童労働ということで大手の会社を提訴したというふうな案件を伝え聞いておりますが、このことも御紹介いただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの点につきましては、二〇一九年十二月に、米国に拠点を置く人権保護団体が、コンゴのコバルト鉱山における違法な児童労働を支援したとして、アップルなど米企業五社を提訴したと報道をされておる件でございます。

 同団体の公表文書によれば、これらの企業は、劣悪な環境で子供を働かせ、不当に利益を得ているコバルト鉱山を幇助していたとされているというふうに認識をしております。

松原分科員 今、御答弁、様々いただきましたが、ここで言われることは、ノルウェーにおいては、公的年金基金GPFGの投資除外を日本のハニーホールディングが受けたと。投資を撤退させられたわけであります。投資撤退が人権とビジネスの問題で一件あったというのがこの実例であります。

 二つ目のブーフーの話は、これはアマゾンがその取扱いを一時停止をした、こういうことになっております。これは、今説明はなかったんですが、ブーフーは、きちっと対応しますということで、十三億五千万円、日本円にして、それの費用をかけて不正行為を正しましょうというふうに行動したわけでありますが、結果として、そのことによって株価が、十億ポンドですから千三百五十億円、総資産が落ちた、これがブーフーの話であります。

 また、ユニクロのことはそのとおりでありますが、これに関しては、当時の日本の官房長官である加藤さんがこういうふうに言っているわけであります。個々のこういった外国における捜査の話は一つ一つコメントを避けたいとした上で、日本企業の正当な経済活動が確保されるよう、引き続き関連情報を収集し、個別の状況に応じて適切な対応を行っていくと。適切な対応は、先ほどの政務官のお話を含めて外務省においても行っている、こう私は思っております。当然、日本がそれをやるというのは、それは国益の上で、また、日本の企業を守るためにやる話だと思っております。

 こういうふうな状況を受けて、私は、多摩大学の井形先生の発言が、そのとおり当たっているなというふうに思っているわけであります。

 井形さんは、新疆ウイグル、チベット、モンゴル各自治区、ミャンマー、ベラルーシ等の人権侵害等、こういった、様々な国、地域で人権デューデリジェンスの法制化を進めている、欧州でも近く、環境と人権のDD、この実施を企業に課す法律が成立すると見られていると。EUは今月中にできるという話もありますし、ちょっとこれは不透明でありますが、そういう話になっている。

 この井形さんは、今や企業にとって人権問題への取組は環境問題への取組と同じぐらい重要になりつつある、こういうふうに話をしているわけであります。その対応強化が必要なことについては、対応を急がなければ日本企業が国際競争で不利になる、これは極めて重要であります、不利になると。人権意識が低いと見られた企業は、ブランドイメージが傷つき、ESG、環境、社会、企業統治、投資家による投資の引揚げやエシカルな消費者による製品ボイコットといったプレッシャーを受ける。まさに、投資の引揚げはノルウェーの金融によってなされた事実があるわけであります。

 彼が更に言っているのは、ガイドラインでも、あった方がよい、間違いない、しかし、任意だとやはり企業にとって取組にばらつきが出る、法律で最低限これだけはやらなければいけないというラインを定め、全ての企業の人権基準を引き上げるのが望ましい、こういうふうに井形さんは言っている。私は、極めて正論である、こういうふうに思っております。

 このことに対する萩生田大臣の御認識、御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 近年、国際社会において人権問題への関心が高まる中、企業がサプライチェーンも含めた人権尊重の取組をしっかり行わない場合、不買運動ですとか、投資の引揚げですとか、既存顧客との取引停止などの多くのリスクに直面することがあると承知をしております。

 このため、経済産業省としても、セミナー等による産業界への周知啓発活動などを通じて、企業に対してサプライチェーンにおける人権尊重の取組を促してきたところです。

 一方で、昨年十一月に公表した企業調査において、日本企業の取組がいまだ不十分であり、それゆえガイドライン整備を望む要望も多く寄せられたことを踏まえ、今般、経済産業省として、業種横断的なガイドライン作りに取り組むことといたしました。

 こうしたガイドラインの策定などを通じて、日本企業の人権尊重に向けた取組を後押しし、日本企業の国際競争力の維持強化につなげてまいりたいと思います。

 井形先生のお話についてどう思うかと聞かれれば、極めて重要な視点を指摘をいただいていると思っていまして、大いに賛同するところはございます。

松原分科員 今、事例を幾つか挙げましたが、ちょっとここでユニクロの事例についてお伺いしたいと思っております。

 ユニクロの綿製品、これが米国において輸入制限を昨年に受けたというふうに聞いております。その後、輸入制限はその製品というかその商品について今でも続いているのか、このことをまずお伺いしたいと思います。

柴田政府参考人 昨年一月に輸入が差し止められたという報道のありましたユニクロの製品についてでございますが、ファーストリテイリング社は、米国税関・国境警備局に対しまして生産工程で強制労働がない旨を説明してきたものの、その主張が認められていない、このように説明していると承知いたしております。

松原分科員 いまだにユニクロの綿製品はアメリカでは輸入されていない、こういうことですか。

柴田政府参考人 繰り返しになりますが、主張が認められていないとファーストリテイリングの方で申しておりますので、そういうことかと思っております。

松原分科員 このことに関して、日本の政府、若しくは、貿易をきちっと守ろうとしている政府関係の機関でも結構ですが、アメリカの当局とは何らかの接触はしていますでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ユニクロシャツの輸入差止めについての御質問でございますけれども、今後の対応を含め、個別具体の事案に関します他国政府との外交上のやり取りにつきましては、恐縮でございますけれども、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、経済産業省といたしましては、海外市場におきます日本企業の正当な経済活動、これが確保されますように、日本企業が直面する様々な問題につきまして、個別の状況に応じて適切な対応を行っていきたい、こうした考え方に即して、これまでも取り組んできておりますし、また今後もしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

松原分科員 今回、ユニクロがこのようにして、米国における輸入が禁止されている。そのことに関して、ちょっと違うぞ、強制労働は伴っていないんだという訴えも却下されたというふうな状況でありますが、これは日本政府がコメントをする立場ではないというふうに思っておりますけれども、こういった状況は、政府は傍観をしているということでよろしいのか、何らかのことをしたい、するべきだとお考えなのか。

 ユニクロが、今、一社、こうなっておりますが、こういったことが次から次へと、輸入ボイコットみたいなものが発生した場合、それでも、政府はそのことに対してどういう対応をするのか。ちょっと質問通告にはなかったのでありますが、外務政務官、お答えいただければお答えいただきたいと思います。

三宅大臣政務官 質問通告を受けておりませんので、コメントは控えさせていただきます。

松原分科員 しかし、そういったことは十分にあるわけですが、そうしたことを避ける努力は徹底してやっていただかなければいけないというのは当然であります。日本の、ジャパン・プロダクトのイメージが、ブランドイメージが一気にダウンしてしまう、こういうふうになってくるわけであります。

 ユニクロの輸入禁止の見通しというのも、じゃ、全然、経産省、外務省、どちらでも結構です、今後もずっとこれはこのまま継続するような見立てなのかどうか、ちょっとお伺いしたい。

松尾政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、アメリカを含みます他国との外交上のやり取りにつきましては、コメントができないということで御了解をいただければというふうに思います。

松原分科員 まあ、それはそうなんだろうけれども、それだけで済まない状況もあり得るんじゃないかと思っております。

 次に、外務省に、マグニツキー法について御質問をさせていただきたいと思いますが、マグニツキー法について、各国の状況というか、行っている国がたくさんあるわけでありますが、今どういう状況だか、包括的な御説明をお願いします。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 各国の人権侵害制裁法、いわゆるマグニツキー法の整備状況、発動した対象の例についてでございますけれども、例えば、米国では、グローバル・マグニツキー人権責任法が二〇一六年に定められております。カナダでは、腐敗した外国公務員の被害者のための正義に関する法律が二〇一七年に、英国では、グローバル人権制裁規則が二〇二〇年に、EUでは、深刻な人権侵害に対する制裁規則が二〇二〇年に、それぞれ制定されていると承知しております。

 これらの法制は、対象者を指定し、資産凍結や入国禁止といった制裁を科すものと承知しております。

 制裁対象者の例といたしましては、ロシアにおけるマグニツキー氏の拘束、死亡に関して、バストルイキン連邦捜査委員会委員長、中国・新疆ウイグル自治区におけるウイグル族等の迫害に関して、王明山元新疆公安庁長、サウジアラビアにおけるカショギ氏の殺害に関して、カハタニ王室顧問等が挙げられます。また、米英は、ミャンマーのミン・アウン・フライン司令官を制裁対象としていると承知しております。

松原分科員 ありがとうございます。

 様々な国がマグニツキー法を実行しているということでありますが、いわゆる日本とある意味で共通の価値観、政治的、社会的に、これを持っている、人権であるとか法の支配であるとか自由であるとか、こういった共通の価値観を持っている国としては、私たちは、G7の国というのは、一つ、同じような認識を持つ、我々はそういった世界を引っ張っていく国なんだという矜持を持っているわけでありますが、G7の国でこのマグニツキー法を持っていない国というのがあるのか、あるとすればどこなのか、お伺いいたします。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 G7諸国の中で、いわゆる人権侵害制裁法、マグニツキー法に類する法律を有していないのは、我が国だけであると認識しております。

松原分科員 EUも入っておりますから、イギリスはEUの離脱に伴ってイギリス独自のマグニツキー法を作ったという経緯がありますから、EUの国々はみんなそれを有している。カナダも入っている。いわゆるG7の中で日本だけがマグニツキー法を持っていないという状況になっているということが今明らかになりました。

 このことについて、政務官、御所見を聞けますか。

三宅大臣政務官 日本は、人権を、普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務と考えております。このような考えから、日本はこれまで、人権侵害に対してはしっかり声を上げる一方、対話と協力を基本とし、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきております。

 御指摘のような、人権侵害を認定して制裁を科すような制度を日本も導入すべきかにつきましては、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら、引き続き検討をしてまいります。

松原分科員 これは極めて問題でありまして、G7の中で日本だけがこれを持っていないということは、いわゆる、日本という国は、同じ価値観、法の支配、人権、自由を尊重する国の中で、ちょっと違うな、人権を尊重すると言っている割にはその制裁法案がないな、こういう話になってしまうわけであります。

 今日は経済産業分科会ですからそれ以上言いませんが、外務省においては速やかに人権侵害制裁法を作るべきだということは強く主張しておきたいし、これができなければ、結果として、ジャパン・プロダクト、日本の製品のブランドイメージは、そういうことをやらない国家の製品だと。人権侵害制裁法を持たないという中途半端な、まあ、いろいろと言っている、ユートピア的に言っているけれども、現実の冷酷な国際社会の中で戦う姿勢がない、人権と法の支配、自由を戦ってかち取るという姿勢がない、ああ、そういう国なのかということになると、その国のブランドは私は非常に低下をする可能性があると。やはり、その国の製品はほかの国よりも目立ってたたかれる可能性すらあるという危惧の念を私は持っているわけであります。

 より、外務省には、この点を頭に入れて、人権、この制裁、マグニツキー法を作っていただきたいと思います。

 それで、萩生田大臣、先ほどガイドラインの話をしましたが、やはりガイドラインと法律では違う、井形さんの話もあるわけでありまして、私は、日本において、制裁法もない、DDもない、日本のブランド力は、日本製品というのは、物はいいかもしれないけれども、サプライチェーンに人権侵害があるのを平気で許容するような空気があるな、こういうのはまだ伝わっていません。でも、どんどんこれが伝わっていったときに物すごい経済産業省的なダメージになると思っております。

 これは、法律まで、ガイドラインがスタートしたのは理解しますが、法律を作るという、やはり、それもなるべく早く、海外からジャパン・バッシングがこのことで起きる前にそれを作るべきだと私は思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 世界的にサプライチェーンにおける人権尊重への対応が求められるようになる中、例えばドイツのサプライチェーン法やEUの強制労働のリスク対処に関するデューデリジェンスガイダンスなど、人権のデューデリジェンスに関するルール化の動きが世界で加速しているものと承知しております。

 こうした中、日本では、昨年十一月に公表した企業調査で、ガイドライン整備を望む多くの要望が寄せられたことも含め、今般、経産省として、業種横断的なガイドライン作りに取り組むこととしました。日本企業にとって、予見可能性が高く、国際競争力強化につながるものにしていきたいと思っています。

 その上で、ガイドラインの整備と併せて、企業が公平な競争条件の下で積極的に人権尊重に取り組める環境を整備していく観点から、国内だけではなくて、国際協調により各国の措置の予見可能性を高めることも重要だと思っております。

 今後、国際協調に関する議論など国内外の動向を踏まえながら、将来的な法律の策定可能性も含めて、関係府省庁とともに更なる政策対応について検討してまいりたいと思います。

松原分科員 国際協調をして、ブランドというのはサプライチェーンに強制労働がないものにしていこうという機運が高まっていくときに、恐らく萩生田大臣はお分かりになっていると思う。何としても法律まで作らなければいけないという内に秘めた情熱があるんだろうと私は思っております。

 ドイツの場合は、御案内のとおり、経済界は法律制定に関してはそんなに肯定的ではなかった。しかし、経済界のその意向を受けていたのでは、最終的に、ジャーマンプロダクトというかどうか分かりませんが、その国際競争力がほかのいわゆるG7の中で落ちてしまう可能性があるという私は危機感が行政側にあったんだと思うんですね。やはり、そこは行政が時代の潮流を説得して、こういった様々な日本企業に対しての批判といいますか、そういったものも起こりつつあるということを踏まえて、きちっと対応していくことが必要であり、それが行政が引っ張っていくということになると思うんです。

 くどいようですが、マグニツキー法と、そしてこのDD、これは二つないと、私は海外との協議も胸を張って臨めないのではないかと思っておりまして、私は、今の、萩生田大臣がガイドラインを昨日決めたということ、高く評価しておりますが、もう一回、法制化というのとガイドラインは違うので、法制化についてもうちょっと早く考えるということを、できれば御開陳をいただきたいと思います。

西村主査 萩生田大臣、既に時間が来ておりますので、簡潔に御答弁ください。

萩生田国務大臣 我が省としては、日本の企業を貿易の面でもしっかり守っていかなくちゃいけないと思っています。先日のG7の貿易大臣会合でも、テーマにございませんでしたが、私自ら、この人権の大切さについては各国の皆さんに呼びかけたところでございます。

 先生おっしゃるように、国内法を作れば解決するというんじゃなくて、国際基準が様々でありますので、ある意味、正しい指摘もあれば、言いがかりみたいなものもありますので、まずは、国際社会の中でできるだけ共通のルール作りをしていくために日本としては汗をかいていきたいと思います。

 その上で必要な法律が生じるということであれば、これは当然関係省庁としっかり検討していきたいと思います。

松原分科員 時間が来たので終わりますが、その上で法律を作る、この一言は極めて重い。

 私は、外務大臣にも、政務官、このマグニツキー法を作らなければ日本はそういったG7の孤児になってしまう、これを明確に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村主査 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 立憲民主党の小熊慎司です。

 東日本大震災、原発事故災害から、もう間もなく丸十一年を迎えようとしております。被災地の方々、また各地域、関係各位の努力によって復興が進んでいる部分もありますけれども、御承知のとおり、原発事故災害はまだ継続中の災害であって、そしてまた完全廃炉に向けてもまだ緒についたばかりという状況であります。

 ここに来て、いわゆる、政府はALPS処理水と言っていますが、一部にはやはり汚染水だという主張をされる方もいますけれども、この課題について、これまで、各いろいろな委員会でも私は質問してきたところでありますけれども、この放出について政府は決定をしたところであります。そもそも、もう二二年の夏にはやらなきゃいけないということで、時間がないんだということを言ってきたわけでありますけれども、これまでも政府においては、地元を含め関係者に説明をして理解を得る努力はしてきたところは一定程度評価をしますが、十分な理解が積み上がっていないというのも現状であります。

 これは、放出までに、来年の春ぐらいまでにしなきゃいけないというような状況であるわけでありますが、まだ理解が積み上がっていないことの中で、今後どうその理解を積み上げる努力をしていくのか、具体的にお伺いしますとともに、じゃ、理解を得たというのはどういう段階で理解を得たというふうに判断をするのか、ただ説明会を重ねて、一定程度理解を得ましたというのを、感覚的なものなのか、定量的に、こういうことがあったから、例えば、じゃ、それは関係者の多数決を採って理解を得たというのか、定量的な理解という客観的な指標があるのかどうかをお伺いします。

    〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕

萩生田国務大臣 まず、福島県漁連の皆様からは、昨年四月の基本方針の決定以降、処分の必要性や処理水の安全性、風評対策の内容などについて、御説明の機会を度々いただいております。意見交換を行う中で、とりわけ処理水の放出に伴う風評の影響を懸念されているものと認識しており、御理解を得るに当たっては、こうした御懸念を払拭することが極めて重要だと思っております。

 こうした観点から、昨年十二月に取りまとめた行動計画では、漁業者の皆様だけでなく、その取引相手となる卸、小売業者や消費者など、サプライチェーンに係る幅広い方々にALPS処理水の安全性の説明を徹底することなどによる風評を生じさせない対策、また、急激な需要減少時に需要を支えるための基金などにより漁業者の皆様が安心して漁業を継続できるよう、風評に打ちかち、事業を継続、拡大できるようにするための対策を講じることとしております。

 御指摘のあった理解度に関する評価といいますか、調査の主体ですとか対象ですとか問いかけの仕方などにより、得られる結果やその解釈の仕方が異なってくる可能性があると考えており、何か数値的なものをもって理解度ということではなくて、まずは行動計画の対策について政府一丸となって早急かつ着実に実行に移し、一人でも多くの方に御理解いただけるように徹底した広報活動を継続的に実施していくことが重要ではないかと思っております。

小熊分科員 今、特に漁業関係者と言いましたけれども、大臣お分かりのとおり、私の選挙区は会津そして西郷村ですから浜通りではないんですけれども、漁業関係者ってよくニュースとかメディアでも出るし、今大臣の答弁でも、漁業関係者、もちろん大変だと思います。

 しかし、これは漁業だけではなくて、福島県ということで風評被害をこれまで受けてきました。これは内陸部の農林業の方もそうですし、観光業もそうです。

 ましてや、浜通りの方は、これまでの中で努力によって海水浴場も再開をしていたところでありますから、もちろん、水産業の方々にきちっと理解を得るということももちろん重要な観点ですけれども、これは県全体です。

 まして国際的には、隣県のところにも、いわれなき、科学的根拠なき輸入規制がかけられている。今回は台湾がこれを緩和するということになってきますけれども、漁業関係者以外のところの努力が足りていないんじゃないですか。一部やっていると思います、JAとかを通じて。しかし、幅広いわけです、風評被害というのは。

 いろいろな答弁、政府の答弁も、今の大臣の答弁も、またマスコミの報道のされ方も、漁業関係者ばかりに行くんですけれども、もちろんここも重要なところでありますが、風評被害というのはそういうことじゃないです。いろいろな産業に関わってきています。そこの積み上げはどうしていくんですか。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございました漁業者以外ということでありますけれども、先生御地元の会津でも教育旅行が大きく減っているということでのお叱りの声、正直言って頂戴をしてございます。それからさらに、御指摘がございました海の関係でございますけれども、海水浴場も開いて、その後お客さんがなかなか戻らないということも聞いております。

 まさに私ども、観光事業者の方々ともいろいろな意見交換をさせていただいておりますし、また、福島の魅力の発信をしていくことが一番だと思っておりますので、様々な、例えば、旅行業界の方々に御視察をいただくという形で、具体的な商品づくりをしております。

 海につきましては、例えばサーフィンのイベント、全国大会を昨年行われております。こういった場で、資源エネルギー庁はブース等を出して、御利用いただく方に御説明をするという形をしてございます。

 御指摘ございましたように、商工、農業、その他幅広い産業を含めて風評払拭の対策を進めているところでございまして、まだまだこれからもしっかり進めてまいりたいと思っております。

小熊分科員 後の方で、この風評被害対策については議論したいと思いますけれども、例えば、この処理水、科学的根拠と安心といった部分が分離をしていますから、この点については広くやはりしっかり対応していかなきゃいけないというところでありますし、この安全と安心が分かれてしまっているという状況の中で理解を得るといっても、一生懸命言葉を尽くしても、まだまだ理解を得られないと言っちゃえば、それでこの説明会の意味が成してこなくなってくるんですね。そういう中での放出になってきますから、非常に難しいところだというふうに思います。

 それで、まだまだ私は時間がかかると思います、理解を得るためには。どこまでかければいいんだという問題もあるんですけれども。

 敷地がもう狭くなっているから放出しなきゃいけないんだということで、これは始まっているんですけれども、これまで様々質問してきた中で、昨年、東電から、その敷地内、まだ空き地もあるんですね。これは廃炉のために使うというんですけれども、じゃ、すぐ使うのかということで、その空いている敷地を何年にどのぐらいの面積を使うのか、資料を出してほしいと東電に言ったら、なかなか出さなかったんですけれども、とうとう出してきたんです。

 御承知のとおり、敷地内に、例えばデブリの仮保管をする用地もあるんですね。でも、それはすぐ来年から使う話じゃないんですよ、取り出しまで何十年もかかるんですから。何十年先に使用するための目的の土地は、ここ数年は空いているんですよ。まだまだ敷地内の保管も、タンクを増設して保管することも実は可能なんですね。土地利用に関しては確認しています、東電に。

 我が党は、敷地外でも、東電の敷地の隣接する土地を利用してタンクを増設して、もう少し時間をかけたらどうだという提案もしてきました。でも、敷地外保管はしないという政府の方針もありますが、じゃ、敷地内であれば廃炉の邪魔にならない形でまだ土地は使えるんですけれども、その点についてはどうですか。

萩生田国務大臣 福島の復興を進めるためには、その前提となる福島第一原発の廃炉を着実に進めていくことが不可欠です。

 今後、廃炉作業は、一、二号機の使用済燃料プール内の燃料や燃料デブリの取り出しなど、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に進んでまいります。先生、十年先だ、こうおっしゃったんですが、私、先週福島へお邪魔しまして、取り出しのアームの、間もなく県民の皆さんにも御披露しますけれども、事前に視察をさせていただき、また、作業員また技術者の皆さんにねぎらいを申し上げてきたんですけれども、いよいよ始まります。

 そういう意味では、これからの作業を安全かつ着実に進めていくためには、燃料デブリ等の一時保管施設や、廃炉作業に伴い発生する廃棄物の保管施設といった大きなスペースが必要となります。そうした作業を遅滞なく進めるためにも、既にタンクが建設されているスペースも含め、敷地を最大限有効活用していく必要があります。

 既にタンクが敷地を大きく占有している状況を踏まえれば、廃炉作業に影響を与えない形で更に増設を続ける余地は、極めて限定的ではないかと考えております。

小熊分科員 これは資料を提出しなかったので、後でまた大臣、確認していただきたいんですけれども、東電から示されたのは、何年後にここはこのぐらい使います、何年後にここは使いますと言うんですけれども、大分先の土地もありましたから、もう一度これは精査をしていただきたいなというふうに思います。

 じゃ、あわせて、我々は敷地外保管も言っているんですけれども、これはまた確認ですが、政府としては、敷地外、隣接する敷地外の保管は考えていないということで改めて確認したいんですが、そういう方針でよろしいんですね。

須藤政府参考人 敷地外の保管についてでございます。

 例えば、中間貯蔵とか、周りの土地は空いているじゃないか、こういう御指摘がございますけれども、中間貯蔵施設予定地にタンクを設置することについては、ALPS小委員会の報告書におきましても、地権者の皆様に中間貯蔵施設のために利用させていただくために土地の提供をお願いしているということ、あるいは、今後追加的に用地取得、施設設備を進めていく必要があることから、難しいと専門家からも指摘されております。

 また、地元の御意見でございますけれども、地元の自治体からは、中間貯蔵施設の整備は地権者の皆様の御理解を得ながら進めてきたものでありまして、用途、目的の変更を行うべきではないという立場も示されております。

 さらに、中間貯蔵施設予定地以外にタンクを設置することは、復興に向けて懸命に努力している方々に新たな土地の提供を求めるということで、更なる負担を強いることになると考えております。

 こうしたことから、中間貯蔵施設予定地など、敷地内にタンクを増設して長期保管することは、現実的な選択肢ではないと考えております。

小熊分科員 そのような意見もありますけれども、やはり、被災地また県全体で考えると、いろいろな意見があるのも事実です。実際、原発施設近くの方で避難されている方で、その近くにはもう帰れない、でも、それが帰ってもいいよという土地になっても売れない、だったら国で使ってほしいという意見もあるのも事実です。今言ったような意見のあるのも事実です。でも、それが全てではないんです。

 様々な意見がある中でこれをやっていかなきゃいけないという意味では、敷地外のやつ、困難だといっても、実際、それは具体的に動いたということはないというのがこれまでいろいろなヒアリングの中で聞いていますので、実は、それは単なる推測でしかないんですね。本来であれば、まだまだ処理水の放出は理解を得られないということで、私は、もっと時間をかけなきゃいけないという意味では、まだタンクの増設が必要だということで、こういう主張をさせていただいているんです。

 もう決まっていると言うけれども、ここはちゃんと、いろいろな意見があるということで、地元自治体のアンケートを見ても、首長さんのアンケートもありますし、議会のアンケートもある。一つのことで一つの自治体がまとまるということでもないんですね。県内アンケートで、首長アンケートでやむなしといったところもありますけれども、それをもって理解をしたという指標にしてはいけないんです。だから、定量的にあるのかと最初に聞いたわけです。ないと言ったけれども、それを使ってくるわけです。自治体の中にはありますねと、鬼の首を取ったように。

 何をもってそれを理解を得たというのを、実は、何となくですけれども、政府は答弁の中で、こういう意見もありますねと、それを根拠にしているんですよ。どの意見をもってそれを地元の総意とするのかということが明らかじゃない中で、でも、地元の一部の意見をもって、こういう意見もありますからやるんですと言ってくるんです。

 ここは本当はもっとはっきりとした指標がないと、根拠として、こういう意見もあります、理解を得られていますと言っている政府の言葉が、やはり結論ありきで進んでいるとしか見えないんですね。反対する意見、異なる意見が無視されているという状況で不信が高まっているというのが、今、福島県の状況なんです。

 その状況を踏まえてこれからの復興に向けての様々な対応を取っていかないと、復興庁ができて十年、震災が起きて丸十一年、先日、地元の新聞社から、復興庁十年でインタビューを求められましたけれども、その記者とも意見が一致しましたが、非常に丁寧な言葉や説明をしているんですけれども、我々県民は空疎に感じるんですね、被災者に寄り添いとか。大臣が替わるたびに福島県に来られて同じ言葉を繰り返すんです、テープレコーダーのように。言葉は丁寧だけれども何も伝わらない、空疎な感覚しか受け止めないというのが私と記者の一致した意見でした。ある意味では、だから、風化しているんだろうなと。失言はないけれども、何も響いてこない。そういう感覚を、この復興庁十年、震災から十一年で感じているところであります。

 そうした意味では、今後いろいろな対応が求められてくるんですけれども、本当にどう福島県民の心に刺さるのかというのは、もう一度考え直した方がいいというふうに思います。

 質問を先に進めますけれども、また、この処理水の一部を、大多数をじゃないですよ、一部でも、これは風評被害対策も含め、我が党としては、一部でも県外で処理ができないのか、トラック一台分でも県外で処理ができないのかということを提案してきましたが、これはできないという今まで政府方針がありましたけれども、もう一度これを検討した結果、検討はしないですか、どうですか。

萩生田国務大臣 ALPS処理水を敷地外に持ち出すことについては、処理水の様々な処分方法について議論したALPS小委員会においても専門家による検証をしており、持ち出し先での保管や放出に必要となる施設の確保、そのための自治体や住民との調整、輸送ルートとなる地域の自治体や住民など新たな関係者との調整が必要になること、輸送、保管の計画、輸送時の漏えい対策、新しい保管先から放出計画、放出設備などについて関係法令上の所要の手続、様々な理由から、相当の時間を要すると指摘がなされています。

 加えて、放射性物質を含む大規模な量の水を敷地外へ輸送、保管した上で放出することは、現行制度において予定していないものと認識しております。

 こうした点を踏まえれば、タンクにより敷地が逼迫する中で、ALPS処理水を別の地域に持ち出した上で放出することは、直ちに実施可能な案にはならないと考えております。

小熊分科員 今言ったのも、これまで我が党のヒアリングでも、役所の言葉で聞いてきましたけれども、そこが、だから分からないんですよ。いろいろな理解が得られなきゃいけない、大変だと。

 ところが、福島県ではこれは進めるんですね。希釈して放出するわけですよね。飲めるほどの水だと言うんですよ、説明する、だから科学的に安全ですと言うんですよ。でも、実際、県外に持ち出そうとすると、大変な問題なんですとなるんですよ。福島県では大変じゃない、県外だと大変。

 大臣、これは通告はしていないけれども、これは答えが出なかったんです、経産省で。大臣、分かるとおり、瓦れきのやつは、分離をして一定程度の基準値以内にして土を有効活用するんですね。これは県外でも使う予定なんですよ、建設資材とかで。じゃ、土と水は何が違うのということなんです。

 土は持ち出すんですよ、県外に、基準値以下にして。で、有効活用するんですよ。水は、基準値以内で飲めるほどの水と説明しているのに、持ち出せない、住民の理解が要る。土だって、じゃ、県外に持ち出して使うところはないんじゃないですか。大臣の地元で使いますか、水じゃなく土。今後進んでいくんです、これ。そういう方向性になっているんですよ。土は持ち出すんです。

 ここをどう思いますか、大臣。

萩生田国務大臣 汚染等の措置に伴って生じた土壌の処分とALPS処理水の処分については、処分の対象や対応の時間軸などが異なるため、それぞれについて、専門家や有識者による議論を重ねるとともに、地元も含め様々な声を伺いながら検討しています。

 まず、除染などの措置に伴って生じた土壌については、中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外で最終処分を完了するため必要な措置を講ずることが国の責務として法律に明記されています。

 政府では、この責務を果たすべく、環境省を中心に必要な検討、対応を進めており、引き続き、政府一体となって取り組んでまいりたいと思います。

 他方、ALPS処理水を敷地外に持ち出すことは、ALPS小委員会において専門家が検証しており、持ち出し先や輸送ルートの自治体など新たな関係者の理解を得ることや、放出計画、保管施設、放出施設などについて関係法令上の所要の手続を経ることが必要であるため、相当な時間を要することと評価がされております。

 このような留意点を踏まえれば、タンクにより敷地が逼迫する中で、ALPS処理水を別の地域に持ち出した上で放出することは、直ちに実施可能な案にはならないと考えています。

小熊分科員 法律で決まっていると言うけれども、大臣、それ、すんなりと、じゃ、大臣の地元で使うとなったときに、住民が、はいはい、そうですねとなると思いますか。やはり一定程度反対運動が起きるんじゃないですか。どう想像しますか。

萩生田国務大臣 御地元で地元の皆さんと接している先生と、幾ら担当大臣とはいえ遠くに住んでいる私とでは、当然、肌感覚で皆さんの御心配事が違うということは、私もよく分かります。

 決して偽善者ぶるつもりはありませんけれども、発災直後、福島にずっと私自身行って、そして行方不明者の捜索にも参画をした、そういう経験もあります。そういう意味では、今置かれている福島の皆さんの思いというものは、決して空疎なものじゃなくて、共有していきたい、そういう責任を持って取組をしているつもりでございます。

 仮に、その処理土が県外に持ち出されるというときに、私、福島の桃を、市場で取り入れてもらえなくて、自ら二千箱売ったという経験もあります。地元の皆さんに説明をして、共にこういった災害後の日本の在り方を分かち合っていく意味で、私の責任において地元の皆さんに説明する、その覚悟はございます。

小熊分科員 是非これはやっていただきたいと思いますし、それをやることが、だから、個人では、こういう、福島に寄り添っている、被災地に行きました、何を買いましたというのは、それはもういいんです。この流れをどう進めていくかということが重要であって、でも、これ、説明しなきゃいけないと大臣言いましたけれども、すんなりいかないんですよね。すんなりいかないんですよ。

 これが、だから風評被害の原因の一つで、科学的な説明と安全と、安心がやはり分離しているから、説明が必要になってくるんです。科学的根拠でいろいろな資料を示して理解を得てくださる方ももちろん世の中にはいらっしゃいますけれども、それでは足りない。安全と安心が分離してしまっているから、風評被害というのが非常に難しいんです。

 今、土壌のやつも、これを法律に従ってやっていくときに、大臣は、地元でも使うときはちゃんと住民に説明してやっていきたいと言っていただきましたけれども、この説明が、だから大変なんですよ。安心の部分にどう、これまでも風評被害対策はやってきましたけれども、どちらかといえば安全の説明でした。安心にアプローチがし切れていない、科学的根拠だけを言っていたのでは。IAEAが今度報告書を出して、それも多分、放水の一つの根拠にして、大丈夫ですよというふうに使っていくんでしょうけれども、そういう世界ではないんですね、この風評被害というのは。

 新しいアプローチが必要だというのは、これまでも提案してきました。例えば、一つには、福島県でやっている、今、ジャニーズのTOKIOさんが福島のためにやっていただいています。TOKIO課という課までつくりました、県庁に。ここでは、福島が安全ですよとか、福島はこういうふうに復興していますよというアプローチじゃないんですよね、TOKIOさんたちは。単純に福島に来て、福島いいね、すばらしいね、おいしいねとやっているんですね。

 ありのままの姿を、しっかりと福島の魅力を発信している、こういうソフトなアプローチがこれから必要だと思うんですね。安全ですよ、大丈夫ですよ、こういうアプローチではなくて、ソフトな、純粋に福島の魅力を発信していくというアプローチが、この安心に寄り添う一つの、一つのですよ、それが全てではないんですけれども、こういうアプローチがまだ足りていなかったということはこれまでも指摘してきましたけれども、もっとこういうところが必要じゃないですか。

 映像誘致もしてくださいとやった、そうしたら、結局、ドキュメンタリー番組を連れてきた。そうじゃなくて、普通に、映画とか旅番組とかをやってくれと。今少し進んではいますけれども、まだまだ足りていない。これから処理水を放出されて新たな風評被害も出てくるというところでありますから、新たなアプローチ、もっともっとやるべきだと思うんですけれども、今後どうですか。

萩生田国務大臣 先生御指摘いただいた、科学的な根拠に基づく安全性、これは、数値の上で皆さんが一定理解としても、それと安心とは違うんだというのは、そのとおりだと思います。したがって、今御指摘のソフトパワーをもって、県民の皆さんあるいは全ての国民の皆さんが、理解度、安心度を高めていくための努力というのはしていかなきゃならない。

