衆議院

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第2号 平成30年5月17日(木曜日)

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平成三十年五月十七日(木曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 秋葉 賢也君 理事 神田 憲次君

   理事 後藤 茂之君 理事 田中 英之君

   理事 宮下 一郎君 理事 青柳陽一郎君

   理事 今井 雅人君 理事 濱村  進君

      甘利  明君    安藤 高夫君

      岩田 和親君    加藤 寛治君

      門  博文君    木村 哲也君

      国光あやの君    左藤  章君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      鈴木 馨祐君    園田 博之君

      高橋ひなこ君    武村 展英君

      長尾  敬君    船橋 利実君

      細田 健一君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    大河原雅子君

      篠原  豪君    青山 大人君

      津村 啓介君    石田 祝稔君

      鰐淵 洋子君    安住  淳君

      玄葉光一郎君    中村喜四郎君

      宮本  徹君    杉本 和巳君

      樽床 伸二君    中島 克仁君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         小野寺五典君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   経済産業副大臣      西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   会計検査院事務総局次長  腰山 謙介君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴土  靖君

   会計検査院事務総局第二局長            宮内 和洋君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   会計検査院事務総局第五局長            堀川 義一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    吉野 恭司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     細田 健一君

  江崎 鐵磨君     門  博文君

  棚橋 泰文君     務台 俊介君

  石田 祝稔君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     江崎 鐵磨君

  細田 健一君     岩田 和親君

  務台 俊介君     高橋ひなこ君

  鰐淵 洋子君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     棚橋 泰文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十八年度一般会計熊本地震復旧等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百九十五回国会、内閣提出)

 平成二十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百九十五回国会、内閣提出)

 平成二十八年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百九十五回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十八年度一般会計熊本地震復旧等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十八年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府政策統括官海堀安喜君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、平成二十八年の予備費ということで質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、一般会計熊本地震復旧等予備費についてお伺いをいたします。

 まず、この予備費におきましては、使用決定した金額は二千四百七十六億六千二百三十万七千円とのことですが、そのうち、財務省所管の中小企業者等の経営の安定等に必要な経費が百二十八億八千万円となっているわけですけれども、これはどのような性質のものなのか、確認をしたいと思います。

可部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の財務省所管の経費は、平成二十八年熊本地震により被害を受けられた中小企業者等の経営の安定などを図るため、日本政策金融公庫が行う国民生活事業及び信用保険事業の実施に必要な財務基盤強化を目的とした出資金でございます。

 具体的には、平成二十八年熊本地震により直接又は間接に被害を受けられた小規模事業者等に対しまして、事業の復旧に必要な設備資金や運転資金を低利で融資させていただくために必要な経費として五十一・八億円、また、平成二十八年熊本地震により経営の安定に支障が生じておられる中小企業、小規模事業者に対しまして、資金繰りの円滑化及び事業の復旧を支援するため、信用保証協会が通常の限度額とは別枠で一〇〇%保証いたしますセーフティーネット保証を実施するために必要な保険に係る経費として七十七億円を手当てしているところでございまして、これらの合計が百二十八億八千万円でございます。

濱村委員 低利融資とセーフティーネット保証だということでお話がございました。

 中小企業等グループ施設等復旧整備事業でございますが、グループ補助金の話でございますが、これに必要な経費は四百二十億三千三百三十三万円ということでございます。グループ補助金は、制度といたしまして、二分の一は国が、そしてまた四分の一は県が、そして残りの四分の一につきましては事業者負担となるわけでございます。

 熊本地震の際にも、当時、私は災害特の理事もやっておりましたので、現地にも行かせていただきましたけれども、商店街のアーケードが壊れて、それをグループ補助金を使って補修するというようなことに使えて非常に助かったというようなお話がありました。

 この熊本地震復興関連のグループ補助金のこれまでの実績についてお伺いいたします。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 中小企業等グループ施設等復旧整備事業でございますけれども、中小企業等グループが作成した復興事業計画に基づきまして施設等の復旧整備を行う場合に、今先生の方から御指摘があったとおり、その費用に対して、国と県とで合わせて四分の三を補助する事業でございます。

 熊本地震の復興支援としましては、平成二十八年度の創設以降これまで、一千三十億円の予算を措置しておりまして、五百十四グループに対して、国費ベースで九百六億円、県費と合わせまして千三百五十九億円の支援を実施してきたところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 熊本地震向けのグループ補助金、この評価についてはどのように分析されておられるのか。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度にこのグループ補助金の交付決定を受けました千九百二十二事業者に対してアンケートを実施しましたところ、業種によってばらつきはございますけれども、二十九年七月時点で、雇用については約七割の事業者が、売上げについては約六割の事業者が、震災前の水準又はそれ以上に回復をしたと回答しておられまして、事業者の復旧復興に一定の効果があったと認識しております。

濱村委員 このグループ補助金ですが、建設事業者不足によってなかなか復旧工事を行えない、そういった事業者もおられたというふうに聞いております。

 建設事業者不足への対応とか、申請手続、申請の負荷軽減とか、事業者のニーズ、課題に寄り添って対応してこられたと思っておりますが、どのような取組を行っておられるのか、確認します。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、建設業の人手不足が深刻化する中で、建設業者が見つからない、復旧工事に着手できない、なかなか見積りすらとれないといった事業者が存在するということを私どもも認識しております。このため、熊本県におきましては、地域外の建設業者と被災地の事業者とのマッチングを実施されているということでございます。

 また、申請の手続に関しましては、これまで、負担を軽減するために申請書類の簡素化を行うとともに、商工会、商工会議所におきまして、復興事業計画の策定支援なども行ってきております。

 経済産業省中小企業庁としましては、今後とも、熊本県庁、それから商工会、商工会議所とも連携をしまして、被災事業者に寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。

濱村委員 益城町あるいは南阿蘇村、こうしたところ、私も現地を見ましたけれども、交通インフラの復旧のおくれによりまして復旧がなかなか進んでいない、進められていない地域もあると認識しております。

 こういった事業者への支援については、中小企業庁はどのように取組を行っておられるのか。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 熊本震災向けのグループ補助金としましては、先ほども申し上げましたとおり、平成二十九年度補正予算を含めまして、これまで、一千三十億円を計上して措置をしてきております。まずは、現在措置されている予算が執行されていくように、事業者の皆様に、早期の計画策定、申請を促していきたいと考えております。

 益城町、南阿蘇村は、交通インフラの復旧がおくれている、これは私どもも認識するところでございまして、復旧事業を進めることができない事業者も現に存在されていると認識をしております。こうした事業者に関しましても、取り残されることがないように、事業者への支援のあり方について、これは引き続きしっかりと検討していきたいと考えております。

濱村委員 取り残されることのないように、ぜひとも取組をお願いしたいというふうに思いますし、また、先ほど来ありましたとおり、雇用についても七割、そしてまた売上げについても六割、大分効果、成果は見えてきているのであろうというふうには思うわけでございますが、まだまだ完全な回復といったところまでは来ておりませんので、ぜひ引き続き取組をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、その上で、グループ補助金の事業者負担というのが四分の一というのは先ほども確認をいたしたところですが、事業者負担もままならない、そういった事業者さんもあろうかと思います。

 そういう場合は、高度化融資、無利子での融資が受けられるということでございますけれども、この高度化融資については当然償還をしなければなりません。償還しなければならないんですけれども、猶予する仕組みがあるというふうに聞いております。どのような制度であるのか、確認をしたいと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 このグループ補助金の関連で、自己負担部分に関する融資の措置をということで、これは東日本大震災向けの被災中小企業施設整備支援事業に関連して整備をしたものでございまして、これは中小企業基盤整備機構が県と協調しまして、県の公益財団法人を通じて、震災で被災した中小企業等に長期、無利子で自己負担の部分を貸し付ける制度でございます。これは、熊本に関しましても同様の仕組みで、熊本県の公益財団法人を通じて同様の制度を進めているところでございます。

 この制度におきまして、これを利用されて償還が困難となる事業者が出てまいりました場合、申請がございましたら、貸付主体である県の公益財団法人が、案件ごとに、国それから私どもの中小企業基盤整備機構に相談をする必要なく、貸付要綱に基づきまして、一点目、事業の継続が見込まれているかどうか、二点目は、元金等についてこれまで遅延がなかったこと、それから三番目に、ほかの金融機関の返済と比較して著しく不利益に取り扱われていないこと、こういう要件を総合的に勘案して償還猶予を行うことができることになっているということでございます。

濱村委員 熊本地震についても同様の償還猶予の仕組みがあるという話でございましたが、先ほど来あるとおり、これは当然、東日本大震災のときの仕組みなわけでございます。

 このグループ補助金の高度化融資の仕組みというものとは少し違う仕組みであろうかと思いますけれども、過去に高度化事業に対する融資の仕組みがございまして、これは会計検査院の平成十六年度の決算検査報告によりますと、「中小企業高度化事業における不良債権が多額に上っていて、その解消を図るため、より一層の債権管理態勢を整備することが必要な事態について」として、個別の検査が行われております。それによりますと、高度化融資のうち、かなりの割合で不良債権化してしまっているということでございました。

 検査の対象となった事業は、中小機構から都道府県に対して貸付けを行い、県から事業者に貸付けがなされる、そういうものでございました。

 一方で、この熊本地震向けのグループ補助金、当然まだ、今、償還猶予の話がございましたけれども、この自己負担分に係る借入れについては五年後から償還を開始して、仕組みとしては、中小機構から都道府県及び公益財団法人を経由して事業者に貸付けされることとなっております。

 これは当然のことでございますけれども、不良債権化しないようにしっかりと行わなければいけないというわけでございますが、不良債権化しないような取組についてどのような努力をされておられるのか、確認をしたいと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘ございました、熊本震災向けグループ補助金の受給に伴う自己負担分の高度化融資の返済でございますけれども、同じく御指摘ありましたとおり、据置期間が最大五年間ということで、五年後から多くの事業者が返済開始のタイミングを迎えるということでございます。

 この貸付けに関しましては、不良債権化を未然に防ぐべくということでありますが、この公益財団法人、もともと中小企業の経営指導自体も担う組織でもございまして、高度化融資を受けている事業者に対しましては、定期的に経営状況のヒアリングを行う、課題のある事業者に対しましては、個別に、早目早目に経営改善のアドバイスを提供していくということにしております。

 今後とも、引き続き丁寧な対応を行ってまいりたいと考えております。

濱村委員 中小機構の本来の業務であるのは、貸付け等も行うんだけれども、経営指導を行うんだというところであろうかと思います。その点で、しっかりと本来の機能を十分に発揮していただいて、不良債権化しないようにぜひとも取り組んでいただきたいということでございます。

