衆議院

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第1号 令和6年4月8日(月曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(令和六年一月二十六日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 江田 憲司君

   理事 小林 史明君 理事 田中 英之君

   理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君

   理事 大河原まさこ君 理事 谷田川 元君

   理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君

      江崎 鐵磨君    遠藤 利明君

      小倉 將信君    下村 博文君

      高木  毅君    棚橋 泰文君

      中谷 真一君    西村 康稔君

      野田 聖子君    萩生田光一君

      福田 達夫君    松野 博一君

      三反園 訓君    村上誠一郎君

      森  英介君   山本ともひろ君

      吉野 正芳君    手塚 仁雄君

      原口 一博君    松原  仁君

      柚木 道義君    米山 隆一君

      遠藤 良太君    金村 龍那君

      佐藤 茂樹君    庄子 賢一君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

      秋本 真利君    池田 佳隆君

    ―――――――――――――

一月二十六日

 江田憲司君委員長辞任につき、その補欠として小川淳也君が議院において、委員長に選任された。

令和六年四月八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小川 淳也君

   理事 小林 史明君 理事 田中 英之君

   理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君

   理事 井坂 信彦君 理事 大河原まさこ君

   理事 中谷 一馬君 理事 谷田川 元君

   理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君

      井出 庸生君    江崎 鐵磨君

      遠藤 利明君    小倉 將信君

      小田原 潔君    黄川田仁志君

      小島 敏文君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    下村 博文君

      高木  毅君    中谷 真一君

      野田 聖子君    萩生田光一君

      福田 達夫君    本田 太郎君

      松野 博一君    三反園 訓君

      村上誠一郎君    森  英介君

      山口  晋君    山本 左近君

      山本ともひろ君    青山 大人君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      遠藤 良太君    住吉 寛紀君

      金城 泰邦君    庄子 賢一君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   経済産業副大臣      上月 良祐君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   会計検査院長       田中 弥生君

   会計検査院検査官     原田 祐平君

   会計検査院事務総局第二局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  八幡 道典君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      柴田 智樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     瀧澤  謙君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  菅原  希君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         金子万里子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           殿木 文明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十六日

 辞任         補欠選任

  江田 憲司君     青柳陽一郎君

  原口 一博君     井坂 信彦君

  松原  仁君     中谷 一馬君

  柚木 道義君     福田 昭夫君

  米山 隆一君     小川 淳也君

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  金村 龍那君     浦野 靖人君

四月二日

 辞任         補欠選任

  福田 昭夫君     櫻井  周君

同月八日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     本田 太郎君

  棚橋 泰文君     斎藤 洋明君

  萩生田光一君     小森 卓郎君

  吉野 正芳君     井出 庸生君

  青柳陽一郎君     青山 大人君

  浦野 靖人君     住吉 寛紀君

  佐藤 茂樹君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     小田原 潔君

  小森 卓郎君     萩生田光一君

  斎藤 洋明君     山本 左近君

  本田 太郎君     黄川田仁志君

  青山 大人君     青柳陽一郎君

  住吉 寛紀君     浦野 靖人君

  金城 泰邦君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小島 敏文君

  黄川田仁志君     遠藤 利明君

  山本 左近君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     吉野 正芳君

  山口  晋君     棚橋 泰文君

同日

 理事大河原まさこ君及び谷田川元君同日理事辞任につき、その補欠として中谷一馬君及び井坂信彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十六日

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和二年度一般会計歳入歳出決算

 令和二年度特別会計歳入歳出決算

 令和二年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和二年度政府関係機関決算書

 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和三年度一般会計歳入歳出決算

 令和三年度特別会計歳入歳出決算

 令和三年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和三年度政府関係機関決算書

 令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計歳入歳出決算

 令和四年度特別会計歳入歳出決算

 令和四年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和四年度政府関係機関決算書

 令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計歳入歳出決算

 令和二年度特別会計歳入歳出決算

 令和二年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和二年度政府関係機関決算書

 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和三年度一般会計歳入歳出決算

 令和三年度特別会計歳入歳出決算

 令和三年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和三年度政府関係機関決算書

 令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計歳入歳出決算

 令和四年度特別会計歳入歳出決算

 令和四年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和四年度政府関係機関決算書

 令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

小川委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 この度、決算行政監視委員長に選任されました小川淳也でございます。

 本委員会は、決算全般について審査し、その結果を将来の予算の編成と執行に反映させるとともに、国会が担う行政監視について本院における中核的な機能を果たすことを役割としております。

 新型コロナウイルス感染症や原油価格、物価高騰対策等として過去に類を見ない規模の予備費が予算計上される中、財政民主主義の観点から、その使途を始め行財政の在り方を検証することは、本委員会の使命であると存じます。

 委員各位の御指導、御協力を賜り、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

小川委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事大河原まさこ君及び谷田川元君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。

 それでは

      井坂 信彦君 及び 中谷 一馬君

を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

小川委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 決算の適正を期し、行政監視の機能を果たすため

 歳入歳出の実況に関する事項

 国有財産の増減及び現況に関する事項

 政府関係機関の経理に関する事項

 国が資本金を出資している法人の会計に関する事項

 国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項

 行政監視に関する事項

以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

     ――――◇―――――

小川委員長 この際、会計検査院長田中弥生君及び検査官原田祐平君から発言を求められておりますので、順次これを許します。田中会計検査院長。

田中会計検査院長 この度、会計検査院長を拝命いたしました田中弥生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 我が国の財政は大変厳しい状況にあると認識しておりますが、会計検査院に対する期待も高まっていると感じております。

 私は、会計検査院長としてその使命を全うすべく、誠心誠意尽くしてまいりたいと存じます。

 どうぞ、皆様におかれては、御指導、御鞭撻、よろしくお願いいたします。(拍手)

小川委員長 次に、原田検査官。

原田検査官 一月九日付をもちまして検査官を拝命いたしました原田祐平でございます。

 職務を全うするために誠心誠意努めてまいる所存でございますので、御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

小川委員長 令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件を議題といたします。

 これより総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官八幡道典君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長柴田智樹君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、内閣府政策統括官林幸宏君、内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎君、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、警察庁交通局長早川智之君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、復興庁審議官瀧澤謙君、総務省行政評価局長菅原希君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治税務局長池田達雄君、総務省情報流通行政局長小笠原陽一君、消防庁次長五味裕一君、外務省大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、外務省大臣官房政策立案参事官金子万里子君、外務省大臣官房参事官濱本幸也君、財務省主計局次長前田努君、財務省主税局長青木孝徳君、文部科学省総合教育政策局長望月禎君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子君、厚生労働省医薬局長城克文君、厚生労働省雇用環境・均等局長堀井奈津子君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、農林水産省消費・安全局長安岡澄人君、農林水産省経営局長村井正親君、農林水産省農村振興局長長井俊彦君、林野庁長官青山豊久君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官殿木文明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君、国土交通省海事局長海谷厚志君及び環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 敬愛する小川淳也委員長の議事整理に従いながら、官房長官、そして大臣、参考人の皆様方に質疑を申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、本日は日本銀行の植田和男総裁にお越しをいただいております。その中で、明日九日が総裁に御就任をされてから一年ということでございまして、今朝の朝刊を見ておりましたら、理論とデータに基づいて慎重に議論を重ねつつも、政策判断は大胆で思い切りがよいなど、マイナス金利の解除、大規模金融緩和の転換といった難しい政策を、市場の混乱なく政策修正を進めた植田総裁の手腕に高い評価が集まっており、産経新聞が金融政策に詳しい主要エコノミストにアンケートを行った平均値が七十七・九点、そして、日本経済新聞では平均値が七十七点ということでありました。

 今後も、賃金と物価の好循環を目指しながら金利水準の引上げに関する検討を行うなど、為替や債券市場等の動向を踏まえた非常に難しい政策判断があると推察をしておりますが、私からは、まず、日本銀行の総裁に就任されて一年を迎えての所感について伺わせてください。

植田参考人 お答えいたします。

 私は、一年前に就任させていただいたときに、当時の日本銀行の政策ですけれども、様々な理由で、非常に技術的に難しい体系になっているなというふうに感じました。もし経済状況が許せば、これをできる限り簡素化して、分かりやすいものにしていきたいなというような心構えでおりました。

 幸い、昨年度の経済状況はまあまあよいものでしたので、そうした希望をある程度かなえることができたというふうに思ってございます。

 今後は、それを、残っているところを続けるとともに、新しい枠組みの下で、経済状況の変化に適切に対応していきたいというふうに思っております。

中谷(一)委員 今後も難しいかじ取りが様々あるかと思いますが、一挙手一投足、マーケットや私たち国会も含めて注目をさせていただきたいということを思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ではございますが、私からは、中央銀行発行のデジタル通貨、CBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーについて伺ってまいりたいということを思っております。

 現状の越境決済は、国際的な送金インフラ、SWIFTを使う仕組みが主流でございまして、コルレス銀行を中継して送金元から送金先の銀行に届ける仕組みのため、送金には長ければ数日から一週間程度時間がかかるということがあります。その中でなんですが、やはり中継や送金の手数料が発生することから、日本銀行の分析によると、銀行経由で二百ドルを海外に送金する際にかかるコストは、二〇一三年から一九年の平均で二割弱に及びます。

 こうした中で、やはり今、低コストで即時に決済できるような狙いで、日米欧などの中央銀行七行や民間銀行がCBDCを使った国際決済の実証実験に乗り出すとのことであります。

 CBDCについては、植田総裁はフィンサム二〇二四において、我が国で一般利用型CBDCを導入するか否かは国民的な議論を経て決まるものです、日本銀行では、そのような議論に資するよう、技術面、制度設計面の検討を続けていますと述べられています。

 そこで、まず、この国民的な議論を行うための材料提供として教えていただきたいのですが、CBDCを発行したら、暗号資産などデジタル決済手段にどのような影響を与えると考えていますか。垂直的共存、水平的な共存の観点を交えながら、御見解をお知らせください。

植田参考人 お答えいたします。

 CBDCの導入ですが、これがほかの決済手段にどういう影響を与え得るかという点につきましては、各国中央銀行で重要な論点と認識されております。

 例えば、その設計次第では、銀行預金からCBDCへの大量かつ急激な資金移動が生じ、金融システムの安定性に影響する可能性が指摘されております。これに対する備えとして、CBDCの保有額に制限を付するといった対応も検討されています。

 一方で、民間企業が発行しますデジタルマネーについて、CBDCというような公的なプラットフォームを介して他の決済手段との交換が円滑になれば、それらのデジタルマネーの利便性を高めるという可能性も考えられます。

 CBDCの検討に当たっては、こうした影響も踏まえつつ、決済システム全体をより安定的、効率的なものとする視点が重要だと考えております。

中谷(一)委員 今るる御答弁をいただきましたけれども、この決済システムが、ブロックチェーン技術などによって、いつでもどこでも即時送金可能となれば、既存の決済網が抱える問題を解決するゲームチェンジャーになると考えられておりまして、このCBDCの実証実験が世界的に注目をされています。

 そうした中で、植田総裁は、検討作業を行うに当たって常に意識をされていることということで、デジタル社会にふさわしい決済システムの将来像を描くことということを述べられております。

 では、これに対して伺いたいんですけれども、CBDCがもたらし得る新しいエコシステムに関して、これは具体的にどのように構想をされているのか、総裁のビジョンを教えてください。

植田参考人 経済、社会、生活のデジタル化が進展する下で、決済の分野でも、ニーズに応じた新しいサービスの可能性が広がってきております。

 そうした社会におけるデジタルな決済手段を検討するに際しまして、一つには、現金や民間のマネーが社会にこれまで提供してきた機能を尊重しつつ、新たな技術や新たな形態のマネーの登場といった環境変化を踏まえた上で、デジタルであるという特性を生かして、様々な価値を生むような決済手段をいかに提供していくかという視点が重要と考えております。

 例えば、CBDCがあれば、そこに、民間事業者の創意工夫により、多様なユーザーニーズに応じたサービスが上乗せして提供されるということによって、デジタルな社会にふさわしい決済のエコシステムにつながる可能性があるというふうにも考えております。

中谷(一)委員 天動説が主流だった時期にコペルニクスが地動説を唱えたように、百八十度物事の転換が図られていくエポックメイキング的なことというのは、いつの時代も訪れるわけであります。

 二十六年後の二〇五〇年には、スマートフォンやPC、これを使っている人がゼロ%、いなくなるということが想定をされておりまして、スマートコンタクトやハプティクスといったような新たな技術が主流になっている時代を想像すれば、もしかしたら、もう二〇五〇年には、一万円札を使っている人、五百円玉を使っている人というのはほとんどいなくなっているということが想像できるわけであります。

 そうした中において、現在の日本において、アナログでの決済利用に伴うコストとデジタルでの決済利用に伴うコスト、これの試算を行うことは、国民的な議論を行うに当たって、私は必要不可欠な材料であるということを思っております。

 日銀のレビューにおいても、「例えばシンガポールでは、現金や小切手といった紙ベースの決済手段の利用に伴うコストはGDPの〇・五二%に達すると試算されており、現金から電子的な決済手段への移行を後押しする取り組みが進められている。」と記載をされておりまして、こうしたコストの見える化を行うことによって行財政改革効果を定量的に示すことは、必要なプロセスであると考えます。

 総裁の見解として、やはり国民的な議論を行うための材料提供として、政府と連携をしていただいて、紙幣、硬貨などのアナログでの決済手段に伴うコストとCBDCなどデジタルでの決済利用に伴うコストの試算を行っていただけませんでしょうか。

植田参考人 委員御指摘のように、コストの問題は重要な論点の一つと認識しております。現在進行中のCBDCに関する官民の連絡協議会でも、コストに関する議論が行われております。

 もっとも、具体的なコストの水準ないしその推計ですが、これは、CBDCがどのように導入されるか、そして一方で、既存の決済手段がどのような利用状況になっていくかということなど、様々な要素に左右され、不確定な面が多いと考えております。

 現時点で、日本銀行として、残念ですが、具体的な試算はございません。まずはCBDCに求める技術仕様、役割などの検討を進めていくことが重要と考えております。

中谷(一)委員 まずは検討を進めて、どういうものにするのかという設計を組み立てていくという趣旨の答弁でありましたが、それが組み上がった段階においては、やはりデジタル、アナログ双方のコストをしっかりと、国民的な議論をしていくためにも示していただきたいということを考えているんですが、その点についてはいかがでしょうか。

植田参考人 それは、そういう段階になりましたら、どういう形になるかは今お約束することはできないですけれども、何らかの材料を提示させていただくということには当然なるかと思います。

中谷(一)委員 その材料の提供をしっかりと、デジタル、アナログ双方で行っていただきたいということを思っております。

 ちなみに、財務大臣、今、日銀総裁から御答弁をいただきましたが、やはり行財政改革効果を考えても、こうした試算は日銀と連携してしっかりと行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 日銀としっかりと連携していきたいと思います。

中谷(一)委員 分かりました。期待をしたいと思います。

 続きまして、やはりこのCBDCの論点なんですけれども、世界のGDPの九五%に相当する国がCBDCを検討しているという状況がございます。既にデジタル通貨を完全に開始している国もございまして、現金の使用量の激減や、インフラコストの削減、そしてセキュリティーの向上など、利点を実感しているということであります。

 国際通貨覇権争いを見ておりますと、例えば中国では、習近平国家主席が、強大な通貨を持たなければならないということを強調しておりまして、国際市場で大きな存在感を見せる金融強国になるため、人民元の国際化を重視する姿勢を示しており、デジタル人民元の先行的な展開は、通貨、金融分野での覇権に対する挑戦だという見方もあります。

 ただ、SWIFTの調べでは、国際決済通貨としての人民元の比率は二〇二四年一月時点で世界第四位、四・五一%ということで、一位のドル、四六・六四%、二位のユーロ、二三・〇二%と比べますと、その差は大きいのが現状ではあります。

 その一方で、現在、アメリカは大統領選挙を控えておりまして、バイデン大統領は、デジタルドルを含むデジタル資産の研究開発促進を指示する大統領令に署名をし、課題の検証を進めている一方で、対抗馬のトランプ前大統領は、CBDCの創設は決して許さない、絶対阻止する旨の発言をされています。

 これについては、トランプ前大統領が大量の暗号資産を保有するほか、御自身のNFTを発行していることなどを念頭に、暗号資産業界に寄せた政策判断を行う可能性が高いとの分析が報じられておりますが、二〇二一年にはビットコインに関して詐欺のようだと発言していたこともあり、政策判断がどのように変わるかは未知数であります。

 こうした中、例えば同志国が集まるEUでは、欧州委員会は既にデジタルユーロの立法案を発表しており、早ければ二〇二八年には発行、流通されることが予測をされます。

 配付資料でも各国の詳細を記載させていただいておりますが、こうした中で、例えばヨーロッパと日本の発行準備が整う状況ができ上がったときに、同盟国のアメリカが国内事情でCBDCを発行しない、又はできないという状況になったときには、日本のCBDCの発行に関して何か影響を与えることはございますでしょうか。総裁の御見解を教えてください。

植田参考人 私ども、CBDCの検討を進めるに当たりまして、まず重要なことは、自国の決済システムの安定性や効率性をどう確保、改善していくかということだと考えております。

 こうした観点から、私どもは、CBDCにつきましては、昨年四月からパイロット実験に移行し、技術的な検証を進めるとともに、CBDCフォーラムにおいて民間事業者と様々な意見交換をしております。

 我が国でCBDCを導入するかどうかは、こうした国内での検討状況に加えまして、先生御指摘の海外の動向も踏まえて、今後の国民的な議論の中で決まっていくものと考えております。

 私どもとしては、その前提になるものとしてのCBDCに関する検討を引き続きしっかりと進めてまいりたいと思っております。

中谷(一)委員 それは、アメリカが仮にCBDCを発行する、しないという判断を、バイデン大統領かトランプ前大統領か、そのときの大統領というのがどうなっているかというのは分からないわけなんですけれども、諸外国の政策判断が、まさにこの日本のCBDC、もし私たちはもうできるという状況になったときにあったとしても、諸外国の状況によって私たちの政策判断が変わることがあり得ますでしょうか。

植田参考人 諸外国における、CBDCを採用するか、導入するか、しないか、あるいは導入してどういうことが起きたかということに関する判断とその結果、これは、私どもがCBDCをその時点でまだ導入していないとした場合に、将来導入した場合にどういうプラスマイナスがあるかということに関して、何らかの知見を与えてくれる可能性があります。そういうことであれば、それは利用しつつ、その後の判断に役立てていくということにはなるかと思います。

中谷(一)委員 その中で、私が冒頭伺いましたのは、例えばヨーロッパと日本が、能力的にはもうできます、国民議論もできると判断が行われたという状況の中で、例えばアメリカが国内の事情でできないということになったときに、私たちが発行をしないという判断というのはあり得ますか。

植田参考人 ここは繰り返しになりますが、もちろん、諸外国の導入に伴う様々なメリット、デメリットは参考にしつつも、私どもの国日本にとってプラスマイナスがどうであるかということを最大のポイントとして決定していくということになるかと思います。

中谷(一)委員 それはあり得ると。要するに、諸外国の動向を踏まえてメリット、デメリットを考察して判断するのだから、アメリカの動向というのは、やはり政策に影響を与える可能性はあり得るという理解でよろしいでしょうか。

植田参考人 将来のことで、仮定の議論でございますけれども、アメリカが先に動けば、それはその影響を観察しつつ、私どもに何らかの影響を、導入の判断に関する何らかの影響を与えるということはあるかとは思いますが、アメリカよりも先に私どもが導入するという判断も十分あり得るわけでして、そういうものかなと思います。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 アメリカよりも先に判断することがあり得るということが分かっただけでも大丈夫です。ありがとうございます。

 その中でなんですけれども、今、日本においても、諸外国と連携して、CBDCに関して主導権を持って進めていく国家戦略というものが求められているわけであります。

 その中で、二〇二二年一月二十八日の衆議院の予算委員会におきまして、私から黒田東彦前総裁に、日本においても、少なくとも二〇二六年ぐらいまでには、賛否じゃなくて能否の判断についてはできているという認識でよろしいですか、大丈夫ですかと尋ねさせていただいた際に、確約はできませんが、私も個人的にはそう思いますという御答弁をいただきました。

 本件に関して植田総裁に伺いますが、この黒田前総裁の見解と今の植田総裁の見解には、相違がありますか、ありませんか。教えてください。

植田参考人 黒田前総裁は、その時点で彼個人の判断を示したものというふうに理解しております。

 現状、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますような、今後の実証実験の進捗状況、実験結果、さらには関係者との議論などを踏まえまして導入の可能性について考察していくということですので、現時点で、CBDC発行の能否について、それを判断する具体的な時期を示すことは難しいというふうに考えております。

中谷(一)委員 それは相違があるということの理解でよろしいですか。要するに、二六年の、黒田総裁のときの判断よりも変わるという認識でいいですか。

植田参考人 二〇二六年には能否に関する判断が必ずできているかと問われれば、それは今のところ何とも申し上げられないということになるかと思います。

中谷(一)委員 ただ、できる可能性はあるということでよろしいですか。

植田参考人 可能性があるということを排除するつもりはございません。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 であればなんですけれども、欧州中央銀行のラガルド総裁が、デジタルユーロの発行時期を、二〇二六年か二七年でもおかしくないと発言をされておりまして、要するに、二〇二六年頃には少なくとも能否の判断はしていただいて、国民的な議論を行うための俎上にはのせていただきたいと私は考えております。

 デジタルユーロは、実際には二〇二八年頃に発行、流通が行われる見通しであるということを考えますと、やはり技術面、制度面を踏まえた発行能力については、いずれかの段階で植田総裁には示していただかなければならないと思っているんですが、こちらについて、現在の見通しはどのように考えられているか、教えてください。

