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第2号 令和2年4月13日(月曜日)

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令和二年四月三日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕

   主査 あかま二郎君

      木村 哲也君    小林 史明君

      佐藤  勉君    菅原 一秀君

      青柳陽一郎君    生方 幸夫君

      矢上 雅義君    石田 祝稔君

      下地 幹郎君

 第二分科会(総務省、財務省、文部科学省及び防衛省所管)

   主査 後藤 祐一君

      田中 英之君    野田 聖子君

      福田 達夫君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    落合 貴之君

      高木錬太郎君    宮本  徹君

      丸山 穂高君

 第三分科会(厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)

   主査 柴山 昌彦君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    新谷 正義君

      山本 公一君    江田 憲司君

      津村 啓介君    本村 伸子君

      あきもと司君

 第四分科会(法務省及び国土交通省所管)

   主査 伊佐 進一君

      甘利  明君    井出 庸生君

      河井 克行君    薗浦健太郎君

      武村 展英君    逢坂 誠二君

      源馬謙太郎君    松原  仁君

令和二年四月十三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 あかま二郎君 理事 大野敬太郎君

   理事 柴山 昌彦君 理事 武村 展英君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 後藤 祐一君

   理事 矢上 雅義君 理事 伊佐 進一君

      甘利  明君    井出 庸生君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      木村 哲也君    小林 史明君

      佐藤  勉君    新谷 正義君

      菅原 一秀君    薗浦健太郎君

      田中 英之君    高木  啓君

      野田 聖子君    福田 達夫君

      船橋 利実君    青柳陽一郎君

      江田 憲司君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    源馬謙太郎君

      高木錬太郎君    津村 啓介君

      松原  仁君    石田 祝稔君

      宮本  徹君    本村 伸子君

      あきもと司君    下地 幹郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣         竹本 直一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   会計検査院事務総局第三局長            宮川 尚博君

   会計検査院事務総局第五局長            原田 祐平君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渡辺その子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  三浦  聡君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 石川 卓弥君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         長谷川周夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  三宅 俊光君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  巻口 英司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高杉 優弘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            塩川 白良君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 岡西 康博君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            志村  務君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君

   参考人

   (株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長)    関根 正裕君

   決算行政監視委員会専門員 橋本 和吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  野田 聖子君     百武 公親君

  逢坂 誠二君     川内 博史君

  高木錬太郎君     荒井  聰君

  津村 啓介君     中川 正春君

  河井 克行君     上野 宏史君

  落合 貴之君     玄葉光一郎君

  上野 宏史君     河井 克行君

  薗浦健太郎君     工藤 彰三君

  江田 憲司君     野田 佳彦君

  荒井  聰君     福田 昭夫君

  中川 正春君     長妻  昭君

  石田 祝稔君     佐藤 英道君

  玄葉光一郎君     阿部 知子君

  野田 佳彦君     柿沢 未途君

  長妻  昭君     山井 和則君

  工藤 彰三君     丹羽 秀樹君

  百武 公親君     野田 聖子君

  青柳陽一郎君     寺田  学君

  源馬謙太郎君     篠原  孝君

  宮本  徹君     畑野 君枝君

  本村 伸子君     田村 貴昭君

  松原  仁君     大西 健介君

  山井 和則君     柚木 道義君

  佐藤 英道君     岡本 三成君

  田村 貴昭君     塩川 鉄也君

  丹羽 秀樹君     大塚 高司君

  阿部 知子君     城井  崇君

  篠原  孝君     神谷  裕君

  畑野 君枝君     藤野 保史君

  山本 公一君     鈴木 貴子君

  川内 博史君     泉  健太君

  福田 昭夫君     谷田川 元君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

  大塚 高司君     牧島かれん君

  城井  崇君     落合 貴之君

  寺田  学君     階   猛君

  岡本 三成君     浜地 雅一君

  藤野 保史君     清水 忠史君

  赤嶺 政賢君     本村 伸子君

  浜地 雅一君     濱村  進君

  菅原 一秀君     三谷 英弘君

  鈴木 貴子君     山本 公一君

  牧島かれん君     薗浦健太郎君

  三谷 英弘君     菅原 一秀君

  泉  健太君     逢坂 誠二君

  大西 健介君     松原  仁君

  柿沢 未途君     江田 憲司君

  神谷  裕君     源馬謙太郎君

  階   猛君     青柳陽一郎君

  谷田川 元君     高木錬太郎君

  柚木 道義君     津村 啓介君

  濱村  進君     石田 祝稔君

  清水 忠史君     宮本  徹君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  山本 公一君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     山本 公一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十八年度政府関係機関決算書

 平成二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十八年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十九年度政府関係機関決算書

 平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 主査からの報告聴取

 平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百九十八回国会、内閣提出)

 平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百九十八回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 平成二十八年度決算外二件及び平成二十九年度決算外二件を議題といたします。

 第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る六日審査を行いました。

 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査あかま二郎君。

あかま委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府本府、警察庁、金融庁、消費者庁、復興庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。

 主な質疑事項は、新型コロナウイルス感染症に関連して、緊急事態宣言に基づく休業要請と補償をセットで行う必要性、首都圏の各都県が連携して対応する必要性及び小学校休業等対応支援金の支給要件のあり方、指定廃棄物の取扱い、カジノ設置における地方自治体の責務、立法府における公文書管理及び情報公開のあり方、街頭演説の聴衆に対する警察による排除事案、自然災害時における感染症対策、被災者の住宅再建支援のあり方、暗号資産関連事業の育成方針、会計検査の実効性を高める必要性等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

生方委員長 次に、第二分科会主査後藤祐一君。

後藤(祐)委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省、財務省、文部科学省及び防衛省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う政府の取組、医療的ケア児の通学問題とインクルーシブ教育の推進、経済的困難を抱える世帯の子供に対する支援、災害時に避難所となることも考慮した学校施設の改善、日本の消費税が抱える問題点と情報開示、決裁文書の改ざん等に関する調査報告書の補正の必要性、陸上自衛隊のオスプレイ配備の是非、GIGAスクール構想におけるパソコン配付の前倒しと効果検証の必要性、新たな高等教育の修学支援により不利益をこうむる学生に対する救済措置、非正規教職員の待遇改善に係る政府の取組、固定資産税の課税誤りを防止、改善するための政府の取組等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

生方委員長 次に、第三分科会主査柴山昌彦君。

柴山委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、新型コロナウイルス感染症に関連して、PCR検査の有効性と実施体制、雇用調整助成金の特例措置による助成のあり方、障害者福祉施設における集団発生への対応、軽症者、無症状感染者の療養体制、感染者専用の医療施設、隔離施設の整備の必要性、緊急事態宣言の早期発出の必要性、障害者の就労継続支援事業所に対する支援の拡充策、学校の一斉休校の継続、再開がもたらす影響及び中小企業の資金繰り支援策、キャッシュレス決済の今後の普及促進策、多国籍企業の国内従業員に対する社会的責任のあり方等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

生方委員長 次に、第四分科会主査伊佐進一君。

伊佐委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、新型コロナウイルス感染症に関連して、事態収束後における観光業への支援、JR北海道等の運輸業への支援及び国内線においても水際対策を行う必要性、検察官の勤務延長の経緯、成年後見制度における任意後見の推進、航空機からの落下物について事業者に対して行政処分を行う必要性、国による一級河川の一体管理、近海中規模漁船の配乗基準の緩和を再検討する必要性、森友学園に売却した国有地の地下埋設物撤去費用の算定を再調査する必要性、駅ホームのすき間からの転落防止策等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

生方委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

生方委員長 これより、各件に関し、国の財政等の概況及び行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長関根正裕君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、内閣官房内閣審議官渡辺その子君、内閣官房内閣参事官三浦聡君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、内閣府大臣官房審議官石川卓弥君、内閣府大臣官房審議官海老原諭君、内閣府地方創生推進事務局次長長谷川周夫君、総務省大臣官房総括審議官前田一浩君、総務省行政管理局長三宅俊光君、総務省国際戦略局長巻口英司君、外務省大臣官房審議官高杉優弘君、外務省大臣官房参事官田村政美君、財務省主税局長矢野康治君、文部科学省初等中等教育局長丸山洋司君、文部科学省高等教育局長伯井美徳君、スポーツ庁次長瀧本寛君、厚生労働省医政局長吉田学君、厚生労働省健康局長宮嵜雅則君、厚生労働省医薬・生活衛生局長鎌田光明君、農林水産省食料産業局長塩川白良君、水産庁長官山口英彰君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省鉄道局長水嶋智君、国土交通省自動車局長一見勝之君、国土交通省航空局長和田浩一君、国土交通省国際統括官岡西康博君、観光庁長官田端浩君、運輸安全委員会事務局長志村務君、環境省自然環境局長鳥居敏男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新谷正義君。

新谷委員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日は、質問時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今、新型コロナウイルスが大変な猛威を振るっている状況が続いておるところでございます。世界全体は大きな危機に直面しており、この感染症により、我が国はまさに国難と言える状況になっていると思います。この感染拡大防止に向けて、引き続き国を挙げて全力で取り組んでいかなければなりません。

 本来であれば、感染症対策などについて厚生労働省に質問させていただきたいところではあるんですが、私、以前、政務官も務めておりまして、厚生労働省が、今、省を挙げてこれに全力で取り組んでいただいている状況であることをよく認識をしておるところでございます。政府に入った経験から、国会対応のための役所の作業、これは非常に膨大で、現状は厚生労働省の職員の疲弊につながってしまう可能性があると考えております。必要なことは議員からもしっかり伝えて国会対応をしていただきますが、私は、前回、厚生労働委員会でも質問させていただきましたので、本委員会では厚労省の質問は控えたいと思っております。

 さて、最初に、医療分野におけるICT化の方向性について経産省にお伺いをいたします。

 現在、新型コロナウイルスの流行の中で、企業活動や社会活動におけるオンライン化あるいはICT化を進める動きがございます。医療分野においても、電子カルテや診療報酬請求といった観点で効率化を図るためにICT化が進められてきたところでございますが、今後は、医療の質を向上させるという点からもICT化を進める必要があるのではないかと考えておるところでございます。

 例えば、九州に芙蓉会という医療法人があるんですけれども、こちらで、安診ネットというICTシステムを導入して、介護施設等の入居者個々人の体温、血圧、脈拍、こういったバイタルデータを取得した上で、個々人のデータを分析して、バイタルに異常が出た際に迅速に医師の判断につなげる、そういった取組を行っておられる方がいます。平熱は人によってさまざまで、一人一人違うものですから、ICTシステムで一人一人のバイタル情報を、やはり過去から現在までこれを分析して、現時点の状況と比較して異常を検知するというものでございます。

 高齢者は、新型コロナウイルス以前から、よく誤嚥性肺炎とか肺炎で亡くなる場合が多いのですけれども、こういったシステムの導入によりまして医師が早目に介入をした結果、肺炎による入院期間が短くなった、そういった研究もあると伺っております。

 また、医師の前だと血圧が高くなってしまう、あるいは低くなってしまうという仮面高血圧、こういったものもあるんですけれども、適正量の降圧剤をしっかりと投与できるようにするという効果も期待できるところでございます。

 一つのアイデアではあるんですが、今、新型コロナウイルスで在宅療養を余儀なくされている方もいらっしゃいます。このウイルス流行時においても、例えばPCR検査で陽性になった軽症や無症状の患者さん、今ちょうど在宅、宿泊施設にということになっておるところでございますが、こうしたシステムを導入することによって、在宅や宿泊施設においてもより安心して療養していただける可能性がございます。

 また、このようにICTは、医療資源の乏しい在宅での健康管理や医師による迅速な介入の実現など、医療の質を向上させる重要な役割を果たすところだと考えております。これまでは導入コストが非常に高くて、これは課題となってきたところでありますけれども、5G網の整備やスマホ又はクラウドの普及等によりまして、以前よりはかなり安価に実装できるようになった、そのように考えております。

 今後、医療、介護現場でICTのさらなる利活用が求められると考えますけれども、こういったICTシステムの開発支援あるいは導入支援の取組について、経済産業省の方針をお伺いしたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 今議員御指摘いただきましたとおり、新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、病院、診療所での二次感染を防止するためにも、情報通信技術、ICTの活用は極めて有効と認識しております。

 こうした観点から、経済産業省におきましては、令和元年度予備費及び令和二年度補正予算案におきまして、遠隔健康医療相談窓口の設置に必要な予算額を措置しているところでございます。

 また、これまでも、中小企業や小規模事業者等のIT化支援を目的としたIT導入補助金におきましても、従業員数が三百人以下の医療法人、さらには個人開業医等を対象に、さまざまなITツールの導入支援をしてきたところでございます。

 さらには、医療分野で活用される機器等の開発におきましては、戦略的基盤技術高度化・連携支援事業を活用いたしまして、中小企業等における開発支援に取り組んでいるところでございます。

 一例を挙げますと、本事業によりまして、胎児向け小型心拍計を活用しましたクラウド型の母子遠隔診療支援サービスが開発されまして、母子が自宅にいながら診察を受けられるサービスが実用化されているところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き、ICTを活用した遠隔技術の開発普及の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ、ICTの活用推進、これをまた取り組んでいただければ、そのように思います。

 次に、生産性革命に関する質問をさせていただきます。

 私の地元には自動車メーカーのマツダの本社工場がございます。新型コロナウイルスの影響で海外需要はかなり縮小しておりまして、三月二十八日から四月の三十日まで、この稼働日のうちに十三日間操業を停止するという事態になりまして、一部の従業員の方は自宅でということになっております。当然、マツダのような大きな会社が操業を停止するので、取引のある川下の中小企業の工場も稼働をとめるなど、大変厳しい状況になっておるところでございます。

 しかしまた、新型コロナウイルス感染症、これは感染症ですからいずれおさまるわけでありますけれども、改めて、これはまた国際競争が始まる、このことをよく認識をして、反転攻勢の時期に備えて、政府としても手厚い支援を行い、日本企業の生産性を今のうちから向上させておくことが非常に重要だと考えておるところでございます。

 ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金といった、まさに日本の中小企業、小規模事業者を支援する施策ですが、地元の皆さんの声を伺っておりますと、こういった施策はありがたいんですけれども、申請が煩雑で、これを申請代行してくださる方に高いお金を払っていかないと採択をされないとか、あるいは、飲食や宿泊業など製造業以外の業種は申請の要件に合わないことがある、そういった声を頂戴しておるところでございます。

 確かに申請書類はきちんと書いていただかないといけないわけでございますが、個々の企業が実施する生産性向上策などを説明する際に、どうしてもうまく表現できない部分があるんだろうと思います。また、飲食、宿泊業など、これまで余り対象となっていなかった業種も含めて多くの企業の皆さんにも手を挙げていただきやすくする、そのように支援をすることが国全体の企業の生産性を高め、また、いずれは国際競争力の強化につながるものと考えております。

 このように、今回初めて手を挙げる企業、そして幅広い業種がこういった支援を受けられるように、申請受け付けの対応を丁寧にして、必要な方が受けられるような運用としていただきたいと思いますが、これに関してお考えをお伺いしたいと思います。

渡邉(政)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、補助金手続を簡素化し、事業者の負担を軽減し、利便性を高めていくことは極めて重要だと考えております。

 そのため、生産性革命推進事業で実施するものづくり補助金では、申請書に添付する書類の数を昨年に比べまして半減することにいたしてございます。補助金共通申請システムにおいて全ての事務手続をペーパーレスで行えるようにいたしました。

 また、四月七日に取りまとめた緊急経済対策では、本事業について特別枠を新たに措置し、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために必要な前向きな投資を行う中小企業を対象に、補助率を二分の一から三分の二に引き上げることといたしました。四月十日には、事業者が速やかに申請の準備を進められるよう、ものづくり補助金の特別枠の公募を開始しております。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により賃金の引上げが困難な状況にある事業者も存在していることから、ものづくり補助金の特別枠では、生産性向上や賃上げに係る目標値の達成時期を一年間猶予するなど、申請要件を緩和しております。

