衆議院

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第3号 平成28年12月12日(月曜日)

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平成二十八年十二月十二日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 後藤田正純君 理事 瀬戸 隆一君

   理事 田畑 裕明君 理事 武田 良太君

   理事 山際大志郎君 理事 石関 貴史君

   理事 松田 直久君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      浅尾慶一郎君    遠藤 利明君

      加藤 鮎子君    勝沼 栄明君

      神田 憲次君    木村 太郎君

      木村 弥生君    河野 太郎君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      鈴木 馨祐君    園田 博之君

      田中 英之君    中山 展宏君

      牧原 秀樹君    村上誠一郎君

      八木 哲也君    簗  和生君

      青柳陽一郎君    柿沢 未途君

      篠原  豪君    寺田  学君

      松木けんこう君    石田 祝稔君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      木下 智彦君    中村喜四郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学副大臣      水落 敏栄君

   会計検査院事務総局次長  桜田  桂君

   会計検査院事務総局第四局長            寺沢  剛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  芦立  訓君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡西 康博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  富山 一成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  石田 高久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 進藤 秀夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木原亜紀生君

   決算行政監視委員会専門員 塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  甘利  明君     中山 展宏君

  河村 建夫君     勝沼 栄明君

  西川 公也君     簗  和生君

  西村智奈美君     寺田  学君

  馬淵 澄夫君     柿沢 未途君

  穀田 恵二君     宮本 岳志君

  松浪 健太君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     河村 建夫君

  中山 展宏君     甘利  明君

  簗  和生君     西川 公也君

  柿沢 未途君     馬淵 澄夫君

  寺田  学君     西村智奈美君

  宮本 岳志君     穀田 恵二君

  木下 智彦君     松浪 健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件(二○二○年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けた政府の取組み)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件、特に二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けた政府の取組みについて調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官芦立訓君、内閣官房内閣審議官岡西康博君、内閣官房内閣審議官多田健一郎君、内閣官房内閣審議官富山一成君、内閣官房内閣審議官石田高久君、内閣府大臣官房審議官進藤秀夫君、文部科学省高等教育局長常盤豊君、スポーツ庁次長高橋道和君及び国土交通省大臣官房審議官木原亜紀生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより政府から順次説明を聴取いたします。丸川東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣。

丸川国務大臣 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を担当する国務大臣として、東京大会の成功に向けた取り組みについて御説明いたします。

 二〇二〇年東京大会の開催まで四年を切った今、大会の成功に向けては、開催都市である東京都や大会組織委員会等と密に情報を共有、連携しつつ、それぞれの役割をしっかり果たし、着実に取り組みを進めていく必要があります。昨年十一月に閣議決定した基本方針において定義した役割分担では、組織委員会が大会の計画、運営及び実行に責任を持ち、東京都は、組織委員会の行う大会準備を全面的にバックアップすることとなっております。また、政府においては各府省庁の関連施策を一体として確実に実行し、オール・ジャパンでの取り組みを推進するために必要な措置を講じてまいります。

 以下では、基本方針に基づき政府が果たすべき役割を踏まえた取り組みについて御説明いたします。

 東京大会を日本全体で盛り上げ、世界じゅうの人々が夢と希望を分かち合える歴史に残る大会とするとともに、東日本大震災の被災地が見事に復興をなし遂げた姿を世界の皆様に見ていただき、被災地の皆様が未来への希望を感じることができる、意義深い大会にしたいと考えております。震災復興の後押しとなるよう、被災地を駆け抜ける聖火リレー、被災地での大会イベントの開催や事前キャンプの実施等について取り組みを進めてまいります。

 東京大会の成功の鍵はパラリンピックの成功であると認識をしており、過去最高の環境を整え、世界じゅうの障害者の皆様に夢を抱いていただける大会としなければなりません。大会を契機として、ユニバーサルデザインに基づく町づくりと教育などを通じた心のバリアフリーを全国的に展開し、共生社会の実現を目指してまいります。

 海外におけるテロ事件の発生により、テロ情勢は非常に厳しい状況となっております。また、サイバー攻撃の脅威は深刻化しております。防災などの安全、安心対策も重要です。東京大会の成功のためには、セキュリティーの万全が必須であることから、重層的で徹底したセキュリティー対策を推進してまいります。

 また、輸送の円滑化、外国人旅行者の受け入れの推進などのため、関係大臣等と連携協力し、オール・ジャパンで大会成功に向けて施策を着実に進めてまいります。

 東京大会はスポーツの祭典のみならず文化の祭典でもあることから、二〇二〇年以降を見据え、課題抽出に向けた調査を実施するとともに、レガシー創出に資する文化プログラムをビヨンド二〇二〇プログラムとして、全国に展開してまいります。

 また、東京大会には多くの外国人が訪日することが見込まれることから、これを契機として、日本の魅力を発信するため、選手村における日本食の提供や、競技会場における木材利用の推進などに取り組んでまいります。

 東京大会を日本全体の祭典とするため、大会参加国・地域と人的、文化的、経済的交流を行い、地域活性化や観光振興等につなげようとする地方公共団体をホストタウンとして登録し、支援いたします。

 また、東京大会のために来訪する外国人や障害者の選手や観光客等におもてなしを行うボランティアについては、東京都や大会組織委員会等と連携しながら検討を進めてまいります。

 東京大会は暑さが厳しい時期に開催されるため、アスリート、観客が過ごしやすい環境を整備することは極めて重要となります。ソフト、ハード両面にわたり、しっかりとした対策を講じてまいります。

 受動喫煙防止については、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を関係大臣と連携しつつ強化してまいります。

 新国立競技場については、昨年八月に策定した新国立競技場の整備計画に基づき、世界の人々に感動を与える場となるよう、二〇一九年十一月の完成を目指して、着実に整備プロセスを進めてまいります。

 二〇二〇年東京大会を国民に祝福される大会とするためには、大会開催経費の抑制も重要です。東京都、大会組織委員会、国及びIOCによる四者協議への参加等を通じ、政府としても大会開催経費の抑制に協力してまいります。あわせて、政府の取り組みにつきましても、効率的、効果的な実行を通じ、コストをできる限り抑制するとともに、オープンなプロセスによる意思決定や関連施策の進捗と効果の点検などを通じ、国民の皆様から御理解が得られるよう、しっかりと取り組んでまいります。

玄葉委員長 次に、水落文部科学副大臣。

水落副大臣 文部科学副大臣を拝命しております水落敏栄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、お手元の資料「二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係予算(文部科学省分)」について御説明を申し上げます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係予算につきましては、内閣官房がその範囲を定めておりまして、予算を所管する各省庁が、大会運営または同大会の開催機運の醸成や成功に直接資すること、及び大会開催を前提に、新たに、または追加的に講じる施策であることとして整理した予算とされております。

 そのうち文部科学省分といたしましては、平成二十八年度当初予算及び平成二十八年度第二次補正予算において、メダル獲得へ向けた競技力の強化、大会開催機運の醸成、新国立競技場の整備といった予算を計上しております。

 初めに、メダル獲得へ向けた競技力の強化に関する事業について説明いたします。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を初めとした国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と感動を与えるものであり、選手の強化、育成など我が国の国際競技力の向上に取り組むことは大変重要であると考えております。

 主な事業といたしましては、平成二十八年度当初予算においては、各競技団体が行う日常的、継続的な選手強化活動を支援するとともに、二〇二〇年東京大会で活躍が期待される次世代アスリートの発掘、育成などの戦略的な選手強化を行う競技力向上事業に八十七億円を計上しております。

 また、メダル獲得が期待される競技をターゲットとして、アスリート支援や研究開発について、多方面から専門的かつ高度な支援を戦略的、包括的に実施するハイパフォーマンスサポート事業に三十五億二千八百万円を計上しております。

 さらに、我が国のトップレベル競技者がトレーニングを行うための拠点施設であるナショナルトレーニングセンター、NTCのオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化等による機能強化を図るため、NTCの拡充整備に係る予算として、平成二十八年度当初予算においては二億円、平成二十八年度第二次補正予算においては二十四億六百万円を計上しております。

 次に、大会開催機運の醸成に関する事業についてでありますが、東京大会の効果を全国津々浦々に行き渡らせるとともに、大会の開催に向けて国内外の開催機運の醸成を図ることは、大会の成功のために極めて重要と考えているところです。

 具体的には、世界の国々との交流、協力関係を築きながら、スポーツの価値をさらに高めようとする国際的な取り組みに貢献するため、スポーツを通じた国際協力及び交流、国際スポーツ人材育成拠点の構築、国際的なアンチドーピング推進の強化支援を行うとともに、日本全国へオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを波及させるための取り組みであるスポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラムに十二億一千四百万円を計上しております。

 また、本年十月に、IOCバッハ会長、IPCクレーブン会長等も御参加いただき、二〇二〇年東京大会の開催に向けて国内外の機運の醸成を図るため、スポーツや文化による国際貢献や有形無形のレガシー等について議論、情報発信を行ったスポーツ・文化・ワールド・フォーラムの開催に五億百万円を計上しております。

 最後に、新国立競技場の整備についてでございます。

 昨年十二月の関係閣僚会議において決定された財源スキームに基づく国の負担分として、百二十五億円を独立行政法人日本スポーツ振興センターに出資いたしました。なお、この財源は、スポーツ振興基金の有効活用を図る旨の会計検査院の指摘を踏まえて、その一部を国庫納付したものであります。今後とも、二〇二〇年東京大会に間に合うよう、工期を守り着実に整備を進めてまいります。

 以上であります。

玄葉委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより質疑に入ります。

 本日は、理事会の協議に基づきまして、まず、私から総括的に質疑を行った後、各会派を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、まず、私から質疑をさせていただきます。

 まず、大会の運営体制についてお伺いをいたします。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会においては、開催都市は東京都であり、大会組織委員会が大会の準備及び運営に関する事業を行い、国はこれに対し協力、支援を行うこととなっておりますが、この三者間の役割分担や権限が必ずしも明確ではなく、大会準備の全体を取り仕切る司令塔がはっきりしないなどの指摘もあります。

 そこで、お伺いいたします。

 東京都、組織委員会及び国のそれぞれの役割、権限はどのようになっており、相互の意見調整はどのように行い、誰が最終的に決定するのでしょうか。

 また、大会の準備及び運営における特に重要な事項について調整するために調整会議が設置されていますが、調整会議ではどのように意思決定が行われているのでしょうか。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 東京オリンピック・パラリンピックは、東京都とJOCがIOCとの民事上の契約に基づいて開催する大会でございまして、東京都が開催都市として一義的な責任を負っています。したがって、国は大会の契約の当事者ではございません。

 その上で、東京都と組織委員会との協議を経て昨年十一月に閣議決定した基本方針においては、大会の成功に向けた三者の役割が次のように整理をされております。

 大会組織委員会は、大会の運営主体として、大会の計画、運営及び実行に責任を持つ。東京都は、開催都市として、大会組織委員会の行う大会準備を全面的にバックアップするとともに、外国人受け入れ体制の整備、開催機運の醸成等に取り組む。国は、大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、各府省に分掌されている関連施策を一体として確実に実行するとともに、大会組織委員会、東京都及び競技会場が所在する地方公共団体と密接な連携を図り、オール・ジャパンでの取り組みを推進するため、必要な措置を講ずる。

 こうした役割のもとで、国としては、開催都市である東京都と大会の運営主体である組織委員会の取り組みをしっかりバックアップしていく所存であり、これまでも、東京オリンピック・パラリンピック調整会議などさまざまな場において、東京都、組織委員会を初めとする関係者と意思疎通を図ってきたところです。

 今後とも、連携をより一層密にして、それぞれの役割を確実に果たせるよう、取り組んでまいりたいと存じます。

 そして、調整会議についてですが、まず調整会議の参加メンバーです。松野文部科学大臣、小池東京都知事、森大会組織委員会会長、竹田JOC会長、鳥原JPC会長、そして私、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣という六名で構成をされております。二〇二〇年東京大会の準備及び運営における特に重要な事項について、この構成メンバーによる調整を図り、意思決定を行っております。

 先日のコーツIOC調整委員長、小池都知事、森組織委員会会長、私による四者協議において武藤事務総長から御提案がありまして、この調整会議について、事務局機能をより強化することでガバナンスを強化したいということでございまして、私どもも、このことには同意をしております。

