衆議院

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第1号 平成30年2月23日(金曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成三十年二月二十一日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      今村 雅弘君    竹本 直一君

      盛山 正仁君    落合 貴之君

      稲富 修二君    竹内  譲君

二月二十二日

 竹内譲君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 竹内  譲君

      石原 宏高君    今村 雅弘君

      木村 弥生君    繁本  護君

      竹本 直一君    堀内 詔子君

      宮路 拓馬君    盛山 正仁君

      和田 義明君    落合 貴之君

      海江田万里君    高井 崇志君

      中谷 一馬君    松田  功君

      稲富 修二君    大島  敦君

      城井  崇君

   兼務 大口 善徳君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 田村 貴昭君 兼務 浦野 靖人君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通副大臣      あきもと司君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  桑原振一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  米山  茂君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         重田 雅史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    中島  敏君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 江口 博行君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     和田 義明君

  竹本 直一君     堀内 詔子君

  落合 貴之君     高井 崇志君

  稲富 修二君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     石原 宏高君

  和田 義明君     宮路 拓馬君

  高井 崇志君     海江田万里君

  城井  崇君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     木村 弥生君

  宮路 拓馬君     繁本  護君

  海江田万里君     中谷 一馬君

  大島  敦君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     竹本 直一君

  繁本  護君     今村 雅弘君

  中谷 一馬君     松田  功君

  緑川 貴士君     井上 一徳君

同日

 辞任         補欠選任

  松田  功君     落合 貴之君

  井上 一徳君     稲富 修二君

同日

 第一分科員中野洋昌君、第六分科員田村貴昭君、第七分科員大口善徳君及び浦野靖人君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

竹内主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 国土交通省関係の平成三十年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 一般会計予算の国費総額につきましては、五兆八千四十七億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省の関係予算は、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費四千五百六十四億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 また、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として、三兆三千九百八十一億円を予定しております。

 次に、平成三十年度の国土交通省関係予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 気候変動の影響により激甚化、頻発化する災害や切迫する巨大地震等から国民の生命と財産を守ることは最重要の使命です。

 また、成長と分配の好循環の拡大に向けて、生産性革命の推進により、人口減少下でも生産性向上による持続的な経済成長を実現するとともに、アベノミクスの成果を十分に実感できていない地域の隅々までその効果を波及させる必要があります。

 こうした認識のもと、平成三十年度予算におきましては、東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨等による被災地の復旧復興、国民の安全、安心の確保、生産性の向上と新需要の創出による成長力の強化及び豊かで活力のある地域づくりの四分野に重点化し、施策効果の早期発現を図ってまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元の印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

竹内主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石井国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内分科員 ただいまは、石井国土交通大臣より御所管の予算概要の御説明を賜りまして、ありがとうございます。

 本日は質問の機会を頂戴いたしました自由民主党の堀内詔子です。本分科会のトップバッターとして質問させていただく機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 本日は、二月二十三日、二二三、富士山の日でございます。本日の質問のまず初めに、富士山の防災について質問させていただきたいと思います。

 火山噴火による被害は多岐にわたっておりますが、噴火に伴う直接的な被害とともに、その後の火山灰などの流出に伴う土砂災害が懸念されるところでもございます。

 国は、平成二十七年に活火山法を改正し、平常時から噴火に備えた対策を進めています。富士山においても、国土交通省、山梨県、静岡県において富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画が検討され、平成三十年度以降に、雨による土砂災害対策に加えて、火山噴火による土砂災害対策を実施すると聞いております。早期の事業着手が地元からも期待されており、今月、二月十五日には期成同盟会の総会が開催され、噴火対策の推進に関する決議文が採択されているところでもございます。

 つきましては、富士山における火山噴火対策砂防事業の今後の実施概要とあわせて、事業着手に向けた現在の状況をお伺いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 富士山におけます土石流対策につきましては、静岡県側で直轄砂防事業を実施しているところでございますが、降雨による土石流対策に加えまして、噴火による広域的で甚大な被害の発生に備え、国、静岡県、そして山梨県では富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画の検討を進めておりまして、三月中に公表する予定でございます。

 この計画におきまして、噴火後の土石流等に対して、沈砂地の整備ですとか、あるいは緊急時の応急的な対応を目的としたコンクリートブロックの備蓄などのハード対策を定めるとともに、富士山火山砂防対策協議会で定めた広域避難計画に基づく訓練等を関係機関と連携して実施するなど、ハード、ソフトの両面から対策を進めることとしております。

 また、昨年十二月には、当計画に基づく山梨県側も含めた直轄砂防事業の対応方針案について、中部地方整備局が開催した第三者委員会で御審議いただいたところでございます。

 現在御審議いただいております平成三十年度予算の成立に合わせて迅速に事業が実施できるよう、関係機関と綿密に連携して、万全を期してまいりたいと考えてございます。

堀内分科員 ありがとうございます。

 事業実施計画に向けて、さまざまなことを期待させていただいております。ありがとうございました。

 また、富士山は、その雄大で美しい姿から、芸術面でも多くの人々にインスピレーションを与えてまいりました。そして一方、人々の信仰の対象でもございました。この二つの大きな特性が富士山を世界文化遺産に導いてくれた、そのように思っております。こうした美しい富士山を眺めることができる風光明媚な場所も至るところにございまして、多くの観光客の方々が訪れて写真に撮って、SNSなどで世界じゅうに発信しているところでもございます。

 けれども、場所によっては、道路の電柱、またそれに伴う電線が大変視界に入り、せっかくの風景が台なしになってしまう、そういったお話もよく聞くところでもございます。地元の皆さんや観光客の方々から、この電柱をどうにかしてほしい、なくしてほしい、そういった声もよく聞きますが、なかなか無電柱化が進んでおりません。

 そこで、お尋ね申し上げます。良好な景観形成のためにも無電柱化を進めてまいるべきだと考えますが、山梨県内での無電柱化の取組状況など、お聞かせ願えればと思っております。

石川政府参考人 お答えいたします。

 電柱、電線は景観を阻害する大きな要因の一つであり、良好な景観の形成が必要な地域で無電柱化を進めることは極めて重要であると認識しております。

 このため、世界文化遺産の周辺等の観光地を始め、良好な景観の形成が必要な道路について、電線管理者、自治体、沿道住民等の関係者との合意形成を図りながら、電線共同溝の整備等により無電柱化を進めているところでございます。

 山梨県内におきましても、富士山周辺地域の美しい景観づくりのため、これまでに、国道百三十九号線の富士吉田市下吉田地内や県道富士河口湖富士線の富士河口湖町船津等におきまして、富士山の眺望を阻害する電柱、電線を取り除く無電柱化が行われていると承知をしております。

堀内分科員 ありがとうございます。

 ただいま御答弁いただきましたように、私どもの地元でも無電柱化に取り組んでいる自治体が多くございます。けれども、一方、市町村の財政状況は大変逼迫しております。防災・安全交付金による国からの財政的支援もありますが、なかなか厳しいのが現状であります。

 海外の主要都市では無電柱化というのが当たり前になっておりまして、例えば、ロンドン、パリ、香港、シンガポールなどは無電柱化が一〇〇%と聞いております。

 日本で無電柱化が進まないのは、予算的に厳しいということに加えて、整備コストが高いからであるという話もよく聞きます。無電柱化のコスト縮減に取り組んでおくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、無電柱化を進める上で、従来の電線共同溝方式での整備ではコストが高いことなどが課題となっております。

 一昨年十二月に成立、施行された無電柱化の推進に関する法律第十三条におきましては、国、地方公共団体及び関係事業者は、電線を地下に埋設する簡便な方法等について調査研究の推進及びその成果の普及等の必要な措置を講ずることとされております。

 このため、国土交通省では、関係者と連携をいたしまして、低コスト手法の導入に向けて取り組んでおりまして、浅層埋設方式、これは浅く埋めるという意味でございますが、及び小型ボックス活用埋設方式につきまして、関係する技術基準を改定し、それを反映させた低コスト手法導入の手引案を平成二十九年三月に策定し、普及促進を図っているところでございます。

 また、直接埋設方式につきましては、これまで関係省庁の連携により、直接埋設用のケーブル開発に向け、耐久性などの技術的な検証を行ってきたところでございまして、今年度、京都市などの実際の道路において実証実験を行っているところでございます。

 今後は、直接埋設方式につきましても調査研究を進め、さらなる低コスト化を図り、早期に汎用化できるよう努めてまいります。

堀内分科員 ありがとうございます。

 ただいま局長がおっしゃられたように、京都で直接埋設の実証実験を行ったとのことでございますが、全国どこでも取り入れられるように、スピード感を持って取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 先ほどの御答弁にも出ておりましたように、無電柱化の推進に関する法律が平成二十八年十二月に施行されております。今般、無電柱化計画のパブリックコメントが始まっているともお伺いしておりますが、国土交通省の意気込みをお聞かせください。

高橋大臣政務官 無電柱化推進計画につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十八年十二月に成立をし施行いたしました無電柱化の推進に関する法律に基づいて、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るために策定することとされておりまして、本年の二月十九日より計画案のパブリックコメントを開始したところであります。

 計画案におきましては、無電柱化の推進に関する基本的な方針として、諸外国に負けない我が国本来の美しさを取り戻し、安全で災害にもしなやかに対応できる脱電柱社会を目指すとの取組姿勢を示してございます。

 また、世界文化遺産周辺の地区を代表する道路などにおいて重点的に推進をすることとしておりまして、二〇一八年度からの三年間で約千四百キロメートルの新たな無電柱化の着手を目標に掲げ、コスト縮減の促進や財政的措置、占用制限の拡大等、さまざまな施策に取り組むこととしております。

 無電柱化の推進に当たりましては、本計画を着実に実行できるよう、地方公共団体及び関係事業者等と連携をいたしまして、積極的に取り組んでまいります。

堀内分科員 ありがとうございました。

 ただいま政務官より大変力強い意気込みをお聞かせいただき、期待しております。

 三年間で約千四百キロの無電柱化を進めるとのことでしたが、このためにはコスト縮減や財政的支援などをしっかりと進める必要があります。石井大臣のリーダーシップのもとに、世界に誇れる美しい日本を取り戻すべく頑張っていただければと存じます。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 今、日本におきまして、少子化は大変深刻な問題です。まさに国を挙げて少子化対策に取り組んでいるところでもございます。お子さんが生まれて、そして成長して小学校に通うようになると、保護者の皆様やボランティアの方々が、生徒の皆さんのために、早朝から通学路の安全確保のために御尽力もなさっていらっしゃいます。

 一方、国といたしましても、歩道の整備など、さまざまな対策に取り組んでくださっていると思いますが、通学路の緊急合同点検を踏まえた、全国また地元山梨の対策の実施状況はいかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年の京都府亀岡市の児童等が巻き込まれる痛ましい事故などを受けまして、国土交通省、文部科学省、警察庁が連携をいたしまして、道路管理者、学校、警察等による通学路の緊急合同点検が行われました。全国で約七万四千カ所における緊急的な対策を進めているところでございます。

 この緊急合同点検による対策箇所につきましては、平成二十八年度末におきまして、全体の約九六%の箇所で対策が完了しておりまして、山梨県内では全箇所の対策が完了しているところでございます。

 こうした緊急的な対策に加えまして、持続的な通学路の安全確保を図るため、三省庁が連携をいたしまして、着実かつ効果的な取組の継続的な実施を推進しているところでございます。

 具体的には、市町村単位で通学路交通安全プログラムを策定いたしまして、定期的な合同点検と対策の実施、対策効果の把握、及びそれを踏まえた改善充実を一連のPDCAサイクルとして実施する取組を推進しておりまして、山梨県内におきましては、全ての市町村においてプログラムを策定し、取組が進められているところでございます。

 国土交通省では、このような取組を支援するため、通学路交通安全プログラムに基づく通学路対策に対しまして防災・安全交付金の重点配分を行うなど、引き続き、通学路の交通安全対策等を推進してまいります。

堀内分科員 ありがとうございました。

 山梨県内全ての市町村で通学路交通安全プログラムが策定され、点検から対策実施が進められている。こうした取組は、継続することが重要であるのではないかと思います。子供たちの大切な命を守るためにも、国からフォローいただくとともに、対策実施に対しまして、交付金による重点的な支援をお願いしたいと思っております。

 また、交通事故ということでの関連になりますけれども、交通事故の死者数は、大変な皆様方の御努力のもとに、平成二十九年は三千六百九十四人と、年々減少してきております。昭和二十三年以降の統計でこの値は最少であると認識しております。また、死傷事故件数も年々減少しておりますが、生活道路の死傷事故件数の減少割合は、いわゆる幹線道路の交通事故の死傷事故件数の割合よりも小さい状況であり、なかなか減る割合が十分でないといったことが現状だと思っております。

 生活道路、つまり市町村道なんですけれども、地域の皆様方の安心、安全のためには、その生活道路の交通安全対策についてもしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。けれども、何分にも市町村道というのは道路延長が長うございます。課題のある場所をきっちりと見つけ出して洗い出すのも大変な作業でございますし、労力が必要となってまいっております。

 そこで、お尋ねさせていただきたいと思います。生活道路の交通安全対策を効果的そして効率的に立案、実施する必要があると思いますが、どのような取組を実施されていらっしゃいますでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年の交通事故による全国の死者数は三千六百九十四人となり、昭和二十三年以降の統計で最少となったところでございますが、交通事故の情勢は依然として厳しいことから、引き続き、道路交通安全の推進に取り組んでいるところでございます。

 委員御指摘のとおり、生活道路の交通死傷事故件数の減少率は幹線道路と比較して小さいことなどから、生活道路における交通安全対策は特に重要であると認識をしておりまして、車両の速度抑制や通過交通の進入抑制対策等の取組を推進しているところでございます。

 具体的には、生活道路のゾーン対策や区間対策に取り組む地方公共団体に対しまして、ETC二・〇のビッグデータを活用した速度超過や急ブレーキ発生等潜在的な危険箇所についての情報提供、運搬可能なハンプの貸出し等、効率的、効果的な対策の推進に資する技術的支援を実施しているところでございます。ハンプとは、自動車の走行速度を低減するために車道を盛り上げるための構造物でございます。

 山梨県内では三地区において支援を行っておりまして、このうち都留市では、提供したデータに基づいてハンプの設置やカラー舗装などが実施されているところでございます。

 国土交通省では、引き続き、ビッグデータを活用した生活道路の交通安全対策を推進してまいります。

堀内分科員 ありがとうございます。

 まさにビッグデータを活用して、そして効率的に対策を実施していく。山梨県内でも三地区で行ってくださっているというお話を伺っておりますが、すばらしい取組だと思っておりますし、更に地域をふやして、そして取り組んでいただければありがたいと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。いわゆる地元建設業界の人材確保といったものについてでございます。

 ことしは北陸でも豪雪となりました。北海道、東北地方も含め、連日の豪雪で、お住まいの方々には大変な御苦労をされておいでのこととお見舞い申し上げる次第でございます。

 私の地元山梨県でも、四年前に豪雪により高速道路の閉鎖、そして国道も通行不能となり、まさに陸の孤島と言われたことがございました。気の遠くなるような除雪の作業につきましては、自衛隊の方々が奮闘してくださいましたけれども、また、あわせて、道路を管理する国土交通省の国道事務所や地元の建設業の方々の御努力にも頭の下がる思いがいたしました。

 雪に限らず、地震や大雨による水害など、災害大国の日本では、いざというときには地元建設業の皆様方のお力が大変大きいと思います。しかし、地方の建設業の方々が、いわゆる高齢化と、そして受注難から減少している、そういった現実がございます。仕事がきついなど、若い方々からは敬遠され、地域の安全、安心を支える建設業界に若い人が入ってくれないという声も聞いているところでもございます。

 地域の安心、安全を確保するためには、地域に密着した地元の建設業の方々の存在は大切だと認識しております。健全な建設業の育成に向けて、国土交通省としては、働き方改革などを含めて、どのような取組をなさっていらっしゃいますでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、高齢化が進む中で、建設産業は、他産業と比べましても高齢者の割合が高い構造となっておりまして、近い将来、こういった高齢者の大量離職が見込まれることから、中長期的な担い手の確保は重要な課題であるものと認識をしております。

 このため、国土交通省では、建設業界とも連携をいたしまして、幾つか施策を講じているところでございます。

 まずは、実勢を反映した設計労務単価の設定などによる適切な賃金水準の確保、それから社会保険への加入の促進、週休二日に向けました週休二日モデル工事の実施、女性も働きやすい現場環境の改善、さらには施工時期の平準化、それから若年層向けにはポータルサイトや学校での説明会による情報発信といったところに取り組んでいるところでございます。

 さらに、ことし、平成三十年秋には、技能労働者の就業の履歴や保有資格を業界横断的に蓄積する建設キャリアアップシステムの運用が開始される予定でございます。このシステムが技能労働者の適正な評価や処遇につながるよう、施策の構築を進めてまいりたいと思っております。

 また、働き方改革につきましては、建設業における長時間労働の是正、週休二日の確保といったことが重要であると考えております。このため、政府におきまして、昨年八月に、民間工事も含めました受注者、発注者の双方が守るべきルールを定めました、適正な工期設定等のためのガイドラインを策定しております。このガイドラインの遵守、民間工事への浸透を通じ、建設業の担い手の確保に努めてまいります。

堀内分科員 ありがとうございました。

 中長期的な建設人材の確保、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、次の質問です。

 二〇一二年、笹子トンネルの天板落下事故が起きました。大勢の若者の命がなくなる、大変悲惨な事故でございました。私どもの地元山梨県では、豊かな自然が多く、中山間地に向かうにも幾つもの橋を渡っていきますし、その橋の老朽化、そしてトンネルの老朽化は喫緊な課題でございます。

 そこで、お尋ね申し上げます。国土交通省におけるインフラの点検や修繕など、老朽化対策の取組状況はいかがでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、平成二十五年を社会資本メンテナンス元年と位置づけまして、インフラの老朽対策に本格的に取り組んでまいっております。

 まず、インフラの維持管理・更新を着実に推進するための中長期的な取組の方向性を明らかにいたします計画として、平成二十六年五月に、インフラ長寿命化計画といたしまして、行動計画を策定をいたしました。

 インフラの維持管理・更新は、各施設の管理者みずからが、点検、診断を通じて施設の状態を把握し、必要な対策を適切な時期に計画的に実施し、これらの成果を次の取組に活用するといったメンテナンスサイクルを構築することが重要でございます。

 このため、国土交通省では、これまで、点検や診断等に関する統一的な基準やマニュアルを順次策定いたしますとともに、みずからの施設につきましても点検、診断を行いまして、そのメンテナンスサイクルの核となります個別施設ごとの個別施設計画を策定してまいっております。現在、こうした取組を地方公共団体において進めていただき、個別施設計画の策定に取り組んでいただいているところでございます。

 その際には、特に、損傷が軽微である早期の段階に修繕等を実施いたしまして機能保全を図る、いわゆる予防保全の考え方を導入いたしますとともに、新技術の開発や導入による効率化を推進することによりまして、トータルコストの縮減や平準化に取り組んでおります。

 また、インフラの大部分を管理しておりますのは地方公共団体でございます。こうした地方公共団体の体制等を充実させることが重要でございますので、研修等の人的な支援、あるいは防災・安全交付金等による財政支援を行っているところでございます。

 また、社会全体として取組を加速させるためにも、産学官民が一体となって技術や知恵を総動員して戦略的に取り組むためのインフラメンテナンスの国民会議の取組も進めているところでございます。

 こうした取組を総合的に行いまして、インフラ老朽化対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

堀内分科員 ありがとうございます。

 時間もなくなってまいりました。最後の質問にさせていただきます。

 老朽化対策も喫緊の課題でございます。一方、インフラ整備というものも地域の活性化のためには必要でございます。限られた予算の中でその両立を図っていくためには、国土交通省としてはどのような取組をなさっていらっしゃいますでしょうか。

高橋大臣政務官 高度経済成長期以降に整備した社会資本が、今後一斉に老朽化をしてまいります。

 国土交通省では、平成二十六年五月に策定したインフラ長寿命化計画に基づきまして、計画的な維持管理・更新に取り組むとともに、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化をしております。

 しかしながら、今後、更に相当な額を維持管理・更新に充てなければならないという事態も想定をされますので、メンテナンスサイクルを構築するとともに、トータルコストの縮減、平準化を図りつつ、社会資本の機能を適切に維持することは大変重要な課題であると考えています。

 一方で、委員御指摘のとおり、今後人口減少が進む中、道路等の社会資本整備は、地域産業の生産性を向上させるものであり、地域活性化に重要な役割を果たすものと確信をしております。また、災害等から国民の命と財産を守ることは、社会資本が果たすべき最重要の使命でもあり、地域の生活、経済活動の前提となるものだと認識しております。

 こうした老朽化が進む社会資本の維持管理と、防災や地域経済の活性化に資する社会資本整備をバランスよく進めていくことが必要でありますが、そのためには公共事業予算の安定的、持続的な確保が重要であると認識しております。厳しい財政状況の中ではありますが、引き続き、必要な予算の確保に努めつつ、老朽化対策を含め、社会資本整備に全力で取り組んでまいる所存です。

堀内分科員 ありがとうございました。

竹内主査 これにて堀内詔子君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田義明君。

和田分科員 おはようございます。北海道五区選出の、自民党和田義明でございます。

 本日は、石井国土交通大臣を始め政府関係者の皆様方には、大変御多忙の中、お時間をいただき質問の機会をいただきまして、心から御礼を申し上げます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、北海道の広さについてお話をさせていただきたいと思います。皆様御存じのとおりかと思いますけれども、北海道は日本国土の約二二%の面積を占める大変大きな場所でございまして、日本の都府県を小さい順から北海道の地図に当てはめていきますと、二十二個の県が入るというほどの大きさでございます。

 こうした大きな北海道の大地におきまして、農業、林業、水産業が主力産業でございます。農林水産業の自給率は二〇〇%、そして、現在、輸出にもチャレンジをしておりまして、まさに、日本の食料庫という大変大事な役割を負っている場所でもございます。

 そして、現在、農林水産業に加えまして観光にも力を入れておりまして、将来の主力産業にするために、今、北海道の高橋知事が大変力を入れて頑張っておられます。日本政府のインバウンドの目標値は二〇二〇年で三千万人でございますけれども、この二〇二〇年におきまして、北海道は五百万人、これを目指して今頑張っている次第でございます。

 こうした中、物と人を運ぶ手段、物流交通網が、北海道の競争力そして経済活性化の鍵になってまいります。

 北海道の経済の状況でございますけれども、これは、北海道と四国は、日本の中でも少し回復がおくれているところでございます。去年の十一月二十九日に発表されました地域経済動向を拝見いたしますと、北海道と四国だけが、「弱さがみられるものの、緩やかな回復基調が続いている。」という、いろいろな表現の中では最も弱い表現になっております。

 また、指数を拝見いたしますに、景況判断、また鉱工業生産の指数を拝見しても、若干の下落が見られている大変大変厳しい状況でございまして、こういった北海道の基幹産業である農林水産業、そして、これからの基幹産業である観光の強化、これがまさに必要になってまいる次第でございます。

 まず質問の一点目は、JR北海道関連で質問をさせていただきたいと思います。

 まず一問目ですけれども、北海道の鉄道網の開発されました歴史的経緯、そして国益についてお伺いをしたいと思います。とりわけ国益に関しましては、経済的観点、そして災害対策の観点、また、安全保障の観点についてお答えをいただけましたら幸いでございます。よろしくお願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 北海道の鉄道の歴史は、明治十三年、一八八〇年でございますが、に開通しました官営の幌内鉄道、これは三十五・九キロでございます。こちらから始まっております。この鉄道は、幌内炭鉱の石炭を小樽港まで輸送するということを目的として整備をされたものでございます。

 その後、その他の炭鉱からの石炭輸送に加えまして、北海道開拓の進展とともに北海道における鉄道ネットワークが拡大し、昭和五十一年、一九七六年には路線延長四千キロに達しております。

 また、昭和六十三年、一九八八年には青函トンネルが開通し、本州と北海道が鉄路で結ばれました。さらに平成二十八年には、新幹線が青函トンネルを通り、新函館北斗まで延伸されたところでございます。

 一方で、昭和四十五年、一九七〇年以降、炭鉱の閉山や、過疎化に伴う利用者の減少等を背景に路線廃止が進められており、現在、JR北海道の路線延長は二千五百五十二キロということになっておるということでございます。

 今申し上げましたとおり、北海道の鉄道は歴史的に道内各地の開発に大きな役割を果たしてきた、これは言うまでもないことでございます。

 今日におきましても北海道の鉄道は、地域における通学、通勤輸送、さらには都市間の旅客輸送、急増している訪日外国人旅行者の観光手段、さらには、本州と北海道を結ぶ大動脈としての役割を果たしていると認識をしております。

 また、東日本大震災の際に鉄道がガソリン輸送に活用された例などを見ても明らかなとおり、鉄道は、災害時における代替輸送ルートとしても重要な意義を有しているものと認識をしております。

 一方で、人口減少やモータリゼーションの進展の中で輸送需要が減少し、鉄道特性を発揮することが難しくなっている路線も存在することから、JR北海道の経営状況も踏まえながら、地域における交通サービスのあり方について、関係者による検討が急務となっている状況であると認識をしているところでございます。

和田分科員 ありがとうございました。

 石炭の需要等々がなくなることで、本来の用途、これが薄れている部分はあるものの、また観光等々の新たな用途も出てきているということで、引き続き北海道の鉄道網が重要であるというふうなことが確認できたと思います。

 また、とりわけ災害のときの代替輸送手段としての重要性、これも今明らかになった次第でございますけれども、一昨年の台風のときも、やはり北海道はある意味大きな島でございますので、本州とのパイプという意味におきましては、複数の輸送手段がなければこれはたちどころに孤立してしまうということでございまして、引き続き、複数の物流手段というのを確保していただけるように、北海道の鉄道網をお守りいただけたらと思います。

 そして、現在、JR北海道さんが大変厳しい経営状況の中、北海道の物流網、とりわけ鉄道網の見直し、これが北海道庁さんも含めて検討が進められている次第でございます。十三の地域路線が、廃止も含めた検討というようなことで今進んでおります。JR北海道さんの経営の効率化というのは大事ですし、やはり、地域住民の方々のニーズに合った物流網、これを検討する必要があると思いますので、そういった必要な統廃合、これはある程度必要になってくると思います。

 その一方で、北海道の動脈である幹線路線、これはやはり、広い広い北海道を、より速く、より安く安全に走行するためにはさらなる強化が必要だというふうに考えている次第でございます。

 目下、北海道庁が旗振りをして北海道全体の物流網、これをつくっておりますけれども、ぜひとも、これは国益に直接資する話でございますので、国も一緒になって、スクラムを組んで青写真を描いていただきたいと思いますけれども、その点についての政府としての決意をあらわしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

石井国務大臣 JR北海道は、平成二十八年十一月に単独では維持困難な線区を公表して以降、各線区の置かれた状況や、地域にとってより効率的で利便性の高い交通サービスのあり方などについて、地域の関係者の方々への説明、協議を進めているところであります。

 国土交通省といたしましても、北海道庁と密接に連携をしながら、地域の協議に積極的に参画をいたしまして、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた取組に対する支援を行ってまいりたいと考えております。

和田分科員 力強い御決意、ありがとうございました。

 私も個人的に、JR北海道さんには攻めの経営計画をつくっていただきたい、そのようなお願いをさせていただいております。いろいろな形で国費で御支援をいただくにしても、損失の穴埋めだけというようなことではやはり余りにも残念なところがございますので、今よりも収益率が高められるように、JRさんの方で経営改革、これを進めていただき、また、新たなアイデアもどんどん出していただく。その前提におきまして、国とそして北海道の力強い物心両面での御支援をいただければと思います。

 続きまして、北海道新幹線に関する質問でございます。

 北海道新幹線、ただいま新北斗まで開通をいたしました。開通してから一年間で乗客数は一六三%というふうなことで、大変大きな経済効果がございます。また、これは鉄道だけでなく、地域の商店街、観光施設等々でも大きなプラスが見られておりまして、この新幹線開通の経済効果というのは極めて大きいというようなことが証明されていると思います。

 その一方で、北海道新幹線が札幌まで延伸するのは、五年前倒しされたとしても二〇三〇年度というふうなことで、まだまだ時間がかかっております。

 現在、札幌市の方では、冬季オリンピックの誘致を二〇二六年ないしは三〇年というようなことで進めておりますけれども、新幹線が札幌延伸するタイミング、又はその少し前のタイミングというふうなことで、北海道も大きなイベントがメジロ押しでございます。

 そういった中、先ほどもお話をしました、北海道の経済状況は厳しいというようなことも踏まえまして、ぜひとも一日も早い北海道新幹線の札幌延伸実現をお願いしたいと思っておりますが、この点につきましての政府の御決意をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

石井国務大臣 北海道新幹線の新函館北斗―札幌間につきましては、平成二十七年一月の政府・与党申合せにおきまして、完成、開業時期を従来の計画から五年前倒しをいたしまして、二〇三〇年度末の完成、開業を目指すとしたところであります。

 新函館北斗―札幌間では、工事延長約二百十二キロメートルのうち、約八割の百六十九キロメートルがトンネル区間となっておりまして、現在、トンネル工事を中心に工事が進められているところでありますが、国土交通省といたしましては、地元からの御協力もいただきながら、一日も早い開業が可能となるよう最大限努力をしてまいりたいと考えております。

和田分科員 ありがとうございました。格別の御高配を賜りますように、心からお願いを申し上げます。

 続きまして、道路関連の質疑に移ります。

 まず一点目でございますけれども、北海道の道路整備の近況についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 北海道につきましては、特に高規格幹線道路、これは、本州に比べまして都市間が長い北海道でございますので、生活を支え、産業、観光の成長力、競争力の強化を図る基盤として、また、地域住民の生活を支える重要なインフラとして認識をしているところでございます。

 しかしながら、これまで高速道路、本州においては初めての高速道路として昭和三十八年七月十六日に名神高速道路の栗東―尼崎間七十一キロが開通をいたしましたが、北海道では初めての高規格幹線道路として、昭和四十六年十二月四日に、道央自動車道千歳―北広島間約二十三キロ並びに札樽自動車道小樽―札幌西間約二十四キロが開通したというところでございます。

 その後、札幌を中心にネットワーク整備を順次進めまして、昭和五十八年度に開通延長が百キロに到達いたしまして、平成十二年度に五百キロメートル、平成二十四年度に一千キロメートルに到達し、着実に整備を進めてきたところではございます。

 しかしながら、平成二十九年十二月現在、計画延長千八百二十五キロのうち、約六一%であります約一千百二十キロが開通しているという状況でございまして、まだ残る未整備区間がございます。引き続き、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

和田分科員 ありがとうございました。

 着実に歩みを進めていただいているというようなことはわかったんですけれども、ただ、高規格幹線道路の整備状況、全都道府県で見ますと、北海道が六一%と、一番おくれている大変残念な状況でありまして、一道民としてもこの点に関しては強い憤りを覚えている次第でございます。

 先ほども申し上げましたけれども、北海道の主力産業は農林水産業でございます。こういったものを例えば本州又は海外に持っていく際に、物流の効率性、そしてスピード、こういったものが北海道そのものの競争力にもかかわってまいりますし、また、例えば何かあったときに、これは本州の食料の価格にも影響するわけでございますので、そこのところを十分お含みいただいて、今の計画よりも早くこの高規格幹線道路の整備を進めていただきたいと思いますし、予定どおり進めるのではなく、今までのおくれを取り戻すというようなことでぜひとも御検討いただきたいと思いますけれども、その点のお考えについてお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 戦後、高速道路がなかった我が国においては、まず、東京から大阪を結ぶ名神高速や東名高速などの整備を開始をしまして、その後、東北や中国、北陸、九州など等に延びる縦貫道の整備を進めた結果として、全国約八割の整備率に対しまして、北海道では約六割の供用という状況になってございます。

 今後とも、事業中の区間について整備を推進するとともに、残る区間につきましても、狭隘区間など課題のある区間の解消や、走行性の高い道路を活用して実質的なネットワーク化を早期に進めるなどのさまざまな工夫をしながら、関係者の皆様の御協力をいただきながら、計画的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

和田分科員 ありがとうございます。

 北海道の道路におきましては、これまた、北方正面をにらむ安全保障上の重要性もあるというふうなことを加味いただきまして、ぜひとも御高配を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、道央圏連絡道路についての質疑でございます。

 本件も、千歳空港、そして石狩湾新港を結ぶ札幌周辺の大動脈というようなことが期待されております。着実に工事が進んでいる一方で、長年工事が進んでいない、また、土地買収に時間を要しているところもございます。

 この道路は、やはりちゃんとつながった上で初めて機能する道路でございまして、一日も早い開通を望む次第でございますけれども、これにつきましても、一日も早く開通いただくべく、政府としての御見解、そして御決意をお示しいただければと思います。よろしくお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道央圏連絡道路は、千歳市と小樽市を結ぶ地域高規格道路でございまして、道央圏の連携を強化するとともに、地域間交流の活性化や物流効率化に役立つ重要な路線と認識をしております。

 これまで、全体延長約八十キロメートルのうち、約六割の五十キロメートルの区間が開通し、残る千歳市から江別市までの約三十キロメートルにおきまして、一つは泉郷道路、延長約八・二キロでございますが、平成三十一年度の開通を目指し、改良工事や橋梁工事を推進しているところでございます。

 二つ目、長沼南幌道路、これは延長十四・六キロございますけれども、今年度から工事に着手をしたところでございます。

 三つ目、中樹林道路、延長七・三キロメートルございますけれども、用地買収及び軟弱地盤対策工事を重点的に推進をしているところでございます。

 以上のように、全体的に事業の推進を図っているところでございます。

 引き続き、地域の皆さん方の御協力をいただきながら、一日も早い開通を目指して事業を推進してまいります。

和田分科員 ありがとうございました。全区間におきまして完工期日が明確になるように、引き続き御尽力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、北海道の空港民営化関連の質疑をさせていただきたいと思います。

 現在、北海道の七空港の一括民営化、これの検討が進められておりまして、マーケットサウンディングも昨年中に完了し、また、地域の要望、こういったものも固まってきたというふうに了解をしております。

 まずはこの七空港一括民営化の意義について、また、この空港民営化による経済活性化に関する期待についてお話しをいただければと思います。よろしくお願いします。

石井国務大臣 北海道内七空港の運営の民間委託につきましては、管理者が異なる複数空港の一体的な運営委託という、前例のない、重要な取組であります。北海道全体の観光振興や各地域の活性化を図ることを狙いとしております。

 二月十三日に、北海道、旭川市、帯広市とともに、事業期間や事業方式等の基本的事項を確認をいたしました。

 今後は、三月に実施方針を策定した上で、平成三十二年の六月から順次民間委託を開始していく予定であります。

 国土交通省といたしましては、七空港の一体的な民間委託が北海道の活性化につながるように、引き続き、地域の関係者と連携しながら手続を進めてまいりたいと考えております。

和田分科員 ありがとうございました。

 七空港一括民営化によって、今大変栄えている千歳以外の空港、大変苦境にある残りの六つの空港も経済活性化の期待が高まっているというようなことで、このプロジェクトに関しては心から感謝を申し上げたいと思います。

 その一方で、今、いろいろな機能が千歳空港に集中している状況でございますので、七空港の間での機能分散をすることで着実に全空港所在地及びその周辺地域における経済の活性化が実現できるように、この点、御考慮いただけたらと思います。

 続きまして、この七空港一括民営化におきまして地域からいろいろな要望が集まっていると思いますけれども、重立った要望内容についてお示しいただけたらと思います。よろしくお願いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道内の七空港の運営の民間委託につきましては、これまで、北海道庁あるいは地元の経済団体などの地域の関係者の皆様から御要望や御提言を頂戴をいたしているところでございます。

 これらの御提言、御要望、特に、北海道の広域観光の振興、あるいは道内の航空ネットワークの充実といったようなことをぜひ進めてほしいといったような御要望をいただいております。

 こうしたことを基本スキーム案に策定する形でまとめまして、マーケティングサウンディングというものを昨年七月から行いまして、更に民間事業者の皆様から具体的な御意見を伺っているというところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした地域の関係者やマーケットサウンディングにおきます民間事業者の御意見を踏まえながら、三月に実施方針を策定をして、平成三十二年度の運営開始に向けて手続を進めてまいりたいと考えております。

和田分科員 ありがとうございました。

 恐らく大企業がこの入札に参加する主体者となることが目されている一方で、地域の企業、それから個人も含めてですけれども、やはり、その地域の経済発展に資するプロジェクトにしていただきたい、地域が取り残されないようにしていただきたい、そういう点が強く地元の要望としてございますので、この点、ぜひとも頭の片隅に置いていただけると幸いでございます。

 続きまして、千歳空港そのものに関しての質疑でございますけれども、現在、北海道の玄関口として大変栄えている次第でございますけれども、この千歳空港、雪が降りますとたちどころに就航率が下がってしまう状況にございます。記憶に新しいのは、一昨年十二月の三日間、ほぼほぼ発着ができなかったといった事態がございまして、その後、除雪、大幅に改善をしていただきまして、この点、心から感謝を申し上げたいと思います。

 降雪時の就航率のさらなる向上、そしてまた着陸料軽減の措置、こういったことを予算の際にお願いをさせていただいておりますけれども、これらの点についてもぜひとも引き続き御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 また、今後、空港の民営化等々、北海道の空港関係において新たなプロジェクトがこれから幾つも出てくると思います。

 そういった中で、航空自衛隊が使用している、例えば千歳や丘珠、こういった空港がございます。こういった空港が、例えば民間活用の推進の名のもとに国防の機能が落ちること、これは決してあってはいけないと思っております。

 北海道の航空自衛隊のスクランブルの回数、これは決して減っているわけでもございません。また、北方正面の脅威、これも、とかく南西方面ばかりが注視されがちではありますけれども、北方正面の脅威は決してこれは薄まったわけではないというのは、これは私の見解でございますので、ぜひとも、国防機能を阻害しない、こういったことについてお約束をいただければと思いますけれども、その点につきましての決意をお示しいただけたらと思います。よろしくお願いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 札幌飛行場、丘珠空港や千歳飛行場などの共用空港につきましては、公共の用に供するものとして、民間航空機の利用が可能となっております。

 他方、これらの共用空港は自衛隊の設置する飛行場でございまして、我が国の国防上重要な機能を担っているものと承知いたしております。

 したがいまして、これらの機能が十分に確保された上で民間航空機の利用がなされるべきものであるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、共用空港の運営主体であります自衛隊と十分調整し、御理解をいただいた上で、これら空港における適切な民間航空機の利用を図ってまいりたいと考えております。

和田分科員 力強い御答弁、まことにありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、港湾関係について質問させていただきます。

 石狩湾新港におきまして海上保安官署の設置を長年お願いしてまいりました。海上保安庁さんのアセットは南西方面に集中していることから、ある意味仕方がない、そういうふうに思ったこともございました。

 ただ、近年ちょっと状況が変わってきていると思います。北海道におきましても、日本海側では、北朝鮮の不審船の漂着又は不審船に乗っている人の上陸、こういったことがありました。また、日本海側での漁場におきまして北朝鮮の船と日本の漁船が場所を争うようなこともあったように仄聞をしている次第でございまして、漁師の皆様の安全を守るためにも、北海道の日本側の守りを固める必要があると思っておりまして、この石狩湾新港の海上保安署の設置、これは今までとは違う必要性が来たというふうに考えております。

 長年の懸案でございますけれども、この点につきましてのお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 我が国周辺海域では、委員御指摘のとおり、尖閣諸島周辺海域において中国公船が荒天を除きほぼ毎日接続水域に入域しているほか、日本海側においても、大和堆等において多数の北朝鮮漁船等を確認しており、さらには、北朝鮮籍の漁船が漂流、漂着するなど、状況は厳しさを増しております。

 一方で、石狩湾港は、港勢の拡大に伴いまして入港船舶の隻数が増加をしており、LNGタンクの増設等により、今後も着実に利用の増大が見込まれているものと考えております。

 また、石狩湾港周辺の銭函海岸では、昨年夏季、夏場でありますが、遊泳中の死亡事故が発生しており、安全対策が求められております。

 これらを踏まえまして海上保安庁では、石狩湾港における業務ニーズに対応するため、特に海難事故が発生する時期を中心に、活動拠点の設置と職員の派遣や沖合への巡視船の配備など、事件、事故防止対策及び救難即応体制の強化に努めております。

 今後は、これらに加えまして、巡視船艇の配備期間の延長等や、あるいは、テロ対処能力等を強化するための関係機関と連携した訓練の実施などを検討してまいりたいと思います。

 海上保安庁としては、引き続き、石狩湾港における安全対策の強化に努めてまいります。

和田分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 昨年、小樽における海上保安庁さんの洋上訓練展示に参加をさせていただきまして、大変心強い思いで拝見をさせていただきました。ぜひとも石狩にも海上保安署を置いていただきますように、さらなる御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、災害対策関係の質問に移らせていただきます。

