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第1号 令和5年4月24日(月曜日)

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本分科会は令和五年四月十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      北村 誠吾君    田中 英之君

      寺田  稔君    三反園 訓君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      谷田川 元君    米山 隆一君

      高木 陽介君

四月二十一日

 谷田川元君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年四月二十四日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 谷田川 元君

      石橋林太郎君    田中 和徳君

      田中 英之君    寺田  稔君

      三反園 訓君    山際大志郎君

      吉野 正芳君    小山 展弘君

      福田 昭夫君    山田 勝彦君

      米山 隆一君    輿水 恵一君

      高木 陽介君

   兼務 青山 大人君 兼務 井坂 信彦君

   兼務 金村 龍那君 兼務 藤巻 健太君

   兼務 堀場 幸子君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   農林水産大臣政務官    藤木 眞也君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官     遠藤 厚志君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       豊岡 利昌君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       山崎 淳也君

   会計検査院事務総局第三局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           深井 敦夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           押切 久遠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    宮田 祐良君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       井上  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (気象庁長官)      大林 正典君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     石橋林太郎君

  米山 隆一君     小山 展弘君

  高木 陽介君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     田中 和徳君

  小山 展弘君     福田 昭夫君

  金城 泰邦君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     北村 誠吾君

  福田 昭夫君     山田 勝彦君

  輿水 恵一君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     米山 隆一君

同日

 第一分科員藤巻健太君、第二分科員金村龍那君、第三分科員青山大人君、井坂信彦君及び堀場幸子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計歳入歳出決算

 平成三十年度特別会計歳入歳出決算

 平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成三十年度政府関係機関決算書

 平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成三十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和元年度一般会計歳入歳出決算

 令和元年度特別会計歳入歳出決算

 令和元年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和元年度政府関係機関決算書

 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

谷田川主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました谷田川元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成三十年度決算外二件及び令和元年度決算外二件中、法務省所管及び国土交通省所管について審査を行います。

 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。

齋藤(健)国務大臣 平成三十年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は一千十四億三千八十三万円余であります。

 これに対しまして、収納済歳入額は九百九十九億三千九百四十五万円余であり、歳入予算額に比べますと十四億九千百三十七万余少なくなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は八千百六十七億四千九万円余であります。

 これに対しまして、支出済歳出額は七千六百五十億二千六百十九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は三百九十六億九千六百五十九万円余であり、不用額は百二十億一千七百三十万円余であります。

 引き続きまして、令和元年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百八十六億三千三百四十六万円余であります。

 これに対しまして、収納済歳入額は九百六十四億四千百七十三万円余であり、歳入予算額に比べますと二十一億九千百七十三万円余少なくなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は八千八百二億五千五百一万円余であります。

 これに対しまして、支出済歳出額は八千百八十九億四千六百七十九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は四百四十二億四千八百三万円余であり、不用額は百七十億六千十七万円余であります。

 以上をもちまして、平成三十年度及び令和元年度の決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

谷田川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院豊岡審議官。

豊岡会計検査院当局者 平成三十年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、職員が常駐していない地方検察庁の支部及び区検察庁の単独庁舎について、地方検察庁から使用状況及び単独庁舎として使用し続ける必要性を定期的に報告させることなどにより、行政財産の適切な管理を行う体制等を整備するよう改善させたものであります。

 続きまして、令和元年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

谷田川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。

齋藤(健)国務大臣 平成三十年度の決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けたことにつきましては、誠に遺憾に存じます。

 御指摘を受けました事項につきましては、是正に向けた措置を講じたところでありますが、今後、このような御指摘を受けることのないよう、指導監督の徹底を図り、より一層事務の適正な執行に努めてまいる所存でございます。

谷田川主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷田川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決定しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷田川主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

谷田川主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤巻健太君。

藤巻分科員 日本維新の会の藤巻健太と申します。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問の方に移らせていただきます。

 まず、少年法の在り方について議論させていただければと思っております。

 少年法の在り方は長く議論が続けられており、近年では令和三年に少年法が一部改正され、十八歳、十九歳が特定少年と定められました。特定少年は、少年法が適用される一方、逆送対象事件が拡大され、実名報道が解禁されました。つまり、厳罰化の方向に進んだということであります。

 私個人の考えではあるんですけれども、少年による殺人などの凶悪犯罪には更なる厳罰化が必要、酌量の余地のないものであれば少年法の適用除外も検討すべきだと考えております。

 現在の少年法の在り方が正しいのか、一層の議論が必要なのか、更なる厳罰化が必要なのか、どう考えておられるのか、お考えをお聞かせください。

齋藤(健)国務大臣 少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています。少年法は、特定少年である十八歳及び十九歳の者を含め、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしてきたものであります。

 それで、昨年四月に施行されました改正少年法は、特定少年について、これらの者が成長途上にあり可塑性を有する存在であることから、その改善更生、再犯防止を図るため、全ての事件を家庭裁判所に送致し、原則として更生のための保護処分を行うという少年法の基本的な枠組みを維持することとしつつ、公職選挙法の定める選挙権年齢及び民法の定める成年年齢が十八歳に引き下げられることになるなどの社会情勢の変化を踏まえ、刑事司法制度においてもその立場に応じた取扱いをするために、特定少年につきましては、いわゆる原則逆送事件の対象を拡大し、実名等の報道について起訴後は解禁するなど、十七歳以下の少年とは異なる特例を定めることとされたものであります。

 以上です。

藤巻分科員 おっしゃるとおり、少年法の理念は、非行のある少年を更生させて、そして健全に育成することにあると私も考えております。少年は可塑性が高いことも踏まえて、懲罰よりも更生に主眼を置く、それが再犯率を引き下げ、本人にとっても社会にとっても結果としてプラスになる、この部分に関しては本当にそのとおりだと思います。

 そして、それは私たち大人の責任、社会の責任でもあると思います。出来心から万引きをしてしまった、けんかをして相手を殴ってしまった、こういうことは、親や学校や教師、地域、時には司法の力もかりながら指導して、正しい道にいざなう、まさに更生させて立ち直らせることが重要です。それが本人のためでもあるとは思います。

 しかし、殺人などの凶悪犯罪を同等に考えていいのでしょうか。同じ物差しで測っていいのでしょうか。目も当てることもできない残虐非道な殺人を犯した犯人が本当に短い期間で更生できるのでしょうか。

 殺人を犯した少年は、平均何年、少年刑務所に服役しているのでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 実際に服役した期間の平均を算出したデータは持ち合わせておりませんが、把握している限りで申し上げれば、若干古いものではございますが、平成十三年四月一日から平成十八年三月三十一日までの間に、家庭裁判所の終局決定を受け、同年十二月三十一日までの間に通常第一審で終局裁判を受けた裁判時少年の百六十二名のうち、罪名が殺人である者は二十四名であり、十年を超え十五年以下の定期刑を受けた者が二名、長期が五年を超え十年以下の不定期刑を受けた者が二十二名でございました。

藤巻分科員 今のお話だと、大体、多くの方が五年から十年、平均すると恐らく七年とかそのぐらいだと思うんですけれども、本当に七年程度で凶悪犯罪を犯した人間は更生できるのでしょうか。殺人を犯した少年の出所後の犯罪再犯率はどれぐらいなのでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 昭和四十年以降平成十八年九月三十日までの間に有罪判決を受けた裁判について調査した結果、裁判時少年の一犯目の罪名が殺人である者の実数は百三十九名であり、そのうち再犯に及んだ者の比率は、罪名が同じか異なるものかを問わなければ、四九・六%でございました。

藤巻分科員 四九・六%ということで、半分近くが再び犯罪を犯している、半分近くが更生できていないということだと思います。これは、ちなみに、成人だと一六%ほどになります。

 つまり、殺人を犯した少年の再犯率は四九%、殺人を犯した成人の再犯率は一六%、三倍ほどです。ほとんど、半分近くが更生できていないということになります。人を殺して、命を奪って、その家族の人生をめちゃめちゃにして、たったの七年程度、少年刑務所で過ごすだけ。そして、出所後、七年少年刑務所で過ごした後、半分近くの人間は再び罪を犯す。

 凶悪犯罪に対する少年法、今のままで本当にいいとお考えなのでしょうか。大臣、お答えください。

齋藤(健)国務大臣 御指摘の統計は、殺人罪の前科がある成人の再犯率は一六・七%であるのに対して、殺人罪の前科がある裁判時少年の再犯率は四九・六%と約三倍になっているということであります。

 その要因につきましては、個人的な要因は当然あるわけですが、加えて、少年と成人における在所期間の長短、それから、出所後の社会生活の長短など、様々なものが考えられて、一概にこうだと決めつけた原因を申し上げるのは困難だと思っています。

 その上で、繰り返しで恐縮ですけれども、少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分、これを行うこととともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています。また、少年法は、特定少年である十八歳及び十九歳の者を含め、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしてきていると思っています。

 そして、改正少年法は、特定少年について、これらの者が成長途上であり、可塑性を有する存在であることから、その改善更生、再犯防止を図るため、少年法の基本的な枠組みを維持することとしつつ、社会情勢の変化を踏まえ、刑事司法制度においてもその立場に応じた取扱いをするため、いわゆる原則逆送事件の拡大など、十七歳以下の少年とは異なる特例を定めたということでありますので、御理解を賜れればなと思っています。

藤巻分科員 成人の再犯率が一六%で、少年の再犯率が四九%ということで、事情が違うとかいう、そういう差ではない、もう明確な差があるんじゃないかというふうに私は感じますし、可塑性が高いといいますけれども、逆に可塑性が低いんじゃないか。これだけ多くの人が再犯をしているわけですから、可塑性は逆に低いんじゃないかということが言えると思いますし、そういった凶悪犯罪を犯した少年、果たして本当に少年法というのは公正にできているのかというのは非常に私は疑問に考えております。

 凶悪犯罪を犯した少年の更生がどうしたら進むか、これは議論を続けてほしいと考えております。

 そして、私が言いたいのは更にその先でして、更生さえできればそれでいいのかということでございます。

 仮に殺人を犯した少年が数年で、まあ七年でですか、更生できたとします。その少年は出所後、やりがいのある仕事に就き、充実した日々を過ごす。すてきな女性と巡り合い、恋をして、結婚して、子供にも恵まれ、郊外に広めの家を建てて、週末はゴルフを楽しんだ後、夜は仲間と飲み会で時には昔の悪自慢に花を咲かせる。老後は孫に囲まれて笑顔の絶えることのない満ち満ち足りた人生を送る。

 それは殺された被害者が送りたかった人生ですよ。なぜ殺した方がそういう人生を送れるのか。被害者遺族は、悲しみ、怒り、終わらない苦しみの中にいます。そんなことが許されるんでしょうか。そこに正義はあるんですか。大臣、お答えください。

齋藤(健)国務大臣 答弁が繰り返しになりますが、やはり、少年の健全な育成、非行ある少年に対してその性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行って、できるだけ少年の立ち直りに努力をするということにつきましては、私はそれは委員も否定をされているものではないんではないかと思っています。

 確かに再犯率は高いかもしれませんが、それをもって直ちにこの年齢の人たちを成人と同じ扱いにするということについては、私はちょっと違う考えを持っています。

藤巻分科員 最も大事なのは、遺族の心が、被害者の魂が救われることだと私は思っています。加害者が更生して幸せな人生を送ることではないというふうに思っています。

 今の少年法はその視点が決定的に欠けているとは思いませんか。

齋藤(健)国務大臣 繰り返しの答弁になりますので割愛いたします。

藤巻分科員 凶悪犯罪に対する今の少年法で、この在り方というのは、私は到底納得がいっておりません。どうあるべきか、今後も議論を続けていってほしいと思います。

 時間も限られていますので、次の質問に移らせていただきます。

 続いて、死刑制度についてお伺いします。

 現在の死刑制度についての大臣のお考え、今後の在り方についてお考えをいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題であると受け止めています。したがって、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等、種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えています。

 国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えていると思っておりまして、多数の者に対する殺人ですとか強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況などに鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ないというふうに考えています。

藤巻分科員 一方で、死刑になりたいという理由で無差別大量殺人を行う人間がいます。これを防ぐためにはどうしたらいいとお考えなのでしょうか。地域ネットワークを強化して孤立を防ぐなんというのはよくテレビでやっていますけれども、それも大事なことなのかもしれませんけれども、それでは防げません。強い抑止力が必要かと思います。無差別大量殺人を防ぐこと、そして無辜の民の命を守ること、これは国家の責任だと思います。

 死刑になりたいという理由から起こす無差別大量殺人、これはどうしたら防げるとお考えになっているのでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような無差別大量殺人を起こすようないわゆる凶悪犯罪に及ぶ者の動機というのは様々なものが考えられますけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、殺人等の凶悪犯罪に対しては、きちんと摘発し厳正に処罰をしていくということに尽きるのではないかなと思っております。

 検察当局におきましては、関係機関と連携しつつ、法と証拠に基づき、悪質な事情を含めて適切に主張、立証をすることで厳正な科刑の実現に努めておりまして、このような対処を引き続き行っていくということで、委員御指摘の犯罪の抑止にもつながるのではないかと考えております。

藤巻分科員 ですから、厳正に処罰されて死刑になりたいと思っている人の犯罪をどうやって防げばいいのかという質問ですので、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 今申し上げたように、いわゆる凶悪犯罪に及ぶ者の動機には様々なものがあると思いますけれども、それに対しては、やはり厳正な処罰で対応していくということだろうと思っています。

藤巻分科員 厳正な処罰で対応できない者をどうするかというような質問だったんですけれども、ちょっと堂々巡りになってしまいますので、次の質問に移らせていただきます。

 刑事訴訟法四百七十五条では、死刑の執行は、判決確定の六か月以内にしなければならないというふうにあるんですけれども、実際に六か月以内に執行されることはありません。執行までの平均期間は十年ほどとなっております。

 法が全く守られていない現状、これは法治国家として許されるのでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 死刑は人の命を絶つ極めて重大な刑罰でありますことから、その執行に際しては、慎重な態度で臨む必要があると考えております。それと同時に、法治国家におきましては、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことも言うまでもないところでございます。

 お尋ねの刑事訴訟法四百七十五条二項は、こうしたことを前提とした上で、確定判決がいつまでも執行されないまま置かれることがないようにするため、法務大臣の命令について、裁判確定の日から六か月以内という期限を設けたものでございますが、同項は訓示規定であると解されておりまして、裁判例においてもそのように判示されていると承知をしております。

 御指摘のように、刑事訴訟法四百七十五条二項の期間を遵守可能な期間に改めるということにつきましては、訓示規定であるといたしましても、現行法上定められている期間を改正して、あえてこれより長い期間を定めることとするのは、確定裁判の執行が厳正に行われなければならないという趣旨を後退させるものと受け止められるおそれがあるのではないかという問題、また他方で、実際に遵守できるような期間にあえて改正するとすると、その期間は、その規定が単なる訓示規定を超えて、違反すると違法となる義務を定めたものとなり得てしまいまして、その結果、例えば、死刑執行命令を発するに当たって検討すべき事項がある場合でも、期間を遵守することが優先され、死刑の執行に際して求められる慎重さがないがしろにされることとならないか。

 いずれにしても、死刑判決の確定から執行までにどれだけの期間があれば十分であるかということについては、死刑確定者にとって様々でございまして、それにもかかわらず、御指摘のように、遵守可能な期間のような一定の期間を定めることができるかなど、様々な観点から慎重な検討が必要であると考えております。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 死刑制度は犯罪抑止に大きな役割を担っている、これは私も同意するところでございます。どうすれば犯罪が抑止されるのか、今後もしっかりと考えていただければと思っております。

 続きまして、刑務所について質問させていただければと思います。

 刑務所の実態は詳しく知らない人も多いかと思うんですけれども、受刑者が日常どのような生活を送っているのか又はどのような住環境にあるのか、お答えいただければと思います。

花村政府参考人 お答えします。

 受刑者の処遇は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第三十条におきまして、「その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うもの」と規定されております。

 この原則を達成するため、刑事施設におきましては、入所した受刑者に対する処遇調査を実施し、受刑者を集団に編成し、受刑者ごとに処遇要領を策定した上で、職業訓練を含む作業、改善指導及び教科指導の三つの柱で構成される矯正処遇を実施しております。矯正処遇を行う前には刑執行開始時の指導を行うほか、釈放前には釈放前の指導を行っております。

 次に、標準的な一日の流れを見ますと、平日、受刑者は、午前七時頃起床し、朝食後、同八時頃から、昼食を挟んで午後四時半頃まで作業を始めとする矯正処遇を受け、入浴、夕食などの後、午後九時頃の就寝時刻までは余暇時間を過ごしております。

 休日を含む余暇時間につきましては、集会活動に参加したり、通信教育等の自習時間に充てたり、テレビやラジオを視聴したり、読書をしたりして過ごすことができます。また、家族に宛てて手紙を書いたりして、出所後の生活に思いをはせ、自らを見詰め直したりする時間でもあります。

 食事は一日に三食、作業の就業状況などを考慮して必要な熱量が確保されており、必要に応じ、健康状態や宗教上の事情などに配慮して提供しております。また、健康の保持に努めており、必要に応じて医師による診療を行っているところです。

 冷暖房につきましては、工場、病室、収容棟の廊下などで扇風機やストーブを使用しているほか、エアコンの必要性が高い箇所について順次設置を進めているところでございます。

 以上です。

藤巻分科員 昨年十二月、大臣は臨時会見を開いて、名古屋刑務所で二十二人の刑務官が三人の受刑者に対して、顔をたたいたりアルコールスプレーを顔に噴射したりする暴行を繰り返していると発表しました。

 この事件に限らず、刑務官による暴言、暴行などが報道されますが、この事実については大臣はどう捉えられているのでしょうか。

 また、刑務所内で受刑者同士のいさかいや暴行、いじめが多いとも聞きます。これについてはどうお考えでしょうか。改善していくお考えはあるのでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 過去に重大な死傷事件が生じた名古屋刑務所において再びこうした不祥事が起きたことは、もう誠に遺憾であると申し上げざるを得ません。

 現在、名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に係る第三者委員会におきまして、公正中立な第三者の目で背景事情を含めた全体像を把握し、その要因を分析するとともに、適切な再発防止策について検討をいただいているところであります。毎回のその委員会の様子についても、私も常にフォローをさせていただいております。

 そして、受刑者の改善更生を図るための矯正処遇を実施するためには、当然、受刑者同士のいさかいなどができる限り生じないようにすることも併せて重要であると認識をしています。

 暴行、不適正処遇を根絶すべく、今後、第三者委員会における議論の結果が出てまいりますので、その結果も踏まえ、名古屋刑務所にとどまらず、全国の刑事施設において再発防止策を着実に実施してまいりたいと考えています。

藤巻分科員 今までのお話を総合すると、日本の刑務所の実態は、冷暖房が完備していて、食事は栄養士指導で作られた三食つき、もちろん無料ですし、やりがいのある仕事ができて、余暇は仲間とわいわい楽しむ、仲間内のトラブルがないように看守は優しく見守り、時には仲裁に入る、将来に向かって勉強や職業訓練もすることもできる、夜は定期的に見回りに来てくれるので急病時も安心と。

 今までの話を総合するとそういうふうに聞こえるんですけれども、大臣、日本の刑務所はとても快適なのかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 私も実際に何か所か視察をさせていただいておりますけれども、とても快適で長くいたいと思うような施設には私は思えませんでした。

藤巻分科員 刑務所に入りたいといって、そう言って犯罪を犯す人が一定数はこれはいます。その人たちにとっては、今の環境よりも刑務所の方が快適だと考えているのだと思うんですけれども、あるいは、刑務所の環境は国がしっかりと整備していてなかなかいいから、刑務所に行ってもいいのかなと思う人も一定数います。

 こういった事実についてはどうお考えでしょうか。

花村政府参考人 お答えします。

 現在、刑事施設、被害者等の心情等を考慮した上で矯正処遇、矯正教育を行うというふうなことを検討しておるところでございます。

 具体的には、刑事施設におきましては、例えば、被害者等の心情等につきまして、達成すべき矯正処遇の目標の中に、被害者等の心情等の理解や被害弁償に関する内容を盛り込んだ上で、例えば、指導場面としては、被害者の視点を取り入れた教育のプログラムを改定し、入所後早期から出所まで、受刑期間全体を通じて受刑者に継続的な働きかけを行うことでございますとか、個別面接を通じまして、被害者等から聴取等した心情等を受刑者に伝え、被害者等の心情等を考えさせ、理解を深める時間を設けることなどを想定しておるところでございます。

 こういった取組によりまして、受刑者等ごとに被害者等の心情等を具体的に理解をさせますとともに、謝罪や被害弁償等の具体的な行動を促す指導等を実施することにより、受刑者等が自身の責任を自覚し、被害者に対する慰謝の念を深めさせるようにしていくことを考えておりまして、いずれにいたしましても、受刑者等が自身の犯した行為と真摯に向き合い、真の反省につながるよう、引き続き、刑事施設におきましてそういった矯正処遇の在り方等につきまして検討してまいりたい、このように考えております。

藤巻分科員 刑務所の在り方、どうあるべきか、いま一度検討をお願いしたいと思います。

 大事なのは、受刑者が快適な生活を送ることではなくて、善良な普通の人たちが安心して暮らすことのできる犯罪の少ない社会をつくっていくことだと考えております。いま一度、そのことを認識していただければと思っております。

 続いて、抑止力を強化するために、死刑とは違う刑罰を創設することはあり得ますでしょうか。例えば、仮釈放のない絶対的終身刑などは検討の余地はあるのでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 仮釈放のない絶対的終身刑のようなものということでお考えをということでございますけれども、仮釈放を許さない終身刑を導入するべきであるという御意見があることは承知しておりますけれども、そうした御意見の中にも、死刑を廃止することを前提とした上で、死刑に代わる刑として終身刑を導入すべきだという御見解、また、死刑を存置することを前提とした上で、死刑と無期刑との間のギャップを埋める刑として終身刑を導入すべきとする御見解など、様々な御意見があるものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、仮釈放のない終身刑ということになりますと、社会復帰の望みがなくなってしまいますので、そうしますと、受刑者に、これはもう何をしても生涯拘禁されるんだという絶望感を抱かせる過酷な刑罰なのではないかという御意見ですとか、あるいは、長期間の拘禁によって受刑者の人格が破壊されてしまうといった御指摘があるものと承知をしております。

 この問題は、死刑制度の在り方と関連する問題でもございまして、刑罰の在り方の根幹に関わるもので、今後、幅広い議論が行われていくことが望ましい問題ではないかなというふうに考えております。

藤巻分科員 私は、過酷な刑罰をすることによって強い抑止力が生まれて、犯罪の少ない安心した社会がつくれると思っておりますので、そのことは認識して、踏まえて議論を続けていただければと思います。

 続きまして、今の話に関係するんですけれども、無期懲役、昔は十五年ほどで仮釈放されていたと聞きますけれども、現在は三十年ほどとなっていると聞きます。無期受刑者が仮釈放になるまでの流れ等を教えていただければと思います。また、この三十年という長さは適当なのでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 無期刑受刑者につきましては、委員御指摘のとおり、刑法の第二十八条の規定に基づきまして、十年を経過した後は仮に釈放することができるとされてございます。

 その仮釈放を許すか否かにつきましてですけれども、通常は、刑事施設の長からの申出に基づきまして、地方更生保護委員会の三人の委員で構成する合議体において審理をして判断をしているというところでございます。

 その仮釈放の審理に当たりましては、無期刑受刑者が重大な犯罪をしたことにより、終身にわたって刑事施設に収容され得ることに鑑みまして、詳細な資料の収集、被害者あるいは御遺族からの御意見の聴取、複数の委員による審理対象者、無期刑受刑者との面接などを行うなどして、慎重に審理を行っているところでございます。

 実際に仮釈放になった者の受刑の在所期間でございますけれども、例えば、令和三年中に新たに仮釈放となりました無期刑受刑者は七人おりますけれども、その平均受刑在所期間は約三十二年十月でございます。ちなみに、その前年、令和二年ですと約三十七年六月と、御指摘いただきましたとおり、近年は三十年以上が平均の在所期間となってございます。

藤巻分科員 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、今の日本の法律、加害者の保護だったり社会復帰に重点が置かれ過ぎていて、被害者の救済がないがしろにされているように私は感じております。

 救うべきは加害者ではなく被害者だというふうに考えておりますが、最後に、大臣の御見解をお聞かせ願えればと思います。

齋藤(健)国務大臣 もちろん、御遺族、被害者保護も非常に重要な課題だと思っておりますので、そのバランスをどう取っていくかという課題だと思っておりますので、心してやっていきたいと思っています。

藤巻分科員 ありがとうございました。

 それでは、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷田川主査 これにて藤巻健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、金村龍那君。

金村分科員 おはようございます。日本維新の会の金村龍那です。今日はどうぞよろしくお願いします。

 今日は、外国人との共生、それから技能実習、特定技能、この辺りを中心に質問させていただきたいと思います。

 その上で、まず、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議、ここから中間報告書案が出ていると思います。その中に、これまでとは違う表現の中の一つとして、人材確保というところが記載があると思います。

 私は選挙区は川崎でして、川崎は外国人の方だけの住民会議とかを、いわゆる市政の中に既に設置をされていて、比較的、全国の中でいうと、いわゆる外国人との共生のトップランナーの都市の一つだと思います。

 ただ、外国籍の方は、比較的東アジアというか、韓国や中国の方が中心となった外国籍の町なんですけれども、そういう意味では、今、この技能実習とかを通して、いわゆる海外から来られる国籍も大分変化してきている中で、改めて人材確保や人材育成を明記した上で、今回こういう方向性になったということについて、大臣としてこの方向性についてどういう見解か、お聞かせ願えますか。

齋藤(健)国務大臣 現在開催されております技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議、ここにおきまして、制度目的と実態を踏まえた制度の在り方、これを論点の一つとして御議論をいただいているところで、有識者の方からは、技能実習制度の目的と実態の乖離が様々な問題の背景になっている、あるいは、実態に合わせ、技能実習制度を廃止した上で、国内産業にとって人材確保の制度として再出発することが必要、こういった御意見が出ているところであります。

 こうした御意見を受けて、先日の有識者会議で提示された中間報告書案では、検討の方向性として、現行の技能実習制度を廃止して、人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである、すなわち、技能実習制度が人材育成に加え、事実上、人材確保の点においても機能していることを直視して、このような実態に即した制度に抜本的に見直す必要がある、このように示されているところでございます。

 もっとも、同会議においてまさに御議論いただいている段階でありますので、現時点におきまして、今後の方向性について法務大臣の私から考えを述べるということは適切ではないことですので、お答えを差し控えたいと思いますが、いずれにしても、有識者会議での御議論を見据えつつ、関係省庁とも連携しながら政府全体でしっかりと検討を行っていきたいと考えています。

