衆議院

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第2号 令和7年5月19日(月曜日)

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令和七年五月十九日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 義弘君

   理事 田中 良生君 理事 中西 健治君

   理事 星野 剛士君 理事 池田 真紀君

   理事 白石 洋一君 理事 中谷 一馬君

   理事 阿部  司君 理事 臼木 秀剛君

      石橋林太郎君    井出 庸生君

      大野敬太郎君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    小池 正昭君

      小森 卓郎君    新谷 正義君

      高市 早苗君    津島  淳君

      土田  慎君    中谷 真一君

      丹羽 秀樹君    野田 聖子君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      古川 禎久君    松野 博一君

      青柳陽一郎君    井坂 信彦君

      大河原まさこ君    後藤 祐一君

      宗野  創君    堤 かなめ君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      柚木 道義君    青柳 仁士君

      中司  宏君    岡本 三成君

      中川 宏昌君    志位 和夫君

      鈴木  敦君    河村たかし君

      松原  仁君

    …………………………………

   財務大臣         加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   会計検査院長       原田 祐平君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       栗島 正彦君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       富澤 秀充君

   政府参考人

   (内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)       寺岡 光博君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         山口潤一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合  現君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     小森 卓郎君

  工藤 彰三君     丹羽 秀樹君

  棚橋 泰文君     土田  慎君

  田畑 裕明君     石橋林太郎君

  長坂 康正君     深澤 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     小池 正昭君

  小森 卓郎君     加藤 鮎子君

  土田  慎君     棚橋 泰文君

  丹羽 秀樹君     井出 庸生君

  深澤 陽一君     長坂 康正君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     工藤 彰三君

  小池 正昭君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     田畑 裕明君

同日

 理事工藤彰三君同日委員辞任につき、その補欠として星野剛士君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百十六回国会、内閣提出)

 令和五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百十六回国会、内閣提出)

 令和五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百十六回国会、内閣提出)

 令和五年度特別会計予算総則第二十一条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第二百十六回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、星野剛士君を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和五年度特別会計予算総則第二十一条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長寺岡光博君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 令和五年度予算の予備費等について質問させていただくわけですが、この週末、各種世論調査、皆さん御覧になっていると思います。私の地元の新聞は共同通信さんの記事が一面に出ておりまして、消費税の減税、廃止七三%、米高騰対応、不十分八七%、内閣支持率、過去最低の二七・四%。

 そうした中で、ちょっと追加で通告もさせていただいていますが、昨日、江藤農水大臣が、自民党佐賀県連の政治資金パーティーにおかれまして、自分は米は買ったことはない、支援者の方々からたくさん下さる、私の家というのは食品庫のことみたいですが、米は売るほどあると。

 多くの国民が、私の地元も、この週末、ずっと聞いて回りましたよ、何とかしてくれと、物価高、食料品、米。そんな中で、多くの物価高に苦しむ国民の皆さんの感覚とは余りにかけ離れているこの江藤農水大臣の発言を、林官房長官、政府として認めるんですか。謝罪、撤回させるべきじゃないでしょうか。

林国務大臣 江藤大臣は、先週金曜日に発表いたしました米の流通安定化に向けた対策パッケージに関連いたしまして、備蓄米の流通の迅速化のためには、卸売業者の精米工場を経由せずに玄米で消費者が購入し、コイン精米機や家庭で精米することもあり得る、こういう旨を説明する中で、今御指摘のあった発言をされたと聞いておりますが、実際には複数原料米も購入されておりまして、また、お騒がせをしたことは大変遺憾である、こういうふうに述べられているものと承知をしております。

 その上で、江藤大臣は、農林水産大臣として、日々の米の小売価格の動向につきまして、自らスーパーに赴き価格を確認するなど、注意深く把握しているものと承知をしております。

 米の小売価格が高止まりする中で、スーパー等において備蓄米が広く店頭に並び、多くの消費者の皆様が備蓄米放出の効果を実感できますように、このパッケージに基づき、農林水産大臣には緊張感を持ってしっかりと対応していただきたい、そういうふうに考えております。

柚木委員 これはもちろん、農水大臣としていろいろなことを説明されようとした中での発言だというのは、今の御答弁の文脈は理解しますけれども、本当に、皆さん、今、何とかしてほしい、物価高、食料品、ガソリン等。今日、通告もしております。

 ですから、是非、今、江藤大臣には緊張感を持ってしっかりと対応を求めるということをおっしゃっていただきましたので、これは官房長官の答弁ですから、政府としてそういう認識で、江藤大臣御自身からそういった発言について国民の皆様に、まさに、感覚とかけ離れた発言だったとすれば申し訳ない、そういうような釈明というか、そういったことをしていただけるように、それを政府として共有いただけますか。

林国務大臣 今お答えさせていただきましたように、先ほど御説明したような経緯でございますので、農林水産大臣には緊張感を持ってしっかりと対応していただきたいということでございます。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 通告の三の方から入らせてほしいということを申し上げております。まさにこの流れなんです。

 令和五年度決算、予備費の中でも、では、財務大臣に先に、ちょっと時間が今日はないので、三の一と、二番のポツ二の予備費の繰越し、繰越しというか不用額の問題、これはリンクするので、まとめてお伺いさせてください。

 資料にもおつけしておりますが、例えば資料十一を見ていただくと、過去の特別会計の予備費なんですけれども、これはもちろん、本予算も予備費も、あるいは基金とか補正予算とか全て、十一ページを見ていただく前に八ページ、九ページ目を見ていただきますと、例えば、これまでの百一基金、七兆八千億円の積み過ぎ。あるいは、次のページを見ていただきますと、我々としては、まさにガソリン減税、消費減税、今日も議論をさせていただきますが、七年度本予算の際にも三・八兆円の組替えというものも提案をしている中で、そして、今回の食料品のゼロ税率からの給付つき税額控除へとつながっていくスキーム。

 これについても、野田代表の方から、金曜日に会見もさせていただき、具体的な、まさに今申し上げているような財源も示していく中で、十一ページ目を見ていただきますと、これはずっと、過去十年以上、この表だけで見ても、大体七千億から八千億円が、特会の予備費が不用、つまり余らせている。直近の令和六年、七年を先日も確認しましたら、どちらも約六千五百億円ぐらい。更に言うと、令和六年については全く使っていない。

 こういう状況である中で、もう一つまとめて伺いたいのは、三の一なんですね。今回のまさに令和五年度原油価格・物価高騰対策の中での、二兆円の予算のうち約八千七百億円、これが不用で未執行ということなんですね。

 このように、まさに特会の予備費、あるいはガソリン高騰対策の不用額八千七百億、こういったものは、本当に必要とされている、急いでいる、まさにこの後議論する食料品減税とか、あともう一つは、我々は、リッター二十五円の値下げ。

 全ての自動車ユーザーにダイレクトに、都道府県ばらばらじゃなくて、ある県ではリッター二百円を超えているとか、うちは大体百七十円ぐらいですけれども、そういうばらばらじゃなくて、間に中抜きされるんじゃなくて、天下り先があるわけですから。そうじゃなくて、リッター二十五円ダイレクトに値下げをしてこういう不用額を活用していただくべきだ、そのように考えますが、財務大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、特別会計の予備費について御質問がありました。

 事業を行うに当たって、予見し難い予算の不足に充てるために、各特別会計の設置目的や事業規模、過去における予備費使用額の状況などを総合的に勘案し、それぞれ適切に所要額を計上し、また、毎年度毎年度、必要額の見直しをさせていただいているところでございます。

 予備費の不用額が大きいという御指摘でありますが、例えば、令和七年度予算における各特別会計の予備費の中で最も金額が多いのは外国為替資金特別会計の三千億ですが、これは、年度途中の政府短期証券の急な金利上昇に伴う利払い費高騰等への備えとしての必要額を計上しておりますし、また、これまで、例えば食料安定供給特別会計食糧管理勘定においては、令和四年度に生じた穀物価格高騰を受けて、食料買入れ費に充てるために約十五年ぶりの六百八十八億円の使用決定を行った等々、近年使用実績が見られなくても予備費の使用が必要となる場合もあり、年度途中に生じる予見し難い事由に対応するための備えとして予備費を措置する必要があるということで計上させていただいているところでございます。

 なお、年々の計上額については、先ほど申し上げましたように、これまでの実績等々あるいは今後の動向を見極めて、必要な見直しをさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、ガソリンの暫定税率については、これまでもるる御説明しておりますが、インフラ整備や維持管理等の負担の在り方、あるいは安定財源をどう確保するのかなどの諸課題を解決する必要があり、また、地方との関係でも、地方団体から、唐突な廃止による混乱への懸念が示されており、丁寧な議論をしてほしいといった要請がなされております。

 引き続き政党間で真摯に協議が続けられるものと承知しておりますので、それに対してしっかり対応していきたいと考えております。

 なお、御指摘の、当面の措置として、五月の二十二日から十円の支援をするというスキームを新たに導入することとさせていただいております。

柚木委員 新たな支援スキームも、私が申し上げましたように、やはりユーザーにダイレクトにリッター二十五円値下げというような効果は見込めないわけですから。

 そこは、十二ページ目にも、まさにこのガソリン価格等の激変緩和対策事業の会計検査院の検査所見、これは過去、ほかのものについても、基金とか予備費とか本予算も同様なんですけれども、やはり予算の不用額が出た場合の積算根拠なり使途、これも目標として適切とは言えないとか、こういう指摘がなされているわけですから、是非、そういった点を踏まえた対応をお願いしたいと思います。

 官房長官、物価高対策については、今後、こういった検査院の所見もある中で、我々はまさに物価高対策として、消費税、食料品のゼロ税率、あるいは、時間がかかるまでの間は、特に所得が苦しい方々に対しての給付、その後の、食料品ゼロ税率以降の、いわゆる消費税キャッシュバック制度、あるいは戻し減税ともいう給付つき税額控除へ移行していくということを想定もして、まさに一般会計の予備費、特会の予備費、あるいは基金の活用、税収の上振れ分、さらには租特の見直し等によって、財源調達も示した上で提案しているわけですね。

 与野党から様々な今議論があるわけですね、ガソリン減税、消費減税、食料品ゼロ。我々は財源も示しています。そして、与党の中でも同じような、まさに消費減税。もっと言うと、公明党さんも、昨日ですか、代表が食料品五%への減税を恒久的にやる、世界標準の五・五%に近づけるんだ、そういうことをおっしゃられている中で、赤字国債でない財源も我々は示しつつ、消費減税、食料品ゼロ。

 こういったことを、政府としても、森山幹事長は何か政治生命を懸けて減税を阻止するというようなことをおっしゃっているようですが、今後、物価高対策、秋の補正という話も聞こえてきます。参議院選挙前のこの瞬間でなくても、将来的な減税も含めて、政府として、消費減税、食料品ゼロを検討する考えはあるんでしょうか。

林国務大臣 御指名でございますので。

 内閣府は経済対策、税制は財務省で、財務大臣もおられますけれども、お尋ねでございますので、御答弁させていただきます。

 政府としては、令和六年度補正予算に加えまして、令和七年度予算もこの四月から執行させていただいて、始まったばかりでございますので、新たな経済対策を考えているわけではございませんけれども、与党とも適切に連携しながら、米国の関税措置を受けた緊急対応パッケージなどの施策を着実に実施することで、必要な支援に万全を期してまいりたいと思っております。

 消費税の減税については、仮定の御質問にお答えすることは差し控えさせていただきますが、我が国の消費税、これはもう御案内のとおり、急速な高齢化等に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源、こういうふうに位置づけられておりまして、政府として、食料品に対する税率を含めて、その税率を引き下げることは適当ではない、そういうふうに考えております。

柚木委員 今後、まだ、参議院選挙に向けて、政府内でも与党内でも、もちろん我々、あさっては党首討論もあるわけで、与野党の英知を結集して、本当に困っている方々に対して行き渡るということが重要だと石破総理も述べられていますが、まさに食料品のゼロ税率なんかは、消費税全体を減税するよりも、よりフラットな形で、困っている方々に対して、まさに生活に苦しんでいる方々への効果も高いわけですから、そういった議論を是非今後深めていただきたいと思います。