 先般、福井、石川県の方でも豪雪がございましたけれども、期を同じくして、北海道の日高でも豪雪被害がございました。百二十五軒の農家さんが被災をされまして、合計で五百件以上の農業関連施設が被災、倒壊をいたしました。

 そのうちの一人の農家さんは、昨年、沖縄から北海道に移り、そして営農を始めたばかりでございましたが、その方がつくっておられた二十個のハウスのうちの何と十九個が倒壊したというふうなことで、大変気の毒な状況で、本当に胸が痛む思いでございます。

 こういった中、国土交通省さんにおかれましては、ぜひとも除雪の面におきまして御高配をいただければと思っております。国道だけでなく、市道、町道等々、こういったところにおける除雪の御支援をいただければと思いますけれども、お考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体が管理する道路の除雪費につきましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、年度当初に社会資本整備総合交付金を配分し、支援を行っているところでございます。

 また、各地域の降雪状況に応じ、三月には、この交付金とは別に、道府県、政令市を対象に除雪費を補助金として配分をしております。

 さらに、全国的に積雪が著しい場合には、市町村に対し、臨時特例措置といたしまして、除雪費の補助金を追加で配分してきたところでございます。

 今年度の臨時特例措置につきましては、二月十六日から支援の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を開始したところでございまして、その結果を踏まえて速やかに対応してまいります。

和田分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。まだ北海道の冬はしばらく続きますので、また何かの際にはぜひともお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、千歳川流域の総合的な治水対策についてのお願いと質疑でございます。

 昭和五十六年でございますけれども、千歳川が氾濫をいたしまして大きな被害を地域にもたらしました。北海道は、これまで余り大雨といったことはない状況のもと、こういった治水設備、これが本州に比べますと若干脆弱なところがあるというふうにも考えております。

 そういった中、近年、ゲリラ豪雨、そして台風等々の、これまで余り想定できなかった災害が発生をしております。昨年の十月も、浜益におきましてゲリラ豪雨があり、大規模の土砂崩れがございました。国交省さんにも迅速に御支援をいただきまして、今まさに復旧が進んでいる最中でございまして、本当にありがたい次第でございますけれども、こういった災害を未然に防いでいくことが、これは人命を守るためにも、また、地域のコミュニティーを守るためにも大変重要だと思っております。

 この千歳川流域の治水対策、着々と進んでおりますけれども、さらなる強化、推進のほど、お願い申し上げたいと思います。この点についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 千歳川流域は広大な低平地が広がっておりまして、浸水によるリスクが高い上に、札幌近郊の住宅地域や、あるいは工場等の拡大に伴いまして、抜本的に治水安全度を向上させることが求められている地域でございます。

 このため、これまで河道掘削等を着実に進めるとともに、平成二十年度から千歳川遊水地群の整備を進め、平成二十七年三月には、その一部であります舞鶴遊水地を完成させたところでございます。

 引き続き、流域の治水安全度の早期向上のために、遊水地群の平成三十一年度完成に向けまして着実に事業を進めてまいりたいと考えてございます。

和田分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 時間になりますのでこれで終了します。きょうは本当にありがとうございました。

竹内主査 これにて和田義明君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 希望の党の城井崇でございます。

 予算委員会での質問は七年ぶりということになりますので、どうぞ大臣、前向きな御答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、北九州空港の機能拡充そして利用促進についてお伺いいたしたいと思います。

 大型の航空機の安定した離着陸を可能とするため、また、滑走路の長さが足りないことで逃してきた旅客や貨物、特に貨物の需要は、北米からのジャンボ機向けなどの逃してきたビジネスチャンスは大変多かったというふうに理解しておりまして、こうしたものを着実に取り込むため、また、福岡空港と北九州空港の相互補完関係をより強固にして、空港間の連携のやり方にバリエーションをふやすためにも、北九州空港の滑走路を三千メートルへ延伸をするということを国として早期に実現をすべきだというふうに考えております。

 この滑走路の延伸については、せんだって私からも、特別国会の折に質問主意書で質問させていただきました。内閣からいただいたお答えでは、「効果や影響等について十分に検証する必要があると考えている。」こういう御答弁がありました。

 地元自治体にお話を伺いますと、国からは、大型機の就航実績を積むことが必要だ、こうした意向が示されて、そのことを酌み取りまして、実際に、福岡県や北九州市、そして苅田町におきましては、B747型機やあるいはアントノフなどの大型機によるチャーター貨物を誘致してきたところでございました。

 そして、これまでの航空貨物の誘致経験の中で、全体の重量を減らすために貨物の積載量を減らして就航することを条件とされたり、そもそも三千メートル以上の滑走路の長さがないということで交渉のステージにも上がらず、ふるい落とされてしまうというふうな事例があるようでして、相当に機会を逃してきているというのが実態でございました。

 その逃してきた実態、これだけ引き合いがあったんだという資料はお手元にお配りをしていると思いますので、御確認をいただければと思います。ここにありますのは、十八件の引き合いのうち形にできたのは二件ということでございまして、これはちょっと大きいというふうに思っております。

 こうした貨物は、九州や西中国の輸出入貨物にもかかわらず、一度、関空や、そして中部ばかりか成田を経由するような動きをしておりまして、こうなりますと、日数を余計に要することで輸送コストが割高になったりいたしますし、また、物流業者の手間がふえたりという事態を生じさせております。

 九州や西中国において日夜積み重なっていることの経済損失分を加味いたしますと、北九州空港の滑走路の延伸による効果は大きいというふうに考えております。この滑走路延伸に係る効果の試算を行って、そして、どれだけジャンボ機を誘致すればいいか、定量的な目安を空港管理者である国としてぜひ示すべきだというふうに考えております。

 この滑走路延伸、そして誘致の目安について、大臣から見解を伺いたいと思います。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

石井国務大臣 北九州空港におきましては、既に、航空貨物便の誘致活動や航空貨物に対する重量助成など、地元の北九州市、福岡県が利用促進活動に取り組んでいると承知をしております。

 大型貨物専用機が貨物を満載をし長距離運航に必要な燃料を積載して離陸するためには、三千メートル級の滑走路が必要でありますけれども、滑走路の延伸に関しましては、事業の必要性、費用対効果、周辺環境への影響等について十分な検討を行うことが必要と認識をしております。

 特に、航空貨物輸送は、貨物の品目や投入する機材、輸送距離等に関して多様性がございますので、当該空港における実際の需要の見通しに応じた事業効果等を個別に検証する必要がございます。

 今後の需要の見通しを明らかにする観点からも、まずは、地域と物流会社、航空会社といった関係者との連携による利用促進の取組を引き続きしっかりと進めていただくことが重要と考えております。

城井分科員 今大臣の御答弁にもありましたけれども、個別の検討材料ということで申しますと、先ほどお示しをいたしました引き合いで形にならなかったものというのは、これまでに示されたニーズだというふうに考えてよいというふうに思っております。地元自治体や企業がこれまでも、そしてこれからも努力をしていくということを前提にして、ぜひ国としての取組を強化をいただきたいということを、要望を申し上げたいというふうに思います。

 続いて、北九州空港についてもう一点お伺いいたします。滑走路端の安全区域の対策についてであります。いわゆるRESA対策であります。

 政府はこれまで、外国人旅行者について、二〇二〇年四千万人という目標を標榜いたしております。この目標に向かって、北九州空港は現在、全国八位の外国人旅客をさばく大きなゲートウエーとなっております。この目標達成に貢献できる空港の一つであるということであります。

 しかし、このRESA対策という点においては、残念ながら国際基準を満たしていない状況であり、そして、そのめども立っておらず、地元自治体で手が届く状況ではなく、現状を放置しているという状況にあります。これでは、旅客や貨物のゲートウエーとして海外のエアラインから選択をされない。先ほども引き合いを逃したという話をいたしましたけれども、こうしたことが懸念をされるわけであります。北九州空港のRESA対策は、ほかの空港に先駆けて先行的に実施をすることをぜひ提案をいたしたいというふうに思います。

 以上について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 滑走路端安全区域、RESAの対策につきましては、航空機の安全確保の観点から、用地の確保が容易な空港から順次対策を進めております。

 海上に位置する北九州空港におきまして滑走路端安全区域を確保するためには、滑走路を移設するか、あるいは埋立てを検討する必要がございます。

 北九州空港の滑走路端安全区域につきましては、平成二十九年度、今年度に対応方針の検討に着手をしておりまして、今後、方針を決定の上、設計及び現地工事に着手予定でありますが、早期の対策に向けて引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、方針決定も含めて、前向きなお取組を早期にお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 続いて、連続立体交差事業を中心にした広域拠点としての折尾地区の整備促進についてお伺いしたいと思います。

 JR筑豊本線そして鹿児島本線の連続立体交差事業や街路事業、そして土地区画整理事業による面整備に国が更に推進すべきというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 折尾地区総合整備事業は、北九州市が事業主体となり、JR九州折尾駅周辺で、連続立体交差事業、街路事業及び土地区画整理事業を一体で実施するものであります。

 このうち、JR筑豊本線、鹿児島本線連続立体交差事業につきましては、平成三十一年度の筑豊本線切りかえ、平成三十二年度の鹿児島本線切りかえを予定していると聞いております。

 国土交通省としては、これまでも補正予算の措置も含めて支援に努めてきたところでありますが、引き続きこれらの事業に対して支援をしてまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 補正予算を含めてのこれまでの御支援には感謝を申し上げたいと思います。引き続き、力強い御支援をお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 続きまして、北九州港の廃棄物海面処理場の整備促進についてお伺いいたしたいと思います。

 北九州港内の航路そして泊地の整備、維持から発生するしゅんせつ土砂と、そして市民生活及び市内企業の産業活動から発生する廃棄物等を受け入れる北九州港廃棄物海面処分場、これは響灘東地区になりますけれども、この整備促進について、国がさらなる支援を行うべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 現在、北九州港におきましては、市民生活や産業活動を支えていくため、響灘西地区の廃棄物処分場におきまして、市内から発生をする一般廃棄物や産業廃棄物等を受け入れております。ただ、これが平成三十年代前半には受入れの限界を迎えるため、新たな廃棄物処分場の確保が喫緊の課題となっております。

 こうした状況を踏まえまして、北九州市におきましては、補助事業によりまして、平成二十六年度から響灘東地区において新たな廃棄物処分場の整備に着手をしたところであります。

 国土交通省といたしましては、当該廃棄物処分場の整備促進に向けて、引き続き支援をしてまいりたいと存じます。

城井分科員 ありがとうございます。

 今大臣からもお話ありましたように、既存の処分場での処理限界というのは日にちが見えてきている、今具体的にございましたように、平成三十年の前半ということでございます。その意味では、期限が見えており、なおかつ時間がないという状況でありますので、地元自治体の努力もさることながら、国としてのこの点の整備促進についての支援は、ぜひ、引き続き力強くお願いしたいということを御要望申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、都市のコンパクト化の支援についてお伺いいたしたいと思います。

 小倉都心地区そして小倉駅南口東地区、城野駅南地区など、北九州市を中心にして都市再生整備計画事業、そして地方都市リノベーション事業が進められておりますが、こうした北九州市における都市のコンパクト化に向けた事業に対して国が更に推進をすべきだというふうに考えておりますけれども、国の、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 北九州市におきましては、平成二十九年の四月に立地適正化計画を作成をされまして、コンパクトなまちづくりに取り組んでいると伺っております。

 御指摘の小倉都心地区、小倉駅南口東地区、城野駅南地区、これらは、いずれも都市機能誘導区域に位置づけられた拠点地区となっております。

 北九州市においては、現在これらの地区で、都市再生整備計画事業、市街地再開発事業、地方都市リノベーション事業を活用しまして、道路、公園等の基盤整備、病院、図書館の整備、老朽化した建築物の再開発等を行っているところであります。

 これらの事業はコンパクトなまちづくりを進める上で重要な事業でありまして、国土交通省としては引き続き支援をしてまいりたいと存じます。

城井分科員 ありがとうございます。

 今大臣からも例示をいただきました拠点地区については、コンパクト化も図りながらでありますけれども、地域でのにぎわいづくりの拠点としての役割もあり、その両立を目指したという取組になっております。ぜひ、国におかれましても、引き続きの御支援をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、北九州市内の主要幹線道路の整備推進についてお伺いいたしたいと思います。

 物流ネットワークの形成、そして緊急輸送道路の確保のために、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づく補助率等のかさ上げ措置になりますけれども、これを平成三十年度以降も継続すべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 道路財特法によります国費率のかさ上げ措置につきましては、平成二十年度から今年度末までの十年間の時限措置である中、これまで、国民の安全、安心の確保や生産性向上による成長力の強化等の観点から、必要な道路の整備、機能強化を進める上で重要な役割を果たしてきたと思っております。

 このため、かさ上げ措置の継続につきまして、北九州市を含めました全国の地方公共団体から強い御要望をいただいているところでございます。

 今般、地域の意見も踏まえまして、今後も引き続き計画的に道路の整備、機能強化に取り組んでいく観点から、平成三十年以降も現行と同様に十年間かさ上げ措置を継続すべく、改正法案を二月二日に閣議決定をいたしまして、国会に提出をしたところでございます。速やかな御審議をいただきたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 これまでの重要な役割、そして地域での意見をしっかり踏まえてという力強い御答弁がございました。この仕組みの役割をこれからも私どももしっかり受けとめながら、先ほどの投げかけられております審議に向かっていきたいというふうに思いますので、引き続きのお取組をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続いて、主要幹線道路の件であります。

 国道の百九十九号線砂津バイパスなどの補助国道の整備、そして恒見朽網線や湯川飛行場線などの地方道の整備について、国として更に推進すべきだというふうに考えますけれども、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 北九州市における補助国道及び地方道の整備については、北九州市が、国土交通省の社会資本整備総合交付金を活用し事業を行っております。

 委員御指摘の国道百九十九号砂津バイパスは、国際拠点港湾であります北九州港砂津地区へアクセスする延長〇・七キロメートルのバイパスでございまして、唯一残っている起点側取付け部につきまして、平成三十年度の完成を目指し、工事を推進していると北九州市より聞いております。

 また、主要地方道の恒見朽網線及び一級市道の湯川飛行場線は、北九州空港跡地産業団地へのアクセス道路でございまして、恒見朽網線の一部区間、これは延長約三・一キロメートルでございます、及び湯川飛行場線につきましては、平成三十二年度の開通を目指し、用地買収及び工事を推進していると北九州市より伺っております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、その他の補助国道、地方道も含めまして、北九州市からの要望を踏まえまして、社会資本整備総合交付金等により支援をしてまいります。

城井分科員 今、国土交通省の方からもお話がございましたけれども、指摘申し上げた三カ所を始めとした北九州市から要望が出されている道路につきましては、特に朝晩を中心にして非常に混雑が激しい地域となっております。その意味で、地域住民の利便性もそうですし、その他の地域からの人口流入も含めて今後の取組をしていくとなりますと、この道路の整備は欠かせないというふうに思っておりますので、国として、特に先ほどの砂津バイパスの部分は平成三十年度ということでございましたので、ぜひ、引き続き力強く早期の取組をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、都市計画道路についてもお伺いいたします。

 都市計画道路戸畑枝光線、そして日明渡船場線、そして都市計画道路砂津長浜線、都市計画道路九号線、これは高野工区になりますけれども、を始めとした都市計画道路の整備についても、国として更に推進すべきだというふうに考えますけれども、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

栗田政府参考人 戸畑枝光線につきましては、新若戸道路と北九州高速道路の枝光ランプを結ぶ地域高規格幹線道路として、自動車専用道路ネットワークの形成によります都市内交通の円滑化を目的に、橋梁工事が現在進められております。

 日明渡船場線、これは小倉都心部へのアクセス道路としまして、周辺道路を含めた慢性的な渋滞解消を目的に、道路本体工事が進められております。

 砂津長浜線ですけれども、これは北九州港の砂津地区を始めとする物流拠点へのアクセス機能強化を目的に、現在、道路本体工事が進められております。

 それから、都市計画道路九号線、これは災害時の避難、救助及び物資供給のための緊急輸送道路に位置づけられるとともに、通学路の安全性向上を目的に、埋蔵文化財調査、道路本体工事が進められているところでございます。

 これらの事業は、北九州市が、我々の支援手段であります社会資本整備総合交付金等を活用して事業を進めておられるところでございます。

 国土交通省としましては、これらの都市計画道路の整備につきまして、引き続き、北九州市からの要望を踏まえ、また、個々の事業の進度、工期等を勘案しながら、支援してまいりたいと考えておるところでございます。

城井分科員 ありがとうございました。

 自治体との連携のもとで、引き続き、確実な取組として支援をお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、関門航路及び北九州港の整備促進についてお伺いいたしたいというふうに思います。

 まず、関門航路についてであります。

 関門航路は、国内幹線航路であると同時に、東アジアの主要港、そして北米、ヨーロッパとを結ぶ国際幹線航路の要衝でもあります。水深が確保されていないことから、大型船舶が満載喫水で通航できないために非効率な輸送形態となっております。また、衝突や座礁などの海難事故が後を絶たない状況もあります。

 輸送の効率化や海上交通の安全を確保するため、航路水深十四メートルに向けた整備を国としても引き続き促進をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 関門航路は、我が国とアジア等を結ぶ国際航路の一翼を担うとともに、国内各港湾を結ぶ国内幹線航路といたしまして、我が国の産業や経済を支える重要な役割を果たしております。

 関門航路は現在水深十二メートルで供用しておりますが、船舶の大型化へ対応するために水深十四メートルへの増深を進めるとともに、航行船舶の安全性向上を図るため、拡幅や直線化を進めているところであります。

 国土交通省といたしましては、関門航路の水深十四メーター化に向けまして、引き続き整備を推進してまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 十四メートルへの取組、そして拡幅、直進化ということで、航路の何よりも安全確保に向けた万全の取組を引き続きお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 北九州港についてもお伺いしたいと思います。

 北九州港は、北部九州の重要な物流拠点であります。全国九位のコンテナターミナル、そして西日本最大級のフェリー基地、北部九州自動車産業の物流拠点、アジアとの国際RORO輸送網などの港湾機能を充実して、そして、産業の競争力を強化していくためには、新門司地区複合一貫輸送ターミナルの航路、泊地の整備、そして田野浦地区複合一貫輸送ターミナルの岸壁の整備、西海岸地区岸壁の老朽化対策、洞海地区航路の機能維持などに対して国が更に支援をすべきだというふうに考えますけれども、国土交通省の見解をお伺いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 北九州港は、対岸諸国に近い地理的優位性を生かして、アジアと我が国を結ぶ国際物流拠点として、また、国内物流拠点として、北部九州の産業や経済を支える重要な役割を果たしております。

 委員御指摘の各事業でございますが、まず新門司地区複合一貫輸送ターミナルにつきましては、現在水深八メートルで供用しておりますが、船舶の大型化に対応するため、航路、泊地の水深十メートルへの増深を進めております。

 田野浦地区複合一貫輸送ターミナルにつきましては、二バースの老朽化対策を進めており、うち一バースにつきましては、平成二十八年度に完成したところでございます。

 西海岸地区岸壁につきましては、現在クルーズ船が寄港しておりますが、岸壁の老朽化が進んでおりますので、平成二十七年度より老朽化対策に着手したところでございます。

 洞海地区航路の機能維持につきましては、北九州市が社会資本整備総合交付金を活用して整備を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、これらの事業の整備促進に努めてまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 経済、物流の牽引役としての役割をそれぞれの地区が担うとともに、実際には地域雇用の中心にもなっているというふうにも思っております。そうした観点にもぜひ着目をいただきながら、しっかりお支えいただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 続いて、国道三号黒崎バイパスの建設についてお伺いいたしたいと思います。

 道路関係予算総額の拡大、確保及び早期全線供用のための、この道路の整備事業予算の確保をすべきだというふうに考えております。

 また、春の町ランプ、黒崎西ランプ及び陣原のランプの早期供用に向けて国がさらなる支援を行うべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 国道三号黒崎バイパスは、北九州市の副都心であります黒崎駅周辺の国道三号の渋滞を緩和するとともに、北九州都市高速道路と一体となって自動車専用道路ネットワークを形成することによりまして、北九州都市圏の交通円滑化に役立つ重要な道路であると認識をしております。

 私自身も、一度現地を視察をさせていただいたことがございます。

 これまで全線延長約五・八キロメートルのうち、北九州高速道路に接続をいたします約五・二キロの区間につきましては、平成二十四年九月までに開通をしております。

 現在、小倉都心部へのアクセス向上を図るために、三つのランプの整備を進めております。特に、開通済みの本線から現道国道三号へ接続いたします春の町ランプにつきまして、JR鹿児島本線をまたぐ橋梁工事等から順次進めているところであります。

 引き続き、地元の御協力をいただきながら、事業を推進してまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 大臣も御視察をいただけたということでありましたので、現地の状況はよくよく把握をいただいているというふうに思います。

 これまでの取組、党派を超えてこの建設について応援をしてまいりましたけれども、この五年間のスピード感が少し落ちているのではないかということを地元では心配をいたしております。

 その意味では、引き続きの来年度以降の取組ももう一押しお願いしたいということを、大臣からもぜひ御指示をいただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、続いて、民有地の崖崩れや土砂災害に対する復旧補助についてお伺いをしたいというふうに思います。

 民間が所有している土地で崖崩れや土砂災害があった場合、この復旧作業については、原則としては所有者の負担となっているのがルールでございます。そのため、費用負担が大きく、対応が困難な場合が随分とございます。自治体の対応では所有者に安全対策を求めることに限られておりまして、現状ではそれ以上の介入は難しいというのが実際でございます。

 いわゆる急傾斜地法に基づく危険区域内の自然崖は、要件を満たせば国及び自治体の補助を受けることができます。一方、この法律の要件を満たさない民間所有の土地の崖崩れは、ごくまれに国から特例による要件緩和を受けるか、独自の救済制度を設けるなどのごくごく限られた自治体の支援があるか、こうした厳しい状況であるというふうに認識をいたしております。

 昨今、想定を超えるゲリラ豪雨なども多く相次いでおりまして、そのことを踏まえますと、一つには、民有地の災害対策に行政がかかわることができる法律の整備を進めるか、急傾斜地法の特例の適用を拡大していくかということが必要だというふうに考えますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 民有地におけます予防的な崖崩れの対策といたしましては、急傾斜地法に基づく区域の指定によりまして、急傾斜地崩壊対策事業を行うことが可能でございます。

 また、降雨等により発生した崖崩れ災害に対しましては、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業等を活用いたしまして復旧に取り組んでいるところでございます。

 さらに、平成二十八年の熊本地震のように、一般被害やライフライン等に甚大な被害が発生した災害につきましては、崖の高さに関する採択基準を緩和をするとともに、宅地擁壁等も事業の対象とするなどの特例措置を講じております。

 今後とも、崖崩れ災害が発生した箇所につきましては、状況の把握を適切に行うとともに、地方公共団体と綿密に連携をいたしまして、地域の安全、安心の確保のため、きめ細かな対応を図ってまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 大臣の御答弁にもありましたけれども、予防的な措置、いわゆる事前の取組については、ある程度手が届く状況もあるというふうに認識をいたしておりますけれども、今大臣からもお話ありました、実際に災害が起こった後の対応については、私も調べてみますと、自治体の支援が実際に届いた例というのは本当に数が少なかった状況もありました。

 地元北九州市内で申しますと、年に百二十件、崖崩れが起こっておりますが、その全てに手が届くというのは難しいというふうに思っております。ただ、先ほど大臣からもお話がございましたように、きめ細やかな対応というふうにおっしゃっていただきましたけれども、地元自治体からの御相談も含めてでありますけれども、災害が起こった後、民有地で本当に困り果てて頭を悩ませている方がこれだけ多いのかというのが、この五年、地域を歩いた実感でもございました。

 そうした部分も含めて、災害が起こった後の対応、特に、先ほど私からの提案で申しますと、急傾斜地法の特例の適用拡大ということになろうかというふうに思いますけれども、この拡大の部分について、ぜひ国土交通省として丁寧に、自治体からも含めての相談に当たっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、私からの質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮路拓馬君。

宮路分科員 自由民主党の宮路拓馬でございます。本日は、質問の機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今回は、まず、人口減少社会に対応した土地建物に関する制度についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 御案内のとおり、我が国は、約十年前からついに人口減少社会に突入をしてしまいました。現在、一億二千八百万人、ピークだった人口が一億二千六百万人台に、そして、それが二〇四〇年には一億人をやや上回る、そして、ついに二〇五〇年には一億人を切ってしまう、そういう急激な人口減少がこれから進んでいくというふうに言われております。

 そのような中、平成二十七年五月ですか、空き家対策特別措置法が施行されることになりました。この法律につきましては、私の父、宮路和明が、政治人生をかけて、最後の大仕事ということで、引退直前、忘れもしませんが、平成二十六年十一月に、各党各会派の御理解をいただいて、議員立法として成立した法案であります。

 全国で八百二十万戸の空き家がある中、その中には、当然、別荘であるとか、あるいはまた賃貸の空き家、あるいは売却用の空き家もございますけれども、その他空き家、ここが問題でありまして、三百十八万戸のその他空き家がある。

 そして、その中で、鹿児島県、これは不名誉なことなのかもしれませんが、空き家、その他空き家率については一一%を超えておりまして、これは全国一のその他空き家の高さであるという状況にあります。

 鹿児島も、多分に漏れず人口減少、特に鹿児島から首都圏を始めとする都市部への人口流出が、いまだ歯どめがかかっていない状況にあります。加えて少子化の影響もありまして、これからも更に空き家がふえていくのではないか。

 私の父は、落選中に地元を一軒一軒回って、その地元にこれほど多くの空き家が存在し、そして、鹿児島といえば台風常襲地帯ですから、台風が来るたびに瓦が飛ぶ、あるいは、もう建物それ自体が崩壊の危機に瀕している、そしてまた、時として放火される、そうした危険性もある、また、野良猫、野良犬が集まってにおいが発生をして、それが周辺の住宅環境に影響を及ぼしてしまう、そうした例をつぶさに見て、これは早急な対策が必要だ、そういう思いで、国政復帰をさせていただいた後、最後の大仕事として取り組ませていただいた法案でありました。

 そこで、お伺いをいたします。

 平成二十七年五月に空き家対策特別措置法が施行されて、約三年が経過するところでございますけれども、空き家対策特別措置法に基づく措置としての助言、指導、勧告、そして命令等の各種措置の実施の状況についてお伺いをいたします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 空家等対策の推進に関する特別措置法は、平成二十七年五月に全面施行され、周辺に悪影響を及ぼす空き家については、市町村長による助言、指導、勧告、命令、代執行が可能となっております。

 平成二十九年十月一日までの実施件数でございますが、助言、指導が八千五百五十五件、勧告が四百十七件、命令が三十六件、代執行が六十件、うち略式代執行が四十七件という状況になっております。

宮路分科員 助言、指導が八千件を超える、そして、勧告になれば四百件台ということでありますが、これについては大分、立法の過程において論点になったというふうに私も聞いておりました。

 かつて私は総務省におりましたので、当時の上司から、おまえのおやじはどうにかしろよということを言われたこともありました。そうした激しい厳しいやりとりの中で、住宅地の税制の特例、つまり、宅地については六分の一になるという特例措置の扱いについて、かなり問題になったというふうに聞いておりましたけれども、これについては、勧告の効果としてその六分の一特例の適用がなくなるという措置を設けることにより、その前段階である助言、指導で大分、空き家の適切な処理が進むようになったのではないか、そのことを如実にあらわす状況であるのかなと考えております。

 そうしたことで、空き家対策特別措置法により、各自治体においても、そうした法律に基づく措置を活用して相当程度空き家対策が進んでいるというふうに認識しているところでありますけれども、空き家対策につきましては、もちろん行政の取組、各市町村等の取組は重要ではありますが、やはり専門家の協力というのも欠かせないというふうに考えております。

 私も、年明け、年始、宅地建物取引業協会の年始会に出席したり、あるいはまた司法書士の先生方との懇談の場に出席したり等々、いろいろな会合に出てきておりますが、やはりその中でも、そうした方々、空き家問題に対して非常に関心がある。自分たちの力をより発揮できるのではないか、もっと協力できるのではないかということも力強く言っていただいたところでございます。

 そこで、司法書士等あるいは行政書士等の法律の専門家、また建築の専門家、あるいは宅建、宅地建物取引士の不動産等の専門家の方々、こうした方々の活用について、これまでの国土交通省の取組をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における空き家対策は、除却、利活用等にさまざまなノウハウを要することから、御指摘のとおり、法律、建築、不動産等の専門家の活用が不可欠だというふうに考えております。

 こうした観点から、空き家対策特別措置法においては、市区町村は、空き家対策の実施等のため、専門家の参画を得た協議会を組織することができるというふうになっておりまして、具体的には、弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、建築士等が挙げられるというふうに考えております。

 また、平成二十八年度から、行政と専門家が連携して、除却、利活用、発生抑制に先駆的に取り組み、その成果の普及を図るモデル的な事業について支援を実施してまいりました。

 さらに、平成三十年度予算案におきましては、空き家対策の担い手強化・連携モデル事業により、これまでのモデル的な取組の支援に加えまして、空き家に関する多様な相談にワンストップで対応できる人材の育成、専門家と連携した相談体制を構築する取組を支援することとしております。

 国土交通省としては、こうした施策を通じ、地域行政と専門家との連携を一層促進し、取組の促進を図ってまいりたいというふうに思っております。

宮路分科員 国交省においても、専門家の活用、それをリードすべくモデル事業の実施など、いろいろ工夫を凝らしていただいているということでございます。

 そうした先進事例をいかに普及させていくか、つまり横展開、これも非常に重要な論点だというふうに考えております。

 残念なことに、先ほど申し上げたとおり、その他空き家率日本一の鹿児島ではありますが、その空家等対策計画の策定状況を見れば、依然として五三・五%にとどまっております。

 特に、最大の市町村である鹿児島市、ここはまだ策定されていない状況でありまして、そうした自治体においても、この空き家問題というのは避けて通れない問題でありますので、早急な取組が必要だと考えておりますし、一方で、空き家対策に早くから取り組み、空き家特措法の制定以前から条例等による先進的な取組を行ってきた自治体もあります。そうした先進事例をいかに普及、横展開を図っていくかという点について、国土交通省の取組をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 空き家対策につきましては、御指摘のとおり、地域における先導的な取組について、他の市区町村の参考となるよう普及や横展開を図り、全国的に空き家対策を促進していくことが重要だというふうに考えております。

 昨年八月には、空き家対策に関する検討や情報共有、展開を図るための全国組織として、全国空き家対策推進協議会が、約千を超える市区町村や専門家団体等の参画を得て設立されまして、課題や事例の共有、解決策の検討など、さまざまな活動をしています。鹿児島においても、鹿児島県のほか、たくさんの市町村に御参画いただいているところであります。

 国土交通省としては、今後とも、同協議会の活動に対する支援等を通じ、先導的、モデル的な空き家対策の取組の検討、横展開を進め、全国における空き家対策の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。

宮路分科員 専門家の活用、そしてまた先進事例の普及あるいは横展開等々、考えられる施策に果断に取り組んでいただいているということだと思います。

 空き家対策特別措置法の施行から間もなく三年が経過するわけでありますが、しかし、その中で、取り組めば更に課題等も見えてくるわけであろうかと思います。いまだ計画を策定していない自治体もあるというのも一つの課題かと思いますし、また、取り組んでいる中で、例えば、まだ所有者の探索にやはり時間がかかってしまう、相当程度進んではいるけれども、そうした声も聞こえてくるところでありますし、また、除却等は進んできましたが、活用についてまだまだこれからという声も聞こえているところであります。

 そこで、今後更に空き家対策を推進していく上で国交省が認識している課題、あるいは、それに向けてどういう取組を行おうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

伊藤政府参考人 空き家対策につきましては、地域の実情に応じて、御指摘のとおり、除却するべきものは除却し、また活用できるものは活用していくということが重要だというふうに考えております。

 活用につきまして、とりわけ幾つかの最近の取組について御紹介をさせていただきますと、空き家を含めた既存住宅の流通促進に向けまして、持ち家としての活用について、消費者が安心して購入できる物件に対して標章付与を行う安心R住宅制度の創設、それから、民間の空き家、空き室を住宅確保要配慮者の賃貸住宅として活用する新しい住宅セーフティーネット制度の構築などを進めているところでございます。

 さらに、空き家を住宅以外の用途に転用することも有効だというふうに考えております。社会資本整備審議会において、既存ストックの有効活用等の観点からの建築基準制度のあり方についての答申をこの二月十六日にいただいておりまして、これを踏まえまして、用途変更に関する建築規制の合理化について検討してまいりたいというふうに考えております。

 このほか、議員御指摘のとおり、行政と専門家との連携ですとか、あるいは地域の特性に応じた空き家対策、あるいはまちづくりを通じた取組の実現ということも大切な観点であるというふうに認識しております。

 国土交通省としましては、地方公共団体、これに携わる専門家の御意見も十分お伺いしながら、地域課題である空き家対策の推進になお一層取り組んでまいりたいと考えております。

宮路分科員 続きまして、同じく人口減少社会の中で、これからまた問題、既に顕在化していると思いますが、これから更に問題となっていく所有者不明土地の問題についてお伺いをしたいと考えております。

 現時点において、所有者不明土地、これは増田寛也先生の研究機関が発表した数字になりますが、四百十万ヘクタール、我が国においては所有者不明土地が存在する。そしてそれが、たしか二〇四〇年だったと思いますが、七百二十万ヘクタールまで、このまま何も手を打たないでいると拡大をしてしまうと。四百十万というと、およそ九州と同面積でありまして、また、七百二十万というと、北海道とほぼ同面積ということでありまして、それだけの地域が所有者不明土地になってしまうのではないかという衝撃的な数字であります。

 しかし、一方で、所有者不明土地というのは、この時点において所有者不明であるということでありまして、それをしっかり探索していけば、所有者はそれなりに確知し得るということも聞いておりますので、これを四百十万あるいは七百二十万にしないことがまず第一に求められるというふうに認識しているところであります。

 今回、そうした、建物の次は土地だということで、先般御勇退された保岡興治先生のイニシアチブによりまして、野田毅先生を会長とする特命委員会を我が党にも設立をして、そして国交省と二人三脚、所有者不明土地の問題について検討を重ねてきたわけでありますが、それについて、今回、国交省においても法案化をしていただくというふうに聞いておるところであります。

 そこで、まず伺います。

 所有者不明土地、先ほど申し上げたように、これは今後どんどんふえていく。やはり所有意識の低下、これは、地方から都市へどんどん人が流れていけば、地方に残された土地に対する意識というのは低下してしまうというのはやむを得ないのかもしれません。あるいはまた、人口減少に伴う土地利用ニーズの低下等々ありまして、そうした背景で、これから所有者不明土地がふえていくであろう。

 一方で、やはり、そうした土地を公共事業等に活用しなければならないという状況もあるわけでありまして、この所有者不明土地については、一義的にそうした公共事業等の活用の支障になっているというわけでありまして、まずその第一歩として、先ほど申し上げたとおり、そもそも誰の土地なのかということを確知することがまず重要だということでございます。

 ただ、そこに今のところ相当の時間と膨大なコストを要さざるを得ないという状況、まずそこが問題意識としてあったわけでございますが、今回の法案の中で、所有者の確知、探索についてどのような措置を講じることとしているのか、お伺いしたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 所有者の探索というところでございますが、まず数字でございますけれども、平成二十八年度の地籍調査で、不動産登記簿により所有者の所在が判明しなかった土地の割合が、筆数のベースで二〇%でございますが、その後、市町村が調査をした結果、最終的に所有者の所在が判明しなかった土地は〇・四%となっております。

 この登記簿から所有者が判明しない二〇%の土地を〇・四%に探索するまでには、多大な労力を要している状況でございます。

 具体的には、有益な所有者情報にアクセスできず探索が非効率になっているケース、地元の事情に詳しいとされている者への聞き取り調査とか遠隔地への訪問など、現在では効果が得られる見込みが少なくなっている調査に労力を費やしているケースがございます。

 このため、今国会に提出予定の法案におきましては、一つには、固定資産課税台帳など従来原則として利用できなかった有益な所有者情報を行政機関が利用できるようにするということ、さらに、照会の範囲を親族など一定の範囲に明確にするということ、こうしたことによりまして、原則として、登記簿、住民票、戸籍といった客観性の高い公的書類を調査することによって所有者の探索の合理化を図ってまいりたいと考えております。

宮路分科員 今御紹介いただいた税務情報の内部での活用、これもまた実は、空き家対策特別措置法の中で、税務情報というのは、私もかつて地方行財政に携わっておりましたので、門外不出というような扱いをされておったところ、そこに大きな風穴をあけたものだと考えておりますが、その空き家対策特別措置法のエッセンスというか、そういうものが所有者不明土地の今回の法案にも生かされていくのかなというふうに考えているところでございます。

 今御紹介いただいたとおり、登記で確認できない二〇%を、しかし、しっかりと追っていけば〇・四%にまでなるということで、やはりまず第一には、そうした所有者の探索、確知をいかに円滑化を図るかというのが今回の法案の一つの大きな柱になるのかなというふうに考えておりますので、しっかりその法案の成立に向けて私も頑張ってまいりたいと思います。

 ただ、そうは申しましても、どこまで行っても〇・四%、これは一つのデータかもしれませんが、の最終的な所有者不明、真の所有者不明土地と申せばいいのでしょうか、そうしたものが残ってしまうことは、これはやむを得ないところでございまして、そうした、最終的に、探索の結果、所有者不明となった土地を、またこれもいかに活用を図るのか。

 やはり、公共事業を進める上でどうしても活用せざるを得ないという場面も出てくるでしょうから、それについても、今回の法案、措置を講じることとするというふうに伺っておりますので、その内容についてお伺いをしたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 探索の結果、どうしても所有者不明である土地の利用というところでございますが、今国会提出予定の法案におきましては、所有者不明土地のうち、特に反対する権利者がいない、簡易なものを除いて建築物がなくて現に利用されていないといった所有者の不明土地につきまして、一つには、公共事業のために使用する場合に、収用委員会にかわり都道府県知事が裁定すること等によりまして手続の合理化を図る、また、公園、広場といった地域住民のための公共的な事業につきまして、都道府県知事の裁定を得て一定期間の利用権の設定を可能とする制度を創設してまいりたいと考えております。

 こういった措置によりまして、所有者不明土地の利用の円滑化を図ってまいります。

宮路分科員 建物、空き家から、そして所有者不明土地と政策ツールがそろっていき、こうした人口減少社会に対応した土地建物利用のあり方についてしっかりと本腰を入れて対応していく必要があると考えております。

 次に、そうした中ですが、これもまた、私、最近地元を回る中で、そもそも土地利用規制と申しますか土地利用のあり方について、今、人口減少社会に対応したものとなっているのかという声も聞くところであります。

 例えば、東京に出ていた息子夫婦が戻ってくる、そして、せっかく活用できそうな土地があるのに、なかなか、法的な規制があってそうした手続に時間がかかってしまい、自然に恵まれた、そして広い土地での生活をと思っていたんですが、それを諦めざるを得なかったんだという声もお聞きをいたしました。

 現在の土地利用、都市計画を始めとする土地利用のあり方については、高度経済成長期、そしてまた人口増社会の中で、当時スプロール現象というものも非常に行政課題として挙げられていた中でつくられてきたものだというふうに認識しております。それが、この人口減少社会においてもそもそも必要なのか、しっかりとそれに対応したものになっているのかという御意見もお伺いするところであります。

 そうした中で、人口減少社会に対応した土地利用のあり方、あるいはまちづくりのあり方について、現段階で国土交通省としてどのように考え、どのような取組を行っているのか、お伺いをしたいと思います。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

あきもと副大臣 人口減少や高齢化の中にあっても、地域の活力を維持するとともに、福祉、医療等の生活機能が確保された安心して暮らせる町を実現するためには、各種の都市機能をコンパクトに集約しネットワークでつなぐ、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを進めることが必要と考えております。

 このような考えのもと、平成二十六年に都市再生特別措置法を改正して、立地適正化計画制度を創設しました。従来からの規制的手法による土地利用コントロールに加え、予算、税制等のインセンティブ策を講じながら、町中や公共交通沿線に、生活サービス機能や、また居住の立地を誘導していくこととしております。

 コンパクト・プラス・ネットワークの取組は、中長期的な視点で都市構造の転換を図るものであり、幅広い政策分野にわたるものであることから、政府においては、各省庁で構成するコンパクトシティ形成支援チームを設置しております。引き続き、この枠組みを通じて、省庁横断的に支援施策を充実して図り、市町村のコンパクトなまちづくりを支援してまいりたいと思っております。

宮路分科員 あきもと副大臣におかれては、我が鹿児島の先輩でありまして、今副大臣から力強い答弁をいただいたことに私としても本当に心強く思った次第であります。ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと地元の件についてぜひお伺いをしたいと思います。