 東京大会の成功に向けて、この調整会議のガバナンスをしっかり強化して、連携をしてまいりたいと存じます。

玄葉委員長 次に、大会の開催費用についてお伺いをいたします。

 立候補ファイルでは、組織委員会が仮設施設等に係る経費を、東京都が恒久施設等に係る経費を、国が新国立競技場及び税関、入国管理等の公的サービスに係る経費をそれぞれ分担し、また、組織委員会が資金不足に陥り、東京都がこれを補填し切れなかった場合には、最終的に国が補填することとされています。そして、立候補ファイルでは、大会の開催費用が七千三百四十億円とされていたところ、IOCを加えた四者協議後には、組織委員会は開催費用の上限を二兆円とするとしており、大幅に経費が増加する見込みです。

 そこで、お伺いいたします。

 立候補ファイルにおける国が負担する経費の具体的内容はどのようなもので、負担額は幾らなのでしょうか。また、上限を二兆円とされた現時点での国の負担見込み額はどのくらいなのでしょうか。

 また、東京都は、本年九月の調査報告書において、組織委員会が費用負担することとなっている仮設施設のうち他の自治体に立地するものは現地自治体と国が負担することに言及をしておりますが、このように国や他の自治体が追加的に負担することを求められた場合、国はそれに応じるのでしょうか。政府の見解を伺います。

丸川国務大臣 東京都が作成をいたしました立候補ファイルには、大会開催に係る経費として、大会組織委員会の予算が三千十三億円、それ以外の主体、つまり東京都、国、民間の予算が四千三百二十七億円で、合計で七千三百四十億円と記載をされております。

 この予算は、過去の国際競技大会を踏まえ、概算で計上されたものでありますが、少なくとも次の二つの経費については国費の充当が想定されていたと承知をしております。一つは新国立競技場の整備予算であり、一千三百億円でございます。もう一つが税関、入国管理に係る経費でございまして、三億二千九百万円でございます。

 一方、十一月二十九日の四者協議において、組織委員会が大会経費の現時点の試算として二兆円をお示しになりましたが、競技会場がこれから最終決定をいたします。加えて、IOCからさらなる削減努力の要請がございました。これらのことを踏まえて、現在、組織委員会が、内訳を含む大会経費の公表に向けて作業を行っているところです。

 私は、従前より、大会の総コストについては、ラフな形でいいので早くお示しをいただきたいということを組織委員会にお願いしてまいりました。今度は、大会経費の内訳が早く公表されるよう要請を行っているところでございます。

 追加的な負担の要請についてどうなのかという点でございます。

 まず、東京都から、立候補ファイル上の役割を変更したいというような要請が来ておりません。ですので、現時点で、政府として、少なくとも仮設の費用をどうするかというようなことについて役割の変更があるかどうかについて、お答えしようがないという状況でございます。

 ただ、仮に立候補ファイル上の役割分担を変更するのであれば、まず大会経費の全体像を明らかにしていただいた後で、東京都が開催都市です、東京都と、オリパラ基本方針に大会の計画、運営及び実行に責任を持つとされている組織委員会の間で、まず、元来の役割をどのように変更し、大会経費のうちどの部分は負担することができて、どの部分は負担することができないのか、そしてなぜ負担ができないのかということについて、その方向性と事情をきちんと御説明いただくことが全ての始まりであり、重要であると考えております。

 いずれにしても、政府としては、東京都のオリンピック・パラリンピック招致時に閣議了解をした内容を踏まえて対応する必要があると考えております。

玄葉委員長 私からは以上でございます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 どうもありがとうございます。

 きょうは、五輪大臣に御出席をいただきまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 今、東京オリパラに向けまして、レガシーの問題だとか施設の問題とかいろいろマスコミ、メディアを騒がす問題も起きていたり、組織委員会対小池知事みたいな、こういう論調もあるわけでございますが、やはりオリパラ大臣と小池都知事で、まず、どういうオリンピックにするのかというビジョン、それと、オリンピックというのはそもそもきっかけ、手段にすぎないわけで、その後にどういう社会を築いていくのか、これが大変大事だと思うんですね。

 これが国民、都民になかなか今共有されていないので、何か点の議論、枝葉の議論になっているというのが私の印象なんですね。やはり、オリンピックを通じて、でっかい幹の木を植樹するというイメージ、その後にきれいな花を咲かせる枝葉に栄養を与えていく、これがよいレガシーにつながるんですけれども、このままだと、余り国民の皆さんにそのビジョン、どういう社会になるのかなという、これが描けていないような気がします。これをやはり丸川大臣は、小池さんと一緒にぜひもう一度描いていただきたいんです。これを僕は提案、きょうは提案型の質問なんです。

 きょう、ちょっとお手元にお配りしております。これは私が自分でつくったんですけれども、そもそも、左端に政府の基本方針というのを書いていますが、政府はしっかりいい方針を示しているんですね。成長戦略をやろう、財政健全化しよう、無駄な箱物はもうつくらぬで民間資金を使ってやろうとか、地方創生もやりましょう、復興もやりましょう、教育再生もやりましょう、規制改革もしましょう、女性の社会進出もしましょう、IT、行革と。これに応じて、しっかりとオリンピックというものを通じて新しい社会をつくっていく、そして戦略、具体策という形でぜひ示していただきたいんです。東京都だけだったら、やはり東京都だけの問題になるし、文科省はスポーツだけの問題になりますから。

 ここにお示ししたとおり、まず、オリンピック二〇二〇年、ビジョンとテーマについて、これは私が勝手に考えました、私はやはり、スポーツを通じて社会を豊かにする、こういうビジョンをまず国民の皆さんと共有すべきだと思うんです。どういう社会ということになると、右側の戦略、具体策というふうになっていくわけですが、これをぜひ私は早急に示していただきたいんです。それがあなたの仕事だと思います。

 オリンピックの成功はもちろんなんですけれども、その後どういう社会になるんですか。

 一番右端にありますように、現状、課題、これはいろいろあるんですね。どんどん財政が今大変な状況になっている中で財政制約が出てくると、スポーツだとか教育の予算が先細りになっていくだとか、何だかんだ今スポーツは盛り上がってきましたけれども、スポーツコンテンツが伸び悩んでいる。そして観客は、ラグビーもあれだけ盛り上がったのに少ない。何でなんだ。そういうこともそうだ。

 一方で、学校現場なんかはやはり危険な環境というのがまだ残っているんです。僕らの時代に、大体、硬式野球部とサッカー部が同じグラウンドで練習していますよ。硬式野球部のボールがサッカー部に飛んでいくと、みんな伏せろみたいな。私、最近地元を回ったら、いまだに同じ状況ですよ。きょうはサッカー部がいるからちょっと引っ張っていくぞみたいな。こういうような施設がある先進国というのは僕はおかしいと思うんですね。これをちゃんと解消するんですというようなビジョンを本当は示すべきです。

 選手も、感動に対しての対価が、日本はやはり少な過ぎます。感動に対してもっと、選手に対して、また選手のセカンドキャリアに対してもしっかり彼らに残していく、これもレガシーだと思います。こういうことも今現状の問題として私は感じています。

 スポーツ施設の赤字運営云々につきましても、これは二〇〇二年にワールドカップのサッカー、日韓サッカーをやったわけですけれども、あのときにつくった十個のスタジアムがほとんど赤字なんですよ。三千億、四千億でつくって、それが今、いまだに全部足すと毎年三十億円ぐらい赤字が出ているんです。バッドレガシーの典型例なんですよ。

 四年後の二〇〇六年にドイツでやったワールドカップサッカーは、彼らはアメリカの最先端のスポーツビジネスモデルを学んで、すばらしいレガシーをつくっている。バイエルン・ミュンヘンを初めいろいろなサッカーチームがすばらしいスタジアムをつくって、それを観客で埋めて、なおかつ十年、二十年で償却しちゃうというすごいモデルをつくっているんですね、成熟国家は。

 こういうことも含めて、どういう戦略、どういう具体策を描いていくかというのが大臣の仕事だと思います。

 オリンピックムーブメントというのは、皆さん御承知のとおり、これは実は基本を押さえなきゃいけないですね、IOCがこれを使命としてしっかり開催国、開催都市に課しているわけです。抽出しましたけれども、まず、よい遺産を残すというのは当たり前。スポーツの組織の発展、男女平等の原則の実行、選手の将来を支援、そしてスポーツを文化や教育と融合する努力をする、こういう立派な理念を掲げているわけですね。

 これはロンドン・オリンピックの、この前の事例でありますが、ここでもそのムーブメントをちゃんと理解した上で、継続的な変化を起こそうとか、持続可能な遺産を残す、都市再開発を通じて地域共同体の活性化をしよう、歴史的な象徴を残そう、こういうことをしっかりうたっているんだけれども、日本というのはこういうのがなかなかまだ国民の皆さんに共有できていないと思うんですけれども、大臣の印象をちょっと聞かせてください。

丸川国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 実は、ビジョンがないわけではありませんで、組織委員会はこういうビジョンを掲げております。スポーツには世界と未来を変える力がある。その上で、三つの基本として、全員自己ベスト、多様性と調和、未来への継承。これは組織委員会に集まったオリンピックに思いをかけた人たちが一生懸命議論してつくったビジョンでありますが、これが十分に共有されていない、あるいは、このビジョンが具体的に何を通じて実現されていくかということについて十分にまだ我々の中で意識の共有ができていないということはあろうかと思います。

 ぜひとも、先生からいただいた御指摘をしっかり踏まえまして、これからオリンピックに向けて、国民、都民と共有できるビジョンとなっていくように、具体的な施策も含めてしっかりと煮詰めてまいりたいと思います。

後藤田委員 今、大臣、いみじくも、ないわけじゃなくて組織委員会が掲げていますと。この時点でだめなんですよ。これは、国として、あなたが大臣として、この国家にスポーツを通じてどういう社会をつくるんですかということを取りまとめなきゃいけないんですよ。

 内閣府でしたっけ、内閣官房なのかな、今のお立場は。ということは、やはり、各省で縦割りでできないことを大臣がしっかり、将来、文部省、こういうふうにしなさいとか、経産省、スポーツを通じた成長戦略を描きなさいとか、総務省に、いわゆるスポーツを通じた地方活性化をやりなさい、こういうことをやるための大臣だと、僕は勘違いしていたんですかね。

 だから、レガシーという五輪後の話が、さっきの答弁というか文書を見ていると、文部省もそうですけれども、非常に少ないんですよ。それだとやはりわくわく感がない、日本の将来について。それが今明確になっちゃったので、ちょっと残念なんですね。

 組織委員会がじゃないんですよ。組織委員会というのはそもそも東京都とJOCがお願いしている組織ですよね。そこに全体のビジョンを任せていますという時点で、大臣、それはだめですよ。やはりもう一回ちゃんと、私のこのビジョンをひな形にして。まだこれは完璧じゃありませんよ。

 ちょっとページをめくっていきますけれども、アメリカなんかはロサンゼルス・オリンピックを通じて完全にスポーツを産業化したんですよ、一九九〇年代ですね。それで、まさにスポーツ産業がどんどん伸びていった。今、自動車産業の売り上げを抜いちゃったんですよ、スポーツ産業が。こういう成長戦略。我々自民党でもいろいろ会議をやりまして、現在五兆円のスポーツ産業を十五兆円にするという取り組みを政府として、お願いしています。

 これを見てください。アメフトなんかは一兆円市場。メジャーリーグも八千億市場。バスケは五千億。日本も野球が頑張っているんだけれども、千四、五百億なんですよ。Jリーグに至ってはまだ五百五十億円ぐらい。次のページにありますとおり、J1を全部足してもマンチェスター・ユナイテッドより低い。こういう現状をしっかり大臣が捉えて、もっと頑張りましょうと。

 ページをめくっていきますけれども、四ページ目です。

 よく古い人は、野球はアメリカだからなとか、サッカーはヨーロッパだからなと、また根拠のないおかしなことを言う人がいるんだけれども、二十年前は、プロ野球とメジャーリーグは、メジャーリーグはプロ野球の倍のチームがあったにもかかわらず、売り上げは余り変わらなかったんですよ。サッカーは、プレミアリーグとJリーグは余り変わらなかった、二十年前。これがもう五倍、六倍にがっと離されたんですよ。こういうのをしっかりやっていかなきゃだめですよという話を申し上げたいわけですね。

 ちょっとページをめくっていきますけれども、八ページ目。

 行革の観点からいうけれども、これは行政監視ですから。これからインバウンドだとか文化を発信していくとさっきもおっしゃっていたけれども、いいかげん、文科省の下にスポーツ庁と文化庁があったり、国交省の下に観光庁があるというのはもうやめませんかぐらい、大臣が提案しなきゃいけない。イギリスは文化・メディア・スポーツ省ですよ。韓国もそうですね。こうやって、それぞれの文化や観光やスポーツのシナジー効果を省として発信するような、こういうレガシーも行革として丸川大臣がやってくれるんだろうなと俺は思っていたんだけれども、全然出てこないんだよね。