 続きまして、平成二十八年度一般会計予備費についてお話をさせていただきます。

 きょうは、外務省から岡本大臣政務官にお越しをいただきました。ありがとうございます。

 この使用調書を見ますと、平成二十七年十二月二十八日の日韓外務大臣会談で結ばれました慰安婦問題の件、これは合意があったわけでございますけれども、最終かつ不可逆的な解決を示した日本政府と韓国政府による合意でございますけれども、韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に、日本政府が十億円拠出するということになりました。これは、平成二十八年の八月三十一日に履行されたわけでございましたので、今回の使用調書に載っかってきているわけでありますね。十億二十六万五千円というものが拠出されました。

 この拠出と慰安婦合意に対する現状認識について、岡本大臣政務官の御所見をお伺いします。

岡本大臣政務官 濱村委員には、外交政策に関しましてもさまざま御指導いただいておりまして、心より感謝申し上げます。

 御質問いただきました慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意の着実な実施は、日韓双方にとりまして、国際的に大切な責務であるというふうに考えております。

 我が国としては、この合意に基づきまして、韓国に設立をいたしました和解・癒やし財団に対して約十億円拠出をいたしまして、この合意で約束したことを着実に誠意を持って実施をしてきております。

 この財団は、我が国が拠出をしたこの約十億円をもとに、元慰安婦の方々に対する事業を行ってきておりますけれども、この合意の時点で御存命でいらっしゃった元慰安婦の方々四十七名のうち三十六名が事業の受入れを表明していただき、そのうち三十四名に対して既に実施をさせていただきました。また、合意時点で死亡された方百九十九名のうち六十八名の御遺族が受入れを表明していただきまして、そのうち五十八名に対しまして既に事業が実施されております。

 いずれにいたしましても、この日韓合意の着実な実施がとても重要でございまして、先般の日韓首脳会談でも本件を提起したところでありまして、引き続き、韓国側に対しても、合意を着実に実施するよう強く求めてまいります。

濱村委員 日本側の実施についてはよくわかりました。

 その上で、もう一重お願いをしたいのは、今の非常に、北朝鮮をめぐる状況の中で、日本そして韓国とアメリカが協調していかなければいけないという状況の中ではありますが、韓国には、この日韓合意についてはしっかりとやっていただきたいということを強く求めるものでありますので、ぜひとも外務省におかれましても努力をしていただきたいと思っております。

 その上で、行政監視ということでございますので、公文書管理についてもお伺いしたいと思います。

 決裁文書の改ざんについてお伺いしたいと思いますが、財務省で決裁文書の改ざんがありましたが、これはあってはならないことでございます。今般の決裁後の改ざんでございますが、十四の文書のうち一つは電子決裁されております。ところが、これは文書管理システムの電子決裁機能というものを使っての決裁でございますけれども、決裁後の修正については、このシステムの機能上、メール等で通知はなされないというふうに認識しております。

 ですので、今般の一連の問題を受けた調査がなかったら、今回の改ざんについて、財務省内部で気づくことができなかったんじゃないかというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、決裁文書の書換えということはあってはならないことであって、大変申しわけないことでございます。まことに申しわけありません。

 その上で、今委員御指摘がありましたように、今回、十四の決裁文書について書換えを行っておるわけでございますが、そのうちの一件は本省の特例承認というもので、それは電子決裁で行われております。

 委員からお話がございましたように、特例承認というその電子決裁のもの、それを書換えをするということを行うと、書換えを行ったら、その変更が何らかの形で、メールなりなんなりということだろうと思いますが、それが決裁者あるいは文書管理者等に通知されるというシステムになっておったかというと、そういうシステムにはなっておらないというのが現在の状況でございます。

 今回のお話は、報道も受け、その上で国会で厳しく御指摘をいただき、それまで我々は捜査の方に全面的に協力すると申し上げておりましたが、国政調査権を背景とした国会の御指摘を受けて、とにかく調査するということで、三月十二日に報告をさせていただいたんですが、それは、今申し上げたシステムということではなくて、我々として、国会の御指摘を受けた上で内部調査をして、職員に聞き取りをする、あるいは事実のものを確認するということで報告ができたということでございます。

 恐らく、委員は、そういうところのシステムを次に考えたらいいんじゃないかということがあってということだと思いますが、それは我々というよりも、政府全体としてはもうちょっと違う部署があると思いますけれども、いずれにせよ、御指摘をいただいたことについて、我々としては、まずは、今回こういうことが行われたことについてきちんと調査をして、速やかにと言われております、おくれておって大変申しわけないんですが、速やかに調査をして、結果を出して、二度とこういうことが起きないような原因究明そして再発防止をやるというのが、大臣の指示のもとでの我々の最大の責務だというふうに考えてございます。

濱村委員 しっかりと調査をされているということも理解をいたしますし、ちゃんとやっているからこそ時間もかかるということも理解をいたします。

 ただ、大事なのは、こうした仕組み、きょうは、財務省さんのこの事案を追及するというよりかは、冷静になって、どうやったら気づいたんだろうということをちゃんと考えなければいけないと思っています。

 ですので、決裁の後の修正も必要なんだろうという前提に立った上で、これもちゃんと、修正が加えられましたよということが通知されるような仕組みに改善する。これは恐らく全府省庁で、総務省さんがこのシステムについては管理されておられると認識しておりますので、ぜひ御検討いただきたいなと思っております。

 その上で、これは、本来修正すべきであって修正されたんだったらいいと思っております。つまり、修正するときの適正性、これについてちょっと確認をしたいと思っています。

 本来、決裁後の修正については、総括文書管理者、大体官房長、文書管理者、大体課長、文書管理担当者は課長補佐の方々が多いと聞いておりますけれども、文書管理の責任者のみ、決裁文書を修正することが可能となっております。これは、業務フロー上でいえば、特例処理として、決裁について番号管理を行っているけれども先に決裁をとりたいとか、あるいは、発番を決裁後に行って、決裁後の文書に番号を付番する、そういう場合のために必要な機能というふうに言われれば、それはそれで理解できるんですね。

 ただし、内容に修正があるのであれば、本来、再度決裁をとり直すんじゃないんですかねというふうに思うんです。番号のためだけの処理と、本来、再度決裁をとり直すべき処理、そういうものについては機能上分けなければいけないんじゃないかと思っております。

 更に重要なのは、修正を指示したことが、指示したこと自体がシステム上の履歴として残っていないということです。誰が誰に指示したんだということが残らないという状況で、口頭で指示しているだけだったら、それはそれでまた、幾らシステムでやったとしても、これはなかなか、誰が言った言わないという話になってきますので、証明が難しくなってくるかと思っております。

 公文書管理法の第一条の目的規定の趣旨にのっとれば、適正性を担保する仕組みも非常に重要だ、つまり、修正を指示した履歴を残すように改修するべきだと考えますが、総務省、いかがでございましょうか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 文書管理システム、総務省の方で管理しておりますが、文書管理システムにおきましては、決裁途上において決裁文書に修正がなされた場合、起案者及び既に決裁を行った者全員に対して、修正があった旨のメールが配信されることとなっております。

 一方、決裁終了後の修正については、このような仕組みはとられておりません。これは、決裁終了後の修正につきましては、法令番号や日付の追記など形式的なものを想定したためでございますけれども、今般、与党のワーキングチームからも、内閣府において、決裁終了後の修正あるいは決裁の取り直しについて範囲や手続を明確化して、総務省においては、これを踏まえて、修正が行われた場合の履歴の共有も含めてシステム改修を行うべきという提言をいただいております。

 今後の文書管理システムのあり方につきましては、こういった提言も含めまして、御指摘の点も含め、内閣府とよく相談して対応してまいりたいと考えております。

濱村委員 内閣府とよく相談してというところも非常に大事でございまして、この決裁のルール、手続上のルールですね、決裁規定と言ってもいいかもしれませんが、こういうものを誰が管理しているんですかという話なんですね。しっかりとこれも、府省庁全体でいえば内閣府が規定するのであろうと思いますけれども、それを各府省庁に持ち帰ったときにルールとして徹底するということも行った上でやらなければならないと思っております。

 ただ、システム上、一つにまとめたルールにのっとってつくるというのが一番合理性があるので、その点についても、適正性と効率性、両方とも担保されたそういう仕組みをぜひともお願いしたいと思います。

 最後の質問にしたいと思いますけれども、実は、私も与党の公文書管理に関するワーキングチームの一員でございますが、その中でもいろいろと議論をしてまいりました。

 その中で、一つ論点になっておりますのが、不開示情報の妥当性についてでございます。

 当然、公文書管理法というのは、情報公開法と裏表の関係でございますので、そういう意味においては、非常にこの情報公開ということとセットで、あわせて考えていかなければいけないというわけでございますが、行政機関情報公開法では、情報開示請求があれば、原則、行政文書を開示しなければならないわけでございます。

 この中でも、実は、例外があるんですね。五条に、不開示情報とすることができると。不開示になった場合は不服申立てが可能ですよと。

 この不服申立てが可能というところでございますが、その後、この不服申立てが妥当かどうかとかというのを審査するところが情報公開・個人情報保護審査会でございますが、ここで調査審議することとなっております。

 この審査会では、平成十三年から二十八年で約九千七百件の答申を行って、うち約二七%については、行政機関の判断の一部又は全部を妥当ではないと答申しているというわけでございます。

 これは、二七%が多いのか少ないのか、私にはなかなか判断がつきませんが、結構、三割弱と言われると割と多いんじゃないかなという感覚を個人的には覚えますが、これをどう捉えておられるのか。そしてまた、更に妥当性を高めるための努力が必要と考えておりますが、その取組についてお伺いいたします。

堀江政府参考人 情報公開請求につきましては、先ほど御指摘ありましたとおり、制度上、まず、説明責任を全うするという観点から原則開示ということでございますが、一方で、開示によって個人や法人の利益、あるいは国の安全等の公益を損なうことのないよう、不開示とすべき情報についても定められております。

 こういう状況でございますので、個別の案件につきましては、開示、不開示の判断というのは困難なものが多々あると考えております。

 このため、情報公開法は、開示決定に対して不服がある場合には、国会同意に基づいて任命された委員から成る情報公開・個人情報保護審査会が客観的、専門的にチェックを行って、制度全体として適切な開示を担保する仕組みとしているところでございます。

 こういった仕組みのもとで、近年開示決定が行われた案件のうち、一・数%の件については不服申立てが行われております。

 これにつきましては、まず、審査会の調査審議を通じて一定程度の見直しが行われることは制度が当初から想定しているものでございます。また、判断が困難なものほど不服申立ての対象になりやすいといった状況もあるかと想定されます。そういうことでございますので、御指摘の数字につきまして、これが一概に高いのか低いのかということは、判断は難しいと考えております。

