衆議院

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第1号 平成28年11月21日(月曜日)

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本分科会は平成二十八年十一月十七日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

十一月十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋本 真利君    浅尾慶一郎君

      遠藤 利明君    木村 弥生君

      後藤田正純君    白須賀貴樹君

      園田 博之君    篠原  豪君

      松田 直久君    穀田 恵二君

十一月十八日

 後藤田正純君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年十一月二十一日(月曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 後藤田正純君

      秋本 真利君    浅尾慶一郎君

      大串 正樹君    木村 弥生君

      白須賀貴樹君    園田 博之君

      大西 健介君    逢坂 誠二君

      篠原  豪君    松田 直久君

      穀田 恵二君    斉藤 和子君

   兼務 角田 秀穂君 兼務 松浪 健太君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   環境大臣         山本 公一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松本  純君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 鶴保 庸介君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    加藤 勝信君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   外務副大臣        岸  信夫君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 星   明君

   裁判官訴追委員会事務局長 岡本  修君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       吉溪幸一郎君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       戸田 直行君

   会計検査院事務総局第一局長            村上 英嗣君

   最高裁判所事務総長    今崎 幸彦君

   最高裁判所事務総局家庭局長            村田 斉志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 進藤 秀夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   西崎 文平君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      西村 泰彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (観光庁次長)      蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        田中  聡君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          川上 好久君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        北岡 伸一君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   環境委員会専門員     関  武志君

   決算行政監視委員会専門員 塚原 誠一君

    ―――――――――――――

分科員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     大串 正樹君

  篠原  豪君     大西 健介君

  穀田 恵二君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     遠藤 利明君

  大西 健介君     逢坂 誠二君

  大平 喜信君     斉藤 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     篠原  豪君

  斉藤 和子君     穀田 恵二君

同日

 第二分科員角田秀穂君及び第三分科員松浪健太君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十四年度政府関係機関決算書

 平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十五年度政府関係機関決算書

 平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

後藤田主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いをいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省、環境省所管、沖縄振興開発金融公庫及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うこととなっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十四年度決算外二件及び平成二十五年度決算外二件中、内閣所管、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、内閣府所管中警察庁、内閣府所管中消費者庁、国会所管、皇室費、裁判所所管、会計検査院所管、内閣府所管中金融庁、復興庁所管、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び環境省所管について審査を行います。

 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十四年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額九億七千七百三十万円に対しまして、収納済み歳入額は百六十五億三千六百四十八万円余であり、百五十五億五千九百十八万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額九百七十三億三千九十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は九百一億一千五百九十三万円余であり、七十二億一千五百一万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は三十六億七千七百二万円余であり、不用額は三十五億三千七百九十八万円余であります。

 次に、平成二十五年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十二億二千三百五十二万円余に対しまして、収納済み歳入額は三十三億六千八百九十一万円余であり、二十一億四千五百三十八万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額一千百二十九億七千八百七十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は一千億一千三百三十七万円余であり、百二十九億六千五百三十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は九十五億一千八百十九万円余であり、不用額は三十四億四千七百十四万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

後藤田主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣所管については終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十四年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額二百五十八億五千二百五十九万円余に対しまして、収納済み歳入額は百八十億九千八百六十七万円余であり、七十七億五千三百九十二万円余の減少となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額二兆三千百十四億四千八百九十四万円余に対しまして、支出済み歳出額は五千六百七十八億二千四百二十万円余であり、一兆七千四百三十六億二千四百七十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は一兆五千五百二十五億六千四十五万円余であり、不用額は一千九百十億六千四百二十八万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額一兆九千三百九十一億八千百十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は二千八百二十二億五百五十一万円余であり、一兆六千五百六十九億七千五百六十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は一兆四千九百六億一千九百三十万円余であり、不用額は一千六百六十三億五千六百三十四万円余であります。

 次に、平成二十五年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額一千二百四十四億二千九百六十二万円余に対しまして、収納済み歳入額は一千二百五十一億八千三百七十万円余であり、七億五千四百七万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額八千七百四十億二千五十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は六千二百六十六億六千九百八十三万円余であり、二千四百七十三億五千六十七万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は一千九百九十九億九千九百四十七万円余であり、不用額は四百七十三億五千百十九万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会及び特定個人情報保護委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額五千二百三十二億八千八百十万円余に対しまして、支出済み歳出額は三千九十二億七千三百三十二万円余であり、二千百四十億一千四百七十八万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は一千八百二十六億六千二百十一万円余であり、不用額は三百十三億五千二百六十六万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。

 検査報告番号二号及び三号の二件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助の対象とならないなどのものが一件、補助の目的を達していなかったものが一件であります。

 なお、以上のほか、平成二十三年度決算検査報告に掲記いたしました沖縄振興開発金融公庫による省エネルギーの促進に係る貸し付けについて意見を表示した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 続きまして、平成二十五年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会及び特定個人情報保護委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一号は、国民経済計算システムに関する設計・開発作業に係る請負契約において、システムの構築に必要な情報が受注者に適切に提供されなかったなどのため、契約が履行途中で解除となり、所期の目的が達成されなかったものであります。

 同二号は、木造施設の施工が設計と相違していたため、所要の安全度が確保されていない状態になっていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、地域活性化・緊急安心実現総合対策交付金等による地方単独事業の実施状況を踏まえ、同種の交付金であるがんばる地域交付金について、貸付金や保証金に交付金を充当しないよう明確にすることにより、交付金がその交付の目的に従って活用されるよう改善させたものであります。

 その二は、沖縄県内の市町村が実施する特産品の開発等による地域活性化等を目的とした補助事業について、補助事業完了後に事業効果を検証するためのフォローアップ等が適切に行われるとともに、同様の目的で実施している交付金事業について、事業効果を検証するための継続的なフォローアップが行われるよう改善させたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

後藤田主査 次に、会計検査院戸田審議官。

戸田会計検査院当局者 平成二十四年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。

 これは、情報システムに係る運用保守業務契約の予定価格の積算に関するものであります。

 検査いたしましたところ、情報システムの運用保守業務契約において、作業種別ごとの実績が報告されず、運用保守業務の実態を把握できない状況となっているなどしていて、予定価格が過大に積算されている事態が見受けられました。

 したがいまして、沖縄振興開発金融公庫において、作業種別ごとの実績が確認できる書類を提出させて、当該実績により把握した運用保守業務の実態を踏まえるなどして、予定価格の積算を適切なものとするよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。越智内閣府副大臣。

越智副大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府経済社会総合研究所において、システム開発における高度な知見を持つ技術者を職員として採用するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後も、再発防止及び事業の適正な執行に万全を期してまいる所存でございます。

後藤田主査 次に、鶴保国務大臣。

鶴保国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業については、既に補助金を返還させるなど、所要の措置を講じたところであります。

 施工が設計と相違していた事業につきましては、手直し工事を完了させるなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

後藤田主査 次に、川上沖縄振興開発金融公庫理事長。

川上政府参考人 平成二十五年度決算におきまして会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、御説明を申し上げます。

 情報システムに係る運用保守業務契約の予定価格の積算につきまして御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。

 当該指摘につきましては、検査結果を踏まえ、沖縄振興開発金融公庫におきまして、契約書等を見直した上で、委託先の作業種別ごとの作業実績を確認し、運用保守業務の実態を把握するとともに、予定価格の積算に適切に反映する所要の措置を講じたところであります。

 今後とも、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

後藤田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付しております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 民進党の大西健介でございます。

 本日は、質疑の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入っていきたいというふうに思います。

 十一月八日の参議院の内閣委員会で、土人という発言に対して鶴保大臣が、私個人が大臣という立場でこれが差別であるというふうに断じることは到底できないという答弁をされました。そして、鶴保大臣は、記者会見において、このようにも言われております。何度も同じことを繰り返すしかない、コメントはないと語って、撤回しない考えを明確にしております。

 これに対して、各方面に憤りの声、そして発言の撤回を求める声が広がっております。

 例えば、沖縄の翁長知事、こんなふうにおっしゃっています。沖縄の歴史がわかっていれば出てこないと思う、大変遺憾であり、残念だ、県知事としても、一県民としても、言語道断で到底許されるものではなく、強い憤りを感じていると、本当に強い怒りを表明されております。

 また、連立与党の公明党の井上幹事長、会見でこのように言われています。いわゆる報道規制用語、差別用語という位置づけになっている、沖縄の皆さんが沖縄蔑視、差別の象徴としてこの言葉を捉えていることを重く見る必要がある。また、これはきちっとしなければいけないことだとも語り、鶴保大臣に認識を改めるように促しているということであります。

 連立与党の幹事長である井上幹事長が、これは差別用語であると認識をされている、また、沖縄の方がどう受けとめているか、これをしっかり第一に考えるべきであるという発言をされておりますけれども、改めて大臣、撤回をし、謝罪をするおつもりはありませんか。

鶴保国務大臣 今回の警察官のように、逮捕権を有し、公権力を行使する立場にある者が威圧的言動を行ったこと、不適切な言葉を使ったことについては、許すまじき行為であり、私が土人発言を容認しているわけではないということは何度も申し上げてまいりました。そしてまた、このことは政府として一致した見解であると承知をしております。

 その上で、私は、これまで人権問題について多少かかわりがあった立場から、これを人権問題ですかと問われたことに対してお答えをしたものであって、ある事項が人権問題であるかどうかは、この発言のみを捉えるのではなく、別問題であると考えており、この問題についての認定は大変難しいものであるということを答えたにすぎません。

 いずれにせよ、今回の警察官の発言は、相手方を極めて不快にさせ、警察の信用を失墜させるような不適切なものであるということは繰り返し申し上げましたので、沖縄県民の感情を傷つけたという指摘については真摯に受けとめていきたいと思います。

大西(健)分科員 警察官の発言が悪いということはもちろんですけれども、皆さんが怒っているのは、これを差別ではないと言い張っている大臣の発言にも怒っているんですよ。私は、大臣は悪いと思っていないんじゃないかと。今のお話も、警官の発言は悪い、でも、差別じゃないんだと。なぜこのことを撤回しないのか、私には理解できません。

 そして、先週十七日、都内で山口壯衆議院議員のパーティーがありましたけれども、大臣は、こういうところで変なことを言うと、すぐ言葉尻を捉えられると述べたそうですけれども、土人発言についてのみずからの発言についても、言葉尻を捉えられたと思っているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

鶴保国務大臣 まず、もう一度繰り返しになりますけれども、私は差別ではないと一言も申し上げてはおりません。差別かどうかを断定する立場にはないというふうに申し上げました。

 なおかつ、言葉尻を捉えたという御指摘の件でありますが、一般論として、私は、説明を行うことが釈明と言われたり、発言の一部である言葉尻だけを捉えられたりすることがたまにあるということで、自戒を込めて申し上げたつもりであります。

大西(健)分科員 大臣が何と言おうと、先ほど、公明党の井上幹事長も言われているように、一般には差別用語と捉えられているし、そして、何よりも沖縄の人が、侮辱的な言葉だ、自分たちを蔑視する言葉だと捉えているところが重要なんですよ。

 一般で言うと、例えば、報道機関では、土人という言葉は差別用語として表現の自主規制対象用語に指定されています。例えばですけれども、共同通信社発行の記者ハンドブックでは、差別用語、不快用語とされ、先住民や現地人と表記することが指導されている。

 これは一般の話ですけれども、私がきょう指摘したいのは、実はこれまで政府は、国会の場でも、土人というのは差別的な用語であって、不適切だということを明確に答弁しているんです。

 きょう、皆さんのお手元に過去の会議録をお配りさせていただいていますけれども、これをごらんいただきたいんです。

 これは、いずれも当時存在をしていた北海道旧土人保護法という法律に関するやりとりなんですけれども、まず平成三年の会議録ですけれども、法務委員会、法律の名称そのものが差別ではないかという質問に対して、当時の内閣内政審議室長が、「非常に不適切な言葉だというふうに考えます。」と答弁しています。同じやりとりの続きですけれども、法務省の人権擁護局長、先ほど大臣は人権問題に携わってきたということでしたけれども、人権擁護局長がこのようにはっきり言っている。「やはりその響きとしてべっ称という印象を与える点で適切でない、そういうふうに考えております。」と答弁しています。

 さらに、次の会議録ですけれども、これは平成五年、参議院の決算委員会でありますけれども、「旧土人という呼び方が私は差別ではないかと思っているんですが、これについての感想をまず第一点伺いたい。」ストレートな、そのまま旧土人、土人というのがこれは差別ではないかというふうに質問したのに対して、当時の丹羽雄哉厚生大臣が、「旧土人という言葉は私自身もいかにも委員と同様に差別的な響きを与えかねないと考えておりまして、現在の社会通念に照らして適当ではない、こう考えております。」これは明確な答弁なんですね。

 つまり、大臣が判断する立場にないとかと言っているけれども、今までも政府のちゃんとした人たちが、大臣がですよ、厚生大臣がはっきりと、差別的で不適切だと言っているじゃないですか。ですから、これが従来の政府見解なんです。

 だから、大臣が従来の政府見解と違うことを言っていること自体が私は大きな問題だというふうに思いますけれども、これでも撤回し修正しませんか。

鶴保国務大臣 土人という言葉につきまして、大西委員の方から質問主意書も提出されております。十一月十八日に、閣議決定の後、お返しをしておるというふうに思いますが、例えば広辞苑を見れば、その土人の意味として……(大西(健)分科員「過去の国会答弁との整合性を言っているんです」と呼ぶ)

後藤田主査 御静粛に。

鶴保国務大臣 「1、その土地に生まれ住む人。土着の人。土民。2、未開の土着人。軽侮の意を含んで使われた。3、土でつくった人形。土人形。泥人形。」とされているものでございます。

 このように、確かに委員御指摘のような侮蔑の意味を含んで使われる場合もありますが、この言葉の中には、その土地に生まれ住む人、土着の人という言葉もございます。この語がどのような意味合いで用いられるかについては、人権問題であるかどうかということでありますが、その場その場によって判断をせねばならないというふうに思います。

 したがいまして、私は、今回の事案について私が判断する立場にはないということを申し上げたつもりであります。

大西(健)分科員 今私が申し上げたのは、過去の答弁で、国会の場で、ちゃんと会議録に残っている言葉で、政府はこれまでも、この旧土人という言葉自体が差別じゃないですかという質問に対して、差別的で不適切だとはっきり答弁しているんですよ、丹羽大臣が。

 ですから、これまでの政府見解とも異なるし、そして、私は私の質問主意書に対する答弁書もおかしいと思いますが、というのは、松本国家公安委員長も、不適切であり、まことに遺憾である、菅官房長官も、大変残念で許すまじき行為であると言っていますし、金田法務大臣は、我が党の有田議員の質問に対して、土人という言葉は差別用語だと思わないかという質問に対して、その言葉のみを捉えてどう思うかと言われれば同じように思うと答弁されている。金田法務大臣も差別だと言っているし、そして今までの政府見解も差別的で不適切だと言っているんです。

 これは閣内不一致だし、そして今までの政府統一見解とも明らかに矛盾していると思いますけれども、菅官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 沖縄において今回の警察官のような、逮捕権を有し公権力を行使する者が威圧的行動を行ったことについては許すまじきことであり、鶴保大臣が土人発言を容認しているわけではないと承知しております。このことは、政府と一致した見解であるというふうに思っています。

 鶴保大臣は、これまで人権問題に関して深く広範に議論してきた、そうした経験から照らして、ある事項が人権問題であるかどうかを第三者が一方的に決めつけることは非常に危険であり……(大西(健)分科員「人権問題なんか聞いていないです。差別ですかと聞いているんです」と呼ぶ)

後藤田主査 御静粛にお願いします。

菅国務大臣 大変難しい問題があるとの考えを述べてきているんだろうというふうに承知しています。

 その上で、一般論として、ある事項を人権問題として捉えるかどうかについては、政府として個別の事案ごとにつぶさにこれを注視していくことが重要であるというふうに考えています。

 この点からしても、鶴保大臣と法務大臣との間で認識に差異はなく、閣内不一致ということは当たらないというふうに思います。

大西(健)分科員 今の答弁は、二つの点でごまかしがあるんですね。

 一つは、警察官が言ったことは、これは許すまじき行為で不適切だと言っているけれども、でも、人権問題かどうか判断できないということが一つと、それからもう一つは、要は、不適切かどうかとか、人権問題かどうかじゃなくて、この土人ということが差別用語かどうかということを私は問うているんですよ。これは、今お示しした会議録ではっきりと、差別的な響きであり、不適切だと言っているんです。この名称自体が問題だ、中身じゃないんですよ。

 ですから、ぜひ官房長官、では、土人という言葉が差別用語で不適切かどうかということについて、政府の統一見解を出してください。お願いします。

菅国務大臣 政府としては、先ほど鶴保大臣が答えていましたけれども、質問主意書に対して先ほど答弁したとおりであります。

大西(健)分科員 菅官房長官、ちゃんと私の聞いたことについて答えてください。土人が差別用語か否か、不適切かどうか、これについて政府の統一見解を求めます。お願いします。

菅国務大臣 ですから、先ほど鶴保大臣が広辞苑の中で三点について話をされました。したがって、今回の土人発言は差別と断定できないというのは政府の一致した見解であるというふうに考えています。

大西(健)分科員 さっきから示している私の会議録と、全く私は違うと思いますね。

 何でこれぐらいのことを、いや、不適切だった、申しわけなかったと言えないのか、私は本当に信じられない思いでありますけれども、私は、これだけでも、沖縄の皆さんの気持ちを踏みにじっている、もう鶴保大臣は沖縄担当大臣として失格だというふうに思います。

 加えて、きょう、大臣の資質を疑われる報道が出てまいりました。

 きのうの毎日新聞でありますけれども、この新聞の報道によりますと、鶴保大臣が国土交通副大臣をされていた二〇一三年の一月十一日、観光振興を目的とする山梨県のNPO法人の副代表を務める人物が、本人以外の名義で、法令上の上限を超える二百万円分のパーティー券を購入した。そして、鶴保大臣がその人物と、その五日後の一月十六日、副大臣室で面談をしている。さらに、その後、三月ですけれども、このNPOが観光庁の補助事業に選ばれて補助金を受けることになった。また、その補助金が決定された後に、同じ年の十月に、また同じ人物から百万円のパーティー券を購入してもらっているということです。

 私、今ここに、鶴翔会、大臣の資金管理団体の収支報告書を持っていますけれども、この中で私もパーティー券の購入については確認をさせていただいておりますけれども、補助事業にかかわる副大臣がお金を受け取って、そして、しかも省内、副大臣室でその人物と面談をしている。これは、仮に、先ほど申し上げた、補助事業について大臣が何らかの口きき等を行っていたとすれば、これは収賄等にも問われかねない重大な疑惑だというふうに私は思っています。

 あわせて、政治資金規正法は、名義を偽装したパーティー券の収受を禁じている。このNPOの副代表を務めていた人物、一宮敏之さんという方ですけれども、この方は、あえて自分の名前ではなくて別の人の名前でパーティー券を購入したということを取材に対してもはっきりと述べているということなんですけれども、もしこれが事実なら、他人名義で同一人物に上限百五十万円を超えるパーティー券を購入してもらったこと自体が政治資金規正法違反で、違法行為だというふうに思いますけれども、今私が申し上げたこの報道、大臣、事実でしょうか、いかがでしょうか。

鶴保国務大臣 一連の記事で報道された内容につきましては、私も報道で初めて知りまして、大変驚いておるところであります。

 まず、冒頭に委員が申された国交省の副大臣時代の話でありますが、一月十六日にこのホテル経営者らが私と面会をしたということでありますが、この事実も、記録が残っていないため、確認ができません。また、私は、これは自分自身の問題でもありますからはっきり申し上げておきますが、口ききなど、事実自体はなかったと思います。思いますというか、であることを強調しておきたいというふうに思います。

 また、事務所としても、本件NPO法人の補助事業選定については把握しておりませんし、当然のことながら、そのような口ききなどするはずもないというふうに申し上げておきたいと思います。

 また、この政治資金報道については、パーティー券に関する件でございますが、事務所においては適正に処理していたという認識でありまして、記事で指摘のあったパーティー券の購入に至る経緯については承知をしておりませんでした。これまでも政治資金については適正に処理するよう心がけてきたところではありますが、この機に、今後一層コンプライアンスを徹底するよう、改めて事務所に厳しく指示をさせていただきたいと思います。

