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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋本 真利君    石破  茂君

      今村 雅弘君    前原 誠司君

      渡辺  周君    伊藤  渉君

二月二十一日

 伊藤渉君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 伊藤  渉君

      秋本 真利君    石破  茂君

      今村 雅弘君    國場幸之助君

      繁本  護君    新谷 正義君

      田中 英之君    長坂 康正君

      西田 昭二君    古川  康君

      細田 健一君    尾辻かな子君

      大島  敦君    中島 克仁君

      前原 誠司君    松田  功君

      松原  仁君    渡辺  周君

   兼務 城井  崇君 兼務 野田 佳彦君

   兼務 佐藤 英道君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 鰐淵 洋子君 兼務 田村 貴昭君

   兼務 足立 康史君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   内閣官房副長官      西村 明宏君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   法務副大臣        義家 弘介君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   財務副大臣        藤川 政人君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   国土交通副大臣      青木 一彦君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        宮崎 祥一君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        溝口 宏樹君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      粕渕  功君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小柳 誠二君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局総務企画部長)      徳田 郁生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小宮大一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   角田  隆君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           平野 統三君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         東川 直正君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            坂根 工博君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 飯嶋 康弘君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 水島 徹治君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   参考人

   (独立行政法人住宅金融支援機構理事)       田中 敬三君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     繁本  護君

  今村 雅弘君     古川  康君

  前原 誠司君     尾辻かな子君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     長坂 康正君

  古川  康君     國場幸之助君

  尾辻かな子君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     新谷 正義君

  長坂 康正君     田中 英之君

  大島  敦君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     今村 雅弘君

  田中 英之君     細田 健一君

  中島 克仁君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     西田 昭二君

  松田  功君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     石破  茂君

  松原  仁君     前原 誠司君

同日

 第一分科員野田佳彦君、佐藤英道君、浜地雅一君、第二分科員足立康史君、第五分科員鰐淵洋子君、第六分科員城井崇君及び第七分科員田村貴昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。赤羽国土交通大臣。

赤羽国務大臣 おはようございます。

 国土交通省関係の令和二年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額は、六兆七千三百六十三億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省関係予算の国費総額は、三千六百六十二億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美群島に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額を一括計上しております。

 財政投融資計画には、二兆四千五百五十五億円を計上しております。

 次に、令和二年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 昨年は、令和元年房総半島台風や令和元年東日本台風などの大規模自然災害が相次ぎ発生いたしました。気候変動の影響により頻発化、激甚化が懸念される水災害や切迫する地震災害等の自然災害から国民の生命と財産を守ることは最重要の使命です。

 また、本年開催される東京オリンピック・パラリンピック後も持続的な経済成長を確保するとともに、全国各地の地方創生を更に推進し、令和時代にふさわしい豊かで暮らしやすい地域社会を実現することも重要です。

 こうした認識のもと、令和二年度予算におきましては、被災地の復旧復興、国民の安全、安心の確保、生産性と成長力の引上げの加速及び豊かで暮らしやすい地域づくりの四分野に重点化しつつ、臨時特別の措置や令和元年度補正予算とも組み合わせながら、施策効果の早期発現を図ってまいります。

 この際、公共事業の円滑な施工確保のため、市場実態を反映した予定価格の設定や適正な工期設定などの取組を推進してまいります。

 以上でございますが、よろしく御審議のほど申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元の印刷物を会議録に掲載されますようよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま赤羽国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。

繁本分科員 おはようございます。自由民主党の繁本護でございます。

 まず冒頭、新型コロナウイルスによりまして、全国各地でけさも新たな感染者の報道が続いておりますが、お亡くなりになりました方々への御冥福と、そして今罹患されている方々へのお見舞い、そして、官民挙げて、今、国土交通省も含めて、対応していただいている全ての関係者に敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 それでは、限られた時間でありますので、順次説明をさせていただきます。

 まず初めは、異常気象時におけるトラック輸送のあり方についてであります。

 近年、毎年のように記録的な大雨や暴風雨を伴う台風の接近、上陸が当たり前になってきました。最近では、気象予測も相当精度が上がってきまして、何日か前からその進路あるいは勢力、こういったものが正確に予測されるようになっております。こういったもと、例えば鉄道においては、数日前から計画運休の実施、これは定着してきました。高速道路においても、あらかじめ通行どめにするということも実施され始めております。

 こういった異常気象時における旅客とあるいは貨物の安全を守っていくために、これから物流の分野においてもこういった取組を広げていくべきではなかろうかといった観点で、きょうは質問させてもらいます。

 実際、暴風雨が来たときに、トラックが横転したり、あるいは荷物が散らかって、そんな状況が報道でもあるわけでありますが、何よりもトラックドライバーの命が安全であります。貨物の安全も大事であります。当然のこととして、トラック運送事業者の皆さんは、異常気象時において輸送の安全確保に支障があるなと思ったときには、輸送の中止も含めた必要な措置を講じなければならないこととなっております。

 こういった中、先月、国土交通省におかれましては、異常気象時におけますトラック輸送のあり方について一定の目安を設定するべく通達案をつくってパブコメをやっている、こう承知しているわけであります。

 さて、この通達案は、台風等により一定の雨量でありますとかあるいは風速を超えた場合の輸送目安を示しておりますが、どうも、これを見ていると、事業者さんにちょっとお任せしているなという印象を正直受けるところであります。

 実際、そのパブコメ、これはA4で表裏一枚でありますが、見ていたら、行政処分、事業者に対する行政処分についてまで言及されているわけですよね。これはこれから大きな一つの指針になるとは思うんですが、通達を出して目安をつくっても、業者の判断だけに任せておくと十分ではないんじゃないかなという気がいたします。

 例えば、繁本運送は、いや、ドライバーの命は安全だ、我が社のトラックをとめようと思っても、隣に秋山運送があって、いや、我が社は頑張るぞといったときには平仄がとれないし、例えば、京都において、みんなでチームワークでトラックのドライバーを大事にしようね、運送を中止しようと例えば決めたにしても、隣の大阪からトラックが入って荷物を運ぶということもあるわけですよね。

 こういうことを考えていきますと、判断の目安を国交省が示したことには大きな意味があるのでありますが、輸送の安全確保を図る上ではまだまだ十分ではないんじゃないかな、検討の余地があるのではないかなと思います。異常気象時に見舞われた場合に、国土交通省がある一定の何らかの判断を示して、そして世の中にアナウンスすることによって、エリアとして輸送の安全を確保するといったことも考えられると思うんです。

 こういった国交省が事前の計画的な運行の中止を、判断を示すといったことも含めて、ある一定の御判断を下す必要もあるのではなかろうかと思いますが、お考えをお聞きいたします。

 もう一点。この通達案、あるわけでありますが、荷主の強力な要請を受けて、きょうは天気が悪いんだけれども荷物を運んでくれないかと言われた場合において、なかなかトラック運送事業者は断れないこともありますね。こういった場合に、荷主のあり方ということも問われるべきだと思います。

 ちょうど貨物自動車運送事業法が改正されまして、荷主に対する国土交通大臣の権限も強化されたわけでありますけれども、この荷主さんのあり方について、国交省がどう働きかけるかということも含めて、お考えをお聞きいたします。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年関西を襲いました台風二十一号、これは関空連絡橋にタンカーが衝突した台風でございますけれども、そのとき、トラックが横転するといったようなショッキングな映像も委員御指摘のように流れております。輸送の安全を確保することが困難な状況のもとで、取引上の立場が強い荷主に輸送を強要されたものもあると聞いております。

 台風を理由とします事故につきましては、平成三十年度に七十八件、それから令和元年度十一件、生じております。このため、国交省では、委員御指摘のように、異常気象時において運送事業者が輸送を中止することが可能となるような輸送可否の判断を行うための目安、これは気象庁が出しております目安に準じたガイドラインでございますけれども、これを策定することについて検討しておるところでございます。

 これをガイドラインとする理由でございますが、一律で行うことがいいのかどうか、気象状況は刻々と変わるところでもございます、また緊急性がある物資を輸送することもございます。

 したがいまして、まずはガイドラインということで考えておりますけれども、委員御指摘もいただきましたので、具体的な事例について対応していく中で、必要に応じて一定エリアでの対応というものも検討する必要があろうかというふうに考えてございます。実際に、船、海上保安庁においては、走錨を禁止する一定区域を定めております。トラックでもそういうことができる可能性がありますが、まずはガイドラインという形でスタートをさせていただきたいと思っております。

 更に申し上げますと、確かに危険な場合、危険な状況で輸送した場合には、貨物自動車運送事業法に違反する場合がございます。したがって、事業者は罰則が科されますけれども、これも委員御指摘のように、一昨年の十二月に議員立法で成立をしていただいて公布されました貨物自動車運送事業法の一部改正、これに基づきまして、荷主に対する強力な指導、あるいは、場合によって勧告、公表ということもできるようになってございます。国交大臣の権限でございますので、こうしたことも考えてまいりたいと思います。

繁本分科員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 今の御答弁の中で、その一定のエリアの中でというところが非常に大事で、鉄道であればネットワークになって運行事業者が一元的に管理できるんですが、トラックの場合は道路でありますから、高速もあれば、国道もあれば、市街の道もあれば、使う方も、貨物だけじゃなくて一般の自動車もあって、非常に一定のエリアの中での規制のあり方は難しいと思うんですが、非常に重要なことでありますので、前に進めていただきたいと思います。

 さて、続きます。

 同じく災害関連になりますが、民有地が、その土地が災害によって被害を受けた場合の話でありますが、近年災害が続いていることはもう先ほど述べましたけれども、個人や法人が有する民間のストックが災害で損害を受けた場合、これは当然のことながら公共事業で復旧するわけにはいかないですね。

 では、民間がどうやってその災害に備えるかといったら、実際、自分で地震保険やあるいは風水害保険に入って、災害に備えて保険でカバーするということが自衛手段として考えられるわけでありますが、実際、保険、私もさまざま調べてみたんですけれども、建物やその中にある財産については保険でカバーできるんですが、土地についてはカバーしている保険はございません。

 こういった土地について着目したら、老朽化した大規模の盛土造成地もあれば、あるいは臨海部における埋立地もあれば、ため池を埋め立てたといったところがあって、そういったところにおいては、これからきつい雨が降った場合に滑るとか、あるいは地震が起きた場合に液状化する、これは一旦起きたらとても個人ではカバーし切れないような大規模な損害になりますから、何らかの手当てを考えていかなければならないと思っておるんです。

 実際、私の選挙区でも、一昨年の九月に、台風で民地が滑って、擁壁が崩れて、崩れた土砂が民間の家に土砂とともにどっと流れて、リビングの窓ガラスを割って家に入ってくる。どちらも民地なんですよ。全然公共では手当てができません。市役所がブルーシートを一枚持っていって終わりなんです。

 こういったことへの備えを考えていくわけでありますが、国交省として、民間の宅地であっても、自然の災害に対する脆弱性を調査又は評価し、そして被害軽減、事前防災をやっていかなければならないと思うんですけれども、取組状況についてお聞かせください。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 造成宅地の滑動崩落、液状化の被害軽減対策を行うためには、こういった大規模な盛土造成地や液状化をする可能性のある土地についてマップを作成、公表し、次に、該当する土地について地盤調査等により安全性を確認し、さらに、必要なものについて対策工事をするという取組が必要でございます。

 国土交通省におきましては、これまでも、地方公共団体に対しまして、これらのマップの作成、公表などの宅地耐震化に取り組むよう要請するほか、必要な調査費について支援を申し上げているところでございます。

 この大規模盛土造成マップにつきましては、現在、全ての市町村で、令和元年度までに作成、公表できるようにということで取り組んでございます。昨年の九月時点で、全国で三万カ所を超える大規模盛土造成地が確認されてございます。

 さらに、古い年代の盛土ほど大きく被害を受ける傾向にございますので、この盛土がいつ造成されたか、造成年代調査ということを行っておりますが、これについても令和二年度までに完了させる予定でございます。

 さらに、液状化のハザードマップにつきましても、同じく令和二年度末までに全国を対象に公表する旨検討してございます。

 これらと並行しまして、現実に、既に擁壁にひび割れが起こっているというような危険な盛土につきましては、現在も市町村が行う対策工事に支援を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地方公共団体をしっかりと支援して、宅地の安全性確保に努めてまいりたいと存じます。

繁本分科員 取組状況の御説明、ありがとうございました。

 約三万件についてマッピングが終わろうとしている、液状化についてはこれからだというお話でありますが。

 この相当な件数の宅地全てについて、市町村は、現地踏査と優先度をつけるための調査を行って、その次の段階として安全性を評価するための詳細な調査ということになってくるわけでありますが、これを計画的にしっかりと行っていく必要があると思います。

 そして、本当に必要な部分については、今御説明あったとおり対策工事をやっていくということでありますけれども、この一連の現地踏査、そして簡易な地盤調査も含めて調査を進めていくに当たって、今、私、優先順位をつけるというふうに申し上げたんですが、例えば、繁本さんのお宅は、あるいは繁本さんの家がある大規模造成地については、これは優先度Aランクだ、あるいはBランクだ、Cランクだというふうに優先順位がつけられると思うんですが、例えば、我が家がある盛土がAかBかCかとわかるだけでも、相当国民に対しては安心感をお届けすることができるし、あるいは、優先度が高ければ何らかの備えをしなければならないんだなという心構えにもなってくるかと思うんですよ。

 市町村の事業として、これから優先度調査を詳細に計画的にやっていくわけでありますが、市町村と地域とがこの調査を進めていくに当たって、優先度を見える化するだけでも十分今申し上げた効果があると思いますので、この点のコミュニケーションをしっかり図っていただくように御指導していただきたいと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、宅地耐震化につきましては、個人の宅地における地盤調査等をするということでございますので、住民の方々の御協力、御理解が大変必要でございます。

 このため、住民の方々に不安や誤解を与えないよう、マップの意味、地盤調査の計画、実施状況、それから予定、経過、調査結果とか、こういった情報を丁寧に提供していくことが大変必要だと考えてございます。

 国といたしましても、これまでも、平成二十七年五月に大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドラインというものをまとめまして、住民への理解と協力を得ながら進めるために、今申し上げた事項につきまして、事業の各段階、すなわちマップの公表、地盤調査の計画作成する段階、また地盤調査、また調査結果の終了時点、それぞれの段階でわかりやすく住民に説明することを定めてございます。

 今後、委員御指摘のとおり、だんだんと段階が、安全性の把握調査が本格的に進む段階になってございますので、再度、地方公共団体にこのガイドラインを周知するとともに、住民の方々について、情報の内容、情報提供の方法等について、事例等を交えたきめ細やかな周知をしていくということを行ってまいりたいと考えてございます。

 引き続き、住民の協力を得ながら大規模盛土造成地の安全性把握に努めてまいります。よろしくお願いします。

繁本分科員 ガイドラインもつくっていただいて、それに沿って市町村がコミュニケーションを図っていくわけでありますが、当然、優先順位がついたら、危険な判定がつきそうな土地については、価格もこれは影響してきますから、市町村によっては、一般論で申し上げますが、これは余り公表したがらないということも考えられるわけでありまして、上手に丁寧な説明をするとともに、そういった影響も踏まえながら前に進めていただきたい。

 そして、もう一つ私がきょう言いたいのは、実は、災害を想定した、官民問わず、アセットマネジメントというものは我が国でやったためしがありません。去年の一月に、京都大学の前土木学会の会長であります小林潔司先生とも正月一番でこの話をしたわけでありますけれども、ようやく平時における公共のアセットマネジメントも定着し、民間もこれに取り組んできたところでありますが、災害を想定して、自然災害に対する脆弱性を見た上でのアセットマネジメントというのは、これは誰もやったことがないんですよ、実は。

 国土交通省は、実はすごく先駆けた国民の安全、安心のためのすばらしい政策をやってもらっているわけでありまして、ぜひ、時間がかかり、手間暇もかかりますが、丁寧にやっていただきたいと思います。また、液状化はこれからが本格化ですよね、令和二年度に全部調査が終わりますから、これも着実に進めていただきたいと思います。

 さて、次に移ります。

 これもまた災害に関係してくるんですが、空き家の問題であります。

 空き家特措法ができてちょうど見直しの五年がたとうとしているんですが、ここできょう御紹介したいのは京都特有の問題でありまして、いわゆる長屋であったり共同住宅なんですよね。政府はもう既に御承知のとおりでありますが、長屋の一部あるいは共同住宅の一部が空き家になってしまった。

 実は、私の選挙区でも先日ありました。誰が住んでいるかわからない、市役所に言っても警察に言っても、住民を調べて話をさせてほしいというその空き家の隣人からの切なる相談を受けて、私も手を尽くしたんですが、なかなか見つからない。やっと見つかったんですけれどもね。そういった状況になった場合に、ネズミは出るわツタは絡むわ、建築物としての安全性はどうだこうだということですが、今回、空き家特措法、これは長屋の一部は対象になっていないんですよね。そういったことで非常に問題になっております。

 京都では通報されたもののうち約三割が空き家というふうに報告もされていますし、京都市は京都市で、条例をつくって指導をしっかりやっていく、そして来年度からは、固定資産税等の減額をするかしないかという住宅特例の制度をうまく活用して、これを更に前に進めようとしているわけでありますが、やはり特措法の対象になっていないということで、その取組には限度があります。法律で定めることのできる過料の量と条例で定めることのできる過料の量は違いがありますから、なかなかこういった制度を使っても強力に空き家対策が進まないという、実際、自治体の御苦労も聞いているところであります。私としては、ちょうど五年で見直しの時期が来ているわけでありますから、長屋であったり共同住宅の一部であっても特措法の対象にしてほしいという思いがあります。

 さて、ちょうど五年たったので、ここで一旦、空き家特措法の成果そして課題についてお聞かせいただきたいと思います。

眞鍋政府参考人 空き家特措法の成果と課題について御質問いただきました。

 御指摘いただいたように、ことしの五月でちょうど全面施行から五年の節目を迎えます空き家特措法でございますけれども、昨年の三月末時点までの成果を申し上げますと、空家等対策計画をまとめている市区町村が全市区町村の六割となる千五十一に及んでおります。また、周辺に悪影響を及ぼす空き家等、これは特定空き家等というふうに定義しておりますが、それに対する市区町村の措置といたしまして、助言指導をしたものが一万六千件、勧告が九百二十二件、命令が百十一件、代執行が百六十五件となってございます。

 また、空き家対策に取り組む地方公共団体等によりまして、情報の共有や協議、検討を行う推進協議会というものが組織されておりまして、既に四十七都道府県と千十二の市区町村が御参加いただき、ここで空き家対策のノウハウや課題の収集あるいは共有化というものを図っております。

 この協議会の中で、あるいは個々の市区町村から、私どもはいろいろな形で空き家対策をする上での課題を聞き取りをしておりますが、今御指摘いただいたような、一部が空き家になった長屋や共同住宅への対応、それから代執行の事務のノウハウの不足や費用回収の困難さ、職員のマンパワー不足、あるいは特定空き家等になる前の段階で何か手が打てないかというような課題が全国的な規模であるということを把握してございます。

 私ども国土交通省では、補助金の活用によりまして、必ずしも空き家特措法の対象にはならない長屋や共同住宅の一部が空き家になっているものについて、その解体をしたり用途変更をしたりというような、そういう工事費についての費用の支援をしておりますし、また、法律、建築、不動産の専門家を活用した先導的な相談業務、そうしたものへの支援もしているところでございます。

 今御指摘いただいたように、ことし五月に施行後五年の節目を迎える空き家特措法でございますが、この法律の附則の規定に基づいて、法律の施行の状況を勘案し、必要があるときは法律の規定について検討を行うというふうにされてございますので、今後とも、全国協議会あるいは市区町村を通じて地域の課題をよく把握いたしまして、検討を進めてまいりたいと考えてございます。

繁本分科員 御答弁ありがとうございました。

 きょうは、政府のこの空き家特措法が五年たった今の成果と課題を聞かせてもらったんですけれども、これはもともと議員立法でつくった法律でありますから、政府は着実に今取組を進めていただいているようでありますが、この見直しに当たっては、我々議員立法した立法府においてもその責任があると思いますので、その議員の一員として私も頑張ってまいりたいと思いますので、御指導よろしくお願い申し上げます。

 さて、バリアフリーについてであります。

 私の選挙区の京都市東山区でありますが、東福寺地区という地区があって、京阪の鳥羽街道駅があるんですね。ここで、地域の住民や、あるいは京都市、京阪電鉄、その他の関係機関が共同して、バリアフリー移動等円滑化基本構想という地域の夢を昨年つくりまして、この構想に基づいてそれぞれ役割を果たしております。

 市は、今、このバリアフリーの構想に基づいて、東福寺地区の道路の整備をしっかりやっているところでありますし、これによって全ての人にとって移動しやすいまちづくりをやりたいということで、病院やあるいは老人福祉施設、郵便局、神社仏閣、教育関係機関あるいは駅、さまざま、相互に移動しやすい環境づくりに頑張っているところなんですね。ハードの整備のみならず、心のバリアフリーであるとかあるいは情報のバリアフリーということで、重層的にバリアフリーを、東福寺、月輪学区という学区がありますが、ここを挙げて今取り組んでいるところであります。

 道路については、計画は四路線あるんですが、もう三つ終わって、あと最後の一路線という段階に入ってきていますし、あと期待をしているのは京阪の鳥羽街道駅のバリアフリーだけなんです。実は去年、予算要求を上げたんですが、予算がつかなかったんですね。何としても来年度の予算においてはつけてほしいんですが、国交省の御見解をお聞かせください。お願いします。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、鉄道駅のバリアフリー化については大変重要な課題であると認識しておりまして、バリアフリー法の基本方針及び交通政策基本計画において、二〇二〇年度までに、一日当たりの利用者数が三千人以上の駅について、原則全てバリアフリー化を達成する目標が定められておるところでございます。二〇一八年度末時点の達成状況は約九〇%となっているところでございます。

 御指摘の鳥羽街道駅でございますが、二〇一八年度の実績では一日当たりの利用者数が三千百五人ということでございまして、鉄道事業者から、スロープと多機能トイレの整備によるバリアフリー化に向けて、来年度予算の補助要望をいただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、委員の御指摘も踏まえまして、バリアフリー化の目標達成に向け、予算の範囲内で可能な限り必要な対応ができるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

繁本分科員 ありがとうございました。府市協調と国が連携して進めておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、時間が迫ってまいりましたが、雨庭について質問したいと思います。

 実は、昨年の臨時国会、衆議院の環境委員会で、秋本先生にもお世話になりましたが、水循環を健全なものとして取り戻していこう、あるいは雨水浸水対策を一段前に進めようということで、大きな公共工事でつくるダムに加えて、市民運動としてできる雨庭、レインガーデンというものについて御紹介をさせていただきました。

 雨庭は、小規模ながら、道路、公園あるいは神社仏閣、農地、森林、学校、集合マンション、いろいろなところでつくっていくことができて、国民運動として展開していただきたいという強い思いのもとに、省庁の中に連絡会議をつくって、雨庭の機能とはどういうものかとか、あるいは、どうやったら技術的な課題を乗り越えながら進めることができるか検討してほしいということをお願い申し上げましたが、現在の政府の取組状況について、御説明をお願い申し上げます。

溝口政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動の影響などによって水災害が頻発化、激甚化するとともに、危機的な渇水リスクの高まりが懸念される中で、健全な水循環の維持、回復や災害リスクの軽減などのため、流域で雨水を貯留させたり浸透させたりする取組、こういったことを推進することは、政府としても重要であると考えてございます。

 委員御指摘の、雨庭を含みます雨水を貯留浸透させる施設は、公共、民間を問わず、また、さまざまな施設や場所に設置できる可能性がありますことから、多岐にわたる関係者で情報を共有した上で取組を推進することが必要であると考えてございます。

 このため、雨水を貯留浸透させる取組に関しまして、取組事例、支援制度、課題や普及啓発方策などについて、関係省庁が情報共有や意見交換を行い、取組の促進を図ることを目的といたしまして、内閣官房水循環政策本部事務局が事務局を務める関係省庁による連絡会を本年一月に設置したところでございます。

 第一回目の連絡会では、関係省庁の取組事例を共有したところでありまして、今後とも、関係省庁間で連絡調整を行いながら、雨水を貯留浸透させる取組を促進したいと考えてございます。

繁本分科員 ありがとうございました。

 令和二年度においては、東山区の六原、中京区の堀川高校前、右京区の西大路四条の三カ所において市も計画しておるところでありますので、社会資本整備交付金を活用しての御支援、よろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて繁本護君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 古川康でございます。

 災害に関すること、地域における事業に関すること、大きくこの二つの点についてお尋ねをさせていただきます。

 まず、一点目であります。災害時における公共工事の発注に関するお尋ねであります。

 佐賀県は、おととし、そして昨年と、豪雨を始めとする災害に見舞われました。この災害からの復旧事業が国土交通省御当局の御配慮によって着実に予算化され、進められてきているところでございまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 一方で、地元でお話をお伺いしますと、住民の方々が一日も早い復旧を心待ちにしておられるにもかかわらず、いわゆる不調、不落というものが多く、なかなか復旧や復興が進んでいないという声を耳にするところでございます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 災害復旧事業に関して不調、不落のケースが発生しているということについて、国そして地方公共団体における状況を国土交通省としてどのように認識をしていらっしゃいますでしょうか。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、災害発生後は、通常工事に加えまして災害復旧工事が必要となり、工事量の増加に伴う労働力や資機材の需給の逼迫などによりまして不調、不落が発生しやすくなる傾向があると考えております。

 このことが原因とは必ずしも言い切れませんが、例えば、委員御指摘の佐賀県におきましては、昨年八月豪雨などの災害が発生しておりまして、不調、不落の発生率を見ますと、国土交通省直轄工事におきましては、本年度四月から十二月で約一三%、前年同期比約二%の増加となっております。

 また、佐賀県の発注工事におきましては、同時期で約二〇%、前年同期比約八%の増加となっているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 国発注工事で二%の増、佐賀県発注工事で八%、パーセントというのはポイントということかと思いますが、こうした増加が見られるということでございました。

 肌感覚からすると、余り被害の多くなかった地域における土木事務所における発注はさほど違いがないにしても、非常に被害の多かったところでは、もっと不調、不落が実際には出ているというような印象を受けております。

 国と佐賀県発注の工事を比べますと、さらには、これに市町の発注というものを比較すると、恐らくでありますけれども、国の方が低く、県の方が高く、さらには、ひょっとすると市町の不調、不落の率はもっと高くなっているのかもしれません。

 国は余り不調、不落が出ていないわけでありますが、国はどのような工夫をして、この不調や不落が発生しないように凝らされているのでありましょうか。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省直轄工事におきましては、災害発生直後に行う応急復旧工事におきまして、概算数量による発注や随意契約の締結などにより、迅速、円滑な対応を行っているところでございます。

 また、応急復旧後の本格的な復旧工事におきましても、見積り徴収などによる適切な予定価格の設定、遠隔地からの労働者確保に要する交通費等の計上、現場の技術者を幅広く活用するための技術者の実績要件の緩和など、多岐にわたる施策を講じているところでございます。

 直轄工事において従来から実施してきたこれらの措置につきましては、昨年六月に成立いたしました改正公共工事品質確保法及び同法に基づき策定された発注関係事務の運用に関する指針におきまして位置づけられたところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、改正品確法などの趣旨を踏まえまして、さまざまな施策を実施してまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 この応急復旧工事、さらにはその後の本格的な復旧工事に関しても、それぞれ、さまざまな工夫が凝らされているということがわかりました。

 それで、思いますのは、このように今、国が直轄工事において取り組まれているようなさまざまな工夫や制度、見積りの徴取とか、そういった現場での対応、こうしたものが地方公共団体の現場では国ほど使われていないのではないかと考えるわけであります。

 せっかく、品確法の改正やそれに基づく指針によって、災害時においてはとにかく仕事をきちんとしていただけるように、そして、赤字でやるというのじゃなくて、それなりにきちんと収益が得られるような格好での制度をつくっていただいているにもかかわらず、それが知られていない、使われていないというのであれば、幾ら我々が、やっています、やりましたといっても、なかなか実感が湧いてこない。

 地方公共団体の現場でこうしたさまざまな取組を普及させるために、どのような工夫を凝らしていただけるんでしょうか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、災害の復旧復興工事につきましては、さらなる被害拡大の防止でありますとか、あるいは一日も早い生活再建のためということで、早急に着手して、そして円滑に執行していく、これが大変重要なのでございますが、お話ございましたように、市町村を含めまして地方公共団体には、マンパワーの問題、あるいは、やや経験が不足している、こういった課題もあろうかと存じております。こういったことも踏まえまして、国と地方公共団体が一体として取組を進める、これが大変重要になってまいります。

 そこで、改正品確法に基づく基本方針、これを昨年十月に改正をいたしました。また、地方公共団体も含めた発注者の共通のルールといたしまして、運用指針も一月末に改正をいたしまして、例えば、緊急性に応じまして随意契約を活用することでございますとか、あるいは見積りを積極的に活用していくといった災害時の対応、こういったことを内容として充実させたところでございます。

 また、こういった内容につきまして、入札契約適正化法に基づきまして、総務省と連名で地方公共団体に対しまして要請を行いますとともに、現場で近いところということで、改正品確法の説明会、あるいは地域ブロックごとの担当者の会議でございますとか、あるいは全ての地方公共団体が参画をされます地域発注者協議会などの場を通じて直接の働きかけをいたしましたり、あるいは相談、あるいは助言といった対応もさせていただいているところであります。

 また、昨年の一連の豪雨災害を受けまして、円滑な入札契約手続等について通知をいたしました。これは、発注者である地方公共団体はもちろんなんですが、現場でやりとりをする事業者団体の方にも通知をさせていただく、こういった工夫も凝らしたところです。

 また、先般、補正予算が成立いたしましたときに、円滑な施工確保について改めて通知をさせていただくなど、さまざまな場面で工夫を凝らしながら周知徹底を図っているところでございます。

 今後の事業執行の状況は、これを私ども注視をしながら、地方公共団体が、今申し上げましたようないろいろな取組を実施する上での課題の把握に努めまして、適切に対応してまいりたいと存じております。

 以上でございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 地方公共団体の現場にさまざまな機会をつくって、浸透させるべく御努力をしていただいている、そういう様子が伝わってまいりました。地方公共団体の現場におりますと、いわゆる土木の公共工事の部局、それと実際に予算を組んでいく財務関係当局、この二つに、しっかり両方とも情報が伝わるようにしていかなければならないということを感じております。

 こうしたことについてもお取組をいただいているようでありますけれども、さらなる工夫をお願いいたしまして、せっかくつくっている制度でありますから、それを事業者の方、関係の業者の方々が実感していただけるようなお取組を引き続きお願い申し上げたいと思います。

 さて、次が、地域における事業の令和二年度に向けての動きについてでございます。

 まず一点目が、激特一年目の六角川緊急治水対策プロジェクトについてでございます。

 昨年の佐賀豪雨、三十年ぶりの大きな被害をもたらしました。二度と同じ災害を繰り返さないという強い決意のもとに、激特に指定をしていただきました。本当にありがとうございます。四百十八億円という巨費を投じていただき、安心して暮らすことができる地域にしていく。関係地域の住民の皆様方も本当に期待をしておられるところでございます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 まず、この六角川プロジェクトについて、全体としてどのようなことを実現しようとされているのでありましょうか。また、一年目の令和元年度、どのようなことに取り組んでおられるのでありましょうか。現場に入っていただき、つぶさに実情を知っていただき、今回の指定にも本当に御尽力をいただきました佐々木政務官からお願いいたします。

佐々木(紀)大臣政務官 古川委員には、発災以来、この六角川の復旧復興に精力的にお取組いただいておりますことを改めて敬意を表したいというふうに思いますし、国会でも幾度と質問もいただいております。また私も、昨年十月二十八日、現地を視察してまいりまして、改めてその被害の大きさを実感させていただいたところでもございます。被災された方々に改めてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 この六角川の洪水被害に対しては、国、佐賀県、関係市町村が連携して、ハード、ソフト一体となった総合対策を講じなければいけないということで、六角川水系防災・減災協議会を組織いたしまして、昨年十二月二十日に六角川水系緊急治水対策プロジェクトを取りまとめたわけでございます。

 そのプロジェクトの内容でございますけれども、大きく言うと三つに分けられておりまして、一つは河川における対策、二つ目は流域に対する対策、そして三つ目がまちづくり、ソフト施策ということで、おおむね五年間で、逃げおくれゼロ、社会経済被害の最小化を目指して取り組んでいこうということでございます。

 特に、河川における対策については四百十八億円の予算ということで取り組んでいくわけでございますけれども、今年度は事業費約四十三億円を計上しておりまして、小城市等において河道掘削に着手するとともに、遊水地整備の着手に向けた調査設計や地元説明会を開催しているところでもございます。

 今後とも、県、市町等と連携して、令和六年度の完了に向け、強力に対策を推進してまいりたいと思います。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 本当に関係住民、いろいろ難しい点もございますが、しっかりそれを乗り越えて、これだけの期待に応えてまいりたいと強く願うところでございます。ありがとうございます。

 小城市に砥川地区という地区があります。ここも以前から、豪雨のたびに浸水をする地区でございました。そして、今回の災害を契機に、この砥川地区の内水解析の実施と内水対策の推進を求められています。

 具体的に何をするというよりは、一体、なぜ雨が降るたびにここがつかってしまうのか、その分析なしには効果的な対策が講じられないだろうということで、果たして河道掘削が必要なのか、それともポンプの能力の話なのか、こうしたところについてもぜひ国の力で解析をしていただきたいと強く訴えられているところでありますが、これについてはいかがお考えでありましょうか。

佐々木(紀)大臣政務官 ありがとうございます。

 砥川地区の浸水について、被害の解消に向けた技術的支援を行っていくところでもございます。

 簡単に申し上げますと、内水被害のその水がどこから出てきているのか、どうやって解析するかということだと思いますけれども、現在、国、武雄河川事務所において地形や排水系統の調査、解析を進めておりまして、それらの検討結果につきまして、まずは六角川水系防災・減災協議会を通じて、佐賀県や小城市と情報共有をさせていただく所存でございます。

 引き続き、この地区の内水対策について、関係者と協議しながら、技術的な協力などを行ってまいりたいと存じております。

古川(康)分科員 政務官、ありがとうございました。ぜひこのことを地元にもお伝えしたいと思います。大変喜んでいただけると思います。

 もう一つ、この小城市から要望が出ておりましたのが、整備局、事務所、出張所の体制強化であります。

 国交省の発足以来、削減と縮小が相次いでおりました地域における拠点、今回、ようやく定員増が認められたと伺っているところでございますが、全国の地方整備局の定員の充足状況はどのようになっておりますでしょうか。加えまして、地元九州においてはどのような強化を図っていただけるのでありましょうか。

佐々木(紀)大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 地方整備局員というのは、災害時においてはTEC―FORCEとして全国各地の被災地に派遣をされるというわけでございまして、この地方整備局員の定員の増強というのは、災害時においては大変重要になってまいります。

 ただ、そうはいうものの、やはり予算的な状況もございますので、来年度の予算案においては、地方整備局員の定員については、五百三人の合理化減に対して六百四人の増員をお願いしておりまして、発足以来、対前年比百一人の純増となります。

 これらの増員は、大規模自然災害への対応や防災・減災、国土強靱化、これを支える建設産業施策の重要性、品確法の改正等に対応するということもございますので、を踏まえた措置となっております。

 そこで、九州地方整備局についてでございますけれども、昨年八月の豪雨災害等々を踏まえて、人員体制を強化していかなければいけないというふうに考えております。

 ただ、百一人の純増ということでございますけれども、全国には地方事務所が約二百二十ございますので、そこを適正化していかなければいけないということで、適正配分していかなきゃいけないということでございますが、九州は、今ほどの佐賀県の対応もございます。佐賀県内には城原川ダムもございますので、しっかりと対策をしていかなきゃいけないということでございますので、減ることはございません。歯どめがかかったということでございますので、しっかり強化をしていきたいというふうに思います。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 本当に災害のとき、また、災害にかかわらず平時からも、地域における存在として、河川事務所を始めとして国交省の現地の機関の皆様方には本当にいろんな形でお世話になっているところでございます。ぜひとも、佐賀県の足元においてもしっかり強化をしていただくよう心からお願い申し上げまして、この部分の質問の終わりとさせていただきます。

 続きまして、嬉野市の道の駅と歩道の整備についてであります。

 嬉野市は、令和四年度の新幹線の暫定開業により、新駅が開業をいたします。これにより、もともと観光地でありますが、ますます多くの方々が御訪問いただけるようになるだろうと思っておりまして、この機会を生かすべく、物産、観光の拠点を整備していく必要がある、このように地元も考えますし、私も思っているところでございます。

 そのためには、前々から要望のあります、この新しい嬉野温泉駅前にぜひ道の駅を整備していただいて、遠くから来られるお客様に対して、新幹線と道路の両方を使って移動する、あるいは滞在を楽しんでいただく、このようにすることができるようにしなければならないと考えるところでございます。

 そして、あわせて、その駅の近くに今寺地区という地区がございまして、そこの歩道について未整備の部分があります。これを安全性の確保のために整備していくことが必要であると考えます。

 道の駅、そして今寺地区の歩道の整備についてのお考えをお聞かせください。

池田政府参考人 ただいま委員よりお話ありました道の駅の構想は、新幹線の新駅と相まって、道路利用者と新幹線の利用者の両方の利便性の向上につながるとともに、地域の活性化にもつながる計画と考えております。

 現在、国土交通省では、嬉野市とともに、具体的な施設の規模や配置などを取りまとめているところでございまして、事業着手に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 また、歩道が未整備の今寺地区のお話がございました。新幹線新駅の開業後は当該区間を利用する歩行者などの増加が見込まれることから、現在、歩道設置に向けて検討を進めているところでございます。

 引き続き、嬉野温泉駅、新幹線新駅の周辺のまちづくりの推進に資するよう、嬉野市とともに、早期整備に向けて検討してまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ地域の声が伝わることを期待したいと思います。ありがとうございます。

 それでは、もうちょっと、時間の関係でスピードアップさせていただきます。

 次に、唐津市の呼子先方地区の事業についてでございます。

 呼子は、昨年、みなとオアシスにも選定された地域でありまして、イカが有名であります。その観光客の増加にインフラ整備が追いつかない状況となっております。既存の陸地だけでは駐車場を整備することが望めませんし、地元から、前々からでありますけれども、この地区の駐車場にも使用できるオープンスペースの整備について要望が出てきているところであります。佐賀県当局としても、ぜひという思いで国に対して要望を重ねているところでございますが、いかがでありましょうか。

 続きまして、有明海沿岸道路についてもお尋ねをいたします。

 芦刈南―福富間について、令和二年度、どのような進捗を予定しているのか。さらには、環有明海経済圏の発展のためには有明海沿岸道路の諫早までの延伸ということを地元から強く要望されているところでございますが、いかがでありましょうか。

 それと、道路の関係、最後でありますが、西九州自動車道路について、伊万里道路の令和二年度における見通しはいかがでありましょうか。あわせて、伊万里松浦道路の伊万里市内区間の令和二年度における事業の見通しをお願いいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 呼子港は、みなとオアシスよぶことして登録され、年間延べ約百五十万人の観光客が訪れる観光拠点として、さらには、周辺四つの離島への定期航路が就航する交通結節点として重要な機能を果たしていると認識しております。

 現在、呼子港は、離島定期船の船着場と朝市通りが近接しており、特に、朝の通勤通学時と呼子朝市の開催時間が重なる午前八時前後に交通渋滞が著しいこと及びオープンスペースが狭隘であることが課題となっていると伺っております。

 そのため、地元では、呼子港先方地区において、離島定期船の船着場を移転、集約するための浮き桟橋の整備と、新たに各種イベントや駐車場にも活用できる緑地の整備に係る期待が高まっていると聞いております。

 国土交通省としても、地域のニーズに対応できるよう、関係機関と連携しつつ、所要の取組を加速してまいります。

池田政府参考人 有明海沿岸道路の御質問がございました。

 有明海沿岸道路の芦刈南から福富間については、佐賀県が事業を実施し、国交省が補助事業により財政的な支援をしております。令和二年度は、盛り土や橋梁上部工の工事などを推進する予定でございます。

 また、有明海沿岸道路、これまでの整備により、熊本県から佐賀県までの連携が強化され、企業立地なども進んでおると認識しております。今お話がありました、これを諫早まで延伸することは、熊本から長崎までの人や物の交流につながると考えております。

 現在、沿線市町の鹿島市、太良町、諫早市におきまして、地域課題やネットワークの必要性について検討しております。国交省もこれに参加をしまして、これを通じて必要な支援をしてまいりたいと考えております。

 続きまして、西九州自動車道の伊万里道路、伊万里松浦道路の御質問がございました。

 西九州自動車道は、全体百五十キロのうち、現在、百十五キロが開通しております。御質問ありました伊万里道路は未開通区間の一部でございますけれども、全体六・六キロの中で、伊万里東府招インターチェンジから伊万里中インターチェンジの四・二キロの間につきまして、令和二年度は用地買収と改良工事を予定しております。また、伊万里中インターから伊万里西インターの延長二・四キロの区間は、用地買収を予定しております。

 続きまして、伊万里松浦道路、延長は十七・二キロでございますが、伊万里市内の区間につきましては、伊万里西インターから山代久原インターの延長約六・九キロの区間につきまして、今年度、楠久地区の用地買収に着手をしたところであり、令和二年度も引き続き用地買収を予定しております。引き続き、早期完成に向け、事業を推進してまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 いずれも、地域からの要望の極めて高く、また、費用対効果がしっかりと発現できるものかと考えております。よろしくお願いをいたします。

 最後の質問です。

 新型コロナウイルスによる観光業及び運輸業など関連産業への影響についてであります。

 ずっと、これは地域を回っておりますと、最近、ホテル、旅館では七割、八割予約が減った、こうしたことも出てきております。それは、中国からのお客様が減ったということだけではなく、国内旅行もやはり手控える動きが出てきている。不要不急のイベントについてはしないようにというような方向が出てきている場合、旅行というのは一般的には不要不急というものに分類されがちであります。

 そういう中、政府としてもさまざまな関連対策をしていただいているんですけれども、雇用調整助成金について、これは中国からの観光客の比率が高ければ支援策の対象になりますよということが表明されておりますけれども、それだけでは不十分なのではないかと考えるところでございます。

 我が国は既に観光大国であります。観光関連の消費額は二十六兆円、GDPの約五%を占めるに至っておりまして、しかも大事なことでありますけれども、地方にも非常に大きな影響がある、そういうふうな産業に至っております。

 雇用調整助成金の対象を広げて、我が国経済をしっかり支える中小企業をサポートしていくことが必要であると考えますが、いかがでありましょうか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整金につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、日中間の人の往来が急減したことに伴い、観光産業を中心に事業活動が急激に縮小し、雇用に悪影響を及ぼす事業所が多数生じることが見込まれましたことから、観光産業を中心に一定の要件を満たす事業主を対象に、二月十四日付で、支給要件の緩和等を行ったところでございます。

 一方で、御指摘のように、日本人観光客の減少も見られるなど、さまざまな形で雇用への影響が懸念されるところでございます。このため、こうした雇用への影響を十分注視いたしまして、特例措置の対象となる事業主につきまして、弾力的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 検討していただけるということでございました。もちろん、新型コロナウイルスによる感染症については、広がらないのが一番でありますけれども、こうして影響が出てくる中小企業に対する対策については、しっかり、抜かりなく、そしてスピーディーに行っていただきたいと願って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原分科員 おはようございます。立国社会派の前原でございます。

 まずは、新型コロナウイルス感染拡大に伴います航空産業、観光産業、運輸業に対する経済対策について伺いたいというふうに思っております。

 まず、観光についてでございますが、私も選挙区が京都でございまして、外国人観光客のみならず、今は国内観光も手控えるという状況にございまして、ホテル、旅館、民宿等ではキャンセルが相次ぐ、これは宿泊のみならず、宴会のキャンセルも相次いでいるという状況でございます。

 こういった状況をどのように大臣として捉えられて、どういう対策を打っておられるのか、また、今後の可能性についてもお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 今前原委員から御指摘がありましたように、今回の新型コロナウイルス感染症、観光業界を始め経済界全般に対して大変深刻な影響が出ておりますし、これからもちょっと深刻度を増すのではないかという、大変懸念をしております。

 御承知だと思いますが、中国が本年一月二十七日に団体旅行を禁止いたしました。一月の訪日外国人旅客数が総トータルでマイナスになるとともに、日中の航空便、実は八割減になっております。また、日本に寄港予定の外国船籍のクルーズもほぼツアーが中止となっております。また、日本人旅行者の旅行の手控えも、これは京都もそうでしょうし、私の地元の有馬、城崎といったところも同じような状況でございますし、ですから、宿泊関係のみならず、それに関連するバス事業者、タクシー事業者も大変厳しい経営状況となっております。

 こうしたことにつきまして、政府として、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策がまず取りまとめられたところでございますが、我々としては、現実に、目の前にあります資金繰りの支援、これはセーフティーネット貸付けですとか、雇用調整助成金の確保、雇用の確保、これは先ほど御質問がありましたように、中国旅行に関するところだけというのが今の指針でありますが、もう少し広げろというのは実は全国から出ておりますので、こうしたことも国交省としてもしっかりと取り組んでいかなければいけない。

 また、より現場の実態を把握するために、全国の運輸局の中に特別相談窓口を設置しておりまして、プッシュ型で現状の掌握をしているところでございまして、今申し上げたような実態もそうしたところから吸い上げているところでございます。

 こうしたことについて、今後、どうしたことが実際に効率的なのかということはしっかりと、少し見きわめながら、適切な対応をとらなければいけない、相当腹を決めてやらなければいけないと思っておりますし、まず何よりも大切なことは、今のこのコロナウイルスの件が拡大をしない、拡大防止をして、なるべく一日も早く終息宣言をして、しっかり国内外の皆さんにこの日本のすばらしさを堪能していただけるような環境をつくることが最大の支援策であるというふうに考えて、しっかり取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。

前原分科員 今大臣がお答えをいただきましたように、資金繰り、特に中国関連ということの前提がついておりますけれども。

 先ほど私がお話をしましたように、国内旅行でも影響が随分出ている状況でございまして、資金繰り、中国縛りのみならず、かなり根本的な対応策を打っていただかなければ、ばたばたとドミノ倒し的な倒産が起き得る、こういう状況だという認識の中で、もう一度、国内旅行も含めた対応策をやはりとるべきだということを大臣がお考えであれば、その御決意をお聞かせいただければと思います。

赤羽国務大臣 重ねての答弁になるかと思いますが、中国だけではないぐらい影響が広がっておりまして、やはり、人混みに行かないとか、こうした状況の中でなかなか旅行気分になれないといったことで、現実には相当いろいろな、観光地といいましても中小企業がほとんどでありますので、今、前原委員の御指摘もあったように、中国縛りではなくて、しっかり現場のニーズに応えられるような適切な対応をとろうと決意をしております。

前原分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 航空産業につきましても、少しお話を伺いたいというふうに思います。

 私もちょうど十年ほど前に国土交通大臣を一年間やらせていただきまして、日本航空の再生というものにかかわったわけでありますが、その前に、私が大臣になりましたのは二〇〇九年でございましたけれども、二〇〇三年のイラク戦争それからSARS、それから二〇〇八年のリーマン・ショック、それから新型インフルエンザ、こういったものも外形的にはかなり大きな要因になっていたことは間違いないというふうに思っております。

 もちろん、日本航空自体の問題と、そして日本の航空産業自体の問題と、さまざまな問題がありまして、さまざまな取組も、例えば空港政策も含めてやらせていただいたわけでございますが。そのときに取り組みました一つが航空機燃料税の減免ということでございました。公租公課と言われるものでございますけれども、これについては、引き下げようということで、本則がキロリットル当たり二万六千円というものを一万八千円に引き下げるということを始めました。

 ありがたいことに、ずっとこれは自民党政権、第二次安倍政権になってからも引き継いでいただいておりまして、延長延長という形で決めていただいておりまして、そしてさらなる二年間の延長ということも決めていただいているわけでございますが。

 この二年間の延長を決めていただいたことはありがたいことなんです。ありがたいことなんですけれども、それは新型コロナウイルスの問題が出る前に決めていただいたことでございまして、先ほど大臣がお答えになりましたように、中国便につきましては八割減、クルーズ船もほとんど来ないということ、まあ、クルーズ船は船でありますけれども、来ないという状況でございます。そしてまた、イスラエルとか他の国は日本への渡航については制限をするということでございます。また、アメリカもフィリピンも、不要不急の渡航、日本への渡航については制限する、こういった国がどんどん出始めておりまして、これはかなりの大打撃になるのではないかというふうに思っております。

 となれば、航空産業について、私は、航空機燃料税というものについてさらなる減免というものをお考えいただけないかということが、まず大臣に対しての質問でございまして、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 まず、前原さんが大臣当時に航空機燃料税の減免措置をとっていただいて、それが継続的に続いているということは、大変ありがたく思いますので、感謝申し上げたいと思います。

 今回、先ほど申し上げました日中路線だけでも八割も減少している。これは、一月前ぐらいまでですと六割減少と答弁しておったんですが、拡大しているということ。また、多くの国の中で、多くというか、今御指摘のあったような国から日本に対する渡航制限といったものが発出されていると。

 これは、政府として発出しているのはアメリカなんですが、それ以外のところは、政府自体ではないところもあるんですけれども、まず、その渡航制限につきましては風評被害的なところも若干ありますので、正式に政府がとっている施策をしっかりと発信していくということが一つだというふうに思っています。

 加えて、航空業界に対して私も大変心配をしておりまして、航空局とこのやりとりをしている中で、業界から要望はどうなんだということは、ちょっとヒアリングをしてもらっているようにしております。特にLCCなんかは相当打撃を受けているんじゃないかと思いますが、まあ幸いにというか、我が国のLCCは、JAL系、全日空系という、親会社、系列もしっかりしているということもあり、他国の、アジアの他の諸国のLCCよりはまだ現状は何とかなっている。

 加えて、航空業界から特別に、今回、航空機燃料税のさらなる減免といったようなことも含めて、まだそうした要望が出ていないのが現状でございますが、前原委員の御指摘でもございますので、この航空業界、厳しくなるのは見通せるわけでございますので、しっかりとその点、関心を持って、しっかり業界でもヒアリングを行っていきたい、適切な措置をとっていきたいと思っております。

前原分科員 赤羽大臣、これはまだ正式な業界からの要望が出ていないということでありましたけれども、業界の中において、まあ業界といっても二つしか大きなところはございませんし、先ほど大臣が御答弁されたように、LCCは大体二社の系列のものが、特に全日空が多いわけでございますので、そういう意味では、私がお話をしていることについては日本の航空産業からの切実な要望であるということで、もちろんお話が行くと思いますが、ぜひ真剣にお考えをいただきたい。

 航空機燃料税の減免、減免の場合は、これは一時的な措置になろうかと思いますが、航空機燃料税というのは暫定措置で下がっているわけでありますが、例えばこれを恒久化するということになると、将来的に見通しが立つわけですね。例えばそういうことも含めて、ぜひ、航空業界からの切実な要望であり、一時的な減免あるいは恒久的な措置に移行するということもお考えをいただきたいと思いますが、改めての御答弁をお願いいたします。

赤羽国務大臣 失礼しました、前原さんも航空業界からヒアリングを受けての御質問だと思いますので、私自身もしっかりと直接確認をしながら、適切に対応していきたいと思っております。

前原分科員 藤川財務副大臣もお越しいただきましたが、藤川財務副大臣におかれましても、ぜひ国交省からお話があったときには対応していただきたいと思いますが、いかがでございますか。

藤川副大臣 御指摘の件につきましては、しっかり財務省の方に持ち帰り、協議をさせていただきたいと思います。

前原分科員 よろしくお願いいたします。

 あと、航空関係について、もう一つだけでありますが、運休になっている便がございますよね。この運休になっている便の発着枠の保全というものもかなり航空業界は心配をされております。スロットですね。これについてはしっかりと、これは新型コロナウイルス、そういった感染症の広がりでありますので、運休しているものについても発着枠について保全をするということもしっかりと、赤羽大臣から御答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 このウイルス、長引かせないようにしていきたいと思っているのが我々政府の決意でございますので、そうしたことで、これは、暫定的なものであれば、その発着枠についても維持されるべきだというふうに思っております。

前原分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと私の選挙区の個別の道路の問題ついてお話をさせていただきたいというふうに思います。事務方の方で結構でございますので。

 私の選挙区、京都市左京区に花脊峠という峠がございますけれども、ここにトンネルをつくってほしいということで地域から要望が出ておりまして、京都市議会におきましては請願が全会一致で採択をされているということでございます。

 まず、この花脊峠の一日の平均の交通量を京都市からヒアリングをいただいていると思いますので、お答えをいただければと思います。事務方で結構でございます。

赤羽国務大臣 前原先生の許可を得ていないので、私からになりますけれども。

 ちょっと調べたところ、この補助国道四七七号の花脊峠というのは、実質、管理は京都市がされておりますが、今御質問の交通量の調査、これは平成二十七年のものしかないんですが、一日の交通量は六百十八台であります。

前原分科員 かなり少ないわけでございますけれども。

 京都市がこれはやるかやらないかということを一義的に決めるということなんですが、国が支援をする、補助をするということになろうかと思いますけれども、このBバイCというものを考えた場合に、国としてはどういう基準を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 このBバイCの件につきましても、計画が具体化されていない段階だとなかなか算出は困難でございます。

 御説明を事前にしていると思いますが、一般的に、直轄国道において、二車線の山岳トンネルの場合、一キロ当たり四十億円と、結構費用がかかるというふうに考えております。

 BバイCと利用交通量につきまして、これはトンネルの長さですとかルートなど、計画的に具体化されない限り算出するということはなかなかお答えしにくいということでございますが、道路の関係につきましては、この花脊峠の場合は、京都市から要望がどうかということを精査しながら、その地元の要望に基づいて、国としてできることを対応していきたい、これが原則だと思っております。

前原分科員 交通量からするとなかなか厳しいものでありますが、今大臣からは、京都市から要望があれば国として検討する、こういうお答えだったと思いますので、その際にはしっかりと御対応いただければと思っております。

 それでは、次に、外国人の土地取得に対する規制について質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、法務副大臣にお越しをいただいておると思いますけれども、現状、外国人の土地取得規制については外国人土地法というものが大正十四年に決められたものとしてあるということを説明を受けております。これは法務省からいただいた資料を資料の一として皆様方にもお配りをさせていただいているところでございますが。このいただいた資料においては、政令に委ねられているということでございますけれども、問題点というのは、大日本帝国憲法下における陸海軍の軍事活動を前提としたものであり、その趣旨自体が現行憲法に合致しないおそれがある。

 それから、もう一つは、制限の対象となる権利、制限の態様、制限違反があった場合の措置等について具体的に規定せず、政令に白紙的、包括的に委任をしている。これは、権利を制限し義務を課すことは国会の立法によって行うという憲法の原則に抵触するおそれがあるということでありまして、一言、この外国人土地法というものは使えない、新たな政令というものもつくることは難しいということだと認識をしておりますが、いかがでしょうか。

義家副大臣 委員御指摘のとおりでございます。

前原分科員 今義家副大臣がお答えをいただきましたように、外国人土地法というのは使えないということでございます。

 そして、新たに検討を加えなくてはいけないのは、憲法上どうなのかということでございます。それが、資料でお配りをしている下の方に書かれているわけであります。

 「民法は、所有者は、法令の制限の範囲内で、所有物の使用、収益及び処分をすることができる旨を規定」、「法令により土地の利用行為や処分行為について一定程度制限することは可能」であると。「もっとも、」と書いておりますが、「土地の所有権も財産権(憲法第二十九条)に当たるため、憲法との関係が問題」、「検討に当たっては、以下の検討が必要」と。一つは「実態を踏まえた規制目的の正当性」、二つ目は「規制目的に照らして規制手段が必要かつ合理的であること」という二つであります。ということは、「個別の行政目的に応じて、いかなる法整備が必要であり、かつ合理的であるかについては当該行政目的に関する事務を所管する府省庁において検討される」のが適当ということでございまして、法務省は協力するということでございますが、それぞれのいわゆる所管官庁がその必要性についてしっかりと認識をし、検討すべき、こういうことでよろしいですね。

義家副大臣 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、特定の行政目的に基づき、その達成に必要な範囲で外国人の土地取得を制限することはあり得ます。もっとも、その場合には規制の対象とされた外国人の財産権を制限することになるため、外国人あるいは外国法人の土地取得を規制する場合には、それぞれの所管行政事務を担っている各省庁において、規制の目的と態様に応じて財産権の保障に反していないかどうかの検討が必要になると承知しております。

前原分科員 憲法上も、別に、全て外国人の土地規制というものは憲法上だめだということではないということで、規制目的を明確にしなくてはいけないということがおわかりをいただけるのではないかと思います。また、規制手段については、手段が必要かつ合理的であることも大事だということが確認できたと思います。

 もう一つ確認しておきたいのは、外国との関係なんですね。

 WTOにおきまして、サービスの貿易に関する一般協定、GATSというのがございますけれども、WTOは、土地について、言ってみれば日本の国内において規制をすること、そういった法律をつくることを許しているのか許していないのか、その点について御回答いただけますか、外務省。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 私どもが締結をいたしております国際約束のうち、WTOに関しますサービス貿易の一般協定、いわゆるGATSでございますが、投資協定や経済連携協定におきましては、サービスの貿易、投資活動について外国人に対して日本人と同様の待遇を与える義務、いわゆる内国民待遇義務でございますが、規定をされているところでございます。

 こうした観点からいたしまして、日本人を対象としない、外国人のみを対象とした土地の取得の規制を行う場合には、これらの国際約束との整合性にまず留意をする必要があるということは御存じのとおりでございます。

 いずれにいたしましても、我が国の土地利用、取得のあり方について検討することは非常に重要なポイントだと思っておりますので、私ども外務省といたしましても、引き続き関係省庁と連携してまいりたい、このように考えているところでございます。

前原分科員 その上で、一般例外というのは、このGATS第十四条、ございますね、「ただし、それらの措置を、同様の条件の下にある国の間において恣意的若しくは不当な差別の手段となるような態様で又はサービスの貿易に対する偽装した制限となるような態様で適用しないことを条件とする。」ということでありますが、言ってみれば、同様の態様をとるということが必要だということでありますが、例えば中国について一つの例で申し上げれば、日本人は中国の土地を買いませんよね、しかし中国人は日本人の土地を買っている、こういうようなことを考えたときに、このWTOによって全てが制限されるわけでないということがおわかりをいただけるというふうに思います。