金村分科員 実態との乖離を直視して新たな方向性を打ち出していくというのは、すばらしいと思います。

 我々、かねがね党の中でも、労働力不足をどのように解消していくかという点において、やはり労働市場を流動化しようとか、そういった活発な議論の中で、外国人との共生や外国人の皆さんがどのように働いていくのかというのも当然テーマになってきていますので、是非政府として、日本の未来を見据えた、かつ、実態に即したものとしていただければなと思います。

 その上で、中間報告書案によると、技能実習と特定技能は職種が違う、数が違うと思うんですけれども、いわゆる技能実習と特定技能の職種を合わせるというふうに記載があると思うんですね。

 これ、合わせてしまうと、技能実習の方で実際には労働力として担保していたものが失われるおそれがあるんじゃないかと危惧するんですけれども、この側面というのはどのようなお考えになっているのか、お聞かせ願えますか。

西山政府参考人 技能実習制度は、人材育成を通じた技能移転による国際貢献を目的とする制度であるものの、実態として、国内の労働力不足を補う手段として利用されているとの指摘があることは認識しております。

 委員御指摘の対象職種及び分野につきましては、現在開催されております技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、両制度における対象職種及び分野の在り方も含めて御議論いただいているところでございます。

 本論点につきまして、有識者会議では、技能実習制度は人手不足対策として活用されている一面もある、技能実習制度と特定技能制度の職種や分野の不整合は解消し、できる限り幅広い業種で、なおかつ一貫してキャリアが積めるような仕組みを考えるべきなどの御意見がございました。

 こうした御意見を受けて、中間報告書案では、技能実習生が我が国の労働力として貢献している実態を直視し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設した上で、外国人がキャリアアップしつつ、我が国で就労し、活用できる制度とする観点から、現行の技能実習制度に代わる新たな制度から特定技能制度への移行が円滑なものとなるよう、その対象職種や分野を一致させる方向で検討すべき、技能実習における対象職種のうち、現行の特定技能制度の対象分野に含まれていないものについても、業界からの要望及び受入れの必要性を前提として、追加を検討すべきなどの方向性で議論がされているものと承知しております。

 有識者会議の御議論を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、政府全体でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

金村分科員 指定された職種であれば、例えば、その事業や産業が継続していくことにつながると、労働力の観点から、考えられますので、是非慎重に検討いただければなと思います。

 その上で、先ほど少し申し上げましたが、我々は党として、これは国籍にかかわらず、いわゆる労働市場の流動化というものを掲げています。

 この特定技能や技能実習の中で、いわゆる労働市場の流動化の視点で考えると、転籍をどのように検討していくかというのが一つのテーマになってくると思うんですね。

 当然、技術を磨くために海外から日本に来ている方が大半という前提に立てば、その産業内において労働力が移転するのはもちろんのこと、例えば、基礎的な技術、真面目に働くこととか、そういう前提をしっかりと学べば、十分僕は、転籍はもっとフリーに認めていいんじゃないかなという考え方を私個人は持っています。

 その上で、今回、転籍がある程度緩和されるような表現もあるんですけれども、どの程度を想定されているのか、また、その転籍を認める中でいえば、転籍を認めるのはこういう考え方なんだみたいなところをお伝えいただければと思います。

西山政府参考人 有識者会議におきましては、転籍の在り方を論点の一つとして御議論いただいているところですが、この論点につきまして、有識者会議では、労働力としての位置づけを正面から認めるのであれば、転籍制限は再考が必要、人権の視点から考えたとき、完全に移動できないのは仕組みとして問題があるが、スキル形成という視点では、一つの職場で一定期間習熟を図るという視点もあるため、人権の課題とバランスを取った検討が必要などの御意見がございました。

 こうした御意見を受けまして、中間報告書案では、検討の方向性として、新たな制度においては、人材育成そのものを制度趣旨とすることに由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置づけることから、労働者としての権利性をより高め、また、制度趣旨及び対象となる外国人の保護を図る観点から、従来よりも転籍制限を緩和する方向で検討すべきと示されているところでございます。

 もっとも、まだ有識者会議においてまさに御議論いただいているところでございますので、この時点について今後の方向性をお答えすることは困難であることは御理解いただきたいと存じますが、いずれにしましても、御議論を踏まえつつ、政府全体でしっかりと検討してまいりたいと考えます。

金村分科員 これは、転籍を認めると、受け入れる企業も実際には増えていくんじゃないかなと思うんですね。だから、そういう意味では、できるだけ転籍の自由を認める方向で検討していただきたいというのが我が党の考え方になりますので、よろしくお願いします。

 その上で、私、実は、国会議員になる前は、障害児支援の療育施設を川崎とそれから東京の大田区で経営してきて、二〇一五年ぐらいから、外国籍の子供が障害認定を受けてそういう施設に通うという件数が物すごく増えたんですね。そのときに、これはあくまでも障害の観点ですけれども、いわゆる言葉が話せないと障害という認定を受けやすいんですね、ドクターが診断しやすいということなんですけれども。

 そういう意味では、自分自身で日本語学校を経営すれば、親も子供も日本語を話せるような環境が生まれてくるんじゃないかと事業を検討した時期があるんですね。実際には、経営しても赤字であろうということで、残念ながら出店には至らなかったんですけれども、そのとき痛切に感じたのが、やはり言葉の問題なんですね。

 今回、特定技能や技能実習が新たに生まれ変わったとしても、一番のポイントは、外国人との共生、それから、やはり日本語の能力をどうやって上げていくのか。

 ちょうど今回、今、文科委員会の方で審議入りしますけれども、いわゆる日本語教育推進法案が出てきている中で、法務省と文科省がしっかりと連携を取ってやっていくということですけれども、今の段階は、これまでは日本語能力について特に問われていなかった。中間報告書案では、やはりいろいろな様々な環境要因を考えて、一定水準あった方がいいんじゃないのかとか、そういった議論はあると思うんですけれども、ここについてどういう認識がおありか、お答えいただけますか。

西山政府参考人 委員御指摘の論点につきまして、有識者会議におきましては、入国前に、一定の会話が通じ、生活や就労に必要な最低限の要求ができる程度の日本語能力が必要、入国時の日本語能力要件がハードルとなり、有用な外国人材に日本が選ばれなくなる面もあることを考慮すべきなどの御意見がありました。

 こうした御意見を受けて、中間報告書案では、検討の方向性として、就労開始前の日本語能力の担保方策について、外国人労働者が来日する前に日常生活及び職業生活に必要な最低限の日本語能力を有することは重要であることから、安定的な人材確保に与える影響なども十分に考慮しながら、日本語能力に関する要件化も含めて検討すべきとされているところでございます。

 このような御議論も踏まえつつ、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

金村分科員 やはり、この日本語能力の向上こそ、まさに転籍を考えてもですけれども、今、ビルメンテナンスの業界とかは、もはや、AIを通して、母国語で指示書が出せるようになっちゃっているんですね。だから、そういう意味では、働くことそのものは、イノベーションによって、実は言葉の壁というものはそんなに大きくない。

 ただ一方で、生活者の視点に立てば、当然、そういった機材や同時通訳みたいなアプリとか、そういうものを常に日本人が携行しているわけではありませんので、そういう意味では、やはり日常会話、そして必要なコミュニケーションが取れる程度の日本語能力があれば、外国人の方にとっても選択肢が増える、そして日本側にとっても有益だという視点は成り立つと思いますので、是非、日本語能力の向上は全体で取り組んでいただきたいと思います。

 そして、これはずっとついて回る話なんですけれども、やはりいわゆる現地のブローカーの問題ですね、送り出し機関と表現してもいいのかもしれませんが。

 つまり、もう既に、日本に来る前から、技能実習制度で、例えば、この監理団体を通して、この地域に行って、こういう企業に入ったら、いわゆる言葉で言うとブラック企業だというような情報が既に現地の中にあって、だから、もし仮にそこから逃げ出したいときはこういう場所があるよとか、もう既に逃げる先までがフォーマットになって、実際に日本に来られている方もこれは一人や二人じゃない。僕らレベルのうわさ話でもしょっちゅう出てくるような、実際、私の友人も特定技能のそういった事業をやっていますけれども、やはりそういうスキームになっちゃっている例えば国だったり特定の人たちというのは、実際にいるのは一つだと思うんですね。

 そういう意味では、悪質なブローカーや送り出し機関をどのように排除して、かつ、いい人材に日本の中で活躍してもらうのかという視点が非常に重要だと考えています。

 その中で、これは少し提案みたいなお話なんですけれども、やはりなかなか、二国間協議も必要ですから、一概には言えないんですが、実際に例えば監理団体の出先事業所を現地に開設するとか、また、今回議論されている日本語教室みたいなものを例えば大使館と連携して現地に事業所を出す。そこで学んだ人たちの中で、日本の制度を利用して技術を学びたいという人を中心に人材が日本に来ると、これは日本にとって非常にうれしい出来事だと思うんですね。

 だから、そういう意味では、当然、制度ですから、なかなかそれを超えることは難しいかもしれませんけれども、私は、ビジネスをやってきた以上、一度で二度おいしいというんですかね、一個の制度を使って二つの喜びを得ていくためのフォーマットをつくっていくと、実際にそこに携わる人が喜びを得て満足度が上がると思いますので、こういった監理団体や日本語教室を生かして現地に事業所を開設するという案についてどのようなお考えか、お聞かせ願えますか。

西山政府参考人 技能実習制度におきましては、平成二十九年に施行された技能実習法に基づき、監理団体の許可制、外国人技能実習機構による実地検査や母国語相談、二国間取決めの作成等の制度の適正化と技能実習生の保護のための取組を進めてまいりました。

 しかしながら、一部の送り出し機関において不当に高額な手数料等を徴収するなどの不適正な問題等が生じていることにつきましては、重く受け止めているところでございます。

 そのため、不適正な送り出し機関の排除を目的として、二国間取決めに基づき、日本側が不適正な事案を把握した場合には、相手国政府に通報して調査を依頼した上で、その結果に基づき、送り出し機関への指導や認定取消し等を求めるなどの措置を講じているところでございます。

 その上で、先ほど来挙げております有識者会議におきまして、国際労働市場の実態を踏まえた送り出しの在り方や外国人の日本語能力向上に向けた取組を含め、幅広く御議論をいただいているところでございます。

 これらの論点につきまして、有識者会議では、悪質な送り出し機関や高額な手数料徴収の問題が日本からの通報にもかかわらず是正されない場合、二国間の合意として、当該国からの受入れ自体も停止するというような強い選択をできるようにすることも検討するべきではないか、入国前に一定の会話が通じ、自分自身で要求ができる程度の日本語能力があることは必須などの意見がございました。

 こうした意見を受けまして、中間報告書案では、検討の方向性として、外国人本人が不当に多額の借金を負うことになれば、来日後の活動に悪影響を及ぼすこともあり得るため、悪質なブローカーや送り出し機関の排除など更なる対応を検討すべき、悪質な送り出し機関の排除や送り出し機関の適正化に向けて、新たな制度においても、相手国との間で実効的な二国間取決め、MOCを締結するなど、外国人材の適正な受入れに関する国際的な取組を強化する方向で検討すべき、外国人労働者が来日する際に日常生活及び職業生活に必要な最低限の日本語能力を有することは重要であることから、安定的な人材確保に与える影響なども十分に考慮しながら、日本語能力に関する要件化も含めて就労開始前の日本語能力の担保方策についても検討すべきと示されているところでございます。

 いずれにしましても、技能実習制度の見直しに当たっては、有識者会議での御議論も見据えつつ、政府全体でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

金村分科員 日本語能力を課すのはいいと私は思いますね。

 加えて、これはお国柄や民族性もあるのかもしれませんが、例えば我々であれば、働く先だったり留学先で、国を選んだときに、その言葉がしゃべれない国をあえて選ぶというのは日本人にとって余り選択肢にないんですけれども、海外の方は割とそのぐらいのラインでこの技能実習とかで来てしまっていると、やはり人材の育成に時間がかかったり、人材確保と呼べない人が来てしまったり、実際にブローカーが介在して、日本にとっては治安の乱れにつながりかねないというところでいえば、日本語能力を課していくのは一つの案としてすばらしいと思いますので、是非その方向で進んでもらえたらなと思います。

 その上で、次は、これもまたちょっと提案になるんですけれども、私、夫婦共働きで子供三人の五人家族、私は、今、こういう働き方というか人生を選択したんですけれども、妻が、子供が生まれてからいわゆる時短なんですね、働き方が。日本は、労働力不足と言われている割に、こういった時短とかで働かざるを得ない人たちのケアというのが実は進んでいないんじゃないかなと。

 つまり、妻自身はフルタイムで働きたいんだけれども、夫婦での話合いの結果、どちらかというと私が満足に働いて、妻は少し仕事をセーブしながら家庭を見ていくという選択をしているんですね。これ、実は、世の中において、男性、女性は別にして、夫婦で役割分担で少し仕事をブレーキする人も今実際には増えていると思うんですね。

 実はこれ、夫婦で話していたときに、要は、夕方の二時間ぐらい、どなたかにサポートがしてもらえれば、例えば保育園から自宅への送り迎えとか、こういった、仕事とまではいかない、要は、日本人が選択できるほど十分な仕事量ではないんですけれども、実際にそこをどなたかがビジネスとして支えてくれれば、例えばそういった働き方を選択している人も十分に働けるんじゃないか。

 けれども、今申し上げたとおり、なかなか日本人が選択しづらいんですね。一日二時間、例えば時給千五百円だとしても三千円。それが二十五日働いても。なかなかその時間を、普通の御家庭の人であれば、同様に家庭は動いている時間ですし、一方で、仕事と仕事のはざまで、四時から六時とか、五時から七時というのはなかなか難しい時間だと思うんですね。

 なので、私は、確かに技能実習や特定技能として、日本として職種を選定する、こういう業界がいいよというのは十分決めていく必要もあるし、それが外国人労働の労働力によって機能していくというのも必要なんですけれども、実は、今足りていないところで十分担えるかもしれない仕事を一つテーマに置いて、そこで働いていく。かつ、例えば御家庭のサポートになると日本語能力は必須なわけですね。つまり、外国人との共生という視点でいくと、最も先頭ランナーに立つわけですね。

 そういう意味では、私は、今実際に職種でもない、まして国家資格でもない、こういったいわゆる家政婦のような仕事だったり、育児、家庭をサポートするような業種も技能実習や特定技能というこの枠組みの中に入れてはどうかと考えているんですけれども、その観点はいかがでしょうか。

西山政府参考人 特定技能の分野追加に当たりましては、分野を所管する省庁において、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお当該分野の存続、発展のために外国人の受入れが必要であることを具体的に示し、これを受け、法務省等の制度を所管する省庁において検討を行い、追加することが適当と認められた場合には、分野の運用方針を定める閣議決定を求めるということになります。

 法務省といたしましては、分野を所管する省庁から申入れがありましたら、制度を所管する省庁とともに適切に検討を行うこととしたいと考えております。

金村分科員 日本の方でもまだ産業として成熟していないので、なかなか業界の声というのは届きにくいと思うんですけれども、いわゆる、この先を見据えた中で、そういう選択肢が幾つかあると、それはそれで日本の外国人との共生の進化につながったり、あとは、実は技能実習や特定技能にかかわらず、外国人が働くことをもう少し緩和していくとか、そういう考え方に至る可能性もありますので、まずは、この制度設計の中に、少しその制度設計とは違うイレギュラーなものを含んでいくことが次への進化につながると思いますので、是非とも御検討いただきたいと思います。

 その上で、ちょっと時間も限られておりますので一つ質問を飛ばさせていただきまして、今回、先ほど来、日本語能力の件をずっと質問させていただいているんですけれども、日本語能力を向上させることが外国人にとってどういう得があるのかという視点に立つと、実は、外国人との共生というのは我々にとっては非常に大切なことなんですけれども、では、必ずしも外国人が日本人と共生するために日本語能力が必要だと思っているかどうかでいえば、比較的、集落みたいに町を形成するお国の方たちもいたりとかして、必ずしもそれを外国人そのものがしっかりと受け入れているとは、僕はまだ理解をしていないというか、そこまでに至っていないと思うんですね。

 だから、そういう意味では、外国人にとって、日本語能力を高めればその分だけ何かリターンがあるという意味でいうと、例えば在留資格に少しバッファーを持たせたりとか、何か、例えば在留期間が延びるとか、日本語能力がここまでいけば、五年だったものが六年になるとか、その追加の一年の中で、ひょっとすると、資格をしっかりと取得して、もっと継続的に日本で働くことができるとか、そういったことが生まれる可能性があると思います。

 そういう意味では、在留資格というのは非常に厳格なものでなければいけないんですけれども、ただ一方で、そこに、あめとむちじゃないですけれども、日本にい続けられますよというものが少しでも緩和されると、外国人にとってお得につながるという意味では、こういった選択肢というのは、大臣、どうですか。

齋藤(健)国務大臣 まず、この有識者会議においては、外国人の日本語能力の向上に向けた取組、これを論点の一つとして議論しているということです。

 それで、この有識者会議の中でも、委員と同様の問題意識だと私は感じるんですけれども、企業と外国人本人の双方にとって日本語を学ぶことがプラスになるような動機づけの仕組みをつくることが重要であるという御指摘をされる方もおられるということでありますので、こうした御意見を踏まえて、中間報告書案では、検討の方向性として、受入れ企業等と外国人労働者が日本語教育に自発的に参画するためのインセンティブ化も含め、日本語能力が段階的に向上する仕組みを設ける方向で検討すべきという、そういう方向性が示されているところでありますので、ここから先は同じ答弁になるんですけれども、まだこの段階で私の考えを述べるということは適切ではありませんが、有識者会議での御議論を見据えつつ、しっかり検討を行っていきたいと考えています。

金村分科員 大企業であれば別ですけれども、中小企業、私も経営してきましたので、理想と現実みたいなところがあって、本来は支援したい、こういうインセンティブがあればというのも、なかなか企業側が踏み込めない実態もありますので、是非いろいろなプランを検討いただければと思います。

 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 今回、改めて、私、外国人との共生という視点でいろいろな学びをさせていただく機会につながりました。その上で、やはり外国人との共生というのは、どこかの省庁が専門的に見るというよりは、かなり横断して様々な省庁がいろいろな取組をして、そこに向けて努力していくみたいなものだと思うんですね。

 ただ、在留資格を法務省がつかさどる以上、やはり法務省がどういう共生社会をつくりたくて、どういうリーダーシップを発揮していくのか、その点を是非大臣に御決意をお聞かせ願えたらと思います。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のように、外国人との共生社会を実現するということは政府全体で取り組んでいくべき課題だと思っています。

 その政府においては、昨年六月に、我が国が目指すべき共生社会のビジョン、それを実現するために取り組むべき中長期的な課題及び具体的施策を示す、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ等を決定をし、これらに基づいて、外国人との共生社会の実現に向けて外国人材の受入れ環境整備を着実に進めているところです。

 このロードマップにおきましては、目指すべき共生社会のビジョンを実現するための中長期的な課題としては、円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組、あるいは、ライフステージ、ライフサイクルに応じた支援等の四つの重点事項を掲げて、現在、ロードマップに基づいて、関係省庁が連携して施策の実施を進めているところであります。

 具体的には、日本語教育等の取組につきましては、市区町村が都道府県等と連携して行う日本語教育の支援ですとか、日本語教育機関の認定制度及び日本語教師の資格制度整備、先ほど御指摘がありました。ライフステージ等に応じた支援について、子育て中の親子同士の交流や、子育ての不安、悩みを相談できる場の提供などを行う地域子育て支援拠点事業の実施ですとか、ハローワークの外国人雇用サービスコーナーにおける専門相談員や通訳の配置による職業相談の実施等の様々な施策が実は盛り込まれております。

 法務省におきましては、引き続き、日本語教育を始めとした外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能がございますので、これを発揮しながら、関係省庁と連携を一層強化して、ロードマップ等に基づいて外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めていきたいと考えています。

金村分科員 ありがとうございます。

 時間になりました。終わります。ありがとうございました。

谷田川主査 これにて金村龍那君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

谷田川主査 これより国土交通省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省所管の平成三十年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済歳入額は八千二百十四億六千七百万円余であります。支出済歳出額は六兆六千百四十二億四千万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は六千七百十六億八百万円余であります。支出済歳出額は四千五百九億六千万円余であります。

 このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成三十年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。

 引き続き、国土交通省所管の令和元年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済歳入額は九千三百三十億八千百万円余であります。支出済歳出額は七兆三千四百三十二億八千六百万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は六千八百三十七億二千七百万円余であります。支出済歳出額は四千九百九十五億八千万円余であります。

 このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました令和元年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

谷田川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長岡第三局長。

長岡会計検査院当局者 平成三十年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十三件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項五件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一九二号から二一四号までの二十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金の交付額の算定が適切でなかったものが十三件、工事の設計が適切でなかったものが五件、工事費の積算が過大となっていたものが二件、工事の設計及び施工が適切でなかったものが一件、補助の対象とならないものが一件、計画が適切でなかったものが一件であります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、国管理空港の土地、建物及び工作物に係る行政財産の使用料の算定に関して是正改善の処置を求めたもの。

 その二は、住宅・建築物安全ストック形成事業等に関して改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、地籍整備推進調査費補助金事業の実施に関するもの。

 その二は、巡視船のプロペラに係る予備翼の製造に関するもの。

 その三は、河川管理施設等の防災施設の機能の発揮に関するもの。

 その四は、河川工事等における鋼矢板工の設計に関するもの。

 その五は、河川管理に使用するテレメータ装置等設置工事費の積算に関するものであり、これら五件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一四五号は、電線共同溝PFI事業の予定価格の積算に当たり、基準金利よりも高い利率を用いて割賦手数料を算定していたため、契約額が割高となっていたものであります。

 同一四六号から一六四号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、工事の設計が適切でなかったなどのものが九件、補助金の交付額の算定が適切でなかったものが九件、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが一件であります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、地籍調査事業の実施に関して改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、下水道管渠の更生工事に係る更生材料費の積算に関するもの。

 その二は、ノンステップバスの購入に係る補助事業の実施に関するもの。

 その三は、物件の買入れなどに係る契約に関するもの。

 その四は、統計調査請負契約等における予定価格の積算に関するものであり、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

谷田川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 平成三十年度決算及び令和元年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして、国土交通省の取った措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成三十年度及び令和元年度の決算検査報告におきまして、不当事項等として御指摘を受ける事態を生じましたことは、誠に遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。

谷田川主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷田川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷田川主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

谷田川主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三反園訓君。

三反園分科員 自由民主党・無所属の会の三反園でございます。

 今回、このように質問の機会を与えていただきました。関係の皆様方に、心から感謝申し上げます。

 まず、道路予算について質問させていただきます。斉藤大臣、よろしくお願い申し上げます。

 斉藤大臣とは、記者時代に質問させていただきましたけれども、今回は、このように議員として質問させていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。

 全ての道はローマに通じると言われてきたほど、道路というのは、その国の権威、そしてまた発展の象徴であると私は思っております。高度成長期も道路が造られて、そして発展をどんどんしてきました。

 道路というのは、生活の面、そしてまた観光の面、防災の面から非常に大きな役割を果たしているというふうに私は認識しておりますけれども、大臣の道路の役割についての認識について、まず、お聞かせ願えればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 道路は、人や地域を相互につなぎ、日常生活や観光などの人の移動と、生活物資や農林水産品、工業製品などの物の輸送を支える重要な機能を有しております。

 自動車交通は、旅客輸送及び貨物輸送の約八割を担っており、道路は、国民生活や経済活動に必要不可欠な社会資本だ、これが基本的認識でございます。

 また、道路は、地域、町の骨格をつくり、環境、景観を形成し、人々が滞在し交流するにぎわいの場や、電気、ガス、水道、光ファイバーなどのライフラインの収容場所として、日々の暮らしや経済活動などを支える空間を創出しております。

 さらに、災害時には、救急救命活動や救援物資の搬送を支えるとともに、避難場所としても機能するなど、国民の命と暮らしを守る生命線としても重要な役割を担っております。

 このように、国民の暮らしや経済を支える根幹的なインフラを所管する大臣として、我が国の更なる発展に寄与するよう、道路の整備、管理に全力で取り組んでまいる決意でございます。

三反園分科員 ありがとうございました。私も全く同じ認識でございます。

 今、大臣からもお話がありましたけれども、人の移動、そしてまた物の移動、物流、その八割を、今、自動車を含めて道路が担っているわけであります。そうした現状を踏まえて、そしてまた、人口減少、そして過疎化がどんどん地方は進んでいるわけでありますけれども、高速道路のインターとか、道路の便のいいところは逆に人口が増えている、そういった現状も今あるわけであります。

 また、社会資本の整備に関しましても、投資額は欧米諸国に比べて日本は極めて低いんです。GDP比もそうであります。また、高速道路というのはつながって初めて機能、効能を果たすわけでありますけれども、日本の現状を見てみますと、ミッシングリンクがこんなにたくさんあるのかということが、お手元にある資料一、二、三、四に書いてあるわけでありますけれども、本当に痛感しております。

 このミッシングリンクの解消を含めて、国土交通省は今後どのような形で進めていくのか、そのお考えをお聞かせ願えればと思います。

西田大臣政務官 お答えをいたします。

 高速道路は、国土の血流である人、物の移動を支え、国民の安全、安心を確保する基幹的インフラであると考えております。

 高速道路ネットワークの整備により、企業立地や観光交流が進むほか、災害時のリダンダンシーの確保により防災機能が強化されるといった様々な効果が発揮されております。

 しかしながら、いまだネットワークがつながっていない、いわゆるミッシングリンクが約二百区間残されており、地方創生や国土強靱化に向け、ミッシングリンク解消を図っていくことが重要であると考えております。

 今後も、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用し、ミッシングリンク早期解消を着実に推進をしてまいります。

三反園分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりだというふうに思っております。ミッシングリンクを解消して、この人口減少、少子高齢化の社会の中でもっともっと利便性を高めていく、それが必要でありまして、観光地においても、道路整備を進めることによって、観光客が安全で、そしてまた時間的にもスムーズに行ける、それによってまたリピーター率も高まっていくということにもつながっていくわけであります。

 本当に、私も今、国会議員になって道路を利用することが非常に多くなったわけでありますけれども、走るたびに、道路は本当に必要なんだな、重要だなということを改めて認識しているわけであります。そしてまた、全国を走ってみると、崖の下を、どんどん、走りながら、危険な箇所もたくさんあるし、また、橋梁の整備を含めて、もっともっと本当に道路予算というのは必要だなということを改めて感じております。

 道路予算をもっと確保して、早期にどんどんどんどん整備を進めていく、それが国の発展へとつながっていくと私は思っておりますけれども、そこへ向けた御決意をお伺いできればと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の命と暮らしを守るとともに、更なる経済発展や地域活性化を図るためには道路の更なる整備は必要不可欠でありまして、各地方から日々多くの要望をいただいているところでございます。

 例えば、高規格道路のミッシングリンクにつきましては、全国に約二百区間残っているとともに、開通した区間についても、暫定二車線となっている区間が多く残っているなど、多くの課題がございます。