 ちょっとまたページをめくっていきますけれども、十二ページ。

 これはロス・オリンピックの復習だけれども、知っていると思うけれども、ピーター・ユベロスという人が四十一歳で組織委員会の委員長ですよ。ある会社の社長をやめて、自分でやると。ここからオリンピックの中身もちょっと変わってきた。最後、既存施設を使って二億ドルの黒字で終わらせたんですよ。これもレガシー。彼はそれを評価されて、メジャーリーグのコミッショナーになったんですよ。

 ロンドン・オリンピックも、ゴールドマン・サックスの方が組織委員会の委員長になって、非常にビジネスの感覚も含めて頑張った。

 十三ページにありますが、オリンピック後に経済がよくなったのは、アメリカとイギリスだけなんですよ。日本は、アメリカ、イギリス・モデルのはずなんですよ、成熟国家ですから。僕は、今のままだと、そういうビジョンが全然共有されていない中では、ギリシャとかスペインとか韓国モデルになっちゃうんじゃないかなとすごく心配しています。ぜひ、そういうビジョンを示していただきたい。

 次のページ、十四ページでございます。

 去年七月に、自民党の仲間と、ザハ案というのはおかしいということで、安倍総理も白紙撤回しましたけれども、今も千四百、千五百億、きのうも何か起工式に行かれたと思いますけれども、これでも、私はあのままでは大変なことになると思っています。アトランタ、シドニー、ロンドンという先進国成功モデルは、終わった後、縮小して、改修費をかけて民間のチームだとか企業に貸し出す、それによって黒字化していく、こういうことをやっているんですけれども、日本は、一番下の赤字でございますが、黒は途上国モデル、これと同じことをまたしでかしてしまうんじゃないかな、こういう心配が尽きません。

 男女共同参画という意味でも、今度、霞ケ関にゴルフ場をつくると言っていますよね。ゴルフをプレーする場所。そこに女性の会員が今まで入っていなかった、入れなかったみたいな何かニュースがあるんです。今回、オリンピックレガシーも、オリンピックのムーブメントも、男女共同参画というかそういうビジョンがあるんだけれども、そういう場所で本当によかったのかというのは何か検証されましたか、大臣。

丸川国務大臣 ビジョンの件で一言申し上げますと、組織委員会がこうやって決めているにもかかわらず先生がこうやって書いていらっしゃるということは、それだけ浸透していない、つまり、組織委員会も東京都も我々も努力が足りなかった、こういうことなのかなと思って、指摘を申し上げたまででございます。

 そして、まさに民の力を生かすということについては、さまざまな声が今議論の過程で出てきているところでございますので、ぜひとも、私も民の力を生かして経済成長につなげていくという考え方には大賛成でございますので、これからさまざまな主体が関連をしながら進めていくものでございますので、よく意見の調整をしながら、そうした考え方に沿って、その後の経済成長につながっていくようにということも視野に入れながら努力してまいりたいと思います。

 一方で、今、コストの抑制ばかりが前に出ておりますが、その議論にIOCが参加したということについて一点認識している点があるとするならば、今回のオリンピックは、IOCが提出したアジェンダ二〇二〇という、IOCにとっては一つの新しい考え方を実際に実現していくオリンピックが東京オリンピックということになります。これはまさにオリンピックの持続可能性ということを指摘したものでございまして、かける経費もそうでございますが、オリンピックを運営するモデルについて、IOCが新しい考え方を示しているものでございます。

 これまでうまくいってきたモデルとは一線を画すIOCの考え方も含まれておりますので、そうした、もったいないという言葉がある国なりの持続可能性に十分配慮したモデルというものも世界に打ち出せれば、これは昨今、SDGsというようなことも国際会議の場でもよく出てくることでございますし、我々の特徴の一つとして世界にアピールができればすばらしいのではないかと思っているところでございます。

 そして、霞ケ関ゴルフクラブの件でございますが、クラブの運営そのものはクラブのメンバーが決めるものでございまして、同好の士が集まって運営をするものでございますので、その点を外部の人間が申し上げられないということはもちろんでございますが、一方で、会場をどのように決めるかということは、一義的に組織委員会とIOCがお決めになることでございます。その上で、協議をやる上で必要なエリアというのが、テレビコンパウンドが置けるかどうかというようなことが非常に重要だそうでございまして、いろいろとそのようなことを視点に検討した結果、何カ所か見に行って、国際の競技団体が霞ケ関にお決めになったということでございます。

 基本的に、国は、競技の場所をどこにするかということについては当事者ではないということ以外に申し上げられませんので、大変恐縮ですが、以上で答弁とさせていただきます。

後藤田委員 時間が参りましたので、終わります。以上です。

玄葉委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 引き続き、丸川大臣を初め、関係、政府の皆さんに御質問申し上げます。

 まず、丸川大臣は、小さなお子さんを育てながら、御夫婦で御協力をされて、今、国務大臣という極めて重たい責任を担っておられるわけでございますけれども、御存じのとおり、世の中、お父さんもお母さんも働きながら、家庭を夫婦で支えながら仕事をするという家庭の形が今大半を超えております。そういう意味では、多くの方に励みになると思いますし、また、子育てをしている女性だからこそ見える視点というものがあると思います。

 私は、オリンピック担当大臣にその丸川大臣が座ってみえるという、まさに丸川大臣にしか見えないもの、できないことを遠慮せずにしっかり発信していただいて、本当にすばらしいオリンピックにしていただきたい、こういうふうに思っております。

 確かに、オリンピックに係る経費のことなど、改めて報道等を見てみますと、なかなかわかりにくい状況になっているなというのは私も痛感をいたしました。

 先ほど委員長の質問に対する答えにありましたとおり、立候補ファイルにはトータル約〇・八兆円、これは多分、いわゆる直接経費が中心の計上なんだろうと思います。

 昨今の報道を見ますと約二兆円程度ということが言われておりますけれども、これも、いわゆる直接経費に加えて間接経費も入ってきております。また、この間接経費というものがどこまで入るのかという話もありまして、なかなか難しいことだとは思いますけれども、この辺を国民の皆さんが御心配いただいているのも事実でございますので、できる限り速やかに明らかにしていっていただきたいということを私からも重ねてお願いしておきたいと思います。

 その上で、やはり世界的な祭典であるオリンピックをこの国で行うわけですから、この機会を捉えて、日本の国の新しい出発にしていくべきタイミングだ、こういうふうに思っております。

 いろいろな調査機関が研究成果を発表しておりますけれども、これは日本銀行が昨年の十二月に出しているレポートでございますけれども、やはりオリンピック自体がGDPを引き上げる効果があり、しかも、それは一過性のものではなく、持続的にプラス効果が継続していくということも研究成果として発表されております。

 また、オリンピックを通して世界の方がこの日本を訪れていただくわけですけれども、既に日本政府として、二〇二〇年には四千万人のインバウンド、訪日外国人観光客を目標にして、今取り組みを進めております。これも、二〇一一年以降のトレンドから推計をいたしますと、三千三百万人までは既に視野に入っていて、プラスどう積み上げていくかということがこれからの取り組みの肝になってくるのであろうというふうに思います。

 また、オリンピック関連の建設投資というものもさまざまございます。スタジアムはもとより、選手村もありますし、民間のホテルもそうです。いわゆる交通関係、また再開発、あわせて主要な関連プロジェクトだけでも十兆円に達するという試算もございます。

 私の常日ごろから持っている問題意識は、何といってもこれだけの大きなプロジェクトを動かすわけですし、先ほども申し上げたとおり、日本の新たな出発の一つの引き金にしていかなきゃいけない。日本が新たに出発するに当たって、日本の国内、内政における最大の課題は、やはり少子高齢化に起因をする人口減少、さらに細分化をして言えば、全体の人口減少よりも生産年齢人口が先に減少していくという大きな課題を乗り越えていくための一つのきっかけにこのオリンピックをしていかなければならない。

 ありていな言い方をすれば、これから、医療にしても介護にしても、年金ももちろんですけれども、お金が必要になります。よって、税のみならず、国として稼げるチャンスがあるならどんどん稼いでいかなきゃいけない、そしてできるだけ国民の負担を抑えながらこの人口減少社会を超えていかなきゃいけないという問題意識で全ての政策を私は拝見しております。

 そういう意味で、まず初めに丸川大臣にお聞きをいたしたいのは、成熟国家ですから、劇的な成長というものもなかなか望めないと思いますけれども、持続的な成長への布石も含めた、このオリンピックを通しての経済効果の最大化への取り組み及び決意についてお伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 まさに委員の御指摘のとおり、二〇二〇年の東京大会は、二〇二〇年以降に私たちの国が着実に経済成長を実現し、そして飛躍をして世界の真ん中で輝くため、ジャンプのための踏み切り台といいますか、あるいは、そのために、世界の皆様に今の日本を見ていただくためのショーケースでなければならない、そう考えております。

 とりわけ、テクノロジーと文化の融合という点について、あるいはスポーツとの融合という点についてはぜひ皆様に見ていただけるようにしたいという思いがありまして、セキュリティーからスポーツの計測まで最先端の技術が取り入れられるような後押しをぜひともしていきたいと思っておりますし、今そのような話をしております。

 また一方、ユニバーサルデザインということは、我々が高齢化社会を迎える上でも、またベビーカーでどこでも行けるような社会をつくる上でも非常に重要でございます。

 実は国立競技場も、今の仕様を多少変更いたしまして、工事の期間中に終わるのでいいんですが、耐震のための、建物同士というか構造同士の継ぎ目が観客席に移動するまでにあるので、この継ぎ目をなくすために、継ぎ目のない、土台ごと揺れるような構造に多少仕様を変更するということをやって、とにかく世界最高水準のユニバーサルデザインを国立競技場でも実現する。そして、各競技会場ではもちろんですが、町の中でもそうしたことができるようにということで今取り組みを進めているところです。

 一方、心のバリアフリーということもぜひレガシーにしたいという思いで、教育指導要領の改訂や、接遇業を中心として地域でもお使いいただけるような心のバリアフリーを学ぶテキストブックというのでしょうか、そういうものの研修プログラム等、共通の土台を今作成しているところでございます。

 そして、何よりも、インバウンドでお越しいただく皆様方に、できる限り安心、安全の和食を楽しんでいただきたいという思いでございます。

 選手村の調達基準に、年度内にもということで、今、組織委員会の方で主に取り組んでいただいております。

 この基準には、今、日本のJGAPというのがございますけれども、このJGAPのアドバンス、持続可能性や、あるいは食物をつくっている現場に危害を加えられたときにどう対応するかとか、あるいは回収する体制をどう整えていくかというようなことを加えたさらに進んだものをつくって、それを国際認証基準に認めていただけるような活動をこれからオリンピックに向かって行いまして、こうした国際水準をクリアした農作物あるいは畜産物、水産物というものがオリンピック向けに増産された暁には、それを世界に輸出できるような体制をオリンピックを契機に進めていきたいと思っております。

 また、地域の活性化にこのオリンピックを生かしていただくというのは非常に重要ですので、ホストタウンの取り組みに関しては、非常にきめ細やかに対応し、応援をさせていただいているところでございます。

 いずれも関係省庁と連携しながら進んでいることでございますけれども、二〇二〇年以降を常に見据えながら、今後も政策に取り組んでまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。非常に大事な御答弁をさまざまな角度からいただきました。

 食文化もそうですし、日本の文化もそうですし、まさにショーウインドーという言葉を今使われたかと思いますけれども、どちらかというとこれまでの日本は、形あるものには非常に価値を見出してこれたんですけれども、形のないものに価値を見出すことが少し苦手であったかなという印象を持っております。

 そういう意味では、文化また食文化、こうした形のない、日本人がこれまで培ってきた目に見えない価値みたいなものもぜひとも世界に発信をしていただく、そんな機会にしていただきたいと思います。

 通告の順番がちょっと変わりますけれども、そういう意味でいくと、日本はやはり資源のない国、いつも言われることですけれども、そんな中で、科学技術ということに大変力を入れて取り組んでまいりました。ここ一両日も、東京工業大学の大隅先生のオートファジーのノーベル生理学・医学賞受賞の話題などもありましたけれども、この科学技術の成果をオリンピックの機会に、日本の国民の皆様のみならず、日本に来てくださる世界の皆様に発信していこう、こんな取り組みも科学技術担当の皆さんを中心に進めていただいていると思います。