 また、次に、この記事においてさまざまな臆測を生んでおります。記事によっては、記事で知ったことなのでちょっとごめんなさいね、このホテル経営者が、破産したホテルの不動産を買収し、新名称で営業していたということ、あるいは、破産管財人が旧ホテルからのパーティーの対価を支出していないと証言していること等から、私もこれの事実確認をさせていただいているところでありますけれども、まずは、襟を正す意味から、これらの対価については返金をさせていただきました。

大西(健)分科員 やましくなかったら返金する必要もないでしょうし、私、今申し上げたように、一つは、二〇一三年の一月十一日、限度額を超える二百万円のパーティー券を購入してもらっている。さらには、補助金決定が決まった後の十月にも百万円、さらには翌年、また追加の補助金決定が決まって、その後にまた、二〇一四年の三月ですけれども百五十万円、これだけでも足したら四百五十万円ですよ。そんなにたくさんパーティー券を買ってもらった人が、副大臣室に来て、事務所とかじゃなくて副大臣室に来て、会ったということも覚えていないなんというのは、私の感覚からしたらあり得ないというふうに思います。

 改めて、鶴保大臣、事務所の方、スケジュール担当の方とかにも確認をしてもらって、副大臣室で会ったのかどうなのか、これをちゃんと確認してもらえませんでしょうか。

 それから、私が聞いているところによると、この一宮さんは、この資金の処理の仕方についても、事務所の指示に従って、こういうような形で寄附をさせてもらったということを、秘書さんとちゃんと打ち合わせをしてやったというふうに証言をされているというふうに聞いているんですけれども、それも含めて、しっかりもう一回精査をして、事務所に調査をして、その結果を委員会に報告していただけませんか。

鶴保国務大臣 日程のことにつきましては、全く、もう一度精査をしたいと思いますが、何分にも四年前のことでもありますから、ここで確実にこうなりますということまでお約束はできかねる状況であります。

 また、秘書と結託というか、打ち合わせがあったのではないかという話でありますけれども、私が秘書等々とヒアリングをしている限りでは、そのような事実はないと認識をしております。

大西(健)分科員 いずれにしろ、先ほど申し上げたように、事実としたら、これは大変重大な問題ですから、大臣、いや潔白なんだと言うならば、きっちり事務所にも再度調査をしていただいて、その結果をしっかり報告していただきたいと思います。

 あわせて、これは副大臣室でのことですので、きょう国交省にも来ていただいていますけれども、観光庁にも来ていただいていますけれども、この一宮氏は、二〇一三年一月十六日午後五時と時間まで正確に証言しているんです。しかも、そこには観光庁出身の秘書官が同席していたということです。

 そこで、国土交通省に確認したいんですけれども、鶴保副大臣が副大臣室で、二〇一三年一月十六日、一宮氏と、一宮氏が副理事長を務めていた日本国際ふれあい協会というNPOの関係者と会ったのは事実かどうか。また、官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業について、鶴保氏や鶴保事務所関係者から問い合わせ等を受けたことがあるかについて、お答えをいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の鶴保元副大臣の日程表につきましては、公文書の保存期間を過ぎておりまして、面談の事実関係について不明でございます。

 また、当時の観光庁の事業の選定に際しまして、鶴保議員または同事務所のスタッフから、選考の経過、その結果に関する問い合わせや働きかけの有無につきまして観光庁で調査を行いましたが、そのような事実は確認されておりません。

大西(健)分科員 今、文書の保存期間が過ぎているということですけれども、当時副大臣室の、例えば職員というのはわかりますよね。調べれば簡単にわかりますよね、その期間に副大臣室にいた人間。それから、今私が申し上げたように、秘書官。この人物は、今、観光庁の外郭団体のロンドン事務所にいるということも聞いていますけれども、ぜひその方にも確認してください。

 そして、相手の方は、二〇一三年一月十六日の午後五時、ここまではっきり言っているし、そしてそこに秘書官が同席していたとも言っているんだから、当時秘書官だったその人物に確認すればすぐわかることだし、あるいは面談記録が残っていなくても、当時、国土交通省副大臣室にいた職員、受付の女性も含めて複数いますよね、副大臣のスケジュールを担当していた人、そういう人に確認してもらったら簡単にわかることだと思いますので、これは調査をして、委員会に報告していただけませんか。

 国土交通省、いかがですか。

蝦名政府参考人 調査をさせていただきたいと思います。

大西(健)分科員 これは調査をするということではっきり約束していただきましたので、ぜひまた、これは主査の方にも、委員会への提出、再度しっかりと確認していただきたいと思いますが、いかがですか。

後藤田主査 今の大西君の件につきましては、改めて委員長に報告をさせていただきたいと思います。

大西(健)分科員 先ほど申し上げましたように、このことが、まず、お金の動きは、私、これは収支報告書でも確認させていただいておりますので、これは事実だと。単純に言って、百五十万円の上限額を超えて、同一人物からパーティー券を購入してもらっている。しかも、その名義を故意に変えていたとすれば、これは明らかな政治資金規正法違反だというふうに思います。

 あわせて、先ほど来申し上げていますけれども、みずからが副大臣を務めている省の所管事項の補助金について、もし、その関連で、その関係者と副大臣室で会って、そして、かつその方から、わかっているだけでも四百五十万円という多額のパーティー券を購入してもらっていて、何らかの働きかけ等をしていれば、これはもう閣僚辞任どころか、私は議員辞職物の疑惑だというふうに思いますので、ぜひしっかり精査をしていただきたいというふうに思います。

 加えて、先ほどの土人発言、きょうはいよいよ撤回してくれるのかなと私は思ったんですけれども、ここに至っても撤回しない。土人という発言は差別じゃない、きょうのこの質疑を聞いて、私は、また沖縄の皆さんはどう感じるんだろうなというふうに思いますけれども、沖縄に関して、鶴保大臣は、ほかにも多くの問題発言をされています。

 例えば、就任会見で大臣は、沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクをしていると発言しています。また、九月の記者会見では、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる訴訟について、笑いながら、注文はたった一つ、早く片づけてほしいということに尽きると述べました。さらに、十月には、沖縄選出の自民党議員の政治資金パーティーで、沖縄県選出の国会議員には、必ず来るべき選挙で勝利してもらわなければならない、振興策とリンクしていると発言しています。

 かつては、自民党議員が表立って、このリンク論というのは言わなかったんですよ。例えば、橋本龍太郎首相は、リンク論について問われたときに、一緒にされるのが悲しい、こう言われた。私は立派な発言だと思いますよ。これと比べて、鶴保大臣の今の言動というのはいかがなんでしょうか。

 翁長知事も、閣僚の中で一番、沖縄に気持ちを寄せ、気持ちを酌んで、沖縄の振興を一緒に頑張っていく立場にある閣僚であるはずだと言っておられます。

 菅官房長官、官房長官は沖縄の基地負担軽減担当大臣でもあります。トランプ氏がアメリカ次期大統領に当選して、沖縄の在日米軍のあり方についても、今非常に微妙なハンドリングが求められているんだというふうに思いますけれども、その中で、完全に沖縄の人たちの信頼を失ってしまっている鶴保大臣が担当大臣では仕事にならないというふうに私は思いますけれども、官房長官、もう鶴保大臣をかえた方がいいんじゃないですか、いかがですか。

菅国務大臣 私自身、沖縄の基地負担軽減担当大臣として、鶴保大臣と連携をしながら仕事をさせていただいています。大臣は、就任以来、今日まで、四回を超える回数、沖縄に出向いて、まさに沖縄の問題、特に沖縄県内における交通渋滞、こうしたものを何としても早急に解決したいという思いの中で有識者会議を立ち上げたり、まさに沖縄の振興のために全力で取り組んでいるというふうに思っております。

 今後とも引き続き、しっかり仕事をしてほしいというふうに思いますし、私自身も、基地負担軽減担当大臣として、沖縄のそうした基地負担軽減、そしてまた振興のために、力を合わせて頑張っていきたいというふうに思います。

大西(健)分科員 残念ながら、官房長官がそう思っても、沖縄の人たちはそう思ってくれないんじゃないかなというふうに私は思います。

 この問題、それから、きょうお話をした鶴保大臣の政治とお金の問題については、我が党の同僚議員が、今週また別の委員会でも引き続き質問させていただきたいというふうに思っておりますので、またこの問題はしっかり議論していきたいと思います。

 官房長官、鶴保大臣、もしあれでしたら、ここまでで結構でございます。

 せっかく機会をいただきましたので、一問だけ、全然違う問題について質問したいと思うんです。

 先ほどの会議録の資料の裏面の記事なんですけれども、これは、私の住んでいる刈谷市のお隣の愛知県の大府市で、市と女子レスリングで有名な至学館大学が、小型家電リサイクル事業を手がけているリネットジャパンと三者で、廃棄された小型家電から回収された金や銀で二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのメダルをつくろうと、都市鉱山メダル連携促進委員会というのを立ち上げました。

 金メダルの場合であると、携帯電話で三十二万台、パソコンで五万台で必要量が確保できる。吉田沙保里選手も、みんなの応援が詰まっていると思うとより頑張れると言っていますし、国民も、自分の携帯から金メダルがつくられていると思えば応援にも熱が入るというふうに思います。

 ぜひ、これは日本のもったいない精神の象徴としても、また、環境五輪というのをアピールするにしても、非常にいいことじゃないかなというふうに私は思っています。大会組織委員会も、既にエコメダルプロジェクトというのを理事会で決定したというふうに聞いています。

 一方で、きょう、環境副大臣に来ていただいているんですが、小型家電リサイクル法に基づく回収率というのが余りうまく上がっていっていない。国としても、このプロジェクトを応援することを通じて、国民の皆様に小型家電リサイクル法の趣旨を御理解いただいて、回収率を上げていく、こういうことに役立ててはどうかというふうに私は思っているんですが、きょう、同じ愛知の伊藤副大臣に来ていただいていますので、このエコメダルプロジェクト、ぜひ、環境省も応援していただいて、小型家電リサイクル法の推進に役立てていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

伊藤副大臣 大西さんの質疑に答えさせていただきます。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の入賞メダルに、携帯電話を初めとする小型家電から抽出されるリサイクル金属、すなわち都市鉱山を活用するため、組織委員会が協力事業者を選定するための企画提案の公募を十一月十六日に開始したと承知をいたしております。

 環境省といたしましては、リサイクルメダルの実現は、まさに大西委員が御指摘のとおり、我が国のリサイクルの取り組みを国際的にアピールし、そしてまた、小型家電リサイクル制度の普及や回収率の向上につなげる上で、大変に有意義なものであるというふうに認識をいたしております。

 このため、組織委員会が選定をするリサイクルメダルの企画提案が多様な、大勢の皆様方の御協力により実現をしていくように、環境省としても、金属回収データの提供などについて含めて、日本のもったいない精神を大いに発揮して、これをキーワードとして、応援をしっかりとさせていただきたい、こう考えております。

 以上です。

大西(健)分科員 時間になりましたので終わりますけれども、まさに、箱物なんかを残すよりも、これが定着して、国体のメダルだとかほかの競技会のメダルになれば、これこそすばらしいレガシーになると思いますので、ぜひとも国を挙げての応援をよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。

後藤田主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の時間を与えていただきまして、心より感謝申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、私の方からは、薬物の乱用防止ということについて幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、平成二十五年度から第四次薬物乱用防止五カ年戦略というものがスタートをしております。薬物乱用は、日本に限らず世界的にも大きな社会問題となっており、その対策に頭を悩ませているのが実情であろうと思いますが、日本においては、一九九〇年代の覚醒剤乱用期に対して薬物乱用防止五カ年戦略というものがスタートし、平成二十五年八月に第四次となる五カ年戦略が進められるようになったわけです。

 この第四次の戦略の中では、覚醒剤それから大麻に加えて、合法ハーブなどと称する新たな薬物への対応であるとか、依存症対策として、再乱用防止対策の強化などが盛り込まれましたが、依然として芸能人などの薬物乱用や危険ドラッグによる事故のニュースが後を絶たないようであります。

 平成二十七年のフォローアップにおいても、覚醒剤事犯の検挙は横ばい、大麻は増加、危険ドラッグ等は大幅に増加しているとありますが、薬物をめぐる最近の状況についてお伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 警察におけます薬物事犯の検挙状況についてお答えを申し上げます。

 覚醒剤事犯の検挙人員につきましては、近年、年間一万人を超える高水準にございまして、本年上半期は四千八百六十四人、前年同期比で二百十二人減少したものの、薬物事犯検挙人員全体の約八割を占めているところでございます。

 また、大麻事犯の検挙人員につきましては、昨年中、平成二十二年以来五年ぶりに二千人以上となりまして、本年上半期は千百七十五人、前年同期比で二百三十三人の増加を見たところでございます。

 加えて、危険ドラッグ事犯の検挙人員につきましては、平成二十三年から二十七年にかけて年々増加をしておりましたけれども、本年上半期は四百七十三人、前年同期比で二百十五人減少したところでございます。

 以上でございます。

角田分科員 覚醒剤、大麻、特に危険ドラッグについては対策が徐々に効果を発揮してきているということが、今数字を聞いてもわかりました。

 特に、危険ドラッグなどは、たくさんの種類があって、規制をかければ新たな種類が出てくる、店舗がなくなっても今はネットを通じて入手できる、こうしたことに対する対応は、ある意味イタチごっこのようなものであって、根絶するということは難しいと思いますが、特に若い世代に対して、絶対に手を出さないという啓発も含めて、今後も継続して力を入れていただきたいと思います。

 薬物対策に関して、依存症対策の取り組みの状況についてもお伺いしたいと思います。

 例えば、覚醒剤事犯の約六割は再犯者である等、薬物乱用をとめる、再乱用を防止する取り組みは極めて重要であります。この点、五カ年戦略では、薬物依存に至った者の効果的な治療回復プログラムの開発普及を推進するとしておりますが、これまでの取り組みの状況と、その効果をどのように評価しているのか、あわせて、また、今後の課題としてどのようなものがあるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの薬物依存症の治療回復プログラムの開発普及は、御指摘ありましたように、薬物乱用防止の観点から非常に重要であると認識しております。

 薬物依存症の治療回復プログラムにつきましては、平成二十二年度から二十四年度までの厚生労働科学研究を通しまして、薬物に対する考え方や行動をみずから分析して正すように促すとか、あるいは集団で定められたプログラムを行うといった特徴がございます物質使用障害の治療プログラムが開発されたところでございます。

 このプログラムにつきましては、治療が継続しやすいとか、あるいは精神的健康などの好ましい変化も見られるということなどの理由から、薬物再乱用防止に効果的な治療方法であると私どもでは認識をしております。

 今、普及の状況でございますけれども、平成二十八年の九月現在でございますが、三十六の医療機関、そして二十九の行政機関での実施を確認しておるというところでございます。

 また、平成二十八年度の診療報酬改定におきましては、薬物依存症に対する集団療法の評価ということとしまして保険収載されたところでございます。

 その普及を図っておりますけれども、今後とも引き続き適切に取り組み、その普及をしっかり果たしていきたいと思っております。

 以上でございます。

角田分科員 この依存症の問題は、以前からあるアルコール依存ということに加えて、薬物のほかに、最近では、ギャンブルなど行動嗜癖に分類されるものもクローズアップをされてきておりますが、この薬物依存対策についても、専門医の不足等が現状も指摘をされており、今後特に充実が必要な分野であると思います。引き続き重点的に取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、成年後見制度の利用促進ということについて少しお伺いをしたいと思います。

 急速に高齢化が進行する我が国にあって、認知症高齢者を初め、知的障害者、精神上何らかの障害を負っている方々が尊厳を保ちながら暮らし続けることのできる社会の実現を進めるために、成年後見制度の利用促進に関する法律が議員立法で成立し、尊厳にふさわしい生活保障、自己決定権の尊重、身上保護の重視という理念にのっとった制度利用の促進が目指されることとなりました。

 現在、この成年後見制度利用促進基本計画の策定に向けた議論が進められている最中だと思いますが、制度の利用促進や真に本人の立場に立った支援の充実のために必要と思われることについて幾つか御質問をさせていただくとともに、要望をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 成年後見制度は、高齢者福祉サービスの利用を、措置から利用者本人による選択、契約に転換する介護保険制度のスタートと同時に創設をされ、それから十六年ほどが経過をしております。

 成年後見制度の利用状況は毎年着実にふえており、成年後見関係の申し立て件数も、制度創設時から、近年でいえば四倍近くに増加をしている。ちなみに、平成二十七年には三万四千七百八十二件、これが全国での申し立て件数となっております。成年後見人等の選任も、平成二十四年に初めて親族以外の第三者が親族を上回り、昨年でいえば、第三者が七割を占めるまでになっている。また、申し立て件数の中で、市町村長の申し立て件数の占める割合も年々急増しており、市町村長による成年後見制度の申し立ては、成年後見制度利用支援事業が創設をされた平成十三年、当初は全体の一%程度だったものが、二十七年、昨年には全体の一七・三%を占めるまでになっております。これが日本における成年後見制度の利用の状況というわけであります。

 ただ、件数は着実にふえているものの、諸外国の同様な制度の利用者が人口の一%あるいは二%程度であるのに対して、日本はまだまだ〇・二%程度にとどまっており、成年後見制度を利用すべきにもかかわらず利用していない、利用に至っていない、さらに言えば、利用できない方が数多くいるのではないかと推測をされます。

 今後、成年後見制度の利用を促進していく上で、必要であるにもかかわらず申し立てに至らない理由や、そうしたケースがどれだけあるのかという実態の把握がまず求められるかと思います。

 例えば、地域包括支援センターに成年後見制度の利用に関して相談に行っても、弁護士会や司法書士会等の相談先のリストを渡して、詳しいことはこちらに相談してくださいというアドバイスまではしても、その後、相談に行ったのか、さらに、その結果はどうだったのかというところまではフォローしていないというのが現状ではなかろうかと思います。

 この点について、実態を把握されているのかどうか、もし把握していないのであれば、こうした取り組みは早急に行う必要があると考えますが、まず、この点について御見解があればお伺いしておきたいと思います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、成年後見制度は、認知症や知的障害その他の精神上の障害がある方の財産管理や身上監護において、本人の意思を尊重しつつ支援する仕組みであります。高齢社会への対応、そして知的障害者、精神障害者などの福祉の充実の観点からも重要なものであるということで、先般、成年後見制度の利用の促進に関する法律、議員立法で成立をしていただき、ことしの五月から施行がされているところでございます。

 今、利用が十分進んでいないという御指摘がございました。そういった意味においても、まず、この制度に対する理解の促進を図っていく、あるいは、こうした制度を利用したいというときに、今お話がありました地域包括支援センターを初めとした身近なところで相談ができる、こういった体制整備についてはしっかり図っていく必要があるというふうに考えておりますし、また、先ほど申し上げた法律における基本方針の一つとしても掲げられているところでございます。

 現在、法律に基づき設置されました成年後見制度利用促進委員会において、御指摘の点も含めて、この実態などについて関係者の方からお話も伺いながら検討を進めているところでございますし、年度内を目途として成年後見制度利用促進基本計画の策定を行っていきたいというふうに思っておりますので、そういった中にも盛り込んでいきたい、こう考えております。

角田分科員 今御答弁の中にもありました、現状の制度の利用が進まない理由として、一つには、制度に対する理解が国民の間で深まっていないこと、これは主に啓発の問題もあるかと思いますが、さらに、利用したいと思っても、どこに相談すればよいのかわからない、身近なところに相談するところがない、制度についての説明を受けても、後見申し立てに至る前に煩雑な書類作成などで諦めてしまうケースも多いのではないか、こうした課題があるのではないかと言われております。

 また、申し立てのうち後見が八割近くを占め、鑑定を実施されたものは全体の一割という実態に対しても、同法の理念また障害者権利条約に照らして、本当に後見でなければならなかったのかどうか、こうしたことも検証する必要があるのではないかと考えます。やはり、制度に対する理解が十分でないために後見に偏ってしまっているというのも理由の一つになっているのではないか、そのためにも身近なところで相談できるセンター的な機関の整備が極めて大切であろうというふうに考えております。

 これについては、今もお話がありましたが、市町村や後見実施機関などの連携で、身近な相談窓口の整備について検討の途上であると思いますが、その際、特に専門職の団体との連携も十分に図れるよう御検討いただきたい。さらには、高齢者と障害者という縦割りの中で相談者がたらい回しにされることがないよう、ワンストップで制度利用に結びつき、そしてその後も継続して相談を受けることができる体制の構築をぜひとも目指していただきたい。これを要望させていただきます。