 地元鹿児島における道路整備の現状と今後の見通しについてであります。

 まず一つ目、鹿児島東西道路、これはあきもと副大臣はおわかりかもしれませんが、南九州西回り自動車道を鹿児島市中心部まで直結させる非常に大きなプロジェクトであり、それがゆえに、鹿児島県西部地域の活性化、流通の促進、観光の促進等に大きな効果が期待できるものだと考えておりますが、その鹿児島東西道路について一刻も早い整備が必要である、これは私のみならず鹿児島市の皆様、あるいはその周辺地域の皆様の悲願でもあるところであります。

 鹿児島東西道路についての状況、あるいは国交省の考え方をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道三号鹿児島東西道路は、九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道から重要港湾鹿児島港へのアクセス強化とともに、鹿児島市街地の交通混雑緩和を目的とする延長三・四キロメートルの地域高規格道路でございます。

 これまでに、鹿児島インターから田上インター間の延長〇・四キロメートルと、田上インターから建部インター間の上り線の延長一・八キロメートルの合計二・二キロメートルが暫定的に開通しているところでございます。

 残る区間につきましては、用地買収及び工事を進めておりまして、今年度より、下り線トンネルの立て坑工事に着手するなど、整備を推進しているところでございます。

 引き続き、関係自治体等に御協力をいただきながら、早期整備に向けて事業を推進してまいります。

宮路分科員 私も、地元で活動する中で、その立て坑の工事の現場を頻繁に見るわけでありますが、ああいう、工事が進捗している場面を見れば、ああ、大きく町が変わっていくのかなと非常に大きな期待を持てる、希望を持てるところでありますので、ぜひ、その事業の着実かつ早期の進捗に向け、御尽力をいただきたいと考えております。

 最後に、もう一つ地元の案件になりますが、鹿児島北バイパスについてお伺いをしたいと思います。

 北バイパスにつきましては、国道十号線のバイパスとして、そしてまた、当該箇所は、先般世界遺産に登録されました明治日本の産業革命遺産の尚古集成館の近辺の事業でありまして、そうした絡みもありまして、これまで、どういう経路がふさわしいのかということを検討を進められてきたわけでありますが、いよいよ、事業をこうした形でやっていくんだというところが見えてきたところでございます。

 鹿児島北バイパスにつきまして、現在の状況あるいは今後の見込み等についてお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十号鹿児島北バイパスは、鹿児島市北部の交通混雑の緩和及び交通安全の確保を目的とした延長五・三キロメートルの道路で、これまで延長一・二キロメートルが開通をしております。

 委員御指摘のとおり、地域からの関係者の御意見を伺いながら、平成二十七年度に海側から山側へルートを見直した上で、その旨の都市計画変更を行ったところでございまして、ルート変更後、調査設計及び用地買収を進めまして、今年度より、祇園之洲地区におきまして橋梁下部工事に着手したところでございます。

 引き続き、関係自治体等に御協力をいただきながら、早期整備に向け、事業を推進してまいります。

宮路分科員 本日は、人口減少社会に対応した土地建物のあり方について、そしてまた地元鹿児島の道路整備についてお伺いすることができました。私も、そうした施策の実現に向け尽力してまいることをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内主査 これにて宮路拓馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井分科員 岡山から参りました立憲民主党の高井崇志でございます。

 きょうはお時間をいただき、ありがとうございます。

 まずは、地域公共交通の問題。これは、地元岡山の両備グループ、岡電バス、両備バスが、三十一路線の廃止届を出した。地元では大変衝撃的な出来事でございますが、これは大臣も、記者会見でも聞かれ、答えておりますし、昨日の予算委員会でも、総理も大臣のその言葉を答弁するというようなことがあったわけです。

 しかし、恐らく大臣はお忙しいでしょうから、そんなに、一つの、岡山の話をそこまで知っていただいていないと思いますので、ぜひきょうはこの実態、これは実は、岡山のローカルな話じゃなくて、日本全国の地域公共交通がこれからどうなっていくかという大変重要な問題提起でございますので、聞いていただきたいと思います。

 今回は、この両備グループが三十一路線廃止したんですけれども、これは地元でも誤解をしている方も多くて、いや、それは自分のところに競争相手が入ってきて、それを排除するために別の市民の足を奪うのかというようなことを言う人もいるんですけれども、決してそうではないんです。

 それはなぜそう言えるかというと、この両備グループというのは、過去に、和歌山電鉄、大変経営が厳しかったところを岡山からわざわざ和歌山まで行ってこれを立て直したり、あるいは、広島の中国バスをこれも再建、立て直し、それから、井笠鉄道という第三セクターがやっていた、県がやっていた鉄道をもう廃止せざるを得なくなったときも、代替のバスをやって、赤字にもかかわらず、この地域公共交通を維持するために全力で頑張ってきた、そういう会社です。

 そういう会社が、今回、三十一路線廃止という届けを出すのは、本当に断腸の思い、もう過去の栄光を捨てなければいけないような苦渋の決断であったわけです。それは、両備の代表もおっしゃっていますけれども、これはもう撤退のためじゃなくて、路線バスを廃止じゃなくて存続させるための廃止届なんだ、そして、さらには全国の公共交通を守るための届出なんだということであります。

 これはちょっと状況を説明しますと、岡山西大寺線という黒字路線があります。ここに新規事業者が参入をしてきた。しかし、これはもともと、この西大寺路線というのは黒字ですから、繁忙期には五分間隔で、それから日中でも十分間隔で運行していて、特に何か不便だということじゃないんですね。そういった社会的要請があるわけじゃないのに、ここに三割から五割安い運賃で参入してくる。これは、クリームスキミングであり、略奪的進出だと思います。

 そして、この両備グループは、三割の黒字路線で七割の赤字路線を賄ってこれまでやってきたわけですけれども、もしここを奪われて赤字路線を廃止するということになると、今度、ではその赤字路線のところを、今自治体とかも一緒になって、協議会をつくって、では維持しようか、でも維持しようとなったら、結局は、市町村が補助金を出したり、あるいはみずから運営したりということで、市民の税金を使ってこれをやるということになるわけです。これは、今まで民間企業だけでできていたものをわざわざ税金を使ってやらなきゃいけないというのは、本当に市民の理解が得られるんだろうかということがあります。

 そして、この競合会社については、五年前にも岡山市の中心部に百円均一料金という料金で参入して、このときもいろいろあったんですけれども、これに対して国交省は、五年後にはこの百円という価格がいいかどうかを検証しますということを表明していたと聞いておりますけれども、五年たっていますけれども、そういった検証もないままに、今回、この新規路線に参入を認める、もう認可をしてしまったということであります。

 加えて言えば、この新規参入の会社は別の事業をやっていて、そこでは補助金がたくさん入っている、市民の税金が入っている、そういう会社が今度新規参入をしてくるということであります。

 さらに、この両備グループは、国交省や自治体にも事前に随分前から相談をしていた、廃止届を出す前に。相談もしていたし、あるいは廃止になるその近隣の自治体の瀬戸内市、倉敷市、玉野市の市長は、国交省に対しても、これは認可すべきじゃない、そういう意見書も出していた。こういう状況の中にあって、認可をされてしまった。

 きのう、私、総務委員会で、実は審議官に来ていただいて、なぜ認可したんですかと聞いたら、それは法律に照らして認可しましたと。

 確かに、道路運送法の認可基準を見ると、極めて簡単で、輸送の安全を確保できるとか、事業を遂行するための計画が適切かとか、会社がその能力があるか、これに照らせば確かにそうなんですけれども、しかし、ではそれだけで認可してしまって、この法律の目的には、道路運送の総合的な発達を図り、公共の福祉を増進する、こういう目的が一条にあるわけですけれども、それが本当に果たされるのかということを私は問いたいと思います。

 今までの説明を聞いて、大臣、改めて、今回のこの件をどのように受けとめて、今後どのように対処していく方針か、お聞かせください。

石井国務大臣 今回、両備バス及び岡電バスにより、合計三十一路線の廃止届出が提出をされております。これは事業者の経営判断に基づき行われたものと承知をしております。

 今回の届出を受けまして、今後、これらの路線のあり方について、地元自治体を始め地域の関係者による協議が行われるものと考えられます。

 国土交通省といたしましては、その協議に参画をいたしまして、さまざまな助言や各種支援策の活用など、積極的に協力していきたいと考えております。

高井分科員 これまでの答弁と変わらなかったわけですけれども、確かに協議会に参加していただくのはありがたいですし、ただ、今おっしゃった助言とかあるいは各種支援策、何か新たなすごい支援策があるんならいいですけれども、やはりそういう問題じゃないと思うんです。今回、根本的に、こういう黒字路線に新規事業者が入ってきて、赤字路線を廃止せざるを得ない、こういう例って余り今までないと聞いているんです、全国でも。

 これをもう認めてしまうと、全国で同じようなことが起こる。だからこそ、この両備グループは、あえてこういう廃止届というかなりなショック療法に出たということなんです。

 きのう、審議官には、じゃあ、認可基準はさっき言ったような三項目なので仕方ないとしても、実は道路運送法三十条には、「一般旅客自動車運送事業者は、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。」こういう文言があります。健全な発達を阻害する競争はだめだと。じゃ、これに照らして、この基準、認可できるのかと聞いたら、実は三十条の四項に、そういう行為があったときに行為の停止や変更を命ずることができると。

 だから、行為が、実際に参入して、そして始まってからじゃないとできないんだということなんですが、そんなものは、そういう事態が想定されるのに、わざわざ参入を許しておいて、そして、結局、健全な発展が阻害されたから、じゃあ後から認可を取り消しますなんてことをしたら、それは参入した方だって迷惑だし、もちろん両備グループだって迷惑だということですから、私は、やはりこの三十条の規定をもうちょっと広く読んでいく必要もあると思います。

 あるいは、先ほど申し上げたように、第一条の「目的」で、「道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進する」と書いているわけですから、この目的規定に照らしても、許可、認可の基準というのはもうちょっと広くとるべきだと思いますが、こういった視点からの認可を判断するということはないんですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の道路運送法第三十条につきましては、その第二項において、「一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。」とされておりまして、同条第四項では、国土交通大臣は、前三項に規定する行為があるときは、一般乗合旅客自動車運送事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができるとされておるわけでございます。

 この第二項の「事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争」とは、運賃のダンピングを行ったり、不当に旅客の争奪を行ったりすることと制定時より解されておりますが、これは、事業者において事業が行われていく中で、不適切な行為を是正させるという目的で制定当初より置かれている規定であるということでございます。

高井分科員 それだけなんですか、健全な発達を阻害する競争というのは、ダンピングとか。そういう、狭く解釈してしまうと、先ほど申したように、この第一条の「目的」が、だって、このまま本当に両備バスが廃止してしまって、地域協議会ができて、じゃあ自治体が何とか頑張りましょうといって税金をつぎ込んでやったとしても、これが本当に、公共交通の健全な発展、道路運送の健全な発達になるんでしょうか。

 そういう議論をしていくと、きのうの総務委員会でも申し上げたんですけれども、法律そのものがおかしいじゃないか、法律を改正しないと、この認可、許可の基準を変えないと、おかしくなるということになると思うんですよ。

 ですから、私は、そこまでいかなくても、この法律の第一条の「目的」や今の三十条があるわけですから、こういったものを広く解釈すれば、今回の認可は明らかにおかしいというふうにできる。これはやはり、今まで皆さん、業界もあうんの呼吸で、こういうのを出しても認可されないだろうと思ってきたんじゃないかと思うんですね。しかし、ここで法律をしゃくし定規に当てはめて認可してしまったら、じゃあ、うちも黒字路線だけやろうという会社は出てくると思いますよ。そうなったときに本当に大丈夫なのかということを私は心配します。

 もう一つ、今回、地域協議会、国交省が参加いただくのは本当にありがたいと思いますが、これは、ただ、もともと、両備グループから聞いたら、七年前に地域協議会をつくってくださいとお願いしてきた。もちろん自治体がつくるんですけれども、自治体そして国交省にも、アドバイスというか支援をしてくれとお願いしてきたけれども、結局、この地域協議会ができてこなかった。このことがやはりこうした事態を招いて、地域協議会ができていれば、事前にもっといろいろ話し合って、この新規参入者だって地域協議会の中で話し合って、別の道もあったかもしれないわけですけれども、結局、この地域協議会というのが法律にはありますけれども、設置が義務じゃないから、その市町村の判断でつくったりつくらなかったり、今回のケースはつくられていなかったわけですね。

 これは、私は、この地域協議会をあらかじめつくっておく、つくらなきゃいけないというふうな制度にすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通の維持、確保につきましては、地方自治体を中心とした地域の関係者による主体的な取組、創意工夫によりまして、具体的な取組を進めていただくことが重要であるというふうに考えております。

 ちなみに、地域協議会が置かれております、根拠になります地域公共交通の活性化及び再生に関する法律によりますと、「持続可能な地域公共交通網の形成に資するよう地域公共交通の活性化及び再生のための地域における主体的な取組及び創意工夫を推進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与する」、こういうことも書かれておるところでございます。

 そのような中、国土交通省といたしましては、地域公共交通の維持、確保に関する全国各地における取組状況をしっかりと把握、検証しながら、地域公共交通政策を進めてまいりたいというふうに考えております。

高井分科員 今のような御答弁では、結局こういう事態になるわけですね、自治体が発意をもってと。しかし、これだけさまざまな自治体がありますから、なかなかやはり自治体みずからが地域協議会をつくるに至らなかったからこうなっているわけでありまして、この法律、私は設置を義務づける法改正をすべきだと思いますけれども、そこまでやらなくても、もっと国交省がアドバイスして、特に今回の岡山の件は、五年前からもめることがわかっているわけですから、国交省として、岡山市なり周辺自治体に、そういう地域協議会をつくりましょうよとか、何かアドバイスとか支援とか働きかけをしたことはあるんでしょうか。

奥田政府参考人 地元の運輸局の方で、岡山県なり岡山市とそういったことについての今後の方向性みたいなものについて意見交換はしていたというふうに聞いております。

高井分科員 意見交換のレベルではこういう事態になってしまって、今、これからつくるということなんでしょうけれども、国交省にも入っていただいて、本当にこの問題、確かに自治体で見ると難しいんですね、競合している会社の問題でもありますから。ですから、もうちょっと、地域公共交通、そして周辺の自治体、特に過疎地の赤字路線を維持していく、そういう観点からやるということであれば、やはり国交省がリードしていただかないとなかなか難しいということだと思います。

 私は、国交省が、本当は運用で、法律を変えるか運用でやるかしかないと思うんですよ、この問題を解決するのは。しかし、どっちもできない、運用もできない、法律をしゃくし定規に当てはめるしかないとおっしゃるなら、もう法律を変えるしかないという議論になってしまいます。

 恐らく、この法律を読めば、今回のような事態は想定していないんですよ。こういう事態にどう対処するかということがないからこういうことが起こるわけで、もともと二〇〇二年の規制緩和で需給調整条項を撤廃してこういう形になったわけですけれども、しかし、それは、かなりの路線バス会社が破綻したり、あるいはスキーバスの重大死亡事故があったり、あるいは慢性的な、乗務員がいなくなったり、こういったいろいろなことがあって、その反省の上に、交通政策基本法ができ、あるいは地域公共交通の活性化再生法の改正があったりしたわけです。

 しかし、そうなると、この道路運送法そのものを変えないと、もう時代に合わなくなってきているということが今回の件で明らかになったんではないかと思いますけれども、これは大臣、通告していますので、道路運送法の改正、御検討する考えはないでしょうか。

石井国務大臣 我が国におきまして、人口減少や高齢化が進む中、地域において必要なバスを含めた公共交通の維持を図っていくことは重要な課題と考えております。

 国土交通省といたしましては、岡山を含めまして、各地域におけるバス事業の状況も把握、検証しつつ、地域公共交通活性化再生法を活用した地域における公共交通維持への取組を支援することを始めといたしまして、地域公共交通政策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

高井分科員 ちょっと私も、少し厳しいことを言い過ぎたかもしれませんけれども、本当に岡山や周辺自治体は困っています。何とか国交省も、法律を変えるまでは、次の課題でいいですから、今回のこの件を地域協議会に入っていただいてうまくまとめていただきたい。まずはそのことをお願いして、この質問は終わらせていただきます。

 次に、ちょっと一つ飛ばしまして、先に、引き続き地元の課題で恐縮なんですけれども、岡山市に、岡山西バイパスそして岡山環状南道路という、岡山市を環状、周りを囲む道路が今建設中です。

 前の前の国道事務所長だったか、ちょっと何代前か忘れたんですけれども、岡山の国道事務所長が言っていました。岡山みたいな都市でこれだけ環状道路が少ない都市は珍しい、非常におくれているということを言われ、私は、ああ、そうなんだ、これはますますつくらなきゃいかぬなと思った、いや、確かにそう聞いたんですよ、何代前か忘れましたけれども、ということがありましたので、この件。

 それから、ちょっとあわせてもう一問聞きますけれども、もう一つは、笹ケ瀬川という河川、これは二級河川なので国交省の直轄じゃないんですけれども、実は、平成二十三年ですから、今から七年前の九月三日に台風十二号というのが来まして、岡山は災害が少ない都市なんですけれども、かなり遅いスピード、自転車ぐらいのスピードの台風だったんで長く滞在して、その結果、その笹ケ瀬川があふれて、三十万人に避難勧告が出るという大変な事態になりました。

 そのときも、私、いろいろ国交省や県庁にお願いして、もともとここは河川を整備する計画があったんですけれども、どんどん後ろ倒しになっていて、なかなか進んでいない。

 あれからもう七年たったわけですけれども、ここもやはり、周辺住民は一刻も早くという思いがありますので、あわせて、副大臣、ぜひ決意をお伝えいただけたらありがたいと思います。

あきもと副大臣 お答えします。

 岡山都市圏の道路につきましては、慢性的な交通渋滞が大きな課題であり、放射方向に伸びる幹線道路の強化とともに、それらを相互に連絡することによって、通過交通の転換を促す環状道路の整備が重要であると認識しております。

 総社・一宮バイパスにつきましては、岡山市と総社市を結ぶ延長約十五・九キロメートルの道路です。これまで約四・九キロメートルが通過しており、残る未開通区間のうち、岡山環状道路から山陽自動車道路の吉備サービスエリア・スマートインターチェンジへアクセスする区間約〇・七キロメートルを優先して、用地買収及び橋梁上部工事等を進めております。

 岡山環状南道路につきましては、岡山環状道路の一部を構成する延長二・九キロメートルの道路です。現在、用地買収及び改良工事、橋梁の下部又は上部工事を進めているところでありまして、引き続き、地元の皆様と協力をしながら、用地買収や工事を推進してまいりたいと思っております。

 あわせて御質問いただいた笹ケ瀬川におきましては、これは今の委員御指摘のことでもございますが、さかのぼるところ昭和六十年の台風六号により、浸水家屋約千三百三十四戸に及ぶ甚大な被害が発生したなどから、昭和六十三年度から岡山県が河川改修を実施していると聞いております。

 事業区間のうち、特に浸水家屋の多い区間から順次改修を進めており、これまでに、JR橋や市道橋を合わせて二橋のかけかえや、約三・七キロの築堤を完了させたと聞いております。

 今後、更に事業を推進するため、平成二十九年十二月に公表した中小河川緊急治水対策プロジェクトの対象としたところでありまして、国としても一層支援してまいりたいと思っております。

高井分科員 御丁寧な答弁をありがとうございます。

 こうした地域の課題は、もう与野党関係なく、超党派で頑張っていきたいと思っていますので、ぜひ、またお力添えをお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、東シナ海のタンカーが沈没した事故の関係でお伺いしたいと思います。

 海上保安庁が、これはいろいろな省庁に係っていて、どこが一体全体を取りまとめているのかわからない、これ自体が問題なんですが。ひとまず、奄美諸島で、最近、タンカーから流出したと思われる油が漂着物にあるという事態になっているんじゃないかと思いますけれども、まず、じゃ、現在の状況をお伝えください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 一月二十八日以降、鹿児島県宝島、奄美群島及び沖縄県沖縄本島等における沿岸部の現地調査を実施いたしましたところ、宝島など二十二島の一部の沿岸に油状のものが漂着しているのが確認をされました。これまでのところ、人的被害等に関する情報には接しておりません。

 海上保安庁では、サンチ号沈没位置付近海面に浮流する油と沿岸に漂着した油状のものについて、それぞれサンプルを採取し、分析を行っており、これまでに、一部のサンプルにつきまして、それぞれ構成する成分やその成分の比率が類似しているということが判明をいたしました。

 今後、引き続き、漂着油状のもののサンプルの採取を行い、分析調査を行ってまいりたいというふうに思います。

高井分科員 一部見つかったということですけれども、島がたくさんあるわけですよね。そのうちどのくらいの島で見つかったのかということと、あと、いつまでに、じゃ、これは全容解明というか調査というのは終えることができるんでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 採取したサンプルの数が多く、分析には時間を要するというふうに考えておりますが、鋭意作業を行っていくこととしております。

高井分科員 日本の国土にこういった、今回のはコンデンセートというんですか、揮発性の高い油だったり、いろいろ初めてのケースもあるので予測しづらいというのはわかるんですけれども、しかし、九州を始め沿岸の方からは、一体どうなるんだろうか、本当に環境に影響はないのかとか、あるいは、漁業をやっている方も心配でしょうし、そういうさまざまな心配があるんですけれども、じゃ、政府としてどこが責任を持って予測をしたり、できるのか。それは、完全に予測が難しいのかもしれませんけれども、しかし、ある程度の予測はどんなときでも示すわけですけれども、そういったものは今回どこがやっているんですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 予測ということではございませんけれども、内閣官房におきましては、本件の油が、先生御指摘のとおり、自然環境でありますとか野生生物、それから地域の皆様の生活や経済に及ぼす影響を最小限に抑えるべく、官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置いたしまして、関係省庁会議を開催するなど、政府全体の情報の集約や共有、あわせて各種の対応の総合調整を行っているところでございます。

 引き続き、政府一体となっての対応に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

米山政府参考人 先ほどの答弁に加えまして、内閣官房におきましては、各省庁による流出油の影響調査の実施について調整を行い、取りまとめや広報をするなど、関係省庁と連携しつつ、情報の集約及び総合調整を行っているところでございます。

高井分科員 内閣官房は、何か、情報収集と広報だって聞いたんですけれども、しかし、その取りまとめもやっているということは、日本に与える影響の最終的な調査結果というか、を伝えるのは内閣官房だというふうに今、受けとめましたけれども、じゃ、今回のこの件は、いつぐらいまでにその影響というのが把握できるんでしょうか。

桑原政府参考人 先ほど海上保安庁からも答弁ございましたとおり、調査はやっておりますけれども、まだちょっと時間がかかるということでございます。

 専門的な見地からの分析を踏まえて、状況がわかれば、また国民の皆様に明らかにしていきたいと考えているところでございます。

高井分科員 この件、結構海外の、イギリスとか中国とかの何か海洋センターとかそういったところの方が予想とかを出して、それがネット上で拡散して、また国民が混乱するという事態なので、早くやはり政府が、完全にはわからなくても、今現状どうなんだということは出すべきだと思います。

 そして、私は、ちょっと疑問なのが、環境省が本来、環境汚染とか水質汚染とか、やはり責任を持ってやるべきだと思うんですけれども、何か、環境省に聞くと、水鳥の影響はうちの担当ですみたいなことを言われるんですけれども、ちょっと環境省、これは環境省としては何をやっているんですか。

江口政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、現在、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の沖縄本島などの各島の海岸におきまして油状の漂着物が確認されている状況にありますことから、漂着した油状のものの回収処理に関します地方自治体への支援などを行うとともに、漂着地域の野生生物や生態系などへの影響調査を実施しているところでございます。

 具体的には、奄美大島におけます五つの海域公園地区におきまして目視による緊急調査を行いました結果、海面におきます油状のものの浮遊やサンゴなどへの付着は確認されず、現時点では、サンゴ、海草類などへの生育には特に異変がないことを確認いたしております。

 また、国立研究開発法人国立環境研究所と連携いたしまして、漂着地域周辺の海水、大気などにつきまして環境モニタリングを実施しております。現地調査及び採取などを行いまして、現在、採取した試料を分析しているところでございます。

 今後とも、漂着地域におけます野生生物、生態系などの保全、海岸環境の保全、良好な景観の確保などに取り組んでまいりたいと考えております。

高井分科員 今、答弁を聞くと、要するに、漂着した後の影響があるかどうかは環境省が調べられるんでしょうけれども、それが来るかどうかみたいなことをやはり政府のどこかが、海洋センターとかそういったものはないんですかね。それは海上保安庁なんですか、影響調査。それは、そういったのをやるところはないんですか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、先ほど申し上げましたとおり、浮流油の漂着についてやっております。

 しかしながら、他方、我々としましては、S号周辺海域及び沖縄周辺から南九州沿岸にかけての海域の十四カ所で採水を行いまして、海水中に含まれる油分を測定しました。その結果、現在のところ、事故以前に測定された値と変わらないものであるというふうに確認をしております。

 このほか、海上保安庁では、地方自治体等と連携をして回収作業を行っていくほか、引き続き、漂着油の情報収集、調査等を行うとともに、現場海域における浮流油の調査、油防除作業を行ってまいりたいというふうに思います。

高井分科員 本当にちょっと心配ですよね。結局どこがやるのかよくわからない状態で、多分ないんだと思うんですよ。

 ですから、こういうことは今後も起こり得ますから、ぜひ大臣、官房長官あたりと相談していただいて、こういったことが起こったときに、どこが司令塔になって、そういう予測とかをちゃんとできるような機関を整備していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

 次に、繁本護君。

繁本分科員 委員長、どうぞよろしくお願いいたします。自由民主党の京都第二選挙区で活動しております繁本護でございます。

 きょうは、道路の問題あるいは都市計画の問題、そして、昨日通告した項目に加えて、災害対応として土砂災害についても時間があればお聞きしたいというふうに思います。

 京都は、人口百四十七万都市であります。今、日本の歴史と伝統文化を代表する都市として、目の前のラグビーのワールドカップだとか、あるいは二〇二〇年の東京オリパラ、これからインバウンドをたくさんたくさん受け入れて、それを町の経済あるいは地域振興、京都創生という言葉を京都では使っておりますが、これに向けて今全力で、門川市長を先頭に、まちづくりをやっているところであります。

 ただ、京都市のまちづくりを進めるにおいては、やはり一番大事な都市の骨格である道路が非常に大切な問題でありまして、この点において、私も京都でいろいろ取材をしておりますが、課題が非常に多いです。

 例えば、全国で政令市は二十ありますけれども、渋滞が中心市街地で発生したときの自動車の平均移動速度、これを見ても、もう断トツで一番低いですね。非常に渋滞が慢性化しています。これは京都市全体のことでもあります。また、最寄りの高速のインターチェンジまでの距離なり移動時間についても、これは非常に遠いわけであります。

 また、京都市は港も空港もないんです。ですから、京都市を起点にたくさんのインバウンドを受け入れる、あるいは国内外のお客さんを受け入れる、そして出ていってもらう、こういった交通を考えたときに、とにかく道路が一番大事なのでありまして、この点について本当に多くの課題を抱えているのが京都市であります。

 そんな中で、きょうは、とりわけ取り上げたい道路の問題といいますか課題について触れていきたいと思いますが、通告に沿っていってまいります。

 まず一つ目が、京都市の山科と大津の間を結ぶ国道一号線の話なのであります。全国で四十七都道府県あって、それぞれ県庁所在地があるんですけれども、京都市は京都の県庁所在地であって、大津が滋賀県の県庁所在地であって、県庁所在地同士がこれだけ近接している組合せというのは日本全体を見ても非常に珍しいぐらい、近い距離に大きな都市が二つあります。

 京都府なり市には就業・通学者が百三十八万人強おりますし、大津は十七万なんですが、とにかくこの間を結ぶのが国道一号線でありまして、この国道一号線の道路交通、約半数が、相互に行き来するわけでありますが、お互いに半分が道路交通を使います。これは、みずから運転をする、あるいは公共のバスに乗るといった道路交通、これがもう半分を超えているわけでありますから、この二つの都市の行き来、本当に国道一号線が生命線であり大動脈であります。

 この状況を見てまいりますと、まず交通容量という部分で見ても、かなり実際の交通量が交通容量を、キャパを超えております。例えば、山科の東野の交差点で見ますと、混雑度という指標で見ると一・五三ですね。大津側の、これは本宮二丁目と逢坂一丁目の間でありますが、混雑度でいけば一・九三というふうに、キャパシティーの二倍近いぐらいの交通量が集中しているということであります。

 また、京都市の、今の一号線の移動旅行速度を見ても、慢性的な渋滞というものが、これは数字でとってもデータでとっても極めて如実にあらわれているわけでもありますし、実際、交通事故という点で見ていっても、山科側で発生している、河原町から京都府と滋賀県の県境までの一号線の区間でありますが、ここで発生している事故も、京都府内の直轄国道で発生している交通事故の平均の件数、これよりもかなり上回っているわけであります。また、これは滋賀県でも同様でありまして、滋賀県の方においては二倍ですね、滋賀県内の直轄国道で発生する事故の平均に比べて二倍の事故が発生しているというデータもございます。

 また、今申し上げたのは平時の話でありますけれども、例えば集中豪雨が発生しました、記録的短時間豪雨が発生したときに、この一号線、京都市と大津を結ぶこの東西の大動脈が寸断された事例も近年ございました。平成二十五年の九月の十六日に発生した集中豪雨では、この一号線もそうでありますし、名神もそうであります、通行どめになって、そのときに唯一残ったのが、西大津バイパスというところが残って、何とか京都と滋賀の間の交通が保たれたということでもありまして、異常気象が発生したときを考えても、非常に今この一号線の交通というのは課題が多いということであります。

 ですから、今のような課題をまず踏まえて、どうやったら、この慢性的な渋滞を解消し、また事故の件数を減らし、そして異常気象が発生したときにおいても安心して都市と都市の間が、京都の玄関口でありますこの一号線が確保できていくかということについて考えをめぐらせていかなければならないというような状況になっております。

 そこで、まず、この一号線の今申し上げた現状について、国交省のお考えについてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 近畿地方の国道一号は、名神高速道路と並行して兵庫県、大阪府、京都府や滋賀県を結び、地域の交通を担うとともに、広域的な経済活動を支える重要な幹線道路でございます。

 このうち、大津市から京都市山科区の区間につきましては、委員御指摘のとおり、沿道施設や交差道路の出入り交通による朝夕の通勤時間帯を中心とする渋滞、また、集中豪雨等による通行どめが発生するなど、課題があるところでございます。

 こうした状況も踏まえて、京都市が主催となりまして、国、京都府及び有識者も参画いたしました京都市将来道路ネットワーク研究会、こういう場を設けて議論をしてまいりました。

 この研究会、平成二十八年の十二月十二日に第一回を開きまして、二十九年の十二月十四日に取りまとめ案をつくったというところでございます。

 国道一号大津―京都間につきましては、広域的な観点から、交通集中の緩和や災害時におけるリダンダンシーの確保等のため、整備の必要性が高いと位置づけられたところでございます。

繁本分科員 ありがとうございました。

 今局長が御紹介していただきましたとおり、京都市においても、この課題を十分承知の上で、将来道路の研究会をやっております。

 きのう、京都市会でもこのことについて話題になりました。吉井章京都市会議員が、やはりこの一号線の問題について、門川市長に代表質問を行ったところであります。きょうの京都新聞の一面にそのことが紹介されていて、けさのことでありましたのでお手元に御提示できておりませんけれども、やはり、るる申し上げた現状認識のもとで、これから一号線をバイパスする新たな道路の整備が必要ではないか。これは、将来道路のネットワーク研究会、市の研究会においても、その必要性が認められたところであります。

 これを踏まえて、京都市、そして国ですね、国道でありますから、そして、受益者の一人であります府ですとか、京都府あるいは滋賀県も巻き込んで、広域的にこのバイパス化に向けた検討が必要だというふうに思います。

 実現に向けては、いろいろ考えていかなくちゃならないことがたくさんあるかと思います。まず、現状において、今申し上げたような渋滞あるいは事故、異常気象時の寸断が京都市やあるいは滋賀県の経済、生活に与える影響が一体どれぐらいのものなのか、これは経済的に評価すればどんなぐらいの規模であるかとかですね。

 そしてもう一つ、大切なことを検討しなければならない点もあります。阪神高速の京都線の新十条、これは稲荷山トンネルがあるところでありますが、これが三十一年に無料化されるという予定があって、このトンネルの無料化は、これから京都と滋賀県の間の東西の交通のあり方、実際の自動車の流れを大きく変える、インパクトのある無料化がございます。

 ここで一つ聞きたいのでありますが、この新十条の、阪神高速京都線新十条通が市に移管されて、これに伴って無料化された後、一体、この新十条を中心として、一号線も含めて東西の道路交通がどうなっていくのでありましょうか。これから検討していく課題の一つかと思いますが、今の段階で何か御所見がありましたらお示しいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました、京都市が主催となった京都市将来道路ネットワーク研究会の取りまとめ案、また、今先生御指摘の新十条通のトンネルの無料化、そういった動きを踏まえまして、京都府、滋賀県等々、関係者とも幅広く連携をして、連携強化やネットワークのあり方等について検討を進めていかなければいけないと考えております。

繁本分科員 そうなんです。局長がおっしゃるとおり、今私の申し上げた点も、ぜひネットワークの研究会の中で御議論していただきたいと思います。

 きのう、京都市会でも代表質問があって、ここで一つテーマになったことが、いわゆる受益と負担のあり方でもあります。一体、これから国道一号線をバイパスする新たなルートをつくるときに、普通であれば総事業費の三分の一を京都市が負担しなければいけないわけでありますが、実際に東西を動いている道路交通の主体は誰か、どっちがどう動いているのか、受益はどっち側に多いんだということも含めて、受益と負担のあり方も含めて、整備方式についても、これは一つ大きなテーマになってくると思いますから、その広域ネットワークの研究を進めていただくに当たっては、そのことについても御検討をぜひお願いしたいと思います。

 当然、その検討の中においては、実際に、今の稲荷山トンネルから新十条を抜けて、恐らくここは相当交通がまた集中するし、椥辻の交差点というところが、稲荷山トンネルから東にどっと行くと突き当たるわけでありますが、ここも相当交通が集中し混乱することかと思われます。だから、その先のルートをどうしていくか、どこをどうつなげば京都と大津の間で国道一号線をうまくバイパスできるかというルート選定も大事なテーマだと思います。

 今申し上げましたとおり、さまざま、この国道一号線の現状を踏まえて、将来に向けて考えたときのテーマはたくさんございますので、ぜひ、国交省道路局におかれましては、今局長からも御答弁いただきましたが、調査費をつけて、具体的な検討、広域的なネットワークのあり方、その検討を進めていただきたいと思います。

 最後に一言、この点について、局長、お願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国としての調査の実施につきましては、先ほどの京都市将来道路ネットワーク研究会など、京都市を始めとした地域における検討の経緯でありますとか、京都府、滋賀県などの地元からの要望等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

繁本分科員 ありがとうございます。

 しっかりと、私の方からも、地元の京都市会そして京都府会とも連携をした上で、国交省とも十分相談をしてまいりたいと思いますので、御協力をお願いしたいと思います。

 それでは、通告に従いまして、二つ目のテーマでございますが、京都市における無電柱化の推進についてであります。

 京都市は、冒頭申し上げましたとおり、日本の歴史、伝統文化の中心でありまして、一千二百年の平安京の歴史があり、とりわけ、私の選挙区であります東山あるいは左京、山科も、山科は一千四百年の歴史がある町でもあります。本当に、京都の、あるいは日本の伝統文化のショーケースだと言ってもいいぐらい、重要文化財、国宝も集中しているところでありますから、ここで災害が起こって、大規模な火災が発生したら、本当にそれで大きな財産を、国民の財産、日本の財産を失いかねないぐらい、その重要な文化財を含めて、大切な宝がここに集中しているわけであります。

 また一方において、木造家屋の密集度合いでいきますと、これは京都市全体の話でありますが、全国で四番目に木造家屋の密集地帯という位置づけもあって、いざこういうところで大規模な地震、そしてそれに伴う火災が発生したときに、この京都でどれだけの被害があるんだろうかと考えたときに、やはりさまざま、災害対策として進めるべき施策がありますが、無電柱化ということが非常に大きな政策ツールだというふうに認識しております。

 また、冒頭申し上げましたとおり、これからインバウンドのお客さんもたくさん、オリパラ目がけて、京都にいらっしゃるわけでありますから、災害に強いまちづくりに加えて、景観をよりよくしていく、そして市民あるいは外から来るお客様の交通も電柱で支障とならないようにしっかりと整備をしていく、無電柱化をしていくということがとても大事であります。

 国交省も、一昨年でありましたでしょうか、無電柱化推進法案を通して、現在、大臣が策定する無電柱化推進計画、これがパブコメにかかっておるところでありますが、このパブコメにかかっている計画を読んでみましても、優先順位をつけて、目標を持ってやっていこうということでありまして、防災のこと、安全、円滑な交通の確保、景観形成、観光振興、こういったことが京都と深くかかわりのあるテーマとして、実際、目標として掲げられているところであります。

 これに照らしても、京都でぜひ進めていただきたい無電柱化の通りがございまして、その一つが銀閣寺宇多野線、銀閣寺道と言われているところの無電柱化でもございます。そしてもう一つが、現在京都市が策定している無電柱化計画にも位置づけのある茶碗坂もそうでありますし、これから八坂通についてもぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 京都市は、昭和六十一年から実は無電柱化を推進しておりますが、さまざまな技術的な課題や、あるいは地域住民の合意形成などなどございますので、実は取組は早かったんですけれども、無電柱化率が二%ぐらいです。東京でたしか七%ぐらいだというふうに記憶しておりますが、たしか日本で一番進んでいるのが芦屋で一一%だったでしょうか、とにかく京都の無電柱化率が今低くて、これからどんどんどんどん進めていかなきゃならない。今回、国交省も具体的に計画の中で数値目標を定めました。その中で、ぜひ、今私が申し上げた地域について無電柱化を推進していただきたいと思いますが、国交省からの御答弁をお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等の観点から重要な施策であると考えております。

 とりわけ京都市には、国内外からの多くの観光客が訪れる世界文化遺産が数多く残されており、委員御指摘の銀閣寺道や八坂通、茶碗坂を始めとした観光地におきましては、良好な景観の形成を図ることが必要であり、無電柱化は一つの有効な対策と考えております。

 二月十九日よりパブリックコメントを開始いたしました無電柱化推進計画の案におきましても、景観形成、観光振興の観点から、世界文化遺産周辺の道路など、無電柱化の必要性の高い道路について重点的に推進することとしております。

 銀閣寺道でございますけれども、白川通から銀閣寺に向けたアクセス道路であり、沿道には哲学の道等もあり、年間を通じて多くの観光客でにぎわっていると承知をしております。

 また、通学路にも指定されており、電柱が景観を阻害しているだけでなく、歩行者の安全、円滑な通行の観点からも課題となっていることから、京都市において、平成二十六年度より、防災・安全交付金を活用し、電線共同溝の整備が進められているところでございます。

 八坂通につきましては、世界文化遺産の構成資産の一つである清水寺に近く、通りからは法観寺の八坂塔が見られるなど、眺望もよい道路でございます。

 東大路通から東側は、石畳が整備されるとともに、軒下配線や電線共同溝により、既に無電柱化がなされております。古都の歴史的景観を形成しておりますが、東大路通から西側は、電柱、電線が残っており、眺望を阻害していると承知しております。

 西側の区間につきましては、無電柱化が事業化されておりませんが、地域から無電柱化の要望があると京都市からは伺っておりまして、今後、無電柱化の手法や地上機器の設置場所等について、地域の合意形成に向けて調整を進めていく予定と伺っております。

 茶碗坂につきましては、世界文化遺産の構成資産の一つでございます清水寺にアクセスする道路でございまして、沿道には土産物店が軒を連ね、清水寺の三重塔も見通せる観光地でございます。

 今のところ無電柱化の事業化はなされておりませんが、京都市の無電柱化候補路線の第六期計画に位置づけられていると承知をしております。

 国土交通省といたしましては、これらの箇所も含め、京都市からの要望を踏まえ、適切に支援をしてまいります。

繁本分科員 局長、御答弁ありがとうございました。もう、まるで京都に行って、その情景が目に浮かぶような御答弁をいただきました。本当にありがとうございました。

 ちなみに、八坂の通りにつきましては、景観法に基づく歴史遺産型美観地区、これは祇園町南歴史的景観保全修景地区にも指定されており、その一角でございますので、まさに今回の無電柱化推進計画の目標にぴったり合ったところでございますので、六期の計画には載っていないんですが、三十一年から七期の新しい計画をつくってまいりますので、恐らくそこにはしっかりと載ってくるかと思います。京都市も今汗をかいてくださっておりますので、それを踏まえて、ぜひお願いをしたいと思います。

