衆議院

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第2号 令和4年4月11日(月曜日)

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令和四年四月十一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 木原  稔君 理事 鈴木 憲和君

   理事 田中 良生君 理事 武村 展英君

   理事 大河原まさこ君 理事 松原  仁君

   理事 伊東 信久君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    江崎 鐵磨君

      小倉 將信君    柿沢 未途君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      田野瀬太道君    高階恵美子君

      高木 宏壽君    辻  清人君

      土田  慎君    牧原 秀樹君

      村上誠一郎君    森  英介君

      簗  和生君    山本 左近君

      山本ともひろ君    吉川  赳君

      吉野 正芳君    青柳陽一郎君

      篠原  豪君    手塚 仁雄君

      谷田川 元君    一谷勇一郎君

      吉田とも代君    庄子 賢一君

      吉田久美子君    吉良 州司君

      たがや 亮君    山本 太郎君

      三反園 訓君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       冨士 博司君

   会計検査院事務総局第一局長            篠原 栄作君

   会計検査院事務総局第二局長            山口  亨君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   宮地  毅君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   参考人

   (日本銀行理事)     内田 眞一君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     山本 左近君

  小野寺五典君     辻  清人君

  棚橋 泰文君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     小野寺五典君

  土田  慎君     棚橋 泰文君

  山本 左近君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百七回国会、内閣提出)

 令和二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百七回国会、内閣提出)

 令和二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百七回国会、内閣提出)

 令和二年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第二百七回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 令和二年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和二年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事内田眞一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府大臣官房長宮地毅君、内閣府政策統括官榊真一君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、外務省大臣官房審議官徳田修一君、外務省大臣官房参事官金井正彰君、文部科学省高等教育局長増子宏君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君、防衛省防衛政策局次長大和太郎君、防衛省整備計画局長土本英樹君及び防衛省人事教育局長川崎方啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、コロナワクチンの購入の情報開示について伺います。

 お手元の資料一を見ていただきたいんです。これは、各国がファイザー、アストラゼネカ、モデルナを単価幾らで購入しているかという一覧表なんですね。これは実はユニセフの資料なんです。

 先週の火曜日、我が立憲民主党の部会に厚労省の担当者をお呼びして、予備費の件についていろいろ質問したんですが、全くと言うほど納得いく説明がなかった。特に、日本の場合、それぞれのメーカーから単価幾らで買っているのか、そういう質問をしたら、守秘義務があるから言えない、その一点張りなんですよ。

 実は私、今から三十年以上前にアメリカの議員の下で働いた経験があるんです。毎日、二百通、三百通の手紙が来まして、この予算はどうなっているんだ、納税者として一言言いたいと。アズ・ア・タックスペイヤー、そういう決まり文句でそういう手紙が来るわけですよ。ですから、アメリカなんかは軍事機密だって、戦闘機は幾ら、戦車は幾ら、そういう数字は必ず出すんですよね。

 それで、すぐ国会図書館のレファレンス課に、恐らくアメリカあたりが公表していると思うから出してくれないか、調べてくれないかと言ったら、何と次の日この資料をいただいたんです。正確に言うとこういう資料、一覧表になっています、英語で。ウェブサイトに載っているんですよ、ユニセフの。それで、私の事務所でそれを抜粋しました。

 そこで、まず厚労省に伺いますが、どうして、世界の大半の国はワクチンの単価がこうやって公になっているのに日本ではできないのか、厚労大臣の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 ワクチンを確実に確保することは、国民の命や健康を守る観点から極めて重要でございます。

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まりまして、ワクチンの獲得競争が激化している中で、厚生労働省として、ワクチンの確実な確保を最優先に企業と交渉を行う必要がありました。

 そのために、交渉状況等を含め交渉に関する情報が公になった場合は、企業側が他国と交渉する際に不利益を被るおそれがあり、その結果、日本とは契約を結ばないという事態になることを避けるため、企業と秘密保持条約を締結しているところでございます。

 新型コロナワクチンの単価については、秘密保持契約の対象となっており、これが公となった場合には、結果としてワクチンの確保に影響を与えるおそれがあるものであるから、お示しすることは困難であるというふうに考えております。

 ワクチンに対する国民の関心は高く、情報公開の重要性も十分認識しておりまして、どの範囲の情報を公表することが可能かについては、引き続き、企業との間でコミュニケーションを重ね、可能な限りの情報公開に努めてまいります。

 それで、各企業に、同様の条項を結んでいるというふうに聞いておりますので、確認をしたところ、諸外国においても単価は公表しないということにされているそうです。各国政府が、秘密情報の条項の下で漏れている場合があることについては否定できないというような回答であったということでございます。

谷田川委員 この一覧表を見ていただければ、結構、ファイザーという製薬会社、良心的だと思うんですよ。貧しい国には結構単価が安いんですよね。豊かな国は結構高いんですよ。これは分かるんです。結構、ファイザーって良心的だと私は思うんですよ。

 ちょっと、まずこの交渉、どうなっていたのか。今日は、製薬メーカーとの一連の交渉を熟知している人に来てもらいたいと言って、もう一任する、そう言ったら、今日は佐原健康局長においでいただいたので、まず、質問いたします。佐原局長は交渉の現場にいらっしゃいましたか。

佐原政府参考人 はい。私も、それぞれの企業との交渉の現場におりました。

谷田川委員 それでは、佐原局長、やはり、国民の税金をお預かりしている以上、できるだけ安く購入したいという姿勢で臨まれましたか。イエスかノーかでお答えください。

佐原政府参考人 はい。正確に申し上げますと、私自身は昨年の夏から今のポストに就いておりますが、その前は、前の者がやっております。ただ、もちろん引き継いで、私、就任した後も実際に各企業と話をしております。その中で、もちろん今御指摘のような心積もりで、誠心誠意努力しているつもりでございます。

谷田川委員 残念ながら、日本は、欧米諸国と比べて、最初の段階でワクチンの購入が遅れたんですよね。そうすると、それまでの各国がどのような値段で購入したかという情報を把握しようとお努めになりましたか。

佐原政府参考人 私どもも、他国について、どういうような価格で購入しているかについては非常に興味を持っておりますけれども、これについては、価格については公表できないという状況の下で各社とは交渉をしております。

谷田川委員 非常にお粗末だと思います。なぜかというと、ユニセフのウェブサイトを見れば、各国の一覧表は分かるんですよ。

 さっき大臣から、公表はしていないとおっしゃったけれども、事実誤認があります。二つだけ指摘します。アメリカ政府は、二〇二一年二月十二日にファイザーと単価十九・五ドルで購入する契約を結んだと。それをファイザー側が公表しているんですよ、プレスリリースで。それから、南アフリカ、これも二〇二一年の四月の十四日に単価十ドルで購入しますと、これは政府発表ですよ。

 さっきの、おかしいじゃないですか。どうなっているんですか、大臣。

後藤国務大臣 秘密保持については、双方が公開をすることに同意をすれば公開ができるという条項になっていると聞いております。

谷田川委員 私は、ファイザーという会社は、アメリカと南アフリカ、両方に積極的に情報開示しているわけですよ。ある意味で、日本側の方から守秘義務にしてくれと頼んでいるんじゃないか、そう疑いたくなるんですよ。そういうことはないですね。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 我々としても、情報公開は非常に重要なものだと思っておりまして、なるべく多くの情報を公開したいというふうに思っておりますけれども、これは企業との間の関係がございますので、現在できる限りのところ、現在まで公表しているところが限界というところでございます。

谷田川委員 今の答弁はおかしいよ。

 ファイザーに言ってくださいよ、それだったら。アメリカと南アフリカに対して公表しているのであれば、我々日本政府も、国民の税金を預かってこういう契約をするんだから、単価を是非公表させてくれ、そう是非ファイザーに申入れしていただけませんか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 そういったことをこれまでもお話をさせていただいておりますけれども、引き続き我々としても努力していきたいと思います。

谷田川委員 大臣、是非、ファイザーに公表させてくれと、大臣からもお願いしてもらえますね。

後藤国務大臣 これまでも、国会等でも単価についてお尋ねもありましたし、そのたびごとに交渉いたしております。

 今後とも、単価の交渉を、できる限り公表できるように努力してまいりたいとは思います。

谷田川委員 本当に、厚労省、もうちょっと交渉をうまくやってもらいたいと思うんですよ。

 国民の税金を預かっている以上、できるだけ安く、そして、国民に対して情報公開しなきゃならぬ、その姿勢で交渉に臨んでくれないと困るんですよ。そういう守秘義務の契約があったとしたならば、それは駄目だ、我々は国民の税金を預かっている以上、単価を公表させてもらわなきゃ困る、そして、契約についてもできるだけ開示したい、そう言うべきなんですよ。

 そこで、私、気になっているのがあるんだけれども、契約した人は誰なんですか、日本側は。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 契約書に署名を行っていただいているのは、厚生労働大臣に署名を行っていただいております。

谷田川委員 大臣、じゃ、全て契約書を御覧になって署名したという理解でよろしいですか。

後藤国務大臣 契約書が何ページあるのかということも含めて非公表ではございます。膨大な文書とだけは申し上げておきますので。

 少なくとも、内容について、交渉の経緯も含めて、私自身も直接相手ともやっておりますので、そういう意味では、内容について精査をしながらやっております。

 一行、一ページずつ全部読んでいるかというと、なかなかそうもいかないということも御理解いただきたいと思います。

谷田川委員 是非、最初からそういう説明をレクの段階でしてほしいですよ。何か契約書の名前さえ公表できませんの一点張りで、もしかしたらエージェントでも使って、その人にサインさせたんじゃないかと疑いたくなりますよ。是非、最初の段階から大臣が署名したと言ってくれれば済む話なんですから。まあ、でも、それを聞いてちょっと安心しました。

 それで、皆さん、資料三を見ていただきたいんですよ。非常に私びっくりしているんですけれども、これは厚労省からもらった資料をうちの事務所がまとめたんですが、二〇二一年から供給を受けたメーカー、モデルナ、アストラゼネカ、ファイザー、これで三億六千四百万回。それから、二〇二二年から供給を受けたものが、それぞれ、全部足しますと五億一千八百万回ですよ。そうすると、何と、八億八千二百万回のワクチンを確保しているんですよ。これに対しての予算措置が二兆四千億円と聞いております。

 ということは、皆さん、よく考えてくださいね。日本の人口、一億二千万人ですよね。今政府が、四回目の接種でしょう、進めているのは。五回、六回やるわけじゃありませんよね。そうすると、甘く見て一〇〇%打ったとしても、今大体八割ちょっとだろうけれども、今聞いているところによると、大体二億五千七百万回ですよね、打っているのが、四月一日現在で。そうすると、仮に四億八千万回必要だとしても、あと何で四億回以上必要なんですか。どうしてこんな量が必要なのか、分かりやすく説明していただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチンを確実に確保することは、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要であると考えております。世界各国で獲得競争が継続する中、国民の皆様にワクチンを確実にお届けできるよう、危機管理の観点から、あらゆる可能性を視野に入れてワクチンの確保に取り組んでおりまして、こうした取組は必要なことというふうに考えております。

 例えばですが、一、二回目接種用のワクチンにつきましては、令和二年度に契約を締結しておりますけれども、この段階では、どの企業がワクチン開発に成功するか分からない中での契約で行っております。

 また、三回目接種用のワクチンにつきましては、一、二回目に接種したワクチンと異なるワクチンを接種することができるかが分からない中での契約でございました。

 これはもう少し分かりやすく言いますと、例えば、ファイザー、ファイザー、三回目、今モデルナに切り替えて打つこともできるわけですけれども、そういった、ファイザー、ファイザー、モデルナに切り替えるということの安全性あるいは有効性が分からない段階では、ファイザー、ファイザー、ファイザーということで十分な量を確保していくということも必要でございました。

 また、四回目の接種につきましては、これはまだ行うか行わないかも含めて検討を行っておりますけれども、オミクロン株対応のワクチンの開発が期待されているものの、ファイザーあるいはモデルナ社も含めまして、どの企業がこれに成功するかが分からない状況での購入でありまして、どこか一社に限定して購入していくということは、必要な量を確実に確保するという観点では適切ではないというふうに考えております。

 また、今使っております多くのワクチンは、ファイザー、モデルナなどのワクチンは海外で製造されておりますけれども、ワクチン製造国による輸出規制等のリスクがあることを踏まえますと、アストラゼネカ社製のワクチンや、武田社製のノババックスワクチンといいました日本国内で製造されるワクチンも確保する必要がございます。

 このように、その時々の置かれた状況の中で、国民の皆様にワクチンを確実にお届けできるよう取り組んだ結果、現在の量となっております。

谷田川委員 非常に分かりにくい説明ですね。

 ひとつ皆さん、資料三をもう一回見ていただきたいんですけれども、二〇二二年から供給を受けるもの、下の表で、三月二十五日に武田薬品、モデルナとの方で七千万回契約し、そして、ファイザー社が同じ日に七千五百万回。一億四千五百万回の契約を三月二十五日に結んでいるんですよ。これは予備費から出していますよね。でも、本来、国会開会中は予備費を使わないというのが、政府、閣議決定であるじゃないですか、原則として使わないと。それに対して何ら説明は、我々、それぞれ国会議員にはなかった。

 それで、つくづく私思うのは、少なくとも、三月二十五日の契約がなくても七億三千七百万回分確保しているのですよ。ですから、十分確保しているのに、何で追加購入する必要があるのか、甚だ疑問なんです。