植田参考人 発行時期に関する見通しをいつ発表できるかという点について、具体的にはなかなか申し上げられませんが、私どもは、海外の中央銀行も含めまして、CBDCについては非常に多くのリソースを割いて、実行の是非、導入の是非、導入後どういう姿になるかという点の検討を続けておるところでありまして、日本銀行も例外ではございません。

中谷(一)委員 それは、イギリスや様々な国が今検討を行っているわけなんですけれども、ヨーロッパが少なくとも二六年、二七年には発行できる可能性があるということをラガルド総裁が示唆をされていて、二八年頃には流通まで含めて始まるんじゃないかという臆測がある状況の中で、日銀はそれに後れを取ることはないという認識でよろしいですか。

植田参考人 私個人の考え方といたしましては、できるだけ早くとか後れを取らないようにというような観点よりも、正しい形で導入するのであれば、国民にとってプラスになる形でちゃんと導入したい、そこをきちんとやりたいというふうに思っております。

中谷(一)委員 迅速性、正確性、これは両面重要だと思っておりまして、正確なものをどうリリースをしていただくかということが一番重要な論点であることは、私もそのとおりだと思います。

 一方で、遅過ぎてもやはり駄目だと思うので、少なくとも二八年頃までにはある程度の見通しを立てていただかないと、日本としても困ってしまうんじゃないかなということを思うんですが、二六年頃までには少なくとも能否を判断していただいて、国民的な議論に入り、二八年頃にはヨーロッパに後れを取らないような体制を組み立てていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

植田参考人 繰り返しでございますが、能否の判断についての時期は今ちょっと申し上げられませんが、今まで以上に、一生懸命この点に関して検討を続けるということはお約束できると思います。

中谷(一)委員 ありがとうございます。では、しっかりと検討していただきますことを要望させていただきます。

 日銀総裁はこちらで退出をしていただいて結構でございます。ありがとうございました。

小川委員長 植田総裁は御退席いただいて結構です。

中谷(一)委員 ありがとうございました。

 続きまして、官房長官に伺ってまいりたいと思います。

 本日、朝刊で、総点検による基金の廃止についての記事がございました。その中で、私たち立憲民主党からも再三再四これは指摘を続けてまいりましたが、政府が、積み立てた基金の総点検をめぐって、ようやく、事業が事実上終了している約十の基金を廃止する方向で調整に入ったと今朝報じられたわけなんです。

 これは、無駄になったのか、初めから無駄だったのかは分かりませんが、管理費だけの支出が続き無駄と判断されたとのことで、国庫返納させる余剰金は計千数百億円になる見込みということなんですけれども、実際には返納すべき余剰金はもっと巨額になるはずで、基金の残高に関しては数兆円規模でスリム化できるのではないかということを考えるんですけれども、他の基金の取扱いについては、今後どのようにされる想定でございますでしょうか。

林国務大臣 基金についてでございますが、昨年十二月末に行政改革推進会議において取りまとめられました横断的な方針にのっとりまして、昨年度内を目途に基金全体の点検を行うこととしておりまして、現在、河野大臣の下で点検、検討等が行われているものと承知をしております。

 今、中谷委員から御指摘のありました記事に記載された内容も含めまして、今検討中でございますので、今後の具体的対応については、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

中谷(一)委員 これは言うまでもなく、基金の原資になっているのは税金でありまして、基金の残高が膨らんでいくということは、国民の税金がそれだけ有効活用されず、いたずらに負担を増やしていくことを意味します。不要不急の支出につながりかねない基金はしっかりと是正をしていただくことを要請させていただきます。

 続きまして、万博関係の話について、齋藤大臣に伺ってまいりたいと思います。

 万博協会の副会長、理事である吉村洋文知事が講演を行われている際に、今、批判しているね、名前は言えませんけれども、「モーニングショー」の玉川徹。今、批判するのはいいけれども、入れさせぬとこうと思って。入れさせてくれ、見たいと言っても、「モーニングショー」は禁止、玉川徹は禁止と言うたろうかなってという、いわゆる出禁発言を行い、波紋を呼んでいます。

 まず冒頭、齋藤大臣に前提を確認させていただきますが、私は、二〇二五年日本国際博覧会に関して、開催するのであれば適切に行われるべきだと考えて、予算に関する件など、厳しい意見を呈しながら国会議論を行わせていただいておりますが、そんな私が万博会場を見たいと言ったときに、批判をしているから入れてもらえないということはありますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 全く考えたこともありませんでした。

中谷(一)委員 それは、出禁にはならないということでよろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 是非何度も足を運んでいただきたいなと思います。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 そういった中で、齋藤大臣御自身は、冗談でも、万博に関して、特定の人物やメディアに対して出入り禁止と発言をされたことはありますか。また、今後発言されることはあり得ますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 その件も、正直申し上げまして全く考えたこともありませんので、ありませんね。

中谷(一)委員 ありがとうございます。ありません、よかったです。ないと信じておりました。

 その中でなんですけれども、本件に関して、報道の自由に関する裁判例として、パネルを、配付させていただいております。

 報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由と並んで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二十一条の保障の下にあることは言うまでもない。また、このような報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法二十一条の精神に照らし、十分に尊重に値するものと言わなければならないという最高裁決定があります。

 知る権利及び報道の自由に関する認識については、齋藤大臣も同様の認識を持っておられますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 御指摘の知る権利、報道の自由については、まさに表現の自由を規定した憲法第二十一条の保障の下にあるとの最高裁の判示があるわけでありますので、私も、当然尊重されるべき権利だと考えています。

中谷(一)委員 私も、当然尊重されるべきだと思いますので、同じ意見でよかったなと思いました。

 その中でなんですけれども、この出禁の提案を行う権限を有している役職者による知る権利と報道の自由を軽視した言動は、控えめに言っても相当おごり高ぶった発言だと思いますが、大臣は、この発言、この吉村知事の発言は大したことがないと思っているから、現在、監督も指導もされていらっしゃらないんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 御指摘の吉村大阪府知事の発言につきましては、その後、吉村知事本人が取材において、公式に知事、公務、副会長として活動する場面では言わない、さらには、政治集会の場なので政治的主張として発言をしたということでありますので、私としては、それ以上でもそれ以下でもない御発言なんだろうなというふうに認識をしています。

中谷(一)委員 それはおかしな答弁だと思います。

 といいますのは、やはりハラスメントやいじめ、又は差別、これはコンプライアンス規程に禁止ということで掲げられているんですけれども、こういった類いの話であれば、政務と公務と切り分けての発言がなぜか容認されるような論調になっているんです。

 コンプライアンス規程の他の部分を見ますと、こちらも資料を配付させていただいておりますが、例えば反社会的勢力との一切の関係であったりとか、汚職や贈収賄、こういった不適切な行為というものが掲げられておりまして、多分、こういった重たい事案であれば、そんな答弁にはならないはずなんですよ。政務だろうが公務だろうが関係ない、非常に厳しい意見や監督を講じているということがあったと思うんですけれども、なぜこういった発言であればそのように寛容に容認をしてしまうのか、大臣の見解を教えてください。

齋藤(健)国務大臣 この吉村さんの発言について、彼自身が、先ほど申し上げましたように、知事や公務や副会長として活動する場面では言わない、政治集会の場なので政治的主張として発言したということでありますので、政府の立場としては、そのまま素直に受け止めているということでございます。

中谷(一)委員 私自身は、しっかりと謝罪、撤回をしていただいて、報道の自由であったりとか、そういったものを損なうものではないということをしっかりと言っていただきたいと思いますし、仮にこういったことが諸外国で報じられてしまったりしたときには、取り返しがつかないことになるんじゃないかとすごく心配をしております。今も、ただでさえ、報道の自由度ランキングは日本は六十八位ということで、G7では当然最下位であるわけであります。

 大阪・関西万博が目指すものとして、SDGsの達成への貢献というものを掲げられていますけれども、これはゴール十一やゴール十六、こういったものからはもちろん相反するものだと思いますし、もっと言えば、世界八十億人がアイデアを交換して、未来社会の共創というコンセプトを掲げた万博で、出禁なんという自由を制限する排除の論理を発言するとすれば、それは冗談でも通用しないと思いますし、大阪万博では知事に逆らったり批判したりすると入場できなくなるらしいよなんということが仮に諸外国で言われたりしたら、それこそ国の威信に関わりますから。

 大臣、しっかりと、政府として、いわゆる万博の出禁発言が与える影響を鑑みていただいて、知事に対して謝罪、撤回をしていただくように監督をしていただけませんか。

齋藤(健)国務大臣 これも繰り返しになるんですけれども、政治集会の場なので政治的主張として発言したという御発言でありますので、その政治的主張について、政府として評価をしたり是非を論じたりすることは、私としては控えたいなというふうに思っています。

中谷(一)委員 この問題、繰り返しまた各種委員会でやらせていただきたいと思いますけれども、政府がこういったハラスメントやいじめ、差別的な言動、報道の自由に対する挑戦的な発言に寛容であるということは私はいかがなものかと思いますので、しっかりと、今後こうした姿勢を改めていただきたいということを切に切に要望させていただきたいと思います。

 続けます。

 林官房長官にお越しをいただいております。

 伺わせていただきたいと思いますが、自民党の裏金議員の処分内容における世論の評価を見ておりますと、処分が議員の都合で決められている、どこまで身内に甘いんだろう、総理が全く責任を取らないということに関しては非常に違和感を感じます、会社で普通考えると解雇なんじゃないですか、こういう人たちに国を委ねているのかということは残念で仕方ないという厳しい意見が散見されておりました。

 公明党の山口代表も、政治不信を招いている最大の責任は自民にあるということを述べており、私たち野党も全く同じ見解でありまして、スケープゴート、いけにえを差し出して幕引きをなどという魂胆は、幾ら何でも甘い、甘過ぎると思います。

 そうした中で、岸田首相が、最終的には国民の皆さん、党員の皆さんに御判断いただくと述べられていますが、そうであれば、内閣を総辞職していただいて、責任を取って辞めていただくか、衆議院を解散して、総選挙で国民の皆様に自民党と裏金の問題に関する評価を問うていただきたいということを考えますが、林長官から総理にこのことを進言していただけませんでしょうか。

林国務大臣 まず、官房長官として、自民党における処分やそれに対する評価についてコメントすることは差し控えますが、国民の政治に対する不信の声、これは真摯に受け止めなければならないものと考えております。

 総理は、自民党総裁として、国民の皆様から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こす結果となったことについて、党総裁として心からおわびを申し上げるとともに、二度とこうした事態を招くことがないように、党のガバナンス改革を進めるとともに、政治資金規正法の改正に向けて全力を尽くしていく、こういうふうに述べられているものと承知をしております。

 政府としても、政治に対する不信の声を真摯に受け止めながら、引き続き、内政、外交の諸課題に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 また、後段のお尋ねですが、解散等について、私として申し上げる立場にはないものと認識をしております。

中谷(一)委員 残念です。

 官房長官はやはり内閣の要、首相の右腕であり、現在も内閣総理大臣の臨時代理第一位は林長官でありましたので、私としては、しっかりと二人三脚で、総理に伝えてほしいなと思ったものですから、このように進言をさせていただきました。

 そして、公明党の山口代表はこうも述べられています。規正法改正で回復を図らなければ、最も国民に批判されるのは自民だと。主要政党の政治改革案、これは既に出そろっているのに、自民だけ周回遅れで、今指示を出しましたみたいな状況で、これでは余りにも遅過ぎて、自民党、岸田総理のせいでこれだけ政治改革が進んでいないわけでありますが、林長官には、まずその先陣を切っていただけないかなということを思っております。

 林長官が代表を務める林芳正を支える会は、外務大臣時代の二〇二二年に七回パーティーを行い、収入一千万円以上の特定パーティーはそのうち四回、利益率は八一・五%で、総額六千九百九十五万円程度の利益を上げられているということであります。

 しかしながら、国務大臣、副大臣及び大臣政務官の規定を見ますと、やはりパーティーの開催自粛の項目が定められておりまして、政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑念を招きかねないような大規模なものは開催を自粛するとされています。

 具体的に大規模の基準がなくて、定義を定めてほしいと前回の委員会で私が伺った際に、不断に考えていかなければならないと答弁をされておられましたが、その後、しっかりと考えていただけましたでしょうか。

林国務大臣 今御指摘のありました大臣等規範でございますが、公職にある者としての清廉さを保持して、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められたものでございます。

 大臣等規範に言う、政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものに当たるか否かの具体的な基準が特に定められているものではなく、同規範の趣旨を踏まえて、各国務大臣等が適切に判断すべきものと考えております。

 大臣等規範は、様々な経緯等により、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められておりまして、委員御指摘の定めの在り方についてでございますが、そうした経緯、そして規範の趣旨、政治資金をめぐる議論も踏まえながら、不断に考えていかなければならないものと考えております。

中谷(一)委員 ずっと不断に考えていただいていても、結果が出なければしようがないと思いますので、私、また次回も聞かせていただきますので、しっかりと考えていただいて、今国会中には結果を出していただきたいと思います。

 その中でなんですが、岸田総理が政治資金パーティーを開かないということを決めました。その中でなんですけれども、在任期間中、岸田総理は開かないということなんですが、今の閣僚でパーティーを開いて収入を集めているワン、ツーが岸田総理と林長官ということなんですけれども、これは林長官に関しても、内閣官房長官在任中に関しては政治資金パーティーを行わないと明言していただくことは、閣内であるべき規範を示すことになると思いますが、いかがでしょうか。

小川委員長 林長官、時間が経過していますので、簡潔にお願いいたします。

林国務大臣 いわゆる政治と金をめぐって、国民の皆様から厳しい目が注がれていると受け止めております。

 私の政治資金パーティーについては、官房長官就任以来開催していないところでございますが、そうしたことも踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと思います。

中谷(一)委員 また同じ答弁の繰り返しであるんですが、次のときもまた聞かせていただきます。

 是非、模範を示していただいて、在任中の政治資金パーティーをおやめいただくことを切に切に申し上げて、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

小川委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。決算行政監視委員会、初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず最初に、一つ目の項目、SDGsについて、特に日本国内での取組について質問させていただきます。

 SDGsの進捗確認、これはまさに行政評価であり、行政監視だというふうに考えております。それで今回取り上げさせていただきました。

 今日は外務大臣が御担当ということで来ていただいておりますが、早速ちょっとお尋ねしたいんですが、二〇三〇年の目標年までに日本は十七のゴールを達成できるのかどうなのかということです。

 追加で申し上げれば、二〇一八年から二〇二三年まで毎年アクションプランを作成しておりましたが、二〇二四年度版がまだできていないんですよね。これはいつできるんでしょうか。そして、あと、来年、二〇二五年には、四年ぶりにVNR、ボランタリー・ナショナル・レビューを作成する予定というふうに承知をしておりますが、どのように日本のSDGs達成状況の評価を行おうと考えているのか、併せてお答えをお願いいたします。

上川国務大臣 国連の総会におきましてこのSDGsが採択されて以降、総理を本部長とするSDGs推進本部を設置し、その下で、政府全体としてSDGs達成に向けました強力な取組が続けられているところであります。

 さらに、SDGsの国民的な認知度が約九割に達する中にありまして、民間ビジネス、また地方自治体を含めて、国内各界において様々な具体的取組が大きく進展しているものと考えております。

 同時に、我が国におけるSDGsの取組については、まだまだ様々な課題が指摘されているということも事実でございます。例えば、OECDによる二〇二二年版の報告書では、我が国はOECD諸国の平均と比較して、目標八の経済成長と雇用、そして目標九のインフラ、産業化、イノベーション等で進展がある一方、目標五のジェンダー、そして目標十の不平等等で課題がある旨指摘をされているところでございます。

 昨年の十二月に改定されましたSDGs実施指針におきましては、二〇二五年をめどに次回の自発的国家レビューを実施することとしておりまして、同レビューの作成プロセスにおきまして、我が国のSDGsの進捗状況について改めて評価をすることとしております。

 引き続き、我が国といたしましては、二〇三〇年までのSDGs達成を目標に、持続可能な経済社会システムの構築や誰一人取り残さない包摂的な社会、この実現に向けて、具体的な取組を強化、加速をしてまいりたいと思っております。

 私といたしましても、今後もSDGsの達成及びポストSDGsに向けました国際的な議論、これを主導してまいりたいと思っておりまして、様々な機会で多くの関係者と意見交換をしているところでありますが、その達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

櫻井委員 ちょっと、先ほどお尋ねした中で御答弁いただいていないのが、アクションプランについてなんですが、二〇二四年度版はいつできるんでしょうか。

 大体、いつも年度が始まる前に作っていただいていたんですね。二〇二三年度版は三月ですけれども、それ以前は、もう十二月に作って、翌年に向けてまさに取組を強化、加速するために作っておられたんですが、二〇二四年はいかがでしょうか。

上川国務大臣 先ほど申し上げました、昨年十二月に改定いたしましたSDGsの実施指針におきまして、我が国におけるSDGsの、ある意味で広がり、こういったことを踏まえまして、より行動志向な指針とすべく、従来はアクションプランにおいて記載してまいりましたSDGs実施に当たっての具体的な重点事項や、また取組についても、その主要な中身として重点的に記載をしてきたところであります。

 これからのSDGsアクションプランにつきましては、こうした状況を踏まえつつ、今後更に検討してまいりたいと考えております。

櫻井委員 今の答弁からすると、もう二〇二四年以降はアクションプランを作らないということなんですか。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣からお答えがございましたとおり、今後更に検討していきたいと考えております。

櫻井委員 では、作るか作らないかこれから考えますということで、せっかく昨年十二月に実施指針を作ったのに、何か、取組が加速するどころか後退しているのではないのか、ちょっと心配になってまいりました。

 改めてお尋ねをいたしますが、このSDGs、二〇三〇年が目標年度、二〇一五年から始まっておりますので、去年、二〇二三年がちょうど真ん中、折り返し地点でございます。折り返し地点を過ぎたのに、なかなか二〇三〇年までの達成の見通しが立たない項目、先ほど大臣から、目標五のジェンダーと目標十の平等ということがありましたけれども、ほかにも、目標七のエネルギー、再生可能エネルギーへの取組は不十分ではないのか。それから、目標十二から十五にかけてある環境に関する項目についても大分遅れているんじゃないのか、こういう指摘もあるわけです。

 もちろん、二〇一五年の時点で達成できていた目標もありますけれども、やはりこれは国際的な目標ですから、中には、日本は得意な分野、不得意な分野、あろうかと思います。やはり日本ならではの課題を抽出して、目標設定が改めて必要だというふうに考えるんですが、そういったことも含めて、アクションプランなり、それ以外の方法で改めて目標設定して、二〇三〇年までに全部達成するんだ、それがまさに、先ほど大臣が決意として述べられた、国際的な、国際社会において主導するということにもつながるんだと思うんですが、いかがでしょうか。

上川国務大臣 先ほど御答弁でも申し上げたところでありますが、昨年十二月改定のSDGs実施指針でありますが、これは今、認知状況とか広がりということで申し上げ、また、評価につきましては、幾つかのSDGsの項目につきましてまだまだという状況がございまして、そうしたことを踏まえて、より行動志向な指針としよう、こういう目標で改定をしたところであります。

 したがいまして、従来はアクションプランで記載してきたような具体的なことも、まさにこの指針の中に、具体的な行動指針の中に具体的な項目として挙げているということでありまして、その意味では、アクションプランをある意味でドッキングした形で更に具体的な指針にまとめ上げている、このような位置づけで今動いているところであります。

 その意味で、これから、アクションプランにつきましては、今御指摘のような御意見もございますので、検討をしてまいりたいと思いますが、いずれにしても、まさに目標達成のための具体的な行動指針ということでありますので、あらゆるセクターを総動員して、まさにマルチステークホルダー・パートナーシップの考え方の下で、この推進に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

櫻井委員 アクションプランは、毎年作っているというところに一つポイントがあったんだと思います。つまり、毎年、それまでの達成状況を踏まえて、更にこういう項目に次に取り組んでいきますよということがあったからだと思うんです。

 実施指針は、きっと毎年改定するわけではないですよね。前回のその前の改定も、作ったときは五年ぐらい間が空いているかと思いますので、そういった観点から、やはりきめ細かなレビューが必要だということを申し上げて、だからこそ、是非ともアクションプラン二〇二四年を作ってくださいということをお願い申し上げたいと思います。

 それからあと、今日は外務大臣に来ていただいて御答弁いただいているんですが、SDGs、これは開発途上国で、外国でやっていることということではなくて、日本ももちろん、先進国も日本も、自分自身のこととして取り組まなきゃいけない問題です。

 日本国内でも多岐にわたる取組を進めているわけなんですけれども、SDGsの本部長を総理大臣がされている、そして副本部長は外務大臣と官房長官というふうに承知をしております。

 ですが、総理大臣は何かとお忙しいですよね。先ほどもちょっと話題にありましたけれども、裏金問題に関連しても、総理は、総裁ヒアリングをされたりというようなことで忙しくされていて、とてもSDGsの対応にまで手が回っていないようにもお見受けします。

 副本部長は外務大臣と官房長官、どちらに責任があるのか、よく分からないわけなんですよ。国内のことをするのに外務大臣ではなかなか大変なのではないのかなというふうにも思うんですが、これは国内の取りまとめを含めて外務大臣がされる、こういうことでよろしいんでしょうか。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年五月の閣議決定におきましてSDGs推進本部が設置されてございますが、御指摘のとおり、本部長は内閣総理大臣、副本部長は内閣官房長官、外務大臣でございます。

 本部及び幹事会の庶務は、外務省その他関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理するというふうになってございます。