 続きまして、三つ目の質問に移りたいと思います。京都市左京区の花脊峠のトンネルの実現であります。

 花脊峠というのは、京都市左京区から、源義経で有名な鞍馬寺、鞍馬寺から更に北部山間地域に山を縫っていくと、つづら折りの峠があるのでございますが、その向こうに別所があり、広河原があり、久多があり、もちろん花脊という集落があって、非常に京都市の中でも風光明媚な山間地域、農業もある、林業もあるといった地域でありますが、実はこの花脊峠、国道四百七十七号線が通ったのは明治三十二年なんですね。それ以来、北部山間地域やこの峠を抜けて京都市と行き来しておるわけでありますが、とにかく、雨が降る、雪が降る、路面が凍結する、霧が出る、あるいは、先ほどの事例にもありました山科と同じように異常気象が発生するということになりますと、途端に通行どめにもなるし、私もそこを何回も行き来して北部山間地域の町を訪れておりますが、とにかく幅が狭いんですね。道路に杉の木がもう本当に迫りくるようなところでありまして、ここがやはり交通の隘路になっているところであります。

 また、先ほど申し上げました町の中のうち、広河原、久多というところは、大飯原発から三十キロ圏内に入っておりますが、もしものことがあったときにその避難ルートを確保しなければならないということでもあるんですね。

 去年の十月の二十二日、選挙でありましたが、この投票日を襲った台風、私はその翌日にこの北部山間地域の視察にみずから行ってまいりましたが、そのときも、この花脊峠に立っている木立がばんばん倒れてくるわけです。倒れた木の下をちっちゃな車でくぐりながら、私もこの花脊地域に訪れたことがありますね。こういうような状況でありますから、地域から、実は私が京都に赴任してから、もう早い段階、去年の今ごろから、繁本さん、何とかトンネルを実現してもらえないかという声をいただいております。

 もしトンネルが実現すれば、災害対応、ふだんの生活の交通の便の向上、あるいは定住促進、洛北地域と言いますが、この地域全体の発展に必ず役に立つ道路であります。

 そして、人口は少ないけれども、実は、花脊山村都市交流の森という、子供たちが自然と親しみ、学ぶ施設があるんですが、年間十万人、ここに通っているわけです。その子供たちの、十万人の交通の安全を考えても、ぜひこの花脊峠にトンネルを整備していただきたいという要望がございますので、ここで国土交通省の、これからいろいろなアドバイスも賜りたいと思いますが、御見解をお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道四百七十七号線の当該区間は、京都市が道路管理者として整備、管理を行っているところでございます。

 委員御指摘の花脊峠は、京都市左京区鞍馬本町の府道京都広河原美山線から花脊別所町の、約四キロメートルの区間でございます。大型車同士の離合が困難な箇所や、急勾配でカーブが多い箇所が複数存在いたしまして、大雨や積雪時には通行どめが発生するなどの課題があると京都市から伺っております。

 この区間につきましては、抜本的な対策としてトンネルを整備することについては、多額の事業費を要することから、早期の事業化は難しいのではないかと京都市から伺っているところでございます。当面は、離合が困難な箇所への待避所の設置、急カーブの解消やのり面対策等、部分的な改良に向けて地元と協議を進めていると伺っております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、抜本的な対策も含めまして、京都市からの要望をよくお聞きした上で、それを踏まえて、適切に支援をしてまいります。

繁本分科員 ありがとうございます。

 花脊峠のトンネルの実現については、最後に一点御紹介を申し上げますが、平成二十六年の十月二十七日に京都市会において請願を採択をしております。市会としてしっかりと地域住民の請願をいただき、その請願の中にトンネルを実現してほしいという熱い思いが書かれており、市会がそれを全会一致で受け取っているという状況もありますので、今のことも踏まえて、これから市の要望をしっかりと受け取っていただきたいというふうに思います。

 それでは、時間もあと残りわずかになってきましたが、京都市において、さまざま、都市計画道路でありますとかあるいは公園整備、これがまちづくりにおいて非常に重要であります。

 都市計画道路であります鴨川東岸線、これは鴨川東ランプと京都市の都心部を結ぶネットワークの重要な拠点でありまして、事業進捗率が平成二十八年末で八九パーですから、あと一押しで完成であります。一日も早い完成をお願いしたい。

 そして、その次に、北泉通、これは松ケ崎小学校の子供たちの通学の安全を確保するという、子供たちの安全を確保する非常に大事な道路でありまして、京都市の通学路交通安全プログラムにも位置づけのあることでありまして、既存の道路の拡幅と高野川をまたぐ橋の建設がセットなんですが、これも急ぎ、子供たちの安全のためにお願いをしたいと思います。

 また、公園でありますけれども、オリパラ目がけて、今、東山の円山公園、これもインバウンドがたくさん集まるところでありますが、ここも随分古くなっております。ここの公衆便所の新築やあるいは広場を再整備するという予算についても、何とぞ予算上の措置、頑張っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、東山自然緑地でありますが、これは、ことしで明治維新から百五十年の節目でありますが、琵琶湖疎水沿いに整備された緑道であります。近々、町を挙げて、ここに、琵琶湖疎水に船を通そうという事業も予定されておりまして、この機にしっかりと公園整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

栗田政府参考人 都市計画道路鴨川東岸線でございます。これは、京都駅を始めとする周辺拠点施設へのアクセス性向上に寄与する路線ということで、現在、高架工事が進められております。

 また、北泉通につきましては、左京区の東西地域相互の都市内交通円滑化、それから小学校への通学路の安全性向上、これらを目的に、現在、用地買収及び橋梁工事が進められておるところでございます。

 都市公園の円山公園ですけれども、これは、開園百三十年以上の歴史を持つ国指定名勝でございます。二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの際には国内外から多くの観光客を迎えることが期待されておりますので、園路あるいはトイレのバリアフリー化、こういったことが進められておるところでございます。

 また、東山の自然緑地、これは、開園から四十年が経過する、琵琶湖疎水沿いに設けられた緑道でございます。美しい景観を楽しむ多くの来訪者がありますので、花の名所の拠点として、こちらも広場やトイレのバリアフリー化、こういったことが進められておるところでございます。

 国土交通省としましては、地域の生活環境の向上あるいは観光の振興に重要な役割を担うこれらの事業につきまして、交付金等で整備を支援してきておりますけれども、今後も、京都市の要望を踏まえ、引き続き、事業の進捗、工期を勘案して、支援してまいりたいと考えております。

繁本分科員 では、最後に、京都市のまちづくりにおいて非常に大事な点だけお願いしたいと思います。

 JRの新駅、これは京都駅と丹波口駅の間にある梅小路駅の新駅、これももう来年の開業間近で、今現在進んでいる事業でありますが、しっかりと応援をしていただきたい。

 そして、先ほど来、私、申し上げていますとおり、さまざまな台風などの異常気象が発生したときに、京都市においては土砂災害ということが非常に大切な問題になっております。北白川町、これは左京区でありますが、仕伏町においても、平成二十七年の台風の爪跡がまだ残っております。この手当てについてもお願いしたいところであります。

 以上です。

竹内主査 これにて繁本護君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石原宏高君。

石原(宏)分科員 自民党の石原宏高でございます。

 本日は、予算委員会の第八分科会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、羽田空港の離発着枠の拡大の課題について質問をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区の品川区の大崎、大井町の上空をおのおの千五百フィート、千フィート、約四百五十メーター、約三百メーターで飛行機が航行することから、住民の方々が、落下物、騒音、若しくは地価の下落といったようなことについて懸念を示されております。この点について絞って質問をさせていただきたいと思います。何問もあるんですが、二問ぐらいずつまとめて質問をさせていただければと思います。

 まず落下物について、その落下物の危険性について、例えば国内外で、航空機から落下物が落ちて人が死んでしまったり、けがをしたり、家屋等の破損、そのようなことが過去十年間ぐらいでどのような事実があるか。まず教えていただきたいと思います。

 そして、あわせて、落下物の損害賠償についてちょっとお聞きしたいと思います。

 落下物による損害は、航空会社が特定できる場合は、私はその航空会社が責任を負うことになるというふうに考えますが、氷等で落ちてきて損害が発生した場合、航空会社を特定できない可能性があると思います。このような場合はどのような対応となるのか。

 まずこの二問、教えていただけますでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 固定翼の民間航空機からの落下物につきましては、我が国におきまして、平成二十年から平成二十九年までの十年間におきまして二十件を確認しております。このうち十九件が成田空港の周辺、一件が関西空港の周辺でございます。

 確認されている二十件につきましては、人身被害の報告というのはありませんけれども、物的被害については六件確認しておりまして、ビニールハウス、屋根瓦、車両の損傷を把握しております。

 海外での落下物の被害については承知をしておりません。

 また、先生が御指摘になりましたように、羽田空港におきましては、航空機からの落下物による被害の補償につきまして、当該落下物を発生させた航空機を運航する航空会社によってなされるということになりますけれども、落下物を発生させた航空会社を一社に特定できないといったような場合には、落下物を発生させた可能性がある航空会社が連帯して補償する救済制度というのがございます。

 一方で、御指摘のありましたような、氷塊が落下をして解けてしまって事後的に被害が確認されたといったような場合など、航空会社が全く特定できない場合に救済するような制度は、現在は存在をしておりません。

 このため、羽田空港の落下物対策の充実強化の一環といたしまして、こうした航空会社が特定できない場合におきましても被害が補償される制度につきまして、現在、詳細を検討しているところでございます。

石原(宏)分科員 続けて、落下物による損害の確率論というのはすごく難しいと思うんですけれども、私も、選挙区の上を通るということでいろいろと国交省から説明を受けているんですけれども、米国のFAAが、落下物による損害について過度に危惧することは、確率論なのかどうかわかりませんが、無用な懸念ではないかというような論文があるような話をお聞きしました。

 その論文について、いつの、どういう内容なのか、簡単で結構でございますので教えていただきたいのと、また、他国でも、同様な考え方で同様の論文、若しくは、何か航空管制機関が宣言をされているようなことがあるのかどうか。教えていただきたいと思います。

 あわせて、先ほど、落下物の国内の民間航空機からの実績についてお話を伺ったんですけれども、その落下物の種類について、先ほど氷という話はありましたが、そのほか、機体のねじとか、どんなものが落下物としてあるのか。そして、先ほど二十件という話がありましたけれども、この十年程度の中で、最大その二十件の中で一番重かった落下物は何キロぐらいの重さだったのか。これを教えていただけますでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の文書につきまして、航空先進国であります米国の連邦航空局、FAAが昨年の夏ごろに、航空機の設計審査におけます落下物のリスク評価に係る見解案という形でパブリックコメントの募集を行っていたものでございます。まだ最終版は出ていないものと承知しております。

 その内容は、航空機からの落下物による地上の人へのリスク評価を行った結果、当該リスクは非常に小さいために、当該リスクに基づく義務的な是正措置は当然に必要とされるものではないという内容のものでございます。

 なお、そのほかの国において同様の文書あるいは宣言といったようなものが出されていることについては承知をいたしておりません。

 また、落下物の種類というお尋ねでございますけれども、固定翼の民間航空機からの落下物といたしまして平成二十年から平成二十九年までの十年間において確認された二十件につきましては、パネル、ゴム製のシール材、エンジンブレードの破損片などの部品の一部、あるいは、航空機に付着した氷塊などでございます。

 このうち最大のものは、平成二十年五月に成田空港周辺で確認されました、重量約十二キログラムのアクセスパネルの一部でございます。

石原(宏)分科員 あと二問、落下物についてちょっと御質問させていただきたいんですけれども、羽田空港の離発着枠が拡大された後、落下物の通報体制、落下物を見つけたら誰に連絡をして、それが最終的に国交省の方にどういうふうに伝わっていくのか。そして、さらには、その結果を公表をすべきだというふうに思うんですけれども、定期的な公表をどのように考えているか。まず、これをひとつ一点教えていただきたいと思います。

 あわせて、国交省のレクを受けた中でもこれは非常に難しいとは思うんですけれども、その落下物の落下範囲、可能性の範囲みたいなことが想定されるのか。

 例えば、今御説明を聞いていると、大体八十メーターぐらいの幅の中に航空機が離発着をするというような話を聞いておりまして、大体この辺を通るみたいな話も伺っているんですけれども、今、品川を通って着陸をする場合は南風が吹いたときということなんですが、そうすると南風に向かって飛行機はおりていきますから、落下物が落ちたときに、やはり風にあおられておりてきた経路の中に落ちるような形になるんじゃないかなと私は勝手に想像しているんですけれども、想定される落下物のその範囲というようなものが想定されているのかどうか。教えていただければと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 通報体制の関係でございますけれども、国土交通省におきましては、従前から、全国の空港事務所などを通じまして落下物に係ります情報収集といったものを行っておりますけれども、事案発生時の対応強化という観点から、昨年七月から、警察等の御協力もいただきまして、より幅広く情報収集をするという仕組みを強化をいたしたところでございます。

 そして、落下物のそうした件数といったようなことにつきましては、国土交通省のホームページにおきまして定期的に公表していきたいというふうに考えております。

 また、今お尋ねのございました新飛行経路の関係でございますけれども、新飛行経路におきましては、最終のいわゆる直線進入に入ってきた部分につきまして飛行経路の幅がおおむね八十メートル程度になりまして、航空機は基本的にこの幅の範囲内を航行するということになります。

 一方で、航空機からの落下物につきましては、落下する部品や氷塊の重量や形状、あるいは風の強さなどによりまして変わってきますことから、どの範囲に落下するかというのを、その範囲を特定をするということはなかなか困難であるというふうには認識しております。

 ただ、成田空港での実例などを見てみますと、平成二十年から平成二十九年までの十年間で確認をされました十九件の落下物のうち、最終の直線進入経路で発生したと推定されるものにつきましては、飛行経路の周辺において確認をされているという実態がございます。

 いずれにいたしましても国土交通省といたしましては、昨年九月に航空機からの落下物事案が続けて発生したこともございまして、落下物に対する懸念、不安の声があるということを承知しております。

 こうした懸念、不安の払拭を図るべく、世界的に例を見ない落下物防止対策基準の策定など、落下物対策の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 続けて、住民の方々が懸念されている中で、実は、騒音の方が落下物より、私が十数名の方からいろいろと質問された中では多かったんですけれども、騒音について質問をさせていただきたいと思います。

 まず騒音対策であります。騒音対策についてお聞かせをいただきたいんですが、私の認識だと、基本的には基準値を下回るということで、騒音対策をするところは飛行場の本当に近辺だけということなんですが、やはり公共施設については少し幅広に検討されているという話も伺っております。小学校、幼稚園、保育園、特養等、騒音対策はどこまで、誰が、どのように行うのか。お聞かせをいただきたいと思います。

 また、騒音の基準を下回るということではありますが、しかし、今後、羽田空港の離発着枠が拡大をされて、今まで飛行機が通らなかったところを通るようになるわけでありますから、実際に実施された後の騒音調査というものを私は行うべきだと思いますし、行っていただけるような話も聞いておりますので、その騒音調査が何カ所程度で行われて、どの程度の期間行われようとしているのか。

 そして、そのときに、騒音基準は二十四時間の多分平均だというふうに認識をしているんですが、個人個人の有権者の懸念されている方々と話をしていると、やはり瞬時の騒音みたいなことをすごい気にされているところが多くて、二十四時間騒音基準の平均のもちろん数字もとられるんだと思うんですが、瞬時の騒音についても、その騒音調査を行うときに実施をされるのかどうか。お聞かせいただければと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 空港周辺の騒音対策といたしまして、来年度から防音工事に係ります基準を見直しをいたしまして、従来対象にならなかった経路周辺の学校や保育所等に対して補助を行うことができるようにすることといたしております。

 具体的に申し上げますと、南風の運用時の十五時から十九時の時間帯の騒音影響に対応できますように、地方自治体の御要望等を踏まえまして、学校等の公的施設が防音工事を行う際の国の補助要件を緩和をするということ、また、新たに、小規模な保育事業を行う施設等を補助対象に追加をするということをしております。

 平成三十年度では初年度費用として約五億円を盛り込んでいるというところでございます。

 こうした対策を講じることによりまして、騒音の影響をできるだけ軽減するように努めてまいりたいと思います。

 また、お尋ねのございました騒音の調査ということでございますけれども、測定ということでございますけれども、空港周辺の住民の皆様に対しまして航空機の騒音の状況を詳細に情報提供していくことは、空港の運用状況を御理解いただく観点から大変重要だというふうに考えております。

 国土交通省では、空港周辺地域に騒音測定局というものを設置をいたしまして、年間を通じて測定値の測定を行っております。

 羽田空港に関しましても、現在の飛行経路におきましても、十六カ所の騒音測定局を国土交通省が設置をいたしておりまして、常時騒音状況を測定の上、航空機が飛行した際のいわゆる瞬間的な値というものも含めまして、その結果をホームページで公表するという形をとっております。

 今度の新飛行経路につきましても、現時点におきましては、騒音測定局を新たに十カ所程度増設するということを想定しておりますけれども、これは、現行と同じように、常時の騒音測定をする、そして瞬時の値も含めて測定をするということになりますけれども、具体的な設置数につきましては、関係自治体とも相談をして、更によりわかりやすい情報提供に取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 私も、この問題が発生して、発生というかこの問題が議論される中で、騒音基準がそもそも二十四時間平均であったということに最初のうちちょっと気づいていないところがありまして、今、瞬時の測定もやられているという御説明があったんですけれども、個人がやはり気になるのは、自分が窓をあけたときの、ちょうどそこに飛行機が通ってきたときの瞬間的な騒音であるのではないかというふうに思うんです。

 ただ、そうは言っても、瞬間的な騒音を規制するとなると、パトカーとか救急車とか消防車とか、若しくは、何か急カーブを切ったときのトラックの音とか、そんなものまで果たして規制ができるのかというような問題はあるとは思うんですけれども、やはり、先ほどお話をした大井町とか大崎とか五反田の私の地元の有権者の方々と話を聞いていると、音がうるさいから私もうここに住めないわなんということも言われる方もいらっしゃるんですが、そんなことはないですよ、ただ、基準は二十四時間なのでという話を説明をさせていただいているんですけれども。

 これはなかなか想定しづらいとか説明しにくいところもあるとは思うんですが、実際に飛行機が飛ぶようになって、例えば騒音の被害が、基準は満たしているんだけれども、例えば、飛行機の離発着がうるさくて、それが原因で私はうつ病になったんだみたいな人がたくさん出てきたようなときに、騒音基準の見直しみたいなことが行われ得ることがあるのかどうか。

 ちょっと回答は難しいと思うんですが、そもそも二十四時間の騒音基準という形になって決めた経緯も含めて、何か障害が起こったときに見直しをするようなことというものがあり得るのかどうか。ちょっと教えていただけますでしょうか。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在の航空機騒音に係ります環境基準といいますのは、騒音の測定技術の進歩でありますとか諸外国における評価指標の採用状況といったようなことを踏まえまして、中央環境審議会での御検討を経て、環境省告示という形で定められております。

 今御指摘のございましたような環境基準の見直しということに関しましては、今後の航空機の需要でありますとか、あるいは機材のそういった低騒音化の状況や、あるいは騒音の実態といったようなことを踏まえながら、必要に応じて環境省において適切な検討がなされるものというふうに承知をしております。

 航空局といたしましても、飛行経路見直し後の航空機の騒音状況につきましては、よくモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

石原(宏)分科員 ありがとうございました。

 最後に、騒音被害による国家賠償責任みたいな、国家賠償を求める裁判みたいなことについてお聞かせいただきたいと思うんですけれども、二十四時間の平均基準を満たすとは思うんですが、満たしていないケースもあるかもしれませんけれども、例えば、過去十年ぐらいで、国家賠償について、騒音について何か裁判が起こされて、そしてその判決が出たというようなそういう例はありますでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 過去十年におきまして、国管理空港におけます航空機の騒音被害による裁判で判決まで至った事例というのはございません。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 最後二問ぐらいなんですけれども、先ほど冒頭にお話をしたように、一番やはり私も聞かれるのは、騒音の問題、そして落下物の問題なんですが、一部報道もあって、何人かの方が、自分の居住地の上を飛行機が通ることによって地価が下落するんじゃないか、そういう例が世界であったんじゃないかということで、地価下落に対する懸念を言われる方がいらっしゃいます。

 実際には私、大井町で街頭をしていたら、まさに経路の近くに私ちょうど三年前に家を買って移り住んできたんですと言われて、そのときはこんな通るのを知らなかったのに、これじゃ地価が下がるじゃないですかというふうに問い詰められたことがあって、そういう懸念をされている方が実際にいらっしゃるんだなというふうに思ったところでありますが、この地価下落懸念に対する国交省としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産の価格は、交通の利便性でございますとか周辺の開発状況などさまざまな要因で決定されるものと認識をしております。例えば、平成二十九年の地価公示におきましては、商業地の地価の上昇要因として、外国人観光客を始めとする来街者の増加が指摘をされております。

 こうしたことから、国際線の増便に向けた新経路の設定が直ちに不動産価値を低下させるとまでは一概には言えないというふうには考えております。

 いずれにいたしましても、航空機騒音の低減などの対策を講じることによりまして、可能な限りマイナス面の影響を極小化をして、住民の皆様の理解が得られるように努めてまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 主な点は、私も十数名の方からいろいろと聞かれる中では、やはり、落下物、騒音、そして地価下落みたいなことが、この三つの課題に集約されるところもあるんではないかと思うんですが、私が質問された中に、去年の暮れぐらいにこの羽田空港の離発着枠に関するいろいろなテレビの報道が行われまして、その中で、私ちょっと詳しくそのテレビを見ていなかったものですから、ちょっとこの番組の特定はできないんですが、私に問いかけてきた有権者の方が、恐らくTBSの番組だったんではないかというふうに、そういうふうに言われていたんですが、羽田空港に関するかつての裁判みたいなもので、その中で、陸上地域を飛行させないみたいな、判決なのか和解なのかわからないんですけれども、地元の方と話がついたみたいなそんな事実があるのに飛ばすのはおかしいんじゃないかみたいなことを私に問いかけてくる有権者の方がいらっしゃいました。

 済みません、私自身そのことを確認したくて、レクの方ではちょっと説明をいただいたんですけれども、そんな事実があるのか。若しくは、そうではなくて、こんなことだったんだよみたいな話があるのか。それをちょっと教えていただきたいと思います。

蝦名政府参考人 先生が御指摘の、番組でそういった報道がなされていたということでございますけれども、羽田空港の沖合展開に当たって、昭和六十三年に、現A滑走路北側の工業団地に所在する法人九社とその役員、従業員の皆様から行政訴訟及び民事訴訟が提起をされましたけれども、いずれも、原告による取下げによりまして平成八年までに全て終結しておりまして、そうした、陸上を飛行させないといったような判決は出ておりません。

 その訴訟の過程におきまして、本件の訴えの利益の有無に関連して東京高裁から、新C滑走路が供用された後の運用方式について説明を求められた際に、旧運輸省ではこれに対して、当時の航空需要の見通しを前提に、新C滑走路が供用された段階における沖合展開事業の方針として地元等に説明しているところでは、原則として、航空機は当該工業団地の陸上上空を飛行しないことという説明をしたと、高裁からのお尋ねに対して説明をしたということがございます。

 その後、沖合展開は三本の滑走路で年間三十万回までの需要に対応した計画だったということでございますが、さらなる需要拡大に対応しまして、四本目のD滑走路を平成二十二年十月に供用し、それに伴う新たな飛行経路の設定などを経て、現在、四十四・七万回という処理能力になっております。

 さらに、昨今のインバウンドの急増や、東京オリンピック・パラリンピック大会、あるいは、そうした航空需要の急速な拡大や航空機の低騒音化といったようなことなどを踏まえまして、首都圏空港の機能強化が不可欠になるという情勢変化を受けて、現在、新飛行経路の導入を提案させていただいている、こういう状況でございます。

石原(宏)分科員 ありがとうございました。

 やはり報道だけぱっと聞いているだけだと、そういう判決があったんじゃないかとか誤解があったりしますので、こういう場面で明確にして、その方にも、住所も聞きましたので、私の方から説明を差し上げたいというふうに思います。

 私は、やはりこの問題、十二分に国交省がいろいろな説明会を開いていただいて御説明をいただいているということは重々承知をしているところなんですけれども、私、聞かれる方に、何で心配なんですか、何が心配なんですかということを必ずお聞きするようにしています。騒音なんですか落下物なんですか、落下物だったら先ほどのFAAの話をしたりとか、一つ一つ丁寧に、何をあなたは心配をされている、危惧をされているんですかということを聞いてお答えをしているようにしているわけでありますが、ぜひとも、引き続き説明もされるかもしれませんが、QアンドAとかはもうやられているかもしれませんけれども、提示をしていただいてできる限り幅広く多くの方々に情報提供をしていただいて、そして、こういう心配をなるべく静められるように努力を引き続きしていただければというふうに考えているところであります。

 私も、微力ですけれども、やはり自分の選挙区の上空を通るということで、今お聞きした話なんかも、議事録もなるべくコピーして重立った方にも配っていきたいと思いますし、やはり、事実をしっかりと把握していただいて、余計な危惧を持たないように、安心して地域の方々が住めるように、私も微力でありますけれども努力をしてまいりたいと思いますので、国交省における説明も徹底をしていただければと思います。

 では、少しちょっとお時間がありますけれども、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内主査 これにて石原宏高君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 日本維新の会の浦野靖人です。本日は、よろしくお願いをいたします。

 私、きょうは、ほとんど恐らく、答弁をいただくのは政府参考人の皆さんになっていると思いますので、もし、休憩がてら席を外していただいても別に結構ですので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは、私の住んでいる地域にかかわる道路の質問をさせていただきますけれども、一つ目は、これは大臣の方にも、地元の首長始め代表の方々にお会いをいただいて、直接要望もさせていただいていると思いますけれども、大阪南部高速道路網の整備について。

 私の住んでいる地域は大阪の南部の方になるんですけれども、大和川より南の方で。大阪というのは、どっちかというと、もちろん都市部、いわゆる都市、都市部というところに当たるとは思うんですけれども、そういう大阪でも、私の選挙区には実は村もありますし、もちろん町も三つ、今四つですかね、私の選挙区だけで一村二町あるんですね。

 実は、大阪で唯一過疎指定を受けている千早赤阪村というところですけれども、千早赤阪村の村長さん、松本さんという方なんですけれども、非常にそれを悔しがっておりまして、そういった過疎指定から、まだ二年目ですけれども、何とか抜け出したいということでいろいろと御尽力をされております。都市に近いけれども、そういった昔ながらの地域もたくさん残っていて、道路がなかなか整備できていないという地域に当たります。

 主要に、今一生懸命、この高速道路のことで動いていただいている河内長野市なんかは、実は高速道路の入り口が市内に一つもございません。どこへ行くにしても、まず河内長野市から出ていって入り口まで走っていかないといけないというところで、非常に車の便が悪くなっているという地域なんですね。

 どこでもそうだと思うんですけれども、昔は、皆さん、若いころは車を運転して、ちょっとぐらいの道のりは車で走っていって苦にもならなかったと思うんですが、やはりだんだんだんだん、今、河内長野なんかは高齢化率が非常に高い市ですので、そういったところがどんどんどんどん高齢化していって、やはり自動車の運転も怖くなってきている、危なくなってきています。だけれども、やはり田舎に行けば行くほど、実は車は自分たちのふだんの生活の足となっていますので、非常に、昔以上に車の需要が高いというか、切っても切れないものになっています。

 そんな中で、やはり、交通の便が不便であるという一点をもって、人口の減少や企業の誘致がなかなかできないといった、これはどこの市町村でも抱えているような問題ですけれども、そういった問題に今直面をしています。

 大阪南部の十二市町村はもちろんですけれども、今、更に和歌山県の方と奈良の方も含めて、十五市町村で整備をしていただきたいというお願いをさせていただいておりますけれども、この道路整備について、今現状と実現に向けての見通しをお聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路は、ネットワークとしてつながることにより、拠点を結ぶ広域的なネットワークが形成され、企業立地、観光交流が進むなどの多様なストック効果が生じ、地域の活性化にも大きく寄与すると考えております。

 大阪南部地域では、中央を南北に縦断する幹線道路、これは国道百七十号のみでございまして、東西の幹線道路との交差部などに主要渋滞箇所が存在し、朝夕の通勤時間帯を中心とした渋滞が発生をしているというふうに認識をしております。

 一方、平成二十九年三月十八日に京奈和自動車道と阪和自動車道が接続をし、同年四月一日には大阪と和歌山を結ぶ第二阪和道が全通、同じく四月一日に国道四百八十号鍋谷峠道路が開通するなど、ネットワークの整備も進みつつありまして、広域的な生活圏の形成や、さらなる観光振興も期待されるところでございます。

 こうした状況から、周辺道路ネットワークの開通後の交通状況の変化も踏まえながら、大阪府と連携しながら地域の課題や交通課題について引き続き検討をしてまいります。

浦野分科員 この高速道路に関しては、去る衆議院の解散選挙の折に、ある候補者が、この事業について調査費がついているというポスターを張って、私がつけたんだということで選挙前にそれを一生懸命言ってはりました。この調査費というのはついておりますか、この高速道路に関しての調査費。

石川政府参考人 お答えいたします。

 この事業に関する調査費ということでございますが、道路調査費を活用いたしまして、大阪府域を中心とした広域的道路網のあり方、必要性、整備効果などを一体として検討を進めておりまして、その調査全体の中で大阪南部高速道路についても検討を進めているところでございます。

浦野分科員 要は、従来ついている調査費の中で、これのみではなくて、それを含めた全体の調査をしているということだと思うんです。

 調査費というのは、全国津々浦々全ての道路についての調査費をつけているということだとお聞きしているんですけれども、調査する額、これは結構な額になるとは思いますけれども、結構な額をかけていながら、実は、この調査結果、公表されていないということがあります。それはもちろん、どういう調査結果だったかというのを公表していくというのは、私は本来は、調査費、税金が使われているわけですから、しっかりと公表すべきだとは思うんですけれども、そういったことに関する国の方向性というのはどうですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路の調査は、一つは、広域的な道路網全体の調査、我々はいわゆる網調査と呼んでおります。二つ目に、個別路線の概略の構造、ルートにかかわる調査、三つ目に、個別路線の都市計画決定や環境アセスメントの調査など、段階を踏んで進んでいるところでございまして、大阪南部高速道路を含む広域道路網の調査は、最も上流に当たる網調査の段階でございます。

 御指摘のとおり、調査の成果につきましては、その熟度に応じて適宜適切に公表をしていくことが重要であると認識をしておりますが、ルートなど未確定な情報にかかわるものは慎重に対応することも必要であるというふうに考えております。

 このような認識のもとで、調査成果の公表につきましては、調査の段階に応じて適切に対応しているところでございまして、いまだ構想段階の検討をしている本調査にかかわる内容につきましては未確定な情報に該当するため、慎重に取り扱う必要があると考えておりますけれども、計画段階評価や都市計画、環境アセスメントの調査段階に入れば、その内容を公表しているというところでございます。

浦野分科員 済みません、ちなみに調査費は全体で幾らほどついているのか、ちょっと答弁いただけますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 おおむねの額でございますが、大阪府域を中心とした広域的道路網調査全体で、平成二十九年度はおおむね三千万円というところでございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 これは、先ほど名前を出した千早赤阪の松本村長が我々によくおっしゃるんですけれども、東京と大阪で、今は名古屋、まずは名古屋までですけれども、リニアが着工しますよね。大阪―東京間となると九十分ぐらいになるんじゃないかというふうに言われています。一時間半で東京と大阪が結ばれることが実現をしていく、何十年後かには実現をするわけですけれども、千早赤阪村から新大阪の駅まで行こうと思ったら、ちょっと渋滞してしまうと二時間半かかってしまうんですね、今、同じ大阪府内で。東京まで一時間半で行ける時代に、大阪府内の千早赤阪村から新大阪の駅まで二時間半かかる、そういうことなんですね。我々は、やはりそこはもうちょっと道路行政、考えてほしいなと。

 今なんかは、実は遠回りをして、京滋バイパスとかそういうのができましたので、京都まで行った方が実はもう早くなってしまいまして、もう新大阪も使わなくなりつつあるということで、非常に、大阪府内の道路網というのはまだまだ整備する余地がたくさん残っていますので、ぜひ、これからの質問にもかかわってきますけれども、都市部を含む、そういう、私の住んでいる地域はどっちかというと、住んでいる人に怒られるかもしれませんが、僕も含めて田舎の方に住んでいると思っていますので、そういったところは、市町村要望を我々も受けますけれども、一番優先順位が高いのはやはり道路の整備になってくるんですね。

 やはりそういったところをしっかりとやった上じゃないと、なかなか、各市町村がやっていきたいと思っている経済政策だとかそういった子育て政策も、やはり地域の経済活動があって初めて人が移り住んできて、移り住んできて子供がふえて経済が回っていくという循環をつくっていきたい中で、交通の便がやはりネックになるということですので、ぜひお願いをしたいと思っております。

 次に、救急医療、大阪府は、大阪府だけじゃないですね、関西は、必ず起こるであろうと言われている南海トラフの地震があります。その地震に対して非常に危機感を持って、いろいろな、例えば学校の耐震化だとかそういったことを、対策を大阪は非常に前に進めているわけですけれども、同じようなそういう対策の中で、広域幹線道路の整備というのはやはり必要になっています。

 災害が起きたときに、救急のそういう物資を集積をする場所からその市町村までその物資を運んでいく道路というのが、計画自体は今あるんですけれども、なかなかそれもやはり財政難で前に進めることができないという自治体がたくさんございます。

 こういったものを、もちろん、国から言わせれば、やはり都道府県や市町村がしっかりと予算をつけないと国の予算はつけられませんよということになるかもしれないんですけれども、卵が先か鶏が先かとは思いますけれども、予算がなければやはりなかなかできない、だけれども、緊急用の道路なんかはしっかりと本当は先にやりたいという場合、何か、国から特段の配慮できる、そういったような制度とかというのはないんでしょうか。そういう、自治体の予算がなくてもしっかりと国がやっていくんだというような方策というのは国はあるんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路の果たす役割は、地域経済の活性化、安全、安心の確保、防災対応の改善など多岐にわたっておりまして、道路整備に当たりましては、交通への影響及び住民生活や地域経済等、社会全体への影響を考慮して事業化を行っております。

 救急医療や災害対応の観点、これについても道路整備に当たっての重要な視点の一つであると認識をしております。

 地方の道路整備につきましては、やはりどうしても、道路管理者、事業主体であります地方自治体が主体的に取り組んでいただく必要があるわけでございますが、自治体からの要望を踏まえて、個別補助であるとか交付金、そういうものを活用して支援を行っているというところでございます。

浦野分科員 ぜひ、こういう災害対策に資するような道路は、本当に、もちろん、今答弁されたように当該の自治体の裁量というのもありますけれども、何とかなれへんものかなというふうにやはり思います。

 また、これが、広域幹線道路ですので、一つの市町村で完結をしない、複数の市町村にまたがってつくらないといけないということもあって、何個かの自治体は前向きだけれども、一つだけ自治体が後ろ向きだったら、それでなかなか整備が進まないということもありますので、こういう災害対策の上で必要なそういう幹線道路、もうちょっと何か方策がないかなというふうに思っていますので、ぜひ御検討していただけたらと思っております。

 続きまして、これは大阪河内長野線と具体的な名前を出しますけれども、この大阪河内長野線というのは、もちろん、今質問の中でも言ったように、緊急のそういう災害対策も含めて、これはしっかりと計画されている道路なんですけれども、これもなかなか、全てつながっているということではありません。今現在、阪神高速大和川線をつくったときに、その大和川線に付随して河内長野線を、南北の道を一部整えていただいたということはあるんですけれども、その北伸ですね、北伸と南伸が途中で終わっている、こういうことです。

 それで、これがまたもう一つ問題になっているのは、もう一つの、今事実上の我々の住んでいる地域の主要幹線道路である三百九号線というのがあるんですけれども、その三百九号線沿いに非常に大きなショッピングモールだとかが複数、今度できることになりました。その三百九号線というのは今でもよく混むんですけれども、そういったところができますと、恐らく更に渋滞をするんじゃないかというふうに地元では心配をされています。その渋滞緩和のためにも、この大阪河内長野線というのを早期にやっていかなければいけないんじゃないかということで、地元市町村も心配をしています。

 この件、この河内長野線について今どういったことになっているのか、よろしくお願いします。

栗田政府参考人 都市計画道路についてのお尋ねでございますが、大阪河内長野線、これは大阪市と河内長野市を結ぶ二十一・七キロの幹線街路で、周辺市域の南北の交通、防災機能を担う重要な路線であると認識しております。

 このうち、既に委員お触れになりましたけれども、松原市の天美東四丁目から二丁目までの区間〇・五キロメートルにつきまして、平成二十五年三月に、阪高の大和川線の一部区間の供用に合わせて供用を開始しております。

 その南伸区間、それから北伸区間ということでございますが、都市計画決定主体である大阪府によりますと、南伸区間の一部、これは供用区間から南に約〇・五キロの区間ですが、平成二十八年八月に取りまとめた大阪府の都市整備中期計画案におきまして、平成三十二年度までに着手する路線として位置づけられております。

 また、北伸区間、これは供用区間から北に〇・七キロの区間ですけれども、周辺道路の状況、沿道まちづくりの進展を見据えつつ、事業効果の見きわめ、コスト縮減、地元合意などについて、地元市と連携して検討していると聞いております。

 現状を詳しく申し上げますと、地元の松原市におきまして、事業主体となる大阪府と協議の上で、北伸区間に関連した将来交通量予測等の検討業務を今年度実施しておられます。国土交通省としても、その調査費に補助をしているところでございます。

 引き続き、必要な支援をしてまいります。

浦野分科員 北伸をする場合、これは大和川という川を渡らないといけなくなるんですけれども、この大和川にかける橋も恐らくそれなりの予算がかかってきます。これは国の補助金も、補助金というか予算も少し入ると思いますし、主体は恐らく大阪府になるとは思うんですけれども、こういった事業も、もちろんお金がかかるのは、もうそれはわかり切っているんですけれども、ぜひ広域幹線道路、救急用であったり、災害対策用であったり、そして渋滞緩和であったり、いろんな観点から、地元の要望があった場合にしっかりと応えていただきたいというふうには思っているんです。

 ただ、その中で、せっかく地方自治体が決定をして、国に予算を要望を上げて、お願いしますと要望額を上げた中で、実は内示額がそれに対して低いということで、地方の負担が当初もくろんでいたよりもふえて、難儀をする、困っているということが、よく、最近は特にあります。

 そういったことも踏まえて、十分な財源を確保するということをお願いをしたいんですけれども、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 相次ぐ大規模自然災害から国民の生命と財産を守るための防災・減災対策、あるいはインフラの老朽化対策、また地域の活性化の推進、これらは喫緊の課題であるというふうに考えております。

 社会資本整備におけるこうした課題に的確に対応するために、地方公共団体にとって自由度が高く創意工夫を生かせる防災・安全交付金や社会資本整備総合交付金によりまして、地方公共団体の取組を総合的に支援しているところでございます。

 平成三十年度当初予算案におきましては、防災・安全交付金と社会資本整備総合交付金を合わせまして二兆三億円を計上しております。また、平成二十九年度補正予算として、防災・安全交付金二千四百七億円を確保しております。

 厳しい財政状況の中ではございますけれども、国土交通省としましては、地域の抱える課題に対して適切な支援が行えるように、しっかりと必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

浦野分科員 これは確認なんですけれども、予算がもくろみよりも少なくて、次の年に、じゃ、例えば繰延べしてやっていくのか、予算を何とか捻出して増額して、負担をふやしてやってしまうのかというのは自治体の判断になるとは思うんですけれども、次の年とか、後年にそうやってやっていくということは可能であるんですよね、確認のために。

藤田政府参考人 そこは自治体の方の御判断ということになろうかと思います。

浦野分科員 ありがとうございます。

 本当になかなか地方自治の財源確保が難しい中で、それでもやはり道路整備というのはやっていかなければいけない。新しくつくっていくところももちろん重要なんですけれども、今までやってきたところがまた老朽化をし出して、それをまたきれいにしていかなければいけない。そして、更に災害等でまた道路が寸断をされたり、去年の台風二十一号では国交省の皆さんには非常にいろいろな配慮をいただいて、予算をつけていただいて、地元の市町村も非常に喜んでおります。どうもありがとうございました。

 ただ、そういった災害復旧も含めて、ライフラインになる道路が寸断されて、それをまたお金のない中で復旧をして、また更に新たな道路が必要だということで、非常に市町村の財源を圧迫をする部分もありますので、ぜひ、もちろん、国の予算の範囲の中で努力を最大限していただきながら予算をつけていただいていることは理解はしておりますけれども、予算のない中で、財源にめり張りをつけていただいて、しっかりとやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 少し時間が早いですけれども、終了させていただきます。どうもありがとうございます。

盛山主査代理 これにて浦野靖人君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 大島です。よろしくお願いいたします。

 石井国土交通大臣には、二年前だったと思うんですけれども、私の地元の隣、菖蒲という町がありまして、そこで圏央道の開通式に、多分大臣に就任されて間もなくだったと思うんですけれども、御一緒させていただきまして、本当にありがとうございます。