 二点目として利用に至らない理由として挙げられているのが、制度を利用するためにかかる費用の問題であります。

 申請に係るもろもろの費用の負担が難しいというケース。また、後見人等に対する報酬の支払いが困難なために利用に至らないケース。成年後見制度がスタートした当初は、後見人等に親族が選任をされるケースがほとんどでありましたが、これも先ほど述べたとおり、最近では全体の三割程度まで低下をしております。この背景として、裁判所が親族の選任に慎重になっていることが一つにはあると言われております。また、親族後見を申し立てた場合に後見監督人が選任される場合も多く、その費用負担を嫌がるケースも多いと言われております。

 費用負担の問題について、ここでひとつ、厚労省で実施しております成年後見制度の利用支援事業について伺いたいと思いますが、この事業が実施されている市町村の割合というのは現状どの程度になっているのか、この制度の利用の現状についてお伺いをしたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員の方から御指摘ございましたように、成年後見制度の利用のために、費用の問題があるということがございます。そういったことから、介護保険制度や障害者福祉制度におきましては、成年後見制度利用支援事業といたしまして、成年後見制度の利用が必要と判断されます低所得の高齢者や障害者の方に対して、成年後見制度の申し立て経費でありますとか成年後見人への報酬等の一部について助成をしておるというところでございます。

 お尋ねの、この取り組み状況でございますけれども、各市町村におきましての状況ですが、平成二十七年の四月一日時点で、高齢者、障害者、それぞれ約八割の市町村で実施をされているということでございます。

 私どもとしましては、こういった支援が必要な方が全国どこにお住まいでも支援を受けられるように、引き続き、市町村に働きかけるなど取り組んでまいりたいと考えております。

角田分科員 八割で実施をされているという現状でしたけれども、暮らしている地域で、経済的な理由から、利用ができたり、また利用できなかったりというような不公平な状況は、やはり早急に是正されなければいけないと考えますので、この点についても、全国一律で利用できるよう、しっかりと検討していただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。

 それから、制度の利用に至らないもう一つの理由として、本人の権利が制限されてしまうといった制度に対するマイナスのイメージが根強くあるということが挙げられております。

 これは、事実、法律などにも、被後見人になれば自動的に資格を失ってしまうことになってしまう欠格条項が置かれており、公務員になれないとか会社の取締役になれない等々、制度を利用した途端に権利が制限され、極めて窮屈な思いを強いられるといったイメージがこの制度に対してあるということも挙げられております。

 そこで、ここでは欠格条項を取り上げて伺いたいと思います。

 これについては、平成二十五年三月に、成年後見制度を利用したがために選挙権を行使できなくなったことが憲法に反するかどうかが争われた裁判で、成年被後見人から一律に選挙権を剥奪する公職選挙法の規定は憲法違反であり無効との判断が示されたことを受けて、議員立法によって、成年被後見人の選挙権と、さらには被選挙権の欠格条項を削除することなどを内容とする公職選挙法の改正がなされたところであります。

 この裁判の判決では、選挙権を行使するに足る能力のない者に選挙権を付与しないとする立法目的には合理性があるとしつつ、財産保護の制度である成年後見制度を用いて趣旨の違う選挙権の剥奪を行うことに合理性はない、つまり、成年後見制度の本来の趣旨から逸脱した欠格条項を設けることはできないとする判断基準が示されたわけですが、国の法律にもこのような欠格条項を置いているものはほかにもあります。今後、制度の利用を進めるためにも、必要のない、他の要件に置きかえればそれで済むような条項は、見直しを進めていくべきだと思います。

 そして、これは法律に限った話ではなく、地方公共団体の条例についても言える話です。中には、条例にとどまらず、規則や要綱に欠格条項を置いているという事例もあります。要綱に欠格条項を置いているのは、いまだに、成年被後見人を保護するためなのだから権利を制限する規定を設けてもよいのだという考え方があるのではないかと思いますし、まず、こうした考え方から改めてもらうための啓発というものも必要だと考えます。

 特にお願いをしたいのは、標準条例など国が地方に示しているひな形の中にこのような欠格条項を置いているがために、地方もそれに倣って欠格条項を置いているという事情もありますので、国としても本当に必要なのかどうか検討すべきだと思いますが、この点について御見解を伺えればと思います。

加藤国務大臣 今御指摘ありました欠格条項については、成年後見制度の利用の促進に関する法律の第九条において、成年被後見人等の権利の制限に関する関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずるとされているところでございます。

 このことを念頭に置きながら、今、成年後見制度利用促進委員会においては基本計画に関して御議論いただいておりますけれども、これが行われた後において、速やかに、この欠格条項について、今御指摘の法律のみならず条例等も含めてこの成年後見制度利用促進委員会において取り上げ、議論をしていきたい、こう思っております。

角田分科員 ありがとうございました。

 続きまして、市民後見人についてお伺いをしたいと思います。

 成年後見制度のこれからの需要の増大などに対応するため、都道府県や市町村などで市民後見人の育成事業というものが進められておりますが、この市民後見人という方は現在どれくらいいらっしゃるのか。この育成の状況についてお伺いをしたいと思います。

坂口政府参考人 それでは、私の方から育成の状況についてお答えを申し上げます。

 今委員の方からありましたとおり、市民後見人につきましては、今自治体においていろいろ養成を進めていただいておりますが、地域医療介護総合確保基金を活用していただいて、研修の実施によって、質の向上を図る養成というようなものを進めていただいておるところでございます。

 平成二十七年度の状況でございますけれども、二百三十の自治体におきまして基金を活用して研修が実施されているということでございます。これまでに約一万人程度の方がこの研修を受講されておるということでございまして、各自治体で引き続き市民後見人の養成ということが行われるように働きかけてまいりたいと考えております。

角田分科員 今、一万人の方が市民後見人としていらっしゃるというお答えなんですけれども、この市民後見人のうち、家庭裁判所から後見人等に選任されて活動を行っている方というのはどの程度いるのか。この点についてお伺いしたいと思います。

村田最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。

 家庭裁判所において、高齢者や障害者の方について成年後見制度の利用を開始するということになりますと、同時にその方の後見人を選任することになります。平成二十三年からこの市民後見人と言われる方々の数の調査を行っておりまして、その結果によりますと、平成二十三年に選任された方は九十二人でございましたが、選任数は年々増加いたしまして、平成二十七年の選任数は二百二十四人となっております。

角田分科員 年々増加をしてきているということですけれども、現在、市民後見人としての講座を受講したり、そうした熱意を持って取り組んでいらっしゃる市民後見人の方々のうちの、まだ数%程度にとどまっているのが現状だと思います。

 そもそも、市民後見人の養成講座などをみずから受講しようという方は、もともと地域の中で少しでも役に立つ活動がしたいという熱意を持った方が多いのではないかと思います。そうした方々に、特にこれから目指される地域包括ケアシステムの一翼を担っていただくためには、後見ということに限らずに、本人に必要なサービスが届くよう、行政との橋渡しであるとか、やっていただけることはたくさんあるのではないかと考えております。

 このため、市民後見人というネーミングを含めてもう少し工夫の余地があるのではないかと私自身は思っておりますが、これは成年後見制度の枠を超えての話になってまいりますので、今後機会を改めて議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、次に、成年後見制度の利用が今後促進をされてきますと、制度の目的に沿った運用がなされるよう、後見人等の選任、監督をいかに適切に行っていくかも大きな課題になってくると思いますが、まず、裁判所が監督する後見人等の人数の推移についてお伺いをしたいと思います。

村田最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。

 成年後見制度の利用の開始状況は、先ほど委員から御指摘のありましたとおり、平成二十七年一年間で三万四千件余りの申し立てがありまして、その後、一旦利用が開始されますと、判断能力が回復されるか、あるいはお亡くなりになるというようなところまで利用が継続することになっておりまして、制度利用者数ということで申し上げますと、平成二十七年十二月末日現在で十九万一千三百三十五人となっております。

 これに対して、御質問のありました監督の実情でございますけれども、こうした制度利用者の増加ですとか、あるいは後見人による不正事案への適時の対応の必要性、こういったことを背景といたしまして、後見監督に関する事件も近年著しく増加をしております。平成二十七年の一年間におきまして、家庭裁判所が成年後見人等に対して後見事務の報告を求めた後見等監督処分事件の数は十万九千二百五十二件となっております。

 これに加えまして、弁護士等の専門職が成年後見人等になっている事案を中心に申し立てがあります後見人等の報酬付与申し立て事件、これにおきましても後見事務について報告を受けますので、実質的には監督の機能を果たしております。こういった事件も年々増加を続けておりまして、これが平成二十七年一年間で十万一千八十八件となっております。

 この二つを合わせますと、平成二十七年一年間で家庭裁判所が実質的に後見等の監督を行いました件数は二十一万三百四十件となっております。

角田分科員 もう一点お伺いしたいんですけれども、後見人等による不正事件の推移、件数また被害額等についてもお伺いをしたいと思います。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成二十七年一月から十二月までの一年間に、不正が発覚し、対応を終えたということで、全国の家庭裁判所から最高裁判所が報告を受けました成年後見人等の不正の件数が五百二十一件、被害総額が約二十九億七千万円となっております。その一つ前の年、平成二十六年一月から十二月までの一年間では、不正の件数が八百三十一件、被害総額が約五十六億七千万円ということでしたので、平成二十七年につきましては、件数、被害総額ともに大きく減少したということは言えるかと思います。

 そうは申しましても、後見人による不正が後を絶たないということにつきましては、裁判所としても取り組まなければいけない喫緊の課題であるというふうに認識をしておりまして、全国の家庭裁判所において後見人の不正を防止すべくさまざまな対策を講じておりますが、最高裁判所といたしましても、引き続き、家庭裁判所の取り組みを支援し、今後の不正報告件数の動向等を踏まえ、取り組みの効果を検証してまいりたいと考えております。

角田分科員 これから利用促進がされる中で、家庭裁判所が監督する案件というのもどんどん積み重なっていく中で、さらに、その中でいかに不正が起こらないように監督もしていくか、非常に大きな課題になっていくと思います。

 本人のための意思決定支援と権利擁護という制度の目的が果たされ、何よりも本人にとっての最大の利益に資するような制度運用をこれから確保していくためには、特に監督ということ、これにはかなり広い意味が含まれると思いますが、裁判所も含めたネットワークの中で役割というものをしっかりと考えていっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤田主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松本国家公安委員会委員長。

松本国務大臣 平成二十四年度から平成二十五年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十四年度歳出予算現額は三千三百五十八億六千七百十八万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千五百十六億五千四十五万円余に比較いたしますと、八百四十二億一千六百七十二万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は六百十七億八千百二十万円余であります。

 不用となった額は二百二十四億三千五百五十二万円余であります。

 続きまして、平成二十五年度歳出予算現額は三千百七十四億七千三百六十二万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千八百六十二億四千七十四万円余に比較いたしますと、三百十二億三千二百八十八万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百七十億七千九百九十万円余であります。

 不用となった額は百四十一億五千二百九十七万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十四年度から平成二十五年度における警察庁関係歳出決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、分庁舎等の解体撤去工事の施行に当たり、処分費等の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、自動車ナンバー自動読み取り装置の照明用部品の調達に当たり、障害の発生状況を把握して保有率を見直すなどすることとし、障害の発生状況を報告させるとともに、一律に定期交換を行わないことを周知徹底するなどして、適切な調達数を算定するよう改善させたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松本国家公安委員会委員長。

松本国務大臣 平成二十五年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、まことに遺憾に存じます。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正の措置を講じたところであり、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

 今後、適正な事務処理について、さらに指導の徹底を図ってまいる所存であります。

 以上でございます。

後藤田主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中警察庁については終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより内閣府所管中消費者庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松本消費者及び食品安全担当大臣。

松本国務大臣 平成二十四年度から二十五年度における消費者庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十四年度の歳出予算現額は百四十六億一千三百八十五万円余でありまして、これを支出済み歳出額百三十七億六千四百五十一万円余に比較いたしました差額八億四千九百三十四万円余が不用額となっております。

 続きまして、平成二十五年度の歳出予算現額は百十三億二千四百五万円余でありまして、これを支出済み歳出額百四億九千四万円余に比較いたしますと、八億三千四百一万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は二億五千七百四十五万円余であり、不用額は五億七千六百五十六万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十四年度から二十五年度における消費者庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、消費者ホットライン事業の実施に当たり、契約回線数等について、消費生活相談の実績等を踏まえた設定を行うとともに、これをフォローアップする体制を整備することなどにより、事業の実績等に即した適切なものとなるよう改善させたものであります。

 続きまして、平成二十五年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松本消費者及び食品安全担当大臣。

松本国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、まことに遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちに改善の措置を講じたところであり、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

後藤田主査 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。松浪健太君。

    〔主査退席、松田主査代理着席〕

松浪分科員 日本維新の会の松浪健太であります。

 決算委員会というのは無駄をなくすところでありますけれども、まずこの委員会のあり方からやはり無駄をなくしていかないといけないなと思いますね。

 こんなにたくさん、きょうも資料、鍛えるのかなというぐらい重い資料があるんですけれども、こういうものはとっとと電子データ化してやるべきが院の姿勢であって、全く行政に責任はないわけでありますけれども、こうしたところから我々はしっかりとしないといけないと思います。

 今、御降壇になられた後藤田さんが委員長のときから、私もこの決算委員会の委員長もさせていただいて、今回も非常に間の抜けた委員会でありまして、二十四年、二十五年という、いつの話やねんという話でありまして、実は、今月、もう二十七年がおりてくるというわけであります。

 世界的に見ますと、決算というのは、前年の、一年おくれになるんですけれども、これをやらないと次の年の予算は審議しませんよというような国から、その他、予算委員会の下になっているところ、そしてまた、随分と突っ込んだ、イギリスなんかでは、本当に、決算委員長は十四、五年した方がずっとやって、行政監視の力も決算とともに花形になるような国というのもあるわけでありまして、これ自身は我々がしっかりとしていかなければいけないところだと思います。

 今週も決算の理事会等で、もう一度勉強会をということを私もお願いしておりまして、これも開催をされることになりましたので、今後は私は、きょうは大臣をお呼びしてなんですけれども、大臣が出られないときは副大臣でも、予算委員会の裏でとっとと、決算はどんどん回していくような仕組みというものを提言しておりまして、他の野党の方も、大臣、大臣と言わずに、これは臨機応変に、予算委員会の裏で毎年動かしていくというのでないと、これから決算委員会の使命は果たせないんじゃないかなと思うわけであります。

 私は何が言いたいかというと、二十四年、二十五年、このときのものをやっても、参議院でもやっていますから、今、決算委員会はほぼ一般質疑の場と化しているような形でありまして、その方が国益に資するのではないかということで、私も随分、TPPで大臣にも質問をさせていただきました。弱小政党ですので、参考人も入れれば七回もやらせていただいて、随分、大臣とは顔を突き合わせさせていただきましたけれども、大分物もいい方向に動いているのではないかなというふうに思います。

 そこで、きょうは、これを総括的に、私にとってはTPPの締めくくり総括的な質疑を大臣とさせていただきたいと思います。

 まず今回、特に、消費者の安心ということで、遺伝子組み換えと成長ホルモンを取り上げたんですけれども、遺伝子組み換え食品に表示義務がある。政府は、遺伝子組み換え食品は安全ですよと言っているんですけれども、安全なものに表示義務を課している理由についてまず伺います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 遺伝子組み換え作物につきましては、厚生労働省等によりまして品種ごとに科学的な評価を行いまして、安全性が確認されたものについて輸入や流通等ができる仕組みとなっております。

 一方で、安全性が確認されたものであっても、遺伝子組み換え食品は避けたいという消費者ニーズがあるため、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保の観点から、科学的に検証できることを前提といたしまして、遺伝子組み換え農作物を使っている場合には遺伝子組み換え、区別せずに使っている場合には遺伝子組み換え不分別、このような表示を義務化いたしまして、消費者の商品選択に資する情報を提供しているところでございます。

松浪分科員 私が指摘してきたのは、まさに消費者の避けたいニーズというのが、消費者庁にとってはこれをしっかりと受けとめないといけないところですけれども、実は受けとめられていないんじゃないかということを指摘してまいりました。

 今、参議院でTPPの議論が起きておりまして、うちの片山代表の質問にも、それからまた総理の答弁にも同じようなものが見られます。片山代表からは松本大臣、そしてこれは公明党の浜田議員に答えているんですけれども、これは僕は随分問題だと思うんですね。というのは、今政府がおっしゃった、科学的見地に基づいてというところでありますけれども、これは総理がおっしゃっているまま、そのままお読みしますね。

 遺伝子組み換え食品の表示について、技術もどんどん日進月歩で進んでおります、豆腐はこれは検出できるから表示義務になっている、一方、しょうゆは抽出してしまうからこれはなかなか、現段階ではこれは科学的に検出することができないから表示の義務にはなっていないという、こういう複雑なことになっているわけでありますが、しかし、技術が進んで、今例として挙げられましたように、しょうゆも可能になれば当然その中に入ってくることになるわけでありましてと来るんです。

 避けたいと思っている消費者がいるわけですね。これは科学技術で、今使っている技術は平成十一年の古い技術ですから、今はしょうゆは入っていませんよ、でも、技術が進むかもしれませんから皆さん待っておいてくださいね、技術が進んで抽出できるようになったら表示義務をつけます、こんなことでこういう非常にセンシティブな消費者の安心を得られると思いますか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 遺伝子組み換え作物につきましては、厚生労働省によりまして科学的な評価を行い、安全性が確認されたものについて輸入や流通等ができる仕組みとなっております。したがいまして、今流通しているものは全て安全なものということでございます。

 その上で、食品の表示に関して言いますと、消費者の安心について申し上げれば、消費者にも信頼される食品表示制度のもとで、消費者が安心して日々の食品を選ぶことができるということが必要であるというふうに認識をさせていただいております。

松浪分科員 政府参考人でいいですから、今質問したことに答えていますか。今私が質問したことは、科学技術によってこれからもしかしたら技術的に抽出できるから、それまでは、これはあやふやですけれども、あやふやなものを置いておいたままで、それで本当に消費者の信頼が得られますかと。さっきの総理の答弁ですよ。

 平成十一年の技術ではできませんけれども、これからオーケーになるかもしれません。オーケーになったらこれは表示義務にしますから待っていてくださいね、こんなことで安心しますか。答弁書なしで答えてください。

吉井政府参考人 そこは、消費者の方々に、今ある現状、まずは遺伝子組み換え食品の安全性について、こういう状況であるという情報提供をしっかり丁寧にやらせていただく、リスクコミュニケーションも含めましてやらせていただくということが重要なのではないかというふうに考えております。

松浪分科員 今のは答えになっていないわけですよね。

 すごくセンシティブな人なんです。ただでさえ、安全なんでしょう。安全だと最初におっしゃった。安全だとおっしゃったもので表示義務をつけているのは、安全だけれども、それでも避けたい人たちがいる。それでも避けたい人たちが、これからの科学技術で、ちょっとした進歩で抽出できるかどうかにかかわるようなものを信頼できますかと聞いているんですよ。はい、いいえで答えてください。

吉井政府参考人 なかなか、はい、いいえで答えられるものではないと思っておりますけれども、現時点での科学の知見では安全だということで、また、表示を実効あらしめるためには、今の仕組みで対応させていただいて、そのことを消費者の方々に御理解をいただくということが必要だと思っております。

松浪分科員 科学というのは、万有引力の法則とかそういう、これはもう変わりがないんだと、あと例えば、地球が太陽の周りを回っているのか、地球の周りを太陽が回っているのか、これぐらい明らかなことをいうわけで、彼が言う科学というのは、今の科学ということですよね。

 ですから、今おっしゃるのであれば、科学的知見じゃなくて、これからは、今の科学的知見と言ってもらわないと、これは消費者にとっては全く示すことができないということを私は思うんですけれども、大臣、やはりその点は、消費者は不安に思われるんじゃないですか。

松本国務大臣 お答えさせていただいておりますように、基本的には、安全性ということを担保して、その上でということは、委員も御承知のとおりでございます。

 その上で、基本はやはり罰則を前提にしていて、その罰則をかけるために、その根拠がはっきりしなければならないということから、科学的技術が達していないためにそれが確認できないということが実はここの問題だと私は思うんですね。

