衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 小林 鷹之君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      杉田 水脈君    古屋 圭司君

      梅谷  守君    金子 恵美君

      吉田はるみ君    掘井 健智君

      河西 宏一君    鰐淵 洋子君

   兼務 緑川 貴士君 兼務 和田有一朗君

   兼務 高橋千鶴子君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            山下 隆一君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            横島 直彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        前佛 和秀君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     石川 昭政君

  吉田はるみ君     金子 恵美君

  掘井 健智君     美延 映夫君

  鰐淵 洋子君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     杉田 水脈君

  金子 恵美君     梅谷  守君

  美延 映夫君     早坂  敦君

  河西 宏一君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     古屋 圭司君

  梅谷  守君     吉田はるみ君

  早坂  敦君     吉田とも代君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田とも代君     掘井 健智君

同日

 第三分科員高橋千鶴子君、第五分科員和田有一朗君及び第八分科員緑川貴士君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

小林主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川(昭)分科員 おはようございます。衆議院議員の石川昭政です。

 今日は、予算委員会第七分科会ということで、西村経済産業大臣に質問をさせていただきます。

 私の地元は茨城県の北部、いわゆる浜通りに近いところでございまして、今国会は、脱炭素電源それから安定供給、エネルギーに関する大きな二つの法案を控えているわけですけれども、今回は、F一事故の後始末、ちょっと課題がまだ残っておりますので、それらについて今回は質問したいと思います。

 まず、ALPS処理水の海洋放出について、今年、政府の方針では放出を決めているということでございます。それをやるに当たりまして、私も、やはり地元の方から心配の声が絶えないわけでございます。

 また、私は昨年、福島原発に行きまして、トンネル工事の現場などを視察をしております。その際にも、ALPS処理水をためているタンクの容量が、今年に入ったらもう既に限界に近づいてきているということも承知をしております。

 それらを見込んで、海洋放出に向けた手続が取られると承知をしておりますけれども、今後のプロセス、どのような手続が今後行われるのか、これらについて、西村経産大臣からお答えをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 私どもにとって、福島第一原発の事故の教訓、そしてその廃炉、さらには福島の復興、東北の復興、これはもう最重要課題であります。そうした中で、御指摘のALPS処理水の処分につきましては、二〇二一年の四月に、関係閣僚会議におきまして、二年程度後を目途に海洋放出をするという政府方針を決定したところであります。

 私自身、就任後、地元漁業者との意見交換、あるいは地元産品の消費拡大に向けた産業界への働きかけなどに取り組んでいるところであります。今後も、IAEAに何度となく視察をしていただいて評価をいただいているところでありますけれども、包括報告書が今年度の前半に発出される予定でありますので、それに向けた対応、そしてモニタリングの強化、さらには、被災地水産物の消費拡大、水産物の流通維持に係る環境整備、そして、風評影響による需要減少時の一時的な買取りや販路拡大支援のための三百億円の基金の事業がありますので、これの運用、そして、昨年末の補正で認めていただきました漁業者の事業継続支援のための五百億円の基金事業、これを実施して具体化をしていくということなど、安全対策そして風評対策に万全を期していきたいというふうに思っております。

 その上で、今後、海洋放出設備工事の完了、工事後の原子力規制委員会による使用前検査、そして、先ほど申し上げましたIAEAの包括的報告書などを経て、本年春から夏頃に海洋放出を開始することを見込んでいるところであります。

 いずれにしても、安全確保を第一に、そして風評対策をしっかりと行いつつ、皆さんの理解を得ながら進めていきたいというふうに考えております。

石川(昭)分科員 本年夏から秋頃にかけて、海洋放出に向けて準備をしているという状況でございますけれども、やはり、それらに対して地元の理解というものは、放出後も理解醸成活動というのは必要だと思いますし、あるいは、県議会、市議会、いろいろなところへの説明の責任は引き続き果たしていただかないと、我々も政府の方針というものをしっかり地元に伝える立場ではありますけれども、やはり政府が前面に立って理解醸成活動をやっていただかなきゃならないと思います。

 とりわけ、地元の水産加工、水産事業者、農林水産、そして観光事業者、こういったところは必ず影響を受ける事業者ですから説明をいただいていると思いますけれども、果たしてこれが成果が上がっているのかというのが、私の疑問、懸念として残っているわけでございます。何回説明会を開いた、こういう形で理解が広がっている、そういうエビデンスがあれば、是非ここでお示しいただきたいと思っております。

 一つの例として、私は、昨年視察へ行った際に、福一のサイトの外でしたけれども、ALPS処理水を使いましてヒラメとアワビの飼育というのを行っているらしいんですね。そこで安全性とかいろいろなものを確認しているそうなんです。そのライブ中継の配信がユーチューブを通じて見られるわけですけれども、その配信に登録している方が、今朝時点で四百六十九人しか登録していないんですよ。関心がないのか、そういうことをやっていることを知らないのか分かりませんけれども、こういうことですらこの程度の登録者数しかないというのは、果たしてこれで理解が進んでいるのか、私は甚だ疑問に思うわけですけれども、これについて政府のお答えをいただきたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の処分につきましては、基本方針の決定以降、一昨年ですけれども、漁業者や地元の関係者が参加します廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会、あるいは処理水の取扱いに関する宮城県連携会議、こうしたものを始めとしまして、安全性の確保や風評対策に関する説明会、意見交換会、これは、この地域、三陸、常磐地域で七百回以上実施してございます。

 また、地元での新聞広告、あるいはテレビCM、ラジオCM等を通じまして、科学的根拠に基づく安全性に関する情報も発信してございます。

 こうした取組に対しまして、引き続き、風評の心配、こういう御意見もいただいてございますけれども、地元の自治体からは、前向きに頑張っていることに一定の評価をするでありますとか、あるいは、漁業者からも、対策についてはある程度前進しているといった声もいただいておりまして、取組の成果は一定程度上がっているというふうに承知してございます。

 先生御指摘の理解の度合いでございますけれども、調査等で得られる特定の指標でありますとか数値、このようなもので一律に判断することは困難だというふうに考えてございます。

 先ほど御指摘をいただきましたヒラメの飼育、これにつきましても、先ほどの説明会あるいは意見交換会でも御提供してございます。登録している数はおっしゃったとおりかもしれませんけれども、こうした取組につきましてもしっかりと提供しておりまして、引き続き、足しげく地元に通いまして、丁寧に説明して、意見交換してまいりたい、このように考えてございます。

石川(昭)分科員 お言葉を返すようですけれども、ただ回数を重ねているだけでは、分かった、理解したということは多分広がらないと私は思います。

 じゃ、今回のALPS処理水の排出する濃度の基準は何ベクレルですかと聞いてみてください。答えられる人、いますか。国の基準は何ベクレルですか、じゃ、WHOの基準は何ベクレルですかと、ぱっと答えられる人、いますかね。私は聞いたことないんですよね。ということは、やっているだけで、理解が広がっている、中身の内容が伝わっているとは私は到底思えないんですよ。こういうやり方を何回重ねても私は広がらないと思っておりますので、是非やり方をもっともっと工夫して、掘り下げて、丁寧にお願いします。

 これは、地元の問題だけじゃなくて、消費者の皆さん、大消費地の皆さんが今言ったことを理解していないと、買い控えというのは必ず起こるんです。やめておこう、福島に行くのを、旅行するのをやめておこうと、絶対起きます。だから、むしろこちら、消費地の皆さんに対する理解醸成活動を是非やっていただきたい、全然足らないと私は思います。

 さて、今年はG7が開催をされます。日本は議長国でありますけれども、その際に、私は、このG7というのは、各国首脳が来て、いろいろなことをアジェンダで決めていく最高の舞台だと思っておりますけれども、これに対して、福島の復興あるいはALPS処理水の問題、安全性PRをどのようにして世界に発信するかということをまずお聞きしたいんですね。

 私は今年、台湾に行ってまいりまして、台湾は輸入規制をやっと少しずつ解除していただいてきましたけれども、こういう理由で、こういうことで、安全性は大丈夫なんですよ、各国で排出している処理水より基準は低く、安全性が高いんですよということを説明してきました。先方の農林水産省だったんですけれども、先方は、分かりました、きちっと科学的見地に立って対応しますので大丈夫ですということをおっしゃっていただいております。

 しかしながら、中国や韓国、先日、国連でも、ALPS処理水の放出については問題があると懸念を表明しているわけですね。

 こういうPR合戦というのが世界中で今後も起こると思いますけれども、このG7、これは本当に世界にとって重要な会議だと思いますけれども、ここでどのようにALPS処理水の安全性をPRされていくのか、そして海外発信をしていくのかということを計画しているのか、西村大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 委員御指摘のとおり、本年はG7の議長国ということで関連会合もたくさん開かれます。これはまさに世界に発信するまたとない機会というふうに認識をしております。政権のまさに最重要課題であります福島の復興、あるいは東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策、この現状について世界に向けてしっかりと発信をしていきたいというふうに考えております。

 もう既に、関係省庁、福島県とも連携をして、エネルギー大臣会合もございますので、その会場における福島県産の日本酒や食品の提供に向けて調整を行っておりますし、福島第一原発への視察プログラムも企画をし、各国に案内も出しているところであります。

 引き続き、政府一体となって、こうした機会を捉えて、福島の復興そして福島第一原発の廃炉等の現状についてしっかりと発信をし、御理解をいただきながら、風評払拭に取り組んでいきたいというふうに考えております。

石川(昭)分科員 是非この舞台を利用して安全性のPR、G7の首脳の、全員は無理かと思いますけれども、首脳が福島に来て、魚がおいしい、野菜がおいしい、こういうことを世界に発信して、PRを是非お願いしたいと思います。

 そして、政府においては、風評被害対策、賠償に向けて手続、準備を進めておられます。そんな中、これまでのやり方ではなく、被害を受けた方が立証をするのではなく、東電側が立証する、立証責任が東電側にあるということで、今回から大きくやり方が変わったわけですね。

 しかしながら、一方で、賠償に対して迅速に対応するということが重要だと思います。

 やはり当事者間でやり取りしていますと、時間が経過をして、もうこれから先、納得がいただけないのであれば、あとは裁判で決着つけますよというようなことで、そこで大体断念されるわけですけれども、実際に何が今起きているかということを皆さんにお話しすると、ALPS処理水の排出が始まったら一旦取引をやめますということを言われているわけです、地元の事業者は。

 もう既にそういうことが起きているということを御存じないと思いますけれども、こういうこともしっかり事前に対応を取っていただきたいと思います。法律でどうということは難しいかもしれませんけれども、是非、そういう立場に立って風評被害対策、賠償について取り組んでいただきたいと思いますが、どのように対応されるのか、お伺いしたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 様々な御指摘も踏まえまして、ALPS処理水の海洋放出に伴い風評被害が発生した場合の賠償につきまして、統計データなどを用いた風評被害の推認などによりまして、立証責任を被害者に一方的に寄せることのないよう対応することを政府の方針といたしております。

 こうした方針を踏まえまして、東京電力は、昨年十二月に賠償基準を公表してございます。現時点における風評被害の推認方法の考え方を示したものでございます。引き続き、関係団体との調整を進めまして、具体的な内容を定めていくものと承知してございます。

 被害者の方々の立証負担を軽減しつつ、被害の実態に見合った必要十分な賠償を行うよう、東京電力をしっかりと指導するとともに、国としても前面に立って対応していきたい、このように考えてございます。

 また、風評被害が発生した可能性のある事案を確認した場合には、事業者へのヒアリング等を速やかに行いまして実態を把握し、実態に応じた適切な対応を御相談したい、このように考えてございます。

石川(昭)分科員 迅速に賠償するというのは当然だと思うんですが、私が聞きたいのは、もう既にこういうことを言われている、取引をやめるよと。

 ということは、最初の質問に戻るわけですけれども、理解が進んでいないということですよね。取り扱っている、取引の業者さんが、ALPS処理水の安全性について疑念を持っているから、こういうことをおっしゃるわけですね。だから、これについては事前にしっかり対策を取ってもらいたいということを念押ししたいんですけれども、もう一回、答弁をお願いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、風評被害の発生あるいは拡大を防ぐ観点から、放出の前でございましても、国内外に対しまして、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って、安全性についての発信、丁寧な説明を行う。

 それから、これは年末に全国大で、おっしゃるように、大消費地の消費者に向けましてテレビCM等をやってございました。また、三陸、常磐もの、この魅力を発信し、消費を拡大していく、こうした風評対策に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

石川(昭)分科員 ちょっとまだまだ言い足りない部分がありますけれども、次に進みます。

 それで、放出のタイミングに合わせていろいろな風評被害というのが発生するわけですけれども、私は、風評前から需要を高めておいて、放出があって風評被害で売上げががたんと落ちても、放出前の売上げが維持できるような、そういうように、まあ高圧経済的な発想で、今やるべき対策というのは、集中的、重点的にこの常磐、三陸ものを扱うキャンペーンを行っておくというのが、私は、事前の対策として重要だと。

 また、観光についても、今、コロナの対策として全国旅行支援キャンペーンをやっておりますけれども、ああいう、集中的に福島であるとかその近隣の県に対してお客さんに足を運んでいただけるような、こういうキャンペーンを事前に、今からやっておいて、ALPS処理水の放出があったとしても売上げがそれほど落ちないような対策を取るべきだと、これは前から申し上げています。

 加えて、コロナ対策の際に、食料加工品の会社は大変大量の在庫を抱えたわけです。そんなときに、農林水産省は、インターネット販売促進事業と称して、送料を国が負担をして、どんどんインターネットで販売していったんですね。これも非常に喜ばれました。

 こういう事前の、今からそういった需要を高めるような対策を取るべきだと私は考えていますが、今、政府はどのように事前に対策を考えているのか、お伺いしたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、三陸、常磐ものの需要拡大あるいは開拓、これに取り組むことは、ALPS処理水の海洋放出に関する風評の抑制に極めて重要だというふうに考えてございます。

 こうした観点から、これまでも、大消費地あるいは三陸、常磐地域におきまして、三陸、常磐の水産品の魅力発信を行うキャンペーン、イベントに取り組む、また、昨年末には、三陸、常磐ものの消費拡大を図る官民連携の枠組み、魅力発見!三陸・常磐ものネットワークと呼んでいますけれども、これを立ち上げてございます。現在、八百者以上の企業等に参加いただいているところでございます。

 また、このネットワークの取組の一つとしまして、三・一一前後の、二月の二十三日、今週でございますけれども、から三月二十四日、これを三陸・常磐ウィークスと称しまして、イベントの実施でございますとか、経済界による三陸、常磐ものの社食などでの消費、それから各省庁での弁当の購入などを行いまして、大幅な消費拡大を目指してございます。さらに、消費の維持や拡大の観点からも、スーパーあるいはコンビニでの販売促進について、事業者の方々に働きかけを現在行っているところでございます。

 こうした取組によりまして、三陸、常磐ものの魅力を発信し、継続的な消費拡大につなげていく、こうしたことで、ALPS処理水の海洋放出に関する風評の抑制に全力を挙げたい、このように考えてございます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 ALPS処理水の海洋放出につきましては、観光関連業界の方々も風評影響について懸念を持たれているということは承知してございます。

 観光庁といたしましても、委員御指摘のとおり、多くの方に実際に現地を見ていただくことが最大の風評対策であると考えてございます。

 このため、今年度より、ALPS処理水の海洋放出による風評が特に懸念されております岩手県、宮城県、福島県及び茨城県沿岸部の市町村等におきまして、海の魅力を高めるブルーツーリズムの推進を支援しているところでございます。具体的には、カキ養殖用いかだの上で料理とお酒を提供する観光コンテンツの磨き上げや商品造成、また、台湾の旅行博出展による、海にフォーカスしたプロモーション等の支援を行ってございます。

 来年度におきましても、こうした取組をしっかりと支援をして、風評対策に最善を尽くしてまいりたいと考えてございます。

石川(昭)分科員 観光庁もいろいろ考えていただいているのは承知をしているんですけれども、やはり、私は、誘客という意味では、今の全国旅行支援に勝る、GoToもそうですけれども、支援というのはないと思うんですね。

 また、福島県、特に会津地方は修学旅行でもかなり有名でございまして、そういったところの修学旅行の需要も落ち込んでしまうと、また、今、観光産業は大変苦境に陥っているわけですから、ここの支援というのが不可欠だと思っております。

 今日の答弁はここまでだと思いますけれども、この先も引き続き、党の方でしっかり議論して、対策を考えてまいりたいと思います。

 先ほど西村大臣が、三百億円の基金をつくった、造成した、これを執行していくというお話でございました。これも、いろいろな使途が決まっていると思います、どういうときにお金が出るか、また、どういう業界にお金が出るかというのは恐らく決まっているんですけれども、風評関係でいいますと、水産業だけでなく、先ほど申し上げたとおり、観光とか、それに伴うお土産屋とか、いろいろな産業にこの影響が出るわけでございます。この使途を余り限定されると、せっかくつくっていただいた三百億円の基金が生きないわけです。

 これらは幅広く、私は対象にしたらどうかと思うんですけれども、これについて、政府の今の立場、方針をお伺いしたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度補正予算で措置されました御指摘の三百億円の基金事業でございますけれども、ALPS処理水の海洋放出に伴う風評影響を最大限抑制しつつ、仮に風評影響が生じた場合でも、水産物の需要減少への対応を機動的に実施する、このために措置したものでございます。

 具体的には、需要減少の対応につきましては、漁業者に限らず、様々な業種の事業者による、需要が減少した水産物の社員食堂等への提供やネット販売、あるいは販促PR、直売会の開催、新商品の開発などの多様な販路開拓の取組に対して支援を行うこととしてございます。また、漁業者団体が行います需要量に応じた水産物の買取り、冷凍保管の取組への支援も実施することとしてございます。

 基金以外でございますけれども、水産仲買、加工業者に対しまして、中小企業施策の一つでございます小規模事業者持続化補助金、これを、加点措置を講じてございまして、支援を実施しているところでございます。また、水産加工、販売、観光などの処理水の放出の影響を受け得る事業者に対しましては、中小企業基盤機構あるいはジェトロと連携しまして、特別相談窓口を設置するとともに、アドバイザー派遣等の支援を行ってございます。

 引き続き、事業者の皆様の御意見を丁寧に伺って、幅広いニーズに応えられるように、各種施策を適切に執行してまいりたい、このように考えてございます。

石川(昭)分科員 やはり、思わぬところで影響を受けてしまう業界というのは必ずありますので、今から何か決め打ちするということはされないように、幅広くやっていただきたいというのが私の願いでございます。是非検討を進めていただきたいと思います。

 今度は、水から、除染しました土壌について、取扱いについてお伺いします。

 中間貯蔵施設に集められた土壌は、焼いたり分別したりして、今、減容化作業の真っ最中だと思います。

 この中間貯蔵施設を設立する際に、JESCO法というのを改正いたしまして、私は質問に、そのときに立たせていただきました。当時は、二千二百万立米の除染した土壌がある、それを中間貯蔵施設一か所に搬入して、そこで減容化処理して、三十年後に県外に搬出するということでございました。搬入まではいいと思うんですね。で、減容化もやって今進んでいるというのは、もう承知しているわけですけれども。

 問題は、当時も議論になったんですが、三十年後、どこに持っていくのか、県外に持っていくということが果たして可能なのかと。当時、十年前に三十年後ですから、もう残りの期間は二十年になるわけですけれども、本当にそういうことが、今、検討がどのように進んでいるかというのは、その当時、余りはっきりしたお答えがなかったので、私も非常にそこは懸念として残ってまいりました。

 今、どのように検討が進んでいるのか、減容も含めてどのように再生処理が進み、再利用がどう進んでいくのかということを、現時点での、今の方針、取扱いについて、見通しについて環境省からお伺いしたいと思います。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 除去土壌について、中間貯蔵開始後三十年以内の福島県外最終処分という方針については、国としての約束であるとともに、法律に規定された国の責務ということでございます。

 このため、環境省といたしましては、二〇一六年に、県外最終処分に向けて、最終処分場の必要面積や構造の検討や、減容に関する技術開発、また除去土壌の再生利用、全国での理解醸成等を進めていくという方針を定めたところでございます。

 その方針に沿いまして、現在、中間貯蔵施設内の実証フィールドなどにおきまして減容化等の技術開発、また、福島県飯舘村などでの再生利用の実証事業、また、全国での対話フォーラムや実証事業の現地見学会等に取り組んでいるというところでございます。

 また、最終処分の必要面積や構造につきましては、二〇二四年度までに実現可能な幾つかの選択肢を提示するように、今現在検討しているというところでございます。

 その上で、二〇二五年度以降に、最終処分地に係る調査、検討、調整などを、それまでの取組の成果を考慮しながら進めていきたいというふうに考えております。

 県外最終処分に向けて、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 まだ現時点でははっきりしたことは言えない、ただ、二〇二四年までにそういった方針を決め、二〇二五年に固めていくというようなお話だったと思うんですが、もう既に、期間としては、残されている時間は少ないわけですよね。そういったところも法律で書かれているわけですので、我々もしっかりフォローしながら、国民の皆さんの理解を進めなければならないと思います。

 冒頭申し上げたとおり、ALPS処理水の理解醸成活動に併せて、除染土壌、除去土壌の理解醸成活動というのも進めていかなければ、この問題というのは最終終着駅が見えなくなってしまいますので、是非、政府を挙げて取り組んでいただければと思っております。

 それでは、時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。皆さん、ありがとうございました。

小林主査 これにて石川昭政君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美さん。

金子(恵)分科員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 もうすぐ三月十一日でございます。東日本大震災、原発事故が起きてから丸十二年となります。

 東京電力福島第一原発の事故により、福島県では今もなお多くの方々が避難を余儀なくされているという状況でありますが、この福島第一原発の廃炉までの道のり、本当にまだまだ長い状況です。しかも、燃料デブリをどう取り出すかということも分からない、廃炉の技術のしっかりとした構築もまだまだなされていないというこの状況の中、処理水の問題もあります。改めて、福島の原発事故はまだ終わっていない。

 こういう状況の中で、私も福島県民の一人でありますけれども、私たちの思いというものを全く無視した、そういう発言がなされたのは大変問題だというふうに思っておりまして、先日予算委員会でも取り上げさせていただきましたが、今日のこの分科会でも改めて取り上げさせていただきます。それは、麻生副総裁の発言でございます。

 まずは、何を言ったか。原発死亡事故はゼロということです。原発は危ないと言うが、死亡事故が起きた例はゼロだ。

 原発で避難を余儀なくされていた方々も含めて、関連死の方々というのは大変多くいらっしゃる、これも全く配慮していない、そういうお話ということ。そしてまた、さらには、原子力発電に関しては、最も安く安全で安心な供給源と位置づけている、そういう形で麻生副総裁は講演をされたということです。

