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第1号 令和5年2月20日(月曜日)

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本分科会は令和五年二月十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 達也君    小林 鷹之君

      古屋 圭司君    吉田はるみ君

      掘井 健智君    鰐淵 洋子君

二月十七日

 小林鷹之君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年二月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 小林 鷹之君

      伊藤 達也君    土田  慎君

      西野 太亮君    古屋 圭司君

      山口  晋君    末次 精一君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      遠藤 良太君    金村 龍那君

      掘井 健智君    鰐淵 洋子君

   兼務 石井  拓君 兼務 今枝宗一郎君

   兼務 川崎ひでと君 兼務 井坂 信彦君

   兼務 金城 泰邦君 兼務 平林  晃君

   兼務 鈴木  敦君 兼務 吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            田原 泰雅君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    宮浦 浩司君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官)        吾郷 進平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長)            新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          木村  聡君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            横島 直彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       甲川 壽浩君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     土田  慎君

  吉田はるみ君     城井  崇君

  掘井 健智君     藤巻 健太君

  鰐淵 洋子君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     山口  晋君

  城井  崇君     米山 隆一君

  藤巻 健太君     沢田  良君

  福重 隆浩君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     西野 太亮君

  米山 隆一君     末次 精一君

  沢田  良君     遠藤 良太君

  日下 正喜君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     古屋 圭司君

  末次 精一君     篠原  孝君

  遠藤 良太君     金村 龍那君

  鰐淵 洋子君     吉田久美子君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  孝君     吉田はるみ君

  金村 龍那君     掘井 健智君

  吉田久美子君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  河西 宏一君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  日下 正喜君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 英道君     鰐淵 洋子君

同日

 第二分科員今枝宗一郎君、川崎ひでと君、井坂信彦君、金城泰邦君、平林晃君、鈴木敦君、第三分科員石井拓君及び第四分科員吉良州司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

小林主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました小林鷹之でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。西村経済産業大臣。

西村(康)国務大臣 令和五年度経済産業省関係予算の概要を御説明申し上げます。

 令和五年度予算の編成に当たっては、令和四年度第二次補正予算を活用した現下のエネルギー価格高騰への対応、中小企業の事業継続支援や価格転嫁対策に加えて、脱炭素社会やデジタル社会、経済安全保障の実現、科学技術・イノベーション、人材、スタートアップへの投資、持続可能な地域経済の実現、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興などの施策を推し進めるため、経済産業省関係予算の確保に努めました。また、いわゆるGX経済移行債を新たに創設し、令和五年度以降十年間で二十兆円規模の国による支援を実施していきます。

 このため、令和五年度の経済産業省関係予算として、一般会計三千四百九十五億円、GX支援対策費四千八百九十六億円を含むエネルギー対策特別会計一兆一千九百四十七億円、特許特別会計一千四百五十四億円、合計一兆六千八百九十六億円を計上しました。また、復興庁計上の東日本大震災復興特別会計のうち、二百八十三億円が経済産業省関連予算として計上されております。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明はお手元に配付しております資料のとおりですが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

小林主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま西村経済産業大臣から申出がありましたとおり、経済産業省所管予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小林主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小林主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎分科員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとでございます。

 本日から始まりましたこの予算委員会分科会、第七分科会でトップバッターを務めさせていただくことになりました。質問させていただく機会をいただきました理事の皆様、そして自民党の同志の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。経産省に質問させていただくのは初めてとなりますので、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、トルコ、シリアで発生いたしました大地震によって被災に遭われました皆様に哀悼の意を表します。また、現在も救助に当たられている日本の国際緊急援助隊の皆様に心から敬意を表します。

 さて、私は三重県第二選挙区から参りました。私の地元、三重県は非常に伝統工芸品が多く存在いたします。とりわけ私の選挙区は伝統工芸品が多く集中しているところでございます。例えば、大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」これで知られました伊賀の組みひも、あるいは千年以上三重県の鈴鹿市で技術が継承されました伊勢型紙、そして土鍋に代表する四日市市の万古焼や伊賀市の伊賀焼、こういったものが代表でございます。

 しかしながら、現在、これらの伝統工芸品がかつてないピンチを迎えております。本日は、この中でも喫緊の課題となっている四日市市の万古焼、こちらについてまずは質問させていただきたいと思います。

 万古焼がまさに割れない土鍋として全国に広がった大きな理由は、その原材料にぺタライトという鉱物を用いているからです。このペタライトという鉱物は日本で取ることはできません。ジンバブエの鉱山から採掘して日本に輸入をしているといった状況でございます。

 しかしながら、この採掘を行う会社が、昨今、中国の中国有色金属鉱業集団有限公司というところに一〇〇%買収されてしまいました。これによって、今後は、現在の対中関係も見た際には、安定的にペタライトを輸入できるかどうかが不透明となってしまいました。早ければ今年の夏には、ペタライト不足により、この万古焼が生産できない可能性がかなり高うございます。私の下にも、地元の生産者の方々が悲痛な叫びを訴えております。

 まずは、この現状を捉まえて、経産省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年二月、ペタライトの主要な産地でありますジンバブエの鉱山運営会社の経営権を中国企業が買収をしました。その結果、事業者からは、今後の輸入継続が不透明になっているとの声も聞いております。

 仮に、輸入が困難となりますれば、万古焼を始め、国内の土鍋や耐熱陶器の製造に影響が生じるものと認識をしております。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 昨年は、三年ぶりに地元の方で窯出し市が開催され、まるでこれまでの鬱憤を晴らすかのように、多くの方々が焼き物を買いに訪れました。これから五月にはコロナも二類から五類に引き下げることとなり、まさにこの伝統工芸品を中心とする経済が活性化する非常に重要なチャンスだと思っております。

 そうした中で、早くペタライトを採掘できるようにするのが重要だと思っております。例えば、違う場所、海外のあらゆる鉱山を調査し、ペタライトを入手できる鉱山を早く特定し、そして外交を進めて、しっかりとペタライトを採掘する、まずこれが急務であると考えております。

 また、経済安全保障の観点からも、やはりしっかりと国内で代替原料を生み出す必要があると私は思っています。現在は、三重県の中だけでこの原材料の研究が行われております。陶磁器協会というのは、万古焼を始め、様々な協会が横一列でつながって情報連携をしながら進めておりますので、やはりカウンターパートである研究所も、三重県の中だけに閉じずに、しっかりと横で連携をする必要があるというふうに思っております。

 一刻も早くこの研究成果が出て伝統工芸品が守れるように、経産省としても是非バックアップをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)大丈夫です。

 古屋先生も陶磁器の議連の会長として様々御活躍いただいておりますので、しっかりと我々議員もサポートしてまいりたいというふうに思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 さて、次に、働き方改革についてお尋ねをいたします。

 いよいよ二〇二四年から、建設業界や運送業界でも働き方改革を行っていただくことになりました。各社とも準備を進めているところではございますが、実は、もう早くも、無理だとか、できない、こうしたお声をいただいております。今日は特に、この中で、運送業界にフォーカスを当てて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この運送業界においても、当然、働き方改革は必須だと考えております。その理由は、やはり、皆様も御存じのとおり、長時間の運転が原因で、エコノミー症候群やこうした病気にさいなまれ、お亡くなりになられるケースが大変多うございます。やはり、こうした状況を見たときには、ドライバーがしっかり安心、安全で働ける環境をつくる、そのためには、この働き方改革というのは非常に大きな意味を持っていると思っています。

 しかし、運送業界においては、時間どおりに物を納品しなければならない、こうした観点から、きちんと時間を厳守しながら荷主の希望どおりに納品ができるか戦々恐々としております。根底は、荷主が現状維持のまま、こうした前提条件の下で自分たちの働き方を何とか改善しなければならない、こうした考えが運送会社に根づいているので、やはり無理だとか、難しい、できない、こうしたお声を早くも出している、こうした状況だと思っております。

 もちろん、国交省からは各運送業界に通知は出ていると思いますけれども、私は、この課題は荷主の理解がなければ到底できないというふうに思っております。先日は、地元の方で、あるトラックのドライバーから、荷主はただお金を払えばいいと思っているからねと、こうした信頼関係が崩れるような発言まで飛び出してくる始末でございます。

 荷主は様々な業界がありますので、全てが経済産業省の管轄というわけではございませんが、製造業といった多くの産業を所管するのはやはり経産省でございますので、しっかりと荷主も一体となって働き方改革を実行すべきだと思いますが、御見解をお願いいたします。

長峯大臣政務官 委員御指摘のとおりでございまして、物流における労働環境の改善、これには荷主の理解、協力が不可欠でございます。

 これまでも、経済産業省だけではなくて、厚生労働省や国土交通省、しっかりと連携をしながら、物流事業者の働き方改革への配慮につきまして、所管する荷主企業への働きかけをしてきたところでございまして、引き続き、荷主企業の協力を得られますようにしっかりと努力をしてまいりたいと存じます。

 その上で、例えば消費財分野におきましては、昨年の三月に、経済産業省の事業といたしまして、主要なメーカー、卸、小売事業者が参画をいたしまして、物流の改善に係るアクションプランを策定するなど、具体的な取組を推進してきたところでございます。

 また、二〇二四年からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制、この適用を控えまして、国土交通省そして農林水産省との共同によりまして、持続可能な物流の実現に向けた検討会、これを開催をいたしまして、荷主企業を巻き込んだ実効性のある措置を検討しているところでございます。

 このような取組を通じまして、持続可能な物流の実現に向け、万全を期してまいりたいと存じます。

川崎分科員 政務官、御回答ありがとうございます。あえてこの質問の回答は政務官にお願いをさせていただきました。

 実は、こうしたメッセージを強く出すことが一番重要だと思っています。荷主にもきちんとお話を聞いていただく、そして運送事業者にも、ああ、しっかり連携しながら考えてもらっているんだね、こうしたメッセージが何より安心につながると思っております。引き続き、経産省の方からもしっかりとメッセージの発信、そして検討会を進めていただき、様々なアクションプランを講じていただきますようお願いを申し上げます。

 そして、今、この現状を考えてみたときに、国交省の管理の下で、トラック事業者が匿名で、もし荷主が守られていない場合は通報する、こうした仕組みも実は国交省の方では用意いただいております。現在は七十数件通報があるというふうに聞いております。

 この部分については鋭意業務改善を行っていただいておるところではございますけれども、一方で、小さな地元になってきますと、犯人捜し、こうしたことをしてしまうような事業者もございます。下請Gメンの活用等、第三者がきちんとチェックする体制、こうしたものも講じるのが一つ大きな手段かなというふうに思います。今回、下請Gメンの人数も増加をされましたが、引き続き、こうした働き方をしっかりと監督するような仕組みの検討もお願いしたいというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、働き方改革は皆で考えなければクリアできないものです。経産省としても、是非しっかりとしたサポートをよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 岸田総理も御表明されたとおり、異次元の少子化対策、本当に少子化対策は喫緊の課題でございます。そして、私は、この少子化の原因の一つに未婚率の高さ、こうしたものが原因ではないかなというふうに思っています。実際に出生率をデータで見てみると、一九七〇年代は二・一ほどあったものが、今では一・三、一・四、こうしたデータになっております。

 しかしながら、このデータをもって、最近の夫婦は一・四人しか子供を持たないんだな、こんなふうな誤った理解をされていることがございます。実は、これはデータを分解してみると、初婚の夫婦、初めて結婚をされた夫婦における出生数というのは、その数値は一九七〇年代も、そして現在においても変わりはございません。

 ということは、この出生率が低いのはなぜか改めて考えたときに、未婚数の多さ、この出生率を出すときには、その分母に、未婚の女性と既婚の女性、こうしたものを取り混ぜておりますので、分母を膨れ上げているのは未婚の女性の多さが原因だというふうに思っています。

 ところが、未婚の方は結婚を諦めているのかというと、そうではございません。出生動向基本調査を見ると、結婚したい、いつかは結婚したい、こうした意思を持つ方は昔から今も非常に高い水準をキープしております。

 結婚したい、でも、なかなか出会いがない。コロナで更にこれは加速してしまいました。DXでもちろん会社に通わずとも在宅で勤務できる、これは非常に有意義なことだとは思っています。しかしながら、こうしたことで出会いがなくなってしまっている、こうしたことも実態でございます。

 私自身も自民党のデジタル社会推進本部に所属をしておりまして、DX政策を進める身としては、この課題を解決するDXは何かと検討したところ、やはりマッチングアプリが非常に大きな役割を果たしているのではないかな、こんなふうに思っております。事実、現在は、結婚した夫婦の一三%はマッチングアプリによるものだというデータもございます。

 我が三重県の桑名市でも、自治体がこのマッチングアプリを推奨しております。当初は三重県の桑名市から、そして、この取組を三重県全体がサポートする、こうした二段階の取組にも発展いたしました。

 事業者としては、本当にこうして真面目に未婚率解消を行い、少子化対策に役立ちたいという思いがある一方で、いわゆる怪しい出会い系サイト、こうしたものとの差別化がなかなか難しいというお声もいただいております。

 トラブルがないように、例えば独身証明書をつけるなどして、利用者が安心、安全に使えるように努力はしていただいておりますけれども、実はユーザー目線で見ると、ぱっと見たときに、ちゃんとした事業者が作ったアプリなのか、あるいは出会い系のアプリなのか、こうした判断がつきません。

 ユーザーが安心して利用できるように、例えば、国が認定してあげる、こうした認証制度を設ける等の工夫が必要かと考えますけれども、経済産業省のお考えを教えてください。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたとおり、少子化要因の一つである未婚化という課題に対しまして、出会いや結婚をサポートするマッチングアプリが担う役割というのが大きくなってきております。

 他方で、マッチングアプリについては、真面目な出会い以外の目的の人がいそうとか、登録者のプロフィールに信憑性がないといったような、アプリそのものに対する信頼性ですとか安心、安全面に対する消費者の懸念というのも存在しております。

 こうした問題意識から、NPO法人結婚相手紹介サービス業認証機構というのがございまして、こちらで、例えば、不適切な利用、言動の監視といった認証基準に適合した事業者に認証を付与する、あるいはインターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度というのが創設されております。マッチングアプリ事業者への認証の付与も既に開始されているというふうに承知をしております。

 経産省としては、こうした認証制度、民間の認証制度でございますが、こうした制度の在り方も含めまして、今、マッチングアプリ事業者の皆様と一緒に、信頼性や安心、安全面に対する効果的な方策について検討を始めております。

 今後も、この業界の皆様と連携しながら、適切な認証の在り方について検討を進めてまいりたいというふうに思います。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 確かに、マッチングアプリの事業者は、それぞれでしっかり認証団体をつくって、民間でお互いが啓蒙活動を続けながら、少子化対策に向けて、未婚率の解消に向けて、しっかりと取組をしていただいております。しかし、やはり国がバックアップするとなると、これは大きな後ろ盾になります。彼らがしっかりとこうした日本の課題に取り組んでいる以上は、経産省としてもしっかりバックアップをいただかなければならない、こうした思いでございます。

 私自身も、自民党の党内でマッチングアプリの勉強会に参加しております。実は、この勉強会、率先してやられていたのは小倉大臣でございました。今は少子化担当大臣として、この思いを持ちながら対策をいただいております。自民党としても、それに向き合いながら、そして事業者と向き合いながら進めてまいろうと思います。

 また、我が三重県においては、先ほど申し上げたとおり、桑名市あるいは三重県全体でこのマッチングアプリというものに関して活用に取り組んでおります。自治体がセットになって動き出す、やはりこれは新しいDXの形を迎えているんだと思います。是非是非、経産省の皆様にも三重県にもお越しいただいて、実際どのようにこうした事業が進んでいるかを見ていただければ幸いでございます。

 それでは、次の質問に参ります。

 今後の自動車産業について改めてお伺いをいたします。

 令和五年度の経産省の重点施策の中では、「電動車の普及、充電・水素充てんインフラの整備を支援するとともに、中小サプライヤー等の業態転換を支援する。」とあります。確かに、電動車はカーボンニュートラルに大きく寄与するものであることは言うまでもございません。

 しかしながら、私自身、正直、電動車のみを推進することには疑問を感じます。電力課題、あるいは充電設備の課題、例えば、今のガソリンスタンドをどうするのかとか、こうした課題や、充電装置の課題、例えば、充電にはどうしても時間がかかってしまう。また、急速充電器、今は非常に重いものでございます。なかなか女性の方が自分の力でこうしたものを取り扱うことはかなり難しいと思っております。そして、アジアを始めとする海外のマーケットの取りこぼしが発生してしまうのではないか。電動車はインフラの整っていない地域ではかなり厳しいものになってくるのではないかなというふうに思っております。そして、まさに中小サプライヤーの業態転換の難しさなど、様々な課題がございます。

 実は今日も、今朝、タクシーの中で、こうした課題をまさかCMでやっているとは思いませんでしたけれども、合成燃料を使うのはどうだ、バイオエタノールを使うのはどうだ、こうしたCMをやっておりました。まさに今日、私が質問する中に合致しております。私自身も、こうした合成燃料も、こうした道もあるので、様々な選択肢を排除すべきではないというふうに考えます。

 改めて経産省のお考えをお聞かせください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車のカーボンニュートラルに向けましては、電気自動車だけではなく、燃料の脱炭素化なども含め、様々な選択肢がございます。現時点では、いずれも技術的な課題があることを踏まえれば、あらゆる技術を追求することが重要だと考えております。

 このため、我が国は、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げまして、多様な選択肢を追求することとしております。

 その実現に向けましては、技術面では、グリーンイノベーション基金も活用し、次世代電池、モーターに加えまして、水素、Eフュエルなど、今後の競争力の鍵を握る技術のイノベーションを促していくこととしております。

 また、自動車の電動化を進めるに当たっては、地域の自動車産業を支える部品サプライヤーも含めまして、カーボンニュートラルに前向きに取り組んでいただくことが重要となります。

 政府といたしましては、例えば、電動車部品の製造に挑戦する中堅、中小の部品サプライヤーに対しまして、全国各地に相談窓口を設けまして、実地研修や専門家の派遣といった伴走型の支援を行うとともに、設備投資や研究開発の補助を通じまして、攻めの業態転換、事業再構築を後押ししてまいりたいと考えております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 私の地元の鈴鹿では、本田技研の工場があり、その周りにはたくさんの中小サプライヤーがおります。電動車になってしまうと部品の点数が減ってしまう、こうした状況も聞いております。やはり、多くの雇用を守っていただいている企業様はたくさんございますので、しっかりそこにも目を向けながらやっていただきたいというふうに思います。

 また、自民党のモータースポーツ議連の会長でもあられます古屋先生も今後ろにいらっしゃいますけれども、この鈴鹿サーキット、一度来られるとよく分かりますが、あのダイナミックな音、F1のすばらしい音、あれがやはりモータースポーツとして私は重要な要素を占めているんだと思います。これが電動車になってしまうと静かなスポーツになってしまう。やはり、あの豪快な音がこのスポーツの醍醐味であるのに、それを奪ってしまうわけにはいかない。こうしたことも考えたときには、F1のよさを保ちながら何とかGX化できないかな、こんなふうにも思っております。

 エンジンを見せていただくと、その技術者の本当に涙ぐましい努力がございます。こうした思いを是非受け取っていただければ幸いでございます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それでは、最後の質問に参ります。

 再生可能エネルギーの発電促進賦課金について質問させてください。

 三重県は、全産業における製造業の割合が非常に高い県でございます。また、近年では世界トップシェアを占めるフラッシュメモリーの世界最大の製造拠点、キオクシアや、それに関連するJSRや、あるいはジャパンマテリアルズ、こうした半導体の企業が三重県には非常に多うございます。三重県はこの電子部品、デバイス、電子回路における製造品出荷額が全国一位でございます。そして、そのシェア率は二位の約二倍を占めております。

 半導体の製造のみならず、製造業を行う工場は多くの電力を必要といたします。そのような中で、国内では電力高騰による負担も増えており、再生可能エネルギー発電促進賦課金が年々増加しており、工場を運営していく上で大きなコスト負担となっております。

 再生可能エネルギー発電促進賦課金の趣旨を資源エネルギー庁のホームページから引用させていただきますと、電力多消費事業者の国際競争の維持強化の観点から賦課金の減免を受けることができるというふうに記載がございます。しかしながら、実はこの三重県の現状を見てみると、この減免を受けているのは、伊賀鉄道とか、あるいは三重県下水道公社等、大変支援いただくのはありがたいんですけれども、果たして本当に国際競争という観点からはこれは正しいのかなというふうに思います。

 再エネ賦課金については、一定の基準を満たすと減免を受けることが可能ではございますが、製造業にとっては、今のこの認定基準というのは非常に適用困難な状況になっております。やはり、これからしっかりとこうした半導体産業を高めよう、政府で一致団結して取り組もう、こうしたふうに決めたわけでございますから、この減免措置について基準の見直し等を行っていただけないのか、御見解をお聞かせください。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 賦課金の減免制度は、国民負担の公平性と国際競争力維持強化の双方のバランスを踏まえた上で、FIT制度における例外として措置された制度でございます。制度の制定時や法改正時の国会での御審議におきまして対象事業者の要件などが議論されて、その上で措置されたものでございます。

 こうした本制度の趣旨を踏まえまして、電力市場の価格上昇の影響下におきましても、国民負担の公平性と、半導体産業を含む電力多消費型の産業の国際競争力の維持強化の双方のバランスを踏まえつつ、適切に執行してまいりたいと存じます。

 さらに、委員御指摘のとおり、半導体産業は大変重要な産業でございますので、経済産業省といたしましては、半導体サプライチェーン強靱化のために半導体の製造基盤整備等に対して支援を講じているところでございまして、引き続き、我が国の産業競争力強化にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

川崎分科員 政務官、御回答ありがとうございます。

 まさに、国際競争をしっかりとやっていこう、こういう意思でございますので、しっかりとその趣旨に沿って経産省としてお支えをよろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。本当にありがとうございました。

小林主査 これにて川崎ひでと君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)分科員 鈴木敦でございます。

 大臣とはこの議題については何度も議論させていただいておりますが、まず半導体のお話を伺いたいと思います。

 なぜこれだけ取り上げるかと申し上げますと、アメリカが中国の気球を撃墜したりとか、その応酬があったりという中で、米中対立ということが言われて久しいわけですが、一方でアメリカと中国の貿易額はほとんど変わっておりません。つまり、対立している軸は貿易の部分ではない。そして、台湾をめぐるアメリカと中国の意見の相違もあり、何があるのかということで考えると、半導体であろうというのが世界の潮流でございます。それはもう随分昔から言われていることで、二〇一八年、一九年、トランプ政権の頃からアメリカは考えておりましたし、日本と韓国の間でフォトレジストを含む一部の物資がいわば輸出されなくなったことを考えても、戦略物資ということは我が国はずっと考えていたというわけでございます。

 一方で、諸外国ではもはや、極小半導体、二ナノに向けて動き出しております。ヨーロッパはかなりの予算をつけておりますし、台湾についてはほぼ実用化に近いところまで行っておる。その一歩手前についても、台湾を含めて、恐らく韓国のメーカーは一部実現できるであろうというところでありますが、我が国はまだそこまで至っていないわけであります。

 今回、一昨年ですが半導体・デジタル産業戦略というものが策定をされて、私も拝見をいたしました。この点についての危機感は共有をいたしますが、この中には残念ながら長期的なスケジュール感が、三年後、十年後を見据えた計画を立てると書いているんですが、その計画の詳細が含まれておりませんでした。

 諸外国は、何十年先まで、二〇三〇年までに何兆円という額で、我が国とは額が違うわけでございますが、具体的に、どれぐらいの金額で、どれぐらいのスパンで、どこまで、何をやっていくのかということを落とし込んでいかないと、なかなかこれは国家戦略としても進んでいかないと思います。この理由については後ほど申し上げますが、今のところのスケジュールがもしあれば教えていただきたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体は、デジタル化、脱炭素化、経済安保の確保を支えるキーテクノロジーでございます。一方で、一国で全ての技術を賄うことは不可能でございまして、諸外国とも連携しつつ、次世代半導体のような研究開発投資から、足下で我が国が強みを有するパワー半導体等の設備投資支援に至るまで、幅広い投資を促していく必要がございます。国策として中長期的な方針、投資計画をお示しすることは、委員からかねがね御指摘いただいているように重要な点かと考えております。

 経済産業省では、昨年十一月に、産業構造審議会におきまして、脱炭素目的のデジタル投資に関する今後の道行き案といたしまして、今後十年間で、官民合わせて少なくとも約十二兆円の半導体関連の追加投資が必要であるということをお示ししたところでございます。

 加えまして、経済安保推進法に基づきまして定めました半導体に係る安定供給確保を図るための取組方針におきまして、二〇三〇年に国内で半導体を生産する企業の合計売上高十五兆円超を実現し、我が国の半導体の安定的な供給を確保するという目標も定めているところでございます。

 また、昨年度策定した半導体・デジタル産業戦略の公表後、速やかに法律改正をいたしまして、昨年度の補正予算で七千五百億円余りを計上いたしましたけれども、ロジック、メモリーの先端半導体について、複数の大規模な国内投資、TSMC、ソニー、デンソーの熊本でありますとか、キオクシア、ウエスタンデジタルの四日市でございますとか、あるいはマイクロンの東広島の投資について支援決定を行いました。また、ロジック、メモリーの先端半導体以外の半導体につきましても、パワー半導体、マイコン等について、国内にある八十一の工場の約三分の一に当たる二十七工場の設備投資について支援を行いまして、コロナ前の二〇一九年との比較で一五%以上の国内生産能力を向上させるという見込みとなっております。

 さらに、昨年十二月に成立いたしました令和四年度の補正予算におきまして、半導体関連予算一・三兆円を計上しておりますけれども、経済安保推進法に基づいて設置される安定供給確保支援基金に三千六百八十六億円を計上しておりまして、パワー半導体、マイコン、アナログ半導体、半導体製造装置、それから半導体部素材、半導体原料も支援対象にして指定をいたしまして、民間投資を促進することとしているところでございます。

 さらに、中長期的な取組といたしましては、グリーンイノベーション基金に基づきまして、昨年度から最長十年間の予定で次世代グリーンパワー半導体の開発プロジェクトを実施しているところでございます。現在用いられているシリコンよりも省エネ性能が高いシリコンカーバイド、それからガリウムナイトライドを原料としたパワー半導体につきまして、二〇三〇年までの高性能化、普及拡大を目指し、約五百億円、支援措置を講じているところでございます。

 今後も、こうした取組を通じまして、引き続き国内外からの大規模な投資の呼び込みにつなげてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)分科員 まず何点か伺いたいんですが、まず一点は、この様々な補助等々ですけれども、なぜこの話を中長期的にしてくださいと言うかというと、ラインを造るのに何年もかかるわけで、そういったラインを造れる企業というのは、経営計画が二年、三年、長くて五年ぐらいのスパンでかかっているわけでして、その五年後、十年後に補助金があるかないかで、このラインが造れるかどうかが大分変わってまいります。

 今おっしゃったパワー半導体については数千億円でラインが組めるかもしれませんが、極小半導体になってくると、二ナノだと一ライン二兆円ぐらいかかっていくわけでございますから、一般の企業では到底賄い切れないわけで、ここは国の補助が必要になるということであります。

 それが、二〇三〇年までしか数字が出ていないということと、金額が十年で十二兆円必要というところまでしか出ていないとなると、なかなか民間投資が十分にできないというのはありますので、ロードマップで示していただく。例えば韓国ですと二〇三〇年までに五十一兆円ぐらい出すということを言っていますので、そういうやり方を我が国もしていかないといけないんだろうと思います。

 そして、もう一点、ちょっと考え方の問題で、これは大臣にもしお考えがあれば伺いたいんですが、今ほど役所からあった説明の中にもありましたが、この半導体戦略を立てる上で最も中心の柱に据えられているのが売上額なんですね。十五兆円程度の安定した売上げが必要だと、売上げがメインになっているわけなんですが、今や、半導体というのは、ないと我が国から何も出せないだけの物資です。

 例えば、私の地元の川崎にはトラック、バスの会社がありますけれども、そのトラック、バスというのは、造っても中に半導体が入っていないので出荷できないということで、ヤードにたくさんの車が並んでいるということも発生をしました。これは上海のロックダウンの件もありましたので。

 これも含めて、売上げだけのことを考えてしまうと、それ以外の、半導体を使う別の物資も我が国としては出荷ができないということにもなりかねませんし、もはや、もう国家として囲い込みをしていく物資であろう。石油に近い扱いをするべきだと思いますけれども、大臣、何かお考えはありますでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、半導体の開発投資には非常に大きな額がかかるという中で、一社だけではできない、一国だけではできないということで、連携しながら我々は取り組んでいるところであります。

 まさに御指摘がありました、今、車を造るのに必要な半導体をしっかり確保しなきゃいけないということで、今回、熊本のTSMCを始め、各国の、アメリカの企業も含め、誘致をし、いざというときの供給体制をまずしっかり確保するということと、それから、将来を見据えて、御指摘のように何年も先も見据えていかなければいけませんので、最先端の半導体、二ナノの先端半導体を開発して作るということで、ラピダスという会社をつくり、アメリカやヨーロッパと連携しながらやっていくということでありますので。

 まず、当面必要な、この何年かの間に必要な半導体の確保と、それから、将来的に、先端的なものの、まさに不可欠となるような、戦略的に必要な、経済安全保障上も重要な物資としてそうしたものを作っていく。そして、更に言えば、単にそうした工場だけを誘致するだけではなくて、日本の強みでもある材料まで含めてしっかりとサプライチェーンも確保していくという予算も計上しているところでありますけれども、御指摘のように、中長期的な方針を示すということは非常に大事でありますので、今説明ありましたように、昨年度、産業戦略も発表したところでありますけれども、さらに、今年の年央を目途に半導体・デジタル産業戦略の改定を行うことを発表しております。

 まさに今後、民間企業の予見可能性を高めていくという意味でも、しっかりと骨太な戦略を示していく、そうした検討を進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)分科員 TSMCを我が国に誘致したのは、そもそも、我が国で今から二ナノの技術を開発して世界に売っていくんだ、それは、確かに基礎研究は必要なんですけれども、すぐに実現できるためのものではなくて、あくまで、TSMCを誘致したのは経済安保上の必要に応じてのものですよね。

 今我が国にあるものもしっかり守っていくという中で、どちらに軸を置くのかはしっかりしておいた方が私はいいと思います。というのも、今、日本で作れるもの、この国で何とか確保できるものと、野心的に世界最先端の技術を研究し続けるということも、これは両方大事なんですが、どちらもというわけにいかぬのですね。これは車の脱炭素化にも言えますけれども、電気にするのか、あるいは水素にするのか、これも両輪でやっていくんだというんですけれども、どちらかにしないと、水素ステーションと電気の充電器、両方を同じ数そろえるわけにはいきませんので、どちらかにやっていくということはある程度のところで軸足を決めていただかないといけないのかなと私は思っております。

 一社では不可能というのはもちろんそのとおりで、もはや素材自体が外国から入ってくるものですから、もういいかげんどうしようもないので、これは連携してやっていくしかありませんので、是非、経済産業省としてもかじ取りをしていただいて、まとまって行動できるように、国内の産業が別々の方向に向かないように、しっかりと向かせていただきたいと思います。

 関連してなんですが、今大臣からもちょっとお話ありましたが、半導体の薬液だとか、あと製造装置、この辺りは、我が国はまだ競争力を持っております。特にフッ化水素等々の薬品、ガスといったものは、我が国の技術がかなり世界のトップシェアを持っていたりします。

 ここは、今、引き続きの支援ではなくて、より拡充して、我が国の地位を確立していくということはやっていただいた方がいいと思うんです。機械はもちろん投資していただく必要がありますが、薬液等々、我が国が確実に勝てる、ウェハーも含めて、そういう部分については更に厚く支援していただくという方向の方がよろしいかと思いますが、いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、日本は、半導体製造装置、あるいは材料、部材、非常に強みを持っております。シェアも非常に、世界的なシェアも高いということであります。

 そうした観点も含めて、半導体の安定的な供給に向けては、製造メーカーだけではなくてそのサプライチェーン全体で、支える企業全体で強靱化を図っていくことが重要だというのは、まさに御指摘のとおりだと思います。

 このため、昨年公表しました半導体・デジタル産業戦略におきましても、日本が一定のシェアを有します半導体製造装置、材料、部材を含めたサプライチェーン上重要な製品につきまして、その生産拠点を国内に確保していく、そうした方針を掲げているところであります。

 さらに、本年一月には、経済安全保障推進法に基づきまして、半導体の安定供給確保に向けた取組方針を公表しております。製造装置、部素材、原料の国内生産能力の強化などを図る事業を支援対象に位置づけたところであります。

 例えば、令和四年度、昨年十二月の補正予算で、製造装置、部素材、原料も含め、半導体のサプライチェーン強靱化のために合計で三千六百八十六億円を計上しているところであります。

 加えて、半導体製造装置などで用いられる従来型半導体について、その生産基盤を強化することは重要でありますので、製造拠点における設備刷新を支援する補助金などで支援をするということにしております。

 こうした支援も含めまして、本年も、半導体製造装置、部素材、原料メーカーを含めた半導体関連企業が国内投資を一層進めていく、一層活性化するよう、政府としても取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)分科員 設備については、我が国、たくさん会社も工場もあるんですけれども、設備自体が古くて最新型が作れないということは多々ありますし、それは刷新するための補助金を含めた経営計画が立てられないというところに帰結をするわけで、これが最初のところにぐるっと戻っていくわけでございます。

 長い目で見て考えていくということを明言していただいていますので、是非、そのロードマップを一刻も早く出していただいて、民間企業と共有していただいて、同じ方向で進んでいかれるように検討していただければと思いますし、今ほどありました補助金についても、三千六百億円等と、単位が諸外国に比べて一つ少ないわけでございますので、ここは何かしらの形で捻出して、少しずつ拡充をしていくような方法を考えていただければと思います。

 半導体の話はまた追ってどこかの委員会でも、最新の情報が今度、移り変わりますので、そのときにお伺いをしたいと思います。

 次に、工業について伺いたいと思いますが、私、地元の川崎は、京浜工業地帯、四大工業地帯に入っているわけなんですけれども、もはや四大工業地帯と言われた時代とは打って変わって、工場立地が、タワーマンションに変わり、新興住宅街に変わり、もはや工場があるのは沿岸部だけというのが今の状況になっております。

 それでも京浜工業地帯といえばそれなりの地位があるわけなんですが、一方で、この川崎の地域については地盤沈下地帯でもございまして、四大工業地帯の中でも、地盤沈下ということで、工業用水を使わなければならない地域であります。井戸水が使えない状況になっております。なので、大規模な事業場は大体この工業用水を大量に引いているわけなんですが、これを引いたのは、まだ工場がたくさんあった時代なんですね。工場は今、なくなっております。流量も、流れっ放しで、使わない水が流れているにもかかわらず、その水道料金は誘致している企業が払わなければならない。非常にこれが企業の負担にもなっております。自治体と私もお話をしまして、何かしらの方法がないかということで、経産省も補助をしていただいているようなんですが、工業用水路、用水管の改修、耐震化といったものは、今、自治体の中でいうと優先順位がかなり低いんですね。なので、なかなか自治体がやりたがらない。そうすると企業がどんどん困って、事業場自体が減っていく。

 私の地元の川崎は、JFEが、今、高炉を停止することになっています。これは、この京浜工業地帯を代表するような企業が高炉を停止するということで、事業そのものが縮小をされます。そうすると水道量も減っていくわけですから、これは本来川崎市がやらなきゃいけないことなんですが、なかなかその優先順位が上がらないという中で、国として、プッシュ型で、もう今、四大工業地帯と言っている時代ではありませんので、何か、かせを外していただくなり、補助を推進していただくなりしていただかないと、自治体の方で手が回らないような状態になっておりますが、何かしら見解があれば伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 工業用水は、まさに地域の産業基盤として必要不可欠なインフラの一つであります。これまでも、供給事業者である地方自治体の関連施設の整備、そして、まさに改修、更新ですね、これを支援してきたところであります。

 他方で、近年、大規模工場の閉鎖による需要の減少、おっしゃったとおりで、工場の閉鎖がありますので、そうしたこともあって、ユーザー企業の契約水量の平均実給水量は減少傾向が続いております。工業用水事業の事業環境は非常に厳しい状況であるということであります。

 こうした状況を受けまして、令和三年度から、経産省は、工業用水道や上水道との統合、あるいは広域連携のための設備整備への支援を行って、事業統合等による事業経営の効率化の後押しを行っているところであります。

 また、五年度からは、新たに、デジタル技術の活用による事業の広域化や施設の合理化、経営の最適化を図るためのソフト支援も実施をしていく考えであります。

 こうした支援策は、自治体に実際に活用いただくことが重要でありますので、御指摘も踏まえ、引き続き、自治体に活用を呼びかけていくと同時に、活用に当たっての課題の聴取なども対応していきたいというふうに考えております。

 そうした中で、御指摘の四大工業地域でありますけれども、限られた財源で、事業者の自助努力を促しつつ、多くの工業用水道事業者を支援するための一定の補助率を置くことは重要だというふうに思っておりますが、その上で、この支援策に関しましては、御指摘の補助率なども含めて、工業用水道事業の動向を踏まえながら、不断の見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

 地盤沈下などがある場合に上乗せの優遇措置なども行っておりますので、そうしたことも踏まえながら、引き続き不断の見直しを行っていきたい。

 実は、私の兵庫県の神戸も工業地帯に入っておりますので、同じような課題がありますので、しっかりとニーズをお聞きし、不断の見直しを考えていきたいというふうに思います。

鈴木(敦)分科員 これは実は、法律が作られてから、あるいはいろんな整備が行われてから状況が変わって、実態はこうじゃないんだよなというのは、大臣と、御地元、同じ状況だと思いますので、工場が昔元気だった頃と今では事情が違うということでございます。

 これは自治体が本来やることではありますけれども、国としても危機感を持って、ここがないと、我が国の生命線でもありますので、守っていかなければならないということで、今御紹介をいただきました。この内容は、また地元の方にも戻ってお話をさせていただきたいと思っております。

 これもまた自治体関連の話ではありますけれども、防犯灯が今町中にあると思います。特に商店街ですとか、防犯のために電気をつけっ放しに夜もしておいていただいているということでございますけれども、この防犯灯、電気代が高騰していることによって商店街の負担もかなり大きくなってきております。

 今、私の近くの商店街は、最近、防犯灯を半分に減らしました。電気代が高いということで減らしました。防犯上の問題があるのではないかという地元の懸念はあったんですが、少し縮小しないとやっていけないということでございます。

 これは市からも補助をもらっているんですけれども、もらっても吸収し切れない。今までと状況が変わってしまったということもあって、電気代の高騰によって、自治体だけではなくて、地元の町内会も負担がし切れなくなったというところまで来ております。

 これも、今も既に電力各社から基準の値上げの話も来ていると思いますけれども、そういう状況の中で、公共のために電気をつけっ放しにしなければならないような使い方、商店街の防犯灯あるいは街灯、こういった部分の電気料金については一般の料金と考え方を変えて補助していくべきだと思うんですが、国としてはお考えはありますでしょうか。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 令和五年度に向けましては、光熱費が高騰する中で、地方自治体は、今委員が御指摘をいただきました防犯灯あるいは街灯、これらのほかにも、学校、福祉施設、図書館、文化施設など保有する施設が多く、その影響が大きいことから、財政措置を求める声が多く寄せられているところでございます。

 こうした自治体の切実な声に応えるため、令和五年度の地方財政計画におきまして、自治体施設の光熱費高騰への対応として、一般行政費を七百億円増額をして計上するとともに、普通交付税において適切に措置を講じることとしておるところでございます。こうした対応につきましては、地方六団体からも一定の評価をいただいているところでもございます。

 今後とも、物価の動向、また国における対策などを注視しつつ、各自治体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと存じます。

鈴木(敦)分科員 ありがとうございます。

 電気については、これだけではなくて、多分、これからもっと悪くなる要素しか今のところありませんので、また見直しをしていただいて、補助をしていただくということになろうかと思いますし、今これが、手が入っていないところまで恐らく問題が出てくるであろうと思います。

 電気料金が上がっていく中で、関東圏内はまだいいかもしれませんが、もっと値上げが、上がっている北陸だとかあるいは沖縄だとかといったところは、もっと電気料金の負担は大きくなっていくと思いますので、見直しは不断にしていただく必要があろうかと思いますので、引き続きこの運用をしっかりやっていただきたいと思います。

 時間もあれなので最後の質問にさせていただきますが、これも電気ですけれども、特別高圧について伺いたいと思います。

 度々、我が国民民主党からも特別高圧についてのお話をさせていただいておりました。補助が入っていないということでございます。特に、これも地元の課題でございますが、ほとんどが電機メーカーですけれども、工業地帯ということもあり、大電力を使用する地域でありますので、この補助が、事業場の負担になる、そうすると賃上げの原資を食ってしまうということになっています。

 政府としては、今、賃上げを目標に掲げているわけですから、その原資を少しでも多く確保するということは非常に重要なことなんですが、電気代でこれがなくなってしまう、そして、一般の小口の電気であれば補助金がついているということであれば、是非とも、この特別高圧についても、同規模とは言いませんが、何かしらの支援をしていただくことも重要だと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘の電気料金への支援策、負担軽減についてでありますが、激変緩和措置は、価格転嫁をすることができない最終消費者である家計など低圧の需要家を中心として、転嫁が困難な中小企業などが多く含まれる高圧の需要家まで対象を広げ、実施をしているところであります。

 その上で、さらには、昨年九月の物価対策において措置しました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金では、自治体の判断により、地域の実情を踏まえたきめ細かい対応ができることとしております。自治体によっては特別高圧契約の需要家への電気料金支援が行われている例もあると認識をしております。

 政府としては、一月の使用分で、今月、二月の請求から反映されるこの電気料金値引き支援、激変緩和策を需要家に確実に届けられるよう、まずは予算執行にしっかり取り組みたいと思いますが、御指摘の点を含めて、いろいろな声も、私も、いろいろな地域を回りますと、いろいろな御指摘もいただきます。今後も、経済状況や燃料の価格動向も注視しながら、関係省庁とも連携をして臨機応変に対応していくことを考えていきたいというふうに思います。

鈴木(敦)分科員 燃料については今日通告していませんから申し上げませんが、プロパンについてもかなり、ラーメン屋さんとかに行きますと、ずっと炊きっ放しなわけですから、ガス代はかなりかかるということも言われておりますし、電気について、ちょっとこれは経産省とも事前にすり合わせをしたときにお話ししたんですけれども、価格転嫁という観点を基準に補助するしないを考えてしまうと、これは非常に困ったことになるんですね。

 なぜかというと、価格転嫁というのは、例えば、一般的な事業場で作っているものが、パソコンだとかメモリーだとか、そういったものだったら構いません。でも、それが官公庁に納入されている製品だったらどうするかということなんですね。