 ですから、私は、もしかしたら、既に購入したやつが使用期限が過ぎて使えなくなる、使用不能になって破棄することが見込めるから、三月二十五日に新たに一億四千五百万回の契約を結んだんだ、そう思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 本年の三月に結んでおります契約は、ファイザー社及びモデルナ社についての追加契約になっております。

 ファイザー社とモデルナ社につきましては、昨年も納入していただいておりますが、順調に必要量の接種が進んでおりまして、今十分な量があるという状況ではございません。もちろん、アストラゼネカとかノババックス、こういったものはまだかなり余裕があるわけですが、ファイザーとモデルナについてはそういう状況ではない。

 また、先ほど申し上げましたとおり、今後四回目の接種を行っていくといったような場合に、ファイザー社、モデルナ社、どちらの会社が四回目のワクチンの適切なものを開発するかどうか、こういったことが分からない中で、ファイザー社、モデルナ社、両社と四回目のワクチンの量を十分確保するために契約をしているところでございます。

谷田川委員 ちょっと分かりにくいですね。

 だから、私は、大量破棄される可能性があるから追加注文したとしか思えないと言うんだけれども、じゃ、今まで破棄されたワクチンはどれぐらいあるんでしょうか。

 いろいろ、新聞やテレビ、とにかくネットで検索してみましたよ。破棄されたというのは、各地方自治体で保管がまずいとかといって千単位で破棄があったとあるけれども、もしかしたら、近い将来、何千万回、億回分のワクチンが破棄される可能性があるんだ、それを視野に入れて三月二十五日の契約をしているんじゃありませんか。いかがですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 ファイザー社とモデルナ社につきましては、非常に需要が多く、これについては、破棄されるということを前提に今回の追加購入をしたということではございません。あくまで、非常に需要が多く、また、四回目の接種に向けて十分量を確保する必要がある、そういった観点から追加購入を行っているところであります。

谷田川委員 私の質問に答えてください。今まで破棄されたのはどれだけあるんですか。

 アストラゼネカも何か破棄される可能性もあると、四月八日の新聞記事に厚労省幹部が語っているのが載っていますよ。どうなんですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについては、これまでに一億二千万回分の購入契約を行っております。

 同社のワクチンにつきましては、国内での使用とともに海外供与も行っておりまして、国内及び各国、地域で必要となる時期や量を踏まえて、同社と調整の上、一、二回分をまとめて一億二千万回分をどんといただくのではなくて、順次納入をしていただいております。

 また、国として供給を受ける必要がないと考えられる分につきましては、キャンセルして供給を受けないことが可能となっておりまして、既に四千万回分はキャンセルをしているところでございます。残りの八千万回分、一億二千引く四千ですので八千万回分につきましては、これまでに、国内向けに、約二十万回分を自治体に供給をしております。

 また、国際貢献として海外供与を行っておりまして、このうち、現時点では六千三百万回を供与しているということになっておりまして、また、合計では六千万回分を海外供与を行うということになっておりまして、海外供与については、現在、各国と調整して進めているところでございます。

谷田川委員 大量破棄の可能性がないんだと言い張っていらっしゃるけれども、それならそれで、私は思うんだけれども、この間、レクのときにこういう質問をしたんですよ、契約をキャンセルした場合、違約料は取られるのかと。その辺はどうなんですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 済みません、まず、数字をちょっと間違えましたので、訂正させていただきます。

 アストラゼネカのワクチンのところで、これまでに提供した数につきましては、さっき六千三百と申し上げましたが、四千三百万回の誤りでしたので、訂正させていただきます。

 また、今御質問がありましたのは、解約できるような内容になっているのかということだと思います。

 こちらにつきましては、企業との間で秘密保持契約を締結しておりますところ、契約で定められた解約に関するルールについても、これが公となった場合には、相手企業の営業上の利益を害し、結果として、今後の日本へのワクチンの確保に影響を与えるおそれがあることから、お答えすることは困難でございます。

 ただ、可能な限り日本にとって有利な条件になるように、企業との交渉に取り組んでいるところでございます。

谷田川委員 ちょっと今の説明、なかなか納得いかないですよ。だって、先ほど申し上げたように、八億八千万回も確保する理由がよく分からないんですよ。

 繰り返しになるけれども、日本の人口、一億二千万人でしょう。一〇〇%打っても、四億八千万回で済むわけですよ。それが何であと四億以上必要なのか、全く理解できないですよ。

 それで、ちょっと会計検査院、今日いらしていますね。会計検査院にお聞きしたいんだけれども、当然、これは会計監査の対象になって、会計検査院として、各メーカーとの契約書というのは見ることができますね。

山口会計検査院当局者 申し上げます。

 会計検査院は、厚生労働省が実施している各種施策に関します契約等の会計経理について、合規性、経済性、有効性、効率性等の多角的な観点から幅広く検査を実施しているところでございます。

 一般論として申し上げれば、物品等の調達に関する契約を検査するに当たりましては、契約書等の提出を受けまして、これを確認しているところでございます。

谷田川委員 一般論であれば、当然、製薬メーカーと日本政府との契約書も見るというふうに私は理解しました。

 会計検査院が見ることができて、何で我々国会議員に見せてくれないんですか。私、つくづく疑問に思うんですよ。我々国会議員に是非見せていただけませんか。厚労省、いかがですか。

佐原政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、企業とは秘密保持契約を結んでおりますので、政府部内での共有ということに現状としては限らせていただいております。

 ただ、御指摘も踏まえて、どのような形でより一層の情報公開をできるのかということにつきましては、企業とコミュニケーションを重ねて、可能な限りの情報公開に努めていきたいと考えております。

谷田川委員 決算行政監視委員会の一番大きな役割は、やはり、しっかり予算が執行され、適正かどうかなんですよね。だけれども、契約の中身を教えてもらわなければ、適正かどうか分からないじゃないですか。キャンセルできると言ったけれども、キャンセルした場合、どれだけの違約料がかかるのか、それが分からないと、どれだけ国民の税金が無駄になったか、それも分からない。やはりこれは、我々国会議員に対してしっかり情報を開示してもらいたいと思うんですよ。

 皆さん、釈迦に説法ですけれども、国会法の百四条というのを資料四に出しましたけれども、冒頭、内閣、官公署その他に対して、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない、これが原則なんですよ。ただ、理由があって、これこれこういう理由だからできませんよというのであれば、公にできないというのは秘密会もできるわけですよ。

 是非、委員長、契約書、契約の中身、そして、どういう場合にキャンセルして、その違約料は幾らなのか、具体的に。

 先ほど申し上げましたけれども、八億八千万回、皆さん、本当に必要だと思いますか。何でそんなに必要なのか、根拠を示してもらいたい。

 そういう資料を是非出してもらうとともに、必要であれば秘密会も開くということを協議いただけませんか。

原口委員長 理事会で協議いたします。

谷田川委員 それでは、次の問題に移ります。

 英語検定協会の受検料返還問題について伺います。

 事の発端をまず皆さんに申し上げたいと思うんですけれども、おととしの十一月に、私の地元の高校の先生が、地元の学校で英検の試験をやるんだけれども、英検協会から、コロナで感染拡大して試験ができない事情を英検協会が判断した場合にはその受検料は返しませんと、いかなる理由があっても。それで、学校の先生が、谷田川さん、そんな理不尽なことを言ってくるんですけれども、おかしいと思いませんか、これは文科省の後援なんですよ、だから文科省に強く働きかけてくださいと、そういって、私は何回か文科委員会で質問しました。

 今日は、消費者庁を担当する若宮大臣がいらっしゃいますので、まず若宮大臣に庶民の気持ちが分かる大臣かどうかお聞きしたいんですが、オリンピック、無観客で開催されましたよ。無観客で開催されて、当然、あの料金は、チケットを買った人は返してもらえましたよね。当然ですよ。英検協会がやっていることは、その無観客であったチケットをいかなる理由があろうとも返せませんと言っているようなものですよ。これは社会通念上、かなり理不尽だと思うんですが、若宮大臣の見解を伺います。

若宮国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員がおっしゃられたように、東京オリンピック・パラリンピック、このチケットの代金の払戻し、これが行われたところでございます。このような返金の対応がなされたことについては、国民の皆様方からも非常に評価が高かったということは承知をいたしているところでもございます。

 一般論として申し上げまして、消費者に向き合って、消費者の理解を得つつ、その立場に立って対応していくこと、これは非常に望ましいものというふうに考えてございますが、消費者契約法その他法令を含めた消費者行政を所管する立場といたしましては、個別の返金対応に対する評価については述べることは差し控えさせていただければと存じております。

谷田川委員 前回の二月の予算委員会分科会で私がこの問題を指摘しまして、末松大臣も、理不尽と思われたのか、最後に、この問題については頭をひねってみたい、そうおっしゃいましたけれども、その後、どういう対応をされましたか。

末松国務大臣 二月の十六日に分科会で先生からいろいろと御質問をいただきました。頭をひねってみたいということで、当然にしまして、役所の中でも随分話はいたしました。と同時に、消費者保護という観点で、私の事務所内でもいろいろと検討をいたしました。

 その上で、いろいろ検討いたしましても、民間の検定試験は主催者の責任で実施されているものでありまして、検定料の取扱いにつきましては、その適法性を文部科学省として判断するものではなくて、基本的には主催者である日本英語検定協会において、法令の趣旨等に基づき適切に判断いただくべきものであると認識をしてございます。

 なお、実用英語検定の検定料の問題につきましては、今年二月に国会で質疑をなされたことにつきましては、先生との御質疑で受けたこと、このことは日本英語検定協会に対してお伝えをいたしております。

 いずれにしましても、文部科学省としては、日本英語検定協会において、受験者に対し丁寧な情報提供を行うなど、適切に対応いただきたいと考えてございます。

谷田川委員 資料五を見ていただきたいんですが、大臣、一般論と言わないで、これは政府広報オンラインに載っているやつなんですよ。これを見れば、消費者契約法の精神に英検協会の規約は違反していると誰もが思うじゃないですか。

 英検協会の受験規約というのを漫画というか挿絵の下に書きましたけれども、台風や大雪等の天変地異や伝染病の流行等により試験を中止する場合があり、これにより発生した一切の損害について、検定料の返金も含め、いかなる責任も負わない、ここまで言っているんですよ。この規約、問題があると思いませんか。いかがですか、若宮大臣。

若宮国務大臣 消費者契約法、これは民事ルールでございまして、最終的には裁判所において、様々な、個別具体的な事案につきましては判断をされるところであろうかと思っております。

 ですから、私どもの立場といたしましては、個別具体的な事案についての答弁は差し控えさせていただければと思っております。

谷田川委員 非常に残念な答弁です。やはり消費者庁の役割を十分わきまえて積極的な発信をしていただきたいというふうに思うんですが、非常に残念です。

 そこで、末松大臣、私は、文科省が後援しなければ、確かに民民の契約でいいと思うんですよ、民民に任せて。文科省が後援しているじゃないですか。だから、文科省がお墨つきを与えたと思われていますよ、一般国民に。そんなのでいいんですか。

 それで、資料六を見てください。ここに書いてあるように、文科省が後援するに当たっては、いろんな手続、条件をずっと書いてあるわけですよ。

 まず、ちょっと時間がないので、許可等の申請の第四条の四、主催者等の寄附行為、定款又は会則等々に関する書類を提出させるわけですよ。当然、これは文科省が審査するはずですよ。

 あの英検協会の規約というのは消費者契約法の精神に違反しているわけだから、規約を改めてもらわないと困るという指導を大臣は英検協会にすることができるんですよ。この間の質問のとき、私はこの文部省要領というのがあるのを知らなかった。だけれども、これを見ると、後援する以上は指揮監督できるとはっきり書いてあるわけですよ。

 だから、大臣、頭をひねる必要は全くない。大臣の職責を全うしていただければ、英検協会に対して規約を見直せと言えるんですよ。大臣、いかがですか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 資料を先生からいただきまして、もう一度改めて拝見をいたしました。

 先生、先ほど申し上げましたとおり、文部科学省としては、今回の日本英語検定協会の対応が文部科学省名義等取扱要領に反しているとは、即そういうふうな判断をいたしてございません。このため、御指摘のような、規約を見直すよう協会に対して今是正勧告を行うことはちょっと考えられないところなんです。

 同時に、今、先生、裁判になっておりますので、これ自体が。ですから、最終的には裁判の場においてまずその是非を判断されてから、どういう対応かということは考えられる余地はあるかと思うんですけれども、今裁判中でありますから、先生からいろいろと、こうしてはどうかという御提案はあったんですけれども、直接何かアクションをするというのは、これは裁判中、上告中と聞いていますので、難しい面があると判断をいたしました。

谷田川委員 なぜ裁判になったか、私、その原告の方とも電話で話をしました。末松大臣の御地元に住んでいる方ですよ。

 それで、僅か八千数百円の受検料なんですよ。英検協会の対応が余りにも悪過ぎる、ふざけるなと言いたくなるような対応だったので、たかが八千幾らで裁判するだけの価値はないと思ったけれども、やはり義憤に駆られてやったんですよ、その方は。ただ、やはり弁護士をつけると費用が大変なので、単独でやったんですよ。だから、簡易裁判所でまず敗訴して、二審で敗訴して、今上告しているそうです。今度は弁護士をつけるそうですが。

 消費者庁、ちょっと聞いておいていただきたいんですけれども、こういう裁判は、やはり弁護士とかをつけないと、なかなか裁判所もうまく扱ってくれないんですよ。まず、その段階で弁護士がついていないと、裁判官は、ああ、この準備じゃ駄目だなといって、なかなか勝訴する可能性は少ないそうです、いろいろ聞いてみると。ですから、そういった方々をしっかり守るのが消費者庁の役割なんだということを改めて認識していただきたいと思っています。