 今日はつまびらかにお話しできませんけれども、おっしゃるような、福島の安心を共有できるような様々な施策というものも、我々の省庁も含めて準備はしておりますので、御指摘に応えられるようなソフトパワーでの支援策というのも、更に上乗せをしてまいりたいと思います。

小熊分科員 是非お願いしたい。

 安倍政権のときには、全閣僚が復興大臣というつもりでやっていきますと言っていましたけれども、この所管ではないので、ちょっと開陳をしたい状況がありまして。

 外務委員会で何回か質問したんですけれども、在外公館でどれだけ被災地のお酒を使っているんだといったら、特段、福島県がげたを履かせてもらっているわけじゃないんですよ。まあ、被災地の酒、なるべく宮城とか岩手も出してもらっているんだけれども、この福島の風評被害を考えて特別にちょっと量を多くしてもらっているということじゃなくて、やっているだけなんですね。それが、だから言葉だけで実行が伴っていないから空疎に感じてしまうという一つの例です。まあ、これはまた外務委員会でちょっとやりますけれども。

 最後に、補償については、これは経産省、あのときは評価したんですけれども、この処理水の風評被害は、新しい観点から、一つには、東電も、時間がたってくると、被災地の人たちに担当者もすごい言葉も使ってきている場面があるんです。高齢化していて日本も人口減少だから売上げが減っているだけだとかと言われた人たちもいるんですよ、補償を求めたときに。

 でも、今回の処理水の場合は、これは、原因者側にも、ちゃんと説明をしなきゃいけない。今までは、被害者だけが説明してください、説明が足りて書類が整ったら補償が出ますというやり方だったけれども、そういうふうにしていくとなっているんですね、今回は。さらに、明確な根拠を示せと今までは言われてきたけれども、今回の処理水に関しては、推認をして、風評被害だなということで補償金を出しますよという方向も出してもらっている。

 でも、推認といっても、これも客観的にどういうところが推認となるのかというのがまだ見えていないので、地元も不安だから、風評被害対策、ちゃんとしていないんじゃないか、補償も大丈夫なのかというところがあるんですけれども、この推認と、原因者側の東電側の説明責任は具体的にどういうふうにやっていくのか、お示し下さい。

萩生田国務大臣 損害賠償の一般論としては、被害者側が被害と事故との因果関係を立証することが求められます。しかしながら、風評による買い控えは、放射性物質による汚染の危険性を懸念する消費者の心理によっているところ、あるいは取引の忌避が口頭によって行われる場合もあることから、風評被害を後から確認することが簡単ではないと考えられます。このため、東京電力が自ら客観的な統計データの分析などにより風評被害を合理的かつ柔軟に推認し、立証負担を被害者に寄せることのないよう、国として東京電力を指導しております。

 具体的な賠償基準については、例えば、処理水放出の前後で他産地の産品と比較して取引価格や数量の下落が確認された場合には、風評の影響を受けているものと推認し、賠償するなどの方針を、東京電力と事業者団体との間で確認をしていくこととしています。

 今後も、東京電力を指導するだけではなく、国が前面に立って、風評被害を懸念される皆様に寄り添い、被害の実態に見合った必要十分な補償が行われるように取り組んでまいりたいと思います。

小熊分科員 最後に確認ですけれども、党でヒアリングに行ったときに、これは、福島県だけじゃなくて、国際的な風評被害もありますから、他県のものでもこれは対象になりますか。なると言ったんですよ、党のヒアリングの中では。

 最後に確認です。

伊藤(達)主査代理 時間ですので、簡潔に。

須藤政府参考人 ALPS処理水の放出に伴って損害が発生した場合には、福島県以外も含めて対応してまいります。

小熊分科員 引き続き、この問題はまた議論したいと思います。ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩崎彰久君。

塩崎分科員 おはようございます。愛媛一区選出の塩崎彰久でございます。

 今日は、私の議員生活において初めてとなる質問でございます。私のライフワークでもありますスタートアップの支援について、まずは萩生田大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。

 私は、これまで弁護士として数多くのスタートアップ企業の支援を行ってまいりました。そうした中で、まさにスタートアップというのが、新しい雇用を創出し、社会にイノベーションをもたらし、そして若者に希望を与え、地域活性化の主役になっていく、まさにスタートアップこそが日本の成長のエンジンになっていくんだ、そんな思いを強くしてまいりました。

 二〇一三年には、自民党の経済再生本部が策定した中間提言、こちらの作成にも関わらせていただきまして、日本をアジアナンバーワンの起業大国にしていくんだ、これを経済成長の五本柱の一つとして提言をさせていただきました。

 当時、まだリーマン・ショックの傷痕が深く、国内で上場といっても、一年で五十にも満たない、そんな状況でございました。そこから、我が国は様々な形でベンチャー企業を支援し、今では一年に百以上の会社がIPOする、そういったところまで着実な実績が見えております。しかしながら、まだまだ日本のスタートアップの現状は世界に比べれば大きく見劣りをすると言わざるを得ません。

 お手元にお配りした資料でございますが、これはCBインサイツという海外の調査会社が発表している世界のユニコーン企業の数でございます。ユニコーン企業というのは、評価額が企業価値において十億ドル以上、創業十年以内、そして非上場という三つの要件を満たした会社を指しております。

 こちらを御覧いただければ分かりますように、今、世界では、最新のデータによると千社近いユニコーン企業があるんですが、ほとんどは、圧倒的にアメリカ、二位の中国、これが占めております。日本はどうかというと、現在六社。しかし、残念なのは、日本よりも、例えば、インド、イギリス、ドイツ、イスラエル、フランス、カナダ、そしてシンガポール、韓国、香港、日本よりも人口や経済規模においてもっと小さな国にも大きく水を空けられてしまっている現状がございます。

 なぜ日本でもっと世界で勝負できるユニコーンがどんどん育ってこないのか、こうした危機感を強く持っておりました。

 そうした中で、今年の一月四日でございます、岸田総理が年頭の記者会見において、新しい資本主義についての決意を表明されました。伊勢神宮にお参りをしてきたその帰り、この一番トップに挙げていただいたのがスタートアップ振興政策。具体的には、戦後の創業期に次ぐ日本の第二創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として、スタートアップ五か年計画を設定する、こういうふうに力強く御表明をしていただきました。

 個人的には大歓迎でございます。大賛成でございます。是非ともこのスタートアップ政策を思い切って力強く進めていただきたいというふうに思っております。

 そこで、萩生田大臣、改めて、なぜ今スタートアップなのか、政府としての考え、そして大臣としての思いをお話しいただければと思います。

萩生田国務大臣 まず、塩崎先生が民間の弁護士から政治家へ転身をされた、まさにスタートアップの最初の質問に答弁させていただく御縁を大変うれしく思います。

 岸田政権の目指す成長と分配の好循環において、経済成長を今後も生み出していくためには、世界の趨勢を見ても、社会課題の解決に果敢に挑戦するスタートアップがイノベーションの担い手の中心となっていくことが不可欠だと思っております。

 一方で、我が国スタートアップの現状を見ると、資金調達額や新規株式公開数では改善しているものの、VCからスタートアップへの投資が不足しており、海外と比べてグローバルに成長するスタートアップが質、量共に少ないことが表れております。

 こうした中で、岸田総理から、スタートアップ五か年計画を策定し、今後五年間、スタートアップに集中的に政策資源を投入する方針が示されたと認識しております。

 経産省としても、コロナ禍で一旦落ち込んだスタートアップ投資が足下で急回復しつつある今、次世代の成長の担い手としてのスタートアップに大きく期待しており、関係省庁と連携し、海外勢との競争に打ちかつスタートアップ創出がされるように徹底支援に取り組んでいきたいと思います。

 大臣としての思いということも言っていただきましたので。

 私、昨年まで文科大臣を務めてまいりました。学校教育の中で、職業教育で、将来何の職業に就きたいかと子供たちに聞いたときに、必ず既存の職業の名前を挙げる、こういう習性があります。そうじゃなくて、起業したいんだ、新しい会社をつくってみたい、社長になりたい、こういう子供たちに野心的な思いを持ってもらうことをしていかないと、なかなかスタートアップは育たないと思います。多くの親御さんが、安定的な大学を出て資本力のある大きな会社に勤めれば、それは成功で安心だと思うのと同じように、そうじゃなくて、いや、友達と起業したいんだ、大学の研究をこのまま実業につなげていきたいんだと言ったときに、それはいいことだねとなかなか親が言ってくれない今の価値観が国内に蔓延していると思います。

 したがって、世界にしっかり目を向けていただいて、まさに成長の礎となるイノベーション、その技術、シーズは日本はたくさん持っているわけですから、それを我々政治家も、国民の皆さんにもその価値観を共有していただいて、まさに今年からスタートアップというものにしっかり力を入れていきたい、その先頭で頑張っていきたいと思っています。

塩崎分科員 萩生田大臣から、今、子供たちがなりたい仕事はと聞かれて、新しい事業を始めたい、そういう夢を語ってくれるような社会になるといい、そして、それを親も含めて社会全体で応援できるような社会がつくれるといい。私も一〇〇%同感でございます。挑戦する日本の魂をもっともっと強く鍛えていく、そのために一身を賭してまた頑張っていきたい、その思いを新たにいたしました。

 さて、経済産業省では、これまでスタートアップ支援を長年続けてこられました。経済産業省の中で主にスタートアップ政策を担ってこられたのは、経済産業政策局の新規産業室という部屋でございます。私も弁護士時代から大変お世話になっておりまして、大変優秀な皆さん、そして情熱を持った皆さんがこの政策にこれまで取り組んでいらっしゃいました。

 ただ、これだけ政府のど真ん中の成長戦略を担っていくときに、本当に構えとして室というものでいいのか、もっと様々な人的な、そして組織としてのリソースを集中してやっていくことができないのか、そんな思いも持っておりました。海外では、例えば中小・スタートアップ庁のような形で、組織の名称自体をまさにスタートアップ支援に掲げていく、こんな取組をして成果を上げている国もございます。

 そこで、萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

 これから五か年計画をまた政府で策定していくに当たりまして、経済産業省としても、例えば、新規産業室を大幅に格上げして、まあ、中小・スタートアップ企業庁とは一気にいかないかもしれませんけれども、この室を大きく格上げしたり組織的にも大幅に強化拡充していく、そうしたことも含めて御検討することを考えていただきたいと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 経済産業省では、時代の大きな変化に合わせた新たな政策を実行していくため、伝統的な産業振興、保護とも構造改革アプローチとも異なる経済産業政策の新機軸というコンセプトを打ち立てて、昨年六月から部局横断的な議論を進めております。

 特に、スタートアップ政策は、これまで投資促進税制や技術開発予算など様々な支援を行ってまいりましたが、海外と比べてグローバルに成長するスタートアップが質、量共に不足しており、省内各局に分散している施策を有機的に組み合わせ、強化することが必要です。

 このため、昨年十二月に、御指摘の経済産業政策局や中小企業庁を始めとした省内の関係部局、また関係独立行政法人などのスタートアップ担当等を統率し、総合的な政策立案と実施を伴うスタートアップ創出推進室というものを大臣官房に設置をしました。

 スタートアップ創出推進室とは私自身議論を重ねてきているところです。結集した職員がそれぞれの政策分野のプロフェッショナルとして、省内外の関係者の強みを集中させることでスタートアップ創出を全力で後押ししてまいりたいと思います。

 御提案の、中小・スタートアップ企業庁にしたらどうかという御提案は、貴重な御意見として今日は受け止めてまいりたいと思います。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 引き続き、スタートアップ政策、まさに体制面でも、様々な部署にまたがるリソースを集約して政府の中心的な成長戦略として進めていけるように、体制の拡充も含めて進めていただければと思います。

 では、続きまして、スタートアップ政策の中身についてお伺いをしていきたいと思います。

 岸田総理は、年頭の記者会見におきましてこういうふうにおっしゃっています。「公的出資を含めたリスクマネー供給の強化、公共調達等の大胆な開放、海外展開への徹底的支援、株式公開制度の在り方の見直しなど総合的に取り組んでまいります。」こうした発言をされていらっしゃいます。

 日本のスタートアップの環境について、スタートアップジノムという海外の調査会社が毎年発表しているグローバルスタートアップエコシステムのランキングというものがございます。こちらを見ますと、東京は、二〇二〇年の十五位から二〇二一年は九位に上昇と健闘しております。しかしながら、欧米だけでなく、例えば北京が四位であるとか上海が八位、アジアの中でもまだまだ水を空けられております。そして、スタートアップエコシステムのランキングに入っている都市は東京以外にはありません。

 岸田総理がおっしゃっているように、まさにスタートアップ支援というのは、単発の政策をばらばらにやるだけでは効果が出なくて、エコシステム全体をしっかりと強化していくということが非常に大事だというふうに考えております。

 そこで、経産省にお伺いしたい。

 今回のスタートアップ五か年計画、作っていくものは、これまでの政策とどこが違うのか、そして、この内容、これからの策定のスケジュール感、こういったものはどうなっているのかを教えてください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本のユニコーン企業数は近年増加してきてはおりますけれども、アメリカ、中国等と比較して依然低い水準にとどまっております。

 その理由としては、資金、人材、事業の各方面に様々な課題があると思ってございますけれども、総じて言えば、委員もおっしゃっていた、スタートアップのエコシステムの規模がまだまだ不十分でありまして、その中でスタートアップが力強くスピード感を持って成長しにくいことにあると思ってございます。エコシステムを一気にスケールアップするため、政府としても、その支援策を一層戦略的に考えて加速していく必要があると思ってございます。

 今後、海外と伍して戦えるスタートアップが一つでも多く出てくるよう、戦略的、集中的に政策資源を投入していく必要があると考えておりまして、現在検討中ではございますけれども、例えば、委員もおっしゃっていたリスクマネーの供給拡大による資金調達の容易化、それから、大臣もおっしゃっていたような起業家マインドの醸成とか起業家教育の充実、それから、大企業人材のスタートアップにおける経営人材としての活用の促進、それから、スタートアップのグローバル展開支援、グローバルなネットワークを持つ海外投資家の呼び込み、海外からの優秀な起業家人材の呼び込みなど、金、人、事業の各方面について関係省庁ともよく連携して検討して、精力的に取り組んでまいりたいと思ってございます。

 スケジュールでございますが、これは政府全体の取組でございますので、まだ、いつということをこちらから申し上げることはできませんけれども、総理が六月までにはとおっしゃっておられたと承知をしてございます。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 今の答弁にありましたように、様々な施策を総合的にエコシステムの強化のために策定をしていただけるということで、それが本当に大事なのではないかと思っております。

 さて、スタートアップの問題は、東京の問題だけではありません。ユニコーンづくりだけの問題ではありません。地方において、地方こそスタートアップが必要だというふうに私は思っております。

 この二十年間、上場企業の数を調べてみますと、四季報によれば、上場企業の数は、全体で、日本では三百十四社二十年間で増えている。しかし、その大半は東京でございます。数でいうと、東京は、二〇〇一年から二十年で四百三十八社上場企業が増えている。しかし、それ以外の都道府県の多くは、上場企業の数を減らしているところが大半でございます。

 そこで、お伺いしたいのは、今、これからスタートアップ支援をしていくというときに、東京に必要な政策と地方のスタートアップ支援に必要な政策は必ずしも同じではないのではないかというふうに考えております。地方都市においてスタートアップ支援をしていく、その方策についてどのようにお考えかお答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、スタートアップの成長の度合いを見てみますと、成長資金の供給を担うベンチャーキャピタルや金融機関、スタートアップとのオープンイノベーションを行う大企業などが集まる首都圏が先行していること、これは事実だろうと存じます。

 そこで、内閣府や文科省とも連携をいたしまして、一昨年七月、地域におけるスタートアップエコシステムの構築に積極的な自治体、大学、民間企業等で構成されるコンソーシアムの中から地方の拠点都市として全国から八つを選定して、世界に伍するスタートアップの創出を図るべく、政府、自治体、政府関係機関、民間のサポーター等が集中的に支援を行う取組を開始してございます。

 加えまして、令和三年度補正予算を活用いたしまして、NEDOが、地域に眠る技術シーズの事業化に向けた技術開発の支援、それから、スタートアップとして起業した後に早く成長ステージに行けるよう専門家によるハンズオン支援などを行う制度を開始したところでございます。

 今後とも、関係省庁とも連携をいたしまして、地方におけるスタートアップ創出と成長に向けた環境整備に引き続き努めてまいりたいと思ってございます。

 なお、五か年計画での位置づけにつきましては、内閣官房始め関係省庁とよく相談をしてまいりたいと思ってございます。

塩崎分科員 地方のスタートアップ支援もしっかりと取り組んでいただくということで、ありがとうございます。

 もう一つ、社会起業家の支援についてもお伺いしたいと思っております。

 私が米国に留学していた二〇〇八年の当時のことでございますが、私の同級生のニールという友達が、同じアパートの隣の部屋で眼鏡を売っているから来てくれと言って、誘われました。行ってみると、キングベッドの上でたくさんの眼鏡を並べて売っている。買ってくれないか、一つ買ってくれれば、一つ眼鏡を発展途上国の目が見えない子供たちのために送ってあげるんだ、こんなことを話してくれました。こんなものがビジネスになるのかな、そう思っていたのも事実でございます。しかし、卒業して数年で、瞬く間に彼の会社はユニコーン企業としてアメリカで認知されるに至りました。今、ウォービーパーカーという会社として世界的に認知されています。

 経済産業省の二〇一三年のソーシャルビジネス推進研究会の報告書によると、社会起業家の定義として三つの要件が挙げられております。社会性、社会課題の解決に取り組む、事業性、収益を上げて継続的に事業活動を行う、そして革新性、新しい社会的商品やサービスなど、こういったものに取り組んでいくのを社会起業家と呼んでまいります。

 特に地方では、都会とは違う様々な社会課題がたくさんあります。人口減少下の中での交通過疎の問題又は空き家の問題、こうした問題を解決していくのに、自治体の力だけではなく、民間の力、ビジネスの力、市民の力を使っていかなければこれから解決できない問題がたくさんあるのではないかと思っております。

 こうした中で、今回、スタートアップ創出元年、これから五か年計画を作っていく中で、是非この社会起業家の育成という視点も忘れないで入れていただきたいということでございます。この点について、経産省の所感をお伺いしたいと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃるとおりでして、都市部よりも急速に進む高齢化、それから人口減少に伴う各種サービスの不足など、地方には都市部と異なる切実な社会課題もあるものと認識をしております。

 こうした地方における社会課題をきめ細かく解決していく上では、スタートアップによる新しい技術やアイデアが貢献できることは多いと私どもとしても認識をしております。実際、ある地域の社会福祉法人の資金不足をクラウドファンディングで解決するようなプラットフォームを提供するスタートアップが今活躍しているものと承知をしております。

 こうした社会課題解決型のスタートアップの育成も大変重要な課題だと考えてございまして、五か年計画での位置づけにつきましては、今後、内閣官房始め関係省庁とよく相談をしてまいりたいと思ってございます。

塩崎分科員 ありがとうございました。

 社会起業家についてもしっかりと支援を取り組んでいただけるということで伺いました。

 ちなみに、私の友人の立ち上げたウォービーパーカーという会社は、昨年の九月にアメリカで上場いたしました。現在の評価額は七千四百八十億円。ユニコーンどころか、角が七本も生えていたということでございます。

 隣りにいたあいつが上場できた、こんな気持ちをたくさんの人が持てることが、まさに萩生田大臣がおっしゃった、私も起業家になりたい、そんな子供たちを増やしていくことにつながっていくのではないか、そんなふうに思って取り組んでまいりたいと思います。

 さて、ここからは、話を変えまして、私の弁護士時代のもう一つの柱であった危機管理についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 具体的には、南海トラフのお話でございます。

 今年の一月の十三日に、地震調査委員会が地震の発生確率値の更新を発表いたしました。今年、四十年以内に南海トラフでマグニチュード八から九クラスの地震が発生する確率、これは元々八〇から九〇%とされていたのが、九〇%に引き上げられた。

 愛媛県は伊方原発を抱えている県でございます。この地震の確率が引き上げられたという報道が出ますと、その理由は何だと不安になる方もいるのではないかと思っております。

 そこで、この発生確率が変更された背景についてお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 政府の地震調査研究推進本部の地震調査委員会では、活断層で起きる地震や海溝型地震の場所、規模、今後何十年といった、一定期間内に発生する確率について長期評価を実施しているところでございます。この長期評価における地震の発生確率値の算定では、想定された地震が発生しない限り、基本的に、時間の経過とともに発生確率の値が増加するモデルを用いているところでございます。

 この地震調査委員会では、原則として、毎年一月一日を基準として発生確率値を更新してございまして、本年一月十三日の同委員会でも、本年一月一日を基準とした地震の発生確率値に更新し、公表しているところでございます。その中で、南海トラフ地震につきましては、今後四十年以内にマグニチュード八から九クラスの地震が九〇%程度の確率で発生すると評価をしているところでございます。

 昨年一月一日を基準とした前回の評価におきましては、発生確率の計算の値が八四から九〇%と算定されたため、四捨五入の上、八〇%から九〇%と表記で公表しておりましたが、本年一月の評価では、計算値が八五から九〇%となりましたので、下限の確率が一%だけ増加して算定されたことに伴い、表記上、九〇%程度として公表したところでございます。

 このように、南海トラフ地震でございますれば、想定された地震が発生しない限り、発生確率の計算値は毎年一%程度増加いたしますので、今回の発生確率値の引上げについては、実際の発生確率が急激に高くなったことを示すものではございません。

 以上でございます。

塩崎分科員 八四から九〇が八五から九〇になったという今の説明をいただくと、多くの方は安心するのではないかと思います。四捨五入による誤解だということだと思いますが、地震の発生確率、八〇とか九〇%になってまいりますと、一%が大きな影響を持ってまいります。本当に四捨五入でいいのか、発表の仕方も含めて御検討いただけるといいのではないかと思っております。

 さて、伊方原発でございますが、伊方原発は、佐田岬のつけ根に位置するという非常に特殊な地理的条件の下に建っております。そのため、愛媛県の広域避難計画においても、万が一原子力災害が発生した場合には、陸、海、空、あらゆる避難手段を活用した広域搬送が不可欠になってまいります。そして、道路が寸断されたり、津波により海上が使えない場合には、一時的な屋内退避の選択肢も想定しなければならないとなっております。

 そこで、お伺いしたいのは、放射線防護の観点から、一時的な屋内退避をするというときの健康上の安全性についてお答えをいただきたい。そして、広域の避難が必要となるということにつきますと、とても一つの県での対応というわけにはいきません。国としての支援体制、こういったものの拡充の方向性について御回答をお願いできればと思います。

佐藤政府参考人 ただいま御質問で、屋内退避の有効性、こちらについてお尋ねがございましたので、この点については私から答弁させていただきたいと思います。

 米国の環境保護庁による研究では、例えば、木造家屋において放射性プルーム中の放射性物質の吸入による内部被曝を四分の一程度に抑えることができることなど、屋内退避による被曝線量の低減効果が示されているところでございます。

 また、私ども原子力規制庁においても、調査研究事業で、特に日本家屋の特性を踏まえて評価した結果、建物の特徴や気象条件などによって低減効果が異なるものの、代表的な条件下で試算した範囲では、このような、今申し述べました海外の研究結果と大きな差異は認められなかったところでございます。

 以上によりまして、屋内退避は放射線防護として有効な措置であるというふうに考えているところでございます。

塩崎分科員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので締めさせていただきますが、まさにこの南海トラフの地震につきましては九〇%の発生の予測が出ておりますので、やはり危機管理において我々は想定外というものは許されない、そういう立場にあるというふうに思っております。

 あらゆる最悪の事態を想定して、それに向き合う勇気の上に初めて国民の安全と安心が守られていくんだと思っております。そのことに対して私の経験の全てを生かして取り組んでいく、その誓いを新たにここに申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて塩崎彰久君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島分科員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日、明日との分科会、大臣、お疲れさまでございます。

 まず一点目は、洋上風力の入札について。

 昨年末、秋田と千葉の三つの海域における洋上風力発電の入札の結果が示されました。三か所とも三菱商事を中心とするコンソーシアムが落札したということで、業界では、ある意味大きな波紋が広がっております。

 私もいろいろな関係者や役所も含めて話を聞いてみましたけれども、何か不正があったとか、政治の介入があったとか、そういうことは絶対ないと思うんです。しかし、大臣、三か所、同一事業者を選定するというのは、これは果たして想定していたのか、それに伴う問題点というのは何らか感じるところはございませんでしょうか。

    〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕

萩生田国務大臣 審査の過程は極めて厳格に、公正に行われていることは改めて申し上げたいと思います。

 他方、感想はと言われれば、せっかく初めての洋上風力なので、機械のメーカーも含めていろいろ分散して、また、その実績をしっかり見たいなという気持ちが私自身はありましたので、同じグループが同じ場所で全てを受注されたということでは、そういう機会を失ってしまったなという気はするんです。

 要は、評価の点数の在り方が、要するに、最終的な売電の金額に非常に比重をしていたことが、結果、こういうことになったんじゃないかというふうに思いますので、大切なのは、技術力も大切でしょうし、地元との信頼関係というのも大切だと思うんです。早くから地元へ入って、地元の皆さんは、この人たちだったら信用できると思っていた人たちが負けてしまったということに対して少し失望感や不安を感じているんだと思うので、そういうことも大切な要素じゃないかなと思いますので、是非、次回以降のいろいろな検討課題にしていきたいなと思っています。

福島分科員 真摯な御答弁をありがとうございます。

 私は、若干不安なのは、この大型の洋上風力というのは日本で初めて事業として行いますけれども、いきなり一つの会社が三か所で同時にできるのかと。技術の面でも人材の面でも様々な困難があると思うんですけれども、今回の評価において、事業実現性という項目がありますけれども、そのところで、三つを同時に取ったときの様々なリスクというのは考慮されているんでしょうか。政府参考人でも結構です。

茂木政府参考人 今回選定された事業者が提出した事業計画、これについては、この実現性も含めまして、風力発電、それから海洋工学、財務、ファイナンス、法務、それから地域の経済、それからプロジェクト評価、こういった各分野の学識経験者あるいは専門家で構成される第三者委員会で、様々な観点から評価をいただいています。

 これは、延べ十回にわたって第三者委員会を実施しておりますけれども、その中で、事業者の建設工事のスケジュール、それから資機材の調達、そして資金調達の内容やリスク分析について確認をして、評価をしています。

 また、三海域で並行してこれを実施するという上で、例えば、工期も含めた無理のないスケジュールが組まれているかどうか、あるいは、海域での工事になりますので天候が荒れたりする、こういうこともありますので、こうしたリスク、あるいはそうした作業への影響、こういったものもきちんと配慮されているかどうか、こうした点については、具体的な実施体制、それをしっかりと実行できる実施体制が整っているか、こうした点は全て確認を行っております。

 また、今後、選定事業者から、公募占用計画、この出していただいた計画に基づいてしっかりと事業が履行できているかどうかということについても定期的に報告を受けた上で、政府としてもしっかり監督をしてまいります。

 実施の状況については、この外部有識者で構成される会議においてもしっかりと検証をしてまいりたいと考えています。

福島分科員 そう茂木部長はおっしゃいますけれども、先輩なので、なかなか厳しいことは言いづらいので優しく申し上げますが、ただ、現場の実態を聞くと、必ずしも、様々な、そういう問題じゃない点もお聞きをします。施工事業者がどれぐらいあって、どういう能力を持ってというのは、恐らく、落札した事業者にとっても未知の経験であって、様々にリスクがあると思うんですね。第三者が評価したから大丈夫だとよく役所は言いがちなんだけれども、そうでは必ずしもないと思うんです。

 例えば、一例を出すと、その地域にどのような風況があって、どのような地質があるかというのは、ヨーロッパではいわゆるセントラル方式と言われていて、そこは共通の土俵の上で価格を競争するわけでありますけれども、日本の場合は、それが今回の入札ではできていませんから、どういう風況調査をやるか、それぞれの事業者によって、コストの、出す条件が変わっちゃうんですね。つまり、土俵が一つじゃなくて、土俵を設定すること自体も業者が行う、事業者が行うというやり方の下で評価されたというのは、私は、これは評価の基準も選定の方法も若干の問題があると思うんですけれども、その点について改善されるつもりはございませんか。

茂木政府参考人 まず、今回の公募において、各海域で、国の方からは、風況データ、それから地盤に関するデータというのを、公募に参加した事業者に対して提供をしております。

 また、当然、再エネ海域利用法の施行前からこの候補地域に独自で調査を行った事業者がいたことは、これは事実でありまして、自らが実施した調査結果も踏まえて各公募事業者が公募占用計画を作成して提案されてきているという、この点も事実であります。

 この公募の評価の中では、こうした事前調査の実施状況ですとか、その実施内容を踏まえた計画になっているかどうか、この点も評価の対象に加えておりますので、そういった内容も踏まえて第三者委員会で評価をしております。

 一方で、今委員から御指摘がありましたとおり、公募希望者に提供されている情報の精度、これをどう上げていくのか、クオリティーをどう上げていくのか、これは非常に重要な視点であります。また、事業者が個々に今調査を行っているケースもあるわけですが、こうしたことが案件形成の迅速性とか効率性あるいは地域との関係という観点で課題の一つになっていることも事実でありますので、今後は、いわゆる日本版セントラル方式とも言っておりますが、こうした実証事業を今始めておりますので、こういった結果も通じて、情報提供の質というのを上げてまいりたいというふうに考えています。

福島分科員 ちょっと違和感を持ったのは、国はもう風況や地質調査のデータは出していると言いますけれども、実際に事業をやる側から見ると、ポールをどこに建てるか、やはりその地質によって全くコストが変わってくるわけですから、真面目に事業を実施しようと思ったら、国だけじゃなくて独自で地質とか風況をやるのは、真面目にビジネスをやろうとする人は当たり前のことだと思うんですね、私は。それを、何か事業者がおまけでやっているとか余計にやっているみたいな言い方をするのは、私はちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。

 やはり、こういう疑念を持たれるのは、まだまだやはり選定プロセスや採点基準が曖昧な部分もあると思うんですね。例えば、私がびっくりしたのは、評価する第三者委員会の委員の名前すら公開されていないんですよ。経産省の基準に基づくんだと言いますけれども、経産省はもう持続化給付金の事務局選定でみそをつけておりますから、余り信用がないと思うんですね。

 ちょっと国土交通省さんにお聞きしたいんですけれども、今回は、単なる役所が物品を調達するというのではなくて、海というまさに公共のものを民間の方に使っていただくという極めて公共性が高いものだと思うんですね。これまで、港湾局の公募の案件で第三者委員会の委員名を非公表としている事例はございますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省が発注する港湾工事の入札契約手続に関し、現在設置されております第三者委員会であります総合評価委員会及び入札監視委員会の規則等について確認しましたところ、有識者名を非公表扱いにしている例はありませんでした。

福島分科員 大臣、これが標準なんですよ。経産省がおかしいんですよ。

 だから、私は、今回、委員の公表とか、議事の概要とか、評価コメントとか、そうしたものは、当然、事業ですから企業の秘密というのはございますけれども、いろいろな工夫を凝らすことによって、特に次に応募する方の、事業者への予見性を高める観点からも極力公開するように役所を指導していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますが、今回の選定過程において、いわゆる不正や不適切なことがあったということは全くない、このことだけは繰り返し申し上げていきたいと思います。

 ただ、しかしながら、これから、今回は確かに三か所でしたけれども、これはIRと違ってどんどん増えますので、次のチャンスがありますので、次の事業者の皆さんには大いに研究していただいてチャレンジしていただきたいなと思うんですが、その上で、先ほど、多くのプレーヤーが参加してもらうためにも選定の基準というものをもう一回見直していこうということを申し上げました。その中で、審査や様々なことに携わる人たちの名前を公表することがいいのかどうなのか、その辺はちょっと研究させていただきたいと思います。

福島分科員 大臣は不正はないとおっしゃいます。私もそれを信じたいと思いますが、ただ、なかなかそこは、今ほど情報が出ていないと信頼されないという面もあると思います。

 でも、これは今回が一回目でありますから、これから常に改善をして、制度を改善して、目的は、日本の健全な風力産業ビジネスを育成することだと思うんですね。それが一番の目的だと思いますから、それに合ったルールを是非作っていただきたいと思っております。

 次のテーマに行きたいと思います。

 原子力政策についてなんですけれども、昨年の第六次エネルギー基本計画で、二〇三〇年度の四六%の温室効果ガスの新たな削減目標を踏まえて、原子力の比率は、二〇一九年度、今、六%から、二〇から二二%にすることにしております。これは二千億キロワットアワーぐらいの発電電力量ということですけれども、現在、規制の対応などで停止しているのもありますけれども、一応稼働となっているのは十基。二〇三〇年というのは、あと僅か八年です。これはどれぐらいの原発を動かすことを見込んでいるのでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、今回のエネルギー基本計画の中で、二〇三〇年度は二〇から二二%ということで電源ミックスを設定してございます。

 ただ、その基数について申し上げますと、実際の設備利用率等は発電所によって異なるところでございまして、特定のどのサイトがどういう形でということについては、現在、具体的に設定を置いてミックスを定めたものではございません。

福島分科員 松山さん、典型的な役人答弁をありがとうございます。

 そうはいっても、現実にそこに発電所があるんですよ。個々の状況を見て、どれぐらいが動くかをやらないと、こんなのは絵に描いた餅ですよね。私もかつて公益事業部開発課というところで原子力の立地の仕事をしておりましたけれども、そうはいいながら、これぐらいは見込みがあるとかそうしたことをやっていましたよ。そのときの見込みどおりに全く今はいっていません、現実に。やはりこれは、書くんだったら、閣議決定している計画ですから、きちんとそこは見込まなきゃならないと思うんです。

 現実問題として考えたときに、柏崎刈羽、かなりいい炉が、でも、これは今、地元との関係で、八年で動くような状況じゃないと思いますよ。私の地元を見ても、東海第二原発、水戸地裁の判決で敗訴して、稼働ができません。東通とか大間とかこれからのやつも、八年ですぐできませんよね。残る発電所も、二〇三〇年には十五基が四十年超え。新しい規制対応で六十年に延長するためにも、地元との了解も必要であれば、様々な工事等々の対応が要りますよ。六十年に延長したって、二〇五〇年にはほとんどの原発は廃炉ですよ。

 つまり、リプレースとか新規立地しなければ、この数字なんて絶対いかないんですよ。でも、八年で、今からやったって、リプレースとか新規立地なんてできませんよ。本当に私は、国が本気でやろうとしているのか。いや、やるつもりがないんだったらもうやらなくていいんですよ、原発なんて。やるというんだったらちゃんとやるべきじゃないですか。