 いずれにしましても、総務省としては、各府省において、法の趣旨にのっとった適切な開示が行われるよう、例えば、審査会の答申例、裁判例につきましてデータベースを構築して情報提供する、あるいは本府省、出先機関の窓口担当者等に対する研修を実施する、あるいは各府省担当者などからの照会に対応するなどの努力を行っているところでございまして、引き続き、これらの取組の充実を図りまして、情報公開法の適切な実施に努めてまいりたいと考えております。

濱村委員 不開示情報が適切かどうかというのは非常に難しいと思っている理由の一つとしても、一応、情報公開請求されれば、明認行為、墨塗りをして出せばいいというのが基本なんですけれども、ただ、明認行為も、非常に限定的であるということで類推されてしまう。特に、外交防衛に関するような文書については、本来出すべきなのかどうかということも踏まえて、実は与党のワーキングチームでは、中間取りまとめの段階ではございますけれども、そのような議論をしているところでございます。

 我々も引き続き議論をしてまいると申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、大河原雅子さん。

大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。

 決算行政監視委員会、初めて質問させていただきます。

 決算の報告書などを見ておりましても、私の目が行きますのは、どうしても河川とかそういった問題になります。

 実は、小さいときに横浜で水害に遭ったことがありまして、そのときの体験が非常に、近くの鶴見川が堤防が切れて氾濫をしたというところで、夜になってから救援の舟が、家の畳を上げたところにボートが入ってくる、それに乗せてもらって助けられたということがあります。

 非常にそうした小さいときの体験はなかなか消えないものでございまして、水というのは本当に怖いものだなと。近くにある川については親しみを覚えますが、一度、その川が牙をむくといいますか、大きな抗しがたい力になってくるという、本当にひどい被害に遭われた方がこの日本じゅうにたくさんおられるということを思いまして、質問をさせていただきます。

 二〇一五年九月、台風十八号の影響で鬼怒川の堤防が決壊いたしました。甚大な被害が発生したわけです。

 鬼怒川の堤防といっても、現場は常総市ですから、すぐ近くということで、しかも平野、こんなところで水害が起こるのかと私も本当にびっくりしたわけですけれども、決壊で鬼怒川からあふれた洪水が次々と家々を襲っていくすさまじい光景がテレビでも放映され、そして堤防決壊がもたらす被害の恐ろしさというものを多くの方たちが息をのむ思いでごらんになったんじゃないかと思います。私も現地に行かせていただきましたけれども、この鬼怒川、近くに流れている鬼怒川はそんなに牙をむくような川には見えなかったんですけれども。

 実は、鬼怒川の上流には、国土交通省が建設した四つの大規模ダムがあります。五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムです。

 二〇一二年ですから、つい最近という感じがするんですけれども、湯西川ダムが完成したばかりであって、そして、私は、洪水は確かに怖いけれども、水を大事にするという意味で、川に幾つものダムをつくるということについても疑問を持ってきました。この湯西川ダム、ダムの上流に更にまたダムをつくるという、屋上屋を架すようなダム建設だという印象を持っております。

 この四つのダムの治水量というのは実に一億二千五百三十万立米ということで、しかも、鬼怒川のこの四つのダムの集水面積は全流域の三分の一を占めている。ダムで洪水調節がきちんとできれば、ほとんどの洪水は、氾濫を防止することができると言われている河川なんですね。そこで洪水が起こった。洪水のために堤防が決壊して、すさまじい被害をもたらしたわけです。ダムでは洪水の氾濫を抑止できないということが明らかにもなったんじゃないかと思うんです。

 このことに関して質問をしていきたいと思います。

 湯西川ダムのございます鬼怒川では、今回の水害の前年、二〇一四年度までに、河川改修にどのぐらいの予算が使われてきたんでしょうか。二〇一四年度までの十年間の予算額をお示しいただき、そしてまた、同じ期間に湯西川ダム建設事業に投じた予算額をお示しください。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 治水事業の実施に当たりましては、頻度は少ないけれども壊滅的な被害となるような水害ですとか、あるいは被害は少ないんですけれども毎年のように被害が出るような水害といったように、予測が難しい自然現象に対しましてさまざまな事態への備えを進めていく必要がございます。

 そのような考えのもとで、予算制約もある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったようなものと、それからダムや遊水地の整備など、さまざまな治水手段を各河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。

 鬼怒川の直轄河川改修事業は、昭和元年より、用地買収等の制約がある中、堤防などの整備を順次進めており、御質問のございました平成十七年度から平成二十六年度までの十年間に鬼怒川の河川改修事業に投じた予算は約百三十二億円となっております。

 また、湯西川ダム建設事業は、昭和六十年に建設事業に着手をいたしまして、平成十七年度から平成二十六年度までは、用地買収もピークを越えまして、ダム本体の実施中であったため、効果を早急に発現するよう予算を重点投資している段階でございましたが、この十年間に湯西川ダム建設事業に投じた予算は、利水者の負担額も含めて約一千五十六億円となってございます。

大河原委員 そうすると、この十年間、鬼怒川の河川改修の予算額は湯西川ダムの予算額の何分の一なんですか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年度から平成二十六年度までの十年間、順次整備を進める河川改修費と、ダム本体実施中の利水者の負担額も含めたダム建設費でございますが、これを比較いたしますと、河川改修費は約八分の一ということになります。

大河原委員 これ、洪水に遭った方たちが聞いたら驚かれますよね。ダムをつくる予算の八分の一しか河川改修に使われていなかったわけですね、この期間。

 鬼怒川というのは、河川改修の予算が少なくて、堤防の整備が極めておくれていた。そして、水害後、鬼怒川緊急対策プロジェクトということで慌てて、慌ててというか、この緊急プロジェクトを打っているわけです。六百億円使っているということですけれども、これも、二〇二〇年までの計画で、改修工事が急ピッチで行われております。私もこの場所に行ってプロジェクトの様子も昨年見ましたけれども、遅過ぎたと言わざるを得ない洪水対策です。

 水害前の鬼怒川の堤防整備率、鬼怒川全体、それから栃木県側、茨城県側、分けて御説明をいただきたいと思います。そして、新聞報道によりますと、この茨城県側の堤防整備率というのはわずか一七%ですけれども、これは事実でしょうか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 鬼怒川につきましては、以前より、下流部の茨城県区間では、連続堤防の整備による流下能力の向上、それから、流れの速い上流部の栃木県区間では、護岸整備によります河岸の強化、そしてダム整備による流量の低減などを行うことによりまして、河川全体にわたって安全度を向上させてまいりました。

 このような中、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性等を踏まえまして、以前より更に大きな洪水を安全に流下させるために治水計画を変更したことから、茨城県区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果といたしまして、栃木県区間の完成堤防の整備率がほぼ変わらない一方で、茨城県区間の完成堤防としての整備率が約四二%から約九%と、数字の上では小さくなりました。したがって、それまでの堤防整備の状況に関しましては、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたわけではございません。

 ただ、その後、限られた予算の中ではございますが、鬼怒川の河川改修を進めて、特にここ十五年程度の間は、茨城県区間の堤防整備に重点的に予算を投入いたしまして、流下能力が大きく不足する箇所を優先して下流から整備を進め、平成二十七年三月末時点で、鬼怒川全体の完成堤防の整備率は約四三%、うち、栃木県区間で約六二%、茨城県区間で約一七%となっているところでございます。

大河原委員 一七%なんですね。各県、こんなに整備率に差があるということを、恐らく地域住民の方たちが御存じないことがあると私は思います。

 そして、先ほどの水害被害に遭った家々の地域、茨城県なども非常に人口がふえてきているということがあるんじゃないでしょうか。河川整備に長く時間がかかればかかるほど、そこの地域に住んでいる方たちの危険な状況というのは増していく、そういうことだと思うんです。

 次に伺いたいのは、秋田県の雄物川のことです。

 秋田県の一級河川、雄物川の上流には、成瀬ダムの建設が進められています。

 ここも、私、行かせていただきました。御存じの方、あるかと思いますが、「釣りキチ三平」という漫画がありますが、本当に美しい川がこの成瀬川なんですね。こんなところにダムをつくるのかなと思うような場所です。普通、ダムというのは、切り立ったV字のところをぱっとせきとめてダムができるイメージなんですけれども、そうじゃないんですよね。

 この成瀬ダムの問題にも疑問を感じてまいりましたけれども、今年度、このダムは本体の堤体工事が始まるというふうにされております。成瀬ダムは雄物川の最上流に建設されるもので、洪水調節を行っても雄物川の氾濫防止に役立つとは思えません。

 成瀬ダムの集水面積と雄物川の流域面積をお示しください。そして、それはどのぐらいの割合になるのかも含めてお答えください。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 成瀬ダムは、秋田県雄勝郡東成瀬村に建設されます多目的ダムでございまして、ダム検証におきまして、ダムを含む案とダムを含まない案との比較、評価等を行って、ダム事業の継続が妥当と判断をして、実施しているダムでございます。

 成瀬ダムは、治水効果といたしまして、ダム直下で約九割の流量を減少させるだけではなく、基準地点であります椿川におきましても流量を低減するなど、全川にわたり効果を発揮するものでございます。

 成瀬ダムの集水面積は六十八平方キロメートルであり、雄物川の流域面積の四千七百十平方キロメートルに対し、その比率は一・四%でございますけれども、玉川ダムなどの他のダムや河川改修の効果と相まって治水安全度の向上に大きく寄与するものと考えており、特に、平成二十九年七月の洪水に対しては、雄物川上流に建設済みの玉川ダム等の効果によりまして、ダムがなければ約六十戸の浸水が見込まれる被害を解消したほか、下流部の水位を低減させるなど、被害軽減に大きく寄与しており、ダムによる治水効果は大きいものと考えているところでございます。

大河原委員 集水面積を比べると、流域の一・四%ですね。

 今、効果はあるんだというふうにおっしゃいましたけれども、ここにダムを建てる、つくるという意味では、その周辺のすばらしい自然を壊してダムに沈めるというところもありますので、そこも私は極めて問題だと思ってきました。

 この雄物川も河川改修が極めておくれているというふうに聞いています。雄物川で、河川改修にどの程度の予算が使われてきたのか、最近十年間の予算額をお示しいただき、そして同時に、同じように、成瀬ダム建設事業の予算額と比べてみたいと思います。どのぐらいの割合になっているでしょうか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 雄物川の整備に当たりましても、鬼怒川と同様に、予算制約がある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったものと、ダムの整備など、さまざまな治水手段を河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。

 雄物川の河川改修の予算額は、平成二十年度から平成二十九年度までの十年間で、約四百三十六億円でございます。同期間における成瀬ダム建設事業の予算額は、利水者の負担も含めまして約二百九十六億円でございまして、雄物川の河川改修費は、利水者の負担額を含めた成瀬ダム建設事業費の一四七%となってございます。