 今後とも、中小企業にとって合理的で使いやすい制度となるよう、柔軟に不断の見直しを行ってまいります。

新谷委員 ありがとうございます。

 私もまさに中小企業の活力が日本経済を支えてくれていると思っておりますので、引き続き支えとなれるよう力を尽くしてまいりたいと考えております。

 今回、新型コロナの影響で多くのイベントが大小を問わず中止となっているところでございます。

 私の地元、三原市の大和町というところでありますけれども、白竜湖というかなりきれいな湖がありまして、そこの花火大会も中止となりました。この花火大会は広島で一番早く開催される花火大会でございまして、湖畔の千本桜と花火の競演という、まさに桜の時期と重なっているものですから、非常に全国でも珍しく、美しい珍しい光景が望めるところでございます。当然、地元の方も含め非常に多くの人が楽しみにしていたので、残念だというお声を聞きます。

 こういった白竜湖の花火大会のようなイベントは、広島に限らず全国で中止又は延期になっているのだと思いますけれども、弁当の注文がキャンセルになったり、あるいはもう既に大量のポスターの印刷が終わっていたりと、準備をしていた中でまた多くの影響が出ているところだとお声をいただいております。

 補正予算で、今回、観光イベントの開催について補助されるということを伺っております。まさに、再度イベントを行うに当たって、全国、大小さまざまなイベントについて、これを対象にしていただきたい、そのように強くお願いをするところでございます。

 また、延期、中止となったイベントに関しては既に多くの費用がかかっておりまして、これはもう払ったものに対して補助をするというのはなかなか国としてはちょっと難しいとは思うんですけれども、また、これは再開催といいますか、感染症が終息した後にまた開催するときに、同じイベントをそのまま開催するというよりも、より魅力的になってできるだけ多くの人が集まれるように、費用補助の対象経費として認めていただきたい、そのように思っておるところでございます。

 また、地域への影響は長期にわたることが考えられております。来年度以降も地域の魅力を向上していくための取組が必要でございます。ぜひ、地域の皆さんが知恵を出し、地域の魅力向上、そして反転攻勢となるようなすてきなイベント開催ができるようにすべきでございます。

 今回、このように補正予算での支援及び今後の地域資源の発展に向けての方針について観光庁の見解をお伺いいたします。

田端政府参考人 今般の新型コロナウイルス感染症によりまして、御指摘ありましたように、全国各地において、観光イベント中止、延期となるなど、観光地に深刻な影響が出ていると認識をしております。

 このため、今般の緊急経済対策には、感染症の影響を受けて中止や延期となった観光イベントを含め、全国各地のさまざまな観光イベントを磨き上げた上で実施をするということを支援する施策を盛り込んでおります。

 具体的には、観光イベントの実施費用を支援するとともに、外部専門家と連携してアドバイスをすること等を通じまして、イベントの魅力を向上させ、また、更に多くの方々に知っていただくということのためのプロモーションを行うこととしております。

 このような施策を通じまして、これまで以上に多くの観光客の方々に全国各地を訪れていただけるよう、全国の観光地の取組を支援をするということとともに、今後とも、全国の観光資源の磨き上げ、観光地の魅力創出、発信のための取組を推進をしてまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 ぜひ、これは影響が長期化することもあり得ますので、数年間にわたってこのバックアップの体制をお願いしたいと思います。

 続きまして、今回発出をされたゴー・トゥー・キャンペーン、これに関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 従前のふっこう割というものがございましたが、これは幾つか課題があったと思います。それを踏まえて、一定の条件をクリアすることでビジネス客の利用制限や宿泊日数の制限が撤廃されるとのこと、特に、旅行代理店、OTAだけではなく、直接宿泊施設のサイトから申し込んでも補助の対象になると聞いておるところでございます。大変すばらしい施策だと思っております。

 宿泊、交通を組み合わせたパッケージ商品、この予約の中で一日最大二万円の補助が受けられるなど、宿泊業、運輸業、飲食業を始めとしたコロナの影響を大きく受ける業種がこの施策を契機に勢いづくこと、これを期待しておるところでございます。

 このパッケージ商品の大手旅行業者やOTAが徴収する手数料、これに関してちょっとお伺いをしたいと思います。

 宿泊業の、特に旅館業の利益率、これはよくて償却前の売上げの七、八%と言われているところで、低水準であることが一般的でございます。しかし、こうした業種が発展をすると、仕入れ業者やリネン業者、燃料業者など、地域への波及効果は高いとされております。全国に数万以上あるこういった宿泊施設が活気づくことによりまして、地域経済を、やがては日本経済の活力を生む、そのように信じております。

 しかし、大手旅行会社やOTAが販売手数料として一五%もいわゆる手数料をかけてしまうと、宿泊施設の売上げが上がったとしても収益は上がらずに、場合によっては、売上げは上がったのに利益、収益が下がるというケースもあり得るそうです。そうすると、結果として地域経済には余りプラスにならなくて、新型コロナの影響からこういった地域経済の立ち直りが遅くなるのではないかと危惧をしておるところでございます。

 そこで、例えば、経産省さんでキャッシュレス化事業、これは支払い額の五%を還元することで多くの人がキャッシュレス決済を利用し、大変な好評を得ているところでございます。ここでは、手数料率を一定割合以下とすることで事業者への負担を減らす工夫をしておるところでもございます。

 今回のゴー・トゥー・キャンペーンにおいても、総額約一兆七千億円の予算が計上されておりますけれども、より波及効果の高い、全国津々浦々にある宿泊施設が利益を出し、地域経済を支えられるよう、宿泊施設の利益の全てが旅行会社やOTAの手数料に消えないように工夫をすべきと考えておりますが、観光庁の見解をお伺いいたします。

田端政府参考人 今般取りまとめた緊急経済対策におきまして、現在、今、新型コロナウイルスの影響が大きくて、むしろ家にいるという状況ですが、これが落ちつき次第、反転攻勢に転ずるため、今御指摘ありました、かつてない規模の観光需要喚起策、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンということを盛り込んだところであります。

 この本キャンペーン、今御指摘もありましたけれども、宿泊、日帰り旅行商品の割引や、また、地場のお土産品屋あるいは飲食店、観光施設など、幅広く使用できるクーポンの発行に対しても支援を行うということで、まさに地場の消費を強力に喚起をするものでありますが、その実施に当たりましては、御指摘ありましたように、全国各地の観光関係の事業者の方々に広く裨益をさせるということが重要であると考えています。

 御指摘ありました、旅行会社を介さずに直接ホテルや旅館に予約が入る場合もございます。こういう場合についても、これらの事業者において適正な執行管理のための体制が確保されているということなどを、一定の条件を満たす場合、割引の対象にするということで、いわゆる直接販売の部分も対象にしていくということを検討しております。

 いずれにいたしましても、新型コロナウイルスの状況が落ちつき次第、間髪入れずに集中的なキャンペーンを実施をしていく。多くの観光客に一日も早く全国各地を訪れていただきまして、地域がにぎわいを取り戻していただけるように、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたい、そのように思います。

 次に、文部科学省が推進するGIGAスクール構想についてお伺いをいたします。

 今、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、非常にこの意味合いは大きくなってきているのではないかと思っておるところでございます。一人一台のタブレット、これも重要でありますけれども、やはり一人一人に最適化された教育プログラム、これによって非常に効果は大きなものになるのではないかと考えております。また、現況下では教育格差を埋める手段にもなり得ると思っております。新型コロナウイルス感染症、現在もそうでございますが、終息した後も、やはり一人一人の状況に応じた教育を提供することで、例えばこのような感染症による教育の影響、こういったことを乗り越えられることが重要だと考えております。また、一人一人、家庭環境もさまざまでございまして、在宅でいるということは、そのことへの配慮も欠かすことができないと思っております。

 このように、新型コロナウイルスの流行時や終息後におけるGIGAスクール構想の推進が非常に重要であると考えておるところでありますけれども、文部科学省のお考えをお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の臨時休業期間に際して児童生徒が学習を進める際にICTを活用することは有意義であり、既にICT環境整備が進んでいる自治体においては積極的に活用いただきたいと考えております。

 文部科学省では、我が国の学校ICT環境を抜本的に改善すべく、令和元年度補正予算において、GIGAスクール構想の実現として、学校における高速大容量の通信ネットワークと児童生徒一人一台端末の一体的な整備を開始をしたところであります。

 加えまして、このたびの緊急経済対策において、GIGAスクール構想の加速による学びの保障として、令和五年度までの児童生徒一人一台端末の整備スケジュールの加速、在宅オンライン学習に必要な通信環境の整備、学校現場へのICT技術者の配置の支援などの施策を盛り込んでおり、これらの施策に取り組むために必要な経費として、令和二年度補正予算案に総額二千二百九十二億円を計上をいたしております。

 学校のICT環境については、これまで、令和の時代のスタンダードとしてその実現を進めてまいりましたが、このたびの補正予算案により、家庭の通信環境などにも配慮しつつ、ICT活用を促進することで、家庭学習を含め、全ての子供の学びを保障できる環境を早急に実現してまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ推し進めていただきたいと思います。

 また、こういったところは大学においても同じようなことが言えると思います。大学という場所は、いわゆる今の三密、まさにそういったところに該当する場所でもございます。実際、私の地元の広島大学も非常に対応に追われておられるところでございます。

 こういった大学、単位をオンライン授業によって取得することができるように支援を行うなど、こういったことも必要ではないかと考えております。文部科学省として、各大学へのサポート、これらを進めていく必要があると考えておりますけれども、大学に関してもちょっとお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 遠隔授業を実施する大学、高等専門学校は全国で既に四割ございます。遠隔授業の積極的な活用によって授業のおくれを補おうとする動きが更に広がりつつございます。

 このような状況の中、文部科学省におきましては、教室に日常的に集まることによる感染リスクに対応するため、これまで必ずしもルールが明確でなかった遠隔授業が自宅で受講可能であることや、遠隔授業を行った場合の扱いとして、遠隔授業で取得できる単位の上限への算入は不要であるということを通知で明確化しているところでございます。

 さらに、各大学の取組を後押しするため、今回の補正予算案におきまして、遠隔授業を実施するために必要なシステムサーバー、カメラ、あるいは学生への貸与用のモバイルルーター等の整備、教育面の支援体制整備などのために必要な経費を計上しているところでございます。

 また、通信事業者におきましては、学生の遠隔授業の通信環境を確保すべく、携帯電話の通信容量制限等について特別な支援措置を提供していただくなどの動きが広がっております。

 著作権法に関しましても、権利者団体において、令和二年度は補償金額を特例的に無償として申請することが決定されております。

 文科省といたしましては、遠隔授業の促進に向け、今、事例の収集、その全国展開を進めるなど、必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ推し進めていただきたいと思います。

 今回の新型コロナウイルス感染の拡大によりまして、運輸交通事業は大打撃を受けているところでございます。バス、航空、鉄道、フェリー、こういったものは、民間企業がやっていても、これはもう国民にとっては公共インフラに近い存在でございまして、私は、国を挙げてこれを守っていかなければならない、そのように考えております。

 バスに関しては、インバウンドの減少で、貸切りバス、この危機が言われているところでありますけれども、私は、より深刻なのは路線バスの方ではないかと思っております。これが壊れてしまうと、地域の過疎化あるいは地域産業の廃業とか、そういったことにまでつながっていくものでございます。

 今、この地域バスでありますけれども、事業者の皆さんは歯を食いしばって頑張っておられるところでありますけれども、中には、路線によっては、地域間幹線系統、こういったところで存続している路線もあるところでございます。ただ、これは、今の状況で利用者が減ってしまって、要件から外れてしまうのではないか、そして補助金が出なくなるのではないか、そういった強い不安を抱いておられるそうでございます。

 これはもう死活問題でございまして、柔軟な対応をしていく必要があると考えておりますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスはバス事業にも大きな影響を及ぼしております。

 貸切りバスでは、委員御指摘のように、運送収入に関しまして、昨年同月比でございますが、七割から八割減少している、すなわち、収入がわずか二割、三月で見てみますと、全体の八〇%にも及んでいるところです。

 また、乗り合いバスでも、外出の自粛などで輸送量や収入が減少しておりまして、全国平均でいいますと、三月は約八五%です。広島を含みます中国地方で約八〇%、かなりの落ち込みがございます。

 乗り合いバスは地域の公共交通として、委員御指摘いただきましたように、通院とか通学、買物などの住民の移動を支える重要な交通機関でございますし、今回の緊急事態宣言の基本的対処方針におきましても、バスはタクシーと並んで地域の生活交通を支える輸送機関として事業の継続が求められております。

 国土交通省といたしましても、バス交通が維持されるよう支援をする所存でございます。

 御指摘の幹線系統の補助、これの算定に当たりましては、運送収入から計算されます輸送人員を補助の要件としておりますが、新型コロナウイルスの影響によります減少は対応が困難な不可避なものであると考えておりまして、このような影響を除外するように検討することとしております。

 いずれにしましても、国難ともいうべき困難な状況の中、地域の交通を守るために全力を挙げてまいります。

新谷委員 本当に力強いお言葉、ありがとうございます。

 同じことが航空業にも言えることでございます。今、もうほとんど減便、国際線に至ってはほぼゼロ、そういったかなり厳しい状況が続いております。一社だけでも、ひょっとしたら二兆円ぐらいの赤字が年間いくんじゃないか、それぐらい大変厳しい状況でありまして、せんだって、政府からさまざまな、使用料の猶予、減免、そういったことを打ち出していただいたところでございます。ただ、やはり税の減免、利用料の減免等ではなかなかこれは乗り切れないんじゃないかと私は思っておるところでございます。

 ぜひ、今後の状況を見てということにはなろうかと思いますが、必要に応じては補助金、助成金等でしっかりとこれはまた追加で支援をしていく必要があろうかと私は考えておりますが、お考えをお伺いしたいと思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 航空業界においては、今般の緊急経済対策に基づく危機対応融資等の活用などによりまして、当面の資金繰りは可能になるものと見込んでおります。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の終息は現時点で見通せない状況でございますので、更に状況が悪化した場合には、航空会社の資金繰り等も踏まえ、さらなる支援策について総合的に検討してまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 ぜひ、状況を見て、これはインフラとして捉えて、しっかりとした支援をお願いしたいと思います。

 以上で終了します。ありがとうございました。

生方委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 おはようございます。

 閣僚の皆さん、政府参考人の皆さん、本当に連日お疲れさまでございます。

 さて、新型コロナウイルス、安倍政権の一連の危機対応、拝見をいたしておりますと、何としてでもこのウイルスを封じ込める、感染拡大を収束させる、そうした覚悟がなかなか見えないんですよね。何か、経済や財政の事情を優先して、国民の命を守ることが二の次になっているような、そういうことを感じざるを得ません。

 その象徴が先週来の東京都とのどたばた劇だと思うんですよね、西村大臣。これは一体何なんですかね。やっと、遅過ぎると批判の多い緊急事態宣言が出て、ここで一気呵成にウイルス封じ込めのためにあらゆる措置を講じていただけるものだと、国民の多くの皆さん、私もそうですけれども、そう思っていたと思いますよね。しかし、休業要請の対象業種ですか、入れる入れない、すったもんだがあって、三日間も本当に貴重な時間を空費して、その間何が起こったか。どんどん東京都では感染が拡大していった。もう史上最高水準レベルを更新しながらどんどんふえていった、二百件近くになった。現場でも大混乱を生じた、入るか入らないか、業種に。もうつき合い切れないよというような声も上がっていると聞いています。