 自動運転ですとか、目に見えるものも目に見えないものもいろいろあるんだろうと思いますけれども、ぜひこの機会に、今取り組みを進めていただいている、オリンピックを一つのショーウインドーに見立てて日本の科学技術を発信していこう、この取り組みの内容及び進捗の度合いについて、内閣府の担当の方から御答弁をよろしくお願いしたいと思います。

進藤政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、我が国の科学技術イノベーションを世界に発信する絶好の機会と私どもも認識しております。

 これを踏まえまして、内閣府では、昨年の二月、二〇二〇年に日本が世界に発信すべき科学技術イノベーションに関するプロジェクトというものを九つ策定しまして、関係省庁と連携しつつ、実現に向けて取り組んでおります。

 具体的には、例えば自動走行技術の活用による次世代都市交通システム、水素社会の実現に貢献する水素エネルギーシステム、あるいは新型気象レーダー等の開発活用によるゲリラ豪雨、竜巻事前予測などでございます。

 例えば、進捗状況ということですと、ゲリラ豪雨、竜巻事前予測については、今、関西地方でレーダーを設置して開発しておりますけれども、今後、二〇一七年から一八年にかけて関東で実証実験を行う、そして二〇年までにサービス提供できるようにというふうに進めております。

 このように、九つのプロジェクトについて二〇二〇年までの事業計画を策定しておりまして、関係省庁や東京都とも連携しながら、二〇二〇年をターゲットイヤーとして、さまざまな科学技術イノベーションの成果を発信できるようにしていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 私が今四十七ですけれども、私が子供のころというのは、何か、年に一回ぐらいテレビで未来の日本みたいなことをよくやっていて、それがだんだん形になっていくという、世相的にも大変明るい雰囲気がありました。残念ながら、これは我々国政を担う人間の努力不足もまだまだあって、何となくまだまだ世相的に全体として決して明るくなっているという状況ではありません。その未来に対して明るさをともすものの一つが科学技術であると思いますので、引き続きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に一点だけ。

 きょう、冒頭申し上げたとおり、オリンピックに関連してさまざまな投資も行われております。建設関連投資も大きいものがございます。この関連投資をきちんと行うためにも、国土交通省と、私も党の国土交通省の責任者のときに取り組みましたけれども、建設の供給が制限をされないように、建設作業をする人たちが十分確保されるようにということで、さまざまな取り組みをしております。

 当然のことながら、我が国におみえになる作業をする方が積極的に働いていただくことはもちろんですけれども、それでも足りない場合に外国人技能実習生の方を、オリンピックまでという限定で、実は建設に携わる方だけ特例で、特定活動としてプラス二年残っていただけるような手を今打っておりますが、なかなか、ちょっと現場で聞くと余りうまくワークしていないというお話を聞きますので、きょうはその点についてだけ現状をお聞きして、もう時間になりますので、私の質問は以上とさせていただきます。国交省、よろしくお願いします。

木原政府参考人 先生御指摘の外国人建設就労者受け入れ事業でございますが、これは、復興事業のさらなる加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、当面の一時的な建設需要の増大への緊急かつ時限的措置として、国内での人材確保、育成の措置とあわせて、即戦力となり得る外国人材の活用促進を図り、大会の成功に万全を期するものでございます。

 この事業の実施状況でございますが、昨年四月から受け入れを開始し、本年十一月末時点での受け入れ人数は千六十五名となっております。また、これまでに認定された受け入れ建設企業の計画に基づきますと、今後さらに九百名程度の受け入れが見込まれており、年度末までに合計千九百名程度の受け入れが想定されております。

 この事業につきまして、引き続きその周知なども図っていきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 最後に、丸川オリパラ大臣の存分な女性らしいリーダーシップに御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民進党の石関貴史です。

 まず、きょうは行政監視ということでございますので、玄葉委員長初め理事各位の御理解、また行政の協力で行政監視というのがこの委員会でできることは大変喜ばしいことと思っております。初めてに近い試みだと言っていいと思いますので、行政の協力を今後も得てこういったものができる委員会であってほしいというふうに思います。

 副大臣にもお越しをいただいて、別に、何か法案があって、やっつけるとかそういうことではありませんが、ただ、先ほどからの質疑を聞いていて、恐らく国民の皆さんが聞いても非常に素朴な疑問を持たれるだろうということを、事前の通告に従いながら、ただ、余計そういう気持ちになりましたので、お尋ねしていきたいと思います。

 まず最初、丸川大臣に、後藤田先生からも理念とかそういうお話がありましたが、伺っていると、理念以前に、とにかくオリンピックという事業をやりたい、やれることになりました、ただ、今になって、誰がどれだけ費用負担をするのか、総額幾らかかるのかわからない、こういう状態だと思うんですね。こういうものというのはあるんですかね。

 大臣、今の状態についてどう思われていますか。二兆とかなんとか、あるいは、会場がどうとかいうことは別にして、費用だけ見ても、当初掲げていた費用が幾らになっているかわからないとか、それから高いのか低いのかみたいな、今、総額幾らかかって、誰が負担してというのが皆目わからない状態のように先ほどからのを聞いていても思うんですが、こういうものに対してどう思われていますか。

丸川国務大臣 少なくとも、まず立候補ファイルは、私が聞いている限りによりますと、IOCの方から、これこれこの項目を積み上げたものを出しなさいと言われる。そこの中には、例えば設計をする費用だとか、最後に除却というんですか除去というんですか、仮設のものであれば当然除かなければもとの状況に戻せないわけですが、そういう費用ははなから立候補ファイルの数字には含まれないというようなことをお伺いいたしました。

 ですので、幾ばくか立候補ファイルの数字から膨らむのであろうと思いますけれども、一方で、二兆円という数字については、ようやくと思わず言ってしまいましたが、組織委員会からお示しをいただいた。今度は、内訳をできる限り早く、ラフな形でいいので示していただきたいと。

 と申しますのは、まさに東京組織委員会はIOCのローカルコミッティーです。東京都とJOCが出資をしてつくるものではありますけれども、東京都の団体というか、東京都と協力をしながら実現する団体であり、一方で、IOCのもとで、IOCの意を受けて活動する団体でもあるわけなんです。

 なので、東京組織委員会がこうしたいと言ったことを最終的にIOCと話をして、IOCが最終決定する、こういう構造になっているものですから、そのIOCが二兆円からまだまだ切り込めると言うのであれば当然そうなんだろうというふうに思っておりまして、できる限り、今までIOCが蓄えた知見と、我々が実際にその内訳を見て、テーブルの上に広げてみれば、こういう知恵が出る、ああいう知恵が出る、お互いにそういう知恵を出し合える場というのを早く設けられるような環境が整うことを願ってやみません。

石関委員 最初に申し上げたように、素朴に、私もそうですが、国民の皆さんも今のを聞いていて、いまだにそんなことをやっているのという感覚だと思いますよ。

 IOCがとかJOCがと言うよりも、基本的に手を挙げたときにこれだけの費用がかかります、付加してその設計とかなんとかお話をされましたが、総額でこれだけかかって、この場所でやるのならこれをつくるのに幾らだと。この時期になってもまだIOCとかJOCと説明されても、普通の国民の方にはなかなかわからないし、まさに大臣としてはそこを整理して、総額でこれだけかかって、都がこうですよ、国は、後でまたお伺いしますけれども、足りなくなったらこうですよみたいなものを整理して、わかりやすく国民の皆さんにも御理解をいただくというのが大臣の仕事だと思うんですけれども、どう思いますか。

丸川国務大臣 本当にそうだったらいいんですが、残念ですが、競技会場を最終決定するのはIOCなんです。これは何度も御説明申し上げていて、なかなかわかっていただけなくて大変苦労しているんですけれども、競技会場が決まらないと、では警備のコストがどうなるか、輸送のコストがどうなるか決められないんです。オリンピックパークのように結集していれば、当然警備のコストは安くなります。

 というようなことで、大変恐縮でございますが、私も、できる限り早くそうした議論ができることを希望し、お願いしているところです。

石関委員 わからない人に聞いてもしようがないということがよくわかりましたので、その話は結構です。

 それでは、ただ、大臣として御承知だろう、していなければいけないということで、次にお尋ねをしたいと思います。

 きょうは、理事会でも話し合って、組織委員会については参考人でお願いする、こういうこともしないで、国という範囲の中でやろうということでありますが、しかし、担当大臣として、組織委員会について、大臣の御承知の範囲でお尋ねをしたいと思います。

 まず、組織委員会の役員構成とか報酬についてなんです。

 顧問会議というのもありますよね。役員構成を見ると、先ほどもお話がありましたけれども、会長は森喜朗元総理大臣とか、それから副会長にはこの分野に非常に通暁された遠藤先生、元大臣とか、今いなくなっちゃいましたけれども、こういう方々が入っています。ただ、理事には麻生セメント会長の麻生さんとかこういう人も入っていて、そもそも、素朴な疑問なんですけれども、誰が森喜朗さんが会長だと決めたんですか。

丸川国務大臣 まず、役員をどのように決めるかということについてでございますが、その前に、大会組織委員会は、東京大会の準備及び運営に関する事業を行うために、平成二十……(石関委員「誰が決めたかだけ教えてください」と呼ぶ)はい。これは、理事会が決議しました。

石関委員 冒頭言ったように、別に大臣をやり込めようとかそういうつもりで来ているんじゃないので、お尋ねの部分だけ答えていただければ、わからなければわからないで結構です。

 それで、予算書を見ると、今の役員の構成と顧問会議というのが出ているんですね。顧問はどういう人がいらっしゃるか、大臣は御承知ですか。

丸川国務大臣 顧問については伺っておりません。

石関委員 これは見ておいていただいた方がいいと思いますよ、担当大臣ですから。そういうことが続くと、大臣に聞いてもしようがない、大臣の役割は何なんだということになってきますから、できるだけ視野を広げて、ホームページに出ていますから、これぐらいごらんになった方がいいと思います。

 では、わからないというのであれば御指摘を申し上げますが、顧問会議の最高顧問、議長は内閣総理大臣です。最高顧問は衆参の議長、特別顧問には内閣官房長官等が入っています。それから、顧問というのはいっぱいいますよ。例えば、オリンピック・パラリンピック議連の役員の皆さんですとか、照明デザイナーとか、IOCの名誉委員とか、いっぱいいますよ。

 だけれども、まず、さっき見ていて気がついたんですけれども、この名簿を見るといろいろな人がいますよ、草刈民代さん、女優とか。ただ、日本労働組合総連合会会長古賀伸明という人が入っているんですよ。この人はもうかわっていますよ、連合の会長というのは。その下を見ていくと、いろいろな人がまたいますよね。僕が気がついただけで、さっき座って読んでいただけでも、オリンピック・パラリンピック推進議連の幹事長代理中田宏さん。この人は今、落選されて、多分やっていないですよね。次、気がついた人だけですよ、松田公太前参議院議員も、議連の常任幹事として入っています。アクティブな人もいますよ、宮本先生。

 だけれども、アクティブじゃない人たちの、充て職だか何だかわからないけれども、こんな名簿をまだ、十二月八日に出したものですよ、これは。どう思いますか、大臣。

丸川国務大臣 組織委員会にお伝えいたします。

石関委員 どう思うかと言っているんです、担当大臣として。

丸川国務大臣 組織委員会に、これは問題であるとお伝えしておきます。

石関委員 大臣の権限というのは何なんですか。

丸川国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック担当大臣は、オリパラ特措法第六条において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部の副本部長として、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し、本部長である内閣総理大臣を補佐する役割を担います。各府省に分掌されている関連施策を一体として確実に実行するため、総合調整を行う立場でございます。

石関委員 ぜひその前提として、組織委員会の差配をする立場ではないということでしょうけれども、どういう人が顧問に入っているかとか、実際、例えば顧問会議という中で、今言ったアクティブじゃない人も含めてですが、もっといっぱいいますよ。例えば、議連でいうと、小沢一郎さんとか海江田万里さんとか、こういう人も入っているわけですよ。

 では、一体、顧問会議が開催をされて、大臣、知らなきゃ知らないでいいですよ、そんなものは知らないと。ただ、開催をされて、この人たちが活躍する場というのはあるんですか。名前が載っているだけなんですか。大臣が知っているか知らないかだけ教えてください。