 そんな中で、資料の十三ページ目、十四ページ目にもつけておりますけれども、就職氷河期世代、私もそうなんです、本当に就職活動は大変でした。私は学生時代、学費、生活費もアルバイトでやっていましたので、本当に今の皆さんの状況も、人ごとではなくて、私も感じます。

 今の同年代の就職氷河期世代の皆さんに対しての年金の底上げ、先ほど紹介をいたしました共同通信の調査では、年金の底上げ、我々はまさにあした、井坂委員が隣にいらっしゃって、本会議でやりますけれども、あんこのないあんパン、これを食べたい人はいますか。あんこを入れるべきだ、これは共同の調査だと四一%。ところが、あんこを入れなくてよいという人も四六パーもいるんです。なぜこういうことになるのか。

 次の資料につけておりますように、これは厚労省の資料ですよ。マーカーをしているところを見ていただくと、モデル世帯で御夫婦とか所得の高い方、低い方を含めて、厚労省に確認をしたら、我々就職氷河期世代はもとより、それよりも若い方が実は結構反対しているんですけれども、厚生年金を流用されて、自分たちの分を何か人に回すんじゃないかと。そうじゃないんですよね。

 自分のあんパンのあんこを他人のあんパンのあんこに入れるんじゃないんです。自分自身のあんパンのあんこにも回ってくるんです、基礎年金部分に。増えるわけです、九九・九%と厚労省は言っていましたよ。皆さん、あんこが増えるんです。

 そういう理解が進んでいないから、まさに今賛否がこういうふうに拮抗しているんだと思うんですが、私、午前中の石破総理の答弁も聞いていました、年金の部分。あんパンにあんこを入れる気はあるんですか。国民に理解を求める気があるんですか。

 これは政府として、今後、あした以降審議が始まり、私も質問させていただきますけれども、少なくとも、氷河期世代対策の一番の、骨太方針に入れる肝、あんこを入れる、年金の底上げをするというところを入れていただけるように。

 政府として、官房長官、御答弁をお願いします。

林国務大臣 これも厚労大臣が隣にいらっしゃるんですが、あえて御指名でございます。

 年金を含む高齢期の所得保障、これは就職氷河期世代の方々を含め、その世代、先生もそこに属されておられるということですが、その方々のみならず、全ての世代にとって重要な課題である、そういうふうに考えております。

 今御説明がありましたように、就職氷河期世代の方々は、新卒時に正規雇用に就きにくかったということなどによって今もなお様々な困難を抱える方々がおられるということで、先月、関係閣僚会議を立ち上げまして、就労、処遇改善に向けた支援、それから社会参加に向けた段階的支援、そして高齢期を見据えた支援、この三本柱に沿って、関連施策の充実強化に向けた検討を行いまして、この六月を目途に施策の方向性を取りまとめることにしております。

 現時点で、支援策の具体的な内容について予断を持ってお答えするということは困難であるということは御理解いただきたいと思います。

柚木委員 現時点では、就職氷河期世代支援の肝中の肝であるまさに年金の底上げ、あんこを入れるかどうかは分からない。もし入れなければ、骨太方針じゃなくて骨抜き方針になりますよ、本当に。

 今日、石破総理が午前中、あんこを入れるかどうかは、今後のまさに国会の議論を政府としてもしっかりと傾聴したいという答弁をされましたよ。傾聴するということは、当然、あんこを入れる。これは与党側の厚労大臣経験者の方も、あんこを入れるスペースは空けていますからとおっしゃっていましたよ。

 今、協議が始まっているわけですよ。是非、国会の議論を踏まえて、あんこを入れていただくというスタンスで政府としても臨んでいただけるということで、官房長官、よろしいですね。

林国務大臣 先週金曜日に年金改正法案を国会に提出させていただいておりまして、年金の底上げも含めて、様々な御指摘をいただいているということは承知をしております。

 政府といたしましては、この御審議に当たりまして、法案の意義や内容について丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。御指摘の年金底上げを含めて、国会における御議論を賜りたいと考えております。

柚木委員 是非お願いします。

 マイナンバーのことについて、資料の冒頭からずっとつけています。

 これは会計検査院も、政府として、要は、コストに見合った効果が認められないということを指摘しております。るるつけています。

 そんな中で、私も指摘したように、六月、七月にかけて、これからマイナンバーカード自体の期限切れ、そしてマイナンバーの保険証の電子証明書部分の期限切れが、毎年二千万、二千万、二千万、三年連続で続きます。そうすると、日本人の二人に一人はマイナ保険証切れ、つまり全額自己負担というのが、今、保団連の調査でも、前回調査に比べて倍増で、三割以上。医療機関でそういう声が出てきています。

 こういったことを回避するために、私も提案して、国保の後期高齢者には資格確認書の全送付が決まりました。私は前期も全送付すべきだとやっていたら、何と東京の世田谷区、渋谷区は、国保の被保険者全員に、資格確認書の全送付を決めたんですよ。それによって、自治体の混乱、コストが随分軽減されます。住民の混乱も減ります。どっちにしたって資格情報のお知らせは全員送るんですから、コストも変わりません。手間が減るだけです。

 是非、そういったことも踏まえまして、まとめて聞きますけれども、渋谷、世田谷方式のようなことを全国の自治体が追随する可能性がありますから……

鈴木委員長 柚木委員、申合せの時間が経過しておりますので、手短にお願いします。

柚木委員 もう終わります、分かりました。

 それを認めていただきたいと思いますので、そして、それをやらないんだったら、今の健康保険証、十二月廃止じゃなくて、例えば今後三年間併用を延長する。

 是非、その答弁をお願いいたします。

鈴木委員長 簡潔に答弁願います。

福岡国務大臣 まず、資格確認書は、制度上、被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときに交付することとしています。

 その上で、今委員御指摘あったように、特に七十五歳以上の後期高齢者については、新たな機器の取扱いに不慣れであること等の理由で、マイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いと考えられることから、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書を職権交付するという暫定運用を行っています。

 今、渋谷区、世田谷区とおっしゃいました。国民健康保険の被保険者は様々な年代、属性の方が含まれておりまして、同様の状況にないというふうに考えておりますが、個別の自治体の状況をしっかり把握しながら、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

柚木委員 以上で終わります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲の白石洋一です。

 ある地域で、企業の存在感が非常に大きいところで、事業再構築、解雇も含むいわゆるリストラをしたら、これは大変な人数の方がハローワークに駆け込むということになると思うんですね。実際、私の選挙区であります四国中央市であるとか、あと西条市でもあります。この四国中央市の件については、非常に大きな事案で報道もされましたので、今年二月二十一日に厚労省にもお願いしたところであります。

 こういう企業城下町での大規模な解雇を含むリストラがある場合は、そこのハローワークだけで対応するんじゃなくて、近隣のハローワークやあるいはそこの労働局、私のところでいえば愛媛労働局、そこから応援が来て総がかりで対応していただきたい、このように思うんですけれども、いかがでしょうか。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 白石委員の御指摘のような、事業縮小等により一度に多くの方が離職を余儀なくされた場合は、再就職支援窓口を設置するとともに、雇用保険の基本手当受給に係る集団受付会の開催など、きめ細かな対応を行うこととしております。

 また、管轄のハローワークに対しまして、労働局及び近隣のハローワークから職員を派遣しまして支援体制を強化するなど、求職者の再就職に向けた支援に万全を期しているところでございます。

 さらに、ハローワークを利用する求職者の職業相談及び職業紹介は、住居所管轄以外のハローワークでも利用が可能となっておりまして、ホームページや雇用保険窓口で日頃から周知をしておりますが、今後もしっかりと対応してまいります。

白石委員 是非お願いします。

 報道される場合は対応がしやすい。しかし、報道されないような大がかりなリストラもあります。でも、ハローワークには情報が来ていると思うので、そういう場合は、私がこうやってこういう国会の場でお願いしなくても、自動的にそういう対応をしていただく。

 そして、本当にストレスが高いときに、ハローワークに行ってストレスがより高じるということがないように、先ほどおっしゃったように、自分の在住地のハローワークじゃなくても、自分が就職したいところでハローワーク、求人の登録ができるということを丁寧に伝えていただくということをしていただきたい。

 そして、こういうリストラが起きて、自分の年齢から、面接もしてくれないという声が聞かれます。しかし、年齢によって面接もしない、最初から足切りをするというのは、これは原則違法です。それを徹底していただく。年齢不問であるということがまず原則であって、年齢不問じゃないというのは相当何かあるんじゃないかなと、そこはチェックしていただきたい。本来の例外というのは本当に限られたところだけれども、しかし、雇用主、事業主によってはそれを拡大解釈しているんじゃないかというふうにも思われますし、一方、年齢不問としながらも、実際は足切りで、会いもしないということも多いと思います。

 でも、ここのところをちゃんとスムーズにして、面接さえすれば、お元気な年配の方もたくさんおられますので、今の全国で起こっている人手不足、これの解消にも役立つと思うんです。

 その辺、御所見をお願いします。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 労働者の募集及び採用に当たりましては、労働施策総合推進法に基づきまして、例外的な場合を除き、委員がおっしゃったとおり、原則として年齢制限を禁止しております。このため、ハローワークでは、求人受理に当たりまして年齢制限の有無を確認するとともに、年齢制限がなされている場合には、具体的理由を確認の上、行っております。

 また、求職者からの申出等によりまして、求人の内容が実際と違っていたという場合には、必要に応じまして、ハローワークから企業に事実確認を行い、是正指導を行うとともに、また、是正されない場合には職業紹介を保留するなどの措置を講じております。

 引き続き、求職者の応募機会が確保されるよう、求人者への周知や指導に努めてまいります。

白石委員 よろしくお願いします。

 鰐淵厚労副大臣に対する質問は以上でございますので、御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 そして、令和五年度予備費について質問します。

 令和五年度予備費を使った定額減税に対するいわゆる隙間給付、はざま給付とも言われている部分、ここの給付も原油価格・物価高騰対策予備費を使っているんですけれども、これは、この予備費を使わなくても、昨年、令和六年の国会召集冒頭に補正予算として議決、そして使用可能になったものではないでしょうか。加藤大臣、お願いします。

加藤国務大臣 御指摘の予備費措置は、令和五年十二月、物価高により厳しい状況にある方々を支援するための所得税、個人住民税の定額減税の制度設計が令和六年度税制改正の中で決定し、これと併せて、定額減税の恩恵を受けられない方々にも必要な支援を行う観点から、低所得者支援、定額減税を補足する給付について成案が得られたことを受けて、住民税均等割のみ課税されている世帯等に対する十万円の給付など一連の措置を実施するために予備費の使用を決定したものであります。

 この給付事業について、地方自治体が円滑かつ迅速に執行していくために、支給事務や必要な体制整備に係る具体的な見通しを持って一体的に検討、調整を行い、また、効率的に準備、執行を進めていただくことが極めて重要であり、年をまたがずに、令和五年の十二月中から円滑な執行に向け、一体的な準備を迅速に実施することができるようにとの観点から、補正予算の編成では対応せず、十二月中の予備費の使用を行ったものでございます。

白石委員 十二月に決定した。でも、その十二月には、臨時国会が十二月十三日まで開かれていて、そこでの補正予算も可能だったんじゃないかというふうにも思うわけですね。あるいは、通常国会というのは翌月、一月二十六日、そこで、冒頭申し上げたように、補正予算にして可決を求める、審議を求めるということが本来的な姿であって、そして、地方自治体での準備をしてもらうというのは、内々、まだ決定していないけれどもということで示せばよかったんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに一日も早くそういう方々にも給付が行くようにという要請が一方であり、また、地方公共団体も、内々というお話もありますけれども、やはりきちんとした体制で、どうした予算が今後ついてくるのか、そうしたところを見極める方がより一層準備に取りかかりやすいということはあるというふうに思います。