 例えば、私の地元の東海第二原発再稼働の問題、避難計画の策定が不十分だということで、できていません。避難計画を作るということは、事業者の努力ではどうしようもないんですよ、地元の自治体が作ってくれないと。でも、私の地元の、住んでいる水戸市も含めて、地元の自治体も困っているんですよ。二十七万の人口の人を、病気の方や動けない方もいる中で、どうやって移動、どこに移動するのか。ちゃんと作れ、裁判に堪えるだけのを作れと言われたら、できませんよ。

 今、国は何をやっているんですか。この東海第二原発の再稼働のために具体的にどういう努力をしているか、おっしゃってください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力に関して申し上げますと、エネルギー基本計画でこれまで累次記載してまいりましたように、今後のスリーEプラスSで……(福島分科員「東海第二についてです」と呼ぶ)東海第二、その前提として、原子力というのは、安全性を大前提に、地元の御理解を得ながら進めていくということが再稼働のところの中では非常に重要なところだと認識しております。

 地元の方々の御理解を得るという意味で申し上げますと、避難計画は大変重要だと思ってございます。国としましても、自治体任せにすることなく、避難先や避難手段の確保など、地域が抱える様々な課題に対した避難計画の策定に対する応援をしているところでございまして、御質問ございました東海第二の地域につきましては、茨城県や関係省庁が参加する東海第二地域原子力防災協議会の枠組みの下で、避難先施設や避難車両の確保、要支援者への対応など、関係自治体とともに、避難計画の具体化、充実策ということを検討しておるところでございます。

 もう少々お話し申し上げますと、具体的に、避難先の確保というところ、若しくは移動手段の確保、さらには要支援者の対応、それぞれ様々な計算上の問題もあったのはよく認識してございます。現在、県及び関係の自治体の方々に対して、内閣府を中心としてでございますけれども、これを具体的な計画に落とし込んでいくことに何ができるかということを協議し、応援しているところでございます。

福島分科員 私は、現場で自治体の職員も含めて話を聞いておりますけれども、そんな型どおりの答弁じゃないですよ。元々、自治体だって、やりたくてやっているんじゃないんですよ。迷惑なんですよ、はっきり言って、こういう避難計画を作らされる状況というものは。事業者は、動かしたいけれども、避難計画を作ることに携われないんですよ。

 今みたいな状況では、到底、私の地元の東海第二原発が裁判に堪え得るような避難計画を作って動くということはないと思いますよ。お金だって必要だし、様々な施設だって必要だし、場合によっては法的な対応だって必要かもしれない。そういうことを言わないで、単に地元との理解を得るなんという言葉だけでは、絶対動かないと思います。

 私自身が、もう二十世紀のときですけれども、原子力の立地をやっていて、あちこち行きました、サイトに。そして、反対派の住民の方との対話とかもやりました。時にはもみくちゃにされて、スーツを破かれたときだってありますし、殴られたことだってありますよ。そのときに、住民の理解のために何が必要かというのは、きれいな資料や言葉じゃありません。原子力政策自体がどれだけ信頼されているかなんですよ。

 特に、必ず言われるのは、トイレなきマンションと言われる現状ですよ。今、原子力の技術というのは未完の技術であります。最終処分までの体系が技術的にも産業としても完結していないという中で、ここで発電して出た使用済燃料は一体最終的にどうなるのというのは必ず聞かれるんです。それがないと、うちの発電所は、長い、子々孫々にわたってその後どうなるのかという、そこを必ず問われるわけです。

 私は、そのときに、常に役所から渡されていたのは、いや、核燃料サイクルをやります、高速増殖炉で、ここから出る使用済燃料はごみではなくてエネルギーなんです、原子力は準国産エネルギーだから、発電所はむしろエネルギーを作る油田みたいなものですと言って説明していたんです。それが、そのバックエンドの問題に、住民に対して説明する方法だったんです。

 でも、今、高速増殖炉の「もんじゅ」は廃炉になって、六ケ所の再処理工場だって、私がいた頃に、稼働を前提としていろいろな基準を作るのも私は携わりましたよ。まだ二十世紀ですよ。二十年たっても、まだ稼働すらしていないわけですよ。

 この間、政府から資料を求めたら、いつの間にか、プルサーマルが核燃料サイクルに変わられている。プルサーマルは核燃料サイクルですか。核燃料のリサイクルですよね、サイクルじゃなくて。

 これは、結果的に、高速増殖炉の路線は捨てたと考えてよろしいんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたエネルギー基本計画の中でも閣議決定しておりますとおり、引き続き核燃料サイクルを進めていくことは基本の方針でございまして、その中で、まずは、現時点におきまして、プルトニウム等を利用する軽水炉サイクルの実現を目指していくということがまず第一ステップだと考えてございます。

 なかなか長い時間がかかってございますけれども、六ケ所の再処理工場も、二〇二〇年に原子力規制委員会の方から許可を頂戴しました。今、最終段階の工事に向けた竣工準備を進めているところの最終審査を進めているところでございます。そういう意味で申し上げますと、非常に長い時間はかかりましたけれども、一歩一歩前進してきているところでございます。

 その上で、もちろん、将来的に考えてまいりますと、高速炉サイクルということは大変重要なポイントでございまして、それが実現すれば、減容化、有害度の低減、資源の有効活用ということは更に進んでくるものだと考えてございます。

 この高速炉の開発については、二〇一八年十二月に戦略ロードマップを定めてございます。これも踏まえまして、アメリカ、フランスといった国際連携や民間イノベーションを活用しながら、この実現に向けた取組を引き続き進めていきたいと考えてございます。

福島分科員 どうしても私は現場目線で見てしまうものですから、今の説明だと、恐らく、全く住民理解は得ることはできないと思っています。例えば、一時しのぎでプルサーマルをやりますという説明が、住民に対してどう受け取られると思いますか。是非、松山部長も、行かれているかもしれませんけれども、住民説明会の現場とか反対派の集会に行ってみてくださいよ。そこでどういうふうに言えば、まあ、反対派の集会だったら、もう初めから反対派の人は変わらないかもしれないけれども、普通の一般の人でもいいですよ、多くの人が不安を持っているときに、まずはプルサーマルやらせてください、それで受け入れられますか。

 二千何とかのロードマップができていると言っているけれども、「もんじゅ」がない中で、どの保証があるんですか。アメリカとかフランスとの国際研究をやると言っているけれども、フランスとの国際研究だって行き詰まっているし、アメリカだって、自ら、我々が持ちかけたことではなくて、向こうから言われたとまでは言わないけれども、どっちかといったら受け身の話ですよ。戦略がないわけですよ。

 私は、この国自身が原子力政策の全体の体系、今の現実を踏まえた上で、どういう産業として、将来どういう姿を描くのかというのは、二十世紀のときはありましたよ、COP3の後は。でも、三・一一の後、それがなくなってしまっているんです。それを示していないからこそ、どうせ国も本気でやらないんでしょう、絵に描いた餅なんでしょう、そう思って受け入れられていないのが今の現実の姿だと私は思うんですね。

 私は、浪人中にこの「エネルギー政策は国家なり」という本を書かせていただいたんですけれども、そこで、「実は「脱原発」の安倍政権」という項目を書かせてもらった。

 何でそれを思ったかというと、経団連の中西元会長、亡くなられた方ですけれども、この方が、イギリスで原発を造っているときに、民間の投資対象とするのは難しくなったといって撤退しました。そのときにインタビューに答えて、お客様が利益を上げられない商売でベンダーが利益を上げるのは難しい、どうするか、つまり原子力をどうするか、真剣に一般公開の討論をすべきだと思う、全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やり造るということはこの民主国家ではできないというふうにおっしゃっています。国民のちゃんとした理解ができなければ、民間だって投資できないのは当然ですよ。

 そして、会見でも、原発の再稼働が進まないことも直近の課題であり、積極的に推進すべきである、安全性の議論が尽くされていても、地元の理解が得られない状況に立ち至っていると言っていますけれども、それはなぜかということなんです。その説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論をすることが必要になっている、それにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない、仮に原子力をベースロード電源として使わない場合、長期的に見て何が人類のエネルギー源になるのか冷静に考えてみるべきだ、エネルギー問題については、資源エネルギー庁、経産省だけではなく、外務省、環境省、財務省なども関係する横断的な課題であるという問題意識を持っている、政官産学で真剣に議論していく必要があると言っているんです。

 私は、三・一一で全く状況が変わったと思いますよ。安易な脱原発議論にくみするつもりはありません。しかし、今の政策の延長上で、今の松山部長みたいな答弁で、到底、地元の、国民の皆様方の原子力に対する理解が得られるとは思いません。

 びっくりしたのは、原子力政策課に今の政府の原子力政策の体系を示す資料を出せと言ったら、出てきたのはこれだけなんですよ。二〇三〇年に向けた政策対応のポイントという、第六次エネルギー基本計画の原子力の項目をまとめただけ。つまり、ないんですよ、体系化された政策が、今。いや、ないと思います。私は分からない。私が分からなかったら、一般の人はもっと分からないんですよ。

 これは、いつも紋切り型に、「東京電力福島第一原子力発電所事故への真摯な反省が原子力政策の出発点」。私も、それに携わった一人として反省点は持っていますよ。一体何が反省なんですか。

 私は、今もその前も安全規制のやり方がおかしいと思っていますよ。世界一厳しいから問題がない。規制のやり方、規制の質において、例えばアメリカのNRCのやっている原子力の安全規制と、今の日本の安全規制はただ厳しいだけ、設備を求めるだけ、ただそれだけとは申し上げませんけれども、それとは決定的に質的な違いがある。反省を踏まえと言っているけれども、何を反省しているか、私はいまだに分かりません。

 原子力産業を民間が担うのだとすれば、この九電力体制が電力自由化によって流動化していく中で、誰がこれから担っていくんですか。その危機を誰が救っていくんですか。三十年後、四十年後は、新しい技術開発は国がやるのか民間がやるのか、その役割分担はどうなのか、そうしたことも含めて、ダボハゼのように国際協力に食いつくのはいいけれども、全体のこの国としての意思や戦略が私は見えないんですよ。だから、国民にとってみれば、政府は本気ではない、だったら原発なんてない方がいいじゃないと思うのは当然でありますし、いつまでたっても稼働が進まないまま、エネルギー基本計画で何%、何基動かすかも言えない。

 現場では、立地の推進に向けて一生懸命頑張っている職員がいます。私も、ある電力会社の立地担当のところへ行ったら、隣にお酌をしてくれる女性がいるんですよ。まあ、私は調子に乗ってお酒を飲んでいたんですね。接待じゃないですよ、懇親の場なんですけれども。そうしたら、その発電の立地事務所の所長さんが、うちの娘に失礼はありませんかと。娘さんだったんですよ。田舎の発電所のところに家族で住まなければ地元の人に受け入れてくれないから、家族を犠牲にしてまで立地をしようとする人だっているわけです。

 であれば、本気になって私は原子力政策の再構築に取り組むべきではないかと思うんですけれども、萩生田大臣、いかがでありましょうか。

萩生田国務大臣 昨年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画では、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために、原子力について、国民の信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくこととしています。

 もう先生に申し上げるまでもないですけれども、二〇三〇年のエネルギーミックス、原子力比率二〇から二二%実現、じゃ、何基動かすんだと先ほど御質問がありました。

 これは、何基というよりは、もうとにかく、今、既存の原子力施設があって、地元の御理解をいただき、安全性が確認されたものについては速やかに再稼働していく、これが国の基本的な姿勢であり、私の責任だと思っています。

 では、これから先どうするのかと、今先生、熱い思いでお話しされました。私も感ずるところはございます。ただ、これは、常に規制と運用のはざまの中で、そして、安全性をしっかり確保しながら、国民の理解をどう高めていくかということが大事だと思っておりますので、まさに今、第六次の基本計画を作ったばかりでございますので、今の段階では、この原則の中で、是非、一つ一つ理解を高める努力を私自身もしていきたいと思っています。

 ただ、国際情勢なんかを見ても、やはり国民の暮らしに電気というのは絶対必要です。それを守っていくために、コストと責任をどう見合っていくかということが我々政治家に課せられた使命だと思っていますので、いろいろな可能性を否定せずに、しっかり議論して前に進んでまいりたいと思っております。

福島分科員 ありがとうございます。

 私は、この第六次エネルギー基本計画の書き方では全然駄目だと思って、駄目というのは、そもそもおかしいということではなくて、体系立っていないんですよ。パラダイムが変わったし、世界の技術の進歩の度合いも変わっているし、産業構造の度合いも変わっている。その中で、安全対策も当然大事でしょう、安全対策とか使用済燃料対策、核燃料サイクル、最終処分、全部これは項目が挙がっています。一体誰がどのような役割でやるのか、そこにどういうふうにお金が動いていくのか、そうした産業の姿や、そこで役割を担っていく人たちの姿が具体的にイメージされる政策じゃないと、これは完全に絵に描いた餅になると思っております。この国に残された時間は私は少ないと思っております。

 ですから、是非とも、大臣、この原子力政策の再構築をもう一度、この第六次エネルギー基本計画のような政策体系をベースにするのじゃない、血の通った原子力、総合的な原子力政策をつくることを強く求めまして、私の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西村主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

 次に、土田慎君。

土田分科員 東京十三区にて初当選させていただきました自由民主党の土田慎でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 私は、まさにバブルが崩壊した平成に入ってから生まれました。そのような中で、私は、生まれてから一貫して、やはり構造的に日本が停滞してしまった時間を過ごしてきたわけでございます。

 そのような中において、今回、岸田内閣において、新しい資本主義を起動して、そして成長と分配の好循環を回していく、こういうことを実現していくことに対して、大変大きな期待と希望を抱いているわけでございます。その好循環を実現させていくために核となるのは、やはり持続的な賃上げであると考えております。

 また、昨今のエネルギー価格そして原材料費の高騰が進む中、しっかりと正当なコストを、取引相手のいかんを問わず、価格に転嫁できる社会をつくっていくことが、持続的な賃上げには不可欠であると考えているところでございます。

 しかし、私の選挙区である足立区は非常に中小企業が多いんですけれども、中小企業の社長に価格転嫁のことを聞いてみると、やはり、コストが上がってもなかなか価格に転嫁はできないよねというような話は、我々政治家だけではなくて、今日お越しいただいている行政マンの皆様であったりだとか、それだけではなくて、多くの国民が認識しているところであります。また、知っているだけではなくて、こういうような声は、本当に大昔、大昔と言うと大げさですけれども、昔から耳に入るような声でございます。この話を取っても、やはり、価格転嫁という問題に関しては、非常に根深くて難しい問題であると私は認識しております。

 そこで、中小企業の価格転嫁支援策についてお伺いさせていただきます。

 岸田内閣における新しい資本主義における価格転嫁対策の位置づけと、その価格転嫁を着実に行うための取組について教えてください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい資本主義の実現に向けては、市場や競争に全てを任せるのではなく、官と民がそれぞれの役割を果たし、成長と分配の好循環を生み出す、持続可能な経済を目指してまいります。

 こうした成長と分配の好循環を実現するため、地域経済の雇用を支える中小企業、これが適切に価格転嫁を行い、適正な利益を得られるよう、環境整備を重視しております。

 このため、昨年十二月二十七日に定めたパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージでは、一月から三月を転嫁対策に向けた集中取組期間と定めるほか、公正取引委員会と中小企業庁が事業を所管する省庁と連携して、問題となる事例を幅広く把握し、立入調査や要請を行うスキームを創設すること、下請代金法の買いたたきの解釈を明確化するとともに、立入調査の件数を増やし、取締りを強化すること、独占禁止法の優越的地位の濫用に関する新たな調査を実施し、立入調査の実施や文書の送付など執行を強化すること、本年四月から下請Gメンを倍増し、年間一万社以上の中小企業の現場の声を聴取することなど、価格転嫁を円滑にするための施策を大幅に強化していくこととしております。

 今般の取組を着実に実施することで、中小企業が適正な利益を得ていけるよう、政府一体で取り組んでまいりたいと考えております。

土田分科員 御回答ありがとうございます。

 今、内閣府の方から御回答いただきましたけれども、公正取引委員会の職員の皆様とお話をしていると、本当にしっかりコストを価格に転嫁できる世の中をつくっていきたいであったりだとか、適正な取引が行われる世の中をつくっていきたいという思いを、ひしひしと感じているところでございます。

 今御説明いただいた施策、対策は、大きく三つの分類に分けられるのかなというふうに私は思っておりまして、一つは、発注元の企業に対して啓蒙していく、広報活動を行っていくというような施策と、二点目は、いわゆる下請というか発注を受ける側の企業の告発しやすい環境をしっかりと整備していく施策、そして最後に三つ目は、いわゆる行政が、積極的に能動的に、御自身から、何か不適切な、不公正な取引がないかということをヒアリングしていく、この大きい三つだと思っております。

 その中で、私が申し上げた一点目の、発注元の善意に期待していく、啓蒙していくというような施策は、私はちょっと不十分なんじゃないかな、必要だとは思っているんですけれども、不十分じゃないかなと思っています。

 そもそも、いわゆる善意であったりだとか良心みたいな部分よりも、目の前にある、ある意味利益、価格を転嫁しないことによって得る利益の誘因が強いからこそ、不公正な取引が存在していると考えております。

 また、二点目の、下請から告発しやすい環境整備をつくるという点ですが、これは、現場からの声をしっかりと聞いていく、把握していくという観点からは非常に大事で、不可欠であると私は思っております。

 ただ、いろいろ中小企業を経営されている方々の声を聞くと、やはり元請の発注元の企業の目を気にしちゃうんだよねとか、元請の発注元の企業は地元の名士がやっている企業だからなかなかちょっと声を上げづらいというような声を聞きますし、恐らくこれは誰もが容易に想像のつくような悲痛な叫びなのだと思っております。

 そこで、三点目の、能動的に行政が不公正取引を把握しに行く、見つけに行くという点についてお伺いします。

 つまり、いわゆるGメン、調査員というんでしょうか、Gメンがヒアリングを積極的にしているわけでございますが、年間、Gメンの方々、合計でどのぐらいの件数をヒアリングしていて、そのヒアリングの結果をどのような形で活用しているのか、お伺いさせていただきます。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、取引の適正化に向けましては、整理していただきましたように、大企業に対する啓蒙でございますとか、あるいは下請事業者さんからの訴えですとか、こういったものを受け止めるということはやっております。

 最初に少し、下請事業者さんからの訴えというのも、これもそれなりに成果はありまして、下請かけこみ寺というのを全国四十七都道府県に設置しておりますけれども、相談件数は年間約一万件ぐらい出て、これで端緒にしているという例もございますので、一定の役割を果たしているというふうに思っております。

 その上で、能動的な取組につきまして、少し例示をさせていただきながらと思っておりますけれども、例えば、今御指摘ありました全国百二十名おります下請Gメンでございます。この活動についてちょっと御説明をさせていただきます。

 下請Gメンによる中小企業のヒアリング、年間四千件ぐらい実施をしてございます。来年度、この下請Gメンの数を百二十名から倍増するということにしておりまして、四千件の件数を年間一万件程度に広げてまいりたいと思ってございます。

 その下請Gメンからの聞き取りました情報につきましては、業界別あるいは企業別に整理をいたしまして、情報提供者が誰なのかということが特定されないように注意を払った上で、例えば業界ごとに定めているガイドラインですとか自主行動計画、こういったものの改定につなげていく。それから、個別企業においていろいろな違反がある場合には、下請代金法による取締りの端緒情報として、公取とも連携しながらやっていく。それから、下請中小企業振興法という、これは振興関係の法律があるんですが、これにつきましての振興基準の改正ですとか、不適切な事例についての指導助言ですとか、こういった法律の執行にも活用することにしております。

 それから、能動的な取組につきましては、下請事業者二十万社に対して定期的な調査も行っております。また、発注側とか受注側事業者の九万社に対するアンケート調査による取引実態の把握なども行っております。

 そのほかにも、昨年の九月、初めて価格交渉促進月間をやっておりまして、このフォローアップの関係でございますとか、あるいは、サプライチェーン全体で共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言、これの普及でございますとか、様々な取組によりまして、取引の適正化に向けて、広報なども含めましてしっかり検討してまいりたいと思っております。

土田分科員 限られた予算の中で本当に大変ですけれども、頑張っていただいていると認識しておりまして、その努力に対しては非常に敬意を抱いているところでございますけれども、中小企業の数が約三百五十万社あると言われていて、その取引も、取引の数だけで見ると恐らく天文学的数字になるんだと思っております。

 その中で、今の人員拡充の話も含めて、どうしてもやはり人海戦術的な手法というか実態把握方法になってしまっている点がありまして、そこはちょっと限界があるんじゃないかなというふうに思っております。

 それに当たって、今ちょうど、AIなどを活用して、より広く実態を把握していこうというような取組をされていると思いますけれども、そこについて詳しくお話をお願いします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ありましたように、取引は非常に膨大でございますので、中小企業の数も大変多うございますので、そういった中でどうやって効率的に進めていくかということでございまして、今御指摘いただいたAIでございますけれども、先ほど申し上げました下請Gメンでございますけれども、こちらでいろいろな全国各地の下請企業の現場の悩みというものを伺うことになってございます。

 そういう中で、そのGメンで得た情報を、AIなんかを活用して、さっき申し上げました下請代金法に基づく取締りとか、下請Gメンのヒアリング情報みたいなものの活用にうまく使っていけないか。人海戦術でヒアリング情報を整理するというのは大変でございますので、端緒情報を効率的につかんで効果的に対応していくということのために、そんなことができないかということについて、今フィージビリティースタディーをやっておるところでございまして、うまく取り込めるようであれば来年度以降取り込んでまいりたいというふうに思っております。

土田分科員 まさに今、賃金の上昇であったりだとか、燃料費、原材料費の上昇が続いている中で、自然にコストが価格転嫁されるサイクルをつくっていくことが、まさに成長と分配の好循環をつくっていく、回していく肝だと思っておりますので、引き続き、しっかりとした、効果的な取組の方をよろしくお願いいたします。

 次に、中小企業のMアンドAに関する制度整備の質問をさせていただきます。

 豊かに暮らせる日本を次の世代にしっかりバトンタッチしていくためには、大企業や中小企業といった企業規模に限らず、しっかりと、日本の全ての企業が生産性向上に向けて取り組んでいける環境整備が必要だと思っております。

 その方法の一つとしてMアンドAという手法があるわけでございますけれども、その方法の一つにMアンドAがある中で、いわゆる企業の新陳代謝をしっかり回していく必要があると私は思っております。

 MアンドAのいわゆる基盤をしっかり整えていくことがまだまだ日本では進んでいない、未完成であるという認識を持っている中で、中でも、中小企業におけるMアンドAの取引業態は大きく分けて二つございまして、一つはFA型、いわゆるフィナンシャルアドバイザリー型と、仲介型というものがございます。この仲介型の企業取引に関しては、いろいろ、利益相反の問題であったりだとか、多く問題点が指摘されておりますけれども、行政としてはこの点をしっかりと認識しているのでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年三月に中小MアンドAガイドラインというものを策定いたしましたけれども、この中で、まさに御指摘のとおり、仲介者が支援を行う場合には、譲渡し側、それから譲受け側、双方が依頼者になるということでございますので、例えば、譲渡し側にとっては譲渡対価が高い方が望ましい、一方、譲受け側にとってはそれが安い方が望ましいという中で、いずれかの当事者との間で利益相反のおそれがあるということは、そのガイドラインの中でも指摘されているところでございます。

土田分科員 ありがとうございます。

 MアンドAを実施するに当たって免許などは不要でございますけれども、仲介型においては、営業マンが成約時に受け取るインセンティブ、いわゆるボーナスの額が非常に大きくて、適正な取引価格を設定してしっかり取引を行うということよりも売手と買手のマッチングが重視されがちであるというような話が言われております。

 そうした中で、FA型と異なり、売買プロセスの適切な価格決定プロセスが働きづらい、仲介型においては働きづらいと言われている点についてはどのようにお考えでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、FA型とMアンドAということでございますけれども、これは、事業実態として申し上げますと、やはり成約によって報酬を得るということにつきましては、MアンドAのパターンであってもFAのパターンであってもどちらも同じということでございますので、いずれにせよそういった中で報酬が得られていくわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、仲介者につきましては、仲介型につきましては、いずれか一方の当事者の利益を優先するような可能性があるということでございますので、MアンドAガイドラインにおきましては、仲介者も含むMアンドAの専門業者に対しまして、やはり適正な業務を執行するために、ほかのMアンドA支援機関へのセカンドオピニオンを求めることをしっかり認めるような契約にしていただきたいということ、あるいは、売手と買手の両者から手数料を徴収しているということの不利益情報を開示することを徹底していただきたいといったようなことを求めているところでございます。

土田分科員 売手に対して買手側、仲介をする買手側の、売手との情報格差が非常に大きくて、必ずしも適正な取引、企業価値評価がされているというふうには言えない状況にあるわけでございます。

 また、先ほどおっしゃっていただいた中小企業におけるMアンドAガイドライン、中小企業庁さんが出されているガイドラインにおいて指摘されているとおり、買手は仲介業者にとってリピーターとなる可能性が高いわけでございまして、したがって、仲介業者からすると、一部の例ですけれども、売手にとって価格がちょっと安くても買手の利益を優先してしまうというような誘因が働きやすい構造がそもそもあるのではないかというふうに認識をしております。

 仲介型よりもFA型の方が、事業継承問題を抱える目線に立ったフェアなアドバイスができるというふうに考えておりますけれども、この点について御意見をお聞かせください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたけれども、両者の合意で価格が決まっていくわけでございますけれども、確かに、仲介者側が、リピーターになり得る譲受け側、買手側の利益を優先してまとめるんじゃないかという指摘もあるわけでございます。

 一方で、値段が上がりますと、先ほども御指摘ありましたように手数料がたくさんもらえるという形で、そういう意味から、譲渡し側、売る側の値段を高くするという誘因が働くというような指摘もございまして、必ずしも一方でどうかということではないのかなというふうに、可能性があるんじゃないかというふうに考えてございます。

 それから、MアンドAの実務におきましては、実態的には、やはり単独で手数料を支払うだけの余力が少ない小規模な事業者の方はいっぱいいらっしゃいますので、FA、フィナンシャルアドバイザーよりも仲介者の形態で、両方からという形で、そちらの方が多く用いられているのが現状でございまして、仲介者による支援が一律に不適切だということになりますとMA自体が進んでいかないという可能性もございまして、なかなか現実的ではないとも思っております。

 いずれにしても、中小企業者が仲介者を選ぶのか、あるいはFAを選ぶのか、それぞれの特徴を十分理解した上で、自らしっかりニーズに応じた支援を受けられる環境を整備することが大事だと思っておりまして、先ほど来御指摘のガイドラインにおきましては、仲介者、FAが、それぞれの契約の締結前に、それぞれの違いですとか特徴などの重要な事項についてしっかり説明を行って、中小企業者の納得を得ることが必要だというふうに指摘をしているところでございます。

土田分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたとおり、しっかりと企業の新陳代謝を回すサイクルを、基盤をつくっていくことは非常に大事だと私も認識しているところであります。

 一方で、上場企業に関しては、いわゆる利益相反の観点から、基本的にFA型、いわゆるフィナンシャルアドバイザリー型の取引しか実施されていないわけでございますけれども、にもかかわらず、いわゆる中小企業の取引においては、規模が小さいからであったりだとか、投資家からの指摘を受けづらいからであったりだとかというようないろいろな理由がございますけれども、仲介型の取引を容認というか、が横行していることに関しては、私は正直、道理には合わないんじゃないかな、理屈には合わないんじゃないかなというふうに考えております。

 また、日本よりもMアンドA市場が成熟しているアメリカなどにおいては、そもそも、企業の規模にかかわらず、いわゆる仲介業者というのは利益相反であるというような常識がある意味通っていて、そもそも、仲介業者を規制するような、何かそこの問題点を指摘して改善するような議論すら上がらない状態にあるわけでございます。

 しかし、日本においては、既に仲介取引というような形態が非常に浸透している中で、日本の企業の生産性向上に寄与させるためにも、ガイドラインだけではなくて、適切なルールづくり、ある意味、大げさな言い方で言うと、強制力があるようなルールづくりを行うべきだと考えております。

 適切なルールづくりを行うためにも、先ほど御答弁いただきましたけれども、適切な売買価格を認識するためのセカンドオピニオン、第三者評価機関を入れたりだとか、FA型に限定するであったりだとか、いろいろな具体的な解決策を講じるべきだと思っておりますが、その点、どうお考えでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘がありましたように、MアンドAは、やはり、生産性向上の観点、あるいは事業承継の観点からも非常に大事だと思っておりまして、今もお話がありましたように、実態的には仲介者によるMアンドAが非常に多くなっているわけでございまして、そういった中で、仲介者による支援の問題の影響をやはり最小限にしていくということで、中小企業の皆さんが安心してMアンドAを行える環境をつくるということが大事だと現在思っております。

 このために、中小MアンドA推進計画というものを昨年四月に取りまとめたんですが、これに基づきまして、同じく昨年八月には、MアンドA支援機関登録制度、これを創設いたしまして、これは中小MアンドAガイドラインの遵守を条件としているわけなんですが、この事業承継・引継ぎ補助金という補助金の補助対象を、登録MアンドA支援機関による支援に限定するという形でインセンティブをつけまして、中小MアンドAガイドラインの徹底をまず図っているというのが一つございます。

 それから、MアンドA登録機関、先ほど申し上げた、支援機関登録制度に登録された仲介者あるいはFAからの不適切な事案の収集というために、登録制度の創設に併せて、情報提供受付窓口も創設しておりまして、こういった中で、いろいろな不適切な事案などについては情報をいただいて対処していく。

 それから、価格の問題を始め、様々な取引条件について、納得がいかない、不安があるという方々には、第三者的な支援機関に意見を求めるセカンドオピニオンが有効ということでございまして、先ほど申し上げました事業承継・引継ぎ補助金では、セカンドオピニオンに係る専門家活用費用の補助もしております。

 こういった取組を通じまして、中小企業が安心してMアンドAを行える環境の整備に向けて、現場の御意見もしっかり伺いながら進めてまいりたいと思っております。

土田分科員 ありがとうございます。

 今、市場の整備というような観点から申し上げましたけれども、経営者、売手側の経営者、個人の目線から考えると、やはり、自分の会社を売るというのは、ある意味、恐らく一生に一回の、大きな、いわゆる人生の総決算のわけでございますから、しっかりとその会社の価格の、自分の今までの人生の評価がしっかりとされる体制を整えていくことも非常に必要だと思っておりますので、引き続き御議論の方をよろしくお願いいたします。

 次に、コロナ関連補助金の評価についてお伺いさせていただきます。

 いまだに、未曽有のコロナ、コロナ禍という事態にもがき苦しんでいる事業者の皆様のために、国ができる限りの努力をして、補助、支えていくということは不可欠であると考えております。

 そうした考えの下、コロナ後、若しくはウィズコロナの世界を見据えた、事業復活支援金そして事業再構築補助金の目的、意義を、ちょっと簡潔に、よろしくお願いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事業復活支援金でございますけれども、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様が三月までの見通しを立てていただけるよう、使途に制限のない給付金を一括給付することで、事業の継続、回復を支援することを目的としております。

 二つ目に、事業再構築補助金でございますが、こちらは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新たな事業分野に進出するなど、中小企業等の事業再構築の取組を支援することで、日本経済の構造転換を促すということを目的としております。

土田分科員 復活支援金、再構築補助金に関しては、まさに今コロナで非常に苦しいけれども何とか復活してやろう、今の勝負している分野ではなかなかコロナ禍では勝負しづらいから別の分野で再起を狙ってやろうというような、まさに非常に前向きな予算措置であると私は思っております。

 しかし、将来に向けて、このコロナ禍の教訓をしっかり後世に伝えていくというような観点も大事だと思っております。また、コロナの後に何か別の未曽有の事態が起きたときに、より効率的かつ効果的な施策を打つ準備をしていくのも、今回非常に大きな予算措置をした中で、今政治を担う我々がしていかないといけない点である、責務であると考えております。

 事業復活支援金二・八兆円、事業再構築補助金六千億円と、かつてないほどの予算を確保した政策の事後評価をする予定はございますでしょうか。また、ある場合はその方法についても、済みません、簡潔によろしくお願いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 事業再構築補助金でございますけれども、これは、補助事業終了後三年から五年かけて付加価値額を増加させていくということになっておりまして、事後的な政策評価を行うこととしております。

 また、事後評価を実施するために、採択事業者に対して、その補助事業終了後五年間にわたって売上高や付加価値額等を定期的に報告することを義務づけて、これでデータ収集していく。それから、政策評価の観点からは、不採択になった方々の情報もないといけないと思っておりますので、こちらも申請後のデータを一定程度収集できるという仕組みも構築しているところでございます。

 一方、事業復活支援金でございますけれども、こちらは、使途に制限のない給付金を出して、出したところで終了いたしますので、なかなか事業実施の効果を検証するのは難しいわけでございますけれども、やはり、これまでの給付金事業、あるいは金融支援、あるいは雇用調整助成金、こういったほかの支援策の効果も相まって、倒産件数が五十七年ぶりの低水準という状況でございます。

 行政事業レビューシートなどでの政策評価を通じて、この事業復活支援金についても適切な政策評価に努めてまいりたいと思っております。

土田分科員 是非、事後の備えのために、積極的な政策評価と検証のほどをよろしくお願いいたします。

 まだ質問が残っているんですけれども、ちょっと時間がなかなか足りないので、最後に、本当に今コロナで多くの人がもがき苦しんでいて、そして、今苦しんでいる人が、コロナをただの災いで終わらせるんじゃなくて、しっかりと、日本の再飛躍のきっかけになったよね、そういうような認識を、後日、後になって持てるように、しっかりとこの日本という国を次の世代にバトンタッチしていくために、私も頑張ってまいりますので、皆様と一緒に、引き続き、いろいろな勉強をさせていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

西村主査 これにて土田慎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

西村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河西宏一君。

河西分科員 公明党の河西宏一です。

 昨年の衆院選で比例東京ブロックより初当選をさせていただきました。本日のこの予算委員会第七分科会が人生で初めての質問となります。本日は、萩生田大臣に直接質問を申し上げる機会を頂戴いたしまして、また、細田副大臣も誠にありがとうございます。

 何より、この場に送り出していただいた方々に心から感謝を申し上げます。また、国民の皆様から御負託をいただいた一人として、現場の声を踏まえつつ質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、いわゆるゼロゼロ融資について伺います。

 これは、新型コロナ感染拡大の影響で売上げが減った企業に対しまして、実質無利子また無担保で融資する、ゼロゼロというわけでございますけれども、このゼロゼロ融資、公明党も、コロナ禍の失業、倒産を防ぐことがやはりポストコロナのことも含めまして経済再生に重要である、こうした認識の下に強く推進をしてまいりました。