 基本的には安全です、遺伝子組み換え食品を使っていますか使っていませんかということの検出に関しては、将来の新たな技術が発展することによってできる可能性は十分ありますが、それによって、これがだめですという評価をするというものではないわけで、遺伝子組み換え食品を使っているか使っていないかという消費者の安心に資する表示をしていくということの大切さは、先生がおっしゃっているとおりだと思います。

 一方、それを実際に表示した際に受ける罰則ということがあるのであれば、それに対しての根拠をつくらなければならないということが今の先生のお話の大きなポイントだと思っております。

松浪分科員 今、逆に言えば、ちょっと表をつくりましたけれども、TPPのときにつくった表ですけれども、石原大臣もおっしゃっていました、わざわざ豆腐屋に行って私も見てきました、組み換えだという表示は存在しませんと。

 私がまさに指摘したのは、存在しない表示義務の問題でありまして、皆さんは表示義務をかけながら、実際には表示している製品を我々は目にすることができないという逆説的な状況が起きているわけでありまして、こんな状況を消費者が信頼するわけはなかろうと私は思うわけであります。

 そこで、実際問題、遺伝子組み換えの組み換えでないという表示、これは今任意表示なんですけれども、この任意表示にはIPハンドリングという、いわゆる分別生産流通管理を義務づけているということでありますけれども、この義務づけている理由を端的にお願いします。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 科学的に安全性が確認されたものであっても、遺伝子組み換え食品は避けたいという消費者ニーズはございます。このような消費者ニーズに対応するため、事業者は積極的に遺伝子組み換えでないという表示を行うものと考えております。

 しかし、その際、事業者は消費者の選択に資する正確な情報を提供する必要があるということでございます。そのため、生産、流通、加工の各段階で、遺伝子組み換えでない農作物を、遺伝子組み換え農作物との混入が起こらないように管理をし、書類等で証明をする分別生産流通管理を義務化いたしまして、この管理体制をしっかりと実行していくことで、あくまで任意表示の正確性を担保しているものでございます。

松浪分科員 この分別生産流通管理で、これは遺伝子組み換えでないということなんですけれども、もし混入していた場合は、罰則はありますか。

吉井政府参考人 混入していた場合は、食品表示法による罰則ということではないんですけれども、当然ながら、優良誤認を消費者に与えるということでございまして、景品表示法等、別の法体系の中でも行政処分が行われる可能性がございます。

松浪分科員 これは、前のTPPでは通告していろいろやりとりした内容だと思うんですけれども、では、罰則はほかで考えられるということですけれども、今これを調べる仕組みというのはありますか。

吉井政府参考人 現時点では、地方公共団体なり農水省の地方機関等が中心となって、監視活動は行っております。

松浪分科員 それは具体的に、どれぐらいの頻度で行われているというのはありますか。

吉井政府参考人 現在、データを持っておりませんので、お答えできません。

松浪分科員 今、参考人の後ろの役所の皆さんとかも随分やりとりをさせていただいているので、なかなかそういう仕組み、正直動いていないんですよね。僕も厚労省に質問、そのときは厚労省でしたけれども、答えられないと。それを所管する省庁も割と今ブラーな状況なので、はっきりしていないわけですよね。ですから、組み換えでないと書いてあるのも、まさにこの分別生産流通管理にかかわっているわけであります。

 私としては、ヨーロッパでは分別生産流通管理で遺伝子組み換えを仕切っているわけですから、ここの監視機能を強力にした形で、日本もこうすれば、消費者が、これはGM使用だなと。使用だなというのがあるから、使用していないというのが引き立ってくるわけで、今の日本みたいに、使用しているという製品を我々がどこに行っても見ることができないという状況では、大豆の約八割が遺伝子組み換えだと言われる中で、見ることができないというこのようなおかしな状況というのは、分別生産流通管理さえ入れれば見えるわけですから、消費者庁が消費者の立場に立つというのであれば、私は、まさにこのあり方は抜本的に変えるべきであると。ヨーロッパ型を目指すのかそうでないのかということは、消費者庁の中でも有識者をさまざま入れてこれから検証するそうでありますので、その議論にぜひとも期待をしたいというふうに私は思っております。

 それで、すぐにはそこにいきませんので、この表を、有名無実と書いたこの下の状況を皆さんにお見せしました。実は、このGM使用、不使用の間に不分別というのがあるんですけれども、わかりやすくするために、不分別というのを取らせていただいたままつくっております。

 GM使用、不使用の間に不分別というのが実はあるということを皆さんには頭の中に入れておいていただいて、現在どういう状況にあるかということを申し上げますと、豆腐では表示義務があります。つまり、遺伝子組み換えを使ったら、組み換えを使っていますよと、私たちは見ることは全くできませんが、あります。それ以外はなしの可能性が多いということですね。しょうゆは、先ほど総理の答弁を読み上げましたけれども、抽出しているので、これは今の科学技術ではわからないということで、なしになっている。

 では、消費者にとっては、なしと書かれた製品というのはどうなのかということは、豆腐の場合は、なしと書いてあれば、これは組み換えでないのかどうかがわからない。しょうゆの場合は、なしと書いてあれば、これは組み換えであるのかないのかわからない。

 でも一方で、GM使用の可能性ということを考えれば、GM使用のもの、実は、なしと書いてあるものを、なしとは書かないですね、大豆とだけ書いてあるんですけれども、僕は、ごく少量、すごい安物のしょうゆなんかでは見つけることができました。多分これは使っているんじゃないかなということが推測をできるという現状であります。

 先ほど質問いたしましたIPハンドリング、分別生産流通管理を義務化する、GM不使用は組み換えでないと書くときに、さっきのIPハンドリングを義務化しますと、下のように、GM不使用が確実であれば組み換えでない、なしと書いてある場合は入っているかもしれないなと。

 私は、消費者としては、一発で、組み換えでないと書いてあるものは、これは組み換えでないからオーケーだな、しかし、なしと書いてあるものは怪しいんだよという一つの線引きができるんですね。今のままじゃ、なしと書いたら、組み換えでないのかどうかわからへん。

 その状況が、少なくとも、この組み換えでない、実はこれはほとんどですよ。豆腐なんか見ても、全部書いています、正直言って。ほとんどと言っているだけで、ほぼ一〇〇%書いているというのが現状。しょうゆだと、さっき申し上げたみたいに、たまにないのがある。油でも、油は業務用のものになると結構あるかな。やはり、そういう外食産業なんかで使っているんだろうなということは推察されるんですよ。八割はそうですから、どこかで使わないとそれはしようがないんですけれども。

 大臣、こういうふうに、九割五分と僕は勝手に申し上げていますけれども、控え目に見て、九割五分、組み換えでないと書いているんですから、このGM不使用をそろそろ、IPハンドリングを使って、GM不使用の場合は組み換えでないと、これを義務化しておいて、ここの、なしでややこしいことはないという形につくりかえた方がいいんじゃないですかね、大臣。

松本国務大臣 重ねての御説明で恐縮でございますが、我が国の遺伝子組み換え表示制度は、実効性を担保するため、当該食品を分析し、遺伝子組み換え農産物を含んでいるかどうか、科学的に検証できるものを表示義務の対象とし、表示義務のある食品に表示していなかった場合に罰則の対象にするという流れでございます。

 先生御指摘の提案は、これは食用油やしょうゆなど、現行の表示義務以外の品目も対象となり、これらについては伝票等の書類のみによる確認を行うことになるわけでございまして、現行のように、科学的検証により表示の整合を担保するということが難しい状況になるのではないでしょうか。

 しかし、いずれにいたしましても、この遺伝子組み換え表示のあり方につきましては、制度の見直しに向けて必要な調査を今実施しているところでございまして、先生の御指摘の事項についても検討してまいりたいと思います。

松浪分科員 ありがとうございます。

 前向きにお答えいただいてありがたいんですけれども、ヨーロッパでは、組み換えでないはIPハンドリングでやっているんですから、大豆ぐらいは、組み換えでないということと、あとはさっきの不分別、これのないというぐらいで、きれいに何とかやった方が、これは消費者庁なんですから、ほかの省庁だと私は言いませんけれども、消費者のための庁であれば、これぐらいのことは本当に、アメリカ、アメリカと言わずとも、ヨーロッパ、ヨーロッパと言っておけば、ヨーロッパと同じ、ハーモナイゼーションですと言っておけば、これでも甘いぐらいでありまして、私は、十分これはやっておくべきだし、それからTPPの委員会でも申し上げましたけれども、消費者の意識を非常にセンシティブにしておくということが、これからさまざまなトレードが、貿易が自由化される中で、それが一番の、マルキンなんかで補助金を上げたりするよりも、よっぽどこれは国益に機能するシステムだと信じるわけであります。

 この遺伝子組み換えの話については、大体きょうで、これはこの間示したばかりでしたので、なかなか整理をできなかったと思いますので、科学技術は、これから今の科学技術とつけてもらうことをお願いして、これはここで一旦おきたいと思います。

 そして、成長ホルモンについてなんですけれども、これは私もさんざん取り上げまして、厚生労働省の方では、私は、日本人の精子が戦後半減しているじゃないか、こういう報道がもう二十年も前からずっとあるのに、厚生労働省が、今それをしっかりと見る仕組みをつくっているんだというような、寝ぼけた答弁をいただいたんですけれども、これにプラスして、アレルギーですね。

 アレルギーについても、どういう理由でふえているんだと。ふえていることは厚生労働省もお認めになった。しかし、その理由はわからない。私は、これは成長ホルモンのせいだ、遺伝子組み換え食品のせいだと、これだけのことを申し上げるわけではありません。

 いろいろな、排気ガスもあろうし、さまざまな環境要因が働きながら、また人間の免疫機能、正直、我々最近ウォシュレットを使いますけれども、こんなに清潔にしていたら、我々の抵抗力が下がるなと思いますけれども、こうした複合的な理由で、しかしながら我々の体は思ったより早いスピードで変化をしているということは重々考えられるというので、私は、これは予防的であっても予防的に過ぎることはないと。しかも、健康に非常に留意をする日本ですから、予防的措置をほかよりもずっと厳しくやっていいと思うんですね。

 昔は、私はオートバイの環境規制なんかもやってきたんですけれども、環境規制も日本のマフラーだけ厳しいんですよ。海外より厳しくしておくことが、これが日本の技術を上げるんだなんてむちゃくちゃな理論やな、産業障壁やと思いながらも、日本のオートバイはこれだけ、周りのパーツメーカーもすさまじい発展を遂げてきたんですから、事食の問題は厳しくても厳し過ぎることはないと私は思うんです。

 もう一方で、成長ホルモンなんですけれども、アメリカなんかでは、今、本当に子供たちの健康とかが、ちっちゃいうちに陰毛が生えたとか、何か乳首が出てきたとか、ホルモンがおかしいんじゃないかという報道に結びつくというぐらい、アメリカ人は、あれだけの成長ホルモンを使っていますから、非常にセンシティブになっているということなんです。

 向こうでは、ホルモンフリーという、オーガニックの牛肉は非常にプレミアの価格がつくそうでありますけれども、ホルモンフリーを表示するために、日本で私が、例えば、アメリカ、オーストラリアからホルモンフリーの、普通の、今の成長ホルモンを使っている一般の肉じゃなくて、ホルモンフリーのオーガニックの肉をこちらに輸入してくる場合は何が必要になりますか。政府に伺います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 輸入牛肉におきますホルモンフリーの表示につきましては、肥育ホルモンの使用の有無につきましての情報が正しく伝達をしていれば、任意での表示が可能であると考えております。

 なお、アメリカなりオーストラリア等のオーガニック規格ということであれば、家畜の成長を人為的に促進させる肥育ホルモンなどの使用を認めておりません。輸入のオーガニックビーフを選ぶことで、肥育ホルモン等を使用したものを避けることができるのではないかというふうに考えているところでございます。

 このように、オーガニックビーフという任意の表示であれば、先生御指摘のホルモンフリーという情報を消費者に伝えることができるのではないかと考えておるところでございます。

松浪分科員 今、オーガニックとおっしゃいましたけれども、向こうのオーガニック規格は、ホルモンフリーであるだけでなくて、例えば抗生物質を使ってもそれを除くというような厳しいものなので、ホルモンフリーとオーガニックというのは同意ではないと思うんですけれども、その場合、日本でもホルモンフリーという表示を使っていいということですか。

吉井政府参考人 先生今御指摘のとおり、ホルモンフリーとオーガニックというものは概念が違います。

 そういう意味では、ホルモンフリーとは、一般的に肥育ホルモンを使っていないという意味での表示になるということでございます。一方、オーガニックは、一般的にホルモンフリーのことだけではなくて、抗生物質を与えないことでありますとか、家畜については肥育過程で自由に放牧させる等々、さまざまな要件がそれに付加されるということでございます。

 さらなる条件をクリアした上でこうした表示が可能となるということで、そういう意味では、ホルモンフリーはオーガニックの中に含まれるという概念だと思います。

松浪分科員 ホルモンであれ何であれ、日本でもホルモンフリーと。オーガニックと聞くと、何か自然のものだなというので、なかなか消費者の感覚というのははっきりしないと思うんですけれども、今回わかってきたのは、やはり成長ホルモンというものが、私は、環境省も含めて、動物虐待じゃないかと。あれは非常に、興奮剤等の役割もあるということですので、アニマルウエルフェアの観点からも、日本でいえば動物愛護管理法等にかかってきてもしようがないものなんじゃないかなと私は思いますけれども、この点についてはもうこれ以上触れません。

 次に、外食産業について最後に質問しておきたいんですけれども、ヨーロッパでは、外食産業においても遺伝子組み換え表示というものが義務づけられています。実際、私もその辺の食べ物屋さんで、役所の説明は、それは食べ物屋さんで聞けばわかるからと言うんですけれども、その辺の町でなかなか、これは遺伝子組み換えですか、ホルモンフリーですかと聞くのは、聞いても大体料理人のおっちゃんはわからないという経験が私も実はあるんですけれども、外食において遺伝子組み換え表示がない理由というのはどういうところにありますか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま先生御指摘のとおりでございますが、まず外食におきましては、営業形態が対面販売であり、購入前にあらかじめ消費者が店員に食品の内容を直接確認できることというのがございます。さらに、提供される料理の種類が多く、使用される原材料も日々頻繁に変わる、こうした状況から、その都度表示を切りかえるということが一般的に非常に困難であるという実態にございます。

 そうしたことを踏まえまして、食品表示法に基づく表示の義務づけという意味では、これは遺伝子組み換えのみならず、ほかの表示も含めて対象外にしているところでございます。

松浪分科員 これは別の紙で示しましたけれども、遺伝子組み換え食品の表示制度で、これは外食の話じゃありませんけれども、いわゆる意図せざる混入率というのは、EUでは〇・九%。これは五%なんですけれども、食べ物によっては、外食でも非常に高い割合になっても、こういうものをちょっとでも入れていくことは、例えば八割以上が遺伝子組み換えの豆腐ですとか、そういう、豆腐定食か何か知りませんけれども、その定食の中で割合でそれが多いというのであれば、こういうものも軽く義務づけていっても問題はないと思いますし、日がわり定食以外は、日がわりで変わるもの以外は入れておきなさいよという、日がわりだけは義務から撤廃するというようなことをやっても、十分僕は、これは逆に機能するんじゃないかと思うんですね。

 これでやはり調理を出す外食産業の意識、それから国民の意識も変わってくるというふうに思いますので、これも新たな提案でありますが、大臣には、大変今笑顔でメモをいただきましたので、善処をお考えいただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松田主査代理 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての質疑は終了いたしました。

    〔松田主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 平成二十四年度国会主管一般会計歳入決算並びに衆議院関係の一般会計歳出決算及び東日本大震災復興特別会計歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十五億二千六百九十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は十五億九千九百九十五万円余であり、差し引き七千三百一万円余の増加となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百四十億六千八百九十九万円余でありまして、これに基礎年金拠出金の納付に要する費用の負担のための予算補正追加額一億四千二百六万円余、前年度からの繰越額五億六百九万円余を加え、東日本大震災復興事業に充てる財源確保のための予算補正修正減少額二十四億八千九百九万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百二十二億二千八百六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百九十九億六千百十七万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二十億四千三百二十万円余、衆議院の運営に要した経費百八十四億一千四十四万円余、衆議院の施設整備に要した経費十一億四百二十八万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費七十九億五十三万円余、東日本大震災復旧・復興に係る衆議院の施設整備に要した経費五億二百七十万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は二十二億六千六百八十八万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額百九十一万円余、不用額二十二億六千四百九十六万円余であります。

 次に、特別会計の歳出につきましては、当初の歳出予算額は三億七千六百二十五万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額一億九千百五十七万円を差し引きますと、歳出予算現額は一億八千四百六十八万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億八千四百二十五万円余でありまして、このうち主なものは東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の調査活動費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、四十二万円余であります。

 以上が、平成二十四年度国会主管一般会計歳入決算並びに衆議院関係の一般会計歳出決算及び特別会計歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十五年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十五億八千百二十九万円に対しまして、収納済み歳入額は十五億三千四百四十九万円余であり、差し引き四千六百七十九万円余の減少となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百十九億七千四百八十四万円余でありまして、これに前年度からの繰越額百九十一万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額十七億四千九百二十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百二億二千七百五十二万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百七十五億六千九百八十万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二億九千三百二十九万円余、衆議院の運営に要した経費百八十二億四千四百二十八万円余、衆議院の施設整備に要した経費十億七千九百六十八万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費七十九億五千二百五十四万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は二十六億五千七百七十一万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額八千二十三万円余、不用額二十五億七千七百四十八万円余であります。

 以上が、平成二十五年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

後藤田主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。羽入国立国会図書館長。

羽入国立国会図書館長 平成二十四年度国立国会図書館関係の一般会計歳出決算及び東日本大震災復興特別会計歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 一般会計の歳出につきましては、当初の歳出予算額は百九十五億三千九百四十七万円余でありまして、これに基礎年金拠出金の納付に要する費用の負担のための予算補正追加額七千六十一万円余、前年度からの繰越額三億九千二百四万円余を加え、東日本大震災の復興財源確保のための特例措置等による予算補正修正減少額七億八千百四十二万円余を差し引きますと、歳出予算現額は百九十二億二千七十万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は百八十三億八千四百六十五万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費八十六億四百十二万円余、国立国会図書館の業務に要した経費七十億七千五百五十万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億九千二百三十五万円余、東日本大震災復旧・復興に係る国立国会図書館の業務に要した経費二億二千八百九十五万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費十三億八千三百七十一万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は八億三千六百四万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額四億三千五百三十六万円余、不用額四億六十七万円余であります。

 次に、特別会計の歳出につきましては、当初の歳出予算額は一億四千三百八十五万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額百六十六万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億四千二百十九万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は国立国会図書館の業務に要した経費一億四千二百十九万円余であります。

 以上が、平成二十四年度国立国会図書館関係の一般会計歳出決算及び特別会計歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十五年度国立国会図書館関係の一般会計歳出決算及び東日本大震災復興特別会計歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 一般会計の歳出につきましては、当初の歳出予算額は百八十七億八千九百五十六万円余でありまして、これに前年度からの繰越額四億三千五百三十六万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額九千九十万円を差し引きますと、歳出予算現額は百九十一億三千四百二万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は百七十五億一千五百二十二万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費八十二億三千五百四十三万円余、国立国会図書館の業務に要した経費七十一億五千七百八万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億九千二百三十七万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費八億四千四百四十七万円余、国立国会図書館業務費の財源の東日本大震災復興特別会計へ繰り入れに要した経費一億八千五百八十四万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は十六億一千八百八十万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額十二億二千四百八十二万円余、不用額三億九千三百九十七万円余であります。

 次に、特別会計の歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも一億八千五百八十四万円余であります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は国立国会図書館の業務に要した経費一億八千五百八十四万円余であります。

 以上が、平成二十五年度国立国会図書館関係の一般会計歳出決算及び特別会計歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。星裁判官弾劾裁判所事務局長。

星裁判官弾劾裁判所参事 平成二十四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億六百四十六万円余でございまして、これから東日本大震災の復興財源確保のための特例措置等による予算補正修正減少額一千二百九十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は九千三百四十九万円となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は九千百六万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額二百四十二万円余が不用額となっております。

 以上が、平成二十四年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は九千七百七十四万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額八百十二万円余を差し引きますと、歳出予算現額は八千九百六十一万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は八千三百十六万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額六百四十五万円余が不用額となっております。