 加えて、既存の道路施設につきましては、老朽化対策、これが喫緊の課題でございまして、効率的かつ持続可能な予防保全によるメンテナンスへ移行するため、対策を早期に進める必要がございます。

 そのため、国土交通省におきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用いたしまして、道路の整備や老朽化対策などの加速化に取り組んでいるところでございまして、引き続き、必要な予算の確保に全力で努めてまいりたいと考えております。

三反園分科員 是非、道路予算を確保して、もっと本当に、先ほどから申し上げておりますけれども、生活の面からも、通勤する人たちの利便性そして安全性、防災の面、観光の面において、本当に早期整備を望んでいる声は非常に大きいです。私の下にもそういった声もどんどん寄せられておりますので、道路は本当に発展の基本だというふうに思っておりますので、まだまだ道路整備は必要でありますし、早期な整備を待っている方もたくさんおりますので、その点に関しましてはよろしくお願い申し上げます。

 先ほどから道路の必要性を強調しておりますけれども、知事として、また国会議員として、いろいろな形で道路を利用することが増えた段階の中で、薩摩半島というのがあるんですけれども、この薩摩半島に実は高規格道路がないんですね。しかも、国道二百二十六号線という主要な道路があるわけでありますけれども、非常に交通量が多い。ここは鹿児島市と指宿、観光地を結ぶ主要道路ですけれども、本当に車の量が多い、そして渋滞する、事故があれば通行止め、代替道路も余りない、しかも、走ると分かりますけれども、崖があって、すぐ横は海、そこの中をこういう形で、感じでやっていくわけですね。非常に走りづらいし、本当にこれで安全なのかなというような道路でもあるわけであります。

 本当に私が小さいときからの皆さんの願いだったんですけれども、五十年、もっとかもしれません、ようやく喜入防災という形の中で調査費がつきました。

 でも、本当に、崖の下をくぐって主要道路というものがそこにあった場合に、やはり、こういった道路に関しましては早期に整備していく必要があるのではないかなというふうに私は思っているんですけれども、大臣の御認識をお伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、指宿に行ったときには鹿児島から鉄路で行ったものですから、煙がしゅっと出る、たまて箱号とかというのに乗った覚えがございます。

 道路では走ったことがないんですけれども、確かに、鉄路もまさに山が直接海に落ちているような大変なところで、隣を走っている道路も本当に海岸ぎりぎりに走っている、また車がいっぱいあるというところを見てきたところでございます。そういう意味でも、今の三反園議員のそのお話は非常によく理解をできます。

 喜入防災ですので、防災という観点からしっかり取り組んでいきたいと思います。

三反園分科員 大臣、今度は是非車で走っていただければ、そういうふうに思います。

 防災の面からも、また、本当に主要な観光道路でもあるわけでありますので、観光客にとっても、こういった崖の下を走る道よりも安全的に、真っすぐな道を通る方がいろいろな意味でいいわけでありますので、こういった、防災上も主要な道路において整備すべき道路がたくさんあるのではないかと思いますので、その点に関しましても、特に国道二百二十六号線、本当に何十年間の思いでありますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、道路というのは、縦軸があって、そしてまた横軸があるわけですね。縦軸と横軸が機能して初めて効果を表していくし、利便性も高まっていくというふうに私は認識しております。

 また薩摩半島に戻りますけれども、薩摩半島には、縦軸と、あれは横軸は実はないんですよね。しかも、観光地であり、指宿があり、知覧があったりとか、しかも一大農業産地でありますので、物流の面からもそうでありますし、先ほど述べましたけれども、過疎化がどんどん進んでいく、企業誘致も含めて、そういった面からも道路が果たしている役割は大きいし、縦軸と横軸を整備する必要があると私は思っております。

 その場合に、ようやく薩摩半島横断道路というのが今浮上してきているわけでありますけれども、こういったものも早期に整備していく必要性があるのではないかなというふうに私自身は認識しておりますけれども、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 薩摩半島におきましては、国道二百二十六号、また南薩縦貫など、半島を縦断する複数の広域道路ネットワーク、これは形成されておりますが、委員御指摘のとおり、横断する道路につきましては、南さつま市と指宿市を結ぶ鹿児島県管理の国道二百二十六号、これのみというふうになっております。

 薩摩半島を横断する広域道路ネットワークが形成されることによりまして、薩摩半島全体の交通利便性また周遊性の向上、また災害時のリダンダンシーの確保などの効果が期待されております。

 こうした状況を踏まえまして、令和三年の六月、鹿児島県が新広域道路交通計画を策定いたしまして、薩摩半島横断道路につきましては、必要な検討を進める構想路線に位置づけられました。

 この構想路線につきましては、現在、鹿児島県が中心となりまして、地域の現状、課題等について検討を行っているものと承知をいたしております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、鹿児島県や関係自治体が進める調査に対しまして、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

三反園分科員 ありがとうございました。

 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 やはり、今日も道路予算の確保について質問してまいりましたけれども、これは薩摩半島だけではなくて、全国から本当に要望が多いのは道路だというふうに思っております。それだけ道路の重要性はあるわけでありますので、引き続き、国土交通省の皆様におかれましても、道路予算を確保していただいて、早期整備へ向けて、今も御努力していただいておりますけれども、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 次に、奄美群島振興開発特別措置法について御質問させていただきたい、そういうふうに思っております。

 御存じのとおり、奄美群島は南北二百二十キロあります。しかも、領海を守り、排他的経済水域の保全を図っている。しかも、南西諸島の防衛上の重要性も増しているわけであります。

 私も、国会議員として二十五回、奄美群島を訪問をさせていただいておるわけでありますけれども、行くたびに思うことがあります。それは、本当に物価が高いです。生鮮食料品、牛乳もそうでありますけれども、高い。ガソリンも、皆さん御存じのとおり、補助が出ているにもかかわらず、全国平均よりも二十円から三十円高いのが現状であります。私が与論島に行ったときに、町長さんから、幾らか知っていますか、代議士、二百九円ですよというふうに言われました。

 鉄道がありません。車を使うしかないわけであります。そうした中で生活しているわけでありますけれども、資料にもありますけれども、所得からすると、所得は非常に低いのが今の現状であります。しかし、所得は低いけれども、離島の皆さん方は、一生懸命、何とかしようという思いで頑張っているということも行くたびに感じるわけであります。

 少し波が荒れて風が強いと、船が着かない。一週間着かないと、スーパーから生鮮食料品がなくなるんですよ、実は。そしてまた、そうすることを防ぐためには、港湾の整備も待ったなしであります。そして、山を越えていくと三時間かかったものが、トンネルを掘ると一時間ぐらいで行けるようになります。そういったものも、もっともっと整備しなければいけない。

 また、農業、観光が主要産業でありますけれども、世界自然遺産に登録されました。これからが重要なんです。世界自然遺産に登録されて、自然を守りながら、それを奄美の発展にどうやってつなげていくか。この十年が私は非常に大切な十年になるというふうに思っております。また、農業に関しましても、日本一に輝いた畜産もそうでありますけれども、若い農家の方々が、一生懸命頑張って、将来へ向けてやろうというようなところに今差しかかっているわけであります。

 そうした中で、公共事業、非公共事業で様々な重要な役割をこれまで果たしてきたのが奄振法であるわけであります。まさしく、奄振法というのは、奄美群島の皆様方の命と暮らしを守ってきた。しかも、これから十年、またいろいろな形の中で、条件不利性の中で、利便性を高めることによっていわゆる自立性をどんどんどんどん進めていこう。この非常に重要な十年を迎えるわけでありますので、令和五年末で奄振法の期限が切れるわけでありますけれども、是非、大臣におかれましては、こういった島の方々の命と暮らしを守る、これを引き続き守っていく、この奄振法に関しまして延長そして予算の確保をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 奄美群島の振興につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、国による特別の措置を講じてまいりました。

 具体的には、道路や港湾を始めとした社会資本の整備を着実に進めるとともに、奄美群島振興交付金による支援を通じ、奄美群島の特性に応じた産業の振興や、住民の生活の利便性の向上に貢献してきたところでございます。

 しかしながら、奄美群島には厳しい地理的条件による不利性や歴史的な特殊事情があり、経済面、生活面における本土との格差が今なお存在しております。

 国土交通省としては、奄美群島の振興開発を継続的に支援することが重要であると考えておりまして、引き続き奄美群島振興開発関係予算の確保に努めるとともに、地元の御要望や奄美群島振興開発審議会における議論なども踏まえながら、奄美群島振興開発特別措置法の令和五年度末の期限を見据え、しっかりと検討を進めていきたい、このように思っております。

三反園分科員 是非、大臣におかれましては、奄美の皆様方の思い、そして、奄美群島の現状についても大臣は非常に御理解していただいているというふうに思っております。奄美群島の皆様方の思いに応えていただくべく、よろしくお願い申し上げます。

 そして、私は、奄美群島に行くたびに、若い方々と本当に意見交換をしながら懇談して、どうやったらこの奄美を発展させていけるんだろうかなということを意見交換してまいりました。こういう、これからを担う若い人たちの思いに応えていく、それが政治の役目ではないかな、そういうふうに思っております。彼らが頑張っている中で、条件不利性の中で、奄振法を使いながら、彼らが本当によりよく自立性を保ってこの先やっていけるようにしていくのが我々の役目ではないかなというふうに思っております。

 現在、輸送費に関しまして補助をしていただいているわけであります。輸送費が高いことによって、物を作っても条件的に不利になっていくわけでありますけれども、そうした中で輸送費を補助している。しかし、これが五十五品目に限られているわけであります。

 先ほど言いましたけれども、畜産というのが鹿児島の今、主要産業になりつつあるわけでありますけれども、いいものを作っても、畜産を作っても、輸送費が高いので、これは何とかしてほしいという切実な思いを私に訴えられました。それはそのとおりだと思います。

 五十五品目に限るのではなくて、そこに主要産業があって、輸送費を補助することによって、競争力がついて、若い人たちがもっと営農を続けていけるような感じになっていく、そういうものに関しましては、五十五品目に絞るのではなくて、そうした必要なものに関して、やはり追加していくべきではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 奄美群島における農林水産物等の輸送費につきましては、これまでも、地元の御要望を踏まえながら、原材料の移入や加工品の移出を対象に加えるなど、制度を拡充してまいってきたところでございます。

 農林水産物等の輸送コスト支援の対象品目等については鹿児島県の事業実施要領において定められているところですが、国土交通省としても、地元からの御要請を踏まえながら、必要な予算の確保などに努めていきたいと思っております。

三反園分科員 是非、大臣、必要な予算を確保していただきまして、本当に、畜産というのは今もう主要産業になっているわけでありますので、そういったものがそこに入らないということ自体が、逆に、何の意味の支援策なのかなというふうにやはり思ってしまうし、私が知事のときに、それを国土交通省の方と相談して、輸送費の補助を決めて、国土交通省の皆様の御理解の下に実施したわけでありますけれども、それで、やはり予算をどんどんもっと確保していただいて、そうした本当の意味での必要なものを追加していただいて、それで初めてその支援策が効果を発揮するということになるわけでありますので、その辺を踏まえながら、是非、対応をよろしくお願い申し上げます。

 また、奄美は世界自然遺産に登録されたというふうに言いましたけれども、沖縄と一緒に世界自然遺産に登録されたわけであります。沖縄とも、今、奄美群島の交流というのは非常に盛んになっているわけであります。

 そうした中で、航路、航空路運賃というのは、私も何回も行っていますから分かりますけれども、本当に高いです、実は。高い中で、今、鹿児島との往復に関しましては支援をしていただいているわけでありますけれども、これを、やはり地元の要望としては、沖縄との交流が盛んであり、観光の面からも、世界自然遺産に一緒に登録されたわけでありますので、交流が盛んになっている沖縄も対象にしてほしい。そして、沖縄に農産物を送ることによって、そこから輸出もできるわけであります、ハブ空港になって。

 そういった面からも、奄美を発展させる意味からも、是非、対象を沖縄にも広げていただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 奄美と沖縄は、地理的、自然的、文化的に密接な関係性を有しておりまして、奄美群島南部を中心に、日常生活においても深いつながりがあります。また、令和三年には、両地域が共に世界自然遺産に登録されたこともございまして、結びつきは一層強まっている、このように認識しております。

 特に、奄美の主要産業である観光については、多くの観光客を呼び込んでいる沖縄と連携した取組が重要であると考えられることから、今年度より、奄美群島振興交付金を活用して、鹿児島、沖縄両県の連携による観光客誘客のためのプロモーションや奄美群島―沖縄間の運賃割引を支援しているところでございます。

 引き続き、地元の御要望を踏まえながら、沖縄との結びつきに着目した支援を実施してまいりたいと思います。

三反園分科員 本当にありがとうございます。

 大臣の答弁のお気持ちは非常によく分かりますし、また、沖縄と奄美の皆様方の交流を盛んにして奄美群島を発展させるために、よろしくお願い申し上げます。

 もう少しちょっと具体的にお伺いしたいんですけれども、奄美群島の方に行くと、女性の方々と懇談するたびに、安心して子供を産める環境をつくっていただきたいということをよく言われます。徳之島もそうでありますけれども、三人、四人、子供がいる家庭もあるわけであります。みんなで子供を育てようという環境があるわけでありますけれども、ただ、一つ不安がありますと。

 それは、安心して子供を産めるためには妊婦さんが健診に行かなきゃいけない、そのときに鹿児島市内まで行くということを考えたときに、非常に交通費がかかって、これを何とかしてほしいという要望が一つあります。

 もう一つは、今デジタル社会でありますけれども、ICTを使って離島において医療の健診をしたりとか、今も進めておりますけれども、それをもっともっと具体的に進めてほしい。

 そして、もう一つは、ICTを使った学習をもっともっと効果的に、今もやっているということではなくて、それをもっと効果的に進めてほしい、そういった要望がたくさん寄せられているわけであります。

 幾つか質問いたしましたけれども、それに対する政府側のお考えをお聞かせ願えればと思います。

黒瀬政府参考人 私の方から、交通費の関係につきましてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、離島に住む妊婦の方々の健康診査の受診ですとか、出産に必要な医療を受ける機会を確保することは非常に重要であるというふうに考えております。

 このため、妊婦健診や出産に係る保健医療サービスを提供する医療機関のない離島に住む妊婦に対する離島外への通院や入院の交通費等の支援に要する経費につきましては、特別交付税措置を講じているところでございます。

 引き続き、全ての妊婦の方々が安心、安全に出産できるように、必要な支援を実施してまいりたいと考えております。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 ICTを活用した学習についてでございますけれども、この点に関しましては、現在、文部科学省におきまして、GIGAスクール構想によりまして、児童生徒に一人一台の端末の整備をしてございます。これはおおむね完了いたしましたが、学校現場におきましては、先生御指摘のとおり、指導の充実を更に図っていくということが課題になってございます。伴走支援を更に充実させることが重要だというふうに考えてございます。

 このため、当省におきましては、優れた助言者を学校現場に派遣する学校DX戦略アドバイザー予算等を拡充してございます。

 自治体におかれましては、地域の実情を踏まえまして、こうした事業を活用することによりまして、一層の充実を図っていただきたいと考えているところでございます。

大坪政府参考人 厚生労働省からは、医療提供体制についてお答え申し上げます。

 僻地等の医療提供体制確保につきましては、まずは都道府県の方で医療計画を作っていただきつつ、その性質に鑑みまして、従事者の派遣、巡回診療、その他、遠隔医療の活用についても重要だと考えておりまして、令和六年度から第八次の医療計画、これが始まります。先日、三月三十一日付で都道府県に基本方針と作成指針、これをお示ししておりまして、この中にオンライン診療を含む遠隔医療を活用した僻地医療の支援を行うことの重要性、これを新たに盛り込ませていただいております。

 厚生労働省は、こうした遠隔医療の活用に資するものを含め、離島を含めた僻地医療提供体制に係る都道府県の取組に対しまして、各種財政支援を行わせていただいております。引き続き、県とも連携しながら努めてまいりたいと思います。

三反園分科員 ありがとうございました。

 今回、学習、医療もそうでありますけれども、奄美群島に限らず、離島はたくさんあるわけでありますけれども、こういった離島に住む皆様方の思いではないかなと思いますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、農業について少しお伺いできればと思っております。

 先ほどから申しておりますけれども、若い農家の方々と本当に何回となく懇談させていただきました。農業は今高齢化がどんどん進んでいるわけでありますけれども、食べていかなければ人間は生きていけないわけでありますので、食料をいかにして確保していくか、ここは本当に最重要課題ではないかな、そういうふうに思っております。

 今後、若い方々の担い手を育てる。今も、農業を始めようとしたときに、初期投資を含めて、一部支援はしていただいておりますけれども、まだまだ、現場の声を聞いていただいて、本当にやりがいのある農業、続けられる農業、そういうふうにするためには、本当にきめ細かな支援が必要だと思います。そうしないと、若い方々が農業をやらないと、この国はどうなっていくのかなという、そういう本当に私は今危機感を持っているわけであります。

 こういった若い方々の農業への支援についての決意と、もう一つは、提案があるわけでありますけれども、今、ウクライナ危機とかいろいろと言われている中で、原油に関しましては、いわゆる備蓄して何かあったら放出することができるわけでありますけれども、食料は輸入に頼っている、しかし、入ってこなくなったら、じゃ、どうするのかという、政治は最悪のことを考えた対応をしていく必要があると私は思っております。食料というのは本当に大事であります。

 そうしたことを考えたときに、例を取れば、九州は一大農業産地でありますので、九州、北海道でもいいわけでありますけれども、食料備蓄基地を是非造っていただきたいと思っております。

 食料備蓄基地を造って、そこに集めて、そこから、五兆円を目指して輸出をすると同時に、何かあったときにそこから食料を備蓄して放出していく、安心感を国民に持っていただく、そういったものが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。

藤木大臣政務官 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、食や農業の未来に関わる基本法の検証、見直しにおいては、農業現場の若い方々も含め、国民各層から幅広い御意見を伺い、国民的なコンセンサスを得ていくことが重要だと考えております。

 私自身もJAの青年部の出身で、毎月、何回となくそういった方々との意見交換を行いながら、それを政策に反映をさせていただいているような状況もございますし、現在、基本法の検証、見直しにつきましては、食料・農業・農村政策審議会の基本法検証部会において御議論いただいているところですが、同部会には、農業法人に雇用就農をされた若手農業者であったり、有機農業を実践されている若手農業者に委員として参加していただいている現状もございます。

 また、同部会では、三十から四十代の水稲生産に取り組む農業法人の経営者や、スマート農業の支援サービスを行う経営者も含め、現場に精通した方々からヒアリングを行ってきたところでございます。

 今後とも、様々な機会を通じて、国民各層から丁寧に御意見をお伺いし、その思いをしっかり受け止めながら、将来を担う若い農業者が希望を持てるような農政を行ってまいりたいと考えております。

 また、先生御指摘の九州でございますけれども、農業生産額においては一兆七千四百二十二億と、全国の一九%を占める一大食料基地だと受け止めております。

 特に、農業については、温暖な気候を生かして野菜や果実の生産など多様な農業生産が展開をされており、トマトやキュウリ、スイカ、ナツミカンなど、幅広い品目で九州の県が令和二年の産出額においても一位となっているところでございます。

 今回、基本法の見直し、また食料安全保障の観点から、一定の備蓄というのも頭に入れながらこれを進めてまいりたいと思ってございます。先生の御指導も、よろしくお願いできればと思っております。

 以上です。

三反園分科員 本当にありがとうございました。斉藤大臣、副大臣、政務官、そして関係者の皆さん、御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 引き続き、現場の声を政治に届けるべく一生懸命努力させていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

谷田川主査 これにて三反園訓君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

    〔主査退席、田中(英)主査代理着席〕

小山分科員 立憲民主党の小山展弘です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、新東名高速道路の掛川パーキングエリアにおけますスマートインター設置の検討状況についてお伺いしたいと思います。

 新東名掛川パーキングエリアの付近には、倉真温泉とかあるいは粟ケ岳などの観光地、観光施設もあり、地域住民からは設置を望む声も聞かれます。

 既に第二パーキングということで、これは当時の掛川の榛村純一市長が、国交省やあるいはNEXCOのパーキングのほかに、地元産品なども売れるような、地域活性にもつながる第二パーキングというようなものも建設当時から設置をするというようなことの要望もして、こちらの用地もありまして、活用も準備が進められていると聞いておりますし、スマートインターについても、開設、新東名の建設当初からそういったことも視野に入れて用地の買収なども進められてきたということも伺っております。

 現在の検討状況、あるいは、もしネックになっているようなものがあれば、お答えいただければと思います。よろしくお願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートインターチェンジの設置に当たりましては、まず、地方公共団体が主体となりまして、インターチェンジの必要性などの検討を行っていただいております。

 御指摘の新東名高速道路の掛川パーキングエリアにおけるスマートインターチェンジでございますけれども、現在、掛川市におきまして、構造の検討、また周辺企業や主要観光地へのアクセス性の向上などの必要性の整理、そういったものを行っているというふうに伺っております。

 国土交通省といたしましては、掛川市に対しまして、引き続き必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

小山分科員 ありがとうございます。

 こちらの方でも、特に高速道路の場合には、鉄道の駅などと違いまして、入口は幾つかあってもいいということだと思いますので、特に障害となるような条件はないということかと思います。地方自治体の方から検討がありましたら、また御審議の方、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に、リニア新幹線のことに関連して、静岡工区の工事についてお尋ねをしたいと思います。

 工事中の一時期に限り、大体約十か月と想定されているということで伺っておりますが、リニアの工事に伴って県外に流出する地下水と同じ量を、田代ダムの取水制限によって、下流域に対しては工事前と同様の水を流すという提案がなされております。

 この田代ダム取水制限案については、JR東海さんが、過去十年間の東京電力リニューアブルパワーの取水量を基に、実施可能ということで調査結果を出されていらっしゃいます。

 しかし、この前提には不確実性があるのではないかという指摘もありまして、例えば、東京電力の取水量をゼロとしているのではないか、あるいは、全体の約三割を占める千日程度の河川流量が測定できなかった欠測日があるのではないかといったようなことが指摘をされております。

 とりわけ、こういった田代ダム案において、渇水期においても流域が必要とする水を戻すことができるのかどうか。これは、特定の、例えば川勝知事個人のお考えということではなくて、流域住民の方でも、なかなか報道では出てこない、このようなところについての懸念、心配、不安の声といったものがございます。

 こういったところについて、国交省としてはどのように御認識されていらっしゃいますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘の田代ダム案につきましては、本年三月に開催された静岡県の専門部会におきまして、JR東海から、渇水期も含めた十年間のデータに基づき、渇水期においても水を戻すことが可能であるとの説明がなされたと承知しております。

 この田代ダム案につきまして、今月十四日、大井川の利水者や流域市町等から成る大井川利水関係協議会におきまして、一部前提条件を修正した上で、JR東海が東京電力リニューアブルパワーと具体的な協議を始めることについて了解する、その旨の文書が静岡県から発出されました。

 今後行われるJR東海と東京電力リニューアブルパワーとの間での具体的な協議を通して、委員御指摘の論点も含め、検討がなされるものと承知しております。

小山分科員 是非、様々な声も伺いながら、工事の後に、かつて環境大臣意見、国交大臣意見が出された、こういったことも含めて、懸念事項が出てこないように審議を進めていただければと思います。

 もう少しこの関係について質問をさせていただきたいと思います。

 水質やあるいは水温といったものについても、リニア工事が行われることによって、一時的な、工事中の水の量、全量戻しというところでは田代ダム案ということで、水質や水温の問題はないと考えておりますけれども、工事期間後において、永久に地下水をポンプアップして、トンネル内から流出する水量を補填する計画になっているとも伺っております。その際の水質や水温において、同質であるのか、あるいは問題点がないのか、そういったことも懸念の声、心配の声が上がっておりますけれども、国交省としてはどのような認識をお持ちでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 静岡工区における生態系などの環境の保全につきましては、現在、国土交通省が設置をいたしました学識経験者等から成る有識者会議において、科学的、客観的な観点から議論を進めているところでございます。

 委員御指摘のポンプアップにより県内に戻されるトンネル湧水の水質や水温が環境に与える影響の低減につきましては、JR東海は、法令に基づく基準値以下に処理して放流するため、濁水処理設備を設置すること、放流先の大井川におきまして水質、水温を測定するなどのモニタリングを実施することなどを計画いたしておりまして、現在、国の有識者会議において議論を進めているところでございます。

小山分科員 特に水温などについても、あるいは水質などについても、一度出てきたものを、水質はある程度確保できることはあるかもしれませんが、水温ということになると一度上昇したものをまた冷やすとか、そういったこととか、なかなか自然に対してできないこと、不可逆的なものもあるのではないかなということも想像するわけです。

 二〇一四年に、先ほども申し上げました、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高いという環境大臣意見、これは環境影響評価に対する意見。また、国土交通大臣も、当時、二〇一四年です、安倍内閣のときですけれども、河川流量の減少は河川水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがある、必要に応じて精度の高い予測を行い、その結果に基づき水系への影響の回避を図ることと意見をいたしております。

 地下水位の低下への影響なども含めて、水系への影響の回避、影響を与えない対応を求めているわけでございまして、是非この両意見を、もう十年近くもたちますけれども、原点ですので、踏まえていただいて、今後の国交省の御指導を行っていただきたいと切にお願い申し上げたいと思います。

 なお、この場で一言申し上げたいと思いますが、本年の四月十八日の静岡新聞のオピニオン欄におきまして、静岡新聞の論説委員の中島忠男さんという方が次のように述べております。

 静岡県は、掘削工事に伴う大井川水系の湧水は、工事中と工事後の区別なく全て大井川に戻すように求めており、これはこの十年間にわたる一貫した姿勢であり、また、国土交通省の中間報告にも明記された全量戻しの基本的考え方であります、しかし、他のマスコミなど、国土交通省の中間報告は問題なしとしているのに、川勝知事が工事期間中に流れ出る水そのものも全量戻しせよと新たな注文をつけているような報道がなされているが、そのような報道については印象操作である、そのようにも考えられると書いていらっしゃいます。

 様々な主張も解釈もあろうかと思いますが、静岡県は、主張を変えたというよりも、一貫して同じ主張を行っており、その点を踏まえて、今後も是非真摯な協議が行われていくことを、私としても見守り、また願いたいと思っております。

 リニア関係の質問については最後になりますが、リニア工事に関連する残土の盛土について、特に静岡市の藤島地区に置くとする盛土ですけれども、自然由来の重金属を含む発生土の処理については、県盛土条例に抵触するのではないかと県は主張しております。

 盛土の置き場所がなく、具体的な対応策がまだ示されていないとも考えますが、この点について、国交省としてどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の自然由来の重金属を含む発生土の処理計画につきましては、静岡県とJR東海との間で協議が行われておりますが、現時点では、静岡県は、盛土条例に適合しないとの見解を示しているものと承知をいたしております。

