衆議院

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第2号 令和6年2月28日(水曜日)

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令和六年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 上野賢一郎君

      伊藤 達也君    川崎ひでと君

      古屋 圭司君    金子 恵美君

      篠原  孝君    米山 隆一君

      赤羽 一嘉君    中川 宏昌君

      田中  健君

   兼務 山口  晋君 兼務 吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       齋藤  健君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   橋場  健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山影 雅良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         西村  拓君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     川崎ひでと君

  階   猛君     金子 恵美君

  米山 隆一君     篠原  孝君

  赤羽 一嘉君     中川 宏昌君

  田中  健君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     古屋 圭司君

  金子 恵美君     階   猛君

  篠原  孝君     重徳 和彦君

  中川 宏昌君     赤羽 一嘉君

  浅野  哲君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  重徳 和彦君     米山 隆一君

  田中  健君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野  哲君     田中  健君

同日

 第五分科員吉良州司君及び第八分科員山口晋君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

上野主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎分科員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとでございます。

 連日、予算委員会、皆様、大変お疲れさまです。今日は二日目ということで、トップバッターを務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 なお、私がこれから行う質問に関しましては、全て政府参考人に御回答をいただきたいと思いますので、齋藤大臣につきましては、御退室をいただいて構いません。

上野主査 それでは、齋藤大臣におかれましては、御退席をお願いいたします。

川崎分科員 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 私がこうして第七分科会で質問をさせていただくのは、ちょうど一年ぶりになります。昨年も質問をこの第七分科会でさせていただきました。今日は、第一問目につきましては、その前回のフォローアップの意味も込めて質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元の伝統産業、伝統工芸品でございます万古焼についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、この質問をするに至っての背景を共有させていただきたいと思います。

 私の地元、四日市で作られている万古焼につきましては、大変割れにくい土鍋ということで、たくさんの方々から愛されている伝統工芸品になります。コロナの時期には、キャンプブームもあり、土鍋で作ったダッチオーブン、こうしたものも大変人気を呼びました。

 しかしながら、この万古焼については、その原料にペタライトという鉱石が使われております。このペタライト、実は日本では採取ができないものになっていて、今はジンバブエ、こちらの国の鉱山を採掘して、そしてそこから輸入をしている、こういうものになっております。万古焼を作る上でこのペタライトは欠かせない、こういうものでございますけれども、実は、この採掘会社が中国の企業に買収されてしまった。それによって、現在、ペタライトが全然輸入されない、こういう深刻な状況になっています。

 一方で、昨年質問をさせていただいた状況と今大きく変わるのが、昨年、ちょうど二月に質問をさせていただいたときは、コロナはまだ二類の状況でした。これが五類に変わって、世の中の動きが大きく変わりました。私の地元の伊賀市では、窯出し市、これを五月に開催をしたところ、四年ぶりということもあって、大変大きな反響を呼んで、市内外から本当にたくさんの方々がいらっしゃいました。

 これは市内外だけなので、実はまだ中国のインバウンドというのはないんですね。先日、私の地元でしだれ梅の庭園があるんですけれども、このしだれ梅の庭園が、中国のまさに放送で取り上げたい、中国の国際放送でこれを特集したいということになりました。こういう特集がされると、ますます日本に対して中国の方がまさにインバウンドとして訪れる。そうしたときには、是非、この伝統工芸品である万古焼にも注目をいただきたい、買っていただきたい。まさに、コロナ明けに産業が復活するチャンスになっています。

 こういう状況において、チャンスは転がり込んできているのに原材料がない、だから作れない、売るチャンスがない、こういう状況になってくるというのは非常にまずい状況だと思っております。

 ですので、まず一つ目は、昨年聞かせていただきましたけれども、あそこからまたどういう状況になったのか、ペタライトの鉱石の現在の確保状況についてお伺いをしたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、土鍋に用いられるペタライトにつきましては、主にジンバブエから輸入されているところでございますけれども、そのジンバブエの鉱山運営会社の経営権が中国企業により買収されたことにより、従前の輸入ルートによる調達が困難な状況になっておりまして、その後も、日本向けの輸出の再開がどうなっているのかという状況をつぶさに見てまいりましたけれども、具体的な進展がない状況というふうに聞いております。

 こうした状況の中、先生の御地元の、土鍋の国内生産量のシェア八割を占める三重県の万古焼の事業者はスポット取引でペタライトを買い付けておる、こういうような状況でございまして、現状、年内に必要となる量は確保される見込みというふうに聞いてございます。

川崎分科員 ありがとうございます。

 残念ながら、一年前と状況が変わっていないということですので、これはすぐにでも改善するべく、また新たな手を少し考えていただきたいなというふうに思います。

 先ほど、質問の御回答で、年内は何とかもつだろうということでございましたけれども、我々の、今、日本の経済状況というのは円安の状況でもありますので、海外からのインバウンドはますます増えてくるというふうに思っています。なので、この計画もそれどおりにいくかというと、ちょっと不安がございます。

 やはり、しっかりとしたペタライトの輸入、これを行っていかなければならないというふうに思っているんですけれども、今後のペタライト鉱石の安定した入手計画みたいなものは経済産業省の方で御計画いただいているのか。また、この部分に関して、今、三重県、地元でも新たな代替材料がないかなどの研究もしていますけれども、そうしたところも含めて、経済産業省としてどういうバックアップを考えられているか、これを教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 ジンバブエからのペタライトの輸入につきましては、従前安定した輸入をしておったルートからの調達が困難となっておりまして、現在、スポット取引で調達しておりますので、安定的な調達のめどというのは現況立っていない状況でございます。

 こうした中、対応策といたしまして、まずは、駐日ジンバブエ大使館を通じまして、日本へのペタライト輸出再開のため、現地政府関係機関への働きかけを行うということと、それから、ペタライトの調達多元化に向けたジンバブエ以外の産出国からの情報収集及びその提供、また事業者への鉱山情報の提供といったもの、また、三重県の工業研究所と産業技術総合研究所の連携によるペタライトの使用量抑制に向けた技術開発支援など、様々な支援を行ってまいりたい、このように考えております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 今、御回答をいただきましたけれども、なかなかジンバブエ一択では、これから先、しっかりと輸入することが困難だという状況の中で、まず一つは、違うところからしっかりと採掘しようということなんだと思います。

 今、私の聞いている範囲だと、例えばカナダとか、こうした国が代表として挙げられていますけれども、これ自体も、いざ掘れるようになってから実際に製品に使うまでは相当な年数がかかるというふうに聞いています。なので、まずそこで年数がたってしまう。加えて、海外との交渉にも当然時間を要するので、なかなか即効性があるわけではないというふうに思っています。

 今、現状、在庫と、あとスポット輸入で何とかしのいでいますけれども、やはりここは一気にドライブをかけていかないと、なかなか伝統産業というのは守れないというふうに思っておりますので、海外の部分での新規鉱山開発に対して、かなり力を入れていただきたいなというふうに思います。

 加えて、先ほど御説明ありましたけれども、三重県の研究所においては、多分、ほかの他県よりもかなり知見がたまっている状況だというふうには理解はしていますけれども、実は、この三重県の研究所の設備というのは、そう新しくはない、どちらかというと古い設備になっております。なので、ここもしっかりと研究ができるように、経産省としても後押しをしてほしいというふうに思っております。

 最後は、このペタライトについて、では、いざ輸入ができるようになったとしても、やはり海外から輸入をする、どこの国か分からないですけれども、輸入することになると、当然ながら輸入のコストがかかる。ましてや、今は燃料高でございますから、このコストに対して相当な御支援をいただきたいというふうに思いますし、かつ、なかなか手に入らない鉱石、貴重な品でございますから、価格もかなり高騰してしまうんじゃないかというふうに思っています。当然ながら、土鍋というのは御家庭で使われるものでございますので、御家庭の手の届かない値段に設定されてしまうと、なかなかこれは販売に対して大きな足かせになってしまいます。

 予想されるこの価格高騰に対して経産省としてはどのような対応ができるのか、これを教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、ペタライトの調達価格が高騰しておるという認識を持っております。

 原材料価格の高騰にも負けずに陶磁器産業が力強く発展していくためには、例えば、国内需要の拡大と同時に、海外需要も取り込んでいくといったような取組が重要であろうか、このように考えております。

 このため、経済産業省では、海外展開に積極的に取り組む事業者を支援するために、新規輸出一万者プログラムにより、輸出商社とのマッチングや海外ECへの出展支援などを実施しており、これらの活用も考えられるところと認識いたしております。

 経済産業省といたしましては、引き続き、原材料価格や製品価格の高騰の状況を注視しつつ、産地の事業者に寄り添いながら、地場産業の振興、発展に取り組んでまいりたい、このように考えております。

川崎分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 今日は陶磁器議連の会長の古屋議員もいらっしゃっております。私も陶磁器議連のメンバーとして、しっかりと地元産業を支えていきたいと思いますので、これは経産省からも本当に力強い後押しをお願いしたいと思います。

 それでは、二問目に参りたいと思います。

 スタートアップと地方の担い手とのマッチングについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、たくさんのスタートアップ企業が誕生しております。このスタートアップ企業、ほとんどは、地域の課題を解決したい、こういう熱い思いで地域に足を運んでいただいて、そして、様々な地域の方々とコミュニケーションを取り、何が課題になっているかを把握して、そして課題解決のために研究開発を進めてくれている、こういう状況になっています。

 一方で、地方の中小企業や、例えば農家、こうしたところは、解決してほしい社会課題がたくさん山積する中で、これを解決してくれるソリューションを持っているスタートアップの存在というのに気づかないんですね。どこに問合せをしていいか分からない、こういうような状況になっています。

 具体例を申し上げますと、私は今、自民党の青年局という、四十五歳以下の若手議員で構成された青年局の中で団体部長というものを拝命しております。この団体部というのは、自民党青年局と、そしていろいろな業界団体の青年部の方との意見交換をしながら、お互いで課題解決し合おう、こういうような会でございます。

 先日は、全国管工事業協同組合の連合会の青年部の方々と意見交換をさせていただきました。この青年部の方々は、今回の能登震災で現地まで赴いていただいて、そして水道管を補修する、こうした作業を日夜やっていただいております。何に苦労されますかと聞くと、どこで漏水しているのかを把握するのがすごく大変だ、ここに相当な労力がかかるというふうに言われました。

 私は直接現地に行ったわけではないですけれども、実際に写真を見させていただくと、本当に地面の起伏が激しくて、水道管が出ている、あるいは奥まったところに入っている、こうした状況を確認をさせていただいております。この中で漏水している箇所を見つけるのが相当大変だ、こういうような御意見をいただきました。

 このときに、我々議員の中には、最近のスタートアップで、衛星から電波を飛ばして、そして漏水箇所を把握できるような、こんな仕組みを開発したスタートアップさんがいるけれどもどうですか、こんなアイデアを出させていただいたところ、彼らからすれば、そんな企業があるんですか、そんな技術があるんですか、知らなかったです、こういうような形になってしまう。

 つまり、地元の、本当に、解決してほしい、ソリューションが欲しいと言っている人たちにとって、このスタートアップの研究というのがなかなか響いていない。要は、響いていないというか、気づいていないというものが多いんですよね。

 なので、私は、このマッチングをさせるというのはすごく重要な取組なんだというふうに理解をしているんですけれども、現状、経産省の方でこうしたマッチングに関する仕組みというのはあるんでしょうか。お伺いいたします。

菊川政府参考人 今委員の方から御指摘ありましたスタートアップですけれども、まさに新しい技術でありますとかアイデア、こういったものを用いて地方の社会課題をきめ細かく迅速に解決していく存在として期待もされているんだろうというふうに認識しております。

 例えば、今御指摘がありました能登半島地震においても、ドローン搬送で物資を搬送したり、また、使用した水を再生利用するということで、まさに水道管のお話がありましたけれども、シャワーとか手洗いを、水の循環をさせることによって水不足を解消する、こういうスタートアップ、こういったものが実際の被災地で復旧復興の助けになったとも現地の方から聞いているところでございます。

 また、御地元の三重県におきましても、デジタル技術を活用して観光プロモーションをやるようなスタートアップでありましたり、観光地、まさに先ほど四日市のお話がございましたが、混雑状況について、リアルタイムでどこが混んでいるかということを配信するようなスタートアップ、こういったものが御地元でも御活躍されているというふうに聞いております。

 また、こういったスタートアップ、また地元の取組を支援するために経産省としてどういう取組かという御質問でございますが、例えば、昨年四月ですけれども、地方自治体と産官学の関係者が集まってインパクトコンソーシアムを金融庁と一緒に設立をさせていただいたり、また、これも昨年、これは四月ですけれども、スタートアップと政府、地方自治体との連携促進に向けて、こういった事例集ですけれども、地方自治体とスタートアップが連携していますよということを広く知っていただくための、こういった事例集を公表するということをやってございます。

 ただ、こういった取組は、あくまで地域の行政課題にとどまった解決対応ということでございますので、委員の御指摘のあった地域の企業、農家さん、こういった地域の企業とスタートアップのマッチングをもっとしっかり進めていきたいというふうに思っております。各経済産業局、地方の各経産局がそういったマッチングの場を提供はしておりますけれども、今般の委員の御指摘を踏まえまして、より一層の取組を検討してまいりたいと思います。

川崎分科員 ありがとうございます。

 今御回答いただきましたけれども、行政の課題に対する課題解決のためのスタートアップ、どういうところがあるのかというのはカタログ化してあるということですけれども、例えば農家とか、先ほど私が申し上げたような観光地とか、こうしたところにはなかなかそこの部分がまだしみ渡っていないというふうに思っています。

 今、こうしてDXの時代を迎えて、様々な検索方法があります。例えば、グーグルなんかでいうと、GeminiというAIが検索システムに入れられました。こういう課題を解決してほしいというようなキーワードを入れれば、AIがちゃんと生成してくれる、答えを出してくれる。ただ、その答えの参照元はどこかというと、やはりこれは、経産省のホームページなどが一番参照元としてはいいんだというふうに思います。是非、こうして事業者の方々が検索しやすい仕組みというのを構築してほしいというふうに思います。

 私自身も、実は、地元で耕作放棄地がすごいたくさんあるような状況で、この耕作放棄地がどれくらいたくさんあるのかというのを調べる方法というのが、実は今、人海戦術だというのを聞いて驚きました。農業委員の方々が、暑い夏の中で、どこが耕作放棄地になっているかというのを一件一件見に行くと。

 ですが、今、スタートアップの方の力をかりると、これも先ほどと同じように、衛星から、その土地が耕作放棄地なのか、あるいはどんな作物を作っているのか、これが分かるというような状況になっていますけれども、こういうことをしっかりやっていくに当たって、地方自治体は千七百もあるので、スタートアップの方々も、一社一社営業に行くのは当然難しい話になりますし、自分の地元の近くなのか、あるいは遠くでやっているのか、そういうような状況も分からないというふうな状況になっていますので、やはりマッチングの精度はしっかりと高めていただきたい。是非、AI、検索システムを構築いただくようなことをお願いしたいというのが一点。

 もう一つは、今回の令和六年度の予算の中で、よろず支援拠点に対する予算というのをかなり多めにつけてくれているんだと思います。これはやはり、地元の企業がしっかりと、政府が用意してくれた支援策、現状ある補助金だとか助成金だとか、こうしたものを使いやすくするために、何か相談できる窓口というのをよろず支援拠点として設置いただく。そして、これが、今でもよろず支援拠点はありますけれども、更にパワーアップをしてもらう。こういう形で予算を組んでいただいているというふうに理解をしておりますけれども、そのよろず支援拠点も、ただ単純に、助成金とか補助金はこういうのがありますよということだけでなくて、そういう課題解決なんだったらこういうスタートアップさんを紹介しますよという、まさにここもマッチングの機能が持てるというふうに思いますので、是非そういうところもお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、三問目に移らせていただきたいというふうに思います。

 三問目については、GXの関係で質問させていただきます。EV車、電気自動車の普及についてお伺いをいたします。

 現在、GX、カーボンニュートラルが叫ばれる中で、私の地元にもホンダの会社がありますけれども、ホンダやトヨタがEVに注力をしているというふうな状況になっています。

 EVの購入に際しては、やはり考えなければいけないのが充電ステーション、この設備がちゃんと普及しているかどうかというのが重要なポイントになってきます。私のように三重県にいると、もう本当に一つの区間の距離がかなり長いので、やはり、ちゃんと充電ステーションがきちんと用意されているか、これはかなり重要なポイントになってくるんですね。いつバッテリーがなくなっても充電できるようにする、こうした安心した環境をつくらなければならないというふうに思っています。

 一方で、これはどんどん増やしてほしいは増やしてほしいんですけれども、例えば、これを設置いただいているディーラーとか、あるいは最近ではコンビニなんかでもこの充電ステーションがありますけれども、これは実はかなりコスパが悪いというふうに聞いています。単純に、設置するのにイニシャルコストがかかる。それだけでなく、置いておくだけでも実はランニングコストというのがかかっている。なので、しっかりこれで充電をしてもらわないと、むしろ宝の持ち腐れになってしまう、こういうふうな状況になっています。

 ましてや、ディーラーの中では、自分の今ある駐車場の区画の二つ、三つを充電ステーションにすると。そうすると、通常のガソリン車を止めるスペースというのが当然逼迫されるわけですから、なかなか、ここで渋滞が起きてしまうというような状況にもなっています。こうした一抹の不安を抱える自動車ディーラーにとって、やはり明るい未来を示してあげるというのが政府としての重要な役割なんだというふうに思います。

 具体的に申し上げれば、EVはこういう形で普及促進を進めるので、ディーラーさんも安心して充電ステーションを設置してほしい、そして、この設置に当たってのコストについてはこういう面倒を見るから是非やってほしい、こういう力強い御回答が欲しいというふうに思っています。

 具体的に、EVを普及させる上で、経産省のお考えをお聞かせください。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車分野のカーボンニュートラルに向けては、多様な選択肢の追求が基本方針でありますけれども、EVにつきましては、日系メーカーがグローバルEV市場での競争に勝つためにも、まずは国内市場を早急に立ち上げることが必要というふうに考えております。

 この市場の立ち上げに当たりましては、車両の普及とインフラの整備は、いわゆる鶏と卵の関係にあるというふうに認識しておりまして、充電インフラが十分にないことがEV購入をためらう主な原因となる一方で、EVが普及しなければ充電インフラへの投資が進みにくいということでございます。したがいまして、電動車の普及と充電インフラの設置を同時に進めていくということが重要と考えております。

 このため、政府といたしましては、令和五年度補正予算と令和六年度当初予算案を合わせて、車両の購入支援に一千二百九十一億円、充電インフラの整備支援に約三百六十億円を計上いたしたところでございます。

 これまで先行的に整備した充電インフラが生きてくるのは、これからが本番と認識しております。政府としても、支援措置を活用しながら、電動車の普及と充電インフラの整備を、まさに車の両輪として推進してまいりたい、このように考えております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 鶏と卵になってしまうということは経産省の方々も理解いただいていると思いますので、同時に進めると。

 実は、一問目のジンバブエのペタライトの話につながってくるんですけれども、何で中国企業がペタライトの鉱山の採掘会社を買収したかというと、実は、ペタライトから取れるリチウムという、まさに電気自動車のバッテリーの心臓となるこの電池の原料を手に入れるためにペタライトというのを大量に買い込んだ。中国は、それだけEV自動車にもう思い切りかじを切っているという勢いを感じます。日本も是非、負けず劣らずの勢いをしっかりと出していただきたいというふうに思います。

 あとは、EVの購入についてもしっかりと支援をしなければいけないと思っているんですけれども、当然、経産省の方でも購入に当たっての支援はいただいているものの、加えて、各地方自治体でもそれぞれ支援をしているというような状況になっています。東京だと随分高い金額の支援を行っているんですけれども、地方によって、実はこの支援の金額というのはばらばらになっていて、何でこんなことが起きるかというと、やはりこれは税収に響いてくるんですね。東京や大阪のように税収がいいところは、しっかりと購入支援ができる。

 だけれども、実は、自動車を使って産業やあるいは日頃の生活を行っているのはやはり地方なので、地方の方にこそ、しっかりとEVを普及できるような仕組みというのをこれからも考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、賃上げについて質問させていただきます。

 まさに岸田内閣の目玉である賃上げ政策。まさに二月、三月は春闘の時期、いろいろな会社が賃上げに対してかなりプラスのお考えを示していただいております。

 こうした状況において、地元からは、実はこんな声があります。担い手不足はかなり昔からある、だから、そのために、実は我々はもう随分以前から段階的に賃上げをしてきた、こういう状況において、そこの過去頑張ってきた部分というのは一切見られないんですかと。要は、過去に頑張ってきた企業に対してもインセンティブ設計というのは何かないですかというふうな御質問をいただきました。