 さて、ちょっと時間が迫っているので、先ほど義家法務副大臣に確認をさせていただいたように、また、それから、もう口頭だけで言っておきますけれども、先ほど、投資協定、一般協定ですね、WTOについては先ほど確認したとおりでございますけれども、要は、簡単に言えば、各省庁がそういった法制の必要性を認識しているかどうかということで、それぞれ簡単にお答えをいただきたいわけでありますが、自衛隊基地を管轄をする防衛省は、こういった法律の必要性についてどう考えておられるか、お答えいただきたいと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の件でございますが、防衛施設周辺における外国人あるいは外国資本による土地の取引、取得に関しては、国家安全保障にかかわる重要な問題と認識をしております。

 防衛省としましては、二〇一三年、平成二十五年十二月に策定されました国家安全保障戦略により、防衛施設に隣接する土地所有の状況について計画的に把握するための調査を行っております。

 本調査は、約六百五十の防衛施設について、二〇一七年度、平成二十九年度までに一巡目の調査を終えております。防衛施設周辺の継続的な状況把握の観点から、引き続き二巡目の調査を現在行っているところです。

 これまでの調査の結果、住所が外国に所在している、あるいは氏名から外国人と推察される方の土地が都内二十三区内において五筆確認をされています。ですが、現時点で、防衛施設周辺の土地の所有によって自衛隊の運用等に支障が起きているということは確認をされておりません。

 しかし、防衛省としては、防衛施設の安全保障上の重要性に鑑み、国会における御議論の状況を踏まえながら、国家安全保障戦略のもと、防衛施設周辺について常に関心を払い、引き続き土地所有の状況把握に努めてまいりたいと思います。

前原分科員 原発を所管されている経産省、お願いします。

牧原副大臣 お答えします。

 経済産業省としては、今のところそうした規制というものは把握をしていないところでございます。

 他方で、原子力発電所の安全確保や核物質の防護につきましては、原子力規制委員会の所掌ではございますけれども、原子炉等規制法に基づいて必要な措置が講じられているものと承知しております。

前原分科員 水源地を管轄される農水省、お願いします。

伊東副大臣 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、平成二十二年から毎年、外国資本による森林買収の状況について調査を行っているところであります。

 直近の調査によりますと、平成三十年実績で三十件の取引があったところでありますけれども、七割は私の地元である北海道であります。

 取得された目的につきましては、資産保有、別荘用地等が多くなっているところでありまして、特に水源地を目的としている取引というのは確認をされていないところであります。

 また、農地につきましては相当厳しい規制がありまして、外国資本、外国企業が農地を取得することは基本的に困難と考えております。

前原分科員 一部の報道で、経済財政諮問会議、今度まとめられる骨太の方針の中にそういった法律をという話がございましたが、そういう事実はございますか。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 先生御指摘の報道があったことは承知しておりますけれども、外国人の土地取得規制について骨太方針に盛り込むことを決めた事実は今のところございません。

前原分科員 赤羽国土交通大臣、私がお配りしている資料の二を見ていただけますか。これは私の選挙区の、今は中国人含めて外国人が来ないということでありますが、たくさん、どんどんどんどんふえている時期に、これは清水寺とか六波羅蜜寺といったところの近辺の土地のいわゆる所有者の推移をごらんいただきますと、旧所有者というのは地元の人がずらっと並んでいて、そして、右の新所有者を見ていただくと、外国人やらあるいは他府県の方々というものがふえている。しかも、個人から法人へというのがふえている。つまりは、民泊であるとか外国人向けの仕事をされる、こういったようなところにどんどんどんどん、言ってみれば土地が売られてしまっているということなんです。

 そうすると、高齢化が進んでいる昨今においてコミュニティーが成り立たなくなるんですね。例えば町内会とか、あるいはさまざまな民生委員とか保護司とかこういった人たちが、なかなかなり手がなくなるどころか、おられなくなる。そして、外国人が、あるいは法人が家を買う、そういった場合には、当然ながらそんなものには協力はしない、こういうことであります。そうなると、コミュニティーが成り立たなくなるわけですね。

 これはぜひ、今すぐにどうのこうのということはないでしょうが、外国人の土地保有の規制というものも、まちづくり、そしていわゆるコミュニティーの維持という観点からも、国土交通省としてお考えをいただけないでしょうか。

伊藤主査 赤羽国土交通大臣。なお、質疑の時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

赤羽国務大臣 前原さんの言わんとする問題意識が私もないわけではないんですが。京都なんかでいいますと、こうした弊害というのは感じられる方だというふうに想像するんですけれども、例えば、この前、G20の観光大臣会合を北海道のニセコでやりまして、ああした土地は、逆に言うと、外国資本が入ってこないと今の繁栄はなかったと思うんですよ。

 ですから、プラス面、マイナス面、やはり両方ともあると思うので、よく勘案しながら、弊害があるようであればしっかりと検討、検討というか問題意識を持って対応していかなければいけないかなと思っております。

前原分科員 両面あるのはそのとおりだと思いますし、また、人口減少の中でインバウンドをふやすということを我々もやってきたわけでございまして。ただ、弊害も出ているということの中で、ぜひ両面を踏まえた上で御検討いただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて前原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次に、長坂康正君。

長坂分科員 自民党の長坂康正でございます。

 本日は、分科会で質疑をさせていただきます。災害対策、減災対策の観点から幾つか、地元の課題を踏まえて、この機会ですので、質問させていただきます。

 私の地元は大変脆弱な地域でありまして、日本一の海抜ゼロメーター以下の地域であります。また、特に昨年は伊勢湾台風六十年という大変大きな節目の年でもありました。そして、頻発する災害を見ながら、人ごとではない、本当にそういう中で、地域のいろいろな心配や課題も踏まえまして質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 さて、百の診療所より一つの用水路、これは、長年アフガニスタンで現地の人を助け、病気を救いたいと活動され、昨年十二月に残念な死を遂げられました中村哲医師が残された言葉であります。アフガニスタンという大変厳しい環境下で長年活動された中村先生の言葉が物語りますのは、たくさんの診療所をつくって医療を提供しても、清潔な水が確保できなければ人々の病気を防ぐことができない、インフラを整備することは人々の生活を豊かにする、あるいは、安心した生活を確保する基本だということであります。

 私たちの生活は、医療や福祉だけで維持していくことはできません。道路や用水、橋、堤防といったさまざまなインフラと支え合うことで成立するものであります。

 ところが、インフラが進み、災害の少ない時代がしばらく続く間に、いつの間にか公共事業には悪いイメージが広がったことも事実でありますし、無駄な道路、無駄なダム、無駄な公共事業と言われるようになった部分もございました。

 世間の雰囲気に敏感な例えば受験生を扱う大学では、この二十年間の間に、土木学科とか土木工学科などという名前ではなく、環境社会工学科とか都市環境工学科、地球工学科と名称を変えるようになっていることも事実であります。

 行革推進の流れの中で土木系公務員の採用が抑えられて、地方自治体や現場事務所にも技術者が不足するということになっています。

 そんな中で、地球温暖化の影響でしょうか、近年、激甚災害に指定される豪雨や台風被害も頻発をし、令和元年は、昨年は、台風十五号、十九号、十五号は令和元年房総半島台風、台風十九号は令和元年東日本台風と命名されるほど厳しい台風災害がございました。

 そんな中、完成間近の八ツ場ダムが利根川水系の氾濫を抑えた。辛うじて防災インフラが効果を発揮し、事前防災対策の重要性が改めて再認識されたことも事実であります。

 気候変動の影響により、いつ、どこで未曽有の自然災害が発生してもおかしくない現状もございます。

 先ほど申しましたように、私の地元は昭和三十四年の伊勢湾台風で大変厳しい被害を受けました。そして、昨年は六十年の節目ということで、殊さら、多くの地域の先輩たちから往時の話を伺ったわけであります。

 例えば飛島村というところがありますが、ここの村長さん、久野村長は、当時中学校一年生、水没した家の屋根の上で救助を待っていた、兄弟三人。そして、今と違いまして、当然自衛隊も救援に来てくれたと思いますが、久野さんは米軍のヘリに救出をされ、幼い兄弟と命を救われた。

 余り言いたくない話ですが、当時、名古屋港にも貯木場とかいっぱいございました。当時の方がおっしゃるには、材木が何百と流れてきて吹きだまりのようにたまっているなと思って近くへ行ってみると、それはおびただしい死体であったと。そんな写真は撮ってありません。そんな写真を撮らなくても、当時の悲惨さはしっかりと通ずるものがあるわけであります。死者は五千人を超えました。阪神・淡路大震災や東日本の大震災以前では日本最大規模の風水害でありました。翌年から災害対策基本法が成立されることになったことも、皆さん御承知のことであります。

 そして、今日まで、先輩たちのたゆまぬ努力で、堤防を築き、水閘門をつくり、そして排水機場をもう百数十カ所、そういう中で、今日、例えば飛島村であれば、自動車産業だけではなく、航空宇宙産業の集積地にもなっている。名古屋港の一翼も担っております。

 それが今まさに南海トラフ地震の危険性が叫ばれ、昨年の台風十九号なんかが来たら本当に人ごとではない。

 そういう中で、私どもの地元伊勢湾岸に広がります日本一のゼロメートル地帯と申しますが、ゼロメーター以下であります。最高はマイナス二メーター半から三メーターぐらいのところもございますし、伊勢湾台風のときは、沿岸から二十キロ上流まで三カ月海水が引かなかった。三カ月たって何で引かないんだろうといって調べたら、海抜がゼロメーター以下だったという厳しい現実であります。

 私の地元だけ、選挙区だけでも二万ヘクタール、山手線の二倍以上の海抜ゼロメーター以下の地域がございます。そして、木曽川を始め河川は全て天井川です。木曽川の沿岸から五十キロ上流の犬山ぐらいまで行きませんと自然に木曽川に流れる川というのもない。そういう中にあって、排水機で強制的に排水をしながら地域を守っているというのが現実であります。

 こういったことを考えますと、厳しさを増す自然災害から国民の命と暮らし、そして我が国産業を守ることは国家的な最優先課題であり、三カ年緊急対策後も引き続きしっかり予算や人員体制を確保していただいた上で、防災・減災、国土強靱化のための個別のインフラ整備を加速する必要があると考えております。

 一日も早く異次元に対応できるようなインフラ整備をお進めいただきたいという思いで質問させていただきます。インフラは人の命と直結する課題だということで質問させていただきます。

 まず最初に、東海北陸自動車道の南伸についてであります。いわゆる一宮西港線についてお尋ねをいたします。

 東海北陸自動車道は、日本列島の中心で、日本列島を縦断する。日本海側は富山県、そして岐阜県、愛知県へと縦貫する高速道路であります。そして、私の地元、一宮ジャンクションで名神につながっております。現在は慢性的な渋滞区間で有名になっております。

 また、かねてより、それを南伸させて名古屋港と直結させたい。そして、名古屋を取り巻く私ども愛知県の第三環状線にしたい。航空宇宙産業は、私どもの地元だけではなく、岐阜のいろいろな地域でも今推進されております。そういったところとの連携、さらには、海抜ゼロメーター以下の私どもの地域の安心、安全につながる命の道としての必要性を、地元自治体の首長さん、中部経済界、岐阜県、名古屋港と連携をしながら要請を進めてまいりました。

 おかげさまで、昨年、国直轄の調査費をつけていただきました一宮西港道路でありますが、東海北陸自動車道路、名神高速道路、新名神高速道路を直結させ、岐阜方面から名古屋港や中部国際空港へのアクセス道路となる重要な道路となるとともに、日本最大の、先ほどから申し上げております海抜ゼロメーター地域を有する本地域にとって、災害時の避難や緊急輸送路といった防災面でも重要な道路となるものと考えております。

 よって、地域高規格の一宮西港道路でありますが、重要物流道路に指定していただいて、早期実現を図っていただくことが肝要だと思っております。御答弁をお願いを申し上げます。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

池田政府参考人 東海北陸道の南伸区間に当たります一宮西港道路は、名神高速、東名阪自動車道、新名神をつないで名古屋都市圏の高速道路ネットワーク機能を高めることで大きな効果が期待されております。

 また、今お話しありました一宮西港道路が計画されております尾張西部地域は、海抜ゼロメーター地帯が広がっておりまして、災害時の緊急輸送を支えるため、災害に強い道路が必要であるというふうに考えております。

 愛知県では従前より一宮西港道路の実現に向けた検討を進めておりまして、国としても、補助調査で財政的支援を実施しております。さらに、令和元年の十二月二十五日には、国が主体となりまして名古屋都市圏環状機能検討会を開催いたしまして、一宮西港道路を含む名古屋都市圏のネットワーク機能のさらなる強化策の検討に着手をしたところでございます。

 引き続き、愛知県と連携いたしまして、重要物流道路の指定も含め、検討を進めてまいります。

長坂分科員 ぜひ、その検討を深めていただきまして次の段階に進めていただきますよう、強く要望させていただきたいと思います。

 近い将来、発生が危惧されている南海トラフの地震においても甚大な被害が予想されているわけであります。生活や産業、交通インフラに壊滅的な被害の影響は、当流域のみならず、全国的に広がるおそれがございます。

 こうした中で、新たな日光川の水閘門の建設事業が進められ、おかげさまで、平成三十年三月に完成をいたしました。あの伊勢湾台風の後で前の水閘門もできていたわけでありますが、長年の老朽化で地盤沈下があったり、いろいろなことで非常に心配が募って、そういう中で新しい水閘門ができたわけであります。

 引き続き、洪水の流下阻害となっている旧水閘門の速やかな撤去がまず必要となっておりますし、日光川本川では、治水上ネックとなる橋梁の改修を始めとした河川改修事業の促進が重要であります。

 またさらには、河川堤防や日光川排水機場を始めとする排水機や水門の耐震対策も急務であると考えておりますが、いかがでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 ゼロメーター地帯を流れる日光川については、流下能力の向上と耐震の両面から取り組むことが重要であり、現在、河川管理者である愛知県において河川整備が進められているところでございます。

 まず、流下能力の向上につきましては、治水上ネックになっていた日光大橋の改築が平成三十年二月に完了するなど、順次、ネックとなっている橋梁の改築を進めていくこととしております。また、旧日光川水閘門についても、平成三十年十一月に撤去に着手しているところでございます。

 次に、耐震対策でございますけれども、優先的に対応が必要な堤防、水門、排水機場について、令和五年度の完成を目指して進めているところでございます。

 現在のところ、堤防については、全体九・七キロメートルのうち三・一キロメートルが完成し、〇・四キロメートルが対策中、水門につきましては、二施設のうち一施設が完成し、一施設が対策中、排水機場につきましては、三施設のうち一施設が対策中となっているところでございます。

 国土交通省といたしましては、必要な予算の確保に努め、日光川における橋梁改築や河道掘削等の流下能力を向上させるための対策と堤防等の耐震対策が一層推進されるよう支援してまいります。

長坂分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、日光川二号放水路の早期着手と河口の排水機場の排水ポンプの増設等について少し議論をさせていただきたいと思います。

 大臣や副大臣、政務官もいらっしゃいますので少し御説明を申し上げますが、私どもの地元濃尾平野は、木曽三川で形成をされてきた扇状地でございます。木曽川は、母なる川、我々、飲み水、良質な水をもらう川でありますのでなるべく排水はしたくない。排水は、日光川、県管理でありますが、これによるところが多いわけでありますし、先ほど申し上げましたように、河口から五十キロ以上上流まで、自然に木曽川に流れる川はありません。そして天井川であります。

 ですから、私の地元だけで二万ヘクタールの海抜ゼロメーター以下があると言いましたが、その上流の稲沢市とか一宮市においても、海抜は五メーター、六メーター、七メーターありましても、木曽川が天井川、日光川も天井川になっておりますから、雨水を含めて全て、日光川にポンプを使っていざというときは排水をしなければならないという現実があるわけであります。

 そういう中で、私も県議を二十年近く務めさせていただきましたけれども、何しろ、排水、いざというときの大雨、東海豪雨もそうでしたけれども、それをしのいでくることができたのは、きょうまでに整備をすることができました玉野放水路、祖父江放水路、そういったものを活用して、いざというときには木曽川に日光川の水を緊急放水する、そういうことで地域を守ってきたわけであります。

 その上流に、今度は日光川二号放水路の整備がやはり必要ではないかというそういう要望が地域には多いわけでありますが、そういう中で、日光川二号放水路の河川整備計画上の位置づけと整備状況をお尋ねをしたいと思いますし、また、国においては、気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会を昨年四月に設置され、令和元年十月に「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」としてまとめるなど、近年の頻発する豪雨災害へ対応するための今後の治水計画などを検討しているとお聞きしております。

 河口排水ポンプの増設というのもまた今は要求をされているわけなんですが、日光川の一番河口は伊勢湾に入るわけですけれども、さっき申しました海抜ゼロメーター以下、二メーター五十ぐらい低いわけですので、海に自然に流れていかない。だから、水閘門というのは、干潮のときに水閘門を開けば、川が、自然に伊勢湾に水が流れるわけです。満潮のときは閉じませんと、海水が逆流してきます。そういう中で排水をしていくという大きな排水機場が日光川の河口にございます。

 それが例えばオーバーホールしたりなんかしていると、その間にもし十九号台風のようなのが来たらどうするんだとか、そういうことを非常に皆さん心配をしておりまして、そういう中で、もう一基あるとありがたいなというようなそんなことが昨今非常に議題になっているわけであります。

 地域ではそういう増設の要望もあるわけですが、国の方ではどんな御検討をされているか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、放水路の関係でございます。

 日光川中上流域の稲沢市、一宮市、江南市におきましては、これまでもたびたび浸水被害を受けており、その防止、軽減を図るために、日光川に流れる水の一部を木曽川に直接流す四つの放水路が河川整備計画に位置づけられているところでございます。

 このうち、委員からも御指摘がございましたように、三号、四号の放水路は完成をしており、一号につきましては一部運用しているところでございまして、今後は、日光川二号放水路の整備が重要であると認識しております。

 今年度、県におきまして予備設計をおおむね終え、工事着手に向けた準備が整いつつあるというふうに聞いております。

 日光川の治水対策については、これまで防災・安全交付金により支援してきたところでございますけれども、事業主体の愛知県から補助事業採択についての要望をいただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、日光川流域の治水安全度向上に向けて、愛知県としっかり調整をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、排水ポンプ場についての御質問でございます。先ほど委員から御説明がございましたように、高潮時には水閘門を閉鎖してポンプで排水をするということでございます。

 国土交通省では、今後の気候変動による降雨量の増加や海面の上昇が見込まれておりまして、国土交通省においても、これを踏まえた整備計画、基本方針の見直しについて議論を進めているところでございます。

 愛知県からは、気候変動を踏まえた治水計画の見直しについて検討する中で、日光川排水機場などのポンプ増設等についての必要性について検討していきたいとのお考えをお聞きしております。

 国土交通省といたしましても、愛知県における治水計画の見直しを技術的に協力するなど、日光川流域の治水安全度の向上のため、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

長坂分科員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 私どもの地域では皆当たり前になっておりますが、雨水にしても排水にしても、浄化槽を含めて、そういう中できれいにした水をまず日光川に排水をするんです。それが集中豪雨で日光川がもうあふれそうになると、緊急放水といって、木曽川にその放水路を使って放水をしておりますが、私どもの中で一宮市の南部にその放水路はあるわけなんですけれども、その放水路の下流に今度はまた取水口があるんです。例えば名古屋市への飲料水もありますし、海部地域へのいろいろな用水がある。だから、かつては、一宮の中で床下浸水ぐらいにならないと、排水してもらったら木曽川の水が汚れるといって、そんな議論もかつてはあったぐらいの話であります。

 最近はもう急激なゲリラ豪雨が頻発をするときになりましたので、その辺の御理解もあって、その二号放水路、三号、四号放水路、玉野放水路、祖父江放水路なんかも、いざというときに活用していただいて非常に皆さんに感謝をされているわけでありますが、本当にそういう中で、国交省の予算をいただいてつくった放水路もあれば、農水省の土地改良の予算での排水路、排水機も随分あって、百五十を超えております。

 そういうのが老朽化になってきたら新しくかえなきゃいけないんじゃないかとかいろいろな、もう現場の人は皆さん、自分の命にかかわる話ですので、非常にそういった逼迫した議論があるということもぜひ御認識をいただきたいと思います。

 若干まだ時間があるようですので、地元に関連した質問を続けさせていただきます。

 次に、主要地方道名古屋津島線というのがございまして、これは、名古屋駅の笹島交差点から私どもの地元、西へ真っすぐ伸びる地方道であります。名古屋市と津島市中心部を結ぶ主要幹線道路で、国道三〇二号、西尾張中央道及び国道百五十五号と接続しており、名古屋圏の主要道路のネットワークを形成する上でも大変重要な路線となっております。

 一つの目標として、二〇二七年にリニアが開通する、そういったことも踏まえながら、地元では早期の整備が必要だという要望が増しているわけでございますが、それについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

池田政府参考人 名古屋津島線は全体で延長約八・八キロでございますが、これまでに四・三キロが開通をしておりますけれども、未開通区間は渋滞が激しくて、その解消が緊急課題であると認識をしております。

 未開通区間のうち、現在、約三・四キロの区間を愛知県で事業をしております。津島市の新開工区約八百メーターにつきましては、令和二年春の開通の予定になっております。また、津島市及びあま市の七宝地区につきましては、用地買収及び工事を推進しております。また、津島市の莪原工区につきましては、平成三十一年度から着手をしまして、用地買収に向けた準備を進めているところでございます。

 未事業化区間がございますけれども、事業中の進捗を踏まえながら、愛知県において着手時期の検討をしているということでございます。

 国交省としても、愛知県を、引き続き社会資本整備交付金などにより支援をしてまいりたいと考えております。

長坂分科員 ありがとうございます。順調に進んでおりますので、更によろしくお願いをしたいと思います。

 もう一つ、日光川下流の流域下水道は平成二十一年度に供用開始をしたわけでありますけれども、当地域の普及率はまだ三五%と低い。海抜ゼロメーター以下ですので、今、ちょっと掘りますと水位が上がっていまして、数メーター掘るだけで水があふれてくる。そういうことで工事も難工事でありますが、いまだ十七万人の地域の住民が下水道整備を待ち望んでいるわけであります。

 未普及地域の整備を促進していかなければなりませんが、国の考えをお尋ねをしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの日光川下流流域下水道、四市二町でございますが、委員御指摘のとおり三五%ということでございまして、全国平均である約七九%と比べて低い状況であり、下水道の整備促進が重要であると考えてございます。

 本流域下水道につきましては、令和七年度末における下水道処理人口普及率を約五七%に、浄化槽等を含めた汚水処理人口普及率を約八二%にすることを目標に今現在進めているところでございまして、幹線の整備であるとか、幹線につなぎ込む汚水管の整備、また、日光川下流浄化センターの設備増設などを進めているところでございます。

 国土交通省といたしましても、本流域下水道における未普及地域の早期解消に向けて整備が進むよう、社会資本整備総合交付金により、引き続き重点的に支援をしてまいりたいと考えてございます。

長坂分科員 ありがとうございます。ぜひフォローをよろしくお願いをしたいと思います。

 地域で安心して生活できるようにするためには、当然、十分な予算を確保していただくことが必要ですが、いざというときに対応していただけるマンパワーが必要であります。特に、私の地元のような脆弱な地域にあっては、対応していただける地方整備局なり管理事務所なりの職員の方が不可欠であります。

 新年度予算では、大臣、ポジティブに頑張っていただいて人員増も盛り込んでいただいていることを感謝を申し上げますが、十分な人員を配置していただけるようお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 地域の安全、安心の確保という課題に対しまして国土交通省においてその最前線に立ってきたのが、地方整備局やその事務所、出張所であります。そして、昨今、災害が頻発する中で、その役割や地域からの期待はより大きくなっているものと認識しております。

 例えば、昨年の台風第十九号では、過去最大数のTEC―FORCE隊員を被災地に派遣をしたり、あるいは、国の権限代行によって、地方公共団体が管理する公共施設の復旧工事なども実施してきたところでありますが、一方で、地方整備局の定員は、平成十三年の国土交通省発足以来二十年足らずの間に、約二割、純減をしてまいりました。

 その結果、昨年の台風十九号のように国土の広い範囲で甚大な災害が発生した場合には、例えば、避難につながる迅速な情報伝達、あるいは災害発生時における機敏な初動対応など、国民の命と暮らしを守るための的確な対応を行うことが非常に困難な状況となってまいりました。

 このような切迫した実情の中で、今お話しございましたとおり、令和二年度の予算案におきましては、地方整備局の定員について、国交省発足以降初めて、対前年度比百一人の純増という結果が盛り込まれたところであります。

 予算成立の暁には、今回措置される定員を最大限活用しながら、安全、安心な地域づくりにしっかりと取り組むとともに、引き続き、必要な人員体制の確保に今後も最大限努力してまいる所存であります。

長坂分科員 時間が来ました。終わります。

 ありがとうございます。

伊藤主査 これにて長坂康正君の質疑は終了いたしました。

 次に、鰐淵洋子さん。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、冒頭、新型コロナウイルス感染症対策について質問させていただきます。

 国土交通省におかれましても、新型コロナウイルス感染症への対応、日夜取り組んでいただいていますことに感謝を申し上げたいと思います。大変にありがとうございます。

 赤羽大臣におかれましては、二月十六日に公共交通機関であるタクシー事業者を視察されました。これまでタクシー運転手が感染したことが確認されており、ドライバーの皆さんも、感染しないかと不安の中仕事をされている方も少なくないかと思います。一方で、利用者の皆さんも、利用して大丈夫だろうかと不安を抱いている方もいらっしゃいます。実際にタクシー利用者が減少しているとも伺っております。

 タクシーは、観光客も含めまして年間十億人を輸送する移動の足とされていることもあり、ドライバーと利用者、それぞれの不安を払拭する取組、感染防止対策に取り組むことは極めて重要であると考えます。

 赤羽大臣が現場を視察されておりますけれども、タクシー業界の方々がしっかりと取り組んでいらっしゃる、そのことを、改めて大臣の方からも、視察の状況を御報告いただきたいと思っております。

 また、あわせまして、タクシー業界を始めまして、鉄道事業者、バス事業者等の公共交通機関におきましても、感染拡大防止対策に強力に取り組む上で一つの大きな課題となっておりますが、マスクの供給がございます。医療従事者の方同様に、公共交通機関へも優先的に供給できるよう、厚労省、経産省と連携をとり取り組むべきと考えますが、あわせて御対応をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 今、鰐淵委員、お話がありましたように、タクシーは大変重要な公共交通機関でもあります。また、不特定多数のお客様と至近距離で接することが多いということから、国内におけるコロナウイルスの感染の拡大を食いとめるという点、また、タクシーの運転手さん自身も重症化に陥らない、万が一感染をした場合でも重症化に陥らないということで、従業員一人一人の皆さんが感染予防対策に日ごろからしっかりと取り組んでいただくことが重要であると考えております。

 国土交通省では、これまで、タクシー事業者団体に対しまして、従業員のマスクの着用、手洗い、うがい等の感染予防対策を徹底すること、また、従業員に万が一感染が確認された場合には各運輸局に対し速やかに報告を行うこと、また、そうした場合には乗務を中止させて速やかに医療機関を受診させるということなどの適切な対応をとること、そして、始業の点呼時に、朝礼とか昼礼をやられておりますので、そのときに運転手さんによる体温の申告又は体温測定、検温等をしっかりとやっていただいて、日ごろから運転手の健康状態を確実に把握していただきたいということを要請してまいりました。

 二月の十六日に、今お話しいただきましたように、日本交通の日本最大の営業所の現場に視察をさせていただいて、その点呼等々を視察をいたしましたが、現実に、現場で当省から要請をしている対策がしっかりとられているということを確認させていただいた上に、タクシー車内の綿密な清掃、消毒、そして営業所へのマスク、消毒液の備蓄といったものも自主的に取り組まれていることが確認できたところでございます。

 ただ、その中で、代表の方から、マスクをグループ単位で備蓄はしているものの大変確保が難しいという御要望もいただきました。こうした要望を受けまして、政府部内、特に厚生労働省及び経済産業省と調整を進めてまいりまして、この二十一日に日本衛生材料工業連合会と調整ができて、まずは一万二千枚のマスクをタクシー事業者の団体に発送することができました。

 引き続き、こうしたことが、マスクの確保ができるように、関係省庁、関係団体と連携してまいる所存でございます。

 なお、他の公共交通事業者に対しましても同様のお願いをしているところでございますし、特に駅等における消毒液の設置ですとか等々の感染拡大防止対策を徹底しておりますし、飛行機につきましても、夜間駐機する場合には機内の消毒も励行していただいているところでございます。

 実は、本日より、鉄道の駅構内及び車内におきましても、利用者の皆様に対し、こうした拡大防止対策の取組への協力を呼びかけるアナウンスも開始いただいているところでございます。

 今後、万全の対策をとって感染拡大をしっかりと防止できるように、関係省庁と協力をしながらしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 大臣のもと、感染防止対策を着実に進めていただいていると承知いたしました。ありがとうございました。引き続き、公共交通機関で働いている方の健康を守るという観点も含めて、万全の体制ということで、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 大臣への質問は以上で終わりますので、退席していただいて結構です。ありがとうございました。

 同じく、新型コロナウイルス対策について質問させていただきたいと思いますが、経済への影響も出てきておりまして、特に、中国人等の団体旅行のキャンセルが続く中、観光業、地域経済にも深刻な影響が出てきております。

 地元の大阪の方でも、特にバス会社の方から、主なお客様が中国人の観光客だったということで、今は仕事が全くないということで、悲鳴のような声が上がっているところでございます。全く先が見えない状況が続いておりますが、しっかりと支援をしていかなければならないと思っております。

 国土交通省としまして、どのように支援をしているのか、また支援をしていくのか、決意も含めましてお伺いをしたいと思います。

田端政府参考人 観光産業への影響といたしまして、御指摘がございました中国政府によります海外の団体旅行禁止措置、また日中間の航空路線の大幅な減少、またクルーズ船のツアーの中止など、日本人旅行者の旅行の手控えなどがありまして、各地域の観光産業にも宿泊のキャンセルなど大きな影響が出ております。

 このため、観光庁といたしましては、地域の観光業を支えます宿泊事業者またバス事業者を始めといたしました観光関連事業者の方々から御相談や御要望を丁寧にお伺いをするとともに、これらの方々が直面をしています状況をしっかり把握するために、一月三十一日に地方運輸局に特別相談窓口を設置をいたしました。まずは、この特別相談窓口を通じまして、関係省庁と連携をして、セーフティーネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援、また雇用調整助成金制度の要件緩和等によります雇用の維持などに取り組んでまいりたいと考えています。

 また、宿泊事業者等の観光関連事業者に対しまして、大臣からも先ほど御答弁ありました、マスク着用、手洗いなどの感染予防対策、これをきちっと徹底を要請するということとともに、そういうことを徹底をしているということなどを、正確な情報発信に努めるということで風評被害の発生防止に取り組んでまいります。

 いずれにいたしましても、引き続き、観光産業のニーズをしっかり把握をいたしまして、対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 私たち公明党としましても、対策の本部の方で関係事業団体の皆様からもしっかりと御意見を伺っていきたいと思っております。

 いずれにしましても、これからまた、事態、また地域の置かれた状況は変わってくるかと思いますので、しっかりとそれを受けとめていただいて、できる支援は全てやっていただく、そういった決意で臨んでいただきたいと思いますので、重ねて要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 全く話題はかわりますけれども、痴漢防止対策について質問させていただきたいと思います。

 痴漢の被害の検挙数が多いのはやはり鉄道のようでございますが、まず、鉄道における痴漢の被害状況について、検挙数と現状をお伺いをしたいと思います。

小柳政府参考人 平成三十年中の全国の迷惑防止条例違反のうち、都道府県警察から痴漢として報告を受けているものの検挙件数は二千七百七十七件であり、そのうち電車等におけるものの検挙件数は千四百四十一件でございます。

 平成二十九年中の全国の迷惑防止条例違反のうち、都道府県警察から痴漢として報告を受けているものの検挙件数は二千九百四十三件であり、そのうち電車等におけるものの検挙件数は千五百七十八件でございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今の御報告いただいた検挙数でございますので、やはり潜在的に被害に遭われている方がまだたくさんいらっしゃるのではないかと思っております。

 以前、私が参議院議員をさせていただいておりましたときに、若い女性の方から、安心して通勤通学できる環境をつくってもらいたい、そういった声をいただきましたので、一つの対応策といたしまして、女性専用車両の導入拡大を提案させていただきました。そういった中で、痴漢の被害は、ただ単に痴漢に遭っただけではなくて、それが原因で、引きこもりだったり、また男性不信に陥る、そういった被害が大きいこともわかりましたので、しっかりとこれを進めたいということで、国会の方でも取り組ませていただきました。

 しかし、なかなか進まなかったんですが、この女性専用車両導入を求める署名活動をさせていただく中で、約十九万もの署名を集めることができまして、その当時、国交省、各鉄道事業者の方に提出をさせていただきました。それが大きなきっかけとなりまして、二〇〇五年から、首都圏を中心に一斉に、大きく女性専用車両が拡大をしているところでございます。多くの方からも喜んでいただいておりますけれども、しかし被害はまだ続いているということで、引き続きこういった対応をしていかなければいけないと思っております。

 よく、痴漢の被害に遭ったら勇気を出して声を上げるようにという、そういった声かけもあるんですが、そもそも痴漢に遭いたくないわけですので、痴漢に遭わないための対策が重要ではないかと思っております。改めて、痴漢対策にどのように取り組んでいるのかをお伺いしたいと思います。

 その中で、今月から、JR東日本では、スマートフォンアプリを使った痴漢防止対策に関する実証実験を始めたと伺っております。このスマートフォンのアプリは、国立情報学研究所の新井紀子先生を始め有識者の意見を踏まえて開発されたと伺っております。この実証実験の現状と今後の対応につきましてお伺いをしたいと思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、鉄道において痴漢が発生しにくい環境を整備することは重要であるというふうに考えております。

 このため、鉄道事業者におきましては、ポスターや車内、駅構内放送により痴漢防止を呼びかける痴漢撲滅キャンペーンの実施や、車内防犯カメラの設置、あるいは委員御指摘の女性専用車両の導入などの各種の取組を行ってきたところでございます。

 また、昨年の十二月二十六日には、国土交通省におきまして、痴漢行為等の迷惑行為の現状や各種の取組状況の共有などを目的に、JR及び大手民鉄と迷惑行為に関する連絡会議を立ち上げたところでございます。この会議では、委員御指摘のとおり、JR東日本が国立情報学研究所の新井紀子教授等の有識者の御意見も踏まえまして、今後実施することとしております痴漢通報アプリの実証実験を始め、各社における痴漢防止に向けた効果的な取組を共有しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じまして、引き続き、鉄道において痴漢が発生しにくい環境の整備を推進してまいるところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 安心して通勤通学ができる環境整備ということでしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 このような痴漢の被害に遭わないための対策といたしまして地道に取り組んでくださっている方がいらっしゃいますので少し紹介をさせていただきたいと思います。

 痴漢抑止バッジというものがございまして、これはこれまでNHK等でも報道されております。痴漢抑止活動センターが痴漢抑止バッジコンテストというものを開催いたしまして、例えば、痴漢は犯罪です、私は泣き寝入りしません、そういったメッセージやデザインを公募いたしまして、集まったものの中から最優秀作品を選んでいただき、そしてそれを缶バッジにするという、そういった取組をしていただいております。

 このコンテストの開催のきっかけになりましたのが、ある痴漢の被害に遭っている女子高生が、痴漢に遭い続けてやはり悩み苦しんでおりましたので、どうすれば防ぐことができるかということで本人がいろいろ考えた結果、自分の意思をしっかりと表示していこうということで、手づくりで、痴漢は犯罪です、私は泣き寝入りしませんというインパクトのある大きなカードをつくって、自分のかばんにつけたそうです。そうしましたところ、その日から一切痴漢の被害に遭わなくなったということでございました。この女子高生の取組を聞いた痴漢抑止活動センターの松永代表理事が、もっとつけやすい缶バッジがいいのではないかということでこのコンテストの開催につながったと聞いております。

 このコンテストの開催の意義は、痴漢は犯罪であり、痴漢被害に遭わない、痴漢被害の加害者をつくらないということを社会全体で認識する上でも大変に有効的な、重要な取組ではないかとも思っておりますし、また痴漢の被害に遭わないという具体的な効果も出ておりますので、こういった自分の身を守るための武器にもなるのではないかと思っております。

 このような活動、取組をぜひとも国交省としても支援をしていただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 鉄道における痴漢行為を防止するためには、鉄道事業者の取組を進めることに加え、社会全体としても、痴漢被害発生の現状やその対策の重要性について理解を深めていくことが重要であると考えておるところでございます。

 委員御指摘の痴漢抑止バッジの取組でございますが、民間団体の発意により、全国の学生からデザインを募集してバッジを作成することを通じて、性暴力に対する社会の意識を変えようとするものでございまして、鉄道事業者がその告知等に協力していると承知をしているところでございますが、このような取組が活発化することによって痴漢防止に対する社会一般の意識が高まることが期待されるところでございます。

 国土交通省といたしましても、このような取組に対しまして、後援名義の使用許可や鉄道事業者への取組内容の周知など、可能な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、痴漢の被害に遭わないためには、自分自身で身を守ることが重要でありますけれども、ある警備会社のホームページによりますと、電車の中で特に注意が必要な三つの場所があるということで、大きな駅の改札口に近い車両、車両の端、ドア付近ということでございました。こういったことを事前に知っていれば、自分の身を守ることができるかと思います。

 特に女子中高生等、痴漢の犯罪被害に遭わないためにも安全教育、防犯教育を行っていくことが重要と考えますが、文部科学省の御見解と取組をお伺いしたいと思います。

平野政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、児童生徒を犯罪被害から守るため、学校安全に係るさまざまな取組を推進しております。

 例えば、毎年度全ての小学一年生へのリーフレットの配付、発達段階に応じた児童生徒向けの教材の作成、痴漢防止活動センター職員による講話などの教職員研修への支援、通学路におきましては、スクールガード等の地域ボランティアによる見守り活動の推進などを行っております。

 各学校、教育委員会におきましても、通学路防犯マップの作成や、警察などと連携した防犯教室等を行っているところでございます。

 引き続き、こうした取組を推進し、子供たちが痴漢を含む犯罪に巻き込まれることがないよう取り組んでまいります。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 全般的なお話かと思います。ぜひとも、この特に痴漢被害につきましては、言い出せない学生も、女子中学生、高校生も多いかと思いますので、そういった意味で、防ぐということと、また安心して通勤通学ができる環境づくりということで、これはしっかりと具体的に進めていく必要もあるかと思いますので、重ねて要望させていただきたいと思います。

 もう一つ文科省の方に伺いたいと思いますが、痴漢の被害に遭わないための対策として、服装をかえるということも一つの対応策と聞いております。もちろん制服で通学するわけですけれども、痴漢の被害に遭わないために、例えば制服以外の服装で登校するなど、柔軟な対応をしていただくことができないでしょうか。御見解をお伺いしたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 制服の着用を含めました校則につきましては、一般的に、各学校がそれぞれの教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内で定めております。校則に基づいて、具体的にどのような手段を用いて校内での指導、あるいは通学時も含めました指導を行いますかにつきましても、各学校において適切に判断するものと考えているところでございます。

 ただ、制服の着用を含めましたこうした校則の内容については、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて、絶えず積極的に見直す必要があるものと考えております。その際には、最終的には校長の権限で校則を定めるということにはなりますけれども、児童生徒が話し合う機会を設けたり、あるいは保護者からの意見を聴取するなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参画して決定をするということが望ましいと考えてございます。

 こうした趣旨につきまして、これまでも各地方公共団体の教育委員会にお伝えをしてございますけれども、引き続き、さまざまな機会を捉えまして、こうした積極的な見直しということにつきまして努めてまいりたいと考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 積極的に見直しを推進ということでおっしゃっていただきました。ぜひとも、相談体制も含めて柔軟な対応ができるように、文科省としても通知の方、対応の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、バリアフリー施策について質問させていただきたいと思います。

 本年夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催をされます。日ごろから大臣も、この東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして共生社会の実現があるとおっしゃっておられます。その実現のために、ハード面、ソフト面、着実に進めていかなければなりません。

 きょうは視覚障害者のためのバリアフリー施策について質問させていただきたいと思いますが、ちょっと時間の関係で、申しわけありません、一つ質問を飛ばせていただきまして、具体的に伺ってまいりたいと思います。

 視覚障害者のためのバリアフリーということで、やはり点字ブロックが大きな施策かと思っております。

 一方で、視覚障害者誘導マットという製品もございまして、これは最近、兵庫県三田市の総合保健センター内に誘導マットが設置をされました。この誘導マットは、従来の点字ブロックとは異なりまして、表面に突起がなくて、穏やかな山形、約三・五度の傾斜になっております。ですから、車椅子の利用者、歩行困難者等がつまずきにくくなっております。視覚障害者の方からも、全ての人のバリアフリーに配慮したマットが配置されてうれしい、そのような声が寄せられております。

 この誘導マットは、筑波技術大学、世田谷区役所、八尾市立病院、こういった病院等、活用実績がございまして、私自身も実際に歩いてみましたが、この誘導マットですと段差がほとんどありませんので、ベビーカーの利用者、またキャリーバッグを持参している方にも優しい、視覚障害者の方はもちろんですけれども、全ての方にバリアフリーになっていると実感をいたしました。

 このような歩行誘導マットは、公共施設、駅や大規模商業施設に設置されることで、ハード面でのバリアフリーが更に推進されると期待をしております。こういった製品を更に活用、推進すべきと考えておりますが、視覚障害者用誘導マットの活用につきまして、国土交通省の御見解、今後の取組、対応をお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道駅等の旅客施設における視覚障害者誘導用ブロックにつきましては、安全性確保の観点から統一してほしいという視覚障害者団体からの要望を踏まえまして、平成三十年三月にバリアフリー基準を改正し、統一性を確保したところでございます。

 一方で、百貨店やホテル等建築物のバリアフリー基準におきましては、視覚障害者の誘導設備を道路から案内所等まで設けることとしておりますが、日本産業規格への適合は求めておらず、それ以外のものであっても誘導の有効性が確認されたものであれば設置が可能となっているところでございます。

 なお、一部の公共施設等では、議員御指摘のように、歩行誘導マットが活用されている事例もあるものと承知しているところでございます。

 バリアフリー施策の推進に当たりましては、障害者団体など当事者の方々の声をよく伺いながら対応することが重要であると考えております。障害者誘導マットの取扱いに関しましても、現場の実態や当事者の方々の声をよく踏まえた上で適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 適切に対応していきたい、また関係団体等の御意見もしっかり伺ってということでございますけれども、特に公共施設におきましてはやはり基準がありますので、そういった基準も含めて見直しをしていく中で、全ての場所で柔軟なこういった活用を推進していくための環境整備も重要かと思っております。

 おっしゃっていただいたように、関係者の皆様の御意見がまず重要かと思いますけれども、しっかりとそういった御意見を伺いながら、更にいいものの活用ということで推進をしていただきたい、取り組んでいただきたいということを再度要望申し上げておきたいと思っております。

 続きまして、大阪の地元の具体的な質問に入らせていただきます。

 大阪南部地域ですけれども、大阪では数少ない高速道路空白地帯でございまして、大阪南部高速道路の整備は、大阪南部地域と大阪都市部や関西国際空港との接続性の向上だけでなく、世界遺産を有する奈良県や和歌山県を含めた地域の持つ歴史や文化財とのネットワークにも寄与し、地域全体の経済発展と地域振興、防災対策に多大な効果をもたらすものでございます。そして、何より、安全で安心な住民生活と、快適な、機能的な都市機能を支える道路ネットワークの構築のため、大阪南部高速道路の事業化は必須でございます。

 昨年十一月二十六日に、赤羽国土交通大臣に、地元首長の皆様とともに要望書を提出させていただいておりますが、この高速道路の事業化に向けた現状をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 ただいま委員からお話のありました大阪南部地域でございますけれども、南北に縦断する幹線道路は国道百七十号のみでございまして、この国道百七十号は朝夕の通勤時間帯を中心に渋滞が慢性化しております。この交通の課題は、大阪南部地域の方々のさまざまな移動において大きな妨げになっているというふうに認識をしております。

 このような状況の中で、今委員の方からお話のありました大阪南部高速道路が構想されているというふうに考えております。平成三十年度から、国と大阪府などで構成される検討会を設置いたしました。大阪南部高速道路計画の具体化をこの検討会の中で進めておるところでございます。

 引き続き、大阪府と連携して、着実に取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 御存じかと思いますが、五十年来の地元の熱い、強い要望でございます。着実に進むよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 同じく大阪南部地域の課題でございまして、大阪南部地域で、大阪で唯一の村、千早赤阪村がございます。ここには、国定公園内に村営の金剛山ロープウエーがございます。標高九百七十五メートルの金剛山駅まで六分で到着をする。四季折々の花や木もございまして、自然いっぱいで、本当にここが大阪なんだろうかと信じられないぐらい、自然豊かな、自然を堪能できるすばらしい地域でございます。

 このロープウエーですけれども、建設から五十年が経過をしておりまして、ロープウエーの耐震診断を行った結果、一部のコンクリートの強度が低いことが判明しまして、昨年の三月十五日から運行を停止しております。このロープウエーの耐震改修には多額の費用がかかりまして、財政が厳しい千早赤阪村では頭を抱えている状況でございます。このまま放置することは安全性や防犯の観点からも問題があると思いますけれども、いずれにしても、改修するにしても廃止するにしても多額の費用がかかるということで、大変な状況でございます。

 こういった老朽化したロープウエー施設は、国定公園内、また全国にもさまざま、ほかの地域にもあるかと思いますが、このような老朽化したロープウエー施設の改修支援、どのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省におきましては、ロープウエーなどの索道事業者に対する定期的な保安監査などによりまして、技術的な助言や指導を行うなど、索道施設の安全確保に努めているところでございます。また、索道施設の維持管理に関する知見や諸課題を関係者間で共有、検討する会議の開催や、索道に係る技術者育成のための教本、マニュアルの作成などにも取り組んでいるところでございます。

 先生御指摘の金剛山のロープウエーにつきましては、耐震強度の不足が判明して、現在は運行を休止していると伺っているところでございます。耐震に関する安全上の基準を満たしていない状況でございますと、運行の再開は難しいのではないかというふうに考えられますが、今後の対応につきましては、ロープウエーの利用状況などを踏まえまして、事業者である千早赤阪村を始めとする関係者の皆様で十分に御議論していただく必要があると考えている次第でございます。

 その上で、国土交通省といたしましては、事業者から技術的な助言などを求められれば、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今お話を伺っておりますと、技術の助言、維持管理、そういったことが主な支援内容かと思いました。

 繰り返しになりますけれども、こういった国定公園内のロープウエー、主に観光施設も多いかと思いますが、老朽化が進んでいるところもたくさんあるかと思います。そういった中で、具体的に耐震改修やまた廃止をするのか、そういったことを含めて取り組んでいく地域が数々あると思いますので、維持管理だけではなくて具体的に支援をしていく、そういったこともぜひとも検討していただきたいと思いますので、今後の課題としてぜひともお願いを申し上げておきたいと思います。

 では、時間となりましたので、以上で終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

伊藤主査 これにて鰐淵洋子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、尾辻かな子さん。

尾辻分科員 おはようございます。立国社の尾辻かな子です。

 国土交通の方で質問させていただくのは初めてとなります。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、時間も限られておりますので、質問に移っていきたいというふうに思います。

 私の方からも、まずはバリアフリーについてちょっと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 私も、実は議員になる前は介護施設などで働いておりました。介護現場でやはり外出支援とかさせていただくときは、その外出先で、本当に車椅子用のトイレがあるんだろうかとか、施設に段差はないんだろうかとか、かなり下見をしてやらないとなかなか外出ができない、こういうような状況を現場で感じてまいりました。まさに、これから高齢社会になる、そしてパラリンピックも目前に迫った中で、バリアフリー政策を前に積極的に進めていくことが求められているというふうに思います。

 そこで、まず大臣にお聞きをしたいと思います。

 このバリアフリー、本当に大事なものだと思うんですけれども、大臣からも、そのバリアフリーについての大臣の思い、そして認識など、大変恐縮ですが、簡潔にお聞かせいただければと思います。

赤羽国務大臣 バリアフリー政策、私も初当選以来、二十年以上かかわってまいりました。

 私の今思っていることは、バリアフリー政策は、福祉政策という観点で行うのではなくて、バリアフリーが当たり前の世の中をつくるんだという視点で取り組むということが一番大事だというふうに思っております。

 特にことしは東京オリパラ競技大会の開催年でありますし、この東京オリパラのレガシーが共生社会の実現ということを掲げている以上、ユニバーサルなデザイン、バリアフリーの社会づくりが大きな飛躍ができる一年にしなければいけない、こう思っております。

 そういう意味で、今通常国会では、ハード対策に加えて、心のバリアフリーに踏み込んだ法案の改正案も提出をしておりますし、先日も、新幹線のバリアフリー、これは、多くの世界じゅうのパラリンピアンまた応援する方が来られたときに、恥ずかしくないような状況という思いで新幹線のバリアフリー、しっかりと前に進めてほしいという検討会も進め、先日も現地に足を運んだところでございます。

 いずれにしても、大事なことは、高齢者の皆さんですとか障害者の皆さんの声をしっかりと聞きながら、ハード、ソフト面、両面に立って、そういう人たち、我々も含めなんですけれども、その立場に立ったバリアフリーづくりをしっかりと進めていくという決意で臨んでいきたいと思います。

 以上です。

尾辻分科員 思いは聞かせていただきました。

 では、具体的に、バリアフリーを進めていく中で課題になっているところを議論させていただきたいというふうに思います。

 一つは、空港アクセスバス、いわゆるリムジンバスとも呼ばれますけれども、これのバリアフリー化についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 乗り合いバス、こちらのバリアフリー化は全国平均で五八・八%。私の地元の大阪市でありますと、バスは全てノンステップバスというふうにかわっております。ただ、その一方で、空港アクセスバスはやはりなかなか進んでおりません。

 私も、地元の障害者の団体の方々から、とにかく空港のアクセスバスが車椅子でなかなか使えないんだということで声を聞いておりますし、DPI、障害者インターナショナル日本会議さんの、こちらの最重要課題として取り上げられている中に、世界におくれた三課題の一つとして、空港アクセスバス、長距離バス、定期観光バスのバリアフリー化というふうに指摘をされております。なぜ空港アクセスバスのバリアフリー化がこれだけおくれているのかということについては、原因の一つとしては、移動等円滑化基準適用除外認定車両として、バリアフリーの整備義務がないことなども挙げられております。

 まず、現状どうなっているのかということをお聞きしたいと思います。

赤羽国務大臣 今、尾辻委員お話がございましたように、移動等円滑化基準の適用除外につきましては、これは、席の下、床下に収納スペースを設けるという必要があるバスについて低床化が実際に物理的に困難であったということで、そうした場合については、運輸局長等が認定した車両についてはバリアフリーの基準の適用を除外することができるといったことが盛り込んであった。それは現実的な対応だったと思いますが、その結果として、御指摘のように、空港アクセスのバスのバリアフリー化というのは大変おくれておりました。

 具体的に申し上げますと、三年前の平成二十八年度の時点では羽田空港の二台のみ、リフトつきバスが導入されたのは二台のみでございました。令和元年の十二月、昨年の十二月現在では、羽田空港、成田空港、関西国際空港、伊丹空港、高松空港において計十七台が導入をされています。また、来年度には、羽田空港、成田空港、関西国際空港、長崎空港で十台のリフトつきバスが導入をされ、計二十七台になる予定でございまして、加えて、ちょっとまだ、いつとは確定しておりませんが、関西国際空港で更に一台のリフトつきバスが導入され、計二十八台となる予定でございます。

 私も先日、十二月にエレベーターつきのバスの乗降体験もし、実は以前から、平成三十年の三月にバスタ新宿に行きまして、車椅子をリフトへ乗せて乗降するのも視察をしてまいりまして、その有用性は確認をしているところでございます。

 いろいろな障害があるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、ことしは東京オリパラの大事な一年でもございますので、鉄道駅に直接アクセスしている例えば中部国際空港なんかは比較的バリアが少ないんですけれども、そうじゃないようなところは特にこうしたリフトつきのバスを優先的に入れていただけるような支援策も講じていきたいと思いますし、そうしたこともそれぞれの空港会社に申し上げていきたいと思っております。

尾辻分科員 徐々に導入はされてきているということだと思いますが、これは大体全体の何%ぐらいに当たるのかというような数字などお持ちでしょうか。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 徐々にリフトつきバス等は導入はされておりますが、全体で申し上げますと、まだ導入は低調でございます。

 例えば、羽田空港、成田空港、これはバスの総便数が約千二百便ございますが、リフトつき等のバスの運行便数は、羽田で十四便、成田で十四・五便ということですので、二・四%でございます。関西国際空港、伊丹空港につきましては、総便数が千便ございますが、リフトつきバス等の運行は一・一%、こういう状況です。

 ちなみに、高松空港では二・六%あるいは五・一、これは季節によって違いますが、二・六から五・一%の運行状況でございます。

尾辻分科員 パーセントで見ると、二%とか一%とかやはり非常に少ない、便数の中の割合でいうと少ないということがわかりますので、やはりこれは何かしら数値目標なども必要じゃないかというふうに感じております。

 さらに、私、地元の関西空港や大阪の空港のリムジンバス、車椅子対応車両になりましたということで報道資料を見せていただきました。これで見ると、使い方、乗られる際は、実は前日の夕方までに連絡をしてくださいということになっております。これは多分、新幹線のときもあったと思うんですけれども、結局、こういうのに乗ろうとすると、前日までに連絡をしないと、リフトつきバスとか車椅子対応車両、これはエレベーターのときもありますけれども、こういうのが何か乗れないというのはさすがにいかがなものかなという、まあ、オペレーションの問題はあるかと思うんですが、やはりこの辺も課題じゃないのかなというふうに思っております。

 ですので、大臣、ここはきちっと数値目標を定めたり、私は、やはり移動等円滑化基準適用除外認定車両の廃止を見越していくことや、バリアフリーの整備義務、補助金、また、新車購入時はバリアフリー車両の導入とか、この辺、もう少し政策を前に進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 国交省に設置をしておりますバリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会、これは、学識経験者ですとか高齢者・障害者団体、事業者団体の方から、さまざま専門的また現場の具体的な御意見をいただいておりまして、今、尾辻委員から御指摘があったように、適用除外認定自動車ということが理由でバリアフリー化がおくれているという指摘や目標値を設定をしてほしいという、そうした意見がございました。

 こうした御意見を踏まえて、本年一月二十日に、バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会の二〇二〇報告書というものを公表したところでございまして、その中で、乗り合いバス車両の今後の対応策として、一つは、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の適用除外認定の見直しも含めたリフトつきバス等の導入を促進するための仕組みを検討することというのが一つと、二〇二一年度以降の目標の策定の際に、空港アクセスバス等に関する新たな目標の設定を検討することということが盛られたところでございまして、この報告書を受けて、しっかりと省内で検討を進めていきたいと考えております。

尾辻分科員 しっかり進めていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、バリアフリーのことをお聞きしたいと思います。レンタカーのことです。

 これも、私、地元の障害者団体の方としゃべっていて、レンタカーがなかなか借りられへんという話をしておられるんですね。その方は車椅子ユーザーの方なんですけれども、いわゆるレンタカーを借りようとしたときに、そういう方であれば手動運転装置つきのレンタカーが必要になるんですけれども、日本のいわゆるレンタカーの大手のところには、こういう手動運転装置つきのレンタカーがほとんどないというふうに聞いております。

 まず、この辺の現状は把握しておられますでしょうか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 大手のレンタカー事業者、これは大手五社がございまして、五社で全事業者が所有している車両に占める割合は六〇%近くございますが、ここに聞き取ったところによりますと、手動運転装置つきの車両を所有している事業者はございませんでした。

尾辻分科員 大臣、ないということなんですけれども、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 今、ないという報告は局長から答弁したとおりでございます。

 ちょっといろいろ、今回の質問もありましたので調べてみたところ、個々の障害を持たれている方の障害の状況と程度というのは、これは一般的に言ってもそうなんですけれども、さまざまでございまして、私もバリアフリー政策に長年かかわってくると、障害の種類によって、よかれと思ってやったことがかえってバリアを高くするというようなこともございました。

 そして、このレンタカー事業者に対して、今我々の考えが、一律に器具を常設させるという考えというよりも、障害者の皆さんがみずから所有する手動運転補助器具をレンタカーで使用できるようにというふうな考え方で進めていった方がより現実的ではないのかと。運転免許に、それぞれ、その障害に合わせて付された条件があるというふうに承知をしていますので、その条件を踏まえて、それぞれのレンタカー事業者の現場で適切な対応ができるように徹底するように指導を進めていきたい、こう考えております。

 そうしたことを踏まえながら、多分知見が集まってくると思いますので、その中で、より改善すべきところがあれば不断の改善努力はしていきたい、こう考えております。

尾辻分科員 大臣おっしゃっていただいたように、手動運転装置つきとなると確かに厳しいかもしれません。ただ、取り外し式の手動運転装置などもありますので、試験的に例えば導入するとか、今、そういう団体の皆さんがどういうふうにしてそれで苦労されているのかとか、もう少しここに対してアンテナを立てて状況を把握していく。そしてさらに、やはり誰もがレンタカーで移動できるというような状況をつくっていくことが大事だと思いますので、しっかり取組をお願いしたいというふうに思います。

 バリアフリーの議論は以上とさせていただいて、次は、ちょっと大阪のIRのことについてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。

 まず、この間、さまざまなことがありました。現職衆議院議員の方が逮捕されるというような、もう十年ぶり、そんな大きな出来事もあった中で、本当にIR、このまま進めていいのかという声は地元大阪からもかなり出てきております。そのことについて順次お伺いをしていきたいというふうに思います。(発言する者あり)

 うるさい方がいらっしゃるんですが、注意していただけますか。

秋本主査代理 ちょっと静かにしていただきますようにお願いいたします。

尾辻分科員 私の時間ですので、よろしくお願いいたします。

 政府のIR基本方針、これは、方針の策定がおくれるということを聞いております。いつ決定されるのか、そして、なぜおくれているのか、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針につきましては、IR整備法の規定に基づきまして、カジノ管理委員会を含めました関係行政機関との協議を行い、その上で、IR推進本部の決定を経た上で策定、公表することとしております。