 こうした事態を招いたことについて、西村大臣、どう責任を感じておられますか。

西村国務大臣 私自身、これは安倍総理のリーダーシップのもと、国としてもこの新型コロナウイルス感染症を何としても封じ込める、できるだけ早く封じ込める、その思いで、この法律の執行の責任者として全力を挙げているところであります。小池知事とも、そして七都府県の知事始め全国の知事、知事会とも日々連絡をとりながら適切な対応をとり、何としても封じ込める、その思いで連携をして取り組んでいるところであります。

 小池知事とはさまざまな調整を行いました。この法律、これは民主党政権のときにつくられた法律でありますけれども、第五条に、基本的人権を尊重し、とられる措置は必要最小限でなければならない、それから、政府においては基本的対処方針を定めて、そして、都道府県知事はこの基本的対処方針に沿って措置を講じなければならないと明記をされております。こうした観点から、小池知事とさまざまな意見交換を行い、政府の調整権限もございますので、調整を行ってきたところであります。

 都で最初示してきた案は、幅広く、本当に幅広く、さまざまな施設について休業要請を行おうというものでございました。これは法の四十五条二項で定める施設の範囲を更に超え、そして必要最小限を超える。これは専門家の意見も聞きながら私はやりました。

 この法律、政治家が恣意的に何か自由にできるものではありません。専門家の意見を聞いて、この感染症を封じ込めるために適切な措置、時には強い措置が必要になることもあります、それをとらなきゃいけない、こういう体系であります。専門家の意見を聞いて、東京都の措置、小池知事が適切な判断をできるように、その調整を行ってきたものであります。

 いずれにしても、きちんと法律上の整理もできておりますので、この基本的対処方針に沿って、各県知事が封じ込めるために適切な措置をとっていただいて、そして、封じ込めができるように私も全力を挙げてサポートし、調整をしていきたいというふうに考えているところであります。

江田(憲)委員 この法律は、確かに、国が緊急事態宣言、地域を限り、期限を切ってやる。その上で、具体的な緊急事態措置は、原則、都道府県知事に任せているんですよ。

 私に言わせれば、皆さん方が急に四月七日になって対処方針を変えて、国との協議なんという文言を入れた。国との協議が必要なら、この法律は百条になんなんとしている法律ですから、当然、法定して書くんですよ。書いてないでしょう。それは、背景には地方分権、地方自治の流れもあったし、地域の実情、感染の実情に通じた都道府県知事がその地域の実情に応じた施策をやるということで、基本的に都道府県知事に任せた。そこに皆さんが、誰が悪知恵を働かせたか知らないですけれども、介入した。これが混乱の原因だと思いますよ。きょうは時間ないので、この辺は議論しませんけれどもね。

 ただ、西村さん、あなたもお役所出身だからおわかりと思いますけれども、一国のトップリーダーが私権の制限を含むこういう重大な緊急事態措置の決断をした。当然それは、事前に、経済波及効果の問題、さまざまなプラスマイナス、分析した上で、それで決断したはずですよ。それで、まあ、遅い遅いとみんな思っていたけれども、やっとやってくれたか、じゃ、一気呵成にやってくれるんだな、封じ込めなんだ、一カ月に限るんだな、じゃ、我々国民も協力しようと思っていたところに、三日空費ですよ。

 それから、何ですか、外出自粛の効果を見きわめた上で第二弾を打つんですか。あなた方は感染爆発の瀬戸際だと言っているんでしょう、今。もう、もしかして、しているかもしれない。時間の余裕がないときに、二週間、それより以前だっていいですよ、様子を見て、それで緊急事態措置を講じようなんて書いてあるじゃないですか。こんな悠長なことでウイルス封じ込めができると本当に西村大臣はお思いですか。

西村国務大臣 まず、基本的対処方針を決める際には、知事会の飯泉会長にも御出席をいただき、また、緊急事態宣言の際にも、知事会を代表して黒岩知事にも御出席いただいて、その御意見を伺いながら基本的対処方針は定めております。

 法律上、繰り返しになりますが、私権の制約を伴う、御指摘のとおりです。措置は必要最小限のものとしなきゃいけない、その規定があります。そして、都道府県知事は、この基本的対処方針に沿って措置をとるという責務があります。そうした全体の体系の中で、適切に知事が判断できるように私どもはサポートをし調整をしているということをまず御理解いただきたいというふうに思います。知事がさまざまな措置をとる際に、専門家の意見を聞いて、我々はサポートしていくということであります。

 そして、専門家の意見は、二週間外出自粛をし、人と人との接触を八割削減することができれば、これは成果が出る、仕様が変わり始める、そして、一カ月、三十日間続ければ、必ず収束に向けての道筋が見えてくるはずだ、こうした御意見をいただいております。このことを私は知事会、七都府県の知事にもお伝えをしました。

 そして、その上で、しかし、日々のデータを見ながら、また日々の感染状況、我々が見ている姿は二週間前の姿でありますから、その間、今までの間に何か起こっているかもしれない、それが日々出てくるわけでありますから、その感染状況、こうしたものを見ながら適切に判断をし、必要な措置を講じていくということを七都府県の知事との会議でも申し上げております。

 その中で、小池知事とも調整をして、もちろん先ほど申し上げた施設の調整もあります、それから我々のデータを示しました、小池知事からは都営地下鉄の利用状況もデータを示していただきました。そうしたことを突き合わせながら、必要な措置、適切な措置をとっていくということであります。

 そして、経済対策も、もちろん、この緊急事態宣言を発出した七都府県、GDPでいいますと日本の半分近くを占めます。それだけのインパクトのあるところであります。影響を受ける中小企業、そして個人の皆さんに、生活を守る、事業を守る、そうした予算をしっかりと組んで、皆さんの事業が継続、生活が維持していけるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。

江田(憲)委員 そういうことであれば、これは結果が出ますから、五月六日に。抑え込めなかったということであれば、本当に責任をとっていただきたいですよ。

 安倍総理は、何ですか、最低七割、極力八割、人と人との接触を減らすとおっしゃっているんでしょう、目標を掲げられた。それはよしとしましょう。しかし、私に言わせれば、それを達成する手段が伴っていないじゃないですか。

 要は、今は、外出自粛要請だけにとどめようというのが政府の考えでしょう。二段階方式なんですからね。しかし、皆さん方の携帯電話の位置情報のデータを見たって、平日はまだ外出自粛だけで三割前後の削減じゃないですか。どうやって七、八割達成するんですか。手段が伴っていないんですよ、かけ声だけで。

 それから、こんなのは小池知事に言われるまでもなく、危機管理の基本というのは、最初に大きく網をかけて、厳しく対策を打ち出して、そして事態の推移で少しでも改善、明かりが見えれば緩めていく、これが基本ですよ。戦力の逐次投入というのが一番失敗の原因だというのは歴史が証明するとおりじゃないですか。あなた方がやっているのは、今、それなんですよ。戦力の逐次投入。本当に、こんなことで、一番危うくなるのは国民の命と生活なんですからね。政治の判断として、やってくださいよ。

 専門家は専門家としての知識はしっかりインプットしていただく。しかし、その上で、国民の生命財産を守るというのは政治家の責任なんだから、あなた方がしっかり判断をして、やっていただきたいんですよ。

 この危機管理の要諦について、西村大臣はどうわきまえておられるんですか。

西村国務大臣 歴史が示すとおり、戦力の逐次投入、これは最もとってはならない手法である、このことは私も十分に承知しております。

 しかし、私は、この法律の執行の責任者であります。この法律は私権の制約を伴うものでありますから、とられる措置は必要最小限でなければいけない。また、附帯決議でも、措置をとるには、私権を伴うから慎重でなければいけない。附帯決議もいただいております。

 この法律の責任者として、法律で規定していること以上に、また、必要な措置以上に幅広く網をかけて大きくやるということを私は容認するわけにはいきません。

 必要な措置は、専門家の意見を聞きながら、これはわかりません、我々、感染症、どれだけ感染しているか。これは、実は二週間、何が起こっているかは誰もわからないわけでありますけれども、しかし、それはデータを見ながら、専門家はさまざまな分析をし、さまざまな経験を踏まえて判断をされます。その意見を尊重しながら、このことは附帯決議にもありますし、また、条文にもしっかりと、専門家の意見を聞くと、法律上あります。

 したがって、一つ一つの措置が適切であるように、私は、この法の執行の責任者として、専門家の意見を聞いて判断をし、知事が適切に判断し、この感染症を封じ込めるために適切な措置がとれるように全力でサポートしていきたいというふうに考えています。

江田(憲)委員 必要最小限なんて、当たり前のことですよ。しかし、あなた方でしょう、八割削減するんだと。今、三割しか削減できていないでしょう、外出自粛要請で。達成できるんですか。達成できなきゃ責任をとってくださいよ。要は、あなた方が掲げている目標を達成できるんですかと言っているんですよ、そんなことで。

 今、一番の最優先事項は国民の命を守ることなんですからね、これは結果が歴然と判明しますからね。五月六日になって、ああ、やはり無理でしたでは済みませんよ、本当に。

 さて、時間もありますので、次、検査ですね、加藤大臣。

 これはずっと言われてきましたね、この国会でも。安倍総理も、日に六千件を目指すんだ、一万件を目指すんだ。先日は会見で、日に二万件を目指すと。しかし、残念ながら、努力はされているんでしょうけれども、三月は平均千五百件ですよ。最近は三千件、四千件、五千件になっているようですけれども、まだまだ二万件には遠い。

 加藤大臣、どうやって、この二万件、達成されますか。

加藤国務大臣 PCR検査についての基本的考え方は、委員が御承知のように、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けていけるということにするということでありまして、私どもも、個々に、こうした事例があるんだけれども、かなり厳しい状態でもなかなか検査を受けてもらえなかった、あるいは、相談センターにすらつながらない、さまざまな御指摘をいただいておりますので、それは個々に、具体的な話があれば、それぞれの都道府県、市町村等とも御相談をしながら対処させていただいております。

 その上で、今委員のお話しの一万二千件とか二万件、これは能力の問題でありますから、それは委員御承知のように、能力と必要な検査数、これは別に独立的に存在する、これはもう委員よく御承知のとおりだと思っております。

 総理がこれまで申し上げてきた数字は、まさに能力を掲げていくということを申し上げ、今、二万件にすべく、先般の緊急経済対策、それから、これからの補正予算等も含めて、民間検査機関等に対する検査機器の購入に対する支援、あるいは検査キットの配付、こういったことを通じて、まさに能力の構築を進めていきたいというふうに思っておりまして、それと並行して、先ほど申し上げた、行われるべき検査がしっかり行われていけるように対処していく。

 そういった意味において、やはり我々もいろいろ見ていく中で、一つは、受入れ先の病院、この確保というのは一つまた課題になっておりますから、これについても、個々の都道府県、場合によってはより小さい市町村ともいろいろと御相談をしながら、そちらの体制も並行して整備をしていく必要があるというふうに認識をしています。

江田(憲)委員 大臣御承知のように、これまでは、クラスターを見つけ出してそれを潰すという手法。しかし、東京を始め大都会を中心に、もう経路不明の感染者も続出していますし、無症状の方もおられるという中で、もうこういう手法は通じないので、これからは、WHOの事務局長もおっしゃっている、専門家もおっしゃっているように、もう検査、検査、検査、そして隔離というのがパンデミックの基本方針になると思いますので、ぜひ、能力、それにしてもちょっと能力と実施件数の乖離が激し過ぎるので、しっかり検査をして、それで重症と軽症、トリアージして、隔離して、それで収束に向かう。これはもうドイツでも韓国でも行われて、ある程度効果が出ているやり方ですから、それをお願いしたいと思います。

 それから、緊急事態宣言ができて一番効果があるのは医療の面ですよね。結局、いろいろな接収権限があって、病院や一般診療所だけではなくて、野戦病院的なものもつくれる。あるいは、クルーズ船みたいなものも使えるかもしれませんけれども、そういう形で、公園でも市役所の前でも、千床クラスのベッドがある病院をつくるとか、とにかく政府の努力ですよね。検査、検査をすればもう医療崩壊だというよりも、医療崩壊させないように緊急事態宣言をされたわけですから、しっかりとした病床の確保も含めてやっていっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、野戦病院というお話がありました。諸外国においては、既存の病院施設では足りないということで、体育館を使ったり、あるいは公園にテントを張ったり、そういったところでまさに病院機能を拡大を図っているところであります。

 私どもとしても、そうした対応の必要性ということも十分承知し、先般、諮問委員会においても、私の方からそういった必要性について発言もさせていただきました。また、特措法上、そうした特別に病床を新たにつくるということについては、これは完全に、本来だったら病床を広げる場合には許可が必要になりますけれども、それは不要ということになっております。

 それから、宣言が出されていない地域においても、事前にそうした対応をしようという場合について、これは医療法に係るわけでありますけれども、これについても、規制の対象外ですよ、こうしたことを申し上げ、また、そのための、これは許可は必要なんですけれども、許可できますよということ、そしてその手続の簡素化、こういったことも図っているところであります。

 いずれにしても、既存の病床をどう活用していくのか、足らない病床をどう拡大していくのか、さらには、病院まで入らなくてもいい軽症者の方々、それ向けの宿舎、宿泊施設等の活用、こういったことを総合的に展開することによって、医療全体の体制、特に、重症者が医療提供サービスを受けられない、こういう状況がないように取り組んでいきたいと思っています。

江田(憲)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、きょうも皆さん、マスクをされています、私も。例の布製マスク二枚、安倍総理肝いりのマスクが配付されるようですけれども、聞くところによりますと、二枚配れば国民の不安がぱっと消えるんだという総理側近の言葉もあるようですけれども、今一番国民がこのコロナウイルスの問題で不安に思っておられるのが、やはり治療薬がないということだと思うんですよね。

 そういう意味では、安倍総理も大臣も触れられているアビガンという薬、先月から治験が開始されたそうですが、いつごろ認可される、投与ができるようになるんですか。これがポイントなんですね。

 それからもう一つ、観察研究という制度があるらしいですね。お医者さんが必要と認めて、そのお医者さんが所属する病院の倫理委員会の承認を得て、患者さんが同意すればアビガンも投与できる。百二十例、会見では安倍総理が、投与して効果も出ているから、この使用を拡大していきたいというような発言もされておりまして、これは一つの希望の光ですけれども、大臣、ぜひ、どうやってこの認可を迅速化し、そして観察研究で、私、運用を改善すればいいと思うんですよ。今、重症患者だけに投与しているらしいですけれども、アビガンが効くのは軽症、初期段階らしいですね。初期段階の患者にも投与できる。

 それから、今、医療従事者、防護服も足らない、そういう中で、本当にリスクを冒して日々努力していただいている。この医療従事者のところにアビガンを事前に配付しておいて、それで、いざ、こうなったときに処方できるような体制を組んでおく。

 今、アビガンは、何か厚生労働省に全部備蓄している。備蓄して、使わなきゃ何の意味もありませんからね。医療従事者の病院、診療所にはもうあらかじめ配付しておいて、それで、医師の判断で、かかったと思ったら投与して、医療従事者を守るということも考えられますから。

 ぜひ、こういった御提案を検討していただけませんか。

加藤国務大臣 まず最初に、委員がお話があった観察研究、制度はもう委員が御説明されましたので説明いたしませんけれども、当初は百二十名でありますけれども、今の段階では三百名を超える症例がそれぞれの医療機関で展開をされているということで、我々も、数次にわたって、こうした対応の仕方があるということを、医療機関、さらには、首長からもこういう指摘がありますので、首長の皆さん方にもお話を申し上げ、こうした仕組みもありますよということを更に周知をしていきたいと思っておりますし、また、一定の観察結果の集約ができれば、逐次これは公表していきたいというふうには思っているところであります。