 これは純粋に、そういう政策というのは何かあるのかという本当に純粋な質問でお伺いをしたいと思います。

菊川政府参考人 賃上げでございますけれども、三十年ぶりの高い水準の賃上げということで、一過性のものにしないで、持続的に賃上げをしていかなきゃいけないというふうに認識しております。

 その上で、これまで賃上げを頑張ってきたんだということで、他方、例えば、今年は業績の悪化がたまたまあったりして、今回の例えば賃上げ税制なんかで対応できないというような企業があるということも承知はしております。そういった企業の賃上げを後押ししていくことは非常に重要だろうというふうに思います。

 今回の賃上げの促進税制、これは改正におきまして、例えば、これまで二年間、措置期間というものがあったわけですが、これを三年間ということで延ばしまして、もう少し中長期的に企業の対応ができないかということで措置期間を延ばしたということが一つございます。そういうことで、時期的に業績に波がある企業によっても、この税制によってインセンティブを受けやすくするということがございます。

 また、中小企業、ここについても、非常に今回充実をさせた税制を取り組んできたわけですけれども、例えば、前例のない長期となる五年間、繰越期間を設ける。これは前例のないことでございますけれども、赤字であっても五年間繰越しが求められる、一時的に赤字であっても将来その税制の恩恵が受けられるということで、赤字でも賃上げに挑戦する中小企業を後押しするということで強化を行っております。

 また、この税制は過去からもやっておりますので、過去の賃上げに対しては、過去の賃上げに今対応するということは、これはなかなかちょっと難しい、税制の仕組み上難しいんですが、今申し上げたような措置を今回設けることによって、業績変動がある中小企業に対してもしっかりと対応していきたいというのが一点。

 そしてまた、賃上げの原資をしっかり確保できるように、労務費を含む価格転嫁の促進でありますとか、省力化投資の生産性向上への補助金等の支援、こういったところについても併せて取り組むことをしていきたいというふうに思っております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 過去の賃上げしてきたよという部分に対してインセンティブを設けるというのは、なかなか難しいというふうな理解を私もしております。その分、これから先の未来の部分に関しては、本当に経産省からの強い後押しをお願いしたいというふうに思います。

 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問に入らせていただきます。

 IOWNのサポート体制についてお伺いをいたします。これは経産省そして総務省にも御質問させていただきたいというふうに思います。

 先般、経産省は、IOWNに対して四百五十億円もの支援を行うということで発表がありました。まず、その狙いについて経産省にお伺いしたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 生成AIの登場などで情報処理が非常に増大してまいりますので、電力消費が増えてまいります。これに対応するためには、省エネ技術のテクノロジーで解決していく必要がございますので、半導体チップの性能向上に加えて、IOWNのような光技術の活用による電力消費の低減というのは非常に重要になるわけでございます。

 この技術は、経済産業省で策定した半導体・デジタル産業戦略においても、将来のゲームチェンジ技術として、中核事業の一つとして位置づけているものでございます。

 引き続き、経済安保上重要な半導体製造基盤の確保とともに、光電融合を含めた最先端の研究開発を強力に後押しすることで、我が国の半導体産業の復活につなげてまいりたいと考えております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりなんです。このIOWNという技術は、ゲームチェンジの大きな商材になるというふうに思います。ですが、日本という国は、いいものはたくさんつくれる、めちゃくちゃ質のいい製品はつくれるんですけれども、実は、これを販売するというところに関してはすごく弱いというふうに思っています。

 ナンバーワンの売れない製品よりもナンバーツーの売れる製品の方が当然ながら好まれる、こういう状況になっていますので、決していいものを開発するだけじゃなくて、それをしっかりと利用してもらう、ニーズに応えるというところをやっていただきたいと思うんですけれども、この部分に関して、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

上野主査 申合せの時間が過ぎておりますので、終わっていただけますか。済みません。

川崎分科員 はい、もうこれで……(発言する者あり)

上野主査 じゃ、簡潔にお願いします。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 総務省におきましても、IOWN構想の基盤技術であるオール光ネットワーク技術に対する支援というのを行っておりますが、この研究開発の支援に関しましては、従来の技術的な評価のみならず、研究開発計画と一体となって事業戦略についても評価をさせていただきまして、海外市場の開拓、獲得に向けてしっかり取り組んでいただく企業の取組を支援をしております。

 加えまして、令和五年度補正予算におきまして、海外市場の開拓に必要となる国際標準化活動の支援、あるいは、ビヨンド5GにもつながるオープンRANあるいはオール光ネットワーク対応の光伝送装置といった我が国の企業が強みを持つ研究開発成果の国際展開活動の支援に必要な予算も認めていただいたところでございます。

 総務省としましては、こういう取組も加えまして、海外市場の開拓に組織が一丸となって取り組む企業に対しまして、標準化あるいは国際展開といった研究開発とその成果の普及に関連する取組についても一体的かつ効果的に支援を行う形によりまして、我が国企業によるビヨンド5G市場の獲得につなげてまいりたいと考えております。

川崎分科員 ありがとうございます。

 時間をオーバーして申し訳ございません。質問を終わります。

上野主査 これにて川崎ひでと君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原(孝)分科員 おはようございます。

 齋藤大臣、遅ればせですけれども、三度目の大臣就任、おめでとうございます。私、大臣は一度もやっていないんですけれどもね、残念ですけれども。羨ましい限りです。

 今日は、原発の関係を中心に質問させていただきたいと思います。

 能登半島の地震でいろいろなことを心配されましたけれども、日本国民の大半の人たちは、よかったというか、知っていると思うんです、珠洲に原発がなかった、志賀原発が動いていなかったと。動いていなかったから。あれが両方とも動いていたりしたらどうなったのか。みんな震え上がったんじゃないかと思います。それだけ皆さん、三・一一、二〇一一年の福島第一原発の事故の恐ろしさを知り尽くしている、二度とそういうことがあってはならないということで。まあ、偶然が重なって、心配だけで済んだんですが。

 余り日本のマスメディアはこの件について報道していないんですけれども、大臣はそれをどういうふうにお感じになったか。私は、幸運に恵まれて事故にならなかったと。特に、珠洲、新潟県の巻原発も住民運動で反対してできませんでしたけれども、あの人たちは、ああ、よかったと安堵したんじゃないかと思いますけれども、この件について、どのように思っておられますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 一九七〇年代から二〇〇〇年代にかけて、御指摘のように、珠洲原子力発電所の計画がありました。その計画については、当時の電力需要の見通しや発電所用地確保の見通しが立たなかったということなどの理由から、実施主体である事業者が計画凍結を総合的に判断したものと承知をしています。

 その上で、具体的な建設や安全審査等に向けて動きがあったわけでもありませんので、仮に建設されていたら皆さんはどう思っただろうかという仮定の質問にはちょっとお答えのしようがないなと思います。

 また、志賀の方につきましては、先般の原子力規制委員会において、志賀原発については原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原発についても安全確保に影響のある問題は生じていないという見解が示されています。

 仮に動いていたらという仮定の御質問でありますし、また、原子力発電所の安全性につきましては原子力規制委員会が判断するものでありますので、私からコメントをするのは適切ではないかなというふうに思っています。

 いずれにせよ、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原発の再稼働が認められることはないという政府の方針、これは変わりません。

篠原(孝)分科員 後でお話ししますけれども、安全で、規制委員会、大事だと思いますけれども、その前に、原発の存在そのものが私は危ういんじゃないかと思っているんです。

 能登半島に群発地震がありましたね。松代群発地震というのを、覚えておられる方は余りいないし、実地体験された方はもっと少ないと思いますが、私は高校二年から三年にかけて木造の校舎が揺れっ放しでした。私はちょっと乗り物に弱くて酔ったりするので、だから気持ち悪くなったんですね。そのうちに慣れましたけれども、あれは二、三年続きました。その頃は原因が分からなかったんですね。今だって本当の原因は分からないんだろうと私は思いますけれども。

 大臣や関係者の皆さんは御存じだと思いますけれども、地震については、プレートテクトニクス理論というのができて、あれは一九六〇年代なんですよね。私は、実は、アメリカに留学させていただいたときに、ワシントン大学、シアトルにあるユニバーシティー・オブ・ワシントンの海洋総合研究所というところに行ったんです。そこで初めて、スコープ・アンド・コンテンツ・オブ・オーシャン、そういうタイトルで、海の問題を全部ばあっと議論するところに学者が来て、集中講義ですけれども、一週間やった中にそれがあったんです。

 これは皆さん御存じかどうか。みんなパズルみたいで、アフリカと南米をくっつけたら一緒になるんじゃないかと。あれは単純な議論。そこから思いついて、それで実際に調べてみたら大陸が動いているというのが分かった。それで、ひずみがあってと。

 僕はずっと、フィリピンプレート、太平洋プレート、北米プレート、ユーラシア大陸プレート、それがひしめき合って、日本アルプス、長野県の高い山ができ上がったと。だから、よく分からないけれども、素人で考えていたんですけれども、その四つのプレートがひしめき合ったりして、何か押しこくられて、そして長野県がちょうどそういう真ん中にあるのでぐらぐら動いていたのかなと。だけれども、分からない。

 ところが、その後、能登半島にもあって、同じだなと。よく松代群発地震が出てきました。しかし、原因が違うというので僕はフォローしていたんです。これは御存じだと思いますけれども、ちょっと違う、何か地下の水が動いているというんですよね。地下の水が動いていて、そして、それがいろいろなところに影響を与えて動いているんだと。地下の構造なんて分からないんですよね。

 そういうことからすると、今まで原子力規制委員会の安全性というのは、活断層、断層、そこに集中的に、ほかのものもあるんでしょうけれども、重点を絞ってやったけれども、今度の地震を考えたら、水のことを相当検討しなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 私が知る限り、私はもう一つ、シアトルにもいましたけれども、中西部のど真ん中のカンザス州に。オクラホマ州で、オクラホマはカンザスの南です、そこでシェールガスを採掘する。水をばんばん入れて出すんだそうで、どういうふうにしているのか知りません、それでガスを掘削というか地表に出す。その水が悪さをして、そして、あんなところで、アメリカのあの大平原のところに地震なんてほとんど起きないんですね、ヨーロッパ大陸もそうですけれども。それが物すごい頻発するようになった、地震が。今まで地震なんかなかったのに。それはどうしてかというと、水が岩盤のところへ入って、それでずれる。そういう記事があったんです、大分前に。

 それと同じことが、そのときは気がつかなかったんですが、今回の地震で、同じように、水が悪さをして岩盤のところの間に入って、そして、潤滑油みたいになるわけですね、水が入るから。ぬるぬるしているから。それでずれて地震が起こったということです。

 ですから、私は、今後はこの点を相当、また安全性基準の中に入れなくちゃいけないと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。大臣と規制委員長、どちらでもいいんですけれどもね。

齋藤(健)国務大臣 まず、先ほども答弁しましたけれども、先般の原子力規制委員会においては、志賀原発については原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原発についても安全確保に影響のある問題は生じていないという見解が示されました。その上で、原子力規制委員会は、今回の地震に関する知見を収集し、新規制基準への適合性審査を受けている志賀原子力発電所についてはその知見を反映して今後審査を行うという方針であると承知していますので、それ以上、技術的なことはちょっと私の方から答弁は差し控えたいと思います。

山中政府特別補佐人 補足をさせていただきます。

 原子力発電所の敷地及び敷地周辺の活断層につきましては、詳細な地質調査等の結果に基づきまして活断層を抽出して地震動の評価を行っております。

 その上で、今回の能登半島地震につきましては、地震調査研究推進本部等の関係機関において調査検討が進められていると承知しております。それらによって得られた知見につきましては、原子力規制庁が公開で実施をいたします技術情報検討会の枠組みの中で収集して検討することとしております。

 なお、御指摘のございました地下水の影響につきましても、学会等の場で今後議論がなされていくものと考えておりまして、その議論の推移については原子力規制委員会も注視しているところでございます。

篠原(孝)分科員 是非そうしていただきたいと思います。新しい知見が次々出てくるので。危険なので。

 今の断層もそうですけれども、今回の断層は、陸の方の断層は分かるんですが、海の方はなかなか分からない。海までずっとつながっていた、それで大きくなったというふうに聞いています。だから、日本は断層だらけで、火山国でどうしようもないので、そこのところは本当に考えなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 これは質問というか、もう資料でお渡ししてあるので見ていただいてもいいんですが、大臣が御存じかどうか。アメリカには百基原発があって、そのうちの何基がロッキー山脈の西側にあるか。もう資料をお示ししたので、この件は御存じでしたか。知っていますか。この事実を国民に知らせなくちゃいけないと思うんですけれども、大臣、どうですか。

齋藤(健)国務大臣 事前の委員への事務方の御説明の中でこの話があったということですので、それで勉強したということですが、IAEAのデータベースによりますと、米国全体で九十三基の原子力発電所が稼働しておりまして、このうちロッキー山脈より西側では六基が稼働しているというふうに承知をしています。

篠原(孝)分科員 IAEAの資料もあるんですけれども、百じゃなくてもう九十三に、廃炉になったりしているものもあるんでしょうけれども、最新のもので日本原子力産業協会の、米国西部地域の原発、これを見てみますと、この間にロッキー山脈があるんですけれども、二基だけだと思うんですけれどもね。

 要するに、みんな、地震が起きない。今オクラホマ州なんかでは地震が起きているというけれども、大した地震じゃない。震度二とか三ですよ。

 何でないか。何でないかというと、単純なんですよ。地震があるからだ。地震はもう防ぎようがない。いつ起こるか分からない。

 だから、原発が百基もあって、今九十三基に減っていますけれども、西海岸にはほとんどないんです。何でかというと、環太平洋の火山帯、地震帯で、地震ばかり起こる。特に日本は地震の大国で、どうやって数えるのかは知りませんけれども、世界中の地震の三割近くが日本で起きている。

 次の資料、三ページ目の資料をちょっと見てください。

 私、高レベル放射性廃棄物等の最終処分に関する議員連盟の事務局長をしているんです。オンカロとかああいうところ、大体行っているんですよ、みんな。原発推進派の人もいるし、私のように駄目だという人もいて、どっちにしろ高レベル放射性廃棄物の処理は必要なんですね。それで、仲よく議論をしながら行っているんです。結構お金がかかるんですけれどもね。

 このときも行ったので、見てください、これは両隣がもう引退された富田茂之さんと増子輝彦さんです。河村建夫さんが、三党の共同議長がいまして、私が事務局長で行っているんです。ローレンス・バークレーというUCバークレーの研究所に行きました。

 そこの地質学の先生のところに行っていろいろ議論を聞いていたら、その先生がいろいろまくし立てました。だけれども、こんなところで聞いているよりここに行けといって連れていかされたのが、もちろん本人じゃなくて助手だか助教授だか若い人が連れていきました、一九〇三年の、カリフォルニアの大地震で動いたサンアンドレアス断層。これはそんなに、ヨセミテ公園とかそういう有名なのじゃなくて、何かサンフランシスコの、どこへ行ったか分かりませんけれども、結構時間をかけて行ったと思いますけれども。

 それで、これはちょっと余りいい写真じゃないんですけれども、左側が牧場の柵です、白いのが。右側の方の木の間にあるのも柵なんです。六メートルずれたというのを、これをみんなに知らせるために、ここのところをこういう形にして残してあるわけです。これだけひどい地震だったんだと。

 教授が言われたのは、日本には原発などあってはいけないんだ、こういうことが起こるんだ、分かるかと。よく知りませんけれども、プレートが動いて、プレートテクトニクスで動くのは数十年から数百年で起きると言われているんですね、こういうのでは。それで、断層地震は百年から千年の期間で起きると。だから、プレートの方のが起きるので、これはプレートによる押しくらまんじゅうでできたんですけれども、今まで福島第一原発のような事故が起きなかったのが不思議なぐらいなんだと言うんです。だから、話を聞くよりも行ってみろと言われて僕は行ったんです。これが厳然たる事実だと私は思います。このことをちゃんと認識していなくちゃいけない。

 西海岸にちょっとしかない。あれだけ広いんです。西海岸は、ワシントン州、それからオレゴン州、カリフォルニア州までいったら日本の何倍あるんですかね。何倍もあるでっかい広いところで原発が、さっき大臣は三基と言われましたが、まあ、三基でも二基でも、ちょっとしかない。だから、恐ろしくて造らないわけです。日本には原発の適地はほぼない。

 それで、一ページ目の表を見てください。これは、結構手間がかかっているのは、役所の皆さんに作ってと言ったら、そちらで作ってくださいと何か冷たくて全然作ってくれないので、私の事務所で一生懸命つなぎ合わせて作ったんです。どういうリクエストをしたかというと、最近百年間のマグニチュード七以上の大地震被害と、そして地震の原因。後でよく見てくださいね、これ。そして、被害の概要、人的被害を受けたもの。北海道が抜けたのは、人が余りいないので、人的被害が少なかったので。ここに書いたんですけれどもね。

 要するに、ここを見てみますと、相当な頻度で地震が起きているんです。そして、大事なのは右で、これは分からないんですけれども、その近くにある原発はどれかというのを書き出したんです、近くにあって危うくなりそうなものを。分かりますね。関東大震災は東海と東海第二だと。それから、北丹後、日本海の。これだと敦賀、美浜、大飯、高浜。

 こういうふうにやっていくと、よく見ると分かるんですが、今まで百年間、大地震に遭遇しなくて済むような地域にあるのは、泊と大間と島根と伊方と玄海ぐらいしかないんです。みんな、大地震がいつ起きてもおかしくない地域にあるんですよ。これはもう僕は駄目だと思うんですね。だから、動いていなかったんです。

 じゃ、新潟県、新潟中越沖。新潟県の中越地震、中越沖地震、そして、その後長野県でも起きて、みんな十年置きに起きているんです。あれが何で起きているかというと、僕はよく分からない。そして、分かってきたんですけれども、一〇〇%明らかになっているわけじゃないですけれども、中越沖地震や中越地震や何かのときも、それから長野の新潟県境地方も、三連チャンで十年ごとに起きているんですよね。やはり地下水が動いていたんじゃないかと今言われ出しているんです。同じだと。そして、小さな活断層があって、でかい活断層ではなくて小さな活断層が、一つのところが動いたら、はずみでほかのところにも行って動いて大地震になる。だから恐ろしいんです。

 だから、新潟県民も今、柏崎刈羽原発のことについて、一旦は、電気は電気料がこんなに高くなったからもう原発も仕方がないかというふうに、まあこれはちょっといいかげんだと思いますけれども、原発、しようがないというふうになりかかっていたのを、とてもじゃないが危なくてしようがないと。なぜかというと、液状化とかが出てきたり津波も来たし、これが能登半島じゃなくて新潟で起きたらどうなるかというふうになっているんです。

 ですから、もうプレートがこれだけ動いている。今まで研究とかそういうのはみんな太平洋側の、南海トラフの地震とかそっちの方にばかり重点が行っています。確かに、ここで見ても、日本海側は北丹後と福井地震と能登半島地震。ちゃんとやればもっとあるんだけれども、大体、太平洋側の方が多いんですよ。だから、太平洋側で大地震というのに、そっちの方に研究が相当行っていますけれども、日本海側も実はいっぱい起きているんですよね。だから、これは根本的に、安全かどうかという基準で私は見直さなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。

 いや、安全だった、安全だったと言っていますけれども、六メートルのずれとか言われて、今度、六メートルのずれじゃなくて、四メートルも隆起した。港が使えないというようになっているわけですね。簡単に言うと、めちゃくちゃですよ。そういう状況になっている。

 だから、今までのことと違って、みんな私は再点検しなくちゃいけないんだと。配管が壊れる、それから、海水を取り込んで冷やす、それもできない。相当、断層調査をきちんとしなくちゃいけない。海底の断層調査もして、陸にどれだけ動けているか。

 ただ、能登半島の北側、あれは真っすぐな線なんですが、あれは断層でできていると学者たちには分かっていたわけです。そういうのだから、あそこには断層があって、そしてそれが海にまで延びていて、一緒になってずれている。これはもう完璧にこういうのを見直さなくちゃいけないと思うんです、この安全性基準について。

 これは、山中委員長、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 敷地及び敷地の周辺の活断層評価につきましては、プレート間の動きによる地震のみならず、内陸地殻内の地震や海洋プレート内地震も含め、敷地に大きな影響を与えると予想される地震を複数選定をし、地震動の評価に影響を与える各種の不確かさを十分考慮していることを審査で確認をしております。