 一昨年の三月から始まった際は、日本政策金融公庫あるいは商工中金など、いわゆる政府系の金融機関が担っていたわけでありますけれども、融資の需要の拡大に応じて、同年の五月からは民間の金融機関も融資できるようになったわけでございます。

 日本政策金融公庫の場合、条件を満たせば、零細企業や個人事業主なら最大六千万円、そして、中小企業は最大三億円を実質無利子で融資を受けられる。また、民間の金融機関の場合、返済が滞っても、元本の八割又は全額を、国の財源を元に信用保証協会が肩代わりをする仕組みとなっております。設備資金であれば最長二十年、また、運転資金なら最長十五年にわたり借りることができるわけでございまして、さらに、元本の返済も最長で最初の五年間は免除される制度でございます。

 まず、現在までに行われたゼロゼロ融資などのコロナ支援をめぐる融資の総額について、政府が把握をしておられる融資額、民間と政府系それぞれについて確認をしたいと思います。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 実質無利子無担保融資などの決定額は、二〇二二年一月末時点で、政府系金融機関においては約十九兆円、民間金融機関においては約三十七兆円となっております。

河西分科員 計五十六兆円ということで、これだけの融資額、そして雇用調整助成金などの各種支援によって、コロナ禍においても日本の倒産件数、失業率が低水準で推移をしてきたことは御案内のとおりでございます。

 しかしながら、問題はやはりここからだというふうに思っておりまして、この元本の返済、現場を歩きながら皆様にお話を聞いておりますと、やはり実際は五年を待たずして、一年以内から二年あたりで始まるケースが多いとお見受けをしております。恐らく当初は、やはりここまで新型コロナの感染拡大が長引くとは予想していなかったために、やはり借金ですので返済は早い方がいいということで、そういったお考えがあったものと思われます。

 融資を受けて、また補助金や支援金を受給しているうちは資金繰りには困らない状況が続くわけでありますけれども、返済を前提とした新たな資金繰り計画がないまま、いわば表向きは困らない状況を続け、返済を目前に迎えてしまえば、やはり厳しい状況に追い込まれかねないわけでございまして、先般も報道があったとおりでありますけれども、これはよく原因を分析しなければなりませんが、東京商工リサーチによれば、先月の、これは都内ですが、一月の倒産件数は八か月ぶりに増加をした。依然として倒産件数は歴代で見れば一月としては低い水準で、やはり政府支援の効果が表れていると見られるわけでありますけれども、それでも増加をした、それを差し引いても増加をしたという点においては、やはり危機感を持つべき傾向が表れたんだろうというふうに思っております。

 また、今朝の新聞にもございました、これは若干違う角度ですけれども、失業が一年以上続く長期失業者、これが、二〇二一年、昨年は月平均で六十六万人、前年より十三万人増えた、こういったこともあるわけでございます。

 他方で、この間、今御答弁があったように、民間の金融機関には、三十七兆円に上るゼロゼロ融資などに伴いまして、政府から利息が入り続けております。政府が方針を示したとおり、この返済猶予や返済期間の延長、柔軟な対応を行っていただくことは当然といたしまして、本当の問題は、やはりリスケをしたとしてももたない、対応できない事業者の方々をどうお守りをしていくかなんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、民間金融機関、そして中小企業庁も監督をされる信用保証協会、ここはよく実態をつかんでおられるというふうに思っております。こうしたところから、返済力がまだ回復していない融資先、事業者に対しまして、まず危機感を共有をしていただきまして、そして、返済を前提とした新たな資金繰り計画を立てていくように更に働きかけを行っていくべきである、このように考えますが、御所見を伺います。

細田副大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。私の方からお答えをさせていただきます。

 今先生から御指摘がありましたとおり、いわゆるゼロゼロ融資につきましては、売上げ減少というのが要件になっているわけでございますけれども、これを踏まえまして、個々の企業に寄り添いながら、個々の企業の経営の状況を踏まえて、早期に経営の改善に取り組むことが大変重要であると考えております。

 そのため、ゼロゼロ融資を受けた事業者に対しましては、信用保証協会による金融機関と連携をした経営支援でありますとか、あるいは、据置期間中の金融機関によるモニタリングを行っているところでございます。保証協会による経営支援については、士業等の専門家派遣を補助する予算を来年度増額する要求を行わせていただいております。

 さらに、それに加えて、今年度から、返済力向上を目指す計画に基づいて、金融機関が伴走支援をすることを条件に、信用保証料を最大〇・二%まで引き下げる伴走支援型特別保証制度を実施しております。これは、昨年の四月から既に四万件の実績がございます。

 このような政策を打っておりますけれども、今先生から御指摘のあった観点も踏まえまして、これらの政策を活用しながら一層の中小企業の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

河西分科員 ありがとうございます。

 今副大臣がおっしゃったとおり、モニタリング、経営支援、また伴走支援という観点、これはコロナ禍にありまして非常に大事であるというふうに思っております。

 融資は、やはり当然、貸したら終わりではなくて、その後が最も重要でありまして、是非とも関係省庁とも連携を密に取っていただきながら、このコロナ禍にあえぐ事業主の道しるべを経産省また中企庁は全力を挙げてお示しをいただきたい、このように思っております。

 続きまして、今申し上げたことにも関連をいたしまして、よろず支援拠点、これの機能強化についてお伺いをいたします。

 今、質疑で触れさせていただきましたように、幾ら融資をしても、また幾ら給付を行いましても、やはり人流抑制というものを行っている中にあって、経営体質をコロナに対応できるように変容、変革をしていかなければ、今後の日本経済のボトムアップは非常に難しいんだろうというふうに、これは皆さんの御実感であるというふうに思っております。

 そういった意味で、昨年の十二月の補正予算、これは御紹介にありましたけれども、例えば、事業復活支援金、これは受付が一月三十一日から始まりましたが、これは財源二・八兆円を確保をしていただいております。これは補正予算と目下審議中の当初予算とを合わせた経産省の予算の六・七兆円の約四割に当たるということで、中小企業を支援する政府の強い意思の表れであるというふうに私自身は捉えさせていただいております。

 それと同時に、これだけ公的資金を投入するのであれば、やはり、支援を受けた事業者の方々が、コロナを乗り切るだけではなくて、先ほども触れましたが、ポストコロナに向けてより生産性を高めていく。

 今、賃上げの施策も岸田政権の下で強化をされているわけでありますけれども、例えば、DXを通じた原価計算のシステム化。これは、なかなか、丼勘定でやられている小さな事業者さんが多いわけであります。今、コストプッシュの波が来ている中で、納入価格の適正化なども行った上で、例えば、しっかりとそのコストプッシュ分を上乗せしていくなどの対応力、こうした経営体質の抜本的な向上は非常に大事であるというふうに思っております。

 そこで、中小企業政策として特に力を入れていただきたいのが、よろず支援拠点などによる課題設定型のやはり伴走支援、そして、商工会、商工会議所などによる支援でございます。

 現場を歩いて経営者の方にお話を聞く中でやはり痛感をしますのが、経営改善の相談先をつくることの難しさであります。当然、経営者としてのプライドもおありだろうというふうに思いますし、また、事業の課題が何であるのか、この客観的分析にはそれなりの経験と専門性が不可欠であるというふうに思っておりますし、やはり誰でも分かる話ではないわけであります。なかなか生産性や賃金が上がらないと言われる中にあって、一つの要因として、日本ならではの低い価格設定もあるんだろうというふうに思っております。

 中小企業の黒字化を進めていくためにも、いわば経営改善のかかりつけ医のようなものが地域にもっと必要だろうというふうに思っておりまして、いわばかかりつけ医になり得るのが、中小企業大学校で知識、ノウハウを積んだ方々や、窓口でいえば、よろず支援拠点や商工会、商工会議所などの相談先であるというふうに思っております。これは、今後の日本経済のボトムアップ、これはコロナで露見した課題もそうですし、これまであった従前の課題もそうだと思います、特に都市部の経済再生において極めて重要であるというふうに考えております。

 これらの機能強化並びに制度の活用の更なる周知を強く求めたいと思いますが、政府の見解をよろしくお願いいたします。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 委員よく御案内のとおり、よろず支援拠点、これは平成二十六年に四十七都道府県ごとに設置したものであります。様々な課題を抱える中小企業、小規模事業者の様々な経営課題に対して、まさによろず相談ということでやっております。

 また、御案内のとおり、商工会は、町村部中心に全国約八十万事業者が加入しているところでありまして、千六百五十か所ありますし、商工会議所に至っては、全国で百二十二万者が加入していて、五百か所以上の会議所があります。

 さて、新型コロナの影響によって、まさに各種給付金、補助金、資金繰り支援の相談、これが相談件数が増加しております。よろず支援拠点においては令和二年度の数字でも四十三万件、商工会でも三百万件、商工会議所でも百六十万件、このぐらいの数が寄せられております。

 我々は、厳しい状況に直面する中小企業に対してきめ細かな助言、サポートを実施するために、令和二年度、三年度の補正予算において、それぞれ、よろず支援拠点、商工会、商工会議所等の相談員を増員するなど、支援体制を強化しているところであります。

 先生がおっしゃいましたような伴走支援という話もありました。まさに補助金を、若しくは支援策をお届けする、これは大事なことなんですが、それだけではなくて、中小企業に寄り添って、各企業が抱える課題まで掘り起こして経営改善の支援を行うことが重要だと認識しております。

 このため、昨年七月以降、よろず支援拠点の中でまず二十一か所を選んで、そこで中小企業の課題を掘り起こして成長につなげる支援事業の実証を始めております。来年度は更にこれを拡大していきたいと思っております。

 さらに、まさに相談を必要とする方、支援を必要とする方に情報が届くように、よろず支援拠点、商工会、商工会議所の業務を分かりやすくお知らせできるように、成果事例集や、ネット、SNSはもちろんですけれども、地元で分かりやすい独自のチラシ、ないしは、地域内の事業者向けの支援業務はこういうのがあるんだというチラシを作ったり、そういう作業もしながら周知、広報にも取り組んでまいりたいと思います。

河西分科員 ありがとうございます。

 今、課題の掘り起こしという御発言がありました。非常に大事であると思っております。課題を掘り起こしていく、それが必要なのがやはり都内なんだろうというふうに思っております。

 人口も企業も集中する東京におきまして、コロナ禍の人流抑制によってやはり東京とそれ以外の地域が受けた打撃というのは質、量ともに次元が異なるんだろうというふうに考えております。先ほどのゼロゼロ融資も、都市部でやはり大きなパイを占めているというふうにも伺っております。

 ちなみに、都内のよろず支援拠点は、新橋と立川の二か所。一方で、隣の神奈川県は、本部一か所、サテライト六会場の体制。そして、もう一つの隣県の埼玉県、ここは、本部一か所、サテライト会場が二会場、加えまして出張相談所が県内二十か所に展開をされております。

 このよろず支援拠点を始めとした相談体制の需要と供給がマッチしているのか、先ほどの二十一か所の実証、これも非常に大事だと思っておりますけれども、その実態把握に努めていただきたいというふうに思いますし、その上で、やはり、とりわけ経済規模も大きく中小企業も多い都内においては更なる相談体制を拡充すべきであるというふうに考えておりますけれども、同じ東京を地盤としておられます萩生田大臣の御所見を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 各都道府県のよろず支援拠点の予算額については、前年度の相談件数などの定量的な実績や、外部評価委員会における定性評価などを踏まえて、毎年度、各拠点に必要な予算額を配分しております。

 こうした中、委員御指摘の東京都のよろず支援拠点については、全国平均と比較しても、まず予算は重点配分している状況であります。

 また、よろず支援拠点は基本的には各都道府県に一か所ずつなんですけれども、先生からも御披露いただいたように、東京は、企業のアクセスのしやすさなどを踏まえて、常設の相談所を新橋と立川の二拠点設置しています。

 加えて、新型コロナによる外出自粛を踏まえ、テレビ会議システムを利用したオンライン相談、あるいは金融機関等と連携した出張相談会を、昨年度は百十回、今年度はこれまでに約百六十回実施するなど、都内の中小企業が相談しやすいような工夫を凝らしております。

 こうした取組の効果もあり、東京都のよろず支援拠点では、昨年は過去最大の約一・六万件の相談業務を実施するなど、多くの中小企業の相談に応じています。

 また、相談業務の内容については、支援拠点の業務の評価を行う外部評価委員からも、金融機関との連携が図られている点や、相談後のフォローアップや、複数の相談者がチームで支援を行っている点などが評価をされています。

 東京は逆に恵まれていまして、例えば、東京都あるいは区市町村の役場などでも中小企業の皆さんに対しての相談や支援体制というのはかなりしっかりしていますし、あるいは、商工会議所、商工会、あるいは民間の金融機関も含めて、割と相談のアクセスしやすい窓口というのはたくさんありますので、その中で、国が直接設置しているよろず相談所の果たす役割というのもあると思います。

 したがって、窓口の数だけ言えば神奈川県や埼玉の方がきめ細かいじゃないかという先生の御指摘はそのとおりなんですけれども、今のところ、そういうところに分散して、皆さんが一番身近なところで相談をしていますので、二か所の拠点が相談件数がもう飽和状態で、幾ら相談に行っても相談に乗ってもらえないんだとか、なかなか予約が取れないんだというような事態が生ずるのならばまた増やしていくことも考えなきゃなりませんけれども、今のところ東京は逆に恵まれた環境にあるということで御理解をいただきたいと思います。

 事業者の皆さんの御意見も踏まえ、改善すべきところがあれば柔軟に見直しをしながら、各地域の実情を踏まえた多くの中小企業が相談しやすい体制、仕組みづくりをこれからも構築してまいりたいと思います。

河西分科員 ありがとうございます。

 私も、これからも都内の状況をよく、現場を歩きながら、注視をしながら、また課題があればお伝えをしてまいりたいというふうに思っております。

 続きまして、各種支援金の申請不備をめぐる対応について伺います。

 いわゆる人流抑制を始めとしたコロナ禍の影響を受けている事業者を支援する月次支援金、これは先月一月七日で申請が終了いたしました。今後の支援金の申請にも関わる課題がやはり現場から多数寄せられておりますので、これをめぐりまして伺いたいというふうに思っております。

 具体的には、この月次支援金について、申請後、不備があったとして差戻しを受けた際に、不備コードというものがありますが、これが示されるだけで、どこに不備があり、解消するにはどうすればよいのか、相談窓口が一切答えてくれないというお声を多数受けております。相談窓口はあくまで申請の手続に関する位置づけのようでありますけれども、そうであるならば、別途、申請不備に関するコールセンターを開設してほしいという御意見もあるほどでございまして、少し実例を御説明をさせていただきたいと思いますけれども、実際に我が党の地方議員が対応した例であります。

 御相談の内容は、昨年七月分までは無事に申請が通っていたんですが、八月から三か月間は、何をやっても不備で差戻しをされたということであります。

 この申請者の方は、仕事の性質上、様々な事業者との取引があるためか、不備の内容といたしましては、毎日複数回の取引を行っていることが確認できませんでしたとか、対象月同月に反復継続した取引を行っていることが請求書等から確認できませんでしたなどであります。しかしながら、不備コード、定型文が示されるだけで、どこが不備なのか全く御説明をいただけない。しかも、八月から突如としてそのような扱いになってしまったために、どうしても困惑をされてしまったということでありまして、この相談を受けた我が党の区議は、知り合いの行政書士、いわゆるプロの方にお手伝いもいただきながら、どこが不備なのかを読み解いて、どのような証明書類を送付したらよいかを一緒に二時間ほどにわたって考えまして、通帳を全てコピーし、月ごとに分けて出してみようということになったそうでありますが、結局、結論としては解決に至らなかったそうでございます。

 要するに、申請者御本人の事務的な作業や理解、これが原因の全てというよりは、やはりプロが見てもなかなか難しいとなりますと、申請者の方にとっては手の打ちようがないというふうになってしまうわけでありまして、特に、先ほどの八月分の申請から差戻しが多くなったというような実感、体感、これも複数の地方議員さんから伺っております。

 この月次支援金は、結果、申請二百五十万件に対しまして、九四%、二百三十四万件給付済みとのことでありますけれども、あと十六万件、決して小さくないわけでありまして、この中にやはり今御紹介申し上げたような事例が少なからずあるんだろうというのが実感でございまして、やはり定型文の不備コードだけではなかなか難しい、現場の実感でありますし、また、一月末からスタートした事業復活支援金でも同じ事業者が申請業務の委託を受けているというふうに伺っております。

 政府の方で事前チェックのためのQアンドAを拡充をしていただく、これも必要だと思うんですが、やはり申請内容を直せば全て解決するということのようにも思えないわけでありまして、この申請不備に関する問合せへの対応そのものをどう改善していくのか。

 そこで、今始まっております事業復活支援金における申請不備への対応をめぐる改善について、委託先との協議も含めまして、是非とも改善の御検討をいただきたいと思いますが、御所見を伺います。

細田副大臣 ありがとうございます。

 月次支援金につきましては、私ども、原則として可及的速やかに給付をさせていただくということで行っておりますけれども、残念ながら提出された書類から給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者の方には、事前の同意をいただいた上で、追加の書類提出をお願いしているところでございます。

 この追加の書類提出等に当たって様々な苦情があるということは、私どもも認識しております。私の地元でも本当に中小企業の関係者の方から様々な御意見、苦情が寄せられておりまして、そういう意味では、今先生御指摘の点については大変重要な課題であるというふうに考えております。

 これまで、このような書類の提出を求めるに当たっては、不備メッセージの内容をできるだけ分かりやすくするといったような改善を重ねてきたところでございます。

 事業復活支援金についても、もう既に申請と給付が始まっておりますけれども、これまでの支援金の経験を踏まえまして、追加の書類提出をお願いする際には、求める書類や不備の内容を当然一層明確化したり、あるいは、あらかじめどのような書類が必要かということを明確にお示ししたり、あるいは、相談窓口の体制を充実し、審査部署との連携を一層強化するということを考えておりまして、先生の御意見も踏まえまして更なる改善を重ねて、申請者の御負担にも配慮しながら対応していくこととしております。

 当然のことながら、中小企業庁は事務局と常に密接に連携を取っておりまして、また、先生からの御意見も踏まえて私もいろいろ事務局を指導したいと思っておりますけれども、できるだけ申請者の方の御負担に配慮しながら、スムーズな給付が行われるように尽力してまいりたいというふうに考えております。

河西分科員 前向きな御答弁をいただいたと思っております。是非皆様の御安心につながるような改善をお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 済みません、ちょっと質問の順番を入れ替えさせていただきまして、下請Gメンの増強、またパートナーシップ構築宣言の方を先にお伺いをさせていただきます。

 二〇二〇年五月から中小企業庁がお取り組みのパートナーシップ構築宣言、並びに、下請Gメンの体制強化について質問をいたします。

 これは新人の私が申し上げるのは大変恐縮ですが、岸田総理の下で加速するこれら中小企業政策、総理が示された新しい資本主義、様々なお声があるわけでありますけれども、企業や株主の利益よりも、人間を育む環境でありますとか、あるいは賃金、協力企業への分配などといった、ステークホルダーを包括する人間のための資本主義なんだろうというふうに私は個人的には捉えさせていただいておりまして、大変共感をさせていただいております。

 その上で、まず、パートナーシップ構築宣言についてでございますが、これは、企業の規模にかかわらず、発注者の立場で自社の取引方針を宣言する取組でございまして、企業は代表者の名前で、サプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携、振興基準の遵守に係る重点五項目に取り組むことを宣言するものでございます。

 その上で、二月十日、萩生田大臣、また山際大臣が共同主宰となっております未来を拓くパートナーシップ構築推進会議の第三回が開催をされましたが、ここで報告のございましたパートナーシップ構築宣言の状況は、今年度の目標、これは昨年立てられたわけですけれども、二千社を大幅に上回ったものの、中身については更なる推進が必要であるというふうにお見受けをしております。

 政府の資料によれば、宣言企業数は現在約六千社、ただし、資本金三億円以上の大企業は約五百社で、宣言全体の一割程度という記載がございました。また、業種別の宣言割合を見ても、製造業は五・二%、運輸業は三・一%ということで、やはり二次、三次と下請構造が非常に深い業種でも低い水準にとどまっているということであります。

 加えまして、私は、やはり、中小企業が九九・七%を占める我が国におきましては、全体の宣言数に占める大企業の割合というよりも、そもそも、大企業の一・二万社に対して、宣言したのは約五百社、四%程度という計算になるわけでありますけれども、ここが課題ではないかというふうに思っているわけでございます。事業規模からすれば、やはり大企業の宣言割合が上がっていかなければ実効性が伴わないだろうというふうに考えております。

 まず、現在の宣言状況に関する課題認識、また、特に大企業の宣言割合を上げていくに当たっての目標などがあれば、是非大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 パートナーシップ構築宣言は、現時点で六千社を超える企業が宣言しており、今年度中に二千社という目標は達成しているものの、資本金額が三億円を超えるいわゆる大企業は宣言数全体の一割程度にとどまっています。委員御指摘のとおり、この宣言の趣旨を実現するためには、下請企業が多い大企業による宣言を促していくことが重要です。

 こうした問題意識の下、私自身、経団連の十倉会長に対して、経団連企業の皆様には漏れなく宣言を行っていただくようお願いしていたところ、先週開催したパートナーシップ構築推進会議では、十倉会長から、昨年十一月から宣言企業数が二割増え、今後も百社程度が宣言を行う予定とお聞きをしました。今後一層周知徹底を図っていくと御報告をいただいたところです。

 他方で、まだ宣言するに至っていない大企業も相当数おられるため、引き続き、宣言する企業が増えていくことを期待したいと思います。

 政府としては、引き続き、各業界に対するパートナーシップ宣言に係る働きかけを強化していくとともに、コーポレートガバナンスに関する実務指針においてこの宣言を位置づけるほか、補助金における加点措置の拡大によるインセンティブの拡充などにより、大企業の宣言数の拡大を図ってまいりたいと思います。

河西分科員 ありがとうございます。

 今のパートナーシップ宣言とともに、やはり、下請いじめというもの、これも、公明党は中小企業政策を看板にしてきまして、更なる加速が大事だというふうに思っております。

 昨年、岸田総理の下に、下請Gメンを倍増していくという方針が示されまして、我が党の山口代表も累次にわたって強く後押しをしてきた政策でありまして、評価をさせていただいております。今後更に、商工会、商工会議所、また下請かけこみ寺などとの連携強化、是非とも実効性のある強い政策で加速度的に推進をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、こうした点も踏まえつつ、現下のコロナ禍で傷んでいる中小企業、小規模事業者を後押しするのは、やはり、下請を守る、そして弱者を守っていくという政府、なかんずく経済産業省の強いメッセージであるというふうに思っております。最後に、是非この点について大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。

西村主査 既に時間が経過をしておりますので。よろしいですか、終了させていただいて。

河西分科員 はい。じゃ、以上で終わります。ありがとうございました。

西村主査 これにて河西宏一君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)分科員 石川県能登半島の近藤和也でございます。今日はありがとうございます。

 コロナ禍がもう三年目ということで、各事業者の方が大変苦しい状況になってきておられます。経済産業省としても様々な支援策をしていただいています。本当にありがたいことだと思っています。

 実際には、コロナが始まってすぐ苦しくなる業種と時間を置いて苦しくなる業種、こういった業種間による苦しさの時間差、こちらに対してはしっかりとサポートしていただきたいなというふうに思いますし、政策としても、何とか下支えしていこうという政策、例えば、今、事業復活支援金が始まりましたけれども、額や全体的なところはまだまだやるべきだというふうには思っていますが、すぐ手当てをするといったところ、そして、さらには時間差を置いて苦しくなったところに政策的な手当てをしていくところ、こういったところも御配慮いただきたいなと思います。

 私が今日まず取り上げたいと思いますのが、繊維業に関わる一つの要望でございます。

 私の生まれ育ちました能登半島は繊維業が大変盛んです。稲村佐近四郎さん、御存じでしょうか。すぐ近くの、隣の市なんですけれども。

 私の町でも、子供の頃にあったいわゆる機場が、もう十分の一になっております。私の小さな頃の原風景といいますか、思い出というのは、友達の家に行けば機場の音がする、私の父の実家も機場をしておりました。今、当然のごとく経営が成り立たなくなりまして、もうやめておりますけれども。その中で、今でも頑張って繊維業を続けておられる方はいらっしゃいます。

 その繊維業なんですが、電気料金、こちらで大変苦しいという声を以前から伺っている中で、賦課金減免制度、こちらで負担軽減策が取られていますが、コロナ禍で生産が落ち込んで、そして減免の対象から外れたら大変だという声がございます。

 具体的には、幾つかハードルがあるようですけれども、年間百万キロワットアワーを下回れば、その減免対象から外れます。経営が苦しい中で中途半端に電力の使用量が減ると、例えば、百十万キロワットアワー使っていたところが九十万キロワットアワーなどになると、電気料金の負担がむしろ上がってしまう、これに近いような状況が起き得てしまいます。

 これらのことについて言えば、具体的に申し上げれば、昨年の十一月に、来年度からの、これは三末の決算の会社ですけれども、十一月に申請をして、その減免の算定になるのが今年の四月からということになりますが、この算定対象というのは、今年の四月以降を考えた場合には、二〇二〇年の四月から二〇二一年の三月ということになります。ちょうどコロナが始まったときでございます。日本全体が止まってしまったようなときですね。そのときの基準で、電気の使用量が下がって、そして四月以降ではこの免除の対象にならない、こういう状態が起き得てしまいます。

 できれば、そのような事業者の対象年度を、更にその前、持続化給付金のときにも、今の事業復活支援金でも、二年前、一年前という形がありましたけれども、この対象にする電気量の年度をコロナ前で固定していただけないかということが一つ。そして、別の方法でも、何らかの形でこのハードルを下げることができないか。そして、もし去年の十一月の段階での算定が、もう終わったことだし難しいということであれば、来年の十一月のときにも、二〇二一年の四月から、まだコロナ禍で厳しい状況ですから、こういったところも含めて対象に入れるようなことができないのか。

 この何とかしてほしいという声を受け止めていただきたいんですが、いかがでしょうか。

    〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕

萩生田国務大臣 再エネ特措法に基づくFIT制度によって生じる費用は、賦課金を電気代に上乗せする形で、一般家庭や中小企業の方々を含め、全ての電気利用者に公平に負担していただいております。

 一方、賦課金の減免制度は、国民負担の公平性と国際競争力維持強化の双方のバランスを踏まえた上で、FIT制度における例外として措置された制度であり、制度設定時の、法改正時の国会での審議において対象事業者の要件などが議論され、措置されたものです。

 この減免制度においては、経済活動の変化等によって省エネの取組状況が悪化した場合に、省エネ努力の評価方法において配慮するなどの措置を講じており、事業者からの相談もきめ細かに受け付けております。

 今先生御例示をされた繊維の方がどういう状況かというのは、ちょっとまた数字を聞いてみないと分からないんですけれども、いずれにしましても、このコロナ禍の中で、言うならば不測の経営状態を行って、その結果、外形的な数字がどんと落ちて、そして減免率が上がってしまっているということなんだと思うので、それは是非、個別の事業者に対して、相談をいただければ、事業者の方できちんと査定をするということになると思います。

 引き続き、国民負担の公平性と国際競争力維持強化の双方のバランスを踏まえつつ、本制度を適切に執行してまいりたいと思います。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 個別で相談してほしいというお答えをいただきまして、ありがとうございます。経済産業省さんに相談させていただくことでよろしいんですね。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 減免制度の運用について、個々の事業者さんのそれぞれの御事情があるというふうに私どもも承知しておりますので、私どもの方でお話を伺って、適切に対応してまいります。

近藤(和)分科員 本当にありがとうございます。

 この減免制度を受けている企業一覧というのが、私も見て、私の地域でどれだけあるかなと、結構ありました。そして、この百万キロワットアワーですか、よりもちょっと上の会社も何社かありまして、これが今回はどうなのかなということは大変心配しておりますので、こういう厳しいときでございますので、個別で相談していただけるという答えをいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、次の質問に参ります。

 物価上昇が止まらないというところは大変心配をしています。その中で、原材料価格の上昇すら製品価格に転嫁できないという声がやはりあちこちから出てきています。

 その中で、前の政権からも引き続いてということだと思いますけれども、経済産業省さんとしては、昨年九月には価格交渉促進月間を実施して、そして調査も行い、パートナーシップ構築宣言の促進などもされています。そして、昨年十一月には、下請価格適性化についての要請書というのが経産大臣と公正取引委員会委員長名で出されています。

 この受注側企業と発注者側企業との価格交渉において、受注側企業への不当なしわ寄せが生じないようにということでの動きだと思いますが、まず、このパートナーシップ構築宣言について、数を伺おうと思いましたら、先ほどの質問者のときに、六千社を超えるということで答えを出されておりましたので、その次の質問に参りたいと思います。

 現在、目標が二千社に対して六千社、六千百社ぐらいだと思うんですけれども、今後の数字的な目標というのはどのようなことを考えていらっしゃるのか、お願いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 パートナーシップ構築宣言の今後でございますけれども、今後の目標につきましては、数字ということの、宣言企業の増加数ということではなくて、やはり、特に大企業の宣言数を増加させていくでございますとか、宣言された内容のその実効性の向上が課題だと認識しておりまして、大企業における更なる宣言数の増加に向けまして、先週、パートナーシップ構築推進会議という場がございましたけれども、この場で萩生田大臣の方からも、経団連始め経済団体への周知を改めて実施したところでございます。

 今後とも、政府から業界団体への依頼でございますとか、経済団体から傘下団体への一層の周知徹底も含めまして、官民挙げて産業界への働きかけを実施してまいりたいと思います。

 それから、実効性の向上でございますけれども、宣言された内容の実施状況を確認するために、まず、宣言した企業全社に対する取組の書面調査を今実施してございます。年度内に、これらの結果を取りまとめて公表して、宣言どおりの内容が調達現場まで浸透され、実行されることを促してまいりたいと思っております。

近藤(和)分科員 それでは、現状では大企業一割、中小企業九割という、このパートナーシップ宣言ですね、ということですけれども、ボリュームもまだまだということだとは思いますし、先ほどもありましたが、大企業のところをやはり、発注者側の方ですね、こちらを増やしていかなければいけないということだと思いますが、ちょっと先ほどの答弁だと少し薄いなというか、もう少し踏み込んだ、ここをどうやって増やしていくかといったところを、問題意識と具体的な行動を、もう一度お願いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 パートナーシップ構築宣言でございますけれども、やはりこれは、大企業も中小企業も含めて、経営者の皆さんがしっかり自己で宣言していただくということでございまして、なかなか強制をするというわけにはいかないわけでございますけれども、やはり、御指摘のとおり、大企業がしっかりやっていただくことが大事だと思っておりまして、これまでも、先ほどパートナーシップ構築推進会議の場における経団連への要請についてお話しさせていただきましたが、それ以前にも、経団連と大臣との懇談会などの場におきましても、漏れなく、大企業の、経団連の皆様には御参加をお願いしたいという形で、要請なども行っております。

 先ほどの答弁の繰り返しの部分もございますけれども、こうした経団連への依頼、それから経済団体から傘下団体への一層の周知徹底も含めて、引き続き、官民挙げて産業界への働きかけを実施してまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)分科員 あと、私も調べさせていただきましたら、入っているべき業種が入っていない、少ないといいますか、繊維なども調べさせていただいて、また、都道府県でも検索することができますよね、これを見たら、この業種が少ないなとか、ちゃんと声がかかっているのかな、そういった感想を持ったんですが、実際、経産省さんとしてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 約六千社の宣言がございますけれども、業種別に見ますと、やはり製造業が最も高い割合ということで三四%になってございます。繊維を含めると、もうちょっと細かいところを見るとあるのかもしれませんけれども、やはり製造業では、物づくりの一部を下請取引に出すという形で、サプライチェーンでの取組というものが、連携協力が多く見られるということで、宣言の趣旨がより理解されやすいのかなというふうに思ってございます。

 他方で、例えば、情報通信業ですとか小売業、卸売業、これは七%から五%程度ということで、全業種の比率よりは少なくなっているのは事実でございます。これらの業界では、こうしたサプライチェーン構造にはないというところもあるかと思いますけれども、やはり取引先から製品、サービスを調達したり、それから業種を超えた連携をしているということは見られますので、私ども、今後、こうした業種も含めて、多様な業種において、漏れなくというふうに申し上げましたけれども、パートナーシップ構築宣言をしていただきたいというふうに考えております。

 引き続き、周知、依頼を進めてまいりたいと思います。

近藤(和)分科員 価格交渉促進月間フォローアップ調査が先日出ました。こちらについて、見えた課題、そして、その課題に対して具体的にできることについて、今、御所見をお願いいたします。

萩生田国務大臣 経済産業省では、労務費や原材料費などの上昇分が下請価格に適切に転嫁されるよう、昨年九月を価格交渉促進月間と位置づけ、大企業と下請中小企業の価格交渉を促進したところ、月間終了時に実施したフォローアップ調査では、価格転嫁の協議については一割程度の下請企業で全く実施されておらず、また、価格転嫁は二割程度の下請企業で実施されていないといった課題が明らかとなりました。

 こうした課題に対応するため、まず、昨年九月に引き続き、今年の三月も価格交渉促進月間と位置づけることで、価格交渉の浸透と定着を図ってまいりたいと思います。その上で、具体的には、翌月以降、二千社に対する下請Gメンの企業ヒアリングや、前回四万社を上回る数の下請の中小企業に対して、取引先の大企業が価格協議や価格転嫁においてどのような対応をしているのか問うフォローアップ調査を実施をし、業種別の対応状況などを取りまとめ、公表したいと思います。

 また、下請中小企業振興法に基づき、個別企業に対する助言による注意喚起も実施をします。

 加えて、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言について、更に多くの大企業が宣言をするように参加を促すとともに、宣言企業の下請取引の状況について調査するなど、実効性の向上に向けたフォローアップにも取り組みます。

 こうした取組を通じて、より一層価格交渉を円滑にするとともに、適切な利益が下請企業に残るような取引環境の整備を進めてまいりたいと思います。

近藤(和)分科員 私もこの調査を拝見させていただきましたが、先ほど大臣が言われました、二割が価格転嫁できていないといったところで、そこで、そのまま見ますと、一割から三割程度しか上げられていないといったところも二割、そして、四割から六割程度しか上げられていないといったところを含めると、半分以上のところがなかなか応じてくれていないんだな、まだまだ厳しいということでございますが、継続は力なりだとは思いますので、しっかりとまた続けていただければと思います。