 それから、治験に関しては、既に治験をスタートいたしましたけれども、トータル九十六例をベースにこの治験がなされるということでありますので、逐次治験に参加していただく、これまた医療機関を今集めております。

 この治験においては、委員御指摘のように、重症者のみならず、軽症者も含めて、バランスよくこの効果を測定するということであります。

 当然、治験をする以上、効果が出るには一定の期間がこれはどうしても物理的にかかります。ただ、それを超えて、審査手続、これはできるだけ、並行してやれるものはなるべく前倒しにやり、そして、実際の期間を最大限短縮しながら、効率的な審査をさせていただきたいと思います。

 それから、事前に配るべきだというお話、これは、一定程度効果が見えれば、もう次の段階を想定しながら、そういったこともその段階では考えていくべきなんだろうと思っています。

江田(憲)委員 ノーベル医学・生理学賞をいただいたあの本庶先生も、アビガンと、それから重症段階に効くと言われているトシリズマブ、こういう薬も含めて、ぜひ、治療薬がないというのが国民の一番の不安なので、そこのところは臨機応変に運用をしていただきたいというふうに思います。

 さて、もう時間もないので、経済対策の方に移りますけれども、この百八兆円の事業規模の経済対策。史上最大だ、GDPの二〇%だといって自画自賛をされるんですけれども、リーマン・ショック以上の経済不況が来る、IMFに言わせると、あの世界大恐慌以来の最大の不況が来るんだと。私もそう思いますよ。

 経済の底が抜けようかというときに、この百八兆円。中身を見ると、百八兆といっても、膨らまし粉がいっぱい入って、中身がすかすか。

 例えば、民間企業の支出が四十二兆円も入っている。税金や社会保険料の支払い猶予が二十六兆円。これを引くと財政支出が三十九・五兆円。三十九・五兆円も、からくりがあって、このうち、借金ですね、返済が必要な融資が十三・三兆円。それから、昨年通した、成立した補正予算、この未執行分九・八兆円も入っている。これを引くと、結局、真水というか、国のお金で支出する分は十六兆円強だということで、リーマン・ショックのときも、四回対策を打って総事業規模百三十二兆円、国費が二十七・四兆円、これにも足りない、はるかに。

 それから、これは民間シンクタンクが何社か、GDP押し上げ効果を試算して、たった〇・九%しかないと。

 麻生大臣、この程度の対策で本当にこの難局を乗り越えられるとお考えですか。

麻生国務大臣 リーマンのときと今回のときと、御記憶かと思いますが、あのときは間違いなく金融危機です。今回は、金融は決して危機に陥っているわけではありません。今回、極めて厳しいのは、人と物が動かないという事実であります。これによって景気がダウンというところによって影響が出てくるというのが基本だと思っておりますので、あのときと前提条件が違うとは思いますけれども。

 今回、百八兆円ということで、例えば、今御指摘のありました納税また社会給付等々の話についての繰延べ二十六兆、これは基本的には、企業を経営していればわかりますけれども、二十六兆円の金が少なくとも納税する予定から繰り延べられるというのは、資金繰りにとりましては極めて大きな影響を与えますので、私どもとしては、これはそれなりの効果がありますし、過去、こういったことをやった記憶は、少なくとも私はリーマンのときとその前のあれしか知りませんけれども、この種のことをやった、二十六兆円のものをやったという、延滞を認めるとか延滞税を取らないとか延滞金利なしとかいうようなことをやった記憶はありませんので、海外ではやっておられるということですので、私どもはこれは採用させていただきましたけれども、それなりの効果は出てくると。

 時間があれなので、るる説明したいところでありますけれども、今御指摘のありました点だけ申し上げれば、そういうことになります。

江田(憲)委員 ちょっと私も時間がないので、最後、一問にしますけれども、西村大臣、補償ですね、この休業要請に伴う補償、我々はすべきだという考えですけれども、そういう問いをしても同じ答えが返ってくるので、きょうはやりません、時間もないのでね。

 ただ、この中に地方の交付金が一兆円ありますよね。一兆円じゃ全然足りないと思いますけれども、この一兆円、これをもう五兆にでも十兆にでもして、それで、使い道自由で都道府県に交付する、交付した先で都道府県知事がどう使おうがあずかり知らないと。

 私も西村さんも役所にいたから、こういう個人の私的な活動に、その損失に補償するというのが、昔、できないと教えられたこともありますよ。その補償という二文字が嫌なんだったら、もう今はやはり本当に困っている中小零細、個人事業主を救ってあげないと、この人たちが倒産したら、幾らV字回復だといっても、その底が抜けるわけですからね。

 ぜひ、西村さん、そこは融通をきかせて、知恵を出して、その行った先のところは、そういうところにも使うけれども、名目は感染拡大防止金でも、小池さんの使う言葉が嫌だったらほかの言葉でいいんですけれども、柔軟に使えることにして、実際上、五月六日まで生き延びる手だては家賃と従業員の給料ですから、そこには充てていいんだというようなことをぜひきょう明言していただきたいんですね。よろしくお願いします。

西村国務大臣 中小企業の皆さんが大変厳しい状況にあること、これは私どもも、ヒアリングも通じて、また、いろいろなところから公表いただいております。何とか事業を継続できるように、これはもうあらゆる手段を講じながら、全力を挙げていきたいというふうに思っているところであります。

 そのために、国の方では二百万円、百万円の給付金、これは使い道、基本的にはもう制限がありませんので、厳しい方に家賃であろうと使っていただくということであります。

 それから、雇用調整助成金もありますので、もう御案内のとおりだと思いますけれども、従業員の方の給料に対して中小企業の場合は十分の九まで国が支援するということでありますので、これも活用いただければと思います。

 また、交付金についても、地方創生の交付金一兆円と、それからコロナウイルス感染症の包括支援交付金という千四百九十億円、合わせて一兆一千四百九十億円、今回、交付金で予定をしております。

 特に、御指摘の臨時交付金の一兆円については、それぞれの自治体で地域の中小企業、経済を支えていくために必要な対策について、これはある程度自由度を持って使えるように制度設計していきたいと思いますし、まずはこれを活用していただいて、何とか地域経済を支えていただければと思います。

 一点だけ、家賃についても、実はビルのオーナーの方々、家主さんに対して要請をしておりまして、家賃については、できるだけ猶予するなり配慮してほしいと。

 これは、もしオーナーの方々が、家主さんが借金をしているのであれば、その返済猶予を麻生大臣からもお願いを金融機関にしているところでありますし、固定資産税、これはことしは払わなくていいわけでありますので、三〇%から五〇%落ちれば減免があるということで、来年これはいずれにしても支払うことになりますので。あるいは、五〇%以上収入が落ちれば支払わなくてもいいということでありますから、こういった家主さんの負担軽減も図りながら、ぜひ、入っているテナントの方々に対する家賃の配慮をしていただくようお願いをしているところであります。

 こうした制度全体として、私ども、現時点で全力を挙げてやっているところでありますので、うまく活用していただきながら、何とか事業継続していただけるように、引き続き全力を挙げていきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 終わりますけれども、とにかく今は財政より経済、経済より国民の命ですよ。ですから、国破れて財政あり、財務省ありということにならないように、第二弾、第三弾の財政出動を心からお願いをいたしまして、私の質問といたします。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 次に、松原仁君。

松原委員 質問をさせてもらいます。

 まず最初に、拉致問題と関連して、北朝鮮に関してお伺いいたします。

 政府として、北朝鮮における新型コロナウイルスの感染症の感染状況、どういうふうに見ているか、まず御答弁いただきたい。

田村政府参考人 お答えいたします。

 我が国としましては、新型コロナウイルスの状況を含めて、北朝鮮をめぐる動向につきましては重大な関心を持って平素から情報収集、分析を行っているところでございます。

 北朝鮮内の状況について確定的なことを申し上げるのは困難ではございますが、北朝鮮は、昨日開催された最高人民会議を含めて、メディアに対し、現在までコロナウイルスの感染者は一人も発生していない旨、繰り返し発信しております。その一方、少なくとも約五百人の医学的監視対象者がいるという報道もございます。

 我が国としましては、引き続き、重大な関心を持って、新型コロナウイルスの状況を含めて、しっかりと情報分析、収集を行っていきたいと考えております。

松原委員 四月七日の安倍総理の会見の中で、世界三十カ国以上から抗インフルエンザ薬アビガンを送ってもらいたいとの要望を受けている旨の発言がありましたが、この三十カ国の中に北朝鮮は含まれているかどうか、お伺いいたします。

菅国務大臣 これまで、五十カ国以上から外交ルートでアビガンの提供要請を受けております。現時点で、既に二十カ国については一定の枠内で無償供与すべく調整済みであり、更に三十カ国以上と調整を進めています。

 調整中の国の内訳等については、現在、外国と外交ルートでのやりとりでありますので、詳細はお答えを差し控えさせていただきますが、いずれにしろ、北朝鮮から提供要望が寄せられた、このことは承知をしておりません。

松原委員 北朝鮮に我が国からの拉致被害者が生存しているというのは、我が国の政府一致した見解でありますが、政府も、このことを踏まえたときに、北朝鮮における拉致被害者を、邦人保護の観点から、コロナウイルスの、アビガン等を北朝鮮の拉致被害者に使ってもらうということも含め、邦人保護をコロナウイルス問題に関して北朝鮮側にとりたてて要請、申入れをした事実はありますか。お願いします。

菅国務大臣 拉致問題は安倍内閣の最重要課題であり、その解決に向けてあらゆる努力を行ってきています。

 我が国としては、新型コロナウイルスに対する北朝鮮当局の対応ぶりも含め、北朝鮮をめぐるさまざまな動向について重大な関心を持って平素から情報収集、分析を行っています。

 その上で、御指摘の点を含め、北朝鮮とのやりとりの内容等については、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがありますため、明らかにすることは差し控えたいと思いますが、御家族も御高齢の中、拉致問題の一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動をいたしているところであります。

松原委員 交渉があるからこの場でつまびらかにできないということは、私は当然あってもいいと思いますが、やはり邦人保護の観点から、これだけコロナウイルスが世界で蔓延している中、北朝鮮に対して拉致被害者の邦人保護という観点で強い申入れをするのは当然のことだと思っておりますが、官房長官、もう一度、拉致担当大臣、もう一回御答弁をお願いいたします。

菅国務大臣 今申し上げましたように、御指摘いただいた点も含めて、やりとりの内容については、今後交渉に影響を及ぼすおそれがあるために、明らかにすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、委員から御指摘をいただいたということはしっかり真摯に受けとめさせていただきたい、こう思います。

松原委員 最後の担当大臣の発言で、きちっと申入れをこれからもする、若しくはしたのかわかりませんが、これをすることは、私は、日本政府にとって全くもってプラスであり、しかもこのことは秘密裏である必要はないということも明確に申し上げておきたいと思っております。

 金正恩氏の妹さん、金与正が先月下旬に、トランプ大統領から総書記へ親書が出されたということを公にしたわけでありますが、この親書について、当然、日本はアメリカと一緒になって北朝鮮に対するさまざまな施策を展開しているわけですから、事前に連絡があったのか、また、その内容というものに関して事前に連絡があったのか、この点を担当大臣にお伺いいたします。

菅国務大臣 我が国としては、平素から北朝鮮情勢について米国と緊密に意思疎通を行い、連携を確認をしてきております。

 例えば、三月二十五日、安倍総理がトランプ大統領と電話会談を行った際にも、最近の北朝鮮情勢について意見交換を行いました。日米双方の方針を綿密にすり合わせ、両首脳は拉致、核、ミサイルの諸問題の解決に向けて、今後も日米で一層緊密に連携していく、こうしたことで電話の中で完全に一致をいたしました。

 御指摘のトランプ大統領から金正恩委員長への書簡については、トランプ大統領が記者会見において、新型コロナウイルスに係る支援の話について言及した、ここは承知をいたしておりますが、米朝首脳間のやりとりに係ることであり、これ以上の詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたい。

 しっかりと日米の間で連携を行っております。

松原委員 我々拉致議連も含めて、拉致、核、ミサイル、この問題は一括して解決ということを従来から言ってまいりました。

 ただ、ここまで来て、今、菅担当大臣のお話にあるように、有本さんのお母さんも亡くなった。また、アメリカは、北朝鮮のミサイルに関して、絶対的にこれを許さないという姿勢のようには必ずしも見えない。私は非常に遺憾ではあるが、この拉致、核、ミサイル一括の解決によって、この拉致問題が、新しい安倍政権、六年経過して、この解決にまだまだ至っていない。私は、この問題は全ての日本の国民や政党が政党、党派を超えて扱う問題だと思っておりますが、ここまで膠着している以上、大胆にこの核、ミサイルの問題と拉致問題は分離して扱うべきではないかということを明確に申し上げたいわけであります。

 米国における北朝鮮に対する対応を見ても、また有本さんのこの御逝去というような関係者の高齢化を考えても、思い切って拉致問題を、それ自体を単独として扱って解決するという政府の方針をそろそろ検討するべきタイミングだと思っておりますが、御答弁をいただきます。

菅国務大臣 我が国としては、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すとの方針に変わりありません。

 核、ミサイル問題については、引き続き、米朝プロセス、ここを後押しするとともに、安保理決議の完全な履行によって、北朝鮮の完全な非核化を粘り強く実現をしていきたいと考えています。

 そして、最も重要な拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると考えています。安倍総理も、条件をつけずに、金正恩委員長と直接向き合う決意を述べております。御家族の皆さんも御高齢となる中、拉致問題の一日も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動をしてまいりたいというふうに思います。

松原委員 私もそういった立場でやってきたわけでありますが、北朝鮮の核をなくすというこのことをやめるわけではない。ミサイルに対してもやめるわけではない。しかし、拉致は別枠にしてもうやるべき時期に来ているということを、私は、私も拉致問題にずっと取り組んできた立場として、明確にこの場で提言をしていきたいと思っております。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策でありますが、菅官房長官は今月八日の記者会見で、ドライブスルー方式のPCR検査を検討しているということをおっしゃっていますが、このアクションプログラムをお示しいただきたい。

橋本副大臣 まず、事実関係についてお答えを申し上げます。

 PCR検査につきましては、全国で一日に一万二千件を超える検査能力を現在確保しておりますが、四月七日に取りまとめた緊急経済対策において、簡易検査等の迅速な検査の促進などにより、検査能力を二万件まで増強することとしております。

 一方で、感染者が急増した際にも、医師が必要と判断した方がPCR検査を確実に受けることができるよう、帰国者・接触者外来における検査能力の向上とともに、地域の帰国者・接触者外来といった検体採取を行う場において、患者以外の方への感染拡大のリスク、すなわち検体採取に当たる医療従事者の方々が主にということになろうと思いますが、そうした方の感染拡大のリスクに留意しつつ、迅速かつ適切に検体の採取が行われることが重要でございます。

 御指摘のドライブスルー方式の検体採取でありますけれども、こちらの方、医療従事者による問診をすること、それから検体採取がその感染防御などの点で適切に行われるということであれば、医療法上、医療機関がこの方式で行うということについては、可能でございます。

 既に国内で幾つかそうした例もあるというふうに承知はしておりますので、医療機関において確実にPCR検査を医師が必要と判断した場合にできるように、そうしたことも含めて御検討いただき、また実施していただけるように考えております。

松原委員 これはしょっぱな、官房長官が御発言した内容なので、ぜひともスピーディーに、官房長官のリーダーシップをもってこういったことも行っていただきたいと思っております。

 時間がありますので、質問の順番を変えながら進めてまいりますが、新型コロナウイルス感染症拡大に対する経済対策ということでありますが、緊急経済対策という緊急を要する経済対策を実施する上で一番重要なものの一つはスピード感である、このように承知をしております。