大河原委員 雄物川では、昨年になりますね、二〇一七年の七月下旬と八月の下旬に大きな氾濫がありました。これは、雄物川の中下流域において流下能力が極めて低い状況があって、それが長年放置されてきたことによるものだと思います。

 これも、起こるべくして起こってしまったんじゃないか、そういう氾濫であるというふうに思うわけですが、雄物川の中流部及び下流部における昨年時点での堤防整備率、これはどうなっていたでしょうか。

 そしてまた、河川整備計画をつくるときの計画高水流量に対して流下能力が確保されている区間、この割合は中流、下流部についてどのようになっているのか、これについても伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 雄物川の整備につきましては、その延長が長いこともございまして、沿川に秋田市を始め横手市や湯沢市などの市街地を抱える区間があります。これらの人口や資産状況等を考慮し、順次進める必要があるということ、二つ目に、上下流の流下能力のバランスを考慮する必要があるということ、三つ目に、堤防用地を取得する際に制約があるということ、これらの条件のもとで、なるべく効率的に改修が進むよう、例えば輪中堤などの手法をとりながら進めてきたところでございます。

 雄物川の中流部及び下流部の完成堤防の整備率についてでございますが、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約八九%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロメートルでは約五一%となっております。

 次に、雄物川の中流部及び下流部における計画高水流量に対して達成することとなっている流下能力が確保されている区間の割合でございますけれども、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約七七%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロでは約六〇%となっているところでございます。

大河原委員 脆弱な部分に水が来たときのことというのはもう想像にかたくないわけで、河川整備計画をつくる段階でも、私は、もうダムの効用というのは限度が見えてきてしまっていると。洪水調節というところは本当に、長年、ダム偏重で日本の河川行政が行われてきたというふうに思います。

 どうでしょうか、ダムの限界というのをどのようにお考えでしょうか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申しましたように、治水事業の実施に当たりましては、堤防と河道の掘削とダムや遊水地の整備というさまざまな治水手段をそれぞれの河川の特性や流域の状況に応じて講じていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 河川改修やダム建設についても、それぞれ予算や用地取得上の制約がある中で計画的に進めているところでございますけれども、引き続き、河川改修とダム建設の双方の適切な役割分担のもと、着実に治水事業を進めていくことが重要であると考えているところでございます。

大河原委員 近年、雨の降り方も大分変わってきているわけですね。

 ダムというのは、ダムの上流に雨が降れば効果はあります。でも、下流に降った場合は役に立ちません。そして、どうでしょうか、地域住民の方々の安心を高めていく安全度というのは。ダムができるまでは、その流域の方たちの安全は守られないわけですね、全然。

 だから、この整備率が、もちろん、高くなればなるほど、堤防が強化されるとか、河川整備がされるというのは一番求められていることですけれども、極論すれば、たとえ九十何%の整備率であっても、その整備がされていないところが襲われたとき、むしろ、その整備されていないところに水が越水していく、そういう水の性質、特質というものをやはり一番捉えなきゃいけない事業だと思うんです。ダム偏重というふうに批判もされますし、どうでしょうか、この限界というものを、変える気はないでしょうか。

 例えば、今年度のダム全体の予算、それから河川改修の予算はどうなっているのか、お答えいただけますか。

秋本大臣政務官 委員御指摘の鬼怒川や雄物川を始めまして、近年頻発している水害に対応するためには、引き続き、河川改修やダム建設等の治水事業を推進することが重要であると認識しております。

 全国の全体予算を見ますと、これまで、ダム建設よりも河川改修に予算を大きく配分してきているところがございまして、ダム偏重の予算配分とはなっておりません。

 お尋ねの金額で申しますと、平成三十年度は、河川改修費は全国で約二千百億円、ダム建設は一千八百億円でございます。

 また、過去八年間さかのぼってみまして、平成二十二年から二十九年、民主党政権から自民党政権まで見ましても、河川改修費は三千百億円、ダム建設費はその約半分の千六百億円でございます。また、これは中身を見ましても、河川改修につきましては、直轄と都道府県の激特などだけで三千百億円でございまして、ダム建設費は、都道府県までの補助金全てを入れても千六百億円ということでございます。

 堤防整備等の河川改修は、整備効果を順次発現するなどの長所がございまして、喫緊の河川改修については優先的に実施をしているものの、下流から実施しなければならないことなど、事業進捗に一定の制限がかかる場合もございます。

 一方で、ダムは、一時的に予算の集中投資が必要とはなりますけれども、下流の河川改修を待つことなく上流で貯水を始めることによりまして、長い期間にわたって効果を発揮することができる、効果の大きな施設であると認識しており、ダム建設に当たっては、ダム検証を含めた事業評価を適切に行った上で進めてきております。

 河川改修とダム建設につきましては、適切な役割分担のもとで整備を実施しているところでございますけれども、今後とも、河川ごとの特性を踏まえながら、河川改修とダム建設双方の適切な役割分担のもと、着実に治水対策を進めてまいるつもりでございますので、ダム偏重という指摘は当たらないものというふうに考えております。

大河原委員 私は、ダムを全部否定しているわけじゃないんですよ。王道はやはり河川整備だ。堤防を強化し、そして弱いところをなくしていく。なぜなら、その地域の人の命が直結しているからなんです。

 ダム事業は、小さく産んで大きく育てる、長く時間がかかるから、トータルでは物すごいお金がかかっています。ですから、単純にことしの予算は少ないとか言えないんですよ。

 何より、何のために。命を守るための河川整備をしなきゃならないわけで、国土交通省、会計検査院の決算検査報告六百六十六ページにもありますけれども、河川整備計画によって堤防整備をすることになっている区間に、一部未整備の箇所あるいは改築が必要な橋梁、そういうものが残存していて、整備済みの堤防の効果を、既にそこは整備されている場所でさえ、目標とされているそうした効果が十分に発揮できない、こんなことまで言われているわけなんです。

 この背景になっている金額も、国土交通省の予算って本当に、何億円単位というのが本当に庶民の感覚を離れて、何だ、四百億円かみたいな形で言われるときがあるんですけれども、もっときちんとしたコストと効果を考えて、私たちは、ダムが壊れないようにするんじゃなくて、堤防が壊れないことはもちろんですが、命を守れるようにする、その視点からぜひこの予算を見直していただきたいというふうに思います。

 鬼怒川の緊急対策プロジェクトはまだまだ二〇二〇年まで続きますけれども、つまり、二〇二〇年まで、これまで放置してきたところ、本当に私たち、国会にかかわる、そして行政にかかわっている国土交通省も心して、人の命を守るということをしっかりと御自覚をいただきたいというふうに思います。

 終わります。

荒井委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人です。

 きょうは、平成二十八年度予備費について質問をいたします。

 ここ二十年間、平成九年から平成二十八年度の二十年間の当初予算に計上されている一般会計予備費を見ると、毎年三千五百億円計上されております。ただ、この二十年間で、そのうち使用額で一千億円を超えたのがたったの八回だけというのが今の現状でございます。

 そこで、まずは、うえの財務副大臣に質問いたします。この二十年間、当初予算一般会計予備費として三千五百億円が計上されておりますが、この金額の根拠とは一体どういったものでしょうか。

うえの副大臣 予備費の額につきましては、財政法第二十四条に基づきまして、予備費として相当と認められる金額を歳出予算に計上できるとされています。

 予見しがたい予算の不足に充てるという予備費の性格上、どの程度の額が適正かということにつきまして明確な基準を申し上げることはなかなか困難でありますけれども、予備費制度が、予算の国会の事前議決の原則の例外として認められていることを踏まえつつ、一般会計の予算規模に対する大きさや、過去における予備費使用額の状況などを総合的に勘案いたしまして、平成二十八年度当初予算におきましても前年度同額の三千五百億円の予備費を計上したところであります。

青山(大)委員 今、うえの財務副大臣の方から、予見しがたい、予見できないような事態に対応するためということですよね。

 副大臣、予見しがたい事態とは一体どういったものを指すのでしょうか。

うえの副大臣 年度途中のさまざまな状況の中で、当初は想定できなかった事態、例えば熊本の地震対策とか、そのようなことであると考えています。

青山(大)委員 確かに、今、副大臣がおっしゃいましたように、そういった大きな天災、災害とか、まさにそういったものが予見しがたい事態、私もそのように思います。

 ちょうど先ほど大河原委員の方からも、平成二十七年九月の関東・東北豪雨の鬼怒川の決壊とか越水の被害の話もいただきましたけれども、ちょうどこれは、もちろん今回の一個前の平成二十七年度の話ですので、ちょっと今回の話とは若干ずれますけれども、平成二十七年九月の関東・東北豪雨は、茨城、栃木、宮城、三県にもわたって被災されております。

 そういった中で、ちょっと私、平成二十七年度の決算を見たんですけれども、これについては一般会計予備費が使用されていないんですよね。まさにこういった三県にまたがる大きな災害こそ、先ほど、うえの副大臣が指摘した予見しがたい事態ではないでしょうか。まさにこういった場合こそ、当初予算に計上された一般会計予備費を使うべきではないでしょうか。

うえの副大臣 平成二十七年度の予算についての御質問でございまして、済みません、明確な通告がなかったもので十分に検証させていただいておりませんが、災害の対応等もさまざまあろうかと思います。それぞれの年度年度、あるいはその時々の判断によって、予備費を使用する使用しない等の判断があろうかと思います。

青山(大)委員 では、話を平成二十八年に戻します。

 まさに平成二十八年四月の十六日に熊本で大きな地震が起きた。もちろん大変な大災害でございます。東日本大震災当時、私も茨城の県議会議員をやっていましたけれども、本当に、一日でも早く復旧そして復興しなければいけない、そういった思いは同じでございます。

 熊本地震が起きた約一カ月後の五月に、政府が迅速に熊本地震の復旧等ということで予備費を約七千億円、新たに一次補正ということで組まれて、当然これは全会派、震災対応ですので、一致したということですけれども、当初予算で三千五百億円あって、更に熊本地震用に七千億、足すと一兆円以上、予備費を加えました。一兆円といったら、茨城県の一年間分の一般会計予算とほぼほぼ一緒なんですよね。

 しかも、この二十八年度の決算を見ますと、結果的に、当初予算三千五百億円の中から平成二十八年度で実際使用したのは三百十九億円。三千五百億円のうちの三百十九億円。熊本地震復旧等予備費で七千億計上したけれども、実際使用されたのが二千四百七十六億円。つまり、三百十九億円と二千四百七十六億円、足したところで二千八百九十五億円ですね。全然、三千五百億円の範囲内でおさまっているんですよね。