 具体的に言えば、価格転嫁という話をしないんだったら言わないと言っておきましたけれども、その話が出たので申し上げますが、私の地元で造っている電機メーカーでは、ミサイルを造っています、あるいはレーダーを造ったり、そういった防衛省向け製品を造っています。今、防衛力強化の話をしている中で、そういった事業場で造られるもの、価格転嫁という話になると、防衛装備品の価格に転嫁するという話になるんです。それでいいのかという話なんですね。

 今、整備しなければならない、お金が足りないとただでさえ言っているにもかかわらず、電気料金が値上げされていて、特別高圧に対する補助もなくて、それがミサイルや装備品の価格に転嫁されてしまったら、国そのものが困ってしまうんですよ。だから、特別高圧をつけるという意味はそこに出てくると私は思っているんですね。

 この前も視察をさせていただきました。航空自衛隊用の対空ミサイルを造っておりました。それに価格転嫁されたりしたら、今考えている防衛省の整備計画が御破算になる可能性があります。その点も含めていかがですか、事業場に対する支援は。

西村(康)国務大臣 防衛省の調達の現状について今詳細に把握しているわけではありませんので、一般論としての回答になりますけれども、公共事業などでも様々な材料、燃料などの高騰分は見ることになっておりますので、そういう意味で、公共調達でも、当然、原材料費が上がったり、燃料費が上がった分については見ていくというのが基本的な姿勢だと思いますが、当然、それは国の予算全体に関わってくる話でありますので、一つ一つ精査しながらやっていかなきゃいけないんだと思います。

 いずれにしましても、非常に、転嫁力、転嫁する力の弱い中小企業、零細企業の皆さん方に対してはしっかり支援をしていかなきゃいけない。大企業は、それなりに国際競争力もあって、また経営力、体力もあるということの中でこのような判断をさせていただいておりますけれども、そこは地域の自治体によっていろいろな支援も、交付金によって行っているところもありますし、また様々な声もいただいておりますので、そうした声もしっかり踏まえながら、今後、経済状況あるいは価格の動向なども見て、臨機応変に対応していかなきゃいけないというふうに考えているところであります。

鈴木(敦)分科員 大企業は、体力は確かに、競争力もあったりするんですが、防衛事業に関して言えば、全ての企業でほぼ赤字でやってもらっているわけです。それそのものが、発注があった時期となかった時期が波になっているので、価格、調達能力も低くなるということで、それが防衛産業の課題でもあったはずです。

 ですから、今、価格転嫁云々という話になると、そもそも防衛産業の体力がないわけなんですね、部門としては。だから、この点を踏まえて、例えば、大きな電機メーカーの中で、パソコンも作っているし、こういったものも造っている、ここの部分は世界的な力があるにしても、防衛産業についてはもうほぼ赤字でやっているという場合には、これは体力とは言いようがないと思うんです。ですから、我々、政府にも提言した際には、長く、一定のスパンで発注できるように防衛産業をつくってくださいと申し上げていたのは、そういうところでございます。

 ですから、体力という意味でいえば余りない状態であることも踏まえつつ、この防衛産業も含めて経済産業省のお考えをまとめていただければと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

小林主査 これにて鈴木敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 おはようございます。神戸から参りました立憲民主党の井坂信彦です。

 同じ兵庫県の大臣と初めて質疑の機会をいただけること、大変うれしく思っております。

 本日は、まず、無形資産への企業の投資ということでお伺いをしたいと思います。

 私は、二〇一六年の当時の予算委員会でも、生産性を上げるためには無形資産への投資が必要だ、こういう議論を、当時、甘利大臣とか、それこそ安倍総理とかとも何往復かやり取りをさせていただいております。

 日本はこれまで、企業の投資といえば、まずは設備投資、形のある資産への投資というのが定番でありました。実際、政府のこれまでの政策でも、設備投資への補助金や設備投資への税制優遇というのは数多く用意をされてきたわけであります。

 一方で、形のないものへの投資はなかなか進まず、結果的に、日本の企業の生産性や競争力は十分に上がることなく、今、日本全体の生産性や経済成長率も上がっておりません。

 無形資産というのは、大きく三つに分けられます。

 一つは情報化資産。いわゆるITの資産、ソフトウェアとかデータベースとかであります。

 二つ目は革新的資産。研究開発とか、特許など知的財産、それからデザインなどもここに含まれます。

 そして、三つ目は経済的競争力。ブランドであったり、人的資本であったり、あるいは企業間のネットワーク、また、組織のノウハウやマーケティングのノウハウ、こういったものが含まれます。

 その二〇一六年の議論の後、今、ここ最近は、IT投資については政策的に随分いろいろと支援をされるようになってきた、これは大変よいことだというふうに思っています。しかし、IT以外の無形資産投資はまだまだだというふうに考えておりますので、本日、順番に議論させていただきたいと思います。

 非ITの無形資産投資、これが、国全体の労働生産性とか、あるいはTFPと呼ばれる全要素生産性、こういったものを大きく引き上げる要素になることが分かっています。

 そこで、まずお伺いいたしますが、三つの無形資産のうちの二つ目、革新的資産の中で、特に、研究開発投資をする企業をどう支援をして、そして増やしていくのか、お伺いをいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 社会課題の解決と経済成長の実現にはイノベーションの推進が必要でありまして、イノベーションの源泉である研究開発への投資の促進が求められるものと認識しております。

 このため、政府として、量子、AI、半導体、バイオといった戦略分野への投資の拡充や、研究開発ベンチャーへの資金供給の強化を行うことによって、企業における研究開発費の量的拡大を促していく所存でございます。

 また、令和五年度の税制改正において、研究開発費を増やした企業が更に優遇される措置を含め、研究開発税制を拡充することとされております。特に、中小企業に対しましては、控除率が高く設定される等により、研究開発に前向きな企業を更に応援する制度となってございます。

 経済産業省といたしましては、これらの施策を通じまして、企業の積極的な研究開発投資を後押ししていきたいと考えております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 研究開発投資については、日本もこれまでも、かなり早くからいろいろと支援策、あるいは税制優遇をやってきたと思うんです。しかし、次に議論をすることに関してまだまだだと思いますので、本日はここの点を特にお願いをしたいと思っています。

 中小企業のデザインに関する投資ということであります。

 大企業というのは、さすがにしっかりお金をかけて、商品やサービスのデザイン、ブラッシュアップをしていると思います。しかし、中小企業というのは、なかなかやはりそこまで余裕がない、また手が回らない、目が向かないというのが現場の実感としてもあります。だからこそ、政府がそこを支援することで大きな伸び代になるというふうに思います。

 ここで言うデザイン投資というのは、何か商品のパッケージのデザインとかあるいは販売促進のためのチラシやホームページのデザイン、そういうことではなくて、商品そのものあるいはサービスそのもののデザインをしっかりとお金をかけて作り直していく、磨き直していく、こういうことが非常に重要だと考えています。それをすることで、全く同じ機能でコストもほぼ同じ商品が、デザインをしっかりプロを入れて大きく変えることで一気に五倍の値段で売れる、こういったことも本当によくあるわけであります。

 参考人にお伺いいたしますが、特に、なかなか進んでいない中小企業のデザイン投資、デザインに対する投資、これをいかに補助金とか税制とかで支援をして、そしてこれを後押ししていくのかということについてお伺いをいたします。

横島政府参考人 中小企業が新たな価値を創造して収益を拡大し成長していく上で、デザイン等により、商品の差別化に取り組むことは重要と考えます。

 中小企業庁は、中小企業の相談に応じるワンストップの無料相談所である全国のよろず支援拠点に多様な専門家を配置していますが、各地の相談内容を踏まえ、例えば、開発された商品の仕上げのデザインや、商品を魅力的に売り込むパッケージに関する助言も行っています。

 また、ものづくり補助金では製品のデザインを外注する場合の経費、小規模事業者持続化補助金では商品パッケージのデザインに係る費用を補助対象にしています。

 こうした支援策が効果的に活用されるよう、個々の相談にきめ細やかに対応しながら、中小企業のデザイン投資を後押ししていきたいと思います。

井坂分科員 既存の相談制度とかものづくり補助金でもデザイン投資はできる、これは事前にも伺っているんです。ただ、ものづくり補助金の中であえてデザイン投資をする企業、特に中小企業がどれだけあるのかというと、大変心もとない部分もありますし、あと、やはり御説明、御答弁で多いのはパッケージデザイン。

 パッケージデザインとか販売促進のデザインというのは、これは昔から企業は売るために一生懸命やってきたわけですけれども、そもそもの製品やサービスの根本的なリデザインということにもっと目を向けていただければ、日本の経済、特にその大半を占める中小企業のまさに大幅な利益率のアップ、ひいては生産性の向上ということにつながると思うわけであります。

 同じように、次、伺いますけれども、中小企業のAI投資ということについても、もちろん既存のITの様々な制度でAI関連のことも全てできるわけでありますが、しかし、私もIT補助金などを使わせていただいたこともありますけれども、やはりIT投資というと、どうしても中小企業側が思うのは、既存の事業にITを使ってよりコストダウンするとか省力化をする、そういった方向性に目が向いてしまいますし、また、実際、そういうITサービスを提供する業者さんが圧倒的に多いわけであります。

 大企業は今、AIというものをいかに自社の商品やサービスに織り込んでいくかということ、いわゆる本当の意味でのDXを進めていますけれども、中小企業はまだまだ、IT化というと、コストダウン、効率化、こういったところが中心になっているかと思います。だからこそ、さっきのデザインと一緒で、AI投資補助金とかAI投資税制とか、やはりそういう、切り出して、AI投資税制があるんだったらAI投資してみようかな、こういうこともあると思いますので、是非、中小企業のAI投資を促進するということについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

横島政府参考人 中小企業がAIを始めとするデジタル技術を成長につなげていくことは重要と考えます。

 中小企業庁は設備投資補助金でこうした取組を支援しており、先ほどおっしゃられたIT導入補助金では、AIを用いた顧客対応の自動化ツールや、広報宣伝活動の効果分析をAIが行うツールなども補助の対象となります。

 一方、補助金の種類を過度に増やすと事業者に分かりにくくなるおそれがあるため、特定の分野の設備投資について、補助金の中に特別枠を設けて支援する場合もあります。

 AI投資についても、ものづくり補助金にデジタル枠を設け、補助率を通常の二分の一から三分の二に引き上げています。AIを用いた革新的商品の開発やAIを活用した生産プロセス改善システムの構築も、このデジタル枠の対象となります。

井坂分科員 今御答弁いただいた特別枠というのがいい工夫だというふうに思うんですね。是非、デジタル枠でもいいんですけれども、やはりITとかデジタルというくくりから、更に、AI、あるいは先ほど申し上げたデザイン、特に商品そのもののデザインということをしっかり明示的に切り出して、本当に我々の生活実感として、やはり補助金があることでそこに目が向く、あるいは税制優遇があるところで初めてそれが話題になるんです。中小企業の経営者の皆さんと話していても、今度こういう補助金が出るらしいね、今度こういう税制が出るらしいね、何か、うちも全く関係ないと思っていたけれどもやってみようかなというのが、これが町場の本当に実態でありますので。

 この補助金で何でもできますとか、この税制で何でも見られますというのは、確かに制度上はそれが楽なんでしょうけれども、やはり今おっしゃった特別枠とか、いろいろな形で、特にデザイン投資を今支援しますとか、特に中小企業のAI投資、IT、デジタルの中でもAI投資を今支援しますということを是非、表に出して、そこを強く促進をしていただきたいというふうに思います。

 最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、今、本当に個別の研究開発、それからデザイン、AI投資ということで、切り出して議論してきましたけれども、やはり大臣、この日本の経済成長、あるいは生産性といったことについて責任を持っておられる大臣だというふうに思います。設備投資、デジタル投資に次ぐ第三の投資項目として、非ITの無形資産投資を頑張る企業を応援をする、そのことによって、日本の企業が非ITの無形資産投資をもっともっと取り組むようにするということが今このタイミングで極めて重要だというふうに思いますが、大臣の御見解を伺います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、日本の経済全体の生産性が上がらない、また、TFPが上がらない、この大きな要因の一つに、やはり無形資産への投資がないこと、これは委員と私も問題意識を共有しております。

 もちろん、そもそも設備投資自体もすごく低かった、内部留保を高めて、低かったというのもありますけれども、そうした実際の設備投資に加えて、無形資産への投資、これを増やすことで生産性を上げて、そしてそのことが所得向上につながっていくという、本当に大事な視点だというふうに思います。

 その意味で、設備投資、DX投資などに加えて、研究開発、人材、知財、あるいは御指摘のデザインとか、あるいは企業ブランド、こうしたものを高めていく、そのための投資というのが非常に重要だというふうに認識しております。

 個別に説明がありましたけれども、研究開発税制とか、IT導入の補助金とかを使われたということでありますが、ソフトへの投資も対象となるように、いろいろな形でいろいろな制度も拡充をしてきておりますし、それから、昨年の補正予算でリスキリングの予算を七百五十億強いただきましたので、そうした中で、人への投資も更に増やしていくこと、それから、ものづくり補助金などでもデザインへの投資も対象とするなどしておりますし、様々、JAPANブランド育成の事業とか、そうした中で、マーケティング、ブランディング力、こうしたことを含む経営ノウハウの支援なども行ってきております。

 御指摘のように、イノベーションを起こして、生産性を上げて、それを所得向上につなげていくという視点から、さらに、無形投資、無形資産全体への投資促進に向けて更にどういったことができるのか、是非考えていきたいと思いますし、既存の制度については、できるだけそうしたものを対象にしていくように考えていきたいというふうに思います。

井坂分科員 大臣、完全に前向きな御答弁、本当にありがとうございます。

 続きまして、再生可能エネルギーについて伺いたいと思います。

 現状、大変、燃料費が上がり、また、家庭や企業の電気代も大変厳しい状況になってきております。これに関しては、立憲民主党も様々こうしてほしいということを申し上げて、また政府もいろいろ取り組んでいただいているというふうに思いますが、しかし、根本的に、やはり海外からの燃料に日本が頼り続けている限り、何か世界で事が起こると、こうして燃料費が上がり、電気代が上がりと、経済もそれから国民生活もすぐにこういう厳しい状況に追い込まれてしまうんだなというのが、今回改めて突きつけられた日本の現実だというふうに思います。

 そこで、足下のことは足下のことで別途我々も議論しておりますし、やっていただきたいんですけれども、今後の話として、再生可能エネルギーをやはり伸ばしていかなければいけない、これは政府も与野党も共通の認識だというふうに思います。

 実際、世界では、再生可能エネルギーというのは、産業、業界としては完全な成長産業。どんどんどんどん、そこに参入する企業また市場も倍々ゲームで増えている、これから更にそこに途上国も加わってくる、こういう状況であります。

 ところが、残念ながら、この最大の成長産業と言ってもよい再生可能エネルギーの分野で、日本の企業、これがまさかの撤退というような状況になっているわけであります。元々は、太陽光とかあるいは風力とか、日本のメーカーも一生懸命先進的にやっていたわけでありますけれども、もはや海外のメーカーが全部それを今やっているという状況であります。

 お伺いをしますが、こうした太陽光とか、特に洋上風力など、再エネ技術の国産化、また、日本の企業がそういったところにまたどんどんどんどん参入をして世界の市場を取っていけるようにということが、今からでも巻き返しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けまして、太陽光発電や風力発電を含む再生可能エネルギーは、委員御指摘のとおり、主力電源として重要と考えております。グリーンイノベーション基金などを活用し、技術開発から社会実装までを一気通貫で支援する、そういったことで、次世代型の太陽電池あるいは洋上風力の市場創出、サプライチェーンの構築に取り組んでいきたいと考えてございます。

 具体的には、太陽光発電につきましては、国産化や国内サプライチェーンの形成も見据えまして、ビルの壁面などのこれまで設置が困難であった場所に設置可能な次世代型太陽電池であり、また国産の技術でありますペロブスカイトの技術開発に取り組んでございます。早ければ二〇二三年度にもユーザー企業と連携した実証を開始し、早期の社会実装を目指していきたい、かように考えてございます。

 また、洋上風力につきましては、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件を形成するという目標を設定しておりまして、再エネ海域利用法に基づき、着実な市場創出に取り組んでおります。昨年十二月には、大規模な第二弾の入札を開始したところでございます。

 こうした需要の創出を呼び水としながら、国内サプライチェーン形成のため、サプライチェーン補助金を活用した設備投資支援も洋上風力について実施しておりまして、実際に、国内での風車部品組立て拠点などの構築を実現していきたいというふうに考えております。もちろん、将来のアジア展開も見据えまして、グリーンイノベーション基金を活用し、浮体式の洋上風力、この技術開発と実装も進めていきたい。

 太陽光発電、洋上風力発電共に、こうした取組を通じて、市場の創出、そして委員御指摘のとおり、国産化に向けた取組をしっかり進めてまいりたい、かように考えてございます。

井坂分科員 ありがとうございます。

 今、再生可能エネルギーの国産技術とか国内企業の後押しということで、いろいろ御説明をいただきました。

 ただ、そもそも、これだけの成長市場なのに、何で日本の企業が、そこに入り込むどころか、撤退の方向になってしまったのか。一つの大きな理由は、やはり肝腎の日本自体が、どこまでこの再生エネルギーを国内でやるのかということがずっと不透明だったということが大きいというふうに思っています。

 政府は、ようやく、二〇三〇年に再生可能エネルギーの割合を三六%から三八%という目標をはっきりと掲げました。この数字の是非はさておき、目標を掲げたということについては評価をしているものであります。

 ただ、担当の方とも議論していて心配になりましたのは、じゃ、それ、二〇三〇年以降、当然また同じペースで増やしていくんですよねとお聞きをすると、それは未定です、こういうことなのであります。少なくとも増えるんですよねと言っても、増えるか減るかも含めて未定であるかのようなお話なわけであります。これでは、やはり企業、二〇三〇年まではお客さんはいるだろうけれども、その後はもしかしたらまたお客さんは減るかもしれない、特に国内ではということになると、これはやはり十分な投資もできないというふうに思います。

 実際に、本当にこれからも国内、海外はもう間違いなく市場は増えていきますけれども、国内でもこれからもどんどんどんどん再生可能エネルギーのメーカーにとっての市場は増えていくんだということがやはりある程度見通せないと、企業も大規模な、それこそ、設備投資してどんどん風力発電のプロペラを造るとか、そういったふうにかじを切れないというふうに思います。

 これは大臣にお伺いをしたいんですけれども、やはり再エネ割合を二〇三〇年以降もしっかり増やすということを明確にコミットする必要が、これは国内企業の育成、国内技術の育成という文脈からも重要だと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 私どもも、御指摘と同じように、委員御指摘されたように、再エネを最大限導入するという方針で臨んでおります。

 もう御案内のとおりでありますが、FIT制度を私も野党の責任者で対応させていただきましたけれども、それ以降、再エネ比率は、震災前の約一〇%から、二一年度で約二〇%まで倍増しております。御指摘の、三〇年度に更に倍に近い形の三六から三八にするという方針に向けて、最大限努力をしていきたいというふうに思っております。

 その上で、先ほど、ペロブスカイトなど、新しい技術の開発の話も答弁させていただきましたけれども、まさに今後、どういう技術開発、イノベーションが起こってくるかというところ、また、世界のエネルギー情勢について現時点でなかなか見通すことが難しいということで、現時点では二〇五〇年の電源構成の見込みは示していないところであります。

 一方で、先日、閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針においては、二〇五〇年カーボンニュートラル、これを必ず実現するという、そのことに向けて、次世代ネットワークの構築、これは送配電網の構築、あるいは調整力、さらにはイノベーションの加速、御指摘のような国産の再エネ最大限導入、こうしたことに向けた取組を示しておりますので、いずれにしても、もう最大限導入していくという方針で更に臨んでいきたいというふうに考えております。

井坂分科員 海外ではもう既に、再生可能エネルギー、物すごくコストが下がっているんです。ところが、日本は十分に下がっていないように見えます。

 これもなぜかというと、やはり海外では、最大の成長市場だということで、どんどんどんどん企業も投資をして、大量に作って、まさに規模の経済が働いて、再生可能エネルギーのメーカーのコストがもう十分に下がっている。日本はやはりそこが、本当にやるのかな、やらないのかな、どこまで増えるのかなという中で、むしろ撤退の方向に一時なっていたわけですから、これが値段が下がらなかった一つの理由だと思います。

 もう一つ、電気代を下げるということでお伺いをしたいのが、さっきちらっとおっしゃったFIT、固定価格買取り制度についてであります。

 これも、再生可能エネルギーのコストが今、我々の電気代、電気料金に上乗せをされていて、今のように電気代が苦しくなってくると、再生可能エネルギーもコスト高要因というように見えて、非常にしんどい制度であります。

 しかし、このFITというのは、二〇三〇年がピークで、そこから先は、いわゆる電気代に上乗せされる価格は急激に減っていく予定になっております。そういう意味では、再生可能エネルギーを導入したらずっと高い電気料金がかかるのでは全くなくて、いわゆる導入時の一時的なコスト、もっとはっきり言えば、初期投資的なコストとして今だけかかっているのがFITの電気代上乗せであります。

 こう考えると、これは普通の考え方だと思うんですけれども、FITは、何も、この五年、十年だけ我々が一生懸命払う必要のあるコストなのかなと。むしろ、何でも導入するときは最初はお金がかかる、でも、導入してしまったら規模の経済その他で物すごく安くなる。でも、再生可能エネルギーが本当に普及をすれば、今後、二十年後、三十年後の国民も非常に安い電気を享受をするということを考えれば、初期投資としての再生可能エネルギー導入コストを平準化をするという考え方は、むしろ普通にあってよいことなのではないかなというふうに考えます。

 平準化債のようなやり方で、あるいは、GX債と今回政府はやりますけれども、GX債のようなスキームに入れ込んで、今の足下の、今だけ高いFITの電気代上乗せ料金を、ちょっと、後年度までしっかり平準化をする、ならす、毎年毎年少ない金額を、長い期間、電気代に上乗せをしていく、こういうやり方も考えてよいのではないかな。そのことによって、更に再生可能エネルギーが拡大をしていく。

 今だと、何か、再生可能エネルギーが電気代を高くしている悪者みたいに言う言説もあるぐらいで、これは非常によくないというふうに思っています。

 大臣のお考えをお伺いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、FIT法を作ったとき、まさに、既存の電源よりも価格が高いということで、それをいわば、その差分を埋めるような形で導入を支援をしていこうという発想で、一定の支援額、しかも高めに置いて、早期の大量導入を促していったわけであります。そして、その負担を、国民全体で広く薄くという発想で、電気料金に賦課をする形での仕組みとしたわけであります。

 ここから先がちょっと違うんですが、発想は非常によく似ておりまして、一定の負担をしていただいているわけでありまして、これは国民全員で再エネを導入してきているということでありますけれども、私ども、今後、カーボンニュートラルに向けて更に一定の負担が必要になってまいります。国民全体でこれも負担をしながら、そして、その上でカーボンニュートラル、再生可能エネルギーなり様々な形で、これは水素、アンモニアなども含めて進めていくということであります。

 そのときの負担をどういう形でお願いするかという中で議論をいたしまして、今般、法律を提出をさせていただいたように、FITの賦課金の、御案内のように、二十年間、一定の価格で買い取る契約をしておりますので、二十年をめどに、その前後に恐らく価格が最高になるということが想定されるわけでありますが、その負担と、それから既に石油石炭税で負担をいただいている分、この合計の、今まで負担をいただいている分、つまり、最高に負担いただく二〇三〇年過ぎぐらいの頃であろう、その負担額を上回らない形で、国民の皆さんには、つまり、追加的な負担がない形で負担をお願いをしながらカーボンニュートラルを目指していこうということで、その分、その範囲内で、GX移行債を先行的に発行し、研究開発を促すという考え方を取っております。

 御指摘のように、平準化して長い目でやっていくというのは一つの考え方なんですが、そうしたとしても、カーボンニュートラルに向けての一定の御負担をお願いする形で、投資も進めて、研究開発も進めていかなきゃいけませんので、発想は非常によく似ておるんですけれども、私ども、そういう考え方で今回、法律を提出させていただいたところであります。

井坂分科員 大臣、お考えを本当にありがとうございます。

 確かに、カーボンニュートラルに向けてほかにもいろいろやらなければいけないことがある、これは事実だと思いますが、しかし、足下の、特に電気代、その一つの値上げ要因となっているFITということに関して、是非、平準化ということもできないのかということは、私も更に深めてまいりたいと思いますし、経産省でも一度、御研究、御検討いただければというふうに思います。

 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

小林主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田はるみさん。

吉田(は)分科員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今日は、リスキリングと、それからスタートアップ、この大きく二つに関しまして御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、リスキリング、この言葉もかなりニュースで聞かれるようになったわけなんですけれども、是非、国民の皆さんに分かりやすく、このリスキリングというのが、この間レクを受けましたら、経産の担当の部門と、それから厚労の部門とある、こういったリスキリングのパッケージがあるというふうに伺ったんですが、その概要をお知らせください。

原口政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、企業による労働者の能力開発のため、人材開発支援助成金によりまして、職務に関連した専門的な知識であるとか技能を習得させる訓練を計画的に実施する企業に対しまして、訓練経費であるとか訓練期間中の賃金の一部等を助成しているところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 では、まず最初に、厚労省の方から聞いた人材開発支援助成金に関しまして伺います。

 これは、いわゆる株式公開企業、上場企業も、この支援の対象になりますか。

原口政府参考人 お答え申し上げます。

 この助成金でございますが、企業規模に関係なく、利用可能な制度でございます。大企業よりも中小企業の賃金助成率を高めたりという工夫をしてございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 なぜこのようなことを聞いたかといいますと、このリスキリング、かなり岸田総理がお力を入れてやっていらっしゃるものだと思うんですけれども、是非、使うお金は、本当に効果があるというか、本当に必要なところに使ってほしいという私の問題意識があります。

 例えば、今なぜ、公開企業にもその支援をしているのかというふうに伺ったのは、今度、二〇二三年の三月から、二〇二三年度から人的資本の情報開示、これが株式公開企業には義務づけられることになります。つまり、有価証券報告書に記載するということで、上場企業にしてみると、しっかり取り組まなきゃなというところだと思うんですけれども、そのときに、何かちょっと言い方は悪いですけれども、国のお金を使ってこういうところを厚くしていくよりも、むしろ、今話題になっています内部留保、利益剰余金、これが過去最大になっていますよね。現在、五百十六兆円です、五百十六兆円。今年度の国の予算の五倍に当たるぐらいの内部留保が積み上がっているということで、是非、上場企業は体力ありますので、こちらの内部留保、ここにお金を残すのではなく、人に使ってほしいという思いから、それを伺いました。

 じゃ、もう一つお伺いしたいんですけれども、経産省の所管の中では、リスキリングに関して、どのようなものがございますか。

吾郷政府参考人 お答えいたします。

 補正予算で御措置いただきまして、これまで個別に行われてきたリスキリングの支援、そしてキャリアアップのための転職支援、これを一体的に講ずることで、個人がキャリアアップを目的に、主体的に学び直しを行う事例をより多く創出することを目的とした事業を講じてまいりたいというふうに考えております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 厚労省も人材開発助成金という形で規模に関係なくやっている、それも理解します。そして、経産省の方は一人一人に届くリスキリングの方を考えていらっしゃるということで、両にらみなのかなというふうには思うんですけれども、そのリスキリングを利用したいと思う国民にとってみると、何かどっちがどっちか分からないというところがあるので、是非ちょっと分かりやすい発信もしていただきたいなというところなんですが、ちょっと具体的にお伺いします。

 経産省の、今取り組まれると言ったリスキリング、どのような形で利用可能になるんでしょうか。

 つまり、例えば、私が今仕事を探している状況である、スキルアップをしてよりよい条件の会社に行きたいという場合には、何か人材派遣会社でそのようなプログラムがあって、それに応募をしたときに精算してもらえるのか。例えば、シンガポールの場合は、一人お幾らみたいな形で年額決まっている、その範囲内で利用できたりします。

 また、イギリスの方では、これもシンガポールとちょっと似ているそうなんですが、実際そうやって仕事の転職を考えている方、スキルアップをしたい方に企業から営業の電話も入るというふうに聞いているんですけれども、日本はどのような形になるでしょうか。

吾郷政府参考人 先ほど申し上げました経産省の事業を行うに当たりましては、個人の方が在籍企業を経由して支援を受けるのではなくて、個人が自発的な意思の下で、キャリア相談、リスキリング、転職までの支援を受けられる体制を整備することとしております。

 したがって、今後この事業をやっていくに当たっては、個人の方にも本事業の情報がしっかり届くように、周知や広報についてもしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

吉田(は)分科員 済みません、ちょっと深掘りさせてください。どんなふうに告知されるのか等、ちょっとまだ具体的なイメージが湧いてこないんですね。

 例えばハローワークなんかは、仕事を探しているときとかに、皆さん、失業保険の条件でもありますので行きますから、例えばそこで結構プロモーションしてもらえるのか。あるいは、いわゆる人材派遣会社がそういった広告を使ってやっていくのか。

 来年から始まるんですよね。今回予算がつくということですので、ある一定のもうめどがあるんではないかと思うんですが、教えてください。

吾郷政府参考人 まだ事業者は具体的には決まっておりませんので、そこまではっきり申し上げるわけにはまいらないのでございますが、いずれにいたしましても、その補助をします事業者が、キャリアについての相談対応、それから申し込まれた方の個人の意向を踏まえた学び直しのプログラムの提供、そして、その後、キャリア相談、学び直しを踏まえた転職支援、これを一体的にサービスとして提供するという事業でございます。

吉田(は)分科員 ごめんなさい、やっぱりいま一つイメージできないところがあるので。

 特に、こういったリスキリングに関して私が感じますのは、これまでの国会の討論を見ていますと、もう既にスキルのある方のスキルアップの支援にはなっているかもしれない、でも、いわゆる、女性で、そして非正規雇用、また単純労働で、なかなか賃金が上がらない、時給が上がらない、PCのスキルをつけたい。メールの送受信、もう皆さんはエリートでいらっしゃるからそういったことはできると思うんですけれども、でも本当にそういったスキルのベースアップをするだけで生活が少し上向いてくるという働く方々もたくさんいらっしゃいます。

 そういった非正規雇用、パート、アルバイト、こういった雇用形態で働く方々には、今回のこのリスキリング、届きますでしょうか。

吾郷政府参考人 非正規あるいは低賃金の方のリスキリングについても、もちろん対象にしておるところでございます。

 こういった非正規の関係の方への支援というのは、もちろん厚労省の方でもキャリアアップ助成金などで御支援されていると思いますけれども、私どもの今回の事業におきましても、リスキリングのための講習、これも低い値段でやっていく。あるいは、転職のサービスについても、通常は転職の先のポストの年収の何%ということで民間企業は紹介をやっておりますので、それに比べますと、今回、そういった、余り賃金にかかわらず、しっかりサービスが提供できるのではないかというふうに考えております。

吉田(は)分科員 では、リスキリングに関しまして、最後、大臣の所見をお伺いしたいんですけれども、このように、在籍企業に対して人材開発支援助成金、これは厚労省が中心に行っていらっしゃると。個人に対してリスキリングを行う、その辺りが経産省はかなり力を入れてやっていらっしゃるということで明らかになったんですけれども、最初にちょっと私、御指摘させていただきました人的資本の開示ということで、株式公開市場は何をやろうと。まさにESG投資という意味からも、海外の投資家が、日本の企業は人材の育成やこういうスキルアップ、リスキリングのところにどういう対応をしているか、大変注目していると思うんです。

 ただ、そこに私は国の予算をつけるというのは違うんじゃないかと。それは、この二〇一一年は、ちょうど十年前です、二百八十二兆円という内部留保だったのが、二〇二一年には五百十六兆円と、一・八倍になっている。こういった、企業が今持っている体力の中で人を大事にしていくという方針を示すことが私は重要なんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおりでありまして、私も経済再生担当大臣のときの経済財政演説でも申し上げたんですけれども、まさに時代が大変革期にあって、デジタルとかグリーンの投資に加えて人への投資、ヒューマンニューディールと言いましたけれども、民間の投資を引き出すような政府の呼び水となる支援が必要だということで、デジタルニューディール、グリーンニューディールと併せてヒューマンニューディールというものを進めていくという考えを示したところでありますけれども、まさに御指摘のように、民間も、人への投資、人件費をコストと見るのではなくて、むしろ未来への投資と見てほしい、発想の転換が必要だということを、経済界にも私からも申し上げています。

 まさにグリーンの投資が、脱炭素化が、かつてはコストと見ていたものが、今や研究開発で新たな技術を開発して、それが成長のエンジンになっていくという発想の転換が行われていますので、同じように、人への投資もまさに未来への投資、コストではなくそういう考え方に立ってほしいということで申し上げています。

 その中で、厚労省そして私ども経産省からも今説明がありましたけれども、御指摘のように、社内でキャリアアップしていくか、あるいは転職してキャリアアップしていくかは問わず、それから正規、非正規問わず、それぞれの方々のリスキリング、スキルアップ、学び直し、これを支援をしていくのを、私ども経産省と厚労省で連携をして、そして役割分担しながら進めていきたいというふうに思いますし、私から経産省事務方に指示をしているのは、御指摘ありましたような子育てと両立していかなきゃいけない女性、男性もそうです、ありますので、そうした時間が限られた中で、例えばフェムテックというような技術開発もありますけれども、まさに女性ならではの視点に立った支援ができるようにする。

 あるいは、若い人たちがデジタルをやろうとしていることへの支援、それぞれのニーズに応じた支援をしなきゃいけませんので、一律に大手の人材派遣会社のようなところに頼って、大企業に頼って、中高年の男性がそうしたカウンセリングを行うということではなくて、そういう方のノウハウも生かさなきゃいけない場面もあると思いますが、そうではなくて、女性であったり若い人であったり、あるいは、スタートアップ企業でもそうした支援を行う、非常に充実した、成功している企業もありますので、そうしたところも是非活用するようにという指示をしているところであります。

吉田(は)分科員 大臣、ありがとうございます。是非経済界に、経済四団体に働きかけていただきたいなというふうに思います。

 というのも、やはり経済再生の鍵は個人消費だと思うんですね。GDPの中でも半分を占めるこの個人消費をどう本当に温めていくか。その中で、非正規雇用、またパート、アルバイト、こういう形でお仕事をされていらっしゃる方々、本当に今切実な、生活が苦しい、大変だという状況にいる、その皆様を支援していく、本当に底上げをしていく、そして消費に向けた温かい空気をつくっていく、これが私はとても大事だと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 では、次に、スタートアップに関しまして御質問させていただきたいと思います。

 まず、スタートアップの前に、最近、私も、以前金融の会社におりまして、いろいろなところから聞かれるのが、日本の中小企業、大丈夫かなと。ゼロゼロ融資の返済がいよいよ本格的に始まる。これは、このままスムーズに返済までいけるのか、何か、たくさん倒産してしまう企業が出るのではないかというふうなお声があるんですけれども、まず、このスムーズな移行、また返済、そこに関して何か対策はございますでしょうか。短くお答えください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の民間ゼロゼロ融資の今後の返済本格化に向けた取組として、返済負担軽減のため、新たなコロナ借換え保証制度というものの運用を先月十日より開始しておりまして、これはこの一か月間で既に四千五百件もの申込みを承諾済みであります。

 この借換え保証制度は、その利用に当たって、経営改善の計画を作っていただく、さらには金融機関にそれを伴走支援していただく、こういったものも一緒に条件としてお願いをしておりまして、返済を少し長く延ばして負担軽減している間にそういった経営改善をしていただく、こういうことによって全体に返済をうまくやっていく、こういう資金繰りの円滑化にしっかりつなげていきたいと思っております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 私は一貫して中小企業を本当に力強く支援したいという立場なので、このコロナ禍を何とか生き延びて、これから回復していくんだという中小企業は本当に力強く応援していただきたいんですが、一方で、ゾンビ企業、この補助金で何とかというか、本当に経営実態があるのかどうか、それとも補助金目当てなんじゃないかと言われるような状態のゾンビ企業も、ある調査では三割もいるという調査も出ていまして、これを私は大変憂慮しています。本当に頑張っている中小企業に本来行くべきお金がそういった形になるのは、とても残念だなと思うんですけれども。

 今、借換えをしていく、返済が始まるけれども、そこを支援するためのものがあるというふうに伺ったんですけれども、そのとき、これは私は大変いいところだと思ったんですが、個人保証を求めない。これは、言ってみれば、欧米のファイナンシングではもう主流になっているところだと思うんですが、二つの視点があると思います。

 まず、お金を貸す側にしてみると、返済してもらえないリスクをどう避けるかというのと、一方で、経営する側にしてみると、これは事業自体を見て融資をしてほしい、この二つの視点があると思うんですけれども、その点、どのように対応されているでしょうか。これも、済みません、短くお願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、経営者の個人保証については、経営者の規律づけというプラス面が指摘される一方で、創業意欲の阻害、思い切った事業展開の抑制というマイナス面がございますので、これを解消すべく、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速するべく、金融庁、財務省とともに、経営保証改革プログラムというのを昨年十二月に作っております。

 このプログラムに基づいて、経営者保証を取らないスタートアップ、創業融資を促進するために、本年三月から、保証料を少し上乗せいたしますが、創業時の経営者保証を不要とする信用保証制度を開始すべく準備を進めております。

 また、中小企業の四割が信用保証制度を使っておりますので、創業時に限らず、これも保証料を少し上乗せすることを前提に、経営者が経営者保証の提供の有無を選択できる制度というのを実施すべく今検討を進めているところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 信用保証料をプラスをして個人保証が要らなくするというところ、いいと思います。

 ただ、やはり、本当の中小企業支援というのは、お金をつけて、そしてきちんと経営を支援していくと同時に、私の父は八百屋の父だったんですけれども、結局、最終的に、経営の方が厳しくなりまして、食品の卸業者さんに買ってもらうという決断に至りました。ただ、そこに至るまでに時間が長過ぎました。本当に、直前に専門家のアドバイスや、まだ価値があるうちにそういうところに、言ってみれば企業価値がある間に買っていただくような、そういう経営判断ができたらあんなに苦労しなかったなという私は実体験があるので、本当の中小企業の実態に即した支援というものを、ちょっと一緒に、是非考えさせていただきたいと思います。

 では、ここから、スタートアップ創出二年目になります。

 私も、どんどん良質のIPOが出てくるというのは日本経済の元気の指針だなというふうに思っているんですが、ただ、これは、私もかつていわゆる機関投資家側にいた人間からすると、初値がついて、その後売って売却益でもうけるというのが機関投資家、そして、上場する際の引受証券会社の、言ってみればビジネスモデルです。ここがもうかるのも、それはリスクを取っているので、ありだとは思うんですが、問題は、そうしてIPOをして株式を上場した後に、本当にその企業が成長しているかだと思うんですね。ここをしっかり見ていくところが必要だというふうに感じるんです。

 済みません、いきなり副大臣に聞いてしまいますが、こういうような、特に今、機関投資家の中には海外からの機関投資家もいまして、日本企業を支えていくという本当の、先ほど何か伴走型という話もありましたけれども、そういう形で見ていくところもあれば、もう売り抜いて終わりというところも実際あると思います。副大臣、上場後の日本企業の元気というかサポート、どのようにお考えでしょうか。

中谷副大臣 問題意識は先生と共有をしているところであります。IPO後をどのように成長させるかということは極めて大事というふうに考えております。

 ただ、スタートアップがIPOを目指す上で、拙速にIPOを目指している可能性がある。IPOの調達額が欧米と比較して非常に小さいうちにIPOをする、これは、その成長を阻害しているのではないかという可能性があるというところであります。また、業態によってはIPOではなくてMAの方がいい場合もあるというところでありますが、日本はどういうわけかIPOを目指すところが非常に多いという現状もあるというふうに思っているところであります。

 それに対してどうしていくかというところでありますが、ディープテック系を中心に、事業化まで時間を要するスタートアップや事業拡大のために未上場の期間を長く取りたいスタートアップ等があるというふうに思います。拙速なIPOに向かう要因を緩和するという観点で、IPOのタイミングを柔軟に選べるようにする必要があるというふうに思っております。

 具体的には、ストックオプション税制の権利行使期間を十年から十五年へと延長いたしました。また、未上場株のセカンダリーマーケットの整備といたしまして、PTS、証券会社が未上場株についても取り扱えるということを来年度からやるとか、こういったことを行ってまいります。また、先ほど申し上げましたMAの場合がいいというときもありますから、MAを促進する必要もあるというところでありまして、ここは、オープンイノベーション税制をMAにも使えるように来年度改正をする、税制改正を行うというところもございます。

 また、全体として、資金調達のところでありますが、海外ベンチャーキャピタルも含めまして、ベンチャーキャピタルへの公的資本の投資拡大を通じまして、スタートアップへの出資や、J―Startup企業を中心とした国内の大企業、海外ファンドとのマッチングなどを行っていく。さらには、大きな調達額でIPOをできる環境を整備をしていくということが必要というふうに考えております。

 引き続き、世界と伍するスタートアップ輩出のために、経産省として取り組んでまいりたいというふうに考えています。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 この金融の、実は経産だけでは解決できないかもしれないなと思っているのが、金融工学とか金融の専門家を育てるベースが、実は日本にはとても少ないです。

 先日、女性のベンチャーキャピタリストの集まりがあるというので、大変私も関心を持っているんですけれども、やはり、そうした人材の育成というところ、私、これはとても大事だと思いますので、お願いしたいと思います。

 ちょっと時間が限られてきましたので、最後、この点は是非大臣と意見交換させていただきたいんですけれども、若い方々の支援です。

 スタートアップにとても関わるところ、私は思うんですけれども、やはりいろいろな、デジタル系の会社もそうですけれども、十八歳、もう大学時代から起業をされる方がたくさんいらっしゃいます。また、若い世代の起業が本当のイノベーションを生んでいくと私は思うんです。

 ただ、日本の場合は、優秀な方々は大企業に就職するか、それか外資系に行こうと今言っている中、いかに起業をしてみようというところに向けるか、これは重要なんですけれども、ハードルがあります。就職協定です。二十二歳、順調にというか、高校を出て四年間すれば二十二歳なわけですけれども、やはり、そのレールから外れちゃうと、日本って何度でも挑戦できない国なんですよ、今。

 でも、先日レクで伺ったのですが、卒業後三年間は新卒扱いするということが、実は、平成二十七年にもう出ているんですね。これを知っている人、私はほとんどいないと思います。原因は分かりました。

 私、それもあるけれども、そこじゃないと思ったんですね。これはなぜプラス三年にしたかというと、もし大学卒業時に就職ができなかった場合でも三年間新卒として採用しますよという方針のために、その指針を出した。もちろん、それもあります。だけれども、もっと積極的な意味で、卒業後三年、私は希望五年なんですけれども、この自由な時間を若い方々に是非提供していただいて、よし、じゃ、その間、挑戦してみよう、スタートアップをやってみよう、そして、企業もそこにお金をつける。