 それで、今日は、公益財団法人を管轄する内閣府の担当大臣である山際大臣においでいただきましたので、資料七を見ていただければ分かると思うんですけれども、役員報酬、平成二十四年と二十八年、大幅に引き上げているんですよ。私、びっくりしました。このときは、英検協会、赤字を出しているんですよね。それにもかかわらず、こういう役員報酬を引き上げている。

 それと、公益法人には収支相償の原則というのがあるんですね、ちょっと難しい言葉ですけれども。それは、ちょっと飛んで申し訳ありませんが、資料五の一番下のBというところ、収支相償の概要というところを見ていただきたいんですが、読み上げますと、公益目的事業は、不特定多数の者の利益の増進に寄与すべきものであるから、これに充てるべき財源を最大限活用し、無対価又は低廉な対価を設定し、受益の範囲を可能な限り拡大することが求められている、そう書いてあるんですよ。末松大臣もしっかり聞いていただいて、ありがとうございます。

 ということは、それで資料の七をもう一度見ていただきたいんですが、確かに、これは内閣府が指摘したかどうか分からぬけれども、今年度から英検の受検料は値下がりされているんですよ。値下がりされる余裕があるのであれば、先ほどの受検料なんかは受けない人に返金していいんじゃないか、その余裕があると私は思うんですけれども、いずれにしましても、公益財団法人を管轄する山際大臣として、見解をおっしゃっていただきたいと思います。

山際国務大臣 これは、日本英語検定協会ですか、ここが検定料というものを決めていますし、また、役員報酬に関しても、ここで適正な手続をして決めているものだというふうに承知しております。その範囲の中で、様々な工夫をやりながらこのような料金設定になっているもの、御説明いただいた資料からは、そのようにしか読み取れないと思います。

谷田川委員 もう少し山際大臣は情がある方だと思ったんですが、もう一回聞きます。

 公益財団法人なんだから、受検料を払って、それが英検協会の判断で、コロナウイルスが蔓延してできなくなった、それで返金しない、これが公益財団法人の対応かよというネットの声がたくさんあるんですよ。だから、その意味で、公益財団法人を管轄する担当大臣はどう思うか、そう聞いているんです。もう一度、答弁をお願いします。

山際国務大臣 多少繰り返しになるかもしれませんが、もちろん、公益の法人でございますから、公益に資することをやっていただかなくては困ります。そういう視点で、我々はきちんと法人を見なくてはいけないと思っております。

 先生がこれまで御紹介いただいたような事例において、適正に対処してきたものなんでしょうが、もう少し、言ってみれば血の通ったといいましょうか、消費者の側に寄った対応をすべきではないか、このような御議論があるということは日本英語検定協会の方にも伝わっているというふうに承知しておりますから、それをもって、しっかりと、消費者に寄り添った形で、どうすればいいかということは考えていっていただかなくてはいけないと思いますが、現段階において、それが適正ではなかった、そのように言えるところまではないだろうと。

 どうしても、我々、行政の側の立場ですから、その域を超えた答弁は難しいと御理解いただければと思います。

谷田川委員 今日は、この英検協会の問題について三人の大臣から答弁いただきましたけれども、もうちょっと自分の存在感を示して、やれと英検協会に言ってほしいんですよ。世論は拍手しますよ、間違いなく。何か政治主導という言葉がずっとはやってきたけれども、こういうときほど政治主導を発揮すべきだと私は一言言っておきたいと思います。

 それでは、最後に、昨年の衆議院選挙の日程について伺います。

 資料の八なんですね。韓国、アメリカ、イギリス、日本の投票率をざあっとグラフにしてみました。というか、これは国会図書館が作っていただきまして、本当に助かりました。

 韓国の大統領選、この間も七七・一%なんですね。びっくりしました。このところ、日本の投票率、二〇一二年から衆議院選挙、六割を割っているんですよ。いろいろ理由はあると思うんですけれども、過去の衆議院選挙、この四回は、余りにも選挙期日の決定が遅いことが、私、一つの要因として挙げられると思うんですが、政府としてそういう認識をお持ちでしょうか。金子大臣、答弁をお願いします。

金子(恭)国務大臣 谷田川委員から御意見をいただきましたが、投票率については、例えば天候とか選挙の争点など様々な事情が総合的に影響するため、上下する要因を一概に申し上げることは困難であります。過去の国政選挙についても、選挙期日の閣議決定日から選挙期日までの長短と投票率との関係は確認はできず、選挙期日の決定時期と投票率の関係についてお答えすることは難しいと考えております。

 一方で、投票率が低下傾向にあることは残念に思っております。期日前投票所、移動期日前投票所や共通投票所の設置、移動支援の推進などにこれまでも取り組んでまいりました。今後とも、有権者の投票環境を向上させるこれらの取組を更に推進していく必要があると考えております。

谷田川委員 それでは、資料九のAを見ていただきたいんですが、昨年の衆議院選挙というのは、確かに解散はしましたけれども、ほぼ、任期満了を過ぎて選挙が行われましたので、事実上の任期満了選挙ですよ。

 任期満了選挙というのは、戦後一度しかないんです。昭和五十一年の三木内閣のときなんですね。実は、三木武夫さんも、昭和五十一年の九月の段階で解散をしかけようとしたんですね。しかし、あのときは十五人の閣僚が解散反対だということで、三木さんは解散を断念したんです。ですから、よく政府の方が解散は総理の専権事項とおっしゃるけれども、そんなことないんですよ。そういう事実関係もあるんですよ。

 今日は、岡本副大臣が顔を合わせたのであえて申し上げるけれども、今、公明党の閣僚の方がいらっしゃるから、公明党が絶対反対だと言えば、総理はその閣僚を首切らなきゃいけないですよね。だけれども、それをやったら自公連立政権は終わりですから、だから、絶対これは、絶対という言葉は使わないけれども、なかなか、総理の専権事項という表現はおかしいんですよ。ですから、是非政府、閣僚の皆さんも、総理の専権事項という言葉は使わないでいただきたい。強いて言うなら内閣の専権事項ですよ。

 それで、五十一年の任期満了選挙の際には、当時の天野自治大臣が十一月二日に三木総理に会って、十二月五日の投票日の任期満了選挙を進言したという報道がありました。

 昨年の衆議院選挙に対して、当時の菅総理に対して、総務大臣若しくは総務省の幹部は任期満了選挙を進言したか、お答えいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのことについて、進言したといった事実はございません。

谷田川委員 分かりました。

 菅総理はあの時点で、任期満了選挙にするか解散するか迷っていらっしゃったと思いますけれども、だけれども、やはり法律の規定、ここにあるように、公職選挙法の第三十一条に、衆議院議員の任期満了による総選挙は、議員の任期が終わる日の前三十日以内に行うという規定があるわけですよ。ですから、その直前の段階で、任期満了にするかしないかというのは、やはり総務省のしかるべき方が総理に進言すべきであったと私は指摘しておきたいと思います。法律を守るのはやはり総務省の役割だと思いますので。

 それで、資料九の、公職選挙法三十一条の二項に、前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会の閉会の日から二十四日以後三十日以内に行うという規定があるわけですよ。

 昨年の衆議院解散は十月十四日でしたよ。そうすると、解散の日を会期末とみなせば、二十四日以後三十日以内の選挙ということであれば、日曜日の投票日ということであれば、十一月七日となるんですよ。私は、このことから、やはり十月三十一日の投票日というのは公職選挙法の考え方に反しているんじゃないかな、そう思うんですが、見解を伺います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 衆議院総選挙の期日を定めた公職選挙法第三十一条におきましては、今ほど御紹介いただきましたとおり、まず、任期満了総選挙について、第一項において、議員の任期が終わる日の前三十日以内に行う旨を規定しつつ、第二項において、第一項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合には、国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う旨が規定されております。

 一方、解散総選挙につきましては、同条第三項におきまして、日本国憲法第五十四条と同様、解散の日から四十日以内に行う旨を規定しておりまして、任期満了総選挙の場合における第二項のような規定は設けられておりません。

 このように、任期満了総選挙と解散総選挙を行うべき期日は規定が異なっているものと承知をしているところでございます。

谷田川委員 それはそうなんですよ。

 私、なぜこれを指摘するかというと、当初、新聞報道は与党国対筋の話として、十一月七日若しくは十一月十四日投票日というのが大々的に出ていたんですよね。それで、いきなり、岸田総理が首班指名されるその日の朝に、新聞報道で十月三十一日投票日というのが報道されて、各地方選挙管理委員会は大混乱でした。いやあ、大変でしたよ。選挙の立候補説明会、いつからやれるのか、それさえ決まらない。もう大変な思いを皆さんはされたんですね。ですから、やはり選挙の期日をできるだけ早く決める、非常にこれは大切だと思うんです。

 金子大臣、来年、統一地方選挙ですよ。恐らく今年いっぱいに来年の統一地方選挙の日程を決める法案を多分出すでしょう、毎回やっているから。そうすると、毎回、統一地方選挙はもう四か月前に分かるんですよね。そうすれば、地方選挙管理委員会もしっかり準備できるんですよ。

 そこで、大臣、昨年の衆議院選挙は地方選挙管理委員会に大変迷惑をかけてしまった、そういう思いがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 委員もお触れいただいたように、昨年の衆議院総選挙につきましては、十月に衆議院議員の任期満了を迎えることになっていたことから、各選挙管理委員会においては、事前に必要な準備を進めていただいたものと承知をしております。

 また、十月四日に総理から、具体的な選挙に関する日程として、十月十四日解散、十九日公示、三十一日総選挙の表明があり、総務省としても各選挙管理委員会に対し、管理執行上の留意点等について速やかに通知をし、総選挙の準備を更に進めるよう周知したところでございます。各選挙管理委員会において、これらも踏まえ準備を進めていただいたものと考えております。

原口委員長 谷田川元君、時間が来ております。

谷田川委員 はい。

 もう少し地方選挙管理委員会に寄り添ってもらいたいということを要望いたします。

 今日は、鈴木財務大臣に予備費の関係で所信を是非聞きたかったんですが、時間がないので、またの機会にお願いしたいと思います。

 では、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどワクチンの話がありましたので、私も一つ伺いたいと思っています。

 自衛隊の皆様には、大規模接種会場を運営をしていただいておりまして、ここには、派遣の看護師さんだとか、その他民間に委託しているような業務もあるというふうに思っているんですけれども、まず、そこについて、ワクチンの話も、金額の妥当性というのがありましたが、この派遣の看護師さんであるとか、あるいは運営の委託業務の派遣に関する費用というものがあると思いますので、民間の同種のものと比べてどのような数字になっていて、妥当性をどういうふうに評価しているかということをまず最初にお伺いしたいんですけれども、防衛大臣、よろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 昨年、防衛省・自衛隊において運営した大規模接種会場の運営に関しましては、東京会場、大阪会場とも、複数の業者から見積りを取った上で契約を実施しております。

 また、看護師派遣の契約につきましては、一般競争入札を実施し、競争性を確保した上で契約を行っております。

 これらの処置により、適正な価格で契約を実施しているものというふうに考えているところでございます。

篠原(豪)委員 民間と比べて安いか高いかということを、どういうふうに評価しているかということだけ、もう一度お願いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の契約につきましては、看護師派遣につきましては先ほどお答えいたしましたが、一般競争入札を実施して、競争性を確保した上で、民間と同等程度のものというふうに考えております。

 また、運営の関係につきましては、防衛省といたしまして、企業が公表しております販売促進のための情報、報道、新聞報道、自治体の契約情報といった公開の情報を基に、可能な限りで調査を行った結果、大手旅行代理社が、自治体と契約を保有し、必要なサービスを提供できることは確認したため、複数の大手代理店に見積りを依頼し、その複数の見積りから、まずは、履行能力の有無、履行能力を有している企業の見積りから最も低価格の企業を選定することにより、適正な価格の契約に努めたところでございます。

篠原(豪)委員 適正な民間での価格と、そういうところを使ってやっているので問題ないという発言だと思います。

 それで、厚労省さんに聞きたいんですけれども、モデルナのワクチンを使っています。先ほどの谷田川さんの質疑のときにもありましたけれども、このモデルナの価格というのも公表されていないということだと思います。

 日本は、アストラゼネカとモデルナとファイザー、全部これは秘密保持契約を結んでいるんですか。それと、ほかの外国は、全部こうやって、結んでいる国があるかどうかというのは、どのように把握しているのか。これは日本から言ったんじゃないかというのがさっきもありましたけれども、その辺のところを教えていただいてよろしいですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 日本政府としては、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社、いずれとも秘密保持契約は結んでいるところでございます。また、各国も同様な対応を行っていると我々としては理解しております。

篠原(豪)委員 公表を、各国というのは、していない国もあるわけですよね。その違いは何、どうして日本はそれをしているんですか、していない国もある中で。

佐原政府参考人 各国の事情につきましては、我々としては承知をしておりません。日本と各社との関係で、日本は秘密保持契約を結んでおります。

篠原(豪)委員 厚労省さんには、後でいいので、結んでいる国と結んでいない国と、先進国だけでもいいので、何か国か、それを後で書類で提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。理事会に提出していただけるようにお願いしますね。

佐原政府参考人 秘密保持契約を結んでいるかどうかにつきまして、各国の状況を十分把握できておりませんけれども、それはなるべくお答えできるように努めたいと思います。

篠原(豪)委員 委員長、これは透明性が大事なので、谷田川先生のも含めて、私の質問についても理事会で協議していただいて、しっかり出していただくようにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