 以上が、平成二十五年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。岡本裁判官訴追委員会事務局長。

岡本裁判官訴追委員会参事 平成二十四年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億二千三百二十二万円でありまして、これから東日本大震災復興事業に充てる財源確保等による予算補正修正減少額千五十六万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億千二百六十五万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億四百九十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、七百七十四万円余となっております。

 引き続きまして、平成二十五年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億千三百七十一万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額二百六十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億千百三万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億六百七十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、四百三十三万円余となっております。

 以上が、平成二十四年度及び平成二十五年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、衆議院がガスの調達契約を締結するに当たり、特定調達の対象となる要件を満たす場合には、一般競争に付するなどの協定等及び特例政令等に基づく契約手続を実施することにより、内外無差別原則の確立と手続の透明性等を確保するよう改善させたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院が講じた措置について御説明申し上げます。

 衆議院本館等において使用するガスの調達契約につきましては、政府調達に関する協定等に基づき、一般競争入札に付するなど、適切に契約手続を実施する措置を講じたところでございます。

 今後とも、なお一層、契約事務の適切な実施に努めてまいる所存でございます。

後藤田主査 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、国会所管については終了いたしました。

 それでは、御退室くださって結構です。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。西村宮内庁次長。

西村政府参考人 平成二十四年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十四億五千四十六万円余でありまして、これを支出済み歳出額五十九億六千六百七十八万円余と比較いたしますと、四億八千三百六十七万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は一億二百九十八万円余でありまして、不用額は三億八千六十九万円余であります。

 翌年度繰越額は、施設整備に必要な経費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、国際親善行事が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。

 次に、平成二十五年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十一億四千四十三万円余でありまして、これを支出済み歳出額五十七億七千五百四十五万円余と比較いたしますと、三億六千四百九十七万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は一億四千三百二十八万円余でありまして、不用額は二億二千百六十八万円余であります。

 翌年度繰越額は、施設整備に必要な経費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、国際親善行事が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。

 これをもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

後藤田主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退室いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。今崎最高裁判所事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 御説明申し上げます。

 平成二十四年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千百四十六億六千四百六十八万円余でありますが、これに平成二十三年度からの繰越額百三十四億一千八百八十七万円余、予算補正追加額二百四十一億七千百六十九万円余、予算補正修正減少額二百十三億四千十六万円余、差し引き百六十二億五千四十万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百九億一千五百八万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は二千八百七十九億六千四百四十七万円余であり、歳出予算現額との差額は四百二十九億五千六十一万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は三百十八億一千五百四十万円余、不用額は百十一億三千五百二十万円余でございます。不用額となった経費は、人件費四十七億二千百五十四万円余とその他の経費六十四億一千三百六十六万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百五十一億九千七百六十六万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は四百九億二百六十七万円余であり、歳入予算額に対し百五十七億五百一万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となりました収入金が予定より多かったこと等によるものであります。

 以上、平成二十四年度の裁判所所管一般会計歳入歳出決算でございます。

 続きまして、平成二十五年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は二千九百八十八億七千八百二十八万円余でありますが、これに平成二十四年度からの繰越額三百十八億一千五百四十万円余、予算補正追加額四十億一千三百四十九万円余、予算補正修正減少額四十六億八千七百七十六万円余、差し引き三百十一億四千百十三万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百億一千九百四十一万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千六十四億三千四百八十万円余であり、歳出予算現額との差額は二百三十五億八千四百六十万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百三億五千五百二十八万円余、不用額は百三十二億二千九百三十二万円余であります。不用額となった経費は、人件費三十二億三千八百六十一万円余とその他の経費九十九億九千七十万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百九十億二千五百万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は三百六十九億六千四百四十八万円余であり、歳入予算額に対し七十九億三千九百四十七万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となりました収入金が予定より多かったこと等によるものでございます。

 以上、平成二十五年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 続きまして、平成二十五年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。今崎最高裁判所事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 平成二十四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、既に一部返納の措置が講じられており、残金についても引き続き返納を求めてまいります。また、不正行為のありました保管金取扱事務につき、牽制態勢の強化と指導監督の徹底を図るなど、現金出納事務の不正防止方策を講じたところであります。

 以上でございます。

後藤田主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退室くださって結構です。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。河戸会計検査院長。

河戸会計検査院長 平成二十四年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千三百三十二万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千三百二十七万円余であり、差し引き四万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入千八百五十二万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百六十六億二千八百九十七万円余でありますが、これに予算補正追加額一億五千九百十五万円余、予算補正修正減少額十一億三千二百五十五万円余、前年度繰越額三億七百三十三万円を増減いたしますと、歳出予算現額は百五十九億六千二百九十万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百五十二億四千八百万円余、翌年度繰越額は八千四百四十六万円余でありますので、その差額六億三千四十三万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百三十二億五千六百三十一万円余、会計検査業務に要した経費として十九億六千三百九十六万円余となっております。

 以上、平成二十四年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 次に、平成二十五年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千百七十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は千六百二十万円余であり、差し引き五百五十七万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入千三百五十五万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百五十九億二千三百八十万円余でありますが、これに予算補正追加額九千三百四十四万円余、予算補正修正減少額二億五千五百九十万円余、前年度繰越額八千四百四十六万円余を増減いたしますと、歳出予算現額は百五十八億四千五百八十万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百五十一億五千九百六十八万円余、翌年度繰越額は一億千四百九十四万円余でありますので、その差額五億七千百十八万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百三十五億千二百五十八万円余、会計検査業務に要した経費として十五億六千六百十五万円余となっております。

 以上、平成二十五年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

後藤田主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、会計検査院所管については終了いたします。

 それでは、御退室くださって結構でございます。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生金融担当大臣。

麻生国務大臣 平成二十四年度における金融庁歳出決算の概要を御説明させていただきます。

 歳出予算現額二百十七億円余に対し、支出済み歳出額は二百二億円余、翌年度繰越額は一億円余であり、不用額は十四億円余であります。

 以上をもちまして、平成二十四年度金融庁歳出決算の概要説明を終わらせていただきます。

 次に、平成二十五年度における金融庁歳出決算の概要を御説明させていただきます。

 歳出予算現額二百十九億円余に対し、支出済み歳出額は二百六億円余であり、不用額は十二億円余であります。

 以上をもちまして、平成二十五年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

後藤田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中金融庁については終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより復興庁所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。今村復興大臣。

今村国務大臣 平成二十四年度における復興庁所管の一般会計歳出及び東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳出につきまして、歳出予算現額は六百三十二万円余でありまして、その内訳は、前年度繰越額一兆三千百一億七千三百三十六万円余、予算決定後移しかえ減少額一兆三千百一億六千七百四万円余となっております。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は六百八万円余でありまして、不用額は二十四万円余となっております。

 次に、東日本大震災復興特別会計について御説明申し上げます。

 東日本大震災復興特別会計の収納済み歳入額は五兆二百二十二億五千六百五十九万円余、支出済み歳出額は三兆一千五百二十二億二千百五十九万円余でありまして、歳入歳出差し引き一兆八千七百億三千五百万円余の剰余を生じております。

 この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。

 引き続き、平成二十五年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災復興特別会計の収納済み歳入額は六兆七千七百三億三千百八万円余、支出済み歳出額は四兆四千六十七億三千二百六十五万円余でありまして、歳入歳出差し引き二兆三千六百三十五億九千八百四十三万円余の剰余を生じております。

 この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、自動車運行管理業務請負契約に係る予定価格の積算に当たり、労務単価の適用を誤るなどしていたため、支払い額が割高となっていたものであります。

 続きまして、平成二十五年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。今村復興大臣。

今村国務大臣 平成二十四年度決算検査報告におきまして、不当事項として御指摘を受けるような事態が生じましたことは、遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、その是正の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存であります。

後藤田主査 以上をもちまして復興庁所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、復興庁所管については終了いたします。

 それでは、御退室くださって結構です。

 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤田主査 速記を起こしてください。

 ただいま質疑者が到着いたしましたので、開始させていただきます。政府側もそろっておりますので、開始させていただきます。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。岸外務副大臣。

岸副大臣 平成二十四年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額百八十九億四千八百三十二万円に対しまして、収納済み歳入額は二百六十八億三千八百六十七万円余であり、差し引き七十八億九千三十五万円余の増加となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額八千五百十四億八千七百七十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は七千五百十七億九千六百三十四万円余、翌年度繰越額は九百億三千四百四十一万円余、不用額は九十六億五千六百九十五万円余となっております。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 続きまして、平成二十五年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額百十六億六千九百五十四万円余に対しまして、収納済み歳入額は二百六億六千四百八十四万円余であり、差し引き八十九億九千五百二十八万円余の増加となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額九千三十四億千八百六十万円余に対しまして、支出済み歳出額は八千六十一億七千八十万円余、翌年度繰越額は八百八十八億三千五百八万円余、不用額は八十四億一千二百七十一万円余となっております。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 失礼いたしました。

 ただいま読み上げました外務省主管の歳入の予算額につきまして、読み間違いがございました。百十六億六千九百五十六万円余でございます。

 よろしくお願いします。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院村上第一局長。

村上会計検査院当局者 平成二十四年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、政府開発援助の実施に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、国際機関に対して行われる無償資金協力において、事業の進捗報告書等の提出や残余金の返納等に関し、国際機関に対して適時適切に照会や働きかけを行い、それらの状況等の把握を的確に行う体制を整備するよう改善させたもの、緊急人道支援事業等に対して供与した資金について、供与先に滞留していた残余金を国庫に返還させるとともに、今後は、毎年度末時点で供与先が保有している残余金を速やかに国庫に返還させるよう改善させたもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十五年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、在外公館における会計経理が適正を欠くと認められるもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、政府開発援助の効果の発現に関するもの、草の根・人間の安全保障無償資金協力の実施に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十四年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十五年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。岸外務副大臣。

岸副大臣 平成二十四年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 政府開発援助の実施に関する御指摘について、援助の効果が十分に発現するよう、相手国政府等に対し適切な働きかけを行うなど、所要の措置を講じております。

 今後とも、より効果的な政府開発援助の実施に努めてまいる所存でございます。

 続きまして、平成二十五年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 在外公館における会計経理につきまして、不当事項として御指摘を受けるような事態を生じたことは、まことに遺憾であります。これにつきましては、会計事務処理の適正化について職員への周知徹底を図る等の措置を講じており、再発防止に努めてまいる所存でございます。

 その他の指摘事項につきましても、所要の措置を講じたところであります。

 以上です。

後藤田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂分科員 民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうはお世話になります。よろしくお願いいたします。

 きょうは、日印原子力協定について話を伺いたい、教えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 まず最初に、原子力発電所の輸出、あるいは原子力発電に関する資機材の輸出について、政府は経済政策上どのような位置づけをしているのか、この点についてお知らせください。

    〔主査退席、松田主査代理着席〕

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず第一に、世界において、エネルギー安全保障、経済性、また環境の適合性といった観点から、原発建設の計画を進めている国は数多く存在をいたします。日本の福島第一原発事故後におきましても、我が国日本の原子力技術に対する期待の声が世界各国から寄せられていることも事実でもあります。

 当然のごとく、相手国が要らないというものは売りませんし、相手国の意向が、買いたいというものがあったりとか、また、地理的状況を踏まえながら、安全性や信頼性にすぐれた我が国の技術やノウハウを提供していくことは我が国の責務でもありまして、世界での期待でもあると承知をしております。

 このような理解のもと、本年五月に改訂いたしましたインフラシステム輸出戦略においても、先進的な低炭素技術の海外展開支援の一環として、そういった部分の成長戦略に原子力発電に関する協力の推進が掲げられているところでもあります。

逢坂分科員 成長戦略の一環として、相手国が望むのであれば、日本の技術も期待されているから原発を輸出していこうというのが政府の基本姿勢、そのように理解をいたしました。

 そこで、現在の状況についてお伺いしたいんですが、現在、日印原子力協定は、十一月十一日に双方の国が署名をした段階、まだこれは発効しておらないわけであります。今、きょう、この時点で、日本からインドに原発とその他関連資機材の輸出はできないというふうに認識をしておりますけれども、その認識でよろしいでしょうか。

岸副大臣 現在のところ、委員がおっしゃいますとおり、まだこの協定につきまして発効しておりませんので、発効した上で輸出が認められるということでございます。

逢坂分科員 それでは、仮に、日印原子力協定が国会でも承認をされて発効するというようになりますと、現時点では輸出はできないということでありますけれども、この状況がどのように変化をするのか、お知らせください。

岸副大臣 本協定につきましては、日印間で移転される原子力関連資機材の平和的利用を法的に確保するための枠組みを定めるものでございます。

 将来、我が国からインドに原子炉のような原子力関連資機材を輸出するためには、両国の締結によりまして本協定が発効していることが必要となります。

 本協定自体は、民間企業の具体的な諸活動について取り決めるものではございませんが、先ほどの繰り返しになりますが、本協定を締結したことによりましてこの資機材の輸出が可能になる、こういうことでございます。

逢坂分科員 原子力協定が発効すれば、原子力資機材、あるいは、もっとストレートに言えば原子力発電所の輸出が可能になるということなんだろうと思うわけですが、その際に、核燃料の再処理と言われるものがあります。

 使用済み核燃料を再処理できるのかどうかというようなあたり、これを日本政府はインドに認めるのかどうか、その認める際に何らか条件がつくのかどうか、このあたりについてお伺いしたいと思います。

岸副大臣 インド側の再処理につきましてのお問い合わせでございますが、二〇〇八年にインドは、約束と行動と呼ばれます政策を発表して、それを前提に、原子力供給国グループはインドへの原子力関連資機材等の移転を例外として認めることを決定いたしたところでございます。これを受けて、各国は原子力協定を締結しているところであります。

 そもそも、インドが既に再処理能力を有して、使用済み燃料を再処理する方針をとっていることを踏まえまして、インドによる再処理を明示的に認める協定を締結しているところであります。

 本協定におきましても、このような各国とインドとの協定等も踏まえて、本協定の第十一条二項によりましてインドにおける再処理を認めましたが、これは、附属書B等の規定に従い、あくまで厳格な条件のもとでのみ認めたものでございます。

 また、協定十一条3では、再処理の条件として、分離され得るいかなる特殊核分裂性物質も、インドの平和的目的のために予定された原子力計画を実施するための施設であって、IAEAの保障措置のもとにあるインドに所在する施設のための核燃料を生産する目的のためのみ貯蔵され、または使用される旨定めておるところであります。

逢坂分科員 何か条件が付されるのかということに対して、厳格な条件があるんだ、それから、平和的利用、その目的以外には使えないんだといったような話だったかと思うんです。

 実は、これは必ずしも明確に通告していなかったので、もしかするとちょっとお答えにくいのかもしれないんですが、もしお答えにくいようであれば、あす原子力特別委員会でまたお伺いしたいと思っています。

 今回の日印原子力協定を見てみると、従前日本が締結していた、例えば日本とトルコの協定であれば、例えば再処理について、要するに、日本とトルコ両方が書面により合意する場合に限り、トルコの所轄内において、トルコの国の中において核燃料の再処理をすることができるというような規定がある。あるいは、日本とヨルダンあるいはベトナム、これらの協定事例を見ても、両国の同意がなければ再処理できないという規定があるわけでありますけれども、今回の日印原子力協定は、これら従前の例とどこか違っているということでしょうか、再処理について。この点、いかがですか。

四方政府参考人 今の御質問の関係で、今回の協定で定めます再処理の条件でございますけれども、こちらにつきましては、まず、インド国内での再処理の条件といたしまして、インドとIAEAの間の保障措置協定及びその追加議定書がインドにおいて効力を有していること、また、再処理によって分離され得るいかなる特殊核分裂性物質も、IAEAの保障措置のもとにある施設用の核燃料を生産する目的のためにのみ貯蔵され、また使用されること、及び、先ほどもございましたけれども、附属書Bに定める再処理の条件が適用されていること等を規定しております。その意味で、再処理の条件を厳しく定めているところでございます。

 先ほど先生から御指摘ございましたトルコ、ヨルダン、ベトナム、それぞれ規定がございますので、そちらの方の規定の比較につきましては、詳細は追ってまた御説明をさせていただきたいと思います。

逢坂分科員 申しわけございません。この点、必ずしも明確に通告していなかったと承知しております。あす、また原子力特別委員会がありますので、そちらで改めて伺わせていただきたいと思います。

 そこで、再処理をするとなれば、当然プルトニウムが抽出されるということになる、しかもそれは平和的利用だということになるわけですが、再処理をした後は、それは具体的にはどういうものに使うというふうに想定しているんでしょうか。

四方政府参考人 再処理につきましては、インド自身は既に再処理能力を有しておりまして、使用済み燃料を再処理する方針をとっていると承知しております。

 再処理によって、この協定のもとで分離されるプルトニウム等が、IAEAの保障措置のもとにあるインド国内の民生用の原子力施設でのみ使用、貯蔵されること等を条件としました上で、再処理施設に適用される保障措置の内容等を附属書で定めておりまして、あくまで厳格な条件のもとで、これは民生用の原子力施設において発電目的のために使われるということを担保しておると理解しております。

逢坂分科員 そこで、私は疑問が湧くんです。

 実は、日本でもプルトニウムが四十八トンほどある。それで、核分裂性のプルトニウムはそのうち三十二トンぐらいというふうに理解をしているんですが、日本において、例えばプルサーマル発電でありますとか、あるいはフルMOX発電というものは、必ずしもうまくいっているというふうには、私は承知はしておらない。プルトニウムが減る方向よりも、どちらかというと、この間ふえる方向であった。

 日本においてもそれはやれない。ところが、今度、インドには使用済み核燃料の再処理は認める、そして、それは平和利用なんだ、発電なんだ、民生用の発電に使うんだということであります。

 日本が今やろうとしていてもなかなかうまく進んでいないものを輸出先に求めているというのは、私は少し条件がよろしくないのではないかなという気がするんですけれども、このあたり、いかがですか。

岸副大臣 我が国として、インドの原子力政策の今後の見通しについて申し上げる立場にはございませんが、その上であえて申し上げますと、先ほども御答弁ありましたけれども、インドは既に再処理能力を有しているところでございます。使用済み燃料を再処理する方針をとっているというふうに承知をしているわけでございますが、この協定においても、インドによる再処理を容認することにしたわけでございます。

 この再処理によりまして分離されるプルトニウムは、IAEAの保障措置のもとにありますインド国内の民生用の原子力施設でのみ使用、貯蔵がなされるということが条件にされているわけでございます。

 繰り返しになりますけれども、あくまでも厳格な条件のもとでのみ認められている、こういう状況でございますので、本協定に基づいてインドが行う再処理につきましては、同国政府が果たすべき義務という面におきましては十分明確である、このように考えているところであります。

逢坂分科員 書面上はそれは明確だということは私も理解できるんですけれども、実際上、日本の国でも、再処理したプルトニウムの取り扱いに苦慮しているのが実態だというふうに思います。そういう中で、書面上は、確かに今副大臣おっしゃったとおりだと思いますけれども、実務上、それをインドに求めていくというのは非常にハードルが高いのではないかという気が私はいたします。きょうはこの程度にとどめさせていただきます。

 では、次に、使用済み核燃料というものが、発電をすれば当然出ていくわけですね。そうなったときに、再処理をするしないは別にしても、使用済み核燃料の処理責任とか保管とか、そういう責任というのは日本にあるのかインドにあるのか。これは、日本が輸出した資機材由来の使用済み核燃料ということになりますけれども、それはいかがでしょうか。

岸副大臣 本協定が適用されます核物質につきましては、協定上、インド国内においてIAEAの保障措置の適用を常に受けることとされております。

 したがいまして、本協定の適用を受けることになる使用済み核燃料や使用済みMOX燃料につきましては、インドの原子力関連当局によりまして、IAEAの保障措置の適用のもとで適切に保管、管理がなされるということでございます。

逢坂分科員 では次に、御案内のとおり、先ほど来も幾つか話がありましたが、インドは、一九七四年ですか、独自の技術でプルトニウムを分離して核実験を行っているわけでありますけれども、二〇〇八年の宣言によって、インドは、これから核実験については非常に慎重な姿勢であるというふうには承知はしているんですが、今後インドが核実験を行わない保証というのは一〇〇%ないというふうに私は思います。

 その際、もし仮にインドが核実験を行った場合、この協定を日本政府はどのようにする方針であるのか、お伺いします。

岸副大臣 本協定の第十四条1には、各締約国政府は、他の締約国政府に対しまして一年前に書面による通告を行うことによって協定を終了させる権利を有すると規定をしているところでございます。