 そういったところも含めて、十二月中の予備費の使用を行ったところでございます。

白石委員 一刻も早くというのであれば、だったら、その前の年の補正予算にすればよかった。それがちょっと遅れたら、一刻も早くしないといけないから予備費だというような言い方、それをもっと前にできませんかと言ったら、準備ができないというふうにする、それは余りにも御都合主義の理由づけじゃないかなというふうに思うわけです。

 やはり国会での審議を回避しようとするんじゃなくて、基本は補正予算なりで、こういう審議の場で認めてもらうということを基本にする、これが憲法八十三条、財政民主主義なんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 予備費の使用について、あるいは補正予算でやるのか、どう選択するかという御議論なんだろうというふうに思います。

 それは、それぞれの事情の中で、より適切な、もちろん国会での議論ということもあると思います、それから、例えば今の話でいえば、執行を早くしなければいけない等、場合によっては予備費そのものがあるのかないのかという場合もあろうかと思います、そうした様々な事情を勘案して、より適切な方法を判断するということが大事だろうというふうに思います。

白石委員 大臣、より早くやるということであれば、先ほど再三申し上げているように、その前の年の補正予算でやればよかった。やはり予備費は総額五・五兆円の予算で、それが膨れ上がっているから、それを国会審議なしに使ってしまおうという誘惑が働いたというふうに言われても仕方がないと思います。

 次に、一般会計予備費、通常のものであってもこれは言えるわけであって、令和六年一月一日に発災した能登半島地震に係る予備費の支出。

 一回目の一月二十六日決定、これはそうだと思います。しかし、三月一日のものについては、これは国会開会中で、まさに予算審議をしているところ。そして、国会開会中では原則補正予算で対応する、予備費ではなくて補正予算で対応するという二〇〇七年の閣議決定もあるわけです。ですから、これについても、その当時、ファストトラックで、優先的に補正予算をつくって、それを通せばよかったというふうに思います。

 次に申し上げたいのは、特別会計の予備費。

 これは先ほど柚木委員も言っておりましたけれども、積んでいる金額からして、使用実績が余りにも少ない。それをただで積むことができるのかというとそうではなくて、積むだけであっても、その由来の財源を確保しないといけない。例えば、税金であったり、あるいは保険料であったり、一般会計から繰入れをしているのかもしれない。

 もしこれだけ使わないで不用額にするのであれば、その分、税率なり保険料率なりを引き下げる、あるいは一般会計に返すべきだというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたが、各特別会計の予備費は、事業を行うに当たって、予見し難い予算の不足に充てるためにそれぞれ所要額を計上しているわけでございますので、もし、例えば計上しないという中で何か起こった場合はどうするのかという問題が当然あろうかと思います。

 他方で、計上しているお金についても、全く運用しないで持っているわけではございませんので、これはちょっとそれぞれの特別会計、いろいろあろうかと思いますが、それぞれの中でより効率的な運用も図られているものと承知をしておりますし、仮に残が出てくれば、それは翌年度の予算の中で必要な対応が図られているというふうに認識をしております。

白石委員 積んでいるだけではない、運用もしているということなんですけれども、それだったら返してほしい。税金で取っている、由来はいろいろあるでしょうけれども、それぞれを、料率を引き下げるとか、あるいは一般会計に返すとか、そういうふうにすべきじゃないでしょうかと申し上げたいというふうに思います。

 そして、次は、会計検査院の概要説明について、会計検査院長に質問します。

 検査報告の概要説明なんですけれども、これだけ精緻に検査をされた説明にしては非常にそっけないものであって、もったいないなと思うんです。概要説明は、もっと我々国会議員であるとか、あるいは省庁について、そして一般の人、国民に対しても、こういうふうな課題意識があって、そしてこういう改善をしませんか、そういう説明があってしかるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

原田会計検査院長 お答えいたします。

 委員の御指摘は、先日御説明申し上げた令和五年度決算検査報告等の概要説明につきまして、委員会での審議により資するよう、分かりやすい説明をするべきではないかといった御趣旨であると理解しております。

 令和五年度決算検査報告の概要説明等につきましては、検査報告が大部にわたり、御説明する時間も限られていることを踏まえて、内閣から送付を受けた国の収入支出の決算の確認の結果と検査報告に掲記した検査の結果等を端的に説明させていただいたものです。

 いずれにいたしましても、概要説明につきましては、委員会の御審議に資するよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。

白石委員 是非委員会の質疑に資するように、それで何を言いたいのか、何をすればいいのか、そういったところを示唆する。ですから、会計検査院ののりのぎりぎりのところまで持ってきた形で説明していただければ、これだけ精緻な検査をされているわけですから、より生かされるんじゃないかなというふうに思います。

 次は、国債利払い費の予算についてです。

 これはお手元の資料にもありますけれども、国債利払い費の推移というのは、予算と決算が大幅に乖離している。大体一兆円ぐらい残して、これを補正予算の財源にしたり、決算不用額に回したりしているわけですね。見込みが余りにも現実離れしているんじゃないか、もっと実績を踏まえた利払い費の予算策定をすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国債の利払い費については、毎年度設定する積算金利を踏まえて算定し、予算計上をしております。

 積算金利は、将来の金利動向を正確に見通すことが困難な中、従来から、国債の利払い財源が万が一にも不足することがないよう、十分な予算計上を行う観点から設定しております。

 令和七年度予算における積算金利である二・〇%について申し上げますと、直近一年間の長期金利の平均が〇・九%であったこと、また、今後の金利上昇に備える趣旨から、過去に一・一%上昇した例があることを勘案して設定したものであります。

 国債の利払い財源に不足を生じさせないという観点からも、適切な見積りをしているところでございます。

白石委員 一・一%上昇が前年の十二月に起こったと仮定して計算しているんですね。それでも一兆円もの差額が出ている。これは、特別会計のうち、外為証券が三千億とありました。それにも関わることで、もっと利率の見込みを現実的なものにする。余りにも、毎年一兆円差額が出る、余らせるということのないようにしていただきたい。もっと絞った予算策定をしていきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私は、慢性腎臓病、CKDについてお伺いしたいと思います。

 今年の二月十九日に、皆さんよく御存じの、外務省の元主任分析官の佐藤優さん、その方の話を聞いたんです。

 佐藤さんは、慢性腎臓病になりまして、透析を受けられ、最終的には奥様から腎臓を移植して、そして今は元気になられているんですが、自分の体験を踏まえて、いろいろと慢性腎臓病に関する問題点を指摘されました。透析になると、皆さん、年間五、六百万円かかるそうですね、医療費が。やはり透析になる前に予防しなきゃいけない、そのためにはまさに早期発見、早期治療、これが必要だと。

 それで、昨年九月に、日本腎臓学会から、血清クレアチニン値検査を一般健康診断の検査項目に追加するよう要望があったと聞いておりますけれども、この血清クレアチニン値検査を一般健康診断への導入を速やかに決定すべきと思いますが、大臣の答弁を求めます。

福岡国務大臣 慢性腎臓病、CKDの発見であったり重症化予防は大変重要であるというふうに認識をしております。そして、労働安全衛生法に基づく一般健康診断において、尿たんぱく検査を必須項目にするなどによりまして、腎機能の評価をしておるところです。

 また、CKDにつきましては、近年、新しい治療薬の登場によりまして重症化予防が可能になっておりますことから、CKDに関する普及啓発であったり医療連携体制の構築などを推進しているところでございまして、日本の透析患者数は、二〇二一年をピークに減少に転じているところでございます。

 一方、労働安全衛生法の一般健康診断に新たに検査項目を追加する場合には、専門家であったり労使関係者による検討会に加えまして、労働政策審議会において検討され、適当となった場合には省令改正等を行うこととなります。

 この一般健康診断は、その結果を踏まえ、労働時間の短縮等の就業上の措置を講ずることを事業者に義務づけていることから、検査によって検出できる疾患が、業務に従事することで発生又は増悪するエビデンスであるのかどうかといった観点等から議論が必要であるというふうに考えています。

 御指摘の血清クレアチニン値検査につきましても、学会等の関係者から知見をいただきながら、検討会において検討していただきたいと考えております。

谷田川委員 是非検討を急いでいただいて、早期に導入していただきたいと思います。それが予防医療の観点からも重要だと私は思っています。

 一つ飛ばしまして、佐藤さんの講演の中で、腎臓移植の診療報酬が十分じゃないという指摘があったんですね。

 それで、政府参考人にお伺いしますが、腎臓移植に関して、死後の臓器提供と生体移植で取り出す場合のそれぞれの診療報酬点数は幾らか、お答えいただきたいと思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 診療報酬におきまして、腎臓移植のための臓器の採取に係る手術料につきましてですが、ドナーの状態ですとか手術方法によって分類されておりまして、まず、脳死や心停止後における腎臓採取については四万三千四百点、また、生体からの腎臓採取を腹腔鏡下で行った場合については五万一千八百五十点、さらに、生体からの腎臓採取を腹腔鏡下以外で行った場合については三万五千七百点となっております。

 このほか、ドナーの入院料等が加わった総額が保険医療機関に対して支払われることになりますし、また、これ以外に、いわゆる提供された臓器の管理料ですとか、移植された場合は移植に必要な報酬、そういったものがかかるということでございます。

谷田川委員 今明快に答弁いただきましたけれども、四万三千四百点、皆さん、一点というのは十円ですから、脳死の場合だと四十三万四千円が支払われる。

 それなりなのかなと思うんですが、ただ、この報酬は、お医者さん本人ではなくて、医療機関に支払われるんですよね。確認のためにお願いします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 診療報酬全て、ほとんど共通だと思いますが、医療機関の方にお金が支払われて、それが、基本的には後でお医者さんの方に給与とかそういった形でやられているものだと思っております。

谷田川委員 医療機関はしっかり診療報酬をもらっているんだけれども、それが担当したお医者さんのところに十分行っていないんじゃないか、恐らくそういう不満があると思うんですね。

 私も、関係者からこれからヒアリングをして、この問題については引き続き調べていきたいと思いますが、厚労省におかれても、その辺は是非調査していただきたいなと思います。

 それで、済みません、あべ文部科学大臣にお伺いしたいと思うんですが、今度、給特法が衆議院を通りまして、今、参議院で審議されていますけれども、教育調整額が、今は四%、これが一〇パーに上がるんですね。これはいいことなんだけれども、ちょっと問題点があるということを指摘したいと思うんです。

 まず、皆さん、お手元に資料一がありますね。各都道府県教育委員会にどれだけの人数がいて、そして教員出身者の割合が何割、何%あるかというのを示した図なんですよ。

 私の地元千葉県は五四・三%。東京都が一番少ないんですね、二五・四%。今日、高市さんの顔が見えましたので、高市さんの地元を見ますと、何と七〇・七%、多いんですよ。静岡県は四九・六%となっていますが、実は、当時の川勝知事が、余りにも教育委員会に学校の先生の出身者が多くてよくない、優秀な学校の先生を現場に戻すべきだと言って減らした経緯があるんですね、教員の割合を。

 そこで、まず、確認の意味で大臣に質問いたしますが、教育現場で働く教員が都道府県教育委員会に派遣されておりますけれども、どのような教員が教育委員会に派遣されていると大臣は認識されていらっしゃいますか。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 都道府県の教育委員会の事務局などにおきましては、一般行政職の職員のほかに、委員がおっしゃるように、指導主事等として教員出身の職員が勤務している実態があるものと私どもも承知をしているところでございまして、いわゆる地方教育行政法におきましては、この指導主事につきまして、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならないとしています。

 こうした規定も踏まえまして、各教育委員会の事務局におきましては、教科に関する専門性、また授業に関する指導力がある教師などが、教員出身の職員として教育委員会に勤務することになる場合が多いものというふうに私どもは承知しているところでございます。

谷田川委員 ちょっと抽象的で分かりにくかったんですが、要は、大臣、私はイエスかノーか、簡単に言いますからね。学校現場で優秀な教員が教育委員会に行っているという認識はありますか。イエスかノーかでお答えください。