 現在は、その関係省庁との協議の段階なんですけれども、カジノ管理委員会や国会での御議論を十分に踏まえて丁寧に進めることにしておりまして、基本方針の策定の時期につきましては、現時点では決定をしておりません。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

尾辻分科員 まだ決定されていないということで、まだ方針は方針案のままであるということです。

 国会審議の中で、接触ルールを入れるという話が出てきております。これも確認です。今出ている基本方針案に接触ルール、事業者との、職員とかな、接触ルールを入れるということですけれども、よろしいでしょうか。

秡川政府参考人 IRの基本方針につきまして、今後、自治体による事業者選定など具体的な手続が始まるという段階であります。なので、カジノ管理委員会などの意見を踏まえまして、今御指摘ありました接触ルールについて、盛り込むことを検討しているところでございます。

尾辻分科員 この接触ルールが一体誰と誰を縛るのかということも、これは非常に大事だと思っておりまして、事業者とその担当職員だけなのか、それとも、IR事業者関連というと、代理店のようなことをしている方や、ロビイストみたいな人もいますし、コンサルタントもいます。また、公職者などもいるわけですけれども、こういった人々は入ってくるのかとか、また、その接触ルールに違反した場合に、相手方を公表したりとか事業者の応募無効、こういう罰則を入れたりするのか。これは今どうなっておりますか。

秡川政府参考人 今御指摘いただきましたようなことも含めて、基本方針にどのように位置づけるかということについて今検討中でございます。カジノ管理委員会の意見や国会での御議論を踏まえて検討を進めてまいりたいと思っております。

尾辻分科員 大阪は基本方針が決まる前からどんどん進んでいるわけですけれども、例えば大阪府市のIR推進局における事業者対応等指針についてでは、実は、公職者等からの要望等の記録というのもあるんですね。実は、平成三十一年二月四日、大阪府議会の上島一彦議員がIR推進100社会との面会依頼をしたということで公表されています。この方は大阪維新の会の府議団の政調会長をしています。

 これは確かに公表はされているんですけれども、罰則はありません。ですから、こういう、本当に実効性のある接触ルールというのはどういうものになるのか。それは、ただ公表すればいいのかということは、これでいっても、ただ公表されるだけで終わっているわけですから、実効性ある接触ルールというもの、それが非常に大事になるかと思います。(発言する者あり)

 済みません、ちょっと質問の邪魔になるので注意していただけますか。

伊藤主査 不規則発言は慎んでいただければと思います。

尾辻分科員 今、大阪はどういう状況になっているかというと、基本方針が定まっていないうちに参加資格申込みというのが進んでおりまして、二月十四日に大阪府市がIR事業者の参加資格審査結果というのをもう公表しております。そして、応募者の数は一者であった。応募者の名称は、MGM・オリックスコンソーシアム、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス株式会社ということで、大阪は事実上カジノ事業者が決定した状態になっております。

 本来は、政府の基本方針が固まってから実施方針の策定、自治体の公表があって、そしてIR事業者の公募、選定に行くはずが、これ、順番が逆転しているというふうに思いますが、このような逆転は許されるものなんでしょうか。

秡川政府参考人 現在、今委員から御指摘があった自治体以外の自治体も含めて、IR区域整備計画の認定申請を予定又は検討しておられる自治体において、さまざまな検討や準備が進められているものと承知しております。今後、基本方針が正式に決定された後に、これに即した適正な手続を進められていただくことになるというふうに考えております。

尾辻分科員 それはどこで決まっていることなんでしょうか、基本方針に即した形でやってもらうとかですね。もう少し詳しく言ってください。

秡川政府参考人 IR整備法におきまして、都道府県等は、その事業者を選定するに当たって、基本方針に即して実施方針を定めるということになっています。同じ法律の中で、都道府県等は、実施方針に即して、民間事業者を公募の方法により選定するということになっております。

 ですので、基本方針、昨年パブリックコメントでオープンに内容を見ていただいていますけれども、最終的に確定した後に、即しているものになっているかどうかというのを御確認いただくということになると思います。

尾辻分科員 いや、おかしくないですか。だって、事業者はもう決まっているんですよ。まだ方針案は決定されていないんですよ。でも、即して定めなければならない。本当であれば、前段階で基本方針が決まってから事業者を公募しなければいけない、そういうものじゃないんですか。

秡川政府参考人 大阪府市の場合は、今御指摘いただいたように、応募されている事業者が一者ということは認識しております。

 ただ、今から大阪府市の方で適切な事業内容なのか等々選定手続に入ると思いますので、現時点で事業者が完全に決まったという段階ではないというふうに承知しております。

尾辻分科員 事実上決まったという言い方を私もしております。

 結局、これは順番が逆になっても大丈夫なようになっているんですよ。

 本来の、IRでこんなにいろんなことがあって、慎重に進めなければいけない、接触ルールも入れなければいけないと言っているのに、自治体は、基本方針が政府は決まっていないのに、もう既に事業者の事実上決定しているなんということが許されるようなやり方をやっていること自身が問題じゃないですか。これは抜け穴だらけなんですよ。

 ほかにも抜け穴があります。(発言する者あり)

伊藤主査 御静粛にお願いいたします。

尾辻分科員 IR整備法では、第十二条で地元協議会を設置できるという言い方、実施方針の策定とかいろんなことをやるときに、これはできるになっているんです。本来、必須にしなければいけないと私は思うんですけれども、なぜできるという言い方になっているのか。ここのところを御説明お願いします。

秡川政府参考人 IR整備法におきましては、さまざまな手続を進めるに当たって、立地市町村それから地元の公安委員会の意見を聞くということになっております。状況に応じて協議会を設置する場合には、その協議会の意見を聞くこともできるということなので、協議会の設置は任意というふうに法律で位置づけられているところです。

尾辻分科員 そうなんです。結局、だからこれも任意にしたために、大阪は協議会を設置していないんですよ。協議会を設置せずに、もう事実上事業者が決まるところまでやってきた。こういうプロセスが、私、これは非常に問題があると思います。

 結局、公募、選定のプロセスも抜け穴だらけじゃないか。それで、では協議会なしで大阪がどのような議論をしてきたかということでいうと、今問題になっている500ドットコムジャパン、500ドットコム社があります。

 実は、二〇一七年十月二十六日、中国を本拠地とする500ドットコム社及び日本法人である500ドットコムジャパン株式会社は、日本におけるギャンブル依存症研究への取組を発表。NPO法人依存学推進協議会との共同研究、研究助成金の協力などを実施する。

 大阪のIR基本構想をつくったIR推進委員会は、この依存学推進協議会のメンバーである谷岡一郎氏が全十一回中十回まで、そして勝見博光氏は第七回まで、推進委員会のメンバーをしています。

 これは、質問のときにちょっと調べたら、勝見さんという方はグローバルミックス社の代表取締役で、この会社は統合型リゾートIRのコンサルティングカンパニー、取引先には、ゲンティン、メルコ、シザーズ、ラスベガス・サンズなどがホームページに記載をされています。

 500ドットコム社と共同研究、共同助成金など一緒にしてきたNPOのメンバーでIR企業のコンサルティングをしている会社の取締役が、こうやって推進委員会に入って大阪のIRを前に進めてきた。それも、この依存学推進協議会の谷岡氏と勝見氏がこうやって推進会議の中で意見を述べていた時期は、500ドットコムがこのNPOと接触し、先ほど言った共同研究を掲げていた時期と重なっているんですね。そのシンポジウム、500ドットコム社の方も出たやつには、当時の内閣官房内閣審議官ギャンブル等依存症対策推進チーム副チーム長の中川真氏も出ておられたりしているということなんです。

 さらに、このNPOは、二〇一三年のホームページを見ると、理事に溝畑宏氏、大阪の観光局の理事長でIR推進会議の座長でIR選考委員会の委員、こういう人が大阪の事業を推進している。

 結局、これからわかることは、ギャンブル依存症までも500ドットコム社やIR関係者、推進派の研究者に取り込まれて、大阪のIR関連の会議にも深くかかわっていたということがわかるわけです。

 これで、いや、今、基本方針、接触ルールをやりますと言っても、地元はこういう問題があるわけです。今やはりやらなければいけないのは、もう一度しっかりプロセスを見直して、抜け穴をなくしてやらなければいけないと思いますが、再度、いかがですか。

秡川政府参考人 今御指摘ありましたその大阪の推進会議というのは詳細を承知しておりませんが、これは法律に基づく手続の組織とは関係ないというふうに理解しております。

 いずれにいたしましても、IR整備法に基づき、自治体におきましては、公聴会の開催や議会の議決など、地域の合意形成のための手続が義務づけられておりますので、こういう手続をしっかり経て、地元の住民の十分な理解を得た上で認定申請を行っていただきたいというふうに考えております。

尾辻分科員 こういうこともありますし、例えば、では今、大阪でどういうことがあるのか。

 このMGMは、エヴェッサというバスケット球団があるわけですけれども、プラチナのスポンサーになりました。スニーカーコンという、スニーカーの展示会みたいな、若者がたくさん来る、そういうイベントのスポンサーにもMGMが出ております。

 広告規制があるというふうにおっしゃっていますけれども、実際は、私もヒアリングで聞きましたけれども、カジノの部分だけの広告を規制していて、IR事業者の名前だけの広告は広告規制の対象にならない。ですから、大阪はこういうふうにカジノ事業者が広告で見えるような状態になっているということを一つ指摘をしておきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、確認をしていきますけれども、一つ飛ばして、事業期間の話も確認をしていきたいと思います。

 実は、大阪の事業期間というものは三十五年、募集要項では三十五年、延長期間も三十年とかなり長期間になっているんですね。一方、国は、整備計画の認定から十年、更新して五年ごとということになっています。さらに、大阪府議会、市議会は、構成が変わって例えば更新できなくなった場合は、大阪府市が事業者にその補償をすることになる。つまり、大阪のIRは三十年続くことが前提になっている。この自治体の募集の仕方は法の趣旨を逸脱していないでしょうか。

伊藤主査 秡川事務局次長。

 なお、質疑時間が終了しておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

秡川政府参考人 IR事業は、長期間にわたる安定的で継続的な実施の確保が必要ということを踏まえまして、実施協定の有効期間につきましては、自治体とIR事業者との合意によりまして、区域整備計画の認定の有効期間を超えた期間を定めることも可能というふうに考えております。

尾辻分科員 これもまた抜け穴なんですね。

 カジノは、胴元だけがもうかって利用者の金を吸い上げるものです。ギャンブル依存症を引き起こして、その人や家族も不幸にします。ギャンブル依存症のことはまた議論したいと思いますけれども、こういういろいろなことがあったというところで、カジノを進めるのはやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて尾辻かな子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。

 赤羽大臣には、新型コロナも大変な中、いろいろ国土交通省の立場から力を尽くしていただいていることに心から敬意を申し上げたいと思います。

 新型コロナについては予算委員会等でやっていますので、きょうは分科会ということですから、少し、ふだん気になっていることを議論させていただきたいと思います。

 それから、今、ほかの委員から、何か大変レッテル張りみたいな、ひどいと国民から言われても仕方がない、そういう質疑がありました。刑事事件は刑事事件、政策は政策、これをしっかり立て分けていかないと日本社会はぐちゃぐちゃになりますから、しっかり我々も、私は大阪の選出でございますが、国に先駆けて、透明な接触ルール、こういうものをつくってやってきていますので、レッテル張りについては異議を申し上げておきたいと思います。

 さて、ちょっと、きょう、ごめんなさいね、順番を変えていいですかね。気楽にやってください、難しいことは聞きませんので。準備されたものはちょっと置いておいても答えられるような質問しかしません。

 実は、地域ですごく最近気になることがあるんですね。私の地元でも数百億、百五十とか二百億の市民会館の建てかえとか大工事が、まあ、ありますね、どこでも。特に大阪は、五十年前の大阪万博のときにつくられた町が今、更新期に入っていまして、そういうのが多いんですね。私の地元、大阪府の茨木市というところですけれども。まあ、個別案件はきょうやりませんが。百五十億、最終的には二百億を超えると言われています。その大工事が随契で行われているんですね、随契で。

 国交省、事務方で結構ですけれども。きょうは国交省は、模範的なルールに基づいて仕事をされている代表選手として国交省、国交大臣にいていただいていて、むしろちょっと、総務省を、何しているんだという話ですから、御法川副大臣、気楽に。

 国交省の直轄事業では、私も霞が関にいましたからよくわかります、そんな、工事に随契、まあ、公募型プロポーザルとかいってオブラートをかぶせていますが随契ですよね、調査とか調査事業とかではよくありますが、大規模な工事に、公募型プロポーザルであれ何であれ、随契を適用するというのは聞いたことがないんですけれども、国交省、どうですか。ありますか、そういうの。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の発注工事でございますけれども、平成三十年度、直轄の八地方整備局の発注の契約の状況でございますけれども、一般競争入札が九〇%、指名競争入札一%、随意契約九%となっている状況でございます。

 大規模なものも一部随意契約でさせていただいているものもございまして、これは技術提案・交渉方式という方式でございまして、仕様の確定が困難な工事に関しまして、技術提案の審査及び価格などの交渉により仕様を確定し予定価格を定める方式というものでございます。

足立分科員 今おっしゃったように、九割方は一般競争入札ですよ。これは当たり前ですよね。

 総務省、ちょっと来ていただいています。総務省では、自治体のそういう工事、これは一般競争入札、入札をやるのが当たり前だと思いますが、こういう例えば百何十億、二百億の事業について、随契をとることができることになっているんですか。

森政府参考人 総務省でございます。答弁させていただきます。

 地方公共団体の契約の締結につきましては、最も競争性、透明性、経済性等にすぐれた一般競争入札によるということが原則でございますけれども、地方自治法施行令百六十七条の二第一項各号におきまして、そこで定める要件に該当する場合について随意契約により契約を締結することができるというふうになっておるところでございます。

 また、地方公共団体が一定以上の金額の契約を締結する場合には、地方自治法九十六条一項五号によりまして、議会の議決ということが御案内のとおり必要とされておりますので、各契約に対するチェックが議会において行われているところでございますけれども、各地方団体においては法令にのっとった最も適切な契約の締結を選定されているというふうに承知をしております。

足立分科員 実は、事前に大分これは議論しました。総務省が、結構、僕は適当だと思うんだけれども、総務省が悪いというよりは、地方公共団体が自分で決めていけば、ちゃんとやっているところはちゃんとやっている。最後は今みたいに、いや、議会があるから大丈夫だということを言うわけですよ。議会がチェックする。でも、議会がチェックするためにはちゃんと情報公開されていなければあきませんよね。あるいは、議会にそういう調査権、それを調べる権限を付与しないといけない。

 それからもう一つ、例えば公募型プロポーザルの随契ということをやっているんだけれども、市長さん自身が採点するんですよ。それで、市長さんが何点つけたかはわからないんですよ。

 それで、ちょっと国交省、もう一度。国交省は、直轄事業だから、発注者。発注者が国交省ですよ。だから、ちゃんと国交省の中でも部署をファイアウオールで整理して、発注する部署が採点することがないようにということをしていると聞きましたけれども、そうですね。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、全国の河川国道事務所などで多くの事業も発注しているところでございますけれども、その際の発注の責任者といいますのは、契約の責任者でございますが、事務所長ということでございます。技術評価の結果についても事務所長が責任を持つことにはなるのでございますけれども、基本的に、評価原案につきましては同じ事務所の部下職員が作成するということになっております。

 評価原案の作成及び最終的な評価を決定する際には、競争参加者が特定可能な箇所、具体的には建設業者等の名前のところをマスキングするということ、また、積算業務を行う部署とこの技術評価審査を行う部署を分けること、また、マスキングした上で、最終的には、事務所長や複数名の副所長等の幹部が入った入札・契約手続運営委員会において、評価原案の確認及び最終的な評価を行い、決定しているという状況でございます。公平性の確保にこのように努めているということでございます。

 以上でございます。

足立分科員 国交省はプロですから、これはもう徹底してそういう公正性、特に外形的公正性といいますが、国民から見て、ああ、適正にやられているなと思えるような状況をつくることが大変重要です。

 ところが、先ほどの自治体、多分、私の地元でも、市長さんと担当の部長さんかな、担当ですよ、まさにそれを推進している人たちが採点しているわけです。では、これを取り締まるときに、これは官製談合のおそれとかが僕はあると思うんですが。僕、知らなかったんですけれども、公正取引委員会ってありますね、官製談合防止ということを公取はやっています。では、私の地元みたいなところで、例えば市長さんと特定の事業者が何かやっているとするじゃないですか。不公正な、不公正と思われても仕方がないような取組をしているとするじゃないですか。それを僕が、公取がちゃんと見てくれよと公取に言ったら、僕たちは知りませんと言うわけですよ。談合は見ているけれども、相対の、複数の事業者ではない特定の事業者と役所の関係は公取の所管ではないと聞きましたが、そういうことですか。

粕渕政府参考人 お答え申し上げます。

 国、地方公共団体等の職員が入札談合等に関与していると公正取引委員会が認める場合には、いわゆる官製談合防止法第三条の規定に基づきまして、当該国、地方公共団体等の長に対しまして改善措置を講ずべきことを求めることができます。

 言いかえれば、この公正取引委員会による改善措置の要求といいますのは、事業者による入札談合等があることを前提として行うことができるものでございます。

足立分科員 ごめんなさい、ちょっと事前のあれがもし不適切ならもう一回教えてほしいんですけれども。要すれば、複数の事業者が関与していると、という議論があったんですけれども、それは違いますか。複数の事業者の談合を談合といい、それが特定の事業者一社だと、それは公取の力が及ばないと聞いたんですけれども、それは違うんですか。ちょっとわかりやすく。

粕渕政府参考人 お答え申します。

 入札談合といいますのは、もともと事業者が共同して行う行為ということになりますので、したがって、複数の事業者が共同して談合を行うということが前提ということになります。

足立分科員 そういうことで。これは問取りレクのときも、実は関係省庁の人たちとへえと言って、結構感動していて。みんな知らなかったんですけれどもね。

 複数の事業者が関与したときに公取が出てくるんですよ。例えば、市長さんが特定の事業者とつるんでいる。これをエンフォースする、取締りをエンフォースするといったら、それは公取じゃないらしいんです。間違っていますか。そうだよね。さっき言ったように、一定の関与があるのかな。ちょっと、私の断定が間違っていたらまたゆっくりやりますが。

 したがって、結論は、国は、それはテレビは追っかけてくるし、ね、御法川副大臣、きっちりやっていないと大変なことになる。だから、きっちりやっているところが多いですよ。公文書はちょっと別だけれども。だけれども、地方公共団体というのは結構ルーズで、なかなかそういう取締りが及ばないというふうに私は認識をしています。

 総務省、そういう工事に随契を使うというのは、最近、はやりなんですか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 評価点を用いた競争方式ということでございますけれども、これは、価格のみならず、性能、機能や技術力を評価することで、地方公共団体にとってよりよい調達を実現できる可能性があるということでございまして、昨年六月に改正されました公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づく基本方針におきましても、発注する工事の内容に照らし技術提案を求めるよう努めるものとされまして、また、その際には、技術提案の評価は事前に提示した評価項目、評価基準、得点配分に従い評価を行うものとし、また、各発注者は説明責任を適切に果たすという観点から、落札者の決定に際してはその評価の方法や内容を公表しなければならない、このような形になっておるわけでございます。

 また……(足立分科員「いやいや、はやっているのですか」と呼ぶ)はい。

 そういうことで、この品確法も含めまして、こういった技術提案方式というものは、性能、機能や技術力を評価する必要があるような場合には推奨しているものというふうに承知をしております。

足立分科員 とにかく、私の地元では五十年ぶりの大工事がこれからあるんです。だから、これは余りいいかげんなことをやっているといかぬのじゃないかと思っているんですが。

 今あったように、要は、ちゃんと説明責任を果たす。議会がちゃんとそれをチェックする。そのためには、例えば採点するじゃないですか。例えば数人の方が採点する技術点、市長さんと部長さんが入ってばあんと得点とか上げたら、入っちゃいますよね。要は、当事者が何点つけたかぐらい、これは公表を義務化しておかないと。そんな苦しまないで。だって、チェックしようがないじゃないですか。議会が、今、中身を見せてということをやっているようですが、出てきません。どうしたらいいですか、これ。どうしたらいいですかって、ちょっと。

 要すれば、説明責任を果たすとか、議会が調査できるとか、それをやれるような枠組みは総務省がちゃんとつくらないと。だって、できるという制度は皆さんがつくっているんだから。そういう随契ができるという制度は皆さんがつくっているんだから、それを公正、公平、外形的公正性を保つためにちゃんとやる、やらせる、やるような制度的枠組みをつくるのは皆さんの責任じゃないですか。いや、今それがちゃんとしていないのはわかっているよ。ちゃんとしませんか、ちょっと。

森政府参考人 お答えいたします。(足立分科員「何かいろいろ説明したりとかはいいよ。そういうのをやるべきだと思わないですか」と呼ぶ)はい。

 先ほどの品確法に基づく発注関係の運用指針の中でも、評価の方法を明らかにすることとか、評価の結果を早期に公表することとか、入札監視委員会等の第三者機関の活用、こういったことを求めておりまして、総務省も国交省とともにこれは適切な運用を求めるというような通知を発出しておるところでございます。

 また、適正性の担保というところでございますけれども、官製談合の防止に向けた取組として、入札に関する情報管理の徹底とか職員のコンプライアンスの徹底といった各般の措置を総合的に講ずることで公正な競争の促進を図れというようなことを、不正競争に対して厳正に対処するように、これも国交省とともに要請をしているところでございます。

足立分科員 そういうことがしっかり行われていないですよ。だから、一回目はちゃんと、何か、もう一回ちゃんとやれと言った方がいいですよ、通達かなんかでね。

 やはりこれから地方の時代ですから、大阪府市、大阪府下の維新の会が首長をやっているところはちゃんとやっていますけれどもね。みずからルールをつくって。ルールがないんだから。だから、みずからルールをつくってやっていますよ。身を切る改革なんてその最たるものですよ。

 要すれば、市役所の職員、まあ、職員の人は頑張っているけれども、そういう、まあいいや、やめておこう。

 とにかく、政党は政党として役割を果たしますよ、しっかり政治の責任を果たしますよ。しかし、総務省も地方丸投げで、要は、できる方ばかりやって、それを取り締まる方の枠組みをつくらないのであれば、そもそも制度をつくるところから全部地方に任せた方がいいですよ。総務省がそれをちゃんとやらないんだったら、もう総務省なんか潰した方がいいですよ。特にあなたの部署。ね。というのは言い過ぎですね、御法川さん。

 何でこういうことを言ったかというと、ほかにもいっぱいあるんです。例えば、森友学園で有名になりました野田中央公園。野田中央公園については私がいろいろ。大臣、細かいことは大臣には聞きませんから、引き続きのんびり聞いておいてください。もう大論争になりまして、要は森友学園に昭恵夫人が関与していたと。していたって、関係ありましたよね、名誉校長だっけ。そのときに、国有地の払下げが若干問題があったと言われています。

 ちょっと時間がないのでいろいろ飛ばしますが。それは財務省も一定課題はあったということで、また何か対応はちょっと考えているというふうに言っていましたが。それを国会で追及するのであれば、いや、したらいいですよ、でも、同じような案件がほかにもいっぱいあるんだったら、全部やらないと意味ないでしょう。

 だから、私がずっと言っているのは、いや、わかった、森友学園にずさんさがあったのは事実だと、払下げにですよ。では、同じ一筆の土地の、それは西側だったかな、東側に全く同じごみが埋まっている、一筆の土地ですから。公園用地があったんですよ。その払下げは、民主党政権のとき、二〇一〇年三月に払下げが行われているんです。

 それで、国の税金がもう一〇〇%入っています、ほぼ。それを配ったのは民主党政権です。そのときの副大臣は辻元さんです。では、同じようなことが言えちゃうよねと。いや、僕は辻元さんが悪いことしたなんて一言も言っていないですよ。こっちが疑惑と言うなら、こっちはもっと疑惑でしょうということを言った。

 なぜ私がこっちはもっと疑惑でしょうと言ったかというと、辻元さんはこう言うんですよ。それは、契約をしたのは二〇一〇年三月だけれども、予算を決めたのは二〇〇九年の五月でしょう、麻生政権でしょう、だからこれは麻生政権の責任よと言って逃げたわけです。

 では、麻生政権のその二〇〇九年五月、不動産鑑定、行われていましたか。これ、国交省が確認してくれましたか。行われていましたか。それだけでいいですよ。

眞鍋政府参考人 野田中央公園の不動産鑑定についてでございます。

 豊中市に確認いたしましたところ、平成二十一年四月のそもそも補助金の要望の時点では不動産鑑定は行われていなかった、その後、平成二十二年二月の補助金の交付申請に当たりまして不動産鑑定が行われたというふうに聞いております。

足立分科員 見てください。だから、麻生政権のときは、単なる経済対策の積み上げの、言ったら要望額みたいなものを聞いただけですよ。だって、経済対策をつくるときには地方に聞かなあかんでしょう。そのときのやりとりを挙げて、麻生政権の責任だと言って逃げたわけです、辻元さんは。でも、今あったように、実際に申請をして、要は、地下にごみがあるとわかったのは調査報告、地下のごみの調査報告が出たのは二〇一〇年、政権交代後の二〇一〇年一月なんです。二月に不動産鑑定をし、三月に契約ができたわけです。民主党政権じゃないですか、全部。

 だから、僕はずっと、逃げるなと。東側に問題があるというなら西側はもっと問題だ。東側は不動産鑑定がずさんだといって安倍政権はたたかれたわけでしょう。西側は不動産鑑定をやっていないんですよ、十四億を決めたときには。でも、それはだから、決めたのは二〇一〇年一月、二月、三月なんです。それを、うそをついて逃げたんです。だから、そこだけは明らかにしておきたいと思います。

 ちょっと、せっかくだから、法務省に来ていただいています、籠池夫妻の判決、関連の公務員等に係る捜査の状況を教えてください。

保坂政府参考人 まず、お尋ねの補助金等の詐欺事件につきましては、本年二月十九日に大阪地裁で、被告人籠池康博につきまして懲役五年、被告人籠池真美につきまして懲役三年、五年間執行猶予という判決が言い渡されたものと承知をいたします。

 また、お尋ねの財務省職員などに対する告発事件につきましては、平成三十年五月三十一日に大阪地検が被告発人らを不起訴処分としまして、その後、一部の被告発人らに対する検察審査会の不起訴不当の議決を受けまして、大阪地検におきまして再捜査を行いましたが、令和元年八月九日に再度不起訴処分としたものと承知をいたしております。

足立分科員 こういうことで、森友学園、これだけ国会を騒がせた、私は、あれだけの時間を使ったのであれば、総括しておかないと。僕らの責任ですよ、あれだけの国会の時間を浪費をした。だから僕は、二つの面で責任を果たしていきたいと思っています。あれだけの時間を使った責任。国会議員七百人いる中で、あれだけの非生産的な時間を使った責任を果たそうとしているのは僕だけじゃないですか、七百人の中で。

 僕は、二つ必要だと思っています。

 一つは、公文書管理です。これは確かに問題があった。だからこそ我々は、公文書管理法の、要は公文書管理における廃棄という概念自体を廃止する公文書管理法改正案を提出し、憲法に、今会計検査院がありますが余り機能していませんが、同じように国立公文書館を憲法機関化して、公文書管理の理念を憲法にも書こうじゃないかということを言っています。

 もう一つは、不動産鑑定等がずさんであったことについては、森友学園はずさんでした、野田中央公園はどうしようもないぐらいひどかった、辻元さんの言うとおりであれば。言うとおりであれば、やっていないんだから。

 私の仮説は、全国の国有地払下げがひどかったという結論なんです。たまたま豊中に光が当たっただけで。それはそうですよ。不動産鑑定というのは、高度成長期、日本が高度成長をずっとしてくるこの戦後七十年、さまざまな事業をやってきた。それはいろいろ、ちょっと微妙な方々が寝転がっていたりするわけですよ。そのときに、どうやって道路を通すんですか。お金を積んだわけですよ。どうやってお金を積むんですか。それはもう不動産鑑定のところで丸めるしかないじゃないですか。

 極端な話、そこにない建物をあるかのように偽装して、除却費を積むとか、いろいろやってきたわけですよ、日本の社会は。別にそれは悪いとは、悪いけれども、もうそういう時代じゃないんだから。だから、それを、森友学園といって騒いだ人たちはもうどうしようもないけれども、我々国会議員、赤羽大臣も、僕は、赤羽大臣は閣僚の中でもピカ一だと思いますね。私がいろいろ質問したときに、いろいろな人、公明党の先生方でもわあわあお叱りいただいて、懲罰動議がいっぱい出てきたんですよ。でも、赤羽大臣は僕を守ってくれた。いや、守ったって言うと怒られるね……(赤羽国務大臣「筋を通した」と呼ぶ)今、筋とおっしゃった。筋として足立さんの言っていることは間違っていないといって、そのまま発言を続けさせてくれたんですよ。天才ですね、赤羽大臣は。

 赤羽大臣、でも、僕が言っているのはそういうことなんですよ。結局、日本社会のうみを出し切っていく作業は実はこれからなんです。公文書管理もそうです。そういう公正さ、事業の公正さを徹底する。国交省はカメラが追っかけてくるから徹底してやっていますよ。でも、地方にそれが今広がっている。大阪はちゃんとやっている。何でか。まず、橋下さんがいた、松井さんがいた、吉村さんがいた。しっかりとした政治家がいれば、それはちゃんとできるんです。

 でも、法治国家ですから。人治じゃありませんから。首長が誰であっても、市民の税金、府民の税金、国民の税金がおかしなことに使われないような法治国家をこれからつくっていく作業は、僕はこれからだと思っている。それを大阪でもどこでも日本じゅうでやっていく作業は、これからまさに維新の会と公明党でやらないと。

 ちょっときょう、森友学園事件とは何だったのかということを私の私見を申し述べましたが、ちょっと大臣、最後に、きょうの私の三十分を総括いただいて、お願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 足立委員の御意見は、多分現場を歩かれての御発言だというふうに思いますので、しっかりと尊重させていただき、ちょっと、大臣としてそれは全面的に受け入れがたい内容ではありますが、しっかり。

 法治国家であるべきというのは全く正しいことでありますし、我々も一政治家として、ゆがんだ法があるならばそれをしっかり直していくというのは、私は、立法府の立場としてはそうであるということを肝に銘じながら、政治家活動をしていかなければいけないと思います。

足立分科員 もう時間が来ますので、終わりますが。

 辻元清美さんとはいろいろありました。いろいろありました。でも、私がずっと言い続けてきたことはもう一貫しているんです。きょう申し上げたことを言い続けてきただけなんです。そうしたら、懲罰動議ですよ。

 でも、もう、ああいう万年野党の人たちを相手にしている暇は私たちにはありません。これからは、御法川副大臣始めやはり自民党の皆様としっかり四つに組んで、日本の未来を、どういう日本社会をつくっていくのか、こういう、正面から、自民党と維新の会、自民党、公明党と維新の会で、公明党にはぜひこっちへ来てほしいんですけれども、ぜひ競い合いながら、新しい日本をつくっていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。多くの方、ありがとうございました。

伊藤主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 国民民主党の城井崇です。

 分科会での質問の機会を頂戴して、ありがとうございます。

 きょうは、北九州市にかかわる国土交通省への地元からの要望の部分、ぜひ大臣と直接、その要望をお伝えしながら、そして議論を含めてさせていただきたいと思いまして、きょうは赤羽国土交通大臣とということでお願いをさせていただきました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 さて、北九州市におきましては、北九州空港を国の空港としてこれまでも整備を続けていただいています。珍しい海上空港として騒音の対策などもしっかりできた空港でありますし、早朝便や深夜便への対応もできるという、二十四時間の運用が可能だ、そうした特徴も持っております。

 こうした特性を生かしながら北部九州地域の活性化を図っていくには、この北九州空港をもっと使い倒していく必要があるというふうに思いまして、これまでも累次にわたって質問などでも申し上げてきたところであります。

 きょうは、その中でも特に北九州空港の機能拡充と活性化について、ぜひ国にも更に踏み込んだ支援をお願いしたいということで、大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、滑走路の延伸の件についてお伺いさせてください。

 これまでにも、私から令和元年十一月十九日に提出しました質問主意書、「北九州空港の三千メートル級滑走路の早期実現に関する質問主意書」ということで、この答弁におきましても、「政府としては、地元関係者の意見等を踏まえつつ、その効果や影響等について十分に検証する必要がある」との政府見解でございました。

 ただ、この「効果や影響等について十分に検証」というのは、実は、数年前から答弁の線としては変わっていないという状況であります。

 分科会におきましても、前回、前々回、通常国会のときにも、当時の石井国土交通大臣に御答弁いただきましたときにも、こうした答弁の線でございました。

 ただ、この二年も、私から申し上げてまいりまして、今回も改めて赤羽大臣に御認識いただきながらお力添えいただきたいと思いますのは、この滑走路が今二千五百メートル、でも、これを、地元要望も含めてですが、三千メートルに延ばしてほしいというところにお力添えいただきたいという御議論を申し上げておるわけでありますが、これが足りないがために地元で実害が生じ続けていまして、ここを何とか取り除きたいというのがきょうの私の質問の趣旨の一つであります。

 どうしたことかと申しますと、新規の航空路線が就航したいということで当然北九州空港や地元自治体にも相談があるわけですが、そのときに、滑走路の長さが二千五百メートルだと、例えば大型の貨物機やジャンボジェット機だと、燃料満載、荷物満載だと離発着は難しいということで、成田や中部や関空に、せっかく北部九州に就航したいというお話があるにもかかわらず、残念ながらお断りをしてそうした他空港に切りかえざるを得ない、こうした状況が今まで続いているからであります。

 こうした航空路線によるビジネスチャンスをしっかり地元に引き入れてほしいというのは、国からも地元自治体や空港に対しての強い要望だったはずなんですが、それを続けるために、残念ながら、基本的な条件が整わないとそうしたありがたいビジネスチャンスの引き合いを引き込むことができない、そんな状況になっているわけであります。このことを、この数年にわたっても国土交通省や大臣にもお伝えしてきたところであります。

 昨年質問させていただいてからあれから一年、この間も、平成三十一年度、令和元年の間にも四件の引き合いがありましたが、全て引っ張り込むことができませんでした。その前の年には五件、その前の年にも五件ということで、この十年で二十三件のビジネスチャンスを逃し続けているという状況になっています。

 北部九州でしっかりそのビジネスチャンスを取り込んでいく、そして、大型貨物機でも安定して離着陸ができるように三千メートル級滑走路を、来年度からの整備をしっかり開始できるように、調査予算を含めて予算措置をすべきだと考えます。

 このタイミングであえて少し踏み込んだことを申し上げねばならないと思っておりますのは、ちょうど、例のRESA対策を含めた空港の安全対策の検討が国土交通省内でもこの間進んできているからであります。

 もしこの安全対策のエリアが確定をしてしまいますと、そこから後、延ばしたいと言っても、その安全対策が確定した以上のところに延ばすのは、後づけで議論するのは難しいというふうに私も思っていますし、地元自治体もそのように考えているからであります。

 その意味では、空港の安全対策が確定する前にこの滑走路延伸についても、きちんと三千メートルに延ばしていくぞということをぜひ確定させていくその取組を国にもお願いしたいと思います。

 こうした点からも、滑走路三千メートルへの延伸に向けた予算措置、ぜひお願いしたいというふうに思いますが、大臣、見解をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、海上空港の利便性というのは、私もあの北九州の空港も使わせていただいておりますし、私の地元の神戸空港も同じように海上空港で、その利便性は私もよく理解しているところでございます。

 また、この北九州空港の滑走路の延伸につきましては、これまでも幾たびと地元の首長さん、北橋市長、また、地元選出の与党の国会議員の皆さんや経済界の方々から何度も何度も、私、就任してからまだ半年たっていませんが、数多くの御要望をいただいておりまして、地元の皆さんの滑走路延伸に対する熱意は承知をしておるところでございます。

 このことにつきまして、これまでの国会でも当時の大臣がそれぞれ答弁していると思いますが、事業の必要性、費用対効果、周辺環境への影響等について十分な検討を行う必要がある。これはもうよく御理解いただけると思います。

 そうした意味で、北九州空港、具体的に三千メートル級の滑走路の実現のためには、長距離の国際貨物便が定期的に運航していただくというような需要が必要だというふうに認識をしております。

 そうした意味で、北九州におきまして、貨物便の誘致活動、利用促進にこれも熱心に取り組んでいただいておりまして、最近、ロシアの貨物便で拠点化するという、これも、先ほどのお話、私、委員が言われたことはちょっとよく承知しておりませんが、これは、単発のチャーターではなくて定期便であることがやはり大事だと思っておりますので、そうしたことが一定の成果が出てきているというふうに承知をしております。

 そうした環境が改善されているという認識のもとで、予算措置、具体的にあっては、これはもちろん地元関係者の意見をしっかりと踏まえつつ、ちょっと繰り返しになって恐縮ですが、相当な予算を投じることになるわけですから、その費用対効果、周辺環境への影響等について十分な検証を行うことが必要であるというふうに認識をしておるところでございます。

城井分科員 地元の熱意と、そして、取組の一定の成果ということを大臣に言及いただきました。ありがとうございます。

 今大臣からも言及ありましたいわゆる世界最大級の貨物機アントノフの124級を運航しているボルガ・ドニエプル航空との北九州空港利用促進についての協定が結ばれたということで、これが令和二年に入ってからの話ですので、直近の大きな前進だというふうに思っています。

 また、新型コロナウイルスの対応で現在運休をしているんですが、大韓航空のジャンボジェット機の就航などもありまして、今大臣からもありました貨物の路線的な受入れ環境は整いつつあるというふうに考えています。

 その貨物が積み上がってくる中で、あとは実は施設の整備主体というところに今段階が差しかかっているというのが、地元自治体であり、地元経済界の認識であり、そして、私からの提案の部分でもあります。

 滑走路への三千メートルの延伸もそうでありますし、新型コロナウイルスが収束してからということになると思いますが、これまでも御提案申し上げてきたCIQ体制の充実、そして、シー・アンド・エアの動線の整備、これは貨物地区から岸壁までの動線ということになりますが、こうした部分、施設整備についても国の力をぜひ寄せていただくようにお願いしたいというふうに思っているんです。

 こうした要望を踏まえながら、ぜひ大臣に、今の施設整備の一つ目、滑走路延伸について、ぜひ調査予算を含めた積極的な取組をお願いしたいと思うんです。この積極的な取組にぜひ一言言及をいただきたいというふうに思うんですが、大臣、お願いできないでしょうか。

赤羽国務大臣 今この場で決定するというようなことはちょっとしにくいものですから、先ほど答弁したとおり、予算措置については、地元関係者の意見等を踏まえつつ、費用対効果、周辺環境への影響等についてしっかりと国交省としても十分検証を行うことが必要だというふうに認識をしております。

 これまでの地元の御努力は、先ほど申し上げましたように、一定の成果が出ているというふうに承知をしております。

城井分科員 私、国政野党におるものですから、こうした要望は、党派を超えて、超党派での要望ということで申し上げております。ぜひ、前向きに受けとめていただけるということを一言おっしゃっていただけないでしょうか。

赤羽国務大臣 同じ答弁になるわけですが、地元の御熱意もよく承知をしておりますし、これまで、熱意はわかっているけれども形がついてこないみたいなやりとりもあったかというふうに聞いておりますけれども、最近、先ほどのお話に出ていますようなロシアの貨物便の拠点化、そうした具体的な成果も出てきておるので、それは改善しているというふうに思っています。

 そうした環境改善のことを受けて、予算措置については、これはもう原則でありますので、費用対効果、周辺環境への影響について十分な検証を行うということ。国の予算を使う以上は、つくればいいということではありませんので、つくって使っていただかなければいけない。

 それは国交省の責任でございますので、そうした原則はしっかりと踏まえながらよく検討していきたい、こう思っております。

城井分科員 ありがとうございます。ぜひ、実績等も踏まえて前向きなお取組をお願いしたいと思います。

 続いて、今の北九州空港の貨物エリアの整備と物揚げ場までの輸送経路の確保についてお伺いしたいと思います。

 これについても、令和二年二月六日に私から質問主意書でお尋ねをいたしました。その折に、答弁書の中では、「「貨物機の二機同時駐機荷役対応」及び「アントノフ一二四級の機材駐機」が基本的に可能である。」ということ、そして、「「空港用地から物揚げ場までの直線的な輸送経路の整備」については、政府としては、地元関係者の意見等を踏まえつつ、その効果等について十分に検証する必要がある」ということで、先ほどの答弁内容と実はかなり近い表現になっているというふうに思っています。

 ただ、このことを申したのには一つ理由がございまして、やはり海上空港の利点を生かした輸送形態の実現は、空港の機能拡充の鍵の一つだと考えているからであります。大型航空機を扱う事業者による船舶への積みかえ輸送の需要もあります。これまでの試行的な取組は事業者からも評価を得ている状況です。

 一方で、路線がふえ、そして、貨物便がふえ貨物がふえということになり、現行の貨物地区の機能不足、そして、ふえつつある大型案件の引き合い、先ほどお話ししたとおりでありますが、ということを勘案しますと、対応が厳しい状況がふえているというのが現場の声であります。

 だからこそ、今後の円滑な積みかえを可能とし、本格的な海上空港の利点を生かした輸送形態の実現を図れるように、貨物エリアの整備と物揚げ場までの直線的な輸送経路を整備すべきというふうに考えておりまして、この直線的なというところを踏まえた部分について国にも配慮いただきたいと思うわけですが、御見解を大臣からお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 ちょっと済みません。その質問に先立って、先ほど、RESAの整備について御懸念を示されました。

 RESAにつきましては、今、航空機の安全確保の観点から、用地確保が容易な空港から順次対策を進めておりまして、北九州空港においても、平成三十年十一月に整備方針を決定して、現在準備に入っておりまして、早期完了に向けて引き続き整備を進めていきたい。

 しかし、RESAを整備した後も滑走路の延長を行うということになれば、それは物理的に可能だというふうに考えております。これが一つです。

 もう一つ、北九州空港の貨物エリアと輸送経路の整備について、これも、かねてより地元の首長さん、経済界、また、議員の皆さんからも御要望がございます。

 北九州空港におきましては、大型貨物機の受入れを可能とするために、まず、平成二十八年度に貨物用エプロンを整備したところでありますが、これは、率直に言って現状は、当該エプロンについて、実際は中型貨物機の利用が中心となっているというのが現状です。

 これは鶏と卵みたいなことがあると思いますが、今お話に出ました貨物エリアの整備と物揚げ場までの直線的な輸送経路の整備につきまして、この現状のルートと直線的なルートがどれだけ違うのかということ、率直にまだちょっと十分理解しているとは私自身は思えないんですが、これも同じ答弁になって恐縮でありますが、地元関係者の意見等を踏まえながら、利用者のニーズ、また、整備の効果といったことをしっかりと検証を行うことが必要だと認識しておるところでございます。

城井分科員 ありがとうございます。

 RESA対策と滑走路延伸の関係については、地元でも少し懸念の声があったところについて重要な答弁をいただけたと思っております。ありがとうございます。

 また、先ほどの直線的なと言った部分については、ぜひ現場の声に改めて耳を傾けて、細かな部分を部下の方にも指示いただきながら確認をいただければありがたいと思います。実際に現場からの声を伝えさせていただいているつもりでありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、空港でもう一点であります。災害時における代替アクセス手段の確保についてどのように整備するかという点であります。

 これについても、質問主意書で、「北九州空港の災害時における代替アクセス手段の確保に関する質問主意書」ということで答弁をいただきました。「「北九州空港の災害時における代替アクセスの手段の確保」については、船舶による輸送が災害時における代替アクセス手段の有力な選択肢の一つになり得るものとして、地方自治体を含めた関係者と検討を進めているところである。」こうした政府見解をいただいております。

 この代替アクセス手段として、私もやはり船舶だというふうに思っておりますが、ほかに有力な手段があるのであればお示しをいただければと思います。また、関係者との今後の検討見通しについても示していただきたいと思います。

 災害時の準備でありまして、急ぐべきだと考えておりまして、この点、大臣のお考えをお聞かせください。

赤羽国務大臣 特に海上空港の代替アクセスの手段の確保というのは大変重要だということは、一昨年九月に発生した、関西国際空港の連絡橋が途絶したときに大変はっきりとしたというふうに思っています。私も全く、あのときは地元で、フェリーを使って神戸空港に七、八千名脱出していただいたオペレーションにかかわったという経験からも、本当にそのことは強く認識をしております。

 このことは、北九州空港におけるBCPの策定協議会、これは昨年一月に設置をされまして、同年の三月に空港BCPが策定されたところでございます。

 この空港BCPは、よく御存じだと思いますが、北九州空港の連絡橋が途絶をし、また、民間の航空機の再開までの期間が長期化する場合には、輸送力の観点から、このBCPでは、船舶による輸送以外に有力な代替アクセス手段がないものということで、具体的な検討を進めるということにされております。

 代替アクセス手段の確保は空港内の滞留者が速やかに避難する上で重要と、先ほど申し上げたように認識をしておりまして、この船舶を保有する関係行政機関ですとか、また、民間企業との平素からの調整というのは非常に重要だと思っておりますので、こうした地元からの協議会の報告書を受けて国交省としてもしっかりと協力をしていきたい、こう考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 私も船舶以外にないというふうに考えますが、今の北九州空港の空港島の状況を見ますと、岸壁の整備のところに少し手をかけないと、実際に船舶が寄りついてということが現実的ではない状況にあります。

 ちょうど空港島の向かい側に長距離フェリーターミナルがございまして、フェリー三社を中心に就航いたしておりますが、そうしたフェリーが仮に乗りつけようとしても、そのうちの、専用ターミナルが必要ではないフェリー一社がもしかすると接岸が可能かもしれないということを現場の声として聞いておりますが、仮に船舶だということならば、そうしたあらかじめの岸壁の整備のところも念頭に置かないと先ほどのBCPでの計画が机上の空論に終わってしまうという可能性があると思っていまして、そうした部分の計画に基づくところがどこまでかかわってくるかということをぜひ御検討いただければということを、この場をかりてお願いしたいというふうに思います。

 よろしくお願いします。

 続いて、洋上風力発電関連産業を始めとしたエネルギー産業の総合拠点化に向けた支援についてお伺いしたいと思います。

 北九州市における今後の取組で大変大きな役割を果たしている一つが、洋上風力発電産業の活性化であります。そこにかかわるところで一つ質問であります。この洋上風力発電の普及を支援する基地港湾に対する支援についてであります。

 平成三十一年三月、国土交通省港湾局より、洋上風力発電設備の部材を取り扱う岸壁の直轄施工範囲について通達が出されました。これによりまして、風車部材を使う基地港湾の整備について直轄による施工範囲が示され、これまで一地方自治体では負担が大きかった費用面及び技術面での負担軽減につながるものだと考えています。

 北九州市の基地港湾において、当該制度の活用に当たっての技術的助言及び促進地域の指定と整合した基地港湾の整備への支援を国として充実すべきだというふうに考えますが、大臣、お考えをお聞かせください。

赤羽国務大臣 今お話しございましたように、洋上風力発電の設備の設置、また、その維持の管理には、発電設備の重厚長大な資機材を扱うことのできる高い耐荷重性を備えた岸壁、また、長尺の資機材の保管、組立てが可能な規模の荷さばき地を備えた埠頭を有する、いわゆる、今おっしゃっていただいた基地港湾が必要となるわけでございます。

 お話にありましたように、平成三十一年三月に、重厚長大な風力発電設備の資機材の荷役形態を考慮した岸壁のエプロン幅員や延長の考え方について通達を発出いたしまして、必要な技術的助言を行っているところでございます。

 今後、基地港湾の候補となっております北九州港におきましても、こうしたことに必要となる、重厚長大な資機材を扱うことのできる高い耐荷重性を備えた岸壁等の機能強化について、国が主導して、港湾管理者等と連携しつつ取組を加速してまいりたい、こう考えております。

城井分科員 続きまして、連続立体交差事業を中心とした広域拠点、折尾地区の整備促進についてお伺いをいたします。

 平成三十一年三月十六日に筑豊本線の高架切りかえが完了し、駅へのアクセス道路における踏切が一部除去されたことで、交通渋滞の解消が大きく前進をいたしました。街路事業や土地区画整理事業も大きく進み、新たなまちづくりと早期完成への期待が高まっているところであります。

 令和二年度の鹿児島本線切りかえ及び新駅舎の開業に向けて、JR筑豊本線、そして鹿児島本線の連続立体交差事業や街路事業、そして、土地区画整理事業による面整備について確実に進捗できるよう国が更に推進すべきと考えますが、大臣、見解をお聞かせください。

赤羽国務大臣 本件につきましても、地元の首長さんや与党議員、経済界から私自身もたび重なって御要望をいただいておりまして、ちょっと記憶に残っているぐらいでございます。

 連続立体交差事業につきましては、令和二年度に鹿児島本線が高架化されまして新駅舎が完成をいたします。さらに、令和三年度には全ての路線の立体交差化が完了して、これによりまして、折尾地区に存在している九カ所全ての踏切の除去が完了する予定となっております。

 この連続立体交差事業とともに進めております街路事業による道路ネットワークの形成、また、土地区画整理事業による市街地の整備も着実に進捗しているところでございます。

 引き続き、国交省としましても、この折尾地区の整備が確実に進められるようにしっかりと支援をしてまいりたい、こう考えております。

城井分科員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、下関北九州道路の整備についてお伺いいたします。二問一括でお伺いしたいと思います。

 いろいろございまして、地元民としてはかなり心配をしています。どうなるんだろうかということであります。ですので、きょうはとても基本的な質問です。

 地方自治体としての要望、地元からも、県や市から出ていると思いますが、その要望をどのように認識しているかということ、そして、その自治体要望に対し国はどのように対応する考えかという点について、大臣からお聞かせをいただけますでしょうか。

赤羽国務大臣 下関北九州道路の整備につきましては、これも、私が昨年九月の大臣就任以来、福岡県知事、また山口県知事、御両名からも早期実現の要望を受けております。ですから、地元から強い要望がある案件だというふうに認識をしております。

 また、関門海峡につきまして、私も実際に足を運びましたが、関門トンネルと関門橋の二つの道路で連絡をされていますけれども、関門トンネルを含む国道二号そして三号については、慢性的な渋滞が発生していると承知をしております。

 また、平成三十年の七月の豪雨で、関門橋から続く九州側の高速道路が四日間通行どめとなりまして、これは、本州と九州の間の広域的な交通に大変な支障が生じたことも現実にございました。

 こうしたことから、下関北九州道路につきましては、今後整備をしなければいけない、整備について検討する必要があるプロジェクトと考えておりまして、まず今年度、国におきまして、海上部の構造の検討などの調査に着手をしたところでございます。

 引き続き、御地元の福岡県、山口県などと協力しつつ、必要な調査を推進してまいりたい、こう考えております。

城井分科員 続きまして、国道三号黒崎バイパスの建設促進についてお伺いしたいと思います。

 国の力添えもありまして、これまでに五・八キロの予定のうち五・二キロが開通をいたしました。国道三号や周辺道路の渋滞緩和、東西方向の所要時間の短縮と定時性の向上が図られ、都市高速道路に接続されたことで、小倉都心部などへの速達性、定時性が向上いたしました。

 しかし、国道三号の現道や国道二百号に未接続でありまして、国道のネットワークが形成されていないため、本来の効果が十分に発揮されていません。そのため、前田ランプ出入り口やその周辺の市道、国道三号の筒井町交差点及び樋口町交差点で依然交通混雑が発生しています。

 このバイパスの早期開通は、黒崎副都心の再生など、北九州市の活性化の鍵を握っております。残る春の町ランプ、黒崎西ランプ、陣原オンランプの早期供用が図られるよう、道路予算総額を拡大、確保して本道路整備予算を確保すべきと考えますが、大臣、見解をお聞かせください。

赤羽国務大臣 黒崎バイパスの整備促進につきましても、同じように、地元から強い要望を頂戴しております。国道三号の交通混雑解消等を目的とした重要なバイパス事業だというふうに認識をしております。

 お話しありましたように、全体五・八キロのうち、平成二十四年までに東田から陣原間の延長五・二キロ間も開通をしておりまして、東側の、国道三号に接続する〇・六キロメートルの区間と黒崎西ランプ、陣原ランプの三区間が未開通となっております。これは御地元ですからよく御承知だと思います。

 そのうち、東側の、国道三号に接続する〇・六キロ区間におきましては、これは、JR鹿児島本線をまたぐ橋梁の工事などを推進しておりまして、令和元年度も補正予算を投入するなど、整備の加速を図っているところでございます。

 また、残る黒崎西ランプと陣原ランプにつきましては、工事着手の準備を行っておりまして、準備が整い次第、順次工事を進めていく予定としております。

 令和二年度につきましても、橋梁の工事等を推進し、早期の全線開通に向けて事業を推進してまいる決意でございます。

 以上でございます。

城井分科員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、北九州市の主要幹線道路の整備推進についてお伺いしたいと思います。二問一括でお伺いをいたしたいと思います。

 広域道路ネットワークの形成や緊急輸送道路の確保のため、国による確実な予算配分をすべきだと考えています。特に、補助国道では国道二百十一号、地方道では恒見朽網線、湯川飛行場線など、そして、都市計画道路では戸畑枝光線、砂津長浜線、日明渡船場線、九号線高野工区などの整備推進を図るべきだと考えております。

 このうち、補助国道では国道二百十一号、そして地方道では恒見朽網線、湯川飛行場線、都市計画道路では戸畑枝光線、砂津長浜線については、特に、広域道路ネットワークの形成と災害時における緊急輸送道路を確保するためということで、重要物流道路への指定を迅速に行って、引き続き確実な予算配分をすべきだと考えますが、大臣、これらの道路についての取組、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 ちょっと若干地理的に間違っているかもしれませんが、今委員御指摘の恒見朽網線ほか四路線につきましては、これは工業団地へのアクセス道路であり、また、ストック効果を高める道路事業として重点的に既に支援をしているところでございます。

 また、地域高規格道路でございます戸畑枝光線は、これは補助事業として計画的かつ集中的に支援をさせていただいております。

 また、五路線でいいんですかね、地元の北九州市からも重要物流道路への指定をもういただいているとこの五路線については承知をしております。

 これらの五路線につきましては、地方中心都市や空港、港湾等の主要な拠点間を結ぶ道路であるかなどの重要物流道路の要件に照らして、指定の有無については今後判断してまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、道路のネットワークを形成するということは、物流、観光、そして、いざ災害というときに大変重要だというふうに認識をしておりますので、地元の御要望を踏まえて、国として適切に支援してまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございました。

 物流、観光、災害対応などに加えて、物づくりという部分でも今ほど申しましたネットワークの形成というのは大変重要だというふうに考えておりまして、北九州市の特性を生かして日本の発展に資する、その取組にもつながっていくというふうに思いますので、引き続きの御支援をお願い申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田中英之君。

田中(英)分科員 自由民主党の田中英之でございます。

 今回、予算の分科会にて国交省に質疑をさせていただきたいと思います。

 我が党でも、無電柱化については本当に深く、長い間議論をしてきました。この無電柱化というのは、ほぼ三十四、五年前から、電線の地中化という、こんな名称から始まったことを、今から二十年前に京都で市会議員をし始めたときに、そういうことがあるんだということを実は思いながら、そういう地方議会の中でも質問させていただいた経過がございます。

 この三十四年という、本当にある意味では長い月日がたっているわけでございますけれども、町を見てみると、進んでいるのかな、進んでいないのかな、これは恐らくそれぞれの市町村や都道府県によっては違いはあるんだというふうに思いますが、国全体から見て、この取組を長年やってきている中で、現在の進捗状況なんというものをどのように捉えておられるか、お伺いしたいと思います。

池田政府参考人 我が国における道路の無電柱化率は、最も進んでいる東京二十三区で八%、大阪市で六%と、欧米の主要都市はもとより、香港、シンガポールなどアジアの主要都市に比べても著しくおくれております。

 今委員の方からお話しありましたように、昭和六十一年に電線類地中化計画を初めて策定して以降、平成三十年度までに約九千九百キロの無電柱化を実施してきたところでございます。

 現在、無電柱化のペースを加速をしております。平成三十年度に策定した無電柱化推進計画及び防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に基づきまして、二〇二〇年度までの三カ年で二千四百キロの無電柱化に着手することとしております。

田中(英)分科員 そうですね。私の住む京都なんかでも、進んでいるように映る場所と進んでいないというのがはっきりしていまして、かつてで言うと、後で実はその質問につながるんですが、どうもお客さんの来ていただくような観光の場所というのがやはり優先的になっていたような気がします。

 そして、この事業というのは、地域地域でグループになって四カ年でやったり五カ年でやったりで、それぞれのところがやりたいところを出し合って協議をして、やるところを決めた中で実は進めてこられたという経過がありますので、意外や、そこになかなか前に進まない用件があっても、では、そこが進まないのならこちらをというわけにはなかなかいかないということが、かつてお伺いするとあったやに聞いております。

 大阪が実は余り進んでいないというのは意外や意外でありまして、東京都なんかは間違いなく、オリンピック、パラリンピックということを最終目標にして、ある程度一〇〇%に近いように持っていくことになるんだろうと思います。

 しかしながら、全体を見ると、先ほどおっしゃっていただいたとおり、他の国に比べるとやはりなかなか、電柱が残り電線が地中におさめられるというのがやはり進んでいないやに思いますので。令和二年度なんかは、特にこの三カ年計画の最終の年度でもあれば、現時点においてはちょうど折り返しのところにあるんだというふうに思います。

 ですから、一千四百キロのこの計画どおりのところと国土強靱化の一千キロのところ、合わせて二千四百キロ、ここを何とか三カ年の中でぐっと前にやはり進めていっていただければなというのは我々の思いでもございますので、まずは気持ちの部分で引かないようにやはりやっていただきたいなというふうに思っております。

 一方で、そういったやる気を持って前に進めようとしても、いろいろな課題というのはやはりどんなものにもあると思いますが、前になかなか進みにくいなと思われているこれまでの課題というものがあればお教えいただければなと思います。

池田政府参考人 無電柱化を推進するに当たっての課題でございますけれども、まず第一に、コストが高いことでございます。第二には、事業期間が長くかかっていることでございます。第三には、無電柱化に伴って地上にトランス等の地上機器が必要になりますが、その設置場所の確保ができないということの課題がございます。