 熊本地震、通常の、当初予算に計上した一般会計の予備費でまずは対応すべきではなかったんでしょうか。

うえの副大臣 委員御指摘の熊本地震復旧等予備費につきましては、災害発生から極めて短期間で平成二十八年度第一次補正予算を編成するに当たり、被災者の方々の事業再建、あるいは道路、施設等の復旧、瓦れき処理等の種々の経費につきまして、個別に内容や予算額を確定させて計上することが困難な中、対応に万全を期す必要がありましたことから、その時点で見込まれた被害額がその後増加する可能性なども勘案をいたしまして、復興等の経費のための予備費として七千億円を計上したものであります。

 その使用に当たりましては、可能な限りの精緻なデータ等に基づきましてその所要額を見込んだ一方で、関係者等との調整や気象状況等により平成二十八年度中に事業が終了せず、翌年度に繰り越した上で事業を継続したものもありますが、熊本地震への迅速かつ柔軟な対応として、こうした予備費での対応というものは適切であったというふうに考えております。

 なお、平成二十八年度の第一次補正予算の編成後、具体的な被災状況等が判明した段階でこの予備費の減額等も行いながら、第二次補正予算及び第三次の補正予算において対応の経費を計上しているところであります。

青山(大)委員 私は、もちろん、復旧復興のために現地の被災状況やニーズに応じて支援していくのは当然でございます、そこは別に批判とか否定はしませんけれども、ただ、本当に素朴な疑問なんですよね。予備費の使い方が、何か非常に恣意的じゃないですか。

 だって、さっきも言ったように、平成二十七年度の鬼怒川の決壊の関東・東北豪雨では予備費を使わない、熊本地震、もともとの一般会計当初予算には予備費があるのにわざわざもう一個計上するとか、それだったら、普通に、当初予算で計上した三千五百億円をまさにこういう予見しがたい事態に使うべきではないでしょうか。非常に、予備費の使い方について、何か恣意的じゃないでしょうか。

 例えば、これは本当に大分古いので、別に答弁はいいんですけれども、平成十一年に、茨城県東海村、ジェー・シー・オーの臨界事故というのがあったんですね。我が国で初めての原子力事故。このときも、不測の事態に対応して、当時、今は亡き梶山静六先生、地元のいろいろな御要望を聞いて、予備費を使うように働きかけたけれども、結局使えなかった。こういう予見しがたい事態でも使えない。

 かと思いきや、済みません、これも平成二十七年度の話になってしまうんですけれども、平成二十七年度を見ますと、消費税の軽減税率制度の円滑な導入、運用に必要な経費として、何と、当初予算の一般会計予備費から一千億円も支出されているんですよね。

 これは一体どういうことかな。まさに人の命がかかっている、そういう災害には予備費は使えません。それで、何かこういう消費税の軽減税率には一千億円使う。

 冒頭、うえの副大臣もおっしゃいましたように、まさに予見しがたい事象に対して、まさにそのために使うのが一般会計予備費ですね。もう少しその運用について明確な基準とかルールを構築すべきと私は考えますが、御見解はいかがでしょうか。

うえの副大臣 委員御指摘がございました。

 消費税対応につきましては軽減税率の関係だったかと記憶をしておりますが、済みません、突然の御質問ですので、経緯等につきましては十分なお答えはできませんけれども、災害対策には使わずに、それ以外の経費に使っているのではないかというお話でありますが、私どもとしては、必ずしも、恣意的に運用しているというようなつもりでは全くございません。

 それぞれ、予見しがたい予算の不足に充てるため、まずは既定の予算で対応ができないかというような観点もありますでしょうし、あるいは、その発生の時期によりましては、それは予備費で対応すべきなのか、あるいは補正予算で対応すべきなのか、さまざまな判断がそのときそのときであり得るというふうに考えておりますので、私どもとしては、そうした御批判がないように、これからも、適切な予備費の使用について十分に考え、対応していきたいと考えています。

青山(大)委員 ぜひ、もう少し明確な運用基準なりルールなりを設定していただいて、まさに、今後、本当に予測、予見しがたい天災とかはまたいつ起こってくるかわかりませんし、何であの災害は予備費を使えて、こっちは使えないんだとかにならないように、その辺はぜひ、ある程度そういった運用を設けてほしいというふうに最後に要望させていただきます。

 済みません、残り時間があと五分ですので、もう一点質問させていただきます。

 今回の一般会計予備費の中で、補欠選挙の執行委託費ということで約七億円が支出をされております。これは四つの補選、北海道五区と京都三区、福岡六区、東京十区の四カ所でございますけれども、何と、そのうち三つが過去最低という投票率なんですね。

 私、茨城の県議会議員のころも、投票率の向上ということでいろいろ取り組んできました。茨城県は常に、国政選挙でも全国平均を下回っていますし、実はことしの十二月、県議会議員選挙が行われますけれども、統一選挙と若干ずれているので、非常に県会議員選挙の投票率も低い。

 そういった中で、例えば茨城県でも子供たちへの啓発活動とかいろいろな広報をやっているんですけれども、小倉総務大臣政務官、たしか政務官の選挙区の町田市でもことしの二月に市議会議員選挙がありましたよね。見たら、投票率が四二・三五%、過去二番目にやはり低かったわけです。

 政務官、こういった投票率の低さについてやはり危機感を感じませんか。

小倉大臣政務官 委員御指摘のとおり、私どもが国会の場で活動させていただいているのは、やはり、より多くの有権者の皆様方に投票していただいているというところが最も大きな根拠でございますので、低投票率というのは非常に大きな問題だというふうに思っておりますし、私どもも、総務省といたしまして、投票率の向上のために、選挙の公正を確保しつつ、有権者が投票しやすい環境をつくることは非常に重要なことだ、このように考えております。

青山(大)委員 そういった中で、私もいろいろ県議会で提言してきて、例えばショッピングセンターとか駅とか、人が集まりやすいようなところに投票所を設けるとかそういった工夫をする中で、やはり一定の効果も出ている。

 やはり、駅前とかショッピングセンターなどの人の集まる場所や投票しやすいような、そういった場所への期日前投票所の設置は非常に私は投票率の向上につながるというふうに思っていますけれども、そういったことについて、総務省の見解はどうでしょうか。

小倉大臣政務官 お答えを申し上げます。

 ショッピングセンターを含みます共通投票所制度の創設というものを一昨年行いました。このショッピングセンターは実際に使われておりまして、平成二十九年の衆議院選挙におきまして百八十二カ所設置をされております。平成二十六年、前回の衆議院選挙と比べてもこの数は四倍というふうになっております。

 私どもとしても、こうした共通投票所の拡大を後押ししようというふうに思っておりまして、平成二十八年の選挙執行経費基準法の改正によりまして、共通投票所も含めまして、選挙人名簿のオンライン対照の整備、運用に係る委託費を加算することとするなど、そういった制度面、予算面からも後押しをしているところであります。

 引き続きこうした取組を委員の御指摘も踏まえながらしっかりとやってまいりたい、このように思っております。

青山(大)委員 まさに、私もちょっとこの質問をする上で総務省のホームページを拝見したんですけれども、青森県の平川市、これは優良事例ということで御紹介をされていましたけれども、ただ、課題としましては、二重投票の危険性とか、システムの構築でどうしても自治体の負担がふえてしまう。

 まさに今、小倉政務官も、そういった財政的な支援も含めて行っていきたいという前向きな答弁をいただきました。ぜひ、まず、そういった優良事例をどんどんどんどん全国の各自治体にも紹介してもらって、また二重投票の防止とか、そういったシステムの構築の資金的な支援も含めて、ぜひとも取り組んでほしい。

 今、電子投票とかいろいろな提言もありますけれども、どうしても電子投票というのは、我々世代はパソコンとかスマホ世代ですけれども、やはり御年配の方たちなんかは、なかなか扱えない方も出てくる。

 非常に手間がかかるかもしれないけれども、やはり今のような書く制度で、ただし、投票しやすいような、投票のためだけにそこに行くんじゃなくて、例えば買物とかショッピングに行ったついでに投票できるような、そういったものをどんどんどんどん全国に広げていってもらうような取組を強く強く要望し、私からの質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、安住淳君。

安住委員 きょうは、二十分ほどありますので、麻生財務大臣と、財政再建の問題について少しお話をしたいと思います。

 連休中に、日本経済新聞は五月二日、それから東京新聞が同三日、さらに朝日は五月八日と、基礎的財政収支の目標を、一九年以降の財政健全化計画を、二五年度に先送りする方針を固めたという記事が一斉に出ましたけれども、財務大臣、これは事実でしょうか。

麻生国務大臣 今御案内のありました、二〇二五年度というのになりつつあるのではないかというのは、今、政府として二〇二五年できちんとセットしているというわけではありません。

 ただ、状況として、今、我々の予想としておりました、二〇二〇年代に基礎的財政収支をいわゆるイーブンにするという話は、消費税というものの値上げを二回先延ばししている件、また、今回の消費税の使い方の内容が大きく変わってきている部分、大きくもありませんけれども、変わってきている部分がありますので、そういったことを考えますと、なかなか二〇二〇年度に達成は難しい。しからばいつかということで、今、この夏までに、経済財政諮問会議において、それ以降、いつまでにやれるかというのは目下検討させていただいているというのが現状であります。

安住委員 政府は、既に昨年の十二月の時点で、十二月八日の閣議決定で新しい経済政策パッケージについて決定をしておりますが、その七の項目の「財政健全化との関連」というところで、もう既に二〇年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成は困難であると。今、その理由として、麻生大臣は、つまり総選挙の公約で、この使い道を社会保障費の充実に充てることにしたということですよね。しかし、私は、大変これは残念だなと実は個人的には思っているんです。

 財務大臣は、総選挙の、言い方は悪いですが、選挙目的のようなお金の、三党合意とは全く違う方針を出して、選挙で信任を得たとはいうものの、こういう財政再建路線を放棄して、いわば使途を変えて、結果として財政再建は事実上無理になるようなことを最初から賛成なさったんですか。財務大臣は賛成なさりましたか、総選挙で使い道を変えることについて。

麻生国務大臣 使途の変更について財務大臣として賛成したか、そういうことでしょうか。

 御存じのように、私どもは、現政権の始まります前に、歴代内閣として、みんな、いずれも基礎的財政収支というものの黒字化というものに関しては、まずは財政収支の黒字化の前に基礎的財政収支の黒字化をやらねば、金利が入っているか入っていないかの違いですけれども、そういったことを、我々、我々の政権の前の民主党政権を含めて全部やってきたんですが、現政権においては、安住財務大臣のときに形として示されました社会保障と税の一体改革というものに基づいて、消費税率を五%から八%ということにさせていただいた。その後も、二〇一五年度のプライマリーバランスの目標を半分にする、六%の赤字を三%にするというところまでは達成できたということになっていたんですが、その後、今言われましたように、私ども、この五年間で予定と一番違っていたのは、まずは大幅に石油価格が下がったこともありますが、消費者物価の二%の上昇というのを私どもは期待しておりましたけれども、なかなかそういった状況に至らなかったというのが一番大きな理由であります。