 高市大臣にお伺いいたしますが、その前に事務方でも結構でありますが、三十万円が届けられるというのはどういう段取りで届けられるか、簡潔に御説明いただきたい。

高市国務大臣 この給付金でございますが、市区町村に対する十分の十の国庫補助事業でございます。国の補正予算案が成立し、これを受けて各市区町村の補正予算にも計上していただくことが必要でございます。

 この地方公共団体における予算につきましては、急を要する場合は臨時議会を開催していただく、あるいは長が専決処分を行うことも可能でございますが、これはあくまでもそれぞれの判断でございます。

 今、総務省といたしましては、できるだけ簡便な手続で迅速に給付の実務に当たっていただけるよう準備を進めております。

松原委員 地方の予算の計上も含めての行動ということで、地方議会の議決若しくは首長の専決ということに関して、総務省として何らかの働きかけをする意思はありますか。

高市国務大臣 これは、私どもができますのは、とにかく補正予算案をお認めいただきまして、そしてまた、地方の議会でも予算がしっかりと承認されるということをもって初めて申請の手続に入ることができますので、そういう状況が整った場合に、いかに迅速に、そしてまた、感染症拡大を防ぐ立場から非接触型の手続なども含めて対応していただけますように今準備をしております。特に専決処分をしてくださいというようなことをこちらから働きかけるということはできません。

 地方議会、臨時議会を開いていただく、若しくは専決処分の方法もあるということは、それぞれの議会また首長さんの方でよくおわかりのことだと存じます。

松原委員 ここまでで、菅大臣と高市大臣、結構です、もしお時間があれば。

 次に、実は、自民党の安藤議員が提言を出したということで、私も拝見をいたしまして、なかなかいいことが書いてあるなというふうに思っているわけであります。

 聞くところによると、西村担当大臣に出されたということでありますが、西村大臣はこの提言をどう受けとめたか、また、この提言に関して、自民党からの提言ですから、安倍総理とは話をしたことがあるか、この辺をお伺いいたします。

西村国務大臣 自民党の若手議員が、現在のこの危機的な、経済も危機的な状況の中でさまざまな議論をして、これは真摯に本当に議論をされて、そして自分たちでいろいろな知恵を出し、また経済の専門家の意見を聞きながらまとめられたものということで、そうした活動には敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、さまざまな内容が盛り込まれておりますので、政府としてそれを受け入れられるもの、そうでないもの、ありますけれども、しかし、その若手議員、自民党の有志の議員のその思いをしっかりと受けとめて、今回の経済対策をまとめるに当たって、私も知恵を出し、またいろいろ議論をし、まとめたものでございます。

 そして、このいただいた提言については、安倍総理にももちろん私からお話をしております。その上で、麻生大臣のもとで予算をまとめていく、その作業を行って、全てが全て受け入れたものではありませんけれども、しかし、その危機感は共有しながら今回の経済対策をまとめたということでございます。

松原委員 我々も、無所属の議員でありますが、野党また無所属の議員も含めて同じような発想は持っているので、こういう状況における危機意識というのは与野党共通に議員のレベルにあるんだなというのを強く認識をしているわけであります。

 彼らが言っている粗利補償、これに関しては膨大な金額がそれによってかかるだろうというのは当然承知しているわけでありますが、今回の西村さんを中心にしてやっているこの施策の中には十分に反映されているとは思えないわけであります。

 なぜ、この提言のこういった部分、例えば、後でまた麻生大臣にも聞きますが、消費税をゼロにするとか、こういった提言、さらには、ほかの粗利補償に関しての提言、なぜこれが受け入れられないのか。それが、そのことによる費用が非常に大きいからであるのか、若しくはその考え方に誤謬があると考えているのか、西村さんの率直な意見をお伺いしたい。

西村国務大臣 まず、今回この対策を考えるに当たって、二つのフェーズ、今はとにかく緊急的に支援をしなきゃいけないフェーズであるということでありますので、終息後の回復を目指すフェーズは、これはこれで予算に盛り込んでおりますけれども、まずは緊急に支援を必要とする事業者それから個人、生活の維持が厳しくなっている個人、こうした方々に必要な資金をしっかりと届ける。まさに委員御指摘のあった、スピード感を持って届けるということが大事であります。

 ですので、その必要な支出を賄えるように、中小企業に対しては二百万、百万円の持続化給付金、そして個人の方には三十万円の給付金という形で、これをぜひスピード感を持って行いたいというふうに考えております。

 そういう意味で、消費税についても、私も受けとめていろいろ考えました。総理とも話したことがございます。これは麻生大臣に、御答弁あると思いますけれども、これは社会保障費に使うものでありますし、昨年十月からは幼児教育、保育の無償化で、もう既に全世代型社会保障はスタートを切っているわけであります。私はその全世代型社会保障の責任者でもあります。そういった全体を考え、まずは給付を早く行うという観点でこの経済対策をまとめさせていただいたところでございます。

松原委員 時間が大分押してきて恐縮なんですが、消費税に関して、消費税減税は行わないということはまだ言明をしていないわけでありますが、麻生大臣にお伺いします。消費税減税を行う可能性は否定されていないという認識でいいのかどうかということをまずお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の消費税の引上げというのは、もうこれは経緯をよく松原先生御存じのとおりでありますので、これは全ての世代が安心できる社会という全世代型の社会保障制度というものに大きく転換をしていきませんと、少子高齢化のこれからの日本という社会の中においてなかなか対応ができないということはもうはっきりいたしておりますので、今の段階で消費税を引き下げるということは考えておりません。

松原委員 次に、二〇〇八年、麻生内閣のときに、大変に景気が悪かったリーマン・ショックのとき、プライマリーバランスを一時的に凍結をする、実行するのを。延期をしたというか凍結をするということをしたわけでありますが、私は、まさにこの状況というのは、麻生内閣のあの、プライマリーバランスを一時、十二月の閣議で破棄をしたというか延期をしたというか、あれぐらいの厳しい環境、政治環境だと思っておりますが、そういったことをなさる決意はあるかどうか、お伺いします。

麻生国務大臣 あのときの状況と今の状況とをどうやって比べられるかというのは、なかなか感情的なものもありますし、理論的なところもありますし、いろいろなところもあろうかと思いますが。

 私どもとしては、やはり、あのころに比べて借金の額は倍ぐらいふえておりますもんね。今の方が政府のいわゆる借入金の総額は倍近くになっておりますので、そういった意味で、今の段階で、私どもの、金利がこの程度で、借金が倍にふえているにもかかわらず金利が下がる、なかなか理解できないような状況が、これは世界じゅうで起きていると言ってもいいかもしれませんが、そういった状況にありますから、私どもとしては、このプライマリーバランスをやめるというのではなくて、プライマリーバランスは当然のこととして、今回新たに、先ほど江田先生の御質問にもありましたように借入金がふえますので、更にプライマリーバランスは悪くなることになりますので。

 そういった意味では、これを放棄するという考えはありません。きちんとして、私ども、いずれの日にかは借金を返していくという姿勢がなければ、マーケットはこれに対応、どのような反応をするかといえば、日本が返す気がないとなれば、途端に日本の国債を売り浴びせられるというようなことにもなりかねませんので、私どもとしては、マーケットをよく見ながらこのプライマリーバランスの問題は考えていかねばならぬところだと思っております。

松原委員 私は、短期的に、今のこの状況は、それは、プライマリーバランスの呪縛から解放されて、少し状況を見るというタイミングだろうということは強く申し上げたいと思っております。

 次に、西村大臣にお伺いしますが、東京都の協力金というものがある、さっき江田さんの話にありましたが、この協力金というものに関しては、国も理解を示すべきだと思っております。

 その上で、先ほど一兆円の交付金というのが出されるということがありました。まず、担当の部署の方から、この一兆円が、例えば、黒岩さんや千葉県の森田さんが、知事が、これをいわゆる中小企業に対する東京都が言うところの協力金のように使っていいのかということに関して、できるということでよろしいかどうか、お伺いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、財政支援をするものでございます。

 この臨時交付金は、緊急経済対策の全ての事項の対応として創設するものでございますけれども、具体的に対象となる事業など制度の詳細につきましては、現在、政府全体で検討しているところでございます。

松原委員 西村さん、これはぜひ使い勝手がいいようにお願いしたいわけであります。

 次に、行政手続期限の延長についてお伺いしたいと思います。

 このいわゆる新型コロナウイルスの蔓延によって、多くの地方自治体の業務が滞っているわけであります。例えば、さまざまな事柄も延期をしている。確定申告も延期をする、例えば司法試験も延期するかもしれない。不要不急のものを減らすということは極めて重要な議論であって、不要不急なものを減らすという観点からは、さまざまな行政手続を、それぞれ、例えば六月一日に施行するような法律もありますが、そういうものに関しても、不要不急なものじゃなくするために延期をするということは真剣に考えるべきだと思いますが、西村大臣、御答弁をお願いします。

西村国務大臣 まさに大事な御指摘をいただいたと思います。

 特措法の五十七条に規定が御案内のとおりございまして、行政上の権利利益に係る満了日の延長等に関する各種特別措置について、政令で定めることにより迅速に発動できるという規定がございます。もう既にこれをまつことなく、例えば、国交省の自動車検査証の有効期間の延長であるとか、あるいは警察庁の自動車免許の有効期間の延長であるとか、こういった措置がとられております。

 五十七条は、実は、全国的かつ急速に蔓延し、国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼしている場合ということに限って適用されるものですから、現段階では五十七条を適用する状況にはないというふうに専門家の意見を聞いて判断をしておりますけれども、しかし、各省庁に対しては、この五十七条をまつことなく、それぞれの期限が来るものなどについて必要な措置の対応の検討を要請をしているところでありまして、関係省庁と連携しながら、どのような対策が必要なのか、どう対応するのか、適切に対応していきたいというふうに考えております。

松原委員 時間が来ましたので最後の質問にしますが、今の五十七条は、既に蔓延しているということで判断してもらいたいと思います。

 最後に、麻生さんに、大臣にお伺いしたいことは、麻生大臣が、やはりこれはもう日本の政治の中心にいる一人として、三・一一のときは、これは自主的に議員は歳費を減額をしたわけであります、また同時に、その前のリーマンのときは、プライマリーバランスも一時延期したわけでありますが、今回は合わせたぐらいの経済的なダメージがある中で、私は、思い切って麻生さんが政治の世界でリーダーシップをとって、政党交付金をそれぞれの政党が受け取らない、それぐらいの苦しみの中で、この日本国民の苦痛と同様のものを我々も感じて闘っていくんだということをこの場で言明をしていただければ、大変にそれは今回のコロナに対する国民の一致した結束した行動を促すと思っております。

 一言、明確に、それをやりたいという意思を示していただきたい。

麻生国務大臣 御意見として伺っておきます。

松原委員 御意見として伺うということですが、深く伺ってもらいたいし、また、交付金も使い勝手をよくしてもらいたいと思っております。

 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

生方委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は平成二十八年と二十九年の決算についてですが、ちょうど、平成二十八年の予算委員会で、私は、政府系金融機関、商工中金の不祥事について取上げをいたしました。その何年も前から、平時に商工中金が危機対応融資をやり続けているのが妥当なのかということを経済産業委員会でも何度も取り上げてきました。

 やはり実態は、実績を積み上げるために、要件に合わないものまで書類の改ざんなどして危機対応融資をやってきた、そういったことがそのころわかったわけでございます。これは全百店舗の中で九十七店舗もが不正を行っていて、商工中金の行員の二割以上の八百名以上が処分をされました。これはすごい規模の不祥事だったわけでございます。当時も麻生大臣にも伺いましたが、民間の金融機関でこれほどまでの処分を受けるような不祥事は起こったことがないというような規模でございました。

 商工中金はもともと、所管する経済産業省の天下り先でございまして、歴代の事務次官が社長になってきました。抜本的な改革がこれは必要であるということで、民間からも社長を迎え入れたわけでございます。

 本日は、その再建を任された新社長にもお越しをいただいております。社長に伺えればと思いますが、この商工中金で起こった不祥事の総括、それから、その後の経営改革、どうやって進んでいるのか伺えればと思います。

関根参考人 商工中金、関根でございます。

 危機対応融資等不正事案につきましては、危機対応融資二十二万件の全件調査を行う中で徹底的な事実解明を行い、経営陣及び本部が内部統制を十分に整備することなく危機対応業務を主要な業務と位置づけ、過度なプレッシャーをかけていたこと、危機対応業務を収益や営業基盤の維持拡充に利用していたこと、形式的又は表面的に危機要件へ当てはめる運用を進めることなどにより、コンプライアンス意識の低下を招いたこと、また、取締役会が形式的な報告や儀礼的な追認の場となって、社外役員などによる牽制機能が発揮されなかったことなど、ガバナンス体制が欠如していたことにも問題がございました。

 二〇一八年三月に私が社長に就任し、社外取締役を過半とする取締役会へ経営体制を刷新し、その社外取締役の関与のもとコンプライアンス再生プログラムを立ち上げ、倫理憲章の見直し等を通じ、風土改革に取り組むとともに、危機対応融資は引き続き全件本部協議とし、危機対応融資はもちろん、全ての貸出ノルマを廃止するなど、二度と同じ過ちを起こさぬよう、改革を図ってまいりました。

 また、有識者による検討会、評価委員会の御提言、御意見を真摯に受けとめ、二〇一八年五月に業務の改善計画を策定するとともに、同年十月に中期経営計画を策定し、その実行に役職員一丸となって取り組んできたところでございます。

 他方で、足元では、今般の過去に例を見ない世界的災害に対する中小企業の資金繰りに対する対応に万全を期すため、当面は新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業の資金繰り支援に最優先で取り組んでまいります。

 過去の不正につきましては、全役職員が深い反省をした上で、信頼回復に努めるという思いを共有しており、危機対応業務の実施を責務とする当金庫といたしまして適切に運用していく所存でございます。

落合委員 経産大臣に伺います。

 今、経産委員会では関西電力の問題も取り上げられていますが、エネ庁と関電、電力業界とのなれ合いがあるんじゃないかということも電力分野でも言われてきました。この問題も、歴代の事務次官が社長であったら、中企庁長官でさえ後輩なわけですから、なかなか厳しく言えなかった。やはりなれ合いがあった。こういった中で大きな事件が起こってしまったわけでございます。

 今、経産省のトップとして、この件、どうやって捉えていますでしょうか。

梶山国務大臣 商工中金の不正事案は、危機対応業務を不適切に運用したことと、それを組織として防げなかったという商工中金のガバナンスの問題から生じたものと認識をしております。

 商工中金は、こうした問題を根絶して解体的な出直しを図るために、経済産業省、財務省、金融庁が二〇一七年十月に発出しました業務改善命令を踏まえて作成した業務改善計画に基づいて、関根社長のリーダーシップのもと、再発防止策や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいるところであります。

 既に商工中金は関根社長が率いて約二年たちますが、職員一人一人に徹底したコンプライアンス意識が浸透し、真に中小企業に貢献する新たなビジネスモデルの構築に向けて着実に前進しているものと承知をしております。

 経済産業省としては、商工中金が、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への対応を始め、中小企業の資金繰りニーズにしっかりと応えていくよう指導監督をしてまいりたいと思いますし、このコロナ感染症の拡大の時期、与えられた仕事をしっかりと全力でこなすことが商工中金の役割であると思っておりますし、危機対応業務で不祥事を起こした、今回の危機対応業務そして与えられた業務を果たすことが生まれ変わる商工中金の試金石であるという認識で監督指導をしてまいりたいと思っております。

落合委員 ちょっと答弁が人ごとのような感じもするんですけれども、やはり当時、経産省とのなれ合いがあって、この事件が発覚したときに、世耕大臣だったと思いますが、大臣給与を一部返納までしている問題です。経産省自体にも責任があったということを経産省も一部認めている問題ですので、やはり省としての問題であったということをぜひ自覚をいただければと思います。