 また、同条2では、協定の終了を求める締約国政府は、終了の通告後、協力の全面または一部を停止する権限を有する、このように規定をしているところでございます。

 インドが仮に核実験を行った場合におきましては、我が国は、これらの規定に基づいて、協定の終了につき、書面による通告をインドに対して行い、その上で、協定のもとでの協力を停止することになります。

 協定のこれらの規定から、協定の終了等に関します我が国の権利は明らかでありますが、インドが核実験を行った場合に我が国がこれらの権利を行使することができるという点をより明確にするために、両国間で「見解及び了解に関する公文」を作成し、本協定と同時に署名したところでございます。

逢坂分科員 インドがもし核実験を行った場合には、この協定の十四条の規定によって日本はこの協定を終了させる、そして、しかも協力を停止するんだ、そういう方針であるんだという説明でしたが、それはインド政府も了解をしているという理解でよろしいでしょうか。

岸副大臣 ただいま申し上げましたとおり、公文の交換によりまして、お互いに「見解及び了解に関する公文」を交わしたことによりまして、両国ともその件を了解している、このように考えております。

逢坂分科員 両国とも了解をしているという、インドがもし仮に核実験を行った場合は、十四条の規定に基づいて日本が協定を終了させるという通告をし、さらにそれが具体化すれば、協力については停止をする、そういう方針であるということをインドも了解しているということでよろしいですね。

岸副大臣 協定の規定から、協定の終了及び協力の停止に関します我が国の権利は明らかであるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 そして、インドが核実験を行った場合、我が国はこれらの権利を行使することができるということを明確にしたのが公文でございます。これを日印間で「見解及び了解に関する公文」として同時に署名をしたところでございます。

 公文の第二項に、「両国の見解の正確な反映であることが了解される。」と明記されていることから明らかなとおり、公文は法的な拘束力を持つものとして作成をされている、こういうことでございます。

逢坂分科員 それでは、公文の話になりましたので、公文の性質について改めて確認をさせていただきたいと思うんです。

 今回取り交わした公文は、本協定第十六条第二項と言っていいんでしょうか、第十六条2というふうに言うべきでしょうか、その中に言う附属書に含まれるという理解でよろしいでしょうか。

岸副大臣 今おっしゃられた附属書には含まれておりません。

逢坂分科員 今の話ですと、附属書には含まれないんだと。でも、十六条2によりますと、「この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。」というふうに言っているわけですよね。「不可分の一部を成す。」と言っている。

 それでは、公文は、今の答弁からすれば、この協定の不可分の一部をなすものではないという理解でよろしいでしょうか。

岸副大臣 附属書は、あくまでも協定に対する附属書であります。ですから、それと同時に、書面を交わした別の書類としてこの公文がある、このような存在であります。

逢坂分科員 いずれにしても、十六条の2の附属書の類いには公文は入らないという理解をさせていただきました。

 そこで、私、公文を読んで、どうも日本語がよくわからないんです。先ほど副大臣御説明いただきました、公文の二項ですか、「前記については、両国の見解の正確な反映であることが了解される。」了解したとか了解したものとするというのなら、まだ私は日本語としてはわかるんですけれども、「両国の見解の正確な反映であることが了解される。」というのは、一般の用語としては、我々の、一般社会の中ではなかなか使わないことなのかなという気がするわけであります。

 そこで、「両国の見解の正確な反映であることが了解される。」ということは、具体的にはどのようなことを意味するのか。両国の述べたことを両国が了解した、わかりました、インドはそう言っています、日本はこう言っています、了解しましたよということなのか、あるいはただ単に、両国がそう述べた事実、そう述べましたという事実を、了解したわけでも了解しないわけでもなく、単に認知をした、そういう発言があったということを単に認知したのみにとどまるものなのか。これらについてはどうでしょうか。

岸副大臣 先ほども申し上げましたが、公文は法的拘束力を持つものとしてつくられている。その公文の中に、第二項として、「両国の見解の正確な反映であることが了解される。」このように書いてあるわけでございます。

 ですから、了解されるということ自体が法的に縛るということでございます。

逢坂分科員 法的に縛るということ、了解されるということが法的に縛ることなんだという説明ですけれども、それは、平たく言うと、日本語で言うと、それでは、両国が両国の述べたことをお互いに了解しましたよというふうに受けとめていいのか、それとも、単にそういう発言があった事実があるということだけを認めたことなのか、ここの違い、私、結構大事なんじゃないかなという気がするんですけれども、これは具体的には言えないでしょうか。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 この公文における「両国の見解の正確な反映であることが了解される。」という文言の使用につきましては、通常の国際約束において法的拘束力を持つものというふうに解しております。

 ただ、先ほどの副大臣からの答弁にございましたとおり、協定とは別の文書になっておるということでございまして、協定上の根拠といたしまして、核実験が行われた際の停止ということはもう既に定められておるわけでございますけれども、この公文を作成し、署名することによってこの協定の実効性を高めているというふうに考えております。

逢坂分科員 改めて確認をさせてもらって、法的拘束力を持つんだということは、それはそこで一応理解をさせていただきまして、後でまた議事録を見て、その上でわからないところがあれば御質問させていただきたいと思います。

 それから、公文に関してもう一つ私が読んでいてわからないところがあるんですが、公文の一項の(3)、ここに何が書いてあるかというと、「日本側代表団の代表は、九月五日の声明に違反するインドの行動は通常の状況からの深刻な逸脱とみなされることとなる旨述べた。」これは、述べたという事実が書いてあるわけですね。ただ、その次が私はわからないんです。

 「そのような場合において、協定の適用を受ける核物質の再処理は、協定第十四条9の規定に従って停止される。」これは、停止されるで言葉がとまっているわけです。停止されると述べたというわけでもなければ、どういう文脈の中でこれは停止されるという意味合いなのか、ここのところ、もし事務方の方でわかれば説明いただけますか。

四方政府参考人 今の御質問の関係でございますけれども、それぞれ、日本側代表団の、この文脈では日本側代表団の代表が述べた我が国の見解ということでございまして、この停止されるということにつきましては、日本側代表団の代表の見解ということと理解ができるものと思います。

逢坂分科員 であるならば、ほかのところ、一の(1)でありますとか一の(2)でありますとか、これは全て「述べた。」「述べた。」となっているんですが、この(3)だけ、もし今おっしゃったような答弁であるならば、なぜ、深刻な逸脱とみなされることとなる及び協定の適用を受ける云々かんぬん、従って停止される旨述べたというふうに書かなかったのか。ここだけあえて述べたというふうには書いていないわけですね。ここは私、疑問なんですが、もし御答弁できるようであれば御答弁していただきたいし、もしきょうそれが難しいということであれば、あす再度お伺いしたいと思うんですが、いかがですか。

四方政府参考人 この文脈で、旨述べたという表現になっておらないことによって、この公文の力といいますか、実際に、「再処理は、協定第十四条9の規定に従って停止される。」ということで断定的になっておりますので、公文自身の表現としては強いものになっておるというふうに理解いたします。

逢坂分科員 表現としては強いものだと、ちょっと何かにわかには私は理解できない、一般国民の感覚としては、外交というのはそういうものなのかどうなのかわかりませんが、ちょっと理解しがたい感じがしますけれども、これも後ほどもう少し詰めさせていただきたいと思います。

 それで、時間も押してまいりましたので、少し質問を飛ばして、多分これが最後になろうと思うんですけれども、総理はこう言っているんですね。日本の規制基準と同様でない限り輸出はしないというふうに総理は述べているんですね、原子力の資機材、原子力発電所について。となれば、この日本の規制基準と同様ということをどうやって担保するのか。

 それで、きょうは原子力規制委員会に来ていただいておりますけれども、規制委員会は、例えばこういうことについて何らか関与ができるんでしょうか。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力施設に係る日本国内の規制を担っておりまして、原子力資機材の輸出における安全確認については、原子力規制委員会の所掌範囲外であることから、意見を申し上げる立場にはないと考えております。

 また、国際的にも、原子力安全に関する条約では、各国の原子力施設の安全の責任は同施設を管轄する国が負うというふうにされているところでございます。

逢坂分科員 であるならば、この日本の規制基準と同様でない限り輸出はしないという総理の発言は、具体的にどうやって担保されることになるんでしょうか。これは経産省でしょうか。

中川大臣政務官 基本原則といたしまして、原発の安全確保というものはその原発立地国が行うというのが国際的に確立した考え方となっています。まず、相手国の体制が整備されることが重要だと認識しております。

 このため、相手国に対しても、日本の経験を十分に説明させていただいた上で、安全最優先で臨むという相手国の姿勢を政府間で確認して、そしてまた、新興国などに対しては、必要に応じて人材育成ですとか、さらには制度整備面での支援を行うことになっております。

 加えて、我が国としても、原発輸出については、相手国からの要請を受けて、安全最優先で対応するということを基本としています。このため、原発輸出に取り組む日本企業に対して、福島の教訓を踏まえまして、みずから得た知見や技術を生かして原発輸出に取り組むよう、徹底して周知、指導してまいりたいとも考えています。

 その上で、原子力施設の主要資機材の輸出などに係る公的信用を付与する際には、内閣府が、関係省庁の協力のもとに、IAEAのレビューなどを通じまして安全配慮などを確認する、こうした取り組みを通じて、我が国は本当に世界で最も厳しいレベルの安全性を追求する原発輸出を行っていると考えております。

逢坂分科員 やはり、今の話を聞いた限りでは、この総理の日本の規制基準と同様でない限り輸出はしないという発言が担保されているというふうには思われないんですね。

 原発の設置国が安全を守るということは、それは当然だと思います。そして、そのために人的な応援をしたりする、あるいは相手から求められたら、それも、いろいろなことも応援しますよという発言に聞こえたわけですけれども、その発言であれば、これは当たり前の発言で、総理が日本の規制基準と同様でない限り輸出しないと胸を張っているのは、私は、少しこれは、総理の誤認識ではないかという気がするんですが、きょうは時間が来ましたので、これでやめさせていただきます。また引き続き勉強させてください。

 ありがとうございます。

松田主査代理 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

    〔松田主査代理退席、主査着席〕

後藤田主査 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)分科員 日本共産党の斉藤和子です。

 四年ぶりに決算委員会が開かれたということで、しっかりと今後は審議していくということが必要かということを最初に指摘させていただいて、質問に入ります。

 防衛装備庁が昨年十一月に発表した「木更津駐屯地における日米オスプレイの共通整備基盤について」によると、二〇一五年四月の日米ガイドラインにおいて共通装備品の修理及び整備の基盤を強化するとして、普天間飛行場に現在配備されている米海兵隊のオスプレイの定期機体整備を平成二十九年度から千葉県木更津駐屯地で開始するとされています。

 今月十三日には、木更津駐屯地に隣接する公園で、日本の空にオスプレイは要らない、整備基地化反対の県民集会が開催され、千三百人を超える県民、市民が、オスプレイ来るな、整備基地反対の声を上げました。ここに県民、市民の民意があるということを強調したいと思います。

 その上で、まず、木更津で行われようとしている定期機体整備とは何を行うことなのでしょうか。防衛省、お願いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 機体の整備と申しますのは、航空機に関しまして、当然、毎日のように点検整備は部隊、基地の方では行っているところでございますけれども、米軍のオスプレイに関しましては、五年に一度、定期整備というものをやるということが米軍の規則上決まっております。

 これは、オスプレイを実際に工場に持ち込みまして、機体を分解し、部品の状況を確認したりして、不良な部品は当然交換したり、それから塗装もし直す、こういったことをやることが定期整備の内容でございます。

斉藤(和)分科員 五年に一度、米側が規則上行う定期整備だというお答えがありました。

 この定期整備を受けていない機体というのは、飛ばすことができるんでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 米海兵隊のオスプレイの定期機体整備の間隔、今、政府参考人の方から五年ということで御答弁させていただきましたけれども、それを超過した場合の措置につきまして、これは、一応他国の軍隊の整備状況に関することでございますので、私ども防衛省といたしましては、確たることをお答えできない状況でございます。

 ただ、オスプレイが仮に機体整備に関して怠っているかどうかということは別といたしまして、安全性ということにつきまして申し上げれば、これは、普天間飛行場への配備に先立ちまして、MV22オスプレイの安全性は確認をしておりますところでございますし、また、平成二十六年に、私どもは、日本でもこのオスプレイを導入することを決定させていただいておりますので、安全な機体であるということは再確認をいたしているところでございます。

斉藤(和)分科員 もう一度、米軍の規則がどうなっているかという、確たることは言えないというお話だったんですけれども、五年に一度、しっかりと定期整備はやるということは、米軍の規則で決まっているということでよろしいでしょうか。

田中政府参考人 米側からは、五年に一度、定期整備をやる、そのための基盤整備をしてくれという話が来ているというところでございます。

斉藤(和)分科員 つまり、五年に一度、必ず定期整備は行うということです。

 普天間基地にオスプレイが配備されたのが、二〇一二年の十月に十二機、二〇一三年の四月に十二機と、二十四機が配備され、既に四年が過ぎています。

 これまでに、定期機体整備はどこでやっていたんでしょうか。

田中政府参考人 私どもが承知している範囲でお答え申し上げれば、普天間基地に配備されている二十四機のMV22につきましては、来年一月から始まります定期整備が第一回目の定期整備であるというふうに承知しております。

斉藤(和)分科員 第一回ということは、今までやっていないということだと思います。

 防衛省が出した資料によると、一機当たり三から四カ月、年間五機から十機程度というふうになっているわけですが、それでいくと、五年以内に二十四機を定期整備するというのは不可能だと思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 私どもが米側と話をしている中で米側の方から話がございましたのは、大体年間に五機から十機程度の整備を行いたいというふうに承知しているところでございますので、単純に申しますと、二年間で十機から二十機ということになろうかと思います。

斉藤(和)分科員 つまり、二十四機というのは、初めて定期整備を行って、私の計算でいくと、このままでいっては間に合わないと思うので、どこかでやっていたのではないかというふうに思うわけですけれども、それはあくまでも推測で。

 つまり、先ほど御答弁があったとおり、定期整備というのは初めて日本で行うということでよろしいですよね。今まで定期整備は日本で一度もやっていないということです。

 つまり、沖縄で爆音と被害をまき散らしているオスプレイの定期機体整備は、日本でやるのは初めてだということです。普天間基地に配備されているオスプレイは、日本でこれまで整備をしていたわけではない。そして、定期整備は日本でやるのは初めてだ。これは沖縄の負担軽減でも何でもないと思うわけです。単なる、日本でやるのは初めてということは、新たな負担を押しつけるということにほかならず、政府が言っている沖縄の負担軽減にも何にもならないということを私は強調したいというふうに思います。

 その上で、定期整備基盤、定期機体整備が行われる千葉県の木更津駐屯地についてお聞きします。

 木更津基地は、一九四五年九月に、戦後、敗戦を受けて米軍に接収をされ、米軍基地として使用をされていました。その後、どのような変遷をたどってきているでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 木更津基地は、地位協定に基づきまして米軍の施設・区域として認められて以来、施設・区域として現在も使用が認められていることになっております。

斉藤(和)分科員 今も米軍の管理下にあるというお話でした。これは驚きなわけです。地元の人たちも含めて、誰しもが自衛隊の木更津基地だと思っているわけです。

 その背景には、一九四五年九月に米空軍の基地として使用される、その後、一九五六年に航空自衛隊木更津基地として発足し、一九六一年には米空軍は立川に移動する、それとあわせて、空軍がいなくなった後に、米海軍が移動し、現在では陸上自衛隊の第一ヘリコプター団が駐留しているということです。

 先ほど、現在でも木更津基地というのは、日米地位協定の第二条4の(a)に該当する、米軍が管理する基地になっているというお答えがありました。現在、米軍管理の基地のうち、航空施設を共同利用している基地は四つあります。三沢基地、厚木基地、岩国基地、そして木更津基地です。この四つには明確な違いがあるんです。三沢、厚木、岩国は、米軍が現に駐留しています。誰もが米軍基地だと思っています。しかし、木更津には米軍はいません。駐留していません。それなのに、なぜ米軍管理のままになっているんでしょうか。その理由をお示しください。

岡政府参考人 先ほど外務省から答弁がありましたとおり、米軍の施設・区域として提供された状況になっているわけでございますけれども、この木更津につきましては、昭和四十三年、一九六八年でございますけれども、十二月に日米安全保障協議委員会第九回会合が開催をされておりまして、これを受けて、米軍施設・区域調整計画概要という文書が公表されております。その中で、木更津飛行場については、日本政府に返還後も、米軍の不可欠な任務のための本飛行場の継続使用権を必要とするというふうにされていると承知をしているところでございます。

 防衛省といたしましては、その後、米側からその必要性に変更があったという情報には接していないところでございます。

斉藤(和)分科員 今ありました一九六八年十二月の日米の協議の中で、木更津飛行場は、日本政府に返還後も、米軍の不可欠な任務のための本飛行場の継続使用権を必要とするということが言われて、いまだにそれがそのままになっている。

 しかし、先ほども言ったとおり、一九七五年に米海軍の部隊が横須賀に移転してからは、米軍はいないわけです。既に四十年も米軍がいない状態が続いている。しかも、使用実績もほとんどない。それなのに、なぜいまだに米軍の管理下に置かれているのか。返還要求はしたんでしょうか。いかがでしょうか。

岸副大臣 日米地位協定の第二条の3におきましては、在日米軍施設及び区域の返還について、合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のために必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない、合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的として絶えず検討することに同意するというふうに規定をされているところでございます。

 ただ一方で、日本からの返還の申し入れがあったかどうかということでございますけれども、この件につきましては、同地位協定の第二条の3におきまして、米国は施設及び区域の必要性を返還を目的として絶えず検討する、また、同協定二条の2で、日米両国政府は、いずれか一方の要請があるときは、個々の施設及び区域に関する取り決めを再検討しなければならず、施設及び区域の返還について合意することができると規定をされているところでございます。

 政府としては、個別の施設及び区域について、それぞれの施設及び区域をめぐる状況や地元自治体からの要望、米国の所要や運用実績等を踏まえて、不断に検討を行い、適切に処理をしているところでございます。

斉藤(和)分科員 適切に処理をされても、四十年間、米軍が駐留していないにもかかわらず、木更津基地は米軍管理のままになっている。つまりそれは、木更津は米軍にとって必要不可欠なものであって、手放したくないということにほかならないということだと思います。

 地元の人たちは自衛隊基地だと思っている、しかし実際は米軍管理の状態だ、こういうことは非常に驚きです。こういう住民や自治体をだますようなやり方というのはやめるべきだということを私は強調したいと思います。

 しかも、今度は、この木更津に米海兵隊のオスプレイの定期整備基盤をつくろうとしているわけです。木更津基地の格納庫を使って定期機体整備を行う。これは富士重工業がやることになっています。

 この富士重工業の契約先はどこでしょうか。

若宮副大臣 米海兵隊のオスプレイの定期機体整備に関します契約といいますのは、アメリカの海軍とそれから富士重工業との間で締結をされるものでございまして、私ども当事者ではない防衛省といたしましては、その締結者を含めて、契約の内容につきましてはお答えする立場にないことを御理解いただければというふうに思っております。

 また、この定期機体整備の際の飛行とか、あるいは住民の皆様方にどういった形で対応させていただくかということにつきましては、これは木更津駐屯地周辺の地域の安全あるいは環境にも十二分に配慮をしていかなければいけないというふうに思っておりますので、これは米軍と書面による協定書の締結を行う予定といたしているところでございます。

 現在、米軍を含みます関係者と調整を進めているところであるということも申し添えておきたいと思っております。

斉藤(和)分科員 契約、第三者であるので答える立場にないというお話だったんですが、お配りさせていただいた資料をごらんいただきたいと思います。

 これはNAVAIRニュースリリースです。つまり、報道で公開されている、しかもインターネット上にあるニュースです。このNAVAIRというのは、海軍航空システム司令部で、海軍と海兵隊員の航空機などの研究開発からテスト飛行、評価、修理、整備までを一手に担っている部隊です。

 この二〇一五年十二月九日付のニュースリリースによると、富士重工業が、二〇一五年十月に、FRCWP、日本語で訳すと西太平洋艦隊即応センターというふうになるんだと思うんですけれども、そのMV22整備の契約をかち取ったというふうに書かれています。これはインターネットでも公開されています。