丸川国務大臣 組織委員会に伺ったことはありません。

石関委員 それは伺った方がいいと思いますよ、担当大臣として。

 もうこれだけで時間がなくなっちゃって、もっとほかにいろいろ聞きたいことがあったんですけれども、役員報酬が大体九千万円、顧問料というのが二億五千万円。予算に載っているわけですよ。もし役所の人がそれを知っているなら教えてください。後ろで何かつぶやいている人がもしわかるのなら教えてください。どういう人に払われているんですか、どういう場面で、役員報酬とか顧問料は。

芦立政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元にあります組織委員会の正味財産計算書の中に顧問料という費目がありますので、何がしかの顧問料は払われていると思いますが、その具体については現時点で承知しておりません。

石関委員 これはぜひ大臣としても承知しておいた方がいいと思いますよ。関係ないですか。

丸川国務大臣 大変恐縮ですが、組織委員会はJOCと東京都で見ておられまして、なおかつ、組織委員会において、個々人の報酬額については個人情報であることから、非公開とされております。ゆえに、私どもでそれをこうした公開の場でお伝えするということは少なくともできません。

石関委員 違う違う。知っているか知らないかじゃなくて、大臣として見ておいた方がいいですよ。法的に答えられない、答えるべきでないことは答えなくていいですけれども、何も知らないということでは、先ほど御自分が述べられたような、大臣として期待をされ、その役割を果たすのが困難かもしれないし、頑張ってください、こういうことですよ。だって、聞いたって答えられない人を呼んでもしようがないじゃないですか。どうですか。

丸川国務大臣 組織委員会に対しては、必要があれば私どもの方から問い合わせをしております。

 例えば、大会の経費の全体像についても、これまで幾たびとなく私の方からお願いをして出していただくようにしておりましたけれども、スタッフの数の限りがあったり、あるいはIOCとの調整が進まなかったりというようなことでなかなか、あと、都知事がかわって新しい御提案があったということもありますけれども、全体像が、組織委員会自体が積算できないというようなことであったり、今みたいな、個人情報なので出せませんということであったり、私どもが言ったので全てが出てくるという状況でないことだけは御認識を賜れればまことにありがたいと存じます。私どもの下部団体ではありません。

石関委員 それは知っていますよといってお尋ねしていますから、聞かれたことだけ答えていただけば結構ですよ。

 余り時間がなくなっちゃいましたけれども、まず、五輪の組織委員会は、冒頭で言っていますよ、参考人でお願いできるかどうかという立場の組織ですから、理事会でも委員長と話し合いをして、そこはきょうお願いをしない、だけれども、五輪担当大臣だから当然これだけは知っているだろう、そういうことをお尋ねしますよと言っているので、知らなきゃ知らないで結構なんです。だけれども、知っていた方がいいですよというふうに申し上げているので、関係ないなら別にそこの先も関係なくてもいいですけれども、せめてアクティブでない名簿を何とかするとか、担当大臣と名前がついているんだったら、組織委員会にももう少しアドバイスぐらいはできるんでしょうから頑張ってください、こういう話ですよ。

 国の立場から見ると、五輪組織委員会に国から職員を派遣していますよね。どの役所からどういうところへ出て、給料は誰が払って、そして報告みたいなものを受けているのか、これだけお答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 大会組織委員会に、現在三十四名、国から派遣を行われております。この内訳は、文部科学省から八名、財務省から五名、総務省及び警察庁からそれぞれ四名、国土交通省及び海上保安庁からそれぞれ三名、外務省から二名、法務省、厚生労働省、農林水産省、林野庁、環境省からそれぞれ一名、合計三十四名でございます。

 給与負担につきましては、三十四名中十九名が大会組織委員会の負担、十五名が各派遣元省庁の負担となっております。

 その業務に関しましては、オリパラ特措法十六条、十七条に基づきまして、大会の準備、運営に関する業務のうち、組織委員会からの要請に応じましておおむね次の四事項、スポーツに関する外国の行政機関その他の関係機関との連絡調整、二点目として、大会の会場その他の施設の警備に関する計画及び選手その他の関係者の輸送に関する計画の策定、三点目として、海外からの賓客の接遇、四点目として、その他国の事務または事業との密接な連携のもとで実施する必要があるもの、こういったものに従事しているということでございます。

石関委員 もう時間になりましたので、今伺えば、国からの派遣職員は国からお金も出ているという人たちもいて、これは国務大臣として、国から派遣をしている職員がいる組織ですから、もう少し組織委員会のところにも御興味を持って、大臣として責任あるような指導的立場がこなせるように、役割を果たせるようにどうぞ頑張ってください、お願いいたします。

玄葉委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 質問いたします。

 国民の最大の関心事は、大会経費の総額が一体どこまで膨らんでしまうんだろうかと、とりわけ東京都民は大変懸念をしております。

 まず、大会開催経費についての丸川大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

 先ほどやりとりを聞いていましたら、オリンピックファイルよりは幾ばくか膨らむというお話もありましたけれども、先日、IOCのコーツ副会長は、この二兆円という額について、極めて高いということを述べられました。丸川大臣も、コーツ副会長と同じで、極めて高い、この認識をお持ちですか。

丸川国務大臣 IOCにとっての経費ということについては、別途きちんとIOCに確認をしなければいけない部分があると思っておりますけれども、少なくとも、これだけオリンピックを重ねてきた中で、アジェンダ二〇二〇という持続可能性についての新しい観点を示したIOCが、二兆円はまだ高い、まだ削減ができると言うのですから、私は当然そうだと思っております。

宮本(徹)委員 当然そうだということなんですけれども、きょうの一番初めの発言でも、祝福される大会にするためには大会経費の抑制が必要だということを述べられました。

 では、一体どこまで抑制したら祝福される、そういう大会になるというふうに考えられているんでしょうか。

丸川国務大臣 大会経費について、額については、絶対に払わなければ実現しない額というのは既に競技会場の整備等で一定程度示されているのではなかろうかと思いますが、まだ決まっていないものですから、残る競技会場も決まった上で、それをベースとして積み上げていくことになろうかと思います。

 二兆円と立候補ファイルの数字の間に大きな開きがありますので、何兆がということは私は今の立場ではとても申し上げられませんけれども、少なくとも、今後、政府として、さらに縮減の余地があるという皆の同意をもとにして、しっかりと削減の努力に参加をしたいと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、祝福される大会にするためにコストを抑制しなきゃいけないというんですが、祝福される基準というのがあると思うんですよ。それは、額というよりも、祝福される大会にするという場合には、どういうことになれば大会経費としては祝福されると思いますか。

丸川国務大臣 額というよりもとおっしゃったので申し上げますが、額が納得のいくものであるということは一つ重要であると思います。例えば、お金をかけてでも未来に残すべきだという国民の皆様の理解や納得が得られるような施設であったりあるいはシステムであるならば、それは経費として認められ得るだろうと思います。

 実質的には、中身がどんなものになるのかということを国民の皆様にお示ししながら、ではその中身と値段がつり合うかということ、また、それが後々の、今は子供たちです、未来の大人になる人たちにとってどのような価値があるか、活用の中身も含めて国民の皆様に見ていただくことが重要だと思っています。

宮本(徹)委員 私は、それよりも、国民に祝福されるものになるためには、やはり大会経費が膨らむことによって都民の暮らしが圧迫されることがないということが、都民、国民に祝福される大会になる前提だと思うんですよね。

 今、膨らむ予想の額、こんなことがそのまま都民にのしかかっていったら、東京都の大きな借金として残るわけですよね。それは間違いないわけですよ。そうすると、それは暮らしにとっての必要な予算が圧迫されていくということになるわけですよ。そうなったら、祝福される大会にはならないと私は思うんですね。

 それで、組織委員会のステートメントを見ましたら、立候補ファイルにもともと大会経費全部は盛り込んでいなかったんだ、だから立候補ファイルの金額と今の金額は比較する意味はありませんというふうに書いているんですね。だけれども、こういう話は、都民からすれば、オリンピックを招致する前には全くなかった話なんですよね。

 ちょっとお伺いしたいですけれども、国は、招致する段階から、立候補ファイルよりも実際の大会経費が大幅に膨らむ、こういう認識はあったのか。これは事務方でも結構ですけれども、招致段階から、立候補ファイルよりも膨らむんだ、こういうことは知っていた、だけれども国民には黙ってきた、こういうことでいいんですか。

芦立政府参考人 私どもとして、そのような構造にあったということは全く認識いたしておりませんでした。

宮本(徹)委員 全く知らなかった、極めて無責任な話だと思います。

 とにかく、招致のときには都民に対してどう説明されてきたのか。コンパクトな五輪なんです、五輪の積立金は四千億円用意してあります、こういう説明がありましたよ。だけれども、七千三百四十億円を超えて、どんどんもっとほかにも漏れているものがたくさんあるんだという話は一切なかったわけですよね。

 猪瀬さんに至っては、二〇二〇年の東京五輪は世界一金のかからない五輪というふうに言ったわけですよね。猪瀬さんがそうおっしゃっていたのは記憶にありますよね、丸川大臣、二〇二〇年の東京五輪は世界一金のかからない五輪だと言っていることを。

丸川国務大臣 はい。

宮本(徹)委員 記憶にあるわけですよ。

 ですから、都民との約束という点でいえば、やはり世界一金のかからない五輪を目指すというのが本来なきゃいけない姿勢だというふうに思います。招致段階においては、七千三百四十億円よりももっと漏れているものはたくさんあるんだということ、膨らむものがあることを都民には説明せずに隠しておいて、今ごろになって一兆円以上も膨らむんだ、こういう話はやはり都民との約束、信義則に反すると私は思うんですけれども、今の事態について、都民への約束違反だというふうには思われませんか。(発言する者あり)そうですね。国民もですね。おっしゃるとおりです。

丸川国務大臣 私も都民でございますが、立場からして、国民という目線でお答えをしたいと思います。

 会場は、実際には今、神奈川、千葉、埼玉、静岡にも広がっておりまして、なおかつ、仮に国のお金を入れるということになりますと、国のお金というのは、国から交付税措置していただかないと行政のベースのサービスができないようなところからもいただいた税金が含まれているわけでございます。

 東京でやるオリンピックで、まだ静岡、神奈川、埼玉、千葉は会場がありますけれども、それがないという地域からもいただいたお金を仮にオリンピックに入れるということになるならば、それはなぜそうしなければならないのか、もっと言うと東京は何で出せないのかということをやはり説明できる形で、国民に納得のいくように東京都に御説明いただかない限りは国のお金は入れられないんだろう、私はそのように思っております。

 いずれにいたしましても、内訳の透明度を高めて国民の目にさらす努力というのが必要だと思っておりますので、私の立場からこれに取り組んでまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 やはり都民からしても国民からしても、招致段階の話とは全く違うようになっているわけですよね。

 私はやはり丸川大臣に、きょうも経費削減の必要性を何度も何度もおっしゃっていますので、ぜひ約束してほしいんですけれども、立候補ファイル時点よりも都民、国民の税金による負担はふやさない、これを大会経費抑制の大目標にすべきだと思うんですが、どうでしょうか。

丸川国務大臣 都民の負担については、私が今ここで何か申し上げられる立場でないことはわかっていただけると思います。

 国民の負担については、平成二十三年十二月十三日に東京招致についての閣議了解がありまして、これは招致段階でつくったものでございますが、大会の開催に係る施設については既存の施設の活用を図る、また、新設、改善その他の公共事業については、必要性等について十分検討を行って、多様な財源の確保に努めつつ、その規模を通常の公共事業費の中での優先的配分により対処し得るものとし、国庫補助負担率等国の財政措置は通常のものとすること。また、新設する施設の将来にわたる管理運営については地元の責任と負担を主体として行われるものとすること。国の所要経費については、その必要性等について十分検討を行い、真に必要なものに限って、将来にわたり既定経費の合理化により賄うものとすること。これで全体ではないんですが、主要なところを読み上げますと、こうなります。

 これを普通に読んでしっかりとやっていくということは極めて重要だと思っておりますので、引き続きそのように取り組みたいと思います。

宮本(徹)委員 都民、国民と言いましたのは、国の負担の問題だけじゃないですね。やはり都民の大変な負担になる可能性もあるわけですよ。それについても、祝福される大会にするためには、都民にとっても負担がふえないように最大限削減していく努力をしなきゃいけないということだと思うんですね。それがアジェンダ二〇二〇で持続可能性と言っていることだと思います。都民の暮らしを圧迫するようなことになったら、持続可能性ということにならないわけですよ。

