衆議院

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第1号 平成29年2月22日(水曜日)

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本分科会は平成二十九年二月二十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      奥野 信亮君    門  博文君

      平口  洋君    玉木雄一郎君

      赤羽 一嘉君    井上 英孝君

二月二十一日

 赤羽一嘉君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十九年二月二十二日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 赤羽 一嘉君

      奥野 信亮君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子 一義君

      中谷 真一君    平口  洋君

      古川  康君    山田 美樹君

      神山 洋介君    鈴木 義弘君

      玉木雄一郎君    宮崎 岳志君

      足立 康史君    井上 英孝君

   兼務 岡本 充功君 兼務 中川 正春君

   兼務 上田  勇君 兼務 池内さおり君

   兼務 堀内 照文君 兼務 河野 正美君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      田中 良生君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   国土交通大臣政務官    大野 泰正君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 久喜君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 開出 英之君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     猿渡 知之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 吉田 光市君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     山田 美樹君

  平口  洋君     中谷 真一君

  玉木雄一郎君     宮崎 岳志君

  井上 英孝君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     加藤 鮎子君

  山田 美樹君     金子 一義君

  宮崎 岳志君     鈴木 義弘君

  足立 康史君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     平口  洋君

  金子 一義君     古川  康君

  鈴木 義弘君     神山 洋介君

  丸山 穂高君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     奥野 信亮君

  神山 洋介君     玉木雄一郎君

  足立 康史君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     井上 英孝君

同日

 第一分科員中川正春君、第二分科員堀内照文君、第四分科員岡本充功君、河野正美君、第六分科員池内さおり君及び第七分科員上田勇君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

赤羽主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 本分科会の主査を務めることになりました公明党衆議院議員の赤羽一嘉でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 国土交通省関係の平成二十九年度予算について、その概要を説明申し上げます。

 一般会計予算の国費総額につきましては、五兆七千九百四十六億円です。

 また、復興庁に一括計上している国土交通省の関係予算は、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費として東日本大震災復興特別会計に五千三百十八億円を計上しております。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 また、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として、三兆六千三百六十二億円を予定しております。

 次に、平成二十九年度の国土交通省予算の全体方針につきまして御説明申し上げます。

 東日本大震災や熊本地震等の発生により、大規模自然災害等から国民の生命と財産を守り、国土強靱化を推進することの重要性が改めて強く認識されました。激甚化する水害、土砂災害や切迫する巨大地震等に備えるための防災・減災、老朽化対策等は、喫緊の課題となっております。

 また、人口減少、高齢化社会のもとで我が国が経済成長を続けていくためには、社会全体の生産性を高めていく必要があります。あわせて、成長と分配の好循環を実現し、地方の隅々にまでアベノミクスの効果を波及させることにより、日本全体の成長力の底上げを図ることが強く求められております。

 こうした認識のもと、平成二十九年度予算においては、東日本大震災や熊本地震等による被災地の復旧復興、国民の安全、安心の確保、生産性向上による成長力の強化及び地域の活性化と豊かな暮らしの実現の四分野に重点化し、施策効果の早期発現を図ってまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付しております印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

赤羽主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石井国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田美樹さん。

山田(美)分科員 自由民主党の山田美樹でございます。

 本日は、質疑の時間をいただきましてありがとうございます。

 昨年の秋から、自民党の国土交通部会で副部会長を務めさせていただいております。国土交通政策について勉強を深めるにつれて改めて強く実感しておりますのは、この分野は、ほかの行政分野にも増して、国と都道府県、市区町村との連携がかなめであり、この連携なくしては物事が前に進まないということです。

 きょうは、三十分という限られた時間ですが、日ごろ、地元である東京の都心で直面している課題について議論を深めてまいりたいと思います。

 まず、東京圏の鉄道交通についてお伺いいたします。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催と、その後のリニア新幹線開通に向けて、インバウンド拡大もにらんで、大規模な鉄道や駅の開発が進んでいます。その一方で、従来からの駅や路線で、利用者や地域住民にとって長年の課題がいまだ解決されていないところもあります。その代表的な例が、西武新宿線の沿線問題です。

 昨年、西武新宿線沿線地区の選出の自民党国会議員で、西武新宿線のほかの路線への乗り入れや連続立体交差を促進し、沿線の経済活性化、住民の利便性向上を図ることを目的として、西武新宿線利活用促進ワーキングチームが立ち上がり、私もそのメンバーに加えていただいております。

 それぞれの地域の具体的な要望をもとに、東京都も交えながら、沿線の踏切対策、駅のバリアフリー化、JR線や東京メトロ東西線との相互直通運転などについて議論し、沿線全体として住宅価値の向上を目指しています。

 昨年四月に交通政策審議会が、東京圏の鉄道交通のあり方についてを答申として取りまとめましたが、残念なことに、西武新宿線についてはこの答申に盛り込まれておりません。そもそも答申自体が取りまとめは十五年に一度と伺っており、その間にニーズが発生し、方向性が具体化する案件もあろうかと思います。

 答申に記載されたプロジェクト以外でも、必要性の高いものは積極的に取り組んでいくべきではないでしょうか。石井国土交通大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 御指摘のございました交通政策審議会答申では、おおむね十五年後の東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を示すとともに、それらを実現する上で意義のあるプロジェクトといたしまして、二十四の鉄道ネットワークのプロジェクト等を記載してございます。

 さらに、答申では、これら記載されたプロジェクト以外のものにつきましても、関係者間で必要な検討が進められることを期待する旨も述べられているところでございます。

 国土交通省といたしましては、まずは、それぞれのプロジェクトの事業化に向けて、地方公共団体、鉄道事業者等において検討を進めていただくことが重要と考えているところでございます。

山田(美)分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 西武新宿線についても、地元の新宿区内から幾つか具体的な要望をいただいています。

 一つは、西武新宿駅とJR新宿駅との連絡性の強化です。

 現在は靖国通りで分断されており、地下通路で行くには大きな迂回が必要です。沿線からは西武新宿線のJR乗り入れを望む声も強いと聞いておりますが、地元としても、地下連絡通路や歩行、たまり空間の整備について強い要望がございます。

 高田馬場駅の安全性、利便性の強化も大きな課題です。駅構内の歩行、乗りかえ空間が狭く、JRや東京メトロとの乗りかえ経路も、バリアフリー化は対応済みとはいえ、駅の回遊性向上が課題です。駅周辺のまちづくりとあわせて駅空間を拡大整備したいとの要望を伺っています。

 そして、地元住民にとって最大の課題が、あかずの踏切の問題です。高田馬場駅から中井駅にかけて二駅の区間に、ピーク時一時間での遮断時間が四十分を超える踏切が十四カ所ございます。隣接する中野区では地下立体交差事業を実施しており、中野区側から連続して新宿方面への地下化ができないかとの要望があります。

 いずれも、まずは地域での議論の積み上げがもちろん大事ですが、自治体や民間事業者だけでは解決できない大規模な事業でありますし、かつ、一日に三百六十万人が利用する世界最大のターミナル駅である新宿駅に直結または隣接する問題ですので、ぜひとも国に積極的な後押しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

末松副大臣 失礼いたします。

 都市機能の中核となる鉄道駅の乗りかえ利便性や回遊性の向上等を図ることは、広域的な交通ネットワーク形成や都市の国際競争力の強化の観点から重要であると考えております。

 また、あかずの踏切につきましても、交通事故の防止や交通の円滑化を確保する上で、その対策の推進は重要な課題であると認識してございます。今先生御指摘のとおり、西武新宿線は、新宿区内だけでも十四カ所、あかずの踏切があると伺ってございます。

 特に、委員御指摘のとおり、新宿駅には六者、西武、JR、京王、小田急、東京メトロ、東京都交通局が乗り入れておりまして、今御指摘のとおり、三百六十万人の方々が利用されております。

 また、高田馬場駅につきましても三者、西武、JR、東京メトロが乗り入れる重要な拠点となっておりますが、いずれも、乗りかえ利便性等に課題があることを認識いたしております。昨晩も、都市鉄道政策課の岡野課長を初め職員の方々とも議論をいたしたところです。

 こうした課題の解決のためには、まず、鉄道事業者、関係地方公共団体において検討を進めていただくことが重要であると考えておりますが、国土交通省といたしましても、しっかりと問題点を認識して、その上で指導助言など必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

 よろしくお願い申し上げます。

山田(美)分科員 末松副大臣、力強い御答弁をありがとうございます。

 続きまして、長期保有の土地などを譲渡し、事業用資産を取得した場合の課税の繰り延べ措置についてお伺いいたします。

 現在御審議いただいております平成二十九年度税制改正案では、事業用資産の買いかえ特例について三年間の延長をいただきました。この特例措置は、八割以上が地方圏で活用されていると伺っておりますが、東京の都心でも、三つの観点から強いニーズがございます。

 一つは、国際競争力の強化。実際に、この特例を使って、千代田区の東京会館が国際会議場に生まれ変わるという事例がございます。二つ目は、東京から地方への投資です。六本木の旧耐震ビルを譲渡して、地方の商業施設のリニューアルにつながったという例もあります。三つ目は、都心の防災の強化です。この特例を使って、都心の旧耐震ビルを更新した事例が数多くございます。

 この制度は、昭和三十八年に始まった長い歴史を持つ制度だと伺っておりますが、過去二回の改正で対象が限定されて、使い勝手が悪くなったというお話を最近しばしば耳にします。

 特例の繰り延べ率が通常八〇%であるところ、東京二十三区への転入は七〇%、首都圏への転入は七五%と差をつけてありますが、この制度の本来の趣旨は、土地、不動産の流動化による需要創出であって、地域移転促進税制ではないですので、ぜひ、ここは東京にも全国一律の支援をいただきたいところです。

 また、もう一つ、この制度でネックになっておりますのが、平成二十四年の改正で、投資用マンションなどへの対策のために、買いかえ資産の土地面積が三百平米以上に限定されたということです。実は、地元の建設、不動産業界だけではなく、再開発を考える商店街やまちづくり関係者の方々など、町の地場の方々からも、何とかこの面積要件を緩和できないだろうかという具体的な要望を伺っています。

 例えば、神田神保町ですとか神楽坂といった商店街は、商業集積としては大きいものの、店舗一軒当たりの面積は決して大きくありません。建物が老朽化して、防災の観点からも建てかえが必要ですが、都心は地価も建築費も高騰していて資金的に難しいという声を伺います。

 一定規模以上のオフィスビルやショッピングセンターだけではなくて、こうした地域に根差した御商売に対しても税制の支援を広げていただきたいのですが、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました事業用資産の買いかえ特例は、今御指摘ございましたように、大変いろいろな面で効果を発揮している非常に重要な税制だというふうに考えております。

 今お話ございましたように、昨年末に閣議決定をされました平成二十九年度税制改正大綱におきまして、現行措置を三年間延長するということとされまして、それの内容を含む税制改正法案が今国会に提出をされているところでございます。

 御指摘ございましたように、本特例につきましては、幾つかの改正を経ておりますけれども、特に平成二十四年度の税制改正におきましては、買いかえ資産に係る土地の面積について、三百平米以上という要件が付されたということでございました。

 これによりまして、特に中小のビルあるいは商店などの事業資産の建てかえなどに際しまして、本特例が適用できないケースがあるというような、こういう御意見があるということは承知をしているところでございます。

 今後、そうした事業者の声や本特例の利用実態などを踏まえまして、適切に検討してまいりたいというふうに考えております。

山田(美)分科員 ぜひ、引き続きの御検討をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、中古住宅の流通活性化についての質問に移らせていただきます。

 十数年前になりますが、アメリカに住むことになって住む家を探して、中古の賃貸アパートを何軒も見て回りました。驚いたのは家の内装です。壁のしっくいは画びょうの穴だらけで、フローリングの床には何重にもニスが塗られていてぼこぼこで、台所や洗面所のパテがひものように垂れ下がっていて、それでも高級物件だというのにびっくりいたしまして、改めて、日本の住まいはきれいで住みやすいんだなと、裏を返せば、日本の消費者の住宅に対する要求水準というのは非常に高いんだということに驚いたのを思い出します。

 日本は新築志向が強くて、中古住宅の流通シェアが一五%以下、欧米が七割から九割であるのと比べて極めて低いと伺っております。特に一戸建ての中古物件の購入は、平成に入ってから一割も減少していると伺っています。

 消費者が新築より中古を志向するようになるには、中古物件を買うなり借りる際の不安をまず解消すること、それから、暮らしやすさを実感できるかどうかという二点が大きなポイントではないかと思います。

 不安の解消については、宅建業法を改正して、インスペクションの活用を促す仕組みが来年四月から始まりますし、同時に、建物の評価方法についても、一律に経年減価して築二十年で市場価値ゼロとなるような慣行を改めるガイドラインが示され、宅建業者の査定や不動産鑑定の実務に反映が進められていますが、評価方法を改善した結果、消費者の中古物件へのニーズは実際に高まっていると言えるのか、実際に査定額が成約額に結びついているかを検証する必要があるかと思います。

 また、宅建業界などの方々にお伺いしますと、現実には、むしろお客様の方から、二十年たっているんだからもうゼロでしょうというふうに、そういうスタンスであったり、銀行の査定でも旧来の慣行が根強く残っていると聞きます。

 中古物件を購入する立場からすると、これまで安く買えたものが高くなるのかという消極的な見方にもなりますけれども、インスペクションが活用されれば、中古の優良物件に太鼓判を押してもらうことになります。この優良かどうかという評価基準を、業界関係者の間だけではなく、今後さらに消費者にもわかりやすく示していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 山田委員御指摘のとおり、中古住宅、既存住宅の流通の活性化のためには、消費者の皆様に既存住宅の魅力が認知され、それが評価につながることが重要であるというふうに考えております。

 既存住宅の魅力には、多様な立地条件の中から選択できる、ニーズに合わせたリフォームができる、比較的安価に取得できることなど、さまざまあると考えられます。

 例えばマンションにつきましては、昨年の首都圏における中古マンションの成約件数が新築マンションの発売戸数を初めて逆転し、新築との選択肢となり得るほどに既存物件の魅力が認知され、流通市場が育ちつつあるというふうに考えております。

 昨年三月に閣議決定いたしました新たな住生活基本計画におきましては、消費者が住みたい、買いたいと思う既存住宅の魅力の向上を基本的な施策として位置づけさせていただいております。

 この実現のためには、既存住宅の質の向上等のこれまでの取り組みに加えて、不安、汚い、わからないといった従来の既存住宅のイメージを払拭し、消費者の皆様が住みたい、買いたいと思う新しいイメージの既存住宅を選択できるようにしていく必要があると考えております。

 このため、耐震性等の品質を備え、消費者のニーズに沿った改修の実施等について適切な情報提供が行われる既存住宅について、国の関与のもとで商標付与を行う仕組みを年度内を目途に創設すべく、検討を進めているところです。

 このようなさまざまな取り組みを通じ、魅力ある既存住宅流通の活性化を促進してまいります。

山田(美)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、その新しい制度に向けて進めていただければと思いますし、今、藤井政務官から御指摘のあったとおり、消費者の中古住宅に対する意識を変えていくためには、住まいの質そのものを高め、消費者の方々が中古住宅の暮らしやすさを実感できる機会をふやしていくことが不可欠であろうかと思います。

 去年の四月から、長期優良住宅に係る認定制度について、これまでは新築住宅が対象であったものを、増改築についても対象になったと伺っておりますし、平成二十八年度補正予算で二百五十億円を投じている住宅ストック循環支援事業の中で、四十歳未満の若者による既存住宅購入の支援策も講じられているかと思います。もちろん、今回の税制改正案の中でも、買い取り再販の税制特例の延長が盛り込まれているかと思います。

 こうした取り組みを効率よく進めて、消費者に普及宣伝して実績を上げていくためには、関連する事業者の方々、例えばリフォーム事業者、宅建業者、インスペクション事業者、建設業者、金融機関が連携していくことが不可欠であります。

 昨年、各地域の事業者間連携協議会の取り組みをもとに取りまとめた事例集が公表されていますけれども、取り組み事例として挙がっているものはかなり広域的で、地域レベルでも連携を進めていく必要があるのではないかと思っています。

 私の地元で、実際どのぐらいこの事業者間連携が進んでいるかと伺ってみましたところ、まだまだ自分の知っている業者さんに個別に頼んでお願いする程度で、関連業界がみんなで手を挙げて協力するという状況には至っていないということです。

 日ごろの御商売の関係を超えた連携を促すためには政策の後押しが不可欠かと思いますが、国の立場からどのように事業者間連携を進めていくのでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 既存住宅の流通の活性化につきましては、昨年三月に閣議決定いたしました新しい住生活基本計画においても、今後十年の住宅政策の中心をなす目標として位置づけております。

 そのためには、御指摘をいただきましたように、まず既存住宅の質の向上を図るということが必要でございます。お話しいただきました昨年の補正予算で、エコリフォーム等についての予算を創設させていただいておりますし、その中では若者の既存住宅の取得の特例も設けさせていただいております。

 またさらに、評価が適正にされるということも必要でございます。これにつきましても、先ほどの、鑑定評価等の留意点とか、あるいは宅建業者が用いますような価格査定マニュアルの改定を行ってきているところでございます。

 また、御紹介をいただきましたインスペクションの制度につきましても、来年の宅建業法の改正をにらみまして、インスペクターの養成をするための講習制度等もスタートをさせたところでございまして、消費者の皆様が安心して購入できる環境を整備してまいりたいと思っております。

 また、買い取り再販のお話もいただきました。これにつきましては、流通課税の税の特例が講じられておりますし、また延長をお願いしているところでございます。

 これにつきましては、販売戸数がかなり最近伸びておりますし、また、何よりも再販を手がけます事業者数が、例えばリノベーション住宅推進協議会という組織がございますけれども、この会員数がここ十年弱の間に八・八倍、六十七社から五百八十九社へ伸びている、また全国に広がっているということの広がりを見せております。

 長期優良住宅につきましても、対象を増改築に拡大したことは委員から御紹介いただいたとおりでございます。

 また、事業者間連携につきましては、やはりリフォームを担当いたします工務店等々と流通を担当する宅建業者、それからそれにまさに金融のバックアップを行う金融機関、こういった関係者が連携をして、住宅ストックの維持向上、評価あるいは流通、金融全ての面で一体的に取り組むことが大変重要だと思っております。

 この点につきましては、二十八年度から新しい事業制度を設けまして、連携をして取り組むということについての特別の支援をしてまいっております。二十八年度は三十九の事業者から成る取り組みを今採択しておりまして、大変野心的な取り組みも見受けられるところでございます。

 こういったさまざまな取り組みを通じまして、特に御指摘をいただきました、事業者間で連携をして既存住宅の流通の活性化に取り組む、そういった取り組みについて積極的な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

山田(美)分科員 既に着実にこの実績が上がってきているというお話を伺って、大変頼もしく、ありがたく思っているところでございます。

 続いて、住まいと健康についてお伺いをいたします。

 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を目途に、要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしをできるように、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みが進んでいます。医療や介護の提供体制のあり方については法改正も含めさまざまな議論が進んでいますが、実際に療養や介護の場となる住宅の質も地域包括ケアに見合ったものにしていく必要があります。

 そうした意味で、国土交通省が進めているスマートウェルネス住宅等推進事業については、住宅政策を超えて広く社会保障の取り組みにも通じるものであり、その結果と今後の政策に大きく期待をしています。

 現在行われている住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査はことしが最終年度を迎えると聞いておりますが、リフォームが省エネや健康にもたらす影響の普及啓発も含めて、その成果をもとに今後どのような施策を展開していくのでしょうか。

藤井大臣政務官 高齢者を初め、多様な世代が安心して健康に暮らすことができる住環境の実現は非常に重要でありまして、住宅の断熱化は、住宅内の温度差に起因するヒートショック現象の防止など、これを実現する上で有効と考えております。

 このため、国土交通省では、住宅の断熱化が居住者の皆様の健康に与える影響について、医学や建築環境工学の学識者が連携して検証する調査に対して、スマートウェルネス住宅等推進事業により支援をさせていただいております。

 具体的には、断熱改修を予定する全国約千八百軒の住宅を対象として、改修の前後における室温や居住者の血圧に加えて、生活習慣、身体活動量など健康に与える影響について、平成二十六年度から四年間で検証をしているところでございます。

 これまでの調査を通じて得られたデータに基づき検証を行ったところ、冬季において起床時に室温が高ければ血圧が低くなる傾向がある、高齢者ほど室温と血圧との関連が強い、断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の皆様の血圧が低下するという傾向があるなど、住宅の室内環境と血圧等との関連が確認されたところです。

 来年度につきましても、引き続き、住宅の断熱化が居住者の皆様の健康に与える影響について調査を進めさせていただくとともに、調査成果を普及啓発する取り組みに対して支援をしてまいります。

山田(美)分科員 ぜひ、その成果を広く施策へとつなげていっていただければと思います。

 最後の質問でございます。

 高層マンションが抱える課題についてですが、いわゆるタワーマンションは、三大都市圏を中心に全国で千二百棟を超えると言われています。都心の千代田区、港区、新宿区も、近年、高層マンションの増加とともに人口がふえ続け、特に臨海部の港区は二十階以上の超高層分譲マンションが五十五棟にも上ると聞いております。

 今回の税制改正で、いわゆるタワマン節税防止のために高層マンションの固定資産税の見直しが行われていますが、まずは、新税制は今後の新築物件のみに適用されるものであって、既存物件の所有者には何ら影響はないということを確認させていただければと思います。

 一昨年、二十六年でしたでしょうか、マンション建替え円滑化法が改正されまして、今は最新のタワーマンションも数十年たてば中古マンションになりますが、建物の維持管理だけでなく、設備の更新や本格的な修繕が必要になったとき、従来の中古マンションとは比較にならない多額の工事費がかかることが予想されます。

 タワーマンションの中には、月々の修繕積立金が最初は非常に低く抑えられていて、年々ふえていくものもあると聞いています。また、タワーマンションの所有者も、投資目的や節税目的、外国人富裕層など多岐にわたります。二十年、三十年たって修理、建てかえを検討する際に、本当に住民の合意形成ができるのかという不安もあります。

 実際にこうした問題に直面した事例はまだほとんど存在しませんが、タワーマンションで暮らす方々の将来の不安の解消のためにも、国の立場からも課題の整理と対応策の検討を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 高さ六十メートルを超える超高層マンションに対する固定資産税の課税の見直しは、平成三十年度以降新たに固定資産税が課されることとなる新築の超高層マンションについて適用されるものでありまして、山田委員御指摘のとおり、平成二十九年度に既に固定資産税が課されている既存の超高層マンションに居住している方への影響はございません。

 次に、超高層マンションについては、通常のマンションと比較して、多数の所有者の合意形成を要するという管理運営上の課題や、高額となる大規模修繕工事の費用の確保が必要となるといった課題への対応が求められております。

 国土交通省では、まず、一点目の所有者の合意形成が難しい点につきましては、平成十二年に制定されたマンション管理の適正化の推進に関する法律に基づき、専門的知識を持って管理組合に助言等を行うマンション管理士の国家資格制度や、公益財団法人マンション管理センターに設置した、全国のマンション管理組合からの相談に対応する窓口等の活用促進を通じまして、専門家でない所有者で構成される管理組合をサポートさせていただいております。

 次に、二点目の修繕費用の確保につきましては、平成二十三年にマンションの修繕積立金に関するガイドラインを整備し、修繕積立金の額の目安を示し、修繕費用の計画的な積み立てを推進しております。

 特に、超高層マンションは、外壁等の修繕のための特殊な足場が必要となり、共用部分の占める割合も高いため、より多くの修繕積立金を用意しておく必要があることから、修繕積立金の目安を特別に示させていただいております。

 住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資制度の活用により、管理組合が行う共用部分の大規模修繕工事等のリフォーム工事等に対しまして、必要な資金の調達を支援してまいります。

 今後とも、マンション管理士、相談窓口、修繕積立金の額の目安を示したガイドライン、融資制度の活用等を通じまして、マンションの適切な管理運営を支援させていただくとともに、委員の問題意識を踏まえながら、超高層マンションの実態把握を行い、関連施策の充実について検討してまいりたいと考えております。

山田(美)分科員 御答弁ありがとうございます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて山田美樹さんの質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、こうしてお時間を頂戴しまして、ありがとうございます。

 本来、事前に丁寧に、質問通告の内容について、事務方と本当はもうちょっとやらな、コミュニケーションというか、打ち合わせをして臨むべきなんですが、ちょっといろいろ忙しくて、ほとんどそういう意味での準備ができないまま、大臣初め皆様の前に立たせていただいています。したがって、それはもう足立さんは知っているだろうというような基礎的なことから、ちょっとお手間をとるかもしれませんが、御協力をいただければと思います。

 まず、建設残土でありますが、全国でいろいろな崩落とか被害がございます。国交省として把握されている、その被害というのか、事故というのか、そういうものの全体像が大体どんな感じか、御紹介をいただけますでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 建設発生土の過去の崩落事案でございますけれども、関係省庁からの情報提供、あるいは自治体への確認などによりまして、建設発生土が崩落したものとしましては、平成十三年から二十七年までの十五年間でございますけれども、十四件の事案が発生していたことを確認しております。

 このうち、既存の法律、条例の規制対象であったものが十件でございまして、それぞれ状況は異なりますけれども、法令に基づいて行為の中止、改善命令などの行政処分を行ったけれども従わなかったというケースが四件、口頭指導、文書指導にとどまっていたものが五件、指導を行っていなかったものが一件ということでございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 十五年で十四件というのが多いと見るか少ないと見るかというか、建設事業に伴い当然に発生する建設残土が置かれているというか積まれているわけでありまして、それが崩落したりすることは本来あってはならないものですから、それが毎年のように事故が起こっているというのは大変ゆゆしき事態だと私は思っています。

 実は、この問題を私が取り上げるようになったのは、地元で同じような事故があったんですね。これも大変な事故でして、大阪府の豊能町というところで、積んであった山が、山というのは残土の山が崩落をして、府道を覆うように崩落をしまして、半年にわたって大変な量の土砂が流れ込んで、半年にわたって府道がとまった。いまだにそこは大変な状況なわけです。

 復習と言ったらいけませんが、私の地元のことを国交省から御紹介いただくのもあれですが、関係の方もいらっしゃるので、簡単に御紹介ください。

藤田政府参考人 御指摘の案件でございますけれども、大阪府豊能町におきまして、平成二十六年の二月に大規模な建設発生土の崩落事案が発生いたしました。人的被害はございませんでしたけれども、府道の通行どめ、あるいは相次ぐ停電といった被害が生じたところでございます。

 その後、これを受けまして、大阪府では、土砂の撤去工事を行い、約半年後、平成二十六年八月には通行どめを解除して、さらに、再発防止に向けて、平成二十七年七月からは大阪府土砂埋立て等の規制に関する条例というものを施行しているというふうに承知しております。

足立分科員 ありがとうございます。

 まさにこういうことがありましたので、大阪府にも頼んで、頼んでと言ったらいけませんが、大阪府が規制条例を新たに設けまして、豊能町も町としての条例は設けておるかと思いますが、今に至るということであります。

 正直、本来私もよく地元から聞いてくればよかったんですが、とにかく山が豊能町だけでも四つ五つあって、四つか五つか三つか、カウントの仕方がややこしいんですが、条例で一定の効果があったものもあるやに伺っていますが、全くないものもあるやに伺っていまして、なかなか難しい問題であります。

 局長、変な聞き方ですけれども、この豊能の事故、私が間近に見ているのはこれだけなので、報道ではほかもいろいろ伺っていますが、御承知のとおり、府道を埋めたわけですね。たまたまそこに車が走っていなかった、人が歩いていなかったから死傷者は出なかったわけですが、ここはバスが走る道なんですね。あれだけの規模の土砂が道路を襲った。仮にちょうどそこにバスがいたら大惨事になった、そういうおそれも否定できないと私は思いますが、どう見ていらっしゃいますか。

藤田政府参考人 豊能町の事例におきましては、非常に大規模な崩落が生じておりまして、現に府道に土砂が落ちてきた、こういう事案でございますので、御指摘のとおり、そのときの状況によっては大きな人的被害が出かねなかった、こういった事例ではなかろうかと思っております。

足立分科員 そういうことで、手前みそながらというか、これはもう大変だなということで、当時の太田国土交通大臣にもお願いをして、関係省庁の連絡会議なるものをつくっていただきました。これは実は大変でして、大変でしてと言ったらいけませんが、みんな嫌がるわけですね。

 そもそも、建設残土が崩落した、それはどこの役所が責任を持って対応していただけるか。例えば、地元が相談に行く、これはどうしたらいいですかと。もちろん、地元の話だから地元でやってくれということが基本ですが、砂防法とか、あるいは農水省の農地の関係の法令の枠組みとか、あるいは環境省、あるいは警察、関係者が多いものですから、そもそもたらい回しになる。正直、そういう状況が続いていたんですね。

 ただ、本当に感謝をしておりますが、国土交通省が一肌脱いでいただいて他省を説得して、また、角が立つのできょうは呼んでいませんけれども、ほかの農水とか環境とかは嫌がっちゃって、余り巻き込まないでくれと。しかし、関係者ですから、国土交通委員会に局長を呼びまして、何か抵抗しているんだってとか言って僕がちょっといじめて、いじめてというのは僣越だな、そういうことで、国交省の事務方から、おかげさまで集まれましたみたいなことがありました。これは、今どうなっていますか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、建設発生土の崩落につきましては、例えば、森林法でありますとか砂防法などの既存法令の所管省庁、あるいは公共工事の発注部局などと連携して対応することが効果的でありまして、先生の御指摘も踏まえまして、課長クラスの関係省庁連絡会議というものを開催してございます。国交省のほか、農水省、環境省の参画を得まして、警察庁からもオブザーバーとして参加していただいている、こういった体制でございます。

 これまで三回の連絡会議を開催してまいりました。これまでの議論の中では、崩落事故を未然に防止できなかった原因について、事実関係を確認しながら分析を行ってきているところでございます。

 これまで、その会議の中で指摘されていることとしましては、やはり担当部局が崩落の危険性を十分に認識できていないケースがあるんじゃないかとか、あるいは、罰則の適用事例が見当たらないなど、崩落事故の前に法令を有効に活用する余地があるんじゃないか、こういった議論を重ねております。

 現在、再発防止に向けて、これに対応するための取り組みについて意見交換を行っておりまして、具体的には、先導的な取り組みを行っている現場のノウハウなどの事例収集を行っております。今後、それぞれの現場の担当者の参考になるような資料を作成していくということを方針として、今作業を進めているところでございます。

足立分科員 補足的に、事務的に確認すればよかったことなんですが、今、三回の連絡会議とおっしゃいましたが、日付はわかりますか。ちょっと大変かな。

 要すれば、私がその日付を教えてくださいと言う趣旨は、ちょっとのんびりし過ぎじゃないかな。まず、一回、二回、三回、大体いつごろ、日付を教えてください。

藤田政府参考人 第一回が平成二十七年の六月二十六日、それから第二回が同じく二十七年の八月二十八日、それから第三回が平成二十八年の十月十三日でございます。

足立分科員 私が事務的に承知をしているのは、まさに今おっしゃった、おととしそういう形で一回、二回と。なかなか集まること自体が霞が関の文化の中では難しかったわけでありますので、本当に感謝をしているんですよ。国交省が話を前に進めてくださっていることについて本当に感謝をしておりますが、二十七年の六月、八月の後、二十八年の十月ですか、一年以上あいているんですね。

 一年以上あいていた中で、私が承知していたのは、まさに事例収集したり、あるいは、どういう形で連絡会議の成果というか出口をつくられるかということについて各省で調整されていると承知していたので、二十八年の、去年の十月十三日、私は十月十四日が誕生日なんですけれども、関係ないですね、去年の十月十三日の第三回で何かまとまって、公表資料が出てくるんじゃないかな、こう思っているんですが、今おっしゃった事例収集等をされて、何か、国民の皆様、地域の皆様が直接手にとったり、あるいは関係事業者、関係の行政が参考にできるような成果物みたいなものをつくられる御予定はあるんでしょうか。

藤田政府参考人 会議の方でございますけれども、会議の開催の間に、私どもの職員が全国各地域の崩落の事例、現場に足を運びまして、その現場を確認し、かつまた地元の担当者からいろいろお話を伺って、工夫をしている点、苦労している点、いろいろお話を伺っております。

 そうしたことを踏まえて、今後、全国の各現場でどういう事例が役に立つだろうか、参考になるだろうかといったものの編集といいますか、そういった取りまとめの作業を今行っております。そういった作業に取りかかっているところでございます。(足立分科員「見通しはありますか」と呼ぶ)

 時期についてはまだ何とも申し上げられないんですけれども、なるべく具体的に、かつ役に立つようなものをお示ししたいと思っておりまして、そういった意味で、少し時間がかかっておりますけれども、最終的には、私ども、その集めた事例をもとに、各地域の参考になるようなものをお示ししたいと思っております。

足立分科員 ありがとうございます。

 余り急いで中身がないのもいかぬので、決して何か単に早くしてくださいということはないんですが、もし膠着しているようでしたら、その膠着させているところを教えていただいたら、また国会で蹴飛ばしますので、失礼なことですが。実際、そういうようなことが過去にありますので、国交省じゃないですよ、ほかの省庁で。だから、またその辺はあれしていきたいと思います。

 今、そういう報告書みたいなこと、事例集みたいなことを御検討いただいているということですが、実は、この土砂の問題について、日本維新の会は三本の法案を出しています。去年の臨時国会、その前も出していますが、改めて去年の百一本の法案の中で出しています。

 これが、過去に一本にまとまった法案を出していたのを三分割して、要は、一つは、産廃みたいにマニフェストをちゃんと土砂につけて流通させた方がいいんじゃないかというような法案とか、あるいは、土砂というのは置き場がやはり要るわけですから、そういう置き場を確保するべきだとかいう法案とか、衆議院の法制局とも相談して、やはりこれは、法益とかいろいろな合理性の中で、立て分けて整頓して提出した方がいいだろうということで、今、三本の法案になっています。そうしたら、どこかの週刊誌じゃなくて新聞かな、百一本、百本を超えるために無理やり分けたんだとか、そういうやゆもされながら今に至っているわけですが、私がこれは法律改正が必要だと言う最大のポイントは、罰則なんですね。

 砂防法の罰則というのは、総合政策局長だからあれだけれども、済みません、通告をちゃんとしていませんが、砂防法の罰則は端的に言うとどういうものですか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 懲役一年または罰金二万円ということになってございます。

足立分科員 大臣、きょうは事務方で結構なので、のんびり聞いていただいたらいいんですが、太田大臣のときにもこれを指摘したら、太田さんも後ろを向かれて、ほんまかと、そんな議論があったことをちょっと記憶していますが。二万円。僕でも払えますよ。僕でも払えますと言うのはいかぬけれども。

 実は、現場の感覚としては、二万円、いや、別に二万円も大金ですよ、しかし、土砂を積んでいるおっちゃんたちからしたら、かゆくもないわけですね。それで、国法が二万円の罰金だというので、各自治体が、仕方ないので条例で罰則を上乗せ、上乗せというかな、やっているわけです。

 ところが、地方自治法のハードルがあるわけですね。条例がつくれる罰則というのは当然上限があるわけです。何ぼだったかな、わかりますか。地方自治法の規定なんですけれども、差し支えなかったらちょっと紹介してください。

藤田政府参考人 これは現に大阪府の条例でも適用されている罰則でございますけれども、懲役二年または罰金百万円ということでございます。

足立分科員 だから、二万円を百万円までやっているわけですよ。全国に条例はありますが、大体地方自治法の上限に張りついています。みんな、ちゃんとしたいわけですね。ところが、その百万円もかゆくもないんです、余り言っちゃいけませんが。

 やっている方々からすると、大変な土砂が崩落するということは、安全措置とかが十分じゃないケースもある。要は、砂防法とか森林法の規制下にある土地、例えば砂防地とかそういうところならまだいいですよ、白地のところもあるわけです。国法が全くかんでいないところもあるわけですね。だから、もうとにかく積み放題。住宅地の裏山がどんどんどんどん土砂が山みたいになっていって、何か気がついたら山ができている。何だ、この急な山はと。雨が降ると崩れてくるわけですね。

 土砂が崩れるのはまだいいけれども、雨で、そういう濁流というか、そういうものが民間の敷地にどんどんどんどん流れ込んでくる。これをとめてくれと言っても、行政もなかなか、いろいろな人がかかわっているので、立ち入るのにちょっとちゅうちょしたりして、とにかくみんな困っているんです。

 申し上げたいことは、二万円は話にならないけれども、二万円というのは昔の法律だから、僕は、早く砂防法の二万円というのは二億円ぐらいに上げた方がいいと思うんだけれども。地方自治法も、大臣、きょうは大臣に聞いていただければもう十分幸いなんですが、とにかく自治体は百万円で精いっぱいやっているんですね。でも、その百万円というのも事業者からすればかゆくもないですよ。ああ、払いますと。

 だから、私は、これは少なくとも、地方自治法の罰則規定を引き上げるのは無理だと思うので、やはり国がしっかりと法令の枠組みを整備せないかぬ最たるところであると私は確信をしていまして、私が将来、ないかもしれませんが、与党入りした暁には、体を張って、砂防法というよりは、砂防法は別の目的でつくられている法律ですから、ちゃんとこういう建設残土を適正に管理するための特別法を、場合によっては関係省庁とも協力をして制定すべきだし、その際の罰則はしかるべきものであり、当然罰金は百万円では済まない、そう私は思っているところであります。

 きょうは、エネ庁も来ていただいて、ありがとうございます。あともう一問建設残土の話で、時間がなくなってきましたが、私は余り気にしていませんが、共産党さんとかがよくリニア中央新幹線のことでわあわあ言っています。どうですか、このリニアの建設残土の問題というのはどんな感じでしょう。悩ましい部分もあると思いますが、何とか乗り越えていけそうですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の品川―名古屋間の工事では、五千六百八十万立米の建設発生土が生じるということが見込まれております。その活用につきまして、JR東海は、環境影響評価書の中で、このうち約二六%に当たります千四百七十万立米の利用先を示したところでございます。

 これら以外に、沿線の自治体からは、建設発生土全体を超える六千五百万立米分の候補地の情報提供がございまして、JR東海は、利用先の地元との調整でありますとか現地での環境調査を進めるなど、候補地の選定を進めているというふうに聞いているところでございます。

 今後、JR東海は、有効利用先に関する情報を継続的に収集して、最適な候補地を選定できるよう検討を進めるとともに、候補地についての関係者との調整によって、可能な限り早期に発生土の利用量確保に努めるとしております。

 このような発生土の管理につきましては、既存法令を確実に遵守して行われるべきことはもちろんでありますけれども、国土交通省といたしましては、環境影響評価法に基づく国土交通大臣意見で求めたところなんですけれども、発生土置き場の適切な管理でありますとか有効利用先の確保等、既存法令を確実に遵守しながら建設発生土の適切な処理がなされるよう、JR東海をしっかり指導監督してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

足立分科員 共産党さんは大変お好きなテーマでありますが、私はちゃんとできると思っていますので、期待というか頑張っていただきたいと思うんですが、ただ、きょう前半ずっと申し上げた、もともと建設残土をめぐる関係省庁の及び腰というかていたらく、国交省以外ですよ、を見ていると、大丈夫かなと。

 特に、これは建設残土だから、例えば公共事業とかだったら、それを持っていく場所を全部事前に決めて、ここに持っていくからこうやってやる、そういうことでちゃんとやっていると思っていたんだけれども、実は、例えば都道府県の部局ごとに取り扱いが違って、ある部局はちゃんとやっているけれども、ある部局はちゃんとやっていないとか、そういうことがあるぐらい、とにかくこの話は適当なんです。適当というか、行政でさえなかなか規範がない。

 そういう中で、きょうは時間がないのでこっちであれしますが、国交省も、例えば、公共事業でやっているようなそういうやり方を民間の事業にもちゃんとやってくれという通達を、いろいろ大規模なそういうところに通達したりして、ちゃんとやってくれということはおっしゃっていることは全部聞いていますが、本当にリニアで大量に出るわけです。

 リニアの工事から出るものは全部最後まで追っかけていけるのか、いや、きょうは質問はいいですが。あるいは、どこかで流通の中に入っていって、最後、それを受け取る、末端と言ったらいかぬけれども、下請というか、そういうところが結局どこに持っていくかわからない。私の地元のような一番弱いところに土砂は集まるんです。弱いところに持っていった方がもうかるんです。