 この西太平洋艦隊即応センターというのは、厚木に置かれている部隊だと思いますが、どうでしょうか。

若宮副大臣 今委員がお話しになりました、日本語で言うところの西太平洋艦隊即応センターでございますが、おっしゃるとおり、アメリカ海軍の厚木の飛行場に所在をいたしてございます。

 また、これは、仕事の内容といたしましては、非常に質の高い、補給処レベルの航空機整備を、アメリカの国外のアメリカ海軍、それからまた海兵隊に対し提供する組織であるというふうに承知をいたしているところでございます。

 ちなみに、この西太平洋艦隊即応センターといいますのは、グアムからペルシャ湾にかけます大変広い範囲におきまして、必要なときに必要な場所でこれらの支援を実施することとなってございますが、こうした艦隊即応センターというのは、この西太平洋艦隊即応センターを含めまして、全世界で八つ存在するということもあわせてお伝えさせていただければと思っております。

斉藤(和)分科員 今副大臣からお答えがありました西太平洋艦隊即応センターというのは、高度な航空機のメンテナンス、修繕、整備を行っているということです。

 しかも、このFRC、艦隊即応センターは、世界に八カ所置かれているという話もありました。厚木のセンターに置かれているのは、グアムからペルシャ湾という広大な範囲を整備基盤として担っているということもこれで明らかになりました。

 問題は、このFRC、艦隊即応センターは、アメリカ本国以外で唯一置かれているのが日本の厚木なわけです。しかも、昨年の十二月、その艦隊即応センター、FRCの司令官が木更津に来ていると思いますが、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたように、確かに八カ所ありますうち、アメリカの主に西海岸、それから東海岸が多うございます。アメリカ国外におきましては、やはりおっしゃるとおり、厚木ということになってまいりますが、これは非常に、ある意味では、やはり世界の平和と安定、あるいは太平洋地域やそれからインド洋まで含めた形での安定ということに関しまして、必要欠くべからざるというふうにアメリカ側も判断をしたのではないかというふうに私ども推察をいたしております。

 いずれにしろ、一つ前の御質問にもありますが、富士重工の契約の相手方がここであるかどうかというふうな御指摘もございましたけれども、私どもといたしましては、その締結者につきましては、それぞれの契約内容についてお答えする立場にはないということは御理解いただければと思っております。

 また、木更津を視察なさったということに関しましても、確かに、木更津に、今度いよいよオスプレイの整備拠点が必要になってきて、どこかでやらなければならないということでほぼ決まったということであれば、やはり当然、立場の上の方であれば、あちこちを視察して確認をするというのは常識的なところではないかなというふうにも思っております。

斉藤(和)分科員 契約はどこかということは第三者であるから言えないとおっしゃいましたけれども、既に、米海軍はプレスリリースで、インターネット上で、ウイナーは富士重工業だというふうに書いてある。

 しかも、この先にありましたとおり、艦隊即応センター、これは厚木にある司令官が来ただけではないわけですよね、この記事によると。誰が来たかというと、そのアメリカ本国含めた八つのFRC、艦隊即応センターの、アメリカ本国の司令官が木更津に来て、自衛隊と懇談をして、視察をしている。写真まで残っている。

 一体、アメリカの司令官が来て、何を協議したんでしょうか。

田中政府参考人 FRCの司令官を初め、一行が木更津駐屯地を訪れて、先生御配付されました資料の写真にもございますとおり、整備基盤をまさに設置しようとしている木更津駐屯地の中のK格納庫、この現状というものを御視察いただき、なおかつ駐屯地全体の状況について、陸上自衛隊の駐屯地の司令と話をしたということを承知しております。

斉藤(和)分科員 つまり、アメリカの世界に展開する整備部隊と木更津の整備基地化というのは、まさに密接に関係しているということが読み取れるというふうに思うわけです。

 木更津基地の、定期整備をここで行うということは、実は、昨年の安保法制の議論のときに、アメリカの司令官と懇談した統合幕僚長が、オスプレイのリージョナルデポもぜひ日本に置いてほしいという趣旨の発言があったことが話題になりました。

 まさに今の、この間、私が質問をしてきたこと、答弁を聞いていても、やはり広域的な整備拠点としてのリージョナルデポになっていくということが想定されるのではないか。そもそも広域的なことを担っている厚木に置かれているFRCが要は契約元になるわけで、しかもその司令官が来ているということは、そういうことが言えるわけですけれども、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今委員は、決め打ちをするかの感じで、西太平洋艦隊即応センターが契約当事者ではないかというふうにおっしゃっておられるんですが、これは本当に、アメリカ政府内のこととそれから民間企業のことでございますので、私どもは申し上げる立場にはないんですが。

 確かに司令官の方もごらんにはなったかと思うんですが、先般、私も実は、騒音測定のときには木更津の方、現地に参りました。そのときには、アメリカ側は現在のケネディ大使も御一緒にこちらの方にいらしてくださいました。特にケネディ大使も、屋上から全体的なものもごらんになられまして、格納庫、滑走路を含めて、全ての、ほとんどの施設もごらんになっておられますので、司令官がごらんになったから、即それがそこの契約者になるということではないのではないかなというふうに思っております。

斉藤(和)分科員 繰り返し契約者はこことは限らないということをおっしゃられますけれども、では、この記事はウイナーと書いてあるけれども間違いなのか、そうしたら抗議したらいいんじゃないでしょうか。いかがですか。

若宮副大臣 この記事がどういう趣旨で書かれたかというのはまたあれでございますけれども、ウイナーという表現というのは、通常は勝者という意味に日本語では受け取られるかと思うんですが、別にこれは勝者も敗者もなくて、特にこれを抗議する立場にも私どもはないと思いますので、この記事は記事として、先方の方で載せておられるということで認識をいたしておるところでございます。

斉藤(和)分科員 勝者なわけですよね、富士重工業は。それで、その先は何かといえば、厚木に置かれている西太平洋艦隊即応センターだということが書かれている。この事実はあるわけです。

 それを防衛省が、これだけ言っても認めたくないということは、それだけやはり、世界的なアメリカとの一体化において、防衛省が今進めている中身、計画、そして木更津に置かれようとしている定期整備が重要なんだろうということを私は非常に感じました。それだからこそ、余計私は懸念があるというふうに感じるわけです。住民や自治体からは既に不安の声が出ているのも当然です。

 それでなくても、事故率が非常に高いオスプレイが市街地を飛ぶのではないか、運用時間は守られるのか、夜間は飛ばないでいてくれるのか、多くの声を私は聞いています。自治体も、米軍、自衛隊、富士重工業の三者で、運用にかかわる協定を結んでほしいと要望をしています。地元から出された要望、協定を含めて、しっかりと応えていくという立場でよろしいでしょうか。

若宮副大臣 今、委員が御指摘になられて、さまざまな御意見がお住まいの住民の皆様方にはおありになるんだと思います。私も先般、市長ほか市議会の皆様方とも懇談もさせていただきまして、特に大きな反対というお声ではなくて、いろいろな声であるということは存じてはおりますけれども、賛成の方も非常にいらっしゃるというふうにも承っております。

 それからまた、特に、実際にどういった形で、高度とか経路とか、今、具体的なところというのは、先ほど来申し上げていましたように、ちょっと調整中でございますので、詳細についてはまだ確定してはいないところでございますけれども、この十一月の十八日の金曜日に、木更津の市議会の基地対策特別委員会の協議会におきまして、私どもの方から、協定の概要については担当部局の方から御説明をさせていただいてございます。

 具体的には、地方自治体からの要請を踏まえまして、定期機体整備を行う際の安全性ですとか、それから騒音に最大限配慮をしていくという目的のもと、飛行については、午前八時三十分から午後五時を基準とします。それからまた、木更津飛行場の運用規則を遵守いたしまして、原則的には、飛行場の西側、これは東京湾側の方になりますので、住民の方のお住まいのないエリアになりますけれども、その場周経路を使用していきます。

 こういったあたりの点を中心に、防衛省それからアメリカ海軍、それからまた富士重工との間で、定期機体整備の開始、これはもう来年の一月を予定させていただいておりますけれども、それに先立って締結するべく、現在鋭意努力して調整をしているところでございます。

斉藤(和)分科員 必ず一月の運用開始前までに協定をつくるということでよろしいでしょうか。

若宮副大臣 はい。開始までにはきちっとした形でつくらせていただこうというふうに考えております。

斉藤(和)分科員 これだけ地元自治体から、賛成の人もいるという答えが先ほどあって、非常に私は驚いたわけですけれども、千三百人という多くの県民、市民、木更津市民だけではない皆さんが懸念を持って、大丈夫なのかという声を上げている。

 これだけ大きな問題をオスプレイは抱えている。定期整備を、協定も明確にきちんとつくるというお話がありましたけれども、きちんと地元自治体の要望も受け入れて、協定をきちんとつくる。

 それから、住民説明会は一度もいまだにやっていないわけですよね。そういう状態のまま、来年一月からの運用開始など絶対に許されないし、そもそも、オスプレイは日本の空には必要ないということを最後に強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤田主査 これにて斉藤和子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。山本環境大臣。

山本(公)国務大臣 平成二十四年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は三十四億三千二百四十五万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は五十五億八千百九万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は二十一億四千八百六十四万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千三百四十七億一千六百二十万円余でありましたが、これに予算補正追加額六百二十六億八千四百七十五万円余、予算補正修正減少額三十八億二千九百五十七万円余、予算移しかえ増加額九十七億九千七百九十六万円余、予算移しかえ減少額八十三億六百三十三万円余、前年度からの繰越額六千七十億二千三百五十八万円余、予備費使用額百九十三億六千四十七万円余、予算決定後移しかえ増加額十億九千七百七十七万円余を増減いたしますと、平成二十四年度歳出予算現額は九千二百二十五億四千四百八十五万円余となります。この予算現額に対し、使用済み歳出額五千九百九十九億四千六百八十万円余、翌年度への繰越額一千六百十二億九千四百七万円余、不用額一千六百十三億三百九十七万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の平成二十四年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 まず、エネルギー需給勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額六百四十七億四百七十五万円余、支出済み歳出額三百八十億四千二百九十七万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は二百六十六億六千百七十七万円余でありまして、翌年度への繰越額は五十三億九千五百三十八万円余、平成二十五年度予算に歳入計上した剰余金は百四億七千六百三十五万円余、これらを除いた純剰余金は百七億九千三万円余となっております。

 次に、電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額三百八十二億三千九百五十七万円余、支出済み歳出額二百九十八億六千三百五十三万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は八十三億七千六百四万円余でありまして、翌年度への繰越額は二十七億九千六百八十七万円余、これを除いた純剰余金は五十五億七千九百十七万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、歳入予算額十二億八千六十五万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は二十九億二千七百四十三万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は十六億四千六百七十七万円余の増加となっております。

 次に、歳出決算につきましては、当初予算額百四億三千百七十六万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額十九億二千八百七十五万円余、予算移しかえ増加額七千二百十一億三千七百六十四万円余、予算移しかえ減少額五十四億八千六百八十九万円余、予算決定後移しかえ増加額七十八億八千七百七十五万円余を増減いたしますと、平成二十四年度歳出予算現額は七千三百二十億四千百五十一万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額二千五百六十九億九千四百八十九万円余、翌年度への繰越額四千六百六十六億六千百十一万円余、不用額八十三億八千五百五十万円余となっております。

 以上が、平成二十四年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、平成二十五年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は四十三億七千五百四十三万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は二百三十三億九千八百六十八万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は百九十億二千三百二十四万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千五百八十四億七千九百九十七万円余でありましたが、これに予算補正追加額七百五十七億五千七百五万円余、予算補正修正減少額七億六千八百九十一万円余、予算移しかえ増加額八十七億三千七百八十七万円余、予算移しかえ減少額九億六千百九十三万円余、前年度からの繰越額一千六百十二億九千四百七万円余、予算決定後移しかえ増加額七億九千四百七十五万円余を増減いたしますと、平成二十五年度歳出予算現額は五千三十三億三千二百八十八万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額三千八百六十億二千五百四十八万円余、翌年度への繰越額七百六十六億四千八百六十二万円余、不用額四百六億五千八百七十七万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の平成二十五年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 まず、エネルギー需給勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額九百五十二億二千五百九十万円余、支出済み歳出額七百十六億七千百八十一万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は二百三十五億五千四百九万円余でありまして、翌年度への繰越額は六十八億七千八百二万円余、平成二十六年度予算に歳入計上した剰余金は百八億三千二百二十万円余、これらを除いた純剰余金は五十八億四千三百八十六万円余となっております。

 次に、電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額五百三十二億八千二十万円余、支出済み歳出額三百七十三億七千六百三十四万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百五十九億三百八十六万円余でありまして、翌年度への繰越額は二十九億九千八百四十八万円余、平成二十六年度予算に歳入計上した剰余金は二十四億一千四百四十三万円余、これを除いた純剰余金は百四億九千九十四万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、歳入予算額三十二億九千四百九十九万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は二百三十億四千八百二十万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は百九十七億五千三百二十一万円余の増加となっております。

 次に、歳出決算につきましては、復興庁からの予算移しかえ増加額七千七十三億八千八百万円余、予算決定後移しかえ増加額五百五億千八百三十九万円余及び前年度からの繰越額四千六百六十六億六千百十一万円余により、平成二十五年度歳出予算現額は一兆二千二百四十五億六千七百五十一万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額八千二百三億四千八百五十四万円余、翌年度への繰越額三千五百七十七億二千五百三十二万円余、不用額四百六十四億九千三百六十五万円余となっております。

 以上が、平成二十五年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 先ほど、一般会計の平成二十四年度の支出済み歳出額について、使用済みと申し上げました。訂正をいたします。

後藤田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院吉溪審議官。

吉溪会計検査院当局者 平成二十四年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号四一一号から四一七号までの七件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金で造成した基金の使用が適切でなかったものが三件、補助金を過大に交付していたもの及び補助の対象とならないものが三件、補助の対象とならないものが一件であります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、委託事業を実施した際に受託者が取得し、事業完了後に受託者から返還を受けた物品について、物品管理簿等への記録を適正に行うよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十一年度決算検査報告に掲記いたしました国庫補助金により整備されたごみ固形燃料化施設の運営について意見を表示した事項、平成二十二年度決算検査報告に掲記いたしました二酸化炭素の排出抑制対策に係る補助事業の実施について意見を表示した事項及び平成二十三年度決算検査報告に掲記いたしました浄化槽整備事業に係る浄化槽の規格について処置を要求した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 続きまして、平成二十五年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三六六号は、委託契約において、従事者に対して実際に支給した給与の額等に基づかずに人件費を算出するなどしていたため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同三六七号から三七六号までの十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金で造成した基金の使用が適切でなかったものが五件、設備の設計が適切でなかったものが二件、補助の対象とならないなどのものが二件、補助対象事業費を過大に精算するなどしていたものが一件であります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、溶融固化施設の運営及び維持管理並びに溶融スラグの利用に関するものであります。

 検査いたしましたところ、溶融固化施設について、適切な運営及び維持管理を行っておらず長期にわたって使用していない事態及び生成した溶融スラグの全部または大半を利用することなく埋立処分しているなどの事態が見受けられました。

 したがいまして、環境省において、溶融固化施設について、適時適切に使用状況等を把握し、長期にわたって使用されていない場合には、今後の継続的な使用の再開等に向けた対応方針を検討するよう事業主体に促すとともに、今後の継続的な使用を見込むことができない溶融固化施設については、財産処分を含めた取り扱い方針を策定して事業主体に対して示すよう是正改善の処置を要求し、また、事業主体等に対して溶融スラグの利用に係る助言及び情報提供を行う体制を整備するよう意見を表示いたしたものであります。

 その二は、環境放射能水準調査委託費により整備するゲルマニウム半導体方式放射能検査機器の構成に関するものであります。

 検査いたしましたところ、検査機器を構成する機器の仕様に応じてその調達数を少なくすることにより、水準調査を経済的に実施することができる事態が見受けられました。

 したがいまして、原子力規制委員会において、今後の検査機器の整備に当たり標準的かつ経済的な構成例を示すことなどにより、構成機器の調達に要する費用の節減を図り、水準調査を経済的に実施することが可能となるよう改善の処置を要求いたしたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

後藤田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。山本環境大臣。

山本(公)国務大臣 平成二十四年度及び平成二十五年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。

後藤田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。秋本真利君。

秋本分科員 自民党の秋本真利でございます。

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、いわゆる高度化法についてお伺いをいたします。

 この高度化法は、化石燃料ばかり燃やしているとやはり環境によくないよね、非化石をふやしていこうじゃないかということで、二〇三〇年の時点で、小売電気事業者に四四%非化石を使ってくださいということになっているわけでございます。私は、この精神には賛同いたしますし、しっかりとこれを実現していかなければならないと思っております。

 そうした中で、この二〇三〇年の目標に向けて中間年を設けて、そこに向けてしっかりと着実に歩みを進めていく必要があるわけであります。

 しかし、残念ながら、現在のところ、中間年で何%という目標数値がかけられているわけではございませんし、仮にそこに目標を掲げたときに、そこを達成できなかった事業者に対してどのようなペナルティーがあるのかということについても明確になっていないわけでございます。

 私は、しっかりとこの中間年での目標を定めて、これもできるだけ早く、早期に定めて、しかもその中間年もなるべく早い年限に持ってくるということが必要なんだろうと思います。これが二〇三〇年に近い年次に中間年を定めたりしたときに、ちょっともう達成できないというふうになっていたときに、軌道修正ができないという状況になってから気づいたのでは遅いと思うわけであります。

 できるだけ早くこの中間年を定めて、しかも中間年はなるべく前に持ってくるということが必要なんだろうというふうに思いますけれども、このことについて経産省にお伺いをしたいと思います。

    〔主査退席、大串(正)主査代理着席〕

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、高度化法におきましては、エネルギーの基本法に基づくスリーEプラスSの政策目標の実現に向けまして、エネルギーミックスと整合的なものになるよう、小売電気事業者に対し、四四%の非化石電源の調達を求めているところでございます。この高度化法の四四%目標につきましては、さまざまな政策措置を総動員いたしまして、その実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 その上で、高度化法における目標を二〇三〇年度に向けて確実に達成していくため、議員御指摘のとおり、定量的な中間評価の基準を設け、評価を行うことで目標達成の確度を高めていく、このようにしているところでございます。

 この基準につきましては、FIT法の施行ですとか、今後の非化石電源の導入状況、さらには、現在、義務者となる小売事業者が義務の履行に向けて非化石電源価値を市場からも調達することができるような市場環境の整備を進めるべく検討を行っているところでございまして、その検討状況も踏まえましてできるだけ早く定めたい、このように考えているところでございます。

 さらに、定量的な中間評価の基準の達成状況の評価をした上で、議員御指摘ありましたけれども、必要な指導助言を行うとともに、特に事業者の取り組みが著しく不十分な場合などにおきましては勧告、勧告に係る措置をとらなかった場合には、総合エネルギー調査会、これは審議会でございますけれども、この意見を聞いた上で、勧告に係る措置をとるよう命令ができるという法律のたてつけになってございまして、必要に応じて適切に対処していく、このように考えているところでございます。

秋本分科員 できるだけ早くということでございますので、なるべく早く決めていただきたい。それと、中間年もなるべく手前に持ってきていただきたいというふうに思います。

 そして、法律十六条で、環境大臣とも密接に連携しながら協力してやっていきなさいということになっているわけであります。

 今回、大臣が自民党にいらっしゃったときに温対調査会の会長をされていたということで、非常に心強く思っているわけでございますけれども、環境省として、経産省さんももちろん今聞いていてやる気が感じられましたけれども、さらにしっかりとこれを前に向けて進めていくという中で、この十六条を根拠にしてコミットしていただきたいな、そして早く目標を定め、それに向けて着実に歩みを進めてもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 秋本議員の環境問題への熱心な取り組みをいつも感謝いたしております。

 その上でお答え申し上げたいと思いますが、パリ協定の発効を踏まえ、我が国の国際公約たる二〇三〇年度に二六%排出削減するという目標を着実に達成するために、あらゆる施策を講じていく必要がございます。

 エネルギー供給構造高度化法に基づく、二〇三〇年度に非化石電源比率を四四%以上にするとの目標は、二〇三〇年度の排出削減目標を達成する観点からも非常に重要だと思っております。

 環境省といたしましても、御指摘の高度化法第十六条の規定を踏まえ、非化石電源比率の目標が確実に達成されるよう、経済産業省との連携を図って必要な協力を行ってまいりたいと思っております。