櫻井委員 内閣官房において処理するわけですよね。

 今日は副本部長の外務大臣に来ていただいているわけなんですけれども、ちょっと、この指揮系統の、命令の責任の範囲というものも、いま一度しっかりやっていただきたいなというふうに思います。結局、総理大臣が本部長だと、ある種、皆さんが無責任状態になってしまうのではないのかと心配するものですから、よろしくお願いします。

 それから、今年の国連総会では、サミット・オブ・ザ・フューチャー、未来サミットが開催されるというふうにも承知をしております。この中で、二〇三〇年以降の取組、SDGsは二〇三〇年が目標年度ですけれども、その先についても今後議論がされるというふうにも承知をしております。

 その中で、SDGsをめぐっては、欧州連合、EUがサステーナビリティーのルール化を主導していくような傾向が強まっておりまして、今後の経済政策のある意味核になってくるのではないのかな、こんなふうにも考えます。

 例えばですけれども、人権デューデリジェンスについても、EUがリーダーシップを取って、どんどん自分たちでルールを決めて、そして今、法制化に向けてもEUの中で進めているというようなことがあります。

 日本は、人権は大事です、普遍的な価値を大事にしますと言いながら、ガイドラインにとどまって、法制化までは踏み込んでいないわけなんですね。こういったところでも、外務大臣なり、日本の政府としても、先ほど主導的に、リーダーシップを国際社会の中で主導していくとおっしゃられているわけですから、やはりこうした取組をもっともっと前に出てやるべきではないのかなというふうに考えるんですが、その点についての意気込みはいかがでしょうか。

上川国務大臣 まず、御指摘のところでございますが、企業に対します人権尊重、これを求める声が国際的に高まっているところでございます。

 政府は、二〇二〇年の十月に、ビジネスと人権に関する行動計画、これを策定いたしました。この行動計画におきましては、企業に対しまして、まさに人権デューデリジェンスの導入促進を期待する旨を表明しておりまして、企業の意識の啓発や、また喚起をすべく、取組を実践的に行っているところであります。

 また、二〇二二年の九月でありますが、日本政府として、業種横断的な、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを決定し、公表したところであります。

 この問題につきましては、内外の様々な動向を見据えながら、人権デューデリジェンスに関しまして、将来的な法律の策定の可能性も含めて、関係省庁間で更なる政策対応についての検討をしていくということで取り組んでまいりたいと思っております。

櫻井委員 ちょっと、今、人権デューデリジェンスについて申し上げたのは、こちらでも、EUは法制化を進めているのに、日本はまだガイドラインとか行動計画というものにとどまっていて、もうすっかり出遅れているんじゃないですか、SDGsについても、同じように出遅れることになりはしないかということで申し上げたんです。

 ですから、どちらもしっかり取組を進めて、世界のルールづくりをつくって、自分たちの土俵で競争できるような方に持っていくということも是非お願いしたいと思います。

 それから、先ほど大臣から、実施指針を昨年改定したということなんですが、この中で、SDGs推進本部は、SDGs推進円卓会議をより一層活用し、取組を更に加速していく。これは八ページに書いてあるんですけれども、円卓会議を一層活用というのは、具体的にどんなふうに活用されていくんですか。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、大臣の御指導の下、様々なステークホルダーと、SDGsの実施の加速及びポストSDGsに向けた議論を精力的に行っておりますが、現時点において、円卓会議の方々との個別の意見交換をして、また、それを踏まえて全体の会合を行いたいと考えております。

櫻井委員 あと、それから、SDGsの実施指針九ページには、「地方自治体との連携を強化し、自発的ローカルレビュー(VLR)の積極的な実施を後押しする。」というふうに書いてあります。VLRを後押しするための財源、これをどのように確保していくのかということについても、併せてお尋ねしたいと思います。

 例えば、一つの考え方として、地方交付税を措置するとかというのも有効だと考えるんですが、いかがでしょうか。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 今の点につきましては、まさに内閣官房の下で、関係省庁と連携しながら実施していきたいと考えております。

 当然のことながら、当初予算以外のものもございますので、しっかりと連携したいと考えております。

櫻井委員 今日はたまたま総務大臣にも来ていただいていますので、VLR推進のための財源確保について、例えば交付税措置も是非御検討いただきたいというふうにお願い申し上げます。

 それでは、続いて、次の項目に移らせていただきます。地方創生臨時交付金の効果分析についてです。

 地方創生臨時交付金については、地方自治体の創意工夫により、多種多様な事業が実施されました。コロナ感染症で行動制限、いろいろなことがあって、こういう経験はなかなか日本もなかったものですから、手探りで行ったというふうにも承知をしております。

 ただ、いろいろなものをやったわけですから、中にはすごく効果があったものもあるでしょうし、中にはそうでもなかったものもあるでしょうし、中には、どうすればもっと効果が上がったのかなと、そういうものをやりながら思った、考えたものもあったかと思います。そうしたことをやはりしっかり振り返っていくべきではないのかなと考えるところなんです。そして、次に同じような危機が起きたときに参考にする、次はもっとうまくやるということが大事だと思います。

 そこで、今日は地方創生担当大臣に来ていただいておりますのでお尋ねをしますが、各地方自治体が公表した事業の効果について、ほとんどの自治体は公表していますけれども、これを内閣府でどのように分析をしているのか、そして、どのように活用しているのかということについてお尋ねをします。

 といいますのは、地方自治体は、公表はするけれども、後は、気になるから、隣近所の自治体が何をどんなふうにやって、どんな効果があったのかなぐらいは見るかもしれませんが、全国津々浦々、網羅的に、横断的にということにはなかなかならないと思います。やはりこうした分析をするのは、国において、内閣府においてするべきではないかなと考えるところですので、内閣府での取組を是非教えていただければと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、地域の実情に応じて必要な事業をきめ細かく行えるよう、コロナ対応として必要な事業であれば自由度高く活用可能な制度としていることから、その使途や効果について各自治体が地域住民等に公表することは、本制度について国民に御理解をいただく上で極めて重要であると考えてございます。

 委員も御指摘いただきましたけれども、将来の危機対応においても、本交付金を活用した事業の効果分析、検証の結果を生かしていくことが非常に重要だと考えてございます。このため、内閣府におきましては、令和二年度及び令和三年度に本交付金を活用して実施された事業の効果分析、検証を行ってございます。どのような事業が行われたのか、どのような成果指標を定めたのか、効果の公表の事例などを取りまとめて公表させていただいてございます。

 自治体へ情報発信、こういった情報提供を行うとともに、自治体自らが十分な説明責任を果たすことも重要だという認識も持ってございまして、令和四年末に、自治体における事業の実施状況及び効果の公表を、今回、制度化をさせていただいております。

 このような認識の下、引き続き国における効果検証を進めてまいるとともに、公表に向けた自治体の取組、これはまだ道半ばの部分もございますので、促しながら、我々も引き続き取組を進めてまいりたいと思ってございます。

櫻井委員 地方自治体の中で、多くの自治体で実施されたものとして、プレミアムつき商品券というものがあるんですが、例えば、一万円で買うと一万二千円分の商品券がもらえるというようなものですね。つまり二千円分がプレミアムだ、そういったものが多くの自治体で、金額は違いますけれども、実施をされております。

 消費喚起の効果があるのかどうなのかということなんですが、こういったことについても、やはり多くの自治体でやっているわけですので、どのような効果があったのかどうかということを是非調べていただきたいと思うんですね。

 ちなみに、過去に実は調べたことがあって、一九九八年に、橋本内閣のときには定額減税を実施していて、その効果と、それから一九九九年、小渕内閣のときに地域振興券というのを実施していて、この地域振興券というのは、プレミアムつき商品券と似たようなものというか、お金を出さなくても券をもらえるというところではちょっと違いますけれども、似たようなことをやっている。それについて、どれほど消費に回り、どれほど貯蓄に回ったのかということについて、当時、経済企画庁の調査局で調査をしております。

 結果は、定額減税した場合には、消費に三割回り、つまり、ちょっと臨時の収入が入ったから三割は使おう、七割は貯蓄に回ったという分析でした。地域振興券についても、実は、消費が三割増えて、七割は貯蓄に回った。地域振興券そのものはもちろん貯金はできませんけれども、ふだん買物するものを、現金で買うんじゃなくて地域振興券で支払うことによって、現金を節約し、それを貯蓄に回すというようなことが起きていた。結局、どっちでやっても、消費者は非常に合理的な行動を取っていたということが明らかになったわけなんです。

 そういったことを、これは二十年前の事例ですから、今の時代に本当にそれは同じようなことになるのかどうなのかは分かりませんし、本当にプレミアムつき商品券というのがいい制度なのかどうなのか。これを買える人というのは、ある意味、ちょっと限定されるといいますか、昼間ちょっと時間に余裕があって買いに行けたり、ないしは手続をできたりする人に限られてしまって、ふだんこういった場で働いている方、昼間働いている方はなかなか買いにくいとか、いろいろなこともありますので、必ずしも私は公平な制度ではないというふうにも思います。

 そういったことも含めて、是非、横断的に分析をされたいということをお願い申し上げて、ちょっと時間も押してきたので、次の質問に移らせていただきます。

 あと、横断的に行われたものとして、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金というのがございます。これは、行動制限がかかっているときに、その分、協力していただいたお店に協力金を出しましょうということであったわけなんです。

 当初、四万円とか六万円と一律にやっていたということで、小さなお店にとっては、粗利で六万円入ったら、一日六万円だったらこれはふだんの商売よりいいわということで、こっそりにんまりする声もあったという声がある一方で、そこそこ大きな規模でやっているお店からすると、もうこれでは全然足りない、従業員の給料にもならない、家賃も払えないというような、そういった不公平感を訴える声もございました。こうした反省も踏まえて、コロナ禍の後半には、売上げに応じた協力金の支払い方式が導入されたというふうには承知をしております。

 ただ、この協力金制度、税金を使っていく以上は、やはり公平で納得感のある制度とするべきだと思いますし、一方で、こうした危機においては素早く対応していくということも重要ですから、簡素な制度でもあるべきでございます。

 今後、万が一、次なる危機が起きたときに対応するための制度を考える上で、今回の協力金制度、プラス、マイナス両面をしっかり教訓として生かしていくべきだというふうに考えますが、これも内閣府にお尋ねをいたしますけれども、今回の協力金の制度の成果として、課題をどのように分析されていますでしょうか。

八幡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の時短あるいは休業要請に係る飲食店への協力金といった事業者への支援策につきましてでございますけれども、今般の新型コロナ以前の、いわゆる平時の段階におきましては、その検討が必ずしも十分でなかったということではないかというふうに考えております。

 特に、コロナ対応の初期におきましては、時短、休業要請により大きな影響を受けた方々への支援の迅速さを優先する一方で、御指摘のようなきめ細やかな制度とするための検討の時間が十分ではなかったのではないかと考えてございます。

 このため、コロナ対応を行う中で、いわば走りながら考えるといった状況の下で、国会等におきます様々な御意見を踏まえながら、随時、協力金等の支援策についても見直しを図るといったような対応を行ってきたところでございます。

 こうした今般のコロナ対応に関する経験を踏まえまして、次なる感染症危機に向けましては、感染症拡大防止措置が国民生活や経済に与える影響を緩和するために、必要な事業者への支援を迅速かつ公平に行えるよう平時から検討を行っていくことが重要である、このように考えております。

櫻井委員 いろいろな教訓が得られる、ある意味、壮大な社会実験をしたわけですから、教訓をしっかり生かしていただきたいというふうに思います。

 済みません、ちょっと申し遅れましたけれども、外務大臣とそれから地方創生担当大臣は、これで質問を終わりましたので、御退席いただいて結構でございます。

小川委員長 両大臣はどうぞ御退席ください。

櫻井委員 続きまして、ふるさと納税制度の効果についてもお尋ねをいたします。

 ふるさと納税制度は、そもそも、今は都会に住んでいても、自分を育ててくれたふるさと、田舎を、自分の意思で幾らかでも納税できる、そんな制度があってもいいんじゃないのかなということで始まった制度というふうに承知をしております。

 ところが、今は、インターネットでもテレビコマーシャルでも、何かカタログショッピングのようにいろいろな商品が出てきて、どのふるさとを応援するかではなくて、どの商品が欲しいかでやっているということが多いのではないのか、本来の趣旨とはかけ離れてしまっているという現状があるのではないのかというふうにも思います。

 一方で、災害が発生したときには、被災自治体に返礼品がなくても寄附が集まるという状況もございます。これ自体は大変すばらしいというふうにも思いますし、逆に言えば、返礼品で釣って税金をかき集めるというのは、いかにもゆがんだ自治体間競争ではないのかなというふうにも思うわけです。

 あと、それから、返礼品を受け取る方は、それなりに所得がある方ですね。つまり、ふるさと納税をしてメリットがある金額というのは、これは納税額の比例割合なわけですから、ある程度の地方税を納めていないと返礼品のメリットがないわけなんですね。それなりのメリットを受けられるということは、それなりに所得がある方だ。所得がある方に、こうした返礼品といいますか、例えば米ですとか高級ビーフであるとか、いろいろな、地域の食料品が多いわけですけれども、そういったものを受け取れるということになっていて、これは本当に、こんな、分配面でもやはり問題があるのではないのかというふうにも考えます。

 地方全体で見た場合、ふるさと納税によって、明らかに地方税の税収が減少しているわけなんです。国全体としてこれだけ赤字を抱えていて、新規の国債、二百兆円、毎年発行ですよね、財務大臣。そういった状況の中で、税金で返礼品を購入するというような、そしてプレゼントをするというような形というのが本当にいいのかどうかということで、非常に私は問題に思っております。

 総務大臣にお尋ねしたいのは、ふるさと納税、返礼品競争、カタログショッピングになってしまっているという状況は、本来の制度趣旨からかけ離れてしまっているというふうに考えますが、大臣はどのように評価をされるのか。特に、ふるさと納税の金額がもう一兆円に迫っているという状況ですが、これをこのままどんどん増やしてしまってよいとお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

松本国務大臣 委員がおっしゃられたように、ふるさと納税制度は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして、寄附税制を活用して創設された制度であると理解をいたしております。

 この制度を活用して寄せられた寄附金は、これもただいま御指摘がございましたが、今回の能登半島地震などの災害時の被災地支援、子供食堂などの子育て支援、遠距離通学支援などの教育に関する取組など、様々な地域の課題解決のために使われているといったところもあると承知をいたしております。

 また、返礼品につきましてですが、地場産品を提供することで、新たな地域資源の発掘を促し、雇用の創出や地域経済の活性化につながっているという面もございます。

 これもただいま御指摘があったところかと思いますが、制度が普及する過程で過度な返礼品競争が行われたと言わざるを得ない状況もございまして、これを背景に、令和元年度に、対象となる地方団体を国が指定する制度を導入し、ふるさと納税の募集に要する費用を寄附金総額の五割以下とするなど適正な募集を行うこと、各地方団体が提供する返礼品については、返礼割合を三割以下かつ地場産品に限ることなどの基準を定め、昨年も、募集経費五割以下基準を始め、この指定基準の運用を厳格化する改正を行っております。

 ふるさと納税につきましては、今後とも、各地方団体の募集の態様や返礼品の提供状況等を踏まえ、必要に応じ、基準の見直しや明確化等を検討し、制度が適切に運用されるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。

櫻井委員 ただ、これは先ほども申し上げましたけれども、国債を毎年、新規の国債ではなくて毎年の国債、借換債も含めてでございますが、二百兆円も発行している。国家財政が厳しい中で、地場の産業振興につながるという話もございましたけれども、税金である種お土産品のようなものを買って贈るということが、本来の税金の使い方としていいのかというのは、もう少し考えるべきではないのかなというふうに思います。

 それから、あと、地方財政の仕組みとして、ふるさと納税が他の自治体に行ってしまって入ってこなかった部分については、基準財政収入額で減った分として計上されておりますけれども、ふるさと納税が入ってきた自治体については、基準財政収入額として計上されていないということになっていて、雑収入で計上されているというふうに承知をしております。

 やはり、出ていく方は地財計画の中に入っていて、入ってくる方は入っていないというのは、何か非常にバランスが悪いと思うんですが、いっそのこと、これは両方ちゃんと計上するというふうにすればどうかなと考えるんですが、いかがでしょうか。というのは、そうすれば多分、先ほどの返礼品競争とか云々かんぬんの問題も、実は解決するんじゃないかと考えるので、是非お願いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の寄附金収入の基準財政収入額への算入について御質問をいただいたというふうに考えてございます。

 このふるさと納税ですけれども、地方税と異なりまして、個人の意思に基づく寄附であること、それから、その受入額でございますけれども、団体ごと、年度ごとに大きなばらつきや変動があること、こうしたことから基準財政収入額に算入していない、こういうことでございます。

櫻井委員 でも、入ってこなかった分については、これは地財計画の中に入っているわけですよね。つまり、例えば東京都世田谷区ですと、出ていく分がたくさんあるわけなので、その分は、世田谷区の場合は交付税措置はないですけれども、出ていっちゃうわけですよね。出ていった分は地財計画の中に入っているわけですよね。出ていく方は入っているのに、入ってくる方は入っていないというのはおかしくないですか。

小川委員長 時間が経過しましたので、簡潔に。

池田政府参考人 お答えいたします。

 個別団体の基準財政収入額に関する考え方は、先ほど申し上げたとおり、ふるさと納税による収入が標準的な地方税のような収入とは考えにくいことから、基準財政収入額には算入していないということでございます。

櫻井委員 時間になりましたので終わりますけれども、国家財政が厳しい折ですので、本当に、ワイズスペンディングというふうに言う方もいらっしゃいますけれども、より効率的、効果的なお金の使い方になるようにしっかり議論していくことをお誓い申し上げて、今日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小川委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 立憲民主党の青山大人でございます。

 まずは、財務大臣にお伺いします。

 令和六年分所得税の定額減税の仕方について、ちょっといろいろ思うところがございまして、質問させていただきます。

 改めて、この令和六年度分の所得税を減税する目的を簡潔に教えてください。

鈴木国務大臣 今回の定額減税についてでありますが、これは、まずはデフレマインドの払拭ということが大切だと考えておりまして、それに向けて、コロナ禍や物価高騰という苦しい中におきましても納税をしていただいた国民の方々に所得の上昇をより強く実感していただくことが重要である、そういう考えから、減税という分かりやすい方法で対応したところでございます。

青山(大)委員 今大臣から、分かりやすいという御答弁があったんですけれども、私自身も会社を経営をしております。先日、令和六年度分所得税の定額減税の仕方という国税庁の冊子が届きました。給与所得者に対する定額減税は、給与の支払い者の下で、その給与等を支払う際に、源泉徴収額から定額減税額を控除する方法で行いますと記載をしております。十六ページにわたって、やり方について丁寧な説明が書かれております。財務省の皆さんも、この短期間でよくこの制度を構築されたなと本当に思います。

 そして、給与を支払う側、つまり経営者側へも丁寧に説明しよう、そういう意思は感じ取ることができますが、事業者側といいますか、中小企業、私のような小規模事業者の立場からしたら、給与を支払う際の手間、この手間が大きな負担なんです。年末調整が二回あるようなものです。

 通常の年末調整時にこの減税分を上乗せして還付しようとか、そういうことは議論されなかったんでしょうか。

鈴木国務大臣 先生の御主張は、減税を行うならば、十二月の年末調整の際、一度で済ました方が源泉徴収義務者の負担というものも少なくて済むのではないか、そういう御指摘だ、そういうふうに理解をしたところでございます。

 減税を六月から開始ということにしているわけでございますが、この六月といたしました理由は、賃上げが実現すると見込まれるタイミングに合わせて税負担を軽減し、できる限り早く減税の恩恵を届けるためということでありまして、先ほど申し上げましたように、デフレマインドの払拭ということも一つの目的としている今回の政策であるわけでございます。

 それが六月にしたということでありますが、問題は、御指摘のとおり、源泉徴収義務者の方々が負担増になってしまうということでありまして、その負担軽減の観点からも、政府としては、賃上げが実現するタイミングに合わせてできるだけ早く減税の恩恵を設けることが重要と思い、六月からの実施が適当であるということは先ほど申し上げましたけれども、今般の定額減税の実施に当たりましては、企業や自治体の皆さんに一定の事務負担をお願いすることになりますので、制度設計に当たりましても、事務の実態等を踏まえて、企業が減税開始後に雇用した方については前職での減税についての確認を不要にするなど、企業の事務負担にも配慮をしているところでございます。

 そして、周知広報も、これもしっかりやらないとと思います。企業や自治体の担当者の方々が事務を進める上でお困りにならないよう、パンフレットでありますとかQアンドAを策定、公表いたしまして、丁寧な周知に努めているところでございます。

 引き続きまして、企業や自治体の事務が円滑に実施できますように、丁寧な説明等に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 ちょうどうちの会社も、従業員が十人未満の会社でございます。およそ日本企業の約七割が、従業員が十人未満の事業者でございます。それらの企業では源泉所得税の納期の特例承認が認められており、すなわち半年ごとにまとめて納付できるという特例制度が認められております。これは正直、事務的な負担からするととてもありがたい制度でございます。

 一月から六月までに支払った分の給与に対する所得税の納期が七月の十日でございますので、いわゆる特例承認が認められている事業者に対しては、一月から五月分も減税対象にすれば、事業者にとって減税の手続が簡略化されるし、先ほど大臣も、何度も、いわゆる早く減税の恩恵を、効果が表れるようにしたいという答弁をおっしゃいましたけれども、もし、いち早くその効果が表れるようにするのであれば、まさにこの特例承認を今回の減税の制度に認めて、小規模事業者の負担が解消できると私は思いますけれども、今回の特別減税に小規模事業者への特例承認、これを認めてみてはいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の小規模事業者につきまして、給与の支給人員が常時十人未満の小規模事業者につきまして、源泉徴収義務者として前月までに税務署に届出をした場合につきましては、年二回の納付という特例が認められております。