 本当に極めて残念な発言だというふうに思っておりますが、西村大臣におかれましては、この発言についてどのような所見をお持ちでしょうか。

西村(康)国務大臣 党の側で様々な御発言があると思いますけれども、一つ一つについてコメントすることは控えたいと思いますが、詳細を承知しておりませんので控えたいと思いますが、私ども、福島第一原発での事故、この教訓、このことをいっときたりとも忘れることなくエネルギー政策を進めなきゃいけないこと、また、福島のこの第一原発の廃炉を含めて、福島の復興に全力で取り組んでいかなきゃいけないこと、これは、今の岸田政権、そして私の経産省におきましても最重要課題であるという認識でこれまで取り組んできております。

 私自身も、福島には四度訪問しておりますし、その都度、いろいろな方々と意見交換を、また、それ以外の機会も通じていろいろな意見交換を行いながら、福島の皆さんの思いに寄り添いながら様々な政策は取り組まなきゃいけない、この思いで進めております。

 原子力につきましては、個別に細かいことは申し上げませんけれども、直接、放射線障害で亡くなった事例はないというふうに、原子力発電所内においてですね、承知をしておりますけれども、ただ、過去、発電所の敷地内ではないものの、核燃料加工事業者であるジェー・シー・オーの東海事業所における臨界事故で二名の方が亡くなっておりますし、また、残念ながら、敷地内では、放射線とは関係ないものの、トラックの接触事故などで、労働災害等による死亡事故は発生しております。

 いずれにしても、何より福島での事故のことを常に頭に置きながら、安全性確保を第一に、大前提に取り組まなきゃいけないというふうに考えております。

金子(恵)分科員 大変影響力のある方の発言ですから、これは私、厳しい目を向けて当然だというふうに思っているんですね。

 西村大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、麻生副総裁が言ったように、原子力発電に関しては、最も安く安全で安心な供給源ということですけれども、この発言についてはどう思われますか。

西村(康)国務大臣 福島第一原発の事故を教訓に、利用する側、振興する側と規制をする側を分けて、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しいとも言われている安全基準に基づいて、安全の許可、認可が得られないものについては運転できないという非常に厳しい体制で、私ども、安全性の確保を第一に臨んでいるところであります。

 価格につきましては、様々な資料がありますけれども、IEAで出されている資料なども我々は参考にしながら、何がどういう条件であれば幾らになるのかという、様々あります。

 例えば再エネにつきましても、悪天候のときに火力のバックアップが要る、そうしたものを加味していく、あるいは原子力も、どの程度の期間運転するかによっても変わってきますので、様々な試算がありますけれども、日本は御案内のとおり資源がない国でありますので、安定供給と脱炭素化という大きな課題を両方実現していくために、多様な選択肢、あらゆる選択肢を追求しながら、この二つの実現に向けて責任を果たしていきたいというふうに考えているところであります。

金子(恵)分科員 あらゆる選択肢という話があって、恐らく、あらゆる調査とか様々な数字が出てきているのではないかというふうに思いますけれども、IEAの数字などを見ると、原発は高くないねというふうに説明されていて、それは、GXの基本方針の議論をされているときも、あるいは第六次エネルギー基本計画の策定の段階でも、そのような数字は出ていたというふうに思うんです。しかし、今大臣がおっしゃったように、様々な観点でコストについても見ていかなくてはいけないということだと思うんですね。

 今から改めて原子力発電のコストについてお伺いしようと思ったんですけれども、ただ、改めて、その前段となっていくこと、大前提は安全性の確保ということなんです。

 ただ、今大臣が原子力規制委員会というものをつくったその目的というものもおっしゃっていただいたわけですけれども、改めて独立性の高いものじゃなくちゃいけないんですけれども、ここのところの様々な経緯を見ていきますと、経産省との癒着、つまり、原発推進をしている経産省との癒着というものが危惧されるような、そういう問題も出てきていました。

 こういう状況の中では、本当に、改めて申し上げますと、これは大臣というよりは、今日は原子力規制委員会委員長、山中委員長にもお越しいただいておりますが、きちんと原子力委員会の独立性担保、これをしていかなければ安全性の確保ってできないというふうにも思うんですけれども、どうですか。そういう意味で、安全性は本当に確保できるのか。原子力、大丈夫なんですか。せっかくなので、委員長、お願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓と反省に基づき設置されたのが、私ども、原子力規制委員会でございます。確実な原子力の規制により、人と環境を守るというのが私どもの使命でございます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の初心を忘れることなく、独立性と透明性をきちっと担保しつつ、厳正な原子力の規制を行っていくのが私どもの役割であると考えております。

金子(恵)分科員 そうあってほしいと願いながら、また後ほど質問させていただきたいと思います。

 それで、原子力発電のコストという点で見ていきたいというふうにも思うんですが、先ほど申し上げましたIEAの様々な数字もある。でも、その数字をよく経産省は使っているんですけれども、改めて今日お配りいたしました資料に基づいて質問をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、お手元に配付させていただきましたのも、IEAの報告書の資料を基に作成したものであります。

 この考え方として、CO2の排出削減コストということで示しておりまして、タイトルは「発電設備別雇用創出人数とCO2排出削減コストについて」ということでありますけれども、まず一ページ目、一枚目は二〇二〇年の資料ということなんですね。数字はちょっと入っていないのですけれども、原子力運転期間延長と事業用太陽光を比較していただきたいと思います。CO2排出量一トン当たりの削減コストをアメリカ・ドルで示しているものなんですけれども、これは大体同じですよね。原子力の運転期間を延長した場合と、そして、いわゆるメガソーラー、事業用の太陽光を使った場合、新設した場合というのは、ほぼ一緒なんです。それも下の方に注釈として書かれている。

 二枚目を見ていただきたいと思います。これは、二〇二二年のIEAの資料でございます。ここを見ていきますと、こちらの方は数字をきちんと見ることができますけれども、原子力運転期間延長は十七ドルになります。事業用の太陽光は二・九ドルということになります。そうしますと、見てお分かりのとおり、事業用太陽光、こちらの方はコストが下がってきている、減っているということでありまして、原子力運転の期間延長の場合と比較すると、約六分の一のコストということになるわけです。

 そもそも、GX、グリーントランスフォーメーション、これを進めるということは、もちろん、ずっとおっしゃっている脱炭素社会を目指すということであります。ですから、CO2をいかに削減していくかということについてのコストについてしっかりと議論をしていくということは、すごく重要な観点だというふうに思うんですけれども、再生可能エネルギーの中で普及が進む太陽光と、改めて今回議論になりました原子力の運転期間延長ということを見たときに、太陽光の方が安いということがよく分かる資料にもなっています。

 先ほども、大臣もおっしゃいました。いろいろな前提とかそういうものがありまして、一つの選択肢という形での資料かもしれません。でも、こういうことも含めて、しっかりとした議論をこれまでしてきたのかどうか。

 改めて、これはIEAの資料ですから、今までも経産省がよく取り入れている、そういう情報だと思うんですね。大臣、御所見を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のCO2排出削減コストと、それからエネルギー安定供給あるいは脱炭素化に向けての取組、この関係だと思うんですが、お示しいただきましたIEAの資料につきましては、ちょっと精査をしなきゃいけないところがあるんですけれども、例えば、原発の運転期間延長、二二年の資料でも、これがどの程度の長さなのか、また、太陽光発電のコストにバックアップに必要となるコストが含まれているかどうか、この辺りも精査をしなきゃいけないと思うんですが、私どもも、太陽光もできるだけ多く導入をしたいということで、いわゆる国や自治体が持っているそうした施設の屋上とか、あるいは民間の施設の屋上とか、適地がかなり限られつつありますので、そうしたところも含めて進めていきたいと思います。また、土砂崩れとか、あるいは景観を害するというような指摘もありますので、地域と共生をしていくためのそうした規律の強化についても、今、法案を出すべく準備をしているところであります。

 いずれにしても、そうしたこともやりながら、太陽光についてもできるだけ多く導入できるように、そしてまた風力についても、洋上風力の入札も年末にも行いましたけれども、できるだけ多くの風力発電を取り入れるように、そうした再生可能エネルギーについても最大限導入をしていきたいというふうに考えております。

 一方で、悪天候時における、今申し上げた火力のバックアップが必要になってくるとか、あるいは、二〇一七年のヨーロッパの例が一番典型ですけれども、十日間ぐらい曇天が続いて、風も吹かないという中で、風力、太陽光が非常に稼働率が低下して、非常に需給が逼迫した危機的な状況が発生したということ。あるいは、最近も、英国では寒波による電力需要が高まる中で、風が弱くて、日々、LNGの価格が英国の状況によって左右されるなど、再エネだけではなかなか安定供給を確保するのは困難という中で、私ども、選択肢の一つとして、原子力についても、安全性の確保、まさに規制委員会の厳しい基準に合格したもの、認められたものについては再稼働し、原子力も選択肢の一つとして活用していくということで、安定供給と脱炭素化を進める上で、様々な選択肢、多様な選択肢を追求していくという方針で臨んでいるところであります。

金子(恵)分科員 原子力も選択肢の一つである、でも、再生可能エネルギーをしっかりと大きく進めていくというように解釈はさせていただいたんですけれども、すぐに原発依存から脱却ができるかどうか、いろいろな考え方はあるかというふうには思いますが、このままただ原発に依存するという形で突き進んでいけば、最終的には、将来的に家庭や企業が支払う電気料金のコスト増につながることが確実ではないかな、そういう議論があっていいんだというふうに思うんです。

 それは、例えば再エネ、FITの賦課金の総額は約十六兆円だけれども、原発は、電力会社の運転維持費に約二十九兆円、安全規制強化の対応に約五兆円、政府予算として約十九兆円、そして核燃料再処理に約十四兆円、そして福島第一原発の賠償や廃炉に約二十二兆円ですが、多分これはどんどん膨れ上がるというふうに思います。基本、天文学的な負担になってきているということであります。

 また、昨年度から、立地交付金は、立地県へは五億円から十億円、そしてまた周辺県へは二・五億円から五億円と倍増され、更なるコスト増加も発生することになります。

 このことと、そして電力の安全供給という話になるんですけれども、今まで再生可能エネルギーにどれだけの研究費を積み上げてきたんだろうかと考えたときに、全く比較にもならないほどの予算だというふうに思うんですね。もっと、私は、我が国として再生可能エネルギーをしっかりと推進するために、研究費も含めてこれは増額していって、本腰を入れていくべきだったというふうに思うんです。

 これはある意味、再生可能エネルギーが今本当に下火になってきつつあるような、そういうふうに見えなくもないんですけれども、これまで、現在に至るまで、やはりこれは政策的な部分で失敗があったのかなというふうに思っていまして、そういう部分では残念でならないと思います。

 一言、何かありますか。

西村(康)国務大臣 日本は二度にわたる石油危機も経験し、私も経産省時代、エネルギー政策にも関わっておりましたけれども、当時、サンシャイン計画など、再生可能エネルギー、当時は新エネルギーとか呼んでいましたけれども、クリーンな新しいエネルギーを、様々な技術を開発していこうと取り組んできておりました。

 ただ、この間、量産化が進む中で、なかなかコストで勝てないということで中国の製品などに席巻をされたわけでありますけれども、しかし今なお、ペロブスカイトという新しい太陽光電池、これは軽くて柔軟ですので、屋上や壁や、使えるということで、非常に効率もいいということで、こうした研究開発も更に進めております。

 太陽光、風力、そして地熱は日本の設備は世界の七五%ぐらいシェアもありますので、また、火山大国と言われるだけあっていろいろ潜在的な量はありますので、こうしたものを含めて、二〇三〇年には三六%から三八%を目指すということで、原子力は長い目で見れば低減をしていくということで、私ども、そうしたエネルギーの安定供給と脱炭素化、そしてコスト、経済性も考えて、国民の皆様にしっかりと責任を果たしていきたいというふうに考えております。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 期待はしたいと思うのですけれども、しかし、そういうことも含めて、やはり、GX基本方針の閣議決定までのプロセスの中で、国民の皆さんをもっと巻き込んだ形での議論が必要だったのではないかというふうに思うんです。余りにもその決め方というのが拙速ではなかったのかなと。

 一つは、パブリックコメントの問題もありました。パブリックコメント、実際には三千三百三件で、反対意見はどれぐらいあったのか、賛成意見はどれぐらいあったのかと明確に示されていないんですけれども、実際には三百五十六項目に集約して公表はされているということですね。十二月の二十三日から一月の二十二日までパブリックコメントをして、それで二月の十日にはもう閣議決定されているわけですから、私は、まとめ、もう少し丁寧な対応を一つ一つすべきだったのではないかというふうにも思います。拙速過ぎる。

 そしてまた、経産省の主催でありますGX基本方針についての説明・意見交換会ですけれども、これもまだ三月一日まで続いているわけですよね。終わっていない、そういう状況の中で閣議決定してしまっているんですよね。実際にそこでしっかりと意見を述べたいと思っていらっしゃる方々は多かったというふうにも思いますし、これも、つまりは、十か所中六か所が未開催であるにもかかわらず、二月十日にもう閣議決定を強行したと言わざるを得ない状況にあるわけなんですけれども、大臣、このことについてはどのように釈明されますか。

西村(康)国務大臣 まず、パブリックコメントについてでありますが、御指摘のように、全体で三千九百六十六件ありましたけれども、名寄せをしましたら三千三百三件ということでありました。

 そして、これを、行政手続法上、パブリックコメントで提出された意見を十分考慮することとされておりますけれども、その逐条解説によりましたら、その考慮は、提出意見の内容に着目して行われるもので、いわゆる数字の多寡で決めるものではないということであります。こうした方針は、過去の裁判例でも同様の考え方が示されているものであります。

 その上で、名寄せをし、そして寄せられた意見を約三百五十の主要意見に区分し、その区分ごとに、具体的な意見を例示し、回答する形で、パブリックコメントの結果を取りまとめた上で公表させていただいたところであります。

 この意見も踏まえまして、まさに御指摘がありました、原子力を活用する上で東電福島第一原発事故への反省を改めて明確化をしておりますし、カーボンプライシングを進める上での国民、産業界における理解醸成をしっかり進めることなど、必要な修正を行ったところであります。

 そして、御指摘の、並行して全国で行っております説明会、意見交換会でありますけれども、これは、GXの基本方針あるいは日本の置かれたエネルギーの現状や安定供給確保の重要性などを説明をするものであります。ここでいただいた意見をしっかりと受け止め、今後の政策検討の参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、引き続き、国民の皆様の理解が深まるよう、今日もこうして御質疑いただいておりますので、国会審議、あるいは説明会、意見交換会を始め様々な手段で、GXの基本方針を含めた政府のエネルギー政策につきましては、分かりやすく丁寧に説明を進めていきたいというふうに考えております。

金子(恵)分科員 一方で、このGX実現に向けた基本方針は、規制委員会にも諮られたわけですね。二月八日、閣議決定の前の規制委員会では、残念ながら決まらなかった、決定しなかった、お一人の方が反対された、石渡委員が反対された。この内容については広く報道もされていますので、私は当然の反対だというふうに思うのですけれども、そうしましたら、今度は、二月の十三日になりまして多数決で決定をしたということです。

 山中委員長は、報道にも、なぜこのような形での決定なのかということについては、やはりデッドラインがあったから、そういうお言葉をおっしゃっているわけですね。

 これはどういうことですかね。経産省にせかされて、法案があるから、あるいは環境省にせかされて、法案があるから早く決めろと言われたということですか。いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会では、高経年化した発電用原子炉の新たな安全規制について、四か月以上期間をかけて、九回にわたり、五人の委員で議論を行ってまいりました。

 本年二月の八日の原子力規制委員会で、新たな制度を取りまとめるに当たって一部の委員が反対を表明をされましたので、可能な限り議論を行うために、その場では採決を行いませんでした。

 その上で、二月十三日の原子力規制委員会で、再度、新たな制度と原子炉等規制法の改正案について議論を行いましたが、一部の委員から、高経年化に対する安全規制というより、令和二年七月に決定をいたしました運転期間に関する見解文についての根本的な考え方の相違があるということが分かりましたので、私としては、合議制の下で、多数決により、今回の新たな制度を決定することといたしたものでございます。

 以上でございます。

金子(恵)分科員 済みません、もう一度質問させていただきます。

 せかされたわけではないという御答弁ですか。

山中政府特別補佐人 決して、誰かから圧力がかかった、あるいは影響があったというようなことでは決してございません。

 今回の新たな制度案については、利用政策側での法律改正への検討の対応として準備してきたものでございます。高経年化した原子炉についての継続的な安全規制が実施できるように、法案提出を考えながら、議論を丁寧に進めてきたところでございます。今国会に法案が提出できるよう、原子力規制委員会で議論し、決定をいたしたものでございます。

金子(恵)分科員 共同通信社が二月の十八日に配信している記事を読みますと、杉山委員も、外からせかされた、スケジュールありきの決着には不快感を示しているというようなことが書かれているんですね。

 今、せかされたわけではない、誰からも圧力は受けていないということであれば、やはり、じゃ、あの発言は、委員長、何だったのかと思いますよ。実際に発言されたわけですよね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 杉山委員は新しい制度につきまして御賛成いただいた上で、技術的な詳細についてもう少し議論をしたかったというコメントを述べられました。

 これまで、高経年化技術評価を土台とすることは決まっておりますので、その上で、そうした技術的詳細については、法律ではなくて、規則やガイド等に委ねられるのが一般的であると認識しております。

 そのため、二月十五日の原子力規制委員会において、新たな検討チームを杉山委員をリーダーとして立ち上げまして、様々な委員に参加をしていただきまして、公開の場で引き続き丁寧に技術的な議論を続けていきたいというふうに考えております。

金子(恵)分科員 賛成だろうと反対だろうといいんです。でも、やはりきちんと議論をし尽くした上で決定していただきたい。そうでなければ、本当に信頼性は失墜しますよ。独立性の担保、これからどうしていくんですか。

 以前、メモのやり取りの話もありました。委員会等でもそれについては随分取り上げられていましたけれども、原子力規制委員会の独立性をしっかり担保しなければ、ALPS処理水への対応だってどうなるのということになると思うんですね。決めていただいて、大丈夫、それでオーケーが出たからALPS処理水を放出する。でも、もしかすると、規制庁は……

小林主査 申合せの時間が既に経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

金子(恵)分科員 あるいは規制委員会は、これは本当に、誰かにせかされて何かやっているんじゃないかという印象を受けてもおかしくない今回の事象ではないかというふうに私は思っています。

 最後に、大臣、処理水、どうですか。

小林主査 金子委員、申合せの時間が既に経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

 西村産業大臣、答弁は簡潔にお願いします。

西村(康)国務大臣 福島の皆さんのお気持ちに寄り添いながら、そして、多くの方の御理解をいただいて、福島第一原発の廃炉、そして福島の復興、しっかりと進めていきたいというふうに考えております。

小林主査 これにて金子恵美君の質疑は終了いたしました。

 次に、緑川貴士君。

緑川分科員 お疲れさまでございます。

 電気料金についてまずはお伺いしたいと思います。

 この間の燃料費の高騰、そして円安で高止まりしてきた電気料金に対して、政府は、物価高騰対策の一環として、標準的な御家庭の電気料金、およそ二割に当たる負担軽減を行っていくと。電力大手十社については、先月の使用分から今年九月使用分までの値引きを行っていく。それによって、まず、一旦の負担軽減にはなりますが、電力各社は、これまで据え置かれていた規制料金の上限について、四月以降の引上げというものを求めています。

 電気事業法に基づいて、それを政府として認可するかどうかについて、有識者などから成る専門会合を開いて審査をして、その判断材料の一つとして、消費者である住民などから意見を聞く公聴会というものが今開かれております。先月末から先週にかけては沖縄、四国、中国、北陸、東北で公聴会が開かれて、そして四月には東京と北海道で予定されています。

 公聴会、オンラインで私も拝聴いたしましたが、今回の値上げ幅が果たして妥当であるのかという不満のお声が多く、また、果たすべきことが、電力として、そして政府としてもしっかりなされてきたのかという苦言も呈されてきたところであります。

 消費者からのこうした厳しい意見を経産省として聞かれてきたと思います。大臣としてのお受け止めをまずはお尋ねいたします。

西村(康)国務大臣 この間、コロナからの経済回復があり、さらに、ロシアのウクライナ侵略があり、エネルギー価格が非常に高騰し、電気料金が上がってきていること、国民の皆さんの生活、あるいは中小企業を始め産業界にも大きな負担になっていること、そうした状況をしっかりと受け止めながら、少しでも負担軽減になるようにということで、この一月からは、二月分の支払いについて負担軽減策を導入したところであります。

 そういう状況を受けて、各電力会社共に、厳しい中で経営をし、赤字が続く中、やむを得ない選択だと思いますけれども、値上げ申請を、沖縄電力ほか、四国電力、中国電力、北陸電力、東北電力の申請があり、その公聴会を一月末から二月中旬にかけて開催したところであります。そして、北海道電力、東京電力についても、四月に公聴会を開催する予定でございます。

 これまで開催した公聴会におきましては、また、並行して募集しております国民の声におきましては、値上げはやむを得ないという御意見もありましたけれども、一方で、やはり、値上げ幅が大き過ぎる、生活が厳しいという声や、あるいは、企業収益に大きな影響を与える、また、電力会社の経営努力が足らないのではないか、こうした厳しい御意見をいただいているところであります。

 また、原子力発電につきましても、早期再稼働を求める声、また、反対という声、再エネの導入拡大を求める声などが寄せられているところであります。

 公聴会には、電力・ガス取引監視等委員会の審議会において査定方針案を審議する有識者も参加をしておりますので、こうした国民の皆様の声をしっかりと受け止めて、まさに今回の値上げの申請の背景となっております燃料費の見積りであるとか、あるいは経営効率化への取組など、引き続き厳格に審査を行ってまいりたいというふうに考えております。

緑川分科員 やはり、非常に異例な今回の値上げだというふうに思っています。

 各社が求める規制料金の引上げは、仮に今後、おおむね沿うようなものになるとすれば、これまでの政府の高騰対策だけでは相当不十分なものになる、今までの補填が吹き飛んでしまうほどの引上げになります。

 東日本大震災では一割ほどの料金の引上げでありましたが、今回は、各社によってばらつきはありますが、おおむね、多くのところで三割ほどの引上げ、多いところでは五割近くまで引き上げるという電力。自由化部門の料金も引き上げるというところもあるわけです。一九七〇年代のオイルショックの際には五割を超える引上げでありましたから、今回はそのオイルショック以来の大きなインパクトを国民に与えることになるわけです。

