衆議院

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第2号 令和6年4月15日(月曜日)

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令和六年四月十五日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小川 淳也君

   理事 小林 史明君 理事 田中 英之君

   理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君

   理事 井坂 信彦君 理事 中谷 一馬君

   理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君

      井出 庸生君    川崎ひでと君

      黄川田仁志君    下村 博文君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      高木  毅君    中谷 真一君

      本田 太郎君    松島みどり君

      松野 博一君    三反園 訓君

      宮路 拓馬君    村上誠一郎君

      森  英介君   山本ともひろ君

      吉田 真次君    渡辺 博道君

      青柳陽一郎君   大河原まさこ君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      谷田川 元君    浦野 靖人君

      遠藤 良太君    藤巻 健太君

      佐藤 茂樹君    庄子 賢一君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   会計検査院長       田中 弥生君

   会計検査院事務総局第五局長            片桐  聡君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     渡辺 博道君

  遠藤 利明君     川崎ひでと君

  小倉 將信君     宮路 拓馬君

  棚橋 泰文君     井出 庸生君

  西村 康稔君     杉田 水脈君

  野田 聖子君     本田 太郎君

  萩生田光一君     吉田 真次君

  福田 達夫君     高木  啓君

  吉野 正芳君     松島みどり君

  遠藤 良太君     藤巻 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     黄川田仁志君

  川崎ひでと君     遠藤 利明君

  杉田 水脈君     西村 康稔君

  高木  啓君     福田 達夫君

  本田 太郎君     野田 聖子君

  松島みどり君     吉野 正芳君

  宮路 拓馬君     小倉 將信君

  吉田 真次君     萩生田光一君

  渡辺 博道君     江崎 鐵磨君

  藤巻 健太君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     棚橋 泰文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)

 令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第二百十一回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

小川委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎君、財務省主計局次長吉野維一郎君、文部科学省総合教育政策局長望月禎君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、厚生労働省政策統括官森川善樹君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青柳陽一郎君。

青柳(陽)委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、令和四年度の予備費審査ですが、その質問に入る前に、財務大臣に社会経済状況の認識を幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、改めて、税について伺います。

 税の基本三原則は公平、中立、簡素ということですが、この公平、中立性は、応能負担、担税力のあるところが応能の負担をする、応分の負担をする、これが原則です。

 この原則を改めて確認した上で、今日は資料を配付させていただいておりますけれども、資料一の一、一般会計税収ですね。これは、令和二、三、四、五と、コロナ禍でありましたけれども、税収が伸びているわけですね。この要因について、大臣に伺いたいと思います。

 そして、特に、消費税収が過去最高の二十三・八兆円を記録しているわけです。この要因について、まず大臣に伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 税収は、時々の経済社会情勢でありますとか制度改正の影響で変動するものでありますが、過去十年程度の変化について申し上げますと、税収全体では、平成二十四年度の四十三・九兆円から、令和六年度には六十九・六兆円へと増加を見込んでいるところであります。

 平成二十四年度から令和六年度への増加について、その主な要因ということでありますが、消費税収は、社会保障の安定的な財源を確保するために、累次にわたりまして税率を引き上げてきたことなどによりまして十・四兆円から二十三・八兆円へ、それから所得税収につきましては、雇用環境の改善、税率構造、諸控除の見直しなどによりまして十四・〇兆円から十七・九兆円へ、法人税収は、成長志向の法人税改革などで税率を引き下げましたが、併せて租税特別措置の見直しなども進めたことや近年の企業収益の改善などによりまして九・八兆円から十七・〇兆円へ、それぞれ増加を見込んでいるところであります。

 また、消費税収が令和六年度において過去最高水準を更新する見通しである要因につきましては、今申し上げたこれまでの税率の引上げに加えまして、政府経済見通しによれば、所得環境の改善に加え、定額減税の効果もあり、民間最終消費支出の拡大傾向が令和六年度も継続すると見通されていることがその要因であると考えているところです。

青柳(陽)委員 今るる御説明いただきましたけれども、消費税の上振れというか税収増について、今大臣からは物価高の影響について触れられておりませんけれども、物価が上がって買物をすれば納める消費税額についても上がると思うんですが、この点について言及はございませんでしたが、いかがですか。

鈴木国務大臣 消費税によって、物価が上がる、そしてまた、そうしたことが影響を受けるという御指摘が今、青柳先生からあったわけです。それは、そういうことはあるんだと思います。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 それと、もう一つ、消費税については逆進性が高いということですけれども、この認識は大臣も共有されるというふうに思います。

 この十年でいえば、法人税と所得税は引き下げられて、消費税が引き上げられ、そして物価も上がり、今、過去最高を記録しているわけであります。これは、家計からすれば、物価上昇と課税増のダブルパンチ状態になるわけです。これで公平中立な税制と言えるのかどうか。

 そして、六月から始まる所得税の定額減税、これは複雑怪奇で、事業者の事務負担も大きいことから、私の周りではすごく評判が悪いんですよ。この減税を行うよりも、物価高対策の、暮らしを支える、下支えするということであれば、給付や消費減税の方が効果が大きいし、簡素、簡潔だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 最初の、先生冒頭に触れられました課税原則について関連して申し上げますと、消費税負担と公平の原則ということにつきましては、今御指摘がございましたとおり、消費税の逆進性というものはあるわけでありますが、これにつきましては、軽減税率制度によりそれが緩和されていることや、消費財源が充当される社会保障給付等の受益はむしろ低所得者に相対的に手厚くなっていることから、必ずしも消費税負担が公平の原則に反するとは考えておりません。

 そして、物価上昇の局面において、物価上昇に連動して消費税負担も増加するという点は御指摘のとおりでありますが、物価上昇への対応に関しましては、低所得者世帯への給付金の給付などきめ細かく柔軟な政策対応を行うなど、政策全体としては適切に対応をしていると考えております。

 また、今般の定額減税について、制度が複雑であって、簡素の原則ということについて、それに反しているのではないかという旨の御指摘があったと承知をいたしましたが、この制度設計に当たりましては、企業の事務の実態等を踏まえ、事務手続の簡素化にも配慮したものとするなど、簡素の原則にも一定程度配慮を行っております。

 そして、消費減税や給付措置で対応すべきではないかというお話もございましたが、今般の定額減税は、賃金上昇が物価上昇に追いついていない国民の皆さんの負担を緩和するのみならず、デフレマインドの払拭に向け、国民の皆さんに所得の上昇をより強く実感していただくことが重要との考え方から、減税という分かりやすい方法が最も望ましいと判断したものであります。給付などの他の手段と比較して望ましい結果が得られる、そのように考えているところであります。

青柳(陽)委員 所得税を定額で減税するというのは、言葉としては非常に分かりやすいのかもしれませんが、実際、事務手続の現場、大臣、お話を聞かれていますかね。これは、それぞれの人、それぞれの事業者によって、事務負担、事務が全く複雑になっているわけでございまして、うちの事務所でさえ事務担当者は大変だ大変だと言っていますから、これは本当に現場の声をしっかり聞いてほしいなというふうに思います。

 もう制度が始まってしまいますけれども、私は、これは効果が本当に出るのかというのは今疑問に思っておりますので、制度が始まってからまた注視させていただきたいと思います。

 資料一の二ですね、一方で、国民負担率については、ここ数年、四五%を突破しているわけですね。これも負担感が増しているということです。

 そして、一の三ですけれども、これはよく言われていますけれども、実際、賃金、実質賃金は三十年伸びていない。こういう国は日本だけです。直近でもマイナス一・三%、二〇二三年はマイナス二・五%です。岸田政権も、賃上げに取り組むということで答弁いただいておりますし、制度をやっておりますけれども、一つは賃上げ税制というのをやってくださっていますけれども、これは効果が上がっているとは私は言い難いと思います。

 加えて、資料にありませんけれども、最低賃金、一人当たりGDP、これは両方とも先進国最低ランクです。

 所得を上げていくということ、物価高対策をしていくということなんですが、結局、格差と貧困は固定化してしまっている、そして賃金が伸びていない。岸田政権が掲げてきた富と所得の再分配による新しい資本主義の効果、これはかけ声倒れで全然機能していないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 岸田政権におきまして、日本経済を民需主導で持続可能な成長経路に乗せていくため、新しい資本主義の下で、成長と分配の好循環の実現に向けた各種の取組を進めてまいりました。こうした取組もあって、日本経済は、昨年来、前向きな動きが見られているところであります。

 例えば、今年の春闘では、連合の第三回回答集計において賃上げ率が五・二四%と昨年を大きく上回る高水準となっているほか、設備投資も年率換算で名目百兆円を超え、コロナ禍には約五十兆円にまで拡大した負のGDPギャップ、これも解消されつつあります。

 しかし、一方、足下の物価上昇に賃金の上昇が追いついていないという中で、実質賃金のマイナスが続いているという状況、これもしっかりと受け止めなければならないと認識をしております。

 こうした観点から、政府としては、価格転嫁対策、賃上げ促進税制の強化、省力化投資への支援など、いろいろな政策を総動員して賃上げを力強く後押しするとともに、引き続きまして、官民が連携して、GX、DXを始めとした成長分野への投資を推進をして、社会課題を成長のエンジンに転換をすることで、成長と分配の好循環、これを実現してまいりたいと考えているところです。

青柳(陽)委員 そうなんですけれども、その効果が出ていないので、更に予算編成と税制を通じて私は格差是正に取り組むべきだということを申し上げたいと思います。

 ここからは予備費について伺います。

 まず、そもそも予備費とは何かについて改めて御答弁いただきたい。そして、あわせて、国会開会中の予備費についての閣議決定についても御答弁いただきたいと思います。

鈴木国務大臣 そもそも予備費とはということでございますが、予備費は、予見し難い予算の不足に充てるため、予算の一部として、毎年度、国会で御審議をいただいた上で、国会による予算の事前議決の例外として、内閣の責任において支出をするものであります。

 予備費は、予算編成時には予見し難かった経費の不足が生じた場合であれば使用できるものと解されておりますが、国会閉会中においては、国会の審議権を最大限に尊重するという立場から、昭和二十九年の閣議決定、七十年前になりますが、予備費を使用できる経費を限定をしているところであります。

 ただし、この閣議決定では、予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費については、国会開会中であっても予備費を使用することができるとされているところでございます。

 今後とも、予備費を使用決定するに当たっては、憲法や財政法、さらに、閣議決定の定めに従いまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

青柳(陽)委員 まず、予見し難い予算の不足で例外として支出できるという点は確認しました。

 ただ、国会開会中の予備費の使用については、今、例外的に使用できるという答弁でしたけれども、これは、閣議決定をちゃんと読むと、国会開会中は予備費の使用は行わないのが原則なんですよ。そこをしっかり答弁していただきたかったなというふうに思います。

 その上で、コロナ禍以降の自民党政権は、異次元の予備費の積み増しが常態化してしまっているんですね。特に、補正予算で予備費を積み増している、そして繰り越してしまっている。会計検査院も指摘していますが、年度末での使用要求と、そして、それを繰り越している。また、特定目的予備費、これも常態化して、積み増して、全額繰り越している。こんなことをやっていたら、私は、財政民主主義、これが脅かされる看過できない事態ではないかというふうに強い危機感を持っています。

 この数年の予備費の積み増しや繰越し、これは異常な事態だと思いませんか、大臣。

鈴木国務大臣 予備費の多額の繰越しがあるということでございますが、コロナ、物価予備費の使用決定に際しては、新型コロナ感染症の拡大でありますとか物価高騰という予測が大変困難な時点に対しまして、臨機応変に、かつ時機を逸することなく対応すべきであるということを強く意識してまいりました。

 したがいまして、未知の感染症でありました新型コロナ感染症拡大等に緊急に対応するため必要と判断した事業については、その恩恵がいち早く国民の皆さんに行き渡るよう、年度末に近いタイミングであっても予備費の使用を決定してきたところであります。