 仮に、こうした企業のみについて一月から五月分の税額からの控除を認めた場合でございますが、納税額が仮に同じでも、勤める企業によって減税の効果が及ぶ時期が異なるということになりますので、そういった点から適切ではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、様々な例外、特例措置を設けますと制度がより複雑になりまして、源泉徴収義務者の事務負担が増えかねない、できるだけ簡素で分かりやすい制度という観点も重要であるということを御理解いただきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 今、できるだけ簡素という御答弁がありました。せっかく減税をして、デフレマインド脱却、そういう、国民の皆様にとってせっかくいい制度にしようと思って、多分、大臣、政府はいろいろ考えてこの政策を決断されたと思うんですけれども、かえって、大企業はそれなりに経理担当の方とかいるかもしれませんけれども、中小企業、小規模事業者、これからまさに従業員の賃上げを考えようという中で、非常に事務的な手間、そしてその負担をとても感じるんです。

 そもそも、もし、簡潔にやろう、まさに税の基本は簡素ですよね。でも、今回どうしても、この制度、なかなか複雑なんです。私は、もし同じ額を国民の皆様へ、消費に回そう、還付しようというのであれば、例えばコロナ禍で行った一時給付金、こういうものがあると思うんですよ。コロナのときに一度行っております。同じ額を国民の皆様へ還元するのであれば、なぜこういったシンプルな制度を取らなかったのか。なぜわざわざ、事業者、特に中小企業や小規模事業にとってあえて負担感を増すような、こういう政策を取ったのか、お伺いします。

鈴木国務大臣 青山先生の御質問は、なぜ給付金でなく減税ということを採用したのかということだと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、今般の定額減税でありますけれども、まずはデフレマインドの払拭ということに向けまして、コロナ禍、物価高騰という苦しい中においても納税をしていただいた国民の皆さんに所得の上昇をより強く実感していただくということが重要であると考えたところでありまして、そのために、減税という分かりやすい方法が最も望ましいと判断をいたしました。

 給付等の他の手法に比較して、その方が先ほど言った今回の政策の目的に沿ったものである、給付よりも、比較しても望ましい効果が減税の方が得られる、そのように判断をしたところでございます。

青山(大)委員 私は、もうこれは決まった制度ですので、別にこれをどうこう言うといいますか、どうせやるのであれば、何でもっとそういうシンプルな方法でできないのかということなんです。

 恐らく、多分、財務省の方たちも、この制度、この短期間で、突貫工事でするのはとても大変だと思うんですよね。ちょうど昨年は、中小企業からすると、やはりインボイス制度の対応で結構苦労したんですよ。経理担当も大変な思いをしました。仮にもしこれが一度きりの定額減税だとしたら、本当に私は、正直もったいないなと思うんです。

 大臣、せっかく今回このような制度をつくられた、そして中小企業、小規模事業者へそういった給与の支払いを負担させる。だったら、これ一回きりじゃなくて、どうでしょう、来年も継続していく、もしかしてそういうような大臣の考えがあるのかな、そのように思ってしまうんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今回の定額減税につきましては、この六月という時点において、まずは、長年染みついたデフレマインドを払拭するという大きな目的がございます。それによって、来年以降も国民の皆さんにそうしたデフレではないという生活、経済を送ってもらうきっかけにしなければいけない、そういうような観点から実施するものでございますので、複数年度にわたっての実施というものは考えていないところでございます。

青山(大)委員 大臣、私が言いたいのは、中小企業、小規模事業者、この中で、従業員に今賃上げしよう、そういうふうに思っている中で、本当に余計な手間、負担増になったことがとても残念に思いますし、是非やはり、中小企業や小規模事業者、そういった視点も欠かさずに制度設計をしてほしい、そういったことを私はその立場から主張をさせていただきます。

 あともう一点、せっかくこれをつくったんだから、そんな一回きりと断言しないで、またこの制度は使えるんですから、思い切って来年、再来年もこうやって還元していって、もっと景気が上向くまで是非どんどん私はやってほしいなと重ねて提案をさせていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 食育の推進についてお伺いします。

 ちょうど私、今、六歳と四歳の子育て中でございまして、たまたま、通わせている幼稚園で、授業参観と併せて、保護者向けに食育の専門家から、食育をメインに日本の食文化の歴史や伝統、食べ物と体の関係などの講演を聞く機会がありました。

 私も、正直これは感動しました。食育の講演というと、カロリーがどうとかバランスよく食べなさいとか、そういう話を想像していましたけれども、できることをしましょうよと。私自身は食事に気を遣っている方ですけれども、子供がなかなかバランスよく食事をしてくれないことにいらいらするときもあったりとか、講演を聞いた後、正直肩の荷が下りました。同様に、たくさんの親御さんたちも同じような印象を持ったということでございます。正直、私も含めて誰でも子育ては初心者でございますが、子育ての親に向けての食育を聞く機会って案外ないな、そう思った次第でございます。

 子供のためはもちろん、子育て中の親に対する食育の推進は私は非常に大切だな、そう思うんですけれども、大臣、子育て中の親に対する食育についてどう思われますか。

坂本国務大臣 私が最初に当選したのは平成十五年でありますが、一番最初に議員立法に関わったのがこの食育基本法でございました。

 そのときは、子供を中心に、食の慣習も含めて、あるいは日本の食材も含めて、どうやってやはり子供の食育をきちんとやるかということで、文部科学省が主管でございましたけれども、そのことについては、やはり農業も、それから日本全体の食の問題として、そして消費者の問題として捉えるべきだということで、平成二十八年から、農林省を主管として、あと、厚労省、文科省、そして内閣府、こういったのが共管としてなりました。

 ですから、委員おっしゃるとおり、食育そのものにつきましては、生きる上での基本でありまして、食や農林水産業に対する理解の醸成を図る観点から非常に重要であるというふうに考えております。

 食育基本法が浸透していくところによって、親が子に教えるだけではなくて、親が子に教えられる、そういったことも出てまいりました。

 そういうことで、農林水産省といたしましては、親子で農産物の収穫や酪農体験、こういった機会を余計つくる、そのことによって確実に、農業の大切さ、あるいは食の大切さ、食材の、地元の大切さ、こういったものが出てきておりますので、今後とも、やはり親も含めて、国民全体の皆様方に対しまして食育の取組の充実強化、こういったものを図ってまいりたいというふうに思っております。

青山(大)委員 まさに大臣おっしゃるとおり、親子で学んだり、そういった地産地消の料理教室とか大人も楽しめる農業体験など、本当にそういうのも大切でございますし、令和三年三月に発表されました第四次食育推進基本計画も、改めて私どももじっくり読ませていただきました。その中で、子供の食育における保護者、教育関係者等の役割、これも一応書いてあるんですけれども、やはり、そこの中でも保護者の意識の向上を図るとはあるんですけれども、そこがちょっと、大臣、私は弱いなと思っております。

 そこで、大臣、これは参考人の方でもいいんですけれども、そもそも食育に関する予算がどのくらい確保されているのか。消費・安全対策交付金の中に食育の推進予算が含まれていると思われますが、消費・安全対策交付金、まず全体の予算、そしてその中の食育の推進は大体幾らぐらいか、参考人の方で結構ですので、お伺いします。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 食育に対する支援でございますけれども、委員お話のございましたとおり、消費・安全交付金という交付金の中で、令和六年度の予算額は十七億二千万円ということで予算を措置しているところでございます。食育さらには食品の安全、そういったようなことに関する分野に関して、交付金として支援しているということでございます。

 特に、食育に関しては、やはり地域が主体となった取組ということで、地域が自発的に使い、そして柔軟に活用できる形ということで、交付金で措置しているところでございます。

青山(大)委員 質問は、その十七億円の交付金のうち、食育に充てるところが大体幾らぐらいなんですか。そこをちょっと大臣にお伺いします。

坂本国務大臣 この消費・安全対策交付金といいますのは、非常にそれぞれの都道府県の裁量というのを大事にしておりまして、その都道府県の中で、鳥インフルエンザとか、そういった病害虫の防除も含めて、最も重要視されるものに使用してくださいというようなことになっておりますので、それぞれの都道府県でどういうふうに食育の方に割かれているかというようなことは、都道府県の方で把握しているということでございます。

青山(大)委員 今大臣おっしゃったように、この交付金というのは、鳥インフルエンザが発生した際とかそういうときに、恐らく、この交付金のほとんどは、そういった鳥インフルエンザ対策とか、そちらの方に使用されていると思うんですよね。

 私は、是非この交付金、食育と切り離して、食育の部分だけ切り離して、そこでしっかり食育の推進という予算立てをしてほしいなと。私は、そういう意味で、先ほど、この全体、鳥インフルエンザとかの対策と食育、どのような割合かなと聞いたわけでございますけれども、実際、大臣、今後、まさに食育を推進するに当たって、その辺を切り離すような考えはないでしょうか。お伺いいたします。

坂本国務大臣 食育の支援につきましては、各都道府県の実情に応じて柔軟に、先ほど言いましたように、やっておりますけれども、支援の充実というのは大変重要なことと考えております。

 今後とも、必要な予算の確保に全力で努めてまいりたいというふうに思っております。

青山(大)委員 大臣、これは今後の議論ですけれども、こういう意見があったということで、是非検討してみてください。

 最後、関連して文科大臣に一問だけ質問します。

 私は、この食育の推進で、いろいろな農業体験とかも、それも大切だと思うんですけれども、関心がある親御さんだけになるんじゃなくて、やはり子育て中の親御さんみんなにそういう聞けるような場をつくっていくことが大切かなと思うんです。子育て中の親が、保護者が、年に一度でいいと思うんです、例えば学校で集まる機会に食育の大切さを学ぶとか、そういう聞く機会をつくるべきではないでしょうか。子供だけじゃなくて、まさに子育て中の親に、年に一度でも聞かせる機会をつくる。

 例えば、都道府県などを通じて、特に小さなお子さん、幼稚園とか小学校で保護者が集まるような機会が必ず年に数回あります。私も、長男が小学校に入学して、あしたは朝一で入学式に行ってまいりますけれども、そういう機会を利用して専門家から食育の講演を聞くことを国として全国的に推進することができないか。どうでしょうか、大臣。

盛山国務大臣 青山先生御指摘のとおり、教育の中にどうやって食育を入れていくか、こういうことではないかと思います。

 家庭教育というのは、食育を含めた全ての教育の出発点であります。基本的な生活習慣や社会マナーの習得、心身の調和の取れた発達などに重要な役割を担うものであり、文部科学省においては、保護者への学習機会や情報の提供等の支援を行っております。

 具体的には、PTAなどの様々な関係団体の協力を得て展開しております「早寝早起き朝ごはん」国民運動を通じて、健やかな成長に当たって食事等の生活習慣の重要性について普及啓発を図っているほか、地域の子育て経験者等により組織される家庭教育支援チームの活動に対する支援を通じて、食育に関する保護者への学習機会を提供するなどの取組を進めております。

 先生御指摘のように、入学式の場が適切かどうかはちょっと分かりませんですけれども、各地域の実情に応じまして、学校や地域と連携しつつ、学校、家庭、地域を通じた食育を文部科学省としては推進してまいります。

青山(大)委員 本当に、自治体とかが主催するそういう会ですと、やはり意識ある方たちは集まってくるんですけれども、本当に、子育て中の親全員に、一度でもいいので、そういうような自然に聞く機会を提供することが必要なのかな、私はそう思って質問した次第でございますので、是非検討していただければ幸いでございます。

 次の質問に行きます。

 平成二十九年、二〇一七年三月から施行されました道路交通法改正によって、普通免許と中型免許の間に準中型免許が新設されました。これにより、改正後、普通免許を取得した方が運転できる車両の総重量が、以前の五トン未満から三・五トン未満となりました。

 私は、ちょうど五年前、令和元年の、二〇一九年の内閣委員会において、消防団が消火活動に使うポンプ車の総重量が三・五トンを超えるため、改正後の普通免許では消防団が使用するポンプ車を運転することができませんよと。五年前の当時は、ほとんどの消防団員は改正前の運転免許を持っていたのでそういう心配はないんですけれども、いずれそう遠くない将来に消防団員がポンプ車を運転できない事態になるので、予測される事態に対して事前の対応を取るべきだと質問をいたしました。

 その後、何か対策はされたでしょうか。伺います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 準中型免許と消防団員との関係につきましての御質問でありますが、我が国の地域社会におきまして消防団が果たしている役割は極めて大きいものと認識しております。

 警察庁におきましても、消防庁と連携いたしまして、準中型免許については普通免許を有していなくても取得が可能である、それから、消防団員に対しては、準中型免許の取得について市町村の公的助成制度があることにつきまして周知をしているところでございます。また、消防庁におきまして、準中型免許の取得環境を整備する取組を行っておりまして、この取組に協力を行ってきたところでございます。

 引き続き、消防庁と連携いたしまして、消防団員が準中型免許を取得しやすい環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)委員 今年も石川県で大きな大地震が起きて、消防団の皆様のお力が本当に必要でございますけれども、これは本当に、遠くない将来、消防団員が、火災、急報で駆けつけて、あっ、ポンプ車が運転できませんという事態、これは結構私は全国で多発すると思います。

 先ほど準中型免許を取る際の費用面での支援の話もあったんですけれども、消防団員というのはボランティアなんですよ。普通免許から準中型に替えるのに五日間、五日も講習に行く。この時間的な拘束も大変ですよ。もちろん、消防署員ですとかはそれが専門の方ですからそうですけれども、消防団員がポンプ車を運転するために五日間、これは行けませんよ。

 あれから五年たって、私も現役の消防団員です、もう十数年やっていますけれども、やはり最近、若い団員が増えてきた。御承知のように、なかなか消防団員を確保するのは大変です。それでも若い人たちを確保する。でも、やはりみんな新しい運転免許なので、運転できないんですよ。

 そこで、私は、前回、五年前も提案したのは、消防団員に限って、準中型に切り替える際の教習時間の短縮とか、又は、消防団がポンプ車を運転する際、ふだん一人で運転することはないんですよ。必ず二人、三人集まって運転します。消火活動とか訓練のときに限っては、いわゆる改正後の普通免許でも従来のポンプ車を運転できるような、そういう例外を私はつくるべきではないかということを五年前に提案させていただきました。

 もちろん、交通事故とかがあっては大変かもしれませんけれども、やはり救急の事態というのはそうありませんし、消防団もしっかり訓練をしています。その辺の考えについて、いかがでしょうか。お伺いいたします。

早川政府参考人 お答えいたします。

 一般に、貨物自動車は普通自動車と比べまして、交通事故が発生した場合の死亡率が高いなどの傾向があり、貨物自動車の運転には車両特性を踏まえた知識、技能が求められるところでございます。

 御指摘の準中型免許は、二十歳以上に取得年齢等が制限されておりました中型免許制度を見直し、車両総重量三・五トン以上七・五トン未満といった準中型自動車について、十八歳以上の方が普通免許を保有していなくとも新規に免許を取得することを可能としたものでございます。その教習時間につきましては、調査研究を踏まえ、貨物自動車特有の特性や運転の知識、技能の習得に必要な時限数を定めているところでございます。

 お尋ねの教習時限数の短縮あるいは例外的な措置というのは、交通の安全を確保する観点から、困難であることを御理解いただきたいと思います。

青山(大)委員 恐らく、当時議論した際には、やはりそういった消防団のまさかこういう事態は多分想定していなかったと思うんです。ただ、私は、過去にあったことに対して、おかしいと責め立てる気は全くないです。ただし、近い将来、確実にこういうことが起きるということで、何かしら対策を今のうちから議論すべきじゃないか、そういったことを今回提案をさせていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 ちょっと質問の順番を変えまして、大臣がいらっしゃるので、大臣への質問を先にいたします。外務大臣へ質問します。

 ちょうど、私、この委員会に通告を出したのが四月四日の木曜日だったので、そのときには、四月三日に台湾沖で発生した地震に対する上川大臣のメッセージ、総理官邸は三日の日にすぐ出ていたんですけれども、まだ四日の夕方の段階で大臣から台湾の地震に対するメッセージや支援策について特段言及がなかったので、ちょっと今回、質問項目に入れたんですけれども、翌日、四月の五日の金曜日に大臣からメッセージとまた支援策があったので、あえて同じ質問になってしまいますけれども、改めて大臣から、今回の台湾沖地震について一言お願いいたします。

上川国務大臣 台湾東部で発生いたしました地震によりまして多くの被害が発生していることについて、改めて、被害に遭われた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族にお悔やみを申し上げます。

 日本と台湾は、これまでも大切な友人として、コロナ禍を含めまして、困難に向き合うたびにお互いに支え合ってきたところでございます。本年年初の能登半島地震の際にも台湾の皆様から心温まる多大な御支援をいただいておりまして、心から感謝しているところであります。

 こうした点も踏まえまして、四月五日でございますが、少しでも台湾の方々にと、力になりたいとの思い、国民の皆様の思いで、日本台湾交流協会を通じまして、百万ドル規模の緊急無償資金協力による支援をお届けをする考えを私から表明したところでございます。

 日本政府といたしましては、被災者の救援と被災地の一日も早い復旧復興に向けまして、引き続き、台湾側のニーズ、これに応じまして、必要な施策を積極的に行ってまいりたいと考えております。

青山(大)委員 大臣、そこで、ちょっと大臣にこれは提案なんですけれども、大臣は今、ツイッター、Xを持っていらっしゃいますけれども、基本的に日本語じゃないですか。私も、やはりX、ツイッターが、いろいろな海外の外務大臣とかプライムミニスターなんかの、いろいろな参考になるので見ているんですけれども、今、日本でいうと、一応、総理はたまに英文で発信していますけれども、外務大臣として、そういった海外向けの事案とか、英語のSNSの発信ができないかなと思うんですよね。

 今、外務省として英語でのツイッターもあります。それはそれで、私は、外務省のツイッター、Xとして運用していいんですけれども、別に、やはり外務大臣というのは日本の顔ですから、これは多分、大臣が運用するのは大変かもしれませんし、外務大臣も毎年替わったりしますので、ですから、外務省として、日本のフォーリンミニスターというようなSNSアカウントを作って、誰が外務大臣になろうと、日本の顔として、そういう海外的な発信をできるような、そういったものをできないでしょうかね。

 これは別に大してお金がかかる話じゃありません。ふだんそれぞれの課で、大臣がいろいろな要人と会って、こう考えている、それを海外向けに発信する、私はそういったことが必要かなと思うんですけれども、大臣の考えをお伺いします。

小川委員長 時間が経過しましたので、簡潔に。

上川国務大臣 委員御指摘のSNSでの効果的な発信についてでありますが、これは広報戦略上極めて重要と考えております。現在、様々なアイデア、これを実践しておりまして、効果を検証しながら今進めてきているところであります。

 X、フェイスブック、インスタグラム、この多様なプラットフォームを使いました、幅広い理解につなげるためのショート動画、インフォグラフィックス等を活用した取組も進めているところであります。

 これに加えまして、本省での発信を現地語に翻訳をいたしまして各在外公館で発信するなど、外務本省と各在外公館との連携を進めているところでございます。さらに、在外公館におきましては、各館のアカウントと大使アカウントを双方活用し、多様な発信も実践しているところであります。

 このような新たな取組につきましては、今委員御指摘がございましたけれども、様々なアイデアがあると承知をしておりまして、より効果的な発信を不断に検討し、また実践、検証しながら積極広報に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 時間が来てしまったので、最後一言だけ。

 ちょうど通告で、産業廃棄物の不法投棄事案への撤去の支援業務ですね。これは、茨城県でも産業廃棄物の不法投棄が問題になっていまして、適正処理センターに設けられた基金を活用して、是非撤去できるように御要望を申し上げますとともに、ちょうど土浦、石岡、つくばの方も来ていますけれども、私も今年、各消防出初め式に参加しまして、本当に消防団の方たちが困っているというお声をお伺いしました。先ほどの運転免許の件、是非前向きに取り組んでくれるよう重ねて要望し、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小川委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀です。

 本日は、令和二年度、三年度、四年度の決算の質疑ということで、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、令和三年十月三十一日に初当選しました。当然のことながら、令和二年度そして三年度の予算審議には加わっておりません。

 令和二年、何があったかなと調べたときに、世界では、バイデン新大統領が誕生し、イギリスのEU離脱などがございました。日本では、菅総理誕生や、また、「鬼滅の刃 無限列車編」が大ヒットした、そんな年でもございました。新型コロナウイルスにより、緊急事態宣言や、東京オリンピック・パラリンピックが延期されたりと、我々の生活、また考え方が一変した年でもございました。今年にはアメリカ大統領選挙も控えておりますので、そう考えると非常に昔のように感じます。

 そのように昔に感じる令和二年から四年の決算審議ですが、まず、この決算の目的、意義について大臣の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 国の決算でございますが、これは、憲法第九十条の規定に基づきまして、内閣が次の年度に衆参両院にそれぞれ提出しているものであります。

 政府といたしましては、国会において決算を御議論いただきまして、その内容を次の予算編成に適切に反映をし、予算の効率的かつ適切な執行につなげていくことは、財政民主主義の観点からも極めて重要であると考えております。

 特に、衆議院、参議院それぞれで行われる決算に関する議決内容に対しましては、その指摘事項の一つ一つについて政府において次年度以降の予算に反映させるなど適切に対応した上で、政府として講じた措置を国会へ御報告しているところであります。

 このように、政府としては、予算執行や次年度以降の予算編成に適切に反映するためにも、国会における決算審議やその議決内容等については大変重く受け止めているところであります。