 思い切って、若い方々が伸び伸びとこういう起業に向かえるような、お金と、そして制度の面からすべきと思いますが、これは経団連が動いてくださらないとなかなか始まらないです。大臣、この点、本当にお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、スタートアップが重要だという点は、まさに今、時代の変革期でありますので、新しい時代を変えていく、そのためにイノベーションを起こしていくのは若い世代に是非期待をしたいと思います。ただ、スタートアップ施策は何か若い人だけに限ってではなくて、シニアの方も経験を生かして何か挑戦されるのももちろん応援していきますが、特に、新しい感覚で、時代が大きく変化している中で、是非頑張っていただきたいと思います。

 そうした中で、御指摘の二十五歳まで三年間新卒として扱うということなんですけれども、私自身も、省内で議論するときもそうです、経済界にもよく申し上げているんですけれども、何か正社員で入ると、キャリアパスがもう一本道しかない、その企業の中でしかないということも、自身のキャリアアップには限界があるのではないかと。

 先ほど来議論していますとおり、転職もしながらキャリアアップする道もあるということだと思いますし、若いうちは他流試合をやるべきだということを私も常に申し上げています、いろいろな経験を積むべきだと。これは、経産省も兼業、副業を支援したり、企業を起こすことを支援をして、そこに出向するような形で企業を起こすというようなことも含めて、様々行っております。

 御指摘のように、三年間は一括採用の対象であるということ、このことを、これまでもいろいろな形で周知徹底はしているんですけれども、経済界には私からは常々、柔軟な採用体系、これを行ってほしいということで、博士課程もそうですし、なかなか就職できないということもあります。あるいは、海外に留学した人が、時期がずれるのでどうしても限られるというようなこともありますので、そうしたことを含めて、柔軟な採用の体系を考えてほしいということを言ってきております。

 御指摘の、この三年間のことも含めて、経済界には是非、引き続き柔軟にやっていただくことを機会あるごとに言っていきたいと思いますし、キャリア採用という形で中途採用も増えていますので、そうしたことを含めて、労働移動の円滑化、これは徐々に進み始めていると思いますが、様々なキャリアアップの道があるということを是非若い方々にもお伝えをしながら、スタートアップ、起業、挑戦をしてもらいたいというふうにも思います。

吉田(は)分科員 最後に一言だけ。

 是非、大臣、それをお願いいたします。今の若い方々が感じているのは、本当に、縛られているんじゃないか、自分らしくありたい、その気持ちだと思います。是非それを発揮していただいて、元気ある日本にできるよう、是非お願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて吉田はるみさんの質疑は終了いたしました。

 次に、土田慎君。

土田分科員 ありがとうございます。

 自由民主党の土田慎でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今日は、大きく三点について質問させていただこうと思っております。

 今まさに岸田政権が掲げている成長と分配の好循環、これをしっかり循環を回していくためには、一番大事なのはやはり賃上げでございます。そんな中において、皆さん御承知のとおり、ロシアのウクライナ侵略、それに伴う原材料費であったりだとかエネルギー費の高騰によって、なかなか事業者の皆さんもつらい環境に置かれているところでございます。それに相まってというか、それを更に後押しするように、つらさを後押しするように、人材不足の中で、これまた人を集めるためにはしっかりといい待遇で人を求人しないと人が来てくれないという中で、人件費の高騰も事業者の皆さんが頭を痛めている一つの要因になると思っております。

 賃上げをしっかりしていくことは大事ですけれども、一回賃上げをすればいいという話ではなくて、しっかり連続的に賃上げをしていくという環境を国が整備していくことがまさに大事な状況でございます。

 その中で、賃上げをしっかりしていくためにも、価格転嫁が非常に大事です。上がったコスト分、人件費分全て含めてしっかりと価格に転嫁できるような環境をつくっていかないとという認識を経産省の皆さんもお持ちの中で、昨年から、また一昨年度から、中小企業庁の皆さんと公正取引委員会の皆さんがタッグを組んで、価格転嫁について頑張っていらっしゃると思いますけれども、現状の価格転嫁の状況に対するまた認識と、それを踏まえて、今後更にどういうふうな価格転嫁施策をしていこうと考えているのか、改めてお聞かせください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原材料価格やエネルギーコストの高騰への対応、さらにはこうした物価高の中でも中小企業に持続的に賃上げを実現していただくためには、価格転嫁の実現というのは不可欠だと考えてございます。

 こうした認識の下、原材料等のコスト上昇分をサプライチェーン全体で適切に転嫁できるように、毎年九月と三月、価格交渉促進月間というのを実施しておりまして、昨年九月の価格交渉促進月間の結果というのは、価格転嫁率、これが前回三月が約四割でございましたが、これが五割弱まで少し好転してきてはおります。他方で、回答した中小企業の約二割が全く価格転嫁できていないという回答もあったりしますので、これは引き続き、道半ばということで、適正化の取組を強化していく必要があると考えてございます。

 具体的には、今申し上げました促進月間の実施と、その結果を踏まえた情報公表、それから親事業者の経営陣に対して指導助言というのをしっかり進めていきたいと思いまして、今月七日には、この価格交渉促進月間の結果の追加公表として、より一層の取引条件の改善を促す観点から、発注側企業約百五十社についての転嫁と交渉状況のリストの公表を行ってございます。さらに、指導助言については、これまで総計三十数社に行ってまいりましたが、新たに約三十社についても親事業者への指導助言をやっていきたいと思います。

 体制としましても、下請Gメンを先月から三百名体制へと増やしておりまして、指導助言、それから業界別の取組への情報を集める、そこの強化をしているところでございます。

 加えて、サプライチェーン全体の共存共栄という意味では、パートナーシップ構築宣言というのもやっておりまして、これは、足下一万八千社程度まで宣言をしている企業が増えてございまして、この企業の取組状況を調査して結果をフィードバックするなど、その実効性向上にも取り組んでございます。

 これも委員御指摘のとおり、公正取引委員会も、昨年末、十三社の社名を公表するなど、強い姿勢で取り組んできておりますので、こういったものともしっかり連携をして、価格転嫁対策に全力で取り組んでいきたいと思います。

土田分科員 ありがとうございます。

 私の地元の選挙区の足立区というところは、非常に中小企業の数、割合共に多くて、私も日頃からいろいろな事業者の皆さんにお話を聞きます。

 そんな中で、皆様がいろいろ施策を進めていただいた中で、何年か前に比べると、親事業者の、価格転嫁を受け入れないといけないであったりだとか、交渉をしっかりしないといけないというような意識は大分改善されてきているようでございますけれども、他方で、Aという会社はしっかり交渉にも乗ってくれて、こちらの子事業者の方のコスト増分も考慮に入れてきてくれるけれども、B社においては交渉すらしてくれないというようなところも依然としてあるようですので、そこは非常に厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 それと併せて、私、その価格転嫁の中の大きな課題の一つとして思っているのが、目に見えない価格転嫁できないものというのが存在しているんだと思います。例えば、いわゆる今までのこの商習慣の中でお金をもらわないのが当たり前となっているサービス、いろいろあるんだと思いますけれども、金型、何か製造業で物を作るときに必要な金型なんか特にそうなんだと思っています。

 今までは、その金型、サイズはいろいろありますけれども、どんな大きいものであっても、保管とかそれを取っておくというのを、いわゆる親事業者が子事業者に対して無償で保管をしてもらっているというようなものもございます。これを今更、その保管料を下さい、保管に対してお金を払ってくださいというのはなかなか難しい話ですけれども、金型というのは外に野ざらしにしておくわけにもいかないものですから、しっかり管理する、保存しておくということに関しても価格転嫁の枠組みに入るものだという考えを示して、しっかり取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 次に、産業の成長という観点において、雇用形態の観点から質問させていただこうと思います。

 雇用形態といってもいろいろある中で、ジョブ型とそしてメンバーシップ型というような雇用形態が大きく二つある中で、ジョブ型というのは仕事に対して人を割り当てるものです、簡単に言うとですけれども。そして、メンバーシップ型というのは、これもいろいろなちょっと定義があるものの、日本で言う新卒一括採用、終身雇用、年功序列というような、いわゆる我々が一番なじんでいる人事形態なんだろうなというふうに思っています。

 今から、ジョブ型の話とメンバーシップ型の雇用形態の話、両方ともさせていただこうと思いますけれども、これは別に、私、申し上げたいのは、どっちに優劣があるという話をしたいわけではなくて、というのは、産業によって、あと業種によって、ジョブ型とメンバーシップ型、合う合わない両方あるので、優劣をつけようとしているわけではないということをあくまで前提に置きつつも、日本企業においてジョブ型を導入する意義というのをどういうふうに考えているのか、教えてください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘のジョブ型雇用でございますけれども、その導入につきましては、それぞれの企業において抱えている課題、それから目指すべきゴール、こういったものが異なりますので、そういったものをよく踏まえつつ、その導入を判断していくべきものと考えてございます。

 意義でございますけれども、その上で、一般論になりますけれども、いわゆるジョブ型雇用を導入した企業におきましては、例えば、デジタル人材など専門性を有する人材を採用できる報酬の仕組みとする、それから、従来は重要な職務に就くことができなかった若手を適材適所の観点から抜てきする、それから、日本以外の先進国で一般的な仕組みを導入することで、全世界共通の報酬体系へと見直して、グローバル化に対応できるようにする、こういった効果を期待しているものと承知をしてございます。

 加えまして、職務ごとに必要なスキルを明確化することで、労働者個人にとっても、現在のスキルとのギャップを克服するために、自らの意思でリスキリングを行い、その上で職務を選択していく、こういったことが可能になると思ってございます。その結果、従来の会社主導の異動といった仕組みとは異なりまして、自律的なキャリア形成、それからステップアップのための学び直しなどが促される、こういった効果も期待できると考えてございます。

土田分科員 ありがとうございます。今、ジョブ型のメリットであったりをお話しいただきました。

 メンバーシップ型の人事制度というのは、会社から人の出入りが少なくて、長期的に会社に必要な人材の育成、能力の育成というのに非常に優れていた一方で、個人の雇用の保障、能力の保障というのは、ある意味、会社にさいが投げられているというか、会社に権限が、決定権が大きくあるところだと思っております。

 だから、メンバーシップ型の人事制度において、働いている会社員の皆さんというのは、一概には言えないですけれども、自分自身でキャリアをどうしていこうというふうな決定権、まあ、決定権と言うとちょっと言い方があれですが、自分自身でどういうキャリアを築いていこうかというような思いを持ちづらい環境に置かれているんだと思っております。このメンバーシップ型の雇用制度、人事形態というのは、高度経済成長期のときに、製造業が非常に主流だった環境においては非常に優れていたんだろうなというふうに思っています。

 一方で、今、我が国においては八割が非製造業でございます。ジョブ型の人事制度の特徴というのは、人の出入りが激しくて、そして、企業としても競争環境の変化に対して対応しやすいというような形がございます。しかも、個人の話になると、個人の雇用を保障するのは個人の力、スキルに依存するところが非常に大きいため、そのため、個人が一人一人で、いわゆるスキルアップだったりだとか、今はやりの言葉で言うとリスキリング、自分で新たなスキルをつけよう、学ぼうというような動機が、インセンティブが非常に働きやすいんだというふうに思っています。

 やはり、今の非常に競争環境の変化が激しい世の中において、一概に全ての業種がとは言えないと先ほど申し上げましたけれども、特に競争環境の変化が激しい業界においては、ジョブ型の方が競争力強化に対して非常に有効なんじゃないかなというふうに私は思っている次第でございます。また、我が国において、成長が停滞していて、そして労働人口がどんどんどんどん減ってきてしまう中において、成長産業であったりだとか、より付加価値が高い業界に人の移動を促していくというのは大事な政策だと思っています。

 この労働市場の流動化、円滑化というのは賃上げにもつながるんだろうなというふうに考えています。というのは、やはり人の出入りが激しい分、企業は好待遇、いい条件の求人を出さないと人が来てくれないわけでございますから、労働市場の円滑化というのは給与の底上げにもつながるというふうに考えておりますが、労働移動の円滑化に関するメリットについて教えていただければと思います。

龍崎政府参考人 先生おっしゃるとおり、労働移動の円滑化によって、希望する労働者が主体的に転職することができる、こうした環境を整備することは大変重要だと思ってございます。

 経済全体では、DXそれからGXなどによって産業構造が大きく変化をする中で、新たに生み出された成長分野に円滑な労働移動を進めていくことで必要な人材を確保することは、経済成長に資するものと考えてございます。

 また、個人の観点でも、リスキリングなどを通じて、主体的に成長分野の企業、産業へと転職していくことで、キャリアアップを期待できるものと考えてございます。

 政府といたしましても、賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革により、賃上げが、高いスキルの人材を引きつけて、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げを生む構造的賃上げを目指して取組を進めてまいりたいと思います。

土田分科員 ありがとうございます。

 今、本当に先行きが不透明な時代において、企業も、そして労働者個人も、お互いに依存し過ぎず、しっかりと自分たちが自立して物事を考えていかないといけないというふうに思っております。

 高度経済成長期のときは、いわゆる労働力があふれるように出てきて、働きたい人がいっぱいいる中で、企業の力が非常に強かったんだと思います。ただ一方で、今というのは、ある意味、企業が頭を下げて人に来てもらう、働いてもらう環境になってきていると思います。

 そんな中で、個人は会社を辞める権利もございますし、一方で、企業が労働者を解雇する権利というのも、両輪で私は見ていかないといけないというふうに思っております。

 解雇について質問をさせていただきたいんですけれども、国際的に見て、OECDのデータでもあるように、雇用保護指標もあるように、日本は雇用が守られ過ぎているというわけではないという中で、しかし一方で、解雇四要件も存在していて非常に解雇がしづらい状況にもあるというふうに思っていますし、解雇のハードルが非常に高いというふうにも思っております。

 そこで、厚生労働省にお伺いしたいんですけれども、解雇規制の緩和に関する認識を教えてください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 解雇ルールの在り方につきましては、多くの労働者が賃金によって生計を立てていること等を踏まえまして、企業の雇用慣行や人事労務管理の在り方とも併せ、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題と考えております。

 一方で、先生もおっしゃいましたように、意欲ある個人が能力を最大限生かすことができるよう円滑な労働移動を促進することは、構造的な賃上げにつながる好循環を生み出す鍵となるものでありまして、希望する労働者がスキルアップを図るとともに、主体的に安心して労働移動できるよう支援していくことが重要と考えております。

 このため、厚労省では、令和五年度予算におきまして、より高い賃金で新たに人を雇い入れる企業の取組支援、新規事業に従事する労働者のリスキリングへの企業を通じた支援、個人向けの学び直し支援策として、労働者等が主体的に教育訓練を修了した場合の費用の一部を支給する教育訓練給付の対象講座の拡充等を盛り込むとともに、引き続き、職業情報提供サイト、日本版O―NETの整備など、就職や転職に資する情報提供の充実等に取り組むことにより、円滑な労働移動に向けた支援を進めてまいりたいと考えております。

土田分科員 ありがとうございます。

 本当に、解雇というと非常にマイナスなイメージがあって、私が解雇要件の緩和とか言うと、土田は労働者を首にしたいのかみたいな話になりがちなんですけれども、私は解雇というのはそんなにマイナスなことだらけではないんだよということを、やはりしっかり文化として根づかせていく必要もあるのかなというふうに思っています。

 これは何でかというと、とある調べによると、約五二%ぐらいの、今現在働いている人たちが、同じ職場で継続的に働き続けたいと思っている人は約半数ぐらいで、実際、半分ぐらいの人が別の職場の方がいいよねというふうに思っているものの、全体の四分の一ぐらいの人しか転職というワードが頭にないというデータもあるわけでございます。

 本当に、解雇というと、首になって路頭に迷ってというイメージがありますけれども、嫌々とある企業に固執して働き続けるよりも、いろいろな選択肢があって、Aという企業ではうまくいかなかったかもしれないけれども、Bという企業に転職したら、環境も自分の能力としっかり見合った、マッチした仕事もできて、生き生きと働けるかもしれないというようなポジティブな要素もあるんだというふうに私は思っています。

 また、労働市場が円滑化することによって、今まで企業の方にあった交渉権であったりだとか、労働条件を決める決定権みたいなものがあったものが、労働者の方に、雇われる方に来るという要素もあるように私は思っています。

 また、解雇四要件、いろいろ厳しいですけれども、例えば、将来のことを見据えて、新卒、若者を採用したいなというふうに思っているのに、若者を、新たに入ってくる人を採用し続けていると解雇しづらいというような現状もあって、何が言いたいかというと、若者にしわ寄せが来てしまうという可能性もあるんじゃないかなというふうに思っています。

 なので、解雇というと非常にネガティブなイメージがございますけれども、そのネガティブなイメージを取っ払って、ポジティブな側面もしっかり見て議論をしないといけないというふうに思っています。

 そして、解雇に関してですけれども、解雇に関して議論するとき、しっかりと両輪で、セーフティーネットについてもセットで考えないといけないというふうに私は思っています。

 セーフティーネットというと、守ってあげるというだけじゃなくて、解雇された人がしっかりステップアップして新たな職を得られる、自分がやりたい分野で働けるようにするためのリスキリングなんかも非常に必要だと思っていますが、現状、解雇された方に対する支援策についても併せて教えていただければと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 セーフティーネットとおっしゃいましたけれども、まさに厚生労働行政におきましては、離職された方につきましては、雇用保険による生活費の手当てや、あと、次の職場に行くための、転職するための能力を身につけるための職業訓練など、様々な施策を講じております。

 今般も、円滑な労働移動ということで、先ほども申し上げましたとおり、特に成長分野への労働移動も可能となるような学び直し支援、あと、そういう労働者を雇い入れる企業への支援などを積極的に講じてまいりますので、労働者が主体的に、希望を持って、スキルアップしながら労働移動できるような社会づくりに厚労省も貢献してまいりたいと考えております。

土田分科員 ありがとうございます。

 労働者の皆さんのスキルアップ、しっかりと支援していただきたいと思います。これだけ世の中の変化が激しくて、かつ、先行き不透明な中で、個人が自分を守るための防衛手段というのは、会社を守ることというよりは、まさに自分のスキルを身につけて、急にどこかにほっぽり出されてもどこかで働いていけるスキルが、新たな場所で働いていけるスキルがあるというのが一番の自己防衛策だと思っていますので、今もう既に、リスキリングだったりだとかキャリアアップの支援策、厚労省そして経産省、別々で進めていただいていると思いますけれども、そこを更に強力に推進していただければと思います。

 大きい項目で三点目の、産業の新陳代謝について質問させていただこうと思いますが、先ほど、私の前の委員の質問の中で、ゼロゼロ融資、今年本格的に返済が始まってくるゼロゼロ融資に対する対策はどうでしょうかという話があったので、同じ質問はちょっと割愛させていただこうと思っております。

 ちょっとかぶる部分もあるんですけれども、なぜゾンビ企業が生まれてしまうかというところなんですが、ゾンビ企業と言われている会社というのは一般的には中小企業が非常に多くて、では何で中小企業はそうなりがちかというと、個人保証、経営者が個人保証を入れていて、会社を潰してしまうと家もなくなっちゃうし、住むところもなくなっちゃうし、養わないといけない御家族も路頭に放り出されてしまう可能性があるために、会社を潰すことができずに、何とか潰さずに維持していくという苦しい闘いを強いられてしまうわけでございます。

 そこで、この中小企業の倒産時の経営者の再起に向けた支援策について教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 経営者自らが廃業を望む場合には、円滑に廃業できる環境整備を進めるということは極めて重要だと思ってございまして、特に、破産した会社の経営者のうち、七割が個人破産をしているというデータもございます。これは経営者保証による影響も推察されるところでございます。したがいまして、経営者保証が再チャレンジのネックにならないような改革を進めようということでございます。

 まず、各都道府県に中小企業活性化協議会というのを設置しておりますが、二〇一八年度から、廃業時に経営者保証の債務の整理を支援するというプログラムを始めておりまして、二〇一九年度には百十八件だった支援件数は、二一年度には二百二十四件に達するなど、支援を強化してございます。

 それから、二二年三月には、全銀協と商工会議所が、廃業時における経営者保証ガイドラインの基本的な考え方というのを公表していただき、廃業時における経営者の個人破産回避に向けて、金融機関や弁護士等の支援機関が取り組むことを明確化させていただいているところでございます。

 あわせて、そもそも経営者保証というのがない世の中にだんだんしていくというのは、これは大事だと思いますので、そういった取組をしておりまして、本年三月からは、スタートアップ、創業融資ということで、保証料の上乗せによって、創業時の経営者保証を不要とする信用保証制度を開始すべく準備を進めておりますし、それ以外にも、経営者が経営者保証の提供の有無を選択できる制度というのも、更に実施すべく今検討を進めているところでございます。

土田分科員 ありがとうございます。是非強力に推進していただければと思います。

 最後、時間がなくなってきたので、一点、中小企業のMアンドAについて、私のちょっと意見というか要望をお伝えさせていただきますけれども、今の中小企業のMアンドA市場というのは、私は日本においてはかなり不公正なものになっているというふうに思っています。大企業の、上場企業なんかにおけるMアンドAと違って、中小企業のMアンドAというのはいわゆる利益相反が起きていて、仲介型の業者が横行しているわけでございます。

 これは日本以外の国なんかを見てみると、売る側と買う側、別のアドバイザーがしっかりついていて、お互いにお互いのお客さんの利益を守るためにばちばちとやり合っている。一方で、日本というのは、仲介業者が売手と買手の真ん中に入って、両方の折衷案をある意味探しているという中において、基本的に考えると、売る側は売ることは一回しかないかもしれないけれども、買う側は再度仲介業者のお客さんになる可能性が高いという中において、これはしっかりと中小企業のMアンドAの市場の適正性が担保されているかというと、怪しい部分がある。また、かつ、買われる側の企業の価値評価をしっかり仲介業者ができているかというと、これも非常に疑義が生じる部分があるというふうに私は思っています。

 仲介会社側も自主規制団体などいろいろつくっているようでございますけれども、そこのトップを務めていた会社で不正会計が起きていたりだとか、自主規制団体のルールを、マニュアルを作る人たちが、まさに自分の業界の同じような人たちばかり名を連ねていて、果たして規制として実効性というか信頼性が担保されているのかという疑問も抱かざるを得ないと思っていますので、中小企業庁も、皆さん、何だかんだ同じような意識を持っていただいている方もいるので、これからも是非いろいろ議論できればなというふうに思っています。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて土田慎君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 自民党の今枝宗一郎です。

 早速質問に入らせていただきます。

 平成の失われた三十年。世界の成長に対して、我が国は本当に低成長でありました。この二十五年で、アメリカやイギリスはGDPは約三倍になっておりますし、G7では比較的低いドイツでも約二倍になっております。日本は残念ながらほとんど成長していないというのが現状であります。

 その中で、格差の問題も広がってまいりました。平均年収、可処分所得もここ二、三十年は伸びず、中間層の衰退が起きております。日本がこの失われた三十年から脱却をするためには、企業の付加価値、また売上げが上がって、生産性が上がり、賃金が上がることで消費が増える、そして物価も上げられる、こういう環境を、好循環を生み出していくことが重要であります。

 そこで、現政権が最も強く打ち出している賃上げについてお聞きをいたします。

 実質賃金、一九九一年から二〇一九年の二十八年間で、アメリカでは四一%、イギリスでは四八%も上昇しておりますけれども、日本ではたった五%の上昇であります。経産省としてこの賃上げにどのように取り組んでいくのか、お考えを簡潔にお答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、企業が収益を上げ、それを元に賃金を上げ、さらに消費に回ることで経済の好循環を生み出していくことは重要でございます。

 経済産業省といたしましては、賃上げ促進税制による賃上げの後押しに加えて、令和四年度第二次補正予算で大規模な国内投資支援策を講じており、成長へとつなげてまいりたいと思います。

 また、特に、我が国の雇用の七割近くを占める中小企業の賃上げは大変重要でございます。価格転嫁対策や生産性向上にしっかりと取り組み、中小企業が賃上げ可能な環境整備を進めてまいりたいと存じます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 さて、大臣におかれましては、昨年、予算委員会の理事として、同じく理事であった私に大変毎日御指導いただきまして、ありがとうございます。毎日早朝から御一緒させていただきましたので、大臣の経済成長、経済の再生に対する思いというのは並々ならぬものであるということはよくよく理解をさせていただいておりますし、賃上げの重要性についても深く御理解をいただいていると思います。

 そこで、お聞きをいたします。

 賃上げは単年ではいけないわけであります。持続可能に上がっていくようにせねばならない。そういう中で、一方、昨年末には防衛費による法人増税が急に大きな議論になったわけでございます。令和九年まで年四兆円の追加財源が必要になるということで、法人増税がその中心と当初言われて、実際の増税案まで示されたわけであります。

 しかし、先月示された内閣府のいわゆる経済の中長期経済試算においても、低成長で望ましくないベースラインケースであっても、令和九年までに四兆円の税収が増加するというふうに言われておりまして、増税でなくても財源というのはあるわけでございます。もちろんベースラインケースでいいわけではないものですから、更なる経済成長を目指していくということに変わりはありませんけれども、最低でもこれぐらいはあるということであります。

 今後、持続可能に賃金を上げ続けるためには、やはりそれに負の影響を及ぼす政策を放置しておくわけにはいかないという観点から、いろいろとこれから考えていかないといけないというふうに思っております。これで、もし予定どおり法人増税がされた場合に、賃金上昇への負の影響というのはどのようなものになるのか、大臣のお考えをお聞かせいただければありがたいなと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 まさに、企業がこの大変革期にあって、また物価上昇をしていく中にあって、ようやく賃上げをしていかなきゃいけないという雰囲気が出てきているところでありますので、私としては、増税するに当たっても、そうした企業の思い、意欲に水を差すようなことがあってはならないという観点で様々な議論を行ってきたところであります。

 一般論として、一概に、法人税負担の増加による、どういう影響があるかというのは、なかなかお答えするのは難しいわけでありますが、今回、様々な議論の結果、一般の中小企業の負担が増えることがないように九四%の企業を対象外とするなど、経済や暮らし、雇用に悪影響を及ぼさないよう最大限配慮する仕組みとされているところであります。

 今後どのような形で進めていくかについては、更に与党において議論が進められているというふうに承知しておりますけれども、総理からは、経済あっての財政であるということ、そして、必要な対策はちゅうちょなく行っていくという考えをお聞きをしております。ですので、引き続き、国内投資や賃上げを促していく、そうした企業の取組をしっかりと後押しをしながら、経済成長を軌道に乗せていくための必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。

 特に、人件費をコストとして考えるのではなく、むしろ未来への投資と捉える、そうした発想の転換が必要だということで、経済界にも私から申し上げているところでありますし、補正予算で手当てした七兆円規模の国内投資支援策とか、あるいは賃上げ促進税制、拡充を図っております。こうしたことを通じて、大胆な民間投資を進め、成長につなげていく。

 そして、リスキリングの予算も確保しておりますので、そうしたことを通じて、しっかりと所得向上、賃上げにつなげていきたいと思いますし、特に中小企業の賃上げ、雇用の七割を占めておりますので、価格転嫁を徹底していくこととか、あるいは生産性向上のための支援策、こうしたことも含めて、中小企業が賃上げできる環境も整備をしていきたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございました。大臣の思い、しっかり伝わりました。

 これで御退出いただいて結構でございます。お時間取らせて失礼いたしました。

 防衛増税の議論に関しましては継続をしておきますので、しかるべき形をしっかりと模索をして、議論してまいりたいというふうに思っております。

 さて、賃金を持続的に向上させていき、失われた三十年間を打破するには、次世代の成長産業をつくることが重要であります。そのときに、現在の日本の強みを生かしていくのがやはり最も有効な策であると考えております。

 自動車産業は、製造品出荷額が六十兆円を超えて製造業の二割程度、雇用も、五百五十万人から、場合によったら八百五十万人までということで、全体の一割以上と、極めて重要な産業であります。勝ち続けられる戦略というのが必要であります。

 一方、現政権では、成長戦略の中でグリーンの話が多く出ます。確かに、カーボンニュートラルにしろ、脱炭素にしろ、地球環境、また持続可能に人間社会を守っていくために非常に重要です。

 その中で、電気自動車、バッテリーEV、BEVがよく報道をされますので、カーボンニュートラルの自動車だとBEVしかなくて、ほかのものを進めるのはカーボンニュートラルに否定的なんじゃないかみたいなことを考える方がいらっしゃるかもしれませんけれども、このBEVにも、蓄電池の開発ですとか、そのための原材料であるレアメタルが特定の国に集中をし、依存しなくてはならない経済安全保障上のリスクがあることなど、様々な課題があることも事実であります。

 そういった中で、こういったリスクがあるにもかかわらず、世界各国が、この電気自動車、BEVしか走らせないような、売らないような、こういう規制を予定しているのは、正直言って自国の自動車産業を考えてのことであると言わざるを得ません。すなわち、エンジン、内燃機関は、日本などの先行メーカーの技術力に追いついていくのに、参入障壁が高いわけであります。BEVのような、モジュール型で参入障壁が低いものの方が、新たにシェアを取りやすいというわけであります。

 自国の自動車産業に有利なようにBEV一辺倒の流れをつくっているという側面もあると思います。こういったBEVの部品点数、三分の二になってしまいますし、我が国には、諸外国の動きとは、経済的にも、雇用としても、やはり考え方が違うのだというふうに思っております。

 そして、特にロシアのウクライナ侵略以降、流れは変わりつつあると思っています。このBEVが全て普及をしてしまったら電力が全く足らなくなる、こういったことを言われておりますし、これは、BEV一辺倒の流れをつくっている欧米でも同じであります。

 我が国の現在の姿勢としては、ハイブリッドやPHEVや水素で走るFCVなど、多様な選択肢を追求していくということになっていると思います。

 特に、内燃機関はありながらカーボンニュートラルを実現するのには、燃料の方を脱炭素するというのが発想としてございます。これがまさに合成燃料であります。我が国の自動車政策の最重要政策が私はこの合成燃料の実用化だと考えておりまして、政府も、成長戦略の中で、二〇四〇年の商用化を目指して、GI基金も生かしてプロジェクトを行っていただいていると思います。

 しかし、二〇三五年、新車販売は全て電動車になります。もちろんBEVのみならずハイブリッドも入っていますけれども、内燃機関が大きく減ってしまうと、やはり、今の燃油高騰の中で、全国津々浦々で頑張っていただいているガソリンスタンドが、この二〇四〇年まで待っていると本当に厳しい状況になってしまうかもしれないという危機感があるわけでございます。

 そこで、新車販売が全て電動車となる二〇三五年までに合成燃料を何とか実用化をすべきではないでしょうか。この提案、私、昨年の予算委員会でも行いまして、大臣から、可能な限り早期に実現できるよう取り組みたいという答弁ももらっております。この五年前倒しを真剣に検討していただいて、政府目標としてもらいたいと思います。来年度の骨太の方針には間に合わせるように検討をお願いしたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、合成燃料は、現時点では、二〇四〇年までの商用化を目指して、GI基金などを通じて、高効率かつ大規模な製造プロセスを確立するための技術開発を進めてございます。

 他方、この目標につきましては、二〇三五年に乗用車の新車販売において電動車を一〇〇%にするという政府目標との時間軸にそごが生じておりますことなどから、各方面から商用化目標を前倒しすべきとの御意見をいただいておりますし、今、今枝先生からも御指摘があったとおり、これまでの予算委員会における質疑でも同様の御指摘をいただいているところでございます。

 こういうことを踏まえまして、GX実現に向けた基本方針、これは今年の二月に閣議決定されましたけれども、その際には、今後の道行きとして、二〇四〇年のこの商用化目標につきましては、可能な限り前倒しを追求するというふうに明記してございます。それを踏まえて、現在、商用化の前倒しに向けて、何年がふさわしいのかということも含めて、前倒しの具体的な方策を検討しているところでございます。

 委員の御指摘もしっかり受け止めまして、できるだけ成案を早く得て、合成燃料の早期商用化につなげられるよう、真剣に取り組んでいきたいと考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。大変ポジティブな御回答をいただきました。

 これまで自動車産業の未来についてお話をしてきましたが、ちょっと次に、足下の自動車産業の生産性向上も重要であります。

 三河地域は自動車産業が集積をしておりますけれども、特に、自動車輸出入に強い三河港とのアクセス道路、これは国道二十三号線なんですが、これが、九・一キロ、ミッシングリンク化していることで、近隣の渋滞がひどくて、運送時間の約四割が実は渋滞の時間であるというようなデータもございます。

 そこで、この国道二十三号線、令和六年度に全線開通をするという目標でありますけれども、その年度の中の一日でも早い全線開通を望みますので、いかがかということ。

 そして、もう一つ、この国道二十三号線は四車線区間と二車線区間が混在をしております。周辺の渋滞が非常にひどいことになっているわけでありますが、国道二十三号線西尾東インターから幸田芦谷インターまでは、当初、全線開通してから調査を始めますということでありましたけれども、実際には、令和二年から四車線化の事業を開始、調査もしていただいております。これは感謝を申し上げたいと思います。五年前倒しで事業はスタートいただいたという認識でよろしいでしょうか。

 そして、これは、できるだけ早く、これだけ早期にスタートいただいたので、四車線化の実現もその分早く実現をしていただきたいわけでありますけれども、いかがでしょうか。国交省にお聞きします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 蒲郡バイパスの未開通区間である豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間につきましては、令和六年度開通を目指し、現在、全面的に改良工事及び橋梁上下部工事を推進しているところでございます。

 当該区間のうち、金野地区では、工程上のクリティカルとなる六十万立米を超える大規模切土工事があり、現在、約八割の工事が完了しているところでございます。

 これらの工事が順調に進めば、予定どおり、令和六年度の全線開通が可能と考えております。

 また、岡崎バイパスの西尾東インターチェンジから幸田芦谷インターチェンジ間につきましては、令和二年度より四車線化の設計に着手しております。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、一日も早い開通を目指し、蒲郡バイパスを始めとする名豊道路の整備を進めてまいります。

今枝分科員 ありがとうございます。

 全線開通も四車線化も、いち早く完成をいただきますよう、改めてお願いを申し上げます。うなずいていただいて、ありがとうございます。

 もう一つ、残りの二車線区間の問題があります。先ほど言ったように、全線開通したら、幸田芦谷インターから、今度、豊橋、前芝インターまでが二車線区間となって、これも即渋滞をすることが目に見えております。これらの箇所もいち早く四車線化の事業を開始すべきではないでしょうか。全線開通したらその翌日から交通量調査もできますし、これは令和六年度中に四車線化事業を開始すること、調査することもできると思いますので、是非御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 国道二十三号バイパスである名豊道路は、約九割が開通しており、約四割が四車線で整備済みでございます。

 名豊道路の残る四車線整備につきましては、令和六年度全線開通後の混雑が見込まれる豊橋バイパスの野依インターチェンジから大崎インターチェンジ間で橋梁工事を、岡崎バイパスの幸田芦谷インターチェンジから西尾東インターチェンジ間で設計を現在実施しているところでございます。

 議員御指摘の、蒲郡バイパスの幸田芦谷インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間の四車線化につきましても、全線開通後の交通状況や豊橋、岡崎バイパスの四車線化事業の進捗状況を踏まえて検討してまいります。

 今後も、引き続き、名豊道路の一日も早い全線開通を目指すとともに、二車線区間の交通状況等を踏まえて、順次、四車線化を図ってまいります。

今枝分科員 どうもありがとうございます。

 とにかく、すぐに調査に入っていただいて、事業を開始していただければと思います。

 次に、自動車産業の未来を考えたときに重要な水素についてお聞きをいたします。

 水素ステーションの整備も現在加速をいただいておりますので、非常にこれはありがたいというふうに思っておりますし、更にお願いをしたいと思っています。

 ただ、これは、水素ステーションを造ったりとか運輸部門の燃料が水素となるだけではなくて、水素がエネルギーとして当たり前に使われる世界、まさに水素社会の実現が必須だと考えております。特に製造業はエネルギーを本当に多く使いますので、これを水素に置き換えていくことでカーボンニュートラルにも大きく貢献ができると考えております。

 一方、この水素、当面は輸入に頼らなくてはなりません。輸入するには港が必要であります。自動車産業のメッカであり、先ほども言ったように、裾野産業も膨大に持つ、製造業の一大集積地であるいわゆる三遠南信地域は、どこを拠点にするのかが重要になってまいります。

 折も折、港湾政策としても、カーボンニュートラルポートも推進をいただいていると思います。三河港、蒲郡港は、このような製造業集積地を後背地に持っていることから、カーボンニュートラルポートを推進するべき、まさに本当に大事な大事な港かと思います。

 実は、二〇一九年に進水をした世界初の液化水素運搬船である「すいそ ふろんてぃあ」、これは川重さんが造ってくれたんですけれども、水深十・六メートルであります。更に進化をした十六万立方メートル型の水素運搬船は、これは喫水が九・五メートルであります。蒲郡港の最新岸壁は、水深は十一メートルであります。これなら、例えば蒲郡港を水素輸入の拠点とすることなど、様々な可能性がこのカーボンニュートラルポートに向けて考えられますけれども、港湾局としてはどのように感じられておられるのか、教えてください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 蒲郡地区を含む三河港の港湾管理者である愛知県は、昨年十一月に、三河港カーボンニュートラルポート形成協議会を設置をし、立地企業や関係行政機関などとともに、地域の脱炭素に向けた検討を進めております。

 取組の具体化に向けて、現在、当協議会は、三河港や周辺地域に立地する自動車産業を含む企業を対象に、水素等の需要について調査を実施中です。

 また、脱炭素化に資する具体的な取組として、三河港を含む伊勢湾、三河湾エリアでは、我が国初となる環境性能に優れたLNG燃料船への燃料供給体制を整備をし、自動車輸送の低炭素化に寄与しています。将来的には、次世代船舶燃料の動向を踏まえた対応についても検討していくことが重要と考えております。

 国土交通省といたしましても、三河港における今後の検討状況を踏まえながら、また、経済産業省とも連携をしつつ、必要な対応についてしっかりと取り組んでまいります。

今枝分科員 どうもありがとうございました。

 三河港、蒲郡港の可能性について幅広にお答えをいただきました。

 このように非常に可能性の高い三河港でありますけれども、高速道路から遠いという実は問題がございます。そのためのアクセス道路が重要になってきます。

 その中でも、国道百五十一号線一宮バイパスは、いち早く全線開通せねばならないと考えております。これは県の事業でありますけれども、国が実は個別補助で箇所づけを行っておるものですから、やはり、完成年度及び残事業の事業費、残り幾らあるのか、こういったものをいち早く示すべきだと考えております。十分な予算の補助で国も全線開通に全力を尽くすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国道百五十一号一宮バイパスは、東三河北部地域から重要港湾である三河港へのアクセス強化に資する事業であり、愛知県が整備を進めております。

 現在、愛知県におきましては、豊川市大木町から麻生田町間の工区では、用地買収、橋梁工事、改良工事を推進しております。また、新城市川田から豊川市大木町の区間では、今年度より用地買収に着手したところであると愛知県より聞いております。

 この事業は、整備効果が大きく、国土交通省としても重要な道路であると認識しておりまして、愛知県からの要望を踏まえ、引き続き補助事業としてしっかりと支援してまいります。

今枝分科員 どうもありがとうございます。

 是非とも、国としても強いコミットメントを示していただきたいというふうに思います。

 さて、では、少し話題を変えて、続いて、サーキュラーエコノミーについて質問をしたいと思います。

 持続可能な地球環境をつくっていくためにも、カーボンニュートラルのみならず、サーキュラーエコノミーを実現していくということが非常に大事であります。それも、ただ循環型社会をつくる環境政策として捉えるのではなくて、新たなバイオ技術などを、イノベーションを活用した産業政策、成長戦略として推進していくことも非常に重要であるというふうに考えております。

 例えば、スパイバーというベンチャー企業、スタートアップ企業がありますけれども、バイオ技術で、海洋プラごみにならないように、自然に土に返る人工のたんぱく質の開発、製造を行っておりまして、これは繊維などに活用ができます。今後は、実際にそのような形で生産をされた繊維を、まさに国内の繊維産業が盛んな地域で、例えば、服ですとか、タオルもそうですし、カーテンといった内装など、製品にして消費者にお届けをしていく、そういった社会実装が重要になってくる局面であります。

 我が地元の蒲郡においては、サーキュラーエコノミーシティーも標榜しておりまして、愛知県の繊維技術センターも存在をいたします。こういった地域で、新たなバイオ繊維産業のクラスターをつくるために、サーキュラーエコノミーを推進する意味でも、国として、指定をして集中支援をしていくことが考えられますけれども、いかがお考えになられますでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 繊維産業におけるサステーナビリティーへの関心は世界的にも高まっておりまして、委員御指摘のとおり、日本の繊維産業もサーキュラーエコノミーへの移行を推進していくことが重要であります。

 経済産業省といたしましては、昨年五月、繊維産業ビジョンを取りまとめましたが、その中でも、重点的に取組を進める分野として、サーキュラーエコノミーを含むサステーナビリティーの推進を位置づけております。

 委員御指摘のバイオ繊維につきましては、繊維原料の脱石油化や、製造プロセスにおけます環境負荷の低減などが期待され、サステーナビリティーの観点から重要な役割を担うものと認識をしております。

 令和四年度補正予算では、バイオ繊維を始め多様なバイオ製品を作り出すバイオ物づくり技術の開発、実証への支援に三千億円を計上したところであります。経済産業省といたしましては、こういう施策も活用しながら、繊維産業クラスターも含めて、繊維産業におけるサーキュラーエコノミーを推進してまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 やはり、産業クラスターとして進めていくということが、実際にはかなり社会実装に大事になってくるので、非常にその点も理解いただいていてありがたいというふうに思っております。

 では、続いて、政権の成長戦略の一丁目一番地であるスタートアップについて質問したいと思います。

 私、スタートアップ推進議員連盟の事務局長といたしまして、長くスタートアップ推進に関わらせていただいてまいりました。その中で、スタートアップエコシステムグローバル拠点形成ですとか、また、昨年のスタートアップ五か年計画、税でも、日本版QSBS制度によるエンジェル税制でアメリカの一・五倍の非課税額をかち取るなど、推進をしてきたわけでございます。

 時間がかなりになっているものですから、二問用意したんですが、一問だけにしたいと思います。

 この五か年計画で、スタートアップへの投資額を五年で十倍にするという目標があります。このためにも、さらにまた、総理のおっしゃっている金融所得課税の、いわゆる倍増にも関わってまいりますけれども、今、日本には個人資産二千兆円が、預金という形で、年間ゼロコンマ数%という低い率で眠っているというのが非常にもったいないんじゃないかなというふうに思っております。

 これは、シニア層の老後の蓄えということでもあると思いますので、一部は安定的に置いておく、貯金しておくということも分かりますけれども、全ての預金がそうではないというふうに思います。大体三分の二ぐらいはそうじゃないんじゃないかなというふうに私も個人的には試算をしております。

 しかし、ハイリスクなスタートアップ投資を知識や目利き力のない一般の方々にやっていただくのは、やっぱりちょっと不可能だと思っておりまして、VCにそういった資金を集めていくということが重要だと考えています。