 予備費の使用は年度内執行を前提とするものでありまして、財務省におきましてもこれを確認した上で予備費使用を決定してきたものですが、執行手続に不測の時間を要したことなどにより、当初の想定より事業の開始が遅れて次年度に繰り越さざるを得なかった事業もあったこと、これは事実でございます。

 この点に関して、昨年、会計検査院から、繰越しに至った経緯などを丁寧に示すべきであると……(青柳(陽)委員「繰越しは後でまた具体的にやりますので」と呼ぶ)そうですか。

 いずれにしても、こうした繰り越さざるを得なくなった事業があったこと、これは事実でございます。

青柳(陽)委員 私、その繰越し等について、また後で指摘させていただきます、議論させていただきますけれども、そもそもこういう状態が異常じゃないかというふうに財務大臣が思ってくださらないと、こんなの許されるべきじゃないというふうに思っていますよ。

 これまで、予備費というのは、コロナ禍前までは二千五百億円から五千億円程度が予備費の通常額だったわけですよ。それが、令和二年のコロナ禍以降、まあ、コロナという前例のない事態なので、その初年度は一定理解できますよ。それでも、五兆円、十兆円と積み増すのは、年間の文教科学技術予算よりも、同額あるいは多い額を積むわけですから、これはさすがに異常じゃないかというふうに思いますが、この予備費の状態について、まず大臣、全体として、これは異常だという認識を持っているかどうかをお伺いしたいんです。

鈴木国務大臣 先ほども答弁いたしましたが、コロナ感染症という未知の感染症の拡大等において、万全を期すために予備費を十分措置しなければならなかったということ、これは事実でございます。

 しかし、これが常態化してはおかしい話であって、今は、早く平時に直さなければいけないということで、令和六年度予算におきましては、通常予備費を一兆円、それから特定目的予備費を一兆円、合わせて二兆円であります。多いという話もございますが、しかし今、平時に向けた努力を、今先生がおっしゃった、十兆円規模あったわけでございますから、それから今転換をしているということであります。この努力は今後とも続けていきたいと思います。

青柳(陽)委員 二兆円で通常に戻ったというのは、私は、努力していないというふうに思いますけれどもね。二千五百億円から五千億円がこれまでで、二兆円積んで通常に戻している、努力をしていると言われても、これはちょっと納得ができないと思います。

 そして、もう一点、補正予算で予備費を積み増しているんですね。これもちょっと伺いたいと思いますが、財政法上、補正予算は、予算作成後に特に緊要となった経費について必要と認める予算の追加です。特に緊要となった予算、これを積むのが補正予算ですね。その趣旨からすると、補正で予備費の原則である予見し難い予算、予備費を積み増すのは、これは原則からそもそも外れるんじゃないかと思いますが、補正予算で予備費を積み増すのはもうこれからはやめませんか、大臣。

鈴木国務大臣 ちょっと先ほどのお答えでありますけれども、令和六年度一般予備費一兆円ということで、昔は五千億が大体相場であったということを考えますと多いということでありますが、これも当初は五千億ということで考えていたわけでありますが、元旦の日に能登半島地震災害が起こったために五千億積み増して一兆円にしたということ、ここは御理解を賜れば、このように思ってございます。

 そして、今の御質問でございますが、予備費は、予見し難い事態への対応、これはもとより、そのために必要となる経費の金額が予見し難い場合についても計上することが認められるものでございます。

 つまり、事態が予見されないということと、事態は予見されていても金額が予見し難い場合、これについても計上することが認められているものでありまして、予算作成後の事情変更を踏まえて補正予算を編成するに際し、緊要性が認められる場合には特定目的予備費を増額することも許容されるものと考えてございます。

 令和四年度の補正予算における予備費の追加、第一次補正で一・五兆円、第二次補正で四・七兆円について申し上げますと、先ほど来申し上げましたように、新型コロナの拡大、物価高騰の影響、それからウクライナ情勢に伴う経済危機等の予測困難な事態に対する万全な備えとして、予見し難い経費の支出を行えるよう予備費の増額を措置したものでありまして、当時の対応としては適切なものであった、そのように考えているところでございます。

青柳(陽)委員 繰り返しますけれども、コロナが当初発生したときに予備費を積むのは百歩譲って理解できますけれども、毎年予備費を積み増してコロナ対応です、あるいはウクライナも、予備費でウクライナ予備費というのを積んで、二兆円も積んでいるのに、全く、一〇〇%繰り越しているわけですから、これはなかなか、必要なら予算措置すべきだということを、この原則を確認すべきだということは繰り返し申し上げたいと思います。

 先ほど大臣から、国会開会中の予備費の使用は行わないことが原則、これは閣議決定されているわけです。ですから、国会会期中の予備費の使用はいわば禁じ手ですよね。

 特に問題なのは、国会会期中の年度末での使用要求です。先ほども少し答弁がありましたけれども、予備費は年度内の支出を前提として了承しているはずなのに、その全額が繰り越されてしまっている予備費、そして、全額ではなくても、年度末にあえて予備費の使用要求をして、そして大部分を繰り越している、こういう予算が、厚労省、国交省、経産省、農水省、内閣府、内閣官房と、これも常態化させてしまっているんですね。

 いろいろあるんですが、時間の関係上、特に、本当に看過できないのは、一兆二千億円の新型コロナウイルス地方創生臨時交付金ですよ。これは、会計検査院、今日来ていると思いますけれども、特にこの新型コロナウイルス地方創生臨時交付金ですね、会計検査院はどのような所見を出したか、簡潔に結論を説明してください。

 そして、あわせて、今日、自見地方創生大臣にお越しいただいていますけれども、この新型コロナウイルス地方創生臨時交付金は自見大臣の御担当、所管ということですが、年度末に使用要求して、その全額を使用できるとして使用要求しているわけですから、本当に、その経緯と根拠、そして結果についてコメントいただきたいと思います。

片桐会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、国会法の規定に基づく検査の御要請を受け、令和二年度及び三年度のコロナ関係予備費の使用等の状況について検査を行い、五年九月にその結果を御報告しております。

 委員のお尋ねにつきまして、報告の内容を御説明いたしますと、令和二、三両年度計六府省等の十八事業において、予備費使用相当額の全額を翌年度に繰り越している事業が見受けられました。

 そこで、今回、予備費の使用要求を行った府省等から予備費使用要求額に係る積算根拠資料の提出を求めるなどして積算の状況について見たところ、二府省の四事業において、予備費使用決定日から年度末までの日数を超える期間等を用いて予備費使用要求額を積算しており、当該二府省は、この積算に用いた期間については、あくまで年度内に要求する経費の規模を算出するためのものであるなどとしておりました。

 その上で、予備費使用要求時に、予備費使用決定日である三年三月二十三日から年度末までの短期間でどのように事業を完了することを想定していたのかなどについても確認いたしましたが、その内容は判然としなかったところでございます。

 このような検査結果も踏まえ、会計検査院の所見といたしまして、政府は、予備費使用相当額について多額の繰越しが生じた場合には、予備費使用決定時の想定等を丁寧に示すことなどに留意するなどして、予備費使用相当額の執行状況の公表の在り方について引き続き検討し、適時適切に国会及び国民への情報提供に取り組んでいく必要があると述べたところでございます。

自見国務大臣 お答えいたします。

 お尋ねの地方創生臨時交付金につきましては、物価高騰の状況を踏まえまして、自治体が財政上の不安なく国民の暮らしを守るための切れ目のない支援を迅速に実施できるようにすることが重要であると判断をいたしまして、令和五年三月二十二日に開催されました物価・賃金・生活総合対策本部におきまして、一兆二千億円を措置することとしたところでございます。

 その上で、年度内の執行に向けまして、三月二十二日の物価対策本部後、同日付で事業概要を周知し、自治体の事前準備を可能としていたほか、三月二十八日に予備費の閣議決定後、自治体に対して速やかに交付限度額等をお示しするなど、できる限り早期の執行に向けて取り組んでいたところでございます。

 こうした取組を受けまして早期に検討が開始された自治体もあったと承知しており、例えば、低所得世帯への給付について年度内に予算額を決定した自治体もございました。

 しかしながら、地域の実情やあるいは当時の感染状況に合わせて必要な支援をきめ細かく提供するため、実施するために、事業の実施主体である自治体において事業の検討等に時間を要し、実施計画の策定等に不測の時間を要することとなったため、翌年度に繰越しを行うものとなったものでございます。

青柳(陽)委員 財務大臣、今の会計検査院の判然としないという指摘、これはなかなか使われる表現ではありません。

 そして、今の自見大臣の説明、その説明を聞いても、別に年度末に使用要求する必要はないんですよ。翌年度にしっかり使用要求すればいいじゃないですか。私は、今の自見大臣の説明では全く判然としないし、丁寧な説明とは言い難いと思いますが、財務大臣、今の説明を聞いて判然としましたか。

 そして、この年度末での使用要求はもうやめさせるべきですよ。そもそも会期中に使用しちゃいけないんですよ、会期中に予備費を使用すること自体が閣議決定違反なんですから。財務大臣、コメントをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 予備費の使用でございますが、これは年度内執行を前提とするものでありまして、財務省におきましても、これを確認した上で、予備費使用を決定してきたものであります。

 そして、今御指摘の地方創生臨時交付金に係る予備費の使用でございますが、これにつきましても、所管する内閣府から年度内に執行することを前提に予備費の使用が求められ、財務省としても年度内執行を前提に予備費の使用を決定をしたものであります。

 しかし、先ほど会計検査院の御答弁にもございましたけれども、令和二年度の地方創生臨時交付金への予備費の使用について、年度末までの短期間でどのように事業を完了することを想定していたのかの理由が不明瞭である、そういう指摘をされたことも承知をいたしております。

 財務省としては、次年度に繰り越さざるを得なかった経緯等については所管府省において丁寧に説明責任を果たしていただきたいと考えておりますが、同時に、査定当局としても、会計検査院の指摘を重く受け止め、より適切な予備費の使用に向けて努力をしなければならない、そのように考えております。

青柳(陽)委員 そもそも、三月二十八日に一兆二千億円の予備費を使うことを、使用要求があって、許可する財務省も、本当に確認したのかなというふうに思います。禁じ手を続けているんですよね。これはもう本当にやめるべきだというふうに思います。

 そして、次に、特定目的予備費ですけれども、そもそも、私は、予備費に特定の目的を持たせること自体、理屈に合っていないというふうに思います。そうであれば、予算要求すべきなんですよ。

 特に、令和四年度コロナ予備費が積まれて、その後、令和四年度の一次補正で、このコロナ予備費が、コロナ、原油高、物価対策と使途を拡大させているわけですよね。

 もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、ウクライナ予備費ですよ。ウクライナ予備費は、令和四年、令和五年と二年続けて一兆円積んでいるんですけれども、二年続けて使用ゼロですよ。こんなことをやっているのは、本当にいいんでしょうか。

 政権にとって都合のよい財布代わりの予備費を積み増す、そして、それを、例えばウクライナ予備費は、全額繰り越して決算剰余金にして防衛財源に充てているんじゃないかという指摘もあるぐらいですから、本当に、この予備費を政権の都合のいい財布代わりに使い、そして、膨らませて決算剰余金にして、それを防衛財源に充てているんじゃないかと思わざるを得ないわけですね。

 これは財務大臣、もうこういう予算はやめるべきですよ。こんなことが許されたら、そもそも予算審議の意味がなくなってしまいます。財政民主主義への挑戦ですよ、こんなことは。これは厳に、もうこれからはやらないと答弁していただけませんか、大臣。