 国土交通省といたしましては、JR東海が静岡県を始めとした関係者と対話を行い、建設発生土が条例等に従って適切に処理されるよう、引き続きJR東海を指導してまいりたいと考えております。

小山分科員 流域住民も、こういったことも、水質の面でも、農業あるいは飲み水として、あるいは産業用水として使っておりますので、是非、真摯な議論で両者の合意が図られますように、今後も御指導賜りたいと思います。

 それでは、ここからは厚労関係の質問をさせていただきたいと思います。不妊治療の関係の質問です。

 血小板由来の成長因子によるPRP療法で、卵巣内注射による卵子活性化によって良好胚獲得による妊娠率の向上、あるいは子宮腔内注入による子宮内膜活性化による着床率及び妊娠率の改善ができるようになった、このような症例も伺っておりますけれども、こういった診療は自費診療のために、保険診療では使用できておりません。また、保険診療での先進医療として混合診療も検討し、可能としていくべきではないかとも考えますけれども、この点について、政府はどのように認識しておりますでしょうか。

森光政府参考人 ただいま不妊治療につきまして御質問をいただきました。

 不妊治療につきましては、昨年四月からの保険適用に当たりまして、関係学会が作成いたしました診療ガイドラインにおいて、治療ごとの有効性、安全性が示されたものを対象といたしました。議員御指摘の技術につきましては、ガイドラインに示されておらず、保険の適用となっていないところでございます。

 議員が御指摘いただきました技術は再生医療に関する技術でございまして、再生医療に関する技術等を先進医療として実施することにつきましては、臨床研究として実施しているものを対象として運用しております。まずは、再生医療安全性確保法に基づきまして、医療機関からの申請を踏まえまして、認定再生医療等委員会の審議を経て、臨床研究として適切であると認められる必要がございます。その上で、認められた場合には、医療機関からの申請に基づきまして、先進医療会議において審議、審査を行う仕組みとしております。

 御指摘のような再生医療による卵子活性化に関する技術につきましては、現状、認定再生医療等委員会において臨床研究として適切であると判断された技術はございませんで、先進医療の申請もなされていない状況にございます。

 今後、認定再生医療等委員会において臨床研究として適切と判断され、先進医療の申請があった場合には、先進医療会議において適切に審査をすることとなります。

小山分科員 次に、保険適用の関係のことについてお尋ねしたいと思います。

 不妊治療に対する保険適用というのは、本当に、私は党派は違いますけれども、菅総理の頃の政府の方針として、これは大変大きな一歩だったと思っております。そして、これからますますこの制度が改善され、また活用されていくことを願っておりますし、このことが出生率の改善、向上にもつながればと思っておりますけれども、この点について一問お尋ねしたいと思います。

 最初、助成金という形で、保険適用の前に、支援していこうということが始まりました。助成金では税金を使用するため、年齢制限とか回数制限があるというのは当然の理屈ということかと思いますけれども、各自が負担しております保険診療、保険の適用におきまして、四十歳未満では六回の移植、四十三歳未満では三回の移植という年齢制限、回数制限があるというのは、本来の保険制度の理念と、あるいは考え方と矛盾するのではないかとの指摘もございます。オーストラリアなどでは、全く保険での生殖医療に制限はありません。

 年間六万人、十人から十五人に一人が生殖補助医療で出生してくる現状において、日本の人口減少抑制の一助となるためにも年齢制限の撤廃、回数制限の撤廃をすべきではないかと考えますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

森光政府参考人 不妊治療の保険適用に当たりましては、年齢や回数に関する要件については、従前の特定治療支援事業における要件設定が議論をされました平成二十五年当時の有識者検討会における医学的知見に加えまして、直近に集まりました医学的知見を踏まえつつ、中央社会保険医療協議会で御議論をいただいた結果、従前の特定治療支援事業と同様とされました。

 具体的には、年齢については、年齢が高くなるほど、体外受精を行った場合の出産に至る確率は低下し、流産率は上昇する、また、母体に関しましても、産科合併症などの健康影響等のリスクは上昇するといった医学的知見を踏まえまして、四十三歳未満を対象としたところでございます。

 また、回数についてでございます。体外受精を行って分娩に至った方のうち、約九〇%が六回までの治療で妊娠、出産に至っていること、また、年齢とともに、治療回数を重ねても妊娠、出産に至る確率は低くなるといった医学的知見を踏まえまして、初めて治療を開始する日の年齢が四十歳未満の場合は六回までで、四十歳以上四十三歳未満の場合は三回までとしたという状況でございます。

 不妊治療の保険適用に関しましては、令和六年度の診療報酬改定に向けて影響の調査、検証を行うこととしておりまして、今後、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

小山分科員 次の質問に入りたいと思いますが、十個以上の卵子を取って培養、凍結をしますと、八万円以上の経費加算が認められる制度となっております。こういったことから、少なからずのクリニックでは、無理に、無理にと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、過剰刺激をして卵子を取るような傾向があるとも伺っております。

 無理な過剰刺激が原因となって、卵巣過剰刺激症候群、OHSSで緊急入院となる案件も発生していると伺っております。肺塞栓症で抗凝固療法の対象となったケースもあったとも聞いておりますけれども、一度血栓が起きると、以後の治療においてピルの使用ができなくなり、手術においても厳重な抗凝固治療が必要となりまして、簡単に医療を受けることもできなくなるとも聞きます。また、重症例においては、脳血栓によって死亡する例もあると伺っておりまして、ある死亡例で裁判となって七千二百万円の損害賠償請求を受けたというような事案もあったと伺っております。

 厚生労働省でガイドラインを作成し、最近までは死亡例に至ることは少なかったけれども、保険適用以降、それに類する症例が急増しておりますので、こういったことについて、厚労省としてどのように把握し、また対策を講じておりますでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品の副作用と疑われる症例につきましては、薬機法の規定に基づきまして、製造販売業者及び医薬関係者から情報を収集しております。

 お尋ねの不妊治療薬の使用による卵巣過剰刺激症候群、OHSSの副作用につきましては、不妊治療の保険適用が開始された令和四年四月一日から令和五年三月三十一日までに製造販売業者等から報告された件数が百十二件になっております。

 厚生労働省といたしましては、不妊治療薬の使用によるOHSSにつきまして、医薬品の添付文書で注意喚起を行いますとともに、OHSSの予防、早期発見、治療の方法等を記載した重篤副作用対応別疾患マニュアルを作成しております。また、そのほかにも、医薬品医療機器総合機構、いわゆるPMDAにおきまして適正使用のお願いを作成し、周知に努めております。

 厚生労働省といたしましては、今後も引き続きこういった取組で、適正使用、あるいはOHSSの予防、重症化の防止などに取り組んでまいりたいと思っております。

小山分科員 保険適用になりまして、今まで以上に若い方あるいは不妊治療を受けるという方が増えてきております。そういったことで、先ほど申し上げました八万円以上の経費加算が認められるというところが要因になっているとは申し上げたくないですけれども、ますますこういった卵巣過剰刺激症候群、OHSSの症例が増えるといったことも、可能性としては、シナリオとしてはあり得るのではないかなと思っております。

 このことについて、武田製薬が世界に先駆けて開発したレルミナという子宮筋腫と子宮内膜症に対する内服薬がありますけれども、これがOHSSに対して、投与五日目で月経が始まり、劇的に予防、治療ができる、そういう効果もあるというような症例が出てきていると伺っております。

 早期にこういったレルミナについても使用許可をすべきではないかという意見もありますけれども、これについて、厚労省ではどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 不妊治療で使用される医薬品につきましては、関係学会が有効性及び安全性のエビデンスに基づいて取りまとめました診療ガイドラインにおきまして使用が推奨され、かつ、不妊治療で標準的に使用されている医薬品として学会から薬事承認に係る要望が提出されたものにつきまして、有効性、安全性を適切に審査した上で薬事承認を行ってまいりました。これにより、不妊治療で標準的に使用される医薬品については既に薬事承認がなされていると認識してもおります。

 一方で、議員御指摘のレルミナの卵巣過剰刺激症候群、OHSSへの適応についても、今後、有効性、安全性のエビデンスが蓄積され、承認申請されれば、適切に審査を行ってまいりたいと考えております。

小山分科員 次に、総務省に伺いたいと思います。

 昨年の台風十五号などのような豪雨災害やあるいは震災などの大規模災害が発生した際に、道路啓開や被害状況の把握、応急修繕が必要になります。また、災害ごみ仮置場の運営についても、廃棄物行政に携わり、知識や経験のある職員による分別が求められていようかと思います。

 このような大規模災害時に、いわゆる今進んでおります民間委託では、仕様書に不可抗力事項が明記されることなどによって十分な対応ができないといったようなケースも想定されます。

 かつて東京都では、津波発生時に水門の閉鎖について、委託を受けた民間会社が東京都に連絡を取ろうとして電話をしても、なかなか連絡がつかず、結局、津波の到着まで水門を閉められなかった、このときは大した被害はなかったわけですけれども、こういった事例も発生しております。

 避難所の開設や被災後の道路、橋の通行についても、その判断を、平時を前提として委託を受けた民間会社が行うということはなかなか困難ではないでしょうか。民間委託で民間株式会社等が判断を行って、それに瑕疵があった場合でも、責任を取るのは行政ということになります。

 なお、インクルーシブな避難所運営も求められ、避難所の運営は一層複雑化しつつもあります。

 このような災害時の対応を考えますと、過度な民間委託というものは今後見直していくべきではないかとも考えますし、道路補修や清掃業務など、現業職員の確保、増員が求められているとも考えますが、政府の認識はいかがでしょうか。

大沢政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の技能労務職員数はこの十年間で約五万人減少しておりまして、令和四年は約七・〇万人でございます。これは、各地方公共団体におきまして、効率的、効果的に行政サービスを提供する観点から、民間委託の推進などの業務改革に取り組んできたことによるものであろうかと思います。

 災害応急対応につきましては、様々な行政サービスについて平時とは異なる規模の人員を要しますので、これらの需要に迅速かつ適切に応えるためには、各地方公共団体、民間事業者、ボランティア、NPOなどを問わず、多様な主体と連携した対応を行うなど、様々な工夫を行うことも必要であろうと認識しております。また、被災自治体からの要請がある場合には、他自治体からの応援職員の派遣ができるようにするということも必要であろうかと思います。

 いずれにいたしましても、各地方公共団体において、今後とも、行政の合理化、能率化を図るとともに行政課題に的確に対応する、また、委員御指摘のように適切に災害対応を行うといった観点から、地域の実情を踏まえつつ、技能労務職員を含めた適切な人員配置に取り組むことが重要であろうかと考えております。

小山分科員 是非こういった災害時の対応、これは現業職員さんの、行政がやるべき仕事というのもありますので、最近の人員削減まずありきといったようなことの流れだけではなくて、やはり必要な人員は確保していくということも大事だと思っております。

 この質問が最後になるかと思いますが、商工中金さんの政府保有株売却に関連して質問いたします。

 二〇一七年に発生いたしました商工中金さんの取引先資料の改ざん事件について、検査も終了し、時間も経過した現在、振り返ってみて、いかなる要因でこのような事案が発生したのでしょうか、あるいはまた、その再発防止策といったものはどのようなものでしょうか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 商工中金におきましては、二〇一六年十月に、危機対応融資の要件を満たすように商工中金の職員が書類を書き換えるという不正事案が発覚したものですから、その危機対応融資全件、二十二万件の調査でありますとか、主務省庁による立入検査を実施いたしました。

 この結果を踏まえた二〇一七年十月発出の主務省庁による業務改善命令において、不正事案の根本原因というのを指摘しておりまして、これについては、まず一つ目、危機対応業務というものに過度に依存していたビジネスモデル、二つ目として、取締役会が形骸化するなど、不正を見抜くことができなかったガバナンスの欠如、三つ目として、過度なノルマ主義や上意下達の組織風土ということとなってございます。

 この業務改善命令を踏まえまして、商工中金は業務改善計画を主務省庁に提出しておりまして、事業性評価に基づく融資など、危機対応業務に依存しない新たなビジネスモデルの確立、それから、取締役会の過半数を社外取締役とするなど、取締役会の機能強化、そして、営業店への一方的なノルマ割当てや、職員個人についても定量的な目標設定を認めないなど、ノルマ主義の廃止、こういったものに取り組むことで、ビジネスモデルの転換やガバナンス強化に取り組んできたところでございます。

 こうした商工中金の取組につきましては、政府が設置した第三者委員会である商工中金の経営及び危機対応業務に関する評価委員会によって進捗をフォローアップしてきたところでございますけれども、二〇二二年八月に取りまとめられました評価委員会の報告書においては、ノルマ主義や経営陣からの過度なプレッシャーなど、過去の不正事案の根本原因については解消されたと評価されたところでございます。

小山分科員 今度は完全な一〇〇%民間になりますので、今の不正事案のようなことが、他の民間金融機関でも、同じような環境の中でも発生せずにやっていらっしゃる金融機関もありますので、是非これからまた商工中金さんが民間一〇〇%の金融機関として社会的役割を果たすことを願いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

田中(英)主査代理 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

    〔田中(英)主査代理退席、主査着席〕

井坂分科員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、国民の生命を守るというテーマで、海上保安庁の強化、そして交通事故の予防、それから自然災害の予防、この三点について伺います。

 まず、海上保安庁の体制強化について伺います。ちょっと順番を変えて、通告の三番目から始めさせていただきます。

 昨年、二〇二二年は、中国当局の船が沖縄の尖閣諸島周辺の接続水域で確認された日数が、過去最高の三百三十六日を記録いたしました。また、昨年十二月には中国当局の船が日本の領海に七十二時間四十五分もとどまり、こちらも過去最長を記録しています。

 この十年で尖閣周辺への中国船の侵入が年々悪化する中、立憲民主党は、二〇二一年六月に領域警備・海上保安体制強化法案を提出しています。政府が五年ごとに領域警備基本方針を定め、海上保安庁の装備や人員を強化することや、海上自衛隊との情報共有、協力を求める法案であります。

 政府も、昨年十二月十六日、「海上保安能力強化について」を発表しました。武力攻撃事態に防衛大臣が海上保安庁を統括下に置く手順を定めた統制要領の策定や、自衛隊との共同訓練を進めることが明記されたわけであります。

 また、海上保安庁の大型無人航空機、シーガーディアンが収集した情報を海上自衛隊とリアルタイムで共有するとのことであります。一方で、海上自衛隊のシーガーディアンが収集した情報を海上保安庁がリアルタイムで共有するかどうかは検討中と報じられています。

 海上保安庁は、軍隊として組織されたり訓練されたり、軍隊の機能を営んではならないと海上保安庁法二十五条に定められています。海上自衛隊ではなく、まず警察としての海上保安庁が前面に出ることでいきなり戦争が始まることを防ぐ重要な条文だと認識しています。しかし、海上自衛隊の情報をリアルタイムで海上保安庁が共有したからといって二十五条違反になるのかどうか。

 台湾有事の際には、海上保安庁と海上自衛隊、そして米海軍と米国沿岸警備隊の四者が連携して事態に対処する場面も考えられます。米海軍とリアルタイムで作戦情報が共有できる海軍戦術情報システムのネットワークに海上保安庁も入るべきと指摘をする有識者もおります。いきなり米海軍とのリアルタイム情報共有は難しいとしても、有事の際に現場海域における自衛隊とのリアルタイム情報共有のシステムは必要ではないでしょうか。また、参考人に伺いますが、海上保安庁と米国沿岸警備隊との情報連携は進んでいるのか、お答えください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自衛隊との連携についてでございますが、海上保安庁は、防衛省・自衛隊と本庁、各管区海上保安本部、現場の各レベルにおいて日常的に情報共有を行っており、相互に使用する通信機器や秘匿通信方法を定めるなど、必要な情報連絡手段を確保しております。

 一方、委員御指摘のとおり、我が国周辺海域の情勢が一層厳しさを増していることから、海上保安庁と防衛省・自衛隊とが、それぞれの役割分担の下、一層の連携強化を図ることが極めて重要であると考えており、御指摘の情報の共有方法も含め、連携強化に必要な取組を推進してまいります。

 次に、米国沿岸警備隊との連携についてでございますが、海上保安庁と米国沿岸警備隊は、一九四八年の海上保安庁創設期より深く交流し、様々な機会を通じて、海上における安全及び治安の確保に向け、連携協力を進めてまいりました。

 また、海上保安庁は二〇二二年に米国沿岸警備隊との間で、共同オペレーション、合同訓練、能力向上支援及び情報共有等を促進することを目的に、協力覚書の附属文書を作成し、更なる連携強化を進めております。

 海上保安庁といたしましては、今後とも日米の両海上保安機関のこれらの共同の取組を通じて、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、適切な情報共有などの連携強化に必要な取組を推進してまいります。

井坂分科員 ありがとうございます。海上保安庁と海上自衛隊の日常の情報連携というのはしっかりやっていただいているというふうに認識をします。

 本日お伺いをしたのは、いざ実際に事が起こったときに、現場の海域でリアルタイムに、しかも海上保安庁側が海上自衛隊の動きをきちんと認識、把握できないとなかなか海上保安庁の任務遂行も難しいだろうというふうに思っておりますので、是非その点も御検討いただきたいというふうに思います。

 質問通告の一つ目に戻りまして、水中ドローンへの対応について伺います。

 中国は、二〇一七年頃から、様々な水中無人機、水中ドローンを開発しています。海中のデータを瞬時に地上に送信できる情報収集ドローン、目標に接近して自爆をする攻撃用ドローン、また、妨害電波を発するドローンなどというものもあるようであります。最近では、空中を飛行してから海の中に潜れる水空両用ドローンなども開発されています。これらを使って中国が、有事の際には沖縄の海底ケーブルや米軍の軍用ケーブルを切断するのではないかという懸念も示されています。

 日本でも、昨年十二月の防衛力整備計画に、水中での優勢を獲得するために水中無人機を整備すると明記されたところであります。しかし、海上保安庁の水中ドローン対策や水中ドローン戦略は見えておりません。

 この四月七日に我が党の神津議員が水中ドローンについて質問した際には、海上保安庁は、水中ドローンの探知は容易ではないと答弁をしています。水中センサーの装備や、領海に侵入した他国の水中無人機の妨害、排除、そして海上保安庁による水中無人機の保有など、無人機を前提として海中における海上保安庁の任務と方針を定め、必要な機材をそろえるべきではないでしょうか、伺います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁といたしましては、巡視船艇、航空機において、海面下で潜没航行している無人潜水機、いわゆる水中ドローンを探知することは現時点で容易ではないと考えております。

 また、現在、様々な水中ドローンが研究開発されていると承知しております。

 その上で、委員御指摘の水中ドローンへの対処や保有についてでありますが、海上保安庁の任務を遂行する上で新たに必要となる装備や対応について、関係機関と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 続きまして、無数のドローンによる同時攻撃について伺います。

 現代の戦争におけるドローンは、一人の操縦者が一機のドローンをラジコンのように扱って攻撃するものではありません。何十機、何百機ものドローンをコンピューターにより群れで同時制御し、群れの中で何機かが迎撃されずに攻撃目標にたどり着けばよいという、スウォーム攻撃という形でドローンが使われます。

 実際に、中国は、自爆ドローンによるスウォーム攻撃や、スウォーム攻撃から船を守るための演習を繰り返しているとされます。

 また、ウクライナ戦争では、空と海から同時に無数のドローンによるスウォーム攻撃が戦艦に対して行われ、海での戦い方に革命的な変化がもたらされました。

 自衛隊は、今年度予算で、スウォーム攻撃への迎撃効率を最適化するための群目標対処に関する研究に五十三億円を投入します。一方の海上保安庁はスウォーム攻撃に対処できるのか、そもそも海上保安庁のほとんどの船にはドローンを探知できる対空レーダーが装備されていないのではないかという指摘もございます。

 参考人に伺いますが、ドローンを探知できる対空レーダーをより多くの船艇に搭載したり、他国の無数のドローンに同時対処できる情報処理システムを導入するなど、空中、水中、海上からドローンが多数同時侵入してくる前提で海上警備の方針を定め、必要な機材をそろえるべきではないでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁におきましては、ドローンの所在地を特定する検知器、発見したドローンに対処する通信機能抑止装置、いわゆるジャミング装置や、ネットランチャー等のドローン対策資機材を保有し、装備しております。

 これらのドローン対策資機材については、現在様々なものが研究開発されているところ、最新の開発状況を確認し、運用上の実効性も検討した上で、様々な事態に適切に対応できるよう、必要なものを保有し、装備することとしております。

 いずれにいたしましても、海上保安庁といたしましては、ドローンへの対処について、日々刻々と進歩する科学技術に併せて、関係機関とも連携しながら装備の充実強化に取り組んでまいります。

井坂分科員 長官、ありがとうございます。

 今回、自衛隊の防衛費は二〇二七年に単年度で五兆円も増えるのに対して、海上保安庁の予算は一千億円増えるだけとなっております。先日も、我が党の重徳議員の質問に対して、防衛大臣は、予算を使い切るのに苦労するかのごとき答弁をしておられました。

 是非、自衛隊が出動する事態を防ぐためにも、海上保安庁が必要とする装備は多いはずでありますから、きちんと予算要求して海上保安庁を強化していただきたいと強く要望いたします。

 次に、データを活用した交通事故の予防について伺います。

 私の政治家としての基本姿勢の一つは、問題が起こってから対処するのではなく、問題を予防する政策を提案することであります。一昨年の衆院選では、交通事故の予防を掲げて当選いたしました。

 政府は、昨年三月、全国の国道や都道府県道など幹線道路の中から、交通事故が多発している場所やETC二・〇のビッグデータから判明した事故の起こりそうな場所を事故危険箇所として指定する、そして二〇二五年度末までに幹線道路の事故危険箇所における死傷事故件数を三割抑止するという目標を掲げています。

 一方、市町村が管理する道路でも事故は多発しており、一部の自治体は、ETC二・〇データや民間企業のカーナビデータを使って、急ブレーキが多発している交差点の構造を改善したり、注意喚起の表示をするなど、事故予防の先進的な取組を行ってまいりました。

 国土交通省も、市町村から依頼を受けた地域のETC二・〇データを分析して、急ブレーキや制限速度三十キロオーバーが多発している地点、また多くの車が抜け道として使っている生活道路などを地図上に落として市町村に提供する支援を行っています。しかし、自治体の手挙げ方式なので、ETC二・〇データを活用した交通事故予防を行っている自治体や地域はまだ一部にとどまっております。

 大臣に伺いますが、より多くの自治体がETC二・〇データを活用して事故危険箇所を改善するよう、国土交通省として取組を強化していただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 交通事故の削減は、国、地方自治体、関係機関などが連携して強力に推進すべき課題であると認識しております。

 そのためには、事故が発生した箇所だけでなく、事故が起こりやすい箇所において事前に対策を行うことも重要です。

 こうしたことから、国土交通省では、ETC二・〇データを活用し、車両の速度や経路、急減速箇所の情報などから潜在的な危険箇所を抽出し、交通事故対策に取り組んでおります。

 地方自治体においてもより一層のデータの活用ができるよう、国土交通省から、ETC二・〇データを用いた分析結果の提供、それから分析結果を活用した対策立案の支援、データの活用方法や活用事例、効果の周知などを行っているところでございます。

 引き続き、データを活用した取組が更に進むよう、地方自治体に必要な支援を実施してまいりたいと思っております。

井坂分科員 大臣、ありがとうございます。今大臣が答弁いただいたことは、私もよい取組だというふうに考えております。

 しかし、問題があって、一つは、やはり自治体の手挙げ方式であるということ、そして、それに応じるために国土交通省側で非常に手間と時間がかかってしまうというところであります。その結果、全国の自治体に一気にこういった取組を広げるということが事実上難しいのではないかと考えております。

 実際、自治体が国土交通省からETC二・〇データをもらうためには、まず生活道路対策エリアを自治体が国に登録するという仕組みになっています。そして、この生活道路対策エリアを選定するためには、自治体がまず最初に交通安全点検などを行ってヒヤリ・ハットマップを、この辺が事故が起こりそうだというようなのをヒアリングなどで、まず点検を行って、地域住民や学校PTAと取組を進める地区として合意する必要があります。しかし、そもそも最初の、自治体がやる交通安全点検でヒヤリ・ハットマップを作る段階で、本当は地域住民のヒアリングだけでなくETC二・〇データがあることが望ましいわけであります。

 一方、警視庁は交通事故が発生した地点のデータを数字の羅列の形でオープンデータ化し、自治体や民間企業がそのデータを自由に加工して様々な取組やサービスにつなげています。大臣に重ねて伺いますが、ETC二・〇データもオープンデータ化して、自治体や民間企業の幅広い活用を促してはどうでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在は、先ほど申し上げましたように、ETCデータによりまして速度超過や急ブレーキ等の危険箇所を分析して、その分析した結果を自治体に提供しております。

 今、井坂委員の御提案は、ETC二・〇データそのものを自治体に提供してはどうか、こういう御提案かと思います。ETC二・〇データそのものを自治体等に提供するということにつきましては、プライバシー保護の観点から慎重に検討しているところでございます。

 国土交通省としては、交通安全対策を効果的に推進すべく、分析結果の提供を継続するとともに、引き続き自治体ニーズを踏まえつつ、適切な提供方法についてこれからも検討を進めていきたいと思います。

井坂分科員 ありがとうございます。慎重にとおっしゃるそのお気持ちはよく分かります。

 ETCのデータは、どの車がどう移動してどこへ行ったというところまでがそのままであると見えてしまう、分かってしまう部分があります。ただ、警視庁さんの方もおっしゃっていたんですけれども、もちろん事故のデータもプライバシーの塊であります、でもその辺はちゃんと警視庁で、オープンデータとして表に出すデータと、個人の様々な特定につながるから削除する、オープンデータには含めないということをしっかり切り分けて、オープンデータを広く公表しているわけであります。

 ETCのデータも、誰がどう通ったかというのは、そんなものは公表する必要がありませんから、おっしゃるように、どの地点で急ブレーキが多いのかとか、どの道路で速度超過が多いのかとか、そういったデータのみに絞って切り出すことは可能だというふうに考えますので、是非、御答弁どおり、提供方法を検討して提供していただきたいというふうに思います。

 続きまして、通学路の安全について伺います。

 立憲民主党は、昨年六月、児童通学安全確保法案を国会に提出いたしました。市町村が小学校周辺の地域から児童通学交通安全区域を指定して、交通規制や道路構造の改善を行う法案であります。

 登下校中の子供が犠牲になる交通事故は後を絶たず、二〇一六年から二〇二〇年の五年間で、小学生だけで九百八人が死亡若しくは重傷となっています。

 交通事故を予防するためのETC二・〇データについても、政府が自治体に登録を求める生活道路対策エリアだけでなく、小学校の周辺などを重点区域に指定して優先的に提供してはどうか。事故データやETC二・〇データを活用した通学路の安全対策の強化について参考人に伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 通学路の交通安全対策を進め、児童などの安全を確保することは大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。