住吉委員 御答弁のとおり、この決算、非常に重要な審議でございます。

 私も、地方議員をしておりました。地方議員のときは、大体どこの議会もそうですが、九月ぐらいに決算をして、その内容を次の予算編成に生かしていくということで、今年でいうと、令和五年度の決算が九月ぐらいに出て、そして令和七年度に生かしていく、大体こういうサイクルで地方議会は動いております。

 それでも、令和五年度の決算が令和七年度と、年を飛んでしまう、そういうこともありますので、私は昔、四半期決算でもっとタイムリーに意見を反映できるようにすべきじゃないか、そんなことを議論したことを思い出しました。

 今回、杉本理事から令和二年から四年の決算をやると言われたときに、正直驚いたわけでございます。先ほど大臣がおっしゃったように、非常に重要な、この決算の内容を次の年に反映していく、その決算がタイムリーに行われていないということに対して、これは国会議員の怠慢と言われても仕方ないと思いますので、委員長始め委員の皆さんも、是非、次年度以降、タイムリーにこの決算審議ができるよう、強く要望したいと思います。

 それでは、基金についてお尋ねしたいと思います。

 岸田内閣は、過去幾度となく経済対策を打ち出し、補正予算を組んでまいりました。例えば、令和四年十月二十八日、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策が閣議決定されました。

 この経済対策は、岸田政権が掲げる新しい資本主義の旗印の下、事業規模七十二兆円、財政支出三十九兆円、GDP押し上げ四・六%、そういったことを目的とした総合対策であり、この経済対策の裏づけとなる令和四年度第二次補正予算が編成されました。岸田総理は記者会見で、物価対策と景気対策を一体として行い、国民の暮らし、雇用、事業を守るとともに、未来に向けて経済を強くしていきますと述べております。

 しかし、この補正予算では、新たに設けられた十六の基金も含めて、合わせて五十の基金に合計八兆九千億円近くの予算が計上されました。一度の補正予算で基金に支出する金額としては過去最大となっております。

 過去の補正予算を見ても、大型予算といいながら、かなりの部分を基金に積む例が多くあります。基金の部分、大部分は経済対策に寄与していないのではないでしょうか。そもそも、補正予算は財政法第二十九条において緊要性が要件とされており、緊要性がなければ本予算で手当てするのが本筋です。

 そのような補正予算で巨額の予算を組んだにもかかわらず多くの部分を複数年度にまたがる基金に積むというのは、補正予算の趣旨から逸脱するのではないでしょうか。果たして、莫大な基金は当初の経済対策の効果を生んだのでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 御指摘のとおりに、これまでの補正予算におきまして基金事業に予算を計上してきておりますけれども、これらは、各年度の所要額が認め難いといった基金の要件を満たした上で、政策課題に迅速かつ的確に対応するために真に必要であると判断したものに限って措置したものであります。いずれも財政法が補正予算に求める緊要性等の要件を満たしたものでありまして、財務省としては必要な予算措置であったと考えております。

 しかしながら、基金事業の執行の過程においては、様々な事情によりまして、必ずしも執行が想定どおりにはならないこともあり得ることから、住吉先生御指摘の問題意識、これは大切であって、残高が過大にならないよう各省各庁がしっかりと執行管理をしていくこと、これが重要であると認識をしております。

 政府といたしましては、引き続き、行政事業レビューの枠組みの下で政府が執行状況を継続的に把握するほか、行政改革推進会議における検証、各府省におけるPDCAの取組などを通じて、基金の不断の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 過去の基金の予算措置、これは必要であったとおっしゃっておりますが、この基金について更にたちの悪いことが、全く支出されなかったり、人件費等の管理費のみに支出されているほぼほぼ休眠基金が存在することであったり、また、期間の定め、これはルール化されているにもかかわらず、三割程度が期間の定めがありません。このことは、私以外にも、他党の多くの委員、また専門家からおかしいと指摘があるところです。

 さらに、河野大臣もこのように記者会見で述べております。基金はコロナで水膨れした予算の象徴だ、各大臣には所管する基金の点検や見直しをリードしてもらうようお願いしており、厳しく点検していく、このように述べているわけですが、全基金を総点検し、定量的な成果目標を設定しない基金は存続させないことや、休眠基金の廃止、これを表明しております。

 先ほども質疑でありましたが、朝の新聞で、事業が事実上終了している約十の基金を廃止する方向で調整に入ったというような報道もございました。この全基金の見直しの進捗状況はどうなっているのか、政府の見解をお伺いいたします。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました、基金の点検、見直しの横断的な、全般的な作業でございますけれども、これは、昨年の十二月のデジタル行財政改革会議におきまして、岸田総理から、年度内を目途に行う方針、これが示されてございます。これを踏まえまして、私ども、現在、取りまとめに向けた作業を鋭意進めているということでございまして、できるだけ早く取りまとめるべく取り組んでいるというところでございます。

 具体的に御指摘ございました、休眠基金というようなお話がございましたけれども、それにつきましては、事業費の支出がなくて管理費のみを支出している基金ということで御質問されたかと思いますけれども、その前提で申し上げますと、令和四年度におきまして、各省庁が公表しております基金シート、これをベースに機械的に抽出いたしますと、二十九の基金事業がこれに該当するということになってございます。

 ただ、これらの中には、基金が造成されたばかりで、これから支出するということでまだ支出に至っていないというもの、それから、緊急時の備えとしての基金ということで、何か問題が発生したときには必要になるけれども、そうでなければ必ずしも事業費の支出を要しないというようなもの、こういったものも含まれておりますので、事業費の支出がないということのみをもって直ちに適切ではない、あるいは何か問題があるというような評価はできないものというふうに考えてございます。

 一方で、特に、事業費の支出が既に終了いたしまして、モニタリングなどの後年度の事務だけが残っている、これを実施するだけのための管理費のみの支出になっているというような基金も一部ございます。こうしたものにつきましては原則廃止するという方針で、現在、基金の点検、見直しの作業を行っているところでございます。

住吉委員 休眠基金の数は二十九で、事業が終了したものについてこれから廃止も含めて検討するというのは、今日の朝の報道であると、数は言えないかもしれないですけれども、十という数がありました。そういうふうになっているのかなというふうに理解しました。

 その基金の廃止ということについてちょっとお尋ねしたいと思いますが、廃止というのは、一般的に、国庫に返納していく、そういうことをイメージしていますけれども、例えば基金の集約化とかで結局基金として残ってしまう、そういったことではなくて、国庫に返納するという理解でよろしいでしょうか。

柴田政府参考人 基金を廃止するといったときに、もちろん先生おっしゃったとおりいろいろな考え方がございまして、完全になくなって国庫に納付するという場合と、あと、幾つかの基金を統合するような形で、既存のものを再編するような形で数を減らすというようなことで一部廃止をするというようなこともあるかと思います。

 いずれにしても、全て、どういった形で基金の見直しができるかということに関しましては、様々な視点から、現在、今見直し作業をしているということでございます。

住吉委員 過去、予算委員会においても、基金の在り方についてはいろいろと取り上げられたところでございます。果たして、特に補正予算で基金を予算計上することについてはかなり私も質問したところであって、そのときの鈴木大臣の答弁は、今般の補正予算では様々な課題に対応する基金事業に対する予算措置を講じておりますけれども、経済対策に掲げられた柱に基づく施策を迅速かつ効率的に実施する上で必要であると判断したものを措置しております、このように答弁しております。

 先ほど、基金の執行状況においては各省庁でやってくださいねということで、少し、ちょっと責任の所在がどこにあるのかなというところが疑義を生じているところでございます。

 やはり、大事なのは基金の透明性の確保だと思います。予算審議では、国民の関心も高く、国会のチェックも働きます。しかし、一度基金に積んでしまえば、なかなか国会の目も行き届かず、行政の使い勝手のいい財布という状況が常態化します。基金が設置された団体は、事業の委託、再委託、こういったことを繰り返すケースがあり、責任の所在が不明瞭になる上、より不透明化していきます。

 このような状況を改善し、財政規律を保つために、基金の在り方に関する基本法を制定したり、また、アメリカの議会予算局やイギリスの予算責任局など、政府から独立した機関が予算の妥当性を検証する仕組みを我が国でもつくることも一つの案かなというふうに思います。

 やり方はいろいろありますが、恒常的にチェックが入る体制が必要だと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

柴田政府参考人 私ども行政改革推進本部としての取組として申し上げますけれども、基金につきましては、閣議決定されております基金基準ですとか、補助金適正化法施行令におきまして、その概要や事業の目標、審査基準など、基金事業の運営、管理に関する基本的な事項を公表すべきということになってございます。

 基金の執行管理につきましては、先生おっしゃったとおり、透明性を確保した上でサイクルを回していくということが非常に重要だと考えておりますので、行政事業レビューの枠組みの下で、基金シートの作成、公表を通じた各府省庁自らによる基金の点検ですとか、各府省庁による点検が十分であるかどうかといった点について、行政改革推進会議による検証、こういったものを行っているところでございます。

 また、足下、令和五年度からでございますけれども、基金シートに短期、中期、長期といった段階的な成果目標や目標年度を設定すること、目標年度における政策効果の確認、見直しを行っていく、こういったいわゆるEBPM的な手法を取り入れて検証をしていくということにしておりまして、基金シートの記載内容の充実にも努めているというところでございます。

 引き続き、適正な執行管理に努めて、不断の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 基金に関しては是非取り組んでいただきたいと思いますし、目標年度なんかも、結局三割ぐらいは目標年度を定めていないというような報道もございます。

 コロナ以後、基金の残高というのはかなり積み上がって、ある意味、行政側からすると使い勝手のいい財布というのは理解しますが、我々国民の代表として監視するところが少し及んでいかないという懸念もありますので、そういったバランスも考えながら、しっかりと不断の努力を重ねていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 次は、森林環境譲与税についてお尋ねいたします。

 本年度から森林環境税が徴収されるようになります。国税として一人年額千円を徴収する、ある意味増税となっております。五年前から先行して森林環境譲与税がスタートしました。まずは、このような森林環境税及び森林環境譲与税を創設した目的について改めてお伺いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 制度創設の目的でございますが、森林は、地球温暖化防止、国土の保全や水源の涵養などの公益的機能を有しており、国民一人一人がその恩恵を受けております。森林環境税及び森林環境譲与税は、こうした森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑みまして、地方団体が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の財源に充てるために創設したものでございます。

住吉委員 ありがとうございます。

 地方団体が森林整備をしていくその財源に充てるためという御答弁でした。

 ちなみに私、兵庫県出身ですが、兵庫県では平成十八年から県民緑税という税が徴収されております。元々五年間の期限つきでしたが、毎回期限を迎えるたびに延長されて、今では令和八年まで徴収されることが決まっております。

 この目的、当初の目的から範囲がちょっとずつ広がっているんですけれども、ホームページを見ると、森林の防災面での機能を高める災害に強い森づくりや、環境改善や防災性の向上を目的とした都市の緑化、これを進めるために県民が徴収されているわけです。

 これの目的は、先ほど御答弁いただいた森林環境譲与税とほぼ重複しております。これは兵庫県のみならず、森林整備等を目的として、三十七の府県及び一つの政令市で独自に住民税の超過課税が行われております。このように地方自治体と国で同種の目的の税を徴収することは、そこに住んでいる方々からすると二重課税となり、なかなか納得できるものではないと考えます。

 以前、私が同様の質問をした際は、目的は同じでも、それぞれの使途をすみ分けるので問題ないとの答弁でしたが、実際、この使い道なんてどうとでもなるわけです。国民からすると、国民というか、徴収されている住民からすると、同じ目的で、ダブルでこれから徴収するということについての政府の見解をお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、森林整備等を目的といたしまして、三十七の府県及び一政令市において独自に住民税の超過課税が行われております。

 森林環境税とこの超過課税でございますが、森林整備の推進等という点において目的が共通するものではございますが、森林環境譲与税、全国で六百億円、こういう規模でございますので、その団体の森林整備等に要する全体としての費用、こうしたものを勘案の上、それぞれの使途などを整理することにより、両者は併存し得るもの、このように考えてございます。

 御指摘のとおり、森林環境税は今年度から課税が始まりますが、いずれのこの超過課税を行っている団体も、令和五年度末までに期限や見直し時期を迎えましたので、議会等に必要な説明を行った上、その延長等を行ったものと承知しておりまして、その延長等を検討する際には、両者の使途について検討され、両者の関係を整理されたものと承知しております。

 今後、両者の関係について関係府県等から相談がございました場合には、林野庁とも連携しながら、丁寧に助言等を行ってまいりたい、このように考えております。

住吉委員 各府県が徴収しているものと森林環境譲与税の使途のすみ分けをすることによって、併存が可能というような御答弁だったと思います。

 森林の整備というと、単純に森を林道をつけていろいろ整備していくだけでなくて、川上から川中、実際に加工したり、そういったことをしていく、そして消費する。かなり広い分野になって、先ほど私も言ったとおり、すみ分けなんてどうとでもなるわけでございます。

 そもそも、徴収する側の立場というより、徴収される側の立場に立つと、やはりなかなか納得できないものじゃないかなということで質問したんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、森林環境譲与税、令和六年度で全国で六百億円、こういうロットでございます。したがいまして、各団体に配分される額も、そうしたものから配分される額となります。

 一方で、地方団体の方におきまして、今委員がおっしゃられましたように、川上から川下まで、森林整備の促進に要するために地方団体で講じなければならない施策の費用というのがございます。そうしたことを勘案の上、単に両者をすみ分ければいいという話ではなくて、そうした費用がかかるということについて、それぞれの地方団体において、超過課税をするに当たって、県民に対してちゃんと御説明がされているものと承知しております。

住吉委員 そういう御説明になってしまうのかなと思います。

 一方で、例えばニュースでも報じられているように、都市部の地域なんかは、使い道がよく分からないので基金に積んでいる、そういう報道もございました。それでは何のために徴収されているのか、徴収されているというか、これから徴収されるわけですけれども、国民もなかなか納得できないのかなというふうに思います。

 森林の整備、保全というのは当然必要なことですし、莫大な費用がかかります。私は、ダブルで徴収されていることについてどうかなという視点でしたけれども、しっかりと整備していくことは必要だと考えております。

 我が国は、国土の七割が森林です。近年、温暖化の影響か、毎年のように土砂災害が発生し、多くの人命が奪われているという現状がございます。森林を管理し、災害に強い森づくりは、国民の生命財産を結果として守ることにつながるわけでございます。

 我が党は、政治家の身を切る改革をする前に国民に増税を求めるのはおかしいのではないかと主張してまいりましたが、この森林環境税は既に徴収することが決定しております。だからこそ、国民の森林整備に対する理解の増進、これは必要不可欠だと思いますが、なかなか、森林を守っていくこと自体が、国民の理解がまだまだ追いついていないように思います。

 特に、都市部と中山間地方のギャップ、これは感じます。兵庫県の県民緑税の議論の際も、当時の県議会で、なぜ中山間地域のために森林とは余り関係のない都市部の人間から徴収されるのか、不公平ではないか、そういった意見も実際に出ておりました。

 私は、森を守っていくのは国の責務であり、森林の持つ涵養性、多様性は多くの国民が享受していると考えております。国民全員から広く浅く徴収して森林管理をしていくことは、結果として国民の全員の利益に資することだと考えます。

 そこで、国民の皆様に、森林管理の重要さを認識し、理解増進を進めていく方策について、政府の見解をお伺いいたします。

小川委員長 時間が経過しましたので、簡潔に。

青山政府参考人 お答えいたします。

 今年度から森林環境税の課税が始まることから、国民の皆様に森林整備の重要性を御理解いただくことは極めて重要と考えております。

 農林省では、従来から、全国植樹祭や育樹祭、国土緑化運動の展開などを通じまして、森林整備の重要性を発信してまいりました。森林環境税の課税開始に当たりまして、森林環境譲与税の使途として、山村側には、花粉症対策のための杉人工林の無花粉杉や広葉樹への植え替えにも活用できること、都市側には、木材利用の促進に向けまして、市民を対象とする木育イベントにも活用できることなどを改めて周知しております。

 これらに加えまして、国民の皆様に理解を深めていただきますよう、林野庁広報誌やSNS、ウェブページ、政府広報ラジオ、ポスター、チラシなど、様々な媒体を通じまして、森林整備の重要性や森林環境譲与税による取組の成果等について、広報に努めているところでございます。

 引き続き、国民理解の醸成に向けまして、地方自治体とも連携しながら、積極的な広報を行ってまいりたいと考えております。

住吉委員 では、時間ですので終わります。

 ありがとうございました。

小川委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の遠藤良太でございます。

 私からは、まず初めに、雇用調整助成金に関して質問していきたいと思いますけれども、コロナ禍以降、この雇用調整助成金というものの支払いが倍増している、急増しているということなんですが、あわせて、労働者に直接支給する休業支援金、これを合わせて令和三年度で三兆円を超えているということなんですが、その中でも特に不正受給の問題があります。

 この中で、厚労省としては、事後確認では、コロナ禍においてどれぐらい不正受給の額が確認できているのかをお尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 雇用調整助成金それから緊急雇用安定助成金につきましては、令和五年十二月末現在で、支給決定の取消し件数は二千六百六十六件、支給決定の取消し金額でございますが、約五百三十二億五千万円、回収済額約三百七十億九千万円となってございます。

遠藤(良)委員 つまり、百六十一億円は未回収であるということなんですけれども、今後の見通しについて教えてください。

田中政府参考人 雇用調整助成金等の不正受給額の回収につきましては、都道府県労働局におきまして、原則として即時一括納付となるよう厳正に指導を行ってございます。

 納付が滞った場合でございますが、電話や文書によるほか、訪問などによる納付勧奨を行っているところでありまして、引き続き適切な債権回収に努めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 会計検査院の方にちょっと確認したいんですが、厚生労働省の事後確認とは別に、令和三年度で不正受給が三億円程度あったということなんですが、どのような不正受給が確認されたのか、教えてください。

長岡会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施について検査した結果を令和三年度決算検査報告に掲記しております。

 その概要でございますが、令和二、三両年度に支給決定された雇用調整助成金等を検査しました結果、データが十分に活用されておらず、雇用調整助成金等と休業支援金等を重複して支給している事態、休業支援金等を二重に支給している事態、これらの事態の把握及びそれに対する措置が講じられていない事態、また、雇用調整助成金等の支給に関して労働局が行う実地調査において、対象とする事業主の範囲がリスクの所在等を踏まえて設定されていない事態が見受けられました。

 これらの検査結果を踏まえまして、令和四年八月に、雇用調整助成金等の適正な支給を確保するよう幾つかの具体的な事項を示し、厚生労働省に対して是正改善の処置を求めるなどしたところでございます。

遠藤(良)委員 重複の支給であったりとか二重の支給、又は架空休業であったりとか、様々な要因があって、その中で、先ほどもありましたけれども、厚労省では、事前調査で不審な点があった事業所は、不正受給の情報提供があった事業所を対象に実地調査を行っていた。一方で、会計検査院が検査すると、不正受給のリスクが相対的に高い事業者を抽出をして多くの不正受給が確認されているということなんですが、これは、厚労省としては、会計検査院が採用しているようなリスクアプローチ、これを事後確認でしていっているのかどうか、大臣の方にお尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 雇用調整助成金等の不正受給に関する調査は、都道府県労働局において実施をしております。本省では、不正受給のリスクが相対的に高いと考えられるケースを示しておりまして、それを基にしながら各労働局が調査の方針を定め、効率的、効果的な調査を目指して実施をしております。

 御指摘のように、限られた体制の中で効率的、効果的に調査を進めるためにも、調査対象とすべきケースを設定するとともに、これまでの実務を通して得られた知見を整理をいたしまして、効果が高い手法を各労働局で共有していくことは極めて重要と思います。

 今後とも、不正受給に対して効率的、効果的な調査を行い、厳正に対処してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 労働局は、会計検査院と連携をして、情報の共有化を図りながら対応するということも必要だと思います。これは是非連携をしていくべきだと思うんですが、その中で、不正受給の公表は、件数で一八%、不正受給額が三七%にとどまっているということなんですけれども、公表しない代わりに返還に応じる事業主もあるということなんです。

 その中で、この不正受給の際の公表について、どのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 雇用調整助成金等のコロナ特例措置に係ります不正受給対策を強化をするために、まずもって、都道府県労働局におきまして積極的な調査を行っておりますが、このほかにも、令和五年四月以降、事業主に対しまして、受給した助成金について自ら調査を行い、不正、不適切であった場合には自主申告を促す取組を行っております。

 事業主名の公表につきましては、不正受給による支給決定取消し額が百万円以上の場合は公表対象としまして、ただし、事業主が自主申告を行って、かつ、返還命令の後一か月以内に全額納付した場合には公表しないことができる、こうした取扱いのルールを定めまして、そのルールを公表した上で運用してございます。

 なお、支給決定取消し額が百万円未満の事案でありましても、その不正の状況や手段等から判断して重要又は悪質であると認める場合には公表対象とすることとしてございます。

 今後も、こうした取組を活用しながら、各労働局における調査を積極的に行うなど、不正受給に厳正に対処してまいります。

遠藤(良)委員 基準が、百万円以上であれば公表する、百万円未満であれば非公表である。一方で、組織的にやっている場合は公表するであったりとか、そういう対策をされていると思うんです。

 この雇用調整助成金のおかげで、コロナ禍で大量の失業者を出すことを防いだという部分はあると思うんですが、一方で、他業種への転換を阻害したという側面もあると思います。こういった側面については、どういうふうな取組をされているのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 この雇用調整助成金のコロナ特別措置についてでありますが、コロナ禍において、経済が急激に悪化した際に、労働者の雇用の維持を図るなどセーフティーネットとしての効果を発揮する一方で、労働者の職業能力の維持向上、それからモチベーションを阻害するおそれ、それによる成長分野への円滑な労働移動を抑制するおそれ、また、事業主においても、長期的な新分野展開など経営努力の妨げになることといった意見も確かにございます。