原口委員長 理事会で協議いたします。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 令和二年度の自衛隊の災害派遣について少しお伺いしたいと思います。

 この決算に関わっているものですが、令和二年の七月に豪雨の災害派遣がありまして、このときは本当に大変だったと思いますが、御苦労は、本当にそこの災害に派遣される自衛隊の皆さんの活躍には非常に頭が下がる思いですけれども、このときに、即応予備自衛官及び看護師資格を持つ予備自衛官の方々も招集されたと聞いています。

 この充足率については、これまでも議論があったかもしれませんが、令和元年度では、即応予備自衛官が五三・四%、予備自衛官が陸海空合計で七一・八%といった程度になっておりまして、この充足率の向上に向けて、これはやはり安全保障委員会でも話題になることもありますけれども、改めて取組についてお伺いしたいと思います。というのは、即応予備自衛官は充足率が低下傾向で、予備自衛官は持ち直しの傾向があるということも聞いていますので、こういった傾向とその取組についての評価ということも、防衛大臣、お伺いさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 お答えいたします。

 まず、着座のまま答弁させていただくことにつきまして御配慮いただきましたことに、委員長を始め理事の皆様に感謝申し上げます。

 その上で、予備自衛官、今お話がありましたけれども、充足率については、予備自衛官がおおむね七割程度、即応予備自衛官がおおむね五割程度で推移しているところでございます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が非常に急速に厳しさを増す中で、いざというときに自衛官とともに任務に就く予備自衛官等の充足の向上は極めて重要な課題であります。

 このような認識の下で、予備自衛官等の充足の向上を図るため、これまでに、例えば、予備自衛官等の募集の観点から、退職する自衛官に対する予備自衛官等の制度に関する説明及び志願の働きかけの実施、従来、即応予備自衛官は自衛官経験者のみを対象としたところ、令和二年度から、自衛官経験のない予備自衛官を所定の訓練を経て即応予備自衛官に任用すること、予備自衛官として訓練への出頭と生業の両立を円滑にするという観点から、予備自衛官とか、訓練等に出頭することに対するいわゆる雇用主からの理解、協力の確保に資する給付金の制度の導入といった様々な取組を行ってきたところであります。

 引き続き、予備自衛官等の充足の向上に資する施策について不断に検討してまいりたいと考えます。

篠原(豪)委員 昨今は、災害も大規模にどんどんなってきていて、即応予備自衛官とか予備自衛官の方々の役割も決して小さくないので、是非しっかりと御対応いただいて、備えていただければと思います。

 次に、イージスシステム搭載艦の建造問題についてお伺いします。

 政府は、これまでイージス・アショアを導入を予定していましたけれども、これを断念をして、二〇二〇年の十二月に、同様の装備を活用したイージスシステム搭載艦の二隻の建造を閣議決定しています。

 結局、閣議決定しているんですが、その後、搭載艦の役割や機能をミサイル防衛に限定するかなどで意見がまとまっていないということが言われていまして、この二二年度の予算にもその建造費が計上されておりません。

 二〇一七年の北朝鮮によるミサイルの連続発射の脅威に対抗するために急遽導入が決定されたこのイージス・アショアでしたけれども、その実戦配備に五年はかかると言っていて、これも極めて不可解な話だったというふうに思いますが、その代替策が今また五里霧中になっているというのはなぜなのか、御説明いただければと思います。

岸国務大臣 委員御存じのとおり、一般的に防衛装備品の導入には五年若しくはそれ以上の年月を要することは珍しくない中で、イージス・アショアについては、北朝鮮の核・ミサイル開発が我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっておりましたので、できる限り早期に配備するべく尽力をしておりました。

 イージスシステム搭載艦の役割、機能については、BMDを基本任務とし、巡航ミサイル等の多様化、複雑化する経空脅威への対応を可能にする防空機能、いわゆるIAMD機能を付加する方向で決定をしておりました。その細部を鋭意検討しているところであります。

 スケジュールについては、通常の大型艦艇の取得プロセスによる場合と比較してより早く就役できるように、私からも関係部署に指示をしているところであります。現在、その指示に基づき関係部署が作業に取り組んでおり、防衛省として、早期に同艦が就役できるように鋭意努めているところでございます。

 その上で、同艦については、経空脅威が多様化、複雑化している現下の厳しい安全保障環境に対応できるアセットとなるように、幅広い項目について防衛省全体で検討しているところであります。

 委員おっしゃるような五里霧中という状態ではないと考えております。

篠原(豪)委員 五里霧中かどうかというのは、ちゃんと造っていただいてしっかりやっていただければと思いますけれども、そういうふうに言う方々もいらっしゃいますので、ちゃんと我が国の防衛に、我々も、しっかり守るというのは当たり前だと思っていますし、そのことについて異論は全くないので、是非その点をしっかりとこれからも進めていただきたいと思います。

 F15の改修については、また時間のあるときに質疑させていただけますと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、少子化について質問をしていきたいと思います。

 二一年の出生数は、コロナの影響もあると思いますが、過去最少の八十四万人ということになりました。この減が続けば、これは二〇二〇年対比ですが、二〇二五年には有配偶者出生率が一三%減、七十三万人に減っていくと言われております。やはり、ここはしっかりと政治の力で、産み育てやすいと思える社会をつくっていくことが必要だと思います。

 そこで、産後ケア事業について御質問をしていきます。

 今回、この令和四年度から産後ケアの予算が拡充になりましたが、一体どんな議論があってこの予算の拡充の答えになったのか、お聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

橋本政府参考人 令和三年度まで、産後ケア事業を実施する市町村に対する国庫補助につきましては、人口規模別に一自治体当たりの補助単価というものを設定しておりました。

 したがいまして、実施箇所数とか宿泊利用とか二十四時間の受入れ体制、こういったことについて十分な評価ができておりませんでしたので、補助内容の充実を求める様々な御要望をいただいたところでございます。

 このため、令和四年度予算におきましては、一か所当たりごとに、そしてまた、かつ実施事業類型ごとの補助単価に設定いたしますとともに、二十四時間三百六十五日の受入れを行う施設への加算の創設などを行いまして、各市町村、事業所の実施の実態に応じましたきめ細やかな支援ができるように見直しを行ったところでございます。

一谷委員 御説明ありがとうございます。

 今の予算の拡充、二十四時間体制であるとか、自治体ではなく一事業所に対しての補助が出るということで、これでこの産後ケア事業が経営がうまくいくというふうに思っておられるかどうかをお聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 先ほど申し上げました令和四年度からの国庫補助の拡充によりまして、市町村から産後ケア事業者に対する委託費につきましても、事業の実施実態に応じましてきめ細かく設定するということが可能になりますので、事業者が安心して事業を実施できるよう、一定の改善が図られるものというふうには考えております。

一谷委員 私も、介護事業を実は二十年間やってきて、経営者としての目線で、いろいろな産後ケアの事業所を回ってまいりました。

 その中で、これは関西の産後ケアの事業所ですが、利用者数が六百を超え、そして次の利用者も五十人を超えていると。産後ケアをされる事業所にしてはかなりの規模でやっておられる。その事業所でさえ、当初、もう四年前は約数千万の赤字、物すごく事業を切り詰めて切り詰めて改善をして、やっと数百万の赤字になったという話でした。

 しかも、この事業所は、何と元々あった産婦人科の病棟を移し、空いた病棟を産後ケアセンターにしていると。ということは、地代家賃もかかっていない状態でこの赤字だということなんですね。これではとても産後ケアが広がっていくとは思えません。

 私は御質問したいんですが、まず、この産後ケアを事業として黒字化していく、黒字化している事業所を把握しているのかどうか、お聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 厚生労働省におきまして、産後ケア事業を実施している個別の事業者の経営状態について把握したことはございません。

 一方で、産後ケア事業の運営実態の把握というのは、委員御指摘のとおり、大事なことでございますので、令和四年度の補助の拡充を踏まえつつ、産後ケア事業者や関係団体からもよくお話を聞かせていただいて、事業者が安心して事業に取り組むことができるよう、丁寧に事業の取組を進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 やはり、この産後ケア事業を広げていくという意識があれば、黒字化している事業の、どんなことで、どういうふうな経営で黒字化しているかということをしっかり調べていただいて、これは厚生労働省の得意分野だと思いますが、チャンピオンデータを集めて、それを横展開して、ほかの事業所にまねをしていっていただく、そういったことをして事業拡大に力を注いでいただきたいと思いますし、ほとんどの事業所が、これは単体ではもう黒字化しないというような思いがあります。併設して何とか。そこをやはり単体で黒字化しなければ、私はこの産後ケアは広がっていかないのではないかと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 では、質問を少し変えさせていただきまして、今度は、この産後ケアの対象者なんですけれども、まず、産後に心身の不調又は育児不安等がある者、そして、この最初の、他に支援が必要と認められる者ですね。

 ですから、心身に不調があったり育児に不安がある、又は特に支援が必要と認められる者と、少し解釈の違いが生まれてくるということが多々あり、私も多くの産後ケアセンターを回ってみると、やはり市区町村によってまちまちだ、特に行政区域をまたがりそうなところでは、ここの自治体ではいいけれども、ここの自治体では駄目だというようなことが多くあるというところで、これについて行政の方はどういうふうなお考えを持っているのか、お聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 産後ケア事業の国庫補助事業を行うに当たりましては、産後に心身の不調又は育児不安がある者、その他特に支援が必要と認められる者をなるべく幅広く対象とするようにいたしております。

 その上で、それぞれの自治体におきましては、地域におけるニーズですとかあるいは社会資源の状況などを踏まえつつ、必要な人に適切な産後ケアを行うことができるように、いろいろ工夫しながら実施されているものというふうに認識しております。

 厚生労働省としては、各自治体の状況や課題を把握しつつ、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制の構築に取り組みたいと考えております。

一谷委員 やはり属人化してしまっていて、また窓口の担当も入れ替わっていくというところで、なかなか受けられなくて、そして、本当にうつ状態がかなり深刻化してから産後ケアのところに来られるという実態も多いとお聞きしております。また、産後ケアの、受けるセンターも、余りに深刻なうつ状態になってしまったり、また余りに深刻な家庭状況では、今度、受け切れないという声を多く聞いておりますので、ここは均一化を、非常に難しい問題とは思うんですが、各自治体も人手が足らないところを本当に一生懸命やっていただいていることは重々把握をしておるんですが、少子化対策のために、また、お母さん、お子さんのために、お父さんもですが、平均化していただけたらと思います。

 そこで、私は、提案なんですが、全ての母親、これは父親も含めて、スウェーデンのように、産前産後から、これも皆保険で、スウェーデンでは一〇〇%利用されるそうなんですが、全てのお母さん方、お父さん方が受けられる対象にしてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 産婦の方々の状況は様々でございますので、必ずしも産婦の方全員が産後ケア事業の利用を御希望されるというわけではないと思いますので、それに対応した費用の試算というのは行っているわけではございませんが、先ほども申し上げましたとおり、産後ケア事業につきましては、出産後一年以内の母子に対して、地域のニーズあるいは社会資源の状況などを踏まえて、各自治体において適切に実施しているというふうに思っております。

 国庫補助の方は、先ほど申し上げたとおり、幅広く対象とすることができるように行っておりますので、各自治体におきましても、できるだけ柔軟に運用していただきたいというふうに思います。

 なお、産婦への支援と申しますのは、この産後ケア事業のほかにも、産婦健診ですとかあるいは新生児訪問など様々な支援を実施しておりますので、こういった事業なども含めて、必要な方に必要な支援が届くように努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 今御答弁がありましたとおり、全ての方が産後ケア事業を受けられるというわけではないと思うんですね。ですから、いろいろな制度、複雑化していくと、やはり窓口もややこしくなりますし、お母さん、お父さんも迷いますので、一度これは試算をしていただけたらなと思うんです、アンケートも取っていただいて。それで、全ての方が産後ケアを安心して受けられる、できれば産前産後から受けられるというような日本の状況になっていけばなというふうに思っております。

 一つすごくいい事例がありまして、これは世田谷区ですけれども、母子手帳にクーポンがついている。そのクーポンの金額は一万円なんですけれども、実は、この一万円のクーポンをいろいろなサービスに使える。例えば、掃除をしてほしかったら掃除の方が来てくださったり、赤ちゃんをだっこしながら、私も実は息子をだっこしているときにぎっくり腰になりましたけれども、腰痛の治療をしていただける。様々なサービスを受けられるというクーポンがあるとお聞きしております。

 私は、産後ケアを産業化する意味でも、こういったクーポンを国が支援していくのはどうかなと考えますが、御意見をよろしくお願いをいたします。

橋本政府参考人 妊産婦の方々あるいは子育て家庭に対しましては、各都道府県、市町村において、地域の実情に応じて、妊産婦などのニーズを踏まえた創意工夫の取組が進められているというふうに承知しておりまして、その中には、委員御指摘のようなクーポンのようなやり方を取られているところもあるかと思います。

 子育てを行う保護者や妊産婦等に対する家事支援につきましては、令和二年度予算より、多胎児を育児する妊産婦に対しまして育児サポーターを派遣する事業というものを実施しております。また、令和三年度補正予算からでございますけれども、市区町村の訪問支援員が、家庭を訪問し、家庭が抱える不安や悩みを傾聴するとともに、家事、育児等の支援を実施する、子育て世帯訪問支援臨時特例事業というものを創設しまして、安心こども基金を活用して、令和五年度末まで実施することといたしております。