 そういう規範がちゃんとないところでこれだけ大規模な土砂が動くことについては、共産党が正しいとは、正しいことも時々言っていますので、ちょっと言い方がよくないですね、またこの辺はしっかり議論を続けさせていただきたいと思っています。ただ、まあまあ、そういうことですね。

 それから、ごめんなさい、小澤さん、申しわけありません、時間がなくなっちゃったんですが、実は、太陽光発電をめぐる、同じような問題と言ったら失礼だけれども、地域がやはり悩んでいることは多いんですが、これも条例がいろいろ各地でできています。

 これは、どうですか、問題が各地で起こっているという御認識か。どうですか。問題はある、ない、あるいは、地域で条例でみんなちゃんとやっているから大体ちゃんとなるんじゃないか。どんな感じですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点は、太陽光パネルの例えば反射光の問題とかだと思います。そういったことで周辺住民との間でトラブルが発生している、それは承知をしております。それに対応して、自治体によっては、そういった被害の防止のための条例というものを整備しているところもあります。

 いずれにしても、こういった問題は自治体あるいは関係省庁とも連携して適切に対応していきたいというふうに思っております。

足立分科員 ありがとうございました。

 もう終わりますが、実は、太陽光も私の地元で大変問題になっています。これはまたちゃんとやります。

 それから、一つだけ最後に指摘して終わりますが、実は、太陽光を置くと言って土砂を持っていっているケースが、だから、きょうの話と太陽光の話は実は一緒で、これも、名目は太陽光だったりする、でも、それは形だけで、土砂を持っていくのが目的だったりするとか、いろいろこの話は複雑ですので、また改めてお時間を頂戴したいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

赤羽主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀内照文君。

堀内(照)分科員 日本共産党の堀内照文でございます。

 きょうは、地元の神戸で起こっておりますJR元町高架通り商店街の立ち退き問題について質問をさせていただきたいと思います。

 偶然か、偶然でもないですけれども、委員長席と答弁席と、兵庫県神戸の出身の方がほとんどでありまして、なじみもあるかと思います。

 この商店街ですが、神戸の中心街にあるJR元町駅からその西の神戸駅にかけて、およそ一・二キロにわたる高架下におよそ三百店舗が営業しております。通称モトコーと親しまれておりまして、古着や雑貨、またレコード、古本屋、昔懐かしい玩具を扱うお店やワープロなんかもあるような中古家電、と思えば、中華料理屋さんとか焼き肉屋さん、喫茶店、バーに呉服店や古物商と、本当に雑多なお店が連なっております。

 戦後の闇市から発展をしていて、終戦直後から営業しているお店もあって、昭和レトロの雰囲気が非常に人気であります。あるスニーカーブランドだけを扱う店なんかもありまして、そのブランドの靴の聖地と言われて、全国各地から、ここにしかないとお客さんも来られる。また、比較的安価に借りることができる狭い店舗もありますので、若い事業主が個性的な店を開業するなど、観光スポット、文化の発信地としても注目されております。

 この商店街で、およそ一年ほど前なんですが、JRから突然、借地契約の解除、立ち退きを迫られ、衝撃と困惑が広がっております。

 きょうは、資料の一枚目に、一枚目は私が日曜日にちょっと行って撮ってきた写真なんですが、ちょっと雰囲気がわかるかと思います。二枚目が朝日新聞の報道であります。「モトコーなくなる?」ということで報道されております。

 商店街の通路を挟んで浜側、南側はJRと借り手との間に神戸市も絡んだ三者契約であります。山側、北側はJRと借り手との直接契約でありますが、ともに三十年の契約です。ちょうど国鉄分割・民営化と同時に交わされた契約であります。山側がことしの三月末と、期限が迫っております。浜側はいろいろ経過があって一年おくれで、来年の三月末が期限であります。

 この間、法務省とも私はやりとりさせていただきましたが、鉄道の高架下の土地だからといって、借地借家法が適用されないというわけじゃありません。商店街の皆さんは、JRと三十年にもわたる借地契約を交わし、地代を払ってきた関係にあるわけであります。

 まず、法務省に伺いたいと思います。借地借家法では、どういう場合に契約の更新の拒絶ということができるのか、認められているのかということを確認したいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 借地契約の更新拒絶が認められるためには、正当事由が必要です。正当事由があるかどうかということを認める判断要素としては、借地権の設定者、地主側ですね、それから借地権者が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、借地権設定者が土地の明け渡しの条件として、または土地の明け渡しと引きかえに借地権者に対して財産上の給付をする、いわゆる立ち退き料と言われているものですが、この旨の申し出をした場合にその申し出、こういうことを考慮して、正当事由があるか認められるかどうか判断する、正当事由が認められる場合に更新拒絶ができる、こういうことになっております。

堀内(照)分科員 双方の土地の必要性ですとかこれまでの経過、そして土地の利用状況、明け渡し条件などを考慮して、そこに正当事由があるかどうか、理由に正当性があるかどうかということが大事なんだと思います。

 JRは当初、契約解除、立ち退きの理由として、耐震工事が必要だ、狭いのでのいてもらわないと工事ができない、こう言っていたわけであります。七月の説明会でも、昭和五十六年以前の新耐震基準以前のもので、耐震性に疑問があるというふうに説明をされておりました。

 これも法務省に確認したいと思います。鉄道高架の耐震化というのは、こういう契約更新を拒否する、明け渡しを求める正当事由になるんでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 借地権の設定者が耐震補強を理由として借地契約の更新を拒絶することができるかどうかというお尋ねですが、先ほど申し上げたとおり、正当事由の存否があるかという考慮事情のうち、耐震補強を理由とする場合は、土地の借地権者側が土地の使用を必要とする事情に当たると考えられます。したがって、借地権設定者による更新拒絶の正当事由があるかどうかを判断する上での考慮要素の一つにはなるというふうに思われます。

 もっとも、先ほど申し上げましたとおり、正当事由の有無は、これ以外の事情も考慮して総合的に、また個別事案に応じて判断されるものですので、委員の御指摘のような場合に借地権設定者の借地契約の更新拒絶に正当事由が認められるかどうか、これだけで一概にお答えするということが困難であるということで御了承いただきたいと思います。

堀内(照)分科員 ですから、実際にそれが正当事由になるかどうかというのはわかりませんけれども、しかし、考慮要素の一つになり得るということですから、JRも相応の理由として説明してきたんだろうと思うんです。先ほど紹介しましたように、耐震性に疑問があるということまで説明会では断言をしておりました。

 国交省に確認したいと思います。鉄道高架橋の耐震について国はどのような基準を示していて、この問題になっている当該区間はどうなっているのかということをお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 それに関しましては、特定鉄道等施設に係る耐震補強に関する省令、いわゆる耐震省令というものがございます。国土交通大臣が定めた鉄道施設の地震に対する安全性を向上させるための耐震補強について定めた省令でございます。

 具体的には、大規模な地震が発生する地域、首都直下地震及び南海トラフ地震で震度六強以上が想定される地域等におきまして、一日当たり平均片道断面輸送量が一万人以上の線区にある高架橋等、それから、緊急輸送道路等と交差または隣接して並走する線区にある橋梁、もう一つは、一日当たりの平均乗降客が一万人以上の駅等を耐震補強の対象施設、特定鉄道等施設としているところでございます。

 また、これらの施設の耐震補強の方法といたしましては、高架橋については、柱が折れて上部が落ちる、落橋するような深刻な損傷を防ぐよう補強すること、例えば高架橋の柱を鋼板で巻く等でございます。それから、橋梁につきましては、橋桁自体が落下しないよう、落橋防止工の設置により補強すること、例えば桁受けを拡幅する等などが定められてございます。

 さらに、耐震補強の目標年度を平成二十九年度とし、緊急輸送道路と交差または並行する箇所においては速やかに実施するということにしております。

 お尋ねのJR神戸線元町高架通り商店街区間における高架橋につきましては、一日当たり平均断面輸送量が一万人以上の線区にある高架橋等、特定鉄道等施設に該当いたしますが、耐震診断の結果、柱が折れて上部が落橋するような深刻な損傷が起こらないとされたことから、耐震省令の安全度に関する規定を満たしているところでございます。

 一方、JR西日本は、当該高架橋の上部が大きく変形する損傷を防ぐため、耐震省令に基づく対策とは別に耐震補強を行うことを考えているというふうに聞いているところでございます。

堀内(照)分科員 安全はどこまでも補強するにこしたことはないので、それ以上やるというのは当然あるんだろうと思いますが、今ありましたように、耐震省令に基づく安全の条件は満たしているわけであります。

 昨年の九月に、私の事務所からこのことを問い合わせまして、今あったようなことも国土交通省から紹介いただきましたので、それが明らかになって、借り主、商店街の皆さんは、どういうことだ、話が違うという声が当然上がったわけであります。

 十一月の二度目の説明会では、今度は一転して、JRの側は、防火、防犯のためだということを強調し始めまして、その課題があるので再整備への協力を依頼しているんだ、耐震化工事は、高架下再整備の機会にあわせてさらなる安全性の向上のためなんだと。鉄道局ともちょっとレクチャーしていただいたときに、JRからどんな説明があったんだと聞きますと、いや、ついでにやる程度の報告だと私は聞きまして、本当に驚いたんですが、商店街の皆さんは一層不信感を募らせているわけであります。

 契約更新をしない理由が途中でこう変わっているわけですから、もはや正当事由があるとはとても言えないということは明らかだと思います。

 そこで、JRは、立ち退かせた後、高架下をどういうふうにしようとしているのか。これまで二度の説明会で示された提案を見て、商店街の皆さんは大変驚いております。

 リニューアル案、資料の三枚目に、ちょっと契約がどう変わるのかということで載せておきましたけれども、店舗を新築して、JR西日本不動産開発が一括所有する。商店街、契約者らと再契約することもあるんだと言いましたけれども、重大なのは、契約のあり方が根本から変わってしまうということであります。

 これまでは、高架下店舗の建物は、借地権者、契約者が所有しておりました。これは資料の左側の「現状」というところですね。浜側、青色と、山側、赤色で契約形態が少し違いますけれども、いずれにしても、組合員、契約者いずれも、ですから契約当事者ですね、これが建物所有者、括弧で書いてあるとおりなんです。それが、「今後」ということで右側になりますと、建物所有者がJR西日本不動産開発になるということであります。

 これまで借地権者、建物所有者だった皆さんが、ただのたな子、テナントとしてしか再契約できなくなるわけであります。しかも、この上にありますように、JR西日本不動産開発側が期間を自由に設定できる定期借家契約だということであります。権利関係が全く変わってしまうわけであります。

 法務省にこれも確認したいんですが、借地借家法では、第五条に借地契約の更新請求の規定があると思うんですが、これを説明いただけますでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を望んでその請求をしたという場合には、その借地上に建物がある場合に限り、契約期間はちょっと別の規定があるんですが、それ以外のところは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるということになっております。ただし、借地権の設定者が遅滞なく異議を述べたときはこの限りでないとなっていまして、その異議が認められるためには、先ほど申し上げたような正当な事由が必要だということになります。

 ちょっと先ほどの答弁で一点、私、間違ったようですが、耐震補強を行うのは借地権設定者側ということになると理解しましたので、借地権設定者側が使用する必要性ということで、必要とする事情に当たるということで、先ほど私、借地権者側が土地の使用を必要とする事情に当たるというふうに申し上げてしまいましたが、その点、訂正させていただきます。

堀内(照)分科員 やはり貸し手の側に正当事由がなければ、借地権者が望めば、従前と同一条件で契約更新ができるんだ、契約更新されるとみなされるんだということだと思います。

 耐震から防火、防犯へと理由が変わる、正当事由がないということは先ほども指摘したとおりです。

 すぐ隣の三宮の高架下商店街では、同様の工事が行われたんですが、こちらは契約が更新されて、工事期間の十カ月間だけ別の場所に一旦移転した後に、もとの場所に借地権者、建物所有者として戻っているわけであります。これはできるわけであります。このことを見ても、契約を打ち切ってまで立ち退かせなければ工事ができないというわけではないわけです。

 従前の契約が継続すれば、借地権者、契約者の皆さんは、引き続き借地権者、建物所有者としての権利があるわけですが、JRが示している再契約だと、一切の権利を放棄させられるということになるわけであります。また、戻る際に発生する新たな内装や設備費用などは自己負担、テナント賃料も近隣新築並みにするということで相当はね上がる。工事中の移転費用などの補償もまだはっきりしません。これではとても戻れないという声が相次いでいます。

 これは新聞報道でありましたが、ある方は、二年前に一千九百万円かけて内装工事をした、建物補償について説明されない、賃料も二倍以上になる、移転後の内装なども考えると数千万円の損失だという声が上がっております。しかも、リニューアル後の店舗には、飲食、物販、サービス業しか入居が認められておりません。これまで事務所や倉庫として使用してきた方々は、文字どおり追い出されることになるわけであります。

 私も、直接商店街の皆さんからお話を伺ってまいりました。四十五年間営業してきたという方、その個人の財産が全てJR西日本不動産開発のものになる、本当に理不尽だと言っておられました。また、こういう方もおられました。毎月誠実に地代を払ってきたのに、まるで追い剥ぎのように追い払う、余りにひどいという声でありました。

 借地借家法のもとで、このような本来守られるべき権利が侵害されるようなことがあってはならないと思います。

 これは法務省に再度確認ということでありますが、正当事由がなければ、本来契約の更新に異議が挟めないわけでありますから、更新しない、打ち切るということは法的にはあり得ないということを確認したいことと、仮に、借地権設定者、貸し手側が当初正当だと主張していたその事由が正当でないと認められた場合どうなるのかということを伺いたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御説明しましたが、契約の更新を拒絶するには正当事由が必要です。正当事由があると認められなければ、原則、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされるということになりますので、更新拒絶はされない、契約が継続するということになります。

堀内(照)分科員 ですから、正当事由が崩れると、今JRがやろうとしていることは法的には成り立たないということなんだと思います。当然、契約は従前どおり更新されているとみなされるということであります。

 十一月の説明会で示されたリニューアル案を見て、商店街の皆さんからは、JR西日本は高い家賃でも入居できる大手だけ相手にしてもうけたいがために、自分たちは追い出されるんじゃないかという声が上がったといいます。

 JR西日本の経営の実態ということで少し見ていきたいんですが、先日の予算委員会で我が党の本村伸子議員も取り上げましたが、国鉄改革当時、JR各社が効率的な運営を行うと収入の一%程度の経常利益を上げることができるとして、債務負担額が決められました。しかし、実際には、JR東海の二〇一五年度の売上高経常利益率は三六・一%と、当初見込みの三十六倍以上の利益だということが質疑の中で明らかになりました。これは私も驚きましたが、そのとき本村議員が出していた資料にもありました、JR西日本も一二・二%、十二倍以上であります。

 これはどこでもうけているのか。JR西日本のセグメント別、業種別の収益の推移がどうなっているのか、これは国交省にお答えいただきたいと思いますが、運輸業、流通業、不動産業について、比較ができる二〇〇〇年と直近とでそれぞれ何倍の伸びになっているか、お答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR西日本のお尋ねのセグメント別収益の、二〇〇〇年度、平成十二年度から直近の二〇一五年度、平成二十七年度までの伸び率は、運輸業が七・六%、流通業が二〇・七%、不動産業が九一・五%となっております。

堀内(照)分科員 不動産業が突出して二倍近い伸びになっているわけであります。

 営業利益で見るとどうか。運輸業以外の事業、いわゆる非鉄道事業の利益の比率は今全体の三割を超えているわけですが、この非鉄道事業の営業利益の中で不動産業が占める割合がどうなっているのかというのも確認したいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR西日本の直近の二〇一五年度、平成二十七年度における非鉄道事業の営業利益に占める不動産業の営業利益の割合ということでいいますと、五四・一%ということでございます。

堀内(照)分科員 もちろん、全体的には運輸部門の比重というのが大きいわけですが、関連事業、非鉄道事業では不動産業がいわば一番の稼ぎ頭になっているということだと思います。

 この間、JR西日本は、広島県の横川や大阪の環状線沿線など、各地で高架下を含むリニューアルを進めております。企業である以上、もうけを上げること自体は私は悪いと言うつもりは全然ありません。しかし、大きな企業が、しかも、もとをたどれば国鉄からの大きな負債を国民の税金で肩がわり、利益を保証してもらいながら、地域の商店を犠牲にしてまで関連事業、不動産業でのもうけに走っているのだとすれば、それが果たして適切な事業のあり方と言えるのだろうかということを私は問いたいと思うんです。

 国鉄の分割・民営化の際、鉄道事業以外の事業について、地域経済への影響の大きさから中小企業者への配慮義務がJR会社法に盛り込まれ、JR西日本などが完全民営化する際には、それと同様の趣旨が指針に盛り込まれたと思います。

 これも国交省に確認したいんですが、この指針の中小企業者への配慮に関する事項には何が書かれているのか、また、そもそもどうしてこういう指針が完全民営化後も策定されたのか、さらには、それを踏まえた事業経営を確保するために大臣にはどのような権限が与えられているのか、これを確認したいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR本州三社は、会社の規模が大きく、大量の利用者が集散する駅を有しているため、関連事業の規模等によっては周辺の中小企業に大きな影響を与えるおそれがあります。

 このため、JR本州三社に対しては、完全民営化後も、指針に基づき中小企業に配慮した事業展開を行うよう求めております。

 具体的には、指針に基づき、JR会社が関連事業を行う場合に、同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、またはその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮するということが求められております。

 また、この指針を踏まえた事業運営を確保するため必要があると認めるときは、国土交通大臣が指導、助言、また必要に応じ勧告、命令を行うことができるということにされております。

堀内(照)分科員 やはり国鉄改革からの経過から大きな影響はあるんだということで、そういう指針が盛り込まれているんだと。

 今紹介いただきました中小企業者への配慮する事項の前段には、その事業を営む地域及び社会の健全な発展の基盤を確保するためということで、目的も明らかに明記されております。これは、もともとJR会社法のときには法律の条文にも明記されていて、そのときのJR会社法に基づく中では事業計画などは大臣の認可事項になっていましたから、大変重い規定なんだと思います。

 完全民営化で適用除外になったとはいえ、同趣旨の規定が指針で盛り込まれたわけですから、それに基づいて、私は、大臣にはJRに対してこの指針を踏まえた事業経営を行わせる責任があるということなんだと思うんです。

 商店街の皆さんの願いは、やはり多くは、まず契約更新してほしいというものであります。耐震化工事そのものを否定しているわけでもありません。ただでさえ大企業と個人商店という不利な関係であります。せめて契約更新をして、借地権者として、必要な工事なら、ではどうやって進めるのか、商店街としてどうあるべきなのか、JRとしっかり話し合いたいというものであります。

 それを一顧だにせずに、戦後長きにわたって営業を続けてきた特色ある商店街がJRによって一気になくされかねないというのが今回の問題なんだと思います。個々の商店街の皆さんにとってみれば、借地権、建物所有権、一切の権利を奪われるということであります。

 大臣に最後に伺いたいんですが、こういうJRのやり方というのは、私はやはり指針に照らして問題だと思います。国としてJRに対して、指針を踏まえて地域の商店の営業や地域経済への配慮を求める、そういうことが必要なんじゃないでしょうか。

石井国務大臣 JR本州三社に対する指針におきましては、JR会社が関連事業を行う場合に、同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、またはその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮することが求められております。

 今委員御指摘の件につきましては、防火、防犯上の課題を解消するための高架下の再整備や、これにあわせた耐震補強工事を行う目的で高架下の商店街に協力をお願いしているものであると聞いておりまして、JR本州三社に対する指針で示されているように、JR西日本が関連事業を行うことによって同種の事業を営む中小企業の事業活動を圧迫している事例には当たらないと考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、JR西日本においては、関係者に対して十分かつ丁寧に説明を行い、理解を得ながら事業を進めていただきたいと考えているところでございます。

堀内(照)分科員 関連事業を行うことによって営業を妨げるということではないんだということでありますが、しかし、これは当事者そのものを追い出すやり方で、私はむしろもっとひどいと言わなければならないと思っております。

 先ほども言いましたけれども、中小企業者に配慮する事項の前段には、やはりJRが事業を営む地域の健全な発展の基盤を確保するんだということも言われているわけですから、その立場にぜひ立って、これは、十分な説明だけではなくて、丁寧な説明だけではなくて、やはり事業者の思いをどう酌むのかということなんだと思っております。

 JRは当初、説明会すら開かないと言っていたんです。皆さんの声の中でようやく二回は開いたんですけれども、まだまだ不十分です。

 今の店の改装などで一千数百万円投資したという方も、これも全部無駄になるじゃないか、急に退去、リニューアルと一方的に聞かされても納得いかない。また、モトコーが好きで一日でも長く営業したいけれども、新築同等の家賃だと金銭的には耐えられない、そして、営業を奪われたら、仕事、収入、生活、財産、社会的信用、そして従業員とその家族の生活含めて全て失ってしまうんだと、本当に悲痛な声であります。

 大臣、最後、もう一度お願いしたいんですが、指針の精神に立って、JRに対する国の責任といいますか、そういう点ではもう少し何かできることがあるかと思うんですが、一言、最後に。

石井国務大臣 重ねての御答弁になりますが、JR西日本におきましては、関係者に対して十分かつ丁寧に説明を行っていただき、理解を得ながら事業を進めていただきたいと考えております。

堀内(照)分科員 事業者の思い、これは丁寧な説明だけでは私はいかないと思いますので、ぜひそこは国としてもしっかり目を配っていただきたい、さらに踏み込んでいただきたいということを重ねてお願いして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて堀内照文君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子一義君。

金子(一)分科員 おはようございます。自由民主党の金子一義でございます。

 石井大臣、私、自由民主党で住宅調査会長という、住宅問題を預からせていただいておりまして、従来、住宅は新築をどうしていくかということが主力だったのでありますけれども、ここ数年前から、有効利用を図っていこうという観点から、中古流通というのに非常に政策のウエートを変えてまいりました。新築も大事だけれども、しかし、中古流通をどうやってふやすかという観点で取り組んでまいりました。

 自由民主党も数年前に、そのための幾つかのツール、例えば資産評価のあり方ですとかインスペクションですとか、八つほどの提言をさせていただいておりまして、それなりに市場で評価をされ始め、あるいは具体的なツールとして少し用いられ始めてきたかなという点で見ておるのでありますけれども、まだまだ不十分であり、これからやらなければいけないことも多々あるんだろうと思っております。

 そういう中で、一方で、最近の話題というのが、空き家というのが非常にふえてきている。この空き家ということについてどういうふうに取り組んでいくのかというのが、中古流通というインストルメントを使いながらこの空き家対策というものを考えていくというのも大きな一つの課題になってきているんだろうと思います。

 全般に、そういう意味で、空き家という問題について、これからどういうスタンスで、どういう方向で取り組んでいくことが必要なんだろうかという今議論をしておるんですけれども、ちょっと冒頭に、石井大臣にお伺いして恐縮でありますけれども、空き家の問題の認識と、あるいは取り組む視点というものをぜひお伺いさせていただきたいと思います。

    〔主査退席、門主査代理着席〕

石井国務大臣 まず、空き家の状況の認識でございますが、全国における空き家の総数は、平成二十五年時点で約八百二十五万戸となっておりまして、この十年間で一・二倍に増加をしております。また、そのうち、売却用、賃貸用以外のいわゆる持ち家系の空き家につきましては、平成二十五年時点で約三百十八万戸となっておりまして、一・五倍に増加をしております。

 空き家の総数につきましては、我が国が本格的な人口減少、少子高齢化を迎える中、今後もさらなる増加が見込まれております。民間シンクタンクの予測におきましては、持ち家系の空き家が平成三十五年には約五百万戸となる見込みとするものもございまして、昨年三月に閣議決定した新たな住生活基本計画においては、このような空き家の数を四百万戸にまで抑制するという目標を掲げてございます。

 このため、空き家対策を進めることは喫緊の課題と認識しておりまして、空き家の利用、除却等を進める取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。

 続いて、どういった視点から取り組みを進めるかということでございますが、空き家対策につきましては、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するという考えのもと、地域の活性化の観点から、総合的な取り組みが必要と考えております。

 こうした中、平成二十七年五月に空家等対策の推進に関する特別措置法が全面施行されまして、市町村による空き家対策の枠組みが整いました。政府としては、この市町村の取り組みを積極的に支援していくことが重要と考えております。

 このため、平成二十八年度より、従来からの社会資本整備総合交付金とは別枠で、市町村の空き家対策を総合的に支援するための新たな支援制度を創設するとともに、相続により生じた古い空き家を譲渡した場合の税制上の特例措置を創設いたしました。

 また、空き家の利活用を図り、その増加を抑制していくためにも、既存住宅の流通を促進していくことが大変重要でございまして、既存住宅の質の向上、適正な評価、安心して取引できる環境の整備などの取り組みを総合的に進めているところでございます。

 こうした取り組みを進めることによりまして、政府として、空き家対策に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

金子(一)分科員 我が国は、これだけ成熟した社会にありながら、住宅については、ストックの評価、効果というものをなかなか残念ながら得られていない。そういう意味で、諸外国なんかは本当に住宅を持てばそれでもって退職後もそれを活用して何とかやっていけるという、ストックの社会というのをなかなか我が国はまだ実現できていないというところが一つの大きな点。それに着目して、やはり評価方法を変えて、住宅を一つの長いライフスパンでのストックとしての資産として生きられるようにしていこうというのが一番大事な観点だと思っております。ですから、特定空き家のような壊すべきものというのは、またカテゴリーとしては少し別のものかと思うのでありますけれども。

 今大臣がおっしゃった中で、市町村との枠組みというお話がありました。市町村がそれぞれの地域で空き家問題を調査してもらうという枠組みも今できているんだと思います。それによって、市町村、それなりの対応、調査も状況が進んでいるかと思うんですが、これは局長でいいのでありますけれども、今、市町村、どの程度のところで調査が済んでいるんでしょうか。あわせて、もう既に空き家対策を講じた市町村というのはどの程度あるのか、ちょっと教えてください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 空き家対策を地域のまちづくりの視点で進めます上で、市町村が空き家の分布や状態などの実態を調査することは極めて重要でございます。

 このため、先ほど大臣が御答弁申し上げました空き家法に基づく空家等対策計画の策定に必要な市町村による実態調査、これにつきまして、社会資本整備総合交付金の空き家再生等推進事業の助成対象としてまいっております。平成二十七年度におきましては五十一の市町村、平成二十八年度におきましては二百五十六の市町村、合計三百七の市町村に対してこの調査の助成をしてまいっているところでございます。

 このうち、例えば岡山市では、空き家の実態の把握とともに、特に危険性を個別に把握する調査というものも実施をされておられます。岡山市では、この調査で把握をいたしました危険性の程度をAからEの五段階に分けまして、それぞれの危険度に応じた対策を整理した空家等対策計画の策定に移行されているというような状況でございます。

 このように、各市町村におきましては、実態調査をし、その結果を踏まえて空家等対策計画の策定を進めるという手順に移行しているところでございます。

 現在、この空家等対策計画の策定の状況でございますけれども、ちょっと古いデータで恐縮でございますが、二十八年の十月一日時点で百七市町村で策定済みということになっております。

 なお、本年度内に策定をしたいと言っております市町村を加えますと、恐らく年度内に四百を超える市町村でのこの空き家計画の策定が行われるものというふうに承知をしているところでございます。

 以上でございます。

金子(一)分科員 四百が市町村として策定が見込まれるというお話を伺いました。

 市町村は何の調査をやっているんですか。危険な箇所が何カ所ある、つまり、特定空き家というのがどの程度存在するということを把握しようとしているのか。あるいは、空き家を何か有効に利活用するためにはどうしたらいいかということまで含めて調査をしているのか。単純に、今、岡山市の例がありましたけれども、A、B、C、D、Eランクで、これはちょっと使えるな、あるいは除去しなきゃだめだよなといったような分類をしている調査なのか。その調査の実態をちょっと教えてくれませんか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 市町村の調査の内容は、実はかなりいろいろございます。

 まず、現状、空き家がどこにどのぐらいあるのかということを調査する、これはどこの市町村でも同じようにやられております。その中で、すぐに利用できるようなもの、それから一番傷んでいるものは特定空き家等になるようなもの、そういったものの分類を行うということ、これもほとんどの市町村でやられているかというふうに思います。その分類をした上で、岡山市の場合には、その危険度を五段階で評価しているというところまで取り組んでおられまして、その評価に基づいてそれぞれ今後どうしていくのか、もちろん、すぐ使えるものは利用をどうしていくのかという方向に持っていきますし、傷みがひどいものについては除却をする、あるいは修繕をする、そういったものにどうつなげるのかといった空き家計画の内容に移行していくという調査になっております。

 一方で、それ以外に、例えば三重の津市などでは、所有者の意向についてもその調査の中で取り組んでいるというようなところもございます。これは、実際に把握した空き家について、職員が出向きまして、その所有者について、この空き家はどういう活用の意向があるのか、あるいはもう壊すという意向なのか、そういったことも含めて調査をされておられるところもございます。

 また、その調査を自治会の役員などと一緒に回って、その自治会の役員などの見回りにつなげるような、そういう取り組みをなさっておられる市町村もあるようでございまして、それぞれの状況、情勢に応じた調査を工夫をしてなさっているということかと思います。

 ただ、ベースには、基本、どこにどんなものが分布しているのかということを調べて、その状態を明らかにした上で、その情報を共有するということはどこでもやっておられる調査というふうに認識をしております。

金子(一)分科員 石井大臣、我々は、住宅調査会のもとで空き家対策というのを掲げまして、ことしから、自民党の中のでありますけれども調査会を始めましたら、関心があるんですよ。大臣がお示しするようなことしの法案なんというと、それなりに国土交通部会は人が集まってくるんです、関心を持っているんですけれども、空き家対策というふうにしたら、部屋が入れないくらいいっぱい。それぞれの地域の議員がやはり関心があることだと思うんです。それだけに、我々も少し腰を据えて、国としても方向づけをもっと支援してあげたいと。

 今、市の実態について住宅局長にお話を伺いましたけれども、市がどういうスタンスで何を重点としてやろうとしているのか。あるいは、今お話ありましたように、三重県の場合には、それぞれ職員が出回るといったようなところまでやるというような市もあるようでありますけれども、いずれにしても、この空き家対策ということを考える上では、地元自治体、市町村の関与というのはやはり非常に大事な役割だと思っているんです。

 きのう、全国の不動産関係の皆さんからお話をちょっと伺いましたけれども、その彼らのアンケートでも、空き家になっている住宅というものを、五割は相続なのでありますけれども、では、これをどうしたいですかというと、売るとか賃貸したいとかいうのは大体三割あるんだそうですよ。では、この人たちはどこに相談をしたいと思いますかというと、やはり行政が五割だというんですよね、行政に相談したいと。それだけやはり、空き家問題を解決する上で、地方自治体への期待というのがそれなりにこれから大事なのかなと。地元の不動産業者の皆さんにも当然その場合にプレーヤーとして参加をしていただく必要はあるわけですけれども、やはり一方で、行政がきちっとプラットホームをつくってあげるということも非常に大きな、大事な役割であると。

 我々調査会でも、地方自治体に今度来ていただいて、一体全体何を中心にしようとしているのか、あるいは、問題を片づけるのに何が必要であり、国の支援をどういうところに求めたいかということをヒアリングしてまいりたいと思っております。

 一方で、今、これも住宅局長で結構なんですけれども、市が調査をするに当たっての社会資本整備交付金というのは、市のそういう調査費、調査に対する費用だけなんですか。あわせて、今度、空き家バンクを全国共通版としてつくりますけれども、それに対しても来年度予算で、もう空き家バンクは予算化したんだっけな、ごめんなさい、谷脇局長の方に、市に対する助成という観点からどういうものを今やろうとしているのか。

 ちょっと二つあるんだと思いますけれども、それぞれお願いいたします。

由木政府参考人 お答えいたします。

 社会資本整備総合交付金、それから、今年度から新たにその別枠で補助制度もスタートさせておりますが、基本は、市の空き家計画に基づく空き家の対策に主に使っていただこうというのが主な眼目でございます。その前段として当然調査が必要になってまいりますので、社会資本整備交付金の中では、その調査についても補助メニューの基幹の中に位置づけて、これまで補助をしてまいっているということでございます。

 交付金の中には、それを前提として、例えば利用をする際に改築をして、例えば集客施設あるいはレストラン等に改築をする、そういった改築費の助成にも使えるようにしておりますし、また、除却をする際の除却費の助成にも使えるといった形で、さまざまに市が取り組みます、もちろん、市の計画に基づいて実際に行われるのは、所有者であったりあるいはNPOであったり、いろいろな主体が取り組むわけでございますけれども、そういった事業に助成できるような、そういう仕組みとして制度を仕組んでいるところでございます。

 バンクについては谷脇局長からお答え申し上げます。

谷脇政府参考人 空き家バンクの件でございますけれども、私どもが調査いたしましたところ、平成二十七年の四月の時点におきまして、全市町村の約四割、六百八十五市町村が既に空き家バンクを設置しております。また、約二割、三百四十の市町村が空き家バンクを準備中または今後設置予定ということでございます。

 この設置の動きは広がっておりますけれども、一方で、地方自治体の空き家バンクにつきましては、自治体ごとに開示の情報の項目がそれぞれでございまして統一されていないというようなこともございまして、なかなかわかりづらいといったような課題も指摘されているところでございます。

 このため、この開示情報の項目の標準化を図る、それとあわせまして、消費者のニーズに応じまして全国どこからでも簡単に検索可能となる、こういうような仕組みを入れる必要があると思っておりまして、自治体、それと民間の不動産情報サイト、こういうものと連携をいたしまして、全国版の空き家・空き地バンクを構築して、空き家、空き地等の流通の活性化を図る必要があるというふうに考えておりまして、このために必要な経費につきましては今年度の予算案の中に計上させていただいておりますので、予算が成立をいたしましたら、速やかにそういうものに取り組んでいきたいというふうに考えております。

金子(一)分科員 空き家バンクに登録してくるというのは、売りたい、買いたいということで、事前に所有者が意思を持ってそこに登録をしてくる物件ですよね。

 一方で、調査によると、売ろうかな、貸そうかな、ううん、どうしようかな、どこにもなかなか相談しづらいんだよなというようなところが多いのでありますけれども、やはりそれを各自治体のそういう、由木さん、局長がおっしゃったように、行政で相談ができるプラットホームが、地方自治体にプラットホームがあって、そして所有者は行政にもちょっと間に入ってもらって相談してもらう。

 行政側も今度は、先ほどの三重県の例ではありませんけれども、空き家の所有者、空き家の所有者情報というのは国税でありますからなかなか外に出すということもできませんけれども、一方で、この所有者、不在者も多い。その情報というものがこのプラットホームを通じてどういう形かで提供されれば、一方で、今度はプレーヤー、不動産関係、建築士、いろいろな方がいると思いますけども、そういうプレーヤーがこの空き家をどうしていこうかということも動かしていただける大きな要因になっていくと思うんです。

 こういう今の所有者の情報、特に自治体が持っているのは固定資産税に基づく情報でありますけれども、これを活用するということについて京都で何か試行的におやりになっていると話を聞いておりますけれども、京都の実験の状況と、それをさらに全国的に広めるということをおやりになっているのかどうか、状況をお伺いさせてください。局長に。

由木政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる空き家法、空家等対策の推進に関する特別措置法によりまして、税務部局、市町村の固定資産税部局が保有しております課税情報を空き家対策に活用するということができることになりました。

 これは、課税情報は地方税法に基づきまして厳しい守秘義務が課されるわけでございますけれども、空き家対策は重要であるという点に鑑みまして、空き家法の施行のために必要な限度内において行政内部での利用が特別に認められたということでございます。

 一方、今、金子先生から御指摘ございましたように、空き家の有効利用をするためには、行政とともに宅建業者等の民間の力、ノウハウを活用するということは極めて重要だというふうに考えております。しかしながら、今申し上げましたように、課税情報はそのままの形で第三者に提供できるということにはなっておりませんし、また、課税情報以外の行政が持っております情報は、個人情報保護の観点から個人情報に該当いたします。したがいまして、宅建業者等の民間にその情報を活用していただくためには、やはり本人の同意をとるという手続が必要になってまいります。どのような形で本人の同意を、行政側がとっていけばいいのか、そういったような課題についてこれまで関係省庁間で検討を深めてまいっております。

 一方、そうした情報も共有しながら、先ほど御紹介をいただきました京都市におきましては、京都市が持っております固定資産税情報、これも活用しながら、市の方で空き家の所有者に働きかけを行って、意欲がある空き家所有者については、宅建士、これも協力をしてくださる方を登録しているようでございますけれども、こうした登録をした宅建士にいわば相談員という形で取り次ぐ、情報を取り次いで、そこでまた民間のノウハウも活用するというような取り組みが京都市では既に行われ始めております。

 今、私どもとしては、こういった京都市の取り組みをおっしゃっていただいたように全国にぜひ広げていくことが必要だというふうに思っておりますので、京都市の取り組みをよく注視して、エッセンスを吸収すると同時に、それを全国に展開していけるような、ガイドラインのような形で年度内に何とかまとめられないだろうかというふうに思っております。その上で、モデル的に京都市のような取り組みを行うような他の地方公共団体に対して、モデル的な取り組みを支援するというようなことを来年度行っていければということで、今準備を進めているところでございます。

金子(一)分科員 今のお話を伺っていると、京都市モデルということになるかもしれませんけれども、市自身が、市の職員自身が空き家所有者にある意味コンタクトをするということで、市の役割というのは物すごく大事になってくる。逆に、空き家対策を講じようとする市と、とてもじゃないけれども忙しくてできないよ、やっていられないよという市と、差がどんどんついちゃうということになるのかなと。そういうことですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 空き家対策の取り組みは、空き家法ができまして、市町村の取り組みができるプラットホームが、枠組みはできておるわけでございますけれども、おっしゃっていただいたように、市町村によっては、意欲にまだかなり差がある部分がございます。

 ただ、非常に関心が高まってきておりますので、その市町村の関心をいかに計画づくりとか利活用に結びつけるかというのが一番これからの重要なポイントになると思っております。

 特に、小さい市町村の中には、例えば建築の知識が余りない市町村、つまり、そういう職員が数いないようなところもございます。そういったところについては、県が建築士会などと協力をして、専門家を相談員とかアドバイザーのような形で派遣するというふうな取り組みをやっておられる、これは実は岡山県なんでございますけれども、こういった取り組みも始まっておりますので、市町村の取り組みが大変重要なわけですから、国も、さらにそれをフォローする上では県も、市町村が積極的に取り組めるように支援を強化するということを進めてまいりたいというふうに思っております。

金子(一)分科員 ぜひ、市町村次第というところもあるんですけれども、全国の問題であるので、国としても、市へのいろいろな対応というのを考えてあげる必要があるんだと思います。

 最後に、石井大臣、一言、この空き家対策についての御意見、もう一遍重ねてお伺いさせてください。

石井国務大臣 先ほども申し上げましたが、今後、人口減少がさらに進む中で、空き家がさらに増加をしていくという情勢にございますので、国としても、空き家対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

金子(一)分科員 ありがとうございました。

門主査代理 これにて金子一義君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)分科員 大臣、御苦労さまでございます。質問の時間をいただきまして感謝します。

 まず、河川の問題について質問していきたいんですが、最近の状況を見ていますと、雨の降り方が変わってきたというか、いわゆるゲリラ豪雨といいますけれども、集中的に、対象となる地域が限られている中で、とんでもない量の雨が降るというふうなことがたびたび起こっています。

 全体の、我々の地域でもそうなんですが、それに対しての河川の状況を見ていますと、どちらかというと、県だとかあるいは市が管理をしている中小河川、これが毎年毎年同じようなパターンでそうした集中的な豪雨から災害を起こしていくというケースの方が、直轄河川で起きた場合は被害が大きいんですけれども、そうした直轄河川よりも頻度が高くなっているし、住民としては、そうしたちょっとしたあふれでもって床下あるいは床上の浸水というふうなものにつながっていくケースというのが非常に深刻なものになってきているというふうに感じております。

 その上で、国土交通省としてのこういう状況に対する認識というのは、どういうふうに今分析をされているかということ、いわゆる問題意識を持っておられるかということ、これについてまず確認をしていきたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している中、一昨年は国管理河川の鬼怒川におきまして甚大な被害が発生をいたしました。昨年は北海道及び東北の道県管理河川において広い範囲で被害が発生するなど、国管理河川それから都道府県管理河川にかかわらず被害が発生をしているところでございます。