 その内容の分析によっていろいろ意見が分かれたところですけれども、いわゆる若い人が金を使わないというところで、若い人がなぜということになりますときに、子育てとか介護とか預かり児童の話とか、いろいろそういった話がありましたので、こういった方々たちにきちんとした対応をしない限りは今後とも消費は伸びないであろうということを考えたときには、少なくともそういった対応をしていかねばならぬということから、私どもとしては、この消費税を上げさせていただいた分の中の使い方に関しましては、少なくとも若い人にある程度使えるようにしてやることも考えないと今後とも消費者物価というものは期待できませんし、消費が伸びませんと、GDPの約六〇%以上が個人消費ということになりますので、その点を考えて、長期的に見てこれはやむを得ぬというような判断をさせていただいたという次第です。

安住委員 話が景気の話にそれていくとちょっと困るので、ターゲットを絞って、プライマリーバランスのことにしたいと思います。

 つまり、一七年の推計では、仮に、変な話、この消費税の問題で、使い道を少し変えただけでもこれは遠のくんだけれども、しかし、実際は、推計によると基礎的収支は今でも十八・五兆ぐらいの赤字になるのではないかということなんですね、麻生大臣。

 ということは、二〇年の目標というのは事実上絵に描いた餅だったということになりませんか。つまり、経済成長で景気をよくして税収がふえるという、失礼な言い方ですけれども、空想のような話で、積み上げた空虚な数字で達成する、達成すると言っていたんだけれども、現実に今、麻生大臣がいみじくも認めたように消費はよくならない。金融緩和は大規模にやったけれども、これが税収になかなか反射できないですね。ということは、足らず前がかなり出ることはもう既に財政当局はわかっていたはずですよね。

 にもかかわらず、総選挙があったからかもしれませんが、財政再建路線を道筋を変えて、なおかつ、そこの穴埋めについて具体的な提案をしないまま、失礼ですけれども、無責任な対応を安倍内閣はしているんじゃないかなという懸念を僕は持っているものですからこういう質問をさせていただいたんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 最初から無理だったのではないかという御意見なんだと思いますが、この最初から無理だったという点に関して言わせていただければ、少なくとも、二〇一八年までにはこのプライマリーバランスの赤字〇・六三を〇・三〇、約半分までにしますという目標は達成できたということでありますから、はなから全く当てにもならぬ数字を掲げたというわけではないというように思っております。

 その上で、今言われましたように、私どもとしては、経済成長の伸び率が三%とか、内閣府と財務省とは意見がいろいろ違ったり、経済財政諮問会議などでいろいろ意見が闘わされたところでありますけれども、最終的にそういった違いがあったというのが、大きな違いが一点。

 二点目は、何だかんだ言いながら、物価というのは消費の絶対量に影響いたしますので、そういったものでは、少なくともあの当時、石油がバレル百十何ドル行っていたと思いますが、それが三十五ドルまで落ちましたので、今、きょう七十一ドルぐらいになっていると思いますが、そういった形のもので、非常にこの五年間の間、百十幾つから三十まで落ちて、また今というような形で、かなりそういったものがありますので、それはプラス、マイナス、いろいろ考えないかぬと思っております。

 いずれにしても、私どもとしては、きちんとプライマリーバランスというものの達成というものを掲げてやっていく姿勢だけは持ち続けないと、国際的にも、マーケットの目からも、信用という点からも非常に大きな影響を与えると思って、きちんと対応していかねばならぬと思っております。

安住委員 私もそう思っているんですよ、私自身も国際公約をやってきたわけですから。半減する目標の発射台は私が財務大臣のときにつくったものです、消費税も上げさせてもらって。その後が、大臣、問題なんだと思うんですよ。

 今、健全化に向けた取組は、るるお話がありましたけれども、ひもとくと本当に敗北の歴史というか、平成九年から見ても、財政構造改革推進に関する特別措置法を成立させて目標をつくったけれども、成立ならず。十四年、二〇〇二年ですね、骨太方針でも一〇年代にプライマリーバランスを黒字にすると小泉さんは大々的に訴えましたけれども、全く届かず。二〇〇六年にも自民党政権下で一一年には黒字化すると言いましたけれども、全然これもだめ。我々の代になっても目標を挙げまして、今、半分のところは何とか成功しましたけれども、届かず。平成二十五年の中期財政計画も、これは実はなかなか黒字化はできませんでした。目標に掲げただけ。

 つまり、二十七年も全くそのとおりです。六月三十日の閣議決定の経済財政運営の改革の基本方針二〇一五というのをつくっていますけれども、ここでも、言うだけは言う、書くだけは書く、しかし、現実に足元は何も変わっていないんじゃないですか。いかがですか。

麻生国務大臣 この、財政の基礎的財政収支を黒字化させる、チャラにするという目標というのは、これは長い歴史、おっしゃるとおりであります。残念ながら、いろいろな諸般の事情等々がありまして、リーマン・ショックがあってみたり、その前の通貨危機があってみましたり、たんびたんびにいろいろなそういったようなことから、なかなかうまくいかずにきたのがおっしゃるとおり長い歴史であろうと思っておりますが、いずれにしても、民主党内閣ももちろん含めまして、その間、このプライマリーバランスの黒字化という目標だけは、きっちり旗をおろすことなく、経済財政を行ってこられたんだと思います。

 事実、安住大臣のときに、いわゆる社会保障と税の一体改革というので三党合意がなされたんだと記憶しますけれども、このときの、今申し上げましたように、掲げましたものの中で半分というところの目標は達成できたんだと思っておるんですが、その後も、三年間の集中改革期間というのを設けさせていただきまして、一般歳出に目安を設けさせていただきます、一年間にこれだけです、三年間ではこれだけですということを申し上げて、それで、改革工程表をきちっとつくって、そういった中で各内容をやらせていただきまして、目安も三年間連続で達成させていただいて、五千三百億、合計で約一兆六千億という額は三年間できちんとさせていただいたんだと思うんです。

 この状況というのは、私ども、言われますように、今後ともやはり維持していくということは、今後、二〇二〇年が仮に二五年になるにしろ何にしろ、きちんとした目安を立て、改革工程表を立て、その内容をきちんとした上でやっていくということをやって、そのために、一〇%に消費税を上げさせていただく等々含めて、きちんとしたものをやっていってこの財政健全化の達成というのをきちんとやるように、この旗というかそういったものはきちんと持ち続けないといかぬところだと思っております。

安住委員 麻生大臣、私が申し上げたいのは、旗は簡単に立つんですよ。行動できるかどうかなんですね、もう。

 つまり、平成に入って財政再建の失敗の歴史と言うのは大変つらいんですが、結局一千兆円を超えたわけですね。これは七年後に先送りするというのはお認めになったわけですね。

 じゃ、伺いますが、二〇二五年に現実味のある本当に黒字化を達成するには、私は知識がないので後学のために教えてもらいたいんですけれども、これだけ急激に人口が減少して、国際的な要因がいろいろあるのにもかかわらず、推定し得る経済成長を、政府はまた大変な高いげた、バブルのとき以上の経済成長率を前提として、つまり二%ないし三%ぐらいの高いげたを履かせた税収でまた、言っては失礼だけれども、架空の計算をして、数字上黒字にするんだという単なる目標をつくろうと思っているだけじゃないですか、この夏。いかがなんですか。

麻生国務大臣 これは我々がたびたび申し上げてきているところなんですが、私も経済企画庁、今の内閣府の前身にいた時代がありますけれども、この経済企画庁の立てる計画と、例えば経産省とか財務省との間で、安住先生、意見が分かれるというのはよくありまして、そういったときに、計画を立てるのは経企庁、今の総理府で、実行やら国会で文句を受けるのは俺たちで、あほらしゅうてやっとられぬ、こんなもの、そっちが計画を立てたんだ、そっちが答弁せい、我々の意見を聞かないで勝手にやっておいて何だという話は、その当時から今も状況は変わっていない、私どもはそう思っております。

 これは結構意見が分かれた上でこういった形になっていくのがこれまでの経緯だったので、今回も、その点に関しましてはちょっと、安易に、簡単に三%なんて、冗談言うなよという話を、これは当然のこととして、今回はちょっと、前回みたいに簡単なわけにはいきませんよということになろうかと存じます。

安住委員 できるだけプライマリーバランスをゼロにしていかないと、膨らんだ借金のままでも大変なんだから、これ以上はふやしたくないというのは与野党のコンセンサスだと思うんですよ。

 ただ、この穴を埋めるには、財政的な、税収の問題もそうだし、また、逆に言えば歳出の削減も、じゃ、七年間で本当により現実的な話にしないと、本当に私は、麻生大臣はもちろん経営者でもあるんだけれども、これからの七年の世の中で、オリンピックが終わって、少子化が猛烈に進んで、超高齢化社会が来るんですよ。何で我が国が二%も三%も、どこで成長できるんですか。そんなことをベースに、財政再建の今度は七回目ぐらいになるのかな、今度はやりますからと言ったって、世界的な規模で見たら、また日本は、言葉は不適切ですけれども、やるやる詐欺になっちゃうんじゃないですか、これは。もうちょっと責任のあるやり方を。

 私は、少なくとも相当評判は悪かったけれども、いろいろな批判はあったけれども、やはり消費税は必要だと思って上げた責任者なので、あえて申し上げますと、もうちょっと自民党政権は責任を持ってこの問題に取り組むべきだと思うんですよ。

 それを、公共も含めて、既存の経済政策や補正予算パッケージ、経済対策なんかをやり続けたまま、社会構造の変化で税収が減るということを考えたときに、何ら有効な手、先手を打たなければ、我が国の財政は悪化の一途をたどって、そのうち、やることが何にもできなくなってしまうということは御存じのとおりじゃないですか。

 今回の夏のこの財政健全化政策、どういうふうな心構えでおつくりになるか、最後に伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今、安住先生から御指摘のありましたとおり、私どもとして、国の財政というものに関しましては、公約じゃありませんけれども、国際的にいろいろなことを言っておるわけですけれども、簡単に言えば、各国もそんなに簡単にうまくいっておりません。フランスも二〇一七年度の目標には全然達しませんでしたし、英国も、皆同じように達していないような状況にあることは事実でありますけれども、いずれにしても、財政健全化をするという目標を掲げて皆やっておられるという意味では、イギリスとかフランスとか、皆それは変わりはないところなんです。