 そういう中で、イギリスにはVCTという制度があります。ベンチャーキャピタルトラストの略でございまして、九五年に非上場企業への投資促進を目的として導入されました。しかも、そこに三〇%の所得税の軽減という税制優遇も受けられます。

 日本も昨年から新たな制度が始まっていますけれども、課題も数多く実はある中で、もうシンプルに日本版VCT制度をつくってしまった方がこれは広がりやすいのではないかなというふうに考えるのですが、政府としてはいかがお考えでしょうか。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、政府といたしましては、昨年十一月にスタートアップ育成五か年計画を決定いたしまして、スタートアップへの投資額を五年で十倍にすると目標を掲げまして、官民一体として取組を進めているところでございます。

 先生御指摘の、特に個人からの投資を呼び込む観点でございますけれども、令和五年度税制改正において、保有する株式を売却してプレシード、シード期のスタートアップへの再投資を行う際には、二十億円を上限とした非課税措置を創設することとしておりまして、今国会で御審議をいただくことになってございます。この措置は、投資事業有限責任組合、LPSを経由した投資の場合においても適用可能でございまして、一部ではございますけれども、個人によるベンチャーキャピタルを通じた投資の促進にも効果があるものと理解をしてございます。

 加えまして、先生御指摘のイギリスのVCTでございますけれども、これは非上場企業に対して投資を行う上場ファンドでありまして、これに投資をする個人投資家につきましては、先生御指摘の、取得価額の三〇%の所得税額控除、それからキャピタルゲイン及び配当が非課税になる、非常に大胆な仕組みであると認識をしてございます。

 経済産業省といたしましては、関係省庁とも連携をしながら、引き続き個人によるスタートアップ投資の促進に向けた取組を進めてまいりたいと思ってございます。

今枝分科員 ありがとうございます。是非、検討を深めて、実現をしていただきたいというふうに思います。

 これまでちょっと成長戦略についてずっとお話をしてきましたけれども、足下、輸入物価高またエネルギー高によって中小企業は非常に厳しい状況にございますので、そちらについて一問だけ質問したいと思います。

 電気料金高騰については、一月から支援制度がスタートし、都市ガスの支援も行われているというところであります。しかし、LPガスに対する支援は、事業者の生産性や効率性向上に資する支援、補助メニューのみであります。LPガス会社は都市ガス会社と違って全国に一万六千軒もあるので、これ全部には支援し切れないよというのがお話でございましたけれども、いわゆるガソリンスタンドにおいても同様の状況であり、こちらは元売に補助をして価格を下げたわけであります。

 LPガスも同様に元売に補助をして下げることができたんじゃないだろうかということ、なぜやらなかったのか、これは明快な御答弁をお聞きしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガスの元売事業者を通じた価格補助ができないかということでございました。

 まず第一に、ガソリンに関しましては、毎週、国際価格を踏まえて卸値というのが、各元売が全国一律に決めるということで、価格改定の方法、頻度などが標準化されているという状況があるのに対しまして、LPガスの卸売の方法は、入札もあれば相対取引もあればということで様々でありますし、供給形態も、大型タンクによる容器単位での販売もあれば、家庭用のボンベで月ごとに使用量に応じて請求するというようなやり方もありまして、多岐にわたり、一様ではないという事情がございます。

 また、第二に、これは委員御指摘いただいたとおり、元売事業者が十一社なんですけれども、卸売事業者が約一千社、小売事業者が約一万七千社ありまして、卸売事業者を経由するものもあれば、直接、小売事業者に供給されるという場合もありまして、流通経路が非常に多段階で複雑な状況であるということがございます。

 こうした理由から、仮に元売に補助をいたしましても、末端の小売価格にその効果を反映させることがかなり困難だと考えておりまして、公平かつ客観的な運用ができないというふうに私ども判断しまして、ガソリンなどの燃料油と同等の価格補助は実施しないという判断をしたところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ただ、月ごとに、例えば家庭用であれば価格が出るわけでありますから、そういったものをフォローしていくとか、いろいろなやり方はあると思います。

 きちっと今後検討いただければというふうに思っておりますし、全国に一万六千、七千あるLP事業者全てが今の補助金で、効率化して値段を下げるわけにはいかないので、更なる支援を強く要請して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小林主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石井拓君。

石井(拓)分科員 皆さん、こんにちは。自由民主党、石井拓です。

 私の方から質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、予算案のうちのエネルギー対策特別会計関連事業、GX支援対策費関連事業、これまでの成果と課題、今年度の事業についてお伺いいたします。エネルギー対策、GX対策においては多くの事業が予定されておりますけれども、私の方からは、重要であると私なりに思う四点に絞ってお伺いいたします。

 また、今月政府において取りまとめられた、グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針、今後十年を見据えたロードマップに関しても、関連しますので、質問もさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが、新規事業でもあります競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業、予算額としては八十億円というふうに表示されていたと思いますが、これについてお伺いします。

 水素はCO2排出ゼロのエネルギーであり、また、素材としても大いに期待されるところですが、安定的に安価に量的にも対応して供給されるようにサプライチェーンの構築が必要となります。これは、海外から国内へ供給するサプライチェーンも、そして国内で需要のある場所へ供給するサプライチェーンも必要となってきます。その技術開発を行う事業になると思いますが、どのように取り組むのでしょうか。

 また、コストの面で考えれば、大量に消費することで価格も下がりますし、商用化を見越したサプライチェーンでなければなりません。需要側には社会実装のための試験や研究も必要であり、重要となってまいります。それを促進するため、また民間企業への支援もサプライチェーンの構築に必要であると思います。

 経産省として、今後の取組を伺います。お願いします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素は、委員御指摘のとおり、電化が困難な分野を始め、多様な分野の脱炭素化に貢献するカーボンニュートラルに不可欠なエネルギーだと考えてございます。ウクライナ情勢を踏まえて、欧米や中国を中心とした各国でも、水素の導入に向けて取組が加速しております。

 経済産業省といたしましては、御指摘いただきました令和五年度予算あるいはグリーンイノベーション基金なども活用しながら、水素の効率的な製造、大量輸送、利用に関する技術開発を支援し、水素の供給コスト低減を実現していく考えでございます。

 さらに、委員御指摘のとおり、大規模かつ強靱な水素あるいはアンモニアのサプライチェーン構築に向けまして、既存燃料との価格差に着目しつつ、事業の予見可能性を高める支援や需要創出につながる供給インフラの整備支援などの検討を進めているところでございます。

 引き続き、早期の社会実装につながるよう、経済産業省としても様々な政策措置を取っていきたい、かように考えてございます。

石井(拓)分科員 お答えありがとうございます。

 ちょっと加えて質問したいんですけれども、海外から入れる国際サプライチェーンの構築というのが大事なことでありまして、大量に入れる必要があります。さらに、必要なところに国内のサプライチェーンというのも、この事業、いかがお考えになられるかを少し説明をお願いいたします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、海外から大量の水素を持ってきて商用化で活用する、こうした観点でのサプライチェーンの構築も非常に重要でございますし、できるならば、国内で水素、アンモニアを製造して、それを適地に運んでいくといったようなサプライチェーンの構築も重要でございます。

 それぞれコストも考えながら、しっかりと技術開発を進めて、先ほど申し上げましたような制度的な支援も考えながら加速を図っていきたい、かように考えてございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 国内についても、国内企業に対しての、あるいは制度についてもいろいろと手を加えなきゃならないところがたくさんあると思いますので、前向きに前進をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、化石燃料のゼロエミッション化に向けた持続可能な航空燃料、SAF、アンモニア生産、利用技術開発事業についてお伺いいたします。

 SAFについては、国際航空分野で規制が厳しくなり、我が国の航空会社も強く求めているところであります。燃料アンモニアについても、私は非常に期待しておりますけれども、火力発電における石炭からの転換、あるいは、ボイラーなど熱交換のエネルギーや、更に高温を維持する工業用の炉のエネルギーに有効であるとされております。

 生産、利用技術の開発を行うとされておりますが、どのような取組を行うのでしょうか。お伺いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事業におきましては、化石燃料からのCO2の排出削減に向けた取組を加速化させるという目的のために、航空機燃料の代替となるSAFの製造技術開発や、燃焼してもCO2を排出しないアンモニアを燃料として利用するための技術開発支援などを実施しているところでございます。

 まず、SAFにつきましては、御指摘のとおり、航空分野における国際的なCO2の排出規制の強化に対応するため、廃食油や古紙などからSAFを製造する複数の技術の開発、実証に取り組む事業者を継続的に支援しておりまして、二〇二四年度末を目途に製造技術の確立を目指しているところでございます。

 また、燃料アンモニアにつきましては、二〇二五年度を目途に、工業炉で利用するためのバーナーあるいは試験炉の設計、製造などの技術開発を進めるとともに、アンモニアの製造工程における省エネ化あるいはCO2削減に資する製造技術の確立も目指しているところでございます。

 こうしたカーボンニュートラルの実現に向けて有望なSAFあるいは燃料アンモニアの早期実用化に向けて、様々な事業者を後押ししてまいりたいと考えてございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 今お答えいただいた中で、SAFについては正直言って待ったなしだと思っておりますので。ただ、食用油をリサイクルというかリユースしていくという、非常にいい考えなんですけれども、それをどうやって集めるかとか、そういうことまで、まだ技術開発の段階かもしれませんけれども、技術開発と同時に、商用化、SAFについてはもう商用化が急がれますので、そういった点はどのように考えられているのか、一つお伺いしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 SAFの、燃料として今一番実用化が進んでおりますのは、御指摘のとおり、いわゆる廃食油でございまして、御案内のとおり、これを、今は主として飼料、動物の餌に使われたり、一部輸出に回っていたりもするんですけれども、これをいわゆるSAFのためにいかに効率的に集めてくるか。これは国内もありますし、海外ということも両にらみで考えていく必要があると思うんですけれども、それをしっかり集める供給網の確立ということが今、重要な政策課題だというふうに認識してございます。

 これは、経産省の力だけではなくて、いろいろな他省庁、例えば環境省、農林省の御協力もいただいて考えていく必要があると思っておりまして、これに関しては、今、SAFの利用に向けた官民協議会というものを昨年から設立して、効率的ないわゆる材料の供給体制の在り方について今検討を進めているところでございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 官民協議会を進めていただいているということで、もちろん進めていただきたいと思いますけれども、農産物からのSAFということも、海外は盛んに行われていますけれども、国内ではなかなかないという点と、先ほど言われたように、農林水産省あるいは環境省との協議をしながらも、今までの規制などを解除していく、あるいは、価格についてもどのように、これ、コントロールすべきかどうかというのはちょっと分からないんですけれども。

 そういった意味では、農家の方たちにも影響するならば、安定的な形を取って、そちらへ供給するということまで国の方はやらなきゃいけなくなってくるので、その点が一番気になっておりまして、是非、官民協議も含めて、前向きに進めて、しっかりとした制度をつくっていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 カーボンリサイクル・次世代火力発電の技術開発事業、これは百七十六億円ということで表示されております。そして、先進的CCS支援事業は三十五億円ということで、これは新規ということになっていたと思いますが、これについて伺いたいと思います。

 CO2を発生しない燃料へ置き換えるための技術開発は必要で、継続し続けなければなりませんが、カーボンリサイクルという、発生したCO2をリサイクルするという意味だと思いますけれども、CO2を分離、回収し、別の用途などに有効利用していくというこのCCUS、カーボンをキャプチャーして、ユーティリティーは使っていくという仕組みを技術開発としてつくっていくということになりますが、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて重要な取組になると思います。

 この点について、既に進めているCCSとCCUSと名前がよく似ているんですけれども、全く違うものでもあるようで、とにかくこれを集めて、あるいは分離、回収してということでは一緒だと思いますけれども、これについても現状と今後の取組についてお伺いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けては、電化や水素の活用などでは脱炭素化が、電化、水素化で最大限、脱炭素化を進めているんですけれども、それでもなお排出されてしまうCO2につきまして、これを回収して、資源として再利用する、これがCCU、ユーティライゼーションですね、それを地下に貯留して閉じ込めてしまうCCS、ストレージを含めた、いわゆるCCUSの取組が不可欠であると考えてございます。

 まず、このCCU、あるいはカーボンリサイクルとも言っていますけれども、につきましては、CO2を様々な製品の原材料として活用することを目指しまして、グリーンイノベーション基金なども活用して、技術開発や社会実装への支援を進めているところでございます。例えば、CO2を原料としたコンクリート、これは既に実用化に成功してございます。あるいは、CO2と水素を反応させて合成燃料や合成メタンなどを生成する研究も今進めているところでございます。

 また、CCS、貯留の方につきましては、これは、脱炭素化に向かう中での最後のとりでともいうべき技術であると考えてございます。二〇三〇年までのCCSの事業化を目指しまして、現在、コスト低減や適地開発、事業化のための環境整備といった様々な課題の解決に取り組むためのCCS長期ロードマップの案を今年の一月に提示させていただいたところでございます。

 今後、二〇三〇年までの事業開始に向けまして、例えば、モデル性のある三ないし五つのプロジェクトから集中的に支援を開始しまして、二〇三〇年までに年間貯留量の六百ないし一千二百万トンの確保にめどをつけるということを目指すとともに、さらには、新法としてCCS事業法をできる限り早期に法制度化することを目指して取り組んでいるところでございます。

 これらを通じて、カーボンニュートラルの確実な実現に努めていきたいと考えてございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 CCSの先ほど言われた法整備もしっかりと取り組むということで、今までにないことだと思いますし、国内と海外でも取扱いが変わってくるかもしれませんけれども、とにかく国内でも行っていくという考え方はよく分かりますので、是非進めていただきたいと思います。

 もう一つ大事なのは、CCUSの方で、先ほど言われた、合成燃料、合成メタンをそれに基づいて作っていくというお考えをおっしゃられました。後ほどまたこれについても質問させていただきますけれども、CO2を捕らえるという、要は、何かを燃やしたときに煙、ガスとなって、それを取るという装置とか開発されていると思いますけれども、これについて、装置についての開発というのはまだまだ進めていかなきゃならない、いろいろな場面場面で形を変えなきゃいけないというデメリットもあるかなと思うんですけれども、その点の進捗状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。いかがですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、CCUS、二酸化炭素を回収して活用していくことを考えた場合には、まさにCCSを、回収するところのプロセスに一番エネルギーも使いますし、コストもかかっているというのが現状でございます。

 CCUSをいわゆる商業化、実用化していくためには、そこの回収技術のコストの削減が大きな課題となっておりまして、今、国の方でもそのための様々な研究開発あるいは実証事業を進めているところでございまして、重工メーカーなどと連携して、そこの技術のコストを削減して、まさに日本発の技術が海外でも使われるような、そういう市場を獲得していくということも視野に入れながら取り組んでいるところでございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 日本発の技術ということの話もありますけれども、海外でも使える技術ということで、新しい産業といいますか分野の開発ということでも言えると思いますので、是非進めていただきたいと思っております。

 いずれにしても、CCSで地中に埋めるという点も含めて、CCUSで最後の最後まで利用してやろうという考え方が非常に一番カーボンニュートラルの趣旨としては合っていると思いますので、必ず成功させていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 次の質問、GXリーグ、グリーン・トランスフォーメーションリーグ運営事業、十六億円ということで計上されておりまして、これについては、このGXリーグ、昨年、基本構想をまとめられて、二〇二三年度からの本格稼働に向けて準備が進められてきました。

 国内のカーボンニュートラルに取り組む企業に向けて、カーボンクレジットなどを売買するマーケットを確立していくというようなイメージを持っておりますけれども、いよいよ、こういった形でカーボンクレジットなどが頻繁に行われていくかなと思いますけれども、そのイメージを持つんですけれども、その概要とか将来的な方向性についてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 GXリーグは、脱炭素に果敢に取り組む企業群が、国際的にもリーダーシップを発揮いたしまして、ビジネスの力で排出削減も行い、それを成長につなげるとともに、世界にも貢献していく、こういうことを行うための取組でございます。

 具体的には、自らの排出量を市場取引も活用して削減することで、社会から正当に評価されるための環境整備を行うとともに、炭素排出の少ない製品あるいはビジネスが収益性を高めるための各種ルール整備、これも必要でございますので、これを形成することを目指す官民連携の新たな枠組みでございます。一月末の時点で、我が国の排出量の四割以上を占める六百七十九社から賛同をいただいているところでございます。

 その中で、グリーン・トランスフォーメーションリーグ運営事業、これは令和五年度の予算事業でございますけれども、こうしたGXリーグの運営に加えまして、排出量を市場取引する場としてのカーボンクレジット市場の創設に向けた技術的検討も行うということで考えております。

 政府といたしましては、このGXリーグの今後ですけれども、これを段階的に発展、活用していく方針でございます。本事業において、来年度から、すなわち今年の四月以降ということですけれども、排出量取引を試行的に開始いたしまして、国、企業双方が知見やノウハウを蓄積しつつ、二〇二六年度からは、これは御指摘もありました、閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針、ここにも規定されておりますけれども、排出量取引制度を本格稼働させる、二〇二六年度からということで、そこにきちっとつなげていきたい、このように考えているところでございます。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 要するに、マーケットを形成、つくり上げるというところと、クレジット、例えば証券なら証券というクレジット、これを売る人、買う人が出てくるという考え方でよろしいのかという点と、あと、どれぐらいの規模のものを取り扱うのかという点。

 例えば、カーボンニュートラルポートで、今でも進められているところがあると聞きますけれども、この一帯は例えば海藻などを植えて、それでCO2を削減していきましょう、港全体でやっていきましょう。じゃ、それを作業する人はどこからお金をもらうんですか。まあ、企業がお金を出すこともありますし、ボランティアだからという面もありますし。

 そういった、もしかしたら小規模になるかもしれませんけれども、確実に、カーボンニュートラルに向けて、全国くまなく広めていくといいなと私は思っているんですけれども、そういった面の方法、売り買いというか紹介というか、あるいは相談とか、そんなイメージも持ってほしいなと思うんですけれども、その辺りはどうなりますか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、排出量取引の中でクレジットのやり取りをすることになろうかと思います。

 排出量取引の本格稼働に向けては、制度はこれからにはなりますけれども、まず、今年の試行におきましては、これはまず自主的な取組からスタートいたしますけれども、企業に自分の目標となる排出枠を決めていただき、それでその過不足に応じまして取引をする、そういう仕組みが将来想定されているわけでございます。

 初期の段階では、実際売れるようになるクレジットをどういうふうに認めるかは、これはなお引き続き調整をしております。というのは、自主的に自分で目標を設定するものですから、それよりも下回ればすぐに売れるクレジットが生まれるということだと公平性が必ずしも担保されないという面もございますので、そういう意味で、そこのルールは今検討しておりますけれども、将来的な排出量取引では、一定の排出枠、それを、実際の排出量が下回れば売れるクレジットが発生しますし、足りなければほかから調達していただくというような、そういう排出量取引制度を考えております。

 クレジットはいろいろな種類があり得ると思っていまして、今私は、排出枠との関係の、多い少ないでクレジットが発生することについて申し上げましたけれども、一定のCO2排出をもたらすようなプロジェクト、そこに例えば政府が支援をする、あるいは事業者がそこに投資をする、そういうことによってCO2削減をし、そこから生まれたクレジット、これも、今、現状もその売り買いができるんですけれども、そういったことも引き続き、この排出量取引制度の中にどう盛り込んでいくのか、うまく接合させていくということも考えていく必要がある、このように考えております。

石井(拓)分科員 ありがとうございます。

 まだまだいろいろと検討していくということと、私のような、希望を申し上げましたけれども、そういった小さいところでも、何かこれから活動の資金とかそういったものになっていくかなとか、そういうイメージも皆さん持たれていると思いますので、できるだけ、例えば市場の階層が違っても、いろいろな工夫を凝らしていただきたいなと私は思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問の方を続けさせていただきます。

 次に、今月政府において取りまとめられ、公表された、グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針、今後十年を見据えたロードマップに関してお伺いいたします。

 この中身についてもいろいろと読まさせていただきました。このGX実現に向けた基本方針には、合成燃料について、これまで二〇四〇年商用化ということがずっと言われて、掲げられてきましたけれども、今回、可能な限り前倒しを追求するとあります。合成燃料の実用化、商用化を早める必要があります、あるいは、それは、早める必要ということで、実現可能になってきたんじゃないか、そういったことでも見て捉えることができます。

 資源のない我が国が、海外から輸入に頼らず、自国内で、原油、天然ガスなど、エネルギーをカーボンリサイクル燃料として作ることができるようになるということです。カーボンニュートラルの実現と将来にわたっての経済の発展に相当寄与するものと大いに期待するものでありますけれども、この可能な限り前倒しを追求するということについて、政府のお考えをお伺いいたします。

 また、先ほど質問して回答いただいた、今年度の予算案に各事業としていろいろな形で計上されておりますけれども、国としてはもっと大規模な予算をつけるなど、集中投資を促すべきではないかと思うところでありますけれども、これについても、現状、あるいは政府の考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。

里見大臣政務官 石井先生御指摘のとおり、本年二月に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針におきまして、カーボンリサイクル燃料のロードマップを提示しておりまして、合成燃料については、政府の二〇四〇年の商用化目標を可能な限り前倒しを追求するとしております。

 これは、合成燃料の早期商用化を実現することで、例えば、内燃機関を持つ自動車などに使用される燃料の脱炭素化を図ることが可能となるといった効果が見込めることから、商用化目標の前倒しを検討するという趣旨でございます。

 基本方針では、合成燃料は、多様な製造アプローチ確保のための技術開発促進や実証、実装フェーズに向けた製造設備への投資等への支援も行うとしておりまして、また、合成メタンにつきましては、グリーンイノベーション基金を活用した研究開発支援等を推進するとともに、実用化、低コスト化に向けて様々な支援の在り方を検討するとしております。

 また、カーボンリサイクル燃料の早期商用化に向けて、必要な予算措置も含め、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

石井(拓)分科員 御回答ありがとうございます。

 どんどんやってほしいと思っておりまして、そして、加えまして、少し質問の角度を変えさせていただいて質問したいと思いますけれども、これが最後の質問になります。

 合成燃料や合成メタンなどのカーボンリサイクル燃料を商用化するということは、最終的には、国民生活においても、経済生産活動においても、従来の化石燃料であるガソリンや灯油などの油、都市ガスやプロパンガスに置き換えていく、ガスも置き換えていく考えがおのずと浮かんできます。二〇五〇年カーボンニュートラルを実現する上で、広くあまねくエネルギーを置き換える計画が必要なんじゃないか。

 加えて、合成燃料、合成メタンなど、製造コストを回収するためには、使う側の市場を拡大しなきゃなりません。そのためには、従来の価格の水準を維持しなくては受け入れられない、そういった問題もあります。

 そして、合成燃料、合成メタンは、従来の燃料と同じように使うことができるという点も重要であります。つまり、広くあまねく合成燃料、合成メタンを使うということは、従来私たちが使っている機械や自動車、空調設備、そして経済生産活動を行っている工場や商業施設の設備についても、今のままで、ストレスフリーで、そのまま使うことができるんじゃないか。供給するサプライチェーンについても、今のままでよいことにもなります。ガソリンスタンドも、タンクローリー車も、パイプラインもということであります。

 合成燃料や合成メタンをどのように供給、流通をさせるのか、ロードマップでむしろ示すべきではないかと思うところでありますが、政府のお考えをお伺いいたします。

里見大臣政務官 合成燃料や合成メタンの商用化に向けた取組を推進していく上では、技術開発に加えて、需要予測を踏まえた供給の見通しや市場での流通方法などを検討し、公表することが重要であるという先生の御指摘の認識、私どもも共有をしております。

 合成メタンについては、政府としても、グリーン成長戦略や第六次エネルギー基本計画において、現在の都市ガス利用につきまして、合成メタンを二〇三〇年に一%、二〇五〇年に九〇%導入するという目標としております。

 合成燃料については、昨年九月に官民協議会を設置をいたしまして、商用化に向けた課題やその解決策について検討しているところでございます。今後、需要予測も踏まえながら、先生御指摘の供給、流通の在り方についても官民で検討して、その結果を公表してまいりたいと考えております。

石井(拓)分科員 ありがとうございました。前向きな意見をいただけたと思います。

 時間も来ましたので、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

小林主査 これにて石井拓君の質疑は終了いたしました。

 次に、平林晃君。

    〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕

平林分科員 公明党の平林晃でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。西村大臣、お忙しいところ、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

 では、まず一つ目の質問、LPガスの利用者支援についてお尋ねさせていただければと思います。

 物価高騰が激しさを増す中、経済産業省におかれましては、昨年来、我が党の累次の提案にお応えいただく形で、燃油、光熱費支援策を講じていただいてきております。とりわけ令和四年度第二次補正予算におきましては、電気代及びガス代の支援を決定いただき、燃油支援と合わせまして、標準的な家庭に月五千円程度の支援を九か月間、合計四万五千円程度の支援をいただいているところでありまして、心から感謝を申し上げます。

 ただし、この中におけますガス料金支援といいますのは、都市ガスであります。補正予算におけるプロパンガス補助は事業者への支援でありまして、利用者への支援については、経営改善により生じた経費を活用をしてもらいたいという、いわば二次的な支援策となってございます。

 しかしながら、一月に懇談したプロパンガス事業者は、その時点では申請方法がまだ通知されていなかったこともありまして、利用者還元の見通しは不透明であるというふうにも述べておられました。そもそも国内のガス需要家の比率は、二〇一三年の統計で、都市ガス五三%、プロパンガス四三%とあり、半数弱がプロパンであります。このままでは、多くの需要家に補助が行き渡らないことになりかねません。

 このことは当然政府も御認識しておられまして、「地方創生臨時交付金のLPガス料金上昇抑制に向けた活用のお願い」との通知を十一月八日に発出をされまして、臨時交付金による補助の対象になることを明確化をされております。

 しかし、九月二十日の推奨メニューには含まれていなかったために、十一月八日の通知時点では臨時交付金の使途が決まってしまっておりまして、その結果、十一月八日の通知を受けた段階では、十二県が事業化不可というふうに答えておられ、その中の十県が、予算の枯渇が理由であるというふうになってございます。

 このような状況に基づき、県や事業者団体からは、予備費を用いた臨時交付金の積み増しや、電気料金、都市ガスの価格高騰対策に準じた支援策を国が講じるようにとの要望が出されていると承知をしております。二月九日には島根県丸山知事が、全国三十九都府県の連名で経済産業省に要望書を提出されたともお聞きをしております。

 私も、LPガスの利用者補助が行き渡らないことや、それに伴う不公平感に対策を講じるべきと考えますが、経済産業省の見解を伺います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、都市ガスと異なり、プロパンなどを原料とするLPガスの価格は、原油価格とは連動しているんですけれども、原油価格の方が昨年夏以降下落基調にございまして、今後大きな上昇は見込んでございません。また、LPガスはボンベに詰めて家庭に配送するため、その値段には人件費や配送費の割合が大きいという特徴がございます。

 このため、都市ガスのような価格支援ではなくて、価格の抑制につなげていただくように、スマートメーターの設置、あるいはボンベの充填所の自動化などの配送合理化への支援を行うこととしてございます。

 加えて、これも御指摘にありましたとおり、LPガス価格の地域の実情を踏まえたきめ細かな対応が必要だというふうに我々も考えてございまして、昨年九月の予備費で措置した六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用して、LPガス料金支援への活用を今全国の都道府県に働きかけをしているところでございます。既に栃木県、大分県、茨城県など幾つかの都道府県では、まさに個人ないし家庭向けの支援策の導入をお決めいただいているところでございます。

 引き続き、各自治体には、こうした支援策の事例を紹介しながら、より多くの自治体で支援策が導入されるよう働きかけも行ってまいりますし、御指摘の財源の問題に関しましては財政当局とも我々しっかり相談をしてまいりたいというふうに考えておりますので、これらを通じて、あわせて、LPガスの価格上昇抑制のための配送合理化に関する補助金の執行を速やかに始めたいというふうに考えておりますので、これらを通じて、LPガス利用者に幅広く支援が行き渡るように努めてまいりたいと考えてございます。

平林分科員 ありがとうございます。お取組は本当に重要な内容と考えてございます。その上で、財源の枯渇している部分に関してはどうしようもないというところがありますので、是非引き続きの御検討をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、光熱費支援の中でも、電気料金高騰対策についてお伺い申し上げます。

 この度の御支援では、一キロワットアワー当たり、一般家庭向けの低圧で七円、企業向けの高圧で三・五円の補助になっております。企業向けの高圧が一般家庭向けの半分であるのはなぜかと担当者にお尋ねしましたところ、価格転嫁できるからという回答でございました。確かに一般家庭は価格転嫁できないわけですが、企業においては、資材価格も高騰している中で、電気代高騰分まで価格転嫁することはなかなか簡単ではないというふうに伺っております。

 私が直接お聞きしている企業におかれましても、これまで八十万円程度だった毎月の電気代が百三十万円、四十万円近くになっているということであります。単純計算で七〇%以上の上昇ということになります。資材の仕入れは二、三割のアップとお聞きしておりますので、倍以上の高騰になっているということであります。

 こうした状況に関連して、二月十四日、衆議院本会議におきまして我が党の中川康洋議員が自治体施設の光熱費対策について尋ねたところ、松本総務大臣から、令和五年度の地方財政計画において一般行政経費を七百億円増額して計上する等々の御答弁がございました。四月以降も高騰が予測される電気代対策を、中小企業に対してもより一層進めるべきと考えますが、経済産業省の見解をお尋ねいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、国際的な資源価格の上昇、これを受けたエネルギー価格の上昇というのは、国民全体、日本経済全体に対して大きな影響を与えていると考えてございます。

 これを受けまして、政府といたしましては、従来、需要家の方々に対して直接的な形で支援をするというのが基本だったわけでございますが、電気料金そのものを下げるという新たな手法も導入いたしまして、今支援を行っているところでございます。

 この今回の電気料金の激変緩和策という、電気料金自体を下げるという支援策について申し上げますと、今先生から御指摘ございましたように、一般家庭の方々に至る支援というのを最優先して、低圧について七円、そして中小企業の方が多く契約されている高圧については三・五円という形を取らせていただいているところでございます。

 ただ、これに加えまして、需要家の方々に対する直接的な支援というアプローチについて申し上げますと、昨年九月に措置いたしました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金という措置している内容の中で、自治体の御判断によりまして、地域の実情を踏まえた形できめ細やかな形での対応ができるものとなっておりますし、その中では、中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援というものを支援事業メニューとして位置づけてきているところでございます。

 政府といたしましては、まずは今月から請求される中に反映されます料金の値引き支援というのを確実にお届けできるよう予算執行してまいりますとともに、今後とも、経済状況、さらには燃料の価格動向に注視しつつ、関係省庁と連携して臨機応変に対応してまいりたいと考えてございます。

平林分科員 ありがとうございます。元々の支援に加えて地方交付金等も活用するということでございました。予備費の活用も含めて、更なる手も打ってもらいたいとも思っております。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、中小企業における賃上げの支援策についてお伺いをいたします。

 日本経済にとって大きな課題は、物価上昇を上回る賃上げであります。その流れを大企業から中小企業にまで広げていくことが重要です。ただし、それが決して容易でない状況を様々伺っております。

 先ほどの話と関連いたしますが、資材価格が高騰しており、それに加えて電気代が高騰しておる、価格転嫁は資材価格の分だけで精いっぱいで、電気代高騰分に至らず、結局利益が吸収されてしまって、従業員の賃上げの原資がなかなか見当たらないという状況であります。

 中小企業の賃上げは私も是非とも進めていくべきと考えておりますが、極めて厳しい現状を乗り越えてこの賃上げを実行していくためにどうすればいいのか、経済産業省の見解をお尋ねいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国雇用の七割を占める中小企業の賃上げを実現していくということが重要な課題だと考えてございます。物価高が進む中、中小企業が賃上げできる環境を整備するため、価格転嫁対策、そして生産性向上、この二つに全力で取り組んでいっているところでございます。

 まず、価格転嫁対策ということでありますが、毎年九月と三月を価格交渉促進月間ということで実施しておりまして、昨年九月の交渉、転嫁の状況については、今月、多くの取引先を持つ百五十社の結果についても公表をしたところでございます。また、交渉と転嫁の状況が必ずしも芳しくない親事業者の方には指導助言ということを大臣名で行っておりますが、これまで総計で三十数社行っているところ、加えて、更に約三十社、この指導助言を実施していくということでございます。また、今度の三月、価格交渉月間が参ります。こちらもしっかり取り組んで、いいサイクルを回していくということを考えてございます。

 加えて、一月から下請Gメンというものを三百名体制へ更に増強いたしまして、先ほど申し上げました指導助言でありますとか業界別の取組の強化、こういったものにつなげていきたいと思っております。

 そして、価格転嫁ということでは、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言というものも取組を進めておりまして、この宣言の拡大と実効性の向上ということで引き続き取り組んでまいります。

 最後に、二つ目の生産性向上というところでございますが、令和四年度第二次補正予算におきましても、ものづくり補助金を始めとする生産性向上のための補助金を約二千億円、それから事業再構築補助金を五千八百億円措置いたしまして、意欲的な賃上げに取り組む事業者に対して、補助上限や補助率を上乗せする措置を講じているところでございます。この前者のものづくり補助金では一月の公募から、事業再構築補助金では年度内に行う次の公募から、これらの措置を実施したいと考えてございます。

平林分科員 ありがとうございます。

 基本は価格転嫁対策と生産性向上、この二つであるということで承りました。ただ、この価格転嫁対策、原材料上昇分だけで精いっぱいであり、なかなか電気代分には至らないというところもあったりします。

 いずれにしましても、賃上げができなければ、これも伺った話ですが、従業員がよそに行ってしまうというようなこともお伺いをいたしました。人手不足と相まって、現場は緊迫しているというふうに思っております。困っている、又は苦しんでいる中小企業を是非とも救っていただきたいと思いますので、寄り添った御支援をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、石炭火力発電のエネルギー政策における位置づけについてお伺いできればと思います。

 言うまでもなく、エネルギー政策の基本はSプラススリーEでありまして、セーフティー、安全性を大前提として、安定性、経済性、環境適合性のこの三つのEを備えることが重要であります。ただし、これら全ての条件を満たしたエネルギーは残念ながらないので、それぞれの長所を組み合わせて適切に活用していくべきとの経済産業省の見解には理解をいたします。

 我が党といたしましても、再生可能エネルギーの主力電源化という大きな方針を掲げておりますが、それには一定の時間が必要であります。このため、安価な電力を安定的に供給するためには、当分の間、既存の火力発電を、低炭素化を進めて活用をしながら、既存の原子力発電については抑制的に使用する、このような方針を定めさせていただいております。

 そこで、本日は、前者の方の、低炭素化を進めて既存の火力発電を利用するというこの部分、とりわけ石炭火力発電の低炭素化について質問させていただければと思います。

 石炭火力については、CO2排出量が他の化石燃料と比べて大きいというデメリットがある一方で、調達に係る地政学リスクが低い、燃料当たりの単価が低廉、さらには保管が容易などのメリットを有することから、重要なエネルギーと位置づけられていると認識をしております。当然、非効率な石炭火力はフェードアウトさせていくものの、石炭ガス化複合発電、IGCCや、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCなどの技術開発を推進することにより、エネルギー基本計画において、二〇三〇年の電源構成は一九%程度との見通しが示されております。

 こうした中、革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指し、私の地元、広島の大崎上島におきまして、大崎クールジェンプロジェクトが、経済産業省のプロジェクトとして、二〇一二年から実施をされてきておられます。昨年十一月には大臣も視察をされたというふうに承知をさせていただいております。十年を経た今、同プロジェクトの成果と今後の見通しを経済産業省に伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力につきましては、昨年来の電力需給が逼迫しているという今の日本の現状を考えますと、火力発電が電力供給の七割以上、石炭火力が三割を占めるという現実を考えますと、安定供給を何とかまず維持する必要があるというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 その上で、地球環境問題への対応として低炭素化をどう実現していくか、こういうアプローチの下、石炭火力につきましては、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めつつ、次世代化、高効率化を進めていくというのが政府の方針でございます。

 その中におきまして、IGCC、石炭ガス化複合発電、さらに、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電というのは、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムだと期待しているものでございます。

 御指摘にございましたように、現在、広島県にある大崎クールジェンにおきまして、CO2を分離、回収する設備などを併設したIGFCの実証事業を実施しているところでございまして、これらの技術によりまして、従来の石炭火力発電に比べてCO2排出を大きく削減することが可能になっていると考えているところでございます。

 これはまだ今、実証段階でございますので、まだまだこれから進めていかなきゃいけないわけでございますが、政府といたしましては、こうした技術開発や実証を引き続き推進していくほか、さらに、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアですとかCCUSなどを活用することによりまして、脱炭素型の火力に置き換えていくという取組を推進していきたいと考えてございます。

平林分科員 ありがとうございます。

 実証段階で、まだまだこれからということもございましたけれども、重要な技術であるという御認識は全くそのとおりだというふうに思いますので、引き続き、国内利用をしっかりと進めながら、取組をよろしくお願いできればと思います。

 続きまして、国内半導体産業への今後の投資について、大臣にお伺いさせていただければと存じます。

 現在、経済産業省におかれまして、半導体は、デジタル社会を支える重要基盤であり、安全保障に直結する戦略技術として死活的に重要である、そして、先端半導体を国内で開発、製造できるように、他国に匹敵する大胆な支援措置が必要であるとの見解が示されております。

 一方、足下の需要に関しましては、コロナ禍当初は巣ごもり消費の恩恵を受けて需要が急増し、価格が高騰、半導体業界は活況を呈しましたが、物価上昇や利上げ、地政学的な緊張によって需要が減退をし、昨年十一月に発表された世界半導体市場統計によれば、二〇二三年の半導体需要は四・一%減と、四年ぶりのマイナス成長を見込んでいるとのことであります。

 とりわけ、メモリーチップに関しましては、二〇二一年末から価格が下落し始め、昨年二〇二二年末の段階で、コロナ禍におけるメモリーチップブームが止まった、このように論じるマスコミもあります。

 このように、やや厳しい状況にある半導体産業でありますが、そうであっても、経済産業省が掲げられる、他国に匹敵する大胆な支援措置が必要との方針は変えてはいけないのではないかと私は考えております。そうでなければ、平成の長期不況により投資ができずに縮小していった国内半導体の歴史を繰り返すことになるのではないかと考えるからです。また、ロジック半導体に限らず、現状厳しいメモリーも含めて、全体的な支援をしていくということも必要と考えております。

 国内半導体産業への投資に関しまして、経済産業大臣の御見解を伺います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、メモリー半導体は、先端ロジック半導体と同様に、情報処理を支える上で極めて重要であります。足下では、御指摘のように、需要に落ち込みが見られますけれども、中長期的には成長が見込まれる市場であります。積極的に投資を行い、競争力を強化していくことが重要であります。

 経産省では、昨年度、半導体・デジタル産業戦略を打ち出しまして、メモリー半導体も含め、半導体サプライチェーンの強靱化、そのために包括的な支援措置を講じているところであります。

 メモリー半導体につきましては、昨年、先端メモリー半導体の生産設備整備に対しまして、キオクシア、ウエスタンデジタルとともに、お地元のマイクロン社に対しましても支援をすることとしており、合計で最大約一千三百九十四億円の支援を決定したところであります。

 令和四年度の補正予算におきましても、メモリー半導体を含めた半導体の関連予算として一・三兆円を計上しております。

 今後もこうした動きを加速させていくとともに、デジタル社会の実現に向けて、より包括的な取組を進めていくために、今年の年央を目途に、半導体・デジタル産業戦略の改定を行うこととしております。

 まさに、御指摘のとおり、これからの様々な産業の基盤となる半導体、重要なキーテクノロジーであります。その半導体産業の更なる振興に向けて、国のリーダーシップを示す骨太の戦略を示しながら、民間の投資も促していくような、そんな支援策をしっかり講じていきたいというふうに考えております。

平林分科員 大変力強い御答弁をいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 戦略を改定をしていかれるという話もございました。より力強い成長が見込めるように御戦略を立てていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 続きまして、地方のデータセンターについてお聞きできればと思います。

 デジタル田園都市国家構想にうたわれております、十数か所の地方データセンター拠点を五年程度で整備との記述に基づき、経済産業省と総務省それぞれにおかれまして、データセンターの地方拠点整備のための補助事業を実施しておられると認識をしております。

 その進捗状況と、現時点で明らかになっている課題などがありましたら、その内容と今後の対応策について、経済産業省の見解を伺います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化の進展に伴いまして、国民の経済社会活動を支えるデータセンターは、三つの観点から重要だと考えています。

 一つ目は、これまで、主にビジネス合理性の判断で、東京圏に六割が集中してまいりましたが、集中しているのを放置しておくと、災害とか安全保障上のリスクが高いという観点。

 それから二点目は、データセンターは電力をたくさん使う施設でございますので、再エネの活用を進めていく必要があるということ。

 三点目は、地方の移動の足として自動運転の社会実装を進めていくなど、地方で低遅延性を求められるサービスを実現していく上で、データセンターが地方に立地することの必要性があるというふうに考えております。

 その際は、事業主体である民間のデータセンター事業者が、将来の需要を見込んだ上で、事業性を確保しつつ、将来にわたって安定的な運営を行っていただく必要がございます。

 このため、経済産業省と総務省で共同で事務局がありまして、データセンター等の整備に関する有識者会議というのを開きまして、データセンターの分散立地に向けた考え方を取りまとめ、それを踏まえて、両省で分担しながら、事業者の初期投資負担を軽減する財政支援措置を講じてきたところでございます。

 具体的には、総務省におきまして、令和三年度の補正予算で五百億円の基金を設置いたしまして、令和四年六月に、関東以外の地域の七か所のデータセンターの整備事業について、事業性を確認した上で支援決定を行いまして、これら七件については、現在建設中あるいは建設準備中であるというふうに承知をしております。

 それから、経済産業省では、データセンターの立地を目指す地方公共団体が、民間のデータセンター事業者への情報提供を目的といたしまして、それぞれの地域の優位性や事業性などについてFS調査を行う事業への支援を行っておりまして、全国十自治体に対して、その支援を実施しているところでございます。

 加えて、地方の大規模なデータセンターの新規立地に向けて、土地の造成費用でございますとか、電力供給や通信回線の引込み等を行う共同溝等の整備費用について、令和四年度から四年間、国庫債務負担行為として四百五十五億円の予算を計上していたところでございますが、事業者の大規模な新規投資判断に、現状、足下で遅れが生じておりますことから、御審議いただいている令和五年度の当初予算案におきまして、国庫債務負担行為のスケジュール、計上スケジュールを一年後ろ倒しいたしまして、令和五年度から四年間にわたる国庫債務負担行為として、四百五十五億円計上しているところでございます。

 今後の施策の方向性につきましては、今年の三月に有識者会合を再開いたしまして、これまでの整備状況、需要動向等を踏まえ、議論いただくこととしております。有識者会議での議論を踏まえまして、引き続き、関係省庁とも連携し、データセンターの分散立地に取り組んでまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 これは昨年九月の経済産業委員会での質問でも申し上げたところでございますが、データセンターの地方での需要に対する不安感から、施設整備にちゅうちょするというお声を事業者から伺っていたところでありまして、やはりそういったことも影響してきているのかなというふうに感じております。