鈴木国務大臣 財務省として、何か財政民主主義に挑戦をしているものではないわけでございます。

 やはり、予備費については、必要なものは措置しなければいけないと思います、予期せぬことに対する対応でありますので。

 しかし、それが不必要に巨額のものをやることは、これは控えなければならない。そこは青柳先生と認識は共通をしている、そういうふうに思います。

 そして、今のいろいろな御質問の中で、予備費から決算剰余金が発生して、それが防衛費の財源に使われているのはいかがなものかというお話もあった、こういうふうに思います。

 強化された防衛力を維持していくため、防衛財源の安定的な確保に当たっては、国民の負担、これをできるだけ抑えるという観点から、歳出改革、税外収入の活用を合わせまして、決算剰余金を活用しているところでございます。

 予備費につきましては、新型コロナや物価高騰といった直面する危機に対して臨機応変かつ機動的な対応を行うために、適切に予算計上してきたところであります。また、予備費を含めた歳出に不用が生じることが認められる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づいて、特例公債の発行額の抑制に最大限努めることとしております。

 予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が、直接的に対応するわけではございません。実際、令和四年度決算においても、予備費に関しましては約四兆円の不用が生じましたが、税収等の上振れもあり、特例公債発行額はこれを上回る十二兆円減額したところでありまして、防衛財源を確保するため決算剰余金を膨らませて意図的に予備費を過大に計上しているということではないということ、これは御理解をいただきたいと思います。

小川委員長 青柳君、時間が経過していますので、簡潔に。

青柳(陽)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、今の説明では全く納得できませんし、民主主義国家の防衛財源こそ、国民の理解をしっかり得る必要があると思いますし、今、財政が厳しい状況の中で、今日、ちょっと時間がありませんのでできませんでしたが、基金だって十六兆円以上繰り越しているわけですよ。こんな予算を作っていたら、これは本当に納税者の負担感、負担増に応えられる予算になっていないということを私は厳しく指摘しまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小川委員長 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。どうぞよろしくお願いします。

 今、青柳委員の方から予備費のことがありましたけれども、私も後で指摘しますが、やはり、コロナワクチン、二年前の段階で、二兆四千億円の予備費で八億八千二百万回分のワクチンを確保した。どう見たって、一目で、聞いて分かりますよね、日本の人口は一億二千万人しかいないのに、四回打ったって、あと四億回以上余るわけですよね。ですから、予備費の在り方については本当に根本的に見直していただきたいということをまず要望したいと思います。

 そして、まずは全国一斉休校について質問したいと思います。

 もう四年になりますよね。安倍総理の号令一下、全国一斉休校が行われました。あのときは本当に文科省の職員の皆さん、大変でした。あの思いを私は共有していますので。

 それで、文科省は安倍内閣の下の全国一斉休校の検証を実施したと聞いておりますけれども、いつどのように行われ、どのような結論を得たのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

盛山国務大臣 令和二年二月に実施いたしました全国一斉の臨時休業の要請については、新型コロナウイルスの性質がよく分からない中で、感染の拡大を防ぎ、児童生徒の安全を最大限確保するという観点から行ったものであり、その趣旨はおおむね達成されたと考えております。

 臨時休業の影響につきましては、例えば、令和四年四月に実施をいたしました全国学力・学習状況調査の結果を精緻に分析しましたところ、学校の臨時休業期間の長さと学力との間について、全国的には相関は見られませんでした。

 他方で、長期にわたるコロナ禍の中で学校での効果的な対策のノウハウが蓄積されたことや、令和三年一月の中央教育審議会の答申において、学校が、学習機会と学力の保障のみならず、全人的な発達を支える役割を持つこと、子供たちの居場所やセーフティーネットとして身体的、精神的な健康を支える福祉的役割も担うこと、そうした学校の休業が保護者等に与える影響は極めて大きいことが示されたことなどから、文部科学省としては、感染症への対応としての全国一斉の臨時休業の要請は慎重に検討するべきものと考えております。

谷田川委員 結論は、慎重に検討すべきものということでね。大体、お役人の方、大臣はお役人じゃないけれども、そういう答弁をするときは、慎重にという言葉を使うときは、大体、あ、反対なんだな、そういう思いをにじませるわけですが。

 大臣、一つだけちょっと確認させていただきたいんですが、全国一斉休校の安倍総理の要請に対して、例えば島根県は実施しなかったんですよ。私の地元、成田市は、三年ほど前の文科委員会で私は取り上げたんだけれども、何と、そこの教育長がすばらしい判断をしまして、教育委員の中に一人、感染症の専門家がいたんですよ。その先生が、この全国一斉休校は過剰反応だ、小中学生がコロナ感染で重症化するリスクは低い、成田市近辺で感染が多発しているのであれば休業するのはやむを得ないけれども、一切感染がないのにこれを実施するのは余りにもおかしい、そういう意見があったので、当時の成田市の教育長は、二日間実施をずらして、そして一週間ぐらい休校させたんだけれども、感染者がなかったので、途中でまた再開したんですよ。

 そういった島根県とか成田市のような事例で、安倍総理の要請に従わなかった自治体がクラスターとか感染拡大をもたらしたことはありませんでしたよね。そういう理解でよろしいですね。

盛山国務大臣 先ほど申し上げたところでもありますが、全国一斉の臨時休業の要請に当たりましては、臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではないという旨を、令和二年二月二十八日に発出した通知に記載しております。

 いずれにしても、全国一斉の臨時休業の要請は、児童生徒や教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものであり、先生御指摘の成田市においては、その観点から独自に判断されたものと認識しております。

谷田川委員 ちょっと私が聞いているのは違うんですよ。結果的に、安倍総理の要請に従わなかったところで感染拡大が起きた自治体はありませんでしたねという確認を取ったんですよ。ちょっと時間がもったいないので、これ以上は言いませんけれども。

 そこで、資料一を見ていただきたいんです。今、地方自治法の改正案が三月一日閣議決定されて、この国会に提出されております。地方自治体の関係者並びに多くの人から、非常にこの地方自治法の改正案は、二〇〇〇年の地方分権一括法、地方と国が対等であるという考えから、また元の主従関係になるんじゃないか、そういう危惧がされているんですね。

 それで、私は一週間前ちょうど、この全国一斉休校の検証について是非聞きたいということで、四人の文科省の担当者が私の部屋に見えて、こういう法律案が出ているようだけれども、安倍総理の全国一斉休校に対して法的根拠を与えるものなのかどうか、どうなんだと言ったら、答えられないんですよ。何とか、じゃ、文科省の見解を出してくれと言ったら、皆さん、お手元の資料一のような文章が私のところに提出されました。

 簡単に言うと、慎重に検討するという結論はあるんだけれども、この地方自治法の改正案の解釈につきましては所管する総務省にお問い合わせくださいと言っているんですよ。余りにも私は無責任だと思うんですよ、疑問に感じます。

 大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 御指摘ではございますが、政府提出法案の解釈についてということになりますので、それは所管省庁からお答えいただくことになるということを是非御理解していただきたいと思います。

 我々は、そういった政府の方針の中で引き続き対応をしっかりさせていただきたいと考えております。

谷田川委員 盛山大臣が軌道修正するかと思ったので、軌道修正しないもので。

 じゃ、松本総務大臣。私は条文をよく読みましたけれども、これは間違いなく四年前の安倍総理の全国一斉休校の要請に法的根拠を与えるものだ、私はそう解釈しますが、イエスかノーかで簡単にお答えください。

松本国務大臣 地方自治法の改正案につきましては、現行の地方自治法の国と地方の関係等の一般ルールを尊重しつつ、感染症の蔓延、大規模な災害等、国民の安全に重大な影響を及ぼす様々な事態に対して、国と地方を通じた的確な対応が可能となるよう、地方自治法に国と地方の関係等の特例を設ける必要があるとの地方制度調査会の答申を受けて提出をさせていただいたものと申し上げたいと思います。

 今委員からお話がございました新型コロナ対応における全国一斉休校の要請は、文部科学大臣から都道府県等に対する地方教育行政法に基づく指導、助言として行われたものと承知しております。

 国会に提出しております地方自治法の改正案で設けることとしている補充的な指示は、各大臣の地方公共団体に対する指示であり、関与の性格が異なります。補充的な指示は、御指摘の新型コロナ対応における全国一斉休校に対して法的根拠を与えるものではないと考えられると思います。

谷田川委員 法的根拠を与えるものではないと今おっしゃいましたね。その結論を言ってもらえばよかったんだけれども。与えるものがないのに、何でこれを出すんですか。非常に理解に苦しみますね。

 ちょっと、皆さん、振り返っていただきたいんですけれども、確かに、戦後の日本の教育行政というのは、国が地方教育委員会等に対して指揮監督はできないとはっきり決められたわけですよ。これは戦争の反省なんですよね。戦争のときに、教育現場を戦争に総動員してしまった。その反省から、やはり、国が指揮監督するとそういうことになる、だから、地方分権を進めて各地方教育委員会に権限を与えよう、そういうふうになったわけですよ。

 それで、安倍総理の全国一斉休校の要請については、法的根拠はなかったわけですよ。

 今回、総務大臣、そこまでおっしゃるのであれば、じゃ、どうしてこういう法律を出したんですか。その立法事実は何ですか。

松本国務大臣 まず、新型コロナ対応における全国一斉休校の要請は、文部科学大臣から都道府県等に対する地方教育行政法に基づく指導、助言として行われたものと承知をいたしております。

 今回、地方自治法改正案を提出したことについてでありますけれども、先ほど申しましたように、第三十三次地方制度調査会の答申におきまして、基本認識として、新型コロナの感染症危機がもたらした社会の急激な変化は、我が国がこれまで十分対応できていなかった課題が顕在化している、今後の地方行政の在り方に関して幾つかの課題への対応が必要であるということで、DXの進展を踏まえた対応であるとか、地方公共団体相互間の連携協力及び公共私の連携についてであるとかに加えて、今お話ししたように、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応ということでございますが、先ほども申しましたように、現行の地方自治法の国と地方の関係等の一般ルールを尊重しつつ特例を設けるものであるというふうにさせていただいて、今、法案を提出させていただいております。

谷田川委員 何か担当者は、私は電話で話したんですが、十分これは法的根拠になり得る、そういう回答をしたんだけれども、そうしたら、大臣は軌道修正したということですか。

 改めて、じゃ、今回この法律が通っても、私が心配するのは四年前のことなんですよ。実はこれは、民間臨時調査会という、アジア・パシフィック・イニシアティブの朝日新聞の主筆を務められた船橋洋一さんが監修した本なんですが、ここにすごい詳しいやり取りが書いてあるんですよ。

 二月二十七日の日に、午前中、当時の藤原次官が安倍総理に呼ばれて、安倍さんが、全国一斉休校をしたいと思う、そう言ったら、藤原次官が、私もそう思っていましたと。そう書かれているんですよ、本当にびっくりするけれども。それを持ち帰って、萩生田さんが、これは必要ないと。あの萩生田さんが総理に対して必要ないと強く言ったんですね。だけれども、最後は、関係省庁にまたがるから政府が責任を負う、そうおっしゃったので、萩生田さんも、やむを得ずやるしかないと。

 だから、文科省が、全国一斉休校をああいう形でやってほしくない、そういう気持ちがあるから、この法律の解釈はしたくないという気持ちは分かるんですよ。ある意味で、ささやかな抵抗じゃないかなと私は解釈しているんだけれども。うなずいていらっしゃいますね、盛山大臣。

 それだったら、松本大臣、文科省がそういう、この法律に対して答えようとしないのであれば、私は閣内不一致だと思うよ。もう一回文科省に対してもしっかり総務省は説明して、政府一体でこの法律を通しますというぐらいの機運がないと駄目じゃないですか。はっきり言って、さっきの立法事実だったら、何のために法律を出すのか分からないですよ。具体的に何もないじゃないですか。総務大臣、そう思いませんか。