 私ども、現在、国会の方に児童福祉法の改正法案を提出しておりますけれども、これを成立させていただければ、令和六年度以降は、子育て世帯訪問支援事業という、法律に定められた事業として、よりしっかりとした形で推進されることとなります。

 私どもとしましては、こういった様々な事業を活用しまして切れ目のない支援ができるように、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今の回答をいただきまして、少し、これはやり取りをしていない質問で申し訳ないんですが、その際の人員確保、拡充していかれたときの人員確保なんかをどうされるのか、もし御意見があればいただけるとありがたい。これはお話ししていないので、ちょっと難しいかも分からないんですが、もしあれば、拡充していく場合の人員ですね。

橋本政府参考人 こういった事業を進めていく上で、人材の確保ということが最も重要なことであり、最も重要な課題でもございます。

 先ほど申しましたような訪問系の事業につきまして、現在一部の自治体の方で取り組まれているものを、それを全国展開しようというふうな形で制度化するものでございますが、そういった過程の中でしっかりと人材の育成ということも並行して進められるよう、取組を進めていきたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。突然の御質問に御回答いただきまして、ありがとうございます。

 実は、こういった産後の事業を民間の株式会社でやっていこうというところもありまして、これは大阪なんですが、ビ・マインドの間宮さんという方が、質問をいただいたんですが、やはり、人材の育成であったりとか、サービスを拡充していくときの人材確保、こういったところにも非常に問題があるというふうなことをお聞きしていますので、やはり、制度ができてしまっても、そこに従事してくださる方がいないということになれば実際に効果が出せませんので、人材育成もお願いできたらと思います。

 私は、できるだけやはり産業化していくことが、この産後ケアも広がっていく要因になると思うんですが、令和二年度にどれぐらいの事業所がどれぐらいの産後ケアをしているかというデータは、いろいろ出ておりました、八十ページぐらいあったのを見させていただいたんですけれども。

 じゃ、その産後ケアを行うことによってどんな効果があったか、また、どんなサービスを追加すれば、よりよい、お母さんのうつであるとか子供の成長がいいように促されるとかというような科学的なデータは見られなかったんですけれども、できれば、そういったデータを、大学や研究所と一緒にやることによって産業化し、これから少子化を迎えていくようなほかの国にも、これはサービスとして出せるのではないかと思うんですが、その辺りのお考えをお聞かせください。

橋本政府参考人 産後ケア事業の国庫補助に際しましては、各年度の事業終了後に、事業の実施期間、あるいは支援内容、利用人数等の利用実績、こういった様々なことについて報告を求めておりますので、こうした実績を基に政策効果などを検証しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、市町村はもちろんでございますけれども、各事業の事業者あるいは関係団体からいろいろな形でのお話をよく聞かせていただきまして、安心して事業に取り組むことができるように丁寧に事業を進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 できるだけ産業化することによって広がると思いますので、ここはしっかりやっていきたいと思っております。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 二か月目に、生まれて二か月の赤ちゃん、お母さんに対して、お父さんもですが、こんにちは赤ちゃん訪問事業というのを国が実施しているというふうにお聞きしています。ただ、その次の産後ケアは自治体が行うんですが、この連携ですね、二か月目で訪問に行ったときに、もし、お母さんに何か問題があるな、お子さんに何か問題があるなとなったときに、うまくつながっているのかというような御質問を地域から受けてきましたので、御質問させてください。お願いします。

橋本政府参考人 今委員が御指摘いただきました事業、乳児家庭全戸訪問事業というふうに呼んでおります。この事業は、生後四か月までの乳児のいる全ての家庭を訪問しまして、子育て支援に関する情報提供や養育環境等の把握を行うなど、乳児のいる家庭と地域社会をつなぐ最初の機会とすることによりまして、乳児家庭の孤立化を防ぐということを目的とする事業でございます。

 それで、市町村の方では、この乳児家庭全戸訪問事業にて訪問した結果を踏まえまして、これは支援が必要だというふうに判断されるような家庭につきましては、適宜、市町村における母子保健担当者や児童福祉担当者など関係者によるケース会議を行い、そして、養育が適切に行われるように、保健師等が家庭に訪問する養育支援訪問事業というのがございますが、こちらを始めとする適切なサービスにつなげるというふうなこととされております。

 それから、そういった御家庭の中でも特に支援が必要とされるような御家庭については、要対協というふうに呼んでおりますが、要保護児童対策地域協議会というのがございます、こちらにおきまして必要な支援内容について協議されることとなっておりまして、乳児家庭全戸訪問事業により把握した支援が必要な家庭については、児童相談所も含む関係機関に情報が共有されて、それを通じて適切な支援が行われる、こういった仕組みになってございます。

一谷委員 ありがとうございます。よく理解をしました。

 ただ、現場ではやはり不安の声もありますので、周知をもう少し徹底していただけたらと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 産後パパ育休制度というのが、この四月から始まります。従業員数が千名を超える企業では、育児休業などの取得状況を年一回公表しなければならない、しかも、これが義務づけられました。そうなると、私どもの事業所でも男性の育休も取ってもらいましたが、加速するといういい面もありますが、無理やり取ってもらわなければならないような状況にもなってくると思うんですね。

 そこで、ここで問題になってくるのが、今、父親のうつが非常に増えている。約一〇%ほどの方がうつになるそうです。それで、相談窓口はあるんですが、このビ・マインドの間宮さんいわく、男性の育児の悩みと女性の育児の悩みの視点が全く違って、男性の方が窓口相談に行ってもなかなか解決しないという実態があるそうです。

 そこで、東京都は父親ハンドブックとかを作っていただいておるんですけれども、父親がうつ状態になれば、これはイギリスとかアメリカの論文で恐縮なんですけれども、特に男子の子供に対して、言葉が出にくい、又は行動がおかしくなるというふうなデータも出ておりますので、この産後ケアを広める、父親の育休を広めていく中で、男性、父親への支援をどう考えているのかということを最後に御質問させていただけたらと思います。

橋本政府参考人 子供の誕生によりまして、母親がいろいろな形で悩みを持つということはもちろんでございますけれども、委員御指摘のとおり、父親もいろいろなことで悩んでおります。例えば、父親自身の仕事のスタイルだとか、あるいは生活環境が急激に変化する、そういったことによりまして悩みやうつ状態に陥るということもございますので、そういった状態に対応するために父親に対する支援を行うということは大変重要なことというふうに思っております。

 このため、令和三年度からでございますけれども、新たに、子育て経験のある父親や、現在子育て中の父親による交流会等の実施、いわゆるピアサポートというふうに呼ばれているようなものでございます、そういったものですとか、あるいは父親への相談支援などに取り組んでいるところでございまして、私どもとしましては、引き続き、これらの取組を通じて父親への相談支援などを推進してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 私も、今、十二歳の娘と四歳の息子を育てながらこの仕事をさせていただいているんですが、積極的に、このピアサポートですか、参加をさせていただき、いろいろな御意見をまた言わせていただけたらと思います。

 最後なんですが、やはり今、実は私の妹も小児科医ですけれども、産婦人科の先生になったりとか小児科の先生になる方がちょっと少ない。地方では、産婦人科の先生がいないので閉めなければならないという声も聞いております。

 これはお願いなんですけれども、現在の学生、医大生、どれぐらい産婦人科医や小児科医になりたいなと思っておられるようなところのアンケートとかも取っていただいて、やはり、向こう三十年間人口が減るということはもうほぼ決まっておると思うんですね。私、団塊ジュニアですけれども、団塊ジュニア、第三次ベビーブームが起こせませんでしたので。ですので、次の国をつくっていくためにも御尽力いただけたらと思います。

 以上、私からの質問を終わらせていただきます。どうも皆さん、ありがとうございました。

原口委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 おはようございます。日本維新の会の吉田とも代と申します。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症の発生以降、これに対応するという名目で巨額の予備費が計上される事態となっています。本来、予備費というのは、予見し得ない不測の事態に備えるために計上するものであって、この額が極端に膨れ上がれば、それだけ政府の裁量が増すことになってしまいます。

 会計検査院の分析したところによれば、令和元年度から二年度末までにおける新型コロナウイルス感染症防止策の執行率は六五・一%、繰越額が三兆八十四億円、不用額として三千五百八十七億円余りが計上されており、予算が必ずしも十分に使用されていないことが見て取れます。

 そこで、まずお聞きします。

 せっかく予備費を計上したにもかかわらず、そもそも、予算の繰越額や不用額が多額に上がったという会計検査院からの指摘を政府はどのように受け止めているのでしょうか。

鈴木国務大臣 吉田先生御指摘の会計検査院による令和二年度決算検査報告におきましては、新型コロナ対策に関連する各種施策に係る予備費及び補正予算の執行状況等を検査した結果、令和元年度と令和二年度において多額の繰越額と不用額があったとの御指摘を受けたところでございます。

 新型コロナ対策につきましては、感染の影響が不明な中で万全な対応を期すために予備費や補正予算により十分な予算を措置をしたところでございますが、結果として、所管省庁において、感染状況や執行状況等を踏まえ、年度末に繰越しとせず不用と判断されたものが相当程度あった、そのように承知をいたしております。これは、各事業ごとの状況に応じて適切に執行した結果、不用となったものと考えております。

 その上で、財務省といたしましては、予算が効率的そして効果的に執行されることが重要であると考えておりまして、昨年十一月十二日の閣僚懇談会におきまして、私から各大臣に対しまして、予算の厳正かつ効率的な執行と経理の適正な処理に努めるよう要請を行っております。

 引き続きまして、執行を担う各省庁とよく連携をして、事業の状況等を確認しながら、予算の効率的そして効果的な執行を促してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 国民の皆様から頂戴している大切な税金ですので、まず、皆さんが納得できる使い方をしなければいけないと思います。今、鈴木大臣から御答弁いただきましたけれども、各省庁としっかり連携をして、予算編成に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 一般会計予備費から、令和元年度に引き続き、令和二年度も、故中曽根元総理の内閣・自民党合同葬儀に必要な経費の使用決定がなされています。令和二年度は葬儀が延長されたことに伴って計上されたものと承知をしておりますが、九千六百四十三万円余りもの支出に関して、国民の理解を得るのはなかなか難しいのではないかと思います。

 そこで、質問です。

 そもそも、こうした過去の、元総理の葬儀に対して国費を投入することに関し、何らかの基準というものはあるのでしょうか。

松野国務大臣 吉田先生にお答えをさせていただきます。

 故中曽根康弘元総理の合同葬儀につきましては、故人の御功績、過去の合同葬儀の先例等を総合的に勘案をし、閣議決定により、内閣と自由民主党との合同葬儀として執り行い、葬儀のための必要な経費の一部は国費で支弁することとしたものであります。

 こうした考え方は、政府としても、当時の官房長官の記者会見等で説明しており、今後とも必要に応じて説明をしていく考えでございます。

吉田(と)委員 金額の問題ではなくて、まず、国民の皆さんに説明ができるかどうかというのが私は大切だと思っております。今、松野官房長官の方から、過去の先例を基準に総合的に勘案するというお話、御答弁いただきましたけれども、まず、この基準というものを明確にすべきであると私は思います。

 まず、今後、国民の皆様が納得できる使い方、基準を明確にしていただきたいと改めてお願い申し上げたいと思います。

 松野官房長官への質問はここで終わりですので、ありがとうございます。御退出ください。

 では、続きまして、質問させていただきます。

 また、この延期に伴いまして、令和二年度では、令和元年度と比べ、一千万円以上も増額をすることになっておりますが、この理由は何でしょうか。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 故中曽根康弘元総理の合同葬儀の経費につきまして、御指摘のありました、前年度との差があるというところでございますが、延期後の令和二年度は、新型コロナ対策に万全を期すために、より広いスペースの確保が想定されたことなどによりまして、前年度の八千二百七十四万九千円より約一千三百万円増加し、九千六百四十三万一千円の予備費の使用が決定されたところでございます。

 なお、執行に当たりましては、新型コロナウイルス感染症防止対策に万全を期しつつ、参列者数に合わせて会場を縮小するなど、必要最小限の経費での実施に努めたところでございます。

吉田(と)委員 このコロナ禍で、まず、人を集めるということのリスク、ここが私、問題だと思っております。もちろん、功績をたたえるという観点では一定理解をするんですけれども、飲食店も営業時間などを時短して営業したりしていた中で、やはり、そこまでの費用をかけて実施をしなければならなかったのかという疑問点が私は残っておりますので、引き続き、こちらも精査をしながら進めていただきたいと思います。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症への対応策として、コロナ対応の地方創生臨時交付金が創設されています。また、全国知事会や指定都市市長会は、交付金の金額の増額に加えて、この交付金をより柔軟に使用できるようにしてほしい旨の要望を出しております。

 地方創生臨時交付金が果たしてきた役割について、各地域の実情に応じ、感染症対策や地域経済の下支えのため、地方創生臨時交付金は財政面で重要な役割を果たしてきたと考えますが、認識を改めてお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を柔軟に実施できるよう、自由度の高い財源として措置されておりまして、これまで、令和二年度から令和三年度にかけまして、累計約十五・二兆円の予算が措置をされ、各自治体が財政上の不安なく切れ目ない対応ができるよう支援をしてまいったところでございます。

 このうち、地方単独事業分につきましては、これまで、マスク、消毒液の確保など、基本的な感染拡大防止策を行うとともに、感染拡大の影響を受け事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援や、飲食、観光、交通事業者等への支援を行ってきたところでございます。