あべ国務大臣 御認識のとおりでございます。

谷田川委員 皆さん、資料二を見ていただきたいんですが、先ほど申し上げましたように、教員には教育調整手当があります。ちょっと見にくいんですが、私が、この間、千葉県教育委員会にヒアリングをした結果をまとめたんですけれども、例えば、四角に囲っている真ん中の、経験十年、副主査とありますけれども、教育現場で年収が六百三十七万円、しかし、行政職に行くと五百二十四万円、マイナス百十三万円なんですよ。これはプラスになっていますが、ちょっと語弊がありますので、マイナスにしてください、マイナス百十三万円。百十三万円も給与が減っちゃうんですよ。

 大臣、こういうことは、やはり教員の方々が教育委員会へ行って仕事をする、給料が減るということで、士気の低下を招くと思いませんか。

あべ国務大臣 委員御指摘のとおり、現在、教育職員に支給される教職調整額の引上げを盛り込んだ法律改正案を国会で御審議いただいているところでございますが、教員と行政職員では給与体系、また支給される手当が異なっている中にございまして、行政職員には時間外勤務手当が支給されるなど、教員とは異なる手当も実は支給されておりますので、実際の年収に関しましては、個別の事情に応じて様々であると考えております。

 いずれにいたしましても、文科省といたしましては、各自治体の権限と責任におきまして、教員出身の職員についても、その職務と責任に応じた給与が適切に支払われるべきものと考えているところでございます。

谷田川委員 今から四年前、ちょうど萩生田大臣が文科大臣のときに私がこの問題を取り上げたんですよ。大臣は、やはり都会議員、市会議員も経験されているから、いかに学校現場の先生が教育委員会に来て士気の低下があるかというのを、私の質問に認めてくれたんですよ。

 大臣、やはり地方議員の経験はおありでないから、教育現場のことはよく分からないかもしらぬけれども、文部官僚の皆さんも教育委員会に出向された方はよくこの現実を分かっていますから、改めて、大臣に一つお約束していただきたいんだけれども、教育委員会に出向した経験のある文科省の役人の皆さんに、谷田川元が言ったことは、そういう実態があるかどうか、ヒアリングをしていただけませんか。大臣、いかがですか。

あべ国務大臣 文科省におきましても、令和三年から五年にかけて実施した地方の教育行政に関する有識者会議で、委員御指摘の論点についてもまさに取り上げられましたところでございまして、この報告書におきましては、一般行政職の職員と、また教員籍職員の業務内容、その分担を整理して、適切な連携を図る必要があること、いわゆる指導係の業務につきましても、教員籍職員だけではなく、一般行政職の職員等も部分的に従事することで、専門性を担保しながらバランスの取れた行政運営を実施することが指摘をされたところでございます。

 引き続き、この報告書の周知を通じまして、教育委員会事務局の職員の在り方について、各教育委員会に対して必要な助言等を行ってまいります。

谷田川委員 私の質問に答えてくださいよ。

 教育委員会に出向するというのは、ある意味で、将来の管理職の登竜門なんですよ。だから、優秀な人材が行くとさっき認めていただいた。その優秀な方が、給料が下がれば士気が低下するのは当たり前だと思いませんか、大臣。率直に大臣のお気持ちを述べてください。

あべ国務大臣 やはり地方公務員の給与に関しましては、各自治体の権限と責任において定めていただくものでございまして、各教育委員会に適切に対応されているものと私どもは考えておりますが、文科省といたしましても、この教員出身の職員の果たす役割は本当にまさに重要だというふうに、委員と同じように考えておりまして、各教育委員会におきまして、その職務と責任に応じた給与を適切に支払っていただきたいというふうに私も思っております。

谷田川委員 今、適切に支払っていただきたいと私も思っておりますとすごく前向きな答弁をいただいたんですが、大臣、今度、給特法で、最終的に一〇%になりますよね。そうすると、真ん中の百十三万円年収の下がった方が、更に百四十九万円と開くんですよ。このまま放置するわけにいきませんよね。そう思いませんか、大臣。

あべ国務大臣 委員の御意見はしっかりと拝聴させていただいた上で、文科省といたしましても、やはり教員出身の職員の果たす役割は大変重要でございまして、その職務と責任に応じた給与が適切に支払われるべきだと私どもも考えているところでございますが、繰り返しになりますが、行政職員に関しましては、教員と異なるいわゆる手当も支給されておりまして、実際の年収については、個別の事情におきまして様々であると考えております。

 いずれにしても、地方公務員の給与につきましては、各自治体の権限と責任によって定められるものでございまして、各教育委員会において適切に対応されるべきものだというふうに考えているところでございます。

谷田川委員 なぜ私がこういう問題を指摘するかというと、私も県議会議員を十年やっていたんですよ。なかなか教育改革というのは前に進まないんです。その理由は何かというと、学校現場から教育委員会に来られた方というのは、はっきり言って、行政能力は一般の方とは、落ちる。だけれども、学校現場で生徒を導く指導力はすばらしいものがあるんですよ。だから、そういう人たちを教育委員会に閉じ込めておかないで現場に返す。それが学生ファーストの観点からも私は必要だと思うんですよ。

 できるだけ教育現場の人を教育現場に返す、やはりそれを打ち出すべきだと思うんですよ。ましてや、今、教員不足でしょう。教員不足を解消するためにも、優秀な先生を現場に戻す、そういう方針を、大臣、示していただけませんか。

あべ国務大臣 本当に教師不足も指摘される中でございます。そうした中で、学校現場に必要な教師が配置されることが重要なのは御指摘のとおりでございます。

 一方で、同時に教育委員会におきましても、学校現場をよく知って、その能力、専門性を生かして広く学校に指導できる教員出身の職員の役割もまた重要でございまして、人材が限られる中にございまして、教育委員会に配置される職員には、その専門性を最大限に発揮していただきたいと私どもは考えているところでございまして、こうした役割分担、バランス……(谷田川委員「分かりました。もういいです。時間がないので、繰り返しは結構です」と呼ぶ)分かりました。

 一般行政職の職員と教員職の職員の業務内容の分担を整理して、この連携を適切に図っていきながら、引き続き、私どもは、先ほど申し上げた報告書の周知などを通じまして、教育委員会の事務局に、職員の在り方について各教育委員会に対して必要な助言をしっかり行ってまいります。

谷田川委員 ちょっと正面からお答えいただけないんだけれども、最後に一問だけ質問します。

 学校給食の無償化に関してなんですが、岸田総理は、一年ぐらいかけて学校給食の現状を調べると言ったんだけれども、資料二の下の方を見てください、文科省は六月に文書を発出して、八月の終わりの段階では報告が上がっているわけですよ。

 だから、その時点で、学校給食の実態はこうですと概略でも報告すべきだったと私は思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

あべ国務大臣 委員がおっしゃるとおり、文科省が令和六年六月に公表いたしました学校給食に関する実態調査につきましては、令和五年の八月末を回答期限といたしまして、従来の調査に加えまして、全国の都道府県と市町村、例えば、給食を実施していない自治体、さらには学校における理由、また、給食費の無償化を実施する自治体における無償化の対象がどこにあるのか、対象者はどこなのか、財源、成果の検証などの実施状況の項目を新たに調査をさせていただいたものになっております。

 この調査結果の集計に当たりましては、文科省から都道府県、市町村の教育委員会に対して、回答内容の整合性の確認を実は繰り返しさせていただきまして、正確を期するために、しっかり確認作業を丁寧に行った上でこの結果と分析をまとめましたところでございまして、結果、調査結果の公表までに一定の時間を要したところでございます。

鈴木委員長 谷田川元君、申合せの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。

谷田川委員 調査結果は、できるだけ早くということも必要だと思いますよ。

 改めて、よく検討していただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

鈴木委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 予備費の質問に入る前に、いわゆる令和の米騒動と言われる米の高騰と品薄について、なぜこのような状態に至ったのか、今後の対策は万全なのか。その答えがなければ、国民の不信感は到底拭えないと思います。

 十八週ぶりに米の値段が僅かに下がり始めたというものの、依然として去年の二倍という高止まりの状態が続いているのが現実です。そこで、流通のスピードアップと価格の引下げを図るために、買戻しの期限を延ばすなど、備蓄米放出の条件の緩和等がなされたわけでございます。

 米は、去年の夏頃から上がり始めましたが、備蓄米を放出するまでに半年が経過をし、実に遅きに失しています。三月から三回にわたり三十一万トンが投入され、米は市場にあるはずなのに、流通のどこかで抱え込まれて、価格も上乗せをされ、効果が出てきておりません。公表された規制緩和策も小手先であって、備蓄米独自の入札の在り方や通常ルートとは別の流通の在り方など、根本的な問題の改善は先送りされたままであります。

 特に、入札制度については、備蓄米の放出は緊急に米の市場価格を引き下げる目的があるのですから、高く落札させる通常の競争入札ではなくて、買上げ時の価格などの固定価格で払下げを行うなど、目的に沿った制度に見直すべきであります。さらに、流通段階のどこで目詰まりや値段の高騰が起こっているのか、流通の状況や売渡価格についてきちんと公表して情報発信をすることで、国民の不信感をなくすことが大事だと考えております。

 この間の経過をたどりますと、実に、本当に下げる気があるのかと疑うほどに、打つ手が全て後手に回っています。こうした事態がなぜ起こり、どこに問題があったのか、そして、この間の対応についてどう検証されたのかを伺います。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 大変厳しい御指摘ということで、しっかりと受け止めてまいりたいというふうに思います。

 一月の二十四日に大臣から備蓄米の意向が表明され、そして一月三十一日の日に公表ということになりました。委員が御指摘のとおり、三月十日、三月二十六日、四月二十三日、それぞれ入札を行い、備蓄米、三十一万ということであります。そして、五月の十二日に、いわゆる十八週ぶりに十九円下がったということであります。

 今、様々な指摘が委員からもございましたので、そこの問題点についてはしっかりと検証し、ある意味、流通の可視化と言われるものは、委員の御指摘はまさに私も同感でありまして、このことがやはり消費者の皆さん方の不安をあおる。分からない、どこなんだ、何でなんだろう、こういう気持ちというのは、やはりそれに応えていくだけ検証し、制度を改めるところは改めていくということは大切なことだというふうに思います。

 今日の御指摘につきましては、しっかりと本省に持ち帰り、私自身も、実は担当の方にも、流通の可視化の大事さ、このことが肝要だということで、しかと検証し、制度改正に結びつけてほしいというような話もさせていただきました。

 現在、五月十五日の時点で、十九万九千トンの全量の販売先の契約を完了し、これは全農ですね、卸業者の求めに応じて、八万二千トンの備蓄米を出荷済みということでございます。

 それぞれ、今週の週末に、本省の職員も、幾つか都内も含めてのスーパーを確認ということでありますので、そういった中で、税込みで三千五百円台、そういった商品も、お米も出回ってきているということでありますので、そういったものがきちっと身近に感じられるようになれば、やはり消費者の皆さん方の受け止め方も違ってくるのではないかというふうに思います。

 しかし、振り返ってみて、御指摘のスピード感と言われるものについては、我々は猛省をすべきというふうに感じております。

中司委員 今、自然災害、そしてパンデミック、また有事、何が起こるか分からない、そんな状況ですので、食料安全保障の観点から、今回の教訓を生かして、食料の安全を保っていくということで、しっかりと対策を取っていただきたいと思います。

 また、先ほど大臣の不規則の話もありましたが、緊張感を持ってやっていただきますようにお願いいたします。

 そして、次に予備費についてですが、まず、財政民主主義における予備費の問題点について伺います。

 去年の十一月に刊行された日本財政法学会の機関誌「財政法叢書」の四十号、この号は予備費がテーマですけれども、そこに元会計検査院長の小林麻理さんの論考があります。

 その一節に、予備費についてはこれまでも財政民主主義の観点などから論議が行われてきた、これまでにない膨大な額の予備費が当然のように設定されている実態は、財政民主主義の原則をまさに逸脱するものと言えると元会計検査院長が述べておられます。予備費は、国会による予算の議決という大原則の例外であって、財政民主主義の基本原則に立ち返る必要があるという見解を示しておられます。