松本国務大臣 御質問の趣旨は、地方自治法改正案の提出が必要ないかどうかということなんでしょうか。必要なものを提出させていただいていると理解をいたしております。

 なお、補充的な指示とは、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認めるときに、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために構ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に行使できるものであり、また、その手続については各大臣が閣議決定を経ることとしているほか、あらかじめ、地方公共団体に対して資料、意見提出の求め等の適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととしているところでございます。

 補充的な指示については、国民の生命等を保護するため、その時点その時点の情報や知見に基づいて、各大臣及び閣議で要件の該当性が判断されるものと理解をいたしております。

 大規模な災害であるとか感染症の蔓延など、これまで経験したことのない事態に遭遇をした場合には、できる限りの対応をすると同時に、その事態が収束した後には、その事態を検証し、更に次に向けて必要な対応をすべきものと考え、私どもとしても、地方制度調査会において、新型コロナの感染症危機がもたらした社会の急激な変化は、我が国がこれまで十分対応できていなかった課題を顕在化したもので、今後の地方行政の在り方についての課題への対応が必要だということで御答申をいただいたことを踏まえて、提出させていただいております。

谷田川委員 私もその答申の文書は全部読みましたけれども、具体的な事実はほとんど触れられていないんですよ、具体的な立法事実は。今みたいな抽象的な表現。だから、恣意的に解釈される余地が大ありなんですよ。だから、私は、これについては慎重審議が必要だと思います。今日はもう時間がないのでこれ以上は言いませんけれども、ここは総務委員会じゃありませんので、恐らく総務委員会で具体的な立法事実は何なのかということがかなり大きな争点になろうかと思います。

 それじゃ、次に進みたいと思うんですが、今、学校教員が非常に募集しても集まらない、そういう状況が続いています。

 私は前にも何回も言っているんだけれども、県の教育委員会、都道府県教育委員会、皆さん、お手元の資料二を見ていただければ比率があると思うんだけれども、全体で都道府県の合計、上を見ていきますと、二万一千二百二十三人のうち、教員出身者の割合は四七・八%と、半分弱いるんですね。中には六割を超えている県がたくさんあるんですよね。

 私は非常に人材の適材配置という観点から問題があるなと思っている。なぜかといいますと、皆さん御存じだと思いますけれども、県教育委員会に出向する教員経験者というのは、現場で優秀な先生なんですよね、生徒の評判もよくて。そういう先生を現場から離して県とか教育委員会に行かせて、その経験を積むのもいいんだけれども、その割合が半分以上を超える、これは余りにも多過ぎるんじゃないか、私はそう思っているんですよ。

 この質問は、何回も当時の萩生田文科大臣にも質問をしたら、萩生田大臣もその問題意識はよく分かっていただきまして、これについてはしっかり検討していきたいということなんだけれども、ここに来て、先生を募集してもなかなか人が集まらない状況下、これは文科省自体が各都道府県教育委員会に対して、適材適所に関してしっかりとした指導をすべき段階に来ているんじゃないかと私は思うんですが、盛山大臣の答弁を求めます。

盛山国務大臣 谷田川先生がよく御案内のとおりの状況でありますが、教育委員会の事務局には一般行政職の職員と教員籍の職員が配置されておりますが、教育行政をバランスよく進めていくに当たりましては、どちらか一方のみに偏ることなく、双方が連携、協働して対応していくことが必要だと考えております。

 教師不足が指摘される中、学校現場に必要な教師が配置されることが重要であることはもちろんでありますが、同時に、教師の指導力を育成するという側面で必ずしも十分な体制が整備されていない市町村教育委員会も存在する中で、学校現場に対する指導助言等について、能力や専門性を生かして中核的な役割を担う都道府県教育委員会の教員籍の職員は大きな役割を果たしていると考えております。

 こうした点につきまして、昨年七月に公表しました文部科学省の有識者会議の報告書の中では、各教育委員会において、一般行政職の職員と教員籍職員の業務内容やその分担を整理し、その上で適切な連携を図る必要があること、いわゆる指導系の業務についても、全ての業務を教員籍職員だけで行うのではなく、一般行政職の職員等も部分的にその業務に従事することにより、専門性を担保しつつもバランスの取れた行政運営を実現することなどが指摘されております。

 引き続き、この報告書の周知、情報発信等もしっかり行いながら、教育委員会事務局の職員の在り方について、各教育委員会に対して必要な助言等を行ってまいります。

谷田川委員 原稿棒読みじゃ何も伝わりませんよ。何か文科大臣の考えが全然伝わらないので、これ以上は言いませんけれども。

 次に、新型コロナワクチンのことに関してお尋ねしたいと思います。

 先ほど申し上げましたけれども、結果として大量廃棄になるということなんですけれども、どのぐらいの費用が無駄になったのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

佐々木(昌)政府参考人 お答えいたします。

 まず、金額ですから、数量掛ける単価になろうかと思います。

 数量ですけれども、これまで新型コロナワクチンの契約量は約九億二千八百四十万回。ただ、ここからキャンセルと海外供与数を引くと、六億八千三十四万回。そこから、現時点、昨年度末のこれまで把握している総接種回数を、四億三千六百十九万回ですので、これを引くと、まず、数量の方は二億四千四百十五万回になろうかと。

 それ掛ける単価ですけれども、単価は、個別企業との契約単価については秘密保持契約上申し上げられませんが、考え方としては、二〇二二年十一月の総予算措置額割る総契約数量というものを出した資料がございます。この資料によると、割り算だと二千七百二十五円になりますので、単純に先ほどの二億四千四百十五万回掛ける二千七百二十五円だと、機械的には約六千六百五十三億円になります。

 ただ、これについては無駄かというと、その時々の状況によって必要なワクチンを購入したので、この購入が無駄とは考えておりませんが、金額は先ほど申し上げたとおりになります。

谷田川委員 大体、今、六千六百億円ぐらいが無駄になったということをはっきりおっしゃっていただいたので。

 過ぎてしまったことを余りとやかく言ってもしようがないんだけれども、考えによっては、武見大臣、コロナワクチンを開発すべきだというときに、当初アメリカは何と一兆円の予算をつけたんですね、当時のトランプ政権。残念ながら日本はあのとき百分の一の百億円なんですよ、一番最初は。

 今から振り返ってみると、六千六百億円ぐらい無駄になってしまったことを考えると、最初からアメリカぐらい、ぽんと一兆円ぐらい、開発するということをやるべきではなかったかなという思いもあるんですが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 世界的なワクチンの獲得競争が生じる中で、接種を希望する全ての国民の皆様にワクチンをお届けできるように、大変可能性を考慮しながら蔓延当初から海外製のワクチン購入に奔走しました。

 国内ワクチンの開発企業は実質遅れました。実際にその状況を見たときに、要は、幾らお金をかけても、実質的にメッセンジャーRNAタイプのバイオに関わる研究基盤が日本の国内に十分に育ってきていなかったために、金をかけても作れなかったという、もっと悲惨な状態に日本は私はあったんだろうと思います。

 したがって、今後のことを考えるとすれば、改めてバイオに関わるそうしたワクチンの研究基盤、これをどのように次回のために事前に用意しておくかということが今回の最も大きな教訓であっただろうと私には思えます。

 実際、そのために、今、金も使っています。令和二年度一次補正予算は確かに百億円だったんですけれども、国産の新型ワクチンの開発支援のために、今までで合計で五千七百億円を確保しました。

 それから、二社が海外で開発されたワクチンの国内製造を実現するために、日本の国産の二社が自らワクチンの開発に成功をして、そして、これらのうち三社のワクチンは特例臨時接種期間中に実際に接種に今用いられ始めているわけであります。遅ればせながら、ようやく我が国も独自にワクチンの開発力を最後のところでは確保できたというのが精いっぱいの実情でございました。

 しかし、繰り返し申し上げますけれども、お金の問題ではないです。研究基盤というものが十分我が国の中に育っていなかったということの方が私は大きな問題だったと思っています。

谷田川委員 分かりました。

 それでは、時間がないので、大臣に是非答弁してもらいたいことを申し上げたいと思うんですが。

 私は地元が千葉県なんですよ。ここ十数年、人口十万人当たり何人のお医者さんがいるかという数字があるんですが、千葉県はいつも大体百九十人ぐらいなんですよ。全国ワーストスリー、茨城、埼玉、埼玉はワーストワンなんですけれども、大体変わっていないんですよ。

 これは、臨床研修医制度が変わって、自分で選べるようになってから、極端に地方のお医者さんが少なくなってしまった。それで、ずっと何とかいろいろな知恵を出して、私も厚労省のお役人の方といろいろな意見交換をしながら、今でも忘れませんけれども、今から六、七年ぐらい前でありますが、当時の、今でもそうですけれども、小西参議院議員なんかと、厚労省の方に、お医者さんをやはり強制的に地方に行かすことを考えなければいけないんじゃないかと。そういう中で、例えばの話ですよ、保険医の資格を取るためには、ある程度、一定年間お医者さんが少ないところに行く義務を果たした後に保険医の資格が得られるとか、そういうことも考えていいんじゃないかと。ただ、どうも、それについては、やはり職業選択の自由に反して、憲法違反の可能性があるから踏み切れなかったという話も聞きました。

 だけれども、これは、「日曜討論」の番組を私も見ていましたけれども、私も我が意を得たりなんですよ。本当に大臣があそこまでおっしゃっていただいて、特に医師会の会長がいる前でおっしゃった。これは非常に私はすごいなと。ましてや、お父様が何といっても武見太郎さんという立派な医師会の会長であられましたよ。その武見さんがああいう発言をされて、私は武見大臣の考えを後押ししたいと思っているんです。

 ただ、これは、ただぶち上げただけじゃ困るんですよ、花火だけじゃ。だから、具体的にどのような改正案を作っていって、どういう形で実施していくのか、その辺のスケジュール感というか、あそこまでおっしゃった以上は、そこまでやる責任が大臣にあると私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 私も相当覚悟を持って発言したつもりでありますので。実際に今、我が国の医師の偏在それから診療科ごとの偏在、これは今まで様々な工夫をして是正しようとしてきましたけれども、委員御指摘のとおり、うまくその解決策を実行できておりません。

 したがって、このような状況になったからには、やはり、ある一定の規制の方法を含めて、かなり、前例にとらわれない方法でこの問題を解決する、そういう政治的リーダーシップが今は必要になってきているというふうに私は認識しております。

 その上で、スケジュール感でありますが、ある程度の大きな方向性は骨太の方針ぐらいを前提にしながら考えつつも、今、厚生労働省の中でも今年の三月に設置した新たな地域医療構想等に関する検討会というのがありまして、そこを中心にして、しっかり年末までにはもっと具体的なものを作らせよう、こう考えております。

谷田川委員 今、明確に、年末までには具体的なものを作らせるとはっきりおっしゃっていただきました。是非期待したいと思います。

 少し時間がありますので、ちょっと飛ばした質問を。

 私の地元、香取市なんですが、残念ながら、何とこの二十年間くらい、産むところがないんですよ。産婦人科医がいなくなってしまったんですよ。お医者さんを何とか誘致しよう、誘致しようとやっていたら、ようやっと産科の病院が香取市に来てくれそうな、そういう方向に今進んでいるんですが。

 ただ、全国各地、今、産婦人科が地元になくて、遠距離で行かざるを得ない人がたくさんいるそうですね。それで、今年、本当にありがたいことに、厚労省は今年度予算で、そういう遠方の分娩施設に行く方の交通費及び宿泊費を補助する制度をつくられまして、本当にこれはありがたいと思います。

 では、これを、私はこの間レクで初めて知ったので、まだ一般国民の皆さんに知られていないと思うんですね。是非それは、どういうふうに周知していくか。

 そして、もう一点。二人目を産む方は、一人目の赤ちゃんが小さいとなかなか病院の近くに宿泊してというのが難しい、だから、子供を見る費用なんかも含めてもらわないと、なかなか二人目を産もうというふうにならないんじゃないか、そういう声もありますので、その辺のやはりこの制度の拡充も必要だと思うんですが。