 この三月に有識者会議を再開をされるということでございますが、事業者のこうした声にも十分御配慮いただきながら、見通しを持った計画を立てられるように、このデータセンターの整備を進めていただければと思います。方針としては私は大賛同しておりますので、それがしっかりと、地方に適切に分散配置されたデータセンターが整っていくことを期待しております。よろしくお願いいたします。

 最後になります。ウェブ3に関する人材育成についてお伺いできればと存じます。

 ウェブ3については、現在、様々な分野で期待をされている、金融であったりエンターテインメントなどなど、日本がこの分野で後れを取らないようにしなくてはいけない、そのために、国内における事業環境整備の必要性は強く認識されておりまして、そういった方向性に私は賛同をするところでございます。

 それとともに、この分野を支えていく人材の育成も極めて重要であると考えております。

 人材育成といいますと、文部科学省の担当ではと思われるかもしれませんが、ウェブ3はまだまだ勃興期にあり、教育カリキュラムを作る状態にはないと認識をしております。だからといって手をこまねいて見ているのではなくて、学生でもいい、社会人でもいい、興味のある人がこれを学べば、この分野で活躍できるようになる、そのための入口整備をすることは重要ではないか。労働市場の流動化に伴い注目されるリスキリングの一環にもなると考えます。

 ウェブ3分野で活躍できる人材を育成し、増やしていくためのコンテンツ作り等、環境整備に関しまして、経済産業省の見解を伺います。

吾郷政府参考人 お答え申し上げます。

 ウェブ3分野の基盤となるブロックチェーン技術でございますけれども、足下でも、コンテンツ、ゲーム、スポーツなどの文化経済分野、それから、将来的には、商取引、サプライチェーン、あるいは資金調達などの在り方にも変革をもたらす技術だというふうに考えております。

 こうしたウェブ3がもたらし得る社会的インパクトの大きさを考えますと、先生御指摘のとおり、この分野での優秀な起業家あるいはエンジニア等の人材の育成、確保というのは極めて重要だというふうに認識しております。

 経済産業省では、昨年、デジタルスキルに関する目的、レベルに応じた、民間企業などにより教育コンテンツの一元的な提供を行うデジタル人材育成プラットフォームというのを立ち上げております。この中でも、ブロックチェーン関連のコンテンツを幾つか掲載をしているところでございます。

 また、加えて、ウェブ3の分野で世界的に活躍する技術者、起業家が参加する国際カンファレンス、こういったもののイベント、あるいはネットワーキング、こういったものも支援して、ウェブ3分野で活躍する人材が自ら学べる環境を整備してまいりたいと考えております。

 こうした施策も含めまして、ソサエティー五・〇時代におけるブロックチェーンなどの分散型台帳技術の活用可能性も見据えながら、ウェブ3人材の育成、確保に向けて、精力的に取り組んでまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 エンジニアと起業家ということで、なかなか、両方を兼ね備えた人材というのは育成するのは簡単ではないと思っておりますので、是非そういったところも検討しながら、この日本、資源が乏しい国でございますので、人材こそが宝であります。その育成には政府を挙げて取り組んでいただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて平林晃君の質疑は終了いたしました。

 次に、金城泰邦君。

金城分科員 こんにちは。公明党、金城泰邦でございます。

 私は九州・沖縄比例ブロックの選出でございまして、今日は、私の出身地、沖縄が抱える課題等も含めて御質問をさせていただきたいと思っておりますので、御答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 今、ロシアによるウクライナ侵略から間もなく一年となる中、特に電気代など、エネルギー分野で値上げ傾向が顕著であります。値上げの要因や今後の見通し、これについては様々な有識者の方々からも多くのコメントが出ている状況でございますが、これまで電気、ガスなど支援をしていただいています。

 この物価高騰の影響から、今年もまた電気、ガスなどが値上がりがされるというふうに言われております。三か月から五か月前のエネルギー資源の輸入価格を毎月の料金に転嫁させる仕組みも取り組んでまいりました。今後は、今の状況を受けて、政府は、昨年一月から、ガソリンなど燃料油に対する補助金の実施もやっていただいてきております。電気、都市ガス代についても今年の一月使用分から負担軽減策を始めていただいておりまして、一定の抑制効果があると期待もされております。それでも電気、ガス代は上昇傾向にありまして、特に電気代につきましては、燃料費の高騰を理由に、四月以降、電力大手で更なる値上げが見込まれているところでございます。

 私の地元、沖縄においても、沖縄電力が電気を供給しておりますが、四月以降はこの電気料金の引上げ額が約三九%になるということが言われております。電力・ガス料金支援事業というのは全国一律で、一キロワットアワー七円ということで支援をしていただいておりますが、これは一世帯当たり約二割相当の支援だというふうに聞いております。しかしながら、この四月以降というのは、私の地元では約三九%、四割のコストアップということになると言われておりますから、二割の支援ではまだ足りないねというふうなことが、今、日々、地元に帰ると、そういう話題が出る状況でございます。

 その高騰の幅が大きい沖縄のような地域に対して、更なる政府の支援が必要ではないかと考えているところでございますが、大臣にその点につきまして御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、沖縄電力は昨年十一月二十八日に四割弱の規制料金の値上げ認可申請を行っております。現在、電力・ガス取引監視等委員会におきまして審査が行われているところであります。

 一方で、激変緩和事業を実施しておりまして、電気料金支援の水準につきましては、値上げ申請を行う電力会社、行わない電力会社が想定される中、全国の御家庭における平均的な負担増は二割程度と見込まれることを踏まえまして、公平性そして迅速性の観点から、全国一律でその水準と同等程度の値引き幅としまして、低圧需要家について言えば、一キロワットアワー当たり七円の支援を行うこととしております。

 その上で、昨年九月に措置をいたしました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これにおきまして、自治体の判断により、地方の実情、地域の実情を踏まえたきめ細かい対応ができることとしております。沖縄県でも、これを活用して支援を行っている事業は幾つか報告を受けております。

 政府としては、まず、今月の請求から反映される電気料金の値引き支援を需要家に着実に確実に届けるということで予算執行に取り組んでいきたいと思いますし、御指摘ありましたように、負担がかなり大きくなっておりますので、今後も、経済状況や燃料の価格動向なども見ながら、関係省庁と連携をして臨機応変に対応していきたいというふうに考えております。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 この電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、こういったものも充てていただくということで、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の中に電力・ガス・食料品等の価格の高騰に向けた重点支援の地方交付金というのを創設していただいたのを、昨年九月二十日の閣議決定で決めていただいているところでございます。こういった交付金を活用することで、各地方公共団体において、エネルギーなどの価格高騰に対する支援メニューの創設が可能だということでございます。

 これは、その支援の額などについては、つまり、これは地方公共団体が主体となって決定していくものであるという認識でよろしかったでしょうか。もしよかったら御答弁などいただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、自治体の判断で、特に負担が大きいと思われる事業者などに支援が行われておりまして、例えば、宮古島市では介護保険施設、障害者福祉施設に対しまして支援が様々行われております。また、名護市では食肉などの処理施設、これは電力を使うものですから、ここへも支援が行われておりますし、また、石垣市でも食肉及び牛乳工場に対しての電力価格高騰に対する支援が行われているところであります。

 このように、それぞれの自治体の判断で、特に負担が大きくなっている事業者などに対して支援が行われているものというふうに認識しております。

金城分科員 分かりました。

 全国一律に行っている支援というのは、一般の家庭に対して一キロワットアワー七円、そういうのが、小さい事務所というんですか、そういったところは三・五円という支援になると思いますが、例えば鉄鋼所のようなところだと、高電圧というんですか、そういったところは今のところは厳しい状況だと聞いておりますが、そういったところはこの交付金を地方公共団体が充てて支援するということが可能だということでよろしいですね。

 では、そういった部分もあるのであれば、地方公共団体の方でしっかりとこの地方交付金、これを活用していただくように、我々も地元でもそういった情報は連携を取ってもらいたいと思っておりますし、今後この支援が、やはりこれではちょっと足りないねという状況になれば、そこはまた我々もしっかりと皆様に御協力を仰ぎながら対策を講じてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問でございますが、広域連系系統のマスタープラン、これが先日示されておりました。二〇五〇年のカーボンニュートラルを見据えて、北海道から九州にかけては約七兆円の送電網への投資をするということが示されておりました。

 しかしながら、その資料の中では、私、地元の沖縄の方は示されていなかったという状況なものですから、この計画の中には沖縄は入っていないのかなというふうに感じました。

 カーボンニュートラルに向けての必要な投資や支援をこの七兆円規模の送電網の投資の考え方の中に含めていただく必要があるのではないかと思っておりまして、沖縄の場合はそういった送電網がつながらないからそのままということでは、県民としては非常に不安な生活を強いられるというふうに思っております。

 これについても大臣に御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、再エネの最大限導入、そして火力の脱炭素化を進めていくことは重要でありまして、その際に、天候などの要因で出力が変動する再エネの導入を拡大する上でも、そして、安定的に供給していく上でも、電気の需要と供給を一致させるための調整力の確保が必要となってきております。

 特に、御指摘の沖縄県でありますけれども、他のエリアと連系線でつながっていない沖縄のような離島エリアでは、島内で電気の需給を一致させる必要があります。

 今回、二月十日に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針におきましても、電源や系統規模の制約を有する離島などの地域の実情を踏まえつつ、必要な取組を推進していくこととしております。

 具体的には、再エネ特措法に基づいて再エネを導入していくということと同時に、調整電源である火力の脱炭素化、それから、調整力として利用可能な系統用蓄電池などの導入、これを支援していくということ、既に沖縄県では来間島におきましてマイクログリッド、地域での電力送電網、グリッドが導入されておりまして、台風によって、長期停電などに活用できるマイクログリッド、こうした導入などを支援をしていきたいというふうに考えております。

 引き続き、二〇五〇年カーボンニュートラルを達成するために、沖縄県の離島ならではのいろいろな実情がありますので、それを踏まえつつ取組を進めていきたいというふうに考えております。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今、来間島、宮古の例も説明していただきました。やはり、沖縄のような、島々を、離島を抱える島嶼県については、島ごとの取組も非常に大事なことと思います。

 宮古島、来間島でも、現在、大臣のおっしゃいましたように、実証実験を行っている。私も宮古島に行ったときに、役所の駐車場の屋根のような形でもって、その屋根にパネルを設置をして、その駐車場全域で太陽光発電のシステムを活用している、そういった事例も見させていただきました。

 沖縄電力さんと連携を取って、こういった脱炭素の実現に向けて取り組んでいる島の取組、こういったものもしっかりと各島々でも共有しながらやっていければいいのかなというふうに感じているところでございます。是非そこの支援をやっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 三つ目ですけれども、沖縄では水素発電を核とした吉の浦マルチガスタービン発電所というところの取組がございます。県内の水素サプライチェーン構築が求められる状況でございますが、このような吉の浦マルチガスタービン火力発電所が、これから実証実験を踏まえ、そして今後、実質的に利活用を進めていく必要があるかと思っております。

 この吉の浦マルチガスタービンの火力発電所、これの今後の利活用に向けての課題等がもしあるのであれば、そういったことにつきましても示していただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

里見大臣政務官 金城議員御指摘の、吉の浦マルチガスタービン発電所の取組につきましては、令和三年度からLNG火力発電所への水素混焼に向けた技術的な調査を実施しております。本事業が実現すれば、火力電源の割合が高い沖縄県の脱炭素化に貢献する重要な取組であるというふうに認識しております。

 他方、課題は水素発電を始めとした需要に対応する水素の供給体制の確立にあります。そのため、経済産業省としましても、水素の製造から利用までのサプライチェーン構築を目指す実証事業の支援に加えまして、調整力の確保にも活用可能な水電源装置の導入支援を行っているところです。

 このような取組を通じて、沖縄県における水素の普及に取り組んでまいりたいと考えております。

金城分科員 政務官、御答弁ありがとうございます。

 今の御答弁のように、吉の浦のマルチガスタービンの火力発電所、そういった水電解装置、そういったものへの御支援もいただけると、今後の更なる持続ができるのかというふうに思っております。地元としても、このような政府の取組に感謝しつつ、それをしっかりと最大限に生かして、電力供給の取組に、実現に向けて頑張ってまいりたいと思っております。

 続きまして、沖縄の沖縄本島以外の離島、また、そのほかのエリアにも系統でつながっていない離島がございます。これらの離島につきましても、カーボンニュートラルに向けて、どのような形で再エネ導入と安定供給を両立することができるのかお伺いしたいと思っておりまして、沖縄も、各島々、様々な再エネの選択肢はあるかと思いますが、そうした中で、どういったものが一番効率よく、また継続して実現に向けて取り組んでいけるものなのか、政府の方からもお知恵をかりたいと思いまして、このように質問させていただいておりますが、御答弁をお願いしたいと思っております。

里見大臣政務官 議員御指摘のカーボンニュートラルの実現に向けて、再エネの導入と電力の安定供給を両立させるために、脱炭素化された調整力の確保が必要だと考えております。特に離島の場合は、他のエリアと連系線でつながっていないために、島内で電気の需要と供給を一致させるための調整力の確保が重要であります。

 本年二月十日に閣議決定をされましたGX実現に向けた基本方針におきましても、「電源や系統規模等の制約を有する離島等の地域の実情を踏まえつつ、必要な取組を推進していく。」とされております。

 経済産業省では、再エネの導入拡大と併せて調整力の確保を行うために、二点ございますが、一つ目に、調整力としての活用可能な系統用蓄電池や水電解装置の導入支援、二つ目に、家庭や工場に設置された蓄電池等を需給の状況に応じて調整するディマンドレスポンスの普及促進などを行っているところでありまして、これらは離島においても活用可能なものだというふうに認識しております。

 こうした取組に加えまして、調整電源である火力の脱炭素化を進めることで、再エネ導入と安定供給の両立を推進してまいりたいと考えております。

金城分科員 政務官、御答弁ありがとうございました。

 今、蓄電池やデマンドレスポンス、そういったものを活用していただいて、島々の電力確保に取り組んでいただくという、支援していただくという御答弁、感謝申し上げたいと思います。

 やはり、小さい規模の島ほどなかなか投資をする費用対効果というものは厳しい状況でございます。民間だけでなかなかできない部分も多うございます。そういった中において、政府の支援があれば、一つ一つの島々が安心して電力供給をやっていけるという状況に是非持っていっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 五点目に、FIT制度の買取り価格についてでございますが、太陽光発電においては、二〇一二年の四十円の買取りから、二〇二二年には十円程度まで価格が変化していると思いますけれども、この制度の概要と価格低下の要因について伺いたいと思います。御説明をお願いしたいと思います。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT制度は、再エネ特措法に基づき再エネ電気を一定期間、固定価格で買い取ることによって、投資回収の予見可能性を担保し、再エネの導入拡大とコスト低減の好循環を実現する、これを目的とした制度でございます。

 こうした制度趣旨の下、買取り価格につきましては、再エネ特措法上、国会の同意を経て任命される有識者で構成される調達価格等算定委員会の意見を聴取し、その意見を尊重する形で法律上定めるということとされております。具体的には、再エネの供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用などを基礎に、適正な利潤等を勘案して定めることとされております。

 こうした規定の下、太陽光発電につきましては、太陽光パネル等の資本費の低減傾向等を踏まえた調達価格等算定委員会の意見を尊重する形で買取り価格を設定した結果といたしまして、買取り価格がこれまで着実に低下してきているという状況でございます。

 引き続き、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、再エネの最大限の導入に取り組んでまいりたいと考えてございます。

金城分科員 御答弁ありがとうございます。

 各家庭がそういった再エネを活用しやすい環境づくり、そのためにはコストとのバランスが必要だと思っております。導入しやすい環境づくりをやっていくためにも、適正な形で今後も取組を充実強化していただきたいと思っておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

 また、今、太陽光発電について質問いたしましたが、次も太陽光についてでございます。

 再エネの導入を拡大していく、推進していく必要がある一方で、太陽光パネルの廃棄の際に、使用済太陽光パネルの機材のごみが今適切に処理されるのかどうかという課題も、地域によってはそれが発生しているというふうに聞いておりまして、今後、代替エネルギーとしての太陽光発電も重要でございますので、そういった太陽光パネルの機材ごみの処理の課題について、政府の取組を、どのように取り組んでいくのか、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光パネルの廃棄につきましては、各地域において放置、不法投棄に対する御懸念が高まるなど、地域と共生した再エネの促進に当たって、委員御指摘のとおり、大変重要な課題と認識いたしております。

 この点、発電事業終了後の太陽光発電設備の廃棄処理は、廃棄物処理法等の下、事業者自身の責任で行うことが原則ではございますが、一方で、放置や不法投棄に対して高まる御懸念に対応するため、太陽光発電設備の解体撤去あるいは廃棄に係る費用が適切に確保されるよう法改正を行っておりまして、原則源泉徴収的な外部積立てを求める制度を昨年七月より開始いたしております。これに従いまして適切な廃棄を促していきたいと考えております。

 また、今後、二〇三〇年代後半には太陽光パネルの大量廃棄の可能性が見込まれておりまして、昨年十月の環境省、国交省、農水省との共同での検討会の提言も踏まえまして、廃棄物処理法を所管する環境省ともよくよく連携しながら、制度的な措置の必要性も含めて速やかに検討を進めていきたい、かように考えてございます。

金城分科員 御説明ありがとうございます。

 今の説明にもございましたように、昨年七月から、新しい制度として、源泉徴収的な外部積立てという御説明がありました。

 この原則源泉徴収的な外部積立てという御説明、いま一度ちょっと細かく教えていただければと思いますが、いかがですか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電事業をやっている中で、ちゃんと費用を外に分けて積み立てておかないと、二十年後、廃棄になったときに、お金がなくなっちゃって廃棄ができなくなるということがすごく懸念されておりました。

 したがいまして、法改正をしまして、FIT、FIPによってここに資金が入っていく皆様につきましては、ちゃんと外建てでお金を積み立てておく、これは法令によって何割ためておいてねということは決まっているのでございますけれども、これを積み立てておくことで、もうお金がないから廃棄できないといったような事態を回避するというのが制度趣旨でございまして、そういう積立てをちゃんとやっておりませんと、FIT事業者としての認定を取り消すということになりますので、かような取組をしっかりと進めていきたいと考えてございます。

金城分科員 丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 地域によっては、太陽光パネルがたくさん設置されているけれども、その設置した後の状況ということで、所によっては崖崩れを起こしている地域もありましたし、今後、施設設備が、地域の住民からすると、ちゃんと適正に管理していただいているのかという不安の声も聞いたことがあります。是非、こういった二十年後の廃棄も想定しての取組等々も含めて、地域住民の方にも安心していただけるような取組、しっかりとやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、沖縄の久米島という島があります。久米島町では、実証実験として取り組んでおります海洋温度差発電という施設設備がございます。この海洋温度差発電というのは天候に左右されない安定した電力供給が可能な設備でございます。しかしながら、大型の取水管の建設費用としてかかる百三十億円規模の予算が必要だというふうに言われておりまして、ちょっと百三十億円は大きい、地元自治体だけでも無理ですし、投資する企業だけでもなかなか厳しいという声がございますが、それに対する補助があれば、島の洋上風力発電やバイオマス発電よりも安価に発電することが可能であるというふうに言われております。

 この海洋温度差発電の実用化に向けた支援をお願いしたいというふうに思っているわけですけれども、経産省の見解を伺いたいと思います。御答弁お願いします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 先般閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針におきましても、大臣、政務官、御答弁ございましたとおり、離島について、電源や系統規模等の制約を有する離島等の地域の実情をしっかり踏まえつつ、必要な対策を推進していくこととされております。

 委員御指摘の海洋温度差発電につきましては、天候、時間帯によらず安定した発電が可能だと、将来的な活用可能性が非常に期待されているものと承知しております。また、御地元では、発電に使用した海洋深層水の水産業への活用などで、地域経済の振興効果への期待もあると承っております。

 経済産業省といたしましては、平成二十六年度から二十九年度までの間、NEDOを通じまして、沖縄県久米島の実証設備を活用して、海洋温度差発電の実現可能性調査、あるいは熱交換器や発電性能の検証等を行うための実証事業を実施してきております。実証結果からは、先ほど申し上げましたような将来的な活用可能性が期待されると同時に、実用化に向けて、引き続き、機器、設備の低コスト化などの面において課題も残されているという評価を有識者からいただいているというふうに認識しております。

 現在は、久米島町における海洋温度差発電の取組は、環境省さんの支援策も活用いただきまして、大型熱交換器の開発等を実施するとともに、パイロット規模のフィールド実証を行うなど、実用化に向けた更なる実証事業が進められているところと承知いたしております。

 先生御指摘の支援策ということも我々承っておりますけれども、経産省といたしましては、まず、環境省さんの事業の取組をしっかりフォローをしながら、引き続き、どのような支援の在り方があるのか、その必要性につきまして検討してまいりたい、かように考えてございます。

金城分科員 御答弁ありがとうございました。

 環境省の方で取り組んでいる発電機の実証実験、それがうまくいった暁には、是非、経産省の方にも、この取水管の取替え工事も支援していただいて、島の発電が海洋深層水を活用した発電、これが実現に向けていけるように頑張っていただきたいと思っておりますし、これが成功すれば、沖縄始め、日本は海洋国家でありますから、海を活用した発電というものが全国各地で可能になると私は思っていますので、そういった面の技術開発、そして技術の向上、これを是非政府としてこれからも応援していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて金城泰邦君の質疑は終了いたしました。

 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。里見経済産業大臣政務官。

里見大臣政務官 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど金城議員から水素発電に関する御質問をいただいた際に、本来、水電解装置と御答弁するべきところ、水電源装置と発言をしておりましたので、訂正をさせていただきます。失礼いたしました。

伊藤(達)主査代理 次に、米山隆一君。

米山分科員 それでは、御質問させていただきます。

 まず、原子炉の使用年数の延長についてお伺いいたします。

 非常に取り上げられている話題なんですけれども、今般、原子力規制委員会で、原子炉の運転年数を、四十年プラス二十年の六十年に更にプラスしまして、運転停止期間を加えて運転できるように変更するという法規制について、賛成する旨の決定を行ったと伺っております。

 これにつきましては、二〇二〇年七月二十九日の、運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解に基づいているものと原子力規制委員会は説明しておられます。

 この中で、原子力規制委員会は、発電用原子炉施設を利用すること自体の正当化その他その利用の在り方に関する政策の企画立案及び実施は、いわゆる原子力利用の推進の機能に該当するものであって、原子力規制委員会が関わるべき事柄ではない、運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミング、つまり、運転開始から一定期間経過した時点を特定するという意味を持つと。

 逆に言うと、そういう意味しかない。単に四十年というのは検査期間を特定しているだけだというふうにおっしゃられているんですが、私は、これは非常に不可解な論理であると。失礼ながら、率直に言って、へ理屈であると思っております。なので、原子力規制委員会委員長に御質問させていただきます。

 まず、私も決して、原子力発電、原子力というものが専門では全くないので、詳しく知っているわけではないんですけれども、現在の科学的知見において、四十年なら絶対安全だとか、逆に今度は百年なら絶対危険だとか、そういうふうに確定的に何かを言うということは極めて困難だというふうには思っております。この点につきましては委員長も御同意いただけるだろうと思います。

 その上で、当然のことですが、安全に使えるものなら使用側は永遠にでも使いたいわけですよね。何せ、巨額のお金を使って造ったものであり、動かせば巨額の、電力を生むわけでございますから。つまり、利用側から見たら、この運転期間というのは、それは可能な限り長くになるに決まっているんだと思います。むしろ、利用側からこれを制限する理屈なんか通常はあり得ないと思うんですよ。

 一方で、規制側、安全を確保しなければならない側からしますと、これは百八十度異なる。経年劣化というものも、私は別に科学的に詳しいわけではありませんけれども、私は医者なので、人間のがんみたいなものでございまして、遺伝子の損傷みたいなものだろう、恐らくは。だから、恐らくは、その損傷箇所というのは、指数関数的に、時間とともに増えていくんでしょうと思われます。ちらちらと見るとそんなモデルもありますので、指数関数的に増えていくんでしょう。

 そうしますと、劣化箇所とか問題箇所というものを、当初は、それをチェックして、問題があればそれを直せばいいということになるんでしょうけれども、一定の期間を過ぎていくと、それはもう箇所が多過ぎる。

 要は、あらゆるチェックというものは、これも医者からのアナロジーで恐縮なんですけれども、健康診断とは、あれは別に全ての箇所をチェックできるわけじゃないわけですよ。必ずチェック漏れというものがあって、チェックできない部分があって、だからこそ、人は年を取っていくとがんになるといいますか、がんを発見できなくなるわけです。

 だからこそ、安全を確保するために、その審査というものには限界がある、だんだんだんだん増えていく劣化箇所に関して審査というものは限界があるから一定の年限で区切るのだというふうに私は理解しているのですけれども、それはそういう理解でいいんですか。それとも、規制委員長としては、いや、そんなことはないんだ、我々は極めて高い原子力の知見があるので、何年たったって、それは別に、全部審査して、全部問題箇所を指摘できるんだ、そういう御所見なのか、基本的なところをお伺いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 一般論で言えば、委員が御指摘をいただきましたように、機器の劣化というのは年数ごとに進んでまいります。しかしながら、発電用原子炉施設の設備、機器等の劣化に関しては、使用履歴や保守管理の状況などにより、それらの進展状況は一様ではございません。

 規制委員会としては、運転期間の長い短いにかかわらず、基準への適合性を確認し、その適合性を確認できない発電用原子炉施設の運転は認めません。

米山分科員 質問に答えていただけていないんですけれども。

 規制基準に合致しなければ認めない、それは当然だと思うんです。私が聞いているのは、むしろ、では逆に、規制基準に合致さえすれば千年後だって使えるんですか、そういうことを聞いているわけです。

 というのは、恐らく千年後には、それは予想もしていなかったような劣化部分というのは幾らでも出てくるわけ、恐らく指数関数で増えますのでね。そうすると、千年後に対してまで今の規制基準というものを適用することはできなくなるはずじゃないですかということを聞いているんですが、その質問に対しての御見解はいかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 少なくとも、私どもが行っております様々な高経年化技術評価でありますとか、あるいは四十年の運転延長認可制度、これで経験をしております劣化の様々なモードにつきましては、今後、考えております新たな高経年化に関する安全規制において評価ができるものと考えております。ただし、その評価にあるいは基準に合致できないものについては運転は認めない、そういう制度にする予定でございます。

米山分科員 これからというのもなかなかひっかかる言葉なんですが、そうしますと、結局、理論としては、理屈としてははっきりしない部分もあると。要するに、これから経年劣化に関しての知見も蓄える、それによって審査し尽くせると思うという御回答だったと思うんですよ。

 私、それは、一種の審査万能論であって、形を変えた安全神話だと思うんですね。いや、審査さえすればあらゆる劣化というものを全部逐一チェックできると。今までは、四十年、例えば六十年で、もうそれは数が増え過ぎて恐らく駄目だろうと思っていたのが、いやいや、俺たちはもうどんどんと今まだ発見されていない知見を増やしていくから、だって、まだ今発見されていないでしょう、これからやると言うんだから。今発見されていない知見を増やしていくんだから八十年になっても大丈夫ですとおっしゃられるのは、ある種の、自分たちに対する過信だと思うんですけれども、その御所見はいかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘のように、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえまして、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ちまして、厳正な審査と厳格な検査に取り組んでいく必要があるというふうには考えております。

 その上で、GX実行会議等の検討の結果、運転期間に関する定めがどのような制度になりましょうとも、原子力規制委員会としては、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制を厳格に実施できるよう、必要な検討を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、原子力施設の安全の追求に終わりはなく、継続的に安全性向上を図っていくことが重要であると考えています。

米山分科員 非常に御立派な御見解で安心したんですけれども、もしそうだとしますと、原子力規制委員会が安全に対して非常に責任を持たれるわけじゃないですか。しかも、これから経年劣化をちゃんと調べていったら、いや、やはり八十年たったらちょっともう無理だな、鉄がぼろぼろになるからこれはもう駄目だ、圧力容器がぼろぼろになるから幾らここで審査したってその穴は埋められるものじゃないと決まったら、じゃ、もう八十年は駄目ですね、その知見を得たときに、それはどちらの法律に書くんでしょうか。

 それは、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に書くのか、原子炉等規制法に書くのか、どちらにそれは書かれるんですか。

山中政府特別補佐人 少なくとも、高経年化した原子力発電所の安全規制に関するものは、私ども、原子炉等規制法に記載する予定であり、その案を先日決定をさせていただいたところです。

 一方、運転期間につきましては、利用政策側でお考えいただくことであり、電気事業法の中で規定をされるものと考えております。

米山分科員 御回答の中にまさにその問題点がはっきりしていると思うんですけれども。

 いや、運転期間というのは両方の視点があるわけですよ。使う側からしたら、一兆円使ったんだから八十年使いたいです、それは利用側としての御意見があるのは当然だと思いますよ。これだけの、回収するために最低八十年は使いたい、そうしないと困りますがなというお話は当然あってしかるべきだと思うんです。

 でも、一方、安全に関するものは原子力規制委員会が決めるということでしたら、八十年を超えたものに関しては、審査をしても安全は担保できませんということはあり得るわけじゃないですか。というか、むしろそれが普通の感覚だと思うんです。

 運転期間というものをただただ利用年限の側面だけから見るというのは非常に矛盾した考え方で、運転期間というのは、別に両方からあり得るわけですよ。使いたい期間と使えない期間、その双方のバランスと言ってはなんですけれども、双方の間で物を決めるわけですよね。だから、その運転期間に関して、全くもって原子力規制委員会は話しちゃいけませんなんという態度を取るのは、まさに安全に対する放棄だと思うんです。

 今ほど私が申しましたとおり、安全に関することというのは、何度も申し上げますけれども、六十年過ぎたらもう担保できませんとか、八十年過ぎたら担保できませんということは起こるわけですよ。だって、私、何度も医者のアナロジーを使いますけれども、医者ですけれども、百歳を過ぎた人の健康診断をして健康を担保しろなんて言われたって、そんなものは無理です。百年過ぎた人のどこに不調があるかなんて分かりません。それはもう、百年過ぎた人はいつ亡くなられても、恐縮ですけれどもね、人間、寿命というものはあるんですから、それはちょっと、そんなところを医者に求められたって困りますがなと答えますよ。

 同じように、原子力規制委員会だってそう言うべきじゃないですか。それは幾ら、使用側が使いたいのはいいんですよ、使用側は八十年でも百年でも使いたい、だから、使うんです、そうおっしゃるのはいいけれども、我々はここまでしかできませんということは、それは言うべきだと思うんですけれども、それは科学的知見があっても言わないというお答えでいいんですか。

山中政府特別補佐人 運転期間がどのような制度になりましょうとも、私ども原子力規制委員会は、高経年化した原子力発電所の安全規制を厳正に行っていく所存でございます。

 現在検討している制度は、三十年を超えて運転しようとする原子力発電所につきましては、十年を超えない範囲で長期施設管理計画を策定していただいて、それを申請し、審査をし、基準を満たして認可をされたものについては運転を許可する、そういう制度にしております。永遠に我々が、安全、規制上、認可をするというものではございませんで、基準を満たさないものはそこで運転を停止していただく、認可をしないという仕組みを現在のところ考えております。

米山分科員 余り押し問答にしてもなんなので。

 お手持ちの資料を出していただきたいんですけれども、一ページ、二ページのところに、これは恐らく、原子力規制庁が原発の会社の方に、こんな安全を、経年劣化に対して保全体制を、こんなのを取ってくださいとおっしゃられているものだと思うんですが。

 まず、今までは六十年までということを想定してこういうことを言っておられたわけですよね。それは確かに、停止期間中を合算、加算するというだけですから、そんなに大きな変化はないという論理は、それは成立するはするんでしょうけれども、でも、一方、さはさりながら、二十年たつわけですよ。別に、幾らそこで運転していなくたって、それはそもそも酸化するわけじゃないですか、空気中の酸素というものは排除できないわけですから。そもそも二十年分酸化するわけですよね、というようなことも起こるんですけれども。

 要するに、二十年分それはリスクが増えると考えるのが通常だと思うんです。そんなものはちょっとだと言うかもしれませんけれども、原発におけるリスク評価というのは、何万、百万年に一回みたいな話をしているわけですから、かなり僅少なリスクの上昇だって、それに百万を掛けるわけですからね、あっという間に大きなリスクになっちゃうんだと思うんです。

 そうすると、例えば二ページの何を増やすことによって、その二十年分、例えば八十年ができるとして、今は基本的には十年止まっているわけですけれども、二十年止まっていたとしたら、二十年分の増えた分を一体どうしたらリスク評価が同じぐらいになるようになるというふうにお考えなんですか。

山中政府特別補佐人 現在運用しております運転延長認可制度、これは四十年目で行う制度でございます。四十年目で六十年目までの運転期間を評価し、基準を満たして認可されたものは六十年目までの運転が許可されております。

 現行の高経年化した原子炉の安全規制については、お示しいただいた高経年化対策概要である、運転開始後三十年目及びその後十年ごとに行う高経年化技術評価制度と、先ほどお話しした運転開始後四十年目に行う運転延長認可制度、この二つから成り立っております。

 現在検討中の新制度は、この高経年化技術評価制度と運転認可制度の二つの制度を統合したものとなっております。

 具体的には、運転開始後三十年目及びそれ以降十年を超えない期間において、その都度、長期施設管理計画の策定を義務づけ、その計画について、劣化を考慮した上での基準適合性審査を経て認可を得る必要がございます。

 現行の制度よりも基準適合性の確認をする頻度は非常に高くなると考えております。このように頻度高く確認することで、重要な劣化機構、劣化事象の兆候を見逃さず、それを実際の保全活動に、より的確に反映しやすくなるものと考えております。

 いずれにいたしましても、いかなる場合もゼロリスクはないという認識に立って、予断を持たずに安全性の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

米山分科員 押し問答ですから、この辺にしようとは思うんですけれども。

 私、別にそれ自体に賛成とか反対とかではなくて、運転年数というものに関して何か、最初に言ったところですけれども、必ず決められるとかということはない、それは同意するんですよ。だから、別に、六十年が絶対だとか、八十年が絶対だとか、それはないわけ。ないというか、現時点で分からないわけですよね。でも、やはり、年数の上限というのはどこかで決めざるを得ないといいますか、どこかではそれはあるはず。だって、千年はないでしょうという話だと。そもそも、多分さびますからね、どんな鉄だって、千年たてば。そういうことがあるわけなので、かつ、それは、原子力規制庁がやはり責任を持つべきことである。一体何年間まで使っていいかというのは、それこそこれからそのワーキングチームで経年劣化についての知見も増やされるわけですよね、高経年化した発電原子炉の安全規制に関する検討チームを設置をされるわけなので。その設置した、知見に関して、例えば何十年が限界ですねとなったら、それは、そんな、利用側の話ですなんて言わずに、原子力規制委員会がちゃんとやられるべきことだと申し上げさせていただければと思います。

 次は、避難計画について御質問させていただきます。

 さて、御承知のように、原子力災害対策特別措置法が読み替えて適用する災害対策基本法の第四十条及び第四十二条の規定により、都道府県及び市町村には、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づく地域防災計画を作成することが求められております。

 私も、短いながら知事の時代に防災基本計画や地域防災計画を作りまして、それはもう本当に職員さんや関係者の方々の労を多とするものなんですけれども、一方で、それが本当に現実的で安全なものかといいますと、正直それは、率直に言って分からぬ。手順としては決めてはいるんですけれども、実際に、じゃ、本当に動いてくれたら、渋滞なく人は動いてくれるのかとか、トラブルなく動いてくれるのかとか、そのときに、一体全体本当に事業者との連絡ができるのかとか、あとは、その間に、一定程度の被曝をしたときにパニックにならないのか。そういったことに関しては全く、暗中模索というか、分かりませんというのが本当に正直なところだと思うんです。

 一応、現在、新潟県で作られているものや福島県で作られているものを見ましたけれども、もちろん、皆さん頑張って、手続に関しては何をどうするかは全部決められてはいるんですけれども、しかし、本当に、避難完了するために、どのぐらいの時間を要して、どのぐらいの被曝があり得るかというのは、それは分からない、書かれていないというのが現状だと思います。

 避難計画の作成そのものは内閣府の担当となっておりますけれども、同時に、特に被曝、皆さん関心のある被曝等に関しては、原子力規制委員会が所有するSPEEDI等のデータもいただき、これはもちろん実際の避難のときにSPEEDIを使って避難しろという意味じゃないですよ。それはもちろん実測データに基づいてやるべきですけれども、しかし、計画段階で実測データもくそもないわけですから、それは、SPEEDIで一定の何パターンかを考えて、実際に、こういうパターンがあるときに実際にどのぐらいになるというのを検討していくべきだと思うんですけれども。

 そういったものに関して、原子力規制委員会の方で各都道府県と協力していく、そういった体制を構築する必要があろうかと思いますが、委員長の御見解を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、関係自治体が避難に関する計画を含む地域防災計画を策定する際に、地域原子力防災協議会等において、必要に応じて専門的、技術的な観点から支援を行っております。

 例えば、御指摘のありましたシミュレーションにつきましては、内閣府と連携しつつ、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構との協力の下、関係自治体の依頼に基づき、例えばOSCAARのような、大気中放射性物質の拡散計算に関するような、同機構の専門的知見あるいは能力を活用できるよう、必要な対策を行ってまいるつもりでございます。

米山分科員 今の答弁は非常にありがたい御答弁でございまして。というのは、私は新潟県出身ですけれども、新潟県にそういうのを作ってくださいよと言っても、いやあとか言葉を濁されるので、いやいや、もう規制委員会がちゃんと協力しています、していると言っていますと。

 ちなみに、資料の四ページ、五ページなんか、これは僕の前知事の泉田さんの時代に作ったものですけれども、ちょっとした交通シミュレーションを使って、大体、避難完了にどのぐらいの時間がかかるかというのをやっているんですよね。正直、そんなに精緻なものではないんですけれども。こういったものに、今ほどいただいたような、SPEEDIだか、OSCAARですとか、あのようなシステムを合わせれば、相当程度に、一体どのぐらいのものかというのが分かると思いますので、それは是非お願いできればと思います。

 次にですが、ちなみに、アメリカなんかでは、避難計画に関しまして、これも含めて、特にオンサイト、避難計画はオフサイトになるわけですけれども、オンサイトの避難対応と併せて、アメリカにおけるNRC、原子力規制委員会がこれを審査するということを行っていると伺っておりますけれども、これは日本の原子力規制委員会でも是非行うべきだと思うんですが、委員長の御所見を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 我が国においては、地域の実情を熟知されておられる自治体が、避難に関する計画を含む地域防災計画を災害対策基本法に基づき策定することとされているところです。

 その過程で、各地域に設置した地域原子力防災協議会において、内閣府原子力防災が中心となり、原子力規制庁を含む関係府省庁が関係自治体と一体となって、地域防災計画の具体化、充実化に取り組んでいると承知しております。

 また、その具体化、充実化が全体として図られた地域につきましては、避難計画を含むその地域の緊急時における対応が原子力災害対策指針等に照らし具体的かつ合理的なものであることを協議会で確認し、私も参画をいたしております原子力防災会議において、国として了承することといたしております。

 原子力規制委員会としては、専門的、技術的な観点から、このような与えられた役割を引き続き果たしていきたいと考えております。

米山分科員 要は、審査するつもりはないということでしょうけれども、それはまた別の委員会で御討議させていただければと思います。

 最後に、経産大臣にお伺いしたいんですけれども、直前の通告で恐縮です。

 北陸電力の社員が、電力と送配電が分社化される前に業務で知った北陸電力送配電用のIDとパスワードを用いて、経済産業省の再エネ業務管理システムにログインして、業者情報を閲覧したということが報じられております。

 これはまず、時間がないので全部一遍に、(一)、(二)、(三)なんと、直前で通告したもので恐縮ですけれども、一緒に御質問させていただきます。

 まず、分社化したにもかかわらずIDとパスワードを変更しなかった、これは経産省側の大きな過失だと思いますが、御所見を伺います。

 あわせて、これは、不正アクセス防止法の三条に該当して、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に該当するのだと思いますけれども、被害者である経済産業省の大臣として刑事告訴する意思がないか伺います。

 また、大手電力会社が競合する新電力会社の顧客情報を不正閲覧していたということも報じられておりまして、こちらも、アクセス制限をしていたかしていないかによって、不正アクセス防止法なのか、それとも個人情報保護法違反なのか、分かれると思うんですけれども、いずれも刑事罰に該当するものがあろうかと思います。経済産業省として、こちらは刑事告発をする意思があるかないか伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、今回の再エネ特措法の認定事業者による情報閲覧事案、これにつきましては、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであります。誠に遺憾であるというふうに認識をしております。

 経産省から一般送配電事業者がアクセスできるIDを付与したのは二〇一八年八月からでありますが、再エネ特措法上、一般送配電事業者に対して目的外利用の禁止を求めておりまして、一般送配電事業者においては、各社の情報管理のルールの下でパスワードの管理及び変更を行ってきているというふうに承知をしております。

 そして、今回このような事案が生じておりますので、この事案を踏まえまして、各事業者からの報告を精査するとともに、経済産業省が保有する再エネ業務管理システムの運用の在り方についても十分に検証し、再発防止を徹底していきたいというふうに考えております。

 その上で、今回の事案を踏まえて、まさに報告徴収を行っているところでありまして、各事業者からの報告を精査した上で必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

松山政府参考人 今大臣から御答弁申し上げたところでございますが、最後、一般送配電、顧客情報の漏えいの件につきましても、大臣からの答弁のとおりでございまして、現在、報告徴収を行っているところでございます。

 電気事業法の中にも罰則の規定も含めてございますので、この報告徴収の結果を踏まえまして、適正な競争関係の確保の観点から、行為規制の遵守、法令等遵守の徹底を求めていくために厳しく対応してまいりたいと考えております。

米山分科員 もう時間があと一分ですので、分かりましたというところで終わりなんですけれども。

 これは、是非、常にこういうふうなのはうやむやにされてしまうんですけれども、刑事罰に相当したらちゃんと刑事告訴、刑事告発をするというのは当然だと思いますので、きちんとそれは責任を明らかにして、かつ、それを公表して、刑事告訴、刑事告発していただきたいと思います。

 また、大臣、今ほど冒頭で、いや、事業者に任せていましたみたいなことをおっしゃられましたけれども、それはちょっと余りにも手抜きというか、ずさんといいますか。それは経産省のシステムなんですから、基本的には、ちゃんとセキュリティーを確保するのは経産省の責任でございまして、そのずさんさはさすがに刑事罰には該当しないとは思いますけれども、一体誰がどうしてそんなずさんなことをしたのか、それはきちんと明らかにして、公表していただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤(達)主査代理 これにて米山隆一君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良分科員 ありがとうございます。有志の会、吉良州司です。