 これらの事業を通じまして、基本的な感染拡大防止や地域経済の下支えなどに寄与してきたというふうに考えているところでございます。

吉田(と)委員 今御答弁いただきましたように、自治体の長からは、やはり地域の実情に応じた事業を実施できるように、自由度の高い柔軟な制度、そしてまた増額の必要性を訴えておられますので、これからも注意深く、役所としては応えられるように注視していただきたいと思います。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症に関し、緊急包括支援として予備費から経費が使用決定されています。この支援の具体的な内容は、医療現場における病床の確保ということだと思います。

 本来であれば、医療現場において、病床を確保することと、医師や看護師といった医療従事者を確保することの双方があって初めて十分な支援が行われるものだと思いますが、今回の予備費を使用したこの緊急包括支援の内容は、病床の確保ということのみに限られてしまっているのではないでしょうか。

 そのような意味で、医療従事者、つまり人手の確保という観点からの対応が不十分だったのではないかと推察されますが、この点について政府の御所見を伺いたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、新型コロナ患者の病床確保を始め、必要な医療提供体制を確保するためには、人材の確保が重要だと考えております。

 御指摘の病床確保料につきましては、そもそも医療機関における使途を特段限定しておらず、医療人材の確保に必要な人件費を始め、病床確保に必要な経費全般に充当可能としているところでございます。

 さらに、本年一月以降は、その一部を新型コロナに対応する医療従事者の処遇改善に充てることを支給要件とさせていただきまして、人材確保の側面をより明確化したところでございます。

 また、昨年の感染拡大の折に、都道府県の受入れ要請が断られるということがある、こういう御指摘もありましたことから、昨年の十月には、患者を受け入れられない正当な理由等を明確化して書面で締結すること、また、過去の病床逼迫時を含め、正当な理由なく患者を受け入れられなかった場合には、交付された病床確保料の返還あるいは申請の取下げを求めることなどにつきまして、自治体に周知徹底を図ったところでございます。

 引き続き、コロナ患者の確実な受入れと補助金の適正な執行に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 国民の皆様は、このコロナになって、受入れができない病院が多かったのではないかと思っていると思います。その理由としては、やはりニュース等で、ニュースやテレビで人手不足だということが取り上げられておりましたし、医療の受入れ体制というのが整わなかったというのは現実だと思います。

 今の御答弁から、病床の確保とそして人手の確保、これはセットでの支援だという御答弁でしたけれども、人手がない場合は、やはり人手不足の部分に関しては返金をしていただかなければいけないのではないかと考えますので、その点、今後しっかり考慮をしていただきたいと思います。

 では、続きまして、次の質問です。雇用保険財政について伺います。

 令和二年度の新型コロナウイルス対策予備費において、雇用調整助成金の特例措置に充てるため、この予備費の使用が決定されておりますが、そもそも雇用保険は、景気の変動やリーマン・ショックへの対応といった、経済の危機に対応するものが原則かと思います。

 一方で、今回のコロナ禍というのは、経済の危機というよりは、世界規模の自然災害に近い性格のものなのではないでしょうか。そうしたいわば有事とも言えるこのコロナ禍にあって、雇用調整助成金に手当てをするというのは、雇用保険の本来の趣旨にそぐわないのではないかと考えられます。

 平時のいわば経済危機に対応する雇用保険とは別に、災害等の有事に広く対応した雇用対策を考える必要があるのではないかと思いますが、この点について政府の御所見を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 雇用保険制度におきましては、これまでも、阪神・淡路大震災や東日本大震災等の自然災害が雇用に与える影響に対して、雇用調整助成金の特例措置等による対応を行ってきております。

 こうした経緯も踏まえて、今般のコロナ禍における対応としては、緊急事態宣言等により広く休業が行われるに至った状況等に対応するため、雇用調整助成金については、これまでに例のない特例措置を講じ、事業主の雇用の維持を強力に推進してきたところでございます。

 こうした対応については、先般の雇用保険法等の改正に当たりまして、労働政策審議会にその要綱を諮問した際に、公労使一致した意見として、今般のコロナ禍に対応するため、雇用保険制度において講じた様々な特例的な対応について、公労使が参加する労働政策審議会において検証を進め、将来の有事における対応に資する必要があるとの意見が付された上で、おおむね妥当という結論もいただいております。

 厚生労働省としては、こうした御意見も踏まえまして、将来の危機時における対応に資するべく、今後、今般のコロナ禍における対応の検証も進めてまいりたいと思います。

吉田(と)委員 保険という枠組みは、本来、事故に対して支払われるものだと思うんですね。先ほどちょっとお話しさせていただきましたけれども、このコロナというのは、日本全体、さらには世界に蔓延している自然災害のようなものですので、やはりその経済的な損失に対して支払うというのは少し疑義が残りますので、今後検討をしていただきたいと思います。

 続きまして、最後の質問をさせていただきます。

 令和二年度の新型コロナウイルス対策予備費では、持続化給付金の支給に充てるための使用決定もなされています。持続化給付金については、これまで多くの不正受給が発覚しています。経済産業省は、この持続化給付金に引き続いて、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一定の売上高の減少が見られた中小法人向けに、上限額が二百五十万円の事業復活支援金を新たに設けていますが、こうした支援金でも不正受給が生じないとは限りません。

 不正が疑われるような事態に政府としてどのように対処していくのか、伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 持続化給付金でございますけれども、必要な方に迅速に支援をお届けするという観点から、申請手続についても可能な限り簡素な制度としてまいりましたけれども、御指摘のとおり、数多くの不正受給が確認されたことは事実でございます。

 御指摘の事業復活支援金でございますけれども、これまでと同様、電子申請とするなど、申請者の事務負担を考慮し、簡易な申請、迅速な給付と一方で努めておりますけれども、他方で、不正対策としては、過去の経験も踏まえまして、まず、一時支援金や月次支援金と同様に商工会議所などによる申請書類の事前確認を行う、これでかなり防止できている部分があると思います。それから、申請書類において重要事項の記載を強調することや、申請画面上でポップアップを表示することで虚偽申請に対して繰り返し注意喚起をすることなど、不正受給を防止するためのシステムを構築してございます。また、実際の審査に当たりましても、これまでの給付金で得られた不正案件の知見を最大限活用することで適正な給付に努めております。

 このように、事業復活支援金では必要な不正対策を講じており、引き続き、申請者への迅速な給付と不正対策の徹底を通じて適切な執行を図ってまいりたいと思っております。

吉田(と)委員 いつもニュースを見ておりましたら、どうしても、こういう支援金関係に関して、申請の中でしっかり対策を講じていても一定数網の目をくぐって不正をする方々がいて、イタチごっこになりがちです。真に支援金が必要な方々にしっかりお手元に届くように、サポートを引き続きお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、以上で私の質問は終了させていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会の吉良州司です。

 今日は、ウクライナ危機に関連して、これ以上罪のない人々の犠牲を出してはいけない、また、安易に国際世論、国内世論に迎合して、国力が低迷する我が国の国益を損ねてはならない、こういう観点から質問させてもらいます。

 質問に先立って、私自身も、今回のプーチン大統領によるウクライナ侵攻と虐殺など、非人道的蛮行は決して許されない、このような思いを共有していることは確認をした上で、質問をさせてもらいたいと思います。

 今、世界中が、ロシアを国際社会から完全排除しろ、潰してしまえという状況にあります。気持ちは分かりますが、このままの状態が続くと、停戦が遠のき、今申し上げた何の罪もないウクライナの人々の犠牲者が増え続けるばかり、また、避難民が増加し続けるばかりであります。何らかの形で停戦合意に導くためには妥協が必要だと思っています。

 もう一点つけ加えるならば、このままロシアを国際社会から完全排除するということで動いてしまうと、新しい東西冷戦が、それも、私に言わせると、新次元の東西冷戦が始まるというふうに思っています。この新次元の東西冷戦から誰も、国際社会の国も人も利益を得ることはありません。

 そういう意味では、さっき言いましたプーチンの蛮行は決して許されはしないんだけれども、ウクライナの人々の犠牲者をこれ以上増やさないため、そして、将来的な新次元の東西冷戦を深化させないためにも、何らかの妥協をして停戦合意を成立させる必要があると思っています。

 妥協、妥協と言っておりますけれども、これは以前、林大臣とも予算委員会の分科会でも話しましたけれども、国際交渉というのは一〇〇対ゼロというのはあり得ません。相手の立場に立てば、相手の正義なり正論もある。今回の、先ほども、軍事侵攻したプーチン、ロシアは絶対に許せませんけれども、私自身は、軍事侵攻前に軍事侵攻を抑えるその手だてがあったと思っておりますし、二月三日だったか四日の予算委員会においても、また二月十六日、これは軍事侵攻の二月二十四日の前ですけれども、そのことについて林大臣に私は提起もお願いもしております。

 なぜこのように言うのか。資料を御覧いただきたいと思います。表になったやつで、「ロシアのウクライナ侵攻までの米・ロ間の主な動き」という資料であります。

 最初の二〇二一年十二月七日、ロシア側の主張を見ていただきたいと思いますが、NATOが東方に拡大しないよう保証を求めた。

 その下、十五日、米国にNATO不拡大などを柱とした欧州との安全保障に関する提案書を正式に渡した。

 二二年一月二十一日、NATOをこれ以上拡大させないことを法的に要求していることに対するアメリカの回答に期待する。

 一月二十八日、フランス大統領との電話会談ですけれども、米国とNATOの書面回答について基本的なロシアの懸念が考慮されていないと不満を述べた。その後、NATOの拡大停止、その後は言いません。

 二月一日、ウクライナのNATO加盟を認めないよう米国に改めて譲歩を迫った。

 二月十二日、これは米ロ首脳電話会談で、ロシアの安全保障上の懸念をめぐるバイデン大統領の見解に、ロシアの主要な懸念に留意していないと反発、NATOの東方不拡大の確約を拒否した米欧への返答を近く発表すると表明。

 二月十七日、ロシア外務省は、自国の安全保証の要求に対する米国とNATOの書面回答への返答を米国に示し、米国に合意の用意がなければ軍事技術的な措置を余儀なくされると警告。これは、ある意味では最後通牒です。

 私は、資料にもつけていますけれども、さっき言った二月三日予算委員会、二月十六日の予算委員会でも、武力紛争が起こり得るのに、それでもウクライナをNATOに入れる、NATOの東方拡大をする必要があるのか、軍事同盟、安全保障というのはそもそもその国の人たちの命を守ることが目的ではないのか、にもかかわらず、軍事紛争によって犠牲者が出かねないにもかかわらず、NATOの東方拡大、これにゼロ回答するのか、このような問題意識で質問しています。議事録にも残っています。

 一九六二年のキューバ危機、カストロ革命後の、キューバ革命後、当時のソ連が、アメリカの喉元にあるキューバにミサイル基地を建設し、ミサイルを搬入しようとしました。場合によっては核もそうだったかもしれません。当時のケネディ大統領が、自分の喉元にナイフを突きつけられたらたまったものじゃない、第三次世界大戦をある意味で覚悟してでも海上封鎖という措置に踏み切り、何とか危機を回避しました。

 アメリカは海で隔たっているキューバに対してそういう措置を取った。ロシアからしてみると、国境を接する、しかも民族的には全く同根で、ソ連のときには同じ国民としてやっていた兄弟又は一卵性双生児、そのウクライナがNATOに加盟してロシアに対してミサイルを向ける、そのことに対して、それだけは勘弁して、その切実な要求に対してゼロ回答だった。私は、プーチンはこのアメリカが書面でもってゼロ回答だったときに軍事侵攻を腹の中で決めたと思っています。

 私は何が言いたいか。先ほど言いましたように、プーチンが実際しでかしてしまったこの非人道的な蛮行は決して許されない。しかし、それを止める手だてがあった。今起こってしまっている。であれば、このNATO非拡大を含めた妥協を何としても成立させて停戦に持ち込む、このことが重要なのではないかというふうに思っています。

 この議事録を資料として見ていただきたいんですが、いろいろ書いていますが、議事録の四ページ目、最後、十五と書いたところに、「この問題を必ず平和裏に終わらせて、ウクライナの人たちを誰一人犠牲にすることなく、国際経済に」、これは後での質問になりますが、「国際経済に悪影響を及ぼすことのない解決策を日本政府としても積極的に発信していく」、そのことをお願いしたいというふうに申し上げています。その前の段階で、今私が申し上げたような問題意識はるる述べています。

 そこで、まず最初の質問でありますが、一野党議員の提言であり、お願いではありましたけれども、日本政府として、ロシアによる武力侵攻を防ぐ、私の提起も踏まえて、具体的な行動を起こされたのか、そのことについてお聞きしたいと思います。

 一点、言っておきますと、二〇〇六年三月の衆議院予算委員会で当時の共産党の吉井英勝衆議院議員が、後に起こる福島第一原発の事故を、もう全く、完全に予想した質問をしています。悔やまれるのは、そのときに、政府としても、国会としても、一議員の提言であってもそれを真摯に耳を傾けていれば防げたのではないかと私は思っています。共産党に失礼な言い方でありますけれども、当時、政府も、多くの国会議員も、共産党はどうせ反原発、その一環としてこういう主張をしているんだろう、それで聞く耳を持たなかったのではないかと。そういう意味で、私自身は吉井英勝議員に並びようもありませんけれども。