 この二点、御答弁いただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の事業でございますが、居住地にかかわらず安全に出産ができる環境整備を進めるため、遠方の分娩取扱施設で出産する必要がある妊婦の方につきまして、今年度から交通費及び宿泊費の財政支援を行っております。

 この事業につきましては、こども家庭庁と連携し、事業の実施主体である市町村や都道府県に対して今年三月に開催した全国説明会を活用して周知を行ったほか、日本医師会や日本産婦人科医会、日本産科婦人科学会等の関係団体に対しまして情報提供を行ったところでございます。

 また、市町村が実際に事業を実施する場合には、市町村は、支援を必要とする妊婦の方の把握に努めるとともに、当該妊婦の方に対して制度の内容や助成申請の手続方法などの説明を行うことを求めているところでございます。

 引き続き、こども家庭庁や都道府県、市町村と連携し、支援を必要とする妊婦の方が本事業により適切に支援を受けられるよう、周知には取り組んでまいりたいと思います。

 また、議員御指摘の部分は今後の話でございますが、この事業の中身につきまして、活用状況や支援のニーズを踏まえながら、こども家庭庁と連携をいたしまして、更によりよい支援の在り方につきまして、こうした中で検討してまいりたいと考えております。

小川委員長 谷田川君、時間が経過していますので、簡潔に。

谷田川委員 じゃ、時間になりましたが、全国一斉休校の検証については、改めて文科省に検証らしい検証をしてほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。

小川委員長 これにて谷田川君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、医師不足をテーマに議論させていただければと思っております。

 武見大臣は、七日のNHKの番組で、医師の偏在対策について、規制によって管理することをやらなければならない段階に入ってきたと述べられ、地域ごとに医師数を割り当てる仕組みの必要性を訴えられました。

 私も医師の偏在対策はしっかりと進めていかなければならないというふうに考えておりますが、都市部でも夜間や休日の診療、これは体制が少し手薄であるかなというふうに感じております。

 私、先日、駐車場で車を降りたときに突起物に頭を強打しまして、しばらく痛みが引かなく、意識も若干不明瞭になってしまいまして、ちょっと怖くなって、夜中の十一時ぐらいに、CTだけでも撮って、異常がないかちょっと確認したかったんです。それで、夜間対応のいろいろな病院に電話をしました。十軒ぐらい電話をかけたんですけれども、この時間は対応できないと多くの病院に断られてしまいました。何とか虎の門病院で診てもらいまして、CTを撮って、幸い脳内出血とかなかったんですけれども、やはり夜間にけがや病気をすると大変なんだなというふうに改めて感じた、痛感したところでございました。

 病気で倒れたのが、あるいは大きなけがをしてしまったのが夜間なのか昼間なのか、あるいは休日なのか平日なのか、それが生きるか死ぬかの命の分かれ道であってはならないというふうに思っておりますけれども、夜間診療、休日診療、体制を強化することはできないでしょうか。どうお考えでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のように、休日、夜間の必要な救急医療体制を確保することは、これは地域医療の中では極めて重要な課題であります。

 その確保に当たっては、各都道府県において医療計画を策定して、地域の実情に応じた体制の構築を策定することになっております。

 厚生労働省としては、今年四月から開始しました第八次医療計画の指針で、軽度の患者に外来診療を行う初期救急と、それから入院を要する患者を受け入れる二次救急、それから重篤な患者を受け入れる三次救急と、医療機関の役割を明確化いたしております。特に二次救急医療につきましては、診療科にかかわらず広く救急医療を行う医療機関が病院群輪番制というものに参加することの検討を求めております。

 加えて、こうした救急医療体制の整備に対しては、これは財政的な支援も行わないとできませんので、これも行うようになっております。

 引き続き、こうした体制を行いながら、都道府県と連携して、救急医療体制の充実に努めていきたいと思います。

藤巻委員 おっしゃるように、夜間診療、休日診療の体制強化、偏在対策、それから多くの医師に過度な負担がかかっていることを鑑みると、医師の数そのものを増やす必要もあるかなというふうに思っております。それによって解決できる問題は多いかなというふうに考えているんですけれども、大臣は、そこについてはいかがお考えでしょうか。また、そのための方策はどのように考えておられますでしょうか。

武見国務大臣 医師の養成については、地域枠を中心に医学部の定員を臨時的に増員したり、医師数は、二〇二二年までの十年間で約四万人強増加をさせております。この臨時増員の枠組みについて、二〇二五年度の入学者まで延長する方針を示しておりますから、少なくとも二〇三一年頃までは、おおむね現在のペースで医師は増加していきます。

 一方で、医師の地域偏在などのために、単に医師の増員によって医師不足が解消できるかといったら、そうではなかったわけですね。医学部定員に地域枠を設けるというようなことをやってみました。それから、医師が不足する医療機関に大学から医師を派遣するための寄附講座の設置などに対して、都道府県へ財政支援なども行って、その支援も行われるようになりました。

 それから、直近の需給推計では、医師数は増える一方で人口が減少していきますから、将来的には医師数の供給が需要を上回って、今度は、医師は供給過剰になることが見込まれちゃいます。このために、今後の医療の養成数の方針については、医師の需給を取り巻く状況等を考慮して、自治体の意見も聞きながら、丁寧に議論を進めなきゃなりません。

 医師の需給を測定するための仮説の設定の段階から、それぞれの利害関係者であるとか、あるいは専門家によって意見がまちまちでございまして、医師の需給の測定に関しては、各審議会、検討会などでも、厚労省の中で委員会を開きますと、かんかんがくがくの議論になって、合意がなかなか形成できないというのが実態であります。

 そういう中で、やはり、しっかりとしたエビデンス・ベースト・メディスンで、こうしたしっかりとした合意形成のための調整は、厚生労働省が主導して合意を形成して、そして、そのエビデンスに基づいて適正な医師数というものについての管理をしていくことがこれからも必要になってくるだろうと思います。

藤巻委員 ありがとうございます。

 一方で、セカンドキャリアで医師を目指す人、これをもう少し道を広げていくということも大事だと考えております。

 社会に出て一通り仕事を経験した三十代、四十代の方が、人の命を助ける仕事がやはりしたいという情熱の下、第二のキャリアとして医師を志す、こういった道をもっと増やすべきかなというふうに考えております。

 しかし、現在の枠組みでは、医師になるには時間とお金がかかり過ぎます。医学部に学士編入という道もあるんですけれども、その枠は小さいですし、ない大学も多くあります。

 通常のルートで医者になろうとすると、まず医学部に入るための受験勉強に一般的には二年ほど、医学部入試は難しいですから。医学部に六年、前期研修に二年、そして後期研修に三年、計十三年ほどかかります。人の命を救うために医者になろうというふうに一念発起した三十七歳の人が、一人前の医者になるのは五十歳過ぎです。人の命を扱う仕事ですから、教育にしっかりと時間をかけるというのはよく分かるんですけれども、それでも時間がやはりちょっとかかり過ぎじゃないでしょうか。

 同じく、最難関国家資格とされる弁護士資格なんですけれども、法学未修者でロースクールの受験勉強に二年かけたとしても、その後、ロースクールに三年、司法修習に一年、最短六年で弁護士になることができます。

 一人前になるために、弁護士は六年、医者は十三年ほどかかります。この十三年という期間、本人の努力次第で少し短くすることはできないでしょうか。医学部の学士編入の枠を大幅に増やすことも私は方策の一つかと思うんですけれども、これは文科省の、文科大臣としてのお考えをお聞かせください。

盛山国務大臣 医師になるための大学での勉強と、そしてその後の研修、こういったところをどの程度どう考えるのかというのは、我々文部科学省だけでできる話では当然ありませんから、人の命を扱うということは先ほど藤巻先生御指摘のとおりでございますので、厚生労働省ともよく話をしながら、どういうようなレベルの教育をして、そして、どういうようなレベルの試験に合格をした人に更に実地の研修をしてもらうのかということになりますので、今ここでどうすべきであるということをなかなか言えるというものではありません。

 ただ、他方、先ほど武見厚労大臣から御答弁があったように、医師の定数、枠、これをどうするのかというのはまた別の観点でありますし、そしてまた、セカンドキャリアとしてということでございましたが、学士編入の枠というものは現在でもございます。学士編入というのをそれなりに認めているところでございますが、例えば、医学部の場合、歯学部にもございますが、医学部の学士編入学の枠につきましては、令和五年度現在、二十七の大学で百九十一人分が設けられております。

 先ほど藤巻先生からお話がありましたように、社会人になって医療に関心を持たれた方、他学部を卒業後に自身の経験その他を生かして医学に貢献したい、そういうような方に活用されていると考えておりますが、今後これをどのようにしていくのか、厚労省であり、そして大学側、具体的な要望がありましたら、関係省庁と連携しながら対応していきたいと考えております。

藤巻委員 学士編入の枠、これは職業の選択の自由を広げることにもつながりますし、是非前向きに検討していっていただければと思っております。

 また、医学部入試なんですけれども、これはちょっと学力偏重になり過ぎているんじゃないかなというふうに私は感じております。

 もちろん、高校の勉強ができるかできないか、これは一つの大きな選抜基準ではあると思うんですけれども、医師に必要なのは、勉強が得意かどうかだけではないと思います。人の命を助けたいという信念や情熱、患者に寄り添う優しさ、外科医だったら手先の器用さも重要です。

 医学部入試の選抜基準は、勉強が得意かどうか、これが大きな判断基準になり過ぎていると感じます。高校生側も、医者になるために勉強を頑張ろうというよりも、俺は勉強ができるから医学部に行こうというふうになっている側面も否定はできません。

 医学部入試において、高校の勉強が得意かどうか、それ以外の判断基軸を増やしていくべきだと私は考えますけれども、文科省としてのお考えをお聞かせください。

盛山国務大臣 医学部を含みます各大学の入学者選抜においては、各大学が定める入学者受入れの方針に基づいて、学科試験による評価だけではなく、能力、意欲、適性などを多面的、総合的に評価する選抜が広がりつつあると考えております。

 例えば、高知大学や横浜市立大学の医学部では、面接を重視した入試方法により、知識や思考力に加え、問題解決能力やコミュニケーション能力などを多面的に評価する選抜が行われていると承知しております。

 文部科学省としましては、このような好事例の周知などを通じまして、引き続き、大学における多様な観点からの入学者選抜を促進してまいりたいと考えています。

藤巻委員 また、医学部に関して、これも昔から言われているんですけれども、私立の医学部の学費が高過ぎます。六年間の学費総額、これは高いところですと四千万円を超えます。四千万円ですよ。これはとんでもない金額です。私の友人にも何人かいます、医学部に行って医師になりたかったけれども、学費が高過ぎて諦めた。

 経済的な理由で子供たちの選択肢が狭まってはならないと思います。経済的な理由で子供たちが夢を諦めざるを得ない、そんな社会であってはならないと思いますけれども、これは何とかなりませんか。

盛山国務大臣 私立大学の学費につきましては、その設置者において判断されるものであり、医学部においても、医師養成のための実習環境の整備など、各大学において充実した医学教育、研究を実施するために設置者が必要と判断する金額を設定しているものと認識しております。

藤巻委員 その結果、学費が六年間で四千万円というような状況になってしまいます。四千万円払える家庭は本当にごく限られていると思います。そのごく限られた家庭の子供しか私立の医学部に行けないというようなのが今の状況です。これは本当に私は不平等だというふうに感じておりますけれども、これは長年放置されている状況でございます。是非、そういった現状を変えていただきたく、しっかりと努力していただければなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 話は変わって、筑波大学附属駒場中学の入試についてちょっとお伺いいたします。