 直接審査をするのは監視委員会、電取委ですが、その中の料金制度専門会合が審査要領に基づいてこの値上げの適正性というものを直接的には判断をするんですが、今回、大臣、これだけのやはり歴史的な引上げが想定されております。行政手続法で想定するのは四か月間と言われる審査期間でありますし、過去にはこれよりも、いろんな事情があったにしても、半年ぐらいかけてようやく結論が出たという時期もありました。そうした引上げもございました。

 今回は、大臣、本当に異例の引上げでありますので、改めて、監視委員会を所管する経産大臣として、一層慎重にチェックを求めていく、所管省庁として求める必要があるのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、もう既に電気料金、非常に高くなっておりますし、国民の皆様への負担、また、中小企業を始めとする産業界の負担など、非常に厳しい状況にあることは十分認識をしておりますし、そうした声を多数いただいておりますので、そうした声も踏まえながら、まさに、これまでも厳正な審査が行われてきたものと思いますけれども、これまで以上に厳正に審査を行っていきたいというふうに考えております。

緑川分科員 純粋に、やはり燃料費の高騰による適正な価格転嫁による値上げ幅、それが妥当であるのかということだけではなくて、原発再稼働に係る、先ほども御答弁をいただきましたが、いろいろな政策に絡む、電力のこれまでの経営姿勢とか、また、行政の施策に対する厳しい声というものも含まれています。

 今回、最大の料金の引上げ率となる北陸電力に対しては、例えば、十二年間見通しが立たない、今も稼働していない、それを止めてきた志賀原発の長期の維持管理費用、安全対策の工事にこれまで数千億円もの費用がかけられてきた、これらの費用がなければ値上げ幅はそもそも小さくて済んだのではないかという公聴会での意見もございました。

 規制委員会の審査結果が出ていませんし、そして地元の理解も進んでいない。そして、先月、大臣御自身も、規制委員会の追加検査中であって、再稼働の時期を見通せる状況ではないというふうにおっしゃっているわけなんですが、その上で、再稼働がない場合はこれ以上の料金の値上げもあり得ると言わんばかりの、今、電力会社から再稼働を織り込んだ料金試算が示されているわけです。

 それを基にして、国として、今、順次審査を進めていくということ、そして、その結果、適切に算定された料金について、経産大臣として最終的に電力会社への認可を判断するというのは、再稼働を見通せないというふうに大臣御自身がおっしゃっている立場として、違和感を感じてしまうんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 おっしゃるように、事業者側は、安全規制を、ちゃんと審査を受けて、確認を受けて稼働したいという気持ちで、今、必要な対策、審査に臨んでいると思いますけれども、これは、独立した規制委員会が、厳しい基準、世界で最も厳しいと言われる基準に基づいて審査をされることでありますので、正直言ってなかなか、いつになるかというのは見通しにくいところであります。

 利用者側、事業者側が何か言う立場にありませんので、独立した規制委員会が判断されることでありますから見通しにくいのでありますが、一定の仮定を置いて計算をしないと、全く稼働がゼロということになりますと、より価格は高くなる方に働くわけでありまして、そういう視点でいいますと、事業者側も一定の仮定を置いて計算をするということで今申請を出されているものというふうに思いますので、この仮定をどう見るか。私どもからそれを、もっと稼働するからもっと安くしろ、稼働するはずだから安くしろと言うわけにもいかないんだと思いますので、この辺り、有識者の御意見もいただきながら判断をしていきたいと思います。

 いずれにしても、厳正に判断をしていく、特に経営の効率化であるとか、燃料の調達が、見込みが正しいかどうか、高く設定し過ぎていないかとか、こういった点はしっかり見ていきたいというふうに思っております。

緑川分科員 やはり、政府もそうですね、電力会社も、よく説明の中では、十分に安全を確認した上での再稼働というような御説明を度々耳にしますけれども、枕言葉のような説明であることに対して、あるいは、安全コストを踏まえて経済性もあるというふうな、こうした御答弁、いろいろな説明もありますけれども、それを聞いても、住民自身がなかなか納得をしていない、理解が進んでいないという現状がある。それが原発再稼働に対する根深い懸念というものだというふうに思います。

 東京電力についても、規制料金の三割引上げということは、柏崎刈羽原発の再稼働を見越した上での値上げ幅ということになっています。これについても、原発施設内でのIDカードの不正の使用であったりとか、また、核物質の防護設備の機能の一部が喪失するという問題がやはりありましたし、地元としても理解が得られていない、また、ガバナンスの部分についても懸念が残されている。こうした、コストだけに関わらない部分で住民は、非常に大きな疑問と、そして、将来に対する、この政策に対する不安というものがあります。

 こうしたことも踏まえて、やはり、審査ということを厳格に行っていかなければなりませんし、料金が云々という部分だけでないところに対して消費者が納得していない。この辺りについて、大臣、どのように御覧になっていますか。

西村(康)国務大臣 まず、一般論で言えば、原子力発電所を稼働した方が、いわゆる燃料費を、多く買わなくて済む分、電気料金は低く抑えられるものというふうに認識をしております。現に、再稼働が行われております九州電力や関西電力では、今回値上げの申請を行わないということであります。

 ただ、御指摘のように、再稼働を行うに当たっては、規制委員会の厳しい安全基準に合格をする、許可を得るということと同時に、国民の皆様の信頼、特に地域の皆様の理解を得られることは何より重要であります。地域の皆様の理解がないと稼働できないわけでありますので、御指摘のような、例えば東京電力におきます核物質防護事案、幾つかの不適切な事案がありました。これは、私も何度となく東電の会長、社長に、緊張感を持って対応するようにということを厳しくお伝えをし、要請をしているところであります。

 国民の皆様、特に地域の皆様の理解があって初めて再稼働ができるわけでありますので、そうした緊張感を持って電力会社には対応していただきたいと思いますし、先般、電事連の池辺会長にも、国民の信頼をしっかり得るように、安全対策を万全を期すようにということで、改めて強く要請をしたところであります。

 いずれにしましても、安全性を確認できたものは再稼働し、そして、審査、いわゆる値上げの申請の審査についても厳正な態度で審査を行って、できる限り国民の皆様の負担が、産業界を含めて負担が低くなるように、できる限りの対応をしていきたいというふうに考えております。

緑川分科員 やはり、安全審査をつかさどる番人である規制委員会でも、この十三日の会合では、六十年を超える稼働を可能にする、その制度の見直し方針は、最終的には決定しましたけれども、五人のうちの一人が、安全側への改変とは言えないということで、これは明確に反対を主張されている。こんな、これほど重要な決定事項に対して反対が出るというのは非常に異例なことであるというふうに思っています。

 そして、審査が、やはり今、古い原発というものが稼働しないまま、それが停止しているわけですけれども、審査が延びれば延びるほど古い原発を動かすことになります。それが果たして本当に安全と言えるのかどうかということは、これは、規制委員会からの疑問の声ということが挙がっているというふうに思っています。

 これ以上電気料金が上がるのを防ぐためには再稼働もやむなし、これしかありませんというような、政府としてはそのつもりがないにしても、結果として世論に圧力をかけるような形として発信されているような状況は望ましいことではないというふうに私は思っています。なし崩し的に進んでいくことで、やはりこれまでの原発政策、制度に対する国民の理解ということが遠ざかってしまわないように、そして国民の分断というものがこれ以上深まらないように、是非、大臣として、国民への十分な丁寧な説明というものを一層丁寧に行っていただきたいというふうに思っています。

 あわせて、意見では、値上げ、値下げの分かりやすい基準を作ってほしいといった公聴会での消費者団体からの意見、あるいは、有識者からも、ユーザーを念頭に置いた丁寧な情報公開、これは政府からの情報提供が必要だという声が上がっていました。

 エネ庁のホームページを見ますと、電気料金の各項目についてまとめたサイトというのは確かに確認をしたんですが、今回の高騰を受けて、電気料金のうち、どれが上がっていて、燃料費が下がったら料金はどういうふうに下がっていくんだろうか、そういう見通し、展望についても、これを分かりやすく、できるだけQアンドAの形式のような形で端的に情報を整理していただく。分かりやすい形で、消費者や事業者がそれぞれの場面に応じて情報を見つけやすくする工夫というものが今の状況では求められているのかなというふうに思いますけれども、大臣として今後どのような対応を取っていかれるでしょうか。

西村(康)国務大臣 幾つか御指摘がございました。

 日本は資源のない国でありますので、海外に燃料を依存しなきゃいけないということで、LNG、石油、石炭など、多くを輸入をしております。それが非常に価格が高くなってきたということで非常に厳しい状況にあるわけですけれども、そうした中で、安定供給と、それから脱炭素化という大きな課題と、さらには、やはり価格をできるだけ安定的にということで、経済性、コスト、こうしたものを全て考慮しながら、あらゆる選択肢を追求して、国民の皆さんに責任を果たしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そうした中で、私ども、省エネも是非進めてほしいということで、補正予算でも、三年間で五千億円の支援策、あるいは、家庭向けに高効率の給湯器であるとか、断熱材であるとか、こうしたものの支援も行うこととしておりますし、また、再生可能エネルギー、これも、太陽光もいろいろ地域との共生で様々な課題がありますけれども、それを乗り越えられるように法案も今準備をしております。その上で、できる限り適地を探して、公共の施設の屋上であるとか、そうしたところも進めていきたいと思いますし、また、洋上風力も、また入札を行って、秋田で年末にも入札を行ったところであります。是非、再エネも最大限導入していく、自前のエネルギーということで進めていきたいというふうに思います。

 そうしたことと併せて、原子力についても再稼働、安全性が確認でき、そして地元の皆さんの理解を得られたものは再稼働していくということで臨んでおりますので、何か原発だけ進めるんだということではないということを是非御理解いただきたいと思いますし、私どもも、そうしたことについてこれからも丁寧に説明をしていかなきゃいけない。省エネ、再エネ、そして、原子力の地元の理解、安全性確認の上で進めていくということを是非丁寧に説明していきたいと思います。

 QアンドAなどを作るという御提案もいただきましたのでいろいろ考えたいと思いますが、燃料費の見通しは、なかなかこれは、もうこのところ乱高下しておりますので、ウクライナの情勢がどういうふうになっていくのか、あるいは中国やアメリカの経済がどういうふうに回復していくのか、状況などによってかなり影響を受けますので、なかなか見通すのは、見通しが難しいわけでありますし、ここも査定においては大きな焦点になってくるというふうに思いますので。

 いずれにしましても、査定もしっかり厳正にやりたいと思いますし、国民の皆様にもできるだけ丁寧に、御提案いただいたQアンドAなども含めて、引き続き説明をしていきたいというふうに思っております。

緑川分科員 やはり、今後の海外情勢、様々な、ヨーロッパの石炭火力が、今、天然ガスが不足しているということで石炭火力を再開するよという動きとか、中国のゼロコロナ策がまず方向転換してそこからの経済再開ということになると、また様々な資源の値動きというものが非常に激しい動きが出てくるのかなというふうに思っていますので、やはりそれに応じた企業の支援というもの、暮らしの支援というものが必要になってくるというふうに、追加の策が必要になってくるというふうに思いますが。

 現状の高騰対策について、法人向けの高圧契約についてお伺いをしたいと思いますが、一キロワットアワー当たりの三・五円の補助、例えば機械加工などの中小製造業で一月に十万キロワットアワーの電気を使っているとすれば、単純に計算しますと三十五万円の補助、その月の電気料金の請求額から減額されるわけですが、ただ、今後やはり規制料金の値上げが認められるということになりますと、その補助を受けたとしても大幅な負担増にこれからなっていきます。

 中小企業の契約の多いこの高圧に対しての更なる負担軽減は必要であると思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘の負担軽減策でありますけれども、基本は、エネルギー価格が高騰した場合にその費用増については価格転嫁をしていくというのが基本だというふうに認識しております。この転嫁もしっかり認めてもらえるよう、私ども、公取とも連携をしながら、調査を行い、必要な指導などを、私、経産大臣としても指導助言を行っているところであります。

 その中で、電気料金の価格転嫁ができないような、例えば、家計は最終消費者でありますし、また低圧需要家も、中小企業もなかなかやりにくいということで、手厚い支援を行っているところであります。高圧需要家についても、FIT賦課金の負担を実質的に肩代わりする、キロワットアワー当たり三・五円という支援をすることとしております。

 あわせて、先ほども申し上げた、省エネ対策をこの時期に抜本的に行ってもらうということで、省エネ型の機器に換える予算を三年間で五千億円確保しておりますので、中小企業も含めて二十億円まで支援ができますから、こうしたものも活用もお願いしたいと思いますし、さらには、昨年九月に措置しました六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、この中で中小企業に対するエネルギー高騰対策も推奨メニューの一つとして位置づけられております。

 例えば、地元の秋田県では、約八十億円、県が五十億円、そして市町村が約三十億円ということで交付されることとなっておりまして、その中で、幾つかの市でも、北秋田市などで電力料金の支援も行われております。

 こうした対策を重層的に講じながら、まずは一月の使用料で、二月の請求から反映される電気料金の値引き支援をしっかりと確実に届けていくために予算執行に取り組んでいきたいと思いますし、更にその上で、おっしゃったような、御指摘のような経済状況あるいは価格の動向などを見ながら、関係省庁と連携し、臨機応変に対応していきたいというふうに考えております。

緑川分科員 やはり、省エネの対策は非常に重要であるというふうに思いますが、タイムラグが生じる、そうした施策の前に、今、しっかりと効果が出ていく、そうした施策について力を注いでいただきたいというふうに思います。

 この高圧の三・五円の補助は、やはり、再エネ賦課金単価、おっしゃるような、御答弁があったようにほぼ同額でありますから、国がその再エネ賦課金を実質的に肩代わりするものであるということで、低圧ではこれが七円、つまり今年の燃料費調整額の値上がり額を基にした補助になっているのに対して、高圧は、再エネ賦課金分が、やはりこれでしかない、それが相殺されてしまいますから、結局、燃料費調整額の増加分に対する直接の軽減にはこれはなっていない。

 この辺りについて、大臣、更なる重点的な支援が必要であるというふうに思っています。いかがですか。

西村(康)国務大臣 繰り返しになる部分もありますけれども、まずは、この支援策、一月から始まりまして、この二月、今月の支払い、請求から支援が行われますので、まずこれを着実に実行しながら、御指摘の経済状況、これは、国際的な経済状況もそうですし、国内の様々な企業の状況などもしっかりと見ながら、また、交付金も各地でそれぞれ厳しい企業などにも使われておりますので、そうした状況を見ながら、今後の状況を踏まえて、臨機応変に対応していきたいというふうに考えております。

緑川分科員 なかなか、時間が迫ってしまいますから、更に深めてお話、議論をしていきたいというふうに思いますが、一言だけ。

 この点については、やはり、公聴会でも、工業団地の中小企業関係者からは、今回の高騰で収益が悪化して事業を閉鎖するところが出ている、雇用や周辺の取引先にも影響が出ているという切実な状況が伝えられています。補助がなされても、やはり、十分ではないというお声でありますし、このコロナ禍でこれまで借入れを重ねてきて、今まさにその融資返済が本格化しているという時期にぶつかっている事業者もいらっしゃいます。

 一方で、今、経済が回復してきて、商品需要が回復して事業を展開していけるチャンスが目の前にあるのに、返済もあって手元の運転資金が追いついていない、そこにこの今回の電気料金の高騰が襲っている。固定費などが圧迫されれば、やはり事業がもたなくなります。こうした声を踏まえて、迅速な、すぐにできる対策というものを意識をして経産省には取り組んでいただきたいというふうに思います。

 値上がりをしてきた電気料金の要因の一つは、再エネ賦課金。家計や企業の重荷になっているという声がやはり上がっています。各自の対策として、様々な、節電も含めた電力消費を抑えるという取組、各家庭、企業で、私も家で心がけているところでありますけれども、どんなに使用量を抑えても、この高い賦課金単価を掛け算して計算される電気料金というのはやはり抑え切れません。過度な節電は、電力多消費の物づくり産業であれば、やはり製品づくりに支障を来すという場合もあると思います。

 料金の高騰を受けて、自家消費のために太陽光発電を導入する相談も現場で増えていますけれども、自家発電が増えれば増えるほど、電力会社の買取り負担が大きくなります。その分だけ再エネ賦課金の単価も上がっています。二〇一二年比に比べて、今年の二月現在では、再エネ賦課金三・四五円、十五倍にまで高騰していて、一般家庭では、年間でおよそ一万三千八百円の負担です。

 もはや無視できないような額になってきた中で、国民の公平な負担とはいっても、消費者にとって無視できないこうした額を、太陽光発電を導入していないところにどんどん実質的な負担が行っているということで、やはり持続可能な仕組みとは言えないというふうに思います。まずはこの再エネ賦課金の一定期間減額ということが必要な状況になっているというふうに思いますが、大臣、今後の対応、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のFIT制度でありますけれども、これはまさに、民主党政権時代に、私は自民党側、野党自民党の責任者でありましたけれども、修正を行いながらこの法律を成立させたわけでありますけれども、まさに再エネ電気を急速に導入拡大していこうというために、一定期間、固定価格で買い取るという仕組みで、投資回収の見通しを与えて、そして、まさに大量導入し、エネルギーの自給率向上やあるいは環境負荷の低減を図るということをしたものであります。

 この法律の成果もあって、今、足下二〇%ぐらい再生可能エネルギーは導入されておりますし、三〇年には三六から三八%の導入を目指して私どもも取り組んでいるところであります。

 もちろん、その後、価格はだんだん低減してきておりますし、また、FIP制度という新たな、市場に連動したような仕組みも入れておりますので、できる限り国民の負担を抑制すべく取り組んできているところであります。

 ただ、この費用負担につきましては、今も御指摘がありましたけれども、電力消費者の皆様に広く公平に御負担いただくことで導入を進めていこうということでありますので、その上で、この賦課金の単価は、年度の開始前に経済産業大臣が法律に定められた算定方法にのっとり設定することとされております。法律上の定めに基づき適切に対応したいと思いますし、カーボンニュートラルの実現に向けては、そして、この再エネ、最大限導入のためには、この制度を着実に運用していく必要があるというふうに考えております。

 私どもも、費用負担軽減策を考える上で、この賦課金を徴収停止すること、なくすことも、様々野党の皆さんからも御提案いただきましたので、議論しましたけれども、これは、需要家から回収した賦課金を小売事業者が広域の機関、OCCTOに納付するという、ちょっと複雑な仕組みになっておりまして、実際に小売事業者の値下げにそのまま反映されるかという課題もありますし、また、変えるとすれば法律改正も必要になってくるということで、私ども、迅速性を重視をし、この一月から開始すると。特に、冬ですので、電気の需要が増える一月から開始しようということで、今回の負担軽減策を採用し、補正予算でお認めいただいたところであります。

緑川分科員 様々な質問も用意していますけれども、また、機会を改めさせていただきながら、最後の問いに移らせていただきます。

 今、都市部など、大企業でキャリアを積んだ高度人材、地方の地域企業をマッチングさせるレビキャリの仕組みがありますけれども、一定の要件を満たせば受け入れた企業側に給付金が支給される仕組みですけれども、現状では、このマッチング件数が数件にとどまっています。

 高度人材も、大企業の社員だけに限定せず、中小企業の現場で豊富な経験を積んだ方も、その知見を地域企業で存分に生かせると思います。この対象条件を拡充をしていくということ、金融庁として、また中小企業庁を所管する大臣からもお考えを頂戴したいと思います。

小林主査 金融庁新発田参事官、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

新発田政府参考人 はい。

 委員御指摘のレビキャリは、求人企業と求職者とをつなぐ人材プラットフォームではございますけれども、求職者の登録は大企業に勤務する方に限定されているということでございます。

 これは、地域の中小企業では、大企業で培った経験、スキルを経営に近い立場で発揮してもらいたいなど、大企業での勤務経験を有する方への人材ニーズがうかがえる一方で、雇用条件のミスマッチなどを背景に、都市部の大企業から地域の中小企業への人材仲介を行うことは必ずしも容易ではない、そういった指摘があることなどを踏まえまして、本事業では、大企業に勤務する方などに、中小企業で活躍いただくことを後押しすることとしているところでございます。

 なお、中小企業の経営人材確保を後押しする施策といたしまして、例えば、内閣府の方で、先導的人材マッチング事業でございますとか、プロフェッショナル人材事業なども推進されているところでございます。これらの施策では、求職者として、大企業人材に限らず、中小企業の従業員も対象とされているというふうに承知しております。

 金融庁といたしましては、地域金融機関が、様々な施策も活用しながら、地域企業の経営課題の解決に貢献していくことを後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

小林主査 西村経済産業大臣、簡潔にお願いいたします。

西村(康)国務大臣 はい。

 中小企業の人材確保、非常に重要だと思っております。

 これは、兼業、副業も含め、今お話にあったマッチングとか、セミナーなどを開催して人材確保をしていきたいと思いますし、兼業、副業によって、送り出す企業、受け入れる企業、それぞれに経産省は補助も用意をして、そうした形での人材確保にも取り組んでいきたいと考えております。

緑川分科員 駆け足で失礼をいたしました。

 経営者の高齢化で雇用が失われて地域経済に大きなマイナスにならないように、この待ったなしの問題、様々な複合的な施策を組み合わせて、しっかり前に進めていただきたいというふうに思います。

 議論を終わります。ありがとうございました。

小林主査 これにて緑川貴士君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 西村大臣、今日はよろしくお願いいたします。

 今月十日、政府はGX実現に向けた基本方針を閣議決定しました。三・一一原発事故以来の原発政策転換と各紙が一斉に報じたところです。また、GXと平仄を合わせるように、内閣府の原子力委員会は、五年に一度の原子力利用に関する基本的考え方案を年末に公表しております。その中で、「東電福島第一原発事故によって、我々は制御が利かなくなった原子力の危険性を再認識させられた。十一年超が経過しても避難生活を続けられる方々がいることを踏まえ、福島復興に向けた努力を継続していかなければならない。原子力利用に関係する者は、原子力が人々の生活や人生及び社会に大きな負の影響を及ぼす潜在的な危険性を内包していることを片時も忘れることなく心に留め、」云々と書いています。何度でもかみしめなければなりません。GX基本方針にも「福島復興はエネルギー政策を進める上での原点」とあります。