 コストの課題については、電線を収納する管路を入れておりますけれども、それを浅く埋設する浅層埋設方式や、管路にかわる小型ボックス活用方式などを導入して低コスト化を図っているところでございます。

 また、事業期間の短縮については、無電柱化は関係者が多数いることが原因でありますので、例えば、本体工事と引込み管の工事を一括発注するなどによって事業期間の短縮に努めているところでございます。

 また、地上機器の設置場所については、沿道の民地や公園の設置を今後は進めることを考えております。

 このような対策によって、無電柱化が効率的に進むように努めてまいりたいと考えております。

田中(英)分科員 コストなんでしょうね、一番課題なのは。それから工事をする期間、そして地上部に置く変圧器、トランスということで、今挙げていただきました。

 間違いなくコストの部分というものは、限られた財源を、この三カ年計画でも、防災面に使ったり、またまた快適に安全に歩いていただくために使ったり、そして観光とかそういう景観、そしてオリンピック、パラリンピックと、三カ年計画では大きく四つに分けて進めていこうというところであります。

 でも、だからといって、限られた予算でやるとやはりある一定の期間しかこれはできないということがありますので、そういった意味では、財源をふやすということが一つあるのと、やはり今やっているこのことのコストをいかに抑えていくかという、この部分を一生懸命研究をしていただきながらやっていただいているところなんだというふうに思います。

 期間、それから地上機器ということ、後ほど地上機器については少しお伺いしますけれども。

 コストの部分なんですが、今、約四種類の工法を、今までの共同溝の形よりも改良されて、御紹介をいただきました浅層の埋設であったり小型ボックス、それから直接埋設であったり、また角型多条電線管ですか、こういったものをしながら、できるだけコスト削減をしながら、コストをちょっとでも抑えながらそのような快適な空間をつくっていこうとしていただいているということはよくわかっておりますが、あと、実はこの財源についてなんですね。

 先ほど申し上げましたとおり、実は、三カ年計画でも大きくは四つに分かれてこの事業を推進しようとしていただいています。中でも、オリンピック、パラリンピックというのは特別な事情だと思いますし、三カ年で完了させるんだという意気込みがある、目標がある。そして、その次に実は前にずっと進めているのは、やはり景観であったり観光の分野です、先ほど申し上げたとおり。

 この無電柱化を進める予算は、先ほど申し上げたとおり、一定決まった額しかございません。お聞きすると、令和元年度からは例の国際観光旅客税の一部を活用しながらこれをさせていただいているんだというふうに聞いておりますが、お聞きすると、わずかな額でございまして、国の方の事業者は四億程度を頂戴しながらやっていると。一キロを大体やるのに全体工事が五・三億からかかる中で四億となると、これはイコールの話じゃないにしても、ちょっと寂しいなというのが本音でありまして。

 いろいろな観光の掲示板なんかはこの間いろいろと進めてきておりますし、また、どちらかというとそういったことを先んじてやってきましたから、一定、結果が出れば、観光地のこういう無電柱化なんかは、これは海外からお越しいただく皆さんもそうであれば、我々も海外に行くときには徴収いただくわけでありますけれども、そういった予算を少しこういうところに重点的に充てていただけるような働きかけをしていただいて、残す防災であったり、安全に安心に歩ける、そういったところを築くというところと、少しシフトをしてほしいなという実は思いがあります。

 そういう意味では、これまでのウエートというのはどちらかというと観光、景観。ですから、でき得れば、これから以降、観光はまたそういった予算をも活用させていただきながらやっていただけるように努力をしていくというのは一つとして、これからの実は無電柱化を進めていくというところは、近年の台風やさまざまなところから、電柱が倒壊して危険な思いをされてきたことも事実ですし、防災面であったり、まだまだ歩道の真ん中に実は電柱が立っているようなところというのは、道路が、また歩道が細くなっていけばいくほどそんなところはたくさんあるんだと思いますけれども、そういう割合を少しこれから以降は変えて、人に優しい、そんな道路、歩道というものをつくっていくためには、この無電柱化の方向性というものを少し検討いただければなというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

池田政府参考人 無電柱化の予算でございますけれども、道路の防災機能を向上させる観点や、交通安全にも資するということで、これまで、道路事業の一つとして防災・安全交付金で支援をしてきております。令和二年度からは個別補助制度の創設も予定をしております。

 また、全体の道路事業の中での無電柱化に充てる予算も最近増加をさせてきているところでございます。

 さらに、今先生御指摘がありました観光の観点からも重要だということで、国際観光旅客税につきまして、観光庁と連携をいたしまして、令和元年度より観光地域振興無電柱化推進事業というものを創設しまして、観光地における、電線管理者が実施する無電柱化の支援を始めました。引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 このようなことで、道路事業あるいはその他観光関係も含めまして、無電柱化のスピードが少しでも上がるように予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 そういった意味では、予算の部分というものは、特にこの令和二年度ですか、今まで交付金で事業をしていたものを一つは補助制度にしていくと。恐らくこれは、地方からすると交付金なんかの方が使い勝手がよくて、いろいろなものに実はちょっと振り分けて、国としてはこういうところに本来なら使ってほしいなと思うところを、そことは違うところにつけたりするのでこういう事業が前に進まなくなっていると思うと、直接補助をすることによってこの事業が前に進むように、これは国と地方がある意味では連携して進めていくという手法を考えていただいたと思います。

 お聞きすると、別にここに関しては予算が増減するということもないやに聞いておりますので、そのお金の部分はしっかりと個々であっても確保をいただけるものだというふうに思っております。

 先ほどの観光旅客税なんか、もうちょっと有効に使わせていただけるものであれば、少し歩行や通行に、要するに弱い立場の人の空間をしっかりと整備していただくことが可能になるかと思いますので、この財源に関しては、いろいろと省内でも議論をいただく中で、今後の無電柱化の重点的な方向性、こういったものをお示しいただけるように、また研究、検討をいただければと思います。

 その中で、少し先ほど質問で重なりましたけれども、やはり、私が実は一番気にしているのは、占用制限というものを先般対象を拡大するということがございましたが、その中でも、やはり、少し申し上げた、幹線道路の端に行くと当然ながら四車線の道路も二車線になったりしますし、それに伴って、歩道なんかも狭くなっていく。

 ある意味ではやむを得ないというところもあるのはわかっているんですが、障害を持っている方々、若しくは障害を持つ方が学校に行かれるとき、そういうときに、実は、見ていると、歩道のど真ん中にやはり電柱が立っているところというのはたくさんございます。そういった方々がどのように実はそこを通行するかというと、当たり前のように、車椅子の方は実はなかなか、段差があって、歩道から車道におりてまた歩道に戻るなんということはできません、でも、乳母車を押しているお母さんなんかは間違いなくそういうふうにして、歩道から車道に出て、車道から今度はまた歩道へ戻ると。やはり危ないなと思うのは幾度となく見てきました。

 恐らく歩道が後づけで、電柱があるところに歩道をつけなければならなかったというようなことなんだろうと思いますが、こういうところこそ実はやっていただきたいなと思いますし、占用制限の対象拡大の部分では、絶対こういうところに新しく電柱というものが立たないようにはやはりしていただきたいなという思いがあります。

 後ほど少しこれは聞きますけれども、だからといって、そういう細い歩道のところを無電柱化にして、では変圧器なんてどうするのと。先ほどおっしゃっていただいたように、公園があったり公の空地があったりすると、そこにそれを設置することは可能なんでしょう。でも、恐らくそういうところが全く確保できないところなんかでは、ではずっとそのまま危険な歩道のままなのか。少し、歩行、通行に弱い立場の人が通れるようなことをちょっとでも改善できるようにできないのかと思うと、大変残念な思いでもありますので、そういうところに関しては後ほど、もうここであわせてお聞きしますけれども、実は、そこでトランス、変圧器がちっちゃくなったり薄くなったり、そんなことができるのであれば、そういうところでも通行がしやすいようになるんじゃないかなというふうに思っておりますが、こういう対象拡大に関して、また、そういう優先順位についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

池田政府参考人 まず、道路におきましての電柱の新規立柱の制限についての拡大の経過について御説明をさせていただきます。

 平成二十八年の四月から、災害が発生した場合の被害の拡大防止を目的として、緊急輸送道路、これはあらかじめ指定したものがございますが、そういう道路と災害対策基本法に基づく避難路、こういう道路につきまして、新規立柱の制限の措置をスタートいたしました。続きまして、平成三十年度に、今お話しありました歩行者の安全かつ円滑な通行を図ることを目的として、歩道幅員が著しく狭い歩道についての電柱の新規立柱の占用制限を追加したところでございます。

 第二に、今御質問の中で、歩道が拡幅した場合に真ん中に電柱が残るような場合の対応でございます。これは、こういう歩道を拡幅したときに、電柱の管理者に対し、歩道が拡幅した場合に電線を地中化するか、若しくは適切な場所に移設するか、こういうことを求めるということをルールとしております。このようなルールが徹底されますように、改めて地方公共団体の方には働きかけてまいりたいと考えております。

田中(英)分科員 ぜひとも働きかけをしていただければと思います。

 私の住む京都市内でも、また今でもイメージがあるのは、観光地優先の無電柱化のイメージが強いです。先般も、二年前には、上七軒という花街ですね、そこがされたということで、大変大きくニュースにも取り上げていただいたことがございます。

 ただ、日々の生活でそこを通学や通勤で使ったり、お買物で乳母車を押しながら行かれるような方々がいたり。そういうことを思うと、幸いそんな頻繁に事故が起こっていないのは、そういった方々が注意をしながら実はその電柱を避けて通っていただいているからなんだと思っていますし、そういう意味では、この地中化であったり移設ということを自治体の皆さんとも連携をしていただきながら、そういう形で整備をしてもらうように、推進を図っていただけるように、国としても働きかけを更に一層強くお願いしたいというふうに思っておりますので、お願いしたいと思います。

 それで、実は、今も出ました、地中化に伴うと、やはりこのトランス、変圧器が地上に置かれるというケースがよくあります。

 実は、京都市内は、ど真ん中の繁華街は「歩くまち」ということで、車道を減らして歩道を倍にしたという。やったときには大変市民も混乱して、事業者の方々も、当時は不評でありました。でも、もともとからタクシーであったり自家用車であったりが路上駐車をするので二車線あるところも一・五車ぐらいであったので、今、そこを通ると自分の行きたい目的地に速やかに行けないので、自家用であったりはほとんど通らなくなって、公共交通がほとんどを占めております。

 ですから、そう思うと、もともと一・五車しかなかったところと思うと、歩行空間がふえて、車道の方もスムーズにいっているのであったら、車道の方はまずマルなんだと思います。

 歩行空間です。歩行空間も大変喜ばれております。単に行き来がよくなったのではなくして、障害を持つ方々や、また、先ほど言った妊婦さんや、子供さんをお連れの方、本当は前であればぶつかりながら歩いていたというようなところがスムーズに歩けるようになったということで、ある意味では、初めは批判が強かったけれども、喜んでいただけるようなものになっています。

 それはそれでよかったんですが、まだ、その歩道を広げた真ん中あたりに、実は変圧器がぼおんと置いてあるというのが実態です。邪魔だなと思うのが大半ですが、たまにうまいこと使いはる人がいて、祇園祭なんか人の多いときはその周りをわざと確保してテーブルがわりに使って飲み物を置いたりされる方もおられるんですが、日々はやはりこれは邪魔なんですよね。

 そういう意味では、そういう、広い歩道を確保しているところでもやはり邪魔だと思うと、間違いなく、狭いところでそれを地中化をしながら無電柱化を推進したいなと思うとやはり小型化にならなければならないとは思うんですが、この小型化の取組が一体どのようになっているのかなということをお伺いしたいと思います。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 無電柱化に伴う地上機器の設置に当たりましては、歩行者の通行の妨げにならないようにするということが重要であると認識してございます。このため、先生おっしゃいましたトランスの小型化を進めるべく、電力十社から電力中央研究所へ二年間、これは二〇二〇年度から二〇二一年度ですけれども、二年間の委託研究を行いまして、その成果を電力業界内で統一的に展開をしていく予定である、このように承知をしてございます。

 また、小型化以外の手法といたしましては、歩道上にトランスの設置が困難な狭い道路については、街路灯にトランスを設置するソフト地中化、こう呼ばれる手法ですとか、あるいは歩道以外の、民有地へのトランスの設置など、歩行者の通行の妨げとならないような工夫も行われているものと承知してございます。

 引き続き、良好な道路環境にも配慮しつつ、電力会社や国土交通省など関係省庁とも連携をしながら、無電柱化の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

田中(英)分科員 いろいろと、三カ年かけて研究をいただいて、その結果が出るというのはもうしばらくかかるんでしょうけれども、できるだけやはり急いでほしいなというのが本音であります。限られたこの期間、三年間というのは二〇二〇年ですかね。(発言する者あり)二〇年から二二年ですね。(発言する者あり)済みません、二一年。この間に、本当に、何といいますか、これならばというものを、十社の皆さん始め、そういう中央研のところで研究をして出していただきたいなと思います。

 やはりどうしても、細いほど、そこの真ん中にある電柱、物すごく気になるんですよ。ですから、そういったところであっても通行しやすいような空間をどのようにしてつくっていただくかということを、経産省の方でもエネ庁の方でもいろいろと考えていただいて、国交省と連携を図っていただいて、本当に近いときに、快適な空間を、どんなところでもおつくりいただけるような形で望んでいるものでありますので、お願いしたいと思います。

 また一方で、無電柱化法の十二条で新設の電柱というのは抑えてくれというふうになっているんですが、どうしても、年間七万本ぐらいふえてしまっている。トータル三千六百万本あるんですが、七万本ぐらいどうしてもふえてしまっているんです。これは何でなんだろうと。その点についてお答えいただけますか。

覺道政府参考人 先に、先ほど、電力中央研究所への二年間の委託研究ということで、二〇二〇年度から二一年度でございます。済みません。誤っておりましたら訂正いたします。

 今の御質問でございますけれども、御指摘のとおり、二〇一八年度におきましては、電力会社所有の電柱が約七万本増加していると認識してございます。その内訳としましては、約七割が家屋の新築などに伴う需要家からの新規供給申込み対応に応じるためのもの、約二割が太陽光などの再エネの新規接続のためのものというふうに認識をしてございます。

 無電柱化をせずに電柱を設置することが選択される理由としましては、やはり無電柱化に必要となるコストが高いことが原因の一つというふうに考えてございます。このため、経済産業省としましては、無電柱化に必要となるコストを大幅に引き下げていくことが重要である、こう考えてございまして、各電力会社のケーブル、変圧器といった器材の仕様、これはサイズなどですけれども、仕様の統一を推進することで、量産効果により製造コストの低減を図っていきたいというふうに考えてございます。

 また、電気事業者に対しまして、無電柱化を含む既存設備の計画的な更新を義務づけるとともに、必要な送配電投資を着実に実施すると同時に、コスト効率化に取り組むための託送料金制度の改革を行うべく、本日、電気事業法等の改正法案を閣議決定いたしたところでございます。

 こうした取組を通じまして、無電柱化の推進に関する法律第十二条の趣旨を踏まえまして、引き続き、関係省庁と連携をしながら、電柱の新設の抑制に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

田中(英)分科員 新築のときにどうしてもそっちを選択するというみたいですね。でも、無電柱化を推進するのであれば、電柱を立てて電線を使って電力を新しいところ、家に引き込むということよりも、推進すべきは無電柱化なんだと思いますし、実は、その分、事業者に差額はどうしても払ってもらわなければならないというのがあるんですよね。この辺、何か少し考えられないかなと思うと、事業者にも一定の負担はいただかなければならないのかもわかりませんけれども、国としてこれを推進していこうとしているのであれば、少しそこのサポートをすることができないのかなんということもちょっとお考えいただければなという思いを持っておりますので、そこはちょっと宿題みたいな形で、再度御検討いただく機会を持っていただきたいなというふうに思っております。

 もう時間の方が来ましたので、最後、まとめさせていただきますが、無電柱化を進めていく中で、本当にきれいになったなとかおっしゃっていただくことが多々ございます。でも、実際のところ、京都では二つのパターン、京大の前は直接埋設でやってみました。実証です。その前に、先ほどの上七軒という花街。

 どちらの工事の方がいいのかというのは、これはいろいろあると思いますが、まだコストが、直接埋設は一番安くなるという可能性もあるんですが、一方で、共同溝よりもちょっと高いと言われるパターンもあるやに聞いております。特に京大の前でやられた実証に関しては、いろいろな課題が出てきたと思います。

 常設で工事をそのまま置いておいていいのかとか、またまたそんなこともありますし、経産省の方のルールで、直接、電気の方の線は実はちょっと違反でできないというふうにも聞いたりもしておりますが、そういったところも少しいろいろと、国交省と経産省とまた自治体ともいろいろと協議をいただいて、これからも無電柱化が一歩、二歩強く前に踏み出せる、そんな環境をおつくりいただいて、本当にその事業が推進できますことを期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて田中英之君の質疑は終了いたしました。

 次に、秋本真利君。

秋本分科員 政務の方々に質問の予定はありませんので、どうぞ三役の皆さん、退席していただいて結構です。

伊藤主査 では、三役の皆様、離席していただいて結構でございます。

秋本分科員 自民党の秋本真利です。

 質問をさせていただきますけれども、ちょっと順番を変えまして二番から、自動車政策についてからお伺いをいたします。

 自動運転が、レベル3がことし世の中に出てくるだろうというふうに思われていますし、総理の施政方針演説でも力強い文言が中に組み込まれていました。

 自動運転がこれから世の中にどんどんどんどん普及していくに当たっては、なるべく自動運転の車が多い方がいいわけでありまして、人のコントロールしている車と混在していると予期せぬことが起きるということで、自動運転側がいろいろなプログラムを構築しなきゃいけませんし、なかなか難しいという面がありますから、自動運転の車が一台でも多くなるといいという中では、やはり政策的に誘導してなるべく多くの車が市中に出回るように、つまり、FCVも今補助金を出していますよね。少し聞いたところによると、レベル3の自動運転の車も一千万円以上するというような話でありますから、ただそのままにしていては、なかなか手の届かない車ということで普及しにくいのではないか。

 そういう意味では、補助金を出す等の政策的な誘導があってもいいのではないかというふうに思います。自動運転を普及拡大させるためにとるべき施策の一つとして補助金を出すべきではないかなということを思いますけれども、その点について経産省にお伺いをしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動走行車のうち、一定の条件下で運転者の操縦を必要としないいわゆるレベル3につきましては、自動車メーカーにおいて今後の市販化を目指し、搭載される機能、あるいはその販売価格などについて検討が進められている段階というぐあいに承知をしております。

 このため、普及に向けてどのような取組が有効であるかにつきましては、今後の自動車メーカー各社の市販化の動向でありますとか、あるいはユーザーのニーズなどを踏まえまして、見きわめてまいりたいというぐあいに考えております。

秋本分科員 見きわめてまいりたいということでしたので、ぜひ見きわめて、必要であればしっかりと検討して補助を導入していただきたいなというふうに思います。

 経産省もこれで終わりですので、どうぞ退席してもらって結構です。

 次に、財務省、来てもらっていると思いますけれども、自動車安全特別会計における一般会計の繰入れ、繰戻し、どちらの立場から見るかによって違いますけれども、私、実は国交省にいて大臣政務官だったときにこれを担当していたんですよ。それまで長く財務省さんに貸し付けていたお金が戻ってこなくて、なかなか、事業展開するにも厳しくなっていくだろうということが目に見えていたわけであります。被害者の家族の方たちも心配をしていますし、もともと返すというお約束で貸したお金ですから、ぜひしっかり財務省にはお返しをいただきたい。

 私が大臣政務官だったときに国交省と約束をしましたよね、返しますと。だから、返すからということで利子もお安くしたはずであります。であれば、少なくとも、元本が減っていくぐらいの金額を返していただかなければなりません。

 ことし、百億からの三桁の台に乗ってくるかなと思っていましたら、残念ながら、私にとっては残念ながら四十億円ということで、財務省さんにしてみれば、前年度よりも一円でも多く返しているからふえているじゃないかということを思うかもしれませんけれども、ぜひより多くの返済を、繰戻しをしていただきたいというふうに思いますけれども、財務省の考えをお伺いいたします。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰戻しでございます。一般会計の厳しい財政事情のもとでも、やはり大臣間の合意に基づきまして、事故被害者の保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるようにということで、せめて積立金の取崩し額の減少を図りたいということで、ぎりぎり努力させていただいております。

 引き続き、大臣間合意に基づきまして、努力を重ねてまいりたいと考えてございます。

秋本分科員 努力を重ねていきたいということですから、頑張って精励していただいて、来年や、補正でもいいですよ、たくさん返してもらいたいと思いますので、戻って幹部の方々にもしっかりとお伝えいただきたいというふうに思います。

 先日、予算委員会に副大臣に来ていただいて、通告していたんですけれども、ちょっと質問ができなかったのでおわびを申し上げたいと思います。それも伝えておいていただきたい。

 彼もこのことについては強い思い入れを持っているということで、しっかり財務省の中から応援していきますという発言もしてくださいましたので、より多くの返済があるということを期待をして、財務省さんにはこれで帰っていただいて結構ですので、次の質問に参りたいというふうに思います。

 洋上風力についてお伺いをします。二つ束ねて質問を港湾局長にしたいというふうに思います。

 一般海域、洋上風力ができるぜという法律が昨年施行されて、今、十一の海域で四つの有望区域ということで動き始めました。

 その中でどういう事象が起きているかというと、ある一つの有望な海域、有望海域というか、そのポテンシャルのある海域を幾つかの事業者が見初めたときに、ばらばらにアクションしてしまって、地元からすると、アセススクラムというような、アセスをどんどんどんどんいろいろな事業者がいろいろな角度からやってくる、あるいは、いろいろな開発行為の手前の許可申請等をどんどんどんどんいろいろな事業者がばらばらばらばらやっているということが起きてしまっています。

 私は、やはりこの辺はもうちょっと経産省とも話をして交通整理をして、一定程度のところまでは今よりももう少し先まで国が関与して、例えばアセスであれば、一定程度のところまで国交省、経産省の方で行って、そして、どこかの時点で事業者にそれをバトンタッチするというようなことがあってもいいのではないかなというふうに思います。

 もうちょっと交通整理をした方がいいのではないか、この点について、まず一つ目、港湾局長に聞きたいと思います。

 もう一つあわせて聞きますけれども、基地港湾ができたときに、そこの岸壁を貸す賃借料、そして海域の占用料がありますが、今までは県条例でやっていて、県条例の中にも高いところと低いところがありましたが、今回、国でやるということですから、その中でもできるだけ安い方に寄せていく、あるいはそれ以下にするというのが私は必要なのではないかなというふうに思います。

 岸壁の賃借料や促進区域の占用料についてどのような考え方を持っているか。

 この二点、あわせて港湾局長にお伺いをしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進するため、再エネ海域利用法第八条に基づき、気象、海象等の自然的条件、航路、港湾の利用や保全、管理への影響、発電設備と港湾との一体的利用等に関し、国があらかじめ調査を行い、基準に適合するものを経済産業大臣及び国土交通大臣が促進区域として指定することができることとなっております。

 他方、環境影響評価法第二条に基づく環境影響評価につきましては、事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることを確保するため、当該事業の実施が環境に及ぼす影響について、環境要素ごとに事業者が必要な調査、予測及び評価等を行うこととされております。

 したがいまして、再エネ海域利用法と環境影響評価法における調査目的や調査内容は異なっておりますことから、事業者が環境影響評価法に基づいて行う環境に関する調査は引き続き必要であると考えております。

 なお、国が海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進するために取得した調査結果でございますが、これは、事業者が環境影響評価において活用できるものがあれば提供できる可能性があると考えておりまして、今後、具体的に検討をしてまいりたいと思います。

 また、先ほどの貸付料の話がございました。

 洋上風力発電設備に係る水域の占用料でございますが、これは、発電設備の投影面積及びチェーン等の長さに基づき占用面積を算定し、近傍類地の地代を考慮して占用料の単価を定めることとされております。

 基地港湾の埠頭の貸付料及び水域の占用料等につきましては、今後、関係機関の御意見も拝聴しつつ、海洋再生可能エネルギー発電事業が円滑に推進できるように適切に設定してまいる所存であります。

秋本分科員 アセスについては今もろもろと局長の方から説明がありましたが、それはわかってはいるんです。わかっているんだけれども、私は、もし必要であれば、もう一段法整備をしてでももうちょっと国が交通整理をする必要があるんじゃないかなと。

 きょうは経産省、この件では呼んでいませんけれども、系統もそうなんですよ。系統も、確保できるところを促進区域と指定しますと言っていますが、ヨーロッパの方とかだと、もう系統がそこまで迎えに行っちゃって、あとはもうそこの現場で接続するというところまで国が引っ張って、あとは事業者が建ててつないでねということにしている国もあるわけです。

 だから、私が言っているのは、そういうのも含めて、アセスも必要なら、法整備をしてでももうちょっと国が、この海域はもう一定程度アセスは済んでいますよ、あるいは、済んでいますよというのは極端に言えばあると思うんですよ。そうするとちょっと時間がかかってしまうという面もあるかもしれないので、そこは考えてもらわなきゃいけないなと私もちょっと悩ましいところだなと思っていますが、いずれにしても、もうちょっと国が一歩踏み込んで、事業者はもう本当に純粋にそこで風車を建てて目の前まで来ているアクセスにつないで、何ぼでできますかというところで札入れさせるというのがセントラル方式というわけですけれども、欧州のセントラル方式になるべく、私はあれはすばらしい制度だなと思いますので、近づいていく努力を私はするべきじゃないかなというふうに思いますので、今後ぜひそういった観点も入れて精励されていってほしいなというふうに思います。

 次に、環境省、来ていますかね。自然公園の沿岸に風車を建てますよというふうにしたときに、県条例になるんですかね、それで視野角一度とか一・五度、二度とかでちょっと規制をかけている都道府県があったりしますが、それが海域によって、都道府県によってばらばらだったりすると、これはなかなかややこしいわけですよ。

 ですから、環境省の方として一定程度の基準を示すであるとか何か統一的な見解を出すであるとか、環境省の方で示唆できるようなことというのは何かないのか、お伺いをしたいというふうに思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 国立・国定公園内におきましては、普通地域におきましても、風力発電施設を設置する場合には、主要な展望地から望見する場合の著しい妨げにならないこと等、自然風景の保護上の支障とならないように審査してございます。

 自然風景の保護、つまり、平たく申し上げますと眺望でございますが、この保護上の支障となるかどうかにつきましては、具体的な事案によりまして保全すべき眺望地あるいは眺望対象を踏まえまして、その程度を個別に判断する必要がやはりございますが、こういった観点から、性質上、一律に、定量的に基準を設定することが難しい面があることも事実でございます。

 他方で、国や都道府県の審査において風力発電施設につきまして審査に著しくばらつきが生じるということを避ける観点から、環境省におきましては、風力発電施設につきまして、審査の判断の基準となる具体的な考え方といたしまして、主要な眺望地の抽出方法、それから、当該施設が眺望施設に与える視覚的影響の程度の目安、それから、規模や配置、色彩などの保全措置の方法、こういったものを示しました技術的なガイドラインを都道府県にも示しているところでございます。

 いずれにいたしましても、議員御指摘のようにさまざまなケースが考えられますし、当省といたしましても、引き続き、情報収集を進めるとともに、必要に応じまして都道府県に技術的助言を行うなど、制度の適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

秋本分科員 わかりました。

 一方で、やはり今おっしゃったとおりだと思うんですけれども、都道府県によってその環境省が出しているものの読み方が違って、出てくる見解がAという県とBという県で全然違いますという話になっては、やはり事業者の事業予見性を非常に大きく妨げるわけでありますから、もし問題が生じているというようなことがあれば、その辺は環境省としての統一見解というものを先々出す必要が生じるのであれば、そういう作業もいとわずに、全国のそういう事例についてもぜひ調査の上、精査していただきたいということをお願いを申し上げて、環境省にもこれで質問を終わりにして先に進みたいというふうに思います。

 どうぞ、退席していただいて結構です。

伊藤主査 それでは、環境省の方も離席していただいて結構です。

秋本分科員 次に、ちょっとローカルな千葉のことについて、分科会ですのでやらせていただこうと思います。

 今、千葉県のビッグプロジェクトで非常に関心が高まっているものの一つに、いわゆる第二湾岸道路です。

 今、私も千葉県から朝東京に上がってこようと思うと、物すごい渋滞に巻き込まれて、時間も読めない。ましてや、ロスして大変な状況です。多分、経済的損失も相当大きいと思うんです、これは試算すると。やはり、慢性的にも毎日毎日ああいう状況が発生しているというのは、どう考えても、交通量と道路の規格が合っていないんだろうというふうに思います。

 そうした中で、第二湾岸というものが十数年前にも俎上に上がったんですけれども、当時は三番瀬の問題で一度話がなくなってしまいました。今また、もう一度、再度この話が盛り上がってきたわけですけれども、これについてはぜひ、私は推進する立場でありますので、しっかり国土交通省には旗振りをしていただいて、この第二湾岸道路が一日も早く完成するように御尽力いただきたいというふうに思います。

 国交省の取組についてお伺いをしたいと思います。

池田政府参考人 ただいま委員御指摘ありました千葉県の湾岸地域におきましては、国道三百五十七号を始め、広範囲に慢性渋滞が発生し、大型車が一般道に混入するなど、大きな交通課題があると認識をしております。

 こうしたことから、昨年三月に、国交省道路局、関東地方整備局、千葉県、千葉市などによる検討会を設立いたしました。この中で、東京湾沿岸部における規格の高い道路ネットワークの計画の具体化に向けた検討に着手をしたところでございます。

 現在、ルートや構造の基本的な考え方及び環境に配慮すべき事項、これらについて検討を進めております。今年度内には、沿線自治体も参加した幹事会の検討状況を第二回の検討会に報告できるように準備を進めたいと考えております。

 今後は、このルートや構造の基本的な考え方及び環境に配慮すべき事項、これがまとまった段階で、その内容について沿線の方々から広く意見をお聞きしてまいりたいというふうに考えております。

 早期の計画の具体化を目指して、着実に進めてまいりたいと考えております。

秋本分科員 大事なことを一つ聞き忘れてしまいました、済みません。洋上風力のメーンの質問をすっ飛ばしてしまいました。

 港湾局長にお答えいただきたいと思いますけれども、この間、さきの予算委員会の本委員会の方で私が、これから洋上風力をしっかりとこの国に導入していくためには、やはり中長期のビジョンを掲げなきゃいけないよねと。諸外国は、例えば中国は百ギガ、韓国ですら、私は予算委員会でも言いましたが、韓国が掲げた数字はちょっと疑義があると思いますけれども、それでも二十五ギガと掲げていますよね。世界的に、世界から、あるいは事業者から見ると、中国百ギガ、韓国二十五ギガ、で日本はとなると、日本は中長期の目標を掲げていないんですよ。陸上と洋上を合わせて一千万キロワット、つまり十ギガが一応エネルギーミックス、経産省が掲げているトータルの目標ではあるけれども、洋上だけのターゲットがありません。

 そうした中では、諸外国から見たときに、中国や韓国というマーケットと日本のマーケットを比べたときに、やはり日本はちょっと魅力がないよねということになりかねませんし、世界の企業がどこに設備投資をしようかと考えたときに、百ギガの中国、二十五ギガの韓国、台湾ですら二十ギガ弱掲げていて、日本は、これは政府が掲げている数字じゃないですけれども、世界的なIEAとかああいうところから見た日本のターゲットは四ギガというふうに示されちゃっているんですよ。そうすると、四ギガの市場に企業が出ていくのかいなというのは、普通、誰が考えたって火を見るより明らかですよね。

 日立が残念ながら風力の業界から撤退をしてしまって、今残っているのは、三菱がデンマークのヴェスタスと一緒にやっているMHIヴェスタスだけであります。でも、MHIヴェスタスは、洋上に限ってみれば世界最大の風車メーカーですし、陸上とあわせても世界の三本の指の中に入る巨大なメーカーです。三菱の名前が入っているわけですから、三菱ヴェスタスに、日本に戻ってきて日本に生産拠点を置いてくれよという話をしたら必ず言われるのが、いや秋本さん、そうは言ったって、日本は政府が長期のターゲットを掲げていないから無理ですよ、こうなっちゃうんですよ。

 そうなると、タワーをつくる会社もナセルをつくる会社もブレードをつくる会社も、日本には進出してきません。日本の中でそういうものをつくれる企業も、いや、国がターゲットを全然掲げていないからこの国では仕事がないよねとなってしまうわけです。

 仮に今から洋上に風車がたくさん建つようになっても、SEP船の商圏は半径五百キロなんですよ。日本でつくらなければ違うところでつくって持ってくるということまで考えれば、SEP船だけじゃなくて、輸送してくるということまで考えれば、中国や韓国や台湾にできた工場から日本に物を輸出して、日本の軒先だけ貸して、そういう経済的な波及効果は全部ほかの国々にとられてしまうということがあるわけです。

 だから、民間としっかりと話合いをして政府として中長期の目標を掲げるべきだ、ターゲットをつくるべきだというふうにかねがねずっと言ってきて、この間の予算委員会でやっと経産大臣から、鋭意努力をしてそういう場を近日中につくれるようにしていきたいという答弁を頂戴をしました。非常にこれは意味のあることで、非常に前向きに答弁してもらったなというふうに思っています。

 あのときは経産省にしかお伺いできませんでしたので、一方の主役である国土交通省の見解、可能であれば、そのテーブルというのはいつぐらいにセットされるのか。もし高田局長が少しでもお話しできることがあれば、お伺いをしたいというふうに思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 世界第六位の領海及び排他的経済水域を有する四面環海の我が国におきまして、沿岸域の空間を再生可能エネルギー源とみなして新たな利活用を図ることは、エネルギーの安定供給の観点やエネルギー自給率の改善の観点からも、重要と認識しております。

 このため、再生可能エネルギーの導入拡大に向けまして、昨年四月に再エネ海域利用法を施行し、その後、長崎県五島市沖を促進区域として指定いたしました。

 また、昨年十一月に港湾法を一部改正し、促進区域と一体として機能する、いわゆる基地港湾の候補となる秋田港や能代港におきまして既存の港湾施設の改良に係る事業に着手するなど、取組を加速しているところでございます。

 一方、世界では再生可能エネルギーの発電コストが急速に低下する中、日本でも、世界に比べて高い再生可能エネルギーの発電コストを低減し、国民負担を抑制していくことが重要な課題となっております。

 このため、急増する洋上風力発電のニーズに対応し、基地港湾における埠頭の整備等を確実に図るとともに、委員御指摘のような、官民が課題や対応について議論する場の構築や、洋上風力発電産業に係る中長期ビジョンの作成も有効と考えております。

 引き続き、経済産業省とも連携しつつ、産業界ともしっかりと対話を継続しながら、我が国における洋上風力発電の導入促進に向けて取組を加速してまいります。

秋本分科員 国土交通省からも非常に有効な手段なのでという答弁をもらいましたので、感謝をしたい。ぜひ鋭意努力をしていただいて、一日も早くそのテーブルをセットして、セットするだけではなくて、その結論をしっかりと出して世界に向かって日本のターゲットを掲げて、しっかりと企業等を呼び込んで日本の中に経済効果が波及して、日本が、国民がそして潤うように頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、りんかい線と京葉線の直通運転化についてですが、これも、かねてから千葉県、千葉市の方から強いお願いを国交省の方に出していますが、ずっと大体同じ答えなんですよ。線路の容量的にもうオーバーフローしちゃっていてちょっと物理的に無理という話と、もう一つは乗りかえです。ラッチの設定の仕方によってになりますが、入りと出でその人たちを捕捉できないので、つかまえられないからちょっとシステム的にも無理という話、この二つの大きな理由で無理だ無理だと言われてい続けているんですよ。

 私、かねてから何度もこれはお願いしていますが、東京都でこのことについて議論してもらおうということですが、石原都知事時代に協議会というものを設置していますが、なかなか検討が進まないということで、平成二十四年八月をもってその後一度も会議を開かれていないなど、この関係機関での話合いというものがあれから一向に進みません。

 関係者というのは、JR東と臨海鉄道と東京都、千葉県、千葉市が、直接的にはこの五つが関係者だということになると思うんですが、やはりここは、事業者、それと東京都と千葉県、千葉市の利害関係というのはぶつかるんですよ。

 ですから、どこかが話し合おうよというふうに言っても、いやいやいや、うちは話に応じませんとか、あるいは、やってよと言っても、どこか二つがやってもどこか一つがやらないとか、三者三様で、五者五様というんですか、難しい面もあるので、かねてから私はお願いをしていますが、国土交通省の方で行司役になって、ちょっとその五者を集めてテーブルをセットしていただいて、みんなでちょっと知恵を出して話し合えよというような形で交通整理をしていただく必要があるし、ぜひそれをお願いしたいと思いますが、鉄道局の見解をお伺いしたいと思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のJR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線の相互直通運転化につきましては、平成二十八年の四月に取りまとめられました交通政策審議会答申において、国際競争力強化に資するプロジェクトの一つとして位置づけられておるところでございます。

 一方、答申では、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、プロジェクトの実現に向けて、運賃収受方法の課題等があると指摘されているところでございます。

 さらに、現在、JR京葉線東京駅行きは、ラッシュ時には線路容量の上限で運行されておりますので、この一部をりんかい線と相互直通運転させると、東京駅行きの減便により東京方面への利便性が低下するおそれがございます。

 このため、まずは千葉県、千葉市、東京都やJR東日本及び東京臨海高速鉄道の関係者において、これらの課題を踏まえて検討が進められることが有効であると考えております。

 国土交通省といたしましても、必要に応じ関係者間の検討を促すなど、適切な協力や助言を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

秋本分科員 五者での会議は有効だと今局長もおっしゃっていますし、求めがあれば、必要があれば行司役もいとわないよという答弁だったので、私もぜひ千葉県、千葉市にもお話をして、国交省にお願いをして、東京都やJR、臨海鉄道さんに席に着いていただいて話合いの場が持たれるように鋭意努力をしてまいりたいので、お力添えをよろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと成田空港についてお伺いをしますけれども、今度、第四ターミナルというものが第三滑走路にあわせてできますが、その位置等によって、人や車や、あるいは鉄道、いろいろな流れが変わってきます。新たに道路や鉄道網を整備しなければなりません。

 しかし、一方で、位置的に、一ビルと二ビルの動線より向こう側に、東京側から見ると向こう側に行ってしまいますから、改めてそこを何かアクセスしていくとなると、滑走路を横切る、あるいはエプロンを横切るような形になるので、いろいろ難しいところが発生してくるのではないかなというふうに思います。

 特に鉄道については、位置によっては取り回しができなくて、二ビルから分岐して四ビルに行くなんてことになっては私はいかぬなと思うんです。やはり、二、一、四というふうに一応一筆書きで行けるということが私は望ましいというふうに思います。

 この辺の整理についてはどのように考えているのかと、道路局にもちょっともう一点、ローカルな話題になりますけれども、私の地元の北千葉拡幅五十一号線、今、千葉側とそれから成田側からやっていて真ん中の佐倉の地先が残っているんですが、ここについては、地元がやってくれというふうに声を上げなければ国交省はアクションをしないのか。それとも、前後事業が進んでいるわけですから、最後の都計を打っていない部分についても、国土交通省としてこれはやらなきゃいかぬよねという必要性を感じているのか。これはどっちなのかということについて、この二点を航空局と道路局にそれぞれお伺いをしたいと思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 成田空港につきましては、先生御指摘のとおり、空港の発着容量を年間五十万回とする機能強化を進めているところでございます。そのために必要な旅客ターミナルビル等につきましては、今後の航空需要の増大に応じて将来の展開用地も十分に見込めるように、その配置を検討していくこととしております。

 また、五十万回を見据えると、鉄道や自動車など空港アクセスのあり方についても見直しが必要であります。その際、アクセス交通の容量の増加と空港利用者の利便性の向上を両立させるよう検討する必要があると考えております。

 国土交通省といたしましては、今後、成田空港会社と連携をし、手戻りが生じないよう、しっかりと検討を進めてまいります。

伊藤主査 続きまして池田道路局長。

 なお、答弁は簡潔にお願いいたします。

池田政府参考人 北千葉地域の国道五十一号は二車線の道路ですけれども、一日当たりの交通量は二万台を超えるということで、大変渋滞が発生して、この解消は大きな課題であると思っております。

 今お話にありましたように、現在、北千葉拡幅、成田拡幅などの四車化をやっております。残る御指摘の区間の四車化についても、順次進めていかなければならないものと思っております。

 また、地元の自治体からも要望もいただいているところでございます。しっかりと進めてまいりたいと思います。

秋本分科員 では、要望した全ての事項について精励されますことをお願い申し上げて、これで質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 荒川水系河川整備と上尾道路建設について質問いたします。

 二〇一九年十月十二日午前七時には、地元首長の皆様、知り合いの県会議員に電話をさせていただき、台風十九号上陸に備えて、お互いに連絡をとりながら対応することを確認しました。私は十九年を超えて議員として活動しておりますが、荒川の破堤を意識したのは今回が初めてです。

 台風十九号の上陸前、上陸後、通過後に地元を見回り、またお伺いした地元の皆様の御意見を踏まえ、質問いたします。

 また、荒川上流河川事務所の皆様には、台風十九号の対応に尽力していただいたことに感謝申し上げます。

 まず、さいたま市から上尾市平方の開平橋付近までの築堤の終了が近いと承知しています。今後、整備が本格化する荒川第二、第三調節池の完成時期などについて説明ください。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度に事業化された荒川第二、第三調節池事業では、埼玉県さいたま市、川越市、上尾市に位置する荒川の広い河川敷を活用して、約五千百万立方メートルの貯水容量確保等を行うものでございまして、令和十二年度の完成を目指して進めているところでございます。

 これらの調節池の整備により、荒川第一調節池より下流の荒川本川におきまして、最大約八十センチの水位低下が見込まれているところでございます。

大島(敦)分科員 堤内に調節池のための堤防が築堤されるので、調節池が完成すると荒川の川幅は狭くなってしまいます。調節池完成により、下流への水量は調整されますが、調節池の上に位置する開平橋から上流の水位は更に上がることになります。

 台風十九号で被害があったのは、大宮台地の荒川側斜面にある住宅、工場などの施設で、被害を受けた方々は、ここで長く生活してきたがこんなに水位が上がったことはなかったとおっしゃっています。これまでの経験を超えた水位であったのです。

 また、被害はほとんどなかったのですが、鴻巣市では、大宮台地が終わり、堤防で治水しております。一九四七年九月十五日のカスリーン台風では、鴻巣市で左岸約六十五メートル、熊谷久下で左岸約百メートルにわたり相次ぎ破堤し、利根川の氾濫と合流した濁流は、沿川市町村をのみ込みながら、九月二十日には東京湾に達しました。

 今後、調節池完成により水位が上がると、破堤のおそれも増すと考えます。調節池上流の対策が急務であると考えますが、国土交通省の説明を求めます。

赤羽国務大臣 大島委員の御発言にもありましたように、昨年の台風十九号、これは令和元年東日本台風と命名されたわけでありますが、この降水量というのは、私も二十五年以上議員をやらせていただいておりますが、多分初めての経験で、全国の国直轄の七河川で十二カ所で、県と国合わせますと百四十カ所、一気に一つの災害で堤防が切れたという、これは大変大きな、未曽有の災害だったというふうに本当に思っています。

 私も、切れたところのほぼ全て、大きなところは全て現場に行きましたが、まさに気候変動に伴う災害の激甚化、頻発化、そしてそれに伴っての被害の深刻化というものを痛感したところでございます。

 そうした意味で、抜本的な治水対策を行うということで、今言われておりますように、調整池の事業というのは大変大事でございまして、この荒川もまさに首都圏の大動脈でございますので、荒川から洪水を起こすわけにいかないということで第二、第三調整池事業を行うわけでございますが、一キロ以上ある現在の広い川幅を新たな堤防でおおむね半分に仕切るわけで、ふだんから川の水が流れる部分と洪水時に水を効率的にためる調整池に分けるということにしております。

 ですから、今、大島先生御指摘のように、川の水が流れる幅が今より狭くなるので、その影響で調整池の上流部では水位が上昇されるということが、懸念というか、予想されるわけでございます。

 そうしたことから、新たな別の災害を起こさないように、河川整備計画におきましては、調整池上流側で河道掘削をしっかりと計画的に行うというふうにしております。水位上昇が懸念される区間について、また沿岸の皆さんは大変御心配もなされるというふうに思っていますので、そうした不安が払拭できるように、調整池整備に伴う影響が生じないように、適切にしっかりと河道掘削を実行してまいりたい、こう思っております。

 以上です。

大島(敦)分科員 台風十九号被害の特徴として、大宮台地の荒川側斜面に位置する多くの住宅が、床上、床下の浸水被害をこうむりました。上尾市平方地区での被害が甚大で、老健施設では一階が水没してしまいました。お話を伺うと、これまで八十年以上ここで生活してきたがこんなに水位が上がったことは経験していないと伺いました。これまでの経験を超えた水位であったのです。

 台風十九号で、荒川から溢水などにより浸水被害があった上尾市、桶川市、北本市における堤防整備を早急に進めるべきと考えますが、政府の方針を説明ください。

赤羽国務大臣 おっしゃられたように、上尾市の平方、畔吉、領家地区、また桶川市の川田谷地区におきまして、荒川の堤防が未整備の区間から溢水して、床上、床下合わせて約八十戸の家屋浸水が発生をさせてしまいました。

 これらの地域におきまして堤防の整備を計画的に進めていくということは、御指摘のように大変重要でございまして、今、最下流に位置する上尾市の平方地区では、昨年度、平成三十年度より既に測量、地質調査等に着手をして、現在、堤防の設計等を進めているところでございます。

 また、これらの地区の上流にあります熊谷市の荒川大橋まで、これは先生の御地元の鴻巣市も入っておる地域でございますが、ここにつきましても、上流、下流の上下流のバランスをしっかりと考慮しながら、計画的に堤防の整備を進めてまいりたい、こう考えております。

大島(敦)分科員 赤羽大臣、ありがとうございます。

 地元でも、荒川台地があって、ここは台地ですから堤防はございません。ただ、台地が徐々に低くなってきて、鴻巣市からは堤防で治水していますから、水位が上がったときの対応としては、築堤、新たに築堤する領域、区域と、これまでの堤防を更に広くするということも必要になってくるものですから、この二点について、この調整池の整備と同時に、こちらの、上流の方もぜひ気配りしていただければと思います。

 もう一つが、桶川市と上尾市の市境を流れる江川から荒川への樋管付近が、台風のたびごとに水位が上がり、浸水被害が起きています。関東地方整備局荒川上流河川事務所には、ポンプ車の手配を毎回迅速に対応していただき、感謝しております。

 今回、台風十九号の被害を踏まえると、私の地元でも、ポンプ車の派遣要請が必要な樋管箇所がほかにも出てきましたので、国土交通大臣におかれましては、ポンプ車の数をふやしていただくようにお願いいたします。役所の皆さんと話すと、なかなかこれはハードルがあるらしいので、大臣から、ぜひ、今後の課題として役所の方に指示していただければと思います。

 続きまして、鴻巣市の名称の由来はコウノトリの巣から来ています。鴻巣市では、コウノトリ放鳥に向けての取組が進められています。NPO法人鴻巣こうのとりを育む会、小谷南部グリーンネットの皆様が平成二十五年にコウノトリを育む水田プロジェクトを発足し、無農薬栽培と冬水田んぼを実施して、コウノトリの餌場づくりの取組をしています。

 冬水田んぼにはオオハクチョウが飛来したり、千葉県野田市が放鳥したコウノトリが会員の宮川様の車のボンネットの上にとまったりして、大きな励みになっています。また、取組の最初から、荒川上流河川事務所の所長、所員の皆様には、休みにもかかわらず、冬水田んぼの自然観察会などの行事に家族連れで参加していただいております。地域とともに歩むその姿勢に敬意を表します。

 荒川流域におけるコウノトリも住める環境づくりに向けて、地元公共団体や市民団体の皆様と連携した国土交通省の今後の取組の方針について、国土交通大臣のお考えを聞かせてください。

赤羽国務大臣 お答えする前に、先ほどの荒川の治水計画につきまして、御指摘のように、関東の地方整備局は専門家がたくさんおりますので、地元の実情をよくわかりながら、やはり私も今回現場に行って学んだことは、流域全体を目配せしないと、部分的に堤防を強くすると、かえってその周辺の弱いところがやられてしまうというようなことも当然あるかと思いますので、流域全体で整備するということ、しっかりと整えていきたいというふうに思っております。

 あと、ポンプにつきましても、やはり、地方整備局のポンプ、非常にどの地域でもありがたかったと言われるのです。できるだけ予算の制約の中で精いっぱい調達しますが、私、個人的に言うと、できれば都道府県庁ぐらいは一台ぐらいずつ危機管理として持っていただけるようにしていただけたら、どこで一斉に、台風十九号を上回るような台風が来るとも、これは誰もわからないわけですので、そうしたことも地方自治体とも連携をとりながら考えていきたい、こう思っております。

 そして、コウノトリにつきまして、これは私の兵庫県の豊岡市も、コウノトリで大変地方創生がうまくいって、もともといたわけじゃないんだと思うんですけれども、地域のブランドというか誇りになっていて、大変美しいですし、コウノトリ米とか、そのままブランドがついてさまざまな展開もされております。

 こうした大型水鳥の餌場ですとか飛来地をつくるということは、豊かな生態系の保全ですとか、観光客の増加による地方活性化につながるものと私も認識をしているところでございます。

 国交省におきまして、この地域では埼玉県とあと地元五市町で構成する協議会においてさまざまな魅力的な地域づくりの具体的な方策が議論されていると承知をしておりますので、これを踏まえまして、コウノトリの餌場となる湿地を整備することをしっかりとサポートしていきたいというのが一つ。

 また、先生今お話に出していただきました鴻巣こうのとりを育む会、この市民団体の、こういうことというのはやはり地元の人たちがやるということが大事で、我々はどちらかというとサポートする側の方がやはりうまくいくのではないかと。この皆さんも、餌場となる冬水田んぼですとか小規模な湿地づくりをされて、生き物の観察会などを開かれていて、国交省の職員も参加をさせていただいている、お世話になっているわけでございますので、こうした地元の自治体や市民団体の皆さんとしっかりと手をとりながら、コウノトリという大変魅力的なものを生かしながら地域づくりに取り組んでいけるようにしっかりとサポートをしていきたい、こう決意をしておりますので、御指導よろしくお願いいたします。

大島(敦)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 次に、文化庁にお伺いをいたします。

 鴻巣市は、コウノトリ放鳥に向けて、コウノトリを飼育できるケージを建設する計画もあると聞いています。特定天然記念物であるコウノトリ飼育については文化庁の協力が必要です。地元地域の熱意も踏まえ、文化庁の協力と支援をお願いいたします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 特別天然記念物であるコウノトリの飼育につきましては、東日本では平成二十四年に千葉県野田市において飼育が開始され、平成二十七年以降十一羽の個体が放鳥されていますが、これまでに東日本の野外における産卵、巣立ちは確認されておりません。

 コウノトリは、かつては全国各地で見られた鳥であり、東日本においても繁殖などが順調に進むことが望ましいと考えております。鴻巣市におかれましては、令和二年度に飼育施設を建設し、令和三年の秋に飼育を開始する予定と伺っておりますが、この鴻巣市におきますコウノトリの飼育は、野田市に続いて、東日本でのコウノトリの保全に寄与する拠点がふえることとなるため、大変意義があるものと考えてございます。

 また、文化庁におきましては、地方公共団体などが行う天然記念物の保護及び再生を目的とした生息、生育環境の復元や繁殖等の事業に対しまして国庫補助等による支援を行ってございます。その中で、コウノトリの飼育等に関しましては、兵庫県に対して昭和三十八年から、千葉県野田市に対しましては平成二十五年から、各地方公共団体からの要望に応じて国庫補助による支援を継続して行っておりまして、野外の個体数も順調に増加してきていると承知しております。

 こうしたことから、文化庁といたしましては、鴻巣市についても、市からの要望を踏まえて適切に支援してまいりたい、このように考えております。

大島(敦)分科員 文化庁の御支援、よろしくお願いいたします。

 続きまして、国土交通大臣にお伺いいたします。

 首都直下地震のリスクは毎年高くなっています。発生した場合には、私の地元は首都機能をバックアップする役割も負うことになると考えます。東日本大震災での東北地方整備局が行ったくしの歯作戦のように、緊急時での道路の整備は災害対応の基本と考えます。

 その観点での上尾道路の必要性や整備に関して、国土交通大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 今先生言われるように、私は、道路ネットワークの形成、ミッシングリンクの解消といったものは、当然、経済的な、物流ですとか製造業に対するメリットがあるのは言うまでもありませんし、観光なんかでも大きく寄与すると思いますが、やはり、災害のときの、いざというときのライフラインというかセーフティーネットで大変重要な役割を示しているというのは、これは、私も大臣に昨年九月に就任以来、被災地に足を運ぶたびにそう思いました。

 特に幹線道路の果たす役割は大変大きくて、例えば、二車線のところは、途絶をすると全く通行が不可になって大変影響が長引く。他方、四車線のところは、四車線が全部だめになるということは結構まれでして、片側通行ですとか残りの二車線でということで、実は、昨年の災害以来、私のところの要望が四車線化、もう朝から晩まで続いているということでございます。

 そして、御質問の上尾道路につきまして、これは国道十七号と並行しているというふうに承知をしていますし、国道十七号自体は首都圏と群馬県を結ぶ緊急輸送道路で大変重要な役割を期待されているわけでありますが、国道十七号一本では、いざというときに大変、本当の意味での役割を十分果たすことはなかなか難しいのではないかというふうに我々も認識をしておるところでございます。

 そういう意味では、災害時における代替ルートの確保、また緊急物資の輸送において大きな力を発揮することが期待される上尾道路の整備につきましては、平常時の渋滞解消のみならず、災害時のセーフティーネットワークということで、しっかりとやらなければいけないと認識をしております。

 平成二十八年までに一期の区間は開通しており、これはよく御承知だと思いますが、現在未開通の上尾道路第二期の区間につきましても、平成二十三年度から事業を実施しておりまして、令和元年度の補正予算にも予算を投入するなど、整備の加速を図っているところでございますが、引き続きその重要性に鑑みて事業をしっかりと推進してまいりたい、こう決意をしておりますので、よろしくお願いいたします。

大島(敦)分科員 御答弁ありがとうございます。

 続きまして、上尾道路一期区間の江川地区だけが、今、暫定二車線で開通しています。早期に四車線化の必要があると考えておりまして、これは、先ほど国土交通大臣がおっしゃられたとおり、二車線ですと、今でもそこで結構渋滞が発生することもあります。特にJRがとまってしまったときは、皆さん道路に流れてくるものですから、どうしてもここが渋滞してしまうので、さまざまな理由があることは承知しているんですけれども、早急に四車線化していただくと、流れがよくなって、首都直下地震の際にも、これは南北のルートとして非常に有効だと思いますので、その点につきまして国土交通省の御見解を示していただきたいと考えます。

池田政府参考人 上尾道路の一期区間でありますけれども、ただいま御指摘ありましたように、全体十一キロが開通しているものの、江川地区の約五キロは暫定二車線ということでございます。

 この江川地区が暫定二車線となっている要因は、この地区に希少な植物が生育していることによるものでございます。

 このため、平成二十八年の暫定二車線開通から令和三年度までの五年間、希少植物の生育状況などについてのモニタリングと、それに伴う必要な環境対策、これを実施をしまして、その後四車線化の工事に着手をする予定としております。

 引き続き、地元の協力を得ながら事業を推進してまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 地元の大宮国道事務所の皆さんもよくやっていただいているのは承知しているものですから、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほどの首都直下地震の際に、現在整備中の道の駅おけがわという、これは仮称なんですけれども、防災拠点になり得ると考えています。この道の駅をつくろうというのは、桶川市の前の市長が国土交通大臣がいらっしゃったときに直接陳情したのがきっかけでして、防災拠点になり得ると考えるんですけれども、その点についての認識と現在の整備の進捗について御説明をお願いいたします。

池田政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、道の駅おけがわは、桶川市の地域防災計画にも位置づけられておりまして、整備が完了した際には防災拠点の機能を発揮するものと考えております。

 現在、この道の駅おけがわでございますけれども、御案内のとおり、桶川市川田谷地区に計画されておりまして、平成二十七年度より事業に着手をいたしまして、現在は用地買収を進めているところでございます。

 桶川市においては、この防災拠点としての役割を果たすために、道の駅に防災倉庫や防災トイレの整備を予定をしております。また、国におきましても、トイレや情報提供施設の耐震化などを進めて、防災拠点にふさわしい整備を進めていく予定にしております。

 国交省としましては、引き続き、桶川市と協力しながら、早期完成を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 上尾道路の今の二期工事について、その二期工事の進捗状況についてお聞かせください。

 道路の進捗を考えるときに、一つの指標として予算があると思います。この道路は五百億円の道路だ、要はこれまでどのくらい予算が投入されたかによって、二百五十億円だったら半分ぐらいかな、四百億円だとそろそろできそうかな、そういう視点も必要かなと思っていまして、道路局長に、これまでの上尾道路の進捗状況について、この予算面からの御説明をしていただけると大変にありがたいんですけれども、お願いいたします。

池田政府参考人 上尾道路の第二期区間でありますけれども、平成二十三年度から事業化して、現在は用地買収を行っております。

 今年度は、当初予算が二十八億、補正予算が五億円ということで、JR高崎線の交差路の改良工事も来月には着手をする予定です。

 お話ありました全体事業費、これは五百十億円でありまして、事業化をしてから令和元年度の補正予算までで約七十七億円の進捗になっております。

 引き続き、地元の協力を得ながら事業を推進してまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 よろしくお願いします。

 質問項目は全部終わりましたので、大臣に一つお願いしたいことがありまして。

 河川の整備については本当によくやっていただいて、道路も本当によくやっていただいています。道路で一番大変な仕事が用地の買収でして、つくることというのは結構スムーズにいくんですけれども、なかなか用地の買収は、さまざまな考え方があります。ですから、用地の買収についてよくやっていただいていることについて、ちょっと皆さんを励ましていただけると助かります。結構、地味なんですけれども、合意形成が大変な仕事なので、その点について指摘させていただきたい。