 当委員会で二〇〇〇年からずっと圏央道、上尾道路を質問し続けていまして、何年かぶりかでこの機会をいただいたものですから、何点か質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 道路が開通すると、目に見えて人の動きは変わります。実感をしています。大臣が開通式にお越しいただいた圏央道についても、まず、やはり成田、飛行場を含めて近くなります。昨年の四月と六月なんですけれども、筑波の研究学園都市も近くなったものですから、国土交通省の研究所を全部訪問させていただきました。建築研究所、土木研究所、国土技術政策総合研究所、気象研究所そして国土地理院。なかなか限られた予算の中でしっかりとした研究テーマを持って研究されていることに、本当に頭が下がる思いをいたした次第でございます。

 その中で、特にこれからの我が国を考えますと、手元に平成二十六年四月の、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言というのもありまして、国土交通省としても、道路、橋梁、トンネルの老朽化に対する対策が一番喫緊の課題だと思っておりまして、この点についても、その研究所の中では、それぞれの部材を持ち込んで、非破壊検査を含めて、さまざまな知見を積んでいらっしゃるということでした。

 ぜひ、大臣からも、さまざまな研究開発が必要だと思うので、この国土交通省の研究所、限られた予算ですけれども、ぜひ充実してほしいという思いがあるものですから、大臣からの御所見をいただければ幸いと存じます。

石井国務大臣 国土交通省では、平成二十六年から、橋梁やトンネルにつきまして、五年に一回の近接目視点検を道路管理者に義務づけをいたしまして、道路構造物の老朽化対策を推進をしているところでございます。

 この老朽化対策を着実に実施をするためには技術の向上が必要でございまして、国土技術政策総合研究所で技術開発に関する実験や研究を進めているところでございます。

 こうした技術開発に関する実験や研究を進めるためには、実験施設などのハード面や人員などのソフト面での充実が重要と考えております。

 これらの充実や適切な整備を含めまして、しっかりと研究、技術開発がなされるように取り組んでまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 大臣、まことにありがとうございます。

 国の研究開発、個人的には、つくばの産総研、物質・材料研究所あるいはJAXA等々視察をさせていただいているんですけれども、大分、我が国の科研費は、一定なんですけれども、どうしても補正予算の割合がふえていたりもして、海外からの研究者から、JAXAの宇宙科学研究所の常田先生でしたか、お話ししていると、海外の研究者もよくわかっているそうです。国の科研費は一定なんだけれども、日本の予算は補正予算の割合が高いから、なかなか長期的な研究開発テーマについて、向こうの方もちょっと及び腰になったりするものですから、海外の研究者の皆さんも。

 ぜひ、地味なテーマですけれども非常に大切なテーマですので、この点についても、大臣の今の御所見を伺いながら、特に研究所の皆さんも励みになると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 十七号線、石川道路局長にお尋ねをしたいんですけれども、今、私の今住んでいるところから直線で多分二百メートルぐらいのところを国道十七号が通っていまして、完成したのが昭和の三十八年だったと思います。私が七つのときでして、小学一年生。そのときに、非常にまぶしい道路でした。まぶしいというのは、当時の道路は、要はアスファルトの舗装ではなくてコンクリートを打っての道路でした。

 コンクリートを打っての道路ですから、非常にずっと真っ白く道路が整備をされていて、私もちょっと郡部にというのかな、当時は人口がそんなに多くなかった町ですから、横断歩道を渡る機会がなかったものですから、信号機で初めて横断歩道を渡って、何も車は通っていないんですけれども、非常に緊張して道路を横断したことがございます。

 それから、昭和三十八年ですから、もう五十年以上たっておりまして、相当、地元の十七号国道についても、地元の方から、整備はよくしていただいているんですけれども、なかなか騒音あるいは振動が伝わってくるという声を聞いておりまして、国土交通省に伺いますと、そういうことも含めて、新しい工事の方法をとられているやの話も伺いましたので、ぜひ、石川道路局長からの御答弁をいただければ幸いでございます。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十七号は、過去に昭和三十八年度に完成したコンクリート舗装でございまして、その上にアスファルト舗装をかぶせまして、いわゆるコンポジット舗装構造となっております。特にコンクリート舗装の継ぎ目の部分でアスファルトが傷みやすいという状態になっております。

 これまでも、北本市深井地区を始め沿道にお住まいの方から振動に対する改善要望をいただいておりまして、その都度応急的な対応をしてきたわけでございます。

 地元の御意見を踏まえまして、抜本的な対策といたしまして、平成二十八年度から現地調査を開始いたしまして、平成二十九年度から舗装補修工事に随時着手しているところでございます。

 今年度の舗装修繕工事の施工に当たりましては、工事着手前と工事完成後にそれぞれ沿道において振動調査を実施し、補修の効果を確認しながら工事を進めております。

 当該区間の損傷箇所は広範囲にわたる上、交通量も非常に多いことから、交通機能を確保するとともに安全に配慮いたしまして、平成三十年度以降も計画的に舗装補修工事を実施してまいります。

大島(敦)分科員 道路局長、まことにありがとうございます。

 道路局長の部下の方に伺いますと、なかなかよく考えた工事でして、大体、道路の長さにして四十メートルぐらいが一つのコンクリートのパネルになっていて、これが、四十メートルごとに区切りがあって、そのまま道路になっていて、多分、そのつなぎ目の部分が、結構負荷がかかることによって非常に傷む。そのつなぎ目の部分の一メーターから二メーターを切ってそこだけ補整していくと多分効果が高いというお話を伺いまして、よくやっていただいているなと。

 ですから、道路の補修費についても、全面掘り返してもう一回コンクリートを打ち直すか、あるいはもう一度新しいアスファルトを敷設するのではなくて、よく考え抜いたやり方で補修していただいていると思いますので、ぜひ私も、地元の皆さんからの声もありますものですから、進めていただければ幸いと存じます。

 続きまして、圏央道について質問をさせていただきたいと思います。

 圏央道、これは五霞インターチェンジからつくばのインターチェンジまで開通して、沿線で多数の企業立地が進んでいると思います。当初の想定よりもより大きな効果が上げられていると思うんですけれども、その点についての御所見をいただければと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 圏央道は、都心から半径四十から六十キロメートル圏域にある環状道路といたしまして、首都圏の慢性的な渋滞の緩和による移動時間の短縮など、物流の効率化、省力化に大きな役割を果たす重要な路線でございます。

 平成二十七年十月に埼玉県内区間が全線開通いたしました。昨年二月には茨城県内区間が全線開通いたしまして、圏央道全体約三百キロメートルのうち約九割がつながったところでございます。

 物流面におきましては、圏央道により都心部を通過せずに地方間を結ぶことが可能になるとともに、首都圏から各地への物流の効率化につながることから、沿線における物流施設の年間立地件数は、二十年前と比較をいたしまして四・六倍に増加をしております。

 特に、平成二十一年から二十六年の五年間におきましては、一都三県、これは神奈川、東京、埼玉、茨城でございますけれども、この圏央道沿線の市町におきまして、大型物流施設などが新たに約九十件、従業者数が約九千人増加をしております。

 また、企業立地等による市町の税収増加につきましても、法人住民税が約百五十億円、建物の固定資産税が約六十億円増加をしているところでございます。

 また、観光面におきましても、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東道の六つの放射道路がつながることによりまして、例えば、川越、富岡製糸場、日光・那須、筑波山、湘南海岸などの関東各地の観光地の間のアクセスが向上し、訪日外国人を始めとした旅行者による観光周遊の促進にも寄与しているところでございます。

 引き続き、こうしたストック効果を生かしながら、圏央道における未開通区間の整備推進を図るとともに、開通した道路をより賢く利用していただきまして、ストック効果を拡大する取組を進めてまいります。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。

 やはり、つながるということは、先ほど大臣に質問させていただいたとおり、筑波の研究学園都市も近くなるということは、地元の中小・小規模企業の物づくりの皆さんが時々産総研を訪問したりつくばの研究所を訪問しながら、産業と技術、科学というのが非常にいいコラボレーションができるようになります。

 人の移動というのは一時間半だと聞いています。一時間半を超えると、なかなか人というのは移動しにくくなるそうです。ですから、一時間半以内にこの研究学園都市があるというのは、この間の往復が非常に多くなるものですから、大きな効果が目に見えて実感をしているところでございまして、地元でも、圏央道ができることによって、桶川市あるいは鴻巣市ではシャトルバスが今、朝とそして夕方、何本か出ています。

 この間も私も利用して、これは羽田からなんですけれども、香港まで、要はバスで羽田飛行場まで圏央道を使って一本で行けるようになっていますから、大分海外に行くのが楽になっています。

 こういう効果というのは、今局長から御答弁いただいた、固定資産税が上がったり法人税が上がったりする産業的な側面とともに、個人の生活にとりましても、豊かになったという実感、あるいは、ここに住みたい、そういうインセンティブが働くようになりますので、ぜひ、今後も進めていただく中で一つお願いしたいことがありまして、今、成田の飛行場まで行く区間の中、私も何回も走っているところ、二車線のところがあるんです、一車線、一車線になっていて。若干そのことを踏まえると、飛行場に行く、フライトの前、余裕を持って、一時間以上、二時間以上前に着くように今しておりまして、ぜひ、そこが二車線、二車線の四車線化になると、交通事故が起きたり、あるいは故障車がそこであったとしても、流れはスムーズなものですから時間が読めるようになります。

 ぜひ、その点につきまして、今後の取組につきまして御答弁いただければと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 圏央道のうち埼玉県から成田の間でございますが、久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクションまでの約九十二キロがいわゆる暫定二車線区間となっております。

 昨年二月の茨城県区間の全線開通に伴いまして、久喜白岡ジャンクションから幸手インターチェンジの交通量が約八割増加するなど暫定二車線区間の交通量が大幅に増加したことなどから、付加車線が終了する箇所や下り坂から上り坂に変わる箇所において渋滞が発生しております。

 これによりまして、委員御指摘のように、速度低下や定時性に課題が生じているほか、対面交通による走行性や安全性の課題、さらには交通事故発生時における通行どめ又は片側交互通行が必要になるなど、暫定二車線であることのさまざまな課題があると認識をしております。

大島(敦)分科員 そうすると、大臣、いつごろまでに四車線化になるということはなかなか明示することは難しいかと思うんですけれども、やはり、片側二車線、もう片側二車線の四車線化にすることによって、先ほど答弁のありました交通量がふえること、アクシデントにも対応できること等を考えると、できるだけ早くというのが、私以外、多くの皆さんの声だと思いますので、その点につきましての御所見をいただければと思います。

石井国務大臣 圏央道の開通区間におきましては、輸送効率が向上いたしまして、新たに企業立地が進むなどストック効果が確実に発揮をされておりますが、走行性や安全性などに課題があります暫定二車線区間を四車線化することによりまして、生産性向上等のさらなる整備効果が期待できるところでございます。

 このため、今般、現下の低金利状況を生かしまして、大都市圏環状道路等の整備を加速するため、高速道路機構への一・五兆円の財政融資を計上いたしました平成三十年度財政投融資計画が国会に提出をされたところでありまして、久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクション間の四車線化を整備加速予定箇所としているところであります。

 具体的な事業内容や開通時期につきましては、高速道路会社と高速道路機構の協定を踏まえた申請に基づき、事業許可等の手続の中で、今年度末までに決定することとなりますが、二〇二二年度から順次供用いたしまして、二〇二四年度に全線供用を見込んでいるところでございます。

大島(敦)分科員 石井大臣、御答弁、まことにありがとうございます。

 圏央道につきましての質問はここで一回閉じまして、次に、上尾道路について何点か質問をさせてください。

 もう二〇〇〇年からずっと十八年間質問をしてまいりますと、地元は大宮国道工事事務所の皆さんでして、各所長の皆さんともあるいは職員の皆さんとも、与党のときも野党のときもずっと変わらずおつき合いをさせていただいております。

 一番大変なのが、一つには環境保護との調整をどうするかという点、もう一つは土地の収用です。多くの方が土地の収用に応じていただけるんですけれども、中には、さまざまな思いがあるものですから、その点も、工事事務所の職員の皆さんは一生懸命に説得をしていただいて、少しずつではありますが、成果は上げていただいていると考えて、実感をしているところでございます。

 それで、上尾の一期の区間、大宮からずっと来て、上尾、桶川までの区間が開通した、その効果について御所見を伺わせてください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十七号上尾道路は、現道国道十七号の交通混雑の緩和や沿道環境の改善とともに、埼玉県内を南北に貫く幹線道路として、圏央道等々の幹線道路へのアクセス強化に役立つ約二十キロの道路でございますが、そのうち、さいたま市と桶川市をつなぐ上尾道路一期区間の約十一キロ、これは平成二十八年四月までに全線開通をいたしたところでございます。

 この開通によりまして、並行する生活道路の交通が上尾道路に転換することによりまして約三割減少するとともに、宮前インターチェンジから圏央道の桶川北本インターチェンジまでの所要時間が約四割短縮するなどの効果が発現されているところでございます。

 また、開通を見越しまして、沿線では、商業施設や企業が立地することによりまして新たな雇用が創出されていますとともに、桶川市の地域の拠点として期待される道の駅の整備も進められておるところでございます。

 今後、残る暫定二車線区間の整備を進めるとともに、関係自治体等と連携しながら、開通した上尾道路の効果を更に拡大する取組を進めてまいります。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 今局長から御答弁いただいた桶川の道の駅、そこには多分、防災の拠点もつくっていただく、あるいは地方自治体、市の方で準備する、そういう計画があったかと思います。

 大臣、手元に京都大学教授の藤井聡先生の地震の資料がありまして、三月十一日、二〇一一年、あの東日本大震災が起こって、その後の先生の論文からの資料なんですけれども、東日本側の海溝型の巨大地震、例えば東日本大震災は、貞観の地震、平安時代、八六九年の一千年後の地震だと言われておりまして、この貞観の地震の九年後には、マグニチュード七・四の相模・武蔵地震というのがありました。

 これは、マグニチュード八以上の地震、東日本側の海溝型の地震をとっていくと、慶長三陸地震、一六一一年の四年後には、マグニチュード六・一の江戸の地震が起きています。そして、一八九六年の明治三陸地震のこれは二年前ですか、マグニチュード七の明治東京地震というのが起きていて、一九三三年、昭和三陸地震の十年前には関東大震災が起きていたりして、やはり、東日本大震災、こういう東日本の海溝型の地震が起きると、その前後十年間、結構首都直下型が起きている、こういうふうに考えられるわけです。

 文科省の地震調査研究推進本部のデータですと、今後三十年間のマグニチュード七の発生割合は七〇%。ずっと七〇%ではなくて、毎年一%ずつふえていくそうですので、時を経ていけば更に地震の確率が上がってくると考えておりまして、そうすると、上尾道路の二期の部分なんですけれども、やはり首都直下型が起きたときにどうやって避難していくかというのは、東京で仮に起きたとすれば、これは放射線状に避難者というのは移動するかと思うんです。

 そうすると、上尾道路の一期、本当にありがとうございました、二期についてもできるだけ早くつくることがこの震災対応については必要だと思っていて、この上尾二期の九・一キロの、東京方面からいうと一番の終着地の鴻巣のところには、これは埼玉県央広域消防本部というのがありまして、そこで、東日本大震災のときも、ここの消防本部から東北まで多くの消防署の職員を派遣しております。

 ですから、そういうことを考えますと、こういう消防本部があって、防災の拠点とも将来的にはなり得ると考えておりまして、ですからこそ、上尾二期についてのできるだけ早い整備を考えてほしいと思っていまして、その点について、来年以降の進め方について大臣からの御所見をいただければ幸いと存じます。

石井国務大臣 上尾道路の二期区間は、現道国道十七号の交通混雑の緩和、沿道環境の改善とともに、熊谷バイパス等と一体となって、埼玉県北部地域から圏央道へのアクセス強化が図られることによりまして、さまざまな効果が期待されると認識をしております。

 経済面において、地域経済の活性化が当然期待されますが、委員今御指摘のように、防災面におきましても、上尾道路二期区間の北端の鴻巣市箕田地区において、埼玉県の広域消防本部が立地をしていることから、上尾道路二期区間の整備により、災害時における広域的な支援体制の強化も期待をされるところでございます。

 ただ、現在は、この上尾道路二期区間については、平成二十三年度に事業化をして二十七年度に用地買収に着手をしたところでありますが、まだ昨年十二月末時点での用地の買収率が四%という状況でございますから、早期整備のためには、来年度も用地買収を着実に進めていくことが重要であると考えております。

 引き続き、地元の方々の御協力をいただきながら、しっかりと事業を推進していきたいと考えております。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 最後に一点だけ。国土交通省では手づくり郷土賞というのがありまして、手づくり郷土賞というのは、国土交通省が、地域活動によって地域の魅力や個性を生み出している良質な社会資本とそれにかかわった団体の努力を表彰するものということで、私の地元に鴻巣こうのとりを育む会というのがありまして、平成二十八年に国土交通省から手づくり郷土賞をいただくことができました。

 この点について一点、局長、大臣に伺いたいんですけれども、鴻巣は、鴻巣市、コウノトリの町でございまして、このこうのとりを育む会は、自然再生事業、ビオトープをつくったり、冬水田んぼをつくったり、魚道を整備したり、あるいは自然生き物観察会ということで、自然観察を地元の子供たちを呼んで催していただいたり、そこには荒川上流河川事務所の職員の皆さんも、土曜、日曜にもかかわらず毎回来ていただいて、本当に地域になじんでいただいております。非常にいいなと思っておりまして、それで、去年、おととしにはコウノトリは来なかったんですけれども、オオハクチョウが飛来をして、ことしもオオハクチョウが飛来をして、そろそろコウノトリも来てくれるのかなと期待も上がっております。

 ですから、こういう環境を整備することによって、地元の付加価値、この鴻巣市でも、コウノトリ米という、冬水田んぼで、あるいはその周辺でとれたお米を販売していたりして、地域の付加価値を上げることにもつながるかと思います。その点について、国土交通省としての御所見をいただければ幸いと存じます。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 コウノトリ、トキの舞う魅力的な地域づくりを目指しまして、現在、関東地方では、関係自治体ですとか、あるいは学識経験者とか、先ほど御指摘ございました市民団体等から構成されます関東エコロジカル・ネットワーク推進協議会を二十六年に設置しまして、二十七年には、河川とかあるいは周辺の水辺環境保全、再生への取組等のロードマップ、目標等から成る基本構想を策定して、今推進しているところであります。

 これらを受けまして、荒川上流河川事務所が事務局となりまして、埼玉県と地元市町の首長ですとかあるいは学識経験者の方々から構成される荒川流域エコネット地域づくり推進協議会を昨年十一月に設置をして、多様な生物生息環境の再生と創出等の観点から検討を進めることとしております。

 また、これらの取組とあわせまして、荒川上流の地元自治体や、先ほど先生御指摘ございました市民団体等の関係者と連携を図りながら、荒川中流部の太郎右衛門地区の湿地整備や、河畔の保全、再生及び鴻巣市大間地区の湿地整備などを通じて、コウノトリの餌場環境の創出を含め、自然再生を今進めているところでございます。(大島(敦)分科員「じゃ、一言だけ」と呼ぶ)

盛山主査代理 では、時間でございますので、簡潔にお願いいたします。

石井国務大臣 コウノトリを始めといたしました貴重な大型水鳥の餌場環境や飛来地の創出は、生物の生息、生育環境等を保全、創出することになりまして、豊かな生態系という観点でも非常に重要であると認識をしております。

 鴻巣市のございます荒川流域におきましても、引き続き、自治体や市民団体等の関係者と連携いたしまして、コウノトリの舞う魅力的な地域づくりに向けた多様な取組を推進することによりまして、自然との共生を図ってまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、海江田万里君。

海江田分科員 立憲民主党の海江田万里でございます。

 時間も限られておりますので、御答弁は手短にお願いをしたいと思います。

 私は、羽田空港の飛行経路が変わるということについてお尋ねをしたいと思いますが、これまで羽田空港、世界の空港はいろいろあります、海あるいは川等、水面に近接した飛行場とそれから内陸部の飛行場がありますが、水辺に近接をしました飛行場というのは、海から入って、水から入って水から出るというのがもうこれは大原則といいますか、常識でありますね、内陸部はそうはいきませんけれども。

 これは、言うまでもありませんが、どうしてそうなっているかというと、飛行機の事故が起きたときの災害ですね。飛行機の事故というのは、別に海辺であろうが内陸部であろうが同じ確率で起きるわけでありますが、一旦やはり事故が起きたときの被害の大きさというのは、これはもう圧倒的に陸部。とりわけ羽田の場合は、まさに都心部を通るわけでありますから、それが今度は着陸時、もちろん南風時とかいろいろ条件はつきます、大体年間四割ぐらいでありますが、南風時には、陸から入って、つまり都心部を通過して羽田に入って、そして羽田から海へ抜ける。

 こういう、陸を通って、しかも都心部を通って着陸をするということが方針として決定されているわけですが、そうした非常に世界の飛行場の常識を百八十度覆すような方針を決定するのはなぜかということをわかりやすく手短にお話しいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、観光ビジョンの目標であります二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人の達成、首都圏の国際競争力の強化、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催などのために、首都圏空港の発着枠の拡大が必要不可欠であると考えております。

 羽田空港につきましては、飛行経路の見直しなどによりまして、二〇二〇年までに年間四万回、一日当たり約五十便の発着枠を拡大して、国際線に活用したいと考えております。

 これが実現いたしますと、成田空港と比べて少ない昼間の時間帯の国際線が、現在の約八十便から約百三十便へと一・七倍に拡大をして、首都圏だけではなく、羽田空港と国内線で結ばれる全国各地と、海外との交流の活発化に寄与すると考えております。

 また、日本全国に与える経済効果につきまして、私どもで定量的に試算をいたしましたところ、経済波及効果……(海江田分科員「いや、そういうことはわかっていますから、何で陸から着陸するのかということです」と呼ぶ)はい。

 この発着の容量を拡大するために、飛行経路の設定に当たりまして、住民説明会等を通じて航空機の騒音発生や落下物防止を含めた安全に対する懸念の声が寄せられておりますので、南風時に使用する新経路の運用を十五時から十九時までの約三時間程度に限定をするとともに、低騒音機への誘導や落下物対策の強化等に取り組むということにしておりまして、今後とも丁寧に御理解をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。

海江田分科員 落下物だとか騒音だとかはこの後で聞きますから、何で陸に、どうしても万やむを得ないことだろうと思いますけれども、何で陸の着陸、御承知だろうと思いますけれども、事故は、よくクリティカル・イレブン・ミニッツという言葉がありますね。知らないの。十一分ですよ。これは魔の十一分とか危機の十一分とか言いますけれども、局長、御存じないの。(蝦名政府参考人「いや、知っています」と呼ぶ)では、八分と三分では、どっちが八分ですか、どっちが三分ですか。

蝦名政府参考人 着陸のときが八分で、離陸が三分でございます。

海江田分科員 ですから、今航空事故の八割が、これはいろいろな統計がありますけれども、八割が実はこのクリティカル・イレブン・ミニッツ、つまり着陸の八分と離陸の三分、ここに起きているわけですよ。

 だから、その意味からいいますと、まず航空機事故の心配というのは、一回起きたら大変なことになりますから、やはりできるだけこれは海から海へ何とか入れないか。あるいは、陸を通る場合でも、やはり密集した都心部は避けるべきだと思うんですよ。

 お答えいただいていませんけれども、何で陸をとらざるを得なかったのかということ。例えば、片一方には成田の管制の空域がありますよ。それから、こっちが横田の管制の空域があるんですね。それからあと、あそこの百里の管制とか、航空管制とかありますけれども、例えば、何としても都心部の陸で着陸を防ぐために、横田の管制空域との交渉、これをやったことはあるんですか。

蝦名政府参考人 横田飛行場の軍民共用化につきましては、首都圏の西部地域の利用者利便を改善するとともに、将来の首都圏の航空需要の一翼を担い得るなどの一定の意義があるものとは考えておりますけれども、この軍民共用化あるいは……(海江田分科員「違う、軍民共用化のことを聞いていない。今回のについて交渉したのかしないのか」と呼ぶ)はい。空域の活用につきまして、実務的な運用の調整ということはさせていただいておりますけれども、日米の全体の枠組みの中で議論をして、東京都あるいは関係省庁の意向も踏まえながら、今回の運用についての必要な検討をしているということでございます。

海江田分科員 本当に端的に答えて。今回の見直しに際して、横田空域、何とかならないかという形で、これは防衛省の方だろうと思います。今回の問題に関して横田空域が何とかならないかというその交渉はしたのかしないのか、そのことを聞いているんですよ、これは。どっちかですよ。今回についてですよ、一般的な軍民共用なんかじゃないですよ。

蝦名政府参考人 今回の飛行経路の見直しに当たりまして、横田空域の一部を通過するということについての交渉をいたしております。

海江田分科員 いつごろやって、今、要求はわかりました、どういう結論になったんですか。何回やりましたか。

蝦名政府参考人 羽田のこの経路の見直しに当たりまして、米軍側と交渉を断続的に継続して行ってきております。ちょっと今、手元に何回というのを持ち合わせておりませんけれども、この飛行経路の見直しの議論をする段階からやっておりまして、現在も、直線に入るところの空域を一部またがること、通過することについての調整を続けているというところでございます。

海江田分科員 では、その資料、いつごろから始めて、もちろん出せるもの、出せないものはありますけれども、どういう要求をしてどういう返答が来たのかということを出してください。これはうなずいておられるから、それでいいとします。

 それから、着陸が首都の真上を通るということで、一番問題はやはり騒音だろうと思うんですよね。騒音につきまして資料をいただいておりまして、高さ、本当にすごいんですね。例えば、港区の広尾あたりですと約二千フィートですね、これは六百メートルぐらいで、品川の近くになりますと高度千五百フィート、四百五十メーターですね。東京タワーは三百三十三メートルとよく皆さんわかっていると思います。ただ、あれは海抜が二十メートルぐらいのところの上に建っていますから、東京タワーは海抜でいうとあれは三百五十メーター以上になるわけですよね。

 これだけやはり低いところを通れば、当然騒音の問題が大きな問題になると思うんですが、このいただいた資料を見ますと、想定される騒音の現状の騒音レベル、十分程度の簡易測定による参考値、これは簡易測定ですから、本当はしっかりやってもらわなきゃいけないんですが、住宅街の目黒区三田付近が平均値約四十九デシベルとなっているんですよ。瞬間最大値は約七十九デシベルということなんですけれども、それで、瞬間最大値で約七十九でトラック等と書いてあるので、トラックが七十九出ることがちょっとよくわからないんですが、平均値の四十九というのはどれだけの意味があるのか。

 それからあと、いただいた別な資料によりますと、これはもう言うまでもないことで、飛行機は大型か小型かによって全然騒音が違うわけです、エンジンが幾つあるとかいろいろあって。最近はかなり低音になっていますけれども、いただいた資料を見ると、平均で四十九というのはなかなか出てこないんですよ、私の計算では。強いて小型機を入れると、これは小型は確かに、それから、離陸じゃなくて着陸を見なきゃいけないわけです。着陸を見ると、小型機でボーイングの737―800で七十八になっているんですよ。大型でボーイング777―300になると八十二デシベルになっているんですよ。

 だから、どうしてこんな平均値の四十九なんというのが出てきたんですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの騒音値でございますけれども、どの付近のどの高度のあたりで測定していくかということで異なってまいると思いますけれども、大体四十九デシベル、五十デシベル程度ということになりますと、いわゆる通常の話し声などが聞こえる程度、つまり普通の事務所のオフィス程度のようなレベルということになります。

 それから、七十から今七十九デシベルとか八十デシベル前後ということになりますと、幹線道路際といったような大きさになりますけれども、屋内になりますと遮音効果というのが大きくなってまいりますので、音の大きさは大幅に小さくなってくるということだと思っておりまして、そうしたことも御説明をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

海江田分科員 いやいや、そんな説明はどこでもしていませんよ、これは。私も聞いたことないしね。資料をいただいたんだけれども、どうしてこの四十九デシベルが住宅街の目黒区三田付近の平均値で出てくるのか、全く私はわからない、私は素人ですからね。

 ただ、素人だけれども、考えると、これは小型機なんかも入れているのかなという思いがあるんですが、ただ、片一方で、羽田は小型機は使わないわけです。調布にみんな行くわけですよ、これは。

 だから、こういうのを持って住民に説明をするとき、今いろいろな数値の、何といいますか、いいかげんな捏造問題とかもあるけれども、やはりちょっと考えればおかしいなと思って、これで騒音がもう解決しているんです、今話し声ぐらいですよという話ですけれども、話し声は確かに四十から五十ぐらいだけれども、それとやはり大型の幹線道路のトラックが通るところは全然違うわけですから、ここの数値が、この根拠が、四十九というのが、どういう根拠で出てきたのかということをまず私に教えてください、これは。いいですか。今あるの、あるのなら答えて。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 そこの資料にお示ししておりますのは、現状の目黒区の通常騒音ということでございます。それで、更に申し上げますと、小型機……(海江田分科員「いや、小型機は聞いていない。大型が通るんだから、大型になるときの」と呼ぶ)はい。ただ、小型機といっても、これはボーイングの737型機とか767型機とか、そういった羽田空港でも一般的に使われている航空機のケース、そういったことを想定してお示しをしているということでございまして、羽田空港は、現在でも中小型機が全体の七割以上を占めておりまして、いわゆるボーイング777のような、トリプルセブンと言われているような機材の機数も少のうございます。

海江田分科員 じゃ、これは今の現状の騒音レベルだとすると、これから飛行機がその意味では約六百メートルぐらいで飛んだときの騒音がどのくらいになるかというデータはありますか。あったら教えて。僕はまだもらっていないんだけれども。

蝦名政府参考人 一例で申し上げますと、例えば、新宿区の新宿駅付近を高度約三千フィートで通過いたしますと、音の大きさは、小型機で約六十三デシベル程度、通常の話し声の程度でございます。大型機でいいますと、約七十デシベル程度でございますので、街路沿いの住宅街程度といった形になります。

 先ほど申しましたとおり、これは屋外でございますので、屋内では更に遮音効果によって音の大きさは大幅に小さくなるということでございまして、これまでも住民説明会で、そうした音を、伊丹空港で実測した音を使って、それをそれぞれの地域の状況に合わせて音を体感していただけるような取組もして説明をしているということで、丁寧な説明をして御理解をいただくように努めているというところでございます。

海江田分科員 新宿駅はずっと南風時の飛行経路でも高いところ、今言いました三千で、そこからだんだん下がって、角度でいうと三度ずつ下がってくるわけです。だから、大体広尾あたりになると六百メートル、それから、もうちょっと、白金高輪なんかは恐らくこれは五百メーターぐらいかな、フィートに直すと千八百とかそれくらいだろうと思うから。それはないの、そのデータは。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 港区、例えば品川駅付近で申し上げますと、高度千五百フィート、約四百五十メートル程度になりますけれども、音の大きさは、小型機であれば約七十一デシベル程度、街路沿いの住宅街程度、大型機の場合は七十六デシベル、幹線道路際程度の大きさということになります。

海江田分科員 七十一、七十六、これがどういう精度で調べたのかということもよくわかりませんが、私は、もう少し高いような、ほかの飛行場なんか行って聞いていまして、やはりもっと高いんじゃないかなというふうな思いがありますから、ここはやはり丁寧に、ちゃんとどういう形で調べて、それからやはり最大のときじゃないとだめですよ。平均で押しなべてやったって、それはいろいろな飛行機があることはあるけれども、ちゃんと大型でどのくらい、一番頻度が高いのはこの中でいうと幾つになるんですか。まあ、いろいろなところから飛んできますけれども、トリプルセブンぐらいでやってもらって、どうなるんだということを言ってもらわなければいけないのではないだろうかというふうに思います。

 それから、やはり着陸ですから、氷結の問題とか、いろいろ努力していることは確かだろうと思いますけれども、それから、部品の落下、脱落ということ。これは最近、特に軍用機が非常に大きな問題になっていますけれども、部品の落下になったら、騒音被害とは桁の違う大きな被害を、しかもこれは、通る時間が大体子供たちの下校時なんですよね。この辺には学校もたくさんあるわけですから。それから、お年寄りの買物の時間帯だとか。

 これは、一時間当たり三十便ですから、二分に一回なんですよ、私もびっくりしましたけれども。二分に一回、そういう飛行機がおりてきて、それで本当に、脱落物だとかそれから氷結の問題、氷結はいろいろな水の部分から、水回りから出てくるということはあります。あと、ランディングギアのカバーをあけたときも実は出るんですよ、これは。ランディングギアは着陸のときしか使いませんから。そういうことを考えていくと、これはやはり、着陸時に使うというのはまず無理があるんですよ、しかも、二分に一回、次から次へおりてくるということは。

 どうですか、落下物だとか氷結の、氷の落下の対策というのは。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 落下物の対策に関しましては、一つは、未然防止対策の徹底並びに万一事案が発生した場合の対策の強化という両面で、各般の施策に取り組んでまいりたいと思います。

 昨年十一月から、有識者、実務者から構成されております落下物防止等に係る総合対策推進会議を開催いたしまして、現在検討を進めているところでございます。

 まず、点検整備を徹底するなどの未然防止対策が大変重要になりますけれども、そこにつきましては、本邦及び日本に乗り入れております外国航空会社が遵守すべき落下物防止対策基準というものを策定いたします。そして、あらゆる会議等のチャネルを通じて、未然防止策を海外のエアラインも含めて、徹底をしてまいりたいと思っております。

 また、空港管理者によります駐機中の機体のチェック体制の構築といったことにも取り組んでまいりたいと思います。

 特に、落下物の防止対策基準は、世界的にも類を見ないものでございまして、落下物の未然防止に有効な対策や現場の整備士の教育訓練などを盛り込んだ基準案を今年度末までにまとめていきたいと思っております。

 また、発生した場合の対策を強化という点でも、関係する航空会社が連帯して補償する救済制度などの創設といった対策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 それから、氷結の方の関係でございます。これにつきましても、検討中の落下物の防止対策基準案におきまして、特に、給水時に確実な水抜きをするといった対策の徹底、あるいは、氷塊を融解させるヒーターの定期的な点検、整備士等の点検ポイントの周知といったことによりまして、そもそも氷塊の付着を防止する対策ということを検討していきたいというふうに思っております。

海江田分科員 国内はそういう形で強化してもらう、それから海外に対してもそういう基準を設けるということですけれども、やはり、海外に対して、何か、チェック体制、その出した基準がちゃんと守られているかどうかということをこれはチェックできるんですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国に乗り入れております外国の航空会社は、航空法に基づき、許可をとって運航されていることになっておりますが、その際に出していただきます事業計画の中で、しっかりこうした対策を遵守していただくということを位置づけまして、それによってしっかりチェックをして、必要があればそれによって指導監督をしていくということにしたいと思っております。

海江田分科員 書面によるチェックでしかないんですよね。そうすると、LCCなんかが、それはいろいろな事情があろうかと思いますが、こういう落下物の防止の問題だとか、あるいは氷塊の落下の問題だとか、やはりリスクはあります。今度、二月、もう間もなく決まるわけですね。そしたら、それも一応見せていただきたい。二月のいつごろですか、もうきょう二十三日ですが。

蝦名政府参考人 落下物の対策基準につきましては、年度内に取りまとめてまいりたいというふうに考えております。(海江田分科員「今、二月と言わなかったですか」と呼ぶ)いや、二月というのは、もしかしたら私が言い間違えたかもしれませんけれども、三月、年度内ということでございます。

海江田分科員 はっきり僕は二月と、聞こえたでしょう、二月って、二月末って。そんなことを言っちゃだめですよ、ちゃんと言わなきゃ、年度内にと。いや、人が話しているときに聞いていないから、質問を。言ったでしょう、二月の末って。言っていない、えっ、本当。後でじゃあ記録とって、いや、年度内とは言わなかったよ。まあ、それはどうでもいいことだけれども。

 あともう一つ、住民の説明会という、丁寧にと言ったけれども、全然丁寧じゃない。私、聞きに行ったんですよ。去年の十一月の二十八日、白金のいきいきプラザで、黙ってね、黙ってというか、普通の一住民として行ったんですけれども。何といいますか、人々のやはり不安があるから、その不安をしっかりまず聞いて、そして答えられるところは答えて、答えられないところは持って帰ってまたやってと。

 このときに、十一月二十八日に質問がたくさん出たんですよ。答えられないのがたくさんあったから、もう一回やりますと言って、あれから僕は何度も早くやってくださいと言っているんですが、やりましたか、いきいきプラザでの白金の高輪の人たちのあれを対象に。二月にもとにかく説明をするのが仕事なんだから、大事なことなんだからやってくださいと言ったのは、やりましたか、その後。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの、白金の関係の皆様からさまざまな御意見をいただいたということが十一月にございました。

 そのいただいた御意見等への対応につきまして、現在、港区役所と対応の仕方を練っている、調整をしているというところでございまして、できる限り早期に、こういった関係自治体と御相談をしながら、情報提供、説明をしてまいりたいと考えております。

海江田分科員 関係自治体とやっていただくのは結構で、今港区役所も、いろいろな意味で、連合町会とかそういう人たちを集めて、集めてというより、連合町会長の方が区役所に行って早くやってくれということを言っているわけですけれども、少なくとも、十一月二十八日から何カ月たっていますか、もう三カ月たっているんですよ。三カ月たってナシのつぶてで、しかもやる予定が入っていないじゃないですか、そのあれを。やると言ってくださいよ。丁寧にやるんでしょう。必ず、その人たちに港区役所を通じて、いつ幾日やりますよということをやはり言ってくれなきゃだめですよ、これは。それをやるということをはっきり約束してください。十一月二十八日の人たちを対象に、その人たちが幾つも質問を投げまして、その質問に対してしっかり答えをするということを約束してくださいよ。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今、いただいた御意見についての対応につきまして港区役所と調整をしているところでございますので、調整が整い次第、説明をさせていただくようにしたいと思っております。

海江田分科員 やはり、一番根本の問題は、冒頭にお話をしましたけれども、陸から入っていくということ、これは何としても避けなきゃいけませんし、それから、やはり時間帯の問題もある。もちろん風の問題もありますけれども、ここをもっと、本当に白紙に戻して、それこそもう一回横田空域ともしっかりとした話をして、ちゃんと主張すべきところは主張して、そして何とか少し通れるようにしてもらうとか、やはりそういう姿勢で臨んでいただきたい。

 これは本当に、私は航空局に最後に言っておきますけれども、事故が起きてからでは取り返しがつきません。大きな飛行機の航空事故だけじゃなくて、落下物の事故でもこれは大変大きな被害が地域住民に出ますから、そのことだけは申し上げて、本当は、これは本来ならば撤回をすべきじゃないだろうかというふうに思っています。

 あと、区民の声を、港区だけじゃありません、新宿だっていろいろありますし、それから目黒区も品川区もそれぞれありますけれども、やはりこれはよく聞く姿勢を持たなければいけない。

 実際に現地で説明会を聞いてきましたけれども、一々言うとその人の人格にかかわりますけれども、とてもじゃないけれどもこれは意見を聞こうという態度ではない。とにかく時間を稼げばいい、あるいは、説得できないだろうけれども、とにかく自分たちの主張は主張ですればいいという態度でありますので、これはやはり反省が必要ですよ。何か感想があったら、一言、もう時間ですから。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

蝦名政府参考人 今後とも、地域住民の皆様の声に耳を傾けながら、丁寧に御説明をして、御理解を得るように努めてまいりたいと考えております。

海江田分科員 終わります。ありがとうございました。

竹内主査 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、質問の機会を頂戴をいたしまして、心から感謝を申し上げます。

 分科会でございますので、私の地元でもございます兵庫県尼崎市、こちらにかかわりのある話題で少し幾つか質問をさせていただければというふうに思っております。

 私の地元の尼崎というところは、御承知の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、阪神工業地帯で、昔、かなり工場が多かった地域でもございまして、いわゆる工業が非常に栄えた町。しかし、昔は公害も多かったんですけれども、今では住宅地もかなり多くなってまいりまして、こうした環境の取組というのも非常にやっております。環境モデル都市ということで指定もいただきましてやっております。

 そうした地域でもございますので、いわゆる観光名所というものは、今まで、確かに尼崎で観光ということは余り市の方も頭になかったとは思うんですけれども、実は、昔、尼崎にはお城がございまして、尼崎城というのが昔あったと。ただ、これは今はもうないお城だということで、これがことし実は築城四百年ということに当たるということもございまして、民間から実は寄附をしていただいた方がいらっしゃいまして、尼崎城をぜひ再建をしようじゃないかということで、尼崎で活動をされてこられた民間の方が大変に大きな額の寄附をしていただきまして、お城をつくる、実はこんなことがあるものでございますから、実はこの尼崎城がことし完成をする、来年の三月からいろんな人も入れられるようにしよう、こういうことでやっておるわけでございます。

 せっかく民間の寄附でお城を再建する、こういう新しい取組をしておるものでございますから、ぜひ、これに連動して、やはりまちづくりを活性化をしていきたい、これが非常に地元の強い思いでございます。