 そこで、大臣のお言葉で答えていただきたいんです。なぜ福島復興をエネルギー政策の原点と位置づけているのか。安全神話に陥っていたという指摘がありますが、どのように反省、教訓を導こうとしているのか、伺います。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のように、東京電力福島第一原発の経験、この事故、これは本当に私どもにとってひとときも忘れることなく、その反省と教訓、これに基づいてエネルギー政策を進めていく、もういっときたりとも忘れてはならない、そのことが政府の一貫した方針であるというふうに私自身も認識しております。

 昨年、大臣に就任して以来、私も福島を四度訪問をいたしまして、知事あるいは自治体の首長、また漁業関係者、あるいは中小企業の皆さんなど、様々な方々と意見交換をさせていただいておりますし、時あるごとに、東京に来られたときもお話をさせていただいたり、あるいは、福島の産品の様々なイベントにできる限り私自身も参加をして、福島の復興に向けて全力を尽くして取り組んでいるところであります。

 内堀知事からも、エネルギー政策の原点であるこの福島第一原発の廃炉、そしてALPS処理水の課題も含め、お会いするたびに様々な御意見をいただいております。そうした声、また被災地の皆さんの思いにしっかりと寄り添いながら、いろいろな思いを持っておられると思いますので、そうした声に寄り添いながら、エネルギー政策を進める上で、丁寧に説明をし、理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。

 そして、安全性の確保ということにつきましては、規制委員会が独立した立場で、本当に厳しい厳格な規制、これをクリアしないことには原子力発電所は稼働できませんので、そうした大原則をこれからも徹底していくことが重要だというふうに認識をしております。

 安全最優先の考え方、そして、福島第一原発の事故をいっときたりとも忘れることなく、その反省、教訓の上に立って進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 いっときも忘れることなくとお答えをいただきました。それが政策に貫かれているのか、そのことが問われていると思うんです。

 大震災と原発事故から間もなく十二年。この春にも海洋放出がされるといいます。私は、一昨年四月十二日の決算行政監視委員会でこの問題で質問しました。ところが、その翌日に政府は海洋放出の方針を正式決定したのでありました。

 資料のまず二枚目を見ていただきたいんですが、今年一月の関係閣僚会議において、真ん中の今後一年間の取組のところを読みますけれども、農林漁業者等の生産者の皆様に対して説明を尽くす、従来の説明会、意見交換等に加えて、漁業者等を始めとする地元の方々との車座での意見交換等を引き続き実施とあります。私は、率直に言って、こうした取組をなぜ決定する前にできなかったのかと思ったのであります。

 そこで、質問は、一昨年のALPS処理水基本方針決定以降、説明会は約一千回やったと聞いておりますが、今読んだこの車座の対話はどのくらい行ってきたのか、そして、大臣自身はどのように取り組むつもりか、伺います。簡潔にお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘の説明会、車座でありますけれども、これまで、漁業関係の皆様に約二百回の意見交換会あるいは説明を実施してきております。また、昨年八月末のALPS関係閣僚会議におきまして、漁業者との車座対話を強化する方針をお示しをしておりまして、それ以降、これまでに約二十回実施をしてきております。

 私自身も福島を四度訪れましたけれども、昨年十月には福島県における若手漁業者との車座対話を実施をいたしております。

 また、先般も、先月、ふるさと祭り東京で、福島県、宮城県など東北の被災地の漁連、漁協の方々と一緒に、三陸、常磐もののPRイベント、これは漁業者、漁連の皆様と一緒に行いました。そのときもお話もさせていただきましたし、また、今週末も福島の漁業者と私自身が車座の対話を行うことを予定をしております。

 今後も、こうした車座集会などを行いながら、丁寧に説明を重ねていきたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 この点は承知しました。

 実はこれ、去年から何回聞いても、車座対話を何回やったのかと教えていただけないので、大臣がおっしゃったようにお答えいただければよかったのになと思うわけです。

 私自身は、福島では漁業者、森林組合、農協、商工会議所、あるいは宮城では漁協、若手の水産加工業者、岩手、そして青森は大間まで足を運んで漁協などと懇談してきました。海はつながっているということがまず言われることと、やはり被災地でもありますので、復興に水を差す、こうした指摘がございました。

 今月十二日付河北新報では、宮城県官民連携会議の場で村井知事が、宮城で放出に賛成という人は誰もいない、原発事故後の十二年間で東電に不信感を持っている、こういう発言をされたということ、海洋放出以外の方法の検討を求める姿勢に変わりはないと報じられていること、重く受け止めていただきたいと思います。

 それで、資料の三は、処理水を放出するために、約一キロ、海中トンネルを造る、それが今工事中だというところの図面であります。

 それで、次に資料の四なんですけれども、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、いわゆるロンドン条約が一九七二年に採択をされ、さらに、九六年の議定書では、魚類残渣やしゅんせつ物、下水汚泥など、投棄可能なもののみ条件を満たせば許可をして、残りは禁止となりました。言ってみれば、ネガティブリストからポジティブリストになったということだと思います。

 それで、九六年の議定書第一条四項の「「投棄」とは、」というところの一番目に、「廃棄物その他の物を船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物から海洋へ故意に処分すること。」とあります。

 先ほどの、海底トンネルをずっと延ばしてまで放出する、このやり方、人工海洋構築物とはならないのかな、議定書違反ではないのかなというふうに思ったものですから、まず伺います。外務省。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 ロンドン条約及びロンドン議定書は、陸上で発生した廃棄物等の船舶、航空機、プラットフォーム、その他人工海洋構築物からの海洋投棄を原則として禁止しているものであり、今般のALPS処理水のような、トンネルを用いた陸からの廃棄物等の海洋への放出は、同条約及び同議定書の投棄には該当せず、規制の対象とはならないところでございます。

 現に、パイプラインやトンネルを用いた原子力施設からの排水が同条約及び同議定書の規制対象となったことはないものと承知しております。

高橋(千)分科員 納得できないんですね。

 実は、陸上だから対象にならないということは、国会の答弁が何度もあったということは承知をしています。しかし、構造物を出して、わざわざ、海からでは禁止されるから、陸から延ばしていくんだと。でも、同じものじゃないかと思うわけなんですね。そこは納得できないんです。

 原子力委員会が、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないと決定したのは九三年の十一月二日です。第十六回ロンドン条約締約国会議に向けてとありますが、それまでは、低レベル放射性廃棄物は海洋投棄の方針であったはずです。実際に、ドラム缶での低レベル放射性廃棄物の海洋投棄を試験的にやっていたと思います。そのことを確認します。

 また、七二年のロンドン条約の時点で放射性廃棄物は禁止とされていたにもかかわらず、九三年決定まで海洋投棄の方針だったのはなぜでしょうか。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 一九七二年に採択されましたロンドン条約では、高レベルの放射性廃棄物その他の高レベルの放射性物質の海洋投棄が禁止されておりましたが、それ以外の放射性廃棄物その他の放射性物質については、一定の条件下では実施は可能となっておりました。

 一九七六年に原子力委員会が決定した「放射性廃棄物対策について」では、低レベル放射性廃棄物の処分方法としては、海洋処分と陸地処分を併せて行うという方針を明記し、御質問いただいたように、関係機関により試験的な海洋投棄の計画を進めることを検討していたものと承知しております。

 しかしながら、一九八五年のロンドン条約締約国協議のモラトリアム決議等を踏まえ、計画は実施されなかったものと認識しております。

 なお、一九九三年には、原子力委員会として、「低レベル放射性廃棄物処分の今後の考え方について」を決定し、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないこととしております。また、その後、ロンドン条約でも、高レベルのものに限らず、放射性廃棄物その他の放射性物質の海洋投棄を禁止しております。

高橋(千)分科員 一言だけ追加で聞きますので答えていただきたいんですが、確かに、七二年の条約のときは、高レベル放射性廃棄物だけが対象で、低レベルはそうじゃなかったとおっしゃいました。なので、低レベルの投棄を準備をしてきたと。

 だけれども、やはり社会的な問題、当時、決定したとき、九三年のときに、旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の投棄問題があり、また、環境問題に対する世論が高まって、やはり社会的にも判断をせざるを得なかった、そういうことだと思うんですが、よろしいですよね。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、八五年のロンドン条約締約国協議のモラトリアム決議等を踏まえて計画は実施されなかったもの、このように認識してございます。

高橋(千)分科員 こうした総合的な判断で、私、本当に残念だなと思うんですよ、低レベルだからといって海洋投棄の方針を持っていたということ自体が。だけれども、それをやめると決めた以上は、やはりそこをもっと、そのときの思想を貫くべきだ、このように思うんです。

 資料の五を見てください。一月二十九日付の福島民友の記事ですが、これはイギリスの、皆さんもよく御存じだと思いますが、原子力関連施設の一大集積拠点であるセラフィールドを取材したルポです。

 再処理工場もあった軍需、発電の一大拠点でした。一九五七年、世界初の原子炉重大事故となった火災事故がありました。重大事故を経て、廃炉や研究の長期プロジェクトが進んでおり、今紹介したような、東電福島第一原発と同じように、沖合まで延びるパイプラインを通じて海に処理水を放出しているということです。

 ただし、真ん中の段の、傍線を引いていますように、「私たちが廃炉に立ち向かってきた時間は福島と違う。福島は事故からまだ約十二年だが、ここでは一九五〇年代から続けてきた。」と述べているわけですね。半世紀を超える歴史をたどってきたこと、本当に住民の理解を得るために時間をかけてきたんだということを紹介していると思うんです。

 大臣、こうした経験に学んで、福島においても、更なる話合いの努力と、海洋放出を避ける研究を併せて続けるべきではないでしょうか。

西村(康)国務大臣 英国のセラフィールドにおける事例の御紹介がございました。一九五七年、もうかなり前でありますが、火災事故が発生し、それ以降、様々な意見交換が行われてきたものというふうに理解をしております。

 このALPS処理水の処分につきましては、まさに福島復興を実現するために、決して先送りすることはできない課題ということで私ども認識をしております。

 その処分方法の決定に当たりましては、専門家が六年以上にわたる検討を行って、海洋放出が現実的な手段であると評価をされたところであります。その上で、繰り返し多くの場で説明や意見交換を実施し、いただいた御意見も踏まえ、二〇二一年四月に、政府として、海洋放出を行う方針を決定したところであります。

 もう多くは繰り返しませんけれども、意見交換も千回以上行ってきておりますし、説明会の場を千回以上行ってきておりますし、また、IAEAも複数回来日し、レビューを行ってくれております。昨年五月には、グロッシーIAEA事務局長は、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントをいただいております。

 本年前半には、その上で、IAEAの海洋放出前のレビューの結論を含む包括報告書が公表される予定でもあります。

 このレビュー以外にも、様々、モニタリングの強化であるとか、そして、風評被害がないよう払拭していくための様々な消費拡大の方策、あるいは漁業者の皆さんに一時買取りのための三百億円の基金、さらに漁業の皆さんの事業継続の支援のための五百億円の基金事業を具体化するなど、これからも安全確保、風評対策に万全を期していきたいと思いますし、繰り返し丁寧に地元の皆様にも説明を重ねていきたいというふうに考えているところであります。

高橋(千)分科員 ここはもう指摘にとどめますけれども、確かに六年間の議論をしてきた、それは全部追っかけています。ただ、事故の直後に私たちが福島第一原発に行ったときに、海に放出するつもりですと東電はおっしゃいました。やはり方針ありきだったんですよ。放出ありきだった。

 残りの案は、どちらかというと現実不可能なものを議論してきたという経過もあったかと思います。だからこそ、納得いかない、何度も何度も裏切られたという思いを現場の方たちはしていますので、重ねて努力をしていただきたい、このことを訴えたいと思います。

 それで、もう一つ避けては通れない問題として、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の問題です。

 候補地も決まっておらず、文献調査に手挙げしたのは北海道の寿都町と神恵内村の二町村のみです。政府は、最終処分地選定に関する基本方針を八年ぶりに改定すると言います。寿都町の片岡春雄町長は、十日に都内で開かれたシンポジウムで、一日でも早く全国で手が挙がるようにお願いしたいと述べたそうです。

 資料の六にあるように、政府としても、文献調査に参加する自治体を増やすために、国主導で理解促進活動を行うとしています。原発は国策で進めてきたことですから、政府の責任でというのは当たり前なことです。ですが、だからといって、国有地ならいいという意味では絶対ないと思うし、あるいは首長の了解さえ取ればよいとはならないと思う。そこはいかがですか。確認したい。一言でお願いします。

西村(康)国務大臣 まさに、最終処分地を決める、政府一丸となって、これは政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 そして、二月十日の最終処分関係閣僚会議でお示しした取組強化策についてでありますが、国有地かどうかにかかわらず、地域の理解を得ながら進めることを大前提に文献調査の実施地域の拡大につなげたいと思いますし、その上で、地域における合意の在り方については、自治体としての判断を尊重することが重要と考えております。

 国としては、地域において丁寧に議論を重ねてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 当たり前のことなんだけれども確認をさせていただいたんです。率直に言って、国の焦りも感じます。

 今回、農水省、国交省、厚労省、地方創生担当など、関係省庁を追加していますね。地域活性化の課題や要望に応えるという名目で、候補地と引換えに大きなあめ玉を用意する、こんなことが絶対あってはならない、このことを指摘しておきたいと思います。

 そこで、エネ庁に伺いますが、全国の使用済燃料の管理容量、それに対する貯蔵量、残りはどうなっているか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねいただきました全国の原子力発電所等におきます使用済燃料の貯蔵可能量は約二・四万トンでございます。このうち、既に貯蔵されている使用済燃料が約一・九万トンございまして、残りの貯蔵可能容量は約五千トンであると承知しております。

高橋(千)分科員 かなり端数を切ってお答えをいただいたんですが、そういうことにしておきましょう。

 それで、六ケ所にある使用済燃料貯蔵センターは現在二千九百七十トンあるわけですが、再処理されない、つまり約束が履行されない場合は元の原発に返還することになっています。

 私の手元の資料で申し訳ないんですが、美浜原発は、管理容量が六百二十トンに対して現在四百八十トン、残り百四十トンですが、既に六ケ所村では百六十トン貯蔵しています。つまり、オーバーしているということです。浜岡原発も、千三百トンのキャパに対して千百三十、六ケ所は二百四十六トン貯蔵していますので、ここも完全に超えております。

 各原発でもサイト内に乾式貯蔵の計画などで動いているのは承知していますが、どこかが引き受けてくれる、あるいは、当面は考えなくてもいいやと原発を動かしてきた、まさにトイレなきマンション、この現実を見るべきだと思います。

 福井県の知事は、原発を引き受けるけれども貯蔵は引き受けない、どこか県外に持っていってくれと、もうオーバーしているにもかかわらずこういうことを言っている。本当に虫のいい話だと思います。

 私は、使用済燃料は各サイトで責任を持って処分する、つまりサイクルは断念すべきだ、このように思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 政府といたしましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、それから有害度の低減、資源の有効利用の観点から、核燃料サイクルを推進していくことが基本方針であります。

 こうした観点から、六ケ所の再処理工場につきましては、日本原燃が二〇二四年度上期のできるだけ早期の竣工に向けて安全審査等の対応を着実に進めるということにしております。また、使用済燃料の貯蔵能力の拡大につきましても、原子力事業者が使用済燃料対策推進計画に基づき取組を進めているところであります。

 さらに、再処理によって回収されるプルトニウム等を有効に利用するプルサーマルについては、電事連が二〇三〇年までに少なくとも十二基でプルサーマルを実施することを目指しているところであります。

 中間貯蔵、使用済燃料の貯蔵能力の拡大につきましては、約六千トン分の貯蔵能力の拡大に向けて取組を進めております。二〇二〇年九月に四国電力伊方発電所、あるいは二〇二一年四月に九州電力玄海発電所の乾式貯蔵施設が原子力規制委員会の安全審査に合格しておりますし、また、東京電力と日本原電が設立いたしましたリサイクル燃料貯蔵のむつ中間貯蔵施設につきましても、二〇二〇年十一月に原子力規制委員会の安全審査に合格しておりますので、現在、約四千六百トン相当の貯蔵容量拡大に向けて既に具体的な取組が進展しているということでございます。

 いずれにしましても、関係者の理解確保などに国としても前面に立って、乾式貯蔵あるいは中間貯蔵など使用済燃料の貯蔵能力の拡大に主体的に取り組んでいきたいと考えておりますし、国民の皆様の様々な不安にもしっかりとお応えしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 その中間貯蔵というのがまさに矛盾の、要するに受皿が今ないものだから取りあえず置いておく、それが矛盾を更に拡大させているわけであります。

 私も、一昨年だったと思いますが、寿都町に行って町長さんにもお会いして、そして住民の皆さんの声を伝えたわけですが、確かに、核のごみは絶対に誰かがどこかで処分をしなければならない、引き受けなければならない、だからこそ、これ以上増やすことはやめるべきだ、そうでなければ矛盾が拡大するだけだということを重ねて指摘をしたいと思うんですね。

 こうした中で、既に多くの議員が取り上げておりますが、GX方針で、原発再稼働や六十年超の延命、建て替えという名の新設を決めたことは承服できません。まして、原発事故を契機に原子炉等規制法を改正して、原則四十年と書いたものを削除し、電気事業法に移す、年数については利用の観点だからと分けたことは納得がいきません。

 そこで伺いますが、世界で廃炉になった原発の数と平均稼働年数、同じく国内ではどうか、お伺いします。どんな理由で廃炉を選択しているのか、伺います。簡単にお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 IAEAのデータベースでございますパワー・リアクター・インフォメーション・システム等の中での統計によりますと、二〇二一年十二月末時点におきまして、世界で廃止を決定済みの原子炉は百九十九基ございます。その平均の運転した年数について申し上げますと、約二十九年となってございます。

 また、日本国内で廃止を決定済みの原子炉は二十四基ございます。その平均運転年数は約三十七年となってございます。

 なお、お尋ねの、廃止の際の理由でございますけれども、なかなか一概に言うのは難しいところでございます。実は、IAEAの報告書によりますと、四十年を超えた運転の基数も現在で百十六基あるところでございまして、運転の実際の実働の年数自体も結構ばらばら、多様なところがございます。

 廃止の決定というのは、それぞれの発電所を取り巻く多様な事情を踏まえながら各社の経営判断で決められることになりますものですから、一概に理由をお答えするのは困難であると存じます。

高橋(千)分科員 実際には、六十年どころか、四十年たたずに廃炉しているのが圧倒的だと思います。もちろん、その理由は様々だというお話があったわけですが。

 GXの基本方針案に対するパブコメの中でこのような意見がありました。運転期間を延長するより、期限が来たら、新しい技術による建て替えや新設をする方が安全で、かつ新しい技術の取り入れが進むというもの。真っ当な意見だと思うんですね。経営的に見ても本来そうなんじゃないかと思うんです。だけれども、答弁が、電力の安定供給及び二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現云々ということで、ああ、なるほどなと思ったんです。

 平たく言えば、エネルギー基本計画に基づいて原発二〇%から二二%を達成するには、現在再稼働が十基、これを三倍にしないと達成できません。二〇三〇年までということなら、新設、ましてや革新炉などを整備するというのは全く間に合わないという単純な理由だと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、原子力比率、二〇三〇年度二〇から二二%、これにつきましては、原子力規制委員会の審査を経て、既存の原発の安全性を確認した上で再稼働していくこと、また、震災前の平均七割の稼働率を、八割程度まで設備利用率を向上させること、また、法令で認められております四十年を超える運転期間延長を行うことによって達成可能な水準と考えております。

 このため、再稼働に向けた関係者の総力を結集していくための具体的な取組、細かくは申し上げませんが、国がしっかりと支援していくこと、また、双方向のコミュニケーション、安全マネジメントの改革、審査対応に向けた産業界全体での連携強化など、GX実現に向けた基本方針を取りまとめたところでありまして、速やかに実行していきたいと思っております。

 なお、運転期間の在り方につきましては、二〇三〇年の原子力比率二〇から二二%の目標に向けてのみならず、更にその先を見据えて、将来の選択肢を狭めることなく、幅広い選択肢を追求していく中で、将来の安定供給に対するリスクへの対応力を高める観点から議論を行っております。

 いずれにしましても、安全性の確保が大前提でありますので、原子力規制委員会では、高経年化に伴う設備の安全性に関して、より厳格な安全規制を導入する方針を定めるものと聞いております。こうした厳格な規制をクリアしない限り、利用政策、事業者側が幾ら長く運転したいと思っても、それは認めることはありませんので、安全性第一ということで取り組んでいきたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 今、その先というお話がありました。やはり、原発依存を減らしていくというのが与党の方針でもあったはずですけれども、その先を今言っているわけなんですよ。

 つまり、経団連などは、昨年五月のグリーントランスフォーメーションに向けての提言の中で、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目がけて、やはり原発を更に増やしていく、運転期間六十年への円滑化は必要だ、延長もしなさい、そのためには規制を合理化しなさい、こういうふうに言っているわけですよね。規制がやはり時間がかかるから、その分節約しなさい、カウントしないというのもそうした中から出てきたんだと思うんですね。そうすると、幾ら安全を第一にと言っても、その言葉が単なる枕言葉になってしまうわけなんです。

 今日は本当は再エネの話もしたかったんですが、時間の関係で、もう言い切りにしたいと思うんですが、残念ながら、原子力委員会の基本的考え方も、やはり、今再稼働が十基にとどまっている、経団連と同じ書き方になっているのはすごく残念に思います。

 大臣自身が、震災があった二〇一一年の、直後の復興特別委員会で、今のままでは、やはり原発製造を担うのは日本のプラントメーカーですから、輸出ができなくなるじゃないか、再稼働は急がれるという質問をしておりましたね。そういう経済優先がやはり先に出ちゃうんですよ、安全優先といいながら。そのことが問われるんじゃないか、このように思います。

 残念ながら、もう少し質問したかったんですが、ここで時間になったので、引き続き、またお願いしたいと思います。ありがとうございました。

小林主査 これにて高橋千鶴子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、梅谷守君。

梅谷分科員 十増十減によって新たに新潟五区となりました、そこ選出の梅谷守です。どうぞよろしくお願いします。

 私の方から、まずちょっと、うちの地元の御紹介なんですけれども、新潟県は、特別豪雪地帯、これに指定をされていまして、その中でも特に私の地元は、頸城地方だったり、また魚沼地方、ここが県内でも最も多く雪が降るところでございます。