 この筑波大学附属駒場中学、国立の中学校で、日本一の進学校ではあるんですけれども、二月に行われた入学試験の問題で、明治神宮外苑での再開発事業について、本文で反対的な文章を載せた上で、明治神宮内外苑百年の歴史を踏まえ、再開発計画に反対する立場からの主張の根拠を考えて三十字程度で書きなさいとする問題が出題されました。

 御存じだとは思うんですけれども、この神宮外苑の再開発は大きな政治的課題であります。賛成、反対、立場を問わず意見を述べさせるなら分かるんですけれども、この入学試験では、反対的な文章を読ませた上で、反対の立場から意見を書かせています。

 小学校六年生の子供たちの人生にとって大事な入学試験で政治的テーマを扱って、さらに、片方の立場からの意見を強要する。国立の中学の入学試験です。これは教育における政治的中立性を侵しているというふうに考えるんですけれども、文科省としての見解を、大臣、お答えください。

盛山国務大臣 入学者の選抜は、それぞれの学校の教育活動に照らして、それに相応する入学時点としての能力を評価するものであります。出題内容や方法も含め、各設置者等が適切に判断するものであります。

 このため、国立大学の附属学校の入学者選抜についてでございますけれども、設置者であります国立大学法人の権限と責任において実施されるものであります。個別の出題内容の適否についてコメントすることは控えさせていただきたいと考えます。

藤巻委員 その権限と判断で、私は、教育における政治的中立性、これが侵されていると思っております。国立の中学校で、ここまで偏った政治的な意見を子供たちに強要していいのか、そういった疑問は持っております。

 この筑波大学附属中学なんですけれども、これはまた、女性というだけで入学を認めておりません。全国には七十七校の国立中学がありますけれども、女性の入学を認めていないのはこの筑波大学附属駒場中学一校だけです。ほかの七十六校は、男性であれ女性であれ、入学を認めております。これは当たり前です。

 都心にあって環境のよい筑駒に入学したい、優秀な生徒が集まる筑駒で学びたい、そう考える小学校六年生の女の子を、女性であるからという理由のみで入学を拒絶しています。これは私立なら分かるんですけれども、筑駒は国立の、しかも義務教育課程である中学校です。国立の義務教育課程の中学でありながら、女性であるというだけで入学を拒絶する、これも、教育の平等を保障する憲法二十六条に反しているというふうに私は考えますけれども、文科省としての公式見解をお聞かせください。

盛山国務大臣 あらゆる分野において男女共同参画社会を実現していくことは極めて重要であると考えておりますが、このことは、男女の別学を一律に否定するものではないと考えます。

 男女共学とするか、男女別学とするかにつきましては、個々の学校において、学校の特色やその歴史的経緯等に応じて、各学校の設置者等において適切に判断されるべきものと考えています。

藤巻委員 私立なら分かるんですけれども、やはり国立の、しかも義務教育課程の中学でありますから、男女分け隔てなく入学を認めるべきだと私は思っております。

 仕事においても家庭においても、男女が協力して、お互いの長所を生かして、短所を補いながらやっていくこの時代に、女性だけ排除して男性だけ集めてというのは、私は、国立においては、やはり今の時代に即していないというふうに考えておりますので、そういった認識を持っていただければというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、再びちょっと厚労大臣の方にお尋ねいたします。

 コロナ禍で行われた計一兆四千三百三十一億円の特例貸付けなんですけれども、二〇二三年度の返済額は、予定された千四十七億円の三七%にとどまったことが分かりました。この返済率で推移すると、未回収額は将来的に六千億以上になります。

 厚労省は、今後、返済率向上のため相談体制を強化していくとのことですが、相談以前に、俺は絶対に返さない、返すつもりはみじんもないと突っぱねられたらどうするんでしょうか。これは、ほとんどの人は真剣に返済に取り組んでいると思うんですけれども、そのほとんどの人にとって、正直者がばかを見るような事態になっていないでしょうか。返済能力があるにもかかわらず、絶対に返さないと強硬姿勢を取った者勝ちになっていないでしょうか。逃げ得になっていないでしょうか。真剣に返済に取り組んでいる方が相対的に損をするようなことは、あってはなりません。

 返済能力があるにもかかわらず、絶対に返さないと強硬姿勢を取ってくる人に返済をしてもらうための具体的な方法を教えてください。

武見国務大臣 お尋ねの特例貸付けであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響によって事業活動が制限される中、収入減少があった世帯の資金需要に迅速に対応するために、社会福祉協議会におきまして実施しました。当時、郵送のみによる申請の受付を認めるなど、多くの申請に対して迅速に貸し付けることを優先した経緯がございました。

 この特例貸付けにおいては、住民税非課税の方などを償還免除の対象としているほか、免除の対象とはならないものの償還が困難な方に対しては、償還猶予を行った上で、就労支援や家計改善支援など、必要な支援におつなぎはしておりますけれども、償還が可能な方についてはやはり適切に償還していただく必要があります。

 このため、社会福祉協議会においては、滞納されている方に対して、督促書の送付であるとか、それから電話、面談などによる生活状況の聴取などを順次進めるとともに、償還できる見込みがありながら償還に応じない方については、戸別訪問等により償還指導に取り組んでいくこととしております。

 引き続き、償還が困難な方へのきめ細かなフォローアップ支援や滞納されている方への対応が適切に行われるように、これからも努めていきたいと思います。

小川委員長 藤巻君、時間が経過していますので、簡潔に。

藤巻委員 絶対返さないと言っているんだから、幾ら電話しようが、相談しようが、訪問しようが、絶対返してくれないと思います。

 答えになっていないとは思うんですけれども、時間が来ましたので、これで私の質問を終わります。

 本日は、ありがとうございました。

小川委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、統一会派の杉本和巳と申します。

 今日は、大蔵省じゃなくて財務省、もっとぴりっとしてほしいというのが一つと、会計検査院、大いに、更に奮闘していただきたい、これが私のお願いというか、当質疑の大くくりなポイントかというふうに思っております。

 それで、まず、委員長にもお願いしたいと思っておるんですけれども、そもそもこの国会審議が、既に経過した年度の決算が三年分滞留しているということは望ましくないですし、今回の予備費の審議も、DX、AIの時代に、かつ、民間企業では四半期決算が当たり前の時代に、前々年度の審議をすること自体、衆議院として、スピーディーさやタイムリーさのある方向へ転換をしていく時期が来ている、必要が来ているというふうに私は考えております。

 予算、決算の当局、そして検査当局の、できるだけスピーディーな在り方というものを、基本的にはお考えは一致していると思うんですけれども、そういう方向感を持っていただきたいということで、委員長にも、そして与野党の両筆頭にも、そしてまたバックにいらっしゃる国対にも、御参加あるいは参加されていない議員各位に、是非とも予算、決算、対で、地方議会に我々は学ばなきゃいけないような環境にあると思いますので、この審議、是非とも、会期延長してでも、この三年度分はしっかり終わらせるということに御協力をいただきたいということをお願いしたいんですけれども、その点について、大臣から伺っちゃうと時間が多分なくなってしまうので、この点については会計検査院長からのみ御答弁をいただければと思います。

田中会計検査院長 お答え申し上げます。

 平成三十年度決算及び令和元年度決算に関する衆議院の議決では、決算審議の充実と迅速化に向けた一層の協力が求められたところでございます。会計検査院としましても、検査結果を決算審議の充実や次の予算に反映させていくことの重要性は認識しているところでございます。

 当委員会における決算審査の進め方につきましては国会でお決めいただくことかと存じますので、よろしくお願いいたします。

 そして、決算審議の充実と迅速化に向けた取組につきましては、今申し上げた議決について講じた措置として、先般内閣を通じて御報告したとおり、引き続き検査結果の早期の報告や随時の報告などの取組の充実に努めてまいりたいと存じます。

杉本委員 ありがとうございます。

 国会がお決めになるということなので、まさしく国会がしっかりやっていかなきゃいけないというのを私も含めて反省をしたいと思いますが。予算、決算当局も検査当局も、やはり、地方議会に学ぶ、あるいは参議院に学ぶというのは残念なことでありますけれども、三年度分たまった決算と、予備費のこともございますけれども、是非皆さんの御協力を重ねてお願いしておきたいと思います。

 さて、予備費についてなんですけれども、大臣にお伺いしたいと思いますが、鈴木善幸総理の時代のことをちょっと調べてみました。

 昭和五十五年、大平正芳総理が衆参同日選のさなかに亡くなられ、私はそのとき、鳩山邦夫代議士が落選中で二期目に戻るというタイミングで、防衛大臣をされた岩屋毅さんとか御一緒にアルバイトを私は末席でさせていただいていたという時代なんですけれども。

 その大平首相の後を受けて、鈴木善幸総理が、昭和五十五年の七月十五日から昭和五十七年の十一月二十五日まで総理を務められました。

 それで、そのときの予備費を参考までに補正後の金額で言っておきますと、昭和五十五年が、補正後で三千五百億、これは動いていなくて、予備費の使用額が二千五百二十億だった。次の昭和五十六年は、千六百四十二億の補正後が、使用総額は千四百十九億。そして昭和五十七年は、予備費の補正後が二千三百億で、使用総額が千二百二十五億。そして、退任後になられますけれども、道を開いたという感じかと思いますが、昭和五十八年は、補正後二千百億、そして使用総額は千八百四十七億だったという数字があります。

 官僚の方の御説明は、岸田総理が得意の比率でいくといわゆる昔の方が多かったんじゃないかみたいなことを言われていますけれども、実額でいけば圧倒的にやはり予備費は少なかったわけでございますので、是非、鈴木善幸総理の時代を、昭和の時代で学んじゃいけない金銭スキャンダルもありましたけれども、今もやっていますけれども、そこはやめて、むしろ、昭和の時代のいいものを我々はしっかり思い起こして継承していく、あるいは戻っていくというようなことが必要かと思います。

 ちなみに、これは自民党のホームページから抜粋だけ言わせていただきますと、大平首相急逝の後を受け、政治の空白の回避と政局の安定が急務であるということの中で、円満な後継者の選出が適当であるということで党議が固まり、鈴木内閣が誕生ということで、党内融和と結束を最重視して、和の政治を政治運営の基本姿勢にされた。政策面では、大平政治を継承して、まさに我々が今必要な、政治倫理の確立と行政綱紀の粛正、財政再建、行政改革の断行ほかをされています。

 この二年三か月にわたった鈴木総理時代は、行財政改革の断行というのも徹底されていたというふうに拝察します。鈴木総理は、施政方針演説で、国民の皆さんに対してですけれども厳しい自制と粘り強い努力をという要請をされ、内政面で、二十一世紀を切り開く行財政改革の断行という方向であったというふうに伺っています。

 内政面において、行財政改革に傾けた鈴木首相、首相となぜか自民党のホームページ、総理と書いていないんですけれども、鈴木首相の情熱と実績を抜きにしては語れない。首相就任以来、今や抜本的な行政改革の推進と財政再建の達成なしには、一九八〇年代の行財政運営の基盤を確立することはできない。鈴木首相は、五十六年三月、土光敏夫を会長とする臨時行政調査会を設置ということで、これは中曽根さんが設置したのかと私は誤解していましたけれども、鈴木総理が設置されているということであられます。

 そして、結びの方に行きますと、それにしても、歳出削減、財政再建路線を定着させ、退任された後の五十八年度の予算編成における五%のマイナスシーリングのレールを敷いた功績は極めて大きかったということ。そしてもう一つ、今の裏金問題に関わりますが、鈴木首相はまた、金のかからぬ政治の実現に取り組み、五十八年八月、多年の懸案であった参議院全国区制度を改革して、比例代表制を導入した公職選挙法の改正を断行、このことは我が国選挙史上画期的な出来事と、こういうくだりがございました。本当にすばらしい総理としての御活躍だったと思います。