 日本も、今言われましたように、この夏にきちんとした対応をさせていただきたいと思っていますけれども、従来のようなものよりはもっときちんとしたものをつくり上げないかぬという御指摘は全くそのとおりだと思いますので、私どもとしても、より現実的なことを考えないけませんし、朝鮮半島等々、不確定な要素もかなり周りにありますが、幸いにしてほかの国の経済がよくなってきておりますので、そういった意味ではある程度プラス要因も考えられますが、それがずっと続くわけではありませんので、いろいろなことを勘案しながら、より現実的なものを考えねばならぬと思っております。

安住委員 やはり、私の危機感は、大臣、また後ろに七年とか延ばすと、また来年、再来年と、何もしないんですよ。七年というのはずっと先だと思い込むんですよ。これが日本政府の非常に悪いところで。やはりきちっと、階段を上るようにそれぞれふえ続ける社会保障をどうするかと同時に健全な財政を持続しなければ、弱者に対する救済措置なんかとれないからね。

 だけれども、目先の、苦い話をさせてもらうと、選挙のたびに消費税を延ばしたり、また何か保育費に充てるというようなことを打ち出して、しかし、財政再建はなかなか痛みを伴うからね。後ろに回していくということをさんざんやってきたツケは、どこかで誰かが払うことになるんですからね。そういうことは後世にできるだけ残さないようにしようということで、今度の夏はしっかり、私は、財務省もやるべきことはやってほしいというふうに思っておりますので、そのことだけ申し上げて、質問を終わります。

荒井委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、金融担当大臣としての麻生大臣にお伺いします。

 スルガ銀行がシェアハウス投資問題について社内調査を行って、その結果が公表されました。自己資金確認資料の改ざんといった不正行為の可能性を相当数の銀行職員も認識していたことや、フリーローンのセット販売が行われていたことなど、私がかつて財務金融委員会で指摘した事実がスルガ銀行の側からも確認されるということになりました。今回の事件は販売会社だけでなくスルガ銀行側にも責任があることは、この報告を見ても明らかだというふうに思います。

 このスルガ銀行が公表した調査結果について、私は、前代未聞の深刻な事件だというふうに思いますが、金融庁の責任も含めて、麻生大臣の受けとめをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 このスルガ銀行の話というのは、シェアハウスという、なかなか、きょうびよく使われる言葉ですが、余り一般的ではない言葉ですけれども、時間もありますので、シェアハウスというのが御理解いただける前提で。

 シェアハウスの融資問題というのに関しまして、スルガ銀行が設置した危機管理委員会の調査結果の公表を行ったというのが今言われている話の内容だと承知をいたしております。そこで指摘をされております問題ということに関しましては、スルガ銀行が改めて第三者委員会、この銀行以外の第三者委員会を設置して調査を行うということも承知をいたしております。

 したがいまして、そうした調査を通じましてみずから根本原因を解明した上で、根本的な改善を図っていくというのがこれは正しい方向なんだと思いますが、私ども金融庁としては、現在実施中の検査におきまして実態把握の結果というものを踏まえた上で、我々としては厳正かつ適切に対応していくということで行政の責任をはっきりしてまいりたいとは思いますが、まずはそこできっちりやっていただくというところからスタートしてもらわないかぬところだと思っております。

宮本(徹)委員 金融庁が、今、実地検査をやられて、それから行政処分をどう下していくのかというのは当然あるわけですけれども、この間、メディアでも指摘されておりますけれども、金融庁自身は、長官がスルガ銀行の経営を持ち上げてきたという歴史もあるわけですよね。監督責任自体がどうなのかという点も含めて、ぜひ深く検討していっていただきたいというふうに思います。

 それから二つ目に、予備費の問題に入りますが、二〇一六年度の予備費は、米軍基地の爆音訴訟にかかわる支出が三件ございます。

 日米地位協定では、米側に起因するものについては七五%はアメリカが負担を行うということになっているわけですが、これまで爆音訴訟の賠償金、二十数件あったと思いますが、アメリカ側は一円も負担していないということが続いております。

 昨年も当委員会でこの問題を取り上げました。その際、当時の岸田外務大臣からは、大臣のレベルも含めてアメリカに対して働きかけていく、こういう趣旨の答弁がありましたが、こういう取組はその後どうなっているのか。そして、河野大臣自身はこの問題についてどう取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。

河野国務大臣 米軍機による騒音に係る訴訟に伴う損害賠償金の日米地位協定に基づく分担のあり方につきましては、日本政府の立場と米国政府の立場が異なっており、現段階においては妥結を見ておりません。

 この点、米側とは非公式なものを含めてさまざまな形で協議を行っておりますが、日米間の協議の詳細を明らかにすることは、米側との信頼関係を損ねるおそれがあることから、お答えは差し控えたいと思います。

 いずれにしろ、日本政府としては、米国政府に対して損害賠償金の分担を求めるとの立場で、今後とも協議を重ねてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 私がお伺いしたのは、取組をずっとやっているわけですけれども、話合いが進展していないわけですよ。地位協定で定められたものすらアメリカ側が守っていないというのは、本当に大変深刻な問題だと思います。

 これまで数百億、騒音訴訟では賠償金が確定しておりますが、今度の予備費の中でもありますけれども、嘉手納の爆音訴訟の一審が認めた賠償要求というのは、一件だけで三百一億九千八百万。それこそこれまでの二十数件の爆音訴訟の賠償金に匹敵するぐらいの額が、一審で賠償請求が認められております。裁判所が米軍の騒音については違法だということを言っているわけですよね。

 そうすると、これは、これだけの額ですから、本当に地位協定に基づいてアメリカにしっかりと払わせなきゃだめだと思うんですよね。そうすると、これまでのレベルの取組ではだめだと思うんですが、その辺の認識はいかがですか、大臣。

河野国務大臣 日本政府としては、米国政府に対して損害賠償金の分担を求めるとの立場で、今後とも適切な形で協議を重ねてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 河野大臣御自身も直接ポンペオさんに働きかけるだとか、そういうことも含めて取り組まれますか。そういうこともやるべきだと思いますが。

河野国務大臣 今後とも、適切な形で協議を重ねてまいります。

宮本(徹)委員 ですから、みずから私は先頭に立って取り組んでいくということをやらないと。これは地位協定で決まっている話ですからね、七五%アメリカが負担する。それを払わないというアメリカをそのままにしておくというのは、本当に、日本国を代表する外務大臣としてはそういう姿勢では絶対だめだと思いますので、先頭に立って取り組んでいくことを強く求めておきたいと思います。

 それから、あともう一点きょう質問したいのは、騒音問題にかかわって、地元のヘリの騒音被害についてもお伺いしたいと思います。

 自衛隊の立川基地で、ヘリの騒音問題というのがございます。武蔵村山の大南地域などでも、ラジオが聞こえない、電話が聞こえない、テレビが聞こえない、昼寝で寝かしつけた子供が起きる、大変な苦痛を味わっている、日常生活が踏みにじられるという状況がございます。

 そして、地元の自治体との関係では、土日祝日の訓練飛行は自衛隊は原則禁止ということになっているわけですが、ところが、体験搭乗というものが土日に頻繁に行われております。

 防衛省に伺いますが、この五年間の土日の体験搭乗の回数、そして、体験搭乗には隊員募集のためのものと一般広報として取り組んでいるものがあるというふうに聞いておりますが、この昨年度の内訳についても明らかにしていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの立川駐屯地でございますが、平成二十五年度から平成二十九年度の体験搭乗の回数でございます。現時点において把握している限り、管制の回数で申し上げますが、平成二十五年度が百三回、二十六年度が二百六十二回、二十七年度が二百五十四回、平成二十八年度が二百七十九回、二十九年度が二百九十七回ということでございます。

 平成二十九年度の体験搭乗数の内訳でございますが、現在把握している限りでございますが、二百九十七回のうち、隊員の募集を目的としたものが百二回、一般広報を目的としたものが百九十五回行われたというところでございます。

 以上でございます。

宮本(徹)委員 つまり、平成二十五年は百三回だったものが、二百九十七回。数、間違いないですね。ですから、五年間の間に三倍近くふえております。募集目的のものは変わっていないということで、一般広報目的というのがぐっとこの間ふえて、二百回ぐらいやられているということになっているわけですよね。

 この一般広報の目的というのは一体何なのか、そして一般広報ではどのような方が体験搭乗されているのか、教えていただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 体験搭乗でございますが、防衛に関する知識の普及及び宣伝のため、自衛隊の広報業務を遂行するに当たって特に有効である場合ということで、自衛隊以外の、部外の方々に自衛隊の航空機に搭乗していただきまして、自衛隊の活動について理解を深めていただくということを目的としております。

 部外の方々でございますが、例示として申し上げますと、駐屯地に協力をいただいている防衛協会や隊友会の方、あるいは立川飛行場周辺の市町村の職員の方々、立川市周辺の自治会連合会の方、あるいは防衛省がお願いしてございます防衛モニター、駐屯地記念日行事の際に、公募、いわゆる抽せん等で選ばれた一般の方々等が搭乗していただいているというところでございます。

宮本(徹)委員 地元の自治会の方だとか自衛隊の協力団体の方だとか防衛モニターの方だとかを乗せて飛んでいるということですけれども、立川基地は消防庁だとか警察も使っていますけれども、どちらも体験搭乗を土日でやってなんかいませんよ。土日に飛んでいるのは、警察にしても消防にしても、専ら業務のため、災害だとか医療だとかの緊急の際にしか飛んでおりません。ところが、自衛隊だけは土日に体験搭乗というのをばんばんやっている。

 五年前は、回数からすればほとんどやっていなかったと思うんですよね、この体験搭乗というのは。少なかったと思います。ところが、この間、やっている。

 一般広報は自衛隊の理解を深めるためと言いますけれども、その下に暮らしている住民からすれば、何で休日まで飛ぶんだ、休日ぐらいリラックスさせてくれよというのが多くの皆さんの思いで、理解を深めるどころか、私は理解の妨げにもなるものだというふうに思いますよ。地元の住民からは、これは事実上の遊覧飛行じゃないか、関係者へのサービスじゃないかという厳しい声も上がっております。

 大体、国の財政は厳しい厳しいと言っているわけですよね。そして、安全保障環境は厳しいからといって防衛省の予算だけはふやしてきて、ふやした中身は、よく見たら、安倍政権のもとでこの体験搭乗、土日の事実上の遊覧飛行のようなものががあっとふえちゃっているわけですよ。

 きょうは小野寺大臣にも来ていただきましたけれども、飛行直下の住民の騒音被害についてどう認識されているのか。そして、地元の自治体からは、休日等の業務飛行は、緊急の場合を除き必要最小限とすること、こういう要望が出ていると思いますが、事実上の遊覧飛行となっている体験搭乗は、これはやめるべきじゃないですか。いかがですか。