 そして、パートナーシップ構築宣言のところに戻りますが、各企業、私も知っている会社があるかなということで調べましたら、ほとんどありませんでした。私もいろいろな企業を知っているつもりでございますが。そして、その中で、なぜかなというところで、商工会さんや商工会議所の関係の方にも伺いましたが、知らないと言うんですね。

 確かに、この宣言そのものは、発注者側、いわゆる大企業がちゃんとやらなければいけないといったところがスタートだとは思いますけれども、やはり受注者側にも、国がこういうことをやっているんだからちゃんとやっていきましょうよという、私は双方向の周知ということが大変重要ではないかなと思います。

 商工会さんや商工会議所さんだけではなくて、例えば、ほかの省庁にまたがるようなところ、農水関係であればもちろん農林水産省でありますし、お酒などでいけば財務省などということもありますので、経産省さんの範囲の中の団体さんだけではなくて、他省庁にまたがる、そういった横断的な周知というものが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりだと思っております。

 経産省所管の業種に限らず、他省庁所管、金融、保険業、物流業界、それから農水なども含めまして、幅広い業種について、関係省庁、関係団体を通じまして、これまで約二百団体に周知を行ってきたところでございます。それから、商工会、商工会議所につきましても、全国組織を通じた周知も行っております。

 ただ、御指摘のとおり、まだまだ認知されていない部分も多数あろうかと思っております。私どもといたしましては、こうした現状をしっかり受け止めて、機会を捉えまして、今回、価格交渉促進月間もまたやりますので、そういった機会も活用しながら、これらの周知について継続してまいりたいと思っております。

近藤(和)分科員 私、一社だけ知っているところがありまして、どうして入ったんですか、どういう経路で入ったんですかと伺いましたら、経営者の、ある団体だと。そこそこ有名な、非常に経営に、道徳観といいますか倫理観といいますか、こういう団体さんに属しているところでそういう話になって、じゃ、入ろうかということを言われたそうです。

 なので、公に近いようなところから私的に近いところまででも、そこでどなたか広めていただけるような方がいらっしゃれば、またより広まっていくのかなというふうに思います。

 そして、下請中小企業振興法、振興基準の周知徹底というのは、パートナーシップ構築宣言の中でも書かれておりますけれども、宣言そのものは、経営者だけではなくて、経営者の方々に近い地方自治体の方にも私は存在意義を知っていただくことは大事ではないかなと。現場に近い地方自治体の方が知っていただければ、彼らにも、このパートナーシップ宣言などをちゃんと守って、それで自分たちの地場産業を、この下請が多いところを何とか守っていこうということにつながっていくのではないかなと。

 そこで、地方自治体の協力も求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、やはり自治体は地元で幅広いネットワークを有しておりまして、企業にとっても身近な存在ということで、より一層連携を深めていくということを重視してまいりたいと思っております。

 今後の話になりますけれども、やはり積極的に、各自治体の中小企業担当部局に対する周知依頼でございますとか、あるいは、私ども、地方自治体に近い各地方経済産業局がございますので、こういった局を通じた周知依頼など、あらゆる機会を活用しまして、全国の自治体とも密接に連携しながら、周知活動を更に広めてまいりたいと思っております。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 そして、先ほどもございましたが、大企業がパートナーシップ宣言、余り入っていないという中で、大臣は経団連の例をお話しされました。

 ただ、経団連といえば、私たち、私のような田舎の者にしてみれば超大企業です。そこそこ地方の発注者側というのは、経団連に入っていないところの方が私は多いのではないかなと思います。経団連に属していないいわゆる大きな会社への周知、入っていただくことを、もうちょっと力を入れていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生、いずれにしましても、御指摘のとおり、地方の商工会議所や商工会の皆さんにも御協力いただくべきだと思います。それから、企業が存在する自治体の皆さんにもこの問題意識を一緒に持ってもらう必要があると思います。したがって、重層的に、こういうことを国民の皆さんとともに認知をしていただくことが大事なので、こうして国会で質疑をしていただくことも大変ありがたいことだと思います。

 パートナーシップ構築宣言の趣旨を実現するためには、下請企業が多い大企業に宣言していただくことが非常に効果があると思っています。

 例えば、先生は遠慮がちに、経団連のメンバーで地元の石川県と余り関係ある会社はないんじゃないかと思うかもしれないんですけれども、サプライチェーンを考えますと、実は、大企業が作っている製品の中には石川県の中小企業が作った部品を使って作られているものというのも必ずあるはずなので、それを、まずは大企業の皆さんが宣言していただけば、ずっと、その下請、孫請の皆さんに伝わっていくことだと思いますので、それは重要だと思います。

 こうした問題意識の下、私も経団連の皆さんに漏れなく宣言してほしいということをお願いをしておりまして、少しずつ今増えつつあるという報告をいただいております。

 他方で、まだ宣言に至っていない大企業も相当数おりますので、引き続き、宣言する企業が増えていくことをしっかり見守っていきたいと思います。

 政府としては、各業界に対するパートナーシップ宣言に係る働きかけを強化していくとともに、コーポレートガバナンスに関する実務指針においてこの宣言を位置づけるほか、補助金における加点措置の拡大によるインセンティブの拡充などにより、大企業の宣言数の拡大を図っていきたいと思います。

 例えば、地方の自治体とも連携して、何か公共入札のときに総合評価の中で、宣言している企業は加点があるとか、こういったこともやがて出てくると思いますので、じわじわ、そうはいってもゆっくりやっていられませんから、しっかり加速度を増して広げていきたいと思います。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 私も、経営者の方とお話ししてみますと、入っていない、知らなかったという方は、どこどこは入っているかなというふうに聞かれるんです。そして、ホームページで探して、ああ、ないわというやり取りを何回かしました。

 やはり、一番元の企業が入っているということは、大変入りやすいことになるのかなというふうにも思いますし、あと、これは、世の中の方に知っていただくために、この会社はパートナーシップ宣言、入っているちゃんとした会社なんだということを見ていただくためには、私がその検索に結構苦労したんですよ、企業名を入れて、あるかないかが分かるだけでも結構効果があるのかなと。そして、例えば下請の方が入ろうかなと思っていて調べたら、あったら入りやすくなるわけですし、伝えていただくのが一番いいことだと思うんですよね、上からも下からも。双方向が大変重要ではないかなというふうに思います。

 それでは、最後の質問になります。

 今、コロナの新規感染者が、少し頭打ちなのか、ピークアウトしたのではないかという見方もありますが、そうなってくれればいいなと思っています。その中で、今、水際対策を緩和していこうという話もございますが、これも経営者の方に直接伺ったんですが、やはり、外国人の方に働いていただきたいと。技能実習生、去年の十月、十一月、具体的には十一月の時期でしたが、緩和された時期がございました。そのときに、申し込もうとしたら、一か月半ぐらいかかるということで、結果として、緩和していた時期が去年の十一月の半ばだったので、一か月もなくて手続ができなかったというお話を伺いました。

 今、この第六波も、完全に収まってほしいですが、それがずっと、数か月も、半年も、一年も、それ以上もということなのか、若しくは、新たな変異株がまた現れて、また新規の入国も厳しくしていかなきゃいけないという時期が突然やってくるかもしれません。

 それで、この一か月半という期間を何らかの形で短縮をしていく努力、それはいろいろな省庁での努力というものは必要だと思うんですが、経産省さんも関係する業種のところはあると思いますので、何らかとして、経産省も含めて、国全体として、期間の短縮、何とか働きに来ていただきやすい、その努力を、工夫をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 昨年十一月に緩和された水際措置について、産業界から手続の簡素化、迅速化を求める声があったことは承知をしております。その後厳格化された現行の水際措置についても、国内産業界のみならず、海外からも、緩和を強く求める声があると聞いております。私自身、一月に東南アジアに出張したんですけれども、その訪問先の国々からも直接その声を聞いて、総理にも届けてきました。

 今後は、水際措置については、現在、制度所管省庁である内閣官房、厚労省、外務省、入管庁において、オミクロン株に対する科学的知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外の水際対策などを総合的に勘案するなどして、緩和に向けた検討を進めていると承知をしております。

 経産省としては、従来から、コロナ禍からの経済復活に向けて、国際的なビジネス往来の円滑化を求める産業界の声を制度所管省庁に伝えてきたところでありますが、引き続き、こうしたニーズを制度設計に反映できるように貢献してまいりたいと思います。

 特定技能研修制度は直接の所管ではないですけれども、しかし、十一月のときに一度入国を準備した人たちというのはいらっしゃるんだと思います。そういう人たちについては、もう既に国内で終わっている手続について、日本側について、できるだけ簡素にしてさしあげるということは、緩和後、必要な措置ではないかと私も思いますので、政府全体で共有できるように、機会あるごとに発言してまいりたいと思います。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 このタイミングというのも大変大事なことだと思いますし、前回駄目だったからということで二の足を踏むような方もいらっしゃるかもしれません。今度は更に進化させていくんだということをまた広めていただければなというふうに思います。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて近藤和也君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。大臣、お久しぶりでございます。

 今日は、この間、メディアを含めて大問題になっております一時支援金、月次支援金の申請に関わる、いわゆる不備ループについて質問したいと思います。

 まず、大臣に確認をするんですけれども、萩生田大臣は、二月二日、予算委員会で我が党の笠井亮議員の質問に、不備ループといった実態があった事実を認めて、「中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、丁寧なサポートとなるように改善を重ねてきたところであり、最後までしっかり取り組んでまいりたい」と答弁されました。

 どのような改善を行われましたか。

萩生田国務大臣 月次支援金では、提出された書類からでは給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者には、事前の同意をいただいた上で、追加の書類提出を依頼しておりますが、こうした書類の提出を求めるに当たっては、不備メッセージの内容を細分化するなど、可能な限り分かりやすいものとする、また、不備に関する電話相談窓口の体制を拡充するなど、中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、これまでも改善を行ってきました。

 これに加えて、定型的なメッセージでは不備解消が難しい一部の申請者には、事務局から直接電話をかけさせていただいて、不備解消の積極的なサポートを行う、あるいは追加書類の審査の体制を拡充するといった更に丁寧なサポートになるように改善を重ねてきたところであり、最後までしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 とにかく、この間の対応に関しては、怒りの声が山のように寄せられております。この分科会でもそういう議論がこれまでも続けられてきたと思うんですけれども。

 そもそも、不備メールを受け取っても、何が不備なのかも分からない。中身を聞こうと中小企業庁に電話をかけても、当初は、事務局はデロイトトーマツがやっていることなのでこちらにかけてもらっても分からないということで、取り合ってもくれなかった、こういうこともありました。

 大臣は、改善に努める、こうおっしゃるわけですけれども、これは中小企業庁に答えていただけばいいんですが、現在の一時支援金と月次支援金の給付の実績はどうなっておりますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 一時支援金につきましては、約五十七万件の申請に対しまして、約五十五万件、申請の約九七%をお届けしたところでございます。

 月次支援金につきましては、二月十四日時点で約二百四十九万件の申請をいただいておりまして、約二百三十四万件、申請の約九四%をお届けさせていただいております。

宮本(岳)分科員 一時支援金に関して言いますと、申請五十七万件に対して五十五万件ということですから、約二万件が支給されていないわけですね。その後の月次支援金は、申請件数二百四十九万件に対して二百三十四万件ということですので、約十五万件はいまだに給付に至っていない、こういう計算になりますね。

 これも中小企業庁に聞きますけれども、その十五万件の内訳がどのようになっているか、申請の取下げ、審査中、不支給決定、それぞれの件数を答えていただけますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 月次支援金、給付に至っていない約十五万件の内訳でございますが、二月の十日時点で、申請の取下げが約十一万件でございます。それから、審査中は約一万件でございます。不給付決定につきましては約三万件でございます。

宮本(岳)分科員 取下げが十一万、不支給が三万と。まだ依然として一万件が審査中ということになっております。この十一万件の取下げというのも、決して納得して取り下げたという方ばかりではないと言いたいところですが、ばかりではないどころか、ほとんど納得しないまま取り下げている人が多いです。

 私のところに来た話では、不備メールを繰り返されて、いつまでたっても支給されず、まるでばかにされているようで、もう愛想が尽きた、もう二度と政府の言うことなど信じない、こういう、吐き捨てるようにおっしゃって、もう取り下げたという人もいらっしゃいますし、それから、不支給という決定がされますと、後々やはり次からの分がもう全部同じようになるんじゃないかというので、取りあえず、審査中が長引いている人が、取り下げておいて、次の制度で心機一転、応募するのだという人も随分いらっしゃるというふうに聞くわけですね。

 それで、事務局が指摘する不備の内容や追加提出を要求される資料が、本来必要と思われる範囲を超えているように、私もいろいろ話を聞いて思いました。なぜこのような、無理難題のような書類の提出を繰り返し繰り返し求めるのか。中には、これは一種の嫌がらせではないかと言う人がいるんですけれども、いかがですか、中小企業庁。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 月次支援金におきましては、その前の持続化給付金とか、あるいはこれまでの一時支援金でいろいろなノウハウを得ておりますけれども、様々不正が行われたことも事実でございまして、その不正受給防止の観点から、提出された書類では給付要件を満たすことが確認できなかった方には、帳簿の書類ですとか通帳、そのほか事務局が必要と認める書類の提出をお願いしてございます。

 これは事務局からの依頼で御提出いただくことになっているわけですけれども、これは、申請時点で、あらかじめそういうことを、何かあったら出しますということは御同意をいただいた上で申請いただいてあるわけでございまして、やはり過去の給付金で不正受給が多発したことを踏まえまして、事業の実態、あるいはその事業を本当に継続しているのか、それから緊急事態宣言の影響が本当にあるのかといった確認を行うために提出をお願いしているものでございます。

 いろいろ御指摘をいただいているのは承知をしておりますけれども、決して、私ども、不必要な書類を求めているわけではございませんので、御理解いただければと思います。

宮本(岳)分科員 不正受給対策だと言うんですけれどもね。

 給付金詐欺でいえば、元経済産業省の若手キャリア官僚の二人の詐欺事件、これこそ世間をあきれさせた事件でありました。ペーパーカンパニー二社を使って、持続化給付金の虚偽申請で、一社当たり二百万円、計四百万円をだまし取り、家賃支援給付金も二社合わせて千百五十万円、総額千五百五十万円にも及ぶ給付金詐欺でございました。

 ちなみに、じゃ、この事案が、今皆さん方が求めているようなものを求めれば防げたかというと、こういう巧妙な詐欺に関していえば、そういった書類も過不足なくそろえると。まあ詐欺ですけれども、うそですけれども、そろえるということになるんでしょう。本当にやりきれない思いですけれども。

 この事件に関しては、二〇二一年七月十九日付で、この二人は懲戒免職処分となりました。当時の梶山弘志経済産業大臣も、執行する側の役所としてはあるまじき行為だと言って謝罪をされました。これは聞くまでもないことですけれども、萩生田大臣も、もちろん、梶山前大臣と同じ、あるまじき行為という立場でございますね。

萩生田国務大臣 先生御指摘の事案ですけれども、国民全体がコロナで苦しんでいる中、高い倫理観を持つべき元職員が、経済産業省所管の制度を悪用して、あるまじき詐欺行為を行い、有罪判決を下される事態に至ったことは極めて遺憾だと思っております。

 今後とも、信頼される経済産業省を目指し、職員一人一人が高い倫理観を持ち、前向きにそして真摯に日々の職務に取り組んでいくため、不断の努力を行ってまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 当然そういう立場だと思います。

 しかし、経産省の官僚が前代未聞の許し難い不正行為を働いたからといって、それは、コロナ禍の下で売上減少に苦しむ業者に必要な給付金が届くのが遅れたり、諦めさせたり、そういうことをしてよい理由にはならない、これも聞くまでもないことですけれども、一応、確認のために、大臣、そうですね。

萩生田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、この事案は極めて遺憾でありますが、不正対策の強化は、この事案に限らず、様々な不正事案を踏まえて、簡易迅速な支給とのバランスも踏まえながら講じてまいりました。

 持続化給付金では、簡素な申請手続により迅速な給付を実現してまいりましたが、その反面、多くの不正受給が発生したのも事実です。

 こうした教訓を踏まえ、昨年実施した一時支援金や月次支援金では、申請時に第三者による事前確認を必須とすることや、不正や無資格受給が疑われる一部の申請者に対しては追加書類の提出を依頼し慎重に審査するなど、不正防止対策を講じてまいりました。

 他方で、大多数の申請者に対して迅速な給付を行っている点は一時支援金や月次支援金も同様でありまして、給付件数の約半分が申請から二週間以内に給付されております。

 足下では事業復活支援金の申請受付が既にスタートしておりますが、引き続き、困難な状況に置かれている事業者の皆様に対して速やかに支援金をお届けできるように全力を尽くしてまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 事業復活支援金については、また後で聞かせていただきます。

 もちろん私も、不正受給があってよいということは断じて思いません。不正対策が必要だということは当然のことであります。

 しかし、その不正対策といえば、そのために登録機関による事前確認を、制度を入れた、こういう今御説明もございました。

 これも確認いたしますけれども、中小企業庁、登録機関による事前確認というのは、不正対策という趣旨で入れたんですね。

飯田政府参考人 御指摘の事前確認でございますけれども、今大臣も御答弁いただきましたように、持続化給付金で多くの不正受給が行われたということの教訓を踏まえまして、申請時の第三者による事前確認等を必須とするような、新たな不正対策として導入したものでございます。

 具体的な事前確認の内容でございますけれども、商工会議所あるいは税理士などの登録確認機関におきまして、申請予定者が事業を実施しているか、給付対象を正しく理解しているか等に関して、書類や宣誓内容の形式的な確認というものを事前に行うこととしてございます。

宮本(岳)分科員 ところが、その事前確認が申請のハードルを上げているのではないかという御意見をいただくわけでございます。

 大体、小規模な零細事業者は、登録確認機関となる税理士とか会計士さんとの契約もほとんどありません。日常的な関係が大体ないわけですね。それから、税理士さんや会計士、行政書士さん等は、通常の業務もありまして、日常的な関係がない事業者の事前確認を行うことになかなかメリットがない。それから、特に税理士さんや会計士さんにとっては、一件当たり千円というこの報酬が見合っていないという声もあります。

 商工会も事前確認を行っていただくわけですけれども、受けてくれるところもあるんですよ、しかし、会員でなければ断られるという事例もあるというふうに聞いております。

 金融機関も事前確認をやっていただいているところがあるんですが、そもそも、日頃、現金取引の商売で、銀行を使っていないような小さな商売にとっては、事前確認のためだけに金融機関に相談するというのもハードルが高い。

 現場で、実際の、小さいお商売のところでいうと、もう数々のこの事前確認というものが逆に申請のハードルになっている。そして、そういう会計士さんとか税理士さんのところへ頼みに行くと、もしかすると更に高い手数料を払わなきゃならないんじゃなかろうか、こういうためらいもあると。

 こういう声は聞いておりますか、中小企業庁。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、事前確認、一時支援金、月次支援金の申請に当たりまして、不正防止を目的として行っているわけでございますけれども、今委員から御指摘ありましたように、一部の申請希望者の方から、身近な登録確認機関がないですとか、あるいは煩雑であるといった声があることは承知をしてございます。

 少し、先に申し上げますけれども、登録確認機関を見つけることが困難だという方もいらっしゃると思っておりますので、事務局のコールセンターにお電話をいただくという仕組みを設けております。

 このお電話をいただきますと、全国各地に約四万五千機関、今委員言われましたように、金融機関とか商工会議所とか、いろいろあるわけですけれども、税理士先生とか、こういった登録確認機関から身近な機関の紹介を行わせていただいております。

 それでも登録確認機関が見つけられない方につきましては、事務局が設置している無料の登録確認機関を紹介するということで、どなたでも事前確認を受けられるような体制をつくっております。

 費用につきましても、無料で事前確認作業を行う方には、先ほど千円というお話がありましたけれども、国から事務手数料を支払ったりとか、行くことになっていまして、結果として、月次支援金の申請者に対するアンケートでは、約八割の方が無料で事前確認を受けたということで、お受けいただいております。

宮本(岳)分科員 不正防止のために事前確認が必要だというのであれば、小規模事業者が誰でも無料で事前確認を受けられる仕組みが必要だと思います。

 それから、千円ということでありますが、今度は少し、事業復活支援金では引き上げられるということも聞いたんですけれども、是非そういう取組を進めていただきたい。もし、追加して確認していただけるならば、おっしゃっていただけますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、事業復活支援金についてお話がございましたので、少し御説明をさせていただきたいと思います。

 現在申請を受け付けております事業復活支援金では、無料で事前確認を行う登録機関に対しましては、国からの事務手数料として、継続支援関係のある方、これは書類のチェック分量が少し少なくなりますので、これは従来どおり一件当たり千円でございますけれども、継続支援関係のない事業者への事前確認につきましては、一時・月次支援金の一件当たり千円から、今度は二千円に引き上げさせていただくことにしております。

宮本(岳)分科員 それでは、登録機関に事前確認してもらえば不備ループと呼ばれる事態は避けられるのか。実態はそうでもないことが明らかになっております。

 これは、私のところに寄せられた、登録確認機関となっている税理士さんからの相談事例であります。

 申請者はスペイン出身の古物商でありまして、スペインではお父さんが骨董店を営んでおられ、御本人は、お父さんから仕入れた骨董品を日本で、フリーマーケットや市などで販売をしてまいりました。二〇二〇年以来、コロナで市が立たず、売上げが激減。昨年五月二十四日、一時支援金を申請。六月十七日に追加対応でこの税理士さんに事前相談して、七月十三日にはこの一時支援金三十万円は支給をされました。これは出たんです。

 次に、月次支援金ですけれども、四月から六月は申請を失念した。それで、七月分を八月に、八月分を九月に、そして九月分を十月に申請したところ、十月四日には、七、八月分、二十万円が振り込まれたということであります。出たんですね。

 ところが、九月分に関して、十二月十一日に十四日以内の追加対応を求めるメールが届いて、売上げや経費の支払いが確認できる金融機関発行の書類を出せ、売上げ及び経費に係る帳簿を出せと、賃貸借契約書や公共料金請求書、保険料の支払い書、ただし屋号、商号宛てを求めてきて、十二月の二十三日に追加資料を、これはその税理士さんが相談して提出をしたということでした。

 その後、十二月の二十五日に、翌一月九日の期限を切って追加対応を求めるメールが更に届いて、十二月二十七日に、もう年の瀬も迫って督促メールが来て、正月、一月一日十時十五分に警告メールが来たと。

 よくよく、後で分かったことですが、十二月三十一日付の本人限定受取郵便が到着していて、本人は気づかなくて、不在であって、一月四日に再配達でそれを知った。だから、正月も何の暦も関係なく、やいのやいのの催促が来たと。

 一月六日にも警告メールが来たので、一月八日には追加資料をこれまた出したと。手元にある全ての領収書をスキャニングして、三十三ページ分、ウェブ提出し、領収書のうち提出できない事情についての申立て書も、登録確認機関となっている税理士さんの名前で提出したんですが、一月十三日に督促メールが二通来た後、翌日、十四日付で何と不支給決定通知が届いたと。これで、本当にこの税理士さんが怒り心頭なわけですよ。

 当日、月次支援金事務局の問合せコールセンター窓口に抗議の電話をしたんですけれども、要領を得ずに、二日後にコールセンター職員から電話があり、マイページに表示されている期日までに不備が解消されないと支給対象外となると。八日に提出した資料では駄目なのかと聞いても、私は回答できる立場にないと。審査部に直接連絡が取れますかと聞いたら、直接連絡は取れない、納得していただくほかはないと言われたと。

 これは、不正防止のためにあなた方が登録確認機関とちゃんと位置づけている税理士さんからの訴えなんですね。そもそも登録機関の確認行為を信用していないのかと御本人は怒っておられるんですが、いかがですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま事例を御紹介いただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、事前確認スキームは、繰り返しになりますけれども、あくまでも書類ですとか宣誓・同意内容の確認を形式的に行うものでございまして、その段階で申請希望者が給付対象であるかどうかということをその方々が行うわけではございません。

 したがいまして、登録確認機関による事前確認を受けていただけでは、給付要件を満たしていると判断できるものではないケースもございます。

 したがいまして、事前確認を経た申請であったとしても、これは税理士先生を含めて、そういった方々の御確認をいただいたものであったとしても、やはり事務局における審査というものは必要になりますので、物によっては不給付になることもあると思っております。

宮本(岳)分科員 いやいや、事前確認をやってもそれは審査にならないことは分かっているんですよ。審査は、それはそちらでおやりになるんでしょう。

 ただ、不正防止のために事前確認をした、そして、そういう資格を持った方々、税理士さんに限りません、行政書士さんとか会計士さんとかが、一応、間違いなくこの人は商売をやっている実態はあります、こういうことで幾ら説明の文書をつけても、不備メールの方は、何の説明もなく、やはり不備だといって送られてくる、直接話をさせてくれと言っても、審査部は教えられないと。これで登録確認機関の方々は怒るわけですよ、何のために我々を使っているのかと。こういう扱いをするんだったらそんな制度はつくるな、こう言うて怒っておられるわけですね。

 そもそも、不備だ不備だとおっしゃるんですけれども、新型コロナの影響で大きな打撃を受けている零細な事業者の中には、銀行振り込みなどは使わずに現金商売をやっている、現金取引で商売を行っている事業者、屋号は持たずに事業を行っている事業者は少なくありません。

 現金取引は銀行を通じないのだから通帳の写しは出せない、これは当たり前のことでありまして、また、事務所や店舗の契約が個人名になっていることがいっぱいあります、商売をやっていてもね。それをわざわざ解約してもう一遍、屋号名、商号名で家の貸借契約を結び直すわけにいかぬわけですから、それは出せない、屋号、商号の確認できる契約書は出せないのは当然だと思うんですけれども、なぜこれを認めないんですか、中小企業庁。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、現金取引についての御指摘がございました。

 主として現金による取引をしていることなどによって、提出いただいた書類では取引実態の確認が困難な場合、これは個人で普通に生活している方との見分けをする必要がございますので、こういったときにも、可能な限り事業実態を確認できて要件を満たす場合には、しっかりお届けするということを考えてございます。

 そのため、審査に当たっていろいろな代替書類も、メールの中でいろいろやり取りさせていただいているわけですが、例えば、対象期間における事業に係る販売、購買が確認できる請求書、領収書、それから事業に関する家賃とか水道とか光熱費だとか、経費が確認できる通帳の写しですとか、こういうのがあれば提出をお願いしているところでございます。

 また、売上げに関する書類というのは、これは売上げでございますので、個人の私生活において売上げというのは生じるものではないので、これは屋号を求めておりません。

 一方で、経費に関するものは、何を買ったということにつきましては、やはり個人の私生活において生じたものと事業において生じたものを判別するために、屋号宛ての書類の提出を求めているところでございます。

宮本(岳)分科員 しかし、実態は、それを切り分けるというのはほとんど不可能でありまして、これはちょうど、だから、そのお怒りの方が税理士さんですから、よく分かるんです。

 今日は国税庁に来ていただいているんですけれども、月次支援金の審査では、現金取引で得た金銭を入金した通帳の写しや、屋号の記載のある契約書がなければ、事業実態がないと判断されるということでありますけれども、税務上も、これは同じ、事業実態はないと取り扱っているんですか、国税庁は。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、所得税法上の事業とは、自己の計算と危険において営利を目的として対価を得て継続的に行う経済活動と解されております。

 委員御指摘の事業の税務上の取扱いにつきましては、現金取引で得た金銭を入金した通帳の写しや、あるいは、屋号の記載のある契約書につきましては、事業の実態があるか否かの判断材料の一つとなり得るものではありますけれども、これらの書類がないことのみをもって、事業を行っていないと判断されるものではないと考えております。

宮本(岳)分科員 さきの事例での登録確認機関となっている税理士さんが怒るのは当然なんですね。日頃は税務のプロとして、税の専門家であり、税務では、通帳の写しなどなくても、屋号や商号の入らない契約書でも認められているのに、なぜ、この月次支援金の実務では、税理士が確認したと申立て書をつけても、やはり何度も不備メールが送られてきて不備ループに陥ると。

 税理士法には、故意であれ過失であれ、税理士が真正の事実に反して税務書類の作成を行えば懲戒処分が定められていると思いますが、国税庁、事実ですね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、税理士が真正の事実に反して税務書類の作成を行えば、故意であれ過失であれ、税理士法に規定する懲戒処分の対象となり得るとされているところでございます。

宮本(岳)分科員 私に相談したその税理士さんも申請者も非常に傷ついて、一度月次支援金で不支給となったら、もう事業復活支援金も、申請してもはねられるのではないかと心配し、新たな支援金の、今度の支援金の申請も、現時点でためらっておられます。

 不備ループに陥って月次支援金の申請を取り下げた人の中には、ここで不支給になったら、今後全てに不支給のレッテルが貼られるのではないかと心配して取り下げた人もいると聞いております。

 これは中小企業庁、誤解があると聞きましたが、そうですか。

飯田政府参考人 今、御質問は、月次で不支給になっても今回は支給できるか、そういう御質問で。

 これは別々の審査でございますので、昔不支給になったからといって、今回申請できないとかそういうことではございませんで、要件を満たせば支給可能でございます。

宮本(岳)分科員 先ほどの事例は、一時支援金も月次支援金も、一部支給されているわけですね。最後のやつだけがトラブったわけですが、こういう場合でも、今度のファーストステップ手続、これは利用可能ですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 一時支援金又は月次支援金の受給実績がある方でございます。その後に所得の変更があったりですとか、あるいは合併があったりとか、こういった申請主体に変更があった場合は別でございますけれども、そうでない場合には、事前確認を省略することができます。

宮本(岳)分科員 随分突っ込んだやり取りもしてまいりました。

 最後に、萩生田大臣にお伺いするんですけれども、大臣は、一月二十八日の会見で、この不備ループに関しても更なる改善を指示されたというふうにお伺いをしております。是非、大臣の改善への決意をお伺いして、私の質問を終わります。

萩生田国務大臣 事業復活支援金では、申請者の負担を減らすために、既に一時支援金や月次支援金を受給したことがある申請者については、商工会議所や税理士等による申請書類や申請者の宣誓内容に関する形式的な確認を行う手続である事前確認そのものを省略するなど、可能な限り、申請手続を簡略化しております。

 また、事業復活支援金では、これまでの支援金の経験を踏まえ、追加の書類の提出を求める際には、求める書類や不備の内容を一層明確化すること、それから、現金取引の場合などにおいて、事業実態を確認するための書類提出の例を、不備解消プロセスの中で通知するのではなく、あらかじめ示しておくこと、それから、不備解消相談窓口の体制を増やしました。審査部署との連携を強化するなど、更なる改善を重ね、申請者の御負担にも十分に配慮しながら対応していく予定です。

 引き続き、こうした改善が現場においても十分に浸透するように、中小企業庁からも事務局をしっかりと指導し、支援を必要とする方々に迅速かつ適切に支援金がお届けできるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 以上で終わります。誠にありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一君。

庄子分科員 公明党の庄子賢一と申します。

 昨年の衆議院選挙で初当選をさせていただきまして、今日が国会で初質問ということになります。少々緊張もしておりますけれども、是非前向きな御答弁をお願い申し上げたいというふうに思います。

 大綱三点ほど質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず最初は、コロナ禍におけます中小企業等の現状についてということで御質問させていただきたいと思います。

 今回の新型コロナ、世界的な規模で広がるこのパンデミックにつきましては、二〇一九年、中国・武漢で発生が確認をされてから二年経過をいたしました。この新型コロナウイルスの影響につきましては、国民生活のみならず、経済活動等にも広く広がって、特に、経営基盤の脆弱であります中小企業には深刻な打撃を与えているというふうに思います。

 厳しい中小企業の経営環境に対しましては、これまで政府は、既存の支援策に加えまして、新しい補助金制度あるいは融資制度などを、この間、矢継ぎ早に創設をしていただきまして、中小企業の産業基盤を守る、こうした観点から対策を講じていただいていること、感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、初めに、コロナ禍になりました二年間の中小企業を取り巻く現状につきまして、中小企業庁長官から御報告をお願い申し上げたいと思います。

角野政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の状況でございますが、二年前からの新型コロナウイルス感染症の流行後、多くの業種で景況感や売上高が急激に悪化し、中小企業において厳しい状況が続いてきております。昨年九月末に緊急事態宣言が解除されてからは厳しい状況は徐々に緩和されてきたわけでありますが、現状、足下では、オミクロン株の感染拡大、加えまして、原油、原材料価格の高騰などによって、事業者が引き続き厳しい状況に置かれているものと承知しております。

 そうした中、昨年の倒産件数でございますが、政府系金融機関等による資金繰り支援策などにより、五十七年ぶりの低水準を記録しているものの、その一方で、新型コロナ関連の経営破綻が継続して見られているところでございます。

 中小企業庁といたしましては、このように厳しい状況に置かれている事業者の皆様を支えていくため、これまでも、給付金、資金繰り支援、補助金等といった各種支援を累次にわたって行ってまいりました。これに加えまして、今般、事業復活支援金の措置や政府系金融機関による実質無利子無担保融資の年度末延長、事業再構築補助金の拡充といった支援策を講じているところでございます。

 引き続き、オミクロン株の影響など、下振れリスクを注視しつつ、中小企業、小規模事業者の皆様の支援に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

庄子分科員 ありがとうございます。

 今長官の御報告にもございましたとおり、中小企業の経営環境というのは次第に限界点を迎えつつあるのではないかということを私も危惧をしておりまして、何としても早くコロナを終息をしていかなければいけないということだと思います。

 同時に、中小企業経営者の皆様からは、コロナが終息して、極めて今、特例的な助成金、補助金、融資制度などを講じていただいているわけでありますが、その期限を迎えますと、今度は一気に資金繰りが悪化するといった経営環境の厳しさ、これを懸念する声が寄せられております。

 先頃、帝国データバンクさんがまとめられた調査でも、前例のない規模の予算措置によって資金繰り支援策を始めとする様々な支援策を実施してきた、これが功を奏して、今長官御報告のとおり、極めて低水準の倒産件数ということなんですが、今後、業績の回復が進まないと、過剰債務が問題になって倒産リスクが高くなるのではないか、そうした調査の報告も寄せられているところでございまして、大切なのは、アフターコロナ、産業回復期の中小企業の支援だというふうに思いますけれども、改めて、所見と方針を伺いたいと思います。

角野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの影響が長期化する中で、まずは、現在困難な状況に置かれている事業者の皆様を最大限支えていくことが大変重要でございます。

 このため、昨年末の補正予算におきまして、地域、業種を限定しない、事業規模に応じた形で事業復活支援金を措置し、一月三十一日から申請を受け付けているところでございます。