 新規制基準への適合性が確認された原子力発電所につきましては、現時点で運転停止等の必要があるような科学的、技術的な知見が得られていないことから、停止を命令することは考えておりません。

 原子力規制委員会としては、今回の地震によって得られた知見を収集いたしまして、新たな知見が得られた場合には、規制に取り入れる必要があるかどうか、必要があるとすればどのように取り入れていくのかについて適切に判断をしてまいります。

 得られた知見を規制に取り入れる場合には、既存の原子力発電所に対して新たに設けられた基準や新たな知見に対応するための措置を確実に行わせ、継続的な安全性向上が図られるように取り組んでまいります。

篠原(孝)分科員 次に、避難ですけれども、何か志賀町の町長さんは原発を今すぐ再稼働すべきだということを公約というか主張の一つにして当選された。ところが、新聞報道でしか知りませんけれども、びっくら仰天して、これはもう駄目だと。

 なぜかといったら、分かりますよ、五キロメートル以内はすぐ逃げるという。だけれども、逃げるといったって、道路が寸断されて逃げられない。四百人、八集落が孤立して身動きが取れなくなっている。じゃ、海からと。皆さんは覚えておられないかと思うが、三・一一のときは、結構漁船や何かで海から食料を運んだり水を運んだりしたんですよ。それができたわけです。陸路が駄目でも海から行けたんです。ところが、近づけないから海路も駄目だ。じゃ、飛行機で行く、航空自衛隊が救出してくれるか。だって、ヘリコプターで何十人も、そんなに運べませんからね。じゃ、屋内避難できるのか。それも、建物はほとんどがたがたになって、また余震でいつ潰れるか分からないから、建物の中になんかおれない。じゃ、放射能がそんなに線量が多くないところというのは。モニタリングポストが相当がたがきて使えない。がたがたですね。避難なんかについても、もう全く違ったことを考えていかなくちゃならないんじゃないかと。

 じゃ、今作るか。どこかというのは規制委員会がちゃんとやってくれる、作ったりしていくのは、電源がどこかというのは経産省と。委員長は、いや、自然災害については、避難計画は、避難計画までとは言っていられなかったですけれども、冷たく、そこまでは対応できないというようなことを言っていたんです。そういうふうな役所的なことじゃなくて、皆さん、全部自分で責任を持ってやるという気になって取り組んでいただきたいと思う。そうじゃないと、とてもじゃないが、ああいうところに住めない。原発のことについてどれだけ震え上がったかというのを、これをよく認識しておいていただきたいと思う。

 私は、我が党の立派な標語、居場所と出番のある、弱者もみんな幸せに暮らしていく、これはいい標語だと思いますよ。私は、原発は日本には居場所はないし、したがって、出番はないエネルギーだと思っています。いや、安全で云々だったらいいんですよ、いいんですけれども、ローレンス・バークレー研究所の地質学者の断言です、日本に原発はあってはならないんだと。私はひそかにそう思っていましたけれどもね。私は本当にそうだと思います。

 日本の安全、経済安全保障とかなんとかあって五年間で四十三兆円の防衛費を増やす、いいでしょう。だけれども、原発事故が例えば柏崎刈羽原発で起きたら、私の選挙区の栄村、野沢温泉村、飯山市は五十キロ圏ですぐなんです。雪のときだったら、雪は柏崎よりも長野の方が三メートルも四メートルも積み上がります。それはプルームで、吸い込んだ雪が長野県側にどさっと降って、もう人間は絶対住めなくなるわけですよ。飯舘村が雨で汚染されたのと同じですよ。我々のところにはそんな防御とか防御施設とかは何にもない。それは無責任だと思う。だから、なくす以外に私はないと思います。

 時間がないので、次。

 私は、去年まで経済産業委員会だったんですけれども、今回からはそうじゃないんです。最後の表をちょっと齋藤大臣に見ていただきたいんですけれども。

 ガソリン価格、高い高いと。私は、トリガー条項の凍結解除なんてとんでもないと思いますよ。世界中でCOP28を開いているさなかにそういう議論をしている。三党協議とか、よくそういうことをしているなと。これは世界の人が知ったら、もうフォッシル・オブ・ザ・デーなんですね、化石賞という。すぐ、日本が真っ先にもらうんです。これは火力発電所をやっているからですけれども。だけれども、日本のトリガー条項を変えて、ガソリン価格をもっと安くして、今までどおりガソリンを使ってもらうなんて、そんな制度だったら、それはフォッシル・オブ・ザ・アワーですよ。毎時間、化石賞をもらうことになると思う。

 これを見たらお分かりだと思いますけれども、右側を見てください、日本の位置。高い方から、小売価格は、OECD加盟国の下から四番目で三十四位。税負担、全然高くないんですよ。アメリカが一番安いというのは皆さん御存じだと思うんですけれども。高ければいいってわけじゃないんですけれども、ガソリンを使わなくても済むような社会。原発も必要だと、エネルギーを使ってぜいたくなことをするというのは、省略できることがいっぱいありますよ。

 僕は、単純なことを言えば、皆さん、外国からしたら、御存じだと思いますけれども、部屋の中がこんなに明るい国は日本が一番だと思いますよ。何か薄暗いところでよくやっているなと思う。日本人は目が悪いからしようがないのかもしれませんけれども、エネルギーも使い過ぎ、電力も使い過ぎ。こんなことはすべきじゃないし、むしろ、六兆四千億も使っている。農林水産大臣をやられていたからお分かりだと思いますけれども、農林水産予算は二兆円ちょっとですよ。それの三年分をガソリン価格の補填だけに使うなんて、僕は、何を考えているかと思いますね。

 さっき安全保障の方で、エネルギーの安全保障、原発の事故が起きたらそっちの方の安全を考える方が大事だ、そっちも考えなくちゃいけないと言いましたけれども、エネルギーのことだけであって、食料のところなんかにどれだけお金をつぎ込んでいるか。全然つぎ込んでいないわけです。

 こういうのを是正してほしいけれども、齋藤大臣なら両方ともできるんですよ。やってください。経産省に何十年おられたんですか。三十年……(齋藤(健)国務大臣「二十三年」と呼ぶ)二十三年。そのぐらいいて、政界に入られて、こんないいポジションにある人はいない。この人が、今までの経産行政の延長線でやるんじゃなくて、駄目なものは駄目だという方向転換を是非していただくことをお願いして、質問を終わります。この点についてお答えください。

齋藤(健)国務大臣 大きな方向性を言えば、恐らくそんなに大きな違いはないんだろうと思っているんですけれども、ただ、現下におきましては、我が国のガソリン価格については、確かに欧米先進国と比較して相対的に低い傾向にあると見えるわけですけれども、ガソリン価格は税体系や為替の影響も受けるということでもありますので、価格の変動があるということとか、国民の負担感の観点などもやはり考慮する必要があると思っています。

 したがって、燃料油価格の激変緩和事業については、原油価格の高騰が国民生活や経済活動に与える影響を勘案しながら柔軟かつ機動的に対応してきたものでありまして、特に昨年の経済対策においては、当面の物価高対策に万全を期すという観点から、負担軽減に向けた取組の継続、これが必要と判断をして、本年四月末までの措置を講ずることとしたわけであります。

 激変緩和事業については、私は、出口も見据えた形で、国際情勢、経済やエネルギーをめぐる情勢等も踏まえながら対応していきたいというふうに考えています。

 あわせて、おっしゃるように、突発的なエネルギー価格高騰への対応力を強化していくべく、クリーンエネルギー中心の社会経済、あるいは産業構造への転換というものも同時に図っていかなくてはいけないというふうに考えています。

篠原(孝)分科員 ありがとうございました。

上野主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今回は、能登半島地震の対応を中心に何点かお伺いをしてまいりたいと思います。答弁は政府参考人から求めたいと思いますので、齋藤大臣におかれましては、御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

上野主査 齋藤大臣は御退室をお願いします。

中川(宏)分科員 まず、今回の能登半島地震を含めまして、私たちはこの目で、阪神・淡路、東日本、熊本と、巨大地震を見てまいりました。また、線状降水帯や台風などの甚大な災害も頻発をしておりまして、本当に災害が多いと感じております。備えあれば憂いなしであり、政府といたしましても、BCP対策の普及に取り組んでおります。

 このBCPでありますが、自然災害、テロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した際に、損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し、早期復旧を図ることがされるとされており、非常に大事な対策であると思っております。

 中小企業庁のホームページには、中小企業BCP策定運用指針が掲載をされており、これを利用しますと書類ができ上がるようになっておりまして、他の省庁などでも作成を促すために様々な取組が進められておりますが、これがなかなか進んでいない現状ではないかと思っております。

 特に中小企業では、人手不足やスキル不足で計画の策定が難しい状態、またコスト面での問題もあり、普及に向けて更にどのように取組をしていくのか、お伺いをしたいと思います。

 また、防災産業でありますけれども、市場規模においては、日本は世界平均の一〇%にも満たないと言われております。要因といたしましては、防災意識の低さや防災投資の不足、技術開発また海外展開の遅れなどが指摘をされているところであります。備えあればということをいま一度思い起こしまして、防災産業の育成また支援を拡充していくことで、災害に強い町がつくられていくと私は思っております。

 防災産業の市場拡大のために課題をどう捉えているのか、また、その課題解決のための取組につきまして、お伺いしたいと思います。

松浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 自然災害に対し中小企業がBCPにより事前対策を行うことは、ますます重要となっているところであります。専門性や人手不足といった課題によって、策定が進んでいないものと承知しております。

 このため、中小企業庁といたしましては、中小企業BCP策定運用指針に加え、中小企業がより取り組みやすい簡易なBCPとして、事業継続力強化計画制度、これを令和元年度から開始しておりまして、経済産業大臣の認定を受けた中小企業に対する金融支援や税制措置等を講じることによって、計画策定を推進しているところであります。

 また、事業者が取り組むべき内容につきましては、策定の手引により公表しているほか、独立行政法人中小企業基盤整備機構による専門家派遣の実施や計画策定のためのオンラインセミナー、こうしたことごとを開催しております。

 引き続き、委員御指摘のように、より多くの中小企業のBCP策定を支援し、中小企業の防災、減災に向けた取組の強化に努めてまいりたいと思います。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 災害を受けた後、なりわいの再建に向けましてこのBCPの対策をしてあるかどうか、これによって再建のスピードの加速も全く違うというふうに思っております。そういった中で、今答弁では進んでいないということでありまして、簡易版を含めてこれから普及していくということでありました。災害大国である日本でありますので、ここは執念を持ってやっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

 今回の能登半島地震で被害を受けた事業者に対しまして、中小機構は二月十三日に、能登半島地震による被災中小企業、小規模事業者を対象といたしました復興支援アドバイザー制度を設けまして、アドバイザー派遣窓口を開設いたしました。

 この制度は、被災した新潟県、富山県、石川県、福井県の中小企業者の事業再建計画の策定や資金調達、販路回復、販売力強化、各種補助金の申請などについて、専門家が地元の支援機関などとともにアドバイスを行うこととされております。

 また、市町村、商工会議所などが開催をする相談会などにアドバイザーを派遣するとして、窓口は、新潟県を対象といたしました関東本部と、富山、石川、福井県を対象としました北陸本部の二か所となっております。この事業は大変重要だと思いますので、きめ細やかに対応していただきたいと思います。

 お聞きをいたしますと、現在、相談件数が少ないということでありますので、被災事業者に対してしっかりと周知をしていただきたいと思います。また、これから相談件数が増えた場合には、今の二か所と言わず、更にもう一重拡充をしていただきたいと思いますが、その取組についてお伺いをしたいと思います。

松浦政府参考人 委員御指摘のとおり、中小機構の復興支援アドバイザー制度は、令和六年度能登半島地震を受けまして、被災四県をカバーする北陸本部及び関東本部、この二か所において相談窓口を設置しております。その中で、被災企業等からの御要望に応じて、合計で約百五十人の専門家が直接被災企業に出向きまして、きめ細かい支援を実施しております。

 今後、被災企業等からの相談が増加した場合には、委員の御指摘のように、窓口の拡充を含め検討してまいりたい、かように考えております。

中川(宏)分科員 是非よろしくお願いいたします。

 このなりわい再建のメニューですけれども、今回、政府からも、なりわい支援について様々なメニューが用意をされつつあります。

 私ども公明党といたしましても強く要望をしておりましたワンストップ相談窓口も、現在、各県で対応をしていただいております。私も現地でお伺いし、被災事業者の皆様からは、自分の会社がどの支援を受けられるのか、使えるのか、どこから進めていけばいいのか、非常に不安だというお声をたくさんお聞きをしてまいりましたので、これを利用していただけるよう、各県に対しまして広報を含めてしっかりとした対応をお願いしたいということを私どもも呼びかけさせていただいております。

 その上で、今後重要なのは、被災した事業者のなりわいが軌道に乗るまでは、稼ぐことができないために困難極まる状態が続くと思いますので、是非、この間、政府といたしまして、軌道に乗るまできめ細やかに対応をして、この間の資金繰りについてもしっかりと目配りをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災中小企業の資金繰り支援といたしましては、地震発生直後から、特別相談窓口の設置やセーフティーネット保証四号、災害関係保証の適用等を行ったほか、官民の金融機関等に対して、事業者様の実情を踏まえた、きめ細かく弾力的かつ迅速な対応を要請しております。

 また、その上で、先月、一月二十五日に取りまとめられました被災者の生活となりわい支援のためのパッケージを踏まえまして、既に、一億円を限度としまして当初三年間の金利を〇・九%に引き下げる日本公庫の特別措置、特別貸付けの創設、また、石川県内の災害救助法適用地域に対しましては、直接被害を受けた事業者様に対して、民間ゼロゼロ融資等のリスケ時の保証料をゼロにするなど、コロナ融資に関する返済負担の軽減策等の措置を講じております。

 加えまして、今回の震災におきましては、コロナ禍からの回復途上で、コロナ債務が積み上がっている中での災害となっております。このため、被災中小企業にとっては、既往債務と災害からの再建に必要な借入れ、この二重債務、二重ローン問題が事業継続等の足かせとなり得るため、私どもとしては、今後、中小機構、そして地域経済活性化支援機構、REVIC、そして石川県、地域金融機関等が共同で本年度目途にファンドを組成した上で、既往債務に係る債権の買取りや出資、こうしたことごとを実施して、官民一体になって支援してまいりたいと思います。

 委員御指摘のように、このような取組を通じまして、引き続き、事業者に寄り添って、きめ細かく対応してまいります。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 今、ファンドを形成して債権の買取り、こういった非常に前向きな御答弁もいただきました。ありがとうございます。そしてまた、借入れにつきましても、被災者に寄り添った形のメニューも考えていただけるということで、これも感謝を申し上げます。

 その上で、先ほど私も申し上げました復興支援アドバイザー、また県のワンストップ窓口、こういったところともよく連携をいたしまして、メニューが広く周知されるような取組を是非ともお願いしたいと思います。大変な状況ですが、是非よろしくお願いしたいと思います。

 今回の地震では、富山湾の海底地すべりが起こりまして、津波が発生したと報じられております。この海底地すべりによりまして、富山県の入善町が町を挙げてなりわいの創出と雇用の確保を軸とした地域活性化策として取り組んでいる海洋深層水の取水施設が壊滅的な被害を受けております。

 この海洋深層水取水施設ですが、二つの施設があります。一つは、現在稼働している深層水の取水施設は、水産庁の事業を使いまして、平成十四年から運用をされております。そして、もう一つの新たな取水施設は、デジ田交付金によりまして、令和二年から六年にかけて現在整備がなされている中で今回の被害に遭った状況であります。

 現施設は、水産庁の緊急復旧整備事業の活用を視野に、現在、国と富山県でこれから協議を進めていく方向としてお聞きをしているわけでありますけれども、建設途中でありました新たな施設は完成までに至っておらず、水産庁の緊急復旧整備事業メニューが使えない状況であります。また、デジ田交付金事業として、施設が完成していない状態の中で、整備期間の延長や、また新規にデジ田交付金を申し込むという選択肢もあるかとは思いますけれども、被災状況が深刻でありまして、これは現実的ではない考え方だと思っております。

 この二つの取水施設は、災害により施設が失われたという状況であることを十分に考えていただきまして、何とか政府としても知恵を出していただきたいと思います。小規模自治体が地域活性化に取り組む姿勢を是非応援していただきたいと思います。

 デジ田交付金での事業途中で被災をしまして、事業自体が大打撃を受けてしまうケースは、これまでなかったと思います。是非、デジ田交付金の制度の中に災害対応の制度を考えていただけないかと提案をいたします。政府の見解をお伺いしたいと思います。

 また、この事態に対応していくためには、巨額の資金が必要になります。入善町といたしまして、例えばクラウドファンディングですとかふるさと納税の活用、こういったことも有効だと思いますが、地方自治体から相談があった場合には、よく話を聞いていただきまして、寄り添って対応していただきたいと強くお願いをいたしますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル田園都市国家構想交付金の地方創生拠点整備タイプにおいては、観光や農林水産業の振興などの地方創生に資する拠点施設の整備などを支援しております。

 富山県入善町の事業、海洋深層水と地下水を活かした入善版ローカルイノベーションプロジェクトにつきましては、令和二年度から五年度までの計画期間の事業として、令和二年度の募集において新規採択を行い、入善町において事業を進めてきたと承知しております。

 本事業については、令和六年能登半島地震により被災したことを受け、今後の対応をどのようにしていくかについて、入善町や富山県と個別に相談させていただいているところです。

 内閣府としては、地域再生法の趣旨を踏まえつつ、地方公共団体に寄り添った丁寧な対応を行ってまいります。

中川(宏)分科員 災害を受けて施設を復旧するということに対して、既存の事業でやろうとするとしますと全く該当しないわけですよね。

 そこで、では、できませんということではなくて、今寄り添って対応するというお話がございましたけれども、是非、これは小さな町の地方創生の大事な事業でありますので、今回の災害を受けて諦めてしまうということは、私はあってはならないと思っております、是非、寄り添った対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、方向を変えまして、次に、水素社会の推進についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 二月十三日、政府は、低炭素水素の普及を促進する水素社会推進法案を閣議決定いたしました。脱炭素社会を目指す上でも、また温暖化対策としても、非常に重要な法案であると思います。

 一方、低炭素水素の普及を見ますと、国際エネルギー機関の昨年九月の報告書によりますと、二二年の世界の水素の利用量は九千五百万トンに上りますけれども、低炭素水素の製造量は百万トンしかないと推定をされております。世界的に見ても、低炭素水素の普及が進んでおりません。

 日本は、二〇一七年、世界に先駆けて水素基本戦略を策定をしまして、二〇三〇年頃に水素を燃料とする発電を商用化して、原子力発電所一基分に相当する百万キロワット規模の発電を目指すことや、効率的な運送を可能にする技術の確立などをいち早く宣言をいたしました。

 また、昨年の六月には水素基本戦略を改定し、二〇四〇年の水素供給量を現在の六倍の年一千二百万トン程度に拡大、また、大規模な供給網づくりへ今後十五年間で官民計十五兆円の投資、そして、クリーン水素を評価する世界基準を策定など、戦略を改定し、制度設計を具体化するとしております。

 海外を見ますと、ドイツやイギリス、アメリカなどが本格的に水素を推進し始めておりまして、日本は、半導体の二の舞とならないよう、水素社会への体制づくりを更に進めていく必要があります。

 今、世界中の水素は大半がグレー水素だと言われております。欧米は、製造時の二酸化炭素の削減基準を示し、ブルー水素の基準を厳しくしております。まだこの分野で明確な国際基準がない中で、先行して基準を示すことで水素の国際基準を主導したいという思惑があるものと見られております。日本での取組はどうなっているかという点について、まずお聞きをしたいと思います。

 また、日本は水素の運搬技術が優れていると言われておりますが、この強みを更に磨いていくことが必要であると思います。

 一方、水素は、研究開発から実用化まで一気通貫した支援に莫大なコストがかかるので、投資が難しいと言われております。専門家は、開発する企業が投資判断を予見しやすい制度の設計を急ぐ必要があるとし、水素の基準価格と市場価格の差を補填する制度の検討も指摘をされているところであります。

 政府には、水素社会への総合的な支援策について更に拡充することを求めたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、電化が困難など脱炭素化が難しい分野においても水素等を活用するなど、GXを推進していくことが不可欠だと考えております。

 具体的には、鉄鋼や化学等の産業や、モビリティー、発電等における低炭素水素等の利用を進めるための、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンを創出、拡大していくことが必要であるというふうに考えております。