 近年十カ年の公共土木施設の被害額のうち、国管理河川及び都道府県管理河川の災害復旧事業費について見てみますと、決定額あるいは箇所数及び決定額全体に占めます国管理河川の決定額の割合は、年ごとに大きくは変動しておりますけれども、増加あるいは減少というような一定の傾向は見られないというふうに考えているところでございます。

中川(正)分科員 どうも国は、都道府県河川のところまでしかつかんでいないようですけれども、私たち、身近なところでいくと、市の管理する河川が、河川が壊れたからそれを修復しなきゃいけないというレベルじゃなくて、あふれるんですよ、皆。ということは、トータルで中小河川の水を吸収していくシステムそのものが、乱開発であるとか、乱開発というよりはミニ開発の積み重ねで、水の手当てをしていない、そういう状況が広がっていく中で、河川のネットワークというのはそのままになっているものだから、そこへ向いて流入するものがじわっとあふれる、そういう形態なんだと思います。

 これは災害予算に反映されないんですよ。災害予算というのは、それぞれの、河川の災害予算に反映されるというよりも、住民のサイドの損害にかかわってくるわけです。そういう統計がちゃんととれているのかということですね。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 被害額につきましては、先ほど申し上げました公共土木施設の被害額だけではなくて、一般被害額についても把握しているわけでございますけれども、この一般被害額につきましては、氾濫水が国管理の河川由来なのか都道府県管理河川なのかという区別がなかなかつかない、どちらに由来するかわからないということもございます。

 そういうことでございますし、それからまた、一般被害額と公共土木施設の被害につきましてはある程度関連するというふうに考えておりますので、現在のところでは、最良の策として、公共土木施設の被害額で把握しているというのが実情でございます。

中川(正)分科員 ということで、大臣、これはしっかり分析をして、対象になる河川というのが今どこで問題になっているのかというのはやはり国交省としてしっかりつかんでいくということが大切だということ、これをまず指摘しておきたいというふうに思います。

 同時に、そうした中で、私たちの肌感覚というか住民感覚の中では、毎年毎年そうした形で特定の中小河川があふれてくるにもかかわらず、遅々としてその対策が進まないという現状に対して、いわゆる直轄河川への予算配分と、それから中小、都道府県だけじゃなくて市も含めたいわゆる補助対象になっていくような予算配分と、過去にさかのぼってずっと傾向を見ていくと、どうも直轄河川の方へ向いて傾斜してきているんじゃないかということ、これを問題意識を持って感じるんですけれども、そこのところはどのように国交省として捉えていますか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 交付金制度が創設されました平成二十二年度以降を見てみますと、まず、国管理河川の予算につきましては、平成二十四年度で底を打ちまして、おおむね横ばいというふうになっております。

 都道府県管理河川につきましては、交付金の性質上、河川あるいは道路等の事業ごとの予算配分は各県の裁量によるものであるため、直接の比較はできませんけれども、各都道府県から決算額等を聞き取った結果等から類推をいたしますと、国管理河川と類似の傾向を示しているというふうに考えております。

中川(正)分科員 実は、もっと過去にさかのぼると、交付金じゃなくて補助事業として河川の類型の中で市や県に持っていった額というのは相当あったんですよね。

 私はずっと実は統計を見てきたんですが、小泉政権のときに、地方へどういう形で金を持っていくかという議論の中で、あるいは公共事業がぐっと縮んでいく中で、直轄は持ちこたえて、縮む先を中小河川へ向いて持っていってしまった。そのバランスがあるとき非常に崩れて、そのままの形で今があるんだというふうに私は認識をしています。

 それだけに、さっき、統計的にも中小河川に対して、しっかり、何が原因なのかというのをつかんでいないというような話も出ましたけれども、分析をして、今の傾向というのはどこに問題があるのかということ。大災害に対して備えるというのも大事ですけれども、毎年毎年同じところで水があふれてくる、しかも、開発によってそれが加速されているというような現状も含めて、我々の肌感覚の中である問題というのをしっかり捉えて、それに対して予算配分を持っていく。

 交付金も、さっきの話で、交付金という形にしたから、道路に使われるか、河川に使われるか、それぞれ裁量ですよということであるにしても、しかし、問題意識として、どこに問題があるのかというのはやはり国交省もしっかりつかんで、その上で、示唆というか、一つの方向性というのを目標としてつないでいくべきだというふうに思います。

 そこのところについて指摘をしておきたいんですが、大臣、ひとつ、同じ問題意識を共有していただいて、方向性を示してください。

石井国務大臣 一昨年の鬼怒川の破堤がございました東北・関東豪雨、あれをきっかけとしまして、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するという考え方に立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、国管理河川において水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを進めておりまして、まず国管理河川から始まりました。

 さらに、昨年の夏に、それを今度は、国管理河川のみならず、県管理河川にその取り組みを拡大していこうというふうにいたしまして、ちょうど北海道、東北を襲った一連の台風による水害もございましたので、都道府県管理河川の中小河川も含む取り組みを加速化しようというふうにしたところでございます。

 集中的な豪雨が頻発するだけでなく、どこで発生するかわからないというような状況がございますので、国が管理しているような大河川、あるいは都道府県が管理しているような中小河川を問わず、治水対策をしっかりと推進していくことが重要と考えてございます。

 ハード対策に加えてタイムライン等のソフト対策、ハード、ソフト一体となった対策を実施していくところでございますが、この国会では、こういったハード、ソフト一体となった取り組みを加速するために、水防法等を改正する法律案を提出したところでございます。

 国土交通省の全力を挙げて、大河川、中小河川いずれにいたしましても、防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

中川(正)分科員 ぜひ、予算の配分まで含めて見直しをしてください。

 基本的に、直轄河川と比べて、問題のある中小河川の速度が遅い。いろいろな形で実は想定されているんですが、しかし、余りにも、やっているふりをしているだけで、河川改修について本気になっていないというか、恐らく本気になれない予算配分のゆがみというのがあるんだというふうに私は感じています。そこのところ、ひとつ、しっかりとわかる形で国交省として打ち出していただきたいというふうに思います。そのことは指摘をしておきます。

 次に、コンビナートとそれからその前面の護岸なんですが、この問題についてお話をしたいと思うんです。

 全国のコンビナートの状況を見ていると、私の地域でもそうなんですが、コンビナートの周辺の護岸というのは非常に老朽化をしてきておりまして、液状化ということも含めて、地震あるいは津波、特に地震というものに対して対応ができていないという現状が報告をされています。

 これは、実は公的な護岸ではないというか、コンビナートが管理をして、コンビナートの護岸なものですから、基本的には、皆さんにお聞きしたところでは、経産省がそれぞれ税制優遇だとかあるいは無利子制度だとか、それを改修するときにはそういう制度をつくっているということなんですが、実際に、これらの無利子貸付制度等々は利用されて護岸の改修につながっているのかどうかという実態をまず報告いただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のコンビナート護岸等の民有護岸の老朽化対策、これにつきましては、まず、平成二十五年の六月に港湾法を改正いたしまして、民間事業者の維持管理状況に対し、港湾管理者が立入検査等を行う制度を創設いたしまして、適切な維持管理を促すこととしたところでございます。

 また、あわせまして、災害時に特に船舶の交通を確保する必要のある航路に沿いました民間事業者が所有する護岸等の耐震改修に対しまして、災害時における緊急物資等の輸送の確保、そしてサプライチェーンの強化を推進するといった観点から、平成二十六年度そして二十七年度に、耐震改良工事に対する無利子貸付制度を創設し、また、固定資産税そして法人税に係る税制の特例措置を整備してきたところでございます。

 しかしながら、民間事業者も大変厳しい経営環境にございまして、これまでのところ、この制度を活用して護岸の改良を行ったという事例は残念ながらございません。

中川(正)分科員 しかし、現状を見てみると、これはコンビナート群を守っていくということだけではなくて、その背後にある市街地あるいは住民を守る護岸でもあるんですよね。このままでいけば、なかなかそれに手をつけていくということではないというか、実績もないということから見るように、そこは難しいことになっていくんだろうということが懸念されるんですが、そういう中で、国交省としてそのままほっておいていいのだということにはならないんだと思うんですよ。

 だから、そこのところは、例えば公共でやっていくとすれば、どんな施策に結びつけていったらいいのか、あるいは公共でやらない場合、民間とあわせた形でそれに対応するとすれば、もう一つしっかりとしたコミットを国のサイドでやっていく。その基本は、背後地の市街地を守るということもあわせた施策というのを国交省としてもとっていくべきだと私は思うんです。

 だから、民営化から公的にそれを管理するのか、あるいはそれができないとすれば、民と公とどういう協力をしていくのか。今の形だけでは実績として上がってこないということであるとすれば、次の手を打たなきゃいけないというふうに思うんです。

 そこのところ、どういう手があるか、これはどっちに聞いたらいいですか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、なかなか対策が進んでいないということもございました。私どもも、経済産業省としっかり連携をとりながら、コンビナート防災の推進という観点から必要な施策を講じていきたいと思っております。

 今御指摘のありました公的なという部分に関しましては、民間の所有されている護岸を公共に例えば帰属するというようなことも制度としてあり得るわけでありますが、これにつきましては、民間護岸に対する一般のアクセス性の確保だとか、こういった課題もございまして、直ちに公共での帰属というのは難しい課題もあろうかと思っております。

 いずれにしましても、私先ほど御答弁させていただきましたようなさまざまな諸施策について、しっかりと民間事業者に対しても御説明し、経済産業省とも連携しながら進めてまいりたいと考えてございます。

中川(正)分科員 これは全国ケース・バイ・ケースなんだと思うんですが、既に県が管理している部分、それからコンビナート自身が管理している部分、さまざまなんですよね。県によっては、自分のところでやるよ、そうでないともたないよというところも出てくるんだろうと思うので、これはいずれにしても、公的にしっかり関与していく、コミットをしていくという政策がもう一つ要るんだというふうに思うんです。

 大臣、その心をちゃんと表明してください。

石井国務大臣 民有護岸の公共帰属を進めるべきではないかという御指摘かと存じますが、帰属先の自治体の意向もございます。帰属するとなれば、通常のメンテナンスは自治体が負担をするというようなこともございますし、先ほど局長からも答弁いたしましたが、民有護岸を公共護岸とすると、一般的には、民有護岸の背後地は特定の民間事業者が占有しているケースが多いものですから、その護岸になかなか自由にアクセスできないということがあって、公共の用に供することができない護岸になるケースも多いということで、公的主体が管理するかどうか、適当かどうかという課題もございますので、ここは、まずは現在の所有者である民間事業者において適切に対策を講じるよう促していきたいというふうに考えているところでございます。

中川(正)分科員 もう一回言っておきますが、今のやり方では進んでいかないということがはっきりわかっているんだから、そこのところは、ただ民間でという話ではなくて、やはり公的にコミットをするという意思を国交省は持たないといけないというふうに思います。非常に残念な答弁であります。改めて、見直しをするということ、これをぜひやってください。

 次に、ちょっと時間の関係で一つ飛んで、南海トラフで想定される超高層建築物に対する長周期地震動の対策が先般発表されて、特に大都市部分では深刻な状況になるねということ、そのことを前提にどういう基準をつくっていくかということで発表されたところだと思うんですけれども、これについて、まず総体的に、今どういう認識をされているかというのを説明していただけますか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 内閣府の方で平成二十七年十二月に公表した報告書で、南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動の影響、これを初めて明らかにしたところでございます。

 この報告書におきましては、南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合には、三大都市圏で特に長周期地震動が卓越をすること、超高層建築物の構造躯体への影響については、最大クラスの地震が発生した場合でも、建物が倒壊するまでの強度には一定の余裕があるのではないかと推察されること、超高層建築物の室内への影響については、固定されていない家具は極めて危険な凶器になるため、家具の固定や身の安全の確保は重要であることなどが示されたところでございます。

中川(正)分科員 これは南海トラフが前提になったわけですけれども、これから首都直下であるとか、あるいは改めてのいろいろな想定、活断層も含めた分析が出てくるんだろうというふうに思うんですよね。それに対して、どのような基準で高層ビルを見ていくのか、どんな基準をつくっていくのか、何をもとにしてその対策をつくっていくのかということについて答弁をいただきたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 今回は、内閣府から平成二十七年十二月に公表されました、先ほど政策統括官がお答えになった、南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告、これを受けまして、対策を行うべき建築物の規模や影響を受ける地域について検討を行いまして、そのために必要な措置について、昨年六月二十四日付で、関係団体あるいは業界団体を含めた関係者に対して必要な対策の内容を周知したということでございます。

 その際に、特に、六十メートルを超える超高層建築物やあるいは地上四階建て以上の免震建物、こういったもので新築のものについては、ことしの四月以降に大臣認定のための手続をとる必要がございますので、そういった手続を開始するものについては、設計用の長周期地震動を用いた構造安全性の検証を求めるということが必要である旨、その他既存建築物についてもそういった再検証をすることが望ましいという旨を周知したところでございます。

 お尋ねの、いわゆる設計用の長周期地震動をどう考えているのかという点についてでございますけれども、これは、建築基準法のいわゆる耐震性能を求める際の共通の考え方でございますが、建築物が一般的に存続し得る期間中に遭遇する可能性がある大地震を想定いたしまして、これに対して建築物の安全を確保するという考え方のもとに、基本的に、数百年に一度の割合で発生する地震に対して建築物が倒壊、崩壊しないように基準を定めるという考え方でやっております。

 これは、今までの、例えば震度六強から七クラスの地震が起きても倒壊、崩壊しないという考え方もこの考え方に基づいておりますし、今回の南海トラフ沿いの巨大地震における長周期地震動の振動数、地震動に対する考え方についても、この基本的な考え方に基づき設定をしているところでございます。

中川(正)分科員 その場合に、これからまだいろいろな想定というのが出てくるんだろうと思うんです。私も地震を担当していたときにこの長周期が一番気になっていまして、これの想定の出方によっては、日本では超高層は建てられないんじゃないかというぐらいに警鐘を発する専門家というか学者もいたものですから、そこのところは何らかの基準で早く整理をしなきゃいけないなというふうに問題意識は持っていました。今回、そういう意味から、それなりの基準を出してきたということはいいことだというふうに思うんですよね。

 ところが、その対策というのは、既存の、これまでそれを前提にしていなかったビルとこれから建ってくるだろう新しい超高層と、どれぐらいの構造的な変化と、それからそこに工夫するものが組み込まれなければならないのか。

 そのことによって、地域によっては、恐らく長周期というのは地盤の形態によってもそのレベルが変わってくるようなものなんだと思うんですよ。ここに建てるといったときに、そんなことまで考え合わせると、ここの地盤というのは長周期にとっては非常にリスクの高い、その強度というか、あれも、時間の長さとそれから強度というのがあるんだろうと思う。あるいはまた、その周期によってどれぐらいの高さに振動が重なっていくか、重複して大きくなっていくか、そういうものがさまざまに、きめ細かくあるというふうに私は認識しているんです。

 そういうところまで考えていったときに、この地域については超高層は建てられないよ、建てちゃいけないよというところまでひょっとしたらいくような類いのものじゃないのかなという推測がされるんですけれども、そんなところまで考えた上での今回の基準であるのか。あるいはまた、今回出した基準によって、そうしたコスト面、あるいは場所、あるいはさまざまな変形された条件といいますか、それをどこまで満たしているのか。ここはどれぐらいの問題意識を持ってつくっているんですか。

由木政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども御説明申し上げましたが、今回とりました考え方につきましては、あくまでも南海トラフ沿いに巨大地震が起きる場合の長周期地震動、内閣府の方で取りまとめが行われましたので、これについて、影響を強く受ける特に三大都市圏とか静岡地域、これを地域の特性も踏まえて分類をした上で、必要な設計用の長周期地震動を用い、実際に設計をする際の構造安全性の検証をしてくださいということを求めているものでございます。

 したがいまして、先ほど委員がおっしゃったのは、今後、恐らく、相模トラフとかそういった巨大地震を想定したそれぞれのまた検討が今内閣府の方でも進んでおりますので、そういったものが出てくるということを今回頭に置いて設定しているのかということだと思いますが、基本的には、今回想定しております長周期地震動は、今申し上げました南海トラフで起きたもので、内閣府で想定をされたものをベースに考えているところでございます。

 したがいまして、今後、例えば相模トラフ沿いの問題について検討が進められ、それが進んでいった段階でまた新たな知見があれば、それを踏まえて、先ほど申し上げました建築基準法で耐震性能を求めております考え方に基づいて必要な設計の長周期地震動をまた設定していくということになろうかというふうに思いますが、それについては、今の段階では何とも、ちょっと申し上げられるだけの知見がないところでございます。

 なお、検証によって必要となる措置につきましては、恐らく制振ダンパー等で補強をしていただくような措置が必要になる場合があろうかというふうに思っております。そういった補強等が必要となる場合には、今、支援制度を国の方で持っております。

 提案しております来年度の予算におきましては、現行の支援制度はマンションだけを対象にしておりますので、マンションだけではなくて、他の用途についても、長周期地震動の影響が大きいと想定されるものを追加して助成ができるように、今の予算案でお願いをしているところでございます。

 こうした対策によりまして、長周期地震動対策に引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(正)分科員 課題はまだたくさんあるんだろうと思うんです。特に、もう既に建っている超高層ビル、これに対してもどうしていくかということであるとか、先ほどの、私が指摘したように、地域差というか、非常にきめの細かい、地盤の構造というのを前提にした議論にしていかないと、恐らく、ただふわっとした押さえだけでは対応できない性質のものなんだろうというふうに思います。

 これは、どこまでいってもリスクを完全に回避するんだということになると、ひょっとしたら、日本では超高層は建てられないねということになるのかもしれない。想定されるものが、これぐらいのところでおさめていって折り合いをつけようじゃないかというふうなことにするのであるとすれば、それはやはり国民に対してもそのリスクはしっかり説明をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思うんです。

 地震そのものが震度六だとか七だとかという形で説明してあるわけですけれども、長周期はまた違った取り扱いというか、説明基準というのが要るんだろうというふうに思います。

 そんなことを指摘しておきたいと思うんですが、ごめんなさいね、時間が大分超過しているんですが、もしよかったら、大臣に問題意識を共有していただきたいと思います。

石井国務大臣 今委員御指摘いただいた、長周期地震動に対するリスク等をしっかり公表すべきではないかという御指摘については私も同感でございまして、これまでも、南海トラフの長周期については、設計者、不動産業者との意見交換会等の際にも説明を行っておりますが、今後ともさまざまな機会を捉えて説明に努めていきたいと思っております。

中川(正)分科員 ありがとうございました。

門主査代理 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)分科員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日、分科会でありますので、地元問題を中心に質問をさせていただきます。

 まず、国道五十号、前橋市の本町二丁目五差路の改良についてお伺いをしたいと思います。

 群馬県でいいますと、東京から新潟に向けての国道十七号が南北の幹線道路として群馬を通っております。その十七号から枝分かれする形で、一種の環状線でございますが、栃木方面へ向かって国道五十号が枝分かれする、こういった構造になります。

 さて、その国道五十号、十七号から分岐してすぐのところ、数百メートルのところなんですが、ここに本町二丁目五差路というのがありまして、これは国道五十号と駅前通りがぶつかるところで、町の、いわゆる中心市街地の南東の端というふうに言ってもいいかと思うんですが、そこら辺にあるところなんですね。

 四本の幹線道路が変則的に交差する非常に大型の交差点でありまして、徒歩で前橋駅から中心市街地に向かう途中にありまして、車にしても徒歩にしても、市内交通の最大のボトルネックとなっております。私もその近くにもともと住んでいるんですが、もう数十年来、私の子供のころから、ここは何とかしなくちゃいけないよねというふうに言われていた、そういう交差点であります。

 さて、平成九年から、二十年ほど前から、前橋市、群馬県、国交省等で、五差路の改良に向けた検討が重ねられてまいりました。平成二十四年からは、中心市街地のまちづくり、公共交通の再編等の視点から、新たな視点での整備に向けた検討が再度始まっているということであります。

 その中で、昨今、前橋市が国に対して次のような要望を行っているというお話を耳にいたしました。それは、国道五十号の起点を現在地から南に約三百五十メートルずらして、国道十七号の群馬大橋から東に直進するだけで、つまり、今は五十号に行くときにクランク形に曲がらなければならないんですが、直進するだけで国道五十号に入れるようなルート変更を行ってほしい、そして本町五差路を中心として国道五十号をアンダーパス化していただきたい、こういう要望だというふうに言っております。

 そのアンダーパス化が想定される区間というものは、国道五十号の新しい起点となる国道十七号表町一丁目交差点付近から国道五十号中川小学校前交差点までということだったので、私の方で距離をちょっと計算したら、約一・二キロ、こういうカーブが解消される部分を含めても一キロ超ということになる。もしやるとすれば大変大型の改良になるのかなというふうに思いましたが、そういったことを踏まえて、以下、質問させていただきたいということであります。

 まず一点は、この本町二丁目五差路の改良整備、国道五十号のルート変更、アンダーパス化、こういったことについて前橋市から国土交通省としてどのような要望を現在受けていらっしゃるかについて、具体的にお示しを願いたいと思います。政府参考人の方からお願いできればと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 前橋市の本町二丁目交差点は、JR前橋駅、上毛鉄道中央前橋駅、中心商業地、県庁、市役所を結ぶ地点にございまして、国道五十号、県道前橋停車場線、県道前橋赤城線、市道が交差する五差路であることから、朝夕の時間帯を中心に渋滞が発生するなど、課題がございます。

 このため、昨年九月に前橋市から、前橋駅や中心市街地を分断している本町二丁目交差点について、一体的な市街地整備に資するための交差点改良、通過交通の排除、分散化を図るための立体構造による改良について、要望書という形で要望をいただいているところでございます。

 このうち、立体構造の具体案といたしまして、アンダーパスとする要望については、打ち合わせ等を通じて、前橋市より口頭でそのような考えを伺っているところでございます。

 なお、国道五十号のルート変更につきましては、この要望の中には含まれてございません。

 以上です。

宮崎(岳)分科員 全体像について要望書が提出をされている、また、口頭でアンダーパス化についてそのような要望があったということで、まだまだ今後具体化してくる話なのかなというふうに思います。

 今の話でありますと、まだまだお話自体はこれからさらなる検討が必要な部分かと思いますが、いずれにせよ、本町五差路の交通渋滞の解消や徒歩交通の円滑化ということは必要であろうというふうには考えております。

 この前橋市からの要望についても、私も地元議員でございますから、地元自治体の要望というのはなるべく実現をしてあげたい、そういった姿勢で臨んでおりますが、国土交通大臣としては、これらの要望を受けまして、国道五十号の渋滞解消の実現に向けてどのような取り組みを今後行っていただけるでしょうか、お答えをお願いいたします。

石井国務大臣 一般的に、五差路の交差点は、形状が複雑になりますし、効率的な信号間隔の設定が困難なこと等により、事故や渋滞などが生じやすくなっております。このため、円滑で安全な交通を確保するための対策が必要と認識をしております。

 委員御指摘の本町二丁目の五差路につきましては、昨年四月より、短期的に取り組む渋滞対策といたしまして、交通を分散するための案内標識を設置するとともに、市道側からの右折を可能とすること等によりまして、交通の円滑化を図ったところでございます。

 また、本年の三月十九日に国道十七号上武道路が開通予定でございまして、前橋市内の国道五十号を通過する交通が広域的に分散されて、渋滞が緩和することが期待をされております。

 前橋市からの要望につきましては、今御紹介申し上げた短期的な対策や上武道路開通による交通状況の変化も見きわめつつ、前橋市のまちづくりも踏まえまして、アンダーパスの必要性も含め、渋滞解消や歩行者の円滑な移動確保のための対策を検討していきたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 大変力強いお言葉、ありがとうございました。

 先ほど申し上げましたとおり、もう何十年来の課題として、地元では、この五差路をどうしたらいいんだろうということが話し合われてきたという経過がございます。もちろん、アンダーパス化などというと大変巨大な計画になりますので、それがふさわしいのかどうかという問題もございますし、先ほどお話がありましたとおり、案内標識をつけていただいたり、また、上武道路の開通とかで交通状況も変わってくるとは思いますが、いずれにせよ、何とかこの五十号の状況を抜本的に改善したいという市民の思いもあるということも受けとめていただきまして、今後、総合的に検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 では、二点目の質問に参ります。タクシーの運賃ブロックの問題についてお伺いをしたいと思います。

 群馬県内は、タクシーの運賃ブロックが、群馬県A、群馬県Bという二つに分かれております。いわゆる公定でタクシー料金の最高額は決まっているということかと思います。

 そして、群馬県Aというのが、前橋市、高崎市、太田市など、群馬県の中心部、南部をカバーしている地域、いわゆる平野部や都市部を網羅している地域です。群馬県Bというのは、渋川市、沼田市、利根郡、吾妻郡でありまして、いわゆる北部、山間部、俗に山岳料金というふうに呼ばれておりますが、割高な料金設定がされております。坂道が多いのでいろいろな費用もかかる、こういうことだとは思います。

 距離制運賃で十キロ乗車したとすると、これは私の手元の計算でありますが、群馬県A地区では三千百六十円のところ、B地区では三千八百八十円かかる。二十キロだとすると、A地区が六千二百二十円のところ、B地区では七千七百五十円かかる。大体二二%から二五%ぐらい割高になるということであります。

 先日、群馬県の商工会議所連合会を通じて、地元の渋川商工会議所というところからの御要望をいただきました。内容は、都市部に比べてタクシー料金が割高になっていると。そこで、例えば伊香保温泉という観光地が渋川市にはあるわけですが、渋川駅から伊香保温泉までタクシーで行くという場合に、都会でふだんタクシーに乗られていると思うんですが、利用客が想像した以上のメーターの回転になって料金が高くなる、そういうことで、後で乗客の方から、料金をぼったくられたというような苦情とか、そういったものが入ったりということもあるそうでございます。

 また、渋川市というのは、A地区である前橋市や高崎市と隣接をしておりまして、市街地というのは連綿として続いているわけであります。例えば新前橋駅から伊香保温泉にといった場合には、行きは前橋市のタクシーで行く、帰りは渋川のタクシーで帰ってくるということになるわけですが、そうすると、やはり料金が、二割以上、一千数百円違う。同じルートを通っているのに、行きは安くて帰りは高い、おかしいんじゃないか、乗客の方から、何かこの運転手がずるをしているんじゃないかなんという目で見られることもあるんだそうです。

 さらに、そういったことで、渋川、前橋、高崎等の相互の移動、市の境を越えるような移動も非常に盛んでありますので、料金を安くするために、渋川で乗る方がわざわざ前橋のタクシー業者を呼んだりというようなこともあるそうであります。前橋の病院にタクシーで行くとか、そういったような生活の足にタクシーを使っている方々、渋川市民の方々にとっても、料金が割高になることはなかなか歓迎されざることだと思うんですね。

 そういうことを踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり、商工会議所としては、渋川商工会議所の提案を全県の商工会議所連合会の提案といたしまして、同一県内における運賃の格差是正を図るため運賃ブロックを統一してほしい、こういう要望がありますけれども、もし、地元の意向としてこういった関係者の合意が得られ、そういった要望が寄せられた場合は、こういうことを柔軟に見直していただけるのかどうか、国土交通大臣にお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 タクシーの運賃ブロックにつきましては、地方運輸局長が、地域のタクシーの利用実態や原価水準等を勘案いたしまして、運賃の改定手続をまとめて取り扱うことが合理的であると認められる地域を一つのブロックとして定めているところでございます。

 国土交通省としては、今委員が御指摘いただいた渋川商工会議所からの御要望を直接承っておりませんので、要望の内容について改めて確認した上で、利用者の利便性の向上が図られることを念頭に、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 再度重ねて伺いますが、この提案についてはまだ大臣のお手元には届いていないということでありますけれども、一般論として、地域のそういった事業者、あるいは経済界あるいは自治体、そういったところがほぼほぼ合意をして、運賃は同一ブロックでもいいんじゃないか、こういった結論に達した場合には、そこは、一般論として柔軟に対応していただくことはできるんでしょうか。

石井国務大臣 なかなか個別のお話を一般論でお答えするのは難しいのですが、今申し上げたとおり、御要望の内容をしっかり承って検討させていただきたいと思います。

宮崎(岳)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、空き家の問題についてお伺いをできればというふうに思います。

 地方において空き家問題が深刻化しております。それに基づいて質問させていただくんですが、一つは、平成二十六年に空き家対策特措法が成立して、取り壊しについては補助金もできました。特定空き家ですから、もともと、なかなか所有者が取り壊さないという状況にある建物ですが、自治体の方が、ぜひこれを取り壊してくださいということであって、持ち主が、わかりましたというふうになれば、おおよそ国から費用の四〇%が補助されるということになります。

 しかし、持ち主がどうしても壊すのは嫌だという話になりますと、これが行政代執行になります。行政代執行になりますと、これは補助の制度等はありませんので、自治体が費用を一〇〇%肩がわりすることになってしまいます。

 費用は持ち主に請求することには当然なるんですが、当然、行政代執行になってしまうような場合は、持ち主に資力がないという場合が大半なんですね。そこで、結局、請求できずに市町村の持ち出しになってしまうというようなパターンも多いんじゃないか。これを、先ほど申し上げました普通の手続であれば国が四〇%費用を負担するわけですから、この同程度の負担をすることができないかという問題意識がございます。

 この問題については、平成二十七年に国土交通委員会で、私の方から太田昭宏国交大臣に質問させていただきました。国交大臣は大変興味をお持ちいただいて、そういった問題も今質問で気づかされたので、これをどうやっていくかという研究はこれからやっていきたいというような御答弁をいただいております。

 そのころは、今言ったような行政代執行に関する問題意識も、件数が少なかったので余りなかったかと思うんですが、このほど、群馬県町村会の方から同趣旨の御要望をいただいたんです。内容は、町村の空き家対策に要する費用、特に行政代執行の費用等に対し、必要な財政上の措置を講じられたいというものであります。

 やはり時間の変化に従って問題点も浮き彫りになってきたのかなというふうに思っておりますので、先ほど言った研究の成果も含めて、改めて、今後どういうふうに取り組んでいくか、御回答を願いたいと思います。

石井国務大臣 市町村長が行政代執行をする場合には、それに至る前に、所有者に丁寧に説明をして協力を求めることが重要でございます。

 今委員御指摘いただいたとおり、平成二十七年に当時の太田大臣が答弁をいたしましたが、空家等対策の推進に関する特別措置法が全面施行された平成二十七年六月二十六日から平成二十八年十月一日までの間に行われた空き家対策について情報を集め、分析をしてございます。

 その結果、特定空き家等に対して実施をされました市町村の指導助言は五千九件でございます。そのうち行政代執行に至ったものは四件でございまして、ほとんどは、所有者の協力をいただいて解決されたものと認識をしてございます。

 このように、所有者の協力を得て解体撤去する場合には、今年度に創設をいたしました空き家対策総合支援事業の補助事業としておりまして、本年度は、十の市町村で特定空き家等の解体等に活用されると想定をしてございます。

 こういった制度などを活用していただいて、行政代執行に至るまでのさまざまな取り組みについて市町村を支援してまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 大臣、一応申し上げますけれども、代執行は確かに少ない。しかし、少ないのは、ある意味で、補助金等の支援がないから踏み切れないという面もこれは大いにある。これは特定空き家になってしまうようなケースですから、所有者の方に何らかの問題点、それは、財産的なものであったり、心身の状況であったり、あるいは性格的なものであったり、何かがある場合というのもあるわけであります。通常は特定空き家になるまで放置されるということはないわけですから、そうなって、しかも、解体も受け入れてもらえない、聞く耳を持ってもらえないとか、いろいろなケースがございます。

 それで、わざわざ町村会から要望事項の一つとしてこれが出てきたということは、それなりに発生頻度が高い、起こり得るもの、そして何とか解決してほしいというふうに町村の皆さんが思っているものとして要望が上がってきているということでありますから、決して四件だからいいというものではないというふうに思います。

 これを踏まえて、もう一度、ちょっとここについては踏み込んでお考えをいただけないでしょうか。

    〔門主査代理退席、主査着席〕

石井国務大臣 先ほどの答弁で、空家等対策推進特措法の施行日を平成二十七年六月二十六日と申し上げましたが、平成二十七年五月二十六日でございました。訂正をさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘でございますが、今、この空き家対策推進特措法が施行されまして、所有者不明の空き家については、市町村長による略式代執行ということも可能になりました。この費用については、財産管理人制度の手続を活用して回収する取り組みが一部で進められております。

 こういった取り組みは他の自治体の参考にもなりますので、今後、状況を注視しつつ、こういった事例を全国の市町村にも周知していきたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 財産管理制度の活用ということですが、そういったことも、まだ完結はしていないけれども、取り組みとして始まっているというふうにも伺っております。そういったことが可能であれば、それも一つの手段だと思いますので、ぜひ、国交省の方で研究をしていただき、そして必要であれば全国にそのノウハウを周知させるということについて、引き続き取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きまして、これも平成二十七年に国土交通委員会で、また平成二十八年に予算委員会の第二分科会で同趣旨の質問をさせていただいているんですが、今回、群馬県の町村会から同様の要望が寄せられたので、改めて質問させていただきます。

 町村会からの要望については、「特定空き家に該当しない空き家についても、利用実態に応じた住宅用地特例の取扱いの一層の明確化をはかるなど税制面での検討を含め、町村における空き家の有効活用等が一層推進されるよう制度的な方策」を講じられたい等々であります。

 これまでの質問で申し上げたとおり、住宅用地特例によりまして、住宅が建っている土地については、固定資産税が六分の一、都市計画税が三分の一に減免をされます。これは、住宅に人が住んでいようといまいと、基本的には特例による軽減が行われるということです。

 逆の面から見れば、空き家を取り壊した瞬間に固定資産税が六倍にはね上がってしまう。更地にしたら損になった、更地にして駐車場になって駐車料金をいただいたんだけれども、その駐車料金の収入より固定資産税のふえた分の方が高かった、こういった例もあります。そういったことで、空き家が放置されて、一層有効活用されない結果となっている。そのために、空き家問題というのは、単なる社会現象にあらずして、制度的欠陥による一種の人災ではないかという声まであるということをまず御認識いただきたい。

 そういった中で、平成二十七年、先ほど申し上げました質疑においては、住宅用地特例で減額されている固定資産税は推計四兆三千億円内外であったんですが、そのうち空き家の割合が一三・五%としますと、固定資産税五千億円分ぐらいが空き家のために減免されているということではないかというふうに推察いたします。

 ついては、現に人が住んでいない空き家については、住宅用地特例の制度の趣旨から考えても、この軽減の対象から外すということを三たび提案させていただきますが、地方税を所管する総務省の御見解はいかがでしょうか。

開出政府参考人 お答えいたします。

 固定資産税の住宅用地特例は、住宅政策上の観点から、住宅用地について税負担の軽減を図るため、人の居住の用に供する家屋の敷地に対して適用されるものでございまして、特定の者が継続して居住の用に供していない敷地については、本特例の対象とはならないところでございます。

 したがいまして、長期の出張や入院等により住民が一時的に不在にしている場合などは別といたしまして、例えば、居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で、今後、人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合などにおいては、本特例措置は適用されないところでございます。

宮崎(岳)分科員 実態としては、そこに家があれば、扉が破れているとか屋根に穴があいているとか、もうこれは到底人が住むことが物理的にできないというもの以外は住宅用地特例が適用されているのは、これまでの現場の実態からも明らかだし、これまでの答弁でもそのような御答弁をいただいていると思います。

 今、そういったことはそもそも対象外なんだということはお答えになっていないと思いますので、もう一度お答えいただけますか。もし、あなたの今言われたことが本当に実態としてそうなら、それを市町村にきちんと周知徹底すればいいんじゃないですか。そうすれば、そもそもこんな要望は出てこないと思いますが。

開出政府参考人 先ほどの住宅用地特例の適用の基準につきましては、平成二十七年五月に総務省から通知を発出いたしまして、基準の適用の明確化を図ったところでございます。

 具体的には、住宅用地特例の判断につきまして、固定資産税は一月一日の賦課期日で判断するということでございますが、中には、例えば、転勤があった、ただ、時々家に帰ってきて手入れをするという場合のようなケースもございますので、先ほど申し上げた住宅用地特例の適用の基準に従いまして、市町村が具体的居住実態に照らして判断すべきものであるというふうに考えております。

宮崎(岳)分科員 それでは、これは町村会からの要望ですから、町村長からの要望ですから、そういった意図が本当にきちんと伝わっていて、そういった状況にあるならば、そもそもこういう要望そのものが出てこないわけでありますので、それはきちんと周知徹底をし、また、きちんと行われているかどうかの調査も総務省としてしていただきたいということを改めて申し上げておきます。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたが、続いて質問を申し上げます。

 今、持ち主の死亡によって相続が行われるんだけれども、相続手続や登記が行われなくて、持ち主が判然としないという土地がふえております。公共用地として使用したくても、持ち主を捜し出して了解を求める手間、また、煩雑な土地収用等の手続等の手間を考えると、公共用地としての取得を断念する、その土地を外して開発するとか、そういったケースがふえているそうであります。

 そこで、これも続いて町村会からの要望なんですが、「相続人が多数存在し、かつ、相続手続きが一定期間(すくなくとも三世代以上)なされていない土地を、地域住民が生活していくうえで不可欠な公共用地として取得する場合は、簡略な手続きで行えるよう法的整備を検討すること。」をお願いしたいという要望が上がってきております。

 持ち主が判然としないということは、そもそも持ち主にとってその土地はほとんど価値がない、利用価値もなければ資産価値も余りない、こういった実態でありますので、ぜひ社会にとって有効に活用していただきたいと思うんですが、このような手続の法的整備について、国土交通大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

石井国務大臣 公共用地の取得に際しまして、権利者調査を行った結果、所有者の所在の把握が難しい土地と判断された場合には、収用等の手続または不在者の財産管理人の選任手続を経て当該土地を取得することとなります。

 市町村の中には、これらの手続になれていない自治体もありまして、公共用地取得が円滑に進められないといった課題があることは承知をしてございます。

 所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関しましては、公共用地の取得に係るものも含めまして、所有者探索の方法や所有者が不明である場合の解決方法につきまして、実務に携わる担当者向けのガイドラインを平成二十八年の三月に策定しております。今年度におきましても、地方公共団体等への周知を行うとともに、制度活用等についての事例の拡充等、ガイドラインの充実に向けた検討を行ってまいったところでございます。

 なお、用地取得手続の簡略化も含めた、所有者の所在の把握が難しい土地への対応につきましては、個人の土地所有権の保護との関連において難しい面もあると考えておりまして、慎重な検討が必要と考えております。

赤羽主査 宮崎岳志君、質疑時間が経過しておりますので、御協力よろしくお願いします。

宮崎(岳)分科員 はい。

 最後に一点だけ、法務省から金子大臣官房審議官が来ておりますので、時間が過ぎて恐縮ですが、簡単に質問だけさせていただきます。

 空き家対策特措法に参議院で附帯決議がつきまして、いわゆる空き家を取り壊す際はその境界も明確にせよ、こういう話であります。きちんと境界画定の手続をとれということですね。しかし、実際はそのようなことが行われていない現状があるというのが大変問題だというふうに思っております。

 また、持ち主不明の土地というのもふえておりまして、隣の土地の人が何かその土地を活用しようとすると、隣の土地の所有者を見つけられなくて境界が画定できない、こういった問題点も過疎化やそういうことでますます発展をしているということであります。

 こういったことを解決するために、法務省として境界画定についてどのような取り組みを行うのかについて質問をさせていただきます。

赤羽主査 法務省金子大臣官房審議官、簡潔に御答弁をお願いします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 空き家対策推進特措法の趣旨を踏まえまして、平成二十七年二月に、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針が策定されましたが、法務省は、その策定に当たって関係省庁と調整を行いまして、筆界の専門家である土地家屋調査士が市町村の設置する協議会の構成員として参加するとともに、市町村長からの委任を受けて特定空き家等に対して立入調査を行うことを可能とする等、土地家屋調査士が専門的な知見を生かして空き家対策の推進に積極的に協力する枠組みを構築したところでございます。