 そういう中で、雪ももちろん大変、雪は大変なんですけれども、ただ、これも御案内のとおり、きれいで豊富な水や雪、そして、そこから生まれるお米だったり、また雪中野菜、雪の中に置く野菜、甘みがすごく高まります。ほかにも、おいしいお酒、大臣も恐らくよく御存じだと思うんですけれども。ほかにも、スキーやスノーボード、今もすごくお客さんがいらっしゃっています。そして、国際雪合戦というのも魚沼でやっておったりとか、また、きれいな雪景色。そのほかにも、雪のおかげで春以降も水が豊富。本当にすごい、すばらしい地域なわけなんです。

 これが、更に言ってしまうと、地方というのは、こういう食料とか、また電力の供給も担っている部分もあるし、また、土砂崩れ防止とか、また鳥獣被害の防止、ほかにも、景観の維持、いわゆる豊富な多面的機能、これを有しているのが地方であり、また、うちの地元でもございます。

 もっと言うと、この日本というのは、これがやはり、太平洋側というか、都会だけでもっているのではなくて、こうした雪国を始めとする地方と都市部とがお互いに支え合って成り立っているということを確信をしているところです。

 だからこそ、ここについては、やはり経済性とか合理性とか効率性だけで測るのではなくて、雪国を始めとする地方のかけがえのない価値にもっと政治の光を当てていくことが極めて重要だ、私はこう考えております。そして、雪国で暮らす方々、また懸命に働く中小零細企業の方々に対しても、しっかりと存分に力を発揮していただくことのできる環境づくり、これをやはりやっていかなければならない。こんな問題意識で、是非、今日は質問に臨ませていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、そこで、いきなりなんですが、経産大臣に聞くのもあれなんですけれども、雪国に対する大臣の認識をお尋ねしたい。そして、あわせて、巡り巡るなどして、今ほど申し上げた豊富な多面的機能、これを有することについて、こうした雪国の重要性についてどのようにお考えなのか、お尋ねします。

西村(康)国務大臣 私は、比較的温暖な兵庫県の明石、淡路島が選挙区で、育ちましたので、なかなか理解しにくいところはありますけれども、もちろん、スキーなどで訪問したこともありますし、知り合いが新潟にもおりますので、いろいろなお話を聞きますけれども、冬は特に、止めてある車に雪が積もり、雪かきをしないと車も出せない、またテレビでも、大雪が降るたびに雪かきをしておられる姿を拝見をし、非常に厳しい冬を迎えておられるなということを感じております。

 防災担当の副大臣の折に、長野から山梨、大雪がありまして、現地にも私行きましたし、そのときに、新潟県始め周辺の県からも支援をいただいて、余り、そんなに降らない地域で降ったものですから、除雪機などが足らないというようなことで、供与をいただいたりしたこともございます。

 非常に厳しい冬、豪雪地帯は大変だなということも改めて感じましたし、慣れていない地域も、この気候変動の中で、そういうことがあると、厳しい状況になるわけでありますので、そうしたときに、国がしっかりと支援をしていかなきゃいけない、自治体と一緒に、連携しながら対応しなきゃいけないということを改めて感じたところであります。

 他方、御指摘ありましたように、雪解け水が非常に豊富で、すばらしい美しい水があるということで、お米あるいはお酒、こうした農産物が取れるわけであります。そうした、恵みの雨というのはよく言われますけれども、なかなか、恵みの雪というのは、そういう表現はないと思いますけれども、しかし、それを生かして、春から秋にかけては本当に五穀豊穣な、そういう土地で、地域で、様々な農産物をまた大都会に提供していただいていること、またお酒も含めて、提供していただいていることを改めて感謝を申し上げたいと思います。

 いずれにしても、日本のこの国土、都市部と、そして自然豊かな地方部、全体で日本、これを、安全で安心できる、そして経済的にも豊かであり続けるように、私の立場でしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

梅谷分科員 大臣、ありがとうございます。

 私の問題意識に応じてくださったと受け止めさせていただきましたし、また、雪国の大変さに対しては、しっかりと対応していきたい、していかなければならない、支援していかなければならないというお言葉もいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、これもちょっと質問がずれるのであれなんですが、雪かきって、ちょっと通告していないんですが、大臣、されたことはありますか。

西村(康)国務大臣 実は、知り合いのところに行ったときに車が出せなくなって、車の雪かきが非常に大変だった記憶があります。駐車場に並んでいますので、取った雪をどこに出すのかという置き場所がないんですね。たまたま一台空いていた駐車場があるので、もうしようがないからそこに、隣の車もそうですけれども、みんなそこに、もう山のように雪が積まれていたことを覚えております。

 申し訳ないんですけれども、家の上の屋根の雪かきはやったことはないんですけれども、車の積もった雪はかいたことがございます。

梅谷分科員 済みません、通告なしだったのですが、お答えいただいてありがとうございます。

 雪の大変さは実感していただいたと思うんですが、やはり雪国に住まうと、それがもう単発じゃなく、毎日毎日毎日。そして、一日一回どころか、雪がたくさん降れば、それは二度三度、やらなきゃいけない状況にもなってきます。これがやはり高齢者だけでなく、高齢者も大変なんですが、また、仕事をしている方にとっては、仕事の最中はできないですから、朝早く起きて仕事に行く前に雪かきして、そして戻ってきてからまた雪かきをするなど、いろいろな御苦労もあったりします。

 また、流雪溝というのがあるんですが、水が流れている時間帯が決まっていて、その時間帯にだけそこに雪を流すことができるんですね。これが、地域によっては半日だったり、また一時間ごとに地域を回して除雪をしているところもあります。これがまた仕事をしている方にとっては大変な、できる人とできない人が生まれたりして、大変な問題になっています。手間と負担が重くて、もう御高齢の方なんて、特にまたこれは大変なんですね。

 そして、十日町市というところがありまして、ここは雪掘りと言うんですね、雪かきでなくて。もう、かくどころではない、掘っていくんだというぐらいすごい雪の量なんですけれども、これではもう朝夕だけではもちろん間に合わないですから、家の前を開けると言うんですね、この道を。自分が道に出るまでの家の前を開けていくと。

 これをやっていかなきゃいけないんですけれども、これがやはり集落によっては、共同体の感覚というんですか、自分のところだけは自分できちっとやらなきゃいけない。やらなければ、それができないとちょっと恥ずかしいというか、切ないという、負担になっているところもありまして、その家の前を開けられない家の前の歩道だけが子供がちょっと通るのが不十分になるとか、こういったように、地域によっては大変な雪かきの状況があります。

 ここからはちょっと本題に入っていきますが、家の前を融雪しているところがやはり増えているんですね。高齢者が増えたことによって除雪ができない、だから家の前を融雪をする。これがエネルギーを使って、これが生活に即、響いてきているんです。ほかにも屋根雪。先ほど大臣はやられたことがないというふうにおっしゃいましたが、この屋根雪を解かす融雪も、業者さんも結構勧めてくるんですが、灯油の値段が上がっているため、これも非常に大変なんですね。

 そこで、ちょっと本題に入りますが、今、全国的に電気料金が高騰しています。私の地元は主に東北電力なんですけれども、先日十六日に、東北電力の政府申請に対して、利用者の方々から意見を聞く公聴会が仙台市で行われたことは御存じだと思います。

 これもちょっと通告していないので、もし御存じなかったらいいんですけれども、もしこの公聴会について何か報告を受けていらっしゃって、何か感想などをお持ちだったら、お答えいただいてもよろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 東北でどのような個別の意見があったかは今手元にないんですけれども、全体として、各地で行っていることを報告を受けておりまして、特に電気料金が上がって大変だという声が非常に多い。特に、各世帯で、家計で厳しい思い、あるいは中小企業の皆さんが大変厳しい思いをしておられる、このままでは経営状況が本当に悪くなる、逼迫して厳しくなるというような御意見もいただいております。

 あわせて、原子力発電所を再稼働すべきであるという声、あるいはそれに反対する声など様々な御意見をいただいておりますので、そうしたことも受け止めながら、値上げの申請については厳正に審査をしていきたいというふうに考えております。

梅谷分科員 これは、利用者の方から、生活困窮に拍車をかけている、命に関わる問題だといった声だったり、値上げ幅は必要最低限としてほしいといった声が上がっているという報道もあります。

 このように、電気代高騰は家計や事業者にずしりと影響を与えておりますけれども、豪雪地帯は、他の地域に比べて、これまた負担が非常に重いということを大臣に、是非胸に刻んでいただきたいんです。

 「世界」という冊子がありまして、今年の一月号の中で、一橋大学の経済研究所教授の阿部修人氏と四国大学経営情報学部准教授稲倉典子氏がこんなことを言っているんですよね。本当に要約させていただきます、時間の関係で。

 まずは、冬に十分な暖房を確保することは、北国の生活においては非常に重要である。そして、中略しながら、電力消費を減らすことのできない低所得者家計にとり、今日のエネルギー価格の上昇は高所得家計よりも更に厳しいものになっている。

 すなわち、地域、特に雪国にとっては、寒冷地にとっては、本当にエネルギーの使用量がやはり増大になるわけだから、負担が大きいこと、そして、その中でも、高所得者よりも低所得者の方々の方が、その負担感、負担が更に厳しいものになっているということを、データに基づいて指摘をされているんですね。

 これは、オール電化とかが最近進んでいますし、また自由料金など特殊なケースもあるかもしれないんですけれども、オール電化や電力自由化には、国が推奨してきた側面があるじゃないですか。だから、寒冷地ではその変動が更に極端なものになって、今跳ね返ってきている、これをレアケース、自己責任と片づけるのは、私は酷ではないかなと思っております。

 そこで、政府は今月請求分から激変緩和措置、これを講じられます。政府としては、寒冷地で使用量が増えても比例して支払いも増えることから公平と捉えているようですけれども、事前の事務方からの御説明によれば。これは、電気料金の総額の大きくなる雪国では、この状況を私は公平とは受け止められません。加えて、規制料金は使用量が増えればキロワット当たりの価格が上がるため、その観点からも、雪国ではより負担ないしは負担感がずしりと重いことも留意すべきだ、私はこう確信をしています。

 そこで、お尋ねします。

 豪雪地帯など地域の特性に応じた追加的な支援、ここは事前の通告では言っていないんですが、例えば一定額の現金給付を冬場のみ提供すること、これは先ほど申し上げた「世界」に投稿した方々が提起している意見ですけれども、一定額の現金給付を冬場のみ提供することも、選択肢の一つとして、これも含めて検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、豪雪地帯を含め、寒冷地の冬場の電気の使用量は、暖房、給湯器の熱源などにもよりますけれども、多くなる傾向にあるというふうに認識をしております。

 今回の激変緩和策も、よく御存じだと思いますので多くは申し上げませんが、全国の御家庭における平均的な負担増が約二割ということで、値上げの申請を行うところ、行わないところ、ありますけれども、公平性と迅速性の観点から、全国一律で二割程度の水準、同程度の値引き幅としているところであります。一方で、一キロワットアワー七円の値引きとしておりますので、御指摘があったように、使用量に応じて支援は受けられるということになっております。

 あわせて、昨年九月の物価対策で、六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰対策の地方交付金を措置しておりまして、自治体の判断で、より地域の実情に応じたきめ細かい対応ができることとしております。

 新潟県では約百四十億円の交付限度額となっておりまして、県に八十億円、それから市町村で約六十億円の交付がなされると思います。その中で電気料金支援の取組を幾つかの市では対応されているようでありますので、こうしたものも活用していただきながら負担軽減につなげていければと思いますが、まず、私どもとしては、今月の請求から、一月分の使用料で二月の請求から反映される、この電気料金の値引き支援を確実に届けていくということで予算執行に取り組みたいと思いますし、先ほどの地方交付金の使用の状況なども含めて、今後も、経済状況そして燃料の価格動向をよく見ながら、関係省庁と連携して臨機応変に対応していきたいというふうに考えております。

梅谷分科員 政府が今、現下の厳しい状況を対応せんと一生懸命汗をかかれているということは、私なりに理解をさせていただいております。ただ、私が申し上げているのは、今までるる申し上げた雪国の特性、これを踏まえて、一過性で柔軟に対応するとか、それも大事ですけれども、でも、それ以上に、もっと仕組みとして雪国の特性を踏まえた支援策、これがやはり必要なのではないかということを申し上げています。

 それでは、灯油代についてもちょっとお尋ねしたいんですけれども、除雪についても、やはり、先ほど大臣、車の雪かきはされたということで、それでも結構大変だったと思うんですよね。これは肉体的にかかる負担というのは言うまでもなく、機械による除雪、ピーターとかいろいろな機械を使って除雪をすることも多いんですけれども、こういったところにも燃油代、灯油代がかかってきますし、また、先ほど申し上げた屋根雪を解かすとか、そういうものも燃油、灯油代が必要になってきます。

 そういう意味で、ちょっとお尋ねしますけれども、内閣府になるんですかね、今日は政務官からお越しいただきありがとうございます。

 燃油代、灯油代に対し、政府は、昨年九月二十日閣議決定の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金で実施をしていただいていますが、この実績と効果に対する受け止めについてお尋ねします。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、コロナ禍において物価上昇の影響を受けた生活者や事業者の方々を支援するため、予算額六千億円の電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を昨年九月に創設したところでございまして、十二月末でございますが、交付金の交付限度額の約八一%に当たります約四千八百七十四億円を交付決定したところでございます。

 各自治体におきましては、今交付金を活用いたしまして、電気料金も含めました物価対策費用といたしまして地域の実情に応じた様々な支援を行っておりまして、例えば寒冷地におきましては、生活者の支援といたしまして子育て世帯に対する支援金の支給や、低所得者対策といたしまして低所得世帯に対します暖房費用の助成、また、事業者への支援といたしましては、医療機関、社会福祉施設等の光熱費の支援、そして、製造業事業者に対する電気料金高騰分の補助なども事業が実施されていると承知をしております。

 今後も、委員御指摘のような寒冷地も含めまして、各自治体におきまして本措置の活用によりまして、地域の実情に応じたきめ細かな支援がされるよう、しっかりと後押ししてまいりたいと思います。

梅谷分科員 政務官、ありがとうございました。

 八一%交付決定ということで、順調になっているのかなと思います。こちらも実は、これも御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症対応の一つであって、何度も申し上げますが、先ほどのお話もそうですけれども、一過性、そして一時的なこともやっていただくのは大変ありがたいんですが、それ以上に、恒久的な仕組みとしてやはり雪国対策、雪国の実情に配慮した支援策を私は是非行うべきだ、それがやはり、そこに住まう方々の安心、安全につながり、格差の是正にもつながり、それをもって多面的機能、これの維持拡充につながると思っておりますので、是非御検討していただきたいと思います。

 時間もなくなってきたので、次の質問に移らせていただきます。

 コロナの債務減免についてお尋ねをさせていただきます。これはもう端的に、時間もないので、伺わせていただきます。

 令和二年から始まった無利子無担保のコロナ融資、元金返済、これが本当に、選択制だったために、各会社によっては、三年、四年、五年後に返済を選択できた。これからこの返済が本格化するわけでして、私の地元の現場からは非常に不安の声をいただいております。もうもうもう、これ以上持ちこたえられないよと、持ちこたえられない倒産が相次ぐのではと、私、個人的には懸念をしているところです。

 そこで、お尋ねします。

 過剰債務に苦慮する中小企業に対しては、単に債務の先延ばしをするだけでなく、必要に応じて債務減免をする必要があると考えます。中小企業活性化協議会では、昨年十月の段階で既に一六%の債務減免を実施をしていると聞いておりますが、この協議会の体制強化や対応のスピードアップが必要ではないでしょうか。お願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、増大する債務に苦しむ中小企業はたくさんおられるわけでありまして、もちろん、コロナ借換えの保証の運用をもう既に開始しております。一か月間で約四千五百件もの申込みを承諾済みでありますけれども、それでもなお増大する債務に苦しむ中小企業には、債務の圧縮、減免等を含む事業者の再生支援が重要であります。

 御指摘のように、これまで中小企業活性化協議会で再生計画の策定を支援し、これまで支援した再生計画のうち一六%は債務圧縮や減免を実現しております。

 こうした個別の事案に応じた債務圧縮、減免も含む再生支援が円滑に進むよう、一層取組を強化していく。このために、飲食業、宿泊業、特にコロナで厳しい状況になったこうした業種の支援専門窓口の設置、それから、協議会と信用保証協会との連携強化に加えまして、業種別の再生支援事例集の作成等を進めてきております。

 また、補正予算で四十八億円措置をしまして、協議会の体制を四百八十名から五百三名に拡充をしておりますし、再生に当たって不可欠な売上げ拡大のノウハウを有するよろず支援拠点と、それから、債務整理のノウハウを有する協議会の役割を明確化し、両者の連携を強化するようにすることで、再生支援が一層円滑に進むよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

梅谷分科員 いろいろな対策を講じていただいているということは理解をさせていただきました。

 私が特に申し上げたいのは、債務の減免、これがやはり一定必要なのではないかというふうに思っています。

 その意味で、今、借換えなど、これは総務省なり財務省の所管になるんですかね、済みません、借換えはやっていただいておりますけれども、これは単なる先延ばしにはならないんですかね。どういう認識になりますか、大臣。済みません、ちょっと通告していない聞き方かもしれませんが。

西村(康)国務大臣 まさに、負担軽減と収益力改善支援、一定の期間で収益力を改善して返していくという、その間の、いわば時間を買うような、時間をもらって、その間に収益力を改善していくというのが基本の取組だというふうに思っております。ただ、御指摘のように、それでも債務が大き過ぎて、とてもそれでは無理だという方々には、再生支援という仕組みがあります。

 私どももよく議論するんですけれども、一律減免ということも議論するんですけれども、まさにモラルハザードが発生するというおそれがあるとか、あるいは、既にもう返済を開始している者もありますので、必死な思いでしのいでいる人、開始した人とおられますので、そうした公平性の観点からも慎重に判断する必要があるということで考えておりますが、いずれにしましても、再生支援協議会をしっかり活用しながら、また、よろず支援拠点、売上げを増やしていく、単に債務をどうするかだけじゃなくて、収益力を改善していくための取組と併せて支援をしていきたいというふうに考えております。

梅谷分科員 ありがとうございます。

 議論をしていただいているということだけれども、公平性の観点などから慎重に御判断されているというお話でした。

 私としては、仮に問題の先送りにつながっているのであれば、これは早め早めの対応が望ましいのではないかなという問題意識。そして、特にこれから五類に、コロナが新しいフェーズに入っていくじゃないですか。そして、そこから経済的に、今まで縮んでいたものをどう伸ばしていくか、そういうタイミングでもあるわけでして、そういう大きな流れの中で見ても、一つ大きな判断が、コロナ債務減免という点に関して判断が必要なのではないかな、私はこう考えております。

 是非大臣からは、今はまだまだ、私の地方、地元を始めとする地方は、どこもそうですけれども、出血が本当に大変だと思っております。この出血を少しでも早く止めて、そして、五類になってから、回復にもっと向けていくためにも、やはりコロナの債務減免ということについて、経済産業省の中でも、御省の中でも、是非、より御議論をして検討していただくことを強くお願いさせていただきたいと思います。

 残り時間も僅かになってきたので、最後の質問に移らせていただきます。

 メタンハイドレートのことについてお尋ねをさせていただきます。

 まずお尋ねをしたいのが、聞きたいのは集約すると一問なんですが、昨年、三月の十六日、経済産業委員会の一般質問で、私、質問をさせていただきました。その当時は萩生田前経済産業大臣でした。そのときの私の質問に対して政府参考人の方から、エネルギー基本計画において設定した、二〇二三年度から二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトを開始することという目標について、これを引き続き堅持しまして今後の取組を加速化してまいりたい。この目標を堅持して加速化をしてまいりたい、政府参考人の方がこうおっしゃっているんですね。昨年の三月十六日。

 他方で、昨年の十二月の六日、参議院の質疑において、西村大臣はこのようにおっしゃっているんですよ。ここでも同様の質問でした。正確に読みますね。二〇二七年までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指しという今の目標の在り方も含めて、ちょっと飛びますよ、最終的な取扱いについては検討してまいりたいというふうに考えてございますという表現になったんですよ。

 昨年の三月の時点で、萩生田前大臣のときには、目標を堅持をし、そして加速化をしていきたいと言っていたのが、西村大臣になられてから、昨年、二か月ちょっと前のときには、この目標の在り方も含めて最終的な取扱いを検討していきたいと。これは後退とも取れる発言に私は受け止めているんです。

 技術的な限界はあるにせよ、ここで改めて政治の意思でしっかりとねじを巻く必要があるのではないか。特に西村大臣は、もう同じ思いで、メタンハイドレート開発に対しては強く期待をされて、そして推進する立場であると、過去の答弁によっても伺っておりますので、ここは改めて政治の意思でしっかりとねじを巻いていただきたいと思うんですけれども、目標時期の堅持などについて大臣の見解をお伺いします。

西村(康)国務大臣 委員御紹介ありましたとおり、私も、まだ若い頃から、このメタンハイドレート、日本が資源大国になっていく可能性を秘めた、そうしたエネルギー源ということで、研究開発について強く認識をし、また取り組んできた一人であります。

 その中で、メタンハイドレートの研究開発の進捗なんですけれども、まさに新型コロナの流行があって、生産技術開発の陸上試験とか、あるいは海底の状況、環境影響を把握するための海洋調査において遅延が生じております。冬の間しかできないような大型氷を用いたシミュレーションのような試験とか、これも外国人の技術者の入国が必要だったのが、なかなかそれがかなわなかったというようなことも含めてでありますが、遅延が生じてきております。このため、陸上試験の実施時期の見直しなどによって、今申し上げたようなことによって、遅延短縮化を図る努力はしてきたものの、遅延解消にはまだ至っていないというのが現実であります。

 このため、御指摘の目標についてでありますが、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトを開始するとの目標達成につきましては、現在の研究開発の進捗状況を踏まえると厳しい状況にあるというのが現実であります。

 他方、これはもう先ほど申し上げたとおりですが、日本周辺海域には相当量の埋蔵が期待されるわけでありますので、このメタンハイドレート、まさに国際状況に左右されない安定供給可能な国産エネルギー資源として、私も強く期待をしております。

 こうした観点から、目標の達成に向けた今後の取組については、今申し上げた現状も踏まえつつ、様々な見地から総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。

梅谷分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので終わりにしますが、エネルギー資源安全保障、この観点からも強い要請があるということをお伝え申し上げ、大臣の決意をまた御期待を申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて梅谷守君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田有一朗君。

和田(有)分科員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 まず一つ目は、再生可能エネルギーによる、引き起こされる乱開発についてお伺いしたいと思うんです。

 東日本大震災を契機に、クリーンなエネルギーを推進しようと期待もあって、二〇一二年に再生可能エネルギー特措法が制定されました。そして、電気代に上乗せして国民から徴収される再エネ賦課金によって、太陽光や風力などの発電を高く買い取る固定価格買取り制度が導入されて、大きな利益を生むビジネスになったわけです。