秋本分科員 ありがとうございました。しっかりと目標に向けて経産省と環境省と力を合わせて進んでもらいたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、中間貯蔵施設についてお伺いをいたします。

 福島に中間貯蔵施設をつくって、そこに約二千二百万立米の汚染土壌を搬入するということになっております。平成二十五年に、この汚染土を運び込む費用がおおよそ千七百五十億円ぐらいだろうということになっているわけでございますけれども、パイロット輸送が既に始まっております。

 とりあえず一回パイロット的に運んでみて、どのくらいかかるのか、あるいはふぐあいがどういうところに出るのかということを試してやっているわけでございますけれども、このパイロット輸送事業で現在までに搬入した汚染土壌の量と、それが搬入量全体、二千二百万立米で割り返すとおおよそ何%になるのかということについてお伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のパイロット輸送でございますけれども、平成二十七年三月から平成二十八年三月まで、おおむね一年程度かけまして実施をしてございます。合計で四万五千三百八十二立方メートルの除去土壌等を輸送いたしております。

 この全体の割合でございますけれども、除去土壌等の発生量は、可燃物を焼却した後で約一千六百万から二千二百万立方メートルと推計をしてございますけれども、仮に搬入量全体を二千二百万立方メートルだというふうにいたしますと、パイロット輸送で輸送した量はその約〇・二%に相当するということになっております。

秋本分科員 四万五千三百八十二立米で〇・二%ですよね。

 それで、運搬だけで千七百五十億円ということで、運搬だけで見てくださいというふうにして運搬だけにかかったものを特出しして見ても、〇・〇六%の土壌の運搬だけで九億三千万円ぐらいかかっているわけですね。単純に掛け算すると一兆五千五百億円ということで、大枠の一・一兆というのを超えちゃっているわけですよ。さっきの四万五千三百八十二立米で〇・二%という方で、これで割り返していくと、三兆円超えちゃうというようなことになるわけですね。

 ですから、当初の予定よりも全然、数百%というオーダーで予算が膨れ上がってしまっているわけでございまして、これはいかがなものかなと私は思っております。ちゃんと一・一兆の枠の中で運べるんだろうか。これが運べないときに、例えば託送料に乗せますよというようなことで、国民の負担に回っていってしまう、東京電力に求償しないということがあるようだと、私はちょっといかぬなというふうに思っているわけでございます。

 この辺について環境省としてはどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 パイロット輸送でどのぐらいの経費がかかったかということについてでございますけれども、パイロット輸送では合計八件の契約で工事をしてございます。

 これは輸送だけではなくて、保管場の設計、工事等も入ってございますけれども、当初、契約では約三十六億円でございましたけれども、現時点、変更後の契約総額では六十六億円ということで、当初の契約よりも大分増額になっているという傾向はございます。

 なかなか経験がない中で発注をし、スピード優先でやってきたところもございまして、不確定な中で発注をしてきているところでございますけれども、徐々に経験を蓄積しまして、できるだけ発注段階の確実性を高めていきたい、そういう取り組みを通しまして、具体的な、かかる費用についてのデータも蓄積をしてまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 今、数字が、当初三十六億で、変更後六十六億ということでしたけれども、もともと、予算が出てきて、審査をして、通した後に、やはり変更がありましたということで、これが二〇〇%、三〇〇%で、契約一本一本を見ると、物によっては五〇〇%を超えていますなんというものもあるんですね。

 初めてのことなので、パイロット輸送ですから、多分、当初予期せぬことがいろいろと起きてくるというのは当然ですけれども、これがいつまでもいつまでも続いていると、最初は何億円、何十億円のオーダーぐらいのずれが、そのうち、何百億円、何千億円で、一兆円とか、兆円単位でのずれになってくるということになるわけでありまして、今からしっかりと軌道修正をしていかなければならないだろうと私は思っております。

 ぜひ、しっかりと、パイロット輸送をしたわけですから、この経験を生かして、きっちりと当初の予定どおり、汚染土壌の搬入というものを着実に、そして、余り何百%なんということにならないように完了していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、中に運んだ土壌について、一部、再生利用をするということが言われているわけでございますけれども、二千二百万立米と仮定したときに、このうちおおよそどのくらいを再生利用するつもりで、しかも、その再生利用する場合は、いろいろと用途によって基準があるようですけれども、例えば最大で何ベクレル以下ということを想定しているのか、そして、その利用先については、福島県のみなのか、それとも福島県を除く都道府県なのか、それとも福島県を含む四十七都道府県全てなのか、その辺についてお答えをいただきたいというふうに思います。

高橋政府参考人 中間貯蔵施設に搬入された土壌の再生利用でございますけれども、現在、最大約二千二百万立米と試算される除去土壌につきまして、研究レベルを含めて現時点で想定される全ての減容処理技術を適用したと仮定した場合には、九割以上を再生資材として利用可能な濃度にまでできるという技術的な可能性があるという試算はしてございます。

 ただ、再生利用先の具体化に当たりましては、地域住民、地元自治体等に対しまして、再生利用の必要性や安全性を丁寧に説明し、やはり理解、信頼を醸成する、合意形成を図るということがまず大事でございますので、丁寧に進める必要があるというふうに考えてございます。

 また、再生利用をする除去土壌の濃度でございますけれども、八千ベクレル・パー・キログラム以下を原則として、具体的に想定される用途ごとに被曝評価計算を行いまして、再生資材の濃度レベルを設定してまいります。

 また、再生利用先については、まだ現時点で具体的に想定している場所はございませんけれども、地域を福島県内に限定することなく、地元の理解が得られた場所で再生利用を実施したいと考えてございます。

 いずれにしましても、今後、実証事業でございますとかモデル事業を通じまして、多くの皆様に再生利用の安全性や必要性を御説明し、信頼と御理解、御協力をいただきながら、具体的な再生利用先についても調整をしていくことになると考えてございます。

秋本分科員 再生利用に対しての考え方がどうなのかというのもあるわけで、一部には、さらに汚染土壌、放射性物質をまき散らしているだけではないかという指摘もあるわけでございます。

 例えば、私の千葉県も指定廃がございまして、この間、八千ベクレル以下、切っているよねということを確認させていただいて、指定廃の解除をさせていただいたという経緯、経過があって、七・七トンですよ、それでも受け入れられませんということで、今現状に至っているわけでございまして、この二千二百万立米もの再生土壌を本当に使うことができるんだろうかというふうに私は思っております。

 後ほどの質問にもかかわってきますけれども、出てくる残渣はできるだけ低い放射性レベルの方が私は絶対にいいだろうと思っております。そうはいっても、八千ベクレル以下でございますし、しっかりと、使って終わりということじゃなくて、やはりきちっとそれを管理する必要があるだろうと私は思うんですね。

 一部報道でも、再生土壌を使ったときに、上にコンクリートをかけて例えば何かに使いますというときに、コンクリートの寿命が五十年とか六十年、七十年だろうと。でも、ではその中に入っている汚染土壌はクリアランスレベル以下になるのにどのくらい時間がかかるのかといったら、百七十年以上じゃないかというような記事も出ているわけですよ。

 そうすると、そこにもう百年もの時間のずれがありまして、百七十年後となったら、今いる私たちは、多分ここにいる人間は誰一人生きていないという状況にまでなるわけでありまして、私はしっかりとこれを管理する必要があるだろうと。

 それで一つ、土対法がありますよね。この土対法は、自治体に台帳をつくって、そこに記録をとって、どういう土がどこにあって、それが例えば移動するときはどういうふうに移動してどこに行ったのかということを追っかけられるようになっているわけでありますし、ここの土はそういう土だよということが記録されているわけですね。

 私は、こういうシステムを、今回のこの再生土壌についてもしっかりと同じようなシステムを導入するべきじゃないかというふうに思いますけれども、この土対法に似たようなシステムを構築するべきだということについて環境省はどのようにお考えでしょうか。

高橋政府参考人 再生利用におきまして管理が重要であるということは、まさに委員御指摘のとおりかと思ってございます。

 ことしの六月に、福島県内の除去土壌の再生資源化をした際の安全な利用に関する基本的な考え方というものを有識者の検討会を通じてお示しをしてございます。

 この中で、今まさに御指摘のあったものに近いかと思いますけれども、再生利用時においては、再生資材の使用場所、使用量、放射能濃度等に関する記録を作成し、保管することということを含めてございます。

 今後、今申し上げた基本的な考え方を踏まえまして、実証事業、モデル事業等を実施する中で、放射線に関する安全性の確認や具体的な管理の方法の検証に取り組むこととしてございまして、今委員からいただいた御指摘も踏まえまして、管理の仕組みづくりの検討など、再生利用に向けた取り組みをしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

    〔大串(正)主査代理退席、主査着席〕

秋本分科員 しっかりと追いかけられるシステムの構築というのが絶対に必要だと私は思います。ぜひお願いをしたい。

 それで、今、そういうふうにやっていきますみたいな答弁でしたけれども、具体的に、それはいつまでに決めるというスケジュール感で私は考えていていいでしょうか。教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 再生利用の具体的なあり方でございますけれども、今のところのスケジュールといたしましては、今後、平成三十年度までに再生利用の手引というようなものを作成するという計画を立ててございます。それを検討する中で具体化を図っていきたいというふうに考えております。

秋本分科員 今、平成三十年という数字が出てきたのでちょっと胸をなでおろしましたけれども、平成三十年度までにつくるその手引の中でしっかりと位置づけをして、不安が少しでも軽減されるような、そういうシステムの構築をお願いしたいというふうに思います。

 帰還困難区域の除染についてお伺いをしたいと思います。

 帰還困難区域の除染については、閣議決定前と後で、求償を東電にするんだ、しないんだとか、いろいろ議論もあって、まだ何となくもやもやと私自身もしているところでございますけれども。

 東京電力は、平成二十五年十二月の閣議決定に含まれていない帰還困難区域の除染について、応諾を保留しております。この応諾保留が継続した場合、国としてはどんな手続をとって求償していくのかということについてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 帰還困難区域の除染費用でございますけれども、現時点では、およそ八十二億円の請求を行いまして、約五十一億円が応諾されているという状況でございます。

 引き続き、迅速かつ適切に支払いが行われるよう、しっかりと求償してまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 その残りのされていない部分について、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 多分、そのされていないものに対して、国の債権の管理等に関する法律というもので催促をしていく手続を踏んでいくんだというふうに思いますけれども、納入の告知や履行の督促というものについて、されている部分というのはありますか。それとも、何もしていなくて、ただ求償したという状況になっているのか、そこのところについてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 今委員の御指摘されたような手続にはまだ入ってございません。

 現時点では、特措法に基づいた除染については求償するということで、引き続き東京電力に請求をしていくということでございます。

 ただ、帰還困難区域全体につきまして、委員御案内のとおり、今、全体的な議論が進んでおりますので、その中でさまざまなものについて具体的に速やかに整理をしていきたいというふうに考えております。

秋本分科員 ちょっと確認をしたいんですけれども、環境省としては、今の答弁であれば、閣議前、後で求償の対象については変わりません、東京電力に求償するという考え方でいいのか。

 それと、まだ手続は踏んでいませんということですが、応諾しないということが一定の期間を経て明らかになった場合は、先ほど私が言った、国の債権の管理等に関する法律に基づいて催促をしていくということでいいのか、あるいは、違う法律に基づいて、こういう法律に基づいて求償していきますよということになっているのかどうか、教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 その辺の具体的な手続については、まだ現時点でこれというふうに決めたものはございません。あくまでも除染特措法に基づいた除染についてはしっかりと求償していくということで、東電側にもしっかり説明をし、請求をしていきたいと現時点では考えております。

秋本分科員 今の時点で決まっていませんというのはおかしいと思うんですね。そういう姿勢だから、東電からも、国は本気で求償する気があるのかというふうに見られぬとも限らないと私は思いますよ。こういう手続をちゃんと踏んで、一定の期間、催促に応じなきゃ、求償に応じなければ、こういう法律に基づいてきちっとした適切な姿勢をとりますよというのをやはり環境省は私は見せるべきだと思います。

 一部、別の見解を持っている省庁もあって、そうじゃないよという省庁も中にはあるわけですから、国の中でも、私から見ても見解が割れているわけです。環境省としては、私はそういう強い姿勢を見せるべきだろうと思いますので、しっかりと求償をしていただきたい。取りっぱぐれることのないようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そして、先に進みますけれども、汚染土壌と焼却灰の熱処理についてお伺いをしたいと思います。

 熱処理をして、セシウムを濃縮して小さくする、そして、出てきたものはできるだけクリアランスレベルに近い方がいいという考え方に基づいて環境省はこういう技術開発をし、そして選定をし、今に至っているんだと私は思っておりました。しかし、ある時点でそうじゃないというような発言を耳にしたので、今回確認をしたいというふうに思って質問した次第です。

 やはり、再生利用するということが当初決まっていなかったんだろうと思うんですね。そのときは、出てくるものはクリアランス以下の方がいいという考え方があったのかなと。だけれども、再生利用というふうにするんだったら、どうせ出てくるものは八千ベクレル以下は何だって使えるんだから、別にいいんじゃないのという姿勢に見えるんですよ。

 これは、私は、環境省じゃない省庁だったらそういうことを、BバイCとかも考えてどうのこうのでこうでと言っても、まあそれはおたくの省庁だったらそう考えるよねと某省だったら思いますけれども、環境省さんはやはりそういう考え方じゃいかぬのじゃないかなと思うんですね。

 外で使います、福島県内に限らず四十七都道府県全部で使いますといっても、それはなかなか難しいと思いますよ、現実に。だから、やはりそこは、そういうところで使っていただけるような、そういう考え方を、私は、少しでも、少しでもですよ、二千二百万立米全部というわけにはなかなかいかないだろうけれども、その一部でもやはり使えるというところを見せていくことが必要なんだと思います。

 当初はそういう考え方に環境省さんは立っていたと私は感じました。しかし、だんだん少しずれてきているのかなと思っております。

 そういう意味では、仮に残渣が、量が多少増減しようとも、出てくるものはクリアランス以下だよね、濃縮をしっかりとして、その濃縮をした濃いセシウムをしっかりと管理すればいいよねというコントロール、アンダーコントロールに置くということが求められているのではないかなというふうに私は思いますが、そうじゃない考え方を持って環境省がアクションを起こしているんじゃないかというようなことをちょっと耳にしているんです。

 私の今言ったような考え方に基づいておりますか、それとも、出てくる残渣は八千ベクレル以下なら再生利用できるんだから、八千ベクレル以下は全部一緒です、クリアランスまで含めて全部一緒ですという考え方なのかということについて確認をしたいと思います。

高橋政府参考人 土壌等の処理としての熱処理の位置づけということかと思いますけれども、まず申し上げたいのは、除去土壌とか焼却灰の熱処理というものについて、これは非常に高効率で放射性セシウムの分離が可能な技術であるというふうに認識をしてございまして、先生も御案内のとおり、今、地元でも実証事業を進めているところでございます。

 ただ、クリアランスレベルとの関係でございますけれども、もちろん、できるだけクリアランスレベルに近い方が、それをクリアしている方が望ましいということはそのとおりかと思いますけれども、実際に熱処理をする場合には、処理対象となる焼却灰や、あるいはその処理後に得られる生成物の性状、それからそれを再生資材としてどういう品質でどういう用途に使うのか、そういうことについてやはりまだ現時点ではさまざまな可能性がある、必ずしも明らかになっていないという認識がございます。

 このため、濃度レベルを含む熱処理に係る再生利用の考え方につきましては、この実証事業もしながら今後しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 今おっしゃったとおり、熱処理もいろいろな方式があるわけですね。そこに、もうわかっていると思いますけれども、例えば灰だけを入れるのか、あるいは土壌を入れるのか、あるいは可燃物も入れるのかということによって、それを処理できる型式の炉とそれができない型式の炉というのが、同じ熱処理の炉でもあるわけですね。

 その辺をぐちゃぐちゃにしちゃって、だから、先ほど言ったとおり、一部では、クリアランスレベルだよねという考え方で最初スタートしたのに、途中から、出てくるものもクリアランスじゃなくてもいいんじゃないのというような炉を、大きく方向転換をするというふうになると、やはり環境行政をつかさどっている省庁としてその考え方はどうなんだろうと私は思うんですよ。

 だから、検討するに当たって、きちっと考え方をもう一度環境省の中で、私は、初心忘るべからずで、環境をつかさどっている省庁としての考え方に基づくそういう選定があってもしかるべきじゃないかなと思っております。

 やはり、これを外に出して再生利用していこうということも、当初から少し変わってきたように私は思っていますけれども、こういう中では、使ってもらえるもの、使ってもらいやすいものという考え方もあると思うんですね、量だけの問題じゃなくて。もう使ってもらえるという前提で、とりあえず量が少なければいいという考え方は、私は環境省が口にするのはいかがなものかなというふうに思いました。ですから、ちょっと苦言を呈しておきたいと思います。

 先に進んで、託送料についてお伺いをしたいと思います。

 七月に、消費者委員会で、託送料に対する調査をかけて、報告書を出しましたよね。時間がないので省きますけれども、中身的には、簡単に言うと、もうちょっと情報をオープンにして、そして中身を三需要区分でしっかりと見直して、どの区分にどのものを乗せていくことが国民にとって、消費者にとって公平なのかということについてもう一度よく考えてくださいということで、経産省に、この提言を経産大臣に出しているはずでございます。

 経産省にお伺いをしたいのは、私は、この提言はすばらしい提言だなというふうに思います。この提言にのっとって、しっかりと議論をして、より透明性の高い託送料にしていただきたいと思います。発送電分離もあって、電力自由化もあって、これからそこがクローズアップされて注目も浴びてきますし、一部ではいろいろな原発に関する費用をそこの託送料にという話もあるわけでございますけれども、誰が見ても明らかであるという託送料であってほしいなと私は思っております。そういった意味で、この報告書を経産省としてどこでどのように議論をして、いつまでに回答を出すつもりでいるのかについてお伺いをしたい。

 あわせて、内閣府の方については、報告書を出した方ですから、出して終わりということじゃなくて、これがいつまでに経産省から回答がなきゃいけないと思っているのか、もし回答がなかったらどういうアクションをするのか、あるいは、回答があったとしてもそれが不十分だったら、次のアクションはどういうアクションを考えているのかということについて、両省にあわせてお伺いをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、消費者委員会におかれましては、料金の適正性それから透明性及び納得性の観点から調査審議をいただきまして、本年七月末に消費者の視点に立った御提言をいただいた、このように承知しております。

 かかる提言は非常に重要な提言だと認識しておりまして、経済産業省といたしましては、電気料金の透明性の向上のために、情報提供のあり方について審議会で議論を行いまして、その結果も踏まえまして、例えば政策的な項目については、その内容について資源エネルギー庁のホームページに掲載するなど、国による消費者に対する情報提供の充実を図っているところでございます。

 また、託送料金水準の適正性につきましては、ストック管理方式と呼ばれる方法により利益率が必要以上に高いものとなっていないことを確認することに加えまして、より厳格な事後評価を実施するために、当初想定していた単価を実績単価が一定比率下回った場合には、一定の条件のもとで値下げ命令を発動できるといった仕組みを今年度から新たに追加し、評価を行っているところでございます。

 さらに、電力・ガス取引監視等委員会が本年九月にワーキンググループを設置いたしました。このワーキンググループにおきまして、効率性向上のための送配電網の維持、運用費用の負担のあり方に関しまして、集中的、専門的に検討を進めているという状況でございます。

 これにとどまらず、引き続きよりよい託送制度となるよう適切に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会におきましては、本年五月に内閣総理大臣から諮問を受けまして、御指摘の報告書を取りまとめ、その上で、報告書の内容を踏まえて、消費者利益の擁護、増進の観点から、消費者庁が経済産業省に対応を求めるなどの取り組みを進めることが適当であるとの答申を行ったところでございます。

 したがいまして、これを受けて、消費者庁においては、経済産業省に対し、速やかに答申の内容に対応することを既に要請されたというふうに承知をしてございます。

 経済産業省におかれては、消費者庁の要請に応じて速やかに答申の内容に対応していただきたいと考えているところでございますけれども、消費者委員会においては、その経緯に鑑みて、消費者庁から消費者委員会に求めがある場合、あるいは消費者委員会自身が必要と判断した場合に、答申内容の取り組み状況について評価、検証を行うこととしたいと考えているところでございます。

秋本分科員 終わります。ありがとうございました。

後藤田主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 分科員各位の御協力に厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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