 また、政府系金融機関による実質無利子無担保融資を年度末まで延長しており、中小企業の足下の事業継続をしっかりと支えていくこととしております。

 その上で、さらに、ポストコロナに向けまして、財務基盤が弱くなった事業者に対する資本性劣後ローンや、金融機関による継続的な伴走支援を求める伴走支援型特別保証などの金融支援を継続していく予定でございます。

 加えまして、思い切った新分野展開、業態転換等を後押しする事業再構築補助金や生産性革命推進事業など、ポストコロナに向けた企業の設備投資などにも活用可能な各種補助金による支援を今後も引き続き実施してまいります。

 今後とも、新型コロナ感染の状況や中小企業を取り巻く経営環境なども十分注視しながら、委員御指摘のとおりでありますが、コロナ禍からの回復期も含めまして、中小企業のニーズに合った政策を適切に実施してまいりたいというふうに考えております。

庄子分科員 大変前向きな、また、個別具体の話にも踏み込んでいただきました。是非切れ目ない支援をお願いを申し上げたいと思っております。

 総括的に、この項の最後に中小企業の政策全般についてお尋ねをしたいと思います。

 中小企業や地方に光をというスローガンで岸田内閣は発足をしたと認識をしております。

 二月十二日のNHKの討論番組におきまして、山際担当大臣は、所得向上、賃上げに関連をいたしまして、大企業とその下請、孫請となっている中小企業といういわばこれまでの日本の産業構造、これの改変を進めたいという趣旨の発言をされ、私も注目をした一人でございます。

 コロナを乗り越えた後の日本の経済産業政策の大きな柱として、岸田内閣の中小企業政策について、お考えを是非伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 中小企業、小規模事業者は、日本の雇用の七割、付加価値の五割以上を占める、日本経済のまさに屋台骨だというふうに思います。

 同時に、中小企業には、新事業に挑戦し成長を目指す企業や地域経済の基盤となる企業など、様々な中小企業が存在しており、それぞれ大切な役割を担っていると思います。

 委員御指摘の中小企業政策については、足下で新型コロナという厳しい状況に直面する中、まずは、事業復活支援金や資金繰り支援などを通じて、困難な状況に置かれている事業者の事業継続をしっかり支えていくことが重要だと思っております。

 その上で、ポストコロナを見据えて我が国全体の経済成長や産業構造改革を実現するため、グリーン分野などへの新事業展開やデジタル投資による生産性向上など、中小企業の新たな挑戦を支援をしてまいりたいと思います。

 また、中小企業再生支援協議会や中小企業再生ファンドを通じて、過剰債務に苦しむ中小企業の事業再生支援も行ってまいります。

 さらに、原材料価格高騰などコストが上昇する中でも、中小企業に適切な利益が残り、新たな投資や賃上げができる環境が整備されるよう、価格転嫁の円滑化など、取引の適正化に向けた取組、先ほど御披露いただいた、山際大臣はこのことをおっしゃったんだと思いますが、これにも取組を強化してまいりたいと思います。

 そして、せっかく地域に根づいた中小企業が跡取りがいないことで廃業するなんというもったいないことがないように、事業承継についてもしっかりサポートしてまいりたいと思っていまして、こうした取組を着実に実行していくことにより、岸田内閣が掲げる成長と分配の好循環を中小企業政策としてしっかり実現してまいりたいと思います。

庄子分科員 大臣、ありがとうございました。

 大綱二点目に移らせていただきたいと思います。福島原子力災害の対応についてです。

 これから廃炉が本格的にスタートをするわけでございますが、東京電力の福島第一原発の事故につきましては、住民の方がこれまで住み慣れた御自宅への帰還、これを困難にしただけではなくて、農林水産物への直接、間接的な影響、あるいは製造業や観光業など多くの分野にも深刻な影響を今も及ぼしております。

 一刻も早く、そして安全な原子力災害の収束のために、今後の廃炉に当たっては、起こり得る全てのリスクを検討しつつ、万全の体制を取るように東京電力に対する指導監督を徹底する必要がある、国としての確固たる対応を求めたい、こう思います。

 さらには、廃炉を実際的に担う優れた技術者、あるいは士気の高い作業員の皆さんなど、こうした人材の確保、育成も必須と考えます。

 国として、廃炉に向けた取組、またその決意をお尋ねいたします。

萩生田国務大臣 福島第一原発の廃炉作業においては、周辺地域への住民帰還や復興の取組を妨げないよう、地域の皆様や周辺環境に対する放射線安全上のリスク、作業員に対する放射線安全や労働安全上のリスクなど、多様なリスクを適切に評価し、最適な作業時期と方法を選択することで、長期的にリスクを確実に引き下げることが不可欠です。

 引き続き、こうした観点から、東京電力を適切に指導してまいりたいと思います。

 また、廃炉に必要な人材の確保については、技術者の育成も視野に研究開発への支援を行っていますが、先日、福島に視察にお伺いしたときに、今週から燃料デブリ取り出しに用いるロボットアームの本格的な試験が開始されるなど、廃炉に必要な技術の蓄積が着実に進んでいると思います。

 さらに、作業員の確保については、休憩所ですとか食事環境ですとか防護装備の改善など、作業環境を着実に改善するとともに、業務へのやりがいを感じていただけるよう、廃炉の現場で働く方々の姿を全国に発信しているところです。

 福島第一原発の廃炉は世界にも前例のない困難な取組ですが、一刻も早い廃炉の実現に向けて、引き続き、国も前面に立って対応してまいりたいと思います。

庄子分科員 大臣から、国が前面に立ってというお答えを頂戴しましたので、是非その対応をお願いを申し上げたいと思います。

 いよいよこれから、帰還困難区域におきましては、特定復興再生拠点区域への住民帰還に向けて一層加速が望まれるところでございます。

 今年、既に双葉、大熊、葛尾という三つの町村で、来年はこれに加えまして富岡、浪江、飯舘という二町一村で始まるということでございますが、一方で、拠点区域外の避難指示解除、これがやはり今後の大きな課題であろうというふうに思っているところでございます。

 昨年八月、復興推進会議あるいは原子力災害対策本部で決定をしました政府の方針によりますと、住民の皆さんが帰還できるように意向調査を行う、その上で、希望する方全員の帰還を二〇二〇年代中に達成をしたい、こう決定をしたわけですが、容易なことではないだろうというふうにも思います。

 特に、これまでの住民意向調査の回答率というのが約半数ということでありますので、この意向調査の手法が改善をされなければ、当事者の思いや意向、考えが反映されない、そうした避難指示解除あるいは地域の再生となってしまうのではないかという危惧を抱きます。

 今後、地元への説明や避難されている皆様への対応をどのようになさるのか、当局のお取組を聞きたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 拠点区域外の政府方針につきましては、昨年八月の方針決定以降、地元自治体と御相談しながら、議会ですとか住民向けの説明会、あるいは行政区長さんたちの集まりの場などで説明を行ってきております。

 二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の方々が帰還できるよう取組を進めるためには、スピード感と丁寧さ、この両方が必要だろうというように考えております。このため、すぐに帰還について判断できない住民の方々の事情にも配慮できるように、意向確認は複数回実施をするということを想定しております。

 今後の調査実施に際しても、住民の方々の個別の御意向がしっかり反映されるように、事前に調査内容についての説明の場を設けるなど、丁寧に取組を進めてまいります。

庄子分科員 非常にデリケートな問題ですし、また、他県に避難されている皆様の御意向というのは、ずっと一定ではありません、常に変化をしてくると思いますので、今おっしゃっていただいたような、本当に丁寧な、誠実な対応を求めたいというふうに思っています。

 廃炉作業につきましては、地元企業の皆様とのマッチングということを期待をできるというふうに思っておりますが、この福島原発事故の影響というのは今申し上げたとおりなんですけれども、廃炉の費用につきましては、これはあくまで試算ですけれども、総額八兆円にも及ぶというふうに見積もられておりまして、この廃炉作業の際に、地元福島の企業がどうやって関わるか、また、関わっていくことによりまして、地域に経済的な効果と産業の活性化、あるいは地元企業の技術力の向上、こうしたところに結びついていく可能性があろうというふうに思います。

 是非、国として、東京電力、事業者側に関与をしつつ、地元企業とのマッチング支援、これをより一層強化をしていただきたい、こう思っておりますけれども、御所見と方針をお聞かせいただきたいと思います。

須藤政府参考人 福島第一原発の廃炉作業から生まれる多くの仕事を復興に役立てていくことが重要と考えております。政府として、幅広い地元企業の廃炉作業への参画、あるいは、地元からの資材調達の拡大に向けた取組を推進しております。

 具体的に申し上げます。

 地域の産業支援団体と東京電力が連携して、廃炉作業ニーズから地元企業をつなぐマッチング活動の支援、あるいは、廃炉関連の資材に求められる品質など、廃炉作業への参入に必要となる情報の提供といった取組の支援などを行っております。

 さらに、二〇二〇年代には、廃炉に用いる機材の製造工場、あるいは、技術開発と放射能分析を行う施設など、複数の廃炉関連施設を東京電力が整備する予定としております。

 引き続き、こうした施設におけるニーズと地元企業とのマッチングを促進することで、廃炉関連産業の集積を進めてまいります。

庄子分科員 震災から十一年が間もなく経過をする中で、刻一刻、福島の環境も変わってまいりますが、どうか、今何点かお答えをいただきましたとおり、原発事故という未曽有の災害に遭われた皆様に是非寄り添った対応を、また、繰り返しになりますが、丁寧にお願いを申し上げたいと思います。

 次に、燃油高騰対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 衆議院の調査局がまとめてございます報告書を頂戴をいたしました。これは、全国で一万社を超える事業者にアンケート調査を行って、現在直面している経営問題についてまとめたものでございます。

 それによりますと、そのポイントなんですが、原材料費、燃料費の高騰ということが課題だと答えた事業者は、全企業の過半数以上、五一・七%になっております。企業の規模別に見ますと、大企業では、人材の強化、採用、育成というのが一番の課題なんですが、中小企業、いわゆる事業規模が小さいほど、原材料費あるいは燃料費の高騰ということを課題と答える事業者が多い、こういう結果がまとまっているようでございまして、この燃油高騰対策については、やはり次のフェーズに移ってきているのではないかなというふうに私は思います。

 緊急対策は一月二十七日から発動されました。この間、その効果の推移を見守ってまいりましたけれども、現段階でもまだレギュラーガソリンは一リッター当たり百七十円を超える高値で安定をしてしまっています。ドバイの原油価格の動向は、国際情勢によっては全く不透明でありまして、この状況が長期化しますと、コロナ禍で苦境に立っている事業者の経営の命取りにもなりかねないのではないかというふうに思います。

 二月八日に岸田総理が追加的措置の検討を指示をされました。一リットル五円を補填する現行の事業を拡充し、急ぎ追加の対策を講じるべきであるというふうに考えますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

細田副大臣 ありがとうございます。私から答弁をさせていただきます。

 今先生から御指摘ありましたとおり、原油価格の上昇がコロナ禍で苦しむ経済回復の重荷になってはならないという認識、これはもう全く共有をさせていただいております。

 その上で、国民や事業者の皆様が春先までを見通すことができるように、国民生活や産業に広く燃料として使用されているガソリン、軽油、灯油、重油の四油種を対象とした時限的、緊急避難的な激変緩和事業を現在行っているところでございます。

 また、これに加えまして、関係省庁が農業、漁業、運送業などの業種別や中小企業向け支援などの対応策を実施をしているところでございます。

 また、灯油購入費の助成など、地方公共団体が行う原油価格高騰対策に要する経費に対しまして、これは総務省にお願いをして、特別交付税措置が講じられているところでございます。

 経済産業省といたしましては、先ほど先生からお話がございました総理からの御指示も踏まえまして、激変緩和事業の効果検証をまず行うとともに、原油価格の高騰がどの程度長期化するかということも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が最も効果的な対策かということを、不断の検討をしてまいりたいというふうに考えております。

庄子分科員 緊急対策が一月二十七日発動ということですから、あと少しで一か月経過をいたします。その辺の一か月が一つの区切りとして、環境が改善していなければ速やかに追加的な措置を是非お願いを申し上げたいというふうに思っております。

 また、この間、特に軽油を使われるトラックやダンプといったいわゆる大型車両の事業者の皆様からは、燃油高騰に対する影響が大きいという悲痛なお声を頂戴することが増えてまいりました。燃料サーチャージ制がございますけれども、このサーチャージ制についての理解には濃淡もございまして、適正に燃料の高騰が上乗せになっていないというケースも実態としてはございます。

 このなかなか定着しないサーチャージ制につきましては、是非、国土交通省としても、取組をしていただいてはおりますけれども、一層強い対策をお願いを申し上げたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

山田政府参考人 トラック運送事業は、費用に占める燃料費の平均割合が約一三%であり、燃料価格の上昇が事業活動に及ぼす影響は大きいと認識しております。

 昨今の燃油価格の上昇を踏まえ、国土交通省では、燃料サーチャージや標準的な運賃等により燃料の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう、荷主企業等への理解と協力の呼びかけ、国土交通本省、地方運輸局、運輸支局の計六十四か所に相談窓口の新設、運賃の不当な据置きに対しては、貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業等への働きかけ等の法的措置の実施などの対応を行っているところでございます。

 また、令和三年度補正予算におきましては、電動車や物流効率化のためのシステムの導入に補助を行い、燃費向上を通じて事業者の燃料費負担の軽減を図っております。

 引き続き、燃料価格上昇によるトラック運送業界への影響を注視しつつ、関係省庁や業界団体とも連携して対応してまいります。また、こうした対応の効果につきましては、今後、トラック運送業の実態調査を行う中で、分析、検証に努めてまいりたいと思います。

庄子分科員 済みません、今、実態調査というお話をしていただいたんですけれども、これは何か具体的な、調査の時期などについてお答えいただくことは可能ですか。

山田政府参考人 現在実態調査を進めておるところでございまして、できれば年度内にもまとめたいと考えております。

庄子分科員 是非お願いを申し上げたい。

 私、東北でありますので、殊のほか、やはり燃油の高騰ということが、事業経営はもちろんなんですが、国民生活にもダイレクトに響いている課題でございまして、前向きな対処を是非お願いを申し上げたい、このように思います。

 最後の一点でございますが、以前から関心を持っておりました蓄電事業についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、再生可能エネルギーの増産とともに、蓄電の普及拡大を急いで、電力の安定供給に取り組んでいく必要があるというふうに考えます。

 蓄電技術の革新は、太陽光や風力発電と組み合わせていくことによりまして安定的な電源となり得ますし、水素との組合せで脱炭素電源にもなり得ます。さらには、電力の需給バランス保持における調整弁として、脱化石燃料、脱火力発電ということにもつながってまいります。

 蓄電技術の革新に向けて官民挙げて積極的に取り組んでいくべきであり、特に、高性能かつ大型蓄電設備の開発普及は脱化石燃料に向けた重要技術と考えます。経済産業省の御所見、方針と具体的な取組をお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたとおり、再生可能エネルギーが増えてまいりまして、主力電源化に近づいてまいりますと、太陽光や風力のような自然変動性のある電源を安定させたり、それから、現在主に火力発電が担っているような、調整弁と今お話ございましたが、こうした機能をしっかり確保していく、脱炭素化していくという意味におきましても、蓄電池の開発普及、これは重要な施策だというふうに私どもも考えております。

 具体的には、まず制度面として、大型の蓄電池を発電事業者と同様に供給力の管理の対象とする。これは、例えば電力会社の給電指令室から直接管理ができるようにするということですが、こうしたことですとか、一方で、電力の系統に蓄電池をつなぎやすくする、こうした制度面の確保、今回、電気事業法の改正を今検討しておりまして、この中で措置をしていきたいというふうに考えています。

 それから次に、蓄電技術や制御技術の開発ということでございますが、これも、今、電力会社の変電所に大型の蓄電池を実証事業で設置をいたしまして、実際に電力の安定供給に活用するということで、様々な制御技術の開発ですとか、新しい蓄電池の開発というのを行っております。こうした実証事業を通じて技術開発をしっかり進めていきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、導入促進という観点で今年度補正予算を確保をしております。これは、電力市場に対する調整力ですとか供給力ですとか、こういったものが提供できる大型の蓄電池を導入する事業者に対しまして、導入費用の一部を補助するという予算措置を講じております。

 こうした取組を通じまして、再生可能エネルギーの普及拡大や電力の安定供給に資する大型の蓄電池の導入をしっかり進めてまいります。

庄子分科員 ありがとうございます。

 時代はまさに脱炭素であり、カーボンニュートラルではあります。その方向に間違いありませんが、電力は安定供給されてこその電力でございますので、そのために役に立つ大型蓄電設備の開発は是非これからも加速度的に取組をお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて庄子賢一君の質疑は終了いたしました。

    〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕

西村主査 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。連日お疲れさまでございます。

 大臣には、委員会の際ともまたつながる、同じ質問をさせていただかなければなりませんが、ガソリンの本日の小売店価格調査が先ほど公開をされまして、百七十一・四円ということで、先週から〇・二円、また上がっております。これで六週連続となっております。

 先日、委員会でも大臣から御説明をいただきましたが、今実施中の激変緩和措置に関しては、価格を下げるためのものではないということは重々承知をしておりますが、今、現段階において、六週間連続で価格が上がっているという事実を鑑みて、この措置の拡大、若しくはトリガー条項の凍結解除等をされないというお考えに変更はございませんでしょうか。

萩生田国務大臣 本日十四時に公表した二月十四日のレギュラーガソリンの全国平均価格は、今先生から御披露いただきましたとおり、先週から〇・二円上昇の百七十一・四円となりました。ほぼ横ばいという結果でありますが、おっしゃるように六週連続高騰ということになります。

 今般の激変緩和事業がなければ、原油価格上昇により百七十五・二円になると予測されたため、三・八円の価格抑制効果が確認されたところです。また、軽油、灯油についても、同様に三・八円と三・七円の価格抑制の効果が確認されました。

 先週木曜からの支給額は上限である五円に到達したところでありますが、価格上昇の抑制という目的は一定程度達成できていると考えており、現時点においては、トリガー条項凍結解除や支給上限額の拡充は考えておりません。

 今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかも見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が効果的な対策か、総理の指示なども踏まえ、政府全体としてしっかり検討をしてまいりたいと思います。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 現段階においてはほぼ横ばいという御説明がございました。確かに、〇・二円という金額はほぼ横ばいと言っていいかと思います。

 今、経産省から、資源エネルギー庁が公開をされております小売店調査、かなり古いものまで出ておりますが、過去十五年間の小売価格の調査の推移を私は確認をしてまいりました。それによりますと、一番大きな変動があったのは、本日資料を用意しておりませんが、リーマン・ショックのときでございます。この際は、暫定税率が期限切れで廃止をされて一気に価格が下がってから、四か月で五十三・五円高騰いたしました。その後、リーマン・ショックで大きく下がって、またしばらく上がったり下がったりを繰り返してきたということでございます。

 そして、今、高騰とされているのは、コロナ禍で底をついたと言われる二〇二〇年の五月の時点の小売価格から徐々に上がり続けているというような流れになっておりますが、以前の価格の上昇に比べて、今回は非常に緩やかなスパンで価格の上昇が見られるというふうに分析をしております。過去の例を今挙げさせていただきましたが、リーマン・ショックの際は四か月で高騰いたしましたが、今回、二十一か月かけてじっくりと価格が高騰している、こういう状況でございます。

 さらに、今、ウクライナの緊迫した状況を考えれば、またかつ、様々な要因で、ハリケーンなどで製油ができなかったりしたことも踏まえて、今価格が高騰しているということは事実なんですが、どの程度広がるのかというところまで想定をされているのか。まあ難しいことは分かるんですが、ここが分かっていないと、ある意味、言い方は悪いですが、損切りができなくなってしまいます。

 どの程度までこの影響が拡大した場合に、新たな一歩を、新たな一手を下していくのか、その目安を教えていただけますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ありましたとおり、今回の原油価格の上昇は、コロナ後の需要の回復に対してOPECの増産のペースが完全に対応していないですとか、一部産油国におきまして生産停滞の影響があったり等々の状況において、徐々に上昇基調が続いてきているというのが足下の状況であると理解してございます。

 ただし、今後の見通しにつきましては、原油価格の動き、様々な、需給でありますとか国際情勢によって左右されますので、現時点で確定的なことは申し上げるわけにはございません。

 今後の対応につきましては、先ほど大臣から答えましたとおり、原油価格の高騰がどの程度長期化するかなども見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が効果的な対策か、総理の指示等も踏まえて、政府全体としてしっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

鈴木(敦)分科員 スケジュールをここで明言するのはほぼ不可能だと思います。それについては私も理解をしておりますが、どの程度まで我慢するのかということは、ある程度の目安をつけていただかないと、民間の皆さんも対応が難しいんじゃないかなというふうに思います。

 なぜこれを申し上げるかといいますと、原油の価格が上昇したことによって、政府が今手当てをしている業種ではない部分で影響が出ているということは、以前というよりもおとといの委員会で御紹介をさせていただきました。クリーニング屋さんですとかタクシーの業種、そしてドクターヘリや診療船。

 そして、私の地元に関して言えば、燃料費が高騰することによって、私の地元川崎は工業の町ですので、多分に燃料費や円安の影響を受けますけれども、過去の例を見ても、燃料費が高騰するとインフレが起こる確率が非常に高くなってまいります。そして、インフレが起こって円安が起こる。そうすると、金利が高い方から低い方に移っていって、日本の経済に多大な影響を与えていく。こういうことが当然に予想されるわけです。

 現に、現在、原材料がとても上がっているという声が私のところにも届いております。皆さん余り召し上がらないかもしれませんけれども、私は好きでよく食べるんですが、国会の中にも大手の牛丼チェーンのお店が入っております。この牛丼も値段が上がりまして、これは牛肉の値段の高騰によるものです。更に申し上げれば、皆さんのオフィスあるいは議員事務室にも配備されていると思いますけれども、はさみですとか、あるいは、皆さんが食卓に置いているしょうゆですとか、こういったものも、原材料が上がったことによって非常に値段も上がっているということでございます。

 ガソリンが上がって困るのは車を使っている方々でしょうが、一般に、飲食店を使われる方、あるいはお仕事をされる方、家で食事をされる方、そういう方々に直接影響があるのは、実は原材料の方です。原材料が高くなれば、その分皆さんに直接影響のある部分でございまして、私はこちらの方がよほど大きな問題だと思いますけれども、経産省はどの程度の危機感をお持ちなんでしょうか。

福永政府参考人 お答えいたします。

 原材料価格や燃料費の高騰が我が国経済の、先生御指摘のような下振れリスクとなっていること、このようなコスト増を取引先に転嫁することが困難と感じている製造事業者や物流事業者がおられるものということは、いろいろなことを聞いて承知しております。

 こうした中で、特に原材料価格の高騰に苦しむ中小企業にとっては、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁することができる環境を整備することが重要、そういう認識に立っておりまして、取引適正化の取組を強化していく、こういう方針で取り組んでおります。

 具体的には、昨年十二月末に閣議了解されましたパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージというのに基づきまして、公正取引委員会、関係省庁と連携して、下請代金法の執行を強化することなど、価格転嫁対策に全力で取り組んでいます。

 また、全国百二十名体制の下請Gメンを倍増し、体制を強化することで、全国各地の下請企業の現場の悩みを丁寧に伺った上で、発注者と受注側の歩み寄りや、製造業やトラック運送業者を始めとした業種別ガイドラインの改善など、課題解決につなげていく。

 加えて、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言について、より多くの大企業に更なる参加を促すことに加えて、既に宣言した企業の下請取引の状況について実態を調査するなど、実効性の向上に向けた取組を進めてまいる所存でございます。

 これらの取組を通じて、原材料価格の高騰が適切に価格転嫁できる環境整備を進めていく、こういう方針で臨んでおります。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 サプライチェーンという言葉がありましたので、ここでもう一例させていただきますが、地元で聞く声は、原材料が高くなることによって発注が下がる、そうすると生産体制を落とさざるを得ない、こういう工場が幾つかございました。そうしますと、生産体制が落ちればもちろん出荷が下がりますので、出荷をしようとすれば、運送業の方々ですとか様々な車を使われる方々にも影響が出てくる。これは一連のサイクルで、様々な影響が出てきている、こういう問題でございます。

 引き続き、この燃料の問題あるいは原材料の問題については、政府全体としてあらゆる方策を取る、大臣も何度もおっしゃっていただきましたが、是非ともその体制を貫いていただきたい、このように思います。

 次の質問に移りますが、サプライチェーンの問題と関連をいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルというのが政府の目標です。我が国は、その難しくて高い目標の下に今様々な政策を決定していますけれども、我が国において二〇五〇年カーボンニュートラルを実際に実現しようと思えば、自動車についてもEV車にしなければならない、これはもう至上命題だと思います。

 そして、政府は、二〇三五年に新車を全て電動車にする、このような目標も掲げておられますが、いま一度確認してみますと、EV車の普及率もそんなに高くありませんし、充電器につきましても普及率はさほど高くございません。これを打開する次の一手を教えていただけますでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、前段のエネルギーの件ですけれども、決して問題意識を持っていないわけじゃなくて、先生がおっしゃるように、議員の立場からすれば、じゃ、どの程度まで上昇した場合は次の手を打つんだというのは聞きたいところですよね。しかし、私がここで金額を言えば、やはり市場にも影響を与えちゃうし、業界にも様々な影響を与えるので。

 とにかく、この事態は国際情勢とも関連しています。原油国の関係で、値段というのはどんどん変わってきます。リーマン・ショックのときのお話をしてくれましたけれども、あの頃はアメリカもシェールオイルをどんどん掘っていたときですし、あるいはイランからの輸入もできた時代ですから、すごく状況が変わっているので、そういう中でとにかく国民生活に支障を来さない、その最大限の努力をしたいと思っています。

 トリガーじゃなくて、なぜこういうのをやったかといったら、まさに原油を始点にして、さっきクリーニング屋さんのお話も例に出してくれたんですけれども、クリーニング屋さんは重油を使うんです。これはトリガーだとやはり対象にならなかったので、もっと上がっていたんですね。ですから、いろいろなことを前広に考えながら、もちろん今のままでいいと思っていませんので、そこは是非御信頼いただきたいと思います。

 その上で、委員御指摘のとおり、電気自動車はカーボンニュートラルの実現に向けた重要な選択肢の一つであり、政府としては、この十年間は、その導入を強力に進めていくこととしております。

 具体的には、購入支援やインフラ整備を通じた電気自動車の普及促進に加え、蓄電池の技術開発や大規模製造拠点の立地推進、サプライヤーの前向きな構造改革に対する支援など、総合的な取組を進めてまいります。

 また、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、現時点では完全な技術は存在しないため、電気自動車に加え、燃料電池自動車や燃料の脱炭素化など、多様な技術の選択肢を追求することが重要です。

 このため、二兆円のグリーンイノベーション基金も活用しながら、電気自動車普及の鍵を握る次世代電池、モーターに加えて、水素や合成燃料など、あらゆる技術の選択肢を追求してまいりたいと思っています。

鈴木(敦)分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の発言が市場に大変影響を及ぼすというのは、もちろんそのとおりだと思いますので、私もその言葉については深く受け止めたいと思います。

 更に申し上げれば、重油に関して今御紹介をいただきましたけれども、私ども国民民主党と日本維新の会で提出させていただきましたトリガー条項凍結解除法案の中には重油の解除も入っておりましたので、一考されていただいて、実際に対応されるときにどのような対応で国民生活を守っていただくかの参考にしていただければと思います。

 そして、EV車の部分ですけれども、確かに、補助金を大量に出していただいて、購入促進の支援もしていただいている中ではあるんですが、実際に運用している皆様からすれば、実は、今、充電スポットの量がかなり減ってきているという声も聞いております。なぜかといえば、耐用年数が大体八年で切れてしまうものですので維持費もかかり、また、めったに使われないような部分に置かれている充電器も多々あるわけでございまして、例えば、今、東京都内の区役所なんかにも充電スポットはありましたけれども、削減している区が幾つもございます。

 そういった中で、車を支援するだけではなくて、もちろん充電スポットをかなり増やしていかなきゃいけないと思いますけれども、ここについての認識はいかがでしょうか。

福永政府参考人 委員御指摘のとおり、電気自動車の普及に当たっては、充電インフラの整備が非常に重要であると考えております。

 充電インフラの整備については、政府としても、二〇三〇年までに急速充電器三万基を含む十五万基、これは現状の五倍でございますが、目標を掲げております。この目標の実現に向けて、まずは、令和三年度補正予算において六十五億円の整備支援事業を配置し、今まで手が届かなかったようなところ、先生が御関心だとも伺いましたが、集合住宅とかそういったところも整備を進めてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 ちょうど集合住宅のお話をしていただきました。まさにそのお話を伺うところでしたが、仮に集合住宅に充電器を設置しようと思いますと、大変なコストがかかるということ以上に、使用電力の問題が発生してまいります。大臣からもおっしゃったように、今の技術では完璧にはできないと思いますが、今の技術で考えますれば、今、五分間で充電しようと思うと三百五十キロワットが必要になりますけれども、これは、二千を超えますと特別高圧電力になってしまいます。

 集合住宅で大量の充電器を置こうとすれば特別高圧電力になってしまいますが、集合住宅でこのような措置を大量にしていかない限り十五万基を設置できないと思いますが、いかがでしょうか。

福永政府参考人 ありがとうございます。

 先生御指摘のように、大きなものをつけようとするとそうなってきますが、五十キロワットの、通常使われているやつをうまく使っていくというようなことを含めて、集合住宅で欲しいというニーズがありますから、それに応えていくことを考えてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)分科員 欲しいというニーズは車を持っている方々から生まれてくるものですから、実際に車を保有しようと思ったら、その充電器がなければもちろん保有できないわけでございますので、ここについての法整備もいろいろと考えていかなきゃいけないんじゃないかなと私は危機感を感じております。

 さて、そのEV車の、今充電の話をしましたけれども、充電するためのプラグについても問題が今発生をしております。

 今、乱立しておりますけれども、日本の現行で使っておりますチャデモという規格ですが、これは北米でプロバイダーが撤退をするというような発表をいたしました。つまり、北米方面から日本の規格が消えることになりますが、これについて所感をいただけますでしょうか。

福永政府参考人 今、先生からチャデモというお話がありましたが、充電規格については、現在、チャデモ、GB、これは中国などで使われています、あとCCS1、CCS2といったような四つの国際標準規格がございまして、いろいろな特徴を持っているわけでございます。

 実は、チャデモというのは、いち早く二〇一四年に国際規格として認められていまして、先行して導入が進んできた。それは北米も含めてですが進んできて、特に一部の地域での電気自動車導入加速を背景として、ただ、現状では、例えば中国ではGB規格、欧州ではCCS2規格の充電インフラというのが進み始めているというような実態にあるとは認識しています。

 ただ、チャデモについては、一方でいろいろな使われ方をしていまして、現状も、アメリカ、ヨーロッパ、ヨーロッパは特に、私は現地でも見てきたんですが、チャデモプラスCCS2とか、両方あるとか、こういうのが実態になっていまして、今、先生御指摘のように、一部で撤退の動きなんかもあるかもしれませんが、車で、まさにチャデモを備えて、チャデモを持っている、先ほど申し上げましたような、VツーホームというかVツーXと呼んでいるわけですが、グリッドとつなげるような特性を使いたいというニーズが出てくればチャデモが引き続き生きてくると思っておりますので、こういった利点もアピールしながら各国とも対話を進めてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 ヨーロッパ方面ではマルチパワー充電器といって二つついているものがかなり、大半を占めておりますので、ヨーロッパでは構わないんですが、今、このチャデモの次の規格として、中国と合弁でチャオジというのを作っていますね。

 中国と一緒に作って規格を立ち上げる、このことについては異論はありませんが、これを海外に展開していくという場合に、特にアメリカですとかヨーロッパ方面に対して何かしらの懸念が発生して導入に支障があるんじゃないかと思っているんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。

福永政府参考人 先生御指摘のチャオジ、今後、多分、新しい規格として大変注目されている規格でございます。日本も相当これの策定に当たって主導している立場でございます。

 ただ、今中国と一緒にやっているということを強調されましたが、実は、中国のみならず、欧米の自動車メーカー、あるいはシェルみたいな会社とか充電器メーカーなど、数多くの企業や国も広く参加して、サイバーセキュリティー対策、中国という懸念があるわけですが、そういったところもしっかり対策を整えて、検討の上、開発が行われているものでございます。

 しかも、こういった国際規格が成り立つためには、複数の国が参加して開かれた場で技術面がしっかりと議論されていること、内容的に十分的な合理性があるかが重要ということでございまして、このチャオジ規格も、先ほど中国というお話がありましたが、それ以外の国も参加して、国際規格にふさわしいかということを検証しながらやっているわけでございます。

 したがって、先生から、中国と連携していることで広げていくことに御懸念があるのではないかというようなことがございましたが、我々としては、そういうことよりは、こういう形によって、中国みたいな最大マーケットでも使われている、より広くいろいろなところで使われているというような形で、より広く展開していけるようにつながっていくんじゃないかということで、むしろ、チャオジというものがチャデモと同様に、ビークル・ツー・ホームみたいな形で使える点もあるものですから、しっかり推進してまいりたいというふうに思っていますし、そのために、米欧を含めた各国の企業、国々と協力してまいりたいと思っています。

鈴木(敦)分科員 最後にこの規格についてお聞きしようと思ったんですが、今御説明をいただきましたのである程度は解決をいたしましたが、今後、日本のみならず、世界的にも、スマートフォンの充電器と同じように、ヨーロッパは今、ライトニングケーブルからUSB―Cに移行しようとしている段階にありますので、EV車のプラグについても規格統一の話が今後出てきかねないというふうに感じております。

 そんな中で、様々な国々で協力して作っているということであれば、是非国際規格を目指していただきたいと思いますが、これ、様々な委員会で我が党の議員が言っておりますけれども、日本は国際規格を取るのが非常に最近少なくなってきております。なので、是非ともこういった規格について、一つ一つ取っていただきたいと思っております。

 次に、国際規格に関連しての質問なんですけれども、中小型バイナリー発電システムの性能測定、これについて、日本の技術が国際規格になったということ、大変喜ばしく思っておりますし、おめでとうございます。

 こういった技術については、再生可能エネルギーという観点からも非常に有効なものですし、日本がこれはリードできる技術だと思っておりますけれども、こういった規格を、環境性能の規格だけではなくて、是非とも、発電システムそのものの規格として日本から外に出していくですとか、日本の国中に置いていくというような、そういった推進の展望ですとか、あるいは、導入についてはこういうふうにしましょうというような考えが経産省におありでしたら、教えていただけませんでしょうか。

萩生田国務大臣 バイナリー発電機は、高温の温泉水を活用する地熱発電の一つとして、天候に左右されず安定的に発電が可能なベースロード電源として重要だと思っております。