 デフレのギャップとかそういう問題で一概に言えないということも分かりますが、我々、デフレギャップを解消するために、国土強靱化だとかいろいろ言っていますけれども、デフレギャップを埋めるのは内需じゃなくて外需で、この円安を生かしていいんじゃないか、そういう時代に我々は入っていると思いますけれども。

 こういった五%のマイナスシーリングまでされた鈴木内閣の内政に、財務省として、あるいは旧大蔵省として学ぶべき点はないか、この点を鈴木俊一財務大臣にあえて伺いたいと思います。お願いします。

鈴木国務大臣 予備費でございますが、これは、性質上、予見し難い予算の不足に充てるため、予備費として相当と認める金額を計上すべきものであって、その時々の経済社会情勢や過去の災害対応の状況等を踏まえて、政府として必要と考えられる規模の予算額を計上すべきものと認識し、そのように歴史的にもされてきたと思います。

 そして、御指摘の昭和五十五年から五十七年当時の予備費が三千五百億円であったことと比較をし、近年は、一般の予備費に加えまして、コロナ、物価予備費など特定目的予備費が計上をされて、大変その額としては増えているところでございます。そこは御指摘のとおりでございます。

 しかし、近年の新型コロナの感染拡大、物価高騰、頻発化する激甚災害、このような予測困難な事態に対する万全の備えとして計上したものであって、これは予算措置の在り方として適切そして必要な対応であったと考えております。

 お尋ねの、鈴木政権の内政、その中でも財政運営について申し上げますと、行財政改革に取り組む中で、昭和五十八年に新しい中期的な経営運営の指針というものを策定をいたしました。それは、昭和六十五年度、これは平成二年度でございますが、特例公債依存体質からの脱却と国債依存度の引下げという大変高い目標を示した上で、この目標を達成するために、マイナスシーリングの導入など厳しい手段をてことして、種々の制度改革等を行ったことによりまして、歳出の削減、合理化に取り組んだものと認識をいたしております。

 当時の内政の財政政策等に学ぶということでございますが、御指摘のありましたマイナスシーリングにつきましては、社会経済情勢に応じて重要な政策に対する選択肢を狭めないという観点から、現時点では、一律のマイナスシーリングを導入するということ、これは困難なことであると考えております。

 しかしながら、当時と比較して格段に悪化している財政状況に鑑みますと、予算配分に軽重をつけて効率的な財政支出を図ることの必要性、これはむしろ高まっている、そのように考えておりまして、私も、そうした行政改革の精神、これをしっかりと受け継いで、今後とも、中長期的な財政の持続可能性への信認、これが失われることがありませんように、経済成長と財政健全化の両立を図るという責任ある経済財政運営に努めていかなければならない、そのように考えております。

杉本委員 ちょっと時間が押してしまったので、政府委員の方には、御答弁をお願いしていますけれども、先に謝っておきますけれども、お答えいただかないことになるかもしれないので、お許しいただきたいと思います。

 三つ目の質問の透明性と説明責任というのをちょっと飛ばさせていただいて、予備費の編成の大くくりさというか、兆単位の不用額の存在、繰越額の在り方みたいなところについて、大臣と会計検査院長の御答弁をそれぞれいただければと思います。

 一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の使用残額が二兆七千七百八十五億円、決算上、不用額として、剰余金として処理されていますが、予算、決算運営上、兆単位の額が残るということについて、日本国憲法上あるいは財政法上、あるいは御担当の職責上、適切であったとお考えになられるのかどうか、この答弁を財務大臣と会計検査院長さんから、両方いただければと思っております。

鈴木国務大臣 コロナ、物価予備費についてでありますけれども、これは、新型コロナウイルス、未知のウイルスでありましたが、その拡大や物価高騰など、予測が困難な事態に対する万全の備えとして予算計上したものでありまして、当時の状況の下での予算措置としては適切かつ必要な対応であったと考えているところでございます。

 その上で、そもそも予備費につきましては、その性格上、不測の事態への備えとして計上するものでありまして、一定の不用額の発生はやむを得ないものであるということに加えまして、予算の一部として国会で御審議いただいてきたこと、その支出は事後に国会の承諾を得る必要があることから、憲法そして財政法上問題がある対応であったとは考えていないわけであります。

 しかしながら、結果として予備費について多額の不用額が生じたことは事実でありまして、このことは重く受け止めなければならないと思っております。

 今後とも、適切な予備費の計上、それからその執行に努めてまいりたいと思っております。

田中会計検査院長 お答え申し上げます。

 不用額が生じた具体的な原因、事情については多様であるものの、我が国の財政が極めて厳しい現状にあり、毎年多額の公債を発行している状況においては、予算の執行をより的確に行っていくことは重要であると考えております。

 予算において予備費をどの程度計上するかにつきましては内閣が提案し国会が議決する予算編成そのものの問題であると認識しておりますが、会計検査院といたしましては、委員御指摘の特定使途予備費の使用状況及び同予備費の予備費使用相当額の執行状況につきまして、引き続き注視してまいりたいと存じます。

小川委員長 杉本君、時間が経過していますので。

杉本委員 では、結びに、財務大臣にも頑張っていただきたいですし、会計検査院長は、先日のテレ東のインタビューでも、今後は、国が定める決算書のほか、事業単位、財源別に使途を公表しようという所見を伝えていたり、あるいは、DX、AIの時代に、AIを駆使したデータサイエンティストの育成、年一回の報告義務に加えて、適時適切なリポートみたいなことをお話しされていましたので、GAOの話とかありましたけれども、是非、憲法機関として大いに御活躍をいただきたいと思っております。

 以上です。

小川委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 まず、総理訪米についてお伺いします。

 上川外務大臣、アメリカは日本を本当に守ってくれるのですか。

上川国務大臣 今回、四月八日から四月十四日までの間、岸田総理大臣は国賓待遇で米国を公式に訪問したところでございます。

 滞在中、岸田総理は、四月十日にワシントンDCでバイデン大統領との日米首脳会談を行うとともに、公式晩さん会等にも出席をいたしました。

 国際社会が複雑かつ多様な課題に直面する今こそ、日米の固い結束が重要でございます。今回の訪問を通じまして、日米がグローバルパートナーであるということ、また、国際社会の諸課題を共にリードしていく存在であること、そして、そのためにも日米関係が一層盤石なものであるということを確認し、世界に力強く発信することができました。

 唯一の同盟国として、平和と安全、これに対しまして共同で、まさにグローバルパートナーとしての立ち位置で取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。

櫛渕委員 総理がアメリカで、米国は独りではない、日本は共にある。孤独感や疲弊、その重荷を、独りで守ることを強いられる理由はありませんと表明されました。

 どういう意味なんでしょうか。日米の一体化とかグローバルパートナーというと聞こえはいいんですけれども、実態として日本の自衛隊はアメリカ軍の二軍になるということではないですか。

 アメリカは毎年、世界のどこかで戦争をしている国であります。大臣も御存じのとおり、我が国の憲法は武力で紛争解決することを放棄しています。それが全ての外交の大前提であり、アメリカと一緒にやっていく立場も能力も憲法上はありません。総理にそれを忘れてもらっては困ります。岸田総理は、国民に信を問うこともなく、戦後の日本の安全保障政策の大きな転換をすること、それをアメリカや世界に向けて宣言されたことは、断じて許されるものではありません。

 そもそも、国民は増税、自民党は脱税。岸田政権の支持率は地をはうように低迷をしています。自民党の国会議員の四人に一人は犯罪者の疑いがある、そのような政権与党に大切な国家安全保障政策を勝手に変える権利も資格もありません。(発言する者あり)疑いがあると申し上げました。たくさんここに疑いの議員の方がおいでになります。総理は、法の支配は国益と言うならば、即刻政権は退陣をし、まずは自民党内の法の支配こそ徹底すべきではありませんか。

 驚くことに、日米共同声明や総理の演説の中に、国民を守るという決意は一言も語られていません。また、岸田総理は核兵器のない世界の実現がライフワークと言いながら、被爆者の文字はどこにもないんですね。

 上川大臣、政府は、唯一の戦争被爆国として、広島と長崎の悲劇を二度と繰り返さないための取組よりも、アメリカの核抑止力を拡大する方針を優先するということでよろしいですか。お答えください。

上川国務大臣 ロシアによる核の威嚇や、また北朝鮮の核・ミサイル開発等によりまして、核軍縮をめぐる情勢は一層厳しさを増している状況でございます。だからこそ、我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器国、これを関与させるよう努力をしながら、非核兵器国とも連携をし、現実的なアプローチで、核兵器のない世界、この実現に向けて全力で取り組んでいく必要があると考えております。

 今般の日米首脳会談におきましても、核軍縮に関しますG7首脳広島ビジョンの発出を含む、核軍縮に関する現実的かつ実践的な取組の進展を確認し、我が国が取りまとめる形で立ち上げを表明した核兵器用核分裂性物質の生産禁止を目指す条約に関するFMCTフレンズへの米国の参加を、岸田総理から歓迎をしたところでございます。(発言する者あり)

小川委員長 静粛に。

上川国務大臣 また、連邦議会上下両院合同会議での演説におきまして、東アジアにおける核兵器拡散の差し迫った危険に触れ、核兵器のない世界の実現への総理の強い思いを言及したところであります。

 まさに、ヒロシマ・アクション・プラン、この下で、現実的、実践的な取組につきましては継続、実践してまいりたいと考えております。

櫛渕委員 そのお話はよく分かっていますけれども、昨年の広島のG7、広島ビジョンの文書においても核抑止力が正当化されたことを、広島からは、被爆地を冒涜するものだという強い憤りが出ています。

 核抑止力を拡大すれば安心と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。核抑止力とは、核を保有することで国家間の戦争を思いとどまらせることですが、その幻想が既に破綻していることはウクライナや中東の現実が物語っています。

 岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有を認めましたけれども、そうなれば、日本が核のターゲットになりかねません。

 パネル一を御覧ください。核兵器禁止条約の第二回締約国会議。私は、一回目のウィーン会議、そしてニューヨーク会議にも出席をしてまいりました。そこでは、画期的な宣言が出されています。すなわち、核抑止力を安全保障政策として正当化することは、核拡散のリスクを危険なほど高めるとされ、認められないというものです。実際にそのとおりだと思うんですね。

 特に東アジアでは、核保有国の存在が隣り合わせですから、武器対武器、核兵器対核兵器という軍備競争となって、かえって我が国周辺の安全保障リスクを高めてしまいかねません。

 締約国会議の場で、抑止力に代わって、核に頼らない安全保障の枠組みをつくる、こうした議論を始めることに注目が集まっておりました。例えば、東アジア地域で安全保障を協議する枠組みや、北東アジア非核地帯をつくるための対話のプロセスをつくる。六か国協議も今ないわけですから、こうした外交努力が先ではないでしょうか。岸田政権になって、日中韓の首脳会談も一度も開かれておりません。

 また、赤道ギニアの政府代表は印象的な発言をされていました。なぜ日本は広島、長崎で核攻撃を受けた国なのに核抑止論を支持しているのか、国連に毎年日本は核廃絶のための決議案を出していますよね、けれども、その提出と、今の核抑止論を支持する、どういう政策的な一貫性があるのかという国際社会からの指摘です。

 上川大臣、核廃絶のロードマップとなる核兵器禁止条約です。次回の締約国会議に最低でもオブザーバー参加することを必要と考えますが、いかがですか。簡潔にお答えください。

上川国務大臣 核戦力の透明性の向上、また、包括的核実験禁止条約、CTBTの早期発効や、また、先ほど申し上げたFMCTの早期交渉開始に向けた取組等、核兵器国も参画をする、こうした効果的な核軍縮措置に向けて取組を積み重ねていくところでございます。