 これは経産省が、危機時ではないのに危機対応業務をどんどんやってくれというような形で融資をやらせていたということで、危機対応の乱用があったということを二年前に取り上げさせていただいております。この危機対応融資は税金から、国費から利子補給を行っているという問題ですので、しっかりガバナンスをいただければと思います。

 不祥事の件はきょうはここまでとして、現下の状況を見ますと、政府系金融機関、今回はかなり働いてもらわなければならない状況でございます。

 私、三月六日に経済産業委員会で質問に立っているんですが、このときはもう既に、かなり日本じゅうの中小企業の業況が悪くなって、それで資金繰りも悪くなって、これは大変な事態だということで、大臣もさまざまな施策を既に発表している段階でした。しかし、私もこの日に指摘しましたが、危機対応の発令が、これだけ危機なのに、その時点でされていなかった。実際に危機対応発令されたのは、その翌週でございます。

 これはかなり、危機対応発令のタイミング、一カ月近く遅くなってしまったのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 委員から御質問いただいたことも、私も記憶しております。

 危機対応融資に関する商工中金の一連の不祥事案を踏まえて、第三者から成る商工中金の在り方検討会において危機対応業務のあり方が議論され、二〇一八年一月に、危機対応融資の発動をリーマン・ショックや大規模災害等の真の危機時に限定するという提言がなされております。

 この提言を踏まえて、二〇一八年三月、危機対応業務の発動基準を抜本的に見直したところ、具体的には、危機関連保証の発動基準と同様に、全国的な資金繰り状況の客観的指標である資金繰りDI等がリーマン・ショック時と同程度に短期かつ急速に低下することにより全国的かつ著しい信用収縮が発生する場合、又は、東日本大震災や熊本地震など激甚災害であって特に中小企業への影響が大きい場合に限定して発動することとしたところであります。

 今回の新型コロナウイルスの感染症の影響は、突発的に大きな被害が拡大するといった意味で、自然災害に類似する面があります。このため、東日本大震災に次ぐレベルで資金繰りDIの短期かつ急速な低下が見られ、中小企業への影響が甚大であること、同じく危機時に発動される危機関連保証が発動されたことなどを総合的に勘案して、今般の新型コロナウイルス感染症の影響が真の危機であるということを判断し、危機対応業務を発動することとしたところであります。

 経産省としましては、二月十三日に取りまとめた第一弾の緊急対応策において、まずはセーフティーネット貸付け・保証を開始し、三月十日に取りまとめた第二弾の緊急対応策において、日本公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付制度とともに、危機対応業務の実施を公表いたしました。それから九日後の三月十九日には危機対応業務を発動して、タイミングが遅かったとは考えておりません。

落合委員 遅かったと考えていないということですが、ここで遅いか遅くないかを時間を使うのもあれですけれども、どう考えても遅かったというふうに思います。

 今、公庫も保証協会も、実行件数は万を超えています、数万件。それなのに、商工中金は金曜日の段階で七百件ですか、実行件数が。これは明らかに桁が違う。ニーズがあるのに、商工中金がスタートダッシュが遅かったために動けていない。これからこれを挽回というか、皆さん、公庫の相談も一カ月待ちですので、商工中金が役割を果たせるように求めていきたいと思います。

 ちょっと時間が思ったより押してしまっているので、関根社長には、今が政府系金融機関の存在価値を示すべきときであり、国民のニーズがありますので、ぜひ御対応をいただければということをお願いしたいと思います。

 では、麻生大臣にお伺いをさせていただきます。

 政策金融公庫、私もいろいろな方々に聞いてみると、三月末に申し込みたいと言った人の最初の面談が大体ゴールデンウイーク前後になってしまっているという状況です。

 先週、こういう状況も鑑みてだとは思いますが、総理からも、地域の金融機関にかわりに窓口にもなってもらうんだということが発表されました。これはしっかりと進んでいらっしゃいますでしょうか。

麻生国務大臣 民間金融機関に対しまして、日本政策金融公庫ですかね、そういったものに対していろいろ相談の窓口が急増している、これは事実です。間違いなく万を超えておりますから、事実なので、そういった対応をするために、私どもとしては、いわゆる職員の転勤を延期、一千六百人少々の転勤をとめておりまして、少なくともこの問題が一段落するまで、緊急に、急に転勤してきた人が対応できませんからということで、転勤を延期、それから、定年になられた方々に応援を依頼等々で、窓口の物理的な絶対量の話ですから、そういった意味では、いろいろ対応をさせていただいているんです。

 民間金融機関によります無利子無担保の話も、こういう制度につきまして、私どもいろいろ準備をさせていただいておりましたので、そこらの方々につけるところに関しては、金融公庫に同行して、民間の金融機関がですよ、三井銀行だったら三井銀行のあなたが連れて金融公庫に行って、窓口の説明、書類のつくり方等々を助けてやる、支援してやってくれるというような話をさせていただいております。

 そういった意味では、私どもとしては、今その対応を少しずつさせていただいておるところなので、少なくとも、結構な数はさばけておりますし、ちょっと、日曜日だったので、土曜も営業とかいろいろな形でさせていただいておりますけれども、少なくとも、急激にふえてきているのに対してそれなりの対応はさせていただいておりますので、絶対量が、人数、人員が不足、したがって、書類の審査を半分にするとか書類のページ数を減らすとか、いろいろなものをやらせていただいて、随分と効率は上がってきているとは思いますけれども、今申し上げたような状況であると思っております。

落合委員 麻生大臣、万を超えているとおっしゃいましたが、もう既に、申込みした人だけでも十数万件でございます。実行されたのがまだ六割ぐらい、断られている人たちもいる。まだ申込みもできていない人たちも何人いるかわからない状況ですので。これはメガバンクも、そもそもは仕組みとしては危機対応業務ができるような仕組みになっていますので、有事ですので、それぐらいのこともやらなければ資金繰りに大きな問題が起きるのではないかという事態ですので、ぜひ指導力を発揮いただければと思います。

 それで、リーマン・ショックのときは、モラトリアム法案、これをやったわけでございます。返済の猶予をしやすくしたりですとか不良債権にカウントしないというようなことを時限的にやったわけですが、今回、この検討をそろそろ始めるべきときではないでしょうか。

麻生国務大臣 リーマンの翌年の話ですね、あなたの言っておられる話は。中小企業円滑化法の話をしておられるんですね、間違いありませんね。(落合委員「はい」と呼ぶ)

 中小企業から申込みのあった場合に、これに関しましては、あのときの法律は、できる限り貸付条件の変更など適切な措置をとるよう努めるものとすることに加え、条件変更等の取組状況について報告を求める、その状況を公表すること、大体そういうことが内容で、あれは亀井先生でしたかね、あのときの担当大臣は、だったと思いますけれども。

 私どもは、その上で、金融機関への要請に対しまして、今私どもが金融機関に対してどういったことを要請しているかといいますと、既往債務について、既にやっております債務について、返済猶予などの条件変更を迅速かつ柔軟に対応すること、新規融資につきましては、事業者ニーズに迅速かつ適切に対応すること等を要請するとともに、金融庁の銀行法二十四条がありますので、金融機関による条件変更等の取組状況の報告を求め、その状況を公表するということといたしております。

 したがいまして、今回の要請というものは、事業者の資金繰りを優先的に支援するという点におきまして、中小企業円滑化法とほぼ同様、それ以上のものになっておるというように考えておりますので、したがって、中小企業円滑化法を復活させると言うまでもなく、今既にそういったことになってきておりますので、資金繰りの支援というものを、当面、いわゆる金融庁からの検査とか監督をするときに当たっての最重点事項はこれですということで公表しますよということもあわせて、三月六日の要請内容のようなことになるように、しっかり対応しておると思っております。

落合委員 これは重要な問題ですので、経緯もこれからじっくり見させていただきたいと思います。

 きょうは加藤大臣にもお越しをいただきました。

 労働分野について伺いたいんですが、先月あたりから、まず新入社員内定取消し、それから非正規雇用が三月末で解雇された件がたくさんありました。そして、先週あたりから、失業保険をもらった方がいいからと正社員が大量に解雇をされ始めているという状況です。

 本当は、こういうことが起こらないように雇用調整助成金というものがあるわけですけれども、実際に実行件数を見てみると、全然実行されていない。そもそも事業者に余り知られていない。面倒だという声も大きいわけでございます。

 これは本当に危機ですから、知らせなきゃいけないということと、助成率、もう十割にするですとか、あと、手続も劇的に緩和をしなければ、これ、雇用調整助成金の存在する意義がないと思うんですが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 現在、雇用調整助成金に関する相談は、八万件を超える相談がなされております。

 実際、雇用調整助成金の場合には、従来は、事前に一応計画を出していただいて、そして支給をされた後に今度は請求、こういう仕組みですが、もう事前の申請は要らなくて、事後でいいですという処理もしております。そうすると、実際、支給がなされてから実際の申請ということですから、一カ月、二カ月、これはタイムラグがあるのではないかなと思っていますので、今、まずはそうした相談にしっかり対応しながら、特に、雇用を守るというのは我々の大きな課題の一つでありますので、中には解雇というものも、あるいは雇用調整をお考えになっているところもありますから、そういったところに対しては、こういう制度があるのでしっかり活用してほしいということを周知をして、啓発をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 その中で、制度の拡充ということで、これまでも、今回、御承知のように、解雇を伴わない場合には、中小企業は十分の九まで、前回のリーマン並みまで上げるとともに、対象者も雇用保険の対象ではない労働者も対象にする等、拡充をさせていただいております。さらに、今回は教育加算、要するに、その間に教育をするという場合には加算をするというのも、これまでよりも金額も引き上げる、そういった措置もとらせていただきました。

 加えて、この手続をよりわかりやすくするために、社会保険労務士の専門家による出張相談、あるいは書類作成についても項目を約半減をいたしましたけれども、これについては、どう具体的に作成すればいいかということを動画でわかりやすくする、そういったものも作成して、多くの方が活用していただく。また、窓口も、これまでの労働局に加えて、ハローワークでも受け付けをする。

 そうしたさまざまな対策をすることによって、こうした制度がある、そして、この制度を活用していただいて、それぞれの雇用を守っていただいて、この感染の拡大のフェーズが終わったら、まさに総理が言っておられるV字回復というところにつながっていけるように、我々も全力で取り組みたいというふうに思います。

落合委員 時間が来ましたので、最後、一言だけ、麻生大臣に。

 今回、補正予算、自粛をしてもらうかわりにいろいろと対策をしますということなんですが、自粛要請しているのにゴー・トゥー・キャンペーンに一兆六千数百億円、それから、キャッシュレスポイント還元にも七百五十五億も計上をしているわけでございます。

 これはタイミングが違う。自粛をしてもらうためには補償しなければ、事業、どんどん倒れていきます。生活もできなくなってしまう人たちがたくさん出てくる。そのために、来週審議する補正予算を組むべきだということをお伝えして、きょうは私は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 きょうは、決算審査案件としてオリンピック予算と官民ファンド、行政監視の視点でカジノ問題と健康医療戦略について質問してまいります。

 まず、カジノから伺います。

 カジノは、安倍政権において成長戦略の柱の一つに位置づけられ、観光政策の目玉、外国人観光客を含む旅客数の目標数の根拠になっております。

 しかし、それは今般の新型コロナウイルスが発生する前の計画です。今、日本のみならず世界が、感染症、ウイルスの恐ろしさ、その影響の大きさを知ることになり、いわばパラダイムシフト、パラダイムチェンジが起こっていると言っても過言ではありません。

 観光産業、IR事業者もその影響をもろに受けており、コロナ後の観光政策、目標設定も当然変わってこなければいけません。海外のカジノ施設や事業者も壊滅的な打撃を受けているという報道や指摘もあります。

 こうした状況で、これまでの延長線でIRを推進してよいはずがありません。観光政策、IRについて、一度立ちどまって、再度、リスク分析や制度の問題点を見直すべきだというふうに考えます。スケジュールありきでは、後に大きな禍根を残すのは間違いない。国が行うIRの基本方針の策定、区域計画の認定について、スケジュールを見直すべきです。

 大臣の見解を伺います。

赤羽国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症は、観光業また観光関連業に対して、大変大きな影響を受けておりまして、地域によっては大変な、地域経済そのものも大打撃を受けている状況でございます。

 これを極めて厳しく、重く受けとめながら、今、まず大前提としては、一日も早い収束に向けて政権を挙げて立ち上がっているところでございますし、また、事業の継続、雇用の確保ができるようにさまざまな手を打たせていただいているところでございます。また、環境が落ちつき次第反転攻勢ができる需要喚起政策もこの補正予算に盛り込んで進めたいと思っております。

 今委員御質問のIRの整備につきまして、そもそもIRの区域の認定申請の期間、来年の一月から七月というふうになっている今の案は、申請を予定している自治体から意見を聴取しながら設定したというのがございます。しかし、今回の新型コロナウイルスの状況を踏まえまして、私どもからそれぞれの、希望される、申請を予定されている自治体に、今の準備状況への影響等々確認をさせていただいておりますが、現時点では、一月から七月という現時点での認定申請に向けてそれぞれの自治体が粛々と準備を進めている状況であって、支障にはなっていないということを聞いておるわけでございます。

 こうしたことから、そもそもこのIRの整備につきましては、政府の立場は、立法府である国会で成立をしたIR整備法に基づいて必要な準備を進めるというのが基本的な立場でございまして、IRの整備につきましては国民の皆様の理解と信頼をいただきながら進めていく必要があることから、丁寧に、公正性と透明性を確保しながら慎重に進めていきたい、こう考えておるところでございます。

青柳委員 いや、今の答弁は大変問題だと思いますね。粛々と準備を進められる状況じゃないと思いますよ。本当にそういう状況を申請予定自治体がしているのであれば、これはこれで本当に問題だと思いますし、今、私の地元は横浜市ですけれども、横浜市は何と言っているかというと、国のスケジュール、国の区域整備計画の申請の期限が来年の一月から七月までで、国が変えてくれないから横浜市は変えられないんだということを答えています。ですから、国が見直すべきだと私は思います。

 それから、観光政策をやっていくのは当然いいんですけれども、今、コロナの終息が見えないんですから、ここはしっかり見直すべきだということを重ねて申し上げておきます。

 私の地元の横浜市は、今申し上げたように、カジノ誘致を表明していますけれども、これは市の税収と市の財源としてカジノに期待すると言っているわけです。試算を出していますけれども、この試算は本当に根拠に乏しいものばかりで、全く根拠が説明できないものしか出していません。

 そして、問題なのは、加えて、整備法の九条には、自治体と事業者が共同して基本方針と区域整備計画を作成するというふうにされているわけです。

 そこで今問題になっているのが横浜市の議会答弁ですけれども、横浜市の議会答弁は、災害などのリスクが発生した場合、自治体と事業者は共同事業者であり、負担については事業者にだけ負わせられないと議会で答弁しているんです。

 つまり、今回のようなコロナウイルス感染症が発生した場合、カジノ施設、これはかなり大打撃を受けます。その場合に特別に救われるという、税金を投入して救うというケースが、もう議会で答弁しちゃっているんですよ。

 こういうふうに、今、感染症が実際に蔓延して経済や産業に大きな影響を与えている中で、カジノが逆に自治体の収支のリスクにならないと、大臣、言い切れますか。お答えください。

赤羽国務大臣 その前に、先ほどの私の答弁、問題だということでありますが、このことにつきましては、大阪市、横浜市、和歌山県、長崎県、東京都、名古屋市に対して、事務局から確認をとったところでございまして、国がこう決めているから云々ということは、私たちは承知をしておりません。