 あともう一つは、河川については、上流から下流まで、これはシステムとして、どうやって負荷をかけるかという問題だと思いますので、その点も。ただ、やはり河川は下から上へ進んでいくとともに全体的な最適化を図るものですから、その点も。今回の水害の被害によって地元の意識も大分変わってきましたので、ぜひその点を酌み取りながら、国土交通省の河川の担当の皆さんにも、迅速に工事を進めていただければなと思います。

 最後になんですけれども、今回の、大臣の所管ではないんですけれども、大臣は対策本部に出られていますから、新型コロナウイルス対策ということで。

 私は物すごく今危機感を持っています。実は、武漢は一千百万人なんですけれども、武漢の市区人口、中心地に住んでいる人口が八百六十万人で、人口密度が一平方キロメートル当たり一万五千人なんです。東京都の人口は一千四百万人ですけれども、二十三区は九百七十万人で、武漢の人口密度と大体同じ一万五千人なんです。

 ここは地下鉄があって物すごく交通網が発達している東京ですから、昼間の人口は圧倒的に多い。ここで一回感染が広がると、中国も今回、要は、湖北省六千万人、これは完全交通遮断ですし、一千百万人は自宅待機の状況の中で、これだけ激しく対応していてもまだ防げていないというのが私の実感なものですから、ここは危機感を持って対応した方が私はいいと思っています。

 一月十五日のその時点での中国は、普通の日常生活でしたから、日本と同じように。これが一カ月で物すごくさま変わりする。それは、情報が伏せられていた点もあるかもしれませんけれども、私たちの危機感は多分それにも増してだと思いますので、対策本部に出られていたり多くの方が聞かれているかと思うので、ぜひその点も留意されて政府としての対応をとっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問は終わります。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

秋本主査代理 次に、國場幸之助君。

國場分科員 ありがとうございます。それでは質問させていただきます。

 まず、首里城の再建について何点かお尋ねをしたいと思います。

 首里城の再建に当たっては、やはり、あのような悲劇を二度と起こさないということで、出火の原因というものをいかに正確に把握をするのか、この点が大切だと思っております。

 今、警察や消防がさまざまなことを調べていると聞いておりますけれども、今の時点ではまだ出火の原因がわからない、特定されないということでありますが、私は非常にこれは、次にこのような悲劇を起こさないことに対しては、このままではいけないと思っております。

 今の、この原因がわからないということに対してのまずは答弁をお願いしたいと思います。

小宮政府参考人 首里城火災につきましては、火災発生直後より、那覇市消防局及び沖縄県警察において原因調査を行ってまいりました。

 一月二十九日、沖縄県警におきまして、放火などの犯罪に該当する事実が見当たらないこと、また、現場から収集した資料を鑑定した結果、出火原因の特定には至らなかったとの発表がなされました。

 那覇市消防局は、建物内部の状況から、出火原因は電気系統が有力と考え、一月下旬まで焼け跡の発掘作業を行い、県警の収集した資料以外の残渣物の整理を進めていますが、焼損が激しく、特定は困難な状況と聞いております。

 いずれにいたしましても、沖縄県警の鑑定結果も踏まえ、那覇市消防局におきましても、近いうちに火災原因の調査内容について発表する予定と聞いております。

國場分科員 今、技術検討委員会というものが十二月の二十七日、二月の七日に開催されております。この中でも、防災という観点が非常に大きなテーマとなっておりますが、一つの結論の方向性として、スプリンクラーの設置ということに関しては認識が一致しているそうです。

 ところが、正殿、南殿、七棟が全焼し、なおかつ、財団が保有している文化財、これが千五百十点ありますけれども、四百一点が焼失をしております。

 このような大災害を起こした一つの結論がスプリンクラーの設置というだけでは、到底これは納得いかないわけでありまして、最初の、この火災の初動の部分も含めて何が原因であったのか。このことは、県警や地元の消防任せではなく、政府としてもしっかりと対応していただきたいんですが、この点についての答弁をお願いします。

小宮政府参考人 消防庁といたしましても、首里城復元に当たりましては、電気的要因による火災対策、あるいは今委員御指摘のスプリンクラーなどを含めまして、再び同様な火災を発生させないための総合的な防火対策が講じられるよう協力してまいります。

國場分科員 総合的な防火対策というところを徹底的に地元と意見を詰めていただきたいと思っております。

 今、スプリンクラーの設置であるとか、防水の貯水槽の整備であるとか、設備の部分でその結論を導き出すような風潮がありますけれども、そうではなくて、やはり国が管理している二十七年間は火災が起きなかったわけでありますから、昨年の二月に県に委託、維持管理されるようになってこのような火災が起きてしまった。このことは、やはり何が起きたのかということは徹底的に調査をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、この首里城の再建に当たりましては、木材の調達というものが非常に大きなテーマになっております。前回の復元の際には、台湾からヒノキを百三本協力いただきまして首里城の再建に当たったわけでありますけれども、今、台湾の方でも、ヒノキの伐採、輸出というものが法的な制約がありまして、簡単に調達はいかないという動きがあります。

 その一方で、今、日本と台湾の方での議員連盟を中心とする多くの先生方が、どうにかできないかということで働きかけをしているのも現状でございます。三月いっぱいまでには工程表が定まっていく流れにおきまして、この最大のテーマの一つである木材の調達についての今の最新の現状というものを教えてください。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 首里城の復元に向けては、昨年末の関係閣僚会議における決定を踏まえまして、内閣府沖縄総合事務局に首里城復元に向けた技術検討委員会を設け、これまで復元に携わってこられた沖縄の有識者の方も含めて、技術的な検討を進めているところでございます。

 これまでの議論において、首里城正殿に使用する大径材、これはいわゆる柱やはりに使用する主要な木材でございますけれども、これにつきましては、前回復元の際にタイワンヒノキを用いたことを参考に、国産ヒノキを始め、カナダヒノキなどの耐朽性や乾燥性などにすぐれるヒノキ類の中から選定することとし、タイワンヒノキも含めて引き続き調査を行い、市場性や樹種の特性の観点から樹種を特定してはどうか。

 また、前回復元時に使用したタイワンヒノキは天然林の調達であったが、その後の伐採規制や、国際的な環境問題への関心の高まりへの配慮、こういったものも考慮する必要があるのではないかといったような御意見を頂戴しているところでございます。

 首里城の復元に使用する木材の選定に関しましては、引き続き、同検討委員会における議論を踏まえながら検討してまいりたいと存じます。

國場分科員 当初は、林野庁の話では、国内に首里城に活用できるヒノキはないということも聞いたんですけれども、現状は調達は可能であるということで認識してよろしいんでしょうか。

北村政府参考人 林野庁がこの会議で報告している内容でございますけれども、国産材のヒノキについても一定程度存在するであろうということでございますけれども、首里城の正殿の木材全てを国産材で調達できるかどうかといったようなことについては、今まだ未確定でございますので、今後更に検討を進めてまいるというふうに伺っております。

國場分科員 しっかりとやっていただきたいと思っております。

 続きまして、募金についてなんですけれども、県内また国外も含めて、首里城の再建に当たって多くの募金の協力をいただいております。この点も、まずこの場所から御礼を申し上げたいと思います。

 二月の五日時点なんですが、沖縄県の方には募金が十億七千万、那覇市の方には十三億七千万の募金が集まっております。首里城は国営公園でございますので、所有は国ですから、この再建に当たっては、ハードは国、そしてまた多くの文化財も焼失をしておりますので、ソフトは県という役割分担があります。

 その上でなんですけれども、今、地元の方では、せっかくこれだけの多くの県民の募金が集まって、この首里城の正殿を含むハード面に関しても、再建に何とかその募金を生かすことができないか、こういう要望が上がっております。この点についての答弁をお願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 首里城の復元につきましては、昨年十二月十一日に関係閣僚会議において決定されました首里城復元に向けた基本的な方針に基づき、沖縄県や地元の関係者などとともに、国営公園事業である首里城の復元に向け、政府として責任を持って取り組んでいくというふうに定められているところでございます。

 一方で、沖縄県や那覇市などには、首里城復元のため、多くの寄附金が寄せられているものと承知しており、二月六日の玉城沖縄県知事の会見において、城郭内の正殿を始めとした施設等の復元に充てる考えが示されたというふうに承知してございます。

 今後、政府といたしましては、県からの意向を十分に伺い、寄附された方々の思いを十分受けとめられるような検討をしてまいりたいと存じます。

國場分科員 何かとても抽象的で、よくわからなかったんですが、つまり、県の募金というものもハード面で活用できるのか。これが法的に問題があるんだったら、できないというふうに言ってほしいですし、何らかの方法でできるのでしたら、できると言ってほしいのですけれども、もっとわかりやすく答弁をお願いします。

北村政府参考人 申しわけございません。

 私どもとしては、まず、玉城知事からそのような会見での意見表明があったということは承知してございますけれども、県の方から正式にこういったことでやりたいというような御要請は現時点でまだ賜ってございません。

 しかしながら、いろいろなやり方がございます。委員御指摘のとおり、あくまでも国有財産になりますので、そういった募金をいただいた中でどのようにできるのか。例えば一部的に何らかの資材を調達していただくとか、やり方はいろいろあるのではないか。ちょっと私どもの中で頭の体操はしてございますけれども、今後正式に県から御要請があれば、そこら辺も含めてしっかりと検討してまいりたい。全く可能性がないわけではないというふうに認識してございます。

國場分科員 では、今答弁ありましたように、資材の調達であるとか、何らかの方法でできると理解してよろしいのでしょうか、正式な要請があれば。

北村政府参考人 やり方次第だと思いますけれども、できる方法はあるのではないかというふうに考えているところでございます。

國場分科員 はい、わかりました。ありがとうございます。

 続きまして、首里城についての最後の質問なんですが、首里城というところは、四百五十年の琉球王国の歴史の中で、政治、経済、文化、外交といったものの拠点でもあり、また、歴代の琉球王の、またその家族の生活の空間でもありました。それと同時に、祭祀、つまり祈りの拠点でもありまして、戦前の首里城の方には、沖縄神社というものも首里城の中に存在していたんですが、やはり今回の再建に当たっては、物理的な、もちろん目に見える再建もとても大切なんですけれども、こういった祈りという部分、これも含めて、精神的な文化の再建に当たるという指摘が数多くあります。

 この点について、いろいろな再建委員会の、技術検討委員会という部分が前面にたくさん出ていると思うんですが、こういう精神の文化の復興に当たっての有識者の意見、こういったものも聞く機会はあるんでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 琉球王朝時代の首里城は、その役割から大きく三つの空間で構成されておりまして、政治、行政の空間、生活、儀礼の空間に加え、祭祀の空間がございました。祭祀の空間につきましては、京の内や首里森御嶽の復元を行ったところでございまして、これらの施設については、今回、幸いにも火災の被害を免れたところでございます。

 今後、このような首里城の歴史的な背景もしっかりと認識した上で、沖縄県とも連携しながら、こういった精神面、文化面を含めた、こういった検討につきまして、復元後の利活用のあり方等も含め、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

國場分科員 ありがとうございます。

 今、首里城の再建に当たって、赤瓦のしっくい剥がしボランティアであるとか、多くの首里城に思いを寄せる方々を募っての再建を、来月からそのボランティアがスタートすると報道が流れておりました。本当にすばらしいことであると思います。多くの方々がかかわれるような企画をたくさん募っていきながら、沖縄も、また日本も、またこれは世界文化遺産でもありますので、多くの方々がかかわれるような形での再建を要望したいと思います。

 この点を踏まえて、きょうは大臣からも答弁をいただいてよろしいのでしょうか。では副大臣から、首里城の再建に当たっての決意を一言お願いします。

青木副大臣 お答えいたします。

 首里城は、國場委員はもとより、沖縄の皆様の誇りであり、心の支えでもあり、また、歴史と文化の象徴でございます。極めて重要な建造物だと考えております。

 火災による焼失を受け、これまで、首里城復元のための関係閣僚会議において、首里城の復元に全力で取り組むとともに、観光振興など地元のニーズに対応した施策を推進するよう検討を進めてまいりました。この閣僚会議において昨年十二月に首里城復元に向けた基本的な方針を決定し、現在、これに従い、復元に向けた工程表を年度内を目途に作成すべく取組等を進めてまいります。

 また、令和元年度補正予算において瓦れきの撤去等のために八億円を計上するとともに、令和二年度予算案においても、首里城を含む沖縄の国営公園事業予算全体として前年度から十億円を増額したおよそ三十八億円を計上しており、この予算の中で首里城復元に向けた取組を着実に実施してまいります。

 さらに、先月二十九日に警察による立入り制限が解除されたことを受けて、今月十日から、瓦れきの丁寧な回収など、復元に向けた本格的な工事に着手するとともに、ゴールデンウイークまでに地下の世界遺産に登録されている遺跡をごらんいただけるよう準備を進めてまいります。

 今後とも、首里城の復元に全力で取り組むとともに、沖縄県や地元のニーズを丁寧に伺いながら、きめ細やかな対応を行ってまいります。

國場分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、次の質問に移りたいと思います。

 新型コロナウイルスに関する経済の悪化について、雇用調整助成金について何点かお尋ねをしたいと思います。

 今回の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて雇用調整助成金の特例が実施されていること、これは本当にすばらしいことであると思っておりますが、まず、この制度そのものが余り周知されていないのではないのか、これをどのように地元の、地方の経済について生かせるような工夫、周知をしているのか、この点についてのまずコメントをお願いします。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金の周知についてでございますが、厚生労働省のホームページにおいて、制度の照会や申請先のほか、ダウンロード可能な事業主向けのガイドブック等をホームページに掲載したところでございます。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置につきましては、リーフレットの作成や配布、ツイッターでの情報の発信など、事業主の方々に御活用いただけるよう周知に努めているところでございます。

國場分科員 いろいろな周知をしているという話だったんですけれども、まだ知られておりません。ですから、その点はより工夫をして、その中で、どういう課題、問題点があるのかという声も拾わなければいけないと思っております。

 その上で、この制度を知っている方は、雇用調整助成金というものは日本と中国の間の経済活動に限定され過ぎていて、これはいろいろな指摘がたくさんあると思いますけれども、特に、私は沖縄の那覇の国際通りの近くでずっと住んでいるんですが、非常に使い勝手が悪過ぎるということで、厳しい声が来ております。

 今、旅館やホテル、観光バス、旅行社、ツアー会社という部分に対象が限定をされているんですけれども、それだけではなくて、やはり中国人を相手にする、例えば、飲食関係であるとか、お土産品店であるとか、小売業の方々も対象にするべきではないのかという指摘がありますけれども、この点を改善する考えはないのか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金の特例についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、日中間の人の往来が急減したことに伴いまして、観光業を中心に事業活動が急激に縮小している。その結果として雇用に悪影響を及ぼす事業所が多数生じることが見込まれるということで、繰り返しになりますが、観光業を中心に一定の要件を満たす事業主の方、例えば、日本と中国の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国関係の売上げあるいは客数などが一定割合以上である事業主の方が対象になっているということで、これは二月十四日からこの特例を、支給要件の緩和等を行っているところでございまして、今の条件に合うようなものであれば、先生御指摘の業種などでも対象になるということでございます。

國場分科員 それを明らかに、中国関係の売上高を、割合を確認できる資料を準備しなければいけないということが要件だと思いますけれども、その上で、この要件がなかなか集めにくい業種もあると思うんです。例えば、観光業と深く関係のあるクリーニング、リネン関係であるとか、そしてまたビルメンテナンス関係とか、そういう業種の方々もホテル、旅館と深いつながりがあるんですが、じゃ、中国人との商業の、ビジネス上の関係がある資料を提出してほしいといっても、なかなか出せないと思うんですよ。こういう業種についてはどのように救済するんでしょうか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスに伴います感染症の影響につきましては、先生御指摘のとおり、さまざまな分野で雇用への影響が懸念されているところでございます。

 私どもといたしましては、こうした雇用への影響を十分注視させていただきまして、特例措置の対象となる事業主について弾力的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

國場分科員 弾力的に検討ということは、今のこのホームページに出されている要件以外にも柔軟に考えるということで理解してよろしいんでしょうか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、今の特例措置はございますが、今後生じる雇用への影響というのが各業界で起きる、産業で起きるということがあると思いますので、対象となる事業主、まさに今後検討してまいりたいということでございます。

國場分科員 その上でまた質問したいんですけれども、これは中国という国籍も余り限定するべきではないと思います。

 日本は、沖縄県もそうなんですけれども、中国、台湾、香港、韓国で約八割のインバウンドを抱えておりまして、台湾の方も、台湾はWHOに入っておりませんから、非常に、感染症に対する警戒がとても強いです。日本に対する渡航も警戒レベルを上げておりますので、台湾を相手にする事業者の方々も影響を受けているんですが、この点についても柔軟に見直しをする対象になるのか、この点についての答弁をお願いします。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 今、中国以外のインバウンドの関係でお話をいただきました。

 また私ども、例えば労働局には、出先機関でございますが、例えば国内のお客様も減少しているということで雇用への影響があるというようなお話もお聞きしておりますので、こういうことも踏まえまして、繰り返しになりますが、弾力的にその特例措置について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

國場分科員 これは地元の労働局長の判断でできるんでしょうか。それとも国全体の判断になるんですか。

達谷窟政府参考人 この特例措置につきましては、これは全国一律でやるということで、厚生労働省から通知を各労働局に出させていただいているということでございまして、その特例をやるかどうかというのは、まず本省、厚生労働省本省において判断するということでございます。

國場分科員 今の答弁にもありましたけれども、国内のインバウンドも、国内観光も非常に影響を受けております。

 今の日本の観光の規模というものは、インバウンドが大体五兆円ぐらい、アウトバウンドが約二兆円、国内観光は二十一兆円と、国内の方が非常に大きな影響を受けるリスクは高まりますので、どうかこの点も柔軟に、現場の声を大事にしながら、地域の経済を守っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、クルーズ船における感染症対応について何点か質問したいんですが、やはり日本という国は海洋国家でありますし、クルーズ観光が非常に多くなってきていることは望ましいことだろうと思います。私の地元の沖縄県も、昨年、福岡の博多港を超えて那覇港が日本一になりました。

 高田局長には非常にクルーズ観光についてもたくさんの御貢献をいただいて、敬意を表したいと思いますけれども、だからこそ、今回の対応というものは、各国から、特に報道機関を含めて厳しい声があるのはまことに残念であると思っております。

 しかし、これは、旗国主義がある中におきまして、これだけの規模の感染症の対応というものは今まで事例がないわけであって、手探り状態の中で非常に日本政府も一生懸命にやったと私は思っております。

 まず、このような風評について、正確な情報を発信していくということは、日本が今後観光立国として、そしてまたクルーズ観光を推進する上での非常に重要な今分岐点に立っていると思いますので、正確な情報発信についての今後の取組についてのまず答弁をお願いしたいと思います。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 国内における新型コロナウイルス感染症に対する不安が高まる中で、御指摘のダイヤモンド・プリンセス号の対応に関する情報を含め、新型コロナウイルス感染症に関しましては、必要な情報を正確に幅広く発信することに努めているところでございます。

 また、先ほどの話の中で、特に海外なんですけれども、今、厚生労働省のホームページにおきまして、英語と中国語で情報発信をしているところでございます。

 感染症に関する情報公開につきましては、公衆衛生上の必要性と個人情報保護に係るリスク等を比較しまして、そもそも公衆衛生上の必要性を欠く場合や、個人情報保護に係るリスクが公衆衛生上の必要性を上回ると考えられる場合については、当該情報は公表しないこととなっております。

 いずれにしましても、感染症に関する情報の公表に当たっては、適時適切な情報の公表を必要と考えておりまして、今後とも、個人情報の保護に留意しつつ、必要な情報公開を進めてまいります。

國場分科員 まず、これはイギリス船籍の船でありますから、今回の旗国主義の中でいろいろな限界もあったと思います。

 この規模の感染症の患者が発生した歴史的な事例を調べてみますと、一八九二年の九月にニューヨークの方でコレラ患者が大量に発生して、検疫で足どめがされたと。もう百年以上前の事例しか残っていないんですね。

 ですから、ダイヤモンド・プリンセスには五十六カ国の国・地域の方々が乗っていて、あれだけの数の方に対しての感染の対応というものは、今後のクルーズ観光が大型化する中において、世界にルールが存在していないということの欠陥を示したことにもつながったと思います。

 だからこそ、日本はこの部分でリーダーシップをとりながら、今後のルールの確立にリーダーシップをとっていくべきだと思いますけれども、この点についての答弁をお願いします。

大坪政府参考人 横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号の対応については、確かに、これまで我が国に前例のなかった感染症事案でありまして、厚生労働省を中心に政府一体となって必要な最大限の対応を行ってきたところです。

 今回の事例は、船の国籍が英国であり、運航会社が米国、また、旅客や乗員には多くの外国人が含まれるなど、我が国一国の問題では済まされないケースであると考えています。また、今回の新型コロナウイルス感染症は、世界的な広がりを持った問題でもあります。

 こうした中、この問題、感染症の問題について、国際保健機関、WHOのテドロス事務局長が、国際海事機関、IMOと連携して対応する考えを有していると聞いております。

 国土交通省としましては、海上輸送を担当する立場から、IMOにおける議論が行われる場合には、関係機関とも連携し、しっかりと参画してまいりたいと考えております。

國場分科員 水際対策の部分なんですが、日本政府が入国制限をしたのは二月の一日の午前零時だったと聞いております。これは、出入国管理法の五条一項十四号でこのことを定めたわけでありますけれども、ちょうどこの二月の一日という日は、横浜港の方にダイヤモンド・プリンセス号が寄港する前に、那覇港の方に寄港しております。那覇港の方に寄港して、乗客の二千六百七十九名のほとんどの方が下船をして、約十時間、那覇の方で沖縄県内に滞在したということが、動向が把握をされております。

 今、国立感染研究所の分析の中では、その間に感染が広がった可能性というものを指摘をしているんですが、つまり、二月の一日に、過去二週間以内に湖北省に滞在した外国人の入国拒否という方針が出されてはいるものの、このような警戒態勢が高まっているさなかに、那覇の方にこれだけの数の、中国人の方を含むクルーズ船の乗客を、寄港させ、十時間も滞在させたということに対する是非もこれは問われなければならないと思いますけれども、この点についての答弁をお願いしたいと思います。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 中国における新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、無症状であっても検査の結果ウイルスへの感染が確認された者も出ている中、我が国への流入を阻止するため、包括的かつ機動的な水際対策を講じることが不可欠となっております。

 政府におきましては、新型コロナウイルス感染症が蔓延している中国の地域から来訪する外国人や、感染症が発生しているおそれのある旅客船に乗船する外国人について、当該地域や旅客船を新型コロナウイルス感染症対策本部において報告し、法務省はこれを踏まえまして、入管法第五条第一項第十四号に基づきまして、迅速に上陸拒否の措置を講じることとしております。

 そして、二月一日から湖北省を、また、二月十三日から浙江省を対象地域として、両省に滞在歴がある外国人及び両省において発行された旅券を所持する外国人について、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしております。

 このように、我が国におきまして、二月一日から上陸を認めない措置を実施しているわけでございますが、これは、中国における新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、日本時間一月三十一日未明にWHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言しましたことや、無症状であっても検査の結果ウイルスへの感染が確認されている者がいる状況に鑑みまして、一月三十一日中に閣議了解を経まして、その翌二月一日午前零時から、湖北省に滞在歴がある外国人等につきまして上陸拒否をする対応を開始したところでございます。

 出入国在留管理庁としましては、引き続き関係省庁と連携しまして、新型コロナウイルス感染症の感染の拡大防止に向けまして、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

國場分科員 時間ですから終わりますけれども、WHOの判断だけに依存するのではなくて、やはり日本独自の感染症の分析、そしてまた情報発信の強化も必要であると思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 全部質問できませんでしたので、答弁できなかった皆様、失礼しました。

 以上です。

秋本主査代理 これにて國場幸之助君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、整備新幹線西九州ルート、いわゆる長崎新幹線について質問します。

 国が二十年かけて五百億円の巨費を費やしたフリーゲージトレーンは、導入に至りませんでした。それを前提として進められてきた長崎新幹線は、今大きく行き詰まっています。

 整備新幹線、長崎新幹線をめぐる、これは新聞、全国紙の社説の見出しなんですけれども、紹介したいと思います。朝日新聞「整備新幹線 見切り発車の重いツケ」、毎日新聞「「長崎新幹線」の迷走 佐賀の主張は理解できる」、読売新聞「整備新幹線 投資効果の再点検が必要だ」、大変な深刻な状況だと思います。一からの見直しが必要だと考えます。

 与党の検討委員会は、佐賀県の新鳥栖―武雄温泉間について、昨年八月五日、フル規格の新幹線で整備する方針を決めました。しかし、佐賀県はフル規格の新幹線に一貫して強く反対をしているところです。

 国土交通省は、一月十六日、フル規格、フリーゲージトレーン、スーパー特急、武雄温泉での対面乗りかえ、ミニ新幹線の五つの方式について、論点を整理した上で、並列して協議することを佐賀県に提案しました。

 この五つの方式というのですけれども、これまで地元の合意があったのは、この五つの方式のうちどれですか。説明してください。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の方から、これまでの九州新幹線西九州ルートに対しての議論の経緯についての御質問がございました。

 これはもともと、九州新幹線の福岡市―長崎市間については、昭和四十八年に全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画に位置づけられたところでございます。(田村(貴)分科員「それは後で私が言います」と呼ぶ)はい。

 まず、平成四年の十一月には、一部区間をスーパー特急方式で着工することが地元案として決定をされまして、その後、在来線の取扱いに関する長年の調整を経て、平成二十年三月には武雄温泉―諫早間をスーパー特急方式でまず着工したということがございました。その後、平成二十三年十二月の政府・与党確認事項において、武雄温泉―長崎間を一体的な事業としてフル規格で整備しフリーゲージトレーンを導入することとされ、翌年には、その前提で工事実施計画の変更認可が行われたところでございます。

 その後、フリーゲージトレーンの技術開発については、国がJR九州などの関係者と協力しながら取り組んでまいりましたが、フリーゲージトレーンの九州新幹線への導入がおくれる見込みとなったことから、平成二十八年には、武雄温泉―長崎間の施設完成時において、武雄温泉駅での対面乗りかえ方式で開業することについて関係者間で合意をしたということでございます。

 それで……(田村(貴)分科員「いいです。それでいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。

田村(貴)分科員 そうなんですよ。その三つなんですよね。フル規格とミニ新幹線というのは合意をされていないわけなんです。そして、その合意をされていないフル規格が、今や何かフル規格しかないみたいな論調になっているのは、これが先走っているのはゆゆしき問題だと私は思いますよ。

 五項目を提案する一方で、昨年、与党検討委員会がフル規格を決めた日に、当時の石井国土交通大臣は、国土交通省としては今回の基本方針を重く受けとめておりますけれども関係者間での協議の具体的な方法等については今後検討してまいりたいと考えております、そういうふうに述べられました。赤羽大臣の会見については、国交省のホームページで承知をしております。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、国土交通大臣や国交省がフル規格を重く受けとめてきたというのは、五項目の中の提案の中でフル規格に重きを置いているということなんでしょうか。フル規格先にありきで議論をしようとしているのでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 昨年九月十一日に、国土交通大臣に就任をした日に最初の記者会見でこの質問はされました。

 これは、今局長の答弁の中で申し上げたように、長い期間さまざまな議論がなされる中で、与党のプロジェクトチームとしては一つのフル規格ということを提案があった。しかし、一方で、今の佐賀県の山口知事を始めとする地元は、それはなかなか受け入れられないという話があった。

 そういう中で、地元の理解なくしてこれは強引に進めるということはなかなか難しい話でございますので、私が記者会見で申し上げたのは、まず、佐賀県の思いとか主張というのはなかなかちゃんと聞いたことがないということでございましたので、私は直接、山口知事、個人的にもお会いしたことなかったので、しっかりとお会いして、それぞれの責任者同士、率直な意見交換をしたいということの申出をしました。

 就任以来、この間二度、知事とは二人きりでお話しをしまして、その中で、佐賀県の思いとか山口知事の思いというのも聞かせていただきましたし、私の方からも、冒頭、今後の、九州だけじゃないんですけれども、本件について、九州の二十年間とか三十年間とか中長期的なことを考えると、全国的にではありますが新幹線のネットワークを形成するということはやはりいろいろな意味でメリットが大きいというふうに思っておる、だけれども、これは地元の御理解なくしてはなかなかできないので、しっかりと佐賀県の主張を率直に語っていきたいというふうに申し上げたところでございます。

 ちょっと申し上げると、その五つのことについて、知事は三つの方式はもう既に佐賀県としては了解だというふうに、いつでもオーケーですよと言われましたが、ではこのフル規格とかそうしたことは全くだめですかと言ったら、そういう話ではなくて、この率直な協議の中で五つについて議論するのは構わない、そういう話でございましたので、そうした知事との協議は進めている経緯でございます。

 ただ、ちょっと、通常国会も始まりましたので、私もなかなか佐賀に足を運べませんし、知事も大変お忙しい身で、東京に来るということもできないので、今後、今御提案しているのは、実務レベルで、一つ一つ率直な問題提起、その解決に向けての知恵がないかといったことを、忌憚なく国と佐賀県の間でしっかりと話していきたいということで、協議に入りたいというふうに思っております。

田村(貴)分科員 今の大臣の答弁を私なりに解釈すると、フル規格先にありきでない、決して押しつけるものではないというふうに理解しました。

 それで、お伺いしたいんですけれども、佐賀県がなぜフル規格の新幹線に反対するのか。それは、さして時間短縮の効果もない上に、莫大な地元負担が押しつけられて、その県費を支出しなければならないからなんですよ。

 整備新幹線というのは、鉄道・運輸機構が新幹線施設を建設、保有して、JRに対して施設を貸し付ける上下分離方式によって運営されます。財源については、貸付料収入を充てた残額、残りを国が三分の二、地方自治体が三分の一で負担するというスキームであります。

 お伺いしますけれども、新鳥栖―武雄温泉間をフル規格で整備した場合に、事業費の規模は幾らになりますか。事業費の規模だけお答えください。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 約六千二百億円でございます。

田村(貴)分科員 一方、二〇二三年春に開業予定の武雄温泉―長崎間のフル規格新幹線、これについては建設費が増加した、増大したと伺っています。現認可額と変更額について、いつの時点の計算かも含めて説明をしていただけないでしょうか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 武雄温泉―長崎間の事業費でございますけれども、これは、整備方式によりまして、当然、必要となってくる事業費が異なってくるということでございます。

 直近、武雄温泉―長崎間をフル規格でつくるとして、平成二十九年時点でこの実施計画の認可をした際には約五千九億円という事業費でございましたが、その後、建設費の増加の要因が幾つかございました。労務単価の上昇、消費税率の改定、東日本大震災を踏まえた耐震設計標準の改定等の、そういった外的要因でございますとか、あるいは、現地事情の精査、関係機関との協議に伴って新幹線事業自体の実施に伴い生じたコスト増というものがございまして、平成三十一年四月の工事実施計画の変更認可時点においては約六千二百億円というふうになっております。

田村(貴)分科員 この間にだけ五千九億円から六千二百億円。六千百九十七億円と伺っていますが、それでいいですね。実に一千百八十八億円ふえたんです。これが整備新幹線の大きな問題となるわけです。

 武雄温泉―長崎区間だけではありません。これは、北陸新幹線の金沢―敦賀間においても二千五百二十一億円もの建設費が膨らんでいるわけです。建設前と新幹線ができた後では、整備費が大きくはね上がります。今後、新鳥栖―武雄温泉区間においても整備費用が大きくふえるということは、これは明白であります。

 フル規格だとするならば、佐賀県の負担は幾らになるんでしょうか。昨年四月十九日の佐賀県に説明した数字をもとに教えていただけますか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 整備新幹線につきましては、その建設費を国と地方で二対一の割合で負担することになっておりますけれども、貸付料財源の活用や地方交付税措置により、実質的な地方負担は更に軽減されることとなるということでございます。

 私ども国土交通省といたしましては、地方負担の具体的な規模感のイメージを持っていただきますために、昨年の四月に現行の法令の考え方などに基づきまして佐賀県の負担額をお示しをさせていただいたところでございまして、そのとき、フル規格で整備をした場合には、佐賀県の実質負担額は約六百六十億円という試算を佐賀県にお示しをしたところでございます。

田村(貴)分科員 JR九州からの貸付料を考慮しない場合は幾らになりますか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもがお示しをさせていただきましたのは、現行の法令の考え方などに基づきまして、先ほど申し上げましたように建設費に対して貸付料財源をまず充てると。そうした……(田村(貴)分科員「いや、だから、貸付料を考慮しない場合も書いてあるじゃないですか、そこに。ちゃんと答えてください。その数字だけ言ってください」と呼ぶ)建設費そのものは約六千二百億円の事業費ということでございます。

田村(貴)分科員 違う違う。レクで説明してくれたことを、何でここで説明してくれないんですか。

 貸付料を考慮しない場合は一千百四十億円、ここに書いておるじゃないですか。そうでしょう。そうだと言ってください。(水嶋(智)政府参考人「はい、そうです」と呼ぶ)はい、そうですね、そうなんですよ。時間がないので明確に答えてください、聞かれたことに。

 JR九州が最大限貸付料を払った場合でも、佐賀県の負担は六百六十億円に上るんですよ。佐賀県は、既に鹿児島新幹線の負担二百七十億円を毎年払い続けているわけですね。この上に更に六百六十億円、そんな負担はできないとする佐賀県の主張は、これは当然のことなんですね。

 その貸付料はJR九州が試算したものですか。整備を負担する整備費について、JR九州は支払うことを同意していますか。社長は何と答えていますか。教えてください。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 この貸付料の額でございますが、これは新鳥栖―武雄温泉間をフル規格で整備する場合の収支改善効果を国において試算したものでございますので、JR九州との調整を経たものではございません。

田村(貴)分科員 青柳社長は何か言っていますか。では、私が言いましょう。遠い将来の受益の程度を当社で判断するのは難しい、このように言っているわけですよ。ですから、JR九州が貸付料を払うという担保はどこにもないわけなんですよね。

 貸付料というのは、いわゆる受益の範囲内なんです。受益の範囲内である以上は、国が想定した収支改善効果の金額に当たる八十六億円、これが充てられるということはあり得ないわけなんですね。貸付料というのは佐賀県を説き伏せるための試算だと私は言わなければならないと思います。

 佐賀県は、整備新幹線について一切フル規格での整備を求めていません。地元の負担が、これは国の法律ですね、全国新幹線鉄道整備法、国の法律で義務づけられている以上、佐賀県の合意がない限り新幹線計画は成立しませんね。協議にしても環境アセスにしても、先ほど大臣からありましたけれども、佐賀県の合意がない限り前には進まないということでよろしいですね。どうなんですか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 整備新幹線の着工に関しましては、五条件というものがございます。そして、実際に環境アセスを行う場合におきましても当然地元の自治体の御理解を得るということが大変重要だろうと思いまして、これまでのところ、佐賀県の御理解を得ながらこの事業を進めていくという立場をとってきているところでございます。

田村(貴)分科員 整備新幹線というのは自治体の合意がなければ、地元負担が絶対発生するので、これを進めることができないんですよ。だから、これは、さかのぼって一から見直しをしなければいけないということです。

 フル規格の新幹線は、佐賀県民で、佐賀新聞社が調査した結果、年々下がってきていますね。二〇一九年十一月の調査では一七%。逆に、リレー方式、スーパー特急方式、フリーゲージトレーン、これらの三つで過半数に達しているわけです。

 推進している長崎県においても、新幹線はなくてもいい、全く不要、これを合わせると三八%。決して少なくないんですよね。

 もともとはフリーゲージトレーンを前提にしていた。それよりも四千億円も整備費用がかかるフル規格新幹線六千二百億円。今後どうなるかもわかりません。この整備新幹線というのは、今から半世紀前、四十七年前の一九七三年に立てられた計画であります。当時と今では情勢が、状況が、時代が全く違います。

 最後に、大臣にお伺いします。

 これは、無理を通せば将来に禍根を残すことになります。整備新幹線というのは本当に必要なのか、精査する必要に今迫られているのではないでしょうか。長崎新幹線計画は白紙に戻して議論すべきだと私は考えますが、大臣いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 先ほど申し上げましたように、私も国土交通大臣に就任して、率直に佐賀県の責任者の山口知事と議論を重ねていこうと。そして、これまでさまざまな問題や課題があるのは承知をしておりますし、それを佐賀県がどう思っているのかというのは、実は具体的にこれからスタートをしなければいけないというような側面もあるかと思っております。

 私は、一つ一つ丁寧に知恵を出し合うと。私は非常にフラットに佐賀県のことは思っておりますし、その中でお互い政治家として知恵が出せるようにしようということは、山口知事も了解をしていただいております。

 これが、もしフル規格が逆にはなからだめだというのであればそうした協議にも応じないというふうにも、私はそう理解をしております。結論はどうなるかわかりませんが、そうした、白紙というか、自分の気持ちの中では、佐賀県のことをしっかりと聞いて、それに対してできることはどれだけあるのかということをまたぶつけて、そして、それは百かゼロかというような話では恐らくないと思いますので、そうしたいい対話ができるように心がけなければいけない。

 それで、整備新幹線につきまして、さまざまな懸念というのもあったと思いますが、私も全く懸念がなかったというわけでは個人的にはありませんけれども、やはり、北陸新幹線の、金沢とか富山の整備新幹線をベースにした地域活性化の現実ですとか、九州新幹線の鹿児島線、鹿児島も熊本の人たちも最初は相当懸念していたというふうに記憶をしておりますが、今私が住んでいる神戸、阪神間から九州、熊本、鹿児島地域に物すごく人が行っているというような効用も認めなければいけないと思います。そうしたことがどれだけ地域活性化につながっているのかということをしっかりと見きわめながら、やはり、中長期的にどうある姿が、地元の発展、また、お一人お一人の豊かな暮らしにつながるのかということを、しっかりと、誠実、誠意を持って聞いていきたい。

 環境アセスについても、地元の佐賀県は大変心配をしておりまして、今回の予算の中に入れるんじゃないかと。そうしたことをすると信頼を築くことにはなりませんので、それはお約束どおり、国で勝手なことをしなかったという。だから、基本的な誠実な対話と姿勢はしっかりと、私たちの立場としては貫いていかなければいけない、こう思っております。

田村(貴)分科員 新幹線の問題はもう終わりますけれども、大臣、山陽新幹線、JR西日本と、JR九州の鹿児島の新幹線は全然輸送力が違います。比較にはなりません。

 次に、JR九州、日田彦山線の災害復旧について質問をします。

 これは、二〇一七年の七月に日田彦山線が被災して、二年半が過ぎていまだに復旧していません。

 JR九州は、バスとBRTによる復旧案を出して、そして、鉄道の復旧を望むのならば被災自治体の負担を求めるという、ゆゆしき事態になっています。

 時間がないので私の方から紹介しますけれども、去年の五月に国土交通委員会で、JR九州が完全民営化法案の審議のときに青柳社長が何と言ったのか。青柳社長は、九州の鉄道ネットワークにつきましては維持していくということを申し上げたい、三セク化又は廃止ということは検討しておりませんと言ったんですね。それから、これまで二十八年間、種々の災害をこうむりましたが復旧を果たしてきた、今後とも復旧に努めるように努力しますと。

 完全民営化の論議の中で、JR九州の社長は国会のこの場で約束したんです。その舌の根も乾かないうちに、被災路線は復旧しないんですよ。この日田彦山に限って復旧しないんですよ。なぜそうなっているんですか。政府はJR九州をどのように今まで指導してきているのか、簡潔にお答えいただけますか。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

水嶋(智)政府参考人 お答え申し上げます。

 災害で被災した鉄道の復旧に関しましては、最終的には鉄道事業者がみずからの判断のもとその方針を決定するものでございますが、鉄道を含めた地域の公共交通は、地域の経済、社会的活動の基盤でございまして、その確保は重要な課題でありますことから、地域で丁寧な議論が行われることが重要だと認識をしております。

 日田彦山線におきましては、沿線自治体やJR九州から成る日田彦山線復旧会議において、関係者で議論を深めていただいている状況だと認識をしております。

 JR九州におかれては、被災した日田彦山線沿線の皆様のお考えを真摯に伺っていただきながら、丁寧な説明、議論を行っていただく必要があると考えておりまして、国土交通省といたしましても、日田彦山線復旧会議への参加などを通じて必要な対応を行うとともに、引き続き、JR九州に対して必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 その復旧会議です。第五回の復旧会議が二月十二日に行われました。この復旧会議で、東峰村から疑義が出されました。JRの復旧費用についてです。村が行う車道橋の復旧費用に対して、JR九州が示した鉄道橋の復旧費用は一メートル当たりで三・八倍から六・八倍積算が高くなっている、こういう試算を村の方が出しました。ですから、東峰村の試算、村長の発言で、この精査が必要だとする村長の発言を受けて、この会議で福岡県知事は、JRと私どもと協議をさせていただきたいと発言をしたわけであります。

 県と村がJRの負担額について精査を行う方向性が示されました。復旧会議の大きな局面になってきているのではないかと思います。

 九州運輸局は復旧会議のアドバイザーとして参加しています。復旧費用のその額について精査が必要だという議論になってきた以上、その精査がしっかり行われるよう、国土交通省も含めて必要な情報提供と支援を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

水嶋(智)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、九州運輸局は日田彦山線復旧会議にアドバイザーとして参画をしておるところでございます。これは、この会議の円滑な議論を促すとともに、関係者からの要請に応じまして、制度や技術面の助言、議論の整理への協力などを行うためであると認識をしております。

 また、委員御指摘の第五回の日田彦山線復旧会議におきましては、鉄道による復旧費用について、JR九州が約五十六億円としているのに対し、東峰村から約十七億円との独自の試算が示されたということでございまして、これに対し、福岡県知事からは、JR九州と議論していくとの発言があったことは承知をしております。

 ただ、この村の試算につきましては、技術的には相当いろいろな問題があるのではないかという指摘もあるようでございまして、鉄道の加重に耐えられるような橋梁の設計条件等になっているか等についての精査が必要な案だったという指摘があるということでございました。

田村(貴)分科員 必要な精査が行われるように、アドバイザーとしての役割を果たしていただきたいと思います。

 その復旧費用がたとえJR九州が主張する五十六億円だとしても、大幅に低減できるということを、私は昨年の五月の国交委員会で質問をしました。国土交通省との間でもこの額については確認しました。改正鉄道軌道法で支援が充てられた場合に、五十六億円は半分、二十八億円になります。しかも、この改正鉄道軌道法の適用はバスではだめなんです。鉄道のみだということも確認しました。

 赤羽大臣、私、改正鉄道軌道法の支援は、これはやはり使わない手はないと思いますよ。大臣は法案提出者でありました。二〇一八年の五月三十日、国土交通委員会での当時の赤羽提出者の答弁、ここに紹介しますけれども、「九州北部ですとか、どうしても地方部というか、人口減少地域の鉄道事業を維持するというのは大変だというのも、これもそういった事実もございますが、その中で何とか地域住民の思いをかなえて鉄道事業を再開させていきたい、その地域住民と鉄道事業者の合意形成を後押しして、地域にとって必要な鉄道が維持されることに寄与することが今後の法案は期待されるもの、そう認識をしております。」というふうにおっしゃったわけですね。大臣、今もその考えに変わりはないでしょうか。

 地元も私も大いにこの改正鉄道軌道法の適用を期待しているわけであります。被災自治体、被災住民は、鉄道での再建ができればそれにまさるものはないという立場であります。

 支援のスキームを持つ国土交通省のトップとして、イニシアチブを発揮していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 このときの委員会の発言の立場はもちろん提出者でありますし、今は国土交通大臣、立場は違いますけれども、その思い、ローカル線といえども生活の足となっているケースが多いのででき得る限り復旧をしたいというのは、これは私の思いだけではなくて、地元の住民、自治体の皆さん、また鉄道事業者もそうだと思っております。

 ただ、ちょっと、私の発言はその前段がございまして、現行法では、この鉄道を復旧するかどうか、廃線にするかというのは、鉄道事業者が最終的に判断することだということも申し上げておりますので、それは誤解なきようにしてください。

 その原則の中でできる限りのことはないかということで、この鉄軌道整備法の一部を修正する立案者として提案をし、成立をいただいたということでございます。

田村(貴)分科員 被災路線ですから、これは経営問題じゃないんですよ。被災インフラというのは無条件で復旧する。電気だって水道だって、それから電話だってそうですよね。鉄道だけなぜしないのか。

 事業者の考え方というんですけれども、そのために国土交通省は指導の役所としてあるわけじゃないですか。役割を果たしていただきたいと思います。

 そして、JR九州が民営化に移行するときに国の方から支出された経営安定基金、三千八百七十七億円ですよ。三千八百七十七億円、こうして支援があって、それは多くのローカル線を抱えるJR九州の完全民営化、そのために、鉄道ネットワークの維持向上に資するために出されたんですよね。でも、その三千八百七十七億円は、二千二百五億円、五八%が新幹線に投入されたんですよ。鹿児島ルートの新幹線に一括先払いして出されたんです。

 残る経営安定基金のうち、鉄道の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための費用、いわゆる鉄道ネットワークを維持していくための額というのは八百七十二億円というふうに伺っております。そのうち今JR九州に残っているのは二百七億円だというふうに伺いましたけれども、鉄道局長、その数字で間違いないですか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 間違いございません。

田村(貴)分科員 二百七億円残っているんだったら、改正鉄道軌道法の二分の一の負担で、JR九州、十分支払うことができるじゃないですか。これまでどおりJR九州の事業者としての使命において、責任において復旧することができると私は強く主張したいと思います。

 最後、大臣に、私も先ほど知ったんですけれども、あした二十六日に、福岡県の東峰村の住民で組織する……

伊藤主査 委員、大変恐縮ですが、質問時間が終わっておりますので。

田村(貴)分科員 ごめんなさい。わかりました。

 署名を九州運輸局、それからJR九州、それから福岡県、福岡県議会に届ける。その署名は、二千人の村民以上の一万七千九百筆です。この署名を重く受けとめていただきたい、沿線住民の思いを強く酌んでいただきたいということを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。

伊藤主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 赤羽大臣におかれましては、どうぞ席を外されて結構でございます。

伊藤主査 それでは、赤羽大臣におかれましては、離席していただいて結構でございます。

佐藤(英)分科員 私の方からは、まず、新型コロナウイルスによる肺炎など感染症拡大による、観光業など、国土交通省の関係機関にかかわる対策などについて、影響などについてお話を伺ってまいりたいと思います。

 去る二月一日、私は、札幌市内の定山渓温泉を訪れまして、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が観光業に与える影響について調査をしてまいりました。定山渓温泉旅館組合によりますと、あるホテルにおきましては、中国人観光客の宿泊予約のキャンセルが、この先、二月、三月の二カ月間で五、六千人にも上っているという大変な、深刻な状況のお話でございました。

 また、去る二月二十一日には、札幌市内の北海道バス協会を訪問させていただきました。バス協会の関係者からは、観光客の減少傾向が続いている状況に触れられて、一月から三月の予約のキャンセルは約一千七百台、一部の事業所では、一時休業をせざるを得ないようなやはり状況でもあるというお話でもございました。

 北海道では、観光客、一月末時点で一宿泊施設当たり平均四百二十人という大量のキャンセルも発生しております。定山渓観光協会、定山渓温泉旅館組合を始め観光関係者からは、一様に大きな不安の声が上がっているところでございます。北海道庁の試算によりますと、三月末までには中国人の観光客が九万人減少し、観光消費も二百億円以上もの減少になるというお話もございました。

 我が党も、早い時期から、雇用調整助成金の適用拡大で観光関連産業の雇用の下支えを訴えてきました。

 政府からはいち早く、百五十三億円の緊急対策第一弾とともに、雇用調整金の適用拡大を早期に決定していただき、大変にうれしく思っているところでございます。

 我が国におきましても、感染がさらなる拡大と、さらには経済全体の影響も懸念されるところでございます。観光関連産業はもちろん、それ以外にも、運輸、建設など裾野の広い産業分野を所管する国土交通省として、さまざまな業種における業況悪化の状況など適時把握し、機敏な対策が必要と思います。所見を伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、日中間の定期旅客便数の減便や、外国籍船のクルーズ船の我が国港湾への寄港中止、中国政府による海外への団体旅行等の禁止措置など、我が国のインバウンドや地域の観光産業に大きな影響を与えており、今後、観光のみならず、運輸、建設などの分野も含めまして、影響を注視していく必要があると考えております。

 このような中、先般、政府におきまして、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策が取りまとめられ、影響を受ける産業等への緊急対応として、セーフティーネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援や、雇用調整助成金制度の要件緩和等による雇用の確保などに取り組んでいくことが盛り込まれております。

 現在、こうした支援策につきまして観光関連団体へ周知するとともに、観光関連事業者の方々からの御相談や御要望を丁寧にお伺いし、必要な支援を行う特別相談窓口の各地方運輸局への設置、貸切りバス事業者やタクシー事業者など自動車運送事業の関連団体への支援策の紹介、周知などを実施するともに、御指摘の建設業も含め、広く国土交通省関係業種への浸透を進めているところでございます。

 今後とも、観光業を始めとする国土交通省所管業界への影響を十分に注視し、実態を踏まえて必要な施策を講じてまいる所存でございます。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 大変に重要な問題であります。もう喫緊の課題でもございます。ぜひ、適時、しっかりと対応していただければと思います。

 次に、ウポポイ、いわゆる民族共生象徴空間についてお伺いしてまいりたいと思います。

 いよいよ本年四月の二十四日、待望の民族共生象徴空間、ウポポイが北海道の白老町にオープンをいたします。四月十八日の開業式典にはぜひとも赤羽大臣には御出席をいただきたいと思いますし、また、きょう御臨席されております青木副大臣、また、和田政務官におかれましても、ぜひ、北海道の白老町のウポポイにも見えていただきたいと思っているところでございます。

 政府は、目標として来場者百万人を目指して、東京オリンピック・パラリンピックにも間に合うように準備を進めてきてくださったとも思っております。御努力いただいた国土交通省の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 ことしの一月二十六日に私も現地の視察にお伺いさせていただきまして、内覧、また、外観も見させていただきまして、いよいよだなというような思いをいたしたところであります。鉄道や道路など周辺交通の環境整備も進み、快適なアクセスが実現しているとも感じました。

 何よりも、来場者に安心して過ごしてもらえるよう、新型コロナウイルスによる肺炎など、感染症対策などにも万全を尽くしていただきたいと思います。また、百万人達成のために二度三度と訪れてもらえるよう、ウポポイの魅力を発信する努力も必要であると思います。

 なかんずく国土交通省におかれましては、体験交流ホールなど象徴空間の構成施設の活用で工夫を凝らしていただくなど、さらなる御支援をお願いしたいと思っておりますけれども、御見解を伺いたいと思います。

水島(徹)政府参考人 お答えいたします。

 民族共生象徴空間、ウポポイにつきましては、本年四月二十四日の一般公開に向け、現在、魅力あるプログラムの提供、交通アクセス向上などの周辺環境整備、ウポポイの魅力発信に向けたPR展開などに取り組んでいるところでございます。

 まず、魅力あるプログラムの提供につきましては、例えば、体験交流ホールにおける伝統芸能の上演、また、体験学習館における食文化体験やVRによる映像体験など、繰り返し御来場いただけるような多様なプログラム、多彩な展示を提供していきたいと考えております。

 次に、交通アクセス向上などの周辺環境整備につきましては、国道三十六号白老拡幅を始めとした道路整備や、JR白老駅の特急停車本数の増加などにより、来場者の利便性向上を図ってまいります。

 さらには、各種媒体を活用したPR活動をより積極的に展開していくことにより、ウポポイの認知度を向上させ、そして、より多くの方々にここに対して関心を持っていただけるようにしていきたいと考えております。

 また、感染症対策につきましては、二月二十日に厚生労働省がイベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージを発表し、さらに、本日、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が決定されましたが、こうしたことを踏まえまして、その時点において必要な対策を実施していきたいというふうに考えております。

 このような取組を通じまして、四月二十四日の一般公開に向け万全を期すとともに、年間来場者数百万人を目指してまいります。

 なお、委員御指摘のとおり、四月二十四日のウポポイ一般公開に先立ちまして、四月十八日には開園記念式典の開催、これを予定してございます。赤羽大臣は主催者の一人でありまして、出席を予定しているところでございます。

佐藤(英)分科員 このウポポイの現場には、太田元国土交通大臣、それから石井前国土交通大臣含めて副大臣、政務官の方々も、何度も建設現場に足を運んでいらっしゃいます。ぜひ、国土交通省を挙げて百万人達成のためにお力をかしていただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、本年七月に待望の東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。札幌におきましてもマラソンや競歩、サッカーが開催されますが、競技成功のために、国交省からも十分な支援をお願いしたいと思います。

 さて、札幌市は、二〇三〇年に二度目の冬季オリンピック・パラリンピック開催を目指し、秋に招致委員会を立ち上げる方向性を示しております。この二〇三〇年は北海道新幹線の札幌延伸の年でもあり、ここに照準を合わせたさまざまなプロジェクトが動いています。

 その一つが、高速道路札樽道札幌北インターチェンジと札幌都心部をつなぐ、いわゆるアンビシャスロードであります。これが開通すれば、JR札幌駅を中心とした札幌都心部の交通環境が改善され、道内各都市、各地域との都市間交通にも大きな効果が期待されると思います。

 近々、第三回の地方小委員会、第七回の検討委員会が開催され、対応方針が決定されると伺っておりますけれども、二〇三〇年までの供用開始についての見通しについて見解を伺いたいと思います。

池田政府参考人 ただいまお話しのございました創成川通でございますけれども、札幌北インターチェンジの出口渋滞、及び、雪が降った場合に著しく速度低下があるという課題がございます。国交省としては、この課題解決のために、新しい道路計画の策定を進めております。

 具体的には、平成七十年四月より概略ルート構造を決定するための計画段階評価手続を実施しており、近々、結論をまとめる予定にしております。今後は、この結論を踏まえ都市計画決定を行い、その後事業に着手する予定であります。

 工事については、都心部での大規模な工事になると想定されますので、供用の見込みについては、今後施工計画の中で明確にしてまいりたいと思います。

 引き続き、早期供用に向けて取り組んでまいります。

佐藤(英)分科員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、札幌市は、札幌駅周辺の再開発を進めるに当たり、市内中心部に点在しているバスターミナルを、札幌駅の目の前、アンビシャスロードに面した箇所に集約することを決めて、実現に向けて検討をしております。

 このいわゆる札幌バスターミナルが完成すれば、アンビシャスロードと相まって、JR札幌駅という北海道のハブターミナルと道内の各地域を高速バスでダイレクトにつなぐことにもなるわけであります。北海道全域の観光振興にも大きく寄与することは間違いないと思います。

 この札幌バスターミナル、いわゆる札幌バスタについて、二〇三〇年を目指し、道都札幌にふさわしい施設となるよう、新宿バスタの整備で培った国の知見を生かしてぜひ国の直轄事業として進めていただきたいと念願しますが、いかがでしょうか。また、アンビシャスロードと札幌バスタの二カ所について、大臣にも直接の視察もお願いしたいと思っております。

 よろしくお願いします。

池田政府参考人 バスタ新宿は、新宿駅周辺に分散しておりました十九カ所のバス停が集約されて、現在、年間約一千万人の方々に利用をいただいております。

 札幌駅南口周辺においても、バスタオープン前の新宿駅と同様に、多くの中距離バスのバス停が分散しており、利便性が低下をしており、道路交通にも影響を与えているなどの課題があります。

 こういう状況の中で、昨年十月に、札幌駅南側に路線バスや中長距離バスのバス停を集約する新たなバスターミナル構想が札幌市において取りまとめられたところでございます。

 これらを踏まえ、先月二十九日に、北海道開発局と札幌市が共同で検討会を設置しまして、新たな集約型交通ターミナルに関する事業計画の検討に着手をしたところであります。

 国交省としては、都心アクセス道路の計画と連携しながら、二〇三〇年を目標とする交通ターミナルの実現に向けて、主体的に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 ぜひ、アンビシャスロード、また札幌バスタ、この実現というものは、北海道の第二の発展の大きなやはり原動力にもなるものでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、新千歳空港駅に係るスルー化についてお伺いしたいと思います。

 先月の十五日から、全国で初めての、新千歳、函館、釧路、稚内、旭川、帯広、女満別の七空港の一括民営化が実質的なスタートを切りました。今後、事業者の提案に基づいて各空港の充実が図られていくわけですけれども、ネットワークの中心である新千歳空港の重要性はますます増していくと思います。新千歳空港を取り巻く二次交通の高度化が極めて重要になることは疑う余地はありません。

 そこで、新千歳空港最寄りのJR新千歳空港駅について、南千歳駅での乗りかえなしに、札幌方面に向かう千歳線、道東へ向かう石勝線、道南へ向かう室蘭線の三線に直接アクセスできるようにするいわゆるスルー化が実現すれば、新千歳空港を利用する観光客の利便性が飛躍的に向上し、北海道内全域に観光需要増の効果を行き渡らせることができる、そう期待をしているわけでありますけれども、国の観光戦略にも寄与することになるわけでありますが、スルー化の実現について検討すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

水嶋(智)政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるスルー化につきましては、新千歳空港と道東、道南方面との鉄道アクセスの改善に資する構想でございまして、JR北海道が昨年四月に公表したJR北海道グループ中期経営計画二〇二三に位置づけられており、同社において検討が行われているものと承知をしております。

 新千歳空港の鉄道アクセスの利便性向上は、北海道の観光振興やJR北海道の経営改善にとって重要な課題でございまして、同社ではこれまで、新千歳空港と札幌駅とを結ぶ快速エアポートの輸送力増強などに取り組んできたところでございます。

 新千歳空港は今後もインバウンドも含めて多くの利用者が見込まれますことから、国土交通省としても、新千歳空港の鉄道アクセスの利便性向上に向けて、引き続き、JR北海道に対して必要な指導や助言を行ってまいります。

佐藤(英)分科員 新千歳空港に飛行機で見えられた方々が、直接、札幌駅だけではなく、函館などの道南、そしてまた釧路、根室方面の方に南千歳駅での乗りかえなしに行くことができるというのは、これはこれはもうインバウンドの方々を含め大変に喜ばれることであると思いますし、また、私は、将来的にはやはりJR北海道に対しても非常に貢献する構想でもあると思いますので、ぜひとも鋭意検討していただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、今年度補正で実行されましたサポカー補助金などについてお話を伺ってまいりたいと思います。