 通学路の安全確保に当たっては、継続的に取組を実施していくということが重要でございまして、PDCAサイクルに基づいて点検や対策を実施してきたところでございます。

 これらの取組を進めていくに当たっても、データの活用は非常に有用であるというふうに考えておりまして、ETC二・〇データを用いた分析結果を国の方から提供いたしまして、通学路における潜在的な危険箇所の把握また効果検証などに取り組んでいる事例もあるところでございます。

 引き続き、通学路の交通安全対策においてもデータの活用が進むよう、地方公共団体への支援も含め、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 最後に、データとマップを活用した防災・減災について伺います。

 洪水、内水、土砂災害などで危険な可能性のある地区を色分けして明らかにするハザードマップの作成が進んでいます。二〇二五年までに、人的被害が出る可能性のある一級、二級河川は全てハザードマップが作成されるとのことです。また、下水があふれる内水ハザードマップも、二〇二五年度末までに一千百団体中八百団体が作成に至るということであります。そして、土砂災害のイエローゾーンやレッドゾーンも順調に作成が進んでいます。

 しかし、ハザードマップは作成と公表しか自治体に義務づけられておらず、それをどう活用するかは自治体任せとなっています。言うまでもなく、ハザードマップは公表することが目的ではなく、住民の命を守る対策や行動につなげるために作成するものであります。一部の自治体は、ハザードマップを住民が見ながら、災害発生前後にどのような行動をすればよいか、住民一人一人が時系列で行動をリストアップするマイ・タイムラインの作成などにハザードマップを活用しています。

 大臣に伺いますが、ハザードマップの公表や広報啓発だけでなく、自治体や住民が具体的な防災・減災、避難に活用するように政府として取組を強化していただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 災害時の住民の円滑な避難のためには、住民一人一人がハザードマップに記載された情報を把握し、取るべき避難行動をあらかじめ確認しておくことが重要です。

 国土交通省では、ハザードマップの作成、周知に加え、その活用を促進するため、住民一人一人の防災行動計画であるマイ・タイムラインの取組を支援するとともに、防災教育や防災訓練などを関係機関と連携して取り組んでおります。

 今後とも、住民がハザードマップを理解し、それを踏まえた適切な避難行動が取れるよう幅広い取組を行い、逃げ遅れによる被害者がゼロになるよう我々も頑張っていきたい、このように思っております。

井坂分科員 ありがとうございます。法律には作成、公表までしかなかなか義務づけにくいというのは分かるんですけれども、やはりメインはその活用と命を守る改善策にまでつなげていく必要があると思いますので、是非、御答弁いただいたようにお取組をお願いいたします。

 もう一つ、風水害から命を守るための具体策を提案いたします。

 気象庁は、雨の状況に応じて土砂災害や浸水などの危険がある地域をマップで表示する、キキクルというサイトを作成して情報を公表しています。その中では線状降水帯の発生予測も行い、発生の三十分前に情報を発信しているということであります。

 線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲が列を成して、組織化した積乱雲群によって数時間にわたってほぼ同じ場所に大雨が降り続ける気象現象であります。この線状降水帯の情報を使って、幾つかの民間企業のスマホアプリなどは、その地域のユーザーにスマホで危険通知を発信する機能も備えているところであります。しかし、この危険通知アプリが実際どの程度使われているのか、また、せっかくある通知機能が実際どれだけオンになっているのかといったことは定かではありません。

 そこで、参考人に伺いますが、線状降水帯など気象庁の持つ危険情報を自治体や民間企業に更に提供して、アプリの通知機能を最初からオンにするなどをアプリ会社にも要請して、住民に対してこれら気象の危険情報をプッシュ型で届けることができないか、お伺いをいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御紹介のとおり、気象庁では、線状降水帯などの大雨による土砂災害、浸水害、洪水害の災害のリスクの高まりを一キロメッシュで五段階で表示する危険度分布を、キキクルという愛称の下、気象庁ホームページで掲載しております。また、そのデータを自治体、報道機関や民間事業者にも提供し、国民の皆様の防災対策に御活用いただいております。

 加えて、このキキクルを住民の自主的な避難の判断に活用いただくため、気象庁では、民間事業者の協力の下、危険度の高まりや警報等の発表をメールやスマホアプリにより住民にプッシュ型で通知するサービスを推進しています。

 気象庁といたしましては、先ほどの委員の御指摘も踏まえまして、キキクルを含めた防災気象情報が住民に確実に届くよう、自治体や民間事業者と協力して取組を進めてまいりたいと思っております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 実際、情報を提供しているのは気象庁ですから、強制はできないにしても、気象庁の情報を使っていただくからには、こういうふうにしてくださいということはある程度要請、協議が可能だというふうに考えています。

 私もいろいろなアプリをスマホに入れるわけですけれども、結局、アプリごとの設定は、なかなか、相当使いこなすまでは、いじることがないわけであります。ですから、最初のアプリの初期設定、デフォルトといいますけれども、デフォルトの設定どおりにアプリを使う人が実際世の中の大半を占めている中で、気象庁が危険情報を提供したアプリ、現在五つの会社というふうに伺っておりますが、五社が作っているアプリがそれぞれ、危機情報の通知をデフォルトでオンにしているか、デフォルトでオフにしているかで危機情報の使われ方に雲泥の差が出てくるというのが実態ではないかと思います。

 ですから、本当に具体的なことで申し訳ないんですが、プッシュ通知、プッシュ型でと答弁でおっしゃったとおり、プッシュ型でないとこういう情報は、特に事前の情報は通じませんから、大雨が降ってきたら、どうなっているのかな、どうなるのかなということでわざわざサイトを見に行く人も出ますが、線状降水帯が出る前から、いつ線状降水帯が出るのかなとわざわざサイトを見に来る人というのはなかなかいないわけで、今はまだ全然雲が出ていないけれども、アラームが鳴って、えっ、三十分後にここが大雨が降るのと、そこで初めて気づくというのが実態だと思いますので、プッシュ通知をデフォルトでオンにする、そのことを民間アプリ会社にきちんと要請、協議するというところまでやり切る必要があるかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、五つの会社と協力してキキクルの通知サービスを展開しているところでございます。それぞれのアプリにおきまして、設定の段階で、どのようなことをするのか、アプリをインストールしたときにどういう設定をしますかというのを聞いてくる、こういう段階を踏んでいるところでございますが、このような段階で、より分かりやすく、より単純にできるように、気象庁としても働きかけていきたいと思います。

井坂分科員 ありがとうございます。

 本日は、国民の生命を守るというテーマで、海上保安庁の強化、そして交通事故の予防、それから災害の予防の三点について、立憲民主党が既に提出している法案も紹介しながら質疑をさせていただきました。この三点については、政府と我々で意見が異なる部分ではなく、むしろ我々も積極的に提案をしている部分でありますから、しっかり進めていただくことをお願いして、終わります。

 どうもありがとうございました。

谷田川主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

谷田川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 法務省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。堀場幸子君。

堀場分科員 日本維新の会、堀場幸子です。

 決算委員会の方で初めての質疑となりますので、よろしくお願いいたします。

 そしてまた、法務大臣の齋藤大臣には初めて質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 前回の臨時国会というものを振り返りますと、どうしてもやはり旧統一教会をめぐる宗教に関する課題が非常に多かったと承知しております。

 私自身、文部科学の委員会に所属しておりまして、日本維新の会では文部科学の部会長を拝命しておりますので、ここまで宗教関係で忙しくなるのかなという思いがありました。

 やはり子供のことであったり科学技術をやるんだろうなと思ってその部会長を拝命したところ、何か最初からずっと宗教のことを急にやっていたというようなイメージがあるのが前回の臨時国会でありまして、私たち、その臨時国会のときには、文部科学省を含めて、消費者庁にも行かせていただいて、たくさんの議論を重ねてきたとは思うんですけれども、この国会において、今、質問権が行使されている現状の中で、非常に議論が少なくなってきているなというふうに感じているところでございました。

 ですので、今回は、法務省の方に、宗教に関する人権擁護の質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、宗教に関係する人権侵害の被害申告を受けた場合、人権擁護局ではどのように対応するのか、教えてください。大臣、お願いします。

齋藤(健)国務大臣 法務省の人権擁護機関に人権侵害の被害申告がなされた場合には、被害者が受けている不利益の背景が宗教に関係するかどうかにかかわらずなんですが、まずは被害者の話をよく聞いて、被害者の抱える悩みをよく把握すること、これが最初になります。

 その上で、例えば、子供の心のケアを図る必要があると考えられる事案ですとか児童虐待が疑われる事案につきましては、学校、警察、児童相談所と連携をして、また、生活の支援が求められるような事案については、生活困窮者自立相談支援機関等と連携するなどして、事案の内容に応じた適切な措置を講ずる、そういう対応になっております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 海外の事例、特にドイツなんかを見させていただいても、起こっている事実に対してどのように対処をするのか、やはり信教の自由がございますので、その教義ということに触れるわけではなくて、起こっているその事実若しくはその実態に合わせた対応をしていくというのが、宗教のみならず様々な、理由がどんなことであれ、実態に合わせてやっていくというのがセオリーなのかなというふうには理解をさせていただいているところでございます。

 では、旧統一教会を始めとする、宗教に関する人権侵犯の事案というのはあるのか、そして、どの程度あるのか、教えてください。

鎌田政府参考人 令和四年におきまして、信教の自由に関する人権侵犯事件、これは、憲法十九条、思想及び良心の自由、及び、第二十条、信教の自由、これらを被侵害利益とするものでございますが、この信教の自由に関する人権侵犯事件として新規に救済手続を開始した件数は、五件でございました。

 なお、人権侵犯事件の統計におきましては、例えば、宗教に関係して暴行、虐待を受けたとの被害申告があったとしても、被侵害利益と侵害行為の態様に着目して、統計上は暴行、虐待に分類される場合があり得ます。

 このため、このような事案まで含めて宗教に関係する人権侵犯事件を網羅的に把握するということは統計上困難であるということは御理解いただきたいと思います。

堀場分科員 そうですよね。先ほど言ったとおり、事実に対して支援をどうするのかということを考えていらっしゃるということですので、そうなった場合は、その背景にある原因までなかなか把握し切れない、若しくは、その人たちが被害を申告する際に、いや、実はこういうことがあってというお話の中で、宗教の中の教義というものが根拠になっているということが分かる事例はあったとしても、なかなか統計として取ることが難しいというふうにおっしゃるのは、そうなんだとは思うんです。

 やはり、私たちが今課題として、文科の方でも質疑をさせていただいているんですけれども、なかなか、宗教というものを理由に、いろいろな事案が起こったときに、どうしても信教の自由がありますので、踏み込んでいいものなのかの判断というのが、児童相談所、そして学校、放課後とかに子供たちを預かる学童とか、様々なところでの悩みなんだと思っています。様々なQアンドAであったり、いろいろな、こうやってくださいねみたいなことを発出していたとしても、なかなか現場としてそれに対応できないというのが現状だと思っております。

 そして、一方で、人権に対して様々相談ができる、いろいろな、この後させていただきますけれども、霊感商法等の対応ダイヤルであったりとか人権調査救済制度というものは支援の入口になるところだというふうに承知しています。何かがあるけれどもちょっとどこに行っていいかが分からないという人が最初に到着するところ、最初にここに手を出してほしいというところが恐らくこの二つなんじゃないかなというふうに理解をしております。

 霊感商法等対応ダイヤル相談、これは最初のときに、去年、合同電話の相談というのができて、それから法テラスの方に移ったというふうにお聞きしておりますけれども、これが令和四年十一月十四日からはこのようなスタイルで法テラスを中心にやられているというふうに聞いています。

 相談後、その後どういうふうに対応されているのか、特に宗教に起因する心の悩みというのはどのように対応しているのか、教えてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法テラスに設置をいたしました霊感商法等対応ダイヤルでは、旧統一教会問題やこれと同種の問題に関する相談を受け付けておりまして、金銭的トラブルのほか、心の悩み、親族関係の問題等、様々な相談が寄せられております。

 法テラスでは、こうした問題の総合的解決を図るため、配置した弁護士、心理専門職等の知見を活用いたしまして、また関係機関等と連携しながら、必要な対応を行っているところでございます。

 特に、委員御指摘の心の悩みにつきましては、心理専門職等の知見を活用しながら、相談内容等を丁寧に聞き取り、相談者が抱える心理的問題等の解決に適した相談機関等を案内するなどしておるところでございます。

 さらに、法務省及び法テラスにおきましては、こうした相談対応をした後も、新たな支援策を講じる必要等を検証するため、相談者の意向やプライバシー等に十分配慮をしながら、関係機関等の協力を得まして、案内先の相談機関等から情報の提供を受けるなどいたしまして、相談後の対応状況等につき最大限把握するよう努めているところでもございます。

 法務省といたしましては、関係機関等との緊密な連携の下、こうした相談対応を通じて被害実態を把握、分析するとともに、関係機関等との間で必要な情報を適切に共有いたしまして、包括的な支援体制の一層の強化を図るなどして、被害者の実効的な救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

堀場分科員 やはり一番最初に支援の入口としてこの霊感商法等の対応ダイヤルに到着する人が結構多いなと思っているのは、前回の臨時国会のときにされた、ちょっと正式名を忘れちゃいましたけれども、合同でやられていた電話の相談、あれが非常に功を奏しているのではないかなというふうに思っておりまして、電話という、皆さん携帯を今お持ちですから、気軽に電話ができるというところに最初の支援につなげる一歩を踏み出していただきたいというふうに思っているところです。

 霊感商法等対応ダイヤルとか、あと、さっき申し上げました人権調査救済制度にて、宗教に関する相談というのは存在していると思いますけれども、人権擁護の観点から、トラブル団体と言われている宗教に対して今後どのように対応していくのか。

 そして、信教の自由とか様々な、すごく複雑で非常に難しいところの対応をしていただかなければならないとは思うんですけれども、信教をして、宗教を信仰していてハッピーな人もたくさんいると思っています。一方で、これを被害だと認識している人もいる。もっと言うならば、生まれたときから親がこの宗教を信仰しているので自分も教会に通っている、教義とかよく分からないまま育ってきた、でも、実はこれは人権侵害だった、信教の自由を侵害されてきたんじゃないかという議論も様々今行われていると承知をしております。

 こういったことに対する大臣の御所見をお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 まず、法テラスの霊感商法等対応ダイヤルにおきましては、旧統一教会問題やこれと同種の問題でお困りの方から幅広く相談を受け付けていて、弁護士、心理専門職と先ほど答弁しましたけれども、知見を活用して、また関係機関等とも連携をしながら、問題の総合的解決を図るために必要な対応を行っているわけでありますが、ちょっと手元に資料がないので、私の記憶が正しければ、もう既に、開設して以来四千件前後の御相談受け付けがあったんじゃないかと記憶をしておりますが、そのぐらい多くの方から御利用いただいている。多いのがいいかどうかというのはあるんですけれども、そういう実態にあるということです。

 それで、おっしゃるように、特に子供がその人権侵害に気づかないうちにという御指摘がありましたけれども、どういうものが侵害に当たるか当たらないかというのは個別の具体を見ないと分からないわけでありますのでお答えはできないんですけれども、一般論として申し上げますと、法務省の人権擁護機関において、被害申告を受けて、具体的にどのような被害が生じているか、先ほど申し上げたように、よく把握をして、人権侵害に当たる場合はもちろん、人権侵害に当たるとは認め難い場合であっても、例えば、学校、児童相談所等の関係機関につなぐなどの心理的、福祉的支援を行う、そして、その被害状況に応じて適切な対応を、措置を講ずるということなんだろうと思っています。

 子供たちの、自らの現状が人権侵害であると気づく、このためには、子供自身が様々な権利の享有主体であることを自覚することが第一歩になるわけでありまして、法務省の人権擁護機関では、小中学校で行う人権教室というのがありまして、そこで児童の権利条約について分かりやすく説明をし、子供の人生は大人の都合だけで決められてよいものではないことですとか、子供は健やかな成長のために十分な教育や支援を受けることができる、そういったことを伝えるなどして子供の気づきを促す取組を行っている、そこがスタートになるんじゃないかなと思っています。

堀場分科員 ありがとうございます。

 やはり、家庭の中で信仰が受け継がれていくというのは、一定程度仕方のないことなのかなというか、当たり前のことなのかなというふうに私自身は理解をしています。

 例えば、私の父親は、とても、なぜだか墓参りが好きな人で、しょっちゅうお墓参りに私は連れていかれるわけですよね。私の信仰は別に、そのときに生まれたかどうかは別として、父親がひどく、ひどくでもないですけれども、近くにお寺があるので、そのお寺さんに行くのにしょっちゅう連れていくということを重ねることによって、私の中での信仰心であったり、宗教というのは、お墓の位置は選択はできないけれども、やはりそこに親近感を覚えたり、何か困ったときにこういったところに来たりするんだなとか、人生の節目にはこういうところに来るんだなということがあったり。

 また、一方で、私自身は京都に住んでおりますので、神社仏閣が非常にたくさんございますので、そういったところに日常的に行くことによって生まれる、信仰とまで言っていいか分からないですけれども、日本人が、神社にも行くしお寺にも行くといった、複雑な宗教観を持っているとは思いますけれども、そういったものが自然に芽生えてくるような環境だったというふうに思っています。

 だから、例えば、それが一種の、大きなカトリック教会であったり、小さな町の教会かもしれない、そしてそれが旧統一教会かもしれない、ほかの宗教かもしれない、そういった形で宗教との、信仰というものが家族の中で受け継がれていくということ自体には私は否定的な考えは実は持っていなくて、それは一方で当たり前なんだろうなと思っています。

 でも、それを人権侵害なんだと主張する人も一方でいるということも事実なんだなということも、今回、本当に、こういった課題に取り組ませていただいていて、様々な宗教二世と呼ばれる皆さんからお話をお伺いしていて思うところです。

 宗教二世や三世と言われている、保護者が信者で、自らの意思に関係なく入信しているという状態は人権侵害に当たるのかどうか、そしてまた、それから抜け出せないという人もまたいらっしゃるので、こういったことの一つ一つが人権侵害に当たるのかどうか、これについてお願いします。

鎌田政府参考人 特定の行為が人権侵害に当たるかどうかにつきましては、個別具体の事案における事実関係や証拠に照らして判断されるべき事柄でありまして、一概に述べることは困難でございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、法務省の人権擁護機関におきましては、被害申告を受けて、具体的にどのような被害が生じているかをよく把握し、人権侵害に当たる場合はもちろん、人権侵害に当たるとは認め難い場合であっても、例えば、学校、児童相談所等の関係機関につなぐなどの心理的、福祉的支援を行うなど、その被害状況に応じて適切な措置を講ずることとしておりますし、先ほど大臣から答弁がございましたように、まずは子供に気づきを得てもらうということも大事でございますので、先ほど答弁いたしましたような取組を行っているということでございます。

堀場分科員 実は六番目の質問のお答えを先に大臣がしてくださったんだろうなというふうに思っておりまして、やはり、気づくというのは、学校が一番気づく現場ですよねということを文部科学省の質疑の中で何度もやらせていただいているんですね。やはり、周りを見て、あっ、自分の家庭は違うのかもという最初の気づきは恐らく小学校ではないか。それで、個々の小学校でどのような教育をすることで、自分で理解をして、ここはもしかしたら自分は被害を受けているかもしれないと被害を認識して、支援要求につなげるかというところが非常に重要だなと思っておりまして、先ほどおっしゃっておりました、様々な相談窓口、あと、ミニレターとかもあるというふうに聞いておりますので、そういったことをしっかり充実をしていただきたいなと思っております。

 ここまでいろいろ、もろもろ聞かせていただいたんですけれども、文部科学省の宗務課さんにお聞きしたいと思います。

 多くの相談が寄せられています。現在、質問権を行使されていると承知しておりますけれども、旧統一教会に対する解散権は行使できるのかどうか。そういったことについてお願いします。

小林(万)政府参考人 お答え申し上げます。

 解散命令の要件は宗教法人法で厳格に定められており、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えております。

 そのため、統一教会につきましては、これまで五回にわたって報告徴収、質問権を行使するとともに、被害者の方々や被害の事案をよく知る全国弁連からも資料や情報提供をいただき、分析を進めているところでございます。その際、全国に多数おられる被害者につきましては、長期間に被害を受けられている場合や、御自身の気持ちの整理に丁寧に向き合う必要がある場合など、様々な事情があることから、その心情に配慮しながら情報をお伺いしているところでございます。

 こうした対応を着実に進め、その上で、法律にのっとり、必要な措置を講じてまいります。

堀場分科員 最初の頃の議論として、解散権を行使するためには、そもそも刑事裁判の結果がないといけないとか、いろいろなことが言われていたんですね。いや、それに民事も入りますよと岸田総理が急に言ったとか言わなかったとか、そういったことになりまして、そして私たちはやはり、その後、これだけ質問権行使をしていて、時間がたってしまっていて、すんなりいくのかどうか、そしてどうなっているのかということが全く見えにくい中で、でも、やはり証拠を積み上げないといけないと思っているんですね。

 でも、一方で、しっかりと法務省さんが対応してくださっている、人権擁護局にたくさん御相談が来ている、法テラスを含め、それをしっかりと受け止めていただいて、そういったこともやはり請求の中に、最終的な証拠の一つ一つとして上げていただきたいと思っていますし、こういった被害の実態というものもあるんだということを、事実をしっかりと受け止めていただきたいなと思っております。

 多分、人権擁護局さん、これからも長く闘いを続けていかなければならないことだと思っておりますので、今後ともしっかりと子供たちのために御対応いただければなというふうに思います。

 ありがとうございます。

 では、大きな二番目の、国交省の方に移らせていただきたいと思っておりますけれども、このまま続けて大丈夫ですか。

谷田川主査 はい、どうぞ。

堀場分科員 はい。

 実は、除雪費用の国庫負担の補助金について御質問させていただきたいなと思っています。

 というのは、実は私は、先ほども申し上げましたとおり、京都の国会議員なんですけれども、京都の北部の方には舞鶴であったり京丹後市というところがありまして、そこは昔から、すごく、ずっと大雪が降るというようなエリアではありません。北海道とか新潟のように、雪がばあっと降って、何メートルも積もって、ブルドーザーが感動的な除雪をするとか、そういったエリアではありませんけれども、近年、非常に多くの雪が降る場合があります。

 しかも、前の年は、例えば、積雪が累計で、気象庁のホームページの計算によると十四センチとか十五センチという年が続いたかと思えば、百十四センチとか二百七十七センチと、どんと降るというわけですね。しかもそれが、どか雪と言わせていただいていいか分からないんですけれども、数時間の間にだあっと降るというような現象が起きています。

 これはなかなか、実は今までこういった対応をしたことがない地方自治体にとっては、対応が難しいところになっていると承知をしております。

 まず、国交省にお尋ねします。

 地方自治体に対する道路を含む除雪費用の算出方法を教えてください。

谷田川主査 ちょっと堀場委員に。齋藤法務大臣は退席いただいてよろしいですか。

堀場分科員 はい。

 ありがとうございます。

谷田川主査 では、どうぞ。

 佐々木正士郎国土交通省道路局次長。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が管理する道路の除排雪の経費につきましては、地方交付税を含めた地方公共団体の単独費を基本としつつ、国土交通省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法でございますが、これに基づき、幹線道路ネットワークにおける冬期の交通確保のための雪寒指定道路の除排雪に要した費用の一部を支援しております。

 具体的には、年度当初から除排雪の経費を確保することができますよう、公共団体からの御要望を踏まえ、防災・安全交付金を配分し、除排雪の経費に充てていただいております。

 また、雪の降り方によって必要となる除排雪経費が変わりますため、これに加えまして、地方公共団体から降雪量や除排雪経費の執行状況を聞き取った上で、年度末までに、道府県あるいは政令市に対しては除雪費補助、市町村に対しては防災・安全交付金を追加配分しております。

 さらに、全国的に積雪が著しい場合には、三月までの降雪状況を見通しつつ、必要な予算を見極めた上で、臨時特例措置などにより、地方公共団体に対し追加的な支援を行っております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 先ほど言ったみたいに、北海道とか新潟というように、継続的にたくさんの雪が降る、そういったエリアというのは、例えば、冬にはそれを専門の職とされている方を雇うことも可能だと思うんですね。また、そういった技術も、毎年やっているから、それだけブルドーザーも感動的な除雪をしてくれますけれども、例えば、舞鶴とか京丹後といったエリアというのは、先ほど申し上げたとおり、十四センチとか十五センチしか降らない年もあって、かと思えば、一時間、数時間の中で、一晩で、一晩でだったらまだいいんですけれども、数時間にどどどっと降って、雪に慣れていない中でこういった課題が生じるというのが近年の課題なのかなと思っています。なので、これはもう、防災というか、本当に量によっては非常に危険になっているのが現状だと認識しています。

 近年の不安定な気候によって、例年に増して積雪があった場合の国の対応とともに、小さな地方自治体にとって除雪対策事業費というのは非常に負担となっているんですけれども、こういったことに対する国庫補助金の増額であったり、緊急的に手配をするというような対応は可能かどうか、二つまとめてお願いします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 道路の除排雪につきましては、雪の降り方によって必要となる経費は変わりますので、先ほど申し上げましたとおり、年度当初にまず防災・安全交付金を配分した上で、年度の途中に地方公共団体から降雪量や除排雪経費の執行状況を聞き取り、年度末までに除雪費補助等を追加配分しております。

 例えば、令和四年度におきましては、二月それから三月と二回にわたりまして追加配分を実施いたしたところでございます。

 それから、国庫補助金等の増額等の検討ということでございますが、公共団体の除排雪の支援につきましては、近年の短期間の集中的な大雪の傾向も踏まえ、令和五年度当初予算におきましては、例えば、道府県、政令市に対する除雪費補助予算につきましては、対前年度比一・〇五倍の、国費約百二十五億円を措置させていただいたところでございます。

 これに加えまして、全国的に積雪が著しい場合には、先ほどから御答弁させていただいておりますけれども、必要な予算を確保した上で、追加的な支援を行っております。

 引き続き、地方公共団体から状況を丁寧にお聞きしながら、冬期道路交通の確保のため、必要な予算の確保に努めてまいります。

堀場分科員 ありがとうございます。

 何度も申し上げているように、ふだん降らないところに急にどかっと降るというのがやはり近年の課題なんだなと思っておりますので、そういった、なかなか日常的に除雪をする人を配置できないようなエリアに対しての措置というものが、やはりずっと降り続ける場所と違う措置が必要だということも御理解をいただきたいなというふうに思います。

 一方で、除雪対策事業費の中には、除雪をするための費用とか人件費とかもあるんですけれども、それと一緒に除雪機等の購入費というものがあります。これを、十何センチしか降らない年と、二百何センチが短時間に降るときと、使う機械というのは絶対的に違うと思いますし、また、放置竹林みたいなものもいっぱいあると木も倒れてきちゃったりとかして、なかなかそういった細かいことまで配慮していくというのは非常に難しいんですけれども、除雪機の購入費があるんですけれども、そういったものに対する支援というのがあるのか、教えてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、雪寒法に基づきまして、防災・安全交付金により、地方公共団体の除排雪及び除雪機械の購入などに要する経費につきましても支援しているところでございます。