 このような意見等を踏まえまして、雇用調整助成金については、休業期間が長くなった場合に、教育訓練も選択することを促進する仕組みを今年四月から導入をすることといたしました。具体的には、雇用調整助成金を一定期間受給した以降に教育訓練を実施しない場合には、助成金を引き下げるなどの措置を講じたところでございます。

 また、コロナ特例措置については、独立行政法人労働政策研究・研修機構に効果検証を依頼をしておりまして、同機構において検証作業を進めているところでございます。

 今後、この検証結果が公表された後に、特例措置を講ずる場合の留意点などを含めた雇用維持政策の在り方について、労働政策審議会の御意見を踏まえながら検討をしてまいります。

遠藤(良)委員 是非、労働移動の円滑化に取り組んでいただきたいというふうに申したいと思います。

 厚労大臣には、以降、質問はありませんので、退席いただいても大丈夫です。

小川委員長 どうぞ、御退出ください。

遠藤(良)委員 次の質問に移りたいと思うんですけれども、以前、私、経産委員会で太陽光のパネルについて質問してきたんですけれども、その中で、太陽光発電設備の設置について、トラブルが多く発生しているんだということなんです。

 様々、私の地元でも意見を聞くんですけれども、総務省の調査結果によると、太陽光設備導入についてどのようなトラブルが発生しているのか、教えてください。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 御質問のございました調査は、太陽光発電設備等について、地域と共生を図りつつ、適正な導入が円滑に進められるための仕組みや運用の改善策などを検討するため、太陽光発電設備等に関するトラブルの発生状況や現場での対応の実態などを調査したものでございます。

 調査の結果、設備の敷地からの泥水や土砂の流出、のり面の崩壊や設備自体の損壊、柵や塀の未設置、雑草の繁茂、設備からの反射や騒音などのほか、事業者による地域住民への説明不足などのトラブル事例を確認をいたしました。

 こうした調査結果を踏まえまして、経済産業省に対し、トラブルの未然防止に向け、地方公共団体からの情報等を活用した現地調査を効率的、効果的に実施すること、法令違反等の状態が未改善の場合に、文書指導を着実に実施し、改善されない場合は、交付金の留保など必要な措置を的確に実施することなどを求めたところでございます。

遠藤(良)委員 これは先ほど御紹介いただきましたけれども、住民への説明不足であったりとか土砂の流出があるということなんです。

 基本調査結果では、市区町村の四割でトラブルが発生していて、また、二割弱が未解決のトラブルであるということなんですが、これは、今後、現地調査の強化をしていくべきだというふうに思うんですが、経産省としてはどのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネの導入拡大に当たりまして、総務省からいただいた勧告にもございますように、地域の御懸念にしっかりと向き合って、地域との共生を図りながら事業を進めること、これは極めて重要だと考えてございます。

 本年三月の当該勧告を踏まえまして、経済産業省としては、現地調査の強化に向けて、令和六年度から新たな予算措置を行い、全国の再エネ発電設備に対し、定期的な現地調査を行う体制を構築していきたいと考えております。

 また、本年四月一日に、再エネ特措法が改正されまして、施行もいただきましたけれども、安全面などの事業内容について、周辺地域の住民の方々に対する説明会などをFIT、FIP認定要件とするとともに、関係法令に違反する事業者には、早期の是正を促すために、FIT、FIP交付金を一時停止するという形にいたしておりまして、引き続き、違反案件には厳格に対応し、地域と共生した再エネの導入を進めていきたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 法改正をするというところなんですが、交付金の留保ができるようになったということなんですが、これは、指導経緯の記録であったり共有が重要になってくると思います。その中で、今後、組織体制の整備についてはどのように改善していくのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今月一日に施行した改正再エネ特措法でございますけれども、法施行後速やかに対応すべく、法施行前から、関係自治体や関係省庁と連携して、違反案件の把握に努めてまいりました。

 こうした取組を踏まえまして、四月二日に、まず、森林法違反が明らかな九件に対しまして、交付金の一時停止の措置を実施したところでございます。

 こうした形で、関係省庁との連携は一層強化していきたいと考えておりますし、また、総務省の勧告を踏まえまして、自治体との関係では、引き続き、地域情報連絡会を開催しながら、最新の情報提供に努めたいと考えておりますし、自治体から国に対して、違反案件、懸念案件の通報を行うことができる新しいシステムを整備しようというふうに考えてございまして、こうした取組、しっかり体制面でも強化していきたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 自治体と国がしっかりと連携をして情報共有をしていくことが非常に重要だと思いますし、先ほども通報という話もありました。ネット上で一般の方から通報ができるということなんですけれども、これは是非周知していただいて、多くのトラブル、今も未解決の部分がありますし、今後、またこういう見通しがあると思いますので、是非とも対策を強化していただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、食料・農業基本法の改正のところなんですが、令和四年度の食料自給率は三八%である。国際環境の中で、円安であったりとか他国の経済発展から、安定的な食料が今後確保できるのかというところが本当に不透明だというところだと思います。

 その中で、食料安全保障の自給率を上げていくべきだというふうに思うんですが、令和十二年度には食料自給率の目標が四五%に設定されているんですけれども、その中で、本来は、目標設定をするのであれば、その目標達成については、評価であったりとか検証することが必要だというふうに思うんですが、総合食料自給率については政策評価の対象としないということなんですけれども、この理由を教えていただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 食料自給率目標につきましては、農業者、食品産業事業者、消費者に関わる幅広い問題でございます。現行基本法でも、農業者その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めると規定がされてございますように、広範な政策分野ごとの取組の組合せとして数値が出てくるものでございます。

 一方、政策評価でございますけれども、政策評価は、個別の政策分野単位ごとに測定指標及び目標を定めまして、その達成状況を評価するものでございます。

 食料自給率といった広範な政策分野と関連する大目標につきましては、政策評価の測定指標に位置づけていないところでございます。

遠藤(良)委員 大臣にお尋ねしたいんですが、今回の基本法が改正されれば、食料安全保障が明確に位置づけられるとしても、政策評価の対象としないのかどうか、教えてください。

坂本国務大臣 今事務方からもお答えしましたけれども、食料自給率は、農業者、それから食品産業事業者、消費者に関わる幅広い問題です。広範な政策分野ごとの取組の組合せとして数値が出てくるものであります。

 例えば、平成十年度の四〇%から令和四年度の三八%への自給率の変化につきましては、小麦や大豆の国内生産の転作が自給率を押し上げました。これは一・四%押し上げました。逆に、米の消費量の減少が、今度は自給率を引き下げました。これは三・〇ポイント引き下げました。

 このように、生産面と消費面とにおきます変化要因の講ずるべき対策が全く異なる要素が正反対に作用をしております。

 したがって、結果として、食料自給率の数値のみで政策を評価することは困難であり、食料自給率を政策評価の対象とすることにはなじまないというふうに考えております。

遠藤(良)委員 今、大臣御答弁いただきましたけれども、一方で、会計検査院は、目標の達成状況等の検証を適時適切に行うことの重要性に留意するという所見が出されています。

 これは、政策評価対象にした上で、食料自給率の達成状況について検証していくべきだと考えますけれども、そこはいかがでしょうか。

坂本国務大臣 今回の食料・農業・農村基本法の改正案が成立させていただきましたならば、その暁には、基本計画におきまして、食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標を定めます。そして、目標の達成状況を少なくとも毎年一回調査をし、その結果を公表するなどいたしまして、目標の達成状況を踏まえてPDCAサイクルを回す新たな仕組みを導入することとしています。

 これによりまして、食料自給率目標を始め、食料安全保障の確保に関する目標の達成状況の評価をよりしっかりと行えるものにしてまいりたいというふうに思います。

 先ほど申しましたように、自給率の変化要因及び講じるべき施策につきましては、全く異なる要素が正反対に作用しておりまして、これらの結果として、食料自給率の数値のみで政策を評価することは困難であるというふうに考えておりますので、このため、食料自給率の目標を掲げ、その向上を図るべく努力をしてまいりますが、そのための政策効果の検証につきましては、食料自給率の要素を分解した上で、政策に合ったKPIを設定し、検証していくことも検討していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 大臣からは、検証していくことを検討していくということなんですけれども、目標設定をしているのであれば、必ず評価というのは必要でありますし、検証ということは必要だというふうに思います。是非導入をしていただきたいということを申し述べたいと思います。

 大臣の方はこれで質問を終わりますので、次に移ります。

小川委員長 どうぞ御退出いただいて結構です。

遠藤(良)委員 独立財政推計機関に関して最後質問していきたいんですけれども、補正予算や予備費の規模が拡大しているというところなんですけれども、先ほど住吉議員からも基金の指摘もありましたけれども、その中で、政府に設置をする方向性も考えられると思います。

 独立した会計機関として会計検査院が存在もしていますし、会計検査院としては、独立機関の設置についてはどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

田中会計検査院長 御質問ありがとうございます。

 今委員お尋ねの独立財政推計機関に関しましては、現在、様々な議論がなされていると承知しております。

 独立財政推計機関の設置につきましては、これは立法政策の問題であるというふうに考えておりますので、会計検査院として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。

遠藤(良)委員 例えば令和臨調とかは、長期的に客観的な予測情報を公表することで、将来の建設的な議論ができるように目指しているというところだと思うんですけれども、過去に、内閣府に、経済財政諮問会議というものが小泉内閣では機能したということも言われています。一方で、内閣府の経済予測と実績に違いがあるということも指摘されていると思います。

 独立財政推計機関を考える超党派議員の会という議連もあって、これは、政府であれば官房長官も入られたり、自民党の政調会長もメンバーであるということなんですけれども、これは長期的な、客観的な財政の推計を行って、国民の皆様に判断材料としてもらうということが考えられると思います。一方で、例えばイギリスであれば、予算責任局というのが、政府機関が担っている。

 官房長官にお尋ねしたいんですけれども、今、独立財政推計機関を考える超党派議員の共同代表ということなんですが、官房長官として、この点に関してのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 今委員から御紹介いただきましたように、私は、この独立財政推計機関を考える超党派議員の会の共同代表として、財政健全化を進めていくために独立財政推計機関を国会に設置をすべきだという思いで、議員としての活動を行ってきたところでございます。

 内閣官房長官の立場ということで申し上げますと、政府においては、経済財政諮問会議におきまして、専門的、中立的な知見を有する学識経験者なども参画する形で、経済財政運営について議論を行っております。市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないように、財政健全化の着実な推進に向けて、引き続き、この体制の下で、適切かつ責任ある政策運営を行ってまいります。

 なお、独立財政推計機関を国会に設置するかどうか、これは、内閣官房長官の立場で申し上げますと、国会で御議論いただくものでございますので、活発に御議論いただきたいと考えております。

遠藤(良)委員 財務大臣にもお尋ねしたいんですけれども、今金利のある世界に戻りつつあるということだと思います。財務省は、長期金利がこれまでの想定より一%上がった場合は、二〇三三年度の国債の利払い費が更に八・七兆円増えるという試算をされています。

 長期的な財政の推計を行うことは、必要性はあると思うんですが、財政機関を担う財務大臣としてはどのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

小川委員長 大臣、時間が経過していますので、簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 官房長官が政府の立場でお答えになったのと重なるわけでございますけれども、我が国では、独立財政推計機関に類似した機関といたしまして、経済財政諮問会議がございます。そして、この経済財政諮問会議におきまして、専門的、中立的な知見を有する外部の有識者なども参画する形で、経済財政運営について議論、検証が行われているところであります。

 重要なことは、新たな機関を設置するか否か、そういう手段ではなくて、経済財政運営の方針について専門的、中立的な知見も含め様々な観点から検討を重ねていくことであって、その上で、決定した方針に従って、政府一丸となって経済成長と財政健全化の両立に取り組むことであると考えているところであります。

 今ある組織を有効に活用していくことでそうした目的が果たされますように、財務省としても取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 政治は短期的な視線で判断しがちだと思いますので、長期的に推計をしていくという必要性もあると思いますので、是非検討いただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

小川委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のサブマリン、たがや亮です。

 久々の鈴木大臣への質疑ということで、楽しみにしておりました。質疑が終わる頃ぐらいには、大臣が、消費税減税、やってもいいかな、そういうふうに思ってもらえるよう頑張りたいと思います。

 それでは、まず最初に、鈴木大臣に確認をさせていただきます。

 去年の二月十日の内閣委員会における私の質疑にて、当時の金子財務政務官は、消費税は消費者から預かった預かり税ではない、したがって、益税もないと明確に答弁をされましたが、その認識でよろしいでしょうか。

青木政府参考人 お答えします。

 預かり税かどうかという御質問でございます。

 免税事業者でございましても、仕入れに係る消費税を負担しておりまして、仕入れに係る消費税を価格に上乗せすること自体は適正な転嫁であるというふうに承知しております。

 その上で、御指摘の益税についてでございますが、一義的な定義があるわけではございませんが、免税事業者が仕入れに係る消費税額を超えて本体価格に消費税として金額を上乗せして別途受けることになれば、仕入れに係る消費税額を超えた部分について、いわゆる益税の問題が生じ得ることとなるものと承知しております。

たがや委員 もう一回聞きますよ。じゃ、大臣に。

 金子財務政務官が言われた、消費税は預かり税ではない、益税もないと言ったこと、これはイエスかノーかだと思うので。もし金子財務政務官が間違っていたというんだったら、間違っていたということで御答弁いただければいいと思います。

鈴木国務大臣 前にも御質問をいただきましたけれども、結論から言いますと、預り金的性格があるということでありまして、当時の金子政務官の答弁をずっとトータルで見ていただければ分かるんだと思います。

たがや委員 すなわち預かり税ではないということは明言されたわけです。

 大臣、今問題なのは、今みたいな曖昧な言葉をするから、国民の多くがいまだに、預かり税だ、益税もあるということで、ネット上でも騒ぎになって論争になるということですから、その辺、大事なので、一応大臣から確認を取りたかったということでした。

 次に進みます。

 資料一を御覧ください。

 結構事務方はばたばたしていますけれども、大臣、しっかり考えていただきたいので、よろしくお願いします。

 政府が掲げる税と社会保障費の増額の一覧表です。

 去年の六月に本委員会で示した資料に対して、更に増えて、国民負担増の実施・予定、検討が何と三十二項目になりました。岸田総理はよく増税眼鏡とやゆされていますが、そう言われるゆえんじゃないでしょうか。余りに多くないですか、鈴木大臣、どう思われるでしょうか。所感をお聞かせください。

鈴木国務大臣 いずれにしても、今抱えている社会課題を始めとするものを解決しなければいけない、先送りできない、そのために様々な政策を打っていくわけでありまして、その上で必要なものがここに掲げられているんだと思います。一々私もチェックしておりませんので分かりませんけれども、そう思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 よく、政府も岸田総理も、受益と負担のバランスが大事というふうに答弁をされるんですね。明白な負担増に対して、受益の部分の説明がいつもないんです。私から言わせると、その受益こそがバランスを欠いていて、低過ぎると思うんですよね。これについてちょっと議論してまいります。

 資料三を御覧ください。国民負担率、国民一人当たりの政府支出、社会保障給付費割合の一覧表です。

 日本において、国民負担率は高く、受益が少ないと見て取れます。日本の政府支出は、一人当たり五十万円以上も、他国と比べて圧倒的に少ない、海外並みに政府支出を増やすなら、最低でも一人当たり五十万円の支出を増やせるということになります。すなわち、人口掛ける五十万円で六十兆ほどの一般予算を増やすことができるということになります。

 ということからすれば、政府が今すぐやるべきことは、増税や社会保障費の増額ではなく、国民負担率をどう下げるか、また、国民一人当たりの政府支出をどう増やすかだと思います。物価高騰も続いており、国民負担率を下げるためには、少なくとも消費税の減税をすぐにでも行うべきではないでしょうか。鈴木大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 消費税減税についてのお話だと思いますが、政府といたしましては、消費税は、少子高齢化が進む我が国におきまして、全世代型の社会保障制度に対応するために必要な財源であるという立場、これはもう繰り返し国会で述べさせていただいております。

 したがいまして、これを減税するという考えはないということであります。

たがや委員 政府、大臣もそうですけれども、毎回毎回、社会保障費を人質に取るような形で言ってきますけれども、消費税は一般財源ですよね、お金に色はついていないですから。

 では、消費税の税収は一体どれくらい社会保障費に充てられているんでしょうか。大臣でも事務方でも結構です、お答えいただければと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 国税の消費税の税収は、今年度の予算額で二十三・八兆円でございますが、こちらにつきましては、法律に基づきまして、全額社会保障四経費に充当することになっております。

たがや委員 これは皆さんのお手元にはちょっとお配りしていないんですが、財務省の一般会計歳入歳出決算、これの税収を見ると、平成元年と令和元年を比べたときに、税収は五兆円ぐらいしか伸びていないんですね。それに比べて、十五兆、消費税は伸びている。所得税は二兆下がっている。法人税は八兆も下がっているんですね。法人税と所得税を合わせると十兆ぐらい。だから、社会保障費のために充てられているというのは詭弁なんですよね。社会保障費を余り人質に取るようなロジックというのはもうやめた方がいいんじゃないかなと思います。

 具体的に言いますと、安倍総理の二〇一九年一月二十八日の施政方針演説で、消費税八%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります、増税分の五分の四を借金返しに充てていた、消費税の使い道を見直し、二兆円規模を教育費無償化などに振り向け、子育て世代に還元しますとありますが、この発言は私は正しいと思うんですけれども、実際にどうなったんでしょうか。安倍総理の言われたことは実際に行われているのかどうか。

鈴木国務大臣 その後いろいろ変遷がございまして、まず、消費税につきましては、社会保障制度を支える重要な財源として、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てることとされております。

 そして、消費税を五%から八%に引き上げた際、今たがや先生から御指摘のある、安倍総理が施政方針演説で述べられたときでありますが、そのうちの五分の一を社会保障の充実に充て、五分の四を活用して、基礎年金国庫負担割合の引上げなど、社会保障の安定化に充てることとしていました。

 その後に、消費税率を八%から一〇%へ引き上げた際に、二%分の増収分については、幼児教育の無償化や待機児童解消など子育て世代への投資や社会保障の充実と、それから社会保障の安定化におおむね半分ずつ充てることとしたところであります。

 その上で、令和六年度予算におきましては、五%から一〇%への消費税率引上げに伴う増収分について、そのうち四兆円程度を社会保障の充実に充て、残りの十兆円強を社会保障に係る安定財源として活用をする、令和六年度予算においてはそのように活用をしているところであります。

たがや委員 様々今大臣述べられましたけれども、基本的に、さっきの平成元年と令和元年の比較を見て、予算の使い方を見れば、どういうふうに税収が減っているか、増えているか、そういったことを見れば、社会保障費のためというのはちょっと、もうそろそろ、古いやり方なんじゃないかなと思いますので、改めていただければなと思います。

 資料四を御覧ください。

 政府の答弁では消費税の減税などは時間がかかるからなかなかできないということですが、なぜ時間がかかるんでしょう。諸外国では、コロナ禍で、消費税の引下げなどを、イギリスは七日、ドイツは二十八日、アイルランド二十三日、マレーシア十六日、どの国も極めて短期間で消費税の減税を行っています。なぜ日本だけが時間がかかるのか。できない理由を述べているようにしか思えませんが、大臣、どう思われるでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の制度につきまして詳細に承知しているわけではございませんが、例えば、過去に税率を引き下げましたドイツやイギリスにおきましては、付加価値税率の変更の際、総額表示義務の下、価格設定や価格変更のタイミングを事業者が比較的柔軟に判断していると承知しております。消費者への転嫁については、日本ほど厳格な取扱いをしていないのではないかというふうに考えております。

 一方、日本におきましては、消費税の最終的な負担を消費者に転嫁するとの考え方の下で、これまで、税率の引上げに当たっては公共料金などを含め広く適正に転嫁を行ってきたところでございまして、仮に税率を引き下げる場合には、価格変更に対応するため、事業者は値札のつけ替えやシステム改修等の相応の準備が必要でございまして、ドイツやイギリスとは状況が大きく異なるものと考えております。

たがや委員 世界だってやはり値札の貼り替えとかそういうのは、システムというのもやはり変更は必要でしょうから、日本とそんなに変わらないと思いますよ。

 言っていることはよく分かりませんけれども、次に進みます。

 ここが大事なんですが、消費税についてよく言われるのが、イギリスの消費税二〇%と比較して、日本は一〇%だから上げる余地があるなんてよく言われますけれども、まさに昨日、著名な官僚だった経済評論家が、一五%にしなきゃいけないと、とんでもない記事が上がっていました。でたらめもいいところだと思うんですよね。全然そんなことにはなっていないと思います。

 資料二を御覧ください。

 消費税の実質負担率、税収割る国民所得で割合を出しています。実質消費税負担率は、日本は六・六%、イギリスも六・六%、オーストラリアは、同じ一〇%税率ですが、三・一%の実質負担率です。なぜこうなるかというと、食料品などの生活必需品がゼロ税率だからです。これを見ると、既にイギリスの二〇%税率に日本の税率が匹敵している、そういうことになります。

 経済成長をずっと続けてきた他国と比べて、日本は数十年デフレを続けてきています。国民の厳しい現状、このデータを見ても、消費税減税、ガソリン税ゼロ、季節ごとの国民給付、鈴木大臣、どれか一つでもやろうという気にならないでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、消費税の増税というような話をちょっとおっしゃいましたけれども、そういうようなことを今、岸田政権において考えているということはございません。