 この尼崎城ができる地域は、阪神尼崎駅という、非常に大きな商店街もございます、いわゆる下町のような雰囲気の非常に強いエリアでございますけれども、実は、歴史的に見ますと、非常に歴史のあるお寺も幾つか集まっている寺町というエリアもございまして、また、下町の商店街もございまして、ある意味、尼崎の中では非常に歴史もあり、また、見どころもある、こういうエリアでございます。

 市民の皆様も今、このお城の城主にぜひなろうと、一口城主ということで寄附を募っておりまして、これもかなり寄附も、今集まっている、こんな状況でございまして、こうした、民間を中心にいろんなことがあるものでございますから、ぜひ、行政の方もまたしっかりとこれを応援をして、新しいにぎわいをつくる。

 今まで余り観光ということでは力は入れてきませんでしたけれども、こうした、新しく人が集まるものを民間の活力でつくるということでございますので、またこれと連携をして、周りの公園整備とかも、今、国の方でも予算を入れてやっておりますけれども、しっかりと人が集まる仕掛けもし、またにぎわう、そういうまちづくりをしていきたい、こういうことで今頑張っております。

 国の方としても、ぜひこうして、官民連携してしっかりと町のにぎわいをつくっていこう、こういう新しい取組でございますので、またぜひ力強い御支援をお願いしたい、このように思いますけれども、御答弁いただければと思います。

あきもと副大臣 尼崎市におきましては、委員御指摘のように、市民の寄附により、来春の完成を目指し、尼崎城の再建が進められていると聞いております。この城を中心とした城内地区におきまして、平成二十八年度より都市再生整備計画事業が実施されているところであります。

 具体的には、城を取り囲む城跡公園の再整備による歴史的たたずまいの再生、既存中学校校舎を生かした歴史館の整備、又は遊歩道の整備等による町中の回遊性向上を行うことにより、阪神尼崎駅前という今御指摘の下町という立地特性を生かした交流と学びの拠点を創出するものであると思います。

 国交省といたしましても、これまでも重点的な支援に努めてきたところでございますが、本事業の重要性に鑑み、今後とも重点的な支援に努めてまいりたいと思っております。

中野分科員 ありがとうございます。あきもと副大臣からも大変に力強い御答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。

 この尼崎市というのは、こうした、下町というお話をさせていただきましたけれども、また交通の要衝でもございまして、東西に大きな幹線道路、阪神高速でございますとか、大きな国道二号線、四十三号線も含めて、非常に交通の要衝でございます。物流拠点も数多く立地をしている、こういうところでもございますけれども、しかし、幹線道路も含めて、やはり渋滞も非常にある。そして、南海トラフ巨大地震といった災害への備えということも考えますと、やはり、こうした東西の交通あるいは南北の交通も含めてしっかりと整備をしていかないといけない、このように考えております。

 このようなところで、今、さまざまな街路の整備をしているところでもございます。東西でいいますと園田西武庫線ですとか、あるいは南北でいいますと尼崎宝塚線でございますとか、あるいは、阪神尼崎駅の近くの尼崎伊丹線の区間も新規で着工したい、こういう要望も地元からは聞いているところでございます。

 この街路事業は、やはり非常に予算の制約もございまして、なかなか予定どおりには進んでいかない、こういうことがあったんですけれども、兵庫県における街路事業の予算、平成二十九年度は二十八年度に比べて増額ということで大変に多くつけていただきまして、今、この工事もしっかりと進めさせていただいているところでもございます。

 引き続き、必要な事業費、これを安定的に確保をさせていただきまして、この市内の街路整備というものをぜひ進めていきたい、このように思いますけれども、国の方から答弁をいただきたいと思います。

栗田政府参考人 尼崎の市内におきまして、兵庫県が事業主体となりまして、都市計画道路園田西武庫線、尼崎宝塚線、いわゆる街路事業を推進されております。

 園田西武庫線につきましては、大阪府境から西に延びる幹線道路として、周辺道路の慢性的な渋滞解消を目的に整備が進められております。この路線は、用地買収も順調に進みまして、現在、鉄道交差部、藻川の橋梁などの本体工事に着手したところでございます。

 尼崎宝塚線、これは市内を南北に通過する幹線道路で、災害時の避難、救助及び物資供給のための緊急輸送道路に位置づけられるとともに、通学路指定もされております。この路線は、現在、本格着工に向けた準備が進められておりまして、来年度から橋梁工事に入る段階というふうになっております。

 これら路線の整備によりまして、都市内交通の円滑化が図られるとともに、緊急輸送道路、避難路などの機能強化、歩行者及び自転車の安全性向上に寄与するものと認識しております。

 これまでも交付金によりまして重点的に支援してきたところでありますけれども、今後とも、事業が着実に進捗し、物流の円滑化などさまざまなストック効果あるいは生産性向上効果が早期に発現されますよう、引き続き支援に努めてまいります。

中野分科員 ありがとうございます。

 やはり街路整備というのは、毎年度毎年度必要な事業量を確保していかないとなかなか進んでいかない。去年、予算を非常に多く確保していただきましたけれども、やはり、ことしもしっかりと確保をしていかないと進捗状況が進んでいかない、こういう大変に厳しい状況でもございますので、ぜひとも、必要な予算を確保していただきましてこの街路整備というものが進んでいきますよう、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。

 この街路整備に関しましては、実は、地元から非常に強い要望としてずっと上がっておりますものが、山手幹線、路線名でいうと、今延伸している区間は三国塚口線ということになるかと思います。この山手幹線といいますのは、阪神・淡路大震災を受けまして、東西の幹線の、特に二号線であるとか四十三号線のような、もともと幹線としてあった大きな国道がございますけれども、阪神高速もございますけれども、やはり、災害時の代替輸送路、この位置づけとして早期に開通をお願いをしておったものでございます。

 この山手幹線、今、兵庫県の区間というのは既に完成をしております。私の尼崎の地元では、神崎・戸ノ内工区というところがございましたけれども、これも、私の前に尼崎で活動をしておられた冬柴鉄三先生のときにこれは完成をした、こういうことでございまして、残るは、この兵庫県区間が終わった後、大阪府の区間、ここの進捗を実はこれから前にぜひ進めていただきたい、こういうのが地元からの大変強い要望でございます。

 よく、いろんな道路工事で、県境区間というのはなかなか接続まで時間がかかるというのがいつも問題としてございまして、どうしても県境に向かって工事をしていくことが多いわけでございますので、片方は完成をしていても、もう片方が進まないとネットワークとしての機能を発揮しない、こういうことがございます。

 今ちょうど南海トラフ巨大地震ということで対策をそれぞれの地域で進めているところでもございますけれども、この山手幹線というのは、緊急輸送道路のネットワークということでも兵庫県の中では位置づけられております。しかし、幾ら兵庫県の中でこの位置づけを行っても、途中の県境区間で道路が切れてしまってその先に行けないということではネットワークとしての効果が発揮をできない、こういうことでもございます。

 地元の方からは、ぜひ、大阪側の区間についても緊急輸送道路にしっかりと指定をしてほしい、位置づけてほしい、こういう要望がいつも上がっておったり、あるいは、こうした緊急輸送道路のネットワークを策定する協議会というものを、しっかりと大阪側も含めて話合いを進めて、ここの部分を早期に完成をさせるべきではないか、こうしたさまざまな意見が常に上がってくる、こういう路線でございます。

 緊急輸送道路、南海トラフ地震の発生確率というのが、やはり非常に高い確率で実は想定をされておる、こういうことも鑑みますと、やはり、府県境区間の早期整備というのが、この山手幹線におきましては非常に大きな課題であるというふうに思います。

 ぜひ早期にこれが進んでいきますように、国としてもしっかりとこの支援をしていっていただきたい、このように思うんですけれども、答弁をいただきたいと思います。

栗田政府参考人 都市計画道路の三国塚口線、今委員お触れになりましたように大阪府が事業主体ということでございますが、兵庫県側の山手幹線と一体となって、いろいろな機能を持ちます重要な幹線道路ということでございます。

 現在、全体の延長約一・五キロのうち約一・〇キロにつきまして、街路事業とそれから住宅市街地総合整備事業によりまして用地買収などを進めております。来年度から本体工事に着手する段階となっております。

 ただ、まだ山手幹線と接続する未着手区間約〇・五キロがございます。これは、現在整備を行っております区間の用地買収に一定の目途が立った段階で事業に着手する予定であるというふうに大阪府から伺っております。

 国土交通省としましては、今、緊急輸送道路の位置づけの御指摘がございましたが、津波による水害リスクの低減などさまざまな事業効果が得られますように、大阪府と緊密に連携しながら、事業中区間につきまして引き続き重点的に支援してまいりますし、未整備区間につきましても事業化が具体化した時点で必要な支援をしてまいります。

中野分科員 ありがとうございます。

 今整備中の区間の用地買収に一定のめどが立てばまた事業化に進んでいく、こういうことで御答弁もあったかと思います。ぜひ、重点的な支援というのを重ねてまたお願いをしたいというふうに思います。

 南海トラフ巨大地震への対策という意味では、やはり、海抜ゼロメートル地帯というものが非常に市域の多くを占める尼崎市でございますので、市民の御関心というものも大変に高うございます。具体的に言いますと、JRの路線より南の区域に入っていきますとかなり海抜ゼロメートルになってくる、こういう状況でございます。

 南海トラフ巨大地震というのは津波の地震でございますので、津波の対策、これは防潮堤をしっかりと整備をしていかないといけない、このように考えております。

 県の方でも、東日本大震災を受けまして兵庫県全体の防潮堤の整備、こういうものにも着手をしていただいておりますけれども、尼崎の市域におきましては、まだ未整備の、これから事業をやっていかないといけない、こういう区間もあるというふうに承知をしております。この防潮堤の対策というものが完成をしました場合、尼崎市内の浸水想定面積というのは非常に小さくなる、大変に効果の大きい整備だ、このように考えております。

 南海トラフ巨大地震対策という意味では、事業費というのも、ほかの県内の事業もございますし、やはり必要な予算というのをしっかり確保していかないといけない中ではあるというふうに思いますけれども、この尼崎の防潮堤整備というものがしっかりと進んでいきますような予算確保をぜひ国にお願いをしたい、このように思いますけれども、港湾局の方から答弁いただければと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 切迫する南海トラフ地震・津波に対しまして、防潮堤等の海岸保全施設の整備促進は大変重要であると認識をしております。

 特に尼崎市南部地域は、人口や産業が集積する一方で、ゼロメートル地帯であるということから、津波に先行する地震によりまして堤防が沈下した場合、津波による甚大な浸水被害の発生が懸念をされております。

 このため、尼崎西宮芦屋港海岸については、海岸管理者であります兵庫県が、平成二十七年六月に津波防災インフラ整備計画を策定いたしまして、重点整備地区として防潮堤の沈下対策を実施しているところでございます。

 国土交通省といたしましても、引き続き防災・安全交付金によりしっかりと支援してまいります。

中野分科員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、災害対策という意味では、南海トラフ巨大地震への備えということも大事でございますけれども、やはり最近頻発する豪雨対策というものも非常に重要であるというふうに思います。

 九州北部豪雨がございました。やはり雨の降り方が変わってきている。非常に今までにはなかった量の雨が今までにはなかった頻度で降ってきている、こういうことでございますので、浸水対策あるいは豪雨の対策、これが非常に重要であると思います。

 尼崎の園田地区で、平成十八年に豪雨があったときに浸水の被害がございました。これは落雷でポンプが壊れるとかいろんなことが重なったこともあったんですけれども、この尼崎市内の猪名川と藻川に挟まれた地域、園田地区の中でもこの地区に関しましては、やはり両側を川に挟まれているということもございまして、浸水被害、これの対策というものが住民の間でも、大変に皆様意識を持っておられます。島之内というふうに地元では呼んでおる地域でございますけれども、一旦浸水が起きた場合に非常に被害が大きくなるんじゃないか、こういうお話もございます。

 現在の考え方ですと、ハード、ソフト、しっかりあわせた対策をやっていく、こういうことであるというふうに思いまして、それぞれの河川でこういう対策をしている、この猪名川、藻川においても水害に強いまちづくりのプロジェクトというものが今まさに検討をしていただいておる、このように聞いております。

 猪名川、藻川に挟まれたこの地域の防災の対策、ぜひ、地元の住民の方、また市の当局とも密接に連携をしていただきまして、具体的に、この地域の中でどこにどのような備えをしていくか、この対策というものをぜひしっかりと進めていっていただきたい、このように思います。答弁いただければというふうに思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の猪名川と藻川に挟まれました地区、いわゆる島之内地区でございますが、ここは、人家が密集しておりまして、一たび氾濫をいたしますと甚大な被害が生ずることが想定されるところでございます。

 このため、国土交通省では、現在、洪水時の水位を下げるための河道掘削ですとか、あるいは防災拠点の整備などを実施しているところでございます。

 また、猪名川、藻川では、水防災意識社会再構築ビジョンを踏まえまして、沿川の自治体、それから地方整備局等で構成されます大規模氾濫に関する減災対策協議会を設置をいたしまして、これらのハード対策のほか、避難勧告の発令に資する水害対応タイムラインの作成ですとか、あるいは住民等の円滑かつ迅速な避難を確保するための住民勉強会や図上訓練の実施等のソフト対策にも取り組んでいるところでございます。

 今後も、関係機関あるいは住民の皆様と緊密に連携をいたしまして、猪名川、藻川沿川の浸水被害の防止、軽減のための取組をしっかりと進めてまいりたいと考えておるところでございます。

中野分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 時間も大分短くなってまいりましたので、残りの質問、ちょっと急ぎながらさせていただきます。

 バリアフリー対策について質問をさせていただきます。

 今回、バリアフリー法の改正をするということで、地元の障害者団体の皆様からもさまざま御要望をいただきました。

 その中に、私がこれは本当に大変だなと思いましたのが、例えば、鉄道に乗るときに、エレベーター、こういうハードの面のバリアフリーも大事なんですけれども、やはり、乗るときに一人だと乗れない、そうすると駅員の方に来ていただいて、何時に来てくださいということで、かなり時間を待たされることもあったりですとか、あるいは、新幹線のチケットを予約して買うだけでも、健常者であればすぐ買えるのに、障害者の方だと非常に時間がかかる、何十分、一時間待つときもある、こういうふうなお話をいただきました。

 バリアフリーといったときに、やはりこうしたソフトの取組、こういうものもしっかり改善をしていく必要がある。特に鉄道事業者に関してちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、その点についてどう改善していくか、お伺いをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 車椅子を使用される方が、鉄道に乗車する際や、あるいは新幹線等の切符を予約、購入する際に、乗車駅及び降車駅での乗降を介助する駅員の手配、あるいは、新幹線の場合には、乗り継ぎが発生するような場合に、それぞれの列車において車椅子のスペースを確保する、そういったことのためにお待たせをしてしまう、今委員御指摘のような事情が生じております。これは、鉄道のバリアフリーを進めていく上での課題の一つであると認識をしているところでございます。

 国土交通省におきましては、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画に基づき、昨年、障害当事者の方にも御参画をいただきまして、鉄道における車椅子利用環境改善のための実務調整会議というものを立ち上げました。こちらにおきまして、例えばIT機器の導入による乗車駅と降車駅の間の情報伝達の迅速化、あるいは駅員の方々の手配業務の効率化、こういったことで先ほど申し上げたような待ち時間の短縮ができないか、そういった方策について議論を行っているところでございます。

 この会議につきましては、本年度内を目途に結論を得た上で、今委員御指摘のハード以外のバリアフリーの改善ということについての取組を進めてまいりたいと考えております。

中野分科員 バリアフリーでもう一問お伺いをいたします。面的なバリアフリー。

 バリアフリーというと施設単体というか、鉄道なら駅は駅、ビルはビルということでバリアフリーをするんですけれども、当事者からするとやはり、駅をおりてそして例えば市役所に行くとか、ルートを通ってその面としてバリアフリーにならないと困る。これはもちろんこういう御要望は当然だと思います。これは自治体が基本構想をつくってという今の仕組みにはなっているんですけれども、これがなかなか進まないというのが現状だと認識をいたします。

 私の地元の兵庫県でも、こうした障害者の方に対するルートを、マップをそれぞれの駅でつくって、そうしてどのルートを行けばバリアフリーで行けるのかというのを、それを駅々ごとにつくっていこう、こういう取組を進めておられるNPOの方などもいらっしゃるぐらいでして、確かにお伺いをすると、ある場所に行くのに、ある駅で一番近い出口に出てそこに行こうとするとそっちはバリアフリーじゃない、では、バリアフリーなのは逆側の出口で、こっちを通ると物すごい遠回りになるとか、確かに面的にバリアフリーを進めないといけない、これは切実な御要望だというふうに思います。

 今回の法改正におきましてこの面的なバリアフリーというのをどのように進めていくのかということについてもぜひ御要望をしたいと思いますので、答弁いただきたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 高齢者、障害者を含みます全ての方が住みよいまちづくりを進める観点から、地域における駅、道路、公共施設等の一体的、計画的なバリアフリー化、委員御指摘いただきましたような面的なバリアフリー、これを推進をしていくことは大変重要であるというふうに認識しております。

 そのため、現在のバリアフリー法におきましては、御指摘いただきましたように、市町村が基本構想を作成することができるということになっておりますが、残念ながら、その作成をしていただいている市町村の数は全市町村の約二割弱にとどまっているところでございます。

 この基本構想が進まない理由の一つといたしまして、市町村からは、この基本構想が具体の事業に関する計画を定めることを要件としております関係上、そうした関係者との利害調整をどのように進めていけばいいか、どのように取り組んでいけばよいかよくわからないというような指摘がなされているところでございます。

 このため、去る九日に国会に提出をさせていただきましたバリアフリー法の改正案におきましては、例えば観光地等あるいは駅等の重点的に取り組む区域について、まず市町村がマスタープランとしてバリアフリーの方針を定めた上で、これに基づいて個別事業の具体化に取りかかることができる制度の創設を盛り込んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組によりまして、地方自治体による面的なバリアフリー化の取組を推進してまいりたいと考えております。

中野分科員 最後に、建設業の関係で二問お伺いをしたいと思います。

 今、働き方改革、まさに議論をしておるところでございます。建設業、やはり長時間労働だ、こういう業種でございまして、今、働き方改革をしようということで、直轄の工事でも、例えば週休二日の工事にしようということで試験的に発注をされておられたり、あるいは長時間労働を削減をしていこう、こういう働き方改革を見据えた工事というのを今まさに直轄でやっていただいています。

 ただ、やはり現場からの声は、週休二日にすると、当然、工期がそれだけしっかり確保をされないと大変一日一日は忙しくなってしまいますので、では、本当に工期がちゃんと週休二日に合った工期かというと、なかなかしんどいものがあるというお声もいただきます。もちろん、週休二日にして、二日間休みだからといって、では、その雇っている人に二日間給料を払わないということができるのかというと、必ずしもそうでもないということで、単価も、本当に週休二日でやってこれでちゃんとできるのか、こういうことを聞くとなかなか厳しいものがある、こういう現状もお伺いをいたします。

 また、直轄の工事は大変書類が多いというふうに聞きますけれども、これも削減をしようということで今取り組んでおられると聞いておりますけれども、目に見えて非常に業務量が楽になったというふうな話もなかなか聞こえてこないところでございます。

 ぜひ、今直轄でやられているこうした働き方改革に関連をする週休二日の工事でありますとか、あるいは書類の簡素化でありますとか、こうしたものが建設業において働き方改革をする上で、やはりお手本というかモデルとしてやっていただく必要があると思いますので、こうした工期や単価も含めて、現場の声というのをしっかり聞きながらこうした発注というのをぜひ今後やっていただきたい、このように思いますけれども、いかがでございますか。答弁いただければと思います。

五道政府参考人 お答えいたします。

 建設業における働き方改革は将来の担い手を確保する観点からも重要であり、週休二日の確保や長時間労働の削減に向けた取組を進めていくことが必要でございます。

 国土交通省では、建設業における働き方改革について、直轄工事から率先して取り組むべく、今年度、工事の準備期間や後片づけ期間の見直し、適正工期を自動算出するシステムの導入などを行うとともに、余裕期間制度の活用等により、週休二日が確保できる工期の設定に努めてまいりました。

 また、週休二日で施工した場合に、現状より工期が長くなることに伴い増加する現場の安全管理や現場技術者の給与等の間接経費の割増し補正も導入したところでございます。

 国土交通省では、現在、工事において必要となる書類や週休二日の確保に伴い必要となる経費などの実態の把握を行っており、書類のさらなる簡素化を検討するとともに、必要に応じて間接経費の補正の見直しを行うということにしております。

 今後も、多くの企業が週休二日を始めとした働き方改革に取り組めるよう、環境整備に取り組んでまいります。

中野分科員 済みません、時間が参りましたので、ちょっと最後、簡潔にだけ御答弁いただければと思います。

 建設業、重層下請構造で、やはり今、民間発注だとなかなかしんどいですとか、元請が利益を上げていても下請に全然行き届いてこない、こういうお声が非常に強うございます。この建設業の重層下請構造の中での処遇改善をどうしていくか、大変に大きな課題だと思いますので、ちょっと最後、簡潔にだけ御答弁いただければと思いまして。それで質問を終わりたいと思います。

秋本大臣政務官 委員御指摘の点につきまして、そういった声もあるということで、実態を把握するための調査を行いました。

 この調査によれば、高次の下請企業ほど十分な法定福利費を受け取れた工事の割合が減少している、高次の下請企業に雇用される技能労働者ほど賃金水準が低くなっているといった傾向が明らかになりました。

 こうした調査結果も踏まえまして、公共工事設計労務単価の上昇が現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、建設業関係団体に対しまして、改めて適切な賃金水準の確保を要請してまいります。

 また、法定福利費を内訳明示した見積書や請負代金内訳書の活用の取組などを進めつつ、必要な法定福利費の確保を業界関係団体に要請してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 また、キャリアアップシステム等の運用が開始される予定でございまして、こういったものを含めまして、しっかりと今後とも処遇改善に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

中野分科員 質問を終わります。

竹内主査 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 まず最初に、災害による鉄道の復旧について質問をいたします。

 東日本大震災、熊本地震、そして台風、また九州北部豪雨など、大きな災害が続き、鉄道が被害に遭っています。JRを含め、災害で不通になった鉄道路線が復旧されないままに廃線に追い込まれる、そういう事態も各地で起きています。災害を原因とする鉄道廃止は絶対にあってはなりません。

 まず最初に、石井大臣にお伺いします。

 災害が起きて鉄道路線が被災した際、まずは一刻も早い復旧を目指すべきでありますが、鉄道事業者を監督する国土交通省の基本的な立場と対応についてお伺いをいたします。

石井国務大臣 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものでございますので、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資力により復旧することを基本としております。

 しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみでは復旧することが著しく困難な場合には、復旧について鉄道事業者と地方公共団体との間において合意がなされることを前提といたしまして、鉄道軌道整備法に基づき国が助成を行うスキームが設けられております。

 国土交通省といたしましては、このような補助制度も活用しつつ、被害の状況や被災地域のニーズを踏まえて、必要な支援を行うこととしております。

田村(貴)分科員 営利を目的とする、そしてみずからの努力、資力というふうに言われましたけれども、公共交通でありますので、ここは一番大事な点であります。

 配付資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、九州では、一昨年四月の熊本地震、それでJR豊肥線が被災しました。第三セクターの南阿蘇鉄道も被災しました。昨年の九州北部豪雨ではJR久大本線、そしてJR日田彦山線が被災しました。また、去年の台風十八号では日豊本線が被災しました。

 JRの復旧状況については、豊肥本線が復旧作業中であります。久大本線は来年七月に復旧の見込みとのことであります。日豊本線は昨年十二月に既に復旧しています。唯一、復旧の見通しが立っていないのが日田彦山線であります。国土交通省は、日田彦山線の復旧についてどのように把握されていますか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 日田彦山線につきましては、昨年七月の九州北部豪雨により、現在も添田駅と夜明駅の間、二十九・二キロで運転を休止しております。

 この区間の被災箇所は六十三カ所に上り、特に大きな被害として、五つの橋梁の損傷や斜面崩壊等の被害が生じ、JR九州はその復旧総額を約七十億円と見込んでいるところでございます。

 現在、JR九州は、今後の進め方につきまして、関係地方公共団体等と相談しながら検討を行っているものと承知をしております。

田村(貴)分科員 関係自治体と復旧に対する協議を行っているとの理解でよろしいんでしょうか。もう一度お聞かせください。

藤井政府参考人 このことにつきましては、今、被害額が非常に大きい額である、この額をなかなかJR九州だけで賄うことはできない、そういったことで、どういった方策があるかを検討している、そういったことを今も相談をされているというふうに承知をしているところでございます。

田村(貴)分科員 確かに、六十三カ所の被災があった、復旧費用七十億円というのは、従前の鉄道の被災に比べては大きいものということであります。

 同じ九州北部豪雨水害で被災した久大本線、この花月川の橋梁が流失するという大きな被害があったわけなんですけれども、この花月川の橋梁については、昨年からもう既にやりかえの工事が開始され、そして来年復旧のめどがついております。こうした復旧状況がある一方で、日田彦山線については、まだ復旧についての意思というものがどこからも発せられないといった状況。この違いは一体どこにあるというふうに把握されていますか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘ありましたとおり、昨年七月の九州北部豪雨によりまして、JR九州の久大線も被災をしたところでございます。

 久大線につきましては、流失をいたしました花月川橋梁を含む二・四キロが現在も運転休止となっておりますけれども、本年七月中に橋梁のかけかえが完了し、全区間の運行が再開する予定となっております。

 この久大線の橋梁のかけかえ、これを含む復旧の総額が約十七億円の見込みということでございます。それに比べて、先ほど申し上げましたとおり、日田彦山線は七十億円ということでございます。やはり被災の規模が大きいということが、日田彦山線について調整に時間を要している理由であるというふうに考えているところでございます。

田村(貴)分科員 日田彦山線の、これは福岡県のある沿線自治体の首長さんが述べておられたんですけれども、災害時には、九州ですから九州電力も、そしてNTTも、何はさておいても復旧に当たる、なのにどうしてJRはそうしないのだろうかと疑問を呈しておられたんですけれども、私はそのとおりだというふうに思うわけであります。

 JR九州は、日田彦山線に限って、復旧の見通しについて述べていないんです。日田彦山線だけについて復旧の見通しを述べていないんです。被災額、復旧費用の多寡はあります。しかし、これまでの路線は復旧してきているんですよ。大分県とも沿線自治体とも協議があったかもわからないけれども、やはり復旧してきた。難工事であってもやってきた。何でこの路線だけはしないのか。ここが、私も含め、沿線住民、沿線自治体の皆さん方の疑問なわけなんです。

 復旧の見通しについて述べないどころか、JR九州は、単独での復旧は厳しいと。そして、復旧した将来、持続可能にしておくことが大切として、自治体に協力を求めているわけであります。沿線自治体の福岡県東峰村や添田町というのは、財政規模の小さな自治体であります。その財政規模の小さな自治体が甚大な被害を受けているにもかかわらず、災害をだしにして自治体に負担を求めるというのならば、それは本末転倒していると言わなければなりません。

 石井大臣にお伺いします。

 災害で不通になった道路や橋があったとするなら、それが復旧されないことはまずありません。まず復旧します。後先のことは言わずに、まずは復旧する。鉄道も復旧する。ほかはやってきたんだから、日田彦山線もやはり復旧すべきであります。鉄道事業者としてその立場に立つよう、JR九州に対して指導をしていただくように大臣に求めますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 先ほどお答えしたところでありますが、鉄道事業は営利事業であることから、鉄道施設が被災した場合の対応につきましては、鉄道事業者みずからが判断すべきものと考えております。

 具体的には、復旧費用の規模等を踏まえつつ、復旧のあり方や輸送形態等について、鉄道事業者が地方公共団体等の関係者と十分な意見交換を行い、検討を行う必要があるものと考えております。

田村(貴)分科員 そういうスタンスでいきますと、鉄道事業者がその経営形態について今のあり方を変えると言ってしまったら、国はもう手も足も出なくなってしまうじゃないですか。それは、沿線住民にとってこれ以上不幸なことはないわけなんですよ。

 毎日の住民の足なんです。そして、通勤通学に欠かすことができない交通手段であるわけなんです。それはもう理解できますよね。日田彦山線には代替のバスがあります。そして、この代替バスが鉄道の走行線、ルートから外れるところもあるので、二十五キロ離れた病院にタクシーを利用して通院しなければいけない高齢者の方もおられたわけなんです。これはもう報道されています。それから、通学のために親が子供の送迎を自家用車でしなければいけないという状況もあるわけなんです。代替バスに加えて代替タクシーを走らせている、バスをおりて、また代替のタクシーに乗らなければ目的地に行くことができない、そういう区間もあるわけなんですよね。住民は大変な思いをして、大変な状況を強いられているという状況なのであります。

 国の支援について伺います。

 鉄道軌道整備法による災害復旧補助について、JR九州は適用されませんよね、今のスキームでされませんね。それは、対象事業者が、みずからの資力のみでは復旧することが著しく困難な鉄道事業者、過去三年間、鉄道事業及び全事業が赤字であるとなっているからであります。

 そこでお伺いしたいのは、この全事業が赤字であるの条件がなければ、JR日田彦山線について災害復旧の補助は行えると考えますが、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御紹介がございましたけれども、被災した鉄道施設の復旧に対する国の助成措置としては、鉄道軌道整備法による補助制度がございます。この制度は、みずからの資力のみでは復旧することが著しく困難な鉄道事業者、具体的には、過去三年間、鉄道事業及び全事業が赤字であること等に該当する事業者を対象としているところでございます。

 JR九州については、鉄道事業及び全事業が黒字であるということでございますので、今の制度のもとではこの補助の対象にはなりません。仮に、赤字要件、先ほど申し上げました、鉄道事業及び全事業が赤字である、こういった要件がこの制度からなくなった、そういう仮定でございますけれども、そういった、なくなったということであれば、JR九州は補助対象になる可能性はあると考えております。

田村(貴)分科員 はい、わかりました。

 先ほどから大臣から答弁があっている、みずからの資力、それからみずからの努力、著しくその資力に欠けるといったところの議論なんですけれども、JR九州という会社はどういう経営状況にあるか、これはやはり見なければいけないというふうに思うわけです。

 一部上場企業となりはしましたけれども、鉄道事業というのは構造的な赤字を抱えています。これは脱却できていません、ですよね。そして、全体としての経営黒字は、不動産部門、ホテル事業とかそうしたところからもたらされているものであります、そうですね。もともとは国鉄分割・民営化後も経営安定基金からの運用収益で経営を維持してきた。そういう仕組みをつくって指導をしてきたのがまさに政府、国土交通省ではありませんか。

 三島特例で、やはり国の支援がなかったら経営ができなかった、これはこの間までの話なんですよ。そうした会社が上場した今、毎年のように大きな災害に遭っている、そして七十億円というかなり大きな復旧費用が今から求められている。これは、鉄道軌道整備法とそれから災害復旧事業、この枠組みをやはり適用して支援すべきだ、これはやはり一大事なんですから、私はそういうふうに思うわけなんです。

 黒字会社は対象にしていないとしているところがそもそもの間違いであります。連続して甚大な災害があっているわけですから、災害復旧事業費を、この補助金制度を改正して、直ちに復旧支援の措置をJR九州に対してとるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員が今御指摘の点につきまして、現在、一定の要件を満たす場合には、黒字の鉄道事業者でありましても、その赤字路線に対してはこういった災害復旧の補助を可能とする鉄道軌道整備法の改正法案、これが与党において議員立法の形で検討されているというふうに承知をしているところでございます。今そういった形で議員立法の形での検討がなされているという状況でございますので、その内容に関する事項について、政府としてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。

田村(貴)分科員 JR九州はいろいろな発言をしているわけなんですよ、社長からも。観光列車が走る非常に重要な路線として位置づけているのが久大本線、それから、日豊本線などは幹線であるから大事であると、そして復旧してきた。日田彦山線については、大臣、ローカル線なんですよ。これについては復旧するともしないとも言わないわけなんです。

 社長の会見報道、いろいろあっているわけですけれども、経営的に見ればずっと前になくなっていた路線であるとか、それから、バスなどの輸送手段にするかを選択肢として協議するなどと述べておられるわけなんです。スキームが決まっていない前の段階でこういう発言をされている。だったら、これは沿線住民、被災沿線住民に対して、もう鉄道はなくなってしまうか、そういう不安が今大きく広がっているわけなんです。こうした状況を放置していいのでしょうか。

 鉄道による復旧、そして全線運行再開は、沿線住民と、北九州市から日田市まである七つの沿線自治体の共通の要求であります。福岡県も復旧を願っています。住民の思いを、石井大臣、ぜひ重く受けとめていただきたいと思います。被災鉄道の復旧に国が全力を挙げていただくこと、このことを強く求めたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 日田彦山線につきましては、まずは地域における関係者間で、復旧方針等について十分御議論をしていただく必要があると考えております。国土交通省といたしましても、運輸局が議論に参画する等、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 ぜひ、傍観者的立場でなくて、国土交通省、大臣含めて、こうした被災路線があって、そして復旧の展望が示せずに沿線住民と自治体が本当に頭を抱えて困っておられる、毎日の朝から晩までの生活に困っておられるという事態を重く受けとめていただいて、被災支援に動き出していただきたいと思います。

 赤字、黒字を問わず、被災した鉄道事業者に国の支援措置をとる、こういう動きも与党からも出ている、これは非常に大事であるというふうに思います。これまでの制度の適用を柔軟に対応していただくことも含めて、国が責任を持って被災鉄道の復旧に当たっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、建設労働者の不足問題について質問します。

 熊本地震から四月で二年になるわけでありますけれども、熊本県は県内十二の被災自治体に千七百三十五戸の災害公営住宅を建設する予定であります。しかし、着工済みは二百三十七戸、あした、二十四日着工予定も含めて二百三十七戸、一三・七%という状況であります。五割弱が当初の建設予定からおくれる、そういう状況も報じられているところであります。

 このおくれている理由の一つに、建設職人の不足問題が挙げられています。熊本県の甲佐町、宇土市では、入札参加者がなく、不調となったこともあります。

 昨年七月の九州北部豪雨水害では、私が住んでいる福岡県朝倉市で一番大きな農地の被害があったわけなんですけれども、土砂を除去する災害復旧事業において、土砂を撤去する業者さんがいない。したがって、全くと言っていいほど、災害復旧事業、土砂の撤去作業が進んでいません。

 災害復旧にも大きな影響を生み出している建設業者、建設労働者の不足の問題の原因がどこにあるのかと国土交通省は捉えておられるでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 建設業の許可業者数は、平成二十九年三月末現在で約四十六万業者で、平成十一年のピーク時に比べると二三%減、また、建設業の従事者数で見ますと、総務省の労働力調査で見ますと、平成二十九年暦年平均で四百九十二万人、これは平成九年のピーク時に比べると三五%減少ということで、こういったピーク時に比べますと減少をしております。

 その要因というところでございますが、一つは、国内全体の生産年齢人口が減少しているということ、さらには、平成四年がピークでございますが、建設投資額が減少をしてきたことに起因するものと考えております。

 なお、建設業者数はここ数年横ばいであり、また、建設業従事者数は、むしろ二十八年と二十九年で比較しますと六万人増加しているということで、足元では必ずしも減少傾向になっているわけではないと思っております。

 いずれにしましても、中長期的な建設業の担い手の確保、育成というのは大事なテーマでございます。引き続き、適切な賃金水準の確保、社会保険の加入の促進など、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 近年の傾向はそういう傾向にあるかもわかりませんけれども、十年スパンぐらいで見たら、今おっしゃったように、大きく減っているわけであります。そして、若者を始めとする建設業界離れというのも、これは深刻な問題になっているわけであります。

 問題の背景にはいろいろあるわけですけれども、その一つが大型工事への偏重、ここにあるというふうに思います。

 政府は、笹子トンネルの事故の後、二〇一三年に策定したインフラ長寿命化基本計画で、メンテナンス産業を発展させることが重要、メンテナンス産業の市場創出、拡大を図るとしてきましたけれども、意図したとおりにはなっていません。

 お配りした資料2でありますけれども、「近年の公共投資の動向について」、内閣府のグラフであります。この間、二〇一〇年から二〇一六年度、十億円以上の大型公共事業が一五・八%から二五・四%に、一〇%も増加している。その一方で、五千万円未満の小さな工事は三〇・四%から二二・六%に大きく減っています。グラフには減っているところの部分は数字は書いていませんけれども、青の斜線部分が三〇・四%から二二・六%に減っているという状況です。

 インフラの維持管理、メンテナンスを図るというような小規模な工事が減っており、中小の事業者は経営が苦しい状況が続いている、私はそういうふうに見ましたけれども、そういう状況ではありませんか。いかがでしょうか。

田村政府参考人 内閣府が昨年九月に発表いたしました「近年の公共投資の動向について」によれば、公共工事の請負金額に占める十億円以上の工事の割合が二〇一〇年度の一五・八%から一六年度二五・四%に増加していることは、確かにそのとおりと承知しております。

 ただ、これを請負金額ベースで見た場合につきましては、公共工事の前払い保証統計というのがございますけれども、資本金三億円未満の中小建設企業の請負金額は、二〇一〇年度の六・二兆円から二〇一六年度七・六兆円と、この間、二二%増ということでございますが、大幅に増加をしており、必ずしも、金額ベースで見た場合、中小の建設企業の受注金額が減少しているわけではないと考えております。

 このような中小建設企業の請負金額の増加を背景にいたしまして、法人企業統計で見ますと、資本金一億円未満の中小建設企業の営業利益率は改善傾向にあるのではないかというふうに考えております。

田村(貴)分科員 しかし、内閣府の資料では、請負金額別の構成比では、今お認めになったように、こういう状況にあるわけなんですよね。

 そこで、石井大臣に伺いますけれども、この内閣府の資料には、大型工事の例として、圏央道、外環道、リニア中央新幹線、ずらずらと大型事業が挙がっているわけなんです。わざわざ紹介してくれているわけですよね。私の地元でも、下関北九州道路、第二関門橋なるものがまたぞろ動き出しているというような状況であります。

 こんな大規模工事の偏重を改めて、地域の業者が受注できる防災や安全の工事にこそもっと重点的に措置すべきであるというふうに思いますけれども、全体的にはそういう流れをつくっていくべきだと私は思うんです、九州の被災地をずっと見てきていながら。そういう転換が今こそ図られるべきではないか。東日本の被災地も、今、大変な状況です。大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害の対応、除雪といった地域を維持する役割を担うなど、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。

 国土交通省におきましては、競争性、透明性の確保に留意しつつ、分離分割発注の徹底に努めるとともに、個々の工事の内容に応じまして、地域要件の設定や経営事項審査、総合評価落札方式における災害時の活動実績等の加点評価等の措置によりまして、中小企業を始めとした地域企業を対象とする工事の発注に努めているところであります。

 また、大規模工事の発注におきましても、工事の規模、性格等に照らしまして、中小企業も参画をいたします特定建設工事共同企業体の結成を認めるなど、混合入札を実施をしております。

 引き続き、中小企業を始めとする地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていけるよう、地域企業の受注機会の確保に努めてまいりたいと存じます。

田村(貴)分科員 もう一つ、建設労働者の不足の問題として、東京圏一極集中、東京一極集中。

 これは資料の3で出しています。日刊建設工業新聞で「地方の工事減少深刻」という記事があって、私も都道府県別に調べたのが配付したとおりの内容であります。東京だけが、全体的に建設工事の出来高推移が減っている中で、東京は突出してふえている。ほとんどの県が減っている、そして、減少率が二桁に及んでいる県も多数ある。東日本大震災、この被災地がふえているのは当然のこととして、こういう面でも一極集中があらわれているのではないか。

 石井大臣、安倍政権の地方創生の一丁目一番地、このかなめとなるのは東京圏一極集中の是正であるはずでありますけれども、こうした状況をやはり見直していかなければいけない、偏在是正していかなければいけない、ここにやはり建設労働者確保の一つの光明が見えてくると思うんですけれども、一極集中、改めるべきではありませんか。

石井国務大臣 社会資本整備につきましては、大規模自然災害から国民の生命と財産を守るための国土強靱化や、地方の隅々にまでアベノミクスの効果を波及させることによる地方創生の推進等の諸課題に対応して、計画的に進めていくことが重要であります。

 そのため、こうした地域の抱える諸課題に対しまして適切な支援が行えるよう、必要な予算の確保に努めております。

 その際、地域の守り手としての役割を担う地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていけるよう、地域企業の受注機会の確保に努めているところでございます。

 また、地域の建設企業が引き続きその役割を果たし続けていけるためには、建設業の中長期的な担い手の確保、育成が重要であります。引き続き、適切な賃金水準の確保や社会保険加入の促進などの処遇改善、週休二日の確保を始めとした長時間労働の抑制などの働き方改革を推進をいたしまして、建設業の担い手確保にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