小野寺国務大臣 立川飛行場の騒音苦情については、平成二十七年度二百二十七件、二十八年度百七十九件、二十九年度二百四十六件の苦情が寄せられていると承知をしております。

 なお、立川飛行場周辺自治体であります立川市が市内に所在する場所におきまして航空機騒音を測定した結果によれば、環境基準値のLden五十七デシベルを下回っているものと承知をしています。

 防衛省としては、これまでも、地元の負担を極力軽減するための措置として、立川飛行場周辺において、学校等の防音工事の助成などを実施しています。

 また、体験搭乗については、募集広報を含む防衛省としてのニーズに加え、部外の方々からの要望を受けて実施しているところでありますが、周辺自治体からは御指摘の要請等も、苦情等も寄せられておりますので、防衛省としては、今後も、体験搭乗への要望に引き続きお応えしつつ、周辺自治体からの苦情に対しても配慮し、適切な形で体験搭乗を実施してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 いや、今の答弁は矛盾しているんですよね。周辺自治体の要望は、土日は緊急のものを除いては飛ばないでくれというふうに言っているわけですよ。体験搭乗は専ら土日にやっているわけですよね。ですから、周辺自治体の要望に応えることと土日にやっている体験搭乗を続けるというのは全く両立しません。

 どちらをとるのか、はっきりさせてください。

小野寺国務大臣 要望いただいている内容につきましては、これは私ども、その要望を受けとめながら、配慮して、適切な形で対応してまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 もう事実上の遊覧飛行ですからね。警察や消防だってやっていないんですよ。なぜ自衛隊だけがやるんですか。

 これだけ財政が厳しいと。きょう決算行政監視委員会だから言いますけれども、それだけの余裕があるんだったら、防衛費をもっと削ればいいじゃないか、社会保障に回せばいいじゃないか、こういう話にしかならないというふうに私は思いますよ。

 騒音だけまき散らして、住民からいったら大変迷惑ですから、これは思い切って見直していただくことを強く求めまして、時間になりましたので、きょうの質問は終わらせていただきます。

荒井委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳でございます。

 またラストバッターですが、しばしおつき合いをお願い申し上げます。

 率直な感想ですけれども、財務金融委員会でも、また当決算行政監視委員会でも、総理経験者同士の質疑であったり、あるいは今は財務大臣経験者の質疑というようなやりとりを拝聴させていただく中で、大変生意気な言い方かもしれませんけれども、いわゆる五五年体制と言われるのと違って、やはり大臣を経験された方と現大臣とのやりとりといったものは、極めてやりとりとして重たく拝聴させていただきますので、いろいろな意見がありますけれども、日本の政治は進んでいる部分もあるのではないかなと率直に実は今感じたところでございます。

 今、質疑の中で、大臣は若い人がお金を使わないという表現をされました。ちょっとこれは、こんな言葉がありますという御紹介ですけれども、大前研一さんの最近の近著を読みますと、低欲望社会という言葉を使っておられますけれども、若い人たちがなかなか冒険心をなくしているというような中で、直近、またこれは別の本の紹介になっちゃいますけれども、高田賢三さん、八十歳が自伝を書かれて、若い人たちへ、夢とか、海外へもっと出ていくとか、そんな思いを持ってもらいたいというようなことで、アントレプレナーシップでも大臣とやりとりさせていただきましたけれども、そういった日本社会にまた戻っていくというか、なっていくように、私は微力ながら努力したいと思っております。

 あと、今のやりとりで、私は、かねがね申し上げていて恐縮ですけれども、プライマリーバランスの均衡ということより、やはり財政収支均衡というところで、利払い費も含めた均衡が本当のターゲットであるということを目標として政府の方々にはしっかりと持っていただきたいことを重ねてお願いをしておきたいと思っております。そのためにも、私ども維新が言っています身を切る改革というのは大切ではないかということも付言させていただきます。

 きょうは予備費の審議でございますけれども、きょう会計検査院にもやはりエールを送っておきたいなということで、きょう、理事会では、後藤筆頭の御理解もいただきながら、委員長の差配で、会計検査院事務局次長から森友学園の再調査について、報告時期等についてのお言葉を少し、プラスアルファの言葉をいただけたということで、委員の方々に伝わっていないと思うので、ちょっと私から言うのはなにかと思いますけれども、一年とか半年とか、そんな遠い時期ではなくて、できるだけ速やかにというような表現をされておられました。

 いろいろな事情があって、財務省さんの情報がまたぽろぽろ出てくるみたいな事情があるのも、会計検査院、私もわかりますけれども、憲法機関ということの中で、エールを送らせていただきたいと思います。

 さて、いつも大臣には定義づけみたいなお話を拝聴して恐縮でございますけれども、先ほど、うえの副大臣からも三千五百億の意味などについて御答弁もあったので、大体お答えはあるかと思いますが、大きな意味で予備費の意義について、改めて財政当局の御意思、意味を確認させていただければと思います。

麻生国務大臣 予備費、その前に、基礎的財政収支と財政収支の話を言っておられました。

 先ほど安住先生との話でも申し上げましたけれども、これは財政収支が目標なんですよ、基本的には。その前に、そこまで行っておらぬわけで、その目標を立てる前の、いわゆる基礎的財政収支というのはこれは金利が入っていない、財政収支というのは金利を入れての話ですから、その金利を入れてまできちんと計算しないとこれは本来ならぬのですけれども、そこに行くまでだと更に目標年次が先になるので内容がぼけるじゃないかという先ほどの安住先生の話。その手前の段階の基礎的財政収支で、私ども、基本的には財政収支というのが目標というのはちょっと御了解いただければと思います。

 その上で、予備費の話です。

 これは、もう先ほど、うえの副大臣の方からお話があっていましたけれども、これは、予見しがたい、台風とか、最近ですと北朝鮮の話とかいろいろありますけれども、こういった予算に見積もった経費というのに不足が生じた場合、この間、去年ですと北部九州の話がありましたし、また、予算に見積もられていなかった新たな経費を必要とする場合等々に、あらかじめ国会の議決を得た範囲内で内閣の責任においてこれを支出するということで認められているもの、これは主に予備費ということになっておりまして、大体毎年、そんな額は必要なかった、必要だった、いろいろするんですけれども、三千、三千五百億等々、昔からずっとあります。

 私のときにだけは、あれはたしかリーマン・ブラザーズのときだったので、あのときは三倍ぐらい多く予備費を組んだと思いますけれども、それ以外のときは大体それくらいのものだったと記憶しています。

 また、事前議決の原則のいわゆる例外をなすということになりますので、そういった意味では、予備費の支出というものにつきましては、終わった後のいわゆる国会の承認をいただくということになろうと思っておりますので、その使用に当たりましては、これは憲法とか財政法とかいろいろありますので、そういったものに基づいて、各省とか各庁の要求というのを精査させていただく、建設省なら建設省の予算を精査させていただいた上で、その上で閣議の決定を得るということにいたしております。

 したがいまして、現在御審議をいただいております平成二十八年度の予備費の支出に関しましても、こうした性格とか手続とかいうものをきちんと踏まえた上で対応しているものでありまして、御賛同いただければと考えておる次第です。

杉本委員 ありがとうございます。

 いろいろな、先ほども五五年体制について触れましたけれども、問題点指摘型の、ちょっとネガティブであったり後ろ向きであったりと言ったら御無礼かもしれないんですけれども、そういうやりとりがちょっと国会の審議というのは多いような気が私はします。そんな中で、ポジティブに、前向きに物事を捉えてみることも我々は必要ではないかと思っているんですけれども。

 予備費の中で、災害の多い日本で予算措置というのは欠かせないという認識は、今大臣から御答弁いただきましたけれども、私も共有させていただいているつもりであります。

 今次熊本地震、そして二〇一一年の東日本震災等を通じて、これまで検査をしてきた中で、大いに予算措置として効果があったとか、あるいは復旧に大いに役に立ったと思われるような適切な事例というのがありやなしやという点について、会計検査院からお話しいただければと思います。

腰山会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院の報告は、何らかの問題があったものについて取り上げることがほとんどでございますので、直接のお答えになるかどうかはわかりませんが、予備費の執行状況につきまして、平成二十九年四月に国会に御報告を行いました「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について」において、東日本大震災復旧復興予備費として、平成二十三年度に四千六百九十一億余円、二十四年度に一千二百五十一億余円、計五千九百四十三億余円が支出されていることを記述しております。

 また、個別の事業の実施状況につきましては、予備費ではなく補正予算に係るものではございますが、二十五年十月に国会及び内閣に御報告を行いました「東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染に対する除染について」において、茨城県等五県の汚染状況重点調査地域においては、子供の生活環境に関する施設について優先的に除染を実施することとして、市町村が策定した除染実施計画に沿って除染が進んでいる状況が見受けられた旨を記述した事例がございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 腰山次長、きょうも御答弁ありがとうございます。ぜひ会計検査院には、お役目を大いに果たしていただきたいというお願いをしておきたいと思います。

 もう時間がなくなってしまいましたので、内閣府の海堀政策統括官にお運びいただいていますが、挙げていたテーマについては来週の災害特別委員会で質疑をさせていただきますので、きょうのところは、大変申しわけないんですが、御容赦いただければと思います。

 時間となりました。以上で終わります。

荒井委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより平成二十八年度一般会計熊本地震復旧等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外二件について、一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 平成二十八年度一般会計熊本地震復旧等予備費使用総調書及び同年度特別会計予算総則による経費増額総調書には賛成、平成二十八年度一般会計予備費使用総調書には反対の立場で討論します。

 反対の理由の第一は、普天間基地及び嘉手納基地をめぐる米軍基地爆音訴訟の一審で敗訴した国が、控訴するため、仮執行を停止するための巨額の保証金を支出していることです。いずれの地裁判決も、航空機の爆音について、受忍限度を超え、違法と国を断じました。国が賠償請求の取消しを求めて控訴するなど、言語道断と言わなければなりません。

 反対理由の第二、第三次普天間飛行場爆音訴訟第二審判決で国敗訴が確定したため、九億五千万円の賠償金を支出しています。日米地位協定第十八条に基づけば、米軍基地爆音訴訟の賠償金の七五%は米国政府が分担すべきものです。ところが、米側はこれまで、確定した損害賠償及び遅延損害金の支払いに一円も応じていません。日米地位協定さえ守られていない状況が続いていることは極めて重大です。政府は、米国政府が支払うよう強く求めるべきであります。

 以上指摘し、反対討論といたします。

荒井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより採決に入ります。

 まず、平成二十八年度一般会計熊本地震復旧等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十八年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立総員。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成二十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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