 今委員のそうした指摘でありますので、加えて確認をさせていただきますが、我々がこうありきといったようなことは言っておりません。当然、いろいろな状況の中で、準備が間に合わなければということで検討をしなければいけないということで、それぞれヒアリングをしているということは申し上げておきたいと思います。

 また、今、二つ目の御質問でございますが、もうよく御承知だと思いますが、IR事業は、そもそも国や自治体の支援によらず、民設民営で行われることが大前提でありますので、事業で赤字を出した場合でも、基本的にはIR事業者がみずから補填し、経営改善を行っていくことが基本だと考えております。

 ただ、今般のような新型コロナウイルス感染症や、例えば大規模な自然災害のような事態への対応について、これは自治体とIR事業者との間の合意に従うことになるというふうに承知をしております。

青柳委員 いや、ですから、今の一点目のことについては、どういうヒアリングをしているのかわかりませんけれども、横浜市は、新聞のインタビューで、国がスケジュールを変えないから変えられないんだと実際に言っているわけですから。どういう聴取をしているのかわかりません。

 それから、今の二点目についても、結局、ですから、基本的にはとか、共同で作成するんですからリスクがあるということを認めているような答弁だと思いますので、これは指摘しておきます。

 それから、次に行きたいと思います。

 ちょっと時間の関係もありますので次に行きますが、私は先週の質疑で、整備法九条の七、住民の意見を反映するための必要な措置について、参考人と議論をさせていただきました。

 横浜市は、カジノの設置について住民の合意形成を図る努力をしているとは今到底言えない状況です。国は横浜市に対して、みずから約束した行政区の説明会の開催と、その結果の検証、パブコメの検証、そして住民投票条例がもし提案されればその実施など、きちんと住民の意見を反映する必要な措置を講じているかどうかをしっかり確認して、そして区域整備計画を申請するように私は指導すべきだと思います。

 もしそういう手続を経ずに申請があっても、その申請を認めるべきではないというふうに考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 このIR事業は、先ほど申し上げましたように、来年の一月から七月という予定で、それぞれの地方自治体から整備計画が提出されると承知をしております。その際に、依存症対策は重要な取組でありますので、この依存症対策はしっかりと……(青柳委員「済みません、依存症対策のことは今聞いていないです。依存症は次の質問ですから」と呼ぶ)済みません。ごめんなさい。もう一度、お伺いできますか。

青柳委員 もう一回やるんですか、時間ないのに。いや、依存症対策は次の質問で聞くんですけれども。今全く依存症のことは触れていませんが。

 今申し上げたのは、住民の意見を反映するための必要な措置についての大臣の見解を伺っているんです。横浜市は、自分で各行政区で説明会を開催して市民の意見を聞くと言っているんですけれども、新型コロナウイルスの影響でその説明会を今開催できないんですよ、開催していません。

 ですから、それを終わらずに区域整備計画があったら、認めるべきじゃない。ちゃんと手続を、自分で約束した政策をやらずに申請があっても認めるべきじゃない。そういうふうに、しっかり手続を経て申請してくださいと、大臣もそれを指導すべきでしょうと言っているのと、もし住民投票条例が提案されれば、必要な署名数を集めて議会にそれがもし提案されたら、しっかりその住民投票条例を実施してから区域整備計画を申請するべきだと。それを大臣もしっかり指導してくださいというふうに申し上げたんです。カジノ依存症のことはこの後に聞きます。

赤羽国務大臣 失礼しました。

 いずれにしても、地元の合意を得られているかどうかというのは、この認定の審査の基準の一つです。しかし、それが自治体ごとにどういう形、プロセスで地元の合意を得られたかというのは、それは地元地元の対応次第ですから、地方の議会で合意をされたという地域もあるでしょうし、条例を定めてそうしたことをされるということもあるでしょうし、そのことについてはそれぞれの自治体の主体性によるということだと思います。

 いずれにしても、地元の合意がなされていない場合は、認定の審査で基準を通らないということになると思います。

青柳委員 そうですね。今まさに最後に御答弁がありましたとおり、認定するのは国なんですから、あらかじめ国が、こういうことはやっておけよということを言っていただきたいと思います。

 次に、依存症対策について伺いたいと思います。

 私は、これも先週の質疑で、申請する予定の自治体はカジノ依存症対策を講じる、こういう責務があること、そして、その専門家には精神科医の先生が含まれること、そして、自治体はそうした専門家の先生方と意見や情報を交換するのが非常に重要であることというのが先週の質疑で確認されて明確になりました。

 しかし、今、横浜市長は、精神科医を始めとする関係六団体がまとまって面会を求めたにもかかわらず、全く会おうとしない、会うことすら拒否する。申請しようと思えば依存症施設をつくらないといけない。その依存症施設をつくるには精神科医の協力が必要なんですよ。にもかかわらず会おうとしない。これは、申請する自治体の責務を果たしていると言えないと思いますが、大臣、これもぜひ国から指導してほしいと思います。

赤羽国務大臣 国が示す基本方針案には、IR整備において依存症対策は大変重要な取組であるということ、そして、国は、区域整備計画が申請された際には、当然、依存症対策が講じられているかどうかについては、しっかりと審査をするということになっております。

 しかし、国としては、自治体が依存症の有識者を協議会のメンバーに入れるかどうかも含めて、具体的な手法についてはこれも自治体において適切に判断されるべきものというふうに考えております。

 事務的には、横浜市からは、今後、依存症対策の専門家を含む有識者によるIRの懸念事項対策の研究会を設置し、区域整備計画における懸念事項対策の検討を進める予定と伺っております。そのことがどうなるかは別にして、申請の段階でしっかりとした依存症対策が盛られているかどうか、それを審査したいと思っております。

青柳委員 協議会に入れろ、入れないとか、研究会を立ち上げてそこに入れろ、入れないということの、今、前の質問をしたんですよ。会うことすらしないんです。先週の質疑で、情報交換をするのは非常に重要だという答弁をいただいております。その意見交換をしないと言っているんですから、それをしたらどうですかというのが私の質問だったんです。ですから、今大臣がお答えになったのはその後の話ですから。

 ちょっと時間がないので、次の問題に行かせてください。

 新型コロナウイルスによる影響と社会の変化がある、もう観光政策を変えなきゃいけないぐらいの状況だというのが今の状態です。さらに、横浜市の場合、住民は本当に世論調査をすれば反対意見が七割以上、こういう状況ですね。しかも、選挙でそのことを問うていないわけです。今申し上げたように、精神科医などの専門家とも全く会おうとしない。土地使用者が明確に反対している。これは、横浜市の今のプランは、もう机上の空論であると言わざるを得ません。

 その上で、仮にスケジュールどおりに横浜市から区域整備計画の申請があったとしても、来年の七月の横浜市長選挙とどのみち重なるんですよ。

 ですから、こういうコロナの影響もあるし、来年、市長選挙と重なるんですから、ここでスケジュールどおりごり押しして、反対派の市長になっちゃったらこれまた大混乱ですから、あらかじめ選挙でしっかり民意を問うてから区域整備計画を申請し、そして本当にそれが民意が反映されているものだったら認定したらいいと思うんですけれども、大臣、それは当然だと思いますが、いかがですか。

赤羽国務大臣 それはどこまでいっても横浜市の問題でありまして、そうしたことを踏まえて、横浜で申請をされるならされればよろしいのではないでしょうか。

 加えて、そのスケジュールについては、冒頭申し上げましたように、今の状況で支障がないということを言われておりますので、これから状況はどうなるかわかりませんが、ヒアリングは継続したいと思いますが、現時点ではそういうことでございます。

青柳委員 ぜひ住民の意向に向き合う大臣であってほしいなというふうに思います。認定するのは国なんですから、しっかり認定する前に確認させておくべきことは確認させるべきだと思います。

 次の問題に行きます。オリンピック、パラリンピック関係予算と、新型コロナウイルスによるスポーツ界への影響について伺います。

 赤羽大臣はもう、もしよろしければ結構でございます。

 オリパラ予算で、便乗予算が横行しているのではないかという指摘があります。実際に、会計検査院の指摘によれば、大会組織委員会の公表資料では、立候補からV4予算、つまり令和元年度までの予算の積み上げ額は総額一兆三千五百億円で、そのうち国の負担額は千五百億円であることに対して、会計検査院の調査では二千百九十七億円余りとなっています。この検査院の指摘に対する受けとめを、大臣、説明してください。

橋本国務大臣 昨年、会計検査院は、国の大会関連施策の支出額が平成二十五年度から三十年度まで六年間で一兆六百億円だったと指摘しております。この金額は、大会の準備、運営等に特に資する事業から大会と関連性が低い事業まで、幅広く一律に集計したものとなっております。

 このため、オリパラ事務局において、全ての事業において大会との関連性などの観点から精査を行いまして、組織委員会が公表する大会経費に含まれる新国立競技場の整備やパラリンピック経費のほかに、日本選手の競技力の向上など、大会に特に資する事業については二千六百六十九億円であります。

 その他の事業の七千九百三十二億円については、気象衛星ひまわりの打ち上げの費用、あるいは、障害者の方々の就業、生活支援を始め、大会とは別の目的で実施をしている事業が幅広く含まれていることを明らかにしておりまして、引き続き、こうした取組を、政府の取組について、丁寧に説明をしていきたいというふうに思います。

青柳委員 いや、丁寧に説明するんじゃなくて、つまり、今の答弁は便乗予算があるということを認めているわけですよね。

 ですから、オリパラは一年の開催の延期が決定しましたから、これから更に予算措置が必要になります。予算の便乗は慎んでいただいて、情報の集約と適切な公開、国民の理解を得る努力をこれからもお願いしたいというふうに思いますし、財務大臣にもぜひそこはお願いしておきたいと思います。

 そして、オリパラが一年延期になりましたので、一年後の完全な形での開催について、これはオリンピアンである橋本大臣の見解もお伺いしたいと思いますが、完全な形での開催というのは、日本の選手、世界じゅうのアスリートの準備が何よりも大切でありますから、新型コロナウイルスを完全に封じ込めて、選手が思い切りトレーニングして、きちんとした予選大会が開かれるという環境をつくっていかなきゃいけない、当然のことだと思いますが、橋本大臣の経験からして、来年の夏がオリパラの開催だとすれば、少なくとも、いつから予選大会を開き、そしていつからそれに向けたトレーニングを開始されなければならないというふうに考えていますか。

橋本国務大臣 四年に一度のこのオリンピックサイクルに全てをかけて準備をしてきたアスリートからしてみますと、一年延期というのは大変な環境の変化であります。

 でも、世界的に見ますと、このコロナウイルスの状況を見て、アスリートの方の関係者も、全て現場は一年延期が妥当だろうという評価をいただいているところであります。

 もう既にオリンピック大会、パラリンピック大会に向けて代表権を得ている選手と、そして今後、各IFが代表選考会等をこれから開催を計画をしていかなければいけない選手の置かれている立場というのは、全く異なっていくことになります。

 その中で、今後、まだ予選が、どの国でどのようにオリンピック選考会、パラリンピック選考会が行われていくかどうかということのめどもつかないような状況の中でトレーニングをしなければいけない、準備をしなければいけないアスリートにとっては、非常に今困難な状況になっているというふうにアスリートの視点からは考えます。

 一日も早く、アスリートとしては、大会の日程が決められていくということ、そして、第一には健康というものをしっかりと確保し、そしてトレーニングの環境というものが拡大防止を、防いだ中でしっかりとやっていく状況をつくっていただきたい、これがアスリートの考え方であると思います。

青柳委員 ちょっと時間がないので、最後に一問だけお伺いしたいと思いますが、オリパラだけではなくて、新型コロナウイルスによる影響はスポーツ界全体に大きな損害を与えています。このスポーツ界には、徹底的に支えていく必要があると思います。

 その一つの方策として、スポーツ振興くじ、今ありますから、これを財源に、災害や感染症などが発生した場合の復興とかあるいは再開を支援する基金や制度を早急に設立、拡充していくべきだというふうに考えます。

 その際、必要に応じて、toto法とかJSC法を改正して対応すべきじゃないかと考えますが、最後に文科大臣、御答弁お願いします。

萩生田国務大臣 先生の御指摘のとおり、プロのスポーツリーグ等でもさまざまな影響が出ているのは事実でございます。

 既に政府全体で提案をしておりますさまざまな支援策を株式会社組織などでは当然使っていただくような準備はしておりますけれども、今御提案がありましたtotoの活用なんですけれども、先生も御参画いただいている超党派のスポーツ議員連盟においても、スポーツ振興投票法の改正について今御議論をいただいていると承知をしております。

 多様な財源の確保という観点から、災害や感染症等が発生した場合への支援方策についても検討が進められていると承知しておりまして、文科省としては、これらの施策を速やかに実行することにより、スポーツ関係団体の事業の円滑な実施を支援してまいりたいと思います。

 御指摘のように、災害のときには一回例があるんですけれども、感染症を考えてみなかったんで、これを機会に、当然運用面で使えるようにすることも大事ですし、あらかじめその全部毎年使い切りじゃなくて、少しこういった緊急事態に対応できる基金を積み上げていくようなことも、この機会にしっかり検討してみたいと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 これで終わりますが、竹本大臣、済みません、時間が来てしまいましたので、きょうは質問できませんでした。大変申しわけございません。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、三重県のカキの大量へい死被害の問題について農水大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 私、三重県の鳥羽市に伺いまして、漁業者の皆様方のお声を聞いてまいりました。大変おいしいカキを育てている漁業者の方々でございます。

 漁業者の方からは、こういう被害は初めてだ、来年も同じような被害が起これば漁業を続けられないと、本当に不安のお声を聞いてまいりました。水揚げできたカキは例年の三分の一ほどで、そのうち七割がへい死をしているというふうにおっしゃっておりまして、粒も小さいということでございます。別の漁業者の方も、息子さんが漁業を継いでくれたそうですけれども、こういう状況ではもう別の仕事につかなければいけないんじゃないか、そういうお声でございました。

 まず、農林水産省として被害の実態をどういうふうにつかんでいるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 三重県鳥羽市で今回発生しました養殖カキのへい死の被害状況でございます。

 三重県鳥羽市のカキ養殖の生産量は、近年三千トン程度で推移しておりまして、例年のへい死率は二割から四割ということでございます。

 昨年十月下旬に、鳥羽市のカキ養殖業者からカキのへい死率が高いとの報告を受け、三重県が調査を実施しましたところ、地区によって被害状況は異なりますが、三割から八割のカキがへい死しており、例年より養殖生産量が減少しているという報告を受けております。

 また、養殖カキが小粒化しているということにつきましては、餌となる植物プランクトンの不足が原因というふうに分析しております。

本村委員 まず原因究明というものが大切だというふうに思います。

 地元の漁協の方からも、国の責任でしっかりと原因を総合的に究明をし、そして再発防止策を図るべきだというふうに御意見を伺っておりますけれども、大臣、原因究明はどうなっているでしょうか。

江藤国務大臣 大変な御苦労をされていることにお見舞いを申し上げたいと思います。

 今長官の方からプランクトンのお話とかはさせていただいたので、これは省かせていただきますけれども、国の責任というふうに先生おっしゃいましたが、やはり地元と協力することが一番大事だと思います。一番事情を知っているのはやはり三重県でございますので、三重県の方々、生産者の方々も含めて、しっかり御意見を伺いたいと思います。

 昨年は、アコヤガイのへい死が随分起こりました。アコヤガイ、真珠の方です。これについては、今先生が御指摘いただいたような、いろいろな調査をさせていただいて、マニュアル等もつくらせていただきまして、町長さんや生産者の方々とも直接お会いもさせていただきました。先生お話があったように、息子が帰ってきて、いよいよ自分も真珠生産に取り組むんだと言っているやさきにこういうことが起こって、やはりやめようかという声が出ているという話も聞きました。