田村(貴)分科員 その働き方、賃金の問題について引き続き質問しますけれども、賃金改善、処遇改善、これは一番大事なところだというふうに思うわけです。

 賃金改善の大きな手だてとなっているのが、全国各地の自治体における公契約条例であります。福岡県直方市での工事に参入した建設職人からは、適正賃金で仕事ができた、これは公契約条例があるからでありますけれども、こういう成果も上げているわけであります。

 大臣は、一昨年三月二十三日の国交委員会で、既に条例を制定している地方自治体の状況等を注視する必要があるというふうに述べておられます。注視されておられるでしょうか。地方自治体が、地域における建設労働者の処遇改善のために、条例を制定して、賃金の下限を設定するなどの公契約条例、こうした条例を制定している、こうした取組については大変意義のある取組だと私は思うわけでありますけれども、大臣の受けとめはいかがでしょうか。

石井国務大臣 国や地方公共団体が発注をする契約におきまして、適正な賃金を確保することは重要な課題であると考えております。

 建設業につきましては、技能労働者の処遇改善や若手入職者の増加を図るためにも、技能労働者の適切な賃金水準を確保する必要がございます。

 一方で、賃金等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に反しない限りにおいて、労使が自主的に決定することとされております。

 いわゆる公契約条例により賃金等の基準を新たに設けることにつきましては、今後も幅広い観点から各地方公共団体において議論がなされるべきものではないかと考えているところでございます。

田村(貴)分科員 もうちょっと踏み込んだ答弁を期待しておったんですけれども、残念であります。

 今最も急がなければならないのは、大きな災害によって被災を受けている、そうした国民、住民の生活となりわいを一日も早く取り戻す、こうした災害関連の事業等であります。災害復旧対策がおくれる、その原因が、大型事業偏重、東京一極集中であること、そして、きょうは質問できませんでしたけれども、賃金が規定の水準に達していない、そうした問題等々が改善されないとだめであります。

 抜本是正を強く求めて、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。

竹内主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村弥生君。

木村(弥)分科員 自由民主党の木村弥生でございます。本日は質問の機会をありがとうございます。

 私はまず災害対応についてお尋ねをいたします。私の地元であります京都の桂川の治水対策の推進についてお尋ねいたします。

 淀川水系の桂川につきましては、ほかの河川と比較して抜本的な河川改修がおくれており、これまでにもたびたび浸水の被害を受けてきております。

 近年も、平成二十五年九月の台風十八号により、全国で初めてとなる大雨特別警報が発令され、桂川が増水し、羽束師水位観測所地点で観測史上最高水位を記録いたしました。嵐山地区においては、溢水により浸水家屋九十三戸、浸水面積約十ヘクタール、また、私の地元であります久我地区におきましては、堤防からの越水により浸水面積が約二十ヘクタールと、大きな被害を受けております。

 これらを受けまして、現在、事業費が約百七十億円で、嵐山から淀川の合流点までを整備区間とする緊急的な治水対策が実施されているところでございます。この事業は、河川整備計画の治水対策の一部、つまり、堤防からの越水等を防止するのに必要な河道の掘削、築堤、堆積土砂の撤去を大幅に前倒しして、おおむね五年間で対策を実施しようとするものであります。

 これらを踏まえまして、以下のとおり質問したいと思います。

 まず、この対策の進捗状況について確認をいたします。この対策についてはおおむね五年で完了とされておりますが、過去に何度も浸水被害を受けている地元住民の皆様の不安を考えますと、一日も早い完了が必要であると思います。この進捗状況につきまして政府の御見解をお聞かせください。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、桂川では、平成二十五年台風十八号によりまして、右岸の久我地区や左岸の嵐山地区におきまして、浸水家屋七百戸に及ぶ被害が発生をいたしました。

 これに対応するため、国土交通省では、平成二十五年十一月に桂川の緊急的な治水対策に着手して、平成三十一年度の完了を目指しまして、河道掘削ですとか、あるいは井堰の撤去等を進めているところでございます。

 これまでに、越水の生じた久我地区周辺を中心といたしまして、洪水時の水位を下げるための掘削を行っておりまして、約七十万立方メートルが完了しているところでございます。

 また、嵐山地区でも溢水が生じておりまして、渡月橋下流にある6号井堰の撤去を完成させるとともに、渡月橋周辺の掘削を実施しているところでございます。

 嵐山地区では、左岸に堤防を計画しているところでございますけれども、景観への配慮が特に必要であることから、引き続き、地元の方々の御意見を丁寧に聞きながら、しっかりと事業を進めてまいりたいと考えているところでございます。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 この緊急対策の事業を確実に実施することは当然ということで伺いましたけれども、桂川の現状を鑑みますと、この緊急対策の完了が、そのままイコール桂川の河川整備の終了というわけではいけないと考えております。

 そこで、先ほどの御説明にもありましたけれども、平成三十二年度以降の治水対策の着実な推進の必要性について、改めて御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 桂川は、大下津地区、久我地区、嵐山地区等の下流側の国の管理区間と、亀岡地区等の上流側の京都府の管理区間との治水安全度のバランスを図りながら、段階的に改修を図っていく必要がございます。緊急治水対策の完了予定である平成三十一年度の後も、引き続き河川改修事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

 特に嵐山地区は、治水上のネック箇所でありまして、また、観光の拠点であることから、景観への配慮が必要でございます。地元とも丁寧に調整を図りながら事業を進めてまいります。

 今後とも、亀岡地区等の府管理区間を含めた桂川の治水安全度の向上のため、切れ目なく着実に河川改修事業を進めてまいりたいと存じます。

木村(弥)分科員 大臣、ありがとうございます。力強いお言葉を頂戴いたしました。

 この河川管理におきましては、特に京都という土地柄、景観への配慮、そしてまた生態系への配慮など等、環境整備等も含めての推進が必要であると考えております。どうぞこれからもお願いいたしたいと思います。

 今の桂川の治水対策の後に、では、まず右岸の方の流域についてもお尋ねしたいと思っております。具体的に申しますと、下水道の事業、いろは呑龍トンネルについてでございます。

 桂川の右岸地域におきましては、京都市、向日市、長岡京市にまたがりまして、かつて七八四年に長岡京が置かれました。しかしながら、この長岡京はわずか十年で平安京へと遷都されてしまいました。これは、たび重なる浸水被害がありました、そんなためであるということを聞いております。この地域においては、更に平成以降もたびたび浸水被害が発生しているところであります。

 そこで京都府では、当該地域を守るために、平成七年度から地下トンネルのいろは呑龍トンネルの整備を進めております。実は、私も昨年視察に参りまして、担当者の方から説明を受けた次第でございます。

 こちらは、全長約九・二キロメートルのうち、平成二十三年までに既に北幹線約四・九メートルの供用が開始されております。現在は、南幹線約四・三キロメートルの平成三十二年度の供用開始と、平成三十五年度の雨水調整池、呑龍ポンプ場の完成による事業の完了を目指しまして、鋭意整備が進められるところであります。

 これまでの整備の効果といたしまして、同地域においては、北幹線の供用開始以来、平成二十五年の台風十八号でも効果を発揮するなど、雨水対策の安全度が向上いたしまして、平成二十年度のJR桂川駅の開業、そしてまた、平成二十六年度のショッピングモール、大型商業施設等を始めまして、事業所などが新規に立地し、住宅の開発も進んでいるところでございます。

 さらに、南幹線が完成することによりまして、雨水を取り込む区域を長岡京市エリアへと拡大するとともに、呑龍ポンプ場から桂川に常時放流することで北幹線の本来の機能が発揮され、現在の二倍の雨水に対応が可能となるなど、整備の効果は極めて大きいと考えております。

 そこで、国に対しては、このいろは呑龍トンネルの平成三十二年度の供用開始に向けまして、必要な予算確保をお願いしたく思いますが、御見解をお聞かせください。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 近年たびたび浸水被害に見舞われておりました京都市や向日市、長岡京市にまたがります地域の浸水被害の防止に向けて、委員御指摘のとおり、京都府では流域下水道事業として大規模雨水幹線いろは呑龍トンネルを計画をし、平成二十三年度までに北幹線約五キロを完成をしたところでございます。

 北幹線の完成によりまして、例えば時間最大雨量四十ミリ前後の降雨による浸水被害は、供用開始前の例えば平成三年七月、これの降雨に対しましては浸水被害が約五百七十戸でございましたが、供用開始後に、平成二十六年八月の場合、これは一戸になるなど、この地域の浸水リスクが大きく軽減をしているところでございます。

 現在は、御質問にございました南幹線約四キロメートルの雨水幹線全て効果が発揮できるまで、平成三十五年度までの完成を目指しまして、管渠及びポンプ場の工事を進めていると聞いているところでございます。

 この工事を着実に推進していくことは、この地域の浸水被害の軽減に向けて極めて重要であると認識をしております。引き続き、事業の推進に向けて支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 このいろは呑龍トンネル、本当に御指摘のとおり、これまでの視察に行ったときに昔の写真を拝見いたしました。もう駅前の土地が水浸しになっている。そういった災害から、このいろは呑龍トンネルによりまして非常に災害の被害が少なくなっている。この事実を本当にこれからも更に発展していくために、さらなる御支援をお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 もう一つ、河川に関しての質問でございます。

 この国が管理する京都市内の桂川の河川敷におきまして、河川の管理用の通路が、京都市が管理する自転車道、サイクリングロードとしても活用されており、市民の皆さんも本当に利用しているところであります。

 この道路の舗装が傷んでたびたびでこぼこが生じて、また、亀裂が発生するという事象が見られるとの声を、地元の皆様からお声を伺いました。先日、有志の皆さんと現場を検証に参りましたところ、確かに、道路の舗装されたところが亀裂があったり、また、でこぼこがあったりするわけでございます。京都市は、道路の管理者としてこの当該道路の舗装について補修を行っていることは承知しております。

 ただ、これがまた時間が経過すれば新たな亀裂が生じる。そしてまた京都市がその舗装をする。こういったことが繰り返されているわけでありまして、私が思いますのが、このでこぼこが頻繁に生じる原因といたしまして、自転車の通行に加えまして、河川改修が進んでいないといった、その河川管理にも問題があるのではないかなと考えております。

 ここで質問でございます。河川管理者としてこの事態をどのように考えておられるのでしょうか。御見解を伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 八幡市から京都市右京区までの淀川水系桂川左岸の堤防上につきましては、京都府さんそれから京都市さんが京都八幡木津自転車道として占用していることから、その自転車道の機能維持はその占用者が行っているところでございます。

 堤防及び管理用通路につきましては、河川管理者であります国土交通省におきまして、舗装の損傷状況も含めて巡視、点検等を行っておりまして、必要に応じて補修を行うなど、適切な維持管理にこれからも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 こちらは、ふだんは自転車道また散歩道として使用されているところでありますが、やはり、自然災害等あったときは緊急車両等が通るといったそういった事案もあると思いますので、何とぞこのところを、河川管理者として、また京都市と連携しながら進めていっていただければと思います。ありがとうございます。

 それでは次の質問に移ります。JR向日町駅の周辺の整備及び森本東部地区のまちづくりについてでございます。

 私の地元でございます向日市は、人口減少時代の到来に際しまして、将来にわたって持続的な発展と活性化を図るために、平成二十八年に市の最上位計画でありますふるさと向日市創生計画を策定し、都市基盤整備に取り組んでおります。

 中でも、向日市の玄関口でありますJR向日町駅は、明治九年の開設当初から東口がなく、利便性が著しく劣ることから、駅の東西の土地利用に大きな差が生じており、駅の東側の市街地については未利用地も多く、駅前のポテンシャルが生かされていないことが駅周辺のまちづくりにおいて大きな課題となっております。

 そのため、官民が連携いたしまして、JR向日町駅の東口の開設を始め、駅ビル建設と駅の周辺整備に向けて取り組むこととしており、商業機能や駅に連絡する公共用の通路などの都市機能を備えた施設の誘導により、地域全体の活性化を目指しております。

 また、駅の東側に隣接いたします森本東部地区は、都市的土地利用のポテンシャルが高い地域にもかかわらず、長年農地として利用されてまいりましたが、農業従事者の高齢化、後継者の不在や営農規模の零細化などの、営農に関する深刻な課題が生じております。

 この課題解決のために、平成二十四年に、地元の土地所有者等で構成される森本東部地区まちづくり協議会が向日市の認定を受けて発足いたしまして、農地の土地利用転換により企業誘致を目指す新たなまちづくりに取り組まれております。企業の進出の実現は、雇用創出や税収の増加などは言うに及ばず、地域振興を図る上で極めて重要であります。

 さらに、平成二十八年には、JR向日町駅東口周辺整備の推進のための議員の会が立ち上がりました。そして勉強会をスタートいたしまして、こちらは、向日市、京都市、京都府の行政の担当者、さらに、自民党の衆参国会議員、府会議員、市会議員などが一堂に会しまして、情報の共有などを行っているところでございます。

 ことしの一月十八日には第四回目の勉強会を開催し、一月三十日には、JR向日町駅周辺整備及び森本東部地区のまちづくりの早期実現に向けた要望書を国土交通省に提出いたしました。簗大臣政務官にお世話になりました。ありがとうございました。

 そこで質問でございます。JR向日町駅周辺整備及び森本東部地区のまちづくりの早期実現に向けた取組を国土交通省はどのように受けとめ、どのように評価されていますでしょうか。改めてお聞かせください。

簗大臣政務官 木村議員が御地元で大変に御尽力されている当該事業についてでございますが、JR向日町駅東側の森本東部地区においては、民間企業による新たな製造拠点の整備が計画されており、雇用機会の創出など、大きな地域活性化の効果が期待されております。

 また、製造拠点の玄関口となるJR向日町駅においては、民間投資による駅ビル建設が計画されているとともに、市においても道路や駅前広場の整備を行うなど、玄関口としてふさわしいまちづくりに取り組む予定と伺っております。

 市においては、こうした取組を進めるため、来年度より社会資本整備総合交付金の活用を検討されているところです。

 この官民連携のまちづくりは、地域に大きなインパクトをもたらす重要な事業であることから、国土交通省といたしましても、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。今、大臣政務官より積極的にというお言葉を頂戴いたしまして、非常にうれしく思いました。ぜひ、与党一丸となってお願いしたいところでございます。

 もう一つ質問させてください。

 このJR向日町駅周辺整備におきましては、駅ビルの建設事業を官民連携で推進するため、官民双方にメリットのある事業スキームを構築することが必要であります。

 そのため、事業の実現には、容積率の緩和などの都市計画制度を最大限活用することで、土地の所有者と鉄道の事業者、これはJR西日本なんですけれども、に本事業への意欲的な参画を促し、また、駅ビルの建設に当たっては、駅周辺として必要な商業機能や、駅に連絡する公共用の通路などの都市機能を備えた施設の整備が図られるように誘導を図っていく必要があると考えております。

 また、森本東部地区内の幹線道路となります都市計画道路牛ケ瀬勝竜寺線及び、JR向日町駅へのアクセス道路となります市道三〇三一号線、寺戸森本幹線二号の市道なんですけれども、この整備もぜひ推進していく必要があります。

 何よりも、この森本東部地区に速やかに確実な企業誘致を実現するために、このまちづくりと一体的に事業の進捗を図っていきたい、そのように考えております。

 企業が進出することで、新たな雇用の創出や税収の増加など、地域の振興にとって最大の効果が発揮されることと思います。そのためにも、平成三十年度から平成三十四年度までの五年間でJR向日町駅周辺整備と森本東部地区のまちづくりの一体的な事業進捗を図ることが極めて重要で、向日市においては、国土交通省による最大限の支援を期待しているところでございます。

 質問でございます。

 JR向日町駅周辺整備及び森本東部地区のまちづくりの一体的な事業の進捗に向けては、平成三十年度から平成三十四年度までの五年間で、関連する事業費の集中的な配分による積極的な支援が不可欠でございます。国土交通省には、今後五年間における関連する事業費の確実な配分を始めとする積極的な支援をお願いいたしますとともに、JR向日町駅周辺整備及び森本東部地区のまちづくりの一体的な早期実現に向けて、今後どのように支援していただけるのか。もう一度改めて、前向きな考えをお聞かせいただけたらと思います。

栗田政府参考人 JRの向日町駅周辺整備事業、それから森本東部地区の大変大きな民間投資、こういったことをセットで官民連携して地域づくりが進むということにつきましての大きな意義、あるいは地元の大きな期待の認識、これは先ほど簗政務官から御答弁があったとおりでございます。

 そこにおきましての我々官側の、政府側のいろいろな支援、一つはインフラということでございます。来年度以降、社会資本整備総合交付金を御活用になりたいという御意向は十分承知しております。その内容をよく伺いまして、中期的な視点も持ちながら、各年度の配分をきちんと検討してまいりたいと思います。

 それから、幾つか民間側の建築計画なりについてのお話もございました。また、そういったところに都市計画的な手法の工夫が必要ということでありましたら、今の都市計画の枠組みは、ほとんどのことにつきまして地元の地方公共団体で御決定いただくというような仕組みになっておりますけれども、我々、必要な、技術的な御支援ということが必要でありましたら、いつでも積極的に対応してまいりたいというように考えております。

木村(弥)分科員 いつでも対応してまいりたいとのお言葉を頂戴いたしました。ありがとうございます。

 このJR向日町駅は、京都駅から三つ目、本当にアクセスのいい、大阪と京都の間にある、非常にポテンシャルの高いエリアでございます。この乙訓地域のさらなる発展のために、今度の甲子園でも乙訓高校が出場いたします、そういった意味におきましても、地域の皆さんのためにしっかりと働いていきたいと考えております。ありがとうございました。

 ちょっと時間が余りましたので、先ほどの嵐山の景観に関することを少しお尋ねというか、お話ししたいと思います。

 大臣のお話にもございました嵐山が、非常に歴史的な町並みが残ります、京都を代表する観光地でありまして、この付近を流れる桂川が町並みにやはり調和したものでなければならない、そういった意見も非常に根強うございます。

 淀川水系の河川整備計画においても、「歴史的文化的な地域を流れる河川においては、地域の歴史文化に調和し、観光等の地域活性化に資するよう自治体等と連携して河川整備を行う。」とされています。

 その一方で、治水対策もやはり重要でございます。景観を保全しつつ洪水対策を進めることは非常に難しいことであると認識しておりますが、この京都のミッションであります、景観を守る、そしてまた住民の生活も守る、この二つのバランスをとりながら、自治体等と連携して河川の整備を行っていく政府のお考えをお聞かせください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、全体もそうですが、嵐山地区におきましても、現在も、平成二十五年の十一月から緊急的な治水対策を行って、三十一年度の完了を目指しているところでございます。

 渡月橋の下流にあります6号井堰の撤去も完了させましたし、渡月橋の周辺の掘削も行っておりまして、約三千立方メートルが完了したところでございます。

 先ほど申し上げましたように、この嵐山地区は、左岸に堤防を計画しているところなんですけれども、現在、左岸の溢水対策について景観への配慮が特に必要であることから、地元の方々の御意見を丁寧に聞きながら事業を進めているというところでございます。

 具体的に申しますと、今週の二月十九日におきましても、桂川嵐山地区の河川整備地元連絡会あるいは桂川嵐山地区河川整備地元検討会、どちらも地元の方々による意見交換の場でございますけれども、これを合同で開催をいたしまして、治水計画を進めるに当たっての景観への配慮についていろいろ御意見をいただいたところでございます。

 こういったものを踏まえまして私どもも、引き続きこの嵐山地区の河川整備につきまして、先ほど御指摘がございました歴史的な景観等の配慮をいたしまして整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 この京都のミッションをしっかりとかなえつつ、また、地域の皆様の安心、安全をお守りくださいますよう、そして、改めまして、一番最初にお願いいたしました桂川の緊急治水対策、久我地区、横大路地区、そして大下津、そういった地域のこともしっかりとやっていただきますよう切にお願いいたしまして、私、木村弥生の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内主査 これにて木村弥生君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口善徳でございます。

 本日は、この分科会で質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず、国道一号静清バイパスの清水立体の整備促進についてお伺いします。

 昨年の一月二十九日、石井大臣に御視察をいただきました、この国道一号静清バイパスの清水立体についてお伺いします。

 静清バイパスは、県都静岡市の東西交通の大動脈であり、国道一号の渋滞緩和や、国際拠点港湾清水港へのアクセス向上を目的とした道路であります。東名、新東名、中部横断自動車道とも高速道路ネットワークを結び、経済の好循環、災害時の救援活動など、さまざまなストック効果を生み出す社会基盤でございます。

 清水立体は、清水区横砂東町から八坂西町の二・四キロメートルを高架構造に変更する事業で、静清バイパスで唯一立体化が完了していない区間です。信号交差点が六カ所連続し、一日七万台前後の車両が通過することから激しい渋滞が発生し、この区間の死傷事故件数は立体区間よりも多く発生しております。

 清水立体の完成時期の見通しを一日も早く出せるよう、しっかりと予算を確保し、力強く事業を推進していただきたい、こう思っております。国土交通大臣の御所見を賜りたいと思います。

石井国務大臣 国道一号静清バイパスの清水立体区間につきましては、静清バイパスの中で唯一立体化が完了していない区間であり、前後の区間と比べ速度低下が著しく、国際拠点港湾である清水港へのアクセスにも支障となっているなど、早期の立体化が必要であると認識をしております。

 私も昨年一月に現場を視察をさせていただきました。

 清水立体区間につきましては、平成二十年の都市計画決定以降、用地買収や埋蔵文化財調査、現道の切り回し工事等を進めておりまして、本年一月には起工式を開催をし、本体工事に着手をしたところであります。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、早期完成を目指して整備を進めてまいりたいと存じます。

大口分科員 私も一月二十八日の起工式に副大臣と一緒に参加させていただきました。また、補正予算十八億円もつけていただいているわけでございまして、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、政府は、訪日クルーズ旅客数を二〇二〇年に五百万人までふやすことを目標に掲げ、官民連携によるクルーズ拠点を整備するため、改正港湾法に基づき、昨年七月二十六日、国際旅客船拠点形成港湾に清水港など六港を指定していただきました。

 昨年、これも一月二十九日、石井大臣に御視察をいただいたわけでありますが、この清水港は、アジア最大のクルーズ会社ゲンティン香港と連携して港湾の整備を進めるとともに、ゲンティン香港の母港化、北東アジアクルーズの拠点化で、他社を含めた寄港回数を二〇二〇年に九十回、三〇年に百七十五回、また、二百回、三百回と大幅にふやしていきたい、こう考えているところであります。これを達成するためには、大型クルーズ船の二隻同時接岸が可能な岸壁の整備が必要であります。

 現在、日の出埠頭の岸壁八百二十メートルのうち、北側四百八十メートルについては水深十二メートルで、貨客併用岸壁として利用していますが、南側三百四十メートルについて老朽化しており、水深が浅く、利用に制約がある状況です。また、日の出埠頭は、現在、カーフェリーや大型貨物船も接岸するため、クルーズ船とバッティングしないよう、さまざまな調整をしなければなりません。

 大型クルーズ船二隻同時接岸のために、日の出埠頭を改良する工事に一日も早く着手していただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 清水港は、世界的なクルーズ人口の増加や平成二十五年の富士山の世界文化遺産の登録などを背景に、クルーズ船の寄港回数が大幅に増加をしております。

 こうした状況を踏まえまして、国土交通省では、昨年七月に清水港を含む六港を国際旅客船拠点形成港湾に指定をいたしました。これを受けまして、昨年十二月には、静岡県が国際旅客船拠点形成計画を公表したところでありまして、現在、静岡県とクルーズ船社との間で、岸壁の優先的な利用等に関する協定締結に向けた調整が進められているところであります。

 御指摘の日の出埠頭につきましては、一バース目は昨年三月に係船柱の整備が完了いたしまして、世界最大級のクルーズ船の寄港が可能となっております。また、大型クルーズ船が二隻同時接岸可能となるよう、二バース目について、現在岸壁の改良に向けた設計を進めておりまして、設計が終わり次第、現地着工したいと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、静岡県やクルーズ船社と連携をしながら、清水港におけるクルーズ船の受入れ環境整備を進めてまいりたいと存じます。

大口分科員 大臣には、清水港の新興津地区で人工海浜、緑地、小型船だまりの整備等についても見ていただきました。また、新興津国際海上コンテナターミナルでは、ガントリークレーンの大型化など、港湾機能の強化を図っております。引き続き、御支援賜りたいと思います。

 次に、中部横断自動車道の富沢―六郷インターチェンジ間の開通時期についてお伺いします。

 中部横断自動車道は、静岡、山梨、長野三県を最短ルートで結ぶ延長約百三十二キロメートルの高速自動車国道であります。東名、新東名、中央、上信越自動車道と高速道路ネットワークを結び、沿線地域の産業、経済、文化、観光等の発展に寄与する道路であります。太平洋側の清水港と内陸部、さらに日本海側を結び、広域的な物流体系を形成し、東海、東南海地方の地震等の被災時の代替道路や広域的な災害時の救急救援ルートとしても機能します。

 国土交通省は、富沢―六郷インターチェンジの間の開通を、トンネルの地盤崩落、あるいは重金属が出た等から、当初の予定の二〇一七年度を二年おくらせ、二〇一九年度にずれ込む見通しを発表されました。私も、二〇一六年の十二月十七日に、地盤崩落などが起きた難工事現場を視察し、工事の難しさは理解しておりますが、一日も早い開通を期待している声が高まっております。

 この区間の供用開始を二〇一九年度の目標で進めていただきたい、こう思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 中部横断自動車道は、静岡県静岡市と長野県小諸市を結び、農産物などの物流の効率化や医療施設へのアクセス向上、大規模災害時における広域的な救援ルートとしての役割が期待をされる、約百三十二キロの高規格幹線道路でありまして、国と中日本高速道路株式会社が整備を進めております。

 未開通の新清水ジャンクションから六郷インターチェンジ間の延長約四十九キロのうち、新清水ジャンクションから富沢インターチェンジ間約二十一キロ及び下部温泉早川インターチェンジから六郷インターチェンジ間約八キロは、平成三十年度の開通を目指しております。

 残る区間につきましては、想定以上のもろい地盤でのトンネル掘削、掘削土に含まれる自然由来の重金属等の処理などの問題があることから、富沢インターチェンジから南部インターチェンジ間約七キロは平成三十年度、南部インターチェンジから下部温泉早川インターチェンジ間約十三キロは平成三十一年度の開通を目指しているものの、具体的な開通時期につきましては、トンネル工事の進捗を踏まえて確定させることにしております。

 いずれにいたしましても、関係自治体の協力もいただきながら、一日も早い開通を目指して、引き続き努力をしてまいりたいと存じます。

大口分科員 大臣、よろしくお願いいたします。

 次に、国道一号の由比、蒲原地区の越波対策と新ルートの整備についてお伺いします。

 昨年十月二十三日未明、超大型で強い勢力を持ったまま静岡県に上陸した台風二十一号の越波の影響で、国道一号は、上り線が清見寺―寺尾インターチェンジ間で、下り線が蒲原東―清見寺インターチェンジの間で、二十三日未明から通行どめになりました。さらに、東名高速道路も、富士インターチェンジから清水ジャンクションの上下線が通行どめになりました。

 十月二十七日に現地を私も視察をして驚いたんですが、越波は波と一緒に直径一メートルを超える大きな石も運んで、建物や交通施設を破壊していることを私も目撃をさせていただきました。

 国道一号とそれに並走する東名高速道路と合わせると、一日十万台を超える車両が通行しており、この大動脈が通行どめになった場合、興津、由比、蒲原地区は交通が麻痺し、大渋滞は三・一一のときは静岡市の中心市街地まで及んでおり、市民生活は大混乱したわけであります。

 日本の大動脈である国道一号は、我が国の経済を支え、国民の命と暮らしを守る重要なネットワーク道路としての役割を担っています。平常時、災害時を問わず、安全かつ円滑な国道一号の交通をどう守ることができるか、越波対策や新しいルートの整備について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、竹本主査代理着席〕

石井国務大臣 国道一号の静岡県由比、蒲原地区間につきましては、海岸とサッタ山に挟まれた狭隘な地域を通過をしておりまして、台風などの際には、越波や高潮による飛散物の影響などにより、通行どめが発生するという課題がございます。

 このため、飛散物を防止、抑制し、道路交通への影響を軽減するための柵を一部に設置するなど、対策を進めているところであります。

 このような対策の効果に加えまして、国道一号に並行する東名高速や新東名高速など、周辺道路の利用状況や災害時におけるネットワークとしての役割分担も踏まえながら、新ルートの必要性を含めまして、道路ネットワーク全体のあり方を検討してまいります。

大口分科員 新ルート整備につきましては地元からの熱い思いがございまして、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、伊豆縦貫自動車道の天城越えルートの整備についてお伺いします。

 伊豆縦貫自動車道は、沼津市から下田市までをつなぐ延長約六十キロメートルの高規格幹線道路で、東名、新東名、圏央道ともネットワークで結ばれております。伊豆半島の背骨の位置に当たる道路で、地域の経済、雇用、観光産業を支え、災害時には緊急物資の輸送などさまざまな役割を担う道路であります。

 また、下田市から第三次救急医療機関まで現在約一時間二十分かかっておりますが、伊豆縦貫自動車道が整備されれば、約四十分に短縮され、命の道ともなります。

 天城湯ケ島―河津インターチェンジ間のルートについては、国交省は、温泉地下水の涵養源を迂回する西側ルートで整備することを発表していただきました。本年一月に計画段階評価を終了いたしました。

 これまでの御努力に感謝申し上げますとともに、この区間の一日も早い事業化へ向けて、今後の取組についてお伺いしたいと思います。

 そして、次に、この伊豆縦貫自動車道の一部を構成する河津下田道路二期工事について伺います。

 この二期工事は、河津町の梨本から下田市箕作の南北軸を担う延長六・八キロメートルの道路で、二〇一二年度に事業化されました。特に、河津―逆川インターチェンジ間は狭隘な道路が続き、七月二十日から八月二十日まで夏季大型車通行どめ区間もあり、観光地伊豆は早期開通に大きな期待を寄せております。この区間の一日も早い完成への特段のお力を賜りたいと思います。

 この二点につきまして、国交省の取組をお伺いしたいと思います。

    〔竹本主査代理退席、主査着席〕

石川政府参考人 お答えいたします。

 伊豆縦貫自動車道は、静岡県沼津市から下田市に至る延長約六十キロメートルの高規格幹線道路でございます。

 当該路線は、観光を通じた伊豆半島全体の地域振興、災害時の救助活動や緊急物資の輸送等の観点から、大変重要な路線と認識をしております。

 未事業化区間であります天城湯ケ島インターチェンジから河津インターチェンジ間約二十キロにつきましては、平成二十九年十二月十三日に中部地方小委員会を経まして、集落や観光地へのアクセスにすぐれる西側ルートとすることなど、概略のルートと構造を決定したところでございます。

 今後、環境アセスメントの手続に向けて、市街地の生活環境や温泉、ワサビ田などの自然環境に十分配慮しつつ、事業化に向けた検討を進めてまいります。

 それから、事業中の伊豆、河津下田道路二期の河津インターチェンジから逆川インターチェンジ間についてお答えをいたします。

 御指摘の区間は、並行する現道が隘路で線形不良により大型車がすれ違い困難になることから、観光シーズンである夏季において大型車が通行規制となります。こうした課題を解消するためにも、当該区間を優先的に整備することが重要であると考えます。

 現在、用地買収とともに、改良工事や当該区間で最大の構造物であります河津トンネルの坑口工事を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様方の御協力を得ながら、早期完成を目指して整備を進めてまいります。

大口分科員 次に、国道一号東駿河湾環状道路の暫定二車線区間の四車線化についてお伺いします。

 東駿河湾環状道路は、東名、新東名ともつながり、伊豆半島へのゲートウエーで、一日三万台以上が利用しております。現在、函南塚本―沼津岡宮インターチェンジ間が開通し、伊豆地域へ流入する観光や物流の利便性が格段に向上しました。

 しかし、暫定二車線区間の三島市大場付近では、これはサグ部というんですかね、沼津市方面に向かって上り坂で、休日を中心にひどい渋滞が発生しており、ソフト対策として速度回復を促す看板を設置していただくなど一部効果もあらわれていますが、より抜本的な対策が必要だと考えております。

 大場・函南―三島塚原インターチェンジの四車線化の整備について、国土交通省にお伺いします。

 次に、沼津岡宮インターチェンジから西区間の整備についてお伺いします。

 この西区間の整備は、国道一号の渋滞緩和や沿道環境の改善に大きな役割を果たすとともに、災害時の救急救援ルートとして極めて重要な道路であります。

 事業化された沼津岡宮インターチェンジから愛鷹インターチェンジ間の今後の取組と、愛鷹インターチェンジからさらに西区間の沼津市原一本松までの未事業区間の取組について、国交省にお伺いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 東駿河湾環状道路につきましては、これまで約十三キロメートルの区間が開通しておりますが、そのうち約半分が暫定二車線区間となっております。

 このうち、三島市大場付近は、委員御指摘のとおり、沼津市方面に向かって上り坂となっていることから、平日の朝及び休日の夕方を中心として、速度低下による渋滞が発生している状況でございます。

 このため、短期対策といたしまして、平成二十八年七月に、速度履歴のビッグデータを用いて速度が低下する位置等を特定し、その手前に注意の大型看板を設置いたしております。

 また、平成二十九年二月より、伊豆地域全体における混雑状況や主要路線における所要時間の提供を開始しております。

 さらに、平成二十九年十一月より、観光協会と連携をし、道の駅周辺の観光地や混雑時間帯の案内などの情報提供をしておるところでございますが、これらの速度向上や交通分散による渋滞対策に加えまして、これらの短期対策の効果を検証しつつ、新東名などの周辺道路ネットワークの充実による今後の交通への影響も勘案しながら、付加車線設置を含めた抜本的な渋滞対策についても検討を進めてまいります。

 引き続きまして、東駿河湾環状の沼津岡宮インターチェンジから愛鷹インターチェンジ間、さらに、愛鷹インターチェンジから西区間についてお答えをいたします。

 沼津岡宮インターチェンジ以西の区間につきましては、沼津市街の国道一号の渋滞緩和や災害に強い緊急輸送ネットワーク構築のため、第三次救急医療施設へのアクセスを向上するなど重要な路線であると認識をしております。

 このうち、沼津岡宮インターチェンジから愛鷹インターチェンジ間、これは二・六キロございますけれども、平成二十七年度に事業着手し、今年度は道路設計や地質調査を実施しているところでございます。

 引き続き、地域の皆様方の御協力を得ながら、早期の用地幅ぐい設置に向けて調査、設計を進めるとともに、愛鷹インターチェンジから沼津市原一本松間の事業化につきましては、隣接工事の事業の進捗状況等を踏まえながら検討してまいります。

大口分科員 大臣には、二月の十日、国道一号の浜松バイパス、浜名バイパス、潮見バイパス等を御視察いただきました。ありがとうございました。

 現在、国道一号潮見バイパスでは、潮見トンネル付近で多発する追突事故の安全対策を進めていただいております。一日も早い完成をよろしくお願い申し上げます。

 本日は、国道一号浜松バイパスの六車線化、高架化についてお伺いします。

 国道一号浜松バイパスは、磐田市小立野から浜松市西区篠原町を結ぶ延長約十八・三キロメートルの道路で、国道一号の渋滞緩和を目的に昭和三十七年に平面六車線で都市計画決定し、昭和四十四年暫定二車線で開通、その後、平成五年に暫定四車線で供用開始されました。

 この十八・三キロの間に二十三カ所の信号交差点があり、旅行速度は、国道百五十号線と交差する石原町交差点で、朝の下りが時速十八・五キロ、夕方の上りは十四・五キロ、長鶴交差点では朝夕ともに上りが十五キロと、時速二十キロを下回り、主要交差点で朝夕の時間帯を中心に渋滞が日常化し、都市の活力低下を招いており、交通事故の一因にもなっております。

 平成二十七年の北島交差点から篠原インターチェンジの間の交通量は、区間によって違いますが、約三万六千台から約四万五千台、死傷事故は二百六十二件発生し、うち死亡事故が二件ありました。

 私も現地を見てまいりましたが、国道一号浜松バイパスは幅員も中央分離帯も広いバイパスで、用地を買収しなくても六車線化が可能だと伺っております。

 国道一号浜松バイパスの六車線化、高架化の必要性や効果の検討、道路ネットワークの課題など、浜松市と連携して道路の調査を推進していただきたいと思います。国交大臣にお考えをお伺いします。

石井国務大臣 国道一号浜松バイパスにつきましては、先日、二月十日に現地を視察をいたしまして、地域の交通状況や課題を確認をしてきたところでございます。

 浜松バイパスの北島町から中田島の区間では、右折レーンの追加など交差点での渋滞対策等を進めてきておりますが、国道百五十号との交差部を始めといたしまして、朝夕の通勤時間帯を中心に渋滞が発生をしております。

 このため、国、静岡県、浜松市等の関係機関から成ります国道一号浜松バイパス連絡調整会議を新たに設置をいたしまして、国道一号浜松バイパスの整備方針について、平面六車線化や立体化を含め検討を進めてまいりたいと存じます。

大口分科員 大臣につぶさに現地を見ていただきました。どうかよろしくお願いします。石原町の交差点も大変な渋滞でございます。何とぞよろしくお願いをしたいと思います。また、地元では期成同盟が結成されまして、それこそ今、地域挙げてこの推進に当たっております。ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、国道百三十八号の須走道路と御殿場バイパス西区間の整備についてお伺いをいたします。

 国道百三十八号は、静岡、山梨両県をつなぐ広域基幹道路として、沿線地域の産業、経済、観光の発展に寄与する道路であります。しかし、朝夕の通勤時間帯を中心に激しい渋滞が発生し、沿線住民の生活にも大きな影響が出ております。

 現在整備を進めていただいております須走道路と御殿場バイパス西区間は、国道百三十八号の渋滞を緩和し、沿線環境の改善に大きな役割を果たすとともに、東名、新東名とネットワークを結び、静岡県東部地域の産業、経済、観光などの発展に寄与する道路であります。

 大変うれしいニュースといいますか、二〇二〇年の東京五輪で自転車のロードレースのゴール会場がここに、静岡県の小山町の富士スピードウェイが決定し、大変地元は喜びに沸いているところでございます。そうしますと、更に多くの車両の通行が予想されるということでございます。

 この道路の完成を二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うよう整備をしていただきたいというのが地元の声でございまして、このことにつきまして国交省にその取組をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 須走道路及び御殿場バイパス西区間につきましては、二〇二〇年度に開通する予定の新東名高速道路と一体となり、富士周辺の観光振興や御殿場、小山地域の企業立地を支える重要な路線であると認識をしております。

 これまでに、全延長八・一キロメートルのうち、約三割に当たります二・五キロメートルが開通しておりますが、残る区間につきましては、一部の土地の買収の見込みが立っていないため、法律に基づく収用裁決手続を着実に進めつつ、工事推進に努めているところでございます。

 引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの開催、新東名高速道路の開通を見据えつつ、地域の皆様の御協力を得ながら早期完成を目指して努力をしてまいります。

大口分科員 今、道路局長から大変力強い御答弁をいただきました。ぜひとも二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うように、整備をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは、大臣からも本当に力強い御答弁を賜りました。

 副大臣は地元のことを一番よく御存じでございまして、牧野副大臣と私は思いが一つでやっておるところでございまして、どうか何とぞ副大臣もよろしくお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷一馬君。

中谷(一)分科員 立憲民主党の中谷一馬でございます。

 本日は、貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私からは、広域交通網の充実についてという観点から、順次質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、国が掲げる、社会資本が機能することによって発現する生産性の向上や民間投資の喚起等のストック効果を重視した社会資本整備ということを念頭に置きながら、質問をさせていただきます。

 まず、社会資本整備総合交付金について、地方公共団体への過去五年間の配分率の推移をお伺いをいたします。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会資本整備総合交付金につきまして、地方公共団体からの要望額に対する配分額の割合、いわゆる要望措置率と呼んでおりますけれども、平成二十五年度当初予算につきましては七七・七%、以下、当初予算ベースでございますが、平成二十六年度六八・九%、二十七年度五九・三%、二十八年度五四・五%、二十九年度五七・二%となっております。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 こちら、年々配分率が低下傾向にあるということでございまして、地方自治体からすると、これが、本当は整備をしたい道路があったとしてもできなくなってしまうような現状がある、そういったことを地域の要望として伺っております。

 私としては、やはり、こういった事業を推進するためには、重点配分対象外の社会資本総合整備計画に対しても、要望額に対する配分率の拡大が必要だと考えますが、政府としての所見を伺います。

藤田政府参考人 ただいま申し上げましたように、地方公共団体からの要望額に対しまして、必ずしもその全ての要望にお応えできないという状況がございます。

 これは、一つの背景としまして、交付金の要望額が非常に全国的に増加しておる、こういった状況がございますので、私どもとしましては、一つは、まずはしっかりと予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。あわせまして、配分の重点化を図ることなどによりまして、事業の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

中谷(一)分科員 今御答弁はいただきましたが、そうはいっても、過去の政権が重点的に支援をしてきた道路整備が、完成を待たずに非重点となってしまい、事業が進められず、やむなく休止に追い込まれた、こういった路線もあるということを伺います。