 今日は、西村大臣に、電力逼迫問題、特に電力システム改革について、質問、意見交換、また、提案をさせていただきたいと思っています。

 実は私、昨年の四月十八日だったと思うんですけれども、決算行政監視委員会において、当時、萩生田経産大臣を相手にやはりこの問題を取り上げさせてもらいました。

 そのときに私が冒頭指摘した問題意識というのは、この電力逼迫問題というのは、ウクライナが問題ではないんだと。ウクライナは拍車はかけているけれども、それ以前から問題があって、じゃ、何が電力逼迫問題を引き起こしているのか。それは、私流の言葉で、四つのいじめと一つの楽観的過ぎるシステム、これは電力システム改革のことですけれども。四つのいじめというのは、化石燃料に対するいじめ、そして化石燃料を使った火力発電に対するいじめ、そして三つ目が原子力発電に対するいじめ、そして四番目が電力会社に対するいじめ。この四つのいじめと楽観的過ぎたシステム改革が原因で電力の需給逼迫が起こっている、このように私は指摘をしまして、そして、その問題意識というのを披露させてもらいました。

 今日は、その中でも特に、電力システム改革、このことについて深掘りをさせていただきたいと思っています。

 電力システム改革の目的というのは、元々は、電力の安定供給確保、それから電気料金の抑制、安くするということですよね、それから三つ目が需要家の選択肢の拡大、そしてその需要家に対していろいろな意味でビジネスチャンスを提供する、これが目的だったと思っています。これはいろいろなところでも書かれています、公表されています。

 じゃ、結果どうなのか。今の状況はどうなのか。

 じゃ、電力の安定供給ができているのか。節電要請がありました。予備率がぐんと下がってきた。とても安定供給とは言えない。

 では、電気料金、抑制できているのか。これだけ上がってきている。更にこれから値上げが起きようとしている。とても電気料金抑制ということにはなっていない。

 じゃ、需要家の選択肢の拡大、これは確かに一定程度できたと思っています。それと、ビジネスチャンスの拡大、これも一定程度できていると思っています。ただし、御承知のとおり、弊害も出てきていますね。新電力が、こんなはずじゃなかった、こんなに燃料が上がるなんて思いもしなかった、上がったら無責任にも逃げ出してしまっている。

 このように、システム改革の三つの目的が、ある意味、三番目の一部はできているかもしれないけれども完璧ではないということを含めると、三つとも全部、目的が果たせていない、達成できていない。

 この観点から西村大臣にお聞きしたいのは、システム改革は失敗している、誤っているということについて、きちっとそういう認識をお持ちか、そのことについて伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 吉良委員とは、与野党の立場を超えて、この間、それぞれ立場が逆転したこともございましたし、幅広い分野について、まさにその時々に重要なトピックスについて質の高い問題提起をいただいて、私も意見交換をしてきたことを楽しみにこれまでもしてきておりますけれども、今日もこの電力システム改革について問題提起をいただきました。

 御指摘のあった四つの、いじめという言い方は私はしませんけれども、楽観的な見通しという点については、私どもも、去年のGX実行会議で、反省すべき点として、我々ができなかった点として、ほぼ同様の認識を提示をしております。化石燃料への上流への投資がやはり世界的に少なかったことなどを含めて、あるいは原子力も思ったように進めなかったことを含めて、同様の、ほぼ共通の問題意識を我々も反省点として、教訓の点として、これは提示をしております。

 その上で、電力システム改革について申し上げれば、御指摘もありました、いわばブロックごとに競争がない社会、電力供給の体制がありましたので、やはりどうしても料金は高くなっていきがちな点もあったと思いますし、それから、ブロックを越えての融通もそれほどできなかった面がありますので、これも広域的な安定性確保という観点からは課題もあったということだと思います。

 一方で、御指摘がありましたように、ビジネス的に参入が増えて、そして、特に、燃料代が安いときには、非常に多くの企業が安い価格で供給するというメニューを提示をして、多くのビジネスを広げていったということだと思いますので、そして、それによって競争も激化して、大手の電力事業者も刺激を受けて、やはり経営を効率化していくということも行ってきたわけでありますので、そういった意味で、私は、電力システム改革は大きな役割を果たしてきたものというふうに思っております。

 ただ、御指摘がありましたように、それぞれの新電力と言われる小売事業者は、自分自身の電源を持たずに市場から調達する仕組みを取っている事業者にあっては、もうとてもコストが高くなって安く提供できないということで、撤退も行われてきました。そういう意味で、私は、大きな役割を果たしてきたと思いますが、やはり不断の見直しをしていかなきゃいけないというふうに認識をしております。

 そうした中で、二四年度から始まる容量市場とか、長期のオークションの市場とか、こうしたものも整備をしながら、また、新電力の事業者が事業を継続していけるように、例えば、先物市場も充実してきておりますので、これを活用するという手もあると思いますし、また、リスクを低減するための保険の支援なども行い始めています。これは民間で広がれば支援を行う必要はないんですが、当面、その市場を広げるために、呼び水的に政府が支援を行っておりますし、また、相対で電源を確保していくというようなところも導入の支援も行ってきておりますので、御指摘のように、役割を果たしてきたけれども、不断の見直しの中で、より安定的に供給が行われる、そして価格もできる限り安定していく、その中で、競争が起き、一定のビジネスも確保できる、そうしたシステムに是非、不断の見直しをしていきたいというふうに考えております。

吉良分科員 ありがとうございます。

 西村大臣からエールを送っていただいたので。私も今日は非常に楽しみにしてきました。有志の会は人数が少ないので、本当に十分とか七分とかの質問で、この場は三十分もらえるので、本音の議論で。

 特に、今まで政府の基本的な方針というのは、自分たちがかつて打ち出したものというのはなかなか誤りを認めない、だから、次に正しい手が打てない、この繰り返しだったと思っているので、そういう意味では、今、部分的にやはり見直しが必要だということに言及してもらったことは、次の正しい一手につながるものだというふうに思っています。

 ただ、一点指摘させてもらいたいのは、大臣がおっしゃった大きな方向性、流れについては私も異論はないんですけれども、これはいつも私、いろいろなところで申し上げるんですけれども、釈迦に説法ながら、政治家の政治家たるゆえんというのは、優先順位を明確にするということなんですね。議員である以上、いろいろなところに出かけていけば、いろいろな人から、団体から、これが大事だ、これをやってくれと山のように要望が来る。本当は全部大事だから、全部予算をつけたい、全部やりたいと言いたいけれども、それでも一番はこれ、二番はこれと優先順位をつけて、最後はできませんくらいまでやらなきゃいけない。

 そういう中で、今、システム改革は大きな役割を果たしてきたけれども、不断の見直しが必要だという答弁だった。大きな役割、それは、さっき言った、当初目指した、やはり競争原理を導入することによって地域独占を壊し、それから、原価総括制の見直しを行い、料金を下げようとした。けれども、本当にそれが正しかったのかな。

 いや、当然、料金を下げるとかいうことは誰も異論があろうはずがないんです。けれども、資源がない国、我が国において、そして、ヨーロッパのようには電気系統が全くつながっていない国、仮につなげようとしても、つなげられるのはロシア、中国、韓国と北朝鮮。これを考えたら、全く隔絶された島国のやはり特殊事情、国情というのがあって、そこは競争原理よりも、残念ながら、絶対量の確保、安定供給確保、これが最優先する。そこのところが、こっちもこっちもと二兎を追おうとして、結局、私は、システム改革は失敗だった、こういう認識なんです。

 そういう意味で、二番目にお聞きしたいことは、我が国は、当然ながら、今言ったように資源小国、化石燃料がほぼない。さっき言ったように、化石燃料はいじめに遭っていますけれども、調整電源としても、それから今、原子力発電が予定どおり動かせない中にあっては重要な火力発電、それには化石燃料が要る、それがない日本。そして、これだけ災害が多い。去年の三月でしたか、大需給逼迫があったのも、地震によって大型火力が稼働しなくなったからです。そう考えたときに、どんな災害が起きようとも、また、ウクライナ戦争じゃないですけれども、世界でどんな情勢変化が起ころうとも、必ず絶対量を供給する、安定供給する、これが最優先だと私は思っているんですよね。

 そういう中で、現時点で、電力の供給の最終供給責任は今誰が負っているのか。これは、システム上どうなっているのかというのはもちろん分かっています。第一義的には配電業者。そして、そこがどうしても責任を果たせないときは送電会社。けれども、先ほど言いましたように、我が国においては、世界情勢の変化、また、災害によっては、送電会社は発電するわけではないですから、どこかから発電した電力を持ってこなきゃいけない、それ自体ができない状況があり得る。

 そういう中で、私は、競争原理によってさっき言った地域独占も垂直一貫体制もばらばらにしてしまっている旧一般電気事業者、電力会社に最終的には電力供給の責任を負ってもらっている、そこに依存しているという理解をしていますけれども、大臣の見解を求めます。

西村(康)国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。

 まず、最初の点で、自由化について、システム改革について、私も、例えば、ヨーロッパと同じようにはできない、状況が大分違うとおっしゃったように、ヨーロッパは各国がグリッドに結ばれておりまして、英国、北欧を中心に、石油があったり、ガスが出たり、産出国もあります。それから、フランスは六割、七割を原子力を動かしているわけですので、隣のドイツが脱原発といっても、フランスからも供給を受けられるわけですので、そこは状況は全然違うということでありますので、日本のまさに地理的な状況、自然環境も含めて、その上でどういうシステムをつくっていくかというのは考えていかなきゃいけないというのは御指摘のとおりです。

 その上で、これもおっしゃるとおりで、私どもは安定供給に責任を持たなきゃいけませんので、そのために必要な対策は打っていかなきゃいけない中で、おっしゃるように、化石燃料、確かに、石炭、石油の順にCO2排出量が多いものですから、LNGは、これは各国共通の認識ができてきていると思いますけれども、移行期間として非常に重要なエネルギー源だということで、この点については、LNGの上流投資については、今年、G7の議長国でもありますので、エネルギー大臣会合でもしっかり議論したい、上流投資の重要性を議論していきたいというふうに思っております。

 その上で、電力の安定供給、誰が責任を持つのかという点でありますけれども、まさに供給力の確保義務を負っている小売電気事業者が、まずは需要に合わせて市場から、あるいは発電事業者から調達して供給するという、そのいわば責務を負っているわけであります。

 その上で、地域においては、まさに地域の需給のバランスを取っていく、周波数の調整などを行う一般送配電事業者が、エリアごとのそうした需給と供給を見ながらずれを調整していく仕組みになっております。

 更に言えば、今回それを更に強化しているわけですけれども、ブロックを越えて広域に調整を行う広域機関OCCTOが、電力広域的運営推進機関が連系線の運用管理や緊急時の融通の指示などを行って調整を行っていくということで、それぞれの事業者、事業主体が責任を果たしながら、最終的には、私は電力の安定供給は国の責務だというふうに思っておりますので、全体をしっかり見ながら、そして上流から小売事業者まで、そして最終的には、いろいろな地域内の調整そして地域間の調整も含めて、先ほど申し上げた、将来に向けた容量市場の整備であるとか連系線の整備であるとか、こういったことを進めながら、国が責任を持って進めていきたいというふうに考えております。

吉良分科員 ありがとうございます。

 自分の話をして恐縮ですけれども、私は商社勤めをしていたこともあり、基本的には徹底的に市場原理を重んじる、競争原理を重視する人間なんですけれども、これも去年も指摘したんですけれども、ただ、教育、医療と電力だけは完全自由化してはいけないというふうに思っているんですね。

 そういう意味で、先ほどシステム改革の目的のところを話して、それが失敗しているということを言いましたけれども、私は、さっき言った日本の特殊事情を考えたときには、実は、地域独占というのがいいかどうかは別として、垂直一貫体制、つまり、発電、送電、配電まで、全ての責任をある会社が負い続ける、つまり、そのことによって最終的な供給責任を負う、この体制の方が我が国の実情にははるかに合っていたと思っているんです。

 また、商社勤めのときに、電力プロジェクトというのでIPPというのを、ずっと私自身が投資をし、また輸出をし、携わっていました。その中で、プラントの全体を請け負う元請という会社、EPCという言葉があります、エンジニアリング・プロキュアメント・コンストラクション、ここが極めて重要なんですね。例えば発電所、石炭火力であれば、ボイラーがある、タービンがある、発電機がある、その全体の周辺機器がある。それぞればらばら、供給する会社は違ったりするんだけれども、そのEPCという元請は、全体で、プラントが保証する性能、ここについて責任を負うわけです。

 これをばらばらに買えば安くなります、実は。ボイラーだけ買ってくる、タービンだけ買ってくる。けれども、どこかに不具合があって性能が出なくなったときには、じゃ、誰が責任を負うのか。極端に言ったら、責任のなすり合いになったり。結局、誰が困るかというと、プラント建設をオーダーした施主が困るわけです。

 そういう意味で、私が言っているシステム改革の間違いというのは、かつての、まあ大手電力といいますけれども、垂直一貫体制の中で最終供給に責任を持つということで全てが成り立っていた仕組みが、ばらばらにされたことによって、いろいろなところに不具合がある。

 じゃ、国が、専門性がない国の経産省が、エネ庁がやるのか。供給責任に責任を持ちますといって、持てますか。気持ちは分かる、法律で作れる。けれども、実態、誰がやるんですか。それはまた大手電力に頼まざるを得ないですよ。

 そういう意味で、私は、この日本においては、競争原理を重んじる私が、垂直一貫体制の方がよかったと思っているんです。

 もう一つ例を出します。

 先ほど大臣もおっしゃった、上流開発が滞って、当然ながら、資源価格が上がってしまっている。これも全く認識は一緒ですけれども、特にLNGについては、この移行期間、絶対に必要。私は、カーボンニュートラルが達成された後も、天然ガスだき火力だけは一定程度必要だと思っています。これは調整電源。

 じゃ、そのLNGの上流開発をするときに、こういう資源開発というのは、西村さん御承知のとおり、プロジェクトファイナンスというベースで行われます。いろいろ話したいけれども、論点を絞って言うと、そういう開発をするには長期契約が必要。二十年、二十五年、生産物、つまりLNGをずっと買い続けてくれて、引き取り続けてくれて、そして支払い続けてくれる、この保証がないと誰もお金を貸さないわけです。それがかつては東京電力だったり。カタールのワールドカップができたのは、中部電力と丸紅のおかげですから。中部電力がカタールをLNG大国に育ててやったようなものですから。

 そういう意味で、経営として絶対的に安定、二十五年、絶対潰れない、支払い続けられるという経営の安定性が必要なんです。その経営の安定性を担保していたのが、地域独占であったり、その地域独占の対として、垂直一貫体制の中で供給責任を負うから、これだけの安定した仕組みを認めてくれということだったわけです。

 そういう意味で、システム改革による競争原理の導入って、一見、聞こえはいいんだけれども、新電力ばかりになったら誰が長期契約を結ぶんですか。

 そういう意味でも、私は、垂直一貫体制、大手の電力会社の供給責任能力を重視した、その経営体制をある意味では持続させる、このことが重要なんじゃないかと思っていますけれども、大臣の見解はいかがですか。

    〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕

西村(康)国務大臣 御指摘のように、旧一電と言われる地域独占をしていた大手電力会社、この役割は引き続き重要なものがあるというふうに思っております。

 しかしながら、御認識されておられますし、また繰り返しにならないようにしたいと思いますが、やはり地域独占の弊害もあって、競争がなかった、あるいは甘えがあった、あるいは地域間の融通もそれほどできていなかったというふうなところのカバーをしながら、引き続き、大きな発電施設を所有をし、また、投資も行ってくれておりますので、そういう意味で、重要な役割を担っていくことは間違いないというふうに思います。

 基本は私も、市場原理で、できる限りは競争の中でいろいろなイノベーションが起こっていく、価格も安くなっていくのがいいわけですけれども、電力という、あるいはエネルギーという特殊なものでありますので、そうした中で、大手事業者にも引き続き重要な役割を担っていただくことが大事だというふうに思っております。

吉良分科員 そういう中で、今、大手電力がいろいろな意味で経営体力というか体力を奪われている一つは、もう御承知のとおり、稼働率の悪い火力を休廃止しなきゃいけないということですよね。そういう意味で、容量市場というのはできていますけれども、私、何回読んでも、一〇〇%理解できていない、正直言って。結構専門家の方ですけれども、それでも一〇〇%理解できない。と同時に、市場とは言っているけれども、純粋な市場にはなっていない。前提条件が極めて政治的。

 何が言いたいかというと、さっき言いました、私自身がIPPで、いろいろな途上国、発電建設をしていました、発電事業を起こしていました。絶対量が不足した国では、IPPとしての新しいプロジェクトを立ち上げるときに、そこへの支払いが二本立てなんです。一つは、キロワットアワー、出した出力に対してのペイメント。もう一つは、一年間全く発電しまいが、いざとなったら発電できる能力を持っている、キャパシティーを持っている、容量を持っているという、キャパシティーペイメントというのがあるんです。

 どの程度どの電源に対してそのキャパシティーペイメントを払うか、これは詳細な議論それから詳細設計が必要ではありますけれども、やはり、さっき言った新電力みたいにいいとこ取りするのではなくて、最後の駆け込み寺というかラストリゾートとして、供給責任を持つ大手電力のそういう調整電源に対しては、きちっとキャパシティーペイメントをその電源に対して払う。容量市場がどうのって、もうそんなのは機能しないです、正直言って。キャパシティーペイメントで払うということをお願いしたいと思います。

 それから、もう時間がなくなってきましたので、もう一つ、大臣がずっと言っておられますけれども、移行期間。

 私も、この移行期間という考え方が一部の野党とかになくて、もうあしたにでも原発ゼロにしろとか、CO2排出ゼロにしよう、これが混乱を起こしていると思っているので、移行期間を重視する、これも大臣から国民に向かって強調してもらいたいと思いますけれども。

 そういう意味で、資源のない我が国において、この移行期間、LNG発電と同時に、原子力が極めて重要。ただ、同時に、原子力の中で、特に最終処分場が確定していない中で、また新設、増設どんどんやっていけということについて、私はやはり疑問を持っています。

 繰り返しますけれども、移行期間は、資源小国日本にとって、原子力、極めて重要です。けれども、カーボンニュートラル、それ以降については、核分裂に比べて極めて安全性の高い核融合に力を入れて、核融合がきちっとベースロードの中心になるようになったときに原子力はやめる、そういうような明確な方針を出して、そして核融合に今以上に投資をしてほしい、このように思っていますけれども、大臣の見解を求めます。

西村(康)国務大臣 多くの御指摘をいただいております。新電力についても、御指摘の、いいとこ取りという御表現をされましたけれども、まさにしっかりと安定供給できるような仕組みを考えていかなきゃいけないというふうに思っておりますし、LNGも、移行、トランジションのエネルギーとして非常に重要な位置づけということで、私も、年末年始、産油国、産ガス国を回りまして、オマーンとも長期の契約をしてきたところでありますし、ドイツもカタールと十五年という契約をしているところでありますので、そういったところも含めてしっかりと議論をしていきたいと思っております。

 その上で、まず、最終処分場が決まっていないことは本当に国民の皆さんの懸念だと思いますので、これはこれで各省庁と連携しながらしっかりと進めていきたい、政府一丸となって進めていきたいというふうに思っております。

 そして、御指摘の核融合についてでありますが、おっしゃったように、分裂生成物が生成されないということでありますので、高レベル放射性廃棄物が生じないというメリットがまずあります。

 さらに、技術的にも幾つかの方式があって、磁場閉じ込め方式とレーザー方式ということで、前者については、以前に私も、京都大学発のベンチャー、京都フュージョニアリングを視察をして、まさに日本として先端的なところも進めているというところを認識をしておりますし、レーザー方式も、大阪大学でエクスフュージョンという大学発ベンチャーが設立されておりますので、こちらも近々、是非自分の目で見たいと思っております。

 いずれにしても、将来の核融合の実現にもつながるような技術、人材の育成もしっかり行っていきたいと思いますし、御承知のように、日本も参画する実験炉ITERで、フランスにおきまして着々と建設も進んでおりますし、内閣府においては、核融合戦略の取りまとめをこの春にも行うということで専門家の議論を行っております。

 私ども経産省としても、各省とも連携しながらですが、核融合も含め、主要国とも連携しながら、次世代革新炉、将来のいろいろな技術に夢を持ちながら、また希望を持ちながら、そしてそれが実現していくように着実に進めていきたいというふうに考えております。

吉良分科員 ありがとうございます。西村大臣にはきちっと進めていただけるものだというふうに思っています。

 我々、国民に対して説明するときに大事なことは、こういう電力の安定供給にしたい、こういう地球環境に優しい電力システムにしたい、それは大事なんだけれども、本当に移行期間も重視しながら徐々にそこに近づけていく。その間は古いシステムを何とか使いながら、その移行期間が極めて大事で、新しいシステム、新しい技術をきちっとインハンドにできたら古いものをやめていく。この順番が大事で、イデオロギー的に先にやめるぞ先にありきだと今のような混乱を招きますので、このことを我々はきちっと国民に説明していく必要があるということ。

 そして、最後、いま一度、電力システム改革については、電力の安定供給が最優先なんだ、そういう意味で、古いシステムの中でも、いいものは積極的に、見直ししながらでも残していく、又はアウフヘーベンして……

小林主査 済みません、申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめ願います。

吉良分科員 はい。

 新しいシステムを構築していくことが大事だ、それを西村大臣に強くお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて吉良州司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口晋君。

山口(晋)分科員 自由民主党衆議院議員の山口晋です。

 本日は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今大臣が退席をされましたけれども、本当に、西村大臣におかれましては、海外出張、また国内の事業所も本当に回っていただきまして、現場の声を聞いていただいておりますことに心から感謝を申し上げます。また、この質問通告がちょっと直前になってしまいまして、本当に役所の皆様方には御迷惑をおかけしたことをおわびを申し上げます。

 一点、まず要望からスタートをさせていただきたいと思いますが、一月から適用になっております電力、都市ガス代金への激変緩和措置であります。一キロワット当たり七円、また一立米当たり三十円の支援制度について、今大きな混乱もなく進んでいると聞いております。御対応をいただいております役所の皆様、また事業者の皆様方に、この場をおかりいたしまして、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。引き続き、光熱費は国民生活に直結をいたしますので、緊張感を持って御対応をいただければと思います。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 まず初めに、Eメタンについてお伺いをさせていただきます。

 カーボンニュートラル二〇五〇年の達成に向けて、岸田総理も、一月の施政方針演説において、脱炭素と経済成長を両立させるために、GX、グリーントランスフォーメーションを着実に進めていくと宣言をされました。二月の十日にはGX実現に向けた基本方針を閣議決定されたと理解をしております。

 都市ガスの原料であるLNGについても、脱炭素燃料として、また、次世代熱エネルギーとして注目をされるEメタン、いわゆるメタネーションは、日本企業が先行して技術開発に取り組み、グリーンイノベーション基金事業においてEメタン製造に関わる革新的な技術開発を推進をしております。

 Eメタンの特徴は、既存の都市ガス導管や燃焼機器をそのまま使うことができる点、また、高温の熱処理にも非常に有用であるというような大きなメリットがございます。日本のみならず、今後、CO2削減に向けLNGの導入を拡大するアジアも視野に入れると、大きな市場のポテンシャルがあると確信をしております。

 先日閣議決定をされた基本方針において、Eメタンについて、燃焼時の二酸化炭素排出の取扱いに関する国際、国内ルール整備に向けて調整を行い、グリーンイノベーション基金を活用した研究開発支援などを推進するとともに、実用化、低コスト化に向けて様々な支援の在り方を検討するとあります。

 それでは、本件に関連して、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

 二酸化炭素排出の取扱いに関する国際、国内ルールの整備は具体的にどのように取り組むつもりであるか、御見解をお願いをいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、合成メタンを含みますカーボンリサイクル燃料というものは、燃焼時にCO2を排出するわけではございますが、これが大気中に放出されたCO2を原料とすることで、全体として脱炭素に資するものである。また、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現する中で、化石燃料を使っていきながら、その際に脱炭素を実現していくという取組、これが既存のインフラを活用できるという強みを考えますと、今後進めていく中で非常に有効なツールである、重要なツールであるというふうに私ども認識しているところでございます。

 その際、CO2の削減というものが課題である以上、合成メタンの製造、消費が国をまたぐ際には、CO2排出の削減効果についての適切な国際、国内のルールの整備が重要だということは、私どもよく認識しているところでございます。

 こうしたルールの整備がなされれば、例えば、海外で製造した合成メタンを国内で利用する場合に、製造時のCO2削減効果を国内の利用時に計上できることとなるわけでございますので、政府の立場として、また各企業の皆様方のお立場からしましても、非常に重要な意義を持つものと考えてございます。

 現在、大手のガス事業者の方々を含めまして、米国における合成メタン製造プロジェクトへの投資プロジェクトの案が検討されているということを承知してございますが、こうした具体のプロジェクトを進めていく中で、国際的なCO2排出の取扱いルール整備についても官民で取り組んでいくことが重要だと考えてございます。

 同時にまた、国内の制度、ルールにつきましては、例えば、温対法の排出量算定・報告・公表制度の中での取扱いの整理など、国際的な動向も踏まえつつ、環境省など関係省庁とともに適切な制度設計に取り組んでまいりたいと考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 まさに、民がやるべきことは民がやり、官がやるべきことは官がやるというところでありますけれども、まさにこの排出権の問題になりますと、環境省、経産省、外務省、様々な省庁が関連すると思いますので、是非、連携をうまく、そしてまた、後ほどもうちょっと触れさせていただきますけれども、時間的なものも余りないものでありますので、速やかに決めていただければと思います。よろしくお願いをいたします。

 関連して、実用化、低コスト化に向けて様々な支援の在り方を検討するとは、具体的にどのような支援を想定しているのか、教えていただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 合成メタンの実用化、普及に向けては、克服するべき課題、先ほどの国際ルールも含めまして、様々なものがあると認識してございます。

 まずは技術開発でございますので、効率よく大量生産するための製造技術を確立することが急務でございます。これは、既存の技術があるわけでございますが、大型化していくという際の触媒ですとか熱マネジメント等々、この具体的な技術開発につきまして、NEDOの事業、グリーンイノベーション基金等によりまして、民間企業の技術開発をこれからもしっかりと支援していきたいと考えてございます。

 この技術開発と併せまして、その開発された技術というものを社会実装、導入促進を図っていくという段階に向けての支援ということも同時検討していかなければなりません。民間企業による生産、供給への投資の促進が重要であると私ども認識しているところでございまして、これを実現するための適切な規制、制度や支援策の在り方について検討していきたいと考えているところでございます。

 今月八日から、私どもの審議会において議論を開始したところでございますけれども、合成メタン等の導入によって二〇五〇年の都市ガスカーボンニュートラル化を実現するための方策等について整理し、実現に向けた取組もやってまいりたいと考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 まさにこれは、合成燃料というか、二酸化炭素を使った燃料ということで、メタネーション、そしてまた合成燃料ということで、本当に日本の産業界においても大きい事業だと思いますので、できる限り民間の方々と連携を図っていただいて、民間の方々が使いやすい支援制度を更に進めていただければと思いますので、お願いをいたします。

 先ほど政府参考人からも答弁をいただきましたけれども、大手ガス事業者がEメタンを二〇三〇年に都市ガスの一%導入に向け、具体的なプロジェクトを北米で立ち上げております。

 足下からFS、FEEDにかかる費用があり、多くの予算が必要になることが見込まれるわけでありますけれども、今後、予算化の中でこうしたものへの支援は考えられているのか、政府の見解をお願いをいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ございましたように、私どもも、都市ガス事業者の皆様方の中で、これを本気に、真剣にお考えが進んでいらっしゃると。合成メタン導入によるカーボンニュートラル化の取組というものを、都市ガス百五十年の歴史の中における第三の創業であると。事業自体ができ、LNGというものを作り、そしてその次のこのEメタンというものへ取り組もうとしていらっしゃる。

 これについての技術開発、ルール作り、事業投資の検討という状況については、私ども、今委員からも御指摘がございましたけれども、その実態、取り組むスケジュール感というところをよくよく認識しながら支援の在り方、環境整備というものを進めていかなければならない、こう考えてございますし、二〇三〇年に都市ガスの一%という合成メタンの導入の目標につきましても、これに向けた取組ということで、私ども、考えていかなければならないと考えてございます。

 昨年、JOGMEC法を改正いたしましたけれども、その中で、合成メタンの製造、貯蔵についてもJOGMECによる出資、債務保証の対象にしたところでございます。

 現在、導入促進に関する支援策等の在り方について、審議会での検討を開始したところでございますけれども、繰り返しになりますけれども、産業界における取組状況をよく念頭に置きまして、しっかりした支援ができるよう、これを踏まえた対応を取ってまいりたいと考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 まさに参考人も繰り返し述べていただいておりますけれども、この二〇三〇年の一%導入に向けては、やはり、このプロジェクトをFIDすることを考えると、二〇二五年ぐらいにはFIDをしなければならない。それまでにはルールやその支援、私たちとしても導入に向けた支援といったことも進めていかなければならないと思いますので、是非関係者と密に連絡を取りながら進めていただければと思います。

 次に、カーボンプライシングにお話を移らせていただきます。

 二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現という国際公約達成と我が国の産業競争力強化、経済成長の同時実現に向けては、様々な分野で投資が必要であり、カーボンプライシングを償還財源としたGX経済移行債を活用した大胆な先行投資を行っていくと承知をしております。

 GX実現に向けた基本方針にて、カーボンプライシングとしての炭素に対する賦課金の導入については、「化石燃料の輸入事業者等を対象に、当初低い負担で導入した上で徐々に引き上げていく」と記載がされております。

 それでは、本件に関連して政府の見解をお伺いしたいと思います。

 本来は、一世帯当たりどのぐらいの負担が増えるのかといった具体的なことを聞きたいところでありますけれども、まだまだ制度設計中というところでもあると承知をしております。そこで、政府としてどのように、家計の負担が増えないような形でこの制度を導入していくのか、可能な範囲で具体的なお話を伺えればと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルなどの国際公約と我が国の産業競争力強化、経済成長を共に実現していくために、今後十年間で百五十兆円を超える官民協調でのGXに向けた投資を促進していくことが必要だと考えております。

 この中で、御指摘の炭素に対する賦課金を含めた成長志向型カーボンプライシング、これは炭素排出への値づけを行うことで、より炭素排出の少ない形で生産された製品や事業の付加価値、収益性が向上し、投資を促すもの、こういう目的でやろうと思っております。

 その上で、御指摘の、負担が過度なものとならないように導入する、このように考えておりまして、具体的には、その導入に当たりましては、代替技術の有無ですとか国際競争力への影響等を踏まえまして、直ちに導入するのではなく、民間企業がGXに取り組む期間を設けた上で導入することとし、例えば御指摘の炭素に対する賦課金であれば、二〇二八年度から開始することとしております。

 また、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少していく範囲内で導入することといたしまして、当初低い負担で導入した上で、徐々に引き上げていく、こういう形を取りたいというふうに考えております。

 さらに、こうした工夫によって負担が過度なものとならないようカーボンプライシングを導入していくことに加えまして、GX投資の前倒しによりまして、一つは再エネなどの脱炭素電源の低コスト化、さらに二つ目としては、化石燃料に要する費用ですとか、あるいは化石燃料に過度に依存することによる安定供給上のリスク、これを低減していくこと、それから三つ目としては、水素や蓄電池などの新たな市場の早期立ち上げによる経済成長などによりまして、むしろ、事業者や国民に恩恵がある制度としていきたい、このように考えているところでございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 冒頭申し上げたとおり、やはり光熱費というのはまさに家計に一番直結というか、本当に一番影響が大きいものだと思いますので、国民の皆様方の負担にならないような形で、ただ、その一方で、このカーボンニュートラルを必ず実現するための投資、これが減退してしまっては意味がないと思いますので、引き続きその辺を含めて議論をしていただければと思います。

 関連して、エネルギー事業者は脱炭素に向けたイノベーション投資にも積極的でありますが、この賦課金が化石燃料の輸入事業者にかかることで、民間企業の投資の減退になることを大変に危惧をしております。民間企業の投資とカーボンプライシングの関係をどのように考えているのか、政府の見解をお願いをいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、エネルギー事業者を含めまして、GXの実現に向けた投資を引き出す、このことが極めて重要だと考えておりまして、このために、成長志向型カーボンプライシング構想を考えております。

 これは幾つかの施策のパッケージになっておりまして、一つは、先ほども申し上げましたけれども、炭素排出への値づけを行うことで、より炭素排出の少ない形で生産された製品や事業の付加価値、収益性が向上し、投資を促す効果をもたらすこと。二つ目は、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な先行投資支援、これは政府支援でございます。三つ目は、投資を加速させるための金融支援、こういった施策を政策パッケージとして総合的に進めていこう、このように考えております。

 また、カーボンプライシングにつきましては、直ちに導入するのではなくて、民間企業がGXに取り組む期間を設けた上で、当初低い負担で導入して、徐々に引き上げていくこととした上で、その方針をあらかじめ示すということで、民間企業のGX投資の前倒しを促進していきたい、こう考えております。

 また、将来のカーボンプライシングの導入によりまして、これは財源効果も当然ありますので、これを活用いたしまして、先ほど申し上げた、国が二十兆円規模の投資促進策を先行して実施していく、こういうことを考えております。

 こうした取組によりまして、まさに御指摘のとおり、民間企業の投資を減退させることなく、むしろGX投資をより早期に行うインセンティブを付与する形で進めていきたい、このように考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 しっかりとやはりパッケージで示していただくこと、それとまた、企業からすると、やはり予見可能性、こういったところが一番重要になってくると思いますので、あらかじめ、分かった範囲で適時情報公開をしていっていただければと思います。

 それとともに、やはり中小・小規模事業者の方々を取り残さない形で、やはり、日本の強み、物づくりというところは中小・小規模事業者の皆さんの力だと私は思っておりますので、是非、そういった方々も含めて、このカーボンプライシングの理解を深めていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、LNGの安定調達についてお伺いをさせていただきます。

 ロシアがウクライナに侵略したことで、日本のみならず世界各国においてLNGの調達合戦が始まり、取引価格が高騰するなど、エネルギー由来のインフレが世界各国で起こっております。今、直近の価格は少し下がっているとも認識をしております。

 また、国内においても、ロシアのサハリン2の途絶が心配されたときに、本当に国内経済にも大きな影響が出るのではないかと様々な懸念が示されたわけでありますけれども、やはり資源を安定的に、そして安価で供給をすること、これは大変重要なことだと思っております。

 ただ、その一方で、資源外交というものは大変に厳しい交渉になるとも承知をしております。是非政府の皆様方には、しなやかに、そしてしたたかに交渉を、これからもお願いをできればと思います。

 カーボンニュートラル実現に向けては、GX基本方針でも、再エネ主力電源化が掲げられておりますが、変動再エネが拡大する中でも安定供給を担保するには、調整力としてのLNG火力が果たす役割も依然として大きいと承知をしております。

 また、地方ではいまだに非効率化石火力や産業用需要の天然ガスへの燃料転換需要も大変多く、これからもLNGはカーボンニュートラルに貢献するものと考えております。特にこのトランジションの期間におけるLNGの重要性は、私は大変にあるんだというふうに確信をしております。

 そのような中で、容量市場や長期脱炭素オークション、予備電源等、電源建設、維持に関する制度設計は進んでおりますが、併せて必要なLNGを始めとした原燃料の安定調達については、有事に備えた戦略的余剰LNGの措置にとどまっていると認識をしております。

 世界に目を向けると、欧州や中国が、国営企業や政府が関与する形でLNGの長期契約を進め、LNG争奪戦が激しくなっていることは、審議会でも指摘がされていると承知をしております。日本においては、再エネの拡大、熱需要の電化等が想定される中では、LNG需要の見極めが非常に難しく、民間企業が十年単位の長期契約でLNGを調達するリスクを取りづらくなっていると考えております。

 本件に関連して、政府の見解について御質問をさせていただきます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ロシアによるウクライナ侵攻や、資源価格の高騰を受けまして、エネルギーの安定供給の確保に向けた課題が近年非常に浮き彫りになっているところでございます。その中で、燃料をいかに安定的に調達するかという観点から、長期契約の重要性ということが改めて指摘され、私どももよく認識しているところでございます。

 一方で、中長期的にカーボンニュートラルに向けた対応を進めていかなければならない、再エネの導入量がどれぐらいいくかなかなか見通しが利かない、そういうものの裏返しとして、電力、ガスの中長期的な需要の見通しがなかなか立ちづらい、市場の価格が変動していく、様々ございます近年のエネルギーをめぐる環境の中で、電力事業、ガス事業という中における燃料の調達、そこにおける長期契約というものの在り方についての経営判断の難しさということは、私どもも、産業界の方からの御指摘も含め、よく認識しているところでございます。

 こうした中で、政府といたしましては、民間事業におけるLNGの長期契約での調達ということを促すためにも、積極的な資源外交を通して、米豪等の生産国における継続的な増産の働きかけを行いますとともに、JOGMECの出資ですとか債務保証などを活用しました日本企業の権益確保ということを後押ししていくということが基本のアプローチなのかなと思ってございます。

 また、あわせまして、その際に、LNGの需給の不確実性、余剰リスクといったものもございます。これへの対応ということを考えますと、従前より公正取引委員会とも連携しております仕向地条項の在り方ということについては、引き続き大きな課題として取り組んでまいりたい、この撤廃を含めて取り組んでまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、電力、ガス事業者の皆様方が需要家に対する供給ということを確保する観点からLNGを確保していかれるということが基本になるものだと思ってございます。

 先ほど御指摘もございました有事に備えた戦略的余剰LNGの確保ということについては措置していきたいと考えておるわけでございますが、これを超えて、燃料、燃原料の調達ということについて、民間事業に加えて、公的介入、関与というものをどう深めていくことができるか、いくべきかということにつきましては、産業界の皆様の御意見、実情ということをよくよく踏まえながら、様々な形で検討していきたいというふうに考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 仕向地条項、これは本当に長年の業界の課題というか懸案でもあります。しっかりと日本に輸入してきて、もし余るのであれば、近隣の諸外国にそれを割り振るというような形もできるような形で、是非役所としても取り組んでいただければと思います。

 一点、答弁の中でもちょっとございましたけれども、昨年、JOGMEC法、ガス事業法を改正していただいて、JOGMECが、ある意味、緊急時の際にはLNGを輸入できるような形になるというふうに承知をしておりますが、ただ、具体的にこのオペレーションの段階になると、やはりJOGMEC自身にはそのオペレーションの機能がないというふうに私は感じているんですけれども、この辺、もし政府として、恐らくこの冬に向けて制度を整えていかないと間に合わないような段階だと思うんですけれども、政府の御見解がもしあれば教えていただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年改正いただきましたガス事業法、JOGMEC法に関しましては、民間企業だけでは対応し切れないような異常な事態が生じた際に、国の機関でありますJOGMECが政府とも協力しながら資源国等との交渉や調達を行うというための改正でございました。この法律は、一月十六日から施行されていまして、JOGMECの業務方法書も、必要な手当てを同日付で実施したところでございます。

 御説明いただきましたとおり、この法律に基づく調達業務を実際にうまく機動的に行っていくために、JOGMECにおきましては、既に、緊急時燃料調達チームというものを設置しておりまして、このチームにはLNG調達の実務経験のある民間からの出向者の方や、民間企業でLNGの事業化に携わった専門家も参加しているというチームがございます。

 実際は、有事の際には、このチームがいろいろな資源国ないしは資源国の企業との交渉、調達を行っていくということを想定しておりますけれども、委員御指摘のとおり、民間企業の経験、ノウハウを活用させていただきながらこの業務を実施する方が効果的な場合も多々あるというふうに承知してございますので、民間事業者の方との連携を密にしながら、このJOGMECの緊急調達のオペレーションを進めていくということにしたいと考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 あとは、入ってきたLNGをしっかりと、困っている事業者の皆様方に分配できる、こういった仕組みも含めて検討していただければと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 次に、アジア・ゼロエミッション構想についてお伺いをさせていただきます。

 私は、GXの成功を左右するには、やはりアジア全体のエネルギーの安定供給とトランジションの推進に向けた取組をしっかりと日本が主導していくことが重要だと考えております。

 本年は、一九七三年以来、目覚ましい発展を遂げた日本とASEANの友好協力が五十年を迎えるという節目でもあります。

 日本は、ASEAN諸国との関係において、米国や欧州諸国に先んじてパートナーとなり、幅広い分野において、深い関係を長年にわたって築いてまいりました。今度、来月の三月四日には、アジア・ゼロエミッション閣僚会議を開いていただく、そしてまた、その前日には、官民投資フォーラムを経団連と共催で開催をしていただくとも聞いておりますし、また、四月にはG7の気候・エネルギー・環境大臣会合がございます。その後、五月にはG7サミット、また、十二月にはASEAN特別首脳会議などが開催されると承知をしております。

 そういう状況の中において、やはり、しっかりとしたビジョンを出すこと、示すことが重要だと承知をしております。ASEAN諸国を含め、アジア各国においても、それぞれの国の置かれた状況を踏まえつつ、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルに向けたトランジションの両立を図っていくことは大変大きな課題になっていると承知をしております。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 アジア全体のエネルギー安定供給とトランジションの推進に向けて、具体的にどのようなアジア各国と連携をしていくのか、政府の考え方を具体的に教えていただければと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 アジアのトランジションを支援していく際には、アジアの全体のエネルギー安定供給の確保、これも大事でございまして、また、アジアの場合は、今後の経済成長によりましてエネルギー需要の拡大が見込まれているという状況もございます。

 したがいまして、アジアのトランジションにつきましては、安定供給に万全を期しながら、再エネ、省エネを最大限導入していくと同時に、LNGなどの化石燃料のクリーンな利用を進めていく必要がある、そのように考えております。

 とりわけ、アジアのエネルギー安定供給とトランジションに重要なLNGにつきましては、アジア各国とのLNGへの上流投資や緊急時協力の検討を進めるとともに、生産国への増産働きかけを実施することなどを想定しておりまして、既に日本政府は、マレーシアの国営企業のペトロナスやシンガポール政府、タイ政府と、LNG分野の協力覚書を締結しております。こうした取組を更に拡大し、LNGのより具体的な取組につなげていきたいと考えております。

 また、アジアのエネルギートランジションにつきましては、アジア各国の目指すべきゴールは共通でありますが、その道行きは様々であり、各国の事情を踏まえた現実的な取組を進めることが重要だ、そのように考えております。先ほど先生からもお言葉をいただきましたが、我が国としては、まさに、アジア地域でゼロエミッションを実現しながら、力強い成長を実現していくアジア・ゼロエミッション共同体構想の実現に邁進しております。

 この中で、アジア・エネルギー・トランジション・イニシアチブとして、トランジションのロードマップ策定支援、ファイナンス支援、人材育成支援や技術支援などを行います。また、加えて、三月三日、四日には、アジア・ゼロエミッション共同体の官民投資フォーラム、さらには閣僚会合を行います。CEFIAなどの地域協力や、二国間での協力、政策対話なども展開していきます。