 このため、今回、今国会に提出をいたしました水素社会推進法案では、国が前面に立って、主務大臣による基本方針の策定、認定を受けた事業者に対する価格差に着目した支援や拠点整備の支援、また高圧ガス保安法等の規制の特例措置等を講じるとともに、低炭素水素等の供給拡大に向けて、水素等を供給する事業者が取り組むべき基準の策定等の措置を講じることとしております。

 御指摘ございました水素製造時の二酸化炭素の削減に関しましては、適切にCO2の回収、貯留が行われた水素等の普及拡大を進めていく必要があることから、ここの法案におきましても、低炭素水素等として、製造時のCO2排出が一定値以下の水素等のみを支援していくこととしてございます。

 現在、ISOにおきまして、我が国も主体的に参画をして水素製造時のCO2排出の計測ルール作りを行ってございますが、こうした国際的な議論も踏まえつつ、低炭素水素等として求める具体的な基準等を検討してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 是非、前向きな取組をお願いしたいと思います。

 続いては、デジタルについて何点かお伺いをしたいと思います。

 政府は、二〇二四年度から先行地域で、ドローンの航路や自動運転車の運行を支援するインフラなどの整備を始める予定であります。これは、デジタルライフライン全国総合整備計画で、デジタルの力で日本の社会を変革するプロジェクトであります。

 この中で、アーリーハーベストプロジェクトといたしまして、三分野で先行的な取組を開始し、変革の第一歩を目に見える形で示すとしております。

 このプロジェクトを成功させるには、実装地域での自治体や住民、企業などが綿密に、緊密に連携していくことが大事であります。

 今回の計画の中では、被災地の石川県が入っております。このデジタルライフライン全国総合整備計画では、続く、つながるというモットーの下に、この町の暮らしに胸が弾む、希望があふれた未来へつながる、このようにあります。被災地域に希望を与えていただくためにも、また、これからの復興に向けて、是非、今後、能登地域でこのデジタルライン全国総合整備計画の追加実施ができないのか、御検討いただけないのか、お伺いをしたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルライフライン全国総合整備計画は、災害の激甚化、それから人口減少に直面する我が国において、自動運転、ドローンなどデジタルの力で国民生活を支えるために必要な共通基盤を早期に特定した上で、各省が連携して、自治体とも協力しながら、効率的に公共投資を行うための十年計画として策定する予定のものでございます。

 委員から御指摘あったように、石川県は、このアーリーハーベストプロジェクトの二〇二四年度中に着手する先行地域にはなっていなかったわけでございますが、この計画の検討の場には石川県の馳知事に当初から参加いただいております。本計画が目指すデジタルライフラインの整備が被災地の創造的復興のお役に立てる可能性があるのではないかというふうに考えております。

 先行地域の着手はこの四月からの年度から始まりますので、先行地域における社会実装を確実に遂行してデジタルライフラインの規格化を進めつつ、その成果を迅速に石川県に届けるということで、被災地における効果的な復興投資に貢献してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 今、能登地域はライフラインの復旧が進められておりまして、これから復旧に向かって動いていくわけなんですが、このライフラインにデジタルライフラインを加えていくということは非常に被災地に向けても希望がつながるというふうに思いますので、そういった視点も是非見ていただきたいなというふうに思っております。

 日本のデジタル関連サービスの海外との取引状況を示すデジタル収支の赤字が五・五兆円という報道がございました。約九年で赤字額が二・六倍になったということでございます。特に支払いが多いのはアメリカで、アマゾンやマイクロソフト、グーグル、メタ、アップルなどが日本で大きなシェアを占めているところでございます。

 政府のガバメントクラウドでも、当初、日本企業が手を挙げず、日本のデジタル力のなさが指摘をされたところであります。また、OECDが発表した二〇二三年版デジタル政府指数ランキングでは、衝撃の、三十三か国中三十一位でありました。経済安全保障の面でも、これはゆゆしき事態だと思います。

 政府は、デジタル田園都市国家構想を打ち出し、また半導体企業の誘致を進めておりますけれども、全体的にどういうふうに進んでいるのか、これはちょっと不安になるところでありますけれども、特にデジタル収支の改善に向けてどのように取り組んでいくのか、現在の取組状況をお伺いしたいと思います。

野原政府参考人 クラウドを始めとしたデジタルサービスは、今日では国民生活や経済活動の多くの場面で活用されておりまして、インフラ的なサービスとなっております。したがって、日本国内に事業基盤を持つ事業者によってサービスが提供されることは、経済安全保障のみならず、国際収支の改善の観点からも、委員御指摘のように重要でございます。

 このため、経済安保推進法に基づきましてクラウドプログラムを特定重要物資に指定しておりまして、クラウドサービスを提供する上で重要な技術開発の支援等を行っております。

 具体的には、先週、二月二十日に、さくらインターネット社によるクラウドプログラムに関する技術開発の取組について支援決定をしたところでございます。

 また、AI開発力の強化に向けて、官民による計算資源の整備、それからスタートアップによるAIモデル開発の加速に向けた支援といった取組も行っているところでございます。

 引き続き、国際収支の改善を見据えまして、デジタル産業基盤の強化に向けて取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 このデジタルに関連しまして、最後の質問になりますけれども、ガバメントクラウドについてであります。

 二年前に、私、これを質問させていただきましたが、ガバメントクラウド、政府クラウドとして、地方公共団体の情報システムの標準化、これを二〇二六年三月に完了することは今の自治体の状況に鑑み難しいのではないかと指摘をさせていただきました。多くの地方自治体では、人材面また財政面でも厳しいとのお声をいただいております。

 先週、二十二日にデジタル行財政改革会議で、デジタル基盤を効果的に構築するため、国と地方の役割分担を明確にする方向性で、六月をめどに、地方公共団体と議論を重ねて、基本方針をまとめることになりました。

 まず、このガバメントクラウドの移行完了の見通しと、どのような取組状況なのか、お伺いをしたいと思います。

 また、デジタル人材、またIT人材、これが不足しているということが多く指摘をされておりまして、ここをどうしていくかということも非常に大事であります。政府として、地方自治体のデジタル人材、IT人材の不足の解消のため、人員確保において強力な支援策をやっていく必要があると思いますが、この点につきましても併せてお伺いをしたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 前段部分について、デジタル庁の方からお答えさせていただきます。

 昨年九月に改定いたしました地方公共団体情報システム標準化基本方針におきましては、基幹業務システムを利用する地方公共団体が、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに移行できる環境を整備する、この目標は堅持しました上で、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムにつきましては、システムの状況を十分把握した上で適切な移行期限を設定すること、一方で、可能なものについてはできる限り前倒しする、こういった改定を行ってございます。

 これを踏まえまして、現在、移行の難易度が高いシステムにつきまして把握調査を実施しまして、現在、結果の精査を行っているところでございます。

 標準準拠システムの移行が円滑かつ安全に実施されるためには、自治体や事業者の皆様の意見を丁寧に聞くことが重要と考えてございまして、引き続き、よく実態を踏まえながら進めてまいります。

山越政府参考人 地方自治体のデジタル人材の確保、育成は、重要かつ喫緊の課題であると考えておりまして、今年度、都道府県等におきまして実施する市町村支援のためのデジタル人材の確保に要する経費であるとか地方自治体におけるDXの取組の中核を担う職員の育成に要する経費、これについて新たに特別交付税を講ずることとしております。また、専門アドバイザーの派遣、あるいは地方公務員向けの研修の充実など、デジタル人材の確保、育成に向けた取組を大幅に強化をしているところでございます。

 加えまして、特に小規模市町村を中心に、その推進体制が十分に確保できていない団体もあるということを踏まえまして、本年一月、総務大臣から都道府県知事、市町村長宛ての書簡を発出いたしまして、デジタル人材の確保、育成を始めとしました都道府県と市町村が連携したDX推進体制の構築に取り組んでいただくよう、お願いをしたところでございます。

 引き続き、関係省庁、関係機関とも連携の上、しっかりと取り組んでまいります。

中川(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので終了したいと思いますが、前段に質問させていただきました能登半島地震においてのなりわい支援については、現地を行きますとよく分かりますけれども、大変な状況の中でどうやって再建をしていくかということについて、もう本当に先が見えない状況の中で、一緒になって再建していきましょうという姿勢をどうやって示していくかということが非常に大事であるというふうに思います。

 今日御答弁いただいた内容につきまして強力的に推進していただくことをお願いしまして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

上野主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良分科員 有志の会、吉良州司です。

 今日は、以前の予算委員会分科会また決算行政委員会で取り上げたことと重複する部分があるんですけれども、電力の安定供給について、それから核融合技術への投資について、そして電気自動車戦略についてということで、三点質問したいと思っていますが、主な時間は電力の安定供給について割くことになると思います。

 まず、電力システム改革というのは、電力安定供給の確保、それから電気料金上昇の抑制、そして需要家の選択肢の拡大と事業者へのビジネスの創出、この三つが主な目的としてシステム改革がなされたわけでありますけれども、正直言って、全てうまくいっていないという了解をしています。

 言うまでもなく、電力の安定供給については、特に二〇二二年の三月、電力逼迫問題というのが出てきました。六月もそういう危機に直面しようとしたという了解をしていますが、まさに電力逼迫ということが起こること自体、安定供給、リスクがあったということであります。

 そして、電気料金上昇の抑制、安くということでありますけれども、結果的には今、世界的な要因でありますけれども、燃料高、そして、日本の政策がもたらしていますけれども、円安の問題。先ほど、燃料高というのは世界全体の景気がよくなっていることもあれば、一方で、地政学リスク、これが非常に大きいと思っています。

 私がいつも心配するのは、いろいろ制度設計をするときに、今の状況がずっと続くんじゃないかというような思い込みの中でやってしまうことがある。我々、国家の運営というのは、本当に最悪の場合にも備えるというリスクマネジメントが必要なんだろうと思っていますけれども、例えはよくないんですけれども、今ウクライナ戦争が起こっている、これも一時大きく資源高を招いた、このウクライナ戦争というのはとにかく一刻も早く終戦をと思っていますけれども、仮にこれが湾岸の戦争であったならば、もっと大きな痛手を被っている、そういうふうに思っています。

 そういう意味で、今の状態が常に継続するというよりは、地政学リスクを含めて、いつ何どき大きなリスクが降りかかってくるか分からない、こういう認識が必要だろうと思っています。

 そして、需要家の選択肢の拡大という部分だけは、これは実際できていると思っていますけれども、じゃ、選択肢が広がった中で新電力はどうなのか。新電力で、きちっと責任を果たし続けている新電力もあれば、さっき言った燃料高、円安、もうとても原料高についていけないということで逃げ出してしまう新電力がある。それで、最後、駆け込み寺として旧一電に逃げ込んでいる。

 こういう状況があって、今私が申し上げましたように、電力の安定供給も問題あり、そして、電気料金上昇抑制、これも問題あり、需要家の選択肢は拡大したけれども、そこに新電力が逃げ出すという問題が降りかかってきている。こういう意味で、電力システム改革、目的はよかったと思うんですけれども、結果的にはうまくいっていない。

 あと一点だけ問題意識を披露させてもらうと、さっき言った目的の中で、安定供給と、ある意味では競争原理を働かせて価格を安くする、どっちも常に実現できれば本当に言うことないんですけれども、政治判断としては、あえてどっちの方がより重要なんだという判断は私は必要だと思っているんです。

 そして、日本の国情、資源が全くない、そして隔絶された島国だ、こういうことを考えたときに、アメリカはこうやっている、ドイツはこうやっている、フランスはこうやっている、これはほとんど残念ながら参考にならない。そういう意味で、日本の置かれた国情を考えたときに、安定供給と価格抑制、これは私は安定供給の方が優先するんだろう、こういうふうに思っています。

 こういう問題意識の中で、私は、既存の電力システム改革を見直して、もう一度、より日本の国情に適した制度に再設計し直す必要があるのではないか、このように思っていますけれども、私の問題認識と、それから今言ったシステム改革に対する見直しと今後の再設計の方向性について大臣の答弁を求めます。

齋藤(健)国務大臣 まず、吉良委員が電力の問題について熱心に常に御議論いただいていることについて敬意を表したいと思います。

 実は、私、資源エネルギー庁の電力基盤整備課長をやっておりまして、これは供給サイドの主に責任を背負っている課長でありましたので、今の安定供給の話については非常にシンパシーを持って聞かせていただきましたが、答弁は大臣としてさせていただきたいと思いますので。

 これまでの電力システム改革は、御指摘のように、東日本大震災の教訓を踏まえて、安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大という三つの目的、これを実現するために取り組んできました。

 その結果といたしまして、災害や事故など不測の事態が発生した場合にも、全国大での迅速かつ円滑な電力の融通や復旧対応が行われるよう、広域的な電力供給システムが構築をされたこと、二つ目は、多くの事業者が小売電気事業に参入をして、再エネに特化したサービスメニューなど、需要家の選択肢が拡大をしたこと、三つ目は、小売全面自由化以降、家庭向け自由料金が規制料金よりも安価な価格水準で推移してきた実績がある、こういったことから、一定の成果が出ていると認識をしています。

 一方、採算性の悪化によって、御指摘のように火力発電所の休廃止が進むなど、足下では安定供給面での課題も生じているというふうに認識をしています。このため、二〇二四年度から運用を開始する容量市場に加えまして、脱炭素電源への新規投資、これを広く対象にしまして、投資回収の予見性を確保するための長期脱炭素電源オークション、これを今年度から導入をして、先月、初回のオークションを実施したところであります。

 これらを含めまして、これまでの一連の電力システム改革については、改正電気事業法の規定に基づき検証を進めているところであります。

 事情が違うとおっしゃいましたけれども、海外の事情も参考にはしながら、我が国における一次エネルギーの自給率や現在の電源構成、系統の整備状況などの事情も踏まえて、二〇二五年三月までにこの検証を取りまとめていきたいと考えています。

吉良分科員 ありがとうございます。

 問題意識は共有していただけるということと、答弁の中で、私の指摘もそのとおりだなとにじんで、理解をいただいて、ただ、こういういい面もありますという答弁だったと思うんですけれども、その中で、電力の安定供給という意味で大事なポイントは、大臣自身も答弁されていたように、投資家から見て、投資家というよりも、実際の電力安定供給を担う会社から見て、中長期的まで含めて投資回収の予見性、これは極めて重要だというふうに思っています。そういう中で、容量市場もつくりましたという話でありました。

 実は、大臣がエネ庁で課長をやられていたと同じように、私は商社時代に電力プロジェクト部というところに属して、いわゆるIPPをずっと海外で担当していた人間なんですね。そういう意味で、私も、どどどど素人ではない、プロかセミプロかと言われるとそこまでではないんですけれども、ある程度電力というものについては非常に身近に感じている人間であります。

 私が、容量市場の仕組みは、読んでも全く分からないんですよ。全く分からない。と同時に、実際、既に、先物と言っていいと思いますけれども、残念ながら乱高下していると認識しているんです。

 それで、私自身の経験からまず一点提案をしたいことがあります。それは、容量市場というのは、つまり、キロワットアワーだけではなくて、容量そのものに対して責任を持つというんですか、容量に対して価値を認めてそこに支払いを行うというふうに理解をするわけです。

 今言いましたように、私自身は、途上国でIPPをやってきましたので、実際、我々が投資家としてSPCをつくって途上国の電力会社だったり国営電力公社と売電契約を結ぶわけですよね。その際、途上国というのは、当然ながら常にブラックアウト、ブラウンアウト、一日もう八時間、下手すると十二時間停電というようなことなので、彼らの目的というのは、常に需要に見合う容量、キロワットを確保したいと。

 そういう中で、じゃ、海外の投資家から見れば、当然ながら、カントリーリスク、それからビジネスリスク、両方を負う。そういう中で、ともすれば敬遠しがちなんだけれども、途上国が何とか迎え入れるために売電契約の中の支払い基準が二本立てになっているんですね。一つは、さっきも言いましたけれども、何キロワットアワー出したか、このキロワットアワーに対しての発電量に見合う支払いです。もう一つは、キャパシティーペイメントと言います。今、最初に言ったのはエナジーペイメント。後者は、容量に対して、いわゆるキャパシティーペイメントといいまして、一ワットもキロワットアワーの発電しなくても、容量を持っているということに価値を見出して払うということをやるんです。そうでもしない限り、今言ったカントリーリスクのある国に投資をしてもらえない。

 私は、さっき言った、日本が電力需給逼迫があるということと、さっき言った、隔絶した島国で、再エネがどれだけ普及しようと今現在は調整電源が火力で要る、これを考えると、いつ輸入途絶の危機又はむちゃくちゃ高い原料を買わなければいけないというようなリスクにさらされる可能性があるということを考えると、途上国と一緒だと思っているんです、今は。東日本大震災とかこの前の二〇二二年の三月のような需給逼迫があるまでは、先進国としていかに、さっきも言いましたが、安く安定供給できるかというのが課題だったと思いますけれども、私は認識を、途上国と同じで、きちっとピーク時に合わせた容量を確保する、これが最優先することなんだろうと思っています。

 その問題意識の中で、キロワットに対する、さっき言った途上国でのキャパシティーペイメントに当たるものをやはり支払うようにしなければいけないのではないかと。ベース電源はいいです。けれども、今はピークだ、ミドルだの一部がまさに再エネの調整電源になっている。再エネが稼働すればするほど、調整電源の出番は少なくなる。そんなところに新たに投資したり、十分なメンテナンスしないですよね。そういう意味で、容量に対して、キロワットに対してきちっと支払うということによって、投資回収の予見性を高める、そして、今言った安定供給の不安をなくすということが必要だと思っています。

 そして、今言ったキャパシティーペイメント、容量支払いに当たるものは、再エネは調整電源とセットですから、安定供給という意味では再エネと今言った調整電源とはセットなので、そういう意味では、賦課金にこのキャパシティーペイメントをオンする形で財源の方も確保してはどうかと思っていますが、この点についていかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 お考え自身は、私も今初めて拝聴いたしましたけれども、一つの考え方なのではないかなというふうには思います。

 今度、私の経験からもう一つ思いますのは、電源開発は基本的に長期間かかるということがあるもので、投資をするときは非常に難しいものが国の内外問わずあるんだろうと思います。

 それで、投資そのものは長期なのに、実は国際エネルギー情勢というのは結構しょっちゅう変動いたしますので、私も、どういう電源構成にするかという、課長をやっていたときにはそこが悩ましくて、あるときは、中東で何かが起こって、セキュリティーだということにある瞬間はなり、また二、三年すると、いや、今度は地球温暖化だというふうに大きく振れるんですよね。

 ですから、大事なことは、どういう振れ方をしても対応できる電源構成を持っているということがすごく大事なんじゃないかなと思っていますので、そういう意味では、火力というものもあり得るし、それは再生可能エネルギーもあり得るし、原子力もあり得るし、何が起こってもどれかの電源でちゃんと対応できるという体制というものが自分の経験から非常に大事だなというふうに思っています。ちょっと余計なことかもしれませんが。

吉良分科員 大事な答弁をいただきました。

 一つは、やはり長期的な視点が必要だと。私も全く同感で、実は私自身は、商社にずっと勤めていたこともあるんですが、基本的に、競争原理というのを非常に重視する人間なんです。ただ、さっきから言っている電力安定供給、隔絶された島国で、調整電源の、また、石炭なんかは、ベースロードの燃料を日本に産しない、こういうことを考えると、旧一電がラストリゾートというか、最後の供給責任的な役割を担っているとすれば、私は、ここの、この会社の経営の安定というのが極めて重要だと思っているんです。

 これは、大臣もまた経験があると思いますけれども、ファイナンスの側面からもそうなんですね。じゃ、新電源に対して投資をしようとするときに、ファイナンスするファイナンサーの立場はどうなんだろう。

 今、再エネの方向に、カーボンニュートラルに向かうにしても、移行期間というのが数十年あります。この間はやはり天然ガスが必要。日本の場合は、カーボンニュートラルを目指すとはいっても、ベース電源として当面石炭も必要。特に、地球環境に比較的優しい天然ガスの開発というのは重要だと思います。

 御承知のとおり、天然ガスの上流開発、これというのはもう何千億どころか兆円単位でかかりますので、このファイナンスというのは資金調達がむちゃくちゃ大事なんです。ただし、そういうプロジェクトというのは、基本的に、プロジェクトファイナンスといって、投資者の親会社が保証しません。プロジェクトが生み出すキャッシュフローが唯一の原資となりますので、そういうプロジェクトに対して資金の貸し手が出てくるかどうか。

 じゃ、その資金の貸し手が何を重視するか。もちろん、誰がオペレーションするんだ。一番大事なのは、誰が買ってくれるんだ、二十年間、二十五年間。長期契約を結んだはいいが、潰れました、引き取れません、払えません、これじゃ話にならないので、必ず引取り手が二十年間、必ず引き取り続けて、オフテイクし続けて、そして、潰れない、払い続けることができるか、これが極めて重要なんです。