 侵攻前は、ロシアの立場に立てば、またキューバ危機等を考えれば、ロシアの言い分にもそれなりの正論はあった。そういう中で、米国に対して、NATO諸国に対して、日本政府として、軍事侵攻を止めるために、NATO非拡大を含めた何らかの妥協をして軍事侵攻を防ぐ、そのための具体的行動を起こしたのか、このことについてお聞きしたいと思います。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略に至るまでの中で、今委員からもこのクロノロジーを示していただきましたけれども、我が国を含みます国際社会、これは事態の平和的解決に向けたロシアへの働きかけを含めて、懸命な外交努力を重ねてきたところでございます。

 ちょうど、今委員からもお話のありました二月十六日に委員と私との間でやり取りを行った翌日になりますが、日ロ首脳電話会談を行いました。私も陪席をさせていただきましたけれども、岸田総理からプーチン大統領に対して、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉によって関係各国にとって受け入れられるような解決方法を追求すべきである、こうした旨、働きかけを行ったところでございます。また、そのほか様々なレベルで緊張緩和に向けた外交努力を続けてきたところでございます。

 そうした中、今回、ロシアによるウクライナ侵略が発生いたしました。この侵略は、いかなる理由や経緯であっても正当化することはできないと考えております。明白な国際法違反であり、厳しく非難をいたします。国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会が結束して毅然と行動しなければならないと考えております。我が国として、このことを示すべく、断固として行動をしてまいりたいと考えております。

吉良委員 日ロ首脳電話会談でそのようにおっしゃったと。それは、誰でもが、まあ、思いつくと言うと失礼ですけれども、主張していることであります。しかし、日本政府としてやるべきことは、ロシアというよりも、ロシアの主張は明確ですから、本来、米国とNATO主要国に対して、NATOの東方拡大を取り下げろ、こう言うべきではなかったのかと思っています。

 私自身は具体的な停戦合意案を持っていますけれども、今日は時間が限られていますので、そのことはまた改めて申し上げたいと思っていますけれども、ちゃんとホームページでも発信しています。かなり詳しく書いているので、できたら見てください。

 一つ、今日は決算行政監視委員会なので、予備費の検証ということではありませんけれども、今後の予備費の使途ということで、一点だけ提案がございます。

 林大臣がポーランドから帰国される際に、ウクライナ避難民二十人を一緒に連れて帰ってこられました。我が国としてもできる限り避難民を受け入れる、このことが重要だと思っています。引き続いてその努力をお願いしたい。

 その一方で、提案というのは、日本の協力によって、ウクライナからカナダへ、避難民をカナダが受け入れることに対して協力をする。例えばそれは、ポーランドであったり東ヨーロッパからカナダに移送する、その移送のコストを日本が持つ。場合によっては、カナダに行くという人は、一時的な避難だけではなくて、多分、永久移民を考えて行く人も多いと思っています、その最初の初期費用等を日本が負担をするということです。

 突拍子もない考えと思われるかもしれませんけれども、実は、ウクライナは、ウクライナ本国、ロシアに続いて世界で三番目にウクライナ・コミュニティーが大きい国であります。

 私の経験で、今からちょうど三十年前になりますけれども、カナダの会社の人とプロジェクトをやっていた、その人から、吉良、おまえはウクライナをどう思う、ウクライナ・マーケットをどう思う、吉良と私が当時いた日商岩井はどう思うという話をしました。どう言ったかは割愛しますけれども、実は、自分の父親もウクライナ出身なんだ、一九一七年のロシア革命のときに、父は資産家だったので、ロシア革命を逃れてカナダに亡命してきたんだと。

 じゃ、なぜカナダだったのか。御承知のとおり、カナダは、ブリティッシュコロンビアというように、東側がイギリス、フランス語のケベック州はフランスが開拓しましたけれども、カナディアンロッキーのど真ん中、一番寒いところ、過酷な気象条件のところは開拓が進まなかった。最初はイタリア人、スペイン人を募って送り込んだけれども、寒さに耐え切れず撤退。その中で、ウクライナの人たちを、一九六〇年、七〇年、その地域に送り込んだ。今でいえばアルバータ州が中心ですけれども、アルバータ、サスカチュワン、マニトバとか一部だと思います、そこにウクライナの人たちが定住した。ちょうど私が、その九二年当時、マルルーニという首相だったか、ちょっと定かではありませんけれども、その閣僚のうちの四人がウクライナ・ルーツの人たちだ、こういうことでありました。

 私は、日本にも受け入れてもらいたい。しかし、言葉がこれだけ違えば、特に大人になった人たちを迎え入れても、言い方はきついですけれども、ありがた迷惑。日本の社会、言語は余りにも違う。そういう中で、カナダであれば、そういったカナダのコミュニティーが既にあって、文化的にも非常に近しいものがある。そういう意味で、ウクライナの人たちのことを思えば、そうやってカナダが受け入れる。しかも、カナダの今の経済成長の原動力は移民によるものです。インド系、香港系、フィリピン系、いますけれども、移民が経済成長の原動力。

 そのカナダに協力しながら、日本としても、将来的に、私は、日本語教育とウクライナ人の得意なIT教育を、これも日本の支援で出して、将来的には日本へも協力してもらう。こういう考え方でカナダの受入れに対して日本が協力する、このようなアイデアを持っていますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 今後の避難民の方々への支援については、こうした、一国が他国の領土を侵略するという国際社会でまれに見る暴挙が行われる中で、ウクライナが瀕する危機的状況を踏まえた緊急措置として、避難される方々にまずもって安心できる避難生活の場を提供すべく、政府全体として取り組んでいるところでございます。

 今御指摘のありました前回の私の出張時のことでございますが、その中で、日本への避難を切に希望しているものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難なウクライナ避難民の方々に対し、当面、毎週、政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げて、人道的観点から、我が国への渡航支援を行うことにしておるところでございます。

 日本といたしましては、日本への渡航を希望される避難民の方々に対する必要な支援を迅速かつ的確に行うことができるように対応してまいりたいと思っております。

 今、吉良委員からありましたカナダでございます、こうした第三国への避難民の方々への渡航支援は、現段階で何ら決まっていることはないわけでございますが、カナダへの渡航を希望される方々については、基本的には、受入れ国となるカナダ政府により検討がなされるものと理解しております。

 厳しい状況に置かれているウクライナ避難民に対する支援、これは国際社会全体で取り組んでいく課題でございます。私も、先週七日でございますが、メラニー・ジョリー・カナダ外相とも会談をいたしまして、ウクライナ問題への対応を含めて、G7の場等での緊密な連携の進展、これを確認をしたところでございます。

吉良委員 是非、受入れ側というよりも避難民の立場に立った受入れを、カナダへの協力も含めてお願いしたいと思います。

 最後、ちょっと時間が限られてきましたけれども、エネルギー安全保障について簡単に質問したいと思います。

 まず、日本政府として、サハリン1、2、それからアークティックLNG2、この権益を放棄しないという立場について、強く支持します。

 LNGプロジェクトというのは、五年、十年でできるものではありません。下手すると二十年、三十年かかります。プーチン後はプーチンとは限らない、それを考えたときに、日本のエネルギー安全保障、先ほど冒頭に言いましたけれども、国際世論、国内世論に安易に迎合して、日本の国益を損ねることのないようにお願いしたい。そういう中での政府の判断を私は強く支持しております。

 一点、先ほど、ロシアを完全排除するということは世界のためにならない、日本のためにもならないということを言いました。私は、ドイツが気の毒でしようがありません。ドイツ、フランスは、クリミア侵攻後、やはりこういうこともあり得るということでウクライナのNATO加盟に反対をしていた、そういうふうに了解しています。

 ドイツは、ロシアからの天然ガス輸入、八五%程度が長期契約、残りがスポット。そして、その長期契約というのは非常に、今のスポット価格からいけば何分の一、下手すると一桁違うぐらいの安い価格です。そして、それをつい最近、十五年間延長したばかりです。幾らアメリカがドイツに、ロシアに代わってアメリカから供給してやると言ったとしても、それはヘンリーハブ価格です、ほとんどスポット価格です。

 そういう意味で、一方の正義は分かりますけれども、ドイツとしても本当に断腸の思いだったと思います。

 日本としても、いろいろな批判があるでしょうけれども、先ほど言いましたように、このエネルギーの安全保障については、国益第一、そして長期的視野に立って対応をお願いしたいと思っています。

 萩生田大臣、このお願いに対して答弁をお願いします。

萩生田国務大臣 今お話がありましたように、例えばLNGの安定供給については、既に電力、ガス会社が二、三週間程度のLNG在庫を有していますが、今後様々な可能性もあります。ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達も世界中で取り合いになっており、見通しは大変厳しいものがあります。事業者間の融通に加えて、電力システム全体での機動的な電力の広域融通なども取り組んでまいりたいと思います。

 お話がありましたように、サハリン1、サハリン2、いろいろな御意見があることは承知していますが、これは長期の融通ができる既得権がございますので、まずは足下、これをしっかり守っていきたいと思っています。

 といいますのは、これを手放したところで、第三国に移譲されて、そこでロシアに更なる利益をもたらすことになれば制裁にならないというのが私たちの判断であります。一方、じゃ、世界各国でそれをやめてマーケットから買おうといったら、今お話があったように、簡単に五倍、十倍の金額で売れることになっちゃって、これも利することになりますので、今は、冷静に自国のエネルギーをしっかり確保しながら、一方で国際社会としっかり協調していく、このことを前に進めていきたいと思っています。

吉良委員 時間が来ましたので終わります。答弁ありがとうございました。

原口委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組で比較的穏やかな、たがや亮と申します。

 本日は、質問の機会を与えてくださいまして、誠にありがとうございます。

 今日は、品がいい鈴木財務大臣なら、国民生活を豊かにできる政策に対してきっと御理解いただけると信じて、早速ですが、お伺いをいたします。

 今すぐに補正予算の編成を行う必要があると考えていますか。大臣にお伺いいたします。

鈴木国務大臣 先般、三月二十九日でありますけれども、岸田総理より、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、四月末を目途といたしまして、原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定するよう指示がございました。

 その際、直面する危機に緊急かつ機動的に対応すべく、新たな財源措置を伴うものにつきましては、まずは一般予備費そしてコロナ予備費を活用した迅速な対応を優先することとされております。

 決まっておりますのはここまででありまして、政府としては、この方針に沿って今検討を進めているところでございます。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 補正予算、これは大事だと思うんですよね。これから補正予算に関して質疑させていただきますけれども、ウクライナ危機による資源高と輸入物価への影響が大きい円安によって、家計負担を直撃しております。いち早く補正予算を編成し、新しく予備費を含めた国民救済の緊急経済対策を決めていただくために、今必要な経済政策についての質疑を今回はさせていただきたいと思います。

 さて、先日の国土交通委員会の一般質問でも斉藤国交大臣とやり取りをさせていただきましたが、現在、日常生活品の物価上昇が止まりません。

 そこで、鈴木大臣にお伺いいたします。

 大臣の身の回りで、生活物価の上昇について、どのような声が寄せられているでしょうか。例えば、○○の値段が値上がって日々大変だよとか、そういうような声が聞こえていないか、率直なところをお話しいただければ幸いです。お願いします。

鈴木国務大臣 以前はよくスーパーマーケットとかコンビニとか寄っておりましたが、最近寄っておりませんので、店頭で価格を見る機会はなくなっておりますが、四月になりまして、テレビの特集などで、四月からこれだけ値上げが行われるということを羅列をするのをよく見まして、その実感をしております。

 例えば、ガソリン価格がよく言われるわけでありますけれども、今、日本で一番ガソリンが安いのは私の地元の岩手県でございますが、二週間ほど前、岩手に帰りましたときも、一番安いとはいいながらも、足下では百六十九・五円というようなことでありまして、物価が上がってきているなということを感じます。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 私、実は、議員になる前から、三十三年以上飲食業の経営者をしております。私の周りの同業者はみんな、軒並みに物価が上がって大変だ、そのような声が上がっております。

 高速道路、電気、ガス、食費、トイレットペーパーといった生活コストが値上がりしています。これらはぜいたく消費ではありませんから、よって、この負担増は、家計は避けようがないということになります。

 鈴木財務大臣に再び質問いたします。

 デマンドプルインフレとコストプッシュインフレについて簡潔に御説明いただければ幸いです。そして、現在のインフレはどちらの要素が強いか、お答えください。

鈴木国務大臣 デマンドプルインフレは、総需要が総供給を上回っていることが原因となって起こる物価上昇と理解をしております。例えば、コロナ感染症がずっと続いておりまして、それが収束に向かうのではないか、そうすれば経済が元に戻るのではないかというような、そういう期待感から総需要が増えて、それが要因となるインフレ。それと、コストプッシュインフレは、今ウクライナの状況とかございますが、そういうことも、ほかにも様々要因はあると思いますけれども、原材料費が高騰をしている、そうした生産費の上昇が原因となって起こる物価の上昇を意味しているものと思います。

 そして、現実の物価上昇がいずれにあるのかということを区別すること、まあ、ない交ぜになっているんだと思いまして、一概に申し上げることは難しいんだと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 先日の国交委員会でも同じ質問をしましたけれども、その際は、今日いらっしゃっている岡本財務副大臣に大変御丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 そこで岡本副大臣はこのように答弁をされておりました。いずれの原因から生じたインフレーションであっても、政府支出の減少などによって総需要を減少させることをもって抑制することができると言っていました。

 私たちれいわ新選組では、積極財政により、コンクリートも人もを旗印に、デフレを脱却してインフレにしようと主張してまいりました。我々が主張するインフレは、政府による消費や公共投資がもたらす工事の増大をきっかけに民需を喚起しようとするもので、経済成長の結果のインフレということです。