 経済産業省としましては、こうした様々な手法や機会を通じて、全力でアジアの現実的なトランジションを後押ししてまいりたい、そのように考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。私も、一議員として、何としてもこれを成功させるために頑張っていきたいと思います。

 そして、最後、一言だけ。

 是非、ファイナンス、トランジションファイナンスに関しては、まだまだ世界では理解を得られていないところがありますけれども、これを成功させることが日本のGX成功につながると思いますので、是非、省庁の皆様方には御協力いただければと思います。

 質問させていただきまして、誠にありがとうございました。

小林主査 これにて山口晋君の質疑は終了いたしました。

 次に、末次精一君。

末次分科員 立憲民主党・無所属会派、末次精一でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これまでも経済産業委員会で取り上げてまいりましたけれども、地方のエネルギー問題について改めて質問させていただきます。

 このテーマについては賛成派、反対派が入り交じり、あらゆるところで相当にゆがんだ言説が生み出されているというのが現状であります。

 しかしながら、政府も二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、国のいわゆる重要政策として取り組んでいる中でもありますし、やはり、こういったゆがんだ議論ではなく、もうそろそろいいかげんに、地域振興とレジリエンスというものを中心とした進め方を議論していくべきときではないかと私は思っております。

 ところが、その状況を見ますと、電源交付税や固定資産税が入ってきた場合に、地方交付税と相殺されるのではないかというような議論は昔からございまして、冒頭、ゆがんだ言説が生み出されている状況ということを申し上げましたけれども、まず、これをもってどう運用していくかというのが極めて難しいテーマでもあると私は思っております。

 実際、大風力発電所の系統連系は大都市直行になっているケースが多く、東京電力柏崎原子力発電所も福島の原子力発電所も、地元の新潟、福島には一キロワットも供給できておりません。各自治体や市民がお金を出し合って発電所を造るならともかく、資本を出したところが取り分を確保する現状をどう解決するのか、と申しますよりも、解決できるのかということは大変疑わしいところではありますけれども、その一方、私の地元、長崎県五島市におきましても、浮体式洋上風力発電所が取り組まれております。けれども、地元では、いろいろ回ってみますと、賛否の声が後を絶たない状況でもあります。

 そこで、質問をさせていただきます。

 地方における発電事業は、福島県内陸地方の風力発電の例にあるように、地域雇用、地域企業への好影響、いわゆるサプライチェーンの構築が見込まれるという点においては極めて重要と考えておりますけれども、やはり、一過性のものではなく、メンテナンスなどで稼ぐ体制、地域の投資で中長期的に稼ぐ体制の構築が必要だと考えますが、その点について大臣の御所見をいただければと思います。

西村(康)国務大臣 委員御指摘のとおり、地域における再生可能エネルギーの導入を推進していくに当たっては、やはり地域に裨益する、この取組が非常に重要な要素だというふうに思います。

 また、地域に存在する再生可能エネルギーは、地域経済活性化のみならず、災害時におけるエネルギー供給という点において、レジリエンス、強靱性向上の観点からも地域に貢献するものと承知をしております。

 具体的には、まず地域経済の活性化という観点から申し上げれば、御指摘ありましたように、再エネ設備の建設工事や設備の補修、メンテナンスなど、継続的な雇用、需要の発生が期待されるということがありますし、加えて、例えば、洋上風力の御指摘もありましたけれども、洋上風力に関しては、二〇二一年十二月の入札の結果を踏まえて、国内で百三十四基の風車の組立てが行われる予定でありまして、サプライチェーンの構築、そして雇用効果などが期待されているところであります。

 そしてさらに、レジリエンス、強靱性の向上という観点でも、地域の再エネと既存の系統線を活用して、災害時における電力供給を可能とするようなマイクログリッドの構築によって地域のレジリエンス向上の効果も期待できます。

 経産省としては、地域との共生を前提に、関係省庁と一体となって太陽光、洋上風力などの再エネ導入を進めるとともに、災害時のエネルギー供給に役立つマイクログリッドの構築への支援などを通じて、今後も地域に根差した再生可能エネルギーの導入を積極的に推進していきたいというふうに考えております。

末次分科員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 そもそも、この問題を考えるときに、やはり賛成派と反対派がこれは分かれている。賛成派は賛成派で、もちろん大資本や外国資本が多いというのは現実でありますけれども、当然、投資した分についてその回収を図らなければいけない、企業としてのゴーイングコンサーンの役回りがある、それはそれで当然正しい。その一方で、地元では、いろいろないわゆる風評も含めて、また漁業者の実際の反対も含めて、それぞれの立場でのお考えがある。それがある意味、いろいろな言説を生み出している、ゆがんだ言説を生み出しているということなんですね。

 実際、先ほど大臣の方からも非常に積極的かつ前向きな御答弁をいただきましたけれども、その一方で、これは大学と大手新聞社が行った全国自治体調査、市町村が再エネ導入に取り組む理由について、エネルギーの地産地消につながるというのは、二〇一四年には五割以上だったんですが、二〇年には四割半ばに減ったという統計結果、また、地域活性化につながるや、遊休地や地域資源の有効利用にもつながるが四割以上から三割以下になった。

 実際、カーボンニュートラルということで、ここ数年、進めようということで、先ほど大臣がおっしゃったような、国も前向きな取組として考えているという中でも、地域が幻滅しているという実態がやはり浮かび上がってきているという事実があるわけです。

 大臣、政府の方でも結構でございますが、こういったいわゆるミスマッチとまで言っていいのかどうか分かりませんが、現実問題として、いわゆるカーボンニュートラルが進んでいないんじゃないか、進みにくくなっているんじゃないかという現状がデータとして上がっているわけでありますが、それについて、運用面に関して、どのようなお考えをお持ちであるかという点についてお伺いしたいと思います。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおりで、再生可能エネルギー、太陽光発電、風力などを進めていくに当たりまして、幾つかの御地元では、やはり安全面の懸念とか景観の破壊、あるいは、そんなところに建てても大丈夫だろうかといったような御懸念の声が高まっておりまして、なかなか地域における再生可能エネルギー導入についての理解が深まり切らないといったような状況が見られるようになっております。

 こうした点を踏まえまして、我々も地域との共生が再生可能エネルギーを進める大前提だと考えてございまして、政府関係省庁で集まりまして、共同の研究会で検討を深めてまいりました。

 この度、そうした検討会、そして御地元の、先生にも以前から、しっかり地域の声は拾っているかと御指摘いただいておりますが、我々もそうした点、鋭意尽くしておりまして、様々な地域の方々のお声も直接お聞きして、例えばですけれども、やはり安全面で懸念があるような地域、これは森林法の適用地域であるとか、あるいは盛土規制法の適用地域であるとか、あるいは砂防三法の適用地域、こうしたところにつきましては、そうした法令の安全面等の都道府県の規制、了解を取ってからFITの認定を行うべきである、こうした声が非常に多うございました。

 この点を踏まえまして、これは再エネ特措法の省令を速やかに改正する準備に入っておりまして、それによって、そうした了解を得ない限りFITの認定を与えない、したがって、資金支援を行わないのでプロジェクトが進まないといったようなことも、運用といいますか、省令改正によって可能でございまして、速やかにこうした措置は取り組んでまいりたい、かように考えてございます。

末次分科員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと今の御答弁と重なるところがあるかもしれませんけれども、次の質問にさせていただきます。

 地方における発電事業者は、地域の合意形成を図り、地域連携の下に進めるべきというふうに考えますけれども、しかしながら、現実は、再生可能エネルギーは投資側でないと十分な利益を得ることができないものとなっております。そればかりか、電力の地産地消はかえって地域に高い電力を押しつけることにもなりかねないということでもあります。こうした認識、理解がその地域に住まう一般生活者に及んでいないことを危惧しております。

 先ほど、長崎県五島市の浮体式の洋上風力ということで、全島を再エネということで地域が取り組んでおりますけれども、なかなか、そうなると電気料金が安くなりますよとは言えないというのは、これはもう正直なところだと思います。それがいいとか悪いとかいうことではなくて、それが現状であると。

 その一方で、やはり地元の人というのは何かしら期待するわけですよ、そういうことで。そういったところに、一般生活者に認識、理解というものが及んでいないという意味でありますけれども、そういうことを大変危惧してもおります。

 地域連携という観点から、一般生活者、国民の理解をいかに得るか、このことについて何か策というものをお考えかどうかということをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 地域の理解を得て、地域のメリットある形で再エネを広げていくという御指摘だと思います。

 地域の景観を守ったり安全面を守ったりというところは先ほど答弁があったとおりですので、そうした取組で事業を行っていく上での規律の強化、これは行っていきたいというふうに考えております。

 一方で、どういうメリット、地域貢献があるかということでありますけれども、幾つか地域で取組が進んでおりまして、例えば、秋田県の風の松原自然エネルギー風力発電のように、地元の企業、銀行、自治体による合同会社が地域貢献を念頭に置いた再エネ導入をするという取組を進めてきております。当省としても、地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰として表彰しているところでありますし、また、長野県飯田市における飯田市おひさまファンドでは、市民が小口の資金を出し合うことで誰でもビジネスチャンスで一定のメリットがあるわけですね。そういった取組事例もありますし、私の地元、淡路島でも、ため池で発電事業を行って、ため池を維持するための必要な費用などはそれで賄っていくというような取組が進んでおります。ですので、創意工夫、あるいは地域でまとまって取り組んでそういう形でやれば、地域にも裨益があるということだと思います。

 同時に、洋上風力については、地域の皆さんの理解の促進のために、各海域で政府、自治体、利害関係者が参加する法定の協議会で議論を行って、地域との共生に向けた取組のための基金の造成、あるいは漁業者の共存を促す取組の策定などが行われております。

 こうした取組を通じて、地域の皆さんの御理解、信頼を得ながら、またメリットもある形で、しっかりと地域に根差した再エネ導入の拡大を進めていきたいというふうに考えております。

末次分科員 ありがとうございます。

 本当に、おっしゃっていただきましたように、大資本と地域、これがいかに協業を図っていくかということが大切である、重要であるというふうには思っております。

 またちょっと別の視点から質問させていただきます。

 系統連系線の整備というものは、いわゆるローカル系含めて、本年四月より前進する予定ということで聞いておりますけれども、さきに述べましたように、多くの国内における大発電所というものは、原子力を中心に、地元にはほとんど供給されずに、大都市直行である現状というものがあります。

 また、固定資産税や電源交付税は地方交付税と相殺される可能性があるため、十分な検討、認識、確認が必要でもあります。

 そこで、まず、この交付税の問題について現状をちょっと御説明いただきたいと思います。

的井政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税制度におきましては、自主財源であります地方税、ただいま分科員から固定資産税のお話もいただきましたが、この地方税の税収確保に対する意欲を失わせないようにするために、基本的に、基準財政収入額の算定におきまして、標準的な地方税収入の七五%分を算入することといたしておりまして、税収が増加をいたしますと残りの二五%分が増加する仕組みとなっているところでございます。

 そのため、固定資産税を始めとする地方税収入額が増加した地方団体におきましては、基本的に、一般財源である普通交付税と標準的な地方税収入とを合算した額が増額する仕組みとなっているところでございます。

 以上でございます。

末次分科員 今のところ相殺されていないということでありますけれども、やはりこれも地元の方では、結局、電源三法によりましていろいろな補助金が入ってくるというその一方で、そういう不安もあるという声も多く聞きます。これから税制改正、いろいろ行われていく過程の中で、そういった不安が払拭できるような取組をしていただきたいというふうにまず思います。

 その一方で、やはり全般的な視点で考えると、大局的に考えると、こういった供給の問題も含めて、地方における運用についてどうしていくかということを、現実的なお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、発電所を造るということについて申し上げますと、その発電所が造られる地域の方々、この方々の御理解をしっかり得ていくということは非常に重要なことだと思ってございます。

 そうしますと、先ほど御指摘ありましたように、大発電所ができて、そのことに伴う裨益することがその地域においてなかなか実感されないということになり、様々なその取組に対する御苦労に対する、報いることができないということになってはいけないと私どもも考えているところでございます。

 そうした中で、電気を消費する地域の方々も負担する電源開発促進税というものを原資といたしまして、電気を作る地域、特に先ほどのお言葉で言いますと大発電所のような長期の固定電源、原子力ですとか火力発電所とかいろいろございますけれども、そういうところ、立地する地域の自治体を対象としまして、その地域の公共施設の整備や地域振興などに活用できる電源立地地域に対する交付金という制度を設けているところでございます。

 この交付金を使いますれば、例えば道路、水道などの整備、維持補修でございますとか、病院、社会福祉施設の整備、運営ですとか、様々な形でその自治体が実施する事業を電源立地地域の交付金によって支援することができる仕組みを準備しているところでございます。

 こういった交付金も活用しながら、引き続き、電力を作る地域、この地域の方々がこの発電事業ということに対して御理解を得て、御支援いただけるような形の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

末次分科員 ありがとうございます。

 冒頭取り上げましたように、地域のエネルギー問題というものは、やはり進めたいという、あと、進める事業者本体というのと地元の人たちという、その関係性において、双方の立場の主張が相対して、政府としてはいろいろやり方を、政策を考えて取り組んでおられるんですけれども、私が現場を回ってみると、なかなかそれが浸透していないんじゃないかなというような、もちろん、先ほどうまくいっている事例も挙げていただきましたけれども、それがまだまだ多いのではないかと。

 やはり、調べてみると、先ほどアンケート調査にもありましたように、地域の再生可能エネルギーに向けての熱意、熱というものもだんだん下火になってきている傾向にあるという現状なんですね。そこを大変私は心配しているというところでもあります。

 結局、この地方のエネルギー問題ということをまとめると、やはり電力の地産地消はかえって地域に高い電力を押しつけることになりかねないということですね。それが一つですね。それと、多くの国内における大発電所というものは、原子力を中心に、地元にはほとんど供給されずに大都市直行であるという現実。それと、これはエネルギー自給率一〇〇%という考え方そのものがレジリエンスの観点からも必ずしも適切でないのではないかといった問題があるというふうに考えております。

 結局、これらの問題がいずれも、我が国のエネルギー問題と、エネルギー問題を通した諸課題解決のいわゆる障害となっているというのがポイントであると私は思っております。

 我が国のエネルギー問題というものが、いわゆる論者の偏りによって、中央集権的なものなのか、極端に現実味のない地方分権的なものなのかというのは、残念ながら二分されている現状もあります。結局、また国際情勢というものにも振り回されたり、資源調達、コスト高騰によるあおりを真正面から受けているということも踏まえると、極めて低いレジリエンスな状態になっているようにも感じるわけでございます。

 この総合エネルギー政策の視点を、大都市部、大製造業に対して地方、その他産業という構図をつくるのではなく、再生可能エネルギー等におけるいわゆる相互協力の連携体制を早急に整備すべきではないかというふうに思っております。供給サイドも重要ですけれども、生活産業の視点、生活者視点、目線というものも重要でないかと考えるわけです。

 皆様のこれまでの取組を決して否定するわけでも何でもないんですけれども、私が現場を見て、なかなかまだまだ乖離があるというふうに感じているということもあえて申し上げさせていただいた上で、まだ続けさせていただきますけれども、ひいては、この問題に関する研究者等の偏在も是正する研究開発戦略も必要な段階まで来ているのではないかというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、私の地元、長崎県は、エネルギー発電に係る先駆的な取組が各地で進められてもおります、国内でも有数の地域でもあるということから、中立的な立場でしっかり影響評価しなければ後々大きな禍根を生むことになるという強い危機感を持っております。

 やはり、私が感じるのは、もっと地に足をつけた議論をお願いしたいということであります。そのために、御存じのように、昨年、私の地元では、行政そしてまた事業者と一般の生活者を交えて意見交換会もいたしました。東京におきましては、また行政とそういった新電力を牽引する企業の皆様を交えて意見交換会も行いました。私はそこに解決の糸口、現場の声、生の声というものがあるというふうに認識しておりますので、必要ということであれば是非提供させていただきたいと思います。

 大臣、今申し上げましたように、やはりこれからはもっとフラットな議論が必要であると思います。やはり、当然、立場立場の意見というものはあるわけで、それはもう仕方ない。でも、そういう中においてベストな方法というのはなかなかやはり生み出されないという現実もあると思います。

 しかし、私たちも、国会議員も研究者も、そういった偏った考え方ではなくて、そこを仲介するようないわゆるベターな解決策、方法というものを導いていかなければいけないと思うわけでありますけれども、今後の、どのようにしてこれをもっと地域が熱を持って取り組んでいくことができるようになるか、このカーボンニュートラルというものが、本当に二〇五〇年に向けて、実現に向けて動いていくか、もっと加速度的に動いていくかということを考えたときに、改めて大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するということは、私ども是非実現をしたいと思っておりますけれども、これまでの化石燃料に依存してきた経済構造、社会構造を大転換しなければなりませんので、当然その移行期間なんかも見ながら、着実に一歩一歩進んでいくことが大事ですし、その取組に対して全ての国民の皆様に理解をいただきながら進めていくことが大事だというふうに思っております。

 大都市部で、あるいは工業地帯で多くの電力を使う、一方で、過疎地ではそうした量は使わないけれども、再エネに適した、そうした風力や太陽光に適した地域もあるということでありますので、それぞれの地域がそうした発電施設を持つことで、またメリットを感じながら、そして、やはり公平で公正なシステムとして、需給と負担の関係なども考えながら、国民の皆さんの御理解もいただきながらカーボンニュートラルを進めていかなきゃいけない。

 そういう観点で、できる限り負担も、FITで一定の上限に来ると思いますので、それと石油石炭税で負担していただいてきたものの合計を上回らない、負担がそれ以上上回らないような形で、国民の皆さんに広く薄く負担をいただきながら、また、そうしたカーボンニュートラルに取組の遅い企業は負担が大きくなるというような仕組みも入れながら、是非、着実に一歩一歩進んでいきたいと思いますので、様々な国民の皆様の、あるいは事業者の皆様の声にも耳を傾けながら進めていきたいというふうに考えております。

末次分科員 ありがとうございます。本当に心強い御答弁をいただいたと思います。

 やはり、地域振興とレジリエンスというのを考えたときに、もう忘れてはいけないのは地域の実情だと思います。そういう意味で、今後、地方における発電事業を地域振興とレジリエンスを中心として健全に進めるために、開発と同時に、やはり地域の合意形成を図るためのサポートというものを所管官庁の皆様に対してお願いして、私の質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

小林主査 これにて末次精一君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)分科員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、三つのテーマに沿って御質問させていただきたいと思いますけれども、キャンプと、コーヒー残渣、電気料金、GX基本方針について質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、キャンプについてですけれども、私が今活動しています兵庫県、大臣と同じ兵庫県ですけれども、その中で、但馬地域、丹波地域と言われる中山間地域、主な地域ですけれども、ここで非常に、そういうキャンプという資源が重要ではないかというふうに思っています。

 やはり、ファミリー世帯、特に子供をお持ちの方々は、特に私自身もそうですけれども、小さいときに自然活動をさせていく、これは非常に重要だと思います。その中で、昨年、私、この予算委員会の分科会でも、当時の萩生田大臣にも同じように質問させていただいたんですけれども、大臣の方は、当時は、自然体験活動は本当に意義があることだということを答弁いただきました。

 そこで、西村大臣にもお聞きしたいんですけれども、大臣のところの明石市でも淡路島でもいろいろなそういったキャンプ場、あると思うんですけれども、このキャンプの意義についてお尋ねしたいと思います。お願いします。

西村(康)国務大臣 ありがとうございます。

 私自身は、選挙区は明石、淡路島で、また、神戸の六甲山脈の山渓というか、その麓で育ちましたので、子供の頃から山の中、そして海で遊んで暮らしていました、育ったというのが実情であります。そうした中でも、やはり、小学校のときであったと思いますが、キャンプに行くのは非常に楽しみで、日本海側、竹野にも行ったことがありますし、兵庫県はそういった場所がたくさんありますので、いろんな地域でキャンプの経験もさせていただきました。特に、キャンプファイアも楽しみで、新しい友達ができたり、あるいはちょっと気になる異性の女の子に近づいたり、子供ながらにそんなことを、淡い気持ちを抱いたことも質問いただいて思い出しましたけれども。

 まさに、コロナの担当大臣をしておりましたけれども、人が密集する場所、室内ではなく、むしろ屋外で、家族だけでそうした取組、屋外の活動をするということは、運動不足なり、そういうレクリエーションがない中で、非常に注目され、私の地元、淡路島でも、また委員の御地元もそうだと思いますが、非常にアウトドア活動、キャンプも含めて活発になっていると思います。

 そうした中で、アウトドア製品も、うちの子供たちもそうですけれども、日常に使うという、リュックもそうですし、ダウンなんかもそうですし、非常に日常に使えるような、広く利用されておりますので、アウトドア製品の市場の可能性も感じているところであります。

 四年度の観光白書でも、コロナを契機として、都心のホテルよりも自然環境に触れる旅行へのニーズが高まっている傾向なども指摘をされております。

 それぞれの地域の特徴を生かして、そうした観光客の誘致、あるいは中山間地域の地域の活性化という観点からも、キャンプ、アウトドア産業、是非、重要な役割があると思いますので、支援もしていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)分科員 大臣、ありがとうございます。本当に、いろんな体験、昔からの体験とか、御紹介いただいてありがとうございます。

 その中で、今、キャンプもいろんな、多様化してきていまして、この間、東京の檜原村というところで山のサブスクリプションをやっている、定額に料金を払って自由に山を使えるんだということ、こういった、多様化してきているようなところがあります。

 特に、大臣、先ほど御紹介いただきましたけれども、キャンプの用品であったりとか、製造、販売の新規事業展開支援なども支援しているということを承知しております。その中で、キャンプとはこれまた違うテーマになるんですけれども、グランピングというものが、実はまたこれも増えてきているんだというところで、最近特に、コロナがあって、事業再構築補助金によってこのグランピングの場所が増えてきたんだというところがあります。その中で、このグランピング自体もまた同じように、アウトドアの流行も踏まえて若い方にも人気が出てきているんだと。

 そこで、お尋ねしたいんですけれども、今後、グランピング場の整備への支援の、今までも支援されてきていると思いますけれども、効果であったりとか、今後の支援の方向性をお尋ねしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 グランピング場に関する支援の実績としましては、地域の特性を生かした自治体の取組を支援する地域未来投資促進法に基づきまして、通年型のマウンテンリゾートのための関係施設を整備、運営する事業ですとか、あるいは、パン製造用の石窯を併設する形で、グランピング場関係施設を整備、運営する事業への支援を実施しております。

 また、キャンプ用品に関する支援の実績としましては、事業再構築補助金によりまして、自転車用ライトの製造ノウハウを生かしたキャンプ、災害用ライトの開発、製造、金属深絞り成形技術を活用したキャンプ用ステンレス、チタン製タンブラーなどのデザイン、製造といった取組への支援を行っております。

 引き続き、こうした支援を通じまして、アフターコロナの一つのトレンドともなり得るキャンプ関連産業をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 実際、このキャンプ用品については、先ほど御紹介いただきましたけれども、災害にも使えたりというところがあると思いますけれども、この中で、今後コロナが弱毒化してきて、そして、今の円安の進展によって海外からの訪日外国人観光客の増加の兆しも見えてきているんだと思うんですけれども、その中で、まさに日本のこういった資源、キャンプ場であったりとか自然環境を海外の人たちに発信する非常に重要なチャンスだと思います。

 その中で、今までは、旅行に来て、ただ買物をして、それで帰っていくというところだったと思うんですけれども、今後は、更に踏み込んだ体験型というのが重要になってくると思います。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、観光庁として更に進めていく取組についての御所見、お伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の影響による旅行者の意識の変化に伴いまして、密を避け、自然環境に触れるキャンプなどのアウトドアアクティビティーは、ニーズが高まり、拡大しております。また、自然環境の保全と利用の両立を重視する持続可能な観光への関心も、世界的に高まっているものと承知しております。

 昨年十月に水際対策が緩和された後のインバウンド戦略といたしましても、滞在期間の長期化ですとか、消費額の拡大、地方への誘客の観点から、自然体験型のアウトドアアクティビティーの振興というのは重要な課題だと認識してございます。

 観光庁では、これまでも、キャンプやトレッキング等のアクティビティーにつきまして、地域の自然の特色を生かした新たな観光コンテンツの造成や商品化に向けたアドバイスを行う専門家派遣などの支援を通じまして、観光コンテンツとしての魅力の向上に取り組んでまいりました。

 今後も、日本各地でこうしたアウトドアアクティビティーを満喫していただけるよう、更に強力に取組を進めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 是非、自然を海外の人たちに知ってもらう機会ですし、日本は、都市部だけではなくて、海外の人たちに、ほかの地域も、俗に言う過疎になっている地域であったりとか人口が減っている地域でも、そういう自然体験が非常にできるんだということを積極的に発信していただきたいということを要望しまして、次のテーマに移したいと思います。

 次、コーヒー残渣の活用についてお尋ねしていきたいと思います。

 このコーヒー残渣というのはコーヒーの飲みかすで、これは、今現状、店舗、工場、家庭から出て、残りかすは現在は普通にごみとして捨てていると思います。一方で、これは資源にも使えるんじゃないかというところで、今、テーマとして思っているんです。

 これは、コーヒーかすを回収して、乾燥させて、燃焼プラントで炭にする、農地の土壌にこれを利用しようという取組があると思うんですけれども、こうした活用の在り方についてどのようにお考えでしょうか。環境省の方、お願いします。

土居政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、コーヒー残渣など食品廃棄物などの再生利用、こちらにつきましては、環境保全の支障が生じない形で行うということは、循環型社会を形成する上で重要なものだというふうに考えております。

 御指摘ありましたような、コーヒー残渣を炭化し、農地で活用する場合に当たっても、環境保全上の支障が生じないように、当該炭化物の組成や農地への効果、こういったものを適切に把握して、関係法令を遵守し、取り組むことが必要であるというふうに認識しております。

遠藤(良)分科員 コーヒー残渣を炭にして、バイオ炭にして、農地への活用。これはJクレジットで収益を得られるんじゃないかと思うんですけれども、このコーヒー残渣について、Jクレジットの対象になるか、これをお尋ねしたいと思います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 このJクレジット制度におきまして、バイオ炭の農地施用、これが方法論として認められてございます。

 このバイオ炭でございますが、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、三百五十度超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物ということで定義をされてございまして、難分解性のバイオ炭の施用により、炭素成分が長期間分解されずにバイオ炭として地中に貯留されるということでございます。

 このコーヒー残渣につきましても、バイオ炭の対象原料となることが昨年の四月に明示されたということでございます。

遠藤(良)分科員 これはコーヒーの残りかすがJクレジットの対象になるかというところなんですけれども、もう一度、対象になるかならないか、お尋ねしたいと思います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 対象になるということでございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 これは対象になるということで、コーヒー残渣が、今、廃棄物処理法二条の廃棄物だとすると、産業廃棄物処理業の認可が必要だというところで、ちょっとお読みしますけれども、廃棄物というのは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものというところ、定義されていると思うんですけれども、これは確認ですけれども、仮に有償で譲り受けて回収すれば廃棄物に当たらないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、ここで言うコーヒー残渣は、産業廃棄物処理法二条の廃棄物に当たるか、回収等に許可が必要なのか、これをお尋ねしたいと思います。

土居政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法の廃棄物に該当するか否かにつきましては、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、そして取引価値の有無、占有者の意思などを総合的に判断するものとしております。

 廃棄物処理法におきましては、産業廃棄物の処理に関しましては都道府県知事が行うというものでございまして、事案に応じて、今申し上げましたような要件に当たるかどうかを個別に判断しているというのが現状でございます。

遠藤(良)分科員 これは、仮に廃棄物に当たるとしても、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物は、古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維に限定されなくてもいいんじゃないか。

 まとめると、回収や再生利用のルートが確立していれば例外的に許可は不要なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物としての認可が不要にならないか、この辺りをお尋ねしたいと思います。

土居政府参考人 廃棄物の不法投棄また不適正処理を防止するために、廃棄物処理法におきましては、廃棄物の処理を業として行う場合には許可が要るというしつらえにしております。

 今御指摘いただきました、専ら再生利用の目的になる産業廃棄物につきましては、古紙など、回収されてから確実に再生利用されるまでの社会的な体制が構築されているなど、こういった要件に合致するということで、再生利用されることが通常であるということですので、特例的に許可不要ということで扱っております。

 このような法の趣旨に照らしますと、今御指摘ありますコーヒー残渣につきましては、現在では、一般的に再生利用されるというよりは廃棄物として処理されるということでございますので、通常、再生利用されるということでは認め難いというものでございますので、専ら廃棄物には該当しないというふうに考えてございます。

遠藤(良)分科員 そういうところだと思うんですけれども、一方、このコーヒー残渣の活用は新たなビジネスモデルと考えられると思うんですけれども、農水省としてコーヒー残渣の活用についてどのように捉えられているか、お尋ねしたいと思います。

宮浦政府参考人 今御指摘のありましたコーヒー残渣の活用でございますが、農林水産省におきましては、食品リサイクル法に基づきます計画認定制度などを通じまして、飼料、餌ですとか肥料に再生利用する取組を促進しております。

 事例で申し上げますと、コーヒーチェーンの店舗から排出されるコーヒー残渣、こういったものを提供しまして、餌の製造業者で飼料を製造し、また、これを酪農家に提供いたしまして、ここで生産されました生乳から牛乳を作って、この牛乳をまたコーヒーチェーンで活用するといったような取組などを行っております。

 農林水産省としましては、引き続きこうした再生利用を推進してまいりたいと考えているところでございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 今御紹介いただいたコーヒーチェーン店でもそうですけれども、こういった事業を新たにビジネスとして捉えていく。こういう規制緩和の、今の産業廃棄物の捉え方もそうですけれども、柔軟な発想が要るんじゃないかなというふうに本当は思っています。是非、こういったテーマも、今後、日本の国の中でも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、最後のテーマになりますけれども、電気料金とGXの基本方針についてお尋ねしていきたいと思います。

 東京電力ホールディングスに対して四千億円融資した、東電の二〇二二年四月から十二月の最終利益は過去最大の六千五百九億円の赤字だったと。規制料金について、東北、北陸、中国、四国、沖縄電力が値上げの認可申請をしている、東電は料金の見直しを検討し、関電は維持をしていると。最近、本当に、電気料金が上がったと皆さんも実感していると思います。僕も、事務所の電気代が上がったり、自分の家の電気代がすごく上がったなというふうに実感をするんですけれども。ウクライナの情勢も長期化して、円安による物価上昇もあると思いますけれども。

 これに関して大臣にお尋ねしたいのは、電力各社の経営状況と今後の電気料金についてどのような認識なのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、ロシアのウクライナ侵略等によって世界的にエネルギー価格が高騰していることや、あるいは為替の影響などによって日本の燃料の円建て輸入価格が高騰しておりまして、電力会社の業績悪化、そして電力料金の上昇にもつながっているということであります。

 ほとんどの大手電力会社が、二〇二二年度の業績は赤字、大きく赤字の見通しであります。また、燃料調整費などによって、この一年間で、家庭向けの電気料金は約三割、産業向けの電気料金は約五割上昇しております。

 さらに、大手電力会社七社が規制料金の値上げの認可申請を提出しておりまして、現在、電力・ガス取引監視等委員会におきまして、燃料調達の費用見込みあるいは経営効率化などを含めて厳格に審査を行っているところであります。

 今後のウクライナ情勢、為替の動向を踏まえた電気料金への影響につきましては、予断を持ってお答えすることは困難でありますけれども、足下では、原油価格が一時に比較して落ち着いてきていること、これも、中国やアメリカなど、経済回復してくれば高騰することも予想されますし、また、欧州の暖冬、中国のLNG需要減、今一時的に需要減によってLNGや石炭輸入価格が現時点では下落傾向にありますけれども、世界の経済状況によってどういうふうに変わっていくのか予断を許さないところであります。

 いずれにしましても、引き続き燃料価格の動向についてはしっかりと注視をしていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 二〇二三年一月から九月まで、政府は激変緩和措置を実施していくというところで、国から小売電気事業者に支援をして、小売電気事業者は料金を値引きして請求をする。こうした手法の妥当性についての議論はあるところなんだと思いますけれども、いずれにしても国民の負担軽減は必要だと思います。

 今月閣議決定されたGXの基本方針の中で、原発を六十年を超えて運転できるということになった。一方で、六十年間運転しても、発電量は二〇四〇年代以降大幅に減少するんだというところだと思います。政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す目標の中で、火力の大幅な増加は難しいというところだと思います。

 基本方針の中で、次世代型の革新炉の話があったと思います。これは、二〇四〇年代以降についてはどういうふうにしていくのか。また、この次世代革新炉の建設の取組であったりとか今後の方向性、これをお尋ねしたいと思います。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 先日閣議決定をされましたGX実現に向けた基本方針、今御指摘ございましたけれども、それによりますと、原子力の安全性向上を目指して、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設に取り組むことなどが盛り込まれたところであります。

 今後、まずは研究開発の支援、そしてサプライチェーンの維持強化、事業環境の整備、研究開発体制の整備など、やるべきことはたくさんありますけれども、その実現に向けまして、国や産業界が進めるべき取組を具体化していくべきと考えております。

 なお、具体的な立地や炉型等につきましては何よりも地元の御理解が大前提でありますから、今後のエネルギー政策における次世代革新炉の重要性につきましても、国民の皆様に対して、分かりやすい形でしっかりと説明してまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 革新軽水炉という、現在の軽水炉をベースとした原子炉が、新たな技術があると。

 初期投資に費用がかかるとも言われているんですけれども、これは安全性とコスト面ではどういう状況なのか、お尋ねしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代革新炉、軽水炉も含めてでございますが、今様々検討が進められていると承知しております。その中には、新たな安全メカニズムと呼び得るような、安全性を飛躍的に向上させるための措置もいろいろ検討されております。

 具体的に申し上げますと、耐震性を向上させる半地下型の構造ですとか、万が一の際に溶融炉心を自然冷却するコアキャッチャー、さらには、人や電力を介さずに燃料冷却が可能な、パッシブと呼びますけれども受動的な安全システム、万が一の際に放射性ガスを分離、貯留する機能、こういったものを新たな安全メカニズムとして盛り込んでいくというような設計が検討されているところでございます。

 お尋ねのコストでございますが、当然のことながら、新たな開発をしていくときには初期のコストは相当かかってくるわけでございます。ただし、実際導入していくときには、その導入の量ですとか広がり、同時に、立地環境、設置条件等の状況に応じて、まさに開発の進展等によって変わってくるところでございますが、現時点におきましてどの程度になるかと見通すことは非常に難しいところかと思います。

 いずれにいたしましても、安全を何よりも最優先することを大前提といたしまして、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の研究開発を進めていきたい、このように考えてございます。

遠藤(良)分科員 次世代革新炉を御紹介いただきましたけれども、これは新たな技術というところで非常に期待はしたいんですけれども、二〇三〇年実用化見込みというところで、再エネも重要なんですけれども限界があるんじゃないかというところで、このGXの基本方針の中では、化石燃料と混焼が可能な水素、アンモニアはカーボンニュートラルの実現に向けたトランジションを支える役割も期待されるというふうにされているんですけれども、この水素やアンモニアは支援が必要な技術だと思います。一方で、二〇三〇年でエネルギーの中で一%程度と、非常にボリュームが少ないと思います。

 管理や運搬の労力、コストが大きいという課題があると思いますけれども、これはどう対応していくのか。混焼だと化石燃料の延命として批判の対象になっていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、この辺り、いかがでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素、アンモニアにつきまして、先生御指摘のとおり、非常に重要なエネルギー源でありまして、ウクライナ情勢を踏まえ、諸外国でも導入加速が進んでいると。

 一方で、この点も御指摘ありましたけれども、これらの社会実装に向けては、やっぱり大規模かつ強靱なサプライチェーンの構築と供給コストの低減が大きな課題だと思っております。

 経産省では、グリーンイノベーション基金等を活用しまして、こうした課題の解決に向けて、新たな製造、輸送、利用に関する技術の確立に取り組んでいるところでございます。

 また、やはり需要が広がっていかないと、供給が高まってコストが下がる、好循環に行きませんので、こうした技術開発に加えまして、既存燃料との価格差に着目しつつ、事業の予見性を高める支援であるとか、需要創出につながる供給インフラの整備支援などの検討を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、化石燃料の延命ではないかという御批判もありますけれども、水素、アンモニアは火力発電の脱炭素化にとって極めて重要でございまして、安定供給を確保しながら化石電源比率をできる限り引き下げていくといったような意味で大変意味がある、特にアジアにおいても意味があると思っております。

 我々といたしましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、足下では水素、アンモニア、トランジションとして化石燃料に混焼というところから始めますが、混焼率の引上げ、さらには専焼化を目指していく。そして、こうした考え方につきまして、国内外での理解促進にもしっかりと取り組んでいきたい、かように考えてございます。

遠藤(良)分科員 混焼の状況が続いていくと思うんです。実際、混焼じゃなくなるとかという見通しとか、その辺り、ちょっとお尋ねしたいんですが、お願いします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば水素につきましては、大規模な発電とあるいは小規模な発電と、両方ございます。それぞれで今技術開発を進めておりまして、混焼レベルは高めていく、そして最終的には専焼でやっていくという技術開発を進めております。これは諸外国でも進んでおりまして、技術的には可能であろう。

 ただ、これに向けて、コストをどういうふうにマネージしていくのかといったような点につきまして検討を進めているところでございます。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 今、震災であったりとか温暖化を踏まえてこのGXの基本方針の閣議決定がされたというところで、非常に大きな方針だと思います。

 最後に、この基本方針に関しまして、大臣からの意気込みというか御意見、最後に伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のGX実現に向けた基本方針についてでありますけれども、昨年二月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギーの安定供給確保というのは非常に大きな課題になっております。そうした中で、GXは、化石燃料からの脱却にとどまらず、エネルギー、産業、そして経済社会の大変革を実行していかなきゃならないというものであります。GXを通じてエネルギーの安定供給と同時に脱炭素を進め、経済成長も実現するということが非常に重要だと考えております。

 そういう意味で、今日御指摘ありましたように、省エネの徹底も大事ですし、再エネも進めていく、そして原子力含めて脱炭素電源への転換を進めていく方針でありますし、水素やアンモニアなどを含めて、カーボンプライシング構想の中でしっかりと予算を確保し、必要な研究開発を世界に先駆けて是非行っていきたい、世界をリードしていきたいというふうに思っております。

 まさに国民の皆さんが将来に向かって希望を持てる経済社会を実現していきつつ、世界の中で、水素、アンモニアのサプライチェーンも含めて、このGX、技術で世界をリードしていけるように是非取り組んでいきたいというふうに考えております。

遠藤(良)分科員 大臣、ありがとうございました。

 力強い御答弁をいただきました。引き続き経産委員会でも議論させていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

 質問を終わります。

小林主査 これにて遠藤良太君の質疑は終了いたしました。

 次に、金村龍那君。

金村分科員 日本維新の会の金村です。

 私は、経産委員会には一度も所属をしておりませんので、初めての質問となります。どうぞよろしくお願いします。

 また、長時間にわたり、お疲れさまでございます。

 まず、ヘルスケア産業について質問をさせていただきます。

 健康寿命七十年と言われる中で、予防、健康づくり、非常に大きな意味を成してきていると思います。私自身も厚生労働委員会で、疾病ではないけれども予防医療に診療報酬の適用をしたらどうかと質問をして、非常に冷たい対応をいただいたんですけれども、そのぐらい、健康寿命を延ばしていく必要性がある、また、予防に取り組むべきだと考えています。

 経済産業省がヘルスケア産業に取り組んでいて、厚生労働委員会の中でも経産省に対して質問もさせていただきました。私、予防、健康づくりにこれからいかに経産省が取り組んでいくのか、まずお伺いさせていただいてよろしいですか。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 予防、健康づくり、おっしゃるように大変大事だと思います。健康づくりを推進することは、国民の健康増進はもとより、今御指摘のあったヘルスケア産業の育成による経済成長、これも期待できますし、ひいては持続可能な社会保障制度ということにもつながってまいります。そういう認識をしております。

 経産省としては、厚生労働省等の関係省庁と密に連携をしながら国民の予防、健康づくりに取り組んでおりまして、例えば、健康医療情報、いわゆるPHR、パーソナル・ヘルス・レコード、これを活用した新たなサービスの創出に向けて、実証事業やデータ標準化等の事業環境整備を行うとともに、事業者による適切なサービスの提供が行われるように、医学会と連携したエビデンスの整理そして指針等の策定、これらを推進してきております。

 また、健康経営優良法人認定制度というのもやっておりまして、これを通じた健康経営を推進するということをかなり続けております。その中で、従業員の予防、健康づくりへの投資を企業がやってくれるようにということも後押ししているわけです。

 そして、今後も、更なる国民の予防、健康づくりに向けて、ヘルスケア産業を供給面、需要面の双方から振興していって、強力に取組を進めていきたいと考えています。

金村分科員 ありがとうございます。

 やはり経済成長の視点とかそういう経済効率が存在するからこそ、実際に利用する人が増えていく、ヘルスケア産業を通して健康寿命が実現していくという側面はあると思うんですね。

 加えて、私は、やはりどこかのタイミングで、ドクターの医療情報の発信に、しっかりと経済産業省がヘルスケアの観点で、つまり、健康になるための予算として、いつかつけていただけたらなと思っています。

 続いて、障害者雇用についてです。

 日本においては、当然、法定雇用率というものが存在しますし、また、障害者自身にとっても就労そして納税が大きな達成感になる、それは家族も同様です。

 しかし、今、いわゆる厚労省の領域としてアプローチをしてきても、なかなか法定雇用率が達成しない、又は、制度の中で少し異端というか異なるアプローチをしている人たちも複数、事業者としているんですが、なかなか成果が表れない。私は、ここをやはり改善していくべきだと考えています。

 実際、障害者が雇用されて納税者になると社会保障費の抑制にもつながりますし、また、私自身も三人目の子供が障害児なんですけれども、やはり家族が希望の持てる環境を早い段階からつくっていくことは、これまたいい展開につながると思うんですね。

 その上で、今、経済産業省として、障害者の雇用について様々なアプローチ、存在していると思うんですが、現状いかがなものか、教えていただけますか。

太田副大臣 経産省が進めている事業について御紹介しておきますと、現代のような予測困難な時代においてこそと言ってもいいかもしれません、そういう障害者の方を含む多様な人材にその能力を生かして活躍をしていただく、いわばダイバーシティー経営というのが大変大事になってきていると思います。そして、これが企業の成長、ひいては日本経済の成長につながると認識しています。

 こういう企業経営の在り方を前に進めていくために、具体的には、企業がダイバーシティー経営を実践する上で必要なアクションを整理いたしましたガイドラインを策定して、企業の取組を促しております。また、ダイバーシティー経営で成果を上げている企業の表彰制度もやっておりまして、これらを通じて得られた先進事例の発信、これらを推進することによって、中小企業にも取組を進めていただきたいということで、裾野の拡大にも努めているところです。