 それがインセンティブで、進めようということではあったんですけれども、結果、内外の投資家、中国の投資家も当然含めて参入してきて、開発規制が緩くて、安価で大規模な面積を取得できる山林を中心に、大規模な森林伐採を伴う乱開発というか、そういったものが引き起こされるようになったと私は思います。

 太陽光パネルの設置場所は山林が含まれますし、メガソーラーの設置には切土、盛土も必要になるときがある。そういった中で、地域の方にとっては、湧き水が切れるのではないかとか、あるいは山が崩れるのではないかというような、危機感を持っておられるところもたくさんあるやに私は思います。

 また、台風の影響を強く受ける地域もあります。台風によって、パネルが飛散してしまう事故が発生するのではないかと心配する方々もたくさんおられると思います。

 中には、特定有人国境離島地域での再エネ活用ということもあって、これは国土保全の観点だけではなくて、防衛上の観点からも、やはり外資が入ってくるということに対していかがかなというふうに私は思ったりいたします。特に南西方面では、中国の資本が入るということが、やはり私は大変問題があるのではないかというふうに実は思ったりもいたします。

 こういった状況がある中で、今の再生可能エネルギーに対する状況ということについて、乱開発が起こっているというようなことについてどのようにお考えになっておられるか、まずお聞きをいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘の、再生可能エネルギーの導入を進めるに当たっての地域での様々な課題、それから国境管理を含めた安全保障上の課題、これにつきましては問題意識を議員と共有をしております。

 まず、地域との共生についてでありますが、まさに安全面、防災面、景観、環境への影響など、顕在化してきております地域の懸念に適切に対応することが必要であるというふうに認識をしております。

 その上で、まさに地域と共生した再エネを進めることが大前提であります。この点は、離島においても例外ではありません。こうした様々な地域との共生における課題に応えていくべく、現在、事業規律の強化に必要な関係法案の提出に向けて準備を進めているところであります。

 具体的には、事業規律の強化に向けて、例えば事業譲渡に伴う変更申請も含めて、FIT、FIPの認定の際に、住民説明会の開催など、地域の方々への事業内容の事前周知を認定要件化することを検討しておりますし、また、関係法令に違反する事業者に対して、速やかにFIT、FIPによる支援を一時停止することなども検討しております。

 さらに、これはメガソーラーに限らずですけれども、外国投資家による発電事業への投資等に当たっては、外為法による事前届出が義務づけられておりますので、当省として、この法律に基づいて、国の安全等の観点から厳格な審査を実施してきておりますし、引き続きしっかりと厳正に審査していきたいというふうに思います。

 一方で、個別の発電所の国境管理という観点での開発の適切性については、個別の地点により事情も異なります。我が省のみで判断できるものではありませんけれども、関係省庁とも連携しながら、適切な対応が取られるよう必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。

和田(有)分科員 共有してくださるということで、関係法令の厳格化なり、いろいろな方向を目指していきたいという答弁でしたから、そこで一度、もう一つ、具体例で私ちょっとお伺いしてみたいと思うんです。

 特定有人国境離島地域に該当する離島で、これは長崎ですかね、宇久島という島があります。この宇久島は人口千七百人の小さな島であるんですけれども、ここで、島の四分の一にも当たる七百二十ヘクタールが太陽光パネルで埋め尽くされるという、日本最大のメガソーラー開発事業が計画されている。この七百二十ヘクタールの開発に関して、実は環境影響評価がなされていないという事実があると伺っておるんです。

 これは、いろいろな、先ほどもちらっと出た話にはなるんでしょうけれども、太陽光発電に関わる中で、環境影響評価法施行令の改正によって、この経過措置として、電気事業法第四十八条に基づく工事計画の届出がなされている場合は手続は必要ないとか、いろいろと例外規定があったりして、そういう中を、言葉は悪いですけれども、上手にかいくぐって、アセス逃れをしているような部分があるのではないかという指摘がございます。

 これは、長崎県の県条例でも、実は環境影響評価もなされていない。これも、いろいろな規定はあるんですけれども、それを上手にかいくぐるようなやり方でしているんじゃないか、要はアセス逃れをやっているんじゃないかというふうな指摘がなされております。

 こういった点について、宇久島の一つの事例として、長崎の宇久島のメガソーラーの環境影響評価が、言葉はいいかどうかは抜きにして、アセス逃れをしたような形で進んでいっているのではないかということについて、監督官庁としてはどのように見ておられるのか、お伺いをいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ特措法におきましては、発電事業者に対して、条例を含む関係法令の遵守を求めておりまして、違反した場合には、認定取消しも含め、厳正に対処していくということが基本方針でございます。

 御指摘のウガシマのメガソーラー事案につきましても、我々もしっかりフォローいたしております。環境影響評価法につきましては、令和二年四月一日から、出力四万キロワット以上の太陽光発電所の設置に当たりまして、環境アセスの実施が義務づけられることになりました。当該事業につきましては、それより前に電気事業法に基づく発電所全体の工事計画届出がなされたことから、御指摘のとおり、環境アセスの対象とはなっておりません。

 一方で、再エネの最大限導入を進めるためには、地域との共生を図りながら事業を進めていくことが不可欠だと考えてございます。

 議員御指摘のウガジマにおきましては、御案内のとおり、別途、地元自治体との協定書が締結されていないといったような問題もございます。これにつきましては、我々も関係自治体に照会しながら対応を進めてきておりますが、現時点においては、関係法令違反が発生している状況にはないという理解ではございます。

 ただ、発電事業者が地域住民あるいは漁協の方々と適切なコミュニケーションを図ることは極めて重要でございまして、経済産業省といたしましても、事業者や関係自治体に継続的に状況を確認しながら、必要な指導をしっかり行っていきたいというふうに考えてございます。

和田(有)分科員 違反が見られないので、あるいは、この計画書が出た後に法改正があってという話があるんですけれども、協定書がもちろんできていないということもありますし、やはりしっかりと見ていただいて、違反行為があれば認定を取り消すということもしっかりとやっていただきたいと思うんです。

 やはり取締りや指導というのをきっちり厳格にやっていく。何度も言いますが、もしそこに違法行為が見受けられたら、きちっと取り消す、認定を取り消すということをやっていただきたいと思うんです。

 協定書ができていないというのは、やはりこれは大きな問題だと思うんですよ。それをやはりきちっとしていくように監督官庁としては働きかけていく、その中で何か違法行為が見られたら認定は取り消すということをしっかりやっていただきたいので、もう一回、その点、お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、再エネ特措法におきましては、条例も含めまして、関係法令を遵守しながら事業を行うことが要件となってございます。

 これは西村大臣から御答弁ございましたが、議連での御指摘も踏まえまして、改正法案提出に向けた準備を行っておりまして、そこではより一層手続が厳格化されてまいりますが、本件につきましても、協定の締結であるとか、様々な状況を引き続きしっかり把握しながら、条例違反も含めて、関係法令の違反があった場合には、必要に応じて、FIT認定の取消しも辞さずに厳格に対応していきたい、かように考えてございます。

和田(有)分科員 最後にもう一点、大臣にお聞きしたいんですけれども、再エネの投資に関して、外資はやはりもっと私は規制をしていくべきだと思うんです。それは、私の考えで言えば、中国なんかが日本にああいう形で国土を買いあさるというようなことがあってはならないと私は思うんですけれども、そういった点で、外資の規制というのはどうお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、発電事業については外為法でしっかり審査をすることになっておりますので、これまでも厳格に運用してきておりますし、今後も厳格に運用していきたいというふうに考えております。

和田(有)分科員 是非とも、厳格以上にやっていただきたいと思います。

 時間がありませんので、次に参ります。

 次は、じゃ、再エネが駄目だったら、どうやって日本はエネルギーを調達するんだ、エネルギーの安全保障はどうするんだということになってくるわけで、そこで、原子力産業についてお伺いをしたいと思います。

 あの東北の地震以降、原子力に対して非常に風当たりが強くなって、はっきり言って、人材も集まらない、産業も投資ができないということで、日本の原子力産業というのはほとんどもう、極めて厳しい状況にあって、空洞化しているとまで言われるようになってまいりました。

 そういう中で、今、この間、まさにこの委員会室で、我が党が言ってなくなっちゃった科学技術・イノベーション委員会で私は同じことも若干聞いたんですけれども、例えば人材育成にしたって、ある大学においては原子力関係の学科がもう募集を停止してしまうということまで起こっているわけですね。

 そういう中で、エネルギーの安全保障を考えても、これからの世界の動向というものを見ても、原子力というものはやはりきちっと私たちは使っていかなきゃいけないと思うんです。いろいろな考え方があって、規制をかけたり、いろいろな制限はあるでしょうけれども、しっかりと研究をして、産業として育成していく必要があると思います。

 時間がないので、もうこの項を私、再質問せずに、一緒に聞きたいことを一つ言うんですけれども、例えば原発、原子力発電の関係で、国が推進するのか低減するのかということをはっきりと言わないと、真意が測りかねてくる、業界としては、産業界としては。国の姿勢が不明確な現状では、原子力産業の空洞化は止められない、投資をしていくことがなかなか踏み出せない、そういうふうにおっしゃる方がいる、こういうふうに報道なされているんですね。

 やはり求められているのは、明確な姿勢が必要だと。原子力産業をやはり育成して、そして、これから一つの産業として育てていくんだ、人材も育てていくんだ、こういう姿勢をしっかりと出すべきだ、こういう声があるんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、これまで日本は、原子力に関して、高いレベルの技術、人材、産業基盤を維持してきたわけでありますけれども、震災以降、まさに、原子力発電所の建設がなかなか厳しい、建設がなく、また再稼働も厳しい中で、なかなか、人材確保、維持強化が難しい状況が続いてきておりました。

 私もこの間ずっとそのお話を聞いておりましたけれども、直近、政府として次世代の革新炉について開発、建設を進めるという方針をお示ししましたので、そうしたことを受けて、若干また人が戻りつつある、学生も含めて、という話を関係の方からも聞いたことがございます。

 いずれにしても、現場の技術、人材の維持強化が、我が国にとっては本当に物づくりの基盤でもありますし、エネルギーの基盤ということで、喫緊の課題であると認識をしております。

 地方局が様々な取組を、地方経済産業局が行っておりまして、全国四百社の原子力関連の企業ニーズに応じた支援メニューの紹介であったり、あるいは大学と高専と現場の物づくりの連携をしたり、あるいは海外の建設プロジェクトへの参画に向けた情報提供など、サプライチェーン全体で支援をしていくという取組をしておりますし、そうしたことをしっかりと広報することで、また人材も含めて確保していければというふうに考えております。

 再稼働していく方針と次世代革新炉の開発、建設、このことが少し人材確保でも光が当たってきたのかなという認識を持っております。

和田(有)分科員 ちょっと時間がなくなってくるので余り深く聞けませんけれども、真意としては、しっかりと推進していくんだということで承りました。

 この間、私、外務委員会におって、理事をしておるので、ドイツ連邦議会の外交委員会の皆さんが来られてお話をする機会があって、それは個人的な意見として議論を、議論というかお話をしたんですけれども、ドイツは原子力はどうなんですかとお聞きしたら、今回若干延ばしましたよね、原発の稼働を。このまま延ばして延ばして、もう一回いくのですかねということをお聞きしたら、いや、それはない、それはドイツはしないと。ただ、ただとついたんです、何を言ったかというと、融合炉に向けて次はいくだろうと。いずれは、今の原発はなくなっても融合炉でやっていくことになると思うと、その議員は言っておられました。

 やはり、新しいタイプの新型炉を開発していくというのは喫緊の課題ですし、なおかつ、私、前の科学技術・イノベーション委員会でも言ったんですが、融合炉とかいう以上に、超小型炉というのが非常に可能性がある。これはもう既に日本のメーカーも取り組んでいるし、超小型炉を、これは私の意見ですけれども、日本のすばらしい技術を持った潜水艦のモーターに入れ替えれば、世界最高の原子力潜水艦にそのまま変えることができる。

 こういうことも踏まえて、やはり国防上の観点からも、新しい技術の開発を進めていくべきだと思う。また、そのことによって原子力産業を育成すべきだと思いますが、いかがでありましょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ございますように、原子力技術というのは、日本のエネルギー、そして、それにとどまらず、未来の日本の社会、世界の社会をつくっていく上で非常に大きな可能性を秘めた技術だと私も思ってございます。

 そう考える中で、原子力の研究開発は非常に重要でございますので、先ほど大臣、答弁ございましたけれども、次世代革新炉についての開発ということに、建設ということに取り組んでいくわけでございますが、研究開発という点でいいますと、様々な面、すなわち、安定的、安価なエネルギー供給に加えまして、放射性廃棄物の有害度の低減、減容化ということですとか、再エネとの共存、水素の製造、様々な目的の活用ということも想定されるわけでございまして、選択肢を狭めることなく支援を行っていきたいと考えてございます。

 御指摘いただきました超小型炉、いわゆる出力が小さくて可搬性のあるようなものというのは、その用途に広がりが出てまいるところでございます。災害時の非常用電源や船舶搭載用、又は遠隔地、離島を含めてというところでの活用もあるわけでございまして、経産省としましてもその開発支援を行っていきたいと考えております。

 いずれにしましても、経済性、ニーズ等の見極めも重要でございます。研究開発の支援を始めとしまして、サプライチェーンの維持強化といった視点が大変重要でございますので、超小型炉を含めまして、新技術の確立に向けて取組を進めていきたいと考えてございます。

和田(有)分科員 しっかりとやってください。日本の未来が懸かっていると思います。

 次に移ります。

 さて、では、新しい産業の育成の最後の項、航空宇宙です。

 せんだって、実はイプシロンがうまくいかなかった。その次に、MRJ、スペースジェットが撤退だ、こういう報道がなされる。非常にうつむき加減になってしまうんですね。

 まず、スペースジェットですけれども、非常に残念です。もう悔しい限りですよ。ここまで来て、あの飛ぶ姿を見て、どれだけ日本人みんなが胸を躍らせたかと思うんです、私。でも、撤退ということになりました。

 やはり、何でも新しいものを作るときは失敗はあるんです。絶対失敗するんです。余り失敗という言葉を使わない方がいいですね、これ。でも、それを乗り越えて、一つ一つ点検をして、ハードルを越えてやっていくべきものだと思います。

 じゃ、なぜスペースジェットはできなかったのか。何をしていたらできたんですか。これをまずお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 今回、三菱スペースジェット開発中止に至ったこと、そして国産旅客機の商業運航という当初の目的を達成できなかったこと、これは私自身も外務政務官のとき、かなりあちこち売り込みに、セールスに関わったこともありますし、御指摘のとおり、極めて残念であり、重く受け止めております。

 開発中止に至った背景には、安全性に関する規制当局の認証プロセスにおける経験、ノウハウの不足、それからエンジン等の主要な装備品を海外サプライヤーに依存することでの交渉力の低下、それからリージョナルジェット市場の動向に関する見通しの不足など、様々な要因があったと認識をしております。

 一方で、御指摘のように、三千九百時間超の飛行試験を実施するなど、機体開発においては一定の水準まで到達をしております。人材育成も含めて、我が国の航空機開発の技術、能力の向上に寄与したものというふうに考えております。特に、中部地域を中心に、非常に集積も、航空機産業のサプライチェーンもできてきているものというふうに認識をしておりますので、これまでの取組をしっかりと振り返って、目標を実現できなかったこと、その要因をしっかり分析しながら、また、得られた成果を十分に検証した上で、この経験を今後の航空機産業の発展につなげていくことが重要だというふうに認識しております。

和田(有)分科員 時代が変わってしまって、メイド・イン・ジャパンを目指したのがよくなかったんだ、メイド・ウィズ・ジャパンだ、こう言う方もいらっしゃるようです。

 ただ、飛行機は、自動車が三万点ぐらいの部品があるそうですけれども、百万点ぐらいの部品を集める。ですから、非常に裾野が多い。今回のMRJでも、中小企業の団体では四十以上の団体が関わったと言われています。この方々も今困っていらっしゃる。

 もう一回、やはり日の丸ジェットを、商業機を上げるように経産省は応援していただきたいと思います。時間がないけれども、どうですか、一言だけでも。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、現下の航空機産業、まさにカーボンニュートラルやデジタル化の対応などを含めて、産業構造は大きな変革期にあります。ですので、まさにゲームチェンジの場面でありますので、これをチャンスと捉えて、次世代航空機の実現に向けた取組を更に進めていきたいというふうに考えております。

 その際には、今回のスペースジェット開発で得られた知見や経験、十分に生かしていきたいと思いますし、経産省として、完成機に向けた歩みを止めることなく、航空機産業発展に向けた取組、しっかりと進めていきたいと考えております。

和田(有)分科員 ありがとうございます。

 もう一つ、知見を生かして頑張らなきゃいけないものをお聞きいたします。H3です。

 私、この間、H3の打ち上げを見に行きました。今日もこのH3のバッジをつけております。非常に、中止になったことは残念です。

 まず最初に、ごく簡単でいいですから、今の段階で言える原因というのはどういうものか、教えていただけますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 二月十七日に、宇宙航空研究開発機構、JAXA、種子島宇宙センターより打ち上げ予定であったH3ロケット試験機一号機につきましては、打ち上げに向けたカウントダウンにおきまして、固体ロケットブースターへの着火信号が自動的に停止し、打ち上げが中止されたところでございます。

 現在、JAXAにおきまして詳細状況を確認しているところでありますが、明日、文部科学省の有識者会議を開催いたしまして、JAXAから原因調査状況の報告を受けるとともに、必要に応じて外部有識者から助言をいただくという予定になってございます。

 これまでのところ、第一段エンジンは打ち上げ時刻約六秒前から正常に立ち上がっていることを、また、その後に第一段機体制御用機器が異常を検知し、自動カウントダウンシークエンスを停止したということまで確認してございます。

 引き続き、原因調査の取組に最大限努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

和田(有)分科員 今のお答えを聞くと、まだ分かっていないという、まあ、言える段階ではないということなのかなと思いますが。

 これは、私、ある意味では信頼性が、ある部分高まったと思うんです。あの段階で、あの機械は止めることができたわけですよね。それって私はやはりすごいことだと思うんです。こういうことも越えながら開発を進めて、信頼性に足る、商業ベースに乗るものに仕上げていくことができると私は思います。

 ただ、やはり、ちょっときつめのことを言いますけれども、イプシロンもそうでした、ちょっとうまくいきませんでした。研究でデータ改ざんというのも取り上げられました。その内容がどうこうじゃなく、重さがどうこうじゃなく、そういうことも出ました。

 やはり、巨大組織に緩みが起きることがあってはいけない、私はそう思うんです。そこのところはしっかりと思っていただきながら、今後の日本の飯の種にしていく大きな柱である宇宙産業を育てていただきたいと思うんです。

 私、本当にこの間のロケットを楽しみにしていまして、前夜はもう子供みたいに寝つけなかったんです、わくわくして。ツイッターにも書いたんですよ。いよいよ明日打ち上げだ、日本人の夢と未来と希望を乗せて舞い上がれと書いたんです。ちょっと舞い上がるのが遅くなってしまっている。

 何とかしっかりとこれを糧にして、そして商業ベースでいけるようにしっかりやっていただきたいんですが、産業育成ということについて、大臣にもう一度お伺いをしたいと思います。

西村(康)国務大臣 私も、超党派の議員連盟の事務局長を一時期務めておりまして、宇宙基本法の成立に関わった経験もあります。種子島でH2Aロケットの打ち上げに立ち会ったこともございます。そういう意味で、私自身も特別の思いを持っているところであります。

 近年、宇宙への輸送手段の低コスト化とか衛星の小型化など、技術革新が非常に速いペースで進んでおります。まさにベンチャーや異業種による宇宙ビジネスの参入が進んでいるわけであります。

 アメリカのスペースXなどを見ても、官主導から民主導になってきた感じすらあるわけであります。我が国としても、まさにゲームチェンジ、好機と捉えて、宇宙産業の成長につなげていくことが大事だというふうに思っております。

 そのためには、新しく参入するベンチャー企業、私も何社にもお会いしましたし、視察も行ったこともあります。従来から宇宙の開発を担ってきた大企業、この双方が力を生かしていくことが大事だというふうに思っております。

 そうした観点で、経産省では、小型衛星の量産化の支援とか、あるいは経済安全保障重要技術育成プログラムを通じて衛星間の光通信技術などの高度な技術獲得のための支援とか、あるいは民間ロケットを活用した宇宙空間での実証機会の提供など、我が国の宇宙産業が世界と伍していくことができるように、まさにベンチャー企業と大企業の双方が連携する部分も含めて、活動を後押しをしているところであります。

 こうしたことを通じて、日本の宇宙産業が大きく羽ばたいていくようにしっかりと支援していきたいというふうに考えております。

和田(有)分科員 ありがとうございます。

 しっかりと、航空宇宙産業も原子力産業も、我々が次の時代に食べていく飯の種ですから、育成をしていただきたいと思います。

 それと、それだけではなしに、スペースジェットもそうでした、ロケットもそうです、これは日本人みんなの夢とか希望とか、背負っているんですよ。私たちの未来を背負っているんです。そういう思いを持って研究者の人も、だから、あのプロジェクトマネジャーの方の涙があったんだと思う。頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

小林主査 これにて和田有一朗君の質疑は終了いたしました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。資源エネルギー庁井上省エネルギー・新エネルギー部長。

井上政府参考人 先生の御質問に対しまして、先ほど、宇久島と申し上げるところを誤ってウガシマと発音いたしましたので、おわびして訂正させていただきます。

 失礼しました。

小林主査 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小林主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河西宏一君。

河西分科員 公明党の河西宏一でございます。

 本日は、我が国のエネルギー政策、とりわけ、昨今の報道を御覧の皆様も御関心の高い原発政策についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 我が党公明党は、三・一一東日本大震災、また福島第一原発事故の教訓を踏まえまして、原発に依存しない社会を政策に掲げまして、政府・与党の中で合意形成を図りつつ、議論を前へ進めてまいりました。その観点から質問を申し上げたいというふうに思っております。

 まず、我が国のエネルギー政策におけます原発の位置づけについてお伺いをいたします。

 今、我が国は、一昨年策定をされました第六次エネルギー計画に基づきまして、国民の暮らしを支える電力の安定供給、またエネルギー安全保障、これを確保しつつ、二〇三〇年の温室効果ガス四六%削減、また二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成へ、脱炭素、取り組んでいるわけでございます。