 そうした中で、これまでの投資効果を発揮させるためにも、このような路線についてもしっかりと支援をしていく必要があるんじゃないかと考えますが、政府の所見を伺います。

石川政府参考人 繰り返しになりますけれども、要望額がふえている中で、予算が一定である以上、どうしても措置率は上がっていかないというのはあります。ただ、完成の近いものについては、できるだけ早期完成をしてその効果を発現させるよう、そういうことでは我々も取り組んでまいりたいと思っております。

中谷(一)分科員 私からは、そういった、一応要望も含めてさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 次に、そういった中で、私の地元にある綱島駅周辺については、この社会資本整備総合交付金に関連する事業を含めて、複数の事業が実施をされております。その中で、相鉄・東急直通線の新綱島駅の新駅の整備に合わせて、区画整理事業、組合施行の市街地の再開発事業がそれぞれ進行をしております。

 それぞれの事業についてお伺いをしていきますが、初めに、新綱島駅周辺地区における土地区画整理事業等については、社会資本整備総合交付金の申請に向けて横浜市から要望が出されていると思いますが、具体的な内容や金額はどういった状況であるのか、お伺いをいたします。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 新綱島駅周辺につきまして、土地区画整理事業が進められております。これは、横浜市を事業主体としてということで、平成二十八年度に着手、現在、綱島街道の拡幅、新綱島駅周辺の基盤整備等を行うというものでございます。

 要望額についてのお尋ねがございましたが、これにつきましては現在、確認、集計中でありますので、具体的な金額についてお答えできる段階にはございません。

中谷(一)分科員 横浜市からの要望額、答えられないということだったんですけれども、横浜市自身が積算をして、本当はもうそちらの方には大体通知をされているのかなということを思いますので、事業を実施していくためには、市が要望している予算は最低限度必要な内容であると考えているんですけれども、来年度の予算についての見通しをどのように考えているか、政府の所見を伺います。

栗田政府参考人 事業の進度につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 来年度の対応の見通しということでございますが、これにつきましては、現在、国会におきまして平成三十年度の当初予算案について御審議いただいているさなかでございます。要望額に対する予算対応の見通しにつきまして、これもお答えできる段階ではないということで御理解を頂戴したいと思います。

中谷(一)分科員 それでは、要望をさせていただきたいと思います。

 新線の整備と整合してまちづくりを進めていくためには、この工事がしっかりと進んでいくことが必要で、そのためには予算確保は必要だということを思っております。なので、この綱島周辺、駅周辺のやはり混雑の緩和や安全性の向上、こういったことが大きな課題でありまして、これを解決をしていくために必要な予算措置をしっかりと確保していただきたいということを要望させていただきます。

 そして次に、関連して、都市鉄道利便増進事業について伺いたいと思うんですが、交付金に関連して、これは綱島で一体的に行っている事業でありますが、神奈川東部方面線、相鉄・東急直通線の整備でございます。

 これは、横浜羽沢付近から日吉駅の約十キロ区間を整備をして、平成三十四年度下期の開業予定で進められている事業であります。ただ、当初は平成三十一年の四月に開業する予定でありましたが、当初の想定よりも地質が軟弱であったという理由で、速達性向上計画の変更を申請をして、三十四年度の下期に開業予定が長引いてしまったという経緯があります。

 こうした状況から、本事業は、変更後、予定どおり平成三十四年度下期に開業ができるのか、政府の所見を伺います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたけれども、神奈川東部方面線のうち相鉄・東急直通線でございますけれども、これについての開業時期、これは、用地取得の難航、あるいは軟弱な地質を踏まえた地盤改良の必要性、こういったことを踏まえまして、当初に予定しておりました平成三十一年四月から平成三十四年上期ということで、完成時期が延期をされているところでございます。

 現在、その変更された計画に基づきまして、羽沢地区と新横浜地区を結ぶトンネル工事、あるいは、新横浜駅及び新綱島駅の掘削工事等を行っており、平成三十四年度上期の開業に向けて、今のところ、予定どおり着実に工事が進められているところでございます。

 国土交通省としては、地元の自治体と連携をしまして、事業の進捗状況について定期的にチェックを行っているところでございます。予定どおりの開業を実現できるように、引き続き必要な指導助言、支援を行ってまいりたいと考えております。

竹内主査 中谷君に委員長から少しアドバイスをしたいと思うんですが、質問されるときは、できる限り、余りベルトに手を当てて質問されない方がよろしいかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

中谷(一)分科員 はい、気をつけます。

 ありがとうございます。

 着実に進めていただけるような旨の御答弁をいただいたかと思いますが、この事業を着実に推進をしていくためには、国費を始めとする事業費の所要額を確保するとともに、鉄道整備主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対して、関係者による工程管理及び事業費の執行管理を実施することが必要だと考えております。

 政府としても、概算事業費約四千二十二億円の三分の一である約一千三百四十四億円余りの費用を支出する見込みの大きな事業でありますので、進捗管理をしっかりと進めていただき、予定どおりの開業をしていただくことを要望申し上げます。

藤井政府参考人 今委員の御要望にありましたこと、しっかり応えてまいりたいと思います。

 一点、先ほど、私の答弁の中で、完成時期、平成三十四年度の上期と申し上げた点があります。申しわけございません、これは下期の誤りでございます。修正させていただきます。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。御対応の方、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、東京丸子横浜線、通称綱島街道の事業について伺っていきたいと思いますが、これも一つの関連で、この地域では、隣接する綱島地区の東京丸子横浜線、綱島街道の拡幅事業が予定をされております。綱島街道では綱島サスティナブル・スマートタウンの全面開業を控えておりまして、アメリカのアップル研究所、YTCなどが置かれる予定であります。

 また、新綱島駅周辺地区では、高層再開発ビルなどを中心に千二百人規模の町が生まれるとされています。

 そして、先ほど来議論をさせていただいてまいりました綱島方面へのアクセスでありますが、二車線で歩道も狭い状況にあることから、新駅の整備に合わせて、三十年度より、綱島交差点から北綱島交差点、この区間について、道路の拡幅効果が得られるように、道路幅を二十メートルとして、片側二車線、歩道も拡張をする、その整備を行っていく予定であります。

 これらの事業を計画的に進めていくためには、社会資本整備総合交付金をしっかりと交付をしていただくこと、これが重要であると考えますが、政府としての見解を伺います。

栗田政府参考人 都市計画道路東京丸子横浜線、綱島街道の一部ですけれども、先ほど私、御答弁申し上げました土地区画整理事業の北側約一キロメートルにつきまして、現在、横浜市が平成三十年度の事業化に向けて検討を進めているというふうに伺っています。

 この事業、今委員からもいろいろな効果をお触れになりましたけれども、新駅へのアクセス性向上、あるいは市街地の渋滞解消に寄与するとともに、新綱島駅、仮称ではありますけれども、その周辺整備とあわせた一体的なまちづくりに資する重要な路線と認識しております。

 平成三十年度からの事業化に向けて検討が進められておると伺っておりますが、平成三十年度につきましては、事業の初年度として測量、設計に着手される予定というふうに伺っています。

 国土交通省としましては、横浜市の要望を踏まえながら、適切な支援を検討してまいりたいと考えております。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 適切な支援を検討していただけるということでございましたので、引き続きよろしくお願いできればと思います。

 これらの新綱島駅の新駅整備の工事であったり、区画整理事業、組合施行の市街化の再開発事業が予定どおり完成をされていかなければ、駅前としての機能が不完全となり、生産性の向上であったり、民間投資を喚起するストック効果、これを重視した社会資本整備に資するものにはならないということを考えているんですけれども、予定しているこの施行期日に完成させることを目途に、しっかりと政府としても一体となった事業推進をしていただくことが最大限の投資効果を発揮すると考えますが、政府としてどのように考えていらっしゃるのか、所見を伺います。

栗田政府参考人 今委員お触れになりました新綱島駅周辺は、幾つかの事業が進んでおります。

 土地区画整理事業、先ほど御答弁申し上げましたとおり、二十八年度に着手されまして、事業が進んでおります。新駅の開業予定、平成三十四年度の下期、先ほど鉄道局長から御答弁がありました、それに向けておおむねの事業が間に合うというように私たちは横浜市から伺っております。

 また、すぐそばで、その区画整理事業区域内であわせて進められております市街地再開発事業につきましては、地権者による組合により、平成三十二年度に建築工事に着手予定というように伺っております。これは、低未利用地の高度利用と老朽化した建築物を更新して、業務、商業等の施設を整備するものでございます。

 平成三十四年度下期の新駅の開業に合わせて、これら土地区画整理事業、あるいは市街地再開発事業によります工事がおおむね完了し、町開きが行われる予定と伺っておりますので、新駅開業のインパクトを的確に受けとめ、市北部の新たな拠点の形成ということが可能になるというように考えておるところでございます。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 これら、今るる御答弁をいただきましたが、やはり一体となって事業を進めていくことが最大限の効果をもたらすことになると思いますので、私もこの予定どおり事業が進んでいくように注視をしていきたいと思っております。皆様も、この着実な進捗に対して力を尽くしていただきますように、御要望を申し上げたいと思います。

 次に、横浜環状北西線について伺わせていただきたいと思います。

 現在、横浜の経済のかなめであります横浜港と東名高速を結んでいるのは保土ケ谷バイパス一本でありまして、横浜環状北西線が完成をし、東名高速と首都高速神奈川一号横羽線とが直結をされれば、生産性、利便性が高まるものであると考えます。

 その中で、横浜環状北線と一体となってネットワークを形成することで、さまざまな効果が発揮されるとは考えておりますが、その整備効果についてどのように考えていらっしゃるのか、政府の所見を伺います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 横浜環状北線、これは、平成二十九年三月十八日に開通をいたしまして、新横浜から羽田空港間の所要時間が四十分から三十分と、十分短縮し、空港連絡バスの利便性が向上されるなどの効果が確認されております。

 さらに、横浜市北部と横浜港が直結することによる物流の効率化や、新横浜エリアなど沿線の商業施設やイベント施設へのアクセス性の向上、ネットワーク強化によるリダンダンシーの確保などの効果が発揮されております。

 それにつながります横浜環状北西線、これは現在事業中でございます。委員御指摘のとおり、東名高速と第三京浜とを結ぶとともに、北線と一体となって広域的な交流や連携に資する延長七・一キロの四車線の自動車専用道路でございます。

 既に開通しています横浜環状北線に加えまして北西線の整備が進むことによりまして、東名高速道路と横浜港が直結するなど、横浜市北西部と横浜市都心、湾岸エリアとの連携が強化される、横浜市内のネットワークの充実により、災害時における救援や物資の輸送ルートが多重化される、保土ケ谷バイパス等の混雑が緩和され、大気環境が改善されるなど、物流生産性の向上、安全、安心の確保、生活環境の改善等の多面的な効果が期待されます。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 今、そのさまざまな効果について教えていただきました。私もこのパンフレットを拝見させていただきまして、そちらの効果が記載をされておりました。

 その中で、この横浜環状北西線が、東京オリンピック・パラリンピックまでに開通を目指して事業展開が進められているということでありましたが、現在の工事状況はどのような状況であるのかということと、周辺住民への影響や安全性を確保、配慮した上で予定どおり開通できる見通しであるのか、政府の所見を伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 横浜環状北西線は、延長の約六割、約四キロメートルがトンネル区間でございまして、また、東名高速道路と第三京浜道路との接続部が大規模なジャンクション構造となっております。

 事業者であります首都高速道路会社と横浜市が工事を進めておりまして、現在、シールドトンネル工事では、約四割に当たります約一・五キロメートルの掘削を完了いたしまして、また、ジャンクション部では、橋脚の基礎の設置を完了し、橋梁の下部工工事や上部工工事などを実施しているところでございます。

 目標とする二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでの開通に向け、安全に十分留意しつつ、引き続き地元の皆様の協力もいただきながら、着実に事業を進めてまいります。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 安全性に配慮をしていただきながら住民の声を聞いていただく、これは非常に重要なことであると考えております。

 続いて、実は横浜環状北線についても質問をさせていただきたいと思っているんですが、北西線の話を今までるる伺わせていただいたんですが、この北線についてはもう既に開通をしておりまして、平成二十九年三月十八日に開通がされております。

 それで、この事業についても、今また馬場の入り口の話であったりとか、そういったものが進んでいるかと思うんですが、この横浜環状北線の開通により、さまざまな効果が出ているんですけれども、その工事の影響で周辺の住宅街での地盤沈下が起こるなど、周辺住民たちが大変不安に思っているということを耳にいたします。

 それらを踏まえて、しっかりとこの原因究明を行って、近隣住民への丁寧な説明と被害住宅の補修対策などを進めていくべきであるということを考えておりますが、この見解を伺います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 横浜環状北線のほぼ中間点に、菊名地区へのアクセス性を確保するため、馬場出入口を設置する計画となっております。

 この馬場出入口の工事は、横浜市による関連街路の工事と一体的に進めておりまして、用地買収のおくれや施工方法の見直しのために本線の開通よりおくれておりますが、平成三十一年度の開通に向けて工事を進めてまいります。

 馬場出入口の工事に伴う地下水位の低下によりまして、地盤沈下が発生をいたしました。現在、沈下は進行しておりませんが、損傷した家屋の補修など、地元への丁寧な対応とともに、安全に工事を進めるよう、引き続き首都高速道路会社を指導してまいります。

中谷(一)分科員 ありがとうございます。

 地盤沈下の影響があるということなんですけれども、平成三十一年度の開通を目指して今工事を進めている馬場出入口について、地盤沈下の影響で、スケジュールや完成の見通しなど、工事への影響というものはどのように考えているのか、あわせて所見を伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、馬場出入口の工事に伴う地下水位の低下、現在は沈下は進行しておりませんので、工事につきましては、平成三十一年度の開通に向けて引き続き進めてまいりたいと考えております。

中谷(一)分科員 引き続きそのまま予定どおり進められていくということなんですけれども、私から要望させていただきたいのは、とにかく近隣住民の皆さんに寄り添うことが大切だと思います。近隣住民の皆さんの声を聞いて、しっかりとニーズを把握をした上で、補修であったりとか、また、どういったことを住民の方が望まれているのか、これに対して適切な対応をしていただきたいということを思っておりますので、要望させていただきます。

 そして、今までるる国の交付金にかかわる事業について、特に私の身近な地域について質問をさせていただきました。冒頭申し上げたとおり、この交付金の事業については、全国の地方自治体の要望額に対する配分率が年々低下をする傾向が見てとれます。

 そこで、大臣にもお伺いをさせていただきたいと思いますが、ふえていく地方自治体からの要望、予算要望に対して、今後どのようにお応えをされていくおつもりであるのか、御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 相次ぐ大規模自然災害から国民の生命と財産を守るための防災・減災対策や、インフラの老朽化対策、また地域の活性化の推進は、喫緊の課題であります。

 社会資本整備におけますこうした課題に的確に対応するため、地方公共団体にとりまして自由度が高く、創意工夫を生かせる防災・安全交付金や社会資本整備総合交付金により、地方公共団体の取組を総合的に支援をしているところであります。

 平成三十年度当初予算案におきましては、防災・安全交付金と社会資本整備総合交付金で、合わせて二兆三億円を計上したところであります。また、平成二十九年度補正予算として、防災・安全交付金二千四百七億円を確保しております。

 一方、この両交付金に対します地方公共団体からの要望額は全国的に増加をしておりまして、全ての御要望にはお応えできていないのが現状であります。

 厳しい財政状況の中ではありますが、国土交通省といたしまして、地域の抱える課題に対して適切な支援が行えるよう、しっかりと必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。

中谷(一)分科員 御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 もちろん、国の財源にも限界があるわけでありまして、それらを鑑みた上で交付を行っていくということは当然のことであると思いますが、要望額がふえている、その傾向の中に、もちろん地域にとって必要な道路というものがあるわけでございますので、それら必要な道路というものを、しっかりと地域のニーズを聞いた上で、この交付事業をしっかりと進めていただきますことを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、観光振興におけるIRの考え方について伺わせていただきたいと思います。

 カジノを含むIRについては、政府が、外国人専用のカジノではなく、日本人の入場も認められる方向での議論が行われており、カジノの入場料について、日本人客のカジノ入場回数を週三回までに規制する案を自民党、公明党に示されたという報道がございました。

 現状、政府から示されているこの規制案では、日本人や国内に在住する外国人を対象に、カジノの入場制限、上限を、連続する七日間で三回、連続二十八日間で十回としているということではありますが、これでは規制と呼ぶには残念ながらお粗末な状況でありまして、二、三日に一度のペースでカジノに通うのは、むしろ多いのではないかということを思います。

 その中で、私は、カジノといった賭博を経済成長や地方振興に利用することは好ましくないということを考えておりますし、日本人の入場を認めることや横浜への誘致に関しては、真っ向から反対をしている立場でございます。

 その中で、韓国などでは治安や風紀がとても悪くなった事案などが報告をされており、ギャンブル中毒対策の費用、これにも莫大なソーシャルコストがかかっている現実がありまして、経済効果に対しても疑問を持っているような状況でございます。

 そうした中で、石井大臣はIRの担当大臣でありますが、観光振興を所管する石井大臣に問いたいと思います。

 カジノを含むIRの誘致について、幾つかの地方自治体が手を挙げているということでありますが、そもそも、観光振興としてのカジノを含むIRの誘致に関して、担当大臣としてどのようにお考えになられているのか、所見を伺います。

石井国務大臣 この第八分科会では、IR担当大臣ではなくて、国土交通大臣として答弁をさせていただきます。

 統合型リゾート、IRは、宿泊施設、会議場施設、展示施設、レクリエーション施設、カジノ施設等が一体となった複合的な施設であるという特徴がございます。

 このため、十分な国際競争力を有する施設を備えたIRが整備をされれば、魅力ある新たな観光資源となるとともに、滞在型観光の拠点となり得るものと考えておりまして、新たなインバウンド需要の創出が期待をされます。

 また、IRでは、会議場施設、展示施設、宿泊施設等の、MICEの開催に必要となる施設、また、全国各地へ観光客を送り出す機能を有する施設、さらには、レクリエーション施設、カジノ施設等のポストコンベンションに資する施設、これらが一体として整備されることから、IRの整備は、我が国のMICE開催の誘致競争力の強化や、地域を含めた観光振興にもつながることが期待をされるところでございます。

中谷(一)分科員 そういった効果を期待をされていらっしゃるということであるんですが、カジノを含むIRを誘致した諸外国で、カジノがあったことによって、その国に行きたいという人がどの程度ふえたのか。観光客の訪問における動機づけとなったような根拠など、諸外国の観光振興にどの程度貢献したと把握をされていらっしゃるのか、政府の所見を伺いたいと思います。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 統合リゾート施設につきましては、ただいま石井国務大臣の方から御紹介のあったとおりでございますけれども、確かに、現時点におきましても、この統合リゾートをめぐる議論におきましてはカジノばかりに焦点が当たりがちですけれども、大臣からも御紹介いただきましたように、ビジネスの国際会議を世界じゅうから招致する、あるいは、水族館、プールなどが集まって、家族連れで日本を訪問してもらえる、そのようなまさに総合的なリゾート施設でありまして、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が認められるというふうに考えております。

 先ほど、カジノがあるがゆえにどれだけ観光客のあるいはインバウンドの誘致効果があったのかというお尋ねではございましたけれども、現時点におきまして日本にはまだこういう施設がないものですから、日本においての分析はもちろんできないわけでございますけれども、一方、同様の施設がございますシンガポールにおきましては、例えばですけれども、観光客数の、インバウンドの数につきましては、開業前の二〇〇九年から直近にかけましては、約六〇%ぐらい、年間九百万人のインバウンドが千五百万人台になるとか、そういう効果が認められているところでございます。

 ただし、これはまさしく、シンガポールのIRも、カジノだけでなく総合的なリゾート施設として展開されておりますので、何がゆえにこの千五百万人までの増になったのか、あるいは、その増のうちどれぐらいがカジノ部分による効果なのかといった分析はなされていないものというふうに承知しております。

中谷(一)分科員 時間が参りましたので終了させていただきますが、カジノ以外のIRの部分に対しての利便性の話ということであれば、カジノがないIRでも、それは、もしかしたらその集客効果というのは図れるものじゃなかったのかなということを思いますので、また委員会にて議論を深めさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内主査 これにて中谷一馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、松田功君。

松田分科員 立憲民主党の松田功でございます。

 きょうの分科会、最後ということでありますが、大変、大臣始め皆さん、お疲れなところかと思いますが、しばらくまたおつき合いをいただければと思っております。

 本当にここ最近、命が大切なことだということを小さいころから親から教わってまいりましたが、ここ国会に来て、こんなにまた命の大切さを考えさせられる時期に来ているかと思うと、ちょっと心が痛いところであります。

 そんな中、今、働き方改革について、命について含まれたさまざまな議論が行われております。今回、私、運輸産業、自動車運転業務における長時間労働をいかに是正していくか、働く人の立場に立って取り上げてまいりたいと思っております。

 御存じない方も少なくないかもしれませんが、日本の労働時間規制においては、運輸産業、自動車運転業務については、他産業より長時間労働が認められる制度となっており、今回政府が予定している働き方改革案においても、やはり同様に他産業より長時間労働が認められる規制となっていることが予定されております。ドライバー不足が深刻となる中、果たしてそれでよいのか、議論してまいりたいと思っております。

 それでは、質問に入らさせていただきます。

 まず、現状について、政府統計データの確認をしたいと思っております。自動車運転業務の労働時間は、平成二十八年において、全職業の平均と比較して一、二割長くなっております。所定外労働時間は約二、三倍の長さとなっています。また、平成二十八年度の過労死の労災補償状況では、労災支給が決まった合計二百六十件のうち、九十七件が運輸、郵便業で、そのうち八十九件が道路貨物運送業と圧倒的に多くなっております。

 このように、運輸産業、自動車運転業務では、労働時間が長く、過労死が多いことを大臣はどう認識されておりますでしょうか。お考えをお聞かせください。

石井国務大臣 今、委員から御紹介いただいたように、自動車運送事業の年間平均労働時間は、全職業平均と比較をいたしまして、約一、二割長い状況にあります。

 また、脳・心臓疾患による死亡の労災認定件数について見ましても、職種別では自動車運転従事者が、業種別では道路貨物運送業がそれぞれ最も多いという状況でございます。

 トラック運転者等の自動車運転者の長時間労働の是正が重要な課題であると認識をしております。

松田分科員 非常に御認識をいただいていることであるということでありますが、そこで、次に質問を移らさせていただきたいと思います。

 そもそも、労働時間規制において、なぜ自動車運転業務は他の産業と別扱いなのか。自動車運転業務に適用されている今の改善基準告示の規制値は、時間外労働の二カ月から六カ月間平均八十時間といった過労死基準を上回る水準だと指摘されております。

 なぜ他産業と異なる緩い規制なのですか、そして、その理由や経緯をお聞かせいただきたいと思います。

牧原副大臣 お答えします。

 先生御指摘の自動車の運転の業務につきましては、現行の大臣告示を適用除外としておりますが、これは、荷主都合による手待ち時間の発生など、その業務の特殊性から長時間労働が発生しやすい業態であること、そして、このため、手待ち時間も含めた拘束時間の上限や連続運転時間などについて運送事業主が遵守すべき事項を定めた改善基準告示を定め、別途、行政指導を行っていることが理由となっています。

 その経緯につきましては、自動車運転者につきましては、昭和四十二年に、交通事故の対策として労働時間等の改善を定めた通達がまず発出されました。その後も、自動車運転者の労働時間に関するILO条約が採択されたことや、労働法制の改正に伴い、通達の改正等が行われました。

 さらに、拘束時間や休息時間、運転時間等については、通達よりも告示に基づく行政指導が適当であると判断をされたことから、公労使委員及び自動車業界の労使代表で構成された自動車運転者労働時間問題小委員会の議論を経て、平成元年に自動車運転者の拘束時間について規制する改善基準告示が策定されたという経緯でございます。

 なお、特にトラックの運送業につきましては、荷主との取引関係が長時間労働の一因となっているという面があることから、行政、トラック事業者や荷主の団体などが参画する協議会を立ち上げまして、取引環境、労働時間の改善に取り組んでいるところでございます。

 長時間労働に対する監督指導の徹底を図りつつ、こうした取組によって自動車運転者の長時間労働の是正に取り組んでいきたい、こう考えております。

松田分科員 御説明いただきました。

 今回、私自身、いろいろな運輸産業の関係を見たときに、大きな変革時期に来ているというふうに認識させていただいております。過去の経緯から見ても、運送業に従事する人たちの形態も変わってきておりますし、物流の流れも変わってきている。そこで見て、また働き方も大きく変えていかなければならないのは、実はこの自動車産業、運送業かと思われるところであります。それが少し、荷主さんとのバランスのところも含めて、まだまだこれから協議していかなければいけないこともあるということを今ちょっとお話をいただいたというふうに御認識させていただきたいと思います。

 引き続いて、そこに新たなものを含めて質問をさせていただきたいと思います。

 今国会に政府が法案提出を予定している新しい労働時間規制案について少しお尋ねしたいと思います。

 案によると、自動車運転業務について、一般則施行五年後から上限規制を導入するとしており、その間は今の改善基準告示のままの規制となります。

 自動車運転業務には、なぜこの間は規制強化を全く行わないのでしょうか、また、猶予期間はなぜ五年なのでしょうか、もう少し短くしてもいいというふうにも思いますが、その辺についてまたお答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、自動車の運転業務につきましては、大臣告示でございます労働時間の延長の限度等に関する基準の適用除外をしておりまして、一般と異なる取扱いをしているわけでございますが、昨年秋に労働政策審議会の答申をいただいております、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱、この中身の中に今お話しの上限規制の案が盛り込まれておりますけれども、この要綱におきまして、長年の取扱いを改めて、自動車運転の業務につきましても罰則つきの上限規制を適用するということにしているわけでございます。

 しかしながら、自動車の運転業務につきましては、現に他の産業に比べまして労働時間が長い実態にある中で、その背景には、取引慣行の問題など、個々の事業主の努力だけではなかなか解決できない課題もあるということがございまして、実態に即した形で上限規制を適用していくには、こうした取引慣行上の課題も含めて解決していく時間が必要であるということから、今回の法律案要綱では、自動車運転の業務につきまして、施行期日の五年後に年九百六十時間の上限規制を適用し、将来的には一般則の適用を目指すということにしておるところでございます。

松田分科員 事業者だけではなかなか難しい、荷主さんとのこともあるということで言われているところであるんですが、その辺のことが御理解をされているのであれば、国が主導してそこを改善しないと、一事業主だけでは非常に厳しい環境のままが続いてしまうというふうに私自身は思いますし、また、五年間このままの状態でいるということで、ただでさえドライバー不足がささやかれている中、物流の根幹を揺るがす人手不足という部分も含めるならば、やはり、この辺についてはもう少し国の方としても猶予期間に対する規制強化をぜひ進めていただければというふうに私は思うところであります。

 そういう意味において、五年間の猶予期間における強化策として、自動車運転業務の総拘束時間を今の改善基準告示の三千五百十六時間から三千三百時間に短縮すべきとの案が提出もされているところであります。

 私自身も、そのように少しずつでもやはりドライバーのことを守っていくことは重要であると思いますが、その辺について、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の改善基準告示は、自動車運転者の業務の特性を踏まえまして、手待ち時間も含めた拘束時間の上限や連続運転時間などにつきまして運送事業主が遵守すべき事項を定めているものでございます。

 労働基準監督署などにおきましては、改善基準告示などを遵守させるために的確な監督指導を実施いたしますとともに、地方運輸機関との合同監査や相互通報の制度など、国土交通省と緊密に連携して自動車運転者の労働条件の確保にこれまで努めてきたところでございます。

 引き続き、こうした取組を着実に実施をするということとともに、一般則の施行五年後に上限規制を導入するということに向けて、改善基準告示のあり方につきましても、国土交通省と相談して検討してまいりたいというふうに考えております。

松田分科員 現段階でも、労働基準監督署の方も的確な監督指導をしていると多分言われるとは思いますが、最初に質問を大臣の方にもさせていただいたように、過労死が多い業務であるということはもう認識いただいているところなんですね。

 ぜひ、そういった意味に、もう一度原点に返っていただいて、新たな産業改革、物流改革をしていかなければならない時代にもう既に入っているという御認識をいただきたいというふうに思っているところなんです。それが一番後回しになっているような状況に感じ取れるわけですね。ですから、そういったことをぜひ前向きに進めていただきたいというふうに思っております。

 続いて、また質問を続けさせていただきます。

 施行五年後から予定されている規制について取り上げさせていただきたいと思います。

 猶予期間後に自動車運転業務に対して予定されている年間時間外労働の上限規制が九百六十時間には、休日労働時間は含まれるのか含まれないのか、確認させていただきたいと思います。また、この九百六十時間という数字は、どのような議論で、検討を経て出されたのか、また、どのような根拠であるのかを御説明いただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 法律案要綱におきまして、今御指摘のございました年間九百六十時間としておりますことにつきましては、先ほども申し上げましたような、自動車運転事業を取り巻く取引慣行を始めとしたさまざまな課題を解決しながら、実態に即した形で時間外労働規制を適用するためということで、国土交通省や私どもの省において、関係者との調整を行って、その結果を踏まえて取りまとめたものでございますけれども、これは、年九百六十時間の上限値ぎりぎりまでの時間外労働を安易に認めるという趣旨では全くございませんで、月四十五時間、年三百六十時間という原則的な上限に近づける努力は重要であるということは自動車運転業務につきましても当然であり、改正後の基準法に基づく指針に基づきまして、そういった助言指導も行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、年九百六十時間には休日労働は含まれておりませんが、今申し上げました指針の中には、休日労働についてもできる限り抑制するよう努めなければならないという旨も盛り込む予定でございまして、これもあわせて丁寧な指導を行ってまいりたいというふうに思っております。

松田分科員 検討をされているというものの、何かちょっと足りない感じがしているところであります。

 それは、休日時間を含まない上限九百六十時間は、過労死の危険もある水域であったり、そういったことも含められる、要は、働き方改革をしているんですけれども、運転手の皆さんには、荷主さんはいろいろなことがあるから、ちょっと長くてもしようがないよねみたいな感じになっている状況。それも、五年後からという形も含め、そこからまた新たにということも含めると、なぜ運転業務の人たちだけがそういったことになっているのか、本当に疑問に思いますし、さまざまな関係機関の方というところも、どこまで議論をしたのかというところが少し見えない部分もあります。

 過労死が多いということをもうちょっと考えていただくことがあっても僕はいいんじゃないかというふうに思うんですよね、その意味でいったら。数字で出ている、そうした業務であるということを御認識もいただいているということであるならば、その部分をどう考えるかということがありますので、ぜひ、進めて、御検討いただきたいなというふうに思っております。

 質問に参ります、時間が参りますので。

 次に、一般則の年間の時間外労働の上限七百二十時間には、休日労働時間は含まれるのか含まれないのか、確認をさせていただきたいと思います。

 また、自動車運転業務にも、一般則の上限七百二十時間や、二カ月から六カ月間の平均八十時間以内、単月として百時間といった規則で規制すべきであると考えます。今回の案では、例えば、建設業には五年の猶予後に一般則が適用されますが、自動車運転業務には猶予期間後も一般則を適用しない。つまり、他産業と同じ規制にしないのはなぜなのか、お答えをいただきたいです。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 法律案要綱におきまして、年七百二十時間としております上限の規制につきましては、休日労働は含んでおるものではございません。

 自動車運転業務につきまして、五年間の猶予後に適用される上限規制について年九百六十時間とした事情は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、この年九百六十時間の上限値ぎりぎりまでの時間外労働を安易に認めるという趣旨ではなくて、原則的な上限に近づける努力というのを事業者の皆さんにもやっていただくということを新しい指針に基づいて私どもとしても助言指導していくということでございますし、また、現に他の業種よりも労働時間が長いという中において、働き手にとって魅力ある産業としていくという観点からも、それは望ましいことではないというふうに私どもも思っておりますので、法律案要綱におきましては、自動車運転の業務について、その上限規制の特例の廃止については引き続き検討するという旨を盛り込んでおります。これは、将来的に一般則の適用を目指すということを明確にしたということでございます。

 そういった考え方で、労働時間の縮減それから将来的な一般則の適用ということをしっかり取り組んでまいりたいと思います。

松田分科員 やはり、何だか自動車運転業務が後回しにされている感が否めないんですね。将来、一般則にということも明示しているからというものの、それも、では、いつなのかということではあるわけではないので。

 ちょっと質問に入りますが、働き方改革実行計画では、自動車運転業務について、「将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。」としていますが、それはいつなのか。できるだけ早くすべきではないかと思いますが、一般則を適用する時期を明示すべきと考えますが、いかがでしょうか。例えば五年の猶予期間後三年とか、また、五年になるのか、そういったことをお答えいただければと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました働き方改革実行計画におきまして将来的に一般則の適用を目指すということが記載されている点につきましては、これは先ほど申し上げましたように、今回の法律案要綱におきましても、将来的に一般則の適用を目指す旨を明確に書いた規定を、法律上規定を設けさせていただくということで対応していくという考え方でございます。

 廃止の時期についてはなかなか具体的にお示しをできる状況にございませんけれども、自動車運送事業につきまして、その事業における働き方改革というのが着実に進むようにということで、政府としても、関係省庁が協力をして、政府を挙げて長時間労働の是正に向けた環境整備を行っていくという考えで対応しておりまして、具体的には、国土交通省始め関係省庁による連絡会議において、取引環境の適正化などについて直ちに取り組む施策というものも取りまとめましたし、また、今後更に検討を進め、行動計画を策定して公表するといったことを通じて、政府全体での取組をしっかりやっていきたいというふうに思っているところでございます。

松田分科員 ぜひ政府全体での取組はしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、やはり、どうしても後回し感は否めないですよね、お話を聞いていても。本当に運転手さんの現場のことをすごく理解をしていただいているのかという部分と、運送業の今非常に大きく変革が出てきているということも御理解ができていただいているのかなということを少し疑問に思うところがあります。

 その意味において、ちょっと時間のこともありますので、次の質問で伺いたいと思います。

 自動車運転業務における労働時間規制が進んで長時間労働が是正されるのはよいことなのですが、その場合、働く者の給料が減る可能性があり、また、そのような懸念を持つ方もお見えになると聞いております。当然のごとく心配だと思います。長時間労働ありきの給料形態から他産業並みに労働時間を短縮しても、生活ができる賃金の確保が求められるところであります。

 そのために政府としてどのような施策を進められていくのでしょうか。お伺いしたいと思います。例えば、何らかの所定内賃金水準の指標を示すなどのお考えなどあられますでしょうか。いかがでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 時間外労働の上限規制を始めとした働き方改革は、長時間労働の是正などを目指すものでございまして、それはまた、労働生産性の向上にもつながって、その成果を働く方に分配していくことで、成長と分配の好循環を図っていこうというものでございます。

 そういう意味では、労働時間の短縮を図る中で労働生産性を向上させるということによって、その成果が賃金などに反映していただくことが可能となっていく、そういった取組を政府としても広がっていくように働きかけをしていきたいと考えておりますが、具体的には、厚生労働省におきましては、生産性を高めながら時間外労働を削減する中小事業主の皆様等を支援する時間外労働等改善助成金といったものを拡充いたしまして、来年度からは、これまで対象になっていませんでした自動車運送事業も支給の対象にしていくなど、取組を強化することによって働き方改革に向けた事業者の取組を支援し、それがまた働く方につながっていくということを目指していきたいというふうに考えております。

松田分科員 続きまして、働き方改革実行計画では、五年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮案を検討するとされておりますが、荷主や関係者を含めたどのような場で、いつ、どのようなことを行う予定なのでしょうか。教えていただけますでしょうか。例えば、荷待ち時間削減などのいろいろな考えもあるかと思いますが、お聞かせください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、トラック運送業における取引環境の改善及び長時間労働の抑制、これらを実現するための環境整備を図ることを目的といたしまして、二十七年度から、厚生労働省と共同で、学識経験者、トラック運送事業者、荷主、労働組合などの関係者から構成されますトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会というものを中央及び各都道府県に設置をいたしております。

 この協議会におきましては、荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化など、長時間労働の抑制をトラック事業者と荷主とが連携して図っていくためのパイロット事業を昨年度から二カ年度にわたって実施をいたしております。

 こういったパイロット事業によりまして長時間労働の抑制に関し得られた知見でありますとか好事例につきましては、ガイドラインとして取りまとめまして、トラック事業者や荷主企業などの関係者に広く横展開を図っていくということにいたしております。

 また、荷待ち時間の削減につきましては、このほか、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議におきまして昨年八月に取りまとめました直ちに取り組む施策といたしまして、トラックの予約調整システムの導入促進などが盛り込まれておりまして、関係省庁において関連する措置が三十年度予算案に計上されておるところでございます。

 さらに、昨年の七月から、中型以上のトラックにつきまして、荷主都合で三十分以上の荷待ち時間が発生した場合には記録を義務づけることといたしましたが、その記録をもとにサンプル調査、分析を実施した結果に基づきまして、荷待ち時間が多く発生している業種について、荷主などの関係者への周知、働きかけも行っております。

 今後とも、関係者と連携いたしまして、荷待ち時間の削減など、労働時間の短縮に取り組んでまいります。

松田分科員 続きまして、ドライバーの人手不足や負荷の削減のために、ダブル連結トラック車両の導入やスワップボディーコンテナの車両の導入、トラック隊列走行の実験走行などが注目されております。施策として検討されていると聞いておりますが、予定はどのようになっておりますでしょうか。また、どのような効果が期待されているか、お答えください。

重田政府参考人 お答えします。

 トラックドライバーの人手不足が深刻化する中で、物流の効率化や労働生産性の向上は極めて重要な課題です。このため、委員御指摘のような先進的な機械や技術の導入について、国土交通省として取り組んでいるところであります。

 まず、ダブル連結トラック車両につきましては、一台で大型トラック二台分の輸送が可能でございます。省力化、省人化の効果はもとより、CO2排出量の削減効果が見込まれております。

 現在、新東名等におきまして、新たに開発した二十五メートル車両による実験を実施しておりますが、平成三十年度の本格導入を目指してまいります。

 また、スワップボディーコンテナ車両につきましては、車体と荷台を簡単に分離できるため、荷待ち時間の削減や中継輸送の促進に効果的であり、泊まり勤務の縮減など、ドライバーの働き方改革につながるものと考えております。

 これらダブル連結トラック車両、スワップボディーコンテナ車両につきましては、平成三十年度予算案におきまして、環境省と連携いたしまして、導入促進のための予算を盛り込んでおります。その普及促進を図っていきたいと考えています。

 さらに、先頭車両のみが有人で、後続車両が無人で運行するトラックの隊列走行につきましては、さらなる省力化、省人化や、隊列を組むことによる燃費の改善など、物流の生産性向上に大きな効果が期待されています。

 このため、本年一月に、まずは後続車を有人で運行する隊列走行の実証実験を新東名において開始したところであります。後続車を無人で運行する隊列走行につきましては、二〇二〇年の新東名での実現、早ければ二〇二二年の事業化を目指し、今後とも技術開発や実証実験などに取り組んでまいります。

 今後とも、こうした先進的な機器や技術などの導入に取り組むことで、物流における生産性革命を推進してまいります。

松田分科員 最後になります。

 政府の統計によると、自動車運転業務の女性比率は全職業平均の一割未満と低く、例えばトラックで二・四%にすぎません。しかし、運転免許統計によると、二種免許を持った方も含めてですが、大型運転免許を持つ女性が約十五万人おります。人手不足の対策として、女性ドライバーをふやすことはすぐにでもできる有効な手段だと思われます。政府として、そのためにどのような施策を予定しているのでしょうか、お聞かせください。

 また、最後に、いかにドライバーの長時間労働を是正して働きやすい運輸産業としていくべきか、大臣の方から一言、前向きな御答弁をいただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

竹内主査 時間が来ておりますので、石井国土交通大臣、よろしくお願いします。

石井国務大臣 自動車運送事業におきましては、女性運転者を含めた多様な人材の確保が重要な課題であります。

 特に、女性運転者をふやしていく上では、仕事とプライベートが両立できる勤務体系の構築、貨物の荷役作業の負担からの解放等に配慮していく必要があるものと考えております。

 このため、国土交通省におきましては、女性運転者の採用を図る上で有益な各種情報の発信、女性タクシードライバーの採用に積極的な事業者の認定制度の創設、トラックやバスの長距離輸送を複数の運転者で分担することによりまして日帰りの短時間勤務を可能とする中継輸送の普及促進、サービスエリアのトイレの改善等、女性運転者が安心して休憩できる環境の整備などに取り組んでいるところであります。

 女性運転者を始めとして多様な人材の確保を図るためには、働きやすい環境を整備するとともに、職業としての魅力を積極的に発信していくことが重要であります。このため、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議における取組とも連携をいたしまして、関連施策をしっかりと推進してまいりたいと存じます。

竹内主査 これにて松田功君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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