 また、もう一つ御質問をいただいたかと思いますが、所有者不明の土地が隣接地であることによって土地の分筆等の登記等が事実上困難となる事案が生じており、その結果、土地取引を阻害しているとの指摘があると承知していますが、このような場合には、筆界特定制度を活用して隣接地との筆界を特定し、土地の位置や範囲を明確にすることによって分筆の登記等を行うことが可能になります。

 分筆の登記等を速やかに実現するには筆界特定手続の迅速化が不可欠となりますので、法務省と日本土地家屋調査士会連合会において、現在、隣接地の所有者が不明である土地につき、土地家屋調査士が申請代理人となって筆界特定の申請を行う場合には、申請代理人が収集した隣接地の所有者探索に関する資料や測量結果等といったさまざまな資料を筆界特定登記官が最大限活用することによって、通常よりも大幅に短縮した期間で筆界特定を行うという枠組みを検討しています。

 この枠組みは、昨年十二月から東京法務局及び神戸地方法務局で試行的な運用を行っており、三月末の試行結果を踏まえて課題を整理した上、日本土地家屋調査士会連合会と検討を進めた後、平成二十九年度早期から全国的な運用を行うという方向で検討を進めているところでございます。

宮崎(岳)分科員 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)分科員 質問の機会をありがとうございます。

 ちょっと質問の数が多いものですから、早速質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、資料を準備しております。一枚物でありますけれども。

 これは、私の地元で、いわゆる釜無川河川立体合流部といって七本の川が集まっている地域でありまして、私の地元の山梨県というのは山に囲まれていまして、山地から流れてくる川と平地を走っている川ということで、これを合流させるとあふれちゃうというところもありまして、これを合流させないように立体で交差させるということをやっているところであります。これは、日本全国を見てもなかなか例がないのではないかというぐらいのところであります。

 ここで、きょう御質問申し上げたいのは、これは昭和の三十年代からずっと整備をしてきていただいて今の形になってきております。しっかり治水をやっていただいたおかげで、この周りには住宅地とかこういったものも建設をできるようになっております。また、地域としても非常に発展をしているというところでありますが、たくさんの住民が住んでいます。

 ただ、最近の、鬼怒川の河川氾濫であったりとか、そのほかにも、たくさんの雨が降るということで、局地的ないわゆる河川の氾濫や、また浸水被害が出ているところでありますけれども、その当時に、やはり、かなり昔の基準で地域を整備してきたというところもございます。ただ、最近の雨の降り方とかこういった状況を見て、非常にこの地域の住民が心配をしているというところでもあります。これを、私は、新たな基準でもう一度見直しをして、本当に今のこの状況で大丈夫かというところをまず点検していただきたい。

 また、個別に申し上げますと、この一番右側にあります横川排水機場というのがあるんですけれども、これは何かといいますと、ポンプでして、川の増水が顕著になってきますと、実は、流れてくる川を一回、流入させるとどんどんどんどんあふれていってしまうということで、それをせきとめて、そして、この横川排水機場をもって上からポンプで引き揚げて釜無川に流すという、これは物すごい治水技術でありますけれども、こういったことをやっているんですね。

 この横川排水機場というのも結構古いものとなってきておりまして、この能力は大丈夫かとか、また、今までの基準でいくと、本当にこのポンプの能力で大丈夫なのかという声も非常に地元から上がってきているところであります。

 また、横川潜管というのがそのすぐ左にあるんですけれども、これはいわゆるアンダーパスですよね。トンネルを掘って川の下を川を走らせているというものでありまして、この横川潜管についても、四十年ぐらいたっているというものでありまして、流れが悪くなってきているという声も聞いているところであります。

 こういったものの再点検と、整備についてもあわせてお願いをしたいというところでありますけれども、これについて御所見を伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、釜無川の支川につきましては、幾つもの河川が複雑に入り組んでおりまして、これらの合流点処理ですとか、あるいは排水機場の整備をこれまで行ってまいりました。

 このうち、例えば、国土交通省が昭和六十三年に整備いたしました横川排水機場につきましては、今後もその能力が発揮できますよう、適切に維持管理をするとともに、山梨県さんが管理をいたします五明川排水機場あるいは横川潜管等につきましても、引き続き、防災・安全交付金によりまして、施設の整備、更新を支援してまいりたいというふうに考えております。

 一方、国土交通省では、先ほど委員お話ございました頻発、激甚化する水災害に対しまして、一昨年九月の関東・東北豪雨ですとか、あるいは昨年の北海道、東北地方を襲いました一連の台風による災害を踏まえて、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考えに立って、社会全体で洪水に備えるため、水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを国管理河川のみならず県管理河川にも拡大して、その取り組みを加速化しているところでございます。

 具体的には、堤防整備などの洪水氾濫を未然に防ぐ対策の着実な推進に加えまして、住民目線のソフト対策など、ハード、ソフト一体となった対策を重点的に実施しているところでございます。

 今後とも、水害から国民の生命財産を守るため、最近の激甚化する降雨の状況、あるいは施設の健全度等を踏まえながら、防災・減災対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 これは、かなり雨の降る量とかが変わってきているというところもございますので、ぜひ継続的な整備に努めていただきたいということと、私、こういうところというのは結構まれなところだと思うんですよね。こういうところにはぜひ重点形成していただいて、ちょっと見ていただくとか、こういうこともやっていただきたいと思いますし、また、何といっても、やはりソフトが非常に重要だというふうに思いますので、これについても地域まで徹底できるようにぜひやっていただきたいというところであります。

 二つ目の質問に移ります。

 この地域は、実は地名は南湖といいまして、南の湖と書くんですよね。多分、この辺はかなり水が、もともとは湖だったかもしれないような地域であります。私は、この地域がこうやって発展しているのも、こういう治水技術があって、それを実行したからだということが大切なことだろうというふうに思います。

 そういう意味では、インフラの重要性、特に治水とか、こういったものの重要性を、私、こういう地域を使って国民の皆さんに広く周知していくということが大切ではないかなというふうに思います。私もこれはいろいろな方に聞いたんですけれども、ここまではなかなかないんじゃないかということを聞いています。そういう意味では、こういった地域を使って、これが治水技術ですよというところを知らしめる、私は、公園とかそういうものにしていくということも、国土交通省のPRとして、インフラの重要性を訴えるPRとして必要だというふうに思いますが、それについての見解をお伺いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 流域の特性を踏まえたこのような治水対策につきましては、一般の方々に関心を持っていただいて、治水対策の重要性について御理解をいただくための取り組みを行うことは非常に重要なことだというふうに考えております。

 国土交通省では、土木施設の見学会ですとか、あるいはパネル展示のイベントを実施する等、治水対策について御理解をいただくためのさまざまな取り組みを実施しているところでございます。

 御指摘の釜無川流入支川におけます特徴的な治水対策につきましては、地元の方々とも御相談をさせていただきながら、例えば、近隣の道の駅の富士川の情報掲示板の活用ですとか、あるいは支川合流部周辺に新たな広報看板を設置するなどのさまざまな取り組みを通じまして、積極的に情報発信をしてまいりたいと考えてございます。

中谷(真)分科員 治水とか治山とかというのはなかなかわかりにくいんですよね。国民の皆さんにどれだけ重要かということが伝わりにくい分野でもあるというふうに思います。ですから、こういう地域とかを積極的に活用していただいてPRされることが、私は、今後の国のインフラ事業を進めていく上で非常に重要だ、国民の理解を得るということは重要だと思いますので、ぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思います。

 三つ目の質問に移ります。

 我が県は、リニア中央新幹線が通り、そして、甲府の南側になりますけれども、ここに駅をつくる、そういう地域であります。この際、開通予定まで残り十年となりました。この現在の進捗状況というか、いわゆる十年で仕上げなければいけないというものでありますので、計画との整合と、あとは課題、今進めている上でのこういう課題がありますというようなところがありましたら、ぜひお教えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線につきましては、平成二十六年十月に工事実施計画を認可して以降、JR東海により、市町村単位や地区単位の事業説明会などが順次行われております。

 このうち、山梨県内におきましては、南アルプス市の二つの地区において事業説明会が未了でございまして、現在、JR東海におきまして、当該地区の関係者等と事業説明会開催につき鋭意調整中というふうに聞いております。

 また、事業説明会を終えた箇所から中心線測量が行われておりまして、山梨県内の進捗率は約八割というふうに聞いております。

 建設工事も進められておりまして、難度の高い品川駅や名古屋駅の新設工事、南アルプストンネルの新設工事などでは、起工式を経て工事に着手されております。

 このうち、山梨県内では、南アルプストンネル山梨工区新設工事で工事着手されたほか、第四南巨摩トンネル西工区の新設工事について契約手続を終え、現在、工事着手に向けた準備が進められております。

 JR東海によれば、現時点において、当初計画に比べて工事等のおくれは生じていないということでございます。

 JR東海におきましては、二十六年十月、工事実施計画認可の際の大臣指示、地域の理解と協力の獲得、環境の保全の措置、安全かつ確実な施工の三点を踏まえながら、適切に工程管理を行い、今後とも安全かつ確実に事業を行ってもらいたいというふうに考えております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 山梨県、あともう一つの特徴は、二十一キロの明かり区間があるというところでありまして、ここは地域を分断する非常に大きなものですから、そういうこともありまして、一部そういうものが出ているということを耳にしているところであります。

 これはやはり、県以下、市町村とか、こういったところとしっかりJRは連携をしていただいて、そして地域に対してもっと、今もやっておられると思いますけれども、さらに積極的に働きかけを行っていただきたいというものであります。これは山梨の夢でありますから、我々も山梨県を挙げて支援していくものだというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいというところでございます。

 その次の質問は、先ほど申し上げました二十一キロの明かり区間があります。この区間は、鉄建機構が事業を請け負って、そしてこれは官公需法に基づいて事業発注をしていくというものだというふうに理解をしております。官公需法に基づきますと、やはり地元の中小企業事業者に対しての発注の量をしっかりと確保していただくということが私は大切だというふうに思います。

 それに当たって、やはり地元の企業というのは小さい企業が多いですから、山梨県の場合だと、三億円を超えるような事業だとほとんどとれるところがなくなってしまうというものであります。そういう意味では、サイズをある程度小さくするとか、また発注の要領を考えるとか、そういうことをしていただかないとなかなかとれない、大きなゼネコンさんが来て全部持っていっちゃうというようなものになってしまいます。

 こういう機会というのは県内の事業者にとっても非常にいい機会であります、こういう事業に携われるということは。そういう点も含めまして、地元中小企業者に発注をしていただけるような具体策、どういう策をもってされようとしているのかというところを一歩踏み込んでぜひお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の建設主体でありますJR東海は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需法の適用対象ではございませんが、JR東海から一部区間の建設事業を受託する鉄道・運輸機構は、御指摘のとおり、官公需法の適用対象となっております。

 このため、鉄道・運輸機構は、同法に基づきまして国が定めた中小企業者に関する国等の契約の基本方針に即しまして、中小企業者の受注の機会の増大を図るための方針を策定しておるところでございます。

 リニア中央新幹線では、鉄道・運輸機構は、山梨県内におきまして、約四十一キロメートルの区間の工事のうち約十七キロの区間を工事受託したというふうに聞いております。

 鉄道・運輸機構は、策定しました方針に基づきまして中小企業の受注の機会の増大に向けた取り組みを行う予定ですが、具体的な取り組みとしては、例えば、今先生から御示唆がございました発注のロットの問題もあろうかと思いますが、入札における評価項目を設定するに際し、例えば過去の実績を過度に求めないように配慮するなどの取り組みによりまして、関連施設の土地造成の工事でありますとか、沿道道路のつけかえ工事等への中小企業の方々の参加が想定されます。また、地元中小企業が他企業とJVを組むことにより、より大きな工事への参加の可能性も出てくるというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、鉄道・運輸機構においては、このようなさまざまな取り組みを通じまして、地元中小企業の受注による中小企業の発展でありますとか地域の振興に努めてもらいたいというふうに考えております。

 なお、リニア中央新幹線の建設主体であるJR東海は、先ほど申し上げましたように官公需法の適用はございませんが、工事の実施に当たっては、地域の理解と協力を得ながら進めるということでやっていただきたいというふうに思っておるところでございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 地元中小企業者に対しての配慮をぜひお願いしたいというものであります。

 また、発注要領として、県、市町村とか、こういったところに委託発注をしていただけるとまたさらにいいのかなというふうに思うところでありますけれども、ただ、委託発注の際もちょっと考慮していただきたいのは、やはり市町村というのは、うちは小さいサイズの市町村が多くて、そういう意味では、それに対応できる職員の数もなかなかというところもございますので、そこはちょっと、県を通じて、ぜひ早目の調整をしていただいてやっていただけると非常にありがたいというものであります。

 次の質問に移らせていただきます。

 リニア関連事業といたしまして、大津というところに駅をつくっていただけるという予定になっております。この関連事業として、大津近くを流れる鎌田川というのがあるんですよね。これがあふれてしまうと、その駅周辺が全部浸水してしまうという川であります。この鎌田川の改修をして、しっかり治水強化をしていかなければいけないというものでありますが、これは県も非常に問題意識を持っておりまして、これをやっていかなければいけないというふうに思っております。

 残り十年で開通となりますから、これは結構スピード感を持ってやらなければいけないというものであります。この後押しをぜひ積極的に国交省にお願いしたいというところであります。これについての御見解をいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 鎌田川の改修につきましては、山梨県さんにおきまして、笛吹川合流点から中央自動車道までの約六・九キロメートルの区間で事業を実施しておりまして、今年度は、JR身延線今川橋梁のかけかえ工事等を行っているところでございます。

 県からは、平成三十九年のリニア中央新幹線の開業までに事業が完了するよう積極的に事業を推進していくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましても、県の意向を踏まえまして、引き続き、防災・安全交付金等によりまして支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

中谷(真)分科員 ぜひ、積極的な御支援をお願い申し上げたいと思います。

 これはやはり、通って駅ができるだけではなくて、山梨におりていただいて、その駅の周辺が発展をするとか、こういったところがインフラが先行投資だと言われている最大の理由だというふうに思いますので、その周辺整備もあわせてぜひお力添えをいただきたいというものであります。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 リニアもあるんですけれども、我が県にはもう一つ大きな事業がございます。これが中部横断道であります。

 この中部横断道、今、南側の区間といいまして、双葉から富沢の間を工事を行っていただいているところでございますけれども、この区間において、これは実は二十九年度開通予定でありましたが、山梨県民としては残念でありますが、二年間おくれるというところであります。これは、トンネルを掘るための地盤が緩いとか、こういった理由があるというふうにお聞きをしているところでありますが、三十一年度開通は何としてでも、これ以上おくれることはちょっと、これはやはり県民としても、三十一年度は何とか通していただきたいという思いであります。

 これについての、今、三十一年度に向けての着工の状況と、また、三十一年度開通、これは必ずやるんだという御決意を、私はこれはぜひ大臣からお伺いをしたいというところでございます。よろしくお願いします。

石井国務大臣 中部横断自動車道でございますが、中央自動車道から南側の区間については、増穂インターチェンジから双葉ジャンクション間の延長十六キロが平成十八年十二月までに開通をしております。

 六郷インターチェンジから増穂インターチェンジ間の延長約九キロについては、本年三月十九日に開通する予定でございます。

 残る新東名高速の新清水ジャンクションと六郷インターチェンジ間の延長約四十九キロメートルについては、想定以上にもろい地盤でのトンネル掘削、掘削土に含まれる自然由来の重金属の処理などの課題が発生していることから、新清水ジャンクションから南部インターチェンジ間及び下部温泉早川インターチェンジから六郷インターチェンジ間は平成三十年度、南部インターチェンジから下部温泉早川インターチェンジ間は平成三十一年度をそれぞれ開通の目標としているところでございます。

 工事につきましては、引き続き、トンネル掘削面の崩落防止対策や掘削土に含まれる自然由来の重金属の処理対策などを行い、安全対策や環境対策に十分配慮しながら進めることとしておりまして、関係自治体の協力も得ながら、目標年度に向けまして一日も早い開通を目指して努力をしてまいりたいと存じます。

中谷(真)分科員 私も、この三月の増穂―六郷間の開通式には参加をいたしまして、皆と喜びを分かち合いたいと思いますが、また大臣、引き続き、この三十一年度開通に向けてぜひ大きなお力添えを賜りますようよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問ですが、この二年間延びたのとやはり難工事というところもございまして、非常にこの予算が、当初二千億と言われていたんですが、これが二千六百億に膨れ上がったというところであります。これによって、もちろん期間が延びたのも我々にとっては大変なことでありますけれども、県の財政負担が非常に大きくなっているところであります。九十億円膨らむことになっております。やはり、山梨県の年間の公共事業予算というと六百二十億程度でありますから非常に大きな負担でありまして、これに対しての措置を何とか行っていただきたいというものであります。

 今、国交省に対して県は補助金という形でぜひお願いをしたいという申し入れを行っているところでありますけれども、これは総務省さん、きょう来られていると思いますけれども、交付税措置といういわゆるカードもあるというふうに思っております。これもぜひ含め、何とかこの削減に向けて国の大きな後押しをいただきたいというものであります。県にはやはりほかの事業もありまして、これだけに全てのお金をつぎ込んでいくというものではありませんので、ぜひそこをお願いしたいというところでございまして、総務省さんから御見解をいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる新直轄方式による高速道路整備に要する経費につきましては、これは国が四分の三、地方団体が四分の一の割合で負担することとされております。そして、その地方団体の負担に対しては、地方負担の九〇%に対しまして地方債措置を講じまして、その元利償還金の五〇%を事業費補正によりまして交付税措置をするほか、残余の地方負担につきましては単位費用に算入して交付税措置をしているところでございます。

 また、交付税の算定におきましては、新直轄方式による高速道路の事業実施箇所が偏在していることにより個々の地方負担に著しい差が生じていることを踏まえまして、新直轄高速道路の道路延長に対する比率が全国平均以上の都道府県に対しまして、基準財政需要額の割り増し算定を行っております。

 このように、新直轄方式による高速道路整備に係る地方団体の負担については交付税措置を講じており、引き続き適切に算定を行ってまいりたいと考えております。

中谷(真)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいというものであります。やはり財政力がそんなにない県でありますから、この膨らみはかなりのダメージであります。そういう意味では、これは特別なことだというところで、特別交付税等の措置をぜひお願いを申し上げたいというところでございます。

 それでは、最後の質問です。

 中部横断道の、先ほど申し上げました南側の区間が終了したら今度は北側の区間がございます。これは、長坂から佐久、今度は長野に向けて道路を建設していかなければなりません。この北側の区間、今、一部反対もあったというところもありまして遅滞をしたというところでありますが、この南側の区間が三十一年開通だとすると、これを終わってすぐ北側の区間に取りかからなければいけないというものである。また、それをするためには、環境アセスをそろそろ始めていただかなければこれは間に合わないというものであります。

 この環境アセスをできるだけ早く始めていただきたいということで、地元はやはり賛成の声をしっかり上げていこうということで、さまざまな会合を持ったり、またその機運を盛り上げるための集会を開いたりということを努力しているところであります。

 この環境アセス、早急に開始していただきたいというところであります。これに対しての御所見をお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の未事業化区間であります長坂―八千穂間につきましては、平成二十七年四月に概略ルート、構造について決定したところでございます。

 一般的には、高速道路などの大規模事業の実施に当たりましては、地域としての合意形成が不十分なまま環境アセスメント等の手続に着手した場合には、かえって通常よりも時間を要することが懸念されます。

 未事業化区間のうち山梨県側につきましては、環境や景観への懸念を持つ方々もいらっしゃることから、山梨県や北杜市が地域住民との合意形成に向けてこれまで取り組んでまいられたわけでございます。

 また、長野県側につきましては、長野県がルート絞り込みのための沿線自治体の意見把握を実施されていると聞いております。

 環境アセスメントの着手につきましては、両県の取り組み等を踏まえ、前向きに進めるべく検討してまいります。

 以上でございます。

中谷(真)分科員 ぜひ前向きによろしくお願いを申し上げます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

 次に、池内さおりさん。

池内分科員 日本共産党の池内さおりです。

 近年、東京を中心として、重層長屋と呼ばれる物件が増加をしています。この重層長屋、どんな建物かぴんとこないと思いますので、きょう配付資料をお配りしておりますので、ごらんいただけたらと思います。

 長屋といっても今や本当に千差万別で、比較的低家賃で戸建て住宅と同様の独立性がある、こういうファミリー向けに人気が高まっているような長屋もあります。きょう私が問題にするのは、このような住環境のよいタイプではなくて、いわゆる重層長屋と言われる物件について質問したいと思います。

 端的に大臣にお伺いしたいんですけれども、この配付資料の写真をごらんいただいて、これはアパートに見えますか、それとも長屋に見えますか。一枚目と二枚目、ごらんいただきたいんですが。

石井国務大臣 よくわからないのですが、委員が重層長屋の事例としてお出しになった写真ではないのかなというふうに拝見をしておりました。

池内分科員 では、聞き方をちょっと変えたいんですけれども、戸数が六十二戸で居住者が百二十四人までが見込まれている、このような物件については、これはアパートでしょうか、長屋でしょうか。どのようにお感じになられますか。

石井国務大臣 今の条件だけでは判断できないと思っています。

池内分科員 大変に中身が余り感じられない、非常に受けとめていただきたかった質問だったんですけれども。

 私は、これは紛れもなく、実態としてはアパートなどの共同住宅だと思うんですね。特殊建築物そのものであるというふうに思います。

 東京都は、防災上の観点から路地状敷地への共同住宅の建設というのを禁止しています。路地状敷地というのは、公道に面した路地の先に周辺を住宅に囲まれたような、そういう土地のこと。しかし、このような重層長屋と称される物件というのは戸建て扱いですので、こうした路地状敷地にも建設がなされているというのが現状です。

 確認いたしますが、建築基準法上、共同住宅と長屋、どのように定義がありますか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法体系、条文上、共同住宅と長屋とは別々の概念として規定されているところではございますが、建築基準法上、共同住宅あるいは長屋について明確な定義は置いておりません。

 全国の特定行政庁と民間の指定確認検査機関で組織いたします日本建築行政会議というものがございます。この会議で検討が行われまして、一般的な共同住宅あるいは長屋についての運用が定められております。二以上の住戸を有する建築物のうち、廊下、階段等を各住戸で共有するものを共同住宅、廊下、階段等を各住戸で共有しないものを長屋として運用をされているところでございます。

池内分科員 特段の定義がないとすると、もう一度明確に根拠を示していただきたいんですけれども、長屋を戸建て扱いするというのはなぜですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法の条文上、今委員から御指摘いただきました、今度は戸建て住宅、それから長屋、これも別々の概念として規定はされておりますけれども、廊下幅や階段の配置などに関する避難規定につきまして、在館者の避難が容易かどうかに応じて必要な基準が定められることになっております。

 この際、戸建て住宅につきましては、住民が直接地上に避難できる構造となっている、また、同様に、長屋につきましても、共同住宅とは異なり、住民が各住戸から直接または専用階段によって地上に避難できる構造となっていること、これが特徴になっております。

 したがいまして、長屋については、こうした避難安全上の観点からは戸建て住宅に類似するものであるということから、避難規定上、同様の取り扱いをしているということになっているものでございます。

池内分科員 この写真を見ていただくとわかるんですけれども、共同の階段、廊下のあるなし、その観点から見れば、この建物は確かに共用の階段もない、長屋だろう。それと、これはドアが直接外部につながっていまして、一つのドアは一階の部屋に、隣のドアをあけると二階に続く階段が直接あるということなんですね。

 建築基準法第二条の二項で特殊建築物というのが定められていると思うんですが、アパートやマンションなどの共同住宅、これは特殊建築物というふうにされていますけれども、この規定がそもそも何のためにあるのか、お答えください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法は、国民の生命や健康の保護を図ることを目的としておりまして、地震や火災等に対する安全性を確保する観点から、最低の基準を定めているものでございます。

 この基準を定める中で、防火上、避難上の観点から、特別に規制対象とする必要がある用途の建築物を特殊建築物として定義いたしているところでございます。柱、はりの耐火性能や、廊下や階段などの避難施設の設置について、一定の基準に適合することを求めているものであります。

 具体的には、建築基準法の二条二号に規定がございまして、例えば学校、病院、劇場、旅館、共同住宅などの建築物を規定しているところでございます。

池内分科員 安全上、防火上の規定が特殊建築物にはほかの建物と比べて厳しいものがある。

 特殊建築物というのは、消防法と建築基準法の二側面から、安全上、消防上の規制の対象となっているというふうに思います。

 建築基準法第三十五条で避難及び消火に係る技術的基準というのが定められていて、お答えいただいたような廊下、階段、出入り口等、この避難施設、消火設備の設置が求められている。

 消防法では、不特定多数の人が出入りするような建物、これは防火対象物というふうに規定されていて、建築基準法上の特殊建築物と同一の概念ではないけれども、安全上、防災上の観点から、火災が発生した場合に対応が求められています。共同住宅だったらこの防火対象物に当たる。

 では、消防法の規定でこの重層長屋にはどのような適用があるのか、さらに、消火設備や避難経路などの規定についてお答えください。

猿渡政府参考人 いわゆる重層長屋につきましては、消防法第十七条第一項の規定に基づきます防火対象物としての共同住宅には該当いたしませんけれども、同法第九条の二の規定に基づきます住宅の用途に供される防火対象物というものに該当しまして、住宅用防災機器として住宅用火災警報装置の設置義務等があるということでございます。

池内分科員 消火器はどうなっていますか。

猿渡政府参考人 消火器は義務としてはございませんけれども、普及啓発には我々は努めておるということでございます。

池内分科員 確認してきたように、用途上も外見上も、きょうお配りしたような写真にある建物というのはほとんど共同住宅と同じ物件だと思うんですが、長屋という看板をひっ提げて、法律上は戸建て扱いだということをいいことに、あちこちに今出現している。このいわゆる重層長屋ですけれども、私がこだわっているのは、これまでの長屋のあり方と随分違うということなんです。

 手元の資料にありますように、ドアも幾つも連なっていますし、建物の形状も異様なんですけれども、建っている土地もとても異様なんです。路地状の敷地です。旗ざお地と呼ばれる。

 三枚目の資料をごらんになっていただきたいんですけれども、公道に通じる細い路地、この右下の部分ですけれども、この路地を進んでいくと、住宅に囲まれた図のような敷地になるんです。その敷地いっぱいに今重層長屋が建設されている。右側のところは一つの重層長屋ですけれども、旗ざお地のさらに旗ざお地をつくって、土地を二つに分割して、さらに奥まったところにもこの長屋がつくられています。これは足立区の竹の塚の路地状敷地約九百平米の変形した土地、ここに木造二階建て、これは実は一個の建物としては建築確認がおりないから、わざわざ土地を二つに割って、分割した土地それぞれで建築確認をおろして、そしてその土地に目いっぱい長屋を建てている、重層長屋を建てているということなんです。その結果、六十二戸の二棟の重層長屋群が建築をされた。

 これを受けて、足立区の建築審査会が先月の三十日に、地域住民らによるこの建築物の接道義務違反等の訴えにつきまして、法的には問題なしとして却下する判断を下しましたが、付言として、現行法令上違法とまでは言えないが、狭隘な道路及び敷地内通路に依存をし多数の住戸が予定されており、それが建設され使用された段階においては、看過しがたい支障の発生が懸念される、とりわけ、火災時における避難及び消火、救助活動は、入居者の属性にもよるけれども、乳幼児や高齢者が含まれる可能性もあり、大きな困難が伴うものと思料される、このように危険性を指摘しています。

 大臣にお伺いしたいんですが、今ごらんいただいている地図の、資料の三枚目です、この地図の、ごらんいただいて、この中間部分、こちらをちょっと見ていただけますか。ここの部分で、奥に住んでいる住民が逃げる通路というのはこの一カ所しかないんです、旗ざお地の旗ざお地ですので。もしこの部分で火災が起こった場合、袋小路の先に住んでいる住民はどこを通って逃げればいいんでしょうか。これは安全が確保されているとお考えになりますか。

石井国務大臣 恐縮ですが、私は現場をよく承知しておりませんので、この図面だけでは判然としないところであります。

池内分科員 この図面で、現場の人たちはまさに自分たちの安全の問題として建築業者などと闘っているわけですから、図面だから、現場へ行っていないというんだったら、ぜひ現場へ行ってください。私はそのことを大臣に要請したいと思います。現場に行って見ていただきたい。

 私は、ここでもし火災が起こったら、袋小路の住民はどうやって逃げればいいのか、本当に重大な実態だというふうに思います。

 そして、私は疑問に思うことがありました。

 この土地に、足立区のワンルーム規制条例に従って、建築基準法が定める規制を守りながら共同住宅を目いっぱい建てた場合、どの程度のボリュームの建物が建つのか、これを独自に割り出してみました。すると、耐火構造にしっかりして、木造の二階建て、一部屋、バス、トイレなどを含めて二十五平米、二方向の避難経路もしっかりと確保して、一棟二十二戸の物件が建つ。それが二棟ですので、合計四十四戸ということだったんですね。

 この二十五平米という数字は、国が住生活基本計画の中で定めている数字、「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準である。」というふうに国が推奨しています。

 足立区のワンルーム規制条例というのは、まさに、国が奨励している単身者の基準、二十五平米に基づいて住環境整備を進めている。つまり、何が言いたいかというと、国の定める基準を守ろうとするなら、この土地には六十二戸の共同住宅など建ちようがないんですね。さらに、東京都では、旗ざお地に共同住宅をつくれないという規制があります。そのため、本来、共同住宅であれば一個も建つはずのない物件なんです。これは本来建ちようがない。

 大臣、これはおかしいと思いませんか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 長屋につきましては、先ほど申し上げましたように、避難安全上の観点からは戸建て住宅同等というふうに取り扱っておりますので、その観点で、法律の規制に服して建てられている限りにおいては、その法律の守る安全性の規定にのっとって適法に建てられているものというふうに考えております。

池内分科員 その共同の廊下があるなしという長屋の観点、この枠組みで現実にはもう捉えることができない建物が建っているから私は問題にしていて、適法かどうかなんということは、そのルール自体を今変えるべきであるのではないかということを言っているし、通告はしていないですけれども、こういう実態についてどう考えますかと私は問うているのですから、大臣にはしっかりお答えいただきたかった問題です。

 次に行きます。

 確かに、繰り返しますけれども、きょう出した資料の写真には、共同の外階段も廊下もない。だからといって、いつまでもこうした物件を長屋だ、戸建てだと見過ごし続けていいのか。これまでの長屋の概念ではもうカバーできないでしょうということを私は言っています。法律が実態に追いついていない。これまで確認してきたように、まさに旗ざお地の、みすみす建てさせたくもない土地に平気で建ち、消防設備も共同住宅にふさわしいスペックにすらならない。

 第百八十五国会で成立をした首都直下地震対策特別措置法に基づく基本計画で、初期消火の成功率を向上させるために、地域防災力の向上とか、防火水槽、防火用水の確保の推進とともに、木造住宅の密集市街地での道路拡幅など活動空間の確保ということを掲げています。

 住生活基本計画では、地震時等に著しく危険な密集地の市街地の面積というのを、平成二十七年の四千四百五十ヘクタールから平成三十二年までにおおむね解消するということを掲げている。旗ざお地などの路地状敷地への重層長屋の建設、これへの規制というのは、国の防災の施策から見ても、積極的に行う課題だというふうに私は思います。

 重層長屋は戸建てです、これをいつまでも言い続けて、この重層長屋、私は、規制がかけられるのかと非常に不安に感じています。重層長屋も特殊建築物として扱ってはいかがでしょうか、大臣。これは通告しています。

石井国務大臣 特殊建築物とは、共同住宅、学校、病院など、防火上、避難上の観点から、特別に規制対象とする必要がある用途の建築物を定めております。

 共同住宅につきましては、多数の者が避難経路を共有することによって避難上の支障を来す可能性があることから、特殊建築物に含むこととしております。

 一方、長屋については、いわゆる重層長屋も含め、各住戸から共有の廊下や階段を介さずに直接地上に避難できる構造であり、建築基準法上、安全上、防災上の観点からは戸建て住宅に類似するものと整理をされております。

 したがって、長屋につきましては、一般的には、共同住宅に比べて避難が容易であるという点について、規制の必要性が異なることから、特殊建築物として一律に規制対象とすることまでは必要ないと考えております。

池内分科員 一律にとおっしゃいますけれども、私は長屋一般を言っているんじゃなくて、重層長屋について言っています。そして、共同住宅が規制の対象となるという点で、多数の人の避難の経路を確保とおっしゃったけれども、私がさっき示したとおり、この袋小路の先の住民がどうやって逃げるのか。直接地上に、外部につながっている、だから長屋だと。ですけれども、どうやって逃げるのか。安全面でもとても重大な欠陥があるし、ここにやはり国は向き合わなければならないのではないかということを再三申し上げているところなんです。

 確認いたしますが、建築基準法第四十条というのは、建築基準法の規定を超える規制を地方公共団体が条例で定めることができる、このようになっています。

 では、仮に、東京都が重層長屋を特殊建築物として扱うという条例をつくる場合、これは建築基準法よりも厳しい規制ということなので、当然できる、可能であるという理解でいいでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法第四十条に基づきまして、地方公共団体は、地方の気候や風土の特殊性により、または特殊建築物の用途や規模により、条例で、安全上、防火上または衛生上必要な制限の付加ができるということとされております。

 先ほど御説明申し上げましたように、特殊建築物は、建築基準法第二条二号において対象となる用途が規定をされておりまして、御説明を申し上げておりますが、長屋はこれには含まれないということでございます。

 したがいまして、特殊建築物の用途や規模によりというところでこの条例をつくるということはできませんが、長屋については、特殊建築物としてではなく、地方の気候や風土の特殊性により、この条項で実は密集の規制をする条例が多々地方でできておりますが、この規定に基づいて、条例で、安全上、防火上または衛生上必要な制限を付加することは可能でございますし、現に、重層長屋について、この四十条のこの条項を使って規制をしているという例は地方公共団体にございます。

池内分科員 結局地方任せというのは、私は本当に無責任だというふうに思うんですね。そもそものカテゴリーが、長屋というもので、共用の階段や廊下があるかないか、この不文律のような物事の分け方によって、現に、足立区など多くの自治体、東京を中心に、規制の手足をもがれているという現実がある。ここにやはり国が姿勢を明確にすべきだというふうに思います。個々の地方自治体よろしくねでは、済まないと思うんですね。

 そこで、私は、国交省が脱法シェアハウスを寄宿舎扱いするということをかつて行ったというふうに思うんですけれども、脱法シェアハウスをつまり特殊建築物扱いするという通達を出した、この規制を強化した経過について述べてください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる違法貸しルームにつきましては、平成二十五年ごろに、マンションの一住戸や戸建て住宅を改修して、一つの部屋の中を簡単な壁で多数の小さな個室に区切るなどした上で、多人数の者の居住の用に供するということで、間仕切り壁の構造などが防火関係規定に違反した状態で使用されている建築物があるということが問題になったわけでございます。

 このような建築物は、先ほど申し上げましたように、多数の小さな個室に区切って多人数の人が居住され、かつ、廊下あるいはトイレ、台所等が共用されるという形態が、まさに社員寮等の一般的な寄宿舎と大きな違いがあるということは言えないものですから、建築基準法上の住宅ではなく、間仕切り壁の構造や非常用照明設備の設置など、防火、避難上の措置が必要な寄宿舎に該当するものとして、建築基準法の取り扱いについて公共団体の方に周知をしたということでございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたような改修が行われた点について、公共団体からの問い合わせも非常に多く行われたという経緯がございます。

 これを受けて、居住者のまさに安全性を速やかに確保しなければならないという観点から、二十五年の九月六日に、建築行政を担当する地方公共団体に対し、立入調査や違反是正等の対策の一層の推進を依頼するとともに、今申し上げましたような建築基準法上の取り扱いについても通知をし、寄宿舎として取り扱うこととしているものでございます。

池内分科員 最後にお答えいただいた、建築基準法上の特殊建築物に当たる寄宿舎の枠を、その規制を強化するという点では、皆さんは脱法シェアハウスということを見過ごさないで規制の強化を頑張られたわけだと思うんですけれども、私がきょう問題にしているのは、そもそも特殊建築物の枠の外にある長屋という概念。そして、その特殊建築物と長屋の間に今不可解な建物が建っている。重層長屋です。この不可解な建物についても向き合っていただきたいと言っているんですね。

 そのためには、これまでの、共用の廊下があるか、階段があるか、それで長屋か共同住宅かを決めますというまさに牧歌的な呪文を唱え続けていると、この不可解な重層長屋について適切な対応ができないんじゃないんでしょうかということを私は言っています。特殊建築物の枠の外にあるこの長屋、重層長屋にもぜひとも向き合っていただきたい。

 シェアハウスと重層長屋というのは全く別のものだと私も理解しています。けれども、現に、既に物が建っている、この共通する問題に対して、一方のシェアハウスには向き合ったけれども、脱法的なものには。重層長屋はこのまま長屋で、戸建てだ、戸建てだと言い続けていいのかということを私はきょう問題にしています。

 さきに答弁いただきましたけれども、そもそも定義もないわけですよね、何が長屋か、共同住宅か。この定義のない状況の中で、これが長屋だ、戸建てだとずっと言い続けているのはどうかと思いますし、やはり重層長屋を特殊建築物扱いにするということは法的にも何ら無理がない、やろうと思えばやれることだと思いますので、ぜひこの点には取り組んでいただきたいということを重ねて指摘しておきます。

 さらに、きょうは、この長屋、重層長屋、安全上、防災上は今述べてきましたけれども、その観点だけじゃなくて、住環境という観点から見てもとても問題があります。

 国は、住生活基本計画の中で、先ほども言いました、居住面積二十五平米をうたっている。私が問題にしているこの重層長屋、足立区のものですけれども、広いもので一部屋十七平米余り、狭いものだとわずか十二平米なんですね。

 足立区の条例で、国の推奨する基準を忠実に守りながら区民の、住民の皆さんの住生活整備に努力をしているのに、この重層長屋なるものが一戸建て扱いであるということをいいことに、大きな顔をして狭い物件をあちこちに広げている。百歩譲って、旗ざお地であるという条件を差し引いても、国が求める基準では建ちようのない狭苦しい物件が、重層長屋であれば建設ができてしまう。このままでいいのかということを私は大臣に再び問いたいと思います。

 住まいは人権であって、人たるに値する住環境を国は率先して国民全員にやはり保障していかなければならない。住環境悪化をもたらすこのあり方は、国が定める住生活基本計画にも反するのではないでしょうか。大臣、いかがですか。大臣です。

赤羽主査 まず、由木住宅局長。

池内分科員 いやいや、通告していますよ。(石井国務大臣「していません」と呼ぶ)していなくても答えられますよね。

赤羽主査 委員長の裁きに従ってください。

 由木住宅局長。

由木政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるワンルーム等の規制につきまして、各公共団体が条例をつくっていろいろ規制をされていることはもちろん承知しておりますし、基本的には、先ほど御質問もいただきましたけれども、建築基準法四十条の条例に基づいて、いわば密集の再生産を行わないというような観点や住生活の観点を考慮されて、それぞれの公共団体が地域の実情を踏まえて行っておられるものというふうに承知をしているところでございます。

 二十五平米というものを下回るからそれは建築してはならないというようなことには、直ちになるものではないということではございます。

池内分科員 下回ったものを直ちに建設してはならないということは、確かに法定の義務じゃないでしょう。だけれども、国の規定を半分以上下回るような狭い物件が平気で建つ、しかも、長屋という、戸建てという扱いをいいことにこれだけ建っている。ここに対してやはり向き合う必要があると思うんですね。

 そして、おっしゃいましたよね、地域の実情を踏まえてと。まさに踏まえて、この長屋、重層長屋を規制をかけていただきたいんですよ。地域の皆さんは、まさに党派を超えて、足立区では全会派一致で東京都に意見書が上がっています。全ての会派が一致してこの問題に取り組み、住民の皆さんも声を上げている。住環境悪化をもたらすような国の建築行政のあり方は本当に足かせになっている。現場の努力をやはり水泡に帰させないために、国の姿勢が今問われているということは重ねて申し上げたいというふうに思います。

 もう質問の時間が来ましたので、最後、いろいろまだ聞きたいことはあるんですけれども、今、建築主事が置かれているような特定行政庁でも、民間の審査機関が行った書類が手元に届く、その中身、図面さえないんですね。だから、足立区だったりいろいろな行政庁は、自分のところでどんな建物が建つのか、図面を見てつぶさにわかるような書面になっていない。