 赤羽国土交通大臣は、大臣就任前、公明党の次世代カー推進プロジェクトチームの座長を務められておりました。自動運転の実装化について幅広い御見識をお持ちであります。

 さて、今年度の補正予算では、高齢者運転の重大交通事故の減少、被害軽減を実現するためのサポカー補助金が措置されております。昨年も高齢運転者による痛ましい事故が相次いで報道されましたが、そうした悲惨な事故をなくすために極めて重要な施策と認識しております。

 私も、三年前の国土交通委員会で、自動運転の予防安全性能について、インセンティブをつけて標準化を加速させるべきだとの意見を申し上げていた経緯もありまして、こうした主張も実現して大変に喜んでいるところであります。

 このサポカー補助金について、まず、具体的な内容について御説明をいただければと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは、平成二十九年三月三日の国土交通委員会におきまして、安全運転サポート車につきまして、スピード感を持って強力な推進を今後図っていくべきだ、あるいは、具体的なインセンティブも含めて考えていく必要もあろうという御指摘を頂戴したところでございます。

 委員から御指摘いただきましたように、昨年の四月に池袋での事故がございました。また、昨年の六月には福岡の事故がございました。そういったことを踏まえまして、昨年の六月に関係閣僚会議で、緊急対策、高齢者あるいは学童の交通安全に関する緊急対策が決定をされたところでございます。

 これを受けまして、いわゆるサポカーの補助金につきまして、経産省と私ども連携いたしまして約千百四十億円の補正予算、この中に四十億円の補助金が盛り込まれております。

 補助金の具体の内容で御質問いただきましたので申し上げますと、自動ブレーキあるいはペダル踏み間違え防止装置につきまして、新車の場合、最大十万円の補助、それから、後づけのペダル踏み間違え防止装置、これが四万円の補助ということで、こういった支援を行うことによりまして、安全性にすぐれた車両の普及が一層推進されるというふうに考えております。

 現時点では、補助の実施に向けました詳細設計の最終段階でございまして、高齢運転者の事故の減少のために、実効ある補助制度を構築する所存でございます。

佐藤(英)分科員 ぜひ、交通事故撲滅のために、国土交通省が先駆を切って取り組んでいただくようお願いを申し上げたいと思います。

 自動運転技術の向上は目覚ましいと思います。四月にはレベル3が解禁されるのに合わせて、安全性評価の基準づくりも進んでいると報じられております。交通事故の減少、特に、歩行中の高齢者や幼児などが被害に遭わないことを念頭に進めていただきたいと思います。

 特に、北海道のような積雪寒冷地におきましては、降雪などの気象条件や路面凍結など交通環境条件によらず、安全な移動を担保する自動運転技術の開発こそ不可欠であると痛感しております。私も、数年来、冬期自動運転技術の開発と除雪車の自動運転の実現を訴え続けてきました。また、事あるごとに視察も重ねてまいりました。

 現在の開発状況や実装化への見通しはいかがなんでしょうか。見解を伺いたいと思います。

池田政府参考人 国土交通省では、中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を全国十八カ所で実施をしております。この中に、北海道大樹町や秋田県上小阿仁村など、積雪寒冷地も含まれております。

 御指摘のように、積雪寒冷地においては、降雪など気象条件によっては自動運転車の安定的な走行に懸念があることから、この実証実験の中で、安全な走行を補助する技術の検証を進めてまいりました。その結果、磁気マーカーなどにより車両を安定的に走行させることができることが確認されたところでございます。

 これらを踏まえまして、昨年十一月三十日より、秋田県上小阿仁村におきまして、自動運転サービスの本格運用が始まったところであります。

 今後、積雪寒冷地を含めまして、全国で導入が進むように取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 日本の多くはやはり積雪寒冷地であると思いますので、北海道に限らず、多くの方々に喜んでいただける積雪寒冷地での自動運転化、ぜひ、除雪車も含めて、鋭意これからも検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、昨年の分科会でもお話をさせていただきました第二青函トンネルについてお伺いをしたいと思います。

 必要なインフラの整備は、将来に向けての大切な社会基盤への投資であります。現在の青函トンネルも建設中は強い不要論が叫ばれましたけれども、今、青函トンネルを不要と言う人はまずいないと思います。二〇〇二年当時の試算では、新幹線抜きで一兆数千億円の純利益を上げ、BバイCも一・九五に上ると言われております。現在では、北海道新幹線が開通をしまして、便益は更に大きくなっています。

 青函トンネル開通から来月で三十二年を迎え、北海道を取り巻く社会経済の環境は大きく変化しています。訪日外国人観光客も大幅に増加し、今や、観光なしでの経済はあり得ません。また、東日本大震災以来、交通インフラの強靱化やリダンダンシーの重要性も増しております。

 北海道では、新幹線の速達性向上や貨物機能の大幅拡充、北本連系線の抜本的増強など、さまざまな希望を一度に解決する第二青函トンネルの実現を求める声も大きくなってきているところでございます。日本プロジェクト産業協議会、日本建設業団体連合会鉄道工事委員会、第二青函多用途トンネル構想研究会始め、道内ではさまざまな研究や検討が始まっているところであります。

 国土交通省及び政府でも、第二青函トンネルについて課題を整理し、実現を目指しての議論を開始すべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 第二青函トンネル構想に関しまして、幾つかの民間の団体において検討がなされていることは承知しておる次第でございます。

 一般論として申し上げれば、現在の青函トンネルとは別にもう一本の鉄道用の海底トンネルを建設した場合、北海道新幹線の高速化や鉄道貨物輸送の確保といった観点からの効果が期待されるものと考えられます。

 しかしながら、新たな海底トンネルの建設を検討する場合には、膨大な建設コストや、長大な海底トンネル特有の、維持管理に係る課題などについて慎重な検討も必要になるものと考えております。

 国土交通省では、新幹線の最大限の高速化を実現するための方策について、北海道と本州の間の物流の確保にも十分配慮した上で、幅広い視点から検討を行っているところでございまして、さまざまな課題を整理の上、引き続き、丁寧に検討を行ってまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 私は、一昨日、北海道から東京に戻ってくるに当たりまして、JRで戻ってまいりました。在来線、また、もちろん青函トンネルを通りまして、そして新幹線で、八時間かかりましたけれども、青函トンネルを通りながら、きょうのこの質問をさせていただく、大変に震えるような思いできょうは原稿を持っているところでございます。ぜひ検討をしていただければと思います。

 最後に、インフラメンテナンスについてお伺いしてまいります。

 地中には、上水道、下水道、ガス管、通信ケーブルなどが埋設されております。どこに何が埋まっているか、一応は台帳で管理されておりますけれども、長年のメンテナンスの過程では、台帳どおりではいかない場合もあると伺っております。また、既設管路の工事は、管路の管理主体がそれぞれ別々に保守点検、改修を行っているため、地域によっては、たびたび同じ箇所が何度も掘り返されるという事態も起きているわけであります。

 欧州やドイツなどでは、管理を一元化し、改修時にはJVなどを活用したバンドリング方式をとっているとも伺っております。日本では、現在進めている電線地中化工事の際などに、このバンドリング方式の活用による保守点検を行ってはどうかとも考えます。全国で電線地中化を進めている国土交通省が、国道にかかわる事業の際などに実験的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 見解を伺いたいと思います。

池田政府参考人 路上工事による道路の渋滞を減らすためには、上水道、下水道、管路の補修によります掘り返し工事を抑制することが重要であると考えております。

 このため、国交省においては、同時期に管路の工事が行われるように、管路の管理者が年に四回程度、一堂に会しまして、工事の時期の調整を現在いたしております。直轄国道においての路上工事の時間は、平成三十年度では平成十四年の約半分となってはきております。

 一方で、今御指摘がありましたように、同時期に工事を行う際にも、管路の管理者ごとの工事となっておりまして、今御提案がありました複数の管理者が一体となった工事については、現在行われておりません。

 引き続き、委員御提案の管理者が一体になった工事の導入について、ドイツの御紹介がありました取組事例を参考に検討を進め、さらなる掘り返しの抑制に努めてまいりたいと考えております。

 それと、申しわけありません。先ほど、創成川通の検討の開始時期につきまして、平成三十年七月からの開始ということが正しい開始時期でありますので、このように訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。終わります。

伊藤主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島分科員 共同会派、立国社の中島克仁です。

 時間をいただきましたので、質問をさせていただきます。

 赤羽大臣には初めて質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いしたいと思います。

 私からは、安倍政権の政策誘導によってふえ続けるサービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住の実態について、私の地元山梨で報道されている案件とあわせて質問をさせていただきたいと思います。

 サービスつき高齢者向け住宅、以下、サ高住と呼ばせていただきますが、国交省、厚労省共管のもと、二〇一一年に制度化をされた高齢者住宅支援制度であります。国交省が建設補助、融資、さらには、資料の一枚目にお示ししてありますが、安倍政権の大看板政策、一億総活躍社会実現のための新三本の矢の一つ、介護離職ゼロを達成するため、その介護の受皿として増設していく方針が示されました。

 平成二十八年六月には、この資料の一番上にもございますが、サ高住を具体的数値目標として二万戸ふやすと、その内容を盛り込みましたニッポン一億総活躍プランが平成二十八年の六月に閣議決定をされた。このような経緯から、資料の二枚目にもございますように、サ高住は全国的に爆発的に増加をし、昨年の十二月末の時点で、総数は二十五万三百五十二戸、七千四百八十四棟となっています。

 まず、大臣に確認の意味でお尋ねをいたしますが、来年度予算にも二百五十億、スマートウエルネス住宅推進事業の一つとして、サ高住の整備として二百五十億円の予算も計上されておりますが、サ高住を国策として更に増設していく方針ということでよろしいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

伊藤主査 眞鍋住宅局長。(中島分科員「いや、大臣」と呼ぶ)まず技術的なことから。

 まず、眞鍋住宅局長。

眞鍋政府参考人 サービスつき高齢者向け住宅の今後の整備方針についてお答えいたします。

 今御指摘ありましたように、サービスつき高齢者向け住宅は、バリアフリー化されまして、入居者の安否確認、それから生活相談サービスの提供を必須とする住宅でございます。

 これにつきましては、二十五万戸、登録棟数は七千五百棟に及んでおりますが、平成二十八年三月に閣議決定されました住生活基本計画において、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合の目標を令和七年度に四%とするというふうに定めております。

 この高齢者向け住宅については、サービスつき高齢者向け住宅のほか、有料老人ホーム、そのほかのものも含める数字でございますが、この四%までにはまだ間がございますので、これを目がけて整備を進めていくという方針でございます。

赤羽国務大臣 今答弁が局長からありましたように、二十八年三月の閣議決定、住生活基本計画におきまして、高齢者の方々に対する高齢者向け住宅の割合の目標、令和七年度に四%ということでございます。今御答弁ありましたように、サービスつき高齢者向け住宅はそのうちの一つでございます。

 加えて、今先生の御質問でありますニッポン一億総活躍プラン、これは平成二十八年六月二日の閣議決定、御質問どおりでございますが、介護の受皿三十八万人分以上から五十万人分へ拡大ということで、この十二万人分の増加のうち約二万人分の受皿としてサービスつき高齢者向け住宅を整備することというふうな閣議決定となっております。

中島分科員 時間がないので、大臣にお答えいただければそれでいいので、お願いしたいと思いますが。

 今お答えいただいたように、国策として、一億総活躍社会の実現、新三本の矢の一つ、介護離職ゼロ、これを大きく掲げて、受皿として前倒しする形で、具体的に二万戸、その目標よりも今多くなっている実態であります。

 また、高齢者の安定した住宅の支援ということ、これは、厚労分野からいけば、あくまでも介護離職ゼロを目指していく方策ということでありますが、国策として進めて増設していく一方で、民間の東京商工リサーチの調査によると、これは介護施設全体かもしれませんが、廃業する件数がふえている。国交省に確認したところ、サ高住に関しては昨今は減ってきているという答えでありますが、調査の仕方もあるんだろうと思います。

 この廃業、倒産についてちょっと質問を進めていきたいんですが、資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。

 これは、私の地元山梨県で報道された報道記事であります。見出しは「新日本通産七施設の廃業届 サ高住運営ゼロに」となっております。

 これは、サ高住の土地建物の所有者とサブリース契約を結んだ運営会社、新日本通産が、賃料の未払いにより訴訟になる予定という記事で、具体的な内容は、同社が運営する七施設、分社化した別会社が運営する五施設、合わせて十二施設が昨年の七月から十二月にかけて廃業したという記事です。

 この短期間で、一度にこれだけの廃業は異例だと思いますが、大臣にお尋ねいたします。この案件、把握されておりますでしょうか。把握されておるとすれば、どう対応されておるのか、お尋ねしたいと思います。

赤羽国務大臣 一般論として、先生から言われるように、高齢者向けサービスつきのとか特別養護老人ホーム、介護施設、多分、恐らく現場は、私も地元で回っておりますと、人手不足とかさまざまな問題があると思います。そうした中で、今先生がお示しのように、済みません、この件については山梨県と甲府市から報告を受けておりますが、こうしたことも起こってきているんだろうなというふうに思っております。

 山梨県におきましては、住宅部局と福祉部局が連携しながら、事業者に対して状況報告を求めて、住宅への立入り等の対応が行われているものと承知をしておりますし、国交省としては、山梨県等から報告を求めるとともに、職員を現地に派遣させていただきまして、実態の調査、住宅の状況を随時把握してきたところでございます。

 一番私たちが心配していたのは、この廃業した住宅の入居者の先がどうなるのかということでございますが、本件につきましては、グループ企業の運営するほかの住宅等へ転移しているというふうに承知をしておりますが。

 いずれにしても、冒頭申し上げましたように、人手不足というのは、介護だけじゃありませんけれども、我が国の抱えている大きな問題でありますので、こうしたことが出てくることが予想されるというふうにしてさまざまな対応をしていかなければいけないと思いますので、先生は御専門でもあると思いますので、御指導も賜りたい、こう思っております。

中島分科員 報告は受けている、そして山梨県の住宅部局また福祉部局にも指示を出しておるということで。

 その原因とすると、今大臣は、介護を取り巻くさまざまな社会背景、人手不足、介護人材の不足ということ、そういうことが一つの要因になっておるというふうにお答えいただきましたが、私も今専門だと言っていただきましたが、これは大変異例だと思うんですね。大臣には、きょう、質問を通して、ぜひこの案件を徹底的に調査していただきたい、そういったことを絡めながら質問させていただきたいんですが。

 確かに、先ほどの新聞記事、見出しを見ると、いわゆる介護を取り巻く環境が影響して介護施設が立ち行かないんだ、そんなような印象を受けるんですが、私が少し調べたところ、大変不可解な経緯があります。調べていくと、この問題は大変根が深くて、重大な問題をはらんでいる可能性がある。

 資料の四枚目。こちらは、先ほど申した同社が、当時は同社が運営していた施設三十二カ所、現在は分社化した介護事業者が運営しているサ高住、これを時系列別に示したものです。

 同社は、平成二十三年からサ高住事業に乗り出していますが、平成二十八年以降急激にその数がふえ、合計三十二件のサ高住を運営し、そのうち二十九件は所有者とのサブリース契約を結んでいました。この青く塗ってあるところが、先ほど新聞記事にあった、昨年七月から十二月に廃業届を出した施設です。

 ここで目につくのが、まず一つ、全体のうち半分近い十五施設が平成二十八年以降に建設をされている。まさに安倍政権の一億総活躍、これは後で申し上げますが、平成二十七年度では補正予算も組まれています。そしてもう一点が、平成二十八年以降建設された十六施設のうち半分の八施設が昨年廃業届を出している。そしてもう一つ、平成二十八年以降、サ高住建設のため融資を行っているのは、そのほとんどが独立行政法人住宅金融支援機構となっていること。これはぱっと見ただけでも目につくんです。

 きょうは、お忙しい中、独立行政法人住宅金融支援機構さんからもお越しいただいています。お忙しいところ、大変申しわけございません。

 まず、前提の確認でございますが、サ高住建設の融資先として中心的な役割を果たしているのは、国交省と財務省所管の独立行政法人住宅金融支援機構ということで、そういう理解でよろしいでしょうか。

田中参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問いただきました件でございますけれども、住宅金融支援機構は財務省と国土交通省、両省の所管になっておりまして、独立行政法人の住宅金融支援機構がこの融資を実施しているところでございます。

中島分科員 担う先として、中心的役割を果たしているということでよろしいんですね。いいんですね。融資ですよ。

田中参考人 お答えいたします。

 融資につきましては、住宅金融支援機構が融資しているもの以外にも、民間の金融機関が融資しているものもあるかと存じております。

中島分科員 どっちなんだかよくわかりませんが、私、もう事前のレクで聞いておりますが、これは資料の五枚目にあります、機構がサービスつき高齢者向け住宅融資の御案内というのを出しています。

 そして、サ高住全体、機構が融資している先は全体の二%とお聞きいたしました。これで間違いないですか。

田中参考人 お答えいたします。

 令和元年十二月末現在のサービスつき高齢者向け住宅に係る機構の融資状況でございますけれども、融資承認実績として百九十五件、それから、融資実行実績として百三十一件となっております。これは、それぞれ、サービスつき高齢者向け住宅の登録の棟数全体と比べますと、融資予約ベースで二・六%、融資実行ベースで一・七%となってございます。

 以上でございます。

中島分科員 全体で約二%、二・六%と一・何%か、おっしゃっていましたが、それだけ見ても、これは不可解なんです。

 全体では約二%前後の住宅支援機構の融資状況ですが、同社への建設に当たっては約半分が住宅金融支援機構になっておる。ここも非常に、なぜそういう状況になっておるのかということは大変疑問に思うんですが、これはきょうだけではないので、まずその辺を、この状況があるということを大臣には理解をしていただきたいと思います。

 そして、今回、そのサ高住の運営が立ち行かなくなった、その運営会社がオーナー側に説明している内容は、もちろん、先ほど大臣がお答えいただいたように、介護人材が不足しておるということとともに、融資をされていた住宅金融支援機構から融資が断ち切られた、そういう説明をしておる。私も実際にオーナーから、そういう説明を受けたというふうに聞いております。しかし、これは適切ではない。もう融資をされているわけでございますから。

 これから想定できるのは、いわゆる新規の事業について融資はできないということ、そして、そのこと自体は、融資を得て、そしてある意味自転車操業していたということも連想できるわけであります。

 確認いたしますが、同社へ新規の融資をもうしないと決めたというのは事実でしょうか。

田中参考人 お答えいたします。

 個別の私企業や個別の融資申込みにつきまして、この場で具体的な内容をお答えするのは差し控えさせていただきます。

中島分科員 いや、これはもう新聞報道にもなっていて、そして、私、これ、自分でリストをつくったんです。そして、融資がされなくなったということは、私、事実だと思うんですよ。

 個別案件と言いますが、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、これだけ短期間での一度の廃業は異例です。その原因をちゃんと調べていくに当たっては、この融資の状況を調べるというのが非常に大切なことだというふうに思います。

 端的にお聞きしますが、もう一点目立つのは、平成二十八年以降に建設をされた住宅金融支援機構が融資している建物、青色に塗ったところがそうでありますが、融資してまだ一年、二年もたたないうちに廃業届をしている。これは適切な融資だったと言えるんですか。

田中参考人 お答えいたします。

 個別の私企業の経営状況や個別の融資申込みにつきまして、この場で具体的な内容をお答えすることはいたしかねますので、一般論でお答えをさせていただきたいと思います。

 サービスつき高齢者向け住宅に関する住宅金融支援機構の融資につきましては、その返済が長期にわたること等を踏まえまして、申込人自体の収入、財務等の状況、資力を審査するほか、申込人以外にサブリース事業者や介護運営事業者がいる場合は、それらの経営状況の安定性や資力、事業計画、サービス提供の継続性についても審査しております。

 加えまして、申込人がサブリースを利用する場合には、申込人と面談し、サブリースのリスク等を認識していること等を確認した上で融資の判断を行っているところでございます。

 このように、融資は、融資可否の判断を行う時点で把握できる情報をもとに、サブリース事業者や運営事業者の経営状況の安定性等について、審査の基準に合致することを確認した上で融資の承認を行っております。そのため、融資の判断を行う時点において妥当な判断を行っているものと考えております。

 以上でございます。

中島分科員 いや、妥当なわけないじゃないですか。だって、これ、サ高住を建設して、今、持続性とか言っていましたけれども、融資して、下から三番目、三十番目ですが、平成三十年の五月六日に融資しているんですよ。その後、建設があって、一年か一年たたないうちに廃業しているんですよ。

 この融資が、大臣、適切だと思いますか。

赤羽国務大臣 融資の中身、ちょっと私、承知をしておりませんので、適切かどうかというのは答弁ちょっとしかねるということでございます。

中島分科員 もう時間がないので。

 個別案件と言いますけれども、これ、私、大変重大な根深い課題があると言っている理由、もう私から言います。

 恐らく、住宅金融支援機構は同社に対して新たな融資はしないんだと。これも事前のレクで承っています。その理由は、きょうここにもありますが、同社が機構に対して、いわゆる三通の契約書があるわけですよ、三十六年の運営ということでつくった契約書、その後、二十五年運営するという契約書にかえ、それが発覚して、運営が立ち行かないという理由で新規の事業には融資をしない。そういう事実なんじゃないんですか。

田中参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、個別の私企業や個別の融資申込みにつきまして、この場で具体的な内容をお答えすることは差し控えさせていただきます。

中島分科員 どこだったら答えていただけるんですか。ここ、国会ですよ。補助金、そして国の機関である銀行から融資、血税も含まれている融資が適正に使われているかどうか。個別の案件というより、これからサ高住をふやすんですよ、まだ増設すると言っている、そういう状況の中で、ここでなかったら一体どこで答えるんですか。

 大臣、端的に言います。これは結論から言うと、サ高住をめぐる問題、いわゆる囲い込みの問題やサービス不提供などさまざまありますが、今回の山梨での案件は、サ高住をオーナーから一括して借り上げ入居者に貸し出す、いわゆるサブリース業者により問題が発生していて、この時系列で示した表にもございますが、負債額は総額で三十二億以上の負債を抱えているオーナーさんたちが立ち行かない状況になっているんです。

 シェアハウスかぼちゃの馬車の運営をしていたスマートデイズの破綻や不正融資を行っていたスルガ銀行、これは記憶に新しいところですが、山梨においても、サ高住のサブリース契約において賃料が支払われなくなっている。オーナーは多額の負債を抱えて立ち行かなくなっている。

 先ほど、報告は受けている、また住宅支援課や福祉課には指示を出しておるといいますが、この表を見ただけで、そして、今現在、六十代から九十代の御高齢の方が、これは安倍政権の国策だ、だから社会貢献にもなる、さらには、社会保障への不安、御本人もいずれそれに入れるかもしれないという、そういった内容で融資を得て、そしてサ高住を建てたはいいけれども、一年、二年もしないうちに廃業届を出され、借金を多額に抱えて立ち行かなくなっている、そういった案件なんです。

 大臣、大臣の責任で、これは国策ですから、政府が大看板を掲げて、介護離職ゼロのためにサ高住をふやした、かぼちゃの馬車と同じような、類似したというよりは酷似した内容だ、そういったことを念頭に、徹底的に調査していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 高齢化が進む中で、高齢者の皆様に対する住宅を手当てしなければいけないというのは社会的な大きな課題だというふうに思っております。

 先ほど御紹介したような中で、今先生御指摘のようなこういった案件、ちょっとこの案件について、私、具体的に、詳細に、つまびらかに承知はしておりませんけれども、こうした問題が起こったことによって、それぞれ善意の大家さんとなる方たちが不幸に巻き込まれるということは決してよくないことなので、今、先生の国会での御指摘でございますので、しっかり受けとめて、そのことについて、私どもなりの調査というか分析をしっかりさせていただきたいと思っております。

中島分科員 機構にももう一点だけお聞きしますが。

 青に塗られたオーナーさん、施設のオーナーさんですね、今、何億という負債を抱えています。この負債は、いわゆるサブリースですから、機構さんはその返済はオーナーに求めるということでよろしいんですか。

田中参考人 お答えいたします。

 こちらも一般論になりますけれども、融資の返済につきましてはオーナーの方に求めるということになりますけれども、機構の融資基準にのっとりまして、必要に応じて、サブリース事業者や介護運営事業者の資力や経営の安定性等を確認させていただいた上で、状況に応じて対応を考えていきたいというふうに考えてございます。

中島分科員 そうなんです。サブリース契約上、スルガ銀行事件、かぼちゃの馬車でもそうです、多額の負債を抱え、そして運営能力がないにもかかわらず、廃業し、そして多くの方が負債を抱えて立ち行かなくなった、それに不正に融資していたのがスルガ銀行、そういう状況です。住宅金融支援機構さん、このままだんまりしていたら、スルガ銀行と一緒ですよ。

 私は、これも事前のレクで聞いていますから言いますが、このように虚偽の契約書をつくられた件、九件あるんですよ。恐らく個別案件だから答えられないとおっしゃるんでしょうが、これは刑事事件じゃないですか。ここで住宅金融支援機構がそのことを明るみにしなければ、今も御答弁いただいたように、オーナーさん方にその負債を求めることになるんですよ。

 大臣、今の指摘、この表だけでも、もっともっといろいろなのが出てくるんです。例えば、融資額と、一番右側にある構造。二十一番目、二億一千四百万円の融資を受けて、木造スレートぶき二階建て、もちろんバリアフリーとしてハード面の基準は満たしていると思いますが。三十番目は三億四千五百万、木造スレートぶき二階建て、延べ床面積約八百平米。この建設の内容と、融資も適切だったかも含めて、徹底的に調査してください。

 そして、これは山梨だけで起こっているとは思えないんです。

 私は、医者でもあり、在宅医療をやっていた人間です。サ高住を決して否定しているわけじゃないです。しかし、今回の問題の根が深いのは、オーナーさん方は、賃料が滞り、借金の返済ができない。そして、分社化した事業者と再契約を結ばされているんです。声を上げられない状況なんです。さらには、入所者保護の観点も大事です。

 その事業者がまたいつ立ち行かなくなるかわからない、全国各地でこんなことが起こっているとしたら、介護離職ゼロどころか、数年でサ高住が廃業してしまう、介護離職増大政策になってしまいますよ。介護難民、介護不安増大政策ですよ、これは。

 これは政府が、政府の責任として、きょう私が指摘したことをしっかり調査していただきたいと思います。いつまでにやっていただけますか。

赤羽国務大臣 済みません、いつまでにと、今にわかにはあれですけれども、今先生の言われたことについて確認はしっかりさせていただきます。

 そうした背景があるのかどうかということと、今おっしゃったような、二十一番、この木造スレートぶき二階建て、広さだけでこの融資の額が妥当だったかどうかというのは、今にわかに、私はイエスともノーとも言えない。これは、私の言えることは、住宅金融支援機構というちゃんとした機構でありますから、そこが責任を持って融資をしたのであるのであれば、そこについての説明責任というのはあるというふうに私は思っております。

 しかし、私は、さはさりながら、先生が国会の場でこうしたことを取り上げられて、問題だということを指摘していただいた以上、私たちもこうしたことは望ましいとは全く思っておりませんので、しっかりと調査をしたいというふうに思っております。

 加えて、ただ、これは余計なことかもしれませんが、サービスつき高齢者向け住宅自体は悪いことではないというふうにおっしゃられたというのは、それはそういうことだと思いますし、サブリース方式も、全体が問題をはらんでいるかはらんでいないかということは、この方式自体は、現在のサ高住の約半数に当たる四千棟がいわゆるサブリース方式で運営されているわけでありまして、サブリースだからだめだということなのかどうかということも少ししっかりと点検をしたいというふうに思っております。

中島分科員 問題意識は共有していただいていると私は思います。

 私は、来年度の予算にまた二百五十億円が計上されているんです、ここで一回立ちどまって、一体どういう状況になっているのかを徹底的に調査する必要があると。

 そして、質の問題も含めて、健全なサ高住が必要になってくる。あるケアマネさんが言っていました、サ高住は必要だけれども、社会悪だと言っていました。そんな状況にしていいのか。

 さらには、県への登録をして、そしてハード面のものがそろっていれば、補助金が出ちゃうわけですよ。そのときにチェック機能ができないか。

 若しくは、今サブリースの話がありましたが、今国会で、国交省所管でサブリースの法改正もあります。今回、サ高住に特化した、特異的な部分に配慮したサブリースの法改正も必要。

 さらには……

伊藤主査 委員、質疑時間が終了しておりますので。

中島分科員 済みません。

 第三者による評価制度も、これは検討を平成二十八年からしているわけですから、ぜひこのことを具体的に示していただきたいと思います。

 このことは、国交委員会でも引き続き質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて中島克仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)分科員 共同会派、立国社の野田佳彦でございます。

 立国社の中の社でございまして、社会保障を立て直す国民会議、今、戦闘的に頑張っていた中島議員と同じ会派の代表をしています野田でございます。

 きょうは、私、四半世紀ぶりに分科会での質問でございまして、やり方をすっかり忘れていますので、ちょっとリハビリを兼ねてやらせていただきたいと思いますが、基本的に局長にきょうは質問することになっていますが、せっかく大臣がいらっしゃるから、場合によってはお願いすることも、臨機応変にお願いをしたいというふうに思います。

 きょう取り上げるテーマは、URの住宅、公団住宅の問題をまず取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 私の地元の船橋は、現時点で、今、URは七つあるんですね。昭和三十五年に前原団地が造成をされて入居開始をし、翌年に高根台団地などなど、次々と団地群ができまして、昭和三十年代後半から四十年代にかけては毎年人口が二万人ずつふえるという、首都圏のベッドタウンとして発展をした大きな原動力になったのが、当時の住都公団の公団住宅でございました。

 私は昭和三十二年生まれで、赤羽大臣と近い年齢だと思いますけれども、公団住宅がどんどんできてくるとともに、それは、地元の船橋の原住民にとっては新しい文化が入ってくる感じで、要は、水洗トイレがついていて、キッチンも何かすばらしいんですよ。何か新しいハイカラな文化がどんどん入ってくる感じで、うらやましいなと思いながら、そこで育った同級生たちもいっぱいいます。今、その同級生たちのお父さん、お母さんが、かなり御高齢になりながらも住んでいらっしゃるというような状況なんですね。

 高齢化が進むとともに、一方で収入はどんどん減るというか、年金暮らしの方がほとんどだと思います。でも、住みなれた団地でずっと、ついの住みかとして住み続けたいという御要望が、これは多分圧倒的だというふうに思います。

 その中で、まず最初にお尋ねしたいのは、機構法二十五条四項、家賃の減免の実施を求める声というのが、これは一番切実な声だというふうに思いますけれども、現時点において国交省としてどういうお考えなのか。これは、さまざまな要請、いっぱい各党もいただいていると思いますけれども、まずは基本的なところからお尋ねをしたいというふうに思います。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 機構法二十五条四項、家賃の減免の実施を求める声は、確かに全国各地の団地の住民の方からいただいております。

 UR賃貸住宅は、民間市場で入居を拒まれるなど、制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として、住宅セーフティーネットの一翼を担うものとして考えておるところでございます。

 機構法二十五条四項に基づきまして、高齢者向けの優良賃貸住宅、あるいは健康寿命サポート住宅、子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅といった位置づけのあるURの賃貸住宅に居住する世帯の方のうち、収入が一定額以下の世帯などを対象にして家賃の減額措置を現在講じているところでございます。国としても、家賃の減額を行うURに対しまして、国費による支援を行っているところでございます。

 さらに、高齢者向けの優良賃貸住宅の位置づけのあるUR賃貸住宅の家賃の減免に対しましては、ことしの二月、二十年の減額期間が終了する居住中の方に対して、退去するまでの間、減額措置を継続できるよう予算措置を講じているところでございまして、これは既に措置をするということにしたところでございます。

 このように、二十五条四項の趣旨にのっとりまして、適切な家賃の減免措置を続けてまいりたいと考えてございます。

野田(佳)分科員 本当は更問いしたいところなんですけれども。

 これは、非常に画期的な答弁というのがかつてあって、これは前任の国交大臣のときだと思いますけれども、公営住宅法の適用の原則を明確にされて、そして、今後とも機構法二十五条四項の趣旨にのっとりまして適切に家賃減免措置を講じてまいりたいという答弁をされております。

 これは同じ党の方が大臣になられておるわけでございますので、今いろいろ申し上げて、お話がございましたけれども、早急に切実な声に応えるというところに至っては、まだまだほど遠い状況だと私は思いますので、今のやりとりで私は満足しませんけれども、大臣には、場合によっては違う場面でお尋ねをすることがあるかもしれませんので、ぜひお含みおきをいただければというふうに思います。

 もともと、この家賃減免の要請というのは、私の地元の船橋の高根台団地で、二〇一七年でしたかね、URとの協議の中で全国で初めて要請として出てきたと聞いておりますので、そういうゆかりもございますので、引き続き、機会があれば、確認をし続けていきたいというふうに思います。

 次に、修繕の問題ですね。

 大きな改廃、住みかえのための建てかえをするとかということではなくて、修繕を求める声というのは、これは非常にたくさんあると思うんです。

 修繕については、これは家主の義務の原則のもとで、修繕負担区分の見直しが二〇一八年の十二月二十五日に機構によって発表されて、そして二〇一九年一月三十一日から実施をされておりますが、居住者負担が八十一項目から十一項目に減るということで、これは、機構の対応としては、近来、非常にすばらしい判断をされたと思いますし、それに対して感謝をする声もたくさん聞いております。

 ただ、十一項目、まだ残っているんですよね。かなり改善は進んだと思いますけれども、十一項目残っていて、その中には、畳床の取りかえだとか、ふすま紙の張りかえだとか、LED電球の取りかえなど、なかなか、経費としては結構かかるようなものがまだ残存しておりますので、引き続いて修繕負担区分の見直しを進めていただきたいというふうに思いますが、これは国交省としてどうお考えか、お願いをしたいと思います。

眞鍋政府参考人 御指摘をいただきました賃貸住宅の修繕負担区分については、平成三十一年一月末から、従前は居住者負担であった八十一項目のうち、大部分をURの負担といたしまして、十一項目、これはふすまの紙の張りかえなどということでございますが、その十一項目を除きまして、既に対応しているところでございます。

 国土交通省が賃貸住宅の標準契約書というようなスタイルで、修繕負担について原則的に貸し主が負担する考えをとっております。しかしながら、当該負担に見合う相応の家賃水準の設定を前提としているということでございます。

 これに対しまして、URの賃貸住宅の家賃は、近傍同種の住宅の家賃と均衡する額に定めるということになっておりますし、また、URは低所得の居住者などへの家賃減額を行うなど、先ほど申し上げましたような措置をしているということで、さまざまな費用負担をUR自身がしているということがございます。

 そうした中で、今般の八十一項目の見直し、これにつきましては、URにおいて、民間の賃貸住宅市場について調査を行いまして、民間賃貸住宅市場の中で居住者負担が最も小さい負担区分になるように最大限の見直しをしたというふうに承知してございます。

 今、五十年以上お住まいの長期継続の居住者から、順次個別の御案内を行った上で、必要な畳あるいはふすまの建具そのものの交換を進めているところと承知しておりますので、URにおいてこうした取組が計画的に行われるように、私どもも注視してまいりたいというふうに考えてございます。

 まずは、この取組を進めたいというふうに考えております。

野田(佳)分科員 よく注視して、一層の取組をお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、現在、高齢者向けの優良賃貸住宅にかわりまして、健康寿命サポート住宅の供給が行われているところだというふうに思いますが、まだ全国で千戸ぐらいではないでしょうか。ということで、その供給が基本的にはまだ余り進んでいないと思うんですが、その原因は何なのか。財政支援が足りないからじゃないかと率直に思いますが、いかがですか。

眞鍋政府参考人 御指摘いただきました健康寿命サポート住宅、これは、UR賃貸住宅のうち、高齢者が安心して暮らせるというような、そういう目的で推進しているものでございます。

 この健康寿命サポート住宅は、階段の昇降による負担が少ないというようなことを念頭に置いて、一階ないしは二階の既存の空き住戸を中心といたしまして、バリアフリー改修をしたりしながら供給を進めているところでございます。

 しかしながら、残念なことに、一階、二階の住戸というのはなかなか空き住戸が出てこないというような、そういう事情があるほか、既に高齢者向け優良賃貸住宅として使用されている場合が多いというようなことから、なかなか供給のチャンスがないというのが実情でございます。

 国としては、今議員が御指摘いただいたような、URに対する改修費用ですとか、あるいは、収入が一定額以下の世帯を対象とした家賃の減額について補助を行っているところでございまして、これが不足しているということはないと思いますが、健康寿命サポート住宅が供給できる、そういうチャンスを捉まえまして、引き続き、環境整備を整えてまいりたいと考えております。

野田(佳)分科員 財政支援が足りないということではないということならば、だとすると、ではちょっと更問いしなきゃいけないんですけれども、では理由は何なのかなんですが、高優賃の設置をされている状況というのは、各団地ばらばらだと思うんです。多いところもあれば、少ないところもある。その影響があって、ばらつきがあったりするのではないかというふうに思うんですね。

 ちなみに、千葉県でも、この健康寿命サポート住宅って、需要というか期待する声は大きいと思うんですが、余り千葉県ではないと思いますし、船橋はゼロだと思うんですよね。

 ゼロだと思うのは、今のように、高優賃のいわゆる設置状況がばらつきがあるからであって、むしろ、各団地ごとに、今申し上げた健康寿命サポート住宅の供給をどう振り分けていくかというような、そういう見直しをした方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。

眞鍋政府参考人 御指摘をいただきましたように、健康寿命サポート住宅については、団地ごとに整備率についてばらつきがある、これもまた事実でございます。また、高齢者向け優良賃貸住宅についても、団地ごとの事情に応じてかなり差があるというのも、これまた事実でございます。

 そういった、先ほどお答えをしたような、一階、二階の住戸について、バリアフリーをしながら健康サポート住宅を供給できるような素地があるのかどうかというような個別の団地の事情と、それから、お住まいの方々のニーズに応じまして、今後、検討していくことになろうかなと思います。

 現在のところ、ばらつきがあるのは事実でございますけれども、そういった事情をよく勘案しながら、URとともに検討してまいりたいと考えております。

野田(佳)分科員 住宅内のバリアフリー化とともに、あわせてやはり強い要望があるのは、エレベーターの設置を求める声だというふうに思うんですけれども、特に、団地居住者の方に強い要望として聞くのは、中層、五階建てを早くやってほしいということで、五階にお住まいの超高齢者がもう何年もおりてこない状況が続いているとか、そういうお話も聞くし、むしろ、中層の五階建ての団地の四階、五階に空き室が多いというのも、まさにこのエレベーター設置がおくれている部分だと思うんですが、この点の御認識と、改善についてどういうお考えか、教えてください。

眞鍋政府参考人 UR賃貸住宅で、特に中層、高層、三階から五階建ての既存の住宅の中には、エレベーター設置がなされておらず、実際に上層階の空き家が多くなっている住棟もあるというふうに承知してございます。

 こうした住宅について、高齢者の方から若者までが安心して暮らせるよう、今、エレベーターの設置による改善を進めているところでございまして、国からURに対して改修費用を補助して、支援しているところでございます。

 こうした改修を一層促進するため、今年度、令和元年度からは、一定の条件を満たすバリアフリー改修に対しての補助率を、これまで五分の一でございましたけれども、三分の一に引き上げて、国費の率を高めたということがございます。

 来年度、令和二年度の予算においても必要な予算を確保いたしまして、引き続き、UR賃貸住宅の居住者の方からの御要望を受けとめながら、居住者の方々が安心して住み続けられるようなエレベーターの設置について、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えてございます。

野田(佳)分科員 ありがとうございます。

 通告していなかったんですけれども、こういうやりとりをしているとだんだん思い浮かんでくるものでして、申しわけないんですけれども、これは大臣じゃなくて、やはり局長ですから、何でもとりあえず細かいことも答えてほしいと思うんです。

 エレベーター設置、これはどんどんやっていただきたいと思うんですけれども、去年、千葉県は大きな台風三連発で、本当に大きな被害が出たんです。その中で、思い出したんですけれども、船橋市内に芝山団地というところがあって、八階建ての団地でエレベーターがついているんですけれども、エレベーターピットか何かが冠水になっちゃって、それでエレベーターが動かなくなって物すごく困ったというお話を聞きました、ついこの間。思い出しちゃったんです、今、お話聞いていて。

 そうすると、タワーマンションでもありましたね、都内で同じようなことが。エレベーター設置はいいんだけれども、これから多分、台風による被害であるとか、あるいはこの間のような水害みたいなことが起こりやすいときですので、エレベーター設置はいいんだけれども、地下が冠水してエレベーターが動かなくなるとかということのないような工夫というか防御をお願いしたいと思いますが、いかがですか。答えの準備、ありますか。

眞鍋政府参考人 去年の台風の被害で水害に遭って、特に電気系統、電気設備が冠水することによって結果的にエレベーターが動かなくなったというような住棟が、マンションに限らず、少なからずあったことは承知してございます。

 そうした場合に、この電気系統、特に高圧の受電設備が地下に設けられている、低いところに設けられていることによって、そこに水が入って結果的に停電してしまうというような事例があり、これらについての対策をどうするのかと。

 これにつきましては、昨年の十一月から、電気事業法を所管しております経済産業省と私ども国土交通省の方で、共同でこの対策についてまとめる検討委員会を設置したところでございます。既に三回検討会を開いておりまして、水害に対する、水害に強い電気設備を、どうあるべきかというような今方策をまとめつつあるところでございます。

 その中には、電気設備を比較的高いところに設けるということもありますし、あるいは、電気設備に水が入らないような止水板ですとか、あるいは水密性の高い扉を設けるというような複数の方法が考えられますので、そうした方法をガイドラインとして取りまとめて、業界団体あるいは事業主体に周知していきたいというふうに考えてございます。

 今まさに検討のさなかにあるところでございます。

野田(佳)分科員 済みません、突然の質問だったんだけれども、詳細に御検討いただいているということで安心をさせていただきました。方針が決まりましたら、URにおけるエレベーター設置においても、その適用をぜひしっかりとお願いしたいというふうに思います。

 住宅局長、これで結構でございますので、何か御用があったら離れても結構でございます。

 次に、では港湾局長にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、船橋市においては、海老川水門ほか船橋地区の海岸保全施設というのは大体昭和四十年代につくられたもので、五十年経過して、かなり老朽化をしているんですね。一方で、先ほど申し上げたような風水害の問題もいろいろ心配でございますし、首都直下型地震がいつ起こるか、南海トラフ地震がいつ起こるかなどということも考えると、耐震化というのも、観点、大事なんですが、これは耐震化も進んでいないという状況です。

 老朽化が進み、耐震化も進んでいないという状況でございまして、そこで、海老川水門を含む船橋地区の海岸保全施設の国直轄事業による早期の整備というのは、これは船橋市から長年にわたり要望として出てきているというふうに思いますし、私も、かつて民主党という党に所属していたときに市から御要望をいただいて、それを国交省の方にお願いをしたこともございましたけれども、今、直轄の海岸保全施設整備事業というのが実施されつつあります。

 その中で、この長年にわたる船橋市からの要望が今どういう状況で検討されているのかどうか、全国的にもいろいろとそういう引き合いはあると思いますが、率直に言って優先順位はどれぐらいなのか、ぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 海老川水門を含む千葉港海岸船橋地区の海岸保全施設の整備につきましては、地元から国直轄事業での実施に係る要望があることは承知しております。

 当該地区においては、千葉県、船橋市を始め、商工会議所等の経済界、自治会、漁業協同組合等多くの関係者が存在するため、地元の合意形成を図ることが重要であると考えております。

 国土交通省においては、これまでも、海岸管理者である千葉県や地元の船橋市と現状や課題について意見交換を行うとともに、防護方針等の検討を進めてきたところであります。

 一方、全国的な優先順位の位置づけにつきましては、事業の必要性や緊急性、地元の合意形成の状況等を踏まえつつ、総合的に判断する必要があるものと考えております。

 引き続き、地元関係者と意見交換等を図りつつ、所要の検討を進めてまいります。

野田(佳)分科員 地元の合意形成という上では、市としてお願いをしているということは、基本的にはその合意があるという前提でやっていらっしゃると思いますし、自民党、公明党さん、与党の皆さんも熱心にやっていらっしゃいます。野党の私もその後押しをするということは、かなり合意があるということで御理解をいただければというふうに思いますし、改めて、老朽化、未耐震化ということの緊急性について、そこは基本的には御理解いただけているというふうに思ってよろしいですか。ほかと比べてというよりも、船橋のこの施設がかなり老朽化している、耐震化が進んでいないという、この現況はしっかりと理解されているということは、そこは確認してよろしいですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 千葉港海岸船橋地区におきましては、背後に市役所や小中学校等を含む中心市街地が広がり、ゼロメートル地帯も存在することから、御指摘のとおり、昭和四十年代に整備された海岸保全施設の老朽化対策や耐震化を推進することは喫緊の課題と認識をしております。

 地元では、自治会や商工会議所等から成る船橋地区海岸保全施設耐震化促進協議会が設立され、昨年六月及び本年二月には同協議会主催のシンポジウムが開催されたと聞いております。当該シンポジウムでは、多くの地元の方々が参加され、高潮や地震等に対する船橋地区の危険性や脆弱性への理解、さらには、海岸保全施設の老朽化対策や耐震化の必要性、緊急性に対する理解が深化しつつあると認識をしております。

 私どもといたしましては、地元の船橋市や千葉県も含む関係者の御意見をよく拝聴しながら、施設の老朽化対策や耐震化に係る検討を進めてまいりたいと考えております。

野田(佳)分科員 緊急性については御理解いただいているということはよくわかりました。より一層御支援のほどをお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、最後になりますけれども、これは鉄道局長、お待たせをいたしました。

 東葉高速鉄道の経営安定化についてのお尋ねでございますけれども、東葉高速鉄道というのは平成八年の四月に開業いたしまして、何だかんだ言いましたけれども、今、毎日の輸送人員が十五万人ぐらいに達しました。沿線の開発もかなり進んできた、船橋市においても、八千代市においても進んできたというふうに思うんですね。

 これは、これまた長年の地元からの要請ですが、よく比較されるのが、つくばエクスプレス。これと違って、東葉高速の場合はP線方式というやり方をとって、そして、建設に時間がかかったがゆえに有利子負債が相当なレベルに達してしまっていまして、ピーク時で三千億ぐらいあったと思いますね。今、二千六百億ぐらいまで下がってきたと思うし、ここ数年は利益も上げてきているんですね。でも、その間に、千葉県船橋市、八千代市、こういう沿線自治体の支援というのは相当にありました。これからもどれぐらい続けるのかというのが、やはり物すごい心配な事項ですし、今の、ある意味、普通の状態じゃない、どういう表現をしたらいいかわかりませんけれども、超低金利の時代だから利子がかさまないで済んでいるところも相当にあると思うんです。

 そんな中で、東葉高速の自立を支援するための対策を考える組織体、東葉高速自立支援委員会というのができています。これは国と県と市が参画をするという形なんですけれども、地元からの要請は、もっと国に積極的に参加をしてもらって、そして東葉高速への支援策を一緒に考えてほしいと。一緒に考えてほしいという要請なんです。これについて、どういう受けとめをされておられますか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 東葉高速鉄道につきましては、委員御指摘のとおり、平成八年に開業いたしまして、開業翌年の平成九年度から、国、地元自治体、鉄道・運輸機構及び東京メトロにより、追加出資や債務の償還期限の延長、国費による利子補給など、累次の支援を行ってきているところでございます。

 また、これも委員御指摘のとおり、沿線利用者の増加や会社による経営努力の結果、収支は平成二十二年度以降黒字基調となっておりまして、長期債務が毎年度減少する傾向が定着するなど、経営状況は良好に推移してきているところと承知をしております。

 さらに、支援を実施している関係者によりまして、平成十九年度から東葉高速自立支援委員会を毎年開催いたしまして、同社の経営状況及び関係者による支援の実施状況について定期的に検証などを行っているところでございますが、国の認識といたしましては、私どももこの会議のメンバーとして積極的に議論に参加をしてきたというふうに思っているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、この東葉高速自立支援委員会に参画をして、状況に応じた必要な措置について協議してまいりたいと考えておるところでございます。

野田(佳)分科員 これは、私、トラウマになっているんですが、財務大臣だったか総理大臣だったときに、たまたまそういう大きなお立場をいただいたんだから、これは借金をどんと返すような、例えば国交省の独法にお金がたまっているじゃないか、一兆円ぐらい、それを使ったらどうかと相当要請があったんですけれども、そのお金は基礎年金の財源にしたんですよ。ということがあって、だから、もうちょっと何とかこれをしなきゃいけないという使命感がありますので。

 そこで、やはり具体的な地元の要請というのは、利払い負担に対する補助あるいは長期債務の元利償還金の負担に対する抜本的な支援なんだというふうに思います。それについて何か御検討をいただいている部分があるならば、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 東葉高速鉄道の長期債務の元利償還金に対する支援についてでございますけれども、同社が鉄道・運輸機構に対して負っている建設に係る債務の元利償還につきましては、今まで二度にわたり大幅に償還期限を延長するとともに、国費による利子補給を今も実施しておりますなど、国等による累次の支援を行ってきているところでございます。

 また、開業翌年の平成九年度から続いている債務超過状態の解消が同社の財務上の最大の課題と認識しておりますが、これまで債務償還が着実に進んでまいりましたことから、平成十六年度において最大の五百二十四億円にまで達した債務超過額でございますけれども、平成三十年度末時点では八十九億円にまで縮小してきているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、国費による利子補給などにより経営改善に向けた支援を実施するとともに、今後とも同社の経営状況を注視いたしまして、東葉高速自立支援委員会の場において、状況に応じた必要な措置について協議してまいりたいと考えておるところでございます。

野田(佳)分科員 もうよく御承知だと思いますけれども、運賃はやはり全国で二番目に高いんですよね。一番目はたしか北総開発鉄道で、これも私の地元を一部かすっているんですけれども、東葉高速がやはり全国で二番目なんです。

 隣の駅に行くのに二百数十円とか、もう三百円近くかかったりするわけですね。せめてもう少し、通勤通学をしている人たちの定期代が多少安くなるようなことぐらいはぜひつなげていきたいというふうに思っていますので、引き続き真剣なる御検討をお願いいたしまして、持ち時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 大臣にはちょっと聞いていませんが、ぜひテークノートしておいてください。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて野田佳彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、松田功君。

松田分科員 お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの立憲民主、松田功でございます。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日、新たにクルーズ船に乗船されておられた方が新型コロナウイルスによりお亡くなりになられたということでございます。四人目となりました。これまでにお亡くなりになられました方を含め、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 政府の基本方針が本日午後発表されましたが、もう少し早目の指針を示すべきではなかったかと思います。まだまだ拡大していく勢いを見せておりますので、今後、社会現場での考え得ることを質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、新型コロナウイルスの病原体輸送について御質問をさせていただきたいと思います。

 現在、ぐあいの悪い方が病院へ行き、医師が新型コロナウイルスの検査が必要だと判断をし、厚労省の検査要件を満たしていた場合、検査をすることになると思いますが、そこで採取した検体はどのように検査機関まで運ばれているのでしょうか。

 病原体などについての分類についてもお聞かせをいただきたいと思います。

 大きく分ければ、第一種から第三種までと第四種の、二つのグループになるものと承知をいたしております。前者については、運搬の基準や公安委員会への届出など、厳格な運用がされているものと思います。後者、第四種については、感染法に基づく運搬の基準はあるものの、届出は不要となっており、ゆうパックなどの運搬も可能となっております。

 新型コロナウイルスは第何種に分類をされるのでしょうか。それとも感染法の非対象となるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスは、現時点では、感染症法上の特定病原体には規定をされておりません。

 今後、病原体の管理の必要性、国際的な動向、生物テロ等に用いられる危険度等を総合的に勘案し、感染症の専門家の意見も踏まえ、必要な対応について検討することとされております。

 また、なお、感染症法上の位置づけは指定感染症という形になっておりますが、病原体の取扱いにつきましては未定ということでございます。

松田分科員 時間もあれですので、引き続いてちょっと質問を進めさせていただきたいんですが。

 病原体の輸送を取り巻く環境が日々刻々と変わってきているということで、今も言った分類もまだ未定だということも含めて、今後いろいろな動きがあるというふうに思われます。その際において習得すべき知識、技術も多くなります。荷送人の側にとっては大きな負担となりますが、病原体輸送は、まずきちんとしたこん包をすることに始まって、引受側から信頼を得て初めて契約が成立するビジネスであるというふうに思います。

 この安定した輸送システムを構築するためには、国全体で病原体の輸送のあり方を見直し、十分な対策をとることが望まれます。運搬の実態についてどのように把握し、また安全監視を行っているか、お答えをいただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、病原体による感染症の発生予防及び感染症の蔓延防止のため、病原体の管理は適切に行われなければならないものと考えております。

 この点、第一種、第二種あるいは第三種病原体等を運搬する際には、事前に運搬ルート等を記載した運搬証明書を国家公安委員会に届け出、運搬証明書に記載された内容に従って運搬しなければならないということになっております。

 加えて、特定病原体等を運搬する際には、容器に封入すること、容器は容易かつ安全に取り扱え、内容物の遺漏のおそれがなく、十分な強度、耐水性があること、容器の車両等への荷づけは、運搬中の移動、転倒、転落等により安全性が損なわれないように行うこととしなければならないこととされております。

 また、病原体の輸送ではなくて検体の輸送の話で、御指摘ありました、過去に、ゆうパックで検体を搬送した際に破損事故を起こしてしまったということがございました。このような事故が今後起きないようにするため、地方衛生研究所や保健所等に対しまして、ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装に関する遵守事項の遵守、包装責任者の選定、教育訓練等の実施などの対策を求めたところであります。

 また、このようなことも踏まえ、毎年、地方衛生研究所や保健所等の検査検体を扱う関係機関に対しまして講習会を行うとともに、運営事業者を対象として、安全な運搬を確保するための講習会等を行っているところでございます。

 以上です。

松田分科員 今もお話も出ましたけれども、二〇一一年の十月十八日に、地方衛生研究所から国立感染研究所の方に同定を依頼した検体、患者由来検体が、運搬を行う郵政事業株式会社の保管倉庫内で容器が破裂、爆発して内容物が漏出したという事故がございました。

 そのために、輸送の際は、病原体や検体を強固な密閉容器に封入して、これを更に専用の病原体輸送容器にこん包して、三重包装した形で安全に運ぶということがこれは原則であります。

 事故においては、ドライアイスを二次容器の方に入れてしまって事故が起きてしまったということでありますから、要は、運ぶ人ではなくて荷物を出す側の人のヒューマンエラーの状態が起きてしまったということであります。

 今もお話をいただいておりますが、いろいろな形でヒューマンエラーを減らすということ、そういうことにお力をいただいていることと思いますが、その辺については、やはり厚労省、文科省、医師会、薬剤師会、臨床衛生検査技師会などと連携して、各それぞれが温度差のないように情報共有をしていく必要もあると思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、この取扱いについての周知、非常に大切なことだと思っております。関係機関に対してしっかり周知をしてまいりたいと思っております。

松田分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に、標準運賃についてお伺いをいたしたいと思います。

 ここで厚労省の方、お帰りいただいても大丈夫です。

伊藤主査 それでは、厚生労働省の方、離席いただいて結構です。

松田分科員 標準的な運賃告示制度は、おととし十二月成立の改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた施策でございまして、国土交通大臣が労働基準改善と健全な運営のできる運賃を示すものとされております。

 この標準運賃に関して、現在の進捗状況をお答えをいただきたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、トラック業界では、有効求人倍率が全産業の倍ということで、非常に厳しい、人手不足の状況でございます。賃金水準を確保して人手不足を何とかする、それから安全運送を確保するためにも、適正な運賃の収受は非常に重要なものでございます。

 この目安となります標準的な運賃の告示につきましては、委員御指摘のように、一昨年の議員立法によります貨物自動車運送事業法の改正により盛り込まれたものでございます。

 現在、標準的な運賃の告示に向けまして、事業者への調査結果などをもとにさまざまな計算を行っております。適正な原価の精査を行っておるところでございまして、可能な限り早く告示ができるように取り組んでいるところでございます。

松田分科員 ぜひ可能な限り早くやっていただければというふうに思っております。

 それでは、次に移らさせていただきたいと思います。

 次に、対象となるのはどのような運送契約の運賃かをお答えいただきたいと思います。

一見政府参考人 トラック運送業におきます運賃につきましては、事業者によってさまざまなものがございます。

 代表的なもので申し上げますと、現在、全日本トラック協会が調査をしております運賃体系の比率で申し上げますと、全体の約五割を占めておりますのが距離制の運賃でございます。また、一割を占めておりますのが時間制運賃でございます。

 また、車の大きさもさまざまでございまして、これを車格というふうにいいますが、大型車だとか中型車、小型車というものがございます。

 我々は、こうした実態を踏まえまして、代表的な車格、大型車、中型車、小型車ごとに距離制、時間制に係る運賃を定めることとしております。

松田分科員 それでは、例えば、特別の積み合わせ運送や、危険物、液体輸送、コンクリートミキサー車など、車両の特殊性や資格を要する運送について、それに関する運送についての料金の別途の必要性も言われているところでありますが、その辺につきまして、どのような状況であるか、お聞かせください。またあわせて、これのスケジュール感も少し、お答えできる範囲内でお答えいただければと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 スケジュールにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、なるべく早いタイミングで、先ほど申し上げました車格あるいは距離制、時間制の運賃をお示ししたいというふうに考えておるところでございます。

 委員御指摘の別建て運賃、平成二年の当時、平成二年までは認可制運賃でございまして、これに関しましては、例えば、特別積み合わせの運賃でございますとか、あるいは引っ越しの運賃でございますとか、海上コンテナ輸送についての運賃、さまざまな運賃が定められていたところでございます。

 私ども今回示させていただきます運賃につきましては、標準的な運賃、目安となるものということでございまして、余りたくさんのものを出してもというふうにも考えてございます。したがいまして、代表的な車格による運送を基準としまして、速やかに運賃を告示をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 ただ、あわせまして、基礎となる原価計算の考え方を示させていただきたいと思っておりまして、それを用いていただきまして、事業者の方々が個別の運送形態に応じて運賃を定めていただいて荷主と交渉していただくということを私どもは考えておるところでございます。