 委員御指摘のとおり、我が国が主導する形で、二〇二一年十一月に中小型バイナリー発電システムの性能測定方法に関する国際規格化が実現したところでありまして、これにより、我が国の高効率なバイナリー発電機の性能が国際市場において正しく評価され、我が国のバイナリー発電機の海外展開が一層進むことを期待したいと思っています。

 さらに、バイナリー発電機の海外展開に向けては、地熱ポテンシャルが大きいアフリカ諸国を対象とした人材育成事業を通じて、地熱発電の普及とカーボンニュートラルに向けた取組を支援してきたところであり、引き続き、こうした事業を通じて、日本企業が有するバイナリー発電技術を現地で紹介し、日本のバイナリー発電機導入を後押ししてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。こうした技術は是非とも推進していただきたい、このように思います。

 さて、時間の都合上、最後の質問になりますけれども、もうかなりの期間にわたって日本が技術開発をしておりまして、二〇一三年に初めて海底掘削に成功しましたメタンハイドレートについてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、日本近海に大量に貯蔵されていることが期待をされておりまして、これが仮に商業化された場合には日本がエネルギー立国になる可能性すらある、このように夢のようなものでございますが、今、最近はとんと動きが見えなくなってまいりました。

 試験掘削をアラスカでするというところまでは分かっておりますが、今のところの動向を御説明いただけますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 メタンハイドレートという国内資源は、地政学リスクに左右されない安定的なエネルギー源でございまして、その開発は引き続き推進することが重要であると考えてございます。

 このメタンハイドレートでございますけれども、現在、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されること、これを目指しまして、可能な限り早期に成果が得られるよう技術開発などを推進しているところでございます。

 そのうち、砂層型メタンハイドレートについては、既に二〇一七年に一か月程度の海洋でのガス生産試験に成功してございます。来年度は、アメリカと共同で陸上での生産試験をアラスカ州で実施するとともに、有望濃集帯の抽出に向けて、日本周辺海域における海洋調査なども実施する予定でございます。

 一方、表層型のメタンハイドレートにつきましては、二〇一九年度にメタンハイドレートの回収に必要な有望技術を特定してございまして、今後は、その技術開発を継続するとともに、海底の状況や環境影響を把握するための海洋調査も実施する予定にしてございます。

 引き続き、このメタンハイドレートという国産資源の早期の商業化の実現を目指しまして、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えてございます。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 最近少し動きが見えなかったので、確認させていただきました。

 これに併せて、海底資源に関連してですが、日本の近海には、ニッケルやコバルト等、レアアースのようなものが大量にあるということが分かっております。もう試験掘削もされているようですし、今の現状とこれからの計画、お願いできますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥などの海洋鉱物資源、これにつきましては、エネルギー基本計画などに基づき、資源量調査や生産技術などの開発に現在取り組んでいるところでございます。二〇二〇年七月には、南鳥島周辺海域において、世界で初めてコバルトリッチクラストの掘削性能試験に成功したところでございます。

 一方で、資源が水深一千メートルを超える海底下、そこから取り出してくるということがございますので、商業化可能な資源量の把握でありますとか生産技術の確立など、依然として、若干、幾つかの課題が残っていることが事実でございます。

 これも、先ほどのメタンハイドレートと同様に、早期の商業化に向けて取組を進めてまいりたいと考えてございます。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 是非急いでいただきたいとは思うんですが、一つ懸念がございまして、こういったレアアースについては鉱業法の適用外に今なっていると認識をしているんですが、これは法改正をするやに聞いておりますけれども、今のところの検討状況をお伺いできますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、レアアースに関しましては、これまで商業的な開発が想定されてこなかったということがございまして、鉱業法の対象としておりますいわゆる鉱物の対象には含まれておりません。

 他方で、御指摘のとおり、今、様々な政府のプロジェクトの中で、日本近海のレアアース泥の開発の可能性が次第に高まってきているという状況がございますので、こういう新しい状況を踏まえて、レアアースについても鉱業法の対象にすることができないかとか、その方向で現在政府内で検討させていただいているところでございます。

鈴木(敦)分科員 是非急いでいただきたいと思います。

 これは、コバルトやニッケルというのはバッテリーの原料でもございますので、こういったものを確保しておくというのは経済安全保障上も重要なことだと思いますので、是非これからもよろしくお願いいたします。

 時間ですので終わります。ありがとうございました。

西村主査 これにて鈴木敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、緑川貴士君。

緑川分科員 皆様、夕方に差しかかる中で、朝から御審議、大変お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川貴士と申します。今日はよろしくお願いいたします。

 国内のコロナの感染拡大が始まって、同じタイミングで、おととしの三月にコロナに関連した融資制度が始まって二年になります。利子を負担する実質無利子無担保融資については、民間金融機関の受付というものはもう昨年の三月には終了しております。そして、政府系の金融機関の申込みも来月には締め切られるというようなスケジュールになっています。おととしあるいは昨年にこうした融資制度を利用して借りていた事業者の返済というものが本格化してくるのが、まさにこれからになります。

 まずお尋ねいたしますけれども、この政府系の金融機関が行うコロナ特別貸付けで、実質無利子無担保融資などの資金繰り支援策で融資してきた件数、そして、これまでに条件変更、リスケ、つまり、経営状況に応じて月々の返済額また返済期限を見直して条件変更が行われた件数というものをお伺いしたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府系金融機関、日本公庫、商工中金でございますけれども、これらによる実質無利子無担保融資などの融資件数は、二〇二二年一月末現在で、日本公庫及び商工中金において、合わせて約百一万件でございます。

 それから、政府系金融機関における条件変更の実行件数でございますけれども、こちらはコロナ融資であるかどうかに限らず、この時点でのということで、コロナ以降二〇二一年十二月末までで約二十・四万件でございます。

緑川分科員 御答弁ありがとうございます。

 条件変更が行われてきた件数、やはり、始めがおととしの三月から実行されたという件数ですから、当然、この二十万四千百二十二件の中にはコロナ前の既往債務というものが含まれての数ですので、コロナ特別貸付けの百一万件の内数ということは言えないんですけれども、実際には、コロナ特別貸付けを受けた事業者の大半がこれから一年間の返済猶予というものを最初に選んでいますから、コロナ禍二年目に入った昨年だけの条件変更の数を見ても、毎月一万件前後のペースで企業が条件変更、リスケを申し出ている状況です。それが実行されているわけですから、つまり、特別貸付けで融資を受けてきた事業者のリスケというものが、コロナ禍で貸し付けたものがリスケされる、相当なペースで今これは増えているという状況です。

 コロナ禍で、緊急事態宣言期間中に、例えば足下の数か月間だけちょっと様子を見て、短めの期間ちょっと借りてみようかという事業者がいたりとか、あるいは、借りられる分だけ、やはりリスクに備えて多めに借りておきたいという事業者、様々な資金需要がありますけれども、それでもやはり足りなくなってきて、コロナの影響が思いのほか長引いて、需要が蒸発したりとか、あとは事業が延期になったりとか、資金がショートしかけている、だから元金の返済をちょっと待ってほしいんだ、当初の契約からの変更をせざるを得ない、そういう状況を、条件変更のこの二十万四千件余りの数字というものが、私は物語っているというふうに思います。

 その上で、事業環境が厳しい中で、リスケだけというわけにもいかない方、条件変更して、元金返済を先送りにはできても、これは元金返済の分ですから、例えば実質無利子融資でないメニューを選んでいた事業者の場合は利子がかかるわけですね。これは先送りにできないわけで、こういう、資金繰りが厳しく、これ以上の借入れというものは本望ではなくてもやはりそうせざるを得ないという方からのお問合せというものを、私、このコロナ禍、もう三年目になりますけれども、そうした中でも、本当に切実なお声をいただいている状況です。

 その中で、日本政策金融公庫では、ホームページにも、既存の融資を借り換えるだけの利用も可能というふうに書いてあるんですけれども、前回公庫から借入れができていた事業者で、今回借り入れようとしたら、何と、理由も示されずに借換えを断られてしまったという方が出てきました。

 政府はこれまでも、政府系の金融機関に対しては、資金繰りの支援に丁寧にそして迅速に対応するようにと、経産大臣の名前で累次要請を出されてきたというところを承知しております。金融庁からも、政府系だけではなくて民間に対しても、事業者を訪問しての丁寧な経営相談とか、また、積極的な、必要な資金の供給については支援せよということを、通知を累次出しているんですけれども、それでも、私の方にお問合せが来た方には、理由なく断られてしまったと。これは、審査の結果だけが通知されて、連絡されて、断られてしまっている現状があるわけです。

 これは、政府として想定されていることなんでしょうか。これは大臣です。

萩生田国務大臣 まず、日本公庫などの政府系金融機関に限らず、融資審査において、事業者と丁寧に対話を行い、事業者の状況などを把握することは重要であると認識しております。

 特に、新型コロナの影響が長期化する中、官民の金融機関に対して、新型コロナの影響等を踏まえ、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を引き続き徹底することや、返済期間、据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換えなどについて、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続することなど、事業者に寄り添った対応を行うよう、鈴木財務大臣とともに要請をしており、その趣旨も踏まえて対応いただいているものと認識しております。

 一方、審査の結果、融資をお断りする個別の事例があることは承知しておりますが、他方で、今回御指摘のような事業者がいらっしゃるという声も踏まえ、日本公庫において、融資結果を伝える際にその理由を分かりやすく説明するなど、丁寧な対応を取るように促してまいりたいと思います。

緑川分科員 事業者は、個別の実情が当然あるというふうに思うんです。お金を借りるからには、事業計画とか、また資金繰り表などを基に審査を、大きな材料として返済能力、これは大分厳密に見なければならない側面が当然あります。借換えできない理由というのが、ただ、その上で、やはり大臣がさっき、理由を丁寧に説明していただくように促していくということをこれまでも行ってきている上での、こうした現場の対応が続けられている状況もあると思います。

 リスケを申し込んだ方なんですね。御本人が直接やはり担当者から言われず、自分の中で自問自答しているわけですね。リスケをやはりしない方がよかったんじゃないかとか、あるいは、返済というものを、やはり始まるときにしっかりと行っていた方がよかったんじゃないか、そっちの方が有利に融資を受けられるように働いたんじゃないかというふうに、やはり疑心暗鬼になっている状況であります。

 そうした状況の中で、ほかにも、これは業種は違うんですけれども、実質無利子無担保融資での借換えを申し込んだという方がいまして、この方が言うには、コロナが落ち着けば客足が戻るから、その戻ったときには収益がまた回復をしていくから返済をすることができるというふうに、やはり自信を持って担当者にはお話をしたんですね。そうしたら、返ってきた答えが、コロナが落ち着くのはいつか分からないではないかと。

 あくまで融資ではありますけれども、サービスをお届けする現場として、担当者から一蹴されてしまうような、そうした話しぶり、答え方をされてしまうと、やはり事業者も更に絶望してしまうんじゃないかというふうに思います。

 先行きが不透明だからこそ、融資を申込みに来ているわけですよね。ほかの融資枠では審査がやはり厳しくなっている、信用保証ではなかなかちょっと自分の方では審査が通りにくいというふうに判断をして、この無利子無担保融資というもの、特別枠ですよね、これに望みをつないできたわけですよね。

 売上げが同じように減少二〇%以上、中小企業ですから、この二〇%以上の中小企業で比較したときに、すぐに必要ではないけれども一応借りておこうという、先を見越して、比較的余裕のある、まだ体力があると見込まれている方々、その事業者には比較的審査が通りやすいのに対して、今お話ししたような、運転資金が、やはり目の前の資金がいよいよ厳しくなってきている、本当に困ってきたというところには、実際には審査が通りにくい。一般枠なら分かりますけれども、特別枠でこういう状況なんですね。これに望みをつないできた事業者が、やはりこれにかけているわけですから、身も蓋もない返答をされて、これは何のための特別枠なんだというような、やはり悔しさをにじませているわけです。

 大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、これまで累次の御要請というところ、本当に政府としての、各省庁の横断的な取組もあって、非常に要請には力を入れてきたというのはうかがえますけれども、リスケの希望には、やはり金融機関としてまた御対応いただいていることも併せて評価もできるんですが、もう一歩、事業環境が厳しい今のこの切迫した状況の中で、追加の融資を含めて、資金需要により丁寧にお応えをいただくということ、配慮せよという要請を、もう少し工夫をして取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、御答弁を求めます。

萩生田国務大臣 新型コロナの影響の長期化などにより、厳しい状況にある事業者がいらっしゃることは承知しております。

 政府としては、実質無利子無担保融資を含む資金繰り支援等により、売上げの減少度合いに応じて幅広く支援しており、雇用調整助成金など他の支援策の効果も相まって、二〇二一年の倒産件数は五十七年ぶりの低水準を記録しています。

 また、現場の職員が事業者に寄り添って支援を行うよう、鈴木大臣らとともに官民の金融機関に対して、ニーズに応じたきめ細かな支援の徹底などをこれまでも累次にわたって要請してきておりますが、さらに、厳しい状況にある事業者が今後増加していくことを見据えて、財務内容の改善に向けたアクションプランや金融支援を織り込んだ経営改善計画の策定、実行を、税理士などの認定支援機関も活用しつつ更に前広に支援していくとともに、中小企業再生支援協議会や中小企業再生ファンドの強化拡充などを通じ、中小企業の事業再生もしっかりと支援してまいりたいと思います。

 引き続き、事業者の実情に応じたきめ細かい支援に万全を期してまいりたいと思います。

緑川分科員 雇用調整助成金など他の施策の効果も当然、複合的な効果がやはり相まっての、今の数字的には倒産件数が抑えられている。融資による支えというものは、一方で非常に大きかったわけです。これまでの累次の要請にもかかわらず、やはり現場での心ない対応がまさに今行われている状況ですから、より、苦境に立つ方への寄り添った支援というものを、様々なまた工夫を凝らしていただいて、御対応を求めていきたいというふうに思っています。

 最初にそもそも借入れをした事業者が、この時期なら返せるようになるんだというふうに、コロナで特別貸付けを受けた最初のときとは、私はやはり状況が変わってきていると思うんですね。当初想定をした状況と、今、コロナ禍三年目を迎えている今の状況は、異なっていると思うんですね。

 二年間の間、やはり影響の特に大きかった飲食、そして観光、また運輸、こういう産業を始めとして、市場自体がやはりこの二年間で急速に縮小していった。そして、需要が併せて大きくしぼんでいったというところで、その中で、国内の他社、また海外の参入してくる企業とも、限られたパイをめぐって激しい競争をしていかなければならない、この市場の中で。その中でシェアを維持していくことの難しさ、厳しさ、そして、需要が回復していくかというふうに期待をした矢先に、今、オミクロン株が国内でまた急速に感染拡大が生じている、経済が正常化から遠のいてしまっている、こういう状況の中です。

 燃料費そして原材料費、また高騰を続けている中で、それが収益の確保を厳しくしている。帝国データバンクの試算では、昨年十一月の時点では、およそ三十万社の企業がやはり慢性的な経営不振に陥っているというふうに推定しています。これまでの倒産件数が抑えられてきたというものが、今度は雪崩を打つかのような状況になり得ることを大変懸念をしています。

 将来の見通しが立てられずに、このまま事業を畳んでしまおうというふうに考える事業者が更に増えていく、そういう御懸念について、大臣はどのように捉えていらっしゃいますか。

萩生田国務大臣 今先生お話しされたように、この厳しい状況の中で、例えば廃業を選択する、こういう方も出てくる、このことは否めないというふうに思います。しかしながら、我々としては、今支給を始めた事業復活支援金ですとか、あるいは事業再構築のための補助金を使って、何とかその商い、商売の中身を替えてでも是非頑張っていただきたい、そういったメニューはそろえさせていただいているつもりでございます。

 先ほど来お話があったように、先生の事務所に相談するぐらいですから、わらをもつかむで、またあるいは怒りを持って御相談される方がいらっしゃるんだと思うんですけれども、我々も逆に金融機関に、先ほどから申し上げているように累次の要請はしているんですが、金融機関の現場の声を聞くと、丁寧な説明をしているんだけれども、もう聞く耳を持ってもらえなくて、国のお金じゃないか、貸すと言ったじゃないか、こういうことで窓口で声を荒げる方も中にはいらっしゃったりするので、冷静な判断は必要だと思うんです。

 いずれにしましても、御本人の能力を超える外的な要因で事業が行き詰まっているんだとすれば、これはやはり我々助けていかなきゃいけない、そして、何とかその再生をしていかなきゃいけないというのは基本の姿勢でありますので、まずはそのことに全力を投入していきたいと思っております。

緑川分科員 廃業は、やはり納得をした上で、気持ちの踏ん切りをつけた上でステップを踏む、前に進むことができるというふうに思います。ですが、そうじゃない、諦め切れないという事業者のお声がやはり私は根強い、倒産につなげたくないという事業者の信念を感じるところですし、そういう中で、やはり各種の融資に関わらない給付金というところ、大臣からも御答弁をいただいたところなんですけれども、これまで、借入れを重ねることでの過剰債務の状況というところはあるんですが、一方で、じゃ、給付を受けられるかというと実はそうでもないという状況を抱えていらっしゃる事業者が、私のところにもやはり連絡が来るわけです。

 例えば、今お話しした方でいえば、この無利子無担保融資、二〇%減というのは、これは適用されるんだけれども、三〇%までの減少ではないんだと。事業復活支援金の減収要件、三〇%以上の売上減少であればこれは該当になるんですが、残念ながら、どのようにしてもそこまではいかない、この給付を受けられない。しかしながら、でも、コンスタントに減収はずっと二年間続いてしまっているという事業者、ボディーブローのようにダメージを受けているわけですね。

 極端に減収していないけれども非常に水面下で苦しい思いをして、地味に減収が続いている事業者に対して、そうしたところにフィットした支援というものをやはり求めていきたいというふうに思っておりますけれども、大臣、そんなところ、是非期待をしたいと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 持続化給付金のときには売上げ五〇%以上という業者しか対象にできませんでした。今回三〇%まで階段をつくったのは、中小企業にとって三〇%売上減というのは大変なことだと。

 他方、先生おっしゃるように、それは二〇%でも大変です、一〇%でも大変です。しかしながら、全ての皆さんにやはりこの給付金をお配りするということは制度上も不可能だったので、一定の線を引かせていただいた上で、そして、そこから漏れてしまう皆さんについては、一定の体力があれば、先ほど申し上げた政府系のゼロゼロ融資などの追加など、リスケも含めた様々な支援策や、あるいは、先ほども申し上げましたけれども、事業再構築補助金、生産性革命推進事業により、新分野の展開、業態転換など思い切った事業再構築の取組や生産性向上に資する設備投資、IT導入、販路開拓などを支援しているところでございまして、こういった状況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対する特別枠を設けて、補助率を引き上げるなどの優遇措置を講じているところでございます。

 こうした業績が悪化している事業者の収益力強化を、強力に後押しをしてまいりたいというふうに思っております。

緑川分科員 大臣から、様々施策メニューを御答弁いただきました。

 今私がお話ししたような切実な事業者は、やはり、興味を持って様々なホームページにもちろんアクセスをして、省庁のこの給付金は使えるだろうか、あるいは融資を、これは自分の今の状況には何とかクリアできるんじゃないかと、いろいろ思案をしながら、非常にアンテナを張って、本当に今の工面をしようというふうに考えていらっしゃる方なんですが、やはり今言ったような給付金は難しいと。

 そして、一方で、業態転換を見据えた事業再生に道筋をつけるような計画というよりは、やはりあくまで今の業務、これをもう少し広げていきたい、あくまで今の状況の中でこの事業を守っていきたい、何か新しいものに取り組むというよりは、やはり今のこの足場を守っていきたいという、今、思いでありますので、そうしたところに対する、やはり制度のはざまに私は落ちてしまっている方の支援が、特に事業者、切実な声を抱えていらっしゃる方にはなかなか届きにくい今の支援の状況になっているというふうに思っております。

 ちょっと時間がないので進めていかなければなりませんけれども、やはり今の原材料価格、また、資材費も高騰しています。建設業の方も大変です。重機の燃料費が値上がりしています。手元のキャッシュもやはり、いよいよ手元の運転資金も厳しくなってきている。こういう目減りをしているような、やはり仕入価格も上昇していますから、ランニングコスト自体が非常にかかってきてしまっている今の状況になっています。

 こういう経営体力が損なわれてきている状況の中で、たとえ、これからどのぐらいのスパンになるか分かりませんけれども、コロナ禍が収束をして、需要が回復をする過程で売上げが、やはり需要が回復すれば伸びてきますから、伸びてきたからといって、直ちにそこで追加の融資を受けられるわけでは、残念ながらないと思います。事業を展開していけるチャンスが、景気が上向いてきて、目の前にそのチャンスが広がってきているのに、その資金需要に運転資金が追いつかない、場合によっては、黒字が出てきたのに融資を受けられないまま倒産をしてしまう、そんなケースも私は出てきてしまうんじゃないかというふうに懸念をしています。

 それに対処をしていくためには、銀行からの融資の残高がたとえ積み上がっていた場合でも、例えば、売掛金があればその債権を業者に買い取ってもらう、そこでそれを現金化して資金調達ができるオンラインのファクタリングというものも、今これは活発になっています。人工知能を使うことで審査の手続がまた迅速になっている。資金需要に素早く対応できるというのが魅力になっているんですが、一方で、市場規模が広がるにつれて、人気が高まっている一方で、高額な手数料であったり、また違法な取立てをするような悪質な業者というのも増えていくことが懸念されています。

 そこでお伺いしたいんですが、事業者がこうした売り掛け債権を安心して資金調達に活用できるように、国がこれを担保に取って、金利も優遇しながら融資をしていく、そんな選択肢もあるというふうに思うんですけれども、追加の融資を求める声に、どのように大臣、お応えされていくでしょうか。大臣にこれは通告しております。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま売り掛け債権を担保とした資金繰りの支援策についての御提案をいただいておりますけれども、まず、そもそも、資金需要に応えるために、担保とか保証に依存しない融資を促進するということ自体が大事だと思っておりまして、累次にわたってこちらも要請しておりまして、こうした措置によりまして、長期的に見て、担保付融資の割合はだんだん低下してきているところでございます。

 一方で、今御指摘のような、売り掛け債権を担保として融資を受けたいというニーズにお応えするために、信用保証協会の方で、一般保証とは別枠で、売り掛け債権を担保とする二億円の信用保証枠を二〇〇一年に創設してございます。昨年度までに累計で約九万件、約一・二兆円の保証を承諾をしておりまして、中小企業の、公的な分野が関わる資金調達の手段の一つとして活用されております。

 今御指摘の不正なとか、いろいろな使われ方みたいなことというのもあろうかと思います。そういったことにも注視しながら、引き続き、事業者のニーズに応じた幅広い資金繰り支援にしてまいりたいと思っております。

萩生田国務大臣 御提案のあった、国が債権を引き取って、それを担保に国が新たにまた融資にお金を回すというのは、現段階のスキームでは考えていません。

 また、今答弁しましたとおり、保証協会をつけて一定の枠はつくらせていただいておりますので、現状は、これをしっかり執行していきたいなと思っています。

緑川分科員 やはり、何度も申し上げるんですけれども、信用保証ですから、今の審査を前提として、厳しい状況に置かれている事業者はやはりそこではねられてしまう、そういうところの中で、その上でいわゆる売り掛け債権の更なる活用ということを御提案させていただいておりますので、この中で、国として、やはり今の最大限に取り得る施策、柔軟な金融支援というものをしっかりと求めてまいりたいというふうに思っております。

 ちょっと時間がないんですけれども、これからの成長の芽になり得る事業者がまさに苦境に立たされている中で、柔軟な金融支援ということは、今、現場の、中小企業の再生支援協議会による支援ということが非常に重要性を増しているというふうに思っています。

 この協議会は、特例リスケ支援、つまり、資金繰りに困っている事業者に対して、窓口相談、あるいは新たな融資などを含めて積極的な対応を、事業者と金融機関の間に入って調整を図っていく、今まさに私が申し上げた事業者のケース、本当に、この求められる役割、その重要性が高まっているというふうに思います。

 ただ、四十七都道府県、それぞれの窓口はあるんですけれども、事業者からお問合せをまたいただきまして、最寄りの協議会に相談したら、具体的な計画が出るまで最短で六月と言われたそうです。窓口で申込みをしてから四か月も待たなければならない。

 正直、これは時間がかかり過ぎてしまっているというふうに思いますけれども、この現状について伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 再生支援協議会でございますけれども、現在、全国四十七都道府県に設置をされております。体制の強化につきましても、現在二百八十名の人員を三百八十名へと百名増員するなど、体制を強化してまいりたいと思っております。

 それに加えまして、再生協議会だけでは届かないという可能性もあろうかと思っておりますので、年度内に新たに中小企業の私的整理ガイドラインというものを策定いたしまして、官民を挙げて円滑な事業再生を支援してまいりたいと思っております。

緑川分科員 予算づけもして、今二百八十人と聞いていますけれども、それが徐々に、補正予算も組んで三百人台まで来ているというんですが、四十七の都道府県で三百人台の数字です。申込件数が今五千件以上、二〇一九年、コロナ前の二・五倍以上に膨れ上がっていますから、しかも、一つ一つの事例が簡単な案件ではないと思います。非常に手間がかかるというのはお察しをするんですけれども、より予算づけ、やはり強化をしてもらって、しっかりと現場に人を充てて、迅速に対応していただきたいというふうに思います。

 ちょっと話題を変えます。最後に、時間がないんですけれども、地域のサービスステーション、ガソリンスタンド経営の今後の在り方についてお伺いをしたいと思います。

 地方において車は必需品でありますけれども、農業機械への給油、また、移動手段を持たない御高齢の方への灯油の冬場の配送など、様々なケースを考えれば、地方においては、スタンドが減少しているという影響が非常に大きいです。給油所過疎地と定義しているガソリンスタンドが、今の二〇二〇年度末時点では三百四十三の市町村で、二〇一二年に比べて九十以上の市町村が増えているわけです。

 この給油所過疎地、経営を多角化して何とか収益確保につなげていく取組が大切であるというふうに思っておりますけれども、御答弁を求めます。

萩生田国務大臣 人口減少や自動車の燃費向上などを背景にSSの減少が進む地域において、自家用車や農業機械の給油、あるいは高齢者宅への冬場の灯油配送などに支障を来す、いわゆるSS過疎地問題が全国的に課題になっていると承知しております。

 こうした地域においてSSを維持するためには、石油製品供給の担い手だけでなく、地域の社会的ニーズに対応する地域コミュニティーインフラとなること、そのためには、地元自治体のリーダーシップの下、事業者や地域住民などの関係者が連携し、地域の実情に応じた対策を検討することが必要だと考えております。

 時間の関係で例示は避けたいと思いますけれども、いろいろな取組を自治体ごとにやっていますので、そういったものを国として支援するために、自治体主導による燃料供給に関する計画策定に要する経費、当該計画に基づく設備整備、また撤去費用を支援する予算など、SSの地下タンクの入替えですとか大型化を支援する予算を計上しているところです。

 こうした事業を活用し、過疎地におけるSSの維持を図り、地域の燃料供給体制をしっかり確保してまいりたいと思います。

緑川分科員 もう質問はいたしませんけれども、スタンドの数以上に減少率が高まっているのが人、やはり担い手なんですね。スタンドの担い手が、やはり人がいなくなってきている。それが、給油所だけではない、給油所過疎地の問題であるというふうに思います。

 ですから、従業員の確保、また後継者の確保が難しくなっている中で、やはり、新しいサービスステーションとしての役割というものをしっかりと形に示していくことで、産業を担う魅力につなげていただきたいというふうに思います。引き続き議論させていただきます。

 ありがとうございました。

西村主査 これにて緑川貴士君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)分科員 日本維新の会の遠藤良太でございます。兵庫五区で活動させていただいております。本日はどうぞよろしくお願いします。

 今日は、アウトドアと介護関連についての質問をさせていただきたいと思います。

 アウトドア産業についてお聞きします。

 まず、マウンテンバイクに関してお尋ねしたいと思います。

 今、乗鞍岳では、約十四・五キロにわたるマウンテンバイクトレイルというものが造られています。乗鞍岳では、新型コロナ対策関連の補助金を活用して、このトレイルの整備費用に充てることができたということを聞いています。

 私自身が活動をしている兵庫県の朝来市や養父市においても、トレイルを整備していく場合に、地権者との調整が必要となりますが、森林の管理の促進につながれば地域の地権者にとってもメリットがあるというふうに考えます。

 そこで、森林経営や観光客誘致の必要性が認められることから、トレイルの整備に対する支援を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域の振興に向けましては、多様な地域資源を付加価値を高めつつ活用していくことが重要と考えております。マウンテンバイクトレイル整備につきましても、その一つとして支援策を講じているところでございます。

 具体的には、農山漁村振興交付金において、農山漁村と都市との交流を図るための施設として、また、農山漁村地域整備交付金という事業におきましては、森林と人との触れ合い空間として森林内におけるマウンテンバイクトレイルの整備への支援が可能でございますし、さらに、森林・山村多面的機能発揮対策という事業がございます。この事業におきましては、マウンテンバイクの愛好家の方々を始めとした地域外の方々が、山村の集落の方々と連携をして森林の保全活動と併せて作業道の作設、修理等を行う取組を支援してございまして、この造った作業道をマウンテンバイクトレイルとして利用することも可能でございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 先ほど答弁いただきましたトレイルの整備が森林経営につながっていくことができればよいと思っています。

 森林経営であればJクレジットの対象になるかもしれない、そういうふうに考えていまして、簡単にJクレジットについて御説明いただきたいのと、トレイルの整備において森林経営をすればJクレジットの対象になるかということ、この二点、お聞きしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ございましたJクレジット制度でございますけれども、省エネ、再エネ設備の導入、あるいは、御質問ありました森林管理による温室効果ガスの排出削減、吸収量を国がクレジットとして認証する制度でございます。

 このうち、森林クレジットでございますけれども、森林法に基づく森林経営計画に沿って森林管理をするということによって、吸収量を確保する活動を対象としております。

 御指摘のような場合につきましても、対象となる区域において森林経営計画が策定され、それに沿って森林施業が実施されている場合には、Jクレジットを創出することは可能であると考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 マウンテンバイクの普及について、先ほどの、二酸化炭素の排出がないという部分で、環境に優しい乗り物である。是非、トレイルの整備とともに、マウンテンバイクの普及促進、森林経営によるCO2削減につなげていただければと思っています。

 次に、私自身キャンプをするんですけれども、そのキャンプについて御質問したいと思います。

 オートキャンプに、よく子供を連れてキャンプ場に行きまして、自然体験をさせているんですけれども、その中で、青少年自然体験活動等の推進に関する法律案は、衆法として提出されていたものの、第二百五回国会で審議未了となりました。

 学校教育において自然体験学習を取り入れることについて、文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。

根本政府参考人 お答えいたします。

 自然体験活動や社会体験活動などの体験活動は、豊かな人間性や社会性、また主体性等を育む上で極めて重要であると考えております。

 令和二年度より小学校から順次実施されております学習指導要領におきましても、生命の有限性や自然の大切さ、また、主体的に挑戦してみること、多様な他者と協働すること、これらの重要性などを実感しながら理解するという観点で、体験活動に関します記述を一層充実させていただいているところでございます。

 さらに、これを推進するため、文部科学省といたしましては、令和四年度の予算案におきまして、青少年の体験活動を一層推進するという観点から、青少年の体験活動の理解を深めるための普及啓発、また、学校教育として行う二泊三日以上の体験活動への支援、さらに、独立行政法人国立青少年教育振興機構が持っております全国二十八の国立青少年教育施設での体験活動の機会とか場の提供、さらに、地域の民間団体等が行われます様々な体験活動への助成等を行っているところでございます。

 体験活動は人づくりの原点であるという認識の下、今後とも青少年の体験活動の充実に努めてまいりたいと思います。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 自然体験については、やはり都市型に今人口が集中していますし、自然で虫と遊んだりとか木に触れたりとか、そういったことをすごく経験、今の子供たちは本当に少ないので、是非そういう意味で、この取り入れをしっかりやっていただきたいと思います。

 また、コロナで、今は終息していないんですけれども、キャンプは屋外のアクティビティーが中心であるために、コロナ禍においても、屋内の感染リスクという面で考えると、少ないと言えるかなと思います。特に、様々な体験ができるとともに、用品の購入などの産業が盛んでありまして、特にキャンプ用品のアウトドア関連産業への支援、これを積極的に行っていただきたいというふうに思うんです。

 大臣にお尋ねしたいんですが、過去に、こういう形で、アウトドアやそういったキャンプ体験、もしあれば教えていただきたいのと、この産業に対する支援、どのようにお考えなのか、御答弁をお願いしたいです。

萩生田国務大臣 先生、先日はメタバースで、今日はアウトドアで、幅広くて。

 私も、子供のときには、地域の子供会でキャンプに行ったり、仲間と山で遊んだりという経験はもちろんあります。

 今、中山間地域の振興や観光客誘致のためにも、地域の自然環境を生かしたキャンプなどのアウトドア産業が果たす役割は大きいと認識しています。

 実は、去年、おととし、私、文科大臣だったんですけれども、残念ながら修学旅行が中止になる学校が相次いで、三月三十一日までが学年なので、最後の思い出に、例えば、今御指摘のあったように、感染に非常に配慮できる外での宿泊、こういったものも進めさせていただいて、実際に実施していただいた学校も幾つかある。グランピングなんというのを使いながら、場所を変えたという報告をいただいたこともございました。

 令和三年度の観光白書によれば、オートキャンプの参加人数は過去六年間で約百万人増加し、特にコロナ禍により三密回避が求められる中で、旅行者の変化として、人流が少なく自然が多い地域への訪問意識が高まっている状況にございます。

 こうした動向も踏まえて、経産省としては、地域未来投資促進法を活用したグランピング場の整備ですとか運営事業に対する支援、また、事業再構築補助金によるキャンプ用品の製造、販売の新事業展開支援なども実施しているところです。

 引き続き、経済産業省としても、こうした支援を通じて、ウィズコロナ時代における新しいライフスタイルの一つを支えるキャンプ関連産業のアウトドア産業をしっかりと後押ししてまいりたいと思います。

遠藤(良)分科員 大臣、ありがとうございます。是非、機会あればキャンプに皆さんで行きたいと思います。

 キャンプは主に春、秋がシーズンであるというふうに言われています。最近、先ほど大臣の答弁ありましたように、非常にキャンプというのは過熱をしていまして、特に、私自身も冒頭お話ししたように行くんですけれども、予約をしようとすると、今だと約半年前から予約しないとキャンプ場自体が取れないんですね。こういう現状がありまして、先ほどのキャンプ場の確保というところ、この辺りについて、むしろ森林経営にもこれ自体もつなげられてくるのではないかなというふうに思います。