 さっき言った世界中の燃料の高騰自身も、実は、カーボンニュートラルという世界的潮流の中で、やはり化石燃料が目の敵にされて、保守、メンテナンスもそうだし、ましてや新規開発ができないことによってより高騰している。それを考えますと、この移行期間については、日本の生き死にを懸けた、ある意味では、天然ガスの開発も必要になる、そのオフテイカーとしての電力会社、この安定性というのは極めて重要だと思うんですね。

 そういう意味でも、私は、システム改革の中で、全く旧に戻せとは言いません、旧に戻せとは言いませんけれども、競争原理を持ち込もうとするが余り、旧一電の体力を消耗させる、または安定経営を損ねてしまう、これは、今言った燃料確保、そして燃料もより安く確保するという観点からも、私は問題だと思っていまして、先ほど言いましたシステム改革の再設計の際には、完全に旧に戻せとは言いませんけれども、水平、そして垂直分業ではなくて、かつてはそれを全部一体化していた、その中で安定経営ができていた、そこのいい面は残しつつ、再設計する必要があると思っています。

 この点についても、大臣の見解をお伺いします。

齋藤(健)国務大臣 これまた一つの御意見だろうというふうに思っています。恐らく、戦後の電力政策というのはそういう形でやられてきたんじゃないかなという、印象ですけれども、思っています。

 これからシステムの見直しをするに当たりまして、やはり様々な観点があるんですよね。セキュリティーだけじゃなくて、経済性もあれば、環境への影響もあれば、おっしゃるように、もしかしたら会社の永続性、持続性というものもあるかもしれませんが。そういう様々な要素が入ってくる中で、大議論をしながら、恐らく複雑な連立方程式を解くような作業をしながら、この二〇二五年の見直しに向けてしっかりと議論していきたいというふうに思っています。

吉良分科員 さっき言った、かつて、旧に戻せまでは言わないが、古い時代のよかった部分をできるだけ見直してというか、見直してというのはもう一回再評価してという意味ですけれども、大事さを言うのは、もう御承知の、今回も能登半島地震がありましたけれども、災害大国ですから。台風十九号のときに、千葉に全国の電力会社からみんな協力体制をつくって入ってきた。けれども、この今の気象異常を考えると、日本列島をだあっと縦断して、どでかい台風が、全地域がやられる可能性があると。そうしたときには、なかなか、お互い融通も利かせられない。そういうことを考えると、一体経営していたときの、その中で融通を利かせるということも私は大事だろうと思っています。

 そのことは答弁はもう結構ですけれども、災害大国であるという観点も踏まえたシステム改革の見直しと再設計をお願いしたいということを申し上げて、三番、電気自動車戦略について申し上げます。

 今のカーボンニュートラルの流れの中で、ガソリンを使った自動車は相ならぬということで、電気自動車だ、電気自動車だと。ヨーロッパあたりは、一時は三五年以降はガソリンを使った車は販売禁止、そこまでやっていたわけですけれども、ここに来て、三五年を見直したわけですよね。アメリカでもいろいろな見直しの機運があると聞いています。

 もう一つは、やはり、トヨタさんを筆頭に日本の自動車メーカーがずっと手塩にかけてきたガソリン内燃機関、これを生かした、かといって、ガソリンだけよりもハイブリッドに物すごい強みがありますし、ハイブリッドがヨーロッパとかでも見直されている、これを考えたときに、私は、ハイブリッドの見直しが必要だと。全て電気自動車というよりも、ハイブリッドも一方の手に抱えながら電気自動車へという戦略が必要なのではないかと思っていることが一点。電気のそもそもの電源まで考えると、ハイブリッドと純粋な電気というのはいい勝負なんですよね。

 もう一つ、今言った、じゃ、電気自動車の方も、これまたイーロン・マスクさん、テスラとかも含めて、世界中で開発競争をしていますけれども、日本は、私は、半導体と同じように、この電気自動車については国家戦略で、世界のシェアを丸取りするぐらいの戦略をつくっていった方がいいんだろうと。そのときに、各社各社が、バッテリーも違う、それから電気自動車本体も異なるものを造るよりも、本体はいいですけれども、少なくともバッテリーは全部統一規格にして、そして、今のガソリンスタンドにバッテリーをいっぱい置いておいて、ガソリンスタンドへ行ったらバッテリーを交換すれば、今のガソリンを入れるのと同じように、長いこと充電しなくても済む。このバッテリー交換式を日本発のデファクトスタンダードにしていくべきだと。

 これは本当に半導体と同じように国家プロジェクトにしていくべきだと思っていますけれども、その辺についていかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 二点の御質問だったと思うんですけれども、まずハイブリッド車については、内燃機関とバッテリー、モーターの組合せによって高い燃費を実現した自動車でありまして、我が国が世界に先駆けて実用化し、今も高い技術を有しています。

 足下では、EVの普及が進む米国や欧州においても、ハイブリッド車の販売割合が増加をしています。例えば、米国の二〇二三年におけるハイブリッド車の販売台数は、前年よりも五割以上増加をしておりまして、EVの増加率を上回っています。

 こうした中で、我が国は従前から、二〇三五年までに乗用車新車販売でハイブリッド車も含めた電動車一〇〇%という目標を掲げているところであります。その上で、カーボンニュートラルの実現に向けて、多様な選択肢を追求していく中で、自動車産業の競争力を強化していく、これが基本的な考え方であります。

 引き続き、G7やAZEC等を通じて諸外国に対してこうした考えを継続的に発信をして、グローバルな市場形成を図ることで、日系メーカーが強みを持つハイブリッド車でしっかりと市場を確保していきたいというふうに思っています。

 同時に、今後市場が拡大していくEVでも勝つべく、購入補助や充電インフラ支援、蓄電池の国内製造基盤の強化やリチウムなどの上流資源の安定供給確保、こういった様々なことに総合的に取り組んでいきたいというふうに考えています。

 あと、バッテリー交換式の電気自動車につきましては、バッテリー自体を交換することによって、短時間で充電、電力システムへの負荷の平準化などが可能となる仕組みであろうと思います。

 特に、稼働時間が長い商用車において電気自動車を導入しようとする場合には、充電時間の長さですとか、多数の車両を同時に充電した際のピーク電力の大きさですとか、課題があります。そのため、燃料電池自動車や合成燃料の活用などに加えて、バッテリー交換式電気自動車は、私は選択肢の一つになるものと認識しています。

 バッテリー交換式電気自動車の実用化に向けましては、現在、グリーンイノベーション基金を活用して、民間事業者によるバッテリー交換式電気自動車の走行実証を今行っておりまして、これを通じて、安全性の確保等の技術的な課題や経済性などを検証する事業を進めている、今こういう段階であります。

 こうした取組を進めつつ、その中で得られた成果を踏まえ、将来における可能性や課題を整理した上で、社会実装に向けた検討をしっかり進めていきたいというふうに考えています。

吉良分科員 答弁の中でも、方向性については一致しているというふうに思っています。その方向で進めていただければと思っています。

 最後に、核融合発電についてであります。

 これは、時間がなくなったのでもう言いっ放しになるかもしれませんけれども、言うまでもなく、先ほどずっと電力の安定供給についての話をしましたけれども、これは全て、今現在の日本は、資源がない島国、電力系統がつながっていない中でずっと苦労している。そういう意味で、自前電源というのは極めて重要。地球環境にもいい。そういう意味では、原子力というのはいいわけですけれども、やはり国民から危険だと思われている。

 そういう中で、私は、より安全性の高い核融合に向けて、大胆にここに加速的な投資を行って、核融合の技術開発、それから原型炉から発電へと、これをもっと前倒ししてやっていくべきだというふうに思っています。そして、そこに技術的、経済的に行き着くまでの間、安全性が確認された原子力をきちっと運営して、さっき言った日本の脆弱性を補っていきつつ、かつ、地球環境に優しい体制をつくっていく。

 あともう一点だけ。

 私は、日本は技術立国として生きていくしかないと思っていまして、そういう意味では、ピークが高ければ高いほど裾野が広い。その中のピークは、何がピークになるかというと、本来なら軍事、そして原子力、宇宙、生命科学だと思っているんですが、日本の場合は軍事がタブーなので、そういう意味では、特に、産業についていえば、宇宙と原子力。原子力の中でも、分裂に限らず、移行期間を含めて、核融合を更に力を入れていくことによって、不足しがちというか、やめていく人が多い原子力人材も何とか育成、確保しながら、裾野を広げていく、これが大事だと思っています。

 もう終われということなので、これはもう要望させてもらって、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

上野主査 これにて吉良州司君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕

伊藤(達)主査代理 次に、金子恵美君。

金子(恵)分科員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、能登半島地震によって犠牲となられた皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、今なお大変厳しい状況にあります被災された全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 現在、避難所生活をされている多くの方々もおいでですし、まずは命と生活を守ることが最優先の課題であるというふうに認識をしております。災害関連死、震災関連死となる方々がこれ以上増えることがないように、しっかりとした対応を現場でしなくてはいけないというふうに思っております。

 一方で、命と同じくらい大切に、伝統文化、伝統工芸を代々守り続けてこられた、そういう皆様方がいらっしゃいます。この能登半島地震によって、そのような皆様方が厳しい状況にある、被災されたということでありまして、事業者の皆様を守るために、しっかりと国も先頭に立って支援をしていかなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、まずは、齋藤大臣、どのような支援策があるのか、伝統的な工芸品とそのような産業を守っていくためにどのような対策を講じるのか、お伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 伝統工芸、伝統産業を守っていくことの重要性は、私は本当に委員と同様に強く思っているところであります。

 今回の震災において、輪島塗を始めとした伝統工芸品の産業に甚大なる影響が出ました。その再生と復興に向けての具体策ですけれども、事業に不可欠な施設や設備の復旧、これに御活用いただけるなりわい補助金というものを用意をいたしています。また、事業を再開するに当たって必要となります道具ですとか原材料の確保を支援する伝統的工芸品産業支援補助金というものも用意をする。それから、仮設工房の御要望が強くありますが、仮設工房として活用できる集合型仮設施設の整備支援事業など、手厚い支援を講じていきたいと思っています。

 そして、こうした取組に加えまして、販路の開拓を後押ししていくということも重要で、先日、都内で開催されたいしかわ伝統工芸フェア、私も訪問をさせていただきましたが、実際に実物を手に取って見ると、やはりそのすばらしさが非常によく分かりました。

 経済産業省としても、百貨店等での催し事や展示会への出展の支援も行いたいと思っていますし、外務省の協力の下に、在外公館等を活用したPR、こういったものも行っていくなど、伝統工芸のすばらしさを国内外に発信するということも大事だと思いますので、これもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

金子(恵)分科員 今御答弁いただきましたように、しっかりと対応するということでありますが、触れていただきました輪島塗や、また九谷焼等、本当に大切な伝統を守るということ、私も、あの東日本大震災原発事故を経験いたしまして、大変、伝統文化そして伝統工芸を守ることがどれだけ厳しいか、難しいかということを経験しておりますので、しっかりとここは対応していただきたいと思います。

 一方で、今触れていただきました伝統的工芸品産業支援補助金なんですけれども、これは令和五年度の予算の中であるということだというふうに思うんです。それで、これが今までの既定予算の活用ということで伺っておりましたので、それで足り得るのかどうかということも含めまして、もう一度お伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 この伝統工芸品産業支援補助金に基づく災害復興支援事業と言っていますけれども、これは、まずとにかく早期復興を支援するために令和五年度当初で措置をしたもので、したがって、適正な審査期間と事業実施期間を確保するために公募は二月十六日までとしたんですが、これは現時点で確定したわけではありませんけれども、令和六年度予算案に計上している事業も活用して、引き続き同等の支援が講じられるように、今検討しているところであります。

 また、もっと細かいことを言いますと、来年度において、令和六年能登地震発災後、令和五年度にもう取得しちゃったもの、要するに事前に取得しちゃった道具、原材料等も対象にして来年度予算で対応できるようにしたいというふうにも思っています。

金子(恵)分科員 今、検討している、しっかりと引き続き対応できるようにしていくという御答弁をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 東日本大震災原発事故発災からもうすぐ丸十三年となります。復興は道半ばでございます。東日本大震災原発事故後も様々な自然災害等が発災いたしまして、令和三年、四年には大きな地震もありました。ですので、大変多くの方々が今なお大変厳しい状況にあるのが福島県の現状でございます。

 先ほど申し上げました伝統文化、なりわいを含めたふるさとをいかに守り続けていくかということで懸命に頑張っているわけでございますけれども、特に、東京電力福島第一原発の廃炉に向けた福島県の課題というのは山積しているわけであります。

 昨年八月に、ALPS処理水の海洋放出が始まりました。実は、四回目の海洋放出が恐らく間もなく始まろうとしているのではないかというふうに思います。予定では本日の午前十一時半というふうに聞いておりますが、そのような形で海洋放出、これによっての課題も大きく浮上してきまして、それに対して経産省としても対応をいただいてきたというふうにも理解はしておりますが、それが十分であるかどうかという議論はまた後ほどさせていただくといたしましても、この福島第一原発で行われる燃料デブリの試験的な取り出し、これも当初の予定よりも大変遅れているということ。まずは、先月二十五日に、二号機から核燃料デブリの取り出し作業については、二〇二三年度中としていた開始時期を本年の十月頃に延期するとまずは発表している。これは三回目の延期なんです。

 そして、さらには、除去土壌というものは、これは中間貯蔵施設にありますけれども、これも二〇四五年までに福島県外に搬出されるとしていますけれども、それも最終処分場は未定のままということで、本当に様々な課題を抱えているわけです。

 このような状況を見ると、本当に廃炉とそして復興というものが両立できるのか、不安に感じてしまいます。福島の真の復興は東京電力福島第一原発の廃炉が完結することだと私は思っています。

 齋藤大臣におかれましては、就任後初めて県庁を訪れた昨年の十二月十七日だったと思いますが、内堀知事と面会した際に、報道陣の取材に応じて、第一原発の廃炉に関し、福島の復興には第一原発の廃炉が不可欠、中長期ロードマップに沿い、国も前面に立って取り組むとおっしゃっていたとのことでございますが、そこで、お伺いしたいと思います。

 このロードマップ、中長期ロードマップでありますが、二〇一九年以降、改定はなされていません。ただ、様々な課題が廃炉の現場では発生しているということを考えると、もしかすると、この冷温停止三十年後から四十年後に廃炉であるというゴールというのはこの中長期ロードマップに記載されているわけですけれども、これが遅れていく可能性がないだろうかというような声も出てきているわけです。もっと長い年月がかかるかもしれない、あるいは、今のロードマップの状況で、これで本当に廃炉に導かれることができるのだろうかという声もあるというふうに思います。

 そこで、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。一点は、この中長期ロードマップの改定というのが今後なされる必要性があるのかどうかということと、そしてまた、これに基づいてしっかりと国が前面に立って取り組むんだとおっしゃってはいるけれども、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、東京電力の福島第一原子力発電所の事故によりまして、福島県民の皆さんに長い間御迷惑、御心配をおかけしております。このことについて、改めて心からおわびを申し上げたいと思っています。その上で、福島復興の大前提となる東京電力福島第一原発の廃炉、これは国の最重要課題であるとまず考えています。

 福島第一原発の廃炉作業は、もう御案内のように、世界的にも前例がなく、技術的難易度の高い取組でありますが、これまで、汚染水発生量の低減ですとか使用済燃料プールからの燃料取り出しなど、一歩一歩着実に前進をしてきています。

 一方で、御指摘のように、燃料デブリの試験的取り出しは当初の予定よりも実施が遅れていて、遅くとも本年十月頃には取り出しに着手というのが今の見込みであります。試験的取り出しの作業を通じて得られる原子炉内の状況ですとか、ロボットアームの精度向上などの知見は次のステップにも生かされるものでありますので、今回の見直しにより廃炉全体の工程には影響は生じないというふうに考えています。

 現時点で、中長期ロードマップを改定することは考えていません。引き続き、これに沿って二〇四一年から二〇五一年までの廃止措置完了を目指す方針に変わりはありません。廃炉に必要となる研究開発の支援、安全かつ着実に進める旨の東京電力への指導、地元の皆様への丁寧な説明、こういったことも行って、国も前面に立ってしっかりと進めていきたいと思っています。

金子(恵)分科員 今のところは中長期ロードマップの改定はしないということで、考えていない。それは、ゴールが後手になっていけばいくほど恐らく印象も悪くなるというイメージがあるかもしれません。そういう思いがあるかもしれません。ただ、廃炉の最終形は実際には決まっていません。

 ですから、本当の意味で廃炉になるというのがどういう形であるのか、そして、もしかすると、三十年、四十年ではなくて、もっとかかるんだろう、その形によっては時間がかかるものではないかとも思いますけれども、その廃炉の最終形については、どのようなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 東京電力福島第一原発における廃炉の最終的な絵姿につきましては、取り出される燃料デブリの性状など、調査、分析等を踏まえる必要があると思いますので、それらを踏まえた上で、地元の皆様の思いもしっかりと受け止めて具体化をしていく必要があるというふうに考えています。

 そのためには、まずは炉内の内部調査や、遅くとも本年十月頃を見込む燃料デブリの試験的取り出しを着実に進めていきたいと考えていますし、加えまして、燃料デブリの大規模な取り出し実施に向けた工法検討などにも取り組んでいきたいというふうに思っていまして、今、そういうことであります。

 引き続き、安全かつ着実に廃炉作業を進めていくとともに、国としても最後まで責任を持って対応していくということ、これははっきりと申し上げさせていただきたいと思います。

金子(恵)分科員 現段階での中長期ロードマップに沿った形でということではありますけれども、今後、万が一、私たち福島県民としてはそれは望まないことではありますけれども、もっと時間がかかってしまったとしても、最後まで国がしっかりと責任を持って対応するんだということを今おっしゃっていただいたとは思います。もちろん、私たち福島県民としてはできるだけ早い廃炉というのを求めているということでありますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 そういった中で、やはり東京電力の企業体質と言ってもいいのではないかと思いますが、危機管理能力的なところで不十分ではないかという議論もここのところあります。

 先ほど申し上げましたALPS処理水の海洋放出をめぐる政府と東京電力の対応を振り返ってみますと、実際には、地元の理解を得ることなくして、あるいは関係者の理解なくしてALPS処理水の海洋放出は行われてしまったというところから、信頼回復はまだできていない状況ではないかなというふうに思うんです。

 そのような中で、ALPS処理水の海洋放出から二か月が経過した昨年十月の二十五日に、汚染水処理の機関となる増設ALPS建屋で作業員が洗浄廃液を浴びてしまった、そういう被曝事件が発生いたしました。

 そして、そのときにも、昨年の臨時国会の衆議院東日本大震災復興特別委員会では、東電の山口副社長も出席されまして、情報発信について正確性を欠いたというところについては反省をしているというようなことをおっしゃっている。「地域の皆様や社会の関心事項も踏まえつつ、発信する内容の在り方などにつきまして引き続き不断に改善を加え、迅速かつ正確な情報発信に努めてまいりたい」というふうに答弁されている。実際には、この事件が起きた後、本当に二転三転するような情報の在り方でありまして、大変正確性に欠けたということは大変な問題でありました。

 それにもかかわらず、今月に入ってまた、汚染水の浄化設備、サリーの建屋の排気口から放射性物質を含む水の漏えい事件というものが発生したということで、極めて残念なことだというふうに思っています。

 しっかりと信頼関係を結んでいくべきその時期に、本来それができていないというこの件について、もっと政府は厳しい姿勢を持って、東京電力に対してしっかりと、危機管理能力があるのかないのかということも含めて見極めるような対応をしていくべきだというふうにも思います。

 大臣も、もちろんしっかりとフォローアップをしていただいて、そして、東京電力でこのような不祥事が二度と発生しないような今後の取組とか、そして方針などを求めていてくださるというふうには思いますけれども、経産省としての、大臣としての考え、ここでお聞かせいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 福島第一原発における身体汚染や水漏れの事案につきましては、一つのミスでも地元や社会の信頼を失いかねないため、東京電力は最大限の緊張感を持って廃炉作業に取り組まねばならないと考えています。

 そのため、二月二十一日に、私自身から直接、小早川社長に対しまして、これはもう経営上の課題だとして重く受け止めて、東京電力自身が示している再発防止策に加えて、更なる安全性向上のための対策に取り組むよう指導したところであります。