 ここで指摘されておりますように、近年の予備費の巨額計上及びその常態的な運用は、憲法第八十七条に基づく例外的措置としての趣旨から逸脱をしている。財政規模や財政民主主義の根幹を揺るがしかねない状況と考えますけれども、財務大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 予備費の計上、また、それが過大ではなかったかという御指摘だと受け止めさせていただきましたが、予備費は、予見し難い予算の不足に充てるために設けられた制度であります。まさにこれまで未曽有と言われた新型コロナへの対応、また、物価高騰という予測困難な事態に対して万全の備えを講ずるため、一定の規模を計上してきたところでございます。これも、国民の暮らしを守る観点から、予算措置の在り方として適切かつ必要な対応かどうか、それを検討した上でこうした措置を取らせていただいたところでございます。

 また、こうした措置が歳出構造の平時化という観点からどうなのかということでございますけれども、足下、令和七年度予算について申し上げれば、特定目的予備費を設置しないとするなど、歳出構造の平時化にも努めているところでございます。

中司委員 緊急にしては額が大き過ぎると思うんですけれども、令和五年度においても、当初は、一般予備費五千億に加えて、特定目的予備費として、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費が四兆円、そして、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費が一兆円、これが計上され、予備費の総額五・五兆円。補正後に減額されましたが、なお三兆円の巨額を擁しているという状況です。通常は数千億にとどめるべき予備費が、異例の規模と言わざるを得ないと思います。

 問題なのは、この巨額の予備費が、新型コロナウイルス感染症が五類へ移行して国全体が平時に戻りつつあった段階においても、継続的に計上されているというところだと思います。

 予見し難い予算の不足、それに備える例外的措置という憲法の趣旨にのっとった予備費の在り方、これをどのように再構築されていくのか、お伺いします。

加藤国務大臣 重ねての答弁になるところではございますけれども、予備費については、まさに国民の命と暮らしを守る観点から、予測困難な事態に対して万全の備えを行うということで計上していくものでございます。

 そういった観点に立って、今後とも、本当に真に、真にといってもなかなか予測し難いということでありますけれども、そうした事態に対応し得る、一方で、御指摘の点もございます。その辺も含めて、今後とも、適切な予備費の計上、そしてその執行に努めていきたいというふうに考えております。

中司委員 予備費の使途ですけれども、令和五年度の予備費の中で、物価高騰対策の一環として、定額減税の補足給付金、これは先ほどもありましたけれども、一・一兆円の財源に充てられました。

 物価高に対する支援自体は重要なことだと思いますけれども、定額減税は政府が行った政策でありまして、自然災害などの突発的な支出とは性質が違います。つまり、本来なら補正予算を編成すべき政策的経費であるにもかかわらず、予備費でこれを賄うということは、国会による審議を回避するためという批判を免れません。

 予見可能な政策的支出まで予備費で対応した理由について、財務大臣の見解をお伺いします。

加藤国務大臣 まず、御指摘の予備費の措置は、令和五年十二月、物価高により厳しい状況にある方々を支援するための所得税、個人住民税の定額減税の制度設計が令和六年度の税制改正の中で決定され、これと併せて、定額減税の恩恵が受けられない方々にも必要な支援を行う観点から、低所得者支援、定額減税を補足する給付を、成案が得られ、そして、住民税均等割のみ課税される世帯等に対する十万円の給付など一連の措置を実施するために予備費の使用決定を行ったところでございます。

 定額減税のためではなくて、むしろ一連の世帯向け給付のために行ったところでございますが、本給付事業については、地方自治体が円滑かつ迅速に執行していくために、支給事務や必要な体制整備に係る具体的な見通しを持って一体的に検討、調整を行い、効率的に準備、執行を進めていただくことが極めて重要であるという観点から、年をまたがずに、令和五年十二月中から円滑な執行に向けて一体的な準備を迅速に実施していただけるよう、十二月中に予備費の使用の決定を行ったところでございます。

中司委員 政策的な予算ですから、予備費ではなくて補正予算を組んでやるべきだったのではないかということなんですけれども。

 次に、災害対応における予備費の運用についてです。

 これにつきましても、先ほどありましたが、能登半島地震の復旧復興のために、政府は、予備費からこれまでに累計で八千二百億円の支出を重ねておられます。

 被災直後の緊急支援に予備費を充てるのであれば、これは迅速な対応の観点から理解できるのでありますけれども、復興財源まで予備費で支出を繰り返した点については、やはり見直す必要があるのではないかと思います。

 これは、財政上の問題だけではなくて、大規模災害の復興状況を議会の中で明らかにして、そして支援策について国会で議論をしていく、そういうプロセス、そういうことを議論していく意味からも、補正予算などの国会の議決を得るべきだと考えております。

 このような災害対応予算の在り方について、必要に応じた補正予算の編成も含めて、見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 災害への予算面での対応につきましては、発災時期、予備費の状況などを踏まえて、最適な中身、タイミングで予備費や補正予算での措置を行ってきているところでございます。

 阪神・淡路大震災では、発災時点で、一月時点で予備費の残額が一千億円強しかなかったため、予備費による対応を先行しつつ、翌二月に補正予算の編成を行う。

 また、東日本大震災については、発災が年度末であったことから、当年度と翌年度の予備費を活用し、六回にわたって、予備費による対応を先行した上で、補正予算の編成を行ったところでございます。

 御指摘の能登震災対応については、発災時における予備費の残額が四千六百億円あることなどを踏まえて、これで対応しつつ、翌年度予算についても、発災から国会開会までに所要の概算決定の変更を行うことは可能であったことから、一般予備費の五千億の増額によって対応するとしたものでございます。

 財務省としては、その時々の事情に応じて、復旧復興に万全を期す、この観点から最も適切と考えられる財政措置を講じていくことが重要と考えております。

 御指摘のように、国会における御議論は大変重要であると認識をしており、予算審議を経ない予備費使用の場合であっても、事後に本委員会で御承諾を得るなど、国会に対し、真摯な説明に今後とも努めていきたいと考えております。

中司委員 次に、予備費の不用と年度途中での使途変更、このことについても問題があると思いますので、お聞きします。

 ウクライナ情勢経済緊急対応予備費についてですけれども、この予備費は当初一兆円が計上されました。補正予算で半額の五千億円に減額されたんですけれども、最終的には、一円も使用されずに、全額が不用となりました。巨額の予備費を計上しながら執行されなかったという事実は、そもそも、その必要性や見積りの精度に重大な疑義があると考えます。

 さらに、このウクライナ予備費と並立する形で、物価高騰、賃上げ予備費も設けられています。最終的に八千七百億円の残額が生じていますけれども、両者は共に経済、物価対策を目的とする特定目的予備費であって、想定される支出対象が重複しています。本来、経済対策として一本化すべきものではなかったのでしょうか。

 重複して予備費を計上した結果、共に巨額の不用額を生じさせた点は、予備費の予算編成上の効率性や透明性の観点からも問題は大きいと言わざるを得ません。この点についての見解。

 そして、もう一点。そもそも、この物価高騰、賃上げ予備費自体が、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の目的を補正予算で修正、変更したものでありますから、特定目的予備費の使途を変更するのであれば、まず全額を国庫に戻した上で、新たな特定目的予備費として計上するのが筋でありますから、予備費の流用とも言われかねません。

 併せて見解をお伺いします。

加藤国務大臣 令和五年度予備費については、新型コロナウイルス感染症や物価高騰への対応など、予測困難な事態に対する万全の備えとして予算計上したものでありますし、国民の命と暮らしを守る観点から、適切かつ必要な対応と考えております。

 その上で、多額の不用という御指摘でありますが、そもそも、予備費は、その性格上、不測の事態への備えとして計上するものであり、一定の不用額の発生というのはやむを得ないものということは御理解いただきたいと考えますが、ただし、結果として多額の不用が生じたことは事実であり、このことは重く受け止め、今後とも適切な予算計上や執行に努めていきたいと考えております。

 また、令和五年度補正予算では、御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費について、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費へと名称変更、使途変更をさせていただいたところでございます。

 これは、コロナ禍から平時への移行などを踏まえ、重点化を図る観点から、コロナ対策を対象から除外し、所要の減額、四兆円から二兆円を行うとともに、物価高に賃金が追いつかない中、賃上げ促進の環境整備のために必要な経費に予期せぬ不足が生じた場合にも予備費を活用できることを明確化する観点から見直しを行ったものであり、適切な対応であったというふうに考えております。

中司委員 不用額については重く受け止めると言われましたけれども、余りにもずさんな対応ではないかと言わざるを得ないと思っています。

 会計検査院が、令和五年九月に、予備費の使用等の状況に関する会計検査の結果を公表されています。その中で、令和二年度予備費において、三月末に多額の予備費の使用決定を行って、大半を後年度に繰り越したケースがあるということが明らかになっています。

 三月末の数日しか使用できる期間がないにもかかわらず、明らかに不合理な期間を用いて金額を算定している例もあるということで、外形的には、不用となった予備費を翌年度に使用するための手段と受け止めざるを得ないわけであります。これは予算の単年度主義にも抵触する禁じ手でありまして、今後決して同様の事態があってはならないと思います。

 会計検査院として、今後も、予備費に関してはこのような調査を毎年継続的に行っていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

原田会計検査院長 お答え申し上げます。

 会計検査院は、予備費に係る予算の執行状況につきまして、これまでも多角的な観点から検査を実施しており、五年九月に、コロナ関係予備費の使用等の状況について検査を行い、その結果を御報告するなどしております。

 会計検査院といたしましては、これまでの検査結果により明らかとなった状況や、国会での御議論も踏まえながら、予備費に係る予算が適正かつ適切に執行されているかなどについて、引き続き適切に検査を実施してまいります。

中司委員 しっかりと検査していただきますようによろしくお願いいたします。

 決算の審議ですけれども、次年度以降の予算編成に反映する、そういう意味があると考えますが、近年の衆議院の決算審議では、三年分の決算をまとめて審議するとか、原則から外れているのではないかと思うところがあります。

 衆議院でもスピーディーかつタイムリーに決算審議を行って、翌年度以降の予算の参考となるようにすべきだと考えておりますので、その点、委員長を始め理事、委員の皆さんに御配慮いただくようにお願いいたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、臼木秀剛君。

臼木委員 国民民主党の臼木秀剛と申します。

 予備費の使用につきまして御質問させていただきます。

 まず、経済産業省の方で、水産物の新たな需給構造構築支援に必要な経費として、いわゆるALPS処理水の放出に伴いまして、「水産業を守る」政策パッケージとして、予備費を二百七億円使用をしております。

 経産省、それから関連で農水省も一部あるというふうにお伺いをしていますけれども、簡単で結構です、具体的にどのような支援策を講じ、具体的にどのような効果を上げたのか、御説明いただけますでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に伴い、一部の国又は地域による輸入規制を踏まえまして、全国の水産業支援に万全を期すべく、令和五年度予備費二百七億円を含む「水産業を守る」政策パッケージ等から成る支援策を実施してきたところでございます。

 令和五年度予備費二百七億円につきましては、ホタテ等の需要減少に対応すべく、特定の国又は地域への依存を分散するための緊急支援といたしまして、一時買取り、保管や、海外を含む新規需要開拓、ジェトロ等を通じた海外代替販路開拓、輸出先のニーズに応じた加工体制の強化への支援を実施してまいりました。

 具体的には、一時買取り、保管や、海外を含む新規需要開拓等の支援につきましては、追加で措置した令和五年度補正予算六十五億円と合わせまして、四十八件、百六十二億円の交付決定を行いました。また、ジェトロ等を通じた海外販路開拓につきましては五十五億円、国内加工体制の強化に向けた機器導入等の支援については五十三件、四十六億円をそれぞれ交付決定を行いました。

 こうした取組や国民の応援消費によりまして、一部の国又は地域による輸入規制直後の令和五年九月から同年十二月において、ホタテの国内消費が対前年同期比で、平均一・五倍程度に拡大いたしました。また、従来の対中国輸出量、年間十四・三万トンの約半分につきまして海外の代替販路の開拓が進んでおり、一定の成果が着実に出たと考えております。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、「水産業を守る」政策パッケージに基づきまして、ジェトロ、JFOODO、品目団体の連携の下で、ホタテなど日本産水産物のプロモーションでございますとか商談会の開催、海外見本市への出展等を通じたビジネスマッチング支援、こういったことを国内外百都市、二百件以上で取り組んでまいったところでございます。