 さらに、発達に障害のある方の活用に関する国内外企業の事例を調査した上で、これらを基に企業の採用、体制づくりの在り方等の方策を整理して、その普及啓発を行っているところであります。

 経済産業省としては、関係省庁とも連携して、引き続き、こうした取組の推進を通じ、多様性を尊重する包摂的な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

金村分科員 重厚長大な産業も大切ですが、こういった障害者が働ける環境をどうやって提供していくのかというのは、まさに新しい経済成長につながると思いますので、是非、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 また、実は、障害者といっても、手帳を持っている方だけではなくて、手帳がなくていわゆるグレーゾーンと呼ばれるような人たちが離職、転職を繰り返すというのは、実はこれは大きな課題になっているんですね。こういう皆さんに対して、例えば大企業と呼ばれるような企業群の皆さんが働くトレーニングを提供して、また安定した雇用を生み出していくことも成長につながると思いますので、是非とも御検討をいただきたいと思います。

 先ほど副大臣の答弁にもありました健康経営、それから健康投資について伺います。

 私も、障害児支援の事業経営を九年間してまいりました。その中で、健康経営の視点というのは、従業員のウェルビーイングとかを高めていくことも含めて考えれば、当然今、重要度は増していると思います。

 一方で、労働集約型の企業、つまり私が事業経営してきたような企業だと、健康経営の視点は確かにいいんですけれども、健康投資と呼ばれるほど投資を実際にできているのかと問われると、非常にクエスチョンマークがつく。実はこれ、中小企業の多くが同じような思いに悩んでいるんじゃないかなと。

 例えば、安倍政権のときに、安倍総理が賃上げ、賃上げとテレビで盛んに言われていましたね。あのとき、我々は余り事業としては関係なかったんですけれども、従業員から、賃上げするんですかと聞かれて、思わず賃上げしたんですね。つまり、政治がリーダーシップを発揮すること、行政がしっかりと取り組んでいくことというのは、やはり事業経営一つ取っても大きく変化を及ぼしていく、それもいい方向に生まれていくと思います。

 そういう意味では、私がいわゆる事業経営していたときに踏み込めなかった健康投資を実現するためには、やはりインセンティブがまずは重要になってくると思うんですね。インセンティブを通してスタートラインをつくる、そして、実際に健康投資や健康経営が当たり前化していく、そうすると、それが循環されて、初めて経営の中でのみ込んでいける、そういう時代が到来すると思いますので、やはりスタートラインはインセンティブだと思います。

 今のこの健康経営、健康投資についてのインセンティブ、どのような仕組みになっているのか、お伝えいただけますか。

太田副大臣 御指摘の健康経営、これを経営戦略として取り組むのは、従業員の健康管理はもちろんのこと、生産性の向上、そしてひいては企業価値の向上、今御指摘ございましたとおりであります。その推進は極めて重要であり、これがさらには賃上げにつながっていく、ここのところも重要だと思います。

 経産省では、健康経営を適切に実践する法人を認定する、先ほども触れましたけれども、健康経営優良法人認定制度というのを実施しております。特に、中小企業の健康経営優良法人の申請に際しましては、協会けんぽ、最終的には社会保障にも大きく影響するわけですから、ここが加入している保険者のサポートを提供しております。

 それから、東京商工会議所では、健康経営アドバイザーというのを中小企業を中心に派遣しておりまして、健康経営に取り組みやすい支援策を用意しております。

 そういった環境整備で認定法人は年々増加をしておりますけれども、中小企業においてももっと広がってほしい、先生のおっしゃるとおりだと思うんですね。その上で、中小企業における取組を更に拡大するために、インセンティブ、これが重要だという御指摘でした。

 経産省では、中小企業向け補助金の審査において、健康経営優良法人の認定を受けた事業者に対しては加点措置を施す、こういうこともやっておりまして、例えばものづくり補助金、これも令和五年一月の公募からこの加点措置というのを実践しております。

 また、地方自治体でも、公共調達の際の加点措置、これも行っていただいておりますし、金融機関による金利優遇など、各ステークホルダーからのインセンティブ強化ということについて、多くの方が御協力してくださっているということであるとは思います。

 でも、更に拡大していけ、こういうことだと思いますので、今後も、経産省、しっかり呼びかけをして、各ステークホルダーの協力もいただきながら、今おっしゃったような実情に寄り添ったきめ細やかな対応を行ってまいります。

金村分科員 様々な支援制度を通して、健康経営が当たり前になる、そういう時代が早く到来していただきたいと思いますし、先ほど言ったとおり、経営者そのものは、チャレンジしたくともできないというのをよく理解している中で、従業員から求められたときに応えられないときというのが非常につらいんですね。それがモチベーション低下につながったりもしますので、是非それが当たり前になるような、支援制度が多岐にわたるように期待をしております。

 続いて、自動車産業についてお伺いします。

 実は、私、名古屋出身でして、自動車産業に囲まれた環境で人生の半分ぐらいを過ごしてまいりました。これから間もなく到来するであろうEV車、これは日本の自動車産業にとってもチャンスであり、そして新たな挑戦ということになるんだと思います。このEV車において、コアな技術、日本が世界における市場で、EV車が例えばシェアが非常に拡大してきたときに、日本のコア技術はこれだから、だから我々はEV車の時代もしっかりと生き残っていけるんだとなるような、そのコア技術をどのように捉えているのか、教えていただけますか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車の電動化の進展に伴いまして、競争力の源泉は、蓄電池、モーターといった電動パワートレインの技術に加えまして、それらの制御を含む高度な車載コンピューティングの技術などにシフトしていると認識しております。

 政府といたしましては、グリーンイノベーション基金も活用しながら、今後の競争力の鍵を握るこれらの技術開発に総合的に取り組み、イノベーションを通じて国際競争力の強化を図っていきたいと考えております。

 具体的には、蓄電池につきましては、全固体電池などの高性能化、省資源化や、資源制約を克服するためのリサイクル。

 モーターにつきましては、航続距離を伸ばす高効率化や高出力化、小型、軽量化。

 車載コンピューティングにつきましては、自動運転などの高度な情報処理と両立できるよう、ソフトウェアやセンサーシステムの省電力化などの技術開発に取り組んでまいりたいと考えております。

金村分科員 蓄電池、モーター、車載コンピューター、まさに今の自動車産業とは様変わり、しっかりこのコア技術で日本のシェアを拡大していく、むしろ今のようにトップランナーになる、そこがまず求められるんじゃないかなと思います。

 その上で、今の技術を聞けば聞くほど、今の自動車産業、とりわけ一つ一つの企業にとっては、このまま未来永劫、EV車の時代が到来しても、未来永劫、今の事業を継続していけると一つ一つの企業はやはり思えないと思うんですね。大きな産業構造の転換だと私は考えています。

 個人的には、自動車産業の中の企業一つ一つがシナジーを生むようなMアンドAを繰り返していくことと、加えて、自動車産業に限らず、飛行機やそれから宇宙、様々な産業領域も含めた再編を僕は仕掛けていくことがこれからの時代は必要なんじゃないかなと考えています。

 その上で、やはり官民一体となって産業構造の転換を目指すべき段階に私は自動車産業はあると感じていますが、この見解について認識をお答えください。

太田副大臣 先生、名古屋の御出身ということですけれども、私も中高時代は豊橋というところにおりまして、自動車産業には一方ならぬ思い入れを持っているつもりでございます。

 そういう中での御質問でございますけれども、自動車の電動化について御指摘がございました。これを進めていくに当たりましては、自動車メーカーのみならず、部品サプライヤーやそれから整備業、これらが自動車産業を支える幅広い関係者として事業転換に前向きに取り組んでいくということが必要だと思います。

 政府としては、例えば、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦する、あるいは整備事業者が電気自動車や燃料電池自動車の整備に挑戦をする、こういった事業転換の取組に対して積極的に支援をしていかなくてはなりません。

 具体的には、中小部品サプライヤーを対象とした相談窓口、どうやったら再構築できるのかというようなことについて相談窓口を全国各地に設けておりまして、そこで実地研修や専門家の派遣といったことを受けていただいた上で伴走型の支援というのを展開しております。そこで設備投資や研究開発、人材育成など、それぞれのサプライヤーの持つ個別の課題に応じた支援策を関係機関と連携しながら提供するという作業を進めております。事業再構築補助金などにおいても、補助上限額を一・五億に広げるというような努力もしておるところでございます。

 こうした支援策を御活用いただいて、自動車産業に携わる皆様の攻めの業態転換、事業再構築、これを通して、自動車産業全体の今おっしゃった産業構造転換ということを実現してまいりたいと考えております。

金村分科員 是非、国内においてもしっかりリーダーシップを発揮していただきたいですし、何度も重ねて申し上げますが、やはり政治のリーダーシップというのは発信力だけでも本当に大きな影響を民間の経営者に及ぼすと考えていますので、より声高にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 その上で、これまで、自動車産業の発展には、官民一体となった連携というものが欠かせなかったと思います。しかし、現在、例えばアメリカ、それからヨーロッパ、中国などと比較しても、少し私から見ると、産業界任せというか企業任せというか、そのようにどうしても映ってしまいます。いま一度、世界におけるルールメイキング、やはりここに日本は官民そして政治も一体となって参画していき、そして成果を伴い、新たな自動車産業をしっかりと発展に導いていく、これがあるべき姿じゃないかなと私は考えていますが、見解をお伺いさせてください。

太田副大臣 今、自動車産業にとって百年に一度の大変革の時代だ、こういうふうに言われておりますけれども、おっしゃるように、引き続き世界をリードする産業であってほしいという中で、官民が一体となって国内の電動車市場を立ち上げ、その普及をてこにしながら海外市場を獲得していく、こういうことが重要になっていると思います。

 国内の市場創出に向けては、電動車については、充電、充填インフラの整備ですとか車両の購入支援に対して予算措置を大幅に拡充いたしました。補正予算と当初予算案を合わせて千二百億円を措置したところでございますけれども、こうした取組を加速しているところであります。

 また、電動化の核となります蓄電池についても、昨年八月に蓄電池産業戦略というのを策定しまして、国内の製造能力を確保するという目標を打ち立てました。国も一歩前に出て、蓄電池の生産基盤の強化を進める、そして、補正予算において、これを後押しするための約三千三百億円の投資支援も盛り込んだところでございます。

 加えて、グリーンイノベーション基金による技術開発を推進するとともに、全固体電池の安全要件などに関しては、今御指摘のあった国際標準化、ISOに対して、官民が一体となって取り組み、提案を行っているところでございます。

 あわせて、世界にも目を向けて、各国政府との交渉の中で、あるいは産業界との連携を通じて、各国の政策や市場動向、インフラ事情などの課題をタイムリーに把握していきたいと思っております。

 そして、経産省がリーダーシップを発揮して、これらの取組を官民で総合的に進めていくことによって、電気自動車を含む多様な選択肢による脱炭素化への解決策の提供と日本企業の市場獲得、こういうことに貢献してまいりたいと思っています。

金村分科員 政官財が連携をして活路を見出す、これはもう何も誤ったことではありません。堂々と世界で主張していただきたいと思います。

 続いて、スタートアップ関連、最後、幾つか質問して終わりにさせていただきます。

 私も経営者の頃に見ていたら胸躍るような内容が、スタートアップ五か年計画に記載をしてありました。やはり、経営者側、創業者側、また創業したいと思っている人たちからすると、そこに夢や希望を感じるようなプランがないと、なかなか二の足を踏んでしまうんですね。例えば、失敗してもチャレンジする価値があるほどの夢があるのかどうか、これは重要ですね。そういう意味では、この岸田政権が打ち出したスタートアップ五か年計画は、それは細部にわたってはまだまだ手直しが要るかもしれませんが、柱の部分は私は大いに歓迎しています。

 その中で、この五か年計画、私も、スタートアップかいわい、エンジェルの投資家だとか、そういった方にいろいろなお話を伺いました。総じて、まだ他人事なんですね。我が事に捉えられていないんです。岸田政権、これだけスタートアップをやるから、俺たちもこのチャンスにとは、まだそんな温度感には私の友人たちの中ではなっていませんでした。

 加えて、皆さんがよく言っていたのが、政府系ファンドの窓口がないと言うんですね。けれども、政府系ファンドからすると、窓口はあるんです。このずれというのは物すごく僕は重要だと思うんですね。実際にそのスタートアップの五か年計画の中で支援を受けたい、ここでチャンスを物にするんだと思っている経営者が、窓口がない。窓口はあるのにですよ。つまり、民間の意識と政府側、官の側で意識がずれているときというのは、往々にして、いい政策なのに実現力が伴わないケースが僕は多いと思うんですね。

 そういう意味では、私は、民間のスタートアップ側にちゃんと探す機能を持てというよりは、政府系ファンドだったり、このスタートアップ五か年計画を実施する窓口の側の機能をしっかりと強化する、それから、若しくはメンターとか、そういう橋渡しをする機能を強化していくことが必要だと思いますが、現在の取組を教えてください。

太田副大臣 御指摘のとおり、スタートアップは、スタートアップ側の人材等のリソースが限られておりますから、政府支援等について、情報把握等を含めて大変困難な状態にあるということは御指摘のとおりだろうと思います。そのために、政府支援に関する情報を分かりやすくまずは発信する、そして、支援策を使いこなせる支援人材、サポーターですね、これを育成することが重要だと思います。

 政府としては、スタートアップ支援に取り組む十六機関をプラットフォームとして創設をしたんですけれども、この周知徹底を図ることがまず大事だと思いますし、そのスタートアップ支援策に関する情報をここから一元的に発信していく、そして、スタートアップがワンストップで相談できる、そういう窓口にしていくことが重要だと思います。そして、自社により適した支援策が探しやすくなる、利用しやすくなるという体制の構築、これからもしっかりと心して進めてまいりたいと思います。

 また、経済産業省においては、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOを通じまして、ディープテック・スタートアップ支援人材育成事業という、ちょっと長いんですけれども、事業を実施しておりまして、この中で、公的支援の活用方法に関する講座を設けるなど、政府支援を有効に活用できる伴走支援人材の育成に積極的に取り組んでいるところです。

 スタートアップ関連施策に取り組む政府機関の一元的な情報発信と併せて、こうした伴走支援人材の育成を強化することによって、スタートアップを力強く後押ししていく努力を重ねてまいります。

金村分科員 是非、窓口機能を強化していただきたいのと、続いて、スタートアップの中で、上場も一つの選択肢なんですが、やはりMアンドAを活発にしていくことというのは、シナジーも生みますし、時をお金で買うという意味では必要だと考えています。

 日本の商習慣だと、仲介が買手、売手双方から手数料をもらうというのが商慣習としては一般的です。ただ、これ、よく考えると、買手にとって都合がよくなるケースが非常に増えていく、当然ですね。仲介者が買値を下げれば下げるほど、いい会社が入ってくるわけですから。私は会社を創業した立場として、いろいろな見方はあるんですけれども、創業した立場として言えば、この商慣習を改めることも一つの選択肢じゃないかなと思いますが、経産省のお考えをお答えください。

太田副大臣 御指摘のとおり、事業会社によるスタートアップのMアンドAは、スタートアップにとっては、自社単独では成し得ないスピードと規模感、これを獲得する重要な出口戦略だというふうに認識をしております。

 一般に、MアンドAの仲介業務において、おっしゃったように、仲介会社が売手と買手の双方から手数料を取るという場合があることも承知をしております。

 経産省では、中小MアンドAガイドラインというのを発出しておりまして、後継者が不在の中小企業を対象とするMアンドAにおいては、仲介会社が売手と買手の双方から手数料を徴収している場合には、その旨を仲介会社に情報開示するようにということを求めるなど、当事者が注意すべき事項をまとめて、周知徹底に努めているところです。スタートアップに対しても、こうした周知に取り組んでまいりたいと思います。双方に対して取り組んでまいりたいと思います。

 加えて、令和五年度税制改正においては、スタートアップMアンドAを促進することを目的に、所得控除の対象を拡大いたしまして、スタートアップの成長に資するMアンドAの場合に限って、発行済株式まで所得控除の対象を拡充することにしたというような措置も講じております。

 引き続いて、このようにスタートアップ五か年計画もあるわけですから、しやすい環境を整備するために、ありとあらゆる方途を模索して、実現してまいりたいと思います。

金村分科員 ちょっと時間もありますので、最後、一点だけ。

 社会的起業家のために、創業者による個人保証の撤廃、これが最も起業を促進すると考えていますが、大臣、最後、時間がありませんが、お答えいただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、経営者保証について、これをなくしていくという方向は非常に重要な取組だと思っております。

 三月から、創業者向けに経営者保証を不要とする信用保証制度、これを開始する予定にしておりますけれども、ここにおいては、保証料の上乗せと創業後にガバナンス向上の取組を求めることで、スタートアップが経営者保証を提供せずに融資を受けられることの仕組みとしておりますし、さらに、創業時に限らず、保証料の上乗せと、法人から代表者への貸付け等がないといった要件を満たすことで、経営者保証の提供の有無を選択できる信用保証制度を実施すべく、検討を進めているところであります。

 いずれにしても、こうした制度をつくることによって、円滑な資金調達を進めると同時に、経営規律にも配慮しつつ、是非、創業、特に社会的事業を行う事業者にとってそうしたチャレンジを促していく、そうした仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。

金村分科員 時間になりました。今日はどうもありがとうございました。

小林主査 これにて金村龍那君の質疑は終了いたしました。

 次に、西野太亮君。

西野分科員 熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 関係者の皆様方におかれましては、事前の調整、準備から、今日一日の対応と、大変お疲れさまでございます。特に、西村大臣そして小林主査におかれましては、八時間、九時間、ぶっ続けで論戦を引っ張っていただきまして、お疲れのところかと思います。逆に、お二人ともスポーツマンですから、全く疲れていないということかもしれませんが、いずれにしても、私が今日は最後でございますので、最後までもう少しおつき合いいただければというふうに思います。

 さて、今日は、資源循環、資源自律経済、いわゆるサーキュラーエコノミーについて取り上げていきたいというふうに思います。

 私は、自由民主党の経済産業部会の下に設置されておりますサーキュラーエコノミープロジェクトチームで事務局長を仰せつかっております。そのプロジェクトチームでの議論を踏まえ、また、有識者の皆様からいろいろな御意見を伺っておりますので、そういった御意見を踏まえて質問をさせていただきたい。政府の皆様方のサーキュラーエコノミーに対する考え方、あるいは取組についてお聞かせいただければというふうに思います。

 そもそも、サーキュラーエコノミーとは何ぞやということでございます。国会中継を御覧になっている方々の中にはサーキュラーエコノミーって聞いたことないという方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明させていただきたいと思います。

 従来は、資源があたかも無限かのごとく、大量に生産し、大量に消費し、そしてそれを大量に廃棄していく、一方的に資源を使ってきたわけでございます。最近は多少修正して、リサイクルという概念が取り入れられておりますけれども、これも残念ながら一部にとどまっているという状況でございます。

 サーキュラーエコノミーというのは、こうしたものを抜本的に改めて、最初から、できるだけ多くの資源を、できれば全ての資源をリサイクルすることを前提に、製品の設計、製造の段階から、販売、利用、消費、回収、再資源化の段階まで、ありとあらゆる機会を捉まえて、資源を効率的、循環的に利用していく経済のことを指します。

 例えば、ここに携帯電話、スマートフォンがありますけれども、このスマートフォンはいろいろな素材の組合せで成り立っております。これを回収するためには部品を分解しなければいけませんが、分解しなければ単なるごみになります。設計の段階からしっかり分解しやすいような設計をしていく、こういうような取組です。

 それに加えて、これを推し進めるということは非常に大きな意味がありまして、新技術の開発などを含めて、経済の成長のエンジンにしていこう、成長の機会にもつなげようというのが含まれているのも、私は特筆すべきことではないかというふうに思います。

 経済産業省は、サーキュラーエコノミーを実現していく、確立するために、いろいろな勉強会を立ち上げて貢献していただいておりますけれども、では、そもそもなぜサーキュラーエコノミーというものを確立していかなければいけないのか。その意義について御説明いただければと思います。

畠山政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、気候変動問題に加えまして、世界的な資源需要と地政学的なリスクの高まりといった資源制約の観点から、資源の効率的、循環的な利用と、御指摘もありました付加価値の最大化を図るサーキュラーエコノミー、これを実現していかなければいけないという動き、これが喫緊の課題となってきている、このように認識しております。

 具体的には、資源制約の観点では、資源枯渇、調達リスクが増大する懸念が高まっていること、それから、環境制約の観点では、廃棄物処理の困難性ですとかカーボンニュートラル実現に向けた対応が求められていること、それから、成長機会の観点でも、サーキュラーエコノミーの市場が今後大幅に拡大していく可能性があること、こうしたことを踏まえまして、これまで主として廃棄物処理、あるいはスリーRの観点で進めてきた資源循環につきまして、カーボンニュートラルへの対応ですとか、資源制約への対応の観点ですとか、経済成長の観点も加えた、そういう経済活動として進めていく意義が高まっている、このように認識しているところでございます。

西野分科員 ありがとうございます。本当におっしゃるとおりだと思います。

 私は、こうした意義といいますか、こういったことを背景に、今は残念ながら当たり前じゃありませんけれども、五年後にはサーキュラーエコノミーというものが広く一般に知れ渡って、当たり前になっているんだろうと思います。そのために私たちは、先手先手でいろいろな対策を打っていく必要があるんだろうというふうに考えております。

 今おっしゃっていただいた様々な意義について、三つの意義について、一つ一つ掘り下げていきたいと思います。

 まず、資源制約の観点。私は、経済安全保障の観点というふうにも言い換えることができるのではないかというふうに思います。

 世界の人口増加、さらには経済発展を背景に、ニッケル、マンガン、鉄、アルミニウム、こうした重要な資源に対する需要が飛躍的に増大しておりますし、今後もますます飛躍していくものと見込まれています。例えば、二〇〇〇年から二〇一九年までの間に、こうした需要が一・七倍に伸びております。そしてさらに、今後四十年間で更に一・七倍増大するということが見込まれています。また、これに伴いまして資源価格が押し上げられております。日本の調達コストが上がり続けているということでございます。

 そして、当然でございますけれども、資源も決して無限ではありません。当然、有限です。例えば、現在の埋蔵量に対して、二〇五〇年までの累積需要という見込みがあります。例えば鉛でいいますと、埋蔵量が一に対して、今後二十年、三十年の需要量というのがその六倍。そして銀、Agでは約十倍。そして、インジウムという余り聞き慣れない物質がありますけれども、液晶パネルとか太陽光パネルに使われている物質だそうでございますけれども、これについて言えば、需要量は埋蔵量の七十二倍というふうにも言われています。当然ながら、こうしたものは再利用していかなければ、資源がなくなって、この資源を原材料とする製品がつくれないということになってしまうわけです。

 そして、もう一つの観点、資源の偏在と資源ナショナリズムという観点も重要だと思います。

 こうした資源が一部の国に偏在しているという現実があります。例えば、肥料の三大要素と言われておりますカリウム、これは埋蔵量の八割がカナダ、ベラルーシ、ロシアに偏在しています。

 そしてまた、世界中で資源ナショナリズムが加速しているという残念な状況もあります。

 例えば、同じく肥料の三大要素の一つ、リンという物質がありますけれども、これは日本にとって一番最大の輸入元であった中国が自国の需要を優先しておりますので、輸入を抑制している。我々は慌ててモロッコからの調達を増やすことにして、何とか賄っているという状況です。

 そして、インドネシア。これは、日本語を勉強する人々が世界で二番目という、親日国と言ってもいいと思いますけれども、このインドネシアでさえも、ニッケルの一大輸出国だったんですけれども、国内産業育成を優先するがためにニッケルの輸出を禁止する措置を取ったという状況があります。

 このように、資源が有限であるだけではなくて、資源の偏在性、そしてまた資源ナショナリズム、こうしたものが相まって、我々が欲しい資源に自由にアクセスする、その余地が小さくなっている、これが現実だというふうに思います。

 そこで、経済産業省にお尋ねします。

 こうした状況を前提としますと、主要な資源、本当に必要な資源については、資源ごとに主な輸入先を踏まえたリサイクル率、あるいはそうしたものを含めた自給率という目標を定めていくべきなんだろうと思います。しかし、そこに一足飛びにはなかなか行けないと思いますので、その前段階として、資源ごとのクリティカリティーといいましょうか、重要度、あるいは致命傷度合い、こういった目標、こういったものを明らかにしていくべきではないかというふうに考えますが、現時点でのお考え、お取組についてお聞かせいただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘の鉱物資源につきましては、クリティカリティー評価の重要性、我々も同じ思いでございまして、令和元年度に既に鉱種ごとの供給リスク、これは埋蔵や生産がどの程度偏在しているかなど、いろいろなファクターで判断しましたけれども、この供給リスクと、あと、経済的重要性、これらを定量評価するクリティカリティー評価を行ったところでございます。

 その後、翌年、令和二年度には、その評価を用いまして、鉱種の特性に応じたリスクを定量的に今度類型化する試みもやりまして、鉱種ごとに必要な対策の検討を行ったところでございます。例えば、リチウムイオン電池にも使われますコバルトのクリティカリティー評価の分析結果として、製錬工程が特定の国に集中しているため、特に製錬所の投資やリサイクル技術の開発などの対策が有効というふうなことが判明してございます。

 こうした結果も踏まえまして、令和四年度の補正予算におきましては、製錬所の投資や技術開発も含めた総額二千百五十八億円の予算を措置いただいたところでございます。

 まだこれは手法として更に精緻化する余地はあると考えておりまして、今後もこうしたクリティカリティー評価を継続して、更にブラッシュアップしていきながら、鉱種ごとの有効な安定供給の対策ということを検討して進めていきたいというふうに考えてございます。

西野分科員 ありがとうございます。

 もちろん、そんなに簡単な作業ではないと思いますけれども、経済安全保障に関わる非常に重要な作業でございますので、できるだけ速やかに対応していただきたいと思いますし、できれば、サーキュラーエコノミーをやろう、サーキュラーエコノミーをやろうということで目標を掲げるだけではなく、一定の目標を定めて取り組んでいくということが重要になると思いますので、引き続き対応をお願いしたいというふうに思います。

 続けて、お尋ねしたいと思います。

 そうしたクリティカリティーを明らかにした上で、リサイクルの前提となるリサイクル原料の安定確保が非常に重要だというふうに思います。まだ消費される前の製品自体を輸入して、それをしっかり消費した後にリサイクルするということももちろん重要ですが、それは日本でしっかり技術開発を進めていくということなんだろうと思いますが、それに加えて、海外で消費されたリサイクル原料を安定的に確保するということも重要ではないかというふうに思っております。

 例えばEスクラップ、これは日本がかなり技術が進んでおりまして、これを解体して、しっかりリサイクルしていくという技術、これは日本が非常に進んでいるというふうに聞いておりますけれども、Eスクラップの国外移動に関するOECD理事会の協議が進んでいるというふうに聞いております。

 こうした状況も含めて教えていただければというふうに思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 バーゼル条約におきましては、これまで有害な電子・電気機器廃棄物の越境移動を規制対象としてきておりますけれども、御指摘のEスクラップを含む廃棄物のうち、OECD加盟国間におけるリサイクル目的の越境移動につきましては、OECDの理事会決定におきまして、例外的に規制対象外とする措置を講じてきたところでございます。

 ところが、昨年六月に開催されましたバーゼル条約第十五回締約国会合におきまして、非有害も含む全ての電子・電気機器廃棄物を規制対象に追加する改正が行われたところでございます。

 これに伴いまして、OECDの取決めの方でございますけれども、これまで例外的に規制対象外としてきたそういうEスクラップを含めたOECD加盟国間の越境移動を、規制対象に追加をするという旨の案がOECD事務局から提示をされている、こういう状況にございます。

 日本は世界でも有数のEスクラップ輸入国でございますけれども、事業者からは、同理事会決定の改正が採択された場合、手続の長期化により海外からのEスクラップの集荷量が大幅に減少する懸念があるなどの声が寄せられております。

 日本といたしましては同改正案に対して反対の立場を表明しておりまして、これを受けて、OECDに専門のタスクチームが立ち上げられ、現在、議論がなされているところでございます。

 日本の立場について理解を得るということは必ずしも容易ではない状況ではございますけれども、日本の意見が適切に反映されるよう、経産省としては、引き続き関係各国の理解を求めてまいりたい、このように考えております。

西野分科員 ありがとうございます。

 確かに、発展途上国はなかなかEスクラップを適正に処理できないという状況がありますので、元々のルールに関しては理解できるところでございますけれども、先進国間の移動ということであれば、それなりに適正な処理ができる、その技術を持っているわけでございますから、我々日本の主張の正当性をしっかり、できるだけ多くの国々に知っていただいて、我々の主張が通るように引き続き協議を進めていただければというふうに思います。

 また、この経済安全保障の観点というのは、今まで日本が資源がない国だというふうに言われておりましたけれども、これをうまく進めていくことによって、資源のある国だ、リサイクルの資源がある国だというふうに評価を変える、我々は全く別次元のステージに到達するということもできるわけですから、こうした観点も非常に重要だというふうに思っております。

 それでは、次の観点、環境制約の観点に移っていきたいと思います。

 日本は、従来、大量の廃棄物を海外に輸出してきたということでございますけれども、輸入先でありました新興国、さらには発展途上国の間では、こうした廃棄物を適正に処理ができない、それがゆえに環境問題化しておりまして、輸入を禁止する動きが加速しています。一方、日本国内での最終処分量は、これまでの取組によりまして着実に減少しているところでございますけれども、当然ながら国内の廃棄場にも限界があるということでございます。

 そして、処分量の減少というのは、焼却処分による減量化が主な要因となっておりますので、逆にCO2排出につながっているという状況でございます。それに加えて、資源からマテリアル、いろいろな資材を製造する際に排出されるCO2も削減していく必要があるんだろうというふうに思います。

 こうしたCO2を削減していくためにも、サーキュラーエコノミーを確立していくことが求められるんだろう、すなわち、サーキュラーエコノミーというのは、環境問題の観点からも取り組んでいく意義が非常に大きいというふうに思います。

 そこで、経済産業省にお尋ねしたいと思います。

 サーキュラーエコノミーについて、もう既にCOPあるいはG7など国際会議で議題になっているというふうに聞いております。カーボンニュートラルの局面においては、日本はやや出遅れてしまった、ルールメイキングでちょっと後手に回ってしまったというような反省があろうかと思います。

 今後、こうしたサーキュラーエコノミーに関するルールの具体化が進んでいく中で、今度こそ日本がルール策定を主導していかなければいけない、特に、真摯にサーキュラーエコノミーに取り組んでいるような企業が不利な取扱いを受けないように、公平かつ公正なルールを策定していくべきだ、日本が主導していくべきだというふうに考えますけれども、経済産業省はいかがお考えでしょうか。

畠山政府参考人 御指摘のとおり、近年、国連やG7、G20におきましてサーキュラーエコノミーがテーマとして取り扱われ、世界の関心が高まっている、こういう状況だと認識をいたしております。

 サーキュラーエコノミーのルールの具体化につきましては、例えば、ISOの専門委員会におきまして、サーキュラーエコノミーの定義、原則、あるいは実施する上での枠組みなどに関する国際規格の策定に係る議論が進展しているところでございます。

 この議長、幹事国はフランスでございますけれども、日本も有識者を始めとするエキスパートを派遣いたしまして、その中のワーキンググループの一つはむしろ主査をやる形になっておりまして、議論に積極的に参加をして取り組んでおります。その中で、より実効性を高める観点から、バリューチェーン全体でのサーキュラーエコノミーの導入に資するよう、取組の実行段階における国際規格を日本主導で追加的に提案することについても同時に検討を進めているところでございます。

 経済産業省といたしましては、日本のサーキュラーエコノミーに資する取組が適切に評価され、むしろこれを強みとしていき、成長の源泉としていけるように取り組んでまいりたい、このように考えております。

西野分科員 ありがとうございます。

 本当に、このサーキュラーエコノミーの分野あるいは射程というのは非常に広いので、いろいろなテーマ、いろいろな分野で議論していかなくちゃいけませんので、決して簡単ではないと思いますけれども、引き続き真摯な取組をお願いしたいと思います。

 例えば、先日、サントリーの新浪社長から、PTでお話を伺いました。

 サントリーのサーキュラーエコノミーに関する取組というのは、非常に先進的ですばらしいものがあったわけですけれども、その際に、例えばサントリーのペットボトルについて、リサイクル材又はバイオ素材を用いているかどうかという認証のルールを確立してほしいと。リサイクル材を一〇〇%使っています、バイオ素材を一〇〇%使っていますというふうに称してはいるものの、実際には全く違う素材を使っている例がないとは言えないのではないか、少なくとも今後そういう例が出てくる可能性もありますから、認証制度などをしっかりしてほしいというような御要望がありました。

 ペットボトル以外にも、いろいろな素材について、あるいはいろいろな段階において、そういうルールで公正公平なルールを作っていく必要があろうかと思いますので、我々もしっかりお手伝いをしていきたいと思いますので、経済産業省におかれましても、これまで以上の取組を、真剣な議論をしていただければというふうに思います。

 次に、三つ目の観点、成長機会の観点に移っていきたいと思います。

 成長機会としてしっかり捉えていくというのは、このサーキュラーエコノミーの一つ大きな要、一つ大きな柱だろうというふうにも思います。例えば、サーキュラーエコノミーの関連市場といいますのは、国内外で今後大幅に拡大していくというふうに見込まれています。世界全体でいえば、二〇三〇年には四・五兆ドル、二〇五〇年には二十五兆ドルまで拡大する、日本国内でも、二〇二〇年に五十兆円だった市場が、二〇五〇年には百二十兆円、約二・五倍に膨らむというふうに見込まれています。

 こうした需要の増大を踏まえまして、海外を中心に、資金が大量に投入され、新たなプレーヤーが市場に参画するなど活性化しているというふうに伺っております。

 そんな中、EUでは、EU委員会が主導して、強制的にサーキュラーエコノミー関連の規制が導入されております。計画的に市場を形成していると言っても過言ではないんだろうと思います。例えば、電子機器、バッテリー、こうした七つの重点分野を特定し、規制と資金援助の両輪で、環境整備を実施しています。

 そして、アメリカでは、政府主導というわけではありませんけれども、アップルやマイクロソフト、こういった環境問題に非常に敏感な先進企業が、自主的な中長期戦略として、積極的にサーキュラーエコノミーを推進しています。

 サーキュラーエコノミーを進めることが、先進国市場に参入する、その条件になっていく可能性もあるのではないか。こうしたことにしっかり取り組んでいかなければ、アメリカ、EUの市場から締め出される、その懸念もあるわけでございます。

 一方で、日本はどうなっているかといいますと、単なる環境活動としての三R、リデュース、リユース、リサイクルから、経済活動としての循環経済に移転しなくちゃいけないというふうに打ち出しておりますけれども、私は、まだまだスローガンにとどまっているのではないかというふうに思います。具体的な政策には至っていないというのが現状だというふうに思います。

 そこで、質問をさせていただきます。

 日本でも、単なるスローガン、かけ声にとどまらず、具体的そして野心的な数値目標をしっかりと定めて、その数値目標に基づいた具体的な政策パッケージを策定すべきではないか。サーキュラーエコノミー関連分野の経済成長をしっかり取り込むために取組を進めていくべきではないかというふうに考えますが、経済産業省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 市場規模につきましては、サーキュラーエコノミー、世界全体で、二〇三〇年に四・五兆ドル、二〇五〇年に二十五兆ドルにまで拡大するとの調査会社による予測がございます。これは御指摘のとおりでございます。

 こうした予測に基づきまして、海外を中心に成長資金が企業に活発に流入するとともに、新たなプレーヤーの市場参入も活発化しているところでございます。

 例えば、フィンランドの政府関連機関であるシトラ、これはフィンランド・イノベーション基金でございますけれども、これは、フィンランドを代表いたしまして、二〇一六年から二〇二五年までのサーキュラーエコノミーのロードマップを公開し、サーキュラーエコノミーに関するプロジェクト組成を行っているところでございます。

 一方、国内におきましては、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模、これは、二〇三〇年に八十兆円にする、二〇五〇年には百二十兆円規模にする、これを目指していくんだという野心的な目標を設定しているところでございます。

 また、サーキュラーエコノミーは、グリーントランスフォーメーション、それから経済安全保障、生物多様性、あるいは最終処分場逼迫の緩和などにも貢献できることから、御指摘のように、経済的目標、社会的目標の両面で、サーキュラーエコノミーに関する政策パッケージの具体化を引き続き進めていきたい、このように考えているところでございます。

西野分科員 ありがとうございました。

 やはり、国会議員の間でもしっかり議論して、具体的な政策パッケージをまとめていかなくちゃいけないというふうに思っております。今後、自民党のPT、プロジェクトチームでも、成長機会、これをどうやって膨らませていくかということについて、有識者の先生を交えて議論していきたいというふうに思っておりますので、経済産業省の方もしっかりおつき合いいただければというふうに思います。

 そして、こうした三つの観点がありますけれども、私は冒頭から申し上げてきておりますとおり、しっかりライフステージの各段階において取組を進めていかなくちゃいけない。従来は、回収さらにはリサイクルと、最後の段階で一生懸命やってきたんですけれども、これだけでは限界がある。しっかり一つ一つの段階、冒頭申し上げましたとおり、設計の段階でどうするのか、そして、作っていく段階でどうするのか、さらには、販売、消費、利用、この段階でどうするのか。各ステージに合わせてサーキュラーエコノミーに向けた取組を進めていくということが重要だというふうに思っておりますけれども、ライフステージの全段階においての経済産業省の考えについてお聞かせいただければと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、従来は、廃棄物処理やスリーRの観点から、回収、リサイクル段階を中心に取組が進められてきたものと認識しております。

 他方、サーキュラーエコノミーを確立するためには、設計、製造段階や販売、利用段階での取組も不可欠でありまして、動脈と言われます製造事業者を含めた産業と、静脈と言われますリサイクルなどを行う産業を有機的に連携させる、いわば動静脈連携が重要であると考えております。

 具体的には、設計段階での循環配慮設計、製造段階での低炭素、低環境負荷の物づくり、販売段階でのシェアリング等のサービス化、利用段階での長期利用、長寿命化などが挙げられます。

 また、国民、企業の行動変容を促す上でも、政策を講ずる上でも、サーキュラーエコノミーの進捗状況ですとか、再生材の利用の状況などを見える化することが重要な鍵を握ることから、これにもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 サーキュラーエコノミーの確立に向けて、主に動脈産業を所管する経済産業省の果たす役割は大きいと考えておりまして、関係省庁とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

西野分科員 ありがとうございます。しっかり取組を進めていただきたいと思います。

 経団連も、サーキュラーエコノミーに向けた取組を進めていこうと、そして、政府に向けていろいろな提言をいただいているところなんですが、それを読ませていただきますと、やはり、なるほどなと思う取組が幾つもあったと思います。例えば、環境配慮型設計を進めていかなくちゃいけない、製品ごとに、企業の垣根を越えて、その製品のガイドラインを業界全体でつくっていかなければいけないと。

 日本の企業は、何か、目標はあったとしても、企業の垣根を取っ払って業界全体で取り組むということが苦手で、それがゆえに世界の競争に負けるというようなことも往々にしてあったと思いますので、こういった分野で、できるだけ政府が、企業の垣根を越える、そしてガイドラインをつくるお手伝いをしていただければというふうに思います。

 さらには、一概にリサイクルに即した製品の作り方といっても、減量化、耐久性とかいった、一見すると矛盾するような要請、観点もあるわけです。それを両立させていくためには、一定の投資が必要になります。新素材を作ったり、新しい技術を開発したり、その一定の技術開発、新素材の開発に向けて、政府がしっかり支援をしていくということも必要になるというふうに思いますので、こうした観点もきめ細かに政府として支援策を講じていただければというふうに思います。

 時間も来ましたので、最後、ちょっとはしょらせていただきまして、西村大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 西村大臣におかれましては、サーキュラーエコノミーに関しても御理解をいただき、熱心に取組を進めていただいているところだと思いますけれども、今までの議論を含めて御感想、さらにはサーキュラーエコノミーの実現に向けた意気込みについて、お聞かせいただければと思います。

西村(康)国務大臣 本日、サーキュラーエコノミー確立に向けて、まさに様々な課題や可能性について論点を御指摘いただきまして、感謝申し上げたいと思います。特に委員は、私と同じように、無所属で立ち上がって、ほぼ同じぐらいの歳で立候補したということもあって、また、一回厳しい思いをしたということもあって、私自身が取り組んできたこのサーキュラーエコノミーについての御提案をいただいたことは、非常に共感を覚えたところであります。

 というのも、経産省を私は辞める直前に、最初のリサイクル法と言われた再生資源の利用の促進に関する法律を、いわば条文を書いて、法制局と議論した本人でありまして、現在のいわゆるスリーR法と言われるリサイクル法の制定に携わったわけであります。以来、このリサイクル、環境政策、これはエネルギーも含めてですが、ライフワークとしてきております。

 その意味でも、今日御指摘いただいた重要性、可能性、私もひしひしと感じているところでありまして、改めて、力強く政策を前に進めなきゃいけない、取り組まなきゃいけないということを感じたところであります。

 その後、リサイクル政策、サーキュラーエコノミー政策は進展、進化をしてきておりますが、そうはいっても、例えば、国内で一日当たりに焼却、埋立てされる衣服の総量は、大型トラック百三十台分、一千三百トンも毎日あると言われております。リユースやリサイクルにつながっていない現実があるわけであります。まさに、日本は、今直面している資源制約、環境制約、これに対応するため、御指摘、今日あったような論点をしっかりとクリアしながら、サーキュラーエコノミー移行に向けて、そうした取組を進めていくことが重要だというふうに思います。

 同時に、サーキュラーエコノミーを通じて、新しい産業の創出、成長にもつながるわけでありますし、世界には大きな市場が広がっているという、先ほどの議論であります。

 経産省としても、省内の三十八課室を束ねる資源自律経済戦略企画室というものを立ち上げまして、まさに、畠山局長の下で、サーキュラーエコノミーに関する総合的な政策パッケージ、これを検討し、議論し、実行していこうとしているところであります。

 今日委員御指摘の点も踏まえまして、今後、今年度中に戦略を策定し、政府の政策方針として位置づけていきたいというふうに考えております。また、今年はG7の議長国でもありますし、近く大阪・関西万博もあります。そうした場を活用しながら、日本がグローバルリーダーとして、このサーキュラーエコノミーについての国際的な議論もリードしていければというふうに考えております。

 党において、事務局長ということで、プロジェクトチーム、議論を進められておりますので、是非、事務局長、議論をリードしていただきながら、連携して是非取り組んでいきたいというふうに思っております。

西野分科員 大臣、ありがとうございました。

 大臣が政治家になられる以前からリサイクルに取り組まれて、非常に思い入れが強いということで、私も御指導いただきながらしっかり頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今日は一日ありがとうございました。

小林主査 これにて西野太亮君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日火曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会


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