 さらに、加えまして、地方整備局などに配備する小型除雪車などを増強し、直轄の国道における車両滞留発生時の排出作業等に活用するとともに、直轄国道において使用していないときには地方公共団体への無償の貸出しなどを行いまして、除雪体制の強化の支援を行っているところでございます。

堀場分科員 私は、その小型機をしっかりと、お借りして、共有しながらやっていくということは非常に重要じゃないかなというふうに思っておりまして、みんながみんな機械を保有して、やり方として、自治会さんに機械をお願いして、その自治会さんで除雪をしていただいたりとかもしているのかもしれないんですけれども、それはそうとして、その機械を必ず買って持っていなきゃいけないというわけではないと思いますし、緊急的に、だだだっと雪が降ったときに、使える人さえいれば、機械があれば、除雪というのはできると思うんですね。

 なので、そういった機能というか、お借りいただく、そういうふうにお持ちになっているものを貸していただける、そういったこともしっかりとみんなで共有をして、被害を、被害というか、見ていると本当に、私がたまたま、舞鶴なんですけれども、選挙がありまして、行っているときにどか雪が降ったのでこれを問題視をしているんですけれども、やはり除雪するまで非常に時間がかかっていましたので、そういったことをシステム化して、一種の防災だという理解の中で連携を深めていっていただければなというふうに思っております。

 よくこれは聞かれるのでちょっとお聞きをしたいんですけれども、特別豪雪地帯というか、特にたくさん雪が降るエリアと、こういうふうにたまに雪が降るところとでは、何か補助率であったり支援に差があるのかどうか、教えてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 除排雪につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、雪寒法に基づき、除排雪に係る経費の一部を支援しているものでございますが、特に雪が多い積雪地域とそれ以外の積雪地域との間で、これは補助率三分の二でございますが、これに違いはございません。

堀場分科員 ありがとうございます。

 雪が降らないエリアに急に雪が降ったときには、たくさん降っているエリアは継続的にたくさんもらっているんじゃないかなというふうにどうしても思ってしまいがちなんですけれども、やはり慣れているところと慣れていないところで、二百センチであっても対応がなかなか厳しいところと、もっともっとたくさん降っても大丈夫というところがあると思うんですね。

 例えば、うちの親戚が北海道に住んでいますけれども、家の前は、自動で解けるように、スイッチを入れると雪が解けるシステムであったり、屋根の上に、屋根の形状自体が雪をしっかり、余り積もらないようにできているとか、元々雪国と言われるところはそれなりに最初から都市が雪国設計されていると思うんですけれども、こういうところはそういうふうにはなっていないので、様々なお金が余計にかかっているのかなとも思っています。

 なので、是非、地方自治体の除雪に対しては、しっかりとお金を頂戴しながら前に進めていくこと、そして、防災だということを御理解をいただいて、しっかりと私たちも前に進めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

谷田川主査 これにて堀場幸子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

谷田川主査 次に、国土交通省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)分科員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 初めに、先週、国交省が、御当地ナンバー、日光市、塩谷町を区域とする日光ナンバーを発表していただいて、地元の人が大変喜んでおります。私も地元の一人として大変喜んでおりまして、今後、観光振興のためにも十分生かすことができるかなと思っておりますので、初めに感謝を申し上げておきたいと思っています。

 それでは、大変厳しい環境の中で、観光業はこれからどういうふうに守り立てていくかというのは大変大きな課題だと思っておりますが、本日は、決算行政監視委員会ではありますけれども、夢のある提案もいたしたいと思いますので、斉藤大臣始め答弁者は簡潔にお答えいただければありがたいと思っております。

 まず、持続可能な観光地づくりと既存の道路整備計画の進捗状況についてであります。

 まず、(1)の方ですが、持続可能な旅館、ホテルの経営に迫る危機についてであります。

 四点お伺いしますけれども、第一点は、新型コロナ対応融資資金の返済についてであります。

 現在、既に中小企業庁は新たな借換え保証制度の創設などをPRしておりますけれども、改めて、どのような支援策なのか、地元の人たちが安心できるように、具体的に簡潔にお答えいただければと思います。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナの影響の長期化や物価の高騰に加え、今後、コロナ融資の返済本格化を迎えるなど、観光業を含む中小企業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあると認識してございます。

 政府としては、官民の金融機関等に対して、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続するとともに、事業者に寄り添った対応を徹底するよう要請してございます。

 先生御指摘の民間ゼロゼロ融資ということでございますが、本年七月に返済開始のピークを迎えるということでございますので、コロナの借換え保証制度を本年一月から開始しておりまして、返済期間を長期化しつつ、その間に収益力改善を支援することということでやっておりまして、これまでに約二万八千件の借換え申込みを承諾しているところでございます。

 それから、日本政策金融公庫につきましては、三月七日にコロナ資金繰り支援継続プログラムを公表いたしまして、スーパー低利融資や資本性劣後ローンの申請期限を本年九月末まで延長し、コロナ融資の借換えを支援しているところでございます。

 加えて、宿泊業などの観光業向けには、全国四十七都道府県に設置されている中小企業活性化協議会、そして全国の日本公庫の支店に専門の相談窓口も設置しておりまして、引き続き、こうした取組を通じて、観光業を始めとする中小企業への支援をきめ細かく取り組んでまいりたいと思ってございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 本当に、このゼロゼロ融資資金の返済が迫っているということで、心配している声がたくさんありますので、是非しっかりお願いしたいと思っています。

 第二点は、優秀な外国人労働者の受入れの緩和についてであります。

 今まで政府がつくってきました、三十年間続けてきた外国人技能実習制度を廃止して、人材の確保、育成を打ち出した新しい制度をつくるという話でありますが、どうも、その新しい制度も、聞くところによると、ちょっと評判が悪いんですよね。

 ですから、それこそ、人権の時代だ、こう言われている中で、それから労働者不足がもうはっきりしていますよね。全ての分野で働く人が足りません。

 しかも、加えると、今、円が余りに安くなり過ぎちゃったものですから、外国人労働者もなかなか入ってこなくなっちゃった。あるいは、逆に、一方、日本人のすし職人など、すばらしい技能を持っている人たちが外国に行って稼ぐ、そんな時代にもなっちゃった、こう言われておりますから、ここは思い切って、外国人の中でも特に優秀な外国人については、しっかり人権も尊重して、日本人と同じ待遇で働いていただく、そのようなやはり新たな受入れ制度をつくる必要があると思いますけれども、法務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

福原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、技能実習制度それから特定技能制度、この両制度ですけれども、現在、この両制度の在り方に関する有識者会議におきまして、制度目的と実態を踏まえた制度の在り方の論点の一つとして、まさに御議論をいただいているところでございます。

 現在、議論中ではございますけれども、中間報告書案の段階ですが、検討の方向性として、現行の技能実習制度を廃止して人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである、すなわち、技能実習制度が人材育成に加え、事実上、人材確保の点においても機能していることを直視し、このような実態に即した制度に抜本的に、根本的に見直す必要がある、人材育成の観点から、特定技能制度への移行を見据えた幅広い業務に従事することができる制度とする方向で検討すべきであるなどが示されております。

 もっとも、この有識者会議におきましてまさに御議論をいただいている段階でございまして、現時点において今後の方向性についてお答えすることは困難であることは御理解いただきたいと思いますが、いずれにしましても、この有識者会議での御議論を見据えつつ、関係省庁とも連携しながら、政府全体でしっかりと検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)分科員 アメリカの情報機関が発表した世界のトレンド二〇四〇によると、最も古い制度を抱えているのは日本だ、二〇四〇年には日本は世界のパワフルな存在じゃなくなっちゃう、そういうふうに見ているんですよ。その一つが外国移民制度です。

 ですから、法務省、きっと法務省だから頭が固いんだと思いますが、柔らかくしていただいて、日本がしっかり元気になれるような、優秀な外国人は受け入れる、そういう観点に立って是非見直しをしてほしいと思います。地元の旅館なども、ネパールの人が四か国語もしゃべれて、インバウンドの対応が最高なんだよ、こういうふうな評価もいただいておりますから、是非よく検討していただきたいと思います。

 第三点は、最低賃金アップはいいんですけれども、百三十万円の壁で、働く人が、家庭の主婦などがどうも労働時間を減らしてしまっているというので人手不足が更に深刻になっている、こういうホテルの皆さんの嘆きもありますので、この辺、厚労省、今後どんなふうにしていくのかということについて、何か、厚労省では、年収の壁解消へ企業助成も検討し始めたという話ですが、どんなふうに考えているのか、お答えいただければと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる年収百三十万円の壁でございますけれども、これは被扶養者の方が国民年金の保険料負担をすることとなるラインなんでございますけれども、これにつきましては、これを意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を今進めております。すなわち、週二十時間以上の短時間労働者を被用者保険の適用対象とすることで、年収が百三十万円に到達する前に被用者保険の適用を受けられるようになるというものでございます。

 また、いわゆる百六万円の壁というものがございますが、これにつきましては、最低賃金の引上げがされていくことによって週二十時間の労働で百六万円を超えていきますので、解消されていくものと見込んでいます。

 このいわゆる百六万円の壁につきましては、新たに被用者保険が適用された場合には、将来、厚生年金による報酬比例部分、二階部分が上乗せされるなど、給付が充実いたしますので、こういったことも周知をしっかりしていく必要があると考えています。

 その上で、いわゆる年収の壁を意識して労働時間を調整する方がいらっしゃる、そういう御指摘を踏まえまして、先般、総理は、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取組の支援などをまず導入して、さらに制度の見直しに取り組むと表明されたところでございます。

 厚生労働省としても、年収の壁を意識せずに働くことが可能となるように、具体策の検討を進めてまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 是非、もう人手不足は深刻ですから、早めに検討していただいて、しかも、しっかりと周知していただくことが大切だと思います。多分、企業経営者に伝わっていないと、それが実現しない、しばらく実現までに時間がかかるということですが、しかし人手不足はもう今深刻な状態ですから、早めに、ちゃんとつくったらば、ちゃんとPRをしっかりしていただくということが大切だと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 次に、第四点ですけれども、やはり電気代、燃料代、食料代などの物価高騰対策について、大変やはり苦労しております。やはり、お客さんが二極化しておりまして、高いホテルが先にお客さんで埋まってしまう、料金の低いホテルはなかなかお客さんが来ないみたいな、そういう中での物価高対策ですから、これは大変なんですね。

 ですから、このことに対して、今回、二兆二千億の予備費を使っての物価高対策が、突然、選挙を前にありましたけれども、内閣府でこれをどんなふうに今しているのか、お答えください。

深井政府参考人 お答えいたします。

 物価高騰を踏まえた旅館やホテル等への支援については、これまで、地方創生臨時交付金のうち、昨年九月に創設された電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用し、多くの自治体において、光熱費等の高騰の影響を受けた宿泊事業者への補助などに取り組んでいただいているところでございます。

 この交付金につきましては、先月、旅館、ホテルも含め、地域観光業等の事業者支援も位置づけております推奨事業メニューに活用できる分として七千億円を追加措置したところでありまして、引き続き、自治体からの質問や相談に丁寧に対応しながら、地域の実情に応じたきめ細かな支援が現場に行き渡るよう後押ししてまいりたいと考えております。

 よろしくお願いします。

福田(昭)分科員 せっかく観光庁が、また観光客を増やそうということで新たな観光立国計画も立てましたけれども、しかし、こうした問題をやはり解決していかないと、なかなか、お客さんが来てくれても対応できないという問題もありますので、是非、急いで検討していただいて、早急に実施に移せるようにしていただきたい、こう思っております。

 次、二つ目は、既存の道路整備計画の進捗状況についてであります。

 三道路のことをお願いしてありますが、三道路ともそれぞれ、関係自治体が期成同盟をつくって、国、県へ長い間要望してきている事業であります。

 時間の関係でそれぞれまとめてお伺いしますので、簡潔にお答えいただければありがたいと思います。

 一つは、国道百二十号、金精道路通年通行、栃木県の日光市と群馬県利根村、沼田市をつなぐ道路であります。

 現在、湯元―菅沼のトンネル工事の調査を栃木県と群馬県が多分実施をしているというふうに伺っておりますけれども、その進捗状況について是非簡潔にお答えいただければと思います。

 それから、第二点は、国道百二十一号、山形県米沢市と栃木県小山市を結ぶ道路整備についてであります。

 現在、日光川治防災の調査をしているかと思いますけれども、今、国交省が代行事業ということで調査をしているんだと思いますけれども、その進捗状況と、最近、川治温泉の湯温の低下、お湯の温度が下がってきたというのと、お湯の量が減ってきた、そういう心配をする声が高まっておりまして、そのうち、国や県にも是非是正策を要望していきたいというようなことが聞こえてまいりましたので、現在の調査状況がどんなふうになっているのか、お答えをいただければと思っています。

 それから、第三点は、国道二百九十三号、茨城県日立市と栃木県足利市を結ぶ道路整備についてであります。

 これにつきましては、会長が栃木県の那珂川町の町長さんで、熱心に国会議員の人たちを歩いているんだと思いますが、私のところへも来たりしておりますけれども、ここは道路が狭隘で、幅員の拡幅をしてほしい、そういう要望があるわけであります。

 是非、それぞれ簡潔にお答えいただければありがたいと思っています。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国道百二十号の金精道路の件でございます。

 この国道百二十号の県境に位置する金精道路でございますけれども、これにつきまして、冬期における積雪とか凍結によりまして、例年十二月下旬から四月下旬まで通行止めというふうになっております。

 このため、現在、栃木県と群馬県におきまして、冬期における通行止め解消のための整備に向けた勉強会を設置をいたしまして、今時点で、国立公園特別保護地区への環境面からの配慮事項、また火山性地質を踏まえた技術的な課題、これについて検討を行ってきているというふうに聞いております。

 栃木県、群馬県におきましては、今後とも技術的な検討を行っていく予定と伺っておりまして、国土交通省といたしましては、必要に応じて技術的な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 それと、二つ目の日光川治防災の件でございます。

 この国道百二十一号の日光川治防災でございますが、この事業は、災害時の交通機能の確保、また走行性、安全性の向上、観光振興などの効果を期待して行っている事業でございます。

 この事業で新設するトンネルの工事でございますが、既設の三つのトンネルと交差いたしまして、それらとの近接した施工、これが想定されるということから、非常に技術的な難易度が高いということで、平成三十一年度に国が直轄権限代行により事業を着手したところでございます。

 これまでのところ、測量調査、地質調査などを行っておりまして、今後、引き続き、必要な水文環境調査、あるいは道路、橋梁設計などをやっていくということになっております。

 委員御指摘の川治温泉の湯量の低下の御懸念に対しましては、今後、ボーリング調査などを行っていきますので、そういったところで、トンネルの構造あるいは施工方法を具体的に考えていく中で、その影響について確認をしていきたいというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地域の皆様の御理解、御協力を得ながら事業を進めてまいりたいと思っております。

 それから、最後の三つ目の国道二百九十三号の話でございます。

 日立市から足利市を結ぶ道路でございまして、栃木県と茨城県で管理をしております。

 この路線につきましては、線形不良あるいは歩道の未整備などの課題がございまして、現在、両県が、順次、現道の拡幅またバイパス整備などを進めております。

 具体的に申し上げますと、栃木県内におきましては、三輪地区の現道拡幅、鹿子畑地区の線形改良、また楡木バイパスの二期等をやっております。また、茨城県内においては常陸太田東バイパスについて行っておりまして、いずれも、社会資本整備総合交付金などを活用して、調査設計あるいは工事を実施していると聞いております。

 また、残る未事業化区間がございまして、栃木県内で二区間、茨城県内で一区間ございます。これにつきましては、事業中区間の進捗状況また周辺の交通状況を踏まえまして、整備について検討していくというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、栃木県また茨城県の要望を踏まえて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 とにかく、茨城と栃木をつなぐ道路については狭隘なところが多いので、本当に、那珂川の町長さんも、小さな町なので、余計力が入っているんだと思いますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 それでは、次に、新たな持続可能な広域的な観光づくりと社会資本整備計画について、是非お尋ねをしながら提案をしたいなと思っております。

 一つ目は、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業の進捗状況についてであります。

 群馬県、栃木県、茨城県、福島県、新潟県のこの五県は、北関東磐越知事会議というのを設けておりまして、連携して、観光の振興とかあるいは環境の保護とか、そういったことを力を合わせてやっていこうということで知事会議を設置をしているわけであります。

 そんな中で、この地域は、自然豊かな伝統文化に恵まれた観光地であり、あるいは観光産業がある地域であります。ここが、やはりこの五県が連携すると相当すばらしい広域的な観光地ができるんじゃないかなと思っております。

 時間の関係でなかなか長くはお伺いできませんけれども、五県は農林水産業地域であり、山あり、川あり、海あり、おいしい水、お米、野菜、リンゴ、梨、メロンなどフルーツにも恵まれておりますし、また、ラーメン、うどん、そば、焼きそばなどもありますし、ゆばやあるいは牛肉やミルクなど、こうしたものを全部生産できる、すばらしい、楽しい地域であります。

 今後の日本の成長が見込まれている産業については、皆様御存じのとおり、観光業がその一つに入っている、あるいは農林水産業とか、あるいは環境産業とか、あるいは加えると健康や教育、こういったこともこれからの沈み行くかもしれない日本の中で期待される分野がこういう分野だと言われております。

 したがって、是非、地方創生という観点からも、こうした広域的なやはり観光地をつくるということが大切なことだと思っているんですが、この五県でどんな、要するに、申請状況になっているのか、観光庁が進めている地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業の、それぞれ五県がどんな形になっているのか、お答えいただければと思います。

秡川政府参考人 今御質問いただきました観光地の再生・高付加価値化事業ですけれども、これは令和の二年度三次補正予算から二か年にわたって今実施しております。

 これまで、群馬県では九件、栃木県八件、茨城県三件、福島県十三件、新潟県十三件ということで、合計四十六の地域で事業を実施していただいています。

 例えば、栃木県の日光市では、市の街並みガイドラインに沿った宿泊施設の外観改修とか観光施設のテラスの改修、あるいは、群馬県のみなかみ町では、長期滞在型旅行の提供を目指して、自然景観と調和の取れた外観の改修とか廃屋の撤去等を行っていただいていて、そういうものに対する支援をやらせていただいております。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 本当に自然豊かなところで、世界遺産もある、温泉もある、何でもある、そういう地域であります。

 二つ目は、楽しい地域である北関東磐越地域一体となった新たな持続可能な観光地づくりについてであります。

 第一点は、日光、尾瀬国立公園の豊かな自然と世界遺産など多彩な観光資源の活用についても、やはりこの新たな観光地づくりに十分生かすべきだというふうに思っております。

 中でも、この五県の中心地域にあるのが、日本の第一号の国立公園となった、元々一つだった日光、尾瀬国立公園です。これは地域の要望で二つに分かれましたけれども、元々一つだったこの公園。この地域は、実は太平洋気候と日本海気候のぶつかるところなんです。作物の南限と北限のぶつかるところでもあります。したがって、物すごく多彩な自然、おいしい水とかお酒とか食べ物とか、そういうものもあるんです。やはり日本海側と太平洋側がぶつかるというのは相当の、いろいろな、多彩な自然を生み出している。そして、作物も北限、南限がぶつかる。

 ですから、一つだけ例を申し上げますと、栃木県の那須烏山市にはミカンがあるんですけれども、私が子供の頃は酸っぱくて食べられなかった。ところが、今、甘くなってきた。これは温暖化の影響かもしれませんし、品種改良なのかもしれませんけれども。北海道のお米がおいしくなった、これも品種改良や温暖化の影響だと言われておりますが、そんな、本当に、非常に多彩な自然に恵まれたところ。

 環境省にも前に提案したことがあるんですが、この地域を自然調査してみたら、物すごい自然の豊富さというのがよく分かって、これは本当に日本の誇るべき自然を、それこそ春、夏、秋、冬があるわけですから、そういうものをやはり世界にPRできるようになるんじゃないかと環境省にも提案したことがあるんですが、残念ながらまだ調査をしてもらっておりませんけれども、そんな地域であります。

 第二点と三点をまとめてお伺いしますが、北関東磐越知事会議と連携をして、観光人材の育成とか、日光、尾瀬国立公園を周遊できる登山電車の設置を是非調査研究してみたらどうかという提案であります。

 私、昔、全国市長会の視察で、実はヨーロッパ五か国を歩かせていただきました。スイスのジュネーブから登山電車でユングフラウのところへ行って、そこで氷河を望遠鏡で見たりしたり、レストランで、非常に、すぐには食べられないイタリアのいため飯を食べて、いため飯にちょこっとキャベツが乗っているぐらい。みんな、これはおいしくないわ、食べられないわと言って。そこにたまたま中国産のしょうゆがあって、しょうゆをかけたら食べられちゃった、みんなして。これはおいしいわと言って食べちゃったんですが。それからアイガー北壁の方へ下りてイタリアへ行ったんですが、そのとき、実は私が思ったのは、こういうのが日光国立公園にあったらいいなと思ったんですよ。それからウン十年、今度は国会でお話をさせていただくんですが。

 皆さんが、今国土交通省が一生懸命応援しているリニア新幹線、東京から三十分で名古屋へ行っちゃうというんですが、これじゃ観光にならないじゃないですか。味気ない。しかし、ぐるっと五県を、あるいは茨城県も入れたりして、ずっと登山電車で周遊したら、例えば五泊してもらうとか、茨城に行けば海もありますからね。

 だから、本当にそういう楽しい観光地をやはりつくって日本を元気にしていく、そういうことは私は大事だと思っているんですよ。

 是非、そういった意味で、こうしたことに対して調査をしてみる。実際やるのは、私鉄が五県にもありますから、その私鉄に連携してもらってやってもらうとか、そういうやはり夢のある事業もやらないと、これからどんどんどんどんじり貧になってしまう日本、しっかり元気な日本をつくるために、調査研究ぐらいしていただければありがたいなと思っていますが、是非大臣の御所見をいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 三点あったかと思いますが、まず第一点目。

 福田委員おっしゃるこの北関東磐越地域、自然、気候、文化、食がそろったすばらしい地域だと思っております。栃木県の日光、尾瀬の国立公園や、世界遺産の日光の社寺を始めとする様々な観光自然、この魅力を生かした観光振興を是非進めていくべきだ。我々も是非一緒になってそれを御支援申し上げたいと思っております。

 そして、二点目の観光人材の育成でございますけれども、トップレベルの経営人材育成を目的とした観光MBAを京都大学、一橋大学に設けるとともに、地域の観光産業の中核を担う人材育成を目的とした、全国十四大学におけるリカレント講座を展開するなどの取組を行ってきたところでございます。

 また、先月には、持続可能な観光地域づくりを担う観光人材の育成のためのガイドラインを策定いたしまして、観光産業を担う人材に加え、観光地全体の経営を担う人材、観光地経営人材と呼んでおりますが、この育成の必要性や、こうした人材に求められる知識、技能を整理して公表いたしました。

 御指摘の北関東磐越地域においても、このガイドラインを活用していただきながら、国土交通省としても、地域としっかり連携して、持続可能な観光地域づくりを担う人材の育成に取り組んでいきたいと考えております。

 そして、三点目の周遊登山電車プロジェクト。

 これは、国会だけではなく、国会の外でも私は福田委員から熱心にお聞きしているところでございますけれども、この周遊登山電車プロジェクトにつきましては、まずは、自治体や事業者など、地域の関係者が議論を行い、具体的な検討を行っていただくことが必要かと思っております。

 国土交通省としても、そのようなプロジェクトの熟度が高まることを期待しております。その検討状況を踏まえながら、必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。

福田(昭)分科員 大臣からは前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。是非地元の知事さんたちにもお話ししたいなと思っております。

 やはり今、余りにも、アベノミクスの異次元の金融緩和で過度な円安になっちゃった。しかし、円安も、使いようではいい使い方ができる。よい円安、悪い円安があるそうでありますが、観光はまさに、そういう意味では、よく使うことができる円安かなと思っておりますので、その辺、為替レートは適切なレートを決めないと、輸出産業と国内産業を上手にバランスを取らないといけないと思っておりますが、そういう意味では、観光は一つのチャンスかなと思っていますので、是非、私も頑張りたいと思っていますが、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

谷田川主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

    〔主査退席、田中(英)主査代理着席〕

青山(大)分科員 青山大人でございます。

 私は福田さんの隣の茨城県の出身でございまして、今日は地元に関係するインフラ関係の質問を中心にさせてもらいます。

 茨城県は、二〇五〇年頃の構想として、つくばエクスプレス、これは東京の秋葉原から茨城県のつくばが終点なんですけれども、そのつくばエクスプレスの茨城県内での延伸先について四つを挙げ、これまで専門家による第三者委員会が延伸先を一つに絞る議論を重ねてまいりました。そして、ちょうど先月末に、土浦方面へつくばエクスプレスを延伸先にする、そういった提言がまとめられました。その四つある延伸先の候補の中で土浦方面を選んだ理由について、その提言書では、経済面などの費用対効果のバランス、また、JR常磐線との接続などが挙げられております。

 今後、茨城県は、この提言書を踏まえ、パブリックコメントを実施し、今年の六月末までに延伸先を正式に決定することにしていると聞いています。

 とはいえ、延伸先を決めても、関係者の合意形成や当然莫大な費用がかかるなど、様々な課題がございます。国の支援が当然必要なんですけれども、今後、つくばエクスプレスの茨城県内の延伸について、国としてどのように関わっていくことができるのか、お伺いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 つくばエクスプレスの茨城県内の延伸につきましては、昨年末に茨城県は第三者委員会を設置いたしまして、土浦方面、茨城空港方面、水戸方面、筑波山方面の四方面の延伸につきまして、需要予測、概算事業費などの調査を実施した上で、本年三月三十一日に、この第三者委員会から茨城県知事に対して、四方面のうち、土浦方面への延伸が最善との提言がなされたものと承知いたしております。

 この茨城県内の延伸の実現に当たっては、この提言においても示されているとおり、自治体、事業者を始めとする関係者が連携して、引き続き様々な検討を進めていくことが必要と認識しておりまして、今後、県において、この提言を踏まえた検討がなされるものと承知をいたしております。

 この提言につきまして、現時点においての国としての見解を問われておりますので、お答えいたします。

 第一に、整備ルートについてでございます。

 整備ルートにつきましては、この提言においては、大まかな方面が示されておりますが、具体的なルートが決まっていないものと承知をいたしております。今後、つくばエクスプレスの県内延伸に当たっては、この提言を踏まえて、どの方面とするのかを選定した上で、地質調査などを行い、具体的な整備ルートを決定していく必要があると考えております。