 私は、オリパラへの税金投入をふやさないためには、経費の思い切った削減と同時に、さらなる民間資金の活用も含めて検討していく必要があるんじゃないかと思います。

 AFP通信の報道で見たんですけれども、リオ五輪の大会運営費用は、百二十億ドルのうち六十七億ユーロが運輸部門を中心とした公共事業で、これは五七%が税金で、残りは民間資金だ、それ以外の大会競技費用は、競技施設建設費を含めて四十一億ドルだ、このうち八割が民間資金で賄われたという報道になっているわけですよね。

 今、有明について民間資金という検討も東京都で始まっているというのは報道でも出ているわけですけれども、それ以外のところも含めて、やはり税金による、孫、子の代の借金に残るような負担にならないように、税金投入ということをできるだけ避けるためにいろいろな形で民間資金を活用していく、寄附を募ることもやっていく、そういう知恵を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 まさに小池都知事がその取り組みを進めておられます。

 今回、四者協議の中でも数百億削減に向けて一歩踏み出したわけでありますし、まだ何か決定しているわけではありませんけれども、そのような御意向であるということも伝え聞いておりますので、民間活力の活用、またさらなるコストの縮減ということについては我々も同じ方向を向いているという思いでございます。

宮本(徹)委員 それでは、残された時間が短くなってきたんですけれども、あと幾つか質問したいと思います。

 一つは、先ほど大臣からも、大会費用については内訳も含めて早く明らかにして、国民の目にさらして点検することが必要だということをおっしゃいました。そのとおりだと思うんですね。

 ですから、これを早く明らかにする。しかも、コンクリートしてから発表されたら余り意味がないわけですね。やはり検討段階で、今こうなっていますというものを一刻も早く組織委員会に出してもらって、それで国民が点検する、ジャーナリストの皆さんにも点検してもらう、そうするとこれだけ無駄が削れるじゃないかということを社会全体で検証していけるようにしていかなきゃいけないというふうに思います。

 それともう一点、これから組織委員会、東京都、国で費用の分担というのはさらに詰めていくことになるんだろうということで報道もされておりますけれども、そうやって分担した場合に、オリンピック経費全体の予算、決算のチェックはどうなるのかなという問題があるわけですね。東京都は東京都、国の分は国、組織委員会の分は組織委員会ということで、これはばらばらでやるものなのか。そういうことじゃないと思うんですね。やはりオリンピック経費全体についてしっかりと予算、決算についてチェックできる場を設けなきゃいけないと思うんですよ。これはどうされるんでしょうか。

丸川国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。

 組織委員会の武藤事務総長から、三者協議といいますか、JOC、JPCも入っての実際には六者での協議なんですが、これでも事務局の機能を強化するということによってガバナンスを強化したいという御提案がありましたし、全体としてどうなのかということをどのような形で確認していくかということについては、そこでもしっかり合意を得て進めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 時間になりましたからこれで質問を終わりますけれども、くれぐれも国民、都民の暮らしと両立するオリンピックの大会経費にするんだ、この立場に立って、コスト抑制、民間資金の活用を含めて努力していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。

玄葉委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょう、聞いていて、まず最初に委員長が質疑されて、そのほかの方々が質疑されていて、私が聞きたいなと思っていた質問項目についてはほとんどもう皆さんに聞かれたなというふうに思ったんですね。だからちょっと重なる部分があるかなと思うんですけれども、問題は、質問の方はもうほとんど重なっているんですけれども、御答弁されていること、これが悪いとかいいとかという問題ではないんですけれども、聞いていて、どんどんどんどん自分の中で理解ができなくなってきた。えっ、結局どういうことなんだろうというふうに思ってしまったんですね。

 それは、まず最初は、そもそも論として、ちょっと質問が準備していたのと前後したり内容が少し変わるかもしれないんですけれども、そもそもこの東京オリンピックは、さっきの話ですと、組織委員会それから東京都、それがIOCとの間で民事上の契約に基づいているというふうな話をされていました。

 では、そういうふうに言っているんだとしたら、このオリンピックの成否、成功するか失敗するかというのは、失敗したときに誰が実質的な責任を負うんですかね。何か今のお話を聞いていると、民事上の契約で東京都と組織委員会がIOCとやっているというふうな形だと。まず、簡単に言ったら、組織委員会がへまをしたときに責任をとるのは誰なんですかね。これは、言っていて、全くよくわからなくなってきたんですけれども。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、御理解をいただくのが大変難しいということは、先ほど石関委員の御質問にお答えさせていただけなかったことでも御理解いただけると思います。

 組織委員会は、これも複雑なんです、東京都とJOCがつくるんですが、IOCの意向のもとにあるんです。そもそも、何を失敗とし何を成功とするかという定義が国によってもそれぞれの大会によっても違うので、どういう点を指しておっしゃっているかということを確認しなければお答えが難しいのは御理解いただきたいんです。

 その上で、組織委員会に何か問題があれば、それはバックアップしている東京都がきっちりと全部カバーをしなければいけないということになります。

木下委員 何をもって失敗かというのはいろいろある、当然そうなんですね。後の方で聞こうと思っているので、ちょっと後に一つ置いておいて。

 そうしたら、国は実際に何をしているのかがよくわからないなと。丸川大臣が最初にこの文章を読まれましたね。「政府においては各府省庁の関連施策を一体として確実に実行し、オール・ジャパンでの取り組みを推進するために必要な措置を講じてまいります。」こういうふうにして言われているんですけれども、国としてどこまでどういうふうな責任があるのかが余りよくわからない。

 そこで、ではどんなことを聞くかというのはなかなか難しいところなんですけれども、そもそもこの東京オリンピックというのは私の理解では一大国家プロジェクトだというふうに思っているんですけれども、そうじゃないんですかね。東京都と組織委員会が民事上の契約に基づいてやっているもので、これは一大国家プロジェクトじゃないというふうに聞こえるし、これを見ていても、何かバックアップするみたいな感じで、どういう位置づけなんですかね。それがまずわからないんです。

丸川国務大臣 先ほど御説明申し上げましたように、民事上の契約ということでございます。

 一般的に、民事上の契約に契約の当事者でない人が口を出すというのは通常あり得ないことですので、口を出すんだったら、契約の当事者になるか、あるいは一般的に言うと、ではお金を出しなさいという話になろうかと思います。

 では、国はどういうかかわり方をするのかということですが、この規模の国際大会をやる基盤とは何か。つまり、主催者である都でも組織委員会でもできないことは何か。

 それは、安心、安全の基盤をまず維持することであります。テロ対策、それから防災対策、特に国においてやらなければならない部分というのが、もちろん防災対策も地域でやるものから国でやるものまでございますけれども、そうしたことがございます。それから、CIQ、これは国でしかできません。ですので、CIQの職員増員についてはもう既に手をつけ始めておりますし、またさまざまなスピードアップということについても現実的に進めてきて、新しいテクノロジーを導入して進めているところです。

 大きいところではここになりますけれども、さらに、東京の経済活動というのは我が国のGDPにも非常に深くかかわっておりますけれども、ちょうど会場のすぐ脇に、日本でも有数の、海運の貨物の取扱量が一番多いコンテナ埠頭が三カ所ほどございます。実際には、一つはまだ新しいのでこれから使うんですが。ここからの物流が滞りますと、関東一円に大変大きな影響が出ますし、日本全体の経済活動にも影響いたしますので、ここを迂回させるような形で道を通す、あるいは輸送能力を増強するというようなことを国でやっております。

 そのほかにも、暑さ対策であったり、あるいは、先ほど申し上げました、食料の調達基準を国際認証基準に押し上げる援助をして、日本の食料品、とりわけ農産物の輸出拡大のきっかけにこのオリンピックをするというようなこと等でございます。

木下委員 非常に長く、細かく言われました。途中でやめてもらおうかなと思ったんですけれども、聞いていて、余計にちょっと、あれっと思ってしまったんですね。

 なぜならば、二つあります。まず最初、一つは何かというと、さっき宮本委員の話でも言われていましたけれども、もともと、招致する際に閣議決定されているということなんですね。何を閣議決定されたかというと、今、長い間説明されたことについて国が関与していくことを閣議決定したのか、何かそういうものなのかなと。オリンピックで国の関与ってそういうものでいいのかどうか。これは最初、どなたかが言われましたよね、スポーツが国に対してどうこうというふうな話をされましたけれども、何かちょっと、国が一歩引いているような感じがしてしまうということが一つ。それは一つ置いておいて。

 もう一つ、細かく説明された中で、セキュリティーの話、輸送の話。それ以外に、食料の話もちょっと言われましたよね。特にセキュリティーと輸送。今、二兆円ぐらいになる、最初は七千三百四十億円だったというところが二兆円ぐらいだ、そのうちの大半の部分がセキュリティーと輸送費、それから撤去の部分とかも含めてと。ということは、要するに、国の出費するところは金額が決まっていないというふうなことを言われているということになるんじゃないかな、本当にそれでいいのかなという気がするんですね。

 それからもう一つ、立候補の招致ファイルについて、七千三百四十億円だった、当初、それ以上かかるかどうかは承知していなかったというふうに審議官が言われましたね。果たしてそうなんですかね。

 コンパクトにあれするからといいながら、今までの世界のオリンピックをやられたのを見ていると、立候補の招致ファイルというのは、限定された部分についてのみの予算でしかないんですよ。全体の予算について出せというふうにIOCは言っていないんですよね。それをわかっていて承知していなかったと言うのは、ちょっとまた、話を聞いていて、おかしいなというような気がしました。

 これは質問というよりも、もうほとんど私が用意していた質問はほかの方がされたので、気がついたところだけを羅列していきます。

 これは国が言うことじゃないというふうになるのかもしれないですけれども、民事上の契約をしたということなんですね。普通の企業であれば、立候補の招致ファイルの金額だけを前提にした契約というのはあり得ないと思うんですね。何か建物を建てるとか、自社の分のビルを建てるとか、そういうのでも予算は全部決まっていて、それで契約していくのが普通ですよね。ましてや、民事上のといいながら、東京都も税金を使うんですよね。

 これは誰が監視するんですかね、東京都が監視するんですかね。そこもよくわからない。国家プロジェクトなのかどうか。もともとの話だと、東京都と組織委員会がやっている話であって、国はバックアップでしかないと。

 何がどうなのか、説明を受ければ受けるほどわからないし、そんな状態で、今テレビの報道なんかでは、ああいう東京都のハードウエアの部分だけで、あれだけ問題になっているわけです。でも、国民のほぼ、九十数%の人は、今、丸川大臣が説明をされた仕組み、そして国がどれぐらい関与しようとしているのか、国家プロジェクトだと思っているのかどうか、国がどう思っているか、これが全然国民はわかっていないということを言われているということになってしまわないかと思うんですけれども、実際はどうなんですか。

 一言で、これは一大国家プロジェクトなんですか、それとも、結局は東京都と組織委員会が民事上の契約に基づいてIOCと契約したものなんですか。どういう認識ですか、これは。

丸川国務大臣 少しパートを分けて話しますけれども、少なくともセキュリティーについては国は大いに責任を持たねばならぬと思います。これは国家としてのレピュテーションリスクに非常に強くかかわる部分ですから、これだけの大会をやる上で国が責任を持たないということはあり得ないと思います。

 一方で、文化的、教育的側面をどう生かしていくかというところであったり、あるいは先ほど後藤田委員が御指摘いただいた、スポーツビジネスをどう発展させていくか、これはオリンピックをどう生かしていくかということだと思います。

 この関連施策を国家プロジェクトと呼ぶかどうかについては、どのように認識をするかという点でありますけれども、少なくとも私は、関連施策を取りまとめて、オリンピックを生かして二〇二〇年以降のレガシーをつくっていく上で何をするかという視点が重要だという意味でいえば、これは国家として取り組むべきことであろうと思います。

木下委員 きれいにまとめられたと思うんですけれども、でも、よくわからないんですね。東京都がやっていることだと国民は多分思っていないと思うんですね。それが一番の問題だと私は思っています。

 もっと言うと、これは誰も言わないんですけれども、IOCがそういう条件、条件というのか、招致ファイルでここまでの金額でいいよとやっていることについて、余り誰も批判しないんですけれども、曖昧にしているのは、IOCのやり方自体が余計に曖昧さを増す原因になっているような気が僕はするんですけれども、違うんですかね。何でこういうふうな複雑なことをやっているんだろう。