 この成長が行き過ぎると、需要に供給が追いつかなくなり、すなわちデマンドプルインフレになります。そのときは、景気を冷やす作用の緊縮財政、こういったものが必要になろうかと思います。

 岡本副大臣の認識は、コストプッシュかデマンドかの判別は非常に難しいので、現状はコストプッシュと必ずしも言い切れないという答弁をされておりましたけれども、コストプッシュインフレと仮定すれば、それに対する対策は、そもそもの原因が海外で起こっている景気回復や戦争などといった供給制約による物不足ですから、これに対して財政を絞っていくことで解決しようとすると、緊縮財政によって需要を縮小させ、低い供給水準に合わせたインフレ抑制となり、負の連鎖が深まります。すなわち、国民を加速度的に貧しくすることになってしまうと思います。要するに、インフレを抑制するために国民を犠牲にする政策で、愚策と言えるのではないでしょうか。

 資料一を御覧ください。厚生労働省が五日公表した二月の毎月勤労統計速報によると、実質賃金は前年比横ばいとなった、一月と比較して現金給与総額の前年比はプラス幅が拡大したが、消費者物価指数の上昇率も拡大し、それを相殺したとのことです。

 これは、コロナ禍で落ち込んだ需要の回復から、現金給与総額の前年比でプラスになったが、輸入物価の上昇がそれを打ち消したと読めます。つまりは、コストプッシュの影響が出ているということではないでしょうか。輸入物価の上昇に寄与しているのがここ最近の円安です。

 今日は黒田総裁にお越しいただきたかったのですが、あいにく支店長会議ということで、理事の方に代わりにお越しいただいております。よろしくお願いします。

 資料二を御覧ください。ここでは、日本とアメリカの経済情勢の違いについて説明されています。

 ざっくり要約しますと、米国の場合は、供給制約や原油高に加えて需要の強さもインフレ要因、一方で、日本の景気回復は遅れている、そして、昨年十月から十二月期の実質GDPは、米国とは逆に、コロナ前と比較してなお三%以上下回っている、サービス消費が弱いだけでなく、物に対する消費も強くないということです。

 資料三には、日銀の審議委員が、円安は全体としてプラスという考え方があると書かれております。

 日本国債のデフォルトは考えられない、二〇〇二年、財務官時代に、どこかの某Y財務次官とは違って、堂々と正論を述べられていたのが黒田総裁です。ちまたでは、通貨発行量を増やすと円安になる、この状況で、更に金融緩和をして日銀が国債を買う、すなわちお金を刷るとなると、更に円安になり、庶民の暮らしが苦しくなるのではないか、金融引締めや緊縮財政を行うべきだとの意見もあります。

 そこで、日銀さんにお伺いをいたします。

 この意見のように、金融緩和をやめるべきとお考えでしょうか。お伺いいたします。

内田参考人 お答え申し上げます。

 我が国の経済は、基調としては持ち直しておりますが、なお感染症からの回復途上にございます。先生御指摘のとおり、GDPは感染症拡大前の水準を回復しておりませんし、マクロ的な需給バランスもマイナスでございます。

 一方で、物価ですが、消費者物価の前年比は、携帯電話通信料の下落の影響が剥落いたします四月以降の数字では二%程度になる可能性がございますが、その主因はエネルギー価格ということでございます。こうした形の物価上昇は、一方で、家計の実質所得の減少、企業の収益の悪化等を通じまして、我が国経済を下押すというふうに考えられます。

 こうした状況でございますので、何よりも経済活動をしっかりと支えていくことが必要であると考えておりまして、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けてまいりたいというふうに思っております。

たがや委員 内田理事のおっしゃるとおり、金融緩和は必要だと思います。ありがとうございます。

 円安になったから日銀は利上げをすべきだとか、インフレだから積極財政はもうできないというような声が、保守派のみならずリベラル派まで聞こえてまいります。

 私たちは明確に意見が違います。

 今から、私たちが唱える積極財政における経済の処方箋について提案をさせていただきたいと思います。

 確かに、通貨発行量を増やすことで円安になっているという点は、現在の状況では正しいです。ただ、それは、景気回復をしている米国とそうでない日本の金利差の結果でしかありません。

 資料四を御覧ください。これは、昨年来の日米の長期金利の差とドル・円相場を、そのグラフを重ねたものです。このグラフは次のことを示しています。

 一、日米の長期金利差は米国の景気回復を受けて拡大。二、金利が高い国に投資資金は流れる、つまり米国に流れる。三、その際、米国への投資はドル決済なので、円売りを自然的に伴う。四、日銀は長期金利を抑えるために国債の買入れ、いわゆる買いオペを行っており、一方、米国はその真逆を行っている。五、これが金利差を一層拡大させ、円安を加速させる。六、円安の結果、輸入物価も上がってしまう。七、食料やエネルギー価格の円建ての価格も上昇する、いわゆるコストプッシュインフレ。八、そうすると、庶民の生活がますます貧しくなるということです。

 ここで重要なのは、日米金利差拡大の結果としての円安によるコストプッシュインフレの対策として、金融引締めや緊縮財政を対処することがいいかどうかということです。先ほども申し上げたように、コストプッシュインフレに対してこのような引締めで対処すれば、それは国民の需要を抑え込むことになってしまうので、ますます生活は困窮すると思います。日本の景気は、エネルギー、食料を除外したコアコアCPIがいまだ低いことからも分かるように、景気が米国のように回復していないこの状況下で、緊縮、引締め政策をすることは、景気にダメージを与え、マイナスです。

 コストプッシュインフレは生活物価の高騰の結果なので、庶民の生活コストを軽減する経済政策が肝要だと思います。消費にかかる罰金であり、消費抑制の機能を持つ消費税負担やガソリン税負担を軽減することが重要ではないでしょうか。

 ただ、消費税減税やガソリン税減税には法改正が必要ですから、今すぐに可能なこととして、補正予算を編成し、実行可能な全国民への一律給付金を行い、実質的な減税という、そういった政策を強く要望をいたします。

 私の周りからも、賃金は上がっていないのにまた値上がりかというような悲痛な叫びが聞こえてまいります。

 日銀さんに続けてお伺いいたします。

 黒田総裁も常々おっしゃっておりますけれども、最近の円安に関する報道では、その弊害が誇張され過ぎているんじゃないかということです。この点についても、日銀さんはどのように考えていらっしゃるか、御見解をお伺いいたします。

内田参考人 お答え申し上げます。

 為替相場の動きにつきまして具体的にコメントすることは適当ではないと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。

 日本銀行といたしましては、為替相場は、経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えておりまして、この考え方は、G7を始め、国際的に何度も確認されているところでございます。為替相場が短期間に過度に変動いたしますれば、先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定等が難しくなるというような面もございます。

 引き続き、為替相場が経済や物価に与える影響につきましては十分注意して見てまいりたいというふうに思っております。

たがや委員 内田理事、ありがとうございます。

 私たちの調べでは、現在も製造業や農林水産業はGDPの二割を占め、雇用も大きいです。今でも年間八十兆円規模の輸出が行われております。この輸出で稼いだ外貨で国内も潤っている、そういう構造です。

 デフレ経済の二十五年において企業が生産拠点を海外に移転し、円安の恩恵を従来よりも受けられなくなったと言われております。しかし、海外生産比率が高まったといっても、七割以上は国内生産です。ここで円高政策を安易に取ることは悪影響をもたらすと思います。なぜならば、今、円高政策にすると、ますます海外産の比率が高くなって、結局は円安に耐えられなくなり、結果、日本経済が脆弱するからです。

 資料五を御覧ください。産経新聞の田村秀男記者の優れたコラムです。企業の国内投資復活につなげ、円安のメリットを再び享受するためにも、積極財政での支援が必要であると田村さんは言われております。

 私たちの提案は、短期的には、消費税減税やガソリン税の一時凍結による低中所得者への生活の下支えが必要であり、中期的には、日本国内における企業投資復活のための再生可能エネルギーの普及、適切な法規制を施した上での自動運転技術などを軸にした地方創生の政策、そして、日本全国の道路や橋、送電網強化などのインフラ投資を環境配慮型で国主導で行い、日本国内の供給能力を強化していくことが必須であると考えております。

 最後に、鈴木財務大臣にお伺いします。

 今提案しました私たちの政策について、どのようにお感じになられましたでしょうか。相当お答えづらいとは思いますが、所感で結構ですのでお答えいただけると幸いです。

鈴木国務大臣 大変幅広い御提言があった、そういうふうに思っております。

 今、いろいろあったので全ては答えられませんが、例えば減税の話につきまして、消費税についてお話がございましたが、そのことについて申し上げれば、消費税は、やはり社会保障制度を支える恒久財源として大変重要な位置を占めている、そういうふうに思っております。

 そういう意味で、岸田総理も度々委員会等で述べておりますけれども、消費税率については触らないというのがこの政権の方針でございます。

たがや委員 消費税が社会保障の財源、ここを本当は掘り下げていきたいところですが、時間がないのでまたの機会にさせていただきたいと思いますが、まずは速やかに、一律現金給付を含めた補正予算の編成と十分な経済対策予備費の予算づけ。あわせて、速やかな消費税の減税、ガソリン税の凍結など、立法化に着手することが急務であり、一分一秒も争ういとまもないはずです。今も至るところで生活者が大変苦しんでおります。そのような国民を助けるためにも、是非、積極財政による経済対策は必須だと思っております。

 最後になりますが、大臣、コンクリートも人もを掲げる我々と、積極財政で一緒にいい国をつくりましょう。

 時間が来たので終わります。ありがとうございます。

原口委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより令和二年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外三件について、一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。大河原まさこ君。

大河原委員 立憲民主党・無所属の大河原まさこでございます。

 私は、会派を代表して、二〇二〇年、令和二年度の一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書と一般会計予備費使用総調書に反対、特別会計予備費使用総調書と特別会計経費増額総調書に賛成の立場から討論を行います。

 なお、着座にて失礼いたします。

 労働保険特別会計予備費の使用については、当時のコロナウイルス感染拡大下で雇用を守るために雇用調整助成金の特別措置に使用したもので、その使途は妥当なものと考えます。

 一方、一般会計コロナ予備費の使用については、コロナウイルス感染拡大下で事業や医療体制を守るために緊急に必要な支援策やワクチン確保に使用したものと考えます。ただし、巨額の六千七百十四億円もの国民の血税を使ったワクチン購入に際しての情報開示が諸外国に比べても十分でないことは容認できません。政府に強く改善を求めたいと思います。

 一般会計予備費の使用のうち、豪雨災害対応や除雪などへの使用に関しては必要なものであったと考えます。しかし、ずさんな発注により異物混入など不良品が一五%にも上り、事業終了後も在庫が八千万枚以上残り、その後も保管費用や希望者への送付費用などが必要となった布製マスク配付事業への四百三十七億円の使用については到底認められるものではありません。したがって、この一般会計予備費使用総調書についても容認することはできません。

 なお、付言いたしますと、そもそも予備費は、予見し難い予算の不足に充てるために使途を定めずに計上するもので、予算の事前議決の例外として憲法で認めるものですが、ほかに補正予算の制度もあることから、国会開会中は原則として予備費の使用は行わないことを閣議決定しています。財政民主主義の観点から、それぞれの具体的内容や必要性とともに、国会開会中予備費を使用する場合には、その理由について国民や国会に十分な説明がなされるべきと考えます。

 前例のない十兆円もの巨額の予備費を第二次補正予算で計上したこと自体、本当に妥当であったのかは、改めて十分な検証が必要です。

 予備費使用の在り方を改善することを政府に求め、私の討論といたします。(拍手)

原口委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮です。

 会派を代表して、令和二年度一般会計コロナ予備費、一般会計予備費には反対、それ以外の二件には賛成の立場で討論をいたします。

 コロナ予備費が編成されたのは令和二年度が初めてで、金額は三度の補正予算で合計約九・五兆円です。

 れいわ新選組は、予備費も含めて、コロナ対策への政府の予算が少な過ぎるという理由で、当時の予算案には反対しましたが、必要なときに必要な予算をつけなかったことは大問題です。

 次に、予備費の個別の支出について。

 一般会計予備費について、布製マスク、いわゆるアベノマスクの配付に関し、今回の対象となる令和二年度一般会計予備費、その他、元年度予算の予備費、令和二年度補正予算で支出しています。アベノマスクに対する世間の批判を鑑みると、不適切な支出です。

 また、予備費の使途として不適切と指摘されていることが多いのは、国家賠償訴訟における訟務費の不足を補うために必要な経費です。令和二年度の通常の一般会計予備費支出として、建設アスベスト訴訟、福島第一原発事故訴訟の合計四つの訴訟において、この保証金が積まれている。これらの支出も不当と言わざるを得ません。

 その他、今回の審査対象では、中曽根元総理の葬儀費用が令和元年度予備費に続いて支出されており、この支出も不適切です。

 コロナ予備費については、第三波が懸念される中で、二〇二〇年十二月、臨時国会閉会直後にGoToトラベルの支出が閣議決定されました。この時期のGoToの支出は、コロナ対策という危機管理能力の欠如と言わざるを得ません。

 以上の理由から、一般会計予備費、コロナ予備費の支出については承認できません。

 最後に、今の危機的状況に対応するための補正予算は必須です。予算委員会で審議し、速やかに国民の元に支援という形で届けるということが肝要であると考えます。もちろん、巨額の予備費を支出する際には、その都度、予算委員会を開いてお諮りをいただくことが必須です。

 以上をもって討論とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより採決に入ります。

 まず、令和二年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、令和二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和二年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、来る十八日月曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十五分散会


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