松田分科員 そうすると、見通しとしても、まだこれから研究していくような形だと思いますけれども。

 それでは、ちょっと時間もあれなので、次に行きたいと思います。

 告示後の標準運賃の実効性についてお聞かせいただきたいと思います。

 この標準運賃は、適正な原価に基づき適正な利益を確保できる水準が標準運賃として示されると思いますが、運賃は需要や荷主との力関係によって決まるため、有名無実化するのではないかという心配の声もございます。その実効性をどう担保されていくのでしょうか。例えば、誘導車が必要な条件を付される車両なども登録制度の対象となっていくのかどうかも含め、お答えをいただきたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 運賃につきましては、あくまでも目安でございます。ただ、今までは目安がなかったわけでございますので、これがあることによって、力関係が非常に荷主との関係では弱うございますけれども、トラック運送事業の方々が荷主と交渉をするよすがとなるものと考えております。

 やはり、法令を遵守して事業運営を行っていくためには、適正な運賃を収受していただく必要があります。そのための運賃でございますので、例えば、安全を無視するような、あるいは安全が確保できないような運賃についてそれを強いるような荷主がいるときには、私どもとしましては、今回、一昨年、議員立法でつくっていただきました貨物自動車運送事業法、この中には、標準運賃だけではなくて、荷主対策の深度化というのも盛り込んでございまして、例えば荷主への勧告制度、あるいは不適切な荷主に対しての公表制度、こうしたものも盛り込まれているところでございます。したがいまして、こういった措置も使いながら、運賃についてもしっかりと見ていきたいというふうに思っております。これは、例えば、過積載を行ったり、あるいは過労運転を強要するような荷主についても同じでございますので、しっかりと対応していきたいと思います。

 どういうような車格でというのは、車両についてというのは先ほど申し上げましたとおりでございまして、私どもは、一定のものを示させていただきまして、事業者の皆様でどういったものがいいのかということを考えていただき、荷主と交渉していただく、かように考えております。

松田分科員 ありがとうございます。

 それでは、この状況を踏まえた中で、社会への広告、認知の必要性が多分に必要であると思いますが、その辺についての方策をお聞かせいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 そもそも、トラック運送業の運賃というのは、私も初当選してからこの業界とずっとつき合っておりますが、二十年以上にわたって、極めて不正常というか、トラック事業者側からは運賃をなかなか言い出せない、運賃を言った瞬間に別の事業者にかえられるというようなことがあり、そして、適正な運賃が確保されないことによって、青年というか若い人たちがこの業界に入ってこれなくなるということで、何とかしなければいけないということで、今し方、一見局長からありましたが、平成二十九年に、標準貨物自動車運送の約款の改正を行いました。これは、運賃と料金をしっかり分ける。運賃という名のもとで、荷おろし作業とか全て含まれるとか待ち時間なんかも全部ひっくるめられる、極めて不合理であったのを、しっかりと明記する。こうしたことをやって、私も画期的だなと思いながらも、これはしかし大前提として荷主の理解がなければなかなか改善できないということがあって、ここを少ししっかりとしたいということで、一昨年の貨物自動車運送事業法の法改正につながったと私は思っております。

 この法改正については、質問とちょっとずれるかもしれませんが、こういったことというのは、国土交通省がこれまでどちらかというと一人で旗を振っていたところが、この法律の中には、荷主である経済産業省、農林水産省また厚生労働省なんかも、しっかりとこの法の中で位置づけられて、より政府として責任を持ってバックアップしていこうということで、こうしたことが、しっかりと告知をしていかなければいけないということで、さまざまなリーフレットをつくって荷主関係団体への周知をお願いするですとか、ホームページ上での情報発信をするですとか、先生の御質問にもありますように、荷主だけではなく国民も巻き込んでの運動ということで、平成三十一年からホワイト物流推進運動というものを実施しておりまして、この運動に賛同していただける個別企業八百三十三社に対しても協力要請を行うなど、あらゆる機会を捉えて周知、浸透を図ってまいりたい、こう思っております。

 最近は宅配なんかで、以前は運賃無料というのが当たり前だったと思いますが、それが最近は相当是正がされてきた。業界のやむを得ない事情が背景にあると思いますが、やはり運ぶものについてはコストがかかるということで、そうしたことを国民の多くの皆さんに御理解をいただきながら、適正な運賃が支払われるような、そんな状況にしっかりとしていきたい、こう考えております。

松田分科員 ぜひ大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 今回、生産性向上のため、特殊車両の新たな通行制度を盛り込んだ道路法等の一部を改正する法律案が、二月四日に閣議決定後、衆議院の方で法案受理をされました。

 今回の特殊車両の登録制度がスタートするまでのスケジュール感を御確認させていただきたいと思います。

池田政府参考人 今回の新制度は、デジタル技術を活用して、事前登録した特殊車両について、パソコンで通行可能ルートが照会できて、そのルートの走行であれば即時に通行できる制度でございます。

 このような制度でございますので、システムの整備などにある程度の期間を要することから、今回の制度は、法律が成立しましたら、公布から二年以内で政令で定める日より施行することとしております。

松田分科員 また、この制度はどのような特殊車両が対象となるのでしょうか。

池田政府参考人 今回の新制度は、基本的に全ての車両、構造の特殊車両を対象にする方向で検討をしております。詳細につきましては省令で定める予定としております。

 また、新制度は、通行経路を通信技術で自動記録して、道路管理者がその記録を事後に確認することで違反通行の抑止を図ることを考えております。このため、新制度はETC二・〇車載器の装着された車両であることが必要となります。

松田分科員 非常にこれは全国的に進めていくといいことであると思うので、全国各地へ展開するための方法論、また予算措置などについてお聞かせをいただきたいと思います。

池田政府参考人 新たな制度では、道路の幅員などの道路構造の情報が電子データ化される必要がございまして、地方公共団体が管理する道路を含め全ての道路が対象となるためには、そういう電子データ化の必要性がございます。

 この電子データ化でございますけれども、高速道路、一般国道では既に全て完了しております。都道府県道や市町村道では、今年度中に過去の申請があった道路については約八割が完了する予定であります。

 国土交通省では、この都道府県道、市町村道の電子データ化につきまして、二〇一七年度から、地方公共団体に代行して国の方で電子データ化を進めるための予算措置を講じております。

 引き続き、こういった予算措置も行いまして、電子データ化を完了するように努めてまいりたいと考えております。

松田分科員 ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、高速道路の一時退出について質問をさせていただきたいと思います。

 交通の円滑化に向けて、高速道路の利便性を向上させる意味では、料金施策は大変重要なものであると思っております。それについて、今、ETC二・〇の搭載車を対象として、インターチェンジの最寄りの道の駅を利用した場合、一時間以内に再び高速道路に戻れば途中下車を認めるという実証実験が行われております。全国で、今、インターチェンジ二十三カ所でというふうに伺っております。

 このETC二・〇を対象とした、路外施設を利用するための一時退出の料金通算制度の拡充について、検討されている内容についてお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 ただいま委員から御指摘ありましたように、高速道路からの一時退出を可能にする制度、平成二十九年度からスタートしまして、三インターでスタートしましたけれども、現在、御指摘ありましたように二十三インターまで拡大して実施をしております。

 この制度においては、ドライバーの休憩機会をサービスエリア、パーキングエリアがなくても提供できるということで、非常に効果を発揮していると認識しておりますので、今後、対象箇所の拡大について検討してまいりたいと考えております。

松田分科員 いい制度でありますので、ぜひ拡大をしていっていただきたいと思います。

 また、さらなる利便性を考えるに当たり、例えば、Aインターチェンジから出て、また一時間になったらAインターチェンジへ戻るということでありますが、これを、例えばAインターチェンジで出て一時間以内にまた次の、先のBインターチェンジから乗るということもぜひ検討をいただければというふうに思っております。

 これについてお答えをいただきたいことと、もう一つ、一時退出から再流入までの時間なんですが、現在、一時間から三時間にあけることを検討されているという新聞記事を見ました。

 目的外使用というものは、これは時間でははかれない部分もあり、例えば長距離トラックなど、目的地まで何回か休憩をとることになります、その際に、一時退出を行ってホテルなどで仮眠などがとれて、また高速道路に戻るということは、これは目的外使用とは言えないというふうに思います。そういった形であれば、三時間よりも長い、八時間としてもいいのではないかというふうに思いますが、それについてあわせて御見解をいただきたいと思います。

池田政府参考人 まず、隣のインターチェンジの利用でもこの制度の対象にならないかという点でございますけれども、現在の制度は、サービスエリア、パーキングエリアがない区間でドライバーの休憩機会の提供という目的で行っておりますので、この制度の趣旨からすると同インターの利用になるのではないかと考えております。

 一方で、今御指摘ありましたように、隣接インターからの再流入も含めてさまざまな要望がこの実験の中で出てきておりますので、しっかり受けとめて、今後の拡大の中で考えていきたいと思っております。

 それから、もう一つの、退出する時間のことでございまして、現在の実験では一時間ということになっておりますけれども、休憩における食事などの時間を考えると短いということで、今御紹介いただきましたように、今後、三時間の拡充をできるだけ早い時期に実現できるように今準備をしております。

 さらなる時間の延長のお話もございました。先ほどの隣接インターと同様、多様な要望が今寄せられておりますので、しっかり受けとめて、利用しやすい制度に今後考えていきたいと思います。

松田分科員 トラックの運転手さんとか、安全運転のため体を休めることが非常に重要だということはもうおわかりかと思います。そういったことも含めた中、利便性が高まるように、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思っております。

 次に、高速道路のインターチェンジが間隔が長いということで、高速道路へのアクセスする場所が限定をされております。周辺道路は渋滞などが発生し、移動に苦慮するケースが多くなっております。また、事故による通行どめや渋滞時に回避するための出口もなく、移動時間のロスが起きています。

 私の地元である愛知県の小牧インターの周辺などの出口は、国道、県道、バイパスの、また都市高速の出口が重なって渋滞が起き、高速道路を使う利便性が低下をいたしております。

 ついては、各地の高速道路のインターチェンジの設置間隔を見直して、各地へのアクセスの時間の短縮や渋滞の回避についての対策をぜひ講じていただければというふうに思いますが、現在の高速道路やインターチェンジ周辺の渋滞対策、また今後の対策について、お答えをいただきたいと思います。

池田政府参考人 インターチェンジ周辺の渋滞対策につきましては、インターチェンジを追加することで出口を分散することは有効であると考えております。

 我が国の高速道路のインターチェンジの間隔は平均で十キロでありまして、欧米の平地部の間隔が約五キロであるのに対して、倍程度ということでございます。

 このことから、現在、スマートインターチェンジという追加のインターチェンジの制度を百三十二カ所既に開通して、五十一カ所が事業中でございます。

 このようなスマートインターチェンジの整備も進めて、高速道路の出口渋滞の解消につなげていきたいと考えております。

松田分科員 ぜひ、出口渋滞を始めとして、また運転手の皆さんが安全に運行できるような、よりいい、利便性の高いものになるように御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて松田功君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、長い分科会、皆様お疲れさまでございます。

 国土交通大臣始め政務の皆様方は、新コロナウイルスの対応もございますので、私の質問は門政務官に対する一問しかございません。大臣また副大臣、退室をされて結構でございます。

 大臣、一言だけ、奄美の質問をこれから私しておきますので、ぜひ、要望としては、奄美群島に一度お時間があるときに来ていただきたい。

 いいですか、御答弁。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。

赤羽国務大臣 実は、私が住んでいる神戸、阪神間は奄美出身の方がたくさんいらっしゃって、うちの地元の政策秘書さんも、御両親が徳之島でございます。ですから、すごく御縁も深くて、これから観光政策一つを考えても、奄美、沖縄はこれから相当可能性があるし、そこはしっかりと広げていかなければいけないというふうに思っておりますので、今は災害とかコロナウイルス対策でちょっと忙しくしておりますが、少し落ちついたらぜひ奄美にも訪問したいと思いますので、その節はよろしくお願いします。

浜地分科員 御要望だけと思いましたが、御答弁いただきましてありがとうございます。奄美ティダ委員長を党内でやっておりますので、地元の皆さんは喜ばれると思います。ぜひお待ちしておりますので、喜んで御退室いただいて結構でございます。

 ありがとうございました。

伊藤主査 それでは、赤羽大臣、御法川副大臣におかれましては、離席していただいて結構でございます。

浜地分科員 では、奄美振興について改めて御質問をしたいと思っております。

 御案内のとおり、奄美群島は五つの島で成り立っておりまして、一番大きいのが奄美大島、続いて徳之島がございます。また、喜界島、沖永良部島、与論島という五つの島から成っておりまして、十二のここには市町村があるわけでございます。昭和二十八年に本土復帰をいたしました。

 特徴としましては、出生率が、全国平均一・四三でございますが、奄美大島は二・八を超えております。三人兄弟、四人兄弟、五人兄弟ぐらいが当たり前の地域でございまして、非常にこれは人口減少という点でも、子宝の島として非常に重要な島であるというふうに我々は思っておるところでございます。

 また、奄美市と奄美大島の中の瀬戸内町というところには、陸上自衛隊が、駐屯地が配備をされました。地元の深い理解のもと設置をされ、国防上も大変重要なところでございます。

 国交省におかれましては、奄振法を使いまして、この交付金をしっかり活用いただいております。特に、空路、航路のこの運賃補助、また、地元特産品の運搬費用の補助を行っていただきまして、入り込み客数は今八十八万五千人まで来ておりまして、百万人は目の前というところでございます。

 昨年もこの奄振法を改正をしていただきまして、今年度の交付金は二十四億円、令和元年度の補正予算六億円と合わせますと、昨年度を上回る三十億円の予算をつけていただいております。

 公明党でも、先ほど私少しお話をしましたが、奄美ティダ委員会という組織がございます。このティダというのは太陽という意味でございまして、奄美は、ティダネシアといって太陽の島という意味がございまして、そこからティダ委員会という組織をいたしまして、定期的に、十二あります市町村の首長さんと意見交換をして奄美の現状を国政に伝える役目をしているところでございます。

 これまでは今財務副大臣を務めております遠山清彦さんという衆議院議員がティダ委員長でございましたが、私、九州選出でございますので私が昨年ティダ委員長に就任をさせていただいたというところで、気合いを入れて今質問をしているというところでございます。

 一月五日にもこの奄美ティダ委員会を開催をしまして、各首長また議会の代表者の皆様方に集まっていただきましてその陳情をお聞きしておりますので、それに沿って質問をしたいと思っております。

 きょうは環境省の皆様方にも来ていただいておりますが、まず、この奄美群島にとって一番の関心事は、沖縄とともに、ことし、奄美大島、徳之島がユネスコの世界自然遺産に登録されるか否かでございます。

 実は二年前も登録を目指しましたが、残念ながら、ユネスコの諮問機関からさまざまな指摘を受けまして取下げをしたところでございまして、地元では大変大きな落胆があったわけでございます。

 満を持して今回は、この諮問機関からのさまざまな指摘を解消する形で再申請をしておるところでございますが、ことしの七月こそはこのユネスコ世界自然遺産、登録をさせなければならないと私自身思っておりますが、環境省、現在の取組状況について御答弁をいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の奄美、沖縄の世界自然遺産登録に関しましては、一昨年の、世界遺産委員会の諮問機関でございますIUCNからの延期勧告を受けまして推薦内容を見直しまして、昨年二月に日本政府として推薦書を再提出してございます。

 環境省といたしましては、その後昨年十月に行われましたIUCNによる現地調査に丁寧に対応したところでございまして、ことし夏の世界遺産の登録実現に向けて、引き続き、関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

浜地分科員 全力で取り組むという、確かにユネスコが決めることですから、登録させますとは言えないと思うんですが、生態系の問題とか、沖縄の北部の訓練場、これを地域に取り入れる、また、特に奄美でありますと、集落が点々としているところを点でつなげるというさまざまな指摘についてはクリアをされておりますので、私は登録間違いなしだというふうに確信をしておりますので、ぜひ環境省の皆さんもそのつもりで取り組んでいただければというふうに思っています。

 そこで門政務官にお聞きをしたいんですが、沖縄と奄美のユネスコの自然遺産登録、恐らく七月に登録されるというふうに私確信をしております。現在もこの奄振の交付金を使ってユネスコの登録に向けた観光キャンペーン等を国交省の皆様方のお力でしていただいておりますが、登録されてからまた一から考え直すのでは、なかなかこれはスタートがおくれるところであります。

 沖縄が非常に今観光地がふえているわけでございますが、奄美は沖縄と違って、大きな島があって高い島がありまして、山深いと言ったらちょっと比喩的になるんですけれども、沖縄はどっちかというと平べったい地形をしておりますが、非常に山深いところで、クロウサギも含めて、非常にまた沖縄とは違った自然環境があるわけでございます。

 ぜひ国交省としても、ユネスコに登録されたらではなくて、もう登録されるという前提でもってぜひユネスコ世界遺産登録後の観光振興を頑張っていただきたい、そのように思いますが、門政務官の御見解をお聞きしたいと思います。

門大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、この地域の振興に対して御党が熱心にお取組いただいていることに、心から敬意を表させていただきたいと思います。

 今お話がございましたように、奄美、沖縄は、世界自然遺産登録がこの夏に期待されているところでございます。

 国土交通省といたしましても、地元の自治体の皆さん方と連携をさせていただいた上で、奄美群島全体としての受入れ環境整備と奄美ブランドの戦略的な情報発信を推進するため、成長戦略プロジェクト推進会議を設置をさせていただいております。

 同会議におきましては、具体的に主に次の三点、宿泊施設、二次交通の整備等受入れ体制の構築、それから、エコツーリズムの推進という観点で自然保護と観光の両立、三点目は、効果的な誘客プロモーションなど戦略的な情報発信、主にこの点について有識者の皆さんから意見を聞きながら、現在、具体的な方策を検討させていただいているところであります。

 この登録を契機とした奄美群島の観光振興が着実に図られますよう、今委員から御指摘いただきましたように、国土交通省といたしましても、これらの検討を踏まえて、持続的な地域づくりの取組を、奄美群島振興交付金によってしっかりと予算として支援をしてまいりたいというふうに思っております。

 私も観光の仕事を長いことやっておりまして、観光は地域の活性化をするのに非常に役に立つ分野だというふうに思っています。ただやはり、世界自然遺産というのは、守るべき自然というのもあるということで、幾らでも人に来てもらったらいいということでもないと思いますので、節度を持ってこの地域が望まれる観光振興をどういう形でするか、地元の方々とよく意見を整えてまいりたいと思います。

 以上です。

浜地分科員 さまざま宿泊の問題とかエコツーリズム、細かな点まで、政務官、お答えいただきましてありがとうございます。

 確かに宿泊施設が余りないんですよね。これは地元も頑張ろうとしております。特に、観光バス等もございませんので、また、さまざまなこの交付金の使い方について御要望すると思いますので、ぜひまた門政務官にも御理解をいただきたいというふうに思っております。

 では門政務官、退室されて結構でございます。

伊藤主査 それでは門政務官、離席いただいて結構でございます。

浜地分科員 続きまして、きょうは経産省の皆様方にも来ていただきました。大島つむぎの振興についてでございます。

 今私がつけておりますネクタイは大島つむぎのネクタイでございます。主査はファッションに詳しいですからわかると思いますが。かなりこれは時間と労力がかかります。私も実際にこの作業現場を見たことがありますが、一本一本のこの柄を行うのに一つ一つ泥で染めてやるという工芸品でございまして、値段もそこそこ張りますけれども、非常に、奄美にとっては魂のような特産品でございます。

 これが一時、昭和五十年代にはピークは生産額が五百億円を超えていたということであったわけですが、この一月五日の奄美ティダ委員会におきましても、奄美の市長から、現在、生産額は約九億円まで落ち込んでしまっていて、この技術の伝承が非常に問題になっているということでございます。

 何とかこの奄美の大島つむぎの振興、経産省にも、きょうは国交所轄の分科会でございますが、ぜひ訴えたく、きょうは来ていただきました。大島つむぎの振興について御答弁をいただければと思います。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の本場大島つむぎの生産額、今おっしゃられたとおり、五十年代ピーク時の約五百九億円から、令和元年は約九億円まで減少するという状況でございまして、後継者不足などの課題もございまして、産地は大変厳しい状況だというふうに承知をしてございます。

 経済産業省では、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づきまして本場大島つむぎを伝統的工芸品に指定をいたしまして、産地組合が実施いたします展示会開催などの需要開拓事業や、若手従事者の育成を目的としました後継者育成事業を支援させていただいているところでございます。

 今後も、こうした産地の取組をしっかりと後押しをさせていただきまして、伝統的工芸品産業の振興を通じまして地域経済の発展、振興に貢献してまいりたいというふうに考えております。

浜地分科員 ぜひ、力強い御支援をお願いしたいと思っております。

 この大島つむぎの生地は、ヨーロッパ等に持っていくと非常に高価な生地として認められているということでございます。ある特定のブランドのジャケットを見ると、非常に高価なんですけれども、素材を比べると、大島つむぎの方がやはり時間も手間もかかっているということでございますので、海外に対する発信も含めてぜひ考えていただきたいと思いますし、それはもう当然我々議員としても頑張っていかなければならないと思いますので、また御相談をさせていただきますので、ぜひ力強い御支援をいただければというふうに思っております。

 続きまして、奄美大島を中心にしました離島留学の取組について、ここは国交省にお聞きをしたいと思っています。

 奄美大島の中に瀬戸内町という町がございます。先ほど申し上げましたとおり、ここには自衛隊の駐屯地も入っておるところでございまして、昔は、瀬戸内町の島が向こう側にあるわけでございますが、そこに軍艦が隠れたりして、軍事的な非常な要衝でもあったわけでございます。

 ここに古仁屋という地域があって、古仁屋高校という寮がございます。ここを、いわゆるふるさと留学または離島留学の取組として、島外から生徒をたくさん受け入れるようにいたしました。入学者が非常にふえたそうでございます。現在は、男子寮のみを改修をして、八名の新しく島外からの男子の離島留学の方が来られたわけでございますが、女子については下宿をしているということでございます。ですので、何とかこの女子寮を新築をしたいというような要望がございました。

 そこで、現在、鹿児島県と協議中で、奄美の奄美群島成長戦略推進事業として取り組めないかどうかというふうに計画中だということでございます。これは、先ほど御紹介しました瀬戸内町だけの取組ではなくて、ほかの市町村でも、この奄美について離島留学を進めてまいりたいという要望が強く上がりました。

 やはり、島内での学校がなくなってしまうと生徒が少なくなって、島外に地元の高校生が進学せざるを得ない。そうなると、一度出るとなかなか若者は戻ってまいりません。人口減少にもつながるわけでございまして、奄美を始め離島にとっては、地域の活性化のためにこの離島留学というものは大変重要な取組であると私自身思っております。

 今後の奄美群島を含めた離島留学の支援について国交省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

坂根政府参考人 今、委員から、奄美群島を始めとする離島への留学についてお話がございました。

 離島留学については、全国各地で広がっております。そういった認識のもと、奄美群島においても、平成二十九年度から、奄美群島振興交付金を活用して、奄美らしい離島留学推進事業を実施しているところでございます。この事業におきましては、本土等の児童生徒が奄美群島の小中学校や高等学校に留学して、奄美らしい体験をするためのさまざまな支援を行っているところでございます。

 例えば、里親が児童生徒を受け入れる際に必要となる費用や、受入れ団体等が実施する体験活動に係る費用への支援、さらには、受入れ住宅や寄宿舎の台所、浴室等への改修など、受入れ環境の整備に要する費用の支援といったものでございます。

 離島留学は、奄美群島と本土等の交流人口の拡大に寄与する重要な取組と認識をしているところでございまして、国土交通省といたしましても、引き続き、交付金による支援に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 これは本当に重要な取組でございますので、引き続き、力強い後押しをお願いしたいというふうに思っております。

 ちょっと一問飛ばさせていただきます。無電柱化のお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 御案内のとおり、奄美群島は大変台風が多いところでございまして、九年前、私、この世界に入る、候補者になる前の一年前でございましたけれども、大きな被害が奄美群島を襲いました。

 そこで、この電柱の無電柱化については強い要望があるわけでございます。現在、全国的に、この無電柱化の推進ということで無電柱化推進計画としての予算と、あとは、重要インフラ緊急点検としての予算を今国交省は使っていらっしゃいます。

 特にこの重要インフラ緊急点検事業においては、主に市街地等を対象に点検をされているというふうに地元の奄美の首長さんからは御指摘があるわけでございますが、これが令和二年度で終わってしまうわけでございます。

 令和三年度以降も、この市街地だけでなく、できれば、こういった台風被害の多い奄美のような地域については、特別な配慮として広域に無電柱化を支援していくべきと私は考えますけれども、国土交通省の御見解をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 無電柱化は、緊急輸送道路の確保など、道路の防災性の向上の観点から重要な施策と考えております。

 特に、今委員の御紹介ありましたように、奄美群島など島嶼部においては、これまでの台風による電柱倒壊が島民の方々の生活や産業に大きな影響を与えているということで、大きなこれは課題であるというふうに認識をしております。

 今お話しいただきましたように、現在、無電柱化推進計画と防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に基づきまして、令和二年度までに二千四百キロの無電柱化に着手をすることとしております。

 奄美群島におきましては、和泊町、与論町において、市街地、市街地外にかかわらず、この中で四カ所の無電柱化を実施する計画になっております。

 国交省としては、自治体の実施する無電柱化につきまして、市街地に限らず、防災上必要な無電柱化について、財政的支援や技術的助言を行ってまいりたいと考えております。

浜地分科員 ぜひこの無電柱化も、防災の観点からもよろしくお願いしたいと思っています。

 以上でこの奄美群島に関する質問を終わりたいと思いますけれども、国交省の御担当の皆様方には、今後も奄美振興について特段の配慮をぜひしていただくようお願いしまして、このテーマは終わらせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、自動車整備についてのお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 私、党内では福岡県の本部の代表者をさせていただいておりますが、公明党の福岡県本部としても、自動車整備業界の皆様方からさまざまな御要望をお受けしているところでございます。

 これも、重ねてになりますが、現在、財務副大臣の遠山清彦衆議員中心に勉強会も開催をしております。御本人は今政府側ですから質問ができません。ぜひ県代表の私にということで、さまざまな御要望をいただきました。

 私も、今後も自動車整備業界のことをしっかりと積極的にかかわる、そういう決意のもとにきょうは御質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、定期点検、整備の促進についてであります。

 もう御案内のとおり、平成七年までは点検を行っていない車両につきましては車検を受けることができなかったわけでございますが、平成八年にいわゆる前検査後整備が容認をされました。事前に車検が通ればその後に整備をしてもいいということでございますが、これは、ユーザーが自動車の維持管理については自分で責任を持って当たるべしというのが趣旨だっただろうというふうに思っております。

 しかし、現在は、電子制御装置の普及でありますとか、今後もAI技術の導入がどんどん進んでまいるわけでございまして、果たしてユーザー任せにしていてよいのか。これは、自動車の運行の安全性にかかわることであります。ですので、業界からは、前検査後整備はぜひ見直してほしい、そういう強い声も上がっております。

 現在、国交省の皆様方もこの点検整備の促進については努力をされていることは私も承知をしておりますけれども、例えば自家用の乗用車につきましては、平成二十二年、四三%の点検整備率でしたが、平成二十八年のデータは六〇%まで上がってきたが、まだ六〇でございます。また、自家用の乗り合いの車、例えばマイクロバス等については今四七%の点検整備率でございまして、事業用の車両に比べるとまだまだ低い状況でございます。

 これを大きく上げていかないと、先ほど言いました、果たして前検査後整備は正しかったのか、そういう議論にまで発展をせざるを得ない状況だと思っております。

 これからの点検整備の促進について力強い施策を国交省には打っていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

一見政府参考人 お答えを申し上げます。

 自動車の安全性の確保のためには、委員御指摘のように、点検整備を通じました保守管理が何よりも重要でございます。

 そのためには、やはり定期点検整備をやっていただく必要があるのでございますが、事業用自動車は九割を超える定期点検整備の率でございますが、自家用車は、委員御指摘いただいたように、まだ全体で六割でございます。これをやはり進めていく必要があろうと思っております。

 具体的には、国土交通省におきまして、関係業界とともに強化月間を定めております。これは毎年の九月でございますが、それ以外にも、地域ごとに別に一月、月間を定めまして、ポスターやチラシ、あるいはSNSなどを利用しました広報啓発活動を進めておるところでございます。

 さらに、ことしの四月からは、検査を終了しますと、検査標章というもの、前面ガラスにステッカーを張りますが、あの裏面に、点検整備が未実施のものにつきましては、前検査の車両でございますが、「法定点検未実施」というふうに記載をすることにしております。

 日本人は非常に真面目な民族でございますので、したがいまして、それを見れば、やはりきちんと検査をしなきゃいけないというふうになろうと思っておりますが、引き続き、点検整備の実施率の向上にあらゆる手だてを使って取り組んでまいりたいと思います。

浜地分科員 そうですね。これまでの取組、車検証にさまざまな記載をするとかもやっていただいておりますし、今度は四月から、自動車に張る検査標章への「法定点検未実施」というものを張っていただくようになったわけでございます。

 これがあると、例えば、車検代行業者等は実際は整備をしていないのに、整備をしたようなそういったことも横行しているわけでございまして、ユーザーの方々が本当にこれが整備されたかどうかわかってくるわけでございますので、この取組をしっかりとやっていただきたいというふうに思っておりますし、重ねて申し上げますが、業界の中では前検査はもうやめるべしというぐらいの声もございますので、この点検率がしっかり上がっていかないとまたそういった声が大きくなりますので、そこは指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、今度、これまで分解整備といった業者の皆様方のカテゴリーがありましたが、御案内のとおり、これに電子制御装置の整備事業の認定基準が加わるわけでございます。これを二つあわせて特定整備ということになるわけでございます。

 この分解作業だけでも特定整備と言うことはできるんですが、ただ、実際には、車の高度化によって、電子制御装置の整備ができないと、なかなかユーザーの皆様方には、需要に応えることはできない。

 しかし、零細中小企業が多い中で、特にこの認証工場については、果たしてこの電子制御装置、しっかりと人や整備や作業所が整備できるのかどうかという声が上がっているところでございます。

 そこで、電子制御装置整備事業者の認証を受けるに当たって、従業員にどういった教育をすべきか、また、設備は何が必要か、また、作業所については、例えば他の業者の皆様方との共有というものも認められるのか。その基準について御答弁をいただきたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 電子制御装置整備でございますけれども、これは新たな整備になりますので、事業者の方々に過度の負担を強いてはいけないというふうに思っています。他方、現在の自動車に関しましては電子制御装置が多数取り入れられております、使われておりますので、これをきちんとやはり整備をしていただくということが必要だろうと思っております。

 したがいまして、必要な知識と技能を有する自動車整備士によりまして、また、必要な作業場、これを基準として定めておりまして、それによって整備を行っていただくということを考えております。

 その自動車整備士でございますけれども、先ほど申し上げました過度な基準にならないようにということでございまして、既存の認証工場に配置をされている二級自動車整備士に対して、国が行う講習を受けていただいて、しっかり勉強していただくことが前提でございますが、それであれば基準を満たすというふうに取扱いをすることとしておりますし、また、新たに義務を課します作業場につきましては、既存の認証工場に課せられている点検整備作業場と兼用を可能にもしております。また、委員御質問いただきました他の事業場との共同使用につきましても、これは運用の世界になりますが、認めてまいりたい。

 いずれにしましても、柔軟な運用をしながら、ただし、安全はしっかりと見ていきたいと思っております。

浜地分科員 そろそろ時間ですので、最後の質問にしたいというふうに思っております。

 今、電子制御装置整備事業のお話をさせていただきましたけれども、これは、一つは点検整備の話であるわけでございまして、車検ですね、検査となるとこれがどうなるかというと、現在の車両には車載式故障診断装置、OBDという装置が搭載をされておりまして、これを、車検のときには法定スキャンツールを車とつなげば、例えば、電子的にどこがふぐあいかを探知できるという取組が始まるというふうに聞いております。

 これは未認証工場には渡さないとも聞いておりますけれども、ただ、ここの法定スキャンツールで見れるのは、保安基準、いわゆる車検の条件を満たしているかどうかの基準だけでありまして、いわゆるこれは検査の世界でございます。

 いわゆる全体の点検をするためには、やはり、車からとる電子の情報というものをしっかりとこれは把握をしなきゃいけないわけでございまして、そのためには、やはり人も教育をしなければいけない、また、先ほどおっしゃっていただいたスキャンのツールの方も整備しなきゃいけない、また、作業所も整備をしなきゃいけないわけでございまして、やはり、これは中小零細企業にとってはかなりの負担なわけでございます。

 そこで、こういったOBDの法定スキャンツールを通じて車検を行えるような、せっかくそういったものを導入したわけでございますから、皆様方にとっては何らかの形でメリットがある、もう平たく言えば、未認証工場と認証工場とでは差別化ができるようなそういった取組が私は必要だと思いますが、そういったところの何かアイデアがございましたら、御答弁いただきたいと思います。

一見政府参考人 認証工場には、委員御指摘のいわゆる法定スキャンツール、これは、故障を記録をいたします車載式の故障診断装置でございますが、この読み取りの装置のことを法定スキャンツールとこう言いますが、認証工場で使えるようにしたい、こう思っております。

 制度自体は二〇二四年に検査が開始されるわけでございますが、あらかじめこれを読み取りますと、保安基準に不適合となっているような故障コードの有無が認証工場ではわかるように、メリットを付与したいというふうに思っています。

 さらには、いわゆる車検場でございますが、認証工場において事前に故障コードが記録されていないということがネット経由でわかるようにしたいというふうに思っておりますが、事前に故障コードが記録されていないということでございますと、車検場で検査をする必要もないということで、その部分の省力化もできます。

 いずれにしましても、さまざまなメリットを考えさせていただいて、このOBD検査、法定スキャンツールが使えるように、また、認証工場がメリットが享受できるように考えてまいります。

浜地分科員 時間になりましたので終わらせていただきますが、そういったこれから電子制御の整備が始まりますので、現場の不安を解消するようにぜひ役所としても頑張っていただきたい、そのように思います。

 以上であります。ありがとうございます。

伊藤主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原分科員 きょうは、予算委員会の分科会、国土交通に関して御質問をさせていただきます。

 私が住んでおります東京都の品川、大田区の上空を、この間、試験飛行で、実機訓練といいますか、実機飛行が行われました。多くの住民の方々は、想像よりも強い衝撃を覚えたというのが率直なところであります。

 その上で、この羽田空港新飛行ルートに関して御質問をしたいと思います。

 実機試験、実機飛行確認における騒音データに関してでありますが、離発着の双方について、大型飛行機に関してですが、当初から政府が示してきた測定地点の騒音想定値の最大値を上回ったもので、大型機ですね、その差が最大のもの、二番目に大きかったものはどの地点のデータか、その差をデシベル換算で教えていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの説明会等では、各地区での音の聞こえ方の御参考になるように最大騒音レベルをお示ししてまいりました。この最大騒音レベルは、標準的な数値をお示ししておりますけれども、運航条件でありますとか、また気象条件によって上下にばらつきが生じるものである点は御説明をさせていただいておりました。

 その前提を御理解いただいた上で、今お尋ねがありました、騒音実測値が最大騒音レベルの標準値を大きく上回った騒音測定局を申し上げます。

 まず、離陸機の方でございますけれども、三デシベル上回った地点が三カ所ございました。江東区の東京都交通局大島総合庁舎、大田区立羽田小学校、川崎市の国立医薬品食品衛生研究所でありました。

 それから、着陸機の方でございますけれども、九デシベル上回った地点が二カ所ございました。北区立袋小学校、新宿区立落合小学校でした。

 なお、着陸機のこれら二つの地点につきましては、数秒間だけ測定値が突出する波形となっておりまして、現在精査を行っているところでございます。

松原分科員 九デシベルということであります。

 九デシベルということは、次の質問にもなるわけでありますが、この想定値の最大値、実測値の差は、デシベルでありますが、音の強さ、耳で聞こえる大きさではなくて、音の強さとしては、実測値は想定値の何倍ぐらいになるのかということをお伺いいたします。

和田政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、音の強さと音の感じ方は比例するものではございませんけれども、三デシベルの差は音の強さで申し上げますと約二倍、そして九デシベルの差は音の強さで申し上げると約八倍になります。

松原分科員 つまり、耳は、大きくなった場合はそこまでは感じないように仕組みはなっているそうでありますが、想定の音の八倍の音が響いたと。

 よく議論があるんですが、なべていけばいいじゃないかというんですが、その一瞬の爆音というものが赤ちゃんが泣いたり衝撃を与えたりというのがあって、実は私がさまざまなところで聞くと、こんなふうになると思わなかった、涙が出るぐらいひどいものがあったというふうに言う女性の声もあったりして、これはやはり、八倍、九倍、パーセントでいえば、言ってみれば八〇〇%ということですよね、すさまじいことになると思うんですが。

 こういった八倍もの値が検出されたということは、最初御説明をいただいたときの住民としてはちょっと合点がいかないということになると思うんですが、不信感を強めることになったのではないかという声があるんですが、これはどう思いますか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 騒音実測値が最大騒音レベルの標準値を上回った地点があったことは事実でございます。現在精査を行っておりますので、精査の上で結果を公表させていただきたいと思います。

松原分科員 精査は、どのような精査をするんですか。ちょっと確認したい。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 実際の実測値が、どのような音なのか、そして、いろいろ音の干渉などもございますので、その辺を解析した上で結果を公表させていただきたいと考えております。

松原分科員 当然、これは防音のことの議論もそのうち出てくるんだろうと思っております。

 では、次の質問に入りますが、個別の飛行機の騒音がどれほど大きな騒音であっても想定外の騒音とはならないというふうな判断があるというふうに聞いておりますが、そうした理解でよろしいか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 実際の測定値がこれまでお示ししてきた最大騒音レベルの標準値と大きく乖離をしていれば、想定内とは言えないと思います。ただ、どこで線を引くかと客観的に申し上げるのは難しいと思いますけれども、いずれにしても、精査を行った上でその結果を公表させていただきます。

松原分科員 大きく違っていればそれは想定内とは言えないが、そのものを決めるのは非常に難しいということをおっしゃるということは、平たく言えば、どんな大きな音が出ても想定外だと言う必要はないということになってしまうんだと思うんですよ。

 今の八倍の音量というのは、これはやはり、ここは本当は赤羽大臣に聞くつもりじゃなかったんですが、衝撃的な、八〇〇%ですから、大臣、いい悪いじゃなくて、このことについての所見をちょっとお伺いしたい。

赤羽国務大臣 たまたまなんでしょうけれども、この着陸機の九デシベルを上回った地点の二つあるうちの一つ、新宿区立落合第二小学校というのは私が卒業した学校でして。実家がありまして、姉からも、騒音の話も聞きましたが、ちょっと何というか、見た目、うちの姉は音というより圧迫感というか、その辺のことについて言われております。

 それは別として、この数字がかなり大きく出ておりますので、これはちょっと、済みません、にわかに今いい答えが出せませんけれども、このこと全体が、三月二十九日ということで私も引き継いだわけでありますけれども、いろいろな、初めてやることですので、ちょっと慎重に検討しなければいけないと思っておりますので、しっかりと航空局と、また関係者とも打合せを行っていきたいというふうに思っております。

松原分科員 誠意ある御答弁、ありがとうございます。

 次に、急角度の着陸方式に関してお伺いいたします。

 三・五度という急角度の着陸方式、これは騒音を低減するためにちょっと、百メートルぐらい上へ上がっておりてくるものですから、こうなる。

 航空機パイロットの世界的連合体である国際定期航空操縦士協会連合会、IFALPAといいますが、その広報の中において、羽田空港新飛行ルートについて、コンサーン、英語で言うと懸念でありますが、懸念があると、この急勾配の角度。それでも、それだけの九デシベルというのがあったりするんですが、コンサーンということが言われておりまして、我が国が最も重視する安全性に対して国際的な実務者側の客観的な懸念が示されておりますが、これについての大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔主査退席、秋本主査代理着席〕

赤羽国務大臣 この文書については、まずちょっと、日本文にしっかり訳してちゃんと用意しろということで読ませていただきましたが、南風好天時の新経路で運航する際に、これまでとは異なる角度で降下することとなるため、これは、パイロット同士の手順確認の重要性ですとか操縦する際の考慮事項など、パイロットとしての運航上の留意点を共有するための文書であるというふうに、そう報告も受けております。

 国土交通省といたしましては、この新しい飛行経路の運航方式につきましては、まずは、全ての航空会社に対しまして、国際的なルールに基づいて必要な周知期間を確保した上で情報提供や説明会を開催するとともに、また実機飛行の開始直前には、外国航空会社に対しまして、この新しい飛行経路の注意事項の周知を行ってきたところでございます。

 御指摘の文書に記載されている内容も含めて、もう一度、私も最近いろいろな出版物を見ておりますので目を通しておりますが、改めて運航上の留意点について内外の航空会社に周知してまいりたい、こう思っております。

松原分科員 ありがとうございます。

 同様の質問で恐縮なんですが、日本乗員組合連絡会議、ALPAジャパン・ニュースにおいても、羽田空港新方式を、一般的な進入方式に比べ角度が〇・四五度大きくなることから、パイロットにかかる負担は大きくなることが予想される、航空局から公示された三・四五度のRNAV進入方式を実施することに対する懸念の声が上がっているという話があります。

 本当にしつこくて恐縮ですが、大臣、もう一回、このことで御答弁をお願いします。

赤羽国務大臣 これは安全にかかわることなので、本当に慎重な対応が必要だと私も思っております。

 三・五度の降下角、これは羽田が初めてではございませんで、稚内ですとか広島空港、またアメリカでもサンディエゴとか、運用される例もあるということがまず一つ。

 今回の降下角三・四五度への引上げの検討に当たりましては、まず航空会社の協力をお願いしまして、航空機の性能別また気象などさまざまな条件を設定して、当然ではありますが、シミュレーターによる安全性の確認を行いました。

 その結果を踏まえて、まず一つ目には、最終降下開始地点に目安速度を設定する、また二つ目には、三・四五度超で進入後、三・〇〇度で着陸する運航も可能とし、こうしたことについて航空会社に対して周知を行っているところでございます。

 この三・四五度への引上げにつきましては、航空機の運航に関する専門家にも御確認をいただいておりまして、当該運航方式は好天時のみ使用されることから安全性に問題はないとの見解もいただいておるところでございますが、引き続き、パイロットの皆さんの声も聞きながら、安全の確保、これは最優先でやりますので、万全を期してまいりたい、こう考えております。

松原分科員 確かに五度のところもロンドンの方にあるとかという話がありますが、その場合の飛行場というのは、極めて飛行機が限定的にしか着陸しない。でかいのが来るとかという話ではなくて、やはりそれぞれの特性があるので、羽田のように大量に飛行機が間断なく来る場合というのはちょっとまた議論が必要なのかなと私は思っておりますので、よく御検討いただきたいと思っております。

 ついては、エアカナダが羽田空港に着陸するのをやめて成田に引き返したというのが今回の実機訓練でありました。これは、はっきり言って極めて問題があると思うんですね。事前に情報がきちっと行っていなかったのか、技術的にできないと思ったのか、どういう理由にしても、戻ったということは私は航空局の対応で極めて反省点がある話だと思っております。御答弁をお願いします。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、二月二日の実機飛行確認中に、エアカナダ機のパイロットから管制官に対しまして、新経路への進入ができない旨の通報がございました。そして成田空港に目的地を変更したということでございます。

 エアカナダに確認をいたしましたところ、南風好天時、いい天気のときにおいて新経路を運航する際に求められるRNAV進入という運航方式について、羽田空港での着陸に採用するための社内準備が整っていなかったということでございました。実機飛行確認のタイミングでこのような事例が発生したことにつきましては、国交省といたしましても、準備状況の確認が十分でなかったというふうに考えております。

 三月二十九日からの本運用開始に向けまして、引き続き、各航空会社に対しまして、新飛行経路の運航に関する準備状況について確認を進めるとともに、運航上の留意点、先ほど御指摘がありましたものも含めて、改めて周知をしてまいります。

松原分科員 元パイロットの杉江さんが、海外の航空のパイロットともいろいろと人間関係があって、聞くと、十分にこういった情報は、ほとんど来ていないというふうな、それは全てとは言いませんよ、彼がたまたま知っているパイロットがという話なんですよ。ということは、極めてこれ、それで三・二九で間に合うんですかということも含めて、私はちょっと安全神話というのが崩れたら困るなと思っております。

 次に、デルタ航空が羽田に着陸しなかった。これはいろいろな理由を国交省の方はおっしゃっているわけでありますが、東京新聞の報道によると、その着陸しなかった理由は、安全性が社内で確認できていないからということだという報道でした。

 この報道が間違いであったかどうかということの確認よりは、このデルタ航空が羽田に着陸しなかった理由、どんなことをサウンドしていますか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 デルタ航空につきましては、ダイヤ上、十五時二十分の到着の便がございます。実機飛行確認中は、新経路の運用時間前の到着、それから、新経路でありましたけれどもILS方式による到着ということでございまして、新経路をRNAV方式で着陸する状況にはなりませんでした。

 国土交通省では、羽田空港に乗り入れる全ての外国航空会社に対しまして、準備状況の確認を行っております。現時点では、デルタ航空からは、新飛行経路の運用に際して社内で内部的な準備を進めており、三月二十九日からの新飛行経路運用開始までには必要な準備を終える旨回答がございました。

 引き続き、準備状況の確認を進めてまいりたいと考えております。

松原分科員 非常に私は心配いたしております。各航空会社のパイロットにどこまでそれが周知徹底された、RNAVの角度が高いやつが理解されているのかということは、その航空会社任せになっているわけであって、私は非常に危惧をしている。

 現実に、こうやってエアカナダは戻ってしまった、成田に行ってしまった、デルタはILSで入ってきたということは、結論的には、少なくとも実機試験までの準備が十分でなかったということでありますから、くれぐれも反省をしてもらって、私は、もうちょっとこれは本当は時間を間延びした方がいいぐらいで、国としての方針がありますから難しいのはわかるけれども、そうしないと禍根を残すと思っております。

 次に、政府は、新ルート採用の前提として、地元の理解を得るとしてきました。三月二十九日の運用開始予定を前に、いつ、何の根拠をもとに、誰の理解を得たと判断したのか。地元の理解を示す定性的及び定量的な根拠を示していただきたい。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田空港の機能強化につきましては、昨年まで五年間にわたりまして、経路下を五巡にわたって説明会を開催するなど、さまざまな場で二〇二〇年までに新経路を運用し、増便を実現させていただきたいと申し上げてまいりました。

 そして、昨年八月七日に、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会におきまして、関係自治体等から総括的に御意見を伺いました。関係自治体からは、おおむね、国による丁寧な情報提供、騒音や落下物対策、新たにお示しした追加対策について御評価をいただくとともに、引き続き国に対してしっかりとした対策を講じるようにという御要望をいただきました。

 具体的に申し上げますと、東京都の方からは、国が示したスケジュールに基づいて、羽田空港の機能強化実現に向け手続を着実に進めていただきたいという御要望をいただき、また、特別区長会会長からは、羽田空港の機能強化の必要性は理解しており、国の事業として国の責任のもとで進めるものと理解しているが、国に対して万全の騒音対策等をお願いしたいと御発言がありました。またさらに、千葉県、千葉市からは、これまで羽田空港の航空機騒音を千葉県民が一手に引き受けてきたが、新飛行経路の運用は首都圏全体での騒音共有の実現の第一歩として評価する旨の御発言をいただきました。

 これらの御発言等を踏まえまして、国土交通省といたしましては、関係自治体等からいただいた騒音や落下物対策や、また引き続きの情報提供に関する御意見、御要望をしっかりと受けとめ、丁寧に対応していくことを前提に、地元の理解が得られたものと判断したところでございます。

松原分科員 時間がないので、この羽田のことはここまでにしますが、今言ったことを含めて、定量的、定性的な議論には率直に言ってなっていないと思っております。何となくこう、もわもわっとした感じでそう持っていっていますが、地元は必ずしも納得をしていないし、今回の実機試験飛行で、極めてこれに関してはさまざまな疑念が出ているということであります。

 次の質問に移ります。

 ビーガン、ベジタリアンに関してでありますが、東京オリパラで、オリンピック、パラリンピックで来日するベジタリアン、ビーガンの方々に対するおもてなしが十分に行われるよう、これは日本の今後にとって極めて重要でありますが、来日ベジタリアン、ビーガンが食事をする場所を容易に探せるようにするレストラン案内等を充実させ、活用できるようにすることが求められています。

 こうしたレストラン案内をつくるために、観光庁は、とりわけ東京都とは強い連携をして、おもてなしを高めることが必要と考えますが、御答弁をお願いします。

田端政府参考人 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控える中で、多様な食習慣を有します訪日外国人旅行者が安心して日本を旅行できる、こういう環境整備は非常に重要だと思っています。

 観光庁といたしまして、今年度内を目途としまして、ここのベジタリアン、ビーガン対応の進展のため、ホームページにおいて、ここのベジタリアン、ビーガン対応の基礎知識また先進事例を掲載をする、また情報入手が容易にできるようにできる、わかりやすい情報発信というものを進めてまいりたいと考えています。

 現在、東京都において、しっかりといろいろなベジタリアン、ビーガンの情報発信を検討しておられ、またいろいろなセミナーもやっておられるとお聞きをしております。また、先生の方からも御紹介もいただきながら、東京都の方、都の関係部局と観光庁、いろいろと打合せもさせていただいております。

 東京都とはしっかりと連携をしつつ、多様な食習慣を有する訪日外国人の受入れ環境、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

松原分科員 これは極めて重要なことでありますので、特に、ビーガン、ベジタリアンの方が日本に来て、食べるものがないとか食べるところがないというのはおもてなしに反しますので、ぜひとも国と都が連携をして行っていくべきだと思っております。大臣の決意も一言だけいただきます。

赤羽国務大臣 東京オリパラは、おもてなしということで誘致もしたわけでありますから、世界各国から来ていただくあらゆる方に満足していただけるように、今、松原委員からの御指摘もあったこと、観光庁、東京都、しっかり連携しながら万全な対策をとっていきたいと思います。御指導よろしくお願いいたします。

松原分科員 ありがとうございました。

 次に、新型コロナウイルスでありますが、感染症の発生に当たって、お亡くなりになられた皆様に心から哀悼の意をささげたいと思います。また、感染阻止に従事している関係者の皆様に心から敬意と感謝の意を表します。

 その上ででありますが、公共交通機関における新型インフルエンザ対策に対する調査研究があります。乗務員の欠員等による事態発生時に、公共交通機関の利用者数を平時の四割まで抑えることで車両内混雑が抑制されるというシミュレーションがありますが、こうしたことを考えて、政府としても、各関係機関に利用者の抑制への取組を働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の調査研究につきましては、新型インフルエンザ流行ピーク時における鉄道車両混雑を抑制するには利用者数を抑える必要があるとのシミュレーションが示されているものと承知をしてございます。

 政府の新型インフルエンザ等対策ガイドラインにおきましても、緊急事態宣言下におきましては、公共交通機関については、国や事業者は、時差通勤、不要不急の利用の抑制の呼びかけなどを行うこととされてございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、感染拡大防止のため、二月二十日に厚生労働省から、イベントの開催の改めての検討等について発表され、その中で、風邪等の症状がある場合には仕事を休み外出を控えることですとか、テレワークや時差通勤について呼びかけが行われたところでございます。

 また、本日開催されました政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において決定された新型コロナウイルス感染症対策の基本方針におきましても、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかけることとされたところでございます。

 こうしたテレワーク、時差通勤等の取組は鉄道車両の混雑緩和に資することから、感染拡大防止のため、国土交通省として、所管する業界等に周知をし、協力を呼びかけているところでございます。引き続き、これら取組を更に促してまいりたいと考えてございます。

松原分科員 実にさまざまなところで、人が集まるのを何とか抑止しようと、イベントも中止になっています。しかし、イベントで人が集まることよりは、いわゆる満員電車の方がはるかに、人がぎゅうぎゅう詰めになっていまして、乗ると物すごい密閉空間で、びっちり走っている。ここに一人新型コロナの感染者が乗っていれば、一気に広がってしまう。私が大変に危機を感じているのは、武漢よりも、こういった満員電車が多く走っているとすれば、我が東京の方がはるかに、一気に危険な状況が起こり得ると私は思っています。

 そういった意味からは、何としても、この状況を打ち破るには、新型インフルエンザのときは四割というのは、これは乗務員の関係から出しているんですが、やはりこれを一気に減らす。

 政府は、確かに、おっしゃるように、時差通勤や、またテレワークというものを推奨していますが、単に言うだけではなくて、私は具体的にそれを働きかける必要があると思っています。それをしない限りにおいて、この二週間が勝負だというふうに多くの専門家が言っていて、政府もそのように言っている中で、その勝負の二週間で満員電車がせいぜい一割か二割しか減っていないようだったら、全然勝負をやっていることにならないというふうに私は思っているわけであります。

 この通勤ラッシュの満員電車、これに関して、私は何としてもこれを、乗員を減らす、乗っているのを減らす努力をする。そのためには、これは国土交通省の大臣が、やはりJRとか車両の責任者ですから、これを何とか抑制するためには、実際にそこに来ている、多くの勤労者が勤めている会社、その会社を統合している、例えば商工会議所であるとか経団連であるとか日経連であるとか、そして一方においては、労働組合であるとか、連合であるとか産別であるとか単産であるとか、こういうところに対して何らかの具体的な指示を出すようなことも、場合によってはというか、まさにこの段階で検討すればまだ間に合うんだろうと思っておりまして。

 ちょっと事前の通告がなかったので恐縮ですが、赤羽大臣の本当に真剣な答弁をいただきたいと思っております。

赤羽国務大臣 公共交通機関、特に鉄道の満員ラッシュを削減するというのは、松原委員御指摘のとおり、重要だということは御指摘のとおりだと思っております。

 言うだけではなくてということで、今御示唆ありました経済団体また労働組合、そうしたことを含めて官民挙げてやるということはしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、まず政府の対策本部にフィードバックをして、そしてそういった方針をつくれればというふうに思っております。

 加えて、まずできることというと、やはり霞が関の役所がそれを実践するということが民間企業に対して具体的なシグナルになると思っておりますので、きょうから、全ての役所において、テレワークまた時差出勤、国土交通省についてはまず半分の職員に対して時差出勤、テレワークの推奨を実践するということと、休みやすい環境整備といったこともしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 鉄軌道事業者に対しましては、従業員に加えて、利用者の皆さんに対して、これは素朴なようでありますが、マスクの着用ですとかせきエチケットの利用者への周知、また消毒液の設置等々を徹底していく。公衆衛生の向上というのはやはり重要だというふうに思っておりますので、こうしたことを含めて、今、政府の対策本部の中でも、感染クラスターをつくらないということを、ここ一、二週間が本当に重要だというのが専門家会議の結論というか報告でもありますので、そうしたことをしっかりと共有しながら、また先生からの御指導をちょっとフィードバックして、万全の対策に取り組んでいきたいと考えております。

松原分科員 大変に前向きな御答弁、ありがとうございました。

 これは本当に、まさにこの満員電車が、今の、通常の八割か九割で、一番危機的な二週間と言いながらそのままであったとしたら、何をやっているんだという話になるのは当然でありまして、電車、車両、バス、タクシー、こういったものを総括をする赤羽大臣の今の決意を官邸の中で共有していただいて。

 まさに、一人一人はそこまでの自由度はありません、会社から時差出勤でいいですよとか言われることによってそのことに関して十分に対応できるので、労働組合、そして会社側に対しても言っていただきたいと思います。

 他の質問は飛ばしまして、もう一回、最後に。

 羽田に関しては、先ほど申し上げたように、さまざまな議論があるので、三・二九は三・二九として、一つの方針としては理解しますが、今言った、エアカナダも戻ってしまったとかそういったこともあるし、九デシベル、八倍ですか、その音になったらということもあるので、ちょっとそこは深掘りをした議論をちょっとやっていただいた方が私はいいんじゃないかと思うので、その御答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 これは、さまざまな検討の結果、三月二十九日ということが出てきましたが、私、大臣就任後、これを引き継いで、やはり相当心配を個人的にはしておりまして、念には念には念を入れて、安全対策、これは当然なんですけれども、今言っていただいたようなことについて、外国のエアのパイロット全員に周知徹底ができるように、しっかりと出張って、万全の対策を取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

松原分科員 終わります。

秋本主査代理 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、細田健一君。

細田(健)分科員 新潟二区の細田でございます。

 赤羽大臣、御法川副大臣、そして門政務官、本当にお疲れさまでございます。きょう、このような機会を設けていただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、公共事業総額の確保に向けた課題と、あと、地元の課題についていろいろとお伺いをしたいというふうに思っております。

 まず、公共事業の総額の確保に向けてでございますけれども、私、今から四半世紀ほど前に、経済企画庁の長期計画あるいは長期経済見通しというのをつくる部署で勤務しておりました。

 それで、当時は、例えば公共投資基本計画なんというのがあって、内需拡大というのが対米公約の上でも非常に大きな問題になっていたんですけれども、例えば、十年間で四百三十兆円の公共投資を行うというような総額が決められて、そのほかに、分野別の長期計画というのがありまして、例えば、五年で、道路であれば事業量総額としてどれぐらいといったような予算の規模の見通しというのが示されておりました。

 ただ、私自身、その後、議員になって、ちょっとややびっくりしましたのが、そういう長期計画、事業量全体を示す長期計画というのがなくなってしまって、今、いわゆるアウトカム指標というようなことでいろいろと御尽力をいただいているというふうに認識しております。

 ただ、ここ数年の、例えば国土強靱化に対する要請でありますとか、あるいは防災の観点からしますと、ややフェーズが変わったんじゃないかというふうに思っておりまして、その意味では、後でお話ししますが、例えば、私の地元で柏崎の国道八号バイパスなんという事業があるんですけれども、これはもう本当に、その事業開始から、いつになって最終的に完成するのかよくわからないというような状況がずっと続いていまして、結局は、毎年の予算確保の見通しが余りきっちりとつかないので、どうしても、何年度までに完成させますというようなことがなかなか言えないような仕組みになっているということだと理解しております。

 私としては、例えば、こういう状況を打破するために、かつてあったような事業別の長期計画を策定をして、その中で多年度にわたる事業量の見通しというものを示すべきではないかというふうに考えております。

 これは、財務省との関係等々いろいろ大変だと思いますけれども、ぜひ、政府の中でこういう議論を仕掛けていただければと思いますけれども、国土交通省の御見解をよろしくお願いします。

御法川副大臣 お答えいたします。

 今御指摘があったとおり、社会資本は、その整備、そしてその効果が長期間にわたるものであることを踏まえて、中長期的な視点に立って、安全、安心の確保、生産性向上といったストック効果が最大限発揮されるよう、計画的にその整備を進めていくというのが重要だというふうに考えております。