 私自身、先月、議長として核軍縮・不拡散に関します安保理閣僚級会合を主催したところでございますが、今後とも、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議等の取組を通じまして、核軍縮に向けた国際的な機運、これを高める取組を進め、核兵器のない世界の実現に向けまして一歩一歩近づく努力を重ねてまいりたいと考えております。

櫛渕委員 オブザーバー参加するかどうかをお聞きしたんですね。オブザーバー参加は、自民党以外全ての政党が賛成をしています。国民の七割以上も参加を求めているんです。第三回締約国会議は、来年の三月にニューヨークと決まりました。是非、唯一の戦争被爆国として参加することを求めます。

 さて、次に、残りの時間、財務大臣にお伺いします。

 日経平均株価、三十四年ぶりに最高値を更新しました。失われた三十年の停滞をついに脱したと言われますけれども、本当にそうなのか。

 同じ三十年でも、株価ではなく、倒産の状況を見ていきたいと思います。失われた三十年を脱したどころか、全く逆の風景が明らかなんですね。

 帝国データバンクの調査によると、二〇二三年度の倒産は、九年ぶりの高水準、増加率は過去三十年で最も高い三〇・六%に及んでいます。倒産の理由も、ゼロゼロ融資後の倒産は五四・三%増、物価高倒産は過去最高で八〇%増となっており、これからますます増えていくことが予想されます。

 注目すべきは、パネル三に示しましたが、税金や社会保険料を滞納したことによる倒産が年々増え続け、去年は前の年と比べて一・五倍にもなっているということです。税金、社会保険料がいかに重くのしかかり、倒産にまで至っているのかがよく分かると思います。

 特にきついのが、何といっても消費税なんですよ。国税庁のデータによると、滞納額のトップがずっと消費税なんです。令和四年度で、法人税に比べて、消費税は実に三・八倍も滞納が多い。また、資料四、新規で発生した滞納額の推移を見てみますと、全体の七千五百二十七億円のうち、消費税の滞納は五〇%を占めています。このことからも負担の重さは明らかです。法人税なら赤字であれば支払う必要はありませんが、消費税は免れないからですね。

 しかも、税と社会保険料の滞納倒産のデータは二〇二三年の十一月まで、つまり、昨年十月に導入されたインボイスの影響はここには入っていないんです。財務省はインボイスによる税収増を約二千五百億円としていますけれども、一年で発生する消費税滞納額の八割に当たります。その額が新たに増税されることになったわけです。インボイスによる増収は、これまで免除されてきた零細企業や個人事業主からのものでしょう。

 ここで、倒産を資本金規模別に見てみます。一千万円未満が六千百六十九件、その構成比は約七割、二〇〇〇年度以降で最も大きくなっている。要は、過去最高益を上げる大企業がある一方で、中小企業や個人事業主はずっと苦しんでいるということです。それなのに、新たにインボイスによる負担が加わったことになります。

 鈴木財務大臣、図を御覧いただいてお分かりのとおり、税と社会保険料の滞納を原因とする倒産がおととしから去年にかけて一・五倍に増え、更にインボイスが増えることで今年はもっと倒産が増えるのではないか、深刻な事態です。

 中小企業や個人事業主が苦しいとき、本来、あらゆる政策を動員して企業を救うことが政府の責任です。にもかかわらず、多くの中小企業が、救われるどころか、最後の頑張りの気持ちも、消費税が原因で潰れてしまい、倒産してしまう。

 大臣、この日本経済の悲劇を見て、まず中小企業の皆様へ謝罪の言葉はありませんか。

鈴木国務大臣 謝罪とか、そういうような話ではないんだと思います。中小企業の方々が、物価高騰でありますとか、あるいは人手不足でありますとか、まだまだコロナの影響から立ち直っていないということ、これは十分承知しておりますが、そういうものをしっかりとサポートをして、政策的にもサポートしていきたいと思います。

小川委員長 櫛渕君、時間が経過していますので。

櫛渕委員 間違った政策によって、こうした失業そして倒産が増えているということの指摘です。

 国の税収は三年連続して過去最高、その稼ぎ頭が消費税なわけですから、それを国民に返してください。消費税減税、六割の国民が求めています。

 れいわ新選組は、日本を守るとは、あなたを守ることから始まると掲げ、まずは経済、暮らしの底上げと経済再生、しっかりこれからも政府に求めてまいります。

 ありがとうございます。

小川委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

 外務大臣は御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

小川委員長 これより令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)外五件について、一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党・無所属の井坂信彦です。

 私は、会派を代表して、令和四年度の一般会計コロナ、物価高予備費、一般会計予備費、特別会計予備費計五件に反対、特別会計経費増額総調書等一件に賛成の立場から討論いたします。

 まず、コロナ、物価高予備費については、合計で九兆八千六百億円が計上されておりますが、国会の事前議決の例外である予備費の規模として極めて異常で、許容できません。

 結局、その不用額は二兆七千七百八十五億円に上り、これに、一般予備費と使用実績のないまま終わったウクライナ予備費の不用額を加えると、約四兆二千億円という常軌を逸した規模になります。防衛財源となる決算剰余金を確保するために、意図的に過大な予備費を計上し不用額を増大させたのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。

 更に問題なのは、年度内に支出すると言いながら、その全額あるいは大半を翌年度に繰り越している事例が多数あることです。

 例えば内閣府の地方創生臨時交付金一兆二千億円は、年度末の三月二十八日に使用決定されて、年度内には一円も支出されず、全額が翌年度に繰り越されています。これらの事例に関して、本当に年度内に全額支出を終える想定であったとは考えられず、全く認められません。

 個別の支出の政策的な内容については、高騰する小麦価格の抑制など、立憲民主党の主張が実現したものもあります。

 しかしながら、国会開会中は原則として予備費を使用しないとする閣議決定に反して支出をしている事例が予備費五件いずれにも見受けられたことは、財政民主主義の観点から、断じて看過できません。

 以上申し上げたとおり、予備費五件については、全体として立法府の軽視が甚だしいことから、到底承諾できるものではありません。与野党を超えて、立法府として政府の横暴と怠慢にノーを突きつけるべきであります。

 なお、特別会計経費増額総調書等一件については、好調な法人業績を反映して特別法人事業税収が上振れたことを受け、いわゆる弾力条項に基づき地方自治体への譲与金を増額するものであることから、承諾に賛成といたします。

 令和四年度は、予備費濫用の一年であったと断ぜざるを得ません。コロナと物価高への対応が必要だったとはいえ、予備費はあくまでも例外的な措置であり、本来的には補正予算を編成して国会で審議するのが筋であります。

 この数年で大きく破壊された財政民主主義を立て直すため、一刻も早く予備費の正常化を図るべきであると強く申し上げ、私の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小川委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太です。

 教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、令和四年度予備費関係六件について、反対の立場で討論をいたします。

 予備費は予算計上や使用の妥当性を事後に適切に検証する必要がありますが、当該年度の予備費はその規模も巨大で、その使用は透明性が低く、国民の監視の目が行き届いていないものと思料します。

 政府は令和二年度予算以降、憲政史上例のない多額の予備費を計上し続けてきましたが、当年度の予備費は更に拡大し、合計で十一兆七千六百億円、一般会計のうち予備費の占める割合でも八・四五%で過去最大となりました。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから丸二年が経過する中で、当初予算、補正予算で計上すべきものが、通常とは言い難い規模の予備費として計上されており、後世のためにも適切に検証がなされなければなりません。

 しかし、その検証も、時宜を得て行われているとは言えません。平成十四年度以降に計上された予備費の使用は、全て国会提出から承認まで一年以上の期間を要しています。当該年度に関しても同様です。結果として、予備費の運用の改善が適時になされないという、負のスパイラル、構造的な問題に陥っています。

 結果として、莫大な予備費が慣例化する萌芽が見られます。今年度当初予算での合計二兆円の予備費は、コロナ禍を除けば過去最大であり、GDPギャップもゼロ近くで、経済危機とも言い難い昨今では、常軌を逸脱した規模と言わざるを得ません。

 莫大な予備費は財政規律の緩みをもたらします。会計検査院が明らかにしているとおり、令和三年度には年度末に多額の予備費の使用決定を行い、そのほとんどを後年度に繰り越した例があります。外形的には、予備費を翌年度に使用するための手段と思わざるを得ません。これは、会計年度独立の原則に反するおそれがあり、今後決してあってはならないことです。令和四年度に関しても徹底した調査が必要です。

 以上申し上げたとおり、当該年度の予備費は、その規模が巨大で、かつ、その使用は透明性が低く、国民への説明責任を果たせていないと考えています。民間企業では四半期決算が当たり前のDX、AI時代に、予備費について前々年度の審議をすることは、大いに工夫の余地があると思われます。財務省も会計検査院も、今後、財政健全化の観点からも、予備費の透明性を高める取組により一層力を入れるべきことを申し述べ、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小川委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 会派を代表して、令和四年度の特別会計予備費(その1)及び特別会計経費増額総調書に賛成、一般会計コロナ、原油、物価高予備費(その1)、(その2)、一般会計予備費(その1)、(その2)に反対、以上の立場から討論いたします。

 特別会計予備費(その1)については、輸入食糧麦等の価格安定に関する支出であることから賛成いたしますが、本来なら国内において食料の安定供給を図るべきと申し上げておきます。

 特別会計経費増額総調書については、地方への譲与金の増額であることから、賛成いたします。

 一般会計コロナ、原油、物価高予備費については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が、(その1)、(その2)合わせて二兆四千億円を使用したと報告されていますが、地方自治体への交付額は分かるものの、実際にどのように使用されたかが、これでは全く分かりません。そのため、両者とも反対いたします。

 一般会計予備費(その1)については、安倍元総理の国葬儀の費用が含まれているため、反対いたします。

 一般会計予備費(その2)については、ウクライナへの防衛装備品の支出が含まれているため、反対です。

 さて、令和四年度には、今回議題となった六項目以外に、一般会計ウクライナ情勢経済緊急対応予備費一兆円があるにもかかわらず、使用しなかったという理由で審議されませんでした。この一兆円は全額が不用額となり、結果として半額の五千億円が軍拡予算に化けたことを考えると、本来ならこのウクライナ予備費も審議の対象とすべきです。

 以上が、政府の提出した令和四年度予備費に対する態度の表明ですが、国会の審議の在り方についても一言申し添えます。

 私は、昨年、本委員会の予備費審査の討論で、巨額の予備費なのに審議時間が僅か二時間であり不十分なこと、さらに、政府の提出から一年たっての審議は遅過ぎるということを指摘しました。

 また、小川委員長も、過去に類を見ない規模の予備費が予算計上される中、財政民主主義の観点から、その使途を始め行財政の在り方を検証することは本委員会の使命であると、就任の挨拶をされました。

 しかし、今年の審議時間も二時間のまま。議題となった六つの項目の金額を足すと約十二兆円。単純計算ではありますが、一分間で一千億円の審議が妥当であるとは到底言えません。また、そもそも本議題は、提出された昨年の通常国会で審議すべきではないでしょうか。予備費の使用が例外だった時代の前例を漫然と踏襲するのは、本委員会の使命を果たすことになりません。委員長、各理事の先生方、そして委員の皆様には、このように申し上げておきます。

 以上、予備費の内容はもとより、審議の在り方についても指摘いたしまして、討論といたします。(拍手)

小川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小川委員長 これより採決に入ります。

 まず、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)の各件について採決いたします。

 各件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小川委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小川委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小川委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小川委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件審査のため、四個の分科会を設置することとし、分科会の区分については

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、デジタル庁、復興庁所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計

 第二分科会は、総務省、財務省、文部科学省、防衛省所管

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省所管

 第四分科会は、法務省、外務省、国土交通省所管

以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、日本銀行及び独立行政法人等の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 分科会審査は、来る五月十三日月曜日に行います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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