 第二に、委員も御指摘をされました、鉄道プロジェクトの推進に当たって鍵となる整備主体、運行主体、費用負担の在り方、事業スキームについてでございます。

 これらについても、この提言においては明らかになっておりませんが、茨城県を中心に、地元関係者と連携しながら、具体的な検討を進めていただく必要があると考えております。

 第三に、収支採算性と費用対効果でございます。

 この提言においては、いずれの方面への延伸であっても、収支採算性については、建設コストを考慮しない、そういう状態でも毎年赤字を計上する試算となっておりまして、また、費用対効果についても、一を下回る試算となっております。このため、更なる需要増加や費用削減の方策などにつきまして、茨城県を中心に検討していただく必要があるんだと考えております。

 なお、需要の見通しや概算事業費などにつきましては、この提言において数値が示されているところでございますが、ただいま申し上げた三つの点の検討の深度化に合わせまして、引き続き更なる精査が必要であると考えております。

 以上を踏まえますと、つくばエクスプレスの県内延伸という鉄道プロジェクトを実現するためには、引き続き、茨城県を始めとした関係者間において、こうした様々な課題や論点につきまして具体的な検討を深めていただくことが必要であると認識しております。

 国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえながら、制度面や技術面の観点から必要な協力、助言を行ってまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 詳細な御答弁をありがとうございました。

 今、大きく三点、具体的なルートのお話、さらに運営主体をどうするのか、さらには採算性というお話がございました。

 今、たしか国土交通省さんで、国土計画、全体計画を策定中というふうに聞いております。今後、全国計画が決まった後に広域の地方計画を作っていくというふうに聞いていますけれども、その広域の地方計画を策定するに当たってつくばエクスプレスの茨城県内の延伸というものを盛り込むということは、そういった実現に向けての後押しになるといったような私は認識を持っているんですけれども、そのような認識でよろしいでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 広域地方計画は、全国八つの広域圏ごとに、今後十年間の広域圏の将来像を定める総合的な計画であり、国土形成計画法に基づき、国の出先機関、地方自治体、地元経済界等の多様な主体から成る広域地方計画協議会において策定を進めるものであります。

 広域地方計画には、圏域の将来像を実現するための広域連携プロジェクトを記載しておりますけれども、その中で具体的にどのような事業を掲載するかにつきましては、それぞれの事業の熟度でありますとかあるいは実現可能性などにつきまして、まずはこの広域地方計画協議会において幅広い関係者のコンセンサスを得ることが必要であるというふうに考えてございます。

 以上でございます。

青山(大)分科員 ですから、もちろん、そういったコンセンサスも得なければ当然載らないわけですけれども。載るか載らないかは今後そういったコンセンサス、いろいろな会議があると思うんですけれども、仮にそこに載った場合は、実現に向けて非常に前向きにいくというような認識でよろしいかということをちょっとお答えしてもらえれば。

木村政府参考人 お答えいたします。

 広域地方計画に載るに当たっては、事業の熟度あるいは実現可能性が十分精査された上で、その上で計画に記載されるということになりますので、先生御指摘のとおりということでございます。

青山(大)分科員 ありがとうございました。

 それで、関連してもう一つですね。

 ちょうど、同じくつくばエクスプレスで、昨年の秋に、東京都の方は、東京都で東京駅と有明の東京ビッグサイトの約六キロをつなぐ新しい地下鉄、都心部・臨海地域地下鉄の計画案が発表されたんですけれども、その中で、現在、秋葉原が始点となっているつくばエクスプレスとの接続を今後検討する、そんなことを東京都がおっしゃったんですけれども、東京方面への延伸と、つくばエクスプレスの終点であるつくばから茨城県内へ延伸を併せて行うことは、非常に私は大きな相乗効果が得られるかなというふうに考えていますけれども。

 参考に、もし答弁できればでいいんですけれども、つくばエクスプレスの秋葉原から東京都への延伸について今何か議論されている状況とか、もし分かったら、教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 東京都が、臨海部に延びる鉄道計画について、構想という形で発表したことは承知いたしております。

 一方で、臨海部につきましては、これからそうした需要の増加をどういうふうに図っていくのか、また、臨海部の町づくり全体をどういうふうにしていくのかといったことについても、東京都においていろいろと勉強されているというふうに承知をいたしております。

 さらに、つくばエクスプレスとの接続につきましては、さらにまたその次の課題として、これは私どもの交通計画の中にも触れられておりますけれども、具体化に当たっては、まだこれから検討すべきことが多いのではないかというふうに考えております。

青山(大)分科員 分かりました。

 つくばエクスプレス関係でもう一問なんですけれども、もちろん、将来の延伸も大切なんですけれども、私も、実際に今利用している者としましては、やはり現在の六両編成、これが、ここ三年はコロナ禍で利用者の方も減って少しすいていたんですけれども、最近、当然また乗客数が戻ってきました。

 つくばエクスプレスの各沿線の自治体の人口増加ピークを迎えるのが二〇二五年以降であるというふうにも伺っている中で、このつくばエクスプレスの六両から八両化への編成事業、計画が公表された二〇一九年の時点では供用開始が二〇三〇年前半とちょっとアバウトでございまして、今の八両化への現在の工事の進捗状況、供用化の見通し、何か変化があったら、お伺いさせていただきます。

上原政府参考人 お答えいたします。

 つくばエクスプレス八両編成化事業につきましては、事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社におきまして、二〇一九年五月に事業実施を決定し、公表されました。現在、二〇三〇年代前半の八両編成車両の運行開始に向けて必要な設備関係工事等に取り組んでいるところでございます。

 これまで、秋葉原駅、新御徒町駅、浅草駅、南千住駅のホーム延伸に向けた土木建築工事が完了しておりまして、現在進めている青井駅と六町駅の土木建築工事については、本年度末に完了する予定と聞いております。

 今後、沿線のほかの駅におけるホーム延伸工事や総合車両基地の留置線の延伸工事を進めていくこととなりますが、工事の作業時間が終電から始発までの限られた時間となることや、全線地下又は高架の区間で作業スペースが限定されることなど、工事の物理的制約があると聞いております。

 国土交通省といたしましては、同事業の円滑な進捗が図られるように、鉄道事業者より具体的な相談をいただいた際にはしっかり対応してまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、同じような質問も二年前の予算委員会分科会でして、そのときは、二〇二〇年八月に秋葉原と新御徒町が終わった、浅草と南千住駅の土木建築工事を行っているという御答弁で、今、現在の青井、六町の話もあったんですけれども、今は秋葉原から順次やっているんですけれども、同時に複数の駅を、例えばつくば側の駅とか、同時に複数、そういう工事をすることというのは、なかなかこれは技術的には厳しいのでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、技術的な問題点といたしまして、工事を行う場合の資材、機材、こうしたものをヤードと言われるようなところにストックしておく必要があるわけですが、そこにも限界がございます。さらに、基地から各駅にこれを搬送するその輸送力にもやはりどうしても物理的な限界があるために、計画的に、グループごとと申しますか、まずは秋葉原、新御徒町、浅草駅等のグループ、次に青井、六町、それからその次という形で、駅を分けて工事を進めているところでございます。

 ただ、前回も御答弁を申し上げたとおり、二〇三〇年代の前半の運行開始に向けては変わっていないということでございます。

青山(大)分科員 分かりました。

 地元としては一日も早い八両化ということで、常に私どもは声を聞きますので、引き続き取組の方をお願いいたします。

 鉄道関連でもう一点なんですけれども、先ほどは、つくばエクスプレスを茨城に延ばして常磐線と結ぶ話というふうに言いましたけれども、まさにJR東日本の常磐線なんですけれども、これも、コロナの感染症拡大で乗客数がコロナ前に比べて四割も減ってしまったということで、特に、昨年春のダイヤの改正で非常に本数が減ってしまって、特に土浦駅から北に行く際に乗り換える必要性が出てきたりとか、ちょっとなかなか困っている声をたくさん聞いております。

 土浦から北の石岡市では、市の方で独自に、常磐線を使って東京へ通う方に対して特急の補助なんかもやっているわけでございまして、地元から、もちろん、コロナ禍で乗客数が減ってしまってダイヤを減らさざるを得ないという理由も分かるんですけれども、また回復してきた中で、再びコロナ前の水準に戻せないか、そういった声も出てきております。

 もちろん、あくまでもJR東日本の話ではございますけれども、国土交通省として、そういった声を踏まえまして、何か働きかけ等ができないかということをお伺いさせていただきます。

上原政府参考人 お答えいたします。

 列車の運行ダイヤの設定につきましては、鉄道事業者が利用状況等を勘案して適切に設定していくものだということでございます。

 議員御指摘のJR東日本の常磐線、品川、上野から水戸間におきましては、新型コロナ感染拡大の影響によりまして利用者が減少したことを受けまして、令和四年三月から、朝ラッシュ時間帯の一時間当たりの運転本数を十九本から十五本にする、日中時間帯に特別快速を一部運転取りやめとするなどのダイヤ改正が行われました。

 運行ダイヤは利用者の利便に直結する事項でございますので、JR東日本においても、ダイヤ改正による影響について、利用者の声を把握し、可能な限り改善方策を講じていくこととなるというふうに考えております。国土交通省としましても、こうした観点から、JR東日本とも意見交換を行い、必要に応じ、適切な指導助言を行ってまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 是非よろしくお願いいたします。

 次は、道路関係なんですけれども、圏央道なんですけれども、これは四車線化ということで、ずっと二〇二四年度に全線四車線化に供用化というアナウンスがあって、私も地元の皆様に聞かれたときは、二〇二四年度中には全部四車線になりますよと言っていたんですけれども、最近、何かそれがちょっと遅れているようにも聞いていますけれども、その辺の見通しについてお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道の久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクションの間において、これにつきましては、平成三十年度より、NEXCO東日本が四車線化事業を進めております。

 この区間につきましては、先生今御指摘のとおり、令和四年度の全線開通を目標に事業を実施してきたところでございますが、令和四年の三月に、この全線開通を令和七年度から八年度になる見通しとしたところでございます。

 開通予定を見直すこととなった理由でございますが、道路区域外に工事用ヤードを借地をする必要がある橋梁工事につきまして、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして借地協議に時間を要したこと、また、一部の橋梁設計業務の入札が不調となりまして契約に時間を要したことにより工事の着手が遅れたことによりまして、見直すこととなりました。

 現在、この区間におきましては、全面的に改良工事、橋梁工事を進めているところでございます。このうち、茨城県区間につきましては、令和五年三月三十一日に、境古河インターチェンジから坂東インターチェンジの七・五キロ、これの四車線化が完成したところでございます。

 国土交通省といたしましては、令和七年度から八年度の久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクション間の四車線化の全線開通に向けまして着実に整備が進められるよう、NEXCO東日本と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 なぜか工事が遅れると野党のせいにされてしまいますので、そこはしっかり一日も早く全線四車線化になるように供用化をお願いいたします。という中で、あと、同時に、私は以前から安全に対する話をしているじゃないですか。当初は、近い将来、四車線化になるということで、ああいったワイヤロープの設置も慎重だったと思うんですけれども、実際、ワイヤロープ設置等もあって、私も実際自分で運転して圏央道を使う者でして、非常に安全だと私は思っております。

 なので、ちょっと供用化も遅れていますし、引き続いてワイヤロープ、危険箇所は、設置の方はこれからも是非進めてほしいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 道路関係で、国道六号の千代田石岡バイパスについてお伺いをします。

 これは、私も今朝も通ってきたんですけれども、六号国道の土浦市中貫の交差点付近から常磐道千代田石岡インターチェンジの付近の国道、一桁の国道ですけれども、二車線で非常に混んでいて、慢性的な渋滞が発生する中で、この区間は四車線化に向けてまだ新規事業化もされていない状況でございます。

 その北側の部分の、石岡部分の方が見通しをつかないと、今言った土浦中貫から常磐道千代田石岡まではまだ事業化できないといった、これまでは答弁だったんですけれども、じゃ、逆に、どのようにすれば新規事業化に向けて採択されるのか、そのプロセスを改めて示していただけたら幸いでございます。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が、圏央道の令和四年度開通を目指したというのは、令和六年度の開通を目指していたの間違いでございます。済みませんでした。

 それでは、国道六号のお話でございますが、先生御指摘のとおり、先生がおっしゃった区間につきましては、二車線の道路に約二万九千台の車両が通行して、四か所の交差点において、朝夕の時間帯を中心に渋滞が発生しているといったことで、課題があるというふうには認識をいたしております。

 この区間を含めた茨城県内の国道六号の未整備区間につきましては、国、県から成る茨城県国道六号道路整備検討会において整備方針の検討を行っております。

 令和五年の三月に開催いたしました第六回の検討会におきましては、茨城県内の国道六号における最新の交通状況、また区間ごとの当面の進め方について、国と県で確認を行ったところでございます。

 国土交通省といたしましては、地域からの御要望をしっかりとお伺いしつつ、隣接する事業中の千代田石岡バイパス、牛久土浦バイパスなどの進捗状況も勘案して、事業の実施に向けた検討を行っていきたいというふうに思っております。

 御質問の中で、要望を行うかどうかという話よりかは、地元の協力が得られる体制になっているかというのが一つの重要なポイントかと思っております。

青山(大)分科員 分かりました。

 ちょうどこの区間は昨年夏に市長さんが新しく交代されまして、非常に前向きな市長さんに替わられたので、また改めて市長さんとも相談しながら、そういった地元の協力が得られる体制をつくって働きかけをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと五分ですので、最後、スーパーシティについてお伺いをいたします。

 昨年四月に、スーパーシティ型国家戦略特区ということで、大阪市と茨城県つくば市が採択をされて、今、様々な実証実験などが行われておりますけれども。私は、その幾つか行われている中で、高齢者などの交通弱者のラストワンマイル対策ということで、遠隔監視型の小型パーソナルモビリティーを活用した、そういったロボットの実験にとても注目をしております。

 今年の二月に一か月間、その実証実験をされたわけですけれども、そういった実証実験の結果と、また今後の展開に向けての取組、また課題について、一通りお伺いさせていただきます。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、結果概要の方でございますけれども、内閣府では、昨年度、スーパーシティの先進的サービスに関する調査事業の一つとして、つくば市の高齢化率の高い地区である宝陽台地区において、遠隔操作型のパーソナルモビリティーを活用したシェアリング型の医療サービスの実証実験を行いました。

 この調査事業は、高齢者などの交通弱者の移動手段として遠隔操作型のパーソナルモビリティーを活用する場合に、制度面、運用面でどのような課題があるかを検証することを目的としたものでございます。

 この調査事業の一環として、本年二月一日から二月二十八日にかけて実際に公道での実証実験を行い、遠隔監視室からロボットの管制プラットフォームを通じてモビリティーを監視する際の運用上の課題、あるいは、モビリティーの速度を引き上げた場合の利便性と安全性への影響などの検証を行いました。

 調査の結果といたしましては、遠隔監視による交差点や曲がり角での安全確認、それから走行ルート上の障害物や工事など、事業採算性を考慮した乗車料金の設定などについて課題が示されたところでございます。

 そこで、先生お尋ねの後段の、今後の展開あるいは課題解消に向けた取組という方でございますけれども、この遠隔操作型のパーソナルモビリティーについては、本年四月の改正道路交通法施行によりまして公道の通行が可能となりましたが、今回の実証実験の結果、示されたように、実際のサービスとして実装していくためには様々な運用上の課題があるなと考えております。

 このような課題の解消に向けては、事業者、自治体、関係行政機関などが連携して、安全かつ利便性の高い機体や遠隔監視システムの開発、モビリティーの走行しやすい道路環境の整備などに取り組んでいく必要があると考えております。

 内閣府といたしましても、今回の調査事業の結果を関係者と共有して、誰もが取り残されない包摂的な社会のモデルを目指すという、つくば市のスーパーシティの目標の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。

青山(大)分科員 なので、ちょっと私からお願いしたいのは、このつくば市の実証実験は終わったんですけれども、多分、またこれをほかの自治体でも、何自治体か、こういった高齢者や交通弱者向けの実証実験を一回きりじゃなくてできないかなという提案をさせていただきますのと、あとは、つくば市の方でスーパーシティの取組をしていますけれども、やはり住民の方にとっては、本当に私たち、自分たちの生活はどういうふうに変わっていくのかという、なかなかイメージがつかないような感じの声も聞きます。

 これは国として大きく取り組んでいますので、是非国としても住民の皆様へ、スーパーシティが進んでいくとこうなるんだよという宣伝の方も、つくば市だけに任せないで是非国の方も率先して宣伝、広報にも努めてほしいなと思いまして、時間が来たので、これは要望だけにさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

田中(英)主査代理 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田勝彦君。

    〔田中(英)主査代理退席、主査着席〕

山田(勝)分科員 立憲民主党、長崎二区の山田勝彦です。斉藤大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 石木ダムについてお伺いいたします。

 長崎県川棚町の自然豊かな蛍の里で知られる川原地区に石木ダムの建設の計画が始まり、五十年以上が経過しています。そして、今なお十三世帯の住民の方々がこの川原で暮らしています。国は、二〇一三年に事業認定し、二〇一九年に、長崎県収用委員会の決定により、土地収用法に基づき地権者の土地の所有権を国に移しました。それにより、家屋の撤去や住民の排除といった行政代執行が可能な状態になっています。

 そのような中、今年三月、先祖代々大切に受け継がれて守ってこられたこの川原地区の田畑へ土砂が搬入され、用水路が破壊されました。さらに、イノシシ用の防護柵まで撤去されました。その結果、一部の田んぼや畑で米や野菜を作ることができなくなりました。一昨日の二十二日土曜日、私は直接、川原の現地に赴き、住民の方々と対話をしました。田畑を壊す行為は生活基盤の破壊だ、私たちに耕作するなというのは生活するなと同じである、このようにおっしゃっていました。

 戦争は外交の失敗と言われます。住民の合意なき行政代執行は政治の敗北ではないでしょうか。

 一九七二年七月二十九日、当時の長崎県知事と川棚町長が石木ダム建設予定地である川棚町の三つの郷の各総代との間で取り交わした覚書が存在しています。県が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて住民と協議の上、書面による同意を受けた後、着手するものとする。しかし、この約束は果たされませんでした。

 そして、二〇二一年十月二十一日、石木ダム工事差止め訴訟控訴審判決は住民敗訴となりましたが、福岡高裁は判決文の中でこのように述べています。三郷の住民は長崎県知事を信頼し、川棚町長の協力を確信して覚書を取り交わした、そうであるにもかかわらずいまだ本件事業につき地元関係者の理解が得られるに至っていない、県を始めとする本件事業の起業者には今後も本件事業につき地元関係者の理解を得るよう努力することが求められる。

 さらに、国土交通省も、二〇一二年六月十一日、石木ダムの事業継続を認める対応方針を発表しましたが、長崎県に対して次の附帯意見を通知しました。石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する。

 現在、住民の理解が得られるどころか、不信感が高まり続けています。そこで、斉藤大臣にお伺いします。全国で、これまでの歴史上、住民が生活している土地を行政代執行したことは一例もありません。これは絶対にあってはならないことです。大臣、このような行政代執行は極めて慎重であるべきではないでしょうか。また、国は都道府県に対し、行政代執行法の手続違反がなく、地域住民の人権が尊重されるよう最大限の配慮がなされるように国は指導を行っていくべきと考えますが、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 山田委員にお答えさせていただきます。

 まず、第一点目の、行政代執行は慎重であるべきではないかという点でございますけれども、公共事業の実施に当たって、事業者はできる限り地元住民の方々の御理解と御協力を得ながら事業を進めていくことが重要であると考えております。

 一方、公共事業を円滑に実施していくことも重要です。土地収用法に基づく行政代執行は、収用委員会による明渡し裁決で示された期限までに土地や建物が引き渡されないとき等に都道府県知事が代執行を行うことができるものであると承知しております。

 事業者は一定の要件に該当する場合には行政代執行を請求することができますが、地元住民の方々の御理解と御協力を得られるよう最大限の努力をした上でこういった請求を行うことが重要であると考えております。

 なお、石木ダムにつきましては、事業を円滑に進めるため地元住民の皆様方との関係を構築することが大切であるとの考えの下、説明会や戸別訪問、生活相談も数多く開催しており、今後とも御理解と御協力が得られるよう努力していくもの、このように承知しております。

 そして、二点目の行政代執行手続の改正の要否についてでございますが、現行の行政代執行法の手続につきましては、事業者から行政代執行の請求があった場合には、都道府県知事が、土地収用法に基づく要件に該当するかどうかを確認した上で、代執行の実施について適切に判断するものと認識しております。

 したがいまして、現行規定を見直す必要性は生じていないと考えておりますが、事業者や都道府県から相談などがあれば適切に対応してまいりたいと考えております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 人権を無視した強制的な手法が行われることは決してあってはなりません。川原地区の住民の方々の思いは、権力をかざすのではなく住民側としっかり話合いをしてほしい、私たちの望みは、ここで暮らしたい、この自然を残したい。この住民の意向を最大限に踏まえた対応がなされるよう、強くお願い申し上げます。

 次に、予算についてです。長崎県の資料によると、全体事業費二百八十五億円のうち、長崎県による治水事業分が約百八十五億円、佐世保市による水道事業分が約百億円になっています。そのうち、県の治水事業分については国の補助金が二分の一、市の水道事業分には国の補助金が二分の一から三分の一を負担することになっています。つまり、国は二百八十五億円の事業費のうち国費を約百二十六億円以上投入する予定です。

 そして、今回この事業を改めて調査し、報告された数字に驚きました。令和四年度までの執行額が既に約二百三億円となっているのです。

 私は、先ほど述べたように、一昨日、二十二日土曜日に現地を視察してきました。その上で、大臣にはっきりと申し上げます。残り八十二億円の予算で石木ダムが完成することなどあり得ません、不可能です。

 現地で工事の状況を見ながら住民の皆さんに伺いました。つけ替え道路、半分もできていない、堤防などの本体工事、両岸の山がコンクリートで固められた程度で全く進んでいません。

 これは大変な問題だと思っております。二百八十五億円のうち二百三億円、予算執行率は既に七一%にも達しているのに対し、工事の進捗率は明らかに見合っていません。ましてや、当時の見積りに比べ資材コストも物価高が相当進行しています。当初事業費二百八十五億円からプラス数百億円規模の事業費がかかるのは確実ではないでしょうか。

 まず、政府参考人に伺います。長崎県の石木ダム、国が事業認定して十年が経過しようとしています。現在の工事の状況について、現地での調査やヒアリングは行っているのでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 石木ダムにつきましては、事業主体の長崎県及び利水者であります佐世保市において、過去の洪水や渇水の発生状況や、代替案の比較検討も含め、治水、利水両面の事業再評価がそれぞれ行われ、事業の継続が決定されているところでございます。

 用地の取得状況についてでございますが、石木ダムの水没予定地に居住されていた六十七世帯のうち既に八割の方が移転され、事業用地の権利は全て取得していますが、残り二割、御指摘の十三世帯の方が土地収用法の裁決の明渡し期限が過ぎた以降も収用地内で生活されているということを承知しております。

 事業主体の長崎県においては、石木ダムは治水、利水両面から必要であることから、先ほど大臣も御答弁にございましたように、事業を円滑に進めるため地元住民の皆様との関係を構築することが大切であるという考えの下で、説明会や戸別訪問、生活相談も数多く開催しておりまして、御理解や御協力が得られるよう努力していくと伺っているところでございます。

 また、一方、工事の状況につきましては、ダム本体工事として、堤体打設に先駆けた堤体上部からの基礎掘削、これを令和三年九月に着手して、併せてつけ替え道路工事等も進められていると伺っているところでございます。

 国土交通省としましては、必要に応じてヒアリング等を行いながら、引き続き技術面、財政面からの必要な支援を行っていくということでございます。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 要は、二百八十五億円の事業で本当に収まるのかという本格的な調査はなされていないということです。これは、国が事業認定し、国が所有している土地で、国が県にお墨つきを与えている事業です。よく公共工事は、小さく産んで大きく育てる、このような言われ方をしますが、こういったことは絶対にあってはならないと思います。

 そこで、斉藤大臣にお伺いします。財政民主主義の観点からも、この石木ダム建設事業、改めて現実的な総事業費を積算し直すべきだと考えます。大臣、答えは現場にあります。まずは国交省の担当者を早急に現地に派遣していただき、実態調査を行い、一体あと幾ら事業費がかかるのか、国も改めて把握すべきではないでしょうか。大臣、これは政治決断です。大臣にお伺いしているんです。現地に国交省の担当者を派遣して調査し、総事業費が幾らかかるのか改めて調査すべきだということを大臣にお伺いしています。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど政府参考人が答弁したとおり、事業主体の長崎県におきまして、石木ダムは治水、利水両面から必要であることから、事業を円滑に進めるため地元住民の皆様方との関係を構築することが大切であるとの考えの下、説明会や戸別訪問、生活相談も数多く開催しており、御理解と御協力を得られるよう努力していくと伺っております。

 国土交通省としては、必要に応じまして事業主体である長崎県等からもヒアリングなどを行いながら、引き続き技術面、財政面から必要な支援をしてまいりたいと思っております。

山田(勝)分科員 答えていただいていないんですが、二百八十五億円で本当に収まる事業なのか、現場でしっかりと、国も責任を持って、長崎県と改めて、本当に事業費が、あと幾ら私たちの税金がかかるのかしっかり調査して、全体の事業費を把握した上で、改めて受益者負担のある佐世保市議会や長崎県議会での議論が必要だと思っております。今の人口減少の時代に自然環境を壊してまで本当にこの石木ダムが必要なのか、その公共性についても改めて議論を行うべきであると強く訴え、次のテーマに移らせていただきます。引き続きこの問題は大臣と議論させていただければと思います。

 離島振興法についてです。昨年十一月、離島振興法が与野党全会一致で成立し、今年四月から施行されました。離島は、我が国の領土、領海、領空、排他的経済水域などの保全といった国家的役割があります。しかしながら、離島は急速な人口減少により過疎、高齢化が進み、各地域で限界集落となり、存続の危機を迎えている島が多数存在しています。

 今国会で防衛増税が議論されていますが、国境の島には我が国の領土、領海を守る重要な役割があります。島に人が住み続けてもらうことが何よりもの国防であるとも思っております。しかし、国交省の離島振興の予算は数十年前に比べ大幅に減少され続けています。一体なぜでしょうか、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省に一括計上している離島振興に係る公共事業関係費につきましては、委員御指摘のとおり、平成十五年度は約千三百十億円だったところ、令和五年度は約三百七十七億円となっており、約九百三十三億円の減少となっています。

 その理由としては、全国の公共事業全体が平成二十三年度にかけて大きく落ち込んでいることに加え、特に離島地域において架橋事業や主要道路の改築、重要港湾や漁港等の改修が完了したことなどが考えられます。