 同じようなことが起こることは地域の力が落ちてしまうということになると思いますので、しっかり事情を聞きながら、国の方でも、国立研究開発法人の水産研究所、この教育機構に増養殖の研究所がありまして、そこの職員が、技術者がおりますので、三重県と協力して対策に当たってまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ原因究明をしていただいて、対策をとっていただきたいと思います。

 鳥羽市でしたか、志摩市などは、観光と漁業の町でございます。今、政府が自粛を求める中で、観光業も大変な状況となっております。ホテルや旅館の支援については別の質問でさせていただいたんですけれども、漁業者の皆様方もカキの大量死で大打撃を受けている。その上に消費税の増税、そして今回の自粛、消費の落ち込み、そして魚価が下がり、買い取ってくれる数も減り、収入が減ってしまい、ダブルパンチ、トリプルパンチで本当に大きな打撃となっております。

 このままでは若い方々、次世代の皆さんが漁業を続けられなくなってしまう。小さい子供さんがいる方も本当に頑張っておられます。第一次産業は本当に国の宝だというふうに思います。こういうカキの大量へい死とか今の経済状況の大打撃の中で、未来にそれでも希望が持てるように政治がしていくことが本当に必要だというふうに思います。

 カキでいえば、カキの養殖の専門家による技術指導の支援、これは漁協の皆さんも要望されておりました。そういうことと同時に、魚価の下支え、漁業共済、積立ぷらすの制度の拡充、若い漁業者の強力な支援など、漁業者の所得対策の確立、所得の安定が何よりも大切だというふうに思います。更に強力にやっていただきたいというふうに思いますし、ぜひ現場の皆さんの声を聞いていただいて、更に強力な支援をしていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

江藤国務大臣 おっしゃるとおりでございますけれども、先ほどお答えしたように、水産研究所、教育機構がありますので、ここでやはりいろいろな、例えば黒潮が蛇行してしまって、潮の流れが変わって海水温が変わる、それによって植物プランクトンができない、それで、カキは特に夏に弱くなるので、その時期にちょうど重なると、高水温と餌不足で非常に粒が小さくなったり、成長し切れなくなってへい死してしまうというのが原因でございますから、こういうものに強い種苗の開発も国の方の研究所の方でしっかり取り組んでいきたいと思います。

 やはり、環境変動に耐えられる、水産品だけじゃありません、これは畑や稲なんかもみんなそうですけれども、新しい種苗の開発に国は取り組んでいきたいと思います。

 それから、経営安定につきましては、先生も御存じのように、共済がございます。共済は大体入って、三重県の方も、鳥羽の方も入っていただいているようで、それでよかったと思いますが、大体五万円ぐらいで四千八百万ぐらい出ていますから、大体一カ所六十万から七十万ぐらい出て、それは経営の下支えにはなっておりますが、積立ぷらすに入っていただいていない、それは経営判断ですから、御自身の経営を考えてこれは御判断いただかなければなりませんが、今回の、まだ補正予算は国会にかかっておりませんけれども、これにおきましては、経営安定対策の中の、共済の部分のお金の積み増しとか積立ぷらすの部分の運用のやり方とかいろいろな、漁業者にとってまさにセーフティーネットとなり得るような予算も組ませていただいておりますので、御地元でもぜひ対応していただいて、積立ぷらす等への加入も含めて御検討いただければありがたいと思います。

本村委員 ぜひ現場の声を聞いていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

江藤国務大臣 昨年、地元の方々がお越しいただきました。町長さんも生産者の方々もお越しいただきました。

 しかし、今この状況の中では、来てくださいということも難しいですし、私の方から行くことも当然これはできませんので、できればスカイプとかそういうインターネット環境を使って、ぜひ三重県の生産者の方々の御意見も今週中には伺いたいというふうに考えます。

本村委員 ぜひ、漁業に希望が持てるように、更に強い支援を求めたいというふうに思います。

 江藤大臣、お忙しいでしょうから、御退席いただいても構いませんので、ありがとうございました。

 次に、リニアの問題について伺いたいというふうに思います。

 二〇一六年度第二次補正予算、二〇一七年度予算で、JR東海リニア事業への三兆円もの巨額の財政投融資が決定をされ、既に三兆円はJR東海側に行っております。そのリニア事業が今どうなっているかということを議論したいというふうに思います。

 二〇一九年十月、山梨実験線の車両基地で事故が起き、作業員の方々、作業をされておられた方が大けがを負うという事態となりました。心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 まず、事故の状況をお示しをいただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇一九年十月七日十六時五分ごろ、山梨県都留市にあるJR東海山梨リニア実験センターの車両基地内におきまして、停車中の試験車に搭載されている機器の点検作業中に、その作業を行っていた作業員三名がやけどを負うという事故が発生をいたしました。

 JR東海によりますと、通常、この点検作業を行う前には、断路器と呼ばれる機器により電気回路を遮断し、作業後は電気回路を通電させ、もとの状態に戻すということになっておるのですが、今回の火災事故は、作業後に電気回路を通電させたところ、何らかの原因により断路器から火花が発生し、衣服に燃え移ったものと聞いております。

 なお、実作業を行っていた一名は現在も入院加療中のため、事故発生当時の状況の詳細な確認がまだ十分に行えておらず、当該作業員の回復を待って今後更に究明をする予定ということでございます。

本村委員 改めて確認をしますけれども、事故の原因究明、検証、再発防止策はできていないということですね。

水嶋政府参考人 事故の概要につきましては、先ほど申し上げたような状況ということでございます。

 一番間近で作業をやっておられた方が今まだ入院加療中ということで、詳細の状況の確認がまだできていないということでございますけれども、国土交通省といたしましては、JR東海に引き続き原因究明と再発防止策をしっかりと講じるように指導してまいると考えているところでございます。

本村委員 事故から六カ月がたっておりますけれども、作業員の方はまだ入院をされております。それぐらい大けがだということでございます。

 通常、鉄道事故の場合は運輸安全委員会が調査に入って調べるわけですけれども、今回はしないというふうに言っております。営業線ではないから、実験線だからといいますけれども、しかし、実験線でも人を乗せて走っております。首相も乗っておりますし、外国の要人も乗って走らせているわけでございます。

 事故の検証、再発防止策もできていないのに、JR東海は実験線で再び人を乗せてリニアを走行させようというふうにしております。実験線だから第三者の調査はできないというのは理由にならないというふうに思います。事故の原因をJR任せにするのではなく、第三者が調査をする必要があるというふうに思います。

 専門家の入った第三者の調査あるいは運輸安全委員会の調査をするべきだというふうに思いますけれども、国土交通大臣、お願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、申しわけないんですけれども、運輸安全委員会の設置法等で定められた鉄道事故等に今回のは該当しないということでありまして、運輸安全委員会が調査をすることは行っておりませんが、本事故について、現在、JR東海に対して原因究明を進めるよう国交省として指示をしていることでありますし、JR東海の調査結果次第では、必要に応じて技術的な知見を有する第三者による調査を行うことも指示したいと考えております。

本村委員 ぜひ原因究明をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 安全は何よりも大事にしなければならない問題でございます。今も入院をされている状況であり、人の命にかかわる問題です。作業をされる労働者の安全や命は、それは結局、乗客の皆様方の命や安全にかかわる問題だというふうに思います。

 少なくとも、事故の検証、原因究明、再発防止策ができるまで、実験線でのリニアの走行はやめるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 一般論として、リスク管理は、やはりリスクコミュニケーションというか、正しく認識をして、正しい適切な対応をするということが必要だと思います。ですから、今回の場合は、走行中に発生したものではないというのは先ほど局長が答弁をしたとおりでございまして、火花が散った断路器を操作するということは、走行中に今回のように断路器を操作するということはないというのもこれは事実でございます。

 また、加えまして、本年春に再開されると予定しております走行試験に投入される新しい試験車両には、今回使われておりました断路器とは異なるタイプの断路器を搭載するということもしておるところでございます。

 当然、走行試験や体験乗車のときに、安全というのはもう大前提でございますので、引き続き、点検作業中の作業員の安全確保に万全を期すよう、また、走行試験とか体験乗車の最中に事故が起きないよう、当然のことながら、JR東海にしっかりと指導してまいりたい、こう考えております。

本村委員 原因究明もできないのに安全だとは言い切れないからこそ申し上げているわけでございます。

 原因究明、再発防止、これができるまで走行はやめさせるべきだと思いますけれども、もう一度、大臣、お願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 私どもは、今回のような同種の事故が走行試験中に発生することはないというふうに報告を受けております。ですから、何というか、ちょっと表現はざっくばらん過ぎるかもしれませんが、何もかも危ないということが正しいリスク対応かどうかということを私は冒頭申し上げたつもりでございまして、そういう意味で、科学的には、今回の断路器からの火花が散ったこの事案が、走行試験、体験乗車にいきなり安全を脅かすものというふうには認識をしておりません。

 ただ、他方で、当然のことながら、この走行試験、体験乗車でも事故を起こさない、安全に行うということは、これは当然のことでありますので、国交省としてJR東海をしっかりと指導していきたい、こう考えております。

本村委員 走行すれば作業が必要なわけです。原因究明もできないのにリニアを走行させるのはやめるべきだということを強く求めたいと思います。

 このリニアの問題では、今、静岡県で大井川の水が減る問題がございまして、静岡県、そして大井川流域の十市町の皆様方が、命の水の問題だということで声を上げ、JR東海の姿勢を批判をしております。水道用水や農業用水、工業用水などに使われている、地域にとっては死活問題ですから、当然のことだと思います。

 国土交通省は、静岡県とJR東海の間に立つということで、有識者会議も設置をするというふうに言われておりますけれども、あくまで国土交通省は中立的な立場ですねということだけ、まず確認をさせていただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、このリニア中央新幹線の工事でございますけれども、これは全国新幹線鉄道整備法の規定に基づきまして、JR東海を建設主体として指名しているところでございまして、JR東海において、地元自治体等との関係機関と協議をしながら進めてきたところでございます。

 国土交通省といたしましては、環境影響評価法や全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、所管省庁として、鉄道局を中心に必要な手続を進めてきたところでございます。

 一方、静岡工区につきましては、静岡県が……(本村委員「済みません、中立かどうかだけお願いします」と呼ぶ)はい。

 このプロジェクトにおきまして、国土交通省は、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、工事実施計画を認可したという立場でございまして、工事が円滑に行われているかを常に注視し、必要に応じて助言、調整や指導を行う立場にあると認識をしております。

 また、環境影響評価法に基づきまして、主務大臣として、河川水の利用への影響の回避、災害の発生防止及び河川環境への影響の回避等を意見として述べたところでもございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省としましては、リニアの早期実現と、その建設工事に伴う環境、水資源の影響の回避、軽減という二つの課題を解決していくことが重要であると考えておりまして、JR東海と静岡県との議論の整理を行い、協議の促進に努めたいと考えているところでございます。

本村委員 国土交通省は、静岡県と委員の中立公正、座長の中立公正ということを合意しておきながら、リニアの受注企業の利害関係者を委員にしようとしておりました。南アルプストンネル新設工事や静岡県の中の静岡県内導水路トンネル新設工事など、JR東海から受注をしているJR東海と利害関係にある大成建設の社外監査役を有識者会議の委員候補として挙げてきたわけでございます。これは、中立公正ではなく、おかしいという声を静岡県が上げたのは当然だというふうに思います。この大成建設の社外監査役というのは、年間一人平均一千四百万円もの多額の報酬を受け取っているわけです。JR東海と大成建設の利害関係者だということでございます。

 国土交通省が言っている、別の立場から有識者会議に参加するということも認められないというふうに静岡県は拒否をしております。静岡県からは、大井川流域の水循環、生態系に詳しい専門家が不足しているということで公募をされ、四月十日に有識者会議の委員候補案が出ております。また、生物多様性の議論をする場所の座長、構成委員案の全員を構成員名簿として明記することも静岡県は求めております。

 加えて、中下流域の水資源への影響が出たときの補償の件は大変重要な案件であるため、影響評価の方法や評価期間等について有識者会議において議論をすることも求めております。また、静岡県以外のほかの地域でもリニア工事等により水資源に影響が出る可能性があることから、リニア沿線のほかの地域に対しても本県と同一の補償方針を適用することを国土交通省からJR東海に指導していただきたいということも静岡県は言われております。

 静岡県は、リニアの駅はできなくて、被害だけを受ける県でございます。被害を受ける静岡県、大井川流域の十市町の皆様方の意見を聞くのは当然だと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、今回、そもそも、このリニア中央新幹線の静岡工区につきまして、JR東海と静岡県という当事者同士が議論をされていて、なかなかかみ合っていない状況が見受けられたことから、昨年の秋ごろから国交省としても本格的に調整を開始するという段取りになりました。

 そして、ちょっといろいろあったんですけれども、一月十七日に国交省から、専門家等の有識者から成る会議の設置を提案させていただきました。この提案に対して、一月三十日に静岡県から、五つの事項の確保を前提として受け入れるとの回答が示されたわけでございます。それからも少しいろいろあったんですが、最終的には、静岡県知事から、委員の最終決定権は国交省にある、こういうふうに言われております。

 そうしたことから、国交省としても責任を持ちながら、静岡県の御意見も伺いながら、しっかりとメンバーを決めて、早期にこの審議会の立ち上げを進めていかなければいけない、こう考えております。

 先ほど、冒頭も言われました大成建設の社外監査役のことなんですけれども、この方は、当初我々は、この超電導磁気浮上式、このリニア技術の評価委員長としてこれまでも長年審議にかかわってこられた方であるとか、大変な見識を持たれる立派な専門家であるということで、候補者として選定をさせていただいたわけでございます。

 JR東海の受注企業の社外監査役であって、社外監査役は、法令上、当該会社の違法又は著しく不当な職務執行を監視するという立場ということから、そうした中立性は損なわないというふうに考えて候補者にいたしましたが、静岡県からはそこについて異論も言われておりますので、それはしっかりと聞きながら、速やかに委員を決定して、しっかり議論ができるように審議会を立ち上げたい、こう考えておるところでございます。

 もちろん、中立性を損なうようなことは考えておりません。

本村委員 このリニアは今世紀最大の巨大事業でございます。今立ちどまって、しっかりと事業の検証をするべきだというふうに思いますけれども、大臣、最後に答弁をお願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 これは本村さんは一貫して長年、太田大臣のときから質問されていたのを、私も国交委員会の委員として聞いておりました。

 そうした、皆さんの、関心を持たれている、懸念も持たれているということは承知しながら、太田大臣が、当時、環境保全への適切な配慮を求める旨の意見を述べられて、本事業の工事実施計画の認可の際には、一つは地域の理解と協力の獲得、また二つ目には環境の保全の措置、三つ目には安全かつ確実な施工を国土交通大臣として求めたところでございますので、こうしたことにたがわないように、しっかりと地元の皆さんの懸念を払拭できるような丁寧なことをしながら、事業としては前に進めさせていただけるように、最大の努力をしていく決意でございます。

本村委員 リニア事業は立ちどまって検証するべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 財務大臣以外の大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

生方委員長 次に、平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)の両件を一括して議題といたします。

 財務大臣から両件について説明を求めます。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 ただいま議題となりました平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)及び平成三十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度一般会計予備費予算額四千五百億円のうち、まず、平成三十年四月二十七日から同年九月二十八日までの間において使用を決定しました金額は、一千九百三十九億円余であり、その内訳は、河川等災害復旧事業等に必要な経費などの三十七件であります。

 次に、平成三十一年二月二十一日から同年三月二十九日までの間において使用を決定しました金額は、五億円余であり、その内訳は、国選弁護人確保業務等委託に必要な経費等の三件であります。

 以上が、予備費使用総調書等についての概要であります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

生方委員長 これにて説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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