 これでは私は、地方公共団体の手足をもぐことになるし、最高裁判決では、民間が行った確認審査であっても、地方公共団体が責任を持つことがあると、賠償責任を。いろいろなつぶさにわかるような資料も渡さないで責任だけを押しつける、こういうあり方には、私は断固、住民の住生活を守るという点で規制の強化が必要だというふうに思います。

 この重層長屋の問題、牧歌的に、これは共同住宅ではなくて、共用の廊下も階段もないから戸建てだ、戸建てだと言い続けるのではなく、しっかりと向き合っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

赤羽主査 これにて池内さおりさんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤羽主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 民進党の鈴木義弘です。

 国土交通政策のうち、何点かお尋ねをしていきたいと思います。

 初めに、これは総務省の統計局が出していて、日本の統計の中核機関だ、これはホームページで引っ張れますので、ここの中に、今、標準世帯というのがどのぐらいの人数で一家族当たり見ているのかといったときに、昭和四十四年から、標準世帯というのが夫婦と子供二人で四人というのが一つのその基準になっている。

 このころというのは、第二次ベビーブームが起きてきたころじゃないかと思います。ですから、住宅を建てるに当たってどういった間取りというんですか、世帯構成の中で住宅を供給していけばいいのかという観点で考えて、四十五年前ぐらいからずっとこれが標準というふうに言われて、指標でも使われるようになってきた。

 では、今どういう状況が起きているのかといったときに、国とか地方を問わず、今申し上げましたように、子供二人を基準にしていますから、国が少子化対策というふうに声を上げて、保育園をつくったり、幼稚園を幼保の一体化をやったりしたとしても、例えば首都圏の状況を見ても、分譲マンション、公営住宅、URの賃貸住宅、これがみんな二から三DKなんです。分譲マンションだと八七・八%、公営住宅だと八二・八%、URの賃貸住宅は七三・三%。四LDK以上となると、八・二%、一・六%、二・七%。全然極端に少ないんです。

 ですから、二とか三LDKで子供を産め産めと言っても、私たちのころというのは、廊下に机を、買ってもらったって廊下で勉強した口なんですけれども、子供部屋なんというのはろくな勉強もしないんだから要らないというのが私たちが育ってきた年代だったと思います。でも、今は一人に一部屋。兄弟が男女で一人ずつ生まれれば、必ず思春期になれば、やはり男の子は男の子、女の子は女の子。こういうふうになれば、結局、二人以上産みたいといっても間取りがないんですよね。

 だから、やはり国を挙げて標準世帯というものの考え方を変えないと、少子化対策と銘は打ったとしても改善されていかないんじゃないかと思うんですけれども、まず初めに、そのところを大臣にお尋ねしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 希望出生率一・八の実現に向けまして、子供を産み育てたいという思いを実現できる環境の整備、これは大変重要な課題だと認識しております。

 このため、三世代同居など複数世帯が同居しやすい住宅ストックの形成を促すという観点から、いわゆる二世帯住宅仕様とするに当たり割高となる工事費に対して、税制や補助制度により支援を行っております。

 また、URの賃貸住宅におきましては、子育て世帯等と支援をする親族の世帯の近居を促進いたしますため、平成二十五年からUR賃貸住宅の近居割という制度を創設しておりまして、これについて、平成二十八年度から家賃の減額幅を拡充して支援を行っております。

 また、来年度予算では、子育て世帯の住宅取得等を地方公共団体と連携して推進するため、独立行政法人の住宅金融支援機構による住宅ローン、これはフラット35でございますが、この金利の引き下げによる支援について予算の提案をさせていただいているところでございます。

 現在実施している住宅ローン減税等の税制上の支援においては、下限の床面積というのが決まっております。これは五十平米でございます。この要件は、子育て世帯を初めとするファミリー向けの住宅取得を特に支援する観点から、住生活基本計画等に定められております四人世帯の最低居住面積水準、これを念頭に設定されているものでございまして、これまで最低居住面積水準未満の住宅の解消に大きな役割を果たしてきているものと認識しております。

 どのような広さの住宅の供給を支援すべきかという点につきましては、御指摘いただきましたような子育て世帯の居住ニーズを踏まえる必要がある一方で、現在大変増加の傾向が著しい単身世帯の今後の増加見通し等も踏まえる必要があると考えております。さまざまな観点から慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、若者世帯や子育て世帯が望む住宅を選択、確保できる環境の整備が必要であると考え、今後も引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)分科員 今みたいな答弁をしていたら、やはり子供をふやしていこうというふうに考えないと思いますよ。だから、単身世帯もいたし方ないんだというふうな考え方でやるのはいいけれども、政策誘導していかなければ解決に向かわないのはわかるわけでしょう。

 社会の中で何が起きているか、それに対応するような住宅政策をやっていくんだと。片や少子化対策をやっていくんだと国は大きな目標を掲げているわけじゃないですか。

 例えば、アンケートをとったりすると、理想的な子供の数というのは二・四人ぐらいになっているんです、アンケートをとれば。実際に産んだ子供の数は一・九六人だから、では、それは何なのといえば、子育てや教育にお金がかかり過ぎるとか、高齢者で産むのは嫌だから、家が狭い、こういうアンケートの結果が出るから、対策をとった方がいいんじゃないかということなんです。

 だから、局長が答えるんじゃなくて、これはやはり政治家である大臣なり副大臣が、方向をきちっと、ムーブメントを起こすというふうな決意を聞かせていただかないと、なかなか次に進めないんだと思いますけれども、いかがでしょうか。

末松副大臣 先生、通告のところ、一番最後からお入りになったみたいでございまして、今、由木局長が答弁いただきましたのは、今まで打ってきた施策につきましての説明をいたしてございます。

 鈴木先生、今お話がありましたけれども、出生率一・八は安倍政権が掲げている大きな一つの目標でございます。私自身が覚えておりますのは、例えば、自分は結婚したいけれども結婚していない、では、どういう条件だったら結婚するだろうかということ。年収が四百万円以上まずあるということ、そして、それで結婚した場合には子供は二人以上欲しい、そういった方がかなりおられます。すぐにそういう社会が築ければ出生率が一・六六になる、そして何年後かには、二、三年後には一・八に持っていけるという、その数字を私は聞いたことがありますけれども。

 確かに先生おっしゃるように、住宅の問題について、一人一室与えられるようなスペースをこれからつくっていかなきゃならぬじゃないかということでありますけれども、それも大きな一つの要因でありますけれども、私は、それプラス、いろいろな、東京で生活していく上でのそういったサラリーもきちっと確保していかなきゃいけないということもありますから、総合的な判断をしながらこういった対策は講じていく必要があると思うんです。

 ただ、今御提言いただきましたお話につきましてはしっかり受けとめまして、今、由木局長から話がありましたけれども、こうした施策についてさらにブラッシュアップする必要があれば、しっかり検討、対応いたしてまいりたい、そういうふうに考えてございます。

鈴木(義)分科員 かけ合いしてもしようがないので、先ほど、冒頭申し上げましたように、総務省の統計で標準世帯が四人というふうに切って、それに対する住宅政策がずっと進んできている、だから少子化対策にならないと言っているんです。

 だから、国が方針を、今安倍政権が一・八を目標にしているんだったら、全国で一・八ですよ、地域差があるのはわかりますよ、だから、そこのところを上げて、国土交通省としての政策としては、やはりそういった四LDKとか五LDKというような住宅の建て方を推奨していかない限り、子供はふえないんじゃないかという考え方なんです。ぜひ取り組んでいただければというふうに思います。

 違う質問に入らせていただきたいと思います。

 午前中に空き家対策の話が出たと思うんですけれども、私の方はちょっとまた違う角度で空き家の話から住宅の話に入っていきたいというふうに思っております。

 これは御案内のとおり、二十七年の五月から、二年目を迎えているんですけれども、この空き家対策がどのぐらい進捗したのか。

 前もってペーパーをもらったりして、例えば空き家対策総合支援事業、二十八年度の予算で二十億、二十九年度の予算で二十三億計上されて、これから議案として可決するかしないか。ここに、事業活用イメージということで、商店街の表側をリニューアルしたり、古くて倒壊のおそれがあるようなところは除却をして駐車場にするとかというふうな対策を二十億かけて二十八年度はやりました。

 それに基づいて、どのぐらいの進捗、最初想定していたもの、今まだ市町村が調査中だというふうに言われてしまえば終わってしまうんですけれども、ことしの五月で丸二年たちますから、どのぐらい進んできたのか、お尋ねしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 まず、二年経過をしつつあります空き家特措法についての進捗でございます。

 これにつきましては、市町村が同法に基づいて空家等対策計画というのを策定して、空き家対策を進めるという枠組みが整備をされたわけでございます。この計画につきましては、去年の十月一日時点でございますけれども、百七の市町村で策定済みでございます。本年度内にさらに策定を予定しておる市町村がかなりございまして、本年度内には四百を超える市町村で策定がされる見込みでございます。年度末になりましたら、また、その状況を集計して御報告できるようにしたいと思っております。

 また、この法律の施行によりまして、いわゆる特定空き家等につきましては、市町村が指導、勧告、命令、代執行というものができるような仕組みができております。これにつきましても、十月一日までの時点で、指導助言が五千九件、それから勧告は百三十七件、命令は七件、それから行政代執行は四件、略式代執行十八件という状況になっているところでございます。

 それからもう一つ、予算の方を御質問いただきました。空き家対策総合支援事業、御紹介をいただきました、二十八年度は二十億で、全国で四十九市町村で活用されております。来年度予算では二十三億を計上いたしておりまして、予算の審議をお願いしているところでございます。

 これにつきましては、今年度、二十八年度から開始した事業でございますので、今まさに執行しているところでございます。残念ながら、具体の効果をここで御説明できるだけの段階にはちょっとまだないわけでございますけれども、例えば、前橋市などでは、先ほど御紹介をいただきました、空き家を改修してまちづくりの活動拠点にしていくというような事業、あるいは、老朽化し倒壊のおそれがある空き家を解体撤去する事業にこの予算を充当していくというふうに伺っております。

 着実に市町村の空き家対策を進捗できるように支援がなされていくものというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 これは、空き家対策がどんどんどんどん進んでいくと、不動産市場にその空き家が、いろいろな補助金をもらったりして、玉として出てくるわけですね。空き家物件が不動産市場にふえていっても、不動産の買い手がふえるわけじゃないんですよね。市場原理を考えると、供給過剰になっていて価格が下がるというふうに、当たり前の話です、需要と供給ですから。需給バランスが崩れると値崩れを起こして、空き家の所有者にとって売却価格や賃貸価格の低下を招く、当たり前の話ですね。間接的に、空き家でない所有者にとっても資産価値が下がる。その前に売り抜けないと、結局、価格が下がってからでは売れないだろうという話になったときに、この人口減少、それと二〇一九年から世帯数の減少が始まると言われているんです。供給過多になっている現状に対して、どういう対策をとっていこうとするのか。

 これは、空き家の対策も必要なんですけれども、空き家から中古市場に住宅をどんどんどんどん供給するような形になってきて、空き家対策というのは、結局、八百万戸の空き家があるからどうしましょうと。その中には、もう朽ち果てる寸前のものもあれば、老朽化が著しいから、それはお金をつけてでも対策しましょうと。それ以外のものが、もし、リフォームしたり手直しをして中古の住宅市場にがさっと出てきたときに、暴落して、住む人はいないということです。

 そこのところも考えて空き家対策を打っていかないと、本当の意味での住宅政策になっていかないんじゃないかということです。局長で答弁でいいんですかね。

由木政府参考人 お答えいたします。

 まず、空き家につきましては、平成二十五年時点におきまして、ストック数の約六千六十三万戸に対して、総世帯数は既に五千二百五十万世帯でございますので、その差約八百二十万戸が空き家となっているわけでございます。この数は、実はさらなる増加が見込まれております。

 一つには、やはりそうした空き家を生み出さないようにするということが施策としては一つ一番大きな施策になるというふうに思っております。

 そのためにも、既存住宅の流通の活性化策というのを着実に講じていく必要があるというふうに思っております。やはり、既存住宅は質の問題がございます。それから、さらに、既存住宅が適正に評価をされているかどうかという問題がございます。さらに、その既存住宅を消費者の皆様が安心して購入できる環境が整備されているかどうか。

 こういった三つの問題がございますので、それぞれ、質の問題については、リフォーム等を促進していく、それから、評価の問題につきましては、既に鑑定士が鑑定で使います点についての留意事項や宅建業者が用います価格査定マニュアル等々を改定いたしましてその普及を図る、それから、購入環境の整備につきましては、宅建業法の改正等々を円滑に施行するためにもインスペクションの活用ができるような環境整備をしていく。

 こういったことで、空き家を生み出さないような既存住宅流通を進めていくということが必要になるというふうに考えているところでございます。

 また、空き家の増加による住宅市場への影響、今の状況を見ますと、着工は約百万戸弱ございますけれども、住宅価格そのものは、特に首都圏等はまだかなり高水準で推移をしているような状況もございます。それから、賃貸市場でございますけれども、一部地域においては賃貸料は下がってきているという声も聞こえておりますけれども、総体的にまだそれなりの水準が維持されているような状況でございます。

 こういった市場に与える影響という点につきましては、先生御指摘の点も踏まえまして、十分注視をしていく必要があるというふうに思っております。今後の住宅の価格動向、こういったものも含めて市場の動向をよく注視してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 戦後七十年たっているんですけれども、いまだに公営住宅と言われる、URも含めて、県営であったり都営であったり市営であったり区営であったり、そういった住宅を供給してくる、今もしています。なぜそれをこれからもずっと続けていこうというふうな考えで住宅政策をやっているのか、そこなんです。

 結局、公営住宅の役割はもう終わったんじゃないかというふうに言われて久しいにもかかわらず、高齢者のためだとか、障害者のため、低所得の人のためという名のもとで、住宅を公営として供給し続けているんです。

 先ほど申し上げましたように、二〇一九年から世帯数が減っていくんです。これは国だけの方針、まあ、県は県の考え方があるよ、市は市の考え方があるよと言われたとしても、公営住宅自体の供給をしていくという考え方を少し細らせていかなければ、これだけ供給過多になっているのは皆さん御案内だと思うんですよ。

 なぜそれでも供給し続けるのか、そこが不思議なんです。そこのところは、やはり大臣、どういうお考えでこれからも、公営住宅をずっとこれから先も続けていって、では、例えば、供給量を一定にしていって、人口が減っていって、世帯数が減っていく中で、民間の活力といったって、民間活力は出ませんよ。みんな、公営に行った方が安いし、きれいだし。

 そういう政策をいつまでとり続けるのか、そこを大臣にお尋ねしたいと思います。

石井国務大臣 低額所得者、高齢者、子育て世帯など住宅の確保に特に配慮を要する方々が、安全で適正な規模の賃貸住宅に安心して居住することができるよう、住宅セーフティーネットを構築することは重要と考えております。

 とりわけ、公営住宅については、住宅セーフティーネットの根幹を担うものでございます。やはり現実に、低額所得者の方あるいは高齢者の方、子育て世帯の方、なかなか民間の賃貸住宅に入れない、そういうお声もいただいているところでございます。

 ただ、今後は、人口減少や厳しい行財政事情のもと、公営住宅の大幅な増加は見込めない状況にございますので、増加している民間の空き家、空き室を活用した住宅セーフティーネット機能の強化を早急に図る必要があると考えております。

 このため、住宅確保要配慮者の円滑な入居を促進するため、賃貸住宅を登録し、その情報提供を行うことなどを内容とする住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定いたしまして、国会に提出させていただいたところでございます。速やかな御審議をお願いしたいと考えております。

鈴木(義)分科員 ありきたりというより、今までと全然考え方は変えないということですよね。

 そこでまた、空き家のところで話題にさせていただいた中古住宅の流通を活発化させようということで、鑑定をしてみたり、そこの市場をもう少し拡大していこうというのを国交省の方で今進めていると思います。でも、これは日本人特有なんですかね、戦後の復興期の感覚が抜けていないというのは今申し上げたのと、日本人の中に脈々と流れている新築信仰というんですか、新しいものを買いたい、車でも、住宅でも。

 それで、国交省の方は、二〇〇九年に長期優良住宅の普及を目指した法律がスタートをしている。だから、百年住宅とハウスメーカーさんが言って、確かに十年ぐらい前にそんな何かキャンペーンを張って、百年住宅、百年住宅というふうに言ったんですけれども、税金の優遇だとか、住宅ローン控除を用意して後押ししたんですけれども、住宅の寿命を延ばす政策に逆に転換をしていかないと、幾ら供給をどんどんしました、中古の住宅もそうですけれども、人口減少に対応し切れないんじゃないか。これは別に首都圏ばかりじゃなくて、地方も同じだと思います。

 今、これは古い資料なんですけれども、平成八年ぐらいの、日本の住宅の寿命というのが約二十六年です。アメリカが四十四年、イギリスは七十五年ぐらいだったと思います。そういうふうに住宅自体の寿命も延ばしていくという政策をとっていかないと、次にまた、中古でも空き家の住宅でもそうですけれども、それを流通市場に出してきたとき、何年もしないうちに壊してまた新しく建てかえる。それで、社会的な資本ストックを二十六年とか二十七年のサイクルでつくっちゃ壊しつくっちゃ壊し、そういう政策をずっと続けていたのでは、やはり人口減少に対応できない。

 だから、次につくるときは間取りを大きくしたものに関して、例えば減税をしてあげるとか、ローンを少し控除してあげるとかという誘導策を持っていかないと、人口減少の歯どめにはならないんじゃないかと思うし、人口減少のときにどう活力を残しながら住宅政策を打っていくのかという、ここは岐路に立っているんじゃないかというふうに思います。

 その辺のお考えをもしお聞かせいただければ。

末松副大臣 先生の御主張、ごもっともかと存じます。

 空き家の利活用を図り、その増加を抑制していくためにも、既存住宅の流通を促進していくことが大変重要でございます。このため、既存住宅の質の向上、適正な評価、安心して取引できる環境の整備など、既存住宅流通市場の活性化に向けた取り組みを総合的に進めているところであります。

 また、この前提といたしまして、先生御指摘のとおり、良質な住宅ストックを形成していくことが大変重要な課題と認識をいたしております。平成二十年に長期優良住宅法を制定いたしまして、世代を超えて長く住み継いでいける住宅を認定する制度を創設しまして、その普及を図っているところでございます。

 制度創設以来、これまで七十八万戸の実績を上げておりまして、新築住宅に占める認定長期優良住宅の割合は、平成二十七年度、全体では一一・四%、戸建てで見れば二四・七%、約四分の一となっております。

 昨年三月に閣議決定しました新たな住生活基本計画では、既存住宅流通市場の活性化を今後十年の住宅政策の中心をなす目標として位置づけるとともに、平成三十七年度には新築住宅に占める認定長期優良住宅の割合を二〇%に引き上げることといたしております。

 住宅は国民の生活基盤でありまして、今後とも、計画に位置づけられたさまざまな施策を総合的に進めまして、既存住宅流通市場の活性化、良質な住宅ストックの形成の促進に努めてまいりたいと思います。

 空き家が八百二十万戸ございます。これ以上膨らまないようにということも当然のことでありますけれども、先生の御主張、いい住宅をまずつくっておくということ、しっかり頭に置いて対応いたしてまいりたいと思います。

鈴木(義)分科員 次の質問に移りたいと思います。

 賃貸物件に対する対策なんです。

 これは、過去に予算委員会の分科会で、国交委員会じゃないところで、消費者の立場で御質問をされた資料を目にしたんですけれども、今、サブリース契約、私のところも賃貸マンションがありますから、うちはうちで個別に契約しているんですけれども、一括で借り上げて、それを小分けして貸す、これが消費者保護になっていないんじゃないか、こういう話で、過去に、四年ぐらい前ですか、質問がありました。

 そのときに、消費者担当大臣が、国土交通省に意見を申し入れるというふうに答弁しているんです。サブリース契約に関する今後問題が大きくなっていくんじゃないか。それは申し入れがありましたか。

谷脇政府参考人 今御指摘ございました平成二十五年四月十五日に開催されました予算委員会第一分科会におきまして、当時の消費者担当大臣から、御指摘のような旨の御発言があったということは承知をしてございます。

 その後、消費者庁からこの件に関しまして、改めて正式な申し入れがあったという確認はちょっとできておりませんけれども、消費者庁とは常々連携して消費者サービスの適正化に取り組んできております。

 御指摘ございましたサブリースの問題につきましても、昨年八月にいろいろな対策を講じておりますけれども、この対策を講じるにつきましても、消費者庁の担当者にも参加をしていただいて、有識者会議を開いて対策を講じている、そういうような措置を講じてきているところでございます。

鈴木(義)分科員 バブルがはじけたときに、製造業がどんどん海外に行って、人件費の安いところで物をつくって逆輸入をするような形でやったんですけれども、では、国内の経済はどうやって活性化していくのかといったときに、それは建設業が担うんだということを今日まで二十七年間やってきていた。建築土木が一生懸命やることで日本の経済を支えていこうという考え方でやってきたんだと思うんです。

 しかし、今御答弁いただいて、対策はとっているんですと言いながらも、地元の金融機関は、地域を熟知しているにもかかわらず、オーナーになる人から、融資を受けてアパート経営なりマンション経営をするといったときに、結局、供給過剰だというふうにわかっているわけですね。空き家も多いし、中古住宅もなかなか売れない、まだ建築は毎年十万戸以上じゃきかないぐらいどんどん供給している、マンションも同じです。

 そうなってきたときに、供給過剰だというのをわかっていながら融資をずっと認めていて、最終的に事業としての賃貸住宅がうまくいかなかったら、それが不良債権になるわけです。バブルのときも同じですよ。不動産だとか建築だとかノンバンクがバブルの三業種と言われたんですけれども、同じことを今やろうとしている。

 では、金融庁は、そこを見逃して、経済の活性化のためだったら、今までと同じように賃貸物件でもどんどん供給していけばいいという考えで融資をしていくのか、そこのところ、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

栗田(照)政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関におきましては、融資を行うに当たりまして、担保、保証に過度に依存することはなく、事業からの将来のキャッシュフローを含めまして、借り手の事業の内容等を総合的に判断して融資を行うということが重要であると考えております。

 したがいまして、金融機関におきましては、融資の申し込み、御相談等があった場合においては、その融資案件の事業リスク等を適切にきちんと審査する、それとともに、お客様本位の貸し出しを行うという観点から、借り手である家主の方に対して適切なアドバイスを行うということが重要であるというふうに考えておりまして、金融庁といたしましても、顧客本位の良質なサービスが提供されるように、金融機関に対して促してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 もう時間が来たので終わりますけれども、またバブルになって、住宅にかかわるものがまたポシャってしまうと、それをジャッキアップするのに二十年もかかるわけです。そこのところをよく考えて住宅政策と金融とをうまく連携してやらないと、後で取り返しがつかない。最後に尻拭いするのは、みんな国民の税金でやったんです。そこのところをぜひ忘れないでやっていただければと思います。

 以上で終わります。

赤羽主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、河野正美君。

河野(正)分科員 日本維新の会の河野正美でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、私の地元であります福岡空港の問題から入らせていただきたいと思います。

 もう御承知の方が多いかと思いますが、福岡空港は非常に利便性がいいということで、利用客がたくさんおられます。滑走路が一本しかない空港の中では、我が国で最多の離発着数あるいは利用客数を数えているという極めて過密な状態の空港でありまして、本当に事故が起きないように願うばかりであります。遅延も慢性化しております。

 こういったために、今、誘導路の複線化、あるいは、さらに二本目の滑走路をつくろうということで改修工事が進んでいるところでございます。この工事に伴って、さまざまな声が届いておりますので、そういったことをお聞きしたいと思います。

 昨年十月、第一ターミナルが閉鎖になりました。搭乗口によって、今、搭乗するまでの移動動線が本当に長いような状況にあります。途中、改修中でございますので、動く歩道がないということで、高齢者や障害者、子供など配慮の必要な方々にとって極めて移動が負担である、本当に飛行機に乗る前にくたびれてしまうという声を聞いております。

 工事途中の一時的なことかもしれませんけれども、多くの人々がきょうもまた利用されている空港であり、施設であり、乗用カートの導入など、空港利用者への配慮、支援が必要と考えますが、政府の現状認識を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 福岡空港ターミナルは、現在、再整備工事の実施中であり、ターミナルを利用されるお客様には大変御不便をおかけしております。工事中のターミナル内の移動につきましては、ターミナルを運営する福岡空港ビルディング株式会社において、可能な限り対策を講じていると聞いてございます。

 具体的には、二階の搭乗待合室から一階の仮設バスラウンジへの移動のため、ビル完成後に別用途で使用予定のエレベーターを暫定的に使用することでバリアフリーのルートを確保しているほか、工事前から使用しておりました動く歩道を工事期間中も引き続き使用できるようにしてございます。

 さらに、ターミナルから航空機までバスで移動していただく際に、車椅子利用者のため、空港ビル会社の福祉車両を二台導入するなど、利用者の移動に対する支援を行っていると承知してございます。

河野(正)分科員 確かにいろいろな対策はとられておるかと思うんですが、やはり本当に動線が長くて、どうしてもという方は、事前に言えば車で移動したりとかもできるというようなことをお聞きしておりますけれども、いざ搭乗口に入ってみたら、それから飛行機に乗るところまでが極めて長いということで、くたびれてしまった、途中で休みたいというお年寄りの方もいらっしゃるぐらいというふうに聞いております。

 工事中なので本当に動線が狭くて、乗用カートというのは、羽田みたいに広々としていませんから厳しいのかもしれませんけれども、何らかの対策をとらないと、今、改装すればよくなるとか、先ほど動く歩道のことも言われましたけれども、動く歩道が使えないところが、かなり長いところがあります。そちらの方がむしろ長いんじゃないかなと思っておりますので、早急に国としても対策等を指導していただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 新ターミナルにおきましては、全ての人に優しい施設づくりを特徴の一つとして掲げていると思います。ターミナル内の移動動線において、できる限り、壁、ハードルをなくしていこうということが求められています。わかりやすいサイン表示、エレベーター、手荷物検査場、補助犬用も含めてトイレなど、さまざまな設備が必要と考えますが、現時点でのバリアフリー施設の整備予定を伺いたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省におきましては、高齢者、障害者等の利便性及び安全性の向上の促進を図るため、バリアフリー法に基づきまして航空旅客ターミナル施設のバリアフリー基準を定め、その基準への適合義務を空港ビル会社に課しているところでございます。

 このたびの福岡空港のターミナル再整備に当たりましても、国土交通省において、バリアフリー基準に適合していることを確認しております。

 具体的には、新ターミナルビルには、地下鉄改札を出たスペースから全てのフロアに直結する大型のエレベーターが整備されるなど、高齢者や障害者に配慮した旅客動線が計画をされております。

 また、義務化されているバリアフリー基準以外にも、動く歩道を増設し、さらには補助犬用のトイレを新たに設置するなど、さまざまな空港利用者の利便を考慮したサービスの実現を目指していると承知をしているところでございます。

河野(正)分科員 よろしくお願いいたします。

 それでは、施設整備に当たって、具体的に計画されるタイミングや完成前の段階など、適時適切に障害当事者の御意見も伺っておくことが必要だと考えますが、こういった点はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在改修中の福岡空港ターミナルビルの設計に当たりまして、ビル会社は障害者の意見を直接聞いていないと承知しておりますけれども、国土交通省におきまして各空港ビルが準拠すべきバリアフリー法の基準を策定するに当たりましては、障害者団体からの意見を聴取した上で行っているところでございます。

 さらに、福岡空港ターミナルビル会社が設計を行うに当たりましては、羽田空港などほかの空港でのバリアフリー対策のノウハウを反映させていると聞いており、これらの取り組みにより、福岡空港ターミナルビルの施設にも障害者の意見が反映されているものと考えてございます。

河野(正)分科員 今後整備される新ターミナルは、飛行機に乗らない方々に対しても空港を身近に楽しんでいただくような集客施設の展開を予定しているというふうに聞いております。

 空港運営にコンセッション方式が導入されることによりまして、民間事業者によって空港施設への集客努力にも力を入れていくことが予想されます。どの程度の集客施設となる見込みなのか、現時点での政府の見通しを伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在改修中の福岡空港ターミナルビルにおきまして、航空機を利用しない人向けに整備予定の施設といたしましては、ターミナルビル中央部に展望デッキがございますが、それ以外は基本的に航空旅客向けの施設であると聞いてございます。

 なお、これらのターミナル施設の利用者に、道路アクセスだけでなく公共交通機関も積極的に利用してもらえるよう、地下鉄改札を出たスペースからエスカレーター、エレベーターで円滑に各フロアに移動できる動線を整備する計画となっており、これにより、自動車以外での空港来訪者にとっても使いやすい空港になるものと承知しております。

河野(正)分科員 日本全国、今いろいろな空港で企画がされておりますし、羽田の国際線のところもターミナルに非常にいろいろなお店がありますけれども、今後福岡空港も、滑走路をつくるに当たって、工事費用捻出において、空港に飛行機を乗りおりする方あるいはお迎えに来る方以外の方も来ていただいて、しっかりとそこでお金を稼いでいかなければいけないというような状況になると思います。

 そういったことで、空港自体に集客増加が進んでいけば、現在でも混雑している空港周辺の道路というのは、極めて劣悪な環境になってしまうんじゃないかと危惧しております。

 現在も、大型商業施設の立地が進む一方で、道路整備が追いついておらず、狭い道路に車が集中したり、地元住民の安全、安心な暮らしを脅かしかねない状況にございます。

 また、空港に近い博多の森球技場は、二〇一九年にラグビーワールドカップの会場となる予定でございます。周辺の交通アクセスの改善というのは急務であるというふうに認識をいたしております。

 空港周辺では、都市高速の延伸など幾つか具体的な計画があると思います。例えば、主要地方道福岡東環状線は、福岡篠栗線までの区間は供用済みでありますが、国道二百一号線までの区間が未整備のために周辺の生活道路に車が入っていってしまうということで、早期の整備が求められております。

 現在までの進捗状況と今後の見通し、整備時期の目安なども含めて国の考えを伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 福岡空港周辺地域におきましては、国道三号と市道が交差する空港口交差点を初めとして、渋滞が発生していることは認識をしております。

 福岡市周辺地域における渋滞につきましては、福岡県交通渋滞対策協議会におきまして、国や福岡県、福岡市等が連携をし、状況の把握や対策の検討を進めているところでございます。

 具体的には、平成二十五年一月に主要渋滞箇所を選定し、要因の分析やソフト、ハードを含めた効果的な対策の検討を進め、各道路管理者において逐次対策を実施してきているところでございます。

 加えまして、福岡空港周辺地域におきましては、福岡市が、福岡高速道路の福岡空港への延伸につきまして、平成二十七年十二月にルートを決定いたしまして、平成二十八年八月より環境影響評価方法書を公告し、縦覧するなどの手続を進めているところでございます。

 また、福岡県、福岡市が、都心の慢性的な渋滞緩和に向けて、福岡都市高速四号線と福岡外環状線を結ぶ福岡東環状線の整備を進めているところでございます。

 国土交通省におきましては、引き続き、関係自治体と連携をし、必要な検討や対策を行うとともに、高速道路の延伸など空港周辺の道路混雑緩和に向け、取り組みを支援してまいります。

 以上です。

河野(正)分科員 若干重なるかもしれませんけれども、まず、福岡県内における全体の道路整備状況を国はどのように認識されているか。今、空港の周辺についてお話しいただきましたが、国土政策の観点から改めてお答えいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 福岡県内の道路整備につきましては、一般国道や主要地方道の幹線道路に限りますと、整備率六〇%と全国平均六八%より下回っている状況にございます。特に、都市部を中心に主要渋滞箇所が百八十一カ所存在し、先ほど申し上げました福岡空港や博多港へのアクセスも含めまして、交通渋滞が課題となっております。

 このため、国土交通省といたしましては、平成二十九年度開通予定の博多バイパスや黒崎バイパス、有明沿岸道路等の整備に取り組むとともに、福岡県、福岡市の渋滞緩和や空港や博多港へのアクセス改善等に向けた取り組みを支援しているところでございます。

 引き続き、福岡県内の道路整備につきまして、計画的に取り組んでまいります。

 以上でございます。

河野(正)分科員 よろしくお願いいたします。

 それでは、若干踏み込んで、本日は、主要地方道であります筑紫野古賀線について取り上げて伺いたいと思います。

 福岡県古賀市の国道三号線から新宮町、久山町、篠栗町、粕屋町、須恵町、宇美町、そして太宰府市、筑紫野市を結んでおる道路でありますが、そこからさらに久留米市内の九州自動車道久留米インターチェンジ付近までつながる道路になってまいります。ほぼ九州自動車道に並行して走っており、福岡県を南北に貫く、産業、生活両面から非常に重要な道路だと思います。

 主要地方道筑紫野古賀線について、路線全体のこれまでの事業の進捗状況、現在の状況について伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 主要地方道筑紫野古賀線は、福岡県筑紫野市と古賀市を結ぶ全長約三十三キロメートルの幹線道路でございまして、渋滞緩和などを目的に四車線化の整備が進められているところでございます。本路線は、福岡都市圏の南北交通の一部を担うとともに、国道三号線を補完する重要な路線であると認識をしております。

 これまでに約十四キロメートルで四車線化が完了しており、現在、福岡県が七区間、約十二キロメートルにおいて、社会資本整備総合交付金等を活用し、事業を推進しているところでございます。このうち、新宮第二工区につきましては、平成二十九年度の開通を目指し、工事を推進していると福岡県から聞いております。

 国土交通省といたしましては、福岡県からの御要望を踏まえ、引き続き、社会資本整備総合交付金により支援をしてまいります。

 以上です。

河野(正)分科員 中でも、福岡篠栗線と交差する粕屋町に門松交差点というのがございます。県内でも有数の渋滞発生箇所というふうに位置づけられているかと思います。抜本的な渋滞解消のため、現在の道とは別に、新たにバイパス道路の建設が進められております。既に、事業開始から十二年経過しているということであります。

 新しいバイパス道路を建設するという極めて大きな事業であり、一定程度の時間がかかるということは了解いたしますけれども、それにしても、十二年たってもこういう状態、今、橋桁はできているけれども上に乗っかっているものがないというような状況があります。極めて時間がかかり過ぎているんじゃないかなと思うところであります。

 まず、予算額の推移をお示しいただき、この十二年の間で公共事業予算が絞られてきたようなことがこれに影響しているのか、時間がかかっている理由について、あわせてお答えいただけたらと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の須恵町・粕屋町工区につきましては、平成十六年度に事業化をいたしまして、現在、交付金に県の単独費も加えまして、平成二十七年度に約十一・四億円、二十八年度当初予算で九・九億円が充当されているところでございます。

 これまでに用地取得は完了しておりまして、平成二十七年度に橋梁の下部工が完了し、今年度、橋梁の上部工の工事を進めているところでございます。

 なお、本工区は、高架橋が連続している中、施工ヤードが狭いなど施工上の制約があり、時間を要しているところと福岡県からは聞いております。

 以上でございます。

河野(正)分科員 福岡県のみならず、北部九州にとっても欠かせない道路でありまして、また、国道三号線を補完する動脈の一つとなります。交通量も極めて多く、一刻も早い事業完成、供用開始が求められると思います。

 今、工事場所が狭いとかいろいろな理由がありましたけれども、もしお金の問題があって、お金の問題で解決するのであれば、現下の低金利などを生かして道路の早期完成に向けた財源確保をしっかりと考えていくのがよいのではないかと考えますが、こういった財源確保の見通しについて伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のこの工区につきましては、どちらかといえば施工上の制約から時間を要しておりまして、高架橋がJRの篠栗線、県道福岡篠栗線並びに多々良川、また新大間池などをまたいでおりまして、調整が必要となる関係機関も多いというふうに伺っております。

 事業を行っている福岡県では、福岡県土整備事務所に専門組織、筑紫野古賀線バイパス建設室を設置するなど、力を入れて整備を行っているというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、福岡県からの御要望を踏まえ、引き続き、社会資本整備総合交付金により支援をしてまいります。

 以上でございます。

河野(正)分科員 地元の方からは、本当に進んでいない、お金がちゃんとあるのかどうか、予算がついているのかと非常に心配する声もいただいております。ぜひとも早く実現したいというふうに思っております。

 北九州から久留米に抜けていく非常に大事な道でもありますので、ぜひお願いしたいところでありますが、石井大臣、よろしければ一言いただきたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省としましては、福岡県からの御要望を踏まえ、社会資本整備総合交付金により、しっかりと支援してまいりたいと存じます。

河野(正)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 次に、電車の方の、鉄道の話題に移りたいと思います。

 昨年来、視覚障害を持つ方がホームから転落して亡くなるという痛ましい事故がたび重なっております。昨年の八月には東京メトロ銀座線青山一丁目駅、十月には近鉄大阪線河内国分駅で視覚障害を持った男性が転落してお亡くなりになっております。ことしに入りましても、一月にJR東日本京浜東北線の蕨駅で全盲の方が転落して亡くなられております。

 これほど視覚障害の方々の転落が続くというのは記憶にないような状況かと思いますが、これまでの転落事故による人身障害事故の発生件数の推移とその特徴について政府はどのように認識されているのか、伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年度から平成二十七年度の五カ年間におけますホームから転落して列車と接触した事故及びホーム上で列車と接触した事故の発生件数につきましては、平成二十三年度二百九件、平成二十四年度二百二十三件、平成二十五年度二百二十一件、平成二十六年度二百二十七件、平成二十七年度百九十八件と推移いたしております。

 その内訳につきましては、お酒を飲まれた方、いわゆる酔客が約六割、体調不良によるものが約一割などとなってございます。

 また、ちなみに、視覚障害の方の事故発生件数は、平成二十三年度四件、平成二十四年度一件、平成二十五年度一件、平成二十六年度二件、平成二十七年度ゼロ件となってございます。

河野(正)分科員 昨年八月の事故を受けて、国土交通省では、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設けて、対策に取り組むための議論が進められていると思います。十二月には中間取りまとめが公表され、ハード、ソフト両面の対策が網羅的に示されておるかと思います。

 これまでの取り組みとの違い、今後の取り組みの方向性について伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 駅ホームにおける転落事故防止は、視覚障害者の方を初め全ての旅客にとって大変重要な課題であると認識いたしております。

 昨年八月に発生いたしました銀座線青山一丁目駅における視覚障害者の方の転落死亡事故を受けて、国土交通省に駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置いたしまして、昨年末に、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策を取りまとめたところでございます。

 この転落防止対策の取りまとめにおきまして、ハード面の対策であるホームドアにつきましては、一日当たりの利用者数が十万人以上の駅のうち、車両の扉位置などが一定などによりホームドア整備が可能な駅について、原則として平成三十二年度までに整備を行うとともに、利用者数十万人未満の駅につきましても、駅の状況等を勘案した上で、必要と認められる場合には整備を行う、また、車両の扉位置のふぞろいやコスト面の課題に対応可能な新たなタイプのホームドアの技術開発を推進し、その導入を促進すること等により、ホームドア整備の加速化を図っていくということにしたところでございます。

 また、ソフト面におきましても、申し出があった視覚障害者の方に対する駅員による誘導案内や、転落の危険時に視覚障害者が明確に気づく声かけの実施など、駅員による対応の強化を図ることといたしております。また、旅客による声かけや誘導案内の促進、いわゆる歩きスマホ等の迷惑行為を行わないようにするための啓発活動などを行っていくことといたしております。

 こうした転落防止対策の実効性を確保するため、国土交通省において、この検討会を活用した進捗管理を引き続き行うことといたしておりまして、鉄道事業者の積極的な取り組みを促すこととしたところでございます。

河野(正)分科員 いろいろテレビで私も見ましたけれども、可変式のものとかで、列車によってドアの場所が一定でなくても対応できるようなものもできているようですので、ぜひとも早急にホームドア等を整備すべきではないかなと思います。

 今、声かけ運動ということをお話しいただきましたが、経営合理化の必要性から、できるだけ人員の配置を減らすという取り組みもあるでしょうし、地方においては人のいない駅とかもたくさんありますので、声かけ運動を進めましょうといっても、人がいなければどうしようもないわけでありまして、頼れる存在がそもそも少ないというのが実態ではないかと思いますが、この点についての認識はいかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、今般の転落防止対策の取りまとめにおきましては、ホームドア未整備の駅におきまして、駅員による誘導案内や旅客による声かけの促進等、ソフト面でも対応の強化を図ることとしたところでございます。