 同基本計画は、その一丁目一番地に「福島復興はエネルギー政策を進める上での原点」と記されておりまして、福島第一原発事故の反省と教訓の下、エネルギー政策の再出発を図ることをここに記されているわけでございます。

 これを踏まえまして、最初にお伺いをいたしたいのは、エネルギー基本計画では、「安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する。」と明記をされておりますが、この姿勢は今も、今後も変わらないという認識でよろしいかどうか、冒頭、大臣にお伺いをいたしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、私ども、エネルギー政策におきましては、福島第一原発の事故の反省、教訓、これが原点であります。福島の復興、これを常に頭に置きながら進めてまいりたいというふうに思っております。

 第六次エネルギー基本計画におきましても、この福島の復興がエネルギー政策を進める上での原点であり、今後も原子力を活用し続ける上では、安全神話に陥ってはならない旨を明記しているところであります。

 その上で、この六次の基本計画におきましては、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向け、あらゆる選択肢を追求するとの発想の下、原子力について、「安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく。」ことを明記する一方で、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する。」との方針を示しており、この方針が変わることはございません。

河西分科員 明確な御答弁、誠にありがとうございました。

 では、我が国の電源構成、これはどう変化し、どこを目指しているのか、確認をいたします。

 まず、福島第一原発事故のビフォー・アフターで、電源構成は大きく変化をしております。かつて電源の二五%、四分の一をカバーした原発は、足下で七%まで激減をいたしました。これは、震災後、全国の六十基の原発は全て停止をされ、原子力規制委員会による世界で最も厳しい安全基準、規制基準の安全審査に合格をし、かつ地元の理解を得た原発のみ再稼働できるルールが導入されたことによります。十基のみが再稼働しておりまして、二十四基は廃炉が決定ということであります。

 他方で、再エネは九%から二〇%まで倍増いたしました。ですので、再エネと原発の非化石カテゴリーで二七%、すなわち、それ以外の七三%は、いまだ化石燃料のLNG、石炭、石油等の火力発電で賄っているわけでございます。ただ、この火力発電は、脱炭素を目指す上で、工夫や削減を図る必要があるわけでございます。

 そこで、端的にお伺いいたしますが、現在のエネルギー基本計画、今後いつまでにどういった電源構成の実現、これを目指しているのか、政府の御見解をいただきたいと思っております。

山田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の電源構成目標は、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減を目指す中、徹底した省エネや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題を克服することを想定した場合に、どのようなエネルギー需給の見通しとなるかを示すものでございます。

 第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成について、再エネ三六から三八%、原子力二〇から二二%、火力四一%、水素、アンモニア一%を見込んでいるところでございます。

河西分科員 今御答弁ありましたように、二〇三〇年度、原発は、三・一一時点の二五%から数%下げて、二割程度に抑えていくということでございます。また、再エネと水素、アンモニア等を活用して四割弱、そして残りの四割を火力発電。二、四、四ということでございます。

 そこで、一点確認でございますが、再エネ等に関しましては、今申し上げたように、現在の二割から四割へ倍増を目指していくわけでありますけれども、それでも、原発事故の教訓や火力発電のCO2の排出量、これを踏まえますと、もっと多くの再エネを、こういった御意見もあるわけでございます。

 そこで、確認ですが、なぜ、二〇三〇年時点、逆算をしていく中で、目標としては再エネ四割弱にとどまるのか。また、再エネの普及に向けて今後我が国が官民で乗り越えるべき課題、これは多くございます。そういったこと、取組は何か。

 なるべく国民に分かりやすい具体例等も交えて、政府の御見解を、また御説明をいただきたいと思っております。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 FIT制度の導入後、再エネ比率は震災前の約一〇%から、二〇二一年度に約二〇%まで倍増しておりまして、二〇三〇年度に再エネ比率三六から三八%という目標の実現に向け、引き続き最大限導入していくことが基本方針でございます。

 再エネの最大限の導入を進めるためには、地域との共生を前提に三点、一つ目に、再エネの導入に適した場所の確保、二つ目に、太陽光等の出力変動に対応するための調整力の確保、三点目に、国民負担を抑制するためのコスト低減、こうした様々な課題を乗り越える必要がありまして、まずは、この目標の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 こうした課題を乗り越えるためにも、こうした三点に対して、まず一つ目に、公共施設等への太陽光発電の設置や洋上風力などの導入拡大、二つ目に、送電網の整備、定置用蓄電池の導入加速、三点目に、FIT、FIP制度における価格の低減や入札制度の導入など、関係省庁とも連携をしながら、再エネの最大限の導入に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

河西分科員 ありがとうございます。

 やはり膨大な送電線とか蓄電池、このインフラ整備が必要でございます。現在の技術では、国民負担の観点でも課題が多いということで御言及をいただきました。特に蓄電池につきましては、リチウムやニッケル等の原料の埋蔵量、生産量、また中間の精錬工程なども特定国に偏在をしておりまして、安全保障上のリスク、これもよく踏まえていかなければならないというふうに明記をしているところでございます。

 ここで、再び議論を原発に戻しますが、二〇三〇年度で二〇パーから二二パーを賄う、その中身、これが大事であります。

 念のための確認ですけれども、二月十日閣議決定をされましたGX実現に向けた基本方針に関しまして、マスコミの報道を見ておりますと、原発を最大限活用するとして大きく政策を転換したなどとの報道が見られるわけでありますが、基本方針の本文、これを冷静に確認をいたしますと、このようにあります。

 「化石エネルギーへの過度な依存からの脱却を目指し、需要サイドにおける徹底した省エネルギー、製造業の燃料転換などを進めるとともに、供給サイドにおいては、足元の危機を乗り切るためにも再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する。」というところでございます。これが本文のそのままであります。

 そこで、大臣にお伺いをいたします。

 これは、原子力と再エネを併せて最大限活用を図るのであって、あたかも原発だけを最大限活用するかのような一部報道ぶりとは大分異なるのではないか、このように感じるわけでございますが、お考えをいただきたいと思っております。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、GXを実現するためには、エネルギーの脱炭素化、とりわけ電源の脱炭素化が不可欠であります。そして、御紹介ありましたとおり、GXの基本方針におきましても、足下の危機を乗り越えるためにも再エネや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するとの方針を示しているところであります。

 これは、御指摘のように、原子力だけを何か進めるということではありませんし、また、再エネか原子力かという二元論でもございません。電源の脱炭素化に向けて利用できるものは最大限利用するという方針を示すものであります。特に、エネルギーの安定供給と両立をしなきゃいけませんので、脱炭素化と両立をしていくために利用できるものは最大限利用するとの方針を示したものであります。

 そうした中で、再エネにつきましては、御紹介ありましたように、二〇三〇年三六から三八%、足下二〇%程度ですから、およそ倍にしていくという目標に向けて、地域との共生を前提に最大限導入してまいりたいというふうに思いますし、その上で、原子力については、既設の原子力発電所について最大限活用するとの趣旨でございます。

 いずれにしましても、このカーボンニュートラル、GXの実現とエネルギーの安定供給を両立をすべく、この基本方針に基づきまして、徹底した省エネを進めながら、そして再エネ、原子力、双方、こうした脱炭素電源への転換を進めていきたいというふうに考えております。

 引き続き、こうした点につきまして、国民の皆様の御理解が深まるよう、こうした国会審議や、あるいは説明会、意見交換会を始め様々な手段で、政府の方針、GX基本方針を分かりやすく丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

河西分科員 大変明確な御答弁、ありがとうございました。

 原子力だけ、あるいは二元論でもなく、あらゆる選択肢ということで、また、省エネ、再エネ、こういったことが必要であるということでお伺いいたしました。我々も、責任ある与党の一員として、しっかり説明を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、原発で賄う電力が何%であろうが、安全性の確保、これが最優先であることは論をまたないわけでございます。この観点では、今日は、原発のカテゴリーを大きく二つに分けて、整理をして質疑をさせていただきます。

 一つ目のカテゴリーは、既存の原子炉の活用、二つ目は、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉でございます。

 まず、ワンカテゴリー目の既存の原子炉でございますが、特に運転期間についてお伺いをいたします。

 二〇一二年、当時は民主党政権でございましたが、その当時決めた現行の運転期間の在り方、原則四十年としつつ、一回に限り最大二十年の延長を認めております。この四十プラス二十という年数は、何か根拠があって決められた期間なのか、見解をいただきたいというふうに思っております。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の現行の運転期間につきましては、当時の国会審議におきまして、安全性に関する科学的、技術的見地のみならず、政策上の判断も含めた幅広い観点から原子炉等規制法に盛り込まれたものと承知をしております。

 まず、運転期間を原則四十年とした根拠といたしましては、当時の国会審議におきまして、既設炉の許認可申請において、原子炉圧力容器の中性子照射脆化について、想定年数を四十年として申請していることなどを挙げておりました。

 しかしながら、当時の議論におきましても、四十年たてばそのときから急に危険になるわけではない、四十年は政治的な数字であり、科学的な知見だけに基づいて決定した数字でもないとの答弁もございます。

 また、最大延長を二十年としたことにつきましては、当時の国会審議におきまして、高経年化の技術評価では、運転開始後六十年後を見通した経年劣化の評価を行っていること、米国の事例といたしまして、運転許可の更新は一回につき二十年を超えない期間としていることなどを考慮した結果、四十年に加え、最大二十年の延長規定が設けられた旨の説明があったと認識をしております。

 以上でございます。

河西分科員 ありがとうございます。いわば目安であるということで理解をいたしました。

 そこで、政府・与党は、今国会に、電気事業法並びに原子炉規制法の改正案、この提出に向けて議論をさせていただいております。高経年化した原発の規制をより厳格化していくというふうに伺っております。

 まず、運転期間四十年を経た原子炉を引き続き利用する場合に、従来は原子力規制委員会が認可をしていたが、これを経産大臣の認可に変更する制度を創設すると伺っております。

 まず、この趣旨について政府から御説明をいただきたいと思っております。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の運転期間の在り方につきましては、原子力規制委員会が、令和二年七月に、運転期間に関する定めは、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない旨の見解を示しているところでございます。

 これを踏まえまして、経済産業省では、原子力発電所の運転期間の在り方につきまして、利用政策の観点から検討を進めてまいりました。高経年化した原子炉に対する立地地域の不安の声もございます。また、東京電力福島第一原発事故の反省を踏まえる必要がございます。その中で、現行制度と同様に運転期間は四十年、延長を認める期間は二十年と制限した上で、事業者の予見し難いと認められる一定の停止期間に限り、運転期間のカウントから除外を認める制度を現在検討しているところでございます。

 この制度は、原子力規制委員会から示された見解を踏まえました上で、利用政策としての方針を定め、安全規制と利用政策の位置づけについて制度的に峻別するものでございまして、引き続き、関連法案の国会提出に向けて準備を進めていく所存でございます。

 なお、運転期間の延長を行うか否かにかかわらず、高経年化を含めた安全性に関する原子力規制委員会の厳しい審査を経て、認可を受けなければ、運転できないことには変わりはございません。

河西分科員 ありがとうございます。

 まとめますと、原子炉の利用政策と規制政策をしっかり法的にも峻別をしていくということで、立場と責任も明確になってくるというふうに理解をいたしました。すると、ますますこの規制政策の中身が重要になってくるんだろうというふうに考えるわけでございます。

 現在、原子炉の経年化に関する評価は、運転期間三十年以降、十年ごとに高経年化の技術評価、これをクリアした原発に限り、規制委員会が認可を下しております。これは、原子炉規制法に基づいた省令相当の規則であるというふうに伺っております。

 これを、今後は、先ほど触れた法改正等を通じまして、原子炉等規制法の中に法律で明記をして、法的には格上げをしていく。加えて中身も、運転期間三十年を経た原子炉につきましては、現在の高経年化、技術評価に加えまして、新たな規制制度を今後設け、規制委員会が認可をする。そのリズムも、十年ごとから十年以内ごとへと厳格化をする。そういった方針と承知をしております。

 そこで確認ですが、今後新たに設ける規制制度では、具体的に何をもって厳格化をしていくのか。また、そういうふうに言えるのか。また、これまで十年ごとに評価をしていた原子炉が、今後は、例えば、十年以内ということですので、五年後とか八年後をめどに認可が必要となるケースもあり得るわけでありますが、どういう事態を想定をしているのか。具体例もできれば交えて、分かりやすく御説明を願いたいと思っております。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討中の新しい制度案につきましては、委員御指摘のとおり、運転開始後三十年目及びそれ以降十年を超えない期間ごとに、その都度、長期施設管理計画の策定を義務づけ、その計画につきましては、劣化を考慮した基準に関する適合性審査を経て認可を受けることが必要となり、現行の制度よりも基準適合性の確認を要する頻度が高くなります。

 また、事業者が策定をいたします長期施設管理計画には、劣化状態の点検方法、劣化予測評価の方法やその結果など、現行の高経年化技術評価制度に比べ、詳細な記載を求めることを考えてございます。

 こうした頻度が高くかつ詳細な確認の仕組みを導入することで、重要な劣化事象の兆候を見逃さず、それを実際の保全活動により的確に反映しやすくなると考えてございます。

 また、御質問の、例えば五年後をめどに再び評価や措置を実施することにつきましては、これまでの審査実績を踏まえますと、評価期間を短くしなければならないような劣化事象はないのではないかというふうに考えてございますけれども、制度上は、事業者が自らの判断で評価期間を決めた上で申請をすることになってございます。

 なお、劣化の点検や予測評価手法等に新たな知見が得られた場合には、事業者に対しまして、追加点検の実施、評価のやり直しなどを含めて、長期施設管理計画の変更を求めることができる制度とすることを考えてございます。

河西分科員 一言で申し上げますと、頻度を上げて、より詳細にということでございます。

 その上で、政府は、先ほども若干触れていただきましたが、原子炉が他律的な要素、例えば予期せぬ規制基準の変更でありますとか訴訟をめぐる裁判所の仮処分命令など、運転を停止した期間は、運転期間のカウントから除外をいたしまして、要するに、原子炉の最初の稼働からのカウント、経過の時間としては、四十年プラス二十年に加えて、運転停止期間分、これを最後にプラスアルファしていく、六十年以降も運転が可能になるという計算になるわけでございます。

 そういった方針でございますが、ここで大切な点は、運転期間にプラスアルファする部分について、原子炉の運転者、すなわち電力会社でありますが、自ら運転を停止した期間を含めてしまいますと、それは安全規制とはならないわけでございまして、したがって、あくまで電力会社が予見できない、いわゆる他律的でございます、コントロールできない理由で運転が停止された期間に限定をしてプラスアルファを認める運用が極めて重要なんだろうというふうに思っております。

 この点は、誰がどのように判断をするのか、この点について政府の御見解をいただきたいと思っております。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この運転期間の在り方につきましては、一定の停止期間についての除外、カウントからの除外ということを検討しているわけでございますが、これは、御指摘のとおり、事業者の予見し難い事由によるものということを明確に規定することが必要かと考えてございます。

 私ども、検討を続けてきました審議会等におきましても、専門家の先生方から、抽象的な定義とした場合、かえって予見性が低くなってしまうというような意見も頂戴しているところでございまして、明確に規定する観点、そういう観点から申し上げますと、一つ目には、東日本大震災発生後の法制度、これは安全規制等でございますが、この変更に伴う運転停止期間、また、同じく東日本大震災発生後の行政指導に伴う運転停止期間、また、同じく東日本大震災発生後の裁判所による仮処分命令に伴う運転停止期間など、除外の対象となる事由を可能な限り限定列挙をする形で、定義、規定していきたいというふうに考えて、現在作業しているところでございます。

 その上で、具体的な期間等につきましては、事業者の申請内容も個別に審査いたしまして、経済産業大臣が認可することを想定してございます。

 引き続き、運転期間の在り方について、関連法案を速やかに国会に提出すべく、準備をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、国民の皆様に安心と理解が広がる、そういった取組をお願いをしたいというふうに思っております。

 続きまして、原子炉の安全性が問われるもう一つのカテゴリー、次世代革新炉についてお伺いをいたします。

 これは、革新軽水炉ですとか高温ガス炉などが想定をされるというふうに伺っております。その上で、先ほども触れましたGX実現に向けた基本方針では、その本文の中で、エネルギー基本計画を踏まえて原子力を活用していくために、この検討あるいは具体化が進められていく次世代革新炉であるというふうに明記がされているわけでございます。

 すなわち、これは、冒頭確認をいたしました、可能な限り原発依存度を低減する方針の中において、二〇三〇年度までに実現を目指す電源構成、原子力の占める割合、二〇パーから二二パー、この目標の枠内で進められるもの、そのように理解をしているわけでございますが、そのとおりでよろしいか、御確認をさせていただきます。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 GX実現に向けた基本方針でお示しをしましたエネルギー安定供給確保に向けた具体的な方策につきましては、第六次エネルギー基本計画で示した方針の範囲内のものであることを本基本方針内に明記をしております。

 このため、本基本方針で示した原子力に関する具体的な方策につきましては、二〇三〇年度の電源構成に占める原子力比率を二〇から二二%とする現在の目標の範囲内で進めていくものでございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 このエネルギー基本計画内、また、新たな地域への原発の新増設ではなくて、既存原発がある敷地内での建て替え、いわゆるリプレース、これはエネルギーの安定供給と安全性の向上の観点では検討はあり得るんだろうというふうに考えているところでございます。

 そこで、これは念のため、確認になるんですが、今回の基本方針でも、この次世代革新炉、新たな安全メカニズムが組み込まれているというふうになっておりますけれども、具体的にどういった仕組みで安全性が向上すると見込んでいるのか。

 また、加えまして、この地域の理解確保を前提として、同じ敷地内での既存原子炉から次世代革新炉への建て替え、いわゆるリプレース、その具体化を進めるというふうにしておりますけれども、このリプレースも国内数か所が想定をされているというふうに聞いておりますが、この具体化にはどれぐらいの時間を要すると想定をされているのか、御見解をいただきたいと思っております。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代革新炉につきましては、安全性向上のための様々な形での安全メカニズムが組み込まれているわけでございます。

 例えばで申し上げますと、耐震性を向上させる半地下の構造になっておりますですとか、万が一の際に溶融炉心を自然冷却するためのコアキャッチャーをつけるですとか、人や電力を介さずに燃料冷却が可能な受動的な安全システム、パッシブと呼ばれるようなシステムですとか、万が一の際に放射性ガスを分離、貯留する機能ですとか、様々な形で、これは炉の形によっていろいろ違うわけでございますけれども、設計がいろいろ検討され、導入に向けた取組が進んでいると認識しておるところでございます。

 この運転の開始の時期、導入、リプレースについての検討、見込み、これはなかなか、実際の技術の開発と同時に、何はともあれ地域の御理解ということが前提でございますので、具体的なめどを申し上げることはなかなか難しいかと思います。

 技術に関してという意味で申し上げますと、資源エネルギー庁の審議会では技術ロードマップというものをお示ししているわけでございますが、この中では、例えば革新軽水炉について、研究開発を行った上での目標時期として二〇三〇年代半ばの運転開始ということを設定しておりますが、これは技術開発としてのロードマップでございます。

 いずれにしましても、安全を何よりも最優先することを大前提としまして、次世代革新炉の研究開発、サプライチェーンの維持強化などの取組を進めていきたい、このように考えてございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 続きまして、念のための御確認にもなります。

 この今回の基本方針、今確認した具体化が進む国内数か所のリプレースに加えまして、その他の次世代革新炉の開発、建設についても言及がされているわけでございます。「各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していく。」と記されておりますけれども、これもあくまで第六次基本計画の理念、目標の中で検討するという理解でよろしいか、確認をさせていただきたいと思っております。

山田政府参考人 お答えいたします。

 GX基本方針で示したエネルギー安定供給確保に向けた具体的な方策につきましては、第六次エネルギー基本計画で示した方針の範囲内のものであることを本基本方針内に明記をしております。

 御指摘のとおり、次世代革新炉に関しても、第六次エネルギー基本計画の方針を踏まえた上で検討を行うものでございます。同基本方針に基づき、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象として、六ケ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていくとしております。また、その他の開発、建設は、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくこととしております。

河西分科員 ありがとうございます。

 最後に、バックエンドについてお伺いいたします。高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの再処理と最終処分でございます。

 一度原子炉で使い終えた使用済燃料は、実は再利用可能な物資が最大九七%程度含まれております。この再利用を実現し、なるべく核のごみを減らそうという試みが、今、青森県の六ケ所村再処理工場、これが進んでいるわけでございます。

 そこで確認ですが、この再処理工場、竣工すれば、どれぐらい核のごみの量が、あるいは有害さの度合いが低減をさせることができるのか。また、同工場の安全性対策、また、見込まれる竣工時期についてもお答えいただきたいと思っております。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、量を減らしていくということ、有害度の低減、資源の有効利用の観点から、核燃料サイクルを推進していくことが基本方針でございます。

 御指摘ございました、六ケ所再処理工場が竣工し、使用済燃料を再処理することになりますと、直接処分する場合に比較した場合でございますが、量について言いますと、高レベル放射性廃棄物が大体四分の一に減少することとなります。また、放射性廃棄物の有害度という観点で申し上げますと、天然ウラン等のレベルに水準が低下するという時間が十万年から八千年まで短縮されることになります。また、資源の有効利用という意味でいいますと、燃料自体が、一、二割、MOX燃料として再度利用していくことができるということになる、このようなメリットがあるものと認識してございます。

 現在の状況でございますが、六ケ所再処理工場の安全対策を含め、安全規制に関わることは規制委員会が一元的に所掌するところでございますので、今後の実際の稼働の見込みということを今予断を持って申し上げることはなかなかできないところでございますが、日本原燃におきましては、昨年末に、二〇二四年度上期でのできるだけ早い、早期での竣工目標というのを発表したところでございます。工事は相当進捗しているところでございますが、安全対策をしっかり講ずる必要がございます。

 日本原燃が竣工実現に向けて安全審査等の対応をしっかり着実に進められるよう、政府としましても随時確認しながら指導していきたいと考えてございます。

河西分科員 時間が参りましたので、少し質問を残しましたが、大変失礼いたしました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小林主査 これにて河西宏一君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉田水脈さん。

杉田分科員 自民党の杉田水脈です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 岸田政権では、脱炭素化を目指すGXを重点政策とし、今国会ではGX推進法案が議論されることかと存じます。カーボンニュートラル実現に向けた機運は国際的に高まっているものの、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症の影響によってエネルギー市場は不安定化し、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現とともに、エネルギーの安定供給やエネルギー安全保障をいかに両立させるかは、日本国内だけではなく、国際的な課題であります。日本は世界でも有数のエネルギー消費大国でありながら、いかにエネルギーを国外からの輸入に依存してきたか、今日、我々は身をもって痛感しているところであります。