 この結果、生鮮のホタテガイにつきましては、輸出金額ベースで申しますと、中国向け輸出額が前年の二百五十九億円からゼロになった一方で、中国以外の国、地域に対する輸出額が対前年比プラス六二%ということになりまして、輸出額全体では、前年比プラス六億円に転じるなどの成果があったと考えてございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 今の御説明にもあったとおり、主に中国を中心として、ホタテの輸出に対して水産業者の皆様に困難が生じたために予備費を使用したということであります。

 当然、あのときの状況を考えれば、施策としては一定必要ではあったのだろうなと事後的に振り返っても思うわけですし、当時、私は議員ではありませんでしたけれども、やはりあのとき、こういった支援があったからよかったということは、北海道の皆様方からもお聞きはしています。

 ただ、では、予備費の使用というので適切だったのかというところは、やはり私はひっかかっているんです。

 というのも、当然、この間、委員会でも議論がありましたけれども、予備費の使用につきましては、憲法の八十七条、それから財政法二十四条で、先ほど来大臣も御答弁いただいているとおり、あくまでも予見し難い予算の不足について支出をするものであります。

 思い返してみれば、当時、日中関係というのがどういう状況にあったかといえば、前年、アメリカのペロシ下院議長が台湾訪問を行ったことをきっかけに、我が国の排他的経済水域にミサイルを撃ち込まれる、また、半導体の輸出について、バイデン政権は、当時ですけれども、輸出制限を行うということを翌年私たちの国にも求めてくるというような、必ずしも楽観視できるような状況ではなかったというのが令和四年末、それから令和五年の当初であったのではないかと思っています。

 その中で、ALPS処理水の放出につきましては、令和三年に基本方針を策定以後、様々な対策を講じる必要があるということで、政府として一体として取り組んできたと思っております。

 具体的に、令和五年の一月十三日には、「ALPS処理水の処分に伴う対策の進捗と基本方針の実行に向けて」ということで政府も文書をつけており、具体的な海洋放出の時期は、本年春から夏頃と見込むというところまで明記をしてあります。

 そういう状況であるならば、このALPS処理水の放出に伴う中国の対応を予見し難い事情という政府の危機感ということは、本当に私は問題ではないかと思っています。本来であれば、令和六年度ですかね、本予算のところできちんと対策を講じた上でこういった対応をしていく。

 当然、基金も使っていますけれども、明らかに危機意識が足りなかったのではないかという疑念を持っておりますけれども、経産省、ここはあくまでも予見し難い事情であったのかということについて、お答え、確認をいただけますでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 中国政府は、ALPS処理水海洋放出前の令和五年七月七日以降、既に輸入を禁止していました我が国の十都県以外の水産物の輸入について検査の厳格化、強化を行い、その際の中国当局の発表によれば、事態の進展を見ながら必要なあらゆる措置を適時に取る、そういう旨も示唆していたと承知しております。

 経済産業省といたしましては、ALPS処理水の海洋放出により様々な動きがあることを想定いたしまして、国内消費拡大等への対策として、三百億円基金等の準備を行ってきたところでございます。

 こうした中国の動きも踏まえまして、あらゆる可能性を想定しまして、同年八月二十二日の関係閣僚等会議の取りまとめにおいて、科学的根拠のない輸入規制措置等への対策として、臨機応変な対策を講じ万全を期す旨を盛り込んだところでございます。

 こうした中、同年八月二十四日に中国が日本産水産物に対する禁輸措置を公表したことを踏まえ、輸入減が顕著なホタテ等の品目の特定国又は地域への依存を分散するための緊急支援を早急に実施するための令和五年度予備費を加えまして、先ほど申し上げたような既に準備していた国内消費拡大対策などと併せて、「水産業を守る」政策パッケージとして取りまとめて、対応したところでございます。

臼木委員 御答弁ありがとうございます。

 結局、最終的には、予備費の決定につきましては財務大臣の決定で行うわけですけれども、今私が指摘させていただいたとおり、経産省から御答弁がありましたけれども、やはり予見可能性は持ってはいたとはいえ、不十分だったのではないか。恐らく所管外にはなってしまうとは思いますけれども、財務大臣として決裁をしたわけですから、ここについて財務大臣としてのお考え、あくまでもこの事情については予見し難い予算の不足であったという御判断をされたわけですので、その点、御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今経産省、農水省からも御説明がありましたが、御指摘のあった予備費措置については、令和五年八月のALPS処理水放出を受けて、中国等の一部の国、地域が日本産の水産物の輸入規制を強化したことで、ホタテ等の輸出減により大きな影響を受ける水産事業者に対し緊急的に支援を行う必要性が生じたことから、「水産業を守る」政策パッケージの一部として、輸出先の転換対策、国内加工体制の強化対策などを実施しようとしたところでございまして、そのため、中国の規制措置発表後に早急に予備費の使用の決定を行ったものであり、それ自体、適切な対応だったというふうに考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 財務大臣から御答弁がありましたけれども、発表後に緊急的にということではありましたけれども、我が国行政としては、きちんと外交リスク、これから国際情勢も非常に不安定化する中で、きちんとしたリスク管理も行っていく、そして予見可能性を持った政策立案ということをやっていかなければならないのではないかということは御指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、もう一つですけれども、能登震災がこの年に起こってしまいました。改めて、お亡くなりになられました方々にはお悔やみを申し上げますとともに、今なお被災地の皆様方にはお見舞いを申し上げます。

 その中で、観光庁予算として、風評被害対策プロモーション等々の中で、いわゆる観光復興に向けた支援というものも、今回、予備費を使用をされております。

 簡単で結構ですので、事業内容、効果等について御説明をお願いします。

平嶋政府参考人 観光庁では、令和五年度予備費を活用いたしまして、能登半島地震による北陸観光の風評被害を払拭し、旅行需要を早期に回復する取組を実施してまいりました。

 具体的には、北陸四県が昨年実施しました旅行・宿泊料金の割引に対して支援を行ったところであり、約九十五万人泊分の利用があったものと承知しております。

 また、日本政府観光局による被災地域の正確な情報の発信による訪日プロモーションを集中的に実施したところであり、例えば、世界的に影響力のあるグローバルメディアと連携しまして、ウェブサイトにて被災地域の観光魅力、また観光地に関する正確な情報を発信してまいりました。

 このような取組を通じまして、風評被害を払拭し、旅行需要を下支えしてきたものと考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 事前に観光庁の方から御説明を聞いたところ、恐らく熊本の地震以降、災害発災後の観光の被害に対する手当てとして、こういった観光復興に向けた支援を行っているということもお聞きしました。

 平成三十年、三十一年ぐらいから観光庁の予算も、使えるお金も増えてきたということでこういう事業をやっているものと承知をしておりますが、先ほど来お話をさせていただいているとおり、予見し難い予算の不足に充てるためというやはり予備費の使用目的を考えれば、確かに、災害復旧に関しては予備費の支出ということは必要であると思います。やはり緊急的に、予見がし難いものである。ただ、一方で、復興のところにつきましては、やはり丁寧な国会審議を経た上で、範囲であったり予算額、またその事業内容についてもきちんとチェックをしていくことが必要ではないかと思っております。

 これから様々、我が国は自然災害が頻発をしておりますので、ちょっとここは政府参考人に問うのが適切かどうか分かりませんけれども、災害が起こったときに対しての観光復興に対する支援、まずは、これは今後とも行っていくという予定であるのかというところをちょっと端的にお答え可能でしょうか。

平嶋政府参考人 災害の状況というのは個々多様にわたると思います。また、被害の状況ですとか程度ですとか、どのくらい早く復興しないといけない、そういったところもあると思いますので、なかなかちょっと一概にはお答えしにくいところはあると思いますけれども、我々としましては、現場を支えておられる方々をしっかり支援していきたいと考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 まさにその点だと思っておりまして、災害に応じて、その規模であったり被災対象地域、また、どれだけの範囲の方々にどういった復旧ないし復興、この支援を行っていかなければいけないのかというのは、やはりある程度、時間の、早さも大切ですけれども、丁寧な議論であったり確認が必要であると思っています。

 そういう意味では、観光復興に向けた支援につきましても、やはり補正、当時、発災から直ちに通常国会が開かれるようなタイミングではあったと思いますので、先ほど他の委員からも指摘があったとおり、補正予算の編成も含めての対応もあり得たのではないか、これはあくまでも事後的な話になってしまいますけれども、あったのではないかということも私も思っております。

 是非、今後、予備費の使用につきましては、やはり憲法上の規定、そして財政法でも、予見し難い予算の不足に充てるため、ここが判断の唯一の基準であると思っています。適切な予見し難い予算であるかどうか、この確認は国会でも行っていかなければなりませんし、やはり最終的には大臣が決定をするわけですから、今後の予備費の支出に当たっては、予見可能性につきまして厳しいチェックをいただきたい、判断をいただきたいと思います。

 最後に大臣、一言お願いできますでしょうか。

鈴木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁につきましては簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 今委員御指摘があったまさに予見し難い事態に対応する。また、災害等においては、刻々と状況が変わってくるところでございます。特に、観光については、風評被害というものをそのままにしておくと更に被害が拡大する。そうした迅速性等々も踏まえながら、一方で、御指摘の点も、国会で御審議いただくということが原則だという点、予算に関してですね、それらも踏まえて、今後とも適切な判断、また適切な編成を行っていきたいと考えております。

臼木委員 以上で終了いたします。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、志位和夫君。

志位委員 日本共産党の志位和夫です。

 私は、この機会に、消費税の減税と法人税の問題について加藤大臣に質問します。

 物価高騰の下で、消費税の減税が国政の大争点に浮上しています。各社の世論調査でも、国民の六割から七割が何らかの形で消費税の減税を求めています。その際、その財源をどうするのかが重要な論点となっています。

 日本共産党は、消費税は廃止を目指して、緊急に五%に減税し、インボイスを廃止する、そのための財源は、赤字国債に頼ることなしに、大企業と富裕層への減税と優遇を見直すことによって賄うという具体的提案を明らかにしております。

 我が党のこの姿勢に対して、石破総理は五月十二日の予算委員会で、御党の安易に国債の発行に頼らないという姿勢は、私は本当に立派なものだと思っております、志位議長がそういう御発言をされたということは、ある意味感動を持って拝聴したところでございますと述べ、内部留保をどうするか、法人税をどう考えるか、税制の在り方というものをきちんと議論するということは是非ともさせていただきたいと答弁されました。

 そこで、今日は、法人税について議論していきたいと思います。

 まず、加藤大臣に確認しておきたいのは、公平な税負担とは何かという問題です。

 国税庁の研修機関である税務大学校が発刊している「税法入門」によりますと、税負担は担税力に応じて配分されるのが公平であると明記されています。そして、担税力とは、租税を負担するものが不当な苦痛を感じることなく、社会的に是認できる範囲内で租税を支払える能力とあります。

 政府として、税負担は、担税力、すなわち負担能力に応じて行われることが公平だという立場に立っていることは間違いありませんね。確認します。

加藤国務大臣 委員御指摘の部分については、私も同様の認識を持っております。

 税の基本原則、公平、中立、簡素でありますが、このうち、公平の原則は、委員御指摘のように、様々な状況にある人々や企業がそれぞれの負担能力、すなわち担税力に応じて税を分かち合うことを意味するものと承知をしております。

志位委員 確認されました。

 今日、端的に聞きたいのは、大企業には今以上の担税力、税負担をする能力がないのかという問題です。

 パネルを御覧ください。

 これは、二〇一二年から二三年までの十一年間の資本金十億円以上の大企業の利益と法人三税、内部留保の推移であります。税引き前利益は、二十九・二兆円から七十七・一兆円に、二・六倍にも増えています。にもかかわらず、法人三税の伸びは、九・四兆円から十五・二兆円に、一・六倍にとどまっています。大企業への減税と優遇の結果です。内部留保は、三百三十三・五兆円から五百三十九・三兆円へと、空前の規模に達しています。