 そのような中、御指摘のような、駅員が少ない駅あるいは無人駅におきましてどのように安全の確保でありますとかサービス水準を維持するかにつきましては、基本的には、各駅の利用実態等に応じて個々の鉄道事業者において検討、対応がなされることではございますが、例えば、事前に連絡を受けた上で、必要な駅員等を確保し、障害をお持ちの利用者の誘導案内を行う、改札やホームに監視カメラを設置し、視覚障害者を初め駅でお困りの利用者を確認した場合には、構内放送を通じて利用者に呼びかけ、インターホンを介して案内の希望を伺い、速やかに職員等を派遣の上、案内を行う、また、視覚障害者を初め利用者に転落の危険が迫っている状況を確認した場合、構内放送を通じて注意喚起を行う、列車遅延時等にも構内放送で案内をする、カメラつきインターホンを介して遠隔でお客様からの問い合わせへの対応や乗り越し精算等を行う、駅舎の清掃を兼ねて無人駅の定期巡回を行う、通勤通学時間帯に職員を派遣し、特別改札を行うといった取り組みが行われていると承知をいたしております。

 このような取り組みを含めまして、日ごろから、鉄道事業者において、各種障害をお持ちの利用者の方々とのコミュニケーションを図り、また、こうした方々の利用実態も踏まえながらサービスの見直しを行うことで、安全性の確保やサービス水準を可能な限り確保していくことが重要であるというふうに認識をいたしております。

河野(正)分科員 いろいろと鉄道事業者においても試みられていると思います。

 また、JR九州では、福岡近郊の香椎線というところで、無人駅化に伴い遠隔監視システムなどを導入したということでありますけれども、電話が設置されていても、聴覚障害の方であればすぐに意思疎通というのは難しいと思いますし、先ほどお話がありました、前日二十時までに連絡すれば駅員が対応をしますと。突発的に障害者の方も外出しなければいけないということがありますし、前の日の八時までに届け出ておくということが困難な理由もあるでしょうから、そういったことを考えると、これはバリアフリーという観点からもっと踏み込んで考えていただかなければならないのかなと思います。

 時間がありませんので、先に進みます。

 JR九州では、日豊本線の大分―宮崎空港間を結ぶ特急列車で来月からワンマン運転になるそうです。既に車掌が乗務しない特急列車は走っておりますが、客室にはスタッフが乗車しており、今回のように完全なワンマン化は初めてということであります。

 かつて、特急列車内で暴行事件が発生した例もありますし、列車走行中に異常が発生しても、特急列車では運転士が運転台にいるのですぐには対応できない、運転席から飛び出してくるわけにもいきませんので。こういったことから、支援が必要な障害当事者から不安の声も伺うところであります。

 非常時にどのような対応がとられるのか、安全確保策についてお示しいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 列車のワンマン運転に関しましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令におきまして、列車出発時の事故防止に加えて、ワンマン運転の実施に当たっては、ワンマン運転列車に必要な車両設備を設けること、乗降時の旅客の安全及び異常時の旅客の避難誘導に支障を及ぼすおそれがないことなどの基準を設けて、これに基づいて安全を確保するよう事業者を指導いたしております。

 列車のワンマン運転の実施に当たりましては、各鉄道事業者によって運行頻度、速度、施設の状況、地形、気候等の自然条件などが異なることから、輸送の安全確保に責任を負う鉄道事業者が、これらの個別の条件等を十分に踏まえて、安全上最適な方法を定めて実施することが適当と考えております。

 これらを踏まえて、JR九州では、日豊線での特急列車のワンマン運転を三月四日から行う予定でございますが、その実施に当たっては、旅客から乗務員へ通報することができる装置を車内に増設する、車内及びデッキに防犯カメラを設置する、大規模災害を想定した避難方法等を記載したリーフレットを座席に配置するなどの取り組みを行うと聞いております。

 国土交通省といたしましては、このような対策を講じることによって輸送の安全を確保していただきたいと思っておりますが、その実施状況について、保安監査等においても日ごろの安全確保が確実に行われているかチェックを行うなど、しっかり指導監督してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)分科員 また話がちょっと戻りますが、視覚障害者にとりまして鉄道のホームは欄干のない橋とも言われるそうです。転落事故というのは、先ほど、酔っぱらった方とかお酒を飲んだ方が落ちるという場合がかなり、六割でしたか、あるというふうに聞いておりますけれども、障害の有無にかかわらずそういった事故は起きるんですが、これほど事故がたくさん起こっておりますので、転落事故ゼロを目指し、二度と事故が起こらないようにしていかなければならないと思います。

 最後に、この点について石井大臣の御決意を伺って、終わりたいと思います。

石井国務大臣 鉄道は、一日当たり六千三百万人以上が利用し、日本の経済社会を支える欠くことのできない公共交通機関でございます。こうした鉄道において、不幸な転落事故の再発防止に向けて、鉄道事業者の積極的な取り組みを促し、駅ホームの安全確保に向けて最大限の取り組みを進めてまいりたいと存じます。

河野(正)分科員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて河野正美君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山洋介君。

神山(洋)分科員 神山洋介でございます。

 大臣、きょうは朝八時からというふうにお伺いをしております。大変お疲れかもしれませんが、三十分、どうぞよろしくお願いをいたします。

 前段の河野議員のお話でも鉄道の話がありまして、私も、きょう、この三十分で石井大臣と議論させていただきたいのは鉄道の話、具体的に言えば、ピッと通すICカードの件について少し議論をさせていただきたいと思っております。

 地元の事例を引き合いにしながら全般についての議論ができればいいなというふうに思っているわけですが、一つ、事例として、私の地元で何が起きているかということをまず簡単に御説明したいと思うんです。

 私は、神奈川県の西の方が地元であります。神奈川県ですので、JRはJR東日本です、東海道線を含めて。ですが、実は御殿場線という電車がありまして、かつて、この御殿場線というのは、JR東海道線、昔の東海道線が箱根の山の下をトンネルでくぐる前に、箱根の山を迂回するように通っていたそっちの路線が、今は御殿場線というJRの路線で残っているということです。

 神奈川県内なんですが、この御殿場線に関しては、国府津という神奈川県内の駅から静岡県の沼津の駅まで、箱根をぐるっと取り囲むような形で走っておりまして、実はこれだけ県内にありながらJR東海という、ちょっとおもしろい位置づけになっております。

 ICカードのお話をさせていただきたいのは、実は、JR東海で神奈川県内にある幾つかの駅には、そもそも、ICカードの受信機といいますか、カードが設置をされていなくて、いまだにICカードでピッと通れないという話が地元の方からもよく出てきます。

 また後ほど少し御紹介したいと思いますが、今、ちょうど観光シーズンで、やれ梅が咲いた、桜が咲いたという形で、平日、特に週末は大変多くの観光客が来る形になっているんですけれども、そうすると、例えば、都内方面からICカードで入ってきて、おりようとしたら、えっICカードを通せないのというふうになって、そこで精算所に当然並ばざるを得ないわけですが、長蛇の列になっているというのが日常的に起きておりまして、地元の方からも何とかならぬかという話が実はあります。

 そこから全体を引いて考えていったときに、そもそも国として交通系ICカードをどういう形で普及させてきているのか、また、これからしていこうとしているのかというところが一つ大きな課題になっているのではないかなというふうに思っております。

 まず、石井大臣に冒頭お伺いをさせていただきたいのは、これに関しての大きな方針がどういう形になっているかというところです。あらかじめ幾つか、交通政策基本計画の話を含めてお話はお伺いをしておりますが、その内容の確認と、できれば、来年度の予算も含めてどういう形で対応されようとしているのかというところも含めてお話をいただければと思います。

石井国務大臣 交通系ICカードにつきましては、平成二十五年三月に全国十種類のカードの相互利用サービスが開始をされまして、その利用範囲が大幅に拡大をしたところであります。一方で、特に地方部においては、交通系ICカードが導入されていない地域、あるいは、導入されていても他のカードと相互利用できない地域が依然として存在をしております。

 こうしたことを踏まえまして、平成二十七年二月に閣議決定をいたしました交通政策基本計画におきましては、「公共交通機関の利用者利便の向上のため、交通系ICカードの利用エリアの拡大や事業者間での共通利用、エリア間での相互利用の推進策を検討する。」ことを盛り込んだところでございます。

 その上で、交通政策基本計画における具体的な目標といたしましては、相互利用可能な交通系ICカードが導入されていない都道府県の数につきまして、二〇一三年度の十二県から二〇二〇年度にはゼロ県、全ての県で導入するということを目標として掲げているところでございます。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 当初、利便性の向上という目的でICカードの導入が進められてきた。

 もともと、昔のことを思い起こせば、私が覚えているレベルであればですが、駅の切符を売っている販売所があって、そこで、最初はまだかたい切符でしたけれども、それをぴゅっぴゅっと引き出してそこで買っていたようなところから始まり、自動券売機があらわれて、その裏側に磁気データが入るようになって、自動の改札機ができ、今やICカードでピッという形になったわけです。

 駅で人の流れを見ていても、かつては、そういう意味でいえば、混んでいるときは券売機の前に人がずらっと並ぶという光景を恐らくここにいらっしゃる方は全員見られていたと思うんですが、今それを見るかというと、ほとんど見ることはないわけです。

 私、通勤で東京駅を使っていますが、東京駅でそういう形で並んでいるのは、唯一、頻繁に乗るという形ではない形で電車に乗られる方。やはり新幹線が多いですから、新幹線は確かに並んでいるわけですよ。でも、山手線に乗るたびに切符を買うのでずらっと並んでいるなんてない。それだけ交通系ICカードを使って電車に乗るということが、これはいい意味ですけれども、もう既に浸透してきたということなんだと思うんですね。

 便利にするために、利便性を向上させるために新たな仕組みを導入した。その結果、みんな便利になった。それはそれでいいことなんですが、これはある種人間のやむを得ない部分かもしれませんが、当初は、便利になった、あると便利だということで進んできたものが、ある一定のラインまで来ると、あると便利はもちろんなんだけれども、ないと不便に感じてしまう。あるのが当たり前になってくるにつれて、ないと不便に感じてしまうというような状況が、これはいい悪いは別として、事実として起きつつあるんじゃないかなというふうに思うわけです。

 先ほど申し上げた私の地元の事例も、もうICカードで電車というのは乗るものだという前提があって、切符を買ったりなんてしないという前提があるので、何だ、これ使えないのかよという話になっちゃう。

 たまの観光だったらいいんですけれども、実は、毎日の通勤通学というところはやはり響いてきます。

 地元の不動産屋さんなんかと話をしていますと、この地域に新しく家を建てて移住してこようかと思っているという話が結構ある。ただ、いろいろな話をしている中で、通勤するときに、あそこの最寄り駅は実はICカードシステムがないんだ、毎日ピッと通せないんだ。お父さんが東京とか横浜へ行って帰りもピッと通してくるんだけれども、地元の駅では精算できないから、一個手前の国府津という駅でおりて、そこまでお母さんが毎日車で送迎しますとか、そういう話にもなって、極端な話、地価にまで影響しているんじゃないかという話まで実はあるという状況です。

 その話はともかくとして、今大臣からも、公共交通機関の利用者の利便性向上のためという中で、幾つかの観点からの推進策を検討するというお話がありまして、具体的な目標値も示していただきました。

 ここで、幾つか事実関係を確認させていただきたいと思います。

 交通系ICカードがどういう導入状況にあるかという観点で、いろいろな切り口があると思うんです。都道府県の数、都道府県単位でどう見るかという観点、先ほど大臣からもお話がありました。どういう状況に今あるのか、この点、まずはお伺いをさせていただきます。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 交通政策基本計画においては、相互利用可能な交通系ICカードの導入されていない都道府県を二〇二〇年にゼロにしようという目標を掲げてございます。二〇一三年にはそれが十二県でございましたけれども、今現在六県ということになっております。六県でこの間導入が進んだということでございます。

 具体的に申し上げますと、二〇一五年の三月に富山県と石川県、それから同年九月に福井県、同年十一月に宮崎県、二〇一六年十二月に鳥取県と島根県、この六県に導入されて、現在六県という状況でございます。

神山(洋)分科員 二〇一三年度十二県、現状が残六、目標が二〇二〇年ゼロということですから、ある意味では順調なのかなというふうには思います。しかし、この政策目標が果たしていいのか。別に悪いとは言いませんが、もうちょっとやりようがあるんじゃないのか。

 確かに、都道府県単位で未導入というのは問題かもしれませんし、それをゼロにするということは大事なことだと思います。ただ、都道府県単位で一駅でも導入されている駅があれば、逆に言えばいいわけですから、それが果たして政策的なゴールとしてどのレベルにあるかといったら、大したとは言いませんが、最初の一歩ぐらいなのかなと思いますので、ここは今ここで答弁は求めませんけれども、目標値は順次プラスアルファするなりブラッシュアップをしてもいいんじゃないのかな、ちょっと目標値としては低過ぎやしないかなということは、ここで発言をするにとどめておきます。

 加えて、もう一つ二つ事実関係、現状を確認させてください。

 先ほど御答弁いただいたのは都道府県単位での導入状況でしたけれども、鉄道事業者単位でいうとどうなるのか。これも一つの考え方です。日本には百数十社の鉄道事業者があると伺っておりますが、この鉄道事業者単位で一体どういう状況にあるのか。

 あわせてもう一つ、これも並列でですが、肝心かなめは、その上で、駅単位だとどうなるのかという話です。これは、JR、民鉄、さまざまな駅がたくさんあることは承知をしておりますが、駅単位での導入はどういう状況か。

 事業者単位及び駅単位、この導入状況を御答弁いただければと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事業者ごとの導入状況でございますが、平成二十七年度末時点での導入状況は、JR六社、大手民鉄十六社、準大手民鉄四社では全事業者で導入をされております。また、公営交通事業者では十一社、その他事業者では五十四社で導入されておりまして、全鉄軌道事業者百七十八社のうち九十一社、五一・一%で導入済みということになってございます。

 それから、駅ごとの状況でございます。

 これも、平成二十七年度末時点での鉄軌道事業者における駅ごとの導入状況につきましては、まず、JR六社では全四千五百二十三駅のうち千七百七十二駅、三九・二%で導入、大手民鉄十六社では千八百三十七駅のうち千八百十七駅、九八・九%、準大手民鉄四社では八十二駅全駅に導入済み、それから、公営交通事業者十二社では六百九十五駅のうち六百六十九駅、九六・三%、その他事業者では二千五百十七駅のうち千百五十三駅、四五・八%で導入済みとなってございまして、鉄軌道事業者全体では九千六百五十四駅のうち五千四百九十三駅、五六・九%で導入済みという状況でございます。

神山(洋)分科員 大手民鉄であり、準大手であり、大どころの公営といったところ、ここは一〇〇%。やはり低いのはJRになるわけです。

 これはやむを得ない部分は当然あるとは思っていまして、特に、大手の民鉄であるとか、都市、人口集中地域にあるようなそういう民鉄は、当然利用者数も多いわけですし、投資も早く進むわけですから、そこは早く一〇〇になる。

 一方で、JRでいえば、全国津々浦々の交通を確保していくということからしても、利用者数の少ないところも現時点では駅、鉄道が走っているわけですから、そこまで一〇〇%に同列で語れるかというと、それは違うのだろうとは思っています。ただ、そうはいっても、現状、JRは四〇%ぐらいなわけですね。

 何度か事務方の方ともお話をさせていただきましたが、ICカード設備を導入するということは、もちろん、国は公的な観点からプッシュはする、後押しをするという形にはしているものの、基本は民間の事業者さんの責任ですという言い方をしているわけです。当然、そういう観点からすれば、ビジネスベースでペイするのかしないのかというところからその整備が図られることになってしまうわけです。

 果たしてそれでいいのかという観点の議論をこの後させていただきたいと思いますが、前段少し申し上げたように、ICカードを普及させるということは、先ほど大臣からも御答弁をいただいたように、国としても公の意味があるという観点で財源も投入をし、一定の補助をしていくという観点になっているかと思います。

 ICカードシステムを普及拡大させるために、これまで及び来年度予算も含めて、どういうメニューを用意して、それぞれに幾らぐらいの金額を入れようとしているのか、このメニューについて内容を御提示いただければと思います。

藤田政府参考人 交通系ICカードの導入を促進するために、その導入費用等の一部を補助するという制度がございます。

 具体的には、全国相互利用可能な交通系ICカードシステムの導入費用、それから、券売機、改札機、バスの車載器、こういった施設の導入費用等につきまして、その費用の三分の一を国が補助するという制度でございます。

 例えば、二十八年度について申し上げれば、鉄道においてはIRいしかわ鉄道等七社、バスにおいては関東鉄道等十九社、こういったものを対象にしまして、必要なシステムの導入等を支援することとしております。

 二十九年度予算につきましては、約八十五億円の内数という中で対応してまいる予定でございます。

神山(洋)分科員 ちょっと追加で確認なんですが、今のその実績があった補助の名目でありメニュー、どういう観点で補助がなされているのか、その目的の部分、ここをもう一度御確認までに御答弁いただけますか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 いろいろ制度も変わってきておりますけれども、現在は、主として訪日外国人の快適で円滑な移動確保という観点からこの補助制度を運用しております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、訪日外国人の旅行者を受け入れる、それを加速化するのだ、そういう事業の一環としてこれが行われているということなわけです。

 先ほどの事例でも申し上げたように、私の地元における問題も、観光者、観光客がわっとふえたときに特にそれは顕在化をしやすいという意味では、観光者に対してのアプローチ、またインバウンドに対してのアプローチという観点は私は否定はしません。しかし、ICカードを普及拡大させるということの大義名分というか主目的、プライオリティーが一番である、これは果たして外国人及び観光者の対応ということでいいのだろうかということを私は一つ疑問に思っています。

 最優先されるべきは、そこに暮らしている住民の方々の視点であり、地域づくりであるのではないかなというふうに私は思うわけです。しかし、なぜか現行あるメニューは観光客向け、インバウンド向けという形になっている。これは直した方がいいと思うんですが、いかがですか。

藤田政府参考人 今、観光政策の上でも、外国人観光客の方々に全国津々浦々に行っていただこう、そのための利便性を向上しようということが一つの大きな課題になってございます。そうした観点からこういった制度を設けているという側面がございまして、特に外国人観光客を目的としているので対象が限定されるとか、そういったことにはなっていないのではないかと思っております。

神山(洋)分科員 今ここでそれを見直しますという具体的な御答弁までは期待はしていませんが、少し検討していただければと思うんです。

 この話をどこに、何の着眼点で補助メニューを実施していくかというところは、外国人向けの、観光客に対しての利便性を高めるという目的はあってもいいですけれども、それがナンバーワンで、それよりも下に地域の住民の視点があるというのは主客転倒しているんだと思うんです。

 いろいろな経緯がある中でこういう形になっているのかなということは想像はしますが、しかし、そこは何が主目的で予算、補助メニューをつくらなければいけないのか、実施しなきゃいけないのか、ここはもう一度考え直していただきたいということは、大臣もお耳だけで結構ですので、ぜひテークノートしていただければなというふうに思います。

 先ほど、この補助メニューによる実績も御紹介をいただきました。私の手元にあります。ここ四年ぐらいの数値ですけれども、大体年間平均で三億円弱ぐらいですか、ここ四年ぐらいで十一億七千六百万円の国費投入額という形になっています。金額の大小というところもさることながら、では、どこに対してこの補助メニューを実施するのかというときの一つの大事なことは、大義名分、何を目的にこれを実施するのかということだと思いますので、そこはぜひ御検討をいただきたいということをこの場で申し上げておきます。

 それで、この話について、ICカードを普及させる、地元のローカルな話も含めてですが、何度か、私、国土交通委員会を含めて、石井大臣にもお聞きしたことがあったかもしれません。これは、もしかしたら太田大臣だったかもしれません、とも議論させていただいたことがあります。

 今回御質問するに当たって、似たような話をどこかでやっていないかなと思って、一応直近の議事録を検索してみましたら、私は一年半ほど前に同じような議論を実は一度しているんですが、ほぼ同時期ぐらいに、我が党の田島一成議員であるとか本村議員、また、公明党さんの佐々木議員、これは参議院ですけれども、横山議員も実は同じようなICカードについての議論がなされていて、やはり地域地域、それが顕在化をしやすい地域としにくい地域とあると思うんですけれども、かなり問題意識としてはあるからこれだけの数が出てきているんじゃないかなというふうに思います。

 二十七年の八月の四日に私はこの議論をさせていただいております。交通系のICカードの相互利用を深めていくということはいいんですけれども、もっとちゃんと普及をさせるべきじゃないですかという議論をしたときに、政府側から御答弁をいただきました。その点は大事な課題だというふうに思っているということ、ただ、そこにはコストがあるとかいろいろな条件がありますねという話を踏まえて、最後に、「そうしたことを前提にしながら、利用者の利便性の向上に向けて何ができるかということについては、引き続き適切に働きかけをしてまいりたい」、これは事業者に対してという意味ですが、「引き続き適切に働きかけをしてまいりたいと考えております。」という御答弁を一年半前に、これは鉄道局からだったと思うんですが、いただいております。

 ここで確認したいのは、それを踏まえて、具体的に誰に対してどういう働きかけをされましたでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の平成二十七年八月四日の衆議院国土交通委員会でのお尋ね、それに対する答弁、先生からお話があったとおりでございます。利用者利便の向上という意味で重要な課題だという認識を示しつつ、一方で、事業者における課題もあるということを前提として、働きかけを行ってまいりたいということを申し上げたところでございます。

 私どもといたしましては、例えば、自治体からの要望があった際でありますとかサービス向上について、事業者と常日ごろより継続的に意見交換等を行っておりますので、そういった機会を捉えて、ICカードを利用できる駅の拡大に向けて働きかけを行っているというところでございます。

 答弁させていただいた以降で、ICカードを利用できる駅の範囲拡大が行われた事例といたしましては、例えば次のような、紀勢本線のうち和歌山―海南の間の各駅及び新宮までの一部駅、十七駅、山陰線のうち出雲市―伯耆大山までの各駅及び伯備線の特急停車駅で十八駅、宮崎駅を中心とした十二駅、中央本線及び篠ノ井線のそれぞれ一部駅、全十一駅といったようなものに導入がなされたということでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、交通系ICカードの利用可能駅の拡大に向けまして、あらゆる機会を通じて鉄道事業者への働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 いろいろ具体的なお取り組みをいただいているということで、それは感謝を申し上げます。ぜひ、最後にももう一回申し上げようと実は思ってはいるんですが、地域地域で、まちづくりの観点、人口が減少していく中でどうやって若者の人口流出を防ごうか、例えばそういう観点も含めて、ICカード導入をいろいろなメニューのうちの一つとして、それぞれの地域の自治体であるとかまちづくりの団体を含めて、考えたい、やりたいと思っている方というのは、今おっしゃっていただいた事例の中にも恐らくあると思いますし、そういうニーズを潜在的に持っている自治体はたくさん多いと思います。

 鉄道局なり国土交通省として、各自治体に対してアプローチを逆にかけることも含めて、ぜひそういう地域の相談にも乗っていただいて、場合によっては鉄道事業者さんとの仲立ちをするとか、そういうことも含めた、お金をかけるとかソフトを提供するということではない、これもすごく大事な役割だと思うんです。ぜひそれはこれからも続けていただきたいと思いますし、拡大をしていただきたいということは、この場をおかりして御要望させていただきます。

 実は、地元の話でも、先ほどの御殿場線という例でいえば、小田原市、大井町、松田町、山北町という一市三町が、静岡県側も市や町があるんですが、ICカードをきちんと付設してほしいというようなことも含めて、協議会を立ち上げて、鉄道会社、JRさんともいろいろ協議をしているというお話をずっと聞いています。実は、もう十年来同じようなことをやっています。

 たまたま私の手元に、去年の秋、その自治体がつくった協議会がJRさん側と折衝したときの回答のメモがあるんですが、全部はここで読みませんが、結論のところだけ読むと、御殿場から国府津区間については当該区間の御利用が少ないことから、TOICA、これはJR東海のICカードですね、TOICA利用エリアとすることは考えておりませんということで、けんもほろろという状態なんです。

 ビジネスベースの判断をすれば、理解できないとは言いません。しかし、なぜICカードの普及ということに対して国土交通省が公費を投じているのかと考えれば、そこには一定の公共性があるからだというふうに私は考えています。であるとすれば、ビジネスベースでのみある種判断をして当然の民間事業者に、その付設をするのか否かという判断を完全に委ねるべきかといえば、やはりそこは一定の公の下支え、サポートはあってしかるべきなんだというふうにも思うわけです。

 御殿場線をめぐる協議会の話でいえば、実は国土交通省さんの方にも相談したとやらというお話は伺っているんですけれども、御殿場線利活用推進協議会、今、会長は御殿場市長さんでいらっしゃいますけれども、国土交通省さんとして何か認識されていますか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御殿場線沿線の自治体から成る御殿場線利活用推進協議会から、JR東海に対して、御殿場線各駅に交通系ICカードシステムの導入を要望されている旨、JR東海からも伺っているところでございます。また、地元の中部運輸局からも報告を受けております。

 事実関係として、御指摘の御殿場線につきましては、平成二十二年三月に沼津駅から御殿場駅までの間で交通系ICカードの利用が可能となりましたが、その先の足柄駅から下曽我駅までの各駅で導入されていないということは、先生のお話ももちろん承知をいたしておるところでございます。

 交通系ICカードの導入拡大につきましては、繰り返しで恐縮ですが、新たに設備の導入や維持管理に係る費用が生じることから、一義的には利用者数や旅客流動を考慮して鉄道事業者が判断するものと認識いたしておりますが、一方で、利用者の利便性向上に資するものであり、大事な課題であると認識しておりますので、今後も機会を捉えて、その導入の拡大について私どもも働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

神山(洋)分科員 きょうは時間の関係で、ハードの話、導入するために必要なハードの金額の話であるとか、システム開発の話であるとかということをあえてしませんでした。ただ、これもいろいろな工夫の余地があるんだと思います。

 今や、恐らくここにいらっしゃる方もあると思いますけれども、コンビニでもピッと買えますし、タクシーに乗ってもピッと買えるわけです。なぜ駅で使えないのだという素朴な疑問、やはりこれは、技術の進歩も含めていろいろな形で対応していかなきゃいけないというふうに思っていますし、オリンピックまでとか、そう遅くやっていていい話じゃないと思いますので、これはぜひよろしくお願いします。

 大臣に、今までのお話もお耳で聞いていただいたかと思いますので、それも踏まえて、未導入の駅、全部が全部ということまで申し上げているわけではありません。しかし、先ほどの、何が優先度、私は住民の生活とか地域づくりの方が優先だと思いますけれども、何を優先すべきかという考え方も含めて、未導入の駅に対して導入を進めていくという施策、もう一息これは政治の力でプッシュをしていいんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、この点について見解をいただけませんでしょうか。

石井国務大臣 交通系ICカードの普及拡大は、公共交通機関の利便性向上や、訪日外国人旅行者を含めた地域外からの来訪者の移動円滑化に向けた取り組みとして、大変重要であると考えております。

 他方で、交通系ICカードの導入については、基本的には、民間の交通事業者の経営判断として、その効果や費用を踏まえて決定されることとなります。

 国土交通省といたしましては、補助制度の活用や交通事業者への働きかけ等を通じまして、交通政策基本計画に掲げた目標の達成を初めとして、交通系ICカードの普及拡大に努めてまいりたいと考えております。

神山(洋)分科員 少し時間がありますので、大臣、もう一問だけちょっと聞かせてください。

 今のお話を受けてなんですが、例えば、いろいろなやり方があると思うんですけれども、私の地元でよく非公式にしている話でいえば、金額によりけりではあるものの、地元の自治体が負担してでもいい、場合によっては一部かもしれない、一部ないし、大した金額じゃないんだったら全額ということもあるかもしれないけれども、一部を自治体が負担してでも地元の駅にそういう付設をすることができないのかということまで実は耳に入ってくるわけです。

 それをどういう仕組みでやるかというのはいろいろな検討が必要かもしれませんけれども、ここでそれを、では、やりますなんて明言できないのはわかりますけれども、ちょっと研究していただけませんか。大臣、いかがですか。

石井国務大臣 今委員が御紹介いただいたような自治体の意欲というのは非常に重要なことだと思っております。

 鉄道事業者を含めて関係者の間でよく御協議をいただきたい、このように考えております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 この場でどこまで明言できるかというのはなかなか限界があるのは重々承知をしておりますが、今申し上げたことは大臣の胸にも恐らくしまっていただけたと思いますので、これはぜひ鉄道局にも御検討いただきたいと思います。

 先ほど実例として御紹介をいただいた地域地域のそういうニーズに対して、例えば鉄道事業者さんとのいろいろな話し合いの場を設定するであるとか、そういう中で検討しなきゃいけないことを自治体側にサジェスチョンするなどということも含めて、いろいろな地域の側、自治体の側からのニーズもあるんだと思います。

 やはり、鉄道事業者さんと自治体が個別に今みたいなことをストレートに話をしても、なかなかすぐに、ぱっぱと、はい、わかりましたという話にはならないということは当然想定されると思います。その意味では、逆に、いろいろな事例、パターン、それを恐らくお持ちだと思いますので、それを踏まえた形で有形無形のサポートをぜひ地域地域にもしていただきたいということを最後にお願い申し上げつつ、大臣にも前向きな御答弁をいただいたことの御礼を申し上げて、この場を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤鮎子さん。

加藤(鮎)分科員 山形三区選出の衆議院議員、自由民主党の加藤鮎子でございます。

 国土交通大臣、石井大臣には、日ごろより、私の地元山形県の要望などにさまざま温かく耳を傾けていただいておりまして、本当にありがとうございます。政務三役の皆様、また国土交通省幹部の皆様にも、いつも耳を傾けていただいて感謝申し上げます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 私の地元の山形県庄内地方というところは、交通のアクセスが必ずしもよいとは言える地域ではなくて、我々地域住民みずからが、みずからのふるさとのことを時に陸の孤島と自称するほどであります。高速道路は南北県境がいまだつながっておりませんで、また、整備新幹線も通っておりません。

 しかし、山形県酒田市にあります酒田港が、今、大変好調でございます。花王工場の出荷増に牽引されまして機能強化が進みつつありまして、クルーズ船も、この夏初めて外国籍の船が寄港することになりました。また、市民による港を活用した地域イベントも毎年数多く開催されておりまして、地域住民にとっても港が身近な存在になっているという形で、港のことは非常に盛り上がっているところでございます。おかげさまをもちまして、この年明けには、ポート・オブ・ザ・イヤー二〇一六、こちらの方も受賞をさせていただき、今まさに地域全体が活気づいているところであります。

 そこで、きょうは、この酒田港の活況を一つの契機として、港と相乗効果を生む道路網の整備の方もぜひとも一押し二押しと推進していただきたい、それが地域の願いということで、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、日本海沿岸自動車道、いわゆる日沿道についてお伺いをいたします。

 日沿道は、南は温海―朝日まほろば間、北は遊佐―象潟間のいわゆるミッシングリンク、ここの早期完成が求められております。物流促進や災害時の対応、それから観光振興など、さまざまな面で効果が期待されるこの日沿道のミッシングリンクの解消に向けて、政府として、今後の整備の促進に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石井国務大臣 日本海沿岸東北自動車道は、新潟県、山形県、秋田県をつなぎ、広域的な交流、連携の推進、地域振興に寄与し、また、災害時のリダンダンシーを確保するなど、重要な路線と認識をしております。

 山形県内におきましては、今委員御紹介いただいたとおり、酒田港へのクルーズ船の寄港が外国船も含め増加傾向にございまして、道路整備により、酒田港から秋田県、新潟県方面など、さらなる広域周遊観光の促進が期待をされております。

 現在、山形県と秋田県の県境部で事業中の酒田みなと―遊佐の区間につきましては、用地買収、改良工事、橋梁工事を推進しておりまして、また、朝日温海道路、遊佐象潟道路については、用地買収の推進に加え、今年度から改良工事に着手したところでございます。

 引き続き、山形県の地域活性化や安心な暮らしの確保のため、地域の皆様の御協力を得ながら、来年度も用地買収及び工事を進めまして、ミッシングリンクの早期解消に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。ぜひ一日も早いミッシングリンク解消の実現を期待してまいりたいと思います。

 次に、現在整備が進められております東北中央自動車道についてお伺いをいたします。

 今、事業が進められております国道十三号線の泉田道路と新庄金山道路が位置する新庄最上地区は、冬場は大変雪深い地域となっております。積雪の激しい時期になりますと、交通障害がランダムに発生をいたしまして、人や物の移動にかかる時間がかなり激増します。そればかりでなくて、そのようなことが頻発するということで、運送コストの予見性の低さそのものが、この地域の産業にとっては、ある種、足かせのようなものになってしまっております。また、地域住民の皆さんにとっては、高度医療機関までの搬送時間がかかってしまうということも大きな不安になっております。

 この東北中央自動車道がしっかり整備をされれば、企業の立地の促進が図られるのは言うまでもなく、また、地域にお住まいの方々の緊急医療に対する大きな安心の材料にもつながります。政府としてのこの道路の整備促進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。よろしくお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 山形県の新庄以北における国道十三号線は、特別豪雪地帯を通過することから、冬期は、雪による速度低下に加えまして、運搬排雪時には交通規制による渋滞が発生するなど、日常生活や企業活動等へ大きな負担が生じているところでございます。特に、国道十三号線の金山町では運搬排雪が頻繁に実施されておりまして、平成二十五年度の実績では、十二月から二月の三カ月間で計二十九日間実施されまして、交通規制に伴う渋滞が発生しているところでございます。

 東北中央自動車道は、豪雪等の天候に左右されない日常生活の円滑な移動を確保するとともに、高速道路ネットワークの延伸により工場等の立地条件が改善し、企業進出と雇用を喚起するなど、当該地域における重要な役割を担う道路でございます。

 現在、二区間において事業を推進しておりまして、泉田道路、延長八・二キロでございますが、こちらにつきましては、当初予算に加えまして補正予算も投入いたしまして、改良工事を促進しているところでございます。また、平成二十七年度に新規事業化いたしました新庄金山道路、延長五・八キロメートルでございますが、これにつきましては、調査設計を推進しているところでございます。

 引き続き、地域の皆様方の御協力を得ながら、東北中央自動車道の早期整備に向けて努力をしてまいります。

 以上でございます。

    〔主査退席、門主査代理着席〕

加藤(鮎)分科員 どうもありがとうございます。ぜひ引き続き整備促進の方に御尽力をいただけますように、よろしくお願いをいたします。

 三つ目の質問に移らせていただきます。

 引き続き東北中央自動車道に関してですけれども、この自動車道、山形県と秋田県の県境部分が、これまた日沿道と同じくミッシングリンクとなっております。しかも、今まだ事業化の方もなされておりません。

 及位地域から上院内にかけての地区、それから、県境とはちょっと違いますけれども、すぐ近くの地域の金山町区間、この地域を、ミッシングリンクの早期解消のためにもこの未事業区間の早期事業化を図るべきだと考えておりますけれども、政府としての今後の見通しはどのようなものか、お聞かせください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 東北中央自動車道の山形県と秋田県の県境部のネットワークは、積雪期の交通機能の改善を図るとともに、両県の連携強化による冬期観光周遊を支援する重要な路線であると認識をしております。

 御指摘の秋田、山形県境付近の未事業化区間でございますけれども、金山町区間、真室川町及位から湯沢市上院内間につきましては、冬期速度の低下など、現道の課題を踏まえまして、平成二十七年一月におおむねのルートを決定したところでございます。

 このうち、真室川町及位から湯沢市上院内間におきましては、昨年度から地すべりに関する追加調査を実施しておりまして、これまでの調査結果をもとに、当該箇所の安定性、対策工について照査を行っているところでございます。

 当該区間については、引き続き、事業化に向けた事業実施環境の整理を進めてまいります。

 なお、金山町区間におきましては、昨年度より重金属に関する追加調査を実施しておりまして、専門家の御意見を伺いながら、今後の調査方針等を含め、引き続き検討してまいります。

 以上です。

加藤(鮎)分科員 今の現状のことと見通しについてお話しいただきまして、ありがとうございます。ぜひ、引き続き、地域住民の皆様との情報交換などもさせていただきながら、事業化に向けて御検討を進めていただくことをお願いいたします。

 四つ目の質問に移らせていただきます。国道四十七号についてお伺いいたします。

 先ほど申し上げたとおり、酒田港の活況を受けまして、今、太平洋側地域や山形県内の内陸部からも、酒田港を活用したい、そういう声が高まりつつあります。物流のニーズが高まることで、国道四十七号を、ぜひとも、安心して通れる、そういう道路にしてほしいという声が地元でも高まっているところであります。

 しかし、今のところ、残念なことに、ここも、冬期間は除雪機の通行によって車の流れが大幅にスピードダウンしましたり、また、事故などがあると通行どめで長く通ることができない期間が出てしまうということも発生しております。

 一日も早い高規格道路の全線開通が待たれるのは当然のことではありますが、まず、少しずつでも整備促進の効果を発揮してもらうためにも、今既に着手している事業区間の建設促進を図るべきかと思いますけれども、今事業中の区間の整備の見通しについてお伺いをさせていただきます。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道四十七号線が百八号線と一体となって、東北地方で太平洋側と日本海側を最短で結ぶ広域的なネットワークを、地元ではみちのくウエストラインと呼んでいると伺っております。東日本大震災の際には、このルートが日本海側からの救援隊や支援物資の輸送路として使われ、重要な役割を果たしたということも伺っております。

 とりわけ、山形県内陸部と重要港湾酒田港を有する沿岸部を結ぶ新庄酒田道路は、山形県の経済、産業を支える重要な路線というふうに認識をしております。

 御指摘の現在事業中の区間について御説明を申し上げます。

 新庄酒田道路は、現在、余目酒田道路、新庄古口道路、高屋道路、この三つの道路事業を実施しておりまして、余目酒田道路の未開通区間六・八キロメートルにつきましては、平成二十九年度開通を目指しまして、補正予算も活用し、改良、舗装工事を実施中でございます。

 新庄古口道路の未開通区間のうち、戸沢村津谷から古口間二・二キロメートルにつきましては、平成二十九年度開通を目指しまして、改良工事や橋梁工事を実施中でございます。

 残りの新庄市升形から戸沢村津谷間六キロメートルにつきましては、補正予算も活用しまして、改良工事や橋梁下部工工事を実施中でございます。

 高屋道路につきましては、約三キロメートルの長大トンネルを掘削中でございます。

 引き続き、地域の皆様方の御協力を得ながら、新庄酒田道路の早期整備によるさらなるストック効果の発現に向けて努力してまいります。

 以上です。

加藤(鮎)分科員 見通しの方もお話しいただいて、大変ありがとうございます。ぜひとも整備促進の方、よろしくお願いいたします。

 五つ目ですけれども、今度は河川についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 山形県の最上川流域の無堤防区間についての質問なんですけれども、近年、毎年のように、全国各地で局地的な豪雨による甚大な被害が発生しています。山形県の新庄市内に位置する最上川、これも豪雨の際には時々氾濫しまして、地域住民の皆さんの大きな不安になっております。

 新庄市畑地区というところと戸沢村の金打坊地区、ここが今、無堤防区間になっておりまして、地域の方々は、いつ豪雨による河川氾濫などが発生するのではないかということで、不安な日々を送っているところであります。この地区について、大きな被害が発生する前に、一日も早く堤防の整備を行って、地域住民の方々の安全な暮らしを守るべきだと考えます。

 そこで、当該地区のような直轄河川の無堤防地区の整備の見通しについてお伺いをいたします。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 最上川中流部では、平成二十五年七月洪水のほか、平成九年六月洪水、あるいは平成十四年七月洪水など、たびたび家屋浸水被害が発生しているところでございます。

 これまでも、上下流バランスですとか、あるいは背後地の土地利用、それから浸水被害の状況等を踏まえまして、無堤地区の堤防等の整備を進めてきたところでございますが、現在は、平成二十五年洪水で二十一戸の家屋浸水被害が発生いたしました蔵岡地区の整備を実施しているところでございます。

 無堤防地区のうち、お話のございました新庄市畑地区の堤防整備におきましては、現在、地元自治体あるいは関係者の方々と調整を行っているところでありまして、今後、早急に整備を実施する予定としております。