 オートキャンプ場を造ることについての支援、それから、豊かな自然の中で、中山間地域におけるキャンプ場は観光客をこれまた呼べる一つのツールになるかなというふうにも思います。これに付随して、地方への誘致を目指すべきだと思うんですけれども、その辺り、御答弁をお尋ねしたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によります旅行者の意識の変化に伴いまして、密を避け、自然環境に触れる、オートキャンプを含めましたキャンプなどのアクティビティーにつきましては、利用が拡大していると承知しております。

 アフターコロナを見据えたインバウンド戦略としても、訪日外国人旅行者の関心の高さ、あるいは滞在期間の長期化、消費額の拡大、そして地方への誘客等の観点から、自然環境に触れるアクティビティーの振興は重要な課題であると認識しております。

 観光庁では、これまでも、オートキャンプを含めたキャンプ等の自然を活用したアクティビティーにつきまして、地域へのアドバイスを行う専門家の派遣ですとか、あるいはモニターツアーの実施などを通じて観光コンテンツの魅力向上に取り組んできたところでございます。

 また、今後は、自然環境を保全し、共存しながら、日本各地でこのようなアクティビティーを満喫できるように、持続可能な観光という観点も含めまして、更に取組を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 こういった取組を通じまして、国内外の観光客が地方を訪れ、観光を通じた地域の活性化が図られるよう更に努力を続けてまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 観光、これは、過疎地域であったり、そういった地域にとっては非常に重要な資源になるかと思います。キャンプで、一泊二日でキャンプして帰るということではなくて、大体三泊四日とかで、キャンプ場を拠点にいろいろな地域の観光をするので、そういう意味で、これは非常に、オートキャンプ場の在り方というのは是非御支援いただきたいと思います。

 その中で、キャンプをする中山間地域、これはWiFiの環境が整っているかというのが実は重要だと考えています。中山間地域では元々WiFi環境が非常に少なくて、民間企業者も新たに投資をするインセンティブが働きにくいというように思っています。

 中山間地域においてもWiFiが整っていれば観光客を更に呼び込みやすい、そして、支援をキャンプのできる中山間地域にも広げていくべきだと思っているんですけれども、この辺り、どのようにお考えでしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 少子高齢化が進む中山間地域におきましては、御指摘のとおり、観光交流の拡大による地域活性化、これを図っていくことが重要だと考えております。

 このため、自動車等によります広域的な周遊といったことも想定しながら、快適に旅行を満喫できる環境を整備し、地方部における旅行者の周遊の促進、そして消費の拡大を図っていく必要があると考えております。

 こうした観点から、観光庁におきましては、インバウンドの回復を見据えて、キャンプ場も含めた観光地ですとか観光拠点における無料WiFiの整備、あるいはEVの急速充電器の整備、こういったものを含めた受入れ環境の整備を支援することとしておりまして、令和四年度の予算案にも必要な経費を盛り込んでいるところでございます。

 こうした支援を通じまして、中山間地域においても観光を通じた地域活性が図られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 WiFi、そして、先ほどおっしゃられたEV、こういった辺りも過疎地域においては非常に重要なコンテンツになってくるかと思いますので、引き続き是非支援いただきたいと思います。

 次に、予算委員会で取り残してしまった、介護に関する質問をさせていただきたいと思います。介護福祉用品や介護サービスの海外展開についてお尋ねしたいと思います。

 以前、私自身が海外の事業展開をしたときに、福祉用品や介護サービスの販路拡大についてジェトロの支援を受けたことがあります。ジェトロの中で、マッチングを行うための、ジェトロが開催をしているブースの無料提供、こういったものが実際販路開拓につながるのか、実は疑問でありました。

 この辺り、きちんと海外の事業者の方からニーズをヒアリングした上で、まさに海外に事業を展開しようとする企業に寄り添った支援、これを行っていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 介護は、世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本において、様々なノウハウの蓄積があり、国際的にも競争力を有する重要な分野であります。

 経済産業省としては、日本の介護サービスや機器の海外展開を支援するため、日本の介護事業者と現地企業のビジネスマッチングや商談会などを行うだけでなく、日本のサービスや機器などの波及効果が高いものについて、例えば中国等の有望市場においてビジネスモデル構築支援を行っております。

 具体的には、認知症高齢者の急増が大きな社会課題となっている中国において、日本では既に一般的となっている認知症の早期発見、治療に向けた介護施設と医療機関が連携するビジネスモデルについて、専門家による伴走支援など、現地でのニーズを捉えた展開支援を行っております。現在では、支援先の経営が黒字化するなど、軌道に乗っているものもあると承知しています。

 今後とも、事業者のニーズを踏まえながら、介護サービスや機器の海外展開、しっかり支援してまいりたいと思います。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 先日、処遇改善についてお尋ねをしました。今月から始まる処遇改善の対象については、ケアマネジャーや障害者相談支援員を含むということで回答をいただきました。

 処遇改善については、今月から始まるものを含めると、三つの処遇改善に関する制度があります。同じように計画書や報告書を全て作成しなければならず、事業者側の負担が非常に大きいという声が多いです。

 まず、この負担軽減を図ることはできないか、この辺りをお尋ねしたいと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 介護職員の処遇改善の加算及び介護職員等特定処遇改善加算に関する事務の簡素化につきましては、令和二年四月より、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算に関する手続の一本化、また、その手続に必要な添付書類の簡素化、さらに、都道府県等に対しましては、原則、国が示した様式に変更を加えないことの周知等を行ったところでございます。

 また、議員から御紹介ありました、本年二月からの処遇改善措置というものも予算措置してございます。これにつきましては、現場の方々に確実に行き渡るように、補助額の全額を給与引上げに充てたことについて自治体において確認する仕組みとしておりますけれども、その事務手続につきましては、事務負担が少ない形で手続が行えるように、先ほど申しましたような処遇改善加算等と同様に、原則として添付書類の提出は求めないといったような簡素化の措置を図っているところでございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 その中で、これは今は紙媒体でずっとやっています。この辺りのオンライン化、申請のオンライン化を徹底して進めていただきたいと思うんですけれども、手続のオンライン化についてどのように進められるか、御答弁お願いします。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたオンライン化でございますけれども、御指摘ありました処遇改善加算とこうした介護報酬の加算等の届出につきまして、オンラインで可能となるように、現在、介護サービス情報公表システムの改修、これに取り組んでいるところでございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 実際、現場は運営しながらいろいろな処遇改善の申請手続をするので、非常に負担になっていることを本当に御理解いただきたいと思います。是非このオンライン化、しっかりと進めていただきたいと思います。

 各都道府県等における特定施設の指定公募についてお尋ねしたいと思います。

 公募に関しては、ホームページで告知が大体約二週間で終了するといった運営がなされるため、常に自治体に公募実施の有無を確認しなければならない、こういう事情が発生しています。

 この公募期間を長くすることも考えられると思います。それを自治体に周知することについてはいかがお考えでしょうか。また、選定の公平性を確保していただきたいんです。この点についてもお尋ねしたいと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体におきましては、介護保険事業計画に基づきまして介護サービスの整備を計画的に進めておりますけれども、その際、御指摘のありました特定施設の整備に当たりましては、事業者を公募して選定するという方法を活用している自治体も多いと承知してございます。

 御指摘ありました特定施設の公募期間、これにつきましては、地方自治体がそれぞれの実情に応じて定めているものと承知しておりますけれども、厚生労働省といたしましても、これまでも、公募の時期を事前に周知すること、また受付期間を十分に確保することを周知していたところでございますけれども、御指摘を踏まえまして、今後も、機会を捉えて、地方自治体に改めて周知等していきたいと思っております。

 また、公平性の話がございました。この点につきましても、例えば、公募の実施に当たりまして、選考基準等を策定し、及びそれを公表すること、また、選考過程を透明化し、結果を公表すること、こうしたことも我々としては周知してきたところでございますけれども、この点につきましても、改めまして公平性、透明性が確保されるように努めてまいりたいというふうに思っております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 これは、事業所は、先ほどもお話ししましたけれども、現場を持ちながらこういった公募を常にホームページで確認するという作業、本当に大変なので、これは是非長くしていただいて、また、この公平性についても、特に民間企業から声が上がるのは、社会福祉法人の方が多いんじゃないかということをよく聞きます。これは、もう諦めてしまっている事業所とか、そういったことも聞いていますので、是非その辺の公平性の担保をしっかりしていただきたいと思います。

 介護については、社会福祉法人だけではなくて株式会社も重要な役割を果たしてきたと思います。経営の主体の状況に関しては、令和二年度では、訪問介護の七〇%、通所介護の五二%が営利法人によって提供されています。社会福祉法人では、訪問介護の一六%、通所介護は三六%。このように、営利法人の役割が非常に大きくなっているという現状があります。

 一方で、社会福祉法人は非課税になっているのに対して、株式会社では課税をされている。最近では株式会社の方が介護サービスを提供することが多くなっているにもかかわらず、株式会社のみが課税対象になっているという現状がおかしいのではないかという意見が出ています。これは、特に社会福祉法人に対して一律に課税してくださいということではなくて、例えば、社会福祉法人と民間企業が一緒にやっているようなサービス、例えばデイサービス、こういったところから課税対象にすべきではないかなというふうに思いますけれども、その辺り、お願いいたします。

本多政府参考人 お答えいたします。

 社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とする公益性と非営利性を備えた法人でございまして、解散時の残余財産は国庫等に帰属させることや利益の配当が認められないなど、厳しい規制が講じられております。こうした法人の目的、事業内容、法人形態の公益性を踏まえて税制上の優遇措置が講じられております。

 加えて、平成二十八年には社会福祉法を改正いたしまして、経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上等を図るとともに、地域における公益的な取組として、ほかの経営主体では困難な福祉ニーズへの対応を責務として位置づけたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、現行の取扱いの下で、改正社会福祉法の趣旨の徹底を図って、地域において社会福祉法人が公益的な法人としての役割を果たしながら、あわせて、社会福祉法人はもちろん、株式会社を含めて、多様な主体がそれぞれの強みを生かして創意工夫を図りつつ、地域の中で連携あるいは競争をしながらサービスの内容の充実や質の向上を図っていくことが重要だと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 社会福祉法人の役割、確かに、社会のインフラで、セーフティーネットという位置づけがありますので、できれば同じようなサービスをしているところからスタート、課税ということを検討していただきたいと思います。

 介護人材についてお伺いしたいと思います。

 訪問介護事業所の中で、例えば三桁を超えるような、百キロ以上の方もお客さんでいます。この方を二名で支えながら身体介護を行うケースがあります。身体介護をする方については、中年層や高齢層の方が多くて、若年層はなかなか定着しない、介護する側ですね、定着しないと言われています。

 これはむしろ、外国人であっても、若年で体力のある方が入浴の身体介護を行うことで介護事業所からすると非常に助かるんですけれども、要介護の方にとってもスムーズに入浴ができる、望ましいサービスができるのではないかなというふうに考えております。

 この辺り、留学生については、現在では訪問介護で身体介護を行っています。そうした事実については間違っていないでしょうか。答弁をお願いします。

本多政府参考人 失礼いたしました。

 留学生については、今ちょっと把握をいたしておりませんので、お答えいたしかねます。

遠藤(良)分科員 留学生は、実際、私もいろいろな事業所であったり学校の方から問合せをしまして、今、働いている現実があります。

 これは一方で、特定技能や外国人技能実習生を受け入れているところからすると、訪問介護はサービス対象ではない、これは何でこう違いがあるのかお尋ねしたいです。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 技能実習「介護」や特定技能「介護」において訪問系サービスに従事することについては、利用者宅でのサービス提供となるため、セクハラ、パワハラなど人権上の観点、適切な指導体制、在留管理の担保が困難との観点を考慮する必要があることから、技能実習に介護職種を追加する際の有識者による検討会における議論も踏まえ、技能実習「介護」の対象外としており、特定技能「介護」においても同様の理由により対象外としております。

 お尋ねの件については、今後、関係者の方々の御意見を伺いながら、その必要性等を含めて検討を行っていくことになると考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 これは是非、現場はこういう状況があって、やはり三桁ぐらいのお客さんになってくるとパートのスタッフだとなかなか対応が難しいので、積極的に、今の特定技能であったりとか外国人技能実習生、この枠組みだけではなくて、サービスをもうちょっと増やしていただきたい、対象自体を。一方で、留学生については、アルバイトであったりとか、定期的にそういう形でサービスが入っている現実があります。

 この辺り、もう一度しっかりと御答弁をお願いしたいと思います。

深澤大臣政務官 ただいま御提案をいただいた件に関しましては、様々な検討会、有識者の皆さんの御意見をいただいておりますので、そういったことも踏まえて今後しっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

 以上です。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 介護事業者に対する実地指導についてお尋ねしたいと思います。

 実地指導については、数年に一度行われることが多いですが、毎年実地指導が入る事業者もあるようです。重箱の隅をつつくようなかなり細かいことについてチェックすると言われています実地指導、どのような基準によって実施されているのか。そして、社会福祉法人と株式会社によって実地指導の違いはあるのか。最後にこれをお尋ねしたいと思います。

西村主査 厚労省堀内大臣官房審議官、時間が来ておりますので、簡潔に答えてください。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 介護事業者に対する実地指導は、都道府県、市町村において、運営する法人の種類にかかわらず、都道府県等の条例で定められた各種基準に基づいて確認して、周知徹底するために行われています。

 厚生労働省といたしましては、都道府県、市町村が行う実地指導の標準化、効率化が図られるように、指導指針等におきまして、指導の際に確認する項目や文書、実施頻度や報酬の加算請求に関する点検項目について示しているところでございますけれども、引き続き、指導の標準化、効率化が図られるよう努めてまいりたいと思ってございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 是非、不公平のない実地指導をお願いいたしたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

西村主査 これにて遠藤良太君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野英幸君。

中野(英)分科員 自民党の埼玉第七選挙区、川越市、ふじみ野市、富士見市から選出いただいております中野英幸でございます。

 衆議院に初当選をさせていただき、そして、本日このような予算委員会の第七分科会において質問させていただく機会をいただいたことに、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 私は、地元川越で中小企業を営む者の一人として、また、コロナ禍における中小企業の現状の問題点から再生し立ち向かう元気、そして、中小企業が世界を見据えて成長できる社会を目指しております。また、地元の川越商店街連合会の会長として、新型コロナウイルスの感染症の経済支援対策である持続化給付金を始め、ゼロゼロ融資、雇用調整助成金等の申請手続等のお手伝いをさせていただき、他方で、様々な商店街、商業者の現状、窮状を見てまいりました。

 今月でお店を閉めます、長い間大変お世話になりましたという悲しいフレーズを何度となく聞いてまいりました。その都度、何ができるのか考え、涙を流し、立ち向かってきた現場を知っている一人として、本日は質問をさせていただきたいと思います。

 最後に、質問者として元気よく進めてまいりますので、どうぞ最後までおつき合いを賜れればありがたいと思います。

 まず最初に、がんばろう!商店街についてお伺いをさせていただきます。

 がんばろう!商店街は、GoTo商店街からスタートした、新型コロナウイルスの感染症の拡大により甚大な被害を受けた地域の産業の改善を図るため、疲弊した商店街に対して、イベントを始め新たな商材開発やプロモーションの作成などのソフト事業を通じて、商店街にお客様を取り戻し、地域のコミュニティーの核としての機能を復活させる施策でもあります。

 この事業については、これまで約千五百件の申請があり、五百三十二件の採択がなされたと聞いております。商店街の関係者からは大変にありがたい施策であるとも伺っておりますし、また、私自身も商店街連合会の会長を拝命をしており、私の地元川越の商店街連合会でも採択をいただいております。商店街連合会、商工会議所、観光協会の皆様方からも大変に評価をいただいているところでもあります。

 しかしながら、このがんばろう!商店街が単なる商店街の一過性のイベントに終わってしまっては何の意味もありません。そのために、川越では、LINEアプリを使用したスタンプラリーを実施する予定であります。各店でのお買物をしてお支払いをする際、LINEペイを使っていただいた方のLINE内にスタンプがたまっていくというものであります。こちらのLINEスタンプラリーは大規模店舗も含め実施をさせていただきますので、川越の商業動態の幅広いデータ収集に期待をしているところでもあります。今後の商業振興、商店街の事業見直しに大いに活用していこうと計画をいたしております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症終息後の商店街の在り方や商業振興に向けた施策立案に向けて、消費者のニーズや商業動態などを踏まえた取組が必要であると考えます。その点いかにお考えか、お伺いさせていただきます。

 また、経済産業省の補助事業において、通常であれば補助事業が終了するまで補助金が支払われず、一時的に事業者が立替えを行うということが発生をし、多いときでは一千万以上の立替金が発生するケースもあります。商店街は任意団体が多いため、私も、金額は申し上げませんが立替金を支払った経験もございます。この立替え払いにつきましても、このがんばろう!商店街ではどのように対応されるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

細田副大臣 御質問ありがとうございました。私の方からお答えをさせていただきます。

 先生、非常に深い御知見をお持ちだと思いますけれども、まさに御指摘があったとおり、商店街は、地域コミュニティーの担い手として、商業機能だけでなく、地域の雇用や、あるいは介護、あるいは見守りといった生活に必要不可欠な地域の機能の維持、確保を担う大変重要な存在であるというふうに私ども考えております。

 今御指摘ございました、新型コロナの影響で需要が落ち込み苦境に陥っている商店街などの消費を喚起する施策として、がんばろう!商店街事業を展開しております。

 この事業は、まさに今お話があったとおり、単なる一時的なキャンペーンではなく、将来を見据えた持続的な取組へつなげることを目的としております。例えば、地方自治体との連携を必須とするほか、幅広い関係者の参画の下で企画、検討を進めるなど、計画の立案のプロセスの見える化を進めるといったような取組を行っておりまして、こういうことによりまして、地域の関係者が参画し、消費者のニーズや商業動態などを踏まえた計画立案がなされるよう工夫をしているところでございます。

 また、委員よく御存じだと思いますが、令和三年度当初予算から、地域の持続的な発展に向けて、町に来た方の消費動向や需要の変化を踏まえて、需要に応じたテナントミックスを実現するために、消費者ニーズなどの把握、分析を行う取組や魅力的な施設整備を行う取組を支援させていただいているところでございます。

 また、今年度の補正予算におきまして、複数の中小商業者が連携をしてITツールを導入した上で、各種データの把握や分析を行い、集客や販路拡大、魅力向上につなげるためのマーケティング戦略を構築する取組を支援することとしております。

 今後は、これらの取組で得られた情報を分析することで、まさに委員から御指摘ございました最近の経済社会動向の変化でございますとか、あるいは消費者ニーズの変化を踏まえた上で、商店街のニーズに沿った、また委員からも御納得いただけるような政策を企画立案し、実行に移してまいりたいと考えております。

 今の立替え払いの件については、事務方から答弁をさせていただきます。

新居政府参考人 立替え払いのことについて、私からお答えいたします。

 通常、国の予算は、事業終了後の精算払いというのが原則でございますが、委員の御自身の御経験にもあったように、立替えはつらいというお声を当方も聞いております。

 それで、今回、がんばろう!商店街事業においては、事業者の利便性を考慮し、最大で事業費の七割を先にお支払いする概算払いを認めることとしております。

 今後も、商店街の皆様からの御意見等を踏まえながら、事業を進めてまいりたいと思います。

中野(英)分科員 御答弁ありがとうございました。

 副大臣からも頼もしい御発言をいただきましたし、また、立替え払いについても、十二分にこれからも対応していただければありがたいと思っております。まだ事業が始まったわけではありませんので、これからもいろいろきめの細かい対応をしていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、中小企業の育成についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 中小企業は、企業全体の九九%を占め、雇用も労働者の七〇%を占めています。我が国の経済と雇用を中小企業が支えていると言っても過言ではありません。

 また、中小企業を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染症の影響により、景況感も急激に悪化をしており、依然として厳しい状況にあるところと認識をいたしております。さらに、経営者の高齢化やコロナ禍による廃業の増加に伴う経営資源の散逸など、事業継承による世代交代によって回避することが重要であると考えております。

 こうした中、令和四年の予算では、中小企業再生支援・事業承継総合支援事業においては百五十七億七千万と予算を取っていただきながら、中小企業再生支援協議会や事業承継・引継ぎ支援センターを通じての中小企業の円滑な再生、事業継承の総合的な支援とありますが、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この中小企業再生支援協議会や事業承継・引継ぎ支援センターを通じての中小企業の円滑な事業再生の総合的な支援とはどのような支援をしていくのか、また、再生についてはどのような支援なのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

 また、中小企業の海外展開についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在の日本の人口はピークを過ぎており、国内だけを市場とした場合、縮小する市場の中でのパイの奪い合いとなってまいります。一方で、世界の人口は増加をしており、今後の市場が拡大すると考えられます。したがいまして、企業の中長期的な成長のためには、海外の販路を広げることが必要になると考えております。

 販路を海外に広げることが必要であると申しましたが、中小企業は海外販路拡大に対するノウハウや経営資源に乏しい傾向にあり、販路拡大に伴う課題解決が困難である場合が多いと考えられます。そのような状況を踏まえて、中小企業の海外販路開拓についてどのような支援を行うのかについても併せてお伺いをさせていただきたいと思います。

新居政府参考人 ただいま、中小企業再生支援・事業承継総合支援事業、それと海外への販路開拓、この二つについて御質問いただきました。順次お答えいたします。

 最初の、中小企業再生支援・事業承継総合支援事業でありますが、これは実は中身が二つありまして、再生事業というのと、あと事業承継というのがございます。

 まず、再生の方ですが、令和四年度当初予算案でこの予算を計上しておりまして、全国四十七都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会において再生支援を行うことを予定しております。

 具体的には、収益性がある事業をお持ちであるけれども財務的に厳しい、問題がある、課題がある中小企業を対象に、主に三つの支援をしております。一つに、弁護士等の外部専門家を活用した再生計画の策定支援。二つ目に、金融機関に対する債権カットなどの金融支援の要請や金融機関の合意に向けた調整です。三つ目に、経営者の円滑なチャレンジに向けた個人の保証債務の整理の支援。こういった支援を行っていくということであります。

 また、今後、コロナ禍で影響が出てきて、この再生支援を必要とする中小企業の増加が見込まれますので、この再生支援協議会の体制を強化してまいりたいと思っております。

 加えて、人材育成が大事です。地域の再生支援人材の育成ということで、地域の金融機関から若手職員をトレーニーとしてこの再生支援協議会に受け入れる制度を来年度から開始したいと考えております。

 以上が再生についてであります。

 事業承継については、またこの同じ予算の枠組みの中ですけれども、事業承継・引継ぎ支援センターというものを、これも各都道府県に設置しております。後継者が不在の企業と受け手の企業のマッチングを図る、親族内承継も含めてですけれども、これを統合して去年から始めております。

 大きく二つ目、海外への販路開拓でございます。

 委員御指摘のような課題がありますが、やはり海外に出ていって付加価値を上げていかないといけないというのは、そのとおりだと思います。

 他方、中小企業にはいろいろな課題、特に諸外国の規制とか商慣行とかはなかなか分からないということだと思います。そこで、資金調達に加えて、現地情報、ニーズの把握、販売先の確保、人材の確保など多面的な支援が必要でありまして、そこで、経済産業省では、例えばジェトロとか中小企業基盤整備機構とも連携しながら、主にこれも三つ、新しい商品のサービス開発、ブランディング、展示会出展補助、二つ目に、海外展開に係るきめ細かな相談対応、現地情報の提供、また海外のビジネスパートナーとのマッチング、三つ目に、海外ビジネスに対応できる人材育成など、総合的な支援事業を行っております。

 特に、JAPANブランド育成事業というものを中小企業庁はやっておりまして、現地のニーズや嗜好に合わせた商品改良、販路開拓に必要な経費を補助することをやっておりますし、既に実績も出ております。

 また、令和三年度補正予算、年末の補正予算では、越境EC、電子商取引が今コロナで伸びています、したがって、デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業ということで、これも、そのブランディング、プロモーション、商品コンセプトと商品の世界観とかそういうものの発信をアドバイスできるような事業も始めたいと思っています。

 海外展開についても一生懸命支援してまいりたいと思います。

 以上です。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 再生事業につきましても、懸念をしておりました人材につきましても、銀行等からもマンパワーを増やして対応していただけるということについては本当にありがたい限りでありますし、是非これから更に進めていただければと思います。

 また、海外進出につきましても、同様に、これから新しい資本主義の中の一環として、是非中小企業の伸び代を更にアップをさせていただくようにお願いをさせていただければと思います。

 次の質問をさせていただきたいと思います。原材料、資材の価格高騰についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 新型コロナの感染症による原材料や資材の価格高騰は、私たちの生活の中で、ガソリンのみならず食品の原材料にまで及ぶ状況にあります。全てが価格に転嫁できればよいのですが、メーカーが価格を値上げをして売上げが上がれば問題ありませんが、取引先及び消費者が受け入れるかが課題となってまいります。取引先に相見積りにされて他社に取引先を奪われる場合も生まれてまいります。下手をすれば会社の存続にまで影響してしまう場合もあるかと思われます。小売業においては消費者が買わない場合もありますので、そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 大量に原材料、資材を購入することができる大手企業の購入価格は抑えることができますが、材料や資材の取扱量が少ない中小企業の価格は大手よりも高くなってしまい、中小企業の経営がより一層厳しく逼迫をしてまいります。原材料、資材の価格高騰について、中小企業に対する対策が講じられていないのが今の現状であります。特に食品製造メーカー等に対する対策は何かお考えがあるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

宮浦政府参考人 原材料それから資材価格の高騰に対する食品製造業の対策についてお答えいたします。

 原材料、資材価格の高騰につきましては、中小企業を始めといたしまして、賃上げの原資を確保できるように、原材料費などの上昇分を適切に転嫁できる環境を整備するための政府を挙げた対策といたしまして、昨年十二月に、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージを閣議了解いたしたところでございます。

 この取組の一環といたしまして、農林水産省におきましては、食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインというものを新たに策定をいたしまして、原材料費などを基に合理的な製品単価を設定する際の問題となり得る事例ですとか、望ましい取引事例などを示しまして、適正取引の推進に努めているところでございます。

 また、原材料費が高騰する中でありますので、生産性の向上を図るということが一層重要となってまいります。このための予算措置といたしまして、まず、令和三年度の補正予算におきまして、スマート食品産業実証事業というものを措置いたしまして、ロボットなどを食品製造などの現場に導入いたしまして生産性の向上を図る、こういう実証事業に取り組んでおります。

 また、この令和四年度当初予算におきましても、こうした自動化技術の実装を円滑に進めるために、人とロボットが安全に協働で働いていく、こういったものを導くためのガイドラインを作成するという、スマート食品産業安全確保推進事業というものを措置をいたしております。

 こうした取組によりまして、食品製造業を今後とも支援していきたいと考えているところでございます。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、商店街の街路灯事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 全国には約一万二千の単位商店街がございます。その商店街では、街路灯事業を商店街の事業として行っております。この街路灯は、私の地元の埼玉県だけでも約二万本ありまして、この電気代は商店街費から充当をさせていただいております。商店街の街路灯事業は、地域の防犯の一助を担い、子供たちや女性の通学通勤での安心、安全を担保させていただいております。

 しかしながら、この街路灯の電気代は商店街で負担しているのにもかかわらず、商店街に加入しない商店及びナショナルチェーン、スーパーマーケット等があります。無論、私も現職の商店街連合会の会長でありますので、何度も何度も加入のお願いに、ナショナルチェーンの本部にお邪魔をしたり、大手スーパーマーケットの本部に何度となくお願いにお伺いした経験がございます。しかし、加入していただくまでには至らないというのが今の現状であります。

 ナショナルチェーンを始め大手スーパーマーケット等は全国各地から売上げを吸い上げ、出店先の地域には、街路灯で共有する電気代も経費削減の一言で切って捨てられているのが今の現状でございます。夜の安心、安全を担保している街路灯に関心さえも示していただけないのが今の現状であります。

 我々商店街として、チェーン店、スーパーマーケット等に何度も何度もお願いに行っているわけで、もう限界を感じているというのが実情であります。とはいえ、商店街として、加入していない店舗の前だけ街路灯を一本だけ消すというわけにもいかず、大変に苦慮、腐心をしているのが今の現状であります。

 また、これから、全国の商店街では、街路灯の老朽化ですとか、そういった多くの問題もこれからも出てまいりますし、また、この老朽化が進む中で、商店街に加入いただく店舗は減っていく。また、維持費を賄えなくなって、この街路灯をやめていく、撤去していく商店街もあるというのが今の現状であります。

 是非これは、商店街を見守ってくれた街路灯を失うことは大変に残念なことでありますし、街路灯は住宅地と商店街を見た上で区別するというアイデンティティーもある、維持が大変なのは確かでありますけれども、一度撤去したら二度と戻すことは難しく、活気が大いに失われたという声もたくさんあるというのが現状でありますので、そこで、お伺いをさせていただきたいと思っております。

 真面目に商店街費を納め、街路灯事業に協力してくださっている商店街加入店舗が、正直者がばかを見ないようにするためにも、商店街の加入促進をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、御見解をお伺いさせていただきます。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 お話のありましたような、まさに商店街組合が地域の防犯の一助になるような街路灯事業を行っておられるということで、まさに安全、安心な地域づくりに商店街組合が貢献されているということだと承知しております。

 一方で、お話もありましたような、一部の事業者が会員にならないということで、負担が商店街会員に偏ってしまうという問題があることも認識しております。

 ただ、ここは、まさに商店街組織の活性化を図っていくという観点では、様々な関係者の参画の下にこの事業を実施していくことが必要であろうかと思います。

 ただ、まずは、もう十分に委員は何度でも通われてお願いをしてというお話がありましたけれども、まさに商店街組織に入会していない非会員も含めて相互に理解を醸成していくことがまずは必要なんだろうと思います。もう十分やられているということかもしれませんが、まさにそこが出発点だと思います。

 中小企業庁、先ほどお話のありましたがんばろう!商店街事業、これが再開した暁には、商店街組織の一部のメンバーだけではなくて、若者や女性など、幅広い関係者の参画の下で企画や検討をしていただくということで、新しいネットワークを構築したり、積極的な情報発信を行って、まさに商店街活動の見える化をやっていただいて、新規会員の獲得を図るための一つのきっかけにしていただければという思いがあります。

中野(英)分科員 ガイドラインですとか、いろいろな方法があるかと思いますので、是非、国として、また経産省としてできることはいろいろと御対応いただければありがたいと思いますので、正直者がばかを見て、電気代を払わない人がその恩恵を受けるということに対して非常に不満を持っているということだけ御理解をいただければと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 商店街の空き店舗対策と起業家のマッチングについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地域の人口減少や、大型スーパーマーケットやショッピングモールの郊外、幹線道路沿いへの進出により、商業圏が従来の繁華街がある市街地から郊外へと移動するのによって発生した、シャッター通りと言われ始めて本当に久しいわけでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響によって商店街は更に疲弊をし、厳しい状況に陥っているところが増加していると思われます。

 シャッター通りと言われているところは、土地保有者や借家人の権利関係が複雑な事情を抱えるところが多く、開発が進まず長く放置されているところもあります。これを避けるため、多くの商店街において、新しい店舗やベンチャー企業の事務所を誘致する、市民のためのカルチャースクールなど、活性化を試みるともお伺いをさせていただいております。

 また、東京都では、商店街の空き店舗を若い起業家に利活用していただけるよう、空き店舗を、五年間入居いただくと家賃を半額で補填をしているというような事業も行っておりました。

 疲労こんぱいしている商店街の今の状況を打開するためにも、若い起業家を呼び込み、利活用するのも大きな要素だと考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 全国の商店街で空き店舗対策と起業家のマッチングを推進することについて国はどのようにお考えか、お伺いさせていただきます。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 商店街の空き店舗についてでございますが、三年に一度やっている商店街実態調査、これは平成三十年度が今直近なんですが、平均空き店舗率一三・八%ということであります。

 こうした状況を踏まえて、商店街の空き店舗等を活用して、地域住民のニーズを踏まえた新たな取組を支援するという事業、これを令和三年度当初予算から実施しております。地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業と称してやっております。

 具体的には、従来からの商業機能の強化に加えて、商店街振興組合等が行う、空き店舗を利用したチャレンジショップなどによる創業支援、お話のあった、まさに起業家ということも含めてです、さらに、地域に新しい需要を呼び込むコワーキングスペース等の整備を支援しています。このソフト事業は補助対象経費の六分の五、ハード事業は四分の三を、地方公共団体と連携して、協調して実施しております。補助を行っております。

 例えば、令和三年度の採択事業の中では、秋田の能代で、前、酒屋さんだったところを改修して、カフェとか、子育て支援機能として子供の遊び場、あと、創業支援機能としてシェア工房を地下に設置する、そういうことも行っている例もあります。こういうことを通じて活性化を図っていきたいと思っております。

 さらに、令和四年度当初予算では、地方公共団体が行う創業希望者への家賃補助や空き店舗を活用したマッチング等による創業支援と連携する場合には、この事業において、採択において加点をするという取組も行ってまいりたいと思います。

 これらの事業を活用しながら、地域の活性化を、空き店舗の解消に向けた取組を進めていきたいと思います。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 時間がないので、次の質問に移らせていただきます。

 自然再生エネルギーについてお伺いをさせていただきたいと思います。特に、太陽光パネルでの再生可能エネルギーの導入についてお伺いをさせていただければありがたいと思っております。

 今日まで、大変に経産省やまた環境省の御努力によって大分この体制が進んでまいりまして、全国的に定着をしてまいりました。しかしながら、新築関係には非常に使いやすいんですが、既存の建物等についてはなかなか使いづらいという状況が生まれているのが今の現状ではないでしょうか。

 また、そういった中での太陽光パネルの今後の導入の拡大に向けての、様々な場所にも張りやすい軽量化に向けた研究開発や、夜間などでも太陽光由来の電気の活用が大丈夫なような、低減をした取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

西村主査 資源エネルギー庁茂木省エネ・新エネ部長、時間が来ておりますので、簡潔にお答えください。

茂木政府参考人 次世代の太陽光パネルの研究開発でございますが、軽量化が一つのポイントになります。壁面ですとか既築の屋根に設置できるようなペロブスカイトという次世代太陽光の電池の開発を進めておりまして、グリーンイノベーション基金で、研究開発から実装までを一気通貫で開発する、そういった取組を現在進めております。

 それから、昼間の電気を夜上手に使うという意味で、蓄電池のコストダウンということで、これは、補助事業で蓄電池のコストダウンをしたり、国として中長期の導入目標を明示することで導入を進めているところであります。

中野(英)分科員 一問残してしまいまして大変御迷惑をおかけしましたが、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村主査 これにて中野英幸君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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