 具体的には、廃炉の着実な実施に向けて、他産業の例や外部専門家の意見を取り入れながら、一つは、高い放射線リスクにつながるヒューマンエラーが発生するような共通の要因がないのか、徹底的に分析をしてほしいということと、ヒューマンエラーを防止できるハードウェアやシステムの導入、これがあるならばちゅうちょなく投資してほしいと、更なる安全性の向上に取り組むように指示を行いました。具体的な表現は差し控えますが、私自身、かなり厳しく指導をいたしました。

 今後とも、誠実な姿勢を持って地元の皆様に丁寧に御説明するとともに、廃炉作業における安全確保に万全を期すよう、経済産業省としても引き続き厳しく指導をしていく所存であります。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 厳しく指導、一つのミスでも、本当に大きな社会の信頼を失う、そういう結果となってしまうということでありますので、是非これからも継続して指導を続けていただきたいし、指導だけではなくて、これはもう国が前面に立って廃炉を行っていくということですから、一体となって考えていただきたいというふうに思いますし、安全性の話をすると、現場で働く作業員の方々は本当に危険にさらされているという状況になってしまうということですので、そこも含めてしっかりと御対応をいただきたいというふうに思います。

 そして、この中で、この東京電力の一連の不祥事事案を受けて、やはり国際社会からの東京電力に対しての疑問の目が向けられているということでありまして、特に中国は大変厳しい言葉をその都度発しているということであります。

 今月の、浄化設備、サリーの建屋の排気口から放射性物質を含む水が漏えいした事件については、在日本中国大使館から、東京電力の内部管理が混乱し、そして無秩序になっていることを露呈したとする報道官談話が発表されたということも報道されています。

 外務省は、ALPS処理水の海洋放出について、IAEAと連携しながら、科学的根拠に基づいて、高い透明性を持って国際社会に対して引き続き丁寧に説明をしていくということの考えを示してはいるのですけれども、これだけいろいろな問題が発生すると、簡単なことではないというふうに思うんです。

 これは、中国だけではなくて、ほかの国にも波及していくのではないかなと大変心配しているところでもありまして、この件について、これから外務省としても、今日は外務政務官、穂坂政務官にお越しいただいておりますけれども、どのような対応をしていくのか、そして、どのようなお考えでこの事象、こういう事件について、不祥事について見ていらっしゃるかも含めてお聞かせいただきたいと思います。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 外務省は、関係各省庁と緊密に連携しつつ、国際会議の場や二国間会談の機会を通して、中国を含む国際社会に対して、ALPS処理水の海洋放出に係る日本の取組の安全性、そして日本食品の安全性を発信をしてまいりました。

 今回の水漏れ事案については、ALPSの前段の浄化設備における作業において生じたものと承知しておるところでございますが、監督官庁でない外務省からその評価などを述べることは控えたいと思っています。

 その上で、東京電力に対しては、再発防止を含めた安全確保に万全を期すよう、今ありました、経産省から改めて東電に対して厳しい指導がされたものと承知をしています。

 また、国際社会に対しても、中国側も自らの立場を表明している、先ほど委員がおっしゃられましたけれども、そちらも承知をしております。

 今回の事案については、東電による原因究明、再発防止策、そして経産大臣から東電への指導も踏まえつつ、外務省としても、中国を含む国際社会に対し、適切に情報提供を行っていきたいと思っています。

 引き続き、独立した第三者の立場から関与を続けるIAEAとも連携をしつつ、国際社会に対して、ALPS処理水に係る日本の取組、そして福島県産食品を含む日本食品の安全性をしっかりと発信をしていきたいと思っています。

金子(恵)分科員 御努力、たくさんしていただいているんだと思うんです。でも、一方で、東電が本当に緩い対応をしている。現場をしっかりと見ていただかなくてはいけないと思いますし、本当に信頼回復ができないような状況があるのではないかというふうに思っております。

 ありがとうございます。

 次に参りますけれども、ALPS処理水の海洋放出が八月の二十四日に始まりました。昨年始まりましたので、半年が過ぎる前ということで、共同通信が、今回、全漁連に加わる都道府県レベルの四十二漁連、漁協にアンケート調査を実施したということで、それが公表されました。応じた三十六団体の八〇・六%に当たる二十九団体が、風評被害はあった、どちらかといえばあったと答えたということが分かりました。大多数は、今ほども問題になっています中国が日本産水産物の輸入を停止したことに伴う被害を挙げて、影響が国内各地に波及したことが浮き彫りになったということでもありますし、それに対して、経産省としても、総額一千七億円の水産業の支援策を打ち出したパッケージがあります。

 東電は、禁輸に伴う損害も含めて賠償を始めているということではありますけれども、残念なことに、この政府、東電の対策の評価についても、三十団体が回答していますけれども、どちらかといえばも含めて不十分と答えているのが六〇%に上っているということです。

 パッケージでしっかり対応している、だから、ALPS処理水を海洋放出しても大丈夫とずっとおっしゃってきていただいていましたけれども、でも、やはり現場では違うんですね。まだまだ苦しい状況があるということなんですけれども、齋藤大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のアンケート調査ですけれども、風評被害と回答した漁連、漁協の大多数は、御指摘にもありましたけれども、中国等による日本産水産物の輸入規制措置に伴う被害を挙げているものと認識しています。他方、こうした輸入措置の影響を除きまして、ALPS処理水の放出による水産物の価格の大幅な低下などを見てみますと、現時点で大きな風評影響が生じているという声は聞いておりません。

 中国等による輸入規制強化等を踏まえて、全国の水産業支援に万全を期すべく、「水産業を守る」政策パッケージや補正予算を通じて支援を実施しているところであります。

 具体的には、三百億円の需要対策基金による一時買取り、保管や販路拡大支援、五百億円の事業継続基金による燃料コスト削減支援等を進めるとともに、輸出先の転換対策も進めてきています。

 こうした中で、一定の成果は出てきていると認識をしています。例えばホタテガイは、昨年十二月時点で、国内消費、これは二人以上の世帯での消費額が約一・四倍になったということでありますので、国民の皆さんも御協力をしてくれているのかなと思います。それから、輸出は、米国向け等の増加によりまして、前年同程度の水準を維持しているということであります。

 それでもなお損害が生じた場合、これはあり得ると思います。その場合は、東京電力が適切に賠償することとしています。引き続き、被害の実態に見合った必要十分な賠償、これが迅速かつ適切に実施されるように、この点についても東京電力をしっかり指導していきたいと思っています。

 今後も、私は、漁業者等の方々の事情を丁寧にお伺いをしながら、政策パッケージ等の実行を通じて、漁業者の皆さんの支援に万全を期していきたいと考えています。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 ただし、東電が不祥事をまた起こしてしまったときに、本当に、海外からの、国際社会の中での目というのはどんどん厳しくなっていく。

 今、輸出先も、中国に代わってとにかく探しているという、そういう状況であるし、それを広げていくという、その矢先でありますけれども、でも、残念ながら反対にそういうところからも厳しい目を向けられてしまったらば、また違う支援が必要になってくるのではないかと思いますので、是非、そのことも含めて、今後、きちんと御検討いただきたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。

 最後になります。

 原子力事業者としての東京電力の適格性ということでお伺いしたいと思いますが、原子力規制委員会は、昨年十二月の二十七日、テロ対策の改善が確認できたとして、東京電力柏崎刈羽原発に出していた事実上の運転禁止命令を解除いたしました。

 この件については、もうここでは申し上げませんけれども、この柏崎刈羽原子力発電所原子炉施設保安規定の第二条の基本方針に約束を盛り込ませて、二〇二〇年十月に認可して、違反すれば、とにかく運転停止などの命令を出せるようにしたということでありましたが、そういう中で、二〇二一年に入ってテロ対策の重大な不備が相次いで発覚したことを受けて、同年四月に、原子力規制委員会は、核燃料の移動を禁ずる異例の是正措置命令を発したわけです。

 今回の解除までに約二年八か月を要したということでありますが、山中原子力規制委員長、おいでいただいておりますけれども、ありがとうございます。今回のこの解除については、東京電力にお墨つきを与えたわけではないと会見でも述べられていた。そしてまた、伴委員におかれましては、評定は優や良ではなく可だというふうな、そういう発言をしていらっしゃいます。

 それは全てを物語っているのではないかというふうに私は思うんですけれども、東京電力の一連の不祥事を受けて、原子力規制委員会は、東京電力の原子力事業者としての基本姿勢がきちんと果たされていると思われますか。

 先ほど申し上げました保安規定の第二条、ここをちょっと今申し上げる時間はないんですけれども、原子力事業者としての基本姿勢をしっかりと守りながら、その中には、決して独りよがりにはならずに、地元と対話を重ね、主体性を持って責任を果たしていくというような、そういう言葉もあるのですけれども、本当にそれができているのかどうかということについて、委員長の御認識をお伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 本日、委員の方から御紹介いただきました二件の事案について、まずお話をさせていただきたいと思います。

 昨年十月に発生いたしました増設ALPSにおける身体汚染の事案について、これは、保安検査の結果を受けまして、本年の二月の二十一日の規制委員会において、軽微な実施計画違反に該当すると判断をいたしました。当該作業で扱っている物質の放射能濃度を考えますと、従業員に対する放射線安全について重大な違反になるおそれがあったものと認識をしております。

 当該洗浄作業における再発防止策の確実な実施、同様な作業への水平展開、東京電力社員の意識改善への取組等につきましては、引き続き、保安検査の中でしっかりと確認をしてまいります。

 また、本年二月七日に高温焼却炉建屋から汚染水が漏えいした事案につきましても、当該作業管理に関して、実施計画上の違反に当たる可能性が高いと考えております。

 詳細な発生経緯や要因につきましては、現在、保安検査の中で確認を行っているところでございます。個別のミスやトラブルに関して、安全への影響の度合い、あるいは事業者の原因究明、発生防止への取組姿勢など、それぞれの状況に応じまして、必要な規制上の対応を行っているところでございます。

 こうしたミスやトラブルの数をもって原子炉設置者としての適格性に問題があるとすると、ミスやトラブルを積極的に報告し改善の契機とするインセンティブをそぐことになり、適切ではないと考えております。

 いずれにいたしましても、東京電力には、福島第一原子力発電所で生じた今回の二事案のようなトラブル再発防止に緊張感を持って取り組んでいただくことを求めるとともに、原子力規制委員会としては、東京電力の取組を引き続き厳正に監視、指導してまいります。

金子(恵)分科員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございます。

伊藤(達)主査代理 これにて金子恵美君の質疑は終了いたしました。

    〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕

上野主査 次に、田中健君。

田中(健)分科員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 本日は、ゼロゼロ融資、またスポーツビジネスについてお伺いしたいと思います。

 齋藤大臣におかれましては、中小企業庁で政策金融機関やまた信用保証協会の運用にも携わったということでありますので、是非、実務面にも携わった面から御指導いただければと思っています。

 日経平均が史上最高を更新しています。一方で、企業倒産が相次いでいます。令和五年の全国の企業倒産数は八千六百九十ということで、前年比の三五・二%増、これは平成四年以来の三十一年ぶりの高水準だということです。急速に倒産件数が増加をしています。大企業は好景気だということを迎えているかもしれませんが、中小企業には厳しい現状が続いています。

 日本経済の流れを、大臣は冒頭、潮目の変化という発言がありました。しかし、中小企業をめぐる日本経済の足下という状況は、大臣から、まずどのように認識をされているのかというのを伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 中小企業の業況判断、いわゆるDIは、全産業で約三十年ぶりの最高水準を記録し、中小企業の賃上げ、設備投資も順調に伸びているなど、経済の状況は全体としては改善をしているんだろうと思いますが、一方で、多くの中小企業は、人手不足やエネルギーコストの上昇、物価高騰等の課題に直面をしていると認識しています。

 倒産件数ですけれども、これはコロナ前の水準に戻りつつあるわけでありますが、完全失業率は低水準で推移しておりまして、引き続き注視をしていくという必要があると思っています。

 いずれにしても、コスト増に対応するための価格転嫁対策や急激な環境変化に対応するための資金繰り支援によって、中小企業の経営をしっかりと支えていくことが重要だなというふうに思っています。

 その上で、今のような状況を打開するためには企業自らの意欲的な挑戦が不可欠でありまして、今、我々としては、このために、革新的な製品、サービスの開発ですとか、新たな顧客層の獲得や販路の開拓ですとか、IT導入や人手不足に対応した省力化投資等を支援することで、売上拡大、生産性向上を図って更なるチャレンジを促していきたい、こういうふうに考えているところであります。

田中(健)分科員 今、中小企業の賃上げということで、大企業に続いて、是非とも春闘が始まる中で実現をしたいとは思うんですけれども、しかしながら、今回、コロナ禍でこの中小企業を支えてきた実質無利子無担保のゼロゼロ融資の返済が始まっておりまして、同融資を利用した中小企業が倒産をしているという現状もあります。

 その中で、会計検査院が、政府系金融機関が行ったこの特別融資十九兆円のうち、一兆円が回収不能かそのおそれがあるということを指摘をされておりました。中身としましては、審査の手続の問題や、また、融資先の財務状況を定期的に確認できていなかったなど、リスクの把握が不十分だったのではないかという可能性が示されましたが、これだけ景気がいいと、また、今、これから上向きという中でも、不良債権を生んでいるんじゃないかというふうに思っています。

 これまでの政府系金融機関における融資の対応というのはどうだったのかということの検証が必要かと思いますが、政府の見解を伺います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本公庫などによる実質無利子無担保融資でございますけれども、コロナ禍という未曽有の危機時に、中小企業の事業継続を第一にするということで、倒産件数につきましては、大臣御答弁申し上げましたように、低位で推移してきた、こういった効果があったと認識をしてございます。

 そういった中、御指摘のとおり、昨年の十一月、会計検査院から、令和四年度決算検査報告におきまして、日本公庫などのコロナ融資の残高十四・三兆円のうち、リスク管理債権を八千七百八十五億円という形で公表されております。

 このリスク管理債権でございますけれども、もちろん、経営破綻に陥っている債務者に対する債権なども含まれておりますけれども、他方で、コロナ禍で政府がこれまでも繰り返し要請した条件変更、いわゆるリスケをした債権も含んでおりまして、この全てのリスク管理債権が回収不能な不良債権であるとは認識をしてございません。債務者が経営改善することによって、リスク管理債権が正常債権にランクアップするということもよく見られるところでございます。

 一方で、回収不能な債権を減らすということは、これは大事だと思っておりまして、コロナ融資先の経営支援を進めるということとしております。

 具体的には、コロナ融資の返済本格化を迎える中で、昨年の十一月、関係機関を集めて、挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議を開催いたしました。経営改善や再生への取組を一丸となって積極的に支えていただくよう、当省からも依頼しております。日本公庫からも、よろず支援拠点や中小企業活性化協議会等との連携によって経営改善、再生支援を行うといった旨の御発言がございました。

 引き続き、日本公庫等によるコロナ融資先の経営改善支援の強化を進めることで、リスク管理債権から正常債権へのランクアップに取り組んでまいりたいと考えております。

田中(健)分科員 確かに、ゼロゼロ融資ですが、あのコロナのときを考えれば、先行きが見えないですし、そして、どんどんとやはり支えていかなきゃならないという、政府も、若しくは世の中もそういう感じだったので分かるんですけれども、今の答弁ですと、融資は判断としては適切に行っていた、そういうふうにペーパーにも書かれていたんですけれども、やはり、そうではなくて、手厚い支援をしたのは必要だった、しかし、全体的には審査が甘くなったというのは事実だと思っていますので、しかも、致し方なかったと思っています。

 ですから、その損失について、そういう意味では、そういうことがあったけれども、しっかりと認識してもらって、そして、次の緊急時に生かすような流れにしていっていただければと私は思っていますし、もちろん、私も一兆円が全て不良債権と言っているわけでなく、私も銀行員をやっていましたので、その八千七百八十五億は確かにリスク債権管理で、それは銀行法に基づいて開示しているものですから、中身はいろいろと、破綻先もあれば、緩和債権、貸出しの条件緩和もあるし、延滞もありますけれども、やはり、しっかりそれを認識するというのが大事だと思いますので、引き続きお願いをしたいと思います。

 さらに、民間の銀行もこの融資で二十三兆円を貸し出しました。民間においては、利払いが国から得られる上、これは、融資が焦げついても信用保証協会の代位弁済がありますので、ほぼリスクなく利益を上げられるということで、どんどんと貸出しをあの当時進めておりました。実際、それによって、政府系、いや、それ以上、同等以上の不良債権が生じているんじゃないかといったことが専門家からも指摘がされています。

 この民間のゼロゼロ融資の不良債権に関してどのように把握がされているのか、また、貸倒れが発生すれば国民負担というのにつながってまいりますけれども、その負担というのをどのように考えているのか伺います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今度は民間の不良債権についての御質問でございますけれども、今先生御指摘のとおり、民間ゼロゼロ融資を含む信用保証付融資につきましては、民間金融機関にとっての回収不能リスクというものは、これは信用保証協会が、返済が困難となった事業者に代わって代位弁済するという形でリスク負担をするわけでございます。その後、これも御承知のとおり、信用保証協会がその事業者から弁済額の回収を行うということでございますので、これも先ほどの答弁と重なりますけれども、代位弁済分が全て回収不能となるわけではございません。

 この中で、民間ゼロゼロ融資のうち代位弁済に至った件数でございますけれども、全融資実行件数百三十六万件のうち、二〇二三年八月の末時点になりますが、その一・三%に当たる一・七万件というところでございます。

 信用保証付融資全体の金額ベースの代位弁済率は、二〇一九年度が一・六四%に対しまして、二〇二三年度見通しは一・二%と、足下の代位弁済率は必ずしも高くないような状況になってございます。

 代位弁済に至る貸付先件数の抑制に努めていくというのは、これはこれからも大事なことだとは思っておりますし、これまでも、融資期間を延ばすとともに、収益力の改善を支援するコロナ借換え保証の実施でございますとか、そういった形で中小企業の経営改善支援を進めてきたところでございますけれども、例えば、今月から、借入れの中心が民間ゼロゼロ融資である企業につきましては、資金繰り計画の策定などを支援する早期経営改善計画策定支援事業、これを中小企業が民間金融機関にも計画策定支援を依頼できるように見直しまして、民間金融機関との連携による経営改善支援も進めているところでございます。

 今後とも、こうした施策を通じまして、事業者のニーズを把握しながら、中小企業の経営改善を後押ししてまいりたいと考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 昨年度の四―十二月の全国代位弁済、三千五百八十五億ということで、これは前年同期から五割増しということで、やはり増えています。足下は、今、収まっているということだったんですけれども、増加をしていますので、これも、もちろん全てが不良債権ということではないですけれども、やはりそれだけ可能性があると。そして、今、景気回復に向かう中で、やはりこれが足かせになってしまうようなことがないように、引き続きチェックをしていただければと思います。

 そして、ちょうど五類になって落ち着きを見せる中で、まさに先ほど借換えや次の展開の話がありましたけれども、融資回収の場において、借換えで更に延期していくのか、ないしは事業再生に持っていくのかという大きな転換期にあると思っています。

 そんな中、このゼロゼロ融資のコロナ支援策の反動だと言われるのは、もう自社の利益でも金利を払うことができないまさにゾンビ企業。私は余りゾンビ企業という言い方は好きではないんですけれども、こういうふうに言われています。帝国データバンクによりますと、このゾンビ企業は二十五万社、先ほど言った倒産の八千六百九十のまさに三十倍以上に膨れ上がっているということであります。

 四月には、民間分の融資の返済のピークを迎えるということで、返済できずに倒産が相次ぐんじゃないかといった懸念がされています。このゾンビ企業のこれだけの大きな存在をどう考えているのか、また、政府としてはどのようにこの対策を考えているのかを伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 今御指摘いただいた調査におきまして、いわゆるゾンビ企業ですけれども、これは、国際決済銀行が定める、三年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオが一未満かつ設立十年以上の企業というふうになっています。

 コロナ禍におきまして、政府による休業、時短要請等の影響もありまして、広範に需要が消失をし、事業者は売上げ、利益が大幅に減少をした。結果として、インタレスト・カバレッジ・レシオが小さい事業者が多くなったという点については留意が必要だろうと思っています。

 政府としては、民間ゼロゼロ融資の返済本格化に向けまして、コロナ借換え保証制度を昨年一月から開始をしています。返済期間の長期化と収益力改善を一体的に支援をするということ、これを行っておりまして、これまでに約十五万件、約三・六兆円の借換え申込みを承諾をしています。

 加えて、今月より、資金繰り計画の策定等を支援する早期経営改善計画策定支援事業につきまして、民間ゼロゼロ融資中心の中小企業が民間金融機関にも計画策定支援を依頼できるように見直して、迅速な経営改善、これを後押ししてきているところであります。