 また、戸沢村金打坊地区におきましても、浸水被害の状況等を踏まえまして、治水対策について地元自治体と調整を行っているところでございます。

 引き続き、最上川中流部の無堤防地区におきます治水対策を実施し、地域住民の方々の安全、安心確保に努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 地域の皆さんにとっても安心につながるような御回答をいただきまして、本当にありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。

 六つ目の質問でございます。クルーズ船受け入れ推進に向けた港湾整備についてお伺いをいたします。

 先ほど申し上げたとおり、今、酒田港は、大変な活況を呈しております。中でも、ことしの夏に初めて外国籍のクルーズ船が寄港することが決まったことは、大変大きな話題を呼んでおります。それに備えて国の方では係船柱や防舷材等の整備を今進めていただいていることに、心から感謝をしたいと思います。

 今国会の港湾法改正案にあるように、クルーズ船受け入れの拠点港を指定して民間投資を促進するということももちろん大切であります。しかし、同時にあわせて、全国各地津々浦々の地方港、例えば酒田港のように伸びしろの大きい港にもクルーズ船受け入れの環境の整備を促進する手を何らか打つことが大切ではないかなと思いますけれども、これについての政府の今後の検討の方向性についてお伺いをいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、昨年三月三十日に取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョンに掲げられております、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人という目標の実現に向けまして、本年一月三十一日に、横浜港など六港を、官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾として選定したところであります。

 しかしながら、今後も増大する多様なクルーズ需要に対応するためには、この観光ビジョンにも盛り込まれておりますが、日本の各地をカジュアルからラグジュアリーまで幅広く対応したクルーズデスティネーションにする、こうした目標のために、この六港に限らず、寄港地の全国展開を図ることが重要と考えております。

 また、クルーズ船社も新たな寄港地の開発に取り組んでおりまして、ただいま委員の方もお話がありましたが、ことし、酒田港には初めて外国のクルーズ船が寄港予定となっております。

 このような状況を踏まえまして、地方の港湾においても、ハード、ソフト両面からクルーズ船の受け入れ環境を整備してまいります。

 ハード面におきましては、既存岸壁の防舷材あるいは係船柱の改良、岸壁の延伸など、クルーズ船の受け入れ能力の向上を図ってまいります。例えば、酒田港におきましては、現在、古湊地区におきまして、アジア最大級の十六万トン級のクルーズ船の寄港に対応するため、今年度末の完成を目指して、防舷材、係船柱の改良工事を実施しております。

 また、ソフト面におきましては、全国百二十二の自治体で構成されております全国クルーズ活性化会議とクルーズ船社との商談会を開催することによりまして、全国の港への寄港誘致等に積極的に取り組んでまいります。

 国土交通省といたしましては、これらの取り組みを進め、より多くのクルーズ船の地方の港湾への寄港を促進してまいります。

加藤(鮎)分科員 ハード面、ソフト面、両方での整備の促進に向けてお取り組みをいただくという方向性を示していただきまして、本当にありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 改めてクルーズ船のことでございますけれども、クルーズ船の寄港の増加は、交流人口の拡大などで地方創生の効果が見込まれ、地域住民の皆さんからの期待が大きいところではあります。その一方で、一度に大勢の観光客の方々を受け入れる、その受け入れの体制づくりという面では、課題が多いというのも事実であります。

 例えば、船からおりてからのお客さん方の交通手段ですとか、外国人のお客さんが地域の情報を得られるようなインターネット、WiFi等の整備、それから、市民のおもてなしの心の機運の醸成など、地域での機運の醸成の準備などもございます。

 自治体や民間団体でやるべきことはたくさんあるわけですけれども、このあたりについて、自治体や民間団体などへの国としてのサポートにどのように取り組まれる方向か、お聞かせをいただければと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 クルーズ船の寄港は、地方周遊の有効な手段として、全国津々浦々の自然、文化など我が国の多様な魅力に触れてもらうことで、買い物による消費効果だけでなく、にぎわいの創出、地域との触れ合いによる文化交流に資するなど、地方創生につながるものと考えております。

 他方、委員御指摘のとおり、大型クルーズ船の寄港につきましては、数千人規模の旅客が一度に上陸し、寄港地観光を行うことから、受け入れる自治体におきましては、さまざまな課題があると認識しております。

 こうした課題の解決を図るため、港湾における受け入れ機能の高度化の面につきましては、平成二十九年度に、地方自治体などが実施する、クルーズ旅客の利便性、安全性の向上などを図る、こうした事業に対する補助制度を創設し、移動式ボーディングブリッジの整備などを推進することとしております。

 また、地方公共団体が行う無料公衆無線LANの整備や案内標識の多言語表記など、こうしたものを支援し、訪日クルーズ旅客等の受け入れ環境の改善を推進してまいります。

 さらに、大型クルーズ船の寄港に際しては、寄港地観光のために数多くの観光バスが必要となりますので、訪日外国人旅行者向けの貸し切りバスの臨時営業区域を弾力的に設定できるようにすることにより、観光バス不足の解消などに取り組んでおるところであります。

 国土交通省といたしましては、このような取り組みを通じ、クルーズ船の受け入れ環境の整備を推進してまいります。

加藤(鮎)分科員 国交省がクルーズ船受け入れに対してさまざまなサポートを検討していただいていることがわかりまして、本当にありがとうございます。引き続き、各地域の実情などに耳を傾けていただきながら、ぜひよろしくお願いをいたします。

 少し時間が余りましたけれども、私の質問は以上でございます。きょうはありがとうございました。

門主査代理 これにて加藤鮎子君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、この予算委員会第八分科会におきまして、地元の公共交通の整備に関すること、そして、都市再生機構、URの賃貸住宅にかかわる課題などにつきまして質問させていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、神奈川東部方面線についてお伺いをいたします。

 この事業は都市鉄道利便増進法に基づき実施されているもので、特徴としては、既存の鉄道路線を連結して有効活用することによって、比較的少ない事業量で大きな効果を発現するということ、それから、整備主体、これは機構が行っておりますけれども、それと営業主体、各鉄道会社、が異なるという、いわゆる上下分離方式を採用しているというような特徴がございます。

 この事業が完成すると、相鉄線、それからJR、東急の施設の有効利用が進んで、相互乗り入れによって直行運転が可能になりますので、通勤通学等の利便性が格段に改善される、早期完成の期待が大きい事業であります。

 昨年夏ごろに計画が変更となりまして、工期について、相鉄とJRを結ぶ事業については平成三十年度から三十一年度に、そして、相鉄と東急を結ぶ事業につきましては三十一年度から三十四年度へとそれぞれ工期が延期されました。事業費も、それまでの二千七百三十九億円から四千二十二億円ということになりました。もちろん、これは、最初このぐらいになるんじゃないかなと言われていた金額からすると、四百億円以上削減をしたという意味においては、そうした努力は大変評価をしているところでございます。

 その上で、この計画変更を行った主な理由を御説明いただきたいというふうに思います。

 また、かなり事業が進んできているところでありますので、できるだけ早期の事業完了を要望いたしますけれども、見通しについての見解をお伺いしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 都市鉄道利便増進事業である神奈川東部方面線整備事業でございます。

 この整備の意義及びそのスキームにつきましては、先生から恐縮ですが御説明をいただいたところでありますけれども、それにつきまして、昨年八月に事業主体である鉄道・運輸機構、相模鉄道及び東急電鉄から、開業の延期及び事業費の変更について公表がなされたところでございます。

 具体的には、これも先生からお話がありましたけれども、相鉄、JR直通線の開業が平成三十年度内から平成三十一年度下期に、相鉄、東急直通線の開業が平成三十一年四月から平成三十四年度下期に延期をされまして、事業費も約二千七百三十九億円から約四千二十二億円に変更される見通しとなったところでございます。

 まず、開業の延期の理由につきましては、用地の取得が難航したことでありますとか、安全対策設備の検討に時間を要したこと、また、調査の結果、当初よりも地質が軟弱で補助工法が必要になったことなどによるものと聞いております。

 また、事業費の変更の理由は、建設物価の高騰でありますとか、土壌汚染対策法の改正による発生残土処理費用の増嵩でありますとか、地質調査の結果を踏まえた工法変更などによるものと聞いております。

 本事業は、沿線の自治体、住民の方々などから大変御期待をいただいている事業でありまして、整備主体である鉄道・運輸機構に対しましては、一日も早く開業できるよう最大限の努力を行うとともに、コスト縮減のため継続して努力することを求めているところでございます。

 国土交通省といたしましても、本事業の完成に向けまして、地元自治体とも連携をしながら、事業の進捗状況について適宜チェックも行いつつ、必要な指導助言や支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今答弁にもありましたとおり、非常に地元の自治体、それから住民の方々の期待の大きい事業でもございますので、ぜひ、早期完成に向けまして、また国土交通省としても最大限の御努力をいただければというふうにお願いをいたします。

 次に、連続立体交差事業の相鉄線星川―天王町駅間の事業につきましてお伺いしたいというふうに思います。

 この事業は、約一・八キロ、相鉄線を高架化することによりまして、今ある九カ所の踏切を解消し、そしてその結果、交通渋滞の緩和と、また安全性の向上を目的としたものでございます。

 国の事業の要件が変更されたことによって事業実施が可能となって、二〇〇二年度に着工され、以降進捗が、予定よりおくれてきましたけれども、本年三月にはようやく下り線が高架化されまして、下り線にかかわる踏切の待ち時間は解消される、そういう部分的な効果が発現をする予定となっております。

 平成三十年度完了の予定となっておりますが、今後の事業の見通しにつきましてお伺いしたいというふうに思います。

栗田(卓)政府参考人 お尋ねの相模鉄道本線星川駅―天王町駅間で実施されております連続立体交差事業でございますが、これは横浜市が事業主体となりまして、鉄道の高架化によりまして七つのあかずの踏切を含みます九つの踏切を除却するというものでございます。交通の円滑化、踏切事故の解消、分断市街地の解消など、多面的な効果を発揮する重要な事業と認識しておるところでございます。

 既に御指摘を頂戴しましたが、本区間につきましては、本年の三月五日に下り線の高架が予定されておるところでございます。国土交通省としましては、この事業に対しまして、平成二十八年度の当初予算及び補正予算におきまして重点的に支援をしてきたところでございます。

 これによりまして、横浜市では、全線高架化の予定を半年程度前倒しして、平成三十年秋とすることを本年二月に公表したところでございます。

 今後も、国土交通省としましては、全線高架化に向けまして事業が着実に進捗し、さまざまなストック効果、生産性効果が早期に発現されるよう、引き続き重点的に支援してまいります。

上田分科員 ありがとうございます。

 今、工期についてのお話がございまして、地域の方々は、これは悲願にも近いものでございまして、何十年にもわたってそういった活動が進められてきました。ようやく今形が見えてきて、一日も早い完成が望まれているところでございますので、引き続き最大限の御努力をいただけますようお願いをいたします。

 次に、もう一点、踏切についてでありますが、相鉄線鶴ケ峰駅周辺の踏切の解消についてお伺いしたいというふうに思います。

 今行われています星川―天王町駅間の地区の事業完了後に、相鉄線鶴ケ峰駅付近の踏切の解消の早期事業化が今強く望まれているところでございます。

 この鶴ケ峰駅は、駅前の商店街の通り、これは通称水道道というふうに言われておりますけれども、を初め、十カ所程度の踏切が今ございます。交通渋滞も深刻で、特に安全性の面からも懸念が多いところであります。横浜市におきましては、これは優先地区として昨年度から調査費を計上して、現在は国の助成も入っております。

 この地域を見てみますと、線路の周辺にかなり住宅が密集をしているところでもありますし、また、傾斜地も多くて地形も非常に複雑であります。また、メーンの通りであります水道道というのは、名前のとおり、幹線の水道管が入っておりますので、大口径の水道管が下に埋設をされているという事情がございます。

 今、線路を高架にする、あるいは地下にする、いろいろな案も検討されているようでありますけれども、どっちにしても、今申し上げたような事情によって、技術的な課題もあるし、事業費という面からの問題もあるのも事実だというふうに認識をしています。

 今、横浜市としても最優先で取り組むべき地区という位置づけをしておりますので、できる限り早期に事業化されることが強く望まれておりますけれども、今後の事業化についての見通し、御見解を伺いたいというふうに思います。

栗田(卓)政府参考人 既に事業の概要につきましては委員からお触れいただいたとおりでございますけれども、あかずの踏切五カ所を含みます相模鉄道本線鶴ケ峰駅周辺の区間、これは、横浜市が平成二十八年三月に策定しました踏切安全対策実施計画の中で、最も優先的に事業化の検討を進める区間として位置づけられております。

 横浜市では、本実施計画に基づきまして、立体化の実現に向けた調査に着手しているところでございます。国土交通省としても、平成二十八年度から当該調査に対する支援を行っているところでございます。

 今後は、当該調査を踏まえまして、事業主体である横浜市において、相模鉄道などの関係者との協議、調整を行いながら、都市計画決定や都市計画事業認可などの手続に向けた検討が進められるものと認識しております。

 国土交通省といたしましても、引き続き、横浜市の検討の進捗状況を踏まえまして、専門的な観点から助言を行うなど必要な協力を行いますとともに、事業化に際しましては必要な支援を行ってまいります。

上田分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に、都市再生機構、UR賃貸住宅の居住の安定という問題について、何点か御質問させていただきます。

 UR賃貸住宅は、全国で約一万六千団地、そして約七十四万戸というふうに承知しています。その多くの団地では、居住者の高齢化がかなり進んでいまして、それに伴って平均所得も低くなっていますし、また、単身世帯も非常に増加をいたしております。

 このUR住宅は、住宅セーフティーネットとしての機能を発揮し、極めて公共性の高い役割を果たしているものと認識をいたしております。

 今後とも、住宅の管理運営に当たっては、こうした公共的な性格について十分勘案をし、居住の安定、安心に最大限配慮していただきたいというふうに考えますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 少子高齢化が進展いたします中で、UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など、民間市場では制約を受けがちな弱い立場の方の受け皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。

 これまでも、UR賃貸住宅におきましては、低所得の高齢者世帯などの居住の安定を図る観点から、既存の住宅の改修による高齢者向け優良賃貸住宅の供給や、建てかえ時や家賃改定時における家賃減額措置などを講じてまいってきているところでございます。

 特に、近年では、高齢者、子育て世帯などが安心して住み続けられる環境の整備を図るという観点から、医療福祉施設の誘致や、バリアフリー化による居住環境整備等によりまして、UR団地の地域における医療福祉拠点化を進めてまいっております。平成二十八年三月、昨年三月に閣議決定をされました住生活基本計画においても、その内容を掲げて推進をすることといたしているところでございます。

 今後とも、こうしたUR賃貸住宅が担います住宅セーフティーネットの役割を十分果たせるように、居住の安定に最大限配慮してまいりたいというふうに考えているところでございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 やはり、このUR住宅というのは、国民全体の貴重な資産でありますし、今、こうした高齢化が進んでいく中にあって、そういう住宅政策を担っていく上で非常に貴重なツールであるというふうに思いますので、今居住者の居住の安定について十分配慮していただくという御答弁をいただきましたけれども、ぜひそういった方針でこれからもさまざまな施策を進めていっていただきたいというふうに思います。

 今、御答弁にもありましたけれども、そうした観点から、これまで家賃の減免措置であるとか、それから、特に高齢者がふえてきている中で、バリアフリー化の推進であるとか、また、特に、高齢者ばかりになってしまうとコミュニティーとして成り立たないという中で、子育て世帯とか、あと若者がなるべく入れるような、さまざまな施策も進めてきていただいているところであります。

 そうした数多くの施策を進めていただいているんですけれども、そのうち、高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高優賃についてお伺いしたいというふうに思います。

 この制度は、平成十一年度から、低所得の高齢世帯を対象に家賃の減額をする制度といたしまして、国の財政的な支援が行われております。その国の支援の期限が管理開始から二十年ということで、すなわち平成三十一年度ということになっております。住んでおられる方からは、打ち切りになるのではないかというような心配の声も聞いているところでございます。

 二十年間続けてきた制度でありますので、さまざまな見直しは必要なのかもしれません。その上で、三十一年度以降も、こうした制度の趣旨が引き続き実施をされるように、そういった趣旨は生かされるべきだというふうに考えますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、今、上田先生から御紹介をいただきましたように、平成三十一年、二〇一九年度から、管理期間が二十年を迎える住戸が生じ始めるところでございます。お話しいただきましたように、この制度は、一応二十年を期限として設けている制度でございます。

 このURの高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、今お住まいになっておられる方が安心して住み続けられるということ、それから一方で、URは十一兆円を超える負債を抱えておりますので、三十年度に向けて、ストック再生・再編方針の見直しを行うことといたしております。

 こうした再編の方針の見直しの中で、経営の効率化を図りつつ、住宅セーフティーネットの機能を果たしていくこと、こういった重要な観点がございますので、こういった観点を踏まえまして、検討を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

上田分科員 よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、健康サポート住宅についてお伺いしたいというふうに思います。

 平成二十八年度から健康サポート住宅の制度が開始をされまして、現在は、医療福祉拠点化団地において先行的に住宅の供給が実施をされております。高齢化が進行する中で、非常に期待も大きいわけでありますし、また、どこの団地でも、やはりこういった取り組みが欲しいという期待が非常に高まっております。

 制度としてスタートしたばかりでありますけれども、今後、積極的に拡大をしていただきたいというふうに考えますけれども、今後の方針をお伺いしたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 健康寿命サポート住宅は、URが既存の住宅につきまして手すりの設置などの簡易な改修を行いまして、高齢世帯向けに供給を行っているものでございまして、今御紹介をいただきましたように、平成二十八年度から、当該住宅に居住する低所得の高齢者世帯について、家賃減額の対象としているところでございます。

 URは、先ほど御説明申し上げましたように、みずから持っております団地の地域における医療福祉拠点化を進める取り組みをしております。健康寿命サポート住宅につきましても、この取り組みの一環として、URが地域医療福祉拠点化を進める団地において供給を始めることとしたというものでございます。

 昨年三月の閣議決定をいたしました住生活基本計画に掲げております目標値がございます。平成三十七年までに百五十団地程度の地域医療福祉拠点化を達成するという目標を掲げております。まずは、このURにおいて、地域医療福祉拠点化を進める団地の拡大を図っていくことによりまして、積極的に健康寿命サポート住宅の供給を進めることといたしているところでございます。

 国としても、URが健康寿命サポート住宅の積極的な供給を行えますよう、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

    〔門主査代理退席、主査着席〕

上田分科員 ありがとうございます。

 すごく期待が高い事業でもございますので、ぜひ、これから制度拡充をしていただいて、供給を促進していただければというふうに思います。

 先日、この公団住宅にお住まいの、自治会の全国の団体の皆さんと懇談をさせていただきました。公団住宅、入居したときには、中堅所得層のいわゆるサラリーマンが対象とされた団地であったわけでありますけれども、もう既に、長いところでは五十年近く経過をし、その間、非常に高齢化が進んで、今はほとんどが高齢世帯であって、年金生活になっているというのが実態だというお話を伺いました。

 そんな中で、やはり、長く住んできたところであり、そこで引き続き住んでいく、そうした居住の安定が生活の安心の基本になってくるというお話を伺ったところでございます。

 もちろん、独立行政法人の改革の中で、改革はやっていかなければいけないところはあります。しかし、こうした居住の安定については、引き続き十分御配慮をいただいて、公共性の高い住宅としての役割を担っていけるように、これからも国土交通省としての御努力をお願いしたいというふうに思います。

 時間が早いですけれども、これで終わらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

赤羽主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 ありがとうございます。自民党衆議院議員の古川康でございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まずは平成二十九年度の国土交通省の予算案そのものについて、これは質問ではありませんけれども、申し上げたく存じます。

 大変厳しい財政状況でありながらも、今回、必要な事業にはしっかりと目配りがなされるなど、めり張りのついた予算案になったものと思っておりまして、評価するものであります。関係の皆様方の御努力に敬意を表したいと思いますし、何よりも、一日も早く成立をさせて、執行の段階に移していくことが必要だと考えるものでございます。

 特に、建設業に携わる人からは、早期の執行、あるいは発注の平準化、こうしたことについて切実な声をいただいているところでございます。予算の執行に当たっては、そういったことにもぜひとも御配慮いただきながら、お願いしたいと思います。

 その予算案に関連をいたしまして、何点か地元にかかわる件についてお尋ねをさせていただきます。

 一点目が踏切の話であります。

 とりこになるという言葉を御存じでしょうか。普通であれば、とりこになる、すてきなものに夢中になる、そんなふうな意味に使われるわけであります。とりこ、響きだけではわかりませんけれども、漢字で書くと本当に魅力的な、魅惑的な言葉でございますけれども、しかしながら、問題になるとりこというものもございます。

 あかずの踏切などと称される都会の踏切に起因する渋滞を解消するため、昨年、踏切道改良促進法が改正をされました。この踏切、そして道路の問題というのは、昔からあって今もある問題だと思っているところでございますが、まず、ちょっと数字的なところをお尋ねしたいと思います。

 今、この日本で、近年、一年にどれくらいの踏切事故というものがあるのか、そして、その中で歩行者だとか高齢者が被害に遭っている割合はどれぐらいのものなのか、まずそれから教えてください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度の数字で申しますと、踏切事故件数二百四十八件、死亡者数九十二人ということで、大ざっぱに申しますと、約一日に一件、約四日に一人死亡ということでございまして、死亡者に占める歩行者の割合は約八割、そのうち六十五歳以上の高齢者は約四割となってございます。

 以上でございます。

古川(康)分科員 二十一世紀になったいまだに、一日に一件は日本列島のどこかで踏切の事故が起きている、しかも、四日に一人は亡くなられている、そういうことでございました。さらに申し上げれば、歩行者が八割、そして四割が高齢者ということで、歩行者であるとか高齢者であるとか、そういういわば弱い立場にある人がその犠牲になっているということであろうかと思っております。

 この踏切の問題、どちらかといえば都会のあかずの踏切的な問題がクローズアップされることが多いわけでありますが、私は、地方部の踏切においてもいろいろな問題があるんだということをこれまでも訴えてまいりました。

 地方部においては、いわば明治時代に鉄道がつくられて、そのとき以来、ほとんど線形が変わっていない、あるいは交差する道路が変わっていない、そういうところもたくさんございます。踏切の中を道路が斜めに横断してしまっているがために、直角になっていれば渡るのにもそれほど時間がかからないのに、斜めになっている分だけ、渡り切るまでに時間がかかってしまう、こうした踏切もたくさん見るところでございます。

 そして、お年寄りが、カンカンカンと鳴っているのに踏切を渡り切れずに、その踏切の中に取り残されるということもしばしば起きます。このことが、とりこと呼ばれる現象であります。このようなとりこは、余り魅力的ではありません。とりこになって鉄道と接触する事故は、先ほど局長から御答弁いただいたように、後を絶っていません。

 踏切の中に非常ベルが、ある程度の踏切であればつくられています。また、保安設備の充実のために、そういう非常ベルを設置するというような事業もあります。

 しかしながら、多くの高齢者は、踏切の中に非常ベルがあるということを御存じありません。さらには、あることがわかっても、自分が抜けられなくなって、例えば車椅子でスタックしてとか、そうなったときに、慌てて非常ベルのボタンを押せるような状況にはならないのであります。

 さらには、その非常ベルについて申し上げれば、大体、車の運転席から押すぐらいの高さになっているんですね。なので、現実に車椅子で行っている人が押せるのかというと、なかなか難しいというのが現状になっているのではないかと私は思っております。

 数年前に、御高齢の女性が踏切でとりこになられてけがをされたというケースが発生しました。地方のことであります。しばらくたってから、鉄道会社から一通の手紙が送られてきたそうであります。何と書いてあったか。車両が被害に遭ったから、それを支払え、被害分を支払えという請求書だった、こんな話でございました。

 こうした地方部における踏切の問題は、過去からの道路の担当部局と鉄道担当部局の調整といった課題もありまして、簡単にできることではありませんでしたが、今回、法律を改正していただいて新たな枠組みをつくっていただいたと伺っています。

 まず、このことについてお尋ねをさせてください。

 まず、お伺いします。今回の法律の中では、どのような仕組みが新しく設けられたのでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 昨年三月の踏切道改良促進法の改正におきましては、改良すべき踏切道の指定期限を五年間延長するほか、地域の実情に応じた幅広い踏切対策を促進するため、必要な改正を行ったところでございます。

 具体的には、改正前の法律では、踏切の改良の方法を定めて指定することとされておりました。事実上、鉄道事業者と道路管理者が改良の方法を合意できなければ、指定が困難となっておりました。

 昨年の改正では、これを改めまして、課題のある踏切については、鉄道事業者と道路管理者の間で改良の方法が合意できていなくても国土交通大臣が指定できるよう、仕組みを見直しをいたしました。

 また、地域の関係者等との協議会制度を設けまして、プロセスの見える化を行うとともに、改良の方法につきましても、立体交差等に加えまして、カラー舗装等の当面の対策や踏切周辺対策などを位置づけることができることといたしまして、踏切対策のより一層の促進を図ることといたしたところでございます。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 これまでは、あなた方で話をしなさい、まとまれば指定をしましょう、こういう考え方であったものから、まずは、問題があるのであればそれを指定しましょう、こういう考え方に変わったというのは、私は非常に大きな転換ではなかったかと評価するものであります。

 その上で、プロセスの見える化を図っていく、そうすることによって、関係している地域の方々から見れば、どういうことが行われているのか、いたずらな不安を呼び起こすこともなくなることでありましょう。

 さらには、どういうことをやっていくのかということについても、大体、踏切の改良には非常に多くのお金がかかってしまうと一般的によく言われます。しかしながら、そういう方法だけでなく、お金が余りかからない方法もあるよ、そうしたことも提案できるようになった、そういうことであろうかと思っているところでございます。非常に画期的かと思います。

 それでは、お尋ねをいたします。その新しい仕組みに基づきまして、全国で何カ所、指定がなされたんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 昨年三月に改正された踏切道改良促進法に基づき、昨年四月に、第一弾の指定として、それまで関係者の間で既に改良に向けた協議が行われてきておりました全国五十八カ所について指定を行っております。

 また、本年一月には、改正後の踏切道改良促進法に基づく本格的な指定といたしまして、いわゆるあかずの踏切等、今後改良すべき踏切道として全国五百二十九カ所の踏切道について指定を行いました。

 昨年の法改正において、課題のある踏切は、改良の方法が合意されていなくても国土交通大臣が指定できることとされたことを受けまして、従来の指定を大幅に上回る指定数となっております。ちなみに、法改正前の指定数は、五年間、平成二十三年から二十七年度の間で二百二十八カ所でございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、指定した踏切道の改良促進を図るとともに、残る課題のある踏切につきましても、現場の状況を勘案しながら、順次指定に向けた検討を行ってまいります。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 かつての五年間で二百二十八カ所であったものが、新法ができて以降、五百二十九カ所という、二倍以上になるような箇所を指定していただいている。こうしたことを見ただけでも、非常にこのことについて積極的にお取り組みいただいているということが理解できるところでございます。

 それでは、そういう中で、佐賀県内では何カ所指定がございましたでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 佐賀県内の指定された踏切道は、本年一月に指定された五百二十九カ所の踏切道のうち、四カ所ございます。

 内訳について具体的に申し上げますと、通学路で児童等の通行の安全を特に確保する必要がある踏切として三カ所、具体的には、砂原踏切、茅場踏切、柳鶴第三踏切でございます。地域の実情を考慮し、踏切道の改良による事故防止の必要性が特に高いと認められる踏切として一カ所、具体的には三国踏切でございます。これらの四カ所の指定を行ったところでございます。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 四カ所のうち三カ所が私の選挙区でございまして、いかにこうしたものについて必要な部分が多いのかということを改めて感じる次第でございます。

 その四カ所のうち、今局長からお話のございました小城市柳鶴第三踏切、この踏切などは、私も何度も現場に行って、この踏切を何とか改良することができないだろうかということで、地元の方とも話をし、踏切はJR九州でございますけれども、道路は小城市の市道でございますので、そういう関係者とも何度も話をしておりましたが、この新法ができるまでは、なかなか、ではこうすればいいねといった感じのまとまりというものを得ることができませんでした。

 この踏切においては、かつて人身事故が起きたこともあるというような踏切でございまして、まさに道が斜めに鉄道を横切っているという踏切でございます。地元の方々からこの早期の改良について非常に強い声が前々から上がってきたところでございまして、ぜひとも早急に改善されることを心から望むものでございます。

 そこで、お伺いいたしますが、この柳鶴第三踏切を初めとして指定された踏切、今後どのような手続がなされていくのでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 一般論としてでございます。改正後の踏切道改良促進法において指定された踏切道につきましては、平成三十二年度までに改良の実施または改良計画の策定が求められます。また、そのために必要な協議等の場として、改正法においては、鉄道事業者、道路管理者のみならず、地域の関係者も含めた踏切道改良協議会において地域一体となって協議する仕組みを取り入れておるところでございます。

 今般指定された踏切道につきましては、こうした協議会制度を活用し、地域の関係者と連携をして、地域の実情に応じた対策の検討が進められるものと考えております。

 国土交通省といたしましても、これらの取り組みによって地域の実情を踏まえた踏切対策が円滑に進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 今後、遅くとも平成三十二年度までに改良の実施あるいは計画の策定がなされるということ、それと、協議会方式というものをとっていくというのが一般的に行われるのではないか、そういうお話であったかと思います。

 では、早ければいつぐらいから実際にこうした動きが出てくるのでありましょうか。指定はされたけれどもなかなか動きがないというのでは、地元の人から見たら、いつまで待たせるんだ、そういう気持ちにもなられるかと思います。今後、どういうふうに、いつごろになって動いていくのか、その辺についても示していただければと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 早いものにつきましては、来年度から動きが出る可能性もございます。

 委員より言及のございました柳鶴第三踏切は、委員御指摘のとおり、道路の線形が非常に、鉄道と道路の交差角が鋭角になっておりまして、これを改善する必要がございます。

 この踏切については、市道の管理者でございます小城市とJR九州において、既に、鉄道と道路の交差角の課題に対応するために、具体的な改良内容等について調整をしているところというふうに伺っております。小城市からは、早ければ、平成二十九年度から設計に着手をし、平成三十年度以降に工事に着手する予定というふうに伺っております。

 以上です。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 地元の市、そしてJR九州がともに協議をしているということで、平成二十九年度から設計に入りたい、そして、早ければ平成三十年度に工事が着工されるようなこともというような、大変希望と期待の持てるお答えであったかと思います。それも、こうやって新しく法律が改正されたおかげであろうと思っているところでございます。

 と言いつつも、もともとこの話がまとまらなかった理由の一つとして、地元の市の方としてみれば、本来、非常に問題のあった踏切を改良していくのに、道路の部分については全て市が負担を単独でするということについてはなかなか市民の理解が得にくいんだ、何らかの形で国の支援等があれば非常に説明がしやすいんだが、こういったお話も伺っていたところでございます。

 そこで、お尋ねをいたしますが、改良するということになれば、特に道路側で費用が発生することになると思いますけれども、こうしたものに対してはどのような支援というものが考えられるのか、お示しください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 踏切道の改良につきましては、交通事故の防止及び交通の円滑化を図る観点から、重要な課題であると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、道路管理者が実施する踏切道の拡幅や線形改良等に対し、防災・安全交付金等により支援をしているところでございます。さらに、踏切道改良促進法に基づき指定された踏切の対策につきましては、防災・安全交付金を重点的に配分することといたしております。

 引き続き、踏切対策につきましては、地方公共団体の御要望を踏まえてしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

 以上です。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 防災・安全交付金を重点的に配分するということで、今の御答弁の中でも、そこの部分は強調しておっしゃっていたような印象を受けたところでございまして、しっかりと手続は地元の方でも進めていただきたいと存じますけれども、ぜひ、それだけまとまったものについては、国としても特に重点的にしていただければ大変ありがたく思います。ありがとうございました。

 それでは、二点目、河川の問題についてお尋ねをさせていただきます。

 六角川という川の治水対策についてでございます。

 この川は、佐賀平野を流れる川でございまして、最終的には有明海に注いでいます。流れる部分のほとんどは平たん部で、田園地帯の中を広がっていっておりまして、距離の割にはほとんど高低差がない、いわば、上流から下流に流れているというよりは、西から東に流れているといったような表現の方が正しいような、そういう河川でございます。

 有明海は干満の差が六メートルあります。これは日本一の干満の差なのでありますけれども、そういった状況でありますから、上流から下流に流れるというよりは、潮の影響で逆流するといったことも一日二回起きているような、そういう河川なのであります。そういうところでありますから、この周りの場所は以前から浸水被害の多いところで、水害常襲地帯などという呼び方をなされておりました。

 しかしながら、もちろん、このことに手をこまねいていたわけでなく、先人たちの御努力あるいは国のお力等がありまして、累次の取り組みのおかげで、つかる戸数が随分減ってきました。そのことについては、まずは感謝申し上げたいと思います。

 しかしながら、そうやって一生懸命、一生懸命対策を講じている一方で、今度は、雨の降り方が変わってきてしまいました。昔のような降り方であればそんなに浸水することもなくなっているはずなのに、残念なことに、そんなに浸水する回数は減っておりません。

 昨年の六月にも大変な豪雨がありました。私も、選挙区内の地域を、いろいろな河川の近く、あるいは危ないと言われているようなところ、そういったところをずっと見て回っておりましたけれども、この六角川の周辺の地域は有明海の潮位の影響を受けますから、もうちょっと雨が降り続けば氾濫しかねない、そんなようなお話もあって、本当にはらはらしていたところでございました。

 また、梅雨の時期、周辺の農地がつかっても、普通であればポンプで排水するわけでありますけれども、もう六角川そのものが非常に水位が高くなっているような状況で、とてもではないけれどもそこに排水することができない。どっちを優先するかというのは治水の悩みの常ではありますけれども、このことがしばしばこの地域では起きています。

 私の見るところ、こうした問題を根本的に解決していくためには、六角川の水位を、本川の水位を下げないことには解決できないと私は思っております。

 そんな中に、この六角川の沿川の武雄市内にある採石場の跡地を貯水池として使えないだろうか、そういう話が出てまいりました。

 計画によりますと、これを実現することによって、約三百五十万トンの水をためることができるとも言われています。これは、現在佐賀県内で計画され、このたび手続を進めることになりました城原川ダムの有効貯水水量とほぼ同じぐらいでございまして、まさにダム一個分水をためることができる。石をずっととっていった、いわば穴ぼこでそれだけのことができるのではないかということが言われているわけであります。

 しかしながら、もともとは採石場でございます。そこの地権者から土地を借りて、地元の石材業者さんがずっととっておられたわけでございますけれども、当然、区画、形質、随分変わっていくわけでありまして、そういう今の状態を前提にして権利関係を整理するというのは大変難しいことになっていたわけでございます。

 前々から、地元の方が河川事務所の方に、こういったことはできませんかねというお話があっても、いやいや、それは悪い話じゃないかもしれないけれども、でも、まずは権利関係を整理するために、筆界未定地と呼ばれる、きちんと土地関係の整理をしてから話をしに来てくれませんか、こう言われていたんですね。

 昨今の雨の降り方の変化によって、本格的にこの問題に取り組まなければならないということで、昨年、地元の武雄市では、この事業を進めていくための推進室、部屋をつくられました。そして、筆界未定地の処理をしていこうということで、ことしの一月には、その筆界未定地の処理が終わったと伺っています。

 つまり、国の方からは、まずはあなたたちがやるべきことをやりなさい、そう言われていたものについて、地元の方としては、そういう課題解決をしてみせた、そんなふうに言えるかと思っています。

 そこで、お尋ねであります。そもそも、このような採石場跡地を貯水池として活用できないだろうかという発想についてでありますけれども、現時点では、河川整備計画上は位置づけがなされているのかどうか、まずそこを教えてください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員お話しのとおりでございますが、六角川流域は、一時期約一万四千戸もの家屋が浸水をいたしました昭和二十八年六月洪水など、過去のたび重なる洪水によりまして甚大な浸水被害を受けてきた地域でございます。

 このため、堤防ですとか、あるいは十六カ所の排水機場、また牟田辺遊水地などの整備を進めてきたところでございますけれども、地域の安全、安心を確保するためには、さらなる河川整備が必要でございます。

 現在、採石場となっております地区を調整池として活用することにつきましては、平成二十四年八月に九州地方整備局が策定をいたしました六角川水系河川整備計画の中で六角川洪水調整池として位置づけ、六角川流域の浸水被害を軽減することとしております。

古川(康)分科員 既に、九州地方整備局においても位置づけをしっかりしていただいているということでございました。

 そして、先ほども申し上げましたように、一月十一日に登記完了をしております。そして、地元では、なすべきことをした、ワンステップ上がったということで、先日、二月十八日には、武雄河川事務所が地元で説明会を開催していただいたとも伺っておりまして、そのことに対しても感謝申し上げる次第でございます。何か先延ばしを狙っているんじゃないかというような声もありましたけれども、違うということがこれでわかっていただけたと思っているところでございます。

 では、問題は、この後でございます。

 説明会をしていただきました。次のステップに進んでいかなければなりません。地元は、とにかくこの事業が一日も早く進められるようにと願っております。この声に応えられるような事業の進捗の予定と予算の配分、これを心から願っているところでございますけれども、どのようになっているのか、お示しを願います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 六角川の洪水調整池の整備につきましては、河川整備計画策定後の平成二十五年度から測量を行いまして、現在、地質調査や概略設計を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、対象地区の土地に関する筆界未定につきましては、地元自治体の方々の取り組みによりまして整理が行われ、本年一月十一日に土地の登記が完了したところでございます。

 また、二月十八日には、関係者に対して、事業の概要について説明を行ったところでございます。

 引き続き、土地取得に向けた用地調査ですとかあるいは詳細な施設設計などを進めるとともに、地元自治体や関係者との調整を行うなど、早期整備に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 早期にという言葉にも、山田局長、力が入っていたように思います。ぜひとも、安心して暮らせる日々が来るよう、一日も早く完成することを心からお願い申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 民進党の岡本でございます。

 きょうは国土交通に関する質問を幾つかしていきますが、お手元にお配りをした資料がありまして、大臣に少しお伺いをしたいと思います。

 四ページ目以降に、今話題になっている豊中の航空局が所有していた土地の資料を入れましたけれども、そもそも、五ページ目のカラーになっているところ、この黄色の、豊中市土地区画整理事業の行われる直前でもあるこの資料、これはいつごろの資料だという理解ですか。

石井国務大臣 国土交通省提出の資料なのですが、私も詳しくは承知をしておりませんので。

 これは、豊中市における区画整理事業を実施する前の分布図、その当時の土地の分布図だと承知をしてございます。

岡本(充)分科員 大阪航空局補償課御中で応用地質株式会社が出した資料によりますと、その中で住宅地図が載っていて、その地図から推測すると大体いつだということがわかるということで私は聞いておりますけれども、年限を、いつの地図で、その下の赤い地図が一体いつなのかということをまず確認した上で議論を進めたいんですが、いつの地図だということでしょうか。

石井国務大臣 済みません。通告がなかったものですから、調べて、後ほど御報告させていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 そこは事務方にきちっとお話をして、この地図がおよそいつごろの地図であり、いついつとまでは言えないけれども、このころで、そして、赤い地図はいつのものだということの確認のもとで議論をすることになっておりましたので、そこは、せっかくきのう遅い時間まで質問通告をしてきたので、大変残念でなりません。

 そうしますと、その次の赤い色が塗ってある位置図というのも一体いつのものかということがわからない中で、議論をしなければならないということでしょうか。

石井国務大臣 いずれにしろ、委員の五ページ目の資料は区画整理を実施する前の分布図であり、六ページ目の資料は区画整理実施後の換地の計画図ではないかというふうに思います。時点については後ほど調べてお答えします。

岡本(充)分科員 大変残念でならないんですけれども、きちっとそれは事務方から聞いておいていただきたいと思いますが、私の手元にある補償課に来た応用地質株式会社の資料によると、平成八年から平成十二年までの間の地図でおよそこの黄色の図があり、そして、赤はその後の区画整理の事業だというふうに、私はきのう議論をしてきたわけでありますけれども、その前提でよろしいでしょうか。その後の質問につながらないんですけれども。

石井国務大臣 六ページのものは仮換地のときの図面ということで、平成十七年ではないかということでございます。五ページのものは、恐縮ですが、年次は今この時点では正確には把握してございません。

岡本(充)分科員 いずれにしても、土地区画整理の前の図だということでありますが、要するに、航空局が土地の管理をしていたところはこの黄色い土地であるということは間違いないということでよろしいですか。