 一方、平成二十五年度以降は、離島振興に係る公共事業関係費は当初と補正予算を合わせて約五百億円前後で推移しているほか、非公共事業である離島活性化交付金も創設し、ソフト事業も強化するなど、地方公共団体の御要望も踏まえながら離島振興に必要な予算の確保に、ソフトとハードの両面にわたって確保に努めているところでございます。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 今大臣が言われたとおり、昭和の高度経済成長の時代に比べて公共工事の需要が島で減っていった、一定程度社会インフラが整ってきたという背景があろうかと思いますが、だからといって、離島振興の予算が減り続ければ人口減少は止まりません。

 十年前、離島振興法の改正が、民主党政権時に画期的な法改正がなされました。離島振興法十九条で、離島振興対策実施地域の振興に必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。つまり、島の人たちはハンディキャップがあります、どうしても物価が高い、そこで優遇税制を可能とする法案ができたのです。十年前の改正から現在に至るまで、全国の島でこの十九条を活用した離島振興策はどの程度実績があるんでしょうか、お答えください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 離島振興法第十九条におきましては、委員御指摘のとおり、租税特別措置法等の定めるところにより離島振興対策実施地域の振興に必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとするとされております。

 このため、離島地域内の民間事業者による設備投資を促進し、雇用の場を創出することによって定住人口の確保を図るため、製造業その他指定業種の事業者の方が設備投資を行った際に割増し償却を認める税制特例措置を講じております。

 本税制特例につきましては、関係都道県への調査により確認したところ、平成二十五年度から令和三年度までに三十八件の適用があり、これにより新たな雇用の創出につながっているところというふうに承知をしております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。十年間で全国で三十八件の適用、正直言ってかなり少ないと思います。

 十九条を活用した優遇税制なんですが、一番のハンデは先ほど言ったように物価高、島の物価高対策をどう行うかが重要だ、そのように思っております。事前に国交省の担当者の方ともお話ししたところ、国交省の離島振興を担当される部署では、これから島と本土がどの程度物価の違いがあるのか本格的な調査をなされるという前向きなお話もいただきました。大変重要なことですので、是非進めていただきたいと思います。

 その上で、私が、新たな離島振興策としてこの十九条を活用して、どうしても提案させていただきたいことがございます。

 長崎県の各島を回って多くの島民の皆さんからいただいた声は、若い人たちが残れる島にしてほしい、これが切実な声でした。今までどおりの離島振興策を続けていても、島の人口減少は止められません。本土と比べ物価が一〇%以上高いとまで言われております。

 そこで、資料を御覧ください。これは国会図書館で調査をかけたんですけれども、海外では離島振興策として消費税の減税が実施されています。そしてまた、消費税だけでなく、所得税や法人税などの優遇税制も行われております。

 私自身、離島振興法の改正において、党のプロジェクトチームの事務局次長として与野党の政策協議に参加させてもらいました。与党の議員の皆様には、多くの分野で私たち野党の提案を受け入れてくださり、大変感謝しております。しかしながら、この協議が難航したのは、私たち野党側が提案した島の消費税減税、さらに後ほどお話しします国土連続性交付金の導入でした。粘り強く交渉しましたが、条文に書き込むことはかなわず、私が国土交通委員会で読み上げた附帯決議に今後の検討事項として書き込ませていただきました。

 国会図書館の調査資料によると、離島振興法の対象の島で消費税をゼロ%にした場合にかかる財源は六百七億円と試算されました。二十年以上前の離島振興予算は千三百億円を超えており、令和四年度は四百億円弱まで下がっています。つまり、島の消費税ゼロ%を実現したとしても、以前の予算規模の枠の中に十分収まっています。

 大臣に伺います。附帯決議でも、離島の物価が本土に比べ高い傾向にある、離島振興法十九条の趣旨を踏まえ調査研究を既成概念にとらわれず行うとあります。海外で実績のあるこの離島振興策、まずは調査研究をしていただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、前段におっしゃいました離島の物価高対策についての調査ということでございますけれども、昨年の改正離島振興法の附帯決議におきまして、先ほどお話がございました離島の物価の傾向を踏まえた調査研究や支援の在り方についての検討を行うとされたことを踏まえまして、国土交通省において今年度に、離島の物価の実態の把握と、実態に基づいた有効な取組について調査を行うことを予定しております。これはきちんとやりたいと思っております。

 その上で、消費税についての御提案がございました。消費税の減免につきましては、総理がこのように答弁されております。消費税は、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から社会保障の財源として位置づけられており、このような消費税は社会保障制度を支える重要な財源であるため減税は考えておりませんということでございます。

 先ほど答弁申し上げましたとおり、離島地域の物価対策に関しては、まずは離島における物価を取り巻く状況などを分析することが必要と考えておりまして、国土交通省において、離島の物価の実態の把握や、実態に基づいた有効な取組について調査を行うことを予定しております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 その調査の結果、導き出されるのは、島の人たちの努力ではどうしようもない物価のハンデを負ってしまう。よく、楽天ショップとかで買物をしても、送料無料、ただし離島は別という記載がありますよね。これは島の皆さんが頑張っても解消できるものじゃないので、それこそ政治の力で島の物価高を消費税減税という形で解消していくことは公平だと私は主張させていただきますし、だからこそヨーロッパの各島でそういう政策が長年実施されているということを是非とも大臣に御理解いただいて、このことも御検討いただきたいと思っております。

 なぜ私が島の物価高対策にこだわるかというと、公共工事では特定の人たちにしか予算が届きません。しかし、島の消費税がゼロになれば島内消費が伸びます。島内消費が伸びれば、誰かの消費は誰かの所得、島で暮らす全ての人の所得が上がります。島内でお金が循環し、若い人たちの雇用も生まれやすくなります。島の経済政策で大切な視点はいかに島内消費を上げていくかだ、そのように思っております。

 そのためのもう一つの課題が離島航路です。私たち国民にとって道路は生活を支える最も基礎的な社会資本であり、島の皆様にとっては航路も海の国道として生活に必要不可欠です。観光振興や島への移住を進めるため、国土連続性交付金を新たに導入し、運賃の低料金化を実現したいと考え、私たち立憲民主党は他の野党の皆さんと一緒に提案をさせていただきました。

 資料を御覧ください。フランスではこのように、離島航路の料金を鉄道運賃並みに料金設定されています。

 国境離島振興法の中でも、現在の離島住民に限定した航路及び航空路の運賃割引では島外での消費を促してしまうという懸念があります。そういう声を現場でたくさん聞いてきました。島内の消費を伸ばし、離島経済の活性化を図るためには、旅行者なども対象とした航路及び航空路の運賃割引を実現し、交流人口の増加を図っていかなければなりません。現行の国境離島の島民限定の割引基準を、全国の島の皆様、そして島に来ていただく皆様も対象にしていく。

 この政策は、島で暮らす全国の皆様が求めている離島振興政策です。附帯決議でも、離島が海によって本土と隔てられている不利を補正し、離島と本土との一体性を確保する観点から交通関連事業者を支援するとあります。この国土連続性交付金を日本でも導入し、離島航路の低料金化を完全実施していく、斉藤大臣、この提案、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省としては、離島住民の足の確保、維持の観点から、事業者、地方自治体、国の協議を踏まえ、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、離島住民に対してのみ運賃の割引の支援を行っているところでございます。

 また、有人国境離島法に基づく特定有人国境離島地域に関しては、継続的な居住が可能となる環境の整備を図るため、内閣府の交付金の中で、住民向けの航路の運賃についてJR運賃並みへの引下げに対する支援を実施していると承知しております。

 離島地域の活性化のためには、離島への来訪を促す取組を進めていくことが重要であると考えております。そのため、離島活性化交付金等を用いて、観光プロモーションなどの島のPR活動や、離島ならではの特色を生かした自然体験コンテンツの造成といった、交流人口を増やす取組を支援しているところでございます。

 国土交通省としては、引き続きこうした取組を通じて離島地域の活性化に取り組んでまいりたいと思っております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 岸田政権は、五年で四十三兆円の防衛予算の拡充を掲げています。国防や安全保障は大変重要です。だからこそ、国際情勢や安全保障環境の変化において、離島振興策が、島民の皆様の暮らしを支える政策が、今とても重要な局面にあると思っております。もし離島振興予算だけで賄うのが厳しいのであれば、国防予算からも捻出することを検討すべきだと考えます。

 大臣は、議場で私が読み上げた附帯決議に対し、努力するとお答えいただきました。これまでどおりの離島振興を続けていても、繰り返しになりますが、島の人口減少は止められません。新しい、島の皆様に行き届く経済政策が必要です。今日提案させていただいた消費税減税、そして離島航路の低料金化の完全実施、これは大変重要な経済政策だと思っておりますので、是非前向きな検討を心からお願いいたしまして、時間が参りましたので、これで質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷田川主査 これにて山田勝彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、輿水恵一君。

輿水分科員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 今日は、現場からの率直な御意見をそのままいろいろな形で聞かせていただけると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 初めに、運送業の二〇二四年問題への対応につきまして伺います。

 物流は、国民生活や経済活動を支える必要不可欠なインフラでありますが、過酷な労働環境から、トラック運転手の不足が深刻な問題となっております。実際に、トラック運転手の年間労働時間は全産業の平均よりも約二割長い一方、収入は約一割低いと言われております。

 ここで、二〇二四年四月から労働時間等の上限規制が強化をされ、運転手の拘束時間は確実に抑えられることになりますが、雇用主から見れば、同じ人数の運転手では全ての輸送依頼をこなすことができなくなる、また、運転手からは、収入が減少するなど、現場には不安の声も少なくありません。

 この労働時間の上限規制への危機感を持つ企業は増えておりますけれども、具体的に対策を進めている、また、対策を検討している企業はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。このような状況の中で、物流の生産性を高め、収入を増やすための物流の総体的かつ効果的な改革が必要であると思います。

 まずは、荷主と消費者の意識改革が必要であると思います。特に、荷主においては、物流部門の責任者だけではなく、経営者層が先頭に立って、事業の全体から荷待ち時間や積卸し時間などの改革を進めることも必要かと考えますけれども、当局の認識についてお聞かせ願えますでしょうか。

鶴田政府参考人 お答えします。

 トラックドライバーの労働環境は、御指摘ありましたように、全産業と比較して労働時間が長くて賃金が低いことから、その担い手不足が物流全体にとっての課題でありまして、荷待ち時間や契約外の荷役作業、これらの削減によって労働条件を改善することが急務と認識してございます。

 これまで、国土交通省として、長時間の荷待ち等につきまして、荷主等に対する働きかけや要請などの措置を講じてまいりましたが、いわゆる二〇二四年問題を目前に控えて、今後は対策を抜本的に強化する必要があると考えております。

 その中で、トラックドライバーの拘束時間の軽減につきましても、御指摘のあった、荷主、特に経営者層ですとか消費者の意識改革、行動変容につながるように、関係省庁と連携して検討を進めてまいります。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 そして、最近では、発注した翌日に納品するのが事実上の標準になりつつあります。翌々日の納品となれば、夜間のトラックへの積込み作業は不要となります。また、発送元では発注量が確定してから車両の手配ができるので、実車率あるいは積載率を高めることもできると思います。

 翌日配達、翌日納品が事実上の標準化になりつつある現状を変えることも必要かと思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

鶴田政府参考人 委員御指摘のとおり、発注から納品までのリードタイムを延長すること、これは積載率向上等に効果があり、また、そのためには、荷主や消費者の方々の御理解と御協力が重要と認識してございます。

 このため、先月の関係閣僚会議における岸田総理からの指示を受けまして、現在、リードタイム延長など、商慣行の見直しを含めまして、関係省庁と連携して検討を進めております。

 国土交通省といたしましては、六月上旬を目途に閣僚レベルで取りまとめる政策パッケージに実効性ある具体策を盛り込めるよう取り組んでまいります。

輿水分科員 どうもありがとうございます。是非検討を進めていただければと思います。

 この物流業界なんですけれども、中小事業者が全体の九九%を占めると言われている中で、荷主や大手との交渉でガソリン代や人件費の上昇分を運賃に転嫁するのがなかなか容易ではない、このように伺っております。

 国土交通省では、二〇二〇年に交渉の参考として標準的な運賃を示して価格転嫁を後押ししていますが、その効果についての御認識をお聞かせ願えますでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和二年四月に国土交通省が標準的な運賃を告示したところでございますが、令和三年度末に国土交通省が実施したアンケート調査によれば、約半数の事業者が標準的な運賃を用いて運賃交渉を行ったとの結果が出ており、荷主との交渉手段として、告示発出後二年の間に一定の成果が出ているものと考えております。

 一方、標準的な運賃を用いた交渉の結果、荷主から一定の理解を得られたのはこのうち約三割にとどまったとの結果も出ており、取組はまだ道半ばであると考えております。

 現在、荷主団体もメンバーとする取引環境・労働時間改善のための協議会など、あらゆる機会を通じて荷主等に対して適正な運賃の収受への理解と協力を呼びかけておりますが、標準的な運賃が一層活用されるよう、関係省庁、産業界と緊密に連携し、取り組んでまいります。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 まさに、標準的な運賃、なかなか前に進むようで進まないような現実があると思うんですけれども、今後は、運送事業者の車両の種類や保有台数に対する整備体制、あるいは運転手の体調等の管理体制など、安全で安心な運行を担保するための基準の見直しや、ICT、情報通信技術等を活用して、その実態の監視や監督をより厳格に行うことを前提に、標準的な運賃を、標準運賃、いわゆる公定価格化することも必要なのかな、このように思います。

 さらに、荷待ち時間や納品時間についても適時適切に情報を収集し、是正を図るなど、国土交通省が責任を持ってドライバーの労働環境の改善に取り組むべきと考えますが、斉藤国土交通大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、最初の、安全な運行管理、整備管理の体制整備についてでございますが、民間の適正化事業実施機関と連携をして、輸送の安全確保のため、重大な法令違反の疑いのある運送事業者に対する監査の重点化を進めているところでございまして、この点については民間と協力しながらしっかりやっていきたいと思います。

 そして、二点目の、標準的な運賃を公定価格としたらどうかという非常に大胆な御提案でございますけれども、運賃等は、これは一般の方の社会的な生活、公共料金にも準ずるものでございます。トラックの輸送料というのは、ある意味でBツーBの民民の話でもございます。これを公定価格化するというのには非常に大きな障壁があると思いますが、それに準じて、我々、標準価格制度というものを示させていただきました。これをもっと本当に、発注者、荷主に対してしっかりこの制度を訴えていきたい、このように思っております。

 加えまして、長時間の荷待ちや、運賃・料金の不当な据置き等の適正取引の阻害行為が疑われる荷主等に対しては、働きかけや要請等の是正措置を講じているところでございます。

 さらに、先ほど来答弁させていただいておりますが、先月、関係閣僚会議において総理から、六月上旬を目途とした政策パッケージ取りまとめの指示がございました。この政策パッケージの中に、委員御指摘の適正な運賃収受や労働環境改善の方策を含む実効性のある具体策を盛り込めるよう、スピード感を持って関係省庁と議論を深めてまいりたいと思います。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 公定価格化というちょっと大胆な発言なんですけれども、これは現場の社長さんが、ドライバーが不足しているんだけれども、きちっとした、適正な、最低限の経費とかあるいは運行のための費用が保障されているという、まずその前提であればドライバーは集められる、その上で、更にその上に新しいサービスとか付加価値を追加しながら、業態をどんどん改善していくことによって、この業界自体が、更にいろいろ自分で考えて動ける業界になる、誇りを持って働ける、そういった環境がつくれる、そういった部分で、もう是非という御要望をいただきまして、また是非御検討を様々な形でいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、建設業の二〇二四年問題への対応につきまして伺います。

 建設業は、製造業やその他の産業と比較して、年間実労働時間、また年間出勤日数が共に高く、長時間労働が常態化しているというのが実情だと伺っております。

 このような中で、二〇二四年四月から、建設業においても、時間外労働時間と休息時間とを合計した拘束時間の上限規制が強化され、運送業と同じく、事業者の方からは、発注者からの依頼をなかなか受けにくくなってくる、また、労働者からは、収入も減少する、そういった可能性も出てくるという声もある。

 ここで、建設業というのは、品質、コスト、工期の厳守が大前提となっている。物づくりの産業でありながら、工場と違い、屋外での作業であり、不安定な環境の中での作業のために、この品質、コスト、工期の三点がなかなか流動的になっている。例えば、冬の降雪、夏の台風などにより作業環境が大きく左右される、そのような悪条件下では様々な物事が予定どおりにいかない、そういった現実がございます。

 そこで、官民問わず、夏の暑い時期でいえば、例えば三十五度以上が続いた場合、また、台風、降雪等により安全が著しく損なわれる悪条件の期間が発生した場合は、工期の緩和など、柔軟に対応できる労働環境の整備も必要かと思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 長時間労働の是正のためには、先生御指摘のように、自然要因も考慮して適切に工期設定を行うことが重要と考えております。

 令和二年七月に中央建設業審議会が作成、勧告した工期に関する基準におきましては、工期全般にわたって考慮すべき事項として自然要因を掲げておりまして、公共工事、民間工事を問わず、工期の設定に当たっては、自然要因によって作業が制限される期間を考慮するように周知徹底を図っているところでございます。

 特に、国土交通省の直轄土木工事におきましては、工期設定指針というものを令和二年三月に作成し、適正な工期設定に取り組んでいるところであります。

 その指針には、降雨や降雪、暴風などの天候などによって作業不能日を設定しているところではありますが、令和五年三月からは、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、新たに猛暑日というものを考慮し工期を設定するよう、指針を改定したところでございます。

 引き続き、このような考え方を周知しながら、適正な工期設定に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 国土交通省は、建設業の長時間労働の常態化、あるいは人手不足の深刻化、さらに後継者問題等の建設業が抱える問題を解決すべく、労働時間の管理やキャリアアップシステム、さらにIoT、物のインターネット、ICT、情報通信技術の導入など、具体的な対策を提示、推進していると思いますけれども、その進捗状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業におきまして、先生も御指摘ございましたように、時間外労働の上限規制の適用が来年四月に迫るといった中、実効性のある働き方改革を強力に推進することが急務であると考えております。さらに、建設業におきましては、若手の入職を促進し、将来の担い手の確保、育成を図るといったことも非常に重要な課題であります。

 このような認識の下で、まず一点目として、働き方改革を進めるための取組としましては、先ほどもちょっと御答弁しましたけれども、工期の適正化によって週休二日をしっかり実現できるような取組、そして、生産性を向上させる取組として、建設プロセス全体におけるICTの活用や、インフラ分野でのDXの活用、さらに、処遇改善に向けた取組としまして、公共工事の設計労務単価を十一年連続で引き上げてきましたが、そうした賃金水準の引上げや建設キャリアアップの普及促進などに取り組んでいるところであります。

 建設業の労働時間は産業全体と比較しますと年間約九十時間ほど今も長いという傾向にございますが、大きな傾向としては、年々減少してきているものと認識しております。

 また、休日の確保といった点につきましても他産業に比べて遅れておりますけれども、国土交通省の直轄土木工事では、原則全ての工事を対象として、週休二日を確保できるように実施しているところでありまして、今後、そうした取組を地方公共団体にも広げてまいりたいと考えております。

 国土交通省としては、関係業界などと連携しながら、建設業の働き方改革や担い手確保に向けて、しっかり取組を進めてまいりたいと考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。是非しっかりと取組を進めていただければと思います。

 ここで、細かい話になるんですけれども、重機等のオペレーターが確保できないと、建設現場に搬入する重機が、予定していた数がそろわない事態が発生し、その結果、現場の工期が延び、経費の増額や作業計画の変更など、大きな混乱が生じることもあるそうでございます。建設業の現場では、重機のオペレーターや、労働者の人数や、工事計画の変更等、不安定な要素が多いことから、労働時間や日数の上限を規制することと工期を守ることは現状では非常に困難である、そういった状況にあるとも伺っております。

 先ほど、天候への丁寧な対応というお話もいただいたんですけれども、特に建設業の課題である適切な工期設定には、請負業務の内容に対する現場ごとの労働者等の延べ人数とか労働時間の把握、さらに気象状況やその他のトラブル等を適切に掌握しながら、現場の実態や状況の変化に応じた工期の再設定の仕組みを構築することも有意義かと思いますけれども、斉藤国土交通大臣の御見解をお聞かせ願えますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 請負契約の締結に当たりましては、適正に工期を設定するとともに、契約後に工期変更が生じないよう工事の全体調整を適切に行うことが重要でございます。関係者との調整に時間を要した場合や天災等の影響を受けた場合など、当初契約時の工期では施工できない場合には、工期の延長等を含め、適切に契約条件の変更などを受発注者間で協議すべきと考えております。

 国土交通省直轄土木工事におきましては、適切な工期設定のための指針を定めており、著しい悪天候や気象状況、その他工程に影響が生じる場合には、適切に工期の変更を検討することとしております。

 引き続き、こうした考え方について関係者に周知徹底を図り、適正な工期の確保に向けた取組を進めていきたいと思っております。

輿水分科員 先ほどの運送業も建設業も、私たちの生活を支えている大切な、大事な仕事であると思います。労働される方が、賃金と休暇だけでは測れない、仕事へのやりがいや達成感、また、仕事を通した社会への貢献といった視点を忘れてはいけないと思います。また、時間外労働の上限規制による収入減に伴い副業を選択せざるを得ないような状況も回避しなければいけないと思っております。

 まさに、運送や建設は、私たちの社会を支えている主役と言ってもよいと思います。その皆様が安心して、そして誇りを持って働ける、そんな現場を構築していただきたいと思います。

 先ほどの運送の話なんですけれども、とにかく、なかなか賃金が上げられないというか、運送料が得られないと、どこを、何を削るか、そういう形で、安全面にも非常に支障を来す可能性もある。また、非常に厳しい、そういった会社については監視を強化しているというふうに言われましたけれども、まさに、監視を強化するとしても、そこにはやはり人手がないとできない。

 そういった中で、例えば、運行管理なんかを、人手でやるというよりは、画像とか遠隔で確認するとか、画像を録画するとか、人がいなくてもそういったことをきちっとできるような、そういった形も整えていただきながら、真面目にしっかりと安全でやろうとしているところが適切な運賃をいただいて、そして存続ができるような、そういった環境は是非検討をしていただきたいし、進めていただきたいと思います。

 そういうことをしっかりと積み重ねて、そして、経費が明確になってくれば最低限の必要な運賃というのは見えてくるので、先ほど公定価格というお話はさせていただいたんですけれども、それ以前に、そういったきちっとやるべきことをきちっとやっていることを、全てのそういった事業者さんがやるようになれば、自然と運賃も一定以上でなければいけないということになります。その先は、また新たな、努力とかサービスの展開で付加価値が上げられる、そういう健全で、また夢のある、そういった業界に何とかしていただければと思います。

 そして、将来、今のようにいろいろなお店に行ったときに棚がすかすかじゃなくて、しっかり物がある、そういった社会を守っていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、航空保安検査の体制整備について伺います。

 同僚議員からも伺ったんですけれども、現在、福岡空港の保安検査は長蛇の列となっていて、長いときには一時間以上もかかるということでございました。今後、インバウンドも増えていく中で、保安検査では更なる混雑も予想されるところでございます。

 このように、空港利用者の増加が予想される中で、警備を担う警備会社の話では、委託料が低く抑えられてしまってこれ以上保安検査員を増やすことができない、そういったお声も伺いました。

 この保安検査場が混雑している原因の一つとして保安検査員の不足があると考えられますが、国土交通省の認識と、保安検査の人員の適切な確保に向けての取組の状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 空港におけます保安検査員につきましては、コロナ禍前と比較しまして人員が約二割減少するなど、現在、人手不足に直面しているというふうに認識をしております。

 この課題の解決には、地方自治体でありますとか空港関係事業者など、地域の関係者が総力を挙げて取り組むことが不可欠であると思っております。

 このため、国土交通省におきましては、空港ごとにワーキンググループを設置し、関係者一丸となって人材確保、育成、そして効率的な運用に取り組むということを推進をしているところでございます。

 これらの取組を後押しするために、昨年度、令和四年度の補正予算では、採用活動でありますとか業務効率化等の支援というものを実施をしておりまして、これによりまして、例えば空港関係事業者による合同の就職セミナーなど、そのような新たな取組というものも進んできているところだと認識をしてございます。

 さらに、今年の二月には、空港業務全体を対象としました初の有識者会議を国交省におきまして設置をいたしまして、空港関係者から実態を伺いながら、空港業務の持続的発展に向けた取組方針の検討を現在進めているところでございます。

 引き続き、自治体を含む関係者と密に連携を取りながら、空港で必要な人材の確保や生産性の向上に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 様々、いろいろな形で取り組んでいただいている、そういった状況でございます。

 ここで、保安検査について、我が国では航空会社が実施主体となっている。海外では国や空港管理会社である場合が多いということで、日本のような航空会社が実施主体となっている国はほとんどない、このように伺っております。経営環境に左右される航空会社が実施主体となっていることで委託料等が低く抑えられる、そういったことにもなっているのではないか。結果として、保安検査員の人員の確保が難しくなっていることも考えられる。

 そこで、空港の保安検査の実施主体を国や空港管理会社に変更することが必要と考えますけれども、国土交通省の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 委員おっしゃいましたように、現在の保安検査の実施主体についてお話し申し上げさせていただきますと、現在、我が国におきましては、旅客に対する保安検査は航空会社が行うこととなっておりまして、実際の保安検査業務は航空会社から委託を受けた検査会社が実施しているところでございます。

 昨年三月に施行されました改正航空法におきましては、航空機の搭乗前に保安検査を受けることの義務づけ等の措置がなされまして、その際の法案の国会審議におけます附帯決議におきましては、保安検査における役割分担の見直しについて、諸外国との比較を十分に行い、期間を定めて検討を行うことなどとされているところでございます。

 こういったことから、航空局におきましては、諸外国の制度における現状というものを調査をしておりまして、主要国におけます関係者の役割分担やそれに付随する費用負担の在り方などの内容につきましても明らかになりつつあるところでございまして、我が国のように航空会社が主体的にやっているというのはなかなか例がないという状況も明らかになりつつあるところでございます。

 検査の実施主体の見直しにつきましては、諸外国の整理を踏まえまして、また、関係者のコンセンサスが得られますように、現在、航空保安に関する有識者会議というものを設置しておりまして、そこにおきまして議論を進めているところでございます。

 早期に今後の方向性を打ち出していきたいというふうに考えております。

 以上です。

輿水分科員 是非検討していただければと思います。

 入るときに、それぞれの航空会社別だとそうやって別々になるので、空港になるとそこの差別がなくて入れるとか、あるいは、協力して人の流動的な活用もできる、そういう利便性もあるかと思います。

 一方で、航空会社と空港会社、空の便の運航の定時性とかそういったものをうまく連携を取っていただきながら、より適切に、また効率的にそういった保安管理、保安検査が進められるように期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今日は、様々な現場の課題につきましていろいろ御質問させていただきましたが、どうか安全で安心な、そういった地域社会の構築に向けて、また一層の御尽力を賜りますように心よりお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 大変にありがとうございました。

谷田川主査 これにて輿水恵一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時三十一分散会


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