 この事実は、大企業が今以上の担税力、税を負担する能力があることを明瞭に示すものだと考えますが、大臣にはそうした認識がありますか。端的にお答えください。

加藤国務大臣 租税特別措置等により大企業の法人税負担率が中小企業に比べて低いということだろうと思いますが、政府としては、中小企業に対し、軽減税率の特例、投資減税、賃上げ促進税制において大企業を上回る控除率を設けるなど、十分な配慮や政策的な後押しを行っております。

 また、大企業も中小企業も対象となる受取配当等の益金不算入制度、また外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度といった制度については、実際に適用する企業には大企業が多いため、大企業の負担率が低く見えるという面がありますが、これらは、国際的にも一般的に二重課税を避けるための措置であります。

 これらを除いて比較すれば、必ずしも大企業の負担率が中小企業よりも軽減されるとは言えないのではないかというふうに考えているところでございます。

志位委員 私の質問に答えておりません。私は、大企業が空前の利益を上げているにもかかわらず、法人税の伸びは低く抑えられている、そして、毎年、内部留保を積み増している、そういう大企業に今以上の担税力がないというのかと聞いているんですよ。あなたが言った答弁は、聞いてもいないことに対する答弁でした。

 それは、実は次のパネルにあります。これを御覧ください。

 これは、資本金階級別の法人税実質負担率の推計結果です。資本金一億円から五億円の中堅企業をピークにしまして、大企業になればなるほど、法人税の実質負担率が低下しております。法人税の実質負担率は、小規模企業が一八・五%、中堅企業が二〇・六%、大企業は一〇・〇%です。受取配当益金不算入や外国子会社配当益金不算入、そして研究開発減税など、大企業優遇税制の結果です。

 大企業の法人税の実質負担率は、小規模企業や中堅企業に比べて約半分なんですよ。しかし、小規模企業や中堅企業に比べて大企業の法人税の担税力、負担能力が高いことは、誰が考えても明らかです。

 したがって、大企業には今以上の担税力があることは、このグラフを見ても一目瞭然ではありませんか。これを聞いているんです、担税力の問題。お答えください。

加藤国務大臣 先ほどの税引き前の利益についても申し上げたところでありますが、そこには、受取配当等の益金不算入制度や外国子会社から受け取る配当等の益金不算入制度、これは、一般的に二重課税を回避するための措置として各国においても取られているところでございます。それらも踏まえて比較をする必要があるということを申し上げたところでございます。

 なお、法人税については、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、二〇一〇年代に、投資や雇用、賃上げの促進などを図るため、税率を二三・二%まで引き下げ、経済界には、その趣旨を踏まえ、国内投資の拡大や賃上げを求めてきたところでございますが、多くの日本企業では、長期にわたる低成長、デフレの経験などから、企業収益、配当は増加したものの、政府が重要と考える賃上げが、国内投資に結びつかず、増加した内部留保を現預金として保有してきたと考えているところでございます。

 政府・与党税制改正大綱、令和七年度においても、法人税の在り方について、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないとの評価がなされたところでございます。

 今後については、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していく、先般、総理もそのように答弁をさせていただいたところでございます。

志位委員 先ほど大臣は、様々な課税ベースの問題をやっているので低く見えるとおっしゃった。しかし、大企業の法人税の実質負担率は、低く見えるんじゃなくて、実際に低いんですよ。研究開発減税だけでも、年九千億円もの税額控除をやっているじゃないですか。

 大企業の方が法人税の実質負担率が低いというのは、私が行った試算だけではありません。今日、ここに持ってまいりましたが、経済産業省の委託調査として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが二〇二三年三月に発表した報告書でも企業規模別の税負担率を試算しておりますが、企業規模が大きな企業の方が税負担率が小さくなっていると結論づけています。

 私がさっきから聞いているのは一点なんですよ。大企業に今以上の担税力があるかないかを聞いている。あなたは一貫してお答えになっていない。中小企業に比べて大企業の担税力が劣るとでも、そういう根拠があるとでも言うんでしょうか。ごまかさないで、はっきりお答えください。担税力のことを聞いているんです。

加藤国務大臣 私は、ごまかしてしゃべっているつもりはございません。

 今委員の資本金別の比較についても、先ほど申し上げたような受取配当等の益金不算入制度、これは、国際的にも二重課税を回避する観点から除外をされているわけでございまして、そういったものも引いた上で比較をする必要があるということを申し上げる一方で、この間、法人税は、先ほど申し上げたように、世界的な法人税率の引下げ競争もある中で引き下げてきたところでありますが、ただ、引下げに当たっては、投資、雇用、賃上げの促進を図るという視点がありました。ただ、残念ながら、それが今現実になっているかというと、必ずしもそうはなっていない。

 そういった意味において、法人税の在り方については、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していく必要があるというふうに考えております。

志位委員 検討とおっしゃいますが、その検討の前提になる大企業の担税力についてこれだけ聞いたんですが、大企業に今以上の担税力がないとは言えなかった。そうですよね、ないとは言えない。

 大企業は、十分過ぎるほどの担税力を持っていますよ。ならば、大企業への減税のばらまきはもうやめて、応分の負担を求めるべきです。国際競争力云々と言いましたけれども、法人税の減税が賃上げにもつながっていない、設備投資にもつながっていない、失敗だったということは、あなた方も認めているじゃないですか。総理は、重大な反省が必要だと言いましたよ。

 十分過ぎるほどの担税力を持つ大企業に減税をばらまき、課税最低限に達しない、担税力のない、所得の少ない人から情け容赦なく消費税を取り立てる、こんな間違った政治はない。

 大企業と富裕層に応分の負担を求める税制改革を行えば……

鈴木委員長 志位委員に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

志位委員 終わります。

 赤字国債に頼らなくても消費税五%への減税の財源がつくれるこの道こそ選択すべきだということを申し上げて、終わります。

鈴木委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 参政党の鈴木敦でございます。

 定額減税とそれで救い切れなかった低所得者の方々への給付について、まず端的に伺いますが、効果測定という部分なんですよ。

 皆さん、やっていただかなければいけなかったと思うし、我々も求めてきましたが、その効果の検証をいかにしてやっていくかということが非常に重要で、それは、これから減税をするのだ、あるいは給付をするのだというときに、これぐらいならこれぐらいの効果があるということを正確に理解しなければ、政策立案できないと私は思います。

 効果測定というのは、前回、直近で皆さんが給付されたのは特別定額給付金ですね、コロナ禍でした。十万円を一律で支給されましたが、この効果測定を政府としてはされておりません。

 かつ、内閣府が三年ぐらいたってから報告書をまとめていますけれども、その結果、消費支出に回った割合が二二%、家計調査によると一七%。おおむね同じなので、貯蓄に回ってしまった、だから効果がなかったのだという結論を出されていますし、政府も一様にそういうふうにおっしゃっておられます。

 ただ、財務省としても、政府としても、給付をしたから、あるいは減税をしたからといって、その効果を測定しなければならないという義務も制度も存在しないと私は承知していますが、財務大臣はいかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 義務というと法律上ということになろうかと思いますが、それとは別に、定額減税に関連する各種給付金の効果等について検証、分析をすることは、我々は重要だと認識をしております。

 実際、検証、分析に当たっていきたい、行っていきたいというふうに考えておりますが、その時期については、令和六年分の税務統計や関連データがまとまる今年度末以降、速やかにその検証、分析を行い、結果を速やかに公表したいと考えています。

鈴木(敦)委員 この際、その調査をしていただくときに指摘しておきたいのが、前回の特別定額給付金の報告書がまとめられた検証結果のとき、三つ問題点があるんですね。

 一つは、代表性です。家計簿アプリを使ってビッグデータで家計支出を計算していたので、そもそもアプリを使っている人しかサンプリングしていないんですよ。ということは、必然的に高齢者よりも若年層に偏ります。もう一つは、アプリを使われている地域が関東圏に集中しているという指摘もこれまたされているんですね。もう一つ、期間が限定的です、支出の五週間前と支出してから十週間後。

 たった三か月ぐらいの統計を取って、これは貯蓄に回ったのだと言われてしまうと、これは内閣府の政策統括官もおっしゃっています。そのまま読み上げると、その規模は限定的なものにとどまる可能性が示唆されるものの、一定の下支え効果が期待される。つまり、一旦超過貯蓄になったとしても、いずれ切り崩されて消費支出に回る可能性がありますよということなので、必ずしも、貯蓄に回ったから効果がなかったとは言えないということ。

 これらを含めて言うと、みんな大好き経済理論で言うと、ライフサイクル仮説というのを皆さん持ち出しますが、低所得者は関係ないんですよ。非正規雇用とかお金を持っていない人たちは、すぐ使っているんです。そういうものも計算に入れて統計を取らなければならないので。

 財務省としても、財務大臣としても、政府一丸となってとおっしゃると思いますが、統計を取る、調査をするというときには、サンプルが果たして代表性をちゃんと持っているのかどうか。あるいは、この統計を取るときも同じ指摘をされていますが、ATMで現金だけ下ろしましたということが家計簿に入っていると、何に使ったか分からないんですよ。例えば、十万円給付された次の日に十万円ATMで下ろしたら、支出にされる可能性があるし、もしかしたら別のものに使っているかもしれないし、口座を移し替えたかもしれないんですね。何に使ったかが分からない。

 だから、政府として、何にどう使っていったのか、それが支出に果たして回ったのかというものを、正確に統計を取るために何が必要なのかということを今ここで検討しておいてほしいんです。そうすれば次から、減税したりするときに、その効果があったかなかったかということを検証できるわけですね。

 この件について一つだけ財務大臣に意見をして、指摘したいと思うんです。

 今日も委員会の中で、予備費というものについて、いろいろ野党からも指摘がありました。毎度毎度決算をやるたびに、予備費の話をするたびに野党から指摘を受けてしまうのは、予算の編成のときにはちゃんと審査をしていますよね、でも、予備費は審査をしていない。かつ、検証する義務もないし、必要性はあるんだけれども、法律上の明記もないということで、入口はありません、でも、出口をつくる必要もありませんという、何か不可思議な迷路をつくって自分で迷い込んじゃっているから、こうやって毎回毎回指摘を受けるので、出口だけしっかりつくっていただきたいんです。

 今、前向きに検討いただきましたから、今回の検証の方法を恒久的に、統計を取る、調査をする。その仕組みにする、制度を設計するということで私は今理解をしていますが、それでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 予備費については、まさにここで御議論いただいているというのが大きな出口ではないかとまず認識をしております。

 その上で、これからどうしていくのかということでありますが、これは、どういう施策をやるかによってもその分析方法は変わってくるんだろうと思います。

 ですから、まずは今回の定額減税、また関連する各種給付金については、先ほど申し上げました令和六年分の税務統計、また関連データ、これらを踏まえて検証、分析を行っていきたいと思っておりますし、また、その分析に当たっては、賃金上昇が物価高に追いついていない状況において、家計の可処分所得を下支えすることによって物価高を上回る所得の実現につながるという、今回の定額減税や関連する各種給付金の調整給付の政策目的、これを踏まえて、その視点に立って、実際の減税額、調整給付金の実績、これによる所得の増加、消費等を通じた経済に与えた影響、これらを分析したいというふうに考えているところでございます。

 具体的なやり方は、これから関係省庁の協力も得ながら進めていきたいと思っておりますが、まずは今回の分析をしっかりやらせて、お示しをさせていただき、またそれを踏まえて御議論いただければというふうに思います。

鈴木(敦)委員 ここで議論しているといいますけれども、効果の測定ができるものとできないものが一緒に審議されているから、そう言っているんですよ。

 水産品については効果検証ができていたじゃないですか。定額給付金についてはできていないし、なぜできていないかというと、調査する方法がないからです。だからそれをつくってくれということをお願いをしているので、是非つくっていただきたいと思います。必要性は認識していただいているので、改めて申し上げません。