 カーボンニュートラルを目指しながらエネルギーを安定供給させるためには、まずは火力発電の割合を下げ、再エネや省エネを推進するとともに、安定的な供給が可能なエネルギーを自給することが肝要かと存じます。

 今般、電力大手七社から大幅な電気料金の値上げが申請されていると承知しています。しかし、関西電力と九州電力は値上げの申請がありません。これは、この二つの電力が共に原子力発電所の再稼働に成功しているからだという声も多いようですが、政府の認識としてはいかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、現在、ロシアによるウクライナ侵攻等による世界的なエネルギー価格の高騰、為替の影響等によりまして、日本の燃料の円建ての輸入価格が高騰してございます。

 こういうことを背景といたしまして、大手電力会社七社により規制料金の値上げ認可申請が提出されたところでございまして、現在、電力・ガス取引監視等委員会において審査中の状況でございます。

 その中で、委員御指摘のとおり、原子力発電所の再稼働が進んでおります関西電力及び九州電力からは値上げの認可申請は参っていないのが現状でございます。

 もちろん、電気料金というものは、産業用を含む自由料金もあるところでございまして、今申請がございますのは規制料金でございますので、そのことの限界もございます。また、電気料金の水準自体は、各電力会社の電源構成ですとか燃料費、人件費等、様々な要素によって決まるものであるため、一概に申し上げることはできないわけでございますが、原子力発電所の再稼働が進みますと、一般論として申し上げて、火力発電の燃料費が抑えられます。そういうことになりますと、電気料金の抑制に寄与しているということについて一般論として申し上げることができるかと、このように承知しております。

杉田分科員 それでは、今後、政府としてどのように原発の再稼働を進めていくのかについても教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の再稼働というのは、既に存在する既設の原子力発電所をいかにしっかりと利用していくかという意味で、大変重要なものでございます。安定供給の実現、同時にカーボンニュートラルの実現という意味でも、政府としてはしっかりと進めていかなきゃいけないということではあるわけですが、一方で、安全性の確保は大変重要でございます。高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくという方針でございます。

 その中で、二月十日に閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針の中では、原子力の活用の大前提として、福島の事故の反省と教訓を忘れることなく、安全神話からの脱却ということを不断に問い直し続けて、自主的な安全性の向上、事業者の運営、組織体制の改革、そして立地地域との共生、コミュニケーションの深化、充実等、様々課題があるわけでございますが、これについても、国が前面に立って、産業界とともに再稼働に向けて取り組んでいく方針を取りまとめたところでございます。

 具体的に申し上げますと、産業界の中で取り組まなければならないこととして、安全マネジメントの改革、審査への対応ということがあるわけでございますが、この連携について、連携強化の促進に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、地域との関係でいいますと、避難計画の策定、充実、さらには説明会、対話型の意見交換の実施など、こういったものについても国もしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

杉田分科員 ありがとうございます。

 先日の予算委員会で、野党の質疑において、原発反対派は必ず高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決まっていないことを指摘しますが、これまで長年、原子力発電を活用してきて、既に放射性廃棄物は蓄積されており、国際条約に基づいて最終処分場は国内のどこかに決めなければならない、この認識が正しいか、まずお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、私ども過去半世紀以上にわたり原子力というものを利用し、使用済燃料というものは既に存在しているわけでございます。そういう現実がある以上、高レベル放射性廃棄物の最終処分という問題は必ず解決しなければならない、そういう重要な課題だと考えてございます。

 また、国際条約の中でも、放射性廃棄物というのは発生した国において処分されることということが原則とされておりまして、諸外国においても、自国内での最終処分を目指し、取組が進められているところでございます。

 我が国においても、最終処分法というものを定めておるところでございますが、これに基づきまして、国内での最終処分の実現に向けて、国が前面に立ってしっかりと取組を進めていきたいと考えているところでございます。

杉田分科員 では、続きまして、その最終処分場の選定について、これまでと方針を変更されていると思うんですが、そこの部分について御説明いただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 この最終処分の実現に向けては、非常に様々な課題を克服しながら前に進んでいかなきゃいけないところでございます。これまで、全国約百六十か所の地域での説明会、理解促進のための広報事業等に取り組んできたわけでございます。

 そのときに、全国的な特性マップを作り、お示ししということもやってきているわけでございますが、まだ一番最初の段階の文献調査というところにたどり着いた、今そこで調査を進めているところは北海道の二つの自治体にまだ限られてございまして、最終処分事業に対して関心を持っていただけている地域というのはいまだ限定的なところであるというところが私どもの認識でございます。

 御指摘のように、最終処分場が決まっていないということ自体が原子力に対する国民の皆様方の懸念の一つであり、原子力を進めていく上で重要な課題だと私どもも改めて認識しているところでございまして、御指摘いただきました二月十日の最終処分関係閣僚会議の場では、国が、政府一丸となって、かつ、政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいくという観点で、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針というものがあるわけでございますが、この改定案というものを取りまとめたところでございます。

 お尋ねでございますので、中身をちょっと御紹介申し上げますと、改定案の主なポイントとして申し上げますと、国、NUMOという推進機構、事業者で体制を強化いたしまして、全国のできるだけ多く、これも少なくとも百以上の自治体に対してと考えているわけでございますが、最終処分事業に関心を持ってもらえるよう、掘り起こし、アプローチ、御説明等の取組を進めていきたいと考えております。

 また、関心や問題意識を有する自治体の長の方々などとの協議の場などを設置いたしまして、最終処分を始め原子力をめぐる課題と対応ということにつきまして、国と地方の間でしっかりと議論、検討していく、こういう場もつくっていきたいと考えております。

 また、従来の公募方式と市町村長への調査の申入れというものがあったわけですが、この方式という形にとらわれ過ぎてしまいますとなかなか物事が進んでいかないというところもございますので、地元の経済団体、議会などに対しまして、国から様々なレベルで段階的に、この状況に入るかどうかということではなく、様々な段階を踏みながら取組は進めていけるような、こういったことも考えているところでございます。

 また、未来を考えていきますと、資源エネルギー庁、経済産業省だけではなかなか地域の方々の御理解、御要望に沿えないところも出てまいりました。国土交通省ですとか厚生労働省ですとか、様々関係する役所、これは大臣も構成員になっていただきまして、政府を挙げて取組を進めていく。

 こういったたくさんのことがございますけれども、総力を挙げまして、最終処分という事業、課題に対しまして取り組んでいく、こういったことを方針として定めたところでございます。

杉田分科員 しっかりと地域の方々に寄り添って進めていっていただきたいというふうに思います。

 再生可能エネルギーにつきましては、近年、太陽光に注目が集まっていますが、既に我が国の国土面積当たりの太陽光発電の導入量は世界一位であると認識しております。しかし、国産の太陽光パネルの普及率は非常に低いのだというふうに聞いております。また、モジュール組立てのみを国内拠点で行う、つまり製造の最終過程のみを国内で行うことで国産を名のることができるようです。

 経産省が把握している国産の太陽光パネルによる太陽光発電出荷量と総出荷量に対する割合、そのうち一貫して国内で製造された太陽光パネルによる太陽光発電の出荷量と割合を教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 業界団体が実施している調査によりますと、FIT制度が開始された二〇一二年から二〇二一年までの累計で、国産の太陽光パネルの国内出荷量は十九・八ギガワット、これに対し、海外生産を含めた総国内出荷量は六十一・三ギガワットとなっておりまして、国産太陽光パネルの割合は三二・三%となっております。

 また、原料から一貫して国内で製造された太陽光パネルの出荷量につきまして、こちらは申し訳ございませんが、正確なデータは把握しておりませんけれども、現在、委員御指摘のとおり、太陽光パネルに使用されるポリシリコン、この世界シェアの約八割を中国が占めております。このため、中国以外の国におきまして一貫した製造を行うことは容易ではない状況にある、このように承知しております。

杉田分科員 一貫しての国産の割合が出てこないということで、次の質問で太陽光パネルの主な輸入元を教えてくださいという質問をしようと思ったんですが、先ほど中国ということがありましたので、このまま進めさせていただきたいと思います。

 米国では、昨年六月より、ウイグル強制労働防止法に基づく輸入禁止措置が有効となりました。税関・国境取締局の報道官によると、同法に基づき差止めの対象となった輸入は本年一月までに二千六百九十二件あり、その大半が太陽光パネル又はその関連部品だったそうです。

 そういったことも考えていくと、我が国においても、製造過程における人権問題であるとか、先ほどの国土面積のことも考えても、今後は導入量が鈍化せざるを得ないというふうに考えますので、是非、太陽光以外のエネルギーの多様性についても積極的に議論をしていっていただきたいというふうに要望したいと思います。

 岸田総理は、GXという経済、社会、産業、地域の大変革に挑戦していくと述べておられます。大変革には、これまで焦点の当たらなかった新たな分野にも目を向けていくことが重要ではないでしょうか。気候変動対策だけでなく、経済成長に貢献する雇用を創出すること、新たな産業を育成することも求められます。

 閣議決定されたGX実現に向けた基本方針には、エネルギー安全供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換など、GXに向けた脱炭素の取組が挙げられていますが、ネガティブエミッションの達成目標についてはどうなっているのか、教えてください。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すという野心的な目標を掲げております。このために、最終的にCO2の排出が避けられない分野からの排出を相殺する必要がありまして、大気中からCO2を回収し、固定化するネガティブエミッションの技術の活用は大変重要だと考えております。

 現時点では、二〇五〇年時点での残余排出量を定量的に表すことは難しいということから、ネガティブエミッション技術による定量的な削減目標は定めておりません。

 一方で、こうした技術に存在する、必要なエネルギーが大きい、それから、効果の定量的な評価が難しいといった様々な課題を解決して活用を図ることが重要であるということは認識しております。

 このため、ムーンショット型研究開発事業において、大気中のCO2を直接回収するDAC、ダイレクト・エア・キャプチャー技術について、高効率かつ省エネな技術の開発や、玄武岩などによる、CO2が固定化される岩石の風化プロセス、植物や海藻などによるCO2の固定プロセスといった、自然プロセスを人為的に加速させる技術と、その効果の定量化に向けた技術の開発を進めているところでございます。

 こうした技術を含めて、引き続き、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、ネガティブエミッション技術の開発にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

杉田分科員 グリーントランスフォーメーションにグリーンが抜け落ちているのではないかという印象が否めません。

 そこで、昨年、国連貿易開発会議が発行した報告書で引用されたある植物について、複数の科学論文について紹介したいと思います。

 この植物は、光合成によって茎と根の両方に炭素を貯蔵することにより、無視できない量の二酸化炭素を捕捉するため、気候変動の影響を緩和することができる。この植物は急速に成長し、地面に深く根を張るため、他の商業作物や森林よりも一ヘクタール当たり多くのCO2を取り込み、理想的な炭素貯蔵となることが分かっている。この植物は土壌や土壌の汚染を防ぐことができる。科学文献で議論されているこの植物、特にその廃棄物の別の潜在的利用法は、土壌の炭素貯蔵を改善し、温室効果ガス排出を削減できる可能性がある、土壌用途のバイオ炭の生産である。

 まさに脱炭素の救世主のようなこの植物は一体何だと思われますか。実は大麻草です。大麻と言うと驚かれる方もいるのではないかと思います。諸外国ではマリファナと区別して、ヘンプと呼ばれています。

 昨年の骨太方針には、大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向け、必要な環境整備を進めると書かれており、大麻取締法の改正について審議されると承知しております。これにより新たな産業利用が生まれることが想定されますが、まずは産業用ヘンプの安全性について教えてください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の産業用ヘンプというものでございますが、欧州と米国の規制におきまして、大麻草の有害成分であるテトラヒドロカンナビノール、いわゆるTHCの含有量が〇・三%以下の大麻草につきまして、産業用として栽培が認められております。委員御指摘の産業用ヘンプとはそのことを指すものと理解しております。

 その上で、安全性につきましてですが、欧州食品安全機関でのTHCの安全性評価を踏まえれば、〇・三%以下の大麻草であっても、身体に作用がないとは言えないと承知しております。

 一方、厚生科学審議会大麻規制検討小委員会の取りまとめにおきましては、低濃度であるため、乱用に供されるリスクが低いことが示されております。また、この小委員会取りまとめでは、海外の事例等を踏まえ、大麻草のTHC含有量の上限値を設定し、上限値以下の大麻草に産業用途の栽培を限定すべきとの方向性が示されたところでございます。

 この方向性を踏まえまして、産業用途の大麻草の栽培に向けた制度の検討を進めてまいりたいと考えております。

杉田分科員 御答弁いただきました欧州食品安全機関の安全性評価ですが、食品に含まれるTHCであること、その後、欧州産業用ヘンプ協会、EIHAが、多くの点で誤った研究及びデータの結論に基づいた、不必要に厳しい時代遅れのガイダンスであるとの指摘をしたことを受けて、欧州の閾値も〇・二%から〇・三%に変更となったことは補足しておきたいと思います。

 念のために申し上げておきますが、日本国内で免許を持った農家が神事や繊維用に栽培をしているのは、酩酊物資と言われるTHC含有量が極めて低い品種であり、その葉や花穂はマリファナ原料にはなり得ません。

 公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターが発行している「薬物のはなし」という冊子にもはっきりとそのように明記されており、乱用される大麻とは全く別物であることを理解しておきましょうとも書かれています。

 また、国内で様々な議論が行われておるんですけれども、例えば、繊維型大麻草及びその濃縮物の中のカンナビノイド含有量の調査の結果として、栃木県の栽培品種「とちぎしろ」を凝縮した実験を行ったところ、THCによる幻覚作用はほとんど得られないと考えられたという論文を基に議論が行われたというふうに承知しております。

 このことについては、是非、厚労省だけでなく、経産省にも認識していただきたいというふうに思っております。

 先ほど紹介しました、国連貿易開発会議が発行した産業用ヘンプに関する報告書「コモディティーズ・アット・ア・グランス スペシャル・イシュー・オン・インダストリアル・ヘンプ」は、八十ページ以上にわたるものですので今回は資料の提出は割愛しますが、冒頭にこのように書かれています。「ヘンプには酩酊作用がないにもかかわらず、酩酊物質として使用されていると誤解されることが多いため、いまだに論争の的となっている。数千年にわたり産業用、薬用として利用されてきた歴史があるにもかかわらず、いまだにネガティブなイメージが先行している。」

 日本国内においても、酩酊作用のあるマリファナと混同され、議論すらはばかられるような側面がありますが、近年、アメリカやカナダ、ヨーロッパを中心にヘンプの研究開発が進んでいます。

 また、この報告書の政策提言の項では、酩酊作用のないヘンプの栽培について、全ての国で許可されるべきである、どこの国も科学的に無害な閾値まで規制を緩めるべきであるとの提言もあります。

 現在の日本における産業用ヘンプの状況や政府の取組について教えてください。

山本政府参考人 まず、我が国では、現行の大麻取締法によりまして、都道府県知事の免許を受けた大麻栽培者について、繊維及び種子の利用のための栽培が認められており、栽培された大麻草は神事、祭事におけるしめ縄に用いられるなど、主に繊維の利用が行われております。

 一方、近年、諸外国では、大麻草の繊維の利用以外にも、医薬品、バイオプラスチック、カンナビジオール、CBD成分の抽出利用など様々な活用が進んでいると承知しており、我が国ではこのような産業利用は行われていない状況でございます。

 こうした国内外の動向を踏まえまして、大麻規制の見直しにつきまして議論を行った、先ほど申し上げました厚生科学審議会大麻規制検討小委員会では、現行の繊維又は種子を採取する目的に加え、新たな産業利用、医薬品原料の用途に向けた生産についても栽培目的として追加すべき、また、産業用途の大麻草の栽培については、有害物質であるテトラヒドロカンナビノール、THC濃度が低いものを活用し、現行よりも栽培しやすい合理的な栽培管理規制や免許制度とすべきとの方向性が示されたところでございます。

 この方向性は、栽培者の負担や栽培農家の継承、そして今後の健全な産業利用などの展開も考慮したものであると承知しており、これらを踏まえて制度の見直しに向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

杉田分科員 先ほど、UNCTADの報告書に、ヘンプは最もCO2を吸収する作物であると書かれていることを御紹介しましたが、欧州連合の公式サイトには、一ヘクタール当たりのヘンプのCO2吸収量についてどのように書かれていますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州委員会のホームページによれば、一ヘクタールのヘンプによる二酸化炭素吸収量は九から十五トンとされており、これは幼齢林、若い森林の吸収量に匹敵すると示されているものと承知しております。

杉田分科員 日本の荒廃農地は令和二年で約二十八万ヘクタールと認識しておりますので、これに当てはめると、二百五十万トンから四百二十万トンのCO2吸収量が見込める計算になろうかと思います。たった数か月の栽培期間でこれほどのカーボンネガティブの力を発揮する植物を日本のGXの取組に活用しない手はないのではないでしょうか。

 我が国では古来より衣服や神事等に大麻が使われてきました。戦後、GHQの指示により麻を麻薬と定義した上で、栽培、製造、販売、輸出入の全面的な禁止という大幅な規制を強いられた大麻ですが、翌年制定された大麻取締法によって、都道府県知事の免許を受けた農家は栽培できるようになりました。先ほどの答弁にもございました。しかし、令和三年の日本国内栽培者数は僅か二十七名、その大半は高齢で、実際に栽培を行っている栽培者はもっと少ないのではないかと言われています。

 このように、日本でも古来より栽培、使用されている大麻ですが、先ほど申し上げたように、世界では更なる研究や開発が進んでおります。

 また、大麻は他の作物に比べて加工がしやすいのが特徴であり、日本国内で現在知られているような医療や化粧品だけではなく、その多用途性と機能的特性から、産業用ヘンプ市場では、不織布、それから建築資材、食品、自動車産業用複合材など、膨大な数のバイオベース製品に利用されています。また、エネルギーの分野でも、固形燃料だけではなくて、ヘンプバイオガスやヘンプバイオエタノールへの生産も進められており、大きな注目が集まっています。

 近年、再生可能エネルギーの有効利用に向けて、スーパーキャパシタの更なる開発に国内でも期待が寄せられておりますが、ヘンプ繊維を原料としたカーボンナノシートがスーパーキャパシタの材料として欠かせないグラフェンの役割を果たすことができる、つまりヘンプ繊維がグラフェンの代替素材になり得るとの研究結果がございます。さらに、スーパーキャパシタの弱みとも言われる蓄電量の少なさも、ヘンプ繊維によるカーボンナノシートではカバーできる可能性についても研究されております。

 このように、世界では日本国内で知られるよりも多岐にわたり産業用ヘンプの研究や開発が着々と進み、市場も拡大しております。日本も是非この波に乗り遅れないようにしていただきたいのですが、産業用ヘンプの市場見込みにつきまして、どのような御認識をお持ちでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年十一月に発行されましたUNCTAD、国連貿易開発会議、この産業用ヘンプに関するレポートでは、ヘンプの世界市場規模は、二〇二〇年の四十七億ドルから、二〇二七年には百八十六億ドルにまで成長すると記載されているものと認識しております。

杉田分科員 日本国内でも、若いベンチャー企業など、産業用ヘンプの利活用に期待を寄せている企業も少なくありません。先日、一般社団法人麻産業創造開発機構主催の勉強会に参加したところ、会場に入り切れないほど多くの企業が参加されていました。

 こうした世界と日本の実情といいますが、非常に国内外のニーズと政府の認識に乖離があるように感じるのですが、その辺り、若いベンチャー企業の期待なんかはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 産業用のヘンプにつきまして、先ほど来ございますとおり、諸外国で、繊維製品、パルプのみならず、化粧品や医薬品の原料を始めとしまして、プラスチック、建材、素材、幅広い分野において様々な活用が進んでいるものと承知しております。

 他方、我が国では、これまで大麻の所持、栽培、譲渡などについて大麻取締法で規制されておりまして、これまで、先ほど言われました神事や衣料の原料、こういったものに限られた範囲内で用いられてきました。

 こうした中、先ほど厚生労働省からの答弁にありましたとおり、現在、厚生労働省において、例えば、免許制度による適正な管理の下で、現行の繊維、種子を採取する目的に加えまして、新たな産業利用、医薬品原料の用途に向けた生産についても栽培目的として追加すべきだとの専門家による検討の結果を踏まえまして、関連制度の見直しに向けた検討が進められているものと認識しております。

杉田分科員 現在、世界を席巻するITや半導体分野において、かつて日本はトップを走る国でした。しかし、現在は国外の企業に勝てないばかりか、依存をしている状況と言っても過言ではありません。古来より我が国の神事には麻は欠かせないものであったのに、外国産の、中国産の麻を神事に用いるようなことがあってはなりません。また、経済が低迷して久しい日本が世界に起きているグリーンラッシュに乗り遅れることを非常に危惧しております。

 本日の質疑で大麻と表現したことに驚かれたかもしれません。しかし、現在の日本では大麻と口にしただけで驚かれてしまう、よからぬイメージを持たれてしまう、それでは何の議論もできないと思います。

 大麻は我が国の経済にとっても大きな可能性を持つ植物であるにもかかわらず、七十年以上もその研究すら許されてこなかった。薬物として乱用されない、酩酊作用を持たない、そういった品種を日本が独自に開発することだってできるわけです。

 日本が法改正を待っている間に、世界ではどんどん市場が拡大していく。当然、何の準備も情報収集もできない国は取り残されてしまいます。大規模な投資や大幅な規制緩和はすぐに実現できなくても、世界に起こっている動きについて、是非とも積極的な情報収集を行っていただきたいというふうに思っております。

 昨年お亡くなりになった安倍元総理が私たちに残してくださったものは多々ありますが、総理をお辞めになった後に、産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会という自民党の勉強会をつくられました。安倍元総理は、その第一回目の勉強会で、産業用の大麻について、残念ながら大麻というだけで偏見を持たれてしまっていると述べられた上で、神事をつかさどる上において麻は必要なもの、近年はヘンプとして自動車用のボディー等に使われている、カーボンニュートラルを見据えればヘンプの活用が期待される、耕作者が未来を描けるように、農業、産業振興の観点からも、政治の場で考える必要があるとおっしゃいました。

 この法改正を控えたタイミングで、また、岸田総理の御地元、広島でG7サミットが開かれるタイミングで、是非とも、カーボンニュートラルを見据えた国内ヘンプ産業の振興に誇りを持って取り組んでいただけることを期待を申し上げ、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

小林主査 これにて杉田水脈さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時一分散会


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