 本年四月の民間ゼロゼロ融資の返済ピーク、これに向けまして、経営改善、再生支援を一層強化していくことが必要だと考えていまして、昨年十一月に閣議決定をした経済対策を踏まえまして、再生支援の総合的対策を年度末までに取りまとめるということとしています。特に、コロナ禍を経て信用保証付融資の比率が増大をする中、信用保証協会などによる支援を強化をしていかねばならないと考えています。

 引き続き、事業者の実情に応じたきめ細かい対応を講じてまいりたいと考えています。

田中(健)分科員 今、金融機関を中心とした経営改善の話もございましたし、また、事業再生支援もありました。是非きめ細やかな対応を、大臣には大変期待をしておりますので、引き続きお願いをさせていただきます。

 引き続きまして、地域活性化とスポーツビジネスについてお伺いをしたいと思います。これはスポーツ庁にも今日お越しをいただいております。併せてお願いをいたします。

 スポーツの市場規模について伺いますが、私、予算委員会でも取り上げさせていただきまして、足下の数字を聞きましたが、令和二年、八・八兆という回答でありました。令和二年ですと、ちょうどコロナのときでもありまして、この影響があったのかないのかも含めて、全体像が見えません。昨年や一昨年のデータがないのかということからお聞きをしたいと思います。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 スポーツ市場規模の最新の値は、先日も官房長官よりお答えされたとおり、令和二年に八・八兆円です。

 この最新のスポーツ市場規模については、日本政策投資銀行が令和四年に推計作業を開始し、昨年、令和五年に公表したスポーツ市場規模に関する数値を基にスポーツ庁が推計を行い、昨年十二月に公表したものです。

 その日本政策投資銀行の推計については、内閣府が毎年公表しているSNA産業連関表等を基として行われており、今回の令和四年に開始された推計作業では、内閣府が同年、令和四年に公表した、当時最新の令和二年のSNA産業連関表が使用されています。

 このスポーツ市場規模の数値の算出については、算出に用いる統計データの公表時期との関係から、早くて三年のタイムラグが生じざるを得ないため、昨年、令和四年と、一昨年、令和三年のスポーツ市場規模の数値については、それぞれ三年後となります令和七年と令和六年に公表することとなる見込みです。

田中(健)分科員 是非、速報値でもいいので、ないしは見込みでもいいので出していただきたいと思うんですけれども。

 なぜかといいますと、スポーツの市場規模目標、二〇二五年、十五兆と掲げています。来年ですけれども、今の八・八兆ではとてもそこまでいくという感じがしません。しかし、言ったように、コロナのときでしたから、もしかしたら今はもう十兆を超えて十五兆いっているのかもしれませんが、それもちょっと目安が分かりませんので、この数字が適当というか、余りに今は幅が、遠過ぎるのか、若しくはもう目の前なのかというのが分からないんですが、この目標と数値というのをどのように捉えればいいんでしょうか。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 今ほどお答えしましたとおり、最新のスポーツ市場規模の値は令和二年時点のものですが、これはSNA産業連関表に基づき適切に算出された数値であり、政策の達成状況を適切に評価するためには早くて三年前の数値を用いざるを得ないものの、事後的な評価は適切に行ってまいります。

 他方で、スポーツ産業の現状について、例えばですが、主要リーグの売上高に相当する数値を見ると、直近のデータでは、Jリーグの各クラブの売上高の合計は、二〇二二年度でもコロナ前の二〇一九年度を超える一〇三%、Bリーグのリーグ売上高は、二〇二二年度でもコロナ前の二〇一八年度の一五二%など、主要リーグではコロナ前の水準を超えている状況が見られます。また、民間の推計になりますが、直近、二〇二三年のスポーツ用品の市場規模は、コロナ前の二〇一九年の一一〇・四%との分析もあります。

 正確なスポーツ市場規模の算出をするにはタイムラグが生じざるを得ないものの、スポーツ庁としては、こうした数値も見ながら、スポーツ産業の現状把握に努めつつ、必要な政策を検討してまいります。

 また、昨年、経済産業省とともに、スポーツ未来開拓会議において二〇二五年にスポーツ市場規模十五兆円を達成するための施策を検討し、中間報告が取りまとめられたところであり、これに基づき、スタジアム・アリーナ改革や観戦体験の充実に向けた施策等を進めているところです。

 今後とも、スポーツ庁と経済産業省で連携し、今後の我が国スポーツ産業の更なる成長産業化に向けた検討を行っていくこととしており、引き続きスポーツ市場規模の拡大に向けて必要な施策を講じてまいります。

田中(健)分科員 大変細かく説明してもらったんですけれども、別に統計学を取っているわけじゃないので。規模としての目標に対して今どれほどかというのが分からないと頑張っているのか頑張っていないのかも分かりませんし、いや、私は頑張ってほしいという意味で言っているんですけれども、是非、先ほど売上高や様々な指標もあると言ったので、そういうものを総合したことも情報発信をしていただきたいと思います。今のでいいますと、二〇二五年の問題は二〇二八年しか検証ができませんので、お願いをしたいと思います。

 引き続き、スポーツ庁と経産省との在り方ということでありますけれども、一昨年、経産省内にスポーツ産業室というのを立ち上げたと認識をしていますが、これはどのような狙いがあって、またどういう役割を担うんでしょうか、伺います。

山影政府参考人 委員御指摘のとおり、二〇二一年十一月に経済産業省におきましてスポーツ産業室を設置しております。

 経済産業省では従来スポーツレッスン業あるいはスポーツ施設提供業などを所管しておりまして、民間のスポーツビジネスあるいはスポーツ施設の運営ビジネス等を広く見ていこうということでこの部屋を設置したところでございます。

 他方で、スポーツ庁におかれましては、スポーツリーグなど、各スポーツ団体、こちらの振興を所管されていると承知してございます。

 スポーツ産業の産業化に向けましては、両省のこのような視点がそれぞれ必要なものですから、スポーツ庁と連携しながら、政策立案、この実施を担っているということでございます。

田中(健)分科員 言うまでもなく、プロスポーツビジネスはグローバルで広がっていますし、またプロスポーツは大変厳しい世界でもあります。その中で、バレーやラグビーのような企業スポーツ、福利厚生が目的としてつくられたようなスポーツは、根強く残っている競技というのはなかなかスケールができないという状況が続いており、課題と挙げられています。

 今、スポーツ産業室ということで、産業という意味で捉えれば、第一歩というのは明確なプロ化でありまして、経産省が、今の話ですと、スポーツリーグ等はスポーツ庁という話であったんですが、競技団体やリーグと向き合ってほしいというふうに実際にやっている方から明確に言われております。具体的には、産業としてチームを独立分社化をしていくということが第一歩だと思っています。そしてスケールをしていくということなんですけれども。

 是非、産業として指導や支援など、もっと経産省が力になれる分野は多いと考えておりますので、スポーツ産業室というものを中心に、経産省がしっかりとその役目を認識してもらって前に進めてほしいと考えますが、大臣の決意を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 私も委員と同じように、スポーツの産業化を進めていくべきだろうというふうに思っています。

 日本の一部競技は、いわゆる企業スポーツから脱し切れずに、企業における福利厚生あるいは社員の一体感の醸成という目的が色濃く残っているという指摘があることは承知しています。

 経済産業省がスポーツ庁とともに開催しておりますスポーツ未来開拓会議では、昨年七月に、今ありましたけれども、スポーツ産業の成長産業化の実現に向けた方向性や取組に関する中間報告を取りまとめたところでありますが、その中で、スポーツビジネスの拡大に向けて、スポーツクラブをしっかりと経営をし、スポーツコンテンツから利益を得ることで発展をさせるという意識、これが重要であるというふうに示しております。

 こうした観点から、経済産業省としては、例えば、トップスポーツを通じた海外需要の獲得、こういったものを後押しするために、スポーツリーグやクラブがスポーツコンテンツの海外展開を行う際に費用の一部を補助するなんという支援策も令和五年度補正予算に盛り込んでいるということもしているところであります。

 私は、自分がスポーツをやっていた関係から、スポーツ産業というものが、世界の人々に熱狂や感動をもたらして、地域経済の活性化にも貢献する重要な産業でありますし、また、被災地を勇気づけたりすることもできるわけでありますので、これをしっかりと産業化をしていくということは非常に重要な視点だろうと思っています。今後も、競技団体やリーグの意見をしっかりとお聞きしながら、スポーツ庁と連携しながら、この成長産業化に向けてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 後ほど言おうと思っていましたが、大臣が大学時代、ハンドボール部主将で、本当に、一年留年するぐらい熱心に取り組んでいたということもお聞きをしておりますので、それも込めて、今日は期待を込めて質問させていただいております。ありがとうございます。様々な施策を言っていただきましたし、私の問題意識も理解を、また共有をしていただいていると思っております。

 その中で、さらに、女性という視点でも考えていただきたいと思います。

 女性のプロスポーツリーグというのは、日本ではまだまだですけれども、欧州では大変盛んになっておりまして、女子の欧州チャンピオンズリーグなどはスペインで九万人の観衆が詰めかけるということが昨今新聞でも話題になっていました。アメリカでも女子バスケットボールの人気が上昇してきております。日本でも、まだまだ男子プロリーグとは差があるとはいえ、女子プロリーグも幾つか今できております。

 是非、こういった海外の事情も研究をしてもらって、しっかりサポートをして、まさに大臣がおっしゃった成長産業化の一役を担う一つにしていただければと思っておりますが、見解を伺います。

齋藤(健)国務大臣 経済産業省では、令和四年度にスポーツ産業に関する諸外国の動向調査事業を実施しておりまして、その中で海外の女子スポーツについても調査を行いました。

 その調査によれば、欧米におきましては、男女平等の機運の高まりやメディア露出の拡大を背景に、観客数、視聴者数及びスポンサー契約が増加傾向にあります。例えば、イングランドの女子サッカーの観客数は二〇一九年から二〇二二年の三年間で約六倍に増加をしているとか、欧州女子サッカーリーグの視聴者数が二〇一五年から二〇一九年の四年間で約一・五倍に増加しているなど、最近顕著に増加をしています。その結果として、リーグ収益の拡大につながってきているというふうに認識もしています。

 こうした海外の動向も踏まえまして、引き続き、女子スポーツの振興も含めたスポーツ産業の成長産業化に向けた方策を、やはりスポーツ庁とも連携しながら、検討してまいりたいと考えています。

 最近、国際競技を見ていますと、日本の女子の活躍がすごく目立ってきておりますので、やはり産業化に向けても女子の視点というものも十分大事な視点だなというふうに思っています。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 大変、女子リーグや活躍にも目をみはっていただいているということですので、是非お願いをしたいと思いますし、それが大きな成長につながると私も確信をしております。

 スポーツビジネスの運営という面でもちょっとお聞きをしたいんですけれども、先ほども放映権等の話がありましたけれども、経済的価値が上昇して、日経新聞の去年の十月の記事には、アメリカでは有力な投資先としてスポーツチームが選ばれているというような現状もあります。

 スポーツへの投資を促して、そしてスポーツの人気と経済の好循環というのをつくっていくべきだというふうに思っていますけれども、この潮流に対する研究というのを政府はどのように認識をしていますでしょうか、伺います。

山影政府参考人 お答えいたします。

 欧州並びに米国の主要なプロスポーツの中には、高い成長率で拡大しているリーグがございます。日本においても同じように大きな可能性があるものと認識してございます。

 経済産業省では、既に、海外のスポーツ産業の資金循環、その状況も含めまして調査を重ねておりまして、引き続き、スポーツ産業に関する諸外国の情報の把握に努めたいと考えてございます。

 一例で申し上げますが、成長著しいプロスポーツリーグの、あるいはチームにおきまして、スポンサー収入が拡大されているというふうに分析しております。

 その中の要因としましては、テクノロジー企業、いわゆるテック企業といった方々と連携されているというのも承知してございます。こういう方々であれば、従来であれば、企業のまさにブランドイメージを上げていくのみならず、テック企業がお持ちの技術を使って、お互いウィン・ウィンの関係で、より付加価値の高いものにしていくというところも見られますものですから、こういった点も含めまして、引き続き、海外の動向を注視しながら、スポーツの人気と経済の好循環が進むよう、プロスポーツビジネス関係者とともに取組を進めてまいりたいと考えてございます。

田中(健)分科員 まさに、その資金循環で経済の好循環をつくっていくのが大切だと思っています。

 どの国もやはり、プロスポーツ選手は稼いで、それを地域スポーツや障害者スポーツに還元していくというのが進んでいるんだと思っています。先日、大リーグの大谷翔平選手が日本の小学生にグローブを寄贈して大変話題になりましたが、まさにプロスポーツで稼いで、そして子供たちに夢と希望を与えているのが理想の姿だと思っています。

 そういう意味で、日本のプロスポーツは産業としてもビジネスとしてもしっかり頑張ってほしいと思っていますが、時間があれですが、大臣に、プロスポーツをサポートするなど、これまでのスポーツビジネスの運営もろもろの議論を聞いて、再度お考えを伺えればと思います。

齋藤(健)国務大臣 プロスポーツは、選手の活躍や、あるいはクラブ、リーグの成長が、地域社会、ひいては国全体に、私は、様々な形で還元をされていく、社会的に意義の大きい産業であるとともに、世界では非常に大きなビジネスに成長したリーグも存在すると認識しています。

 大谷選手の契約金額なんかを見ますと、ちょっととてつもない金額になっていますが、日本におきましても、選手が所属するクラブがしっかり経営をされるということ、そして、クラブやリーグを始めとしたスポーツ産業をしっかりと稼げる産業へと成長させていくこと、これが重要だというふうに思っています。

 先ほども少し申し上げましたが、経済産業省では、スポーツリーグやクラブがスポーツコンテンツの海外展開、これを行う際に費用の一部を補助する支援策というものを令和五年度の補正予算に盛り込んでいます。具体的には、試合の映像ですとかSNSコンテンツのローカライズや現地でのイベント開催などを支援をすることによりまして、プロスポーツによる海外需要獲得、こういったものも後押しをして、プロスポーツの成長産業化につながっていけばなというふうに思っています。

 今後も、スポーツ庁と連携をして、スポーツ産業の成長産業化のためにしっかり取り組んでいきたいと考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。まさに海外需要の獲得は大切だと思っていますので、日本だけではなく世界に目を向けての支援をお願いをしたいと思います。

 プロ化と、もう一つ大事なのが、スタジアム、アリーナとも言われています。このスタジアム、アリーナ建設について最後に伺いたいと思います。

 私の地元静岡ですけれども、サッカーが大変に盛んですけれども、最近はバスケットの人気も出てきて、新しいスタジアム、アリーナを建設するなどという動きが出てきています。是非、こういったことも政府として後押しをすべきだと思っております。

 あわせて、スポーツの本場アメリカでは、スタジアム、アリーナを公設で建てた場合でも、思い切って球団やチームに譲渡をしているという例があります。これは、金銭的なリターンではなくて、産業誘致や町のブランド向上、また、町の誇りの醸成といった社会的な資本的価値の向上に使うと聞いています。

 どうしても日本では、PFIとかいう話で、なかなか球団との金銭リターンの中で両者の関係がうまくいかないという例も聞いていますが、是非大胆に発想も、こういうものを取り入れてほしいと思いますし、そういったものへの支援というのをどう考えているのか、最後に政府の考えをお伺いします。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 スポーツ庁では、経済産業省を始めとする他省庁とも連携しながら、二〇一七年から、スタジアム、アリーナをコストセンターからプロフィットセンターへ変革させるということを目指して、スタジアム・アリーナ改革を進めています。

 この実現には、まず、スタジアム、アリーナ建設、運営に係るノウハウの共有が重要であり、スポーツ庁では、各主体におけるプロジェクト検討を後押しすべく、運営管理や民間資金活用に関するガイドブックの策定、相談窓口の開設、個別プロジェクトに対する構想や計画の策定支援等を進めてきているところです。また、内閣府とも連携しつつ、民間資金の活用等、官民連携による整備を推進しています。

 さらに、これまで、資金面での支援として、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成金等で、スタジアム、アリーナを含む、地域におけるスポーツ施設の整備の支援を行ってきたほか、内閣府、経済産業省、国土交通省などの各府省庁の活用可能な支援策を横断的に取りまとめ、スポーツ庁ホームページでの周知を図ってまいりました。

 御指摘にありましたとおり、近年、Jリーグ、Bリーグの盛り上がりとともに、新しいスタジアムやアリーナ建設などの動きが出てきているものと承知しています。そのような動きを後押しすべく、スポーツ庁としても、プロスポーツ団体や自治体、経済産業省を始めとした関係府省庁と連携を図りながら、スタジアム・アリーナ改革の推進に引き続き取り組んでまいります。

 また、アメリカ等々という御指摘もございましたが、地方自治体が建設したスタジアム、アリーナを球団やチームに譲渡することについては、地方自治法において、原則、地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくしてこれを譲渡してはならないとされているところです。また、公設で建設されたスタジアムやアリーナを民間主体に譲渡した場合、固定資産税の負担が生じるということもございます。

 このため、御指摘ありましたとおり、公設で建設されたスタジアムやアリーナについて、仮に、自治体の金銭的リターン以外の要素も考慮し、無償又は低廉な価格で球団やチームに譲渡することを国として各自治体に対し求めることに関しては、慎重な検討が必要ではないかと考えます。

 一方で、御指摘ありましたとおり、スタジアム、アリーナについては、産業誘致や町のブランド向上、住民の誇りの醸成といった便益を地域社会にもたらす面もあります。このため、スポーツ庁としては、地元自治体や民間主体等の関係者が連携しながらスタジアムやアリーナの建設、運営を行うことを推進すべく、スタジアム、アリーナの経済的価値、社会的価値の算定方法の検討を進めているところです。

 今後とも、スタジアム、アリーナが、御指摘がございましたような、社会に価値をもたらすという考えについても普及を図りながら、その整備の推進に取り組んでまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございました。

 時間となりました。スポーツというビジネス推進、大臣の活躍に期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。

上野主査 これにて田中健君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口晋君。

山口(晋)分科員 皆様、こんにちは。衆議院議員の山口晋です。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 大臣、これまで多分たくさんの質問があったと思いますので、是非一足先に休憩していただければと思います。よろしくお願いいたします。

上野主査 齋藤大臣におかれましては、御退席お願いいたします。

山口(晋)分科員 ロシアのウクライナ侵略以降、世界的なエネルギー価格高騰に起因する物価高、我が国も大変に苦しんでまいりました。岸田政権として、激変緩和措置事業としての燃料油価格支援、ガス代、電気代への補助など的確に実施をしていただき、国民生活を守る観点で大変に効果があったものだと承知をしております。

 現在の措置は二〇二四年四月末で終了をし、五月は激変緩和の幅が縮小と理解をしておりますが、今後の見通しについて国民の皆さんも大変に気にしておりますので、今後の見通しを教えていただきたいと思います。また、今回の一連の支援に対して、出口戦略が不透明だったという声もあります。政府として、今回の対策をどのように評価し、改善するべき点としてどのようなことがあるか、御見解をお願いをいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これまで実施してきております燃料油の価格あるいは電力・ガス料金の激変緩和措置は、国民生活や経済活動における負担軽減に寄与してきているというふうに考えてございます。

 他方、この激変緩和措置は、今も御指摘ありましたとおり、いつまでも続けるものではなく、出口を見据えていくという観点も重要でございます。昨年十一月の総合経済対策において、支援の出口を意識しつつ、燃料油価格については本年の四月末まで、電気・都市ガス料金は、現在の措置を四月末まで講じ、五月は支援の幅を縮小するとされております。

 その後の対応につきましては現時点では決まってはおりませんけれども、これまでもそうしてきましたように、この激変緩和措置につきましては、出口を見据えつつ、国際情勢、経済、エネルギーをめぐる情勢なども踏まえながら、しっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。

 それで、これまでの評価、それから改善という御指摘もいただきましたけれども、燃料油につきましては、リッター当たり最大四十一円の支援を行うなど、原油価格の高騰が国民生活、経済に与える影響を常に勘案しながら、柔軟かつ機動的に対応してまいりました。

 電気と都市ガスの料金につきましても、料金を全体として見れば、ロシアによるウクライナ侵略前である二〇二二年二月の水準と同等以下となっておりまして、このように着実に効果が出てきているものと認識してございます。

 また、随時、事業の運営についても改善を図ってきているところでありまして、燃料油につきましては、様々な形での国民、事業者に対する分かりやすい周知の徹底、あるいは価格のモニタリング調査のより効率的かつ実効的な実施に努めてきております。