 その上で、消費税率を引き下げろということでありますが、一つといたしましては、やはり社会保障制度の財源として必要であるということ、それと、我が国の厳しい財政状況を考えますと、やはり消費税からの税収というもの、これも必要であるということ等々があるんだと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 まとめます。

 今、国民は困っています。中間所得層も減り、生活が苦しい人が増え、格差が広がっている現状において、減税、社会保障費の減額により国民負担率を下げ、給付などにより可処分所得を増やし、お金を回し、経済を大きくしていくことが大事だと思います。それには、疲弊している国民から税という形でお金を巻き上げるのではなく、消費税を下げ、国民生活をまずは楽にする。もうかっている資本家からいただく。あるところから取り、ないところからは取るな。応能負担、税の大原則です。

 私たちれいわ新選組は、消費税廃止若しくはゼロが一丁目一番地、まずは消費税減税を核に、トリクルアップ積極財政で経済成長を図るべき、その先頭にれいわ新選組は立つ、そう申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

小川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 日銀が二〇一六年から続けてまいりましたマイナス金利政策を解除しました。植田日銀総裁は、賃金と物価の好循環を確認し、二%の物価目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断したとその理由を説明されております。

 連合が三月十五日に公表した今年の春闘の第一回集計結果で、賃上げ率は前年同期比五・二八%の増加となり、五%超えは実に三十三年ぶりとなりました。一方で、組合員数が三百人未満の中小企業の賃上げ率は四・四二%となり、全体を下回っております。七割を超える方が中小企業で働いている現状において、中小企業の賃上げは大変に重要であり、賃上げを確実に、持続的に進めていくためには省庁間の連携が不可欠であります。

 公明党が昨年十月に提案をいたしました中小企業等の賃上げ応援トータルプランの一番最後で、中小企業等の持続的賃上げに向けた施策を推進、フォローする司令塔となる組織や関係省庁が連携する会議体の設置を検討することを求めております。

 令和六年度予算成立後、岸田総理は記者会見で、物価と賃金の好循環を回し、新たな経済ステージに移行する上で最大の鍵は、全従業員の七割の方が働く中小企業の賃上げと稼ぐ力の強化です、総合的、多面的な施策を全力で講じてまいりますと述べておられます。

 是非、大きな時代の転換期であることを見据え、会議体の設置を求めたいと思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

上月副大臣 福重議員にお答え申し上げます。

 中小企業の賃上げ実現の鍵となる価格転嫁対策等につきまして、各省庁とも広く連携して推進しているところであります。

 例えば、政策の実効性を高めるべく、官房副長官が主導いたします関係省庁連携の会議をこの一月にも開催をいたしまして、労務費を含めた価格転嫁が進むよう、各業界の自主行動計画の改定を関係省庁に呼びかけるなど、中小企業の賃上げ、価格転嫁に向けて、省庁横断的な取組を進めているところであります。

 施策の推進、フォローにつきましては、中小企業政策を広く担当し、現場に近い中小企業庁を中心に、各業種、各施策を所管する関係省庁と密接に連携することによりまして、引き続き、中小企業関係の既存の枠組みも幾つかございますので、これらを的確に活用しながら進めてまいりたいと考えております。

福重委員 是非、力強い推進をお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 女性活躍・男女共同参画の重点方針では、女性活躍と経済成長の好循環、女性の所得向上・経済的自立、女性が尊厳と誇りを持てる社会の実現の三点を掲げております。

 内閣府の資料によりますと、二〇二二年、企業における役員の女性比率は、フランス、ノルウェー、イギリスが四〇%を超え、ドイツが三五%を超えております。各国とも、クオータ制度などの導入以降、女性比率が大きく向上してきています。

 それに対して、日本は一五・五%の低い状況にあります。二〇二三年時点において、プライム市場上場企業の約一割の企業に女性役員が一人もいないという状況となっております。

 政府は、二〇二五年をめどに女性役員を一人以上選任する努力目標を明記するとともに、東証プライム市場に上場する全企業を対象に、全役員比率を二〇三〇年までに三〇%以上とすることを目指しております。これらの目標を達成するため、行動計画の策定を推奨しておりますが、現在までの企業側の行動計画の策定状況についてお伺いをいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の女性役員比率は過去十年間で徐々に上昇してきており、プライム市場上場企業における女性役員の割合は、二〇二二年の一一・四%から、二〇二三年は一三・四%に増加しました。一方で、プライム市場上場企業において約一割の企業に女性役員がいないという現状であり、日本を除くG7諸国やOECD諸国の平均とのギャップは依然として大きくなっております。

 こうした認識を踏まえ、昨年六月に政府決定した女性版骨太の方針二〇二三においては、まずは日本を代表するプライム市場上場企業に係る女性役員比率の引上げを図るため、二〇三〇年までに女性役員比率を三〇%以上等とする目標を取引所の規則に設けることとし、昨年十月に、東京証券取引所において所要の上場制度を整備していただいたところでございます。

 目標達成に向けた企業の行動計画につきましては、今年度、政府において、その策定状況に関する調査を行う等、目標の実現に向けた取組状況のフォローアップを行うとともに、管理職さらには役員へという女性登用のパイプライン構築に向けた取組等が強力に推進されるよう、引き続き、女性登用に向けた取組を政府一丸となって進めてまいります。

福重委員 大臣、ありがとうございました。

 幾つか大事な視点があると思います。三〇%の規則を設けていただいたということ、それからまた、調査を行ってしっかりとフォローアップをしていくということでございましたので、着実にこの目標が達成されるように御努力いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 政府は、二〇二二年七月、女性活躍推進法に関する制度改正を行い、常時雇用する従業員三百一人以上の企業に対し、男女の賃金の差異の公表を義務づけました。男女の賃金の差額をそのまま示すのではなく、企業の事業年度ごとに、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を公表することになっております。

 先ほど、春闘の集計結果が高水準であったことを述べましたが、日本の男女の賃金格差は、残念ながら、G7の中で最下位であります。

 我が党の山口代表は、二月二日の参議院本会議で、「従業員三百人以下の企業についても男女間賃金格差に関する情報公開の義務化を検討すべき」と述べられました。岸田総理は、「令和四年に従業員三百一人以上の民間企業を対象に男女間賃金差異の情報公表を義務化したところであり、その施行状況を踏まえて公表義務の対象拡大を検討してまいります。」と答弁されました。現在の検討状況についてお伺いをいたします。

 また、女性活躍・男女共同参画の重点方針の中で、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の強化を進めるに当たり、地域ニーズに応じた取組の推進を掲げております。取組の一つとして、女性活躍を支える各地の男女共同参画センターの機能強化を図るとあります。具体的に、どのような機能強化をされるのでしょうか。

 以上、二点、お伺いをいたします。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 まず、福重委員御指摘の男女間賃金差異の公表に関してでございますが、御指摘にございましたように、令和四年に従業員三百一人以上の民間企業を対象に男女間賃金差異の情報公表を義務化をしたところでございます。先般、その施行状況に関しまして、厚生労働省において把握をした一万四千五百七十七社の状況を一月三十日の労働政策審議会に報告をさせていただいたところでございます。

 現在、厚生労働省におきましては、公表義務の対象となる各企業に対しまして、男女間賃金差異の要因分析や改善に向けたアドバイスなどのコンサルティング事業等の取組を行い、情報公表や要因分析を促しております。

 また、本年二月からになりますが、雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会を開催をして、現状や論点、施策の方向性などについて、専門家の知見を踏まえた議論を行っているところでございます。

 委員から御指摘のございました男女間賃金差異に関しましては、この三月十一日に開催した検討会におきまして、男女間賃金差異の要因分析や情報公表等に積極的に取り組む企業からのヒアリングを実施をし、検討を行ったところでございます。

 引き続き、現行の情報公表の施行状況や検討会での議論を踏まえまして、公表義務の対象拡大について検討を進めてまいります。

加藤国務大臣 我が国における女性活躍、男女共同参画の課題として、政治分野、経済分野等の各分野における女性の参画の遅れ、また、男女間賃金格差やL字カーブなど女性の経済的自立の遅れ、さらに、若い女性の地域からの転出に表れている、地域における男女共同参画の遅れといった課題が存在します。

 これらの課題を解消するためには、全国各地の男女共同参画センターが、地域における男女共同参画に関する状況と課題を把握し、必要な取組を展開できることが必要になります。そのため、独立行政法人国立女性教育会館につきまして、各地の男女共同参画センターを専門的な知見とノウハウの面から強力にバックアップする、ナショナルセンターとして機能強化をすることを検討しているところでございます。

 あわせて、男女共同参画センターについて、関係者相互間の連携と協働の促進に必要な施策を推進する拠点機能を担うことの明確化を検討するとともに、地方公共団体の手引として御活用いただけるよう、男女共同参画センターの業務及び運営に関するガイドラインの作成に向けて検討を進めてまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 今、ナショナルセンターへの言及もございました。しっかり国と地方が連携して、女性の経済的格差、この解消のために全力を尽くしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 この問題に関しましては、今後もしっかりと私も確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の、復旧復興における女性視点の強化と応援職員の派遣、報酬については、時間の関係上、飛ばさせていただきます。

 次に、緊急小口資金の質問に入ります。

 日常生活における大きな影響を与えたコロナ禍では、様々な補助金や貸付制度が創設、利用され、その中に、個人向け緊急小口資金や総合支援資金の貸付制度がございました。この緊急小口資金、総合支援資金初回貸付けは令和四年九月に終了をしております。

 令和二年三月から令和四年九月末までの間、緊急小口資金、総合支援資金初回貸付けは、合計で約二百七十六万八千件、貸付決定金額で約八千九百五十一億円になります。貸付制度でありますので、償還、返済の義務が発生いたします。

 厚労省の資料によりますと、緊急小口資金、総合支援資金初回貸付金の償還対象債権件数は、令和五年十二月末時点で約百四十三万八千件であります。うち、償還された債権数は約七十七万三千件、償還された割合は五三・八%であります。

 借受人や世帯主が住民税非課税の場合などは免除となる仕組みとなっておりますが、住民税非課税ではないものの、苦しい生活が続き、償還、返済が困難な方もいらっしゃるかと思います。そのような方へ、生活再建など、是非丁寧な対応をお願いしたいと思っておりますが、具体的な対応についてお伺いいたします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、収入が減少し、緊急小口資金等の特例貸付けを借り入れた方のうち、償還免除の対象とならないものの償還が困難な方につきましては、社会福祉協議会において、個々の生活状況等を確認した上で、償還の開始時期を遅らせる償還猶予の仕組みを適用するとともに、就労支援や家計改善支援など、必要な支援におつなぎしています。

 また、昨年五月には、償還が猶予されている期間において、こうした支援を受けてもなお、一つとして、高齢や長期療養等の理由により将来的に就労や家計改善等による生活の再建が見込めない場合、二つとして、一人親や一人で家族の介護を担う方など、やむを得ない理由によって増収に向けた活動を行うことが困難である場合など、個別に償還困難な状況等が確認された場合には、償還を免除をすることができる取扱いをお示ししました。

 引き続き、貸付けの償還にお困りの方につきまして、社会福祉協議会や生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関により、きめ細かなフォローアップ支援が行われるよう努めてまいります。

福重委員 ありがとうございます。

 各地域の社会福祉協議会は、やはり差があるんですね。そういった意味におきましては、やはり国からしっかりとした丁寧な対応を取るようにという形で御指導いただくことが大事だと思いますので、社会福祉協議会に対しての指導をしっかりと徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 トラック運送業の新たな標準的運賃についてお伺いをいたします。

 斉藤国交大臣は、三月二十二日の記者会見で、労務費や燃料費の上昇分を反映し、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価、下請手数料などの運賃項目を設定した新たな標準的運賃を公表されました。我が党が林官房長官へ申し入れた提言が反映されたものと思っております。

 現在、トラックドライバーは、全業種平均より、労働時間は約二割長く、賃金において五%から一五%低いと言われております。

 これらの問題を是正するため、昨年の六月、物流革新に向けた政策パッケージを取りまとめました。商慣行の見直しの中で、トラックの標準的な運賃制度の拡充、徹底が示されております。

 令和四年度の調査結果では、六九%の事業者が運賃交渉を実施したとの結果でありました。令和三年度は五二%でありましたので、一七%の上昇であります。荷主あるいは元請業者の意識の変革があると思います。一方で、三一%の事業者が交渉を実施しておりません。その理由の一つが、荷主又は元請から契約打切りのおそれがあるためとの回答であります。この結果から、立場の弱い小規模事業者ほど運賃交渉がしづらい状況にあるのではないかと推察いたします。

 小規模事業者にも適切に標準的な運賃の交渉ができるよう、環境整備を含め政府の後押しが必要と思いますが、御所見をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 小規模な事業者が多いトラック運送業の世界、交渉力が弱いことから、しっかりとした交渉、実際の運送にかかるコストさえ賄えないようなものを上げていきたいという交渉力がなかなかない、そういう中で、どのように実際に運送している実運送事業者にしかるべき運送料が支払われるようにするか、これが今国会に法案を提出した大きな理由でございます。

 まず、国土交通省では、標準的運賃の八%引上げ、実際に物を運ぶ人が、注文した発注者に対して、これだけかかっているんだからこれだけ欲しいということを交渉する標準的運賃、これを我々は提示しておりますが、その標準的運賃の八%引上げや、それから、これまでいわゆるコストの対象になっていなかった荷待ち、荷役の対価、それから下請手数料など、新たな運賃項目の設定によりまして、荷主等への適正な転嫁を促すようにしたい、このように思っております。

 そして、国土交通省にトラックGメンを設置して、今、百六十名、国交省の職員が全国で動いておりますけれども、プッシュ型の情報収集や勧告、公表措置により、運賃・料金の不当な据置きなどを行う悪質な荷主、元請事業者等への是正指導を強化しているところでございます。

 さらに、今国会に提出している法律案におきまして、元請事業者等に対し、実運送に要する費用を考慮した価格で下請を出すことなど、下請行為の適正化に関する努力義務を課すとともに、このうち、一定規模以上の事業者に対しては、社内マニュアルの作成等を義務づけ、徹底を図ることとしております。

 これらを通じまして、実際に運送している小規模トラック事業者にきちんとした運送料が支払われる、そういう適正運賃が収受できる環境を整備してまいりたいと決意しております。

福重委員 ありがとうございました。

 大臣は、本当に現場を徹底して歩かれて、こういった小規模事業者の声をしっかりお聞きになって対策を打たれているというふうに思っております。

 今も決意をしっかりと述べていただきましたので、その推進に当たって御尽力をいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 物流革新に向けた政策パッケージでは、荷主、消費者の行動変容についても触れております。私にも経験がございますが、宅配便の不在通知がポストに投函され、再配達をしていただいたことがあります。自分が日時指定したにもかかわらず、不在にしてしまったことで再配達していただく結果になってしまい、ドライバーさんには本当に申し訳ない限りでございます。

 物流革新に向けた政策パッケージの資料によりますと、再配達率が高止まりし、宅配事業者の負担が増えており、特にタワーマンションにおいては、一個の荷物を運ぶのに、セキュリティー上、三十分以上かかるケースもあると伺っております。そのため、コンビニやガソリンスタンドなどでの荷物の受取や、マンションでの宅配ボックスの設置や置き配などの取組を推進するとともに、消費者の行動変容を促すインセンティブを付与し、宅配事業者の負担軽減に結びつける対策を講じると示されております。

 大手コンビニでは、荷物の発送、受取もロッカーで行う実証実験が行われていると承知しております。従来のようにレジを通さず荷物の発送、受取ができるので、レジ作業の負担も減っているとのことでございます。非常によい事例だと思います。

 政府としても、今後、実証実験をしていくとのことでございますので、消費者の行動変容をどのように意識させていくのかが重要であると思います。消費者への周知徹底や、事業概要、開始などについてお伺いをいたします。

鶴田政府参考人 再配達率の削減に向けましては、御指摘のとおり、消費者の行動変容をどう促すか、大変重要でございます。

 このため、国土交通省では、令和五年度補正予算を活用した実証事業を実施することとしております。この実証事業では、先ほど例示をいただいたような方法を含めまして、消費者が物流負荷軽減に資する受取方法等を選択した場合に、その消費者にポイントが還元される仕組み、これを社会実装することを目的としております。この実証事業によって、宅配、通販事業者のシステム改修を行った上で、秋にもポイント還元を実施すべく、四月五日に執行団体を確定しまして、現在、参加する宅配、通販事業者の公募開始に向けた準備を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、適切な時期に消費者に十分周知をして、この事業を実施して、宅配、通販事業者と連携をして、再配達率の半減に向けて取り組んでまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 秋にもこのポイントを付与して国民の意識改革を図っていくということで、非常に期待をいたしますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続いて、関連する質問をさせていただきます。

 トラックドライバーの残業規制が今月より始まっておりますが、連続運転時間が四時間を超えた場合、運転を中断すること、すなわち休憩を取ることは従前からのルールであり、休憩時間も三十分以上となっております。高速道路などでは、サービスエリア、パーキングエリアが設置されておりますが、トラックの駐車場は、時間帯や場所によっては駐車スペースそのものが少ない場合もあり、満車の状態が多いと聞いております。トラックドライバーの労働環境改善を図る必要性が注目されている中、休憩時間を確保するための駐車場がより一層必要になってくると思います。

 以前からこの問題はあったと思いますが、これまでどのような対策を取ってこられたのか、また、今後どのような対策を取っていくのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路の休憩施設における大型車駐車升の整備は、トラックドライバーの確実な休憩機会の確保の観点から大変重要だというふうに考えております。

 これまで、高速道路の休憩施設につきましては、平成二十九年度末で約二万七千台でございました大型車駐車升を、令和五年度までの六か年で三千七百台分を拡充した。今、約三万台強という状況でございます。

 特に、平日深夜において、長時間駐車する車両の影響などもありまして、大型車駐車升が不足する休憩施設があることが課題と認識をいたしております。そのため、高速道路機構、また高速道路会社におきましては、有識者の検討会を設置いたしまして、整備方針を取りまとめ、必要な対策を進めることとしておりまして、具体的には、従前からの駐車升の拡充に加えまして、大型車ドライバーに対する確実な休憩環境の提供のため、六十分以内の短時間利用に限定した駐車升を整備する、また、出発時間別に縦列駐車することで駐車容量を最大化、最適化するいわゆる複数縦列式駐車場の整備、また駐車場の立体構造化などを予定しております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、トラックドライバーを始めとした高速道路利用者の確実な休憩機会の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 様々な対策を講じていただくということで、感謝申し上げます。徹底してやっていただきたいと思います。

 ただ、一点、よくトラックドライバーさんから聞くのは、大型車スペースのところに、場所がなかったんだとは思うんですけれども、普通自動車が止まっていて、大型トラックが排除されているというような状況もありますので、しっかりゾーニングに対しても目くばせをしていただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、ネット通販の安全対策について、ちょっと時間が少ないので、はしょらせて質問させていただきます。

 三月一日に閣議決定された消費生活用製品安全法改正についてお伺いいたします。

 インターネット通販の利用拡大に伴い、国内及び海外の事業者から製品を購入しやすくなりました。改正のポイントは、海外事業者への規制と子供向け玩具の安全対策であります。

 そこで、今回の改正で海外事業者への規制が行われますが、具体的にどのような措置を取られるのでしょうか。加えて、法令違反があった場合についてお伺いいたします。また、子供向け玩具も、小さな部品の破損、欠落による誤飲や窒息に至る事故も発生していると聞いておりますが、製造、輸入業者に対してどのような安全対策、基準を設けるのか、併せてお伺いをいたします。

殿木政府参考人 お尋ねの件の背景といたしましては、御指摘のとおり、インターネットの取引の拡大に伴いまして、御指摘いただいたような課題が生じているというふうに認識しているところでございます。

 このため、御指摘の法改正案におきまして、海外からオンラインネットモール等を通じて国内の消費者に直接製品を販売する事業者を規制の対象として明確化するとともに、国内における責任者である国内管理人の選任を求めること、また、オンラインモール事業者等に対し、技術基準違反があるなどの危険な製品の出品削除要請をすることや、法令違反をした者の氏名等を公表できる仕組みを設けること等の措置を講ずることとしたところでございます。

 加えまして、誤飲等の危険性が指摘される子供用の製品につきましては、子供用特定製品という枠組みを創設し、製造事業者、輸入事業者に対しまして、技術基準への適合、対象年齢や使用上の注意事項に関する表示を付すことを義務づける等の措置を講ずることとしたところでございます。

 本法案におけるこれらの措置等を通じまして、消費者の皆様が製品をより安全に使用できる環境を整備してまいりたい、このように考えている次第でございます。

小川委員長 福重君、時間が経過しました。

福重委員 子供用の限定した規制も設けるということで、これは命に関わることでございますので、しっかり御対応いただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

小川委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として国土交通省国土政策局長黒田昌義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小川委員長 次に、三反園訓君。

三反園委員 自由民主党・無所属の会の三反園でございます。

 今回、質問の機会をお与えいただきまして、心から感謝申し上げます。

 私は、国民の生活を少しでもよくするのが政治の責任だと思い、現場を歩いてまいりました。そうすると、若い人たち、そしてまた高齢者の人たち、農業従事者、様々な方から、将来に関して生活が不安、そういう声がたくさんの方から聞こえてきました。

 政治の主役は国民であります。国民の生活を守り、そして国民の安全を守り、平和な日本をつくっていく責任が政治にはあります。今こそ政治がその国民の思い、期待に応えていかなければならない、そういうふうに思っております。そうした中で予算があるというふうに思っております。

 鈴木財務大臣に、そこらあたりの認識をお聞かせ願えればと思っております。

鈴木国務大臣 国民の皆さんの声に寄り添いながら丁寧に予算編成を行って、誠心誠意、必要な政策を着実に実行していくことは、国民からお預かりをした税金等を元に予算を編成する政府の責任であると考えております。