 決めたのは、そういう形でいろいろ船頭が出てくるようにした、その最初の決めは誰が決めたんですかね。JOCと東京都、それが組織委員会をつくる、それでIOCと契約する、国はバックアップ、こういう仕組みというのはもともとIOCが思い描いた形なのか、それとも、誰かがこういう形でこのオリンピックに対して臨んでいこうとされたのか。これは誰がどういうふうにして決めていったんですか。そこだけちょっと、最後、教えてください。

芦立政府参考人 現在の基本的構造につきましては、招致段階で東京都が中心に基本的考え方をまとめられた。この役割分担についても、当時、東京都の方から御説明があって、トータルに設計されているものだと。国によってそれぞれ、対応のやり方は違っていると思います。

木下委員 ということは、今の話を聞いていると、あくまでもこの東京オリンピックは東京都が中心になってやったということなんですね、今大臣もうなずかれている。ただ、国民はそうは思っていない、それをどうするべきなのか、どういう位置づけをするべきなのかわからない状態のままで、私もそうです、ここでも話がされていたという感じがするんですね。

 国民の大半がそうなっているということの御認識をしていただいて、では国はどういうふうにこれに接しているかということをもっと前面に出していただきたいなと。テレビが小池さんの話ばかりしていますけれども、大臣にもっと出ていただいて、そういうことを言っていただいた方がいいのかもしれない。それがいいのか悪いのかという問題も、これは議論していくべきだというふうに思います。

 以上です。ありがとうございます。

玄葉委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 この際、委員各位に申し上げます。

 質疑を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、委員長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。

 また、発言の際は、着席のまま、所属会派及び氏名を述べた上、答弁を求める者を御指名いただくようお願いいたします。

 なお、理事会の協議によりまして、一回の発言について、原則としてでありますが、一問となっておりますので、委員各位の御協力をお願い申し上げます。

 それでは、質疑を希望される委員はネームプレートをお立てください。

田畑(裕)委員 自民党の田畑裕明でございます。

 一問ということでありますから、簡潔に申し上げたいと思います。

 オリパラは、スポーツと文化の祭典であろうかと思います。

 東京オリパラの基本方針においては、大会の円滑な準備及び運営並びに大会を通じた新しい日本の創造ということを、取り組みの基本方針として整理されて進められているかと思います。大会成功に向けて、もちろん我々国民も含めて同じ方向にしっかり、合致に向けて、有形無形のレガシーの創造を含めて、これはしっかり取り組んでいかなければいけないと思います。丸川大臣のリーダーシップにも大いに御期待を申し上げたいと思います。

 中でも、地域の活性化や日本文化の魅力の発信といった分野について、一問お聞きをさせていただきたいと思います。

 ホストタウン構想ですとか文化プログラムの推進という分野、これも非常に、東京のみならず、全国の国民や全国を巻き込んでのしっかりとした推進が必要かと思います。こういった分野については、全国の自治体ですとか公式なスポンサーや民間企業、さまざまな団体の皆さんの主体性をいかに尊重して効果を出していくかということが非常に大事かと思います。単に一事業、紋切り型に一律に何か交付、補助的なことを与えるということではなくて、やはりめり張りをつけるべきだと思います。

 ややもすれば、こうした分野の取り組みは、芸術ですとか文化も含めて正当な評価というのはなかなかされにくいというのが昨今ではなかろうかと思いますが、しっかりとした正当な評価を与えて、一律的ではなくてめり張りをつけた取り組みについて、御見解といいますか、お考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、二〇二〇年東京大会を、主催都市でもない、競技会場もない地域でどう生かしていただくかというのは非常に重要なテーマであると思っております。その上で、ホストタウンをきっかけにしていただくというのは私どもが提案した一つの方向性でございまして、自治体によっては本当に熱心に、自分たちの中にどういう人材が眠っていて、この人の人脈を活用するとどんなことができるかというのを、まさに体当たりで道を切り開いていかれたというのを私も直接お伺いしております。

 その上で、あくまで、自治体がまずどんな意欲を持っておられるかというのは非常に重要なことだと思っておりまして、方向性や自分たちに対する分析があれば幾らでも道を開くお手伝いをするのですが、何だかわからないけれどもどうにかしたいという場合に非常に一番困っておりまして、これは恐らく、別にオリパラに限らずでございますが、地域活性化の面においても同じような悩みがあるんだろうと思います。

 やはり、地域で御自分たちが一体どんな宝物を持っているのか、あるいは眠っているのかということに向き合うきっかけとしてこのホストタウンの制度をお使いいただければ大変ありがたいなと思うのと同時に、ぜひオリンピック・パラリンピック以降にも残ることを、特に人的な交流、この点についてやっていただけるような取り組みに光を当てたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 答弁のとおりにしっかり推進をしていただきたいと思いますし、既存でも地方自治体同士の都市間交流はたくさんやっていらっしゃるわけでありますから、それとのめり張りをつけて、しっかり効果が上がるように、時間もありますので、人的な育成を含めて取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

篠原(豪)委員 大臣にお伺いします。

 きょうのお話を聞いていますと、このオリンピックが成功したか、あるいは成功にならないかどうかというところは何かしっかりとやっていかなきゃいけないんだと。ところが、その指標が、どういう指標でやっていこうというのが今聞いている中でちょっとわからなかったというところがあり、明確じゃないというふうに思っています。

 さっきビジョンの話もありましたけれども、例えば多様性と協調みたいなことは言っているんですね。それはいいんですが、仮にそういった中で逆に実際に運営してみるとなるとどうなるかといったら、多元的で論争的だからよくわからないみたいな話になって、本当に聞いている方はよくわからない。多元的で論争的だから、それはハードのものもあるしソフトのものもあるから、いろいろな事業があるから、それにどういうふうに指標をつけていくのかとかどうするかということを、本来であれば国民の皆さんにお示ししながらやらなければいけないというふうに思うんです。

 その中で、先ほどおっしゃっていた中で、やはりお金をどうするか。都民の皆さんの税金です。そして我が国も、二十八年度の予算、当初それから補正も含めて、かなりの額、何百億円という額を出しているんだというふうに思います。そういった中で、誰がしっかりとその金を見ていくかということであると思うんですよね。

 その中で、例えば、私はこれを御提案するんですが、ハードであれば、ハードというものは、それをレガシーにしたいんだというのであれば、それはやはりちゃんとした事業収支シミュレーションをやって、損益分岐点はどこであるかのような話を、一つ一つのレガシーがどうであるかというふうにハードをまとめてお出しいただければ、それはそれで一つ議論がまとまると思いますし、そうじゃなくて、ソフト面で何かどうにかしなきゃいけないというときには、やはりそれなりの指標をきちっと、いろいろなやり方があるはずなので、もう少しここを見ていただいた上で、きょうのような場に臨んでいただいて、説明していただきたいというふうに思うんです。

 ですので、まず最低限、ハードであれば、レガシーとしてつくるものであれば、どういうものを目標に、それから将来に対して、どこの時点で、例えば公共建築物であれば、公設公営というやり方もありますし、公設民営というやり方もありますし、民設民営というやり方もあるんだと思うんですよ。コンセッション方式でどうしていくかという話もあるんだと思うんです。だから、それをどの程度、どういうふうにやっていくんだということを見せてくださいと言えば、これは多分、恐らくもう少し建設的な議論ができると思うので、その辺をまとめていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 まさに都知事がこれから有明アリーナについて民力を活用するというようなことも視野にということを御指摘なさっておられますので、どんな計画になるか、恐らく都できちんと固めた上でないとお話しいただけないと思いますけれども、その構想をお伺いして、私どもが話していいようであれば、当然、こちらで答弁できるように用意はしたいと思います。

 新設する施設というのは、現状、ちょっと決まっていない施設がありますので、東京都の都政改革本部の御提案の前の状況ですと、有明のアリーナとアクアティクスセンターだけです。あと、体操の会場は仮設ということになりますから、十年の仮設になりますよね。ですので、公共的に設置するもので新しい施設というのは、この二つの施設が都政改革本部の御提案の前のものでございますので、これについては、東京都がどのようになさるかということをよく煮詰まった段階でお話しいただけるようにお願いをしておきます。

 国立競技場でどういうふうに民間の活力を生かすかということについては、まさにこちらにおられる水落副大臣のもとで今チームをつくってやっていただいておりますので、もし副大臣から進捗状況等の御答弁がございましたら、お願いしたいと思います。

水落副大臣 新国立競技場につきましては、東京大会後の運営管理を検討するために、私のもとで検討ワーキングチームをつくりまして議論を行っているところでございます。

 その中で、民間事業化にかかわる論点整理が行われまして、民間の創意工夫を最大限活用するための手法とは何か、あるいは収益性を高めるための取り組みは何かといったような論点が現在指摘をされております。

 今後、このような論点をもとに、関係団体との意見交換や、過去の事例を含めて民間運営の手法に関する研究を行いまして、政府としてさらなる検討を進めていきたいというふうに思っております。

牧原委員 まず一点目、地震について、きょうは触れていなかったので。

 先日以来起こった地震、ちょっとの地震でも首都圏は電車がすぐとまったり混乱したりします。さらに大きな規模の地震が起きるとオリンピックに大変な支障が起きる可能性があるので、ぜひここは考えていただきたいということをお願いさせていただいて、きょうの議論、いろいろありましたけれども、やはり大会を成功させること、そしてレガシーをしっかりしていくということは、東京都の責任とかJOCの責任とかではなくて国民全体の責任だし、我々国会議員も、それは多分、与野党問わず逃れられない責任だと思うんです。

 私たちは、このオリンピックが、まさに国民のプライド、国家のプライドがかかったものだという直観があるからこそ、東京都がやっているとか、どこかがやっていると説明を受けても、多分ぴんとこないんだというふうに思うんですね。

 リオデジャネイロのオリンピックの前に工事がおくれて間に合うかというのがあったときに、これはリオ市が悪いんだとは誰も思わないんですね。ブラジルのやつらは大丈夫かというような見方をやはり我々はしますので。このオリンピックでエンブレムの問題だとか新国立競技場の問題とかさまざまな問題が起きるたびに、その不満というのは国民的には政治、国会に向けられるわけですし、世界的に見ると日本は大丈夫かというふうに見えるので、ぜひこれは、よくも悪くも国家の威信をかけたものになるんだということを考えていただきたいと思います。

 この点について、私は、プロジェクトマネジメントがしっかりしていないなとやはり感じざるを得ません。これは原発事故とかでもそうなんですが、東電がやっているんですとかいっても結局うまくいかないので、かなりPMの機能を充実させて、相当緊密に連携をして、情報発信も考えた結果、余り東電のせいだとか誰のせいだということなく、国家が今進めているという状況にあると思うんですけれども。

 ぜひ、誰がPM、プロジェクトマネジメントをちゃんとやるのかをやらないと、常に役人的に、誰がやっている、あれは誰ですと説明を受けても、多分、我々がぴんとこないということは国民の皆さんはもっとぴんとこないし、外国の人はさっぱりわからないということになりますので、丸川大臣のもとなのかどうかわかりませんが、プロジェクトマネジメントをしっかりして、その人が何でも知っている、そして何でもその人が一応指導力を持っているということを体制としてつくっていただきたいと思います。

 それにあわせて、情報の発信をしっかりとしてもらいたいと思います。原発事故の後にいろいろな人がばらばらに発信した結果、何かよくわからないという事態が国民的にはあったと思います。今回も、東京都がやったりいろいろなところがやったり、これはJOCだとやってもわからないので、統一の広報官、オリンピック広報官みたいなものをつくって、統一して情報発信をするか、あるいは常にみんなで記者会見をして情報発信を統一するか、そういうことをぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 防災については非常に重要な課題と私たちも思っておりまして、特に、既にせんだっての地震でも、公共放送では多言語で放送いただいていたのを認識されていた方もいらっしゃると思いますが、携帯電話のアプリ等にプッシュ型の通知を送ることであったり、あるいはピクトグラムを多用して避難誘導に生かすことであったり、ボランティアの皆様方も当然そうした防災対策に対応できる研修を受けていただいて備えていただくというようなことを念頭に、今作業を進めているところでございます。

 プロジェクトマネジメントは非常に重要でございますが、私も今、話を聞いていて大変混乱をしたんですが、誰がやる、彼がやるではなくて、プロジェクトマネジメントを一人に決めると。一人に決めるということは、誰がやるかを決めるということでございますので、どっちがいいんだろうという思いでございます。