 これも委員御指摘のとおりで、かつては、その事業費を盛り込んだ五カ年計画という分野ごとの中長期の計画というのを策定していたところなんですが、こちらの方にもさまざまな問題が指摘されまして、予算配分の硬直化等々の批判もあり、平成十五年から社会資本整備重点計画というものを基礎に置いてやっていくということになっていまして、内容としては、事業費ではなくて、公共土木施設等の耐震化率であったり、三大都市圏における環状道路の整備率であったり、そういう政策目標というものを定めることによってやってきております。

 一方、社会資本を整備するためには、安定的、持続的な公共投資の見通しが重要であるという認識のもと、喫緊の課題でございます気候変動の影響を考慮した、より抜本的かつ総合的な防災・減災対策や、深刻化するインフラの老朽化への対策等を着実に進めるために、公共事業予算の安定的そして持続的な確保、総額の確保に全力を挙げてまいるという方針でございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 恐らく問題意識は共有していただいていると思いますので、私も党の中でまた同僚議員といろいろな議論をしていきたいと思いますし、また、国土交通省の方でもぜひ、いろいろ前向きに受けとめていただければと思っております。本当にありがとうございます。

 政務三役の方、あとは私の地元の課題について事務方の方と議論させていただきますので、もう御退席いただいても結構でございますので、よろしくお願いいたします。

秋本主査代理 それでは、政務三役の方、よろしければ退席してもらって結構です。

細田(健)分科員 それでは、地元のそれぞれの課題についてお話をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、国道一一六の燕吉田バイパスについてお伺いしたいと思っております。

 これは地元の長年の悲願でありまして、県と国土交通省との意見調整というのはなかなかうまくいかなかったんですけれども、政治状況が変わって、その後で、国土交通省の迅速な対応には本当に感謝したいと思っております。

 昨年、その都市計画決定がなされたわけでございますけれども、地元は長年ずっと待っていたので、ぜひ、その早急な事業化というのをお願いしたいと思っておりまして、この一一六バイパスの事業化に向けての国土交通省の御決意というのをお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 国道百十六号の燕市街地でございますが、渋滞や交通事故が発生しており、大きな課題があります。この課題の解消のため、吉田バイパスの計画が進められておりまして、これまでに国で平成二十九年度末に概略ルート、構造を決定いたしました。

 これを受けまして、今お話しいただきました、昨年の十二月二十四日に新潟県で都市計画決定の告示、縦覧がなされているということでございます。今後は、早期の事業化に向けて着手時期を検討してまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 先日、燕の鈴木市長と一緒にお伺いをしたところでもあるんですけれども、ぜひ来年度の事業化に向けて、できるだけ、また前向きな御検討をいただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、やはり同じく、燕市の国道二八九の延伸、燕北バイパスについてでございます。

 これも、昨年、長年の課題でありました朝日大橋というのが完工いたしまして、この延長部分について今後どうするか、どういうスケジュールで整備をしていくかというのが課題になっているわけでございます。

 今、私の認識では、用地買収等々について説明会が開始されたという理解でございますけれども、これも、今後の事業の見通しについてお伺いをしたいというふうに思っております。

池田政府参考人 国道二百八十九号の燕北道路でございますけれども、燕市街地の通過交通をこの道路に流すことを目的で、新潟県の方で整備を進めておる道路でございます。

 今お話ありましたように、燕市小高から井土巻間の約一キロが開通して、残る未開通区間のうち、燕市の小高から灰方間の延長約一・八キロにおきまして、今、新潟県が事業を実施して、令和二年度には、設計の後、用地測量に着手をする予定となっているということでございます。

 事業は用地買収が進むことが非常に重要でございますので、国交省としては、新潟県からの要望を踏まえまして、しっかりと引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございます。

 私も地元といろいろ話をしまして、これも早期の完工に向けて、私なりにまた動いてまいりたいと思いますので、ぜひ、新潟県と連携をとっていただいて、事業の早期の進捗について御努力をいただきたいというふうに思っております。

 それでは次に、国道八号の柏崎バイパスについて。

 これは先ほど申し上げたとおり、事業化から相当年数がたっていて、地元では、本当にいつ開通するんだということが長年の課題になっているわけでございますけれども、まず第一に、茨目からの西側部分といいますか、いわゆる柏崎トンネルを含む西側部分、これについては、ほぼトンネル工事も順調に進捗をして、二〇二二年度供用開始というふうに承っておりますけれども、こういう理解でよろしいでしょうか。

池田政府参考人 国道八号の柏崎バイパスですけれども、今委員御指摘ありました茨目から西側の区間でございますが、延長千百二十八メートルの柏崎トンネルの掘削工事を行っておりまして、今、約九百十メーター、全体の八割まで掘削が進んでおります。

 一方で、今、柏崎トンネルの残りの区間について、軟弱な地層が確認をされました。今後の掘削については、地盤の状況を監視しながら慎重に掘削をすることになります。このような事情から、開通時期を現時点では具体的にできない状況でございます。トンネル工事が貫通した際には、開通見通しをお示しできるようにしたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 工事はこれまで順調に進んでいたというふうに承っているものですから、ぜひ早期の柏崎トンネルの開通に向けて御努力いただきたいと思いますし、また、私も地元に向けて、そういう説明もしていきたいというふうに思っています。

 それから、今御説明がなかった東側部分、茨目から東側の部分については、いわゆる遺跡調査が入って、なかなか見通しが立たないという状況がやはり長年続いているわけですけれども、この東側部分の事業の進捗状況、あるいは進捗の見通しというのはいかがでしょうか。よろしくお願いします。

池田政府参考人 国道八号柏崎バイパスの茨目から東側の区間、茨目から東原町の三キロの区間でございますけれども、今お話がございましたように、埋蔵文化財が広く分布をしていることから、その調査に時間を要しております。

 平成二十二年度より埋蔵文化財調査に着手して、ようやく現在までに約九割の調査が完了したところでございます。残りの埋蔵文化財調査を推進、完了いたしまして、完了した箇所から地盤改良工事も進めながら、盛土工事を順次進めてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 これも早期の完工に向けて、ぜひ御努力をいただきたいと思っております。

 それでは次に、大河津分水の改修事業についてお伺いをしたいと思います。

 これは昨年の十月十二日に台風十九号の影響で、信濃川の水系、大変な状況になりました。これは恐らく現地の河川事務所から報告が上がっていると思いますけれども、大河津分水の下流部分については一部溢水があったりしまして、かなり危険な状況だったというような認識をしております。

 私の理解では、一昨年からいわゆる左岸をかなり大幅に削る工事を始めて、用地買収等々も順調に進んで、そういう実質的な工事に入ったというふうに認識をしておりますけれども、まず、今後の事業の進捗の見通し、これは着工から十五年でというようなお話があるようでございますけれども、いわゆる今後何年ぐらいで最終的には完工するのかということも含めて、今後の事業の進捗あるいは見通しについてお伺いできればと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 大河津分水路は、大正十一年から信濃川の水を直接日本海に分流しており、新潟県内等の洪水被害軽減に対しまして効果を発揮してまいったところでございます。

 平成二十七年度から、大河津分水路を拡幅することにより、洪水時に水を流す能力を現在の毎秒約八千三百立方メートルから毎秒九千八百立方メートルまで向上させる事業に着手しております。

 現在、令和九年度までを目標に、先行的な山地部掘削、橋梁のかけかえ、床固めの改築を完了させて流下能力の一部向上を図るとともに、それ以降、残る山地部の掘削を実施し、令和十四年度の完成に向けて事業の進捗を進めているというところでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 令和十四年度の完工に向けてというようなお話がございましたけれども、地元は、そんなに待てないよというような声が切実にございまして、これは本当に最近の気候変動の状況なんかを見ておりますと、場合によっては、去年あったような台風による大雨というのが今後も連続して来るんじゃないかというような声が非常に強いわけでございます。

 実際に、大河津分水そのものには、避難計画等々、避難命令等々出ましたけれども、実態的には大きな被害はなかったわけでございますが、ただ、例えば上流域の長岡市域では冠水したという部分もありましたし、また、流れ込む支流の水系では本当に決壊寸前というような状況もあったわけでございまして、なかなか技術的に難しい部分があるかもしれませんけれども、本当に一年でも早く、計画を前倒しして完工にこぎつけていただきたいというのが地元の本当に切実な思いでございますけれども、この事業の前倒しの可能性と、また、それに向けての条件等々についてお伺いをできればと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 台風十九号、令和元年東日本台風では、委員御指摘のとおり、長野県において千曲川の堤防が決壊するとともに、下流の新潟県においても信濃川が越水するなど、甚大な浸水被害が発生したところでございます。大河津分水路を始めとした信濃川水系全体の治水安全度を高めることの重要性を改めて認識したところでございます。

 今般の被害への対策としまして、再度災害を防止する観点から、信濃川、千曲川全体で、令和九年度までに約一千二百億円で治水対策等を進める信濃川水系緊急治水対策プロジェクトを本年一月に取りまとめたところでございます。

 このプロジェクトにより、今回越水した区間の河道掘削等を行い、水位を下げるためには、最も下流部にある大河津分水の改修が不可欠であり、少しでも早く進捗させることが重要でございます。このため、今年度の補正予算に約五億円を盛り込み、令和二年度に予定していた掘削工事を一部前倒しをすることとしているところでございます。

 今後も引き続き、効果の早期発現に向けて工程の見直しを検討させていただき、また、地域の皆様方の御理解を得ながら事業を進捗させてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございます。

 補正予算にのせていただいたということでございますけれども、今後とも、そういう補正の活用も含めて、ぜひ事業の早期完工に向けて進捗をお願いしたいというふうに思っております。

 私は地元と話をしておりまして、これは地元の要望も強いですし、また、事業の進捗に向けた地元の理解も相当進んでいるといいますか、逆に、一年でも早く終わるのであれば、地元としてはもう前向きに何でも協力するというような意見、また体制もできていると思いますので、この点も踏まえた、ぜひ前向きな対応を今後ともお願いしたいというふうに思います。

 それでは、最後になりますが、佐渡の両津港の港湾計画の見直しについてお伺いをしたいと思っております。

 これは本来、新潟県の所管でございまして、ただ、国土交通省の方からも、いろいろと大所高所の観点から御指導いただいておりまして、本当にありがたいと思っております。

 まず、港湾計画の素案については、ほぼ地元と合意が得られたというような段階だというふうに認識をしておりますけれども、今後のスケジュールはどういう形になるのか。特に、今ジェットフォイルが停泊している港湾部分の埋立てというのが今後事業の焦点になってくると思いますけれども、この港湾計画、港湾部分の埋立てというのは、具体的にいつごろ実施される予定なのかというめどについて御教示をいただければと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 両津港では、新潟港との間にフェリーや高速船が就航しており、直近では年間百三十五万人の旅客が利用し、約三百万トンの貨物を取り扱うなど、佐渡島の人流、物流の約九割を扱う極めて重要な拠点であると認識をしております。

 一方、同港南埠頭では、高速船が利用している岸壁の老朽化や、所要の用地の不足といった課題があると伺っております。

 このため、国、新潟県、佐渡市や埠頭利用者等が参画する両津港南埠頭再編検討会におきまして、これらの課題を解消するための議論を進め、今月の二月十四日には港湾計画が変更され、岸壁の増深や埠頭用地の拡張が計画に定められたところであります。

 埋立てを含む埠頭再編につきましては、引き続き、港湾管理者である新潟県の御意見を伺うとともに、同検討会における議論や港湾の利用状況等を踏まえつつ、国としても、需要動向等を把握するために必要となる調査等、所要の取組を加速してまいります。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 今、所要の取組というお話があったんですけれども、逆に言いますと、いつ港湾が埋め立てられるかという見通しを今すぐ示すのはなかなか困難だということなんでしょうか。そこの部分についての地元の、何といいますか、将来的にいつごろ実際にターミナルビルが改築されるのかという点も含めて、そこの見通しを示してほしいという声が強いものですから、何か可能な範囲でお答えいただければ大変ありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 今直ちにお示しするということはなかなか厳しいところでございますが、現在、両津港南埠頭再編検討会におきまして、かなり議論が進捗しているとお聞きしております。

 私ども、先ほど申しました、需要動向を把握するために必要となる調査等を行わせていただきます。そうした取組を含めまして、さまざまな点から、スケジュールをしかるべきときにお示しすることができると思っております。

細田(健)分科員 どうも済みません。ありがとうございました。

 ぜひ、また県とよく御相談をいただき、また、地元の御要望もよく聞いていただく体制をつくった上で、また県を御指導いただければというふうに思っております。

 さらに、今、ターミナルビルを新築するということで、結構地元では百家争鳴といいますか、さまざまな要望が私のもとに寄せられておりまして、これは、今の港湾の状況から、例えば、一般の旅客が短時間停車するスペースがないとか、あるいは、荷物の積卸しが不便であるとか、あるいは、一般の旅客が使用する駐車場が非常にそのターミナルから離れたところにあるのでこの不便を解消してほしいとか、そういう、ある種具体的な要望が私のもとにも寄せられております。

 今後、計画の策定に当たっては、そういう声も踏まえた形で実施計画が策定されるものというふうに考えておりますけれども、ぜひそういう地域の住民の方の声を幅広く聞く体制をつくっていただいて、実際のターミナルビル建てかえ等々の計画策定に当たって、ぜひそういう声を重視してお考えになっていただきたいと思います。この点についてはいかがでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 両津南埠頭ビルは、建設後約五十年が経過し、老朽化していることから、建てかえの必要性が指摘されております。

 両津南埠頭ビルの建てかえにつきまして、埠頭の関係者が参画する両津港南埠頭再編検討会におきまして、跡地を交通広場や緊急物資の荷さばき地とすることなどが議論されているところであります。さらに今後、埠頭関係者以外も参画する場を立ち上げ、検討を進めることとされております。

 先ほど委員御指摘のとおり、両津南埠頭ビルの建てかえ等を通じ、一般利用者の利便性の向上を図るためには、これらの場を通じまして地元の方々の御意見を伺いつつ進めることが重要と考えております。

 国土交通省といたしましても、検討の場への参画を始めまして、必要な支援に積極的に取り組んでまいります。

細田(健)分科員 どうもありがとうございました。ぜひ地元の声を聞いて計画をつくっていただくようにお願いをしたいと思っております。

 更に申し上げますと、今回の港湾計画の見直しとは直接、間接的に関係があると思いますけれども、例えば大型旅客船が着岸することのできる岸壁が必要ではないかとか、あるいは、いわゆる耐震バースを早急に建設すべきではないかというような追加的な要望というのも寄せられております。

 これらについては、今回の港湾計画の見直しの対象外だというふうには認識しておりますけれども、そういう長期的なビジョンも含めて、ぜひまた県の方にも御指導いただいて、何といいますか、両津港といいますと、本当に佐渡の表玄関でございますので、ぜひそういう点も踏まえて、長期的な視点からも住民の納得のいく利用計画というのを作成していただくように、改めてお願いをしたいというふうに思っております。

 きょうは、本当に長時間、ありがとうございました。

 さまざま御指摘、さまざまな質問をさせていただきましたけれども、先ほど申し上げたように、地元としては長年の宿願というような事業が多数ございますので、ぜひ前向きに、早期の着工、あるいは完工に向けて取り組んでいただくように改めてお願いをいたしまして、私の質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

秋本主査代理 これにて細田健一君の質疑は終了いたしました。

 次に、新谷正義君。

新谷分科員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、今回の新型コロナウイルス、この感染症によりまして亡くなられた方々に、心より御冥福を申し上げたいと存じます。

 今、この新型コロナウイルス、世界各国で大変な猛威を振るっているところでございます。まさにこれは未知の感染症でございまして、国、民間を問わず、危険と隣り合わせの中で対策に臨んでおられる現場の皆様には、心より感謝と敬意を申し上げたいと存じます。

 これに関しては、当然、医学的な課題、医学的な問題、これに対する対応はもちろんのことでございますけれども、あるいは人権のことであったり、あるいは入管法のこと、道路交通法、企業の運営、あるいは風評被害、いじめ、差別、さまざまな問題が、これは課題として対応しなければいけないところでございます。

 本当に、現場で当たっておられる皆様には心より感謝と激励を申し上げたいと存じますし、また、これはやはり全力で国を挙げて取り組むべき喫緊の課題であるとそのように認識をしておるところでございます。私も力を尽くしてまいりたい、そのように思っております。

 まさにこういった感染症対策は、やはり不断の努力が必要とされるものでございます。私も、昨年九月までは厚生労働政務官を拝命をしておりました。厚生担当ということでございまして、WHOの総会にも出席をさせていただき、そして、各国の代表に向かって演説をさせていただいたこともございました。そのとき申し上げさせていただいたのは、やはり世界全体で感染症対策は向き合わなければなりませんし、空白地帯を設けてはならないということを申し上げさせていただいたところでございます。

 感染症は、容易に国境を越えるところでございますし、昨年五月、これをさせていただいたときは、まさにコンゴでのエボラ出血熱、これが非常に重要な議題として上がっておりました。コンゴ地域というのは、非常に紛争地域でもございますし、また、予防接種に対して誤った理解を地域として住民の皆さんがされているということでもございました。こういった誤解、あるいは、予防接種の開発、製造費用は誰が負担するか、こういった課題とか、多くの対策の困難さを認識をしたところでもございます。

 一方で、例えば、ありふれた感染症のように思えるインフルエンザ、これも実は、関連死まで含めると年間一万人、我が国でも亡くなっている、そのように言われておるところでございます。

 また、感染症が原因のがん、例えば子宮頸がんにおいては年間三千人が毎年亡くなっておられるというふうに言われておるところでございます。特に、子宮頸がんに関しては、今、最新のワクチンだと大体これはほとんど予防ができるというふうなことも言われているところでございます。

 私もWHOの総会に出席をさせていただきましたが、この子宮頸がんを国を挙げて積極的に行っていないということで、WHOにおいては、日本は名指しで非難をされている状況でございました。

 いずれにしましても、予防接種行政、更に推進をしていかなければなりませんし、また、この感染症対策、今回の新型コロナウイルスはもちろんのことでございますけれども、こういった対策は急務であると考えておるところでございます。やはり国を挙げて、あるいは国民の皆様の御理解、御尽力をお願いして、これは国を挙げて対策をしていく必要がある、そのように考えておるところでございます。

 この新型コロナウイルス、感染が今も拡大しているところでございます。一方で、これは経済にも大変大きな影響を与えているところでございます。日本各地で宿泊施設等のキャンセルが相次ぐなど、観光業においても大きな悪影響が生じているところでございます。既に、この新型コロナウイルスの影響で、これは愛知県と伺っておりますけれども、廃業に追い込まれた宿泊業者もいらっしゃる、そのように伺っているところでございます。

 観光に従事する事業者の皆様には中小企業の方々も多い、そのように認識をしております。今後こういったことにどのように対策をとっていかれるか、政府のお考えをお伺いしたいと存じます。

    〔秋本主査代理退席、主査着席〕

田端政府参考人 観光産業への影響といたしまして、中国政府によります、まず団体旅行の禁止措置、また日中間の航空路線の大幅な減少、またクルーズ船のツアー中止など、こういうことのほか、また、日本人の旅行者の旅行手控えが起きておりまして、各地で宿泊のキャンセル等などの大きな影響が出ております。

 このため、観光庁といたしましては、地域の観光業を支えます宿泊事業者やバス事業者を始めとした観光関連事業者の方々から御相談や御要望を丁寧にお伺いをするとともに、これらの方々が直面している状況をしっかり把握をするために、一月三十一日に各地方運輸局に特別相談窓口を設置をしています。まずは、この特別相談窓口を通じまして、関係省庁と連携して、セーフティーネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援、また、雇用調整助成金制度の要件緩和等によります雇用の維持などに取り組んでまいります。

 また、宿泊事業者など観光関連事業者に対しましては、マスク着用あるいは手洗い、こういう感染予防対策もしっかり徹底をしているということを要請していますので、こういうこともしっかり情報発信に努めて、風評被害の発生防止に取り組んでいきたいと考えています。

 引き続き、観光産業のニーズをしっかりと把握をして、対策に取り組んでまいりたいと考えております。

新谷分科員 ありがとうございます。

 引き続き、しっかりとした現状把握と、また対策をお願いしたいと存じます。

 次に、通学中の子供たちの命を守る、こういった観点から質問させていただきたいと思います。

 幼い子供が通学中に事故に巻き込まれる事件が毎年発生をしているような状況でございます。スクールゾーンでも、いまだ、歩道や車両用防護柵、あるいはカラー塗装の整備がなされていない道路が数多くあるのが現状でございまして、やはり、安全を心配する声、各地域で聞くところでございます。

 私の地元東広島市西条町におきましては、平成三十年の四月に新しい小学校が創設されるほど子供がふえている地域でございます。地方都市としては珍しく人口が維持拡大をしている地域でございますけれども、住民の方が危険な通学路に対して安全対策を自治体にお願いしても、これは、やはり交通プログラム等で危険箇所は把握はしておっても、重大事故が現状起こっていないということと、あるいは予算が足りないということもございまして、なかなか対応できないというお話を伺うところでございます。自治体としても非常に悔しい思いであろうと拝察をするところでございます。

 死亡事故が起きてから対応するというのではなくて、やはり、大切な子供たちの命を守るために、政府としても一歩踏み込んだ支援策を展開していただきたいと考えておるところでございますが、お考えをお伺いしたいと存じます。

池田政府参考人 通学路の交通安全対策には、防護柵の設置、通行帯のカラー化など、比較的コストが小さく短期間に実施可能なものから、用地買収を伴う歩道の設置や交差点の改良など、実施については多額のコストや時間を要する対策まで、さまざまなものがございます。地方公共団体に対する国の支援が重要であるというふうに考えております。

 このため、国交省としましては、従来より、各地方公共団体の通学路交通安全プログラムの着実な実施を強力に働きかけるとともに、実施に必要な予算についても、防災・安全交付金の重点配分の対象にするなどの措置を講じているところでございます。

 また、さらに、さきに成立した令和元年度補正予算におきましても、子供の移動経路の緊急安全点検結果を踏まえた、全国二万八千カ所の対策実施を促進するための予算を計上しているところでございます。

 また、今委員御指摘のとおり、事故が起きてからの対策にならないように、自動車の急ブレーキの履歴などからヒヤリ・ハット箇所を特定してそのリスクを事前に取り除く取組についても、全国的に進めているところでございます。

 引き続き、地方公共団体にしっかりとした交通安全対策の推進を働きかけるとともに、それに必要な予算の確保にも国としても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

新谷分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、子供の命を守るために、しっかりとした推進をお願いしたいと存じます。

 続きまして、河川のしゅんせつや護岸、河川の拡幅に関してお伺いしたいと存じます。

 地元を歩いていますと、河川の改良復旧工事をほかの事業と組み合わせて工事をしてもらいたいという声を多く聞くところでございます。

 具体例を出したいと思います。地元になりますけれども、東広島市豊栄町安宿地区というところに椋梨川という川がございまして、過去の災害で何度も越水とのり面の崩壊、こういったことを繰り返しているところでございます。崩れた箇所のみ、災害復旧事業で国の予算を使って速やかに応急復旧されておるところでございまして、これに関しては、本当に迅速な御尽力には感謝を申し上げたいと存じます。

 ただ、やはり、年月がたって、また次の災害で別の場所が崩れてしまって、崩れた箇所のみがまた応急復旧をされる、そういったことが推測をされるところでございます。河川は一体となっているところでございまして、一カ所直しても、また次のところに圧がかかってしまって、また崩れてしまう、こういったことが予想されるところでございます。

 この椋梨川という川は、県が河川沿いの土地を購入して、県の事業として拡幅をしていく予定にはなっておるところでございますが、やはり拡幅をするならば、先にしゅんせつを行ったり、あるいは抜本的に拡幅工事を行っていただきたい、そのように思っておるところでもございます。また、そうしないと、やはり先ほど申し上げた、繰り返しになってしまうんじゃないかという懸念があるところでございます。

 河川の整備に関しては、災害を待たずに抜本的な機能向上が図られるような対策をぜひお願いしたいところでございます。柔軟な対応もお願いしたいと思います。政府のお考えをお伺いしたいと存じます。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の椋梨川におきましては、過去、広島県において、県単独事業により平成二十二年度まで計画的な改修を行ってまいりましたが、その後は、水害により被災した河川施設の災害復旧事業により工事を行ってきたところでございます。平成三十年度七月豪雨においても三十八カ所で被災したことから、広島県が今現在災害復旧事業により護岸整備などに取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、災害の都度復旧事業を行うのでなく、壊れてから直すということでなく、計画的に事前防災対策を進めることが非常に重要だというふうに考えてございます。

 広島県においては、来年度、県の五カ年計画である社会資本未来プランを見直す中で、次期計画の策定に向け、県が管理する河川の流下能力を評価するなどして、県内の河川整備について見直すこととしており、椋梨川についてもその検討を行うというふうに聞いているところでございます。国土交通省といたしましても、その見直し結果を踏まえて、どのような支援ができるのか、県とよく相談してまいりたいというふうに思っております。

 なお、広島県からは、新たに創設される緊急浚渫推進事業を活用し、来年度から椋梨川の河道掘削にも取り組む方向で検討しているというふうに聞いているところでございます。

新谷分科員 ありがとうございます。ぜひ国としてもできる限りのことをお願いしたいと存じます。

 一昨年の西日本豪雨災害では、私の地元広島県、大変な被害を受けたところでございます。一千二百四十二カ所の土砂災害、これが県下全域で発生をしまして、死者八十七名、こういった被害となったところでございます。土砂災害は、とうとい人命を奪うだけではなくて、ライフラインや道路、鉄道の寸断など、住民の生活や経済活動にも大きな影響が生じたところでございます。

 そのような中、あらかじめ整備されていた砂防堰堤が土石流を捕捉し、被害を最小限にとどめた事例も多数報告をされておるところでございます。

 このことはなかなか見えづらいところではあるんですけれども、国民の皆様にもぜひ御認識をいただきたい、そのように思っておるところでございます。事前防災対策を計画的かつ集中的に実施することの重要性、これを改めて示したと言えるところでございます。

 また、被災地においては、地域の安全、安心の基盤として砂防堰堤の整備が急ピッチで進められておるところでございまして、一日も早いこの堰堤の完成が望まれているところでございます。

 地域内での調整はやはりかなり労力である、そのようにお伺いをしておるところでございます。人員が不足する中で懸命に努力をしておられる各地の地方整備局の皆様には心より感謝を申し上げる次第でございます。

 まず初めに、土砂災害から人命を守るソフト対策に関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 土砂災害防止法は、平成十一年六月の広島県内で多発した土砂災害を教訓としまして制定をされたものでございまして、その主要施策として、土砂災害のおそれのある土地をイエローゾーンとして指定をしまして、関係自治体が警戒避難体制を整備していくものとされておるところでございます。

 広島県では、これは全国最多となるところでございますけれども、約五万カ所のイエローゾーンが指定をされておりまして、その前段となる基礎調査が昨年度やっと完了したところでございます。全国的な基礎調査も本年度完了見込みと聞いておるところでございます。これは非常に多くの箇所で、大変な労力であると伺っておるところでございます。

 一方で、平成三十年七月の広島県を始めとする西日本豪雨災害や、昨年も全国で多発した土砂災害におきまして、イエローゾーンがやはりまだまだ住民の皆様には伝わっておらず、また、イエローゾーンに指定されていない地域でも犠牲者が発生をした、そのように伺っておるところでございます。

 住民が正しく防災知識を習得して、大雨の際にはみずから避難行動を起こす、そして実効性のある避難体制につなげていくことが今後の喫緊の課題である、そのように認識をしておるところでございます。

 最近では、気候変動の影響もありまして、また、大規模災害の発生する危険性、これは増してきていると考えておるところでございます。

 このような中、土砂災害に備えた今後の避難体制を強化していくために国としてどのように取り組んでいくか、そのお考えをお伺いしたいと存じます。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御認識のとおり、最近二年間の土砂災害の発生件数については平年を大きく上回っており、今後さらなる気候変動による災害の頻発化等に対応するためには、避難体制の強化の重要性が高まっているというふうに考えてございます。

 近年の災害後の検証によると、土砂災害警戒区域に指定されておらず、危険性の周知が十分でない箇所で災害が発生し被害が生じている、また、土砂災害の危険性が十分に住民に認知、理解されておらず、とるべき行動も十分認識されていないといった課題が明らかとなっているところでございます。

 これらの課題に対しまして、現在、学識者等から成る委員会を設置し、土砂災害に備えた避難体制の強化のための取組について検討を進めているところでございます。

 委員会の意見も踏まえまして、土砂災害防止法に基づく基本指針を変更し、従来の地形図よりも詳細に地形の起伏等が判読できる技術も活用して、精度を高めて土砂災害警戒区域を指定すること、自助、共助から成る避難体制づくりを促進するため、地域住民の防災意識を高めるとともに、住民がみずからとるべき行動を明らかにしたマイタイムライン等の作成を推進することといった取組を進めることとしております。

 さらに、気候変動が土砂災害の激甚化に与える影響についても、現在、技術的な検討を進めておりまして、その結果を土砂災害対策の各種施策に反映してまいりたいと考えております。

 これらの取組を推進することで、土砂災害による犠牲者をなくすよう、避難体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

新谷分科員 ありがとうございます。

 住民の皆様の協力も欠かせないと思いますし、ぜひ、また地域に合った対策をお願いしたい、そのように存じます。

 西日本豪雨災害におきましては、発災直後から、国、自治体、民間が協力をしていただきまして、昼夜を問わず尽力をしていただいたところでございます。災害からの復旧には連携をして取り組むことが何よりも必要であろうと考えておるところでございます。

 ただ、やはり、これはもう随分お聞きになったことと思いますが、現場では、建築土木の関係者がいよいよ不足をしておりまして大変な状況になっている、そのように伺っておるところでございます。人員は簡単にはふやせないところでございますし、また、適正な発注の見通しが必要であろうと思っておるところでございます。

 民間の復旧の担い手、これはやはり建設関連産業の事業者の皆様になりますが、そういった産業を育成すべく、安定的な事業量の確保あるいは人材の確保が必要だと考えておるところでございます。技術者の方々も、これは簡単には育たないところでございます。

 例えば、道路の下には水道管が埋まっておりますし、そういった生活インフラを支えるためにも、こういったことは大変重要なことだと考えているところでございます。

 こういった適正な発注、こういったことに関して、国の取組あるいは見通しに関してお伺いをしたいと存じます。

青木政府参考人 お答えいたします。

 建設産業は、お話ございましたように、社会資本整備あるいはそのメンテナンス、その担い手であると同時に、きょうお話ございました平成三十年七月豪雨を始めといたします災害時には、最前線で地域社会の安全、安心の確保を担う、いわば地域の守り手として大変重要な存在でございまして、頻発する災害への対応が求められる中、その役割はますます増大していると考えてございます。

 このような建設産業が引き続き活躍できるためには、お話ございました安定的な事業量の確保それから人材の確保が重要であるというのはまさに御指摘のとおりかと思ってございます。

 このため、公共工事品確法に基づきまして、施工業者が適正な利潤を確保し、そして担い手の処遇改善、そして中長期的な担い手の確保が進められますように、法の趣旨、目的に沿った予定価格の適正な設定やダンピング対策などに取り組んでいるところでございます。

 加えまして、新担い手三法に基づきまして、適正な工期設定、あるいは工期の、工事の平準化によります週休二日制の推進などの働き方改革を促進しますとともに、公共工事設計労務単価の、八年連続になりますけれども引上げを図る、さらには、建設キャリアアップシステムの普及などによりまして、担い手の処遇改善などに取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じまして、建設産業が、給与がよく、休暇がとれ、希望が持てる、新三Kの魅力的な産業として活躍していただけるよう努力してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

新谷分科員 ありがとうございます。ぜひ取組を続けていただきたい、そのように思います。

 次に、道路の拡幅に関して質問させていただきたいと思います。

 土砂災害警戒区域内の避難路の複線化、これは必須であろうと思います。ただ、避難路の複線化は、道幅が狭い町ではなかなか難しいのが現状でございます。

 私、実際、災害に直面して、これは高速道路の山陽自動車道ですが、四車線であって、これはもうほぼ埋まってしまったところであったんですが、一車線、これをあけていただいて緊急車両を通していただいて、これが実際に命をつなぐ道路であったということを経験をいたしました。本当にNEXCOの皆さんに柔軟に対応していただいたところでありますが。せんだっても、広島呉道路、この四車線化が決まったところでございます。災害になったとき等を見据えて、地域の自治体である坂町の小屋浦に救急車が通ることができる緊急退出路を設置してほしい、そういった地元の声もあるところでございます。

 ぜひこういった柔軟な対応をお願いしたいというのは、全国でよく聞くところでもございます。道路の狭い既存の道路を広くする、あるいは、緊急時には迂回路として機能して、また平常時は一般の生活にも使用できる側道設置などの支援を国としてもお願いしたいところでございますが、お考えをお伺いしたいと存じます。

池田政府参考人 土砂災害により通行どめとなって、その結果、孤立が発生するおそれのある道路、こういった道路につきましては、今委員が御指摘ありましたように、多車線化や、迂回路や側道による複線化などの対策を事前に講じておくことは極めて重要であると考えております。

 このため、地方公共団体において国土強靱化計画を現在策定していっていただいておりますけれども、このような計画作成の場面などにおいて、今御指摘のありました多車線化や複線化、こういった対策を盛り込んでいくことが必要であると考えております。

 国交省としては、地方公共団体がそのような計画作成の際に盛り込んだもの及びそれの実施、こういった対策につきまして、今後、御要望を踏まえて防災・安全交付金などでしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

新谷分科員 ありがとうございます。これからもしっかりとした支援をお願いしたいと存じます。

 西日本豪雨災害の後、復旧作業のため通行どめとなっている区間、これがまだまだ復旧作業に着手できていないところがございます。災害復旧のための予算としては、国土強靱化予算、これは三カ年で総額七兆円というところをいただいておるところでございますけれども、まだまだ復旧すらできていない箇所が多く見られるところでございます。

 私の地元でありますけれども、造賀―田万里区間、ここもまさにそうでございまして、復旧を急ぐとともに、また、西日本豪雨災害が過去のものとなってしまわないように、継続的な予算確保をお願いしたいところでございます。このことは全国で頻発する災害被災地各地で言えることであろう、そのように思います。

 国土強靱化計画に伴う予算措置については、先ほど申し上げたとおり、三カ年で七兆円という予算をつけていただいているところでございますけれども、防災についてはこれは中長期の課題であるところでもございます。先ほど申し上げた、健全な事業者、技術者の育成、こういった観点からも、三年以降も継続的に、しかもこれは予見が可能な予算確保をお願いしたいと切に思うところでございますけれども、政府のお考えをお願いしたいと存じます。

宮崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、近年、災害が激甚化、多発化する中で、国土強靱化の取組を進めるため、一昨年末に国土強靱化のための三カ年緊急対策を取りまとめ、政府一丸となって集中的な取組を進めているところであります。

 加えまして、昨年の台風十五号、十九号などの被害を踏まえ、河道の掘削ですとか堤防強化などの水害対策を中心に、更に国土強靱化の取組を強化させ、令和元年度補正予算では一兆円を超える予算を確保しているところであります。

 その上で、委員の御指摘にありました令和三年度以降につきましては、昨年の災害対応から得られた知見ですとか三カ年緊急対策の進捗状況をフォローアップし、国土強靱化基本計画に沿って必要な予算を確保して、オール・ジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、国家百年の大計として、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

新谷分科員 ありがとうございます。ぜひ、この予算確保に向けて最大限の努力をお願いしたいと存じます。

 インフラ整備に関してもちょっと質問を予定しておったんですけれども、時間が大分限られてきておりますので、ぜひインフラの整備も、これは不断の努力が必要となるところでありますので、継続的な努力をお願いしたいと存じます。

 最後になりますが、災害に際して痛感をしたところではあるんですけれども、避難所の環境整備というのも非常に重要なところであろうと思います。エアコンの設置等も本当に重要な課題でありまして、政府には迅速に対応していただいて、感謝を申し上げたいと存じます。

 ただ、一つ、乳幼児に対してどうするか。やはりこれは非常に多くの、独特の課題があろうかと思います。

 また、ペットに関しても、これは家族の一員として過ごしておられる方々も多いところでございます。私も愛犬家でございますので、非常に気持ちがわかるところでありますし、ぜひこういった、乳幼児世帯あるいはペットに関して、避難所の整備の方針に関して、簡単でも結構でございますので、お伺いをしたいと存じます。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、避難所の質の向上を目指すということで、各自治体において役立ててもらうことを目的に避難所運営ガイドラインを作成し、各自治体に周知してございます。

 ガイドラインにおきましては、ペットについて、ペットは飼い主にとって大切な存在でございますと。ペットを飼っている人もそうでない人も避難所で共生できる環境に配慮するために、避難所のペット対策についてのルールを事前に決めておくことが重要であるといたしまして、ペットを飼育するための居場所の確保やゲージを用意する等、具体的な対応を検討するように各自治体に求め、取組を促しているところでございます。

 また、環境省におきましても、各自治体が飼い主による災害時の適正飼育を支援する際の参考とするため、人とペットの災害対策ガイドラインを作成し、避難所における飼育環境整備のための支援の好事例等について各自治体に周知していると承知してございます。

 各自治体においては、これらのガイドラインを踏まえて、避難所におけるペットへの対応、また乳幼児への対応といったものについて取り組んでいただきたいと考えてございます。

 以上でございます。

新谷分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと存じます。

 それでは、時間となりましたので、これで終了とさせていただきます。本当にありがとうございました。

伊藤主査 これにて新谷正義君の質疑は終了いたしました。

 次に、西田昭二君。

西田分科員 石川県能登半島選出、自由民主党の西田昭二でございます。

 本日は予算委員会第八分科会で最後の質問の機会をいただいたということで、大変ありがたく思っているところでございます。大変お疲れのところではございますが、どうか最後までよろしくお願いをいたします。

 まず、このたびの新型コロナウイルス関連肺炎によりお亡くなりになられた方に心から御冥福を申し上げますとともに、現在も治療を続けておられる方や、その検査や治療に携わり、昼夜を問わず業務に励んでおられる関係者の方々にお見舞いと感謝を申し上げるところでございます。

 そして、私の地元石川県は、北陸新幹線の金沢開業以来、観光誘客はもとより、移住、定住の拡大、さらには、企業誘致などの沿線地域の発展に極めて大きな効果を生み出しているところでございます。観光誘客の増加は、地域経済の発展に大変大きな効果をもたらしてくれる一方で、このたびの新型コロナウイルスの発生により、感染拡大の防止や検疫体制の強化といった対策は大変重要なことでございます。

 海外からの航空機や船舶等を介して国内へ侵入することを防止するとともに、航空機や船舶等に関して感染症の予防に必要な措置を講じ、外国から日本へ入国しようとする方に対するしっかりとした水際対策を講じ、国内二次感染などのリスクの軽減を図らなければなりません。

 本県においても、金沢駅、小松、能登空港、金沢、七尾、輪島港など、海外からの人々との交流が多く、感染のリスクが高まる可能性がある場所においての対策はどのようになっているのか、お伺いをさせていただきます。

御法川副大臣 お答え申し上げます。

 駅、空港、港湾等の、海外から訪日される方々を始め多くの方が利用する場所における新型コロナウイルスの感染防止として、水際対策等の徹底は極めて重要な課題であると認識しております。

 今御指摘の各施設においても水際対策等を講じているところでございまして、具体的には、金沢駅においては、駅係員のマスクの着用、あるいは手洗いの励行、利用者向けの消毒液の設置、ポスター掲示による注意喚起による利用者の感染拡大防止策の実施。

 小松空港、能登空港では、ターミナル内の従業員のマスク着用、手洗いの励行、利用者向けの消毒液の設置、ポスター掲示による注意喚起等の利用者の感染拡大防止策の実施。

 また、金沢港、七尾港、輪島港においても、港湾の交流施設等における消毒液の設置、ポスター掲示による注意喚起に取り組んでいるところでございます。

 また、道の駅、ございますけれども、石川県、二十六カ所ございますが、この二十六所全てにおいても、消毒液の設置、ポスター掲示等による注意喚起等を実施しているというところでございます。

 石川県に限らないわけですけれども、近年、訪日外国人旅行者がふえる中で、日本全体として、新型コロナウイルスの感染拡大の防止は本当に重要な喫緊の課題でございまして、国土交通省といたしましては、引き続き、感染拡大の防止に向けた取組の確実な実施を徹底してまいりたいというふうに思います。

西田分科員 ありがとうございます。感染拡大防止のために、しっかりとした対策をよろしくお願いをいたします。

 また、同時に、船舶の大型化に対応した港湾の整備は、輸送コストを削減し、地域産業、そしてまた、地場産業の国際競争力などの支援にもつながります。国際物流ターミナルの整備や日本海沿岸を航行する船舶の安全を確保する避難泊地の確保のためにも、港湾の整備は非常に重要なことだと考えております。

 金沢港、七尾港、輪島港の整備について国土交通省にお伺いをさせていただきたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 金沢港は、金沢市を始めとする加賀地方の経済、産業を支える海上交通拠点として、七尾港は、背後の木材産業を支える物流港湾として、輪島港は、能登半島沖を航行する船舶の安全を確保するための避難港として、かねてから重要な機能を果たしていると認識しております。

 金沢港につきましては、本年四月供用予定の無量寺岸壁を始めとするクルーズ船の受入れ環境改善のほか、物づくり産業を支える国際物流ターミナルの機能強化を進めているところであります。

 昨年、開港百二十周年を迎えた七尾港につきましては、原木を輸入する船舶の大型化に対応し、輸送コストを削減するための国際物流ターミナルの機能強化を進めているところであります。また、同港と高規格道路とのアクセスが改善され、物流拠点としての役割が一層高まっております。

 輪島港については、静穏な避難泊地を確保するための防波堤整備を進めております。また、静穏な海域を活用し、クルーズ船を受け入れるとともに、みなとオアシス輪島マリンタウンにおきまして輪島大祭が開催されるなど、にぎわい空間としても地域振興に貢献しているところです。

 国土交通省といたしましても、港湾の機能強化を通じて地域産業、地場産業を支援し、地域経済の活性化に資するよう取組を加速してまいります。

西田分科員 ありがとうございます。引き続き、港湾整備の促進をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、近年の甚大な自然災害による被害などについてでありますが、昨年は、台風などによる甚大な災害が全国各地で発生をいたしました。被災された多くの方々にお見舞いを申し上げますとともに、そしてまた、今なお不自由な生活を余儀なくされている皆様に、一日も早くもとどおりの生活を取り戻せるよう、さまざまな対策を講じていただくようお願いを申し上げるところでございます。

 そして、一昨年も大雨、豪雪被害と、非常に大きな災害が発生をいたしました。

 一昨年の日本海側における記録的な豪雪は、私の地元である石川県を始めとする北陸地方でも大変大きな被害がございました。鉄道や航空機の運休や、また、福井県、石川県の県境において、国道八号線上の車約千五百台が立ち往生する事態を引き起こしました。これに対する原因の検証と再発防止対策については、引き続き重要なことだと思っております。

 大規模な自然災害が毎年のように発生している中、一昨年の豪雪により大きな被害が発生した国道八号の被害状況、それを踏まえた冬期の道路交通確保のための対策について国土交通省に伺いたいと思います。

池田政府参考人 国道八号の福井、石川県境付近におきまして、平成三十年二月四日から、北陸地方を中心にした大雪によりまして、今お話しありました最大約千五百台の車両の滞留が発生し、その解消に長時間を要し、市民生活に大きな影響を及ぼすことになりました。

 このため国土交通省では、平成三十年二月に、関係機関が集まりまして冬期道路交通確保対策検討委員会を設置しまして、五月には「大雪時の道路交通確保対策中間とりまとめ」をまとめたところでございます。

 この「中間とりまとめ」において、ソフト対策として、大雪が予想される場合の事前の通行どめ予告を徹底して実施することや、ハード対策としては、通行車両がUターンできる場所、あるいは待機できる場所を道路脇にスペースを設けて確保することなどが設けられたところでございます。

 福井、石川県境においては、できるものから早速実施を進めております。また、全国の積雪寒冷地におきましても、この「とりまとめ」に従いまして、現在着実に実施をしているところでございます。

西田分科員 ありがとうございます。

 また、ことしは、地球温暖化の影響の中で、昨年末から本日にかけて、全国的に記録的な雪不足になっております。豪雪被害も大変でございますけれども、ことしのような雪が降らないということも、また地域にとって大きな影響を与えるところでございます。

 石川県は豪雪地帯ではございますが、私の地元能登地域は、沿岸部であり、比較的に降雪が少ない地域でもございます。数年に一度の豪雪に対してオペレーション体制がとりづらい状況でもございます。少子高齢化が進む過疎地域において、特に、地域地域に合ったしっかりとしたオペレーション体制の維持、充実をさせることは、冬期間における安全で安心な地域住民の生活につながります。

 また、除雪作業の担い手の育成についても大変重要なことだと考えておりますが、国土交通省として今後どのように対策をしていくのか、お伺いをさせていただきます。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 除雪業者を含む建設業は、地域社会の安全、安心を担う地域の守り手でございまして、委員御指摘のとおり、その担い手の確保は重要な課題と認識しております。

 このため国土交通省では、昨年の通常国会で成立いたしました新担い手三法に基づきまして、適正な工期設定による週休二日の実現などの働き方改革の推進や公共工事設計労務単価の八年連続での引上げなどによる、建設労働者の処遇改善に取り組んでいるところでございます。

 特に、除雪作業の担い手確保につきましては、その厳しい実情を踏まえ、国土交通省直轄工事におきまして受注者が適正な利潤を確保できるように、これまで、作業員の待機に要する費用を見込むなどの積算基準の改定を行ってまいりましたけれども、今月には、道路除雪に関する作業員の人数をより多く見込んだ積算基準に改定したところでございます。

 このほか、雪が余り降らなかったときにおける経常的な支出負担をカバーするための保険というものが既に商品化されているというふうに聞いておりまして、こうした事例も参考にしつつ、除雪に関する今後の積算のあり方を勉強しているところでございます。

 今後とも、関係機関や業界との意見交換の場を通じまして、豪雪地域の厳しい実情を的確に把握いたしまして、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

西田分科員 大変ありがとうございます。大変安心した答弁で、引き続き現場の声を聞いていただきたいと思いますし、地方の除雪体制の維持、充実のために、ぜひともこれからもよろしくお願いをいたします。

 次に、防災・減災、国土強靱化対策の推進でございますが、近年、記録的な豪雨や台風などの大規模な自然災害が多発し甚大な被害を発生させている中で、安全、安心な国土づくりを進めるためにも、防災・減災、国土強靱化対策については、三カ年で終わるものではなく、国民の生命財産を守るためには、中長期的な見通しのもと、計画的かつ着実に実施されなければなりません。

 また、橋梁やトンネルなど多くの公共施設が今後急速に老朽化することが懸念されることから、五カ年計画で進めてきたインフラ老朽化点検結果に基づき、長寿命化対策の継続的かつ着実な推進が求められております。

 このため、三カ年緊急対策後にあっても、防災・減災、国土強靱化対策を着実に事業展開し、インフラ長寿命化対策の継続した推進に向けて、新たな財源の創設など、従来のインフラ整備予算とは別枠の予算を確保するなどの必要があるのではないかと考えております。

 また、私の地元を始め沿岸部については、塩害による侵食や被害などについても考えなければならないと思っております。

 地域地域に合わせた対策についても、あわせて国土交通省としてどのように考えているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、平成三十年七月豪雨などの激甚災害を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としても、例えば、河川における河道掘削、樹木の伐採や道路におけるのり面対策など、三カ年緊急対策を実施しているところであり、令和二年度におきましても着実に実行してまいります。

 加えまして、三カ年緊急対策の策定後に発生いたしました令和元年の房総半島台風や東日本台風などに見られるような、これまで経験したことのないような自然災害に対応していくためには、気候変動の影響を考慮し、より抜本的かつ総合的な防災・減災対策が必要と認識しておるところでございます。

 一方で、例えば道路の橋梁では、現時点で早急又は緊急に措置すべきものが約六万九千橋となるなど、高度成長期以降に整備しましたインフラが加速度的に老朽化しており、インフラの機能を将来にわたり発揮させるための老朽化対策も喫緊の課題でございます。

 このため、三カ年緊急対策終了後も、防災・減災、国土強靱化の取組を更に強化するとともに、深刻化するインフラの老朽化への対策を徹底することが重要であると認識しておるところでございます。

 さらに、インフラの老朽化の状況は、同じ構造物、同じ経過年数であっても、その施設の存する地域の自然条件や使用条件等によりまして大きく異なります。

 委員から御指摘のございました塩害につきましては、委員の御地元のように、海に面した沿岸部において特有の課題であると認識しており、インフラの老朽化対策につきましては、それぞれの地域ごとの状況なども踏まえつつ、適切に対応することが必要であります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、政府全体の議論をも見据えつつ、より抜本的かつ総合的な防災・減災対策等をしっかりと検討し、その上で、必要な公共事業予算の確保に努力してまいります。

 以上でございます。

西田分科員 ありがとうございます。引き続き、地方における国土強靱化対策の充実をぜひともよろしくお願いをいたします。

 次に、公共事業予算の継続的、安定的な確保についてでございます。

 地方の建設業は、社会資本整備、維持管理を通じて地域経済や雇用を支える基幹産業であるとともに、除雪や災害復旧など、住民の安全、安心を確保する重要な役割を果たしております。今後の人口減少社会を踏まえ、働き方改革、生産性の向上への取組を進め、担い手を確保、育成し、地域の守り手としての役割を果たしていくためには、何よりも、健全で安定した経営を継続する必要があります。

 そのために、社会資本整備の中長期的な見通しを明確にした上で、地方の中小建設業者が取り組める地域密着型事業を含めた公共事業予算の継続的、安定的な確保とともに、地域の実情を踏まえた適正な発注についての考え方、及び、令和元年度補正予算と令和二年度当初予算を組み合わせた切れ目のない取組、予算配分に当たり、大都市地域に比べ整備が特におくれている地方への傾斜配分についての考え方について伺いたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 地域経済を支えるため、そして安全、安心な暮らしを確保するためには、地域の社会資本の着実な整備とともに、その担い手である地域建設業者がしっかりと役割を果たしていくことが重要であると認識しております。

 また一方、地域活性化を持続的に果たしていくためには、委員御指摘のように、公共事業予算を継続的、安定的に確保するとともに、必要な公共事業の計画的かつ着実な実施を図ることが重要であります。

 令和二年度当初予算案では、令和元年度補正予算とあわせた十五カ月予算の考え方に立って、臨時特別の措置を活用して相当規模の予算を確保し、切れ目なく事業を進めていくこととしております。

 加えまして、地域の抱える課題に対して的確に事業が実施されるよう、地域の実情や要望などを十分に踏まえた適切な予算配分に努めてまいりたいと考えております。

 また、公共事業の発注に当たっては、公正性及び透明性の確保を前提としながら、その中で、例えば、地域ごとの調達資材価格を踏まえた適正な予定価格の設定、あるいは、地域の実情に応じた適切な規模、内容での発注など、引き続き、地域における公共事業の円滑な施工確保のための環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

西田分科員 ありがとうございます。ぜひとも、地域に応じた、地方に温かい予算の配分をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、のと里山海道の四車線化、能越自動車道の整備促進について、私の地元の道路でありますが、質問をさせていただきたいと思います。

 能登半島では、日本海に細長く突き出た半島特有の地理的条件により地域格差が生じ、石川県では、能登半島の地域格差をなくすことが課題となっております。

 これら地域格差を是正するため、県内の均衡ある発展を目指し、能登半島を縦貫する自動車専用道路を計画し、昭和五十七年に能登有料道路を全線開通させました。平成二十五年にはのと里山海道として無料化、交通量も増加し、能登地域にとって大変重要な道路でございます。

 当初は片側一車線の二車線の自動車専用道路でございましたが、現在は、追越し区間などの整備を重ね、四車線区間が延長しておりますが、中能登地域から奥能登地域にかけて、二車線区間が主で、四車線区間と二車線区間が混在している状況でございます。

 その二車線区間ではたびたび大きな事故が発生し、数年前には、地元の高校球児が遠征に向かう最中に乗車していたバスが正面衝突を起こし、二名の高校生が亡くなるという大変痛ましい事故が発生をいたしました。その後もたびたび大きな正面衝突事故が発生しております。

 また、事故の発生もさることながら、災害時の緊急車両の通行や医療などに係る救急車両の通行にも大きな影響を与えております。

 地域間格差を解消し、安全、安心な生活を確保するためにも、私の地元ののと里山海道の片側一車線の自動車専用道路については早期の複線化が望ましいと考えておりますが、国土交通省としての考え方を伺いたいと思います。

池田政府参考人 今委員お話しのありましたのと里山海道でございますけれども、全体が八十九キロでございますが、四車線の区間は三十五キロということで、まだ半分以上の五十四キロが二車線区間になっております。

 ただいま御指摘ありましたように、二車線の区間は、交通安全の観点からも課題があるとともに、災害時の迅速な復旧の観点からも、幹線道路のこののと里山海道のような道路の四車化は重要な課題であるというふうに考えております。

 現在、石川県において柳田インターから上棚矢駄インターの十キロの四車線化の事業が進められているところでございまして、できるだけ早期の完成を目指して事業を推進しておられます。

 国交省としては、石川県のこの事業について、最大限、財政的な支援をしてまいりたいと考えております。

西田分科員 ありがとうございます。引き続き、御支援、また、御協力をお願いしたいと思います。

 また、能越自動車道の整備促進については、能登半島地域における高速交通ネットワークの充実を図り、能登空港の利用促進や、三大都市圏にもつながり、地域を活性化させることにもなります。また、先ほど申し上げましたが、住民の安心、安全な生活を守り、緊急時における命をつなぐ道路としても早期の整備を期待しておりますが、その能越自動車道のことについても国交省にあわせて伺いたいと思います。

池田政府参考人 能越自動車道でございますけれども、これまでに全体の約八割の九十六キロが開通しまして、未開通区間につきましても、全区間で事業を推進をしております。

 未開通区間のうち、輪島市の輪島道路約五キロについては、令和四年夏までの開通を目指して工事を進めております。また、その先の輪島道路二期、ここは七キロでございますけれども、ここについては、用地買収と工事を今推進しております。また、七尾市の田鶴浜七尾道路、これは三キロでございますけれども、平成三十年度より用地買収を推進しております。

 残る未開通区間の一日も早い全線の開通に向けまして事業を推進してまいりたいと考えております。

西田分科員 ありがとうございます。これからも、ぜひとも早期の整備促進にお力添えを賜りたいと思います。

 次に、海岸保全対策、侵食対策について伺いたいと思います。

 私の地元には、千里浜なぎさドライブウェイという、日本で唯一の、砂浜なんですけれども、海岸線を車で走ることができる、全長約八キロメートルの海岸線がございます。地元の方はもちろん、観光客にも愛されており、石川県では自慢の海岸線でございます。

 近年では、波の影響により毎年一メートルもの海岸が侵食されており、海岸線が狭くなってきております。この貴重な観光資源でもあります千里浜なぎさドライブウェイを始めとした千里浜海岸の侵食対策について、地元自治体や県の管理区間などさまざまな決まりがあることは承知をしておりますが、国として、こういった貴重な資源の保護に対しての考え方や対策について国土交通省に伺いたいと思います。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の千里浜海岸、千里浜なぎさドライブウェイは、全国で唯一、車で走ることができる砂浜として、毎年七十万人を超える方々が訪れ、地域の観光資源としても非常に重要な海岸であるというふうに認識しております。

 千里浜では、平成二年には平均して六十メーターあった砂浜が、その後約二十年間で約二十メーター後退するなど、侵食が進んでいたところでございます。

 そのため、海岸管理者である石川県が、継続的に養浜による対策を行うとともに、平成二十年度からは、これに加えて人工リーフの整備など、対策を行っているところでございます。

 国土交通省では、県の事業について防災・安全交付金による支援をするとともに、国土技術政策総合研究所による技術的な助言、また、北陸地方整備局が実施する金沢港のしゅんせつ工事で発生する土砂を養浜材として提供するなどの支援を行ってきたところでございます。

 近年では、整備した区間では砂浜が回復傾向にあるほか、千里浜の平均的な砂浜の幅についても下げどまるなど、侵食対策の効果もあらわれているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後も、千里浜の整備に必要な予算の確保に努めるとともに、引き続き、技術的な協力を行うことにより、侵食対策が着実に進むよう支援をしてまいりたいと考えております。

西田分科員 これからも、石川県の宝であります千里浜海岸の保全、そしてまた、侵食対策の支援をまたよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、大和堆における排他的経済水域における漁業者の安全な操業の確保について伺いたいと思います。

 我が国の排他的経済水域内の日本海中央部に位置する大和堆は、イカ釣り漁や底びき網漁船の好漁場として知られております。

 近年の北朝鮮籍、中国籍と思われる外国漁船の悪質な違法操業は、我が国漁業者の安全な操業を妨げた上で、水揚げについても大きく減少をしております。イカ釣り漁業の継続が本当に危ぶまれておりますし、漁業者やその家族からは、日本の領海で安全に操業できるようにしてほしいという思いに応えるためにも、しっかりとした取締りを本年も続けていただきたいと思っております。

 大和堆における海上の取締りについて、海上保安庁の考え方についてお伺いをさせていただきます。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、昨年五月下旬から複数の巡視船を大和堆周辺海域に配備し、水産庁とも連携しつつ、同海域に接近しようとする外国漁船延べ千三百二十隻に退去警告を行い、そのうち二百五十二隻に対しては放水措置を実施し、我が国排他的経済水域の外側に向け退去させました。

 また、大和堆を含めた日本海側の海上保安体制強化のため、昨年七月に大型巡視船を配属がえし、日本海側の勢力を増強したところです。

 さらに、日本海側へ、来年度までに大型巡視船二隻を、令和三年度中には中型ヘリコプター一機を増強することなどを計画しております。

 本年におきましても、大和堆周辺海域における日本漁船及び外国漁船の状況を踏まえて、引き続き、必要な体制を整えるとともに、日本漁船の安全確保を最優先とし、水産庁と緊密に連携しつつ、適切に対応してまいります。

西田分科員 ありがとうございます。

 地元の漁業者の方々は本当に切実な思いで漁業をしているところもありますし、廃業を余儀なくされているところもあると思いますので、これからも国として力強い姿勢で漁業者の安心、安全な操業をぜひとも守っていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて西田昭二君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時七分散会


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