 私も、予算や税制を担当する立場にある者として、このような思いで職務に当たってきたところでありまして、コロナ禍や物価高騰、戦後最も厳しい安全保障環境、急速に進展する少子化などの困難から国民生活を守り抜くべく、毎年度の予算編成に取り組んでまいりました。

 具体的には、例えば、デフレを脱却し、力強い経済成長を実現するための経済政策や賃上げへの支援、五か年で四十三兆円程度の歳出を伴う防衛力の抜本的な強化や、三・六兆円程度の充実を伴う少子化対策の抜本的な強化など、先送りできない課題に対し、必要な予算の確保に努めてきたところでございます。

 今後とも、毎年度の予算の編成作業を行うに当たりましては、足下のみならず、将来を見据えた我が国が抱える諸課題に正面から向き合い、それを予算や税制改正という形に結実させることで国民の皆さんからの御期待に応えていきたいと考えているところです。

三反園委員 ありがとうございました。

 現在の日本を見ると、人口は減少し、そしてまた少子高齢化が進み、日本はどうなっていくのか、そしてまた、食料安保が叫ばれる中で農業従事者が減っていく、それではどうすればいいのか。やはり、今、賃金が上昇する流れがありますけれども、これを加速化させて、全ての業種において売上げが増え、そしてまた賃金、給与が上がっていく、こうした好循環をつくり出していくことがこの問題の解決につながっていくというふうに思っております。

 将来が不安であれば、全てが収縮して悪い方向へ向かっていきます。将来の不安を解消し、そして先が見通せるような、一つ一つ、きめ細かな経済対策、物価対策、そして支援策が今求められているというふうに思っております。

 そうした中で、先ほど鈴木大臣もおっしゃいましたけれども、様々な対策も取られております。令和四年四月には、そしてまた令和四年十月には、緊急対策、総合経済対策を打ち出しております。このことについては評価しております。そして、今後、この評価を受けてどのような予算が必要かということでもあるわけであります。まずは、この二つの経済対策について、今日は決算でありますので、その評価についてお聞かせ願えればと思っております。

 もう一つは、離島の問題もあるわけであります。私の選挙区である奄美群島もそうでありますけれども、離島は、条件不利性の中で本当に物価が高いです。今、与論島ではガソリンが百九十円ぐらいであります。そして、牛乳も高い、全てが高い。この離島に特化した物価対策を是非お願いできないかなというふうに思っております。

 この二つについてお聞かせ願えればと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 物価高に対しまして、政府はこれまでも、主因であるエネルギー、食料品等に的を絞るとともに、特に影響の大きい低所得者層を重点的に支援するため、累次にわたる対策を講じてまいりました。こうしたこともありまして、我が国の物価上昇は、ピーク時においては先進諸国の中で比較的緩やかなものにとどまっております。

 最近の消費者物価の上昇率は一頃に比べ低下しておりますけれども、現状、賃金上昇が物価上昇に追いついておらず、経済の回復を実感しにくい面があると認識しております。

 このため、政府としては、物価高に負けない賃上げの実現に向け、まずは、賃上げ促進税制の拡充、中小企業の省力化投資支援、価格転嫁の促進など、あらゆる政策を総動員するとともに、定額減税を併せて講じることにより、所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実につくり出し、国民の実感を重ねてまいります。さらには、賃上げを持続的、構造的なものとするため、三位一体の労働市場改革に取り組むとともに、国内投資の拡大等により、潜在成長率を引き上げてまいります。

 これらの取組によりまして、日本経済を一段高い成長戦略に乗せ、賃金と物価の好循環の下、消費と投資が力強く拡大する、熱量あふれる新たなステージへの移行を実現してまいりたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきまして、令和二年度に実施いたしました離島地域におきます生活物資の物価調査結果、これを行いまして、本土と比較いたしまして、品目によって大体一割から三割程度、物価が離島においては高くなっているというような状況が分かっております。その要因といたしましては、流通段階におきます海上輸送費が発生したことや販売規模が小さいというような諸々の要因が挙げられております。

 価格差を具体的に見ていきますと、物資の種類であるとか離島の規模、また輸送ルートの状況によって大きく異なっておりますので、より詳細な分析が必要であると考えております。

 現在、離島の物価の実態の把握であるとか、実態に基づいた有効な取組について調査を実施しておりますので、しっかりとその調査結果を踏まえて対応策を検討してまいりたいと思っております。

三反園委員 ありがとうございます。

 離島の皆さんは条件不利性の中で必死に努力して頑張っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 今の評価なども踏まえまして、今後、国民が安心して暮らしていくために何が必要なのか、そして、経済対策、物価対策、支援策、何が有効なのか、そして、予算でどのような対応をしていくことが必要なのか、求められているのか、その点についてお聞かせ願えればと思います。

鈴木国務大臣 政府といたしましては、国民生活を物価高から守るため、これまで累次にわたる物価高対策、経済対策を講じてまいりました。

 具体的には、物価高から国民生活、事業活動を守るために、輸入小麦の価格抑制、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者の方々への給付金の支給など、きめ細かく柔軟な政策対応に努めてまいりました。

 さらに加えて、物価高に対しては、これを上回る所得の実現を図ることが重要であり、定額減税に加え、賃上げ促進税制の抜本的な拡充、価格転嫁対策の強化、中堅・中小企業の省力化投資への支援などの予算や税制など、あらゆる政策を総動員し、賃上げを強力に後押ししているところでございます。

 今後でございますが、こうした今まで行ってきた、国民が安心して暮らしていけるよう、物価高に負けない賃上げの実現に向けまして、適切な経済財政運営を行ってまいりたいと考えております。

三反園委員 ありがとうございました。是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、将来の不安を解消するために国民が求めているのは、安全であります。

 能登半島地震でもそうでありましたけれども、土砂崩れなどが発生して通行不能区間が発生し、大きな支障が出ております。奄美群島でも、六つの集落が、先般、孤立して、大変な状況が発生しております。是非、防災対策につながるような、特に道路に関しまして、道路予算は各国に比べて私は日本は低いんじゃないかなと思っております。道路予算などを確保して、防災対策につながるような、道路整備に関しては速やかに対応してほしい、そういうふうに思っております。

 また、半島でありますけれども、私の選挙区であります薩摩半島の二二六号線に関しましては、横が崖で、そしてまた反対側は海という形の中で、しかも主要道路で交通量がすごく多い、それで曲がりくねっている。今、喜入防災で防災施策がようやく始まろうとしていますけれども、こういったところに関しましては早急な整備が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の能登半島地震におきましては、能登半島の主要な幹線道路で甚大な被害が発生しておりまして、このような半島部も含めて、防災対策を進め、災害時の道路交通ネットワークを確保することは大変重要だというふうに考えております。

 委員御指摘の国道二百二十六号でありますけれども、薩摩半島の海岸沿いを通過し、半島内の主要都市を結ぶ幹線道路でありまして、地域住民の通勤通学、また産業振興を図る役割を担うとともに、災害時には、救急救命、また物資輸送を支える重要な路線でございます。

 このうち、海岸通り沿いの一部区間につきましては、急峻な斜面と海岸との間に道路が位置しておりまして、大雨による斜面崩壊、また、地震による落石の災害リスクが高く、過去には土砂災害による通行止めが発生するなど、防災上の課題を抱えているところでございます。

 このため、まずは課題の大きい鹿児島市の喜入地区において土砂災害を回避する道路事業に着手するなど、鹿児島県と連携して順次防災対策を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地域の皆様の御協力をいただきながら、関係機関とも連携して、災害に強い道路整備、これをしっかり進めていきたいと考えております。

三反園委員 ありがとうございます。災害に強い道路を早急にまた整備していただければ、そういうふうに思っております。

 また、令和五年の八月に台風六号が来まして、沖縄県におきまして、電柱が倒壊し、断線し、大規模な、そして長期間にわたる停電が発生しました。また、奄美群島の沖永良部、与論島でも、およそ六千五百戸が停電し、生活に大きな支障が出ております。

 度々台風は来るわけであります。この台風常襲地帯である島嶼部において、無電柱化は本当に生活をする上で待ったなしであります。是非、無電柱化を早急に進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 無電柱化は、防災、また安全、円滑な交通の確保、また景観形成、観光振興を目的としている重要な政策でございます。

 特に、昨年の八月、奄美群島や沖縄地方を襲った台風六号におきましては、電柱の倒壊また断線などによりまして長期停電が生じました。また、今年の一月の能登半島地震においても、電柱倒壊に伴う道路閉塞が応急復旧作業の支障となったところでございます。これらの事象からも、救助、復旧活動の要となります緊急輸送道路などの無電柱化というのは防災上重要になるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、関係省庁や電線管理者としっかり連携いたしまして、電柱の占用制限などにより、電柱の増加、これを抑制するとともに、緊急輸送道路などのうち、島嶼部も含め、特に防災上重要な区間につきましては、集中的に無電柱化を進めてまいりたいと考えております。

三反園委員 国民の安全を守ることが一番であります。安全を守るために、安全な日本をつくるために、国土強靱化は必要だというふうに思っております。災害を未然に防ぐための予算をもう少し増やしてどんどん対策を進めていただきたいと思っておりますけれども、財務省のお考えをお聞かせ願えればと思います。

赤澤副大臣 私も防災をライフワークとしておりますので、今日は本当に強く共感する御指摘を多数いただきまして、誠にありがとうございます。

 激甚化、頻発化する災害への対応は、我が国の抱える最重要課題の一つでございます。先般の能登半島地震を含め、大規模な地震も頻繁に発生している中で、今後起こり得る災害から国民の命と暮らしを守ることは国の最重要責務の一つであると思っています。事前防災の考え方に基づいて防災・減災、国土強靱化の取組を推進することは極めて重要であると考えております。

 そのため、政府としては、毎年度の予算において、道路整備を含むハード面での対応に加え、新しい技術の活用などを通じたソフト面での対応を行っており、令和六年度予算においては、防災・減災、国土強靱化予算として約五・二兆円を計上したところでございます。

 財務省としても、引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などに基づいて、関係省庁と連携しつつ、必要な予算を確保し、適切に取組を進めていくことが重要であると考えております。

三反園委員 是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、人間は食べていかなければなりません。日本の農業は本当に大丈夫なのかと私自身は不安に思っているところであります。一番思っているのは、農業従事者本人の皆様ではないかなというふうに思っております。このままいきますと、農業従事者、現在は百十六万人でありますけれども、二〇四〇年には四十万人に減っていきます。

 若い農家の方々とよく懇談をするわけでありますけれども、若い農家の方々からは、資材が上がって、肥料が上がっているんだけれども、野菜の値段は上がらないんですよねと。きつくてもいいんです、頑張れば何とかなる、そういった農業をつくってほしいんです、それだけなんです、そういう思いが聞こえてきます。

 将来が見通せる、そして未来が見通せるような農業政策を進めていく必要があるのではないかな、そういうふうに思います。将来が不安であれば、農業をする人たちが増えるわけがありません。こうした将来の不安を解消し、そして未来が見えるような、そうした一つ一つ問題を解決するような、そういった対応、対策が今後求められると思います。

 そのためにも、現場の声を聞くと、資金的な支援、そしてまた、何かあったときに相談できる支援体制、もう一つは、スマート農業を推進することによって余暇のある農業、この三つを求める声が非常に強いわけであります。私も全くそのとおりだというふうに思います。

 この三つをどんどん推進しながら、将来が見通せるような、そういう農業政策を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 将来の農業生産を担う若手に加えまして、次世代の農業者を確保していくためには、先生御指摘のとおり、夢を持って働くことができる、稼ぐことができる産業だと感じてもらうことが重要と考えております。

 このため、就農や経営発展に向けた様々な資金メニューでの支援、そして、都道府県が整備いたします農業経営・就農支援センターによる就農から経営発展までの相談対応、そして、地域計画の策定を通じた農地の集積、集約化や、スマート技術の開発、実用化の加速によります生産性の向上などの施策を推進しているところでございます。

 あわせまして、昨今の相当な資材高や飼料等の価格高騰が経営に与える影響に対しまして、累次にわたる飼料コストや肥料コストの抑制策のほか、収入保険等の経営安定対策など、各種影響緩和対策を重層的に講じてきたところでございます。

 今後とも、こうした取組を通じ、次世代を担う農業者の呼び込みを図り、収益性の高い農業経営の育成、確保に努めてまいりたいと考えております。

三反園委員 ありがとうございます。

 農業をやっている方々と懇談しますと、自分たちだけではどうしようもないこともある、しかし、自分たちも頑張るから、自分たちとともに一緒になって政治も取り組んでいるんだよ、そういったメッセージ、姿勢を示してくださいということであります。まさしくそのとおりであります。農業は大事でありますので、そういった点をひとつよろしくお願い申し上げます。

 次に、将来が不安の中の一つに、介護の問題があると私は思っております。みんな年を取ります。年を取ったときに必要な介護を誰でも受けられる、そういった体制を早急につくる必要があるのではないかな、そういうふうに思っております。

 年を取ることがつらい、そんな日本であってはいけないわけであります。そのためにも、介護人材を確保しなければなりません。ようやく少し上がってきておりますけれども、早急に民間並みに近づけていく必要があると思いますけれども、その点についてどうかということを一つお聞かせください。

 もう一つは、こども家庭庁も含めて、今、真剣に、一生懸命取り組んでいただいておりますけれども、子供を預ける体制でもあるわけであります、保育園の問題であります。

 地方に行くと、保育園というのは非常に厳しい経営状況の中で行っているということもまた事実であります。こども家庭庁もそこらあたりは把握していると思いますけれども、地方の保育園の課題をどのように認識して、どのように解決しようとしているのか。

 その点においても、介護の問題も保育園の問題もそうでありますけれども、一番大事なのは、現場の声を聞いて、現場の人とともに支援策を展開していく、この姿勢が私は大事ではないかなと思っております。

 この点について、二つ質問させていただきますけれども、よろしくお願い申し上げます。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進む中で、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるよう、その担い手を確保することは重要な課題と認識しております。

 そのため、介護人材確保に向けまして、まず一点目の、累次、処遇改善を行ってきておりますが、六年の介護報酬改定では、一つとして、介護職員の処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、三種類の加算を一本化しまして、また、二つ目として、介護現場で働く方々にとって、令和六年度に二・五%、令和七年度に二・〇%のベースアップへと確実につながるよう、加算率の引上げをしております。

 それ以外に、二点目でございますけれども、介護人材の確保に向けては、第一として、養成校への修学資金の貸付けなどで人材育成への支援を図ったり、第二に、ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用して職場環境の改善を図ったり、第三として、外国人介護人材の受入れ環境の整備など、様々な取組をやってございます。

 これらの各取組を実施する上で、現場の方々の声を伺うことは重要と考えてございまして、まず第一に、これらの施策を検討する検討会への参画でありますとか、二つ目として、全国の介護施設の協力によって介護ロボットの開発、実証などを行う、介護現場の意見を取り入れた形でのテクノロジーの開発加速化、第三点として、メディアやSNS等を通じて介護の仕事の魅力を発信する事業をやっておりますが、その中で、事業者団体、職能団体等の関係者と意見交換する場を設けて現場の状況やニーズ等を伺うなど、施策の推進に役立ててございます。

 引き続き、現場の声をしっかりと聞きながら、介護人材の確保に向けた取組を進めてまいります。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育の対策を進める上では、現場の声を反映をすることは大変重要であると考えております。

 まず、保育士の人材の確保でございますけれども、保育士の有効求人倍率を見ますと、依然として全職種の平均を上回るなど、課題が大きゅうございます。このため、保育士を希望する方への資格取得の支援、保育所等におけるICT化の推進や保育補助者雇い上げの促進など、就業継続のための職場環境づくり、また、潜在保育士のマッチング支援などに総合的に取り組んでいるところでございます。

 次に、保育所の経営に関しましては、現場から長年御要望をいただいておりました保育士の職員配置基準につきまして、加速化プランに基づき、四、五歳児の配置基準について、三十対一から二十五対一へ、七十六年ぶりに改善をするとともに、一歳児についても、令和七年度以降、改善を進めていくこととしております。

 また、処遇改善につきましても、これまで累次の処遇改善を行ってまいりましたが、令和五年の人事院勧告を踏まえて、五%を上回る人件費の改定を行ったところであり、引き続き、民間給与動向を踏まえ、更なる処遇改善の対応を図っていきたいと考えております。

 特に、地方の保育対策についても御指摘ございました。私どもも厚労省時代に検討会を取りまとめておりまして、人口減少地域における保育の提供体制につきましても、公定価格や多機能化などの新たな施策の展開について提言をいただいておりますので、こういった観点からも検討をしっかり進めていきます。

 最後ですけれども、審議会や現場の皆様との意見交換の場で現場の声を伺うというのは非常に重要でございます。とりわけ人材確保に関しましては、令和五年度から、保育事業者、あるいは保育士の養成校、また養成校に通う学生さん、そして子育て当事者、関係省庁、様々な立場の方々に参集いただいて、現在、人材確保に向けた議論を行う会議を開催して、積極的な議論を行っているところでございます。

 今後も、保育の現場を支える様々な方々の御意見を丁寧に伺いながら、人材確保に努めてまいります。

三反園委員 ありがとうございました。

 日本の中にある不安、課題を一つ一つ解決していくことが日本の再生につながっていくことになると思っております。

 政治にしかできない責任をどうやって果たしていくのか、その答えを今、国民は求めているのではないかと私は思っております。そのために、今こそ政治がリーダーシップを発揮して、国民に対してメッセージをどんどん発信していく必要がある、そういうふうに思っております。

 若い人たちも、離島の人たちも、皆さんそうでありますけれども、高齢者の皆さんも、今、必死になって生活しているわけであります。是非、政治がどんどんメッセージが出せるように、私も懸命に現場の声を国会に届けていければ、そういうふうに思っております。

 そうした中で、政治家のメッセージを、是非、鈴木大臣に、ひとつお聞かせ願えればと思っております。

 大学の先輩であります鈴木大臣に、これから日本を担っていく若い人たちに対して、これからの日本はこうなっていくというメッセージを、人間味のあるメッセージを是非お聞かせ願えればと思います。よろしくお願い申し上げます。

鈴木国務大臣 これまでずっと御質問をいただいたわけでありますが、三反園先生からは、いろいろな課題、御指摘をいただきました。

 御質問の中で御指摘をいただいた中にも、これまで、我が国は、長引くデフレやコストカット型経済、それから、最近では、新型コロナや頻発する自然災害、人口減少、少子高齢化の問題、離島を始めとする地方の問題、そしてまた、厳しさを増す安全保障環境などの課題、それに日本の国は直面をしてまいりました。

 こうした社会経済が不透明感が漂うという中におきまして、将来を担う若者の中には、不安を抱えている方々、そういう方々も多くいらっしゃると思います。

 岸田内閣は、発足以来、こうした様々な構造的な課題、あるいは社会課題、こういうものに正面から向き合ってまいりました。そして、今年、賃上げが三十年ぶりに高い水準となるなど、長きにわたって続いてきた冷温経済、これを脱する千載一遇のチャンスを今、迎えております。

 岸田内閣は、明日は今日よりよくなる日本を目指しており、そのためにも、若い世代の皆さんが、先行きへの不安にとらわれることなく、新たな未来の構築に向けて全力で取り組める環境を整備することが必要であると考えております。

 私も、今後とも、次世代に豊かな日本社会を引き継ぐことができますように頑張ってまいりたいと思っております。

三反園委員 どうもありがとうございました。

 明日は今日よりもよくなる、それをつくるために政治が一生懸命リーダーシップを発揮していく必要があるというふうに思っております。

 私も現場の声を引き続き国会に届けていきたいと思っております。

 質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。終わります。

     ――――◇―――――

小川委員長 次に、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 財務大臣から各件について説明を求めます。鈴木財務大臣。

鈴木国務大臣 ただいま議題となりました令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件及び令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費予算額九兆八千六百億円のうち、令和四年四月二十八日から同年九月二十日までの間において使用を決定しました金額は、四兆八千五百八十八億円余であり、その内訳は、燃料油価格激変緩和強化対策事業に必要な経費等の二十件であります。

 次に、令和四年度一般会計予備費予算額九千億円のうち、令和四年四月十五日から同年九月三十日までの間において使用を決定しました金額は、四千百九十七億円余であり、その内訳は、災害関係経費として、中小企業施設等復旧整備事業に必要な経費等の二件、その他の経費として、燃料油価格激変緩和強化対策事業に必要な経費等の十六件であります。

 次に、令和四年度各特別会計予備費予算総額八千四十八億円余のうち、令和四年十一月四日に使用を決定しました金額は、六百八十八億円余であり、これは、食料安定供給特別会計食糧管理勘定における輸入食糧麦等の買入れに必要な経費であります。

 次に、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費予算額九兆八千六百億円のうち、令和五年三月二十八日に使用を決定しました金額は、二兆二千二百二十六億円余であり、その内訳は、地域の実情に応じたきめ細やかな支援及び低所得世帯への支援に必要な経費等の八件であります。

 次に、令和四年度一般会計予備費予算額九千億円のうち、令和五年三月十七日から同年三月二十八日までの間において使用を決定しました金額は、一千六十億円余であり、その内訳は、ウクライナにおける復旧・復興に対する支援に必要な経費等の五件であります。

 次に、令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定により、令和五年二月二十一日に経費の増額を決定しました金額は、七百三十三億円余であり、これは、交付税及び譲与税配付金特別会計における地方譲与税譲与金に必要な経費の増額であります。

 以上が、予備費使用総調書等についての概要であります。

 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。

小川委員長 これにて説明は終わりました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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