 素直に考えますと、オリンピック憲章に「オリンピック競技大会を開催する栄誉と責任は、オリンピック競技大会の開催都市に選定された一つの都市に対し、IOCにより委ねられる。」と書いておりまして、結局、もし誰かがやるということになると、これは開催都市という可能性もあるわけです。そうなった場合にまた、誰がやる、彼がやるという話になるのかならないのかということを考えますと、私は、今の状況をきっちりマネジメントできるだけの、調整会議のマネジメント力の強化が一番重要なのではないかと考えております。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 先ほど私の名前も出ましたけれども、我が党はもともと東京招致に反対をしてきたんですね。ただ、IOCの総会で東京招致が決定してからは、IOCのオリンピック憲章のこの精神に立って東京大会を成功させる、こういう立場で私どもも超党派の成功議連に加わりました。これは超党派でつくっておりますから、各会派から顧問というものが選ばれるということになり、私も名前を連ねております。

 ただ、今日に至るまで顧問料というものについては見たことも聞いたこともございませんで、それが一体、いかなるところへ、どのように支出されているのか、これはぜひ、組織委員会からきちっと回答を求めて、私のところへ追って御説明をいただきたいというふうに思っているところです。

 きょうは一問だけしかないということですので、本来の質問の方をさせていただきます。

 大臣にお伺いするんですけれども、今、五輪が抱える最大の問題は、増加の一途をたどる開催費をいかに抑えるかという問題なんですね。史上最高額の五輪と言われたソチ、五兆円という額がかかりまして、大変な危機感を持って、今大臣がお触れになったオリンピック・アジェンダ二〇二〇というものが二〇一四年十二月の第百二十七次IOC総会で決定される。このままではもう開催都市がなくなるんじゃないかという危機感がやはりあるわけですね。ですから、既存施設を最大限に活用する、仮設施設を奨励する、あるいは分散開催ということも言われてまいりました。

 そういう方向に照らせば、先月二十九日の四者トップ級会合の終了後にコーツ副会長が、二兆円を容認したわけではない、こう述べられたのは当然のことだと思います。大臣も、だから当然そうだという御答弁を先ほどされました。

 いかに持続可能に、どんな国でも開催できるような、コンパクトで安い開催を目指すかということが今は世界の流れになっていまして、二〇二四年、ロサンゼルスが今名乗りを上げておりますが、五十三億ドル、約六千億円という見積もりを出して、いかに安く上げるかという議論をやっているというふうにお伺いをいたしました。当初のプレゼンと違う見直しをやったらIOCが約束が違うと言って怒るんだ、こういう話は一体どこから出ているのかと、全く不思議に思っている次第であります。

 大臣にお伺いするんですが、五輪マークというのはそもそも、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、こういう五大陸を示しているんですが、南アメリカのリオで開催されましたから、残るはアフリカのみとなりました。我々はやはりアフリカでの開催ということを、この五輪という精神からいえば、やがては目指さなければならないと思うんです。二兆円なんてとんでもないですよ。六千億円でも到底、アフリカではなかなかできないと思うんですね。そういう点では、いかに、アフリカでもやれるようなコンパクトな五輪、本当に経費のかからない五輪を目指していくか、これが世界の流れだと私は思いますけれども、大臣にそのような認識はございますでしょうか。

丸川国務大臣 額が幾らかということは別にいたしまして、というのは、アフリカも、かなり地域、国によってばらつきはございますけれども、経済成長を見せつつある、あるいは遂げつつあるというところもございまして、額について何かを申し上げることは私はいたしませんが、五大陸全てでというのは、私たちがオリンピズムに共感を示し、そしてスポーツ、文化、教育の融合が全人の中に一つの結合を見るというこのオリンピズムの考え方を世界に敷衍していくのであれば、これはぜひ目指すべきものと考えます。

後藤田委員 大臣、きょうの議論でも、五輪の成功というのはもちろんなんですけれども、やはり国家ビジョンというか国家プロジェクトとしての考え方を、有能な大臣ですから、これを国民と共有するような発信をぜひしていただきたい。

 その中で、さっき、戦略的に、成長戦略だとかガバナンスの問題、多様性、地方、また健康、行革とかいろいろ戦略を述べましたけれども、一つちょっと文科省に確認したいんですけれども、同時進行で今進んでいる中で、ガバナンス改革ということで、大学だとか高校、ひいては少年野球とかその他、アマチュアスポーツの安全問題というのがやはり非常に重要だと思っているんですね。

 この前もアメフトの選手が脳振盪で亡くなったり、でも現場は、水をかぶれとか、本当に非論理的な中で行われてきているんですよ。それで、文科省に聞くと、クラブ活動というのは学校は関係ないとか、大学に聞くと、いや、それは自主活動ですからと。これでずっと何十年も来たんですよ、日本は。

 やはり、もうそろそろNCAAという、これはアメリカは一九〇〇年前半にできたんです。それがずっと、安全対策から始まって、七〇年、八〇年ぐらいになると今度は、収益を得よう、その収益はまさに安全対策やファシリティーに還元しようという、このNCAAをもっと学ぶべきだということを党の方でも議論しています。

 これについての今の実態というか進捗状況について、文科省から常盤さんが来られておりますので、教えていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 大学スポーツの振興でございますが、文部科学大臣のもとに検討会議を設けて検討しておりまして、その中間取りまとめにおいて、スポーツマネジメント人材の育成、あるいは学生のスポーツ環境の整備、今御指摘がございました日本版NCAAの創設、こういうことが提言をされているところでございます。

 これを受けまして、私どもでは今、大学の学長等が集まる会議においても今回の提言を紹介したり、大学トップ層の理解の促進というところに力を注いでいるところでございます。また、現在、日本版NCAAの創設に向けて、検討会議のもとでタスクフォースを設けまして、検討をさらに進めているという状況でございます。

 その中で、この中間取りまとめの中にもございますけれども、例えば早稲田大学さんにおいては早稲田大学アスリートプログラムというようなものを設けて、その中で、アスリートの生活管理の中で、障害の予防であるとかあるいはメディカルケアであるとか、そういうことも含めていろいろ学生さんに対して指導しているというような先進事例もございますので、こういうものの共有を図れるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

後藤田委員 ぜひ、丸川大臣、例えばこういう話なんです。こういうものを大臣がまとめて、国民に、ポスト五輪、五輪の後はこんな世の中になりますよと。これが大臣の仕事ですので、ぜひよろしくお願いします。

 以上です。

石関委員 丸川大臣に。

 先ほどの質疑や皆さんからの御意見の中でも、都が都がと言うけれども、やはり、牧原先生もおっしゃった、国全体、国民、国会議員も与野党関係ない、こういう責任のもとでやっていますよと。木下先生からも、国ではないか、こういうお話がありました。リオの最後に総理大臣が変な格好をして出ていってアピールすれば、どこの世界の人が見たって、日本の代表が出ていってあんな格好をしているわけですから、これは国だ、こう思いますよ。

 これを前提として、丸川大臣はさっき、IOCがJOCがとか組織委員会がと御説明をされていましたけれども、それではよくわからないので、担当大臣として、そこの構造も総括整理をして、国民にわかりやすく、特に国会でもわかりやすく説明をいただきたい、こういうことなんですよ。

 それで、組織委員会に別に大臣が指揮監督の権限はないということはもう承知の上で、しかし、先ほど私がお尋ねしたように、国からお金を、給料を払っている職員がそこに出向している、こういう場所ですから、そこに対して大臣として、担当大臣あるいは国務大臣の一人としてどのような責任をお持ちなのか、どのような関与をしていくのか。違う組織だから私は関係ないとは言えないと思いますよ。

 政府の役人が、国民の税金の給料をもらった者もそこに行っているということですよね。それをどういうふうに大臣としては、いや、私の大臣の所掌はこれですからとか、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。オリンピック担当大臣、国務大臣の一人としてこういった組織に対して、顧問名簿を見たら、ホームページを見たら何だかわからない人たちがまだ入っている、これはやはり現行化するものなんじゃないんですかね。

 こういう組織、これは組織委員会に限らず、国からどこかに出向していたら、やはりその組織に対して、あるいは法人や何かに関して知らないということは言えないと思うんですよ。そこの取締役の名簿がいいかげんなところへ国の給料の役人が行って働いている、何をやっているんだと。当たり前ですよね。

 組織委員会に対して、あるいはこういった構造を大臣としてどうお考えなのか、改めて、そして今後どのように関与をされるようなお気持ちがあるのか、お尋ねをいたします。

丸川国務大臣 組織委員会が運営と全体のマネジメントにしっかり責任を持っていただけるように我々が関与をしていくということは、特に調整会議などの重要な事項を決める場において非常に重要だと思っております。

 事務局の機能を強化するということは、組織委員会から御提示があった提案ではございますが、私どもも大いに賛成をしておりまして、先ほども申し上げたんですが、誰をプロジェクトマネジメントにするかということを決めると、逆に、誰かに決めてしまったという話になりますし、誰がやる、彼がやるじゃなくてというと、みんながみんなそれぞれのことをやるということになりますし、非常に難しいところであります。

 私が今までお答えしたのは、少なくとも、まだ煮詰まっていない、極めて重要なベーシックなロジスティクスの部分についてどのようにしていくのかということがまだその途上にございますので、こういう答弁になりましたけれども、これはこれとして進めながら、国家としてこの機会をどう生かしていくのかというのは非常に重要なことでございますので、これについては私も責任を持ってしっかり取り組んでまいります。

 また、それが相互に国家の繁栄やあるいは私どものレピュテーションや責任というものと密接に関係することについて、しっかりと私どもの意見をこれからも調整会議の場あるいは直接お話をする場を通じてお伝えし、また御理解いただいた上で、必要であれば行動変容をもたらすようにお願いをしてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 済みません、先ほどのやりとりの中で、事務方で結構ですので、一点お伺いします。

 七千三百四十億円という立候補ファイルに書いてある数字について、これは大会開催経費の一部だというものだということについて、政府は招致段階では認識していなかったという答弁が先ほどあったと思うんですね。総理までプレゼンテーションに出かけていって招致活動をしたにもかかわらず、国がこのオリンピックファイルに書かれている数字の性格を知らずに招致活動をやっていた、手伝ったというのは極めて無責任だなと改めて思いました。

 お伺いしたいのは、では、このオリンピックファイルの七千三百四十億円というものの数字にはいろいろなものが入っていないんだ、これはIOCから求められたものを積み上げただけの数字だ、こういうオリンピックファイルの数字の性格について国が認識したのはいつですか。

芦立政府参考人 私どもとして正式に伺いましたのは、東京都庁の都政改革本部の報告の中で、東京都庁の都政改革本部が事務方含めていろいろ聴取した結果このようなものである、今申し上げたような、そもそも全ての経費が入っていないものであるということが明らかになったという、その報告によってでございます。

宮本(徹)委員 びっくりしましたね。つい最近まで知らなかったという話になるじゃありませんか。大体この大会経費が膨らむという話はもう一年ぐらい前に、たしかNHKさんですかね、何か、ばっと報道したのがきっかけだったと思うんですが、それまでそういう調査もしていなかったというのは本当にいかがなものかというふうに思います。

芦立政府参考人 IOCの、必ずしも全ての経費が含まれていなかったのはいつなのかという御質問でございましたので、そうお答え申し上げましたが、当初、この問題が明らかになったときに東京都から説明を受けましたのは、立候補ファイルにおける経費は類似の国際大会から累算したものであって必ずしも積み上げの経費ではないということは、ちょっと申しわけございません、いつの時点かは認識しておりませんが、一年ほど前に政府として承知したのではないかと思っております。

木下委員 私の質問の中で、牧原委員であったり石関委員がまとめていただいたとおり、国の関与の仕方というのはそうあるべきだと思うんですけれども、今までの話を聞いていて一つだけちょっと気になるのが、例えば東京都知事が、例えばですけれどもね、今がそうだとは言いません、旧ポスト、前任者否定をするようなことというのは東京都知事じゃなくてもどこの世界でもありますけれども、そういうことをするような人であって、オリンピックについて東京都はやるというふうに決まっていたけれども、やはりやめますというようなことを言った場合に、この場合には、恐らくIOCとかいろいろなところの契約の問題で、そう簡単にはそうはできない。ただ、そういうふうに言ったときに、今までの話ですと、論理的には国は、国はですよ、国はそれに対する歯どめはかけられない、そういうことでよろしいですか。

丸川国務大臣 もちろん懸命にとめる努力はいたしますけれども、ルール上はかけられません。

木下委員 今のお話を聞いていて、やはり問題だと思います。

 以上です。

玄葉委員長 それでは、予定をいたしました時間も参りましたので、本日の質疑はこの程度で終了いたしたいというふうに思います。

 次回は、来る十四日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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