 電力・ガス料金につきましても、需要家の皆様に値引きを実感していただくため、請求書や検針票などに値引き単価や支援に関する情報を記載し、周知徹底に努めてまいりました。加えて、値引きを本年一月以降も継続するに当たりましては、これまでの事業執行で蓄積した知見を活用し、小売事業者などに対する補助金の交付を経済産業省から直接行う形に変えるなど、経費の削減に努めてきているところでございます。

 今後につきましては、やはり、繰り返しになりますけれども、出口をしっかり見据えた形で、様々な情勢を踏まえながら適切に対応していきたいというふうに考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 是非、本当に適切に対応していただいて、また、機動的にこういった支援をできるような仕組みを更に構築していっていただければというふうに思っております。

 さて、岸田総理の所信表明演説に、脱炭素と経済成長の両立を図るGXを進めていきますと力強い御発言があったものと承知をしております。私自身、世界初のGX移行債を発行して、産業、暮らし、エネルギーの各分野での投資が加速されることに大変期待をしているところであります。

 ここからは、GX達成に向けた観点から質問をさせていただきたいと思います。

 大企業においては、着実に自らのカーボンニュートラル達成に向けた計画策定、実施が進んでいるものと承知をしておりますが、我が国全体として、GX成功の鍵は、中小・小規模事業者の方々がGXに対応、適応できるかだと考えております。

 特に、日本の物づくりを支えるいわゆる町工場は、エネルギー多消費企業群が多く、一方で設備投資の資金、技術が限られているのも現状であります。二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた時間軸の中で、国としてどのような支援策を講じていくつもりであるか、お考えを聞かせてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業のGX推進につきましては、昨年七月に閣議決定いたしましたGX推進戦略におきましても、「中小企業を取り残すことなく、社会全体のGXに向けた取組を推進していく。」ことを掲げております。

 また、GX実現に向けまして、企業の予見可能性を高めGX投資を強力に引き出すために、昨年十二月に、多くの中小企業者がサプライチェーンを構築する自動車分野を始め、全十六分野の分野別投資戦略を取りまとめたところでございます。

 こうした動きに追随をして中小企業がGXに取り組むためには、やはり御指摘のように、投資コストなどの負担が課題となるということも、これまた事実でございます。

 したがって、例えば、GXに資する革新的な製品、サービスの開発に必要な設備投資等を支援するものづくり補助金ですとか、省エネ設備への更新を支援する省エネ補助金を令和五年度補正予算で措置をしているところでございます。加えて、補助金のみならず、カーボンニュートラル投資促進税制の令和六年度改正での中小企業向け措置の拡充などの対策を講じているところでございます。

 さらに、コスト対策支援だけではなく、サプライチェーン全体の取組を進めるため、下請振興法に基づきまして望ましい取引の在り方を定めた振興基準において、親事業者、下請事業者の双方が連携して脱炭素化に取り組む旨を明記しておりますし、さらには、グリーン化の取組も対象としているパートナーシップ構築宣言の更なる拡大と実効性の向上などに取り組んでいるところでございます。

 一方で、中小企業がカーボンニュートラルに取り組むことは、省エネによるコスト削減、さらには、それによるキャッシュフローの改善、トランジションファイナンスなどの資金調達手段の拡大、それから、いち早くGXに取り組むことにより受注の拡大につながる可能性もある、こういったメリットも指摘をされているところでございます。

 このため、中小企業が取り組むことのメリットについての理解も促進しつつ、政府による支援、サプライチェーン全体の中での支援などを通じまして、中小企業も含めた経済社会全体でのGXに向けた取組を引き続きしっかりと後押ししてまいりたい、このように考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。引き続き、中小企業の方々も取り残さず、GX達成に向けてよろしくお願いをいたします。

 また、二〇五〇年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた産業構造転換を後押しする、いわゆるGX移行債でありますけれども、世界がその動向を注目しているものと理解をしております。

 二月十四日、そして昨日二十七日と、これまで二回の入札が行われたものと承知をしておりますが、国としての評価はどうだったのか、また、今後の入札の見通しであったり、そして、より魅力を持たせるための施策に関する御見解をお聞かせください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のGX経済移行債、これは、今後十年間で百五十兆円超のGX投資を引き出すために、政府として、十年間で二十兆円規模、発行いたしまして、民間の先行投資支援を行うものでございます。

 GX経済移行債の個別銘柄でございます、クライメート・トランジション利付国債と言っておりますけれども、これは、世界初の国によるトランジション国債として、二月十四日、そして昨日二月二十七日に入札を実施をしたところでございます。

 調達予定だった一・六兆円の金額はしっかり確保できておりますし、また、直接の比較は難しいものの、通常の国債と比べて利回りが低く抑えられたという金融市場関係者からの報道、レポートも踏まえますと、銀行や生命保険会社など幅広い投資家から受け入れられたものと評価をしているところでございます。

 来年度以降もクライメート・トランジション利付国債の発行が続くことになっております。今後とも、欧米始め国内外の関係者に対して、トランジションファイナンスを始めとした日本の脱炭素の取組を丁寧に説明し、幅広い理解を得た上で、GX投資を後押ししていきたい、このように考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、e―メタン関連について御質問をさせていただきたいと思います。

 日本の産業界の将来のためにも、トランジションにおいて、天然ガスを活用して、その先の将来においてはe―メタンを活用する社会をつくることが非常に重要だと思っております。この理由としては、やはり既存のインフラをしっかりと活用できることや、また、熱需要の産業においてはなかなか電化も難しいことでありますので、やはりこのe―メタンの重要性というのは必要だと思っております。

 その中で、今回、水素新法の中にe―メタンが入り、普及拡大に向けた法整備や制度について議論が進んでいくことは非常にすばらしいことと考えております。

 現在、国会で審議予定であることは承知をしておりますが、法案の中で、e―メタンは支援の対象とされている一方で、国際的な決定に照らしてその利用が我が国のCO2の排出量の削減に寄与することが支援の前提条件となっていることと承知をしているわけであります。

 現在、民間レベルでは、海外のパートナー企業と合意形成に向け交渉が進み、また国としてもルール整理の考え方について検討されていると伺っているところでありますが、これまでも国家間のCO2カウントルールの整理の必要性については様々な場でコメントをしておりますが、国としてどのような検討をいつ頃までに出せそうなのか、是非踏み込んだ見解を教えていただければと思います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 e―メタンの燃焼により排出されるCO2は、製造時に原料として回収されたCO2でありますので、化石燃料を燃焼した場合と比べて、追加的なCO2の排出を抑えることができます。

 しかしながら、e―メタンはこれから活用が見込まれる新しい燃料でありますので、利用時のCO2の排出量計算方法について、現時点では明確なルールは存在していない、今後、合成メタンの利用を促進していくためには、その計算方法の考え方を整理することが必要との認識は、委員御指摘のとおりでございます。

 まずは、e―メタンそのものの意義について海外から幅広い理解を得ることが重要であり、政府としては、昨年、G7内での共通認識の醸成に向け、G7気候・エネルギー・環境大臣会合の閣僚声明において、カーボンリサイクルを含むCCUの意義を明記したところであります。

 また、昨年八月の日米の政府間対話や十一月のG7加盟国も参加するワークショップにおいて、我が国事業者が海外で行うe―メタンの製造プロジェクトの紹介や、CO2カウントの重要性についての議論を行ってまいりました。

 委員御指摘のCO2カウントの整理に当たっては、国際的に説明可能で、かつ、CO2の排出削減量のダブルカウントを排除しつつ、客観的に環境価値が移転していくことを確認できる仕組みとすること、e―メタンを国内で製造するか海外で製造するかにかかわらず同じ考え方で整理を進めることが重要だというふうに考えてございます。

 国内外の民間事業者の間で進められているCO2排出量の帰属に関する調整状況も踏まえながら、引き続き、関係省庁とも連携しながら、しっかり前に進めていきたいというふうに考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 多分次の質問も言っていただいたと思いますので、一問飛ばしていただいて、次に、総額二十兆円のGX移行債を発行する中において、価格差に着目した支援策の総額は供給開始から十五年間で三兆円規模となっており、この対象は水素のみなのか、それともアンモニアや水素から派生をするe―フュエルやe―メタンも含まれると理解してよろしいのでしょうか。また、この支援策を享受をできるのは、基本的に早い者勝ちなのか、それとも革新的な技術があれば国としてしっかりと支援をしていくという理解でよろしいのか、御見解をお願いいたします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出した水素社会推進法案に基づき措置します、価格差に着目した支援等の対象となる低炭素水素等につきましては、水素だけではなくて、その化合物であるアンモニア、合成メタン、合成燃料も含まれます。と同時に、水素も含めてですが、一つには、その製造時に排出されるCO2排出量が一定の値以下であること、そしてもう一つは、先ほど先生御指摘の要件がはまっておりまして、これは、水素も含め全てにおいてこうした要件を満たしたものを対象とすることを想定としております。

 その上で、支援対象となる事業計画の選定に際しては、御指摘の早い者勝ちというわけではございません。二〇三〇年度までに供給開始が見込まれることに加えまして、一つには、鉄、化学といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途に供給すること、二つには、支援期間終了後、十年間の供給を継続すること、三つ目に、国内外で新たな関連事業を予定していることなどといった必須条件を設け、まずはこれらの充足を求めることとしております。

 その上で、供給源の多角化であるとか産業競争力強化あるいは経済成長への貢献といいました政策的重要性、それから、オフテイカーの確実性、工事計画の妥当性等の事業完遂の見込み、この二つの軸から評価項目を設定いたしまして、総合評価によって支援対象とするプロジェクトの選定を行うことを予定いたしております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 なかなか、新しい技術でありますので、価格差といったところはどうしても出てきてしまうと思いますので、是非最初のときには価格支援をしていただいて、企業努力も進めていく中において、しっかりと、今既存の燃料と同じぐらいの競争力が持てる形にしていただければというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 また、脱炭素化に向けた水素、アンモニア、CCSなど、脱炭素に向けた多様な技術の必要性は認識している一方で、供給サイドからすると、事業戦略としてのオプションが多くなり、選択と実行に二の足を踏む側面もあるのではないかと危惧をしているところであります。

 社会実装に向けては、各アプローチのすみ分けなど、国としての一定のガイドラインが必要であると考えているところでありますが、その必要性や具体的な取組について見解をお聞かせください。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けましては、省エネや再エネや原子力あるいは水素など、様々な選択肢を追求していくことが必要であるという前提の下で、先生御指摘のような、国として一定の見通しを立てていくということは必要であると我々も考えております。

 こうした中で、先ほど畠山局長からも御答弁ありましたけれども、昨年十二月に、水素なども含む十六分野につきまして分野別投資戦略が取りまとめられまして、GX実現に向けた方向性であるとか投資促進策、あるいは必要な規制、制度的措置の見直しなどが提示されました。

 この中で、例えば鉄鋼分野につきましては、高炉法からの製造プロセス転換として、例えば高炉からの電炉化、あるいは直接水素還元、あるいは高炉法での水素還元といった技術オプション等、じゃ、その中で当面どういうことをやるのかといったような取組の方向性が示されております。

 加えまして、これも例えばですけれども、分野横断的には、自家発電の燃料転換などを現実的な形で進めていくために、水素、アンモニアなどの活用も視野に入れながら、石炭から天然ガスなどへの燃料転換の方向性といったようなものも示させていただいております。

 国としても、脱炭素化に向けた一定の方針を示すことは有効と考えておりまして、こうした分野ごとの投資戦略を踏まえて事業者の皆様と目線を合わせた取組を進め、企業の脱炭素化に向けた投資を促していければというふうに考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 引き続き、事業者の皆様方にも理解していただける形でこのGX推進に向けて進めていただければと思っております。

 次に、省エネ法関連についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどから申し上げさせていただいているように、供給サイドにおいてはe―メタンの普及拡大を含め、e―フュエルなど様々なカーボンフリー燃料が議論されている中でありますけれども、需要側でもその取組の目くばせが大変重要であると考えております。

 先ほどからお話ありますように、工業用途においては、今般、GX移行債による天然ガスへの燃料転換が含まれ、また省エネ補助金などでも同様な補助事業が予算化をされ、円滑にカーボンニュートラル社会へつながっていくということを理解をしております。

 一方で、家庭用においてでありますけれども、省エネ法の議論において、給湯器を念頭にエネルギー消費機器の非化石エネルギー転換に向けた制度設計が検討をされていると聞いております。

 足下でほかのエネルギーに比べ電気の非化石化が進んでいるからといって、拙速に過度な電化を進めてしまうと、将来の選択肢の幅を狭めることにもつながるのではないか。カーボンニュートラル社会に向けては、家庭においても非化石エネルギーの活用は重要でありますが、e―メタンを含めたカーボンニュートラル燃料の技術開発や社会実装の進展をにらみつつ、多様な選択肢を持っていくことが重要であると考えております。

 エネルギーセキュリティーの観点や、使用者のエネルギー選択肢の確保の観点も踏まえた制度設計が望ましいと考えておりますが、政府の見解をお願いいたします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、非常に悩ましい課題だというふうに考えております。

 エネルギー消費量の約一五%を占めるのは家庭部門でございますし、その家庭部門の約三割を給湯分野が占めているという重要性を持つものですから、御指摘のとおり、資源エネルギー庁の審議会で、給湯器の高効率化による省エネそれから非化石エネルギー転換の促進策について議論を行ってきております。

 給湯器の高効率化は、御指摘のとおり、電化だけが選択肢ではなく、ガスを用いる機器として、家庭用の燃料電池であるとかハイブリッド給湯機といった高効率給湯器の導入は有効であると考えております。

 また、これらの給湯器の設置が場所などの制約によって困難な場合には、ガスや石油を用いた潜熱回収型の給湯器の導入も促していきたいと考えておりまして、こうした観点から、審議会におきましては、ガスを用いる高効率給湯器の利用促進にもつながるような制度を有識者に御議論いただいているところでございます。

 また、令和五年度補正予算でも、ガス機器を含めた高効率給湯器の導入支援を盛り込んでおりまして、足下から家庭における省エネ対策も後押ししていきたいと考えております。

 カーボンニュートラルに向けては、エネルギー情勢あるいは脱炭素化の進展、様々な技術の進歩も踏まえながら、経済性や社会的ニーズも見極めた上で、高効率給湯器の普及策を含め、必要な施策の検討を引き続き検討していきたいというふうに考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 エネファームというのはまさに日本の固有の技術で作ったすばらしい給湯器だというふうに私は思っておりますので、是非、世界にも普及していただくべく、働きかけていただければというふうに思っております。

 次に、カーボンクレジットについて質問をさせていただきます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、徹底した省エネ、脱炭素電源の利用促進を進めていくと同時に、やはり、電化が困難など脱炭素化が難しい分野においても、GXを進めていくことは非常に重要なわけであります。可能な限り省エネをし、そして脱炭素を進めながらも、最終的に排出をされてしまうCO2については吸収源を確保してカーボンニュートラルを達成すればよく、競争力を損なわない社会をつくっていくことが私は非常に重要だと考えております。

 二〇二六年の排出権取引本格導入に向け、二〇二三年より自主的な枠組みとして試行的に取引が開始をされました。また、昨年十月、東京証券取引所でカーボンクレジット市場が開設をされたものと承知をしております。今後は、カーボンニュートラルという大きな目標に向けて、CO2が商品として取引をされるということは、私自身、画期的なことだと考えておりますし、感じております。

 今後のカーボンクレジットマーケットの充実には、Jクレジットの果たすべき役割が大変大きいと考えておりますが、政府の見解をお願いいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のJクレジット制度でございますけれども、中小企業や地方自治体などを含む多様な主体による炭素削減や吸収の活動を金銭価値化をいたしまして取引を行うことで、排出削減と投資促進の好循環を促し、社会全体で費用対効果の高い取組を進めることができる、そういう手法だということでございます。

 このJクレジットは、ISOに準拠いたしまして、国内での創出、活用実績が豊富なクレジットでございますので、カーボンクレジット市場の活性化に向けて重要な仕組みだ、このように考えております。

 このため、創出の担い手となります中小企業や地方公共団体向けに、クレジット創出費用の一部支援ですとか代表者が複数の事業をまとめてクレジットを創出できるような制度をつくるなど、創出量の拡大に向けて取り組んできたところでございます。

 加えまして、足下では、まさに御紹介もいただきました、GXリーグにおける排出量取引の試行、ここで活用を可能ということにいたしましたり、あるいは、昨年十月に東証にて開設されました取引市場、この取扱商品としてJクレジットを対象とするなど、Jクレジットの活性化に向けた取組も行ってきているところでございます。

 地球温暖化対策計画において、Jクレジットを、多様な主体の削減、吸収対策を推進する、目標達成に向けた分野横断的施策として位置づけておりまして、累計千五百万トン創出という目標を掲げております。これに向けて、Jクレジットの活性化に引き続き取り組んでまいりたい、このように考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 そういう中において、私は、やはり日本というのは四方を海で囲まれているわけでありますので、ブルーカーボンが果たすべき役割というのは非常にこれから大きくなっていくと思いますので、今後の見解についてお聞かせいただければと思います。

 それとまた、ブルーカーボンの充実、一例を挙げますと、やはり藻場の再生というのが重要であるわけでありますけれども、藻場を管理する地方自治体というのは資金難のところも非常に多いというふうに聞いております。国として支援策をどのように考えているのか、併せて御見解をお願いいたします。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 四方を海に囲まれた我が国におきましては、カーボンニュートラルの実現に当たって、藻場などに生息する海藻などの海洋生物が取り込む炭素、いわゆるブルーカーボンを活用し、CO2の削減を図っていくことが重要でございます。

 このため、国土交通省では、国土交通省が設立を認可した技術研究組合を通じて、ブルーカーボン由来のカーボンクレジット制度を創設するとともに、CO2吸収量の測定を支援するためのドローンなどの開発を進めるなど、制度の普及に取り組んでいるところでございます。

 また、本年度より開始したGXリーグにおける自主的な排出量取引制度においても、ブルーカーボンを含めたCO2の除去、吸収由来のカーボンクレジットを企業の排出削減目標の達成手段として位置づけることが検討されていると聞いております。

 以上がブルーカーボンの今後の見通しでございますが、藻場の再生につきましての国の支援については、次にお答え申し上げます。

 国土交通省では、港湾工事で発生するしゅんせつ土砂などを活用した藻場や干潟等の造成、ブルーカーボン由来のカーボンクレジット制度の普及などを通じて、ブルーカーボンの活用に積極的に取り組んでいるところでございます。

 また、藻場などの保全、再生、創出に取り組む多様な主体が一体となって取組を進めやすくするための環境を整える取組を、命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクトと称しまして、令和四年十二月より進めているところでございます。

 このような取組に加えまして、環境省や水産庁におきましては、地方自治体などが行う藻場などの造成や保全などに関する取組に対して支援を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁などと連携しまして、藻場や干潟の拡大等に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。是非、地方創生にもつながる分野だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、アジア・ゼロエミッション構想についてお聞きしたいと思います。

 昨年十二月は、日・ASEAN友好協力五十周年の記念式典が開かれるとともに、AZEC首脳会合が開催をされ、多くの成果を得たと聞いております。齋藤大臣にも御出席いただいたものと承知をしております。

 是非、このアジア・ゼロエミッション構想、私は、経済安保、エネルギー安全保障、また日本のマーケットを拡大する上においても非常に重要だと考えておりますが、政府の見解をお願いいたします。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今後のエネルギー需要が増大していくアジアにおいては、各国の事情に応じた形で着実に脱炭素化を進める必要がございます。

 アジアの脱炭素化に向けて、日本が有する技術や知見の貢献余地は大変大きく、また、これらの国々とともに水素などのサプライチェーンを構築していくことは、エネルギー安全保障上の観点からも重要でございます。

 十二月に開催されたAZEC首脳会合では、一つに、脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障の同時実現、多様な道筋によるネットゼロ実現といった理念を共有し、二つ目に、三百五十以上の協力案件の進捗を歓迎したほか、三つ目として、AZECパートナー国から日本の技術、知見への高い期待が示されたところでございます。

 アジアのカーボンニュートラル、ネットゼロ実現に向けて、AZECなどの枠組みを活用しながら、各国の事情に合わせた脱炭素技術の導入支援やERIAに設置されるアジア・ゼロエミッションセンターなどを通じた政策策定支援を行い、中長期にわたり連携してまいりたいと考えております。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、最後の一問、質問できないわけでありますけれども、日本のすばらしい省エネ技術を始め、新しい技術があるわけであります。是非、技術で勝ってビジネスでも勝つ、こういう強い日本をつくっていただくことを御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 本日は誠にありがとうございました。

上野主査 これにて山口晋君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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