石井国務大臣 これは、伊丹空港周辺の騒音対策の一環として、騒音対策区域内の住民からの求めに応じて、大阪航空局が昭和五十年より順次買い入れを行った土地であると承知をしております。

岡本(充)分科員 ここの土地の管理をしていたのが大阪航空局だったということであったとすると、今回ここでごみなり廃材なりが見つかったということだとすると、大阪航空局が所管をしているときにトラック二千台分とも言われている大量のごみがここに入れられた、こういう理解でよろしいですか。

石井国務大臣 この土地につきましては、今申し上げたとおり、移転補償跡地として大阪航空局が買い取りましたが、買い取った時点では更地として管理をしておりましたので、その時点で地下に何が埋まっているかということについては特段調査を行っておりませんでした。

 この土地を移転補償跡地として買い取ってから、豊中市において区画整理が行われ、換地を経て売却するまでの間に、外部から大量の廃材や生活ごみが持ち込まれた可能性は低いものと考えております。

岡本(充)分科員 ただ、言われている一万九千トンにも上るごみというのは、国交省がこれだけのごみがあるということを打ち出しているわけですね、計算したわけですね。国交省が依頼をして、それは国交省としてこれだけのごみがあるということをある意味承認した、それでよろしいですか。

石井国務大臣 国交省が依頼をしたものではなくて、近畿財務局からの依頼を受けたもので、大阪航空局において、近畿財務局と協議、調整しながら算定をしたものでございます。

 これは、もともとは騒音対策の土地として購入したものでございますが、その後、騒音対策の区域が外れたということで、大阪航空局が所有していた行政財産から普通財産に変えて売却をするということで、大阪航空局から近畿財務局の方に売却を依頼したわけです。

 近畿財務局が売却をする際に、本件土地の地下埋設物の撤去、処分費用について算出の依頼を受けて、大阪航空局において、近畿財務局と協議、調整をしながら算出、見積もりを行ったものでございます。

岡本(充)分科員 つまり、航空局として、この規模のごみがあるということをある意味了承しているということですね。この規模のごみがあったと推測されるということを認めている、こういう理解ですね。

石井国務大臣 今申し上げたとおり、この土地の地下埋設物の処分の一万九千五百トンというボリュームについては、近畿財務局からの依頼を受け、大阪航空局において、近畿財務局と協議、調整を行いながら、この土地が小学校用地であることも勘案をしまして、工事積算基準に基づき、この土地を瑕疵のないものとするために必要となると考えられる地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを行ったものでございます。

岡本(充)分科員 私が聞いていることに答えてください。

 ごみがこれだけあるということを国交省として認めている、こういうことでよろしいですか。認めているのか、認めていないのか。これだけのごみがあるということを認めているわけではないのか。それはどちらなんですか。

石井国務大臣 重ねての答弁になりますが、近畿財務局から地下埋設物の撤去、処分費用についての見積もりの依頼を受けて、大阪航空局において、財務局と協議、調整を行いながら、先ほど申し上げたような条件ですね、当該土地を瑕疵のないものとするために必要となると考えられる撤去、処分費用の見積もりを行ったものでございます。

岡本(充)分科員 答えていないんです。

 それは、だから、大阪航空局が試算をしたということは、国土交通省としてこれだけのごみがあるということを認めている、こういうことでよろしいですね。

石井国務大臣 認めているといいますか、見積もりを行ったということでございます。

岡本(充)分科員 では、その見積もりがほぼ正しいであろうというふうに国土交通省は考えている、それでよろしいですね。

石井国務大臣 これは、売却の担当をされる近畿財務局と協議、調整を行いながら見積もりを行ったものでございます。

岡本(充)分科員 もう時間がないから。

 行ったのはわかっているんです。それで、国土交通省として、この数字であるということについて協議をしたけれども、いや、こんなにあるはずがないという話にはならなかったわけですね。こんなにあるはずがないという話にならずに、国土交通省としてもその量で了とした、これでよろしいんですね。事実関係だけです。

石井国務大臣 この土地が小学校用地であるということ、さらに、この土地を瑕疵のないものとするために必要となると考えられる地下埋設物の処分、撤去をするということで、見積もりを行ったものであります。

岡本(充)分科員 これは答えてもらっていないので、きちっと委員長の方から言ってもらえますか。

 これは、国土交通省として、この数字でいいというふうに了解して、当然、財務局と一緒になって発表した、この理解でいいんですかと聞いているんです。

石井国務大臣 これは、国交省といたしまして、国交省といいますか大阪航空局ですね、大阪航空局が近畿財務局と協議、調整をしながら見積もりを行ったものでございます。

岡本(充)分科員 答えてもらっていないですよ。

赤羽主査 どちらがということではないんでしょう、今の答弁では。

岡本(充)分科員 国交省としてそれでいいかどうかを聞いているんだから、そこはちゃんと答えてもらわないと、次に行けないですよ。

 ちょっと時計をとめてもらえませんか。

赤羽主査 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

赤羽主査 では、時計を動かしてください。

 石井国土交通大臣。

石井国務大臣 一万九千五百トンという地下埋設物については、大阪航空局として、近畿財務局と協議、調整をした結果でありますが、見積もりを近畿財務局に報告したものでございます。

岡本(充)分科員 したがって、だから、大阪航空局としては、その量があったという理解をしているということだと。その次があるんですから、そこまでは認めてもらわないと。今そう言っているんですよね。

石井国務大臣 あったかどうかではなく、見積もりをしたものであります。

岡本(充)分科員 だから、その見積もりというのは、何でもそうなんですよ。見積もりとしてこういうような金額だ、こういうような量だ、その見積もりは、いや、これはさすがに見積もり過大だろう、少ないだろう、こういう話になるはずなんですけれども、それについて、国交省としてその量について異論は言わなかった、こういうことですね。

石井国務大臣 異論といいますか、先ほど言いましたように、近畿財務局と協議、調整を行いながら見積もりを行ったということであります。

岡本(充)分科員 本当にこれだけの量の廃材が入っていたとしたら、これは管理不行き届きということにならないんですか。

 これだけの埋設物が、要するに、更地にするときにはなかったわけでしょう。更地にして、その後に出てきたわけでしょう。それはやはり国交省が管理している間に入ったとしか合理性がないわけなんですけれども、それは国交省として管理不行き届きだったということにならないんですか。

石井国務大臣 これだけのボリュームの、一万九千五百トンですか、大量の廃材や生活ごみ、そのほかにコンクリートごみ、一万九千五百トン以外にはコンクリートごみもございました。そういったものが大阪航空局が移転補償跡地として買い取ってから持ち込まれた可能性は極めて低いと考えております。

岡本(充)分科員 そうすると、そこに大きな矛盾があるんですよ。では、一体どこからそれが来るんですか。

 昔からそれだけ入っていたとすれば、答えは二つしかない。昔からあって、それに更地にするときに偶然気づかなかった。それはさすがにないと思います。一方で、管理している間に入れられたこともないだろう。そうしたら、最後の三つ目は、一万九千五百がちょっと多過ぎたんじゃないかと私は思っているんですよ。

 それについて、大臣、どうですか。

石井国務大臣 恐らく、大量の廃材や生活ごみは、大阪航空局が移転補償跡地を買い取る前に土地の下に存在をしていたものだと思います。

 買い取った際は、物件を除去するだけですから、地下を掘るということは行っておりませんでした。上物を撤去する、撤去して更地として管理をしていたものでありまして、買い取った後に地下を掘るということはしておりませんでしたので、その当時、地下に大量の廃材や生活ごみがあるということはわからなかったんですけれども、今から振り返って考えれば、買い取る際に恐らくあったものであろうと想像がされるところでございます。

岡本(充)分科員 ちなみに、そういうことでいえば、ここの家は、では、いつ建ったんですか。この家の下にあったということですよ。この家が建った時代が何年前か知りませんけれども、昭和の五十年に既に建っている家というのは、昭和の三十年、二十年のころに廃材やプラスチックごみが既に大量にこの地下に埋められるような環境にあったのかといったら合理性はないし、大臣は上物だけと言ったけれども、考えてください。更地にするのに、ガス管や水道管だって掘るでしょう、立木だって抜くでしょう。それは掘らなきゃいけないんだから、掘ったことがないなんていうのはうそですよ。それはその当時はなかったということが推測される。

 きのう、それはレクの中でも原局の皆さんが、そこまではそうだ、こう言っておられたんですよ。何で大臣になると話が変わるんですか。

石井国務大臣 私が報告を受けているところでは、この土地は、かつて池や沼があったところであったと。ですから、それを埋め立てるプロセスにおいて、そういった大量の廃材、ごみが入り込んだ可能性がある、このように思っております。

岡本(充)分科員 時代が時代ですよ。埋め立てたのは、では、いつなんですか。その時代にそれだけのプラスチックごみがあったような時代ですか。

石井国務大臣 恐縮です。ちょっと年限は、今、はっきり申し上げることはできません。

岡本(充)分科員 地籍調査も行った、その地籍調査では問題がなかったときのう説明に来た役所の人は説明していましたよ。そんな今の大臣の話の池、沼の話はされなかった。

 もし本当にそうだったとしても、それを埋め立てて昭和五十年の当時に家になっているということは、少なくともそれ以前に埋め立てているわけですから。そういう意味でいったら、その時代に、コンクリートや、それから今のプラスチックの廃材など、こういったものが出てくるような時代だったのかどうかということも含めて考えると、私は合理性に乏しいと思いますよ。

 大臣、では、買い取ったときに責任があったのかなかったのかも含めて、国交省の責任はしっかり調査して、もちろん責任がないという結果もあり得ますが、検討はされるんでしょうね。

石井国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、大阪航空局が補償用地として買い取った後に大量のごみが持ち込まれた可能性は極めて低いと考えてございます。

岡本(充)分科員 私が言っているのは、買い取ったときに一定程度は掘っているはずなんです。大臣は掘っていないと言うけれども。

 更地にするのだって、ガス管や水道管、立木を抜いたときに掘るんですよ、何メートルか。そのときに、少なくとも何らかに出会っている。これだけの大量のごみがあれば、何かに出会っているはずですよ。ところが、何もそのときに報告がないまま更地になっている。大臣は掘っていないと言うけれども、掘らずに更地にすることは不可能ですから、実質的に。

 したがって、深さの深い浅いはあるにせよ、浅いところでも見つかっているわけですから、一定程度、そのときの調査のあり方、買い取りのときの評価のあり方を含めて、それは国交省の責任があるという話になってきますよ。いいんですか。

石井国務大臣 移転補償用地として買い取った後、物件、いわゆる上物を撤去して、更地として管理をしていたということであって、その下の、今おっしゃったいろいろな、コンクリート管なんかはあったかもしれませんけれども、そこについては手をつけていないと私は理解をしております。

岡本(充)分科員 立木を抜くのに掘らずに抜くわけですか。立木が立っている、庭木が立っているわけですよ。掘らずに抜くのはなかなか難しいと思いますよ、正直。大臣はそう言われますけれども。そういう意味で、私は、少なくとも、絶対に掘らなければ更地にはならないと思います、家屋敷。そういう意味で、いや、大臣は首をかしげるけれども、掘らずにすることは難しいですよ。

 とにかく、これは、国交省が買ったときにきちっと評価をしていなかったということについて、では、国交省としてどういう責任があるのかということは検討しなきゃいけないですよね。

石井国務大臣 買ったときの土地の評価等、大分年代もかわっておりますし、その間、御承知のように、土地区画整理事業があって換地がされているということもございますので、かつて買った土地と現在との一対一の対応関係にもなかなかなっていないというような状況もあろうかと思いますが、いずれにしろ、委員が御指摘されるような、買った後に大量のごみが持ち込まれたんじゃないかということはないというふうに思ってございます。

岡本(充)分科員 私も、買った後にはないと思っていますよ、多分。買った後にはないと思う。

 したがって、そもそも一万九千五百という数字が正しくなかったんじゃないかということを指摘しているわけであって、大臣は、一万九千五百は正しかったと。しかも、ある意味では、昭和の四十年代に大量のごみが持ち込まれて埋められたという意味では、どういったごみがあったのかということをしっかり確認するべきだったよね。そのごみの確認は、結局、国交省としてしていないわけですよね。どうですか。

石井国務大臣 移転補償の跡地を買い取りする際にどういう調査をやったかというのは、恐縮ですが、通告がなかったものですから調べておりません。調べて、また改めて御報告したいと思います。

岡本(充)分科員 時間も来ますから、この問題はまた引き続き聞かせていただきます。

 続いて、別の案件に行きます。

 一点目は、木曽川の河口堤防の整備状況。

 去年も私は聞きましたけれども、現在の木曽川の河口の左岸堤において、津波に対する安全性というのはどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 沿川に人口、資産の集積いたします木曽川の堤防の耐震対策は大変重要であると考えております。

 木曽川の左岸堤の堤防につきましては、これまで対策を実施してきた結果、未対策の区間も含めまして、地震により堤防が沈下した場合においても、高潮に対する高さは不足するものの、施設計画上の津波に対する高さを確保できる状態となっております。

 一方、木曽川の右岸でございますけれども、この堤防につきましては、これまでも順次対策を進めてきたところでございますが、一部未対策の区間におきまして、地震により堤防が沈下した場合、施設計画上の津波に対する高さが確保できない区間が存在をしているという状況でございます。

岡本(充)分科員 これは去年の国会質問で少しそごがあって、今回改めて聞きたいんです。

 今回、去年の私の国会質問を受けて、木曽川、長良川、揖斐川、庄内川、それぞれの河川の千年に一度のレベル2と言われる大規模な降雨時の浸水想定を出していただきましたが、それぞれの河川一本ずつなんですね。これはやはり複合的に見る必要がある。千年に一回なので、広い範囲で雨が降る。したがって、複合した場合はどうなのか。

 それから、もっと言えば、県管理の日光川などの河川も同時に溢水する、もしくは破堤する可能性も否定できないわけですから、こうした県管理の河川との兼ね合いを含めた総合的な、複合的な浸水想定図を早急につくる必要があると思いますが、技術的に可能なのか、そしてこれからつくっていく予定があるのかを御答弁いただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 想定最大規模の洪水浸水想定区域図の作成は、水防法及び関連マニュアルに基づきまして、河川ごとに行うことを基本にしております。日光川を管理している愛知県からは、今後、想定最大規模の浸水想定区域図の作成に着手予定と聞いているところでございます。

 委員御指摘のような計算につきましては、まずは、日光川を管理する愛知県等とも相談をいたしまして、愛知県における検討状況も踏まえつつ、どのような検討が必要か整理してまいりたいと考えております。

岡本(充)分科員 ぜひ、その整理に当たってはきちっと説明をしていただくようにお願いをしたいと思いますが、局長、説明をしっかりしていただけますか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 検討につきましては、一定の整理がつきましたら御説明をさせていただきたいと考えております。

岡本(充)分科員 よろしくお願いします。

 続いて、液状化対策も重要なんですが、私の資料の一ページ目にある液状化対策事業、平成二十五年から予算としてあるものの、これまで大津市で液状化マップをつくったのみにとどまるという、ある意味、皆さんに大変選んでもらっていない事業だと思います。これではまずいということで、去年も質問しているんですが。

 そもそも液状化対策が進まない理由は何なのかというと、面状にべたっと液状化しますよと見せられても、なかなか対策を全部するのは難しい。液状化はここがポイントだとか、こういう対策が効果的だとか、取っかかりはどこにあるのかということをやはり言わないと、面で全部液状化対策をしろ、しかも、自己負担というか地元負担が発生するという話になると、なかなかかかれないというところがあると思いますから、少し研究して、どのような対策が効果的か整理をしつつ関係自治体に示すことがいいんじゃないかと思うんですが、これについてどうですか。

栗田(卓)政府参考人 宅地液状化防止事業、ますます制度を使っていかなくてはいかぬという観点からの御指摘でございます。

 まず、現状についての認識でございます。

 なかなかこの事業の利用が進まない、御指摘のとおりでございますが、液状化に対する住民の認識がさまざまである中で、その重要性などについて、これまで必ずしもわかりやすく説明できていなかったということがまず一つあるかと思います。

 また、これも委員お触れになりましたけれども、自治体にとってみますと、そのような住民理解の中で宅地液状化防止事業をするといっても、どこから優先的に対策に取り組んでいったらいいのか判断しにくい、また説明しにくい、こういったこともあろうかと思います。

 このため、昨年の委員の御指摘も念頭に置きながら、平成二十八年度、調査の中で検討しております。

 その中身は、まず、液状化の危険度をあらわす液状化マップにつきまして、危険度の区分をより詳細化したり、あるいは縮尺を大きくして、自分の家屋の危険度をより明確化する、こういったことでより状況、現状が伝わりやすくする、こういった工夫が必要なのではないかという検討を行っています。

 こうした検討によりますと、液状化対策をどこから進めるべきかという判断にも寄与することができると考えております。

 我々としましては、この検討の成果も手がかりとしまして、液状化対策の優先度が高いエリアで事業に取り組む先導的な地方公共団体に対しまして必要な技術的支援を行います。その事例等も整理、分析した上で情報提供を広げまして、液状化対策に取り組む団体をふやしてまいりたいというように考えておるところでございます。

岡本(充)分科員 今お話しされたけれども、私の質問は、どこに液状化対策をするのが効果的かというのをきちっと国の機関なり大学なりで研究してもらって、そうした取っかかりをつくるべきだと言っているんです。それについてどうですか、端的に。

栗田(卓)政府参考人 そういったことが一つ一つの自治体の現場におきまして、いろいろ実施、アプリケーションが可能になるような、我々としての技術的知見の提供に努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)分科員 続いて、名古屋市の市営地下鉄桜通線の延伸の件です。

 これも、平成の四年ですか、皆さんのお手元の二ページ目ですけれども、こちらに「名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」、これは平成四年一月十日の運輸政策審議会答申第十二号ということですけれども、二十五年、四半世紀たっていますが、そもそも、目標としていた二〇〇八年、平成二十年の目標年次について達成したかどうかについてのいわゆる総括もしていないし、そしてまた、次にどうしていくのかということについても議論が行われておりません。

 名古屋圏のいわゆる鉄道整備、これは望んでいる自治体もまだあると私は考えておりまして、名古屋市や愛知県、また三重県、岐阜県に聞くということよりは、名古屋の周辺の市町村の意見もきめ細やかに聞きながら、本当に必要なのかどうかということについて再度検討していく必要があるのではないかと思っています。

 お手元の地図にありますように、中村区役所から七宝まで延ばすと言っていた鉄道の路線は、答申路線のBということで、目標年次、平成二十年までに整備の推進を図ることが適当である路線、ただし、括弧して、需要動向や投資能力等から開業時期を現時点で特定はできないが、目標年次内において事業化のための諸課題の解決に努め、整備の推進を図ることが適当である路線とされていたにもかかわらず、それ以来全く何も手をつけられていないというこの状況です。

 そういう意味で、四半世紀たった今、また、これから先、名古屋圏は車で移動する方も多いと言われていますが、車で移動される方が鉄道に移っていただければ、例えばCO2削減でも一定の効果があることも想定されるわけでありますから、検討する、しかも、周辺自治体の意見をきめ細やかに聞く、こういう方針でよろしいでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、答申のフォローアップを行うということは重要であろうかと考えておりまして、平成四年の運輸政策審議会答申第十二号につきましては、平成十七年及び平成十八年に、未整備路線の今後の整備方針等について、地方公共団体、鉄道事業者等に対して調査を行ったところでございます。

 国土交通省といたしましては、さらなる鉄道の利便性向上に向けて、今後とも、答申の進捗状況を把握いたしまして、引き続き、関係する地方公共団体、鉄道事業者等と意見交換を行うことを初め、答申内容のフォローアップに努めてまいりたいと思っております。

 また、そういった過程では、沿線のさまざまな自治体がございます、そういったところの自治体の御意向についても幅広く把握をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)分科員 いずれにしても、周辺自治体、名古屋以外の自治体の意見もしっかり聞いていただきたいと思います。

 最後に新濃尾大橋の質問をする予定でありましたけれども、最後に要望です。きちっと事業評価をしながら確実に事業を進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。

赤羽主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 玉木雄一郎です。

 まず、地元案件二件について質問します。

 今回で七回目の質問ですけれども、坂出北インターチェンジのフル化の進捗状況について伺います。

 夏にも実施計画が取りまとめられるというふうに認識をしておりますけれども、現在の状況を教えてください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 坂出北インターチェンジにつきましては、現在、四国から本州に向けた出入りのみの構造でございます。

 このインターチェンジのフル化につきましては、国としてその必要性が確認できたことから、平成二十七年度より、国も調査を実施する準備段階調査に着手してございます。

 平成二十七年八月に、国や坂出市、関係機関で構成される準備会を設置いたしまして、現在まで七回開催いたしました。インターチェンジの設置位置や周辺交通への影響等についての概略検討を終え、現在、インターチェンジの詳細検討を進めているところでございます。

 この検討に当たりましては、既設のインターチェンジ付近が高架構造になっておりまして、取りつけ部の高低差が約二十五メートルございます。また、既設のハーフインターチェンジをフル化するため、既存のランプや生活道路等もあり、取りつけ方法に制約が多いということでございまして、こういう条件のもとで、ランプの形状などについて、交通の安全性を確保すべく、関係機関と現在鋭意協議を重ねているところでございます。

 以上です。

玉木分科員 三カ所ぐらい、候補地、どこになるのかということで検討が進められたと伺っておりますが、大体一カ所に絞られてきたという認識なんです。前回、十一月に私は同じ質問をしましたが、同じような答弁ですね。もう少し前にぜひ進めていただきたいなと思います。

 前回、御答弁いただいた際に、完成までに平均的には五年程度かかるということでありましたけれども、経済的な効果あるいは防災面の観点からも有益でありますので、ぜひしっかりとこれをスピードアップしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 坂出北インターチェンジにつきましては、これまで玉木委員より、七回にわたり国会において御質問をいただいてきたところでございます。

 スマートインターチェンジは、既存の高速道路の有効活用や地域の活性化に重要な施策でございまして、平成二十九年一月末時点で、八十七カ所で開通済み、七十一カ所で事業中でございます。

 このスマートインターチェンジ制度を活用して、現在、四国から本州に向けた出入りのみの構造である坂出北インターチェンジをフルインター化することにより、例えば、坂出港や臨海工業団地などから四国全体に向けての物流ネットワークが強化され、産業の活性化や企業誘致につながる等の効果が期待されるものと認識をしております。

 国土交通省といたしましては、坂出北インターチェンジに関しまして、今局長が御説明申し上げたように、平成二十七年から準備段階調査を進めております。引き続き、地元地方公共団体や関係機関と連携をしながら、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

玉木分科員 これは、ずっと私、取り組んできたので、一日も早く実現したいなと思っています。

 太田前大臣は現地に来てくれました。ここがそうなんだねということで、私も一緒に視察をさせていただいたんですけれども、機会があれば、石井大臣、ぜひ一度香川県に、飛行機じゃなくて、後で飛行機の話もしますけれども、橋を渡ってくると見えますので、瀬戸大橋を通りながら香川県に来ていただきたいなと思っております。

 次に、高松空港の民営化、これは仙台空港に続いて二つ目の事例であります。非常に関心も高いですし、新しい、民間の活力を生かした空港経営ということで、私も推進を応援していきたいと思っておりますが、この推進状況についても教えていただきたいと思います。

 一月に一次審査が終わり、三つの事業者に絞られたという認識ですが、八月ごろに二次審査をして最終的な優先交渉権者を選定する、こういうスケジュールで進んでいるという理解でよろしいですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、空港サービスの向上や航空ネットワークの充実を図るため、滑走路とターミナルを民間企業に一体経営させる空港運営の民間委託を進めているところでございます。

 御質問の高松空港につきましては、御指摘のとおり、現在、空港運営を委託する事業者の公募手続を進めておりまして、昨年十二月に提案書類の提出を締め切りましたが、六つのグループから応募がございました。

 その後、国土交通省が設置いたしました有識者委員会における第一次審査を経まして、本年一月に三つのグループに絞り込んでおり、現在、この三つのグループとの間で、契約条件の協議等を行う競争的対話というものを行っているところでございます。

 今後、六月ごろにこの三つのグループから最終提案を受け付けまして、第二次審査を経て、八月ごろに優先交渉権者を選定する予定としてございます。

 国土交通省といたしましては、高松空港の活性化が図られますように、平成三十年四月からの運営委託開始に向けまして、着実に手続を進めてまいりたいと考えてございます。

玉木分科員 ぜひこれは進めたいと思います。公的な運営しかできないと、お荷物の空整特会で赤字が多い空港の中で、民間の力を使って自主的に回すことができれば、これは財政再建にも非常に貢献することになるので、ぜひ積極的にやっていただきたい。

 その上で、一つまた注文をつけたいと思うんですが、私、この前も、高松空港、飛行機が来なかったんですよね。つまり、霧でなかなか着陸できないということで、いわゆるCAT3のILS、これを民営化する前に導入して、空港利便を高めていくということをぜひやるべきだと思うんです。

 民間になるとそういったところの投資がなかなかしづらくなるのではないかなとも思うので、これは優先順位があるということは前回も答弁いただいていますけれども、CAT3のILS、計器着陸装置でありますけれども、香川県も、確認したら知事も前向きにやりたいと言っていますので、高松空港を民営化するというその事情を勘案して、ぜひこれは、積極的に推進、あるいは整備の支援を行っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 高松空港、比較的標高の高いところでございますので、私も、利用するときには、本当にちゃんと着陸できるのかどうか、心配をしながら行くということが時々ございます。

 従来から、濃霧等により欠航や遅延が頻繁に発生する空港には、視程が悪いときでも航空機の着陸を可能とする高カテゴリーの計器着陸装置、ILSを整備してきたところでございます。

 御指摘のとおり、空港の就航率の向上や定時運航の確保は、航空利用者の利便性の観点から重要な課題であるとともに、空港の魅力向上を通じ、空港運営の民間委託の推進にも資するものと考えております。

 高松空港におきましては、空港周辺に急峻な谷があるという地形的な特性上、カテゴリー3のILSの設置等に必要な用地の確保に工夫が必要となっております。

 国土交通省といたしましては、カテゴリー3のILSの整備につきましても、地元香川県ともよく相談をいたしながら、費用対効果も勘案しつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

玉木分科員 ぜひ積極的にやっていただきたいと思っております。

 あと一点、国土交通省にちょっと確認したいのは、社会資本整備総合交付金なんですけれども、まず事実関係を確認したいんですが、四十七都道府県で一番交付が多い先はどこですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会資本整備総合交付金、平成二十八年度当初予算における配分額が一番多い都道府県は東京都でございます。

玉木分科員 一番少ないところはどこですか。

吉田政府参考人 一番少ない都道府県は香川県でございます。

玉木分科員 そうなんですよ。香川県は小さいから、しゃあないかなというところはあるんでしょうけれども、一位は東京なんですよ。実は、愛知県とか神奈川県とか大阪府、これも上位にあるんですね。

 マスコミを含めて一般の人は、公共事業系のお金というのは、田舎にどんどん行って無駄なものがつくられているという一般的なイメージなんですけれども、客観的に見ると、今、どんどんどんどん、いわゆる都市部にこの社会資本整備総合交付金というのは結構流れ込んでいるわけですね。

 ですから、私、ここは、もちろん効率的な配分ということは大事なんですけれども、地域創生ということも言われておりますし、少し違った観点で配分をしていく、あるいは継続事業に少し配慮するとか、いろいろな観点で、少し、地域を元気にするような配分のあり方もぜひ考えていただきたい。これは要望をしておきますので、大臣、ぜひ頭の片隅に、香川県が最下位だということをちょっとどこかに置いておいていただいて、行政執行していただければなと思っております。

 さて、航空局にお話を伺いましたが、別の観点で航空局に伺いたいと思います。昨今、メディアでもよく取り上げられている大阪の私立小学校の設立に関する国有地の売却の件です。

 これは近畿財務局がいろいろ対応しておりますけれども、もともと旧空整特会の持ち物でありまして、その意味では、大阪航空局と近畿財務局が一緒になって、この国有地の払い下げ、売却、ここにかかわっているということで、国土交通省、国土交通大臣にもお伺いをしたいと思います。

 これはいろいろ事案があるんですけれども、問題は、学校をつくろう、小学校をつくろうという学校法人に国有地を売却したんですけれども、それが、不動産鑑定士に見てもらったら九億円以上する、しかし、土の中に埋設物があって、それを取り除くのに八億円ぐらいかかるということを航空局と近畿財務局が認定したので、その分を控除して、差額の一億三千万ぐらいを売買代金として契約を結んだ。

 ちなみに、隣の同じような面積の、今、豊中市に公園として売却されたところは十四億円で売却されているので、何でこんなに安いのということを多くの人が思っているので、きちんと説明責任を果たさなければいけないということで私もお伺いしているわけです。

 そこで、伺います。

 この八億円の埋設物の撤去費用に関して、昨年三月十一日に新たな埋設物が発見されたと学園側から連絡があった後に、三日後の三月十四日に近畿財務局と大阪航空局が一緒に現地確認に行ったと報告を受けております。航空局としては、具体的に何カ所、試掘の場所を確認しましたか。

 というのは、埋設物が出てきたのは二回目なんですね。前回埋設物が出てきたときには、いろいろ調べて、平成二十二年の報告書をいただいておりますが、国土交通省大阪航空局、大和探査技術株式会社というところが報告をまとめているんですが、その際は、同じ面積のところを地中レーダー探査によって六十八カ所の試掘をしたというふうな報告になっていますね。

 今回は、これは航空局の資料ですけれども、敷地内の試掘箇所から、地表から三・八メートルの場所でごみの地層の存在が確認できるという記述があります。この敷地内の試掘箇所というのは、前回は六十八カ所でしたけれども、今回は何カ所ですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、三月十一日に、森友学園から近畿財務局に対して、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程において新たな地下埋設物が発見されたという連絡があったということでございます。これを受けまして、大阪航空局では、三月の十四日に、近畿財務局や現場関係者とともに現地に赴いたということでございます。

 それで、今おっしゃいました三・八メートルというのは、実は、この三月十一日に連絡があった件ではなくて、三月十一日のときは、実は、九・九メートルの深さのくい打ちを行った過程において新たな地下埋設物が発見されましたという連絡があったので、我々が現地に行ったということでございます。

 三・八の方は、実は、その後に、私どもが近畿財務局から地下埋設物の撤去処理費用の見積もりを依頼されまして、その後、くい打ちの箇所につきましては、先ほど委員御指摘の、九・九メートルのところから出てきたというお話があったんですけれども、それ以外のところはどうなんだろうかということを検討しなきゃいけないということになりまして、それで、平成二十二年の調査では、三メートルのところまではそういったものが見受けられるという調査だったので、私どもの認識によりますと、大阪航空局から聞いておりますのは……(玉木分科員「では、何カ所ですか。九・九でいいです」と呼ぶ)これは実は、工事事業者の方で試掘というか穴を掘っておるようでございまして、私どもが聞いておりますのは、八カ所というふうに聞いておるところでございます。

玉木分科員 これは、具体的に、写真などを撮って確認されていますか、航空局。

佐藤政府参考人 昨日、現場で民進党の委員の先生方に御視察をいただいて、そのときに、近畿財務局と大阪航空局とで一緒に御説明を差し上げました。そのときに、近畿財務局から写真の提出が何枚かあったと承知をしてございますけれども、あの中の三月三十日付の写真が工事事業者の行った試掘の関係の写真であるというふうに近畿財務局から聞いてございます。

玉木分科員 いや、私、三月三十日のことは聞いていません。

 三月十四日に近畿財務局と大阪航空局が行ったときに、どこを確認したのかということをきのう答えていただかなかったので、本省で聞いてくださいと言われたので、本省に今聞いているので、この赤の線で描かれている中のどこを確認して、学園側が言ってきた埋設物があったんだと。何でかというと、その後、それがあるからといって、全部やろうといって、八億円差っ引くその根拠となる一番最初の確認ですよ。

 これは、どこでどのような形で埋設物を確認したのか、もう一度明確にお答えください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘は、森友学園から近畿財務局に対して、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程において新たな地下埋設物が発見されたとの連絡を受けて、三月十四日に行ったときのお話ということでお答えをいたしますけれども、三月十四日につきましては、現地におきまして、大阪航空局は、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程で発見された地下埋設物はこれですよというふうに工事関係者から説明を受けたというふうに承知をしているところでございます。

玉木分科員 いや、それはきのうも聞きました。こうやって、ここですよ、盛り上げた土はこうですと言うんですけれども、どのくいですか。どこのくいですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 どこのくいかということについては、今、手元ではわかりません。

 それで、今、大阪航空局と近畿財務局におきまして、どのような現地における確認を三月十四日にやったのかということについてさらに確認をしているところでございまして、新たな情報が出てきた場合には、情報提供させていただきたいと考えてございます。

 それから、先ほど、冒頭委員おっしゃいました三・八メートルの方……(玉木分科員「いや、それは聞いていない」と呼ぶ)失礼しました。

玉木分科員 いや、ちょっとびっくりなのは、もう四月から開校しようとしているんですよ。きょう臨時審議会が開かれて、三月にもう一回、大阪府の私立学校審議会が開かれる予定になっているんですけれども、八億円引いて、一億三千万ぐらいで売買契約を結んでやっているわけですよね。その八億円を控除する、差っ引く根拠となる埋設物の確認について、どうやって確認したか、今から確認するんですか。

 私は物すごくシンプルなことを聞いているんですよ。ここに、ここ掘れワンワンじゃないけれども、掘っていたら、さらに、平成二十二年に言ったものとは別のものが出てきました、だから少し土地の値段を下げなきゃいけませんねといって、こういうものがここで出てきましたというのを両局が確認に行ったわけですよね、近畿財務局と航空局が。どこでどのような埋設物を確認したんですか。それをもう一回明確にお答えください。校舎のどちら側とか、西側、東側とか、特定しているはずですよ、これは。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十四日において、現地におきまして、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程で発見された地下埋設物であるという説明を受けたということでございますけれども、それが地図のどの地点であったかということについては、現在、申しわけございませんが、私は資料を持ち合わせておりません。

玉木分科員 私、これは通告していますよ、明確に。きのうも、近畿財務局と大阪航空局がいる間に全く同じ質問をしています。その場で答えられなかったので、もう一度、きょう分科会があるので、ほかに地元のこともいっぱい聞きたいんだけれども、きのう不明確だったので明確にしなきゃいけないということで聞いたので、今の時点でわからない、資料を持っていないじゃなくて、資料を持ってきてくださいよ、あるなら。とめていいから。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、大阪航空局と近畿財務局と先生方とやりとりさせていただいたときの、場所はどこかというのは、実は、九・九メートルのくい打ちの方ではなくて、あの写真で言っておられたのは、六・八メートルの、さっき申し上げました八カ所の試掘のうちのどこかということでありまして、あの図面で言いますと……(玉木分科員「六・八メートルって何ですか」と呼ぶ)失礼しました。三・八メートルの試掘の場所のうちのどこで三・八メートルのところまでごみが出てきたのかという御質問でありまして、それに対しては答えられなかったんですが、その箇所は、調べましたところ、当時提出されていたところの1と書いてある写真の箇所だということは把握をしてございます。

玉木分科員 1というのはどこですか。だから、写真がないんですよ。

 八億円を差し引くことになる一番最初の確認作業ですよ。そこがどこで、どのような埋設物が出てきたのかについての確認をとっておられないんですか、写真も含めて。

赤羽主査 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤羽主査 速記を起こしてください。

 佐藤航空局長。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 三月十一日に、森友学園から近畿財務局に対して、九・九メートルまでの深さのくい打ち工事を行った過程において新たな地下埋設物が発見されたとの連絡を受けて、三月十四日の日に近畿財務局や現場関係者とともに大阪航空局が現地に赴いたときの写真は、昨日、十一カ所の写真を提供してございますけれども、そのうち、どこから、どこの穴から地下埋設物が出てきたかということについては、まさに先ほども申し上げましたけれども、私どももまだ聞いてございません。

 ただ、昨日ずっと、何番なんだ、これは一体何番から出てきたんですかということを言っておられましたけれども……(玉木分科員「何番というか、どこかということ」と呼ぶ)はい。それは三月三十日の方の写真ではなかったのでございますか。(玉木分科員「三月十四日のことを聞いているんです」と呼ぶ)私どもは、現場の人間も、三月三十日の方の写真だと考えたということなのでございますけれども。

玉木分科員 ちょっと済みません、意味不明なんですけれども。

 もう一回言いますよ。

 森友学園から、新たな埋設物が発見されましたという連絡を受けたのが昨年の三月十一日、三日後の三月十四日に近畿財務局と大阪航空局が一緒になって現地確認に行ったという説明を我々は受けているんです、皆さん。私は、三月三十日のことはきのうも全く質問していません。一番最初に現地確認したときに、三月十四日の現地確認で、ああ、確かに埋設物があるなと確認したのは一体どこなのですかというシンプルな質問をしています。

 今、ちょっとわかりにくかったんですが、前段の方で、三月十四日のことについては今はわかりませんという答えで、その後、三月三十日のことでどうだこうだという話があったんですが、もう一度伺います。

 三月十四日に現地確認したときに、埋設物が、ああ、確かにここにあるというふうに確認した場所はどこですか。

 ちょっととめてください。

赤羽主査 はい、速記をとめましょう。

    〔速記中止〕

赤羽主査 では、速記を起こしてください。

 玉木雄一郎君。

玉木分科員 では、それは整理をしていただくということで、ここはちょっと次に進みたいと思います。

 もう一点、きのう現地に行って見てきたんですが、一万九千五百トンの処理をしなければいけないということになっています、この八億円の根拠は。これは、計算すると、ダンプカーが何千台もやらないと多分搬出できないということなんですが、結構近所まで、マンションがあったり、閑静な住宅街とは言いませんけれども、人がたくさん住んでいるんですね。地域に住んでいる人とか、公園にいらっしゃる方とかにお話を聞いても、そんなたくさんのダンプカーは見たことがないと言うんです。

 伺います。

 この八億円の根拠となった一万九千五百トンのある種の埋設物の運び出し、処理、これが現に行われたかどうかということを大阪航空局あるいは国土交通省として確認しておりますか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 大阪航空局は、近畿財務局と協議、調整を行いながら、本件土地が小学校用地であることも勘案し、工事積算基準に基づき、当該土地を瑕疵のないものとするために必要となると考えられる地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを行ったということでございます。すなわち、土地の価値を算定するに当たりまして、想定しておくべき撤去、処分費用を見積もったということでございます。

 大阪航空局は、この地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを近畿財務局に報告いたしまして、その後、近畿財務局が、この見積もりを踏まえ、不動産鑑定評価等に基づき、売却価格、時価を決定し、売却したというふうに承知をしてございます。

 売却後の土地の扱いにつきましては、大阪航空局としては承知をしておりません。

玉木分科員 では、大阪航空局としては、契約を結んだ後、実際にその埋設物の処理作業が行われたか、あるいはどのような作業になったかということについては、確認もしていないし、確認する立場にもないということでよろしいんですかね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの大阪航空局は、近畿財務局から撤去、処分費用の見積もりの依頼を受け、それを近畿財務局と協議、調整を行いながら見積もりを行い、見積もりの結果を近畿財務局に報告をし、その結果を受けて近畿財務局が売却したということでございますので、売却後の土地の扱いにつきましては、大阪航空局としては承知をしていないということでございます。

玉木分科員 もう終わりますけれども、でも、一応、この土地の所有者は航空局さんですよね。そこはちょっと、余りにも無責任かなと思いますし、少なくともそこは報告を受けるというようなことで、現にきちんとそういうものが運び出されたのか。例えば、産廃マニフェストみたいなものをちゃんと確認すれば、現にどれだけの量が運び出されたかは確認できるはずです。ですから、そこはちょっと、人ごとみたいに言わないで、しっかりとチェックをしていただきたいなと思います。

 最後に、済みません、一問だけ。

 大臣、きのうも航空局で聞いたんですが、この件に関して、何か政治家からの働きかけがあったかどうか、このことだけ最後にお答えいただけますか。

赤羽主査 質疑時間が終了しておりますので、端的にお願いします。

石井国務大臣 委員が御指摘いただいたようなことはなかったと聞いております。

玉木分科員 きょうも審議しましたけれども、なかなか納得ができないので、また引き続き整理をしていただいて御説明いただきたいと思いますし、国会での調査審議を進めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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