 もう一問お伺いしますが、これも水産品に関してです。

 二百七億円お使いいただきました。今日は財務大臣に伺いますが、この効果がどうであったか、財務省としてのお考えを伺いたいと思います。

加藤国務大臣 御指摘のあった予備費措置については、先ほど御議論させていただきましたので中身は省略させていただきますが、これらの支援措置の結果、従来の対中国輸出量十四・三万トンの約半分について代替販路の開拓が進むなど、一定の成果が出てきたものと考えております。

 依然として中国等による輸出規制の動向が不透明な中、令和六年度補正予算においても、新規需要開拓支援等に係る予算の措置が行われたところであります。

 引き続き、状況を注視しつつ、政府一丸となって必要な対応を図っていきたい、かように考えています。

鈴木(敦)委員 検証する仕組みをつくってから、効果がありなしを御答弁いただきたいと思います。

 終わります。

鈴木委員長 次に、河村たかし君。

河村委員 河村たかしです。

 加藤大臣に全てお伺いします、基本的なところを。

 どうも財務省は自分のところが日本国と思っておるのではないのか、根本的に。それは皆さん全体もそうですけれども。

 その具体的な話として、今、数字が出ていますけれども、予備費で能登の災害のために幾ら使ってきたか、それで十分と思っておるかということをまずお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 能登地域の復旧復興のための予算措置についてでありますが、令和六年一月一日の発災以降、緊急に対応が必要な支援を講じるために、令和五年度予備費を活用し、合計で約三千億円の予算措置を講じました。さらに、令和六年度に入ってからも、被災地の復旧復興のフェーズに応じた切れ目のない支援を行うため、令和六年度予備費を活用して約五千億円、令和六年度補正予算において約三千億円の予算措置、締めて一兆円を超える予算を措置してきているところであります。

 能登地域の復旧復興については、これらの予算措置を活用して、被災者の生活再建、住まいの確保、事業者のなりわいの再建、道路等のインフラ復旧などを進めてきており、必要な支援をお届けするための予算の確保を図ってきたところでございます。

 まだまだ現地は大変厳しい状況というふうにお聞きをしているところでございます。こうして確保した予算の執行をしっかり行っていくとともに、能登地域の復旧と創造的な復興に向けて、今後とも必要な対応を行っていきたいと考えております。

河村委員 ということは、一応十分だ、精いっぱいやってきた、そういうふうに思っておらっせるのかな、これは。

加藤国務大臣 現地の御要望を伺いながら、必要な支援をお届けするための予算は確保してきたところでございますが、先ほど申し上げたように、まだ現状、復旧、また復興という意味において、やっていかなきゃいけないものがたくさんあるわけでございます。

 したがって、今措置した予算、これをしっかり執行していくということと同時に、今後、能登地域の復旧、また創造的復興に向けて必要な対応が出てくると思っておりますし、また、いろいろお話も聞かせていただいております。必要な対応を図っていきたいと考えています。

河村委員 テレビ等を見ておりますと、特に漁港だとかはまだまだ物すごく遅れておりますし、まだまだ、特に下水関係ですか、非常に遅れておるということは皆さん認めておるところだわね、これは。

 何で一気にもっと大量にやらぬのですか、お金をつぎ込んで。

加藤国務大臣 現地からいろいろなお話も聞かせていただいています。もちろん予算もしっかり確保させていただくとともに、例えば人手が足らないとか、なかなか物流的な問題があるとか、いろいろなことがこれまでも指摘をされてきたところであり、そうした問題を一つ一つクリアしながら、今、現地の皆さん方も相当な御努力をいただいて、復旧復興に向けて取り組んでいただいているというふうに承知をしております。

 我々も、現地からいろいろなお話、知事からもいろいろなお話もお伺いしますけれども、そうした中身も、また、国会の場においても様々な御指摘も頂戴をしております。そうしたものも踏まえて、今後とも必要な対応を図っていきたい、そして、一日も早い復旧復興に向けて、政府を挙げて取り組ませていただきたいと考えています。

河村委員 私のところ、名古屋市でも、相当応援しようということで、特別の部隊というか、つくってやっていこうとか、いろいろやっておったんですけれども、向こうの業者との関係もあるし、それから、やはりお金がないでいかぬですわというような話も伺っておったわけです。大体一兆を超えるといいますけれども、政府の出しておるものでも、被害総額は二兆円ぐらいだという数字がありますわね。

 だけれども、どうも、大臣、皆さんがやっておる社会というのは、今いろいろな議論をしておりますけれども、これは会社でいうと総務部なのであって、実際、金を持っておるのは総務部というよりも営業部なんですね。ここの区別がついておらぬのじゃないのか。総務部だけなんて、赤字に決まっておるわけでしょう、減税の財源でもそうですけれども。総務部だけで会社を守り立てようなんてできるわけないですわ。

 だから、営業本部、仮にそういう言い方をしますと、今、日銀の当座の残高が五百三十兆ありますね。五百三十億じゃないですよ、五百三十兆あるんですよ、ここに。その金をもっと有効に使って、日本経済をもっと盛り上げよう。その中でも、とにかく今回の能登の災害のようなものは、全員で、必死になって日本中で支えないかぬですわ。

 だから、あなたが考えておるのは総務部だけのことであって、私は全体の日本のことは考えておりませんと正直に言ったらどうですか。

加藤国務大臣 済みません、私は会社を経営したことがないので、総務部、営業部という使い方が、どういう機能をするかというのは、にわかに分からないところがありますが、別に私どもだけで例えば能登の復旧復興に取り組んでいるわけではありません。

 政府を挙げて、実際、それぞれの役所の中において、また石川県庁を始め関係自治体、あるいはまたそこで活動されている様々なNGOの皆さん方等々、いろいろな声を聞かせていただいて、そして、それに必要な予算を確保させていただいているというところでございます。

 何も、財政がないから今回、復旧復興に対応しないということを言っているということは全くないわけでありまして、先ほどから申し上げているように、必要な予算、これをしっかり確保して、一日も早い、能登半島についてのお話がありましたから、能登半島についても、復旧復興を図るべく努力をしていきたいと思っております。

 なお、日銀の当座預金については、これは日本銀行の負債として計上されていますが、見合いは国債等が既にあるわけでございますので、それが新たな国債購入の財源になるというものにはなっていないということを申し上げておきたいと思います。

河村委員 何か変なことを言っておりましたけれども、いずれにしろ、営業部には、日本は物すごく金があるわけですよ、実は。五百三十兆、日銀だけで。それをみんなで使っていこうという体制がないわけなんです。

 だから、片肺経済と言うと、余りそういう言葉を使うと、本当に片肺で苦しんでみえる方が多いので余り使わぬ方がええよと言われていますけれども、窒息経済というか便秘経済、そういうのが実態であって、これが財務省の持っておる姿ですよね。国債発行まで自分のところの権利なんですよ。

鈴木委員長 河村委員、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

河村委員 もうやめますけれども、今一番ええところですけれども。

 民間のお金を使うというと、起債を起こすということに普通はなります、証書貸付けもできるんだけれども。それが財務省の権限になっておるということで、それで日本の経済が窒息状況なんだ、産業の力も落ちてきておるということなので、ちゃんとそこのところを一遍見直さないかぬのじゃないかというふうに思います。

 民間の金と総務部の金というのを両方使って日本を盛り上げなきゃいかぬと思っておりますので、一言、そうしますぐらい言ってちょう。

鈴木委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、別に、予算の制約があるからといって能登半島に対する復旧復興支援に制約をかけているわけでは全くございません。必要な措置は、これまでもそうでありますが、今後ともしっかりやらせていただきます。

河村委員 終わります。

鈴木委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外三件について、一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏でございます。

 ただいま議題となっております令和五年度予備費について、会派を代表し、反対の立場から討論いたします。

 まず申し上げたいのは、予備費制度の本来の趣旨との乖離です。

 予備費は、憲法第八十七条及び財政法第二十四条に基づき、予見し難い予算の不足に備える例外的な制度として設けられております。しかしながら、令和五年度には、当初予算で特定目的予備費として五兆円、一般予備費を含めて五・五兆円もの巨額の計上がなされました。補正後も約三兆円もの額を確保しているのは明らかに過大であり、制度の趣旨を逸脱するものであります。

 実際の使途を見ると、定額減税の補足給付に一兆一千億円が予備費から支出されています。また、能登半島地震に関しましては、今までに累計で八千二百億円が予備費から繰り返し支出されました。しかしながら、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費は全く使われず、補正後の五千億円がそのまま不用となっています。予算の見積りが極めて甘く、また、精査も不十分であったと言わざるを得ません。

 特に問題なのは、予見可能な政策的支出にまで予備費が使われていると思われる点です。定額減税の補足給付や、災害復旧の中長期的支出については、本来であれば補正予算を編成し、国会の議決を経て対応すべきです。政府がこれらを予備費で執行することは、国会の予算審議を形骸化させ、財政民主主義の原則を損なうものと思料します。

 また、予備費の事後承諾の仕組みも、濫用に対する歯止めとなっているとは言い難い状況にあります。会計検査院が令和五年に公表した予備費に対する会計検査の結果では、令和二年度予備費において、三月末に多額の予備費の使用決定を行い、大半を後年度に繰り越したケースがあることも明らかになっていますが、このような問題を制度的に防ぐ工夫もまだまだ不足しています。

 日本維新の会は、国民の血税の使途に対し常に厳格な姿勢を貫いてまいりました。予備費の濫用を許さず、制度の原点に立ち返った運用の見直しを強く求めます。

 以上の理由から、令和五年度予備費を承諾できないことを申し述べ、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、日本共産党を代表し、二〇二三年度予備費四件に対する討論を行います。

 原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費の支出について。

 我が党は、衆議院予算委員会理事会において、物価高騰により窮迫する国民の暮らしと家計を支援するための給付や税控除の在り方は、政府が補正予算を編成して、予算委員会で徹底審議を尽くすべきと主張してきました。

 我が党は、国会審議の中で、定額減税は自営業者の家族や事実婚のパートナーの被扶養者が対象外となる問題、また、給付が遅く翌年になる問題や給付が行き渡らないなどの重大な問題が生じていることを取り上げ、岸田政権による総合経済対策は制度設計の失敗と厳しく指摘してきました。

 以上のことから、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費の支出は承諾できません。

 特別会計予備費について。

 我が党は、二〇二三年、商工組合中央金庫、商工中金法案の審議で、完全民営化を狙う株式売却は、政府系金融機関の役割放棄と、国庫収入に大きな穴を空けかねないことを指摘して反対しました。

 以上のことから、商工中金株式売却の助言等を求める支出がある特別会計予備費は承諾できません。

 一般会計予備費は、能登半島地震の災害による緊要な支出等であり、承諾します。

 また、特別会計予算総則経費増額も承諾することを表明します。

 以上です。

鈴木委員長 次に、河村たかし君。

河村委員 保守党といたしましては、反対ということでございます。

 理由は、本当にこれは経済の考え方を変えないと。民間は金が物すごく余っておるんですよ、今。借りる人がいないわけです、お金を。

 すごく余っておるのに、相変わらず、この国会か何か知りませんけれども、上級国民がみんな集まって、自分らの、会社でいうと総務部の金だけ言っておるわけです。減税でもそうですよ。総務部なんかに金があるわけがないですよ、会社には。

 営業本部に余っていて、実は、今の国の状況でいうと、銀行に物すごく余っておるわけです。それがたまってきたものが日銀の五百三十兆です。そちらのお金と両方一緒に、どうやって使っていくか。

 ただ、財政法四条というのがありまして、それで、何か偉い人は、民間の金を使ってはいかぬと書いてあるわけです。ただ、例外がありますけれども、公共事業と、それから特例債の場合は。

 だから、もうその辺をどうするかということを考えて日本国全体の経済運営を考えないと、産業の力が落ちちゃうでいかぬわ、このままだと。GAFAに負けちゃったじゃないですか、加藤さん。

 ということで、そんな前提に立っておる予算は、当然賛成できません。

 以上です。

鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより採決に入ります。

 まず、令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、令和五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、令和五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、令和五年度特別会計予算総則第二十一条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会


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